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2001/12/06 第153回国会 参議院 参議院会議録情報 第153回国会 厚生労働委員会 第12号
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2001/12/06 第153回国会 参議院

参議院会議録情報 第153回国会 厚生労働委員会 第12号

#1
第153回国会 厚生労働委員会 第12号
平成十三年十二月六日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         阿部 正俊君
    理 事
                田浦  直君
                中島 眞人君
                朝日 俊弘君
                柳田  稔君
                松 あきら君
    委 員
                久野 恒一君
                佐藤 泰三君
                斎藤 十朗君
                伊達 忠一君
                鶴保 庸介君
                中原  爽君
                南野知惠子君
                藤井 基之君
                宮崎 秀樹君
                今井  澄君
                今泉  昭君
                川橋 幸子君
                辻  泰弘君
                沢 たまき君
                井上 美代君
                小池  晃君
                大脇 雅子君
                森 ゆうこ君
                西川きよし君
   委員以外の議員
       発議者      櫻井  充君
       発議者      福山 哲郎君
   衆議院議員
       発議者      熊代 昭彦君
   国務大臣
       厚生労働大臣   坂口  力君
   副大臣
       厚生労働副大臣  桝屋 敬悟君
       厚生労働副大臣  南野知惠子君
   大臣政務官
       経済産業大臣政
       務官       西川太一郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        川邊  新君
   政府参考人
       内閣府大臣官房
       審議官      薦田 隆成君
       内閣府政策統括
       官        岩田 一政君
       総務省自治行政
       局公務員部長   板倉 敏和君
       文部科学省初等
       中等教育局長   矢野 重典君
       厚生労働省健康
       局長       下田 智久君
       厚生労働省医薬
       局長       宮島  彰君
       厚生労働省労働
       基準局長     日比  徹君
       厚生労働省職業
       安定局長     澤田陽太郎君
       厚生労働省職業
       能力開発局長   酒井 英幸君
       厚生労働省老健
       局長       堤  修三君
       厚生労働省政策
       統括官      坂本 哲也君
       農林水産省生産
       局畜産部長    永村 武美君
   説明員
       会計検査院事務
       総局第二局長   増田 峯明君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○経済社会の急速な変化に対応して行う中高年齢
 者の円滑な再就職の促進、雇用の機会の創出等
 を図るための雇用保険法等の臨時の特例措置に
 関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○建築物における衛生的環境の確保に関する法律
 の一部を改正する法律案(衆議院提出)
○建築物における衛生的環境の確保に関する法律
 の一部を改正する法律案(櫻井充君外四名発議
 )
○男性助産婦導入反対に関する請願(第二号外一
 件)
○開業助産婦の存続に関する請願(第三号外一件
 )
○子育て支援についての緊急対策に関する請願(
 第四号外二〇件)
○公費負担の拡充による医療制度の改革等に関す
 る請願(第六号外一三件)
○保険料についての特例措置の復活等介護保険の
 緊急改善に関する請願(第一一号)
○乳幼児医療費無料制度の国による早期創設に関
 する請願(第一四号外四五件)
○介護保険、医療保険及び年金制度の改善に関す
 る請願(第一五号外四一件)
○あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等
 に関する法律第十九条の改正に関する請願(第
 二六号外七八件)
○安心して掛かりやすい医療に反する患者負担の
 再引上げ反対等に関する請願(第二九号)
○十五歳未満の子供による臓器提供を可能とする
 ための臓器移植法の改正に関する請願(第五四
 号外一三件)
○介護保険、医療保険及び年金制度の緊急な改善
 に関する請願(第五六号外二六件)
○医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構法に
 よる救済対象者の拡大に関する請願(第五七号
 外二件)
○介護保険の緊急改善に関する請願(第六九号外
 二四件)
○安心して暮らせる老後を保障するための年金制
 度の改善に関する請願(第二〇〇号外二三件)
○医療費に対する国民負担の引上げ反対等に関す
 る請願(第二四八号外四二件)
○医療費に対する患者負担の引上げ中止等に関す
 る請願(第二四九号外二六件)
○医療制度、国民健康保険及び介護保険の緊急改
 善に関する請願(第三一三号外二一件)
○年金・医療・福祉等の制度改革に関する請願(
 第三八〇号外三件)
○医療費に対する患者負担の引上げ反対等に関す
 る請願(第三八五号外一件)
○食品衛生法の改正及び同法に基づく行政措置の
 抜本的な整備強化に関する請願(第三八七号外
 一八二件)
○助産婦の名称変更反対及び出産環境の改善に関
 する請願(第四〇〇号)
○労働時間についての男女共通規制の実現、育児
 ・介護休業制度の改善等に関する請願(第四〇
 四号外二一件)
○賃金を始めとする女性労働者の労働条件の改善
 に関する請願(第四〇五号外一件)
○国庫負担率の引上げによる医療保険制度の拡充
 に関する請願(第四〇六号)
○遺族年金の併給に関する請願(第四四〇号)
○安心して掛かりやすい医療保険制度に関する請
 願(第四七二号外六七件)
○男性助産士導入反対、開業助産婦の存続等に関
 する請願(第五九四号外一件)
○最低保障年金制度の創設等に関する請願(第六
 一九号外一九件)
○保育・学童保育予算の大幅増額等に関する請願
 (第六五四号外三件)
○病院薬剤師の人員配置基準の改善等に関する請
 願(第七六六号外三件)
○保育制度の改善及び充実に関する請願(第七七
 九号)
○介護保険制度の改善及び医療費負担増の中止に
 関する請願(第七八〇号外一九件)
○パート労働者の時間給引上げ等労働者のための
 ルールの確立に関する請願(第八〇〇号外一九
 件)
○雇用・失業情勢の深刻化に対応するための労働
 行政体制の緊急整備に関する請願(第八七〇号
 外一七件)
○新薬の早期承認に関する請願(第九五三号外二
 件)
○小規模通所授産施設の運営費の改善等成人期障
 害者施策の拡充に関する請願(第九七四号外二
 件)
○国立病院及び療養所における看護職員の増員等
 に関する請願(第九七五号外一件)
○待機児童解消施策の緊急な強化等保育制度の改
 善に関する請願(第九七六号)
○看護制度の一本化等に関する請願(第一一六九
 号外一件)
○地域一般医療機関としての国立大蔵病院の存続
 に関する請願(第一二三九号)
○安全で行き届いた看護の実現、医療事故対策の
 ための第三者機関設置等に関する請願(第一二
 五〇号外一件)
○児童扶養手当制度の見直し反対に関する請願(
 第一二五一号外二件)
○将来の安心及び生活の安定のための社会保障の
 拡充に関する請願(第一二五二号外一件)
○年金、医療保険及び介護保険などの諸制度の安
 定的運営に関する請願(第一三二八号)
○継続調査要求に関する件
○委員派遣に関する件

    ─────────────
#2
○委員長(阿部正俊君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。
 まず、政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 経済社会の急速な変化に対応して行う中高年齢者の円滑な再就職の促進、雇用の機会の創出等を図るための雇用保険法等の臨時の特例措置に関する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省職業安定局長澤田陽太郎君外九名の政府参考人の出席を、また建築物における衛生的環境の確保に関する法律の一部を改正する法律案(第百五十一回国会衆第一七号)の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省健康局長下田智久君外一名の政府参考人の出席を求め、その説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(阿部正俊君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#4
○委員長(阿部正俊君) 次に、経済社会の急速な変化に対応して行う中高年齢者の円滑な再就職の促進、雇用の機会の創出等を図るための雇用保険法等の臨時の特例措置に関する法律案を議題といたします。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#5
○西川きよし君 おはようございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 外は雨で大変寒くて、どうぞ皆さん方、風邪を引かないようにお気をつけいただきたいと思います。外は雨ですが、中はさわやかにしっかりと実のある委員会にしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 まず、きょうトップバッターということで御配慮いただいてありがとうございます。
 まず、新緊急地域雇用特別交付金についてお伺いをいたしたいと思います。
 この事業につきましては、衆議院での審議、そして先日の当委員会の審議の際にもかなり議論になったところでありますけれども、非失業者の割合が極めて多い自治体がある、そういう事実等々の指摘もたくさんございました。そうした中で、今回はさらに事業の継続をしていくということになるわけですけれども、こうした問題について、まずどのような対応をおとりになったのか、改めてお聞かせいただきたいと思います。
 大臣、よろしくお願いいたします。
#6
○国務大臣(坂口力君) おはようございます。
 今、西川委員から御指摘をいただきましたとおり、現在行っております交付金の場合に、非常にいろいろの地域を、あるいはまたいろいろの試行を重ねていただいて、そして立派な事業をやっていただいているところもあるわけでございますが、中には、やはり失業者の採用ということに対して余り関心がなかったと申しますか、雇用対策としてこれが行われているという認識が非常に薄かったようなケースもなきにしもあらずでございます。
 今回は、新しい交付金制度を創設するに当たりましては、やはり今回のこの事業が失業対策として行われている、これからの新しく失業者を採用していただいて、そしてこの人たちが将来の恒久的な雇用に結びついていくような対策というものをそれぞれの地域において知恵を絞ってもらいたいということが総論としてお願いをしているところでございます。
 そうしたことをお願いをする上におきまして、一つは、全体として事業費に占めます人件費の割合を八割以上にする、少なくとも八割、それ以上にしてもらう、それから失業者の受け入れ割合を四分の三以上にしてもらう、こうしたことを一つの条件といたしまして、そしていろいろの計画を立てていただいた場合に、それを実行してもらった場合に、どういうふうな計画を立てたかということを後でこれを公表していただく、オープンにしていただくということにいたしまして、社会的な責任というものも果たしていただこうとしているわけでございます。
 また、余り具体的にあれもこれもといろいろのことを言いますと規制が多くて使いにくいという話があることも事実でございまして、最近、あれはいけない、これはいけない、こういうふうにしろ、ああいうふうにしろで、これでは使いにくいじゃないかというような御意見も出ているというふうに聞いておりますけれども、しかしそこはひとつ御理解をいただいて、国全体で、地方も含めて雇用対策としてこれをやっていくんだということを御理解いただきたいと思っておるところでございます。
#7
○西川きよし君 御丁寧に御説明いただきましてありがとうございました。
 私もこの委員会ではたびたびこれまでに障害者の皆さん方の雇用の問題について大臣にも、皆さん方にも御質問をさせていただきました。そして、お答えももちろんいろいろと聞かせていただきました。
 そこで、現在の障害者の雇用状況をぜひお伺いしたいと思います。御答弁、政府参考人、よろしくお願いいたします。
#8
○政府参考人(澤田陽太郎君) 雇用情勢につきましては、もう全体が大変厳しい状況が続いておりますが、そうした中で障害者の方について見ますと、平成十二年度におきます実雇用率、これは一・四九%と前年十一年度と同じ水準でございます。そうした意味では、実雇用率では横ばいという形になっているんですが、今年度に入りまして、上半期におきます障害者の解雇の届け出者数、これが千五百二十九人でございまして、前年度の上半期に比べて三三・九%増と大変ふえております。そして、この七月以降でございますが、障害者の就職率、職業安定所経由の就職率ですが、対前年同期比でマイナスがついているという大変厳しい状況でございます。
 私どもも、雇用率の達成指導をさらに厳正にやるとか、障害者求人開拓推進員によります新規求人の開拓、障害者向けの就職面接会、さらには十三年度予算、十四年度予算では障害者のトライアル雇用等々の措置もやっておりますし、厳しい状況で少しでも障害者の方が解雇されることなく就職が進むように努力していきたい、こう思っております。
#9
○西川きよし君 ありがとうございました。
 こういう本当に世の中、不景気な状況、時代の背景でもありますし、今、局長さんが御答弁いただいたように、大変こういう方々の働く場が失われてきております。障害者の雇用状況についてもさらに厳しくこれからもなっていく、そうした中でこの事業においてはどれぐらいの障害者の方が就業されているのかと私自身もいろいろと調べてみたり聞いてみたりいたしました。
 例えば地元の大阪ですけれども、大阪府では、就職困難層の雇用促進方針といたしまして、特に雇用環境の厳しい障害者については、すべての事業を精査し、雇用就業の促進に努めるとともに、委託企業等の理解を深めるための啓発活動を実施していくということで、十一年度、そして十二年度で五百四十七名の障害者の方が就業されているということでございます。資料ももちろんいただいたんですけれども、大変に配慮されているなという感じが率直な気持ちでございます。
 こうした対応のあり方について、まず厚生労働省の御答弁をいただきたいと思います。
#10
○政府参考人(澤田陽太郎君) 緊急地域交付金事業でございますが、地方公共団体がそれぞれ創意工夫を凝らして幅広く失業者等に雇用就業の機会を提供するということでやっておられまして、御指摘の大阪府におきましては、まさに障害者の方々が交付金事業から排除されないようにということを言って、かつこの事業で実際どれぐらい雇用されたかを把握されておられるということで、評価すると言うと大変口幅ったいんですが、頭の下がる思いをしております。
 私どもも、地方公共団体がこうした形で自主的に取り組まれている中で、いい事例、推奨すべき事例について今後とも他の自治体等々にも紹介をしていきたい、こう思っております。
#11
○西川きよし君 ありがとうございます。
 局長様からも評価ができる、口幅ったいようですけれどもという御答弁がありましたけれども、僕もまさしくそのとおりだと思います。口幅ったいことはないというふうに思いますし、大臣は今までも例えば具体的には都道府県なり市町村にお任せをするとの御答弁をされてきましたけれども、私自身は、そうした中でも都道府県なり市町村においてやはり障害者の就業についてはできるだけの配慮を持って取り組んでいただきたい、こういうふうに思うわけですけれども、改めてこの答弁は大臣にお願いしたいと思います。
#12
○国務大臣(坂口力君) 今回の制度を活用していただきます場合に、ややもいたしますと失業者ということが中心になりますために障害者の皆さん方のことが忘れられがちになる可能性があると私も思っておりました。
 しかし、今、委員が御指摘をいただきましたように、失業者の中には障害者の皆さん方もかなり含まれておみえになるわけでございますしいたしますから、やはりいろいろの雇用の場を創造していただく、そうした地域の取り組みの中で、やはり障害者向けのと申しますか、障害者もともに働いていただける、そうしたところもつくり出していく、創造していくという、そういう努力がやっぱり必要だろうというふうに思います。
 今御指摘いただきましたことは、全国の市町村に対しましてそうした必要性があるということを喚起するという意味で大変いい御指摘をいただいたというふうに思っております。
#13
○西川きよし君 ありがとうございました。
 そこで、この事業によります就業者に対する今度は雇用保険の適用についてぜひお伺いをしておきたいと思います。この場合、雇用期間は原則六カ月未満となっているわけですけれども、こうした方々の雇用保険の適用について、まず政府参考人に御説明をいただきたいと思います。
#14
○政府参考人(澤田陽太郎君) 新たな交付金事業によりまして雇用される労働者については、雇用期間原則六カ月とついておりますが、その事業につく通常の労働者と同じ労働時間で就業すると。ですから、その事業につく労働者のうち四分の三以上が失業者という条件をつけておりますが、そのケースで考えますと、四分の三の方々が普通の労働時間で一日働くというケースであれば雇用期間に関係なく雇用保険の適用はあるということになります。
 ただ、その交付金事業につく場合に一日の労働時間が短いと。具体的に申しますと、一日といいますか、週で計算いたしますが、週の労働時間が例えば二十時間に満たないとか、二十時間を超えていても三十時間未満であって一年以上継続して雇用される見込みがないというケースが多分この交付金事業では多いと思いますので、原則ですから、そうした場合には適用がないということになります。
#15
○西川きよし君 そこでお伺いしたいんですが、この適用基準についてですけれども、この短時間就労者、いわゆるパートタイム労働者の適用基準については、一週間の所定労働時間が二十時間以上であること、そして一年以上引き続き雇用されることが見込まれることとなっているわけですけれども、一方、通常の労働者と同じ所定労働時間により就業する労働者については期間に関係なく雇用保険の一般被保険者となると。この部分について、非常にこれが複雑でわかりにくいと思うんですけれども、この今申し上げました二つの規定の趣旨について改めて御答弁をいただきたいと思います。
#16
○政府参考人(澤田陽太郎君) 雇用保険制度は、基本的な性格として、自分の労働で賃金を得て生計を維持している労働者について、失業した場合に必要な給付を行う、そして生活の安定を図りながら求職活動等々を支援していくという性格があるわけであります。
 通常の労働者より短い時間で就業するパートタイム労働者につきましては、申しましたみずからの労働により賃金を得て生計を維持している労働者であるかどうかということにかかわってくるわけでございまして、みずからの労働で賃金を得て生計を維持しているというラインがどこかということを考えた結果、週の所定労働時間がまず二十時間以上、そして一年以上引き続き雇用される見込みのあるというラインをつくって、この四月からこの基準で適用しておるわけであります。
 一方、普通の労働時間を働く人については雇用期間の長短を問わないというのはなぜかということになりますと、今フルタイマーとして通常の労働時間働いている人は、議論を細かくするまでもなく、みずからの労働で賃金を得て生計を維持している人という蓋然性が非常に高いということでこういうことになっています。
#17
○西川きよし君 そこで、会計検査院にお伺いをしたいと思います。
 平成十一年度の決算報告でこのあたりの検査内容が報告をされておりますが、ぜひその検査内容について御説明をお願いいたします。
#18
○説明員(増田峯明君) ただいま御指摘のございました十一年度の検査報告事項の内容につきまして、ごくかいつまんでお答え申し上げます。
 近年、企業におきましてはいわゆるパートタイマー、アルバイト等の労働者がふえておりますし、また国あるいは地方公共団体におきましても非常勤職員の数が多くなっております。こういう状況を踏まえまして、私ども、昨年北海道労働基準局ほか十六労働基準局等におきまして、これらの労働者の方々を使用している割合の高い事業主、それから国あるいは地方公共団体など、八百九十一の事業主を選定いたしまして、労働保険料の徴収が適正に行われているかどうか検査いたしました。
 その結果、事業主が、今御議論がございましたが、適用基準等の制度を十分理解していないといったようなことの原因で雇用保険の加入要件を満たしているパートタイマー、アルバイト等、あるいは非常勤職員を保険加入させていない、そういった事態がありますのに、これに対する当局の調査確認が十分でなかったということで、保険料の徴収が三百九十八の事業主分として計二億四千八百十七万余円不足しておりました。また、徴収が過大になっていたものが百七十六事業主分におきまして計五千九百三十六万余円ございました。そういったことが内容のものでございます。
 以上でございます。
#19
○西川きよし君 今の御報告には、雇用保険の加入要件を満たすパートタイマーやアルバイト等、非常勤職員を保険加入させていなかった、そしてその背景の一つに制度を十分理解をしていないという説明をいただきました。また、都道府県の労働基準局においてこれに対する調査確認が十分でなかったと。
 そうした指摘に対して、今度お伺いしたいのは、労働省がとられた当時の措置について政府参考人より御説明をいただきたいと思います。
#20
○政府参考人(澤田陽太郎君) 平成十二年十一月に会計検査院から指摘をいただきました。それを踏まえまして、厚生労働省になる前の旧労働省、それから統合後の厚生労働省として、それぞれ昨年の十二月、あるいはことしの三月に二つのことを当時の労働基準局、現在の都道府県労働局に指示をいたしております。
 一つは、事業主説明会などあらゆる機会を通じた短時間労働者の雇用保険の適用基準、これを含みます労働保険関係法令等の周知徹底を図ることと、もう一点は、労働保険料の申告書の審査に当たりまして、短時間労働者に該当する者がいるかいないか十分な確認を行うというようなことを指示しております。それにあわせまして、労働保険の適用徴収を担当する職員のいわば研修をしっかりやることが大事でございますので、それを実施しております。
 その結果だけではないと思いますが、その結果もありますし、十三年の四月から先ほど申しました新しい適用基準でやっておりますので、この十月現在、短時間被保険者の数が百三十二万人となっておりまして、昨年の十二月と比較しますと約三十五万人増加しているという状況でございます。
#21
○西川きよし君 そこで、今回の会計検査院の検査対象は国または地方公共団体も含まれておりまして、その周知度の状況に疑問を感じざるを得ないわけです。それと、地方公共団体の場合は、地方公務員法二十二条の二項及び五項の規定によりまして、六月を超えない期間での緊急の場合または臨時の場合の職員の任用を認めているものであって、六カ月未満ということでいわゆる失業給付の対象となりません。
 ですから、雇用保険の加入義務を知っていながらも掛け捨てという認識から加入させていないということもこれは事実でありますし、例えば一回の更新ができるとか、その後の就業状況によっては合算の対象にもなるということは理解をしておりますけれども、この掛け捨てという認識についてはどのようにお考えでございましょうか。
#22
○政府参考人(澤田陽太郎君) 雇用保険の失業給付は、どういう目的といいますか、どういうケースを想定して給付するかという点でありますが、経済活動が変動する中で常に失業等の、私どもの用語で言います保険事故というものは発生が避けられないということがまずベースにございます。それで、雇用者であればおよそその失業という保険事故に遭う可能性があるわけでございますので、すべての被保険者、それからすべての事業主に広く薄く負担していただくという思想でこの雇用保険ができております。
 したがいまして、保険財政を健全に運営していくというためにはその被保険者が一定の期間保険料を納めていただくということがいわばある程度前提になるわけでありまして、一人の方が短期間で頻繁に失業給付を受ける、保険給付を受けるということは、みんなで広く薄く負担してお互いに助け合うという観点からしますといささか問題があるわけであります。そういうことで過去一年間に通算して被保険者であった期間が六カ月以上を要するという条件をつけているところであります。
#23
○西川きよし君 その場合、お伺いしたいのは、規定どおりに加入している事業所に対して加入をさせていない事業所もあるわけですね。やはりこれは不公平であると思うわけですけれども、こうした事業所には指導の徹底等々必要ではないかなというふうに思うわけですけれども、この点に対してはいかがお考えでございましょうか。
#24
○政府参考人(澤田陽太郎君) 先ほどの御質問で掛け捨てについての認識ということでございましたので、ちょっとその点を申しますと、先ほども申しましたような考え方で仕組みができておりますので、この雇用保険制度は掛ける人から見ますと積立制度ではなくていわば掛け捨て制度になっていくわけであります。
 そういう制度の仕組みであることを保険料を負担する事業主、労働者の方に十分理解していただくよう努力しておりますが、なかなか掛け捨てであるということについて、これは制度の事実でありますから、一つの選択として給付の見込みがない場合には入らないという逆選択みたいなものが出てくる可能性がありまして私ども困っているわけですけれども、御指摘のとおり、まさに制度の上から考えますと、加入する人しない人に差が出て、それを見過ごすことは大変な不公平、正義に反するわけでありますので、私どもも都道府県労働局、それから実際の公共職業安定所の方で事業主に対しまして説明会だとか労働保険徴収料を年度にまとめていただくとかというときに周知徹底にこれ努めております。周知徹底だけではなくて、実際に労働保険の徴収事務をお手伝いいただいております労働保険事務組合の方にもよくお願いしておりますし、ぎりぎりのケースでいけば事業所に出向いてしっかり調査をするということも必要に応じてやっておりますので、そうした努力をきっちり積み重ねて不公平がないように十分気をつけていきたいと、こう思っております。
#25
○西川きよし君 ぜひ細やかに、今御答弁いただいたとおり、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
 そして、今回のこの緊急地域雇用特別交付金事業についても原則六月未満ということでございまして、六カ月以上が対象となる失業給付を受けることができないわけですが、このあたりは六カ月未満という部分で柔軟な対応をとっていくといった配慮が私自身は必要ではないかなというふうに思うわけですけれども、こちらのお答えはぜひ大臣にお願いをしたいと思いますが。
#26
○国務大臣(坂口力君) 今、ずっとお聞きをいたしておりまして、やはり雇用保険というのは六カ月という一つの期限が切ってあるものですから、今回のように六カ月以内という雇用形態を提示いたしますと、そうしますとそこの部分だけではなかなか当てはまらないわけですね、この雇用保険が。しかし、その前にお勤めになっていた人があればそれはプラスされるわけでございますし、そしてこれから後、新しくまた雇用になればその分というのはプラスされるわけですから、生きてくることは間違いがない、単なる掛け捨てというわけではないというふうに思いますが、その特別交付金の期間だけをとりまして、この期間での雇用保険というのが生きてこないというのは御指摘のとおりだというふうに思います。
 今回、六カ月ではなくてもう少し、もう半年引き続いてお願いをした方がいいというふうに判断をされる部分につきましては延長していただくことも可能にはなっておりますけれども、それにいたしましても多くの方は半年間ということでございますから、この問題、いろいろの問題を残すことになるのは私もよくわかりますが、しかしそれは、先ほど申しましたように、その半年間ということだけでそれがすべて終わりになるわけではありませんから、すべてそれが掛け捨てになってしまうというわけではない、生きることもあり得るということは言えるんだろうと思うんですね。その辺のところを少しこれから議論をまたしていきたいと思います。
#27
○西川きよし君 お一人お一人にとっては本当に大変な問題だというふうに思いますので、どうぞ、今、大臣が御答弁いただきましたように、ひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 次に移りたいと思います。
 雇用の受け皿整備に関連をして、介護サービス基盤の整備についてぜひお伺いをしたいと思います。
 この介護サービスの基盤整備については、平成十六年度までに特別養護老人ホーム三十六万人分、介護老人保健施設二十九万七千人分、そしてケアハウス十万五千人分、このように見込まれているわけですけれども、こうした整備によって雇用の受け皿として、この雇用の受け皿の効果についてですけれども、大臣といたしましてはどのように現段階ではお考えでしょうか。ぜひ御答弁をよろしくお願いいたします。
#28
○国務大臣(坂口力君) とりわけ社会福祉の面でのケアハウスの面をこれから充実させていくということになれば、ここで新しく雇用が生まれることは間違いがございません。非常に期待をされているところでもあるわけでございます。
 それで、平成十一年度のゴールドプラン21における平成十六年度のサービス提供量の見込みを考えました場合に、高齢者介護分野におきます労働者の需要につきましては平成十一年度は約六十万人だったわけですね。それで、平成十六年度にはこれが百万人になる予定でございます。増加する予定でございます。そういたしますと、五年の間に四十万人ふえることになるわけでございますから、これを単純に割りますと年間八万ということになるわけでございますから、少なくともこの八万人前後の雇用の拡大には結びつくであろうというふうに思っております。
#29
