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2001/10/03 第153回国会 参議院 参議院会議録情報 第153回国会 本会議 第3号
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2001/10/03 第153回国会 参議院

参議院会議録情報 第153回国会 本会議 第3号

#1
第153回国会 本会議 第3号
平成十三年十月三日(水曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第三号
  平成十三年十月三日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、裁判官弾劾裁判所裁判員予備員、裁判官訴
  追委員及び同予備員辞任の件
 一、裁判官弾劾裁判所裁判員予備員等各種委員
  の選挙
 一、日程第一
 一、新議員の紹介
 一、永年在職議員表彰の件


     ─────・─────
#3
○議長(井上裕君) これより会議を開きます。
 この際、お諮りいたします。
 岩永浩美君から裁判官弾劾裁判所裁判員予備員を、野間赳君及び矢野哲朗君から裁判官訴追委員を、久野恒一君から同予備員を、それぞれ辞任いたしたいとの申し出がございました。
 いずれも許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(井上裕君) 御異議ないと認めます。
 よって、いずれも許可することに決しました。
     ─────・─────
#5
○議長(井上裕君) この際、欠員となりました
 裁判官弾劾裁判所裁判員予備員一名、
 裁判官訴追委員二名、同予備員一名、またあわせて
 日本ユネスコ国内委員会委員二名、
 国土審議会委員、
 国土開発幹線自動車道建設会議委員各三名の選挙
を行います。
 つきましては、これら各種委員の選挙は、いずれもその手続を省略し、議長において指名することとし、また、裁判官弾劾裁判所裁判員予備員、裁判官訴追委員予備員の職務を行う順序は、これを議長に一任せられたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○議長(井上裕君) 御異議ないと認めます。
 よって、議長は、
 裁判官弾劾裁判所裁判員予備員に市川一朗君を、
 裁判官訴追委員に加藤紀文君及び北岡秀二君を、
 同予備員に世耕弘成君を、
 日本ユネスコ国内委員会委員に狩野安君及び松あきら君を、
 国土審議会委員に陣内孝雄君、西田吉宏君及び輿石東君を、
 国土開発幹線自動車道建設会議委員に鴻池祥肇君、浅尾慶一郎君及び木庭健太郎君を、
それぞれ指名いたします。
 なお、裁判官弾劾裁判所裁判員予備員の職務を行う順序は、市川一朗君を第一順位といたします。
 また、裁判官訴追委員予備員の職務を行う順序は、世耕弘成君を第二順位といたします。
     ─────・─────
#7
○議長(井上裕君) 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
 昨日に引き続き、これより順次質疑を許します。白浜一良君。
   〔白浜一良君登壇、拍手〕
#8
○白浜一良君 私は、公明党を代表し、さきの小泉総理の所信表明演説に対し質問をいたします。
 まず初めに、アメリカで起きた同時多発テロの犠牲になられた方々に心からお悔やみを申し上げます。また、日本人二十三名を含む五千人を超える皆様がいまだ行方不明になっておられます。被害に遭われた御家族や関係者の皆様に心よりお見舞いを申し上げたいと思います。
 今回のテロによって、世界じゅうを駆け回っていた人と物の流れは瞬時にとまり、かわりに世界同時不況の波が押し寄せてきました。高度に発展した現代社会が一面では非常にもろい面もあることを私たちは次々に伝えられるニュースや映像で知りました。また、アメリカの発表では、死者、行方不明者となられた方々の国籍は実に八十の国と地域に広がっており、国際テロリズムがまさしく文明社会の憎むべき破壊者であることを如実に物語るものであります。数多くの無辜のとうとい命を最も醜い形で奪った卑劣きわまる暴挙に対し、私は激しい怒りを抑えることはできません。
 テロリズム根絶への闘いは、今始まったばかりであります。我が国と我が国国民に対してもまた、長い忍耐と、その闘いを継続する強い決意を持つことが要請されております。そうした闘いの究極にあるものは、言うまでもなく世界に広がる貧困と差別の解消であります。特に、我が国を含む先進諸国の献身的な努力が必要であることは言うまでもありません。その上でまず、目前にある国際テロリズムをどう封じ込めるかという問題に取り組まなければなりません。我が国が果たすべき責務を自覚し、世界各国と一致結束し、断固たる決意で立ち向かっていかなければなりません。
 今回のテロ事件で、私たちには一体何が問われているのでしょうか。
 第一は、新たな戦争が顔をのぞかせたことであります。
 二十世紀において、これほど大規模な攻撃を計画し、作戦を遂行するのは国家でした。しかし、二十一世紀の戦争は少数の過激派や一部の集団が遂行してしまうのです。今や、平和をつくり上げるには、国家レベルの軍縮や安全保障対話だけでなく、暴力によってその主張を実現しようとする勢力を発見し無力化する国際的な協力体制が不可欠であります。
 NATOによるコソボ爆撃が提起した問題は、他国で虐殺や暴力などの事実が明らかになっているとき、内政不干渉を理由にそれを放置することが許されるかどうかということでありました。
 今回のテロ事件に先立って、国連は、一九九九年十月には、実効支配地域でのテロ訓練の禁止、米国などへのビン・ラディンの即時引き渡し等の決議を行いました。そして、二〇〇〇年十二月には、さらに制裁を強化する決議を行っております。タリバンの公然たるテロや暴力への支援を放置せず、さまざまな制裁を行ってまいりました。しかし、タリバンはこれに挑むかのように暴力と破壊をエスカレートさせてきました。
 国際テロ組織との闘いは、周辺国家の協力や国連の強化など、これまでにない新たな知恵が求められます。テロは犯罪であり、犯罪を見逃さず闘うのは政治に課せられた責任であることは言うまでもございません。
 二十一世紀の新たな戦争とも言うべきこうした行為に、総理はこれまでにないどのような新たな戦略を必要とお考えでしょうか。
 第二は、我々が想像もできなかった、世界に広がる憎しみの増大であります。
 私たちが大きな衝撃を受け、悲しみに暮れていたとき、世界の一部には留飲を下げ拍手を送る人々もいたのです。この事実をどうとらえるのか。
 国連のアナン事務総長は、昨年、ミレニアム・サミットに向けた報告の中で、全世界を住民千人の村に例えると、豊かな人々は百五十人、貧困に苦しむ人は七百八十人、一人当たり年間平均所得は六千ドルだが、半分近くは一日二ドル未満で生活をしている、パソコンを持っている人は六十人未満云々と指摘いたしました。
 一方、総理もさきのジェノバ・サミットで経験されたように、反グローバリズムのあらしが吹き荒れています。豊かさをどう分かち合い、世界の持続的な発展を可能にするのか。この作業に全力で取り組まなければ、憎しみは暴走し、新たな暴力やテロを生み出すことになりかねません。我が国は、世界が抱える貧困問題に率先して取り組むべきであると考えますが、総理のお考えをお伺いいたします。
 今回のテロで浮上した第三の問題は、我が国の対テロへの姿勢であります。
 テロに立ち向かう米国に対して、英国やオーストラリアは軍事行動への参加を表明しています。支持を表明したものの軍事行動には慎重な国もあります。国内にイスラム原理主義を抱えた国では当然でありましょう。
 各種世論調査では、圧倒的多数の国民がテロ対策のための新規立法を支持しています。ただ、アジア諸国には急速な日本の立場に戸惑いを見せる国があるかもしれません。我が国が主体的に判断すべきであることは当然ですが、東南アジア諸国にも適切に説明し、国際的な理解も得ていく努力をするべきだと考えますが、お考えをお聞かせください。
 現在、国連総会でも、各国首脳が参集し、今回のテロ事件への対応、そして国際的なテロ包囲網を構築するための真剣な討議が行われております。この国連中心の取り組みは全面的に支持するものであります。
 私は、包囲網へ向けての中長期的課題として、テログループへの資産凍結、テロ関連条約の批准の推進、入国管理体制の強化、武器輸出の禁止、ハイジャック防止対策、テロ組織の実態解明への協力、そして国際刑事裁判所の創設等々の諸施策が推進されることを切に期待いたします。
 まずは、テロ根絶に対する国際的な包囲網の構築へ向けての我が国の基本方針についてお伺いをいたします。
