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2001/11/21 第153回国会 参議院 参議院会議録情報 第153回国会 共生社会に関する調査会 第3号
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2001/11/21 第153回国会 参議院

参議院会議録情報 第153回国会 共生社会に関する調査会 第3号

#1
第153回国会 共生社会に関する調査会 第3号
平成十三年十一月二十一日(水曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
   委員の異動
 十一月十九日
    辞任         補欠選任
     神本美恵子君     鈴木  寛君
 十一月二十日
    辞任         補欠選任
     鈴木  寛君     岩本  司君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    会 長         小野 清子君
    理 事
                有馬 朗人君
                清水嘉与子君
                田浦  直君
                渡辺 孝男君
                吉川 春子君
    委 員
                有村 治子君
                大仁田 厚君
                大野つや子君
                小泉 顕雄君
                後藤 博子君
                段本 幸男君
                中原  爽君
                山下 英利君
                岩本  司君
                岡崎トミ子君
                郡司  彰君
                小宮山洋子君
                平田 健二君
                弘友 和夫君
                山本 香苗君
                林  紀子君
                田嶋 陽子君
                高橋紀世子君
   副大臣
       法務副大臣    横内 正明君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局家庭局長   安倍 嘉人君
   事務局側
       第三特別調査室
       長        岩波 成行君
   政府参考人
       内閣法制局総務
       主幹       石木 俊治君
       宮内庁次長    羽毛田信吾君
       警察庁生活安全
       局長       黒澤 正和君
       警察庁刑事局長  吉村 博人君
       法務省矯正局長  鶴田 六郎君
       法務省人権擁護
       局長       吉戒 修一君
       厚生労働省雇用
       均等・児童家庭
       局長       岩田喜美枝君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○共生社会に関する調査
 (共生社会の構築に向けてのうち児童虐待防止
 に関する件)

    ─────────────
#2
○会長(小野清子君) ただいまから共生社会に関する調査会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨二十日、鈴木寛君が委員を辞任され、その補欠として岩本司君が選任されました。
    ─────────────
#3
○会長(小野清子君) 共生社会に関する調査のうち、「共生社会の構築に向けて」を議題といたします。
 本日は、児童虐待問題に関する件について、警察庁、法務省及び最高裁判所当局から順次説明を聴取し、その後、質疑を行うことといたします。
 なお、説明、質疑及び答弁のいずれも着席のままで結構でございます。
 まず、警察庁より説明を聴取いたします。警察庁黒澤生活安全局長。
#4
○政府参考人(黒澤正和君) 警察といたしましては、児童の生命、身体を守るとともに、当該児童の精神的な立ち直りを支援することによりまして問題行動に走ることを防止するという観点から、児童虐待問題を少年保護対策の最重要課題の一つとして位置づけ、これまでも取り組みを強化してきたところでございますが、昨年十一月に施行されました児童虐待の防止等に関する法律の趣旨を踏まえまして、適切な対応に努めるなど、さらに積極的な取り組みを行っておるところでございます。
 そこで、警察における児童虐待の取り扱いの現状と取り組みに当たって留意している事項について御説明申し上げます。
 資料をごらんいただきたいと思いますが、まず児童虐待事件の検挙状況でございます。本年上半期、一月から六月までに都道府県警察で検挙いたしました児童虐待事件は九十四件、前年の同時期と比べますと同じ件数でございますが、九十四件。検挙人員にしますと百八人、五人のプラスになっております。被害児童数が九十七人でございまして、前年同時期と比べますと三人の増加でございます。
 これを罪種別で見てみますと、傷害が三十三件、約三五%。殺人が、未遂を含めてでございますが、十九件で二〇%でございます。傷害致死が十三件、約一四%。保護責任者遺棄、致死罪を含めてでございますが、八件でございまして約八%。そして、児童福祉法違反が七件、約七%などとなっております。一方、死亡した被害児童数でございますが、三十一人でございまして前年同時期と比較をいたしますと十一人の増加となっております。
 加害者の方でございますが、罪種別、被害者との関係別の状況を見てみますと、実母が四十三人と最も多くなっております。約四〇%でございます。次いで実母とそれから内縁関係にある者が二十二人、約二〇%。養父、継父、これが二十人、一八・五%。実父が十四人、一三%などの順となっております。昨年同時期と比較いたしますと、実母が十二人、養父、継父が八人と増加をいたしておるところでございます。
 それから、被害児童の年齢別で見てみますと、一歳未満が十六人、一六・五%と最も多く、次いで二歳と三歳がそれぞれ十二人となっております。約一二%でございます。一歳が九人、約九%でございますが、このような状況となっておりまして、六歳までの被害児童で見てみますと六十三人でございますので、約六五%ということで、六歳までの被害児童が高い割合を示しておる状況でございます。
 検挙事例といたしまして、例えば生後九カ月の息子がミルクを与えても受け付けず泣きやまなかったことなどから、乳児の腹部付近を足で踏みつけ内臓破裂で死亡させた母親を殺人で逮捕したもの、あるいは、日ごろから懐かない三歳の娘が、外出の際に支度が遅いことに激高いたしまして殴るけるの暴行を加えて死亡に至らしめた父親を傷害致死で逮捕したものなどなどがございます。
 また、平成十二年、これは一年間でございますが、平成十二年に警察の少年相談に寄せられました児童虐待に関する相談は千三百四十二件でございまして、統計をとり始めたのが平成六年でございまして、当時と比べてみますと十一倍の件数となっております。
 次に、児童虐待に対する取り組みに当たって留意している事項について申し上げます。
 冒頭でも申し上げましたが、警察といたしましては、児童虐待問題の重要性にかんがみまして取り組みを強化してまいったところでありますが、法の施行に伴いまして、次に述べますような諸点に留意しつつ、児童虐待の適切な対応についてより一層努力をいたしておるところでございます。
 その一は、児童虐待の早期発見と通告であります。
 法の五条では、「児童の福祉に職務上関係のある者は、児童虐待を発見しやすい立場にあることを自覚し、児童の早期発見に努めなければならない。」旨規定がなされておりますが、警察職員もこれに該当するわけでございます。また、同法六条におきましては、児童虐待を受けた児童を発見した者に対しては児童相談所等への通告義務が課されております。こういった規定の趣旨を踏まえまして、組織全体として児童虐待事案の早期発見の徹底を期するとともに、児童虐待を受けた児童を発見した場合には速やかに児童相談所等に通告することといたしております。
 そのためには、警察職員一人一人が児童を被害者とする事案等の捜査、街頭補導、少年相談、泣訴事案の取り扱い等の各種警察活動に際しまして、児童虐待事案の伏在を念頭に置きまして職務の執行を行い、児童虐待に係る情報の把握や早期発見に努力をいたしておるところでございます。
 また、児童虐待に該当するか必ずしも明確でない事案に関する情報でありますとか、児童虐待事案の認知につながり得る情報を警察職員が入手した場合には、たとえ断片的情報であっても確実に関係機関との連携の窓口となっております少年部門に伝えることといたしております。情報を集約した少年部門では、児童相談所等の関係機関と連絡を取り合いまして、児童相談所の調査活動等と連携し、児童の保護を最優先とした適切な対応に努めることといたしております。
 なお、早期発見の事例では、少年補導職員が駅構内で家出中の中学二年の男児を補導したことから、両親による保護の怠慢が判明した事案がございます。
 その二は、児童相談所長等による立入調査等に対する警察官の援助であります。
 従来から児童相談所長等による立入調査、一時保護等に際しましては、必要に応じまして警察官の支援が行われていたところでありますが、法の十条で、児童相談所職員等による児童の安全確認、立入調査、または一時保護に際しての警察官への援助要請が規定されておるわけでございまして、この規定の趣旨を踏まえまして、援助を求められた場合には、警察の責務と権限に基づきまして児童相談所職員等の職務が円滑に行われるよう適切な援助に努めているところでございます。
 なお、昨年の十一月二十日でございますが、法施行から本年十月末日までの間の十条に基づく警察官による援助の実施につきましては、都道府県警察から百二十三件の報告を受けております。
 その三は、児童の適切な支援等であります。
 児童相談所等の関係機関との適切な連携と役割分担のもとで少年相談専門職員、少年補導職員等による児童のカウンセリング、保護者に対する助言、指導、家庭環境の調整等の支援を的確に実施いたしているところであります。また、児童を保護する観点からも、関係部門が緊密に連携し、事件として取り扱うべき事案につきましては適切に事件化を図っているところであります。
 なお、保護事例としては、けがをした五歳の女の子を診察した医師からの通報を端緒に、病院、児童相談所等と連携し、法律に基づく一時保護等の援助活動を実施し、その後所要の捜査を行い、実父を傷害で逮捕した事案等がございます。
 その四は、体制の充実強化と関係機関との連携の強化でございます。
 児童虐待の早期発見及び児童虐待を受けた児童の迅速かつ適切な保護を行うため、少年サポートセンターを中核とする被害児童に対する保護体制等を充実強化するとともに、法四条一項にございます関係機関及び民間団体の連携強化の規定の趣旨を踏まえ、現場において児童相談所を中心としたネットワーク等に積極的に参加しているほか、警察が主体となった被害少年支援ネットワークも構築することなどにより、それぞれの機関と役割を確認し合い、関係機関がその特性を生かして持てる機能を十分に発揮することができるよう、実質的かつ効果的な連携の強化に努めているところであります。
 具体的には、例えば大阪府警では、関係部門間の連携及び関係機関、団体等との連携を強化し、児童虐待事案への対応に万全を期するため、専門ユニットとして児童虐待対策班を設置いたしているところでございます。また、関係機関の連携事例としましては、三重県において、県の福祉部、五つの児童相談所及び警察本部少年課の七機関の間で、警察からの通告及び警察官の援助について県内レベルで統一した対応を行うことを確認していることなどがあります。
 さらに、保護事例としては、児童相談所、学校、教育委員会及び警察が中学生の男の子の保護を目的としまして少年サポートチーム会議を開催し、申し合わせた手順に従って保護した事例がございます。
 その五は、職員に対する指導教育でございます。
 警察職員一人一人の児童虐待の認知及び対応能力を向上させるために、児童虐待防止法の内容、運用上の留意事項等につきまして警察職員全員に資料を配付するとともに、集合教育、随時の指導、巡回教育等、あらゆる機会を活用して指導教育を行っているところであります。
 さらに、児童の保護及び保護者への支援を担当する少年相談専門職員、少年補導職員及び少年係の警察官等に対しては、カウンセリング技術に関する教育など、児童虐待問題に関する専門的な知識、技能の向上のための教育を実施しているところでございます。
 以上、申し上げましたとおり、警察といたしましては、今後とも、法の目的、趣旨を踏まえ、児童の保護の万全を図るためにより一層児童虐待問題への適切な対応に努めてまいる所存でございますので、よろしくお願いをいたします。
 以上でございます。
#5
○会長(小野清子君) ありがとうございました。
 次に、横内法務副大臣。
#6
○副大臣(横内正明君) 法務副大臣の横内でございます。児童虐待問題に対する法務省の取り組みについて御報告をさせていただきます。
 まず、児童虐待の現状について簡単に御説明をさせていただきます。
 法務省の人権擁護機関におきましては、人権侵害の疑いのある事案を認知した場合には、その事実の有無を確認するために調査を行い、その調査結果に基づいて事案に応じた適切な処理を行っているわけでありますけれども、最近五年間の児童虐待に関する人権侵犯事件として受理した件数を見ますと、平成八年は二百四十件、平成九年は四百十七件、平成十年は四百九十六件、平成十一年は五百九十二件、そして昨年は六百三十四件となっておりまして、年々増加していることが認められます。また、刑事事件として取り扱われる児童虐待事件も多発しておりまして、先ほど警察庁から御説明がありましたようないろいろな痛ましい事件が後を絶たないわけでございます。
 法務省といたしましては、従来からこのような児童虐待を看過することができない重要な人権問題だというふうにとらえまして、刑事事件については適切に処理するということは当然でございますが、児童虐待の解消のための取り組みを行ってまいっております。とりわけ、児童虐待防止法が施行されたことに伴いまして、さらに取り組みを強化した点もありますので、今後の取り組み予定とあわせて御説明をさせていただきます。
 まず一点目といたしまして、児童虐待の事案が刑法上の傷害罪、暴行罪、殺人罪等の刑罰法規に当たる場合には、検察当局において、警察と連携の上、事案に応じて適切な捜査の処理及び科刑の実現に努めているところでございます。
 また、児童虐待防止法において児童虐待の早期発見及び迅速かつ適切な保護を行うための規定が設けられておりますので、同法の趣旨を踏まえて、関係諸機関とも緊密な連携を保ちながらこの種の事案に対処することが必要であると考えております。
 今後とも、刑事事件として処理すべき事案につきましては、検察当局において、法と証拠に基づき万全に対処していく所存であります。
 二点目といたしまして、人権擁護機関における取り組みについての御説明をさせていただきます。
 法務省では、人権擁護局を中心に、法務局と地方法務局に人権擁護部、また人権擁護課というものが地方に置かれておりまして、また人権擁護委員の方々が人権擁護のための活動を行っております。そして、児童虐待を含めた子供に対する人権侵害に関しましては、人権擁護委員の中から特に六百名の方を選任いたしまして子どもの人権専門委員という形で委嘱をしております。この方々を中心に子どもの人権一一〇番という電話相談窓口を設ける、さらには子どもの人権相談所というものを設けたりいたしまして早期発見に努めるとともに、児童虐待事案を認知した場合には児童相談所等の関係機関と連携協力してその解決に努めているところでございます。
 具体的な事例の一部を添付資料として御紹介をさせていただいております。
 また、一般的な啓発活動も行っておりまして、例えば啓発ポスターを年十万部作成するとか、あるいは児童虐待をテーマとした人権啓発映画を作成して配布するというような啓発活動も行っております。
 今後の取り組みといたしましては、さらなる啓発活動に努めますとともに、児童虐待の早期発見と早期解決に資するため、子どもの人権専門委員による子どもの人権一一〇番などの人権相談体制をより一層推進していきたいと考えております。また、具体的な児童虐待事案を認知した場合においては、児童相談所に通告するとともに、人権擁護機関の立場からも虐待を受けた児童の救済が図られるように、加害者や関係者に対する個別的な人権尊重思想の啓発を行うなど、より一層これらの取り組みを強化していきたいと考えております。