○西川きよし君 そこで、その中でPFI、この制度を活用したケアハウスの整備の促進、今、大臣の御答弁の中にもありましたけれども、この整備促進ということでこのケアハウスは目玉の一つにもなっておるわけですけれども、今後、具体的にどのような方法で整備をしていくお考えであるのか、このあたりの考えを聞かせていただきたいと思いますし、まず冒頭で、会計検査院の平成十二年度の報告の中でケアハウスの事業が効果的に実施されていない国庫補助金相当額が二十三億円を超えるという指摘もございます。
 この問題について、まず指摘の内容を会計検査院にお伺いしたいことと、またその後の対応について厚生労働省に御答弁をいただきたいと思います。
#30
○説明員(増田峯明君) お答えいたします。
 ケアハウスにつきましては、ただいまもお話がございましたけれども、ゴールドプランにおきましては平成二年度から十一年度までの十年間で十万人分を整備するということにしておったわけでございますが、その実績は四万四千人程度になっているということであります。その後のゴールドプラン21におきましては十六年度末で十万五千人分を整備するということですので、十六年度までの五年間でこれまで施設整備をしてきた実績以上の整備をするということになっているわけでございます。
 私どもといたしましては、ケアハウスの整備がこのような状況にあるということを踏まえまして、今回、これまでの整備事業が補助金交付の点から効果が十分上がっているかという点を中心にいたしまして、施設開設後二年以上を経過している八百十四のケアハウスを対象にいたしまして検査を行いました。
 その結果でございますけれども、全体としての平均の入居率は九三%程度になっておりましたが、中には入居率が七〇%に満たないということで補助金交付の効果が十分上がっているとは認められないものがございました。こうした施設は全部で二十六あったわけでございますけれども、これら二十六施設の入居率の平均は五一・九%になっておりました。それから、これらの施設における空き部屋に係る補助金相当額、これが今お話がございましたように二十三億二千五百十五万余円になっていたというものでございます。
 そして、このように補助金交付の効果が十分発現していないケアハウスが発生する原因といたしまして、私どもといたしましては、ケアハウス整備計画の策定時に病院あるいは商店街からの距離など入居者が生活する上での利便性あるいは快適性等に関しまして立地条件の検討が十分でなかったのではないか、あるいは管理費の支払い方式に例えば分割方式を取り入れていないといったようなものがございまして、管理費を準備することができない方々の入居を困難にしているといったようなこと、そういう意味で施設の管理運営に問題があるということでございますが、そういった点に原因があるのではないかということを含めまして厚生労働省に対しまして指摘を申し上げたものでございます。
 以上でございます。
#31
○副大臣(桝屋敬悟君) 西川先生お尋ねのケアハウスでございますが、今、会計検査院の方から御説明がありましたとおり、私ども厚生労働省、ケアハウスの利用実態といいますか、補助金の効果という観点で御指摘、是正要求をいただいているところでございます。
 それに対してどういう対応をしているかということでありますが、ケアハウスは御案内のとおり食とそれから住のサービスを提供するというものでありまして、端的に言いますと、食事の用意といいますか、なかなか難しいお年寄りの方にお住まいと食の提供をするという、言ってみればこれからの高齢化社会における高齢者福祉の基盤整備として私どもゴールドプランに沿って整備を進めてきているわけでありますが、ただいま御指摘をいただいたような状況もあるのも確かでありまして、今御説明がありましたように、二十六施設の状況を御説明いただきました。入居率が比較的低い事例を御指摘いただいたわけでありますが、そうした自治体はそんなに多くはありませんので、全体としては九三%まで利用されているということもあるわけでありますから、入居率が低いという具体的に指摘をされました施設を所管する自治体に対しまして、速やかに空き部屋解消のための努力をしていただくということで、個別に指導させていただいたということでございます。
 それから、今も御説明がありましたように、施設整備計画をつくるときのやはり整備計画の内容、立地条件や施設の立地等について十分審査をする必要があるなということもありますので、すべての都道府県に対してそうしたことについても指導させていただいているところでございます。
 今後とも、せっかくの基盤整備でつくりました体制でありますから、利用促進について努めていきたいと考えております。
#32
○西川きよし君 御丁寧に御答弁いただいてありがとうございます。
 ただいま会計検査院そして桝屋副大臣、御答弁いただいたとおりでございますけれども、このケアハウスの整備につきましては、その他の老人福祉施設に比べまして、当初の目標、今もお話に出ましたが、下回っておりますけれども、以前この目標を引き下げた理由について御質問をさせていただいた際に厚生労働省の御答弁では、地方では持ち家が多いことから集団生活になかなかなじまないということでございました。都市部の周辺でしか需要が顕在化しない、それから利用料の問題ですけれども、利用料の負担の問題がやっぱりありますと、このような内容の御答弁をいただいたわけですけれども、この点、これまでの整備が思いのほか進んでこなかった理由をどのようにお考えであるのかということを御答弁いただきたいと思います。
#33
○政府参考人(堤修三君) ケアハウスにつきましては、今、先生御指摘のとおり、ゴールドプラン21では十万五千人という目標を掲げておりますけれども、十二年度末、十三年三月の直近でいきましても四万八千二百五十七人と半分弱というところにとどまっております。
 こういうふうに整備が進んでいない理由といたしましては、例えば地方の場合、特に地方において整備の問題があるわけでありますけれども、地方の場合には持ち家が多いということがございますので、ケアハウスの利用者として考えられるひとり暮らしとかあるいは体の虚弱なお年寄りにとりまして、持ち家を持ちながら別途ケアハウスのための家賃を負担するというのはなかなか負担の問題として重いものがあるんじゃないかとか、あるいは一応共同生活になりますので、そういう共同生活に対してふなれというふうなことで都市部と比較して需要が顕在化していないんではないかというふうなことが考えられるんではないかと思います。
 全体として見ますと、そういう意味では地方はなかなか難しい問題はあるかと思いますけれども、逆に都会地では特養ホームが足りないというふうな御指摘もありますので、ケアハウスについては民間企業の参入も認めて、さらに公設民営方式によるPFIの活用というふうな格好で少し整備の促進策も講じてまいりたいというふうに考えております。
#34
○西川きよし君 ありがとうございました。大変難しい問題でありますけれども、本当によろしくお願いしたいと思います。
 我々もいろんなところを、特別養護老人ホームも回らせていただきますし、養護老人ホームもそうですし、軽費もケアハウスも、本当にいろいろなところでいろんなお話を、そして見せていただいたら、一時期自分も将来はそういうところに住みたいなというふうな、先ほど副大臣がおっしゃいましたような内容のことでお年寄りに聞きますと、あこがれている方々も、しかしまたお金の問題、そして先ほどの地域性の問題、いろいろあります。
 例えば、地方自治体と社会福祉法人に限定をしている特別養護老人ホームの整備が進んでいることを考えますと、単に設置主体を民間企業へ拡大をすることだけでは簡単に需要が伸びるとは考えにくいのではないかなというふうに思うわけです。やはり、利用者にとっても開設をする側にとっても、双方魅力のあるものでなければならないというふうに思います。
 例えば、利用者側といたしましては、介護が必要となったときにケアハウスに住み続けることができるのか。もし出ていかなければいけない、つまり退所しなければならないときに、じゃ行き先は確保されているのか、このあたりの不安が非常に大きいという声をたくさんお伺いをいたします。介護保険の導入後は特定施設入所者生活介護の適用ということでそのあたりの問題が解消するのではないかという期待もあったわけですけれども、この適用を受ける施設が非常にまた少ないという点についてはどのように考えておられますか。
 そしてまた、今、ユニットという方法に大変大きな期待が寄せられているわけですけれども、僕なんかもお話を聞いたり勉強する中で、ああこれはいいなというふうに思うわけですけれども、今後この整備に向けて、大変質問の幅が広くて時間がかかる答弁だと思いますけれども、桝屋副大臣、たっぷり時間がありますので、ひとつわかりやすい答弁をいただきたいと思います。
#35
○副大臣(桝屋敬悟君) 本当に西川先生、極めて重要な視点、介護保険制度あるいは高齢者福祉のただいま現場で起きております問題点を十分把握していただいて、極めて大事な指摘をいただいているというふうに思っております。
 今、ケアハウスの特定施設入所者生活介護という言葉を使っていただきましたけれども、ケアハウスの場合、基本的には、先ほど言いましたように、自炊はなかなか難しいという程度の、そうは言いつつもなかなか一人で自宅でというのは難しいという方に食と住のサービスを提供するという形態でありますけれども、介護が必要になった場合には外のサービスを利用するということも可能であります。
 委員おっしゃったように、介護保険が始まってからは、特定施設入所者生活介護ということで、ケアハウスにお住まいのその状態を、いわゆるそこで特別養護老人ホームと同じようにサービスを提供しましょうと。こういう施設形態、ケアハウスでありながら介護のサービスも提供できる、その場で提供できるという仕組みを導入しているわけでありますけれども、御指摘をいただきましたが、これがなかなかまだ進んでおりません。平成十三年三月時点、三月、四月の時点でありますが、ケアハウス千二百三十五のうち特定施設として指定を受けておる施設が二十九施設ということで、まだまだ進んでいない状況であります。
 この原因といたしまして、ケアハウスの制度創設当初からの目的は、ひとり暮らしでは不安がある、私が申し上げたような高齢者の生活を支援するということであった。要介護者向けに特化したサービスを提供するというものではないということもある。要するに何を言いたいかというと、まだ入っておられる方は比較的元気な方もいらっしゃる、現時点では。そして、先ほど言いましたように、特定施設の指定を受けなくても外部のサービスは利用できるということで、入居者が利用する形態もあるわけでありますから、外部サービスを利用するという形態も選択をできるということで、介護保険が始まりまして今日まで二年ぐらいたっておりますが、まだ比較的そうした特定施設として手を挙げられる施設が少ないという状況であろうかというふうに思っております。
 ただ、今後は、当該ケアハウスが整備をされて年次を経ているということ、そういう施設もふえるということ、さらには介護保険の定着ということもありまして、先生がおっしゃったように、ケアハウスでありながら、その場でずっとい続けることができる、将来介護が必要になっても介護サービスを受けられるという施設としてのニーズといいますか、希望ということも出てくるわけでありまして、今後、特定施設の指定を受けるケアハウスはふえてくるのではないかというふうに私どもは期待をしているところであります。
 それからもう一点は、やはり現状なかなかふえないということをいろいろ考えてみますと、先生御指摘がありましたケアハウスをユニットと、例えば特別養護老人ホームと同じような機能を持たせて、特定施設として役割を果たしていただくというふうに考えた場合も、やはり今我々が検討しております新型の特別養護老人ホームといいますか、個室を中心にしてユニットで、十部屋ぐらいの小さい単位でもってユニットで介護サービスを提供するという試みを今行っております。
 試行していただいておりますところは極めて成果がいいといいますか、利用者の喜びの声もあり、施設の方もこれは新しい特養としてこれから展開できるのではないかというふうに思っているわけでありまして、新しいケアハウスの整備に当たりましては、特定施設の指定を受けていただくということも前提にしながら、ユニットケアが実施できるようなそういうハード面での整備ということも整備計画の中で十分審査をしながら、指導しながら整備を進めていきたい、このように考えておるところでございます。
#36
○西川きよし君 御丁寧に本当に詳しくわかりやすく御答弁をいただいてありがとうございます。
 我々も日々勉強ですからいろんなところへ回らせていただくんですけれども、完全なものというのは本当にございませんし、ユニット方式なんか本当にいいなと思うんですけれども、大体そういう施設へお訪ねしても、男性の方は大体おとなしい方が多いです。外を向いてたばこを吹かして、ああ、きよしさん、来てくれたのかということで喜んではいただけるんですが、大体一人で行動なさっているか、あとは本当にお元気な方で将棋を指しているか。女性の方々はもう本当に御一緒に、川柳だとか俳句だとか、編み物をしたり押し花をしたりとか、いろいろ仲よく楽しく生活をしておられるんですが、その中であっても人間同士の生活ですからなかなか人間関係が難しい。
 そういう意味で、先ほど副大臣がおっしゃいましたこれからの個室、そしてまたユニット、大変いいことだと思いますけれども、その中でもいろいろ難しい問題は多々あると思いますけれども、どうぞよりよい方向へひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 これは余分になりますけれども、自分も将来はそうなるのかなというふうに思いますけれども、先ほど申しましたように、先に家内に先立たれたりしたときなんかはやっぱりこちらの方へお世話になりたいななんて、回らせていただくとやっぱり思いますね。豪華にこしたことはないけれども、そうではなしに、人の声を聞きながらみんなで仲よく生活をさせていただきたいと、こういうところがもっともっと進んで開けていくといいなというふうに思います。
 この間、奥さんがお亡くなりになったという男性にお会いしたんですけれども、やっぱりおばあちゃんがお亡くなりになると男の人は極端に本当に弱ってしまいます。そういう方にどういうところでお住まいになっていただくかといったら、こういうユニットというようなところがこれからはいいんではないか。御主人に先立たれたおばあさんという方々は、お気の毒ですねと申し上げても、全然お気の毒のような感じではないんですね。何を言うているんですか、西川さん、おじいさんが死んだからって私が弱くなるわけではないんです、私の青春はこれからなんというような。
 そこにはやっぱり平均年齢といいますか、女性は八十四歳を超えておりますし、男性は七十七歳。何でこんな平均で七歳も差があるのかなというふうに思うわけですけれども、現場へ参りますといろんなお話をお伺いしますし、そこで皆さん方は結局お金をなかなか使わないと言うんですが、我が家もそうですけれども、年金などは一緒に暮らしておりましても本当に教えてもらえないと。
 やっぱりお金の問題、そして利用料の問題。お金はどうなっているの、お金はどうなっているのという質問を大変よくお伺いされるわけですけれども、例えば一括方式、分割方式、併用方式の中で一括方式を採用する場合、相当の負担額となりますし、さらに必要以上に豪華な施設、何カ所かは見せてもいただきましたけれども、こうなりますと当然多額の利用料が要りますし、その場合、年金収入がかなりたくさんある方でないと利用ももちろんできないわけです。
 こういう状況ですけれども、この点で思うのは、できるだけ費用負担を軽くするという意味でもこの支払い方式を分割方式に統一できないものかなというふうに考える次第ですけれども、政府参考人にお答えをいただきたいと思います。
#37
○政府参考人(堤修三君) ケアハウスに入居されている方々には、家賃相当分といたしまして施設の建築費用のうち公的な補助が出ない分、設置者が自分で出した分について家賃相当分として利用者に御負担いただくということになっております。その御負担の方法が、今、先生御指摘いただきましたように、一括方式、分割方式、両方の併用方式と三つありまして、それぞれ各施設の判断で選択をするということになっているわけでございます。
 現状で見てみますと、一括方式の場合に、先生御指摘のように、一番初めに、入居時に四百万円から五百万円といったような相当な高額を支払わなければいけないということになりまして、逆に分割方式の場合には月々一万円から五万円程度ということで、そういう意味では利用しやすいというふうなこともございます。
 今の一括方式等の場合、確かに収入が高い方とかあるいは資産がある方でないと入居できなくなるということも考えられますので、基本的には各施設の判断ということにしておりますけれども、私ども厚生労働省としても何らかの対応が可能かどうか、ちょっと検討させていただきたいと思います。
#38
○西川きよし君 ぜひよりよい方向への検討をよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 今日、いろいろとお話をさせていただきましたけれども、高齢化の進展とともに施設へのニーズが非常に多くあります。結果といたしまして、これまではケアハウスの整備がうまく伸びてこなかった、その背景にはやはり利用者側にも経営者側にも魅力が乏しかった、そういう地域性の問題だとかいろいろ御答弁はいただきましたし、自分もよくわかるわけですけれども、やっぱり魅力が乏しかったのかなというふうにも考えます。
 間違いのないところだというふうに思うわけですけれども、しかしその一方でできる限りは自立に近い形で老後の生活を送りたいとの希望も強いわけですから、今後の整備に当たっては、今回の試みも含めまして、できる限りそのニーズにこたえていくための方策というのが大変に必要になってくると思います。
 この点について大臣に最後に御答弁をいただきまして、質問を終わりたいと思います。よろしくお願いいたします。
#39
○国務大臣(坂口力君) ケアハウスのお話をしていただきましたが、このケアハウスを私も見ておりまして、利用者が十分でないというのは、やはりここは使いにくいところがあるんだろうと思うんですね。
 先ほどおっしゃいましたように、いわゆる分割払いができるかどうかというようなこともございますし、それからちょっと入院をいたしますと、前は三カ月ぐらい入院をすると明け渡しをしなきゃならないというようなことがあったり、今はどうなっていますかね。──失礼しました。特養とごっちゃになっておりました。済みません。
 このケアハウスの中での生活というのが非常に単調になりがちになる。委員も御指摘になりましたように、女性の皆さん方は新しく対応されるわけでございますけれども、男性はやっぱりうまくそこが対応できないものですから孤独になりがちでございます。特にああいう中に入りますと全く孤独ですね。もう部屋にこもりがち、こもっている以外にないわけですね、いろいろお友達ができないということになりますと。さりとて、そう外にもそんなに自由に出られるというほど体力がないというような皆さん方が非常に私は困ると思うんですね。
 お元気な方はそんなにお入りにならないわけでございますし、いわゆる特養等で手当てをいろいろしてもらわなきゃならないほどではないけれども、しかし御自分で生活はやや難しいといったような方がお入りになるわけでございますから、どうもその中で孤独に、孤独を味わいながらと言ったら言葉はえらいよろしいですけれども、孤独になりながら、そしてその中でだんだんと心身ともに弱っていくというケースが非常に今多いというふうに思いますが、その辺のところをどう乗り越えていくのか。
 職員の人も中にはお一人かお二人おみえになるだけでありまして、そんなにおみえになるわけでもありませんから、買い物に一緒に行きましょうと言ってついていってもらえるわけでありませんし、その辺のあり方というものをもう少し考えて、心身ともにやや弱った皆さん方ではありますけれども、もう少し回復のできるようなことも考えながら、そうした手を差し伸べることのできるようなケアハウスでありましたならば私はいいと思うんです。
 例えば、リハビリテーションができるような場所を持ったケアハウスというのはそう私が見た限りにおきましてはございません。老健でありますとか特養に入りましたらそうしたこともできますから、そういたしますとある程度元気にもなっていく。しかし、それもない。ただ部屋から外へ出るのは食事のときだけということになりますと、やっぱり何となくそこでの暮らしというものが楽しくないということになってまいりますので、もう少しその辺の工夫をしてさしあげないとこのケアハウスというのは今後進んでいかないのではないかというふうに思います。
 私も最初は、これは自分も将来は一人になったらここへ行くかなと思ったことがございますけれども、しかし一人になってあの中でじっとしていなきゃならなくなったらどうするかなと思いますと、ここもいかがなものかなという気もするわけでありまして、もう少しその辺のところを、部屋をつくりました、どうぞここへ入ってください、食べ物をつくりますというだけでは、やはり人間というのは動物と違いますから、ぐあいが悪いなという気がいたします。その辺のところが部屋があくということに私は結びついているように思いますので、やっぱりもう少し、人生の最終段階でございますから、最終を迎え入れるにふさわしいことを考えていかないといけないのではないかと私も日ごろ思っている一人でございます。
#40
○西川きよし君 済みません、あとまだ三分残っておりましたので、申しわけございません。
 本当にありがとうございました。日々の生活の、いつも寄せていただいている、特養だとか養護だとか軽費、ケアハウス、老人保健施設などをいろいろと回らせていただくんですけれども、そういった中での生活、もう細やかに我々見せていただくんですけれども、まさしく今大臣がお答えをくださったとおりでございます。
 ここでこうしてお話をさせていただいて、そして随分距離があるように思うんですけれども、ここで質問をさせていただいてお答えをいただくことが、ああ本当に距離は遠いけれども毎日の生活の中には大変身近にといいますか、本当に関係深い、細やかなところについても本当に一言一言、大臣、副大臣、政府の皆さん方にいただくお答えが、毎日の生活の中で皆さん方が本当に右に行ったり左に行ったり、上へ走ったり下へ走ったり、そしてお一人お一人の心が右に動いたり下に動いたり、楽しかったり寂しかったりつらかったりというのはまさしく今大臣がお答えいただいたとおりでございます。
 ユニットという話も出ましたし個室という話も出ておりますけれども、よりよい方向へお願いをいたしまして、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#41
○井上美代君 日本共産党の井上美代でございます。
 私は、先日の本会議の質問で、政府の雇用対策の最大の問題点というのはルールなき大量解雇を野放しにしていることだということを指摘いたしました。今重要なことは長時間労働の抜本的改善で、そして雇用拡大を急ぎ進めていくことだというふうに考えております。しかしながら、残念ですけれども、今回の雇用対策の臨時特例法案もその点ではやはり大リストラ、合理化から労働者を救うものではないというふうに私は読みました。
 電機だとか自動車、これ二十社とそしてあとNTT、これだけで三十万にも上る人員削減が出されております。これがまた雇用不安を、そしてまた将来不安を募らせておりますし、消費の落ち込みと景気の悪化を招いているという、こういう悪循環に陥っているというふうに思うんです。小泉内閣の構造改革が進めば進むほど、この悪循環はひどくなるということが明らかになっているというふうに思います。この政策は既にそういう意味では破綻しているんじゃないかと労働者の立場からも思うのです。
 私は、国連の社会権規約委員会の文書をずっと読んでおりますけれども、日本政府に対して、中高年労働者の雇用と給与の不安定な実態と日本の労働者の長時間労働について、人権を侵害する問題としてその是正を勧告しております。
 私は、こうした問題について政府の姿勢をお聞きしたいというふうに思っております。
 まず、中高年の労働者の問題なんですけれども、現在のリストラの特徴というのは、中高年労働者に対し、四十五歳を過ぎているとか五十五歳を過ぎているとかいうことで一律に退職、転職を勧奨し、そして強要しているということがあります。
 私はきょう、やはり具体的に例を挙げながら、わかりやすいと思いますので例を挙げて質問をしたいというふうに思います。
 鉄鋼大手の五社の一つで住友金属というのがあります。ここはこの四月に大リストラ計画を発表いたしました。これは住友金属本体を純粋な持ち株会社にして、そしてあと各製鉄所を事業ごとに分社化をするということです。そして、今、出向させられている約九千人がいるんですけれども、その九千人については一たん全員を退職させる、そして出向先に転籍させ、そして三百億円コスト削減をしようとしているわけなんです。
 さらに、中高年の労働者にとって重大なのは、この住友金属が六十歳定年を決めていながら五十九歳の一律退職勧奨制度を導入したことなんですね。昨年の八月から来年の三月までですけれども、六十歳の定年を迎える約千二百人ですけれども、これを一律にして退職に追い込もうというわけなんです。十一月の末までに九百九十名の対象者が泣く泣くやめざるを得ませんでした。三月までにあと二百人がやめさせられるというふうになっております。
   〔委員長退席、理事中島眞人君着席〕
 対象者となった中高年労働者の方々からは、六十歳定年導入と引きかえに五十歳からは定期昇給が七〇%、七割カットされ、そして賃金が減らされてきた、その上今度は定年前にやめてくれと、これは一体どういうことかと、詐欺じゃないかと、こういうふうに労働者は言っていらっしゃるんです。そしてまた、年金の支給も開始年齢が上がりましたので一体どうやって生活すればいいのかと、こういうふうに言って自分たちの不安と悩みを訴えておられます。
 私は、このような定年前に一律に退職勧奨制度を持ち込んでくる、こういうことは定年が六十歳を下回ってはいけないとしている高齢者の雇用安定法、この四条に書いてあるわけですけれども、これにやはり違反するのではないかと考えているわけです。
 大臣はどのような見解を持っておられるのか、大臣にお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。
#42
○副大臣(南野知惠子君) 私がだめであれば大臣におかわりさせていただきたいと思いますが、まず先生の御質問である六十歳未満の定年、これを禁止した高年齢者雇用安定法に違反するのではないかというお問い合わせでございますけれども、高年齢者雇用安定法におきましては、定年というのは六十歳を下回ることができない、そのようにされているところでありますが、定年ということを考えてみますと、労働者が所定の年齢に達したことのみを理由として、自動的にまたは解雇の意思表示によってその地位を失わせる制度というものを指しているということでございまして、先生のこの事案につきましては、御指摘のような事例は、詳細を承知していないのではございますけれども、労働者が退職することにつきまして同意し、勧奨に応じているのであれば高年齢者雇用安定法の定年の規定には違反しないというふうに考える次第でございます。
#43
○国務大臣(坂口力君) 私も個別の問題につきましては存じておりませんけれども、いずれにいたしましても、大きい企業でございますから労働組合もちゃんとあるんだろうというふうに思います。そこでいろいろのお話し合いが成立をしてそういう結論に達したのではないかというふうに思いますが、その間どういうふうなお話し合いがされたのかということを私はよく存じておりません。しかし、相互の何らかの合意がなければ私はなかなかできにくいことだというふうに思う次第でありまして、その辺のところもよく一度話を聞いてみたいものだというふうに思う次第でございます。
#44
○井上美代君 私は、六十歳定年を決めていて五十九歳というのでやめさせていくわけですから、やはり国民としてもこれを聞いたら絶対に納得できないと思うんです。私も今の答弁では納得いたしません。
 こんな制度が許されるならば、大臣、五十八歳でもいいし、五十七歳でもいいし、五十五歳でも企業がやるままになるということではありませんか。一律に退職勧奨をしていいということになるわけなんです。こんな動きがほかの企業にもどんどん広がっていくということはあり得るんです。いろんな手を使っておりますが、きょうは私、例を具体的に挙げたいから一つ挙げているんですけれども、これが特別なものではないということを私は強調しておきたいというふうに思うんです。
 六十歳定年制がこれではもう形骸化していくと思うんです。これを五十五歳とかずっと下げていったら、本当に六十歳定年がやっと定着してきているのに、それが形骸化される。高年齢者雇用安定法の第二条の二に基本理念が書いてあるんですけれども、ここでは高年齢者などは職業生活の各段階ごとにその意欲及び能力に応じ雇用の機会が確保されるようにと書いてあります。配慮されなければならないと、こういうふうにも定めてあります。定年まで意欲と能力のある労働者の働き口を確保するということが言ってみればこの法律の趣旨なのです。定年を下回る年齢によって一律に退職を求めるなどということはこの法律の趣旨に反することはもう明らかではないでしょうか。
 大臣、このことについて御答弁をいただきたいんです。次の現象としてずっと変わっていくということがあるんです。
#45
○政府参考人(澤田陽太郎君) 住友金属の例を出されましたが、定年制が六十歳ということのようであります。したがいまして、それ以前に、委員は一律に退職勧奨するというふうにおっしゃっていますが、制度としては希望退職募集制度を設けて、五十九歳になった人たちにそれに応ずるかどうかを労使が話し合った上で会社側から提案するということになっているんだろうと思います。
 繰り返しになりますが、副大臣から申し上げたように、本人が同意して退職するのであればこれは高齢法四条違反でもありませんし、高齢法の二条の二の趣旨を損なうというものでもないと思っております。
 まさに、希望退職募集制度の多くを見ますと、定年到達以前に募集するケースであれば、例えば退職金を積み増してその後の同意した方々の新たな職業生活に対する支援をするとか、いろいろな条件があって、労使でそういう制度を設けたというふうに考えております。
#46
○井上美代君 どこまでもないと、それはないということを言っておられるんですが、私は今の答弁でも納得はしません。
 国民の雇用というのは守られなきゃいけないというのはもう憲法二十七条にも書いてあるとおりだと思います。やはり、定年制を形骸化することになるということは、私、今のままで行けば必ずそうなるというふうに思っております。だから、このことは定年制を崩していくんだということをもう本当に重ねて私は申し上げまして、次へ移っていきます。
 やはり同じ企業のところなんですけれども、ただ勧奨をして退職を強要しているということでは、単純なものではないんですね。退職の強要をやっているんですけれども、ある労働者の話を聞いてみると、係長がまず勧奨して、部屋に呼ぶんですね。そして今度はまた人事係がやるんです。そして次は室長がやるというように個室に呼んでは強要しているわけですね。ある労働者は四回も呼び出されたと言っております。そして、退職に応じるように面談がもう繰り返し繰り返しやられているということを訴えているんです。そして、その言葉ももういろいろあるんですけれども、愛する会社と後輩のためにやめてほしいと、こういうふうに言っておどしているわけなんです。
