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2001/11/08 第153回国会 参議院 参議院会議録情報 第153回国会 法務委員会 第6号
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2001/11/08 第153回国会 参議院

参議院会議録情報 第153回国会 法務委員会 第6号

#1
第153回国会 法務委員会 第6号
平成十三年十一月八日(木曜日)
   午前九時三十分開会
    ─────────────
   委員の異動
 十一月七日
    辞任         補欠選任
     池口 修次君     小川 敏夫君
     浜四津敏子君     荒木 清寛君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         高野 博師君
    理 事
                市川 一朗君
                服部三男雄君
                千葉 景子君
                日笠 勝之君
                井上 哲士君
    委 員
                青木 幹雄君
                岩井 國臣君
                佐々木知子君
                陣内 孝雄君
                中川 義雄君
                三浦 一水君
                江田 五月君
                小川 敏夫君
                角田 義一君
                荒木 清寛君
                福島 瑞穂君
                平野 貞夫君
                柏村 武昭君
   国務大臣
       法務大臣     森山 眞弓君
   副大臣
       法務副大臣    横内 正明君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  中川 義雄君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局総務局長   中山 隆夫君
       最高裁判所事務
       総局人事局長   金築 誠志君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        加藤 一宇君
   政府参考人
       内閣官房内閣審
       議官       樋渡 利秋君
       法務大臣官房司
       法法制部長    房村 精一君
       文部科学省高等
       教育局長     工藤 智規君
   参考人
       京都大学大学院
       法学研究科教授  田中 成明君
       住商リース株式
       会社代表取締役
       副社長      中川 英彦君
       主婦連合会事務
       局長       吉岡 初子君
       弁護士      野澤 裕昭君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○司法制度改革推進法案(内閣提出、衆議院送付
 )
○政府参考人の出席要求に関する件

    ─────────────
#2
○委員長(高野博師君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨七日、池口修次君及び浜四津敏子君が委員を辞任され、その補欠として小川敏夫君及び荒木清寛君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(高野博師君) 司法制度改革推進法案を議題といたします。
 本日は、本案の審査のため、お手元に配付の名簿のとおり、四名の参考人から御意見を伺います。
 御出席いただいております参考人は、京都大学大学院法学研究科教授田中成明君、住商リース株式会社代表取締役副社長中川英彦君、主婦連合会事務局長吉岡初子君及び弁護士野澤裕昭君でございます。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。
 参考人の皆様方から忌憚のない御意見をお聞かせいただきまして、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 議事の進め方でございますが、まず田中参考人、中川参考人、吉岡参考人、野澤参考人の順に、お一人十五分程度で御意見をお述べいただきまして、その後、各委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
 なお、念のため申し添えますが、御発言の際は、その都度、委員長の許可を得ることとなっております。また、各委員の質疑時間が限られておりますので、御答弁は簡潔にお願いしたいと存じます。
 なお、参考人の方の意見陳述及び答弁とも、着席のままで結構でございます。
 それでは、田中参考人からお願いいたします。田中参考人。
#4
○参考人(田中成明君) 田中でございます。
 法による正義の実現の中心的な場所であるべき裁判制度のあり方を研究してきている者として、こういった場で意見を述べる機会を与えていただきまして光栄に存じます。
 我が国の司法制度は、戦後、法の支配の確立を目指して抜本的に再編成されまして、裁判所や弁護士会の権限なども強化されまして、制度上は司法の地位は飛躍的に高まったわけでございますけれども、伝統的な法文化の影響が根強く残っておりまして、また行政優位のパターナリズム的な法の運用が続いていたために、司法制度というものは一般の国民にとっては身近な存在ではなく、二割司法とか三割、小さな司法などと言われておりますように、その制度的な役割を十分に果たしているとは言いがたい状況が続いているわけでございます。
 今般の司法制度改革審議会の改革提言は、社会の複雑・多様化や国際化を初め、内外の急激な環境変化に対応すべく、我が国司法制度のこういった問題状況の抜本的な改革を目指す画期的なものでございまして、我が国では九〇年代以降、政治改革とか行政改革、財政改革、規制緩和、金融改革、地方分権など次々と重要な構造改革が推進されてきておりまして、司法制度改革も、当然、こういった一連の現在進行中の構造改革の一環として他のもろもろの改革と連動しながら、我が国を取り巻く内外の厳しい環境に対応することが求められておりまして、審議会の改革提言を円滑にできるだけ早期に実現することは緊急を要する事柄ではないかと考えております。
 今回の審議会は、司法制度の利用者である国民の視点からの改革を目指して、佐藤審議会会長を初め委員の方々が強い使命感を持って審議に熱心に参加して意見の収れんに努められまして、法曹三者内部だけではなくしていろんな形で、従来続いておりました意見の対立構図を克服して、将来に向けた土俵を設定し直して二十一世紀の日本を支える司法制度のグランドデザインを提示されたものでありまして、委員の方々の御努力に心から敬意を表するものでございます。
 意見書では、制度的基盤の整備、人的基盤の拡充、国民的基盤の確立という改革の三つの柱のもとに、従来から司法制度に関して指摘されていました懸案事項をほぼ網羅的に取り上げて、それぞれについて重要な改革提言をされております。そして、国民に身近で利用しやすく、その期待と信頼にこたえる司法制度の実現にとりまして、これら三つの柱はいずれも重要不可欠であるということは言うまでもございません。
 しかしやはり、法曹人口の拡大と法曹養成制度改革を中心とする人的基盤の拡充が、これは十年余りにわたります司法試験制度改革論議に一応の決着をつけるものであるという歴史的な経緯と、それから今般の司法制度改革全般の円滑な実現の前提条件の整備にかかわるという構造的な位置から見ましても、最重要課題ではないかと思うわけでございます。
 これまでも法曹三者の自主的な努力によって司法の手続とか実務の改革はいろいろと行われてきたわけでございますけれども、いずれにつきましても、結局のところ、そういった制度を実効的に進めるために必要な法曹が不足している、そのために十分な効果を上げることができなかったケースが多くて、意見書が指摘しておりますとおり、「制度を活かすもの、それは疑いもなく人である。」ということを痛感させられることが多かったわけでございます。
 やはり、質、量ともに豊かなプロフェッションとしての法曹が、相互の信頼と一体感を持って厚い層をなして存在し、国民との信頼関係のもとで十分かつ適切なコミュニケーションをとりながら協働する、こういう状況がつくり出されない限り、司法の制度的基盤の整備も国民的基盤の確立も難しいのではないかと思います。
 中でも、法曹人口の不足が我が国の司法制度がその制度的な理想どおりに作動することを妨げている主な原因であるということは、これはもう以前から司法制度に関心を持つ人々が共通して指摘してきたことでございまして、意見書では、こういった経緯を踏まえまして、これはあくまでも計画的にできるだけ早期に達成すべき目標であって、上限を意味するものではないということを断った上で、二〇〇四年には現行司法試験合格者千五百名を達成した上、二〇一〇年ごろには新司法試験の合格者数を年間三千人まで増加させることを目指すということを提言しております。
 具体的にどの程度の数の増員が適正かにつきまして、具体的な数値をあらかじめ示すということは、これはいろんな条件と相関関係にございまして、これは学問的にも政策的にも難しいわけでございますけれども、少なくとも意見書が目指すような司法の実現のためには、弁護士だけではなくして裁判官や検察官につきましても思い切って大幅な増員が必要であるということは、これはもう明白でございまして、計画的にできるだけ早期に達成すべき移行段階の目標と見れば、この具体的な数値が適切であるかどうかということを云々するよりも、ともかくこういった目標の実現を目指して、関連する条件整備を推進することが先決ではないかというふうに考えるわけでございます。
 そして、法曹人口の拡大によってプロフェッションとしての法曹に期待される役割が適切に果たされるようになるためには、やはり法曹の質の維持向上を図り得る養成制度を整備することが不可欠でございまして、法科大学院の設置はこういった要請にこたえようとするものでございます。
 意見書では、二〇〇四年から学生を受け入れることを目指して、法曹養成に特化した教育を行うプロフェッショナルスクールとして法科大学院を設置しまして、司法試験も、法科大学院の教育内容を踏まえて、原則として法科大学院修了者に受験資格を認める新たなものに切りかえて、従来の司法試験という点のみによる選抜ではなくして、法学教育、司法試験、司法修習を有機的に連携させたプロセスとしての法曹養成制度を新たに整備するという提言をしております。これは、戦後の法曹養成システムだけではなくして、大学の法学教育体制、これは従来のジェネラリスト養成をやってきました法学教育体制の重大な変革でございまして、こういった大改革であるということをめぐる意見の対立にも十分配慮して、円滑な移行を可能とするための種々の配慮がなされております。
 法科大学院の設置につきましては、一定の設置基準を満たせば認可して、広く参入を認める仕組みとしまして、公平性、開放性、多様性を確保するために地域を考慮した全国的な適正配置に配慮すること、それから社会人などが学びやすくするために夜間大学院を設置すること、経済的な理由から入学が困難とならないように奨学金、教育ローンなどの支援制度を整備することが要求されていまして、入学者選抜についても、従来のペーパーテストの入学試験のほかに学部成績とか活動実績などを総合的に考慮して合否を判定すべきものとされておりまして、法学部以外の学部の出身者や社会人などを一定割合以上入学させるべきことだとされております。
 こういった制度設計は、法科大学院構想が法曹になる門戸を狭めて参入制限になるんじゃないかという批判に対応するものでありますとともに、一発勝負と言われております現行の司法試験の弊害を是正することを目指すものでありまして、今後の法科大学院の設置手続とか入学者選抜システムの具体化においては、こういったことに十分留意する必要があると考えられます。
 法科大学院の修業年限につきましては三年が標準とされておりますけれども、法律学の基礎的な学識を有すると認められる者につきましては短縮型として二年での修了を認めるという移行措置的な制度設計がなされております。いろいろ問題がございますけれども、差し当たりはこの制度設計の枠内で、法科大学院の目的とか理念は我が国に適した形で実効的に実現するような具体案を各法科大学院で模索すると。そして、おのずと収れんすべき方向を探るべきでありますけれども、これは、新しい司法試験の合格状況はどうなるかとか、あるいは法学部教育とか司法修習制度はどういうふうに変わっていくかとか、さらには大学全体について学部三年、修士課程三年という再編成案も議論されておりまして、こういった大学改革の状況等も視野に入れて、適当な時期に再検討してもいいんじゃないかというふうに考えております。
 法科大学院の入学者選抜の公平性、開放性、多様性とか教育水準などを確保するために、設置認可基準だけではなくして、法曹関係者や大学関係者のほかに外部有識者も参加した第三者評価によって厳密性とか公平性、そういった要件を確保することが行われておりますけれども、こういったものをできるだけ早い時期に公表して周知を図るべきだとされておりますけれども、特に第三者評価の基準と機構につきましては、推進本部が立ち上がれば、そこを中心に関係機関の意見を踏まえて早急に検討をいただきたいというふうに考えております。
 意見書は、法科大学院の理念といたしまして専門的な学識の習得とか豊かな人間性の涵養、その他いろんなことを挙げておりまして、基本的には理論的教育と実務的教育の架橋を図ると。それから、教育方法につきましても少人数教育にするというふうなことをやっております。そして、法科大学院はこういった意見書に示された教育理念をそれぞれ創意工夫して実現するように競い合うことにすべきでありまして、法科大学院では行政とか企業とか国際関係、従来の裁判関連業務以外にも法曹が進出するための基礎的な教育を行いまして、我が国の法曹の狭過ぎる活動領域の拡充を促進する拠点になるべきではないかというふうに考えております。
 法科大学院で質、量ともに豊かな法曹が養成されるようになるということは、単に司法制度全体の円滑な推進に不可欠であるだけではございませんでして、我が国の経済とか行政、政治を担う人材の育成において大学が果たしてきた役割にも大きな転換を求めるものでございます。
 こういった法科大学院の充実した教育体制を整備するためには、私ども大学関係者の真剣な努力が必要なことはもちろんでございますけれども、それだけでは限界がございまして、従来の安上がりのマスプロ的な教育体制から抜け出すための財政上、制度上の特段の配慮が必要ではないかというふうに思います。
 この法科大学院の問題に限らず、意見書は幾つかの画期的で重要な改革提言をしておりまして、それだけに、こういった改革を円滑に実現するためには多大なエネルギーが要ると思います。意見書では、内閣に強力な推進本部を整備して一体的かつ集中的に取り組む等を求めるとともに、内閣、関係機関に対して、司法制度改革推進施策を総合的に策定して計画的にできるだけ早期にそういった施策を実施することを求めております。さらに、今般の司法制度改革に関する施策を実施するために必要な財政上の措置に対する格段の配慮も政府に対して要求しております。
 財政状況が厳しい中、この法科大学院の支援も含めて司法関連予算の拡充を求めるためには、やはり国民的な理解と支持が不可欠でございますけれども、意見書の改革提言の具体化ということは、単に司法改革にとどまらず、最近の一連の構造改革の円滑な推進のための人的、制度的なインフラの整備にもかかわるわけでして、ひいては国民一人一人の生活の質のあり方にも大きな影響を及ぼす基幹的な意義を持っているものでございまして、こういったことが認識されて広い視点から、推進本部を中心に関係機関の円滑な協力によって、できるだけ早期に改革を実現するために必要な制度的な整備と財政的な措置が講じられることを期待しております。
 以上でございます。
#5
○委員長(高野博師君) ありがとうございました。
 次に、中川参考人にお願いいたします。中川参考人。
#6
○参考人(中川英彦君) 中川でございます。
 本日は、こういう場で意見を述べることができる機会を与えていただきまして、大変ありがとうございます。
 今回の司法改革でございますけれども、五十年ぶりの大改革ということで、法曹三者だけではなくて、利用者である国民が参加いたしまして大変幅の広い立派な改革提言ができ上がったというふうに理解しております。司法制度改革審議会の皆さんの御努力に敬意を表するとともに、この改革案が本当に実効のあるものとなるように官民協力して具体化される、そういうことを大変強く私どもとしては希望、期待しております。
 本日、私が参考人に呼ばれましたのは、恐らく司法制度の利用者である企業の立場から何か言えという御下命だろうと推測いたしまして、したがいまして、そのような観点から幾つかの要望ないし意見を述べさせていただきたいと存じております。
 まず一つ目は、法科大学院、今、田中先生からもお話がございましたが、に関してでございますけれども、既存の法学部と新たに設置されます法科大学院との関係をどう調整するかという基本的な問題も含めまして、法科大学院というものの役割をどこに求めるか、その点、若干あいまいな点が残されているように思っております。
 この点につきましてはいろいろ御議論のあるところとは存じますけれども、私は、法科大学院の役割を即戦力を備えた法律のプロフェッションの育成ということに徹していただきたいというふうに考えております。既存の法学部の方は、基礎的な法学教育を通じまして世間に出てもどこででも通じるいわゆるリーガルマインドの養成ということに重点を置いた教育といたしまして、原則として既存法学部と法科大学院との役割のすみ分けということを行うべきではないかというふうに考えております。
 法科大学院で養成いたしますプロフェッションというのは、単に法律的な知識だけではなくて、対外交渉力とかあるいは紛争解決能力などのようにいわゆるビジネスセンスを伴った総合的な法律家としての能力を意味しております。そういう資質と能力とを備えた人材、こういうものがこれから我が国で進んでまいります国際化に備えて大変重要な法曹の能力として要求されているのではないかというふうに考えるからでございます。
 また、我が国の法曹は決してインターナショナルとは言えないと思います。例えば、私どもが貿易取引など国際的な経済活動をやっておりましてそこから発生するさまざまの法律的な紛争がございますけれども、そういう場合に企業にアドバイスしているのは実は欧米の弁護士さんでございます。あるいは、企業がみずから養成した企業内のスタッフであるのが実態でございまして、我が国の弁護士さんが関与するのはごく一部にすぎません。法科大学院は、日本の国際化に対応できる十分な語学力、それから基礎的な外国法の知識の育成ということについても最大限の努力をすべきだというふうに期待をしております。
 法科大学院がそういうプロフェッションを養成するためには、これは法律専門の教員だけでは不十分だと思います。やはり、実務家の数をふやすということが必要だと思います。改革案では三割程度の実務家教員というものを考えておられるようでございますけれども、私はこれじゃ不十分なのでやはり実務家を半数程度にすべきではないか、そういうふうに思います。
 そういたしますと、そういう実務家教員をどうして調達するかという問題が大きな問題となって出てくるわけでございますけれども、これはフルタイムでない教員とか、あるいはボランティアで実務家の教員を導入するとか、そういう柔軟な教員の受け入れをすべきではないかというふうに思います。
 それから、実務との接点をふやすという意味で、例えば企業などの実務の現場で研修をしていただくとか、あるいは国内外の弁護士事務所でトレーンをするとか、そういうカリキュラムを硬直的なものではなくてできるだけ柔軟なものにするということが大切ではないかなというふうに考えております。
 それから、若干視点を変えて申し上げますけれども、現在我が国には企業内で、会社の中で法律業務に携わっているいわゆる企業法務の担当者というのが約一万人程度いると言われております。一万人というのは、全国の弁護士さんの数が約二万人といたしますと、その半分に当たるわけでございます。これだけの法務担当者を企業は十年、二十年という時間と大変なコストをかけて育てているわけでございます。これらの担当者の中には、法曹として資格はございませんけれども、専門の弁護士さんよりも高度な法律業務をこなす能力を持っている人たちが大勢おるわけでございます。そういう法務担当者が法科大学院で勉強いたしまして弁護士資格を、法曹の資格を取るようになれば、実務能力を十分に備えた優秀な法曹をつくり出すことができるということになるわけでございまして、これは企業にとりましても国にとりましてもプラスになるんじゃないか。
 けれども、企業で働きながら法科大学院で履修するのはこれは大変困難でございまして、したがって、例えば夜間の法科大学院をつくるとか、あるいは通信教育を可能にするとか、あるいは一定の経験、資格を備えた企業法務の担当者は履修期間を短縮するとか、何かそういう企業法務担当者を大いに活用するという方法も検討していただければありがたいんではないかというふうに思います。
 それから第二に、弁護士に関連して若干申し上げます。
 まず第一は、企業の目から見まして弁護士さんの活動領域が余りにも狭いということでございます。要すれば、活動の場が、これは一部例外はあるといたしましても、裁判所を中心にした法廷活動だ、それから活動の内容も訴訟を中心とした紛争解決ということに比重が置かれているという印象を受けるわけでございます。
 今後、人数をふやして、国民の生活上のお医者さんとしての使命を果たしていただくということになるわけでございますけれども、アメリカのように弁護士さんが、企業は言うまでもなく、政府機関あるいは地方自治体、裁判所、大学、労働組合その他、社会の隅々で活用できる、そういう制度にぜひ改めていただきたいと思うわけでございます。
 それからまた、活動の内容も、紛争解決のための法廷活動だけではなくて、いわゆる予防法務という立場から、ビジネスに対して法的な観点からいろいろアドバイスをしていただくいわゆるビジネスローヤーというものを数多く生み出すような制度あるいは土壌をつくり出していただければありがたいと思うわけでございます。ちなみに、米国の弁護士には、法律知識だけではなくて、財務とか税務とかそういう経営センスを身につけた人が多数おられまして、経営者と一体になってビジネスをサポートするということが常識になっているわけでございますけれども、日本でもこういうような人材が数多くあらわれてくるということを期待いたしております。
 それからまた、余談になりますけれども、アメリカでは、弁護士さんが一たん仕事をやめまして学者とかあるいは政府の役人を経験してまたもう一遍弁護士業に戻る、いわゆるリボルビングドアと言っておりますが、回転ドアのように回ってくる人、これは珍しくなくおりまして、豊かな経験とか知識を売り物にしております。こういうこともやりやすくなるような社会になってほしいと思うわけでございます。
 それから次に、国際化の問題でございますけれども、我が国の国際化に伴いまして、司法制度全般の国際化を進める、これはもちろん重要なことですが、弁護士さんの国際化それから専門化ということも我々といたしましては大変強く望むところでございます。商取引に絡む国際紛争、あるいは例えば国際間の会社買収でありますとか合弁事業といった国際ビジネス、そういうものに必要な法的サービスにつきましては、ごく一部を除きまして残念ながら欧米の弁護士さんに依頼せざるを得ないというのが今日の実情でございます。日本企業は多額の報酬を外国の弁護士さんに支払っておるわけでございます。
 今後、ビジネスも含めまして日本全体がますます国際化していくのは目に見えておるわけでありまして、その方面の弁護士さんが絶対的に不足してくる状況にございます。前に申し上げましたように、法科大学院のカリキュラム、これを国際化し多くの国際弁護士を輩出するようにしなければ、司法の国際化というものは行き詰まってしまうんじゃないか、そういう心配がございます。個々の弁護士さんの国際化も必要ではありますけれども、例えば欧米の弁護士と日本の弁護士とが合同で事務所を開設できる、そういうふうな抜本的な改革もやっていただければ利用者の方は大変利用しやすいんではないかというふうに思うわけでございます。
 それからまた、弁護士さんの専門化、これも重要でございまして、知的所有権、独禁法、労働法、税法、そういう特殊な法領域に特化した専門弁護士を養成できる、これも法科大学院がそのように工夫すべきではないかというふうに思います。総花的な教育ではなくて、いわばアメリカのロースクールのように本人の将来志向に応じた選択的なカリキュラムを用意するということがやはり専門性のある法曹を生み出すための重要な点ではないかというふうに考えるわけでございます。
 それから、弁護士さんの情報公開についてでございますが、サービスを使い勝手のよいものにするため情報公開が絶対に必要だと思います。弁護士さんの経歴を初め、実績あるいは得意とする分野あるいは報酬、そういうものなどを手軽にアクセスできるような開示の方法をぜひ考えていただきたいというふうに思うわけでございます。
 ちょっと時間があれですが、最後に、ADRについて簡単に申し上げます。
 オルタナティブ・ディスピュート・リゾリューション、これは法廷外の紛争解決制度でございますけれども、企業といたしましては、経済活動から発生する紛争、これは法律的に白黒をつけざるを得ないものも多々ありますけれども、多くは経済合理性の判断で決着をつけた方が迅速な場合が多いわけでございます。例えば、ある機械を買ったけれども予定どおりの性能が出ない、それは機械が悪いのか、それとも機械を買った人の使い方が悪いのかといったような紛争を裁判所でちょうちょうはっしやるよりも、やはり機械や製品のことをよく知っている実務の専門家が中立の立場で判断をいたしましてどこかに落としどころを見つけた方が、これは解決も早いし当事者も納得しやすいわけでございます。
 そこで、だれでもが信頼できる実務家、例えばもと判事をやった、そういうような法律家が判断者となりまして紛争当事者の主張を聞いて、そして妥当な結論を導き出す。その結論に対して一定の法的な効果を与える。そのような仕組みができましたら、企業といたしましては、国内、国外で発生するさまざまの取引紛争の解決に選択肢の一つとして大いに利用するようになるだろうと、そういうふうに考えておりまして、現在の商事仲裁制度を見直し、使い勝手のよいものにするというのも一つの方法ではないかと思います。
 米国では、既に産業のいろんなセクターに精通した実務家のリストというものを用意いたしまして、紛争当事者がADRを選択したときにはそれを利用できるシステムというものを構築しつつあるというふうに聞いておりまして、そういう民間主導の紛争解決システムを法的にオーソライズする、国がバックアップする、そして実効性のある紛争解決の仕組みをつくるということを期待しておる次第でございます。
 ちょっと話が細かくなりまして、またお耳ざわりな点もあったかと思いますけれども、御容赦をお願いいたします。
 以上でございます。
#7
○委員長(高野博師君) ありがとうございました。
 次に、吉岡参考人にお願いいたします。吉岡参考人。