 問題は、当面の対策としてどのような取り組みが選択されるかであります。
 事件の首謀者及び組織、それを支援する者に対しては毅然たる態度で臨むのは当然ですが、拙速な軍事的行動によって何の罪もない人が犠牲になり、報復の連鎖を招くような対応は回避すべきであります。米国も当然慎重な対応、行動を模索しているとは思いますが、総理は、どのような状況であれば軍事的対応もやむを得ないと判断するのか、その基準についてのお考えをいただきたいと思います。
 現在、政府、与党間でテロ対策特別措置法案について最終調整がされているところであります。基本的考え方を確認しておきたいと思います。
 今回の立法の主な目的は、テロ撲滅に向けて我が国が主体的に実施する国際協力と難民支援であります。特に、難民支援や医療等の人道的支援については、我が党の強い主張により盛り込まれました。事実、国際機関からもブッシュ大統領からも我が国が期待されている分野であります。
 しかし、難民支援といっても、自衛隊を中心に派遣するわけですから、三点の明確な歯どめが必要だと思います。一つは、活動地域は戦闘地域と一線を画した地域に限定する。二つは、与党三党で二年ということが決められたようでございますが、期間を定めた時限立法とする。三つ目は、武器使用については、難民等を含む生命、身体の防御のためにやむを得ない場合のみに限定する。以上の最低限のルールを定めた上で初めて自衛隊の派遣が可能になると思いますが、総理の御見解をお伺いいたします。
 次に、経済問題についてお尋ねします。
 米国を襲った同時多発テロにより、世界同時株安など、世界的な景気後退が懸念されています。我が国としても、金融、経済両面における国際協調体制の確立など、世界の経済の安定に向け、政府、日銀が一体となって努力をしていく必要があります。
 一方、日本国内においても、米国の同時多発テロの影響もあり、日経平均株価が一万円前後で、いまだに先行きの見えない状況にあります。四―六月期に続いて七―九月期のGDPについても見通しが厳しい中、補正予算を初めとした経済対策を早急に講ずる必要があると考えます。
 私は、補正予算の編成に当たっては、国債発行三十兆円枠の原則は大事ではありますが、必ずしもこだわる必要がないのではないかと考えます。実際、現場の中小企業の状況は相当深刻であります。大胆かつ柔軟な発想で対応すべきだと考えます。
 現在の世界及び我が国の経済状況に対する認識とその対応策について、総理のお考えをお伺いします。
 不良債権の処理など、構造改革を推進していく中で避けられない問題が雇用問題であります。完全失業率が五%を超える中、雇用に対する国民の不安はますます深刻になってきています。
 公明党は、二年間で百万人の雇用創出を訴えてきました。その具体的内容については、与党の緊急雇用対策や、我が党の強い主張で設置された産業構造改革・雇用対策本部が発表した総合雇用対策などにも盛り込まれているところであり、公明党としても、その実現に向けて全力で取り組んでまいる所存であります。
 新産業分野における雇用創出や緊急地域雇用特別交付金制度の見直し、拡充など、地域における雇用創出、失業者の再就職支援、生活支援など、政府は万全な雇用のセーフティーネットを整備すべきであります。
 同時に、日本の産業を支える柱である中小企業の支援として、売掛債権担保融資制度の創設、金融安定化特別保証制度の効果的運用など、必要な措置を講ずるべきであります。
 その他、セーフティーネット構築の観点から、奨学金制度、法律扶助制度の拡充なども緊急を要する課題であります。
 以上、補正予算においては、特に雇用対策、中小企業対策等、セーフティーネットを万全かつきめ細かに整備すべきであると考えますが、総理の所見をお伺いいたします。
 経済、財政の構造改革について、政府は改革工程表を公表しましたが、何より重要なことは、構造改革のための施策を策定した日程どおりあくまで実行することであります。
 また、平成十四年度予算編成に当たっても強力に構造改革を進める必要があります。そのために、少子高齢化対応、循環型社会の実現など、重点七分野への投資により重点化を図る、また、公共事業についてもむだを除き、効率化を促進する観点から、PFIを積極的に推進するなどが重要であると考えます。
 平成十四年度予算編成も含めて、今後の経済・財政構造改革の推進についての総理の決意をお聞かせいただきたいと思います。
 次に、狂牛病についてお尋ねします。
 九〇年代後半にイギリスを初め欧州各国で猛威を振るった狂牛病が我が国でも発生したことが明らかになりました。狂牛病は人にも感染し、痴呆症などの症状が出る新型クロイツフェルト・ヤコブ病の原因とも言われております。我が国における狂牛病は、いまだ感染経路が特定されておらず、消費者や酪農家の不安は増大する一方であります。
 先日、おくればせながら、肉骨粉の使用の一時停止を決断されたことは当然であります。しかし、なぜ狂牛病の牛が焼却処分されず肉骨粉にされたのか、事実関係とその責任を明確にすべきであります。それとともに、使用禁止に伴う製造・流通業者等の損失については、助成等の十分な救済措置を講ずるべきであると思いますが、総理の見解をお伺いいたします。
 また、風評被害の防止を図るため、狂牛病についての正しい知識や国産牛の安全性について、テレビ等を使い国民に早急に周知徹底すべきだと思いますが、御見解を求めます。
 次に、特殊法人改革について伺います。
 我々公明党は、これまで、むだゼロ行政の実現を目指し、行政改革の先頭に立って推進してまいりました。行政の効率化とサービス向上は、政治の立場にある者にとって最大かつ永遠の課題の一つと考えるからであります。しかし、反対勢力の動きもあり、行政改革がまさに正念場に差しかかっております。小泉総理におかれましては、国民の期待を追い風として、ひるむことなく改革を断行していただきたいことをまずお願いするものであります。改めて総理の御決意のほどをお伺いします。
 また、KSD問題で大きな課題となり、さらには特殊法人等改革と問題意識を共通する形で、行政委託型等の公益法人のあり方が問われております。総理の言われる民間でできることは民間にゆだねることを本当の意味で実現するためには、とりわけ民間非営利のセクターに重要なプレーヤーとして機能を果たしてもらうことが不可欠であります。公益法人の運営適正化や行政委託型公益法人等の改革とあわせて、公益法人の制度そのものの抜本的な改革について総理の御見解をお伺いします。
 あわせて、外務省不祥事についてお尋ねします。
 報償費詐欺の松尾事件、デンバー総領事公邸の修繕費の水増し請求事件、ハイヤー代の不正請求事件、そして今度はホテル代水増しの詐欺事件と、ことしになってもとどまることを知らない外務省職員の犯罪に国民の怒りは頂点に達しています。過日、幹部職員の処分を発表されたことは多としますが、一連の事件を生んだ体質を打破する真剣さや誠実さが国民には伝わってきません。
 外務省はいま一度、報償費のみならず外務省の予算全般について、事前の承認体制、執行ルールの体制、内部チェック体制等が機能していたのかどうか、徹底的な解明を行い、国民が納得するような外務省改革案を提示してもらいたいと思いますが、外務大臣の御見解をお聞きします。
 また、少なくとも外務省元職員による詐欺金額が確認されているわけですから、今年度の外務省予算を減額し、国庫に返納すべきであります。今国会の補正予算提出時には減額補正の意思があるのかどうか、総理並びに外務大臣にお尋ねをいたします。
 関連して、もう一点伺います。
 厳しい経済情勢のもと、財政改革を断行するには、衆参ともに定数は削減してまいりましたが、しかし、その上に立って、国会議員の歳費を削減し、政治家自身が模範を示すべきではないでしょうか。平成九年に自民党が発表された財政改革案にも、歳費を減らすと明記されております。国会議員の歳費削減について、総理の御決断を承りたいと思います。
 次に、医療制度改革について質問いたします。
 日本経済が依然、低迷状態から抜け出せない中で、現在、医療費は年間一兆円程度のペースで伸び続けており、中でも国民医療費の約三分の一を占める老人医療費は毎年八%前後の伸びを示しています。こうした経済成長と医療費の増大のギャップによって、医療保険制度は各制度ともに大変厳しい状況にあり、このままでは国民の安心の基盤である医療保険制度が崩壊しかねません。
 こうした医療制度をめぐる状況を踏まえるならば、来年に予定されている医療制度改革は、単に保険財政の観点からだけではなく、少子高齢化が進展する十年、二十年後を見据えた、長期的に安定運営が確保できる内容のものでなければならないと思います。このたびの医療制度改革について、総理はどのように考えておられるかお聞かせいただきたいと思います。
