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2001/11/22 第153回国会 参議院 参議院会議録情報 第153回国会 財政金融委員会 第12号
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2001/11/22 第153回国会 参議院

参議院会議録情報 第153回国会 財政金融委員会 第12号

#1
第153回国会 財政金融委員会 第12号
平成十三年十一月二十二日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 十一月二十日
    辞任         補欠選任
     伊達 忠一君     尾辻 秀久君
     大沢 辰美君     大門実紀史君
 十一月二十一日
    辞任         補欠選任
     小斉平敏文君     金田 勝年君
     松山 政司君     溝手 顕正君
     山下 英利君     有村 治子君
     荒木 清寛君     浜田卓二郎君
 十一月二十二日
    辞任         補欠選任
     金田 勝年君     三浦 一水君
     清水 達雄君     後藤 博子君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         山下八洲夫君
    理 事
                入澤  肇君
                林  芳正君
                若林 正俊君
                円 より子君
                山本  保君
    委 員
                有村 治子君
                上杉 光弘君
                尾辻 秀久君
                後藤 博子君
                鴻池 祥肇君
                坂野 重信君
                中島 啓雄君
                三浦 一水君
                溝手 顕正君
                大塚 耕平君
                勝木 健司君
                櫻井  充君
                峰崎 直樹君
                浜田卓二郎君
                池田 幹幸君
                大門実紀史君
                大渕 絹子君
                平野 達男君
                椎名 素夫君
   国務大臣
       財務大臣     塩川正十郎君
       国務大臣
       (金融担当大臣) 柳澤 伯夫君
   副大臣
       内閣府副大臣   村田 吉隆君
       財務副大臣    尾辻 秀久君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        石田 祐幸君
   政府参考人
       内閣府大臣官房
       審議官      薦田 隆成君
       内閣府政策統括
       官        坂  篤郎君
       内閣府政策統括
       官        岩田 一政君
       金融庁総務企画
       局長       原口 恒和君
       金融庁監督局長  高木 祥吉君
       金融庁証券取引
       等監視委員会事
       務局長      渡辺 達郎君
       財務省主税局長  大武健一郎君
       農林水産省生産
       局長       小林 芳雄君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○租税特別措置法等の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)

    ─────────────
#2
○委員長(山下八洲夫君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る二十日、大沢辰美さん及び伊達忠一君が委員を辞任され、その補欠として大門実紀史君及び尾辻秀久君が選任されました。
 また、昨二十一日、荒木清寛君、小斉平敏文君、松山政司君及び山下英利君が委員を辞任され、その補欠として浜田卓二郎君、金田勝年君、溝手顕正君及び有村治子さんが選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(山下八洲夫君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 租税特別措置法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に内閣府大臣官房審議官薦田隆成君、内閣府政策統括官坂篤郎君、内閣府政策統括官岩田一政君、金融庁総務企画局長原口恒和君、金融庁監督局長高木祥吉君、金融庁証券取引等監視委員会事務局長渡辺達郎君、財務省主税局長大武健一郎君及び農林水産省生産局長小林芳雄君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(山下八洲夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(山下八洲夫君) 租税特別措置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○若林正俊君 日本の経済は、バブルの崩壊とともに土地や株などの資産価格が暴落をし、この十年で千三百兆円とも言われる大きな富が消滅したと言われております。まさに資産デフレの状況にあると認識しております。このような資産デフレを背景といたしまして、不良債権の問題などに直面をし、政府自身も月例報告では景気は一段と悪化しているという認識を示しております。
 そこで塩川財務大臣にお伺いいたしますけれども、今回の証券税制改正の趣旨といいますか、最大のねらいはどこにあるのかお伺いしたいと思います。また、このことによって、日本経済の景気回復にこれが有効に働くのかどうかということについてどのような認識を持っておられるか、まずお伺いしたいと思います。
#7
○国務大臣(塩川正十郎君) 今、御質問の中にございましたように、日本の経済は非常に落ち込んでおりまして、長い間の低迷期間が続いてきております。
 そこで、いろんな部門において体質改善、構造改革をやらなきゃならぬと思っておりますが、その一つとして、日本の金融システムの改革というのも非常に重要な問題であろうと思っております。
 従来から、日本の企業の金融というものはどうしても間接金融に頼ってきた傾向がございまして、これは財閥のあり方等も関係しておりますけれども、これではグローバリゼーションの時代に対して対応し切れないということから、証券市場の育成を図って直接資本調達をする方法をとるべきであるという、そういう政策的な転換をねらって証券税制を改正しようということをもくろんだわけでございます。
 まず、証券面につきましても、昭和三十年代ごろ、日本が高度経済成長に入りました時分は物すごい、証券の保有は国民が資産として保有してくれておりました。ところが、最近におきましては証券を保有していることの魅力がなくなったものでございますから、これを何かインセンティブをつけて証券保有をしてもらうという方向に持っていきたいと、そういう趣旨から今回、証券に関する税制の改正を行うことになりまして、これによりまして一応国民一般が証券投資への動機づけに使ってくれるようになってくれたらいいと、こういう趣旨で改正したということでございます。
#8
○若林正俊君 今回の証券税制の改正によりまして、税収面では、申告分離課税への一本化で約千六百億円程度の増、税率の引き下げで千九百億円程度の減、損失の繰越控除で千四百億円程度の減、トータルとして一千億円程度以上の規模の減税といったような試算がありますけれども、そのような認識でよろしいでしょうか、事務的にお答えいただきたいと思います。
#9
○政府参考人(大武健一郎君) お答えさせていただきます。
 今回の改正によります十五年度以降の減収額の計算につきましては、株式市場にも左右されますけれども、まさに御指摘いただいたような計数になるかと存じております。
#10
○若林正俊君 個人の金融資産の中に占めます株式の割合、最近非常に、大臣がおっしゃったように株式の保有が減少をしてきておりまして、それを外国と比べてみますと、アメリカでは一八・七%、ドイツでは一二・七%、ところが日本では四・六%だという数字がございます。
 柳澤金融大臣にお伺いをいたしますけれども、日本が欧米に比して著しくこのように株式の保有の割合が低いというのは一体なぜなんでしょうか。先ほど、塩川財務大臣が戦後の経済の状況のお話しございましたが、柳澤大臣としての認識をお伺いをしたい。
 さらに、金融政策の面から見て、これはどの程度の割合になるのが望ましいと考えていますか。大ざっぱなバランスの感覚としてどの程度あれば望ましい姿になるか、こんな点をお伺いしたいと思います。
#11
○国務大臣(柳澤伯夫君) 日本の個人金融資産に占める株式の割合という意味での数字をお挙げになられましたが、ちょっと視点が変わって恐縮ですが、株がどういう人たちによって保有されているかという視点で申し上げますと、日本でも例えば、私、今手元にあるグラフを見て、昭和四十五年、一九七〇年、これは考えてみますと四十年の証券不況のそんなに遠い時点ではないんですが、大ざっぱにグラフを読みますと、それでも三七・五%ぐらいを個人が所有をしておりまして、これは金融機関、事業法人よりも実は多い、トップのランクにあります。ところが、以後一貫して下がって、今や一九%程度、一時期は一八%台というようなところに下がっているわけでございます。ほぼ半分という保有割合でございます。じゃ、どこに取ってかわられたかというと、ついこの前まで御議論をいただいた金融機関、それから事業会社というところに取ってかわられて、個人の保有の割合というのがぐっと下がったと、こういうことが時系列的に見ますと言えるわけでございます。
 ですから、先ほど財務大臣のお話にもありましたように、昔は一つの資産の保有の形態として有力な項目であったということが言えるのではないかと、私もそう思うわけでございます。それが今日このような状況になっているのは、この前の法案の御議論のときに随分お話が出ておったように、持ち合いというようなことの中で、個人が何かの形で手放すと、それはほとんど金融機関と事業会社の手に入ってしまうというようなことを通じてこういうことになったという面があったのではないか。
 それからまた、これは私の立場で何の根拠があるんだというようなことを言われると、数字等の根拠を示してということではないんですが、世上言われるのは、やっぱり証券会社の姿勢等において、個人の株式保有者というものが他に比べて大事にされるというようなことがなかったということも言われておりますし、昨今では、株価の値下がりというものがある中で、個人がこの形態への投資をするのに嫌気が差してしまっているというようなもろもろの理由が働いているのではないかと、こういうように思うわけでございます。
 どのくらいになるのが望ましいかということでございまして、これは一概に言えないんですが、私、個人的には、今度は物差しを、先ほど若林委員の言及された個人の金融資産の中に占める株式の割合というもので考えますと、まあ大ざっぱに倍ぐらいにはとりあえずしたいなということを考えておるわけでございます。
 根拠を言えと言われても、別段そう明確な根拠があるわけじゃないんですが、とりあえずはそのくらいを目指していろいろな制度等の整備をお願いできたらというふうに考えているというのが、これは私の立場ですから、漠とした議論で逃げることも必要かとも思うんですが、本当に議論を具体的にするために、私はこんな感覚でいるということを率直にお話しさせていただきました。
#12
○若林正俊君 お話の中にありましたように、昭和四十年代、高度成長華やかなりしころ、私ども記憶にありますのは、銀行よさようなら、証券よこんにちはなどというキャンペーンがあり、またそういう認識がかなりあったと思うんですね。それが急速になえてきて元気がなくなってしまう。いろんな原因があったと思います。背景はいろいろあると思います。
 お話がありましたように、証券会社の営業姿勢とか、あるいは株式発行企業の株主に対する姿勢といいますか、配当性向でありますとか、証券をめぐりますいろんな不祥事の続発とか、いろいろあったと私は思いますけれども、このたびのこの改正は、先ほど塩川大臣がお話しになられましたように、個人の投資家が証券市場に積極的に参加していく、どんな効果があるんだろうかという問いに対しまして、今回の税制改正は、そのための動機づけといいますか、インセンティブを与えるものとして効果を期待していると、こういうお話がございました。私もそういうものだと思うんです。税制における優遇措置だけで一般投資家が証券市場に戻ってくるといいますか、積極的に参加するということを、そこに焦点を当てて期待をしても、それはなかなかおっしゃるような水準にまで高まっていかないんじゃないかというふうに思います。
 そういう意味で言いますと、やはり基本的な課題としまして、証券会社や株式の発行企業が、柳澤大臣がおっしゃるように、もっと個人の一般投資家を大事にしていくという、そういう経営姿勢、さらにはそれらを含む証券市場の構造問題といいましょうか、そういう構造的な問題に真剣に取り組んでいかなきゃいけない、こう思うんです。金融庁はことしの八月にいろいろ勉強をされまして、証券市場の構造改革プログラムというものをつくられて世に問うておられますけれども、非常にいっぱいあれもこれもと書いてありまして、一体何がポイントになるのか、それは全部できれば一番いいことは間違いないんですけれども、いろいろこのプログラムの中で提示をしている問題のうち、金融庁として、大臣として、何が重点か、どこを早急に改善しなきゃいけないと考えているのか、その重点的な事項を御説明いただきたいと思います。
#13
○国務大臣(柳澤伯夫君) いろいろ書いてあってどこが焦点なのかわからぬというのは、私もちょっとそんな感じを実は持ったのでございます。私は、もっと直截に、ここと、ここと、ここが重点というような感じでないとなかなかアピールしないと言うんですが、まあいろいろ書きたいということで書かせていただいたんです。
 私が重点だと思っておりますことを申し上げますと、まず例の証券不祥事で、一番最近の証券不祥事ですが、党内でもいろんな議論をいたしたわけですね。例えば一任勘定はだめだとか、あるいはシナリオ販売というか、セールストークでシナリオを言って販売するのはだめだとかというようなことで、何でもかんでもあの当時の議論だとだめだ、だめだ、だめだで議論がそういう方向にざっと流れていって、ある程度それが制度としてやや固められた面が正直言ってあります。
 私が考えたのは、じゃ証券のセールスマンがお客さんのところへ行って何をしゃべるんだと。何にもしゃべらずに商売ができるなんて、特にまたこれを伸ばしていこうというときに何にもしゃべれないということではほとんど商売にならないんじゃないかと、こういう問題意識を持っているわけです。私は、あのときに、いろんなビジネスモデルというかセールスモデルというものが一回破壊されたと思っているわけです。
 それでは、我々ができるだけ個人投資家に市場にもう一回帰ってきていただきたいというときに、どういうセールスモデルというものを立てるんですかということを証券会社がまず考えなきゃだめだということを私考えています。ですから、どこか一行、そうしたら、ビジネスモデルを何か立てることというのを書いてもらったと記憶しておりますが、ここにありました、1のA、これは私が言ったことなのでございます。
 それからもう一つは、いろいろな不祥事というか、これはルール違反とかというようなことがあるわけでございます。そういうようなことについて、個人投資家がそれでもって被害を受けるということは絶対避けなければならないんですけれども、そういうことが的確に行われるためには、個人投資家が、こういうことをセールスマンが言ったら違反なんだというようなこと、あるいはこの会社はかつて違反をしたことがあるとかということをちゃんと知っているということが非常に私は大事だと思うんです。
 そういう意味合いで、違反の事例というようなものをみんな投資家にわかってもらっておくということが必要だと思うんですね。そういう意味合いで、私は、違反の事例というものについては公表するということをしたらどうかと。これは事務方の原案にもありましたけれども、そのことを私、非常に重要だと思っているわけです。
 それから、その中にいわゆる自主規制団体としての証券業協会みたいなところがありまして、要するに消費者の不満、あるいは消費者が、こういう商売されて私はこういう損害こうむった、これは実に不満ですというのは、今はどこへ行くかというと国民生活センターか何かに行くわけですが、この場合にはなかなか専門的なものですから、消費者の不満というか、同意できないようなことを持っていく先が証券業協会の中にあるわけです。
 この証券業協会に来たいろんな不満を証券業協会が処理をするわけですが、その事例というものもどんどん投資家の皆さんを中心として国民の皆さんに知らせていくというようなことで、自分もこういうことをちょっと不満に思ったけれどもやっぱり筋違いだったとか、あるいは、こういう不満はちゃんと取り上げられてこういうふうに是正されているので私の場合だって是正されなきゃ困るとかと、こういうようなことをもっと親しく自分の頭の中で持っていると。別に学問じゃありませんから試験があるわけではありませんけれども、常識としてそういうもので、証券取引というのはこういうルールに基づいて行われるべきものなんですよというものが投資家の中にしっかり根づくということが大事じゃないか。そのためには、今言ったようなことが、高級なITだとかなんとかということよりももっとベーシックな、プライマリーな事柄として必要なんじゃないか、こういうふうに私は思いまして、今この中にそういうものも埋め込まれているわけでございますが、あえて個人的なことで申し上げますと、そういうことを私はこの中で重視して盛り込ませていただいたと、こういうことでございます。
#14
○若林正俊君 よくわかりました。同じような認識を持っておりますけれども、もう一つ、前に法案審議の中で入澤委員が言っておられましたけれども、どうも、株式投資に参加する、株式市場というのはうさん臭いなという、そういう一般国民の認識というのは根強くあるように思うんですね。
 それは、インサイダー取引とか、取引ルールについて不正がないようにきちっと監視監督をしていくということは大事なことなんですけれども、例えば公務員にしても、我々にしても、何か株式保有していることがおかしいような、そういう一般の国民の受けとめ方になるようなシステムがあるということも問題じゃないかなというふうに思いますし、もっと一般国民に対する株式市場、株式投資についての教育といいますか、認識を改めるというようなことも努力が要るんじゃないかな、こんなふうに思っております。ぜひそういう点も重視していただきたい、このように思います。
 ちょっと技術的なことになるんですけれども、今度、申告分離一本化に際しまして、申告方法を簡便化するといいますか、簡易化するという要望が今まで市場に参加しておられた人たちあるいはそのグループから強く聞かれるんですけれども、このことについてはどんな取り組みをしておられるのか、する予定でいるのか、少し具体的に教えていただきたいと思います。
#15
○政府参考人(大武健一郎君) お答えさせていただきます。
 財務省といたしましては、今回の改正によりまして、これまで源泉分離課税を選択されてこられた方を初め、株式の譲渡を行う方は原則として申告が必要になるということから、まさに今先生が言われましたとおり、簡便に行えるようなさまざまな配慮を行うことは重要だと認識しております。
 したがいまして、今回の改正におきましても、取得価額が不明な場合、特に相続等、古い時代に取得したようなものもございますので、その取得費の特例を設けさせていただきました。それによりまして納税者の申告事務負担に配慮させていただくということにしております。
 また、タッチパネルというような自動申告書作成機というものの機能拡充をさせていただき、特に来年から申告書の様式も変化させていただいて、まさに還付のようなものはこのタッチパネルで基本的に解決するというような形を模索させていただいております。
 このほか、実務的な課題も含めまして、今まさに金融庁等々の協力も得ながら検討を行っているところでございます。
#16
○若林正俊君 実際に証券会社で営業にかかわっている人たちが、もっと投資家の税の申告についてよく熟知した上でわかりやすく投資家に話をしていくということは物すごく大事だと思うんですね。今、タッチパネルで簡易にできるシステムの開発をしておられるというお話ありましたけれども、ひとつ金融庁の方と十分連絡をとり、さらに業界のこれについての理解というものをしっかりとしてもらって実施に移していく、そのことが大事じゃないかと、こう思います。
 最後に、今回の改正で、株式を取得する、そして売却をした場合の利益について特例措置を設けているわけですが、そういうキャピタルゲインはもちろん資産投資として意識されるわけですけれども、塩川財務大臣がおっしゃられたように、できるだけ株式の保有を長く持って、安定した資産として株式を保有してもらいたいという、そういうねらいがあるわけでございます。そういう意味では、預貯金の金利と株式の配当との課税上のバランスとか、そんなことについてもさらに、実際の投資家の心理に合うような、バランスをとれるような検討が今後必要なんじゃないかなというふうに考えております。そのことをお伺いして、質問を終わりたいと思います。
#17
○副大臣(尾辻秀久君) 配当課税の見直しについての御質問でございます。
 この配当課税でございますけれども、まず制度で申し上げますと、相当の配慮がなされている、こういうふうに考えます。まず、配当控除の制度が設けられておりますし、これは先生もよく御案内だと思いますけれども、一銘柄当たり一定額、これ年一回十万円ということでございますけれども、以下の配当については源泉徴収のみで、申告不要とする制度の選択も可能となっております。こうしたことで、制度では相当配慮をいたしておりますので、今後につきましては慎重な検討が必要だろう、こういうふうに思います。
 それからまた、税率についてでございますけれども、定率かつ定期的に発生する利子と比べまして、配当の場合は法人事業の成果を分配するという事業所得的な側面がございますし、さらに国民のほとんどが持っております預貯金に対しまして、株式というのはやはりどうしてもまだ比較的高所得階層に保有されておる、こういうことがございますので、その違いがございます。そこで、この二つの税率をどう考えるか、これも今後慎重に検討せざるを得ない、こういうふうに考えておるところでございます。
 以上、お答えとさせていただきます。
#18
○若林正俊君 終わります。
#19
○櫻井充君 済みません、ちょっと通告していないんですが、きのう二次補正を行うことが決まったようでして、そこでNTT株を売却してその資金に充てるんだという報道がございました。
 ちょっと不思議なのは、金融機関が持っている株を一気に放出すると株価に影響があるから株式買い取り機構をつくったりとか、それから、今回のこの法案を見てくると、とにかく株式市場に個人投資家が入ってほしいというようなことを考えているわけであって、そうすると、今回の補正予算の原資を捻出するために行ってくる方法というのは逆のことを引き起こしてきてしまうんじゃないだろうかというふうに思っておりますが、その辺についてはどのように今お考えなんでございましょうか。
#20
○国務大臣(塩川正十郎君) 何かマスコミの一部が先走った報道をしましたので私たち非常に困っておるんですが、実はこの第二次補正予算は、こういう方向でいこうと決まりましたのはきのうの夕方なんでございまして、それまではマスコミがああだこうだということを書き立てまして誤解を与えたことは申しわけないと思っております。
 NTTの株式を売却してその資金でもって補正予算の原資にする、そういうことでは実はございませんで、NTT株式を売却した益金が現在のところ十兆一千億円ございますね。そのうち既に貸し付けしてあるものがございまして、それはそれぞれのタイプによって違いますけれども、A、B、Cタイプ、これはもう国会でも御承認をいただいたタイプでございますね。それに貸し付けたもの総数七兆六千億円ございます。売却した代金は十兆一千億円。そうすると、それを引きますと二兆五千億円がいわゆる今後貸し付けていくべき資金としてあるわけでございます。これを一応産投会計から使用いたしまして補正予算の財源に充てようということでございました。
 したがいまして、今回の補正予算におきましては、事業費はともかくといたしまして、これは配分のしようによって事業費は異なってまいりますけれども、原資といたしましては二兆五千億円、私たちの希望といたしまして今振りつけておるのは事業費で大体四兆二、三千億円になるかなと思っておるところであります。
#21
○櫻井充君 済みません。その辺の経理がよくわからないんですが、今貸し付けるとおっしゃいましたけれども、それはどこに貸し付けをなさるんですか。
#22
○国務大臣(塩川正十郎君) それは先ほど申しましたように、この資金は法律によりまして使途が明示されております。
 Aタイプ、Bタイプ、Cタイプというのがございまして、Aタイプというのは収益回収型でございますね。これは主として地方自治体に貸し付けて地方自治体が都市開発に使うというやつでございますね。ですから、これはまさに改革先行の趣旨に合ったものでございまして、ここに、このAタイプの中に民間事業者を追加するということは今度閣議で決定いたす予定でございます。
 もう一つは補助金型タイプでございまして、これはBタイプでございますが、これも主として公共事業等であって、公共事業というよりは公共施設費、施設関係に使いやすいようにしてあるというものでございまして、これも対象は七分野に、したがいまして、これは環境であるとか、あるいは福祉施設だとか、そういうものに使っていくというものであります。
 それから、Cタイプは民活型でございますね。これはまさにPFIに一応該当するようなものでございます。こういうA、B、Cタイプでございますけれども、これはえらい小難しく分けていますけれども、大抵の事業はこれにはまってくるということでございますので、幅広く使える、こう思っていただいたらと。
#23
○櫻井充君 済みません、Aタイプで地方自治体に貸し付けると言われたんですけれども、今の地方自治体の財務状況でこれは回収可能なんでしょうか。
#24
○国務大臣(塩川正十郎君) ですから、この予算の配分に際しましては、地方負担についてやはり地方との協議をしてあげなければできないと思っております。それは私の方からも総務省の方に指示をしておるところです。
#25
○櫻井充君 もう一つ、このNTTの株というのはいつ売却したものなんですか。
#26
○国務大臣(塩川正十郎君) 昭和六十一年、六十二年、六十三年でございまして、これはNTTが民営化いたしましたときに政府が放出した株の売却です。まだ大分株を持っていますよ。
#27
○櫻井充君 わかりました。どうもありがとうございました。
 それでは、今回のこの法案の緊急投資優遇措置に関してなんですが、本会議のときにもお伺いしたんですけれども、改めて、これは株価に対して効果があるのかないのか。そして、こういうことというのは、世界でこのような、これに似たような対策を講じていて、それなりの根拠があって株価が上がるとお考えなのかどうか、その点について教えていただきたいと思います。
#28
○国務大臣(塩川正十郎君) NTTの株そのものの評価というものは、私は、市場が決定しますけれども、これは動かないと思っております。一般市場ですか、一般市場は……
#29
○櫻井充君 済みません、話題が変わりました、申しわけございませんが。
 証券税制の改正についてでして、今回の緊急投資優遇措置がございますよね、長期間保有しておくと一千万円まで非課税になるというあのことに関してですが、世界でこのような同じような対策を講じている国があって、そのときに株価に対しての効果がどの程度であったのかどうか。もしくは、ほかでないんだけれども、日本でとにかくとりあえず初めてやってみるのか、その辺について教えていただきたいと思います。
#30
○政府参考人(大武健一郎君) お答えさせていただきます。
 ただいま最初にお話のあった諸外国でこのような措置があるかということでございますが、同じようなものは私ども存じておりません。したがいまして、それがどういう効果かというのは申し上げられません。
