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2001/11/01 第153回国会 参議院 参議院会議録情報 第153回国会 財政金融委員会 第6号
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2001/11/01 第153回国会 参議院

参議院会議録情報 第153回国会 財政金融委員会 第6号

#1
第153回国会 財政金融委員会 第6号
平成十三年十一月一日(木曜日)
   午前十時六分開会
    ─────────────
   委員の異動
 十一月一日
    辞任         補欠選任
     金田 勝年君     加治屋義人君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         山下八洲夫君
    理 事
                入澤  肇君
                林  芳正君
                若林 正俊君
                円 より子君
                山本  保君
    委 員
                上杉 光弘君
                尾辻 秀久君
                加治屋義人君
                鴻池 祥肇君
                坂野 重信君
                清水 達雄君
                中島 啓雄君
                溝手 顕正君
                山下 英利君
                大塚 耕平君
                勝木 健司君
                櫻井  充君
                峰崎 直樹君
                浜田卓二郎君
                池田 幹幸君
                大門実紀史君
                大渕 絹子君
                平野 達男君
                椎名 素夫君
   国務大臣
       財務大臣     塩川正十郎君
       国務大臣
       (金融担当大臣) 柳澤 伯夫君
   副大臣
       内閣府副大臣   村田 吉隆君
       外務副大臣    植竹 繁雄君
       財務副大臣    尾辻 秀久君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        石田 祐幸君
   政府参考人
       金融庁総務企画
       局長       原口 恒和君
       法務省民事局長  山崎  潮君
       外務大臣官房審
       議官       林  景一君
       外務大臣官房領
       事移住部長    小野 正昭君
       外務省経済局長  北島 信一君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○銀行法等の一部を改正する法律案(第百五十一
 回国会内閣提出、第百五十三回国会衆議院送付
 )

    ─────────────
#2
○委員長(山下八洲夫君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 銀行法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に金融庁総務企画局長原口恒和君、法務省民事局長山崎潮君、外務大臣官房審議官林景一君、外務大臣官房領事移住部長小野正昭君及び外務省経済局長北島信一君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(山下八洲夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#4
○委員長(山下八洲夫君) 銀行法等の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#5
○櫻井充君 質問に先立ちましてお伺いしたいことがございます。
 私は森金融庁長官の出席を求めておりましたが、その出席できない理由について説明いただきたいのですが、それは柳澤大臣から説明を受ければいいんでしょうか。
#6
○委員長(山下八洲夫君) ただいまの件につきましては、理事会で合意を見ませんでした。
#7
○櫻井充君 不思議なのは、参議院規則の四十二条の三に政府参考人の説明の聴取という項目がありまして、我々は要求できることになっているはずです。なおかつ、事務次官の方であったとしても、平成十二年の八月九日の国土・環境委員会に小野事務次官が出席されております。
 改めて金融庁、なぜ金融庁長官が出席できないのかについてきちんとした説明をしていただきたい。金融庁の側としては出席する意思がおありなのかどうか、その点だけ確認させていただきたいと思います。
#8
○国務大臣(柳澤伯夫君) まず基本的には、今回のことについても理事会の御協議があって、それに従っておるということでございますが、それとは別に私どもの意向はどうかということでございますと、私どもといたしましては、今、櫻井委員は一つの例を出されましたけれども、そのくらい例は少ないということで、原則としては、事務次官というのはこうした国会の場に出るということをお許しいただいて、内部の事務の統括に常時当たるという体制が適切であるという判断がありまして、私どもそれに従っていきたいと考えているわけでございます。
#9
○櫻井充君 済みません、端的にお伺いしたいんですが、そうすると、金融庁としては出席させる意思はないということですね。
#10
○国務大臣(柳澤伯夫君) 言葉で意思はないというのは随分お強い言葉のような気もしますけれども、つまり私どもの気持ちをあらわしているというにはちょっとそぐわないような感じも持ちますけれども、基本的には、私どもは原則的なあり方にのっとって事態を進めてまいりたいと考えているということでございます。
#11
○櫻井充君 そうしますと、法律の改正が必要じゃないかと思うんですよ。つまり、我々は政府参考人としてだれでも呼べるというふうにここに書いてあるわけであって、呼べないということになってしまえば、全くこの法律というものが意味をなさないことになるんだと思うんですが、その点について大臣どうお考えですか。
#12
○国務大臣(柳澤伯夫君) ちょっと私、櫻井先生の御説明の中で引用された法条が何法にあるかということ、ちょっと申しわけないですが、確認できておりませんが。
#13
○櫻井充君 参議院規則の四十二条の三でございます。政府参考人の説明の聴取というところにございます。
#14
○国務大臣(柳澤伯夫君) 国権の最高機関たる国会の規則でございますので、できるだけ行政府とも折り合いをつけていかなければならないことだとは思いますけれども、行政府の方にもいろいろな体験の積み重ねからできた慣行というんでしょうか、そういったものもありまして、それが原則的に、今申し上げたような事務次官の国会出席について原則的な慣行があるようでございますので、そうしたものを尊重し、それに沿っていきたいと考えておるということでございます。
#15
○櫻井充君 大臣、この今回の件は、日経ビジネスによればと言うと、また新聞、週刊誌なりなんなりの記事かと怒られるから確認をしたいことなんです。きのう衆議院の方で問題になっていたほかに、ここに森さんは、新生は他行と足並みをそろえるべきなんだという発言もされているんですよ。これは今までやってきた護送船団方式と全く同じじゃないんですか。だから、大きな問題じゃないかと思って、御本人がこういう発言をされているのかどうかということを確認したいんです。
 大臣、もしこういう発言をされていたとすれば私は大きな問題だと思いますが、大臣はどう御認識されますか。
#16
○国務大臣(柳澤伯夫君) 私、本件のみならず、当然のことでございますけれども、森長官とは常時行政の方針等について意見の交換等をしておるわけでございますが、そこで、足並みをそろえるべきということは、やはり融資の継続ということ、あるいは中小企業の貸し出しについて健全化計画を出しておる銀行、ほかにもあるわけですけれども、そういう銀行がそれなりに努力をしてその計画の履行というものに努めているので、それと同じような考え方でやってもらいたいということを申し上げているんではないかと、このように考えるわけでございます。
#17
○櫻井充君 それでは、新生銀行側がなぜその足並みをそろえられないのか、つまりそういった融資ができないというような話も多分されているはずなんですけれども、その点についていかがですか。
#18
○国務大臣(柳澤伯夫君) これは、新生銀行の経営方針から出ているそれぞれの個々のケースへの判断、融資判断というものだろうと考えます。
#19
○櫻井充君 金融庁はその融資判断について問題があるというふうにお考えなんですね。
#20
○国務大臣(柳澤伯夫君) 結論的に申しますと、経営方針に基づく経営判断でございますが、我々としては、経営の姿勢というか方針というか、そういうものについて、やはり計画の遵守、またその奥にさらに契約の文言等があるわけですけれども、そういうものの遵守を求めたいと、こういうことを言っているわけでございます。
#21
○櫻井充君 今、大臣がおっしゃっていることは当然のことなんだろうと思うんですよ。
 ただ、そこで問題になるのは、譲渡を決める際に、我々も随分議論させていただきましたが、ファンドに譲渡したこと、売却したことが一番大きな問題じゃないかと。それはあの当時も指摘させていただきました。つまり、この委員会でも随分議論になっていますが、金融機関には公共性があるわけです。その公共性を持たなければいけない金融機関を、利益だけを追求すればいいようなファンドに譲渡した、売りさばいたというところに根本的な問題があると思いますけれども、柳澤大臣、いまだにこれは間違っていなかったと、そういう御見解でございましょうか。
#22