 次に、介護保険制度の低所得者対策について伺います。
 昨年春の介護保険スタートを前に、スタート時の混乱を極力抑えるため、与党三党の協議で高齢者保険料の徴収を取りやめることになりました。しかし、高齢者保険料の徴収はこの十月から本来の額の徴収が始まっております。低所得者対策は待ったなしであります。特に、実質的には生活保護と同等の生活水準にありながら、生活保護を受けないで頑張っておられる人たちに対する経済的な支援がぜひとも必要であります。
 厚生労働省において既に検討に入っているようでありますが、本来徴収が始まった現在、一刻も早くその検討結果を明らかにすべきであります。国が考えている低所得者対策とはどういうものなのか、厚生労働大臣にお伺いいたします。
 次に、教育問題についてお尋ねいたします。
 教育の基本が人格と人格との触発にあることを考えれば、言うまでもなく、教員の使命は重大であります。しかしながら、昨今、教員によるあるまじき事件が続発するなど、教員のモラルの著しい低下が深刻になっています。
 教員改革のために、開かれた学校を推進していく中で、教員を社会全体で支え、資質を向上するための施策を緊急に講ずる必要があります。
 そのための施策として、まず第一に、教員免許の更新制の導入を含めた教員の教育業績の評価及び人事システムの再構築、第二に、教育系大学院の実践的教育の充実など、養成段階の抜本的な機能強化が必要であると思われます。そして第三に、孤立している教員のために、カウンセリングや相談体制の充実、また公開授業の促進や地域における教員間の交流など、教員がお互いに支え合い、触発し合えるような場の提供が重要であります。また第四に、さまざまな経験を持つ社会人や専門家など、教員以外の人を学校教育に活用することによって、学校現場に刺激を与え、活性化を図ることが重要であると考えます。
 教員改革の問題を含め、教育改革に対する総理の御決意をお伺いしたいと思います。
 最後に、文化芸術の振興策についてお伺いいたします。
 今、我が国は、残虐な暴力事件の多発、学校現場の荒廃などに象徴されるように、社会の精神性の荒廃が著しい勢いで進んでいます。モラルや合理精神の欠如を指摘する声が多くありますが、私はむしろ、人間や自然のすばらしさなどに対する日本人の感性や想像力が甚だしく衰弱しつつあるように思えてなりません。
 そこで、総理にお伺いいたしますが、芸術文化奨学金制度の創設、新進若手芸術家への発表の場の提供、学校での舞台芸術の鑑賞機会の提供、文化部活動への指導者派遣などについて現在どのような検討がなされているのかお示しいただきたいと思います。また、現在、政府において検討が進められている学校補助教員一万三千人の派遣には、地域の文化人や芸術家の派遣も含めるべきであると考えますが、文部科学大臣の御意見をお聞かせいただきたいと思います。
 文化芸術は、人々の心を結びつけ、とりわけ美を感受する心の育成を通して、青少年の豊かな心をはぐくむ力があります。総理は所信表明演説の中で、「小泉構造改革五つの目標」の中に、「子供たちの夢と希望をはぐくむ社会」と示されております。新しい時代に挑戦する勇気を持って確かな改革の流れをリードされることを期待し、私の代表質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
#9
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 白浜議員にお答えいたします。
 まず、国際テロに対する戦略についてのお尋ねであります。
 今回のアメリカで発生しましたテロに対しましては、これは米国のみならず、全世界に対する自由、平和、民主主義に対する攻撃である、そういう認識から、我が国もみずからの問題として主体的に取り組むべき課題であると思っております。
 そういう観点から、今後、テロ組織の侵入を許さない出入国管理の徹底、テロ組織に関する情報収集の強化のほか、テロ組織の資金活動面を含めて取り締まりに関する法制度や装備、資機材の整備に努めて、我が国において国際テロの活動を許さない毅然たる対応が重要であると思っております。
 さらには、御指摘のように、世界の国々や国際機関と一致団結して対応するとともに、テロを起こさせないような国際環境の形成を目的としてさまざまな外交努力等の適切な対応を行いまして、テロリズム根絶のためのあらゆる努力を尽くす必要があると考えます。
 テロが発生する土壌ともなり得る貧困問題に対する我が国の取り組みについてのお尋ねがございました。
 我が国は、国連等を通じまして、暴力やテロに反対する姿勢を明確にしてきております。経済協力等の手段を用いて貧困の削減に取り組んできており、今後とも引き続きこのような取り組みを継続していく考えであります。
 新規立法に関し、東南アジア諸国に理解を得る努力についてのお尋ねがございました。
 今回の法案は、テロリズム根絶のための国際的取り組みに積極的に寄与するため、我が国の主体的な取り組みについて定めようとするものであります。周辺諸国に懸念を抱かせる性質のものではなく、諸外国の理解を十分得られるものと私は考えておりますし、いずれにせよ、東南アジア諸国との友好協力関係の重要性を踏まえ、我が国の措置について適切に説明してきております。
 テロ根絶に対する国際的な包囲網に向けて、我が国の方針についてのお尋ねがございました。
 テロ根絶のためには、テロ包囲網の構築に向けての中長期的課題として、御指摘のような金融面の措置、テロ関連条約の締結を含む法制面の整備、入国管理体制の強化、航空保安の強化等、国際社会があらゆる手段を講じることが重要だと思っております。こうした国際社会の努力に我が国も積極的に参画していく考えであります。
 米国等の軍事的対応に関するお尋ねがありました。
 米国が今後いかなる軍事的行動をとるかということは今のところまだ明らかではございませんが、その上で申し上げるならば、国連安保理決議では今回の行為を国際の平和及び安全に対する脅威であると認め、自衛権が各国固有の権利であることについて改めて言及しております。これらの決議は、今般のテロ事件に対応して米国等が個別的または集団的自衛権を行使し得ることを確認したものと考えております。
 今回のテロは、米国のみならず、人類全体に対する極めて卑劣な攻撃でありまして、このようなことが二度と繰り返されないような毅然とした対応を我が国としてもとる必要があると考えます。
 自衛隊による人道的支援についてお尋ねがございました。
 自衛隊による人道支援の活動について内容の検討を急いでおりますが、その際には、御指摘のような観点も十分に参考にさせていただきたいと思います。
 現在の世界及び我が国の経済状況に対する認識と、その対応策についてのお尋ねがございました。
 世界経済は米国IT関連産業の景況悪化を契機として成長が同時的に減速しております。そうした中、我が国の景気は四―六月期のGDP成長率がマイナスとなり、失業率が五%に達するなど厳しい状況にあります。さらに、先般の米国テロ事件の世界経済への影響が懸念されております。
 こうした状況を思いますと、我が国としても、世界経済及び日本経済システムに混乱が生じないよう、米国を初めとする各国と協調し、状況の変化に応じた適切な対応を図る必要があると思います。
 そういう中におきましても、我が国政府としては、改革なくして成長なし、この基本方針を堅持して構造改革に邁進していきたい、そしていろいろな必要な措置をできるだけ早く実施すべく、補正予算を活用しつつ今後も取り組んでいきたいと思います。
 補正予算におけるセーフティーネット整備についてのお尋ねです。
 補正予算においては、従来型の公共事業の追加を厳に排し、歳入歳出の洗い直し作業を踏まえた上で、特に、雇用、中小企業に係るセーフティーネットの充実策、構造改革に直結し、かつその実施の緊急性が特に高い施策を重点的に盛り込むこととしております。
 平成十四年度予算も含めた今後の経済・財政構造改革の推進についてのお尋ねであります。
 先ほども申し上げましたように、厳しい状況でありますが、いかに厳しくとも構造改革の手を緩めるわけにはまいりません。今般、経済財政諮問会議におきまして改革工程表を取りまとめ、今後の構造改革の具体的な政策と実施時期を示しましたが、その進捗状況を継続的に評価、点検します。また、先行して決定、実施すべき施策については、補正予算で措置する事項も含めて改革先行プログラムとして十月中に取りまとめ、構造改革を加速することとしております。
 このような経済、財政の構造改革の中の一つとして財政構造改革を進めておりまして、平成十四年度予算については、国債発行三十兆円以下という目標のもとに、まず新たな歳出を見直す、五兆円を削減する、そして重点分野に二兆円を再配分するという方針で、歳出の思い切った見直しを行う一方、必要な施策については重点的な配分をしていきたいと思います。
