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2001/10/16 第153回国会 参議院 参議院会議録情報 第153回国会 財政金融委員会 第2号
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2001/10/16 第153回国会 参議院

参議院会議録情報 第153回国会 財政金融委員会 第2号

#1
第153回国会 財政金融委員会 第2号
平成十三年十月十六日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 十月四日
    辞任         補欠選任
     小川 敏夫君     櫻井  充君
     内藤 正光君     勝木 健司君
 十月十五日
    辞任         補欠選任
     櫻井  充君     谷  博之君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         山下八洲夫君
    理 事
                入澤  肇君
                林  芳正君
                若林 正俊君
                円 より子君
                山本  保君
    委 員
                上杉 光弘君
                尾辻 秀久君
                清水 達雄君
                中島 啓雄君
                大塚 耕平君
                勝木 健司君
                谷  博之君
                峰崎 直樹君
                浜田卓二郎君
                池田 幹幸君
                大門実紀史君
                大渕 絹子君
                平野 達男君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        石田 祐幸君
   参考人
       日本銀行総裁   速水  優君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○財政及び金融等に関する調査
 (日本銀行法第五十四条第一項の規定に基づく
 通貨及び金融の調節に関する報告書に関する件
 )

    ─────────────
#2
○委員長(山下八洲夫君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る四日、内藤正光君及び小川敏夫君が委員を辞任され、その補欠として勝木健司君及び櫻井充君が選任されました。
 また、昨十五日、櫻井充君が委員を辞任され、その補欠として谷博之君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(山下八洲夫君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に参考人として日本銀行総裁速水優君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(山下八洲夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(山下八洲夫君) 財政及び金融等に関する調査を議題といたします。
 日本銀行法第五十四条第一項の規定に基づく通貨及び金融の調節に関する報告書に関する件について、日本銀行から説明を聴取いたします。速水日本銀行総裁。
#6
○参考人(速水優君) 日本銀行の速水でございます。本日は、通貨及び金融の調節に関する報告書の概要を説明に参りました。簡単に説明させていただきます。
 日本銀行は、本年六月に、平成十二年度下期の通貨及び金融の調節に関する報告書を国会に提出いたしました。今回このような形で日本銀行の金融政策運営につきまして説明をする機会をいただきまして、厚く御礼申し上げます。
 日本銀行は、物価の継続的な下落を防止し、持続的な経済成長の基盤を整備するという断固たる決意を持って、内外の中央銀行の歴史に例を見ない思い切った金融緩和措置を機動的に講じてまいりました。また、先般の米国における同時多発テロ事件の発生後は、資金決済の円滑と金融市場の安定を確保するために、市場に極めて大量の資金を供給するなど、迅速な対応に努めてまいったつもりでございます。
 本日は、最近の内外経済情勢や金融政策運営につきまして、少し述べさせていただきます。
 日本経済の動向を見ますと、昨年秋以降の世界的なIT関連分野の調整、これを背景とする海外経済の急激な減速を受けまして、日本の輸出が大きく落ち込み、国内の生産も大幅な減少を見ることになりました。
 海外経済の方は、その後も減速傾向を一段と強めてまいりました。すなわち、米国や東アジアの経済の調整がさらに深まっている中で、欧州でも景気の減速が次第に明確となってまいりました。
 こうしたもとで、日本の輸出や生産は大幅な減少を続け、企業収益や設備投資も減少に転じてまいりました。さらに最近では、このような企業部門の調整の影響が雇用、所得の面にも広がっていくといったような、経済の情勢は厳しさを増しているように思います。この間、物価の方は、需要の落ち込みに加えまして、技術革新や流通の合理化、安値の輸入品の流入の影響などもございまして、下落傾向を続けています。
