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2002/04/25 第154回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第154回国会 本会議 第28号
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2002/04/25 第154回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第154回国会 本会議 第28号

#1
第154回国会 本会議 第28号
平成十四年四月二十五日(木曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第二十一号
  平成十四年四月二十五日
    午後一時開議
 第一 民間事業者の能力の活用による特定施設の整備の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第二 首都圏整備法及び近畿圏整備法の一部を改正する等の法律案(内閣提出)
 第三 教育職員免許法の一部を改正する法律案(内閣提出)
      ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 日程第一 民間事業者の能力の活用による特定施設の整備の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第二 首都圏整備法及び近畿圏整備法の一部を改正する等の法律案(内閣提出)
 日程第三 教育職員免許法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 個人情報の保護に関する法律案(第百五十一回国会、内閣提出)、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案(内閣提出)、独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律案(内閣提出)、情報公開・個人情報保護審査会設置法案(内閣提出)及び行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑

    午後一時三分開議
#2
○議長(綿貫民輔君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 日程第一 民間事業者の能力の活用による特定施設の整備の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第二 首都圏整備法及び近畿圏整備法の一部を改正する等の法律案(内閣提出)
#3
○議長(綿貫民輔君) 日程第一、民間事業者の能力の活用による特定施設の整備の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案、日程第二、首都圏整備法及び近畿圏整備法の一部を改正する等の法律案、右両案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。国土交通委員長久保哲司君。
    ―――――――――――――
 民間事業者の能力の活用による特定施設の整備の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案及び同報告書
 首都圏整備法及び近畿圏整備法の一部を改正する等の法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔久保哲司君登壇〕
#4
○久保哲司君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、国土交通委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 まず、民間事業者の能力の活用による特定施設の整備の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本案は、港湾施設である廃棄物埋立護岸の適正かつ良好な形成を図るため、廃棄物等を高度に減量する機能を有する施設を港湾の利用の高度化を図るために設置される特定施設に追加すること等、所要の措置を講じようとするものであります。
 本案は、去る十一日本委員会に付託され、十七日扇国土交通大臣から提案理由の説明を聴取し、昨二十四日質疑に入りました。質疑においては、廃棄物等の減量化施設を特定施設に追加することによる効果、これまでの特定施設の整備の実績と評価等について議論が行われました。同日質疑を終了し、討論、採決の結果、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 次に、首都圏整備法及び近畿圏整備法の一部を改正する等の法律案について申し上げます。
 本案は、近年における首都圏の既成市街地及び近畿圏の既成都市区域の産業及び人口の集中に関する社会経済情勢の変化にかんがみ、首都圏の既成市街地における工業等の制限及び近畿圏の既成都市区域における工場等の制限を廃止する等、所要の措置を講じようとするものであります。
 本案は、去る十五日本委員会に付託され、十七日扇国土交通大臣から提案理由の説明を聴取し、昨二十四日質疑に入りました。質疑においては、首都圏及び近畿圏における今後の都市整備のあり方、環境保全の方策等について議論が行われました。同日質疑を終了し、採決の結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#5
○議長(綿貫民輔君) これより採決に入ります。
 まず、日程第一につき採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#6
○議長(綿貫民輔君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
 次に、日程第二につき採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第三 教育職員免許法の一部を改正する法律案(内閣提出)
#8
○議長(綿貫民輔君) 日程第三、教育職員免許法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。文部科学委員長河村建夫君。
    ―――――――――――――
 教育職員免許法の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔河村建夫君登壇〕
#9
○河村建夫君 ただいま議題となりました法律案につきまして、文部科学委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、幼稚園、小学校、中学校及び高等学校の各学校段階間の連携の促進並びに小学校における専科指導の充実等を図るため、教員免許制度上の弾力的措置を講ずるとともに、学校教育への社会人の活用を促進するための所要の措置を講じ、あわせて、教員に対する信頼を確保するため、教員免許状の失効及び取り上げに係る措置を強化するもので、その主な内容は、
 第一に、中学校または高等学校の教諭の免許状を有する者が小学校の相当する教科及び総合的な学習の時間の教授を担任することができるようにすること、
 第二に、一定の教職経験を有する教員が隣接校種の普通免許状を取得しようとするときに、免許状取得のために必要な単位数を軽減するものとすること、
 第三に、専門的な知識または技能を有している社会人に授与する特別免許状について、授与要件を緩和するとともに、有効期限を撤廃するものとすること、
 第四に、国立または公立の学校の教員で懲戒免職の処分を受けた者の免許状は失効することとするなど、免許状の失効及び取り上げに係る措置を強化するための所要の規定の整備を行うこと
などであります。
 本案は、四月十六日の本会議において趣旨説明及び質疑が行われた後、同日本委員会に付託されました。
 本委員会におきましては、十七日に遠山文部科学大臣から提案理由の説明を聴取した後、十九日及び昨二十四日に質疑を行い、討論、採決の結果、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#10
○議長(綿貫民輔君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#11
○議長(綿貫民輔君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 個人情報の保護に関する法律案(第百五十一回国会、内閣提出)並びに行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案(内閣提出)、独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律案(内閣提出)、情報公開・個人情報保護審査会設置法案(内閣提出)及び行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明
#12
○議長(綿貫民輔君) この際、第百五十一回国会、内閣提出、個人情報の保護に関する法律案並びに内閣提出、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案、独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律案、情報公開・個人情報保護審査会設置法案及び行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案について、趣旨の説明を順次求めます。国務大臣竹中平蔵君。
    〔国務大臣竹中平蔵君登壇〕
#13
○国務大臣(竹中平蔵君) 個人情報の保護に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 高度情報通信社会の進展のもと、情報通信技術の活用による大量かつ多様な個人情報の利用が、事業活動等の面でも国民生活の面でも欠かせないものとなっております。その一方で、個人情報は、個人の人格尊重の理念のもとに慎重に取り扱われるべきものであり、個人の権利利益と密接にかかわるものであることから、個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益の保護を図るための仕組みを整備することが急務であります。
 このため、平成十一年七月以来、高度情報通信社会推進本部及び同本部改組後の情報通信技術(IT)戦略本部のもと、有識者から成る検討の場において、個人情報保護に関する基本法制のあり方を中心に専門的かつ広範な調査審議を重ねていただきました。その結果、十二年十月に、内閣総理大臣に対し、個人情報保護基本法制に関する大綱が提出されたところであります。これを受けて、政府においては、同大綱に沿って、本法律案を取りまとめ、提出したものであります。
 次に、本法律案の内容の概要を御説明申し上げます。
 この法律案は、高度情報通信社会の進展に伴い個人情報の利用が著しく拡大していることにかんがみ、個人情報の適正な取り扱いに関し、基本原則、施策の基本となる事項、個人情報を取り扱う事業者の遵守すべき義務を定めること等により、個人情報の有用性に配慮しつつ、個人情報の権利利益を保護することを目的としております。
 この法律案の要点を申し上げますと、第一に、個人情報を取り扱う際の基本原則として、利用目的による制限、適正な取得、正確性の確保、安全性の確保、透明性の確保という五つの原則を定めることとしております。
 第二に、国及び地方公共団体の責務等を明らかにし、関係施策の総合的かつ一体的な推進を図るため政府が基本方針を作成することとするとともに、国及び地方公共団体の施策等について規定しております。
 第三に、個人情報データベース等を事業の用に供している一定の事業者が個人情報を取り扱う際に遵守すべき義務として、個人データの第三者提供の制限や、本人の求めに応じた開示、訂正等の義務を定めることといたしております。同時に、義務に違反した場合における主務大臣による勧告及び命令、命令に従わない場合の罰則等も規定しております。
 第四に、民間団体による個人情報の保護を推進する観点から、苦情の処理等の業務を行う団体に関して、主務大臣が認定を行うこと等を規定しております。
 なお、報道、学術研究、宗教、政治の四分野については、事業者の義務等に関する規定の適用を除外する一方、基本原則を適用するとともに、個人情報の適正な取り扱いのため必要な措置をみずから講じ、かつ、その内容を公表するよう努めなければならないこととしております。
 以上が、この法律案の趣旨でございます。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#14
○議長(綿貫民輔君) 総務大臣片山虎之助君。
    〔国務大臣片山虎之助君登壇〕
#15
○国務大臣(片山虎之助君) ただいま議題となりました行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案等四法案について、その趣旨を御説明申し上げます。