 狂牛病の牛の処分に係る事実関係及び肉骨粉の使用禁止に伴う製造・流通業者等の救済措置についてお尋ねがございました。
 今回の千葉県の事例では、食肉衛生検査所は狂牛病を疑わず敗血症と診断し、食肉として用いられないよう全部廃棄命令を行いましたが、千葉県においては、このような牛についても千葉県の狂牛病サーベイランスの対象としており、家畜保健衛生所が検体を採取し、後日検査した結果、狂牛病の疑いがあるとされたものであります。
 しかしながら、家畜保健衛生所等の検査結果が明らかになった時点では既にこの牛が焼却処分ではなく肉骨粉という形で廃棄されており、家畜保健衛生所と食肉衛生検査所との間の意思疎通が十分でなかったことも対応のおくれの原因となったものと考えております。
 また、肉骨粉等に関しては、十月四日から輸入と国内の製造、出荷を一時全面停止することにより完全に感染経路を遮断することとし、これに伴い発生する取引が困難となった肉骨粉等については、その焼却処理に対して緊急的に支援措置を講ずることとしております。
 狂牛病の風評被害防止のための対策についてお尋ねがございました。
 御指摘のとおり、国民の不安を解消するため、牛肉や牛乳、乳製品はもともと安全であること、また狂牛病が疑われる牛の肉等が食用にも飼料用にも出回ることのないシステムを確立したことをわかりやすく説明することが重要と考えております。このため、テレビを初めあらゆる媒体を通じて迅速かつ正確な情報を提供し、政府として風評の鎮静化に全力を尽くしてまいります。
 特殊法人改革についてのお尋ねでございます。
 今般の特殊法人等改革は、肥大化し硬直化した政府組織を改革し、簡素、効率的、透明な政府を実現する行政の構造改革の一環であり、現在、ゼロベースからの徹底した見直しを行っているところであります。年内には全法人の事業及び組織形態の見直し内容を定める特殊法人等整理合理化計画を策定するとともに、平成十四年度予算から財政支出の大胆な削減を目指すこととしておりまして、引き続き行政の構造改革を断行してまいります。
 公益法人制度の抜本的改革についてのお尋ねがございました。
 公益法人のあり方への批判やNPO法、中間法人法の制定を踏まえ、民法制定以来百年以上にわたり基本的に変更されていない公益法人制度の改革に向けた検討が求められていると思います。このため、行政委託型公益法人の改革にとどまらず、法人の適正な運営のあり方を含め、公益法人全般を通じた制度の抜本的改革の基本的方向を年度内にも示すべく、石原行革担当大臣のもとで検討を進めさせております。
 外務省元職員による詐欺事件を受けた外務省予算の減額補正についてお尋ねがございました。
 外務省元職員による詐欺事件によって国がこうむった損害については、当該詐欺行為を行った者に賠償させ、国庫に納付する必要があると考えております。外務省においては、損害賠償請求のために必要な手続に取り組むとともに、一連の不祥事の反省を踏まえ、鋭意適正な予算執行に取り組んでいると承知しております。
 国会議員の歳費削減についてお尋ねがございました。
 財政改革の断行に当たっては、国会議員自身も何ができるか聖域なく検討すべきであることは言うまでもございません。御指摘の歳費削減については、自民党の方針として既に一〇%削減を掲げておりますが、こうした問題も含めて、国会議員みずからが真剣に検討し、早急に取り組んでいくものと考えております。
 医療制度についてのお尋ねでございますが、現在、これからの高齢化・少子社会を考えますと、給付は厚く負担は軽くというわけにはいかない状況であり、お互いどのように老いも若きも支え合っていくような医療制度が必要かということを鋭意検討しております。
 持続可能で安定的、効率的な医療制度へといかに再構築することが必要かということが重要でありますので、こうした観点に立って厚生労働省の改革試案を踏まえて議論を尽くし、年末までに政府としての成案を得た上で、次期通常国会に所要の法律案を提出すべく全力を尽くしてまいります。
 教育改革に対する決意についてのお尋ねでございますが、教育の成否は学校の教員によるところが多く、その資質、能力の向上が極めて重要であります。
 このため、教員の養成、採用、研修の各段階を通じて、使命感や実践的指導力を持つ人材の確保に努めていきたいと思います。いわゆる問題教員が教壇に立つことのないように、厳正な人事管理制度の確立にも努めてまいります。
 教育全般にさまざまな問題が生じております今日、日本人としての誇りと自覚を持ち、新たな国づくりを担う人材を育てるためにも、教員の問題、特に教育改革は大変重要なものと認識しておりまして、日本としても、資源のない日本が今日まで発展してきた最も大きな原動力の一つに教育があったことを銘記しつつ、これからも教育改革に懸命に取り組んでいきたいと思います。
 芸術文化の振興についてのお尋ねがございました。
 まさに文化芸術は、人間に潤いをもたらし、日々の感動や生きる喜びをもたらし、これからの人生を考える上においても大変大事なものだと私も認識しております。これからも文化国家日本を目指すためにいかなる方策があるか、ともに考えていかなきゃならない問題でありますが、来年度の予算編成にもそうした考えをできるだけ盛り込むべく、現在、鋭意検討を進めております。
 オペラ、バレエ、映画等のトップレベルの芸術活動の支援、世界に羽ばたく新進芸術家の養成、子供の文化芸術体験活動を総合的に推進する文化芸術創造プランの策定を現在検討しているところでございます。
 御指摘の新進芸術家の発表の機会の提供、子供が舞台芸術に触れる機会の充実、学校の文化活動への指導者派遣などはこの中で取り組むべき課題であるとも私は認識しております。
 残余の質問については、関係大臣から答弁をいたさせます。(拍手)
   〔国務大臣田中眞紀子君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(田中眞紀子君) 外務省予算についてのお尋ねでございますけれども、数多くの逮捕者及び処分者を出しました一連の不祥事の反省を踏まえまして、納税者たる国民の皆様の信頼を一刻も早く取り戻し、そしてまた、外務省職員が誇りを持って意欲的に働けるような外務省を再構築するために、私どもも最善の努力をいたしております。そして、そのためにはあらゆるシステムの見直し、改革でございますが、及び省員一人一人の意識改革というものを図るために、現在、鋭意努力をいたしております。
 そして、白浜議員御指摘の諸点を含めまして、外務省の会計手続に関しても点検をいたしております。具体的には、調達制度の一元化でございますとか、それから省内の監察制度を早期に立ち上げております。それから、公認会計士でありますとか弁護士さんなど外部からの参加を得まして、在外公館の査察を九月の末から始めております。そしてまた、今般の会計検査院から大変厳しい指摘がございましたので、それを受けまして、報償費につきましても適正な執行をするために改善の措置をいろいろ講じておるところでございます。
 次に、二つ目の御指摘でございますけれども、外務省の予算を減額して、そして国庫へ返納してはいかがかということでございます。
 これにつきましては、いろいろございますけれども、まず適正な予算の執行ということを私たちは考えなきゃいけません。一連の不祥事が、あれだけのことがございました。したがいまして、補正予算の編成に当たりましても、真に必要な案件というもの、何が本当に外務省にとって、国家にとって必要であるか、世界に貢献するために必要であるかという観点からしっかりと精査をいたしまして、それらを請求させていただくことにいたしております。
 そして、外務省職員による詐欺事件との問題とはこれは別個でございまして、この詐欺事件によって国がこうむった損害につきましては、外務省予算からではなくて、その詐欺行為を行った者から賠償を受けるという必要があるというふうに考えております。
 以上です。(拍手)
   〔国務大臣坂口力君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(坂口力君) 白浜議員の御質問にお答えをしたいと存じます。
 介護保険制度の低所得者対策についてのお尋ねでございました。
 介護保険制度につきましては保険料や利用料が低所得の方に大きな負担にならないように、高齢者の保険料につきましては所得段階別に原則として五段階に設定をするほか、利用料につきましては月々の負担上限額などを二段階にわたって一般の方々よりも低く設定したり、社会福祉法人における利用者負担の軽減措置を講じるなど、既にきめ細かなことをやっているところでございますが、御指摘のように、今月からの介護保険料の本来額徴収の開始を前にいたしまして、全国の都道府県、市町村に対しまして、保険料の所得段階を六段階に設定しております例や、あるいはまた介護保険制度の趣旨を踏まえた保険料の軽減措置の例などを各市町村にもお示しをいたしまして、地域の実情に応じた配慮を行えるように市町村の主体性を尊重したところでございます。参議院の予算委員会でございましたか、白浜議員から御指摘をいただきました点も踏まえまして、こうした措置に至った次第でございます。
