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2001/11/20 第153回国会 参議院 参議院会議録情報 第153回国会 法務委員会 第8号
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2001/11/20 第153回国会 参議院

参議院会議録情報 第153回国会 法務委員会 第8号

#1
第153回国会 法務委員会 第8号
平成十三年十一月二十日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 十一月十五日
    辞任         補欠選任
     三浦 一水君     坂野 重信君
     鈴木  寛君     小川 敏夫君
     高橋 千秋君     江田 五月君
 十一月十六日
    辞任         補欠選任
     坂野 重信君     三浦 一水君
 十一月十九日
    辞任         補欠選任
     片山虎之助君     山下 英利君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         高野 博師君
    理 事
                市川 一朗君
                服部三男雄君
                千葉 景子君
                日笠 勝之君
                井上 哲士君
    委 員
                青木 幹雄君
                岩井 國臣君
                佐々木知子君
                陣内 孝雄君
                中川 義雄君
                三浦 一水君
                山下 英利君
                江田 五月君
                小川 敏夫君
                角田 義一君
                浜四津敏子君
                福島 瑞穂君
                平野 貞夫君
                柏村 武昭君
   国務大臣
       法務大臣     森山 眞弓君
   副大臣
       内閣府副大臣   村田 吉隆君
       法務副大臣    横内 正明君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  中川 義雄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        加藤 一宇君
   政府参考人
       金融庁総務企画
       局審議官     三國谷勝範君
       金融庁証券取引
       等監視委員会事
       務局長      渡辺 達郎君
       法務大臣官房訟
       務総括審議官   都築  弘君
       法務大臣官房司
       法法制部長    房村 精一君
       法務省民事局長  山崎  潮君
       財務大臣官房審
       議官       木村 幸俊君
       財務省国際局次
       長        岩下  正君
       厚生労働大臣官
       房審議官     鈴木 直和君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○商法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆
 議院送付)
○商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係
 法律の整備に関する法律案(内閣提出、衆議院
 送付)
○刑法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議
 院送付)
○刑事訴訟法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○参考人の出席要求に関する件

    ─────────────
#2
○委員長(高野博師君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る十五日、高橋千秋君及び鈴木寛君が委員を辞任され、その補欠として江田五月君及び小川敏夫君が選任されました。
 また、昨十九日、片山虎之助君が委員を辞任され、その補欠として山下英利君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(高野博師君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 商法等の一部を改正する法律案及び商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案の審査のため、本日の委員会に金融庁総務企画局審議官三國谷勝範君、金融庁証券取引等監視委員会事務局長渡辺達郎君、法務大臣官房訟務総括審議官都築弘君、法務大臣官房司法法制部長房村精一君、法務省民事局長山崎潮君、財務大臣官房審議官木村幸俊君、財務省国際局次長岩下正君及び厚生労働大臣官房審議官鈴木直和君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(高野博師君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(高野博師君) 商法等の一部を改正する法律案及び商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案を一括して議題といたします。
 両案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○山下英利君 おはようございます。自由民主党の山下でございます。
 今回審議されます商法等の一部を改正する法律案につきまして、トップバッターとして御質問させていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 まず、今回の法案の中のストックオプションについての質問をさせていただきたいと思います。
 長引く景気の低迷、そして失業者が増加というところで、いかに雇用を守っていくかというところは大変大きな課題になっているところでございますけれども、今回のストックオプションというものは、従来から比べて、従業員に対する使命づけ、インセンティブというところで大きな前進があるんだと、私はそのように理解をしております。
 ここで、大臣に御質問をさせていただきます。
 今回の改正の大まかな概要、そして改正の目的をお聞かせいただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
#7
○国務大臣(森山眞弓君) 今度の改正法案におきましては主な改正事項が二つございます。
 その一つは、会社の資金調達の需要が拡大してその方法が多様化した現状のもとで、会社の円滑な資金調達を可能にして、また新規企業の育成等に資するために、新株発行に関する規制の緩和、種類株式の内容の拡大、新株予約権制度の創設など、株式制度の見直しを行うことでございます。今、先生がお話しされましたストックオプションというのもこの部分に属します。
 その二は、高度情報化社会の到来に対応しまして、会社の作成する書類を電磁的記録で作成し、また株主が議決権を電磁的方法によって行使することなどを可能にすることによって会社運営の合理化を図り、株主の権利行使の機会を確保するため、商法、有限会社法及び株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律の規定に所要の手直しをしようとするものでございます。
#8
○山下英利君 ありがとうございました。
 公開会社、非公開会社、それぞれにおいて期待する点も違っているのではないかと、そう思いますけれども、それに対する御手当てをされているんだと、そのように期待をいたしております。
 経営者とそれから直接経営責任のない一般の従業員の人にとってそれぞれインセンティブは違っていると、そのように思います。もちろん、このストックオプション制度、株価が上昇しなければ自己責任ということは言いつつも、株価低迷になると従業員のモラルの低下ということにもつながるのではないかなと、そのような点も含めて、今回ストックオプションに関する改正の概要を御当局にお聞かせいただきたいと思います。
 今までは個別具体的に別個商法の中で設けられていた、その制度が今回は新株予約権という形でその中の有利発行という形に改正された点があるわけですが、その辺を含めまして御答弁をお願いいたします。
#9
○政府参考人(山崎潮君) ただいま御指摘のように、現行法ではストックオプション制度につきまして特別の規定を設けて規律をしているということになるわけでございます。その一定の制限のもとで取締役及び従業員への付与を認めているということになるわけでございます。
 この改正案におきましては、このストックオプションについて特別の規定は設けておりません。新株予約権の有利発行と位置づけをいたしまして、株主総会の特別決議による授権があれば新株の有利発行の場合と同じように取締役会の決議によって発行をすることができるという位置づけにしているわけでございます。
 このような新株の有利発行と同様の規制に服するということになりますと、その必要性がある限りだれに対してでも発行をすることができるということで、まず対象が広がったということでございます。
 現在、自社の取締役及び従業員に限定されておりますけれども、これが広がることによりまして、社会的に需要がございます子会社の取締役やその使用人に親会社のストックオプションを付与するということも可能になるわけでございますし、あるいは弁護士、経営コンサルタント等の会社の経営上必要な知識を有する人たち、それからあるいは融資機関や業務提携先の法人等についても付与することができるということになるわけでございます。
 また、現行のストックオプション制度では、これを与えられる者の氏名それからその対象の株式の種類、数、発行価額につきまして株主総会の決議を経なければならないということになっているわけでございますけれども、改正法案のもとでは、新株の有利発行の場合と同様に、株主総会の授権の範囲内で、授権は要るわけでございますけれども、取締役会で定めることができるというふうにされております。
 それ以外にも、ストックオプションなどの現在発行できる数、これが発行済み株式総数の十分の一、それからあるいは権利行使の期間は十年と、さまざまな規制がされておりますけれども、この規制も廃止をしたと。これは新株発行の場合と同じように考えて、それからさきの通常国会で自己株式取得及びその保有に関する規制が大幅に緩和されたわけでございまして、これに倣いましてそのような規制も取り払ったと、これが大体の概要でございます。
#10
○山下英利君 ありがとうございました。
 従来の従業員それから会社の役員以外に一般にもこのストックオプションを売れるという、間口を広げ、より証券市場の活性化に資するという点は大いに評価をさせていただきたいと、そのように思っております。
 次に、御質問をさせていただきますが、疑似ストックオプションという言葉がございます。この疑似ストックオプション、これはどういった問題があるのかという点につきましてちょっと御説明をいただけますでしょうか。
#11
○政府参考人(山崎潮君) ただいま御指摘のとおり、現実の実務の中では疑似ストックオプションというものが出回っているというふうに聞いております。
 これは、現在の実務で新株予約権、新株引受権付社債でございますけれども、これをセットとして発行するわけでございます。発行した後にその新株引受権と社債を分離するわけでございます。その社債を償還いたしまして分離されました新株引受権、これを買い戻すわけでございます。これを子会社の取締役等、現行法上、ストックオプションの付与の対象者とされていない者に事実上ストックオプションとして付与する、こういう取り扱いがされているわけでございまして、これが疑似ストックオプションというものでございます。
 この点につきましては、問題点としまして、本来は、こういうふうに分離して単独で付与するということになれば、社債とセットにすること自体がそれほど意味がないことじゃないか、すぐ償還してしまうわけでございますので、手続が煩瑣だということが一つ指摘されております。それから、商法上は現在、ストックオプションの付与については株主総会の決議が必要であるというのに対しまして、この疑似ストックオプションにつきましては取締役会の決議だけで付与することが可能であるということでございまして、株主総会の決議の回避のために脱法的な手段として用いられるなどの指摘がされているところでございまして、今回は、そういう指摘も踏まえまして、それを正規なものとしてきちっと対応したいということで改正案を設けたわけでございます。
#12
○山下英利君 ありがとうございました。
 従来、海外、欧米の市場においては、今御説明のあった新株発行権付社債、要するにワラントですね、このワラントと社債の部分、別々に切り離してマーケットで流通するといったことがされていたわけで、ストックオプションについても同様に、オプションとそれからそれに付随するものとは切り離すというようなやり方でマーケットにおける商品構成といいますか、証券を多様化、これは言ってみれば運用の多様化というふうなところで市場が形成されてきたわけであります。日本の場合には、そういった新しい商品に対して市場がどのように対応できるかというところもこれからの課題ではないかと、私はそのように思っております。
 そんな中で、現行法がストックオプションの付与に関して、付与対象者、付与できる株式数を今まで規制してきたというところの理由を御説明いただきたいと思います。
#13
○政府参考人(山崎潮君) 限定しているのは、まず付与対象者、それから数の問題等がございますけれども、まず付与の対象者についてでございます。
 現行法では、その会社の取締役または使用人に限定しているということでございます。この理由は、新株引受権の単独発行というのは原則として認めないというのが現行法でございまして、例外的にストックオプションだけは認めると、こういう扱いをするわけでございます。そのような非常に例外的な制度を認めるということから、その範囲は極めて限定的にした方がいいだろうという考え方から、その対象者の範囲を絞ったというのが第一点でございます。
 それから、発行できる数それから権利行使ができる期間でございます。これは、発行済み株式総数の十分の一と、権利行使期間は十年間というふうに定められているわけでございます。
 これらの制限は、ストックオプションの態様としてもう一つ、自己株式の取得、自己株式方式によるストックオプションがございましたけれども、その制度が設けられている当時は、自己株式の取得及び保有は原則としては禁止がされていたということで、例外的に認められていたと。そういう中でストックオプションをその後導入したわけでございます。そういうことから例外的に、その数も例外、それから権利行使の期間も限定をする、こういう扱いがされていたわけでございまして、それとの関係でこの新株引受権方式のストックオプションについても同様な規制が設けられていたということでございます。
 それから、株主総会で付与の対象者あるいは株式の種類、数、発行価額、これを決議するということに現行法なっているわけでございますが、やはりこれも極めて例外的に認められるべきものであるということからその正当な理由を要求しておりまして、その正当な理由は株主総会で判断をするということで設けられたと、こういうことでございます。
#14
○山下英利君 ありがとうございます。
 そうしますと、ストックオプションの付与対象者が拡大することによって具体的にどんな利用形態というものが考えられるんでしょうか。お知らせ願います。
#15
○政府参考人(山崎潮君) 限定がなくなったわけでございますので、その中で典型的なものは、例えばある大企業がその傘下のベンチャー企業に人材をスカウトするというためにその大企業が発行する株式を目的とするストックオプション、これを当該ベンチャー企業に移籍した人に付与するというタイプが一つ考えられます。それから、創業から間がない、いわゆる資金繰りに苦しむベンチャー企業でございますけれども、そういう企業が弁護士や経営コンサルタントに報酬のかわりにストックオプションを付与するということで会社のいろいろ経営に関するアドバイスを受けるという場合が考えられます。それから、そういうタイプとは少し違いまして、また中小企業等が銀行に対してストックオプションを付与するということによって貸し出しの金利を軽減してもらうとか、そういう目的にも使うということが可能になる。その経営の形態によってさまざまな利用ができる、こういうことでございます。
#16
○山下英利君 ありがとうございます。
 ただ、中小企業あるいはベンチャー企業などの場合でありますと、株式自体まだ公開されていないということもあって、それが果たしてオプションとしてどれだけの価値を持つのかというところは不透明な部分があるということは言えると思います。もちろん、これ公開会社ですとストックオプションというのはそのもの自体がすぐに価値を持てるというふうに実感ができるわけですけれども、その辺の違いのところも考えた体制を進めていかなければいけない、そのように思っております。
 続きまして、諸外国における今までのストックオプション制度に関する法制の実情をお聞かせいただきたいと思います。
#17
○政府参考人(山崎潮君) 主要国の御紹介ということになろうかと思います。
 この制度を設けているところでございますが、アメリカ、イギリス、フランスはかなり以前から導入がされていたという状況でございます。ドイツが一九九八年に立法がされたということでございます。
 各国のストックオプション制度の内容でございますけれども、まず付与の対象者に関しましては、アメリカは基本的に無限定でございます。ドイツは会社とその結合会社の役員及び従業員に限定をしているという状況でございます。
 それから、権利行使の期間についてですけれども、アメリカ、フランスは法律上の制限はございません。それから、ドイツは取締役の任期中は行使ができるという形をとっているわけでございます。
 それから、数量的なものでございますけれども、アメリカでは基本的には制限はございません。フランスは会社の株主資本の三分の一というふうにされております。
 それから、手続に関してでございますけれども、アメリカでは基本的に取締役会の決議のみで付与が可能であるということでございます。イギリスではオプションの付与対象者が会社の従業員等であれば原則として取締役会によってストックオプションの付与を行うことができるということで、制度を設けているところ、それぞれさまざまな態様があるという状況でございます。
#18
○山下英利君 ありがとうございます。
 今回の改正を拝見して、今の諸外国の事情等をお聞きいたしますと、資本市場が非常に発達している米国の制度により近づいていくという印象を受けるものであります。米国の市場により近づいていくということは、株式のマネー化が進んでいくというふうなところを頭に置かなければいけないんじゃないかなと、そのように思っております。経営者は企業価値を高めないとこれからは市場から見放されていく、そういう基本を忘れてはいけないというようなことを言っているのかなと、そのように思っておりますが、その辺はいかがでございましょうか。
#19
○政府参考人(山崎潮君) 確かに、企業等がグローバル化してきている時代でございます。アメリカ等がそういうような考え方に変わっているということの中で日本の企業も生きていかなければならないという状況でございまして、やはりそこの意識を変えて行動していかなければならないということを物語っているというふうに理解をしております。
#20
○山下英利君 ありがとうございます。
 確かにそういう一面があるんですけれども、一方、株主の立場に立った経営がより求められると同時に、新しいコーポレートガバナンス、企業統治というものが求められていくということで、株価でもうけることばかり考えて会社の経営をしていっては、これはいかがなものかという考えも私はございます。
 確かに、さっき弁護士あるいは会計士といった外部の機関の方にこれは一般的に今回与えられる、付与できるという条件になりますと、会社がもうかるために何をするのかというふうなところがポイントになってその会社のコンサルティングあるいは指導を進めていくということは、ある意味においては企業の活性化につながるでしょうし、ある意味においては企業が間違った方向に行くこともあり得るというふうに私は考えています。
 資本市場の改革と厳しいコーポレートガバナンスという二つの問題点をこれからの経済は克服していかなければいけない、そういう状況にあると思いますが、資本市場のそういった面での管理のチェック体制、これについての強化がさらに必要であろうと私は思っております。証券市場についてのチェック体制、いわゆるインサイダートレーディングに代表されるような不正な取引、これに対する監視というのはますます強めていかなければこういった運用の多様化についていけないのではないかな、そのように思っておるところであります。
 続きまして、今回の改正によりましてストックオプションに関する規制が大幅に緩和をされるわけです。今、私が申し上げた点に関しましての質問なんですが、これによって株主の利益が害されるおそれはないのかという点でございます。
 端的に考えますと、ストックオプションがふえることによって発行株数がふえ、一株当たりの価値が下がると株主の利益を害するというふうなことは考えられると思うんですが、この点につきましてこの改正法案はどのような手当てをされているのか、御説明を願います。
#21
○政府参考人(山崎潮君) ただいま委員御指摘の点、やはりコーポレートガバナンスという問題はきちっと押さえなければならないということはまことに御指摘のとおりでございます。
 そういう観点から、今回かなり規制緩和をするわけでございますけれども、その中でポイントになる点を、株主の利益が害されないようにするポイントを申し上げたいと思いますけれども、これは新株発行の有利発行と同じ新株予約権の有利発行というふうに位置づけるわけでございまして、その機能としては新株の発行と同じような法規制にするということでございます。新株発行は現在発行するものをいうわけでございますけれども、新株予約権の発行というのはある一定期間に一定の価格で行使することができる権利でございます。そういう意味で将来、株になるというものでございますけれども、将来か現在かという違いはございますけれども、やはり新株の有利発行と同じように今考えていくということでございます。
 そうなりますと、現在の新株の有利発行につきましていろいろ規制を設けているわけでございますけれども、まず有利発行をする理由を開示しなければならない、株主総会で。これがどうして必要なのかということをやっぱり開示して、そして三分の二の多数決、いわゆる特別決議による承認を得るということでございまして、まず第一のチェックがそこで行われるということでございます。
 そのほか、取締役等がストックオプションの付与を通じて株主の利益を不当に圧迫しようとするような場合、こういうような場合には現行法の商法でも取締役等の違法行為等の差しとめ請求権というのが認められておりますけれども、この改正法案でも、これに加えまして、ストックオプションの違法発行等につきましても株主にその差しとめ請求権を付与しているということでチェックをするということでございます。
 また、一般的な企業統治、コーポレートガバナンスにつきましては現在、法制審議会で審議中でございまして、次期通常国会にはまた御審議をお願いするということで、その問題はその問題で別途に検討をしているということで御理解をいただきたいと思います。
#22
○山下英利君 どうもありがとうございます。
 商法につきましては、経済環境、そして会社の形態、そういった世の中が変わるにつれてそれへの対応をしていかなければいけないということで、割と細切れといいますか、都度の新しい法的な措置、これが求められるわけで、そういった面では商法の改正、会社法の改正等、ちょこちょことというか、部分部分で行われていかなければいけないというような状況にあるかと思います。
 ここで、私、改めて大臣にお伺いをしたいんですけれども、会社法、商法、今の現状をかんがみまして、これから将来どのような格好でこういった改正等をお考えになっていらっしゃるか、ちょっとお聞かせいただけますでしょうか。
#23
○国務大臣(森山眞弓君) 先生御指摘のように、生きた社会経済を対象としている商法、会社法その他は、その経済の情勢の変化に応じて役に立つものに変えていかなければならないという宿命にあるわけでございまして、昭和五十年ごろから新しい時代に即応するべき商法の改正について基本的な考え方を検討してまいりまして、折々そのような手だてを講じてまいったところでございますが、それで一段落したんでございますけれども、またまた経済が非常に新たな動きを激しく見せまして、引き続き今回のような、あるいは前回のような、また近いうちにいろいろなことが必要であろうというふうに思われております。