 初めに、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案について御説明申し上げます。
 この法律案は、行政機関において個人情報の利用が拡大していることにかんがみ、行政機関における個人情報の取り扱いに関する基本的事項を定めることにより、行政の適正かつ円滑な運営を図りつつ、個人の権利利益を保護する措置を講じるものであります。
 この法律案の要点は、第一に、行政機関は、個人情報を保有しようとするときは、その利用目的をできる限り特定するとともに、利用目的の達成に必要な範囲を超えて個人情報を保有してはならないこととし、行政機関の長は、当該行政機関の保有する個人情報について、利用目的の変更制限、正確性の確保、安全確保、利用・提供の制限等を講じるものとしております。
 第二に、行政機関が電子計算機処理に係る個人情報ファイルを保有しようとするときは、原則として、あらかじめ、総務大臣に対し、所定の事項を通知しなければならないものとし、さらに、所定の事項を記載した帳簿を作成し、公表しなければならないものとしております。
 第三に、何人も、行政機関の長に対し、当該行政機関が保有する自己に関する個人情報の開示を請求することができる権利を定め、開示を受けた個人情報の内容が事実でないときは、その内容の訂正を請求することができる権利を、また、開示を受けた個人情報が適法に取得されたものでない等のときは、利用停止の請求をすることができることを定めております。また、行政機関の長は、開示等の決定等について不服申し立てがあったときは、情報公開・個人情報保護審査会に諮問するものとしております。
 引き続きまして、独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律案について御説明申し上げます。
 この法律案は、公的部門における一体的な個人情報保護の措置を講じるため、独立行政法人等の百四十三法人について、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案に準じた措置を講じるものであります。
 この法律案の要点は、第一に、対象法人については、独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律の対象法人の考え方を基本とし、行政機関と同様に扱うことが必要な法人としております。
 第二に、行政機関と同様に、個人情報の適正な取り扱い、個人情報ファイル簿、開示、訂正、利用停止、不服申し立て、苦情処理等について定めております。ただし、独立行政法人等は国とは別の法人格を有することにかんがみ、個人情報の適正な取得を義務づけ、開示請求手数料は行政機関の手数料を参酌して各独立行政法人等が定めるべきことなどを定めております。
 引き続きまして、情報公開・個人情報保護審査会設置法案について御説明申し上げます。
 この法律案は、現在、内閣府に設置されている情報公開審査会を改組して情報公開・個人情報保護審査会とし、これまで御説明した行政機関及び独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する二法の規定による不服申し立てについても調査審議することとするものであり、同審査会の設置及び組織並びに調査審議の手続等について定めております。
 最後に、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案について御説明申し上げます。
 この法律案の要点は、第一に、情報公開審査会の情報公開・個人情報保護審査会への改組等に伴う関係法律の所要の規定の整備を行うこととしております。
 第二に、登記簿等に記録されている保有個人情報や統計法等により集められた個人情報については、行政機関及び独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する二法の規定の適用を除外することとしております。
 以上が、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案等四法案の趣旨でございます。(拍手)
     ――――◇―――――
 個人情報の保護に関する法律案(第百五十一回国会、内閣提出)並びに行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案(内閣提出)、独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律案(内閣提出)、情報公開・個人情報保護審査会設置法案(内閣提出)及び行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
#16
○議長(綿貫民輔君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。山本明彦君。
    〔山本明彦君登壇〕
#17
○山本明彦君 自由民主党の山本明彦です。
 私は、自由民主党を代表いたしまして、個人情報の保護に関する法律案、いわゆる個人情報保護法案など関係五法案について、順次質問をしてまいります。(拍手)
 皆様御存じのとおり、我が国は今、世界最先端のIT社会の実現を目指し、官民挙げて取り組んでいるところであります。二〇〇五年の電子政府実現を目指す一方、国境を超えた電子商取引など、今や、ITなくして戦略的な事業活動を考えることは不可能であります。IT社会の実現は、豊かな国民生活と我が国がグローバル世界の競争に勝ち残る重要なポイントであります。
 しかし、皆さん、現在の我が国のIT社会の実態を見てみますと、ちょっと心もとないというのが現実ではないでしょうか。全く関係のない業者からのダイレクトメールだとか電話、恐らく、多くの皆さん方が経験をしてみえることだと思います。
 インターネットを開いてみますと、個人情報を売買しているホームページがたくさんあります。多重債務者のリストだとか、東京都高級懐石料理店の顧客だとか、どこどこ会社の景品の応募者、こんなものまで売買されておるわけでありますから、自分のプライバシーなどはあったものではない。いつ、どこで、だれが、何を流してくるのか全く予想がつかない、安心ができない状況であります。
 新聞を見ますと、顧客名簿が流出したとか個人情報が売買された、こんな記事がよく載っておりますけれども、次はひょっとして自分の番か、そんな心配をしないわけにはいきません。
 外国の個人情報保護の状況を見ますと、OECD加盟国のほとんどが、民間分野を対象とする法制度を既にもう整備済みであります。また、EUでは、個人情報の保護が十分でない第三国へ個人データを移転することを制限する、そんな厳しい姿勢を打ち出しているところであります。
 そこで、IT担当大臣にお伺いいたします。
 今回提出されている個人情報保護法案は、OECD八原則など、国際的なスタンダードを満たすものと言えるのでしょうか。包括法によるEU、個別法による米国という二つの異なるアプローチと比較しながらお答えいただきたいと思います。
 今まで申し上げましたように、我が国の個人情報保護の基盤となる法制度を確立することは、国民生活のためにも、今後の経済社会の発展のためにも、待ったなしの状況であると言えます。
 総理にお伺いします。
 総理は、どのようなねらいを持ってこの法案を提出されたのか、また、今この法案を整備することにどのような意義を見出しておられるのか、明確な御認識をお示しいただきたいと思います。
 しかし、皆さん、この法案において最も大きな問題は、メディアとの関係であります。多くの批判が述べられていることは御承知のとおりでありますが、本当にこの法案がメディア活動を妨げるものでありましょうか。そこには、説明不足また理解不足があるのではないでしょうか。
 先月、総理が韓国を訪問された際、この法案に関して、報道、言論の自由とプライバシーの保護は両立できると述べられたと聞いております。
 そこで、総理にお伺いいたします。
 この法案が、憲法の保障する報道、表現の自由を侵害するのかどうか、また、そのために講じている措置の内容について、国民にわかりやすい、明快な御答弁をお願いいたします。
 あわせて、この法案と同様に、包括的に民間分野を対象とするEU各国法制は、どのような考えのもとにメディアとの調整を図っているのか、これはIT担当大臣にお尋ねいたします。
 今回の個人情報保護法案は、平成十一年の住民基本台帳法の改正に際しての国会での議論、総理答弁等をもとに立案されているものであります。関係法案が政府から提出された以上、与野党それぞれが法案の内容を十分に審議し、国民に納得のいく結論が得られるよう、今度は立法府がその責任を果たそうではありませんか。
 すべての国民がITの恵沢を安心して享受できる社会、これは、一昨年十一月に成立したいわゆるIT基本法に示された目指すべき社会の姿であります。その実現に向け、この関係五法案は、制度的基盤として欠くべからざるものであることを指摘いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕
#18
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 山本議員にお答えいたします。
 個人情報の保護に関する法律案のねらい及び意義についてでございます。
 この法案は、IT化が進展し、個人情報がITにより処理されている状況下において、個人情報を利用する有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することを目的としております。
 我が国は、官民一体となって世界最高水準のIT国家を目指しているところでありますが、本法案は、プライバシー等の侵害を防止し、国民生活を守るための不可欠な基盤であります。
 法案と報道、表現の自由についてでございます。
 この法案は、報道、表現の自由を侵害するものでは全くありません。
 すなわち、メディアを含む万人を対象とする基本原則は、各人による努力義務規定であることを明記し、公権力による関与や罰則は一切ありません。
 また、報道分野は、事業者に対する義務規定、主務大臣の監督の適用から一切除外しているとともに、取材の相手方等に対する主務大臣の監督に関しては、表現の自由を妨げることがないよう配慮義務を明記しているところであります。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣竹中平蔵君登壇〕
#19
○国務大臣(竹中平蔵君) 山本議員から、大きく二点の御質問をいただいております。
 まずは、いわゆるOECD八原則と本法案との関連でございます。
 本法案では、OECD八原則に示されている内容を五つに集約して示しております。その五つとは、第一、利用目的による制限、第二、適正な取得、第三、正確性の確保、第四、安全性の確保、第五、透明性の確保でございます。そして、この五つに集約したものを基本原則として確立するとともに、第五章において、個人情報取扱事業者に対しては具体的な義務として規定するなど、実効的な制度を整備しております。
 包括法か個別法かというお尋ねがございました。
 この法案は、基本原則等万人についての努力義務を定めつつ、データベース等を用いる事業者や公的分野その他の特別の個別分野については、それぞれ、保護の必要性に応じた総合的、体系的な制度を整備しようとするものであります。
 一方で、個人情報保護の問題が分野の特性により大きく実情が異なることや、できるだけ当事者間の迅速な解決を図ることが望まれるということから、事業者の自主性を尊重した仕組みとなっております。
 具体的には、個人情報を取り扱う事業者に関する法律上の義務を明確にし、まず事業者の自主的な取り組みを求める一方で、問題が生じた場合においては、事後的な主務大臣の関与によってその是正を図るという仕組みにしております。
 このように、我が国における社会の実情、制度的な基盤に即して、民間分野について事後チェック型の仕組みにするなど、欧州各国とは異なるところもある一方で、また米国のような個別法による方式とも異なっております。
 本法案は、全体として、実効性への配慮を十分重視しているところでありまして、国際的な評価にも十分たえ得るものであるというふうに考えております。
 もう一点、EU各国法制におけるメディアとの調整の考え方についてのお尋ねがございました。
 九五年のEU指令では、プライバシーの権利と表現の自由に関する準則を調和させる必要がある場合に限って、ジャーナリズム目的等により行われる個人データの処理については適用除外を設けるというふうにされております。
 また、九七年のEU個人情報に関する特別調査委員会によるデータ保護法とメディアに関する勧告においても、データ保護法は原則としてメディアにも適用されるとした上で、適用除外は、データ主体のプライバシー権とのバランスを維持しつつ、表現の自由の効果的な行使をするのに必要な範囲でのみ認められるべきとされております。
 このような観点から、EU加盟各国においては、メディアを法の対象とした上で、義務規定等に関しては、報道等の目的による個人データの処理について必要な調整規定が設けられているところでございます。