 しかし、地方だけにゆだねることはできないというふうに思いますので、今後も見直しを続けまして、低所得の方々へのきめ細かな配慮に努め、社会保障がセーフティーネットとして十分に機能していくように努めたいと考えております。
 このほか、低所得の高齢者世帯の生活支援を行う観点から、生活福祉資金貸付制度の充実強化等につきましても十四年度概算要求に盛り込んだところでございます。リバースモーゲージの考え方等も取り入れながら、こうしたものも取り入れていきたいと考えているところでございます。(拍手)
   〔国務大臣遠山敦子君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(遠山敦子君) 白浜議員の御質問にお答え申し上げます。
 学校補助教員派遣についてのお尋ねでございますが、文部科学省では、これから三年間に五万人を目標としまして全国の公立学校に社会人を補助教員として導入いたしまして、学校教育の一層の活性化と子供一人一人に目配りのきいた教育を実現するための学校いきいきプランを推進することといたしております。
 この補助教員の導入に当たりましては、地域社会においてさまざまな分野で力を持つすぐれた人材を活用することといたしておりますが、その中には文化、芸術の分野で活動しておられる人材も含まれるわけでございます。
 学校いきいきプランの推進に当たりましては、こうした地域社会の人材の積極的な導入を図られますよう、各教育委員会を促してまいりたいと考えております。
 以上でございます。(拍手)
    ─────────────
#13
○議長(井上裕君) 市田忠義君。
   〔市田忠義君登壇、拍手〕
#14
○市田忠義君 私は、日本共産党を代表して、小泉総理に質問いたします。
 去る九月十一日にアメリカで起こった同時多発テロは、いかなる政治的見解や宗教的信条によっても正当化できない憎むべき蛮行であります。野蛮きわまるテロ行為を深い憤りを持って糾弾するとともに、テロの犠牲者、負傷者と御家族、関係者の皆さんに心からの哀悼とお見舞いを申し上げるものであります。
 今問われている大事な問題は、テロを根絶するためにどのような手段が有効で、法と道理にかなっているかということであります。
 日本共産党は、九月十七日、不破哲三議長と志位和夫委員長の連名で、テロ根絶のためには、軍事力による報復でなく法に基づく裁きが必要であること、すなわち国連が中心になり、国連憲章と国際法に基づいてテロ犯罪の容疑者、犯罪行為を組織し支援した者を逮捕し、裁判にかけ、法に照らして厳正に処罰することを求める書簡を百二十七カ国首脳あてに送りました。
 ところが、今アメリカは軍事力による大規模な報復の準備を進めています。これが実際に行われたらどうなるでしょうか。何よりも多くの罪なき人々に犠牲をもたらすことになります。今、アメリカによって攻撃対象とされているアフガニスタンは、空前の干ばつのもとで百万人が餓死の危険にさらされ、その上、今回の事態で国際的援助がなくなり、新たに数百万人が飢餓状態にあると言われています。国連食糧農業機関は、軍事攻撃があれば新たに六百万人が飢餓に直面すると警告しています。
 国連難民高等弁務官事務所のルベルス高等弁務官は、九月十八日、アメリカ政府に対して、何百万人ものアフガン人の現在までの絶望的な苦境や一般市民への人道上の影響を配慮すべきで、罪のない難民や避難民をこれ以上ふやさないためにあらゆる尽力をしなければならないと強く要請しました。
 無差別に多くの市民を殺害したテロは絶対に許すことはできません。同時に、軍事力による報復が、地球上に新しい戦争と巨大な惨害をもたらすとともにテロと軍事報復の際限のない悪循環をもたらすことになることは、パレスチナとイスラエルの関係を見ても明らかであります。それはテロ根絶にとって、有害ではあっても決して有効ではありません。
 総理、あなたは、軍事力による報復により罪なき市民や子供の命が奪われることがあってはならないと考えますか、それともやむを得ないというのですか。昨日の志位委員長の質問に、総理は、テロに対する世界の取り組みには外交努力や医療、難民支援などさまざまな取り組みがあると述べるだけで、軍事力行使がもたらす危険については一切答えませんでした。きょうこそはっきりと答えてください。
 今、世界じゅうのほとんどの国からテロ批判の声が上がっています。
 これまで数々のテロがありました。しかし、西側とアラブ諸国の対立など、国際世論が今ほどテロ反対で一致することはかつてありませんでした。このときに、報復戦争が行われればどうなるか。せっかくテロ反対で国際社会が一致しているとき、戦争に賛成か反対かという亀裂を生み、テロ勢力に有利な状況さえつくり出しかねないのであります。
 法に基づく裁判による犯罪の処罰は、人類の生み出した英知の一つです。武力行使を伴う復仇、かたき討ちは、一九七〇年の国連総会の宣言で明確に禁止されています。裁判を通じてこそ、事実に即して事件の真相を徹底的に究明することが可能となります。
 今回の事件の翌日、全会一致で採択された国連安保理決議も、すべての国に対し、これらの攻撃の実行犯と組織者、後援者に法の裁きを受けさせるために緊急に協力を求めると述べ、二十八日に採択された決議も、テロの準備、計画、資金提供に加担するすべての人や組織を法のもとに処罰するために協調することを求めました。
 国際社会がテロ反対で一致している今、性急に報復戦争に訴えるのではなく、テロ犯罪の容疑者と支援者を事実と証拠によって明らかにし、それを国連と国際社会の共通の認識にし、容疑者を引き渡させるなど、事件解決とテロ根絶に有効な行動にこそ日本政府のイニシアチブの発揮が求められています。
 こうした努力を尽くさず、国際法上の根拠を持たない軍事力による報復を行うなら、テロ根絶の大義を失わせ、テロ勢力の思うつぼの事態を招く危険があります。
 日本共産党は、無法者に対しては、法の根拠を持たない対応ではなく、法に基づく裁きこそ最も有効な対応だと確信しますが、総理の認識はいかがですか。
 総理は、武力行使の準備を進めているアメリカを強く支持し、自衛隊の参加を可能にする新規立法を制定する方針を明らかにしています。
   〔議長退席、副議長着席〕
 しかし、それは、テロ対策といいながら、テロ根絶の具体策は何一つなく、あるのは、アメリカの軍事報復を無条件に支持し、協力するためにいかにして自衛隊を出動させるかだけの報復戦争協力法案とも言うべきものであります。
 日本国憲法第九条は、「武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」と明記しています。どのような形であれ、アメリカの報復戦争に参加、協力することが、国際紛争を解決する手段としての武力による威嚇または武力の行使に当たることは言うまでもなく、憲法の原則に違反することは明白であります。
 首相は、憲法の範囲内で米軍の武力行使と一体とならない支援を行うと言っています。しかし、輸送、補給などの米軍支援・兵たん活動は、どこで行われようと、戦争の不可欠で不可分の構成部分であります。兵たんなしに戦争遂行は不可能です。これは国際法上も、軍事的にも常識であります。ガイドライン法の国会審議の際にも、政府は、後方地域支援が相手国の軍事目標に該当するのは当然と認めました。軍事目標に当たるということは、それが武力行使と一体の活動だからにほかなりません。
 また、新法では、これまで建前上は日本周辺の公海とその上空としていた自衛隊の活動範囲についての一定の制約すら取り払い、報復戦争に協力、参加する自衛隊が他国領域内や事実上の戦闘状態にある地域にまで乗り込み、米軍に医療や補給、輸送などの兵たん活動を行うことを想定しています。
 これがどうして憲法の範囲内と言えるのか。明確な答弁を求めるとともに、憲法を踏みにじる報復戦争法案の中止を強く求めるものであります。
 総理は、所信表明で、「いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならない」という憲法前文を引用しました。
 この一節の真の意味は、戦前の軍国主義、侵略戦争が日本を国際的孤立に導いた反省の上に立ち、それを徹底的に打破することを誓ったものです。孤立が戦争の原因ではなく、戦争が日本を孤立に導いたのであります。もし憲法前文のこの文言を報復戦争への協力の根拠にするというのなら、それは憲法と歴史を冒涜するものにほかなりません。
