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2002/02/04 第154回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第154回国会 本会議 第4号
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2002/02/04 第154回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第154回国会 本会議 第4号

#1
第154回国会 本会議 第4号
平成十四年二月四日(月曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第四号
  平成十四年二月四日
    午後一時開議
 一 国務大臣の演説
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 議院運営委員長辞任の件
 議院運営委員長の選挙
 小泉内閣総理大臣の施政方針に関する演説
 川口外務大臣の外交に関する演説
 塩川財務大臣の財政に関する演説
 竹中国務大臣の経済に関する演説

    午後一時八分開議
#2
○議長(綿貫民輔君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 議院運営委員長辞任の件
#3
○議長(綿貫民輔君) お諮りいたします。
 議院運営委員長鈴木宗男君から、委員長を辞任いたしたいとの申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。よって、許可することに決まりました。
     ――――◇―――――
 議院運営委員長の選挙
#5
○議長(綿貫民輔君) つきましては、これより議院運営委員長の選挙を行います。
#6
○馳浩君 議院運営委員長の選挙は、その手続を省略して、議長において指名されることを望みます。
#7
○議長(綿貫民輔君) 馳浩君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。よって、動議のとおり決まりました。
 議長は、議院運営委員長に鳩山邦夫君を指名いたします。
    〔拍手〕
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説
#9
○議長(綿貫民輔君) 内閣総理大臣から施政方針に関する演説、外務大臣から外交に関する演説、財務大臣から財政に関する演説、竹中国務大臣から経済に関する演説のため、発言を求められております。順次これを許します。内閣総理大臣小泉純一郎君。
    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕
#10
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 小泉内閣に対する支持率が低下し、私の改革への姿勢が後退するのではないかと懸念する声があります。しかし、私の改革への決意は全く揺るぎません。(拍手)引き続き改革に邁進するとの決意を持って、私は、施政方針演説を行います。(拍手)
 私は、就任以来、我が国が持続的な経済成長を取り戻すためには、経済・財政、行政、社会の各分野における構造改革を直ちに断行すべきであるとの考えのもと、国政に当たってまいりました。ことしは、構造改革が本番を迎えます。どのように改革を進め、また、国際社会に対していかに責任を果たしていくのか、小泉内閣として国政に当たる基本方針を申し述べます。
 昨年十二月一日、愛子内親王殿下の御誕生という、国民ひとしく待ち望んだ慶事を迎えました。国民とともに、改めて御誕生をお祝い申し上げ、愛子内親王殿下の健やかな御成長をお祈り申し上げます。(拍手)
 二十一世紀こそ平和の世紀にしたいとの願いとともに明けた昨年、米国におけるテロの発生、我が国近海における武装不審船の出没など、平和の維持、危機管理への取り組みが、現実の課題として突きつけられました。我が国は、これに毅然として立ち向かうという決意を具体的な形で明確に示しました。インド洋における活動に当たっている自衛隊員を初め、国際社会の平和維持、国民の安全確保というとうとい任務に当たっている諸君に対して、敬意と感謝の意を表明します。(拍手)安定した平和を実現するためには、国際協調主義に立って主体的に対応することが何よりも大切です。今後、引き続き、緊張感を持って取り組んでまいります。
 ことしは、ワールドカップサッカー大会が開催されます。大会期間中は、世界じゅうの注目を集め、多くの人々が訪れます。日本に関心を持ち、日本について理解を深めてもらう、またとないチャンスです。我が国の文化伝統や豊かな観光資源を全世界に紹介し、海外からの旅行者の増大と、これを通じた地域の活性化を図ってまいります。この大会が、経済面への波及効果も含め、日本と日本人が元気を取り戻す機会となることを強く期待しています。
 構造改革は、着実に動き出しています。特殊法人改革、規制改革など、さまざまな改革がスタートを切りました。必要な予算も編成しました。ことしは、動き出した改革を一つ一つ軌道に乗せ、さらに大きな流れをつくり出す改革本番の年です。そして、経済再生の基盤を築く年としなければなりません。この正念場を乗り切って、平成十五年度から、改革の成果を国民に示し、平成十六年度以降は、民間需要主導の着実な経済成長が実現されることを目指します。
 昨年、内閣総理大臣に就任した当初、私が提案したさまざまな改革の実現は困難であろうと思われました。実際には、多くの分野で改革が進みました。今までなれ親しんできた制度や慣行と決別し、新しい時代の要請を柔軟に受けとめなければなりません。
 経済情勢が厳しさを増しつつあり、多くの方々が困難に直面している中にあって、小泉内閣の掲げる改革なくして成長なしとの方針は、多数の国民の支持を得ています。この国民の声をしっかりと受けとめ、揺るぎない決意で改革に邁進します。(拍手)
 平成十四年度予算は、改革断行予算です。五兆円を削減しつつ重点分野に二兆円を再配分する、この方針のもと、公共投資やODAを一割削減しました。医療制度も思い切って見直しました。既定経費を基準にせず、歳出の効率化を進める一方、少子高齢化への対応、科学技術、教育、ITの推進などの重点分野に大胆に配分しました。特殊法人などへの財政支出については、その事業を精査し、一般会計、特別会計合わせて一兆一千億円を超える削減を実現しました。
 これらの歳出面における努力や歳入面における税外収入の確保などにより、国債発行額三十兆円を守り、税金をむだ遣いしない体質へ改善するとともに、将来の財政破綻を阻止するための第一歩を踏み出すことができました。今後、歳出の見直しを進め、受益と負担の関係についても引き続き検討を行いつつ、効率的で持続可能な財政への転換を図ってまいります。
 平成十四年度の経済情勢は、引き続き厳しいものとなることが予想されます。平成十四年度予算と平成十三年度第二次補正予算とを切れ目なく執行し、改革を断行する一方で、デフレスパイラルに陥ることを回避するために細心の注意を払います。政府は、日銀と一致協力して、デフレ阻止に向けて強い決意で臨みます。(拍手)
 平成十六年度には、不良債権問題を正常化します。主要行に対する検査を強化するとともに、整理回収機構による不良債権の時価買い取り制度などを活用しつつ、不良債権処理と企業再建に積極的に取り組みます。金融情勢について十分注視し、金融の危機を起こさないためにはあらゆる手段を講じます。
 金融機関の経営の健全性を確保するため、株式保有制限を課するとともに、これに伴う株式処分を円滑にするため、先般、銀行等保有株式取得機構を設立しました。
 ペイオフの円滑な実施に向けて、国民に対する周知に努めるとともに、金融機関に対する検査、監督など金融システムの安定化に万全を期します。
 一年前と比べると、製造業は三十七万人、建設業は二十一万人の就業者が減少しています。しかし、この一年間のマイナス成長の中でも、サービス業の就業者は五十万人増加しています。