 以上、お答え申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#20
○議長(綿貫民輔君) 山内功君。
    〔山内功君登壇〕
#21
○山内功君 山内功でございます。
 ただいま趣旨説明がありました個人情報保護等関連法案につきまして、民主党・無所属クラブを代表して、質問をさせていただきます。(拍手)
 最初に、個人情報保護法案について質問します。
 本法案は、昨年、みずからの買春疑惑を報じられ、支持率も地に落ちていた森内閣のもとで法制化されたもので、襲いかかる報道に対抗しようとしたのか、メディア規制という毒が盛られました。
 一方、小泉総理は、巧みなメディア戦術で、本年一月までは高い内閣支持率を維持してきました。メディアに配慮して、法案には慎重姿勢と言われてきました。
 そんな中で、法案推進への総理の心変わりは、田中外相を更迭したこと、経済危機が深まるばかりで一向に成果が上げられないこと、自民党議員や閣僚、高級官僚の不祥事が相次いで発覚していることにより、メディアの政権批判が一気に高まってきていること、ここに原因があるのではないかと受けとめているのですが、今述べた認識について、総理に反論があれば伺いたいと思います。(拍手)
 言うまでもなく、憲法二十一条に定められた表現の自由は、その重要性にかんがみ、憲法が定める基本的人権の体系の中でも優越的地位を占めています。また、国民の知る権利に奉仕する報道の自由は、民主社会の基盤でもあり、根幹でもあります。
 本法案の最大の問題点は、この表現の自由、報道の自由が窒息死するかもしれないということです。それは、一つには、法案第二章の基本原則が国民すべてに適用されるからであります。
 例えば、ある記者が政治家の汚職事件を取材していたとします。汚職は、本人が公表するわけがない。当然、内部告発を受けたり、事情を知る第三者から情報収集を積み重ねます。その際、「個人情報は、適法かつ適正な方法で取得されなければならない。」という基本原則が適用されます。これもあいまいな概念ですが、後にこの政治家が訴えて裁判になった際、適法かつ適正な取得が争点となり、いつ、だれが、だれから、どのような形で取得したのかを明らかにするよう求められる可能性が出てきます。
 すると、取材活動にとって生命線とも言える取材源の秘匿が脅かされる。取材源が明かされるのではないかと考えるだけで、事情を知る第三者が情報提供、内部告発をちゅうちょすることは、間違いありません。これは、情報提供者の側の萎縮です。
 また、同じ汚職事件の取材で、「本人が適切に関与し得るよう配慮されなければならない。」という基本原則が適用される場合はどうでしょうか。
 自分への取材が進行していることを察知した政治家は、この原則を根拠に、これまでに取得した情報を開示せよと記者に迫る可能性があります。開示すれば取材源の秘匿が脅かされますから、記者は拒否します。また、訴訟に発展しかねない。記者も人間ですから、そんな繰り返しのうちに、次第に取材活動が萎縮していく懸念がある。これは、報道機関の側の萎縮です。
 本法案の法制化に際し、基本原則適用によって生じるこのような具体的支障についてどのような検討をされたのか、総理の見解を伺います。
 本法案が、悪徳政治家及び権力者保護法とか巨悪スキャンダル発覚防止法などとやゆされるのは、以上申し上げたように、取材、報道活動に萎縮をもたらし、疑惑のある政治家や高級官僚にとっては、都合のいいことこの上ないからであります。
 総理は、先ほど、基本原則は努力義務だから問題ない、表現の自由を制約するつもりは毛頭ないと説明しました。しかし、百歩譲って、立法者の意図がそのとおりだとしても、法律がひとり歩きする場合もあります。だからこそ、欧州主要国では、メディアの特殊性、重要性を踏まえて、個人情報保護の原則をも適用除外としているのであります。米国でも、メディアにおける個人情報保護の法制は存在しません。
 以上から、私は、報道の自由、表現の自由にかかわる行為については基本原則を適用すべきではない。報道機関は、個人情報保護について、一層真摯に自主的取り組みを進めていただきたい、そして、これからも勇気を持って巨悪を、疑惑を暴いてほしい。このように考えますが、総理の見解を求めます。(拍手)
 関連してお伺いします。さすがに、法案では、第五章の義務規定の適用除外として、報道などの四分野を挙げています。
 条文では、報道分野については、放送機関、新聞社その他の報道機関、そして、報道の用に供する目的である場合にだけ義務規定を適用除外するとしています。では、出版社が発行する雑誌、写真週刊誌、テレビのワイドショー、ノンフィクション、小説、映画、美術、音楽、漫画、あるいはインターネット上のホームページ等、これらの表現手段は適用除外になるのか。なるとすれば、なぜ条文に明記しないのか。
 さらに、列挙されているのは機関あるいは団体ですが、フリーランスのライターや個人の小説家、評論家、あるいは、さまざまな表現活動を行う個人は適用除外になるのか。なるとすれば、なぜ条文に明記しないのか。
 さらに、報道目的の定義は何か。報道目的であるかどうか、あるいは非報道目的であるかどうかは、だれが判断するのか。最終的に主務大臣が判断するのであれば、メディア規制を目指す与党の影響を受けて、判断基準が変わらないのか。以上の点について、総理の明確な答弁を求めます。
 次に、第二の問題点について質問いたします。
 法案では、個人情報取扱事業者に対し、管轄の主務大臣が、懲役、罰金という罰則を背景にして、報告の徴収、助言、勧告または命令という形で監督を行います。かなり強力な民間への介入です。そして、主務大臣といえば与党です。
 自民党の皆さん、胸に手を当てて思い出してください。内閣支持率が低迷するたびに、報道がけしからぬ、番組をチェックしろ、メディア規制立法が必要だと、今まで大騒ぎをしてきたではありませんか。そのような体質の与党議員が主務大臣になるわけです。
 民主党が政権をとればそんな恣意的な介入は絶対にあり得ませんが、いずれにせよ、報道だけでなくあらゆる分野で、個人情報の保護を名目にした官、与党による恣意的な介入、規制が強まるおそれがあると言わざるを得ません。
 なぜ、欧州のように中立な第三者機関をつくって監督を任せようとはしなかったのか、総理の答弁を求めます。
 第三の問題点について質問します。
 高度情報化が急速に進展し、大量の個人情報が瞬時に世界を駆けめぐる現在、個人情報の保護は重要な課題となっています。私どもも、個人情報保護のための法制化自体は必要だと考えます。
 ところが、本法案は、事業者の立場に配慮し過ぎて、国民の個人情報の保護という立場が弱くなっています。端的な例が、自己情報コントロール権が明確に位置づけられていないということです。プライバシーとは、かつて、一人でほっておいてもらう権利でしたが、高度情報化社会では、それにとどまらず、個人情報の収集、管理、利用、流通などの各段階において情報主体が能動的に関与することが必要となっています。
 しかし、法案には、この自己情報コントロール権について、権利として明記されていません。例えば、開示、訂正にしても、例外となる業務の適正な実施に著しい支障を及ぼす場合とは何か、全くあいまいであり、拡大解釈されれば開示、訂正が骨抜きになる可能性もあります。これらの点についての総理の見解を伺います。
 次に、行政機関の保有する個人情報保護法案について質問します。
 そもそも、日本における個人情報保護の論議は、直接的には、平成十一年、住民基本台帳法改正案の審議の過程で出てきたものです。行政機関が大量に保有する個人情報の流出や不正利用があれば大変な事態になります。
 しかるに、今回の行政機関についての法案では、第一に、民間事業者の義務規定違反については刑事罰があるのに、行政は違反しても刑事罰がなく、その危険性からして、行政に甘過ぎるのではないか。第二に、地方自治体の条例でも、差別につながるセンシティブ情報の収集制限を盛り込んでいるところがあるのに、なぜ法案では盛り込まれなかったのか。
 ほかにも多数、問題点はございますけれども、ここでは、以上二点について総理の答弁を求めます。
 最後に、総理に申し上げます。
 総理にじかに手紙を出し、個人情報保護法案の廃案を訴えた作家の城山三郎さんは、この法律によって、官報と建前情報ばかりがあふれる暗い時代が幕をあけようとしている、言論、表現の自由というのは、生きるということと同じくらい大切なんだということをみんなが理解すべきだと訴えております。総理、城山さんのこの指摘にどうお答えになりますか。
 総理、言ってみれば、あなたはメディアによって生まれた総理大臣だと思います。そのあなたが、メディアを、表現の自由を真綿で絞め殺すような法案の成立に突き進むのは、ブラックジョークというには余りにも重過ぎる、痛烈な歴史の皮肉としか言いようがないのであります。(拍手)
 折しも、人権擁護法案の審議も昨日から参議院で始まりました。だれもが賛成する人権擁護や個人情報保護という名のもとでメディアが規制される。このことで、今、日本という国が何を失おうとしているのか、総理にはいま一度冷静に考え直していただきたい。私は、人権や個人情報保護と表現、報道の自由が両立する道をこそ追求していくべきだと考えます。
 総理、今からでも遅くはありません。少なくとも個人情報保護法案は撤回し、これまで申し上げました諸点を踏まえて抜本的につくり直し、提出し直すべきだということを最後に強く申し上げ、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕
#22
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 山内議員にお答えいたします。
 個人情報保護法案に対する姿勢についてです。
 個人情報保護法案を含む関係五法案は、IT化の急速な進展に対処するものであり、個人情報の有用性に配慮しつつ、プライバシーを初めとする国民の権利利益を保護することを目的とするものであります。
 メディアの活動を規制しようとする意図は全くありません。メディアの批判とは何ら関係がありません。
 基本原則についてです。
 基本原則の性格については、個人情報保護法制化専門委員会が取りまとめた個人情報保護基本法制に関する大綱では、「基本原則実現のための具体的な方法は、取扱者の自主的な取組によるべきものである。この趣旨は、報道分野における取材活動に伴う個人情報の取扱い等に関しても同様である。」とされたところであります。
 政府においてはこの考え方をもとに立法化を行い、基本原則は、報道目的を含めた個人情報の有用性に配慮しつつ、個人情報を取り扱うすべての者が、個人情報の適正な取り扱いを行うよう、自主的に努力すべきことを求めるものとしています。すなわち、基本原則は、これに基づいて具体的な義務が課されるものではなく、公権力の関与や罰則は一切ありません。
 このような基本原則により、取材源の開示といった具体的義務が課されるものでないことから、報道機関の取材、報道活動の制限となるものではないと考えております。
 報道の自由、表現の自由にかかわる行為については基本原則を適用すべきではないこと及び報道機関による自主的な個人情報保護についてのお尋ねであります。
 報道機関が、個人情報保護について一層真摯に自主的取り組みを進めていただくことは、本法案における基本原則の考え方そのものであります。すなわち、基本原則は、官民を通じ、個人情報を取り扱うすべての者が、みずから適正な取り扱いを行うよう努力すべきことを定めるものであり、報道分野に基本原則が適用されても支障が生じるとは考えておりません。
 報道及び報道機関等の内容についてのお尋ねです。
 法案では、報道機関が行う個人情報の取り扱いに一部でも報道目的が含まれる場合は、義務規定の適用を除外することとしております。御指摘の雑誌、写真週刊誌、ワイドショー等においても同様であることは明確であります。
 また、報道機関とは、報道を業として行う者であります。したがって、御指摘のフリーライター、小説家、評論家などの個人であっても、本法案においては、いずれも、報道を業として行う者であれば、当然、報道機関に該当することも明確であります。
 報道目的の定義、判断についてです。
 報道とは、不特定かつ多数の者に対して客観的事実を事実として知らせること、または、客観的事実を知らせるとともに、これに基づいて意見もしくは見解を述べることをいうものであります。報道目的とは、前記の報道を目的とすることであります。
 次に、報道目的であるか否かについては、一部でも報道を目的としているか否かの事実に基づき客観的に判断されるものであり、恣意的判断が介入する余地はありません。
 このような判断は、まずは事業者本人が判断し、当事者間で争いが生じた場合には、当事者間で判断され、場合により裁判において決着が図られることとなります。
 なお、仮に争いが行政に持ち込まれることがあるとしても、広く表現の自由にかかわる活動を妨げることのないよう主務大臣に配慮義務が課されており、行政の関与は制限されております。
 個人情報取扱事業者に対する監督のあり方についてです。
 本法案に定める義務規定は、事業活動に伴う個人情報の取り扱いを規律するものであります。事業活動に伴う消費者等の個人情報の保護に関する事務は、既に内閣を構成する各大臣が分担している各事業者の活動に関する事務と一体的に遂行することが合理的かつ実効的であります。