 戦後五十数年たってなお、侵略戦争に対する根本的反省をせず、自衛隊の海外派兵を強行しようとする小泉内閣こそ、自国のことのみに専念して他国を無視してはばからなかった戦前のあなたたちの先輩の立場から少しも本質的進歩がない立場であると言わざるを得ません。
 人類は二度にわたる世界大戦から、他国を武力で侵略したり国際紛争を軍事力で解決しようとすることが諸国にどんな悲惨で取り返しのつかない結果を招くかという痛切な教訓を学び取りました。この教訓に立ってつくられたのが国連と国連憲章であり、戦争放棄をうたった日本国憲法です。
 国連憲章と憲法の平和原則に立った法と理性に基づく解決のために、日本が世界に率先して国連と国際社会に呼びかけてこそ、世界の諸国民の本当の信頼と尊敬を得ることができると確信いたします。
 次に、国民の暮らしの問題についてであります。
 小泉内閣が発足して五カ月、日本経済と国民生活にとって一つでもよいことがあったでしょうか。完全失業率は史上最悪の五%になりました。仕事につきたいがとても無理とあきらめている人を含めると一〇%を超えています。日本経済の六割を占める個人消費は四カ月連続マイナス、勤労者世帯の実収入も六月を除いて連続マイナスが続いています。その結果、鉱工業生産は五カ月連続のマイナスであります。実体経済を映し出す鏡である株価も、小泉内閣発足時には一万四千円であったものが、今では約三割も暴落しています。
 あなたは、こうした事態を目の当たりにしながら、「目先の動きに一喜一憂するような態度と決別しなければなりません。」と平然と述べられました。総理、国民にとってどこに一喜できる中身があるのですか。一憂どころか憂えることばかりではありませんか。
 すべての経済指標が最悪の事態になっているときに、総理は、暮らしと家計を応援し個人消費を拡大する施策を何らとろうとせず、経済・財政分野の第一の課題は不良債権の最終処理だと強調しました。しかしそれは、数十万社と言われる倒産、廃業と百万人規模の失業という激痛を中小企業と国民に与えることになります。
 倒産、廃業と一言で言いますが、中小企業にとって倒産や廃業は、個人保証が常識となっている金融事情のもとで、預貯金は言うに及ばず、文字どおりすべてを失うことを意味します。自営業主、家族従業者が十九カ月連続で減り続け、一年前と比べて六十一万人も減りました。あなたが構造改革を唱えるだけで、現に進んでいる消費不況に何の手も打たない間に、すべてを失い、失業手当も受けられずに経済的困窮を強いられている人がこれだけ生まれているのです。
 期限を切って無理やり不良債権を処理しようとする政策では、ますます所得と消費が落ち込み、新たな不良債権をつくり出して、日本経済を破局に導くことは明らかではありませんか。
 小泉内閣の骨太の方針は、構造改革のデフレ圧力は短期的なものであり、アメリカの景気回復が明らかになっていけば、輸出、生産が次第に回復に転じ、やがて設備投資も改善していくと見込まれると述べていました。しかし、そのシナリオも、アメリカ経済の停滞が避けがたい現実となった今、破綻は明白であります。
 中小企業の営業と雇用を守り、景気をよくして不良債権問題を解決する道理ある政策に政府が転換することを強く求めるものであります。答弁を求めます。
 総理は、失業率が史上最高の五%を超えたことについて所信では一言も触れませんでした。逆に、求職者を上回る年間七百万人もの求人があるなどと労働力の需給実態を反映しない統計数字を意図的に使って、まるで雇用危機など存在しないかのような認識を示しました。
 ところが、厚生労働省が九月二十八日に発表した統計では、八月の有効求人倍率は〇・五九でした。二百五十五万人の人が職を求めているのに、求人は百四十七万人分しかない、これが現実であります。それを、あたかも求人数が求職者数を上回っているかのごとき発言をし、深刻な雇用情勢を意図的に過小に見せようという総理の態度は到底許されるものではありません。撤回を求めます。
 総理、もともと資源の乏しい日本にとって、まじめに働く国民こそが最大の宝であったはずであります。それを粗末にしてどうして将来の安定的な発展があるでしょう。こういう認識がないからこそ、まともなリストラ・雇用対策を講じることができないのではありませんか。明確な答弁を求めます。
 日本共産党は、大企業のリストラを抑え雇用を守るため、次の三つの緊急対策が今求められていると考えます。
 その第一は、大企業の横暴勝手なリストラをやめさせて、新たな失業を生み出さないことであります。
 最近、相次いで明らかにされた日本を代表する自動車や電機・情報機器産業における大リストラ計画は、わずか三十社で十六万人にも及ぶ大規模なものであります。しかし、これほど横暴勝手なことはありません。その中の多くの企業は、ことし三月の決算では数千億円にも上る経常利益を上げ、例外なく膨大な内部留保をため込んでいます。危機が目前に迫っているようなところは一つもありません。大企業に社会的責任を果たさせるため、政府として、身勝手なリストラ計画を規制するために何らかの行動をとるべきだとは考えないのですか。そのための法的根拠がないというなら、それこそ解雇制限法などの新規立法をつくるべきではありませんか。
 フランスでは、ことし春、マークス・アンド・スペンサー社の店舗閉鎖による千七百人のリストラ計画を初め、十六社、一万九千七百人のリストラ計画が発表されました。そのときフランス政府は、従来の厳しい解雇制限規定に加えて、地域経済に与える影響を考慮して地域振興基金を自治体に拠出させる、再就職先が決まる前には労働契約を終了させないなどの立法措置を講じました。しかも、こうした厳しい規制のあるフランスに日立やソニーなど日本を代表する企業は進んで出ていって操業しているのであります。個々の企業任せでなく、社会的ルールを確立すれば企業も従うのです。我が国で解雇規制の立法措置がとれないわけはありません。明確な答弁を求めます。
 第二は、労働時間を短縮して新たな雇用を生み出すことであります。
 総理、あなたは、一方で過労死におびえて長時間過密労働を強いられる労働者がおり、他方で職にあぶれた人がいるという事態を当たり前だと思いますか。
 サービス残業をなくせば九十万人の雇用が生まれると言われています。サービス残業の解消や年次有給休暇の完全消化は労働基準法に定められた最小限の労働条件です。少なくとも、これらのことを完全に実施できる要員を確保できるようにリストラ計画の見直しを求めるのは、法律の施行に責任を持つ政府の最低限の義務ではありませんか。答弁を求めます。
 第三は、現に失業している人の生活を守り、新たな職を提供することであります。特に雇用保険の失業給付期間の延長は急務です。八月の完全失業者は三百三十六万人、このうち失業給付を受けているのはその三分の一にすぎません。ほとんどの失業者が給付を受けているドイツや、七割が給付を受けているフランスやイギリスなどと比べても、余りにもお粗末と言わなければなりません。最低でも、現行法に規定する全国延長給付の発動を求めるものであります。
 失業給付は、受給者の最低生活を保障するものであり、この最低生活を保障することは憲法二十五条において社会的使命として明らかにされているものであります。それを総理は、給付期間の延長は失業者を滞留させることになると衆議院本会議で答弁しました。総理、あなたの発言は、世界のどの国の人たちと比べても勤勉な我が国の国民を侮べつするものであります。どこに失業に甘んじる勤労者がいるというのですか。それともあなたは、どんなにひどい労働条件でも文句を言うなと言うのでしょうか。あわせて答弁を求めます。
 総理、この大リストラは、失業を生み出すだけではなく社会保障の支え手を失うという点で、医療や年金など社会保障の基盤をも損なうものであります。今、政府が医療改革と言うのなら、まず制度の基盤を掘り崩すこのような大リストラをやめさせることこそ緊急の対策ではありませんか。それを、新たな収入の期待できない老人や所得の減少で生活を切り詰めざるを得ないサラリーマンに新たな負担を押しつけるなどの制度改悪は、言語道断と言わなければなりません。答弁を求めます。
 我が国における狂牛病の発生は、安全でおいしいとされてきた国産牛肉に対する不信と、安全性に大きな不安を巻き起こしました。
 我が国が狂牛病の感染源とされる肉骨粉の輸入を続けてきたことから、国連食糧農業機関やEUの関係機関は、早くから汚染の可能性を指摘していました。ところが農水省は、まともな対策をとらないばかりか、日本の場合には狂牛病の発生というのは全くないとして真っ向から反論してきたのです。そのことが今日の重大な事態を招いたのです。政府はその責任をどう考えているのですか。総理の答弁を求めます。