 労働者がきっぱりと退職拒否の回答をしているのに同じ内容の面談を繰り返してやるということ、これは明らかに退職強要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#47
○政府参考人(日比徹君) ただいまお尋ねになられた件についてどう判断するかはまずおきまして、退職勧奨につきまして一般的に注目されている裁判例が一つございます。
 あるいは御案内かと思いますけれども、下関商業高校事件というのがございまして、これは地方公務員につきまして、かつまだ現在の法制のような公務員の定年制のない時代に一定年齢に到達した場合に慣行として行われておりました退職勧奨について争われたものでございますが、労働法学会等でも大きな参考になると一般的に言われておるものでございます。
 その裁判例では、退職勧奨につきまして、これはまさに勧奨でございますので本人の自由な意思決定、任意な意思決定、これが基本となるので、退職勧奨といういわば説得行為自体は大いに行ってもそれは差し支えないとして、しかしその態様、具体的には、これはるる裁判内でも言っておりますけれども、勧奨の回数やあるいは場所というような意味も含めました態様、それからその話す内容、話す内容というのは退職についての条件等の説明等もあるということで、そのいわゆる態様等につきまして総合的に勘案しまして、おのずからの限度、おのずからの限度というのは自由なあるいは任意の意思決定ということとの関係になりますが、おのずからの限度、社会的相当性の範囲というものがあるだろうと。その範囲を逸脱した場合には、このケースは損害賠償の問題でございますが、逸脱した場合には不法、違法なものとなり、このケースでは国家損害賠償法に基づきまして、昭和五十年ごろのことでございますけれども、広島高裁では四万円とか五万円の損害賠償を認めたというものでございます。
 先ほど挙げられました具体的事案についてのことは、そういういろんな事情を勘案しませんと何とも申し上げかねますが、今申し上げましたように、裁判の考え方あるいは一般的な法学会の考え方からいきますと、おのずから社会的相当性の範囲があるので、自由なあるいは任意の意思決定との関係で、それを阻害といいますか妨げるようなやり方があればそれは不法なものとなり、損害賠償という問題が起こると考えられておるところでございます。
#48
○井上美代君 今、判例が話されましたけれども、やはり面談の様子を私聞いておりますと、面談を逸脱しているというふうに思うんですね。だから、そういう点では非常に深刻な実態だというふうに思います。
   〔理事中島眞人君退席、委員長着席〕
 この件について労働局の方にも、地方の労働局の労働基準部にも、それから職業安定部にもこの退職強要をやめさせるように申し入れを行っておりまして、現場の労働者の闘いの中で会社側も転籍を強要したことに対しては謝罪をしているという、そういう変化も出てきているんです。
 だから、そういう意味でも私は、厚生労働省としてもこの不当な退職強要を許さないということ、そのことをはっきりさせていただきたいというふうに思うんです。大臣が先ほどやっぱり実態がどうなっているのかというのを聞いてみたいというお話も答弁の中にあったんですけれども、ぜひ私は実態を調査してほしいと思うんです。やはり指導してほしいというふうに思うんです。大臣の御決意をお聞きしたいと思います。
#49
○国務大臣(坂口力君) 地方の労働局の方もよくお聞きしておるようでございますから、労働局に一度聞いてみたいと思います。
#50
○井上美代君 実態の調査を厚生労働省でやるということについてはどうでしょうか。
#51
○政府参考人(日比徹君) ただいま委員御指摘のように、労働局の方にも何か、大変恐縮でございますが、つぶさに知らなくて申しわけなかったんですが、労働局の方にも何か話が来ているということのようでございますので、ただいま大臣のお答えにもございましたが、まずは労働局に聞いてみたいと思いますが、その上で、必要に応じまして、どういう事情なのか、労働局を通じてでもちょっとまずは事情を聞いてみたいと思っております。
#52
○井上美代君 やはり、いろんなこういう企業の労働者についてのやり方が出てきておりますので、ぜひ調べて、よろしくお願いをしたいというふうに思います。
 この住友金属というのは、年休もとれない長時間過密労働になっているという問題がもう一つあるんですね。
 三年前の一九九八年の八月から高炉による製鉄業が不況で生産が落ち込みまして、そして雇用の調整助成金の対象業種に指定されたんです。そして、臨時休業制度が実施されるんですが、休業手当などに国の支援が注がれました。
 しかしながら、住友金属の和歌山工場でつくっているシームレスパイプというのがガス油田のパイプラインなどに使われるようになって需要が回復していくんですね。そして、現在は利益が大幅に伸びておりまして、昨年の七月から粗鋼生産の回復などで雇用調整助成金は終了になっております。
 ところが、生産量と作業量がふえているにもかかわらず、休業制度というのをそのまま会社の方針として続けているために有給休暇がとれなくなっているというのがあるんです。休業というのは、そもそも通常は不況などで生産量が減らされなければならない場合にとるものだと私は思っておりますけれども、労働基準法では、労働者の生活を守るために、休業の際に平均賃金の六割以上の手当を支払わなければならないとしております。
 そこでお聞きしたいのですけれども、休業手当を雇用調整助成金で助成できるわけですけれども、生産が下がっているときには、休業手当を助成する場合の要件というのを教えていただきたいと思います。政府参考人。
#53
○政府参考人(澤田陽太郎君) 雇用調整助成金の発動要件のお尋ねだと思ってお答えをいたします。
 雇調金を発動するには二つありまして、事業活動の縮小があるというのが大前提であります。そしてその上で休業すると、こうなります。
 その場合の事業活動の縮小というのは、生産量だとか売上高とか、そうした事業活動を示す指標の最近六カ月間の数値が、月平均、六カ月平均の数値が前年に比べて一〇%以上低下している、かつその六カ月の間に雇用保険の被保険者数でカウントいたしました雇用量が増加していないというのが事業規模縮小の要件であります。
 それからもう一点、休業でございますが、雇調金を申請する場合には、労使で協定を結びまして、この間に雇調金を使って休業したいという期間の指定がされます。その期間の中の所定労働日数、これはもう決まっておりますから、それに対象となる労働者を掛けた、いわば人日ベースの対象期間内におきます所定労働延べ日数、これを分母にとりまして、その期間内に具体的に休業する日、その日に該当する人数、これをまさに人日ベースで積み上げまして、それを分子にとります。それが中小企業の場合には二十分の一以上になること、それ以外の企業の場合には十五分の一以上になることと、こういうことにしております。
 そして、休業について言いますと、休業期間中の休業手当の支払いが労働基準法に違反していないことという要件を満たしていることが必要になっています。
#54
○井上美代君 この住友金属というのは需要が回復して生産が回復してきているんですね。生産量も引き上げられてきていて、それで一定の記録もつくっているんですけれども、こういう状況の中で長時間過密労働が広がっている、リストラ、人減らし、それから臨時休業制度がずっと継続されていると。これだけでも本当におかしな話だと私は思っているんです。
 作業工程ごとに五人から十人の作業班があるわけですけれども、交代で休ませるために、一人の人数が減ればそれだけ労働が過密になっている。昼休みもろくにとれなくなって、体調が悪くなって無理して出勤せざるを得ないというような状況というのが訴えられているんですね。そして、安全監督者の職制までが労働災害に遭って、ことしになって四件も労働災害が発生しているというようなことが起きているんです。年休が全くそういうところでとれなくなっているということで労働者は困っているわけですが、年休の取得状況というのはことし四月から八月でほとんどゼロ状態というのが続いているんです。
 生産量、作業量がふえる中での休業というのは、要するに賃金コストを削減するためだというふうに思います。休業手当は賃金を最大で四〇%カットしておりますので、年休をとっても、年休は有給ですから休業してもらった方が経営者にとっては都合がいいわけなんですね。
 それで、需要も生産量も急激に伸びて、人手不足の中で臨時休業を強引に進めるというのは休業本来の趣旨に合わないのではないかというふうに私は思います。これについても大臣の認識をお聞きしたいと思います。
#55
○副大臣(南野知惠子君) 先生お尋ねの休業を労働者に強制する行為についてどう考えるかということでございますが、使用者が経営上の都合で労働者を休業させるかどうかは、これは経営上の判断によって行われるものだろうというふうに思われております。この場合、使用者は平均賃金の百分の六十以上の休業手当の支払いというものが義務づけられているということでございます。
#56
○井上美代君 やはり、賃金カットのための休業は私はおかしいと思うんです。
 普通に考えればそうなると思いますが、現場の労働者からは臨時休業はやめさせてほしいというすごい声が出ているんです。年休をとれるようにしてほしい、年休がとりたいんだということがもう切実な声で出てきております。この問題を解決するためには、住友金属に臨時休業をやめさせるか、年休がとれるような要員の配置というのが緊急にやられなければいけないというふうに思うんです。
 現場の労働者の声を、何としても年休を欲しいと言っているその声をどういうふうに受けとめるかということをお聞きしたいと思います。
#57
○副大臣(南野知惠子君) 年休取得を阻害しているのではないかということのお尋ねだと思います。
 これは、使用者は、その都合によりまして労働者を休業させた場合には休業手当の支払いが必要であり、御指摘のようなことは起こりにくいのではないかというふうに思っているところでございますが、いずれにいたしましても、年次有給休暇の取得が上司の意思やまたは職場の雰囲気で妨げられるということは、これは好ましくないというふうに考えておりますので、先生と同じ考えであろうと思います。
#58
○井上美代君 要員配置を労働者は言っているわけですけれども、その点はどうでしょうか。
#59
○政府参考人(日比徹君) 要員配置についてのお尋ねでございます。
 年次有給休暇、これの重要性というのはもう委員御指摘のとおりでございますが、一方、要員配置の問題等々、経営上の使用者としてあるいは企業としてなし得ること、これにつきましては、もちろん無制限に自由にということではございませんけれども、計画を立てたりいろんなことは企業として原則的には自由に行うべきこと、行えることだと思います。
 なお、ただいまおっしゃられたのが、年次有給休暇というもの、この取得を前提として要員計画あるいは業務計画というものを立てるべきではないかという御指摘かとも存じますが、業務計画あるいは要員計画につきましては、企業が経営上置かれている状況等によっていろいろ変わってくるものだと思いますが、したがいまして、一般的に申し上げればということになって恐縮でございますが、年次有給休暇の完全取得を前提として業務計画なり要員計画を企業において作成する、そういう工夫をするということは私どもとしては非常に重要なことだと思っておるところでございまして、これを普及、周知啓発に努めておるところでございます。
 なお、先ほど来御指摘のごとく、いろんな経営環境等ございますので、今申し上げましたように、一般的には要員計画の上でも完全取得を前提としたような工夫ということは非常に重要だと認識しているということを申し上げました。
#60
○井上美代君 厚生労働省、重要であるということで、私も非常に重要だと思うんです、今。この企業の場合を見ても、要員、業務、この計画をきちんとして有給休暇がとれるようにするというのは、今、労働者にとっては健康上も命の面からも重要だというふうに思いますので、私はぜひそこのところを厚生労働省としても強めてやっていただきたいということを強調して、次へ移っていきます。
 やはり年休問題ですけれども、もう一つ、日本電産パワーモータという会社の例で質問をしていきたいというふうに思います。
 この会社というのは福岡にあります。飯塚市にあるんですけれども、名前のとおりモーターを生産している会社なんです。もともとはワイ・イー・ドライブという安川電機の子会社だったんですけれども、二〇〇〇年三月に六七%の株を日本電産に売却して、日本電産パワーモータに名前を変えました。この日本電産パワーモータで、日本電産の傘下に入ってから非常に労働条件の悪化が進んでおります。
 いろいろあるのですが、資料を皆さんのお手元に二枚配りました。それを見ていただきたいんです。
 ここに一つ、まず上の方にあるのは社長の社員に配った文書なんですけれども、「更なる意識改革で出勤率の向上を」と書いてあります。そういうタイトルで、中身を読めばまたこれはびっくりするんですけれども、パワーモータ社長名です。ことしの八月に配られた文書なんですけれども、まず日本電産のグループ会社の平均では出勤率というのは九九%を誇った上で、九五%に満たない人を勤務成績不良者と、こういうふうに決めつけているんです。大いに反省し改善してもらわなければならないとまで言い切っております。
 さらに、その下の方では、休日前後に年休をとる人に対して、大多数の人が我慢しているのだから、自分のことを考えると同時に相手のことをもよく考えようというふうにしかっているわけですね。そしてまた、退職予定の人が年休をまとめてとることがあると、これに対して自己中心的だと、こういうふうに批判をしております。
 私は、この文章を読んで本当に驚いてしまいました。そして、全社員にそれを配っているわけですから、まず年休をとる労働者に対して、勤務成績不良とか自己中心的だとかと社長が全社員にそのように徹底するということ、こういったことが許されるのだろうかというふうに思っているんですけれども、ここまで行ったら行き過ぎではないか、労基法の三十九条にもこれは触れるんじゃないだろうかと思ったりするわけなんですけれども、大臣に御答弁をいただきたいと思います。
#61
○副大臣(南野知惠子君) 先生のお怒りはごもっともというふうにとれる部分もございます。勤務成績が不良とするということの意味は、これはまた私にしてみたら定かではないのですけれども、いずれにしましても、そのような表現は、一般的にはやはり年次有給休暇を取得しにくくするものであるとするのであれば、これは好ましいものではないというふうに考えます。
#62
○井上美代君 三十九条の年休を取得する権利に照らしてどうなのかということをお聞きしたわけなんですけれども、やはりその趣旨にこれは反しないのか、その精神に反しないのかというのが私思っていることなんですけれども、この文章を見て、ただこれを放置するのならば、私は厚生労働省の存在意義、そしてまた労働基準監督署の存在意義というのが問われるのではないかというふうに思っているわけなんですけれども、その点いかがでしょうか。
#63
○副大臣(南野知惠子君) 先生おっしゃっておられる出勤率ということにつきましては、これは目標を定めるということは一般的にあり得るのではないかなというふうに思っております。目標を定めながらどのようにやっていこうという、これは一つの方針でもあろうかなというふうには思いますが、ただし年次有給休暇を欠勤とした上で、個々人が年次有給休暇を取得しにくい形で運用されるとするならば、これは好ましくないものと考えるわけでございます。
#64
○井上美代君 目標を定めるということを肯定されたんですけれども、その目標を定めるということが大変だというふうに思うんですね。これは重大な中身だというふうに思うんですけれども、出勤率を経営の目標にするということなんですね。
 そして、通常、年間の出勤日というのは二百六十日ぐらいなんですけれども、九八%出勤ということになりますと、休めるのは二%というふうになるんです。二%でこれを計算してみますと、年に五日しか年休をとれないということになるわけです。今、労働基準法では二十日までとれますから、だからそういう点ではいかにとれないかと、四分の一しかとれないということになって、とんでもないことになるわけなんです。
 パワーモータ以外の子会社に至っては一%というところがあるわけですから、そして二%もあるパワーモータを足を引っ張る筆頭会社と、こういうふうに口をきわめて非難しているというようなこともあるんですけれども、やはりこれはおかしいというふうに思うんです。会社としてこういう目標を立てて一%とか二%とかとなったら、本当に年に五日ぐらいしか休めないということなんですけれども、そうしてこの目標を全社員に徹底すると、そういうふうになったときに、やはり私は労働者というのは年休を請求できなくなるというのがもう目に見えているというように思います。
 労働基準法から見て、これが一体どうなのかということですね。年休を取得する権利の侵害になるのではないかなと。私はもう当然そうだというふうに思っているわけなんですけれども、大臣、こういうやり方でやっていることについてどのようにお考えになるでしょうか、御答弁をいただきたいと思います。
#65
○副大臣(南野知惠子君) 先生の御指摘のような行為につきましては、具体的な事情も考慮する必要があるのではないかと、一般的には好ましくないというふうに考えるわけでございます。したがいまして、年次有給休暇の持つ意義、または年次有給休暇を取得しやすい職場環境、それらの整備については周知啓発に努めてまいりたい、さらにそれを行っていきたいというふうに思っております。
#66
○井上美代君 もう本当に周知徹底をしなければ、企業はやはり利潤追求をしているわけですから、そういう点でもなかなか労働者のこうしたもう当然になっているその権利さえも守れない、守られない、そういう状況があるというふうに思うんです。私はぜひこれについても調査をお願いしたいというふうに思います。
 これはもうきょうの時間では言い切れない中身があるんですけれども、いろんな問題を抱えております。だから、やはり調査をしていただいて指導を強めていただくということが今後のいろんな、リストラが行われている中で重要なのではないかというふうに思っておりますので、その点についてぜひ御答弁をお願いしたいというふうに思います。
#67
○政府参考人(日比徹君) ただいまの事案、先生のお話からいきますと福岡労働局の事案ではないかと思います。
 大変恐縮でございますが、個別事案、十分把握できておりませんでしたので、まず福岡労働局にどういうことなのか私ども聞いてみたいと思っております。
#68
○井上美代君 福岡の労働局に聞いていただいて、厚生労働省としてはこういう問題が出ているということについてどのように認識し、そして対策をとられるでしょうか。
#69
○政府参考人(日比徹君) 先ほど来承ったお話あるいは配付されましたこの文書、正確にきちんと読めたかどうかは別でございますが、例えば「極力最少限の年休に留めていただくようお願いしたい」というような文言も見えます。したがいまして、この文書全体を通じて感じますことは、企業がどのような経営方針を持つかというのは基本的には当然自由でございまして、また企業が人の固まりとしてどういう働き方をしようかということも合意の上であれば当然自由なわけでございますが、ただ、先ほど来承っておりますと、これは会社発足当時から云々というふうなことではなくて、最近いろんなことの中で起こったやにもお聞きしているわけでございますので、また年次有給休暇というのは、先ほど来お話しいただいておりますけれども、法律的に考えますと、どこまでも請求権ということでございまして、使用者としては、これまたいろいろな裁判例ございますけれども、時季変更権、これの行使しかない、また年休の取得目的も問われない、これは確立した裁判でございます。そういうようなことをいろいろ考えますと、年次有給休暇ということ、そのこと自体についての御理解の程度ということもいろいろ気にはなるところでございます。
 ただ、いずれにいたしましても、具体的事情等のことは、私、目下承知しておりませんので、福岡労働局を通じましてまずは聞いてみたい。そして、仮にその上で懸念あるような問題があったり、あるいはこのこと自体が法律との関係でとかくのことがなくても、あるいは時間短縮の促進なり年次有給休暇の取得促進の観点から見て、もって全体、他にもあるんじゃないかとかいろんなことになりますれば、そういうことに応じまして、どのようにその後を進めていくかということについては真剣に考えたいと思っております。
#70
○井上美代君 この事例も非常に深刻ですので、ぜひ調査をし、厚生労働省としても対応をしていただきたいというふうに思います。期待をしています。
 年休については、請求を労働者がやらなければとれないということを言われました。それはもう法的にはそうだというふうに思うんですけれども、労働者が請求ができないような今日の状況というのがあるということをきょう私はこの質問で申し上げたくていろいろ例を挙げているわけなんです。
 現場というのは、幾ら労働者が、あなたが言えばいいんですよといっても、言ってもとれないわけですね。とれないような環境に追いやられている、追い込まれていく、そういう中で労働者がとれなくなってきているということをぜひ認識して、やはり労働者がとれるようにしていかなければいけないんじゃないか、言えるようにしていかなければいけないんじゃないかというふうに思います。
 それで、引き続き年休について質問をいたします。
 日本政府は、年間総実労働時間の一千八百時間への短縮を国際公約として決めております。一九九二年に労働省の労働基準監督局が出されました労働時間白書には、労働時間の短縮が個人消費の増大を通じて内需を拡大する、そして中長期的には雇用機会の創出を促し、そして就業意欲の高い高齢者の雇用就業機会の確保に寄与すると、こういうふうに述べておられます。個人消費が冷え込み、そして中高年の失業が問題になっておりますけれども、今こそ私は労働時間の抜本的な短縮に向かうべき、そういうときだというふうに思います。
 この国際公約の一千八百時間、これを実現させるためには、私は年休の取得促進というのは不可欠の課題であるというふうに思っております。国際公約を掲げた一九八七年の国会の附帯決議でも、ILOの水準を参考にさらに付与日数の向上を図ると、こういうふうに言われております。
 他国と年休の日数を比較しても、フランスは三十日、ドイツは二十四日。しかも一〇〇%取得が当たり前になっている。ところが、日本はどうかと、こういうふうに見たときに、付与日数というのは最高で二十日ですね。短い上に勤続年数などのいろんな制約もありましてもっと短くなるわけなんです。しかも、一向に引き上がらないというのが付与された年休。この年休取得率というのがずっととられているんですけれども、その付与された年休の日数と差が出ております。この数年は平均取得日数というのは若干上がってきているんですけれども、平均の取得率というのはもう減ってきている状態なんですね。そして、ついに昨年というのは、取得率というのは五〇%を切ってしまったんですね、切ってしまっているんです。
 だから、本当に、ヨーロッパ方面と比べても、短い上にとりにくくなっている、とれない、そういう状況が出てきていて、年休が最高でたった二十日ですね。何しろ十日に一日加える、一年働いたら一日加えるというようになっていて、二十日になるまでは六年以上かかるんですけれども、何しろそういう日数で、しかも五〇%を割ったというのはこれは非常に深刻だというふうに思うんですね。
 このような年休の取得状況について、大臣、どのように認識をしておられるのか、大臣の御答弁を求めたいと思います。
#71
○副大臣(南野知惠子君) 先生がおっしゃっている取得率の件でございますけれども、年次有給休暇の取得率、それにつきましては、近年で最も高かったのが平成五年で約五六%でありましたが、平成十二年には五〇%を下回っていると。この間、取得日数というのは〇・二日の減少にとどまっておりますが、取得率の低下につきましては、付与日数が、これはもう先生御存じだと思います、付与日数が増加したということも影響しているというふうに考えられております。
 いずれにしましても、取得日数が伸びずに取得率が低下しているということは、これは残念なことだなと認めるところでございます。
#72
○井上美代君 付与日数が若干ふえたということを言われましたけれども、確かにふえているんですけれども、先ほど比較しましたように、ヨーロッパ方面と比べたら全くお話にならない日数ですからね。だから、そういう意味で、それが多くなったから取得率が減っている、下がっているということが今言われましたけれども、私はそういうふうにはお聞きしても納得いきません。
 私は、年休をどうしても労働者がとれるようになるということが非常に重要だと思っているんですけれども、昨年、厚生労働省の委託調査というのがあるんですね。それを見せていただきながら、小泉総理も本会議の答弁で引用しておられましたけれども、労働者からの聞き取りなんです。みんなに迷惑がかかるというのが五八・七%。六割近くがみんなに迷惑がかかるから年休がとれないと、こういうふうに言っているんですね。そして、後で忙しくなるからとれないというのが四二・三%あるんです。職場の雰囲気が取得しづらいというのが三六・四%あるわけなんです。これは、厚生労働省の委託調査でもこれだけのものが出ているわけです。
 私は、年休の取得が進まない理由をはっきりとさせながらそれを進めていくということが重要だというふうに思っているわけなんです。
 もう一つ調査を挙げたいんですけれども、これは東京都の労働経済局がことしの三月に発表したものです。労働者八百人弱に行った調査です。もっとストレートに聞いているんですけれども、そこでは要員不足が五〇%近くになっているんですね。要員不足だというふうに言っているんです。先ほどの委託調査にしても、みんなの迷惑になるとかそういうことを言っているわけですけれども、これも人手不足。やはり人手不足、要員不足が大きいというふうに思います。
 そこで、私は大臣にお聞きしたいんですけれども、年休の取得が進まない大きな原因として人手不足、要員不足の問題が、これはもうはっきり委託調査でも出ているわけなんですけれども、この点について私はもうこれはぜひ、大きな問題ですので、大臣に御答弁をお願いしたいと思います。副大臣もきっと御答弁したい思いだと思いますけれども、どうか大臣、どのように考えておられるのか、この調査を今御紹介申し上げましたけれども、ぜひ御答弁をよろしくお願いいたします。
#73
○国務大臣(坂口力君) 人手不足というのが一般的にどの程度進んでいるのか私も十分に存じておりませんが、現在の経済状況の中からいえば、人件費というのはかなり切り詰めながら企業はおやりになっていることだけは間違いないと思います。それは現在の状況からいたしましてある程度私はやむを得ないことだというふうに思いますが、その中でお互いに有給休暇もとりながらどのように働いていくかということが大事になってくる。
 かなり切り詰められた人の中で有給休暇をとるということはなかなか気が引けるものであることも、これは事実でございます。私も今まで何度か経験がございますけれども、例えば看護婦さんなら看護婦さんがお休みになる。一人お休みになりますと、ほかの人に対する仕事量がうんとふえてくるわけですね。そういたしますと、やはり皆さんに迷惑をかけるからもう私とりたいんだけれどもとらないというふうにおっしゃる方が非常に多かったというふうに思います。
 そういうこともございますので、お互いにそういう気持ちで、持ちつ持たれつで働いていただいておりますと、結果としてなかなか有給休暇がとれないということになってまいります。有給休暇が十分にとれるだけの人的配置ができればよろしいわけでございますが、なかなかそうもいかないというところに現在の日本の企業そのものの立場というものも私はある程度理解をしなければならないと。
 しかし、私は決して有給休暇はとらなくていいということを言っているわけではなくて、その中ではありますけれども、しかしその中でお互いに有給休暇をとりながら、そしてリフレッシュをしながら、そしてあすもまた企業活動のために大いに頑張っていくという一つの慣習をつくり上げていかなければならないだろうというふうに思っております。
#74
○井上美代君 大臣の御答弁にありましたように、今これだけの大失業時代、だからこそ人手が足りていない、人件費を削っている、そういう中で、大臣も言われましたように、本当に働く人たちがリフレッシュしてやっていけるような、そういうものにするということがやはり求められているということで、私もそうだというふうに思います。やはり、その原因というのは人手不足、人がいないということ、だから休めないということ、みんなに迷惑かけるから言えないということだと思います。
 私は皆さん方のお手元に資料をお配りしているんですけれども、この資料の下の方にあります。これは三和総合研究所が出された資料です。そこの中で、「有給休暇の計画的付与」だとかというのも、企業も労働者もたくさん回答しておられます。そうした中で、ちょうど真ん中ぐらいに矢印しておいたんですけれども、「完全消化を前提とした人員配置」というのは企業でも一二%の人が回答をしている。そしてまた、労働者では二六・一というのが出ておりますよね。これを見ても要員の不足が年休取得の妨げとなる一つの原因であるということが明らかになっているというふうに思います。ぜひこれを見て、私は、大臣がもう一歩踏み込んで、やはり職場でもうちょっと人がふえる、そのことによってもうちょっと取得率も上げられるような、そういう状況をつくってほしいというふうに思うんですけれども、その点いかがでしょうか。
#75
○国務大臣(坂口力君) きょうは井上先生、具体的な例を幾つか挙げられましたが、私も具体的な例でお話をさせていただきますと、私がかつて勤めたと申しますか、働きました老健施設があるんです。ここは全体に給料は安いんです、ほかに比べまして。安いんですが、老健施設ですから、人件費が大体決められておりますからそんなにたくさんは雇えないんですが、しかし安い分ゆとりを持って人を雇っているわけです。だから、ちょっと休みたいというときに休めるわけです。それで、そこは給料は安いんですが、そういう融通がきくと。例えば、地方ですから農繁期になりますとちょっと休みたい、それが可能になるわけです。あるいは外国へちょっと遊びに行きたいという人も中にはありまして、それも可能になる。そういうことが可能になるような全体の給料体系。しかし、ゆとりを持って人を雇っているというところもあるわけですね。それはそれで人気があったというふうに私は思っています。
 私もその中の安いので働いていたわけですから、それはもう少しあったらなと私も思いましたけれども、しかしそれは一つの私は経営方針だというふうに思います。その辺のところをこれからの日本がどうしていくかということが私は大きな一つの問題になってくるというふうに思っております。
#76
○井上美代君 お互いに理解を深め人間関係もうまくいくということが、お互いに融通をきかせてということがあると思いますが、私が先ほどから挙げているのは、やはりこうした大失業時代に本当に人が足りないでいるという現場、このことを思うと、今、年休がとれない、五〇%を割ったというその一つの要因というのは人手不足、要員不足だというふうに思いますけれども、それを要因の一つと大臣がお考えになるのかどうかということをお聞きしたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
#77
○国務大臣(坂口力君) ですから、この現在の経済状況の中でいっぱいいっぱいの人件費を使って少しでも高く雇おうということになれば人手不足ということにならざるを得ない、そこは経営者の経営方針であると私は思います。