 新たな第三者機関の設置については、既存の行政機関と事務が競合し、屋上屋を架することとなるのみならず、責任関係が不明確になるおそれがあります。さらに、地方組織を含む膨大な組織の整備は、行政改革の流れにも反するものであります。
 情報主体の関与についてです。
 この法案においては、個人情報の取り扱いに関し、本人が能動的に関与できるよう、開示、訂正、利用停止等の具体的な規定が盛り込まれております。
 また、業務の適正な実施に著しい支障を及ぼす場合が例外とされていることについては、適正な試験の実施や人事管理が阻害されたり、第三者との信頼関係が損なわれたりする場合などを想定して設けられているものです。
 ただし、単に業務に支障を及ぼす場合を例外とするのではなく、業務の適正性や支障の大きさをその要件としていることから、この規定が乱用されることはないものと考えております。
 民間に比べ行政に甘いとの御指摘がありました。
 行政機関については、既に国家公務員法等に守秘義務と罰則が設けられています。また、本法案では、個人情報そのものの漏えいを禁止しており、違反すれば懲戒処分の対象になります。一方、民間事業者については、まず自主的な是正が求められ、改善されない場合に命令が出され、これに従わないときに初めて罰則の対象となります。
 このように、行政機関に対してはより厳格な制度としており、行政に甘過ぎるとの指摘は当たりません。
 センシティブ情報の収集制限についてです。
 センシティブな情報であるかどうかは、情報の種類や内容のみならず、個々の利用の目的やその方法によって異なるものであります。したがって、この問題については、必要に応じて、個別の法制度や施策ごとにきめ細かく措置する方が効果を上げることができると考えています。
 城山三郎氏の発言についてでございます。
 この法案は、そもそも、IT化が進展し個人情報がITにより処理されている状況下において、個人情報を利用する有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することを目的としております。
 他方、言論、表現の自由を尊重することが重要であることは十分認識しており、メディアが法律の規制対象とならないよう、十分な措置を講じております。
 このように、表現、言論の自由とプライバシーの保護は両立できる制度になっているものと考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#23
○議長(綿貫民輔君) 桝屋敬悟君。
    〔桝屋敬悟君登壇〕
#24
○桝屋敬悟君 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま議題となりました個人情報の保護に関する法律案及び行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案など関連五法案に対しまして、質問を行います。(拍手)
 私は、今、平成十一年の第百四十五回国会での議論を思い出しております。全国的な住民基本台帳ネットワークシステム構築の条件として、個人情報の保護に万全を期するため、速やかに所要の措置を講ずる必要がある、民間を含む個人情報保護法の制定を急がなければプライバシーの保護について国民が安心できないなどなどの声が、与党、野党を問わず、盛んに出されたのであります。
 本国会では、行政機関の保有する個人情報を含め、まさに、包括的な保護法制が議論されるわけであります。
 近年のIT社会の進展は、秒進分歩、経済・産業界はもちろんのこと、各家庭におきましても、銀行の口座振り込みから飛行機のチケット予約まで、家庭にいながらにしてできるまでに目覚ましい発展を遂げております。こうした我が国のIT社会を展望しながら、関連五法案が一刻も早く成立することを願いつつ、最重要項目に絞り、質問させていただきます。
 先ほどの山内議員とほぼ同じ論点でありますが、やや論点が絞られてきたなという感を大きくするとともに、大事な点でありますから、重ねてお伺いしたいと思います。
 まず、総理にお伺いしたい。
 私ども公明党は、IT社会には光と影がある、利便性の裏腹の課題として情報流出の懸念への対処が不可欠であると考えておりますが、今回の個人情報保護関連五法案はこの影の部分に対しどのような役割を果たすのか、しかと御説明いただきたいと思います。
 次に、基本原則についてであります。
 この基本原則は、国民にひとしく備わる人格権の確立を根拠として、みずからの個人情報はみずからコントロールできるという、いわば当然のことを改めて確認をし、規定をしている、このように私は理解しております。この基本原則の適用、確立は、個人の人権を最大限に尊重する姿勢のあらわれであり、個人、法人を問わず、至極当然のことであると考えます。
 メディアの方々からは、この基本原則の適用に対し、先ほども出ておりますが、報道の自由を侵害するのではないか、取材活動への支障を来すおそれがあるのではないかとの懸念が示されているわけであります。
 繰り返しますが、私は、この基本原則は、個人情報を取り扱うすべての者が適正な取り扱いに努力しなければならない旨の努力規定、精神規定を盛り込んだものでありまして、公権力の関与や罰則は一切ないものと認識しておりますが、改めて、総理の明確な御見解をお聞かせいただきたいと思います。
 さらに、義務規定の適用についてであります。
 これも先ほど出ましたが、この義務規定については、報道は適用除外とされております。その報道の定義を明確にしていただきたい。また、新聞社、出版社、フリージャーナリストといった立場において、本法案の規定において何らかの差別があるのかどうか、懸念を払拭する総理の明確な答弁をお願いするものであります。
 さて、昨年の通常国会に提出をされました個人情報保護法案、いわゆる基本法でありますが、まずは行政機関等の法制を急ぐべきではないか、この強い声が上がりました。今回は、双方の法律案があるわけであります。個人情報の漏えいに関しては、民間部門に比べて行政機関に関する規律が甘いのではないか、官に甘い法制であるとの厳しい声がありますが、こうした声にいかにお答えになるのか、今度は片山総務大臣に明確な御答弁をお願いしたいと思います。
 最後に一点、総理の御決意を伺いたいと思います。
 今回の関連五法案により、我が国は、個人情報の保護に関する包括的な法整備を行うことになります。その上で大事な点は、いま一度、住民基本台帳ネットワークシステムに立ち返っていただきたいということであります。もとより、セキュリティーに万全を期しているネットワークであると理解はしておりますが、包括的な法整備にあわせて、国民の理解と信頼を得るため、さらなる個人情報保護措置を検討すべきであると考えます。
 二十一世紀の電子政府、電子自治体の構築に向けてぜひとも取り組むべき課題であると考えますが、総理の御決意を伺って、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕
#25
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 桝屋議員にお答えいたします。
 個人情報保護関係五法案がIT社会において果たす役割についてでございます。
 今回提案している五法案は、我が国が目指す世界最高水準のIT社会の基盤となるものであります。
 これらの法案は、官民双方を視野に入れ、個人情報を取り扱う際の規律を定めるとともに、開示、訂正等による本人チェックの仕組みを設けることなどを通じて、個人情報の有用性に配慮しつつ、プライバシーを初めとする国民の権利利益の保護に大きな役割を果たすものであります。
 基本原則についてです。
 法案第二章の基本原則は、個人情報を取り扱うすべての者が、個人情報の適正な取り扱いを行うよう、自主的に努力すべきことを求めるものであります。すなわち、基本原則は、議員の御指摘のとおり、これに基づいて具体的な義務が課されるものではなく、公権力の関与や罰則は一切ありません。
 報道の定義及び出版社、フリージャーナリストの位置づけなどに関するお尋ねです。
 報道の定義については、不特定かつ多数の者に対して客観的事実を事実として知らせること、または、客観的事実を事実として知らせるとともに、これに基づいて意見もしくは見解を述べることをいうものであります。
 また、出版社、フリージャーナリストの扱いですが、義務規定が除外される報道機関とは、報道を業として行う者であり、報道を行う雑誌を発行する出版社や、報道を行うフリージャーナリストは、いずれも報道機関に該当し、義務規定は除外されるものであり、条文に例示されている放送機関、新聞社、通信社とその扱いに相違があるものではありません。
 住民基本台帳ネットワークシステムのお尋ねです。
 都道府県や指定情報処理機関が保有する情報は、法律上、氏名、住所、性別、生年月日の四情報に関するものに限定されているほか、関係職員の守秘義務違反に対する罰則を加重する等、制度面等で万全の個人情報保護措置を講じています。
 また、電子政府、電子自治体を実現するための基盤となるシステムであることから、今後とも、個人情報の適切な管理について、国民に信頼されるシステムの構築と運用に努めてまいります。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣片山虎之助君登壇〕
#26
○国務大臣(片山虎之助君) 桝屋議員の質問にお答えいたします。
 個人情報の漏えいに関する規律の官民比較をすれば、官が甘いのではないか、こういうことでございます。
 今、総理が御答弁しましたように、行政機関につきましては、国家公務員法がありまして、守秘義務があるわけでありまして、個人情報のうち秘密に関するものを漏らせば、これは守秘義務違反で、ストレートに罰則がかかる、こういうことになっておりますし、個人情報そのものの漏えいに関しましては、この法案で禁止いたしておりますから、その違反は懲戒処分の対象になる。国家公務員法というのがありますから、その規定上は国家公務員法で担保する、こういう思想になっているわけであります。
 一方、民間部門につきましては、一般的な守秘義務制度はございませんし、漏えい行為等に対しましても、先ほどお話しのように、まず勧告をやって、聞かなければ命令を出して、その後に罰則、こういうことでございますから、直接、罰則で担保する仕組みにはなっておりません。
 そういう点からいいますと、制度的には行政機関の方がより厳しいと思いますけれども、運用上もぜひ今後厳しくしてまいりたい、こういうふうに思っております。
 以上であります。(拍手)
    ―――――――――――――
#27
○議長(綿貫民輔君) 武山百合子君。
    〔武山百合子君登壇〕
#28
○武山百合子君 私は、自由党を代表して、ただいま提案のありました個人情報の保護に関する法律案、行政機関における個人情報の保護に関する法律案、独立行政法人等における個人情報の保護に関する法律案、情報公開・個人情報保護審査会設置法案、行政機関における個人情報の保護に関する法律等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案について質問いたします。(拍手)
 冒頭に、一言申し上げます。
 今回、自民党を初めとする与党は、行政機関における個人情報保護に関する法律案外四法案について、本来総務委員会で審議すべきであるとの私たち野党の強い要求に対し、個人情報保護法案を審議する内閣委員会に付託することを主張し、これら五法案は結局、一括して審議するということになりました。
 私は、世間から強い批判を浴びている個人情報保護法案の審議時間や質疑回数を少しでも多くとるという観点からは、これでよいのかという思いを禁じ得ません。
 また、先般、総理の本会議、委員会の出席は重要な広範議案に限るとか、総理が本会議、委員会に出席した週は、党首討論である国家基本政策委員会は行わないとのルールが定められましたが、これは、総理の本会議、委員会への出席が余りにも多過ぎる、総理が出席するような重要な議案は週に一回、慎重に審議しようとの観点から決められたはずです。
 しかし、今回の小泉総理、政府・与党の国会運営を見ますと、本日の個人情報保護法案の趣旨説明、質疑に引き続き、あすには有事法制関連三法案の趣旨説明を本会議で行うことになっています。このような国民生活の根幹にかかわる重要法案の趣旨説明を二日連続で行うことは、通常では全く考えられません。(拍手)余りにも強引な日程であり、国民を無視した、力ずくの行為であります。
 小泉総理、あなたは、本会議に出席したという口実で、国家基本政策委員会を開かずに党首討論から逃げ回る一方で、国民の関心の非常に高いこれら重要法案をゴールデンウイーク前に駆け込み的に審議入りするとは、一体どんな神経なのでしょうか。(拍手)非常識きわまりないではありませんか。小泉総理及び政府・与党は猛省すべきです。
 とりわけ、山崎拓自民党幹事長の女性問題に目をつむったまま、これら重要法案を審議することは到底できません。今回報道された山崎幹事長の愛人問題は、口にするのもはばかられるほどおぞましいものである上、公費による衆議院の正式の海外調査団の団長を務めながら、愛人を同行させたことが事実ならば、院の権威を落とす愚行であります。(拍手)