#8
○参考人(吉岡初子君) 吉岡でございます。
 本日は、このような機会を与えていただきましてありがとうございます。司法制度改革審議会に委員として二年間関与させていただいた立場から、また消費者問題にかかわる一市民の立場から、今回の法案と司法改革に対する意見を述べさせていただきたいと思います。
 まず最初に、法案の基本理念について申し上げます。
 司法制度改革審議会の意見書は、今回の司法改革の基本理念について、国民の一人一人が統治客体意識から脱却し、自律的でかつ社会的責任を負った統治主体として、互いに協力しながら自由で公正な社会の構築に参画すること、また法の精神、法の支配がこの国の血となり肉となることを掲げております。統治客体意識から統治主体意識への転換、法の支配の確立といったこれらのキーワードは、一言で言うならば、国民主権の社会にふさわしい司法に向けた改革を目指すものと言えます。
 このことが法案の二条の中で明確に記載されていないことはやや残念ですが、今回の法案の目的が意見書の趣旨にのっとった司法制度の改革と基盤の整備であるということからしても、このことは当然に第二条の前提になっているものと考えられます。したがって、これからの立法化の過程でも、国民主権の社会にふさわしい司法に向けた着実な制度設計が行われることを期待いたします。
 次に、立法過程の透明性について申し上げます。
 今回の審議会の大きな特徴の一つは、審議会が全面的に、しかもリアルタイムで公開されたことにあったと思います。審議の公開をめぐっては、当初、公開されると自由な発言ができなくなるという懸念がなかったわけではありません。しかし、審議に携わった立場から申し上げますと、公開の審議だったからこそいいかげんにはできないという懸命な思いで審議にかかわることができたのではないかと思います。実際、審議の中でおのおのの委員がどれだけ自由に、緊張感を持って、時に激しく本音の議論を行ったかは毎回の議事録をごらんいただければきっと御理解いただけるのではないかと思います。
 また、リアルタイムでの公開によって審議の内容が頻繁に報道されるようになり、国民の司法改革に対する関心が大きく高まりました。審議会の場にもさまざまな意見が寄せられるようになりました。そのようないわば国民注視のもとで、国民の反応や意見をフィードバックさせながら審議を行ったことが今回の意見書の内容にも反映されたものと思います。
 したがって、これからの立法作業の中で意見書の中身を後退させないためにも、立法過程の透明化は必要不可欠です。推進本部、顧問会議だけでなく、各分野に設けられると伺っております検討会につきましても、全面的な公開がぜひとも必要と思います。しかも、会議から何日もたってから議事録が公開されるのではなく、そうなると公開の意義は大きく損なわれてしまうと思います。立法過程を国民注視のもとに置くことは、やはりリアルタイムでの全面公開がぜひとも必要と考えますので、この点の御配慮をお願いできればと思います。
 それから、推進体制への国民の関与について申し上げます。
 推進体制について意見書は、「内閣に強力な推進体制を整備し、引き続き利用者である国民の視点から、一体的かつ集中的にこれに取り組まれるよう求める」としています。司法制度改革推進本部はこの意見書の提言を受けて設置されるものですが、今回の改革が利用者である国民の視点から取り組まれるべきものであることからすれば、推進体制の中に利用者である国民が関与することが必要不可欠と考えます。
 具体的には、顧問会議、各分野の検討会議のそれぞれに、ユーザーの立場にある者が構成員として加わることが必要です。その際、経済界からだけではなく、司法による公平な解決を最も必要としている国民の側からも構成員には加わることが必要と考えます。また、顧問会議については、その役割が、進められている改革が審議会意見書の趣旨に沿ったものであるかどうかをチェックすることにあると考えますと、基本的には審議会の委員が担当することが適当と考えます。審議会委員をメンバーにすると議論の蒸し返しが行われるのではないかと懸念する向きがあるかもしれませんが、全員一致で意見書を提言したのですから、そのような心配には及ばないと思います。そして、その際にもユーザーの立場にある者が構成員に加わることが重要だと考えております。
 なお、財政問題についても一言申し上げます。
 審議会の意見取りまとめの過程において、財務省筋から厳しい財政状況を踏まえた圧力がかけられたという報道がなされたことがありました。その真偽はともかく、今回の司法改革は内閣が総力を挙げて取り組むべきものと位置づけられている課題です。したがって、財政上の観点から改革がとんざしたり中途半端なものに終わってしまうことがないよう、財政当局には特段のお願いを申し上げたいと思います。
 次に、これから立法作業に入るわけですが、その課題の幾つかについて若干の希望を申し上げたいと思います。
 まず、裁判員制度について申し上げます。
 意見書では、今回の改革の柱の一つとして国民的基盤の確立を掲げ、裁判員制度の導入を提言しました。無作為に選任された一般の国民が裁判官とともに訴訟手続に参加する裁判員制度は、司法の分野における国民主権原理の具体化と言える制度であり、高く評価すべきものと考えます。
 しかし、審議時間の制約などもあり、意見書では制度の細部までの提言はなされていません。意見書は、裁判員制度を広く一般の国民が裁判内容の決定に主体的、実質的に関与することができる制度として提言していますが、そのような実質を制度設計の中で確保できるかどうかは、これからの立法作業の結果によるところが大きいと言えます。裁判体における裁判官と裁判員の数をそれぞれどの程度にするかという点を初め、具体化が必要な論点は少なくありません。
 これらの点を具体化するには、一般国民自身が当事者となる制度であることからも、検討会のメンバーに国民代表を相当数加えるとともに、検討会のリアルタイムでの公開を含め、広く国民の意見を募っていく努力がとりわけ必要ではないかと思います。
 次に、弁護士費用の敗訴者負担制度について申し上げます。
 敗訴者負担制度導入の当否をめぐっては、審議会でも活発な議論が交わされました。また、国民の間でも、主として制度導入に反対する見地からさまざまな運動が展開されました。最終意見書の取りまとめの最後の最後まで原案の修正が重ねられた部分でもあります。その結果、この制度が裁判所へのアクセスの拡充という見地から導入されるべきものであって、一律に導入してはならないこと、訴えの提起を萎縮させるおそれのある場合には導入してはならないことなどが意見書で確認されました。
 今後の立法作業では、意見書の文言とともに、このような審議会内外の議論経過にも十分配慮した制度設計が行われることを期待しております。また、この問題については、国民的関心も高いものでありますから、国民の意見が立法過程に十分反映されるよう、特に工夫をお願いできればと思います。
 なお、原告が勝訴した場合にのみ弁護士費用を被告側に負担させる、いわゆる片面的敗訴者負担制度を導入することは、アクセス拡充という制度導入の趣旨にかなうものと考えられますので、そのような可能性も含めた検討が行われることを期待しております。
 次に、裁判外の紛争解決手段、いわゆるADRについて申し上げます。
 意見書では、ADRの位置づけについて、まず司法の中核たる裁判機能について、これを拡充し、国民にとって一層利用しやすくすることに格別の努力を傾注すべきことは当然であるが、それに加えて、ADRが国民にとって裁判と並ぶ魅力的な選択肢となるよう、その拡充、活性化を図っていくべきであると提言しています。
 これに対しては、裁判による紛争解決を複雑な紛争の解決などになるべく限定し、そこに力を入れていくことを目的に、市民間の日常の紛争についてはなるべくADRで解決し、裁判所の負担を軽減しようという観点に立ったADR拡充の議論も一方で存在するように思います。しかし、立法化の過程では、このような方向に流れていくことのないように、本来のADRのあり方を検討することを期待したいと思います。例えば、ADR前置主義が採用されることになると、国民の裁判による紛争解決の道はかえって狭められてしまいます。そういったことにならないように希望いたします。
 最後になりますが、私を含め、審議会の委員は、本当に真剣に、時に本業に大きな支障を来しながらも、国民のさまざまな意見を踏まえつつ、意見書の取りまとめに向けて精魂を傾けて議論を尽くしてまいりました。その結果、全員一致で取りまとめられたこの意見書は重みのあるものと考えます。ぜひとも意見書の趣旨が後退させられることのないよう、むしろその趣旨をより発展させた形での立法化がなされることを最後に改めてお願いして、私の意見陳述を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#9
○委員長(高野博師君) ありがとうございました。
 次に、野澤参考人にお願いいたします。野澤参考人。
#10
○参考人(野澤裕昭君) 弁護士の野澤と申します。本日は発言の機会を与えていただき、ありがとうございます。
 私は、現在、自由法曹団という法律家団体の司法民主化推進本部の事務局長をしております。その活動を踏まえて、発言をさせていただきたいと思います。
 最初に、自由法曹団について一言御紹介させていただきます。
 自由法曹団は、一九二一年に神戸で発生した労働争議に際し、労働者を弁護するために全国から集まった弁護士を母体として結成されました。以後、労働、刑事、公害、行政、環境、基地訴訟などさまざまな裁判に携わり、国民の自由と人権の擁護のために活動してきました。現在、全国で約千六百名の団員がおります。
 私たちは、こうした労働者や国民の立場で裁判に取り組んできた経験から、現在の司法のあり方については強い疑問を感じております。それだけに、今回の司法制度改革については、私たちも真剣に考え、国民のための司法改革を行わなければならないとの立場で、積極的に提言もしてまいりました。
 司法改革を考えるとき、司法の現状がどうなっているかを検証することが第一に必要ではないかと思います。その場合、国民にとって司法、裁判というものがどういうものになっているか、国民が何に不満を持っているのかを裁判の実態に即して検証する観点が特に重要だと思います。
 この観点から見たとき、司法が抱える問題として最も重大だと思うのは、現在の司法が、憲法が期待する国民の基本的人権を擁護するとりでとしての役割、あるいは憲法擁護の役割を十分果たしていないということです。
 現行憲法は、戦前の日本が国民の人権を弾圧することで戦争体制を築いていったことの反省から、平和国家を建設するために何よりも人権が尊重されなければならないと考え、基本的人権擁護の理念を掲げました。また、憲法は、法律によって人権が制限された歴史も踏まえ、違憲な立法に対しては、裁判所にこれを審査し、無効とする違憲立法審査権を与えました。行政に対するチェックも裁判所の役割として期待されていると思います。まさに司法は平和と人権を支える機能を憲法から期待されているというふうに考えております。
 しかし、残念ながら、現在の裁判所は人権擁護、憲法擁護の役割を十分果たしていないのではないかと言わざるを得ません。
 例えば、国や大企業を相手とする裁判では、裁判所は国に追随し、あるいは大企業に甘い判断をする傾向にあります。国などを相手とした水害あるいは公害の差しとめや損害賠償を求めた訴訟では、そもそも原告適格がないとか、あるいは受忍限度の範囲内の被害は違法性がないとか、行政の規制権限に大幅な裁量を認めるなどの手法で住民や被害者の救済を拒んでいます。
 労働事件でも、労働者に対して冷たい判決が続いています。一例を挙げれば、共稼ぎで三歳の子供を保育園に預けながら働いていた女性が、会社から片道二時間以上もかかる職場へ転勤を命じられました。この女性は、妊娠中でもありとても育児ができないとこの会社の配転命令を拒否したところ、解雇されたという事件であります。裁判所は、会社の転勤命令は労働者として通常甘受するべきものであるという判断をして、この解雇を有効としました。この女性は控訴し、最高裁まで十二年間争いましたが、昨年一月、最高裁もこの解雇を有効としました。
 また、少年事件ですが、女子中学生が乱暴されて殺されたという事件がありました。女子中学生の体に犯人のAB型の精液や唾液が付着していたのですが、犯人として逮捕された当時十三歳から十五歳の少年の血液型がBあるいはO型と犯人のものと全く違っていたにもかかわらず、裁判所は、精液は別の機会につけられた可能性があるとか、少女の胸についていたAB型の唾液は少女のA型のあかと少年のB型の唾液がまざったものなどという常識外れの判断をして、少年を犯人と決めつけました。この事件は、さすがにその後、昨年二月、最高裁で破棄、差し戻しされています。
 また、憲法違反と思われる状態であるにもかかわらず、判決の影響を考慮して憲法判断を回避する、いわゆる司法消極主義と言われる傾向もあります。
 さらに、裁判が長期化し、費用がかかり過ぎるという問題もあります。労働事件や公害事件などでは十年、二十年という歳月がかかり、勝訴しても救済の意味が失われているという状況も生まれております。裁判が国民の常識からかけ離れ、国民に背を向けていると思われるような状況を変えることが、今改革の第一に求められていることではないかと我々は考えます。
 こうした現状を生んでいる原因は何かといえば、裁判官に対する最高裁を頂点とした官僚統制にあるというふうに思います。例えば、労働事件や公害事件では、最高裁が全国から裁判官を集めて裁判官会同あるいは裁判官協議会というものを開き、そこで特定の事例について事務総局から国や企業の利益に沿った見解が示され、その方向で判決内容を統制していくということが行われています。また、裁判官に対する任用あるいは昇給・昇格、任地などでの差別が行われ、最高裁の意向に反する裁判官は冷遇され、他の裁判官から引き離されるという人事統制も厳然として行われています。裁判官が法務省や検察庁に出向するいわゆる判検交流、これも年間数十人の規模で行われておりますが、裁判官が国の代理人となるということで行政寄りの意識を裁判官に植えつけ、行政寄りの裁判をさせる原因ともなっていると考えております。
 最高裁のこうした裁判官統制のもとで、裁判官が自由に意見を表明し行動することが制限され、良心に従って裁判を行うことができなくなっている。こうした状況が、先ほどの国民の常識に反し国民に背を向けた裁判を生み、憲法と人権を擁護する本来の司法の機能を失わせ、そのことが国民の裁判への信頼を弱めているのではないか。そのことが、司法が国民の中に浸透していかない大きな原因になっているのではないかと考えています。国民が利用しやすく身近な司法を実現するという司法改革の理念からすれば、このような官僚統制を廃止し、裁判所を国民の常識が通用するものに変えることが極めて重要ではないかと思います。
 このほかにも、司法の規模が人的にも物的にも小さいという問題があります。裁判官、検察官、裁判所職員を大幅に増員する必要があります。裁判官一人で二百件から三百件の事件を抱えるのではとても丁寧な審理はできないと言わざるを得ません。また、私たち弁護士も、弁護士過疎地と言われる状況を解消するために増員する必要があるというふうに考えます。
 私たちは、こうした司法の現状を根本的に改革するには、法曹一元、陪審制の導入という裁判の根本からの改革が必要だと考えます。今回の審議会の最終意見は、裁判官制度改革や裁判員制度の新設、国民の司法参加の推進などの点で現状を前進させる方向が打ち出されており、これらの点では積極的に評価しております。しかし、先ほど述べた法曹一元や陪審制の導入については先送りをされ、官僚的裁判官制度を根本的に改革するものになっていないということは不十分であるというふうに考えます。
 また、改革の理念自体についても、政治改革、地方分権推進あるいは規制緩和などの経済構造改革等の一連の諸改革の最後のかなめという位置づけをしておりますが、これは司法が何のためにあるかとの視点がずれており、問題ではないかと考えております。前述しましたとおり、司法は、現行憲法によって憲法の番人であり、基本的人権のとりでとしての役割を期待されているのであります。こうした憲法の理念を離れた規制緩和などのための改革を目的とするというのでは、本末転倒ではないかと考えるものです。
 また、労働裁判や行政裁判、刑事事件、違憲法令審査権の行使のあり方など、人権と憲法の擁護にとって非常に重要な問題について、残念ながら今回の意見では具体的な提言がほとんどなく、課題として先送りされております。労働裁判では、労働調停の導入が提起されておりますが、急増する労働事件を処理するには不十分です。労働参審制などの導入を図るべきですが、それは先送りになっております。刑事裁判についても、裁判員制度、被疑者・被告人の公的弁護制度の新設など評価すべき点も盛られておりますけれども、代用監獄の廃止あるいは逮捕後起訴されるまで最大二十三日間保釈が認められないといういわゆる人質司法の問題などについては先送りになっております。違憲法令審査権については、「論点整理」の中で論点項目に掲げられておりながら、最終意見は何ら現状の問題に踏み込んでおりません。弁護士報酬敗訴者負担の問題についても、国民が裁判を提起することを萎縮させるものであって、国民の司法参加という理念に反し、我々としては反対しております。
 私たちは、改革審のこのような審議のあり方、意見の内容が、司法の現状、特に裁判が国民の常識に合致していないという実態の調査、原因の分析が弱かったことと無関係ではないというふうに考えております。
 しかし、私たちは決して最終意見を否定するという考えではありません。むしろ、裁判官制度改革、国民の司法参加、その他前進的な面は積極的に実現するべきであるというふうに考えます。ただし、最終意見で積み残された点があること、あるいは裁判員制度など制度設計が今後の論議にゆだねられている点があること、弁護士報酬敗訴者負担に問題点があることなどから、この最終意見をゴールとするのではなく、これを新たなスタートラインとして国民的な論議を重ね内容を発展させるという観点が必要であり、今後行われる立法作業においてもそうした観点から行われるべきではないかというふうに考えるものです。
 今回の司法制度改革推進法案について最後に述べます。
 これについて私たちは修正意見というものを発表し、本日それを資料としてお配りさせていただきました。内容はそこに記載したとおりですが、要約すれば以下のポイントになります。
 第一に、推進本部設置の目的、基本理念の中に、司法の憲法上の役割を明記するべきだという点です。先ほども述べましたけれども、司法改革の理念というのは、やはり憲法が司法に期待している役割に即して行われるべきであるというふうに考えます。
 第二に、日弁連の責務条項については、これは削除するべきではないかと考えます。弁護士自治を有する日弁連が法律上一定の責務を負担することは、自治権の観点から問題があるというふうに考えるからです。
 第三に、基本方針の中に、最終意見が提言した裁判官制度改革などの積極的な部分を明確に反映したものにすること、今後の課題としている部分についても、これもきちんと盛ることが必要ではないかということです。
 第四に、推進体制の中に国民の意見を反映する仕組みをつくるということです。推進本部は全閣僚であり、事務局も各省庁からの出身者がほとんどで、これでは官僚主導の法案づくりという批判を免れません。国民の司法参加の理念というものにも反するもので、これでは国民の支持は得られないのではないかと思います。最終意見書では、最後の「おわりに」の部分でこのように述べております。「何より重要なことは、司法制度の利用者の意見・意識を十分汲み取り、それを制度の改革・改善に適切に反映させていくこと」であるということです。この最終意見書の最後の指摘にこたえるためにも、立法過程に国民の意思を反映させるということが極めて重要ではないかと思います。推進本部あるいは事務局にユーザーの団体、労働団体や消費者団体の代表を参加させることなど、国民が参加した推進体制にしていただきたいというふうに考えます。
 なお、顧問会議あるいは検討会設置ということが検討されていると聞いておりますが、ここにも利用者の代表者やあるいは学識経験者を参加させるということが必要であり、そしてそういう機関を設置する場合に、その存在をぜひ法律上明記していただきたいというふうに思います。そうでなければ、この顧問会議やあるいは検討会の権限、あるいは委員の人選や会議の運営などについてどうしてもあいまいになり、結局は事務局主導になるという批判を受けるおそれがあるからです。
 最後に、情報公開を徹底してほしいということです。審議会では、会議の議事録をすべて公表し、リアルタイムで会議の内容を公表されました。これは公開性を非常に高めるもので、国民の関心もこのことによって非常に高まりました。まさに、市民のための司法改革を行う機関として、それはふさわしい対応だったと思います。今後の推進本部の会議あるいはその他の会議においても、ぜひリアルタイムで会議の内容を公開するべきであると考えます。最低限、すべての議事録は公開するべきであると考えます。
 改革の目的はあくまで憲法と人権の擁護という司法の本来の役割を発揮することに置くべきであること、立法過程への国民参加と情報公開を保障すること、そのことが国民の司法改革への信頼を生み、改革の成功につながるということを強調したいと思います。
 最後に、私たち自由法曹団の弁護士も、二十一世紀の司法を国民のためのものにするため、法曹の一員として改革に主体的に取り組む決意であることを表明して私の発言といたします。
 ありがとうございました。
#11
○委員長(高野博師君) ありがとうございました。
 以上で参考人の意見陳述は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#12
○佐々木知子君 自民党の佐々木知子でございます。
 本日は、四人の参考人の先生方、貴重な御意見を本当にありがとうございました。
 まず、田中参考人にお伺いしたいんですけれども、法曹人口の拡大のことなんですが、御存じのように日本には各種の隣接法律専門職種、いわゆる準法曹がございます。我が国で準法曹が行っている業務内容は、外国では例えばタックスローヤーと言われているように弁護士の業務とされているものも多く、準法曹も含めると我が国の法律専門職種の総数は欧米先進諸国と比べて決して少なくないという考え方もできるかと思うんですが、この点についてはどのようにお考えでしょうか。
#13
○参考人(田中成明君) 確かに、法曹人口の問題を考える場合に、欧米では弁護士がやっている仕事を日本では隣接職種の方がやっていらっしゃるという問題があるわけでございますけれども、ただそういうことを前提に法曹人口を論じる場合には、やはり一種の現在の法曹資格間のバリアとか法制的なものの抜本的な再検討が必要ではないかと思うわけでございまして、単に隣接職種が弁護士がやっている仕事をやっているということだけでは、法曹人口を増大するのにネガティブといいますか、少なくてもいいという論拠にはならないんじゃないかと思います。
 しかし、将来的にはやはり弁護士の数がふえて活動領域が広がっていけば、隣接職種との職域という問題も再編成されて、広い意味での日本の法律家の、先ほど中川参考人も触れられましたように、非常に狭い活動領域、そういったものが広がっていくと一種のビッグバン的なことも起こり得ると思いますけれども、しかし現段階では、やはり今の弁護士とそれ以外の隣接職種との区別をした上でどれだけふやすかということを議論するのが適切ではないかというふうに考えております。
#14
○佐々木知子君 次に、中川参考人にお伺いいたします。
 司法の国際化というのは非常にこれから進むでございましょうし、国際的な弁護士、そしてまた、おっしゃられましたように、各分野の専門的な弁護士をつくることは日本という国にとっても非常に重大なことだというふうに思っておりますが、ただ法科大学院でそれだけのことを教えられる教授陣というのをどのように確保していくかということは、これはまた別の問題として非常に難しいのではないかと考えるものですけれども、その点、いかがお考えでしょうか。
#15
○参考人(中川英彦君) おっしゃるとおりだと思います。ただし、それを言っていたのではいつまでたってもこれは進まないわけでございまして、何とかしなきゃいけない。
 それで、私さっき申し上げましたように、大学院ではございますけれども、非常に柔軟な教育をそこでする必要がある。そこにやはり実務家を大量に導入する、そして実務的な教育を行うということと、それから実務との接点、これをふやす。企業に研修に来ていただくとか、あるいは海外の弁護士事務所で半年なり一年なり研修をするとか、そういうカリキュラムは恐らく今の大学院のイメージにはないと思うんですね。ですけれども、そこを柔軟なものにいたしませんといわゆる国際法曹というものは私は育たないと思います。
 したがいまして、やはり実務家を、これはもしもそういうカリキュラムができましたら、例えば企業の人でもボランティアで、じゃ私が行きますというような人もたくさん出てくるでしょうし、あるいは政府のお役人といいますか、あるいは公務員の方でも、じゃ私がちょっと行って教えてくるよというような、これはアメリカなんかはそうなっているわけです。
 ですから、そういう教員の確保を柔軟にする、それから実務との接点をふやすと、この二点をカリキュラムの中にどんどん取り込んで、本人が、例えば三年間あるわけですから、法科大学院というのは、もう二年目ぐらいから、自分は例えばタックスローヤーでいこうとか、自分は国際弁護士でいこうとか、そういう本人の志向ができるような、それに合わせたカリキュラムがあると、こういうふうに大学院の内容をしていただくことがやっぱりその専門家なり国際弁護士をつくる方策の大変大切な点だと思っております。
#16
○佐々木知子君 じゃ次に、吉岡参考人にお尋ねしたいんですけれども、裁判員制ということが今回盛り込まれました。非常に画期的なことだと思うのですが、私は三年前に国会議員になる前に十五年間検事をしておりまして、プロフェッショナルな検事とか裁判官ですら、法廷に立ち会って真摯に事実認定をし、量刑を決めるということは心身ともに非常なストレスを強いられるということを実感しているものです。
 それを素人に対して、ある意味では関係のない裁判にかかわれということで、時間拘束も多うございましょうし、そういったストレスも非常にかかってくることと思いますが、その点についてはいかがお考えでしょうか。
#17
○参考人(吉岡初子君) 確かに、佐々木議員がおっしゃるような御懸念というのはあろうかと思います。ただ、もともと司法は国民のためにあるということが当然のことで言えると思います。その国民のためにある司法が機能するためには国民が積極的に参加していく、そういうことが必要だと思います。
 先ほど、野澤参考人が裁判官にも非常識な判決があるということをおっしゃいました。やはり、プロフェッショナルだからこそ担わなければいけない、そういう面もありますけれども、素人の国民だからこそ社会的な常識、そういうところでの参加、そういうことができるはずでございます。
 それから、アメリカの陪審制、これについてはアメリカで見てまいりました。そういう中で見てみますと、やはり陪審制に参加するということで非常な責任感を一人一人が持つようになって、決して常識から離れたような判断はされていない、そういうふうに思っております。
 それともう一つ大切なのは、裁判官、検察官が素人である裁判員に対していかにして事実をわかるように立証し、説明し、そういうことが大切だと思いますし、裁判員、国民が参加した裁判制度は、そういう意味では裁判官の責任、リーダーシップ、そういうことも非常に大きいと思っております。