○国務大臣(柳澤伯夫君) ファンドに譲渡したことが問題だという御指摘でございますけれども、私どもとしては、あの当時の状況、つまりどういう人が候補になってくれるかというようなことを中心とする諸状況でございますが、そういう状況を踏まえて、その状況の中で最善の選択をしたという考え方には変更はありません。我々は、そういう相手であるなしにかかわらずですけれども、特にそういう相手でもありましたので、この譲渡の経過の中で、融資の継続ということ、あるいは中小企業への融資の方針といったようなことについて特に注意を払って相手方との間で一定の合意を形成してきたと、こういう経過でございます。
#23
○櫻井充君 委員長、お願いがございますが、森金融庁長官、そして新生銀行の八城社長でしょうか、参考人として当委員会に呼んでいただきたいと思いますが。
#24
○委員長(山下八洲夫君) 後刻、理事会で協議をいたします。
#25
○櫻井充君 もう一つ、私は、柳澤大臣が大臣に就任された際に、自分の発行しているメールマガジンに、あの当時、柳澤大臣が一番期待できる方なんだということを私は書いております。大臣、お読みいただけたかと思いますが。だからこそ私は非常に悲しいんですけれども、結果的にやはり大臣の今の立場として、金融というものを守らなければいけないから、ある程度違っていることでも、自分は対外的には大丈夫なんだと発言しなければいけないとお考えなのか、それとも本気で大丈夫とお考えなんでしょうか。私はそこがいつもわからないんです。つまり、委員会の際に、この間のときに私が生命保険会社幾つか危ないですねという感じのことを言ったら、委員、そういうことは軽く言わないでくれというお話もされました。だけれども、情報をどこまできちんと提供するのかということも私は非常に大事なことだと思っています。
 つまり、何回も金融庁に対して皆さんが不信感を、金融庁に対しての不信感がとれないというのは、やはりきちんとした情報を提供していないから、そして、事実が柳澤大臣がおっしゃっていることと随分違っていることがあるからなんだろうと思うんです。
 改めてお伺いしたいんですけれども、大臣の今のお立場として、今の金融システムは正常化して、そして御自分自身が初代の金融大臣に就任され、大臣に就任された当時と現状とどの程度違っているとお考えなのか、その辺について教えていただきたいと思います。
#26
○国務大臣(柳澤伯夫君) 私が九八年の十月の二十三日に金融担当大臣になり、十二月に再生委員会発足と同時に金融再生委員長となりまして仕事をさせていただいたわけですが、その当時は本当に金融仲介機能ということについてもクレジットクランチというようなことが声高に叫ばれておりまして、その後の統計を見てもそうだったと思いますけれども、現実としてそういう事態があったと。それから、銀行の資金調達においても、特にユーロのマーケットの中では大幅なジャパン・プレミアムを付されるというような状況があったわけでございます。
 そうした中でさらに大きな不良債権の処理をするということで、九七年度に続いて九八年度は十三兆円以上の不良債権の処理をするという必要があったわけでございますが、そういう中でそういうことをすると自己資本比率も大幅に下がるという、そういう危機の中で、そういう事態の中で、これはちょっと言い直させていただきますが、そういう事態の中で資本注入が行われたというのが当時の状況でございます。
 それに比較して今日の状況はどうかということになりますと、不良債権の処理の金額も非常に、何と申しますか、依然として水準が低いということではありませんけれども、当時の十三兆円というような規模に比べれば、これはもう非常に小さいものになっているというようなこともございます。そういうことで、自己資本への影響もそういうことを反映してそれなりに限定的なものになっているというように考えておるわけでございます。
 ただ、ここに来まして、株価の大幅な下落、この九月末では三月末に比べまして二五%ぐらいの下落というようなものがあって、それが減損会計であるとかあるいは時価会計の導入というようなことで、まさに損益計算、バランスシート双方に現実の問題として処理をしなければならないというような事態に立ち至っているわけでございます。それでも私どもとしては自己資本比率が二けた台を維持できているんではなかろうかというように考えているわけでございまして、そういう九七年、八年の当時に比べれば状況はやはり異なっているというふうに考えております。
 しかし、今申したように、非常に時価会計あるいは減損会計の導入の時期に、コインシデンスというか、一致して起こったことが株価の大幅下落というようなこともありまして、金融のシステムの安定ということについては慎重にこれを見守っていく必要があると、このように考えているという次第であります。
#27
○櫻井充君 認識がちょっと違うんじゃないかと思うんですよ。つまり、確かに今、自己資本比率は二けたであります、公表値は。ただ、個別行を言って申しわけございませんが、例えばみずほが今一一・三%になっています。しかし、公的資金分を引いて計算しますと、自己資本比率四・九%なんですよ。一番ひどいところでいうと、中央三井信託は公表値は一〇・七ですけれども、公的資金分を引くと自己資本比率一・六%。つまり、公的資金を入れているからあくまで二けたの自己資本比率を維持しているだけでして、実際その公的資金を注入した分を差っ引けば、あの当時よりむしろ自己資本比率は悪くなっているんじゃないだろうかと、私はそう思いますが、いかがですか。
#28
○国務大臣(柳澤伯夫君) 公的資金による資本注入というものは、そういう状態がある種予見されるという、そういう展望のもとで、それでも、BIS規制というか、そういったものに照らし合わせて一定のレベルを確保してこれに適合していくという、まさにその目的のために入れたものであるというふうに私認識をいたしておりまして、そういう目的のために入れたものを差っ引いて考えたらこうなるという議論は、やっぱりちょっと、何かせっかく入れていただいたのになという感じがいたすわけでございます。
#29
○櫻井充君 いや、私が言いたいのは、あの当時より悪くはなっていないという大臣の御発言でございましたので、ですから、あの当時ときちんとした形で比較するためには公的資金の注入分をまず抜いて計算しなきゃいけないんだと思うんですよ。ですから、別に公的資金を入れたのが悪いとかいいとかいう問題ではなくて、銀行の体力というのはいまだにこんな状態でして、むしろ悪くなりつつあるんじゃないだろうか、そう思うわけです。
 それから、もう一つ言いますと、大臣は、これは金融再生委員会の議事録の第三十三回、平成十一年の三月四日分でございますが、この中で、無配になんかなるはずがない、公的資金を入れた金融機関が無配になることなんてないんだと。要するに、優先株の優先配当原資ぐらいはリストラで確実につくってしまえということを言っているわけですというふうにお話しされているわけですよ。ですから、私は、見通しがもう何にしても甘過ぎるんじゃないだろうか、そう思っているんですが、この点についていかがでしょう。
#30
○国務大臣(柳澤伯夫君) まあ議論の過程でいろんなことを私申させていただいております。それをこうしていろいろ御議論の対象にしていただくというのは、まさに本意、本懐なのでございます。
 というのは、私はなぜそういうことを議論したかというと、若干ちょっと横道なんですけれども、大体今までの審議会だとかなんとかというのは、決まり切ったことをただ読み合う、もう極端に言ったら、そういう審議会ばかりだったというのが私の経験なんです。それを打ち破らないといけないということで、もうすべて立場もメンツもある意味で打ち捨てたところで本音の議論をしていただきたいというのが私の基本的な姿勢でございまして、それにはみずからがそういうことを率先履行するということが大事だというふうに考えました。
 そういう議論の中で、そこに出席している委員が最初言った意見と最後のところでは意見が変わってしまう、それで一定の合意を見る、そういうことこそがこの委員会に課せられた私は使命だというふうに考えておりまして、いろんな議論の過程の中では、もう本当にこんな素人談義をしていいのかというようなことも私どもはあえてやらせていただきました。そういう意味では、まず前提が勧進帳を読むようなそういう一定の立場の表明でない、経過においてはいろんな試行錯誤の議論が行われているということで見ていただくと大変私どもにとってはありがたいということをまず申させていただきます。
 そういう前提の上で、このくだりでございますけれども、私は基本的に、ほかのくだりのところにもあったかと思うんですけれども、私どもの健全化計画において要求して、最終的にその銀行の意思として取りまとめて提出をお願いした健全化計画というようなことにつきましても、該当の金融機関というのは、もう厳しい厳しいと、こんな厳しいことだったら手を挙げなきゃよかったぐらいのことを言った向きもあるわけでございますが、しかし私は、とんでもない、こんなものはアメリカの大学の入学試験と同じで非常に寛大なものだ、卒業するときはもっと厳しいことを我々は要請するぞということをずっと一貫して言わせていただいております。
 そういう中で、私がここで言っているのは、ニュービジネスあるいは新しい業務分野で利益の上がるようなところを探せと、これは当然私申し上げているんですが、それはそんなに簡単にはいきませんぞという予想を私考えているんだということも発言しているんです。
 そうすると、実際の業務純益を生み出していくというのは、もう本当に残念なんだけれども、リストラ、経費の節減で具体的にとにかく生み出していくしかないんではないかということをここで強調させていただいたということでございまして、その意味では、私は見通しが甘いと言われれば甘いということなんですが、この見通しの問題、見通しというと、経済の運行についての見通しとかというように、他律的で自分が何ともならないようなことの見通しですが、私がここで申し上げたいのは、やっぱり状況が厳しくなることが金融機関に対して私はいいことだと今思っているんです。