 小泉総理は、個人情報保護法案、有事法制関連三法案という、二十一世紀の日本の行方を左右する重い問題に取り組む前に、自民党総裁として山崎幹事長を更迭すべきです。(拍手)そうでなければ、総理の座右の銘である信なくば立たずなど、空念仏にすぎません。総理の見解を求めます。
 さて、この個人情報保護法案については、我々自由党も、かねてから、個人情報を保護するための法整備は早急に行うべきであるとの観点から、法案策定の必要性を認識していました。そして、連立与党のときに、個人情報保護に関する与党プロジェクトチームに参加し、私自身もチームのメンバーとして実際に討議を行い、検討を重ねた経緯があります。
 しかし、そのベースとなった考え方は、あくまでも、高度情報通信社会推進本部個人情報保護検討部会で平成十一年十一月に出された、OECD八原則も踏まえた中間報告であり、それをもとに立法化の検討が進められていたはずです。この立法化は、報道機関などからもある程度の賛成を得られていましたが、残念なことに、自由党が連立を離脱した後に、この原則は大きく変質してしまいました。
 立法化は、もともと、国や地方公共団体が保有する個人情報を国民が自己管理することを促し、民間事業者が保有する個人情報の商業目的による不正流出を規制することを主たる目的としていたはずですが、現に提案された法案を見ますと、まず、個人情報保護法制の基礎となるべき自己情報コントロール権についての規定が不明確、不十分であります。その一方、個人情報取扱事業者に対する主務大臣の権限が強大であり、公権力による民間への不当介入を招くおそれがあります。さらに、義務規定の適用除外となる報道の範囲があいまいな上、基本原則が適用されることで取材、報道活動の萎縮を招き、表現の自由を侵害するおそれがあります。
 つまり、ジャーナリズムを含む民間全体を取り締まる法律に性格を変えています。この内容では、言論統制法であると指摘を受けるのも当然です。(拍手)
 本法案は、廃案にして新たにつくり直すか、前に述べた指摘を踏まえ抜本的な修正を行うべきと考えますが、小泉総理の見解をお伺いします。
 次に、法案の目的について伺います。
 政府案では、政府が基本原則と基本方針を定め、国、地方公共団体の責務を明確にするとともに、個人情報を取り扱う事業者の遵守すべき義務を定めることとなっています。しかし、これだけでは、個人情報の保護という本来の目的に反して、むしろ、政府・与党がジャーナリズムや表現活動に新たな制約を加えるのではないか。いわば、官が情報をコントロールするだけの法案になってしまう懸念が非常に強くあります。
 したがって、少なくとも、法案の目的に、自己情報のコントロール権を明確に位置づけるとともに、個人情報の収集、利用、第三者に対する提供などに係る本人の権利権益を保護することも明記すべきであると考えますが、総理の見解を伺います。
 さらに、基本原則及び基本原則の適用除外について伺います。
 本法案では、基本原則は、個人情報を取り扱うすべての者に適用されています。確かに、基本原則には罰則などの規定がなく、単なる努力義務とされていますが、個別の条項である、適法かつ適正な取得とか、本人の適切な関与、透明性の確保などの原則に基づいて、正当な取材活動であっても取材拒否されたり、取材した後も取材内容の開示を求められたりするおそれがあります。また、法律違反を理由に裁判に訴えられる可能性もあります。
 これでは、報道機関と取材源の関係が根底から揺らぐことになり、取材、報道、表現活動が大きな制約を受けることは明白です。例えば、この法案が成立していたとしたら、前自民党鈴木宗男衆議院議員の疑惑に対する取材活動は何らかの厳しい制約が加えられていた可能性があります。
 また、報道機関が報道目的で個人情報を取り扱う場合は、第五十五条により義務規定の適用を除外されることになっていますが、適用除外はあくまでも報道の用に供する目的の場合に限定されており、しかも、報道目的か否かの判断は行政にゆだねられることになっています。加えて、この適用除外の対象には出版社やフリーのジャーナリストなどは明記されていないなど、重大な問題があります。
 今後、適用除外の規定を明確にするとともに、必要なものは、基本原則自体を適用除外とすることを法案に明記すべきだと考えますが、総理の見解を伺います。
 次に、主務大臣の関与について伺います。
 本法案では、個人情報を取り扱う事業者の事業内容によって主務大臣を置くこととしていますが、これでは、所管大臣ごとに異なる取り扱いがなされるなどの事態が生じる可能性が十分にあります。また、民間事業者全体や思想、信条、言論、表現などの自由に対する不当な介入を招きかねません。さらに、主務大臣の監督、命令などは、あくまでも事業者の行為に対するものであって、実際に個人情報を侵害された者の苦情処理や救済は機能しない可能性もあります。
 したがって、所管ごとの主務大臣の関与はやめ、統一的な個人情報保護の第三者機関として、個人情報保護委員会を独立行政委員会として設置すべきだと考えますが、総理の見解を伺います。
 また、本法案や、その他の議題である行政機関の保有する個人情報の保護に関する法案などの四法案がこれだけ批判されているのは、国民の間で政府・与党に対する信頼が全くないことも一因であります。政府・与党に対する不信感が強いからこそ、本法案が恣意的に運用されるのではないかと疑われ、ここまで反対の機運が高まっていることを小泉総理は肝に銘じるべきです。
 最後に申し上げます。
 今回の法案は、国政選挙などで自民党の勢いが衰え続けている政治的背景のもとで、自民党を初めとする政府・与党が、ジャーナリズムに対して公権力による規制を行い、自分たちの都合のよいように報道機関をコントロールしたいとの思惑から作成されたことは間違いありません。小泉総理や政府・与党に良心が残っているのであれば、みずから反省し、この法案を廃案とすべきです。(拍手)
 なお、あえて申し上げますが、ジャーナリズムの側にも問題があります。報道機関は、強い社会的影響力を持っております。最近、集団的な過熱取材、過熱報道がひど過ぎるといった指摘は、多々受けてきたはずです。個人情報保護法案が出された後、報道機関側も、改めるべき点はみずからの手で改善していくと言っておりますが、遅きに失した感は否めません。国民の信頼を回復するためにも、必要な改善は自主的に、早急に行うべきです。
 自由党は、本法案の廃案を目指すとともに、個人情報の自己管理の確立と、個人情報の不正流出を規制することを主たる目的とした、新たな個人情報保護法案を作成することに全力を尽くすことを表明して、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕
#29
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 武山議員にお答えいたします。
 山崎幹事長を更迭すべきではないかとのお尋ねです。
 山崎幹事長についての報道は、私的な事柄に関するものであり、御本人は報道内容を否定され、既に法的措置をとられたものと承知しております。
 こうした問題と国政上の重要課題とは区別して考えるべきであり、政府としては、個人情報保護法案、有事法制関連三法案とも、その早期成立に向けて取り組んでいきたいと考えております。
 個人情報保護法案が言論統制法ではないかとのお尋ねです。
 この法案は、IT化が進展し個人情報がITにより処理されている状況下において、個人情報を利用する有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することを目的としております。
 メディアについては、むしろ法律の規制対象とならないよう、事業者に対する義務規定、主務大臣の監督の適用を一切除外するなど、十分な措置を講じており、言論統制法であるとの御指摘は当たらないと考えております。
 個人情報の保護に関する法律案の目的規定についてです。
 法律の目的として、個人情報の取り扱いに関し、個人の権利利益を保護することを明記しており、これには、御指摘の点も含め、およそ、個人情報の取り扱いに関し、法的に保護されるべき個人の権利利益はすべて含まれております。
 なお、自己情報のコントロール権という概念については、その内容、範囲及び法的性格に関しさまざまな見解があり、十分な明確性を有するものとは言えないため、法律の文言とはしていないものであります。
 今後、報道機関の適用除外規定を明確にするとともに、必要なものは基本原則自体を適用除外とすることを法案に明記すべきとのお尋ねであります。
 法案においては、報道機関とは報道を業として行う者であり、その報道機関が行う個人情報の取り扱いに一部でも報道目的が含まれる場合を適用除外としております。このように、趣旨は明確である一方、例示には限りがあるため、あらゆる例示を列挙することは必ずしも適切ではないと考えております。
 また、基本原則は、官民を通じ、個人情報を取り扱うすべての者が、みずから適正な取り扱いを行うよう努力すべきことを定めるものであり、報道分野に基本原則が適用されても支障が生じるとは考えておりません。
 個人情報取扱事業者に対する監督のあり方についてです。
 本法案に定める義務規定は、事業活動に伴う個人情報の取り扱いを規律するものであります。事業活動に伴う消費者等の個人情報の保護に関する事務は、既に内閣を構成する各大臣が分担している各事業者の活動に関する事務と一体的に遂行することが合理的かつ実効的であります。
 新たな第三者機関の設置については、既存の行政機関と事務が競合し、屋上屋を架することとなるのみならず、責任関係が不明確になるおそれがあります。さらに、地方組織を含む膨大な組織の整備は、行政改革の流れにも反するものであります。(拍手)
    ―――――――――――――
    〔議長退席、副議長着席〕
#30
○副議長(渡部恒三君) 吉井英勝君。
    〔吉井英勝君登壇〕
#31
○吉井英勝君 私は、日本共産党を代表して、個人情報の保護に関する法律案及び関連四法案について、総理並びに総務大臣に質問します。(拍手)
 初めに、基本法的位置づけを持つ、個人情報の保護に関する法律案についてですが、この法案の最大の問題は、国民の表現、報道の自由を脅かす危険な法律だというところにあります。
 第一に、基本原則について質問します。
 法案は、基本原則の中で、「個人情報は、適法かつ適正な方法で取得されなければならない。」とか、個人情報を取り扱うときに「本人が適切に関与し得るよう配慮されなければならない。」などとしています。これは、一見したところ、当たり前のように見えますが、マスコミの取材活動などに適用されると、報道規制がなされることになります。
 例えば、疑惑政治家の追及や解明は、まず疑惑政治家の個人情報を集めるところから始まりますが、疑惑政治家が、個人情報の本人関与を盾に、取材内容を明らかにすることを求めたり、関係者に一切の取材拒否を指示した場合、取材活動は大きく制限されることとなることは明らかであります。総理、この法律は、そうした事態を許す仕組みになっているのではありませんか。
 さらに、政治家の疑惑を報道した場合、疑惑政治家が、追及を免れるために、基本原則を根拠に、取材源の開示や自分の情報の開示あるいは訂正を求めたり、場合によっては、情報の取得方法や扱い方を理由に賠償請求がされることも想定されます。法案がそうした場合の根拠に使われないか、総理、明確に答弁されたい。(拍手)
 この基本原則の違反行為には罰則がありませんが、裁判で争われたとき、裁判官の判断基準に使われ、事実上の拘束義務になるではありませんか。だからこそ、新聞協会は、意見書で、基本原則が適用されると、取材を受ける側の情報提供が萎縮したり、基本原則を口実に取材を拒否するケースが増加し、十分に報道できなくなることも予想されると指摘しています。
 総理、国民の知る権利を尊重する上で大事な役割を果たしている報道活動をこの法律が萎縮させることにならないと言えますか。お答えいただきたい。
 また、法案は、業界を所管する主務大臣制を設けることとしています。そして、違法な取り扱いをしたとして是正を求める勧告や命令ができることとし、勧告や命令の際、表現の自由などを「妨げることがないよう配慮しなければならない。」と規定しています。主務大臣の勧告や命令が、表現の自由などにどのような影響を及ぼすと考えているのか、伺うものであります。
 これは、自民党が、報道と人権等のあり方に関する検討会で、個人情報保護法案の中に、電波メディアに対する郵政省のように、新聞や雑誌など活字メディアに対しても主務官庁が指定したいとしてきた自民党の意向を反映したものではありませんか。
 表現、言論の自由に対する行政の権力介入のおそれがある主務大臣制はとるべきではありません。答弁を求めます。(拍手)
 法律の文言上で、個人情報取扱事業者の義務から、報道、学術研究、宗教、政治の用に供する目的の個人情報を適用除外としています。その際、放送機関、新聞社、通信社は明記されていますが、「その他の報道機関」の範囲、また、文学・文芸作品、評論の扱いは不明確であり、その定義は権力機関である政府の判断と解釈次第となってしまうのではありませんか。