 しかし、商法というのは、御存じのとおり、昔からある古い法律でございまして、片仮名で書いてあるんでございますね。これはそもそも基本的に全部初めから見直すべきではないかという御意見も非常に強くございまして、それも大きな課題でございます。
 ですから、差し当たって迫られている緊急の課題に一つ一つ対応しながら、片仮名を平仮名に直す、読みやすい文章に直すというような基本的な大問題にも応じていかなければいけない。とりあえず、当面ぜひ必要なものを先にやらせていただいて、それが一通り片づきました後で基本的な書き方を変えるというようなことも考えていかなければいけない、大変大きな課題を抱えているテーマでございます。
#24
○山下英利君 ありがとうございます。
 今、大臣おっしゃるとおり、やはり世の中の環境に合わせた取り組みというのが一番必要な法律ではないか、そのように思っております。時期を逸しないで、都度対応して経済を支えられる法体制の構築に御尽力いただきたい、そのように思っております。
 今の大臣の御意見に追加してもう一言お聞きをしたいんですが、先ほどちょっと私がお聞きをした資本市場の管理のチェック体制、それからコーポレートガバナンス、そういった問題につきまして法務当局ではどのようなお考えをお持ちですか。何かございましたら、一言お聞かせいただきたいと思うんですが。
#25
○国務大臣(森山眞弓君) 御指摘の点も非常に重大な課題でございまして、いろいろ検討させていただいております。その内容の詳細については専門家の方がよろしいかと思いますが、御指摘のような問題も重要な課題でございまして、できるだけ早い時期にそういうことも御審議いただけるようになるかなというふうには思っておりますが、まだはっきりしたことは申し上げられない状況でございます。
#26
○山下英利君 ありがとうございます。
 市場の方がどんどん移り変わる中で、やはりさっき私がちょっと申し上げたように、非常にアメリカ型の自由経済的な市場がどんどん入ってきている、市場慣行が入ってきているという中にあって、私たちの日本の取引慣行、それとうまくマッチをさせる、うまく合わせていくということは非常に日本の経済の底支えのためには大事ではないかなと、私はそのように思っておる次第であります。
 それで、先ほどの質問に続きましてもう一点お聞きをしたいんですが、今このストックオプションについての現行の税制面でちょっと御質問をさせていただきたいんですが、いかがでしょうか、税制面と申しますか、付与対象者が今回拡大するということに対して考慮した新しい税制の必要というものをお考えになっていらっしゃるかどうか、それをお聞きしたいと思います。
 なぜこういうことをお聞きするかと申しますと、ストックオプションの場合には、そのときの株価より安値で購入した場合は差額を給与所得でやる、そして今度、売却して利益を得た場合は譲渡所得というようなことで、それぞれ課税はされます。課税の状況、現行の状況を踏まえますと、これからこういった新しい仕組みができ上がったときに、従来の税制というものももう一回見直していかなければいけないんじゃないかなと、私もそのように個人的には思っておるんですが、御当局はどういうふうに思っていらっしゃるでしょうか。
#27
○政府参考人(山崎潮君) 所管ではないものですから、その点、具体的に余り踏み込んで言えないかもしれませんけれども、現在の法制については、委員の方は御案内のとおりだと思いますけれども、これに関しましては、税制がある程度優遇されるストックオプションと、そうでないものというふうに分かれているようでございまして、どういう税制になるかという点も、権利行使の期間に行使した際にそこで税金がかけられるものと、それから将来、行使した後に、売ったときにまで繰り延べされるもの、いろいろな取り扱いの差がございます。今回は付与の対象者がふえるわけでございます。そういうものに関して従来の法制度をどういうふうに適用していくか、税制をどういうふうに適用していくかという問題がございます。
 この点につきましては、最終的には所管の省庁において御検討いただくということになるわけでございますが、現在、経団連から、現行の取締役及び使用人に対するストックオプションについての税の特例措置を子会社及びその関連会社の取締役及び使用人にまで拡大してほしいという旨の要望が提出されているところでございまして、この要望を踏まえまして税務当局の方で検討をしていくと、こういう段取りになっているところでございます。
#28
○山下英利君 ありがとうございます。
 今回、その付与対象者がふえた、あるいはグループ会社といいますか、対象が拡大しているということにかんがみて、連結納税制度それから損益の通算といった問題からまた発生してくる問題だと思いますので、またそれはそれで状況を追いながら注視していっていただきたいと思っております。
 続きまして、今回の新株予約権の公募発行という形での条件がございますけれども、この公募発行というのはどういった場合になされるのか、これをちょっと御説明いただきたいと思います。
#29
○政府参考人(山崎潮君) 確かに、今回、新株予約権、単独で発行できるということにしておりますので、これ単独で公募発行すること、これも可能になるわけでございます。一般的に、我々、これ、どういう場合にという想定でございますけれども、これは大量にその時点で新株を発行いたしますとやっぱり株価が下がるというような問題等も抱えるわけでございまして、この新株予約権を発行するということになりますと、その段階では直ちに発行済み株式総数が増加するわけではございません。新株予約権者がその権利行使をするごとに徐々にふえていく、増加していくという形になるわけでございます。
 そういうことで、株価の急激な変動を引き起こすことがないという、そういうタイプの資金調達であるということでございまして、会社の方はその時々のいろいろな事情に合わせて発行をするということになりまして、どういう場合にやるかというのは必ずしも特定できるわけではございませんけれども、そういう利点があるので、それをうまく会社の方で利用をしてもらうと、こういうことでございます。
#30
○山下英利君 どうもありがとうございます。
 公募発行ができる、ますます投資家にとっては運用の手段が広がっていくということでございますけれども、このストックオプションというものだけでなくて、今回の制度の見直しにおいては種類株式制度の見直しということがうたってございます。この概要をちょっと御説明いただけますでしょうか。
#31
○政府参考人(山崎潮君) 現行法では、種類株式といたしまして、利益、利息の配当あるいは残余財産の分配、株式の買い受けあるいは利益消却につきまして異なる内容の株式を発行することができるというふうに規定しているわけでございます。
 この改正法におきましては、このほかに議決権を行使することができる事項、これについて内容の異なる株式をも発行することができるということにしている点が第一の特徴でございます。企業がみずからの判断で株式の内容を定めることができる範囲を広げることによりまして、その資金調達手段を多様化することができるというようにしたものでございます。
 それから、現在、現行法のもとでは、議決権のない株式の発行限度は発行済み株式総数の三分の一までというふうにされているわけでございますが、改正法では、この利用がふえるということを考慮いたしまして、二分の一まで拡大をするということにしているわけでございます。
 それから、もう少し違う点の配慮でございますけれども、例えば利益の配当に関しまして、内容の異なる種類の株式の配当すべき額についてでございますけれども、その算定の基準の要綱を定めまして、具体的には配当額はその当該株式を発行する際の取締役会の決議をもって定めることができるようにするというようなことで、機動的な発行ができるようにするということでございます。例えば、配当可能利益の三〇%を限度にとか、そういうような決め方もできるようにということでございます。
 それからもう一つ、種類株主の拒否権という問題でございます。種類株式を発行した場合には、法令または定款で株主総会等の決議を要するものとされている事項のうち、種類株主がその利益を保護するために必要と考えられる事項、これにつきまして定款で、株主総会の決議のほかに当該種類株主の総会の決議を要するものと、こういうことを定めることができるということにしておりまして、少数株主でございます種類株主の利益の保護を図るという点を設けているというのが特徴でございます。
#32
○山下英利君 ありがとうございました。
 きょうはちょっと質問の時間が限られておりますので、簡単に、次の質問で最後にさせていただきますけれども、今御説明いただいたとおり、種類株式、随分いろんな内容が込み入ってまいりました。
 そして、きょうはちょっと御質問できませんが、今回、法案の中に含まれていますIT化ということもありまして、そういったところでのいわゆる株主総会の事務等がIT、電子化に移行していくわけですから、その辺のところがうまく移行できるようになれば、こういった多様化した環境の中でもこれから会社の運営には資するものであると、私はそのように思っております。
 そして、この種類株式の中でも、いわゆるトラッキングストックというのがよく言われるものですけれども、その部門に対して特に集中した配当を求める、こういった新しい種類の株式によってさらに企業の資金調達というのにも大いに資するものであると、そういうふうに思っております。今回の趣旨がベンチャー企業育成のためということもあって、いわゆるMアンドAといいますか、買収あるいは合併等においての資金調達という面におきましても大いに資するところがあると、そういうふうに私は思っておる次第であります。
 最後になりましたけれども、今回の種類株式の制度の改善によって、具体的にはどのようなニーズに基づいてどのような種類の株式が発行されるのかということなんですが、今、私が申し上げたことと重複するかもしれませんけれども、御当局としての見通しをお聞かせいただいて、私の質問を終わりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
#33
○政府参考人(山崎潮君) ただいま御指摘がございましたトラッキングストック、いわゆる配当額が会社のある営業部門の利益に連動するような株式をいうわけでございますけれども、これを発行することが可能になるということでございます。
 このような株式が発行された場合、株主は特定の営業部門の利益のみを優先するということに傾きがちでございまして、完全な議決権を与えても適切な行使を期待できないという可能性もございます。そこで、この改正案のもとでは、そのような株主については、その有する議決権の範囲を当該営業部門の譲渡のような事項に制限する、こういうようなことも一つの方法として可能になるということでございます。
 それからもう一つ、ベンチャーキャピタルの問題でございますが、これはいわゆるベンチャー企業の創業者と、それからそこに投資をするいわゆるベンチャーキャピタルでございますけれども、これが例えば企業全部について議決権を持つということになりますと、これは創業者の方が逆に追い出されてしまう可能性もあるわけでございまして、その点は保護しなければ企業としては育たないという問題がございます。
 そこで、ベンチャーキャピタルに株式を与えるわけでございますけれども、その場合に、利益の処分案、それからあるいは営業譲渡についての議決権のみを与えるということにしまして、それ以外の点については議決権を与えないと、こういうことで利用してもらうというタイプが可能になると。大きく典型的に申し上げまして、そういうような二つの例があるということでございます。
#34
○山下英利君 どうもありがとうございました。
 これで私の質問を終わります。
#35
○小川敏夫君 民主党・新緑風会の小川敏夫です。
 まず初めに、法務大臣にお尋ねしますが、商法改正が近々抜本的な改正を行うということで今取り組んでおられるということですが、商法改正に向けての全体像について、現状を御説明をお願いいただきます。
#36
○国務大臣(森山眞弓君) 商法の中心となる会社法制につきましては、会社分割法制の創設を内容とする平成十二年の商法改正によりまして、昭和五十年ごろから継続してきました全面的な見直し作業が一応一段落したところでございます。しかし、その間にも会社を取り巻く社会経済情勢が著しく変化しておりまして、経済界を初め関係各界から改正要望が寄せられている状況でございます。
 そこで、法制審議会では、昨年の九月、会社法制を新しい世紀に見合ったものにするように幾つかの御指摘がございました。
 まず、企業統治の実効性の確保、高度情報化社会への対応、企業の資金調達手段の改善、企業活動の国際化への対応の四つの視点でございまして、これらの視点から大幅な見直しを行うことを決定しまして、審議を継続しているところでございます。
 このうち、二番目に申しました高度情報化社会への対応の具体化である株主総会のIT化を主な内容とする会社関係書類の電子化、それから三番目に申しました企業の資金調達手段の改善の具体化でありますストックオプション制度の改善を主な内容とします株式制度の改善につきましては特に緊急性があるということでございまして、この国会への法案提出を目途として検討を行いまして、この九月五日に法制審議会において商法等の一部を改正する法律案要綱が決定され、法案提出に至ったという次第でございます。
 そのほかの事項につきましては、来年春の通常国会への法案提出を目標に検討作業を継続いたしております。
 また、以上のような実質的な改正を終了しました後、さらに現代語化、先ほども片仮名と申しましたが、もっと読みやすくわかりやすい言葉に直すというような大きな作業もございます。そのための検討を行いまして、平成十六年ごろを目指して商法の現代語化も行いたいというのが私どもの希望でございます。
#37
○小川敏夫君 商法の改正、抜本的な見直しをぜひ進めていただきたいと思っておりますが、今回のこの一部改正が特に緊急性があるというお話でしたが、ただ、来年の通常国会にかなり大がかりな改正が出てくるとも聞いておりますが、半年急ぐだけの緊急性があるのかなと私は思っておるわけです。
 私、大変に勘ぐり深い性格を持っておるんですけれども、なぜ半年急ぐのかなといろいろ推理をめぐらせました。思い出しますと、前回、これは議員立法だったんですけれども、自己株式の解禁というのがございました。自己株式の解禁という、いわゆる金庫株と言われていたテーマの中にちょろっと、資本準備金を取り崩して配当してもいいという部分の規定が、紛れるというのは大変失礼かもしれないけれども、入り込んでいたわけです。
 きょうも朝刊を見ましたら、まさに銀行が資本準備金を取り崩して配当すると言っておりました。配当しないと政府から資本注入を受けた優先株が議決権が出てしまって国有銀行になってしまう、そのために資本準備金を取り崩してでも配当しなければならないという事態が生じているわけです。
 そうすると、前回の国会で金庫株、金庫株と言っていたけれども、その陰に隠れて資本準備金の取り崩しというのが、与党提案であんなに急いで、私どもは反対したんですけれども、採決されてしまったというのが、ああ、本音はここにあったのかなと。すなわち、資本準備金を取り崩して配当できるようにしないと資本注入を受けた銀行が困ってしまう、まさにそれが緊急に迫っているからだということが私わかったと自分で理解しておるわけです。
 それで、今回、この改正点を見まして、ストックオプションも確かに前向きに取り組むのがいいし、計算書類もいいし、種類株式もいいんだけれども、何で半年も急ぐんだろうということになりまして、ここからが私の推理なんですけれども、そうすると、今の銀行の資本注入の問題、優先株で資本注入して、銀行が配当できないと議決権が出て国有銀行になってしまうというから困るわけで、じゃ株式の種類をふやして議決権がない普通株式というものを認めてしまって、次に国が資本注入するときには議決権がない普通株で資本注入すれば、今の優先株で配当しなければならない、議決権が復活して国有銀行になってしまうという問題は解消されると思いまして、私は、今回こういうこの商法一部改正の緊急点はまさにそこの、銀行に対する第二次の資本注入、これに備えて優先株ではない、議決権がない普通株という形で資本注入できることに主眼があるんじゃないかと私は勘ぐっておるわけですけれども、私の勘ぐりはこれはどうなんでしょうか。勘ぐりは勘ぐりということで結構ですけれども、御感想を、当局でも大臣でも結構ですけれども、お聞かせいただければと思います。
#38
○政府参考人(山崎潮君) 私どもは、金庫株の関係については議員立法で御案内のとおり成立したわけでございまして、政府としてはそれと別途に考えていたものでございます。
 それで、なぜ前倒しするのかということでございますけれども、これは、もう一つポイントになっておりますいわゆるIT化の問題がございまして、株主総会のIT化でございますけれども、企業としてはこれによっていろいろな管理コスト等が減らすことができるということで、これはもう来年の株主総会からぜひ導入したいという点がございまして、それが喫緊の課題であるということで前倒しをするということでございます。
 それから、やはり株式について今回大きなパックで改正案を出させていただいているわけでございますけれども、これは、はっきり申し上げまして現在の状況、非常に資金が調達しにくい状況でございます、いわゆる銀行の貸し渋りという問題もあろうかと思いますけれども。そうなりますと、企業としてはどうしても自分でみずからの直接金融をやる手段、これを確保しなければならないという状況で、これもかなり急ぐ状況でございます。
 そういうことから、さまざまな種類の株式、これを導入いたしまして、それによって資金調達を得るという手段あるいはメニューを多様化したということでございまして、やはりこれは経済の緊急対策という形で導入したわけでございまして、先ほどの銀行が云々という話とは直接結びついていないということでございます。
#39
○小川敏夫君 ある意味で私の推理は法務当局に御答弁いただきにくい事柄であったのでこれ以上とは思いますが、いずれ仮に第二次の資本注入があって、議決権がない普通株というような形で資本注入されれば、私の推理はやはりそうだったのかなと、その時点で満足するということにしまして、次の質問に行きたいと思います。
 少し話はずれますが、現物出資等で裁判所が選任する検査役が検査するというのをこれから弁護士ができるというような検討をされているという部分があったようですが、今回は、この商法一部改正案の中には入っていなかったんですが、その点について、弁護士だけじゃなくて税理士とかそうしたさまざまな専門職も含めて検討されたらいいとは思うんですが、当局の方、そういう方向で検討されているんでしょうか。
#40
○政府参考人(山崎潮君) ただいま御指摘の検査役についてでございますが、弁護士等の証明制度につきましては、現在、法制審議会の会社法部会において審議をしております。
 その証明主体として税理士を加えるべきかどうかという点の御意見があるということ、私どもも承知しておりまして、この点につきましても、やはり資本充実の原則という株式会社法制の根幹にかかわる制度に関するものでございますので、今鋭意検討を進めておりまして、もう間もなくそのどちらにするかという結論が出るということで、現在まだ審議中でございますので、どうするかという点については御勘弁をいただきたいと思います。
#41
○小川敏夫君 話が少しそれましたが、もとに戻しますが、ストックオプションの点についてこれから質問させていただきます。
 企業から見て、資金調達の方法としてさまざまな方向でやりやすいという面は大変に私もそう思うし、これをあえて私は絶対だめだと言う気はないんで、それはそれでいいんですけれども、私も勘ぐり深いと同時に非常に疑り深い性格もあるもので、非常に企業の経営者にとって使いやすいということは、多くの経営者はまじめに真っ当にやっているんでしょうけれども、不心得な経営者から見ると悪事に利用しやすいということにもなるんじゃないかと私は思うわけです。
 ですから、非常に使いやすい形でストックオプションというのを認めるのはいいんだけれども、それに対して何らかの弊害が生じないか、具体的に言えば不公正な付与とかそういったものがなされないか、それを防止できないかということなんですけれども、そういう方の手当てが不十分なまま、こうしていわば非常に使い勝手のいい制度をどんどん導入していくというのは、ちょっと私、慎重に考えるべきじゃないかとは思うんですが、そういう観点からまたお尋ねするんですけれども、まず有利発行、これが例えばストックオプション、いわば株を買うということですけれども、これまでの説明ですと、新株の発行と同じように不公正な価格で発行されることがないような手当てをしているということなんですけれども、私は、新株の発行とこの新株予約権の付与、これ全然違うと思うんですよね。
 どういうふうに違うかというと、投資でも投機でもばくちでも、すべて元手というものがあって、その元手を運用するのが投資、ちょっと危険だったら投機、かけになりゃばくちになるわけですよね。新株発行というのは、その発行価格が幾らかということは別にしても、新株を発行した時点でそれに応じる人は現実に出資金を払い込むわけですよね。ところが、このストックオプション、特に無償のストックオプションの場合には一銭も払い込まないんです。一銭も払い込まないけれども、将来ある価格で株を買うことができるから、その価格以上に株が上がっていれば利益を得ることができるわけです。一方、その価格に満たなければその株、権利行使をしなければいいわけで、損は出ないんです。すなわち、元手が全然要らない、しかも損失が出ない、状況によって利益が得られる、これがまさに無償で与えられるストックオプションですよね。
 私の理解は、ここまではよろしいですね。
#42
○政府参考人(山崎潮君) 今回の改正案で、ストックオプションは新株予約権の有利発行というふうに位置づけておりますので、通常の新株予約権でございますと、その発行のときに発行の価格を払い込んでいただきます。それから、将来ある一定の期間の間に一定の価格を払い込めば買い受けるということは二重に確かにお金を払い込むということになります。
 ストックオプションは、当初の段階の、発行の段階では一銭も払わない、無償である、それから将来のある一定の期間で一定の価格を払い込む、ここは同じでございます。
 ですから、先生の今の御理解で正しいということになろうかと思います。
#43
○小川敏夫君 ストックオプションは将来払い込む義務はないわけですよね。だから、株が下がっていれば別に市場より安い株を買う義務はないわけで、そこで損失は出ないわけです、権利を行使しなければいいんだから。
 だから、今言ったように、私は、初めに元手は一切要らない、すべてのリスクにもさらされない、ただ、近い将来か遠い将来かわからないけれども利益を得られるだけという非常においしい仕組みだと思うんですよ、この無償でストックオプションの権利の付与を受けるということは。
 という点に関しまして、そうすると今回、これまではそのストックオプションに関して非常に限られた、社内の限られた人間にしかそれは付与できなかったという面があったんですけれども、今度はだれでもいいわけですよね。だから、取締役が自分の退職金にとか、それから自分と非常に関係の濃い第三者の会社にとか、そうしたところにどんどん無償でストックオプションの権利を付与してしまうという形で、取締役が自分や自分の関係者の私腹を肥やすといいますか、まさに犯罪になるのか、あるいは犯罪的というか、そうした悪事に利用されはしないかということを私は心配しているんですけれども、この点はどうでしょうか。
#44
○政府参考人(山崎潮君) そのような点を防止するという意味から、株主総会におきましてこの新株予約権の有利発行をする必要性、その理由、これを開示するということになっております。ですから、まずそこで正当な、正当というか合理的な理由があるかどうか、これをチェックいただくということがございます。
 それから、特別決議でございます。三分の二という多数でございます。そこで承認をいただくという点、それから仮に、今、委員御指摘のように、いろいろ取締役が自分の私腹を肥やすとか、そういうような行動に出ているということであればその発行の差しどめということもできるわけでございまして、そういうような手段で違法なことを防止するという制度でできているというふうに御理解をいただきたいと思います。
#45
○小川敏夫君 私は、今回の改正案でそれだけではちょっと不十分だと思うんです。
 まず、今度の法案では、そうした有利発行をする場合に、今答弁があったような事項を示して特別決議ということですけれども、だれに付与するんだということについては株主総会で説明すべき事項に入っていないですね。ただ、そうした有利なストックオプションの付与をするんだということまでであって、付与の相手方までは株主総会で説明しなくていいことになっていると。
 そうすると、例えば今後の当社の事業拡大のためにこれまで密接な取引先に対してストックオプションの権利を付与して、当社の業績が上がるよう取引先にも協力してもらうために主要取引先に有利付与をするんだというような総論的な形で特別決議の承認を経た後、あとはだれに付与するか、これは取締役が決定できるわけですよね。