 私は、金融機関が最近になって資本の自己調達であるとかリストラをもっとしなきゃならないということをだんだん言い始めました。ある意味で、私は思ったとおりのことが起こっていると思っているぐらいなんです。つまり、これは本当はもっと先を見通して自主的にリストラ等もやってもらいたいというのが私の本意ではあります。しかし、人間の通性というか、みんな大体夏休みの宿題からそうだったんですけれども、せっぱ詰まらなきゃなかなかできないというのも、これもまた日本人の一つの通性だというふうにも思われるので、そういう状況が出ることによって真剣に今事態と直面させられているというのが日本の金融機関であって、私は、日本の金融機関がこの厳しい状況を、本気になってみずからを切り、あるいはどこに利益の源があるかということを探すことによって乗り切ってもらいたい、こういうふうに思っているということでございます。
#31
○櫻井充君 わかりました。
 先ほどの、まず審議会の議論については確かにそのとおりで、きちんとした真剣な議論がなされているんだろうと思いました。
 そうすると、結果的には、市場原理に本来は任せたいけれども、彼らはなかなかそういうふうに言ってもやらないから、行政側が厳しくやらないとやっていかないという私の認識でよろしいんですか、今の。ちょっと違うんでしょうか。端的にお願いしたいんですが。
#32
○国務大臣(柳澤伯夫君) 私の考えはちょっと櫻井委員と違いまして、行政がいろいろ言うということは私はだめだと思っているんです。そんなのわかりゃしない、本当のことを言って、外側の人間からいって、どこにどういう冗費があるかというようなことはわからないと。それは結局、その当事者が考えるしかないじゃないかと。
 それで、当事者が考えるかといったら、状況がどんどん困難なことになってこないとやっぱり真剣になかなか事態を直視しないし、それに対して対処しないんじゃないかということも残念ながら一半の真実として認めざるを得ないので、今こそ彼らは考えるべきだ、今こそなすべきことをなすべきだということを考えておるわけでございます。
#33
○櫻井充君 そうしますと、そうやって考えている企業がどういうことを今言っているか。「企業サイドから見た不良債権問題」といって、これはみずほフィナンシャルグループがことしの八月八日に発表したものですけれども、その中で、不良債権はデフレの結果であって原因ではないと。
 だから、要するに、デフレが改善しない限りは不良債権はいつまでたってもふえ続ける、我々には全く何も責任ないんだと言い始めているわけですよ。どうですか、この考えについて。
#34
○国務大臣(柳澤伯夫君) そういう分析に基づく議論をなさる方もいらっしゃることは承知いたしておりますけれども、そういう面も全くないとは言えません。新規発生について、デフレ経済、現在の経済の不況の影響を受けて、そういう事態があるということがないという認識に立てということは、ちょっと一〇〇%そういうことを言い切れるというふうにも思いませんけれども、私が今金融機関に求めているのは、そんなしりをほかに持っていくような議論ではないんです。自分たちが何ができるかということをもっと真剣に考えてもらうところからしか展望は開けないぞということを私は申し上げたいし、申し上げているわけでございます。
#35
○櫻井充君 それはおっしゃるとおりだと思います。
 そうすると、新生銀行に対して森金融庁長官がああいう形で、政治家がこういうことに関して怒っているからといって話をしに行くんじゃなくて、申しわけないけれども、みずほフィナンシャルグループのようなところに、こういうところにこそあなた方の考えはおかしいんじゃないかと言いに行くのが筋じゃないですか。私はそう思いますが。
 この人たちは、せっぱ詰まって、自分たちで何ができるかなんて言っていないわけですよ。もう他人に責任転嫁して、しかも結びのところでこの西村頭取は何と言っているかというと、正論を識者に受け入れさせる努力を続けていきたいと思っていますと、こういうことを言っているわけですよ。こういうことこそ本来は注意すべきことなんじゃないですか。
#36
○国務大臣(柳澤伯夫君) 実はその西村頭取のそういう御見解も、御自身の御見解の部分が多かろうと思うんですが、もう一つリポートが出ておりまして、中島さんという調査部長さんのリポートを少なくともデータ的な基礎としてそういう御議論をしているというふうに考えられるわけですけれども、この方とは私どもいろいろ議論をする機会がありまして、今後議論をしていこうというふうに思っているわけであります。
 西村頭取についても、私ども一定の、一定でもないんですが、自分たちとしては一定のというか、そういう感覚でいろいろ意見交換をする場がありますので、次の機会にはそうしたことは当然触れて議論をしないといけないかなと、このように考えております。
#37
○櫻井充君 ぜひそうしていただきたいと思いますし、要するにここのレポートは、ばらまき政策をあわせて実施しろと、それに近いことも言っているわけですよ。そうすると、従来とやっぱり何も変わらないんじゃないかと、そういうように思います。
 通告していなくて大変申しわけないんですが、塩川大臣、要するにデフレが原因だから、デフレを一時的に改善するために、需要喚起の意味もあるんでしょうけれども、もう少し税金投入みたいな、そういうような内容のことも書かれているわけですが、これについてどうお考えですか。
#38
○国務大臣(塩川正十郎君) 私は金融関係担当じゃございませんので、これも言うのがなかなか難しいんですけれども。
 この不良債権問題がなぜ経済的に社会的に問題になっているかというその本質を見ますと、銀行はやっぱり一生懸命やっておるんです。それは間違いないんですけれども、一方、借りている方の企業が、それが破綻状態にありながら、これでまだ再建のめどが立たないというところが一つあるんですね。それと、借りている企業の中でも中小企業とか零細企業というのは、これはもうなりわいでございますし、いたしますから、これは銀行とその両者の間で話し合って解決していくしかないと思うんですが、しかし、いやしくも上場しておるような会社、これはあらゆる面において社会的公器だと思うんですね。そういうところが何年にもわたって配当はしない、そして債務は銀行から切ってもらって棚上げしてもらっている、そして債務超過に陥っていると。それが長年続いているところに問題があるんではないかと思うんです。
 ですから、こういうようなものに対して融資している銀行側がはっきりと、どういうふうにこの会社を処理するんだと、再建するなら再建する、また清算するんだったら清算するというようなことをやっぱり銀行側から企業に対してそれをきっちりしてもらうということであって、この線には行政は手が入らないんですね。
 ですから、これは民事ですから、銀行とその企業との間にしっかりと話し合いをしてもらって、そこを解決してもらうと。
 これはもう長年にわたりましてこんなことを続けていることが、国民にとっては、何で銀行も企業もほったらかしにしておるんだろうと、こういうことになるし、これが中小企業だったらえらいことで一遍にもう破産されてしまっておるのに、上場している会社は皆助かるのかと、こういうところが国民感情からしたらとっても割り切れないところにあると思うんです。そこをやっぱり当事者、銀行と企業が責任を感じてやってもらわなきゃいかぬし、その感じてやってもらう方向に何か行政が働くことがあれば行政から働きかけに行かなきゃならぬのじゃないかと。これを言ったんですけれども、これは私も金融には介入したらいかぬということでございますから、これ以上申しません。
#39
○櫻井充君 そういうことではなくて、若干違って、要するに、デフレを改善していくために財政出動があり得るのかどうかということをお伺いしたかったんです。つまり、今政府の方から出てくるのは積極的な金融緩和だといって日銀に量的緩和を求めてきていますけれども、正直言ったら、今の現行法の範疇では私はもう日銀自体の金融政策の限界だろうと思っています。そういう意味で、財政出動される意思が、例えばこういうレポートのように財政出動を要求された場合に財政出動をされるのかどうか、それとも財政再建を先にされてそういうことをやらないのか、その辺についてだけ教えていただきたかったんです。
#40
○国務大臣(塩川正十郎君) さっきお尋ねになったときとちょっと違いますね。お尋ねになったのは櫻井さんと柳澤さんのいろんな話に関して、それに私が答えたわけでして、ピントが違うんじゃないですね。そうですね。そうじゃないと、話をすりかえてしまったと、こう言われたら、私だって困るんですよ、実際は。
 そこで、それじゃデフレ対策をどうするのかという話なんですが、私はこれはデフレ対策をとるのに決め手となるような回復の手段はなかなかないと思うんです。これはいろいろ考え方が違うでしょうけれども、私たちの考え方、つまり私個人かもしれませんけれども、でございますけれども、考え方は、やっぱり長年景気対策としていろんなことをやってまいりました。それはそれなりにいわゆる経済の破滅を防止してきたのに意味があったと思っております。しかし、これをずっと続けていっても、やはり本当に明るい展望が出てくるんだろうかというと、ちょっと私は疑問に思う。
 そこで、経済の回復を図るための一つの手段として新しく構造改善をやってみたらどうだろうと、そっちの方からも景気対策を直していくという方法を講じたらどうだろうということでございまして、そうすると、その構造改善をするのにはどうするかといったら、やっぱり金の使い方をちょっと変えてみたらどうだろうと。つまり、国の財政、予算の組み方なんかも少し変えてみたら、これがきっかけとなって経済構造も変わってくるだろうし、また、構造を変えるためにも予算のあり方を少し変えたらどうだろうということを考えまして鋭意その努力をいたしまして、小泉内閣が発足いたしましたのは、正式に発足したのは五月の上旬でございますが、それ以降、どこを変えるべきかということを研究いたしまして、構造改革に対する基本方針というのを決めました、経済運営の基本方針。それに基づいて骨太の方針というものを決定したのでございまして、これは九月に決定いたしました。
