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2001/10/25 第153回国会 参議院 参議院会議録情報 第153回国会 法務委員会 第2号
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2001/10/25 第153回国会 参議院

参議院会議録情報 第153回国会 法務委員会 第2号

#1
第153回国会 法務委員会 第2号
平成十三年十月二十五日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 十月十二日
    辞任         補欠選任
     岸  宏一君     三浦 一水君
 十月十五日
    辞任         補欠選任
     小川 敏夫君     岡崎トミ子君
 十月十六日
    辞任         補欠選任
     岡崎トミ子君     小川 敏夫君
 十月十七日
    辞任         補欠選任
     江田 五月君     岡崎トミ子君
 十月十八日
    辞任         補欠選任
     岡崎トミ子君     江田 五月君
     平野 貞夫君     田村 秀昭君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         高野 博師君
    理 事
                市川 一朗君
                服部三男雄君
                千葉 景子君
                日笠 勝之君
                井上 哲士君
    委 員
                青木 幹雄君
                岩井 國臣君
                佐々木知子君
                陣内 孝雄君
                中川 義雄君
                江田 五月君
                小川 敏夫君
                角田 義一君
                浜四津敏子君
                福島 瑞穂君
                柏村 武昭君
   国務大臣
       法務大臣     森山 眞弓君
   副大臣
       法務副大臣    横内 正明君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  中川 義雄君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局人事局長   金築 誠志君
       最高裁判所事務
       総局刑事局長   大野市太郎君
       最高裁判所事務
       総局家庭局長   安倍 嘉人君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        加藤 一宇君
   政府参考人
       内閣府男女共同
       参画局長     坂東眞理子君
       警察庁生活安全
       局長       黒澤 正和君
       警察庁刑事局長  吉村 博人君
       警察庁警備局長  漆間  巌君
       警察庁情報通信
       局長       秋山 征司君
       法務大臣官房長  但木 敬一君
       法務省民事局長  山崎  潮君
       法務省刑事局長  古田 佑紀君
       法務省矯正局長  鶴田 六郎君
       法務省人権擁護
       局長       吉戒 修一君
       法務省入国管理
       局長       中尾  巧君
       公安調査庁長官  書上由紀夫君
       厚生労働省政策
       統括官      坂本 哲也君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○法務及び司法行政等に関する調査
 (テロリズムへの対応に関する件)
 (改正少年法の実施状況に関する件)
 (犯罪被害者の保護に関する件)
 (司法制度改革に関する件)
 (選択的夫婦別氏制度の導入に関する件)
 (刑務所の過剰収容対策に関する件)
 (IT社会における刑事司法の在り方に関する
 件)

    ─────────────
#2
○委員長(高野博師君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る十二日、岸宏一君が委員を辞任され、その補欠として三浦一水君が選任されました。
 また、去る十八日、平野貞夫君が委員を辞任され、その補欠として田村秀昭君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(高野博師君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 法務及び司法行政等に関する調査のため、本日の委員会に内閣府男女共同参画局長坂東眞理子君、警察庁生活安全局長黒澤正和君、警察庁刑事局長吉村博人君、警察庁警備局長漆間巌君、警察庁情報通信局長秋山征司君、法務大臣官房長但木敬一君、法務省民事局長山崎潮君、法務省刑事局長古田佑紀君、法務省矯正局長鶴田六郎君、法務省人権擁護局長吉戒修一君、法務省入国管理局長中尾巧君、公安調査庁長官書上由紀夫君及び厚生労働省政策統括官坂本哲也君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(高野博師君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(高野博師君) 法務及び司法行政等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○佐々木知子君 おはようございます。自民党の佐々木知子でございます。
 まことに残念なんですけれども、日本では非常に今治安が悪化しているということが国民全般に体感されております。
 ピッキング等の新しい犯罪も出てきておりますし、来日外国人犯罪もふえていると言われております。一方、検挙率は非常に低下しておりまして、三〇%台ということにもなっております。これに加えて、九月十一日、アメリカで同時多発テロが発生したと。そうすると、新たにテロ対策も考えなければならなくなったというような事態でございます。
 テロ対策特別措置法案というのは、近時、今臨時国会で成立する見込みになっているようでございますけれども、これは主に自衛隊の後方支援に絡むものでして、テロ対策というものは純然としてやはりまだ警察庁の所管にあると。ぜひ頑張ってもらわなければいけないと思っております。
 日本というのは大体治安がいい国とされておりまして、テロも余り縁がないと、幸いなことに、というふうに言われておりましたけれども、実は六年前にオウム真理教によるとされるサリン事件が起こりました。これは、世界初の化学兵器使用テロ事件ということで、日本のみならず国際的に随分衝撃を与えたものですが、それを契機といたしましてサリン法なるものができました。これは警察庁の所管でございます。そして、化学兵器禁止法、これは経済産業省の所管ということで、新たに二法が成立いたしましたけれども、テロ対策の運用という面に当たってはどのような対処ということを警察庁の方で考えられたのか、それについてお伺いしたいと思います。
#7
○政府参考人(漆間巌君) お答えいたします。
 オウム真理教は、平成六年、平成七年とサリンを噴霧する等の化学兵器による事案を起こしたわけでありますが、その前の平成二年から平成五年にかけましては、ボツリヌス菌とか炭疽菌の培養をしまして、実際にそれを噴霧しましたけれども失敗に終わったという経緯がございます。
 そういうことも全体踏まえまして、警察におきましては、核物質や生物兵器、化学兵器を使用したいわゆるNBCテロ、これへの対処能力の強化をサリン事件発生以後とってきたわけでございます。
 具体的には、全国の機動隊等に生化学防護服、検知器、除染機等の装備資機材を順次整備し、各種訓練に取り組んでいるほか、警視庁及び大阪府警におけるNBCテロ対応専門部隊の設置、科学警察研究所による技術的バックアップ体制の確立等、組織面でも強化を図りまして、現場対処能力の向上に努めてきたところであります。
#8
○佐々木知子君 アメリカでは、もう周知のごとく、郵便テロという形での炭疽菌が非常な問題になっております。これは、ひとりアメリカのみならず、いずれ日本にもやってくるかもわかりません。
 今おっしゃいましたけれども、そういったNBC兵器への対応というのはこれまでにも考えられてきた。これからはどのようにここを考慮されていかれるのか、それについてお答え願います。
#9
○政府参考人(漆間巌君) アメリカでは炭疽菌を使いました事件というのが起こっておりまして、しかもそれは郵便物で起こるというような手法で行われているようでありまして、被害も順次拡大していると聞いております。
 我々の方も、そういう事案が日本国内に波及するという可能性も念頭に置きまして、現在、米国の郵便物による炭疽菌事案の発生後、我が国でも厚生労働省や郵政事業庁との連絡を密にすることによりまして、不審な郵便物等の取り扱い方法や、あるいは犯罪行為である場合の徹底的な捜査、都道府県の衛生部局との連携強化等を内容とする措置要領を全国警察に示しているところであります。
 ただ、いわゆるバイオテロと呼びます生物兵器を使ったテロにつきましては、基本的に認知が早く行われないと、この場合その対応が非常におくれてしまいますと被害が拡大する、こういう状況がございまして、やはり一番大事なのは、保健医療機関において、まさに生物兵器と思われるものによる発症があったということの連絡を早く警察当局にしていただくということが大事だというふうに考えておりまして、中央においてもいろいろ関係当局に要請しておりますが、都道府県警察でも早く保健医療機関からその情報をとれるようなそういう仕組みを構築するように指示しているところであります。
#10
○佐々木知子君 テロ対策は情報収集力一つにかかっていると言っても過言ではないかと思います。ぜひ、日本はかねてより弱いと言われておりますその情報収集の力というのをこれからどんどん伸ばしていっていただきたいというふうに思っております。
 さて、二年前に、組織犯罪対策三法ということで、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律というのができました。その三条におきまして加重犯罪類型というものが定められているわけですけれども、組織的なテロ集団に対しては恐らくこの中で殺人などが使えるというふうに考えているものですが、これまでにこの三条が適用されたものというのはどのようなものがございますでしょうか。これは法務省にお伺いいたします。
#11
○国務大臣(森山眞弓君) お尋ねの組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律第三条に定められております加重処罰規定につきましては、この法律の施行から今日までに三条一項を適用いたしまして起訴いたしました犯罪類型としては、賭博場開張図利罪、常習賭博罪、詐欺罪、恐喝罪がございまして、計三件であります。三条二項を適用して起訴した犯罪類型としては、殺人罪、恐喝罪、強要罪、威力業務妨害罪などがございまして、計八件と聞いております。
#12
○佐々木知子君 そしてまた、この組織的な犯罪集団につきましては、マネーロンダリング等、そして資産凍結ということが非常に重要というふうに考えられておるわけですけれども、ハイジャック防止等いわゆるテロ防止条約というのはかなりの数ございますが、我が国はテロリストによる爆弾使用の防止に関する国際条約を締結するということで、これに当たりまして、さきに述べた二法を含む国内法七法をこのたび整備することになっておるようでございます。
 ですが、テロリズムに対する資金供与の防止に関する国際条約はいまだに未署名というふうに聞いておりますが、これはどのような内容の条約で、署名の予定があるのか、もしあるとしたら、締結に当たりどのように国内法を整備する必要が生じるのか、簡単にお答え願いたいと思います。
#13
○国務大臣(森山眞弓君) お尋ねのテロリストに対する資金供与の防止に関する国際条約におきましては、テロ行為に関連する資金供与行為などの犯罪化や、当該資金の没収などとともに、金融機関等による顧客の身元確認義務及び疑わしい取引の届け出義務などの、テロ行為を資金面から防止するための行政的規制の導入を考慮することも定められております。
 我が国政府は、この条約を年内のできるだけ早い時期に署名する方針と聞いておりまして、犯罪化等に関する国内法の整備について、現在のところ、新法によるのかあるいはそうでないのかなど具体的な立法形式やその内容はまだ定まっておりませんけれども、法務省においては、関係省庁と協力いたしまして検討を進めるなど、この条約は早期に締結するために必要な作業を鋭意行っております。
 なお、この条約の署名の開放期限はことしの十二月三十一日、年内でございますので、ぜひ年内署名をしなければならないというふうに考えております。
#14
○佐々木知子君 続きまして、改正少年法についてお聞きしたいと思います。
 この四月から施行になっているわけですけれども、まず少年事件の処分等のあり方の見直しということで、刑事処分可能年齢を十六歳から十四歳に引き下げて、刑法と統一された処理にするということになったのが一つのメーンの改正なんですけれども、これにつきまして今、半年ということで余り時間がたってはいないんですけれども、十四歳以上十六歳未満で逆送となったというケースはございますでしょうか。
#15
○最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君) 御説明申し上げます。
 四月一日以降、少年法改正が施行されまして半年余りが経過したわけでございますが、この間の実施の状況について私ども各家裁から報告を求めまして、その集計をした結果によりますと、九月三十日までに終局した事件の中においては、御指摘の事例はないというふうに承知しているところでございます。
#16
○佐々木知子君 続きまして、犯行時十六歳以上で、殺人等故意の犯罪行為で被害者を死亡させた場合は原則として逆送とするというふうに改正となりましたが、この事例についてはいかがでしょうか。