 本来、個人情報の保護であるべき法案に、メディア規制を前面に出してきたのは、自民党が、一九九八年の参議院選挙敗北や、森内閣の中川秀直官房長官にかかわる報道などを契機に、報道介入に向けた報道モニター制、選挙報道の規制の検討、法規制を視野に入れた偏向のチェックを口実とした放送活性化委員会の設置からであります。
 表現、報道の自由は、憲法二十一条で保障された国民の基本的人権であり、国民主権、民主主義の中核をなす権利であります。この国民の権利に政府、行政が介入する余地を与えることは、憲法にかかわる重大問題であります。
 戦前の明治憲法にあった「言論著作印行及結社ノ自由」が、「法律ノ範囲内」での国家の管理下の自由であり、それさえ、出版法、新聞紙法、治安維持法などによって、強力な規制を受け、自由が圧殺されました。こうした戦前の言論弾圧法の教訓から、今日の日本国憲法は、無条件に表現の自由を保障したのであります。
 日本共産党は、戦前、権力の過酷な弾圧のもとで、労働者の団結、出版、集会の自由などを掲げて不屈に闘ってきた党として、表現、報道の自由を規制する本法案は断じて容認することはできません。(拍手)
 第二は、個人情報を保護する法律としても極めて不十分だという問題についてであります。
 情報通信技術の急速な発展により、行政機関を初め金融業界、情報通信産業、人材派遣業など、膨大な個人情報が集積され、個人情報の漏えい、売買など、これまでにも増して大規模なプライバシー侵害事件が起きています。これに対して、消費者保護運動、日弁連など多くの国民の皆さんから、真のプライバシー保護の法制定が求められています。
 そのためには、一般国民や報道機関を除いた、金融業界等、業種ごとに対応した個人情報保護法とするべきであります。
 プライバシー権というのは、初めは、一人でほっておかれる権利として提唱されましたが、今日では、自分の情報は自分でコントロールする自己情報コントロール権という、能動的権利として定義されています。国民のプライバシー権を保護するためには、この立場が法案全体に貫かれることこそ必要であります。
 しかし、政府案には、プライバシーという規定はありません。自己情報のコントロール権の立場にも立っていません。なぜ、プライバシー権を明記しないのですか。そもそも、個人情報保護の本来の目的というのはプライバシーの保護にあるのではありませんか。明確な答弁を求めます。(拍手)
 法案は、個人情報を取り扱う事業者に、利用目的による制限、第三者提供の制限、本人への開示などについて、一定の義務が課されています。しかし、それぞれに対し、幅広い例外規定が設けられています。
 例えば、自分が自分の個人情報の開示を求めるという基本的な権利に対しても、事業者の業務の適正な実施に著しい支障を及ぼすおそれがある場合にはこれを拒否できるとしています。これでは、自分の情報を知ることができず、業者の情報が正しいのか間違っているのかもわかりません。こういう幅広い例外規定は、個人情報保護どころか、個人の権利を制限するものではありませんか。
 この背景には、全銀協や経団連などが、個人情報保護の取り扱いは企業にとって負担がふえるとして、極めて消極的、否定的な態度をとっていることがあります。幅広い例外規定は、個人の権利を守るより、企業利益を最優先するものではありませんか。
 一九八〇年に、OECDは、理事会勧告として、個人データの国際的流通を前提としたプライバシー保護の国際的な最小限の基準として、八原則のガイドラインを示しました。その中では、個人情報のデータ収集には制限を設けるべきであると勧告していますが、政府案では、収集の制限を明確に規定せず、収集に当たって本人の同意も欠落させています。また、OECD原則では、自己の情報について、存在、開示、訂正、停止等を個人情報取扱事業者に請求することを明確に権利として明記していますが、政府案にはすっぽり抜け落ちているのであります。国際的な最小限の基準さえ欠落させた内容では、個人情報保護の名に値しない、全く不十分なものではありませんか。(拍手)
 次に、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案について質問します。
 個人情報をオンラインで結合することを禁止することについてです。
 法案では、行政機関が特定の目的で集めた個人情報でも、利用目的と相当の関連性があれば、だれの個人情報でも利用できることを認めています。その相当の関連性の有無は行政機関が判断し、その合理性の有無を本人が確認することはできません。これでは、相当の関連性といっても、利用制限に何の歯どめもかからないことになるではありませんか。
 しかも、住民基本台帳ネットが稼働することにより、あらゆる個人情報を行政機関が自分の判断で自由に使うことができるではありませんか。
 不十分な個人情報保護制度のままで住民基本台帳のオンラインネットを八月から開始しようとするなど、言語道断であります。八月実施はやめるべきであります。(拍手)
 国民の個人情報を保護するとともに、知る権利や言論、表現の自由など基本的人権の擁護と、政治や社会の不正、腐敗を国民の前に明らかにすることが、今日、強く求められているところであります。
 日本共産党は、政府が個人情報保護法案を撤回することを求め、報道関係者など多くの国民の皆さんと共同して闘うことを表明して、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕
#32
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 吉井議員にお答えいたします。
 本法案における本人関与が取材活動の制限につながるのではないかとのお尋ねです。
 本法案における基本原則は、報道目的を含めた個人情報の有用性に配慮しつつ、個人情報の適正な取り扱いを行うよう、自主的に努力すべきことを求めるものであります。
 したがって、取材活動に対し、基本原則に基づいて具体的な本人関与に関する義務が課されるものではなく、取材する者がみずからの判断で努力することで足りるものであり、取材活動の制限とはならないと考えております。
 基本原則についてです。
 基本原則は、報道目的を含めた個人情報の有用性に配慮しつつ、個人情報を取り扱うすべての者が、個人情報の適正な取り扱いを行うよう、自主的に努力すべきことを求めるものとしております。このため、これに反していることを根拠として、直接、裁判に訴えることは困難であると考えています。
 基本原則による報道活動の萎縮についてです。
 基本原則は、これに基づいて具体的な義務が課されるものではなく、公権力の関与や罰則は一切ありません。
 一方、取材協力は、情報提供者の正義感、取材する者に対する信頼感等により支えられた本人の見識によるものであり、このようなことは本法施行後においても変わるものではないと考えております。
 したがって、報道分野に基本原則が適用されても支障が生じるとは考えておりません。
 主務大臣の勧告、命令の際の表現の自由への影響についてです。
 報道機関が報道目的で行う個人情報の取り扱いについては義務規定の適用が除外されますが、例えば、取材の相手方は報道機関ではないため、義務規定の適用対象となる場合があります。このような取材の相手方に主務大臣が勧告や命令を行うことにより、取材活動、ひいては報道活動に影響を及ぼすおそれのある場合も想定されることから、こうした懸念を払拭するため、主務大臣が表現の自由を妨げるような報告の徴収、助言、勧告及び命令を行わないことを条文上明確にするために配慮義務を規定しております。
 主務大臣制についてのお尋ねです。
 この法案は、IT社会における国民や消費者などの個人情報の保護を図るものであり、メディアを規制するものでは全くありません。電波メディアを含め、義務規定の適用が除外される報道機関については、主務大臣の関与があり得ず、この法律上の主務大臣は置かれない仕組みとなっております。
 本法案に定める義務規定は、事業活動に伴う個人情報の取り扱いを規律するものであります。事業活動に伴う消費者等の個人情報の保護に関する事務は、既に内閣を構成する各大臣が分担している各事業者の活動に関する事務と一体的に遂行することが合理的かつ実効的であります。
 報道目的の定義、判断についてのお尋ねであります。
 報道とは、不特定かつ多数の者に対して客観的事実を事実として知らせること、または、客観的事実を知らせるとともに、これに基づいて意見もしくは見解を述べることをいうものであり、報道機関とは、このような報道を業として行う者をいうものであります。
 報道であるか否かについては、その一部でも報道を目的としているか否かの事実に基づき客観的に判断されるものであり、このような判断は、まずは事業者本人が判断し、当事者間で争いが生じた場合には、当事者間で判断され、場合により裁判において決着が図られることとなります。
 なお、仮に争いが行政に持ち込まれることがあるとしても、広く表現の自由にかかわる活動を妨げることのないよう主務大臣に配慮義務が課されており、行政の関与は制限されております。
 法案と表現、報道の自由についてのお尋ねです。
 この法案は、報道、表現の自由を侵害するものでは全くありません。
 すなわち、メディアを含む万人を対象とする基本原則は、各人による努力義務規定であることを明記し、公権力による関与や罰則は一切ありません。
 また、報道分野は、事業者に対する義務規定、主務大臣の監督の適用から一切除外しているとともに、取材の相手方等に対する主務大臣の監督に関しては、表現の自由を妨げることがないよう配慮義務を明記しているところであります。
 プライバシー権についてのお尋ねです。
 本法案は、プライバシーを含む個人の権利利益を広く保護することを目的としております。
 そこで、このような個人の具体的な権利利益の侵害が発生することを未然に防止するため、基本原則や取扱事業者の義務などを定めているところであり、必ずしもプライバシー権に言及する必要はないと考えております。
 この法案における義務規定の例外となる規定についてのお尋ねです。
 例外規定については、この法律において保護されるべき個人の人格的、財産的な権利利益と、他の法的に保護されるべき個人情報の有用性に基づく正当な権利利益との間で調整を図るために置かれているものであります。
 したがって、御指摘のような企業利益を優先するためのものではありません。
 法案の基本原則とOECD原則の関係についてです。
 OECD原則の個人参加の原則については、法案の基本原則のうち、透明性の確保の原則が対応しております。
 また、この原則を具体化し、法案第五章において、本人は、事業者に対し、開示、訂正、利用停止等を求めることができることとしており、個人情報保護の法律としては十分なものと考えております。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣片山虎之助君登壇〕
#33
○国務大臣(片山虎之助君) 吉井議員の御質問にお答えいたします。
 利用目的の変更の際の相当の関連性の判断はどうか、こういうことでございます。
 これは客観的な判断でなければなりません。一次的には行政機関の判断、こういうことになりますけれども、それは客観性がなければならない。
 さらに、行政機関の解釈がおかしいというときは、本人がそう思う場合には、利用差しとめを請求することができます。また、相当の関連性に関する行政機関の判断に不服があれば、情報公開・個人情報保護審査会に不服申し立てを行う、または訴訟によって争うことができるわけでありまして、このような仕組みを通じて、行政機関における適正な取り扱いが担保されているものと考えております。
 なお、住基ネットワークシステムについてのお話がございましたが、個人情報の十分な保護のもとに八月から施行させていただきたい、こういうふうに考えております。
 以上であります。(拍手)
    ―――――――――――――
#34
○副議長(渡部恒三君) 北川れん子君。
    〔北川れん子君登壇〕
#35
○北川れん子君 私は、社会民主党・市民連合を代表しまして、ただいま議題となりました、内閣提出、個人情報の保護に関する法律案を初めとする個人情報保護関連四法案につきまして、小泉総理並びに関係閣僚に質問いたします。(拍手)
 本日、四月二十五日、新聞協会が、メディア規制法案と位置づけ、緊急声明を出しました。
 読売にはこう書いてあります。「表現の自由に介入」。産経「強い反対の意思表明」、東京「断固反対」、朝日「報道の自由、不当に制約」、毎日「「表現の自由」介入に道」。一九八七年五月三日の朝日新聞阪神支局襲撃事件以来、十五年ぶりの緊急声明だというふうに、産経以外は一面に出しておりました。
 本日、二十五日、個人情報保護法案の審議入り迎えと報道した新聞もありましたが、マスコミの皆さん、この五法案を押しつけられようとしている内閣委員会では、まだ審議入りを認めていません。どうか、報道の先行だけはやめてください。私たちは断固廃案を求めてまいります。
 では、質問に入らせていただきます。
 高度情報社会の進展、住民基本台帳法の改正、警察を初め各種機関からの情報流出、漏えい事件等、個人情報の保護の必要性が高まっており、私たちも個人情報保護法を早く制定すべきと考えています。