 そうすると、その中で有力な取引先の中に何か取締役のダミー会社が入っていたりすればそれは防止できないんじゃないかというふうに考えますと、どうもそうしたいわば取締役のお手盛り的なことが許されてしまう余地があるんじゃないか。私は、そういう意味でこの有利発行に対する規制が少し緩過ぎるんじゃないかというふうに思うんですが、現実にそうした特別決議を経た後に、有利なストックオプションの付与が枠が認められた後にそれを実際にどこに付与するか、これは取締役に、代表取締役がやるんでしょうけれども、そこが決定できるわけですね。
 だから、そこで私は、私自身が疑り深いというだけじゃなくて、客観的にも少し役員のお手盛りのために利用されてしまう、そうしたすき間があるんじゃないかと懸念しておるわけですが、いかがでしょうか。
#46
○政府参考人(山崎潮君) 確かに、御指摘のとおり枠は株主総会で決めるわけでございますけれども、だれに付与するかというのは取締役会で経営判断として行うということでございます。
 それについて、じゃ、どういうチェック方法があるかということでございますが、これは省令に委任をいたしまして、だれにどれだけの株がどの種類が行っているかということを営業報告書に記載させるということを今考えておりまして、これは具体的に委任規定がございまして、そこで明らかにするということで、やみからやみへ葬られることがないようにきちっと開示をする、それによって経営責任が問題があるならば追及をしていただくと、こういうことで担保をしているというふうに考えております。
#47
○小川敏夫君 省令でそうした規定、もちろんないよりもあった方が当然いいわけですけれども、やはり事後的な報告ということよりも、そもそもそのような不心得な意図を持った有利発行というものができないような、そうした仕組みをつくるべきではないかというふうに思います。そういう意味で、私はやっぱり総会の特別決議を受けるときに、その有利発行を受ける、有利発行というのかな、そのストックオプションの権利の有利な付与を受ける相手方をやはり株主総会の特別決議の内容にすべきじゃないかというふうな意見を述べさせていただきます。
 それから、そもそもやはりストックオプションというこういう制度、私は賛成なんですけれども、さっきも言いましたように、経営者にとって非常にやりやすいというのは、うがった見方をすれば経営者が悪事も働きやすいというふうにも言えるわけです。
 そういう意味で、私は、このストックオプションの規定にとどまらず、いわゆるコーポレートガバナンス、取締役がまさにそうした地位を利用して私腹を肥やしたり、その他不公正なことができないような、そうした会社のまさにコーポレートガバナンス、企業統治なんですけれども、そういう仕組みをきちんと構築してから私はこういう制度を導入した方がよかったんではないかと思うんですが、どうでしょう、取締役の不正ができないようなコーポレートガバナンスについて、今どのような取り組みがなされているんでしょうか。
#48
○政府参考人(山崎潮君) コーポレートガバナンスの問題につきましては、現在、法制審議会で検討中でございます。
 中間試案の中に、例えば会社の今取締役は実行部隊であるとともに監査もしているという二つの役割を持っているわけでございますけれども、執行役と取締役を分離いたしまして、各種委員会を設けてチェックをする方式、これの導入の可否、あるいは社外取締役等の導入の可否等、現在そういうコーポレートガバナンスの観点から一般的に今検討を続けておりまして、最終的には来年の通常国会で御審議をいただくということでございまして、もう少し結論が出るのをお待ちいただきたいと思いますが、確かに、じゃ一緒にということで、もともと一緒に我々やるというふうに考えていたわけでございますけれども、やはり現在の経済情勢、これが喫緊な課題であるということで若干前倒しをしたということで、本来は一緒にしてお出しをするという予定であったことを御理解いただきたいと思います。
#49
○小川敏夫君 まさに、本来一緒にやるべきというお話でした。それがなぜこれだけ前もって出てきちゃったのか。先ほどの私の話に戻るわけですけれども、銀行救済の種類株式の改正だけじゃ何か格好がつかないからとりあえずこのストックオプションと計算書類の公告もくっつけて、実は本当のねらいは種類株式のところにあったんじゃないかという私の考えを述べさせていただいて、これはまた、答弁は要りません。
 それで、有利発行、無償の発行の場合についてはお尋ねしましたけれども、今度はいわゆる有償の場合、そうするとこれはこういう構造になるわけですよね。つまり新株予約権、この新株予約権の付与を受けるときに一定の対価は払うわけですね。そして、今度は実際に予約権を行使するときに今度はその払い込みをするわけです。
 私は、そこでもってまた経営者が、私が経営者になっていかに悪いことをしようかというふうに考えたときに、新株発行の場合には全額の払い込みを受けて、当然それが資本金なり資本準備金に入るわけです。新株予約権で、予約権を付与するということで一定のお金を有償でもらうと。しかし、株価がその転換価格まで行かなければ行使されないまま終わりますよね。結局、その予約権の行使期間が過ぎちゃったとなると、当然、新株予約権は失権しちゃうわけです。そうすると、初めにその新株予約権を付与したときにもらった対価、これは会社のもうけになっちゃうんじゃないでしょうか。
#50
○政府参考人(山崎潮君) そのとおりでございまして、会社の利益という形になるかと思います。そういう意味の、ある種の、上がるか上がらないか、そういう判断が当然入る商品であるということを御理解いただきたいと思います。
#51
○小川敏夫君 ですから、例えばこれまでも株を非常に高くして、したのか、あるいはたまたまなってしまったのか、非常に高いときに時価発行増資というのがあって、その後株が下がっちゃって投資家が損するということはよくありました。でも、株が上がろうと下がろうと、しかし新株を引き受けたその株は持っているわけですよね。
 今回のこの新株予約権の場合に、お金を払って予約権は購入したと。しかし、実際には払い込んだわけじゃないから株は取得していないわけですよね。で、予約権を行使しないまま予約権も失効しちゃったら、何も残っていないので丸損になっちゃうわけです。
 例えば、ネットバブルで二十何万円した株が今、千円台だとかひどい状態もあるわけです。そうすると、企業の経営者が、いわば見せかけだけよくして、それで高い株価を前提にしたいわば転換価格というものを設定して、将来よくなるよ、決算もいいよみたいに言って、予約権を、新株の予約を有償で公募するなりなんなりして投資家からお金を集めると。しかし、その後株がどんと下がってしまえば、それは予約権は行使されないままとなってしまって、企業はまさに株を発行しているわけじゃないし、お金が丸もうけということが出てしまうんで、私は日本の会社の経営者の多くはそういう方じゃないと思っていますけれども、一部の不心得な経営者がいれば、そこで投資家が泣かされてしまうということが出ると思うんですが。
 そういった面で私は、会社にとってやりやすいという面もあるけれども、しかしそれは不心得な経営者から見れば不正なり不公正がやりやすいということにもなるので、慎重な配慮をしていただきたいと思っているんですが、そこら辺の投資家の保護という面ではいかがでしょうか。
#52
○政府参考人(山崎潮君) この種のものにつきましてはかなり予測が入ることは間違いございません。株価の読みの問題、それから経済全体の読みの問題、さまざま入りまして、これはやはり市場があるわけでございますので、そこの需要と供給の問題で決まってくるわけでございます。
 そういう意味で、これはもともと、将来ある一定の権利行使期間にそこまで株が行かない、株価が行かないということもあり得べしということは、やはり投資家は買うときにきちっとその点は判断をしていただきたい、そういうものであるということをわかった上で購入をしていただく、そういう種類のものであるというふうに私どもは理解しておりまして、そこはもう判断にお任せするということになろうかと思います。これで危険なものだったら買わないということで、幾ら売り出したって売れないということでございますので、そこのところは企業も信頼を得るべくきちっとした対応をしなければならないということが求められている、それがない限りは売れないということになるというふうに理解をしております。
#53
○小川敏夫君 確かに、投資家がすべてをわかっていればいいんですけれども、なかなかやっぱり企業の実態というもの、外部の投資家にはわかりにくいですから、企業の経営者が悪意で株価が上がるようなそうした状況をつくり出すというような場合も過去の例でないわけじゃないわけで、そうすると投資家にはなかなか判断できない部分があります。これは法務当局というよりもまさに、そうではなくて、証券市場とかそうした問題の点にかかわってくるんでしょうけれども、こうした法制を導入する際にもそうした観点というものをぜひ重要に配慮していただきたいと思っております。
 さらに、この有利発行のことについてお尋ねしますが、この有利という意味は、一つは新株の予約権、この付与を受けるときに、無償なら当然有利だと思うんですが、有償の場合もあると。それからもう一つ、有利な判断で、まさに権利行使価格、さっきは転換価格と言いましたけれども、権利行使価格、これが低ければ、これは当然、有利発行になるわけですね。
#54
○政府参考人(山崎潮君) この意味でございますけれども、これは、新株予約権発行時点において払い込まれる新株予約権の発行の対価がございます。それと、その予約権の行使時点に払い込むべき権利行使額がございます。この合計が、その新株予約権の発行時点において予測されます権利行使期間中における株価の平均値、これより特に低額である場合には特に有利になる条件ということになるわけでございます。ですから、合計価格で判断をするということでございます。
#55
○小川敏夫君 合計価格ということでしたけれども、でも、新株予約権を無償でもらっていれば、さっきも言いましたように、ただでもらって絶対損をしない、状況によってはもうかるわけですから、私はその権利行使価格にかかわらず有利発行だとは思うんですが、まあそれは私の意見としまして、付与のときの価格と権利行使価格の合算金額が有利不利の判定だということですが、何に比較して有利不利と判定するんでしょうか。それは現在の株価ですか。それとも将来の株価ですか。何に比較して、その基準を教えてください。
#56
○政府参考人(山崎潮君) ただいま申し上げましたように、権利行使期間、例えば三年後とかの一年間とか、そういうふうに仮に定めたとしますと、その期間中における株価の平均値ということになりますから、予測値であるわけでございます。
 それで、これをどういうふうに出すかということでございますけれども、これは、例えば市場価格がある株式を典型例でちょっととりたいと思いますけれども、この平均値の出し方でございますけれども、特定の株式の株価の変動というのは過去においての株価の変動の仕方と一応同様なものになるということが多いという経験則がございまして、これを前提といたしまして、その値動きから当該株式の株価のばらつき度合いを求めるといういわゆる統計手法がございまして、その統計手法で権利行使期間中に特定の価格になるという確率を算出いたします。それで、その特定の株価に確率を乗じたもの、この数値を出しまして、その間で幾つかの株価になる確率があるわけでございますけれども、それを全部合算をいたします。合算をいたしますと予測値が出てくるということで、これは現在の実務でもこういう方式で計算をしているということでございます。ただ、これは確率でございますので、そこには幅があるということは当然前提になっておりまして、必ずそうなるかということも、これはまたわからない話でございます。
 それからまた、仮に、非常にある時期不安定な値動きをしたという株もございます。そういうものについては、かなり異常な事態のところはカットをいたしまして、それと同種の株式がございますけれども、そういうものの株価の動向とか、こういうものも参考にしながら確率を出してそれの計算をしていくと、こういうことでございます。
#57
○小川敏夫君 将来の株価を予測して、その予測値と比較して有利か不利かを決めるという話で、どうも私は有利かどうかの判定が非常に困難じゃないかと。困難だということは、逆に、有利で不公正な発行だと認定するのが困難だという形になって、結局は実質的に有利発行であっても有利発行の手続がなされないで、取締役側のやりたい放題といいますか、恣意的な形で発行されてしまうのではないかというふうにも思うんですけれども、どうもその予測値というところがなかなかわかりにくい。
 最近、何かそういうことで経済学のノーベル賞を受賞した方もいらっしゃるそうですけれども、しかし幾ら予測値といっても、例えば現実的な問題、平成三年の日本の株価三万円から十年後の今を予測して、こんな予測値は平成三年ごろに予測されたんだろうかと。とても平成三年の時点にさかのぼって十年後の今の一万円前後の株を、私は予測値の範囲ももう既に外れていると思うんですよね。
 そう考えると、将来の予測値、幾らそういうふうに確率とかいろいろ言っても、結局、将来のことだから絶対確定的な数字は出ないとなると、この有利不利の判定が著しく困難で、結局は有利発行という範疇に入るものが非常に少なくなってしまうんじゃないかと私は思うんですが、どうでしょうか、そこのところは。
#58
○政府参考人(山崎潮君) そこの判定、予測値でございますから難しいところがございますけれども、これをかなりいいかげんな形でやるということになりますと、やはりそれが取締役等の職務上の責任に発展することもございますし、それがあるいは法令等に違反するということもございます。それから、あるいは著しく不公正な方法だというふうになることもあるわけでございますので、そういうものにつきましては新株予約権の発行の差しどめということで手段を設けているわけでございます。
 それ以外の点についても、有利か不利か、これは後でいろいろ経営責任が問題になるということであれば、経営者としてはそれは株主総会に判断を仰ぐということを選択した方がコーポレートガバナンスの点では正しいやり方だと私は思っております。
#59
○小川敏夫君 不公正であれば新株発行の差しどめとか手続があるというようなことですけれども、私が聞いているのはそうじゃなくて、不公正かどうかを判定するいわば物差しが将来の予測という非常に不明確なものであるから、しかも不明確な幅が広過ぎて実質上その判定が不可能じゃないかと思うんですよね。
 例えば、現在の株価を基準にして、これより安ければもちろん有利発行に決まっているというような形で、現在の株価を基準にするならこれは客観的な数字があるから、それで有利か不利かすぐに判定できると思うんですけれども、どうも将来の株価予測値を物差しにして有利不利というのは非常に判定が難しいんじゃないかと。判定が難しいということは、結局、裁判所もこれは有利発行だからといって発行の差しどめをするといっても、有利かどうかの物差しがわからなけりゃグレーゾーンになってしまう。じゃ、立証責任はどっちだ云々かんぬんになって、結局、差しどめできなくなってしまうんじゃないかと思うわけですね。
 ですから、どうしても将来の株価の予測値という物差しだけで有利不利を判定するというのは、実際上の実務のあり方として無理じゃないかと私は思うんですが、どうでしょうか。
#60
○政府参考人(山崎潮君) 確かに、そういうような御指摘もございますが、現実に現在の株式の実務におきまして、これはブラック・ショールズ・モデルと言われているようでございます。先ほど私が御説明したものでございますけれども、これで算定をいたしまして開示をしていくという実務で現に行われているということでございまして、これを法制化するということでございます。それで、これについて今のところ特段非常な不都合があるという声は聞いていないという状況でございます。
#61
○小川敏夫君 その理論に従った投機集団がありましたよね、LTCMだったかな、三年ぐらい前に破綻した投機集団がありましたね。経済学理論を使った資金の投機をして結局破綻しちゃった投機集団があったと思うんですが、どうなんでしょうね。弊害が生じていないということはないと思うんですが、いかがでしょうか、そこのところは。
#62
○政府参考人(山崎潮君) 確かに、経済というのは何が起こるかわかりませんから、外れることも大いにあるわけですけれども、一般的な状況の中で予測値が求められる算式というのですか方式、これが確立しているということを申し上げているわけでございまして、これに依拠してやるほかはないのではないか。それはパニックの状態の経済が招来すれば、それは当然もう予測の範囲外ということになるわけで、そういう危険は当然伴っているものという、そういう商品であるということでございます。
#63
○小川敏夫君 有利不利、私はその物差しが非常に客観的なものがない、すなわち今答弁聞いても、さまざまな推定値が出たらそれの平均をとるということですから、いわば幅があるわけでして、非常にその判定が難しい。
 さらに、やはり新株発行ですと、現実にそのときにお金を払い込んで株を受けるという形で非常にわかりやすいんですけれども、新株予約権という形で出ますと、いつそれが行使されて現実化するのかわからない。十年という制限もないから、もっと長いこともあるかもしれないというふうに考えると非常に見えにくいというのか、目の前で新株発行という形で不公正なことがされればすぐわかるんですけれども、なかなか新株予約権の形ですと長い期間にわたってばらばらと出るような形があって、私は見えにくい部分もあると思うんですね。
 ですから、私が最初に述べたように、非常にこの新株予約権制度、ストックオプションの制度というのは経営者にとって使いやすいし、今の経済の状況から見て有用な部分もあるんでしょうし、私はその部分で賛成はしますけれども、同時にやはりそれに伴ってこれを悪用するものにとっても使いやすいという面があるんじゃないかというふうに思います。
 ですから、そういった面でさまざまないわゆるコーポレートガバナンスの制度とかあるいはインサイダー取引の防止、それから市場における投資家の保護というような面について、さまざまな観点からそうした弊害が生じないようにぜひ努めていただきたいと思います。その点、気持ちだけで結構ですけれども、ぜひ答弁をお願いします。
#64
○政府参考人(山崎潮君) 委員御指摘の点、私どももそういう問題点があるということを十分認識して、これをまた運用を続けて本当に問題があれば速やかに改正をしていくということで、この制度が乱用が起こらないようにずっと監視をしていきたいというふうに思っております。
 また、金融市場等の方についても金融庁等に依頼をして問題がないようないろいろ手当てを加えていただくということを考えております。
#65
○小川敏夫君 次に進ませていただきます。
 種類株式の点ですけれども、いわゆる優先株について、利益配当について普通の株式よりも優先するという株式の優先の態様ですね、これが先ほどの山下委員の答弁にもありましたように非常に多様化されるわけですね。
 ある事業分野に関しての利益を優先的に受けるというような部分もありましたけれども、そうした縦割りの分野別の優先じゃなくて数量的な優先、例えば、ある一定利益までは普通だけれども、それ以上出たら優先的にその部分の配当を受けられるとか、そうした量的な意味の優先もあるわけですね。逆に、優先を受けられるべきさまざまな形があると思うんですが、極端に言えば、客観的な基準さえ設けられればどんな形であってもいいということになるんでしょうか。
#66
○政府参考人(山崎潮君) 基本的には、その利益等が算出できる、そういう基準をきちっと設ければどういう態様の種類株を出してもいいということになりますが、利益について違うような、ある一定の利益以上上がったときにはその分を配当するとか、そういうものも可能であるというふうに理解をしております。
#67
○小川敏夫君 私は、一つ心配するのは、例えば先ほどある事業分野に関しての利益を優先的に受けられるというようなものもありました。一般論とすれば、客観的な基準があればその基準に従って優先ができるということですけれども、個々具体的になってくると、多少、例えば事業分野にすれば、事業分野というのは具体的にどこが境界線なのかとか、一つの事業分野でも他の事業分野と関連している部分もありますし、あるいはこっちの事業分野の利益がよ過ぎてこっちが悪いから少しなんという、社内でやりくりすることもいろいろあるわけです。
 だから、私、質問の趣旨としまして、さまざまな仕組みの形を設けることはいいんだけれども、それが逆に混乱を招かないか、あるいは一つの紛争を招かないかということも心配しているんですが、今言ったように、ある事業部門に関してその利益を優先的にといっても、なかなか会社決算を考えると会社の中でやりくりしたりといろんなこともありますし、今言ったように事業の利益というその垣根がどこまでかというような問題もあったりして、私はそこで一つの混乱なり紛争が起きないか、そのもとにならないかという心配を持っているんですが、その点はどうでしょう、大丈夫でしょうか。
#68
○政府参考人(山崎潮君) まさに御指摘の点、そういうことが起こってはならないわけでございます。
 ですから、会社としてはその決めるときに、その部門というところを、どういう部門か、そこはきちっと決めなきゃいかぬということになりますし、一番典型的に使いやすいのは、親会社、子会社があるときに、ある子会社のその会社で上がった利益、これが、親会社も支配しているわけですから、その上がった部門、そこの会社のものについては有利に配当するとか、そういうような決め方は当然あるかと思いますけれども、それ以外のところはやはり仕切りをきちっとして、その経営者としてきちっとした対応をするということがまさに求められるところでございます。
#69
○小川敏夫君 例えば、親子会社ですと、よくある話なんですが、親会社が利益が出なくて子会社が利益が出ている。じゃ、それを少し移転させようといって余計な取引をしたりして利益を操作するようなことは案外あるとは思うんですが、そうした意味で、またこれも先ほどのストックオプションと同じように、会社が経営者サイドでやりやすいということ、非常に企業活動に多様な選択肢がふえて活性化するという面では私は前向きに賛成はしますけれども、何回も言うように、やりやすいというのは不心得な経営者から見れば悪事がやりやすいということにもつながるので、そうすると、やはり優先株ということで購入した株主は当然その価値を見込んで高く恐らく株を購入しているでしょうから、それが実質的にないがしろにされないような、そうしたこと、すなわち経営者の不公正なやり方によって株主やその他の取引先が被害を生じないような仕組みをやはり設けるべきじゃないかと。そうすると、また同じようにコーポレートガバナンスをしっかりやるとか、そうした問題になると思うんです。
 ですから、私は、また同じ話になっちゃうけれども、コーポレートガバナンスとかそうした問題と一緒にやっていただければよかったのに、またなぜここだけ先にやるのかなという私の考えになってしまうわけですが、ひとつそうした一部の不心得な経営者の不公正なことがないような手当てについて、これからもしっかり取り組んでいくというような考え方をお聞かせいただきたいんですが。
#70
○政府参考人(山崎潮君) 確かにコーポレートガバナンス、これは非常に重要でございます。
 先ほども申し上げましたけれども、現在、一般的なガバナンスについては法制審議会でも検討しておりますし、またこの種類株式を導入いたしまして、やはり実務の状況をよく把握いたしまして、問題があれば速やかに手を打つというふうに考えておりますので、よろしくお願いを申し上げます。
#71
○小川敏夫君 次に、計算書類の点に移らせていただきますけれども、今現状、株式会社が相当大きいのから小さいのまでたくさんあると思うんですが、大半は、大きい株式会社は案外やっているんですけれども、中小になりますとこの決算書類の公告というのは実際上していないんじゃないかと思うんですけれども、ここら辺の実情はどうでしょうか。
#72
○政府参考人(山崎潮君) 中小企業庁が、全国の四百七十社の中小企業ですか、これを対象にアンケート調査をしたわけでございます。有効回答が二百六十二社ということでございますけれども、その中で残念ながら公告をしている会社は約五%強という状況でございます。一度も公告をしたことがないという会社が八〇%を超えているというのが現状でございます。
 それ以外に、株式会社総数が昨年の十一月末で、ちょっと古いので恐縮でございますけれども、百二十一万四百社ございまして、その中で平成十二年度における官報での決算公告、これの公告件数が約一万四千件、それから日経新聞等による公告でございますけれども、新聞による公告ですが、これが三千六百十八ということで、この両方を合わせまして全体の約一・五%という大変寂しい数字でございます。
#73
○小川敏夫君 今回、インターネットによる公開について、そうした官報、新聞紙による公告よりも詳細な計算書類の掲示を要求しておりますけれども、これは、その差があるのはどこに理由があったんでしょうか。
#74