#17
○最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君) 対象となる事件は合計三十七件あったようでございまして、この内訳といたしましては、二十七件について検察官送致がされておりまして、残り十件については少年院送致がされているという状況でございます。
#18
○佐々木知子君 ちょっとこれは通告になかったのであれでしょうけれども、その前の少年法によった場合と比べて、その逆送になったパーセンテージは多いというふうに伺ってもよろしいんでしょうか。もしお答えになれればお願いします。
#19
○最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君) まだ施行後半年のことでございますので、これをもって一概にどうこう申し上げるのはなかなか言いにくい点ではございますけれども、改正前の検察官送致の比率に比べるとかなり高い比率になっているというふうに承知しているところでございます。
#20
○佐々木知子君 もう一点、少年事件の処分等のあり方の見直しということが今二つ挙げたのがメーンだったんですけれども、もう一つの改正の抜本的なものというのが少年審判制度における事実認定手続の適正化ということだったのですけれども、審判で裁定合議制をとることができるようにするというのが改正点でございました。
 実際に裁定合議制をとったケースについてはいかがでございましょうか。
#21
○最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君) 合計十一件あるようでございまして、内訳といたしましては、殺人二件、あるいは傷害致死三件、業過致死一件などとなっている状況でございます。
#22
○佐々木知子君 ある一定以上の重い犯罪については検察官関与決定をすることができるということも、これは改正の主な点でございますけれども、この決定例についてはいかがでございましょうか。
#23
○最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君) 御指摘の点については、合計十七件検察官関与決定がされたというふうに承知しているところでございます。
 内訳といたしましては、殺人事件が二件、業過致死事件が七件、強姦事件が二件、強盗殺人事件二件などとなっている状況でございます。
#24
○佐々木知子君 その場合に、法の違反、または重大な事実の誤認があった場合には高等裁判所に抗告を受理すべきことを申し立てることができるというふうになりましたけれども、実際にこの事例はございますでしょうか。
#25
○最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君) 現在のところはないようでございます。
#26
○佐々木知子君 観護措置期間が最長四週間だったのですが、これを最長八週間まで延長することができるとなりましたけれども、この運用例はどうでございましょうか。
#27
○最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君) 合計十八件につきまして特別更新がされたというふうに承知しているところでございます。
 事案といたしましては、強姦が三件、業過致死事件が二件、監禁致死事件一件などとなっている状況でございます。
#28
○佐々木知子君 最近ようやく被害者にもスポットライトが当てられるようになりまして、この少年法の改正におきましても、被害者等に対する配慮を実現する制度が幾つか導入されておりますけれども、まず被害者からの意見聴取の実施状況ですが、これについてどうなっているか伺いたいと思います。
#29
○最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君) 実施例は合計六十七件あるようでございます。その実施の方法は一応三つあるわけでございますけれども、審判期日において裁判官が聴取したというケースが二件あるようでございまして、さらに審判期日外において裁判官が聞いたというケースが三十三件、審判期日外に家裁調査官が聞いた件が三十二件というのが状況でございます。
 なお、申し出があったけれども実施をしなかった件は三件でございまして、これは事件の終局後の申し出であったとか、要件を欠いていたと、こういった事情のようでございます。
#30
○佐々木知子君 それから、審判結果を被害者等に対し通知する制度が導入されましたけれども、この実施状況はいかがでしょうか。
#31
○最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君) 審判結果の通知をされた事案は合計二百三十六件でございます。
 他方で、申し出があったけれども通知をしなかった事件は七件でございまして、多くは資格がなかったケースというふうに承知しているところでございます。
#32
○佐々木知子君 それから、非行事実に係る記録の閲覧、または謄写を認める制度も導入されましたけれども、この実施状況はいかがでしょうか。
#33
○最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君) 記録の閲覧、謄写がなされた事案は二百五十三件でございます。
 申し出があったけれども認められなかったケースは六件でございまして、その内訳は、やはり資格がなかったケースであるとか、検察官送致後で記録が既に検察庁に行っていると、こういったケースのようでございます。
#34
○佐々木知子君 かなり被害者等に対しての配慮はこの制度の導入によってなされるようになったというふうに理解してよろしいかというふうに考えるわけですけれども、やはりその犯罪被害者に関連いたしまして、昨年、犯罪被害者保護法というか、犯罪被害者保護のための法律というものが成立し、施行されるようになりました。
 まず、証人の負担を軽減する措置として、証人の付き添い、それから証人の遮へい措置の導入、ビデオリンク方式の導入というものがなされたわけですけれども、その利用状況を伺いたいと思います。
#35
○最高裁判所長官代理者(大野市太郎君) お答えいたします。
 証人への付き添いと、それから証人の遮へい措置につきましては、昨年の十一月一日から施行されております。
 刑事訴訟事件におきまして、施行の日から本年の八月三十一日までの十カ月間ということでございますけれども、その関係で最高裁判所の方に報告のありましたものは、証人尋問の際に付き添いの措置がとられた証人の数といたしましては三十一人、また証人尋問の際に遮へいの措置がとられた証人の数が六百四十一人ということになっております。
 また、ビデオリンク方式による証人尋問につきましては、ことしの六月一日から施行ということになっておりますので、やはり同様に八月三十一日までの三カ月間ということになりますが、その実施状況につきましても、最高裁に報告のあった証人の数は二十四人ということになっております。
#36
○佐々木知子君 証人の遮へい措置の件につきまして六百四十一人というふうに伺いましたけれども、かなり多いかなとか思うんですが、大体どの種の犯罪が多いでしょうか。わかりますか。
#37
○最高裁判所長官代理者(大野市太郎君) 必ずしも統計的な数値を今把握しておるわけではありませんので、おおよそのお話ということでお話しいたしますけれども、遮へい措置につきましては、一つは性犯罪的なものもございますけれども、そればかりではなくて、恐喝、傷害といったような粗暴犯の被害者等が、顔を合わせたくない、被告人と顔を合わせたくないというようなことで遮へい措置を希望するという例も多々ございます。
#38
○佐々木知子君 じゃ、ビデオリンク方式の導入につきましても大体同じような犯罪類型だというふうにお伺いしてよろしいでしょうか。
#39
○最高裁判所長官代理者(大野市太郎君) こちらの方は、遮へい措置に比べますと、やはり性犯罪者の被害者関係が多かろうと思います。
#40
○佐々木知子君 待合室を分けるとか、そういうようなことについてはもうできているんでしょうか。
#41
○最高裁判所長官代理者(大野市太郎君) 別の待合室を設け、被告人、ほかの証人あるいは傍聴人等と会わないようにしておりますし、また場合によりましては、書記官室の方へ被害者等その証人をお入れいただきまして、書記官室の方から法廷の方へ案内するというようなことの配慮もいたしております。
#42
○佐々木知子君 被害者に意見陳述をさせるということ、させる権利を与えるということで改正されましたけれども、その実施状況というのはどのようなものでしょうか。
#43
○最高裁判所長官代理者(大野市太郎君) この意見陳述につきましても、昨年の十一月一日からということですので、ことしの八月三十一日までの十カ月間の報告ということでお話しいたしますが、公判期日において意見陳述が行われた人数は百八十三人ということになっております。その内訳は、公判期日において意見陳述が行われたものが百三十八人、意見の陳述にかえて意見を記載した書面を提出した人数が四十五名、トータル百八十三人ということになります。
#44
○佐々木知子君 被害者というのは本当に傷ついておりまして、今までも権利というのは犯罪者の権利のみにスポットライトが当てられて、ようやく被害者に対しても当てられてきたという、まだ過渡期だというふうに思うんですけれども、何かいろいろ恐らくもっと要望があるのではないかというふうに考えるわけです。
 一つには、加害者がいつ刑務所から出てくるか、釈放時期を教えてもらいたいという要望があったんですけれども、それについては実施されるようになったというふうに聞いております。これの実施状況などを、もし手元にございましたら、教えていただきたいんですけれども。
#45
○国務大臣(森山眞弓君) おっしゃいました被害者通知制度というのは、十一年四月から全国の検察庁において実施されております。十一年の五月からことしの六月まで合計二十六カ月でございますが、通知希望者数は約七万五千人でございまして、実際に通知した人数は約十二万五千人でございます。
 ことしの三月一日からは被害者等通知制度の一環として受刑者の釈放に関する情報を通知することになりましたが、三月一日から六月末までの間、この制度に従った通知の希望件数は全国で五百七十件でございまして、実際に通知を行った件数は約百七十件でございます。
#46
○佐々木知子君 そのほかに、被害者団体などからもっとこれをこうしてほしいというような要望が法務省の方に来ていますか。もしあるとしたら、その実施のめどについてお聞きしたいと思いますが。
#47
○国務大臣(森山眞弓君) 被害者の団体がいろいろございまして、その皆さんからさまざまな御要望が寄せられておりますが、その項目といたしましては、御指摘の加害者の釈放に関する情報を被害者に提供するということ以外に、例えば悪質な交通事犯に対してもっと厳罰を科してほしいということや、犯罪被害者の基本的な権利を確認する犯罪被害者基本法を制定してほしいとか、捜査担当者に対する教育をもっと徹底してほしいというようなこともございます。
 被害者の保護という問題につきましては、検討すべき点はたくさんあると考えておりますので、今後とも検討を行いまして、議論が熟したものから適切に対処してまいりたいというふうに考えております。
#48
○佐々木知子君 あと、司法制度改革やいろいろお聞きしたいこともあったんですが、時間の関係でこの程度で終わらせていただきます。
 ありがとうございます。
#49
○江田五月君 おはようございます。
 私は実は、九月十一日の同時多発テロの三日前なんですが、九月の八日に民主党のネクストキャビネットの法務ネクスト大臣という役職に再任をされまして、僣越でございますが、森山法務大臣のカウンターパートとこちらでは思っております、片思いかもしれませんが。
 そこで、きょうは法務大臣の先日の、あいさつということでございましたが、所信についてカウンターパートとして質問させていただきたいと思っております。
 本題に入る前に一つ質問しておきたいんですが、先日、十月九日の参議院の予算委員会で、我が党の浅尾慶一郎委員が郵政OBの選挙違反事件であるいわゆる高祖事件について質問いたしました。この高祖事件は、行政組織が選挙に使われたということだと思います。大変な事件だと思いますが、そのときの浅尾委員の質問の趣旨は、逮捕、起訴された元近畿郵政局長が公職選挙法百三十六条の二の公務員の地位利用罪で訴追をされた、しかしこれは二年以下、それより刑罰が重い国家公務員法百二条の政治的行為の制限という規定がありまして、この違反に問われていないのは一体なぜかということなんですね。一つの行為で二つの罪に当たることが考えられて、その場合は、刑法の規定によると観念的競合ということになるんでしょう。重い方で処罰をするということになるのに、重い方に当たる可能性があると思うんですが、そちらの方の捜査はどうもされていないようなんですが、警察庁、捜査はされているんですか、していないんですか。
#50
○政府参考人(吉村博人君) ただいまお尋ねの国家公務員法違反がなぜ立件されないのかということ……
#51
○江田五月君 いや、捜査しているか、していないか。
#52
○政府参考人(吉村博人君) 捜査は、全体の選挙の取り締まりの中でもちろんやっております。
#53
○江田五月君 じゃ、国家公務員法違反容疑は捜査はされたが、この国家公務員法違反で送検するとか、あるいは検察庁としては起訴するとかということに至っていないということですか。
#54
○政府参考人(吉村博人君) 本件につきましては、厳正な捜査を行いました結果、証拠関係、擬律等を総合的に検討いたしまして公職選挙法上の公務員の地位利用による選挙運動の禁止違反だということで立件送致をいたしまして、検察庁においても同法違反として公訴が提起されたということであります。
 なお、あくまで一般論でございますが、委員御承知のとおりでありますけれども、公職選挙法の第二百三十九条の二の第二項、それと国家公務員法第百十条第一項第十九号とは、当然のことながら犯罪の構成要件を異にしておるわけであります。したがいまして、公務員の地位利用による選挙運動の禁止に違反する行為、それが国公法百二条において制限されている政治的行為に直ちに該当するとは言えないと思いますので、証拠関係等が検討された上で、その立件の可否が決められるべきものと承知をしております。
#55