 ただ、先生も御存じかと思いますが、イギリスにISAという制度が一九九九年に、十年間の時限措置というふうになっておりますが、設けられました。これは、年間七千ポンドまでのISAという個人勘定にお金を入れますと、株式譲渡益等を非課税にするという措置が設けられているということでございます。ただ、この措置も、導入後、一九九九年ですから、その後個人の株式保有あるいは株式市況に与えた具体的効果ということはまだわかっていないということではあります。ただ、これもある意味でいえば保有という観点に着目しているのかと思います。
 今回の緊急投資優遇措置自体も、まさに改正法の施行の日から十四年末までの間に購入した上場株式等を、購入額一千万円までのものについて一定の要件のもとで譲渡益を非課税にすると、そしてこれ自体はまさに長期保有、これは二年間というふうになっておりますけれども、これも事務的な事情もございまして、現在二年ということで管理させていただこうと思っておるわけでございますけれども、これらを少しでも個人の方に保有にインセンティブを与えて厚みのある市場の形成に資したいという願いからでございます。
 これによりまして、どの程度の方々が市場に新たに参加いただけて、株価にどの程度影響を与えるかということは予測することは困難でございますが、まさに多くの個人投資家がこの際株式市場に参加するきっかけになるということを期待する、しかも売買ではなくて保有という観点で参加していただけたらと思っている次第でございます。
#31
○櫻井充君 そうしますと、この緊急投資優遇措置というのは、株価対策ではなくて、個人投資家が市場に参入してほしいという思いでつくられたということになるんですか。株価対策ということでは全然ないということですね。
#32
○国務大臣(塩川正十郎君) それは両方ねらっているわけです。
#33
○櫻井充君 そうしますと、たしか今回申告分離課税一本化になりますけれども、あの当時、あれは二年前の議論だったでしょうか、その際に、要するに源泉分離課税をやめると個人投資家が逃げてしまう可能性があるから、だからこの時期には一本化できないんだという話がございました。
 今回のこの施策を見ていると、片側では、二年前におっしゃっていたことが本当だったとすればですけれども、源泉分離課税をやることによって既存の個人投資家が逃げて、また別な方法で呼び寄せようというやり方というのは整合性がとれていないんじゃないだろうかと思います。ある目的があるとすれば、その方向に、一方向に向かっていくようなそういう政策が必要だと思うんですが、その点に関していかがでしょうか。
#34
○国務大臣(塩川正十郎君) そうおっしゃいますけれども、政策というものはいろんなものをかみ合わせて効果をねらっていくのは当然でございまして、だけれども、二年前の年末の税制調査会の意見等を聞きますと、源泉分離を温存しなければ株主がふえないと、こういうことでございましたが、これを継続いたしましても昨年どんとやっぱり減ってしまっておるんですね。そうすると、何のためにやっていたんやと、こういうことになります。むしろそれよりも繰越損失の控除を認めてやる方が、投資家としてはこっちの方を選択しているということなんです。繰越損失制度を認めようとするならば、やっぱり申告制でなければできないじゃないかと、こういうことで申告制一本にしてきたということであります。
 それともう一つは、今までの税制は、株に関しまして、売ったらこうなる、売ったらこれだけ利益があるとか優遇するとかそういうことばかりしていたけれども、しかし、今考えまして緊急に必要なのは、今買うたら得だっせという、そういうものを入れるべきなんですね。それが今度の優遇措置なんですよ。
 ですから、両方兼ねて、いわゆる持っておって売るときの状態に対して透明性を持って、そして繰越損失もできるということになればさらに株に興味を持ってくれるであろうということと、それから今持っているものは、へそくりがあったら今買うといたら得やという、そういうこととあわせて今度の税制を出しておるということでございます。
#35
○櫻井充君 そうしますと、二年前の判断は、その当時、我々は申告分離課税一本化ということをずっと訴えておりましたけれども、政府の方が個人投資家が離れる可能性が高いということで一本化を延期したということですから、あの当時の判断は間違っていたということになりますよね。
#36
○国務大臣(塩川正十郎君) 国会の判断が間違っているとは言いません。言いませんけれども、そういう印象を持って議論しておったということは事実でしょうね。
 しかし、やってみましたら、個人の投資家なんかは、源泉であろうが申告であろうが、それよりもやはりもっともっと配当をよくしてくれて、株主を大事にしてくれたらいいのに、こんなに不況で会社がいじめ倒しておると、こういうところがやっぱり株の離れた原因だと思います。
 思いますけれども、こういう投資家に対して呼び戻ししやすい方法は何かと。株というものは、証券を持っておることは、非常に公正な扱いをしております、一部の者だけがいい目をするものじゃございませんで公平な扱いをしておりますということは、やっぱり申告制度はそうなると私は思いますし、そしてまた繰越の損失があったら、利益があって損失があったらそこで計算いたしますよと、ですから安心して投資をしてください、こういう呼び水にはなると、間違いないと思いますね。
#37
○櫻井充君 安心して投資をしてくださいというのは、それなりに配当がある場合に初めて言えることなんじゃないでしょうか。配当がきちんと出るのかどうかわからないような現下の状況で、安心して投資をしてくださいとはならないんじゃないですか。
#38
○国務大臣(塩川正十郎君) それは一つの理屈でございまして、そういうことを言い出したら何ぼでも理屈はあります。だから、私たちは、株の停滞は何も政府の責任でも何でもないという、何でもないとは言いませんけれども。
 しかし、それを振興していく、振るい起こしていく、そのためには政府はある程度の呼び水としてのインセンティブをつけていかなきゃだめだという考えでございまして、基本は何といったって株式を発行している会社がしっかりと配当すること、そして株のいわば操作というよりも、株式をできるだけ調子のいいときは自己株で買い戻す、資金が要るときには増資をして、市場から、一般投資家から資金を取ると、こういう操作を、操作といいましょうか、そういうやりくりを会社が真剣に株主のために考えていくということ、これがなかったら株はどんなに太鼓をたたいてみてもよくなっていくものじゃございません。しかし、政府の責任としてこういうインセンティブをつけて動機づけていくということは、やっぱり政府としての重要な責任だろうと。それが今度の法案です。
#39
○櫻井充君 そうなってくるともう一度考えなきゃいけないのは、貯蓄している場合、一体どういうふうにお金が回っているかなんだろうと思うんですね。つまり、貯蓄をした際に金融機関が株を買ってくれれば、ある意味言っておきますと、株を買ってくれる、であれば、結果的には間接的には個人投資家が投資をしている、もしくは投資信託でもいいんですけれども、そういう形になってくるわけであって、わざわざこの時期にお金の流れ方を変えていかなければいけないというふうに考える理由は何なんですか。
#40
○国務大臣(塩川正十郎君) 今は御承知のように銀行が株主の筆頭になっていますよね、どこでも。まあそうばかりじゃございませんが。その銀行が株を保有しておることが銀行の現在の会計基準に照らしてみて非常に不安定な状態をつくっておるということですから、ですから法律をつくって銀行が保有しておる株を買い上げていこうという制度をやっておるところですから、銀行はこれから株を積極的に持つということはない。どうしても、いわば企業の資本は直接投資家個人が保有する方法をとるのが一番健全、安定した資金供給になると、こういう考えでやっております。
 従来はそういう金融機関が、銀行あるいは生保が株式を取得して資金を賄っておりましたけれども、この方向は変えるべきであるということで、方向転換の一つとしてこの法案が役立っていくと、こういうことです。
#41
○櫻井充君 銀行は確かにそうなんですけれども、例えば投資信託とかそういう場合はどうなんでしょうか。
#42
○国務大臣(塩川正十郎君) 投資信託大いに結構ですよ。ですから、投資信託も私は申し上げたい。アナリストなんで、報酬を取るだけじゃなくて、成績によって報酬を取る制度にしなきゃだめだと思いますね。
#43
○櫻井充君 要するに、何というか、なぜそういうお金の流れ方を変えていかなきゃいけないのか。そしてもう一つ大事な点は、もし本当に今まで金融機関が持っていて、持ち合いみたいな形でコーポレートガバナンスが十分発揮できないから個人投資家が持つべきだとかそういう議論になってくるんだと、確かに理論上は僕はその方が正しいんだろうと思うんですよね。ただ一方で、日本の個人投資家が仮に株を持ったとしても、コーポレートガバナンスという考え方を身につけておりませんから、健全な企業経営に対して有効であるとはちょっと今のところ思いがたい部分もあるわけです。
 もう一つ言うと、たしか子供銀行というのがあって、子供郵便局ですけれども、小学生のところに子供郵便局があって、今の総務省がかなりのお金をかけて郵便貯金させているはずなんですよ。アメリカはそういうことではなくて、株価が上がるか上がらないかという議論を小学校か中学校かそのぐらいのところから始めているわけであって、そういう素地があるからこそ株に投資していくというマインドがあるはずなんですね。
 ですから、子供のころから貯金をしなさいという教育を受けている人間がいきなりこういう、ただ税制を優遇しますからさあ行きなさいと言って、そしてなおかつコーポレートガバナンスのようなものがわかっていない人間にとって、ただ単純にそこで何となく買わされてしまう。これは個人が積極的に買うわけではなくて、恐らく証券会社の勧めがあって、今回優遇税制があるからこれを買ったらどうですかという話になっていくんだろうと思うんですよ。そういった資金の流れが果たして健全なのかどうか、私は若干疑問なんですが、大臣、どうお考えでしょうか。
#44
○国務大臣(塩川正十郎君) それは櫻井さん、余り短気過ぎる話やね。要するに、法律が変わって、こういうぐあいに方向が変わったからすぐにその効果が出てくる、私はそうは思わない。やっぱりこういうのは、社会制度といいましょうか経済制度というのはやっぱり長年かかって変わっていくものです。
 私は、こうして一般投資家が株式に積極参加するということになってきたら、企業自体が変わってきますよ。今まで企業の経営者は大株主がおって、大株主の談合でやっていたんじゃないですか。談合の経営はだめだということなんです。これから一般株主がどんどん入ってきましたら、それは株主訴訟等も頻繁に行われるようになってきますよ。そうしますと、やっぱり企業自身が緊張を持って経営していくことはもう間違いがございません。そのことがやっぱり企業の発展、そして利益の配分というものにつながっていく、私は必ずいい結果になってくると。
 今までの日本の資本主義の発展途上を見ましたら、やっぱり財閥中心、財閥は何やといったら両替や、両替というのは何だといったら銀行だったんですね。これ中心でやってまいりました経済システムというのが、グローバリゼーションのもとにおいてついていけなくなってきたというのが現状だろうと。そうすると、新しい体制に変わるためにはやっぱり大衆資本というものを中心に置いた経済体制に変えるべきだと、そう思っております。
#45
○櫻井充君 これはアメリカの商工会議所の方が言っていたんですけれども、日本の企業は、株式会社も含めてですけれども、間接金融で十分資金が調達できるんだと。ところが、じゃなぜ上場するのかというと、それはステータスをとるためであって、本来の目的から随分離れていたんじゃないだろうかという、そういう指摘もあるわけですよ。
 そしてもう一つは、大臣おっしゃるとおり、確かに短期的に見るべきものではないんだろうと思うんですが、短期的に見るべきものでないとすれば、こういう優遇税制というものを時限立法みたいな形で割と短期間に区切ってやるということは果たしてどうなんだろうかと。そこら辺の整合性がとれていないような感じがする、今の御答弁からですと。どうお考えでしょうか。
#46
○国務大臣(塩川正十郎君) いみじくも櫻井さんが質問の中で、これは株価対策をやったのか、それともそういう資本体制の方向を変えるために、株主優遇のためにやったのかとおっしゃったけれども、私は両方だと言いました。まさに両方なんですよ。今株式が物すごい冷え込んでおるから、だから株式市場に対して刺激を与えるのには、えらい忙しい急なことを言うて申しわけございませんけれども、こうして急いでひとつ御審議いただいて、それの一つの刺激を早急に与えていただきたいと。これはまさに株式対策であることは事実でございます。
 けれども、もう一つのねらいは、やっぱり直接資本市場を育てていくというねらいもある、両方兼ねておるということを私最初に申し上げたとおりでございまして、そういう意味で株式市場に対する刺激を与えていくんだと、こういうことで御理解いただいて、できるだけ早くひとつ成立させていただくようにお願いいたしたいと。
#47
○櫻井充君 じゃ株価対策という点で見ると、これは考え過ぎなのかもしれませんけれども、外国人の投資家の動きを見ていると、割と非常にうまく売り抜けて利益を得ているんだろうと思うんですよね。例えば、アメリカの貿易収支とそれから経常収支を見た際に経常収支の赤字の方が少ないというのは、これはもうキャピタルゲインだというふうに言われています。例えば、日本がIT、ITと言っているころに最初に先行投資をしておいて、日本人の投資家が投資をし始めて、その辺のところで売り抜けていって相当の利益を得ているんだろうと思うんです。
 今回、本当にこれが株価対策で株価が上がるんだと考えれば、恐らく先行投資してくるんだろうと思うんですよ。先行投資した上で、証券会社の勧めもあって個人投資家が投資したとします。株価が上がったとしても、そこで恐らく売り抜けてくるということを考える人たちも僕はいるんだろうと思うんですよ。そうすると、結果的には株式に参入してみたものの利益が上がらなかったとなってくると、かえって株式市場から離れていく人たちも出てくるような、そういう心配もあるような気がしているんですが、その辺についてどうお考えですか。
#48
○国務大臣(塩川正十郎君) これは確定利率で利益を保証しているものではないということでございますから、そこは投資家もある程度のリスクは覚悟していかなきゃならぬとは思います。しかし、私はこれからの企業の判断というものが、一般の投資家の方々が銀行預金ではなくして株式投資に行くというふうになってまいりますと、そういう点に対する関心の持ち方というものもおのずから変わってくると思いますし、そこらは非常に健全な市場の育成に役立っていくんではないかと思います。
#49
○櫻井充君 リスクをとってくださいといってどれだけ皆さんが理解しているのかということが一つ問題なんだろうと思うんですよ。後で質問させていただきますけれども、大和都市管財なんというのは典型的な例なんだろうと思うんですね。ハイリスク・ハイリターンだと言われて、それで、なけなしのお金を使って、もう本当にほとんどのお金が戻らないような状況になっているわけでして。
 何でこんなことを言っているかというと、やっぱり根本からいうと、先ほど大臣もおっしゃっていましたが、きちんと配当できるような、企業が利益を上げていくようなシステムさえつくっていけば、こういう緊急投資優遇措置などやらなくても恐らく株の方に資金は流れていくんだろうと思うんです。ですから、本筋から言えば、投資をした際の利益率、それが確保できるように企業が本来は努力していくことの方が重要なんじゃないかと思っていますが、いかがですか。
#50
○国務大臣(塩川正十郎君) もちろん、おっしゃることは当然のことだと思います。
#51
○櫻井充君 そうしますと、株価全体を押し上げていくためには、景気の回復というのがもうこれは不可欠なんだろうと思うんです。
 その景気の回復に対してですが、これはまた一昨日と同様なんですけれども、二点ですね。つまり、財政再建をやっていくことによって、財政構造改革をやっていくことによってこの先景気がまず上向いていくのかどうかということですね。それから、不良債権の直接償却を行うことが日本の景気を上向かせていくのかどうか。その辺についてどうお考えですか。
#52
○国務大臣(柳澤伯夫君) 不良債権の問題について先にお答えさせていただきますけれども、かねて申し上げておるように、今、先生がお触れになった直接償却というのは対象があくまで破綻懸念先及び破綻先ということでございます。破綻懸念先というのは、端的に言ってしまえば債務超過であって、それが近々解消されるという当てがないと、こういう展望が持たれているところがその先ということになるわけであります。そこをすべて再生させるということではもちろんないわけですけれども、その中のできるだけ多くの部分を、同一企業内の中ですけれども、いい部分と悪い部分を切り離して、いい部分をできるだけ再生して、債権としても格の上のものに変化させていくということがねらいでありまして、すべてがプラスの評価、景気の回復にプラスに寄与するとまでは申しませんけれども、そういう面も十分あり得るし、それからまた全体としてそれがまさに産業の構造改革に役立って中長期的に日本経済の再生に寄与すると、こういう位置づけで考えているわけです。
#53
○国務大臣(塩川正十郎君) 財政構造の改革が景気対策にどう影響するかという御質問ですか。
#54
○櫻井充君 景気対策じゃなく景気に対してです。
#55
○国務大臣(塩川正十郎君) 私たちが終始一貫ずっと言っておりますのは、従来、過去十数年にわたりますバブル崩壊後の日本経済の状態を見ますと、やっぱり右肩上がりの状況、あの体制、制度、習慣、その上に立って、対前年度比率ですべて事業計画なりあるいは予算というものをやってまいりましたけれども、それではやはり根本的な体制変換に応じた改革にならなかった。つまり、世の中が、物すごい勢いで地球全体がグローバリゼーションになってまいりました。それに対応する措置を講じなきゃならぬということならば、やっぱり右肩上がりから少なくとも水平、平行に行かなきゃならぬと。
 そういたしますと、やっぱりいろんな規制であるとかあるいは既存の機関のあり方というものの運営を変えていかなきゃならぬと。それが私たちが言っている構造改革という一つの言葉で締めくくっておるのでございます。ですから、構造改革といってもいろんな条件がそこにミックスされたものであって、総合的なものでございますが、それを順次改革をしていくということをやっておるわけで、その中の一つとして一番重点を置いておりますのが財政構造の改革なんでございます。
 この財政構造の改革の中で一番重点は何か、今までの予算の編成のあり方というものを変えていこうと。予算のあり方は何だったかといったら、必要な資金が要るから、だからそれだけの金を出せという、そういう仕組みでやってきた予算、それを変えまして、これだけしかないんだよと、だからこの金をどう有効に使うか、どう生かして使うかということの方向転換をしなければ、国家の財政ももたないし、経済全体のシステムも変わっていかないではないかという観点に立ちまして予算の編成を続けてきておるわけでございまして、この点につきましてはひとつ御理解をいただきたい。
 そのための一番中心的な思想、そういう思想の中心を持って、何を重点にその仕組みを進めていくかということになりました場合に、まず国債の発行をこの限度でとめて、その中において辛抱して編成をしようではないかということになりましたのが、それが国債発行三十兆円という、まあいわば中心的なスローガンになっておると、こういうことでございます。
#56
○櫻井充君 財政再建もそれから不良債権の直接償却も、これは必要だ、やらなきゃいけないことだろうとは思っています。ただ、問題なのは、現時点で行わなければいけないということなのか。一昨日も申しましたとおり、橋本総理の際に行った財政再建が、あれは成功だったのかどうかということ、それから今の景気に対してどういうふうに影響を及ぼしているのかということをきちんと見きわめないと、あの当時と同じことになってしまうんじゃないかというふうに思っているわけです。
 それで、もう一度改めてお伺いしたいのは、財政再建、もちろん財政再建すれば十年後、二十年後に対して、それから構造改革をやれば十年たったり二十年たったりすれば変わってくるということはもう重々承知しております。不良債権の直接償却も、これは負の遺産を清算するためにやらなければいけないということも重々承知した上でですけれども、ここ数年の景気の維持なりなんなりに関して、果たして今、両方同時に行って耐え得るとお考えなのかどうか。そして、もう一点言えば、この改革は、不良債権の直接償却とそれから財政再建というのを両方一遍にやるということが可能とお考えなのか。両大臣から御答弁いただきたいと思います。
#57
○国務大臣(柳澤伯夫君) 何と申しますか、櫻井委員のそういう問題提起の中には、需要追加で景気の回復を図ろうという気持ちがにじみ出ているようなお話のように聞こえます。
 そうではなくて、もちろん需要という面も全然念頭から消しているということではありませんけれども、しかし今回の経済政策というのは、需要追加ではなくて、一番現在の経済の苦境を克服する政策として割り当てられているのは構造政策なんだということがこの内閣の眼目だろうと思います。ですから、補正予算をやるにしても、補正予算の規模がまず問題という需要政策的な観点ではなくて、歳出が需要追加の効果はあるけれども、より一層その中身が大事だと、構造改革に何が役立つかという観点で行われているということだろうと思います。
 ですから、どうも問題提起そのものが需要追加的な発想にお立ちになられているんじゃないかと思いますので、我々は今回、景気ももちろん大事なんですけれども、景気と同時に日本の経済の構造の改革が大事だという視点に立っているということで位置づけをいただければありがたいというふうに思います。
#58
○国務大臣(塩川正十郎君) 私も今、柳澤大臣のおっしゃったのと全く同じ意見でございます。
#59
○櫻井充君 じゃ、アメリカ経済を見た際に、アメリカ経済がVの字で回復するんじゃないかと言われて、Uの字だと言って、今やLなんだという話になっていますが、FRBがたしか十回利下げを行ってサプライサイドを随分変えたんだろうと思うんですよね。
 しかし、その結果どうなっているかというと、もちろんテロの問題や炭疽菌の問題も出てまいりましたから、それは特殊な要因だと言われてしまえばそこまでですけれども、しかし、あの以前まででも景気の回復の見通しというのは立たなかったんじゃないだろうかというふうに思っております。ですから、供給サイドだけを刺激することによる限界を感じているからこそ、FRBの方から財政出動をという話になったんじゃないだろうかというふうに考えているんですが、今のアメリカ経済に対してどのように柳澤大臣はお考えでございますか。
#60
○国務大臣(柳澤伯夫君) アメリカの場合はやはり設備投資が急激に減りましたので、低金利政策で設備投資を持ち上げようというのが最初のFRBの金利引き下げの意図だったと、こう思うんです。その後、今度はテロとかなんとかで消費が、あるいはリストラで消費が心配になってきたというので、減税をしよう、あるいは減税の規模を拡大しようという動きなんだろうと思います。
 いずれにせよ、そういうことで、それぞれの国が直面している問題をどういう問題なんだということで認識をして、それに対して政策を打っていくということでありまして、それはごく当然なことだと、このように考えております。
#61
○櫻井充君 要するに、消費マインドが落ちているから、だから減税をしていく方向なんだと今お話しでしたよね。そうすると、今の日本も同じなんじゃないんでしょうか。つまりは、個人消費なりなんなりが落ち込んでいるんだということがずっと前から言われているわけであって、そうすると、個人消費を回復していくための財政出動なりなんなりということが本来は必要になってくるんじゃないんですか。
#62
○国務大臣(塩川正十郎君) それは減税による景気刺激という、需要喚起ということも私は一つの重要な政策であると思っております。現在、アメリカがこのテロ事件の発生に相前後いたしまして、テロ事件の前にも、ブッシュ大統領は国民に対して、九百億ドルですか、一千二百億ドルでしたかの減税措置を講じるということを公約いたしまして、年次別でやっております。
 それはうらやましいことでございまして、アメリカはそれだけの力をつけたんですね。もう二十年前のアメリカといたしましては、それは双子の赤字で大変なのたうつ苦しみをしてきたことは事実だと。それでも辛抱強く財政管理をやってまいりました。そして、レーガン大統領になりましてレーガノミクスをやりまして、そのときにはもう需要喚起というか、いわゆるあのときはケインズ経済学を脱却してサプライサイドの経済学の方に軸足を置くということ、こういう考えだったと私は思っておりまして、それが成功したのはやっと二十年たった、現在二十年じゃございませんが、まあ十五、六年たってやっとレーガノミクスの効果が出てきて、五、六年前からアメリカは非常に強い財政体質になってきたと。この財政の体質がそういう大幅な減税を可能にしておると思っております。
 私たちも、現在は非常に苦しい状態でございますけれども、できるだけ速やかにプライマリーバランスがとれる、そういう財政に切りかえていかなきゃならぬと思っておりまして、今はその辛抱の時期だと思って努力しておるところです。
#63
○櫻井充君 おっしゃっていることは重々承知しているんですけれども、ただ、失業率が五・三%まで上がってきていて、不良債権の直接償却をやると、民間のアナリストの方に言わせると百万人ぐらいの失業者がまたふえるんじゃないだろうかと。竹中さんは十万人から二十万人とおっしゃっていますけれども、月々の変化を見てくると、今でさえ十万人や二十万人ふえているわけですから、これを本格的に始めたらこの数字ではとても終わらないんだろうと思うんですよね。
 そのために失業保険なりなんなりというものを手厚くして、セーフティーネットを張った上でとにかく全部処理すればいいじゃないかということなんだろうと思うし、そのことは私も随分前から強く訴えてはいたんですが、しかし世界の動向が変わってきたというか、唯一、世界の経済を支えてきたアメリカ経済があれだけ失速してきている中で、今まで我々が考えてきたスキームというのが本当に正しいのかどうかというのをもう一回改めて考え直さなきゃいけないんじゃないだろうかという気がしているわけです。つまり、全部がマイナスの方向に行くようなことを急いでやらなきゃいけないのかどうか。私は、これをもう一度考え直していかなきゃいけないと思っているんです。
 そしてもう一つは、こういう指摘もありますが、不良債権の直接償却を行うことによって、塩漬けになっている土地や物件がいろいろ出てくるでしょう。これがたたき売られた際に十分の一程度で恐らく売られることになるので、ほかの担保の価値も下がっていくんじゃないか、そういう指摘もありますけれども、その辺のことに関して柳澤大臣はどうお考えでしょうか。
#64
○国務大臣(柳澤伯夫君) 不良債権の処理は三つぐらいの方法で最終的に行われるということになっております。それは一つは、やはり清算というようなことになる。それからもう一つは、企業の再生というか再建型の、これは法的なものと私的なものとがありますけれども、そういうものになる。それからもう一つは、債権の売却。この場合には担保とともに売却されるということになろうと思うんです。
 私どもとしては、別にウイッシュフルシンキングだけしようとは思いませんけれども、できる限り再建型の処理をするようにということを申しているわけでございまして、せっかくある工場を、単純な土地だ、上物はむしろ取り壊しの費用がかかるんだというようなことで清算をしていくというようなことは国民経済的にも決してプラスにはならないというふうに思っておりまして、できるだけ事業用資産等もこれを生かす方向、生きるバイアブルな力があるものはできるだけそうしたものにするようにという方針を立ててこの問題に取り組んでいることは御案内のとおりでございます。
 それからまた、いろいろ手放すものについてもRCCに集約して、何とかこれをまとまるところはまとめて、不動産の価値としても高める方向でというようなことを念頭に置いております。
 企業再生ファンドと一緒に実は都市再生ファンドみたいなものをつくれないかなというようなことで考えたりもしておったんですけれども、我々が、RCCが今現に持っている土地を都市基盤整備公団にお見せして現実にちょっとチェックしてもらいましたところ、余り件数としては多くないという結果が出まして、そういうことの現状を知っていながら都市再生ファンドというようなことをうたうというのはやっぱりちょっと羊頭狗肉になって国民の皆さんを誤らせるんじゃないかということで、それはあえて避けておりますけれども、我々としては、RCCへの債権の移動の状況によってはまたそういうことも考えたいということが常に念頭にありまして、できるだけ生かして、むしろ何というか、価値が増す方向で最終処理もしたいというふうに考えているということを、ちょっと全く形がまだとれていないものに言及するのはいかがかと思うんですが、気持ちとしてはそういうものを持って考えていこうとしているんだということを申し上げたいと思います。
#65
○櫻井充君 気持ちはわかりました。