 雇用を生み出す新たな市場、産業の育成と、ミスマッチの解消、セーフティーネットの整備を引き続き進めます。平成十三年度第一次補正予算を活用し、社会人の補助教員や森林作業員など、地域の工夫を生かした雇用創出を目指します。また、中高年齢者の円滑な再就職の促進などに取り組みます。今後は、雇用を分かち合うという観点からのワークシェアリングの実施に向けて検討を行うとともに、より柔軟な働き方が選べるよう、雇用期間や労働時間に関する制度の見直しについて検討を進めてまいります。
 日本経済と地域の活力を支える中小企業を積極的に応援します。(拍手)
 中小企業に対する保証・貸付制度の拡充や、個々の中小企業の実情に応じたきめ細かな対応などを通じ、セーフティーネットに万全を期してまいります。
 逆境を乗り越え、変化に対応することによって、世界で屈指の地位を築いた中小企業が、金型製造やIT、医療関連などさまざまな分野であらわれています。創造性や機動性に富む元気な中小企業が、全国各地、各産業分野で活躍することが重要です。開業、創業を五年間で倍増させるとともに、新しい分野への進出による経営刷新を推進するため、人材育成、技術開発、資金調達など、幅広い観点からの支援を実施します。(拍手)
 昨年、改革工程表として、五百項目を超える具体的な政策と実施時期を明示しました。今般、日本が目指す経済社会について、「構造改革と経済財政の中期展望」を策定しました。今後、さきの所信表明演説で明らかにした小泉構造改革五つの目標達成に向けて、強力に施策を実施するとともに、時間のかかる改革についても、広範かつ具体的な検討を行い、長期の工程表を作成します。
 明確な方向性を持った改革が、需要を掘り起こし、事業機会をつくり出し、そして成長を生む、こうした環境を整備することこそ政府の役割だと考えています。既に、構造改革によって、日本経済の潜在的な力が動き出しつつあります。七千台を超える政府の一般公用車を三年ですべて低公害車にするとの方針を明らかにすると、民間企業は、低公害車開発を加速しました。住宅金融公庫の廃止の方針を発表すると、銀行は、住宅金融公庫よりも魅力的な商品の開発を始めました。さらに、郵便事業への民間参入の方針を示すと、民間企業は、設備投資と人材確保の検討に取りかかりました。
 改革によって変わるのは、国や企業だけではありません。一番変わるのは、国民一人一人の生活です。今後、暮らしの改革という視点に立って、身近な暮らしがどう変わるのかということを示していきたいと思います。
 私は、経済社会の主役である人が、能力と個性を発揮し、存分に活躍できる仕組みを備えた、努力が報われ、再挑戦できる社会の実現を目指します。(拍手)
 税制のあり方は、経済再生の確固たる基盤を築くかぎとなります。平成十四年度税制改正では、連結納税制度を創設するとともに、中小企業関係税制や金融・証券税制について所要の措置を講ずることとしています。今後は、個人や企業の経済活動における自由な選択を最大限尊重し、努力が報われる社会を実現するために、税制を再構築していくことが必要です。そのためには、経済活性化をどのように支え、経済社会の構造変化にどう対応するのか、中立、簡素、公平な税制をどう実現するのか、適切な租税負担水準や地方分権にふさわしい地方税のあり方をどう考えるかなど、多岐にわたる課題を検討しなければなりません。経済財政諮問会議や政府税制調査会において総合的に取り組みます。同時に、与党における検討を初め、幅広い国民的な議論を期待します。六月ごろを目途に基本的な方針を示すとともに、当面対応すべき課題について年内に取りまとめ、平成十五年度以降、実現してまいります。
 努力が報われ、再挑戦できる社会を実現して、日本の経済、産業を活性化するためには、国民と企業が自由に挑戦できる環境が必要です。さまざまな分野で徹底的に規制改革を進めることにより、雇用と市場の拡大による元気な経済社会と、安くて質の高い多様な財・サービスを享受できる暮らしを、同時に実現してまいります。(拍手)
 世界最高水準の科学技術創造立国の実現に向け、人の遺伝子情報の医療への応用、極めて微小なレベルでの新材料開発など、最先端の戦略的研究分野に重点的に取り組みます。あわせて、産学官の連携の推進、地域における科学技術の振興を図ってまいります。
 我が国は、既に、特許権など世界有数の知的財産を有しています。研究活動や創造活動の成果を知的財産として戦略的に保護、活用し、我が国産業の国際競争力を強化することを国家の目標とします。このため、知的財産戦略会議を立ち上げ、必要な政策を強力に推進します。
 高速・超高速インターネットの加入者は、この一年間で六十四万人から二百八十万人へと、爆発的に増加しました。IT革命の推進を一層加速させるため、ネットワークインフラの整備、未利用光ファイバーの利用促進などの規制改革、人材の育成、電子商取引に係るルールの整備、情報セキュリティー対策、個人情報保護の推進などに取り組みます。国民がITの利便性を身近に感じられる情報家電の普及促進にも努めます。これらの施策により、すべての国民がインターネットを通じて、自由かつ安全に、多様な情報と知識を交流できる世界最先端のIT国家を実現します。また、住民票やパスポートの交付申請などの行政手続を原則としてオンラインで行うことが可能となる、電子政府、電子自治体の実現に取り組んでまいります。
 努力が報われ、再挑戦できる社会は、明確なルールと自己責任原則に貫かれた事後チェック・救済型社会です。この新しい社会にふさわしい司法制度を構築し、国民にとって身近なものとするため、早急に司法制度改革推進計画を策定し、改革を着実に進めます。裁判の一層の迅速化を図るための制度や、法科大学院を中核とする法曹養成制度を整備するとともに、弁護士などの法曹人口をふやし、国民が裁判官とともに刑事訴訟手続に関与する新たな制度を導入します。
 国民一人一人の人権が尊重される社会を実現するため、独立性の高い人権委員会を設立し、弱い立場にある人権侵害の被害者を実効的に救済する、新たな人権救済制度の整備を目指す法律案を今国会に提出します。
 男女がともに個性と能力を十分に発揮できる社会の構築に向け、女性の新しい発想や多様な能力を生かせるよう、さまざまな分野へのチャレンジ支援策に関する検討を進めてまいります。
 民間にできることは民間にゆだね、地方にできることは地方にゆだねるとの原則に基づき、行政の構造改革を進め、民間と地方の知恵が活力と豊かさを生み出す社会を実現します。
 肥大化し硬直化した政府組織を改革し、簡素で効率的な政府を実現するためには、緒についた特殊法人改革を一層強力に進めなければなりません。百六十三あるすべての特殊法人、認可法人の徹底的な見直しを行い、昨年十二月に特殊法人等整理合理化計画を策定し、平成十四年度予算に反映させました。石油公団、都市基盤整備公団、住宅金融公庫など十七法人の廃止、道路四公団など四十五法人の民営化など、計画の具体化に向け、法制上の対応を初めとした必要な措置をできる限り速やかに講じます。あわせて、この改革の動きを促進させるため、評価、点検を続けてまいります。政府系金融機関の見直しについては、経済財政諮問会議で検討し、年内には結論を得ます。
 真に国民本位の行政を実現するため、昨年十二月に策定した公務員制度改革大綱に従って、具体的な改革を着実に進めてまいります。特に、特殊法人などへの再就職に対する厳しい批判を真摯に受けとめ、三月までに役員退職金、給与の削減を決定します。
 三月までに、公益法人に対する国の関与を極力少なくするための見直しを行うとともに、公益法人制度の抜本的改革に着手します。
 郵政事業については、平成十五年中に国営の新たな公社を設立し、全国に公平なサービスを確保しつつ、郵便事業への民間事業者の全面的な参入を可能にするための法律案を今国会に提出します。郵政三事業のその後のあり方は、懇談会において引き続き議論を進め、夏までには具体案を取りまとめる予定です。
 首相公選制については、有識者による懇談会を重ね、幅広い観点から議論をしているところです。夏までには具体案を取りまとめることとしています。