○江田五月君 証拠関係、もちろんそれはいろいろあるでしょうが、私が聞いているところでは、これはもう既に人事院総裁の他の委員会でのお答えもつい先日あったようですけれども、政治的目的とか政治的団体とかというところでどうもぴたりと当たらないという、当たるとは言えないと、証拠関係上、ということのようですが、国家公務員が地位を利用して行った行為によって公職選挙法で処罰される、しかし一方で国家公務員法上はそれは許されるというのは、まあ説明はあれこれできるとしても、どうも市民感覚からするとちょっとおかしいかなという気がするんですがね。
 これは人事院総裁の方にちゃんと聞かなきゃ、警察庁にこれは聞いても困ると思うかもしれませんが、どうです、法務大臣。今の、公務員がその地位を利用して行った行為で、それは公職選挙法違反に当たる、しかし国家公務員法上は許されるというのは、どうです、政治家としてちょっと変だと思いませんか。
#56
○国務大臣(森山眞弓君) 大変難しい問題でございまして、なかなかお答えはいたしにくいのでございますけれども、先生のおっしゃったような疑問を持つ人もいるかなという気はいたします。しかし、捜査当局が十分調べました結果でございますので、それを信用したいというふうに思います。
#57
○江田五月君 これはその事案の特質というよりも、むしろ国家公務員の政治的行為というのをどういうふうに概念するか、規定するかという問題なんですよね。それはそれでおいておきます、問題提起。
 それから、公選法二百五十一条の四という規定があって、いわゆる特別連座制、これによって当然当選が無効になるという事案だろうと思いますが、報道によると、本人が辞職したんだから特別連座制の適用はないと言われている。
 きのう、担当者の方とやりとりしましたが、この特別連座制には当選無効という規定はあってもその後の立候補禁止の規定などはないから、本人の辞職によって訴えの利益がなくなるので、特別連座制の適用はない。
 まだ判決が確定していないから、今その特別連座制の適用ありということで当選無効の訴えを起こすということにはなっていない。それはそうなんですが、本人が辞職したらもう連座制で当選無効というようなことは関係ないんだとなるんですか。法務省、これはどうなんですか。
#58
○政府参考人(古田佑紀君) ただいまのお尋ねは、公職選挙法の解釈ということではございますけれども、検察官が当選無効の訴訟を起こすという立場にございますので、そういう観点から申し上げますと、当選無効の訴えと申しますのは、委員御案内のとおり、当選の効力を失わせるということでございますが、被告とされるべき公職の候補者等が当選はいたしましても辞職をしていると、そういう場合には、もうこれは既にその当該当選に係る公職を離れているということになるわけでございまして、こういう場合にはいわゆる連座制による当選無効の訴えの目的は、これは達成されているというふうに考えられるわけで、そういうことから法律上は訴えの利益は消滅していて当選無効の訴えを提起することができないと考えているところでございます。
#59
○江田五月君 その本人が公務員の地位を離れているからもう目的は達成されているというんですが、しかし離れていても、その他の規定で次の立候補制限、立候補禁止などの効果があるときには離れていてもこれはやるんですよね、と聞いているんですが。
 我々議員の側からいうと、当選無効になれば初めから議員じゃなかったわけですから、私どもの仲間ではなかったというので身も心もすっきりしますけれども、一時は仲間であったということになると、どうもそれはすっきりしないなという感じがします。この点も問題提起です。
 高祖事件に強い関心を持っていまして、実はことし三月八日、参議院の予算委員会で片山総務大臣初め自民党の官僚出身の比例代表候補の出身官庁である国土交通大臣、厚生労働大臣、農水大臣に質問しました。自民党の比例代表選挙では、公選法百三十六条の二の公務員の地位利用罪に当たる選挙犯罪が起こるおそれが非常に大きい。そこで、片山大臣初め各大臣に、通知などでよくこの行政組織の中にその点周知徹底してそういうことが起きないようにしてほしいと申し上げたんですが、各大臣、お答えはなかなかよかったんですよね。しかし、その後出された通知はこの百三十六条の二には直接触れられていない不十分なもので、それ見たことか、だから言ったじゃないかと、こう言いたいんですが、我が国の選挙制度の公正を保つ上での重大問題なので、今後とも強い関心を持っていきたいと思っております。
 本題に入ります。
 森山大臣のあいさつで、まず第一に司法制度改革について、「司法制度改革の実現なくして二十一世紀の我が国社会の展望を開くことは困難である」と、大変格調高くおっしゃっていただいて、司法機能の質的、量的な充実強化に格段の決意をお持ちだと思っております。
 そこで、司法制度改革を推進するために今国会に法案が出されているわけですが、具体的な問題はいろいろあると思いますが、大枠としては私どもも賛成でございます。審議会の意見を十分生かしてさらに発展をさせなければなりませんが、そのためには、一番重要なことはやっぱり何といっても先立つものは何とやらで金なんですよね。財政的裏づけが必要不可欠ですが、どの程度の予算措置が必要とお考えですか。今、まだ漠然とはしていると思いますけれども、どんな見通しを持って、またこの点について総理大臣、財務大臣などと話し合いとか折衝とか、もうこれは始めておられるのかどうか、お伺いいたします。
#60
○国務大臣(森山眞弓君) 司法制度改革を総合的かつ集中的に推進いたしますために、内閣に全閣僚から成る司法制度改革推進本部を設置することなどを内容といたします司法制度改革推進法案を本国会に提出しているところでございます。
 司法制度改革に関する財政上の措置の具体的な内容につきましては、司法制度改革推進本部が設けられました後、司法制度改革推進計画の作成や、これに基づく具体的施策の策定、実施の過程で検討されることになると思いますが、司法がその役割を十分に果たしていくことができますように所要の予算を確保し、司法の機能やその基盤の充実強化に努めていくことが必要だと思っております。
 この問題が話題になりましたとき、ぜひ財政的な応援もお願いしたいということを財務大臣にも申し上げまして、財務大臣もどんどんやってください、応援しますからというお言葉はちょうだいしておりますが、まだ具体的なことは残念ながらはっきりいたしておりません。計画ができてからということになろうかと思います。
#61
○江田五月君 これはやはり司法の容量をとにかく今までよりも格段にふやすということですから、司法修習生の合格者も、僕らのときは五百人ぐらい、これから三千人にしようという、今は千人ですけれども。ですから、よっぽどもう財布はしっかり覚悟しておかなければできない話で、具体的になってからというよりも、日ごろから財務大臣にも、あるいは総理大臣にも金かかりますよ、頼みますよと、こう言っておかなきゃ、やっぱりその気になってこないですから、ひとつよろしくお願いをいたします。
 及ばずながら応援もしたいと思っておりますが、一方で司法機能の質的充実強化という点で、今ちょっと申し上げました修習生のことについてちょっと伺っておきたい。
 予算の制約からくるところも関係するのかもしれませんけれども、司法修習生の皆さんの厳しい状況というのが私のところなんかにも届いてまいります。
 最高裁に伺います。
 司法研修所の現状について、今年六月に発生した三件の死亡例、それにつながる修習生の健康問題、それから女性修習生に対するセクハラ問題というのもある。修習期間の短縮によるカリキュラム過密化の問題、一クラス七十名という、七十名というのはちょっとね。僕らのときは五十人ちょっとぐらいですから大変だと思いますね。
 それから検事任官者、女性の任検者というんですか、クラス枠の問題とか、法曹三者共同で研修所を運営したらいいんじゃないかとかいうような指摘とか、いろんな指摘がありますが、ちょっとざざざっと言いましたけれども、簡単にそれぞれについて、簡単にというか、中身は充実してそれぞれについてお答えください。
#62
○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) 御質問の点について概括的にお答えしたいと思います。
 まず、六月に三名修習生が死亡したという、これは一名は判事補になった者のことだと思います。
 いろいろな点がございましたが、まずクラスの人数に関しましては、かつてよりふえまして七十人になっているわけでございますが、この点、長年にわたって蓄積されたノウハウを生かしまして、きめ細かい指導をして、また班別討議等によってできるだけ多くの修習生に発言の機会を確保するなどの工夫をして、従前と変わらない教育効果を上げるように努めております。
 修習内容が過密ではないかという御指摘があるわけでございますが、この点は、修習期間が短縮されました結果、一日の授業時間は確かにふえております。ただ、原則として午後五時には終わっておりますし、一般社会と比べましてそう厳しいと言うわけにもいかないんじゃないかというふうに思います。
 亡くなった方の話が出たわけですが、修習の期間中に亡くなる修習生が、これまでも大体一期で一名ぐらいは、大分前からずっと出ているというのが実情のようでございまして、この点からいいますと特に増加しているというわけでもないというふうに思います。
 それと関連することでございますが、定期健康診断につきましては、修習生が採用された際に健康診断を受けてもらっていますし、その後も半年ごとに健康診断をしております。この点もメンタルヘルスなどの点も含めまして配慮しているつもりでございます。
 セクハラ、セクシュアルハラスメントのお話も出ましたけれども、この関係で事実関係が認められたものにつきましては、もちろん謝罪させて注意、指導を行うという措置をとっておりますが、言われているところが、すべて調べてみると問題となるような言動が認められるものではなかったというものもございます。
 この関係で、研修所では随時、ジェンダーとか女性に関する諸問題をテーマとする講演を実施いたしまして、修習生、教官に受講させておりますし、カウンセラーも置きまして、来期からはセクハラを含む各種の問題について相談する窓口を開設する準備を進めております。
 今後ともセクハラの防止と排除に努めていきたいと思っておりますが、いずれにいたしましても、司法修習につきましては今後とも関係者の意見を聞きつつ、より効果の上がる、研修効果の上がる充実した司法修習がなされるように努めてまいりたい、こう思っております。
#63
○江田五月君 もちろん司法修習というのは片手間でのんびり遊び半分でやってもらっちゃ困るので、まさに「司法制度改革の実現なくして二十一世紀の我が国社会の展望を開くことは困難」と大臣がおっしゃっている。その二十一世紀の展望の一番根本が司法修習生がどういう修習をするかということにあるので、この点はひとつ本当に真剣に考えてほしい。
 なお、セクハラ問題は、研修所の中でセクハラが起きちゃいけないというのはそれは当たり前の話で、問題は、そうやって研修所から育っていく将来の法曹が、セクハラはだめだという意識を修習の間にちゃんとつけておかなきゃいけないということだと思いますよ。
 ですから、中でセクハラがあったら、いや、教官に注意しまして謝らせましたとかじゃ済まないので、そういう芽がもう修習の間からちゃんと摘まれていなきゃいけないという課題だと思いますので、しっかりお願いをいたします。
 具体的なことをいろいろ聞きたいところですが、時間が余りありませんので、次に行きます。
 大臣のあいさつで二番目に取り上げられているのが安全な社会の実現、維持。公安調査庁に伺います。
 日本国内での、イスラム過激派とかあるいは国際テロ組織とか、そういうことが一体どうなっているのか。我が国のこういうテロというものの危険度は一体どうなのか。今回の米国の同時多発テロ以降、我が国のテロ危険度は一体増大するのか、増大するとすればどのくらいなのか。
 ちょっと漠然とした質問ですが、これは、余りまたこれも細かく聞くとなかなか厄介なことになるので、ちょっと漠然としていますが、質問の趣旨を体してお答えください。
#64
○政府参考人(書上由紀夫君) 大変難しい御質問なわけですので、安全度、危険度がどうかというのはこれはなかなか言いにくい問題でございます。
 ただ、せっかくのお尋ねですので、一般的にお答えを申し上げたいと思いますが、その前に、私ども言うまでもなく、お尋ねのようなイスラム過激派あるいは国際テロ組織といったものにつきましては重大な関心を持って日ごろから調査をしております。
 今回の同時多発テロの発生に際しましても、直ちに私どもの次長を責任者とする特別体制をとって、全国に号令をかけまして、関連情報の収集、そして必要な情報の関係機関への提供等を行っておりますし、また今月に入りまして、米英のタリバン攻撃以降、私どもはやはり一つステージが上がったという認識をしておりますので、もう一つ高い段階から、私を本部長とする緊急特別体制をとりまして、さらに情報収集の徹底を今図っているわけでございます。
 ただ、何といいましても現在、我が国にこうしたイスラム過激派といいますか、その母体になるイスラム教徒、あるいはイスラムから来られた人というものの実態が、私どもでもなかなかこれは把握の仕方が難しいわけですけれども、私どもの把握では、外国人登録者の数等を見ますと、大体六万から十万ぐらいという総数になっているんではないかというふうに見ているわけです。
 私どもがそういう中で関心を持って見ておりますのは、大体イスラム系の方というのは、多くは善良なイスラム教の方なわけですが、その活動の中心というのは、どうしてもいわゆるモスク等での礼拝あるいはそこにおける集会等を中心にやっているのではないかということで見ておりますが、現在我が国に、このモスクもピンからキリまでありますが、おおよそ百五十ぐらい現在あるわけです。かなりの部分は首都圏に集中しているわけですけれども、そうした中でやっておりますところ、何らかの資金活動をしている疑いがあるのではないかと思われる者、若干いないわけではありませんけれども、しかし大半の方はやはり今回のテロ事件に際しましても、巷間言われるところの、イスラム・イコール・テロというようなイメージがありますので、そういったイメージの払拭という方向へ、何とかならないかというような対応をしているように私どもでは見ておるわけです。
 ただ、いずれにしましても、これは今、アフガニスタンで大変問題になっておりますように、このイスラムテロ組織というのもこのイスラム教徒の、非常に私どもの社会ではなかなか理解できないんですが、宗教とかなり密接な関連を持って動いているというところから、今後の全体の事態の推移、これいかんによってどうなるのかということを関心を持って今情報収集に努めているところでございます。
#65