 私がお伺いしたいのは、そういう場合にもし、気持ちはわかりましたが、現実問題、そういう価格で売れなかった場合です。その売れなかった場合に、ほかの、例えばここら辺の地域の土地が十分の一の価格で売れたらその隣の土地も、十分の一とは言いませんけれども、恐らく資産価値が下がるんじゃないだろうか。そうすると、そういうものから派生していくとまた担保の価値が下がっていって不良債権化していくものがあるんじゃないかと、そういう指摘があるわけです。そういう指摘があるわけですが、その辺の指摘に関してどうお考えなのかなんです。努力する努力しないの問題ではなくて、そういう指摘をどう受けとめているのかということです。
#66
○国務大臣(柳澤伯夫君) これは、地価というものをこれから我々はできるだけ収益還元で考えようと、売買実例で考えるんじゃなくて収益還元で考えましょうということを申しているわけであります。
 そういうようなことで、どういうケースをお考えかと思うんですけれども、例えば事業用の資産で一定の事業をしているということであれば、それは収益が同じならばその資産の価値も変わらないというふうに思うべきで、売買実例が隣接のところにあれば、それは全く影響がないとは申しませんけれども、我々はできる限り、もうこういうふうに地価が何と申しますか、ある程度対GDP比で安定圏というかそういうものに入ってきていますねということ、この機会をとらえて、日本ももっと収益還元の価格の方向を重視した値つけというようなもの、あるいは評価というものに転換していくべきだというふうに考えるわけです。
 だから、売買実例というもので、今まではそれに比準して地価をいろいろ評価してきました。公示価格にしても、あるいは固定資産税の評価額にしても、すべてそういうふうなことをやってきたんですが、そういうものを乗り越えなければいけないというようなことが私ども考えているところで、私だけが考えてもそうなるというわけではありませんけれども、しかし、できるだけそういう方向で考えていくべきだということであれば、その影響がないとは言わないけれども、ストレートじゃないということは少なくとも言えようと思います。
#67
○櫻井充君 認識の差なのかもしれません。私、今回、仙台で事務所をかえたんですけれども、昔であればとても入れなかったような事務所が、その地代が下がりまして、坪単価が物すごい下がっています。これはだから、価格競争みたいな格好で、あるところが下がると全面的に下がってくるものなんですよ、やっぱり。ですから、あるところの土地が下がって売り出されればほかの土地だって下がってくるというのは、私は当然なような気がしておりますが、そこは認識の差なんだろうと思います。
 済みません、またちょっと証券税制の方に戻って、申告分離課税一本化になるわけですけれども、きちんと申告してもらえるものなんでしょうか。こんな話をするとちょっと怒られそうなんですが、我々医局にいる人間は十カ所ぐらい、十カ所は多いかもしれないけれども、数カ所の病院にアルバイトに行っていて、周りの人間を見ていると、ちゃんと行っているところの病院から源泉徴収票をもらって確定申告している人、非常に少ないんですよね。
 そういう現実を踏まえてくると、申告分離一本化してきちんと申告させるということが可能なことなんですか、これは。
#68
○政府参考人(大武健一郎君) お答えさせていただきます。
 先生御存じのとおり、現在の所得税制は基本は申告納税ということになっています。それに対して、極力納税者の負担を簡便化する観点から、種々の措置で源泉分離課税、例えば給与などもそのような形で処理させていただいている部分が大きいわけです。ただ、やはり本則としては申告課税ということが基本にあるということだと思います。給与も申告課税ということに向かってきているんだろうと思います。
 そういう意味で、今回も、政府税制調査会でも現行の源泉分離課税方式について種々の問題点の御指摘もいただき、税制の公平性、透明性を高めるという観点から、今回の改正にさせていただきました。
 そこで、今回このような、今先生が言われたような御指摘に対しまして、例えば取得価格の不明な部分の取得費の特例を設ける、あるいは納税者の申告事務負担に配慮する、あるいはタッチパネル方式というようなものの機能を拡充するということで処理をさせていただく。そして、今申した意味で、御本人が申告をされますと、申告といいますか取引をされますと、それぞれ証券会社の方が、いわば幾らで買った、売ったというのを通知することになるわけでございます。したがいまして、税務署に対してはそういう帳票が回ってまいりますので、それらを名寄せして処理していくということになるということかと存じている次第でございます。
#69
○櫻井充君 それは収入のときも一緒でしてね、あれは源泉徴収票ですか、あれを恐らく病院側は全部税務署に出しているはずであって、その名寄せがきちんとできていないんですよ。ですから、今の御答弁だと、本当にきちんと税金を納めていただけるのかどうかというのは若干難しいんじゃないかと思いますけれども。
 それともう一点、今回の緊急投資優遇措置に関して、いわゆる回転売買というんでしょうか、個人が保有していた株を売却して再購入した場合というものの取り扱いというのはどうなるんでしょうか。
#70
○政府参考人(大武健一郎君) 今回の緊急投資優遇措置につきましては、先ほど大臣も説明されましたように、十四年末までに新たに購入した一千万円までの上場株式等に係る譲渡益を一定の要件で非課税とするという措置でございますが、これにつきましては、十四年末までにその保有株式を売却して新たに購入するというようなことで、今先生の言われた回転とそれを言うのかどうかわかりませんけれども、株を切りかえるという可能性がないとまでは言い切れないと思います。
 ただ、本件の措置の適用を受けるには少なくとも二年以上の株式保有が条件となっているということでございまして、したがって長期に保有する意思を持った新たな投資家が入ってくるきっかけになる。いわば回転売買の方というのは、一月に何回もやっておられるという方がむしろ多数今の株式市場にいらっしゃるという存在からすれば、二年間という保有条件を課しているということからして、従来型の回転売買ではないのではないかというふうに思う次第でございます。
#71
○櫻井充君 証券会社を信じていないわけじゃないんですが、証券会社というのは手数料で収入を稼いでいるわけですから、そうなってくると、長期に株を持たれるということは実は不利になってくるわけでして、そのことを考えてくると、この時期にもう一回、とにかく長期に持っている人たちにだって買いかえさせた方が証券会社にとっても非常に得なんだろうと思うんですよ。
 そういう意味でいうと、おっしゃっているようなことにはならないんじゃないだろうかという気がいたしますが、いかがですか。
#72
○政府参考人(大武健一郎君) お答えさせていただきます。
 今まで持っておられる方が現在この時点で売りますと、実は源泉分離課税になってしまいます。あるいは損失繰越控除がこれは十五年一月一日からということになっております。したがって、長く持っていたからこの際売ってというときに、利益が出るならいざ知らず、今のような株式市場で抱えていた方は、むしろその損を覚悟で売って買いかえるということになると思うんです。
 したがいまして、十五年一月一日からは申告分離課税一本化、この緊急措置というのは十四年末までの措置でございますから、先生が言われたように、乗りかえさせるときは損切りといいますか、御自身が損を覚悟でなければ乗りかえられないということになるのかと思う次第でございます。
#73
○櫻井充君 わかりました。ありがとうございます。
 それじゃ、話題を変えて、大和都市管財についてちょっとお伺いさせていただきたいんですが、この事件で、まず一つ、これは近畿財務局がいつごろから問題と思っていたのかというのが非常に問題でして、これは被害額がたしか一千四百億円程度だと言われておりますよね。
 このことに関していうと、近畿財務局の責任は問われるのか問われないのか、まずその点について教えていただきたいと思います。
#74
○副大臣(村田吉隆君) 責任が問われるか問われないかという御質問でございますが、これまでの経緯を概略申し上げておきたいというふうに思います。
 この抵当証券業者ですが、昭和六十三年に業法に基づきまして新規登録がなされまして、三年ごとに法律では登録を更新するということになっております。財務局では三年ごとに大体立入検査をやってきたと、こういうことになっておりますが、問題点を指摘しましたのは平成六年の九月に実施した検査においてでございまして、その結果、私どもは大和都市管財株式会社の子会社の経営内容が非常に悪いということを把握したわけでございます。
#75
○櫻井充君 それで、営業停止というんでしょうか、大和都市管財の証券業登録の更新を拒否しましたよね、ことしの四月十六日に。この拒否した理由をまず教えていただけますか。
#76
○副大臣(村田吉隆君) 先ほどの続きでございますが、平成六年に検査をして、業況が悪いということで指導いたしまして、将来、抵当証券を持っておられる方の買い戻しのそういう資金が枯渇するということも懸念されたものですから、そういう意味で自主的に経営健全化計画を出しなさいという形で、それを八年に業者が出してまいりました。
 その後、九年に改めての登録更新の年が来るわけでございますが、その年に出てきた内容を見まして、また問題がございますので検査を進めた結果、平成九年の十月に経営健全化業務改善命令を出したと、こういう形になっております。
 その後は、業務改善命令の中で幾つか条件を出しましたんですが……
#77
○櫻井充君 更新の拒否の理由だけ教えてください。
#78
○副大臣(村田吉隆君) わかりました。
 直近の平成十二年の立入検査の結果、抵当証券業の規制等に関する法律に規定される登録の更新に必要な財産的基礎を欠くということを把握したために、再度の登録の更新を拒否したという形になっておりまして、あわせて会社整理の通告をしたと、こういうことでございます。
#79
○櫻井充君 財産的基礎を欠くというのは、そうしますと、平成十二年度になって初めて財産的基礎を欠くということを認識されたということですか。
#80
○副大臣(村田吉隆君) さようでございます。
#81
○櫻井充君 これは命令書が出ておりまして、これの日付が、この郵便物が送られているのは平成九年十月三十一日ですけれども、近畿財務局から大和都市管財の方に命令書が送られております。
 その命令書の中に、貴社の融資先である関連会社はいずれも経営状況が極めて悪いとか、結果的に貴社の経営が困難になる可能性があるということをもう命令書にはっきり書いておりまして、気がついたのが十二年というのはちょっとおかしいんじゃないですか。
#82
○副大臣(村田吉隆君) 私どもは、抵当証券業法に基づきまして、本体の抵当証券業者に対しましての財務内容の把握をする権限は有しておりますが、その時点におきましては、九年の時点については、グループの会社の財務内容の悪化によって本体の経営に、財務内容に影響を及ぼす可能性があるとは認識いたしましたけれども、本体の方は債務超過ではないと、すなわち財産的基礎を有しているという、そういう認識をしておったわけでございます。
#83
○櫻井充君 その判断は正しかったんでしょうか、今になってみると。
#84
○副大臣(村田吉隆君) 私どもの法律に与えられた権限の範囲内で検査は適正になされておったと、こういうふうに考えております。
#85
○櫻井充君 検査が適正になされたとおっしゃっていますが、関連会社に関しての調査権がないというお話ですけれども、そうであったとすると、「融資先である関連会社はいずれも経営状況が極めて悪く」と、なぜこれに書けるんですか、文書に。
#86
○副大臣(村田吉隆君) 直接関連会社に立ち入って調査、検査する、そういう権限がない中で、本体の抵当証券会社を通じまして、子会社のそういった財務内容の把握に努めていたと、こういうことでございます。
#87
○櫻井充君 それで、そういうことを知った上でも財産的基礎を欠くという判断はできなかったということですか。
#88
○副大臣(村田吉隆君) 私どもは、そういう子会社の経営状態の悪化というものを把握しながら、なおかつ抵当証券の払い戻しの原資というものを確認しつつグループ全体としての業務改善命令を出しながら経営状態の改善を期待しておりましたということでございます。
#89
○櫻井充君 この当時、大阪府警は、同社の金融商品の取引に絡んで詐欺容疑で立件しようとしたと。近畿財務局と連携をとって、近畿財務局が債務超過を理由に抵当証券業の登録更新拒否を行い、同時に府警が着手という、そういうシナリオを大阪府警は描いていたんだそうですが、着手予定日の一週間前に近畿財務局が突然手を引いたと、これは事実でしょうか。
#90
○副大臣(村田吉隆君) 私どももそういう報道があったということは承知しておりますが、今委員の御指摘なさったような事実はございません。
#91
○櫻井充君 こういう中で政治家の関与が随分取りざたされているわけですが、これは名前は伏せておきますが、その圧力をかけたのではないかと言われている議員の方が、平成十年の四月十日の大蔵委員会でこういう質問をされているんですね。「一方で、金融関係でいいますと、それだけ資金がふえてくるわけでありますから、有利、確実な運用というようなものだけでなくて、」ここからなんですが、「リスクはあるけれども収益性が高いというものの商品が当然必要になってくる。」と、これは大和都市管財のことに関して後押ししているような質問じゃないだろうかと私は思うんですが、「それが国民のために資するものである。」と、そうまで言い切っておられます。
 そこで、その答弁の方では、「国民が勤勉、努力で働いて稼いだお金、そのお金の運用手段を充実するという面が一つ。そしてまた、仲介業者の方は魅力ある金融商品を提供しやすくする、こういったことを通じて国民の有利な資産運用を可能にする」というような答弁をいただいております。
 どうも、KSDの問題の際もそうだったんですが、国会での質問を、こういうことを仲介する、仲介というか、やっていく中で有利に導くように思える質問をしているわけです。
 この方は、実際、最初は全く知らなかったというお話をされていましたけれども、結果的には大和都市管財とおつき合いがあるというようなことも後で判明してまいりまして、ころころころころ変わってきておりますけれども、国会のこの質問に関してどうお考えですか。
#92
○副大臣(村田吉隆君) 個々の委員の発言の意図につきまして、私もその意図はつまびらかにいたしませんし、私がコメントをする立場にもないと考えております。
#93
○櫻井充君 今この大和都市管財に関して責任を持って調べられている方はどなたですか。
#94
○副大臣(村田吉隆君) 私ども金融庁では、昨今、この件に関します報道が相次ぎましたものですから、十一月の初めに、私をキャップといたしまして、関連のことについて調べるチームをつくったところでございます。その意味では、私がキャップとして調査をしているということでございます。
#95
○櫻井充君 それでは、事実確認を行わさせていただきたいんですが、その当時の大蔵大臣でございました方が、名前を出した方がわかりやすいので出してしまいますが、三塚博その当時の大蔵大臣です。その方からの紹介だと坂井さんはおっしゃっているわけですが、一方で三塚さんは、そういう紹介は全くしていないということで、お互いの意見が違っておりますが、これはどちらの言い分が正しいんですか。
#96
○副大臣(村田吉隆君) 実は、私がキャップとなりまして調査を進めた範囲でございますが、私どもが尋ねるそういう権限がございます当時の抵当証券関連の業務をしておりました近畿財務局並びに本省の職員を調査したということでございますので、今御指摘の二人の議員につきましては調査が及んでいないとお答えをいたしたいと思います。
#97
○櫻井充君 今後調査する意思はおありなんでしょうか。
#98
○副大臣(村田吉隆君) 私どもは、役所の金融庁の中で、その傘下にある人間についての調査を進める、こういう調査をしてきたと、こういうことでございます。
#99
○櫻井充君 ある意味、この事件の本質のところなのかもしれないわけです。つまりは、近畿財務局としては、あれだけの命令書を出していて何らかの処理、処分をしたかったかもしれない。しかし、そこのところに政治家から横やりが入ったためにその機を逃してしまったという、これは結果的にマスコミ報道でございますが、実をいいますとある関係者の方からそういう証言もいただいております、私は。そういうこともございますので、そのところが非常に大きなポイントになるんだろうと思うんです。
 この点について改めてお伺いいたしますが、きちんと調査なさるんでしょうか。
#100
○副大臣(村田吉隆君) 私どもは金融庁の組織の中の人間を通じてしか調査を進める立場にない、こういうことだろうと思っております。
#101
○櫻井充君 それで問題の本質は解決するとお思いですか。
#102
○副大臣(村田吉隆君) 私どもが組織の中で、法律上も、組織の人事権の中で聞けるのはそういう内部の職員である。要すれば、その職員を介してそういうコンタクトがあったかということは聞けると思いますが、直接、当時の大蔵大臣あるいは坂井委員に聞くということは、私どもの権限の範囲を超えるものであると解釈しております。
#103
○櫻井充君 権限の範囲を超えるんなら超えるで結構ですが、そういうことを調査なさらないでこの事件の全容が明らかになるとお思いですか。
#104
○副大臣(村田吉隆君) いずれにしましても、私どもの内部の調査によりましては、当時大蔵省でございますが、我々の当該大和都市管財に対します検査・監督というのは厳正に行われてきた、こういう結論でございます。
#105
○櫻井充君 答弁になっていないと私は思いますが、じゃもう一点別な角度から。
 平成十年の四月二十七日に墳崎敏之元近畿財務局長が懲戒減給を受けていますが、この理由を教えてください。
#106
○副大臣(尾辻秀久君) 御質問のございました墳崎氏を含め、当時、今おっしゃいましたように平成十年一月から四月でございますけれども、大蔵省の金融関連部局に在籍いたしました課長補佐以上の職員、これ全部で一千五十名以上おるわけでございますが、これらを調査対象といたしまして、平成五年一月一日から九年十二月三十一日までの間に金融機関等との間における会食、ゴルフ等の行為について調査を行ったところでございます。調査の結果をもとにいたしまして厳正に処分をいたした、こういうことでございます。
#107
○櫻井充君 具体的に教えていただけないですか。この方は大和都市管財の接待を受けているんですか。
#108
○副大臣(尾辻秀久君) この件につきましては、改めまして墳崎氏に確認をいたしております。今般のことがございましたので、確認をいたしました。接待を受けたことはない、こういう回答でございます。当時もそういう調査の結果はございません。
#109
○櫻井充君 もう一度整理し直したいんですが、そうすると、近畿財務局には基本的には、今のところの調査では政治家からの圧力というのはなかったということになりますね。
#110
○副大臣(村田吉隆君) いろいろ聞きまして、結果的に申し上げますと、何人かの政治家からの問い合わせもあったようでございますが、それに関連してその職員が圧力を受けたということは調査の結果申しておらなかったということを御報告いたしたいと思います。
#111
○櫻井充君 じゃ、どういう内容のことを言われたんですか。どういうことを聞かれたんでしょうか。
#112
○副大臣(村田吉隆君) 当時のことを詳しく覚えていない者もおったわけでございますけれども、御披露いたしますと、例えば、検査に入っているようだがどういう状況でありますかとか、登録の更新がおくれているようですけれどもどういう状況なのかと、こういった感じでございまして、総じまして同社に対しての一般的な検査・監督についての問い合わせであったというふうに聞いております。
#113
○櫻井充君 官僚の方々に本当はお伺いしたいんですけれども、こういうことを政治家から言われた際に、それはどういうことを意味しているのか、もし本当にそういう話だったとすればですよ、それは要するに、何でできないんだと言っていることは、早くとにかくやってやれということを言外に置いているんじゃないだろうかと私は思いますけれども、改めてお伺いさせていただきたいんですが、そういう意図は全くなかったという今のところの判断なんですね。
#114
○副大臣(村田吉隆君) そのとおりでございます。
 委員が御質問でございますから、私もかつて国税局の部長をしていたことがございまして何件か経験がございますが、私ども職員といたしましては、そういういろんなお問い合わせがあっても、私ども組織が大事でございますので、それをもって自分たちの行政を曲げるということは断じてしてならないという、そういう覚悟のもとで行政をしているわけでございます。
#115
○櫻井充君 そういう方だけならいいんですよね。そういう方だけじゃないからいろんな問題が起こってきているんじゃないですか。数多くの方々が一生懸命やっていらっしゃるはずなんですよ。外務省だって、全部が全部ああいう人たちだけじゃないと思いますよ、私は。だけれども、結果的に一部の人たちがああいうふうになっちゃうからいろんなものが出てくるわけですよね。だから、全員が果たしてそうなのかというと、今までの例を見ていると、とても全員がそうではないと、私はそう思いますけれども。
 そこで、もう一つお伺いしたいのは、こういう中で大和都市管財の豊永容疑者が、金融関係に詳しい国会議員を紹介してもらえるように三塚さんの周辺に依頼したと。そして、三塚さんの方が坂井さんを紹介したらしいという経緯がありますが、この点についてはどこまで御存じですか。
#116
○副大臣(村田吉隆君) 新聞情報でそういう事実は報道されているということを私は読んでおります。
#117
○櫻井充君 その真偽を私はお伺いしているので、この報道自体が正しいのか正しくないのか、そこまでお調べになっているのかどうか、その点について教えていただけないですか。
#118
○副大臣(村田吉隆君) 先ほど申し上げましたように、私どもはそこまで調査はしておりません。
#119
○櫻井充君 じゃ、金融庁としてこの問題をどういう方向で解決しようとお考えなんですか。
#120
○副大臣(村田吉隆君) この問題というのは、ちょっと私も委員の御質問の趣旨がよくわからないのでございますが。
#121
○櫻井充君 要するに、これだけの、一千四百億円とも言われる被害が出て、なおかつ、平成九年だったか十年だったか、あのときにもう命令書まで近畿財務局が出していて、そういうことがあったからこそ、もっと早くにわかっている、そして被害をもう少し小さい時点で防げたんじゃないだろうかと、そういう指摘があるわけですよ。ですから、そういう問題がある中で、金融庁はこの点についてもう少し早くわかったんじゃないかと。この点についてどういうふうにお考えなのかです。
#122
○副大臣(村田吉隆君) 結果といたしまして、この大和都市管財をめぐりまして多くの被害者が出ているということに対しては、私ども大変遺憾に思っているわけでありますが、平成六年に関連会社の財務内容の問題を把握してから、私ども、検査・監督を通じて適正に指導もしてきたと、こういうふうに考えているわけでございまして、そういう意味で、結果としてまことに遺憾でございますが、私どもの検査・監督はその都度適正になされておったと、こういうふうに解釈をしております。
#123
○櫻井充君 まず平成六年の九月に検査を行っていますよね。その後はいつ検査をやっているんですか。
#124
○副大臣(村田吉隆君) 平成六年の九月の立入検査の後は、三年後の平成九年の六月の立入検査でございます。
#125
○櫻井充君 その後が今度は平成十二年ということですか。
#126
○副大臣(村田吉隆君) 検査はそういうことでございます。
#127
○櫻井充君 済みません、三回目はいつですか。平成十二年のいつですか、今度は。
#128
○副大臣(村田吉隆君) 平成十二年の十月に立入検査に入っております。
#129
○櫻井充君 そうすると、ここの大和都市管財が破綻するという、そういう危機感はお持ちでしたか。
#130
○副大臣(村田吉隆君) 平成十二年の十月、そのころに、見直し計画が九月に出てまいりまして、それによりまして、この業務改善命令に基づきます健全化計画が問題ありとその時点で認識したわけでございまして、かつまたその債務超過という事実も把握したと、こういうことでございます。
#131
○櫻井充君 いや、だって平成九年の調査でももうこの時点でおかしいと思っているじゃないですか。実際そう書いてあるじゃないですか、命令書に。
 つまり、もう一つ言いたいのは、そうやっておかしいと思ったところも何で三年に一回しか検査やらないんですか。それは普通だったら、危機感をちゃんとお持ちであって、投資されている方々とかそういう方々を考えれば、おかしいと思ったら、健全計画を出させたんだとすれば、それがちゃんと実行できるのかどうかというチェックをきちんとすべきじゃないですか。
#132
○副大臣(村田吉隆君) 委員、私どもがおかしいとそういう業務改善命令を出したときに書いてございますのは、本体部分じゃなくて、関連子会社の部分についてをあわせて指摘しているわけでございますから、そこのところは誤解のないようにお願いをいたしたいと思っております。
 それに加えまして、何にもしなかったというわけではなくて、平成六年の九月の立入検査の結果を平成七年の五月に同社に対しまして通告をいたしております。その後ずっと、同社のあるいは関連会社の財務状況とか資金繰り状況についてさらにもっと詳しい実態把握が必要だと判断をしておりまして、業況ヒアリングというものを続けてきたわけでございます。
 それまで、同社の社長は近畿財務局に対しまして必ずしも協力的とは言えなかった状況でございまして、検査結果を通知してから八年の二月までのヒアリングの過程を通じまして、初めて同社長から直接同社の資金繰りとか関連会社の財務内容についてヒアリングを実施することができたと。その後、先ほど私が御答弁申し上げましたように、自主的な健全計画というものを出させて、それをフォローアップ毎年してくるという状況にあるわけでございまして、九年に業務改善命令を出す間も、引き続き、同社との関連ではヒアリング、報告聴取等を続けてまいってきているということでございます。
#133
○櫻井充君 じゃ、そんな毎年やって結局気がつかないということですか。毎年やって気がつかないんだったら、そのヒアリングのやり方おかしくないですか。
#134
○副大臣(村田吉隆君) 私どもの調査というか検査でございますが、実態的に抵当証券の買い戻しの資金があるかということ、それから関連子会社の財務内容の把握、それからもちろん本体の財務内容の把握でございますが、その都度、私どもが一番注目しておりました抵当証券の買い戻しに対します原資というものは確保していると、そういう判断があったわけでございます。
#135
○櫻井充君 だって、この処分の理由のときに、抵当証券の購入者の利益を害する事実があると認められるためと、もうこれははっきり書いているじゃないですか。
#136
○副大臣(村田吉隆君) それはいつの業務改善命令の内容でございますか。
#137
○櫻井充君 はい。平成九年十月三十一日です。
#138
○副大臣(村田吉隆君) それは、子会社の財務内容が要するに本体の方に及んでくる、したがって抵当証券の保有者に対しての影響が及んでくるということを指摘したものでございます。
#139
○櫻井充君 何かまるで、例えばリンゴならリンゴの箱があって、今の話だと、一個だけ腐っていないリンゴがあって、周りが全部腐っているから周りが腐っていますねという、そういう話だけしたということですか、これは。そんな考え方できるわけがないでしょう、普通は。そうだったとすれば、もうそうなったとすれば、真ん中のリンゴも腐ってくるなんて、こんなの当たり前のことじゃないですか。そういうことも見抜けなかったわけですよ。見抜けなかったとすると、やはり監督のやり方おかしいんじゃないですか。
#140
○副大臣(村田吉隆君) 私どもは、九年に業務改善命令を出した後も、抵当証券の買い戻しをする原資をまず確保して、それで業務改善命令にのった経営健全化計画が実施される、そういうことで会社の立て直しが総体として図られるということを期待をしたと、こういうことだと思います。
#141
○櫻井充君 これ以上やってもしようがないんですが、要するに、我々からすれば判断ミスだろうと思いますが、判断ミスを起こさせるようなどなたかの圧力があったんじゃないだろうかという感じがします。
 あと、最後にもう一つ。狂牛病で二頭目が発見されまして、この間、狂牛病とクロイツフェルト・ヤコブの集中審議のときにも聞かしていただいたんですが、もう一度改めてお伺いさせていただきたいのは、この問題で日本経済に対してどの程度影響を及ぼすと考えていらっしゃるのか、まずその点について教えていただきたいと思います。
#142
○政府参考人(岩田一政君) 今回の狂牛病の影響についてでございますが、牛肉の例えば家計が購入いたします出費の状況を見ますと、九月に出た数字を見ますと一五%減ということになっております。また、外食関係、特に牛肉等を使います外食関係が九月にやはり一二%減というようなことになっておりまして、個人消費に対してある一定の影響があるというふうに思います。ただ、個人消費全体の大きさから比べますと、それ自体は限定的だというふうに思います。