 ただ、もう一つ重要なことは、日本人の裁判嫌いといいますか、裁判は日本人一人一人からは非常に遠いものという、そういう感覚が少なくありません。そういうところで、やはりもしかしたら自分が裁判員になるかもしれない、そういう制度ができたときに裁判に対する関心の向け方、そういうものも変わってくると思います。それが、法が支配する国として国民が責任を持って参加できる、そういう制度になってくると思いますし、もちろん地盤整備としての教育の問題、これもかかわってくるとは思っておりますけれども、やはり裁判員として直接国民が参加する、そういうことが非常に重要な意味になると考えております。
#18
○佐々木知子君 これは各参考人に簡単にお答え願いたいんですけれども、裁判の迅速化というのは私は民事、刑事を問わずぜひ実現しなければならないことだと考えておりますが、そのための工夫としてどのようなものが考えられるか、何か考えがあれば伺わせていただきたいと存じます。
 順番に、じゃ田中参考人から。
#19
○参考人(田中成明君) 民事、刑事、多少事情違うところありますけれども、民事、刑事についてはそれぞれ、意見書に書いてありますように、集中的な審理とか争点整理というようなことありますけれども、やっぱりそういう手続とか実務の改革よりも、やはり裁判官の増員と、それから弁護士事務所の共同化とか、そういう訴訟を迅速にするための体制整備がなされないと、幾ら、手続とか実務改革だけでは追いつかないというのがこれまでの改革の成果ではないかと思いますので、やっぱり裁判官それから弁護士の増員と、それから弁護士の執務体制の変革というものが決定的に重要だというように考えております。
#20
○参考人(中川英彦君) 私は、人的拡充も大変大切だと思いますけれども、例えば知的所有権の紛争なんかは、特許庁というものがあるわけでございますから、そういう、何といいますか、公的機関の専門家をもう少し活用すること、それは裁判というよりも、むしろ裁判の前にそういうところで判断をするようなシステムはないのかなという点が一つ。
 それからもう一つは、ADRでございますね、さっき申し上げた。裁判になじまないと言うと語弊がありますけれども、もっと早くできるADRシステムを発達させる。この二点も一つの工夫ではないかというふうに思っております。
#21
○参考人(吉岡初子君) 裁判の迅速化ということは非常に大切なことだと思っております。その一つの対策としては、法曹人口を大幅にふやしていくということが必要だと思います。法曹人口、弁護士だけではなく裁判官、検察官も含めてふやしていかなければいけないと思います。
 ただ、裁判官、検察官がふえただけでは事務の効率化はできないと思います。そういう意味では、裁判官あるいは検察官の周辺の事務員関係、そういったところでも増員をしていただかないと迅速化というのは難しいだろうと考えております。
 それからもう一つ、証拠開示の問題があります。今、早い時期に証拠がすべて開示されているかどうか、その辺のところに疑問があるわけです。そういう意味では、証拠開示が前提になるということが言えると思います。
 もう一つ、集中審理についても検討する必要があると思います。
#22
○参考人(野澤裕昭君) 法曹人口の増員というのがまず第一に必要だと思います。
 例えば、裁判官の数でいうと、日本は約三千名ですが、アメリカなどでは一万四千人、ドイツでは三万三千八百人ほどいると聞いております。例えばドイツなどでは、労働事件など六十二万件の件数が年間新規事件で処理されていると聞いておりますが、日本では、本裁判、仮処分事件合わせて約二千五、六百件という数字にとどまっています。こういう極端な数字の違いというのは、やはり裁判が長い、それだけ処理できる裁判官が少ない、もちろん弁護士の数も少ないということもありますけれども、そういうところに根本的な問題があるんじゃないかと思います。
 それから、審理においては、我々も経験しているんですが、いろんな大企業の差別事件などをやると十年とか二十年とかかかってしまう。そういう原因は何かといえば、やはり証拠が出てこない、偏在をしているという問題があります。証拠を開示すれば、特に差別事件などでは、どこにどういう差別があるのか、どこが違うのかが会社から出ればすぐわかることが、それが出てこないために長期の裁判が強いられると、そういう問題があると思います。
 そういう意味で、人口の問題、それから訴訟手続における証拠の開示の問題、こういうことが非常に重要な問題になるんじゃないかというふうに思います。
#23
○佐々木知子君 時間が参りましたので、結構です。ありがとうございました。
#24
○小川敏夫君 民主党・新緑風会の小川敏夫でございます。
 きょうは参考人の方にはお忙しい中、貴重な御意見を賜りましてありがとうございます。
 吉岡参考人は審議会の委員にも参加されて、大変に中身のある有意義な意見を出していただきました。私ども民主党も、その意見の趣旨をこれから先完全に実現し、さらにもっと発展した形で司法を改革していきたいという形で一層努力していきたいと思っております。
 今回の審議会で、意見の中身も大変有意義なものであったと思いますが、先ほど吉岡さんが述べられたとおり、私は、この審議会が公開で行われたということが一つの画期的な出来事だったんじゃないかと。出来事と言うのはおかしいですけれども、審議のあり方であったというふうに思っております。そういう意味で、吉岡さんが先ほど述べていただいた点が重複する点もございますが、公開して有意義だったという点をさらにまた強調して御意見をいただければと思います。
#25
○参考人(吉岡初子君) 私、本当にあの審議会が公開で、しかもリアルタイムで公開されていたということが非常に意義があったと思っております。全面的公開というのには、報道関係への公開という限定はあったかと思いますけれども、最初の出席はともかくとして、その後はマスコミの方たちが非常に関心を持って参加してくださった。通常の審議会等ですと、きょうの審議は大体こういうことでしたということが座長から報告されるんですけれども、そうではなく、臨場感を持って知ることができた、そのことが報道に生きてきたのではないかと思います。
 その報道されることによって一般の国民は内容について知るわけですけれども、そういう意味では、そのリアルタイムの報道がされることによって、今どこに問題があるのか、そういうことも非常に関心として大きくなったと思います。その関心が大きくなったということが、全体でいうと三百万を超えるような意見が審議会に寄せられております。弁護士報酬の敗訴者負担についても三万を超える反対の意見が寄せられました。そういうことが実際にあったということ、そのことが非常に意味が大きかった。
 それから、じゃ、自由な発言を阻害したかというと、決してそんなことはなかった。本当に熱心に発言しましたし、参加した十三人、本当に熱心だったと思っております。
#26
○小川敏夫君 これまでのいろんな審議会とかいろんな各種会議がありますと、公開がなされなかったり、事後的に文書で報告という形が多かったんですが、即時に公開しない一つの理由として、公開することによって自由な意見が妨げられるとか、そうした自主的な審議が妨げられるという意見が中心だと思うんですが、その点、そういった弊害が感じられたかどうか、また吉岡参考人に説明いただきたいんです。
#27
○参考人(吉岡初子君) 私は、確かに最初はそういうことを御心配の委員もいらしたと思います。ですけれども、一番反対していた方も、公開は一月からだったんですけれども、公開どうするということを再度かけられたときには、いいじゃないですか、入っていただいて結構ですというようにおっしゃいました。そういうことで、やはり知っていただくということが非常に意味があるという共通認識ができたと思うんです。
 そういうことからいって、自由な発言を妨げられるというようなことはなかったと断言できると思います。
#28
○小川敏夫君 ありがとうございます。
 民主党としても、これからの推進本部、そのあり方について公開を求めていきたいというふうに考えております。
 田中先生にお尋ねします。
 先生は大学で生徒の指導に当たっておられるわけですけれども、今回、法科大学院というものができることになると。私が今感じている問題点を端的に申し上げますと、今、大学には大学の学部があって、大学院というものが二年制でございます。そうすると、今回も、三年制の法科大学院ということが標準であるけれども、学部卒業者については二年制でもいいというようなことになっております。
 そうしますと、今の学部の二年制ですね、それから大学院の二年制と、学部というのは専門課程でしたけれども、その年数が大学院の二年とぴったり合うものですから、法科大学院の趣旨というものが少しついてこないまま、今の大学院を少しお化粧するぐらいでこれで法科大学院だよという形になってはしまわないかということをちょっと私、不安に思っているんですが、実際に大学におられる先生、そこら辺の法科大学院のこれからのあり方と、今現存する大学院のあり方について御所感をお聞かせいただければと思います。
#29
○参考人(田中成明君) 現在の学部と大学院と法科大学院の関係でございますけれども、学部は従来はやはりゼネラリスト養成、リーガルマインドを持ったゼネラリスト養成をやってきまして、それから大学院に関しましても基本的にはやっぱり研究者養成でして、部分的には専修コースという形で高度専門職業人を養成して、先ほど中川参考人がおっしゃいましたですけれども、我々もやっぱり実務家に教員に来てもらったり、カリキュラムについてもかなり努力してやってきておるわけですけれども、純然たるプロフェッショナル教育には行っていなかったということになるわけです。
 しかし、そういう形でゼネラリスト養成、それから研究者養成、それからプロフェッショナル養成になりますと、やっぱりカリキュラム全体を組みかえることになりますので、従来の学部のカリキュラムの延長線上とかあるいは従来の研究者養成を中心としたカリキュラムというものとは全く違ったカリキュラムを検討しておりまして、カリキュラムの編成に関しては、あれは三年が標準でございますので、三年で自己完結的なカリキュラムを編成すると。編成して、それでプロフェッションとしての法曹を養成するというカリキュラムをきちんとつくった上で、移行措置として従来、学部で法律学を学んできた方についてはある程度短縮を認めるというふうな制度設計になっておりますので、学部とか従来の大学院、それと新しくつくる法科大学院がごっちゃになるというふうな制度設計をしているところは今の大学はないというふうに私は見ております。
#30
○小川敏夫君 ありがとうございます。
 また田中先生にお尋ねしますけれども、これまでは法学部で法律を一通り履修して、そこで司法試験を受けるという形で法曹に入っていったわけですが、今回、その法曹養成ということを法科大学院が担うとすると、今度は学部が必ずしも法曹を担うための法律知識をすべて教えることがないということにもなってくると思うんですが、そういう意味で学部の方の法学部の教育のあり方などについて、先生のお考えがありましたらお聞かせいただきたいんですが。
#31
○参考人(田中成明君) 今おっしゃった点は、既存の法学部を抱えている大学にとっては非常に重大な問題でございまして、ただ法学部といいましても今は毎年大体四万五千人ぐらいいるわけでございますね。司法試験は現在千人ぐらいで、法科大学院が発足したところでせいぜい三千人、七、八割増すと四千人規模でございますので、現在の法学部の中のごく一割ぐらいしか、法科大学院に進むということは、仮に全部法学部から行ったとしてもそれしかならないわけでございます。
 現に、法学部がどういう役割を果たしているかといいますと、やっぱり法曹界に進む人よりも普通の民間企業とか国とか地方の公務員というふうな人材を養成してきておりまして、それは仮に法科大学院ができたとしても変わらないというふうに思いますので、各学部がそれぞれどういう層の学生を抱えているかというのに応じて、それぞれの進路に応じてカリキュラムを多様化して、ある大学は法科大学院に進む人をある程度念頭に置いたものもあるし、あるいはそれは全く関係なしに民間企業あるいは地方公務員あるいは国家公務員というような形で多様化していくんじゃないかというふうに思いまして、今、中途半端に両方一緒にやっているところがかえってどちらにも対応しにくくしていることになりますから、各大学はそれぞれの教育理念に応じてどういう形で役割分担していくかという形で、法科大学院ができれば全般的に学部の法学教育の中身は再編成されてかなり変わっていくだろうと。
 同時に、これは大学改革の観点から見ましても、やはり学部で従来、教養があって専門という形が四年一貫教育という形に変わってきておりまして、学部の垣根も非常にあいまいになってきているというふうな状況がありますので、大学改革全体の動きとも絡み合わせて相当大きく変わっていくだろうというふうに思います。
#32
○小川敏夫君 中川参考人に一つお尋ねしますが、法科大学院は幅広い人材を集めるという意味で、法学部ではなくてほかの学部の学生にどんどん参加してもらうということがありますが、私はもう一つ感じている有意義なことは、社会人、やはり社会のいろんな経験をされた方がその経験を踏まえた後に法科大学院に入ってきて法曹となるということも、私は非常にいい意味でいい法曹を育てる一つのことだと思います。
 そういう意味で、先ほど一万人ぐらい企業の法務関係の方がいらっしゃるということでしたけれども、そういう方がまた法科大学院に入って法曹に加わっていただければと思うんですが、そこら辺の需要というのか、あるいはそうした体制とか、そこら辺のところはいかがでしょうか。
#33
○参考人(中川英彦君) おっしゃるとおりでございまして、一万人の企業法務担当者といいましてもこれはピンからキリまでありまして、極めて実務経験の短い者もおりますし、それから中には二十年、三十年という人もおります。そういう実務経験の長い方はちょっと勉強すれば法曹としての資格を十分備え得るわけでございまして、そういう人たちが法科大学院で学んで資格を取る、そしてもとの企業へ戻ってくるか、あるいはそのまま法曹として活躍するか、それはどちらでもいいことであると私は思っております、余りけちなことは考えない方がいいんで。そういう活躍させるといいますか、企業に眠っております実務力というかを社会的に活用するのがいいんではないかという考え方なんですね。
 逆に、弁護士さんの方も、今後数がふえまして職域が拡大してくるとなりますとどんどん企業の方にも来ていただきたいと思っておるわけでございます。待ち望んでおるんですけれども、なかなかそういう適格、今の規制の問題がございまして、なかなか企業への就職というのは難しい。そこのところをフリーにしていただいて、企業の担当者も法曹として出ていく、それから逆に弁護士さんの方も企業の中へ入ってきていただく、その交流を進めるのがやっぱり法曹全体のレベルを上げる一つのいいチャンスじゃないかと思っておりまして、そういう道を開けるような制度にしていただきたいというのが私の考え方でございます。
#34
○小川敏夫君 ありがとうございます。
 終わります。
#35
○荒木清寛君 公明党の荒木清寛でございます。
 まず、田中参考人にお尋ねをいたします。
 新たな法曹養成制度としての法科大学院構想でございます。この問題は各層各界に賛否両論があったといいますか、今でもあるんだと思いますが、私はつくる以上は立派なものにしなければいけないというふうに思っているんです。
 それで、これはもうまず間違いなくアメリカのロースクールというのを随分参考にしているといいますか、それに肯定的な評価を与えた上で審議会の方も意見をまとめられたというふうに思うんですね。私は、そうであれば徹底的にアメリカ型のロースクールをまねした方がいいといいますか、向こうは私の理解では学部段階での法学部というのはないわけでありまして、リベラルアーツ教育というんですか、いろいろ幅広く教養を勉強して、そしてロースクールに行ってそういう法理論あるいは実践能力を培うということでうまく機能しているんではないかというふうに思うんです。
 だから、やるんだったら私はもうそこまで徹底的にやった方がいいんではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
#36
○参考人(田中成明君) アメリカ型のロースクールの導入に関しては、私は当初から、否定的じゃないんですけれども、理念としてはアメリカ型のロースクールの意見が非常にみそになると思うんですけれども、ただ、それじゃ日本でそういう制度をどうして設計するかというふうになった場合、アメリカの制度が本当に理想かどうかというのは、私もアメリカのロースクールで学びましたですけれども、必ずしもそうじゃありませんでして、三年間というものを二年間に短縮した方がいいんじゃないかという意見もございますし、法学部につきましても、法学部がないというのはやっぱり問題ではないかというふうな意見がございまして、現在のアメリカのロースクールが理想的だという意見については私は必ずしも賛成でございませんでして、やっぱり例えばカナダのようにロースクールの後に司法修習制度も残そうとか、あるいはドイツのように大学では比較的理論教育を中心にやってあとは実務修習をやるというふうな、いろんなバリエーションがありますし、あるいは日本の医学部のように各大学で六年間きちんとやって試験を受けてまた修習をやると。いろんなバリエーションがありますが、そういう中から、日本の法曹制度とかあるいは大学制度等、適応的な中でアメリカのロースクールの理念をどうして実現していくかというふうなところがやっぱり制度設計をする場合にも重要でして、アメリカの制度はいいから、それじゃアメリカの仕組みをそのまま持ってくるというふうなことに関しては、必ずしも一般に言われているほどみんなそういうふうに考えているわけではなくて、アメリカのロースクールの導入論というのはこれはずっと以前からあったわけでございます。しかし、それに関してはやっぱりいろんな問題点も指摘されておりまして、今回の審議会の意見書もそういう問題点を非常に踏まえた上で、現実的にどういうふうに移行していくかというふうな制度設計になっているのじゃないかというふうに私は理解しております。
#37
○荒木清寛君 今、米国でもロースクールを三年を二年に短縮してはどうかという議論もあるというお話でしたが、審議会の意見書は、「標準修業年限は三年とし、短縮型として二年での修了を認めることとすべきである。」というふうにはっきりうたっておられますね。私は、これは非常に大事な原則だと思うんです。ですから、日本型の法科大学院を考えるのであれば、四年間は法学部あるいは経済学部、工学部等で幅広く教養を勉強して、そして三年間みっちりそういう法律の専門家としての能力を養成するということを標準とすべきであるというお考えだと思うんですね。
 私は、これは非常に大事な提言であって、実際やってみたら、しかしそういう三年コースの方がごく少数になってしまったというようなことになってはいけないと思うんですが、この点、先生のお考えはいかがでしょうか。
#38
○参考人(田中成明君) その点は、やはり三年が標準であることは標準で間違いないわけですけれども、カリキュラムについても、すべて三年標準でカリキュラムを編成したりするわけですけれども、やはり移行過程の問題をどうするかということがありまして、やはり現在、現実の問題としては法曹に進もうという人はやはり法学部へ来て相当程度法学を学んでいるということがありますので、そういう学生のことも差し当たりは考える必要があるということでございまして、将来的にどういうふうに考えるかということにつきましては、確かに二年、三年併存案というのは、カリキュラム編成で大学側でもいろいろ苦労していることはございまして、新しい司法試験の合格状況はどうなるかとか、あるいは司法修習制度はどうなるか、あるいは法学部がどういうふうに変わっていくかというふうなこと、あるいは先ほど少し話しましたように、大学全体について、学部三年、それから修士課程三年というふうな再編成案も大学改革の一環として検討されていると。
 そういうふうな状況を踏まえて、しかるべきときに再検討する必要があるというふうには考えておりますけれども、現在はやはり二年、三年併存案ということで、それでやっていくのが一番現実的であって、それで法科大学院が目指している理念がゆがめられるというふうには考えておりませんですけれども。
#39
○荒木清寛君 中川参考人にお尋ねをいたします。
 利用者、特に企業法務という視点から、非常に私は示唆に富むきょうは御意見を聞いたと思います。
 ですから、参考人のお話を踏まえますと、参考人からすれば、改革されたそうした法曹養成制度の中で、法律ばかりずっと六年間とかあるいは五年間勉強してきた法曹よりも、むしろいろいろ語学も含めた幅広い教養を身につけて、法学部に限らず、いろいろ学部教育の段階では幅広い教養を身につけて、そして法科大学院でプロフェッショナルとしての技量を磨くという、そういう法曹を期待するという趣旨だというふうにお伺いいたしましたけれども、どうなんでしょうか。
#40
○参考人(中川英彦君) そのとおりでございます。
 それで、実は、私ども企業の立場から見ておりますと、新入生、法学部を卒業して入ってくる人たちを見ておりますと、これは大学によってももちろんまちまちでございますけれども、実に法律を学んだという感じがしない人が多いんですよね、何を一体勉強しておったんだろうなと。改めて企業の方でこれを再教育をいたしまして、三年とか五年とか、やっと、ああ、法律というのはこういうものだったんですねというようなことを言い出すのが実情でございます。これが日本の実情でございます。
 だから、四年間の法学教育、それから三年間のロースクール、それから一年なり一年半の司法修習というのは、これはもう正直申し上げまして長過ぎるというふうに思うんですね。これを何とかもうちょっと効率よくできないものかというのが私どもの実は本音でございまして、それをどういうふうにしたらいいのかなと。
 これは先生の御質問とちょっとポイントがずれておるわけですけれども、何とか法学教育、これは法曹になるための教育も含めてなんですが、法学教育というものの効率を上げる、これはやっぱり実務との接点をふやすのが一番いいんではないかというのが、私、オン・ザ・ジョブと我々は言っておるんですけれども、具体的な接点を通じて、仕事を通じて、それがどういう法的意味を持っているのか、どういう問題があるのかというふうに、法律の知識だけではなくて現実の社会との触れ合いの中で学ばせると、そういうことが一番早いんじゃないかなというふうに思っておりまして、法科大学だけに限らず、やっぱり学部の方もできるだけそういうふうな教育を取り入れていただきたいなというふうに思っております。
#41
○荒木清寛君 吉岡参考人には司法制度改革審議会の委員として大変御活躍をいただきまして、ありがとうございます。いろいろそういういわゆる法律のプロフェッショナルの多い中で堂々たる論陣を張られたことを私は大変評価をしております。
 今回の審議会の意見書は、従来、審議会といいますと、行政の隠れみのですとか事務局主導というふうに言われますけれども、大方の評価は、今回の審議会に限っては全くそうしたことはなく、委員主導で行われたということについてはほぼ評価が一致をしておると思います。
 そういう議論を進めることができた原因といいますか、何がポイントであったのか、教えていただければと思います。
#42
○参考人(吉岡初子君) 何が原因だったというのはとても難しいところですけれども、スタート時点で議論をまずいたしましたときに、どうしても先に結論ありきというのが今までの審議会のタイプだと思っておりますけれども、今回の司法制度改革、これは先に結論ありきではないと。そういう意味と、それからもう一つは、十三人の中の七人は、法律専門家ではない、そういう分野から選ばれた。その七人の、そういう法律専門家ではない人たちから選ばれたということからして、やはり国民の視点に立った改革、そういうことを志向していたのではないかと思います。
 そういう面から、やはり事務局がもう既存の観念でもって主導していくという、そういうことではなく、もっとフリーにディスカッションをしていって、それが本当にこれからの二十一世紀の国民に役に立つ内容にしていくという、そういう合意が得られたということだと思います。
 ただ、改革事務局にいらした方々、皆さん優秀な方々でいらしたので、そういう意味では消化不良を起こされたかなという気もいたしますけれども、結論としては、そういう事務局主導でなかったからこそ意見書がこういう形でまとめることができたんだと思っております。
#43
○荒木清寛君 最後に、野澤参考人にお尋ねをいたします。
 先ほどの陳述で、いわゆる改革審の意見書についてのコメントもございましたが、冒頭のこの基本理念と方向ということについてはかなり、賛同できないというお話であったかと思います。ですから、全体的には、評価すべき点はあるものの、全体としては評価できないという、そういうお考えなんでしょうか。
#44
○参考人(野澤裕昭君) 全体としては、基本的には評価しております。ただ、この基本理念というのは非常に意見書のスタンスを宣言している部分であって、これに関してやはり先ほど言った問題があると。
 評価しているというのは、各論においてはかなり、私が先ほど指摘しました、国民の常識に反した裁判所を変える足がかりになる、抜本的とはちょっと言いがたいところがあるんですが、そういう方向が出されたということは画期的であると思いますし、そういう方向をやはり打ち出したという点において評価しているわけです。
 ただ、その中でやはりこれから制度設計をしなきゃいけない部分、裁判員制度だとかあるいは裁判官制度改革における人事評価のいろんな仕組み、任命過程への国民の関与のあり方など、各論部分になったときに基本理念の部分がやはり影響してくるだろうと。その場合に、やはり私としては、司法の本来の役割ということに立脚した観点が必要になってくる、それは先ほど述べたとおり、やはり憲法の規定に立ち返るということが一番必要じゃないかと思います。
 その意味で、この規制緩和あるいは構造改革その他の一連の諸改革のみが前面に出るということは、そういう観点からいうとやはり問題がある、そういう憲法の理念に従った形での各論の推進ということが必要ではないかというふうに考えております。
#45
○荒木清寛君 終わります。
#46
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 きょうは、四人の参考人の皆さん、御多忙の中、本当に貴重な御意見を賜りまして、ありがとうございます。
 最初に、野澤参考人にお尋ねをいたしますが、今日の司法の現状についてのお話がありました。特に、裁判官への統制という点で人事であるとか判検交流の問題を指摘をされて、これが司法が国民に溶け込めていない理由になっているという御指摘もありました。この問題、もう少し具体的なことも含めてお話をいただけるでしょうか。
#47
○参考人(野澤裕昭君) 先ほど裁判官に対する最高裁の統制が非常にきついということを申し上げましたが、具体的には、私どもで市民集会をことしの四月に催したんですが、そこで元裁判官であった安倍晴彦弁護士がその集会に参加されて発言されたこと、これは非常に端的に物語っているのではないかというふうに思います。
 その点について若干御紹介したいと思うんですが、安倍裁判官という方は、和歌山の地方の簡裁におられたときに、公職選挙法の戸別訪問の規定について、これに違反したということで起訴された事件で、これが憲法に違反するということで無効という判決を書かれた方なんですが、この判決自体は当時はそれほどほかのいわゆる地方裁判所も出ていて極端な判断ではなかったわけですけれども、それが、それ以降、この安倍裁判官は最高裁の方からかなり厳しい処遇を受けたと。
 例えば、給料の差別、これがされまして、同じ採用された裁判官と比較すると月給として十五万とか、十四、五万の差が開き、それがどんどんどんどん年を追うごとによって開いていくと。