 その間、六月から九月の間、なかなかこれは厄介なことでございまして、何といったって今までやってまいった構造を変えるのでございますからなかなか容易なことではございませんでしたが、それをいたしましてから、しかし、その基本方針の中でとりあえず急ぐべきものは何だろうというので改革工程表というのもつくってまいりまして、さらにもっと急ぐべきもの、つまり直近に行わなけりゃならないものとして先行プログラムというのを決めて、現在それに鋭意努力しておるというところであります。
#41
○櫻井充君 構造改革に関しては私たち民主党も賛成しているんですけれども、大臣、この間、先週だったと思いますが、この委員会の中で、タクシーの運転手さんがもうこれだけ痛みがあって、もう小泉さんの構造改革が進んでいるんですねというような趣旨の発言をされています。
 しかし、きょう私たちはその改革先行プログラムというのを渡していただきまして、経済対策閣僚会議の方から一応説明を受けました。それで、ことしの九月までに少なくとも今まで一体何がされたのかというのを見てくると、例えば教育問題で、「大学、大学院等における社会人の再教育・再訓練の推進方策に係る関係省庁間での検討」でございます。つまり検討するということが決まったとかそういうことで、ほとんど何もされておりません。
 ですから、この間、塩川大臣が構造改革が進んだんだと、そういうふうな趣旨の発言をされたんですが、一体具体的にどのような構造改革が進んだのか、その点について教えていただけますか。
#42
○国務大臣(塩川正十郎君) たくさん細かいことがございまして、制度として変えるということは、これは法律を変えなきゃなりませんので、これはなかなか目に見えるものがございませんけれども、いろいろ細かいことがたくさんございまして、一回拾い出してお届けいたします。
#43
○櫻井充君 済みません、細かい構造改革が進んだから痛みが来たんでしょうか、本当に。要するに、何も進んでいないから痛みが進んでいるような気がいたしますが。ちょっとこれ、詰めると時間がないので、じゃこの次にその点について質問させていただきますので、ぜひどういう点が構造改革進んだのか教えていただきたいと思います。
 そこで、先ほどのちょっとデフレに戻りたいんですけれども、金融機関がデフレを悪さしているというか、関係していると私自身は思っていまして、特に、企業自体が新しい投資ができなくなっている原因というのは二つだと思います。今の現下の経済状況が一つですが、もう一つは、金融機関に対しての信頼性を失っているというところが、私はいろんな方々の話をお伺いしてみると強く感じられます。
 つまり、いつ貸しはがしに遭うかわからない、融資をとめられるかわからない、そういう現状があるわけでして、その辺について柳澤大臣、どのように認識されていますでしょうか。
#44
○国務大臣(柳澤伯夫君) 不良債権の問題がどうした影響を実体経済に及ぼすかというときに、二つ議論のポイントがあるということが世の中で言われているように私認識しています。
 一つは、ディスインターメディエーションといって、金融の仲介機能が非常に弱くなる。リスクを金融機関がとらないということを通じて金融の仲介機能自体が弱くなる、こういうことが一つと、もう一つは、ディスオーガナイゼーションということのようでして、これは企業間の信用が非常に脆弱化する。何となれば、金融機関が貸すか貸さないかということの絶対的な権限というか、いわば生殺与奪の権というようなものを金融機関が握っているものですから、Aという企業に対してもそういうことなものですから、Aと取引があるB企業も、本当にAが今後とも存続していくかというようなことについて非常におぼつかない気持ちを持っておると。そういうようなことで、仮にAにいろんなものを納入している企業がもうちょっと設備投資をしたいといっても、いつ金融機関によってその融資がストップしてそのAが事業が継続できなくなるかもわからないということで、Bも設備投資を控えてしまうというようなこと、そういうことが言われているというわけでございます。
 私は、それぞれにそういう面はあろうと思うんですけれども、この間の問題について私も、データで一体これが裏づけられるのかということを調べてもらったわけでございますが、データ的にいいますと、ちょっと前の話でございますけれども、なかなかそういう二つの点についてきれいにその現象が表現されるようなデータは出ませんでした。しかし、考え方としてそういうようなものがあり得るということは私も考えておりまして、そのあたりのことについてはよく見て、データ等の動向についてもこれを注視していかなければいけないとは考えていると、こういう状況です。
#45
○櫻井充君 そのデータをどういう形でとられたのかわからないんですが、もし資料があるんでしたらぜひ見せていただきたいと思います。
 というのは、公取から出てきた金融機関と企業との取引慣行に関する調査報告書、これは平成十三年の七月でございますけれども、これを見ますと、金融機関と企業の立場の差というのが明らかに違うということがわかってまいります。
 例えばどういう調査をしているかといいますと、期末を越える短期間の借り入れをすることを要請されたことがあるかと。何でこんなことを要請しなきゃいけないんでしょうか。恐らくこれは貸出枠を確保するために、これ三月とか九月にですから、これがあると言われた人たちが三三%いる。三分の一の企業がこういう要請をされているわけですよ。要請に応じたことがあるという方々がその中の七八・五%。しかもこれは、意思に合致していたかというところで、反していたことがあるという方が四七・七%もございます。これだけじゃございませんで、一定率以上の借入シェアを維持して借り入れること、これは要請されたことがあるというのがやはり二七・四%、要請に応じたことがあるというのが七四・八%。まだまだございます。
 なぜそういうふうなことをしたのかといいますと、結果的には──まずその前に、金融機関からの要請を断りにくく感じるかというので、感じるという人たちが四〇%でございます。なぜそういうことの要請に応じたのかというと、次回の融資が困難になるというのが三七・五%、取引関係の悪化を懸念するというのが二五・五%もございまして、こういう関係の中で、果たして企業と金融機関できちんとした取引が行われているのかということを調査できるのかどうか。つまり、これだけの立場の差があれば、融資を断られるんじゃないかと思っている側から、企業側からすれば、いつも大変お世話になっておりますみたいな、そんな話しか私は出てこないんじゃないかと思うんですが、この点についていかがお考えですか。
#46
○国務大臣(柳澤伯夫君) 金融機関と企業との間に地位的にあるいは力関係的にどちらかに傾いた優劣の関係があるということの御指摘が行われているわけですけれども、そういう面も否定できないんですが、企業の側もただそういうことに漫然と自分をそういう立場に置いているということではなくて、やっぱりそこはしたたかで、いろいろとほかの金融機関とのつき合いというようなことで双方牽制するとかというようなこと、そういう対抗手段があるわけでございますから、私は、そこのところは、そうした競争というのはまさにそういうことで、ただ金融機関、A金融機関から言われたとおりに羊のごとくそれに従っていかなきゃならないというのでは、それは競争が全くないということになってしまうわけで、そこはやっぱり競争というようなものを大いに、経済の主体でございますからうまくそこに組み入れて、みずからが劣位であればそれをひっくり返す、覆すというようなことの機会をつくっていくべきだというふうに思います。
 そういうふうに思うんですが、事実上そういうことがあるといたしましたら、それは要は度が過ぎるということが問題だと思うので、それは金融機関も商売でございまして、やっぱりその調査リポートにあるように、特に我々は信用リスクを含んだ金利をもらうように努力しろということを金融機関にも申しておるわけでございますので、そういうことを踏まえるか踏まえないかはともかくとして、信用リスクが現実にあれば、その信用リスクを積み込んだところの金利を条件変更としてお願いするということは、これは私は正常な経済活動だというふうに思うわけです。
#47
○櫻井充君 ほかの金融機関への取引の変更の検討というのは、検討しなかったというのが六三・六%もあるんです。それはなぜかというと、銀行との取引を当社から、自分のところから打ち切っても、第三者から見ればこちらが切られたと思われる、こういうふうな意見があるわけですよ。やっぱり大臣、もう少し現場の声を聞いていただきたいと思います。
 しかも、選べばいいだろう、競争させればいいだろうとおっしゃいますけれども、そういった情報が全く提供されていません。ですから、私たちは、前国会で地域金融の円滑化に関する法律案というものを提出さしていただきました。
 つまり、それは何かというと、銀行の情報公開を求めるものでして、地域にどのぐらい貢献しているかとか、中小企業にどのぐらい貸し出しをしているのか、しかもそれは事業規模別に分けたりとかそれから職種別に分けたりとか、それから貸しはがしがどの程度、貸しはがしというか融資の打ち切りがどの程度の割合であったとか、それから担保をどの程度とっているかとか、そういうことをきちんとした形で情報公開した上で初めて企業と金融機関との競争原理が働くんじゃないだろうかと、そういう思いで提出さしていただいているわけですが、残念ながらなかなかその審議もしていただけないような状況でございます。
 これ今、中小企業の方々が中心となって、全国で百万人署名活動が始まっています。我が宮城県でも、目標二万人でしたが、もう二万三千人集まっていると、そういう状況でして、我々はこういった法律が必要だと思うんですよ。ここに市場原理が働くわけであって、市場原理を働かせるためのルールをつくらなきゃいけないと思っていますが、大臣はいかがお考えでしょうか。
#48
○国務大臣(柳澤伯夫君) 地域再投資法というんでしょうか、そういう考え方ですけれども、私どもとしては、これはこれから大いに競争をもっともっとそのレベルを高めることによって同じ目的は十分に達成することができるというふうに考えているということでございます。
 アメリカでそういうことをやっているということは私どもも承知をいたしておりますけれども、アメリカがそういうことをする、しなければならない必要性というものが出てきている社会的な背景というものは、日本には必ずしもあるとは言えないと私は思っておりまして、日本の場合にはむしろ、手薄なところがあればそここそビジネスチャンスだというような市場原理が働くはずなんで、そういう必要性というものはないのではないかというふうに現在の段階で考えているということです。