#78
○井上美代君 経営方針もあるんですけれども、やはり厚生労働省としてそこを努力していただくということもあるんだと思いますが、そこはいかがでしょうか。
#79
○国務大臣(坂口力君) 押しなべて一般的な言い方をさせていただければ、それはできる限り有給休暇というのはとっていただけるような体制が望ましい、そういうふうに思っております。
#80
○井上美代君 私は、この原因が要員不足であるということをずっと申し上げてきたわけです。だから、とれるようにするためには労働大臣としてそこを、人が足りなくなっているところをどう経営者の人たちを指導していくのか、啓蒙していくのか、そういうことであると思うんですね。そこをぜひ考えてほしいと思っているんですが、やはりこの要員不足というのは、それは年休の五〇%を切っているのとは関係ないというふうに思われているんでしょうか。
#81
○国務大臣(坂口力君) 何度か申し上げておりますけれども、そこは経営者の考え方でありますから、みんながもう少しゆとりを持って有給休暇をとっていただけるような企業全体としての体制を確立をしていただかなければならないというふうに思います。
#82
○井上美代君 そうしたら、企業がそのようにやることについて厚生労働省としてはどのような対策をとられますか。要員の問題については何もおっしゃらないのでしょうか。それは認めておられないのでしょうか。
#83
○政府参考人(日比徹君) 私ども、労働時間短縮ということで有給休暇の取得促進も図っておるところでございます。
 先ほども申し上げましたけれども、私ども時短促進のための計画というものも持っておりまして、その中では、決定的に何が原因でどうしないといかぬということではございませんけれども、やはり有給休暇が完全に取得できるということを念頭に置いた要員計画なり業務計画、それを企業として工夫していくということ、先ほども申し上げましたが、それは非常に重要だと。
 したがいまして、現在の状況が要員不足によるものかどうか、それは要員不足ということの考え方、つまり賃金の水準等のこともいろいろあろうかと思います。したがいまして、何をもって要員不足と言うかということにつきましては、今日的にはいろんな御議論あろうかと思いますが、年次有給休暇の取得ということからしますと、これは多忙であればとれないし、あるいは人が現実にいなければ、本人しかいなければなかなか休めない、これは現象的に見ても当然あるわけでございますので、そういう意味で、単なる要員計画だけじゃなくて、要員ということは業務の仕方ということもございますので、要員計画なり業務計画についてやはりいろんな工夫をしていただくことが大切と。
 したがいまして、要員不足という言葉の意味次第でございますが、人手の問題、人の配置の問題、そのことが有給休暇の取得に影響を与えておるということは私ども十分認識しておるつもりでございます。
#84
○委員長(阿部正俊君) 時間ですので、よろしくお願いします。
#85
○井上美代君 私は、もう終わりますけれども、年休の完全取得をすれば百四十万人の雇用拡大ができるんだということもきちんと据えて、要員の問題をしっかりと踏まえて要員計画なりなんなり、今、厚生労働省が力を入れておられるところを押していただきたいというふうに思います。
 これで質問を終わります。
#86
○松あきら君 午前中最後の質問でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。
 我が国の国際収支が変調を来しております。九八年度に十五・二兆円あった経常黒字、二〇〇〇年度には十二・一兆円に縮小しまして、今年度は八兆円を下回る見通しでございます。経常黒字の縮小の主因は貿易黒字の急減ということですね。貿易黒字は九八年度の十六兆円から今年度六兆円まで落ち込むと予想がされております。この異変の背景には我が国の産業の空洞化があると言われて久しいわけでございます。物づくりが揺らいでおります。
 海外に進出しているメーカーは売り上げの何割を海外で生産しているんだろうかと、これは海外生産比率、二〇〇〇年で三四・一%、十年前の二倍、十五年前の三倍以上に達しているわけです。ここ数年は大企業だけではなくて中小企業まで中国などアジアへ生産拠点を移しております。しかも、自動車あるいは電機、精密機械といった主力産業の比率が高くて、関連する部品や素材などすそ野の産業にまで生産移転が広がっているわけでございます。
 アジアの人件費の安さ、技術力の向上など理由はいろいろありますけれども、この加速する空洞化というものに対しまして日本は危機感を抱いていると。経済産業省なども産業競争力戦略会議などを開いて検討しているところであるというふうに聞いておりますけれども、製造業基盤の縮小は雇用の縮小でもあるというふうに思います。そうなりますと、非製造業ということも考えていかなきゃいけない。
 その非製造業の活性化というものに対しまして、まず、坂口大臣はどのようにお考えでございましょうか、お伺いしたいと思います。
#87
○政府参考人(坂本哲也君) ただいま御指摘ございましたように、近年、賃金ですとかあるいはコストの内外格差、こういったものに対応しようということで企業の海外への進出あるいは海外移転が続いておるわけでございまして、そういった状況も反映をいたしまして、特に製造業におきましては雇用が減少を続けておるという状況にあるわけでございます。
 こうした中で、製造業はもとよりでございますけれども、お話しございましたように、製造業以外のサービスの分野、こういったところも含めまして産業の活性化あるいは新産業の創出、こういったものによりまして雇用創出を図ることは大変重要な課題であるというふうに認識をいたしております。
 先般、総合雇用対策を取りまとめいたしましたけれども、その中の第一の柱といたしまして、雇用の受け皿整備のために思い切った規制改革あるいは制度改革を通じて新市場あるいは新産業を育成する、そのための施策を取りまとめたところでございます。
 今後はこれらの施策を着実に実施をしながら雇用の受け皿整備を図ってまいらなければならないと思っておりますが、その際には今後雇用創出が見込まれる産業分野へ円滑に労働移動促進をする、そういったことが大変重要な課題になるであろうというふうに考えておるところでございます。
#88
○松あきら君 今、非製造業ということで新産業というお話も出ました。私は、今、実は文化芸術というものが景気回復に大いに役立つというふうに思っているところでございます。うれしいことに、超党派の国会議員で文化芸術振興基本法案が成立をいたしました。物より心の時代にならなくてはいけない、その基礎になる法律ができたことは大いに意義深いことだというふうに思っているところでございます。
 フランスでは、日本の九倍以上の国家予算を文化に投入しております。また、アメリカでは、今回同時多発テロあるいは炭疽菌ということで非常に苦しい今状況でございますけれども、このアメリカでは寄附金の優遇策があるために文化事業への個人の寄附金が一兆円を超すほどあるわけですね。日本は、公的支援の不足に加えまして、不況が芸術や文化に携わる人たちを直撃しております。
 今、アメリカの話を出しましたけれども、一九三〇年代も大恐慌がありました。そして、その最中にルーズベルト大統領は御存じのようにニューディール政策、これを打ち出したわけでございます。これはどちらかといいますとテネシー渓谷開発公社とか、ダムをつくったり土木中心というイメージがあるんですけれども、実はこのニューディール政策のもう一つの柱の政策は文化芸術でございました。連邦美術プロジェクト、連邦音楽プロジェクト、連邦劇場、あるいは連邦作家プロジェクト、歴史記録調査、五つのプロジェクトを設けました。
 美術プロジェクトは、五千三百人の美術家を政府が直接雇用いたしました。二千五百カ所の公共建築物を使用した壁面制作、一万八百の絵画、一万八千の彫刻をつくる。
 音楽プロジェクトは、あのクリーブランド・オーケストラの指揮者のニコライ・ソコロフがプロジェクトリーダーになりまして、一万六千人の音楽家を直接雇用して、それで毎週およそ三百万人の聴衆を前に公演をいたしました。教育面では、十三万二千人の老若男女が毎週音楽教育を受けました。
 それから、劇場プロジェクトは、一万二千七百人の劇場関係者を直接雇用して、毎月千の公演、観客は百万人、そのうち七八%は無料公演なんですね。あの大恐慌の中でもう徹底した文化芸術政策を遂行したわけでございます。
 そして、そのことが実は不景気でどん底に沈んでいたアメリカの国民の心に明るさを取り戻しまして、よし、アメリカ国民として頑張っていこうと、そういう勇気を奮い起こさせたと言われております。そして、そのことが、第二次大戦後の芸術の中心が以前はパリだったんですが、それがニューヨークへ移りまして、ブロードウエーのミュージカルがあのように繁栄を示して、また西海岸ではハリウッドの映画産業が成長していく、そういう基礎になったという、こういうふうに言われております。
 これからの日本のあり方は、特に製造業の空洞化、いろいろ言われておりますけれども、私は今こそこの一九三〇年代のアメリカに見習うべきではないかなというふうに思っているんです。このように日本は第三次産業にもっと力を入れるべきじゃないかと。
 私は、実は先日、国民生活調査会というのがありまして、エコノミストの野村総研の植草さん、日本総研の高橋さんに来ていただいて御意見を伺ったんですね、今の経済の状況、これから日本の経済をどうすればいいかと。
 御存じのように、お二人とも意見が違うんですね。一方の方はもう構造改革をどんどん進めろ、片一方の方は構造改革も大事だけれどもまず景気浮揚があってからだ、景気浮揚が大事だと。こういう御意見は違うんですけれども、私はこの文化芸術、これに力を入れるべきだ、こういうふうに申しました。欧米では文化というのは産業だと言っているわけですね。これを話したら、お二人とも大賛成だと意見が一致なさったわけです。どなたに言っても、皆さん、これを話すと、そうだそうだ、大事だ大事だ、やるべきだと、こうおっしゃるんですけれども、話だけで終わっちゃうわけですね。
 私は、例えばプロジェクトなどをつくって、これは物すごく景気浮揚にいいという、効果があるということはわかっているわけですから、ぜひ調査研究をすべきでないかというふうに思っておりますけれども、これは大臣にぜひお答えいただきたいと思いますけれども、いかがでございましょうか。
#89
○国務大臣(坂口力君) 私もそうだそうだと言いたいわけでございますが、どうも私はぶこつでございまして、なかなか芸術文化がわかりにくい人間の一人でございますから、御指摘になりますことはよくわかるような気もしますし、そして本当にそこまでうまくいくだろうかという心配も正直言ってあるわけでございます。
 いずれにいたしましても、日本の国の中が第三次産業の方に傾斜をしていかなきゃならないことだけは間違いがないわけでありますし、その中にこの芸術文化というのも入るのか入らないのか、第三次産業という言い方の中に入れていいのかどうかもわかりませんが、しかし大きく言えばその中に私は入るんだと思うんですね。
 私も友達がフランスにおりまして、そして芸術文化のその中で絵の仕事をしておるわけですが、いやもうなかなか日本に帰ってこない。もうぼつぼつ帰ってきたらどうだと私は言うんですけれども、やはり向こうの方で働いていると働く場所が山ほどあるというふうに申しまして、そして日本でもらう賃金よりもその倍以上の賃金がもらうことができる、評価が高い、そして多くの働く場所があるということを言っております。確かにフランスと日本とはその点がかなり違うなというふうに思っています。
 おっしゃるように、芸術文化の分野というのは、これは大きく伸びるのかもしれません。また、国民の皆さん方も芸術文化に対しましてはお金を惜しまずにお使いになるという方もたくさんおみえでございます。これはスポーツも入るのではないかというふうに思います。
 先日も、九月三十日だったと思いますが、プロ野球の最終日でございまして、そのときにジャイアンツとスワローズでございましたか、の券を私は二枚求めまして、たしか一万五千円だったというふうに思いますが、二枚求めたわけであります。そうしましたら、最後の日に私の知っておる人がそれを一枚五万円で売ってくれと言うんですね。私ももう売ろうかなと思ったわけでございますが、せっかく求めたものでございますから渡すわけにもいかなかったんですけれども、やはりそれは考えてみれば長嶋監督の最後の日ということもあってアップしたんだと思います。
 やはり、芸術とかスポーツというのには、こういう時代ですけれども、お金に糸目をつけないという方も多いわけです。本当にいいお芝居ですとか宝塚ですとか、そういうところもそうだと思うんですけれども、皆さんもう列をなして一生懸命ごらんになろうとしておみえになる姿を見ますと、やはりこれから先、日本が、日本人がお金を使うというのも今までのやはり物中心からそうした方向に移ってきていることも事実でありますから、消費が伸びない伸びないと言いますけれども、そうしたことがやはり一つの消費が伸びる方向に結びついてくることも事実のように思いますので、これは私のような少しかたくなりかけました頭の中で考えているのではなくて、もう少し柔軟な若い人たちの中でひとつ立案をしてもらって、そしてこれは何かいい方向に行けばと、私もそう思う一人でございます。
 小泉さんだったらもう少し柔軟にあの人は言うかもしれませんが、どうも私はぶこつでございますのでなかなか頭の展開がうまくいきませんけれども、一遍また機会がございましたら総理にも言ってみたいと思います。
#90
○松あきら君 ぜひ総理にも私申し上げたいというふうに思いますけれども、まさに文化芸術プラススポーツだというふうに思います。サッカーなんかも話題になっておりますけれども、これなども見たい人が多くてもう何百倍という抽せんだというふうにも聞いておりますけれども、どうぞ調査研究の方もよろしくお願いを申し上げます。
 そのスポーツなんですけれども、スポーツの中に入るんでしょうか、ここに平成三年から十二年までの日本中央競馬会の売り上げ、税収、雇用人員の一覧表があるんですね。
 日本中央競馬会のシステムは、馬券売り上げのうちの七五%が国民に払い戻されておりまして、残りの二五%のうちの一〇%が第一国庫納付金として国に税収として支払われております。ですから、残りの一五%で競馬会は運営をいたします。そして、余剰金が出た場合、その二分の一、半分が第二国庫納付金となるわけです。
 平成三年の売り上げが三兆四千三百三十八億円で、第一国庫納付金が、その一割の三千四百三十四億円が国庫に納付をされました。十年間を見ますと毎年大体同じぐらいなんですが、三兆円から四兆円という売り上げがあるんですね。そして、約三千億から四千億が第一国庫納付金となって税収に寄与いたしているところでございます。
 しかし、第二国庫納付金となりますと、平成三年には千四十一億円あったものが平成十二年には百五十三億円と六分の一に随分減っているんですね。平成三年千四十一億円、平成四年九百二十七億円、平成五年八百九十三億円、どんどん減ってきてついには、平成十二年にはとうとう百五十三億円になっちゃったわけでございます。
 どうして千四十一億円もあった税収が百五十三億円に減っちゃったのか農水省は分析をしているんでしょうか。また、それに対してどのような見解をお持ちでしょうか。また、第二国庫納付金の増収ということに対しては対策が講じられているんでしょうか。手短によろしくお願いいたします。
#91
○政府参考人(永村武美君) 先生御指摘のとおり、中央競馬の売り上げが平成九年、これは四兆円を超えておったわけでございますけれども、それ以降、やはり景気等の影響を受けまして、あるいはレジャーの多様化等の影響を受けまして、平成十二年度ではこれが三兆四千億ということになっております。
 第二国庫納付金の減少でございますけれども、基本的にはやはり競馬全体の売り上げの減少が響いておるかと思いますし、もう一つの点は、これはほかの公営競技と比較をいたしまして、実は売り上げのピーク、ほかの公営競技は平成三年ぐらいでございました。ところが、競馬は平成九年まで伸びてまいったわけでございますが、やはり競馬会なりに大変いろんな努力をしてまいりました。やはり、快適なレジャー空間を提供するということで、競馬場の改築等もかなりやりましたし、あるいは新しい投票方式も導入いたしましたし、あるいは場外馬券売り場あるいは電話投票の拡充、いろんな対策を講じてまいりました。ただ、これは必然的にそれだけの経費の増加を伴うものでございます。したがって、第二国庫納付金が減少してきたのは、以上申し上げたような経費の増加ということもあろうかと思います。
 ただ、今後私ども、いずれにしても国家財政に寄与しておるわけでございますし、何とかして売り上げをまずふやしていく、むしろ減少を食いとめる、このためにいろんな手だてを今講じようとしております。
 例えば、今、勝ち馬投票券の種類はいろいろございますけれども、例えば一着と二着を順番どおり当てるとか、あるいは一着、二着、三着の着順に関係なく当てるとか、新しい投票方式を導入しようとか、あるいは電話投票も、今十四万人程度の加盟でございますけれども、これを二十万近くにふやそうとか、いろんな努力でとりあえずは売り上げを増加させたい、これが基本であろうと考えております。
#92
○松あきら君 最近十年間の従業員数の推移を見ますと、平成三年では延べ人員、延べですけれども、百七十四万人あったんです。この延べ人数というのはどういう計算かなと。土日しか来ないとかいろんなそういう方もいてそういう勘定なんでしょうけれども、それが、単純に言えば、平成十二年では百五十万六千人、二十四万人減っているんですね。多分、これは人員を減らしているというか、経費節減をしているということだろうというふうに思います。
 また、競馬会は自動馬券発売機をふやしている。平成三年には三百七十八台、それが平成十二年七千六百九十七台、こんなにふえたんですよ。
 さて、従業員は減りました。馬券発売機は二十倍にふえました。そして、売り上げは実は減っていないんですよ、十年で。これが減っているならわかるんですけれども、減っていない。従業員を減らして馬券発売機を導入してふやしたら、第二国庫納付金が減ってしまったと。これ考えますと、何か何でもかんでも人を減らして機械化すればいいというものではないんじゃないかと、そういうふうに思うんですね。もちろん経営ですから、いろいろな企業によっては人員削減も仕方がないところもあると思います。しかし、こういうことがある。
 このように十年だらだらだらだら減少していく第二国庫納付金の実情を見ましても、JRAが機械化して、これ必ずしもいいことじゃないと私は思うんですよ、人員は減ってきたんだけれども。
 これについて検討がなされてきたんでしょうか。
#93
○政府参考人(永村武美君) このJRAの窓口の従業員の数は、今、先生御指摘のとおり、この十年で百七十四万人、これはとりあえず延べ人員でやっておりますのは通年雇用でないためでございます。
 それで、私ども機械化を進めてまいりましたのは、実は売り上げを増大させるという目的ではございません。基本的には、どうしても現金の受け渡しがございますのでいろんなトラブルがございます。このトラブルを回避するということと、やはり効率化ということをねらいとして自動発売機をふやしてきた経緯がございます。したがって、売り上げとは直接私ども関係させるという意図はございません。
#94
○松あきら君 今そういうふうにおっしゃいましたけれども、私、JRA、二回しか見に行ったことがないんですけれども、ちょっと行かせていただきました、知り合いがおりますので。加賀騎手もよく存じ上げています。見に行きました、昔のですね。やっぱりこれはサービス業的な面もあるんじゃないかなと思います。
 例えば、余りいいことじゃないかもしれませんけれども、不景気になると、不況になるとギャンブルがはやるというか関心が向くというか、あるいは宝くじが売れるとか、まあいろいろ言われています。対面ですと百円下さいとか三百円下さいと何となく言いにくいな、千円札ぐらい持っていこうかな、でも自動販売機だったらもう百円でも二百円でも構わないななんて、こういうこともやっぱりあるんじゃないかと。女性でいいますと、例えば今、化粧品の対面販売というのもだんだん減る傾向があるんですね。これもいろいろあるんですけれども、意見は。つい、買いに行って、あら奥様、目元がちょっと乾燥していらっしゃいますからぜひこれをお勧めしますなんて言われると、自分が思っていたのよりも高いんですけれども、ちょっとつけさせてくださいなんて手につけられて、しっとりしますでしょうなんて言われると、つい、そうかなと思って高い方も買ってしまうとか、こういうこともあると。いろいろな私はやっぱり状況があるんじゃないかなというふうに思うんです。
 ですから、例えば今の人員削減も企業によっては仕方がない、それはあります。あるけれども、こういうふうにある種、人を減らしてあるいは機械化したけれども税収は上がらないというところもあるわけですから、こういう機関がほかにもあるんじゃないかと。やはりこれは、就労のため、あるいは税収ということ、そういう両方の観点でぜひ調査研究をお願いしたいと思いますけれども、いかがでございましょうか。
#95
○政府参考人(永村武美君) 先ほどのお答えをまた繰り返すことになるんですが、ただ、委員おっしゃいましたように、有人、人による販売自体大変きめ細かいサービスを提供できる、これは私どもも認めておるわけでございまして、例えば初めて競馬場に来られたとか、馬券の買い方がなかなかわからないとか、あるいは高齢の方々とか、そういった方々に対するサービスというような面ではすぐれておりますし、現在でも機械化を進めておりますが、いまだに百五十万人、延べでありますけれども、雇用しているという現状については御認識をいただきたい、御理解をいただきたいと思います。
#96
○松あきら君 話は変わりますけれども、千葉県の野田市では雇用促進調査員制度というのが好調という記事がありました。
 野田市は独自に十一月から一カ月間で七社、二十三人の雇用需要の掘り起こしに成功したというんですね。市の調査員が企業を訪問して求人情報を入手する制度で、情報提供を受けた松戸職安野田出張所はこの制度をとても歓迎していると、ぬれ手でアワで大喜びということらしいんですけれども。完全失業率、残念ながら五・四%でございます。このために緊急雇用対策が講じられているわけでございますけれども、やはり職安の職員だけでなく市の職員が企業訪問している、そして求人の掘り起こしをしているというのを聞いて、こういう努力もしてくださっているんだなというふうに思いました。
 求人は市内の小売業、自動車部品製造、いろいろあるわけですけれども、二十三人、小売関係からは店長候補というのもありました。市はさらに積極的な求人活動を進め、職安に情報提供したいと言っているそうです。いろいろな会社は自分から足りないです、今一人足りないです、二人足りないですと言いに行くのも面倒くさいと、来てくだされば実はこうなんですというふうに申し上げられるのでこの制度は非常にうれしいと、こういうふうにおっしゃっているんですね。
 これは、野田市の雇用促進調査員制度というのは市独自に進めておりまして、十一月から商工労関係の経験豊かな市の職員OBが一人で企業を回り、これは一カ月に百三十四社を訪ねて事業主と対面して、これが二十三人候補になったわけですね。掘り起こしたわけでございます。ですから、今月からは二人にふやして情報の収集活動を行って、四千六百社余りある市内の事業所すべてに戸別訪問する予定、そうするとかなりの掘り起こしができるんじゃないかなと言っているわけですね。
 緊急地域雇用特別交付金、これはそれぞれ自治体で独自に考えて使っていただくわけですけれども、こういったことにもぜひ私は活用したらまさに雇用拡大に直接効果があると思います。こういった、こういういいことをやっていますよというようなことも省の方から宣伝をするという意味も含めまして、推進していただきたいと思いますけれども、これも御見解を伺いたいと思います。
#97
○国務大臣(坂口力君) 野田市の記事、私もちょっと拝見をいたしました。野田市長さん、私もよく存じ上げておりますが、なかなかのアイデアマンでございますし、大変御協力をいただいて感謝を申し上げているところでございます。
 おっしゃいましたように、やっぱりそういう、何と申しますか、人脈が非常に多い人というのは大変な力を発揮されるんですね。私の方のハローワークにおきましても、大阪におきまして、大阪がそういう企業の中でいろいろ御努力をして、おやめになった皆さん方を何人かお雇いをしているわけですが、その人たちだけで、去年だと思いますけれども、一万人を超える雇用開拓をしていただいたということを言っておりました。これはだれが行ってもできる話ではないんだそうでありまして、そういう人脈の非常に多いような人たちがいろいろの企業に行っていただいていろいろのお話をしていただく、その中で開拓されてくるということを言っておりました。恐らく野田市の場合にも、そうした大変いい人を選んでおやりをいただいているのではないかというふうに思っております。
 今回の特別交付金がそうした方々にも使っていただくということになれば、それは短期間ではありますけれども、その人たちの雇用にもつながるだけではなくて、その人たちがまた掘り起こしていただく雇用が非常に大きいわけでございますから、一石二鳥と申しますか、倍々ゲームになると申しますか、そうした意味で大変私は意味合いが大きいというふうに思っている次第でございます。
 地方が独自にそうしたお取り組みをいただいておりますことに本当に感謝を申し上げておりますし、ぜひこれからもまたお願いをしたいとも思っております。
#98
○松あきら君 時間があと二分でございます。もう質問はここでやめます。
 いつも悪い数字ばかりなんですけれども、新卒採用企業わずかに増加ということで、前年度より一・九ポイント増加をしたという報道もございます。私、これを見ましたら、選考で企業側が重視する要素の第一位はコミュニケーション能力、続いて主体性、チャレンジ精神、誠実性、協調性、責任感の順だったと。
 これは直接質問とは関係ないんですけれども、今の子供たちが育っている状況、あるいは教育の中で何が今問題かというと、まさにこのコミュニケーション能力がない、あるいは主体性、自分で考えて行動ができない、チャレンジ精神がない。子供たちに今欠けていることが実は企業あるいは社会が一番必要としていることなんですね。
 こういうことをしっかりと大人の一人として、そしてもちろん国会議員の一人として重く受けとめて、そしてまた、しっかりとした対策をやはり講じていかなければならないと決意をした次第でございます。
 以上で質問を終わらせていただきます。
#99
○委員長(阿部正俊君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時三十分休憩
     ─────・─────
   午後一時三十分開会
#100
○委員長(阿部正俊君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、経済社会の急速な変化に対応して行う中高年齢者の円滑な再就職の促進、雇用の機会の創出等を図るための雇用保険法等の臨時の特例措置に関する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#101
○今泉昭君 民主党・新緑風会の今泉でございます。
 この法案に関しましては最後の質問を承ることになりました。長時間でございますけれども、少しおつき合いをぜひお願いしたいと思います。
 実は、私、この法案が出まして、地方に参りましていろいろ話をしておりますと、えっ、これが緊急経済対策なのと、こういう反応が大変強いんですね。これはもう性質上やむを得ないことだと思いますし、我々政治家の立場ですと、ある程度その仕組みがわかっていますから理解はできるんですが、ほとんどが補正予算の中に取り込まれてしまいまして、法律自体は実に簡単なものですから、一般的に今国会の目玉になるんじゃないかと思われてきた雇用国会、そしてしかも緊急雇用対策というような意味合いで流れていた関係上、もう一様に皆さん方は不思議な顔をされる。これで本当に大丈夫なんですかというような気持ちを持っている方が大変多いんですね。
 そういう意味で、私自身もきょう長い時間いただきまして質問いたしますが、本当にこれで大丈夫なんだろうかということをベースにしていろんな質問をさせていただきたい、こういうふうに思います。
 まず最初に、現下の経済情勢というものについて少しお尋ねを申し上げたいと思うんですが、政府はさきに閣議でもって我が国の今後の経済見通しを下方修正されました。当初の経済見通しでございますと実質一・七%の経済成長を見込んでことしの経済運営をされたというふうに理解しておりますし、その中には失業率も四・五%程度はやむを得ないと、こういう前提で経済がこれまで運営をされてきたと思います。それがこの年末に来ましてマイナスの〇・九%という見通しを立てられました。
 この少し具体的な根拠と、残されました、まだ五カ月あるわけでございまして、五カ月間に我が国の経済がどのような形になるつもりでこういう〇・九%という形に下方修正されたのか、そのことをまずお聞きしたいと思います。
#102
○政府参考人(薦田隆成君) お答え申し上げます。
 平成十三年度の当初の経済見通し、これは昨年の暮れに閣議了解、ことし閣議決定ですが、おっしゃられましたように、当初見通しでは経済成長率につきまして十三年度一・七ということを見込んでおった次第でございます。十一月九日の時点で内閣府の試算ということで経済見通しの見直しを発表させていただき、閣議でも大臣から御発言いただいたわけでございます。
 当初の見通し当時に想定していたこととかなり状況が変わってきたというのでございます。アメリカ経済についても、予想していなかったわけではないんですが、減速が非常に予想を上回ったと。重ねて、例の同時多発テロ事件の発生等によって世界経済の先行きが不透明になっていくと。そういう中で、我が国経済が主に輸出の減少というものを通じて国内の生産あるいは設備投資が減少するということで、外需、それから内需の中の民需というのが大幅に落ち込むことが予想されるということで、本年度の成長率見通しにつきまして、プラスの一・七から大幅下方修正ということになりますが、マイナス〇・九%程度と見直しをした次第でございます。
#103
○今泉昭君 これまでの我が国の経済の動向を見てみますと、近々第二・四半期の経済成長の実態が発表されると思うんですが、少なくとも第一・四半期におきましては既にもうマイナス〇・七%というような状態にあるわけですね。
 これまで各研究機関やそれぞれのシンクタンクが発表している第二・四半期の我が国の経済状況の予測を見てみますと、プラス成長になるという予測は一つも、例外的に一つあったようですが、それも下方修正されたようでして、全く皆マイナス成長をこの第二・四半期も予測をしている。しかも、その幅というのはマイナス〇・五%から一・五%ぐらいの幅になっている。平均するとマイナス一%ぐらいでしょう。
 そうしますと、これは予測でありますから何とも言えませんけれども、少なくとも第一・四半期のマイナス〇・七%という実績をベースにした場合、このマイナス〇・九%に予測を修正されたというのは第二・四半期も含めてほぼゼロ成長程度のもので実現するという内容のものではないかと思うんです。しかしながら、実態はもう既に第二・四半期すら一%近いマイナス成長が各研究機関で発表されているということになりますと、第三・四半期、第四・四半期で相当なこれはプラス成長がないことには、今の段階でももう既にマイナスの〇・九%ですか、これの達成というのは大変至難だと思うんですが、この辺についてはどういうふうに考えていらっしゃいますか。