○江田五月君 なかなか微妙な問題ですよね。過激派の母体となるといいますか、そうですね、母体となるイスラム教徒というとらえ方がいいのかどうか。大部分のイスラム教徒は善良でといったってそんなことは当たり前で、別にイスラム教徒でなくたって、無宗教の人だって何教の人だって大部分の人が善良な人であって、それは何もその宗教というのが何か過激派の母体だというとらえ方で、そして公安調査庁がその宗教を特に監視のもとに置くとなると、これはまた、それはそれで問題だと思いますね。その辺の頭の回路の整理はひとつしっかりとしておいていただかなきゃならぬと思います。
 公安調査庁の方もそういうテロについての情報収集、対応をしておられると思いますが、法務大臣、法務省のテロ対策、それから十月八日に内閣に緊急テロ対策本部が設置されたと、ここではどのような措置になっていますか。
#66
○国務大臣(森山眞弓君) 十月八日に緊急テロ対策本部が設置されました。内閣に置かれましたことにかんがみまして、法務省におきましても、十日、事務次官を本部長とする法務省緊急テロ対策本部を設置いたしました。そして、法務省において緊急にとり得るテロ対策のための措置等について協議するなどをしております。十日と二十三日に開催いたしました。
 各局等におきます具体的な取り組みといたしましては、まず入国管理局におきまして、厳格な出入国管理のさらなる徹底を全国の地方入国管理局に指示するとともに、成田空港等の主要な空海港に職員を応援派遣する緊急措置を行いました。加えて、不法入国防止等対策の一環といたしまして、既に全国の主要空海港に配置済みの最新鋭の偽変造文書鑑識機器二十一台のほかに、さらに同じ機器二十三台を国際定期便の運航している全空港等に早急に更新、配備することにいたしました。
 また、公安調査庁におきましては、今月八日に長官を本部長とする緊急特別調査本部を設置しましてテロ関連情報収集体制の一層の強化を図っておりますとともに、検察庁におきましても、今月九日、次長検事を本部長とする最高検察庁のテロ対策本部を設置いたしまして全国検察庁における警戒態勢の強化の徹底等を図っております。
#67
○江田五月君 新たな脅威が出てきて、炭疽菌対策、それからその他の生物・化学テロ対策、プラスチック爆弾対策、こういうものはどうでしょうか。
 それからもう一つ、ワールドカップ対策ですが、これは、従来はこのワールドカップはフーリガンによってぐじゃぐじゃにされるのを何とかしなきゃならぬという、しかし一方で、今度、同時多発テロ事件以降、ワールドカップをテロから守らなきゃならぬという要請も出てきているというので、韓国の金大中大統領はワールドカップへのテロ対策の検討を指示したようですが、我が国の対応はどうか、お願いします。
#68
○国務大臣(森山眞弓君) 炭疽菌とかプラスチック爆弾などを使用して人を殺傷する行為というのは刑法の殺人罪や傷害罪等に当たるわけですが、そのほかプラスチック爆弾は爆発物取締罰則に言う爆発物に当たりますので、その使用、製造等についてはそれぞれ所定の罰則が適用されるわけでございます。
 また、このような行為を犯罪化し、国外犯処罰を義務づける国連条約としましてテロリストによる爆弾使用の防止に関する国際条約がございまして、テロに対処する国際協力を推進する上でこの条約の早期締結が求められておりますが、法務省といたしましても、関係省庁と協力いたしまして、この条約を締結するために必要な国内法の罰則整備を進めておりまして、その一環といたしまして、炭疽菌等の生物剤については生物兵器等を使用する罪や生物剤等を発散する罪の新設を検討いたしております。この罰則整備のための法案については、早ければ今月中にも国会に提出できるように鋭意作業を進めております。
 また、来年の日韓両国におけるワールドカップサッカー大会でございますが、これにはまず、いわゆるフーリガンに対する効果的な対応策を講ずる必要がございます。
 その一環といたしまして、これらフーリガンの上陸を拒否し、また迅速な退去強制を行えるように、出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案を提出する予定にさせていただいておりまして、これを成立させていただいた上で、これらの法令の適用により厳正に対処したいと思います。
 また、テロに関連いたしましては、もちろんその九月の事件の直後から厳格な出入国審査を徹底しておりますが、この大会に関しましても、テロリスト等の入国を阻止し、テロ行為の発生を未然に防ぐというために、関係機関との緊密な連携を図りながら、出入国管理の強化を推進していきたいと考えております。
#69
○江田五月君 大臣あいさつで、本年七月の国際組織犯罪等対策推進本部の設置に触れておられます。これはどのようなことを行うのか、行ってきたのかについてはどうですか。──どうせ書かれたものをお読みになるだけだろうから、飛ばします。次へ行きます。
 大臣あいさつで、人権擁護行政の一層の充実強化について言及されました。この点について質問いたします。
 昨年成立した人権教育啓発推進法の衆議院、参議院での審議の中で附帯決議が付されました。この附帯決議は、文言は多少違いますが、基本計画の策定に当たっては、地方公共団体や人権にかかわる民間団体等関係各方面の意見を十分に踏まえて策定せよと、こういうことになっております。
 そこで、基本計画の策定前に地方公共団体、人権にかかわる民間団体等関係各方面から十分ヒアリングをする、そして策定されたもの、これを公にしてパブリックコメントを求める、そして最後に決定をするという、そういう手続になっていかなきゃならぬと思っておるんですが、この点、見解の違いはないでしょうね。
#70
○国務大臣(森山眞弓君) 基本計画の策定に当たりましては、附帯決議の御趣旨を踏まえまして、広くパブリックコメント、意見募集手続を行うほか、全国の知事会とか市長会など、関係する主要な民間団体等にあてて計画案を個別に送付するなどしまして、その御意見を聞くことにいたしたいと考えております。
#71
○江田五月君 私と見解の違いがあるのかないのかよくわからない。
 つまり、わざわざ基本計画策定前に地方公共団体や人権にかかわる民間団体等関係各方面から十分ヒアリングをするようにという附帯決議をつけている趣旨は、パブリックコメントというのは一般、もう社会全部、オールジャパンですから、そうじゃなくて、特にこういうところの意見をよく聞きながら基本計画をつくりなさいよと、それでつくったものをオールジャパンに意見を求めて、その上で決定をしなさいよという、そういうことだと思うんですが、その点の見解の違いはあるんですか、ないんですか。
#72
○国務大臣(森山眞弓君) 基本的にはないと思います。
#73
○江田五月君 そこは間違いなくひとつよろしくお願いいたします。
 さらに、附帯決議で、「人権政策は、政治の根底・基本に置くべき重要課題であることにかんがみ、内閣全体でその取組に努めること。」と、こういうことがございます。内閣全体でその取り組みに努める。
 国連のパリ原則に基づいた国内人権機関、人権救済機関でなきゃならぬと。これは教育啓発じゃなくて、その次のフェーズですが、そこで、これは人権救済機関をどうするかというのは今議論している最中だと思いますが、やはりこれは法務省のもとに国家行政組織法三条でつくるということではなくて、やっぱり内閣全体でとか、パリ原則もある、あるいは国際的にこういう人権救済機関のいろんなつながりがあって、そこへ入れてもらうにはやはり政府から独立しているというところが非常に重要だということになっていますので、ぜひとも国際社会のグローバルスタンダードに沿った人権救済機関、つまり内閣府のもとに置くと。法務省としては大変残念でしょうけれども、そういうことを強くここで主張しておきたいと思います。これについてはきょうは主張だけしておきまして、お答え求めませんが、よろしくお願いします。
 そしてもう一つ、大臣あいさつに触れられたことについていろいろお尋ねをしましたが、触れられていないことについてお尋ねをいたします。
 恐らく森山法務大臣、大臣あいさつには書かれていないけれども、心の内では最も強い抱負をお持ちであろうというのが民法改正問題、選択的夫婦別姓のことですが、最近の、直近の世論調査によれば、国民の理解も十分深まってきていると思われます。また、最近の報道では、福田官房長官も法案提出に意欲を見せておられるというようなこともあり、もちろん森山大臣はもうずっと強い意欲をお持ちだと。
 今がチャンスだと思うんですけれども、なぜ一体出てこないのか、なぜ触れられていないのか、何がこの民法改正の実現を妨げているのか、抵抗勢力はだれだ、これをお伺いいたします。
#74
○国務大臣(森山眞弓君) 実は、世論調査の点はたびたびこの委員会でもお話が出まして、世論調査をことしの夏いたしまして、その結果を発表され、五年前とは大変進んできたという感じをいたしておりますが、さらに先日、男女共同参画会議基本問題専門調査会というところがありまして、そこで特に選択的夫婦別姓制度の導入を内容とする民法改正が進められることを心から期待するという中間まとめをしてくださいました。これを受けまして、官房長官がその方向に向かって進めなければいけないという政府全体としての意向を記者会見か何かでお話しになったわけでございます。この福田長官のコメントは私がこの委員会で所信表明をいたしました後でございましたもので、まだそこまではっきりしたことが政府の姿勢として明確になっていなかったということもございます。
 しかし、世の中だんだんと変わってきたということがいろいろな面で感じられておりますし、私といたしましては、ぜひ、女性の立場を特に考えますとこのような改正が必要ではないかというふうに個人的には考えておりますので、できるだけ早くこのような制度が導入されることを目指して、今関係方面にいろいろと説得させていただいているところでございます。
#75
○江田五月君 大いに説得してください。
 この大臣の所信表明の後に福田官房長官がおっしゃったから、もう自由に物が言えるだろうではやっぱり困るので、できれば森山法務大臣が最初にやっぱり言ってほしかったですよね。
 小泉総理自身は、この問題ではこれは抵抗勢力ですか。
#76
○国務大臣(森山眞弓君) 小泉総理にはもう大分前、たしか世論調査の結果が大体わかったときに御報告申し上げまして、私の考えもお伝えしまして、非常に関心を持って聞いていただきまして、しっかり進めてくださいということでございましたので、私が考えていることには御異議がないというふうに理解しております。
#77
○江田五月君 しっかり進めてくださいとおっしゃったというのは非常にエンカレッジングで、法務委員会あるいは法務省、この国会はもう法案山積で大変ですけれども、本当に大変ですけれども、もし民法改正をお出しになるなら我々ももう徹夜でも何でも、土日でも審議をしてこれは仕上げるというつもりでおりますので、ちょうど時間になりました、よろしくお願いいたします。
#78
○日笠勝之君 公明党の日笠勝之でございます。
 何点かお伺いをいたしますが、まず最初に、行政情報公開法が施行されまして六カ月がたちました。この法案を審議いたしました参議院の総務委員会、当時、私も理事で、この法案の成立に、野党ではございましたけれども、一助となったと思っております。思い入れがございますので、この件についてまずお伺いをしたいと思います。
 先日、総務省から、半年たちました行政情報公開法の施行の状況でございますが、法務省本省では請求件数が六百五十件、そのうち不開示とされたものが百三十九件という総務省の取りまとめがございます。政府全体の不開示率は一四%でございますが、法務本省の不開示率は二七・四%と一〇%以上多いと、こういうことになっております。
 そこで、まずお伺いいたしますのは、なぜ不開示が政府全般より多いのか、その理由についてお伺いしたいと思います。
#79
○政府参考人(但木敬一君) 今御指摘のありました法務省における不開示の比率が高いという点でございますが、御案内のとおり、法務省が保有しております行政文書の中には、個人の死刑の執行にかかわる文書、個人の施設収容歴あるいは出入国歴、裁判あるいは人権侵犯にかかわることなど、国民の個人情報にわたる文書が非常に多いわけでございます。不開示となっております文書も実際にはそうしたものにかかわる開示請求にかかわるものが多いということでございまして、法務省といたしましては、もちろんこの情報公開の制度が公正で民主的な行政の実現のための基盤的な位置を占めているということは十分認識してやっているつもりでございます。
#80
○日笠勝之君 これはNPOの情報公開市民センターの調べによりますと、二百点満点で採点した場合は、中央省庁情報公開度ランキングでいきますと法務省は九番目で、二百点満点中百十五点と、こういうことで下位の方に、下の方にこれはなるわけでございます。
 ちなみに、不服申し立て件数等、訴訟件数は今どうなっていますか。法務省関係で結構ですが、お答えいただきたいと思います。
#81
○政府参考人(但木敬一君) まず、法務省について申しますと、不服申し立て件数は三十七件ございました。そのうち、既に審査会に諮問しておる件数は二十六件でございます。答申をいただきましたのは三件、このうち、既に二件については裁決をしております。答申は、いずれも法務省の不開示という処分につきまして、これを妥当とするものでございました。訴訟については、法務省についてはございません。
#82
○日笠勝之君 いろいろ個人情報というものがあるわけでございますので、全部が全部開示ということにはならないかと思いますが、この立法の趣旨にのっとって、透明性のある行政ということが趣旨でございますので、今後もさらに努力をお願い申し上げたいと思います。
 続きまして、先日、当委員会、委員派遣がございまして愛知県と岐阜県の方へ行かせていただきまして、委員派遣の報告も先日ここでさせていただきました。調査なくして発言なしというのが私のモットーでございますから、その委員派遣の実態調査から何点か御質問を今度はしたいと思います。
 一つは、今のテロ問題でも大変関心を呼んでおりますが、入国管理業務でございます。
 先ほど、同僚の江田委員の方からも質問がありましたから、そこのところは重複を割愛いたしますが、一つ、名古屋空港に行ったときに、いわゆる最新鋭のパスポートの鑑識機ですか、すぐれ物がございまして、見せていただきました。これを順次配備しようということは、先ほど大臣、御答弁されたことで了解をいたします。さらに、積極的にこのことについては御尽力をいただきたいと思います。