#49
○櫻井充君 それはCRAに対しての認識が違うんじゃないですか。
 事の起こりは確かにマイノリティーに対しての対策でしたが、クリントン政権ではそうではなくて地域経済のためにこれを強化していっているはずです。再度勉強していただきたいと思いますが、今、地域経済がこれだけ疲弊している中だからこそ私たちは必要だと思っています。
 それともう一つ、それであれば、競争競争とおっしゃいますが、どうやって競争するんですか。大臣はどのような形で競争を促していかれるんですか。
#50
○国務大臣(柳澤伯夫君) 私どもは、地域金融機関のことを考える際にも、例えば資本注入というようなことについて方針を出させていただいておりますが、そこの方針におきましても、一つの金融機関がそこで支配的な立場をつくり上げてしまうということはよくないということで、必ずその地域に対抗的な金融機関を置くような、そういうことを考えて、資本注入においてもそうした配慮をしていくべきだということも明らかにしているわけでございまして、競争をもっともっと盛んにすることによって、今言ったようなところにも資金の疎通が円滑に行われるようにということについては気をつけているつもりでございます。
#51
○櫻井充君 幾つか金融機関ができたから、だから競争原理が働くというわけじゃないわけですよ。
 つまり、病院なんかでもそうですけれども、病院がいっぱいできたから、じゃ患者さんは簡単にその病院をやめてほかの病院に移るかというと、決してそうではないわけです。今までのおつき合いがあったりとか、それから自分が病院をかわった際に緊急で診てもらえるかもらえないかとか、いろんな不安があって、結局、新しい病院に移るということはなかなかできません。つまり、だから情報をきちんとした形で公開することによってこそ競争原理はもっと働いていくんだろうと思うんです。
 ちょっときょうは時間がないので後日また話をさせていただきますが、少なくとも競争原理という点では一致しているので、あとはどういう手段を使っていくのかということについて今後検討させていただきたいと思います。
 それから、不良債権処理の問題についてですけれども、いつまでたっても同じことが繰り返されておりまして、今回の改革先行プログラムの中にもまた不良債権問題が出てまいりました。
 それで、今までの大臣の答弁ですと、要するに、例えば債権の分類に関してはきちんとされているというようないつも御答弁であったと思います。しかし、今回のやつに関して言いますと、「銀行の健全性確保のための迅速かつ厳格な対処」の中に、結局また特別検査を行わなきゃいけないというふうになっているわけであって、やはりこれを見てくると、結果的には今までのものが十分きちんとした形で検査されていないんじゃないだろうかと思うんです。
 時間がないので簡単に教えていただきたいんですが、この基準というのはもう具体的に示されているんでしょうか、それから従来の検査マニュアルとどこが違うんでしょうか。
#52
○国務大臣(柳澤伯夫君) まず、どういうところについて特別の検査をするかの基準でございますけれども、これは私、随分たびたび言わせていただいているんじゃないかと思いますけれども、非常に私ども危険な分野に足を踏み入れているという認識でございます。
 つまり、風評リスクというか、それが現実のものになって風評被害ということになるということの危険性というのを非常に伴った今回の検査なのでございまして、私どもは、どの企業について検査の対象にしているかということについては、もう慎重の上にも慎重を期して、その情報が外に漏れないようにということに努めさせていただくほかないと考えておりまして、その基準については、言うまでもなくそんな恣意的に行うわけじゃない、あるいは世の中の風評に従って行われるわけではないということは申し上げられますけれども、その基準がいかなるものであるかということは一切申し上げないということで御理解を賜りたいと、このように思います。
 それから、検査の基準というかマニュアルというか、そういうものについてはどうなのかということでございますが、これについては、私どもが今度特別の検査をするということのきっかけになったことは、やっぱり検査というものが、過ぎた決算が適正に行われているかどうかということの検査であると。それで、その決算は、それぞれの貸出先企業の決算を踏まえて、その決算を見るとこういう行内格付がなされるということになるものですから、我々の検査の時点と当該の銀行の融資先の決算との間にはかなりのタイムラグが生まれてくるということになりまして、それがために、つい最近起こったという格付の例えば大幅引き下げなんということについて、今の仕組みの中では必然的にそれがちゃんと勘案されるということにはならないわけです。
 もちろん、実行上、かなり注意はしているということを申しているんですけれども、システム的につい最近起こった市場のそうした評価の大きな変化というものが組み入れられることになっているかといえば、必ずしもなっていない。
 そういうようなことから、実は先般起こったような大手の小売業の問題が起こるというようなこともありましたので、今回の特別検査というのは、すべからくそういう市場の変化が大変大きく起こったものについては即時的にというか、そういうことで結果にも反映するような特別な検査をしようということで行われたということでありまして、選ぶときはそういうところに着目して選ぶんですけれども、現在のところは、それをどう評価するかはあくまでも現行の検査マニュアルに従った債務者区分なり分類をすると、こういうことでございます。
#53
○櫻井充君 基準を挙げていただけないということでしたけれども、具体的な要するに企業名を挙げてくれと言っているわけじゃなくて、どういう基準でその企業を選ぶのかというのは、これは正しいのかどうかという判断は行政側もされているんでしょうけれども、我々国会だってそれは議論するのが当然だと思うんですよ。
 ですから、それを具体的に教えていただけないというのは、基準ですよ、あくまで。それは一般論での話、一般論というか、どういう企業を再検査の対象にしますという。ですから、その基準を提示するのは当然じゃないですか。
#54
○国務大臣(柳澤伯夫君) それは本当に申しわけないというか、御理解をいただきたいところでございますけれども、基準を示せば、もうかなりの量のいろんな情報がありますから、簡単にここがそういう候補になるところではないかということの推測、風説、まさに風説を呼びに呼びます。それはもうとても我々、現実に、ある産業所管の省からは、もうそれには重々気をつけてくれと。金融庁がひとりそういうことを言っているわけじゃありません。
 そういうような状況ですので、大変恐縮ですが、これを明らかにすることは差し控えたいと。御理解賜りたいと思います。
#55
○櫻井充君 時間ですので仕方がないんですが、しかしそういうことをやっているから、例えばうちは査察を受けたんだというところは絶対そこから漏れるんですよ。だれかが漏らします、そんなのは。ですから、結果的にはそういう情報が、それこそ正しいものもあれば、正しくない情報までが全部ひとり歩きをして、こういう基準になっているんだ、こういう企業が、この次はこれなんだという話になるんじゃないですか。むしろきちんとした基準さえ示してもらえれば、その方が私は大事なことなんじゃないかというふうに思います。
 済みません、あと一問だけさせてください。
 というのは、今回の改革先行プログラムの中でセーフティーネットが張られているのは、確かに失業者の分はあるんですが、中小企業者が破綻した際のものが全くございません。それで、アメリカの個人保証と日本の個人保証を見た際に、最後に債務不履行が起こった場合には、日本は本当にやはり身ぐるみはがれるような状況になっていまして、アメリカの場合には、個人が住居している不動産が二百万以内とか、車とか衣服とか生命保険とか、預金が四百万程度とか、こうやって保全されるわけです。
 ぜひ自殺者が出ないような法整備が必要だと思っているんですが、この点について御答弁いただいて、私の質問を終わります。
#56
○国務大臣(柳澤伯夫君) 私も、そこの点については問題意識は持っております。
 正直言って持っておりますけれども、これと裏腹の問題がありまして、例えば我々が中小企業の特殊性と言う場合には、要するに、法人成りはしているけれども、実際は個人の資産というか、個人のそういう財政的な力、いろんなものを一体として見るべきだということを特殊性として申し上げているわけでございます。他方、そこのところを切り離せ切り離せというようなことを言っていらっしゃるというのが、究極的には個人保証問題をおっしゃる方の言っていらっしゃることの本旨だと我々は思っておりまして、これをどのように解決していくか。
 これは、本当は日本の金融というものがもっと、そういう人的な貸し付けではなくてプロジェクトファイナンス的になっていかなきゃ本当のところ解決しないと思いますけれども、そのことは、私ども最初のところからもっと貸し出しについては案件貸し付け的なものにしていくようにということはお題目的、私もそれは認めざるを得ないんですが、お題目的には金融機関に対して指導はしているんですけれども、今すぐに大転換を起こすという状況にあるかと言われればそこも疑問ですし、その問題、引き続いて強い問題意識を持って考えてまいりたいと思います。
    ─────────────
#57
○委員長(山下八洲夫君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、金田勝年君が委員を辞任され、その補欠として加治屋義人君が選任されました。
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#58
○平野達男君 自由党の平野達男です。
 私はきょうは、先般の米国における同時多発テロに関連しましてのテロ資金対策の対応状況についてお伺いしたいと思います。