 なお、法務省に設置されております人権擁護推進審議会というものがございますけれども、これが本年五月に人権救済制度のあり方について答申をしていただきました。児童虐待ももちろん含みますけれども、虐待についてより実効性の高い救済手続を整備するという答申がされておりまして、法務省としても、この答申を受けて次期通常国会に法案が提出できるように新たな人権救済制度を確立する準備をしているところでございます。
 三番目に、児童虐待に関する調査研究でございますけれども、従来から法務省の研究機関で法務総合研究所というものがございますが、児童虐待に関する研究を行っております。とりわけ、平成十二年度には被虐待経験のある少年院在院者に対する資料を得ることを目的として、全国の少年院に在院する者を対象に被虐待経験の有無について現状把握のための調査を実施いたしました。その結果、少年院在院者のうち何らかの虐待を受けた経験のある者が約半数に及んでいるということや、虐待を受けたときに家出とか飲酒、薬物使用等の問題行動に至る者が少なくないというようなことが明らかになりまして、児童虐待が少年非行、少年犯罪の大きな原因になっているということが明らかになってきております。
 今後の取り組みといたしまして、一般の人々を対象とした児童虐待経験の有無等に関する調査の実施も予定をしております。
 こうした調査研究を通じて、被虐待経験と非行との関係など、虐待が被害者に及ぼす影響について分析することによって、児童虐待の経験のある少年院在院者に対する処遇のあり方や加害者に対する啓発、矯正教育のあり方等を検討する際の基礎的な資料にできるものと考えております。
 以上のとおり、法務省といたしましては今後とも児童虐待の防止に、より一層努めてまいる所存でございます。
 以上です。
#7
○会長(小野清子君) ありがとうございました。
 次に、最高裁判所事務総局安倍家庭局長。
#8
○最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君) それでは、家庭裁判所における児童虐待に対する取り組みについて御説明させていただきたいと思います。
 柱は二つから成っておりまして、一つは事件処理という関係からの対処でありますが、いま一つは処理体制の整備といった観点のことになるわけでございます。
 まず、一番目の柱ですが、家庭裁判所における児童虐待の接点は大きく分けて三つほどあろうかと思いますが、一つは家事調停事件等における問題でございます。
 家庭裁判所におきましては、一般的には児童福祉法二十八条事件や親権喪失宣告事件が児童虐待の中心的な事件と言われているわけでございますけれども、離婚あるいは親権者の変更、面接交渉などの家事調停事件におきましても調停委員が当事者から事情を聴取する中で児童虐待がうかがわれるような事情があらわれたり、あるいは家裁調査官が調査をする中で虐待を明らかにする場合が少なくないような状況でございます。現に、子供の福祉をめぐる事件は最近の傾向を見ましても増加の傾向をたどっているわけでございまして、こういった家事調停事件の中で児童虐待がうかがわれる事案もふえてきている状況にあるところでございます。
 こういった事案に対する家裁の対処でございますけれども、調停委員がその調停の進行過程におきまして児童虐待がうかがわれるような問題状況を知った場合には、速やかに裁判官と評議をした上で、家裁調査官による調査を実施して、その調査の結果を踏まえて実情に即した解決を図るよう調停を進めているところでございます。また、事案によって児童相談所の関与が必要であるといった場合においては、連携をとって解決を図っているという状況でございます。
 例を若干御紹介いたしますと、離婚調停の進行中に、相手方である夫が長女に対して性的虐待を行っていたことがうかがわれたような事案がありまして、このような中で、夫は当初認めたがらない姿勢を示していたわけでございますけれども、調停委員会の説得を受けまして夫は観念をいたしまして、その結果、その長女の親権者を母親である妻とすることで離婚調停が成立した事案。そしてさらに、その事案においては、夫がさらに長女につきまとうようなことがあれば警察や関係機関に相談するよう助言した扱いをしたようでございます。
 さらに、女の子供を連れ去った父親に対して、母親から子の引き渡しと監護者の指定を求める、こういう事案があったわけでございますが、この事案においても、父親の子供に対する性的虐待のおそれがあったことから、児相と連携をとりまして、一時保護をした上で母親を監護者に指定した事例であったようでございます。以上が家事調停における児童虐待の問題でございます。
 次に、児童福祉法二十八条事件における対処の関係でございますが、この二十八条事件は、御承知のとおり、保護者がその児童を虐待し、著しくその監護を怠り、その他保護者に監護させることが著しく児童の福祉を害する場合において、児童を児童福祉施設等に入所させるなどの措置について保護者が同意しない場合は、児相所長の申し立てによって、家庭裁判所はその措置をとることを承認する審判を行うことができるとされているところによるものでございます。
 統計的な状況につきましてはお手元の資料をごらんいただきたいと思いますが、後ろから二枚目でございます。二十八条事件の状況は、平成元年は十四件でございましたが、平成六年ごろから増加に転じまして、平成十二年には百四十二件と、平成元年の約十倍という数値になっているところでございます。そしてさらに、児童虐待防止法が施行された昨年十一月二十日以降ことしの十月末までの受理事件を速報値で見ますと、百五十九件という数字を示しているところでございます。
 また、二十八条事件の審理の結果でございますが、平成十二年の既済件数は百四十二件でございます。その内訳は、認容が百一件、却下六件、取り下げ三十五件という状況でございます。
 このような事件についての家裁の対処につきましては、お手元の資料、後ろから三枚目の流れ図をごらんいただきたいと思います。
 まず、この事件の処理につきましては、特別家事審判規則という規則におきまして、親権者等の陳述を聞くことと十五歳以上の児童の陳述を聞くこととが定められているところでございます。具体的に事件の申し立てがありますと、大方の地方におきましては直ちに家裁調査官が児相の担当者に面接をいたしまして、その当該事案の緊急性でありますとかあるいは問題の概要について説明を受けているのが実情でございます。そして、その後の審理におきましては、家裁調査官の調査が重要なウエートを占めているわけでございまして、親権者等の監護の実態や子供の現況を明らかにしていくわけでございますけれども、この調査自身が機動性を必要とするし、さらに多角的な調査を必要とするといった関係から、通常は複数の家裁調査官が共同して担当しているのが状況でございます。
 これを少し具体的な流れに沿って御説明を申し上げますと、調査対象は多岐にわたるわけでございますけれども、まずは児相の関係者から事情を伺うことが最初に行われる作業だろうというふうに考えております。さらに、病院に入っている場合には病院の関係者から、あるいは学校については学校の教員等から事情を聞く、さらに施設に入っている場合には施設の関係者から事情を聞くといった、いわば外回りの状況調査がまず最初に先行いたします。そして、それを受けまして、保護者の面接を行っていくということになるわけでございます。そして、最終段階において児童から面接をするということになるわけでございますけれども、児童が年少のため等によって言葉でうまく説明できない場合が少なくないわけでございまして、こういった場合には、心理テストを活用するなどして児童の内面についての理解の補助としているところでございます。
 このような家裁調査官の調査を行った上で、通常の場合は、裁判官が尋問期日を開きまして、裁判官が直接児相の担当者でありますとか児童の保護者から事情を伺うなどいたしまして、これらを総合して施設入所を承認するかどうかを決定しているのが状況でございます。
 典型的な例を御紹介申し上げますと、実母が児童に対して満足な食事を与えないで、飲酒の上、暴言、暴力を振るう、しかも登校を禁じて外出も規制していたと。こういったところから、児童が学力の顕著な遅滞を見せまして、さらに対人不信、あるいは社会性の欠如が見られた事案におきまして、児相が相当指導したようでございますけれども、実母がその指導をかたくなに拒否し続ける、そして児童の不登校の状況にも改善が見られないと。こういったところから、児相から、児童を一時保護した上で家裁に二十八条の申し立てがされた事案がございました。
 この事案におきましては、家裁調査官による共同調査体制を組みまして、児童のほか、学校の担当教師、児童の入所施設の職員、母親、母方祖父母の面接調査を行った上で認容をする決定をした事案でございました。
 三番目の事件との接点は、親権喪失宣告事件における対処でございます。この事案は、父または母が子を虐待するなど、親権を乱用し、または著しく不行跡であるときは、家庭裁判所は、子の親族、検察官または児相所長の申し立てによって、父母の親権を喪失させる審判を行うことができるとされているところによるものでございます。
 事件の状況は、これもお手元の資料に表がございますけれども、平成十二年には百八件ということでございまして、多少出入りはございますけれども、おおむね横ばいの状況にあるところでございます。審判の結果につきましては、平成十二年は既済件数百九件のうち、認容が十三件、却下が十一件、取り下げ八十二件、その他三件となっているところでございます。
 この事案におきましても、家庭裁判所におきましては、二十八条事件と同様に、審判官の審問や家裁調査官の調査を経まして、親権喪失の適否について判断をするという状況でございます。
 事案として一つ御紹介を申し上げますと、単独親権者である母親が内縁の夫とともに子供に対して、その身体をライターであぶるなどの傷害を負わせたということから、児相が母と内縁の夫を刑事告発いたしまして傷害罪で逮捕、起訴したと。実刑判決になったわけでございますけれども、母の仮出所後も子供の監護については不適切であるということから、児相が親権喪失宣告を申し立てをして認容された事案があったところでございます。
 以上が家庭裁判所の事件の接点における対処でございますが、これらを包摂した家裁における取り組み体制、処理体制の関係から若干御説明をしたいと思います。
 まず、処理の具体的な仕組みの問題でございますけれども、各家庭裁判所におきましては、児童虐待関係事件につきまして速やかに裁判官による審問を行ったり、家裁調査官の共同調査の体制をとることなど、手続の進行の基本方針について申し合わせを行うなどして、迅速かつ適正に対処できるように体制を整えているところでございます。
 また次に、研修等の関係でございますけれども、まず、家裁調査官がかぎを握っているわけでございますが、家裁調査官につきましては、本年十月に全国五十庁の家裁調査官を集めまして児童虐待についての特別研修を行ったところでございます。ここでは、事例研究を行うほか、児相関係者とのパネルディスカッションを行うなどいたしまして連携のあり方について意見交換を行ったところでございます。
 さらに、家裁調査官の関係では関係機関実務研究という形をとりまして、家裁調査官数人が各地の児童相談所に参りまして、ここで数日間実務を実地に見聞をいたしまして研修をする、こういった試みを行っておるところでございます。
 さらに、その他の裁判官あるいは調査官、書記官の研修協議会においても児童虐待問題を取り上げているところでございまして、さらに、家事調停委員につきましても協議会や研修会で児童虐待についての問題を取り上げているところでございます。
 三番目に、関係機関との連絡協議会等の関係でございますけれども、従来から家庭裁判所は児相ほかの関係機関との協議会を行ってきたわけでございますけれども、本年度におきましては通達を出しまして全国五十庁の家庭裁判所において児童虐待に特化した協議会を持つことといたしたところでございまして、既に行われているところがございまして、お手元の資料にはその一部の紹介記事が載っているところでございます。
 最後に、虐待防止ネットワークへの参加の関係でございますけれども、最近、各地の自治体におきまして児童虐待防止のネットワークを構築したり連絡会議を開催するなどしているところでございますが、家庭裁判所におきましてもこのネットワーク等に家裁調査官などを派遣いたしまして親子関係をめぐる問題について、従来かかわってきた経験を踏まえて地域の虐待防止対策に協力、参画しているところでございます。
 以上が、家庭裁判所の事件処理そして処理体制の面における取り組みでございますけれども、痛ましい児童虐待の事例が後を絶たない現状にありまして、私自身も心痛む思いがしているところでございます。いわば自分で身を守ることができない、あるいは抵抗力が弱い子供に対する大人による侵害行為であるわけでございまして、児童虐待は大人社会全体の問題として関係機関が英知を絞って考えていかなきゃいけないテーマだろうと考えているところでございます。
 家裁といたしましても、司法機関という立場において迅速適切な対処ができるようさらに努力していくことはもちろんでございますけれども、これに加えまして地域の関係機関との密接な連携の中で適切な協力をしてまいりたいと考えているところでございます。
 以上でございます。
#9
○会長(小野清子君) ありがとうございました。
 以上で説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#10
○山下英利君 自由民主党の山下でございます。
 前回、今回と続きまして、今の児童虐待について関係の五省庁の皆さんからるる御説明をいただいているところでございますけれども、きょうは私もこの現状のファクトファインディングという観点から警察庁の現状について御質問をさせていただきたい、そのように思っております。
 まず、犯罪を取り締まる立場、そしてまさに犯罪が起きる前に、未然に防ぐ立場という意味から、警察庁の方の御努力を御説明いただきたいと思っているところなんですが、早期発見、早期対応という点から考えて、警察の児童虐待における情報の把握そしてそれに伴う初動の態勢というところで、他の行政機関と連携をされている状況についてちょっと細かく御説明いただけますでしょうか。
#11
○政府参考人(黒澤正和君) 先ほども申し上げましたが、児童虐待への対応が適切になされるためには、委員御指摘のとおり、早期対応というのは大変重要でございますが、警察は児童福祉担当課、児童相談所、医療機関、教育機関等の関係機関とのネットワークによる連携が図られることがそういった意味でも大変重要であると認識をいたしておるところでございます。
 したがいまして、中央レベルで警察庁では、厚生労働省、法務省等関係省庁と児童虐待への対応や都道府県警察と児童相談所等関係機関との協力について必要に応じ協議を行っておりまして、これを受けまして府県のレベルで府県警察では、現場におきまして児童相談所を中心としたネットワーク等に積極的に参加するとともに、警察が主体となった被害少年支援ネットワークもございまして、そういったものも構築するなどしまして、それぞれの機関と役割を確認し合いまして、関係機関がその特性を生かして、その持てる機能を十分に発揮することができるよう実質的かつ効果的な連携の強化に努力しているところでございます。
 先ほども申し上げましたけれども、各執行務を通じていろんな事案、いろんな仕事の中で、やはり早期にこの種事案を発見する、それから特に関係機関との連携においては夜間、休日といいますか、宿直時間帯といいますか、そういったときの連携というのも早期対応の観点から大変重要かと思っておりまして、そのような意味では具体的な連携、まさにそういった夜間、休日の対応などにつきまして現場では緊密な連絡系統をつくるべく努力をしておるところもございます。
 以上でございます。
#12
○山下英利君 ありがとうございます。
 今の御説明の中で、ちょっとお聞きをしたいんですけれども、この虐待防止の法律の中に、警察が連携する際に児童相談所等との事前協議というふうにうたってあるわけなんですけれども、今まさに御説明ありましたように、速やかに対応するというところなんですが、例えばこれは協議通告ができない場合がありますね、児童相談所と連絡がとれない、そういったときには警察は独自の判断で行動をされるんでしょうか。
#13