 二十一世紀の我が国を豊かで活力あるものとするためには、地域がその個性や魅力を生かしつつ、真の自立を達成することが不可欠です。二千を超える市町村が合併を検討しており、こうした流れを後押しするとともに、国と地方の役割や税財源配分のあり方の見直しに取り組むなど、地方分権を一層推進してまいります。
 国民の抱くさまざまな不安を解消し、人をいたわり、安全で安心に暮らせる社会を実現することは、政治の責任です。
 我が国は、国民皆年金、国民皆保険という、世界に誇るべき社会保障制度をつくり上げてきました。今世紀、いまだ経験したことのない少子高齢社会を迎える中で、このすぐれた制度を堅持し、長寿国家にふさわしいものに再構築していかなければなりません。
 特に医療制度は、厳しい医療保険財政のもと、持続可能な制度にしていくため、改革が待ったなしです。患者、医療保険料を負担する加入者、医療機関の三者がそれぞれ痛みを分かち合う三方一両損の方針のもと、聖域は一切認めず、これまでにない診療報酬の引き下げ、高齢者医療を初めとする給付と負担の見直しなど、思い切った改革を行うこととしました。これを早期に実現するとともに、患者本位の医療の実現を目指し、診療情報や医療機関情報の開示などの規制改革を推進します。
 また、先端科学の研究、予防や健康づくりに重点を置いて、総合的な健康対策を強力に進めます。がん患者の治癒率の大幅な改善を目指すとともに、より多くの方々が健康で生き生きとした老後を暮らせるよう、介護などが必要な老人や心筋梗塞、脳卒中などの生活習慣病の患者を大きく減少させる目標の達成に向け、健康増進の基盤整備を図るための法律案を今国会に提出します。
 年金不安の解消に向けて、公的年金がその役割をしっかりと果たしていくことができるよう、次期制度改正を平成十六年度までに行うこととして、これに向けた本格的な検討を開始します。
 BSE問題は、国民に、食に対する不安を与えました。既に、食用として処理されるすべての牛を対象とした検査を行っており、現在流通している食肉は、すべて安全なものとなっております。感染経路の究明については、引き続き全力を挙げてまいります。今後とも、食肉を初めとする食の安全と国民の安心を確保するため、最善を尽くします。
 消費者の信頼確保を図るために、生産者と消費者の間に立ち、食と農の一体化を推進するとともに、農林水産業の構造改革を進めます。国際競争力を高めるため、消費者の求める安心、安全な農産物を安定的に提供し得る産地や、高度な技術、経営戦略を有した活力ある農業経営体を早急に育成します。意欲と能力のある経営体に対し、経営の規模拡大や法人化の推進などの施策を集中し、国内生産の高付加価値化などにより、生産から流通にわたる構造を改革します。都市と農山漁村の共生と交流を引き続き推進し、農山漁村の新たなる可能性を切り開いてまいります。
 昨年、交通事故死者数は、二十年ぶりに九千人を下回りました。一方、犯罪は依然として多発しており、国民の多くは治安の悪化に対する不安を抱いています。来年度四千五百人の警察官を増員するとともに、職員の増強や鑑識機器の整備により出入国管理の体制を強化するなど、総合的な治安対策に努力します。また、消防防災対策に取り組むとともに、災害による被災者への支援や災害復旧復興対策にも万全を期してまいります。これらを通じて、世界一安全な国、日本の復活を図ります。(拍手)
 地球温暖化問題への取り組み、都市の再生などにより、美しい環境に囲まれ、快適に過ごせる社会を子供たちの世代に確実に引き継がなければなりません。
 緊急に対応を要する地球温暖化の問題に対しては、今国会における京都議定書締結の承認と、これに必要な国内法の整備を目指します。また、米国の建設的な対応を引き続き求めるとともに、途上国を含めた国際的ルールが構築されるよう、最大限の努力を傾けます。九月に開催される持続可能な開発に関する世界首脳会議においては、環境保護と開発をともに達成すべきことを訴えてまいります。
 京都議定書の目標達成は、決して容易ではありません。国、地方公共団体、事業者、国民が一体となり、総力を挙げて取り組むことが必要です。技術革新や経済界の創意工夫を生かし、目標達成への取り組みが我が国の経済活性化、雇用創出などにもつながるよう、環境と経済の両立を達成するための仕組みづくりを目指します。あわせて、二酸化炭素の吸収源として、健全な森林の育成や保全などに積極的に取り組みます。(拍手)
 温室効果ガスの約九割が、エネルギーの消費から発生する二酸化炭素です。このため、省エネルギー対策、新エネルギー対策を強力に進めるとともに、二酸化炭素を排出しない原子力発電を、安全確保を大前提に着実に推進します。燃料電池は、水素をエネルギーとして利用する時代の扉を開くかぎです。自動車の動力や家庭の電源として、三年以内の実用化を目指します。また、電気事業者による新エネルギーの導入を促進します。
 日々の生活の中で何げなく使用しているエネルギーを減らすため、できるだけ省エネ型製品を使用するなど、我々一人一人の生活を見直していこうではありませんか。政府も、一般公用車の低公害車への切りかえ、食品廃棄物を肥料に再生利用するリサイクルの導入など、身近な改革を進めてきました。ことしは、中央官庁への太陽光発電装置の導入を約五倍に拡充するとともに、政府が購入する環境に優しい製品の品目数を五割増しにし、グリーン購入を進めます。
 循環型社会の構築を加速するため、年間五百万台に上る使用済み自動車の持続的なリサイクルを行うための仕組みを創設し、ごみゼロ型都市のプロジェクトのうち、早期執行が可能なものから緊急に事業展開を図ります。
 快適な都市づくりも緊急の課題であります。民間の力を最大限生かして都市開発事業を推進することは、都市の再生に加え、土地の流動化を通じた不良債権問題の解消を図る上で極めて重要です。都市計画に係る規制をすべて適用除外とし、民間事業者が自由に事業計画を立案できる新しい都市計画制度を導入するとともに、民間事業者に対する強力な金融支援などを実施します。都市の魅力と国際競争力を高めるため、東京湾臨海部における基幹的広域防災拠点の整備を初めとする都市再生プロジェクトを着実に推進します。
 小泉構造改革五つの目標として掲げた社会に向けて、明るい未来を力強く切り開く担い手は人です。子供たちの夢と希望をはぐくむ社会を実現し、子供たちが、日本人としての誇りと自覚を持ち、新たなる国づくりを担うことのできる、豊かな個性と能力を持った人間に育つよう、全力を尽くします。
 少人数授業や習熟度別指導の推進、教員の資質向上などにより、確かな学力の育成を図るとともに、心の教育の充実を目指して、青少年が多様な奉仕活動、体験活動を行える環境を整備し、学校週五日制の完全実施を踏まえた活動の場を拡大します。また、これからの日本が世界とアジアの一員として貢献していくためにも、国際的に競争力のある独創的な研究の推進や人材の育成など、知的基盤の拡大を図るための大学の構造改革を目指します。
 文化芸術は、人々に感動や生きる喜びをもたらし、豊かな人生を送る上での大きな力になります。文化芸術創造プランを推進し、世界に通ずるトップレベルの芸術の創造、すぐれた新進芸術家を輩出するための環境づくりに努めるとともに、国民が文化ボランティアなどにより、みずから積極的に文化芸術活動に参加し、文化芸術を創造することができる環境を整備します。(拍手)
 近年、急速に進行している少子化に的確に対応していくため、保健福祉、雇用、教育、住宅などの幅広い分野にわたる総合的な対策を推進します。特に、平成十六年度までに保育所を中心に十五万人の受け入れ児童数の増大を図る待機児童ゼロ作戦の推進や、放課後児童クラブの拡充などに力を入れ、子育てを支援してまいります。
 文明社会に対する重大な挑戦であるテロとの闘いは、国民の安全を確保するための我が国自身の問題であり、その防止、根絶に向け、国際的連帯のもと、主体的に取り組まなければなりません。我が国は、既に、米軍の活動に対する協力支援活動や被災民救援活動などを行っています。今後は、国連安保理決議の実施やテロ防止諸条約の締結、履行などを通じて、資金対策、出入国管理強化、ハイジャック防止などを初めとする国際的な取り組みに、引き続き積極的に参画してまいります。(拍手)