○政府参考人(山崎潮君) 若干さかのぼってちょっと経緯を申し上げますけれども、この貸借対照表の公告について、昭和五十六年改正前は貸借対照表自体が公告の対象とされておりましたので、全部ということでございます。しかし、やはり公告のコストがかなり高額になるということから、五十六年改正でその要旨の公告で足りるというふうになったわけでございます。
 今回は、じゃ、何でまたもとに戻ったのかということでございますけれども、これはやはり官報または日刊新聞による公告と比較しまして格段に安価な安い値段で公開ができるということでございますので、そういうことも考えまして、それからまたアクセスの面も考えまして、機械で処理をするわけでございますので、その全文を五年間公告をしていただくという形をとったわけでございます。
 いずれにしましても、やっぱり価格、値段、これが決め手になるということでございます。本来的には全部公告していただくのがディスクロージャーとして当たり前の話でございますけれども、それが値段の関係でもとに戻った、こういうふうに理解をしております。
#75
○小川敏夫君 これまで公告というものがほとんどの会社では実施されていなかった。余りこの件で過料という制裁をとったということもほとんど聞かないんですけれども、今回新しい方法が、インターネットによる、ホームページによる公告ということが認められたわけですけれども、それで費用が安くなったからこれまで余り強制しなかったものをいきなりといっても、これは社会の実情には合わないと思うんです。やはり、こうした公告制度をよく啓蒙して、無理がない形で導入されるようなそういう観点から、いわば公開制度の普及に向けて啓蒙していただきたいと思うんですが、そういうことでよろしいでしょうか。
#76
○政府参考人(山崎潮君) まさに御指摘のとおり、このような書類、ディスクロージャーの観点から開示をしてほしいわけでございます。私どもといたしましても、法改正が行われまして、これが施行されているということに向けて大いに周知徹底を図ってまいりたいと思っております。また、これを守っていただくためにどういうような有効な手段があるか、今後も検討をしていきたいというふうに思っております。
#77
○小川敏夫君 では、個別の質問は一通り終わりまして、時間がありますので、最後に法制審議会のことについてお尋ねします。
 先般、司法制度改革審議会がございました。推進法等も成立しましたが、その際、審議会の委員の先生方から、公開したことが非常によかったと。国民からの関心もタイムリーに入るし、また委員の先生方も、非常にそれで、国民の声を生で聞いて直ちに審議に反映できる、あるいは励みになったというようなこと、決して国民が見ていなければサボっているという意味じゃありませんけれども、公開したことについて非常に前向きな意見がありましたし、今度の司法制度改革審議会、公開したことが成功したという意味では非常に大きな意味があったと思うんです。
 どうでしょう、そういう経験を踏まえて、法制審議会も同じように同時公開したらいいのではないかと私は思うんですが、そういった点はいかがでしょうか。
#78
○政府参考人(房村精一君) ただいまの御指摘のとおり、審議会につきましては、できるだけ透明性を高めるという観点から公開に努めているところでございまして、法制審議会につきましてもその議事録を法務省のホームページで公開するというようなことを行っております。
 今後もできるだけ透明性を高める努力をしたいと思っておりますが、法制審議会の場合、審議事項によりましては個人のプライバシーに触れるような事柄が審議の過程で出てくることも間々あります。そういうこともございますので、公開の仕方につきましては、その審議の事項それから審議に加わっている委員の方々の御意見、こういうものを踏まえながら、今後もさらに一層公開に努めたいと考えているところでございます。
#79
○小川敏夫君 審議の内容によって、無理なものまでやれとは言いませんけれども、原則同時公開にしていただいて、支障があるものについてはそれ相当の対策をとるような、そういう方向でぜひ前向きにしていただきたいと思います。
 法制審議会といいますと、どうもなかなか今までの評価は、遅くて実際の社会の要求に応じ切れていないという意見があったんですが、昨今の法制審議会の審議状況、現状はどうなんでしょうか、そこら辺のところは。
#80
○政府参考人(房村精一君) 法制審議会と申しますと、民事法、刑事法のいわゆる基本法制を検討するということでございますので、どうしても慎重な検討あるいは幅広い検討というものが要請される関係で多少時間がかかる傾向がございます。そういう意味で、かなり時間がかかり過ぎるのではないかという御批判を浴びたことも事実でございます。
 私どもとしても、そういう御批判を受けまして、法制審議会の構成あるいは運営のあり方について種々検討を加えまして、委員の数も三十人以内としていたのを二十人以内にするとか、部会につきましても常設であったものを常設部会はやめて諮問ごとに必要に応じて部会を設立し、審議が終わればこれを解散するという機動的な運営をするというようなことを心がけて、でき得る限り早期に国民の声を反映するような審議に心がけてきたところでございます。
 ちなみに、このような努力もありまして、近年におきましては諮問から答申まで一年を超えるというのはほとんどない。今回お願いしております商法につきましても、平成十三年の一月に諮問をいたしまして、九月に答申をいただいてこの国会に法案を提出するという運びになっておりますし、同じこの国会でお願いいたしました自動車運転による死傷事犯につきましては、六月に諮問をして九月に答申をいただくというような非常に短期間で審議をするという努力をしているところでございます。
#81
○小川敏夫君 この商法に関して言うと、閣法の改正があって、前回金庫株は議員立法で、今回今の法案が閣法で、何かこの後議員提案で取締役の責任等に関するものがあると。その後、今度は閣法で次期通常国会で抜本的なものが出てくると。何かお互いに役割分担してやっているのかなんて思いたくなってしまうほどですけれども、法制審議会が非常に社会の実情に合わせた即応体制を備えて機能していれば、ある意味では議員立法なんか出なくてもきちんとした議論ができるんじゃないかというふうにも思います。
 そうした意味で、法制審議会、今やっていないというわけじゃないけれども、そうした社会の状況に合わせて自主的な機能が最大限に活用できるような、そうした審議会にぜひしていただきたいと思います。これは法務大臣もそういう考えでよろしいと思いますが、うなずいていただきましたので、答弁は結構でございます。
 質問はこれで終わります。
#82
○委員長(高野博師君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時四十七分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
#83
○委員長(高野博師君) ただいまから法務委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、商法等の一部を改正する法律案及び商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#84
○浜四津敏子君 公明党の浜四津でございます。
 それでは、商法等改正についての質問をさせていただきます。
 今回の改正法案を見ますと、その柱は大きく二つに分けられております。一つは株式制度の見直しに関する事項であり、もう一つは会社関係書類等の電子化に関する事項でございます。
 ところで、平成十三年四月十八日に法制審議会の会社法部会が取りまとめ、意見照会を行いました商法等の一部を改正する法律案要綱中間試案が公表されました。
 それまでの商法改正が対症療法的で統一的な整合性に欠けるという批判があったのに対しまして、この中間試案は会社法の基本的な部分を広く対象とした大改正案で、これが実現することになりますと我が国の会社法は大きく変わることになるという内容でございました。その中間試案では、株式関係と、それから会社の機関関係、会社の計算・開示関係、その他が盛り込まれておりました。
 ところが、今回の改正案では、そのうちの株式制度と会社関係書類等の電子化のみを前倒しして改正しようというものになっております。それはどういう理由によるのか。今回の改正の目的につきまして法務大臣にお伺いいたします。
#85
○国務大臣(森山眞弓君) 御指摘のとおり、商法の改正については、かねて審議会において検討していただきまして、根本的な改正の方向に向かって今進んでいるところでございますが、今回は特に今お話しの二つの柱によります会社法改正をお願いしたいということでございます。
 まず第一は、会社の資金調達の需要が拡大し、その方法が多様化した現状のもとで、会社の円滑な資金調達を可能にして、また新規企業の育成等に資するために、新株発行に関する規制の緩和、種類株式の内容の拡大、新株予約権制度の創設など、株式制度の見直しを行うということでございまして、あわせて高度情報化社会の到来に対応しまして、会社の作成する書類を電磁的記録で作成し、また株主が議決権を電磁的方法により行使することなどを可能にすることによって会社運営の合理化を図って株主の権利行使の機会を確保しようとするものでございます。
 株式制度の見直しを急ぎましたのは、長期低迷の続きます我が国の現在の経済情勢の中で、企業の活力を再生し、新規企業の育成を図るために資金調達手段である株式制度の改善を早急に実現する必要があったからでございます。
 また、電子化等に関する部分は高度情報社会の到来に対応するものでございまして、諸外国におくれをとることのないようにできるだけ早くということが求められていたものでございまして、特に今回の改正を実現することによりまして来年の株主総会からIT化を実現することが可能となるということで、我が国の経済社会全体のIT化の促進をも図ることができるというふうに考えられたのでございます。
#86
○浜四津敏子君 ところで、今回の改正案は、法案だけを読んでいますとその趣旨がよくわかりにくいというものが多いようでございます。
 そこで、各項目についてその趣旨をお伺いいたしますので、御答弁はそれがそのまま特に実務家にとってわかりやすいコンメンタールとして使えるような明確、詳細、正確な御答弁にしていただきたいと思います。
 まず、新株発行規制の見直しについて伺います。
 現行法は、第百六十六条二項で「会社ノ設立ニ際シテ発行スル株式ノ総数ハ会社ガ発行スル株式ノ総数ノ四分ノ一ヲ下ルコトヲ得ズ」と規定しています。
 その立法趣旨は、授権資本制度のもとでは株式の発行は授権の範囲内で取締役会に一任されますが、会社の資本的基礎を確固たるものにし、取締役会の権限が余りに大きくなることを防止するために、取締役会に対する新株発行権限の授与の枠を発行済み株式総数の四倍以下に制限したところにあるとされてまいりました。同様の趣旨に基づく規定が現行法の三百四十七条にもあります。
 それが今回の改正案では、株式譲渡につきまして、取締役会の承認を要する旨の定款の定めがある譲渡制限株式会社については、この制限を廃止することとしております。これにつきましては、先ほど述べました現行法百六十六条二項の立法趣旨を大幅に変えることになり、恣意的な新株発行を可能にするおそれも危惧されておりますが、この改正の趣旨を法務当局にお伺いいたします。
#87
○政府参考人(山崎潮君) ただいま委員御指摘の条文があること、確かでございます。この趣旨は、株主の有する持ち株比率、これが取締役会の決議による新株の発行によって低下する限度を定めたというふうに一般的に言われているわけでございます。その四倍ルールでございますけれども、その範囲内ならば発行して低下しても仕方がない、それを超えるものは許さない、こういう思想でございます。
 今度、この改正案で、いわゆる譲渡制限会社、株式の譲渡について承認を得る会社でございますけれども、この会社におきましては、株主に引受権を与える方法以外の方法によって新株を発行する、いわゆる第三者に発行するというような場合には株主総会の特別決議が要求されるという規定になっております。そうなりますと、持ち株比率の低下の限度についての規制を撤廃いたしましても、廃止をいたしましても株主の利益が害されるおそれはない、特別決議できちっと決めるということでございますので、それが不都合であるならば否決をするという形でチェックをするということでございますので、譲渡制限会社についてはそういうような法的な手当てがされていることから、その枠を取り払うということでございます。
#88
○浜四津敏子君 今回、無議決権普通株式がかなり大幅に出ることになりますので、その関係でも少し危惧があるわけですが、それはおくといたしまして。
 次に、今回の改正では種類株式について思い切った見直しが行われております。なぜ種類株式が認められているかといえば、それは会社が資金を調達する際に、さまざまな投資家のニーズにこたえるために、投資意欲に応じた内容の株式を発行できることは非常に便利でもあり、かつ投資者層の拡大と調達資金の増大を目指すことができるということから認められてきたものであります。
 ところで、今回の改正では、現行法の第二百四十二条、議決権なき株式の規定を削除して、二百二十二条の数種の株式の規定の中に入れております。従来は、議決権というのは本来社員権の本質をなすものですから、利益配当優先株についてのみ認められる、そういうものにされてきたはずでございます。それはなぜかといえば、相当の利益配当が確実になされている限り、自分としては会社の経営には関心は持たない、こういう投資家も現に存在するところから、そうした投資家を対象とするものとされてきたわけでございます。
 したがいまして、現行法の二百四十二条一項、二項で、定款に定めた優先配当がなされないときは議決権が復活するものとされてきたわけであります。さらに、現行法二百四十二条三項では、少数の議決権付株式の所有者によって会社が支配されることを防止するために、会社はその時々の発行済み株式総数の三分の一を超えて議決権なき株式を発行することはできないとされてまいりました。
 それが今回の改正では、議決権なき株式の優先配当をなくして、さらに議決権なき株式の発行枠を二分の一にまで拡大いたしました。
 そこで伺いますが、無議決権普通株式を大幅に認めることは、株式の本質、つまり議決権というのは本来社員権の本質をなすものであるという、その株式の本質に反することになるのではないでしょうか。法務省にお答え願います。
#89
○政府参考人(山崎潮君) 確かに、御指摘のとおり、株主権、大変重要な権利でございます。一方、やっぱり利益配当請求権、これも非常に株式会社においては大事な権利でございます。
 現在の法制は、配当について、優先的な配当を受けられるものについては議決権がなくてもいいではないかと、こういう法制をとっております。今回の改正案では、優先株でなくても無議決権の株式を発行することができるというふうに広げております。
 これにつきましては、議決権のない株式ということになりますと、売り出す市場では、その流通価格も非常に、発行価格も安くなるだろうと。その安い価格で入手をして普通の株式と同じ配当を受けられるということになれば、その間に利幅がかなりあるということになるわけでございます。
 そういうことから、最終的には普通の株式と同じ利益配当が受けられるならばそれは議決権がなくても構わないではないかということに基づくものでございまして、優先の配当がなされないから議決権がないという形でなければならないということにはならない。例えば、優先といいますと、普通の株式よりも一円でも多ければ優先ということになるわけでございますけれども、そこのゼロと一の違いはそれほど本質的な違いではないんではないかということでございます。
 また、会社の方としても、現在、優先配当がされないときは議決権が復活するということを法律で全部定めておりますけれども、これはそれぞれまた会社の方で決めていただきまして、議決権が復活する条件とかこういうものは会社の判断でつけることができるということで、一律に決めないで会社の運営等にゆだねて行っていこうということでございます。
#90
○浜四津敏子君 もう一点、この無議決権普通株式についてお伺いいたしますが、これを認めるときには、一般投資家にとっては非常にわかりにくい制度になるのではないかという危惧があります。また、多種類の株式について公正な価格形成が難しくなるおそれがある、こういった点から株主の利益を害することになるのではないかという声がありますが、これについてはいかがでしょうか。
#91
○政府参考人(山崎潮君) 確かに、いろいろな御心配な点あろうかと思いますけれども、まずこの無議決権普通株ということでございますけれども、その発行に際しましては定款変更を要するということにもなります。それから、その内容は登記をされます。それから、株式の申込証の用紙及び株券の記載事項とされているわけでございまして、そういう点でかなりきちっと周知が徹底できるような制度になっております。そういう関係で、内容が公示されるということで、利害を害するおそれはないのではないかということでございます。
 それから、このような株式についても市場価格が形成されるというふうに考えられておりますので、公正な価格形成が困難になるということはないというふうに思っております。
#92
○浜四津敏子君 続いて、転換株式についてお伺いいたします。
 現行法二百二十二条ノ二第一項では、種類株式間の転換権は株主側にのみ認められております。それが今回の改正案では、会社の側から一斉に転換ができる強制転換条項付株式と、こういう制度を認めております。この強制転換条項付株式というのは、どういう必要性があって認めることにしたのか、またどういう場合に発行され得るのか、また転換の事由、条件についてはだれが決めるのか、根拠条文をお示しいただいて説明をお願いいたしたいと思います。
#93
○政府参考人(山崎潮君) 確かに、御指摘のとおり、現行法では株主の方からの転換請求というものしか認められておりません。今回、会社側の方から強制的に転換をするという条文を置くわけでございます。
 例えば、どんな場合が必要かということでございますけれども、例えば、会社が設立当初には資金調達のため優先株式を発行いたしますが、その後、優先配当の負担の解消を図るために、これを会社から一斉に普通株式に転換をしたいというふうに考え、そういうふうにしたいというような場合があり得るということから、制度上これを設ける必要があるというのが経済界のニーズでございます。
 そこで、この改正案は、一定の事由が生じた場合には、会社が発行したある種類の株式を他の種類の株式に転換できる旨を定款で定めることといたしまして、実務の要望にこたえるということにしたわけでございまして、それに伴った所要の手続を設けるということでございます。
 この転換の条件は、取締役が定めることができるというのが現行法でございますけれども、これは会社にのみ転換権を付与するという関係にございますので、転換の事由それから転換の条件等は定款で定めるということにしているわけでございます。
#94
○浜四津敏子君 次に、新株予約権についてお伺いいたします。
 改正法案は、第三節ノ三で新株予約権についての規定を置いております。これは、現行法では「取締役又ハ使用人ニ対スル新株ノ引受権ノ付与」とされていたものを改正したものでございますが、今回初めて登場した用語でございます。
 そこで、新株予約権というのはどういう権利なのか、その定義及びこれまでの新株引受権とはどこが異なるのか、御説明願います。
#95
○政府参考人(山崎潮君) 新株予約権でございますけれども、これは会社に対して、一定の期間、あらかじめ定めた一定の価格で新株の発行を請求することができる権利ということでございます。その権利が行使されたときは、会社はその権利者に対して株券を発行し、またはこれにかえてその有する自己株式を移転する義務を負うというものでございます。これにつきまして、現在、新株引受権、社債とセットになりまして新株引受権付社債と言っているわけでございます。
 これを何で新株引受権と呼ばなかったかということになるわけでございますが、実は商法の二百八十条ノ二第一項五号という規定がございまして、そこで「新株ノ引受権」という文言を使用しております。ここで言っている新株引受権は、新株の発行に際しまして株主がその株式数に応じて新株の割り当てを受ける権利を言っているわけでございまして、この改正法で言う新株予約権とはちょっと種類が別のものでございます。したがいまして、そこを混同しないようにということで、新しい「新株予約権」という文言にしたわけでございます。
#96
○浜四津敏子君 現行法では、新株引受権を会社が発行できるのは、いわゆる新株引受権、すなわち会社が発行する株式をあらかじめ定めた価格で取得することができる権利を会社が発行できるのは、新株引受権付社債として与えられる場合、三百四十一条ノ八と、ストックオプションとして取締役等に与えられる場合、二百八十条ノ十九の二つの場合に限られております。それを今回の改正案では現行法に比べ大幅に自由にしております。
 どう自由にしたかといいますと、第一に、現行法二百八十条ノ十九第一項ではストックオプション付与対象者を限定しておりますけれども、改正案はそれを撤廃しております。第二に、現行法二百八十条ノ十九第二項では株主総会において付与者全員の氏名等を示して決議を行わなくてはならないとされていますが、改正法では氏名の開示を要求しないこととするなど付与方法の簡素化を図っております。また、第三に、現行法二百八十条ノ十九第三項ではストックオプションの付与上限が発行済み株式総数の十分の一とされているのに対し、改正案ではそれを撤廃しております。
 この大幅な自由化に対しては、次のような批判や意見があります。
 その一として、新株引受権は本来株主権の内容として存在するという発想を対価関係さえ合理的であれば崩していいというふうに考えることは、余りに便宜的過ぎて暴走への歯どめが欠ける感がある。その二としては、新株引受権の公正価格が不明確である。第三、お手盛りの危険があって、少なくとも大量発行には特別決議を要するものとすべきではないか。その四、譲渡制限会社においては不要ではないかなどという批判、意見があります。
 まず、この四点の批判及び意見に対してのお答えを法務省にお願いいたします。
 また、こうした批判がある中で、なぜ今回このような大幅な自由化をしようとするのか、その理由をお伺いいたします。
#97
○政府参考人(山崎潮君) まず、批判の点、ただいま委員四つほどお挙げになったと思いますが、まず第一点についてでございます。
 新株引受権は本来的に株主権の内容として存在するという発想かと思いますけれども、御案内のとおり、新株引受権につきましては、株主に与えるものは別としまして、それ以外は現在は新株引受権付社債と、社債とセットになっているわけでございまして、必ずしも独立の権利ではないということでございます。
 それで、譲渡制限会社におきましては株主が新株引受権を有するということで、その一定の持ち分割合を一定の限度で保護しているということに確かになろうかと思いますけれども、この新株引受権、単独発行は認めておりませんで、社債に付して発行することができるということでございまして、そういう関係から、新株引受権が株主権の内容としてのみ存在するという前提にはなっていないというふうに私どもは理解をしております。
 それから、公正な価格が不明確ではないかということでございまして、午前中からの質疑でもいろいろ御質問あったわけでございますけれども、最終的にその将来の株価がどうなるかというのは、これは非常な経済的なパニック等を起こせばとても予測ができないという問題になろうかと思いますけれども、最近の会計技術、これが進歩いたしまして、それを駆使すると一応その将来の予測値が出せるということでございまして、そういう観点から、幅があることにはなりますけれども、予測値は困難ではないということでございます。
 それから、大量発行に関して株主総会の特別決議を要するべきであるという点でございますけれども、これにつきましては、新株予約権の有利発行について株主総会の特別決議を要するということにしているわけでございまして、その量が大量であるかどうかということにかかわりなく、特に有利な発行をするかどうかという切り口で株主総会の特別決議を要するというふうにしているわけでございまして、これでチェックは働いているというふうに私どもは考えているわけでございます。
 それから、譲渡制限会社においてこれが不要かどうかということでございますけれども、特にベンチャー企業でございますけれども、ベンチャー企業におきましては当初やっぱり譲渡制限会社としてスタートするのが一般でございます。このような会社におきましては優秀な人材の確保、一定の支援企業との資本提携の強化等の目的でこのストックオプションを多用することが予想されるわけでございます。現行法がストックオプションとして発行できる株式数を制限しているために、譲渡制限会社等においてストックオプション制度の利用が困難であるという指摘がかなりございまして、今回、改正の一つの動機でもあるわけでございます。
#98
○浜四津敏子君 済みません。ただいまお答えいただきました批判、意見のその一ですけれども、私、新株引受権と申し上げましたが、新株予約権としては株主権の内容として存在するという発想を今回大幅に崩すことになるのではないか、こういう質問でございますが、もう一度お答え願えますでしょうか。
#99