○政府参考人(黒澤正和君) 事案によりケース・バイ・ケースでございますけれども、やはり国民の生命、身体、財産を守る、そしてまた特に児童につきましてはやはりそういった心のケアの問題等もございまして、私どもは事件に該当するという案件であれば、それは事件として対応することもあるでしょうし、また事件にならないような案件でも国民の生命、身体、財産を守る、子供を守るという観点から各種の措置、任意の措置も含めてでございますが、事案に応じて適切な対応をする。関係機関、特に夜間、休日等は連絡がとれないようなケースもございますけれども、そういった場合には、今申し上げましたようにケース・バイ・ケースとしか言いようがないんですけれども、国民の生命、身体、財産を守る、特に子供の保護を最優先するという観点から各種の警察活動を展開する、このように心がけておるところでございます。
#14
○山下英利君 ありがとうございます。
 前回、厚生労働省、文部科学省からも御説明をいただきまして、そういった児童虐待に対するネットワーク、この整備ということにおける警察の役割というものをこのファクトファインディングを通じて改めて認識を固めさせていただきたい、そういうふうに思っているところなのでございます。
 続きまして、きょう警察庁の方からいただいた資料を拝見しておりまして、事件になる前の警察の情報把握状況というものについてお伺いしたいと思っているんですが、少年相談なんかはかなりのピッチで件数がふえている、そういう状態なんですけれども、ここ数年という時系列的にとらえてみると、この件数がふえているというのはいわゆる児童虐待に対するネットワークが強化されてふえてきているのか、それとも社会情勢によってふえてきているのか、その辺が非常に私もなかなか見えないというところがあります。
 後でちょっと申し上げますけれども、各省庁から出てきているいろんな計数を拝見していましても、その計数のベースというのがかなり計数のとり方も違っているようなので、結論から言うと、件数は大変ふえているということはわかります。ただ、そこのところの内容の分析ということはなかなか現状では難しいのではないかなというふうに思っているんですが、警察庁の方から、先ほどお話しした点、ちょっと御説明いただけますでしょうか。
#15
○政府参考人(黒澤正和君) 委員御指摘のとおり、警察の方の相談件数、統計も大変ふえておるわけでございます。
 理由につきましては、いろんなことが考えられるかと思いますけれども、やはり児童虐待に対する国民の関心の高まりの中で、先生御指摘のように、児童虐待に対するネットワーク等、体制の整備や連携の強化が図られている結果も一つの背景、要因としてはあるのではなかろうかと考えておるところでございます。
#16
○山下英利君 ありがとうございます。
 ですから、そのネットワークの整備とそれから実際の社会情勢の対応に追いついているのかどうかというところがやっぱりポイントになろうかと思います。確かに、体制強化における例えば人員の増強とか、そういったお金のかかる問題も当然出てくると思いますけれども、これは全体的に社会情勢がそういうふうにふえているということであれば、それに合う体制を一日も早くつくっていかなければいけないと、そういうふうに私も思うところでございます。
 それに関連しまして、次にちょっとお聞きをしたいのは、この検挙状況を拝見しておりますと、ことしの一月から六月までというところの状況なんですけれども、件数は前年に比べて全体件数は変わっていないというんですけれども、この中の内訳で見ると殺人が増加してその分傷害が減少していると、そのような状況があるんです。これは、平成十二年の状況と比較してどうかという話とともに、その傷害というものが殺人に変化してきていると。最近の事例なんかを拝見いたしますと、やはり親が大分若年化しているという点から見て、要するに切れる親というのが随分ふえている、その結果については警察庁としてはどのような御見解をお持ちですか。
#17
○政府参考人(黒澤正和君) 十二年一年間の児童虐待事件の検挙状況について簡単に申し上げますと、これはやはり十一年一年間の比較で見てみますとかなりふえておりまして、殺人も傷害もふえておるんですが、十二年にふえ、さらに十三年の上半期で見ますと先ほど申し上げましたような状況でございます。
 そういう中で、傷害でありますとか暴行でありますとか、そういったものは、先ほど早期発見ということを申し上げましたけれども、暗数というのはかなりあるんじゃなかろうかと思うんですが、これに対して殺人というのは暗数というのはまず考えられない、全くないわけじゃないんでしょうけれども。そうしますと、やはり殺人は客観的に暗数というものが余り考えられませんのでふえておるのではなかろうかと、こんなふうに考えております。
 その背景、原因でございますが、これまたいろんな背景、要因があろうかと思いますが、先生御指摘になられたような、今の若者はよく切れるということを言われるわけですけれども、今正確な数字を持ち合わせておりませんけれども、この殺人を犯す親、子供が小さいんですから当たり前といえば当たり前なんですが、若い親が多いわけでございます。やや私見も交えて申し上げることになってしまうのかもしれませんけれども、やはり命のとうとさといいますか、あるいはどの程度のことをやればどんな結果になるのか、その辺のところがきちっとわからない面もあるのかなと。それが切れたがためにそういうふうになってしまう、そういう面もあるのかと思いますけれども。
 いずれにいたしましても、いろんな背景、要因が考えられまして、一概に、殺人がふえている理由はこうだということは申し上げられないわけでありますけれども、今、先生御指摘になられた事案によっては、切れる、そういうことで殺人を犯した、あるいは死という結果を招来してしまった、そういう事例もあろうかとは思います。
#18
○山下英利君 ありがとうございます。
 確かに、その相談件数が大変激増していると。その中にあって、検挙の件数自体の伸びというものを比較してみますと、未然に防ぐという力についての御努力をいただいているんだというふうに直感的に感じているんですけれども、まさにそこのところをもっと強化していかなければいけないという問題意識を持っておる次第であります。
 そこで、引き続いてそこの点についてもうちょっとお伺いをしたいんですが、警察の、実際相談を受けてからの、例えば児童相談所なりが一応対応を決定して、その後のフォロー状況、いわゆる援助と申しますか、そこについてちょっとお教えをいただきたい。警察が連携してこういった個別の事案についてそれぞれフォローをされているんでしょうか。
#19
○政府参考人(黒澤正和君) これまたケースによっていろいろございまして、通告を行ってそのままというケースもあるでしょうし、あるいはまたそのネットワークの中で援助の要請を受ける、それから私どもの方でも体制としてカウンセリング、相談等も行える、そういう体制も持っておりますので、事案によっては被害児童のカウンセリングでありますとか、保護者に対する助言、指導も行いますし、さらにまた、これは警察でしかできないことでありますけれども、事案によっては事件化をすると、いろんな対応を行っておるところでございます。
 また、少年サポートセンターというのが各県にできておりまして、そこは他機関ともちろん連携してやっておるわけでございますが、地域によっては警察が中心になっていろんな諸施策を展開しておる、そういうサポートセンターもございまして、そういうようなところでは、特に事案に応じてと言っていいわけですけれども、多様な対応をいたしておるというのが実態でございます。
#20
○山下英利君 ありがとうございました。
 ちょっと時間前なんですが、私の質問はこの程度にいたしておきます。どうもありがとうございます。
#21
○段本幸男君 自由民主党の段本幸男でございます。
 この七月に議員になったばっかりで、全く新人でございますし、また、児童虐待法はここの調査会に入って初めて勉強さしていただきましたから、まだまだ勉強の至らぬ点がありますから少し突っ込みの足りない質問もあるかもしれませんが、御容赦いただいて、各省庁にお伺いしたいと思います。
 児童虐待防止法について、昨年十一月施行されて、警察の件数を見れば最近六年間、十倍以上になっている。わけてもこの一年ぐらいが非常に相談件数がふえている。これは、法の施行に伴う意識効果が高いというふうに言われていますが、きのうの読売新聞を見ても、法施行一年を受けて読売新聞が分析して書いているのは、「児童虐待遠い解決 相談急増 親の指導手回らず」と。恐らく社会の受けとめはまだこんな感じでの受けとめじゃないかというふうに思っています。恐らくこれから各省庁においても、あるいはこの調査会そのものも、なぜこういうことが起こっているのか。むしろ、相談件数がふえているにせよ、それをどう分析して再発防止につなげていくか、こういう意識が特に大事なんではないかと思うんです。
 そういう意識を持ちながら、またきょうも各省全部異口同音におっしゃったのは早期発見、早期にこれを見つけるということが、みずから意思を持たない子供たちを各省いろんな形の網の目の中でどうつなぎとめていくか、このことが非常に大事だというふうに思います。
 そんな意識から各省庁に御質問させていただきたいんですが、まず一件は親権喪失について、これは裁判所の方にお伺いさしていただきたいんですが、児童虐待の根っこについては、最近、離婚件数がふえるとか、いろんな形で二十一世紀社会になって社会の背景が大きく変わってきたんじゃないか。そういう社会の根っこの問題の解決なくして児童虐待の問題は解決していかない、こんなふうな意識を持っています。
 ところが、きょういただいた裁判所の資料によると、親権・管理権の喪失の宣告の資料を見ても、残念ながら新受件数については余り変わらない状況になっている。これは、場合によっては、裁判所というところが非常に、私個人からとっても、裁判所は一度も通ったことないですから、まあ幸い離婚もなかったものですから通うことがなかったんですけれども、取っつきにくい、そういう性格にあるんじゃないかと思います。
 そういうものが、先ほど裁判所の方でも家裁の調査官の特別研修をやっているとかいろんな御努力はあるにしても、まだまだ一般の人たちにとっては取っつきにくい状況なんじゃないか。そういう点を改善していかないと問題の解決につながらないんではないかというふうに思うんですが、その点についての見解を裁判所の方にお伺いしたいと思います。
#22
○最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君) 家庭裁判所は、取り扱う事件の性質から、国民生活に非常に密接に関係する事案を扱うわけでございます。そういった意味合いにおいて、家庭裁判所の裁判官初め職員一同は、できるだけ当事者の方が来やすい、利用しやすい裁判所になるよう、これは窓口の対応を初めといたしまして、事件処理の過程における職員の対応ももちろんでございます、こういった万般につきましてできるだけ当事者の方が来やすいような受け入れ体制をつくっていきたいと、このようなことで工夫をしてきたつもりでございますけれども、まだまだこれは完全とは言えない部分があることは委員御指摘のとおりだろうと思います。
 今後も、この児童虐待の問題のみならず、家庭裁判所が国民の方が利用しやすいものになるように改善、工夫を重ねていきたいと考えているところでございます。
#23
○段本幸男君 ありがとうございました。
 裁判所が係争案件がふえて、とりわけ家裁は職員の皆さんが大変だというふうなことはわかりますが、事がやはり子供の、とりわけ命の問題にかかわっているということを受けて、ぜひ今後ともそういう取り組みを強くやっていただいて、より多くの国民の命が救われるように頑張っていただきたいというふうに思います。
 続いて法務省の方にお尋ねしたいんですが、児童虐待の改善の難しさは、片一方で家庭というプライバシーの保護の問題、こういう保護の問題をどこまで置くかということと、もう一方では、やはり地域全体の中でこの問題が起こらないようにみんなお互いに監視しながらやっていこうじゃないか、こんなふうなこととのかかわり、そのちょうどはざまにあって、どこまでが地域がかかわるべき、いやここはかかわっちゃいかぬのだ、こういうことの判断が非常に難しいんだというふうに思います。
 そのために、防止法において、法第四条に「近隣社会の連帯」というふうな一文が入れられているんだろうと思いますが、こういうふうになってくると、今法務省が管轄されている人権擁護運動、人権擁護委員会、こういうところが、先ほど言ったいろんな問題の芽が出ているときに、そういうものをひっかける手だてとして非常に有効になってくるんではないか、こんなふうに思うわけです。
 きょうの説明の中で、子どもの人権専門委員ですか、こういうのを六百名も設けてやっておられると、こういうふうな説明も受けました。ただ一方では、私らが一般的に受けている人権擁護委員会というのはややもすると近隣の名士の方が委員になられて、以前の村社会の中では非常に機能しやすい形だったかもしれませんが、今みたいに核家族化してそれぞれが動いている、その一人一人の個人の家庭の中になかなか入っていきにくい形のところではそういう機能が従来の形では非常にしにくい状況になっているんじゃないか、こんなことを感じるんです。
 今は、住民運動の中で、NGOの中でそういういろんなものが出てきていると思うんですね、単に旧態依然の組織ではなくて。むしろそういうところに法務省自身が大いに突っ込んでいって、そういう民間の人の力もかりて、要は、みずからの問題をよう発言しない子供たちのことですから、やはり周りの人がこの法四条の趣旨を理解して、法務省が積極的にかかわっていくべきだと思うんですが、その見解を法務省の副大臣にお伺いしたいと思います。
#24
○副大臣(横内正明君) ただいま段本委員から大変に適切な御指摘をいただいたというふうに思っております。人権擁護委員、全国で一万四千人おりまして、それぞれの地域、近隣社会の中で大変に意欲を持って取り組んでいただいているわけでありますけれども、しかし、ややもすれば名誉職的なといいましょうか、そんなような面があるのではないかというふうにも思います。したがって、この人権擁護委員制度についてもこの際やはり基本的に見直していく必要があるんじゃないかというふうに考えております。
 ちょうど今法務省に人権擁護推進審議会というのがあるんですけれども、この審議会でこの人権擁護制度のあり方全般の検討をしているところなんですが、その一つとしてこの人権擁護委員制度の改革についてどういう方向で改革していくかという検討をしている最中でございまして、この年末までに答申がいただけるということになっております。
 従来、人権擁護委員さんというのは市町村長さんに推薦してもらって、それでそれを基本にして選んできたわけでありますけれども、確かにこういう児童虐待の問題とか非常に専門的な、しかも多様化している中で果たしてそれだけでいいのかどうなのか。委員がおっしゃったような、もっとスペシャリストといいましょうか、そういう人もまた選ばれる道をつくる必要があるんじゃないかという御指摘もありますし、そういうことも含めて今後の新しいこの人権擁護委員制度のあり方というものを今検討中ですから、その答申を踏まえて、制度化を委員の御指摘も踏まえて今後検討していきたいというふうに考えております。
#25
○段本幸男君 先ごろの調査会では厚生労働省の方からも児童相談所関係の活動について説明を受けました。やはりそういうものと一体になりながら、地域がよくなっていくために、単に問題の押しつけではなくて、みずからが地域をよくするんだ、こんな意識、私は人権擁護委員会に特に新しい形での活動を期待したいと思っておりますので、ぜひ副大臣も力を入れてやっていただきたい、こんなふうに思っております。
 それからもう一つ、警察の方にお伺いしたいんですが、警察の方でも早期発見であるとか職員意識の徹底であるとかいろんな形で五項目新しい取り組みをやっているというふうな御説明がありました。とりわけ現場警察官にとっては、最近は住民ニーズが物すごく多様化して、何でも警察に持っていけばいい、もういろんな調停があって大変な第一線での状況にあるとは思います。しかし、その第一線の警察官が、ややもすると余りにも多様化された、また一時いろんな形で管理責任が問われるような状況だったものですから、極力民事不介入という精神で長い間携わってきた、そういう意識が今回のような問題の発見をおくらすもと、後手後手になるような状況になっているんではないか、こんなふうなことを感じるんです。
 警察というところは、もちろん我々にとったら、小さいころにお巡りさんに言うぞといって親にしかられたものですけれども、ある意味では悪い意味でありますけれども、ある意味ではいい面でも畏怖、やはり警察は自分たちを守ってくれる、そこに言えば公権力で何かしてくれる、こういうふうな意識があるんだと。その悪い面ばかりを出さずに、むしろいい面を上手にとらまえながら警察が民事にもかかわっていく。要は、子供たちの最後は命にかかわるわけですから、ぜひそういう意識でかかわっていくべきではないか。