 その際お聞きした中で、いわゆるすり抜けというんですか、腰をかがめてすっとその場所を逃げていくというような人も多々いらっしゃると、こういうことでございました。なかなか出入国管理部門の職員の数も少ないということもございますが、今こういうときでございますので、警察庁とよくこの辺を連携を密にして、そういう不法な入国のないような、まさに通り抜けで、腰をかがめてすっと逃げていくような人を、不法入国ですから、恐らく、きちっと対応していかなければ、まさに今の時代に、国民のニーズに合致しないと思うんですが、その点、警察庁の方は入管との協議とかまた対応はどのようにされておられますか、お伺いをしたいと思います。
#83
○政府参考人(漆間巌君) 議員御指摘のいわゆるすり抜け入国の事案につきましては、出入国管理及び難民認定法に規定する不法上陸の罪に該当するわけでございまして、警察といたしましては、空港関係者等から通報があった場合とか、あるいは警察官の現認等によりましてこの種の事案を認知した場合には、入管等関係機関と協力を得ながら徹底した取り締まりを行っておりまして、何件か検挙事例もございます。
 今後とも、国際空港における不法入国事案に対しましては、入管当局との連携を一層強化するなどいたしまして厳正に対処していきたいと考えております。
#84
○日笠勝之君 また次の質問に移りますが、不法滞在の外国人を雇用した場合ですね、雇った場合、そういう場合の罰則というのは法令違反というのであるわけでございますが、例えば不法就労を助長すると、こういうふうな件が多々ございます。
 ですから、入国管理事務所に行きまして、そういう外国人の方をいわゆる調べておられるということはありますが、その雇った方、こういう方々も当然パスポートやビザ、いろんなものを見て雇わなきゃいかぬと思うんですが、その助長罪の方ですが、これが余り適用されていないんじゃないかなということも言われておりますが、現実、この助長罪として、不法就労の助長罪としてどの程度の今立件の件数がございますか。あれば教えていただきたいと思います。
#85
○政府参考人(黒澤正和君) お尋ねの不法就労助長罪の検挙件数でございますが、平成十年が四百九十九件、十一年が四百八十四件、昨年、十二年が三百二十三件となっております。
#86
○日笠勝之君 何か年々下がっているような気がいたしますが、日本が不景気になってなかなかそういう方を雇わないといいましょうか、雇うこともないということかもしれませんが、その辺がいわゆる根源でございますから、この不法滞在の、しっかりと今後も御尽力をいただきたいと思います。
 それから、同じく笠松刑務所というところに、これは女性の刑務所でございまして、全国六施設あるうちの一つでございます。ここに行きますと、数の方はちょっとさておいて、収容率が一一七・八%ですか、大幅な過剰収容の状態であるということをこの目で見てまいりました。大変な混雑ぐあいでございまして、ひとつこの点について、今後、刑務所そのものの受刑者数がふえておると、それで定員を大幅に上回っている実態があるようでございますが、この過剰収容についてどのような対策を今後とられるのか。できれば、近々にあると言われております平成十三年度の第一次補正、第一次と言っちゃいけませんが、補正予算、それから来年度の平成十四年度の予算等々で、この点についてどの程度予算要求をされているか、もしそれがわかれば、あわせてお願いしたいと思います。
#87
○政府参考人(鶴田六郎君) お答えいたします。
 刑務所を含めた行刑施設は、今、委員御指摘のありましたとおり、大変収容者がふえておりまして、全国平均いたしますと、受刑者等のいわゆる既決は一〇八・一%という形の過剰収容になっております。
 こういった状況を踏まえまして、どんな対策をとっているかということのお尋ねですので、その点について申し上げますと、各施設におきましては、居室の定員を超えて被収容者を収容したり、あるいは集会所とかあるいは倉庫等を改修いたしまして、これを居室、工場に転用すると。これは一つの応急手当てでありますが、そういう形で急場をしのいでおりますが、矯正局といたしましても、財政当局の理解を得まして、居室棟の増築を進めております。今後とも、関係当局の理解を得ながら、施設の増改築を含む必要な予算と職員の確保に努力していきたいと思います。
 今、ちなみに、どんな要求をしているかというお尋ねですが、施設の増改築につきましては、平成十四年度の概算要求及び平成十三年度補正予算要求におきまして三千四百人分程度の収容増を、また職員につきましても、平成十四年度の概算要求において二百人の増員をお願いしているところでございます。
#88
○日笠勝之君 今、補正予算が議題に今後なるわけでございますが、一兆円の規模の実質歳出規模となるようでございます。その中を見ますと、雇用対策が五千五百億円であるとか、中小企業対策が二千五百億でしたか、なかなか、おっしゃる補正予算で矯正関係の予算というのが先細るような感じでございますが、しっかりと我々もフォローしていきたいと、こう思っております。
 そうはいいながら、刑務所の中での情報流出問題が多々マスコミをにぎわせておるわけでございます。昨年の八月は、名古屋刑務所の受刑者全員、千九百名分のリストが流出したとか、また最近では府中刑務所において、この府中刑務所も実は視察に行ったわけでございますけれども、受刑者情報六十五名分が流出したと。こういうことで、たび重なる受刑者のいわゆる個人情報が流出しておるということがマスコミをにぎわせておるわけでございますが、この再発防止といいましょう、まず流出元ですね、こういうものがわかったのかどうか。それから、再発防止のためにいろいろと考えてはおられると思いますが、その再発防止、以上、二点についてお伺いしたいと思います。
#89
○政府参考人(鶴田六郎君) お尋ねの事案につきまして、調査結果等につきまして御報告させていただきますが、矯正局と府中刑務所におきまして調査チームを設けて調査した結果、流出した情報は、府中刑務所の特定の工場に就業していた六十数名の受刑者の氏名、個人番号、生年月日、刑終了日でありまして、これらの受刑者情報はその工場において職員が作成、使用していたものではなくて、工場の計算係等と、これは職員を補助して工場での作業時間とかあるいは材料費の計算というようなものを行っている受刑者ですが、この受刑者が作成、使用していた受刑者リストであったわけです。これをある受刑者が別の紙片に書き写し、その後、刑務所の検査を巧みに逃れて、出所時に外部に持ち出してしまったということでございます。
 この受刑者につきましてはほぼ特定はできてはいますけれども、本件事案については、窃盗罪に言う他人の財物を窃取したと言うにはちょっとなかなか認めがたい面もございますので、刑事事件としての立件は見送っております。また、既にもうこの受刑者につきましては出所しておりますので、ちょっと直接本人から事情を聴取することが不可能な状態にありますので、持ち出された際の具体的な方法というところまでは完全には解明できておりません。
 こういった調査の結果を踏まえまして、本件事案につきましては受刑者リストの把握とか検査体制に問題があったことは認められますので、そこで府中刑務所としてはその再発防止策といたしまして、一つには計算係等に使用させる受刑者リストの内容を最小必要限度のものにする、かつ、その様式を統一しまして管理を徹底することにしました。また、釈放前の物品検査に専従する職員、これを二名配置することにしました。また、研修等によりまして個人情報の保護、管理に関する職員の意識の高揚も図ることとして、改善策を講じております。また、当局におきましても、全国の矯正施設長に対しまして保安課長あるいは局長通達等を発しまして、所要の流出防止策を講じたところであります。
 いずれにいたしましても、この受刑者の個人情報の流出につきましては、御指摘にもありましたように、昨年、名古屋刑務所の事件の教訓を生かすことができず府中で同じようなことが起きたわけですけれども、そういう意味でまことに遺憾なことであると考えております。今後こういうことがないように、万全の防止策に期していきたいと考えております。
#90
○日笠勝之君 先ほど、行政情報公開でいくと法務省は不開示が他省庁に比べて多いと申し上げましたけれども、受刑者の情報等が不法に流出しておると、こういうアンバランスでございます。しっかりと対応を厳重にお願いを申し上げておきたいと思います。
 次に申し上げたいことは、触法精神障害者の件でございます。
 法務大臣、所信的あいさつの中にこのことはお触れになっておられませんでしたけれども、現在、法務省と厚生労働省の合同検討会が行われておるわけでございますが、現状どういうふうな状況になっておりますか。また、いつごろこの合同検討会は終わり、恐らく取りまとめということになるんでしょうが、そのスケジュールといいましょうか日程といいましょうか、あわせてよろしくお願いいたしたいと思います。
#91
○政府参考人(古田佑紀君) ただいまお尋ねの厚生労働省と法務省との間の合同検討会につきましては、いわゆる触法精神障害者問題が大変多岐にわたる非常に広い範囲の問題を含んでいるということから、十分厚生労働省あるいは医療関係者、患者の方々、家族の方々、あるいは一方で被害者の方々、こういうふうな方々のさまざまな御意見、こういうものも十分踏まえた上でいろんな検討を進めていくという必要がある。そういうふうな考えから開始することにしたものでございまして、これまで七回にわたりまして、ただいま申し上げたような分野の方々あるいは法律家等々の御意見を伺って、その検討をしてきているところでございます。
 これまでこの検討会は七回行ってまいりまして、まだ引き続きヒアリングが必要な部分もございますのでさらに続けることとしておりますけれども、具体的にいつどの時点でこの検討会としての結論を出すかということにつきましては、まだ今の時点で確定的な見込みを申し上げる段階には至っておりません。
#92
○日笠勝之君 その際、御要請申し上げておきたいと思いますが、先日、私、陳情、要請を受けましたことについて、さらにこの場をおかりいたしまして御要請申し上げておきたいと思います。
 それは、精神科七者懇談会の方から、司法と精神医療に関する全国実態調査をぜひやってもらいたい、こういう要請がございました。ぜひこの点も念頭に入れておいていただきたいと思います。また、社団法人の日本精神病院協会からは、重大な犯罪を犯した精神障害者の処遇に対する対策として、精神医療の範疇を超えた対応が不可欠であるので、精神保健福祉法のほかに司法判断を行う趣旨の新たな立法措置を求める、こういう要請がございます。これらのことを念頭に入れていただきまして、さらに今後、検討を進めていただきたいと思います。
 時間が来ましたので、以上で終わります。
#93
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 まず、民法改正について質問をいたします。
 大臣所信ではこの問題に一言も触れられておりませんで、閣法も提出をされておりません。初めて選択的夫婦別姓が多数派になったという世論調査を受けて、大臣、今国会の閣法提出への見通しを述べられた報道もありまして、大変喜びの声が広がったわけですが、現状は大変残念だと思うんです。
 この問題で、あるNPOの組織が自民党の国会議員を対象に聞き取り調査をして、その結果が報道されておりました。反対約一五%、賛成約一五%、どちらでもいい約七〇%。反対派の数は少ないが、確固たる意志で反対しており、これがネックだと、こういう報道がされておりました。
 閣法を今回、出されないのか。出されないとすれば、この自民党の一部の確固たる反対がネックになっているんでしょうか。
#94
○国務大臣(森山眞弓君) 選択的夫婦別姓制度の導入の問題は結婚の制度あるいは家族のあり方などと非常に深くかかわるわけでございまして、大変重要な問題でございます。
 国民各層や関係方面でさまざまな御議論がございまして、それぞれの方の人生観にもかかわる問題でございますので、いろんな人がいろんな意見を持っているのは当然だと思いますが、先日、内閣に置かれております男女共同参画会議基本問題専門調査会におきましても、選択的夫婦別姓制度の導入を内容とする民法改正が進められることを心から期待するという趣旨の中間まとめをいただきました。
 ですから、夏に発表されました世論調査の結果もございますし、そのような専門家の御意見も正式に表明されましたわけでございますので、法務省といたしましては、このような状況を踏まえまして、できるだけ早くこのような本制度が導入されるように努力を続けていきたいと思っております。
 NPOの方がいろいろ調べていただいたのは参考にはなりますけれども、私は個別にどなたがどういう御意見ということをそうきちっと把握しているわけではございません。それぞれいろんな意見をおっしゃいます方々にこの考え方を正しく御理解いただいて、納得していただくための努力を今続けているところでございます。
#95
○井上哲士君 反対の皆さんの主な理由には、議論が不十分で、国民の過半数が反対しているというのがありましたけれども、これは世論調査でも覆されているわけでありますし、五年前に別姓反対の意見書を上げました千葉県議会は、この七月に逆の賛成の意見書を上げているわけです。もう一つの大きな反対論につきましても、今回の世論調査でも家族の一体感に影響ないと思うという答えが五二%ですし、先ほどの基本問題専門調査会の中間まとめでもしっかり反論がされているわけです。
 政府がこの間、閣法を提出されない中で、野党でも共同で法案を提出してまいりましたけれども、いまだ採決はされていないと。世論が変わっても閣法は出ない、野党の案も採決をしない、こういうことになりますと、結局自分は同姓を選ぶ人でも選択的別姓については受け入れようと、そういう多様な生き方を受け入れる流れが広がっても、ごく一部自民党の中で確固な反対勢力があれば、結果としてそれが国民に押しつけられて選択の余地がなくなってしまうということは、私は本当に問題だと思うんです。今こそやっぱり一歩踏み出すべきだと。
 官房長官も、政府として具体的に検討する必要がある、法務省を中心に全力を挙げると、こう述べられたわけでありますから、その全力の決意を改めてお願いしたいと思います。
#96
○国務大臣(森山眞弓君) 先ほど来申し上げましたように、いろんな努力を傾けて全力で頑張っているところでございます。
#97
○井上哲士君 次の問題ですが、今、本当に失業率が大変な事態です。その上に、今、空前の人減らしやリストラのあらしが吹き荒れております。
 最近のリストラの特徴の一つは、買収や合併、営業譲渡、会社分割、こういう会社組織の変更に伴って、解雇や転籍、出向、労働条件の引き下げ、こういうものが行われていることにあると思います。これに対して非常に労働者の不安が広がっております。