 あるいは、裁判官はいろいろ転任するわけですが、その転任に当たっても希望する場所に転任ができない、そういう転任における差別がされていると。例えば、東京に御家族がいて、そこに年老いた両親がいても、なかなかそこに帰ってこれないと。地方に飛ばされるとか。
 それから、最もおっしゃられていたのは、仕事について差別をされたということで、要するに、民事事件あるいは刑事事件とか、それぞれ裁判官の扱う事件の分野というのはありますけれども、そういう事件について自分の希望が入れられないと。安倍さんは家庭裁判所の支部にずっと置かれて、家庭裁判所の家事事件をされたわけですが、それは安倍さんのお話によると、なぜかというと、合議事件がないということなんですね。
 合議というのは、裁判官が複数、三人で合議体を形成して裁判を行う、こういうことですけれども、合議部があるとほかの裁判官にいろいろ合議の中で話をもちろんするわけですね。そういうところで影響がほかの裁判官に及んでは困るというような理由で、つまり合議のないところに回される。安倍さん自身は、もちろん修習生も来ないし、その裁判所の中でも合議から外されて、一人の孤立した状態に置かれると。これがやはり非常に厳しかったというふうにおっしゃっていました。
 また、これも司法修習のことでも関係するんですけれども、今のは裁判官になってからのことですけれども、司法修習の段階においても、五十三期、四期の修習生の中で、この司法制度改革が議論されていることに触発されて、今研修所でどういうことが行われているのかということを告発する資料をつくっているんですけれども、研修所の中で一番問題なのは、やはり裁判官になる任官志望者が裁判教官の目にかなった人しか結局任官していけない。任官希望を持っていても、いわゆる逆肩たたきと言われて、君はもうだめだよとか、あるいはちょっと可能性がないよとか言って任官をあきらめさせていくと、そういうことが行われているということを告発しておりますし、また検察官に関しても、これは何か女性枠というのがあって、一定の数以上は女性の検察官の任官者を採らないということで、そういう枠を設けているという実態があるだとか、そういう告発がされております。
 私が言いたいのは、そういう研修所の段階から判事補となる人たちがその教官によって選別されていく、その中で希望があってもなれない人がいる、そこでなった人たちはそういう研修所やあるいは最高裁の意向をやはり無視できない、従わざるを得ないという、もともとそういうような立場の中で任官をしていって、そして裁判官になった後も、さっき言ったような安倍裁判官のようなそういう統制の実態がある。
 そういう中で、やはり国民の常識に触れるというか、国民の中でどういう問題があってそれを親身になって考える、そういう感覚がやはり持てない状態でどんどん裁判官のその階段を上っていく。それがやはり、さっき私が一例でお示ししましたが、ああいう裁判が生まれている。
 そこの集会では安倍裁判官に来ていただいて、九百名集まりましたけれども、非常に大きな国民の中から驚きがありまして、何でそういうことがあったのかということで、裁判の実態はそういうことなのかと非常に驚きを持って受けとめられました。こういうことがやはり改善されないと、いろんな改革がされても、肝心の裁判自体が国民の常識に合致していないということであっては意味がない、その点を私としては一番強調したかったということです。
#48
○井上哲士君 次に、吉岡参考人にお尋ねをいたします。
 ある雑誌で審議会委員の勤務評価というのを特集しておりまして、その中で吉岡委員は、消費者、女性の視点からの発言が多く、一番市民に近い立場からの議論をされていたように感じると高く評価をされておりまして、敬意を表するところであります。
 敗訴者負担の問題で、消費者運動をされている立場からいいますと、大変一番訴訟のちゅうちょにつながるということを実感をされるんではないかと思うんですが、この辺の問題をもう少し詳しくお話をいただきたいのと、中間答申から最終の、中間意見書から最終のときに表現も多少変わったと思うんですが、その辺の議論の過程なども含めてお話をいただきたいと思います。
#49
○参考人(吉岡初子君) 敗訴者負担の制度につきましては、中間報告が公表された以降、これに反対する意見が非常にたくさん寄せられております。それと同時に、審議会の場ではないほかの場で、敗訴者負担制度を撤廃させようという消費者団体を初め市民運動があちこちで広がっていったということがあります。そういうことがあって、中間報告の段階と意見書の段階では違ってきているということはお読みいただければおわかりのとおりだと思います。
 ただ、じゃ、撤廃までなぜいけなかったのかという御批判もあると思いますけれども、やはり審議会は一人でやっているわけではありませんから、いろんな意見が当然出てまいります。そういう意見の中で、できるだけ訴訟を阻害する要因、そういうものは外していかなければいけないということで頑張ったわけですけれども、それで意見一致というところまで何とか持っていった、それが意見書の限界だったかなと、そのように思っております。
 ただ、基本的に敗訴者負担を導入して、例外はこれこれよというようなことで、労働訴訟、少額訴訟というような事例が挙げてございました。等となっておりますけれども、やはり一般から見ますと、労働訴訟、少額訴訟以外は敗訴者負担というようにどうしても読めてしまいます。そういうことではいけない、基本的には敗訴者負担制度は入れるべきではないと、私、個人的には思っておりますけれども、きょうの私の意見でも申し上げたんですけれども、そういうことであれば、片面的敗訴者負担を導入するということについても申し上げたんですけれども、なかなかそういう考え方でまとまるということはできなかったというのが実情でございます。
 そういう意味で、できるだけ敗訴者負担が適正ではない、合わないというものの幅を広げていく、そういう実績をつくっていくことによって、実質的には敗訴者負担制度の対象となる訴訟を非常に狭いものにしていく、そういうことがまず段階的には必要だと思いますし、そういう中でやはり国民の声を結集していくというもう一つの問題があるんではないかと思います。
 そういう意味で、私は、検討会議で今度は個別の課題がそれぞれ立法の中で考えられていくわけですけれども、そこのところに国民の声が反映するような仕組み、具体的にはメンバーに入れるということ、それから透明性を確保する、そういうことを続けていかなければいけないということを申し上げます。
#50
○井上哲士君 田中先生にお尋ねをいたします。
 法科大学院構想について詳しくお話がございましたし、同僚委員からいろんな教育内容についても御質問がありましたので、私、財政措置の問題についてお尋ねをするんですが、教育内容の点でも地域的遍在をなくすという点でも、国公立大学がどういう役割を果たすべきとお考えかと。
 そして、それに対する財政措置のあり方、それから経済的困難で入れない者が出てはならないということも指摘されているわけですが、今、実際に学生の指導に当たっていらっしゃる立場で、学生の生活実態などもよく御存じかと思うんですが、実際、資力のない学生が排除をされない上で、奨学金であるとか授業料免除制度のことも意見書は言っておりますけれども、この点についてのお考えをお願いをしたいと思います。
#51
○参考人(田中成明君) 法科大学院を円滑に運営するためには、主として法科大学院の教育体制を充実するための財政的な支援の問題と、それからそこに学ぶ学生がそういう教育に、勉学に専念できるという支援と、両方あると思うんですけれども、どちらにつきましてもやはり今の大学の標準では非常に問題が多いと。
 例えば、法科大学院の体制を整備するといいましても、やはり大学の予算の配分の仕組みを見ましても、やっぱり理工系に比べて文系の予算配当というのは非常に少ない。これは公にされたらびっくりされるほどの差が国立大学でもあるわけでございます。それは、従来、法学というのは何となく大教室で講義して、期末で、ペーパーテストで能力確認すればそれでいいんだというふうにやったわけですけれども、ロースクールの場合には、法科大学院の場合には、やはりもう少し少人数できめ細かにフィードバックをかけながら教育をする、あるいは実務的なセンスを身につけさせるためにインターンとかそういうことをやると。これは人的にも制度的にも設備的にもやはり相当のお金がかかるということで、先ほど別の議員の方からも御指摘ありましたように、我々としてもやる以上は立派なものをつくりたいと。そのためには、従来の大学の文系にはこの程度の予算を配置をしたらいいんだという発想を切りかえて、やっぱりプロフェッショナルスクールとして国際的にも通用する人材を養成するんだというふうな広い視点から、そういう人的あるいは制度的な基盤を整備するために投資が必要、優先、配慮が必要だというのが一つあります。
 それと、学生に対する問題でございますけれども、やはり経済的な、授業料をどうするかというようなことを、特に私立大学の場合いろいろ問題になっておりますけれども、医学部の場合にも似たような問題があるわけでございますけれども、やはり経済的に困難だから法科大学院に行けないというふうなことは、これはならないと。能力とかそういうことは別ですけれども、やはり経済的な理由で法科大学院に学べないというふうなことはなくするための措置が絶対的に必要だというふうに考えておりまして、これは以前に比べますと奨学資金制度とかローンとかいうもの、相当よくなってきておりますけれども、それだけで果たしてカバーできるかどうかというふうになってくると問題がありますので、この法科大学院を立ち上げる場合には、アメリカのロースクールの学生なんかはほとんどローンでお金を借りてやっているというようなことがありますので、新しいローン制度を含めた奨学資金制度とかそういった抜本的な支援策を考えて、やはり法科大学院にいる間は学生が勉学に専念できるという環境を整備するために思い切った財政的な支援が必要だというふうに考えております。
#52
○井上哲士君 以上です。
#53
○福島瑞穂君 社民党・護憲連合の福島瑞穂です。
 きょうは本当にありがとうございます。
 田中参考人にお聞きをいたします。
 きょう、たびたびロースクールのことが問題になっているのですが、私も非常に危惧も持っております。
 二点ありまして、大学で勉強したことと司法試験での受験勉強でやったことと研修所で勉強したことと実務についてからの四つは、全部勉強と中身が違うというふうにも思います。ただ、逆に言うと、それもいい面もあった。大学でやはり学問の自由などを勉強することはいいことであったと思うんですね。ロースクールができたときに大学院がいわゆる学問の自由といってやってきた部分の圧迫がされないかということを実は思っています。あるいは大学によっては法学部の中に政治学科が入っているところもありますけれども、政治学が非常に圧迫をされるのではないかというふうにも思っています。その学問の自由という点からの、大学の先生でいらっしゃいますから、いかがお考えかという点。
 二つ目は、今も出ておりますが、私は悪くすると、まあよくするとかわかりませんけれども、悪くするとロースクールが医学部みたいになるのではないか。
 つまり、国公立はあるんだけれども一部の人しか入れない、そして私立のロースクールに入ろうと思ったら、やはり今医学部がそうなように極めてお金がかかる。ロースクールは大教室でやる授業でなく丁寧に一人一人ケアをしないとだめなのでやっぱりお金がかかるとどの私立大学の方もおっしゃいます。そうしますと、今ロースクールに行くのに二百万から三百万ぐらいかかるのではないか、あるいは一年間にももっとかかるんじゃないかという試算もあります。そうしますと、幾ら奨学金といっても二十二、三で何百万負担できるというのは、やはり裕福なうちの、裕福ではないかもしれませんが、ある程度経済的に心配をしなくてもいいうちの子しか行けなくなれば、私は、ロースクールが限りなく医学部に近づくと言うと医学部に怒られるかもしれないんですが、という懸念を実は非常に持っています。
 年齢、職業、性別、国籍に基本的に関係ない司法試験は別の意味でメリットもあったという気もするときもあるんですが、この二点についていかがでしょうか。
#54
○参考人(田中成明君) 大学の研究教育というか、学問の自由の問題でございますけれども、これは我々も非常に慎重に考えておりまして、やはりカリキュラムを編成したり実務家教員の協力を仰ぐといたすにしても、大学につくる法科大学院である以上、やはり研究というものと一体となって教育をするというところがございまして、法科大学院ができるから研究の自由が妨げられるというふうなことはないようになると思いますし、ある意味では従来の講座制をベースにした研究活動よりもロースクール化した方が教官の教育の仕方も変わってきますので、研究と教育のフィードバックがかかって、ある意味では研究のスタイルは変わると思いますけれども、それが研究の自由を損なうかどうかということは、私はそれほど心配していないと。
 その点に関しましては、第三者評価でそういう法科大学院の教育のレベルとかそういったものを評価、適格審査をするということになっているのでございますけれども、その第三者評価の仕組みをどうするかということで、そういった第三者評価をやるときに、やはり基本的には大学の中の制度だという視点と、それとプロフェッションとしての法曹を養成していくという視点とのかみ合わせを評価の中にどういうふうに組み込んでいくかという問題がございますけれども、ロースクールが即研究の自由を損なうというふうには思っておりません。
 ただ、政治学の問題をどう扱うというのはなかなか難しい問題がございまして、もちろん法科大学院をつくりましても法律学科目だけで三年間やるというわけでなくして、政治学とか経済学、そういった科目も相当取り入れたカリキュラム編成をするというのが当然の前提になっているわけでございまして、政治学が法科大学院ができて圧迫されるというのは、多少、法曹を養成するというところから住み心地が悪いかもしれないんですけれども、研究自体が圧迫されるということはないというふうに考えております。
 それから、医学部並みになるかというのは、ちょっと医学部の何と比較するかという、難しいわけでございますけれども、お金の問題については先ほど言ったようなことがありまして、やはり幾ら法科大学院で丁寧な教育をするからお金がかかるといっても医学部のようにお金がかかるということはないと思います。
 現在、私立大学とかいろんなところが法科大学院の授業料がどうなるかというふうな試算をやっておりますけれども、ああいった試算を見てみますと、教員の給与なんかを見ましても、我々国立大学の教員の給与に比べると数段高い算定をしてやっておりまして、ああいうものがどの程度信頼できるかというのは私はかなり疑わしいと思っておりまして、相応の財政的な支援をすれば十分やっていけるということと、それとやっぱり一つ考え方の問題としまして、大学院レベルの学生が家とか親の財産をベースに学ぶというシステムがいつまで続くかという問題がありまして、アメリカの場合はもう学生なんかは自分でローンを組んで自分のリスクで勉強するわけですね。
 今、学部、大学院、一体どこまで親が学生の面倒を見るかとなってきますと、こういうロースクールとかそういうプロフェッションスクールをつくるときには、学生が自分の責任でローンを借りて、そして将来、自分で返すというふうなこともやっぱり考えて、教育に対するお金のかけ方の発想の転換が必要だというように考えております。
 それと、医学部の問題について、医学部についてもやはり六年一貫についてはいろいろ問題がありまして、メディカルスクール構想というのがありまして、学部は四年間、生物学とか別のことを学んだ人にプラスアルファして医学的な知識をつけ加えて、別途、六年一貫ではない医学教育体制を組もうという意見もありますので、我々が法科大学院の制度設計をする場合でも、医学部教育のプラス、マイナスの点は十分検討しながらやっているつもりでございます。
#55
○福島瑞穂君 私立大学の先生たちと話をしていると、ロースクールを開くのはいいんだけれども、全員が司法試験に受かるわけでもなく、その後の就職は一体どうなるだろうなんというふうに心配もされている人もいるんですね。一体、ちょっと中途半端というか、実務的な養成的にロースクールでやって全員が司法試験に受かるわけではないと。就職などはどうなるんでしょうか。
#56
○参考人(田中成明君) 今のところ、司法試験がどうなるかというのは、これは我々としては早く内容を示してほしいところでございますけれども、司法試験の合格率が仮に、大学が一生懸命教育をやって七、八割になるといったところで、あとの二、三割はどうなるのかという問題がございまして、これは、法科大学院に来る人が全部皆司法試験を受けるという前提で制度設計する必要があるかどうか。
 例えば、私はもう今の法律家のような裁判法務中心はやらないんだ、企業法務をやるんだ、あるいは渉外関係をやるんだということで、最初からもう司法試験を受けない。企業法務あるいは行政法務をやるんだというふうな選択肢もあり得るんじゃないかということで、これは法曹概念の見直しということにもつながっていくと思うんですけれども、やはり法科大学院をつくって全部司法試験に受かるわけではない以上そういう問題は残るというので、それをどうするかというのは大学サイドとしては非常に頭の痛い問題でございまして、法科大学院の制度設計をしていく過程である程度枠組みが決まれば、そういう人に対してどうケアをするかということも当然視野に入れたことを考えなきゃならぬというふうに考えております。
#57
○福島瑞穂君 中川参考人にお聞きをいたします。
 企業法務一万人の方の話がありましたが、私は、ロースクールができたら、企業の中には企業法務にいる人間を出向させて、ロースクールに。法曹資格を、司法試験に受かって戻ってきたら、それをまた企業内弁護士として企業の中で働いてもらうというふうにする企業も出てくるだろうと。確かに、顧問弁護士はフリーハンドで切れるのでいいという企業もありますが、企業としては、企業法務の人間を法曹にして、自分のところで裁判とか格安で、格安かわかりませんが、やってもらうというようなことが起きるんではないかと思っているんですね。
 それはいい面もあるかもしれないけれども、この一条が規制緩和の中での司法のあり方となっていると、国民のための司法ともいうコンセプトでこの司法改革がなされるというよりも、うっかりすると企業法務養成みたいなふうになるんではないかと実はちょっと思っている面もあるんですが、率直にいかがですか。
#58
○参考人(中川英彦君) 私は、実は企業のためにということは余り考えておらないのでございまして、企業の中で実務経験を十分積んだ人が法科大学で資格を取ればいい法曹ができるんじゃないかという点に力点があるんですね。そういう人たちが企業へ戻ってきてくれればそれはそれでいいし、そのままやめて社会に出ていろんなところで活動をしていただく、それもいいんではないかという考え方でございます。今のままですと、企業の法務部なら法務部に配属されてもう定年までやるんですよね。これはいかにも、何といいますか、むだ遣いだと、人材の。ということが私の原点でございます。
 だから、そういう人たちを社会へ出した方がいいんではないかという点に力点がありまして、もちろんそれは戻ってくる人もたくさんおると思いますけれども、しかし企業で鍛えた実務、それから資格を取ればもうそこをやめて社会でやろうという人も出てくると思うんですよね。それはそれでもいいというふうに割り切るのが私たちのできる協力ではないかと思っておるので、ちょっと格好のいい話かもしれませんが。そのかわり、今度、さっきも申しましたように、弁護士さんとして活動されておる方が逆にまた企業の方にも来ていただいて大いに良識を発揮していただきたい。そこの交流ができればいいんではないかと、こういう考え方でございます。
#59
○福島瑞穂君 吉岡参考人にお聞きをいたします。
 先ほど敗訴者負担のことについて話をしてくだすったので、裁判員制度についてちょっとお考えをお聞かせください。
 陪審制の方向は私は大賛成なんですが、先ほども野澤参考人と吉岡参考人の方から証拠開示の問題についての言及がありました。証拠開示がきちっとなされること、あるいは捜査の透明性や、先ほど野澤参考人の方から代用監獄の問題の言及がありましたけれども、そこを改善しないと、裁判員ができ上がってきた自白調書をもとにやはりある程度時間の制限のある中で裁判に加わるということになれば問題も起きるのではないかと思っているんですが、裁判員の制度についてもう少し御意見をお聞かせください。
#60
○参考人(吉岡初子君) 確かに、証拠開示が刑事事件の場合には最初から全面的には出ていないという、そういう実態も伺っております。それから、自白についても、おっしゃるように、被疑者段階で自白してしまったことが、実はほかのいろいろな圧迫、そういうことで心ならずも自白させられてしまったという事例もあるやに伺っております。
 それをそのまま調書として裁判員に読ませて、それで結論をということになると、御心配のようなことが起こらないとは言えないと思いますけれども、やはり裁判員制度を導入した場合には、今までの裁判のように書面審理ではなくなると思います。やはり、そこに参加している裁判員が、どこが問題で、どういう証拠があって、だからこうなんだということが法廷で証明されていく。それを聞きながら、本当に弁護士が言っていることが信用できるのか、検察官が言っていることが信用できるのか、そういうことを合理的に判断していくという、そういうことになります。合理的に判断していくというためには、検察官を初め証明をきちんとわかりやすくしなければいけない。そういうことを進めていけば、傍聴席にいる人たちにも裁判の進行内容あるいは問題点、そういうことがわかってくると思います。
 基本的には疑わしきは罰せずというのが私は日本の刑事訴訟だと思っておりますけれども、そういうことから考えますと、やはり合理的に、検察官が証明していることに疑いが持たれるということになれば、そこで裁判員は判断すればいいわけですから、今までの法廷の進行とはかなり違ったものになってくるのではないか、そのように考えております。
#61
○福島瑞穂君 ありがとうございます。
 野澤参考人、ごめんなさい、時間がなくなったので。
 四人の方、どうもありがとうございました。
#62
○平野貞夫君 自由党の平野でございます。
 私は法律の素人でございまして、素朴で唐突な質問になることをお許しいただきたいと思います。
 一般論として、制度を改革する場合に、金をかければできるものと金をかけてもできないものがあると思います。私は、司法は究極においては人だという考えを持っております。そういう意味で、非常に大事な難しい改革になると思うんです。
 まず、田中参考人にお尋ねしますが、御説明の中に日本の伝統的法文化の存在ということをお触れになって、はっきり物はおっしゃらなかったけれども、かなり問題があるんじゃないかなという、ここが一つの難所だなというような印象を受けたんですが、ちょっとポイント、どんな問題、あるいは日本人の法意識の問題点について、ちょっと簡単に教えていただきたいと思います。
#63
○参考人(田中成明君) 日本の伝統的な法文化というのは、これはちょっと司法制度改革の問題とずれるかもわからないんですけれども、これはむしろ私の研究の専門の問題でございまして、日本の伝統的な法文化というのは、西欧的な発想を受けた後でも、中国の伝統的な律令システムといいまして、やっぱり刑事法とそれから行政法中心の法システムが中心に動いてきておりまして、民事というのは基本的には内部でやるか、内部でやれない場合だけやむを得ず国家的な機関に持ってくるけれども、国家的な機関も、何か権利義務の裁定をするよりも、とにかくその場その場を情理を尽くして説得しておさめるんだというふうなところがありまして、やっぱり基本的には、法律に頼っている面と法律を回避している面とありまして、日本人というのはやっぱり基本的には法律は余り好きじゃないと。当然、弁護士も裁判官も検察官も余り好きじゃないと。
 しかし、いざとなればやっぱり頼りにするんですね。嫌っておきながら頼りにするから、一たん紛争が始まりますと何でもかんでもみんな裁判所へ持ち出して裁判官に頼っていくと。裁判所へ持ち出しても相当事件が和解をしているというのが、我々から見ると、和解なんというのは本来、弁護士さんが一生懸命当事者を説得してやるべきもので、ああいうものを裁判所へ持ち込んで、それでなくても忙しい裁判官にああでもないこうでもないというようなことを言って煩わせるというのは、全体としてやっぱり、司法サービスの一環としては要るかもしれないけれども、法の支配というふうな観点から見るとやっぱり余計なサービスをやっているという面もないではないわけです。
 だから、そういった意味では、裁判というのは基本的にどういうものかということをもう少し見直す必要があるわけでして、やはり法の支配というのは基本的には権利義務関係をベースに物事を処理していくので、情理を尽くしていろいろ説得するというようなところは、先ほど中川参考人もおっしゃいましたように、ADRとかそういうところでやっていって、もっとすみ分けをうまくやっていく必要があると。
 そういうものが何でもかんでも裁判所に持ち込まれるというのと、それからやはり法というのは行政機関の道具だという発想が残っていたから、法を用いていろんな物事を、社会を自由で公正にしていく、しかも自分で用いてやっていくという発想が乏しかったというふうなことでございます。
#64
○平野貞夫君 非常によくわかりました。
 私、田中先生の経歴を見まして、不勉強だったんですけれども、法理学の本を書かれている。法理学というのは非常に懐かしい言葉でして、おやっと思ったんですけれども、私は昭和三十年代の初めにマルクス法学でパシュカーニスの法理学という本を読んだことがあるんですが、ちょっとですから、この場と相当合わない議論になるんですが、法哲学だけじゃいかぬと思っておりまして、まさに今、人間の法意識の問題というのは、その法理学という学問がもっともっと発達しなきゃ私は本当の司法改革にはならぬと思っております。
 ということで、日本人の法意識に関連して、具体的なことでもう一つ田中先生にお聞きしたいんです。
 本当の意味の司法改革あるいは司法権の独立というのは、行政府と立法府が協力しなきゃあり得ないと思います。ことし、ハンセン病の熊本地裁の判決がありました。政府は法的手続で控訴を断念したわけですが、しかし小泉政権は内閣声明を出して、あれは控訴すべきだった、しかし特別に政治的に断念したんだということで声明を出された。私は、こんな司法を冒涜した行政府の責任者の態度はないと思います。何回も国会でこんなけしからぬことはないと言っていましたが、大して反応は、国会で私の意見を積極的に支持してくれる人は少ない、ほとんどいない。僕はひがんでいました。外部で支援してくれたのは中坊さんと藤本義一さん、テレビで言いました。今でも私、悔しくてしようがないんですが、もうちょっと法律の専門家というのは、法務委員会の野党の先生方は支持されていました。もうちょっとこういう、これこそ日本人の法意識、法文化の問題の根源じゃないかと悲憤慷慨、今でもしているんですが、御感想をお聞かせいただければ。
#65
○参考人(田中成明君) 行政と司法、裁判というのは役割分担の問題がありまして、やはり行政と裁判ということは、司法の場合は、やはり法にのっとって物事を処理するというので、どうしても過去にあったことがそれは理非にかなっているかというようなことになると思うんですけれども、行政とか政治になると、やはり将来のことを考えて、どうしていくかああしていくかというんで利害関係も非常に錯綜してくるというふうなことがあるわけでございまして、やっぱり役割分担の問題があると思うんですね。