○政府参考人(山崎潮君) ちょっと御質問の趣旨が必ずしも私、理解できないところがあるんですけれども、新株予約権の単独発行が株主権の内容として問題がある、こういう御指摘でしょうか。ちょっと恐縮でございますが、もう一度御質問いただけますでしょうか。
#100
○浜四津敏子君 つまり、新株予約権を無制限に対象も非常に大幅に自由化して発行するということが、それはこれまでの従来の発想を崩して暴走への歯どめを欠くことになるのではないか、こういう趣旨でございます。
#101
○政府参考人(山崎潮君) 新株予約権を単独発行するということに踏み切っているわけでございますが、これは実は現在でも新株引受権付社債という形で発行はされておりますけれども、これは発行した後にこれを分離する形のものを認めておりまして、現実には発行されますと、すぐに社債部分を償還いたしまして、新株予約権単独でこれがいろんな譲渡の対象等の取引あるいはストックオプションとして、これは疑似ストックオプションということを言っているわけでございますが、そういう形でもう現実に機能しているという状況でございます。
 そちらの機能しているものについては株主総会の特別決議を経ることなく取締役会の判断だけで付与できたりするということで、かえってそういう形を今のまま放置するというのは正しいあり方ではない。それはやはりきちっと株主総会の特別決議で決めていただいて、その上でだれに付与するかということを経営判断として定めてやっていった方がきちっとしていいものになるという判断から、この単独発行も認める、こういうふうに考えているわけでございます。
#102
○浜四津敏子君 従来、欧米の会社が株主の権利及び利益を最大限に尊重するというシステムになっている、また運用もそうなっているのに対しまして、日本の会社はどちらかというと会社の従業員をより重視し、従業員を重視するということが悪いと言っているわけではありませんが、その反面、株主の利益が後回しにされる傾向があると言われてまいりました。それがいわゆる一般投資家がなかなかふえない理由の一つだとも言われてまいりましたので、一般投資家の株主の正当な利益保護を運用上最大限に留意していただきたいと、これは要望させていただきます。
 次に、長年、ストックオプション制度が実施されてきたアメリカでは、株価の長期低迷で社員が権利を行使できないケースがふえていたり、企業も給与の支払い抑制や節税などのメリットを享受できなくなっているなど、ストックオプション経営が曲がり角を迎えていると言われております。
 ストックオプションは、将来の株価の値上がりが前提となっているものと思われますが、アメリカと同様、日本の株式市場も低迷が続いている現状では、ストックオプションの制度はほとんど使われないのではないかという不安もありますが、法務省はどうお考えでしょうか。
#103
○政府参考人(山崎潮君) 確かに、アメリカでいろんな事態が生じているということ、仄聞しているところでございます。じゃ、一般的にこのような株価が低迷しているときにストックオプションが使われないのかということになるわけでございますけれども、これは直ちにそういうふうになるというふうには私ども思っておりません。
 特に、ベンチャー企業等に関しましては、業績が向上してその株式が上場されるというふうに至るときには株価も大きく上昇するというのが通常でございまして、このような会社では、このような現在の株価の低迷しているときであっても、成長すれば、それが上場するときにはそれなりの株価がつくということで、これを一種の励みにして大いに会社の業績を上げていただいて上場するということになればメリットがあるということでございますので、必ずしもそういう今の状況だからないというふうには私どもは思っておりません。
#104
○浜四津敏子君 ストックオプション制度がその制限を大幅に緩和されて使いやすくなって、また仮に使われることになったとしても、これに伴う税制が整備されないと所期の目的を果たすことができないものと思われます。
 そこで、ストックオプションに関する現行の税制はどうなっているのか、また今回の改正によって税制も変わることになるのかを、税務当局にお伺いいたします。
#105
○政府参考人(木村幸俊君) お答え申し上げます。
 現行の商法のストックオプション制度がございますが、社員の勤務意欲、それから士気の向上、それから優秀な人材確保により我が国企業の業績向上や国際競争力の増大に資すると、そういった観点から、自社の取締役及び使用人に限ってその付与を認めているものと理解しているところでございます。
 税制の方でございますが、こういった政策目的に着目いたしまして、これを支援する政策税制として、税負担の公平にも配意しながら、一定の要件を満たすものに限りまして相当な優遇措置を講じているものでございます。
 具体的に申し上げますと、その付与されたストックオプションを権利行使した際に生じた経済的利益、これにつきましては、本来は給与課税が行われるわけでございますが、その場合、国、地方合わせまして最高五〇%の総合課税になるわけでございます。その給与課税にかえまして、課税時期をその株式の譲渡時点まで繰り延べる、さらに税負担につきましても、より軽い株式譲渡益課税、現在でございますと国、地方で二六%の分離課税になっているわけでございますが、に振りかえると、そういったものでございます。
 ただ、現行制度におきましては、無制限に高額な経済的利益についてまで課税の繰り延べや低い税負担とするということは、一方で報酬や給与を現金でもらった方々、そういった方々との税負担のバランスなど、課税の公平の観点から問題が大き過ぎると考えているところでございまして、こうした公平の問題にも配意しながら、例えば権利行使価額の総額を年間一千万円以下とするなど、そういった一定の要件を付した上で認めているところでございます。
 それで御質問の、さらに今回、商法改正によりまして付与対象者の拡大などストックオプション制度の見直しが行われるわけでございますが、ただいま申し上げました税制の趣旨を踏まえますと、ストックオプション税制の対象者が自動的にその範囲が拡大すると、そういうものではなくて、むしろ特定の政策目的のために税制の基本原則の例外として設けられた政策税制であると。そういったことから、その基礎となる政策の趣旨、目的、それから税制措置の効果、さらには税負担の公平等の観点から慎重に検討していく必要があると考えているところでございます。
 また、ストックオプションは新株予約権の有利発行、無償付与と構成されるわけでございますが、新株予約権の譲渡が認められるということを踏まえますと、新株予約権の譲渡、行使の時点などにおきます適正な課税を担保する観点から、新株予約権の付与や行使に係る調書など、税制上の手当てについてもあわせて検討する必要があると考えておるところでございます。
#106
○浜四津敏子君 ありがとうございました。
 ところで、改正法は、これまでの転換社債について、これを新株引受権付社債として再構成しておりますけれども、それではこれまでの転換社債はなくなるということなのでしょうか。これは法務当局にお伺いいたします。
#107
○政府参考人(山崎潮君) 結論的に申し上げれば、なくなるわけではございませんで、呼び方が変わるということでございます。従来の転換社債、これを新株予約権を付した社債というふうに置きかえるわけでございますが、その性質を決めれば同じ形になるということでございます。
 この性質でございますけれども、まず新株予約権を社債から分離して譲渡することができないということにいたします。それから、社債の発行価額と新株予約権の行使の際に払い込むべき金額、これは権利行使価額でございますけれども、これを同額とすることになります。そして、新株予約権を行使するときは必ず社債が償還されるという形をとりまして、追加払い込みはすることなく新株が発行されると、こういう形で整理をしたわけでございまして、従来の転換社債の性質をそのまま持ち込んで変えていないということでございます。
 これを俗称で転換社債と呼んでいただいてももちろん結構でございますけれども、それがなくなるわけではないということを御理解いただきたいと思います。
#108
○浜四津敏子君 次に、会社関係書類の電子化について伺います。
 まず最初に、会社関係書類を電磁的方法により作成することができることとした理由について伺います。書類の電子化によって会社及び株主等にどのようなメリットがあるのか、またどのような書類が対象となるのかを伺います。
#109
○政府参考人(山崎潮君) 電子化できないものにつきましては株券とか社債とか、こういうものはちょっと別、有価証券は別でございますけれども、それ以外の会計帳簿、貸借対照表、あるいは会社が作成すべきとされている書類等、これにつきましてはすべて電磁記録によって作成することができるということにしたわけでございます。
 これは、これをすることによって、その保存、利用を非常に効率化できるということでございます。それから、情報の交換につきましても、電磁的方法によりますと非常に経済的に速やかに行えるということでございます。そういうことで、会社にとっても非常にメリットがあるということでございます。
#110
○浜四津敏子君 今回の改正では、単に書類の電子化だけでなく、株主が議決権行使を電磁的方法により行う、いわゆる電子投票制度を採用することができるということとしておりますが、そのねらいはどこにあるんでしょうか。
#111
○政府参考人(山崎潮君) まず、一番大きいのは、株主が出席しないでも、そこへ現実に出席しないでも投票できるということでございますので、定足数の確保が容易になる、要するに議決権を行使できる機会がふえるということ、これが一番大きなことだろうと思います。それから二番目に、会社にとっては、これは今膨大な書類を送っているわけでございますけれども、このコストがかなり削減されるということでございます。
 これが最大のメリットだということでございます。一応そういうことでございます。
#112
○浜四津敏子君 それでは、この電磁的方法による議決権の行使に際しては、どのようにして本人であるかどうか、本人性を確認するのでしょうか。これも法務省に伺います。
#113
○政府参考人(山崎潮君) これは法律でどういう方法をしなければならないということを定めてはおりません。これは、その会社が採用するわけでございますので、それを国家の方でああしろこうしろというふうに定めるのは相当でない、その自主的な判断に任せるということになりますが、私どもが具体的に考えているものとしては、いわゆる電子署名を付して確認するという方法、あるいは会社等があらかじめ株主に割り当てましたパスワード、こういうものを入力していただいて確認をするということは予想されるというふうに考えております。
#114
○浜四津敏子君 次に、デジタルデバイドの問題についてお伺いいたします。
 計算書類の開示を電磁的方法によるときは、これにアクセスできない人が出るということが予想されますが、こういう方々をどのように保護を図るのか、お伺いいたします。
#115
○政府参考人(山崎潮君) この問題につきましては、今回、インターネットによるアクセスということに踏み切ったのは、その利用がかなり今後伸びていくということを前提にしているわけでございますが、ただ、それにもかかわらず、このようなものを利用できない方もおられることも確かでございます。特に、株主を考えた場合は、これは株主みずから同意をしなければ電磁的方法による議決権の行使ということは起こらないわけでございまして、みずから御出席をいただく、あるいは書面投票等によって権利行使をしていただくということで、本人の同意ということが前提になっておりますので、そこで守られているというふうに思われます。
 それから、書類等をいろいろ電磁記録で見るときにどうするかという問題ももちろんございますけれども、そういうことができない方はちゃんとプリントアウトしてお見せをするとか、そういうことになっておりますので、そこは配慮をしているというふうに御理解をいただきたいと思います。
#116
○浜四津敏子君 電磁化できる書類が今回広範に及ぶわけですけれども、電磁化を認めるときは常に改ざんの危険性が伴うものと思われます。この改ざんの危険性に対してはどのように考えておられるのか。
 また、改ざんされた場合の法的効果はどうなるのか。例えば、議決権行使における改ざんあるいは各種議事録、貸借対照表等を初めとする計算書類などさまざまな書類が電磁化できますが、それが改ざんされた場合の法的効果についてお答え願います。
#117
○政府参考人(山崎潮君) 株主総会の関係等さまざまな問題があろうかと思いますけれども、一般的に言えばこれは会社がやることになるわけでございますけれども、やはり改ざんが加えられないような対策をそれぞれの会社で行っていただきたいということが当然前提になるわけでございます。
 改ざんされた場合にどうするかということでございますけれども、例えば招集通知につきましては、株主にあてて発送すれば、通常到達すべきときに到達したものとみなされると。これは現行法でもそのようになっているわけでございますけれども、電磁的方法による招集通知が発送後に改ざんされても、これはやはり適法な招集通知がされたものとして取り扱われると。これは、やっぱり大量処理をするために、法的安定性のために現行法でも同じ制度を設けておりまして、これが電磁的記録だからといって違う取り扱いをしないということで、ここはそういう問題で解決をしております。
 それ以外、いろいろ改ざんされるおそれがあるわけでございますが、これにつきましてはやはり会社としては常時チェックをしていただきまして、それを放置いたしまして、それを信じて取引をしたという方でいろいろ損害が生じるということになれば、第三者に対する損害賠償の責任も負うということになろうかと思います。
 それから、そういう改ざんをした者については別途刑事責任で処罰をされる、こういうことでございます。
#118
○浜四津敏子君 最後に一点、刑事責任あるいは民事的な損害賠償責任だけの問題なんでしょうか。
 例えば、議決権行使について改ざんがなされた場合に、その有効性については改ざんそのものは何の影響も与えないんでしょうか。そういう意味での法的効果をお伺いしたいと思います。
#119
○政府参考人(山崎潮君) 大変失礼しました。
 議決権行使のことをちょっと言い忘れておりましたけれども、議決権行使につきましては、改ざんされた議決権の行使は無効になるというふうに考えております。
#120
○浜四津敏子君 以上で終わります。
#121
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 法案への質問に先立ちまして、薬害ヤコブの訴訟についてお尋ねをいたします。
 東京、大津の地裁は、十一月十四日に被告企業と国の責任を認めて、和解を求める所見を出しました。私も一年ほど前に滋賀の谷たか子さんのお見舞いに行きまして、御家族の本当に必死の看病の姿も見てまいりましたが、残念ながら亡くなられました。大津訴訟の次回の和解の期日はあさっての二十二日ということでありますが、国として、所見を受け入れて加害者としての責任を認め謝罪をすること、そして被害者の全員の早期全面救済と再発の防止を図る、そのためにも原告団の皆さんと会って、その御苦労を聞いていただきたい。もうあさってのことですので、ぜひ御決断をお願いしたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
#122
○国務大臣(森山眞弓君) この問題は主として厚生労働省の所管のことにかかわることでございまして、厚生労働大臣ともよく御相談を申し上げなければいけないと検討協議しているところでございますが、ヤコブ病に関する今までのいきさつ、被害者、家族の皆様の現状、そして裁判所の御所見などをよく考えまして検討してまいりたいというふうに思っております。
#123
○井上哲士君 千葉の山村さんは所見の知らせを聞くことなく今月の初めに亡くなられたわけで、御家族にとっては本当に待ったなしということでありますので、一刻も早い政府としての決断を求めたいと思います。
 今回の法案の問題ですが、日本共産党は、ヨーロッパなどと比べて日本には大企業の横暴などを規制して暮らしを守るルールというのが余りにも少ないじゃないかということを指摘してきましたが、今回のこの法案というのは一層その問題を広げると私は思うんです。来年の通常国会に提出が予定されている商法の全面見直しのうち、株式制度の見直しと会社関係書類の電子化等の部分だけを前倒しで提出されているわけですが、今回、ストックオプションの大幅な規制緩和が図られるわけです。
 九七年に、当時の与党の議員立法でこれが導入されるまで、自己株式の取得というのはかなり限定的なものとされていたと思うんですが、その理由はどういうことだったんでしょうか。
#124
○政府参考人(山崎潮君) もともと、これが余り多くなれば、株式発行していても自己で持つということになりますと、その分資本がないという状況と同じということから規制がされていたというふうに理解をしております。
#125
○井上哲士君 資本充実の原則や株主平等の原則にかかわるものとして非常に限定的にやられていたと思うんです。けさからの議論でも、このストックオプションによりましていわゆる株式の希釈化とか、それからインサイダー取引などの不正の利用などいろんな弊害ということも指摘をされておりました。
 この九七年の議員立法は、法制審議会にも諮らずに二週間余りで可決成立させるという非常に拙速のやり方だったと思うんですが、当時、著名な商法学者が連名で、開かれた商法改正手続を求める声明を発表されております。ここでストックオプション制度そのものについての多くの問題を指摘すると同時に、制度導入の大前提として公正な証券市場と株式会社法による経営監視制度の充実が不可欠だと、こういう指摘をされております。
 私は、この指摘というのは妥当なものだと考えるんですが、いかがお考えでしょうか。
#126
○政府参考人(山崎潮君) 平成九年に、主に学者のグループの方々からの問題点の指摘、今、委員が御指摘された点以外にも何点か含んでいるところがあろうかと思いますけれども、この点につきましては、私どもとしてもやっぱりストックオプション制度を有効に機能させるためにこのような指摘は傾聴に値はするというふうに考えております。
#127
○井上哲士君 そうしますと、当時指摘をされた公正な証券市場、経営監視制度の充実ということですが、この公正な証券市場といういわば前提と言われた条件を今日満たしていると、こういう前提でこの法案が出されているということなんでしょうか。
#128
○政府参考人(山崎潮君) 私、今申し上げたのは、その当時の議論としてそういういろいろ御指摘があったということは一つの考え方であるということでございますけれども、その後に導入して、現在運営を行っているわけでございます。まだそれほど長い年月がたっているわけではございませんけれども、そういう中でいろいろな心配等があるかということ等ございまして実務の運営を見ているわけでございますけれども、いろんな不祥事があったとか、そういう指摘がないという状況でございます。
 そういう中で、法制審議会でも議論をしていただいたわけでございますけれども、これは全会一致で今回拡大をするということについて御理解をいただいたということでございまして、当時いろいろ心配はされた、しかしやってみて、その心配がそれほど大きなものではないということで、この拡大をしていっても大丈夫だということと理解をして今回拡大をさせていただく、こういうことでございます。
#129
○井上哲士君 その公正な証券市場という条件、前提と言われたそういうことについての認識、評価はいかがなんでしょうか。
#130
○政府参考人(山崎潮君) この点につきましては、例えばストックオプション等が付与されました取締役が行うおそれがある株価操作とか、こういうものがもしあるとすれば、その行為に関しては証券取引法などの規制によって適切に対応しているというふうに私ども理解をしておるわけでございます。
#131
○井上哲士君 我が国のインサイダー取引の告発の状況を見ておりますと、平成四年にこの委員会が創設されましてから合計十三件ということで、監視の件数でいいますと九百二件ということをお聞きいたしました。アメリカと比べますと、体制が、SECが三千二百八十五人、日本の証券取引等監視委員会が二百六十五人と。東京証券取引所の上場企業数だけでも二千七十二社あるわけですから、実際の告発の数からいいますと、実際は目が届いていないというのが私は現状ではないかと思うんです。
 ストックオプションの活用がはるかに進んでいるアメリカなどでは、今申し上げたSECの体制もそうですし、ディスクロージャーの内容などもいずれも日本と比べますと比較にならない規模で行われて、インサイダー取引の規制にも当たっているわけですし、経営者の報酬の開示も一貫して進めております。
 新しい規則では、株主が報酬水準や報酬と業績との関係を測定したり区別することを容易にするということにもなっています。これに対して、今度の法案では逆に、このストックオプションを付与される者の氏名を公表しなくてもよいということが盛り込まれています。そうすると、今度はだれのいかなる業績を期待して付与するかということは、この制度自体の意義にもかかわりますし、株主の利益の根幹にかかわる問題だと思うんですね。情報開示という流れと全く逆行する規定になるかと思うんですが、その点どうでしょうか。
#132
○政府参考人(山崎潮君) ただいま御指摘の点につきましては、例えば情報開示、二つの方法で行うことを予定しております。
 一つは、新株予約権全体の問題でございますけれども、この原簿を備え置くわけでございます。そこの原簿に付与された者の氏名、それから付与された新株予約権の内容等を記載するということにいたしております。したがいまして、株主等に閲覧請求権を認めるということでオープンにできるという問題が一つございます。
 それからもう一つは、会社役員に付与されましたストックオプションの状況についてでございますけれども、法務省令におきまして新株予約権の取締役等への付与について営業報告書の記載事項とするということで、株主等に開示をするということを検討しております。
#133
○井上哲士君 いわば事後の問題なんですね。付与する際にこれを明らかにする必要がないというのは、やはり私は逆行する方向だと思うんです。
 それで、衆議院の答弁では、付与する対象として監査役や取引銀行の幹部、または政治家も含めて法的には制限がないということの答弁があったわけです。今、政治家個人への政治献金というのは政治腐敗の関係からも禁止をされました。それでもさまざまな抜け道が今問題になっているわけですが、この付与に当たっての必要な理由というのは幾らでもつけられるものでありまして、きょうの午前中もありましたけれども、元手は要らない、損はないというものですから、形を変えた政治献金として企業献金として使われるようなことも法的にはあり得るのではないかと私は思うんですね。これは非常にやはり国民の不信を招くことにもなると。
 少なくとも、こういう政治家に対する付与というのはこれは好ましくないものだと私は思うんですが、大臣、政治家としてその辺いかがでしょうか。
#134
○国務大臣(森山眞弓君) 今度の改正におきましてはストックオプションの付与対象者は限定されていませんので、政治家に対してストックオプションを付与するということが商法上禁止されているというわけではございません。
 しかし、政治家がストックオプションの付与を受けるということが適切かどうかということは、やはりそれが個別の規制法規に抵触したり、あるいは政治家としての公正を疑われるという可能性があるというような場合にはこれを受けることは好ましくないと私も思います。
#135
○井上哲士君 そういうこともありますから、本当に監視の体制と公開ということが重要だと思うんです。
 ストックオプションが導入をされたときの議論でも、この委員会で、いわゆる会社支配が助長されるんじゃないかという指摘に対しまして、株主総会で付与する対象者ごとに明らかにする、それから取得することができる株式の総数を一〇%以内に制限している、この二点を挙げてそういう会社支配の助長という問題について可及的に防止する措置が講じられていると、こういう答弁でありましたけれども、これは両方とも今回なくなるということですから、この点でも私は前提が崩れていると思うんですが、いかがでしょうか。
#136
○政府参考人(山崎潮君) 確かに、現行法はいろいろ限定しているわけでございます。これに関しましては、例えば十分の一の規制の問題でございますけれども、これは会社支配の公正性の確保という点もいろいろ言われていることは言われておりますけれども、それもさることながら、やはり自己株式の取得及び保有が原則として禁止されていたということの影響があったということで、それを大量に付与、持ってもいいということにするとその原則に抵触をすると、こういうことからかなりいろいろ規制が設けられたというふうに理解をしております。
 さきの通常国会におきまして、改正前の商法のもとではそういうことで制限をされておりましたけれども、これが通常国会におきまして、いわゆる金庫株法でございますけれども、その関係で自己株式の保有が自由に認められるというふうに発想が転換されたわけでございまして、そういう関係から、今まで規制していた理由がなくなるということから、その数量的な制限等は撤廃をするというふうにしたわけでございます。
#137