 世界の平和と安全の実現のため、テロ対策に加え、大量破壊兵器などの軍縮・不拡散、対人地雷の問題にも着実に取り組みます。さらに、先般の国際平和協力法の改正も踏まえ、国連平和維持活動に貢献してまいります。三月には、自衛隊施設部隊を東ティモールのPKOへ派遣する予定です。
 テロや武装不審船の問題は、国民の生命に危害を及ぼし得る勢力が存在することを、改めて明らかにしました。備えあれば憂いなし。平素から、日本国憲法のもと、国の独立と主権、国民の安全を確保するため、必要な体制を整えておくことは、国としての責務です。どのような理念と方針のもとで具体的な制度をつくっていくのかを明らかにし、国民の十分な理解を得ることが必要不可欠です。国民の安全を確保し、有事に強い国づくりを進めるため、与党とも緊密に連携しつつ、有事への対応に関する法制について取りまとめを急ぎ、関連法案を今国会に提出します。(拍手)
 我が国の安全と繁栄は、国際社会の平和と繁栄なくして実現できません。基本的人権の尊重と民主主義、市場経済と自由貿易を基調としつつ、多様な文化や価値観が相互に尊重され、人間一人一人の幸福と尊厳が守られる国際秩序の発展に向けて、積極的に取り組みます。そのため、各国と幅広い協力関係を発展させていくとともに、安保理改革を初めとする国連の機能強化に向けた取り組みに努めてまいります。
 我が国は、昨年十二月に発足したアフガニスタン暫定政権を支援し、真の安定の達成に向け、積極的に人道・復興支援を行ってまいります。我が国が主催したアフガニスタン復興支援国際会議において発表したとおり、今後、難民・避難民の再定住、地域共同体の再建、地雷・不発弾の除去、保健医療、教育、女性の地位向上の問題などを重点分野とし、幅広い支援を実施していく考えです。
 日米関係は、ますます緊密になっています。今月には、訪日されるブッシュ大統領と会談します。昨年六月の首脳会談において一致した戦略対話の強化に引き続き努め、日米安保体制の信頼性を向上させるとともに、両国の持続可能な経済成長を図るため、成長のための日米経済パートナーシップを通じた建設的な対話を行ってまいります。
 また、本土復帰三十周年を迎える沖縄のさらなる振興に取り組みます。普天間飛行場の移設、返還を含め、沖縄に関する特別行動委員会最終報告の実施に全力で取り組み、沖縄県民の負担軽減へ向けた努力を継続するとともに、沖縄の経済的自立を支援します。
 私は、先月、ASEAN五カ国を訪問し、率直なパートナーとして、ともに歩みともに進むとの基本理念のもとで、拡大した東アジアのコミュニティーづくりを目指すとの考えを表明しました。その具体化に向け、今回の訪問によって築いた各国首脳との信頼関係のもと、日・ASEAN包括的経済連携構想を初めとする、アジア近隣諸国との関係強化の取り組みを着実に進めてまいります。(拍手)
 中国は、昨年、WTOに加盟し、今後、我が国を初めとする国際社会との関係において、一層建設的な役割を果たしていくことが期待されます。国交正常化三十周年の記念すべき年に当たる本年、日本年、中国年事業などを通じ、次の世代を担う若い人々を中心とした交流の輪を広げ、最も重要な二国間関係の一つである日中関係の基盤を一層確固たるものとするよう努めます。
 韓国との間では、ワールドカップサッカー大会を共催します。ビザの大幅緩和、航空輸送力の増強と相まって、両国間の人の往来が一層促進されることを期待します。また、日韓国民交流年の関連行事として、多彩な文化交流事業も行われます。手を携えてこれらを成功させ、本年を日韓の協力関係にとって、そのきずなをより深める年とするよう努めてまいります。(拍手)
 北朝鮮をめぐっては、安全保障上及び人道上の難しい問題が存在しています。日米韓の緊密な連携を維持しつつ、今後とも、日朝国交正常化交渉の進展に粘り強く取り組み、諸問題の解決を目指します。
 プーチン大統領のもと、ロシアは、国内改革を着実に進め、また、国際社会の中で一層建設的な役割を果たしつつあります。こうしたロシアの変化を支持し、幅広い分野で協力を推し進め、確固たる信頼関係を構築していく必要があります。平和条約締結問題は、北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するとの一貫した方針のもと、精力的に交渉を進めます。(拍手)
 昨年十二月に発表した日・EU協力のための行動計画の実施などを通じて、国際社会における重要性を増している欧州諸国との関係を、さらに発展させてまいります。
 我が国は、みずからの再生に取り組むと同時に、世界経済の安定に向け、ふさわしい役割を果たしていかなければなりません。そのため、WTO新ラウンドの交渉に積極的に参加し、開発途上国の関心や懸念にも配慮しつつ、世界貿易の一層の自由化とWTOルールの強化を図ってまいります。あわせて、先般のシンガポールとの間の経済連携協定の署名を踏まえ、今後、多くの国、地域との経済連携を進めてまいります。
 今回、私は、外務省の体制を一新することとしました。新しい体制のもと、山積する外交課題に取り組むとともに、内外の信頼を一刻も早く回復するよう、外務省改革を強力に進めてまいります。(拍手)
 昨年六月から始めたタウンミーティングは、四十七都道府県を一巡し、小泉内閣は、多くの国民と活発な対話を行うことができました。今後も、多様な形で対話を継続します。
 いかなる政策も、政治に対する国民の信頼なくして実行できません。構造改革の実現のためには、まず、国会議員が率先して範を示し、国民とともに改革に立ち向かっていかなければなりません。
 政治に対する国民の信頼を裏切る行為が相次いで生じていることは、極めて残念です。こうしたことが今後繰り返されないよう、政治倫理確立のための法整備について、国会において十分議論されることを期待します。また、公共工事をめぐる不正を防止するため、昨年四月に施行した入札契約適正化法の徹底を図ります。
 私は、初めての所信表明演説で、改革に立ち向かう決意を国民に問いかけました。さきの臨時国会における演説では、変化を恐れない勇気を求めました。改革の痛みが現実のものとなりつつある今、これまでさまざまな苦境を乗り切って新しい時代を切り開いてきた日本と日本人を信じ、未来への希望を決して失わない強さを改めて求めたいと思います。(拍手)
 これまで不可能だと思われていた改革が、国民の幅広い支持によって、着実に実現の方向に向かっています。国家の発展に不可欠のものは、みずからを助ける精神と、みずからを律する精神であり、改革の原動力は国民一人一人です。
 終わりに、一つの歌を御紹介したいと思います。昭和二十一年正月、歌会始に詠まれた、昭和天皇の御製であります。
  ふりつもるみ雪にたへていろかへぬ松そをゝしき人もかくあれ
 終戦後、まだ半年もたたないときに、皇居の松を眺めて詠まれたものと思われます。雪の降る、厳しい冬の寒さに耐えて、青々と成長する松のように、人々も雄々しくありたいとの願いを込められたものと思います。
 明治維新の激動の中から近代国家を築き上げ、第二次大戦の国土の荒廃に屈することなく祖国再建に立ち上がった先人たちの献身的努力に思いをいたしながら、我々も現下の難局に雄々しく立ち向かっていこうではありませんか。(拍手)あすの発展のために。子供たちの未来のために。
 国民並びに議員各位の御協力を心からお願い申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#11
○議長(綿貫民輔君) 外務大臣川口順子君。
    〔国務大臣川口順子君登壇〕
#12
○国務大臣(川口順子君) このたび、私は外務大臣を拝命いたしました。
 私は、これまで、改革を断行する小泉内閣の一員として、私たちがよりよい環境を享受できるような政策の策定と実施に努めてまいりました。これからは、平和で安定し、かつ繁栄する国際社会の実現を目標として、日本外交のかじ取りに取り組むこととなります。
 現在、さまざまな外交課題が山積しておりますが、私は、先人たちが築き上げてきた外交路線をしっかり継承するとともに、新しい時代に対応した外交を積極的に展開するため、全力で取り組んでまいります。(拍手)
 外交の任を担っていく上で重要なことは、外交が国民に理解され、国民に支持されなくてはならないということです。