#104
○政府参考人(薦田隆成君) お答え申し上げます。
 十一月九日に年度の見通し、GDP成長率マイナス〇・九という見通しを出したわけでございますが、全く機械的な計算をしますと、残り三四半期若干のマイナスでそういうことだということでございます。
 今お話がありました第二・四半期、七月から九月のGDP統計、実は明日発表になるものでございます。それを見ました上で、私どもとしましては、十四年度の経済見通しとあわせて十三年度の実績見込みというものを突貫作業でやるというふうにいたしております。したがいまして、その際に、あわせて四―六月期につきましても、ちょっと物価の基準年の移動等の統計がございますので、その辺を精査して作業をしてまいりたいと思っております。
#105
○今泉昭君 ということはあれでございますか、第二・四半期の発表があすですか、それを受けて来年度の予算編成並びに改めて経済予測を出されると、こういう段取りという意味合いですね。わかりました。
 そこで、あわせて実は下方修正の中の一つの大きな関心事として出てきたのは、失業率を当初は四・五%にしていたものが五・二%というふうにこれもまた、下方修正という表現はおかしいんですが、高目な修正をされているわけですね。これも実は見てみますと、今後五カ月間において今の失業率五・四%をそのまま据え置かなければこれは実現できないんですよね。
 私ども、常識的に考えてみましても、同時多発テロの今後の我が国経済に与える影響や、さらにはまた国内的には狂牛病の問題も経済の足を引っ張ることはもうこれは間違いのないことでありますし、さらに今後、いわゆる構造改革と称する不良債権処理に伴って、内閣府自身が出されておりますように、失業者が相当数出るということを考えてみますと、その予測を考えてみただけでもこの五・四%横並びに行くということは到底考えられないわけでありまして、私どもは、政府が出すのはこれは政策的な目標値であり指標でございましょうから、余り暗い数値を出していたのではこれはいろんな意味で差しさわりがあるからこういう数値を目標にして設定したという政策数値であろうとはわかるんですが、率直な話、五・二%という失業率では済まないと思うんです、年度間において。
 どのように考えていらっしゃいますか。
#106
○政府参考人(薦田隆成君) 十一月九日の見通しの見直しを出した際には、失業率の足元の数字、たしか九月の五・三%というところまで出ておったと思います。私どもといたしましては、改革先行プログラムの実施による雇用創出効果というものも若干あるのではないかということを織り込みましたけれども、ただ、四・五に改善するというような年度当初の見通しというのは到底難しいということで直近までの状況を織り込み、さらに、おっしゃられましたように不良債権処理、これにつきましては試算というものを六月でしたか、出したことも参考にいたしまして、年度全体で五・二程度という形にさせていただいたわけでございます。
 今おっしゃられますように、十月までの実績というものを機械的に計算をしますと、残り五カ月が大体おっしゃられたような数字でないと、計算上そういうことになろうかと思います。私ども、また繰り返しになりますけれども、十四年度見通しの際に十三年度の実績見込みというものをあわせて作業をいたしますので、それが多分再来週になろうかと思いますけれども、そこで十三年度についての見込み数字というのも出させていただきたいと思っております。
#107
○今泉昭君 厚生労働大臣にお伺いしたいんですが、今、内閣府の方から経済の見通しやあるいはまたこれからの雇用情勢について内閣府として作業をしてまとめた数字の説明があったわけでございますが、当然、内閣としてこれらをベースにしていろいろな政策がこれから検討されるべきだろうと思うんですが、今の説明によりましても、我が国の経済が今回の補正予算程度の対策で上向きの傾向に行くということはちょっと考えられませんし、失業率そのものもどう考えてみても現在の五・四という水準をそのまま維持していくということができないということを今の説明からは感じ取れるわけでございます。今後の展望の中で、厚生労働大臣としては恐らくいろいろな対策が必要ではないかということを考えられるような時期が出てくるんじゃないかと思うわけです。
 例えば、実は一カ月前でございましたか、厚生労働大臣の所信に対する一般質問の中で私が、まだ五・三%という失業率が発表されない二、三日前の段階で、今の雇用状況が緊急事態ではないかと、そういう考え方で対策を政府としては練る必要があるのではないかということを申し上げました。そのときにはそういう言葉を大臣は使っていただけませんでしたけれども、私が質問した数日後に五・三%という失業率が発表されました。そのときに、私自身は新聞の記事で見たわけでございますが、大臣の発言の中には、この数字を見て緊急事態というふうな認識でもって対応しなきゃならないというふうな発言をされました。それからまた、実は先月の失業率の発表、五・四%になったときに、坂口大臣はさらに一歩踏み込まれて、今までの雇用対策では対応できないような状況になっていると理解をすると、こういう発言をされているわけであります。
 今、私が申し上げましたように、内閣府のいろいろな説明によりましても、さらにこれから、大変残念なことではございますが、我々は失業率が悪化するということを覚悟しなきゃなりませんし、そういう事態を考えながら来年度の予算に当たっては相当思い切った雇用対策を打ってもらえるものだというふうに私も期待しているんですが、それについての坂口大臣の所見をお伺いしたいと思います。
#108
○国務大臣(坂口力君) 前回に御質問をいただきました直後に五・三%という数字が出まして、非常に緊急事態であり、容易ならざる事態だということを申し上げたわけでございます。また、その後テロ等が起こりまして、これは九月よりも十月の方がその影響は大きいだろうというふうにも思っていたわけでございますが、その予測どおり、十月の値というのは五・四、しかもその中で男性は五・八という数字になったわけでありまして、この出口のところでやっておりますいわゆる雇用政策という段階だけでは、雇用政策という範囲だけではもう対応がし切れないぎりぎりのところまで来ていますと。やはり全体として対策が必要になるのではないか、いわゆる局所療法としてはもう限界に近づきつつあるのではないか、いよいよ全身療法の必要性があるのではないかということを申し上げたわけでございます。
 これから先、まだ不良債権の処理でありますとか、それから規制改革というのはこれからでございますから、今後さらにこの雇用状況が厳しい状態になることは覚悟をしていかなければならないというふうに自覚をいたしております。
 したがいまして、今後どういう雇用対策を行っていったらいいのか、私もこの二、三カ月ずっと考え続けているわけでございますけれども、一番大事なことは、新しい雇用を見つけ出す、いわゆる雇用の創出ということがスムーズに進めば、これはもうこれに増した対策はないわけでございますから、新しい雇用の創出ということにもう全力を挙げていかなければなりませんが、ここはそう簡単なことではないんだろうということもよくわかっているつもりでございます。
 今までの旧労働省から続いてまいりましたいわゆる雇用対策、これはもうまことにきめ細かな雇用対策でございますし、これ以上いろいろなことが考えにくいというほどいろいろなことを組み合わせました雇用対策でございますので、ここに新しい雇用対策を求めるというのにも、これも正直なところを言って限界があるというふうに思っています。ただ、量的な拡大をどうするかという問題は残っておりますから、量的拡大はできるといたしましても、質的にさらに新しい雇用対策をというのはなかなか考えにくいような現在のところの細やかな雇用対策でございますから、そこもなかなか難しいだろうと。
 それじゃ、一体これをどうしていくのかということでございますが、先般来話題になっておりますワークシェアリングの問題等は新しい問題でございますし、これは大枠のところで考える課題でございますから、そうした新しい大枠のこともこれからいよいよ加味をしていかなければならない。しかし、ワークシェアリングといえども、これは起こってまいりましたことに対してどうするかという後追いの政策であることも間違いがないわけであります。そこを後追いだけではなくて、ワークシェアリングなどの大枠の政策は後追いだけではなくて、このことによって新しい日本の中の雇用のあり方、もう少し広げて言えば生活全体のあり方をどう変えていくかということにこのことが結びついていくようになれば、それは私は新しい展開がここに開けてくるものというふうに思っている次第でございます。そうした新しい大枠のことを、やはりワークシェアリングだけにとどまらず、もう一、二考えながらこの局面に対応していかないと、もうその部門部門の、局所局所の対応だけでは対応し切れないという思いを持っております。
#109
○今泉昭君 ありがとうございました。
 大変踏み込んだ、どちらかといえば我が国の各種政策が縦割り行政の中でそれぞれの省庁がばらばらな対応をされているという問題を持ちながら、この雇用問題というのは、厚生労働省だけの問題ではなくして、大変広い範囲での横の各省庁のつながりを持って大きな政策を根本的に打ち直していかないと大変な事態になるということでございますから、そういう論議に一歩踏み込んでいただいたということは大変結構だと思います。
 後ほど私はそれらの問題についてまたお伺いをいたしますが、引き続きまして内閣府の方にお尋ねをしたいと思うわけでございます。
 経済財政白書を見せていただきました。その中で我が国の現在の潜在成長率一%程度というような理解をされ、見通しを立てられているわけであります。御存じのように、我が国は年々人口もこれから減っていくでしょうし、労働力の数も減っていくわけでございます。さらに、残念なことながら、投資も対内よりも対外へ対外へとどんどん逃げていくような状況でございます。残されたところといえば科学技術を、新しい技術をどのように生み出していくかというところに大変大きな期待が持たれていると思うんですが、潜在成長率一%というものの中心をどのように考えていらっしゃいますか。
#110
○政府参考人(岩田一政君) ただいまの御質問でありますが、私どもの白書では、御指摘ございましたように、一九八〇年代には四%程度の潜在成長率であったものが九〇年代前半にはその半分の二%、現在の足元では一%まで落ちてきてしまったということでありますが、その主な要因といいますのは、どうしてここまで下がってしまったかといいますと、一つは労働投入がこの期間、九〇年代に入りましてからかなり減少しているということがございます。それから、経済全体の生産性の伸びが九〇年代に入りまして非常に小さなものになってしまった。その結果、現在の足元では一%であって、その一%の中身を見ますと、主に資本投入といいますか、これは設備投資等によりまして資本ストックがふえるということでその潜在成長率、主に一%の中身ということになっております。
#111
○今泉昭君 どうでしょう、中長期的に見て、その資本投資を軸にして我が国の今後の経済成長というものを期待していかなきゃならない国柄になってしまうんでしょうか。
#112
○政府参考人(岩田一政君) ことしの白書では、今行おうとしております構造改革、構造改革の中身には不良債権処理の問題も含まれておりますが、不良債権の問題というのは非製造業にどちらかといいますといろいろな問題が残っておりまして、九〇年代、業種別に見ますと生産性が落ちてしまったのはこの非製造業の部門であります。ですから、この構造改革がうまく進んで不良債権の問題が解決するというようなことになりますと、非製造業の部門で生産性がかなり回復してくるということが考えられます。
 経済全体の生産性が恐らく〇・五%ぐらい、今ゼロに近くなっておりますが、〇・五%分ぐらい経済成長に寄与して、残りは御指摘のように資本ストックの伸びが四%程度あって一・五%程度寄与する、そういうような姿が描けるのではないかと。これはもちろん構造改革がうまくいった場合ということでございます。
#113
○今泉昭君 これからの我が国の成長に期待をするというのは、今大変問題になっている労働力に対応する雇用の増加ということは余り期待できない。しかしながら、労働力人口が減るにもかかわらず雇用不安が拡大をしている。そういう中で、これからはむしろ我が国の資本をもう少し投下することによって何とか我が国も成長していかなきゃならない、こういう状況にあるという御説明でございましたけれども、その前段の段階として構造改革なり不良資産の整理という問題が当然あるわけでございますが、大体中長期的に今の政府の計画からいって失業率というのは当分の間何%ぐらい覚悟しておかなきゃならないんですか。どのようにこれは推計されますか。
#114
○政府参考人(岩田一政君) ただいまの御質問でありますが、経済全体の需要と供給というのを眺めますと、現在の需要と供給のギャップ、供給力と比べまして需要の方が小さい、そういう姿になっておりまして、最近の一、二年でありますと、そのギャップが三ないし四%ございます。
 それで、経済全体の需要が供給に比べて不足しているということはやはり労働市場にもそれは影響を与えるわけでございまして、経済全体の需要と供給の、供給がどちらかといいますと超過しているというような場合には失業率も高まるという、こういう関係がございます。
 それで、大まかに言いますと、オーカンの係数と言われておりますが、GDPの需給のギャップの三を掛けるぐらいですね。ですから、今仮に三%の需給ギャップがあるということだとしますと、失業率の方もやはり高まるということになるんですが、失礼しました、失業率といいましても、構造的な失業率とそれから経済全体の需要と供給の差を反映して決まるようないわば循環的な失業率というのがございまして、それを別途白書の方では計算しておりますが、足元五・三とか五・四になっておりますが、構造的な失業率の方は四%程度あるということでございますので、その差をとって一・三%とか一・四%に例えば三を掛けてやりますと、GDPギャップがやはり別のやり方ではかりました経済全体の需要と供給のギャップであります三ないし四に対応するというような関係になっております。
 ですから、現実の経済が潜在の成長率をかなり下回るような状態が続きますと失業率の方も悪化するという、こういう関係があるというふうに言えようかと思います。
#115
○今泉昭君 失業率の三分の二が構造的な要因だという認識で、この構造面での解決が図られなければ現在の失業率はさらに景気の要因を含めて下がっていかないというふうに受けとめていてよろしいんですね。
#116
○政府参考人(岩田一政君) そうですね。御指摘のように、やはり構造的な失業の部分も、これを減らしていくような政策が必要でありますし、それから需要を適正な水準に管理するということも重要な政策だというふうに考えております。
#117
○今泉昭君 ありがとうございました。内閣府の方は結構でございます。
 続きまして経済産業省の方にお聞きしたいと思うんですが、景気がとにかく立ち直らなければなかなか雇用状況がよくならないというのが常識的な国民一般の受けとめ方だろうと思いまして、国民の皆さん方は何とか景気よくしてくれよという気持ちは大変強いと思うわけですね。しかしながら、今、我が国はいろんな意味で、特に構造的な要因が強いんでしょうけれども、景気がすぐにも立ち直るという状況にはないということを残念ながら認めざるを得ないと思うわけです。
 そこで、経済産業省としてはいろいろな我が国の将来図というものを描いていらっしゃると思うんですが、二十一世紀の我が国の産業、いろいろな産業の構造改革というものを計画されておられると思うんですが、この産業の構図というものを今までと違ってどのように変えていこうとされているのか、そのことを見ながら我々も雇用対策との関係を見ていかなきゃならないと思うので、経済産業省が考えていらっしゃる日本のいわゆる再生という問題について、ちょっとお話をいただきたいと思います。
#118
○大臣政務官(西川太一郎君) 今、物づくりの基盤についての振興法を事務局長として超党派でおまとめになった今泉先生から、日本経済、特に産業構造の将来にわたる変化、経済産業省はどのようにとらえているのかと、こういうお尋ねでございますが、一つは、御案内のとおり、産業の空洞化という足元の大変深刻な問題に対応していかなければいけないだろうというふうに存じております。
 御案内のとおり、国際競争力というものをいかに確保していくかという観点から、比較生産費の観点からも三十分の一という人件費を現実に提供しております中国のようなところに国際競争力を強化するために国内産業のいわゆる拠点を移すという空洞化現象が進んでおりまして、先生御案内のとおり、海外生産比率が年々増加をしております。十一年度で一二%台、さかのぼって十年度で一三%、まだ内々の数字で公表しておりませんけれども、十三年度には一五%台にもなるであろう、こういう状況の中でやはり何といっても従来の産業に依存するというわけにいかないだろうと。やはり、科学技術による新たな産業を起こして、国際競争力に十分耐えられる新産業をまず起こしていかなければいけない。
 そういう意味では、知的財産権をいかに活用するかということもございまして、当省といたしましては、大学発一千社というスローガンでございますが、大学の研究成果をいかに新たな日本の産業シーズに変えていくかということで努力を今いたしているところでありますが、きょう現在、まだ百二、三十の企業化しかできておりません。
 そういう中で、バイオでありますとか、これは話が大きくなって恐縮でございますが、お許しをいただいて申し上げれば、先生も十分御存じの旧地場産業でございますが、いわゆる産業クラスターというふうに私ども呼んでおりますけれども、クラスターというのは魚の群れでありますとかブドウの房のような、いわゆる一定地域に得意わざの産業が集中している、そういうものをどんどん育てて、全国レベルで三千社ぐらいの新産業や元気のいい産業を起こしていこう、こういうようなことに切りかえて国際競争力を獲得していかなければいけないだろうと。また、大変言うはやすくして行うのは難しいのでありますが、高コスト体質をいかに改善していくかということもこれからの産業の中では重要であろうというふうに思います。
 そこで、いわゆる研究開発投資を重点化して、ライフサイエンスでございますとかIT、環境それからナノテクノロジーという、例えば東京ドームをコップのようなものと見立てて、そこに一グラムの物質を溶かしまして、コンピューターで一兆分の一に当たるんでございますが、それが砂糖であるのか塩であるのかということを、これをナノテクノロジーと申しますけれども、そういうようなことも、今、日本は世界で数少ない技術開発のできている国でもございます。そういうようなものを積極的にやっていきたい。
 それから最後に、先生最も御関心のございます雇用が、人手を省力化するのではなくて、すぐれた能力を持った方々が日本にいて十分産業を支えていただける、そしてその方々の発明、発見、こういうものに依存して新しい経済産業社会をつくっていく、こういうような気持ちを持っております。
 不十分でございますが、お許しをいただきたいと思います。
#119
○今泉昭君 政府におきまして、産業構造改革・雇用対策本部とでも言うんでしょうか、そういうのを設けられておりまして、省庁を超えた総合雇用対策などをとられているというふうに承っております。そういう中の一つの柱に雇用の受け皿整備のための思い切った規制、制度改革ということを打ち出して、新しい市場、新産業を育成するというふうに言われていると私どもは承っているんですが、そういう中での検討で、御存じのように、我が国は資源の全くない国であります。
 そういう意味では、これまで我々が古い世代の教育として受けてきたのは、資源がないから外国から原材料、資源を輸入して、それにできるだけ多くの付加価値をつけてそれを海外に輸出をして、それで国を支えていこう、それで国づくりをしていこうということが戦後の我が国の製造業の大きな発展の柱になっただろうというふうに私どもは思っているわけでございますが、年々いわゆる製造業の比率が低下をしてまいりまして、サービス産業に取ってかわられて、雇用の受け皿としてもサービス産業が大きいというように言われる、そういうような事態になってまいりました。
 そういう中で、もう我が国はこれ以上製造業にしがみついていく必要はないんじゃないかという論議も、いわゆるこれ以上物づくりにこだわる必要ないんじゃないかという論議もあるくらいに実は製造業が減少してきたことも事実であります。しかしながら、私自身はそう思っていないわけでありまして、アメリカが例のレーガン時代からクリントン時代になって経済復興したのも、アメリカの製造業を復権した上でIT産業をこれに結びつけたということが大成功に結びついたわけでございますから、資源のある国のアメリカでもそうであったわけですから、資源のない我が国においては製造業の重要性というのはますますその重きをなしていくと思うんですが、残念ながらどんどん全体の生産額も雇用の数も減ってきていることは事実であります。
 この産業構造改革・雇用対策本部の諮問機関ですか、そこで出されているのもどちらかといえばサービス産業を中心とした雇用の受け皿に大変熱心のようでございます。五百三十万人からの雇用の受け皿というのはサービス産業にすべて期待をしているというような状況にあるんですが、経済産業省としては、今後の我が国の展望から見て、製造業の我が国の全産業におけるウエートというのは今後どの辺まで下がっていくというふうに予測されておりますか。どのくらいは落ち込むことを覚悟しなきゃならないというふうに考えていらっしゃいますか。
#120
○大臣政務官(西川太一郎君) 明示的にどれくらいまでという比率を申し上げることはなかなか困難でございますが、私、先生のお考えは全く正しいというふうにまず御評価を申し上げなければ、生意気な言い方でございますが、賛同をしたいというふうに思います。
 どんなに経済がサービス化していっても、やはり我が国は、先生御指摘のとおり、全く無資源国家でございまして、いわゆる既存産業も新産業も含めて付加価値をいかに高めていくかということに生きる道を求めていかざるを得ません。そういう意味では、例えば自動車産業においてもまた違う形の高付加価値化がございますでしょうし、例えば環境に優しい産業というものは単にそれがサービス産業であるということは私は言えないというふうに思います。
 そういう意味で、物づくりというものを基本にした製造業を日本に復権させていくということは、これはもう永遠の命題だろうと。それは、日本が無資源国家であり、いわゆる物を加工し高付加価値をつけて諸外国に売って暮らしていかなきゃいけないという意味では、サービスを日本から輸出するということは、大陸国家ではございません島国国家としては、私はいろんな意味で物理的な制約もあるだろうと思います。
 そういう意味で、先生御指摘のように、製造業は若干サービス業に食われていくであろうというふうに思います。思いますが、しかしITのようなものをどんどん活用しても最終的には雇用はふえるわけでございます。そういう意味で私は、若干製造業の比率がサービス業に食われるというような気はいたしますけれども、まことに不勉強で申しわけないのでありますが、明示的にこの場で御答弁を申し上げることは不可能でございます。お許しいただきたいと思います。
#121
○今泉昭君 ありがとうございました。
 特に私が危機感を抱いているのは、例えばつい最近のことでございましたけれども、新潟で新潟鉄工という、日本ではその道のナンバーワンの企業と言われた舶用エンジンやあるいはモーターやら工作機械をつくっていた百年を上回る名門企業が倒産することになりました。これは氷山の一角でございまして、けさの新聞を調べただけでも、何と製造業におきまして第一部上場企業で株価が百円割れをしている企業が八十社を上回るような状態になっているんですね。だから、これは新潟鉄工の倒産だけの問題ではなくして、製造業は刻々とそういう意味では危険な立場に立たされてきているわけです。これまでの我が国の経済を担い雇用を大きく吸収していた。これに対して、産業政策として経済産業省としていろいろな形でのこれは産業の指導なりあるいは行政的な打ち方とかいうことを工夫していただかなければならないんじゃないかということを思っているわけです。
 それだけではなくして、実は御存じのように我が国はつい十年前までは物づくりの基盤と言われていた基盤集積地というものが五百カ所ぐらい全国に点在をしておりました。ところが、今数えてみますと、もう二百五十を切っちゃっているわけですね。いわゆる物づくりの集積基盤地というのがどんどんどんどん消えてなくなっている。これとちょうど並行するような形で製造業の中心的な企業がどんどんどんどん姿を消している。大変淋しい思いを私自身するんですが、それだけの問題ではなくして、雇用の問題にとりましても、将来の我が国の産業、もし製造業がどうしても必要だとするならばこれを無視していくわけにはいかないんじゃないだろうかという大変な危機感を実は持っているわけです。
 その中で、特に聞こえてくるのは、国際化が進んでいる、国際競争力をつけるような産業をつくらなきゃいかぬということがよく言われる。そして、高付加価値の産業を育成しなきゃならない、こういうことを言われているんですが、国際競争力で最も今我が国が問題になるというのは、これはもう特に竹中大臣なんかはいろんな勉強会なんかで発表されているけれども、高コスト構造だというわけです。付加価値の中のコストの最大のものは実は賃金なんですよね。付加価値を大きくするということは賃金を大きくしてもできるわけですから、これは。
 そういう意味で、この高コスト構造を何とかしなければ国際競争に勝てない。そうするならば、これはもう倒産せざるを得ない、なくならざるを得ないということにもなるわけでございますけれども、特にこの景気の悪い実態の中におきましては、生産性を上げようにも、大体供給過多でありまして、販売価格はどんどんどんどん低下をしている中で生産性は下がる一方なんであります。もう八方手ふさがりなんであります。
 こういうものに対して経済産業省としてどういう危機感を持っていらっしゃるか、ちょっとお聞きしたいんです。
#122
○大臣政務官(西川太一郎君) これまた大変大きな問題でございまして、特にこの高コスト体質については、先にお帰りになった方々にお聞きいただきたかったと私は思うのでございますが、ただその危機感ということについては大変深刻に受けとめております。
 そして、かつて不肖、先生の下で働かせていただきましたときにも御議論を申し上げたと思いますが、例えば石油または電力、どれ一つをとっても大変我が国は資源そのものを外国に依存せざるを得ない、そういう体質からしたこの高コスト体質の是正というのは言うはやすくしてなかなか難しいことであります。
 労働者一人当たりの資本装備率とかそういうものは極めて高いのでありますけれども、しかし、先生がただいま御指摘になりましたように、いわゆるマンパワーの生産性も十分限界に来ていることはもうよく承知をいたしております。日本の労働者ぐらい勤勉でしかも優秀な方々はいないわけでありまして、そういう意味では、MITが「メイド・イン・USA」の中で指摘したかつての日本の物づくりの能力というものはもう大変なものがあるわけですが、その日本をしてこういう苦境におとしめている、そしてその回復の途上で大変ネックになっておりますのが高コスト体質と言われる一連のものであることは当省といたしましても十分承知をいたしておりまして、これを解決するためにぜひまたお知恵をお授けいただきたいと思っております。
 危機感は十分持っておりますことを答弁として申し上げたいと思います。
#123
○今泉昭君 ありがとうございました。
 私が特に経済産業省から来ていただきましていろいろとお尋ね申し上げましたのは、これからの雇用問題は労働行政だけじゃとてもじゃないけれどもこれはやっていけないわけでありまして、今までの労働行政の狭い枠の中だけの問題ではなくして、国民的な大きな課題としてやっていくためには、関係のある各省庁がこれはもうお互いに合同し合ってでも、協力をし合ってでも、大きな今後の我が国の雇用対策というものをつくっていただきたいという実は意味合いも含めてきょう来ていただいたわけでございまして、そういう意味でこれから雇用問題も絡めた産業政策というものもぜひ推進をお願いしたというふうに思います。
#124
○大臣政務官(西川太一郎君) よろしいでしょうか、一言。大変ありがとうございます。
 最後に一言だけ申し上げれば、坂口大臣の御指導をいただきまして、私どもの平沼大臣も二十数年ぶりでございましょうか、厚生労働省さんと経済産業省がそれぞれの出先のいわゆる地方局の単位で雇用問題について共同の作業に入りましたことは、先生もお力をおかしいただいたことでもございます。今御指摘のことを帰りまして十分大臣にも伝え、一生懸命努力をしたいと思いますので、どうぞ変わらぬ御指導をよろしくお願いしたいと思います。
 ありがとうございました。
#125
○今泉昭君 ありがとうございました。もう結構でございます。
 次に、厚生労働省の皆さん方にいろいろとお伺いをしたいと思います。
 今特に内閣府や経済産業省の方々から来ていただいていろんなことをお聞きしたのは、やはり何といってもこれからの雇用対策というのは、先ほど坂口大臣がいろいろ危機感を持っていらっしゃいますように、狭い枠の中だけではとても解決できないような大変重要な時期に入ったということがございまして、そういう意味でお聞きしたわけでございまして、それと関連をして少し厚生労働省の方にお聞きをしていきたいというふうに思います。
 一つは、大臣がさきの同僚議員の皆さん方の質疑の答弁の中で何回か使われている言葉の中で、労働市場の新たな形成という言葉をよく使われたのを私は覚えているんですが、坂口大臣が考えていらっしゃる新しい労働市場の形成というのは大体どういうことをイメージしていらっしゃるんでしょうか。それをちょっとお聞きしたいと思います。
#126
○国務大臣(坂口力君) 今まで日本の雇用が終身雇用ということになっておりましたから、新しいいろいろの技術の指導でありましたり、あるいは新しい問題に直面をいたしますときに、それぞれの企業がそれぞれの企業の中でいろいろの訓練もしてまいりましたし、そして養成もしてまいったわけでありますが、最近のように雇用が流動化をしてまいりまして、次から次へと職をかわられる方がふえてくるというような状況になってくれば、それは一つは、新しい雇用に直面をしましたその皆さん方の新しい能力をどう身につけていくかということは、今までのように企業にお任せをしておるのではなくて国全体がそれを見ていかなければならないということが一つあるだろうというふうに思います。
 それだけではありませんで、そうした雇用が流動化をするということは、その流動化をしましたときにその人たちをスムーズに新しいまた雇用の場にどう結びつけていくかという、その辺の新しいシステムがなければその人たちは大海の中で一人戸惑うようなことになってしまう。
 これだけ目まぐるしい状況の中でございますから、現在の経済状況がどういう状況にあり、そして新しい雇用というのはこういう方向が今望まれている、あなたはこういうことをやりたいというふうにおっしゃいますけれども、しかし今必要なのはこういうことである、あなたはこういう能力をお持ちではありませんかというようなことをアドバイスしてくれる人も必要になってくる。それらのことができるような、社会全体の中でそれが可能になっていくようなシステムづくりをしていかないことには、これはうまく機能をしないだろう。
 好むと好まざるとにかかわらず、終身雇用の体制から非常に流動化をする方向へ、雇用が流動化する方向に向かってきているわけでありますから、そうしたことを私は念頭に置いて申し上げているわけでございます。