 御承知のように、首謀者の一人がオサマ・ビンラディンというふうに言われておりますけれども、この方は、この方はと言ったらいいのか、この人はサウジアラビアの出身で、サウジアラビアの財産を引き継いで、その資金をもとにして世界各国のテロを扇動しておるというふうに言われております。また、テロ対策につきましては、直接の武力行使以外に、教育の問題でありますとか貧窮の解決でありますとかいろんな角度から対応すべきだというふうに言われておりますけれども、私は、今回の場合はテロ資金対策、その根を絶つということも非常に大きな課題であるということについては世界各国の共通した認識じゃないかというふうに思います。
 このテロ資金対策ですけれども、私はこれを国内対策と、オフショアバンキングというかオフショアアカウンスという国外対策と、大きく二つに分けてちょっと議論させていただきたいんですけれども、まず一点目の国内対策、これは私の理解でありますと四つの角度から今進みつつある、あるいは進んでいるというふうに思います。
 まず一番目が、タリバン関係者等に対する資産凍結でありまして、これは安保理決議一二六七号及び一三三三号。これに関連しまして、外国為替及び外国貿易法に基づく資産凍結、これを今やっておりますけれども、この進捗状況についてお伺いします。
#59
○副大臣(尾辻秀久君) ただいまお尋ねのタリバン関係者等の資産凍結につきましては、お話のとおりに国連制裁委員会がこれまで二百十五の個人、団体をその対象として指定しております。我が国はこのリストに沿って、外為法に基づいて資産凍結を行っておるところでございます。
 この措置は三回に分けて行いました。すなわち、第一回が九月二十二日でございまして、このときに百六十五の個人、団体でございます。続いて第二回、十月十二日、二十三の個人、団体。それから三回目に、十月二十七日でございますが、二十七の個人、団体。これを合わせて、申し上げましたように二百十五の個人、団体となっております。
 このうちの最初に指定いたしました百六十五の個人、団体につきましては、先般、十月十九日でございますけれども、金融機関等からの報告の結果を取りまとめて公表をいたしました。その内容でございますけれども……
#60
○平野達男君 内容は結構です。資産凍結の額を教えていただけるでしょうか。
#61
○副大臣(尾辻秀久君) 資産凍結の額ですか。
 まず、最初に申し上げた九月二十二日の分でございますけれども、預金口座三件ございまして、残高が六十万ドル弱でございます。これが凍結されております。
 その他のものはよろしゅうございましょうか。
#62
○平野達男君 今までのトータルとして、三回合計して六十万ドルということですか。
#63
○副大臣(尾辻秀久君) 今、私どもが申し上げましたように、金融機関等から報告を受けておりますものでざっと申し上げますと、預金口座三件、六十万ドル弱でございます。あと、ちょっと小さなものがございますが。
#64
○平野達男君 日経新聞によりますと、イギリスでは何か百億円をもう凍結したというふうにやっていまして、この差は一体何なのかなという感じがちょっと率直に言ってします。日本が要するに銀行の規制が非常に厳しいからテロ資金の流入する経路が断たれているというふうに理解すべきなのか、今の追跡のフォローアップが十分でないのか、これはちょっと私もよくわからないんですが、イギリスで百億円が凍結されているということについては、皆さん知っていると思いますけれども、ちょっと御紹介させていただきたいと思います。
 それで、ちょっと質問通告にないんですけれども、この一二六七号と一三三三号は安保理事会にこういう国の名前が、リストがありますから、これに基づいて凍結しなさいというリストが提供されますね。このリストが最初に出てきたのは平成十三年の三月八日、これでよろしいんでしょうか、官報がそのようになっていますけれども。ちょっと質問通告していませんでしたが。
#65
○政府参考人(小野正昭君) そのとおりでございます。
#66
○平野達男君 としますと、この三月八日、実は安保理決議というのは二年前と一年前にそれぞれ出てきたあれで、それで三月八日に実はリストが出てきていると。その間、今まで半年以上たっていましたけれども、何をしていたということでしょうか。
#67
○政府参考人(小野正昭君) 先生御指摘のとおり、一二六七号につきましては一九九九年の十月、それから一三三三号につきましては二〇〇〇年十二月十九日ということでございます。
 それで、リストの公表をいたしましたのは二〇〇一年、本年の三月ということでございますが、その間、実はリストの中身につきまして、重複ですとか、それから名前はございますけれども住所等についての確認に対して手間取ったという事情がございます。
#68
○平野達男君 いろんな事情があると思いますけれども、本腰が入ったのはやっぱり九月十一日のテロが起こってからということで、仕事の優先順位としては余り高い優先順位を与えられていなかったということが正直なところだと思うんですが、先般の予算委員会では、きょうは外務大臣は見えていませんけれども、そういうことに対しては常にアラートになってということは言っておりましたけれども、こういう問題が常に起こるということをやっぱり念頭に置いてふだんから仕事をすべきじゃないかというふうに、私も公務員の出身でございまして、とはいってもなかなか難しいのはよくわかりますけれども、一言申し上げておきたいと思います。
 それで二つ目の対応なんですが、これは組織的犯罪法に基づく届け出についての犯罪収益の疑いのある取引、これにつきましては十月九日の予算委員会で柳澤大臣が迅速な対応をしているというふうに答えておりまして、ただ、その詳細については、内容の事柄、現段階では公表は差し控えるという旨の発言がございましたが、これは現在でも進んでいるということでよろしいんでしょうか。
 ちょっと今、塩川大臣がおられなくて残念ですけれども、しんしんという言葉を塩川大臣はよく使われていますけれども、この間、構造改革は進んでいないじゃないかと言ったら、塩川大臣はしんしんと進んでいると言ったんです。だから今回も、組織犯罪法の処罰の疑いのある取引、しんしんというふうに進んでいるということなんでしょうかという、若干ちょっとしゃれっけを出してみましたけれども。
#69
○政府参考人(原口恒和君) マネーロンダリング対策につきましては、これは議員御案内のように、安保理決議でタリバンが薬物犯罪で収益を得ているという指摘をされていることに着目いたしまして、九月二十七日付、その後十月十二日付及び十月二十九日付で、関係者等に対する取引について、犯罪収益の疑いがある取引として届け出を行うよう金融機関等に要請を行っております。
 また、これらの要請文書を発出した後も、金融機関に対しては数度にわたり確認を念入りに求めるようにお願いをしておりまして、また、この届け出情報、金融機関から相当数の届け出を受けておりますが、これは捜査に資すると認めるときは捜査機関等へ提供するということで、金融庁としては迅速かつ的確に対処している所存でございます。
#70
○平野達男君 三つ目のルートとして、国連安保理決議の一三七三号というのがございます。これも前回の参議院の予算の総括質疑の中で平田健二委員がこれに関する質問をしておりまして、この対応状況はどうですかというふうに質問しておりましたら、塩川大臣は、これにのっとって対応を一生懸命やりたいというふうに答弁されておりますが、塩川大臣はちょっとおられませんが、この担当はどうも外務省らしいんですが、その後の対応状況はどうなっておるでしょうか。
#71
○副大臣(植竹繁雄君) 今の平野委員の御質問でございますが、その対応ですが、財務大臣は独自のリストをまずつくることが大事だということを言って、そのリストを行った後、一三七三で犯罪化とかそういう問題を検討しているという意味であって、一番初めは一二六七ですか、でもってまずこういう凍結とかそういうことの制裁措置をやって、その後一三三三でこの実態をどれだけ解明していくか。
 先ほど尾辻先生からも言われましたように、三回にわたり延べ二百十五ということになって、それに対して、これを一三七三でもってこういうふうなのが出た上で制裁措置をやっていくということで今回の条約の問題が出てきたということでございますと、財務大臣がそういう意を含んで答えられたものと了解いたします。
#72
○平野達男君 ですから、私の理解では、一二六七号と一三三三号というのは、これはタリバン関係者に限定していますよね。一三七三号は、これ読みますと、テロ全体に対するということで範囲をずっと広げています。
 そうすると、テロ組織というのは、今、御承知のように、タリバン以外にもヒズボラとかハマスとか、あるいはアルカイーダ以外にもたくさんありますよね、IRAもあります。日本にもひょっとしたら何かあるかもしれません。そういったものに対する、テロに対する資金について根絶をしましょうというのが一三七三ですよね。
 だから、これは先ほど言いましたように、テロ資金対策としては、一番目、二番目としてタリバン関係者等に対する資産凍結、それから組織犯罪処罰法に基づく届け出についての犯罪収益の疑いのある取引、この二つがありますけれども、別個のものとして一三七三というのはあるんじゃないですか。これに対する対応はどうですかということをお聞きしているわけです。
#73
○政府参考人(小野正昭君) お答えいたします。
 国連安保理決議一三七三、国内実施のあり方につきましては、先生御案内のように、現在関係省庁において鋭意検討中ということでございます。
 具体的なことを今申し上げる段階にはございませんけれども、本件の重要性にかんがみて、十分に実効性のある措置がとれるよう、事務方として検討してまいりたいと思っております。
#74
○平野達男君 今一応作業中ということなんですけれども、この一三七三と恐らく非常にセットとして位置づけられるのがテロ資金供与防止条約じゃないかというふうに理解しております。
 この安保理決議一三七三号の中でも、このテロ資金供与防止条約、これを早く署名して批准しましょうというようなことがたしか入っていたと思いますが、このテロ資金供与防止条約というのは、日本はたしか署名したんですね、最近やっと。やっと署名したということで、これから批准に向けていろいろな作業をするというのが状況ですね。