 そういった場合、例えばある人にその権利を認めるか認めないかというようなことを考える場合に、こういう判決を下して権利を認めれば財政負担が大変になるだろうなというふうなことを裁判をする場合には考えるべきではないと。裁判をする以上はやっぱり権利義務の問題だと。お金の問題をどうするかというのは、それは行政とか政治の問題で考えたらいいんだと。そういうやはり法の支配を貫徹するという意味での裁判所の役割ということをもう少しきちんとやる必要があると。
 行政機関も、行政の場でいろいろ物事を処理するというのと裁判の場で物事を処理するというのはやはり論理も違うんだということを踏まえて、裁判をやる以上はやはりそれは勝つか負けるかということも大事かもわからぬですけれども、そうやっているんで、法的な責任があろうがなかろうが、行政的な責任とか政治的な責任がある問題は幾らでもあるわけですから、そういうものは、判決はどうなるにかかわらず、やっぱり政治とか行政の責任として積極的にやるというふうな、権限とか役割の区別をしっかりすべきだというふうに考えております。全く個人的な意見ですけれども。
#66
○平野貞夫君 かなりわかりました。
 これ本当に、基本的人権というか人間の尊厳を政治的判断で決めるといったら、これは古代の社会ですよね、ルール・オブ・ローの社会じゃないと思うんです。これを日本のマスコミ、各新聞社もテレビも、偉いことやった、立派立派と言って持ち上げる。こういう日本人の法文化といいますか、これをやっぱり改革することが本当は司法制度の本筋じゃないかという意見を持っております。
 それから、中川参考人にお尋ねしますが、大変いいことをおっしゃった。法学部の勉強なんて役に立たぬと、そのとおりだと思いますよ。今、日本の社会を停滞させているのは法学部出身者、法学部教育にあるんだということをぼつぼつ言われ出しましたね。中途半端な大学四年、実際は二年か三年でしょう、教育受けて、法律知っているのか知らぬのかわからぬので、妙に法律的な発想で社会を考える、そこが停滞の原因だという、そういう論文を読んだことがあるんですが、私も法学部二年行って何も知らずに出て、立法府の職員だったんですけれども、実務の中で、中川参考人おっしゃるように、法の精神なり法の正義というものを学んだものでございます。
 そういう意味で、会社とか役所で、そういう実務の中できちっとした勉強ができるということをもうちょっと社会的にオーソライズするものが何か必要じゃないかと思うんですが、その辺のことについて御意見を聞かせていただければ。
#67
○参考人(中川英彦君) 法学部そのものがむだだと私、言っているんじゃなくて、法学部を出てきた学生さんが役に立たないということを言っておるわけで、それはおのずから目的が違いますので、そういうことになるんだと思います。
 それはそれとしまして、何か今おっしゃった実務と法学教育との結びつきをもう少しはっきりさせるような方法がないかと。
 実は、これプライベートでやっておると思うんですけれども、あれは何といいましたかね、法学士といいましたか、要すれば試験みたいなことをやりまして、それである程度実務を学んだ人にそういういろんな問題を出すわけですね。それが解ければ、何点とれれば一級だとか何ぼとれれば二級だとか、そんなふうな資格、これはプライベートな資格で国家が認めているものでも何でもないんですが、そういうものを取ってインセンティブをつけると。そうしますと、また次に転職なんかするときにその資格が役に立ってくるというようなことも考えておりまして、実務界でもやっぱりそういう、何といいますか、できるだけ実務に即した知識を持ってもらうためのインセンティブ制度みたいなものは考えておるわけですね。ただ、これをオフィシャルなものにしようというのは大変、私はちょっと難しいんじゃないかなという感じがいたします。
 ただ、アメリカなんかでも、ドライバーのライセンスとられた方はわかりますけれども、教習所というのはありませんですよね。路上でいきなり、何といいますか、練習いたしますし、路上でテストもあるわけで、教習所に集めてそこで一応やった人がまたそろそろと路上へ出ていくという、何か日本はそういう構造に全体がなっておりますけれども、そこのところを改めて、早く実務の場でオン・ザ・ジョブ・トレーニングをやらせる、そういう法学教育を取り入れた方が早いんじゃないかなという感じで申し上げた次第です。
#68
○平野貞夫君 吉岡参考人と野澤参考人に、時間が短くて恐縮でございますが、一言お答えいただきたいと思いますが、この審議会の意見書の中で、政府あるいは立法府がまず真っ先に着手すべき課題は何であるか、御意見を賜りたいと思います。
#69
○参考人(吉岡初子君) とても難しい御質問だと思いますけれども、私は、まず真っ先にやっていただきたいのは、推進本部を早く立ち上げるということに尽きるかなと思います。
#70
○参考人(野澤裕昭君) 私は、推進本部のこれからの議論が非常に重要であると。ここにやはり国民の参加をする、情報公開すると、これがやはりこれからの司法改革が国民の中で本当に定着していくかどうかの試金石になると思います。その点だと思います。
#71
○平野貞夫君 終わります。
#72
○委員長(高野博師君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、大変お忙しいところ貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。当委員会を代表して厚く御礼申し上げます。(拍手)
 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
   午前十一時五十九分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
#73
○委員長(高野博師君) ただいまから法務委員会を再開いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 司法制度改革推進法案の審査のため、本日の委員会に内閣官房内閣審議官樋渡利秋君、法務大臣官房司法法制部長房村精一君及び文部科学省高等教育局長工藤智規君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#74
○委員長(高野博師君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#75
○委員長(高野博師君) 休憩前に引き続き、司法制度改革推進法案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#76
○小川敏夫君 民主党・新緑風会の小川敏夫です。
 司法制度推進法案の質疑に先立ちまして、一点、ここ二、三日、難民に関する点で注目すべき裁判がありましたので、その点について質問させていただきます。
 この点は、先般の入管法の質疑の際にも千葉理事の方から指摘があった問題ですけれども、ちょうどその後、難民申請中の外国人に対して強制収容がなされた。これに対して、一日違いでその申し立てを認める、収容を解くという申し立てと収容を解かないという判決と両方が出たわけですが、それに関連してお尋ねするんですが、どうも日本の政府の取り扱いは、難民に対して難民を認定するのが厳し過ぎるのではないか、難民に対する人道的な配慮が少し不足しているんじゃないかというような印象をどうも私、持っておるんですが、法務大臣、その点はいかがでございましょうか。
#77
○国務大臣(森山眞弓君) 日本の取り扱いが、特に難民に対する同情心というか思いやりが欠けているのではないかという御質問だといたしますと、そういうことはないというふうに申し上げなければなりません。
 難民というのは、御存じのように、やっぱり条約で決まったものであり、それの条件を備えている者が難民として認定されるということになっておりますので、まじめといえばまじめなんですよね。そのとおりにきちっときちょうめんにやっているというふうに私は思っております。難民の、その人の状況によっていろいろと同情すべき点をも、いろいろとしんしゃくするべき点は十分に勘案した上でそのような条件に該当する者を難民とし、しかるべき措置をしているというふうに考えております。
#78
○小川敏夫君 日本の場合、周囲が海で囲まれていますので、他の国と単純な数字だけでは比較にならない部分がありますが、日本はやはり厳し過ぎる、人道的な配慮が欠けているのではないかという声もありますので、そういう声が出ないような政策なり対策を講じていただきたいというふうに希望を申し上げます。
 それから、この出た判決の件なんですが、片方の判決に従えば釈放しない、片方の判決ですと釈放するということなんですけれども、裁判は、これ最終判断じゃありませんので最終決定は先のことになるとしても、どうも明らかに乱用に当たるような申し立てではなさそうでありますし、また当該関係者が重大な犯罪を犯すというような合理的な疑いがある場合でもないというような例であるように思うんですが、そういった点から考えますと、最終審の判断を待つということではなくて、やはり第一審で、裁判所の一つであっても、そうした難民条約の趣旨を踏まえた、難民の人権に十分配慮した判断が出たわけですので、法務省においても、そうした下級審の判断であっても、その点を重視して難民の人権に配慮した対処をしていただきたいと希望しておりますが、そこら辺のところはいかがでしょうか。
#79
○国務大臣(森山眞弓君) おっしゃいますように、十一月の六日にアフガニスタン人に係る収容令書執行停止申し立てにつきましてその執行停止決定がございましたが、この決定につきましては、難民条約等に関する解釈の判示に不服があることなどから即時抗告をいたしました。
 なお、この点については、結論の異なる決定が、つまり全く違う決定が今月五日、その一日前に東京地裁の別の裁判体で出されているわけでございまして、これは、裁判官にもいろんな考え方の方がいらっしゃるでしょうが、法務省としては、同じようなケースについて違う扱いというのは非常に困りますもので、高等裁判所の御判断を仰ごうというふうに思っております。
#80
○小川敏夫君 今、私、質問の中では判決と言いましたが、決定ですので、訂正いたします。
 最終的な判断はまた上級審で統一的な判断が得られるとは思うんですが、それまでの当事者のいわゆる身柄が収容されている、片や、収容されないという状態で、どうも別々になるのも何か国民感情からいってもしっくりしないというふうなところがあります。それを収容する方にそろえるんじゃなくて、収容しないで、難民の人権に配慮した方にそろえて、難民に公平な扱いをしていただきたいということを特に希望いたしまして、この部分に関する質問を終わらせていただきます。
 司法制度推進法案の質問に移らせていただきます。
 これまでも法科大学院、この理念あるいはそのあり方についてさまざまな機会で質問いたしておりますが、重ねて、またかということになるかもしれませんが、私どもとしましては、やはり法曹養成につきまして、法科大学院、これがやはり司法制度審議会の意見が打ち出したような理念が本当に実現されてこそ改革の真の意味があるんではないかというふうに考えておりまして、そういう意味でまた重ねて質問させていただきますが、やはり法科大学院の理念というもの、審議会の意見に十分反映されておりますが、こうしたものにつきまして、法務大臣、改めて法科大学院がどうあるべきかという理念を述べていただきたいと思います。
#81
○国務大臣(森山眞弓君) 法科大学院につきましては、多様なバックグラウンドを有する人材を多数法曹に受け入れるという観点から、学部段階での専門分野を問わず広く受け入れまして、また社会人などにも広く門戸を開放するという必要があると思います。
 また、法科大学院における教育のあり方につきましては、専門的な法知識の習得だけではなくて、豊かな人間性の涵養、向上を図るということなどを含め、法曹が二十一世紀の我が国社会において期待される役割を十分に果たすための人的基盤を確立することを目的とした教育が行われることが必要だと考えております。
#82
○小川敏夫君 それで、文部科学省の方にお尋ねするんですが、審議会の意見ですと、学校教育法上の法科大学院を設置するということでありますので、法科大学院が文部科学省の所管になると思います。
 そこで、文部科学省の方にお尋ねするんですが、今、法務大臣からお答えいただいたような理念、あるいは審議会の意見が述べたようなそうした法科大学院の理念、これを十分、十分というか、すべて反映するような、そうした法科大学院のあり方に努めていただきたいんですが、そこら辺の考えについて文部科学省の方から答弁いただきたいんですが。
#83
○政府参考人(工藤智規君) 法科大学院のあり方につきましては、ただいま法務大臣の方から御答弁申し上げたとおりでございまして、全国の国公私の大学関係者も司法制度改革審議会の審議の動向を非常に重大な関心を持って見守って、かつそれぞれの大学でいろんな御検討がなされているところでございます。
 審議会の趣旨が十分実現されますように、私どもも正規の大学院としてのあり方について検討させていただき、その実現に努めてまいりたいと思います。
#84
○小川敏夫君 また文部科学省の方に続いてお尋ねしますが、審議会の意見が法科大学院を三年制とする、三年制を標準とするということがございました。これの大きなねらいの一つは、法学部卒業生だけを対象にしたのではなくて、学部の卒業生、あるいは卒業生に限らず、幅広い分野から人材を集めて法曹を養成するんだということにあると思います。
 そうした考えは当然お認めいただけると思うんですが、今現在、大学では大学の法学部というものがあって、その上に法学研究科という大学院が二年制でございます。そうしますと、私の一つの危惧としまして、学校教育法上の大学というものがあって大学院というものがある、そこへ学校法人が法科大学院を設置するという場合に、従来あった大学院、法学研究科、これを少しいじくっただけでお茶を濁してしまって、審議会が述べたあるべき姿の法科大学院が教育ができるような内容にならないで終わってしまうんじゃないかという危惧を抱いているわけですが、そうしたことがないような対策といいますか心構えといいますか、そこのところを文部科学省の方からお聞かせいただければと思うんです。
#85
○政府参考人(工藤智規君) 審議会の意見書にもございますように、今度のプロセスとしての法曹養成制度を目指そうという中での中核的な役割が期待されております法科大学院につきましては、公平性、開放性、多様性を旨とするということがうたわれているわけでございまして、この中でも多様性ということで、各界からいろいろなバックグラウンドを持った方が法曹界に入っていただくように、入試のあり方、それからカリキュラムのあり方も含めて、従来の法学部の延長にあります大学院とは違う新しい仕組みの大学院として整備することが必要と認識してございまして、そのためのあり方について、設置の認可といいましょうか、設置審査に当たりましての枠組みについては、今、法曹関係者、大学関係者を交えて御検討をお願いしているところでございます。
 他方で、御案内のとおり、研究者、研究後継者の養成でございますとか、各界へ進出しております法学部出身者のより高度の専門職業人としての養成という従来の法学部に置かれております大学院の機能もあるわけでございまして、おっしゃるようにその中でやるという仕組みではございませんので、新しいあり方としてきっちりした法科大学院の仕組み、枠組みを関係機関とも御相談しながら、よりよいものにしてまいりたいと思っております。
#86
○小川敏夫君 重ねてお尋ねしますが、文部科学省の心構えは確認しましたが、実際に設置する、また実際に教育を行うのは各大学でございます。各大学には大学の自治がありますし、あるいは大学の自主性というものも尊重しなくてはいけないので、文部科学省が考えているとおりが必ず実現されるかどうか。大学の中にやはり安易にこれまでの大学院を少しいじくっただけでというようなことがあってはならないと思いますので、そこら辺のところ、文部科学省の心構えと同時に、大学の方にもきちんと指導をしていただきたいとは思うんですが、今現在、そうしたいわゆる法科大学院の設置に関して各大学について指導とか、あるいは指導じゃなくてもアドバイスとか、そういったようなことは具体的には動いていらっしゃるんでしょうか。
#87
○政府参考人(工藤智規君) 先ほども御答弁申し上げましたように、審議会の審議については各関係の大学、重大な関心を持ってフォローしてきておりまして、これまで全国の国公私の大学、それぞれ独自にシンポジウムを開催するなどして御検討を深めてございます。
 そこに、私どもだけじゃなくて、法務省、最高裁の関係の方々にも御参画いただきながら、各大学のお取り組みにアドバイスをしたり、その審議を深める御努力をさせていただいているわけでございますけれども、あわせて、要は、新しいスキームでの法科大学院でございますから、そのスキームがどういうものになるのかというのが決まりませんと具体的な準備がしにくいのでございます。
 実際にどういうカリキュラムが必要最小限必要とされ、あるいはそれに伴う教員組織をどう構成すればいいのか等々、具体の諸準備のための前提がございます。そこを私どもも審議を促進しまして、できるだけ早くフレームをお示ししながら、各大学の御準備、検討をさらに深めていただくように今後とも適切を期してまいりたいと思っております。
#88
○小川敏夫君 重ねてまた質問いたしますが、法科大学院に関しましては三年制が標準である、場合によっては二年制も認めるという方向であります。文部科学省におきましても、やはり当然、法科大学院に関しては三年制というのが標準であって、場合によっては二年制もあるという形の理念を十分生かしていただけるとは思うんです。
 そうしますと、同じような質問になるんですが、二年制の大学院があってこれに三年制がくっつくというような発想ではなくて、全く新しい理念に基づいた三年制の法科大学院があって、そこに法学部履修者等の特別な場合に二年制が附置されるんだというふうに考えておりますが、文部科学省も当然そういうお考えでこれからも法科大学院のあり方について対処していただけると思うんですが、その点について確認の答弁をお願いいたします。
#89
○政府参考人(工藤智規君) 現行の大学院の制度は、通常ですと、学部卒業者を受け入れる二年の修士課程、さらにその修士課程を終わった方の三年制の博士課程というのがございます。
 審議会から御提言いただきました法科大学院の構想は、三年制をベースとする新しい仕組みの大学院制度でございます。あわせて、従来のものとは違う新しい学位も差し上げようというスキームでございますので、従来のままということではなくて、三年制を前提としたカリキュラムとしてどういうものが必要で、かつそれにふさわしい学位としてはどういうことが、修士という名前の学位でいいのか、新たな学位を創設するのかも含めまして、三年制を前提とした制度設計をするのが前提と、当然のことに考えてございます。
#90
○小川敏夫君 それでは、法務大臣の方にお尋ねしますが、当然、法科大学院制度を中心とした、法曹養成制度が変われば司法試験のあり方も変わってくると思います。今、現状の司法試験を見ますと、どうも大学の学部の授業が司法試験受験者の間では余り好評ではないのか、司法試験受験者はほとんどが予備校に通って、そこから司法試験に合格するという数が圧倒的に多いというような現状であるというふうに聞いております。
 私、それを思いまして、今、結局、大学の法学部教育が法曹養成にそれほど寄与しないで、現実的には、特に数的には予備校の方が寄与しているというのはちょっと不自然だと思うんですが、それを踏まえて、法科大学院という非常にすばらしい制度ができたとした場合に、ただ司法試験の受験を法科大学院の修了者に限るということもできないので、そうでない方の受験も当然認めることがあると思うんです。
 そうすると、私、ちょっと一つ心配するのは、今、学部と予備校との関係で起きていることが新しい制度になっても起きてしまわないか。つまり、法科大学院があるのに、法科大学院に行かなくたって予備校で試験勉強すれば司法試験に受かってしまう。そうすると、法科大学院がまた形骸化してしまって、しかも法科大学院は三年だけれども、うちの予備校へ来れば一年で合格を保証するよなんということになっちゃうと、もう制度の改革の理念が全くなくなってしまうと思うんですが、ちょっとそこら辺のところ、法務大臣としてどうお考えか、お聞かせいただければと思います。
#91
○国務大臣(森山眞弓君) 司法制度改革審議会の意見では、法科大学院制度の導入に伴いまして、新司法試験は法科大学院の教育内容を踏まえた新たなものに切りかえるべきであるとされておりまして、司法修習を施せば法曹としての活動を始めることが許される程度の知識、思考力、分析力、表現力等を備えているかどうかを判定するということを目的とするということになっております。
 ですから、これらの提言の趣旨を踏まえましてさらに具体的な検討を行っていかなければならないと思うわけでございますが、さらに、同じく司法制度審議会の意見では、経済的な事情や既に実社会で十分な経験を積んでいるなどの理由によって法科大学院を経由しない者にも法曹資格取得のための適切な道を確保しなければならない、そのために、例えば幅広い法分野について基礎的な知識、理解を問うような予備的な試験に合格すれば新司法試験の受験資格を認めるなどの方策を講じることも考えられております。
   〔委員長退席、理事日笠勝之君着席〕
 具体的な制度の設計に当たりましては、審議会意見が指摘しているようなさまざまなポイントに留意しまして、法科大学院を中核とする新たな法曹養成制度の趣旨を損ねることがないように配慮することは当然のことでございまして、後で申しました予備的な試験を行う場合にも、この内容についてはその点に十分留意しつつ検討される必要があると考えております。
 先生御指摘のような弊害が現在非常に顕著に指摘されておりますので、そういうことをなくしたいというのがこの改革のための一つの動機でもございますから、新しい制度の設計に当たっては十分そのことを留意して検討していきたいというふうに思います。
#92
○小川敏夫君 よろしく検討をお願い申し上げます。
 そうした検討をする上において、文部科学省の方にお尋ねしますが、現実の学部の教育が、法曹養成については予備校の方が結局中心になってしまったということについて、その現状に対する反省といいますか意見といいますか、何か述べていただきたいと思いますが、どうでしょう。その反省を踏まえた形で法科大学院の制度における司法試験制度というものも考えていきたいと思いますが。
#93
○政府参考人(工藤智規君) ただいま全国の法学系の学部の入学定員が約四万五千人いるわけでございますけれども、その卒業者で法曹界を目指す方というのは必ずしも過半でない、ごく大ざっぱに言いますと一割近いわけでございますが、そういう意味で、法学部の教育というのが必ずしも法曹人養成に特化されているわけではございませんで、幅広い分野のいわばゼネラリストとしての機能を果たしてきたと思ってございます。
 そういう中で、残念ながら、予備校といいましょうかダブルスクールと言われているような状況で法曹界を目指す学生が多いというものについては、私どもだけではなくて大学関係者もじくじたるものがございまして、このせっかくの審議会の御提言がございました新しい法科大学院という構想、その設置を契機にまさにプロフェッショナルスクールとしてのすばらしい大学院をつくって法曹界の資質の向上、人材の育成に貢献したいというのが大学人の思いでもありますし、私どももそのために努力をしてまいりたいと思っております。
#94
○小川敏夫君 次に行きますが、法科大学院で教育を受けた後、それを修了して司法試験を合格したという場合、それで法曹になれるのか、さらに司法試験に合格した後、研修というものが予定されるのかどうか。これは審議会の事務局長さん、お願いいたします。
   〔理事日笠勝之君退席、委員長着席〕
#95
○政府参考人(樋渡利秋君) 先生御指摘のとおりに、審議会の意見も、この法曹養成制度は法学教育と司法試験と司法修習が一体となったプロセスとしての養成を提言しておりますので、法科大学院を卒業して司法試験に合格した方々にさらに司法修習を経ていただく、それで法曹資格を得るということに審議会の意見はなっております。
#96
○小川敏夫君 そうすると、新司法試験の合格者に対する司法修習は、これはどこが所管するというようなことになるんでしょうか。
#97
○政府参考人(樋渡利秋君) 司法研修所で研修を行うということでございますが、その研修のあり方につきましては実務教育を中心としたものを考えていくべきだというのが提言の内容でございます。
#98
○小川敏夫君 法曹人口が飛躍的に拡大するという中で、実際の数としましては裁判官、検察官よりも弁護士になる方が圧倒的に多いと思いますが、その新しい制度の司法研修所のあり方も、これまでのように裁判所の附属機関ということを前提に考えるのではなくて、例えば一番数が多い弁護士の団体である日弁連が単に協力するというだけではなくて、研修所そのものの運営に関与するようなそういった司法修習のあり方もあった方がいいのではないかと思うんですが、ここのところはいかがでしょう、またお尋ねしたいんですが。
#99
○政府参考人(樋渡利秋君) 審議会の意見の内容によりますれば、最高裁判所の研修所の運営のあり方について、法曹三者あるいはその他の意見が十分反映されるような運営の仕組みも考えていくべきだというふうになされております。
#100
○小川敏夫君 ですから、必ずしも最高裁判所の附属機関でなければならないということでもないようにも思いますので、そこら辺のところを、そうした日弁連やあるいは民間の声、国民の声が十分に生かされる形での新しい研修所システムを考えていただきたいと希望を述べさせていただきます。
 そこで、最高裁判所の方にお尋ねします。
 当然、これまでの法学部の法律を学んだ者を対象に、いわば法律学の司法試験を合格した者を対象に行っていた今の司法研修所制度ですが、今度はそれにかわった法科大学院が単に法律の知識だけではなくてさまざまな幅広い教育それから実務面にもわたって教育した後、新しい試験の合格者が研修に入ってくるわけで、そうすると、当然受け入れる司法研修所の研修のあり方も変わってくるとは思うんですが、そこら辺についてどのような新しい制度での研修のあり方を考えているか、最高裁の御意見をお聞かせください。
#101
○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) 国民の期待にこたえる司法制度を構築してまいりますためには、司法制度を支える法曹を拡充していくということが極めて重要であるということはこれは申し上げるまでもないことでございます。
 司法制度改革審議会の意見で提案されております法科大学院を中核とする法曹養成制度導入によりまして、質、量ともに豊かな法曹を育てていくということが期待されるところでございます。
 御指摘の司法修習につきましても、このような法曹養成のプロセスの中で、法科大学院の教育内容を踏まえながら実務の体験を中核とする実践的で体系的な法律実務教育を行いまして、御指摘のような国民の期待にこたえる法曹を養成していく役割を果たしていかなければならない、こういうふうに考えております。
#102
○小川敏夫君 新しい制度になりますと、司法試験の合格者の数も、最初三千人という形で現行よりも相当多くふえるんですが、この全員を研修所として受け入れるという体制で考えていらっしゃるんでしょうか。
#103
○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) 御指摘のような司法試験合格者数の増加に対応いたしまして、具体的には平成十四年に千二百人程度、平成十六年に千五百人程度を目指すべきとされておりますけれども、これに対応いたしまして、司法修習の受け入れ体制を整備するために、集合修習における必要な体制の確保と修習内容の工夫、実務修習における受け入れ体制の整備や実施方法の工夫等につきまして具体的な方策を今後検討いたしまして、修習生の増加に柔軟に対応してまいりたいと考えております。