 このためには、やはり警察、今いろんな形で地域活動をやろうということで、ついこの間も私のところにも交番のお巡りさんが家族状況とかいろんなのを調べに来られましたが、随分努力されていると思います。さらに輪を広げて、できるだけ相談に行きやすい、一番多分、あそこの家のおやじが相当悪いことをしていて子供たちがけがしそうだというと、やはり警察というのはいろんな意味で守ってくれる、こういう意識があるんじゃないかと思うんです。
 そういうところを生かして、ぜひこれから新しいシステム、また、単に児童相談所に渡せばいいんだということではなくて、警察の中そのもの自身にみずからの専門官、県警の中、県警単位で抱えるのか警察単位か何かわかりませんけれども、要はある単位で、これだけ社会問題になっていて読売新聞に言われるような児童虐待に関して、社会がみんな何かしなきゃいけないと思っているときにその積極的役割を果たしていくべきと思いますが、見解をお伺いしたいと思います。
#26
○政府参考人(黒澤正和君) ただいま御指摘の点でございますけれども、警察改革のときも指摘されたことでございますけれども、やはり民事不介入という誤った姿勢、考え方、これを払拭するということを例えば教養の面でもしておりまして、職員に徹底を図っておるところでございます。
 先ほども申し上げましたように、警察は事件化、これはほかの機関ではできないわけでありますけれども、事件化だけではなくて多様な対応をしておる旨申し上げたところでございます。やはり国民の生命、身体、財産を守るのが警察の責務でございますので、そういった観点から、これは民事だから事件にならないからということで関係ないと、そういうことではないわけでございまして、その辺のところはよく指導、教養も徹底しておるところでございまして、今後とも一層の徹底を図ってまいりたいと思います。
 これは児童虐待もそうでありますけれども、例えばストーカーでありますとかいわゆるDVとか、そういった問題についても同じような点が指摘されることがあるわけでございます。私どもの方では、一昨年の十二月でございますけれども、犯罪弱者といいますか、女性・子どもを守る施策実施要綱というものを制定いたしまして、また児童虐待防止法もできておるわけでございまして、民事不介入というような誤った考えではなくて、国民の生命、身体、財産を守るということで、多様な国民のニーズにしっかりこたえていく。
 もちろん、警察だけですべてができるわけではございませんので、関係機関との連携もより一層緊密にいたしまして、国民の期待、要望にこたえてまいりたい、そのように思っております。
#27
○段本幸男君 ありがとうございました。
 きょう御出席の三省庁のみならず、児童虐待に関しては、一番最後に警察がおっしゃったように、連携しながらやっていくことはもちろんなんですけれども、駆け込まれたときに、別段、いやこれは家庭裁判所だから、いやこれ警察だからと一々わかっていなくて、被害を持っている人はどこかに駆け込んでいるんだと思うんですね。やっぱりみずからのところがそれぞれ責任を持って、ただしいろんなところと連絡はとりながら、自分で解決するんだ、こういう意識がないと、要は子供の非常に弱者をどういう形で素早く解決するかという問題だと思うので、ぜひ三省庁とも引き続きこの読売新聞で期待されている面を、我々調査会もやっていかにゃいかぬと思うんですが、そういうことを期待しまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
#28
○岡崎トミ子君 民主党・新緑風会の岡崎トミ子でございます。よろしくお願いいたします。
 この法律ができる前から、子どもの権利条約というものでこの虐待のことが条文に取り上げられてまいりました。子供の虐待というのは、子供が最も信頼をしている、頼りにしている、あるいは信頼をしている頼もしい親でなければいけないわけなんですけれども、その親から受ける暴力ということになりますので、その結果、命を奪ったりあるいは体を傷つけたり、あるいはまた精神的に深い傷を負うということでございますから、いわば最大の人権侵害だというふうに思います。
 人権あるいは権利というふうになりますと大変かたい表現になってしまいますけれども、子供たちが本当に安全に生きる権利であり、あるいはまた自由に生きる権利であり、また自信を持って生きる権利だというふうに思っています。もちろん子供たちが健康に生きる権利、これが本当に守られていかなければならないと思いますが、それぞれきょうおいでくださいました警察や法務省や最高裁判所の皆さんたちに、この権利条約をどういうふうな形で踏まえているのかについて、それぞれお伺いしたいと思います。
#29
○政府参考人(黒澤正和君) 警察といたしましては、繰り返しになりますけれども、児童虐待は人格形成期にある児童の心身に深刻な影響を及ぼす重大な問題であると認識をいたしておりまして、児童の生命、身体を守りますとともに、児童の精神的な立ち直りを支援することによって問題行動等に走ることを防止するという観点から、この問題を少年保護対策の最重要課題の一つとして位置づけまして、関係機関と連携し、早期発見、適切な対応等に努めておるところでございます。
 今後とも、児童の権利条約の趣旨を踏まえまして、児童の最善の利益というものを考えまして関係機関と緊密な連携をし、さらに適切な措置を講じて児童の保護の万全を図ってまいりたいと存じます。
#30
○副大臣(横内正明君) ただいま警察庁からお話があった点に尽きるわけでありますけれども、さらにつけ加えるならば、この児童虐待に対する対処として大事なのは、言うまでもないことでありますけれども、いろいろなルートを通じてこの早期発見に努めるということが大事だと思います。
 それから二点目としては、いろんな関係機関が関係をするわけでありますから、できるだけそういう関係機関が、先ほど来のお話もありましたように、うまく連携をとって、一緒になってそういった問題家庭なり事案に対応していくという対応が必要だというふうに思っております。
 法務省としても、そういうような基本的なスタンスで、人権擁護を所管する部局として関係機関と一緒になってこの問題に対応していきたいというふうに考えております。
#31
○最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君) 私ども裁判所といたしましては、子どもの権利条約の批准に際しまして、その内容を全国裁判所に通知いたしました。さらに、今回の児童虐待防止法の制定を受けまして、この内容についても全国の高等裁判所、地方裁判所、家庭裁判所に周知を図って、またそれぞれの研修等の機会を通じましてこの法制の理解について周知を図っているところでございます。
 具体的な事件の処理につきましては個々の裁判官の判断事項ではございますけれども、相当周知されたことを踏まえて、各裁判体においてはこの児童虐待防止法の趣旨に沿った運用がされているものと理解しているところでございますし、今後もそのような運用ができるように配慮してまいりたいと考えているところでございます。
#32
○岡崎トミ子君 ふだんから子どもの権利条約をすべての政策に照らし合わせて見るということが大事だというふうに考えておりましたので、各省庁にお聞きしたいという気持ちも込めて、きょう警察、法務省、最高裁判所にお伺いしたわけなんですが、それぞれ持っている経験とかノウハウですとか、そういうものが、専門性が生かされていくということはとても大事だと思います。
 今、それぞれの方がおっしゃってくださったように、連携という言葉を使われておりました。厚生労働省で示されておりますこの中には児童虐待防止市町村ネットワークというのがありまして、発生予防から早期発見、早期対応、保護・指導、アフターケアのところに至るまでどんなふうな形でこのネットワークが組まれていくのかということをまずお聞きしたいものですから、きょうは本当は担当ではなかった厚生労働省においでいただきまして、もう一度このネットワーク、殊にきょういらした方々にどういうことを求めているのかを教えていただきたいと思います。
#33
○政府参考人(岩田喜美枝君) 児童虐待の早期発見、早期対応、またその後の適切なサポート、こういうことをやっていくためには、住民に身近な市町村のレベルで関係の機関、関係の団体が十分連携をとっていくことが必要であるというふうに思っております。
 このような考え方に基づきまして十二年度から予算で措置をしたわけでございますけれども、それぞれの市町村域で福祉事務所、市町村保健センター、警察署、医療機関などの関係機関や民間の関係団体、それらを構成員とする市町村虐待防止協議会を設けていただくということを推進しております。そして、この協議会の中で児童虐待についての情報交換ですとか、不幸にして実際に虐待が起こった場合についての役割分担、連携の仕方などを協議をしていただくということでございます。
 きょう御参加の省庁との関係で申し上げますと、やはり警察署にお入りいただくというのは大変重要でございまして、現に既に設置されているネットワークの半数以上のところに警察が入っていただいております。また、弁護士会ですとか、あるいは会としてというよりも弁護士個人の方がメンバーになっているケースですとか、人権擁護委員がメンバーになっていただいたりということで、警察、法務、そういう分野の関係団体、個人にも参加していただいているケースが少なからずございます。
#34
○岡崎トミ子君 県の単位でもそのネットワークというのができつつありますし、市町村の中にも、まだばらつきがありますけれども、それができつつある。完全に全部でき上がっていないような状況だと思いますが、できつつあるということなんですけれども。
 実は、表に書いてあります早期発見のところに、今おっしゃった機関以外に民間団体、つまりNPO、ここでは子供の虐待防止ということで、例えば一一〇番というような形で子供たちの声を直接、あるいはお母さんの声を直接聞いているところなんですけれども、どうなんでしょうか、保育所の保母さんから、あるいは幼稚園、学校の一番子供と向き合っているところから、実は私たちの声が、現場の声がうまく吸い上げられて、このことを言ってもなかなか児童相談所から家庭訪問が来なかったり、あるいは調査がされなかったりというのがたくさん事例としてこれまではありましたと。ですから、それが本当にこのネットワークの中でシステム化されているかどうか。
 殊に民間団体、入りにくいというふうに言われている無認可の民間の保育所ですとか、そういうところをいかに生かしていくのかということについてはいかがですか。
#35
○政府参考人(岩田喜美枝君) 中央のレベルで協議会は早い段階で設置いたしましたし、またすべての都道府県で設置されております。市町村レベルになりますと、先生御指摘のとおり、今整備されつつあるということでございまして、我々が把握している限りにおいては約五百ぐらいの市町村で既にネットワークができております。また、三百程度の市町村では今まさにつくりつつあるというふうに聞いております。
 五百程度の既にでき上がっているネットワークの構成員を見ますと、ボランティア団体などの民間団体が構成員の中に入っているケースも一六%程度ございます。
 また、先生御指摘のように、日ごろから子供に日常的に接している施設でございますが、例えば保育所ですとか児童養護施設などの児童福祉施設、また幼稚園、小学校などの教育関係の施設、あるいは小児科医などの医療関係の施設、こういう日常的に児童に接しているところにこの協議会の中に入っていただくというのは大変大事なことであるというふうに思います。
 保育所、幼稚園は大変進んでおりまして、保育所が入っているケースが八割近くになっておりますし、幼稚園、小学校も入っております。幼稚園、小学校などがメンバーになっている協議会が全体の六割あるいは七割ぐらいになっておりますので、そういう意味ではそれなりの参画をいただいているというふうに思います。
#36
○岡崎トミ子君 ありがとうございます。
 そこで、それぞれ、私の偏見だったらお許しいただきたいんですけれども、これまで警察あるいは法務省、そして最高裁判所といいますと、NGOとの連携、ネットワークは大枠ではやるし、その中には入るというのはよくわかるんですけれども、そういう連携を強化していかなければいけないと思うんですね。
 今の詳しい事案ではありませんでしたけれども、たくさんそういうところから上がってくるものもありますので、まず、警察はNGOとの連携という点で、そしてこのネットワークの中でどういう働きをするのかということについてお知らせいただきたいと思います。
#37
○政府参考人(黒澤正和君) ただいま御指摘の件でございますが、児童虐待に必ずしも限ったことではありませんけれども、私ども、やはり安全、安心の確保のために、国民の平穏な生活を確保するためには、警察が最大限しっかり安全を確保する仕事をしなければならないのは当然であります。
 しかし、警察だけでは安全というのは確保できないわけでございまして、先ほど来申し上げておりますように、やはり関係機関との連携、特に安全の問題については自治体でありますとか地域住民でありますとか、あるいはその中にNPOでありますとかNGOでありますとか、そういったある分野について必ずしも警察がやり切れないといいますか、やれない部分といいますか、限られた公共財の資源配分の問題でございますので、そこはやはり御指摘のような諸団体とも連携を深めて安全というものを確保していかなければならないということで、特に地域安全活動等で私どもそういったことに留意をしまして、諸施策を現在進めておるところでございます。
 また、児童虐待からやや離れてしまうんですけれども、児童の商業的性的搾取の世界会議が来月行われますけれども、ああいった問題につきましても警察は積極的に参加をいたしまして関係諸団体との連携を深めておるところでございますが、そういったことはこの児童虐待の問題についても、先生御指摘のとおり、全く私は同様だと思いますし、そういった観点から今後、連携のあり方、そしてまた深め方というものをよく考えて適切に対応してまいりたいと存じます。
#38
○岡崎トミ子君 法務省にも、短くお願いします。
#39
○副大臣(横内正明君) そういうネットワークの中で法務省がどのようにかかわっていくのかということだと思いますけれども、先生御案内のように、各地方法務局、法務局に人権擁護組織がございます。人権擁護委員さんを通じたり、あるいは直接そういった児童虐待の事案が上がってくるわけでありますけれども、相談があるわけでありますけれども、それについてはもう原則全部児童相談所に通告をして、そしてそういうネットワーク全体の組織の中で解決をしていくというような考え方に立っております。
 例えば、昨年は六百二十件この人権擁護組織から児童相談所に通報をしたというようなことで、常にそういうネットワークの中で一緒に解決をしていく、そういう仕組みで進めております。
#40
○最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君) 家裁といたしましては二つの場面がございますが、まず事件処理という観点から申し上げますと、個々の事件が来たときに、これまでかかわってきた関係機関からの情報収集、児相が中心になりますけれども、関係機関の情報収集がこれは中心になるわけでございます。またさらに、仮にその当該事案について施設収容を承認したといたしましても、その後、その親子の再統合をどうするかという問題があるわけでございますから、その意味でその親子の再統合に向けたバトンタッチもしなければいけないと、こんなことを留意しながら事件処理に当たっているところでございます。
 他方で、これは事件を離れた一般的な観点から申し上げますと、各地のネットワークができているわけでございますが、今ざっと見まして、全国都道府県のうち四十余りの都道府県において、県単位あるいは市単位いろいろありますけれども、家庭裁判所の方が要請を受けましてネットワークあるいは連絡会議等に幹部のベテランの家裁調査官を派遣しているところでございまして、この場面においては、個々の問題の解決についてどうすればいいかというところは、判断機関の性質上、なかなか私どもそこに関与するのは難しい面がありますけれども、ただ、一般的な形で子供の持つ問題は何だろうかということについて、これまでの家裁調査官の実務の蓄積等を生かせるようにそこでの関与を考えていきたい、こんなところでございます。
 以上でございます。
#41
○岡崎トミ子君 アメリカの例などでは、家庭裁判所というところは、今の再統合、親子の再統合という意味では、子供と本当にずっと遊んで、あるいはキャンプに連れていって、そういう具体的なところまで裁判所がかかわっているんですね。ですから、そういう意味も含めて、ノウハウはいろんな市民団体から学ぶことが非常に多いのではないかなというふうに思いますので、今後ともそうした連携をお願いしたいなというふうに思います。