 私は、昨年の一連の不祥事を踏まえ、何よりも、外務省改革の実施が重要と考えています。この点については、外務大臣就任に当たって総理大臣よりいただいた御指示に従って、改革を力強く実施してまいります。(拍手)
 特に、外交に関する意見は、幅広く謙虚に拝聴するとともに、不当なものは受け入れず、外交への特定の圧力を排除します。また、国民の目から見て、外務省の体質、仕事ぶりが国民の期待に沿うようにしてまいります。
 昨年、米国で発生した同時多発テロは、新たな安全保障上の脅威を改めて私たちに認識させました。テロの防止、根絶に取り組むことは不可欠であり、我が国も、テロとの闘いをみずからの問題ととらえ、この闘いに向けた国際的な連帯の強化に努めるとともに、テロ対策特措法を成立させ、協力支援活動、被災民救援活動を積極的かつ主体的に実施してきております。
 一方で、テロとの闘いは、軍事行動だけではなく、幅広い分野における息の長い取り組みが必要です。特にテロ資金対策については、昨年署名したテロ資金供与防止条約を早期に締結するとともに、同条約及び関連国連安保理決議を誠実に履行するための法制の整備などを進めることが必要であり、早急に国会にお諮りいたします。
 さらに、今回の事態により困難に直面しているアフガニスタン及びその周辺国、並びにこれらの国々にいる被災民に対しても、細やかな目配りを行いつつ、将来における紛争の発生を防止し、地域全体の安定を図ることができるよう、積極的に支援していく必要があります。
 このような考えに基づき、先日、我が国は、米国、EU及びサウジアラビアとの共同議長のもと、東京において、アフガニスタン復興支援国際会議を開催いたしました。同会議において発表したとおり、難民帰還、地域社会再建、地雷除去、保健医療、教育、女性の地位向上、メディア・インフラの整備等の分野を中心に、二年半で最大五億ドルの対アフガニスタン支援策を実施していきます。
 なお、NGO参加問題をめぐる混乱については、今会議の大きな成果に水を差す結果となり、外務省としては率直に反省しています。アフガニスタン復興支援におけるNGOの果たす大きな役割にかんがみ、外務省としては、NGOとの連携協力に一層努めてまいります。(拍手)
 さまざまな課題に直面する二十一世紀においても、我が国外交の基軸である日米関係は、引き続き極めて重要です。今月には、ブッシュ大統領の訪日も予定されており、我が国は、今後とも、幅広い分野で両国間の対話及び政策協調を進めるとともに、日米安保体制の信頼性の向上に努め、アジア太平洋地域の平和と安定の礎である日米同盟の一層の発展を図ります。
 また、沖縄県の方々が我が国全体の平和と安全のために背負っておられる御負担を軽減していくため、普天間飛行場の移設、返還を初めとする沖縄に関する特別行動委員会(SACO)最終報告の着実な実施に努める等、誠心誠意、努力してまいります。
 さらに、今後の世界経済の見通しが不確実な中で、日米両国経済及び世界経済の持続可能な成長を達成していくためにも、成長のための日米経済パートナーシップを通じた日米間の建設的な対話を進めていくことが重要です。
 基本的人権の尊重、民主主義、市場経済、自由貿易を基調とし、安定し、繁栄するアジア太平洋地域を実現することは、国際社会全体の平和と繁栄にとっても非常に有意義です。
 こうした観点からも、中国と安定した友好協力関係を構築することが不可欠です。中国が安定的に発展するとともに、今般の世界貿易機関(WTO)加入等を通じて国際社会において一層建設的な役割を果たすことが重要であり、そのためにも、昨年策定した対中国経済協力計画に沿って、可能な支援を行っていきます。
 本年は、日中国交正常化三十周年を記念し、中国において日本年、我が国において中国年の諸活動が展開されます。これらの活動等を通じて、特に若い世代を中心に相互理解、相互信頼の一層の増進を図り、日中関係のさらなる発展に努めていく考えです。
 基本的価値を共有し、我が国にとって政治経済上極めて重要な隣国である韓国との関係では、昨年十月の二回の首脳会談が、日韓関係をさらに発展させるための重要な契機となりました。本年は、ワールドカップサッカーを日韓で共催する年であり、また、国民交流年でもあります。我が国は、これらを成功に導き、日韓関係を盤石なものにすべく、全力を尽くしていく考えです。
 朝鮮半島については、南北間の対話が継続されることを期待しています。我が国としては、引き続き、韓国及び米国との緊密な連携を維持しつつ、日朝国交正常化交渉に粘り強く取り組む考えです。こうした対話の中で、北朝鮮との安全保障上及び人道上の諸問題の解決に向け努力していきます。
 プーチン大統領のもと、国内改革を進め、国際社会と建設的な関係を積極的に構築しつつあるロシアとの関係では、一昨日、イワノフ外務大臣との会談を行ったところですが、我が国は、こうしたロシアの変化を支持し、幅広い分野で日ロ関係の進展に努めていきます。平和条約締結交渉については、北方四島の帰属の問題を解決し平和条約を締結するとの一貫した方針のもと、交渉を進めていく考えです。
 先般の総理大臣の東南アジア訪問は、この地域の安定と繁栄にとって重要なASEAN諸国との幅広い協力を強化していくための重要な機会となりました。今後とも、ASEAN諸国との協力を土台に、ASEANプラス3、日中韓三国間協力、ASEAN地域フォーラム(ARF)、アジア太平洋経済協力(APEC)といった地域的な枠組みの重層的な発展に努めてまいります。
 また、先般署名された日・シンガポール経済連携協定は、貿易の自由化、円滑化のみならず、金融、情報通信等、幅広い分野での二国間の経済連携を強化するものであり、今後、我が国とアジア諸国、豪州、ニュージーランド等との経済関係を強化していく方途の一例です。
 アジアの主要な民主主義国であるインドとの関係では、先般のバジパイ首相の訪日の際に発出された日印共同宣言に基づき、今後、グローバルパートナーとして、経済分野に加え、政治・安全保障分野においても協力を推進していきます。
 EUの拡大、深化が進展しつつある欧州との関係は、ますます重要です。今後とも、昨年より開始した日欧協力の十年のもと、日・EU協力のための行動計画を着実に実施し、日欧間に一層緊密かつ具体的な協力関係を構築するとともに、アジア欧州会合(ASEM)を通じたアジアと欧州との対話の促進に努めていく考えです。
 地域情勢については、特に、パレスチナ情勢を深く憂慮しております。暴力の悪循環を断ち切り、対話と交渉により問題を解決するよう、我が国は、米国を初めとする国際社会と協調しつつ、改めて当事者に対し自制と対話を呼びかけます。
 また、緊張の見られるインド・パキスタン間の関係については、両国が我が国を含む国際社会からの働きかけにこたえてさらなる努力を継続し、両国間の対話が速やかに再開されるよう、引き続き働きかけます。
 国際社会の安定の実現には、紛争予防への積極的な取り組みが不可欠です。我が国は、これまでも、国連、G8、ARF等において、関係国、国際機関、NGO等と協力しつつ、紛争の発生を未然に防止するよう取り組んできました。今後とも、このような取り組みを一層強化してまいります。
 紛争が発生した場合には、国際社会が一致団結して、紛争の拡大防止と解決に努めるとともに、被災民に対する支援に努めることが必要です。特に、紛争の解決と再発防止に当たっては、国連を中心とした国際平和のための努力が引き続き重要であり、我が国は、三月に東ティモールに自衛隊の施設部隊を派遣すべく準備しております。また、先般の国際平和協力法の改正を踏まえ、今後とも、国連平和維持活動等に一層積極的に参加していく考えです。
 核・生物・化学兵器などの大量破壊兵器や弾道ミサイルの拡散防止は、対テロの視点からも極めて重要です。また、対人地雷や小型武器の問題等の実践的な取り組みの強化も重要です。我が国は、軍縮・不拡散の取り組み強化のため、積極的にイニシアチブを発揮してまいります。
 ますます多様化、複雑化する国際社会の諸課題に一層効果的に対応するためには、安保理改革を初めとする国連の機能強化が不可欠です。我が国は、安保理改革が実現する暁には、常任理事国として一層の責任を果たしたいと考えています。(拍手)