#104
○小川敏夫君 全員を対象に研修を行うということだと思いますが、一時、分離修習といって、法曹の中で裁判官、検察官と弁護士とを分けて修習するというような声が過去、出たことがありましたが、数がふえたから、じゃ裁判官だけとか弁護士を除外するとか、そういったような修習ではなくて、やはり司法試験合格者の全員を、将来の進路を問わず全員を等しく扱うという、そうした研修体制を当然考えていらっしゃると思うんですが、いかがでしょうか。
#105
○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) 今お答え申し上げましたのは、当然、将来の進路がどうであれ、研修所に受け入れて修習をしてもらう、こういうことでございます。
#106
○小川敏夫君 先ほど、私、述べましたけれども、今現在、司法研修所は最高裁判所の附属機関ですけれども、最高裁判所のそうした附属機関ということよりも、日弁連とかそうしたものが参加する、最高裁判所の附属ではなくて最高裁判所も関与する研修機関ぐらいにしていただきたいとは思っておるんですが、最高裁判所としては、そこら辺の考えはいかがでしょうか。
#107
○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) 司法修習のあり方について、法曹三者とあるいは法科大学院関係者が協力して司法修習、研修の運営について、司法修習について連携していくということは、協力していくということは、先ほど樋渡審議官の方から御説明があったとおりでございますが、所管そのものについては、この意見の中では、従来どおり最高裁判所が所管していくものというふうに私どもは理解しております。
#108
○小川敏夫君 研修所のあり方について細部はむしろこれから議論して決めていくことになると思いますが、ぜひ研修のあり方について、この審議会の意見が最大限発揮されるような、そうした研修所のあり方について、最高裁判所もぜひ前向きに、今、後ろ向きだというわけじゃありませんが、前向きに努力していただきたいという希望を述べまして、質問を次に移らせていただきます。
 審議会意見では、行政訴訟について改革の必要があるというふうに意見を述べております。
 法務大臣にお尋ねします。
 これは本会議でも述べたんですが、そうした審議会が行政訴訟制度について改革の必要があると述べておりますが、これに対する取り組みについて、また改めてここで詳しくお聞かせいただければと思います。
#109
○国務大臣(森山眞弓君) 審議会の意見では、「国民の権利救済を実効化する見地から、行政作用のチェック機能の在り方とその強化のための方策に関しては、行政過程全体を見通しながら、「法の支配」の基本理念の下に、司法と行政それぞれの役割を見据えた総合的多角的な検討が求められる」とされているところでございます。
 これから設置されます推進本部におきまして、審議会のこの御意見の趣旨を踏まえまして、所要の検討を進めていきたいと思っております。
#110
○小川敏夫君 審議会の方が改革を必要とすると明確に述べております。その審議会の意見を踏まえて所要の検討を加えていただくそうでございますが、それは要するに改革するという審議会の意見を進めるということでよろしいわけですね。
#111
○国務大臣(森山眞弓君) そのとおりでございます。
#112
○小川敏夫君 審議会の意見は、行政訴訟制度の改革の必要性は述べているんですけれども、各論がなくて、行政訴訟制度を具体的にこうしろという提言はありませんでした。これは時間的な制約とかさまざまな点があったとは思うんですが、そうしますと、総論的には改革の必要性で、そういう方向で検討を加えても、これを現実化するのはなかなかそう容易ではないかと思うんですが、またもう一つ私が考えまして、行政訴訟制度を改革するとなりますと、これを行政側に任せますと、どうも国民のサイドに立ちますと当然行政側に不利なように改革するという方向になると思うんですが、審議会の意見も当然そういう趣旨だと思います。
 そうしますと、審議会の意見で総論があって各論がなかったということも踏まえて、今度は各論の議論をする、そうした審議会ですか、行政訴訟制度改革審議会のようなものをまた新たに設けて、行政の手で、今、行政側だけで行政訴訟制度の改革を論じるのではなくて、そうしたまた今般の司法制度改革審議会の意見が民間の声を聞きまして非常にいい意見が出ましたので、そうした例も踏まえて、行政訴訟の改革についてもそのような手法をとってはいかがかとは思うんですが、いかがでしょうか。
#113
○国務大臣(森山眞弓君) 行政訴訟制度改革審議会を設置してはどうかという具体的な御提案がございましたが、そのようなお考え方も一つの方法かとは思いますけれども、いずれにいたしましてもこれから設置される推進本部におきまして、さきの司法制度改革審議会の意見の趣旨を踏まえて所要の検討を進めていただくということになるわけでございまして、今、私の立場で細かい具体的なことを申し上げることは適当ではないと思います。
#114
○小川敏夫君 行政訴訟制度の改革の必要性と、それを進める方向での検討をしていただくという答弁をいただきました。その方向でしっかり頑張っていただきたいというふうに希望を述べさせていただきます。
 次に移らせていただきますが、午前中に行われました参考人の意見の際にも、審議会の委員の吉岡委員でございましたが、審議会の議事を公開したということが大変にいいことだったというふうに感想を述べておられました。そういう観点で、いかがでしょう、今回の推進本部の方も基本的にすべての議事は公開するということを、それもリアルタイムに公開するということを原則にしていただければ非常にいい審議会として国民が評価できる、そうした審議ができるのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
#115
○国務大臣(森山眞弓君) これも再々申し上げておりますことでございますけれども、新しくできます本部の中に例えば顧問会議とか検討会というようなものを設けるという考えが出ているようでございますが、そのような会議の議事を公開する、できるだけ多くの方に見ていただく、聞いていただく、そして皆さんの御意見もちょうだいするというようにオープンなやり方でやるということが望ましいと私も思います。
 しかし、どういう方をお願いするか、これからの話でございますので、メンバーの方々の御意見もございますでしょうし、そういう手続を経た上でできるだけ審議会のようなやり方で公開して、広く大勢の方からの御意見をちょうだいしながら進めていくべきだというふうに思っています。
#116
○小川敏夫君 前向きな御答弁いただきまして、ありがとうございます。
 その推進本部の体制の中で顧問会議が設けられることになっておりますが、私、考えまして、顧問会議、そもそもこの推進本部そのものが審議会の意見を具体化するのが目的だということを考えますと、もう審議会の委員の方全員に顧問会議に入っていただいて、さまざまなアドバイスや助力をしていただいたらいいとは思うんですが、顧問会議のそうした構成についてはいかがでしょうか。
#117
○国務大臣(森山眞弓君) まだ本部ができておりませんので、できました上でこれから考えられることだとは思いますが、審議会の方は非常に二年にわたって集中的な御熱心な御討議をいただいて立派な答申を出していただきました。
 ですから、その審議会の先生方をまた当分の間拘束するというのもいかがなものかとも思いますし、そこは、この審議会の意見が具体化されるに当たって間違った方向に行っていないかということをチェックしていただくということは必要でございますけれども、できるだけほかの立場の方にも見ていただくということで、さらにオープンにやっていったらいいんではないかというふうに思っております。
#118
○小川敏夫君 こうした議事等の公開とか各事務局の構成等について再三いろんな機会に質問しておるわけで、しつこいような気もしますが、私どもとしてはむしろそれがやはり本当の意味でこの改革審議会の意見を理念のとおり実現するためにどうしても重要なことだと考えておりますので、再三にわたって質問をさせていただいておるわけでございます。
 その推進本部、本部長と、その本部は、閣僚でございますけれども、事務局とか検討会、顧問会議というものが実際のこれからの形づくりの作業をすることになると思います。
 私、翻って考えますと、審議会で大変すばらしい意見が出てきたのは、これは行政主導ではなくてやはり民間の率直な声が反映されたということがその最大の要因ではないかというふうに私は思っております。これが今回また行政主導になってしまいますと、その審議会のそうした理念がまた少し国民の見えないところで後退させられてしまうんじゃないかというふうに危惧しておるわけでございます。
 そうした意味で、審議の公開ということも再三希望して求めているわけですが、同じようにこの推進体制の中にも行政の方主導ではなくてやはり国民主導という立場から、行政の方を具体的に法律づくり等がありますので排除することはできませんけれども、そうした観点から日弁連やあるいは国民の有識者等の積極的な登用なり参加をしていただけたらと思います。
 それで、事務局、検討会の中に弁護士が四、五名とか、民間人、弁護士を含めて七、八人とも聞いておりますが、全体の数からいうと二〇%以下ですか、非常に少ないように思いますが、ぜひそこのところをもっともっと大幅に登用するなり何らかの形で参加させていただきたいと思いますが、法務大臣、その点はいかがでしょうか。
#119
○国務大臣(森山眞弓君) 私の立場でも、関係省庁から派遣されるお役人だけではなくて多様な知識、経験を有する民間人の積極的な活用を図るべきであるというふうに思っておりますし、ぜひそうしてほしいと考えております。
 しかし、一方において、そういう方々に公務員になっていただくわけですから、なかなか私が願うようにたくさんの方をどんどんというわけにもいかない制約もございまして、しかしそういう制約の中でもできるだけ多くの民間の知識のある方、経験のある方のお力をおかりしなければならないというふうに思っております。
 検討会につきましては、それぞれテーマ別にその専門の知識をおかりするということもございますので、その役割に照らしまして適任の方にお願いできますように今後人選が行われていくものというふうに期待しておりまして、できるだけ多くの民間の方のお知恵をおかりするように努力したいと思います。
#120
○小川敏夫君 これで最後の質問にさせていただきますが、その民間の声、国民の声という中で、私は、やはり日弁連や有識者という方の参加ももちろん大事なことですが、やはり司法制度、これは国民のための司法制度ということでございます。裁判を利用するという立場の国民の声も十分反映する必要があると思いますので、そうした有識者あるいは日弁連という専門家ではなくて裁判を受けるという立場の、一般の市民といいますか、一般の国民といいますか、この方の参加についてまたお考えを聞かせていただければと思います。
#121
○国務大臣(森山眞弓君) 私も小川先生のおっしゃったお気持ちは全く同じでございますが、そのような方に参加していただく方法あるいはその方々の御意見をちょうだいするやり方というのがなかなかまた難しゅうございまして、一人二人の方を選ぶというのはなかなかかえって限定されてしまうかもしれない。
 それよりは、議論を先ほど申し上げましたように公開にいたしまして、できるだけ皆さんが、それぞれ国民の多くの方が御関心を持っていただいて、それぞれの立場で御意見をどんどんいただくというような仕組みで、例えばインターネットであるとかホームページであるとか、その他さまざまな方法で皆さんに知っていただき、そして御意見を率直にいただくというのがいいんではないかなというふうに思っておりますが、いずれにせよあらゆる努力をいたしまして、国民の多くの声を、利用者の方のお声を十分勘案しながら進めていきたいと思っております。
#122
○小川敏夫君 ありがとうございました。
 終わります。
#123
○荒木清寛君 まず、この点は本日も含めてたびたび議論されておりますけれども、しかし大変重要な問題でありますので、まず顧問会議、検討会のリアルタイム公開の問題についてお尋ねをいたします。
 さきの司法制度改革審議会の議論が事務局主導ではなくて委員主導で行われたという点で高く評価をされております。それは、委員の人選が適切であったということもありましょうし、もう一つ、リアルタイムで審議会を公開したということが非常に大きいと思います。きょうも当時の委員の吉岡参考人がいらっしゃいまして、やはりこのリアルタイム公開ということで、自由に、かつ緊張感のある、すなわちいいかげんな議論はできないと、そういう緊張感のある議論ができましたというふうにおっしゃっていました。
 したがいまして、再度、この顧問会議、検討会につきまして、審議会と同様にリアルタイム公開をすべきであると思いますので、大臣の基本認識をまずお伺いいたします。
#124
○国務大臣(森山眞弓君) たびたびお話がございましたように、この審議会の答申が大変内容の立派なものに、参考になる貴重な提言をいただけたということは、おっしゃいましたように、この議論をできるだけ公開して、いろんな反応が直接響いてくるようなそういう仕組みで進めてまいったことからであろうと思います。
 ですから、これからの本部で行われますさまざまな議論や討議の内容についても、司法制度改革審議会のときと同様にできるだけ公開していきたいというふうに思っておりますが、しかし本部はこれからつくっていただくということでございますので、そこに御参加いただく顧問会議の面々や、また検討会に御参加くださる方々、どのような方が参加してくださるかまだ決まっているわけではございませんので、いよいよとなりましたときには、その御参加くださる方々の御理解も得てそのような方向に持っていくように努力をいたしたいというふうに思っております。
#125
○荒木清寛君 大臣おっしゃるように、もちろんそのメンバーとなる方の御意向もあると思います。しかし、逆にリアルタイム公開をすることを前提に、条件にして委員に御就任いただくと。そういう公開が嫌だという方にはお引き取りをいただくというぐらいの人選をしなければ大臣のおっしゃったようにならないと思いますけれども、いかがでしょうか。
#126
○国務大臣(森山眞弓君) 顧問会議のメンバー、また検討会に御参加くださる方々、それぞれ知識、経験、学識経験をお持ちの方にそれぞれの専門的な知識を生かしていただくためにお願いするわけでございますので、まずはそちらの方の条件が重要だと思いますが、その上で、実はこの会議は、前からの審議会の答申をつくってきたプロセスのこともあり、できるだけ公開していきたいと思いますということを申し上げて、そして御説明申し上げ、御理解を得て、そして御支持をいただいてその方向に持っていくように努力したいというふうに思います。
#127
○荒木清寛君 次に、この隣接法律専門職種の課題について論じたいと思います。
 従来、弁護士が少ないということもあったんでしょうが、司法書士、税理士、弁理士、行政書士、社会保険労務士、土地家屋調査士という隣接法律専門職種の方が国民に対する法的なサービスの提供という上で大変大きな役割を果たしてこられたと思います。
 ところで、今回の改革審の意見書では、将来、弁護士人口が増大した後における隣接職種のあり方については触れられていません。つまり、二〇一八年には法曹三者で五万人程度になるということですが、では、そういうときにそういう隣接職種の方はどういう役割を果たすべきかというその視点がなかったと思います。
 したがいまして、今後の司法制度改革の実現が国民の立場に立って行われる、利用者の立場に立っての改革という観点からしますと、この隣接法律専門職種のあり方についての検討も今後していかなければいけないと思います。この点を中途半端にしてはいけないと思いますが、大臣の見解はいかがでしょうか。
#128
○国務大臣(森山眞弓君) 司法制度改革審議会の意見では、司法書士への簡易裁判所での訴訟代理権の付与など、訴訟手続やいわゆるADRを含む訴訟手続外の法律事務に関し、隣接法律専門職種などの有する専門性の活用ということが提言されております。また、弁護士と隣接法律専門職種の関係について、弁護士人口の大幅な拡大と諸般の弁護士改革が現実化する将来において、法的サービスの担い手のあり方を改めて総合的に検討する必要があるといたしております。
 このような隣接法律専門職種の有する専門性の活用につきましては、重要な課題であるということが審議会でも言っているわけでございますし、私どもも大変重要な課題だと認識しておりますので、このような御提言の趣旨を踏まえまして、関係機関と十分な連絡をとりながら所要の検討を進めてまいりたいと思っております。
#129
○荒木清寛君 次に、国民の立場に立った司法改革を実現をするためには、官主導ではなく、審議会同様、民間主導といいますか民間重視の、利用者重視の観点を失ってはいけないと考えますが、法務大臣の認識を伺います。
#130
○国務大臣(森山眞弓君) 当然のことと存じますが、司法制度改革審議会の意見におきましても、司法制度の全般にわたり利用者である国民の視点からその根幹にかかわる大幅な改革を提言されたものでございまして、司法制度改革の推進に当たっても、引き続き利用者である国民の視点から取り組んでいくというのが当たり前といいましょうか、当然なことだと思います。
#131
○荒木清寛君 したがいまして、その当然の視点をいかに実現するかというこの組織のあり方が非常に重要かと思います。この点も先ほども議論がございましたが、そうした意味では、今後この法律のもとでの事務局の人選が非常に重要でありまして、民間人、先ほど、七、八名というようなお話もございましたが、巷間そのように言われているようにも聞いておりますが、それにとどまらず、民間人を積極的にこの事務局に選任をしていただきたいと思います。
 つきましては、弁護士、そしてユーザー代表、また今申し上げましたように、この隣接法律専門職種の問題ということも考えれば、司法書士を含むそうした方々の参加も今後十分に考慮すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#132
○国務大臣(森山眞弓君) これからつくっていただきます本部の事務局につきましては、関係省庁等からも派遣される者、そういう方も参加していただきますけれども、多様な知識、経験をお持ちの民間の方々、弁護士さんその他を含みます民間の方々の積極的な活用を図りたいということを考えておりまして、どのようにするか、どのぐらいの人数にするかということは検討しなければならないと思っております。
 具体的な人選につきましては、本部ができました上で検討をしていきたいというふうに考えます。
#133
○荒木清寛君 そうしますと、具体的な人選につきましても、我々もいろいろと意見を今後言わせていただきたいと思います。
 そこで、別途設けられることになっております顧問会議でありますが、これは何名ぐらいを想定されているんですか。
#134
○国務大臣(森山眞弓君) これもまだこれからの話でございまして、具体的な数字をはっきりと今は申し上げることはできませんのですが、普通に考えて数人かなというふうに私としては考えているところでございますが、人選あるいは適当な方に承知していただけるかどうか、これからの問題だと思います。
 さらに、司法制度改革審議会の意見は既に意見書としてまとめられておりますので、そのことが具体化できるようにということでお目付役という意味もあるとは思いますが、意見書をおつくりくださいました委員の方々全員にというお話がさっきございましたが、それはちょっと屋上屋みたいになってしまうのかなと思いますし、非常に忙しい先生方ばかりでございますので、その方々をまたしばらく拘束するというのも御迷惑かなと思いますので、これからいろいろと考えた上でやることではございますが、できればまた別のお立場から御意見をいただけるということも貴重なことではないかと、あれこれ考えているところでございます。
#135
○荒木清寛君 大臣おっしゃいましたように、この改革審議会の意見書の実現のお目付役という、大所高所でのお目付役という会議だと思います。数名ということですから、審議会の委員全員が入るような規模では恐らくないんだろうと思いますが、しかしこの人選につきましても、ちまたでは改革審議会の会長はお入りになるんだろうというふうに言われておりますし、道理から考えるとそういうことになるんではないかなというふうに私も思うんですね。
 思うんですが、私が申し上げたいのは、会長も含めて、それは全員の方に入っていただくということは現実的ではないにせよ、複数の委員に、実際その意見書をつくるについてかんかんがくがくの議論をしてきた方に、やはり複数の方に参加していただくべきだというふうに思っているんですが、いかがでしょうか。
#136
○国務大臣(森山眞弓君) ただいま申し上げましたように、ほかの立場からもう一度新たな目で見ていただくということも重要だというふうに思いますので、そのことも含め、これから考えさせていただくということでございます。
#137
○荒木清寛君 そうしましたら、このことも法律が成立してまたいろいろと言わせていただきたいと思っています。
 また、検討会の人選においても民間人を入れることは当然であると思います。民間人、ユーザー、利用者、そういう方の意見をこの検討会の人選において反映をしなければいけないと思いますが、この点もよろしゅうございますでしょうか。
#138
○国務大臣(森山眞弓君) これも今後の人選ということになるわけでございますが、多くの民間の方に参加していただくということは当然のことだというふうに思っております。その役割に照らして、適任の方にたくさん参加していただきたいというふうに考えております。
#139
○荒木清寛君 検討会についても八つぐらいではないかとかいろいろ言われているわけでありますが、事柄の重要性からしますと、刑事裁判への国民参加といいますか、裁判員制度については当然私はその検討会ができるんであろうというふうに思います。
 そこで、この裁判員制度につきましては、主権者たる国民を裁判官とともに参加させようという国民主権の原理に基づくところのそうした制度設計が必要であろうかと思います。そこで、この裁判員制度を検討する検討会につきましては、将来こうした制度ができるとこの裁判員になることもあり得るユーザーですね、一般国民も、この意味での検討会に加わるべきである、これは必須の条件であると思いますが、大臣、いかがでございましょうか。
#140
○国務大臣(森山眞弓君) 検討会の数やその取り上げるべきテーマにつきましては、本部ができました後、司法制度改革推進本部において検討されるということになるわけでございますが、そのメンバーにつきましては、その役割に照らしまして、適任の方にお願いできるようにということを先ほど申し上げたとおりでございます。
 なお、いわゆる裁判員制度につきましては、国民の相当程度の負担を必要とするものであるということにもかんがみまして、このような国民の立場からの意見も十分に反映されるように検討が行われていくものと考えておりますし、その裁判員制度を検討する検討会が設けられた場合には、国民の各層における御意見をいただくということはもちろん必要だと思われますので、いろんな機会を通じていろいろなやり方で国民の意見をお伺いしたいということはもう当然のことと考えておりまして、これからどのようにしたらいいかということは制度設計も含めて考えていかなければいけないというふうに思います。
 先ほどもちょっと申し上げたんですけれども、すべての有権者を対象にしてということになると、それはだれかを一人選ぶというのはかえって難しゅうございますので、そういうことよりは検討会の議論を広く国民全体に公開いたしまして、それを見たり勉強したりした方が御自分の意見をどんどんお寄せいただくというような方法が現実的かなというふうに思っているところでございますが、すべてこれからいろいろと工夫をしてみたいと思います。
#141
○荒木清寛君 ぜひ、この人選の面での工夫をお願いしたいと思います。もちろん、リアルタイム公開をして、また意見を求めるということもいいんですけれども、今インターネットの時代ですから、もう何万件という意見がぱっと来てしまうわけでして、それは全部子細に検討して反映させるということも言うべくしてなかなか難しいということもあると思うんですね。ですから、実際、検討会で意見を言う人の中にそういう何らかの形で利用者というのがやはり加わっていなければいけないと思います。
 そこで、裁判員制度を導入するに当たっては国民の負担という点も十分考慮する必要がありまして、そのような観点からは刑事裁判の迅速化のための方策についても検討すべきではないかと思いますが、いかがですか。
#142
○国務大臣(森山眞弓君) おっしゃるとおりでございまして、裁判の迅速化というのは国民一般の世論だと思いますが、特にこの裁判員制度を導入するということにもしなりますと、国民の負担ということは非常に大きくなるわけでございますし、公判が可能な限り連日継続して開廷されて真の争点に集中した充実した審理が行われるようにするということによりまして、刑事裁判の充実、迅速化を図るという必要があると思われます。
 この点は司法制度改革審議会の意見でも述べていただいているところでございまして、そのためには争点整理のあり方、証拠開示のあり方、裁判所の訴訟指揮権の実効性の担保方法、弁護人を含む関係当事者の人的体制の整備等の点を今後検討しなければならないと思っております。
#143
○荒木清寛君 今回の今後の改革の一つの目玉は法科大学院構想だと思います。私もいろいろと考えました。この法科大学院制度は、法律だけしか知らないという視野の狭い法曹ではなく、幅広い勉強をした人材の育成を目的とするものでなければいけないと思います。
 きょうも、企業法務の立場から、企業法務の立場からというか利用者の立場から参考人が意見を開陳されましたが、語学ということも今後は必要になるというふうなお話もございました。要するに、もう法律だけしか知らないというのは、弁護士なり裁判官なり検察官ではこういうグローバルな時代に通用しないという趣旨というふうに私は受けとめたわけでありますが、そういう意味で、この点につきましての大臣の見解を伺います。
#144
○国務大臣(森山眞弓君) 審議会の意見におきましては、二十一世紀の司法を担う法曹に必要な資質といたしまして、「豊かな人間性や感受性、幅広い教養と専門的知識、柔軟な思考力、説得・交渉の能力等の基本的資質に加えて、社会や人間関係に対する洞察力、人権感覚、先端的法分野や外国法の知見、国際的視野と語学力等が一層求められるものと思われる。」と書かれております。
 また、審議会意見では、法科大学院について、「学部段階での専門分野を問わず広く受け入れ、また、社会人等にも広く門戸を開放する必要がある。」としておりまして、今後これらの提言の趣旨を踏まえまして、関係機関と連絡しながら具体的な制度設計をしてまいりたいと考えております。
#145
○荒木清寛君 先ほどの質疑では文部科学省の工藤局長から確認がございました。その点、私は大臣にも確認したいと思いますが、審議会の意見書では、法科大学院の修業年限は三年を標準とすると、一定の素養のある法学既修者については二年とするというふうにしております。この原則を私は大事にしていただきたいと思います。
 すなわち、法律に限らず、幅広い勉強をしてきた者を法曹として養成するという観点からは、この答申のとおり三年制を原則とすべきという原則の上に制度設計をするべきだと思いますが、この点についての大臣の考え方をお聞きしたいと思います。