 ただ同時に、個人の消費者のマインドに対する影響、これちょうど九月が同時多発テロというようなこともございまして、このマインドについては、景気ウオッチャー調査等を見ますと、かなり多くの業者の方が悪影響があるというようなことを言っておられまして、今後とも注意深く見守っていきたいというふうに思っております。
#143
○櫻井充君 農水省の方にお伺いしたいんですが、今回こうやって二頭目見つかって、農水省に対しての不信感というのは物すごく増してきたような気がしますけれども、その点についてどう思いますか。
#144
○政府参考人(小林芳雄君) 今お話ございましたように、二頭目のBSEの感染牛が確認されたところでございます。これ自身につきましては私どもとしても残念なところでありますけれども、これが食用として出回ることなく屠畜場の段階で発見されたということでございまして、先般、十月の十八日でございますけれども、それからいわゆるBSEの全頭検査体制、これは私ども、厚生労働省ともどもこの体制を整えたところでございまして、こういった中でいわば感染牛が確認されたと。また、したがいまして、屠畜場から出ていきます牛肉につきましては、これは安全であるということ、これを引き続き国民の皆様に十分訴えてまいりたいというふうに考えているところでございます。
#145
○櫻井充君 農水省に対して不信感は増したんじゃないですかということを聞いているんです。増したと思うか思わないかだけ答えてください。
#146
○政府参考人(小林芳雄君) 私どもといたしまして、今申し上げましたように、十月十八日以降のこの新しい検査体制のもとでいわば検査を的確に進めているということにつきまして、これは引き続き国民の皆様に十分理解されるよう訴えていきたいというふうに考えております。
#147
○櫻井充君 答弁になっていません。なってないよ。とめてくださいよ。ちゃんと答えてくださいよ。
#148
○委員長(山下八洲夫君) 小林生産局長、もう少し具体的に御答弁願います。
#149
○政府参考人(小林芳雄君) まさに私ども、国民の皆様からこれまでの経過につきましていろいろな御批判をいただいているということはもちろん承知しております。そういう中で、この十月十八日以降の全頭検査体制のもとで、今国民の皆様に安全な牛肉を届けるべく一生懸命やっている、この点を十分国民の皆様にわかっていただきたいと。それを私どもこれから十分わかっていただくことによりまして、私どもの評価は非常に厳しいものがあると思っています、ですけれども、こういった点の、何といいますか、私ども一生懸命やっている、そういう認識も国民の皆さんに持っていただくようにやっていきたいという意味でございます。
#150
○櫻井充君 答弁になっていません。答弁になっていませんし、じゃ、もう一つお伺いしましょう。
 今回の件に関して農水省は責任があると思っていらっしゃいますか、狂牛病の発生に対して。責任があるかないかだけでお答えください。
#151
○政府参考人(小林芳雄君) この今回のBSEの関係でございますが、事態が発生して以来の経過でございます。確かに省内、省外との連絡体制、こういったものがありまして……(「時間がないから」と呼ぶ者あり)それは、私どものいわば行政に対しまして国民の皆様から不信を招いたということにつきましては遺憾だと考えております。そういう意味でいえば、省内の連絡体制を含めまして、関係省庁、都道府県の皆さんと今申し上げたような体制の整備を進めてきたということでございまして、こういった点を十分御理解いただきたいと思っております。
#152
○櫻井充君 答弁になっていません。
 改めてお伺いします。責任はあるんですか、ないんですか。
#153
○委員長(山下八洲夫君) 簡潔に御答弁願います。
#154
○政府参考人(小林芳雄君) これまでの初期段階といいますか、いろいろな場面で省内、省外との連絡体制が十分に機能しないことによりまして、国民の皆様から私ども行政に対する不信を招いたと、これについては遺憾だというふうに考えております。
#155
○櫻井充君 質問できません。答弁になっていませんよ。
#156
○委員長(山下八洲夫君) 速記をとめてください。
   〔速記中止〕
#157
○委員長(山下八洲夫君) 速記を起こしてください。
#158
○政府参考人(小林芳雄君) 今お答えいたしました、先般、先生から、厚生労働委員会でございましたかと思いますけれども、そこでも同じ御指摘をいただきました。
 その際、私どもの野間農林水産副大臣からお答えしておりますように、今回の事態が発生して以来、省内、省外との連絡体制が十分に機能しなかったことなどございまして、初期段階で対応に混乱が見られたこと等によりまして国民の皆様から行政に対する不信を招いた、このことについて遺憾というふうに存じておるところでございます。
#159
○櫻井充君 その遺憾というのが我々よくわからないから、この間もどういう意味なのかというのを随分聞いたんですけれどもね。
 この間、安全宣言が出されましたよね。国民の皆さんは安全宣言って一体何なのかという受けとめ方を、どういう受けとめ方をしているのかというと、もう狂牛病が発生しませんと、そういう考えで受けとめていらっしゃる方も数多くいらっしゃるんですよ。その意味で、先日の安全宣言というのに対して、私はこの間も申し上げましたけれども、こういう結果になってみると、やっぱり大きな問題点があったんじゃないかと思いますが、その点についてどうお考えですか。
#160
○政府参考人(小林芳雄君) この点につきましては御理解いただきたい点がございます。
 十月十八日に、私ども農林水産大臣、厚生労働大臣、お二方の方から、この牛肉の屠畜場から出るものの安全性につきまして、それを国民の皆様にわかりやすく説明させていただきました。
 その趣旨でございますけれども、もともと食肉ないしは牛乳、乳製品、安全でございますが、十月十八日から厚生労働省と私ども連携いたしまして、BSEに感染していない安全な牛肉以外屠畜場から出回ることはなくなる、こういったシステムが構築されたということを両大臣からお話しさせてもらったところでございます。
 確かに、今般新しくBSE感染牛が出たわけでございますが、先ほど申し上げましたように、食用として出回ることなく発見されたわけでございまして、いわばこのBSEの全頭検査体制が機能しているということでございますので、こういった十月十八日に示しました方針、考え方等をまたさらに国民の皆様に十分訴えていきたい、理解を求めていきたいというふうに考えております。
#161
○委員長(山下八洲夫君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午後零時七分休憩
     ─────・─────
   午後一時一分開会
#162
○委員長(山下八洲夫君) ただいまから財政金融委員会を再開いたします。
 租税特別措置法等の一部を改正する法律案を議題とし、休憩前に引き続き、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#163
○浜田卓二郎君 浜田卓二郎です。よろしくお願いいたします。
 きょうは五十分という時間をちょうだいしておりまして、今まで三十分しかいただいたことがないものですから果たして五十分質問がもつかどうかわかりませんけれども、少し質問させていただきます。
 追加でお願いいたしましたけれども、けさの新聞で、昨夜の与党内の追加補正に対する合意の記事が出ておりました。それに関連して、最初に財務大臣のお考えを承りたいと思います。
 今回の補正は、既に補正予算成立しておりますけれども、前回の質疑のときに、私、大臣の御所見をお伺いをいたしまして、景気対策的な補正ではないと、これはまあいわば失業に対する一つのセーフティーネットを確実にするための予算が中心であるという御答弁だったと記憶いたしておりますが、今回まだそれは政府として本決まりということではないと思いますけれども、午前中の質疑でも明らかになりましたが、二兆四、五千億の規模での追加補正をお考えになって、その方向に政府は進み始めていると、そう理解した上でのことでありますけれども、これはどういう意味合いの補正になるんでしょう。景気対策でしょうか。
#164
○国務大臣(塩川正十郎君) 非常に私は、今回の補正予算というのは、第二次補正予算は心理的な問題であろうと思っております。もちろんスケールからいいまして、実質支出で二兆五千億円でございますし、これを事業費規模に伸ばしましても四%ちょっとのことだと思って、そのことから見ますと、GDPに対して一%にも足らないということでございますから、大して景気の押し上げには十分なことではないと思っております。
 しかしながら、現在日本を取り巻きます経済の状況というものは、予想以上に厳しい非難を受けておるところでございますし、しかもその中心となりますのは、やはり失業の増加によるところの影響が大きいと実は思っております。そこで、第二次補正におきましても失業対策等に対する措置をいたしたいと、こういう考え方から第二次補正を組んだのであります。
 ただし、第二次補正におきましては、雇用対策に対する直接的な費用をということではなくして、雇用を創出する方面に働きかける、雇用創出をする方面にインセンティブを与えるという、そういう趣旨の補正にいたしたいと、こう思っております。それには、NTT株売買の収益というのはまさにそれに適合したものではないかと、こう思っておること、これが一つでございます。
 それからもう一つは、この機会に、近く、この月末に政府が発表すると思うんでございますが、規制緩和、そして構造改革の問題がございます。内閣としては、とりあえず一番眼目にしておりますところの特殊法人の改革を十一月の末に、この月の末に方向を決定したいと思っております。
 そういたしますと、規制緩和、そして特殊法人の整理ということになりますと、それが与えますところの不景気感に対するまた一つのインパクトになるのではないかと心配しておるんでございますが、そういうようなものを未然に予防するためにも補正を組んで、そういう対策に対して、規制緩和に伴うところの新しい雇用創出の機会を提供するという意味において新しい事業を振興さす、そういう意味も込めた補正になっておる、こういうつもりでございまして、十分な措置ではございません。けれども、政府として、当面する、考えておることを予算の面において何らかの意思表示を表現したいと思いまして計上したようなことでございます。
#165
○浜田卓二郎君 新しい雇用創出がいかに行われるかということでありますけれども、これも含めて広く言えば、午前中の御答弁では柳澤大臣は否定しておられましたけれども、需要喚起ということですよね。ですから結局それは、従来型かどうかは別にいたしまして、やはり景気対策に踏み込むというふうに私は理解するんですけれども、それではなぜ二兆五千億なのか。先に御答弁になられましたけれども、それは財源がそれしかないから二兆五千億ですね。
#166
○国務大臣(塩川正十郎君) まあこのぐらいしか金の捻出の仕方がなかったんです。
#167
○浜田卓二郎君 私は、そこはもう少し政府はきちんと物を考えていただきたいと思うんですね。つまり、前回、補正は今通ったばかりですから成立したばかりなんですね。そのときの質疑では景気対策というものは考えていないと言われたわけでありまして、それから一週間たったか十日たったかということで既にこの話になる。しかも、景気対策ということを私は、否定されない、否定できないと思いますけれども、つまり景気対策に踏み込むという私は判断だと思うんですね。なぜこのわずかな期間で判断が変わるんでしょうか。
#168
○国務大臣(塩川正十郎君) 先ほども申しましたように、今回二次補正を組むということの主たる目的は、景気対策というよりもいわゆる改革、先行して改革したいという分野、我々としては七分野を考えておるわけでございますが、その七分野における事業に着手し、先行してもらいたいと、こういう願いを込めての、それの引き出し役としての予算ということでございます。
#169
○浜田卓二郎君 引き出し役というのはそのとおりだと思うんですが、そもそも景気対策というのは、英語でポンププライミングポリシーとか、あるいはスティミュレーティングポリシーという言い方をいたしますね。つまり誘い水で、水が上に噴き出してくるのをねらった政策とか、あるいは文字どおりスティミュレートする、刺激する政策。わずかな金額であっても、それが一つの経済全体に対するそういう役割を果たすから景気刺激というふうに、景気対策というふうに私は理解をしておりますが。
 ですから、大臣どうおっしゃろうと、結局、一兆円で雇用に対するセーフティーネットを準備した、それが本当にセーフティーネットかどうかわかりませんけれども、少なくとも大義名分というか、政策の説明はそうでした。しかし、それでは足らないから、いろいろな議論に押されながら二兆五千億というのが出てきた。ところが、この二兆五千億というのは、今おっしゃったように、はっきりおっしゃれない面もあるわけで、財源があったから二兆五千億ということですよね。ですから、私はいろんな意味で不徹底だと思うんですね。つまり、呼び水政策、刺激政策ということであれば経済全体をカバーすることは不可能なんですから、できるだけ市場といいますか、経済が感ずるような形で効果的にやるということがないと意味がないわけですね。ですから、一兆円を一週間前、十日前にやって、今回二兆五千億という数字を出すよりも、なぜ三兆五千億まとめて、そうすれば、地方負担とかいろいろ事業規模を考えれば、どういう事業を具体的にやるかは別にして、かなりの規模の経済に対する刺激が私は出てくるんじゃないかと。
 二兆五千億が十分だとは全然思いません。そして二兆五千億に根拠があるとも思いません。たまたまそこに財源があるから二兆五千億。この面も経済政策としてはまことに不徹底な気がするわけですが、重ねて、なぜ一緒にそういうふうな判断に踏み切れなかったか。そこのところは私は、塩川大臣の御責任ではなくて、まさに小泉内閣の経済の現状に対する認識の不徹底さだというふうな気持ちになるわけですけれども、この点について、もう一度財務大臣としての御所見を伺いたいと思います。
#170
○国務大臣(塩川正十郎君) 経済に対する認識の相違というのは私はないと思っておりますけれども、しかし、第一次補正と第二次補正の間には動機が、つまり、なぜ補正を組んだかという動機が私は若干違うことを御理解していただきたい。ですから、一緒にできなかったという理由がわかっていただけると思うんです。
 まず第一に、第一次補正の動機というものは、当面するところの景気のいわば裏から起こってくるところのセーフティーネットを充実させにゃいかぬという、これが第一の動機でございました。ですから、その当時から経済あるいは景気に対する政府の認識はずっと一貫しておりまして、小泉流に言いますならば、多少の紆余曲折はあっても辛抱していただいて、マイナスを辛抱していただいてここ数年乗り切ってほしいという、こういう基本方針は今でもその当時でも変わらないのでございますが、しかし、余り一般国民に不安を与えてはいかぬと思うことから、とりあえず失業対策だけは講じておかなきゃいかぬという、これが第一次補正予算の動機でございました。
 でございますから、第一次補正が経済の景気刺激に大きい要因となるということは期待も余りできなかった、したいけれども、それはそれだけのボリュームがないということでできなかった。しかし、セーフティーネットを講ずるためには若干の意義があったのではないかと思っております。
 そこで、第二次の補正でございますけれども、第二次補正も、私たちは、経済の大きい流れからいうならば、二次補正をすることをそれほど大きい期待はかけられない、ましてや、金額にいたしましても大きい金額の捻出は不可能であると。そうすれば、ここで一番問題は、国債の発行枠三十兆円をあえて破ってでも大型の補正を組むのか、それをどうするかという意味でございました。
 しかし、私たちのいわば政府としての考え方は、それよりもやはり、せっかく改革に着手した以上は、改革を推し進めていく方が筋の通った話ではないかということを我々の判断で決めたわけでございます。
 そうすると、そういう財政の秩序を守るという観点から言うならば、大きい補正予算を組むことも不可能だし、また、それをするよりも規制を緩和して通す方がいいと。そうすれば、一体どうすればいいか。
 そこで考えましたのは、議会の筋から、国会でございますが、国会からは景気対策に対して補正予算を組めという要望が非常に強い。私はこれは国会議員としておっしゃるのは当然だと思っております。国会議員としての使命からいうならば、景気対策を目で見えるようなものを政府にやらせていくということは国会議員としての務めだと思っております。それをあえて政府が、それでもだめです、やりませんという応答を、国会に対して答えを出すということは、これまた努力の不足だといって非難を受けることは当然であろうと。
 であるならば、国会の要請にもある程度こたえ、そしてまた、政府が望んでおるところの改革先行にもこたえる、そういう点の接点を探して、それはどういうことだろうということで、先ほど申しました七分野をとりあえず先行させていく、先生のおっしゃるポンプの呼び水をこちらに与えていこうと。それによって一刻も早く雇用創出への方向が動き出してくれればそれにこしたことはないという、そういうものをあわせまして、つまり国会の要求を真摯に受けとめていくということと、そして同時に、改革への手順をつけていくということの二つの目的を相兼ね合わせたものとして今回第二次補正を組んだということでございます。
 したがいまして、第二次補正でもってこれまた経済の刺激に、あるいは経済の大きい改革への援助になるというそういう期待は込めてはおりますけれども、直接的な効果は余り期待できないのではないか、こう思っておりますけれども、しかし、改革を進めていくんだという政府の意向は酌み取っていただけると思っております。
#171
○浜田卓二郎君 釈迦に説法の話を申し上げて恐縮なんですけれども、私は、小泉内閣の経済に対するスタンスというのが基本的に転換さるべきだと思うんですよ。
 骨太の方針の第一項目に二、三年だめですと書いてありますね。これは私は余計なお世話だと思うんですね。マーケットに対して、いろんなマーケットがあります、つまり国民経済全体に対して二、三年景気はよくなりませんというのを政府が宣言するんですから、それじゃ財布のひもは緩みっこないとまず私は思っちゃいます。当時そういう議論をした記憶がございます。
 そして、三十兆という、これはもう政治的スローガンとおっしゃる。特に、国庫を預かっていらっしゃる財務大臣としては、私は当然のことだと思うんですね。総理がそう言う、内閣の方針が決まる、国庫大臣としては財政の節度というのが大事なお役目ですから、それを大事にされる、これはお役目上当然だと思うんです。
 でも、この三十兆というのが、前回も申し上げましたけれども、財政を引き締め型にするんですよ、結果として。つまり政府は、マーケットに対してといいますか国民に対して、経済はよくならない、少なくとも二、三年はだめだと。みんな二、三年だと思っていませんよ。その先もだめだと受け取っちゃうんです。その上に、出してくる財政政策は引き締め政策であります。その上に不良債権の処理であります。これはすべてデフレ的な経済に対して政府が邪魔をしている、さらにデフレを促進する、経済的にはそうなっちゃうと私はそう心配しているわけでありまして、幾らやるかというようなことは別にして、政府の経済政策が引き締めではなくて拡大だというスタンスにまず転じていくということが大事だと、実は私はそう思ってそういうことを何度も申し上げてきたつもりなんですね。
 そういう見地からいえば、せっかく補正をするのなら、一次二次合わせて真水で三兆五千億も追加されるんですから、一緒におやりになってインパクトを高めるという方がよかったと、私はそう思うわけですね。
 それから、もう一つあえて申し上げれば、三十兆に振り回されているわけですよ。つまり、三十兆ということによって、たまたま財源が二兆五千億あったから今回は二兆で国会をなだめておこうと。私、国会がいつも正しいとは思いません。我々も悩みながら議論するんです。これは悩ましいわけですよ、今。本当におっしゃるように構造改革だけでいけるのか、そうじゃなくて、本当にマクロ政策は引き締めのままでいって大丈夫なのか、そこを転換しなければ、私は、構造改革なくして景気回復なしとおっしゃるけれども、景気回復なくして構造改革がスムーズに進むともまた思えないわけですから、そこのところを、この三十兆に経済が振り回されちゃうというのがあるとすれば、それはちょっとどうなのかと。そこまで責任が果たしてとれる話なのか。だから、国会を適当に頭をなでるというような趣旨でこの補正をなさるとしたら、それは私は財政のあり方としてどうかなと。
 これはちょっと揚げ足をとるというふうにお受けとめになるかもしれませんけれども、実際、今マクロ政策のあり方を転換すべきである、私はそう思うからそういうふうに申し上げるんですけれども、この点についてもう一度御感想だけ承りたいと思います。
#172
○国務大臣(塩川正十郎君) 浜田先生の考え方は、従来のといいましょうか、一番オーソドックスな学者なんかの考えております考え方だと思っております。
 私は少なくとも政治家という立場に立って物を考えてまいりまして、経済のことは、その深遠な学理はわかりません。わかりませんが、今、日本の経済はなぜこんなに落ち込んできたのかという根本を考えますと、十数年前に起こりましたバブルを余りにも軽く見過ぎておったんではないかと、これが一点でございます。
 アメリカは、一九九〇年、バブル発生、つまり東西冷戦が終わりましたときにいち早く、軍需産業は全部だめだと、これをつぶして新しい産業に進出するということで、デジタル化社会を目指しまして一挙に進んでまいりまして、そこにもう際立った方向転換ができて構造改革が進んだのでございます。
 ところが、日本はただ単に土地と株とのいわば投機的なバブルでございまして、経済の実益には余り積極的には寄与しない、そういう面から起こってきたバブルでございますが、ところが依然として高度経済成長の夢を持っておりましたので、その夢の上において、つまり高度経済成長の路線の上に立っていろんな対策を過去十年講じてまいりましたが、全部この効果は適切には出てこなかったということは、これは先生認めることだと思うんです。これをお認めにならない限り、構造転換をする必要性は認められないと思っております。
 私たちは、ここでこの構造転換をするということは、今までの高度経済成長の路線を平準的な路線に戻すためにはいろんなことをやっていかなきゃ、改革しなきゃならぬ、その改革が今財政面なりあるいは企業においてしょっていただいていることでございます。
 最近やっと私は財界も金融機関も目覚めてきたと思っております。それは何か。やっぱり企業自身の体質を強化しなきゃならぬということでございまして、それがためには、退職金の積み増しもきちっとする、それから株の評価損も出す、土地の評価損も出す、つまりうみは全部出していこうということになって、今そのうみを出している。その企業がうみを出していることが日本の不景気の原因でございまして、政治の起因からくるところの不景気じゃないと思っております。
 私は、そこで企業にしっかりとうみを出し切ってもらわなきゃいかぬ、それにはあと一、二年はかかるであろうが、その間は私たち政治の方も辛抱して基本線は守っていくから、早く企業にうみを出してほしい、特に銀行がうみを出してほしい、こういうことを願っておるのが現状であります。
#173
○浜田卓二郎君 決して私が従来型のというふうにくくられる必要はないというふうに思っております。
 例えば、公共事業費の配分を変えるのも構造改革でしょう。それから、公団、公社、そういういわば郵便貯金の背景にありました、この大きな財政資金の流れをゆがめていると思われるものを民営化して、より生産性の高いところに資金を流そうというのも構造改革でしょう。
 ですから、従来型とおっしゃるけれども、公共事業費の何が問題であったか。それは、生産性とかあるいは時代のニーズとかいうことにほとんど無関係にシェアを変えずに資金を配分してきた、そういう公共事業はそのまま続けるべきではない、そこは合意があるんですよ。私もずっと長い間それを主張してきました。しかし、変わらなかったんですね。だから、それを変えよう、小泉さんなら変えられるかもしれないという期待はみんなが持った。それが高い支持率ですよ。
 ですから、この公共事業の配分を変えるというのは、より生産性の高いところに資金を流して、そしてその資金が効率的に使われることを通じてより日本の体質を強化し成長を高めようということでありますから、その公共事業費すべてを否定する話は私は全然違う話だと思うんです。道路公団の話でも、民営化でやるのがいいのか、税金でやるのがいいのか。必要な道路であればこれは税金でつくるんですから、ですからその社会的インフラがもう要らないという話はないわけであります。
 問題は、必要なインフラ整備に、生産性の高い分野にきちんと資金が流れているかどうかという問題だと私は思っていますから、たとえ今、公共事業費を積み増ししても、それが全部従来型でない、つまり構造改革を進めつつ資金を流すという方法はあり得ると、実はそう思っているわけでありまして、今の大臣のお考えに対して私はそうだということを申し上げたいと思います。
 それで、次のテーマに移りますけれども、要は何が今問題か。お金が使われないことが問題なんですね。ですから、国民の金融資産は千四百兆円あるということ、もうだれでも言います。その千四百兆ある、どういう形であるか、預貯金であったり、要するに消費されないわけですね。どうしてお金を使わないのか。お金を使わせるところが私は勝負だと思うんですよ。だから、あらゆる政策が、国民が持っている購買力というものが現実に市場に出てくるようになれば、今、日本が抱えている問題のほとんどは私は解決するんだろうと思うんですね。
 ですから、政府が今までおっしゃっていたことは、民間の財布のひもを締めるだけではなくて、政府の財布のひもも締めるということですから、日本じゅう全部財布のひもが締まっちゃうわけで、それがこのデフレ的状況の中でいいんですかということは絶えず言ってきたわけですよね。
 私は、今回は、この金額の決め方については、これはもうそこに金があるからということで、きちんとした財政政策と言えるのかというのは疑問は挟みますけれども、しかし少なくとも追加補正に踏み切られるということは私は歓迎をしているわけでありまして、そのお金の使い方をおっしゃるような従来型でなくて公共事業でおやりになるとしても、やはり今申し上げた構造改革という名にふさわしいような資金配分をその中で実現していっていただきたい、そう思うわけですが、この国民の持っている預貯金を含めた資産をもっとひもを緩める、財布のひもを緩めるようにするための税制面からの工夫というのはあり得るのかどうか。
 実は私、余り税については専門的な知識は持っていないんですけれども、町の中にはいろんな議論があるんですよ。みんな心配しているんですね。だから、ちょっと考える人は、こういう方法はどうなんだとか、こういう方法はどうなんだと、どうしたらみんながお金を使うようになるかというのを、いろんなアイディアが出てくるわけですね。
 特に、高齢者がお金を持っているというふうに言う傾向があるようですから、じゃ高齢者がどうやってお金を使うのかということも含めて、各種の税制に対する提案があります。私、そういう話を聞くたびに手帳にメモして、こういうのは専門家側から見るとどうなのかなというふうに思ってきた経過もありますので、ちょっと幾つか具体的な提案というのを申し上げてみてお考えを承りたい。
 特に、大臣は税の専門家であり、税制調査会で大変御活躍をされた方ですから、ぜひ見解を伺ってみたいと思うわけであります。
 一つは、生前贈与、これは現在は千五百万円までを住宅取得に関しては五分五乗で緩和をしておられる。これを政策だろうと思うんですけれども、この辺を千五百万ということでなくてさらに拡大して、例えば今のマンションですと三千万とか四千万するわけでありまして、自分の子供や娘が結婚するときに、ちょうど年齢的にいうと五十歳代前半ぐらいの父親が多いわけですから、買ってやれる人は買ってやる。そうすると、相続税の先取りになっちゃうわけですから、まあしかし今は長生きですから、三十年後の税収を心配するよりは今そういう形でお金が出ていくというのはいいんじゃないかという提案も、これは私も何人かから聞かされました。
 それから、今、飲み屋さんとか社交場というのが非常に厳しい状況にあります。ですから、もうこのまんまじゃやっていけないというのが、せっかく飲みに行ってもそういう愚痴を聞かされるような場面という方が多いわけでありまして、そういう中で出てくる議論が、交際費をもうちょっと何とかしろよという議論です。
 今、中小企業だと三百万とか四百万とかいう枠があります。しかし、資本金が五千万以上の企業ですか、これはもう一切損金には、経費には認めないという制度になっております。交際費天国と大分悪口を言われた結果、こういうふうに制度が整備されてきたという経過はよく承知しておりますけれども、どうでしょうか、こういう状況の中で、少し交際費課税を緩和するという提案についてもお考えを聞かせていただければと思います。
 それから、寄附金についても、指定寄附金制度というのがありますけれども、これ非常に厳密な制度ですから、もっと思い切って寄附をして世の中の役に立ちたいと、そういう人たちに寄附という形で支出をさせる、そういう提案もよく耳にいたします。