 国際社会の安定と繁栄を実現するためには、アフリカを初めとする開発途上地域における貧困削減や開発支援への取り組みを無視することはできません。昨年末、我が国は、国連、世銀等とともに、アフリカ開発会議(TICAD)閣僚レベル会合を開催いたしました。今後とも、TICAD3開催等を念頭に置きつつ、開発途上国自身の貧困削減に向けたイニシアチブを積極的に支援していきます。
 世界経済に安定と活力をもたらす上で、多角的貿易体制の強化は非常に重要です。昨年のWTO第四回閣僚会議で新ラウンド交渉の開始が合意され、中国と台湾のWTO加入が実現したことは、世界規模での持続的な経済成長を達成していく上で意義深いものです。我が国は、今後、WTO新ラウンド交渉に積極的に参加し、開発途上国の関心や懸念にも配慮しつつ、世界貿易の一層の自由化とWTOルールの強化を図っていく考えです。
 環境問題は、人類の生存に対する脅威となり得るもので、外交課題としても極めて重要です。私は、前職での経験も生かし、積極的に取り組んでいきます。(拍手)
 特に、地球温暖化問題に関しては、今国会において、京都議定書の締結につき御承認いただくことを目指します。また、米国の建設的な対応を引き続き求めるとともに、開発途上国も含めた国際的ルールの構築に向け、最大限努力していきます。さらに、本年、ヨハネスブルクで行われる持続可能な開発に関する世界サミット等の場を通じて、環境と開発の両立を各国に訴えていく考えです。
 政府開発援助(ODA)は、国際社会の安定と繁栄の実現に向け取り組むに当たって、極めて重要な手段です。アジアの平和と繁栄、アフガニスタンの復興、環境や感染症を初めとする地球規模の課題の解決等に向け、国際社会の我が国に対する期待は極めて大きく、こうした期待に積極的にこたえることこそ、我が国への信頼と尊敬の糧となるものです。厳しい経済財政状況を踏まえつつ、ODAを最大限戦略的かつ効果的に活用してまいります。(拍手)
 以上、我が国の外交の基本方針について申し述べてまいりました。
 新たな世紀を担っていく子供たちに平和で安定した世界を引き継ぐためにも、私たちは、すべての人があまねく幸福を享受し、人間一人一人の生命と尊厳が守られるような時代を築き上げていかねばなりません。
 そのために、国際社会は、市民の生存、生活と尊厳を脅かすテロの脅威を取り除くための対策を講ずるとともに、基本的人権の尊重、民主主義、市場経済、自由貿易を基調とした政治経済体制をますます発展させる必要があります。あわせて、異なる文化や文明、歴史への深い理解と、互いの違いを認めつつも共通の価値を見出すための対話を深め、人々が平和のもとに共存できる社会を構築することが極めて重要です。
 私は、こうした目標の実現に向け、全力で取り組んでいくつもりです。国民の皆様と議員各位の御支援と御協力を心からお願い申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#13
○議長(綿貫民輔君) 財務大臣塩川正十郎君。
    〔国務大臣塩川正十郎君登壇〕
#14
○国務大臣(塩川正十郎君) 平成十四年度予算の御審議に当たり、今後の財政政策等の基本的な考え方について所信を申し述べますとともに、予算の大要を御説明いたします。(拍手)
 我が国経済は、バブル経済崩壊後、長期にわたる低迷を続けておりますが、この背景には、不良債権問題のほか、内外の構造変化が急速に進む中で、経済社会のさまざまなシステムがうまく機能しなくなっていることがあると考えております。このような状況の中、日本経済を活性化させ、我が国の持つ潜在力を発揮できる経済社会の枠組みづくりが求められております。
 こうした認識のもと、私は、以下に申し述べる諸課題に着実かつ的確に取り組み、改革の実を上げてまいる所存であります。
 第一の課題は、各般の構造改革の一環として財政構造改革に取り組むことであります。
 我が国経済の再生のためには、個人や企業みずからがその持てる力を存分に発揮することが不可欠であり、政府の役割としては、そのための環境を整えることが重要であると考えております。
 財政構造改革は、歳出歳入両面にわたる不断の見直しを通じて、政府が真に必要な公共サービスを効率的かつ安定的に提供できるようにするとともに、民間の活力を引き出すことが本来の目的であると考えております。
 こうした考え方に立ち、平成十四年度予算編成に当たっては、国債発行額三十兆円以下との目標を掲げ、五兆円を削減しつつ重点分野に二兆円を再配分するとの方針のもと、歳出の一層の効率化を進める一方、予算配分を、少子高齢化への対応、科学技術、教育、ITの推進等の重点分野に大胆にシフトいたしました。また、特殊法人等への財政支出については、事務事業の抜本的見直しの結果等を反映し、一般会計、特別会計合わせて一兆一千億円を超える削減を実現しております。
 なお、経済情勢に対応し、平成十三年度第一次補正予算においては雇用対策等に重点を置き、第二次補正予算においては経済効果の高い施策を緊急実施すべく、編成したところであります。政府としては、これらの速やかな執行に努めるとともに、平成十四年度予算とあわせて切れ目なく対処していく所存であります。
 我が国の財政事情は、平成十四年度末の国、地方の長期債務残高が六百九十三兆円に達する見込みであるなど、G7諸国の中で最悪の状況にあります。今後の財政運営に当たっては、先般、閣議決定されました「構造改革と経済財政の中期展望」を踏まえ、歳出の質の改善や抑制等を推進するとともに、受益と負担の関係についても引き続き検討を行いつつ、プライマリーバランスの回復に向けて努力してまいります。
 第二の課題は、抜本的な税制改革に取り組むことであります。
 平成十四年度税制改正においては、連結納税制度を創設するとともに、中小企業関係税制として、同族会社の留保金課税の軽減及び取引相場のない株式等について相続税の軽減措置等を講じることとしております。
 また、老人等の少額貯蓄非課税制度を障害者等を対象とした制度に改組するほか、租税特別措置を大幅に見直すとともに、沖縄の経済振興等のための税制上の措置等を講じることといたしております。
 税制の改革は、これからの経済再生にとって国民の活力をいかに引き出すかという観点からも、政府が取り組んでいる構造改革の柱の一つとして、極めて重要な意義を有するものであります。
 ここ数年にわたり、恒久的減税の実施など、税制においても、景気に最大限配慮してまいりました。その結果、我が国の租税負担率はG7諸国で最低の水準となっております。また、働いている人のうち四分の一が所得税を負担しておらず、二百五十万法人のうち三分の二が法人税を負担していません。租税は公的サービスをみんなで広く公平に支えていくための会費であることに思いをいたせば、全体としての租税負担のあり方、また、いわゆる税負担の空洞化ともいうべき状況について議論することが必要であります。
 また、個人や企業の経済活動が多様化する中で、経済の活力を高めていくためには、個人や企業の自由な選択を妨げず、これを最大限尊重することが重要であります。二十一世紀においては、経済活動に中立でゆがみのない、簡素でわかりやすい税制の構築が求められるとともに、少子高齢化、グローバル化、情報化などの構造変化にも的確に対応した税制の改革が必要となっています。
 今後、政府税制調査会において、経済財政諮問会議等と連携しつつ、あるべき税制の構築に向けて、広く税制上の課題について取り組んでいただき、六月ごろを目途に基本的な方針を示していただきたいと考えております。あわせて、幅広い国民的な議論を期待しております。
 その後、この基本的な方針を踏まえ、まずは当面対応すべき課題について年内に取りまとめ、平成十五年度以降、実現してまいりたいと考えております。
 第三の課題は、世界経済の安定と発展に貢献することであります。
 経済のグローバル化が進む中で、自由で公正な国際経済社会の実現に向けて各国が協力して取り組んでいくことが重要であり、我が国としても、G7財務大臣・中央銀行総裁会議等において、世界経済の安定と発展に向けて政策協調を進めてまいります。加えて、地域協力の動きがさらに進展しつつあることを踏まえ、アジアにおける通貨、金融の安定に向け一層の貢献を行ってまいります。