○井上哲士君 金庫株の保有についてはさまざまな反対意見もありました。私は改悪だったと思うし、当時の野党からもそういう反対の声が出たわけです。それに合わせて一層悪くするというのは、これは理屈に合わないと思うんですね。
 いずれにしましても、先ほど紹介しました商法学者の声明でも、監査役の独立性の強化といった課題が解決されていない、経営監視機能の強化がされていないというもとでこのストックオプションを緊急に導入しなければならない状況にあるかは疑問だという指摘もありました。
 衆議院での我が党議員の質問に対して、こういう株式会社の経営監督機能の強化などが九七年以来どう図られたのかと、こういう質問に対しまして、現在その監督機能というところはなされていないというのが答弁でありました。私は、やっぱり九七年以来指摘をされていた問題を、前提と言われていた問題を解決することなく一層の規制緩和だけを前倒しにすると。やっぱり順序が逆であるし、余りにも政策的な整合性に欠けると思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
#138
○副大臣(横内正明君) 私から御答弁をさせていただきます。
 ストックオプションは、会社のために忠実に職務を執行する立場にある取締役等に対しまして、株価の上昇による利益を得させることを目的とするものでありますから、場合によってはいわゆる利益相反関係をもたらすおそれがあると、そういうことで、委員がおっしゃいますように、経営監視制度の充実が必要であるという御指摘があることは承知をしております。ただいま御指摘がありましたように、平成九年にこのストックオプション制度が議員立法で導入された際にも、学界の一部からそういう御指摘があったことは御指摘のとおりであります。
 しかしながら、平成九年の商法改正以降、ストックオプションについてはかなり多くの会社で採用をされ、着実に実務に根づいてきております。現在時点まで、この三年間に七百八十三社がストックオプション制度を採用しているという状況でございまして、そういう実務の中で今申し上げたような利益相反関係を原因として経営がゆがめられるような問題事例というものは発生したということは聞いておりません。したがいまして、今回のストックオプション制度の見直しについて法制審議会の会社法部会で議論をされたわけでありますけれども、会社法部会においては学者委員の方々も含めて全会一致で要綱案を決議したというふうに聞いているところでございます。
 もっとも、委員が御指摘されるような現在問題が生じていないとはいっても、御指摘のような点も傾聴に値するところでございまして、法制審議会の会社法部会においては来春の通常国会への法案提出を目途として企業統治、いわゆるコーポレートガバナンスですが、会社の経営監視のあり方について実効性を高めるための諸方策について審議を続けていただいておりまして、現在その答申内容を期待して見守っているところでございます。
#139
○井上哲士君 早くから広がっているアメリカなどでも、ストックオプションの運用やインサイダー取引の調査というのは大変困難をきわめておりまして、最近の報道など見ておりますと、SECに対する報告も、一般会計基準に従った決算書とは別にストックオプションの費用などを勝手に除いた決算書をつくるなど、いろんな監視の目を逃れようという動きも広がっているということも報道をされておりました。これと比べても大変体制が弱い日本のわけですから、私はやはりこの監視の問題ということを先送りにして今回これを前倒しで緩和をするということについては一層の問題を広げる、弊害を広げるということを指摘しておきたいと思います。
 次に、その中で働く皆さんの権利がどうなるかということなんですが、旧労働省は九七年にストックオプションの賃金性にかかわって通達を出されていると思うんですが、簡潔にその趣旨をお願いします。
#140
○政府参考人(鈴木直和君) 今御指摘の通達の内容でございますが、ストックオプション制度につきましては、権利付与を受けた労働者が権利行使を行うか否か、それから権利行使をする場合にその時期や株式の売却時期、これをいつにするか、それを労働者が決定するものでございます。
 したがって、この制度から得られる売却益につきましては、それが発生する時期、額ともに労働者の判断にゆだねられているということから、労働の対償ではなく、賃金には当たらないという考えでございます。
#141
○井上哲士君 先ほど紹介した学者声明でも、このストックオプションを付与する場合に定期昇給をストップしたり賞与の減額がなされる、そういうおそれがある、経済的には無価値になり得るものであることからすると会社による負担軽減の手段に利用されるおそれがあると、こういう指摘も出されました。
 通達は、これは賃金ではないんだということで出されたわけですが、その後、実際にこのストックオプションが行われたときに通達がどのように運用されているかということは把握をされているんでしょうか。
#142
○政府参考人(鈴木直和君) ストックオプションから得られる売却益、先ほど申し上げましたように、賃金には当たらないと解釈しておりまして、そういった観点からストックオプション制度について具体的にどうこうという統計はございません。
#143
○井上哲士君 今やこれがパートの方にも広がっているというようなことも報道もされているわけです。パートの方などは、ストックオプションを付与されても大半賞与はないわけですね。ストックオプションを付与されインセンティブだけはかき立てられると。しかし、いつ、これはストックオプション自身がそれこそ紙切れになるという可能性、危険もあるもので、現にアメリカではITバブルの崩壊で株価の下落で無価値になったストックオプションを抱える企業が百社のうち八〇%と、このうち四八%が実質的な行使価格の引き下げを実施している、その九割強がこの行使価格を時価に引き下げたオプション追加設定をするというようなことも報道をされております。日本でも、いわゆる塩漬けになっているというようなことも幾つか報道があるわけですね。
 私は、今回一層規制緩和をするということですから、通達出しっ放しじゃなくて、実際それが本当に労働者の保護という点からどう運用されているかということは一層しっかり把握をして新たな対応の強化をすべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
#144
○政府参考人(鈴木直和君) 今回、改正案が出ているわけですが、こういった商法改正後、ストックオプションがどう普及するか、それからその運用状況がどうかという点については注視をしていきたいと考えております。また、現行制度のもとでは現行の通達について十分周知をしていきたいと考えております。
#145
○井上哲士君 パートの方も含めてやはり働く皆さんの多くは株などに知識のない人々もあるわけで、多いわけで、リスクの問題などがどうきちっと説明をされているのかなど、いろんな問題がありますし、今後広がると思うんですね。やはり、そういう人々の権利をしっかり守っていくという点で対応を一層強化することが必要だと思います。
 次に、計算書類の公開の問題でありますが、今回、インターネット上の公開なども盛り込まれております。
 これまで公告制度がありながら非常に実施が低かったというのが、午前中、先ほどの答弁にもありましたけれども、なぜこういうふうな実態になっているのか、その理由についてはどうお考えでしょうか。
#146
○政府参考人(山崎潮君) 全部の企業に聞いたわけではございませんので推測にわたるところはあろうかと思いますけれども、まず一つは、計算書類を公告することの意義についてやはり理解が十分ではないという点が一つあろうかと思います。それと、実際上の理由といたしましては、日刊新聞等による公告、これはやはり費用が高額であるということ、これがネックだというふうに考えております。
#147
○井上哲士君 日本経済の大部分を占める中小零細企業の皆さんのやはり実態がそこにあると思うんですね。大変費用自身が、負担がかかるということもそうですし、会社のいろんな体制のことも含めてそういう困難が今日まであったということが、なかなか実施をされてこなかったという状況があると思うんです。
 株式会社といいましても中小零細企業の多くは同族であって、事実上無限責任になっているというものが大変多いわけです。幅広く株式公開をして資金を集めている大会社とは、やはり書面公開、書類公開をしなければならない社会的な責任も大きさも全く違うと私は思うんですね。公開することによって親会社や取引先などから単価引き下げなどに悪用されるんじゃないかという心配の声もいろいろ聞くわけです。
 大きな事件のたびに問題になるような大企業の使途不明金が明確であるかとか公開などは商法改正のたびに議論になっていたわけですから、今急ぐべきはまさにこういうことであると。多くのやっぱり中小零細企業の皆さんの実態を見据えた運用を求めまして、質問を終わります。
#148
○福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。
 私の方からも、特に有利なる条件、公正価格についてお聞きをしたいと思います。
 特に有利なる条件の意義、判断方法というものを教えてください。
#149
○政府参考人(山崎潮君) 特に有利なる条件ということでございますが、これは、新株予約権の発行時点において払い込まれます新株予約権の発行の対価が一つございます。それから、新株予約権の行使時点において払い込むべき権利行使価額というものがございます。当初払い込むもの、それから将来払い込むもの、この二つがございますけれども、この合算額でございますが、この合計額が新株予約権の発行時点において予測される権利行使期間中における株価の平均値より特に低額である場合をいうということでございます。
 続けてよろしゅうございますか。
 じゃ、どうやってその株価を知ることができるのかということでございますけれども、この算定方法、幾つか実務上確立した方法がございますけれども、典型的なものをちょっと申し上げたいと思いますが、市場価格がある株式ということで例をとった場合でございますけれども、この算出方法は、特定の株式の株価の変動というのは過去の株価の変動の仕方と同様になることが多いという経験則があるわけでございまして、これを前提といたしまして、過去の値動きからその株式価格のばらつき度合い、これを求めるという統計手法を使うわけでございます。この権利行使期間中に特定の価格になる確率、これを算出いたします。それぞれの価格にこの確率を乗じたもの、これを合算いたします。そうしますと、この予測値が出てくるということでございます。
 ただ、これは確率等のいろいろなものを使っておりますので幅のある数値になるということでございまして、必ずしもちょっと食い違いがあったから有利になるということにはならないということでございます。
#150
○福島瑞穂君 それはブラック・ショールズの式と言われているものでしょうか。
#151
○政府参考人(山崎潮君) 御指摘のとおりでございます。
#152
○福島瑞穂君 午前中もありましたが、ショールズとマートンの二人はこの研究でノーベル経済学賞を受賞したわけですが、ただ私は数式どおりに株価が動くんであれば何も問題がないというふうに思うんですね。金融工学は市場を代替できるような力を持っていないとも言われています。現に、アメリカでも日本でも株価が下落をし続けているわけですから、どう考えてもブラック・ショールズの式どおりに株価は動いていないのではないか。ブラック・ショールズの式は結局ブラックボックスで幾らかわからないというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
#153
○政府参考人(山崎潮君) 経済は生き物でございますから、将来どうなるかということは、いろいろな事態が起こり得るわけでございますが、一般的に求める方式、これについては確立をしているということでございまして、現実にかなり経済的な恐慌等が来たという場合には、その予測とかなり異なるものということはあり得るということは承知はしております。
#154
○福島瑞穂君 将来の株価分布が正規分布になるという仮定は正しいのでしょうか。特に、ストックオプションは三年後、五年後という形で権利行使をするかもしれない。つまり、ストックオプションを入手するときに、将来この株価が権利行使をするときには幾らぐらいになっているという時価予測をするわけですよね。その時価予測が一体幾らなのか。もし今の日本の現状だと、うんと低いのがもしかしたら権利行使の時価予測かもしれません。そういう意味では、この数式の妥当性が本当に現代においてあるのかどうかという点について重ねてお聞きします。
#155
○政府参考人(山崎潮君) 残念ながら、私、数学は余り強くないものですから、これが妥当するのかどうか、全部チェックすることはとてもできないわけでございますけれども、私ども、法制審議会でも議論をいたしまして、この数式、現実にアメリカ等で、予想狂うことももちろんありますけれども、今まで定着してきたということでございまして、その数式に関して特段問題があるというふうには私ども理解しておりませんで、それがもしあれば法制審議会でも相当な議論になった、こういうものを導入していいのかということになったと思いますけれども、そういうことにはならなかったということから、私どもとしてはこの数式がおかしいというふうに思ってはいないということでございます。
#156
○福島瑞穂君 ただ、例えば一九九七年春にはショールズとマートンを擁するロングターム・キャピタル・マネジメントが六十億ドルの資産を半減しとか、結局このノーベル賞を受賞した人たちを擁するところが株価で大損をしているわけですよね。
 私は、そんなきれいな分布になるわけがなく、しかも今後株価がどうなるか予測もつかない状況で、この有利なる条件あるいは公正価格の算定基準を言うことが本当に可能なのかどうかという点について、実は一番疑いを持っております。
 非常に申しわけないんですが、かなり数式において、それを現状に適用した場合、幅があることは非常にわかります。でも、この式、ブラック・ショールズの式は、例えば立法段階においてどれぐらいの妥当性があるというふうに判断をされているのでしょうか。なぜなら、この式に当てはめてストックオプションの与えた金額が適正かどうかとやるわけですから、それは本当に大問題だと思います。よろしくお願いします。
#157
○政府参考人(山崎潮君) 数式で出すためには、幾つかの過程を積み重ねるわけでございます。そういう意味では幅があるということになるわけでございますけれども、私どもこの数式に関して、特にアメリカで事例が起こったということは承知はしておりますけれども、この数式の合理性ですか、これについておかしいという指摘はなかったというふうに理解をしております。
#158
○福島瑞穂君 そのブラック・ショールズの式についてちょっとだけ読んだんですが、済みませんが、株というのは、一定程度の金融工学があるとしても、現実には国際情勢や政治的な問題や、それこそ構造改革の成否によっても、あらゆることでやはり激変をすると思うんですね。
 このオプションを与えるときの権利行使期間が一カ月後、二カ月後、三カ月後ではなく、もう少し長期間ですから、それを果たしてやることが可能なのかどうか、ちょっとしつこいんですが、そこまで検討されたかどうか、御説明をお願いします。
#159
○政府参考人(山崎潮君) 確かに、アメリカで予測がつかない事態というふうに指摘されているものございますけれども、それ以外その例が多発しているかということでございますけれども、一応実務はそれで動いているということでございます。
 私ども、その合理性について全く一点の疑いもないかと言われれば違うかもしれませんけれども、一応の合理性を持っているというふうに理解をして導入したということでございます。
#160
○福島瑞穂君 特に有利なる条件が、ですから、いつだれがどういう状況で判断するのかということについては、例えばこれは数式に簡単に当てはめて適正かどうかと判断をするんですか。それとも、若干何かを加味してやるんでしょうか。
#161
○政府参考人(山崎潮君) 私、ちょっと言葉が足りなかったかもしれませんけれども、数式のみではないということでございまして、一応数式が出てきましても、そのときの経済状況等、今後何年間かそれほど景気がよくならないという見通しであれば今までの株価の動きとは違ってまいります。そういうことも加味しなければならないということでございます。
#162
○福島瑞穂君 だれがどのようなファクターで判断をするのか、お願いします。
#163
○政府参考人(山崎潮君) これは、取締役が最終的にその判断をして正しいかどうか、特に有利なるという判断であれば、これは株主総会で御判断をいただくということになろうかと思います。
#164
○福島瑞穂君 だから問題だと思います。取締役が自分で判断をするわけですよね。そして、取締役会のみの決議で公正価格かどうかを決められる。特に有利なると判断すれば株主総会で議論ができるわけですが、特に有利なる価格になると取締役が判断をしなければ、取締役会のみで、取締役の段階のみでこれが決められると。
 私はそこが問題だと思います。ブラック・ショールズの式が若干ブラックボックスではないか。そのさまざまな要件を加味することも取締役自身がやるわけですから、株主総会の決議でなく、取締役会でやるということについては問題があると考えます。どんな歯どめがあるのでしょうか。
#165
○政府参考人(山崎潮君) 確かに、御指摘の点ございます。取締役の判断でやる場合は、公告をいたしまして、それに対してやはり判断がおかしいということであれば発行差しとめの請求をするという手段が設けられております。
#166
○福島瑞穂君 確かに、公告を見ていて発行差しとめというのはあり得るのですが、よほど利害関係がない限りなかなか見ないと思うんですね。私は、思い切ってこれを、取締役会の決議、取締役が自分の判断によって適正価格かどうかを決めてしまうというのではなく、株主総会の決議事項とすべきであると考えますが、いかがでしょうか。
#167
○政府参考人(山崎潮君) 私どもといたしましては、この考え方は新株発行のとき、この考え方と同じにしているわけでございます。現在発行するものと将来発行するもの、この機能が極めて似ているということから同じ構成をとっているわけでございまして、これを公告して後で差しとめるということ、これも利害がある方は当然見て権利行使をするわけでございます。
 そういう点で、そのチェックとしては過不足はないというふうに考えております。
#168
○福島瑞穂君 ただ、ストックオプションとそれから新株発行とは御存じのとおり違います。新株発行はずっと株式会社がやってきたことで、ストックオプションに関してなぜ今まで、つい最近まで認められてこなかったかという理由がそれはあると。
 今回、対象もいろんなものも限定をつけないわけですから、せめてこれは、適正価格かどうかが重要な問題、例えば極端に言うと、取締役がかなり低い金額で例えばお手盛りをやったとしても取締役会のみで決まってしまうわけですよね。ですから、これは株主総会決議事項とすべきだと考えますが、いかがですか。
#169
○政府参考人(山崎潮君) 現在、同じようなものといたしまして新株引受権付社債、これはワラントでございますけれども、これも株主総会の決議事項ではございませんで、取締役で出していると。機能的に同じようなものを取締役会で扱っているわけでございます。
 それから、ストックオプションに関しましては、これは常に有利発行になるわけでございますので、株主総会で理由を開示し、特別決議の議を経て行うということで、そちらの点についてははっきり歯どめがついているということでございます。
#170
○福島瑞穂君 ただ、情報公開などがどの程度行われるのかということもあると思います。
 例えば、監査の手を緩めてほしいからと監査役や弁護士などにストックオプションを付与するような不正目的も、別に合理的理由があれば隠されてしまうというおそれもあります。この点などはどのような歯どめがあるのでしょうか。
#171
○政府参考人(山崎潮君) 先ほど申し上げましたけれども、ストックオプションに関しましては、株主総会におきまして授権決議をするわけでございますが、その段階で有利発行を必要とする理由を開示すべきということになっているわけでございまして、それを開示した上で特別決議で議を経るということでございます。そういう意味では、そこでチェックをしていただくと。
 例えば、今言われましたように、監査役とか弁護士とか、そういうパターンで決めていくと、だれということじゃございませんけれども、それについてやっぱり不都合であるということならば否決をしていただくということでチェックが働くというふうに考えております。
#172
○福島瑞穂君 この開示が十分にされることが極めて重要だと思います。
 ですから、会社経営者に、この新株予約権を有利発行することを必要とする理由の開示に当たっては十分に情報公開されることが必要であるということの周知徹底、例えばどの程度情報を開示するかということもありますが、それが大変必要だと思いますが、いかがお考えでしょうか。
#173
○政府参考人(山崎潮君) 大変重要な御指摘でございます。この法案が、法律が成立した暁にはその周知徹底、もう少し実務と詳しいいろいろな打ち合わせをしたいというふうに思っております。
#174
○福島瑞穂君 この情報の開示が極めて重要なので、ぜひ実務的なレベルで周知徹底をしてくださることを重ねて要望いたします。
 改正によって潜在的株主、株式数の増加が想定されるので、より株価操作、インサイダー取引等が行われる危険性がふえることにもなるかもしれません。日本ですと、さまざまな大企業であっても不正経営だとか乱脈経営が新聞などでも報道をされます。ですから、この監視体制についてお聞かせください。
#175
○政府参考人(渡辺達郎君) お答えいたします。
 私ども証券取引等監視委員会は、日々、株式市場の値動きをずっと見ておりまして、例えば特異な値動きをする銘柄があるというようなことになりますと、株価操作とかインサイダー取引があるんではないかというようなことで、いろいろとその事実関係の解明とか手口等の分析を行いまして、その結果、法違反があれば厳格に対処するということを日々行っております。
 こういう日々の活動は行っているわけではございますけれども、御指摘のように、いろいろ最近証券市場問題の重要性が、日本経済における重要性が増してまいりまして、私どもとしましては我々の体制をさらに格段に強化する必要があるということで、十四年度、来年度からの機構定員要求の中に、例えば検査体制の強化ですとか、それから金庫株の解禁等もございまして相場操縦やインサイダーの問題、さらに重要になりますので、こういうことに対する人員の手当てというのを関係当局にお願いしているところでございます。
 今後とも、こういう必要な人員の確保とか、それから自主規制機関、これは取引所とか証券業協会でございますけれども、ここでもいろんな監視活動をやっております。そことの連携の強化、それからアメリカやヨーロッパの外国当局との連携強化、それから民間の弁護士、会計士さんたちにもぜひ我々のところに来て働いていただくというような、いろんなチャネルの多様化というようないろんな施策に取り組みまして、御指摘のような体制整備を図っていきたいと考えております。
#176
○福島瑞穂君 ぜひ頑張ってください。
 ストックオプションの賃金性なんですが、賃金かという問題に対しては厚生労働省は賃金ではないと言っています。しかし、国税庁は賃金だと言っています。つまり、一時所得か給与所得かで見解が対立をしていると。これは一体どっちなんでしょうか。
#177
○政府参考人(山崎潮君) 両方ともちょっと所管ではないんで大変お答えしにくいわけでございますが、税の関係でどういうふうに扱うかという問題はまた別途になろうかと思いますけれども、先ほど厚生労働省の方からも御答弁ございましたけれども、いわゆる労働基準法上の賃金には当たらないということは私どもも同じ解釈でおります。
#178
○福島瑞穂君 国税庁はストックオプションの行使で得た利益は給与所得として申告すべきであるとしていると。新聞記事にもありますけれども、それで追徴されたところがあるというふうになっています。この辺の混乱は法律が改正された後、克服されるのでしょうか。
 また、もう一点、日本法人については売却時まで課税が繰り延べが認められておりますが、外国法人については行使時に課税をされると。この点も不公平だと言われているのですが、この点は将来、法務省の管轄ではないのかもしれませんが、どのように考えていらっしゃるのでしょうか。
#179
○政府参考人(山崎潮君) 現在のシステムの中でもいろいろ御指摘があるということを私ども承知はしております。ただ、今、私どもこれからこれにつきまして国税庁の方ともお話し合いをするということになろうかと思いますけれども、まだ国税、財務省ですか、そちらの方の関係と具体的に打ち合わせをしておりません。そういうことで、現在の段階でどのようになるか、それからまた今度拡大されるわけでございまして、拡大された部分についてどのように扱うかということは今後の課題として検討してまいりたいというふうに思っております。
#180
○福島瑞穂君 次に、貸借対照表またはその要旨の公告にかえて、貸借対照表を五年間、自社のホームページで開示することができるというふうになっています。