#146
○国務大臣(森山眞弓君) 審議会意見におきましても、法科大学院の標準修業年限を三年とするという一方で、「法律学の基礎的な学識を有すると法科大学院が認める者については、短縮型として二年での修了を認めることとすべきである。」としておりますが、この趣旨は、修業年限を二年のみとする法科大学院を想定していないというふうに考えられます。
 今後関係機関と連絡して、二年短縮型の要件等も含めまして具体的な制度設計を検討してまいりたいと思います。
 先生おっしゃいますように、これからの法学、法科大学院、そしてそれを卒業して法曹になる人たちが相手にする社会というのは、非常に多様で多岐な、また国際性もある非常に流動的な社会全体を相手にするわけでございますので、今までのような法律の知識に偏ったという人ではもう賄えないということは明らかだと私も思いますので、審議会の御意見はまことにごもっともで、そのような方向でぜひやりたいというふうに考えております。
#147
○荒木清寛君 大臣もこの意見書の重要性をよく踏まえられていると思います。
 手っ取り早く弁護士になろうということであれば、法学部に入って、そして短縮型の二年の法科大学院に行けば六年でなれる。優秀な人は飛び入学というのが先般の通常国会で認められましたから五年で行けるわけですね。しかし、そういうのが主流になるようでは私はちょっと今回の意見書の趣旨が損なわれるんではないかというふうに思っていまして、大臣も同様の認識を持っていただいていると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 そこで、若干また隣接法律専門職種の問題に戻りますが、こうした形で法曹三者、弁護士、検察官、裁判官についてはプロセスを重視する養成システムをつくることになったわけでございます。私は、大変それは大きな成果を生むことになると思いますが、先ほども申し上げましたように、審議会意見書ではやや隣接法律専門職種の問題について消化不良、消化不足といいますか、議論が途中になっているんではないか、どうも弁護士中心主義という批判をする人もいるわけでありますが、若干、先の議論にゆだねられた点があると思うんです。その一つがこの隣接法律専門職種の養成問題だと思うんです。
 当然、これから大きな司法を目指すわけでありますから、いわゆる法曹三者だけではなく、隣接法律専門職種の人にもさらにレベルをアップしていただいて、国民のための仕事をしてもらわなければいけないわけであります。そういう意味では、改革審議会の意見の過程では、簡易裁判所の訴訟代理権を司法書士に付与することなどにもかんがみて隣接法律専門職種を含めた法律家の養成を考慮すべきという意見があったということは、私は重要な視点であると思います。
 したがいまして、この点につきましても、推進本部におきまして今後鋭意検討すべきであると考えますが、いかがでございましょうか。
#148
○国務大臣(森山眞弓君) 審議会の意見におきましては、隣接法律専門職種について、その有する専門性を活用する見地から、司法書士や弁理士に対する一定の訴訟代理権の付与やADRにおける活用の検討等が提言されております。こうした隣接法律専門職種に期待されている役割にかんがみますれば、その養成制度を充実させることは今後ますます重要になるということが考えられます。
 この点についても検討が加えられるものと思いますが、審議会の議論の中では、委員御指摘のようにいろんな意見がございまして、例えばまず狭義の法曹を養成する制度として考えるべきではないかというような、そういう意見も述べられた委員があったと聞いております。
 いずれにしましても、法科大学院は、専門的な法知識を確実に習得させるとともに、創造的な思考力とか法的分析能力とか法的議論の能力などを育成いたしまして、豊かな人間性の涵養、向上を図ることなども教育理念とするものでありまして、隣接法律専門職種を目指す方々にとっても、法科大学院で教育を受けることは大いにお役に立つのではないだろうかというふうに思います。
#149
○荒木清寛君 今おっしゃられた法科大学院とのリンクの問題も含めてこれは鋭意検討していただきたいと思います。
 そこで、次に、我が国の司法は小さな司法と言われ続けております。しかし、司法全体の規模を拡大していくことが極めて重要であります。このような観点から、意見書にもありますとおり、法曹人口の大幅な増加を図っていくべきでありますが、この点についての法務大臣の決意を伺いたいと思います。
#150
○国務大臣(森山眞弓君) おっしゃいますとおり、国際的に見ましても、また今後の社会経済の進展、国民生活のさまざまな面を考えますと、法曹に対する需要が量的に増大するということが容易に想像されるわけでありますし、また質的にも一層多様化、高度化していくということが考えられます。二十一世紀の司法を支えるためには、その人的基盤の整備といたしまして法曹人口を大幅に増加させるということが不可欠であるというふうに考えられます。
 司法制度改革審議会の意見におきましては、司法試験合格者数を平成十六年には千五百人とし、さらに法科大学院を含む新たな法曹養成制度の整備の状況等を見きわめながら、平成二十二年ごろには三千人程度とすることを目指したいということが言われております。この意見を最大限に尊重いたしまして、法曹人口の大幅な増加の実現に取り組んでまいりたいと思っております。
#151
○荒木清寛君 言うまでもないことでありますが、その場合、当然、弁護士、裁判官、検察官の法曹三者すべてについての大幅増員をすべきであるということでよろしゅうございますね。
#152
○国務大臣(森山眞弓君) 当然でございます。
#153
○荒木清寛君 司法を支える人的基盤の拡充という観点からは、そうした法曹三者だけではなく、裁判所や検察庁に関連する職員の大幅な増員も図らなければ、法曹だけふえてもだめなわけでございますが、この点につきましての大臣の見解をお聞かせ願います。
#154
○国務大臣(森山眞弓君) 当然、法曹三者の方が仕事をしていただいて効果を上げていくためには、それを十分補佐する周辺に働く事務員、職員の方々が不可欠でございまして、司法制度改革審議会の意見の趣旨にもございますが、裁判所、検察庁等の司法関係職員の人的体制の充実を図り、司法の基盤の充実強化に努めるべしということでございますので、これも大変重要な要件と考えております。
#155
○荒木清寛君 そうした大きな司法を実現しまして司法を新しい時代にふさわしいものにしていくためには、その財政的基盤の充実強化であります。大きな司法というとお金が要るわけですね。ロースクールの奨学金ですとか、あるいは大学への補助ですとか、あるいは今の裁判官、検察官の大幅増員ということになれば、当然これはお金が要るわけであります。そういう意味では、司法関係予算を今後大幅に拡充をしていかなければならないことは当然でございます。
 一方で、今、聖域なき構造改革を進めているわけでございまして、十四年度の概算要求についても一般政策経費一律一〇%カットということでございます。もちろん、義務的な経費についてはそうではないわけでございますが、しかしそういう厳しい財政状況の中で立て直しをしなければいけないという中で、この予算を獲得し大きな司法を実現するということは、並大抵でない決意を大臣に持っていただかなければできないわけでありまして、その点、私たちは全力でバックアップし、財務省ともやり合いたいと思っておりますけれども、この点につきましての大臣の強い決意をお伺いしたいと思います。
#156
○国務大臣(森山眞弓君) おっしゃるとおりでございまして、人数もふやさなければいけない、いろんな制度も改革していかなければいけないということになりますと、先立つものがどうしても必要でございまして、それも今までとは全く違った新たな抜本的な改革でございますから、今までの一〇%増しとか一五%増しとかいうような計算で算出できるものではなく、初めから計算して積み上げていくと。
 その結果どうなるかまだわかりませんけれども、相当のものが必要であろうということは容易にわかるわけでございますが、せっかくここまで大勢の方の御苦労をいただいてできました審議会の答申であり、またこれからも多数の方の汗を流していただかなければならない、国民の皆さんからの御期待も非常に大きいということを考えますと、ぜひともこの目的を果たさなければいけないと思いますので、所要の予算の確保につきまして、ぜひとも先生方の御支援もいただき、各関係方面の御理解を得まして、ぜひとも確保していきたいというのが私の考えでございます。
#157
○荒木清寛君 これは国民的な世論のバックアップがある、この大きな司法ということにつきましては国民的世論のバックアップがある問題だと思いますので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。
 最後に、一部に、今回の司法制度改革というのはそういう企業の視点からの規制緩和ということだけではないかという、そこから始まったのではないかと言われる向きもあるわけでありますけれども、しかしこの意見書を読んでいただければ、決してそのような意見書になっていないと思います。
 私は、そういう意味で、多くの庶民、国民が、身近にこの司法制度を利用できるような改革でなければいけないと思うわけでございまして、そういう意味で私は、公明党は従前からこの問題はもう主張しておりまして、野党の時代からも一貫して民事法律扶助の一層の充実ということを主張しておるわけでございます。あす提出されます補正予算の中にも、セーフティーネットという中でそういう法律扶助の充実ということが含まれているわけでありまして、評価をしております。
 しかし、まだまだ日本のこの法律扶助のレベルというのは低いわけでありまして、一けた違うというのが我々の見解でございます。したがいまして、この大きな司法の中の重要な要素として、この法律扶助の一層の充実、抜本的な拡充に取り組んでいただきたいと思います。この点いかがですか。
#158
○国務大臣(森山眞弓君) この問題につきましても審議会の意見におきまして、「対象事件・対象者の範囲、利用者負担の在り方、運営主体の在り方等について、更に総合的・体系的な検討を加えた上で、一層充実すべきである。」とされているところでございます。
 司法制度を国民に利用しやすいものとして、その役割を十分に果たすことができるものとするために、民事法律扶助につきましても、そのより一層の充実強化に努めてまいりたいと考えております。
#159
○荒木清寛君 以上で質疑を終わらせていただきます。
 いずれにしましても、公明党は生活者の政治を標榜しておりまして、この問題についても、あくまでも利用者、ユーザーの立場での改革にしなければいけない、こういう視点で、今後、法律も何十本出さなければいけないというようなことでしょうけれども、しっかり議論をしてまいるという決意を申し上げまして、終わらせていただきます。
#160
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 法案に関する質問に先立ちまして、私からも、さきにありましたアフガニスタンの難民収容問題について述べさせていただきます。
 東京地裁は、六日、難民申請中のアフガン男性五人の収容について、「収容の必要性は認め難い」として、収容を停止する決定を出しております。国の対応について、「難民にあたる可能性がある場合に、不法入国や不法滞在の疑いだけで収容するのは、難民条約に違反する」と、こう述べまして、政府の姿勢を「国際秩序に反する」と厳しく批判をしております。
 私も、本委員会で、条約の精神に基づいてこれは収容するべきでないということも求めたわけですが、先ほど即時抗告をしたということが述べられまして、大変残念に思います。やはり、難民条約の精神に基づきまして収容を停止するように求めておきたいと思います。その上で、法案について質問をさせていただきます。
 審議会の答申は、「制度を活かすもの、それは疑いもなく人である。」と何カ所かで述べております。この人的基盤の整備の重要な一つである裁判官への弁護士任官の問題について質問をいたします。
 最高裁は、事件数がおおむね現状どおりで推移をしても制度改革に対応するためには今後十年間で五百人程度の増員が必要としておられます。衆議院での審議で、この五百人の増員について、こう答弁をされました。「優秀な弁護士等からの任官者が大幅に増加するということが大前提であります。これが実現できませんと絵にかいたもちになる」、「弁護士任官が非常に重要」と、こういう答弁でありました。
 今後、司法試験の合格者などが順次ふえていくわけでありますが、しかしやはり増員については弁護士任官の大幅増加が大前提であり非常に重要だと、こういう認識で間違いありませんね。
#161
○最高裁判所長官代理者(中山隆夫君) そのとおりでございます。
#162
○井上哲士君 この大前提であり非常に重要だと言われている弁護士からの任官ですが、いただきました資料では、一九八八年以降ことしの十一月六日現在までで判事が五十一人、判事補九人、計六十人、年間平均わずか四人余りということにとどまっているわけで、この状態ですとまさに絵にかいたもちになるわけです。
 ですから、やはりこれまである問題点を改善していくということが大変大事なわけでありますが、なぜこれまでこの任官が進まなかったのか、その問題点はどこにあるんでしょうか。
#163
○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) 司法制度改革審議会の意見書が提言しておりますように、裁判官に多様な人材を確保するためには、裁判所の戦力となり得る優秀な弁護士の任官を推進していくことが最も現実的であり意義のある方策であると考えております。ただ、これまで裁判所としても弁護士任官を推進するための方策を講じてまいりましたけれども、委員御指摘のように、必ずしも所期の成果が得られていない状況にございます。
 弁護士任官が必ずしも順調に進んでいない原因でございますが、種々の要因が考えられると思いますが、まず第一に、弁護士として成功されて依頼者等の関係も安定しているという弁護士さんが、相当の年齢になりましてから新しい仕事に飛び込むということになるわけでございますから、それには相当、かなりの決断を要することであろうと思います。また、同じ法曹ではありますけれども、訴訟実務におきましては裁判官と弁護士ではその果たしている役割が大きく異なっている面がありますために、これまで任官された方の多くが、例えば両当事者の主張を聞いてみずから最終的な決断を下したり、みずからの判断を説得力ある形で判決に表現するといった点で非常に苦労されておって、そのような実情もまた任官申し出をためらう理由になっているのではないかというふうに思われるわけでございます。それからまた、弁護士事務所の共同化が現在まだ十分に進んでいないということも弁護士任官者がふえない一因であるという指摘も聞かれるところでございます。
 こういう原因、問題点が考えられるところでございますが、現在、日弁連との間で弁護士任官等に関する協議会を開催しているところでございまして、裁判所といたしましても、このような形で日弁連と連携を図るなどいたしつつ、積極的に弁護士任官の推進に向けて努力してまいりたいと思っております。
#164
○井上哲士君 いろいろお聞きをしますと、例えば任官の基準が非常に不透明だというお話を聞きます。それから、希望をしても返事がないであるとか、それからなぜ任官されなかったかという理由がよくわからない、こういうお声も聞きます。また、非常に官僚的な裁判所の体制のもとで、自由な仕事をされてこられた弁護士さんがなかなか息苦しそうで行きたくないなと、こんな声も聞くことがあるんです。
 いずれにしましても、これを推進していくために、今もありましたように、日弁連と最高裁の協議が前向きにされているということは大変大事だと思うんですが、先ほど挙げられましたような問題、それからそういう任官基準や手続の透明性という問題で、今の協議の中で何が解決をされてきているのか、何がネックになっているのか、その辺をお教えいただけますでしょうか。
#165
○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) 最高裁と日弁連との間で、今お話にございましたように、弁護士任官等に関する協議会を設置いたしまして、本年の四月から月二回のペースで弁護士任官の推進に向けて精力的に協議を行っているところでございます。
 協議会において協議あるいは意見交換する事項として、弁護士任官全般を推進するための具体的な措置、これは例えば弁護士任官の基準であるとか手続であるとか、研修のあり方、配置のあり方、勤務条件等でございますが、また多様な任官形態、これは特定分野別の任官でありますとか、短期弁護士任官であるとか、あるいは非常勤裁判官制度でありますとか、そういうところでございますが、それからまたこれは弁護士任官と別に、判事補が弁護士の職務経験を積む制度を実効あらしめるための方策もこれも議題となっておりますが、いずれにいたしましてもこういう弁護士任官推進等に関する要綱等の策定と恒常的な協力体制の整備が掲げられているわけでございます。
 協議会では、これまでこういった協議事項につきましてずっと協議を行ってきておりまして、弁護士任官の基準や手続などの問題について相当の時間を割いて意見交換を行ってまいりました。今後、弁護士任官の環境をより一層整備するという観点から、弁護士任官者の研修、配置のあり方等についてもさらに協議を進める予定になっております。
 最高裁といたしましては、今後とも、日弁連との間の協議を鋭意重ねることによりまして、弁護士任官を推進するための具体的方策について検討を進め、その結果について日弁連との間で取りまとめができるように努めてまいりたいと思っております。
#166
○井上哲士君 基準や手続について相当の議論をしていると今ありましたが、私は、ここのやっぱり客観化、透明化を図るという点で、審議会の意見書が裁判官の任命手続の見直しを求めている、この趣旨、精神は非常に大事だと思うんですね。
 意見書は、最高裁が下級裁判所の裁判官の任命をする過程で国民の意思を反映させるために諮問をする機関をつくるということを述べております。最高裁としては、意見書のこの部分についてどのように受けとめて取り組みを進めていらっしゃるんでしょうか。
#167
○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) 御指摘ありましたように、改革審議会の意見書は、下級裁判所の裁判官の指名過程を透明化し、国民の裁判官への信頼を高める観点から、最高裁判所に、その諮問を受け、指名されるべき適任者を選考し、その結果を意見として述べる機関を設置するということを提言しておりますが、この提言は、裁判官に対する国民の信頼感を高めるという趣旨に立つものでありまして、裁判所といたしましても、国民の信頼の上に立ったよりよい裁判官制度を実現していくために有意義であると考えております。
 この機関の具体的あり方につきましては、いずれも意見書が指摘するところでございますが、その機関が適任者の選考に関する自主的な判断を行い得るような十分な配慮がなされるべきであり、委員の構成及び選任方法について中立性、公正性が確保されるよう十分な工夫を凝らすとともに、裁判官の独立を侵すおそれのないよう十分に配慮する必要があるものと考えております。
 裁判所といたしましては、こうした機関を設置することは、今申し上げましたとおり、よりよい裁判官制度を実現していくために有意義であると考えておりまして、そのような機関が早期に設立されるよう、最高裁に下級裁判所の裁判官について指名権を付与している憲法の趣旨を踏まえつつ、そのあり方について鋭意検討を進めてまいりたいと考えております。
#168
○井上哲士君 そういう国民の声を反映する機関が大変有意義だという御答弁でありました。
 そこでお尋ねをするんですが、近畿弁護士会連合会が弁護士任官を進めるために、下級裁判所裁判官候補者調査評価に関する協議会というのを発足させております。
 この協議会は、最高裁の弁護士からの裁判官採用選考要領に基づきまして、採用願を提出しようとする弁護士の裁判官としての適格性の評価及び推薦の可否について審議をするというものとして近畿弁護士会連合会が発足をさせられました。この協議会の結果に基づいて連合会として推薦をする、手続、基準の透明化、そして公正さを確保していこうという、私は大変有意義な取り組みだと思うんです。
 この取り組みについて承知をされていると思うんですが、最高裁としてはどう評価をされているでしょうか。
#169
○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) 近畿弁護士会連合会が弁護士推薦委員会や弁護士以外の委員を含めた協議会を設置して、任官希望者の適格性の調査、評価を行い、最高裁に推薦するという制度を設けたということは承知しております。このような連合会の動きにつきましては、裁判官にふさわしい弁護士をできる限り多く裁判官として確保するための弁護士会側の努力の一つであろうというふうに受けとめているところでございます。
 このような一部の弁護士会の動きがあります中で、最高裁といたしましても、日弁連との間で、現在、先ほど申し上げました弁護士任官等に関する協議会におきまして弁護士任官を推進する具体的な検討を進めているところでございますので、こうした協議を通じまして、裁判官にふさわしい優秀な弁護士がより多く任官されるように、その促進のための方策について検討していきたいと考えております。
#170
○井上哲士君 弁護士会側の努力だという前向きの受けとめがされたと思うんですね。
 私もその概要などを見せていただきましたけれども、例えばこの委員会の構成は、弁護士委員十六人と市民委員が八人ということになっておりますが、この市民委員は、マスコミ関係者二人、経済界から一人、労働界から一人、消費者から一人、裁判にかかわる市民団体から一人、学者から二人と、こういう大変いろんなところからの国民の声を反映する構成になっているわけです。
 先ほど述べました裁判官任命の諮問機関の構成について、意見書は、公正で権威のある機関とするため委員の構成及び選任方法については中立性、公正性が確保されるような十分な工夫が必要だと、こういう指摘もされておりますが、私、弁護士任官という問題ではありますけれども、この近畿弁護士会連合会の協議会というのは、その過程の透明性、中立性、公正性を確保するという点でこの意見書に述べられた精神と大変合致をしていると思うんですが、その点、お考えはいかがでしょうか。
#171
○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) 近畿弁護士会連合会でおつくりになっている委員会の方は、これは弁護士会として適任者と考える方を選定する手続として設けられたことでありますが、これからできるでありましょう最高裁に置かれる任命諮問委員会、指名のための諮問委員会、これにつきましては、先ほども申し上げましたように、意見書が述べておりますような、委員からも御指摘がありましたような考え方に基づいて設置されていくものであろうと考えております。
#172
○井上哲士君 この協議会は、本人から推薦調査質問票に基づいて回答を得ます。それから、本人以外の第三者からも評価調査票に基づきまして能力、評判、適性、執務姿勢などについて幅広く聞くようになっております。そして、私も面接をされた学者の方のお話を聞いたことがありますけれども、そういう市民委員の方などが弁護士さんに面接をする、大変手続的にも透明で公正なやり方がされていると思うんですね。
 こういう努力が広がっているわけですので、ぜひこの弁護士任官が進むように、絵にかいたもちにしないという点で、こういう機関を通じて弁護士会が推薦をする者についてぜひ尊重して進めていくようにしていただきたいと思います。
 最後に、この改革を支える予算の問題について一言お尋ねをします。
 裁判所予算は年間わずか三千百億円で、東京の警視庁予算の半分程度と。国の予算全体に占める割合を見ましても、一九五五年の〇・九三%をピークに年々下がりまして、今〇・三九%、余りにも小さいと思うんです。この改革を進める上でどれだけの予算が要るのか、明らかにして求めていく必要があると思います。
 例えば、民事扶助制度につきまして、今年度は国庫補助二十五億円にふえまして概算要求は三十六億と承知していますが、フランスなどは百八十億以上、イギリスでは千百五十億程度ということになっています。法曹の数をフランス並みにするというならば、こういう法律扶助制度に対しても欧米並みの予算が必要だと思うんです。
 その点も含めまして、これだけのことをやればこんなに司法が変わるんだ、そのためには予算が必要だということで国民の前に明らかにして、国民の世論のバックアップのもとに進めていくことが必要かと思います。その点の決意も含めて、御答弁をお願いします。
#173
○国務大臣(森山眞弓君) 本部がこの法律を成立させていただきました後できまして、その本部でこれから必要な法律を具体的に立案して、どのように変わっていくかという姿がはっきりと見えてくるということになりますので、今この時点で幾らになるということは申し上げかねるのでございますが、民事法律扶助につきましても、所要の予算を確保いたしましてその充実強化に努めてまいりたいと考えておりますし、先ほどもお答え申し上げましたように、たくさんの方の知恵の結晶であるこの審議会の成果が本当に実りあるものとして具体化していきますように、そのために必要な予算の確保につきましては、国民の理解と支援のもとに改革を推進するという意味で、ぜひ内容を明らかにし、かつその充実強化に努めてまいりたいというふうに思っているところでございます。
#174
○井上哲士君 終わります。
#175
○福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。
 午前中に参考人質疑をいたしました。そうしますと、参考人の方たちの中から、リアルタイムで情報公開を例えば検討会や顧問会議などでなされることが大変必要なのではないかという話がありました。つまり、今まで行われてきた審議会がリアルタイムで情報公開をしてきたので、そのことが国民にとって非常に意見を喚起するいい機会であったという御指摘がありました。
 それで、御質問いたします。
 顧問会議、検討会の情報に関して、経過や内容についてリアルタイムで公開し、透明性を確保することというのは担保されるのでしょうか。
#176
○国務大臣(森山眞弓君) 本部ができました後、顧問会議とか検討会とかを設けるということが考えられておりますが、その公開につきましては、そこにお集まりいただく先生方の御意見を聞かなければいけないとまず思いますが、できるだけ、審議会のときにいたしましたようなできるだけ透明なやり方を進めていきたいものと願っております。
#177
○福島瑞穂君 前向きの御答弁、ありがとうございます。審議会がリアルタイムで公開されたことがとても重要だったと思いますので、今後もたくさん法律が出てくる過程で、政府がどのような立法をしているのかリアルタイムで公開し、かつ透明性を高められるように本当に要望いたします。
 ところで、後ほど提出予定の社民党と共産党の司法制度改革推進法案に対する修正案はお手元にお持ちでしょうか。
 この中で、顧問会議の中について、次のような人たちをぜひ入れるようにという修正案を考えております。裁判官一人、検察官一人、弁護士一人、司法制度に関し学識経験のある者二人、使用者を代表する者一人、労働者を代表する者一人、前各号のいずれにも該当しない者のうち、消費者を代表する者または訴訟の当事者となったことがある者三人。特に重要なものは、消費者を代表する者または訴訟の当事者となったことがある者三人ということで、顧問会議の中にぜひユーザーの立場、国民の立場の人を入れていただきたい。