 労働市場のシステム化というのは、あるいはもう少し別の意味もあるのかもしれません。しかし、私が言っておりますときには、それらのことを少し念頭に置きながら話をさせていただいているということでございます。
#127
○今泉昭君 確かに大臣御指摘のように、我が国の場合はこれまで長い間、戦後の荒廃から立ち直り、そして企業も家庭もある程度の資産を形成するまでの間、国がやるべき仕事を企業が肩がわりをしてきたことがあったのではないかと思います。国ができないことを特に大企業を中心として企業が責任を負ってきた、その特徴が特に福利厚生あるいは退職金制度というような、あるいは年金制度にいたしましても国の年金制度では間に合わないからということで、いろんな意味で企業が肩がわりをしてきた時期というのが相当長い年月あったと思うわけであります。
 それがために、なかなか本人の意思とはまた別に、家族も含めまして一つの企業の中に長くとどまって、その恩恵を受けたい、その利点を活用したいという流れがありましたから、我が国の労働力というものはある意味では流動性が非常に低いというのはそういう社会的な背景があったからだろうと思うわけであります。
 そうしますと、新しい雇用市場をつくるためにはその流動性を高めるということが一つ必要ではないだろうかというところの発想から、企業がこれまで負担をしていたものをなくすのか、ウエートを低めるのか、あるいはそういう制度を根本的に見直すのかということが当然論議をされていかなければならないわけですが、大臣の気持ちとしては、今まで企業が国の肩がわりをしていたものが、むしろこれからの企業の体力からいっても、負担が多くなったからそれはほどほどにして、そしてできるだけ自由に人が移動できるようなシステムに今後持っていくのが望ましいと思っていらっしゃいますかどうか、ちょっとお聞きしたいんです。
#128
○国務大臣(坂口力君) 望ましいかどうかは別にいたしまして、そういう選択をしなければならない人がふえてくることだけは紛れもない事実だと思うわけです。
 その選択をする人たちに対して、それは何の手当てもありません、何のシステムもありませんというわけにはいかない。したがって、これからの世界的な経済の動向を考えましたときに、当然のことながら、そうした流動化が起こってくることだけは間違いがないというふうに思いますので、その辺のところをやはりつくり上げていかなければならない。
 先ほどの先生から経済産業省の方への御質問にもございましたけれども、二次産業がどれぐらいの割合で今後行くのかどうかということも定かではありません。
 しかし、欧米先進国におきましては、第三次産業が大体七割ぐらいになっているわけでありますから、現在、日本の六割、それがもう少し、少なくとも七割前後のところまでは行くのであろうと。そうしますと、残りますところは三割、それが二次産業と一次産業ということになってくるわけでございますから、おのずから大体その守備範囲というのは定まってくるのではないかという気がいたします。
 その辺のところを考えましたときに、二次産業の皆さん方もこれから三次産業へ今度スムーズに移行をしてもらわなきゃならない人たちが私はかなりあることは間違いないと思うんです。
 それが本当の三次産業なのか、あるいは二・五次産業ぐらいなところなのか、二次産業とそして三次産業、サービス業とが少し結びついたようなところの雇用というのは私はかなりあるというふうに思っておりまして、日本はむしろそこを大事にしなきゃならぬのじゃないかと。本当の三次産業だけのところへというのは、なかなか二次産業に従事しておみえになりました皆さん方は抵抗がありまして、二次産業から三次産業へ行くことのできないミスマッチというのも私はかなりあると思っています。その辺のところの、二・五ぐらいなところで、生産もしますけれども、それをいろいろの個々人の価値観によって、例えば自動車ならば、あなたはここをどういうふうに変えますか、どういうミラーにしますか、どういう色合いにしますかというようなこと、それぞれ変えることによってその人に合った車ができ得る、だからそういうサービスが結びついて私はでき上がっていくというふうに思うわけです。
 やはり、そういうふうになってまいりますと、今までの二次産業だけのことでいいのか、それともそういうふうに変化をしてまいりますと、新しいそこに産業が生まれて、そこにどういう受け皿をつくって、その人たちがスムーズにそういうふうに流動していくようにしていくのかというようなことも起こってくる。ですから、ある意味では水先案内人的な役割を果たすような人も必要でございますし、マラソンの伴走ではありませんけれども、一緒に並んで走るような人たちも必要になってきて、その辺のところを可能にするような全体としての枠組みをつくっていかないといけないのではないかなと、そんなふうに思っております。
#129
○今泉昭君 最近は大変フリーターがふえてきたというふうにも言われております。それから、世相を反映してでしょうか、正規従業員の代替という形でパートを雇う企業も大変ふえてきたと言われております。
 極端なことを言いますと、フリーターがふえ、パートがふえていくということは、いわゆる今まで企業の中にある意味ではいろんな恩恵を受けてきた、企業独自の恩恵の少ない方が大変ふえるわけでして、そういう社会になれば流動性は非常に高まるということは、極端な言い方すればそういう社会をむしろ我が国の労働市場として誘導していこうというような腹づもりなのかなというようなうがった見方もしたくなるわけであります。
 アメリカで「エクセレント・カンパニー」という本を書かれて、大分昔の話ですけれども、ベストセラーになりましたけれども、あの流動性の高いアメリカにおいてもエクセレントカンパニーと言われるところは非常に労働力が固定的なんですよね。流動性はほとんどないんですよ。日本の場合にも、考えてみますと、優良企業と言われるところ、大企業ほど流動性は少ないというふうに私ども思っているわけです。
 そういうところから、その流動性のがんになるのが終身雇用であるとかあるいは年功の賃金制度だということがすぐ取り上げられるわけですが、考えてみますと、日本の年功賃金制度なんてとっているのは、全体の労働者の数でいうならば五千五百万人のうちの一千万人ぐらいでありまして、いわゆる全体の企業の中でも大企業と言われるところに勤めていらっしゃる方々、あるいは公務労働に所属をしている方々の社会においては確かに年功賃金というのは存在いたしますけれども、中小零細企業においては全く年功賃金なんてないんですよね。二十で雇われようと五十歳であろうとほとんど賃金のレベルの違いはないわけでありまして、全体の日本の労働者の数からいうと七五%が中小企業ですから、それをとらえて年功制が悪いあるいは終身雇用が悪いと言われるようなどうも極端な論議が我が国にはあるような気がしてならないわけであります。
 そういう意味では、むしろ我が国の場合は、日本独特の雇用システムというもの、ということの設立のために私は労働省としては汗を流してほしいなという気がしてならないわけです。特に、マスコミなどはある意味では生半可な知恵を使って宣伝いたしますから、それが本物だというふうに一般的には思われがちなんですが、内情を見てみるとそんなものではないと私は思うんですよ。
 そういう意味で、日本的ないわゆる労働市場の形成というものをひとつ労働行政の中で考えていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
#130
○国務大臣(坂口力君) 今御指摘のように、一つの企業の中でずっと生涯お勤めになっている、そうしますと、いわゆる企業家族と申しますか企業集団としての中でさまざまな福祉の問題もそこでつくり上げられていく、そういう中でお過ごしになっている皆さん方は大変恵まれていたわけでございますし、現実にそういう企業の中で生涯を終えられた方もたくさん私はおみえになるというふうに思います。
 先日も、ある電気器具の大きいメーカーのところに若いときにお勤めになっておりました方が亡くなられまして、そしてそこに私は御葬儀に参りましたら、その企業の皆さん方が受付から何から、もうおやめになって随分時間がたつんですけれども、お見えになって、そしてお世話をなすっておられる。まさしく、やはり大きい企業というのは最後の最後まで面倒を見てくれるんだなということをつくづく感じたわけですけれども、そういう社会というのは好むと好まざるとにかかわらず私は崩れつつあると。
 そのほかに、今御指摘になりましたような、中小企業の中で、一つの場所ではなくて、あちらの企業からこちらの企業へと渡り鳥をしながら生涯を終えられた皆さん方もおありになるわけで、必ずしも日本の企業の中がそうした終身雇用だけで来たわけでは私もないというふうに思います。
 しかし、これからそういうふうにいろいろのところに渡り鳥をされましても、そこをしかししっかりと受けるものはちゃんとつくってありますよと、一つの企業で生涯おみえにならなくてもそれは同じようにできますよということを、やはりそこはつくり上げて私もいかなければならないというふうに思っている一人でありまして、それは年金であれ医療であれ、あるいはまた雇用であれ介護であれ、まだほかにもあるでしょう、そうしたものを、かわるごとにそれは損をしていくということではない、やはりそういうシステムをつくり上げていかないといけないというふうに思っている次第でございます。
#131
○今泉昭君 大分時間が経過してしまいまして、横道にそれた点はお許し願いたいと思いますが、残された時間、この法案に関しまして幾つか確認をしておかなければならないなというような点もございますので、この点についてのひとつ質問をさせていただきたいと思います。
 まず、その一つは、訓練延長給付制度の拡充の枠組みということが一応整理をされたといたしましても、問題はこれを活用した再就職に結びつく教育訓練の選択と実施体制にあると考えているわけでございますが、政府はどのような施策運用を考えていらっしゃるか、お答え願いたいと思います。
#132
○政府参考人(澤田陽太郎君) 今回の訓練延長給付の拡充を実効あるものとするために、補正後で本年度約十六万人分の訓練延長給付に係ります予算を計上いたしますとともに、訓練枠の拡大を図りまして、官民のあらゆる教育訓練資源を活用し、多様な訓練コースを設定することといたしております。
 その設定に当たりましては、職業訓練機関と公共職業安定機関の連携を強化いたしまして、地域の労働市場のニーズ等を十分把握するとともに、求人ニーズの変化あるいは実際の就職実績等により訓練コース自身の機動的な見直しにも努め、効果的なものとしてまいりたいと考えております。
 また、訓練の受講指示に当たりましては、御本人の就職活動等に照らして、再就職のために能力開発の必要性が高い者を対象とすることを原則といたします。そして、特に複数回受講につきましては、労働市場の求める能力、あるいは一回目の訓練への本人の取り組み状況、能力習得状況等の把握を通じまして、複数回受講により就職可能性が高まると見込まれる場合に行うこととするなど、個々の受給者の能力、適性等を踏まえて適切な受講となるよう努めてまいりたいと考えております。
#133
○今泉昭君 次に、この枠組みを活用した公共職業安定所長の訓練受講指示についてどのような手順を考えていらっしゃるのか。運用内容が地域であるとかあるいは極端な場合には安定所ごとに公正を欠く場合がありますので、この点についてお聞きしたいと思います。
#134
○政府参考人(澤田陽太郎君) ただいま申し上げました新しい枠組みのスタートに当たりまして、まず一般的に公共職業訓練の受講指示はできる限り早期に行うこととしていきたいと考えております。その上で、複数回の受講指示につきましては、まず対象者の綿密な職業相談を行いまして、それを通じて、再就職への強い意思を持っており、かつ訓練受講意欲の高いと認められる者に限った上で、求職者御本人の技能、知識の状況等々、労働市場の求める能力を勘案して受講指示を行うことを考えております。
 さらに、二回目の指示につきましても、一回目の訓練への取り組み状況、能力習得状況等を的確に把握した上で受講指示を行う予定でございます。
 こうした条件を全国の公共職業安定所、さらには能力開発機関にもきっちり示した上で、具体的には各労働局で訓練実施機関のコース設定を勘案しながら公正かつ効果的に運用を図っていくことといたします。
#135
○今泉昭君 次に、中高年齢者に再就職に直結する教育訓練を実施するためには、能力要件を明確にした求人開拓は当然でありますけれども、需要に対応した教育訓練の迅速な見直しやどの教育訓練が効果的かといった個別相談の充実が不可欠だと考えられていますが、地域、現場での職業安定機関と能力開発機関の連携体制強化についてどのような措置を講じ、運用を行っていかれるのか、お聞きしたいと思います。
#136
○政府参考人(澤田陽太郎君) 厳しい雇用失業情勢の中で、求職者に的確な職業訓練受講機会を提供することによりまして、能力のミスマッチ等の解消を図り、就職に結びつけることが重要なポイントとなっております。それには労働市場が求める人材を育成するということが必要であると考えております。
 こうした観点から、適切な教育訓練コースを設定し再就職を促進するということで、まずは職業安定機関の紹介業務等を通じて把握いたしました地域の人材ニーズを踏まえた訓練コースの設定と必要な見直し、二つ目には訓練受講者の就職実績等を踏まえた訓練委託先の選定をする、そういうことに努力いたしますとともに、三点目には能力開発支援アドバイザー、これを公共職業安定所等に配置いたしまして、求職者に対するきめ細かなキャリアコンサルティングを実施することによりまして再就職に適切な訓練コースの選定等を行うことといたしております。
 さらに、訓練受講中から求人開拓をやる、あるいは求人情報等の提供を行う、職業相談を実施する、そして訓練終了後の就職面接会の開催など、関係機関間で協力して機動的に実施いたしまして、訓練受講者の再就職の促進を図っていくことといたしております。
#137
○今泉昭君 次に、職業安定機関と能力開発機関の連携強化ということは当然のことでありますけれども、さらに地方自治体あるいはまた地方労使などとの関係者が一体となった取り組みということが枠組みとして体制も必要だと考えるんですが、この点についてはいかがでしょうか。
#138
○政府参考人(酒井英幸君) 職業安定機関と能力開発機関に加えまして、地方自治体、地域労使等を加えた連携の点につきましては、十一年度より、各都道府県ごとに地域の実情等に応じまして、ハローワーク、地方労働局、職業能力開発機関、商工会議所、労働団体を含めました産学官の関係機関により構成員を選んだ地域人材育成推進協議会を設置いたしておりますが、地域の産業動向やこれを踏まえた人材ニーズを的確に把握するとともに、これに基づく機動的な訓練コースの開発、設定等を行ってまいっているところでございます。
 なお、今後におきましては、この協議会に構成員といたしまして大学、NPO等の関係者に加わっていただきますとともに、訓練実施機関といたしましてもこれらの活用を図りまして、地域における多様で効果的な職業能力開発機会の創出に努めてまいりたいと思っております。
 さらに、地域雇用開発促進法に基づきます能力開発就職促進地域等、各地域におきましては地域雇用促進会議等を設置いたしまして、都道府県における雇用能力開発関係者、労使団体等、地域関係者の連携のもと、労働者に対する能力開発を促進することといたしたところでございます。
 今後とも、これら各種協議会等を十分に活用いたしまして、地方自治体、産学、労使等、幅広い関係者が一体となった取り組みの推進に努めていきたいと考えている次第でございます。
#139
○今泉昭君 次に、派遣労働者関係についてお聞きしたいと思います。
 派遣期間に係る業務制限を三年に特例として延長することによりまして、派遣労働に従事する中高年者の派遣契約期間が少なくとも一年を超え三年に近づくなど、当面の雇用安定を図るための担保措置についてどのように考えていらっしゃるか、お聞きします。
#140
○政府参考人(澤田陽太郎君) 今回の中高年齢者に係ります派遣期間の特例措置につきましては、現在の厳しい雇用失業情勢を踏まえまして、特に再就職が厳しい状況にある中高年齢層につきまして、雇用の安定と再就職に必要な措置を緊急に講ずる一環として派遣期間の一年制限を三年に延長することとしたものであります。
 今回の措置によりまして、若年者に比べて就業機会に恵まれにくい中高年齢者について、延長された派遣期間による雇用機会の確保、一層の雇用の安定を図ることが可能になるものと考えております。
 また、この措置は求人の旺盛な営業等におきまして活用されることが見込まれますので、若年者に比べ就業機会に恵まれにくい中高年齢者につきまして、延長された派遣期間による雇用機会の拡大等の効果が期待できるものであり、正社員が派遣労働者に置きかわる可能性は低いものと考えております。
 なお、今回の派遣期間の延長の措置により一年以上働き続けた中高年齢者である派遣労働者の方につきましては、派遣法第四十条の三の派遣労働者の雇用の努力義務の規定が同様に適用されまして、中高年齢者の直接雇用の実現等にも配慮しているところでございます。
#141
○今泉昭君 現在の労働者派遣制度は、一般の派遣業務期間を臨時的、一時的業務として一年に制限をしており、これを超える場合は常用雇用とすることで常用雇用代替の防止を担保しているわけでございますが、中高年齢者の特例により対象労働者の常用代替を防止する措置につきましてどのように考えていらっしゃるのか。
 また、雇用調整後のポストへの派遣労働の受け入れ禁止や、移籍と派遣の組み合わせによる直接雇用から派遣への転換、すなわち企業の一定部門を分社化して、ここに移籍して労働者をもとの職場などに派遣して活用することなど、こういう問題の防止の措置が必要と考えておりますけれども、いかがでしょうか。
#142
○政府参考人(澤田陽太郎君) 今回の臨時特例措置は、中高年齢者の雇用面で置かれている状況にかんがみまして、あくまでも臨時特例の措置として講ずるものでございまして、労働者派遣法の基本的な趣旨、考え方を変更するものではございません。
 したがいまして、今回の臨時措置により一年以上三年以内の期間働き続けた中高年齢者である派遣労働者につきましては、今回の雇用対策臨時特例法による読みかえ後の労働者派遣法第四十条の三の先ほど申しました優先雇用の努力義務の規定が適用されるなど、現行制度の基本的枠組みが同様に機能することになりまして、常用代替防止に一定の効果を発揮するものと考えております。
 また、我が国におきましては、企業がその雇用する労働者を解雇する場合には、いわゆる整理解雇の四要件や合理的な理由を必要とするという判例法理が確立されておりまして、そうしたルールで対処されているということから、安易な解雇が横行するということはないものと考えております。
 こうしたことを前提といたしまして、雇用調整後の問題についてお答えいたしますと、雇用調整後のポスト等につきましても、労働者派遣法第二十六条第七項の規定に基づきまして、労働者派遣の役務の提供を受けようとする者は労働者派遣契約の締結に際しまして派遣労働者を特定することはできない仕組みとなっております。こうした観点から私どもは指導監督を行っていくことが可能でございますので、今後とも適切に対処していく考えであります。
 さらに、移籍をした労働者をもとの職場に派遣するという場合があっても、派遣法の規定におきまして、それが専ら労働者派遣の役務の提供を特定の者に提供することを目的として行われる労働者派遣事業というものに該当する場合につきましては、労働者派遣法第四十八条第二項の規定によりまして、厚生労働大臣は当該派遣事業の目的及び内容を変更するように勧告することができます。また、労働者派遣事業法第七条に基づきまして、そうした派遣事業の許可はできないということになっております。
 さらにつけ加えますと、労働者派遣事業の許可を行うに当たりましては、今申し上げましたような専ら派遣を行わないことを許可条件として付し、この許可条件違反につきましては、許可の取り消し、事業停止命令、改善命令等の対象となるところでございまして、このような現行労働者派遣制度を厳正に運用することにより、御懸念の常用雇用の代替防止を図ってまいりたいと考えております。
#143
○今泉昭君 この特例措置は、あくまでも臨時特例の措置であると思いますし、現在検討が開始されている派遣労働制度全体の検討に対しましては関係しないものと理解しますが、それでよろしゅうございますか。
#144
○政府参考人(澤田陽太郎君) 今般の中高年齢者に係ります派遣期間の特例措置とは別に、労働者派遣制度全体の見直しにつきましては、去る八月三十一日より労働政策審議会におきまして調査、検討を開始したところであります。この検討につきましては、関係者の真摯な取り組みのもとに着実に進めていくことが公労使の一致で確認されております。
#145
○今泉昭君 労働者派遣制度全体の見直しに当たりましては、改正時に、附則第九条にのっとりまして総合的な実態調査による十分な実施状況把握を行い、常用代替防止措置とか、あるいはまた労働者保護措置を含む総合的な検討を踏まえてなされるものと理解をしておりますけれども、それでよろしゅうございますでしょうか。
 また、見直しに向けての総合的実態調査は、紹介予定派遣についてもその運用状況を適切に把握し得るようになされるものと理解しておりますけれども、そう理解してよろしいですか。
#146
○政府参考人(澤田陽太郎君) 今回の中高年齢者に係ります派遣期間の臨時特例措置とは別に、去る八月三十一日より労働政策審議会で検討を開始しております労働者派遣制度全体の見直しにおきましては、今後、昨年十二月より実施が可能となっている紹介予定派遣の運用状況を含め、平成十一年の改正労働者派遣法の施行状況についての総合的実態調査を実施いたしまして、その結果等を踏まえ、労使関係者の意見等も十分伺いながら検討を進める考えであります。
 この見直し、検討につきましては、雇用就業形態の多様化に対応した雇用の場の確保や労働者保護措置のあり方等に留意しつつ、労働市場の需給調整機能の強化を図るという観点を持って検討に当たるべきと考えております。
#147
○今泉昭君 今般の特例措置の趣旨、目的からいたしまして、今回、特例によりまして中高年者の雇用の場がふえているか、当該労働者の雇用の安定に寄与しているか、常用代替が生じていないか等についても十分な検証を行いまして、派遣労働全体の見直しを検討していくことが必要と考えますが、いかがでしょうか。
 また、派遣労働制度全体の見直しに当たりましては、単に量的に派遣労働が伸びているかという観点だけではなくして、我が国全体の労働力需給調整機能を強化するという観点からなされるべきものと考えておりますが、この点についてどう考えていらっしゃいますか。
#148
○国務大臣(坂口力君) 今回のこの中高年齢者に係ります派遣期間の特例措置につきましては、現下の厳しい雇用失業情勢を踏まえまして、中高年齢者が特に再就職が厳しい状況にあることにかんがみ、あくまでも臨時特例の措置として雇用の安定と再就職に必要な措置を緊急に講ずる一環として行うこととしたものでございます。
 労働者派遣事業制度全体の見直しにつきましては、御指摘のとおり、我が国労働市場全体の需要供給能力を強化するという観点を持って検討に当たるべきと考えております。また、その検討に当たりましては、平成十一年の改正労働者派遣法の施行状況や、今回の特例措置の実施状況を可能な限り把握をいたしまして検証することといたしますとともに、労使関係者の御意見も十分伺いながら検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。
#149
○今泉昭君 どうもありがとうございました。
 最後になりますけれども、先ほど私が申し上げましたように、新潟におきましてあの新潟鉄工という名門の企業も倒産をするような状況になりました。上場企業八十社以上がもう既に百円割れの株価の状況でございまして、今後、大変そういう意味での大型倒産が危惧されるわけでございます。
 新潟鉄工も含めまして、今後、そのような状態になった場合に、そこで働く労働者の再就職やいろんな意味での支援につきまして、どうかひとつ厚生労働省としましては地方とも十分な連携をとっていただきまして御支援いただきますようにお願いをしたいと思います。
 以上でございます。ありがとうございました。
#150
○委員長(阿部正俊君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#151
○小池晃君 私は、日本共産党を代表して、経済社会の急速な変化に対応して行う中高年齢者の円滑な再就職の促進、雇用の機会の創出等を図るための雇用保険法等の臨時の特例措置に関する法律案に対し、反対の討論を行います。
 先日発表された十月の完全失業率は、過去最高の五・四%に達しました。新規求職者のうち事業主都合による離職が前年同月よりも四六・五%もふえ、リストラ離職が深刻化しています。今こそ、大企業の身勝手なリストラ・解雇を規制し、サービス残業を根絶するなど、雇用を守るための実効ある施策が求められています。しかし、本法案にはそのための具体策が何一つありません。
 反対する第一の理由は、そもそも本法案が不良債権の早期処理による新たな失業者の増加を前提にしたものであり、失業者をふやさないための施策は何ら講じられていないからであります。
 政府は、本来、労働者の雇用確保に責任を負うべき立場にあります。しかし、その政府が、不良債権処理のためには中小企業の倒産を当然とし、企業存続の危機とは無縁な大企業が転籍や希望退職の名目で事実上の大量の整理解雇を進めることを野放しにしています。これでは史上最悪の雇用情勢はますます深刻になるばかりであります。
 第二の理由は、中高年労働者の派遣期間を三年間に延長する派遣労働のなし崩し的な拡大が雇用を一層不安定にするものにほかならないからであります。
 一般派遣の期間を一年に制限していたのは常用雇用の代替を防止するためというのが政府のこれまでの説明でしたが、本法案により、それすら全く骨抜きになります。厚生労働省のアンケートによれば、派遣労働者が現在行っている業務の七割以上が以前は常用労働者が行っていた業務であります。派遣労働が常用雇用の代替となっていることは既に実態で明らかであるにもかかわらず、本法案によってさらに派遣期間が延長されれば、常用雇用の代替が今まで以上に進行します。
 政府は、派遣労働はあくまで選択肢と言いますが、弱い立場の中高年労働者にとっては、本当に選択したい常用雇用の場はますます狭まります。常用雇用を減少させ、不安定雇用に置きかえるようなやり方では、中高年労働者の雇用不安は解消どころか、高まるばかりであります。
 派遣期間の延長は、企業にとっては派遣労働者を一層受け入れやすくするものにほかなりません。不安定雇用の拡大だけでなく、偽装請負などの違法行為もはびこっている現状で、政府が約束していた労働者派遣事業の実態の調査、検討もせずに、財界の要望だけで派遣労働のなし崩し的な拡大を行うことは、労働行政の責任を投げ捨てたものと言わざるを得ません。
 本法案は、雇用保険法の訓練延長給付など改善の部分もありますが、全体としては派遣法の歯どめすらなくし、不安定雇用を一層拡大しようとするもので、到底賛成するわけにはいきません。
 最後に、日本共産党は、サービス残業の根絶や解雇規制法の制定など、労働者の雇用を守るために引き続き全力を挙げることを表明し、反対の討論とします。
#152
○大脇雅子君 私は、社会民主党・護憲連合を代表して、ただいま議題となりました経済社会の急速な変化に対応して行う中高年齢者の円滑な再就職の促進、雇用の機会の創出等を図るための雇用保険法等の臨時の特例措置に関する法律案に反対の立場を明らかにして討論いたします。
 今回の特例措置法案は、特に中高年労働者への円滑な再就職のためとされていますが、次の問題点を指摘したいと思います。
 第一に、小泉流構造改革の方策は、企業のリストラ策を後押しし、正規雇用労働者を非正規雇用労働者へ置きかえていく傾向をますます強めてきました。今回の改正法案もそのためとされていますが、雇用のセーフティーネットの拡充策を打ち出せば打ち出すほど、実は企業の社会的責任の放棄を許している結果を生じていることを見過ごしてはならないと思います。
 本法案は、中高年労働者の再就職に対処するために改革先行プログラムに基づく施策として位置づけられていますが、相変わらず雇用の状況は悪化し続け、改善の明るさが見られていない実情に根本的に対処していないことを指摘したいと思います。すなわち、基本的に、会社をリストラされまたは退職し、再就職が可能となる過程で中高年労働者の働く権利が確保されているのかどうかをまず考えなければなりません。これまでIT産業を中心にした雇用創出が強調されてきましたが、雇用の受け皿となるべき肝心のIT産業がみずから多数のリストラを強行している現実は、政府の雇用創出策の設計に問題があることを浮き彫りにしています。
 第二に、雇用保険法改正による訓練給付の延長が図られています。再就職を実現するために必要不可欠な技術力の向上や、新たなスキル、ノウハウを獲得するための訓練の機会を確保しつつ、訓練中の生活を支える施策が十分になされる必要があることは当然であります。
 しかし、問題は、その訓練のメニューの中身とともに、その訓練を経た中高年労働者を企業が現実に確実に雇用するということであって、この間の企業のあり方を見れば、明確な見通しが立っているとはとても受け取れません。助成金の効果にも疑念があります。
 第三に、中高年労働者の雇用拡大に資する方策として、労働者派遣法の特例措置として、派遣期間の上限を三年として、これまでの一年から三年への延長が図られています。
 しかし、女性派遣労働者について、三十五歳の壁によって派遣先が見つからない状況が指摘されています。さらに、本年七月に策定された厚生労働省「労働者の募集及び採用について年齢にかかわりなく均等な機会を与えることについて事業主が適切に対処するための指針」はマスコミに年齢制限骨抜き指針と命名されているところですが、年齢を職業資格にかかわらせることに合理性があるのは指針第三、六、九、十のみであり、とりわけ第三第三項及び第四項は、定年までの期間や賃金体系との関係で、結局中高年労働者を排除する年齢制限を現状どおり事業主に可能にしております。
 しかも、中高年労働者について、それまでの正規雇用から派遣による就業への切りかえが進むのではないかも大いに懸念されます。労働者派遣法の成立以来の改正を見ると、今回の特例措置としての上限期間の延長は、リストラを進める企業が使い勝手のよい派遣労働をより一層活用するための方向へ進める地ならしでないかと危惧します。
 以上の視点から、私は今回の特例措置法に反対します。
 委員会での審議でも、政労使によるワークシェアリングの検討を進めることについて多く議論がされていますが、肝心なのは労働者本位のワークシェアリングで、ワークシェアリングの前提は、同一または同種の業務または職務につき、時間当たりの賃金は同一で、賃金は労働時間に比例するという比例の原則が基礎であることを見過ごしてはなりません。
 具体的には、ワークシェアリングにより新たに雇用される労働者は、非正規雇用に置きかわるのではなく、フルタイム労働者とパート労働者の時間差による差別を禁止して、正規雇用労働者として雇用されなければなりません。そのために、同一価値労働、同一賃金を含むすべての労働条件に関する均等待遇の原則を確立し、社会保険加入等労働福祉にも配慮する立法を早急に実現すべきであることを強調して、反対討論を終わります。
#153