 そこで、その一つでありますことしの四月から改正商法の施行で導入されました会社分割制度についてお聞きをいたします。
 この制度の利用が九月末までに九十件に達していると、こういう報道もされました。私どもは、この制度が労働者の権利引き下げに悪用されるんではないかという指摘を当委員会でもしてきたわけですが、それが現実のものになりつつあるのではないかと思うんです。
 会社分割法とセットで労働契約承継法もつくられました。その趣旨は、会社分割では、同意なき別会社への移籍は許さないとしている民法六百二十五条を適用せずに、本人の同意なしに新会社への承継が決まる、そこで、不利益にならないように労働者を保護するものと説明をされています。
 これに加えて、労働者との事前協議の義務づけという修正がされました。この事前協議が義務づけられた趣旨は何だったんでしょうか。
#98
○政府参考人(山崎潮君) ただいまの委員御指摘の条文につきましては、議員修正ということで設けられたというふうに承知しております。その私ども承知している範囲でお答えを申し上げます。
 この会社分割に関しまして、会社に労働者との協議が義務づけられている趣旨でございますけれども、会社分割が、そもそもこれは権利義務の包括承継の効果を生ずる組織法上の行為だというふうに言われているわけでございますが、そうなりますと、この分割による営業の移転に伴いまして、その営業に従事いたします労働者の地位も新しい会社に原則として移転するということになるわけでございます。そういうことがございまして、労働者保護の観点から、事前に労働者に対して必要な説明を十分に行い、かつ、その意向を確認しておく、こういう趣旨で出たものというふうに理解をしております。
#99
○井上哲士君 労働者保護の観点だと御説明がありました。
 この事前協議については、分割の前提として必要な手続であって、これがやられない、または実質やられないに等しいような場合は分割自身が無効になる可能性もある、このことを確認してよろしいですか。
#100
○政府参考人(山崎潮君) ただいま御指摘のように、この事前協議につきましては、会社分割を実行する前提として必要な手続であるというふうに理解をしておりまして、これを全く欠くということになりますと、会社分割無効の原因となり得る、分割無効の訴えの原因になり得るというふうに理解をしております。
#101
○井上哲士君 事前協議については、労働者保護からそういう位置づけがされております。当委員会でも、その制度の周知を徹底することという附帯決議もつけられました。
 ところが、実際は、この会社分割という制度はまだ十分に知られておりませんし、関係する労働者の皆さんが、話を聞いてびっくりして私どものところにも御相談や問い合わせに来られるというケースもあります。その中には、労働基準監督署に行ったけれども、政省令もパンフもなかったというような苦情もあるわけですが、この問題での労働者の相談の窓口は一体どこなのか。
 一番身近な監督署にもパンフなどもしっかり置いて当然制度の周知とともに相談を受けるべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
#102
○政府参考人(坂本哲也君) ことしの四月一日から会社分割制度が施行されたわけでございまして、その施行に際しまして私ども厚生労働省といたしましては、都道府県の労働局、それから、ただいまお話がございました労働基準監督署、そちらにリーフレットを配布いたしました。こういったリーフレットでございますけれども、これを全部で六万部ほど印刷しまして、そういった各出先機関に配布しまして、このリーフレットの配布ですとか、あるいは説明会の開催等、こういった形で周知、広報を行ってきたところでございます。
 今後、会社分割制度を活用した企業組織の再編は増加をしていくことも考えられますので、そういった点での周知、広報につきましては、引き続き積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
#103
○井上哲士君 監督署でもそれがされるというふうに確認をしておきます。
 ただ、周知すればそれでよいというものではないと思うんですね。当然、労働者保護というその法の趣旨どおりに運用がされているのか、それを見ていくことが必要だと思うんです。
 そこで、そういう会社分割制度を利用した場合に、こうした事前協議などがきちんと行われているかということについて政府としては把握をされているんでしょうか。
#104
○政府参考人(坂本哲也君) この労働契約承継法の施行状況でございますけれども、この分割会社等は厚生労働省に対して協議の内容などを報告するということにはされておりませんので、すべての状況について私ども把握しているわけではございません。
#105
○井上哲士君 制度として報告がなくても、やはり労働者の保護という観点からいろんな形で実態をやっぱり把握していただく必要があると思うんです。
 それで、実際にどんな問題が起きているのかという点で、滋賀県にあります日本IBMの野洲工場の件についてお聞きをいたします。
 分割した会社は従業員約二万二千人の日本IBMで、野洲工場の一部である半導体チップ生産の前工程の営業を包括承継しまして、セイコーエプソンとの合弁で野洲セミコンダクターという三百人弱ぐらいの会社が六月の二十七日に新設をされております。
 この会社の場合、分割計画書の作成は六月の十二日となっておりますが、労働者との事前協議はいつから、実質何日間、行われているでしょうか。
#106
○政府参考人(坂本哲也君) ただいまの日本IBMの事例でございますけれども、先生からの御指摘がございましたので、私どもとしましてもヒアリングを実施いたしました。
 この事例につきましては、商法附則第五条に基づきます労働者との協議、これはことしの六月八日、それから十一日、この二日間で実施をされているというふうに承知をいたしております。
#107
○井上哲士君 十二日が計画書の作成で、八日から始まったわけですが、今ありましたように九、十は土日でしたので実質二日間しかなかったというのが実態です。
 さらに、七条で労働者の理解と協力を得るように努めるという旨が定められています。
 日本IBMの場合は、過半数を組織する労働組合がありませんので、全国の七十四の事業所ごとに選挙を行って、そしてその代表への説明会が開かれました。その協議の場を説明会という名前にすること自身も私は問題だと思うんですが、この当該の野洲工場の場合、二千人ぐらいの労働者がいましても全体としての事業者代表は一人なわけですね。各職場ごとに選挙で代表を選んで、その中で工場全体の代表を選ぶということになっています。ですから、肝心の分割をされる職場の代表の方はこの協議の場には参加できていないという実態になっています。しかも、協議といいましても、説明が一時間と質疑が一時間ということなわけですね。代表がそういうところに参加をして、職場に持ち帰って、そして職場の皆さんの意見も聞く、そして、さらに必要な協議もやる、これでこそ私、誠意を持った協議と言えると思うんです。
 厚生労働省の労政担当参事官室編による「労働契約承継法の実務」というものを見ますと、この労働者との協議についてこう書いています。「十分な意見交換を行い、両当事者間で十分話し合うことが必要であることから、その協議に必要な時間を十分に確保して行うことが求められるものである。」、「いずれにせよ、労働者との間に十分な協議を行うことができるように、十分な時間的余裕をみて協議を開始することが望ましいものである。」と、こう明記されております。
 分割計画書の作成まで労働者との事前協議が二日間、全体としても協議開始から新会社発足まで一カ月もないと、こういうわずかな期間になっているわけですが、厚生労働省ではこれが望ましいものであるというふうにお考えでしょうか。
#108
○政府参考人(坂本哲也君) ただいま御指摘ございましたように、指針におきましては、この商法等改正法附則五条、この労働者との協議の開始の時期といたしまして、分割会社は分割計画書等の本店備え置き日までに十分な協議ができるよう、時間的余裕を見て協議を開始するものとされていると、そういう規定になっておるわけでございます。
 この指針に言っております時間的余裕、これの具体的な期間でございますけれども、これは個別事案ごとにいろんな事情があってそれぞれ異なってくるものと考えられるわけでございますので、この事案について一概にその期間の妥当性について申し上げることはなかなか難しいわけでございます。
 一般論として申しますと、労働者との間で協議を十分に行うことができるように十分な時間的余裕を見て協議を開始することが望ましいと、こういうふうに考えているところでございます。
#109
○井上哲士君 一般論と言われましたけれども、やはり職場がいろいろ変わるということは、労働者にとってもその家族にとっても大変大きな問題なわけですね。それが、二日間ということがここで言われている望ましいことなのかということを重ねて、どうでしょうか。
#110
○政府参考人(坂本哲也君) 同じようなことの繰り返しになりますけれども、個別事案ごとのいろんな事情があろうかと思いますので、一概にその妥当性について申し上げることは難しいわけでございます。一般論としては、十分な時間的余裕を見て協議を開始することが望ましいと、こういうことの考えでございます。
#111
○井上哲士君 ここは厚生労働省として、労働者の保護ということでこの法案がつくられているわけですから、その立場でやはり明確な方向を出していただく必要があると思うんです。
 結局、十分な協議が行われていないというもとでいろんな不満や不安もあります。例えば、協議の場で、会社は確かに分割されるけれども自分は出向で行きたいという労働者に対しまして、会社分割法が適用されており出向という形態を法の要請としてとることができないと答えたケースもありますが、法としてはこういう出向という形態を禁じたわけでないわけですね。それは確認をできますね。
#112
○政府参考人(坂本哲也君) 労働契約承継法におきましては、分割される営業に主として従事する労働者につきまして、分割会社にその籍を残したまま設立会社等に出向させるいわゆる在籍出向につきましては、それを禁止した規定はございません。
#113
○井上哲士君 禁止はないということで確認をいたしました。
 いずれにしましても、本当に労働者の権利を守っていくということが今、厳しいこの雇用情勢の中で強く求められていると思います。その点で、厚生労働省にその立場でやっていただきたいという問題と、今後この会社分割に伴う労働者の権利の問題が一層多発をすることが予想されます。その点で、大臣に労働者保護についての所見をお聞きをいたします。
#114
○国務大臣(森山眞弓君) 先ほど来御議論のありましたように、商法において、事前に労働者の意向を確認するために労働者との事前協議を義務づけているわけでございます。
 法務省といたしましても、この法の趣旨の周知を図りまして、これに沿った運用が行われますように、例えば商法の解説書その他のような場で詳しく説明をする等の方法をさらに講じまして十分に配慮してまいらなければいけないと思っております。
#115
○井上哲士君 質問を終わります。
#116
○福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。よろしくお願いします。
 私も民法改正についてお聞きをしたいと思います。
 以前から法務大臣は、ことしの五月二十四日の法務委員会で、世論調査の結果を参考にし、議論を踏まえて検討したいとのことでした。世論調査で賛成が反対を上回ったにもかかわらず、この臨時国会にまだ提出されていないことを本当に残念に思います。
 今国会への提出の可能性などをお聞きしたいと思います。いつごろの提出になるでしょうか。めどはどうでしょうか。
#117
○国務大臣(森山眞弓君) 先ほど来御質問にお答えしておりますように、確かに世論調査は、八月の時点で、五年前に比べ賛成が反対を上回って世論が変化してきたということがある程度わかったわけでございます。
 これは、一般国民の意識ということでありますが、さらに政府といたしましても、先ほど申し上げましたように、男女共同参画会議の専門調査会におきまして、専門家の皆様方の御意見といたしましても、ぜひ民法の改正、この趣旨の改正に向かって動き出すように心から期待するという強い調子の御期待が記されたわけでございまして、これを受けまして官房長官も、政府としても進めるように努力をしていかなければいけないという姿勢をコメントされたわけでございますので、次第にいろんな条件が一歩ずつ動いてきたかなというふうには思っておりますが、政府が政府提案として提出いたしますためにはいろんな手順があるのは御存じのとおりでございまして、それらを一つずつクリアするべく今一生懸命にさらに努力を続けているところでございます。
 いつごろとおっしゃられましても、今のところ何月何日ごろというところまでは申し上げる段階ではございませんが、できるだけ早くと考えております。
#118
○福島瑞穂君 ありがとうございます。
 ネックは一体何なんでしょうか。
#119
○国務大臣(森山眞弓君) ネックというほどのものではないと思うんですけれども、やっぱり、先ほども申し上げましたように、これは結婚の制度、家族のあり方その他、非常に社会全体に対して及ぼす影響が大きいものでございます。しかも、その人一人一人の人生観、家族観というようなものにかかわる問題でありますので、細かく言えば一人一人違うかもしれないですね、御意見が。それらをまとめてそれぞれの決定機関で決定していただくということが必要でございまして、そのための条件は次第に整ってはきておりますけれども、もう少しというところでございましょうか。
#120
○福島瑞穂君 力強い御答弁、ありがとうございます。
 法務省としては、反対をしている国会議員は国会の中で何%ぐらいというふうに把握をしていらっしゃるんでしょうか。
#121
○国務大臣(森山眞弓君) 何%ということは勘定したことがございませんのでわかりませんが、まだ確かに一〇〇%吹っ切れていないという方が少しは残っていらっしゃるように思いますが、鋭意努力を続けて御理解をいただきたいと思っております。
#122
○福島瑞穂君 ありがとうございます。
 きょうは男女共同参画局の局長さんに来ていただきました。どうもありがとうございます。
 中間まとめの件が出ておりますけれども、男女共同参画会議の基本問題専門調査会での選択的夫婦別氏制度に関する審議の中間まとめの結論、中身などについてちょっと教えてください。
#123