 とりあえず、素人論議もあるわけですけれども、この三つの提案についてちょっと御所見を聞かせていただきたいと思います。
#174
○副大臣(尾辻秀久君) 三つの税についてのお尋ねでございましたけれども、まず生前贈与税のことからお答え申し上げたいと思います。
 これにつきましては、基礎控除の水準を百十万円まで大きく引き上げておりまして、現行制度のもとでも相当な金額の贈与が非課税で可能になっておるということをまず申し上げておきたいと思います。そして、お話しになりましたように、住宅取得資金の贈与税の特例でございますけれども、これはお話しのように非課税限度額を五百五十万円まで引き上げておりまして、親から子へのマイホームの取得などに対する支援を大変容易にしておると思いますし、また、単に新しい家を買うということだけじゃございませんで、一定の買いかえや増改築の資金にまでそうしたものを拡充するという措置を今年度の改正で講じておるところでもございます。こうしたことが既にあるということをまず申し上げたわけであります。
 そこで、先生の御指摘は、そうしたものをもう少し拡充すればということもおありだろうと思いますけれども、このことにつきましては、そもそも相続税というのが、先生もおっしゃいましたように、生前贈与によりまして、この生前贈与税というのは相続税の課税回避の防止というような贈与税の基本的な機能というのもございますので、そうしたことを考えてどうなるかなということもございますし、それから一番申し上げたいのは、実は給与所得が今どういうことになっているかといいますと、所得税の課税最低限が、独身の場合でございますけれども、百十四万四千円、こういうことになっています。この所得税の最低課税の線と、それから申し上げましたように贈与税の方が百十万円ということになっておりますから、これとの兼ね合いを考えたときに、これ以上の拡大がどうなるかなということもございます。そこで、慎重に検討せざるを得ないというふうに考えておりますということを申し上げておるところでございます。
 それから、二つ目に交際費のことがございました。
 これはもう私も先生のみならず大変多くの皆さんに御指摘いただいておるところでありまして、実はそういう御要望を承っておるんでありますけれども、財務省として、そして副大臣としてお答えをいたしますとこのようなお答えになりますということで申し上げます。
 交際費につきましては、現行制度において原則課税とされていますが、仮に交際費課税を緩和した場合には、経費削減等のリストラにより経営の合理化を進めることが産業の構造改革でありますけれども、逆に不要不急の支出を助長し、このことが一点ございます。また、企業による交際費の支出が公正、透明な経済取引を阻害する可能性があることなど、構造改革に逆行するおそれがあると考えられます。そこで、平成十四年度予算におきましては国債発行額三十兆円以下を目標にしておりますこと、これは先ほど来大臣が申し上げておることでございますけれども、そうしたことを考えますと、歳入面でも増収効果のある租税特別措置について減収措置を講ずることは私どもとしては大変厳しい、そういうことを率直に申し上げておきたいと思います。
 それから、あと寄附金税制のことがございました。
 このことで申し上げますと、税務統計をもとにいたしまして一般論として申し上げるんですけれども、今、寄附金の損金算入限度枠がございます。これがどれだけ使われているかというと、利用割合が実は六五%でございます。したがって、余っているというような状況にございますので、この状況でどうするかということを考えざるを得ないということを簡単に申し上げておきたいと思います。
#175
○浜田卓二郎君 お答えは大体想像したとおりでありまして、私も若いころ大蔵省におりましたけれども、主計局とかが中心で、主税局というのは働かせていただいたことがないんですね。それで、感じておりましたのは、税の原則というのは非常に厳しいものがあって、それを非常にストイックに頑張って守っているのが税の担当者のお役人さんたちだ。その影響を受けてか、自民党には税制調査会という大変権威のある会がありますけれども、大臣は税制調査会長もお務めになったわけですが、ここもなかなか厳しいんですね。やかましいところであります。
 でも、私、こう考えるんですよ。今、本当にどうやったら、お金がないんじゃなくて、お金がどうやったら出てくるか、使われるか、それが勝負だというふうに思うものですから、いささか税の論理からいっては不純だとか、いろいろ言い方はあると思いますけれども、この際あらゆる手段を検討してみて、どうやったら税制からこういう状況に対して刺激が与えられるか、それはひとつぜひ、これは大臣にお願いいたしますけれども、御検討いただきたいと。
 消費税という声が聞こえますけれども、消費税はこれは上方硬直性というのがありまして、下げるときは簡単ですけれども、一たん下げたらもう上げられませんから、今の日本の状況では。これは私はもう絶対口にしないことにしておりますけれども、いずれにせよ、どうしたら消費を刺激できるか、別の言葉で言えばどうしたら国民の、あるいは家計の、あるいは企業の財布のひもを緩められるか、ここが勝負だと思って、少しぐらいの論理の逸脱とあえて言いませんけれども、弾力的に税制をお考えをいただきたい。これは要望でございます。御答弁は要りません。
 最後に大臣に今度の法案について伺いたいわけですが、源泉分離課税を廃止されるわけですよね。それで、申告分離に一本化されるわけですね。これはなぜですか。
#176
○副大臣(尾辻秀久君) 現行の源泉分離選択課税方式につきましては、諸外国にこれは例がないわけでありますけれども、言うならば、みなし利益、このぐらいの利益があるだろうということで課税をする、みなし利益へ課税するものでございまして、基本的に所得税としてふさわしくない、こういうことを考えております。
 さらに申し上げますと、意図的な税負担調整が可能となりましたり、課税に対する匿名性があるというようなこともございますので、この際、先ほど来申し上げておりますように、証券市場といいますか証券業界といいますか、その構造改革のために一本化をしたい、こういうふうに考えておるところでございます。
#177
○浜田卓二郎君 昔、有取税だけの時代がありましたね、証券の課税についてですね。そして、私どもは自民党の税制調査会で随分有取税というのはけしからぬということを議論した記憶があるんですけれども、ちょっと私は今振り返ってみて若げの至りだったかななんという気になっておりまして、むしろ取引税みたいに位置づけちゃった方が合理的じゃないかと思うんですね。
 つまり、株式の売り買いというのは損もあれば得もある。ですから、今回は、損をした場合には繰り越してやろうという話ですけれども、それが本当に、簡単にワークするかどうか、先ほどワークするという大武局長からの御説明もありましたけれども、面倒ですよね、少なくとも。損した記憶なんてみんな早く忘れたいわけでしょう。一年振り返って、ここでこれだけ損した、どういう株で損したというのを税務署に説明しなきゃいかぬわけですね。得したときは黙っていればいいわけでしょうけれども。しかし、私は、そういう制度を組み合わせて、あえて申告でやらせるというのが本当に必要なのかなという気になっちゃうんですね。
 ですから、源泉分離と申告分離であれば、むしろ源泉分離の方が合理的じゃないかと私は実は感じてきました。しかし、そのみなし所得という構成に無理があるだろう、それをいつまでも恒久的な制度として持っていけないだろう、それはわかりますよ。だとすれば、有取税に戻しちゃえと。証券会社にしてみたら、売り買いのたびに手数料を取る、有取税も取られるということでしょうけれども、たくさん取引する人がやっぱりコストを負担する、そのかわり、得したときは得するし、損したときは泣き寝入りすればいいわけでありますから、私はそういう課税方法の方が利口じゃないかと。
 日本の税制というのは、シャウプ勧告で徹底的にアメリカの申告中心の税制でやってきたわけで、それが美徳であるというようなことが若干残っていると思うんですけれども、しかし今や、消費税の導入以降、間接税に対して評価というのがだんだん定着してきていると思います。ですから、直接税から間接税へという全体の税制の流れというのがあるわけですから、私は、何かこんな複雑な税制にしちゃうよりは、さっぱりと有取税一本にして、譲渡所得はもう課税しないという方が面倒くさくない税制で取引ができるということで、今の制度よりも、投資家育成といいますか、市場参入を促すことにつながるんじゃないかというふうに思いますけれども、これは大臣、御感想はいかがでございましょうか。
#178
○国務大臣(塩川正十郎君) まず最初におっしゃいました、損益の計算を一々やるのが面倒で、とてもこんなのなじまないだろうというお話でございますが、そこはやっぱり文明の利器が進んでおりまして、今コンピューターというもので簡単にやってくれますので、そういう責任を、そういうサービスを証券会社自身がやらなかったんです。これをやっぱりやらなきゃだめだということを業界も認めてきて、これはサービスとして積極的にやろうということが、それが損益計算制を導入しても必ずその投資者には有利に働いていくということを確信いたしましたのでそっちへ踏み切ったということが一つなんです。
 それからもう一つ、今、浜田さんおっしゃった、有取税に戻した方がいいじゃないかと。私たち初めからこれを言っておったのに、国会が有取税いかぬというので廃止をしろとおっしゃったいきさつがございまして、私も税制調査会におりまして、私はこれ廃止して、これにかわるものをやったら非常に不公平になるんじゃないかということを言っておったんですが、もうヨーロッパ諸国では有取税なんてやっていないと。もうやっておりません。そういうことからこれに踏み切ったので、まさにそういうふうに制度を変えるということは必要なことがあると思っております。
 ただ、私、ひとつ申し上げたいと思いますのは、我が国の税制に関しては、政治家は後からひょこひょこついてくるだけであって、全部役人が決めちゃっているんです。これを、やっぱり議会ができました根本は、税の配分をめぐって議会ができたのでございますから、やっぱり国会がしっかりとした税制をやってもらわなきゃいかぬ。そのためには何が大事か。もう国会議員に限らず、議員は後援会の方を見て物を言っているから、いわば国民全体にとっては公平な意見でない場合もあると、場合ですよ、もあるということでございますので、そういうことから見ますと、私は役人の考えるのは公平だと思うんです。そこらがやっぱり国民的に評価されてきておることだと思うんです。
 私は、これはいかぬ、やはり税というのは一番根源のもの、国民としての権利の基本的なものでございますから、これを国会がしっかりと税を勉強していただいて、そしてその方針を、税制は国会から出てくるというのが本当の民主国家じゃないかと思う。そのためには、国会議員も調査機関を持つなりなんかしてしっかりとしたデータを握っていてもらわなきゃいかぬ。データを役所に依存して、それをもとに作文しておられるようじゃ、これじゃ通りません。そこらの問題を、やっぱり議会運営と政治家のあり方、官僚のあり方というものと兼ね備えて考えていただかぬと、税の問題、いつまでたったかてこういう後追い議論になってしまうということを申し上げておきたい。
#179
○浜田卓二郎君 終わります。
#180
○池田幹幸君 日本共産党の池田幹幸でございます。
 税の問題、国会がしっかりすべきだということについては大賛成です。ともかく国民の声をしっかりと聞こうじゃないかということだろうと思うので、そういう立場で質問させていただきたいと思うんですが、法案に入ります前に、やはり税の問題で今世上をにぎわしております発泡酒の増税の問題について質問します。
 昨年も、当時大蔵省、宮澤大蔵大臣ですけれども、そのとき主税局が、発泡酒とビールは同種同等であるにもかかわらず、麦芽の割合が低いということで発泡酒の税金が低い、このためにビールを購入された人との均衡を図るための増税が必要だと、こういう論理を立てられたんですね。
 私はそのときに、ビールと発泡酒が同種同等なのかと、その判断が正しいかどうか、そういったことについていえば、ビール会社、業界だけじゃなしに、消費者の声、これを聞くべきじゃないかということを申し上げました。当時、宮澤大蔵大臣も、本当に同じものかというようなこともあるからあちこちの意見を聞いてみなければならないという答弁でした。
 そこで財務省、大蔵省から財務省に変わったわけですが、財務省に伺います。この一年、当時の大蔵大臣の答弁どおり、消費者の意見、これはどういうふうに聞いてきましたですか。
#181
○政府参考人(大武健一郎君) 政府税制調査会におきましても、今の政府税制調査会というのは一応広い方々から構成されておりまして、そこからも答申をいただきました。その中でも、「消費課税の基本的考え方に照らせば、ビールと発泡酒の間に現在のような分類上の区分や税負担格差を設けるほどの違いはなく、ビールとの負担の均衡を図るべきであるとの意見が多くありました。これに対し、商品開発のために払われた努力等にも配慮すべきではないかとの意見がありました。」という意見をいただいているところでございます。
 それからまた、いろいろ発泡酒についての増税は好ましくないということをインターネットで我々の方へ出されているということも事実でございます。
#182
○池田幹幸君 当時、このわずか一年なんですけれども、その間に政府税調の委員からも、どうもこの問題については、同じものには同じような増税をするというけれども、余り問題が大きくて議論が十分だったかどうかというふうな反省の声が聞かれておりました。
 要するに、去年は増税が見送られたわけですけれども、そのときには、やっぱり同種同等じゃないんだと、国民の声から見てもその論理には無理があるんだということがあったからこそあきらめたんだろうというふうに思うんですけれども、今伺いますと、去年と同じような論拠に立って言っておられるわけですね。
 とすると、あきらめた時点ではやっぱり同種同等論は無理があると。しかし今考えてみるとやっぱり同種同等だと言うなら、その間にどんな変化があったんですか。そういう論理に立つ論拠というのが何かあったんですか。
#183
○政府参考人(大武健一郎君) 発泡酒が製造されて最初に出てきた当時とそれから現状とで申し上げれば、やはり先ほどの答申の中にもありましたが、商品開発の努力があったことも事実でございます。はっきり申し上げて、当初発泡酒が出されたころは、やはりビールと味が違う、飲んだ途端にわかるという状態があったと存じます。現在は、多分ここに並べて飲んだ場合、ほとんど見分けられないというのが実態だろうと存じます。そういう点で、やはり同種同等と言うのにはそれなりの意見があるのではないかと思う次第です。
 もちろん、ビールの中には、いわゆるモルツ系といいますか、いわゆる麦芽比率一〇〇%からいろんな種類がありますので差があることもありますし、あるいはラガービールのような系統のもございますから、つくり方、製法によって差が少しわかるものもあると思いますが、しかしほとんどが、多分これはうちの酒類総合研究所の専門家であってもなかなか見分けることが難しいほど似た商品になっているということは事実なのではないか。
 実は、しょうちゅうとウイスキーの税率格差というのが昔イギリスその他から持ち出されて、その是正を図れということで、今日は二度にわたる改正によって、同種同等のものは同税率ということで、しょうちゅうとウイスキーの税率格差は解消される事態になっておるわけです。
 そういうような国際的な流れからも、同種同等のものは同率ということが出されているのかと思います。
#184
○池田幹幸君 後で触れますけれども、ビールと発泡酒が同種同等だと言ったらドイツから抗議が来るかもわかりませんよ。
 ともかく、今のお話ですが、去年論争したときも、一口目、これはもう明らかに違うという話、私自身も前の晩にちゃんと実験してきてお話ししましたから、そのことは皆意見は一致したんですが、確かにその後品質もよくなっています。
 だけど、業界のアンケートでもこう出ているんですね。ことしの五月ですよ、これ。ビールと発泡酒は品質と味が異なるか、それについて、異なると答えた人が七九・三%です。やっぱり八割ですね。よくはなった、よくはなったけれどもやっぱり違うんだと。同等じゃないんだ、同種でもないんだということはやっぱりここではっきり出ていると思うんですね。じゃ、発泡酒の方がビールよりおいしいか。おいしいという人もいます。発泡酒の方がおいしいという人は八%なんですね。
 これは、だからビールがよくて発泡酒が悪いと、私はそんなことを言っているんじゃないんですよ。そういうことではなしに、こうなっておるということを今申し上げているんですね。つまり、同種同等ではないということを申し上げている。同種同等じゃないとすると、まさに財務省の論拠というのはやっぱり成り立たないということを申し上げたいと思うんですね。
 酒屋さんなんかは、やっぱり酒屋さんの立場で言えば発泡酒よりもビールがうまいと言うんですよね。にもかかわらず、発泡酒に押されてビールは売れない。景気が悪くて収入が減って、ビールを飲みたい人も発泡酒に移っているんだというのが酒屋さんの説明ですよ。そういう面もあるだろうと思うんですね。
 しかし、不況の中でも発泡酒は物すごく売り上げを伸ばしているんです。何でなんだろうかということなんですね。何でかといったら、やっぱり安いんですよ。それから、従来と比べて、明らかに最初のころはまずいという面があったけれども、もうまずいと感じるような発泡酒はないですね、やっぱり明らかにおいしいんですね。安くておいしい、だからこれは売り上げが伸びているんです。
 そこで、私は伺いたいと思うんですけれども、財務省の考えは、同種同等だからこれを平等にそろえるためになんと言っているけれども、そうじゃなしに、売り上げが伸びてきた発泡酒、これに税金をかけて税収増を図ろうと、これが本音なんじゃないんですか。
 財務大臣、どうですか。そうでしょう。
#185
○政府参考人(大武健一郎君) それは、ビールと発泡酒の税率格差を縮めなさいというのが基本的には税制調査会の御意見であったわけで、それはどのように格差是正するかというのはいろんな案があります。もちろん、我々として、現行税制のもとでビールから派生してきたような商品ですから、本来的にはビールの税率に合わすのが筋だというふうには思っております。
 ただ、その意味で、すぐ増税というお話なんですが、これ自体は、どのぐらいの消費量に結びつくかというようなこともございまして、単純な税収への影響というのは試算することは難しいと思っております。
#186
○池田幹幸君 税収がどれぐらい伸びるかという計算はできないにしても、しかし、この売り上げの伸びを見れば、そのねらいはやっぱりはっきりすると私は思っているんですよ。去年、おととしの伸びが、ビールとそれから発泡酒を合わせた合計に対する発泡酒の占める割合ですけれども、一昨年が二五・二%、それで昨年が三四%ですね。これは業界の統計ですけれども、そういう形であらわれています。これを見れば、要するにもう三分の一を占めるようになっちゃったと、だからこれ税収増と、ここで税金をかけて税収増を図ろうというふうにねらっているとしかどうしても思えないんですね。
 私は、やっぱり安い、味もそこそこだと、金がないと、だから庶民はささやかな楽しみ、いやしをここに求めているんですよ。そういうところで、売り上げが伸びてきたから税金をかけて増収を図ろう、これはやっぱりこんなこそくなことを、財務大臣、やるべきじゃないんじゃないんですか。財務大臣、どうですか。
#187
○国務大臣(塩川正十郎君) 非常にこれは微妙な問題でして、もう少し税制調査会等の議論をしっかりしてもらって、その結論に従いたいと思っております。
#188
○池田幹幸君 余りこれはやりませんが、最初言いましたように、ドイツにはビール純粋令という法律があるそうですね。ビールは麦芽とホップと酵母と水以外のものではつくってはならないと、こうなっているそうです。発泡酒の場合は、業界の努力によって味がよくなったというんですけれども、使っているのはやっぱり酸味料や甘味料、苦味料といったものを使ってやっているわけですね。それはやっぱりそういう点では大分物が違います。
 結局、財務省は、要するにこんな添加物のようなものを使って、それで味が同じようになってきたから同種同等だと言うんですけれども、この論理は全く私はおかしいと思いますね。そんなことを言い出したら、ドイツでビールはこういうものしか使っちゃならないということをやっておるそれと真っ向から対立するといいますか、文化の違いかもわかりませんけれども、そういうものが出てくる。特に、酒というのはやっぱり一つの文化ですから、そういう面では、ある意味でこういう方向というのは、文化の発展というよりも、ちょっとおかしいんじゃないかな。
 特に、財務省はこれを麦芽酒、麦芽の使う量によって考えるということで、麦芽酒という名前をつけてビールと発泡酒をまとめちゃおうというんでしょう。こんな新しい言葉、新しい言葉というのは文化の発展によって生まれてくるんだけれども、今度の場合はとても文化の発展による新語とはとても思えない。こういうふうな悪知恵といいますか、悪知恵を絞ってまで増税を図るというふうなことはやるべきじゃないということを私は申し上げておきたいというふうに思います。
 それでは、法案に入りたいと思うんですけれども、先ほど来、証券市場の信頼性の問題ということはいろいろ言われてまいりました。今度の骨太方針で今度の税改正に関しては方向が出されてきたわけですけれども、ここでは、個人投資家の市場参加が戦略的に重要であるとの観点から、その拡大を図るために貯蓄優遇から投資優遇への金融のあり方の切りかえをやるんだと、こういうふうに言われております。
 政府はこの法案でそういった方向を推進しようというわけですね。私は、こういった方向、戦略的方向をとることには賛成ではありませんけれども、政府はそういう方向をとると。それを国民がどう判断するかということを一つの問題意識を持ちながら質問したいと思うんですけれども、今度の措置によって、つまり課税譲渡益の減税措置、このことによって、千四百兆円と言われております個人資産、これがどれぐらい株式市場に流れるのか、政府はどれぐらい誘導したいというふうに考えておられるんですか。
#189
○副大臣(尾辻秀久君) そういう計算をしたことございませんので今ここでお答え申し上げるわけにはいきませんけれども、私どもは、一番基本的に申し上げますと、構造改革なくして成長なしと思っておりますので、先ほども申し上げましたように、証券市場、証券業界の構造改革をやってもらおう、そしてそれが最終的に経済の活性化につながるんだ、こういうふうに思ってこの問題に取り組んでおるところでございます。
#190
○池田幹幸君 衆議院での論議も見てみますと、税制でもってそういった誘導、貯蓄優遇から投資優遇というふうな形にしてそういう誘導を図って、税制でもってそれを図ってうまくいくか、それだけじゃうまくいかぬだろうという論議がずっとやられてきております。最もやらなければいかぬのは証券市場を国民から信頼を得るものにしなければならぬのだという論議がずっとやられてきています。
   〔委員長退席、理事円より子君着席〕
 実は、政府の側でもいわゆるこのプログラムを作成して、その中で言っているんですけれども、国民が安心して参加できる透明性、公平性の高い証券市場の構築に資するために税制面の構造改革をするんだと、こう言っているんですね。そこで、要するに個人投資家の証券市場への信頼性向上、このためのインフラ整備をしなければならないというわけですが、ということは、これを裏返して言えば、こういうことを第一番目にやらなければならないほど証券市場はお粗末な状態にあるということなんですね。これはもう政府自身もそれを認めておるということなんですけれども、一体それじゃ何でこんなお粗末な状態になったんだと。これは金融庁、柳澤大臣のお考えをまず伺いたいと思うんです。
#191
○国務大臣(柳澤伯夫君) これは、先ほど午前中の議論でも申し上げたわけですけれども、一つはやはりエクイティーファイナンスというか、そういうようなものでやるというときに、地合いをよくするというか、そういうようなことのために法人株主化というものが進んだというようなことも一つあろうかと思いますし、さらにまた、いろいろな大口投資家を有利にするような、場合によっては法令に反するほどのいろいろなことが行われて、そうしたことが個人投資家、一つ一つは小さいわけでございますので、そういうようなところから嫌気されたというようなこと、非常にいろんな要因が重なっておろうかと思います。
#192
○池田幹幸君 金融庁の証券市場の構造改革プログラムというのが出されました。これが八月八日に出されたんですが、それの中で、今申し上げました「個人投資家の証券市場への信頼向上のためのインフラ整備」があって、その第二番目に「行政による市場監視の強化」とあるんですけれども、その一に、個人投資家行政の展開で、個人投資家の三つの不信、これを取り除かなければならぬということが挙がっています。
 この三つの不信というのは、新しい高橋証券取引等監視委員会委員長なども盛んに言っておられるようですけれども、この三つの不信というのが今市場にあるということなんですね。この三つの不信というのは、今、柳澤大臣が言われたようなことから出てきたんだろうと思うんです。
 その三つの不信というのは、これはもうなかなか大変なもので、市場仲介者とか一部市場参加者、監視当局への不信というふうになっているんですけれども、これは、余り時間ありませんけれども、論議の基礎になりますので、金融庁、具体的にこの三つについてはどんなことを言っているのか、市場仲介者というのはだれで、それに対する不信というのはどういうものなのかということを簡単に説明してもらえますか。
#193
○政府参考人(渡辺達郎君) お答えいたします。
 御指摘の三つの不信というのは、私ども証券取引等監視委員会の高橋委員長が就任をするときに表明したものの中に含まれているわけでございますけれども、その一つは、今、先生も御指摘のように市場仲介者に対する不信ということでございまして、具体的には、証券会社に対しまして、例えば手数料稼ぎに投資家が利用されてしまうとか、複雑で、よく投資家の理解できない商品を売りつけられてしまうというようなことがあるのではないかということが一つ。
 もう一つは、一部市場参加者に対する不信ということでございまして、例えば、いわゆる仕手筋と申しますか、ないしは外国勢力といいますか、そういうマーケットの裏表をよく知っているプロにマーケットが操られて、個人投資家等の零細なといいますか、そういう人たちが損をしてしまうのではないかと、そういう不信。
 それから、三つ目が監視当局への不信ということで、私も一員としてこういうことは非常に身にしみて感じておるわけでございますけれども、監視当局の体制、ノウハウが必ずしも、そういうようなことに対して十分整備されておって、そういうものを必ずつかまえるというところまでは至っていないんではないかということがあろうかということで、その三つの不信を払拭すべく我々としては最大限の努力をしたいということでございます。
#194
○池田幹幸君 いわゆる証券会社への不信、ここで言う三つの不信の中にどうも証券業協会とか取引所が入っていないのは私は不思議だなと思う気持ちがあるんですが、それはそれで後で申し上げるとして、証券会社がまず全く信頼されていない。全くと言ったら言い過ぎだな、本当に信頼されていないというのがあります。
 これは幾つもアンケートが出ていますけれども、証券貯蓄に関する全国調査という、日本リサーチセンターがやっているのがあるんですけれども、これはもう系統的にやっていますから、これを見てみても、証券会社に対するイメージ、信頼できないという人が三割を占めている。三割を占めているというのは大変なことですよ。こういう実態に今あると。
 それは何でかというと、もうけのために手数料稼ぎで回転売買を無理やりやらせるとか、ともかく投資家を食い物にしているという実態があるからなんです。証券会社では、個人投資家から手数料を搾れるだけ搾り取るということを、業界では個人を殺すという表現で言っているそうです。
 これはある雑誌、テーミスという雑誌なんですが、十月号にそういうことが出ておりますけれども、そこでは幾つかのことが紹介されているんですが、まず、個人投資家に黙って株式などを回転売買する、これはダマテンというんです。黙って転売するからダマテンというそうなんですが、そういうことがこれは日常茶飯事にやられているというんですね。ですから、それはもうトラブルが起こります。訴訟が起こります。しかし、大抵投資家は敗訴するそうです。しかし、最近、投資家の方が勝訴したという例があるんですね。昨年十二月、大和証券の事件だそうです。これは、無断売買の損害賠償金七百十一万三千九十四円支払えという命令が出たという事件なんですけれども、これ簡単に、どういう事件でどうなっているか、金融庁、説明していただけますか。
#195
○政府参考人(高木祥吉君) お答え申し上げます。
 この事件の中身は、要は営業員が勝手に、特定のある銘柄ですが、それを勝手に買い付けたということで、それで訴訟になりまして、それで結局、委託注文を受けた証券会社側が注文を受けたということを立証できずに敗訴したということでございます。それで、ことしの十月三十一日に顧客へ七百十一万余り支払ったという案件でございます。