○委員長(阿部正俊君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 経済社会の急速な変化に対応して行う中高年齢者の円滑な再就職の促進、雇用の機会の創出等を図るための雇用保険法等の臨時の特例措置に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#154
○委員長(阿部正俊君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、柳田君から発言を求められておりますので、これを許します。柳田稔君。
#155
○柳田稔君 私は、ただいま可決されました経済社会の急速な変化に対応して行う中高年齢者の円滑な再就職の促進、雇用の機会の創出等を図るための雇用保険法等の臨時の特例措置に関する法律案に対し、自由民主党・保守党、民主党・新緑風会、公明党、社会民主党・護憲連合、自由党及び無所属の会の各会派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    経済社会の急速な変化に対応して行う中高年齢者の円滑な再就職の促進、雇用の機会の創出等を図るための雇用保険法等の臨時の特例措置に関する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法律の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。
 一、現下の厳しい雇用情勢のもとで特に厳しい状況にある中高年齢の非自発的失業者などの雇用の機会の確保・安定を図るため、募集・採用における年齢制限の緩和に向けた取組みを強化・徹底するとともに、求人開拓の強化・促進に努めるに当たり、求人内容について職務の遂行に必要な適性、能力等の程度の明確化を図ること。
 二、年齢、職業能力や労働条件によるものを始めとする雇用のミスマッチを解消し雇用の機会の確保・就職の促進を図るため、人材ニーズ等に即した多様な訓練機会の確保を図るとともに、職業安定機関と能力開発機関の連携を一層緊密化するよう努めること。
 三、雇用の維持・創出のためワークシェアリングが重要性を増していることにかんがみ、これに関する労使関係者の合意形成に向けた取組みに積極的に協力するとともに、それらの実現のための条件整備に努めること。
 四、労働者派遣制度全体の見直しについては、中長期的な我が国の労働力需給と雇用関係の変化を見据えて労働力需給調整機能全体の強化、多様な雇用機会の確保を図るため、平成十一年の改正労働者派遣法及び今回の中高年齢者の派遣期間の臨時特例措置について、その実態等施行状況を確実に把握、検証し、雇用の安定と労働者保護の観点に立って総合的な検討を行い、必要な措置を講ずること。
  右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#156
○委員長(阿部正俊君) ただいま柳田君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#157
○委員長(阿部正俊君) 全会一致と認めます。よって、柳田君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、坂口厚生労働大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。坂口厚生労働大臣。
#158
○国務大臣(坂口力君) ただいま決議のありました本法案に対する附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして、努力してまいる所存でございます。
 ありがとうございました。
#159
○委員長(阿部正俊君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#160
○委員長(阿部正俊君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#161
○委員長(阿部正俊君) 次に、建築物における衛生的環境の確保に関する法律の一部を改正する法律案(第百五十一回国会衆第一七号)を議題といたします。
 まず、発議者衆議院議員熊代昭彦君から趣旨説明を聴取いたします。熊代昭彦君。
#162
○衆議院議員(熊代昭彦君) ただいま議題となりました建築物における衛生的環境の確保に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 本改正案は、この間のビルメンテナンス事業者の業態分化の動向を踏まえ、ビルメンテナンス事業者登録制度における登録業種及び要件の見直しを行い、もって建築物における衛生的環境を確保するためのこの事業者登録制度の一層の活用を図るものであり、その主な内容は次のとおりであります。
 第一に、この法律に基づく登録を受けることができる事業として、建築物の空気調和用ダクトの清掃を行う事業及び建築物の排水管の清掃を行う事業の二つを新たに加えることであります。
 第二に、現行の登録業種のうち、建築物環境衛生一般管理業の業務に空気環境の調整等を加え、建築物環境衛生総合管理業と名称変更することであります。
 第三に、この登録を受けるための基準に、厚生労働省令で定める事項を加えることであります。
 この登録制度は名称独占であって、これらの改正は規制の強化につながるものではないことを申し添えます。
 なお、この法律の施行日は平成十四年四月一日としております。
 以上がこの法律案の提案理由及び内容の概要であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
 以上です。ありがとうございます。
#163
○委員長(阿部正俊君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は御発言願います。
#164
○辻泰弘君 民主党・新緑風会、辻泰弘でございます。
 この建築物における衛生的環境の確保に関する法律は、昭和四十五年に成立し、その後、昭和五十五年に登録制度などの改正が行われ、現在に至っているものでございますが、この法律に関連し、厚生労働省は、健康局長の私的諮問機関として建築物衛生管理検討会を設置し、十月十二日に初会合を開いておられます。そこでは建築物環境衛生管理基準の見直しなどが議論されることとなっており、議論の展開によっては法改正の可能性もはらんでいると考えられるわけでございます。
 そのような段階で法改正が議員立法によって行われることについて厚生労働省はどのように考えておられるのか、検討会の結論を得て政府提案で改正したいとは思っておられないのか、また厚生労働省としても登録業種の拡充は必要と考えておられるのかどうか、あわせて厚生労働大臣のお考えを承りたいと思います。
#165
○国務大臣(坂口力君) 建築物衛生法におきましては、多数の者が使用し、または利用する建築物におきまして、空気環境の調整でありますとか、ネズミ、昆虫を除去するなど、建築物の維持管理の基準を建築物環境衛生管理基準として政省令で定めるよう規定いたしております。この基準の内容につきまして、建築物衛生を取り巻きます状況の変化に対応できますように適時見直ししていくことが重要でございます。
 このために、厚生労働省では、近年、衛生的で快適な生活環境への社会的ニーズが高まっていることなどを踏まえまして、本年十月に健康局長の私的検討会として建築物衛生管理検討会を設けまして、基準の見直しについて検討を始めたところでございます。
 この環境衛生管理基準の具体的内容につきましては、政省令レベルのものでありますが、今回の改正案の提出に関しまして、建築物衛生管理検討会の結論を待って対応しなければならないものではないと考えております。もう少し具体的な、現実的な問題をここでは検討をいたしております。
 また、本改正案におきましては、空気調整用のダクトの清掃業等の登録事業者の追加を行うこととされておりますが、これは建築物の清掃、維持管理を行う業の実態に合わせて見直しを行うものでございます。建築物衛生の確保の観点から有意義なものであると考えております。
 先ほども申しましたとおり、現在検討会で検討をいたしておりますのは、現実に即しましたより具体的なものをやっておりまして、いわゆる法律的な改正に結びつくものではないというふうに思っている次第でございます。
#166
○辻泰弘君 最近、住宅建材などに使われる化学物質が体調不良を引き起こすと言われているいわゆるシックハウス症候群に対処すべきだという見地から、ホルムアルデヒドやトルエンなどについての規制が、また給湯水の使用が増大している中で、レジオネラ菌などの微生物の繁殖による健康障害に対処すべきだとして、その防止のための規制の必要性が叫ばれているところでございますが、これについての厚生労働省の見解はいかがでしょうか。
#167
○政府参考人(下田智久君) いわゆるシックハウス問題につきましては、平成十二年に設置をされましたシックハウス対策関係省庁連絡会議というものがございますが、その中におきまして関係省庁間、それぞれ連絡、連携をとりながら総合的対策を講じているところでございます。
 また、給湯水におきますレジオネラ属菌などの繁殖によります健康被害を防ぐということにつきましては、厚生労働省では、平成十一年の十一月でございますけれども、それまでございましたレジオネラ症防止指針、これを新しく改定をいたしまして地方自治体に通知をしたところでございまして、この防止指針に沿って給湯設備を適切に維持管理してもらうよう周知徹底を図っているところでございます。
 厚生労働省といたしましては、これらの問題も踏まえまして、建築物衛生を取り巻く状況の変化、こういったものに対応するべく、維持管理の基準の見直しを行うという観点から、大臣からもお話がございました建築物衛生管理検討会、これを本年十月に設けたところでございまして、今後、その中で種々御議論をいただき、議論がまとまれば適切に対応をしてまいりたいと、このように考えておるところでございます。
#168
○辻泰弘君 最近、この法律の適用対象となっていない特別養護老人ホームや老人保健施設などにおいて本法で定める環境衛生管理基準を満たさないケースが散見されるとの指摘がマスコミなどで見られているわけでございますが、この点について、実態調査を行いつつ、それら施設についてもこの法律の趣旨に沿った規制を行っていくべきではないかと考えるわけでございますが、厚生労働省の見解はいかがでしょうか。
#169
○政府参考人(下田智久君) ただいま御指摘の特別養護老人ホームあるいは老人保健施設等の管理に関しましては、保健衛生面を含めまして、それぞれ施設の特性あるいは入所者の状況に応じた対応が必要でございまして、それぞれ介護保険法あるいは老人福祉法といった法律に基づく基準に従いまして管理をされておるということでございます。
 しかしながら、ただいま御指摘のように、地方の保健所など幾つかの調査によりますと、これらの施設の中には、呼吸器感染症を防止する上で一定以上保たれていなければならない湿度、こういったものが非常に低過ぎたり、つまり乾燥し過ぎていたり、入浴施設等からレジオネラ属菌が検出されたりするなどの問題事例も散見されておるところでございます。
 用途が異なる建築物衛生法の基準を直ちにこうした施設に適用することにつきましては慎重であるべきではないかというふうに考えておりますけれども、現場から個別具体的に問題点が指摘されているような事柄につきましては、私どもといたしましても種々の研究や調査などをよく見させていただきまして、また専門家の意見も伺ったりしながら施設所管部局と相談を行いながら、問題ある実態をいかに改善していくべきか取り組みを進めてまいりたい、このように考えております。
#170
○辻泰弘君 発議者に対して御質問させていただきたいと思います。
 この改正案におきましては、各登録業種の登録要件として、現行の物的基準、人的基準に加え、その他の事項が盛り込まれているわけでございますが、その具体的内容は省令によることとされているところでございます。提案者としては具体的にどのような内容を考えておられるのかお伺いしたいと思います。
#171
○衆議院議員(熊代昭彦君) 御指摘のように、現在の基準では設備、いわばハード面と、それから従事者の資格、人ですね、物と人が定めてございますので、これに加えまして、新たに省令にゆだねることとする登録基準はその他の事項ということで加えさせていただいておりますが、業務実施の適正さに関する事項を追加するということでございまして、いわばソフトでございます。
 この法案をお認めいただいた後に、具体的には厚生労働省で定めていただくわけでございますけれども、例えば建築物内での害虫防除作業に用いる薬剤などの安全性とか、効果はあるけれども安全でないというような薬剤は使ってはいけないわけでございますので、そういった事柄についても要件を加える等、今国会の御議論を踏まえまして適切なものを定めてもらいたいというふうに考えているところでございます。
#172
○辻泰弘君 この法律の実効性というものは、そもそも保健所による立入検査によって保たれているわけでございます。現状では、東京都以外ではほぼ一年に一回立入検査が行われているとお聞きしておりますけれども、人的な面で、技術的な面で保健所の検査体制は十分と言えるのかどうか、御所見をお伺いしたいと思います。
#173
○政府参考人(下田智久君) 現在、対象となります特定建築物は約三万四千あるわけでございますが、この特定建築物への立入検査等は都道府県知事が必要があると認めるときに行うものでございまして、通常、県によって事情が違いますけれども、一年に一回から数年に一回といった形で立入検査を実施いたしております。この検査に当たりまして、今までのところ、地方自治体から建築物衛生法に関します検査体制に人的あるいは技術的な面で問題があるといった具体的な指摘はなされていないところでございます。
 厚生労働省あるいはその附属機関でございます国立公衆衛生院におきましては、地方自治体によります建築物環境衛生行政に携わっておる職員がおりますけれども、こうした職員を対象としました研修会を実施してきたところでございまして、このような取り組みを通じまして、今後とも地方自治体の検査体制に対する技術面での支援を行ってまいりたい、このように考えておるところでございます。
#174
○辻泰弘君 若干時間がございます。通告しておりませんけれども、基本的なことなので発議者の方にお伺いしたいと思います。
 そもそも登録制度の存在、そして今回の拡充、その意義について御見解をお伺いしたいと思います。
#175
○衆議院議員(熊代昭彦君) 登録制度につきましては、登録業態、このたび二つ加えていただくわけでございますけれども、従来のものも加えまして、登録がありますと厚生省令に定めている基準に適合しているということでございますので、発注者にとってはいい目安になるということでございます。質的によりよい業者を選ぶことができる。それから業者にとりましては、登録基準に実態を合わせようということでいろいろと努力をしまして向上の契機になるということでございます。
 加えまして、これは名称独占でございますから、登録していないものも非常に極めて独特の技術を持っているということならば、それはその発注者が知っていればできるわけでございますので、いわゆる規制の強化にはならないということでございますので両者に、発注者にも、そして登録業者にも実益があるということでお願いしているものでございます。
#176
○辻泰弘君 なお若干の時間がございまして、恐縮ですけれども、そもそもこの立法が議員立法という形でやられたその経緯といいますか、そのやり方についてのお考えを提案者にお伺いしておきたいと思います。
#177
○衆議院議員(熊代昭彦君) 昭和四十五年に議員立法で制定されたわけでございまして、御指摘のとおりでございますが、当時非常に立派なビルがいっぱい建ってきたということでございますけれども、見かけは非常にきれいであるけれども、例えば通風口にタオルを張りつけてみますと三十分で真っ黒になってしまったというようなこともございました。これは見かけのよさだけではとても対処できない、素早く法律を定めたいというようなことでございまして、議員立法で対応させていただいておりました。その伝統がございますので、今日においても議員立法で対応させていただくということでございます。
#178
○辻泰弘君 以上で終わります。
#179
○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 私ども、今回の改正は、この間のビル建物の衛生環境保持に必要な事業範囲の拡大を図るものであり、業界の社会的責任の確立を視野に入れたものであり賛成をいたします。
 提案者にお伺いしたいんですけれども、業界は、売り上げ五億円以上の企業は百社余りにすぎません。一社平均四十三名ということです。パートや高齢者が働く中小零細企業が大部分を占める業界であります。今回独立させる空気環境の調整、給水、排水の管理というのは、これはお聞きをすると比較的高度な技術や特殊な技術を必要とするものであると。それだけに、やはり登録業種の拡大というのが中小業者を排除するものであってはならないというふうに考えるんですが、この点についてどのような配慮を考えておられるのか、お答え願いたいと思います。
#180
○衆議院議員(熊代昭彦君) 今回の改正では、御承知のように新たに空気調和ダクト清掃業を追加する等のことでございますけれども、空気調和ダクト清掃業が独立してきた、排水管清掃業も独立してきたということでございますが、それは御指摘のようにかなり高度な技術が必要という面もございます。しかし、必要にして十分な能力があればいいということでございますから、中小企業を排除するものではないということでございますので、その従事者の資格や機械設備などについても合理的で無理のない範囲、必要にして十分ということで定めていっていただきたいというふうに考えているところでございます。
 議員御指摘のように、零細中小企業者が日本の企業の九十数%を占めておりまして、日本の宝でございますので、この活躍の余地を狭めるということはいささかも考えておりませんので、十二分にその点を配慮して法律を実施してもらいたいと考えているところでございます。
#181
○小池晃君 もう一点、私もレジオネラ菌の問題、この対策を強化する必要があるということを申し上げようと思ったんですが、今質問ございまして、検討中だという御答弁もありましたので、ぜひ、これ非常に怖い病気ですので、この問題についての対策を引き続き強化していただきたいということを申し上げておきたいというふうに思います。
 その上で、ちょっと残る時間、私、十一月二十二日に大臣が和解手続に同意をしたヤコブ病の問題についてお聞きをしたいというふうに思います。
 先日、井上議員が七三年のヒト乾燥硬膜の承認過程について質問いたしました。きょうは、その後の八五年に起きた事件について私お聞きをしたい。
 ここに、八五年五月八日付の毎日新聞の一面であります、これのコピーを持ってまいりました。これは、アメリカでヒト成長ホルモンの投与を受けていた下垂体性小人症の患者三人が八四年十一月から八五年四月にかけて亡くなった、一人はクロイツフェルト・ヤコブ病と診断された、残り二人もその疑いが持たれているという記事であります。この記事では、成長科学協会と厚生省、さらに同省のスローウイルス感染調査研究班長が検討会を開いたとしております。
 当然、当時の厚生省は、この下垂体製剤によりヤコブ病に感染して死亡された患者さんが出たという事実は把握しておられたんですね。
#182
○政府参考人(宮島彰君) 御指摘のヒト成長ホルモン製剤によってクロイツフェルト・ヤコブ病の感染の症例が発生したという事実は当時把握しておりまして、先生御指摘のように、昭和六十年四月二十七日に、成長科学協会と厚生省の担当者とそれから遅発性ウイルス感染調査研究班長による意見交換会でこの問題を取り上げております。
#183
○小池晃君 当時、既にライオデュラは広く使われていた。下垂体製剤でヤコブ病に感染するならば、同じ近くにある組織なわけですから、硬膜による感染ということについてもこれは当然検討は行ったんですね。
#184
○政府参考人(宮島彰君) 今御指摘のヒト成長ホルモン製剤によりますクロイツフェルト・ヤコブ病の感染につきましては、非常に短期間、約半年間に御指摘のように三つの症例が次々と把握されたということが一つございます。それからもう一つは、ヒト成長ホルモン製剤は脳組織であります脳下垂体を原料として製造されるということでございまして、脳組織がクロイツフェルト・ヤコブ病の感染媒体となることは当時の動物実験結果から判断できましたので、したがってヒト成長ホルモン製剤がクロイツフェルト・ヤコブ病の感染媒体として危険性があるということが当時は認識されたものであります。
 これに対しまして、ヒト乾燥硬膜につきましては、昭和六十年当時におきましてはクロイツフェルト・ヤコブ病感染を示唆するような症例報告はまだございませんでした。それから、硬膜自体は脳組織ではございませんので、そういう違いがあるためにヒト成長ホルモン製剤と同様に当時は考えることができなかったものというふうに思っております。
#185
○小池晃君 今、いろいろおっしゃいましたけれども、それは検討した結果なんですか。その当時、八五年のこの問題が出たときに、厚生省として検討したんですか。そのことを聞いているんです、私。
#186
○政府参考人(宮島彰君) 先ほど申しました昭和六十年四月二十七日にこの問題を取り上げまして、成長科学協会、厚生省、それから遅発性ウイルス感染調査研究班長による意見交換を行いましたが、そのときの議事録等は確認されておりませんけれども、その後、四月三十日付でこの意見交換会の内容が成長科学協会から声明の形で表明されておりますけれども、その中では具体的には、このいわゆる乾燥硬膜が検討されたという形跡は見られないというところでございます。
#187
○小池晃君 検討していないわけですよね。その当時、医療材料の中で人の死体から採取した初めての医療材料だったと。先日、当委員会で井上議員が指摘したように、この承認の過程は治験のデータもないわけです。わずか九枚の承認申請書、わずか三カ月の承認期間。もしこの承認のときに危険性について一定の検討がされておれば、私はこういう事例が起こればこれはほかにもいろいろあるんじゃないかということで検討の俎上に上がったって間違いないと思うんです、不思議はないと。要するに、全然検討していないからこういう事件が起こっても検討の俎上にすら上がらなかったということなんじゃないですか。
 私は、下垂体でも硬膜でもヒト組織由来というものでは同一なんだから、だとすれば、下垂体でこういう感染事例が起これば、少なくとも結果として検討して安全だという結論に至ったというならまだしも、これはこの可能性も疑って少なくともその検討がされてしかるべきだったんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
#188
○政府参考人(宮島彰君) 先ほど申し上げましたように、ヒト成長ホルモン製剤におけますこのクロイツフェルト・ヤコブ病の発症が非常に短期間に集中して三名発生したということと、脳下垂体自体が脳組織として動物実験等でもその感染の危険性が指摘されたということで、当時はかなり明確にこの危険性については認識されたというふうに思います。
 ただ一方、硬膜からのクロイツフェルト・ヤコブ病の感染につきましては、御承知のように、昭和六十年当時はまだ発症例が全くゼロの段階でありますし、硬膜自体は当時の見解では脳組織でない部分であるという認識から検討対象にはならなかったんではないかというふうに思っております。
#189
○小池晃君 私は、今のは全然説明になっていないと思いますよ。
 だって、脳組織だけじゃないんですよ、感染の危険性が指摘されていたのは。例えば、一九七四年の段階でダフィーは角膜による感染を症例報告しているわけですよ。だから、脳組織だけが感染源だったなんというそんな知見はないんですよ。ヒト組織だったらあらゆる部分が感染の危険性は排除されていなかったんですよ。しかも、一九七六年には、クロイツフェルト・ヤコブ病の病原体、その当時プリオンとわかっていなかったけれども、これは放射線抵抗性があるということも証明されていたわけです。そして、一九七八年には、日本のガンマ線の滅菌条件ではクロイツフェルト・ヤコブ病は除去できないということまで証明されているんです。ですから、伝達性も証明されている、それで不活化も困難であるというふうになっている。
 そういう知見がある中で、こういう下垂体による組織製剤からヤコブ病の患者が出たということを受けて、そういう情報を厚生省は持っていたわけです、きょうもお認めになりましたけれども。持っていたのであれば、その時点で私は検討されてしかるべきだったんじゃないかというふうにお伺いしているんです。大臣、いかがですか。
#190
○国務大臣(坂口力君) きょうはビルのお話かと思いましたらヤコブ病でございまして、驚いておりますが、今ずっとお話を聞いておりまして感じますのは、やはり現在の時点の医学的知見で言えばさまざまなことが言えますけれども、その当時は何らわかっていなかったころでございます。
 一九八七年になりますが、アメリカで第一例が出ました。同じ年に日本の国でも発生をしているわけであります。同じく、アメリカも日本も、ふだんならば出ないお若い人に発生をしているわけであります。アメリカにおきましては、なぜ若い人にそれが発生をしたのかということを非常に不審に思って、それは脳硬膜との関係があるのではないかというのですぐ脳硬膜の禁止措置をとった、輸入禁止措置をとったということでございましたが、日本におきましては、同じ一九八七年にそうした症例があったにもかかわらず、しかも日本の中の権威ある大学病院の脳神経外科においてそうした症例が発生しておるにもかかわりませず、日本におきましてはそれが問題にならなかった。一言で言えば、日本におきます医学のおくれということで片づけられることではないというふうに思いますけれども、そうした違いがあったことは事実でございます。
 一九八四年時代のことが今論議をされましたけれども、一九八七年にいわゆる脳硬膜を使って手術をされた方にその後でクロイツフェルト・ヤコブ病と思われる症例が発生したにもかかわらず、そのことが問題にならなかった。その事実をもちまして、先般の地裁におきましては、さまざまな問題はあるけれども、ひとつ和解をしてはどうかという結論に私はなったというふうに理解をいたしております。いつからこのいわゆる法的責任があるのかという問題がありますけれども、その「法的責任の存否の争いを超えて」と、こう裁判所が仰せになったのはそういうところを踏まえてのことではないかというふうに私は理解をいたしております。
 したがいまして、もうそこまで話は行ったわけでありますから、これから先どうするかということでありまして、またその前の法的責任を今ここで論じてみてもなかなかそれは定まるものではないと私は思います。
#191
○小池晃君 私は、一般的な医学的知見の問題を言っているんじゃないんですよ。あなたね、東京地裁の和解に関する所見に何と書いてあるか。国民や医療従事者の監視能力には大きな制約があるから、医薬品等の安全性確保の最終的な番人の役割は厚生大臣に期待するほかないというふうに裁判所は言っているんです。その当時の医学的知見がどうのこうのの問題じゃないんです。これは、やはり厚生大臣というのはそれだけの責任があるんですよ。
 責任の問題はともかくというふうにおっしゃった。しかし、私、申し上げたいのは、ヤコブ病の被害者というのは、八七年以前に手術を受けようが八七年以後に手術を受けようが汚染された硬膜を使用されたかどうか知り得る立場になかったわけですから、ここで線が引かれて救済がされたりされなかったりするということはあってはならない、どう考えてもおかしいと思うんです。
 最後にお伺いしたいのは、法的責任の存否の争いを超えてと言うならば、八七年という時点で線を引いたりせずに被害者全員を一刻も早く救済する、私、そういう立場で和解協議に臨むんだと、これが国の最低限の責任じゃないかと思うんですが、大臣、いかがですか。
#192
○国務大臣(坂口力君) だから私は言っているんです。裁判所が法的責任の存否の争いを超えてとおっしゃったんです。だから、それ以上のことをここで言ったって仕方がないので、そういう御趣旨に従ってこれから和解を進めていく、それ以外にありません。
#193
○小池晃君 終わります。
#194
○大脇雅子君 今回追加されました事業、建築物排水管清掃業、それから登録建築物空気調和用ダクト清掃業、これの登録基準というのはどのようになるんでしょうか。例えば、事業の人的、物的基準はどのように考えたらよろしいのでしょうか。
#195
○政府参考人(下田智久君) 今回出されております法案で新たに創設をされます空気調和用ダクト清掃業及び排水管清掃業の登録要件の細目につきましては、それぞれ業種の営業の実態あるいは技術の水準等から見まして、従事者の資格あるいは機器、器具、こういったものにつきまして合理的で無理のないものにしたいと考えております。
 法案が成立しましたならば、建築物に係る専門家の御意見も伺いながらその基準の内容を検討してまいりたいと考えております。
#196
○大脇雅子君 貯水槽の清掃については、水道法第十九条及び第三十四条の二第一項の規定に基づいて、従来から一年以内一回という清掃が義務づけられておりますが、排水管の清掃等については現在どのような取り扱いになっているのでしょうか。
 マンションの生活だけではなく、ビルの営業、生活等全般を考えれば、排水管の清掃やあるいはダクトの清掃は定期的に実施される必要性が高いと思われるのですが、今回の改正によってどのような効果が期待されるのでしょうか。
#197
○政府参考人(下田智久君) 建築物衛生関係業務の実施の方法、こういったものにつきましては、政省令におきまして建築物環境衛生管理基準、こういったものを定めながら実施をお願いしているところでございます。
 ただいま御指摘のように、貯水槽等々につきましては御指摘の基準でやっておりますけれども、排水槽につきましても基準がございまして、六カ月ごとに一回、汚水及び残留物質を排除するというふうにいたしておりまして、必要があれば消毒等々のことも書かれておるところでございます。
 今回、登録業として挙がっております排水管の清掃といったものでございますが、業の実態あるいは技術的な問題もございますので、定期的なといった部分をどれくらいの期間にしたらいいのか、実際どのような形でやればいいのか、こうした基準等につきましては、専門家あるいは業界の御意見も伺いながら検討することといたしております。
#198
○大脇雅子君 発議者の方にお尋ねをしたいのですが、建築物における衛生的環境の確保を図るための事業であるということで、第十二条の二第一項八号による総合的管理を行う事業と、第一号から第七号までの各事業とでは、今回の改正を踏まえて今後何らかの動きがあるというふうに予測されるでしょうか、お尋ねをします。
#199
○衆議院議員(熊代昭彦君) 三号とそれから六号は、それぞれ事実として独立をしてきたという業態でございますので、その事実として独立してきた業態を新たに認めて、それにきっちりとした基準を定めたいということでございますので、その基準に従いまして努力してくださるということで水準も上がってくるというふうに思います。
 それから、今度は一般管理業に空気設備の管理を実施する、そういうことで測定だけではなくて空調設備全体の管理などの事業を加えるということでございますから、総合管理業と新たになる者は一般管理業に加えましてビル全体に対する関心が非常に高まってくるというふうに思います、ビル全体をよりよく管理しようと。