 こちらの修正案はこういうものを入れるということの修正案なんですが、この顧問会議の構成メンバーについて、再度、前向きの答弁をお願いいたします。
#178
○国務大臣(森山眞弓君) 修正案のお話がございました。今拝見いたしましたし、今お読み上げいただいたのを拝聴いたしましたが、大変細かく割り当てを考えていただいたようでございますが。
 政府提案の方の気持ちといたしましては、顧問会議、それから、法律には書いてございませんけれども、検討会とか、その他いろんな役目に応じてそれぞれの専門家の方の御意見を承ろうと、そしてできるだけ一般の民間の方々からも、またユーザーとおっしゃるそういう方々からも御意見をいただく機会を得なければいけないというふうに思っておりますが、修正案でお述べになりましたような細かいそれぞれの割り振りまでは今まだ考えておりません。
#179
○福島瑞穂君 極力、国民の代表、ユーザーの代表を入れてくださるように、複数人入れてくださるように強く要望をいたします。
 先ほども事務局にどういう人が入るのかという質問がありましたし、午前中の参考人質疑でも野澤参考人の方から、事務局にやはり民間の人を入れて、役所、官僚がつくる司法制度改革にはしないでほしいという意見の表明がありました。
 顧問会議、検討会というのにかなり市民の人が、かなりというか何人か入ってくださるように強く要望したわけですが、事務局の段階についてはいかがでしょうか。
#180
○国務大臣(森山眞弓君) 事務局につきましては関係する各省庁から派遣される者が入りますが、その方たちだけではなくて、多様な知識、経験を有する民間人を積極的に活用してまいりたいというふうに思っております。
#181
○福島瑞穂君 司法制度改革審議会意見書の中に、「司法の行政に対するチェック機能の強化」という項目があります。済みません、これはちょっと質問通告していないので申しわけないんですが、この中で行政訴訟手続の点についての言及があります。この委員会の中ではこの点は余り出てきておりませんけれども、私自身も、司法の行政に対するチェック機能の重要性にかんがみ、行政訴訟制度の見直しに積極的に取り組むことが今後の司法制度改革には不可欠だと考えますが、この点についていかがでしょうか。
#182
○国務大臣(森山眞弓君) 審議会の意見におきましても、「国民の権利救済を実効化する見地から、行政作用のチェック機能の在り方とその強化のための方策に関しては、行政過程全体を見通しながら、「法の支配」の基本理念の下に、司法と行政それぞれの役割を見据えた総合的多角的な検討が求められる」とされております。
 今後設置される推進本部におきまして、この審議会の意見の趣旨を踏まえまして所要の検討を進めてまいりたいと考えております。
#183
○福島瑞穂君 敗訴者負担と証拠開示などについても聞いてきたのですが、再度御質問をいたします。
 裁判員の制度についてお聞きをいたします。
 裁判員の制度については、被告人の選択が現段階で認められていません。職業上の裁判官の裁判を受けるのか、裁判員も交えた裁判を受けるのか、これについて被告人の選択は認められておりません。日本にも存在した陪審の制度では選択権があったわけですが、今回は選択権がないのですが、この点は非常に欠点だと考えますが、いかがでしょうか。
#184
○政府参考人(樋渡利秋君) 委員御指摘の点に関します司法制度改革審議会の意見は、「新たな参加制度」、これは裁判員制度と言われているものでございますが、それは、「個々の被告人のためというよりは、国民一般にとって、あるいは裁判制度として重要な意義を有するが故に導入するものである以上、訴訟の一方当事者である被告人が、裁判員の参加した裁判体による裁判を受けることを辞退して裁判官のみによる裁判を選択することは、認めないこととすべきである。」というふうに述べているところでございます。
#185
○福島瑞穂君 しかし、被告人にとっては、職業上の裁判官で受けたいと思う人と、裁判員が入っているので受けたいという人といると思うんですね。かつて、日本にも存在した陪審制度のもとでは選択権が認められています。被告人にとってはそれは極めて重要な、例えば今回発足するかもしれない裁判員の制度はある程度実験段階みたいなところもあるわけですから、被告人にとっては、例えば自分がどうなるのかということに関してはやはり選択権があるのがいいと考えますが、いかがでしょうか。
#186
○政府参考人(樋渡利秋君) そういう御議論といいますか、御意見が審議会の議論の場でも出ておったことは、私、陪席しておって聞いておりまして事実でございますが、審議会の委員のその結論はこの意見書に述べてあるとおりで、こういう制度にしようということを結論として、意見として述べられたものというふうに記憶しております。
#187
○福島瑞穂君 それでは、今後の議論のときにはぜひその点もよろしくお願いします。
 また、この裁判員の制度は、量刑手続も関与をすると。外国の陪審制の制度はさまざまですが、有罪か無罪かということに関与し、かつ量刑は裁判官がやるというのもよく行われておりますけれども、今回の裁判員の制度は量刑手続も関与する。死刑にするか無期にするか、これについても関与するわけですね。この点については若干問題があると思う。
 例えば、量刑というのは、さまざまな判例の蓄積の中である程度こういう事件はこれぐらいの量刑というのが何となくあるようなないようなところがあるわけですが、それが非常に突然突発的に変わるということもあり得ると考えますので、私は量刑手続にも関与することには若干疑問も持っております。いかがでしょうか。
#188
○政府参考人(樋渡利秋君) 審議会の議論でもいろいろの議論がございまして、要するに陪審員制度の方がいいんではないかとかいう議論もございました。
 しかし、司法制度審議会の意見におきましては、「裁判員が関与する意義は、裁判官と裁判員が責任を分担しつつ、法律専門家である裁判官と非法律家である裁判員とが相互のコミュニケーションを通じてそれぞれの知識・経験を共有し、その成果を裁判内容に反映させるという点にある。」といたしまして、「このような意義は、犯罪事実の認定ないし有罪・無罪の判定の場面にとどまらず、それと同様に国民の関心が高い刑の量定の場面にも妥当する」というふうにしているところでございます。
#189
○福島瑞穂君 今後も調査検討をぜひお願いいたします。
 証拠開示のことなんですが、例えば集中審理のもとでやる場合には、事前の全面開示がない限り検察官によって隠された証拠が日の目を見ることは事実上不可能となるという、そんな問題があります。つまり、さまざまな制度を導入するに当たって、証拠開示ということが最低限のさまざまな制度の条件になると考えますが、この意見書には一定証拠開示については前向きのことが書かれておりますが、もっと踏み込んで、裁判員の制度を導入するにしろ証拠開示が最低の条件であるというもっとリンクした議論が必要だと考えますが、いかがでしょうか。
#190
○政府参考人(樋渡利秋君) 証拠開示に関しましては、委員御指摘のとおり、審議会の意見で、証拠開示の拡充が必要であり、証拠開示の時期、範囲等に関するルールを法令により明確化するとともに、新たな準備手続の中で、必要に応じて裁判所が開示の要否につき裁定をすることが可能となるような仕組みを整備すべきであるというふうにしておるところでありますが、その証拠開示のルールの明確化に当たりましては、証人威迫、罪証隠滅のおそれ、関係者の名誉、プライバシーの侵害のおそれなどの証拠開示に伴う弊害の防止が可能となるものとする必要があるというふうにもしているところでありまして、証拠開示の具体的あり方につきましては、こうした意見を踏まえつつ、今後十分に検討される必要があるというふうに考えております。
#191
○福島瑞穂君 刑事事件の再審請求の中で、具体的に証拠開示の問題で私自身も苦しんでいます。証拠開示がなかなかなされない、今の基準ですと、余り現行法と変わらないのではないかという危惧も大変思います。
 しかし、裁判員の制度を仮に導入するとすれば、あるいはさまざまな制度を導入するとすれば、証拠開示なくして裁判員の制度はできないと考えますので、もっと今後、議論、検討されるときに、証拠開示についての前向きあるいは全面開示に向けてのルール化など積極的にしてくださるようにお願い申し上げます。
 もし裁判員の制度を導入するとすれば、証拠のあり方などかなり変わらないとだめなのではないかという参考人の意見が午前中にありました。例えば、伝聞証拠の扱い方などについてなんですが、いかがでしょうか。
#192
○政府参考人(樋渡利秋君) そういうことも含めまして当然検討がされるべきことだというふうに思っております。
#193
○福島瑞穂君 ぜひ、これからも徹底的な検討をお願い申し上げます。
 ロースクールの問題に関しては今までも何度も議論が出てきているんですが、再度確認をさせてください。
 今、司法試験受験生の人たちが非常にたくさんいるわけですが、一体ロースクールというのがどうなるのか、皆さん、この間も佐々木委員の方からもありましたが、不安を感じています。これが今の説明ですと、ロースクールと司法試験がしばらく併存するというイメージをこちらは持っているのですが、としても、やはり司法試験受験生は人生かけて勉強しているので不安を感ずると思うんですが、もう少しどういう形になるのか御説明をお願いします。
#194
○政府参考人(樋渡利秋君) 委員のお考えのとおりでございまして、司法制度改革審議会の意見は、新制度への完全な切りかえに至る移行措置として、現行司法試験の受験生に不当な不利益を与えないよう、新司法試験実施後も五年間程度は並行して現行司法試験を実施すべきであるというふうにしております。
 今後、これらの提言の趣旨を踏まえて、関係機関と連携しつつ具体的な制度設計を行っていく必要があるというふうに考えております。
#195
○福島瑞穂君 きょうはずっと財政上の措置の問題、つまり法務省が財源を獲得するに当たって、国会議員はみんな頑張るので、ぜひ頑張ってほしいという旨の質問が続いたと思います。午前中の議論もそうなのですが、かなりやはりこれは財政的な保証がない限りロースクールに通う人の財政上の負担がふえる、あるいは充実したロースクールができないという点ではそれは当然のことだと思います。
 ですから、私の方も、ほかの委員も説明して私からもでちょっとしつこくて済みませんが、大臣、ロースクールも含めた、あるいは司法扶助制度も含めた、被疑者段階での国選弁護にしても相談センターにしても、いずれも増員の、裁判官、検察官、弁護士の増員確保にしても非常にお金がかかるということは明らかです。その点についてぜひ御決意をお願いいたします。
#196
○国務大臣(森山眞弓君) おっしゃるように、大変多岐にわたった、しかも抜本的な改革をしなければならないということで、非常に財政の面でも大きなそれこそ思い切った改革が必要だというふうに思っておりますが、一方において、財政事情は決していい状態ではございませんので、随分難しい難関がたくさんあると思います。
 しかし、ぜひともこの提言が成果を上げますように精いっぱいの努力をしてまいりたいと思いますので、どうぞ先生方の御支援をよろしくお願いいたします。
#197
○福島瑞穂君 この司法制度改革推進法案を見て、前回もちょっと申し上げたのですが、やはり人権という点の文言が本当に弱い。それについては法務大臣は、基本的人権を尊重するということは当然のことだから条文に書かなかったのだというふうにおっしゃいました。ただ、私はやっぱりぜひこれは書いてほしいというふうに思っております。
 例えば、五条でも、民事と刑事とあるんですが、刑事の部分に対する条文は、「刑事に関し、裁判所における手続の一層の充実及び迅速化、被疑者及び被告人に対する公的な弁護制度の整備、検察審査会の機能の強化等を図ること。」となっておりまして、被疑者、被告人の権利の保障、あるいは捜査の透明化などについてはうたわれておりません。この司法制度改革審議会の意見書の中でも、被疑者、被告人の身柄拘束に関連する問題などについては、「直ちに具体的結論を得ることは困難である。」ということで終わってしまっております。
 今後、議論される司法制度改革の中身に当たっては、民事、刑事いずれも重要です。しかし、刑事の中における捜査の透明化や、被疑者、被告人の身柄拘束に関連する諸問題についてもっと検討を深めていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
#198
○国務大臣(森山眞弓君) この本部をつくっていただくことができました上で十分検討したいと考えます。
#199
○福島瑞穂君 この意見書の中で濃淡が物すごくありますけれども、ぜひ検討をしてくださるようにお願いして、私の質問を終わります。
 ありがとうございます。
#200
○平野貞夫君 最後のバッターなんですが、内閣審議官にまずお尋ねしますが、法科大学院を設けるべき理由の中の審議会の認識として、「法曹となるべき者の資質の確保に重大な影響を及ぼすに至っている。」という言葉があるんですが、審議会として何か理想とする法曹の資質みたいなものを考えていたんですか、もしわかったら。
#201
○政府参考人(樋渡利秋君) 審議会の議論の中で、二十一世紀の司法を担う法曹に必要な資質といたしましては、豊かな人間性や感受性、幅広い教養と専門的知識等の基本的資質に加え、社会や人間関係に対する洞察力、人権感覚等が一層求められるというふうにしているところでございます。
#202
○平野貞夫君 なるほど、そこでこの法科大学院の教育理念に結びつくわけですね。
 私は、法科大学院設置について賛成です。賛成ですが、ちょっとこの審議会の意見を読みますと、教育理念というものをかなり具体的に書き込んである。となると、法科大学院、独立行政法人の大学でつくられる場合もあるし私学でつくられる場合もあるわけですが、余り特色というか個性がなくなる。やっぱり法科大学院といえども、法曹人口をふやすためだけじゃないでしょうし、やはり日本の法学という、法律学といいますか、法文化を向上させるために存在するんでしょうから、ちょっとそれぞれのこれから設置される法科大学に理念の押しつけのような印象を持つんですが、その点について何か御意見があれば。
#203
○政府参考人(樋渡利秋君) この審議会で考えております法科大学院の一つの特性といたしまして多様性を考えております。そのカリキュラム等もいろいろなことを、基本的なことはもちろんやっていただかなきゃなりませんけれども、多様な考えの中で法科大学院の自主性を重んじたものを開放的に、公平性を持って設立していっていただきたい。
 したがいまして、その設立は幅広く受け入れるものにしていくべきだというふうに言っておりますので、法科大学院はそれぞれ個性を持った立派なものができていくように期待しております。
#204
○平野貞夫君 そこで、ちょっと法務省にお聞きしますが、平成になって以来の、過去十年ぐらいで結構ですが、弁護士で、除名といいますか、登録を取り消すというのか、専門的な言葉は知りませんが、となった数の変化といいますか、傾向、それから除名事由、理由の傾向を教えてくれませんか。
#205
○政府参考人(房村精一君) 弁護士の懲戒には戒告、業務停止、退会、除名とございまして、退会と除名を受けますと弁護士の資格を最終的には喪失するということになりますので、その二つを合わせた人数を御報告したいと思います。
 年度ごとに申し上げますと、平成三年から平成十二年までですが、平成三年が一名、四年が二名、五年が七名、六年が四名、七年が七名、八年が四名、九年が四名、十年が四名、平成十一年が八名、十二年が八名、以上十年間で合計四十九名でございます。
 処分事由としてはさまざまなものがございますが、比較的目立ちますのは、顧客から預かったお金を使い込んでしまうというような事例、それから弁護士でないいわゆる整理屋と称するような人と提携をして本来は弁護士法で禁止されている業務を行ってしまうという、非弁提携と申しておりますが、そのようなものが比較的目立ちます。特に、近年はこの非弁提携が次第にふえてまいりまして、平成十二年には過去の年度に比べて最高の件数を記録しているというぐあいに聞いております。
#206
○平野貞夫君 これから法曹界に入ってくる人たちのために、この法科大学院が豊かな人間性とか創造的な思考力とか、それから人権とか社会への貢献を行うための意思とか、そういうものを養うことが大事だという審議会の話なんですが、これからの人にも大いにこういうことは、人間性の幅広さを持ってもらいたいんですが、今の司法法制部長さんの説明によると、やっぱり弁護士さんのこういう不祥事件がふえていると。それが現実だというふうに言わざるを得ないと思いますが、となると、新しく法曹に入る人だけじゃなくて、現在の法曹の人たちのこういった、再教育と言ったら大変失礼かもわかりませんが、これはなかなか問題があるんじゃないかという私は問題点を指摘しておきます。
 余り言うと嫌われますから、弁護士さんの話はこれにとどめますが、最高裁の方、弾劾制度ができて訴追された事例とそのときの裁判官の地位、どういう地位であったかということを。
#207
○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) 昭和二十二年に裁判官弾劾裁判制度が発足しておりますが、それ以来七件、これは人数としては六名でございますが、二回訴追された者が一名おりますので七件ございまして、その訴追されたときの裁判官の地位は、地裁判事が二名、それから判事補が二名、簡裁判事が二名、このうちの一回、一人二回訴追された者がおるという状況でございます。
#208
○平野貞夫君 となると、簡易裁判所の裁判官ですか、それから地方裁判所の裁判官あるいは裁判官補というんですか……(「判事補」と呼ぶ者あり)判事補ということで、高等裁判所とか最高裁にはさすがあれですな、そういう事例は。
 これは国会の中に付設されている制度ですから、実際の具体的な事例については最高裁から話をするのは酷だと思いますので私の方で申し上げますが、昭和二十三年、いわゆる物すごく食糧危機といいますか、終戦直後、このときにやみ物資の取引をめぐっての、警察官に物を言ったり、それからやみ取引の捜査の情報を漏らすというふうなことで訴追されて、しかし国会の弾劾裁判所はその程度のことはいいだろうということで、罷免にはなっていないというデータがあるわけなんですが、そのころのことはやっぱりちょっと論外にせないかぬと思いますが、餓死して亡くなった裁判官もいますからね、片一方。
 その後五十数年たって、裁判官が訴追されるというケースがこの数字で多いのか少ないかということの議論はなかなか難しくて私も判断がつかないんですけれども、少なくとも私、間もなく判決があります児童買春のケースですね、私は実はあの法律の提案者でございまして、非常に残念に思っておるんですが、それと例のロッキード事件のときの、当時の内閣総理大臣に電話をかけて録音して記者団に話したというこのケース、この二つは、これはやっぱり司法試験に合格させたところに責任があるんじゃないかと私は思うんですがね。これは答弁要りませんよ。やはり、法曹人というものの人格というのは本当に大事だと思うんですよ。検察官のことについては支障がありますからここでは言いませんですけれども。
 私は衆議院の国会事務局にいたときに、政治家が捕まる前の特捜の人たちとの窓口をやっていまして、若い人が使いに来るわけですが、ひどかったですよ、当時は。これは昭和五十年代なんですけれども、立派ですよ、法律のことについては極めて、際立だって明晰に説明できるんですけれども、世の中のこと、社会のことをどれだけ知っているのかということについて困ったこともありますし、それからロッキード事件のときに、一回目の金銭の授受のときにちょうど衆議院議長が国会の強行採決の収拾の国対委員長会談をやっていまして、私、議長秘書をそのころにやっていて、国対委員長会談をやっていたということを証明したら、弁護団に言われて、途端に特捜から、お前は幾らもらったのか、裁判所に引っ張り出すぞと言われまして、かなり、自分の体験を言えば間違いないですから、検察側の人たちの教育といいますか、そういうものにも非常に問題があると思っております。
 そういうことで、よほど法曹人の人間教育というものには留意をしていただきたいと思います。
 余りもう私、長く時間使いませんが、ただ一つお願いをしておきますのは、大きく制度が変わります。先ほど福島委員の話の中で、制度の移行として五年間の併用の、新制度と旧制度の併用の期間を置くということなんですが、実は制度の変わり目におかしなのが出てくるんですよ。ロッキードの判事補はそうなんです。なぜ知っているかといったら、私、同級生だから。だから、よほど、やっぱり大きく制度を変えることは大事なんですけれども、制度の移行期にはくれぐれも法曹三者の方は気をつけて、二度とああいうことのないような、永遠にないような、日本の国において、ことをお願いして、終わります。
#209
○委員長(高野博師君) 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終局したものと認めます。
 本案の修正について井上哲士君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。井上哲士君。
#210
○井上哲士君 私は、日本共産党、社会民主党・護憲連合を代表して、司法制度改革推進法案に対する修正の動議を提出いたします。内容は、お手元に配付されております案文のとおりでございます。
 これより、その趣旨を御説明いたします。
 本修正案は、国民のための司法改革を進めるためには、国民の参加と公開が肝要だとの観点からであります。
 第一は、第一条の目的から「、国の規制の撤廃又は緩和の一層の進展その他の内外の社会経済情勢の変化に伴い、司法の果たすべき役割がより重要になることにかんがみ」を削除するものです。これは、国民の求める司法改革、すなわち憲法を堅持し、基本的人権を守るための司法改革との観点を無視し、政府、財界の一方的なイデオロギーのみを掲げることは公平を欠き、本法にふさわしくないからであります。
 第二は、第二条の基本理念に「基本的人権の保障及び社会正義の実現を図る」ことを追加するものです。法務大臣は、法文に書き込まなかったのは当然の前提だからと答弁されましたが、司法制度改革の目的、理念として欠かせない文言であります。
 第三は、第五条の基本方針に「裁判官の任命手続及び人事制度その他の司法行政の在り方の見直し」を追加するものです。これは、司法の現状について、最高裁判事の任命のあり方、最高裁事務総局による人事管理、裁判官のキャリアシステム、判検交流など、司法行政のあり方などに対する国民の批判にこたえるため、これらの改革を基本方針に明記するものであります。審議会意見書でも触れられているにもかかわらず、法案から抜け落ちているのは適切でなく、きちんと明記しておくことが必要だからであります。
 第四は、第九条に第二項を新設し、推進計画の作成並びに法律案等の立案に当たっては、成案を得る前に中間試案を公表して、広く国民の意見を聴取しなければならないとの趣旨を明文化したものであり、国民参加の司法改革にとって欠かせない手法であります。
 第五は、第十四条を新設して顧問会議を置くこととしました。衆参の審議を通じて、顧問会議の設置が約束されましたが、その政令などの内容は明確でありません。組織の地位、目的、構成、人選について法文上明記することは、推進本部が内閣そのものであり、行政のみで推進することになっているだけに重要であります。
 第六は、事務局に日弁連の推薦に基づく事務局次長を置くこととしております。これは、行政主導となることを避け、設置が予定されている検討会の運営や事務局の事務処理などを、国民を代表して総合的に把握、推進できるようにするためであります。
 以上が修正案の趣旨であります。国民による国民のための司法改革を実現するため、同僚委員各位の御賛同をお願いいたしまして、提案理由の説明といたします。
#211
○委員長(高野博師君) これより原案並びに修正案について討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより司法制度改革推進法案について採決に入ります。
 まず、井上君提出の修正案の採決を行います。
 本修正案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#212
○委員長(高野博師君) 少数と認めます。よって、井上君提出の修正案は否決されました。
 それでは、次に、原案全部の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#213
○委員長(高野博師君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、千葉景子君から発言を求められておりますので、これを許します。千葉景子君。
#214
○千葉景子君 私は、ただいま可決されました司法制度改革推進法案に対し、自由民主党・保守党、民主党・新緑風会、公明党、日本共産党、社会民主党・護憲連合及び自由党の各派並びに各派に属さない議員柏村武昭君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    司法制度改革推進法案に対する附帯決議(案)
  本法の施行に当たっては、次の事項について特段の配慮をすべきである。
 一 政府は、司法制度改革の推進に当たっては、司法制度改革審議会意見書の意見を尊重するとともに、諸施策を策定・実施するに当たり広く利用者である国民の意思を反映することができるよう、司法制度改革推進本部に設置が予定されている顧問会議、検討会の構成等に特段の配慮をすること。
 二 政府は、顧問会議、検討会を運営するに当たっては、その経過と内容についてできる限りリアルタイムで公開するよう努め、透明性を確保すること。
 三 政府及び関係機関は、人権擁護と社会正義の実現の観点を踏まえ、司法制度改革審議会意見書の指摘する諸課題について、引き続き更なる調査、検討を進め、司法制度改革の推進に積極的に取り組むこと。
 四 政府及び関係機関は、司法制度改革の緊急性にかんがみ、三年以内に主要な関連法案の立案等を遂げるよう努めること。
 五 政府は、司法制度改革を実効性あるものとするため、裁判所、検察庁等の人的・物的体制の充実等を始め、万全の予算措置を行うよう努めること。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
#215
○委員長(高野博師君) ただいま千葉君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#216
○委員長(高野博師君) 全会一致と認めます。よって、千葉君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、森山法務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。森山法務大臣。
#217
○国務大臣(森山眞弓君) ただいま可決されました附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと思います。
#218
○委員長(高野博師君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#219
○委員長(高野博師君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時二十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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