 警察庁にお伺いしたいと思いますが、これまで百二十三件の援助要請があったということなんですが、実態としてどういうものがあったのか、全く形が違うものについて簡単にお知らせいただきたいと思います。
#42
○政府参考人(黒澤正和君) これは一般的に申し上げてでございますが、保護者あるいは保護者以外の第三者から物理的に抵抗を受けるおそれがあるような場合でありますとか、あるいは児童が今まさに虐待されているような場合、児童相談所長等だけでは職務執行をすることが困難で円滑にいかない、そういうような場合に援助が必要だということで援助を求められてきておるものと承知をいたしております。
#43
○岡崎トミ子君 その後、今度は一緒に介入する場合、具体的に言いますと、これもまた直接警察ということではなく児童相談所と連携をして、ストレートに顔を見せるのではないという形で警察は介入をするのかなというふうに私も想像するんですけれども、介入の仕方はいかがですか。
#44
○政府参考人(黒澤正和君) 援助の対応につきましては、これもケースによっていろいろあろうかと思いますけれども、事前に調整できる場合には、どういう形でどういうふうにして対応をするか、この辺のことにつきまして、時期もそうですけれども、よく詰めまして対応するということになるわけでございます。そういったいとまがないとき、事前に打ち合わせができない、事前協議ができない場合もございますけれども、一般的に申し上げますと、あくまでもこれは児童相談所の職員が職務執行をするということでございます。
 例えば、現場付近で警察官は先ほど申し上げましたようなことが予想されるというような中で待機をする、あるいは内容によっては職員とともに中へ入って職務執行に立ち会う、そういうこともあるという報告を受けておるところでございます。
#45
○岡崎トミ子君 いろんなことをお聞きしようかなというふうに思いましたのは、いろんなパターンがあると今おっしゃったので、本当にいろんなパターン、千差万別、背景も違うだろうというふうに思うんですね。そうした経験の蓄積をどのようにしていらしたのか。ちょっと事前にお聞きしたときには余り蓄積という形ではしていないということなんですが、これはマニュアル化することが大事だと思うんですね。だれが行くかわからない。
 そのマニュアル化についてはいかがでしょうか。
#46
○政府参考人(黒澤正和君) おっしゃられるとおりだと思います。
 先ほど申し上げましたように、法施行から約百二十件ほど事例が集積されておりまして、そういった中からいろいろ分析、検討をいたしまして、マニュアル化して今後の対応に資する、そのようにいたしたいと考えておるところでございます。
#47
○岡崎トミ子君 その点、よろしくお願いいたします。
 法務省にお伺いしますが、先ほど人権擁護委員の生かし方ということでお話をされている中で、改革をしていかなければいけないと、パブリックコメントもとってその中間報告もなされたということなんですけれども、実は私もこの人権擁護委員のあり方について、これでいいのかどうなのかということでしばらく調べてみましたところ、これまでに障害者差別ですとかDVとか、そうしたさまざまな人権侵害の問題に関して人権擁護委員に相談した人というのは皆無に近かったんですね。
 ここに数字が上がっているんですが、なかなか生かされていないと。しかも、全国に一万四千人もいる。平均年齢が六十五歳で七十歳以上は再選できないというような形なんですけれども、市民からはほとんど信頼されていないというような、大変申しわけない、この言葉だけではくくれない、たくさん活躍されている方はいらっしゃるだろうというふうに思いますけれども、相談、救済について十分に対応できる体制になっていないというのは、これは無償に近い形で、ボランティアという形でやっているのと名誉職だというのが問題なんだと私は思うんです。
 それで、代表する意見、全部網羅することはできないと思いますが、二万五千もあったパブリックコメントのうちから代表する意見、よくないといったところ、三つ、どんな点でしょうか。
#48
○政府参考人(吉戒修一君) 今、先生お尋ねのとおり、人権擁護推進審議会におきまして、現在、人権擁護委員制度の改革について調査、審議しております。
 ことしの九月十一日から十月三十一日までの間におきまして、論点項目につきましてパブリックコメントを実施いたしました。今御指摘のとおり、全国から通数にいたしまして約二万六千件、意見の数にいたしまして約四万三千件の意見が寄せられております。この結果につきましては、さきの十一月九日の審議会の場におきまして報告をいたしたところでございます。
 寄せられた意見は非常に多岐にわたっておりますけれども、こういうふうな御意見もございます。
 人権擁護委員の選任基準等に関しまして、例えば人権感覚にすぐれている者を選任すべきである、あるいは人権問題に関する活動実績を有する者から選任すべきである、あるいは多様な年齢層から選任すべきであるというふうな御意見がございまして、実際、今平均年齢六十五歳、一万四千名おる者のうち四千名が女性の委員でございます。
 そういうふうな実情でございますので、こういうふうな意見を踏まえて、今後、年齢の若年齢化と、それから女性委員の割合をふやしていくというふうなことを審議会で議論されているものと承知しております。
#49
○岡崎トミ子君 総理府の人権擁護に関する世論調査でも、人権擁護委員を近くで知っていますかという問いに対しても、知らない、わからない、これは五〇%も、もちろん知っている人もいるんですよ、四〇%近く知っている人がいて、そういう人たちは、この人たちは人権の問題について仕事をしているのだという認識はあるんですけれども、知っている人がいない、わからないという人も含めますと六〇%もあるものですから、私はむしろ、無償でボランティアで働く人権擁護委員よりは、少し有償でケースワーカー的な仕事に変えていかないとこれからの人権の問題やこうした児童虐待などには対処できないだろうというふうに思うんですね。
 今回はその中から六百人ほど子供の専門委員というのを選んでいらっしゃいますが、その選考基準はどんなふうですか。
#50
○政府参考人(吉戒修一君) 子供の人権問題を専門的に扱う人権擁護委員といたしまして、現在約六百名の方にお願いしております。この方たちは多くは元学校の関係者でありますとか、あるいは命の電話相談といいましょうか、自殺の防止のための電話の御経験のある方とか。先ほど申し上げましたように、人権擁護委員の中では三割が女性でございますけれども、子供の人権擁護委員に限りましては比率が高うございまして四割ぐらいを占めております。
 そういう形で、お子さんの教育問題、あるいは人権問題に非常に深い関心のある熱意のある方をお願いしているという実情でございます。
#51
○岡崎トミ子君 何か、本当にこの児童虐待のことに関して人権擁護委員に相当窓口があったらいいなというふうに思うものですから、ぜひともケースワーカー的な形で研修を積まれて、そして対応できるような形で、殊に電話相談などもあるようですから。
 これは直接子供の声も来ます。地元で直接電話をかけたという例が、民間のNPOに対してなんですが、四歳の子供がかけられるんですね、カードさえあればかけられる。そういう子供たちに対処して、そこから何か発信されるものを受け取れるというようなことで仕事をしていただきたいなというふうに思います。よろしくお願いいたします。
 もう一つ、法務省にお伺いしたいのは、再発防止というのが大変重要なんですけれども、この問題について、親と子が離れる、引き離しになったときのそのチャンスに、子供に対して、親に対して教育プログラムがしっかりあることが大事だというふうに思うんですが、その辺はいかがでしょうか。
#52
○政府参考人(吉戒修一君) おっしゃいますとおり、虐待の防止、再発防止、これは非常に大事なことでございます。私どもでは事件、大体は近隣の方からの通報が多うございますけれども、そういう方から児童虐待の通報がございますと現場に参りまして関係者、もとより親の意見も事情も聴取いたしまして、事案を把握いたしまして児童相談所の方に通告いたしまして、児童相談所と一緒に連携協力して処理に当たっております。
 そういう中で、再発の防止でございますけれども、まず第一はやはり緊急の場合にはお子さんと親を引き離すということが大事でございますので、これは児相の役割だと思いますけれども、一時保護所を利用していただくというようなことを考えております。
 それから、私どもの方としては加害する親に対しまして、啓発という観点から説諭といいましょうか、こういうふうな児童虐待をしてはならないということを子どもの権利条約の資料とかを使いまして説諭しております。
 そういう形で、再発防止をとりあえずやっております。
#53
○岡崎トミ子君 本当に簡単なことではないので長い期間多分かかるものだというふうに思いますので、これからそうしたシステムをつくって教育のプログラムをしっかりしていっていただきたいなと思います。
 最後に、最高裁判所にお伺いしたいと思いますが、児童相談所の判断で親権者の同意が得られない状態で親子を離れ離れにしなければいけないというとき、子供を保護するというこの状態のときに、家庭裁判所に申請して、そして児童相談所に措置することができるんですが、今まで大変時間がかかっていたと。この法律ができてからはそれが、必ずしも短いことがいいというふうに私も思っていないんですけれども、もし今までむだなことがあって長引いてしまったとかいうのであれば、やっぱりこの期間は短くしていかなければならないなというふうに思うんですが、その辺、改善されたかどうかお伺いしたいと思います。
#54
○最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君) 正確な統計を手元に持っておりません関係から、施行前と施行後でどう変わったかということに的確な御説明になるかどうかというふうに思いますけれども、今回の法施行後に申し立てがありまして、そして九月の末までに終局した事案について見ますと、七十九件が終局しているようでございますが、これらの事件を見てみますとおおむね二カ月で解決がついている、認容か却下か取り下げかということになっているのが現状のようでございます。
 これ、どう評価するかという問題はあろうかと思うのでございますが、現場の感覚からいたしますと、保護者の方に面接をすることもなかなか容易ではない。もともと同意をしないケースでございますから非常に拒否反応が強い方が多いわけでございまして、その保護者への面接に非常に苦労するという面があったり、あるいは児童自身について面接をするについても二次被害が発生しないようなきめ細やかな配慮をしながら行っていくと、こういったことなど工夫をしている関係から一定の時間を要するものがあるということを御理解いただきたいと思っております。
 ただ、今後におきましては、もちろん事案によりけりでございますけれども、緊急性の度合いにも差があると思います。緊急な対応が必要なものについては速やかな対応ができるようにこれは一層の工夫をしてまいりたいと考えているところでございますが、各家裁においても、先ほど申し上げたような形で共同調査を実施するなどいたしまして、その緊急対応にはそれぞれの工夫をしているという状況にあるように考えているところでございます。
 以上でございます。
#55
○岡崎トミ子君 終わります。ありがとうございました。
#56
○山本香苗君 公明党の山本香苗と申します。
 この児童虐待防止法施行からちょうど一年がたちました。この法律は参議院の女性議員の先輩方が中心となって進めてこられたとお伺いしております。中でも、我が党の女性委員会は児童虐待防止の法制化のために七十四万人余りの署名を集めましたし、我が党としても本当に思い入れの深い法律なんです。
 先日、私も実は児童虐待を受けた方と一時間近くお話しする機会がございまして、その方は本当に今なお幼いころ虐待を受けた心の傷を負っていらっしゃいました。児童虐待で子供が亡くなるたびにすべての新聞報道を集めてファイルにしていらっしゃいまして、児童虐待防止法ができたのにこうした事件がなぜなくならないのかと本当に憤りをあらわにしていらっしゃいました。私は、こうして国会議員となった以上、こうした声も国政に届けていくのが私の使命だと思っております。
 今回、きょうは法務省、警察庁、裁判所の方々に来ていただいておりますが、施行三年後に見直すことになっておりますこの法律、一年たったときどういった点を改善しなくちゃいけないかという点で御質問をさせていただきたい、御意見をお伺いしたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、法務省の方にお伺いしたいと思っておりますが、先ほど副大臣の御説明の中にございました子どもの人権一一〇番、何か非常に聞いた感じ、どんなものかな、もっと詳しく知りたいなと思ったんですけれども、どういった観点から設置され、またどのようなことが行われているのか、もうちょっと詳細をお伺いしたいと思います。
#57
○政府参考人(吉戒修一君) 先生御指摘のとおり、子供の人権問題、非常に重大な問題として従来から私どもで扱っておりました。
 平成六年に子どもの人権一一〇番というものを全国の法務局あるいは地方法務局で備えるようにいたしております。これは、法務局、全国に八つございます、それから地方法務局四十二ございますけれども、その法務局の本局に児童虐待を含む子供の人権問題を専門に取り扱う電話相談の窓口を設置いたしております。これは、先ほど申し上げましたように、人権擁護委員の中から選任されました約六百名の子どもの人権専門委員がその相談の受付の担当をいたすということで相談に応ずるものでございまして、内容的にはもうお子さんからあるいはその親から、あるいは学校の関係者からさまざまな子供に関する人権問題の相談を受けております。
 具体的に申し上げますと、この受け付け時間は原則といたしまして午前八時三十分から午後五時まで受け付けております。それ以外の時間帯につきましては、ファクシミリあるいは留守番電話等を利用いたしまして時間外の御相談にも対応いたしております。したがいまして、法務局の職員が毎朝登庁いたしまして最初にいたす仕事が、昨日夜中にありました留守番電話の録音をもう一度再生いたしましてどういうふうな相談が来ているかということを確認するというのが日常になっておるというふうに聞いておりますけれども、こういうふうな形で子どもの人権一一〇番、これを運用させていただいております。
#58
○山本香苗君 人権という観点から法務省は児童虐待に対応されているとお伺いしておりますが、この人権侵犯事件として法務省人権擁護機関が扱っていらっしゃる事件の全体の中で、児童虐待が占める割合というのはどれぐらいでしょうか。また、それの増減についてお伺いしたいと思います。
#59
○政府参考人(吉戒修一君) 法務省の人権擁護機関が過去三年間に取り扱いました児童虐待の件数でございますけれども、数字を申し上げますと、平成十年が四百九十六件でございました。平成十一年が五百九十二件、平成十二年が六百三十四件ということでございまして、年々、残念ではございますけれども増加の傾向にございます。特に児童虐待防止法が施行された昨年以降はそういう形で数字がふえているものと思っております。
 私どもで扱っております人権侵犯事件でございますけれども、大体年間全国で約一万六千件から七千件でございます。したがいまして、今申し上げました児童虐待の人権侵犯事件の件数は、平成十年が約三・〇%、平成十一年が約三・四%、そして平成十二年が約三・六%でございますので、件数的にも割合的にも年々ふえてきておるということが言えようかと思います。
#60
○山本香苗君 やはり本当にふえているんだなというのを改めて感じるわけです。
 児童虐待がふえた、そのような報道がよくなされております。この児童虐待防止法が成立したおかげで、今まで家庭という密室の中でしつけだというふうに言われていた暴力が虐待になることが判明して、今まで潜在化してきた児童虐待事件が顕在化したのではないかなと思っておりますが、先ほどちょっと質問の中にもありましたけれども、その児童虐待事件に対して具体的にどのような対応をされていらっしゃるのでしょうか。
#61
○政府参考人(吉戒修一君) これは先ほど来から御説明の中にあったと思いますけれども、この児童虐待の問題を解決するために関係機関との連携を図ることが重要であるということは先ほど副大臣からも申し上げたところでございます。
 繰り返しになるかもしれませんけれども、法務省の人権擁護機関におきましても、中央レベルにおきましては児童虐待対策協議会に参加しておりますし、地方レベルにおきましても、府県単位あるいは市町村単位で同種の協議会あるいはネットワークに参加して活動状況の報告とか情報の交換をしております。これは大きな意味での活動でございます。