#196
○池田幹幸君 金融庁、監視委員会、それぞれこの問題にどうかかわっていますか。
#197
○政府参考人(渡辺達郎君) 私どもの証券取引等監視委員会は、御承知のように、事務の非常に重要な一部としまして証券会社への検査をしておるわけでございますけれども、具体的にその検査の内容等を明らかにいたしますとすれば、まず一つは個人等のプライバシーの問題が生ずるというようなこと、それからもう一つは、検査の過程で協力を得た関係者の信頼に反して、その協力が得がたくなるというふうなことで、将来の検査に支障を来すおそれがあることから、従来よりその具体的な内容を明らかにするのを控えさせていただいているということでございまして、御了解いただきたいと思います。
#198
○池田幹幸君 これは昨年十二月に一審判決が出て、二審判決がこの九月に出て、それで賠償金も払ったんですね、会社は。確定しているわけですね。ヒアリングはその後でしょう、始めたのは。金融庁、そうですね。
#199
○政府参考人(高木祥吉君) おっしゃるとおりでございます。
#200
○池田幹幸君 監視委員会は何かやりましたか。やらないとしたら、その理由を。
#201
○政府参考人(渡辺達郎君) いずれにいたしましても、私どもが仮にやるとすればその証券会社に検査に入るかどうかということでございますけれども、先ほど申しましたように、個別具体的な検査の中身については答弁を差し控えさせていただいているということでございます。
#202
○池田幹幸君 証券取引等監視委員会事務局長、来ていないんですか。
#203
○政府参考人(渡辺達郎君) 私が事務局長です。
#204
○池田幹幸君 ああ、そうですか。
 やっていないの、監視委員会としては。金融庁としてのそれはわかるけれども、どうなんですか。
#205
○政府参考人(渡辺達郎君) 何回も申しますけれども、具体的にはちょっと申し上げられないということでございます。
#206
○池田幹幸君 結局、昨年の十二月からこういう問題が起こっていても、そのとき何も動かなかった。それで、やっとこさっとこ、私、やり始めたのはひょっとしたらきのうじゃないかなというふうに思っているんですが、私の方から話を伺った段階では何もなかったので、きょうの段階でそれが出てきたので、あれっと思いました。
 しかし、やっているということは、それはいいことです。いいことですけれども、これが問題ありとなったときに、それじゃどういうことが金融庁としては、これは監視委員会は問題ありとすれば金融庁に勧告するんですか。どういうことになるんですか。
#207
○政府参考人(高木祥吉君) まず、その訴訟になった案件について我々監督当局はどういうふうに把握するかという仕組みについて若干申し上げたいと思うんですが、まず、訴訟として提起されたりした当事者になれば、証取法上報告義務がございます。また、その訴訟が終了したら、またその報告義務があるという仕組みになっております。
 それで、本件の具体的な処分ですが、本事案のような外務員による法令違反行為等が認められた場合には、処分としては、一つは外務員処分ですね、外務員に関する行政処分、それから会社に対する行政処分ということが考えられるわけでございます。
 外務員の登録、外務員に対する処分につきましては、その登録事務が証取法上、日本証券業協会に委任をされております。そういうことで、一般的には、同協会において事実を確認した上で、法令違反等の行為が認められる場合には、外務員の登録の取り消しだとかあるいは職務の停止、さらには自主規制機関として証券会社に対して過怠金を課するという処分が行われるのが一般的でございます。
 それから、証券会社に対する処分につきましては、我々金融庁といたしまして、判決も踏まえながら、会社からの報告に基づきまして十分調査した上で、証取法に基づいて厳正に対処するということになってまいります。
#208
○池田幹幸君 自主規制機関の協会、証券業協会、それから取引所がありますね。ここについては、具体的な何か動きはしておりますか。やっているかやっていないかだけで結構です。
#209
○政府参考人(高木祥吉君) ちょっと把握しておりませんけれども、いずれにしても、先生の御指摘もあってきのうあたりは一生懸命やっておりますので、それより前からやっているかもわかりませんけれども、ちょっと今そこを承知しておりませんので、現時点では必ずやっていると思います。
#210
○池田幹幸君 という状況なんですよね。実際に自主規制機関が何も動いていないというふうなこと、これだけ見ても全く頼りにならないという状況が今あるんですね。
 新しい高橋委員長になって何か新しい動きがあるというふうに聞いているんですが、今まで私、後でまたちょっと申し上げたいと思うんですけれども、ずっとこの二年来、大阪証券取引所の問題について、不祥事について取り上げてきましたけれども、全く取引所との話し合い等々もやってこなかったようですが、新しい委員長になりましてそういう自主規制機関との話し合いを持ち始めているというふうに伺っているんですけれども、どんな話し合いをしているんですか。
#211
○政府参考人(渡辺達郎君) 私ども、高橋委員長がこの七月に就任して以来、今先生御指摘の自主規制機関でありますところの東京証券取引所、大阪証券取引所、それから、まだやっておりませんが名古屋の取引所、それから日本証券業協会というようなところと協議会といいますか、意見交換を始めておりまして、今まで具体的に行いましたのは日本証券業協会と大阪証券取引所、この二つでございまして、それぞれにつきまして、証券業協会のときには、さまざまな証券業協会の持っておられるいろんな問題をお聞きする、それから、大阪証券取引所につきましては、具体的に、これから証券取引所が行っております自主規制活動と私どもの活動と一層の連携を深められないかというようなことについて話し合いをしております。
   〔理事円より子君退席、委員長着席〕
#212
○池田幹幸君 大阪証券取引所の話で、仮装売買等の問題、こういうことについては話し合いをしなかったんですか。
#213
○政府参考人(渡辺達郎君) この前、一週間ほど前にやりましたけれども、第一回でございまして、特にそういう話はしておりません。
#214
○池田幹幸君 担当者がかわったようですけれども、私が取り上げてきた問題というのは、記録は読んでおられるというふうに話は聞いています。
 そこであれなんですけれども、大阪証券取引所は、東京証券取引所との売買高競争、これに勝ちたいがために大変なことをやったと。自分の市場での売買高を大きく見せようとしまして、ロイトファクスという関連会社をつくった。そして、関連会社を設立して、もう一年以上にわたって、証取法百五十九条違反、これに触れる仮装売買を繰り返してきております。これは証拠も私、示しました。もちろんそれは相手がなければできませんので、その相手をしたのが光世証券という証券会社。その光世証券の当時の社長が今の大阪証券取引所の社長ですよ。こういう状況に今大阪証券取引所はあるわけですね。
 要するに、市場が信頼されるとか取引所が信頼されるとか、証券市場に透明性、公正性を持たせるとか、こういうことを言うのならば、まずこういったところから、監視する側、自主規制の側、ここから襟を正していくということをやらなければいかぬのじゃないか。少なくとも第二回目の話し合いではこういった問題について話し合う必要があるんじゃないですか。
#215
○政府参考人(渡辺達郎君) まだ第一回目が終わったばかりでございまして、これから第二回目の日程を考えなきゃいかぬという段階でございまして、まだどういう次の話をするか、今のところ何にも考えていないということでございます。
#216
○池田幹幸君 何も考えていないんじゃ困るんですね。今、やりましょう、やらなけりゃいけないなという気持ちぐらいにはなりましたですか。
#217
○政府参考人(渡辺達郎君) 私も、正直言いまして、きのう初めてこの問題を勉強しましたといいますか、具体的に勉強いたしましたので、どういうふうにしたらいいか、これから考えていきたいと思います。
#218
○池田幹幸君 透明性、公平性の高い証券市場をつくるというのであれば、こういったところからまず着手する、まず政府自身の姿勢をきちんとしていくことが大事だということを申し上げておきたいと思います。
 さて次に、源泉分離課税の廃止と百万円の控除問題について伺いたいと思います。
 源泉分離課税が二〇〇二年末に廃止されて、株式等譲渡益課税に係る制度は申告分離課税に一本化されると。先ほど浜田委員の質疑の中にもあったんですけれども、この源泉分離課税を廃止しなければならない理由は何なんだと、尾辻副大臣からの答弁もありました。
 そこで、その理由というのは非常に明確なんですね。源泉分離課税を残そうなんというのは、理論的にこれ、いいという人はいないと言ってもいいと思うんですね。そういうところまではっきりしているんです。そこまではっきりしてきたというところを踏まえてなんですけれども、そこまではっきりしたにもかかわらず、例の有価証券取引税の廃止とセットで申告分離一本化にするということを決めておったのに、いざ実施ということになると二年間延長するというふうなことをやられてきました。
 何でそんなことをやってきたのか。こんなものはもう悪いということをはっきり言いながら、それを続けてきた理由は何だったんでしょうか。
#219
○副大臣(尾辻秀久君) 先ほどもお答えいたしましたように、理屈で言いますとそのとおりでございます。ただ、理屈でどうであれ、私どもが今までやってきた経緯がございますので、途中で変えることについての経過措置、こういうことだと御理解をいただきたいと思います。
#220
○池田幹幸君 ともかく、あのときは、一九九九年度の改正で、有価証券取引税は廃止する、申告分離課税に一本化で、源泉分離もやめますとなったわけですね。あのとき、私たち、有価証券取引税の廃止、そのことには反対でした。むしろ、有価証券取引税増税せいという立場に立ったわけですね。有価証券取引税廃止、これが悪いというのは、浜田委員と意見が一致したのは珍しいことですけれども、消費税の問題では正反対ですが、これはまあ意見が一致しました。そういうことで決めてきたんです。
 経過措置とおっしゃるけれども、経過措置というのは、既に決まっておったやつをさらに延ばしちゃったわけですね、そうでしょう、二年間もそれもやったと。今度の改正でわずか三カ月ぐらいまた前倒しにしたというふうなこともありますけれどもね。そんなの全然その理由には私ならないと思いますがね。
 経過措置って、何の経過措置ですか。要するに、減税措置をぐうっと先にまで延ばしてやったということであって、経過措置とは言えないですよね。ここまでで打ち切りますということを決めておいて、それまでに何らかの措置をとるというのが経過措置で、何にもやらないでおいてまた先延ばしするというのは、これ、経過措置とは言えないでしょう。
#221
○政府参考人(大武健一郎君) お答えさせていただきます。
 有価証券取引税等の廃止にあわせて申告分離課税へ一本化するという大原則のもとで、本来、申告分離課税に一本化するということが決まったわけですが、やはり先ほど来の話にも出てまいりましたように、申告分離課税とはいえ申告課税なものですから、納税者サイドの便宜という観点がやはり必要であろうというようなこと、あるいはまた当時の景気状況というようなことが背景にあったのかと思います。しかし、今般、それを踏み切って早めて、十五年の一月から一本化を実現するということになるということでございます。
#222
○池田幹幸君 あのときの要するに延期の、十三年度「改正税法のすべて」というのを読みますと、あのときの理由は、要するに、源泉分離課税をさらに二年延長したことの理由はですけれども、緩やかな改善が続いているけれども厳しい状況をなお脱していない、こういった景気情勢や、最近における株式市場の状況等を踏まえて延長したというふうに説明されています。こんなことを言い出すと、今回もまたそういうことを言い出すんじゃないかという疑問を持たざるを得ないんですよね。
 要するに、今度は二〇〇三年一月一日から実施ということになっているわけですけれども、先ほどの論議にもありました、これから一、二年、景気がよくなるなんという判断はどこにもないんです。そうすると、二〇〇三年一月一日直前になって、また景気がよくないということで、またもや源泉分離課税廃止をやめましたということになるおそれもあるんじゃないかと。今までが今までですから、国民をだまして、だましてというのはちょっと言葉が悪いかもしらぬけれども、結果的には国民をだましたことになっている。だましてそういうことをやってきた。
 今度またやらないという保証はないんじゃないですか、これ。これは、財務大臣、いかがですか。
#223
○政府参考人(大武健一郎君) まさにそのような景気状況の中であるからこそ、この法律が通ってから十四年中いっぱいは緊急措置ということで、一千万円まで購入して二年間保有していただくということにより譲渡益課税を非課税という制度をあわせて入れて、そして、そのかわり、十五年一月からは簡易な申告方式、一つはタッチパネルですとか、あるいは取得費の特例というようなものを設けて申告がやりやすいという形をとることによりながら導入させていただいたということでございまして、御理解を賜りたいと存じます。
#224
○池田幹幸君 緊急投資優遇制度のことを今言われたと思うんですけれども、それはまた別問題で。
 要するに、申し上げているのは、有取税廃止とそれから源泉分離課税の廃止、申告分離課税への一本化ということを約束して、それを延ばしてきた。しかし、それでいざ実施しましょうという段階になってさらに二年延長した。こういう国民だまし的な手法が結局は、あなた方の目指していると口では言っておる透明性、公平性という問題、これをゆがめてくる結果になったんじゃないか。いわゆる政府の側の姿勢、三つの不信の中の三番目の、当局に対する不信というのもまさにここにあるんだと思うんですね。
 こういったことについて、やっぱり反省せないかぬだろうと私は思うんですよね。大体、こういう反省がないから、百万円特別控除制度についても、やっぱり私は同じ手法を持ち込まれていると思うんですよ。
 この百万円控除制度、今度の法案で出されているわけですけれども、これは今回の減税措置とセットで廃止するということになっているわけですね。政府税調では、この百万円特別控除制度、これを廃止すべきだというふうに明確に言っていますよね。時間がないから私の方で読まさせてもらいますけれども、こう言っています。税調の小委員会ですけれども、「本小委員会は、以上の議論を踏まえ、申告分離課税への一本化後においては、百万円特別控除制度を廃止又は縮減した上で、長期保有上場株式の譲渡益に対しては、税率を原則として二〇%とすることが適当と考える。」と、こう言っているんです。
 この答申に基づいて今度の法案が出されたわけです。出されたわけですけれども、大事なこの百万円特別控除制度の廃止だけは載っけないで存続させるということで法案を出されたんだ。これまた本当に、例の有取税の廃止と源泉分離課税廃止のセットのやり口と同じじゃないですか、廃止すると言いながら。減税する以上は、これは廃止するんだとちゃんと書いてある。ところが、減税の方はやる。あの有取税の食い逃げと同じですよ。減税の方は食い逃げするという、こういうやり方を今また持ち込んできた。
 何でこんなことをやるんですか。大臣、こういう手法というのはまずいじゃないですか。
#225
○国務大臣(塩川正十郎君) これは、本当に臨時・緊急で制度をつくっていただきましたですね。したがって、これをやはり活用するという方が、それがいよいよ始動されたときに、そのときにこれを廃止するというのも、どうもこれになじみを持っておられた方の、廃止をするというのはちょっといかがなものかということが考えられまして、それと同時に、この少額取引の方は、これで源泉も申告も両方かからないでこれの適用を受けようという方も中にはございますので、これはかえってそういう少額取引の方を擁護するという意味において有効に働くのではないかなと、こう思って存続した次第です。
#226
○池田幹幸君 株式取引で百万円もうけるというのはそんな少額取引ですか。これはそんなに少額じゃないんじゃないですか。これ、もうけが百万円ですよ、売買が百万円じゃないですよ。後の塩川大臣が提案された緊急投資優遇制度だって決して小さなものじゃないと私は思っておるんですが、この百万円のもうけ、少額取引を対象にしたとおっしゃるが、そうじゃないでしょう、これは。
 だから、この税調の小委員会でも非常に重視をして、この申告分離課税への一本化のときについては、「百万円特別控除制度については、課税ベースを大きく縮減させるものであって、その下での税率の引下げは適当でなく、税率の引下げを行う場合には、廃止又は縮減することが適当である。」と明確に書いてあるんです。要するに、課税ベースを大きく縮減させると。そんなちっぽけなものじゃないんですよ、そうでしょう。
 これは明確な約束、ここまで言って、これを実施しますといって宣伝してきて、さあふたをあけたらやっぱり食い逃げだ、減税のところだけ食い逃げしてこれはまた存続させる、これは幾ら何でもまずい。これはもうこういうことはやめるべきじゃないですか。
#227
○副大臣(尾辻秀久君) 百万円のこの件が高額かどうかということはまたいろいろ御議論があろうかと思いますが、私どもといたしましては、これは特別控除の制度を認めるということでございますから、廃止すればその分だけ税額が上がる。そしてまた、率直に申し上げて、先ほどの発泡酒の御議論じゃありませんけれども、私どもとしては、税収が大変落ちておるわけでありますから、ある意味では、そんな表現がいいのかどうかわかりませんが、のどから手が出るほど欲しい部分でもありますけれども、しかしあえてここは、国民の皆さんの今までのまさに経緯もありますので、少し我慢をさせていただいている。
 少し平たい言い方になってしまいましたけれども、そういうことでこの措置を講じておるところでございまして、そのように御理解いただきたいと思います。
#228
○池田幹幸君 しかし、政府も与党も政府税調のこの方針でいくんだと言っておられたんですよ。それを、ふたをあけたらこれだけ残したという、どうにも理由が成り立たないんじゃないですか。どこにも正当な理由ないでしょう。だったら、もう減税やめなさいよ、この百万円の控除制度を残すんだったら。減税を持ち込むんだったらこれをなくしますと明確に書いてあるんです、セットでやるんですと書いてあるんですよ。同じ手法じゃないですか、あの有取税と源泉分離課税の問題と。
 もうこんな手法はやめにすべきだと思いますが、大臣、いかがですか。
#229
○国務大臣(塩川正十郎君) まあ今、時期はいつのことかは想定できませんけれども、おっしゃられるようにこの証券税制全体を一度、これ試行錯誤と言ったらえらい語弊がございますけれども、そういう意味じゃなくて、これはいろんな選択をしていただく機会をふやそうということでやりましたけれども、これはいつかは一度検討して、便利でしかも投資者にはやっぱり有効であるというような制度を集約して考えてみる必要はあると思っております。しかし現在は、いろんな機会を与えるということで、その選択をしてもらうことによって有効にインセンティブを働かしてもらう、こういうことを考えておるわけであります。
#230
○池田幹幸君 これはインセンティブも何も、百万円までもうけたやつについては控除できるということですから、一方的に投資家にとっては有利なやつで、これを選びませんなんていう人はいませんよ、それは。これはもう当然これを使いますよね。だから、これはもう一方的に投資家の優遇。
 これは投資家を呼び込むものじゃないですよ、少なくとも。千四百兆の個人資産をこの証券市場に呼び込むと言っているけれども、そうじゃなしに、今取引している人たち、これにもっとうまみを与えましょう、今まであったうまみをもっと持ち続けてあげましょうというだけの話で、こういうことは許されるべきじゃないというふうに思います。
 時間が迫ってまいりましたので、先ほど後でお話し申し上げると言っていた投資優遇制度については一言だけ申し上げておきたいと思うんです。
 これは、塩川大臣が非常に肝いりでつくられたというような報道がされておりますけれども、いずれにしましても、二年間一千万円、購入株価ですね、一定期間保有して売却した、そういう場合には、何ぼもうけても、これは塩川大臣の言葉です、何ぼもうけても税金をかけないと。これは二年間で一千万円取引をして例えば五割もうけたと、五百万もうけたとしても、この五百万には税金をかけないというんですね。
 これは本当に大変な優遇税制だというふうに思うんですけれども、一体この恩恵を受ける人たちはどの程度いらっしゃるんですか、大臣。
#231
○政府参考人(大武健一郎君) 結論から申し上げますと、どのぐらいの方が実は参加していただけるかということはまだ予想はつけておりません。
 特に、この場合には、従来の株式市場に参加しておられる個人の方というのは、先ほど来お話があったように、売ったり買ったりということを専らやっておられる投資家が多かったように拝聴しております。ただ、今回の場合には二年間持って、これはまさに固定してしまうということですから、証券会社にとってはその間手数料も入らないということでしょうし、投資家の方もどちらかといえば売ったり買ったりしちゃいけないということになります。
 したがって、我々としては、まさにそういう長期保有の安定的な株主というのを入れていきたいということなんですが、先ほど来の御討議の中にもありましたとおり、どちらかというと従来の投資家というか個人は証券市場からは敬遠していた、そういう状態の中にあるものですから、果たしてこういうような措置をとってどのぐらい入っていただけるかということは予想がつかないということから、今の御質問に関してはどのぐらいが入っていただけるかわからないということでございます。
 ただ、私どもとしては、これをきっかけとして、極力、一般の投資家というか個人の方にこの証券というものになじんでいただくきっかけになればというふうに思っているところでございます。
#232
○池田幹幸君 時間になったので、それじゃ一言だけ。
#233
○委員長(山下八洲夫君) 簡潔にお願いいたします。
#234
○池田幹幸君 はい。
 一言だけ申し上げておきますが、大体一千万円以上株式を保有しているという人は取引している人の一五%だそうですね。それで、その人たちが全部やるかどうかというようなことはありませんが、その最大の数字を見ていっても、そうすると、それが世帯にして八十一万世帯ですか、これぐらいになると。
 そうすると、七百万世帯と言っておられますから、かつ今度の恩恵を受けるということになると、それの一体何%、八十一万のうちの何%なんだろうかということがあるんですね。ほとんど大したことないですよ。ごくごく少数の人たちへの恩恵ということで、なかなか今、大武さんが言ったように、いわゆる千四百兆円のうちの何がしかが入ってくるなんて期待できるような、そんなふうなものじゃないんじゃないでしょうか。
 そういうふうな形で期待も余りできない。結局は、税制を一時的にせよゆがめる、わずか五年間と言うけれども、税制をゆがめる結果にしかならざるを得ないんじゃないかということを申し上げて、終わります。
#235
○大渕絹子君 長引く不況と株価の低迷が続く中で、日本経済の再生には間接金融から直接金融中心の経済へと転換することが必要だ、個人投資家を株式市場へ呼び込むための明確な方針が求められていると、こう言われ続けているわけですけれども、今まで国民の資産というのは財投の原資であったり国債買い付けの原資に使われたりして、大いに国の政策や経済発展に私は貢献をし続けてきているというふうに思うんですよ。どうして直接金融へシフトしなければならないのかというのが少しよくわかりません。
 それからもう一つは、勤勉で非常に貯金好きの日本国民が本当に安心して証券市場へ参加していける仕組みを、私たちはこの国会でつくることができるんだろうかというようなことを毎日自問自答しているんですよね。
 そんな私なんですが、今回のこの証券税制改正案でどのような効果が生まれて、将来、金融経済の構造改革に資すると考えておられるのか、まず塩川財務大臣にお伺いをしたいと思います。
#236
○副大臣(尾辻秀久君) まず、今回の改正の内容でございますけれども、何回か申し上げましたように、骨太の方針で記されております「貯蓄優遇から投資優遇への金融のあり方の切り替え」、まずこれが基本になっておるということでございます。前段のお話がありましたので今このことを申し上げておるんですが、それで、最後の方の御質問でありますけれども、私どもはこれによりまして、やや抽象的な言い方になりますけれども、安心して証券市場に参加できる環境の整備が図られるとともに、その結果、個人投資家の市場への参加が促され、厚みのある市場の形成に資することになる、これが今後の経済の活性化になるということを考えておるところでございます。
#237
○大渕絹子君 答えていただいていません。
#238
○国務大臣(塩川正十郎君) では私から。
 御質問の趣旨は、何で直接金融に間接金融から切りかえなきゃならないのかということが、これが大渕さんが一番疑問に思っておられることだろうと。違うんですか。
#239
○大渕絹子君 違います。将来の金融経済の構造改革に今回のこの税制改正がどう資するのかということを聞いています。ちゃんと通告文章で出してありますので見てください。
#240
○副大臣(尾辻秀久君) いろんなお答えの仕方があるんじゃないかと思って先ほどのお答えを申し上げたのですが、それではさらに申し上げますけれども、具体的には、これも御説明しておりますように、申告分離課税の一本化によりまして、透明性、公平性の高い証券市場の構築に資する、こういうふうに考えておりますので、そしてあわせて税率の引き下げや損失繰越制度を導入することにより税負担やリスク負担の緩和も図ることにしておる、このことがお答えになるかと思います。
#241
○大渕絹子君 将来の金融や日本の経済に対してどう資するかという展望が私は大臣はおありになると、そう思っているわけですよ。大臣がみずから自分の考えの中でこの税制もきちっと導入をしてくるという極めて英断もなされているわけですから、財務大臣として恐らく高い見識があってこの法案が出されたんじゃないかなというふうに思ったものですから大臣にお聞きをしているわけですけれども、副大臣が何度も同じことを答えていますので、それじゃ次に行きます。
 源泉分離課税を申告分離課税に一本化するなどは一定の評価はいたしますけれども、やっぱり既存の投資家優遇の色合いの濃いものと言わざるを得ないというように私は思っています。市場に参加することによってリスクの分担を強いられるということでありますと、ゼロ金利でも貯金を選ぶという今の日本国民には、まだ本当に安心して証券市場に参入ができるのかなというふうな思いを込めまして、我が国の株式市場における個人投資家の割合は、ここ十五年ぐらいは二〇%弱、そして投資信託を含めても二七・八%、また個人資産の株式への投資は全体の五・三%、投資信託の二・四%を加えても七・七%と低い数字になっています。米国では一九・五%、イギリスでは九・三%、ドイツでは一一・九%に比べても低い数字ということになっています。
 それでは大臣、日本国民はなぜ証券市場に投資をしないのでしょうか。ゼロ金利でも貯金の方を選ぶんでしょうか。
#242
○国務大臣(塩川正十郎君) 一つは、確実性というのがあると思います。おっしゃるように、日本人はやっぱりリスクを自分でとるということは非常に消極的であると、これはもう当然であろうと思っております。しかしながら、昭和三十五、六年ごろから昭和五十年前後までの間、つまり高度経済成長に入りましてその成長が花を咲く時分、その間の約二十年間の間というものは証券投資が非常に盛んでございましたし、またいろんな統計を見ましても自己資産の、保有財産の二〇%近くまで株式を持っておった時代がございました。
 しかしながら、石油ショック以降、経済の成長のあり方が変わってまいりまして、だんだんと、直接資本市場から集めるというよりも、銀行によるところの引き受け、資本増強をやることになった。それは何か。時価発行という制度を活用するようになりましてから、一般株主に増資の魅力がなくなってしまったということ、これがやっぱり株式市場から離れていった一つの原因だろうと。
 そして、最近、この十年間の傾向を見ますと、配当性向が非常に悪うございますので、そういうことから株価低落がずっと続いてきております。そういうのが相まって、株式投資を危険だと、こういう見方をしてきて、むしろ利息は安くてもいつでも現金化できる確実な貯金を選んできたということでございますが、そういたしますと、これをずっと進めておりますと、日本の企業の資本構成というものがいつまでたっても銀行、金融機関に依存するということの体質から脱却できないということでございまして、それは逆に言いまして、企業の自由な発展の選択がとれないということにもなってまいります。
 銀行の制約を受けて企業が制限しなきゃならぬ、企業活動を制限しなきゃならぬという事態が起こってもいけませんし、いたしますので、企業が自主的に事業の展開を選択し得るためには、やはり株主との間に信頼を築いて、資金を直接要求を満たしていく方がいいだろうと、こういうことで、世界各国とも資本の形成は直接投資によるところの方法をとりつつあると。グローバリゼーションの世の中になりましてそういう方向にございますので、我が国の方もそちらへ改めていきたいということが大きい一つの方針であった。その方針の一端として株式保有を奨励する方法をとっておると、こういうことでございます。