 また、多角的貿易体制の維持強化のため、WTO第四回閣僚会議において立ち上げが合意されました新たな多角的貿易交渉に、我が国としても積極的に取り組んでまいります。あわせて、これを補完し、世界の貿易自由化を促進するとの観点から、二国間の自由貿易協定にも取り組んでおり、先般、日本・シンガポール新時代経済連携協定の締結に至りました。平成十四年度関税改正においては、同協定締結に伴う所要の改正や、塩の輸入自由化に伴う関税措置の導入等を行うことといたしております。
 なお、昨年九月の同時多発テロ事件を受けて、テロ資金対策のための国際的な取り組みが進められております。我が国としても、テロ対策の一環として、外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律案を今国会に提出することといたしております。
 次に、今国会に提出しております平成十四年度予算の大要について御説明いたします。
 まず、歳出面については、一般歳出の規模は四十七兆五千四百七十二億円となり、前年度当初予算に対し二・三%の減少となっております。
 国家公務員の定員については、九千二百七十一人に上る行政機関職員の定員の縮減を図っております。補助金等についても、その整理合理化を積極的に推進しております。
 一般会計全体の予算規模は八十一兆二千三百億円、前年度当初予算に対し一・七%の減少となっております。
 次に、歳入面について申し上げます。
 租税等については、さきに申し述べました税制改正を織り込み、四十六兆八千百六十億円を見込んでおります。また、その他収入については、外国為替資金特別会計からの繰り入れの増額等により、四兆四千百四十億円を見込んでおります。
 公債発行予定額は、前年度当初予算よりも一兆六千八百二十億円増額し、三十兆円となっております。特例公債の発行等については、別途、所要の法律案を提出し、御審議をお願いすることといたしております。
 財政投融資計画については、財政投融資改革、行財政改革の趣旨を踏まえ、全体規模を縮減しつつ、対象事業の重点化を図るとともに、現下の社会経済情勢にかんがみ、真に必要と考えられる資金需要には的確に対応することといたしております。その規模は二十六兆七千九百二十億円となり、前年度当初計画に対し一七・七%の減少となっております。
 次に、主要な経費について申し述べます。
 社会保障関係費については、将来にわたり持続可能で安定的、効率的な社会保障制度を構築する観点から、医療制度改革等を行うとともに、少子高齢化や厳しい雇用情勢等に対応するための施策を推進することといたしております。
 公共投資関係費については、その水準を全体として縮減しつつ、循環型経済社会の構築など環境問題への対応、都市の再生等、平成十四年度予算編成の基本方針に掲げられた七分野への重点化を行っております。
 文教及び科学振興費については、創造力と活力に富んだ国家を目指して、確かな学力の育成等教育改革の推進のための環境整備、高等教育、学術研究の充実、競争的資金の拡充等による科学技術の振興等に努めております。
 防衛関係費については、各種事態への対応等、中期防衛力整備計画に掲げられた重要課題にこたえつつ、効率的で節度ある防衛力整備を行うことといたしております。
 農林水産関係予算については、農業構造の改革を推進するため、意欲と能力のある経営体への施策の集中に努めるとともに、林野・水産分野における新たな基本法を踏まえた施策の展開等を図っております。
 経済協力費については、全体の量的規模を縮減しつつ、アフガニスタン及びその周辺国支援への対応等、援助対象分野等の重点化を図っております。
 エネルギー対策費については、地球温暖化問題への対応等、総合的なエネルギー対策を着実に進めております。
 中小企業対策費については、創業、経営革新の推進、中小企業に対する円滑な資金供給を確保するための基盤強化等への重点化を図っております。
 地方財政については、国の歳出の見直しと歩調を合わせつつ、地方の歳出の見直しを行うとともに、財政のさらなる透明化を推進する観点から、交付税及び譲与税配付金特別会計における借入金を縮減しつつ、所要の地方交付税総額を確保するなど、地方財政の運営に支障を生ずることのないよう適切な措置を講じることといたしております。地方公共団体におかれても、歳出全般にわたる一層の見直し、合理化、効率化に積極的に取り組まれるよう、要請するものであります。
 以上、平成十四年度予算の大要について御説明いたしました。
 本予算は、財政の節度を維持しつつ、歳出の一層の効率化を進めるとともに、将来の発展の芽となる分野には予算を大胆に配分するものであり、持続可能な財政への転換の第一歩であります。
 何とぞ、関係法律案とともに御審議の上、速やかに御賛同賜りますようお願い申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#15
○議長(綿貫民輔君) 国務大臣竹中平蔵君。
    〔国務大臣竹中平蔵君登壇〕
#16
○国務大臣(竹中平蔵君) 経済財政政策担当大臣として、日本経済の課題と政策運営の基本的考え方について、所信を申し述べます。(拍手)
 総理のリーダーシップを支える知恵の場として新たに内閣府が設置され、一年がたちました。経済財政運営や予算編成の基本方針などについては、内閣府に置かれた経済財政諮問会議等で精力的な議論がなされております。私としても、改革なくして成長なしとの基本的考え方のもと、経済財政諮問会議等における審議を踏まえつつ、また、タウンミーティングにおける国民の声なども反映させながら、構造改革を強力に推進しているところであります。
 振り返ると、日本経済は、バブル崩壊後、十年もの長きにわたり低迷を続けてきました。平成十一年初からの回復は短命に終わり、現在、景気は悪化を続けております。
 この背景には、民間需要を低迷させるさまざまな不安、民間活力発揮の機会を制限してきたさまざまな要因があります。このため、政府は、構造改革への取り組みを抜本的に強化し、改革なくして成長なしとの考え方のもと、昨年六月に、今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針を決定しました。九月には、改革工程表により構造改革の道筋を提示し、さらに、十月には、構造改革を加速するために改革先行プログラムを決定し、これを受け、第一次補正予算を編成いたしました。加えて、十二月には、経済の厳しい現状を踏まえ、構造改革をさらに加速しつつ、デフレスパイラルに陥ることを阻止するため、緊急対応プログラムを決定するとともに、第二次補正予算を編成いたしました。
 さらに、今般、「構造改革と経済財政の中期展望」を策定し、日本が目指す経済社会の姿とこれを実現するための中期的な政策運営について、将来展望を示したところであります。この将来展望が国民によって共有され、構造改革への共感が深まることによって、改革は加速され、その実を結ぶことになると考えております。
 構造改革が目指すのは、人を何よりも重視する国です。人は経済成長や付加価値の源泉です。日本は、高い基礎学力、豊富な金融資産、安定した社会、豊かな自然など、諸外国にも誇り得る重要な基盤を現在も持っております。こうした基盤を生かして国民一人一人がみずからの個性と能力を十分に発揮し、新たな創造を行うことを可能にする経済社会の構築を目指します。国民がこの国に生きることに誇りを持ち、世界の人々にとっても魅力のある国づくりを進めていきます。こうしたことは、経済の活性化にも大いに寄与するものであります。
 また、二十一世紀においてさらに強まると見られるグローバル化の潮流の中で、改革を進めることを通じ、貿易・投資のみならず、研究開発や文化芸術、スポーツなど幅広い分野で、国民が世界の中で一層活躍、貢献することを目指します。
 今後二年程度の集中調整期間は、中期的に民間需要主導の成長を実現するための重要な準備期間であります。この期間において最も重要なことは、デフレを克服することであり、政府、日本銀行は、一体となって、強力かつ総合的にデフレの克服に向けて取り組んでまいります。