 個別の事件でございますけれども、先ほど申し上げましたように、近隣の方からの通報あるいは学校関係者からの通報等々によりまして児童虐待の事案を人権擁護機関で認知いたしました場合には、私どもで処理はいたしますけれども、それとともに児童虐待防止法六条の趣旨にかんがみまして、直ちに児童相談所に通告をいたすということにいたしております。
 児童相談所と協議しながら私どもの方で調査をし、調査というのは具体的には関係者、特に親からの事情聴取をするという形で事案を把握いたしまして、処理といたしまして、一時的にお子さんを親から引き離す必要があれば児童相談所に御相談して一時保護所に保護していただくと。そうでなければ、親に対して今後そういうふうな虐待をしないように私どもの方から説示をするというようなことで対応いたしております。
 いずれにいたしましても、この児童の問題は非常に大事な問題でございますので、しっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えております。
#62
○山本香苗君 ありがとうございます。
 先ほど、一番最初にお伺いいたしました子ども人権一一〇番、八時三十分から十七時まで、時間外はファクス、留守電で対応していますよというお話がありましたけれども、この電話や手紙、ファクス等で相談を受けている以上に、例えばもっと子供たちの声を吸い上げる、今IT化等々進んでいると言われておりますが、電子メールとかの受け付けというものは検討していただけないんでしょうか。
#63
○政府参考人(吉戒修一君) この児童虐待の問題につきましては、被害者が子供でございますのでなかなか事態が外に出てこないということもございます。したがいまして、早期発見ということは非常に大事だと思っております。
 そこで、私どもでは子どもの人権一一〇番という形で専用の電話回線を設けておるわけでございますけれども、委員御指摘のように、電子メールというものも一つのアイデアかなと思っております。
 ただ、先ほど申し上げましたように、回線が込んでおる場合とかあるいは時間外の場合に対処するためにファクシミリとか留守番電話の用意もしておりますので、まずそちらの方を利用していただいてと思っております。電子メールの点につきましては、今後の課題として考えさせていただきたいと思います。
#64
○山本香苗君 メールというのは非常に手軽なものですから、もしそういうのもできたらなと思って御提案させていただきました。
 次に、警察庁の方にお伺いいたします。
 先ほど、御説明はしていただきました。私の地元の大阪でやっておりますこのチャイルド・レスキュー・チーム、これが発足いたしましてちょうど一年たつわけですけれども、具体的な活動及び一年たってほかの県等に勧めてもいい点と、あとまた課題、こういう点が困った、そういうのがありましたら教えていただけますでしょうか。
#65
○政府参考人(黒澤正和君) ただいま御指摘の大阪のチャイルド・レスキュー・チームでございますが、女性によるチーム、滋賀県にもCLARAというチームがございますが、そのほか茨城にもハートフル・アドバイザー、女性のチームがございます。大変成果が上がっているんじゃないかと考えております。
 例えば、大阪のチャイルド・レスキュー・チームにつきましては、やはり専門ユニットとして位置づけたことによりまして、先ほど来出ております児童虐待の早期認知あるいは保護に迅速、的確に対応できるようになった、あるいは関係機関との連携による保護措置が円滑化することができた、さらに地域ぐるみの取り組み、これがある程度盛り上がってきたのではないか、そういったいい面が出ておるのではなかろうかと考えております。
 全国にいろんないい事例があるんですが、やはりいい事例、それぞれ特徴がそれぞれのチームにございまして、総合的にすべてすぐれているモデルとして示すというのはなかなか難しいかもしれませんけれども、こういったチームがあってこういったところがすぐれている、そういったことを全国にも示して普及を図ってまいりたい、そんなふうに考えております。
 また、課題といいますか、これは一般的な話になってしまいますけれども、ネットワークをつくるだけではなくて、つくることに意義があるわけではなくて、実際に動くことに意義があるわけでございますので、実際に動く方々、実務家といいますかそういった方が真に連携をとれるようなチームでなければならないのではないかと、そういったことが一つの課題かなと思っております。
#66
○山本香苗君 先ほど、法務省の方の御説明の中におきまして被虐待経験と非行との関連についてお話がございましたけれども、私も、虐待を受けた方の約半数ぐらいが非行に走っている、すごいことだなと思ったわけなんです。
 警察庁としましては、この事実をどう受けとめられますでしょうか。非行と被虐待児童との関係を警察庁としてはどういうふうに、先ほど、問題行動を防止するという観点から児童虐待への取り組みを強化しているというふうなお話がありました。
 済みません、通告していなくて。
#67
○政府参考人(黒澤正和君) ただいま御指摘の点でございますけれども、私ども、そういったことが世上言われておることも十分承知をいたしておりまして、また実際に非行少年の事例等を見ていった場合に、例えば虐待経験がある、そういう事例もございまして、そういう問題意識は持っておるところでございまして、非行少年が例えばこの児童虐待とどんなふうにかかわっているか、そんなことも調査をいたして、今整理をいたしておるというのが実情でございます。
 そういった問題認識のもとに、いろんな研究、またその整理も踏まえまして適切に対応してまいりたいと思っております。
#68
○山本香苗君 ということは、警察庁さんの方でも同じような研究をされているということでよろしいですね。
#69
○政府参考人(黒澤正和君) 非行少年何人か、実際に非行を犯した少年につきまして、過去に虐待を受けた経験があるのかどうか、そういったサンプルといいますか調査を行って整理しておる。
 もちろん、非行一般の観点から調査をいたしておるものでございまして、非行の背景、原因にはいろんな要因が複雑に絡み合っておりますので、直ちに児童虐待から非行ということには、そのことのゆえにということにはならないかもしれませんが、そういう問題意識のもとに研究、整理もして、またそういったことを背景に非行防止の諸施策を展開しておる、こういうことでございます。
#70
○山本香苗君 しっかりと取り組んでいただきたい。
 済みません、いろんな方が質問されていらっしゃるのでどんどん質問が少なくなってまいりますので、ちょっと通告していないものもふえてまいるかと思いますが、次に裁判所の方にお伺いしたいと思っております。
 早期発見のためには関係機関との連携が密じゃないといけないといった話がずっとございました。先ほどちょっとこの報道のものがありますけれども、最後のページのところの分ですね。このようなものは本当に有意義でいいなと思っているわけなんですが、こういうことを行ったことによって何かいい結果が出たとか、そういった御報告は現場の方から上がってきていますでしょうか。
#71
○最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君) このような協議会は、実は一般的な形では家事事件を担当する関係機関ということで、従来から、児童相談所でありますとか福祉事務所とかとの協議会は持ってまいりました。今年度は、特にその児童虐待に特化したものを始めたわけでございますが、実際の協議会を始めてまだ間がないこともありますので、これが直ちにどこかの成果にあらわれるということではまだないかと思いますけれども、しかしながら、このような協議会を持つことによって、児童相談所の側は家裁の仕組みであるとか考え方を理解いただいただろうと思いますし、また家裁の側も児童相談所の手続の流れであるとか、どんなことに御苦労されているかということについての理解も深まっただろうと思います。
 そういったことから考えますと、おいおいこの効果があらわれてきて、しかるべき対応をしなきゃいけない事案が適切に模索されるものだろうと考えているところでございます。
 以上でございます。
#72
○山本香苗君 先ほどの段本先生も言われておりましたが、何かちょっと敷居が高いな、裁判所って何かちょっと遠い感じがするわけなんですけれども、こういう協議会を頻繁に持っていただきまして、本当に関係各所とうまく連携していただければなと思っております。
 先ほども御説明ございました児童福祉法第二十八条に基づいて、親の同意を得ないまま子供を施設へ入所させたり親権を喪失させるためには家裁への申し立てが必要になります。この申し立て件数というのがこの法律の施行前と後でどのような数の変化というか、そういうのは教えていただけますでしょうか。
#73
○最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君) 施行前の数字で申しますと、平成十二年に事件が百四十二件ございました。私ども統計をとってその施行後、つまり昨年の十一月二十日以降十月の末までの数字をとったものでございますので一年間ではないんですけれども、その期間の数字で見ますと百五十九件でございますので、一年間通して見れば増加していることは間違いないだろう、こう考えておるところでございます。
#74
○山本香苗君 この児童虐待防止法によって児童相談所の権限、これが強化されたわけなんですけれども、親が来たときに面会とか通信とか事実上親権を一部制限できるようになっているとお伺いしておりますが、しかし、親が例えば親権を盾にとって、入所してきた子供を強引に連れ戻そうとしたらどうするんですかときのうちょっと聞いてみましたら、それは施設の方の問題ですというふうに言われました。
 先ほどの御説明でいただきましたこの表を見ますと、入所後、親と子供を分離した後に家裁がかむところがないのかなと。でも、実際現場のことを考えたときに、尼崎で起きました事件、このときも親が何回も何回も行って返してくれと言って、親の言葉だからそれを信じてあげなくちゃいけないなとか、子供と親を本当に離していていいのかなと、そういった現場の迷いがあったんじゃないかと思うんです。
 そこで、一部に、入所した子供を強引に連れ戻そうとするようなケースで、家裁が親権を一時的に取り上げたらどうかという声もあるんですが、この点についてどのようにお考えになりますでしょうか。
#75
○最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君) 親権を取り上げる制度をつくるということになると立法論の話になるものですから、私ども裁判所としてこれについてどうこうということを申し上げる立場ではないと考えているわけでございますけれども、現に実際、親権喪失宣告の事件で宣告をされた場合においても、その事情がやんだ場合にはそれを取り消しすることもできるという仕組みになっておりますし、今、委員御指摘のように、児童相談所においてもいろんな手だては今回講じられているということでございますので、そういった手だてで十分じゃないのかといったことについての慎重な検討は必要なテーマだろう、こう考えているところでございます。
#76
○山本香苗君 私自身としても何でもかんでも強制力を使って解決するというのはちょっと考え物じゃないかなと思っていますので、ぜひとも慎重な対応をしていただきたいと思っているんです。
 本当に、この虐待に遭っている子供の様子が目に浮かぶと、逃げることもできず頼ることもできずひとりで苦しんで死んでいった子供のことを考えると全く眠れなくなるんだと言ったのが、先ほど一番初めにお話しした児童虐待に遭った方がもう繰り返し繰り返しおっしゃっていらっしゃったことなんです。
 もう本当に、こうやって責任ある私たちの立場としても、彼らぐらいの思いを持ってこの児童虐待に当たらないと児童虐待というものがなくならないんじゃないかなと思っておりますので、これからも全力で私自身も取り組んでまいりたいと思います。
 以上にて質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#77
○林紀子君 日本共産党の林紀子でございます。
 今までいろいろな皆さんが質問をいたしまして、私が質問をしたいと思っていたところと大分重なっておりますので、私も通告をしていないけれども、今御説明を聞きながらここはお聞きしたいと思う点もありましたので、ちょっと外れるところもあるかもしれませんが、お許しいただいてお答えいただけたらと思います。
 虐待は子供への最大の人権侵害だということが今まで何度もお話にありましたけれども、まさにそのとおりだと思いますし、児童虐待の話を聞くと、ほとんどの方たちが大変心を痛めている。やはり子供たちがこの日本の社会で安全で安心して生活をして育っていくこと、それは本当に大人の責任だということを私も今改めて痛感をしているところです。
 まず、法務省にお聞きをしたいんですけれども、平成六年から人権擁護委員の中に子どもの人権専門委員というのをつくられたということで、私もこのリーフレットをいただきましたが、「子どもの人権専門委員」という、こういう子供の漫画のような絵がかいてあるかわいらしいリーフレットなんですが、ここには児童の権利に関する条約というのを主な内容ということで掲げて、全部仮名を振って、「子どもは暴力や虐待(むごい扱い)といった、不当な扱いから守られるべきです。」ということもきちんと書いてくださっているわけですね。これは問い合わせ先ということで子どもの人権一一〇番の電話番号、これは関東甲信越のところ、配る場所によってなのかもしれませんが書いてあるんですけれども、こういうリーフレットみたいなのはどういうところに配って、電話で相談をしたいというような子供たちの手にどうやって渡っているのかということをお聞きしたいと思います。
#78
○政府参考人(吉戒修一君) 平成六年から子どもの人権一一〇番を設けておりますけれども、もちろんこれはお子さん方にこういう一一〇番があるということを知ってもらわなければ利用されませんので、今、委員御指摘のとおり、こういうふうなリーフレットをつくりまして、これは人権擁護委員さんが地元の学校を訪問して、その際に人権に関するお話をお子さん方にわかりやすくされて、それと同時にこういうリーフレットを配られるということもあります。それから、学校の要請に応じまして法務局の職員が必要な部数をお届けするということもございます。
 それから、今、委員御指摘のほかにも、実はちょっと私、今持っているんですけれども、テレホンカード程度の大きさの小さな一一〇番のあれを書いたカードがございまして、これも相当部数学校の現場にお持ちいたしまして、小学生の皆さんに、あるいは中学生の皆さんにお配りしております。これは東京法務局が作成いたしましたものですけれども、四十万部つくっておりますので都内の学校の相当のところにはこのカードが行っておりまして、お子さん方はお持ちだと思います。
 そういうこともありまして、私も東京法務局の人権擁護部に行きましたけれども、お子さんから直接一一〇番の電話がございまして、それを実際聞いたということもございます。
#79
○林紀子君 私もNGOが行っております子ども一一〇番とかチャイルドラインとかいう方たちのお話を聞いたんですけれども、そのカードを配ることそのものが大変努力をしながらやっているというお話を聞きました。行政側はそういう意味では、なかなか大変ではあっても配るルートというのがもっと広範囲にあるんじゃないかというふうに思いまして、子供たちがそれを手がかりに電話をかけてくるということがあると思いますが、その電話の件数が五千五百件ぐらいというふうにきのうお聞きいたしましたが、そのくらいの件数あるんでしょうか。
 済みません、これを直接お聞きしますと言っていなくて。
#80
○政府参考人(吉戒修一君) 今、委員御指摘のとおり、ことしの一月から九月までの累計で五千五百三十七件の子どもの人権一一〇番への御相談の電話があったということでございます。
#81
○林紀子君 先ほど来、人権擁護委員というのがなかなか見えないという話はありましたけれども、この電話ということでは、子ども一一〇番では子供たちが頼りにしながら電話をかけているという姿があるんじゃないかと思うわけですね。その中で、虐待ということでかけてきて、そしてこの一一〇番をかけたために虐待が見つかって対処ができたというような例がありますでしょうか。
 済みません、これも通告しておりませんので件数などは結構なんですけれども、そういうところがあるかどうかというのをお聞きしたいと思います。
#82
○政府参考人(吉戒修一君) 電話を一つのきっかけにして虐待を把握したというのは、ちょっと今、私、直ちにお答えできないんですけれども、きょうお配りしております資料で三つほど虐待の事例をお書きしております。
 その中で、地域の人権擁護委員が積極的に関与したという事例が最初の事例として書いてございますので、人権擁護委員も児童虐待の問題については十分に関与をさせていただいているというふうに思っております。