 このテロ資金防止条約のこれが原文なんです。(資料を示す)原文でありまして、御承知のように英文はただでさえ読むのが難しいんですけれども、条約とか何かになりますともっと難しいんですよね。これが、日本文はありませんかと言ったときには、日本文はないと言われたわけです。
 これ一つを見てもわかりますように、ちょっと作業が非常におくれぎみじゃないかというふうにとらえておりますけれども、今後のスケジュール、それから今後の対応方針についての考え方をちょっとお聞かせください。
#75
○副大臣(植竹繁雄君) 今の案文の問題ですが、これは初め原文は英文でございます。それで、これが各省庁にわたるために各省庁でいろんな内容を検討し、精査いたしまして出てまいりまして、そして、これからこれを署名しようという合意ができましたら、その合意のために訳文を作文しまして、それを署名し、そして閣議にかけるということになっておりまして、その署名につきましては十月三十日、閣議で了解しまして、その後署名を現地でいたします。そして、それから国会の承認を得ましてから批准という方向になるわけでございます。
#76
○平野達男君 批准は、これは臨時国会ではできなくて、何か通常国会でしかできないというルールがあるそうですが、そうすると次の通常国会ということで理解してよろしいんでしょうか。
#77
○副大臣(植竹繁雄君) この点は、私どもとしましてはできるだけこの国会で批准ということを考えておりますけれども、これはむしろ国会の問題でございますので、私の方は鋭意これをできるように努力しておるところでございます。
#78
○平野達男君 事務方としての姿勢の問題として、次の通常国会での批准を目指すというようなことは言えないんでしょうか。
#79
○政府参考人(林景一君) 先生御案内のとおり、このテロ資金防止条約というのは多数国間の条約でございますけれども、こういう多数国間の条約を政府として批准、いわゆる批准、そして締結するためには、国内できちんと実施できる体制というのが必要でございます。憲法上、御案内のとおり、条約は誠実に履行しないといけないということになっております。
 したがって、漏れがないような国内法制をきちんと整備する、国内制度もきちんと整備するということが必要でございまして、そのために、関係省庁の御協力も得て、この体制をつくるということでいろんな角度から今検討しているということでございます。
#80
○平野達男君 私が申し上げるのは、先ほどの一二六七にせよ一三三三にせよ、ずっと先延ばししているわけでしょう、今までの対応が。だから、今回のこのテロ資金供与防止条約については早くやったらどうかと申し上げているわけです。
 そして、普通一般に、私も役人の経験からいきますと、デッドラインを設定されなければ役人はだらだらとやりますよ、これ。これは私は大臣とか副大臣が何月何日までにやれというふうに指示すれば済む話じゃないかと思うんですが、そこはどうでしょうか。
#81
○副大臣(植竹繁雄君) この法案というものは、罰則の問題もございまして、これは軽々しく、大臣が指示すれば済むとかそういう問題ではございません。したがって、これは慎重にやってきた。しかし、今度やっと批准までの見通しがつきました。
 それで、国会承認ということになりますと、これはもう国会対策のあれであって、私どもはできればこの臨時国会でやりたいと考えております。それで、その努力は最後の最後までやるということが今回のテロ対策に対して最も必要だと思っておりますし、引き続き努力しております。まずこれはどちらが先議になるかわかりませんが、これは政党の方にもお願いしておるところでございます。
#82
○平野達男君 ぜひそういうことでやるべきだと思います。
 国内対策は以上として、今度は海外の話ですけれども、この話に入る前に、マネーロンダリングのちょっと定義を教えてください。
#83
○副大臣(植竹繁雄君) マネーロンダリングの定義と申しますのは、犯罪により得た収益を合法的に得られた資金のように偽装するということでございます。
#84
○平野達男君 そのマネーロンダリングにつきましては、G7が一九八九年にFATFという、これはファイナンシャル・アクション・タスク・フォースと言うんですか、これを創設しまして、日本語では何と言うんでしたか、FATFと言っていますけれども、これが中心になって対応をしているということでして、十五の非協力国、それから十四の問題国を既に公表しております。きょうはその公表の内容についてはお聞きしませんけれども、時間がありませんので。
 さらにこれを、私の聞いているところによりますと幾つかの地域のグループ分けをして、その一つの中の日本は議長国をやっているということなんですが、今までこのFATFにおける議長国として日本の果たしてきた役割、どういうことをやってきたんでしょうか。
#85
○副大臣(植竹繁雄君) 先ほど委員がお尋ねのFATFは、日本語では金融活動作業部会と申します。そして、この点につきましては、従来よりマネーロンダリング対策実施の推進に取り組んでまいりまして、今回のテロ資金に対しましても、テロ資金対策に関する勧告をこのFATFでもって採択する、そしてこのテロ資金問題にも取り組むようになってきております。
 また、今お話しのように、議長国といたしましても今後具体的にどうするかということを、例えば金融庁とか各省庁とも検討しながら取り組んでまいりたいと思い、このFATFの活動を前向きに、さらに呼びかけを行ってやっていくつもりでございます。
#86
○平野達男君 ぜひ日本がこういう資金洗浄の面についてもリーダーシップを発揮してやっていただきたいというふうに思います。
 それで、二十九日、三十日にワシントンでこのFATFの作業関係で会合が開かれているというふうに聞いておりますけれども、どのような会合だったんでしょうか。概要がもしわかれば、わかる範囲でお聞かせ願えればありがたいんですが。
#87
○政府参考人(北島信一君) お尋ねのFATFの緊急会合、十月の二十九日と三十日ワシントンで開かれたわけですが、そこでテロ資金供与に関する特別勧告が採択されております。
 この特別勧告の概要でございますけれども、テロ資金条約、安保理決議千三百七十三等の迅速な批准と履行、テロ資金供与の犯罪化、テロリスト資産の凍結・没収、疑わしい取引の報告、送金における本人確認措置の強化、こういったことが取り上げられております。
#88
○平野達男君 ちょっと時間が余りないんで次の質問に移っていきますけれども、もう一つ、マネーロンダリングとあわせて、いわゆるここがテロ資金の温床になっているんじゃないかというふうに言われているのにタックスヘーブンのことがあります。このタックスヘーブンについての定義をちょっとお聞かせ願いたいんですが。
#89
○副大臣(植竹繁雄君) タックスヘーブン、租税回避地と日本語で訳すかと思いますが、これは、低税率により外国資本等を誘致して他国の課税ベースを侵食する等が問題になっております。
 そういうことが定義でございますが、テロ資金対策そのものとは関係必ずしもありませんが、前年、OECDにおきまして、こういった税制というものを除去するために取り組まれてきております。
 なお、これまでもこのタックスヘーブンにつきましては、OECDの場でも税制対策ということについていろいろ論議されておるところでございます。
#90
○平野達男君 そのOECDがタックスヘーブンについてのいろんな対策を練っているというのは今御紹介にございましたけれども、それちょっと具体的にOECDがどういうことをやっているのか、御紹介願えますか。
#91
○副大臣(植竹繁雄君) OECDでは、例えば、加盟国及び非加盟国の地域の有害な税制を排除すると、地域性というものを考えておるわけでございます。
 具体的に言いますと、この内容につきましては、金融・サービス等の活動から生じる所得に対して無税または名目的課税であること、また、他国と有効な情報交換を行っていないこと、さらには、税制を含む法制度や税務執行について透明性が欠如しておること、また、誘致される金融・サービス等の活動について、実質的な活動が行われることが要求されていないというようなことを規定いたしまして、特にカリブ海、あるいは太平洋諸国・地域を中心に三十三カ国の地域的なリストがアップされまして、それに対していろいろ対策を講じておるというところでございます。
#92
○平野達男君 資金洗浄が、その資金の原資はあくまでも非合法に、要するに麻薬取引とか武器の売買とか非合法での取引によって得た資金を合法に見せかけるものだというふうな認識というのが資金洗浄の定義だというふうにお聞きしましたけれども、それでは、このタックスヘーブンという地域がそういったテロ資金の温床になるような地域だという認識を私は持っているんですけれども、外務省としてはどうなんでしょうか。
#93
○副大臣(植竹繁雄君) 温床になる要因があるかもしれませんが、ただしこれはテロ資金の、直接的になるんじゃなくて、これは一般的にそういう税制回避地ということが指定されておるわけでございます。
 したがって、この問題については、例えばアメリカの前のクリントン時代にはこれを積極的に取り上げた問題も、ブッシュ政権にとりましては当初は消極的でありました。しかし、これが最近では少し変化してまいりましたけれども、これは米国内におきましても、「タイム」とかそういう雑誌においても報じられているというところでございます。
 ですから、基本的には、必ずしもこれは犯罪的用途でなく、資産家の税逃れに活用がされるというものであると考えております。
#94
○平野達男君 先ほどの一千三百七十三号は、これは資金源は特定しないけれども、とにかくテロ行為に結びつくような資産については厳重な監視をするという、こういう決議ですよね。資金洗浄は、資金源はある程度非合法で得た資金だよということで整理されますけれども、今御説明の中では、タックスヘーブンというのはどちらかというと合法的な面があるんだという話なんですが、タックスヘーブンというのはそもそも、例えば手続の不透明さでありますとか、その地域が外国の資金をとにかく集めたいということで特別ないろんな優遇措置というか、悪い面での優遇措置だと思うんですが、とっている地域だと思うんですね。そうすると、それが合法であったとしても、基本的にはこれはテロ行為に結びつくような資金の供給源というか流通経路になるのではないかという意識を私は持っているわけです。