 その中で、義務というのは法律に定められている義務でございますけれども、それをしっかりやるとともに、さらにビル全体について目配りしようという、そういう動きが出てくるんではないかというふうに期待しているところでございます。
#200
○大脇雅子君 質問時間がございますので、私もまたクロイツフェルト・ヤコブ病について、ちょっと二点だけ、ことし最後の質問でございますし、聞き残した前回の質問の継続としてお尋ねをしたいと思います。
 ことしの十一月六日の厚生労働委員会で、私は、患者や家族や遺族に対して医原性のヤコブ病であるという連絡は厚生省からも病院からも何もない、そのことがまた不安を高揚しているということでお尋ねをいたしましたら、厚生科学審議会疾病対策部会クロイツフェルト・ヤコブ病等委員会というので検討をするということでございました。そしてこの委員会は開かれたと聞いておりますので、その後それがどのようなことになっておりますか、お尋ねをさせていただきたいと思います。
#201
○政府参考人(下田智久君) 確かに、十一月六日の委員会で厚生科学審議会疾病対策部会クロイツフェルト・ヤコブ病等委員会、非常に長ったらしくて大変恐縮でございますが、そこで意見を伺いますということをお答え申し上げたところでございます。
 十一月七日にその委員会が開催をされまして、クロイツフェルト・ヤコブ病の患者及び家族に対する病名の告知のありようについて意見をお伺いしたわけでございますが、その委員会におきましても、医師と患者、家族等との信頼関係の中で適時適切に行われることが望ましい、行政が病名の告知に関与することは望ましくないといった御意見をいただいたところでございます。
#202
○大脇雅子君 そうしますと、医師と患者、家族の信頼関係に基づいてこの告知の問題、そして不安を抱く人たちへの対応ということはどのように進むというふうに考えたらよろしいのでしょうか。それで、どのように厚生労働省としては考えていられるでしょうか。
#203
○政府参考人(下田智久君) クロイツフェルト・ヤコブ病につきましては難病に指定をされておるところでございまして、診断がつきその申請がなされた時点で医療費、こういったものの自己負担分を公費で負担いたしますとともに、必要があれば家庭等におきます介護、こういったものの援助等も行っておるということでございます。
 また、入院等に当たりましては、最終的に国立病院あるいは療養所等で受け皿となるということも決めておりまして、必要があればそういった病院で受け皿となって対応をいたすということといたしておるところでございます。
#204
○大脇雅子君 そうすると、病院ないしはお医者さんがそうした現在七十六名と言われております医原性のクロイツフェルト・ヤコブ病の方々にどのような告知をし、どのような対処をされたかということについては調査をされるということは全く考えておられませんか。何らかの形でそれは患者の人権として必要だと思われるのですが、いかがでしょうか。
#205
○政府参考人(下田智久君) 先ほどお答えをいたしましたように、十一月七日に開かれました委員会では、繰り返しで恐縮でありますが、信頼関係の中で適時適切に行われることが望ましい、行政として関与することは望ましくないというような御意見でございましたので、厚生労働省といたしましては、医師と患者、家族等との関係の中で対応されるべきものと、このように考えておるところでございます。
#206
○大脇雅子君 裁判所の所見に基づいて和解の土俵に乗っていただきました厚生大臣の御英断に私は感謝するものでございます。
 患者の方もでき得る限り早く大臣にお目にかかりたいと申しておりますけれども、その点についてはどのようにお考えなのかお伺いいたしまして、質問を終わります。
#207
○国務大臣(坂口力君) 今、先生が述べられました御趣旨を尊重いたしまして、できる限り早くそうしたいと思っております。
#208
○森ゆうこ君 自由党の森ゆうこでございます。
 この法案に関しましては、私だけが一人反対の立場のようでございます。
 先ほど、緊急雇用対策特別法の審議の中でも内閣府の岩田政策統括官が答弁されていましたが、この失業率五・四%、その三分の二が構造的要因、そういうことで構造改革、要するに新産業分野を構築するということを本当に急いで進めなければいけないという状況の中で、やらなければいけないことは規制緩和だと思います。そういう反対の立場で質疑をさせていただきます。
 まず、なぜ今この法改正をする必要があるのでしょうか。現行の法律ではビルメンテナンス業者に何か不都合があるのでしょうか。お願いいたします。
#209
○衆議院議員(熊代昭彦君) 申し上げましたように、既存の業態に加えまして、空気調和用ダクトの清掃を行う事業、それから建築物の排水管の清掃を行う事業、これが台頭してきたわけでございますが、これに対しまして、よりよい水準をということで今回業態として加えるわけでございますけれども、規制改革という観点からすれば、不肖私自身も自由民主党の行政改革推進本部の事務局長をさせていただいておりますので十分に注意をいたしております。
 これは名称独占でございますので、名称を冠する、いい水準であるという、水準を超えているということで名称を冠することができる。しかし、これは登録していないけれども、ここのこの業者は大変すばらしい力があるということを発注者が御存じの場合はそれを使っていただいて結構でございますので、いささかも規制を強化するものではないと、どうぞお使いくださいというものでございます。
#210
○森ゆうこ君 その名称独占というのが、それこそが規制じゃないんでしょうか。新規事業への参入規制というのはそういうことを指すのではないでしょうか。
 一般のビルの利用者、ビルの所有者ではありません一般のビルの利用者にとっては、現行の法のままでは何か不都合がありますか。
#211
○衆議院議員(熊代昭彦君) 一般のビルの利用者にとりましては、空気調和設備が非常に健康にいいように運用されているということが大切でございまして、そういう能力のある業者ということが確立されると。水準を上げてくるということが一般の利用者に対して大変有用なことだと思います。
 そういう意味で、この法律は一般の利用者の方にとっても大変いい効果を及ぼす法律であるというふうに考えているところでございます。
#212
○森ゆうこ君 つまり、具体的な不都合は特別御提示がなかったわけです。ということであれば、この法改正によって何らかの具体的な利益がもたらされるということが証明されなければならないと思います。
 登録基準の追加については先ほど辻委員からも質問がありました。はっきりとした基準を示さずに省令に質的基準をゆだねることは立法の怠慢であり、また法律の予見可能性を奪うものではありませんか。
#213
○政府参考人(下田智久君) 基準につきましては、省令で具体的な内容を定めさせていただいておりますが、この省令を定める際におきましても、国会での御審議を踏まえ、関係の業者あるいは専門家の御意見を伺いながらその内容を定めておるところでございます。
 また、その内容につきましては、パブリックコメントを求めておりまして、現状に合うような、そういう形のものにしておるところでございます。
#214
○森ゆうこ君 はっきりした基準が示されないままこのような法改正がされますと、つまりは萎縮的効果が出てしまう。これでは業界が活性しないのではないでしょうか。これは規制緩和に逆行するという観点での質問です。発議者にお答えいただきたいと思います。
#215
○衆議院議員(熊代昭彦君) 大変鋭い御質問をいただきまして、大変議論が活性化されて問題点が浮き彫りになってすばらしいと思います。
 例えば、業務独占の職種がいっぱいございます。この業務独占の職種に名称独占にしていただいたらどうだろうと、こういうふうに申し上げますと、それはもう大反対でございまして、それはだめです、我々はぜひ業務独占にしてほしい、それだけの根拠もありますと、こういうことでございますので、業務独占というのは確かに非常に規制を強化いたします。しかし、それはそれだけの根拠があるものが業務独占になっているわけでございます。
 これは、質の向上を図るということで、水準を上げるために登録制度をつくっておるものでございますから業務独占をさせておりません。よりよいものがある、あるいは極めて限られたところであるけれどもよりいいものがあるというものは発注者が自由に使えるわけでございますので、御指摘のような心配はないというふうに考えているところでございます。
#216
○森ゆうこ君 済みません、ちょっと質問を戻らせていただきます。
 私は最初、この建築物環境衛生法ですか、ビル管法ですね、この法律が改正されるというのが上がってくると聞きまして、いわゆる先ほどもお話がありましたレジオネラ菌やさまざまな有害物質が問題になっているので、そういうものをきちんと特定して、これに対する対処が有効に行われるような、そういったきちんとした法整備をされるものというふうに思って待っておりましたら、全くそのようなことは入っておりませんでした。
 これは、いずれにせよ規制対象の業種を六業種から八業種にふやすとか、それから一般管理業を総合管理業、そういう言葉に変えると。今ここで会期末の慌ただしいときに、改正してもしなくても本当に法的効果がほとんどないように思うんですけれども、今回の改正はいわば改正のための改正ということではないのでしょうか。
#217
○衆議院議員(熊代昭彦君) 重ねて厳しい御指摘でございますけれども、よりよい環境をつくるということでございますので、建築物は非常に美しいものが今多いわけでございますけれども、なかなか見た目だけでそれが衛生的基準がすばらしいかというと、それは一般の方にわからないわけでございますね。そういう意味で、いろいろと工夫されまして、測定をし、そしてその測定に合うような技術水準のものの業態を登録していくということでございます。
 そういうことで、空気調和用ダクト、これも建築物の一番中核的なものでございますけれども、空気が悪いということは一番健康に悪いわけでございますので。それから排水管の清掃ということも、これは建築物の衛生に根源的なものでございます。さらに、総合管理業ということでプラスアルファの空気環境の調整を加えまして、建築物の衛生水準を大いに上げることができるというふうに考えているところでございまして、やってもやらなくてもいい改正ということではなくて、非常に有益な、ぜひやった方がいい改正だというふうに理解しているところでございます。よろしくお願いを申し上げます。
#218
○森ゆうこ君 繰り返しになりますが、このような業界法がまた一つふえることで新規参入者にとって壁が一つ増加した、つまり規制が一つふえることになるのではありませんか。
#219
○政府参考人(下田智久君) 建築物衛生法につきましては、その対象といたしております特定建築物、これは非常に多数の者が使用しまたは利用するという用途に使う建築物が対象となっておりますが、こういった建築物におきましては、自分では環境を管理できない、集中管理をしております空調でありますとかあるいは給排水でございますので、そういった面で、自分では管理できないという観点で、環境衛生上必要な事項を定めるというのがこの法律の目的でございます。
 登録業が始まりましてから六業種、これを今回八業種に変えさせていただくわけでございますけれども、建築物の構造そのものが非常に複雑化する、あるいは専門的な技術が進歩する、こういったその業態を反映をさせまして、二つの業種を新たに設けさせていただくというようなことでございます。
 特に、この空調ダクトの清掃業あるいは排水管清掃業といったものは、普通の清掃と違いまして目に見えない部分、ここを清掃するわけでございまして、例えばそういった部分の清掃につきましては内視鏡カメラあるいは小型ロボットの使用とかあるいは高圧洗浄機といったような非常に複雑な機械を必要といたしますので、通常の清掃業の方々にこういったことを求めるのは非常に過大な逆に負担になる、こういった観点から二業種がふえるといったことになるのではないかと、このように考えておるところでございます。
#220
○森ゆうこ君 目的は環境をよりよくするということです。それであれば、建築物の衛生環境の基準、さまざまな有害物質を排除する、湿度とかそういうことを、基準を明確にしてそれを守らせる、その守らなかった者に対して罰則を与える、それで十分じゃないでしょうか。それを、管理する業者をああだこうだと、それこそが規制なんです。その規制をふやすということは構造改革に逆行するものではないでしょうか。
 自由党は、今国会で既に民間の事業活動の規制の廃止に関する法律案を提出させていただいております。これは、民間の経済活動にかかわる規制を三年以内に全廃し、特に新規事業への参入障壁をなくし、新規事業創出と自由競争を促進し、我が国の経済発展を目指すものです。
 そういう意味で、今回の改正は名称独占であって規制の強化につながらないという旨を述べられておられますけれども、今の説明を伺っても、やはり規制強化につながるのではないかという懸念が残ります。そして、先ほどのこの提案理由の説明の中に、最後の方ですが、「この登録制度は名称独占であって、これらの改正は規制の強化につながるものではないことを申し添えます。」、わざわざ提案理由の説明でなぜこれを書かなければいけなかったのでしょうか、御説明をお願いいたします。
#221
○衆議院議員(熊代昭彦君) 私、党の規制改革推進本部の事務局長でございますので、その点、厳しく見ましてこれをわざわざ書き加えたわけでございまして、議員も試しに、例えば、例えばですけれども、いろんな業種があります、例えば弁護士さんに、名称独占だってやっぱり規制じゃないか、だから業務独占でなくて名称独占で頑張りなさいという御提案をされればどういう反発が来るか、試しにやっていただければ名称独占と業務独占の違いというのがはっきりするんじゃないかというふうに思います。よろしくお願いします。
#222
○森ゆうこ君 どこまで行っても堂々めぐりだと思いますが、今我が国にとってやらなければならないことは、先ほども申しました構造的要因が三分の二を占めるという失業率、早く産業構造改革を進めて新しい産業分野を成長させ、国際競争の中で勝っていかなければならない、そのために私たちがすることは何でしょうか。それは自明なことだと思いますが、そのことを申し上げまして、私の質問を終わります。
#223
○西川きよし君 今国会もいよいよ明日で閉会ということでございまして、当委員会も本日で終わるということでございまして、私が最後の質問者でございますけれども、どうぞよろしくお願いをいたします。辻先生の御質問のときに聞けなかったものですから、復習の意味でも最初の方からお伺いしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 十一年、十二年度、この二年間、厚生科学研究による維持管理手法、この研究報告書を読ませていただきました。そして、今回提案されております登録業種の拡大の指摘とともに、登録制度の問題点の指摘でありますとか登録事業の問題点についても指摘をされておりますけれども、まずこの登録制の問題点として、登録事業者の資質の向上を図るため講習会のレベルの確保、あるいは講習会終了後のフォローアップの必要性が指摘をされているわけですけれども、この点につきまして現状認識を提案者に、また今後の対応について厚生労働省にお伺いをいたします。よろしくお願いいたします。
#224
○衆議院議員(熊代昭彦君) 御指摘のとおり、登録事業者の資質の向上を図るために講習会のレベルの確保と、それから講習会終了後のフォローアップが重要というふうに考えております。先生の御指摘のとおりでございます。関係者においてしっかりとした取り組みをしていただくということを期待しているところでございます。
 なお、今回の改正によりまして、例えば業務実施の適正さに関する事項などを厚生省令で登録要件に追加することが可能になっております、ソフトの面でですね。ソフトの面の重要さというのは最近とみに自覚されているところでございますので、登録事業者の資質の向上に今度の法律改正及びそれを受けての厚生省令というのは大いに資するというふうに考えているところでございます。
#225
○政府参考人(下田智久君) 事業者の登録基準の一つといたしまして、作業監督者、作業従事者等に対します講習を受けていただく、こういったことを要件とさせていただいているわけでございます。登録制度が事業者選択の目安として使われておりますし、また登録業者の資質の向上を通じて建設物の衛生水準の向上に資するものとして機能するといったことのためには講習会のレベルの確保は極めて重要だと、このように考えております。
 こうした講習会は、厚生労働大臣の指定をいたしますところによりまして実施をしておりますけれども、そうした内容等につきましては最新の科学的知見に基づいたものでなければならないというふうに考えておりまして、一度専門家の御意見も伺いたいというふうに考えておりまして、これらの講習会が適切に、しかも内容が科学的に適応しているかどうか、こういったものについてもしっかり指導してまいりたいと考えておるところでございます。
#226
○西川きよし君 次に、登録事業の問題点についてお伺いをしたいと思います。
 この点については、監視指導体制の確立として、現在ほとんどの自治体は登録時もしくは再登録時にのみ人的要件及び物的要件の確認の示唆を行うのみで、作業や測定検査の実施時の監視指導はほとんど行われていないと。登録期間が六年となっておるわけですけれども、登録事務が軽減された時間を監視指導に当てるなど資質の向上に向けた行政対応を確立していく必要があると思いますというふうに指摘をされておるわけです。また、行政による支援体制の確保についても触れられておりますけれども、こうした点について厚生労働省としてはどのような対応を考えていかれるのか、お聞かせください。
#227
○政府参考人(下田智久君) 建築物衛生法におきましては、必要がある場合には都道府県職員が登録営業所に立ち入りまして、その設備、帳簿書類等の検査をすることができるというふうになされております。この規定に基づきまして、都道府県では毎年、登録営業所の三割強になろうかと思いますが、営業所に立入検査を実施いたしておるところでございます。
 平成十二年度で申し上げますと、約一万四千登録営業所があるわけでありますが、そのうちの四千七百カ所の営業所につきまして立入検査を実施いたしております。その結果でございますけれども、一〇%以上の営業所におきまして何らかの指摘事項があるということでございまして、改善をお願いするということでございます。
 こうした状況で実施をしておりまして、この立入検査は登録営業所に対する指導としては適切に機能しているのではないかと、このように考えておるところでございます。
#228
○西川きよし君 次に、先ほど辻先生、小池先生のお話にもあったようでございますけれども、レジオネラ症の対策についてお伺いをしたいと思います。
 昨年も静岡県、そしてあるいは茨城県におきまして集団感染が発生をしたところですけれども、現在までのこの発生状況についてまず御説明をお願いいたします。
#229
○政府参考人(下田智久君) レジオネラ症につきましては、平成十一年、一九九九年でございますが、四月に感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律が施行されたわけでございますが、その法律の中で四類感染症の一つとして位置づけられておりまして、このレジオネラ症を診断した医師は七日以内に届け出をするという義務づけが行われているところでございます。
 その届け出状況を見てまいりますと、平成十一年四月からスタートをいたしたわけでございますが、平成十一年四月から十二月の間に五十四名、平成十二年に百五十三名、平成十三年では十一月十八日現在で七十三名ということでございまして、いわゆる感染症予防法がスタートいたしましてから計二百八十名のレジオネラ症が患者として届けられておると、こういう状況でございます。
#230
○西川きよし君 ありがとうございました。
 このレジオネラ、これにつきましては病人や体の弱い人、今もお伺いいたしましたとおり、答弁の中でも随分たくさんの方々が被害に遭われているわけですけれども、病人や体の弱い人、特に高齢者などの免疫機能の低下した人には致命的なことが多いというふうに我々素人も聞かされているわけですけれども、この報告書の中で、社会福祉施設や病院など身体的な弱者の利用ということから一般施設と異なった環境衛生対応が要求をされると、こういう指摘もされております。
 このレジオネラ症予防のための施設管理のあり方について厚生労働省の対応をお伺いしたいと思います。
#231
○政府参考人(下田智久君) 建築物におきます冷却塔、クーリングタワーでございますが、冷却塔や給湯設備、こういったところは維持管理が適切でないとレジオネラ属菌が繁殖をする、そしてそこから空調等を通じ感染が起きるといったことでございまして、厚生労働省では、こうした実態調査の結果を踏まえまして、防止指針を全面的に改めまして平成十一年十一月に通知を発出したところでございます。
 こうした指針に従いまして、レジオネラ属菌に対します知識の普及啓発、そしてこうした設備の適切な維持管理、これが極めて大事でございますので、こうしたものを行うよう地方自治体衛生部局に通知をいたしたところでございます。
 また、先生御指摘のように、社会福祉施設、病院、こうしたところにおきましては特に免疫機能が落ち込んでおるといったことで重症化することも考えられるところから、地方自治体の民生部局に対しましても、社会福祉施設に適正に管理をするよう通知を行ったところでございます。
 建築物におきますレジオネラ菌対策の重要性、これは御指摘のとおりでございまして、今後ともその適切な維持管理が行われますように指導してまいりたいと考えておるところでございます。
#232
○西川きよし君 ありがとうございました。
 本当に事命にかかわることでありますし、よりよい、住みよい環境づくり、またこれからも頑張っていただきたいと思いますし、昭和四十五年に議員立法ということで、最初、発議者からもお伺いいたしましたけれども、昭和四十五年、窓にかけてあるハンカチが黒くなったという、その小さいところから現在に至ったということでございます。どうぞひとつよりよい方向へ努力をお願い申し上げまして、最後の質問といたします。
 ありがとうございました。
#233
○委員長(阿部正俊君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#234
○森ゆうこ君 私は、本日議題となりました建築物における衛生的環境の確保に関する法律の一部を改正する法律案に以下の理由から反対の討論をいたします。
 まず、本改正案は、ビルメンテナンス業者登録制度の登録業種を六業種から八業種へと規制業種を増加させ、ビルメンテナンス業界への新規参入を困難にするものであります。また、現在、登録を受けるための基準は物的基準、人的基準と現行法のままでも公衆衛生の観点からは十分であり、本来であれば基準を緩和し新規参入障壁をなくすべきところ、さらに基準を追加する本改正案は規制の強化につながるものであります。
 そして、環境問題が今日ほど強く意識されなかった本法立法当時と比べ格段に国民の環境・公衆衛生観念が発展し、各種の環境・公衆衛生規制法規が整備され、現実の国民の生活環境、公衆衛生も高水準である現在においては、本改正案のごとく単に規制を上乗せすることは不要であり、レジオネラ菌等いまだ解決されない人体に有害な物質の問題に取り組むべきと考えます。
 失業率が五・四%を超える我が国の危機的状況の中で立法府がなすべきは、産業構造改革を進め、新規事業創出につながる施策を積極的に打ち出すべきで、新規参入の新たな障壁となる本法改正案には反対です。
 以上、規制緩和、規制撤廃を推進する自由党を代表し、これらの改正に反対します。
#235
○委員長(阿部正俊君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 建築物における衛生的環境の確保に関する法律の一部を改正する法律案(第百五十一回国会衆第一七号)に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#236
○委員長(阿部正俊君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#237
○委員長(阿部正俊君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#238
○委員長(阿部正俊君) 次に、建築物における衛生的環境の確保に関する法律の一部を改正する法律案(参第八号)を議題とし、発議者櫻井充君から趣旨説明を聴取いたします。櫻井充君。
#239
○委員以外の議員(櫻井充君) ただいま議題となりました建築物における衛生的環境の確保に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、民主党・新緑風会を代表して、その趣旨及び内容の概要を御説明申し上げます。
 近年、我が国では、建築物の内装、建材などから放散される有害化学物質で建築物の居室内の空気が汚染されるために、健康被害を訴える人がふえています。頭痛、ぜんそく、目まい、倦怠感などの症状を呈し、ひどくなると、仕事を続けられなくなる、不登校になるなど、日常生活を送れなくなります。このような健康被害は、一度かかってしまうと有効な治療法、治療施設がなく、清浄な空気の土地で自然治癒を待つしかありません。現在、病気として認められていないために、健康保険が適用できず、周囲の人から理解されることなく、孤独で苦しい生活を送っている方もいらっしゃいます。このような健康被害者は年々増加しており、全国に数百万人もいると言われています。
 このような健康被害は、個人所有の住宅だけでなく、会社等の大規模な建築物の空気汚染によっても引き起こされます。大規模な建築物は、個人所有の住宅とは違い、その空気環境が不特定多数の人に健康上の影響を与えるということを考慮すると、有害化学物質による健康被害の拡大を未然に防ぐためには、こうした大規模な建築物の空気環境を適正に管理し、良好に保つことが非常に重要です。
 この法律案は、今国会にともに提出いたしました特定有害物質による建築物の居室内の空気汚染の防止等に関する法律案が、居室内の特定有害物質の規制に関し、人の健康という観点から基本的な事項を定めることを前提としつつ、特定建築物の居室内の空気の質をより安全で良好な状態に保たせるようにすること等を目的として、さらなる措置を講じようとするものであります。
 次に、この法律案の概要について申し上げます。
 第一に、特定有害物質の濃度の調整についての定めの追加であります。
 空気環境に特定有害物質による建築物の居室内の空気汚染の防止等に関する法律案に規定する特定有害物質の濃度を含むことを法律上明記することにより、政令で定められる建築物環境衛生管理基準の空気環境の調整の内容に特定有害物質の濃度の調整についての定めを追加することとしております。
 第二に、空気環境の定期測定等であります。
 特定建築物の維持管理について権原を有する者は、定期に特定建築物における空気環境の測定及び当該特定建築物において供給する飲料水の水質検査を行い、その結果を記録しておくとともに、特定建築物所有者等は、その結果の記録を帳簿書類として備えておかなければならないものとしております。また、保健所の業務として、空気環境の測定、水質の検査等を行うことを明確にするため、多数の者が使用し、または利用する建築物の維持管理について、環境衛生上の相談に応じ、及び環境衛生上必要な指導を行うことに加え、これらに付随する調査等の業務を行うものとしております。
 第三に、指定評価機関による特定建築物維持管理評価制度の創設であります。
 都道府県知事の指定による指定評価機関は、申請により、定期に特定建築物の維持管理について建築物環境衛生管理基準に照らして評価を行い、その結果に基づいて特定建築物の維持管理が建築物環境衛生管理基準に適合している旨等を記載した特定建築物環境衛生管理基準適合評価書を交付することができるものとするとともに、特定建築物所有者等は、特定建築物環境衛生管理基準適合評価書の交付を受けたときは、当該特定建築物維持管理評価に係る期間内に限り、当該特定建築物において、当該特定建築物の維持管理が建築物環境衛生管理基準に適合していることを示す表示を掲示することができるものとしております。
 以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
 現在、特定有害物資によって被害を受けている方たちは行き場を失っています。一刻も早く被害の拡大を防ぐためには、この法律の制定が喫緊の課題と言えます。委員各位におかれましては、どうかこれらのことについて十分に御理解を賜り、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
 以上です。
#240
○委員長(阿部正俊君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
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#241
○委員長(阿部正俊君) 次に、請願の審査を行います。
 第二号男性助産婦導入反対に関する請願外七百八十五件を議題といたします。
 これらの請願につきましては、理事会において協議の結果、第三八七号食品衛生法の改正及び同法に基づく行政措置の抜本的な整備強化に関する請願外二百七十三件は採択すべきものにして内閣に送付するを要するものとし、第二号男性助産婦導入反対に関する請願外五百十一件は保留とすることに意見が一致いたしました。
 以上のとおり決定することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#242
○委員長(阿部正俊君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#243
○委員長(阿部正俊君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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#244
○委員長(阿部正俊君) 次に、継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。
 社会保障及び労働問題等に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#245
○委員長(阿部正俊君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#246
○委員長(阿部正俊君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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#247
○委員長(阿部正俊君) 次に、委員派遣に関する件についてお諮りいたします。
 閉会中の委員派遣につきましては、その取り扱いを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#248
○委員長(阿部正俊君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時二十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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