#83
○林紀子君 そして、人権擁護委員会そのものがニーズに応じたような改組もしていくというお話が先ほど副大臣からもありましたので、この児童虐待の問題も含めまして、ぜひ改組のときにはきちんと位置づけていただきたいということもお願いしたいと思います。
 それから、もう一点お聞きしたいんですけれども、この子ども人権一一〇番の受け手、六百人ほどいらっしゃるということですけれども、簡単で結構なんですけれども、どういうような専門的な研修をしているかというのも一言伺わせていただきたいと思います。
#84
○政府参考人(吉戒修一君) まず、六百名の委員でございますけれども、先ほど申し上げましたように、六百名のうち四割が女性の委員でございます。もともとどういうふうな御職業をお持ちかといいますと、元学校の関係者、学校の先生方が非常に多うございます。それから、弁護士さんというような方もなっていただいております。
 子どもの人権専門委員の方はもともと子供の教育問題について相当造詣の深い方を選んでおりますけれども、一般的に人権擁護委員につきましては各種の研修をいたしておりまして、ちょっと簡単に申し上げますと、新任の委員を対象とする研修、それから二年目の方を対象とする委員第二次研修、それから人権擁護委員は任期は三年でございますので、三年たってさらに再任された方についての委員四年次目研修などをいたしております。
 そのほか、特定のテーマで、男女共同参画問題とかあるいは同和問題についての研修もいたしておりますし、今お尋ねの子供の人権問題に関しましては、その研修の中でカリキュラムの一つとして、いじめ、体罰問題の議論とかあるいは相談の事例を中心とするケース研究とかそういうものをやっておりまして、人権擁護委員の方の専門能力の向上に努めているというところでございます。
#85
○林紀子君 ありがとうございました。
 次に、最高裁の方にお聞きしたいのですが、今まで児童福祉法の二十八条に関する事件についてのお話がありました。大体この審判が下されるまでに二カ月ぐらいだというお話を今伺いましたが、これは特別な例かもしれないんですけれども、私がじかに聞いた話では、審判が出るまでに一年以上もかかってしまったと、そして結局これは引き離すのを認めないということになってしまったという例をお聞きしたわけなんですね。親元に帰すわけにはいかないから、審判が出なければ一時保護委託という形になるんでしょうか。
 ですから、宙ぶらりんな形というのもおかしいんですけれども、審判が出ないまま、そのまま施設に預かってもらっていると。そして、最終的に、その審判を下すときに親を見ると、もう一年以上も子供と接していないわけですから親の方も大分変化をしていて、それが家裁の裁判官の心証になったのか、引き離す必要はないという判断が下されたんじゃないか。そういうことを考えますと、やはり早く審判を下してほしいと。
 DV法では十三条で、「裁判所は、保護命令事件については、速やかに裁判をするものとする。」というふうに、この言葉がどうしても早く判決を出してほしいということで入っているわけなんです。子供の事例というのもむちゃくちゃに早ければいいということではないんですけれども、やはり早くこの審判を下していただくということはひとつ大事じゃないかと思うんですが、その辺はいかがでしょうか。
#86
○最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君) 確かに、委員が御指摘のとおり、この種の事案については、子供を非常に不幸な状況に置いておく時間をなるべく短くするといったことを配慮することは当然だろうと考えております。
 そういう意味で、家庭裁判所においても基本的には迅速な対応をしていこうということで工夫をしているつもりでございますけれども、ただ、事案によって、最終的に認容にならないような事案を見てみますと、これは例えば身体的虐待というよりはネグレクトのケースなどにおきまして親が生活を改めるといった兆候が出てきて、様子を若干見てみようということもあり得るんだろうと思うのでございます。
 承認してしまいますと、まさに親子を分離するという非常に強い効果を与えてしまう、将来的にはいずれまた再統合しなきゃいけないと、こういう関係にあるものでございますので、その意味において、判断をするについていま一つ見きわめをしたいという事案もあることは確かだろうと思っております。
 ただ、その辺、事案を見誤って早く対処すべきものが遅くなることはないように、これは十分注意してまいりたいと考えているところでございます。
#87
○林紀子君 ケース・バイ・ケースということは確かにそうだと思うんですけれども、体制としまして、先ほど図を示していただきましたが、家裁調査官の調査ということで、この家裁調査官というのがかなり重要な役割を果たすんじゃないかというふうに思うわけです。
 家裁調査官というのは成年後見制度というのも法改正になりまして大変忙しくなっていると、そしてまたこの児童虐待の法律ができ、DV法もできとかと、いろいろこういうふうに重なる部分もあると思いますので、家裁調査官の人数が十分なのかどうか、その辺はどういうふうにお考えでしょうか。
#88
○最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君) 今回問題になっております児童虐待事件の審理期間につきましては、家裁調査官の数が足りないから長期化しているということではないと私は理解しているところでございまして、現在も、事件数が百四十二件ということでございますが、事件が来れば先ほど申し上げたように速やかに面接をさせていただくと。そして、裁判官を含めた処理体制の検討会を持って対処しているのが現状でございます。
 ただ、家裁調査官の数については、今、委員御指摘のとおり、家事事件においては成年後見事件があり、また少年事件も数こそは多くありませんけれども複雑困難な事件もあるということでございます。その状況を踏まえて、その事案の、その事件の推移等を見守りながら適切な対応をしてまいりたいと、こう考えているところでございます。
#89
○林紀子君 最後に警察庁にお聞きしたいんですけれども、「児童虐待の防止等に関する法律を踏まえた児童虐待への適切な対応について」という文書、ホームページに出ているということでこれを見つけまして拝見いたしました。これに沿って先ほど御説明いただけたんじゃないかというふうに思うわけです。
 この点で、児童相談所と警察官の連携というのは先ほど来言われておりますけれども、立入調査のときですね、特に、その援助ということで、例えば児童相談所の方から援助を頼むと、近所にいるから何かあれば連絡してくれとか、見えるところにいるよということで一緒に行くという場合があって、それで、児童相談所の職員に聞きますと、いや、殴られない限り守ってくれないのかなというような声を聞いたわけですね。
 それから、警察は児童相談所に協力することでは不満足だと、やっぱり手柄を挙げたいということで、単なる協力者では手柄にならないので逮捕できる状況があると逮捕を最優先するのじゃないかと、もう一方の児童相談所の方はそうおっしゃっているわけですね。
 二つのかなり極端な話を私はお聞きいたしまして、それこそケース・バイ・ケースなのかもしれないけれども、こういうことがないように、児童相談所とのケースごとの事前の協議というのが非常に大切だと思います。その辺というのは、児童相談所、厚生労働省からお話聞きましたらかなり細かな対応の手引というのを出していらっしゃるんですけれども、警察の方も、援助を求められる第一線の警察官に対してかなり細かに、何というんですか、協議ができるようなそういう手引、先ほどマニュアルのお話がありましたけれども、そういう手引というのは今は出していないのか、マニュアル化というのを待って今つくっているところなのか、その辺をお聞きしたいと思います。
#90
○政府参考人(黒澤正和君) マニュアルという点でございますけれども、これは法律の十条を踏まえた援助要領ということで、かなり小まめに書いたものを一線に示しておるところでございます。
 それから、もちろん事前協議ができない緊急の場合、これは別でございますけれども、通常、援助要請を受けますと事前協議ということで、警察と児相とが事案にかかわる共通認識を持つということで虐待の態様でありますとか児童の状況等について情報を共有しまして、援助の中身、時期、体制はこうしよう、そういったことを具体的に検討を行った上で連携して対応をいたしておるものと承知をいたしておるところでございます。
 今、殴られない限り出てきてくれないと、こういうお話がございましたけれども、これは、この規定があるからといって警察がどこまでどういうふうに何ができるかというのは、まさにケース・バイ・ケースだと思いますけれども、抽象論で申し上げますと、警察法なり警職法で認められた権限を行使する、抽象的にはそういうことになるわけでございます。
 それから、援助ではつまらない、手柄にならないという御指摘、そういうお話があるとのことでございますが、その点につきましては全くそのようなことはございませんで、私ども、先ほど民事不介入のお話も出ておりましたけれども、国民の生命、身体、財産を守るという観点から、これはまさに連携が大事だということで、可能な限り最大限連携をとってケースに応じて適切な対応をいたしておる、またそのように指導もいたしておるところでございます。
#91
○林紀子君 ありがとうございました。
#92
○田嶋陽子君 社民党の田嶋陽子です。よろしくお願いします。
 最初は、警察庁に対してお伺いしたいと思います。
 現場で児童虐待防止のために働いている人たちが、ことしの六月に児童虐待防止法の改正を求める全国ネットワークを結成しました。九月に行われたシンポジウムで、これまで各地の虐待防止ネットワークに参加してきた生活安全部局、局長さんのいらっしゃるところですね、そことは連携がとれて、とても生活部局に対しては評価が高いんですけれども、一方で刑事部局が児童虐待の最前線に立つことに関してはいろいろ批判があるようなんですね。
 そこで、三つほどお伺いしたいんですけれども、警察は生活安全部局を中心にして、これまでほかの機関と、先ほどのお話もありましたように、いろいろ連携して児童虐待防止に取り組んでいらしたわけですけれども、刑事部局は、生活安全部局が持ってきたノウハウをどのくらい共有していらっしゃるんでしょうか。簡単にお願いします。
#93
○政府参考人(吉村博人君) お答え申し上げます。
 警察署で考えますと、いろんな仕事を警察署でやっておるわけでありますので、その中で刑事課がありましたり、あるいは生活安全課、あるいは少年係がありましたり、いろいろ仕事を分担してやっておりますから、いわゆる事件の捜査をするというのを直接、特に刑法犯の事件を捜査するというのは刑事課になると思いますし、いずれにせよ、この種の児童虐待事案について、刑事課としましても、その署の中の生活安全課なり少年係と十分連携した上で、事件に……
#94
○田嶋陽子君 その十分な連携というのは、さっきからずっと生活安全局長がおっしゃっているので、じゃなくて具体的にお聞きしたわけですが、なさそうですので、次に行きます。
 刑事部局には捜査上の守秘義務があると思うんですけれども、そのせいかどうか、児童相談所とか医療機関などのほかの機関と連携して動くという、そういう認識は先ほどからあるあるとおっしゃっているんですけれども、具体的にそういうことをしていらっしゃるのかどうか。
 ということは、私の手元にありますところでは、弁護士とか児童相談所職員などの意見をまとめると、児童相談所から警察に対して刑事告発するケースがふえてきているというんですね。なぜかというと、児童相談所は警察に対して情報を提供するけれども、警察の刑事部局は児童相談所に情報をフィードバックしないと、こういう情報があるんですけれども、例えばこういうことを一つとっても、そのあたりをどのようにお考えでしょうか。
#95
○政府参考人(吉村博人君) 先ほど申しましたように、刑事部門はあくまで捜査の仕事をやっておりますから、警察の中においては主として生活安全部門が中心になって平素から児童相談所等との連携をしているということでありまして、刑事部門はですから当該生活安全部門と連携を図ることを通じて、児相あるいは保健医療機関、学校等と連携をしているというふうに整理できるのではないかと思います。
 それから、児童相談所からいろいろ告発を受けて事件処理をする過程におきまして、先ほど御質問にもありましたが、これは事件の性格に応じて、児童虐待の事件に限りませんけれども、例えば被疑者が少年の場合等々のケースでは、刑事だけではなくて、中に少年係の職員を入れたり、そこを具体的な連携ということでは今申し上げましたようなこともしております。
 今、先生がおっしゃった情報のフィードバックという、その情報がどういう意味かというのがちょっと必ずしも明確でない面もあるんですが、こういうことで刑事事件になります、やってくださいということで署の刑事課に事案が寄せられますと、それは当然事件処理をしていきます。それを一〇〇%全部被害者の方等にお教えできるのかどうか、関係者にお教えできるかというのは、確かにちょっとケース、ケースで考えていかなきゃいかぬ面もあるのではないかと思います。
#96
○田嶋陽子君 ありがとうございます。
 じゃ、その刑事部局と今局長さんのいらっしゃる生活安全部局と、そして児童相談所と三位一体どころでなくて、いろんなことで連携しなければいけないと思うんですけれども、ぜひその辺を密に、あるいは知的に効率よく、あるいは思慮深くやっていただきたいと思います。
 じゃ、法務省の方に質問いたします。
 私の感じでは、まだ日本というのは家父長制のもと、子供は親の附属物というそういう考え方がはびこっていて、いろんな意味で子供の側に立ち切れていないところがあるんじゃないか、そんなふうに思っているんですけれども、例えば八百二十一条に「子は、親権を行う者が指定した場所に、その居所を定めなければならない。」とか、子供という未成年に居場所を定めなければならないと義務づけたりしているわけですよね。
 それに対して、例えば、去年ですけれども、十一月十六日に開かれた衆議院の青少年問題に関する特別委員会では、民法の親権の身上監護権の中の懲戒権に関して、八百二十二条ですね、これに関して当時の細川清法務省民事局長がこういうふうにおっしゃっていらっしゃいます。「親権者が子の監護上、子の非行や過誤を矯正して、それを指導するために、必要かつ相当な範囲内で子に対して一定の措置をとることを認めたものでございまして、私どもとしては、これは合理的な制度だと思っているわけでございます。」とお答えになりましたけれども、その後、児童虐待防止法を成立させるに当たって、衆議院の青少年問題に関する特別委員会でもこの懲戒権、八百二十二条はなくすべきだという意見が多く出されたんですけれども、それは三年後の見直しの課題とされたわけです。
 現在は、法務省の見解はそれ以後変化していらっしゃいますでしょうか。
#97
○副大臣(横内正明君) 確かに懲戒権というのがありまして、そしてその懲戒権の中には一定の合理的な範囲内で体罰も含まれるわけですね。したがって、この懲戒権というやつが児童虐待を助長するのではないか、廃止したらどうか、こういう御意見があることは確かなんです。
 しかし、この懲戒権というのは親が子のためにやるものであって、子供を死に至らしめたりあるいは傷害をさせたりあるいは心理的な虐待を加えるというような、いわゆる児童虐待と言われるような行為がこの懲戒権の行使として許されないものであることは当然でありまして、懲戒権の行使というものと児童虐待というのは明らかに区別されるべきものだというふうに考えておりますので、当時と考え方は変わっていないということでございます。
#98
○田嶋陽子君 変わっていない。でも、大体親はあんたのためだよ、愛のためだよと言いながらむちを振るって殺してしまう、もうこの経過というのは決まっているわけですよね。ですから、そこのところをこれからもう少しお考えいただきたいと思います。
 それでは、先ほど、ことしの八月に法務省法務総合研究所が発表した、二千三百五十四人の少年院在院者を対象にした児童虐待に関する調査で、とてもいい調査をなさったと思います。少年院に在院している少年少女の半数以上が虐待された体験を持つということが明らかになったということですよね。
 このことに関しては、法務省、先ほどの調査計画として、来年は一般人を対象にまた調査をしていくということで、こちらで得ている情報ですと、虐待経験の有無だとか、被虐待経験者にはどのようなサービスが必要だったのかとか、それから、例えば虐待されても人に暴力を振るう人と振るわない人がいるけれども何が歯どめになっているのかとか、こういうことを調査していこうとしていらっしゃるわけですね。そして、これまで少年院在院者など非行化した人を対象にした調査はあったんですけれども、この一般人を対象にした調査をすることによって比較対照できるということはすばらしいことだと思うんですね。