 かのJ・S・ミルが「人は、自分自身、その身体、そしてその精神の主権者である」としながら、行政の能率の追求や経済利益の追求、便利さの追求が優先され、個人の尊厳が極めて弱い位置づけに置かれてきたのが現実の世界です。ここに光を照らし、個人情報の本来の持ち主の権利を保障するのが本来の個人情報保護法案であると私は思います。ところが、政府案は、個人情報の保護を求める国民の期待を逆手にとり、企業が個人情報を自由に使えるようにするとともに、国家がマスコミに介入するための法案にすりかえられたものとなっています。
 このような立場から、まず、個人情報の保護に関する法律案についてお伺いいたします。
 政府案は、あらゆる者に適用される基本原則と民間事業者への規制法が一体となる、複雑な法体系をとっています。そのため、表現の自由への不当な介入など、過度の規制を招かざるを得ない問題を生じさせています。しかも、本当に必要な分野には規制が甘く、私的自治にゆだねるべき分野にも一律の規制が投網のようにかかるという問題も引き起こしています。
 なぜ、基本法と民間事業者に対する規制法を分けなかったのか、どうしてこのような複雑な法体系になっているのかにつきまして、竹中担当大臣の御見解をお尋ねいたします。
 さて、法案では、「個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護する」ことを目的としていますが、これでは、個人情報保護の目的があいまいであると言わざるを得ません。
 個人は保護される対象ではなく、自己情報をコントロールする権利の主体です。国民の不安は、知らないところでみずからの情報が取得され、利用されていることへの不安、みずからの尊厳が傷つけられることへの不安も多いのです。単に「個人の権利利益を保護する」というのではなく、個人の自己情報コントロール権として明確に位置づけるべきであったと考えます。
 自己情報コントロール権について、総理の所見を伺います。
 法案は、地方公共団体の責務を定めていますが、実際は、多くの地方自治体が制定している個人情報保護条例の方が、開示請求権や訂正請求権などを具体的に明示して、個人情報保護制度における個人イコール本人の重要性をはっきりと指摘しており、政府案は自治体の条例より後退していると考えますが、総務大臣はどのように評価されるのでしょうか。
 また、個人情報には、死者の個人情報は含まれていません。しかし、コンピューターに蓄積された個人情報は数十年後に利用することが可能です。本人が生きている間に何も利用されなくても、何年か後に、子孫に関連して利用され、その子孫に重大な不利益をもたらす危険性があります。また、死者であっても知られたくなかった情報があります。
 死者の個人情報の保護についてどのように考えておられるのか、竹中大臣の御見解をお尋ねいたします。(拍手)
 政府案は、事業を所管する大臣を主務大臣としていることから、業界ごとに個人情報保護を名目とした各省の権限を強めることになるとともに、主務大臣ごとの異なる取り扱いがなされるなど、縦割り行政の弊害の懸念があります。
 何よりも、政府機関への情報の過度の集中や大臣、官僚の恣意的運用への懸念を払拭できません。報道や弁護士のように、だれが主務大臣となるのか、はっきりしないものもあります。竹中大臣、この辺はいかがですか。
 本来、刑罰の制裁の必要性があるのは、医療や金融、信用情報などの領域であるにもかかわらず、政府案では、日常的な個人事業者にまで広範に関与、介入するおそれがあります。したがって、欧米諸国のように、行政から独立した第三者による個人情報保護を統一的かつ専門的に扱う機関として、個人情報保護委員会を設置すべきではないかと考えますが、総理の見解を伺います。
 法案では、病歴や思想、信条、門地のような、いわゆるセンシティブ情報に対する特別の規制が盛り込まれていません。個人情報の保護で問題になっているのは、これら差別的な取り扱いを生み出しかねない情報ではないですか。第五条の「適法かつ適正な方法で取得」は緩過ぎると言わざるを得ません。いわゆる部落地名総鑑や名簿業者の持つ差別的データについてきちんと規制できるのかにつきまして、竹中大臣の答弁を求めます。
 報道や学術研究目的等の個人情報について、義務規定を適用除外とするものの、法案の基本原則は適用することとしています。しかし、取材源の秘匿が守られるのか、公権力の介入を招かないのかなど、運用によっては個人情報保護を口実とした報道規制につながるという懸念も払拭できません。
 報道なのか中傷なのかについては、だれが判断するのですか。また、例えば中川元官房長官のビデオテープや森前首相の売買春疑惑報道は、報道であり、問題ないのですか。いや、ゴシップであるから法の対象なのですか。これらについても竹中大臣にお伺いいたします。
 言論、表現の自由、出版、報道の自由は、民主主義にとって不可欠の前提です。本法案を初めとするメディア規制法案について、新聞協会等も先ほど申しましたように緊急声明を出しましたが、政府のスポークスマンである官房長官はどのように受けとめていますか。
 総理、私は、公権力によるメディア規制につながることがあっては断じてならないと考えます。あわせて、総理の明快な答弁を求めます。
 次に、行政機関の保有する個人情報保護法案についてお尋ねします。
 現行法については、制定当時から、マニュアル処理の個人情報に適用されないことを初めとする、さまざまな問題が指摘されていました。確かに、今回の法案は一定の配慮がなされていますが、問題は、住民基本台帳ネットワークシステムの不安にどうこたえることができるのかということにあります。
 例えば、総務大臣、住民のプライバシーを一元的に管理する重要な機関である地方自治情報センターに対して、この行政機関個人情報保護法は適用されるのですか。また、行政機関側がネットワーク結合の形態で地方自治情報センターから本人確認情報の提供を受ける場合、保有個人情報に該当するのですか。お答えください。
 さらに、同法第八条二項二号は、行政機関が保有個人情報を内部で利用することを広く認めており、加えて、同条二項三号では、行政機関相互間の個人情報の提供が禁止されていません。
 これでは、行政機関の一部門である警察庁が各行政機関とネットワークを結合させ、犯罪捜査を理由として、住民票コードを手がかりに、あらゆる行政機関の個人情報データベースを検索することも可能となるのではないですか。これこそ、国民総背番号制への道を開く暴挙ではないですか。行政機関内での利用及び行政機関相互間の個人情報データベースの提供は厳格に制限すべきであり、特に警察庁との連携は明確に禁止すべきではないかと考えますが、総務大臣、いかがお考えでしょうか。
 この法案は八月五日施行予定でありますが、住基ネットの稼働が大きなきっかけとなっていると思います。今のままでは、セキュリティーの問題もあり、住民基本台帳ネットワークシステムを実施する条件が満たされていないと言わざるを得ません。
 そこで、総務大臣、住基ネットの実施を延期する考えはありませんか。また、法案も改めて検討し直すのが妥当ではないかと思いますが、官房長官、いかがお考えでしょうか。
 以上指摘しましたように、政府提出五法案は、多くの国民の期待とは裏腹に、個人情報に関する自己決定権を何ら保障するものとはなっておらず、言論や表現の自由を大きく制約するものとなっています。
 政府が設置した検討部会のメンバーでさえ、修正意見を出されています。また、麻生太郎自民党政調会長も、四月二十三日に、修正を認識する空気が与党にあるとの発言をしています。これらは、法案に大きな問題と欠陥があることを示していると思いますが、官房長官はどのように受けとめていらっしゃるのでしょうか。
 政府案はさまざまな問題があり、この際、改めて法案を出し直すことを強く要求します。総理の御決断をお願いします。
 総理、城山三郎さんも、とんでもない言論弾圧、自由主義国家に例を見ない悪法、法案が成立したら取り返しのつかないことになると、強く憂慮されています。
 城山さんは、本年、沖縄の個人情報反対の集会でのメッセージで、次のように言われました。
 戦後、辛うじて得たものがさまざまな自由でした。それら自由の中で絶対に失ってはならぬものが言論の自由です。言論の自由を失えば、ほかの自由のすべてが吹き飛ばされ、再び戦時体制へと向かいかねません。個人情報保護法案は、その大事な大事な自由をつぶそうという、とんでもない法律です。さきの戦争での大きな犠牲をせせら笑うような法律です。
 城山さんの心からの警鐘を総理初め政府・与党の皆様に訴え、質問を終わります。どうもありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕
#36
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 北川議員にお答えいたします。
 自己情報コントロール権についてです。
 自己情報コントロール権とは、プライバシーの権利に関する学説上の考え方であると承知しておりますが、その内容、範囲及び法的性格に関しさまざまな見解があり、現時点で十分な明確性を有するものとは言えないため、その概念を用いておりません。
 しかし、本法案では、事業者による個人情報の取り扱いに対する本人の関与を制度化することとし、開示、訂正、利用停止等の具体的な規定を盛り込んでおります。
 個人情報取扱事業者に対する監督のあり方についてです。
 本法案に定める義務規定は、事業活動に伴う個人情報の取り扱いを規律するものであります。事業活動に伴う消費者等の個人情報の保護に関する事務は、既に内閣を構成する各大臣が分担している各事業者の活動に関する事務と一体的に遂行することが合理的かつ実効的であります。
 新たな第三者機関の設置については、既存の行政機関と事務が競合し、屋上屋を架することとなるのみならず、責任関係が不明確になるおそれがあります。さらに、地方組織を含む膨大な組織の整備は、行政改革の流れにも反するものであります。
 本法案が公権力によるメディア規制につながることがあってはならないとのお尋ねです。
 この法案は、国民や消費者などの個人情報の保護を図るものであり、メディアを規制するものでは全くありません。
 すなわち、メディアを含む万人を対象とする基本原則は、各人による努力義務規定であることを明記し、公権力による関与や罰則は一切ありません。
 また、報道分野は、事業者に対する義務規定、主務大臣の監督の適用から一切除外しているとともに、主務大臣の、取材の相手方等に対する監督に関しては、表現の自由を妨げることがないよう配慮義務を明記しているところであります。
 本法案は、自己決定権を保障しておらず、言論や表現の自由を大きく制約するものであり、出し直すべきとのお尋ねです。
 本法案においては、個人情報の取り扱いに関し、本人が能動的に関与できるよう、開示、訂正、利用停止等の具体的な規定が盛り込まれております。また、言論、表現の自由を制約することのないよう規定しており、法案を出し直す必要はないと考えております。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣片山虎之助君登壇〕
#37
○国務大臣(片山虎之助君) 北川議員の御質問にお答えいたします。
 四点ございます。
 まず、条例よりも政府案の方が後退した表現ではないか、こういうお尋ねでございます。
 行政機関個人情報保護法案におきましても、開示請求権については第十二条に、訂正請求権については第二十七条に、何人にも付与される権利として、明確に規定いたしております。政府としても、その重要性は十分認識しております。
 目的規定をどう書くかは、これは全体の体裁等の中でございますので、目的の規定にはあるいはその語句はございませんでしても、法案としてはしっかりと位置づけをしているというふうに御理解を賜りたいと思います。
 それから、地方自治情報センターについてでございます。
 地方自治情報センターは、民法に基づく公益法人でございまして、これは主務大臣が指定しておりますいわゆる指定法人でございます。
 したがいまして、行政機関個人情報保護法の対象にはなっておりませんけれども、住民基本台帳法の中で、同センターの役職員については秘密保持義務を課しております。目的外利用を禁じております。しかも、それを罰則をもって担保しておりますので、個人情報保護のための必要な措置は講じられていると考えております。
 また、行政機関が情報センターから提供を受けた本人確認情報は、これは私どもの方の法律の保有個人情報に該当いたしますので、この法律の規律によって適切に保護される、こういうふうに考えております。
 それから、行政機関相互間の個人情報の提供制限についてでございます。
 個人情報そのものは、個人情報ファイルの管理を厳格に行う、そのために、ファイルごとに経常的提供先や記録項目などの詳細を帳簿に記帳していく、しかも、それを公表する、こういうことを考えておりますし、個人情報ファイルに記載される個人情報の提供に当たりましては、たとえ行政機関相互でありましても、法令の定める事務の遂行に必要な限度でなきゃならない、また、相当の理由のある場合でなければならない、こういうようにいたしておりまして、厳格に管理してまいりたいと考えております。
 そこで、住民票コードによる警察庁の個人情報検索との関係でございます。