 こうした姿勢だから、狂牛病に感染した疑いのある牛が肉骨粉として処理されていながら、焼却したと発表するなどの失態が相次いだのであります。
 世界的に権威がある科学雑誌ネイチャーは、人の健康に対する日本政府のこれまでの対応を見ると、適切な予防措置がとられると信頼できる基盤はほとんどないと指摘し、水俣病や薬害エイズと同じだと述べています。
 総理、国民の不安を取り除くためには、肉骨粉の輸入から消費までの量と使用実態の全容を解明することが必要ではありませんか。答弁を求めます。
 重視しなければならないのは、草食で植物の茎や葉などの飼料をたんぱく質に変える能力を持つ牛に肉骨粉などの動物性飼料を与えたこと、その背景には、牛の健康より効率性を最優先する安全無視の畜産政策があったことです。
 狂牛病の危険を取り除き国民の信頼を取り戻すために、政府の決めた緊急対策の徹底と、と畜検査員と家畜防疫員の増員を含む検査体制の確立、農家への補償や関係者に対する支援、正確な情報の提供などの総合的な安全対策の確立を急ぐべきであります。
 そして、より根本的には、飼料を輸入に依存し、規模拡大政策を推進してきた我が国の農業・畜産政策を見直すことが必要であります。酪農・肉牛の特性と地域の条件に合った経営を基本にし、それが成り立つ価格政策と飼料の自給対策を要求するものであります。総理の答弁を求めます。
 最後に、参議院選挙で当選し、先日辞職した高祖氏にかかわる問題であります。
 高祖派の選挙違反事件は、現職の近畿郵政局長、歴代の総務部長、特定郵便局長らの公務員が公費で自民党の選挙運動を行っていたという、自民党の企業・団体ぐるみ選挙の典型的なあらわれでありました。
 ところが、この問題で総理は、まるで人ごとのような態度に終始し、まことに遺憾と言うだけで、一度も国民に謝罪したこともなければ、こうした典型的な企業・団体ぐるみ選挙への反省も述べておられません。しかし、あなたは、自民党の総裁として高祖氏を公認し、高祖氏と宣伝カーに同乗し、支持を訴え、テレビの政見放送でも、コウソパワーで新世紀維新に挑戦する若き志士ですと、国民に支持を訴えられたのです。総理自身の責任を問うものであります。
 今国会は、世界と日本の平和、国民の暮らしと健康、安全などをめぐって重大な岐路ともなる国会であります。私は、本院が真に国民の負託にこたえ、徹底的な審議を行うことを強く求めて、質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
#15
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 市田議員にお答えいたします。
 同じ物事を見るにも、共産党と我々とでは随分違うなということを思いながら、よく聞かせていただきました。
 まず、今回のテロ事件につきましても、我々はテロを根絶させるためにいかなる対応が必要かということを考えているんです。何も戦争するために、報復するために準備しているんじゃないんです。いかにこのテロ行為を二度と起こさせないようにすることを考えているのであって、一方的な戦争準備だの、報復準備などという見方を我々はしておりません。何が、今回のテロ事件に対して、これを根絶し、抑止するために有効な方法かということを我々は考えなきゃいけないんじゃないか、そういう観点から、アメリカ初め他の諸国は軍事力行使、武力行使も含めてあらゆる対策を講じてこのテロ根絶のために闘おうとしているんです。
 日本としては、そういう国際社会と協力しながら、日本の国力、日本の事情、日本の憲法を考えて、武力行使はしないけれども、その他の面であらゆる努力を傾注して、米国を初めこのテロ根絶に立ち向かおうとする関係諸国と協調していこうというのが基本的な我々政府の考え方であります。
 まさに今回のテロは、米国に対するだけの攻撃じゃない、人類全体に対する卑劣な攻撃であるということを認識しなきゃいけないと思います。そういう意味において、毅然とした対応をとっていくことがテロの助長を防ぐことになる、そういう点を御理解いただきたい。
 国連安保理においては、今回のテロ事件を国際の平和及び安全に対する脅威であると認め、テロの実行者及び支援者等の処罰、並びにテロ行為の防止、抑圧のための国際社会の努力を求めること等を内容とする決議が採択されています。我が国としても、安保理決議を踏まえ、このような国際社会の取り組みに積極的に協力していくのが必要ではないかと考えます。
 新法に基づく自衛隊による活動の合憲性についてお尋ねがありました。
 法案の作成に当たっては、武力の行使との一体化に関する従来の基本的考え方を踏まえるなど、憲法の範囲内でできる限りの支援、協力は何かという観点から検討しているものでありまして、憲法を踏みにじる法案との御指摘は当たりません。
 不良債権処理に伴う痛みと景気対策についてのお尋ねがございました。
 今回、非常な厳しい経済状況の中にありますが、私は経済再生、そして将来の景気回復を考えますと、やるべき構造改革は断固としてやっていかなきゃいかぬ。改革なくして成長なしという方針のもとにいろいろ不良債権の最終処理には迅速かつ果敢に取り組む。集中調整期間が終了する三年後には不良債権問題を正常化することを目指し、全力を尽くしてまいります。
 一方で、この構造改革を進める中に改革の痛みを和らげることも必要であります。特に雇用対策、これに対しましても補正予算を活用しつつ、雇用、中小企業に係るセーフティーネットの充実に万全を期してまいりたいと思います。
 雇用情勢を意図的に過小に見せようとしているのではないかというお尋ねでありますが、私は事実を指摘したんです。
 完全失業率が五%であるということは大変厳しいということは認識しております。御指摘の求人数について、新規求人数は平成十二年の一年間に約七百万人であり新規求職者数よりも多い、平成三年以来九年ぶりに七百万人を超える水準であったという私は事実関係を申し上げたんです。別に深刻な雇用情勢を過小に見せようとする意図は全くありません。重要なのは、このように多くの求人がある中で、求人と求職のミスマッチを解消しなきゃならない、少しでも多くの人が職を見つけることができるようにすることであるという考えを述べたまでであります。
 まじめに働く国民が報われる雇用対策についてのお尋ねでありますが、先般、雇用対策について総合的な施策パッケージを取りまとめたところであり、今後これらの施策を着実に実施していきたいと思います。
 解雇制限法についてのお尋ねがございました。
 解雇については、いわゆる整理解雇の四要件や合理的な理由を必要とするという裁判例により対処されてきているところであります。しかしながら、経済社会の構造変化等に伴い雇用の流動化が進む中で、労働関係をめぐる紛争の防止の観点から、解雇基準やルールを明確にすることは大切なことだと考えております。そのため厚生労働省において、今後、労使を初め関係者の意見も十分聞きながら検討していく必要があると考えております。
 サービス残業の解消や年次有給休暇の完全消化についてのお尋ねでありますが、いわゆるサービス残業については、厚生労働省においてことし四月に通達を発出し、その内容について周知、指導を行っており、また、年次有給休暇については、その取得促進を図っているところであります。
 いずれにしても、労働基準関係法令に照らして問題が認められる場合には、関係機関において適切に対処してまいります。
 雇用保険の全国延長給付の発動についてのお尋ねでありますが、雇用保険制度については、単純な給付日数の延長はただ失業者の滞留を招くだけに終わるおそれがあるということを非難、批判されましたけれども、こういうことがないように、離職理由や年齢等にかかわらず、一律に給付日数が延長される全国延長給付については要件を緩和して発動するということは考えておりません。
 政府としては、能力開発を通じて再就職の促進を図る観点から、効果的な訓練を実施できるよう訓練延長給付制度の拡充を図ってまいりたいと思います。
 社会保障の基盤が損なわれるためリストラをやめさせるべきだという御指摘がありました。
 企業としては、安易な雇用調整を行うのでなく、失業の予防や雇用の安定に努力すべきは私は当然と思います。しかしながら、経済社会が大きく転換する中で、企業がその存続を図るために雇用調整を余儀なくされる場合がございます。そうした場合には、まずは企業が再就職の支援を行うことは重要ですが、政府としても、離職を余儀なくされる方が円滑に再就職できるよう、雇用のセーフティーネットの整備に全力を尽くしてまいりたいと思います。