 ところで、小規模会社においては現行の貸借対照表の公告制度がほとんど実施をされていないという現状があります。不実施に対しては過料の制裁や、損害をこうむった者からの取締役に対する損害賠償請求の制度がありますが、過料になった裁判例はありません。なかなか大変かもしれませんが、法整備をする必要があるのではないか。本来もっとちゃんとすべきではないかという点についていかがでしょうか。
#181
○政府参考人(山崎潮君) 現状でなかなか公告をしていただけないという状況が続いている。その中で、じゃ過料を科したのかと言われるとゼロであるということで、非常にジレンマでございます。
 ただ、やはり何かのサンクションがないと、ただ公告をしてほしいということでもできませんし、今後、じゃどういう形でやっていただけるようになるか、いろいろ御指摘もございますし、現状も現状でございますので、なお研究してまいりたいというふうに思っております。
#182
○福島瑞穂君 ちょっと質問が戻って申しわけないんですが、ストックオプションは賃金ではないという回答なんですが、現状では賃金的に支払われている場合があるのではないか。パートタイマーの人に対してもこれは使われているという新聞記事もあります。
 そうしますと、税金上は賃金ではないとしても、給与所得としては課税されていないとしても、実質的に賃金的に支払われている例があるのではないかと思いますが、そのあたりの実態把握はどうしていらっしゃいますでしょうか。
#183
○政府参考人(山崎潮君) この点については、私どものもともとの解釈権限でもございませんし、その実態となりますと、私ども直接やっていないということでお許しをいただきたいと思います。
#184
○福島瑞穂君 済みません。つまり、御存じ、労働基準法は全額払い、直接払いなどを規定しているわけですが、例えば企業で、特に中小企業だと、例えばボーナスで電化製品を、例えば自社製品の物で払うとか、ストックオプションも今多額のお金がない場合に、従業員などに将来値上がるからということで実は賃金的に、例えばボーナスがわりに払われるというようなこともあるのではないか。そういうことは法制審議会などでは議論にならなかったのでしょうか、教えてください。
#185
○政府参考人(山崎潮君) 実態についてそれほどはっきりした指摘があったわけではございません。ただ、いろいろ新聞紙上等書かれているものもございます。今後、先ほど厚生労働省の方からも御答弁があったかと思いますけれども、そういう実態、いろいろ御指摘がありまして、そういう問題、いろいろ生じてくれば、私どもどうするかということは、厚生労働省の方と御相談申し上げながら考えていきたいというふうに思っております。
#186
○福島瑞穂君 現実に賃金が余り高くできず、かつ資本が余りなく、賃金が高くできず、ボーナスが例えば払えないときに、かわりにこの制度を使って実質的にはボーナスがわり、実質的には賃金の上乗せ分として使われるということも十分あるだろうし、新聞記事などもあります。ぜひ、もしこの法律が通った暁には、厚生労働省と法務省がその辺のチェックをしてくださるようにお願いします。
 じゃ、お願いしますで再度答弁、お願いします。
#187
○政府参考人(山崎潮君) 御指摘の点も踏まえまして、厚生労働省とよく検討してみたいと思います。
#188
○福島瑞穂君 はい、よろしくお願いします。
 次に、議決権行使を電磁的方法で行うことにより、株主名簿も電子化され、株主のメールアドレス、住所等の情報が会社においても電磁的記録として管理されることになりました。これで、成り済まし、例えばだれかにかわってやるとか、そういうことの防止策についてどう考えていらっしゃるでしょうか。
#189
○政府参考人(山崎潮君) 確かに、本人性の確認ということになろうかと思いますが、これも会社が行うことでございますので、法律で画一的にこうすべきというふうに定めてはおりません。
 考えられる方法としては、やはり個々の会社でいろいろ工夫をしていただくんですが、一つのやり方は電子署名でやっていただくということ、これはかなり確実性があるだろうと。それから、やはり対象者との関係でパスワードを決めて、パスワードで本人を確認していくと、こういうふうな方法が考えられるというふうに思っております。
#190
○福島瑞穂君 原則、会社に任せられるという御答弁なんですが、そもそも商法自身が、会社の私的自治に関して不正やおかしいことが起きないように規制するのが商法の規定だと思います。ですから、会社に任せられるということではなく、何らかの法的な整備あるいは手当てが必要ではないかというふうに私は考えるのですが、いかがでしょうか。
#191
○政府参考人(山崎潮君) いろいろ法的な関係で規律をしているのが商法でございますけれども、これはかなり技術的な問題を含むものでございます。その時々によっても技術が変わってくるということで、私どもで一律に定めるのは適当ではないというふうに考えたわけでございます。
#192
○福島瑞穂君 会社の誤りあるいは犯罪行為によって顧客名簿が流出、漏えいされた事件が多数発生をしております。このようなことに関しての手当てはどうお考えでしょうか。
#193
○政府参考人(山崎潮君) 残念ながら新聞報道でそういうものもあるわけでございますが、まさにそれは会社のコーポレートガバナンスの問題でございまして、会社の方できちっとした対応をしていただきたいということで、私どもは特にこの点で手当てをしているということはございません。
#194
○福島瑞穂君 ただ、個人情報の保護には十分留意するよう会社に周知徹底していただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
#195
○政府参考人(山崎潮君) その種の問題、いろいろ起こりまして、周知徹底をするというのが私どもの仕事でございますので、それはまた実態を把握しながら、どういうふうにしていくか決めたいというふうに思っております。
#196
○福島瑞穂君 デジタルデバイドについて、衆議院でも質問が出ておりますが、随分アクセスが人によっても違うのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
#197
○国務大臣(森山眞弓君) この改正法案では、デジタルデバイドの問題に関しましては、基本的に、現行法上、書面によって送付あるいは提出されることが要求されているものを電子化する、その場合には、送付あるいは提出を受けることとされている相手方が電子化に同意するということが前提条件でございまして、それが必要であるということを決めているわけでございます。
 ですから、現行、書面で行うとされているものを電磁的方法によって送付または提出された場合には、ITを利用できる設備がないなどの理由によってその受領が不可能になってしまう方がいるということを考慮いたしまして、御本人の承諾によって行うということにしております。
#198
○委員長(高野博師君) 時間です。
#199
○福島瑞穂君 終わります。
#200
○平野貞夫君 今回の商法の改正は、従来と違って、現実後追い型の面ももちろんありますんですけれども、結構、政策誘導型という面もあって、新しい社会経済情勢に対応するということで評価する部分もあるんですが、いろいろ朝からの委員の先生方の御指摘のように、心配する部分も正直言ってあります。
 最初、法務大臣にお尋ねしますが、けさほども話題になっていたんですが、中身は大分新しくなるようですけれども、何せ言葉が古い。一体、この片仮名を恐らく日本人で読める人はもう二割いるかどうかわからぬと思うんですがね、この片仮名の文章というのは。これ、大まかで結構でございますが、何年ぐらい先には直すつもりですか。
#201
○国務大臣(森山眞弓君) この商法というのは非常に古い法律でございまして、明治三十二年に制定されたものですから、片仮名文語体で記載されております。また、現在では使用されていないような言葉も使われておりますので、平仮名口語体の表記になれ親しんだ多数の国民にはわかりにくいというのは全くおっしゃるとおりだと思います。
 そこで、法務省では、平成五年に民事局内に商法学者を中心とします商法現代語化研究会というのをつくりまして、商法中、会社に関する規定、第二編を中心に平仮名口語体による現代的な表記に改めるための問題点の整理及び検討を行ってまいりました。
 会社法制につきましては、さきの通常国会で、自己株式の取得及び保有規制の見直し、並びに株式の大きさに関する規制の廃止という大規模な改正が行われ、さらにこの国会と次期臨時国会におきましても大幅な改正が行われるという予定になっております。会社法制に関する商法の規定はほとんど改められてしまうという、内容的にはですね、結果になるわけでございます。このため、先ほど申しました現代語化研究会というのは、実質的な内容の改正をまず優先させるということにしまして、現在は個別の規定の現代語化の作業を一応中断しているという状況でございます。
 法務省におきましては、実質的な改正が一応終わりました後でさらに現代語化のための検討を行いまして、今の見込みでは平成十六年ごろには会社法制の現代語化をするための法案を出せるかなというふうに考えております。
#202
○平野貞夫君 わかりました。
 素人がこんなことを言っちゃいけませんが、そのときに、やっぱり用語の使いがすごくおかしい用語がある。そもそも商法という言葉がぴったりしないんですね。これは、ぜひ商法という名前から変えていただきたいということと、それから使用人という言葉がありますね、取締役と使用人。これ、ひょっとしたら差別用語になるのかもわかりませんよ、我々の感覚からいえば。それから、商人という言葉もあるでしょう。商人という言葉もとてもじゃないですが今の社会のイメージと違うので、こういう言葉もひとつ変えていただきたいということを要望しておきます。
 そこで、ストックオプションの自由化のことなんですが、もともとは議員立法でやったことですし、私どもも賛成したものですから、責任は我々にあると思うんですけれども、いろいろお話を聞いていますとやはり結構問題がある。その趣旨のことは附帯決議にも恐らく盛り込んで、施行についての法務省側への要請を採決の後はお願いするようになると思いますが。会社の経営というか、世の中が非常に活性して会社がうまくいっているときにはこれはよく機能するかもわかりませんが、一たん悪くなれば、共食いというかタコが自分の足を食うような話になって、口の悪い人によると、企業が狂牛病化するかわからぬと。
 非常に問題があるという意味で、民事局長、この運用に当たってはさまざまな手当てはすると思いますが、細かい御答弁はいいんですが、しっかりとしたやっぱり対応で施行、運用に臨んでいただきたいと思うんですが、ちょっと一言。
#203
○政府参考人(山崎潮君) 確かに、御指摘のとおり、いろいろな規制を緩和していくわけでございます。やはり、その実務をきちっと我々はフォローをいたしまして、問題があれば速やかに手当てをするということは大変重要な御指摘だろうと思いまして、私どもも十分に追跡していきたいというふうに思っております。
#204
○平野貞夫君 ところで、今回の商法改正と、今非常に社会問題、政治問題になっております不良債権処理の問題との関係ですが、これは関係あるんですか。
#205
○政府参考人(山崎潮君) なかなか難しい御質問でございますけれども、例えばアメリカの例でございますけれども、ストックオプションの付与の対象者に関する規制の撤廃及び種類株式の多様化の解禁を行っているわけでございますけれども、アメリカでは、例えば銀行等の金融機関が不良債権を放棄するのと引きかえに、債務者の会社からストックオプションの付与を受けたりということもあるようでございます。その具体的なニーズに即した種類株式の種類の発行、これをしたりとか、そういう使い方も行われているというふうに聞いております。余り具体的にちょっと承知しているわけではないんですけれども、そういうようなアメリカからのその例を参照すれば我が国においてもそういう形で利用するということ、そういう局面が今後生まれてくる可能性もあるのではないかというふうに予測している段階でございます。
#206
○平野貞夫君 この法案の中に議決権の制限株式の発行限度を拡大する内容のものがございますね。今説明されたのとちょっと違うと思いますが。これは小川先生が午前中に指摘されたように、これから多分金融不安が再燃すると思いますが、銀行にまた改めて再び国に優先株を購入させて公的資金を再注入するという、しやすくするという規定になるんじゃないですか。ひょっとしてそういうねらいのためにこの法案成立を急いでいるんじゃないかという気がするんですが、その点についてはどうですか。
#207
○政府参考人(山崎潮君) 午前中も御指摘ございましたけれども、私どもとしてはそのような意図は全くございません。
 ただ、今後どのような利用をされていくかということは、その事情事情に合わせて使えるということを認めておりますので、まだ今後の問題はちょっと別であるというふうに考えております。
#208
○平野貞夫君 ということで、私は、この商法改正と不良債権処理問題はやっぱりかなり関連があるというふうに見ております。
 それで、村田副大臣、まことに御苦労さんでございますが、ちょっと教えていただきたいのは、これは事実関係の確認をしたいことなんですが、報道によりますと、十一月一日ごろ日米で財政金融協議が東京で行われたということを聞いておるんですが、事実かどうか、行われていたとすればどういう目的でどういうメンバーで開かれていたか教えていただければと思います。
#209
○副大臣(村田吉隆君) むしろ、財務省の方からお答えした方がよろしいかというふうに思いますが、事実関係だけなので私の方からかわって答弁をさせていただきます。
 財務省から岩下国際局次長がそうした会議の共同議長として出席したと、こういうことのようでございます。
#210
○平野貞夫君 財務省の方は。
 ちょっと構わない範囲で、どういう目的でどういう内容だったかというのをかいつまんで言っていただければありがたいのですが。
#211
○政府参考人(岩下正君) 財務省の国際局次長でございます。
 お答え申し上げます。
 十一月一日、場所はワシントンでございました。会議の名称は日米財務金融対話と称しております。今、村田副大臣からお話がありましたように、財務省からは国際局次長の私が、それから金融庁からは大久保参事官が日本側の共同議長として出席をしております。それから米国側からは財務省のソーベル次官補代行、そのほか金融関係の監督官庁等から出席をいたしております。
 会議の内容でございますけれども、そもそもこの会議は成長のための日米経済パートナーシップという、総理とそれからブッシュ大統領との間で合意された日米の経済対話全体の枠組みの中で位置づけられておりまして、今回がその第一回の作業部会的な会合でございました。内容といたしましては、日米両国の最近の金融市場や監督・規制政策の動向、それからアメリカのテロ事件後の経済情勢や経済政策の動向を日米それぞれの国から紹介をいたしまして意見交換をしたということでございます。
#212
○平野貞夫君 となりますと、この日米対話というのは、ブッシュ大統領と小泉総理の、あれは九月の二十五日でしたか、ワシントンでの会談はこれに基づいて行われたと、こう理解していいですか。
#213
○政府参考人(岩下正君) 枠組みそのものはその前のたしか六月であったかと思いますが、日米首脳会談で固まったものでございます。
#214
○平野貞夫君 わかりました。
 村田副大臣、先ほど成立しました補正予算で、たしか特別会計だったと思うんですが、五百億円の企業再生ファンドへの拠出の中身があったと思うんですが、国会はそれを承認したと思います。いろいろ報道では、RCC、整理回収機構にこの企業再生ファンドをつくって、政策投資銀行なんかからもそれに資金を投入して、これからいろいろ出てくる、いろいろ処理される不良債権の買い取りとかそういうことをやろうという報道があるんですが、これについて金融庁というのはどういう計画を、考えを持っていて、それから、けさの日経新聞なんかによりますと、自民党の中でこのRCCを機能拡大しようじゃないかという動きもある。そういったことについてお聞かせいただければありがたいんですが。
#215
○副大臣(村田吉隆君) 我が国の金融機関が抱えます不良債権につきましては、四月の緊急経済対策におきましても、その後の六月の骨太の方針でも不良債権を処理するということが重要施策として位置づけられました。そういう意味で、私どもは、ここ三年ぐらいの後に我が国金融機関の不良債権の残高、この状態を正常化したいと、こういう意思で今一生懸命努力しているところでございます。
 その中で、私どもはRCCをもっと有効に活用したらどうかという意見が与党の中でも出てまいりまして、いずれRCCにかかわる法律改正は御審議をお願いすることになると、こういうふうに思いますが、その中でRCCがかかわりまして企業再生ファンドをやると。これは、従来企業の再生ファンドというのは我が国においては余り発達を見ていなかったということでございまして、この際、銀行やRCCが、特にRCCが五十三条によりまして買い取った債権につきまして、デット・エクイティー・スワップをいたしまして、それをファンドに拠出する。このファンドには、今御指摘の政策投資銀行も加わりまして、民間も加わりまして、出資を受けたお金によりまして株主としてファンドがそうした再生に該当するというような企業について再生を図っていくと、こういうスキームでございます。
#216
○平野貞夫君 今、副大臣のお話の中に民間もそのファンドに加わるという話があったんですが、これは外国の投資ファンドなんかもそこに加わる可能性がありますか。
#217
○副大臣(村田吉隆君) それは排除していないということでございます。
#218
○平野貞夫君 それから、情報によりますと、この間の補正予算、それから政策投資銀行、そのほかで本年度は四千億というぐらいのファンドをつくりたいという構想だという、そういう構想もあるということは事実でございますか。
#219
○副大臣(村田吉隆君) ファンドの規模と、それから具体的に政策投資銀行が自己資金として出資をする額、それはいろいろだと思います。それから、ファンドも一つだけじゃなくて、いろいろ考えておりますから、そういう意味でトータルとの額と、それから一つの想定する規模とか、そういうのがいろいろあろうかと、こういうふうに思います。
 財源手当てとしては、政策投資銀行の自己資金と、それから新たに産投会計からの出資をちょうだいいたしまして、千億という数字が出ているわけでございます。
#220
○平野貞夫君 ファンドから拠出するお金だけでは不良債権の本当の処理というのはできませんですわね。どこかから融資をRCCが受けて、来年以降は三年間でやると言っておるわけですから、政府は。そうすると、そこに出資する金というのは、これ公的資金、あるいは税金でなくてもいいんですが、日銀からの特別な融資とか、そういう構想はあるんですか。
#221
○副大臣(村田吉隆君) そこはまだ、先生がおっしゃるような日銀がかかわる話というのはとりあえず聞いておりませんが、いずれにしましてもRCCが直接企業の再生にかかわるケースと、それから別個に再生ファンドをつくって、それにRCCは要するにデット・エクイティー・スワップによって取得した株式を現物出資して、それでファンド自体が政策投資銀行あるいは民間から出資を受けて、ファンドの運営をして企業を立ち直らせると、こういうスキームと、二つあるというふうに思います。
#222
○平野貞夫君 余り商法の改正で、ちょっと角度を変えますが、今厳しい不良債権の特別検査やっていますね。この特別検査というのは異例のものだというふうに思うんですが、この特別検査をやるようになった理由と、それを決めた時期というのがわかれば教えていただきたいんですが。
#223
○副大臣(村田吉隆君) 私ども、不良債権の処理というものを進めてまいりました。それから、それに先立ちまして、金融機関の保有する不良債権につきましてこれを確実に認識しなければいけないということでありますので、金融検査、銀行の検査を通じまして、その把握に努めてきたわけであります。
 しかしながら、市場の企業に対する、債務者に対する評価が急速に下がる、例えば格付を下げること、あるいは株式の下落によって市場の評価が変わると、そういうものが銀行の査定、資産の査定あるいは我々の金融検査との関係において問題はないだろうかと、こういう認識がございまして、そういう意味で、改めていろいろなそういった市場の評価に非常に著しい変化が生じているような企業、債務者に対して銀行を通じて特別検査を実施するということとしたわけでございまして、特別検査に入りましたのは十月の二十九日からでございます。
#224
○平野貞夫君 実は、問題の提起だけにとどめますが、テロ事件が発生して、小泉総理がワシントンに行ってブッシュ大統領と会ったと。それで、自衛隊を協力支援で派遣するという法律つくるということを小泉総理は伝えた。報道によると、ブッシュさんはそっちの方の興味ももちろん礼を言ったようなんですが、強く言ったのは、公約どおり三年間で不良債権処理しろと強く言ったと。それが政治的なアクションになって、やはり日米間で不良債権処理について急激ないろいろな動きが出てきた。
 それで、私の手元に一つの資料があるんですが、伝えられるところによると、共和党のブッシュさんの共和党のシンクタンクの人が、じゃ日本の不良債権をどうやって処理するかということをシナリオの案をつくられて、それを翻訳して、十月のある時期に与党の有力な議員さんに配付された。「議員限り(対外秘)」という、ちょっと日本語の翻訳ではこういう翻訳しない一覧表があるんですが、もちろんこれは表向きのものじゃないと思いますが、これ読んでみますと、最近、小泉政権が処理しようとしている、あるいは報道されている、極めて早急に不良債権処理をしようとする流れとそっくりなんですね。
 ですから、私は、一連の流れというのは、もちろん日本のことですから小泉政権が中心にやっていると思いますが、かなりアメリカの影響を受けて、そういうRCCなんかを使って日本の不良債権処理の仕組みが活発化しているんじゃないかと。当然、不良債権処理というのは早期に処理されなければいけませんが、処理される方法がかつての長銀を整理したような形ではこれは困るわけなんですね。
 そういうものを気にして私は申し上げているわけなんですが、当然、RCCが買い取りするとすれば時価か簿価かという議論も起こりますし、あるいは買い取ったものを、このアメリカがつくったという資料によれば、大いにRCCが買い取って、そして早くRCCが売れというようなことをずっと書いておるんですが、こういうところに私は非常に不良債権の処理が、健全といいますか、いわゆる法のルールで行われない、またかつてのようないろいろな問題が再燃するんじゃないかということを懸念しているわけなんです。
 そこで、最後に新聞の記事、私の話じゃないです。新聞の記事を紹介してもうやめますが、きょうから毎日新聞の連載が始まりました。「特別検査の「衝撃」上」というところで、
  十月下旬、東京都心を忙しく歩き回る青い目の一団があった。率いるのは、クエール元米副大統領。首相官邸で小泉首相にテロ封じ込めでの日本の姿勢をたたえた表向きの姿とは別に、「日本の不良債権ビジネスに食い込むのが狙い」(金融筋)だった。米投資ファンドのトップを引き連れ、特別検査による不良債権処理で中心的な役割を担う整理回収機構の企業再建ファンドへの参画も打診したという。
  日本の金融界、政官界が不良債権問題でのたうつのをよそに、「特別検査後」をにらんだ動きが活発化し始めている。
と。
 ということで、この問題の展開は非常に心配もされますし、また適切にやらなきゃいけないと思っていますし、これは下手すればまた黒いうわさとかいうものが起こる可能性もありますので、ここら辺ひとつ、この商法の改正と妙にこじつけたようになりますが、法務大臣、ちゃんと監視して、変なことが起こらないようにお願いしまして、私の質問を終わります。答弁要りません。
#225
○柏村武昭君 無所属の柏村武昭でございます。
 既に、午前中より各党の委員の皆さんよりあらゆる角度からの質問が出てまいりまして、ラストバッターとしては大変やりにくいわけでございまして、あるいは重複する質問があるかもしれませんが、お許しを願いたいと思います。
 今回、審査の対象となっております商法改正法案は、来るべき会社法制の大幅な見直しに一歩先んじて、経済界から特に要望の強かったストックオプションをめぐる各種制限の撤廃、そして経済社会におけるIT化の急速な進展に対応するために会社関係書類の電子化、この二つを大きな柱とするものではないかと思います。
 私は、先月この法務委員会において、一般調査の機会に、IT社会における刑事司法のあり方について質問をいたしました。今回も同様にIT社会における民事司法のあり方について当局の御見解を伺いながら、改正法案について質問をさせていただきます。
 まず、IT社会における民事司法のあり方というものについてお伺いします。
 前回の質問でも申し上げたんですが、ITという言葉にはかなり専門的な響きがありまして、そのためお年を召した皆さん方にとってはなかなかなじみにくく、現にこの私もそういう世代の一人として、うちの娘はまだ小学生なんですが、その世代が携帯電話とか電子メールを上手に使いこなしている姿を見て、ただただ驚くばかりでございます。