#243
○大渕絹子君 大臣が今おっしゃったこと、株式の信用を取り戻すとか、あるいは利益性、配当性向を強めていくとかいう企業努力とか、そういうものがまずあって、そして市場の信頼感というのが醸成されてきて、そして国民がじゃ参加をしてみましょうかと、こうなるわけですよね。だから、国民が安心して参加できる環境づくりというのにやっぱり政治としても努力をしていかなければならない局面ではないかというふうに思うわけでございます。
 今回の改正ですけれども、税というのは本来、公平、公正、中立、簡素であるべきという基本理念がございますけれども、この改正案の問題点というのをどういうふうにとらえていらっしゃいますでしょうか。
#244
○国務大臣(塩川正十郎君) 簡素化という点についてはもっとやっぱり努力する必要があると思っております。なぜ簡素化がそれほど十分に進行しないかといいましたら、公平を期そうとするならば、やはり細かく申告していただく制度が一番公平の原理に即してくるということから、その点でやや簡便性を欠いておるということは私は否定いたしません。今後この課題は、いかにして簡便性にするかということが一つあると思っております。
 それからもう一つは、理解しやすいような方法ということでございまして、先ほど御質問ございました中でも私はお答えいたしたつもりでございますが、余りにも選択肢を多くするということは私はよくないと思います。でございますから、これは今、株式のいわば刺激を与えるという意味において選択肢をたくさんつくっておりますけれども、やはりもう少し簡便にして、投資者に本当に有利になるようなわかりやすい制度に変えていく必要があるだろうと思っておりますが、それはちょっと先に見送っていただいて、とりあえず今回は、株の要するに奨励という意味においてこういう法案を提出したということで受け取っていただきたいと思っております。
#245
○大渕絹子君 それでは、今回の法改正は、税制改正は不十分であるけれども、期限つき暫定的な措置であるけれども、いずれ近いうち、証券税制に関する集大成的な改正が必要になるんだというお答えでよろしゅうございますか。
#246
○国務大臣(塩川正十郎君) 私は、資本市場が本格的に育ってくるためにといいますか、そういう見きわめをつけまして、私、その改正に踏み切っていくべきだと思います。
#247
○大渕絹子君 その将来の税制改正のときに、利子課税とあわせて総合課税化への道を進むというお考えはございますでしょうか。
#248
○国務大臣(塩川正十郎君) 利子課税との案分は十分とらなきゃいけないと思っておりますが、私は、やっぱり財産というのは三分法ということをよく言われております。これはやっぱり不易流行の原理にもかなうものだと思いますが、そのようないわば財産三分離の中でどのようにしてその収益を保障していくか、そして、税は公平に三分割の中に分配されておるかということを、これをやっぱり基準に考えるべきだと思っております。
#249
○大渕絹子君 税制改正だけで証券市場の活性化が果たせないということは先ほど大臣から御答弁をいただきましたので、ここは飛ばさしていただきます。
 それで、納税しやすいような申告制度の導入が必要だというふうに考えます。これは新聞記事でございますけれども、金融庁が申告不要制度というような仕組みをつくって与党側にその提示をしたというような記事が載っていますけれども、金融庁、これはどのような制度なのか、簡単に説明していただけますか。
#250
○副大臣(村田吉隆君) 税制改正要望として私どもから申告不要制度というのを出しておりますが、これは、証券会社に適格口座を設定いたしまして、その中で証券会社が実譲渡益に対応する税額の徴収をする、いわば源泉徴収をしていただいて、それで申告がすべて済むと、そういう簡便な方法でございます。
#251
○大渕絹子君 これを見せていただいて、ああなるほど、こういう制度もいいなというふうに思いますけれども、財務省、これに対してどのようなお考えでございますか。
#252
○政府参考人(大武健一郎君) お答えさしていただきます。
 金融庁の申告不要制度につきまして、我々も簡易な申告ということでは一致しておるんですが、申告不要までについては我々としては適当でないと思っています。
 それは一つには、今回、百万特別控除損失繰越、特に損失繰越控除などというような特例がございますし、何より複数の口座間でいろんな証券会社とおつき合いになっておられる方もいらっしゃるわけで、それを通算して申告するということになると、これは証券会社一社ではできないということ。
 それからあと、株式譲渡益というのは、やはり譲渡価格から、売った価格から買った価格を差し引かなきゃならないんで、そもそも証券会社において本当にその所得がわかるのかどうか。それから特に、利益と損失、さまざまに発生しますので、取引ごとに源泉徴収するという現在の源泉徴収制度ではとても適応できないということ等がありまして、やはりかなり難しいのではないかと思っています。もちろん、簡易な申告をするという観点の工夫はさらに進めていきたいというふうには思っております。
#253
○大渕絹子君 今の問題点の指摘に金融庁答えてください。
#254
○政府参考人(原口恒和君) この件については税務当局とも相談をしていきたいと思いますが、我々、この案につきましては、業界とも相談をし、いろいろ技術的に可能であるということでお願いをしておるということでございます。
#255
○大渕絹子君 私も可能だと思うんですよね。ここへ構成図が出ておりまして、優遇課税制度の適用を受けるのに、それは当然還付申告をしなければならないというのは今の所得税なんかでも同じでございまして、優遇制度を受けるときにはみずから申告をして還付をしていただくという制度になっていますので、そのことは可能だというふうに思うんですね。
 先ほど財務大臣はコンピューターなどを導入したより簡便な申告方法を考えておるんだということを言われたので、そのこととこれが合わないのかなと私は思っているわけですけれども。
 しかし、金融庁は金融庁なりに、申告ができるだけ手間がかからないように提案をしているわけですから、むげにそれはだめだとかそういうことじゃなく、いやこれ、何か新聞には随分出ているんですよ。財務省の主税局は、本人がするのが原則なんだと、こういうような言い方をしながら、その金融庁の案をそのまま採用というような形にはないような形になっている。
 もちろん、それはいろいろな案が出てきて、検討をして、より国民の使い勝手のいいものができることが最も望ましいわけですけれども、財務省、その件について答えてください。
#256
○政府参考人(大武健一郎君) お答えさせていただきます。
 やはりそれは、投資家の方が便利であるということが第一であるということは全くの同感でございます。
 ただ、何しろ申告不要にするには証券会社がすべて源泉徴収なりを行うわけですから、それを預かり金を証券会社が持つということになるんで、そういう意味での法的担保とかそういうのも必要になります。そのあたりのところもきちっと詰めませんと、先ほど来の御議論もありまして、かなりお金を預かるという問題でもあるんで、十分な詰めをした上で、先生の御趣旨も踏まえて、簡易な申告に、我々は思っておりますけれども、金融庁と調整していきたいというふうに思っております。
#257
○大渕絹子君 朝ほど来、若林理事の方からも質疑があったので、ちょっと観点が同じになって質問しにくいかなとも思いますけれども、柳澤金融大臣に。先ほど塩川財務大臣が証券業界や企業の問題点についていろいろと指摘をされましたけれども、その件について、証券業界の信頼回復、それから透明性の確保、あるいは株主重視の企業経営などの改革についてどう取り組まれていくか、お聞かせをいただきたいと思います。
#258
○国務大臣(柳澤伯夫君) 証券市場構造改革プログラムというものを私ども発表をさせていただいておりまして、このうちの大部分がその後、内閣の枠内で決められましたその他の問題と一緒の骨太の方針とか、あるいはその後の改革プログラム等に取り上げられたわけでございます。
 私どもの打ち出した構造改革のプログラムに沿って申しますと、証券業界の信頼回復ということにつきましては、先ほど私、若林委員にもお答えいたしましたように、特に、行為規制違反に係る行政処分を公表するというようなこと、それからまた監視体制の強化のためには、やはり証券取引等監視委員会の人員の増強あるいはノウハウのさらなる蓄積、こういうようなことに注力をしたいということでございまして、この行政処分の公表等については、そういうものがあればこれはしっかりと公表をして、どういうものが、あるいはどういう会社がそうした不適切なことをしているんだということを投資家の皆さんにも知っていただくというようなことを考えております。
 それから、証券市場の透明性の確保ということにつきましては、特に金庫株が解禁されたときにいたしたのでございますけれども、セーフ・ハーバー・ルールというようにルールをあらかじめ明確にしておく、そしてそれを公表しておくというようなことをやっておるわけでございます。
 また、最後の株主重視の企業経営ということについては、制度的には発行企業の経営情報というのを、今までは半期ごとというように一年二回ということでございましたけれども、これを三カ月、四半期ごとに短信によって情報を開示していくというようなことを促進するというようなことでございます。それと同時に、株主重視の企業経営ということは、これは経営者の一つの心構えということもありますし、また、前の機会にも申しましたように、物を言う株主というものを多くしていくというようなことを、これから個人株主のウエートを高めることによって実現していきたい、こういうことを考えているということでございます。
#259
○大渕絹子君 二〇〇〇年の四月からクロス取引というようなことは金融商品会計上では禁止をされておるというふうに聞いておるわけですけれども、また大変大口の、大手の金融機関などがクロス売買、いわゆる東京市場で売って大阪市場で五日後か六日後には買い戻す、あるいはその逆とか、あるいは名古屋の市場が利用されるとかというようなことが新聞紙上で報道されていますけれども、これらについて禁止をする、あるいは取り締まるというようなことはできないのでしょうか。
#260
○政府参考人(原口恒和君) 御指摘のように、クロス取引に関する会計処理につきましては、公認会計士協会の実務指針等によりまして、一定の場合はこれを認めないということになっております。
 したがって、例えばいろんな決算においてそれに照らして問題があるというような場合は、これを解消するための適切な対応等の改善策を求めるとか、あるいは取引が例えば相場操縦等の不公正取引に該当するような場合があれば、これを厳に規制しているということでございますが、一般的に、クロス取引というところをどういうところで線を引くかということもございますが、単に短期間の売買であるからこれを一律に禁止するということは、取引によってはみずからのポートフォリオの運用上の判断とかそういうことが行われている場合もございますので、やや過剰な規制になるのではないかというふうに考えております。
#261
○大渕絹子君 そういうのがきちっとやられないと株式市場の信用というのはますます落ちていくんだろうというふうに思いますので、できないなどということではなく、できる方法を考えていただきたいと思います。
 最後に、塩川財務大臣にお願いをしたいと思います。
 実は、国税の職員の皆さんから、滞納税が非常にあるんですけれども、実際に調査する人員が不足をしているという中で定員の確保をぜひしてもらいたいという要望をいただきました。このことについて御努力いただけるかどうか、お答えをいただきたいと思います。
#262
○国務大臣(塩川正十郎君) よく実情を調査いたしまして、もしそういうことで徴収に差し支えがあるということになってきたら大変でございますので、いろんなことを調査して検討いたします。
#263
○大渕絹子君 終わります。
#264
○平野達男君 自由党の平野達男でございます。
 何点か基本的なことをちょっとお尋ねしたいと思います。
 個人金融資産残高に占める現金・預金の占める割合、日本は先進国では断トツでありまして、これはけさほど若林委員が質問の中で指摘されたとおりであります。間接金融主流、企業から見れば少ない自己資本で借金で財政を立ててきたという、そういう状況がこの数字からもよくわかると思います。直接金融は、リスクもありますけれども逆にもうけもある、その一方で、企業に何かあったとしても、少なくとも不良債権という問題が発生することはないというようなことで、いわば間接金融から直接金融という流れは一つの大きな流れになっていると思います。
 そこで、通告申し上げた質問が、じゃどれぐらいの株式、今、日本人は全体六・四%で、どれぐらいの割合がいいんでしょうかということをお聞きしたかったんですが、これはもう若林委員が質問されまして、倍程度というきょうは本当に明快な御答弁がありました。もちろん、株式については株価が変動しますからこの割合が絶対でないというのは承知しておりますし、ただ、そういう目安を与えていただいたというのは非常によかったと思います。
 あえてもう一つ言えば、これは時間軸でどれぐらいというようなことが答えていただけるかどうかということであります。
#265
○国務大臣(柳澤伯夫君) 先ほど私、今の比率を一〇%近く、個人金融資産に占める比率をそのくらいというか、若林委員の指摘した数字は四・二でございましたでしょうか、それの倍ぐらいをということをとりあえずの目安にしたいと。それは、ドイツの一一・何がしというようなのとできるだけ近づきたいなと。ドイツもまた我々と同じように、ユニバーサルバンキングの中で間接金融にやや傾いていたのを、最近非常に努力をしてそのウエートを増したというような例もございますので、それに倣いたいというような気持ちを持ってお話ししたわけでございます。
 ただ、ドイツの場合は、どうも聞くところによりますと、日本でも行われた国鉄だとかNTT、そういったものに相当する会社を、国有企業を株式会社化して、これを民営化していく過程でそういうことを実現したということがあったようでございます。
 私ども、ちょうど塩川大臣と一緒にケーラーIMF専務理事、この方は前のドイツの大蔵次官だったものですから、その当時の話をちょっと聞く機会があったんですが、郵便局を通じて株式の売り出しをしたと。そのときに郵便局は、当然、郵便局のお客さんというのは従来証券会社に出入りするような人は少ないものですから、したがって、この株式というものは元本は保証しませんよというようなことで大変きめ細かく啓蒙活動をまず行ったということで、その上でそういう株式の売り出しを行ったと、こういう話を聞きまして、ちょっとうなって、なかなか工夫をされたんだなということを感銘を受けて聞いたのでございます。
 そういうようなことを比較しますと、我々の方はちょっと手おくれになってしまったというような感もするわけでございますので、なかなか短期間にそうしたものを実現するというのも困難かと思いますけれども、やはり私ども、期限をいつと言うのはなかなか言いがたいわけですけれども、その目標に向かって努力をしなきゃいけない。ただ、実現は、もういろんな要因が複雑に絡み合いまして、国の行為だけ、国の意思だけで何ともなるものでもないものですから、お許しを賜りたいと思います。
    ─────────────
#266
○委員長(山下八洲夫君) 委員の異動について御報告いたします。
 本日、清水達雄君が委員を辞任され、その補欠として後藤博子さんが選任されました。
    ─────────────
#267
○平野達男君 株は、投資する側から見ると、二つかあるいは二つ一緒にだと思うんですけれども、動機があって投資をしているように思います。一つは、キャピタルゲインを得るというものと配当を得るというもの、あるいは両方ということだと思います。その判断は、恐らく投資する側の個々人の判断によると思いますし、また会社の経営の体質なんかにもよるんじゃないかと思うんですが、これは金融政策として見た場合に、株というのはどっちの方向に重点を置くべきだというふうにお考えでしょうか。つまり、キャピタルゲインなのか配当なのか。
 つまり、配当ということは長期保有するということです。キャピタルゲインとなると、いろんな株の相場を見ながら売り買いをするというようなことだと思うんですが、ここは後の税制との関係がありますので、あえて塩川大臣にちょっとお尋ねしたいんですが。
#268
○国務大臣(塩川正十郎君) 両方です。
#269
○平野達男君 両方ということなんでしょうけれども、コーポレートガバナンス、コーポレートガバナンスとずっと言われてきましたけれども、やっぱり株主がしょっちゅうかわるというのは、コーポレートガバナンスという原則からするとこれはちょっとおかしいんじゃないかというふうに思いますし、それからあと、塩川大臣は、先ほど言われましたけれども、バブルの反省というか、バブルがいかに深刻だったかということについての認識がないんじゃないかという話がありまして、やっぱりキャピタルゲインに余り力点を置くというのは投機性を強めてしまって、これは政策的にも余りよくないんじゃないかなというような感じを個人的には持っています。
 ところが、今回の税制、それからもう一つは、特にキャピタルゲインというのは要するに投機ですから、先ほどの議論の中にもありましたけれども、古手の要するに相場師というんでしょうか、相場師かなんか知らぬけれども、その人たちと新規参入者では情報量も違う、株の仕組みもわからない、平等にやるといってもなかなか難しい面があって、そのあたりがまた一つの新規参入者を阻止している障害になっているんじゃないかなと思うんです。私は、やっぱり株は投資ですし、投資した以上は会社がそれを使ってちゃんと収益を上げてそれを配当する、それが本来の株の姿ではないかなと素人ながら思っています。
 そういった観点から今回の株に関する税制を見ますと、いずれも譲渡に関する特例を設けているわけでありまして、配当課税にはほとんど手をつけていない。きょうはいろいろ事務方のお話を聞きますと、配当の税負担割合を見ますと、年十万以下については本当に所得が低い、七百万、七百万というのは低くないですね、七百万程度の人だったらゼロになるんだと。あと、千五百万程度だったら利子課税と同じだというようなことで、もうすき間がなくなっているんですよという御説明はございましたけれども、ここは私は政策的に、配当だ、長期保有するんだというようなことであれば、思い切って二〇%の税率を利子課税よりずっと下げるというようなことをやってもよかったんではないか、それがまた国の政策としての、株を保有してください、配当中心ですよという国としての意思を示すことにもなりますし、そういった方向に持っていくべきではなかったかと思うんですが、どうでしょうか。
#270
○副大臣(尾辻秀久君) 今お話しのとおりに、配当課税につきましては配当控除の制度などを設けておりまして、かなりの配慮をいたしておるということはお話のとおりでございます。御理解いただいているところでございます。
 そこで、その配当と利子との関係でございますけれども、二点申し上げたいと思います。
 まず、利子は定率かつ定期的に発生するというものでございます。それに対して、これも先生のお話の中でも述べられたように思いますけれども、配当といいますのは法人の事業の成果を分配するという事業所得的な側面があります。このことを一点申し上げたいと思います。
 それからもう一点申し上げますと、利子に係る預貯金というのは国民のほとんどすべてが持っておる、こういうふうに言えるだろうと思います。したがって、国民のほとんどすべてが預貯金を持っていて、それから利子を得る。それに対して、株式はどういうことになるかというと、これは比較的という言い方になりますけれども、やはり高所得階層に保有されておる。
 以上、二点申し上げましたけれども、この二点を考えますと、やっぱり配当と利子というのは非常に性格が違う。したがって、これを比較するというのは非常に難しいだろうというふうに思っておるところでございます。
#271
○平野達男君 配当と利子の比較が難しいという話ですけれども、ただし、説明は配当と利子との比較で説明されたんですよね。
 それで、これはそういった技術的な問題は別として、やっぱり政策として、保有して配当をやるんですよ、これが株なんだということに対しての政策意思を今回の税制改正の中で打ち出すべきではなかったかという、そういう問いなんですが、どうでしょうか。
#272
○国務大臣(塩川正十郎君) これはまさに将来、検討課題の一番大きいところだと思っております。
 資本市場を本当に育てていくということになりましたら、そういう配当の原資というものに税はどう対面するかということは非常に大きい問題だと思っておりますが、今はまだそこまで証券市場が育っておりませんので、つまり、間接金融から直接金融に変わっていく一つの大きい転機をつくっていく問題でもあると思ったりしております。
#273
○平野達男君 金融庁さんは要求官庁としてやっぱり配当課税の見直しも出されていますよね。今、私、いろいろしゃべらせていただきましたけれども、何かコメントがあれば、ちょっと突然で申しわけありませんが、一言。
#274
○国務大臣(柳澤伯夫君) 私どもは、今度の税制改正は証券市場の構造改革、特にその中で個人投資家の市場参加を大きくしたい、こういうようなことで、正直申して、中長期的に安定した税制をこの際つくってもらいたいというスタンスで実は財務省御当局に要求をさせていただいたわけでございます。
 ところが、これは非常にある意味ではありがたかったし、ある意味でちょっと困った状況になったんですが、つまり、臨時国会でお願いすると。それは、構造改革というのは私はあくまで常に中長期的な視点に立った政策であるべきだと思ったのでございますけれども、それを急いでやるんだと。構造改革を急いでやるというのがどうもなかなか頭にすっと入らなかったんですが、それは確かに構造改革を緊急にやるという考え方もよくよく考えてみるとないわけじゃないということで私も納得したんですけれども、ちょっと改革の中身ということになると緊急性の方に少し傾いて、今の配当課税の問題だとか、あるいは塩川大臣のアイデアで非課税枠をつくってもらったりということで若干緊急措置的なものがまざり合ったというか、それで中長期的なものが若干後回しになった。
 今度、もちろん通常国会ではやっていただくように我々もお願いしているわけですけれども、そういう位置づけになったというふうにその点は考えているわけでございます。
#275
○平野達男君 はい、わかりました。
 では、次の質問に移らせていただきますけれども、今回の改革の具体策について何点か質問させていただきたいと思います。
 まず、緊急投資優遇制度なんですが、これは塩川大臣の肝いりなんだそうですけれども、きょうの御説明の中では二年間の長期保有だよということがありましたが、私は、概念的に株が平均的にどれだけ保有されていれば長期かというのはよくわかりません。よくわかりませんが、平成十七年、十八年、十九年には全部売ってしまわなくちゃならないという意味においては株の回転を助長するような政策ではないかという感じがしますし、あと、税率の引き下げの、一年超保有したものを一〇%に下げれば、また十五年、十六年、十七年で売ってしまいなさいという政策のようにも見えます。
 要するに、株の回転を早めるという方向に行くんじゃないかというのが一つ。それから、購入期間を十三年、十四年に限定したのはなぜかということと、それからあともう一つ、ちょっと私、与えられている時間が短いものですから一気に言ってしまいますけれども、所得控除の百万円特別控除、これは他の税制から見たら破格の控除額だというふうに聞いておりますけれども、これを存続させるかどうかについてはいろんな議論があったようですが、今回、税率を引き下げるというようなこととトレードオフでやめるべきじゃなかったかと。これを後に送ったために、平成十七年分までですね、これでやったって十八年以降には段差が物すごく大きくなって、これは百万円控除自体が薬にすれば劇薬だと思うんですが、効果がいい分だけ、切れたときの禁断症状が物すごく大きくなるんじゃないかという感じがするんですが、以上、まとめてお願いします。
#276
○政府参考人(大武健一郎君) お答えさせていただきます。
 緊急投資優遇措置の方からお答えをさせていただきたいと存じます。
#277
○平野達男君 簡潔で結構です。
#278
○政府参考人(大武健一郎君) はい。
 実は、これはかなり実務上の理由から三年間というのを切らせていただいたのでございます。課税の公平の観点を踏まえると、対象となる上場株式を一定の範囲内に限定する必要があって、それを十五年一月からの申告分離課税の一本化を前提に購入期間をまず限らせていただいた。
 それからさらに、実は本来であれば、これが例えば番号などがあれば、証券会社間の番号で証券会社に管理していただくということも可能なんですが、実は今はそういう番号管理もありませんし、証券会社ごとの名寄せというのもできない。したがって、今回の非課税限度の取り扱いは全部税務当局で管理させていただくということになります。したがいまして、売却が税制適格を要するか否かというのは、納税者の証明あるいは税務当局の確認というような作業を考えますと、この売却期間を十七、十八、十九に制限せざるを得なかった。いわばぎりぎりの期間として、その間に持ってきていただければ税務署で名寄せしていわゆる課税しないという措置を講じさせていただけるというふうにしたということでございます。
 それから、あと、百万円特別控除につきましては、先ほど来も御議論があって、政府税制調査会の御意見と若干違っている部分があるわけですが、これも経済情勢あるいは株式市場の動向もあるわけですけれども、やはりこれも長期保有に限っている、一年以上保有した人に限ってこの措置を講ずるということで、例えば十四年に買われた方も、ずっと持つことで、これは申告分離をして一年以上持てば百万円控除の方もとれますから、逆に言えば一千万円の方でないことも可能なんですね。ですから、この措置があることによって、実はその間の漏れもできることはできるという問題があります。
 いずれにしましても、この今の状況の中で少しでも回転売買でない長期保有を目指した改正には努めさせていただいた、しかし今、先生の御議論のあった三年というのを切らざるを得なかったのは実務上の制約でございまして、将来的にはこういうことはむしろ制約のないような形に対応できれば本当は望ましいということであると思います。
#279
○平野達男君 じゃ、次の質問に移らせていただきますけれども、これは前の財政金融委員会でもちょっと意見として言わせていただいたんですが、銀行等の株式の保有制限に関する法律、銀行というのはリスク管理についてはそれなりのプロだと思っていたところが、どうも株については扱いかねるということで放出しなさいというような法律になっています。あれから出てくるメッセージは、やっぱり株というのは非常に危ないものだなというふうに素人はとってしまうかもしれません。
 それから一方で、今回の改正は、先ほど来から言っているように、私の理解ではやっぱり譲渡を、要するに株の回転を速める方向にどうしても動くんじゃないかというような印象を強く受けています。
 今回の改正は、そういった意味では、前回の株式保有の法律のことと相まって、新しい人が株式に入るというようなインセンティブとしては余り働かないんじゃないかと。むしろそういう譲渡に対してのいろんな税制の優遇措置を与えることによって、既に入っている人、入っていていろんな株の取引をやっている人については、これを利用してやれということで確かに株式市場は活性化するかもしれません。その結果、今、株価が低迷していますから、株価が少し上がるというような効果があるかもしれませんが、元来言ってきたところの、もう一つ言ってきたところの底辺を広げる、特に、柳澤大臣も言われましたけれども、株式の金融財産に占める割合を上げるんだということであれば、一人当たりの投資機会をふやすと同時に、新しい人にどんどん入ってもらうという政策がぜひ必要になってくると思うんです。これは一方で改革先行プログラムということで、金融市場の構造改革プログラムというのがあるようですが、これにそれなりの政策はうたっていますけれども、ちょっと抽象的でよくわからないんです。
 そういった新しい人の株式市場に入ってくるような仕組み、それはもう一つ大きな柱を立ててやる必要があるように思うんですが、どうでしょうか。
#280
○国務大臣(柳澤伯夫君) これはそういう面もあろうかと思うんですが、ちょっと頭に浮かんだことを最初に申させていただきますと、塩川大臣の今度の税制改革の中で注力をしていただいたことは、やはり新規の投資家というか個人投資家というものをかなり念頭に置かれて仕組んでいただいたと。要するに、株の売却益のことばかりおまえたちは言っているんじゃないか、そうではなくて、株の取得そのものに魅力を感ずるような税制が何かということを考えろと言われたことがございまして、そういうようなことで、私は塩川大臣はさすが練達の政治家で着眼点が違うなと思って感心させられたわけですが、そういう意味では、この税制もそういう面がないとは言えない、近来になくそういったことに配慮がある税制改正だということはちょっと申させていただきます。