 住基法におきましては、本人確認情報、御承知のように、氏名と生年月日と性別、住所と住民票コード等を確認情報といたしておりますけれども、この提供を受けた行政機関は、法の別表等に規定する事務の処理以外の目的のためにこの全部または一部を利用してはならないと法律上明確に規定いたしております。
 だから、法の別表等に規定されていない限り行政機関は利用することはできない、こういうわけでございまして、警察庁は別表に規定されておりません、その対象先ではない、こういうことでございます。
 それから、住基ネットワークシステムの施行等のお話でございます。
 先ほども申し上げましたが、十分な個人情報保護措置を講じながら本年八月から施行してまいりたい、延ばす考えは全くございません。よろしくお願いいたします。(拍手)
    〔国務大臣福田康夫君登壇〕
#38
○国務大臣(福田康夫君) 北川議員にお答えします。
 まず、個人情報の保護に関する法律案に対し関係方面から出されている意見についてのお尋ねがございました。
 さまざまな御意見がございますが、政府としては、言論、表現の自由との関係を含め、最善のものと考えております。本法案については、本日から審議が始められたところであり、今後は、国会で十分な御審議をいただきたいと考えております。
 次に、住民基本台帳ネットワークシステムを凍結し、行政機関個人情報保護法案を改めて検討すべきとの御指摘がございました。
 このシステムは、住民基本台帳法上の十分な個人情報保護措置を講じているところであり、本年八月から施行することとしており、凍結する必要はないものと考えております。
 また、さきの住民基本台帳法一部改正法の国会審議において、同法の附則に、政府は個人情報の保護に万全を期するため所要の措置を講ずる旨が定められております。その趣旨を踏まえ、政府としては、個人情報保護関係五法案を御提案しているところであり、行政機関個人情報保護法案の見直しも必要ないものと考えております。(拍手)
    〔国務大臣竹中平蔵君登壇〕
#39
○国務大臣(竹中平蔵君) 北川議員から、五点質問がございました。
 法体系についてのお尋ねであります。
 この法案は、IT社会における個人情報の保護を図るため、基本原則等万人について努力義務を定めることなどにより、民間、公的分野、その他の特別の個別分野を通じた、全体として総合的、体系的な制度を整備しようとすることにしております。
 このうち、民間分野につきましては、近年、あらゆる事業分野において、大量かつ多様な個人情報が広く流通、利用されている中で、いわゆる事業法が制定されていない分野も少なくなく、個別の事業法による対応では個人の権利利益の保護に欠けることになります。
 このため、データベース等を用いているあらゆる分野の民間事業者を対象とした上で、必要最小限の一般的な規律を定めたところであります。
 法案における死者の個人情報の考えについてのお尋ねです。
 法案では、個人情報の範囲については、「生存する個人に関する情報」と規定しておりまして、死者に関する情報は除かれております。
 これは、法案が、個人情報の本人を対象として、本人の権利利益の侵害を未然に防止することを目的としておりまして、遺族など第三者の権利利益を保護することまでは意図するものではないからであります。
 なお、死者に関する情報が、同時に遺族等の生存する個人に関する情報でもある場合には、その生存する個人に関する情報として、法案の対象になります。
 主務大臣についての幾つかの御質問がございました。
 法案では、事業を所管する大臣が主務大臣となるが、各主務大臣が相互に緊密に連絡し、及び協力しなければならない旨を規定し、内閣総理大臣が、各主務大臣等に対し、この法律の施行の状況について報告を求め、その概要を公表するという制度も設けられております。
 また、主務大臣の関与は、個人情報の取り扱いに関し問題が生じた場合、事後的に行うものにとどめられているところであります。
 さらに、義務規定が適用除外される分野を除きまして、主務大臣が直ちに明らかにならない場合については、内閣総理大臣が主務大臣を指定することができる制度も設けているところでございます。
 こうしたことから、御指摘の懸念は当たらないものというふうに考えております。
 いわゆるセンシティブ情報の取り扱いについてのお尋ねがありました。
 ある情報がいわゆるセンシティブ情報であるかについては、個々の情報の種類、内容のみならず、利用目的、利用方法によって大きく左右されるものであり、何がセンシティブ情報であるかを明確に定義することは極めて困難であります。
 この点、一九八〇年のOECD理事会勧告の解説メモランダムにおいても、センシティブと万人に認められるようなデータを定義することはほとんど不可能であるとされているところであります。
 したがって、この問題については、必要に応じて個別の法制度や施策ごとにきめ細かく措置することが適当ではないかと考えております。
 報道目的の定義、判断についてのお尋ねがございました。
 報道であるか否かについては、一部でも報道を目的としているか否かの事実に基づき客観的に判断されるものであり、このような判断は、まず事業者本人が判断する、当事者間で争いが生じた場合は、当事者間で判断され、場合により裁判において決着されることになります。
 なお、仮に争いが行政に持ち込まれることがあるとしても、広く表現の自由にかかわる活動を妨げることのないよう主務大臣に配慮義務が課されており、行政の関与は制限されております。(拍手)
    ―――――――――――――
#40
○副議長(渡部恒三君) 西川太一郎君。
    〔西川太一郎君登壇〕
#41
○西川太一郎君 まことに御熱心な御審議、御苦労さまでございます。最後の質問者でございますので、それも数分間でございますから、御協力をよろしくお願い申し上げます。(拍手)
 私は、保守党を代表し、ただいま議題となりました個人情報の保護に関する法律案等関係五法案につきまして、総理並びに関係大臣に質問いたします。(拍手)
 現在、情報通信技術の活用により、個人の生活様式、社会経済活動、行政のあり方など、官民を問わず、広範な分野で、急激かつ大幅な変化が進展しております。いわゆるITの活用により、我々の日常生活は豊かになり、経済活動も活性化し、さらには行政の効率化が進むといった多くのメリットがもたらされている反面、さまざまな問題を生み出していることも事実であります。
 中でも最大の問題は、個人情報の流出とプライバシー保護の問題であります。
 国民の多くも、情報化の便利さを享受する反面、プライバシー保護に対する不安を敏感に感じ取っております。国民生活センターが昨年公表した調査結果によれば、社会や生活の情報化によって個人情報が侵害されやすくなると感じている消費者は七一%にも達しています。
 自分や家族のことを見透かしたかのように送られてくるダイレクトメール、身に覚えのない事業者からの勧誘電話、自分の個人情報が勝手に使われ、プライバシーをのぞかれているのではないかと不安に思った経験は、だれでも一度や二度ではないはずであります。
 それだけではありません。現実に、ここ数年、百貨店、金融機関、電気通信事業者など、実にさまざまな分野で、顧客等のデータが大量に流出するような事件が相次いで、社会問題となっております。
 数十万件という途方もない量の個人情報が売り渡されていた事件、人材派遣会社に登録している女性の、容姿の評価まで含む個人情報が持ち出され、ホームページ上で販売されていた事件、他人に最も知られたくないはずの病歴つきの名簿が販売されていた事件等々、プライバシー侵害そのものと言わざるを得ない事件は枚挙にいとまがありません。
 このように、プライバシー保護の観点とは別に、もう一つ忘れてならない重要な観点、それは、個人情報の移転を伴う国際取引等への影響であります。
 一九八〇年のOECD理事会勧告以来、国際社会では、個人情報の保護と自由な流通を調和させる取り組みが積極的に進められております。今や、OECD加盟国二十九カ国中、民間分野を包括する法制度を持たないのは、我が国を含め五カ国にすぎません。また、一九九五年のEU指令は、加盟国に対し、個人情報の保護レベルが不十分な域外国への個人情報の移転を制限する国内法制を整備するよう義務づけております。
 こうした国際環境の中で、我が国が民間の自主的な取り組みだけに頼り、包括的な法制度の整備を怠るならば、近い将来、国際取引等に不可欠な個人データが我が国には移転されることがなくなるという、最悪の事態さえ憂慮されるのであります。
 保守党は、このような視点から、個人情報保護関係法案の早期成立を強く求めるものでありますが、法案提出の目的及び官民における個人情報保護に取り組む御決意を総理にお伺いいたします。
 さて、個人情報の保護に関する法律案が提出されて以来、メディアを中心に、強力な反対運動が繰り広げられております。すなわち、この法案が成立すれば、取材、報道の自由が妨げられ、ひいては国民の知る権利が損なわれるという主張であります。
 しかし、政府提出法案では、報道分野について義務規定の適用を除外するとともに、取材の相手方に対しても主務大臣の配慮義務を課して、行政が関与しない仕組みとなっております。また、個人情報を取り扱う者の……(発言する者あり)失礼なこと言うなよ。者の基本原則は、メディアにも及ぶことになりますが、具体的な義務が課せられるものではなく、行政の関与や罰則も一切設けられておりません。このように、法案においては、報道の自由、国民の知る権利を侵すことのないよう配慮されていると考えます。
 この点について、総理並びに竹中IT担当大臣の明確な見解をお伺いし、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕
#42
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 西川議員にお答えいたします。
 個人情報の保護に関する法律案提出の目的及び官民の個人情報保護に取り組む決意でございます。
 今般提出している関係五法案は、御指摘のような国内外の状況に対応して、IT社会の全分野を視野に入れ、個人情報を利用する有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することを目的としております。
 これらにより、我が国が目指す世界最高水準のIT社会の基盤を確固たるものとし、我が国における個人情報保護の全体的、整合的レベルアップを図ってまいります。
 法案と報道、表現の自由についてです。
 この法案は、ただいま御指摘のあったような、国民や消費者などの個人情報の保護を図るものであり、メディアを規制するものでは全くありません。
 すなわち、メディアを含む万人を対象とする基本原則は、各人による努力義務規定であることを明記し、公権力による関与や罰則は一切ありません。
 また、報道分野は、事業者に対する義務規定、主務大臣の監督の適用から一切除外しているとともに、主務大臣の、取材の相手方等に対する監督に関しては、表現の自由を妨げることがないよう配慮義務を明記しているところであります。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣竹中平蔵君登壇〕
#43
○国務大臣(竹中平蔵君) 西川議員から、法案における報道の自由への配慮についてのお尋ねがございました。
 私も、情報の観点から、個人の人格権を守ることと報道の自由を両立させることは大変重要なことだと思っております。
 報道分野については、この点、法律案の第五章を適用した場合、事前規制となるおそれがあることから、報道機関が報道の用に供する目的で個人情報を取り扱う場合は、その適用を除外しているわけです。
 また、取材の相手方など報道の周辺部分についても、主務大臣による報告の徴収、助言、勧告及び命令について、第四十条によって、表現の自由を妨げることのないよう主務大臣に対して配慮義務が課されております。
 他方、基本原則は何人にも適用されることとなりますけれども、法律上、一律かつ具体的な義務を課するものではなく、また、自主的に努力するべきことを定めるものであり、また、主務大臣による関与もありませんので、報道機関の報道活動を制限するものではありません。
 このように、この法律は、総理も御答弁されているとおり、報道機関の自主性を尊重し、その活動を制限することのないような制度となっております。
 以上です。(拍手)
#44
○副議長(渡部恒三君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#45
○副議長(渡部恒三君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後三時二十分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  小泉純一郎君
        総務大臣    片山虎之助君
        文部科学大臣  遠山 敦子君
        国土交通大臣  扇  千景君
        国務大臣    竹中 平蔵君
        国務大臣    福田 康夫君
 出席副大臣
        内閣府副大臣  松下 忠洋君
ソース: 国立国会図書館
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