 経済社会の仕組みは、相互に関連し合っています。活力にあふれる民間部門と簡素で効率的な政府を目指した構造改革に継続的に取り組むことが必要です。経済社会の仕組みを全体として変化させることにより、日本の持つ潜在力が発揮され、経済の好循環がもたらされます。これらの結果、当面の集中調整期間後は、消費や投資が安定的に拡大し、二〇〇四年度以降は、実質一カ二分の一%あるいはそれ以上の民間需要主導の着実な成長が可能であると考えます。
 また、財政も持続可能なものとしてまいります。配分の重点化、諸制度の改革、事務事業の効率化、PFIの活用などを中心とする財政構造改革を推進し、歳出における質の改善と抑制を図ることにより、簡素で効率的な政府を実現します。今後約五年の間、政府の大きさは、一般政府支出規模のGDP比で見て、現在の水準を上回らない程度とすることを目指します。この結果、プライマリーバランスの赤字は、GDP比で見て、二〇〇六年度前後には現状の半分程度に低下するものと見込まれます。さらに、その後も同程度の財政収支改善努力が続けられ、民間需要主導の着実な経済成長が継続するとすれば、二〇一〇年代初頭にプライマリーバランスは黒字化するものと見込まれます。
 「改革と展望」の初年度である平成十四年度において、政府は、以下の二項目を重点として経済財政運営を行ってまいります。
 まず第一は、「聖域なき構造改革」のさらなる推進であります。
 不良債権処理及び過剰債務解消については、民間金融機関等がその本来の能力を発揮できるよう、特別検査も活用しつつ、適正な債務者区分と十分な償却、引き当ての確保を金融機関に促すとともに、整理回収機構等を通じ、企業再生に積極的に取り組みます。
 また、規制改革、特殊法人改革、財政構造改革を推進するとともに、連結納税制度の創設等の税制改革を行います。
 さらに、地方の個性ある活性化、都市再生、科学技術の振興、少子高齢化対策、環境問題への対応を進めてまいります。
 重点項目の第二は、世界経済の持続的発展への貢献であります。
 日本は、WTO第四回閣僚会議で立ち上げが合意された新ラウンドに積極的に参加し、多角的貿易体制の維持強化に貢献いたします。アジア太平洋地域における重層的な地域協力の枠組みの構築等に努めることにより、世界経済の持続的発展に貢献いたします。
 なお、以上の政策運営を行うに当たり、平成十三年度第一次及び第二次補正予算と平成十四年度予算を一体として切れ目なく運用する所存です。また、構造改革を推進していく中で考えられるさまざまなリスクに十分留意し、経済情勢によっては、大胆かつ柔軟な政策運営を行ってまいります。
 日本銀行においても、適切かつ機動的な金融政策がなされるものと承知をしております。
 以上のような政策運営によって、平成十四年度は、政策展開の効果が着実に実現することが期待されます。加えて、米国経済の改善が見込まれることなどから、日本経済は、引き続き厳しい状況が続くものの、年度後半には低迷を脱し、民間需要中心の回復に向けて緩やかに動き出すことが期待されます。その結果、国内総生産の実質成長率は〇・〇%程度と見通されます。
 「聖域なき構造改革」の重要なねらいの一つは、消費者・生活者本位の経済社会システムを実現するとともに、国民の安全を確保し、安心して暮らせる社会を保障することです。
 このため、活力ある共助の社会の構築を目指したNPO等ボランティアの活動促進、公共料金制度改革の推進などを通じた我が国の高コスト構造の是正に取り組みます。また、消費者政策として、消費者の安全確保、市場ルールの実効性確保、消費者教育・情報提供等を推進し、国民が構造改革のメリットを享受できるよう努めてまいります。
 暮らしの改革という視点に立ち、未来に夢と希望が持て、安全で安心な暮らしがどのように実現していけるのか、いわば構造改革によって実現される国民生活の具体的姿を明らかにしていきたいと思います。
 政策運営を考えるに当たり、改めて問われなければならないのは、そもそも、なぜ日本経済が十年もの長きにわたってこのような低成長に甘んじてきたのかという問題です。
 その要因は、決して需要の一時的な不足、短期的な落ち込みにあったのではなく、日本全体の生産性が中期的なトレンドとして低迷してきたことにありました。この点は、今や多くの専門家によっても報告されています。経済財政運営の基本的立場として改めて強調されるのは、抜本的な構造改革なくして日本経済の再生と発展は絶対にあり得ないという点であります。
 二十世紀を代表する経済学者ジョセフ・シュンペーターは、かつて、資本主義はその成功のゆえに失敗すると警告したと言われています。戦後の奇跡的な経済成長を可能にした従来のシステムは、時代の要請とともに明らかに変化しなければなりません。過去の成功に固執して、また、目の前の小さな利害の喪失に固執して改革をおくらせれば、停滞の十年が停滞の二十年、三十年とさらに長期化し、国民全体の利益が大きく損なわれることを認識しなければなりません。二〇〇二年は、その意味で将来の日本経済を左右する分水嶺の年になると認識しています。
 周知のように、総理のリーダーシップのもと、経済財政諮問会議を軸に、経済財政政策の決定に関する新しい仕組みが整いつつあります。既に述べたように、昨年六月に、構造改革に関する基本方針を明示した上で、十二月には、予算編成の基本方針を示し、平成十四年度予算を編成しました。また、本年一月には、短期と長期、マクロ経済と財政運営の整合性を確保しつつ、中長期的な経済財政運営を行うために、「構造改革と経済財政の中期展望」を策定しました。さらに、構造改革に分析的な基礎づけを与え、経済財政諮問会議の審議を経済分析面からサポートすべく、平成十三年度年次経済財政報告を公表しております。これらはいずれも、従来にはなかった新しい政策手法であります。
 改革本番の年となる本年、経済財政諮問会議においては、これまでの作業に加え、経済の活性化のための戦略対応や税制のあり方、政府系金融機関の見直しといった課題について集中的な検討を進めます。今後、こうした検討を通じて、時間のかかる改革について、長期の工程表を作成します。
 現実に経済社会を活性化していくのは国民であり、政府が行うべきことは、国民が持てる力を十分に発揮できるための環境整備です。国民の皆様とともに、民が主役の経済を目指してまいります。国民の皆様、また議員各位の御理解と御協力をお願いし、所信の表明といたします。(拍手)
     ――――◇―――――
#17
○馳浩君 国務大臣の演説に対する質疑は延期し、来る六日本会議を開きこれを行うこととし、本日はこれにて散会されることを望みます。
#18
○議長(綿貫民輔君) 馳浩君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#19
○議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。よって、動議のとおり決まりました。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後二時四十四分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  小泉純一郎君
        総務大臣    片山虎之助君
        法務大臣    森山 眞弓君
        外務大臣
        環境大臣    川口 順子君
        財務大臣    塩川正十郎君
        文部科学大臣  遠山 敦子君
        厚生労働大臣  坂口  力君
        農林水産大臣  武部  勤君
        経済産業大臣  平沼 赳夫君
        国土交通大臣  扇  千景君
        国務大臣    石原 伸晃君
        国務大臣    尾身 幸次君
        国務大臣    竹中 平蔵君
        国務大臣    中谷  元君
        国務大臣    福田 康夫君
        国務大臣    村井  仁君
        国務大臣    柳澤 伯夫君

ソース: 国立国会図書館
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