 こうした経済情勢の悪化に対しまして、日本銀行では去る三月に、コールレートという「金利」にかわりまして、日銀当座預金という資金の「量」を金融調節の主たる操作目標として、その上で、この残高をそれまでの四兆円程度から五兆円程度に増額するという思い切った金融緩和に踏み切りました。さらに、この新しい金融調節の枠組みを、消費者物価の上昇率が安定的にゼロ%以上になるまで続けることを宣言いたしました。
 さらに八月には、この新しい枠組みのもとで金融面から景気回復を支援する力をさらに強化するために、日銀当座預金残高を六兆円程度に増額するとともに、大量の資金供給を円滑に行うために長期国債の買い入れを増額いたしました。
 その後、先月の九月十一日になりまして、米国において同時多発テロという大変衝撃的な、また痛ましい事件が起こったわけでございます。
 事件の発生後、日本銀行は直ちに危機対策本部を設置いたしますとともに、東京の金融市場が開く前に、私が談話を発表して、資金決済の円滑と金融市場の安定確保に万全を期すという断固たる姿勢を明らかにいたしました。その上で日本銀行は、市場における流動性需要の増加に対応して、大量の資金供給を機動的に実施いたしまして、日銀当座預金残高を大きく引き上げてまいりました。
 その後、内外の金融市場を見ますと、日本銀行を初めとする主要中央銀行による潤沢な資金供給や市場参加者による適切な対応の結果、取引や決済面での大きな混乱は回避されております。
 しかし、テロ事件をめぐる情勢の展開が内外の金融市場や実体経済活動にどのような影響を与えていくのか、引き続き細心の注意を持って見守っていく必要があると思います。また、万が一にも資金決済の円滑や金融市場の安定が損なわれるというような事態になりますと、これまでの思い切った金融緩和措置の効果浸透にも支障を来すおそれがあります。
 こうした情勢にかんがみまして、日本銀行では、九月の金融政策決定会合におきまして、議長である私の提案によりまして、当初九月十八、十九日の二日間とされておりました日程を一日に短縮しまして、速やかに金融政策運営の方針を決定することといたしました。その上で、金融市場の安定を確保するとともに、金融緩和のより強力な効果浸透を図る観点から、次の三つの措置を決定いたしました。
 第一に、日銀当座預金残高について具体的な目標金額を特定せず、市場が必要とする資金を機動的にかつ潤沢に供給していくことといたしました。
 第二に、公定歩合の引き下げを実施しました。現在、公定歩合は、本年三月に導入しましたロンバート型貸付制度、すなわち、担保など一定の条件を満たせば、金融機関が日本銀行から自動的に貸し出しを受けられる制度の適用金利となっておるわけでございます。この公定歩合を〇・一五%引き下げまして〇・一%といたしました。これまでの最低の金利でございます。
 第三に、九月中間期末に対応する臨時措置としまして、ロンバート型貸付制度の利用の上限日数を引き上げました。延ばしました。先週開催しました政策決定会合でも、現在の景気・物価情勢や金融市場動向を踏まえまして、柔軟かつ潤沢に流動性供給を続けることを決定したところでございます。
 このように日本銀行は、本年入り後、世界的な経済情勢の悪化や米国におけるテロ事件の発生といった困難な局面の中で、機動的かつ弾力的な金融政策運営に全力を挙げて努めてまいったと思っております。仮に、日本銀行は物価の下落を放置しているといったような見方があるとすれば、それは全くの誤解だと思います。この点はぜひとも御理解いただきたいと思います。
 しかし、日本銀行が金融市場に対して資金を文字どおりじゃぶじゃぶに供給しても、そうした金融緩和の効果が金融機関行動や実体経済活動になかなか伝わっていかない状況が続いております。このような状況のもとでは、物価の下落傾向を金融緩和だけで食いとめていくということは難しいと言わざるを得ません。
 金融緩和の効果が十分に発揮され、日本経済が安定的かつ持続的な成長軌道に復帰するためには、現在の極めて緩和的な金融環境を活用するような前向きの経済活動を促しまして、民間需要を喚起していくということが不可欠でございます。そのためには、不良債権の処理によって金融システムの機能を回復させることや、税制面での措置などを通じて資本市場の機能を高めていくこと、さらには、民間需要を効果的に引き出していく方向で財政支出の内容を見直していくことが重要かと思います。とりわけ不良債権問題、裏から見れば企業の過剰債務の問題でありますが、これが解決しない状況のもとでは日本銀行による思い切った金融緩和も効果を発揮しにくくなります。
 日本銀行では、物価の継続的な下落を防止するとともに、不良債権処理に伴う問題への対応も含めまして、日本経済の安定的かつ持続的な成長の基盤を整備するために、今後とも中央銀行としてなし得る最大限の努力を続けてまいる決意でございます。同時に、金融システム面や経済・産業面での構造改革への取り組みがたゆまず進められていくことを強く期待している次第でございます。
 御清聴ありがとうございました。
#7
○委員長(山下八洲夫君) 以上で説明の聴取は終わりました。
 本件に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午前十時十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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