○政府参考人(坂東眞理子君) 去る十月十一日に、男女共同参画会議の基本問題専門調査会が選択的夫婦別氏制度に関する中間まとめを取りまとめました。
 この専門調査会では、男女共同参画の視点から御討議をいただいたわけですけれども、「当専門調査会としては、選択的夫婦別氏制度を導入する民法改正が進められることを心から期待するものである。」とされております。
#124
○福島瑞穂君 この中間まとめについては、例えば憲法上の問題点などについても、憲法上の問題点については、立法政策上やはり考慮されるべきではないか、本質的平等の観点からも疑問があるのではないかという言及などもされています。
 ところで、基本問題専門調査会で選択的夫婦別姓制度が導入されていないことによる不便例というものを集めていらっしゃると思うんですが、代表的な意見あるいは何件ぐらい集まったかについて教えてください。
#125
○政府参考人(坂東眞理子君) 基本問題専門調査会では、去る八月一日から三十一日まで、選択的夫婦別氏制度に関する議論の参考とするために、不便、不利益についての体験、事例を募集いたしました。その結果、総計六百六通に及ぶ体験や事例が寄せられましたが、そのうち大体九割が女性、一割が男性、三十代の方が一番多うございました。
 代表的な事例としては、まず職業生活上の不利益として、改姓によって同一人物であることがわからなくなり仕事の機会を失う、あるいは過去の実績が評価されないなどの支障が生じたとするもの、あるいは信用や実績が断絶されたという事例が寄せられました。主としてこれは専門職として働いておられる方たちです。
 また、このような不利益を回避するために職場で旧姓を通称として使用する者もいるが、通称名と戸籍名を二重に使い分けなければならず、本人のみならず周囲や社会にも混乱が生じたという事例が寄せられております。
 さらには、両家が氏を存続させることを希望することから、特に最近一人っ子世代が多くなっておりまして、長男、長女同士の婚姻の妨げになっているという事例もございました。
 また一方で、不利益を避けるために形式的に離婚届を提出したり、あるいはそもそも婚姻届すら提出しない、いわゆる事実婚を選択しているという事例も寄せられておりまして、法律婚の形骸化を招いているのではないかという御意見でございました。
#126
○福島瑞穂君 ありがとうございます。
 法務大臣にお聞きをします。
 中間まとめにある憲法上の問題点などについてはどうお考えでしょうか。
#127
○国務大臣(森山眞弓君) 現行制度も特に憲法違反と言えるものではないと思うんです。
 というのは、婚姻をする当事者の合意によって夫婦の氏をどちらにするかというのは決めるものであるということになっておりますから、ですから、男性あるいは女性に特に有利に法律上決められているわけではないんですが、現実といたしまして、新しく誕生したカップルの九七%が夫の氏を名乗るようになっているという社会的な習慣といいましょうか、そういう観念がありますので、その結果、今、坂東局長が説明申し上げたような不利をこうむる人が女性の方により多いという結果になっていると思います。
#128
○福島瑞穂君 森山法務大臣が本当に頑張ってくださっているんですが、法務省は副大臣もいらっしゃいますし、優秀なスタッフもたくさんいらっしゃいますので、法務省として反対する議員をどう説得する努力をしていらっしゃるのでしょうか。副大臣、いかがでしょうか。
 ごめんなさい、政務官、間違えました。大変失礼しました。
#129
○大臣政務官(中川義雄君) 私は、私なりのこの問題についての考え方がありますが、あくまでも法務省の一員として大臣の意思に基づいて行動をとっていきたいと思いますが、どの国会議員をどのように説得するかというような話はここでは避けたいと思っております。
#130
○福島瑞穂君 名称を間違えて大変失礼しました。
 ぜひ、法務省として説得を頑張ってやってくださるように、本当によろしくお願い申し上げます。
 ところで、婚外子差別も以前は法制審の答申には入っていたのですが、婚外子に対する理解が足りないと思える現状では、婚外子ということで就職差別、結婚差別、さまざまなものがやはり発生をしています。
 私は、法務省は一方で人権という点では人権擁護局があるわけですから、婚外子に対する社会的不利益についての実態調査、差別の実態についての実態調査をぜひ法務省がやっていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
#131
○国務大臣(森山眞弓君) 実態調査というのは実のところ大変難しいと思います。
 つまり、婚外子であるかどうかということを確認して、そうである人の実態を調べるということになりますと、その調査をすること自体がその本人にとって非常に迷惑になるかもしれませんし、いろいろな意味で不利になる可能性もあるわけでございますので、調査をしようとすること自体が問題になる可能性があるというふうに思います。
 ですから、一般的な世論調査と違って、実態調査というのは非常に実行すること自体が難しいのではないかというふうに思いますが。
#132
○福島瑞穂君 おっしゃる意味も実はわかるんですが、例えば男女共同参画局が意見を募集したような、それは実態調査とはちょっと違うのかもしれませんけれども、婚外子の人たちの声などがなかなかやっぱり社会に、親の差別体験などもなかなか出てきませんので、そのやり方はもちろんプライバシーに考慮する必要がありますし、難しいことはわかりますが、何らかの形でぜひ実態調査を、例えば今、事実婚の子供もいるかもしれませんし、何らかの形での実態調査をやっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#133
○国務大臣(森山眞弓君) 先ほど申し上げたような理由で、その方の人権ということを考えますと、かえってその人権を侵すようなことになる心配が非常に大きいので、なかなか難しいというふうに思います。慎重に検討させていただくということになるでしょうか。
#134
○福島瑞穂君 私たちの方でもその実態調査がどうあればいいのかということも考えてみますので、よろしくお願いします。
 選択的夫婦別姓制度については、きょうは民主党、共産党、社民党から質問が出ました。御存じ公明党も長いこと、十数年来この問題には取り組んできていただいていまして、衆議院の方では議員立法として民主、社民、共産と、それから公明党と両方、民法改正案が今継続中です。そんな中で頑張ってくださっていることは本当によくわかりますが、法務省一丸となってぜひ国会議員、閣法として出せるようにぜひぜひよろしくお願い申し上げたいと思います。
 最後に森山法務大臣、決意をお願いいたします。
#135
○国務大臣(森山眞弓君) 大変力強い御激励をいただきまして、ありがとうございます。法務省は私の個人としての考えだけではなく、法務省としても一丸となって努力しておりますので、今後ともよろしくお願いします。
#136
○福島瑞穂君 ぜひ法務省は頑張ってください。
 次に、難民のことについてお聞きをいたします。
 社民党は辻元清美さんなどを先頭にパキスタンに行ってきました。難民キャンプなどを訪れて、難民キャンプの難民の問題も非常に問題であるということもわかりましたし、他方、難民にもなれなくてアフガニスタンでこの冬を越せるか越せないか、餓死する人たちが十万から四十万ぐらい、要するに難民にもなれない人たちが、アフガニスタンの中でこの冬を越せなくて亡くなる人たちが十万から四十万ぐらいいるのではないかということなどもわかってきました。
 他方、日本国内のことなんですが、これは衆議院でも質問が出ておりますけれども、法務省は、入国管理局は十月三日、難民認定申請中のアフガニスタンの少数民族であるハザラ人八名を含む合計九名のアフガニスタン人について退去強制手続に着手し、東京入国管理局に収容をしております。しかし、この九名は本国においてタリバンに迫害されたとして、ハザラ人の人たちがみずからの住所を明らかにして日本に難民認定申請を行っていたものです。強制退去手続に入っているということで、これは、衆議院の質問では、アフガニスタンに帰すのかどうかはケース・バイ・ケースで考えているという、ちょっと正確に引用しますと、これらの国に送還することができないときは、本人の希望によりまして、それぞれの個別的な案件に応じて送還するとなっているんですが、本人たちの本国は、国籍法、市民権を属する国はアフガニスタンなわけですから、法務省としては、これは一体どうこの九人の方たちについてされようとしているのかについてお聞きをしたいと思います。
#137
○政府参考人(中尾巧君) お答え申し上げます。
 具体的な事件に関してはこの場で処理にわたることについて申し上げるのは差し控えたいと思います。一般論で申し上げれば、入管法の規定に従って、原則的には、国籍国等に退去強制ということになれば送還するということにされておりますし、それができない場合には、本人の希望により入管法所定のそれぞれの国を決めて、最終的に退去強制手続になるわけでありますけれども、具体的に送還条件が整うまで種々の関係で対応せざるを得ないことはあるわけでございますが、そういうものを経た上で、しかるべく法に従った対応をするつもりでございます。
#138
○福島瑞穂君 難民の地位に関する条約、いわゆる難民条約の中の三十一条の解釈に関するUNHCRの結論で言いますと、難民申請者の拘禁の問題、そのガイドラインなんですけれども、難民認定申請者に対しては不法に入国ないし滞在する者であっても原則として拘禁を行うべきではないというUNHCRのガイドラインがあります。
 私は、難民認定申請中で、まだ申請中であるにもかかわらず拘束して退去というのは非常に人道上も問題があると思いますが、このケースは難民認定中です。難民認定中であるにもかかわらずなぜこの手続をやっているのか、それは難民条約の趣旨に反すると思いますが、いかがでしょうか。
#139
○政府参考人(中尾巧君) お答え申し上げます。
 この難民、一般論で申し上げているわけでございますけれども、難民認定手続と退去強制手続とは別個独立の手続でございますので、従来から難民認定手続が行われている場合でありましても退去強制手続はこれと並行して行うのは当然のことでございます。
 委員御指摘の難民条約との絡みでございます。難民条約の関係で申し上げますと、難民条約三十一条一項の関係をおっしゃっているんだろうと思いますので、そういう関係で申し上げますと、三十一条一項には難民が不法入国または不法滞在していることを理由として刑罰を科してはならないというふうに規定しておるわけでございますが、出入国管理難民認定法に定める退去強制手続による収容ということは同条約に言います刑罰に当たらないというふうに解せられておりますし、この難民条約の三十一条の国内担保法という形で入管法の七十条の二という規定がございます。
 七十条の二におきましては、不法入国、不法上陸等の罪を犯した者については、「次の各号に該当することの証明があつたときは、その刑を免除する。」というふうに書かれております。これは、その各号というのは、難民であることとか、そういう迫害のおそれのある領域から直接本邦に入ったこと、そういうおそれがあることによって当該不法上陸等の罪を犯した、行為を犯したということが証明があった場合に刑の免除ができるという規定になっております。これは、裏返して申し上げれば、不法入国、不法上陸等の犯罪の成立を前提といたしまして、裁判所の方が刑の免除をすることができるということになっております。
 したがいまして、最終的に難民であることが明らかになった者につきましても、刑事上の手続上で逮捕、勾留、起訴ということは当然前提としてあり得ることを担保した規定でございます。したがいまして、刑事手続でない行政手続において、退去強制手続によって適法に収容することは何ら法的に問題はないと、こういうふうに私どもの方で整理しております。
#140
○福島瑞穂君 ただ、難民認定をしている最中に強制退去をしてしまう。私は、このケースを取り上げたのは、アフガニスタンで明らかにタリバンの人たちに、ハザラ人で迫害をされてきた人たちが難民認定をしていて、空爆の続くアフガニスタンに原則として強制退去の可能性があるということに、本当に法務省は何を考えているのだろうということを考えています。ぜひ、難民認定中の人間を収容しないように、強制退去しないように、ましてやアフガニスタンに強制退去をしないようにということを申し上げて、私の質問を終わります。
#141
○柏村武昭君 私は、広島県選出、無所属の柏村武昭でございます。
 このたびは伝統ある法務委員会におきまして発言の機会を得ました。大変貴重な時間でございますので、簡略に二点に絞って質問を行いたいと思います。一つはIT社会における刑事司法のあり方、もう一つは死刑囚からの臓器提供にかかわる問題でございます。
 まず、IT社会における刑事司法のあり方についてお伺いします。
 ITといいますと、これは経済分野のキーワードということで、大変に難しいことのように聞こえます。実際、このITという言葉は御年配の皆さんにとっては大層なじみにくいもので、実はそろばん世代の私もそのうちの一人でございます。
 しかし、情報化あるいはIT化のスピード化というのは驚くほど速く、今や家庭の中ではインターネットの通信販売を利用して買い物をすることはごく普通のことになってきましたし、インターネットバンキングとかあるいはホームトレーディングといった高度な専門知識が必要な金融取引でさえ、家でお茶を飲みながら簡単にできるような世の中になったわけです。
 また、学校教育の分野でも、子供たちがとにかくパソコンに大変親しんでおりまして、夜になると学校の友人あるいは田舎のおじいちゃん、おばあちゃんと簡単に電子メールのやりとりもしております。ほかには、医療の分野では遠隔診療やマイクロ医療器具などの実用化が進んでいるようです。もう私たちの生活の隅々にまでこのIT技術が浸透してきております。これらはいわばIT化の私たちが恩恵に浴している部分、メリットの部分であります。
 ここでまず質問ですが、犯罪捜査などの警察活動全般において警察はいかにITを活用しておられるのか、お伺いしたいと思います。
#142
○政府参考人(秋山征司君) お答えいたします。
 警察では、従来からさまざまな警察活動を支える基盤の一つとして、ITを活用した情報通信システムの整備を進めてきております。
 犯罪捜査活動の効率化を図る観点からは、各都道府県警察から手配された人、車、物に関するデータを大型コンピューターで管理し、二十四時間いつでも第一線警察官が照会できるシステム、被疑者写真、犯罪手口原紙等の画像情報を各都道府県警察から警察庁にオンラインで検索できる画像情報検索システム、犯罪現場に残された指紋や掌紋からの被疑者の割り出し等を行う指紋自動識別システム、掌紋自動識別システムなどを構築しているところであります。