 そもそもITというものは、もともとデータ処理を中心に発展してきた情報通信技術が通信ネットワークと結びつくことによって新しいコミュニケーションの手段として発展してきたものです。携帯電話で列車の切符の予約を行うことができるのも、インターネットでありとあらゆる商品を売買できるのもすべてITの発展、つまりは社会のIT化のおかげということが言えると思います。ことしの四月に施行されたいわゆるIT一括法でもインターネット上で商品を売買する電子商取引に関する法整備が行われまして、特に認証の分野での電子化が一挙に進んだと理解しております。
 ここでまず、IT社会に対応した民事並びに商事に関する法体系の整備について法務省はどのように取り組んでいるのか、法務大臣にお伺いします。
#226
○国務大臣(森山眞弓君) IT社会に対応いたしました民事及び商事法分野における法体系の整備につきましては、法務省としても精力的に一生懸命取り組んでおります。
 例えば、電子商取引の急速な普及に対応するために、平成十二年の通常国会に、一定の電子署名に法的な効力を付与することなどを内容といたします電子署名及び認証業務に関する法律案、電子署名等の認証を行うための商業登記に基礎を置く電子認証制度の導入等を内容とする商業登記法の一部改正法案並びに電子公証制度の導入等を内容とする公証人法及び民法施行法の一部改正法案を提出いたしましたが、これらはすべて法律として成立いたしまして、本年四月一日から施行されております。
 このほかにも、ことし三月から債権譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律のもとで関係政令等を改正いたしまして、債権譲渡登記のオンライン申請制度をスタートさせるとともに、さきの通常国会に、インターネットを通じた消費者契約における消費者側の意思表示に錯誤があった場合について民法の特例を定めること等を内容とする電子消費者契約及び電子承諾通知に関する法律案及びコマーシャルペーパーのペーパーレス化を可能にする短期社債等の振替に関する法律案を提出いたしましたが、これらも本年十月一日から施行されまして、または来年四月一日から施行される予定でございます。
 また、商事法の分野におきましては、今回の改正法案で、従来、書面での作成、送付等が要求されていました会社関係書類につき、電子媒体での作成やインターネットその他の電磁的方法による提供などを認め、会社運営のIT化を促進するための法整備を行うことといたしております。
 法務省といたしましては、今後も登記申請をインターネットでも行うことができるようにするなど、不動産登記制度及び商業登記制度のIT対応を進めることや、社債や株式のペーパーレス化を実現する等の課題に精力的に取り組んでまいりたいと考えております。
#227
○柏村武昭君 ありがとうございました。
 電子商取引には、取引コストの削減など数多くのメリットがある反面、ネット詐欺のような新しい犯罪を誘発するなどの悪い面もあります。法務省におかれましては、そうしたメリットとデメリットの双方についてより一層研究を深めていただきまして、我が国の経済秩序に大きな混乱が起きることのないよう、しっかりとした民事法体系の整備を行っていただきたいと存じます。
 次に、今回の改正法案ではストックオプションに関して大幅な規制緩和が行われることになっております。そこで、規制緩和の観点から幾つか質問をさせていただきます。
 改正法案には、ストックオプション制度の改善のほかに優先株や劣後株などの種類株式制度の弾力化、それから新株発行規制の見直しが盛り込まれております。これらは経済界などから強い要望を受ける形で今後の商法大改正に一歩先駆けて実施されるものでありますが、こうした民事並びに商事法制における規制緩和のスケジュールの概要について、法務大臣にお伺いしたいと思います。
#228
○国務大臣(森山眞弓君) 経済のグローバル化及び高度情報社会の到来に伴いまして、経済社会の変化のスピードが大変速くなってまいりました。社会の実情に適合しなくなった不合理な規制は可能な限り早急に緩和いたしまして、あるいは廃止していきましてということが肝要であると考えております。
 このような観点から、民事法制及び商事法制につきましても、必要な規制緩和措置を盛り込んだ法整備を検討しているところでございます。
 商事法制の分野では、法制審議会会社法部会が会社法制の大幅見直しのための検討を行っておりまして、平成十三年四月に商法等の一部を改正する法律案要綱中間試案を公表しております。今回の改正法案は、そこで取り上げられた改正検討事項のうち特に早期立法化の要請が強い株式制度の見直し、会社関係書類の電子化等を実現しようとするものでございます。中間試案におきましては、このほかに会社の計算及び機関に関する改正検討事項として、商法特例法上の大会社への連結決算書類制度の導入、社外取締役選任の義務づけ、機関相互間の権限分配の見直し等多くの事項を取り上げておりますが、これらの事項につきましては平成十四年の通常国会に商法改正法案を提出することを目標にいたしまして、現在、法制審議会会社法部会におきまして検討作業が行われているところでございます。
 民事法制の分野につきましては、まず倒産法制に関する整備の一環といたしまして、平成十四年度を目標として会社更生法の見直し作業を、また平成十五年度中を目標として破産法及び民事再生法の見直し作業をそれぞれ行っております。
 このほか、短期賃貸借の制度の見直しを含む担保執行制度の見直し、分譲マンションの管理、建てかえの適正化等を柱とする建物の区分所有制度の見直しなど、民事基本法制の全般にわたりまして今後数年の間に見直しを行うことといたしまして検討は進められております。
 なお、これらの事項は経済関係民刑基本法整備推進計画にも含まれているところでございます。
#229
○柏村武昭君 ありがとうございました。
 近年のIT分野における技術革新を背景に、経済社会の変化のスピードは信じられないぐらい速くなっておりますので、規制緩和のスケジュールを前倒しして実施していく必要があるんではないかと思います。特に、グローバルにビジネスを展開している企業、中でもライバルが国内に存在しないような超優良企業が、国内の規制が足かせとなっているために外国企業との競争にハンディを背負ってしまうような状況を放置しておくことは絶対に許されません。国際競争力のある企業がどんどん積極的にビジネスを展開していく、そういうことができるよう、規制緩和は時を待たずに実行すべきだと私は考えております。
 今回の改正のように、実施可能なものからすぐに実行に移していくという姿勢がやはり大切です。法務省におかれましても、改正のタイミングという点に確かな認識を持っていただきたいとお願いしたいと思います。
 次に、会社関係書類の電子化に関する件について質問いたします。
 今回の改正法案では、会社と株主とのやりとりについても電子化を図ることとされていますが、具体的には、株主総会の招集通知などにインターネットを利用すること、また株主総会における議決権行使に電子メールを利用することを認めるというものなんですが、いずれも現在のパソコン普及度を考慮すれば早急に認めてしかるべきものなんですが、きょうは午前もちょっと出たんですが、もう一歩進んで、将来的には株主総会そのもののIT化、いわゆるネット総会まで検討されているんでしょうか。この辺を聞いてみたいと思います。
#230
○政府参考人(山崎潮君) 確かに、御指摘の点は、この四月に商法の中間試案をまとめたわけでございますが、その中の提案として一項目入っております。その後、いろいろ実務界等の意見照会をいたしました結果、余り希望がないということで今回は取り入れていないというのが新しいところでございます。
 結局、これをやることによって、運営する側の技術上の問題点、それから運営上の問題点とか費用負担の問題、こういう点をどういうふうにクリアするかということで、まだそこまでいろいろ解決していないということで企業側も要望は余りしないということでございます。
 ただ、こういうような流れでございます。また、やっているうちにこういうことを要望してくる可能性もございます。そのときはそのときで速やかな手当てをしたいというふうに考えております。
#231
○柏村武昭君 ありがとうございました。
 今では巨大な多国籍企業でなくても、例えば工場地帯の片隅にある小さな町工場であっても、パソコン一台あれば世界じゅうのどこにいる相手とでも会議や打ち合わせができるわけですから、実務の実態に即した法整備を時期におくれることなく進めていただきたいと存じます。
 次に、貸借対照表などの計算書類の公開方法として新たにインターネットによる公開の方法を認める場合に、例えばパソコンに全く縁がないお年寄りなどITに弱い人たちは会社の発表する決算情報にアクセスすることが全く不可能になってしまうんじゃないか、そうした一部の人々の持つ株主権を結果的には奪うことになってしまうんじゃないか、そこには実は重大な問題点が潜んでいるんではないかと思いますが、この点について、いわゆるIT弱者の保護という観点から、法務当局に御見解を伺いたいと思います。
#232
○政府参考人(山崎潮君) 例えば、株主総会の書類の送付とか、これをインターネットで行う、それから投票もインターネットで行う、この問題に関しましてはやはり株主の同意が要るということでございますので、まずそこでチェックをしていただくということでございます。
 それから、計算書類等につきましては、また希望すれば別途書面でもお送りします。それから、会社の債権者ですね、債権者につきましては、会社の本店等に計算書類を備え置きをいたしまして閲覧等ができることになっておりまして、これも機械に弱い方はきちっとプリントアウトして出すという形も、それから画面表示で見るということ、そういうことも可能なように幾らでもいろんな形で不利益をこうむらないような手配をしているということでございます。
#233
○柏村武昭君 ありがとうございました。
 続いては、インターネットによる計算書類の公開を認める場合、ハッカーというのがいまして、ハッカーなどによる意図的な改ざんにさらされるおそれが出てきます。
 先ほどちょっとお答えを聞くと、会社ごとの対処だとおっしゃっていましたが、どうなんでしょう、ハッカーなどはもう各会社の利害が絡む経済犯罪になるわけですから、あるいは国家的な予防策、そういったものも必要ではないかと思いますが、どうでしょう。
#234
○政府参考人(山崎潮君) これは日本全体で考えていく問題、技術的な問題ということだろうと思います。これは、会社だけにとどまらず、そういうインターネット等の保護という観点から進めていくということでございまして、会社の関係だけについてやるという、一般的なそういう技術開発を進めていただいてそれを会社の方も利用していただくということで、今回は特にこの中で手当てを加えなかった、ある意味では会社の自主性に任せる、技術がいろいろ進歩するということもいろいろ考えられますので、法で一律に決めないで、そこは会社の自治にお任せをするという形をとったわけでございます。
#235
○柏村武昭君 ありがとうございました。
 あらかじめ予測される犯罪でございますので、しっかりとした視野に立った対処をお願いしたいと思います。
 ここで、諸外国における民事並びに商事法の電子化の実情について、改正法案と関連して、かつ我が国に資する範囲で簡単に御紹介いただきたいと思います。特に、株主保護について各国ではどのような工夫がなされているんでしょうか。
#236
○政府参考人(山崎潮君) 今回の法案に関連する部分で申し上げたいと思いますけれども、株主総会の招集通知、これをEメールで行うという点につきましては、アメリカではデラウエア州あるいはニューヨーク州などで立法によって認められております。それからまた、イギリス、ドイツでも最近認められることに至ったという状況でございます。
 このやはり株主の保護については、当該株主からEメールで送付をするということについての同意を取得しなければならないとされておりまして、今回、私どもが置いている案と同じ形をとっているわけでございます。
 それから、今度、議決権の行使についてでございます。
 アメリカではデラウエア州等で立法によって認められております。それからまた、フランス等でも一定の条件、これは定款の定め等で認めるという法律を設けているわけでございます。また、イギリスでもインターネットによる株主総会の議決権行使が認められるという法律が近々定められるというふうに聞いております。
 世界の状況、大体以上のとおりでございます。
#237
○柏村武昭君 先ほど申し上げましたように、今後も電子化がより一層進むにつれまして、いわゆるIT弱者と言われる人たちにとっては社会がますます住みにくくなってくるんではないかと、私はそういう逆説的な事態が生じないとも限らないと思います。それでは何のためのIT化かということになってしまいます。当局にはその点をしっかりと御認識しておいていただきたい、ここに強く要望いたしておきます。
 おしまいに、今回の改正法案でも積み残されました、IT化に対応していくために今後なお検討を進めていくべき課題にはどのようなものがあるのか、きょうのまとめとして法務大臣にお伺いしたいと思います。
#238
○国務大臣(森山眞弓君) 今回の改正法案が成立いたしますと、会社関係書類の電子化などのいわゆる会社法のIT化対応に関する改正はほぼ完了することになるわけでございますが、会社が合併その他を行うに際して必要とされている公告に関しましては、今回の改正法案では手当てが見送られ、残された課題となっております。
 合併等に際して会社が行う公告は、一定の法的な効果と結びつけられておりますために、その電子化を認める場合には、電子公告を実施する主体をどうするかという点や、その実施主体に対する法的規制のあり方などにつきましてなお検討すべき課題が残っております。引き続き、法制審議会の場で検討が継続されているためでございます。
 このほかにも、先ほど先生が御指摘になりましたネット総会などということが話題になってまいりますと、また新たな課題が出てくるかもしれませんが、およそのところ、現在御審議いただいているこの法案の成立によりまして、ほぼ完了したかなというところでございます。
#239
○柏村武昭君 どうもありがとうございました。
 本日は、IT社会における新しい民事司法のあり方につきまして幾つかお伺いをさせてもらいました。法務省におかれましては、IT社会にふさわしい法体系の整備に今後とも万全の対応をされまして、経済界のみならず国民各層の期待にこたえていかれるよう、しっかりと頑張っていただきたいと思います。
 ちょっと早いんですが、きょう、この後のスケジュールもありますので、私の質問は終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
#240
○委員長(高野博師君) 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。
 これより両案について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#241
○井上哲士君 私は、日本共産党を代表して、商法等の一部を改正する法律案、他一案に反対の討論を行います。
 反対の理由の第一は、本法案がストックオプション制度にかけられていた制限を全面的に撤廃することにより、ストックオプション制度が持つ問題点をさらに拡大するものだからです。
 ストックオプション制度は、権利を付与された者が時価よりも低い価格で権利行使をすればするほど報酬としての意味が大きくなるものであることから、逆にそうなればなるほど一株当たりの価値が下がり、一般投資家、既存株主の利益に反するものと指摘をされてきました。
 そうした問題を持つからこそ、現行法では付与対象は取締役と使用人に限定し、付与株式の上限は株式総数の十分の一まで、また十年間の権利行使期間などの制限を加えてきました。
 ところが、法案は、それらの制限を撤廃し、子会社の社員や取引先、さらには政治家などだれにでも、付与株式総数の限度もなく、権利行使期間の制限もなく与えることを認めるものであります。しかも、付与される者の氏名を総会の決議事項にすることさえ要件とされなくなります。
 これは明らかな改悪であり、付与対象が取締役会の決議事項とされることにより、取締役会の会社支配が強まることにもつながるでしょう。
 反対理由の第二は、ストックオプション制度の前提条件である公正な証券市場の整備、経営監督機能の強化については何ら有効な手だてがとられていないことです。
 制度導入時から多方面から必要性が指摘をされてきたにもかかわらず、経営監督機能の強化には手つかずのまま規制緩和のみを先行させるのは、政策的にも整合性を欠いたものと言わねばなりません。
 証券取引等監視委員会の体制などは、アメリカのSECと比べると余りにも貧弱であり、インサイダー取引、株価操縦などを十分チェックできるなどとは到底言えるものではありません。規制緩和により証券取引の公正さがさらに損なわれる懸念が強いものです。
 法案は、経済界の近視眼的な要求のみを反映させたものであり、目先の株価対策などに使われこそすれ、我が国経済の発展には寄与するものではないこと、このことを指摘し、反対討論とします。
#242
○委員長(高野博師君) 他に御意見もないようですから、両案に対する討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 まず、商法等の一部を改正する法律案の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#243
○委員長(高野博師君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、千葉景子君から発言を求められておりますので、これを許します。千葉景子君。
#244
○千葉景子君 私は、ただいま可決されました商法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・保守党、民主党・新緑風会、公明党、社会民主党・護憲連合及び自由党の各派並びに各派に属しない議員柏村武昭君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    商法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に伴い、次の事項について格段の配慮をすべきである。
 一 ストック・オプションの付与対象者及び付与できる株式数の制限の撤廃に伴い、会社による株価操作、インサイダー取引等が行われないよう監視体制を一層整備するとともに、株主以外の者に新株予約権を有利発行する場合には、これを必要とする理由を開示することが株主保護の観点から重要であることについて、周知徹底を図ること。
 二 ストック・オプション制度に係る税制については、税の公平性・所得の捕捉可能性等を踏まえて整備すること。
 三 会社関係書類の電子化、計算書類の公開制度の電子化等の導入に伴い、会社等が用いる電磁的方法の信頼性・安全性の確保に努めるとともに、個人情報の保護に十分留意するよう周知徹底を図ること。
 四 株式会社の大多数を占める小規模会社においても、計算書類の公開の制度趣旨が十分に理解され、その実施が図られるよう、その趣旨の周知徹底を図るとともに、この制度を定着させるために必要な環境整備に努めること。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
#245
○委員長(高野博師君) ただいま千葉君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#246
○委員長(高野博師君) 多数と認めます。よって、千葉君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、森山法務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。森山法務大臣。
#247
○国務大臣(森山眞弓君) ただいま可決されました附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。
#248
○委員長(高野博師君) 次に、商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#249
○委員長(高野博師君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#250
○委員長(高野博師君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#251
○委員長(高野博師君) 刑法の一部を改正する法律案及び刑事訴訟法等の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。
 両案について政府から趣旨説明を聴取いたします。森山法務大臣。
#252
○国務大臣(森山眞弓君) 刑法の一部を改正する法律案及び刑事訴訟法等の一部を改正する法律案につきまして、一括してその趣旨を御説明いたします。
 まず、刑法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
 近時、飲酒運転や著しい高速度運転などの悪質かつ危険な自動車の運転行為による死傷事犯が少なからず発生しています。これまでは、このような事犯についても、不注意な運転行為によるものとして業務上過失致死傷罪により処罰されてきましたが、同罪はこれらの事犯の悪質性や重大性に的確に対応するものではなく、国民の間にも罰則の整備を求める声が高まっていることから、事案の実態に即した適切な処罰を行うための法整備が必要です。
 一方、今日、自動車の普及により、自動車運転による業務上過失傷害事犯は多くの国民がその日常生活の過程でわずかな不注意により犯しかねない状況となっており、また現に軽傷事犯の中には、その情状に照らし刑の言い渡しを要しないものも少なくなく、それらの事案のすべてを処罰することは適当ではないことから、その旨を刑法上明らかにすることが適当です。
 そこで、この法律案は、このような状況を踏まえ、自動車運転による死傷事犯に対し、事案の実態に即した処分と科刑を行うため、刑法を改正し、所要の法整備を行おうとするものです。
 この法律案の要点を申し上げます。
 第一は、アルコールの影響により正常な運転が困難な状態で四輪以上の自動車を走行させるなどの悪質かつ危険な運転行為により人を負傷させた者は十年以下の懲役に処し、死亡させた者は一年以上の有期懲役に処する旨の処罰規定を新設するものです。
 第二は、自動車を運転して業務上過失傷害罪を犯した者について、傷害が軽いときは情状により刑を免除することができる旨の規定を設けるものです。
 その他所要の規定の整備を行うこととしています。
 次に、刑事訴訟法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
 刑事訴訟法上、裁判は原則として検察官の指揮により執行することとされていますが、財産刑、自由刑その他の裁判の執行につきましては、その執行を受ける者の所在や資産等の調査を行う必要がありますところ、現行法はこれらの調査に関する権限の規定を欠いており、調査に際し、その相手方から照会の根拠規定がないことを理由として協力を拒まれるなど、裁判の執行に困難を来している例が少なくない状況にあります。また、有罪の裁判のおよそ九割が自動車運転に係る事犯であるという実情を踏まえますと、自動車運転に係る死傷事犯に厳正に対処するとの観点からも、財産刑、自由刑等の裁判を的確に執行するため法整備を行うことが必要です。
 そこで、この法律案は、このような状況を踏まえ、刑事訴訟法等を改正し、所要の法整備を行おうとするものです。
 この法律案の要点を申し上げます。
 第一は、刑事訴訟法の改正であり、裁判の執行に関し、検察官等が公務所または公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる旨の規定を新設するものです。
 第二は、過料の裁判を検察官の命令によって執行することを定める他の法律につき、第一と同様の規定を新設するものです。
 以上がこれらの法律案の趣旨でございます。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに可決くださいますようお願いいたします。
#253
○委員長(高野博師君) 以上で両案の趣旨説明の聴取は終わりました。
 両案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
    ─────────────
#254
○委員長(高野博師君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 刑法の一部を改正する法律案の審査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#255
○委員長(高野博師君) 御異議ないと認めます。
 なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#256
○委員長(高野博師君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時四十分散会
ソース: 国立国会図書館
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