 それについてどうかということをちょっとお聞きしたんですが。
#95
○副大臣(植竹繁雄君) そういう場合も、テロ資金のためではなくて、テロ資金のためのそういう利用という点はあると思います。
#96
○平野達男君 そうしますと、資金洗浄の非協力国に対していろんな働きかけ、手続の透明化でありますとか、バンキング規制の厳格化でありますとかというのをやっているわけですが、日本としてもこのタックスヘーブンにつきましては、その手続の厳格化みたいというのを求める必要があるというふうに認識でしょうか。
#97
○副大臣(植竹繁雄君) その点につきましては、第一義的には他国の課税ベースを侵食するということが一番の問題でございまして、日本でもその点は、できるだけ課税回避のためということを避けるのは私は基本的には当然だと思います。
 そして、その使われ方が、こういうテロの問題に使われるということは、先ほどお話に出ましたように、一三七三のような国連決議により国内立法を強化することによって、例えば資金の防止対策とかということによって回避していこうということでございまして、本質的にはこういう租税の回避という考え方というものは私はなじまないものだと思っております。
#98
○平野達男君 先ほど副大臣の中に「タイム」の話がありましたけれども、確かにアメリカでは共和党を中心にしてそのタックスへーブンを容認する動きがあったと、今までは。ところが、九月十一日のテロを境にして、タックスヘーブンこそ危ないじゃないかというようなことでブッシュ政権がやっぱり動き出していますよね。その認識と、今、副大臣のおっしゃられた認識とにはちょっとずれがあるような気がしますが、どうなんでしょうか。
#99
○副大臣(植竹繁雄君) その点は私は、このテロという問題の特殊性から考えればそういうふうに変わるということはありますが、基本的にはやはりこのタックスへーブンというものは、正常な我々先進諸国がとっておる税制対策とは異なるものだと思っております。
 ですが、今回の場合は、いろいろアメリカ国内でも前の政権と今回の政権が違うように、いろいろな周りの環境とか、そういう状況で変わったものと了解しています。
#100
○平野達男君 わかりました。わかりましたというか、一つだけちょっと。
 このタックスヘーブンについてちょっと紹介させてもらいたいんですけれども、カリブ海にケイマン島というのがありまして、これはある雑誌によりますと、人口三万五千人、そこにある銀行資産は八千億ドルだそうです。アメリカの銀行総資産の五分の一なんだそうですね。それで、五百七十の銀行、二千二百四十の投資信託銀行、四千五百の海外会社。これが、この数字を見ただけで何かあるというふうにやっぱり考えるのが普通じゃないかということで、確かに、よその国の税制までは口は挟めないという話があるかと思うんですけれども、このタックスヘーブンについてもきちっとした対応をやっぱりすべきじゃないかというふうに思います。
 確かに、この間、日本EU会議というのがありまして、私もこのタックスヘーブンについて、ちょっとわけのわからない質問になっちゃったんですが、そうしたら、後でドイツの人が、いや、タックスヘーブンとマネーロンダリングというのは別だ、それは分けて考えるべきだというようなことがありましたけれども。
 ただ、庶民感覚、感覚的に言いますと、三万五千人のところに八千億ドルも何で金集まるんだというようなことがありまして、これについてもやはりテロ組織だったらやっぱりそういうところを見るんじゃないかなという感じがしますので、ちょっとあえて時間をとって議論させていただいた次第です。
 それで、ちょっと時間がなくなりましたけれども、いずれにせよテロ資金対策というのはいろんな角度から議論を、議論というか対策がとられているというふうに思います。ただ、今回思ったのは、その窓口が、きょうは外務副大臣が全部答えられましたけれども、どうも金融庁であったり外務省であったり、場合によっては財務省であったり、マネーロンダリングというのは洗浄ですから、洗浄にひっかけるわけじゃないですけれども、たらい回しみたいにされてもちょっと困ると思うんですよ。
 だから、その窓口をまずしっかりするということと同時に、しっかりとした連携をとるということと、それからさらに言えば、テロ資金対策について日本国としてはこういう対策をとります、それは国内対策だけじゃなくて海外のいわゆるオフショアバンキングに対する銀行規制についても的確な対応をしていきますということを何か明確な形で、パンフレットでも何でもいいですから、ぜひやっていただきたいと思いますが、どうでしょうか。
#101
○副大臣(植竹繁雄君) 今の委員のお話は、外務省だけというよりも、これは金融庁とか財務省あるいは法務省、全般にわたるものでございますので、これは各省とよくこれまた協議しながら検討していきたいと思います。
 ついでに申し上げますが、今度の一三七三によってこの資金防止法も、批准まで時間がかかったということは、各省庁で内容を検討した、その検討がなかなかできないということから考えれば、この問題は、委員お話しのように必要だと思っておりますが、これに粗相がないようなことで各省検討した上で、何とか委員お話しのような、そういう対策を考えていく必要は全く同感でございます。
#102
○委員長(山下八洲夫君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#103
○池田幹幸君 私は、日本共産党を代表して、銀行法一部改正案に反対の討論を行います。
 本改正案は、一般事業者や投資ファンドが銀行業に参入し、その銀行の親会社になることを認め、そのための条件を整えようとするものであります。
 銀行は、預金の受け入れ、貸し付け、また決済業務の中核を担うことによって、経済活動の中で重要な社会的役割を有しています。そのために銀行法は、その目的に公共性をうたい、業務範囲の制限を初め、業務に一定のルールを定めています。また、預金保険法によって一定額の預金を保護する仕組みも整えられています。
 ところが、親会社は銀行法の直接の対象ではないので、公共性などの目的を度外視し、専ら営利を追求し、子会社である銀行にも同様の営利追求を求めることが当然予想されます。
 一般事業者が子会社として銀行を保有した場合に最も懸念されるのは、親会社が本業の事業のために子銀行から過度な融資を引き出すなどによって利用する機関銀行化の危険であります。その結果、その銀行の経営は不安定となり、破綻の原因となるのであります。
 こうした事例は昭和初期の金融恐慌時に頻発し、多くの銀行を破綻に追いやったことは周知の事実です。最近でもファミリー企業への過剰な貸し出しが原因で破綻した事例は枚挙にいとまがありません。また、バブル時に銀行が不動産業やゼネコンなどへ接近したことが地価暴騰をあおった最大の原因であることも明らかであります。
 他方、本法案は、銀行の業務規制を緩和して、支店設置の自由化、業務範囲の拡大を図ろうとしています。支店自由化により営利本位の支店配置が行われると、利用者に一層の不便を及ぼすことは明らかです。
 以上をもって私の反対討論といたします。
#104
○委員長(山下八洲夫君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 銀行法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#105
○委員長(山下八洲夫君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、円より子さんから発言を求められておりますので、これを許します。円より子さん。
#106
○円より子君 私は、ただいま可決されました銀行法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・保守党、民主党・新緑風会、公明党、社会民主党・護憲連合、自由党及び無所属の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    銀行法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。
 一 中小企業等に対するいわゆる貸し渋り問題や金融機関経営者の経営姿勢等をめぐり国民の金融機関を見る目が極めて厳しい状況にあることにかんがみ、公共性を有する金融機関にその自覚を促すとともに、公的資金を注入している金融機関がある事実をも踏まえ、金融機関に対して厳正な監督を行うこと。
 一 いわゆる「機関銀行化」の弊害を防止するため、特段の注意を払うこと。
 一 「主要株主」の認可に当たっては、当局の裁量によることなく、事前に判定のルールを明示し、十分な透明性を確保すること。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#107
○委員長(山下八洲夫君) ただいま円さんから提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#108
○委員長(山下八洲夫君) 全会一致と認めます。よって、円さん提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、柳澤金融担当大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。柳澤金融担当大臣。
#109
○国務大臣(柳澤伯夫君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨を踏まえまして配意してまいりたいと存じます。
#110
○委員長(山下八洲夫君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#111
○委員長(山下八洲夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時四十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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