 一方、その他の警察活動に関しましては、一一〇番通報等に迅速に対応するため、パトカー等の現在位置をリアルタイムで一元的に把握するシステム、運転免許保有者に関するデータ等を大型コンピューターで全国的に管理し、運転免許証の迅速な交付、二重取得の防止等を図るシステムなどを構築するとともに、遺失拾得物の受理、返還等の窓口業務や自転車防犯登録業務等にも積極的にITを導入し、市民サービスの向上に努めているところであります。
 警察としましては、今後ともさらにITの活用を進め、犯罪捜査活動の一層の効率化、迅速化を図るとともに、窓口業務を初めとした市民サービスの向上に努めてまいる所存であります。
#143
○柏村武昭君 最初にIT化のメリットについて皆さんにお話ししたんですが、実は、IT化にはいい部分もありますが、よくない部分、深刻なデメリットもあることが最近明らかになっております。このところインターネットや携帯電話などを悪用した犯罪が多発しております。これらの中には誘拐や殺人といった凶悪事件として社会的な注目を集めたものも多く、こうした新しい犯罪の続出に国民の多くが不安を抱いていることは事実であります。
 この背景には、インターネットのような電子機器にはやっぱりもともと匿名性というものがありまして、だれに対しても開かれたネット上ではだれもが他者をコントロールすることできないんですね。この事実を押さえておくことが重要です。また、インターネットは文字どおり容易に国境を越えます。そして、電子データは消去が容易に可能である。こういったことの事実も押さえておくことが重要です。
 さて、インターネットを用いた犯罪としては、ホームページへの不正な書き込みや電子メールによる名誉毀損、あるいはポータルサイトで交わされる電子商取引、すなわちEコマースの普及に伴うネット詐欺、商号の不正使用や著作の無断引用などが挙げられます。また、選挙による落選予想や税務申告の電子化を悪用した脱税など、次々と新しい不法行為が行われる状況にあります。
 とりわけ、今現在心配されておりますのは、音楽ソフトのインターネットによる配信なんです。これなどは法の盲点をつくといいますか、まさに法の欠けている部分でございますが、そこで起こった新しいビジネスモデルが既存のレコード会社の存在を危機にさらしております。
 このようなインターネット犯罪と関連するんですが、コンピューターウイルスを用いてネットワークを破壊することとか、あるいは官庁や企業のホームページに不正なアクセスを行ってデータを改ざんすることなども企業や国家の危機管理を脅かすものとして早急に防衛策をとっていく必要があるんではないでしょうか。電気、ガス、水道、交通といった社会のライフラインを途絶させるような破壊活動にも同じような対策を欠かすことは絶対にできないと思います。
 そこで、法務大臣に対して、サイバーテロを含むインターネット犯罪に対処するための法務省の取り組みについて簡単にお答えください。どうぞ。
#144
○国務大臣(森山眞弓君) 先生御指摘のとおり、サイバーテロを含めインターネットを利用するなどしたハイテク犯罪に的確に対処し得るための法整備を行うことが必要不可欠であることは御指摘のとおりでございます。
 そこで、法務省におきましても、平成十二年十一月に経済活動にかかわる基本法制の整備のためのプロジェクトチームというのを設けまして、平成十三年四月にはこの組織を法務大臣を本部長とする経済関係民刑基本法整備推進本部といたしておりますが、ハイテク犯罪に対する罰則の整備とかコンピューターネットワークに関する捜査手続の整備等の検討をこの体制で行っているところでございます。
 これらのハイテク犯罪は、おっしゃるとおり、多数のコンピューターを経由しつつ、容易に広範にわたって、あるいは国境を越えて犯され得るということ、犯罪の痕跡が容易に消されるということ、電子データでありますことなどの特質を有しておりまして、そのため、犯人の特定とその証拠の確保に種々の困難があり、これらの特質を踏まえながら法整備の検討を進めなければならないというわけでございます。
 そこで、コンピューターを利用した犯罪の発生状況、諸外国の法制度を調査いたしまして、また近く採択される予定の欧州評議会のサイバー犯罪条約などの国際的な動向も視野に入れつつ、実体法及び手続法の両面から法整備について検討を進めていきたいと考えております。
#145
○柏村武昭君 次に、今度は生物テロ対策について伺いたいと思うんですが、九月に起きましたニューヨークでの無差別テロ攻撃はまだ記憶に新しいところですが、今後引き起こされるであろうテロ集団によるテロ行為にはもはや歯どめがなくなったという感じがいたします。
 今月に入ってワシントンの連邦議会周辺で表面化して今問題になっている炭疽菌による生物テロ事件も、目に見えない生物化学兵器を用いている点で非常に新しく、またそれが私たちにとっては大きな脅威となっているわけでありますが、我が国においても各委員の指摘がありましたサリン事件という苦い経験があります。
 そこで、米国で発生したような生物テロに対処するためにはこのような行為を処罰するための法整備もきちんと行う必要があるのではないかと、こう思いますが、その状況について法務大臣にお伺い申し上げます。
#146
○国務大臣(森山眞弓君) 炭疽菌等の細菌を利用して人を殺す、殺傷するという行為は、言うまでもなく、事案に応じまして刑法の殺人罪あるいは同未遂罪や傷害致死罪等に当たるわけでございますが、このような生物剤等を発散する行為などを犯罪化し、国外犯処罰を義務づけるなど国際テロを撲滅するための国際的な枠組みをつくるための国連条約といたしましてテロリストによる爆弾使用の防止に関する国際条約がございまして、テロに対する国際協力を推進する上でこの条約の早期締結が求められております。
 そのため、法務省といたしましても、関係省庁と協力しつつ、この条約を締結するのに必要な国内法整備のための作業を鋭意進めておりまして、その一環といたしまして、生物剤等を発散する行為自体の罰則の新設等についても検討しているところでございます。
 この国内法整備については、早ければ今月中にも国会に提出できるように鋭意作業を進めたいと考えております。
#147
○柏村武昭君 ありがとうございました。
 ここまでは各種の新しい犯罪に対する当局の取り組みについて伺ってきたんですが、こうした新しい犯罪を着実に検挙していくためにはそれにふさわしい捜査手法が必要なんではないかと思うんです。しかしながら、匿名性を特徴とするインターネット犯罪やテロに立ち向かうためには、勢い捜査活動も外部からは大変見えにくいものとなってくる可能性が高くなるんじゃないかと、したがって過って個人のプライバシーを侵害することがないよう十分に配慮がなされた捜査手法が開発されなければいけないと思いますので、当局にはその点をしっかりと肝に銘じていただきたいと思います。
 それから、今後のIT社会における刑事司法のあり方を考えていくに当たっては、これまでのように犯罪が発生した後にその対策を立法化していくいわゆる泥縄式では、国民の目から見て、刑事司法は時代におくれているという評価を招きかねません。刑事司法に対する国民各層からの信頼感が著しく揺らいでいる今、その回復のためには犯罪検挙率の向上などで着実に実績を重ねていくことが肝要ではないでしょうか。
 そこで、事後的な規制から予防的規制へと大胆に方針転換することが必要ではないかと思います。すなわち、犯罪が起こってから法整備を行うというんじゃなくて、後手後手ではなくて、発生することが当然に予想される犯罪があるならば、そのような犯罪も見越した法整備を行う必要があるんではないでしょうか。この点、法務大臣は大所高所に立った御所見をちょっとお伺いしたいと思いますが、よろしく。
#148
○国務大臣(森山眞弓君) 各種の犯罪行為に対する法整備につきましては、一般論といたしましては、発生することが当然に予想される不法な行為がある場合には、既存の罰則で対応が可能な範囲を十分検討した上で、対応できない部分があれば必要な法整備を進めていかなければならないと思いますが、おっしゃいますように、つい先日起こりました幾つかの国際的な犯罪を見ましても、普通の常識的な予想の範囲を超えるというものもございまして、なかなか難しい話ではございますが、最大の努力をしていかなければならないと思います。
#149
○柏村武昭君 法務大臣、ありがとうございました。
 次の質問に移りたいと思います。
 私のふるさとは広島県でございまして、最近、地元で活躍する弁護士の友人からある裁判についてのエピソードを聞く機会がありました。
 これは実話なんですが、彼の弁護している被告人が地裁と高裁で無期懲役の判決を受けたために、上告しましたら、最高裁で破棄・差し戻しの判決を受け、どうやら差し戻し審の高裁では死刑の判決を受けることが確実視されているそうなんです。その被告人は、来るべき死刑判決を既に覚悟しまして、近づく死を前に改悛の情を持つに至りまして、人生最後のときに至ってようやく何か社会のお役に立ちたい、人様のお役に立ちたいという心境になったそうなんです。そして、刑の執行を受けた後、臓器の移植を心待ちにしている人に自己の臓器を提供したいと熱望しているそうなんですが、そうした被告人のとうとい心情をどうにかしてかなえてやることができないものかとその弁護士の友人が私に相談をしてくれたんですが、この私も、死に直面していわば明鏡止水の境地に至ったこの被告人の気持ちを本当に思いはばかると、大いに感銘を受けたわけでございます。
 そして、どうにかしてその被告人の人生最後の希望、最後の善行を実現させてやれないものだろうかと考えあぐねておりまして、先日も東海地方に視察に行きまして、拘置所とか刑務所も視察させてもらったんですが、非常に私もこの問題と一緒にして考えております。
 そこで、いろいろと調べてみたんです。臓器の移植に関する法律というものを読んだら、その第二条第一項に「死亡した者が生存中に有していた自己の臓器の移植術に使用されるための提供に関する意思は、尊重されなければならない。」と規定されております。これを素直に読みますと、その被告人の意思も尊重されます。つまり、死刑囚からの臓器提供も認められるということになろうと思いますが、その友人の弁護士から聞いたところによると、そうはなかなかうまくいかないそうなんですね。
 もう一つ、監獄法という古めかしい九十年前の法律がありまして、刑の執行がなされた後にもいろいろと手続があって、すぐには移植に取りかかれない。しかし、臓器の移植は死後すぐに始めないと成功率が低いんです。そういうことがあって、実際のところは移植の実現性が低くなっている。もっとはっきり言えば、不可能ということなんですね。これが現状です。これは全く遺憾なことではないかと思います。
 そこで、臓器移植法の精神を尊重して、死刑囚からの臓器移植をぜひとも実現できないものか。また、実現するに当たって障害があるとすればどう取り除けばよいのか。死刑囚の最後の気持ちというものをあくまで尊重する観点に立ってお伺いしたいと思います。どうぞ。
#150
○政府参考人(鶴田六郎君) お答えいたします。
 臓器の提供を希望する死刑確定者が、死刑執行後に臓器移植に関する法律の定めるところによりまして臓器の提供をすることにつきましては、監獄法令上、直接これを制約する規定はございません。しかしながら、死刑の執行後、親族への連絡やその来訪、遺体の交付手続等に相応の時間を要するところであります。また、遺体の交付を請求する親族がない場合におきましては、監獄法令の規定によりまして、死亡後二十四時間を経過した後でなければ遺体の搬出ができないこととされているなど、時間的制約もあることも事実でございます。
 申すまでもありませんが、死刑確定者は死刑の執行を待つといういわば極限的な立場に置かれておりまして、極めて大きな精神的不安と苦悩のうちにあるものでありますので、拘置所としては、できる限りその心情の安定が図られるよう細心の注意を払って処遇に当たっております。また、そのような観点から、親族に対する通知も事前ではなく、監獄法令に定められているとおり死刑執行後速やかに行い、親族が遺体の交付を望む場合にはこれを交付しておるところでございます。
 臓器移植に関する医学的な専門知識を有しているわけではありませんので、臓器移植を行おうとする場合、どのような時間的あるいは医学的な前提条件が必要であるかにつきましては正確には承知しておりませんが、矯正当局といたしましては、まずもって死刑確定者やその親族の心情やプライバシーに十分配慮しつつ、死刑の執行という最も厳粛な刑の執行を行わなければならない立場にあることを御理解いただきたいと思います。
 いずれにしても、将来、臓器提供を任意かつ真摯に望んでいる死刑確定者が生じた場合には、臓器移植法に関する法律第二条に規定されているように、その意思をできる限り尊重するということも視野に置きまして、監獄法令の範囲内でどのようなことができるかにつきましては検討することも必要ではないかと考えております。
#151
○柏村武昭君 予想されました事務的な答弁の中に、最後に大変御答弁うれしかった、ありがとうございました。
 臓器移植法と監獄法という二つの法律、全然整合性がないんですよね、この二つの法律には。一体どちらの法律を優先すべきであるのか私たちは悩むわけでございますが、そもそも法というものが人間の愛と英知と理性のもとにつくり出されたルールであるならば、死刑囚が人生最後の瞬間に持つに至った社会のお役に立ちたいという気持ちと臓器移植を心から願っている人たちの気持ちが一致した場合に、やっぱりこれは臓器移植法の精神を重視して移植を認めるべきではないかと私は考えるわけでございますが、皆さん方はいかがでしょうか。
 本日は、初めに、IT社会における新しい刑事司法のあり方につきまして幾つか提言をさせてもらいました。法務省そして警察庁におかれましては、IT社会においても国民の信頼に立派にこたえていただくことができるようしっかり頑張っていただきたいと思います。
 私はまだ新人ではございますが、人生初めての国会議員としての質問でございました。どうも皆さん、ありがとうございました。
#152
○委員長(高野博師君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後零時二十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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