 私としては、これにさらにつけ加えていただきたいのは、先ほど段本議員もおっしゃったんですけれども、何でしたっけ、段本さんは抜本を見なきゃいけない、虐待の抜本を見なければいけないというようなことをおっしゃったんですね。
 私は、その抜本を見るためには、ここでとまらないで、その父親、母親のバックグラウンド、生い立ち、これを調べないと、よく言われている虐待のサイクルというのはなくならないんじゃないか。だから、虐待の場合はやっぱり親まで、あるいはおじいさん、おばあさんまで、そこまで調べていっていいと思う。この虐待の毒というのは私はある種の遺伝だと思っていますから、環境による、環境遺伝子ですね、ですからそこまでできれば調べていただきたいなと。親の個人史ですね、背景まで、祖父母の背景までも調べていただけば、そこで一つの根っこがわかってくるんじゃないかということを思うので、ひとつお願いしておきたいと思うんですが、そのことに関してはどうでしょうか。
#99
○副大臣(横内正明君) 委員が御指摘になりましたように、来年は一般市民に対して同じような調査をしたいというふうに考えておりまして、大体一万人ぐらいを対象にしまして、その虐待の内容だとかその他もろもろの調査を行いたいと……
#100
○田嶋陽子君 それは知っています。次をお願いします。
#101
○副大臣(横内正明君) 委員のおっしゃった親のそういった過去の履歴、経歴といいましょうか、そういうことまでやるということについては今のところ考えておりませんが、しかし一つの御指摘として将来の検討課題にしたいと思います。
#102
○田嶋陽子君 ありがとうございます。ぜひぜひ頑張ってください、予算をとって。
 それからもう一つ。私が一番、神戸の勢田恭一君のことで怖かったのは、今もって考えると震えちゃうんですけれども、親が恭一君を相手にして、家と施設とどっちがいいか答えなさいと言ったら、勢田君は怖いから家がいいと言ったら、お母さんが、うそ言うんじゃないよ、本音言えといって殴ったわけですね。そして、恭一君が正直に施設の方がいいと言ったら、そのときから殴られて死んじゃったわけですね、脳内出血で。
 一体、ここをだれが見て、だれがこの状況から恭一君を救えるかということですね。警察庁も裁判所も、その後のこととか予防のことはいろいろ考えていらっしゃるが、私が一番怖いのはここなんです、ここですよ。
 だから、ここをどういうふうに考えていらっしゃるか、もしかしたら管轄外とおっしゃるかもしれないんですけれども、御意見をお聞かせください。
 どなたに聞きましょうか、家庭局長さん。
#103
○最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君) 私どもといたしましても、本当に今、委員が御指摘のような痛ましい事件を見るにつけて、どこで手を差し伸べれば防止できたんだろうかということを考える材料でございまして、いろいろ考えているところでございます。
 ただ、家庭裁判所といたしましては、一般的な形でいろいろネットワーク等に御協力することはやぶさかではございませんし、現に参加してきているわけでございますが、やはり事件が来て初めてのことでございます。家庭裁判所は、進んで事案を探すことはなかなか難しい、その制約があることは御理解いただきたいと思っております。
#104
○田嶋陽子君 わかりました。ありがとうございます。
 さっき、結局、この児童虐待というのは命のとうとさがわかっていない親がやると言うけれども、これは違うんですね。命のとうとさがわかっていてもやってしまうのが児童虐待なんですよね。ここを何とかしなきゃ。要するに一つの病気で、インフルエンザにかかったものと私はこの間言いましたけれども、そういうところがあるのと、それから、説諭されてやめる親とそれでもやめられない親がいるわけですよね。
 ですから、子供に対するカウンセリングと同時に親に対するカウンセリングが必要なわけですが、私は、とりあえず子供に関しては、虐待サイクルを絶つために子供自身の問題で見ていくと、法務省の法務総合研究所の古田薫研究官が研究して出したところに、自己評価が低いとか自尊心が低いとか、不遇感、不信感、それから愛情欲求が強いとか、自分のことしか考えないとか、自分のことしか考えないのは自分がそれだけ苦しんでいるからですよね、そういうものを挙げているわけですが、私は、これは従来の、これまでやってきた、日本でやっているカウンセリングではだめだと思うんですね。
 私が大学でも、元教員のときにやっていましたのがリエバリュエーションカウンセリングというので、自己再評価、再評価カウンセリングというんですね。これはちょっと違うので。
 例えば、私はこの間テレビを聞いていましたら、町で見つけた中絶した女の子に何ということを言うかというと、あんた、女でしょうというような言い方から始めて、それから、好きな人ができたときに本当に好きな人の子供を産めないよとか、そういう言い方のアドバイスなんですね。でも、その子たちは、さっきもお話しくださったように、児童虐待を受けていると薬物だとか飲酒だとか家出だとかあって、根はもっと深くて、そんなことの説諭ではどうにもならない状況にいるからその辺をふらふらしているわけでして。
 ですから、私は、子供に対して、それから親に対しても新しいカウンセリングの方法で、日本ではまだ入ってきたばかり、十年ぐらいのものですけれども、ぜひRCと言われているリエバリュエーションカウンセリングをやっていただきたいなというふうに提案したいんですね。
 それで、そのことに関してはどんなふうにお考えでしょうか。もしかしたら管轄外だとおっしゃいますか、でももしかしたら、御意見聞かせてください。
#105
○政府参考人(鶴田六郎君) 今のお答えのうちの少年に関する部分は、非行少年、そのうちの少年院送致の決定を受けた少年を収容して矯正教育をするというのは少年院の仕事ですので、その観点から申し上げますと、少年院に対しましては、いろいろ個別面接とか、そういうふうな形でやっておりますけれども……
#106
○田嶋陽子君 そのことはいいです。もう調べましたからわかっています。今のリエバリュエーションカウンセリングに関して、率直に。
#107
○政府参考人(鶴田六郎君) 恐らく、過去に虐待の体験を持っている少年に対して、その更生させる一つの方法として、そういったRCという方法があるという御指摘だろうと思います。
 虐待がある少年に対しましてどういう処遇をしていくかということは、今の法総研の研究を踏まえて研究をしていきますけれども、御指摘も踏まえて、今後また福祉心理学その他の知見も参考にしながら研究していきたいと思います。
#108
○会長(小野清子君) ちょっと速記をとめてください。
   〔速記中止〕
#109
○会長(小野清子君) 速記を起こしてください。
#110
○田嶋陽子君 要するに、考えてくださるということですね。それだけで結構です。ありがたいです。
 それで、もう一つですけれども、私は生活安全局長にも、それから家庭局長にも、皆さんにお伺いしたいんですけれども、私は、そういう、例えばさっきテレビで見た忠告の仕方、生活安全局の人たちの説得の仕方を見ていて、ああ、これじゃだめだな、子供はもっと悪くなっちゃうなと思うんですけれども。一つには、ジェンダー教育をどれだけ取り入れていらっしゃるか、具体的におっしゃってください。これまでジェンダー教育を、例えば家裁の調査官とか家事審判官とか、生活安全局でお巡りさんたち。私が出会うお巡りさんはとてもいいお巡りさんが多いんですが、みんな善意によってセクハラするんですね。えっ、まだ結婚していないのとか……
#111
○会長(小野清子君) 田嶋さん、時間になっておりますから。どなたに。
#112
○田嶋陽子君 全員です。
#113
○会長(小野清子君) それは時間上ちょっと無理ですから、どなたかに絞ってください。
#114
○田嶋陽子君 それでは、生活安全局長、お願いします。
#115
○会長(小野清子君) 短く御答弁お願いします。
#116
○政府参考人(黒澤正和君) 御指摘の点につきましては、いろんな学校教育の場でありますとか、学校教育というのは警察部内における学校教養でございますけれども、そういった学校教養、あるいは各種会議等で、昨今の諸情勢にかんがみましていろいろと指導、教育をいたしておるところでございますが、先生には、まだまだ……
#117
○田嶋陽子君 いろいろというのは、ちょっといいかげんですね。
#118
○政府参考人(黒澤正和君) いろいろと指導をいたしておるところでございます。
#119
○高橋紀世子君 私は、本当に子供たちへの暴力というのは痛ましいことだと思いますし、その子供たちに被害に遭ったときに通告してくれというのも、またなかなか難しいことだと思います。やはりこういうことがなるべく起こらない社会にしていかなければいけないと思っています。
 それで、私は、この前と重なりますけれども、やはり皇室のあり方と日本の私たち庶民のあり方のことについてアプローチしていきたいと思います。
 まず、皇位継承なんですけれども、皇位は皇族に属した男子のみ継承するというふうになっております。「皇族以外の者及びその子孫は、女子が皇后となる場合及び皇族男子と婚姻する場合を除いては、皇族となることがない。」ということになっています。つまり、皇位継承は必ず男性であり、そして男性の普通の人が皇族になるということはあり得ないと。つまり、明らかに男女の差別があります。大きく開きがあります。そのことは、やはり私は、今この現代に皇室が男性と女性のあり方がまるきり違うということは、私たちの生活に大変何か大きな不安定さ、暗さを呼んでいると思います。
 そのことについてはどうお考えでしょうか。どなたか御返事ください。
#120
○政府参考人(羽毛田信吾君) お答えをさせていただきます。
 今、先生の方からございましたように、女性の方については、皇位継承のことについては、皇室典範において、「皇統に属する男系の男子が、これを継承する。」という形で、女性の方の皇位継承ということはない、逆に男性の人が皇族の女性の方と御結婚なさっても、その男性の方が皇族になられるということはないということにつきまして、事実としてはそのようなことになってございます。
 それにつきましては先日もお答えを申し上げましたけれども、やはり皇位継承制度というものにつきましては、皇室の歴史、伝統、そしてそれらを踏まえました国民の皇室に対する気持ちといったさまざまな背景によりまして現在のような形になっておるわけでございます。
 したがいまして、男女平等ということは大変大事な考え方ではございますけれども、この皇位継承制度のあり方を考えます場合には、そういった男女平等という観点だけではなくて、幅広い観点から考えていかなければならない問題だと思いますし、また、そういった男女平等という観点だけで議論していいかどうかというところについても、国民の皆様の中にもいろいろ意見もあると思います。そういう意味で、幅広い観点から考えていかなければならない問題であろうというふうに考えておるところでございます。
#121
○高橋紀世子君 これもこの間と重なって大変恐縮なんですけれども、私はこのことは大変大きな問題だと思っておりますし、どうしても共生の社会にとって一つの大きな要素だと思っておりますのでしつこく言わせていただきます。
 今までの歴史といっても、歴史をひもとけば女性が天皇になったこともございます。私たちは、やはり精神的に男女平等だと、そういうことが大変大事だし、共生の社会を進めていくにも男女がそれぞれ役割を持って平等に働くということが大事だと思います。そのときに、天皇制がそれとまるきり違うやり方でやっているということは、私は、私たち国民に対して暗い影を落としているというか、不安定要素になっていると思いますので、またぜひお考えおきください。
 それからまた、天皇の人権というと大変恐縮ですけれども、天皇は退位できません。どんなに望んでも退位することができません。それは皇室典範に、「皇嗣に、精神若しくは身体の不治の重患があり、」「皇室会議の議により、前条に定める順序に従つて、皇位継承の順序を変えることができる。」、つまり皇室会議をしなければ天皇は何の理由があってもやめることができないということなんです。
 これは天皇も人間ですから、天皇の人権にかかわる大きな問題だと思っておりますし、そのことはやはり天皇自身が望まれたときは退位なされるようにした方がいいと私は思いますけれども、いかがでしょうか。
#122
○政府参考人(羽毛田信吾君) 現行の皇室典範が御指摘のように天皇の意思によります退位の制度を認めていないということはそのとおりでございます。
 そういうふうになっておりますところのゆえんのものは、一つには、退位を認めるということが、歴史上いろいろ見られましたようないわゆる上皇でありますとか法皇的な存在というもののある種弊害を生ずるというおそれがありはしないかということ、それから、必ずしも天皇の自由意思に基づかない退位ということの強制があり得るということです。
 いろいろ政治的な思惑の中でそういうようなことが起こるというようなことがありはしないかということ、あるいは天皇が恣意的に退位をされるというようなことになりはしないかというようなことを懸念をいたしまして、そういったことを挙げて、天皇の地位を安定させるということが望ましいという観点から退位の制度を認めないということに現行法なっておるわけでございます。
 そういった皇室典範制度の制定当時の経緯というものをやはり踏まえていかなければならないと思いますし、さらに今、先生もちょっとお挙げになりましたけれども、天皇に心身の疾患あるいは事故があるというような場合につきましては、現在も国事行為の臨時代行でありますとかあるいは摂政の制度が設けられておりますので、そういった事態の起きました場合にはそういった対応をする制度もあるということを考えますと、現在の段階で退位制度を設けるというようなことについては私ども考えていないところでございます。
#123
○高橋紀世子君 天皇制を守るというふうな観点でおっしゃいましたけれども、やはり人間一人一人の人権のことを思いますと、このシステムも私は共生の社会を発展させる意味で何か障害になっているように思えてなりません。
 それからもう一つ、憲法の中に書いてあることに整合性がないように私思います。
 第一章に皇位の継承とあります。「皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。」。それから、第三章に、貴族の禁止、すべての国民は法のもとに平等であって、差別がないと書いてあります。
 しかし、片っ方では、皇位は継承のものであって、皇室典範に定めてある、だから皇室というものは特別なものであると、そして片っ方では、人類は皆平等であると、その二つが同じ憲法の中に入っていることに私は少々ギャップを感じるんですけれども、いかがでしょうか。
#124
○政府参考人(石木俊治君) 御案内のところでございますけれども、憲法では第一条で、天皇の地位を日本国の象徴であり、日本国民統合の象徴であると定めておりまして、ただいまおっしゃられましたように、第二条において、こうした天皇の地位が世襲されるということを定めているところでございます。
 また、憲法第十四条は「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」ということを定めているところでございます。
 このように、天皇の制度というものと法のもとの平等ということについては、いずれも日本国憲法において定められているものでありますことから、両者はいわば両立するものといいますか、言いかえれば、法のもとの平等を定めた憲法第十四条は、天皇についての制度を定めた憲法第一章の規定が存在することを前提として理解されるべきものであるというふうに考えておるところでございます。
 この点につきましては、いわゆる制憲議会において金森国務大臣も、現在の憲法の第十四条は、天皇が我が国の象徴であるということと相伴う限度において理解されなければならないということは自然の結果であろうと考えるという趣旨の答弁をされているところでございます。
#125
○高橋紀世子君 それはわかるんですけれども、やはり同じ憲法の中に違う趣旨のものが混在するということは、私たち大衆の気持ちを少々不安定にしているように思いますけれども、そういうことでありがとうございました。
#126
○会長(小野清子君) 他に御発言もなければ、本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後三時四十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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