 それからもう一つ、新規の投資家をどうやって呼び込むかというのは、もちろん今の証券会社がしっかりするということはあるんですけれども、これはまだ投資信託というか、そこまで株の窓販まで認めるかどうかはともかくとして、例えば信託でいうと、証券会社の信託のお客と銀行の今行われている窓販による信託のお客はやっぱり違うと言うんですよね。例えば売買の頻度なんかを考えても、証券会社のお客さんは割と投資信託でも売買を非常にするんだけれども、銀行の投資信託のお客さんというのはずっと積み上げていくというようなことがあるということが言われております。
 それから、もし仮に、私、なかなかこれ、何というか、いわく言いがたいところがあるわけです、片方は国営企業なものですから、余りちょっと私の立場では言いがたいところがあるんですが、例えば郵便局で株式なり投資信託を売るということになると、また恐らく国民の中の全然違う層、今まで証券会社なんか絶対のぞいたこともないような堅実な、そういう人が堅実と言っちゃいけないかもしれませんが、そういうような人に完全に当てはまるというか、当たるというか、そういうことがあり得ると思うんです。
 ですから、本当はそういったことをやっていくということが、個人投資家というか、国民の非常に多様な層にこうした証券を持ってもらうということのためには必要で、今の体制のまま証券会社に幾らやれと言ってもなかなか限界があるんじゃないか、これを我々は中長期的な課題として研究していかなきゃいけないんじゃないか、こういうように思っているわけでございます。
#281
○平野達男君 私は、素人が株式に入ろうとしたときにもう一つやっぱり不安なのは、株価がどうやって決まるかというのがよくわからないということがあると思います。以下は、これは書生論になってしまうかもしれませんけれども、私は政策として、土地もそうですけれども、株もそうですけれども、こういった資産に対する価格形成に対して政策としてこうあるべきだという明確なコミットメントがあってしかるべきじゃないかと思うんです。
 株価というのはやはり基本的には企業収益で決まりますよ、それでリスクプレミアムと、あと利子率で割って、それが株価ですよと、こういったことを政策としてしっかり打ち出す。これは土地もそうだと思います。これがないために、こういうのを打ち出してそれに持っていくといった政策の道筋が見えないために、株に投資すれば何か損もするかもしれないし得もするかもしれない、そこの中で一歩踏みとどまるような条件になっちゃっているんじゃないかなと思うんです。
 私は、やっぱり株価は、短期的あるいは中長期的に見ると多少のフラクチュエーションはあったとしても、長期的に見ればそんな大きな変動はない。もちろん、企業で見れば、企業の収益が悪くなったら株価が下がるのは当たり前だと思うんですが、そういった方策に持っていって、やっぱり株に投資して配当でもらうということだという明確な意思表示をした上で、明確なというか、それが基本ですよというふうな意思表示をした上で政策をそちらに持っていくということが、新しい人たちが入る上での安心材料にもなるんじゃないかなというふうに素人ながら思ってしまうんですが、ぜひ一言コメントか御感想をお聞かせ願いたいと思います。
#282
○国務大臣(塩川正十郎君) おっしゃるように、そこの信頼性が一番大事だと私は思うんです。そのためには、現在アメリカ等は改正しているようでございますけれども、日本でも株の貸し借り、信用取引でございますね、あれはある程度やっぱり改正する必要があるんだろう、信頼性を取り戻すために必要だろうと。あれにヘッジファンドが結びついてまいりましたが、善良なる投資者は何が何だかわからぬうちに株が動いてしまっておるという非常に不安定なところがございます。アメリカの方では、私聞きましたら、それに対する措置として何か株の貸し借りについての制限をきつくしたということを聞いておりますが、日本においてもこれは検討すべき問題ではないかと。
 したがって、株式市場はある程度相場的な要素も持っておるのは当然でございます。そうでなければまた実際動かないのでございますけれども、しかし、それを悪用してしまってそこに投機を持ち込んでくるということは、これに対しては、投機を持ち込んだ者も犠牲を払わにゃいかぬよということはもう少し厳格にやってもいいんじゃないかと思っております。
#283
○平野達男君 時間がなくなりましたので、最後にもう一点。
#284
○委員長(山下八洲夫君) 簡潔にお願いします。
#285
○平野達男君 してもしなくてもいいコメントになってしまいますけれども、日本人はリスクをとらないという意見がある一方で、パチンコもやる、こいこいもやる、マージャンもやる、競輪もやる。それから、バブル自体が実は、日本人は大きなリスクというか投機性に手を出しやすいという性格が起こした一つの現象じゃないかと思いますし、現象的に見れば、私らの日本人の遺伝子の中にはかなりリスクをとるという遺伝子はあるんじゃないかというふうに私は思っています。
 思っていますし、だからこそ、それともう一つ、きょうは言えなかったんですけれども、バブルの後遺症としてそういった投機性の強いものに対する反発が出ているんだと思うんですが、ぜひ、株というものはこういうものだ、それから手続というのはこういうものだ、それから株式市場というのはこういうものだというような、わかりやすい情報をしっかり出していただいていくことが必要だという、ちょっと最後はまとまったようなまとまらないようなコメントなんですが、以上申し上げて、終わります。
#286
○椎名素夫君 余り明確な形では予告しておりませんが、おつき合いを願います。
 実は、前から感じておりましたけれども、法案をおつくりになってお出しになりますね、これはこういう法案ですという提案理由の説明があるんですが、これが実に貧弱なものだと私は思っております。大変に手続的で、今度の提案理由の御説明を大臣からいただきましたけれども、一体これ何のためにつくったのかなんというあたりはほとんど書いてなくて、何か信頼性をどうのこうのというような、証券市場のためこうこうこうしたと、内容はこうですという話だとしか出てこない。その証拠に、きょう、与党の若林理事が冒頭で、この法案のねらいは何ですかということをわざわざお聞きにならなきゃいかぬというようなことになっておりますね。これは、この法案だけのことじゃありません、もうすべてそうだと思います。これはいわば証券の、株の取引にかかる税金の話ですから、これはすぐれて財務省の主税の話であると、それは大変結構なんですが、だからその範囲でしか言わぬよということになると、よくわからなくなっちゃう。
 今、改革ということで非常に張り切ってやっておられる、これは大変結構なことだと私は思っておりますが、日本の構造を大きく改革しようというのは、今まで壁にあったタイルを張り合わせて、おふろ屋さんの絵みたいのがあったといたしますと、今まで富士山がかいてあったけれども、これはもうやめて、何にしましょうかね、何でもいいんですが、ほかの絵に変えようという話だと思うんです。大変大きな話である。それが改革ということであって、それから一方では、特殊法人をどうこうしようとか、それから、何ですか、三十兆円枠をどうしようかと、それが全部合わさって日本は変わっていくんだということをおやりになりたいと言っておられる。しかし、それぞれ、それをばらして法案をおつくりになるときには、タイルの一枚を持ってこられて、ここのところは今までちょっと黒ずんでおりましたけれども、もっときれいな色に焼きかえますという話をされても、一体富士山が何の絵になるんだろうというのがわけがわからぬというような感じを受けるわけです。
 平和なときには、賢明な、誠実な政治家、それから勤勉で間違いのない官僚の諸君に任せておきゃ大体大丈夫だという、かつての幸せな時代にはあれでいいんでしょうが、これから変えようという、そのときにはやっぱり、それなりのメッセージが一つ一つの法案にも常に繰り返されるというようなプレゼンテーションをやっていただくということが非常に私は大事だと思うんです。
 殊に今、国民が確かに不安を抱いているようなときに政治に関心が集まっている。そして、例えば委員会の模様なども、どんなことを一体話しているんだろうかというようなので、のぞいてみたいというようなところまで政治に対する関心が来ているときに、タイル一枚、色合いを変えますという話をやっているということになると、ここに、きょう五時間ですか、傍聴の方が座っていても、何の話をやっているのかわからないということになる。そこのところをぜひ、お二人とも小泉改革の中心におられる大臣でいらっしゃるので、考えていただきたいと思うわけです。
 それで、実は思い出すんですが、この同じ委員会で、実は去年、三月の十四日に私が、個人のお名前まで出して引用するのは余り好むところではないんですが、物事をはっきりさせるために、要するに、前財務大臣に私は伺った。今、非常に大変なことになっておって、当時ですね、あえて聞きますが、国務大臣をお引き受けになったときに、抱負というか、何をやろうとお思いになってお受けになったか言ってくれと、こう言ったんです、私が。そうしましたら、そのお答えは、
 これだけ不況が続いて、各四半期ごとの経済成長はずっとマイナスになっている、この不況をとにかく脱却してプラス成長のサイクルに戻すことが大事で、そのためには何といっても財政が総力を挙げて出動して、いわば誘い水を出して、それは主として公共事業とか減税とか金融の手当てとかいうことでございますが、それによって民間の経済力、消費と設備投資が経済を主導するところまで持っていくのが自分の仕事である。そのために、財政再建というようなことはいいことであるが、当面、これは一遍棚上げをさせてもらって財政をフルに総動員するしかないと、こういう気持ちでございました。
こうおっしゃったんです、これは一年半前ですが。
 これと比べますと、じゃ、いつまでそんなことをやっていていいんですかという話で、実は、あるいは御記憶の方もあるかもしれませんが、経済のパラダイムが変わってきているんじゃないかと。現在の、というか当時のですね、パラダイムでずっと推し進めていくと新しいパラダイムにぽんと急に乗り移れるということになるんでしょうかという話をしたんです、私が。そうしましたら、大臣が、いや、そういうことは余り表面には大げさにはあらわれていないけれども、粛々と進行していると思う、私は日本人の賢さということを信頼しておるので変わっていくだろうと思う、そしてその新しいパラダイムに日本の経済が乗り移るまでのこれはコストだと思っておると、こういう話をしていただきました。これ、大分違うんですね、だから、今とは。
 前大臣は、日本人は利口だからもう変なことはわかっているので、少し時間はかかるかもしれないけれども変わるだろうとおっしゃったわけです。小泉総理大臣あるいはお二人とも大臣はそうなんでしょうが、変わるだろうなんて言っているわけにはいかない、変えちまうんだと、こうおっしゃっているんでしょう。これは物すごい違いなんですね。
 その違いということがあって、そして全体の絵の中の金融というところは大体こんな格好になって、富士山の絵をかくんだったらふもとのところです。その中の一枚のタイルをやっておりますという話をしていただかないと、本当にわけわからない。
 ですから、私は思うんですが、政府というのは一つしかないから、コンペティションがありませんからこんなことで通用しますが、もし二つ政府があって、政策、その提案、プレゼンテーションのコンペをやったら、この程度のことをやっていたら負けますよ、これ。ですから、そういうような相手がいても絶対負けないというような態度でやっぱり臨んでいただかないと私はいけないと思いますので、ぜひそれは将来とも、御所管の省だけでなしに内閣全体としても考えていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
 ついでにちょっと言っておきますが、今私が読み上げました一年半前のそういうパラダイムであったというときも、政府提案というのは要するに商品のプレゼンテーションだと考えると、与党の皆さんはそれのセールスマンだと思うんですが、そのときも悠々と聞いておられて、そしてまた今こうして座っておられて、全然違う話でこう悠々としていらっしゃるというあたりも、少しお考えを奮い立たせてちゃんと議論していただければと思います。これは蛇足ですが、大臣にお答えいただきたいと思います。
#287
○国務大臣(塩川正十郎君) 今お尋ねのを要約しますと二つの問題があったと思うのです。一つは部分と全体、全体を変えて仕組みを変えていこうとするならば、部分的なものもそれに整合したもので変わっていかなけりゃならぬのであろう。また、逆に言って、部分を全部変えることによって全体がなるほど変わったということの最終的な整合をとらないかぬと、このことをおっしゃっていると思うております。
 そういう観点から見ますと、今回の租税特別措置法、税制改正というのはその一端の方向に見定めたものであるということで私たちは理解していただきたいと思うんです。それは何かといいましたら、分離課税という不透明な制度がございましたが、それを変えて、しようということをやっておりますので、それは理解していただいておる。
 それから、確かにパラダイムはもう変わるんです。変えなければならぬと思っているんです。バブル崩壊から十数年来ましたけれども、これはやっぱり、根源をたどりますと昭和十五年の国家総動員法のあの施行、そして昭和十六年の国家体制の改造ですね、あれからの延長線、ずっと引き継いできております。ですから、そういういわば護送船団方式を変えて、そしてグローバリゼーションの体制に変えていかなきゃならぬ、こういうことで我々も一生懸命方向転換したというところでございまして、方向転換の入り口のところに来ておるんでございますから、これからその方向をきちっと間違えないようにやっていくということをお誓いしておきたいと思います。
#288
○椎名素夫君 ありがとうございました。
 今御説明をいただいたところは、私に対しては蛇足というところで、それをよくおわかりになった上でこれをやっていらっしゃるということはよくわかっている。ただ、それを私にお話ししたところでしようがないんで、国民にわからせなきゃいけない。そのためには、内容はともかくとして、その内容を、ここは要するに国民の代表が来ておられるわけですから、それを通じて、あるいは報道を通じてきちっとみんなにわからせるというプレゼンテーションですね、ここのところに本当に力を注いでいただくのが大変必要だと思うんです。
 今のところは、英語でワンライナーという言葉がありますが、一行でばっと言えるようなせりふのことを言うんですけれども、総理のワンライナーのせりふの迫力で何となしに押しまくっておられるところがあるかと思いますが、それだけではやっぱり足りないんで、何といってもいろんな手続で不満な方もたくさんいるし、私も百点満点というわけじゃありませんけれども、とにかく総理はやっておられると。そして、それが非常に明確なメッセージを出している。それは政府が総動員で、官僚の皆さんも協力して、そしていかにわからせるかということをぜひやっていただきたい。そのことをお願いしたいので、中身についてはよく私もわかっているつもりであります。
 そういうことからいえば、ついでに今回の税制改正案を見ますと、基本のところはいい、背筋が通っている。ただ、それと、まあ当面のところ、せっかく変えるんだから、少しは欲も出して、そこらの人を引きずり込めるようなところはないかというのがくっついているという感じだと思うんですが、それはまた柳澤大臣がちゃんとわかっていられるようなんで、またこれは安心しましたから、そこはどうなっていてということは伺いません。
 しかし、大事なことは、本筋のところはこれで、それにひらひらくっつけて、まあ当面のところこれでやってみるかと。ここのところは、私としてはその不純なものはみんな除いちまえという気はしないんで、まあやってみたらという感じで私はおります。ただ、それまでを全部同じレベルの問題だと思って固定化しないように、そういう本筋にあった話と、それからまあ当面ちょっとここらで弁当食うかというような話とは違うんだということを皆さん誤解しないようにこれからも進んでいただきたいということをお願いしておきます。
 それで、余り時間がないのでちょっと急ぎますが、これによって株の取引が急にふえるなんてことはないと私は思っております。それでもいい方向に道をとにかく、あるいは光を当てたというだけでもいいと思うんですが、根本はやっぱり証券市場それ自体の問題であり、さかのぼっていけば企業の問題であり、銀行の問題であるということだと思うんですね。
 そこで、大きく言えばマーケットの問題である、いかに日本のマーケットがだれにとっても魅力的なものになるかということをどうやって達成していくかということを考えなきゃいけない。それについて、ここにいきなりタイルの話になると心配ですが、骨太の方針それから金融小委員会に書いてあるところを見ると、そこらあたりは大体わかっておられるというので、あえて一生懸命速く進めばその方向に行くだろうと思うんですが、これなかなか大変な話であって、企業が一生懸命やって頑張って、もうかるようにして、配当もふやしてというようなことが一つありますし、これについても、みんなへたり込んじゃって何かくたびれたような顔しているんで心配なんです。
 それと、それを上場する、こういう会社ですというその監査、企業会計の報告というのは、これがまた本当かねというのが日本の会計体制の特徴だと世界ではレッテルを押されている。日本の公認会計士さんその他含めて、監査法人が適正と認めているような企業の経営報告は信用するなというようなことになっている。そこのあたりをどうするか。銀行でも、一番ここに上場できれば間違いないというニューヨークの株式市場にアメリカのSECの基準で上場しているのは、銀行の中でも東京三菱銀行だけである。あとは、どういうわけか知りませんけれども、あそこへ持っていくといろんな基準が非常に厳しいですから嫌だというところも実はあるように私は思っております。
 そういうことですから、ごくごく少数の会社を除いては、世界基準での企業報告を用意しているところは日本では非常に少ない。数えるほどでしかない。二、三十しかないんじゃないでしょうか。それを一体どういうふうに持っていくか。そういう会社ばかりある日本のマーケットですと、世界じゅうから魅力が出てくるということだと思うんですね。そこをどうするかという問題がある。
 先ほど三つの不信というのがありましたが、これは非常に重要でありまして、これを全部解いていかなきゃいけない。一番根元にあるのは、証券会社が信用できないとかなんとかありますが、やはりちゃんとマーケットというのが監視のシステムと体制というのがきちっとしているんだろうかということが私は基本だと思うんです。
 前からも、これはやはり去年申しましたけれども、ここにおいて、アメリカが一九二〇年代の最後にやりました、上院でつくった有名なペコラ委員会の教訓というのは十分に酌み取らなきゃいけない、そして、その結果できた非常に独立性の高いアメリカのSECというようなものをつくらなきゃいけないんじゃないかということを去年の四月の何日かにこの委員会で申し上げたら、何人かの方が賛成と、こうおっしゃっていただいた。だけれども、それだけのことで、いまだに何も起こっておりませんが。
 やはりそういうものがあるということ、そしてそこが相当な権限を持つということがその基本にあるんじゃないかと思うんですが、この問題についてどうお考えかということを、これは柳澤大臣でしょうか、お答えいただいて、私の質問を終わらせていただきます。
#289
○国務大臣(柳澤伯夫君) まず、発行会社の情報開示について申し上げますけれども、確かに日本の財務諸表の質の問題というものについては反省すべきことが多いということがございまして、近時においては、そういう反省に立ちまして、例えば時価会計の導入というようなこと、さらには連結の財務諸表というものをつくらないと本当の会社の実力は表示できないということから、これについては実質支配力基準というようなことで連結の情報を開示する、連結の財務諸表にするというようなことが行われていること、椎名委員、もう御案内のとおりでございます。
 それからまた、確かに公認会計士の外部監査というものについても、最近では公認会計士協会の方でいろいろと、公認会計士そのものの質の向上を期していろいろな研修会をいたしたり基準を示したり、そういうようなことで品質を向上させるというような努力が行われております。まだまだそうした全体としての質の向上ということについてはなすべきことが残っているのかもしれませんけれども、当面そういうようなことで質の向上を図っているということをここで確認させていただくということにいたしたいと思います。
 それから、市場監視の機能ですけれども、この点は本当に椎名委員の御指摘のところが当たっているということは言わざるを得ないわけですが、ただ、その体制という、組織形態というものが問題なのか、あるいはもっとベースのところで、今の監視委員会についてもマンパワーがもう絶対的に不足しているのかということがやはり私には問題のように思われるわけでございます。
 組織が仮に今のまま、今のマンパワーのまま、組織が仮にどうなってみても始まらないんじゃないかみたいにも私には思えるわけでございまして、アメリカの市場における不正行為に対する摘発の件数というか、そういうようなものに比して、やっぱり監視委員会の摘発の件数というのは、絶対水準で比較するのは少し酷であるということは、これはまあ保留しなければいけませんけれども、もっともっと本当は、日本の証券市場というものを国民から信頼されるものにするためには頑張っていただかなきゃならない。
 新委員長のもとで非常に今意気盛んにこれに取り組まれんとしておりますけれども、いかんせんマンパワーの絶対量というものについてはなお非常に不足の状況でございまして、これについては委員各位の御理解を得て、我々、関係当局に折衝をして一日も早く充実したものにしてまいりたい、このように考えておるところでございます。
 SECのことでございますけれども、私は、実は私的な懇談会ということで二十一世紀の金融システムということを考えまして、今こういう問題についての専門家の方々にいろいろ意見を徴する機会がありますが、まだ始まったばかりでございますが、その一部からは、やっぱりアメリカの体制は時代おくれというようなことを発表される委員も正直言っておりまして、これはやっぱり商品が複合的なものになっている、金融商品がいろいろな側面を持つ複合的なものになっているというようなことであるとか、あるいは企業そのものが金融コングロマリット化しているというようなものに必ずしも対応できていないんじゃないか。そういうものに比べると、まだスタートしたばかりでその成果を比較するわけにはいかぬけれども、イギリスのようなものの方がやっぱりフィットしているんじゃないかというような意見も聞かされているわけです。
 これは、何も根回しとか何もしているわけじゃありませんけれども、そういうようなことで、たまたまでしょうけれども、私どもここで何回も言わせていただいたラインと大体同じようなことも聞くわけでございまして、そういうことでこれからなお検討はしてまいりますけれども、当面、我々の意見はそういうものであるということを申し上げさせていただきます。
#290
○椎名素夫君 終わります。
#291
○委員長(山下八洲夫君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
    ─────────────
#292
○委員長(山下八洲夫君) 委員の異動について御報告いたします。
 本日、金田勝年君が委員を辞任され、その補欠として三浦一水君が選任されました。
    ─────────────
#293
○委員長(山下八洲夫君) 本案の修正について峰崎直樹君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。峰崎直樹君。
#294
○峰崎直樹君 私は、民主党・新緑風会を代表して、租税特別措置法等の一部を改正する法律案に対し修正の動議を提出いたします。その内容は、お手元に配付されております案文のとおりでございます。
 これより、その趣旨について御説明申し上げます。
 現在、我が国の証券市場改革の最大の課題と言われる個人投資家の市場参入の促進については、言うまでもなく、証券市場の信頼回復、透明性向上、株主重視の企業経営などのインフラの改革が不可欠であり、証券税制のみで貯蓄から投資に資金の流れを変えるものではありません。市場の透明性向上の観点からは、民主党が提案しているように、まず米国SEC並みの独立性と監視体制を持つ証券取引委員会を設けることが望まれます。こうしたインフラの上に、証券税制の見直しについては、第一に、短期的な株価対策ではなく、市場の信頼性や透明性の向上と整合的であること、第二に、金融資産に係る所得課税の公平を実現すること、これが改正の基本的な方向性であるべきだと民主党は従来から主張してまいりました。
 この意味で、本改正案のうち、恒久税制と言うべき申告分離一本化、税率の引き下げ、譲渡損失の繰越控除については、私たち民主党が昨年秋以来主張してきた内容と同一であり、むしろ政府・与党の対応が遅きに失した感はあるものの、当然の改正であると考えます。
 しかし、他方、同法案では、取得費の特例、百万円の特別控除の特例の延長、そして緊急投資優遇措置と称する非課税措置の創設など、法改正の本来の目的から逸脱した筋悪で的外れの株価対策、思いつきの対策としか言いようのない項目も含まれております。特に、緊急投資優遇措置については、短期的には買い誘引にはなるものの、実際に非課税が適用される時期になれば当然売り誘引になり、個人投資家にとってリスク低減の観点から望ましいとされる長期的、安定的な投資への誘導策とはなっておりません。むしろ、同一銘柄の回転売買による証券会社の手数料稼ぎなど、政策目的とは無関係の取引に利用される可能性も大きいと言わなければなりません。
 このため、民主党は、特に逸脱の甚だしいこの緊急投資優遇措置について、これを削除することが望ましいと考え、本修正案を提出することといたしました。
 次に、修正案の内容の概要を申し上げます。
 本修正案では、改正案中、特定上場株式等に係る譲渡所得等の非課税に関する租税特別措置法第三十七条の十四の二を削るとともに、これに伴う所要の規定の整理を行うことといたしております。
 以上が修正案を提案する理由であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いし、趣旨の説明を終わります。
#295
○委員長(山下八洲夫君) これより原案並びに修正案について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#296
○大門実紀史君 私は、日本共産党を代表して、政府提出の租税特別措置法改正案並びに民主党提案の修正案に反対の討論を行います。
 政府提出案は、小泉内閣の骨太方針で掲げられている証券市場の構造改革に基づいて提案されているもので、低迷する株価を下支えし、千四百兆に上る個人の金融資産を株式市場に誘導するため、株式譲渡益課税を思い切って減税しようというものであります。
 しかし、株式市場の活性化、発展は、市場の信頼性の確保や証券業界の体質の改善によってこそ実現できるものであり、税の優遇によって一般国民を株式市場に参加させようとすることは本末転倒であります。
 また、本改正案に盛り込まれた優遇措置の内容は、源泉分離課税は廃止するものの、税率の引き下げ、損失繰越控除制度の創設など破格の優遇となっております。とりわけ一千万円までの株式譲渡益を非課税とする緊急投資優遇税制は、全く異例の優遇措置と言わなければなりません。結局、本法案は証券市場の活性化には役に立たず、勤労者にかかる所得税と比較して、キャピタルゲインに対する大幅な減税を行うことにより、税の不公平をますます拡大するものであります。
 また、民主党提案の修正案は、緊急投資優遇措置を削除する点では一定の改善ですが、その他の優遇措置はそのまま残しており、賛成することはできません。
 以上の理由から、政府提出案並びに民主党案に反対することを述べ、討論といたします。
#297
○委員長(山下八洲夫君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 それでは、これより租税特別措置法等の一部を改正する法律案について採決に入ります。
 まず、峰崎君提出の修正案の採決を行います。
 本修正案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#298
○委員長(山下八洲夫君) 少数と認めます。よって、峰崎君提出の修正案は否決されました。
 それでは次に、原案全部の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#299
○委員長(山下八洲夫君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#300
○委員長(山下八洲夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時六分散会
ソース: 国立国会図書館
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