 社会保障改革に関するお尋ねでございますが、これは老いも若きも男も女もこれからお互い、一方が負担するばかり、一方が給付を受けるばかり、そういう時代ではございません。お互いに支え合いながら、社会保障制度を持続可能で安定的、効率的な制度に再構築していくことがこれからも必要であります。こういう改革を国民に対して、それぞれどういう道筋をつけてこの改革をしていくことが必要かということについては御指摘のとおりでございますが、今後、国民の理解と協力を得ながら制度の見直しを進めてまいりたいと思います。
 狂牛病についてのお尋ねでございますが、今回、我が国で狂牛病の発生が見られたことは大変残念なことであります。国民の不安を与えることのないよう、農林水産省と厚生労働省が連携して、徹底的な検査を行うことにより、狂牛病が疑われる牛の肉等が食用にも飼料用にも出回ることがない体制を整備するとともに、主な感染源とされる肉骨粉の輸入と国内での製造、出荷を一時全面停止し、完全に感染経路を遮断することとしております。
 また、肉骨粉の輸入や使用に関しては、今後も関係者からの聞き取りや立入検査等を通じて、その実態をさらに詳しく調査してまいります。
 牛の処分に伴う生産者への支援、関係業者への緊急融資、正しい知識の普及等を内容とする当面の緊急対策を公表したところであり、その円滑な実施に努めてまいります。
 農業、畜産の基本政策を見直すべきだとの御指摘でありますが、我が国の食料自給率は低下してきておりますが、国民に対して食料を安定的に供給していくことは国家の基本的な責務であると考えております。
 今後、食料自給率の向上に向け、関係者が一体となって努力しなければならず、政府としても生産から消費にわたる各般の施策を推進していく考えであります。
 畜産につきましても、自給率の向上に向け、自給飼料の生産基盤を強化するなど、適切な施策を推進してまいります。
 高祖氏の選挙運動に関連したお尋ねでございますが、今回、さきの参議院選挙に際しまして、現職の国家公務員が公選法違反の容疑で逮捕されるという事態に至ったことはまことに遺憾であります。
 本件については、なお捜査が現在継続中であると承知しておりまして、捜査による全容解明を待って、行為者への行政処分とあわせ、適切に対処することにより責任を果たしていきたいと考えています。
 また、自民党は、企業や団体の支持を受けている議員、候補者もおりますが、国会議員となった以上は、幅広い国民の声を反映して、国民の代表であるという自覚を持っていろいろな政治活動に挺身しているということを期待し、また私はそうされていると信じております。
 以上でございます。(拍手)
#16
○副議長(本岡昭次君) ただいま理事が協議中でございます。しばらくお待ちください。
 これにて午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時三十分休憩
     ─────・─────
   午後一時一分開議
#17
○副議長(本岡昭次君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 国務大臣の演説に対する質疑を続けます。岡崎トミ子君。
   〔岡崎トミ子君登壇、拍手〕
#18
○岡崎トミ子君 私は、民主党・新緑風会を代表して、小泉総理の所信表明演説に対して、総理に質問を行います。
 まず冒頭に、私は昨夜のテレビを見て驚きました。タキシード姿の小泉総理がインタビューに答えて、きょうも棒読みだったろうと官僚の書いた答弁書を棒読みしたことを認めた後で、棒読みしないで済む質問をもっと考えてもらいたいね、役人に答弁してもらった方がよい質問の方が多いとにこやかに言われました。
 昨日の議論は、憲法の議論、集団的自衛権の問題、武力行使とのかかわりなど、まさに政治家がやるべき議論です。きのうの参議院本会議での総理の答弁の態度は、きょうとは違い、まず声が小さい、いかにも誠意のないものでありました。
 総理、きのうの発言は国会軽視であり、国会審議を冒涜するものであります。もっと責任ある態度で答えるべきではないでしょうか。この発言を直ちに撤回して、謝罪することを求めます。
 質問に先立ちまして、いわゆる米国同時多発テロ事件で命を落とされた方々に対して、心からの哀悼の意を表します。米国内外の御遺族と関係者の方々、眠れない夜を過ごしているというたくさんの子供を初めとしたすべての米国市民に対して、心からお見舞いを申し上げます。
 このような残虐な行為が二度と繰り返されることのないよう、この事件の真相を究明し、容疑者を特定して法による裁きを下し、人道に敵対するテロリズムを絶対に容認しないという決意を明確に示すことによって無辜の死の無念にこたえなくてはなりません。
 当然、日本もこの事件の解決とテロ撲滅に向けて主体的な取り組みを進めなくてはなりません。民主党としても積極的にこの問題に取り組む決意であることを表明いたします。
 さて、この間の小泉総理の動きは、非常に奇妙でかつ危険なものであると断定せざるを得ません。事件直後の対応が他国の指導者たちに比べて立ちおくれた一方、日本の対応方針の決定について拙速主義を重ねていることは、多くの同僚議員が既に触れたとおりです。
 小泉総理、ここは冷静にみずからの振る舞いを省みるべきです。それが国のトップとしての使命です。
 総理は、昨日の我が党の角田議員の米国支援のための自衛隊派遣の法的根拠は何かという質問に明確に答えず、憲法の範囲内でできる限りの支援、協力は何かという観点からその内容を早急に検討し、法律案の作成に取り組むなどと答弁をしました。法律案の前提となる自衛隊派遣の法的根拠について、改めて伺います。
 まず、今回の米国の行動を、ブッシュ大統領は米国の自衛のための戦争であると明言しています。米国を支援する自衛隊の海外派遣が、日本が米国に対する攻撃をみずからに対する攻撃とみなしたものであるとすれば、集団的自衛権の行使ということになって、これは直ちに従来の政府の憲法解釈を変更することにほかならないと考えますが、いかがでしょうか。
 一方、今回の米国の行動が、自衛を超えた国際的取り組みであるとして自衛隊の海外派遣を正当化するのであれば、国際協調主義や国連中心主義にのっとって、米国の軍事行動を根拠づける具体的な安全保障理事会の決議を前提とすべきと考えます。総理の御見解を伺います。
 総理、まず必要なことは、何のための対応方針であるのかを明確にすることです。その目的は、あくまでもテロリズムの撲滅であり、対米協力が自己目的化してはなりません。テロリズム撲滅が目的であるならば、どのような手段が最も効果的であるかを考えることが筋であり、有効なアプローチです。国際法廷における公正な裁判に向けた努力、テロ対策のための多国間協議へのリーダーシップの発揮、中東における和平外交の推進などが考えられます。対米協力も多様な取り組みの一手段として位置づけるべきであり、武力攻撃によって報復が報復を呼ぶ暴力の連鎖を生まないよう、米国を初めとした各方面に働きかけることも、米国のよき同盟国としての日本の役割と考えますが、いかがでしょうか。
 今回の許されざるテロ事件がどうして起こったのか、その背景に深いまなざしを向けて日本の対応方針を決定し、中長期的な問題解決に向けて力を尽くすべきです。その際、私たち、国際社会に強い影響を与える立場にある国々の行動が、そうでない国々に住む人々を疎外や焦燥に追い詰めることはなかったか、そのような反省に立つことが、信頼されることを目指す国家として持つべき態度だと思います。
 幸い、日本は中東などの多くの国々に友人として受けとめられています。アフガン和平国際会議の招集を呼びかけた実績もあります。そういう立場を生かして、小泉総理としては、外交面での努力を一層具体化してイニシアチブを発揮することこそが今求められているのではないでしょうか。
 緊急の課題として、既に五百万人近く発生していると言われる難民、避難民への支援があります。国連からも、物資を早く多くという要請が出されています。実効性を第一に積極的な役割を果たすべきです。
 難民支援については、自衛隊の派遣と武器使用の緩和も取りざたされています。武装した要員が緊張状況にある地域に入ることはかえって危険を招くことはないか、懸念されます。万が一にも日本の行動が戦闘状況を誘発した場合、その責任はとりようがありません。だれの、どのような状況判断が基礎となっての検討であるのかということとあわせて、総理のお考えを伺います。
 さて、今回の事件は、アメリカばかりでなく、世界じゅういつでもどこでも凶悪なテロが起こり得ることを示しました。日本政府としてまず取り組むべきは、在外邦人や在外公館を含め、国内でのテロの未然防止と対策の確立だったと思います。ところが、総理の口から真っ先に出たのは、米軍基地を自衛隊で守るという言葉でした。日本国民の生命、財産を守る、安全を確保するために全力を挙げる姿勢を鮮やかに示すことが総理の使命ではありませんか。
 さらにもう一点、重要な問題があります。それは、今回の事件によるいわれのない差別の助長を許してはならないということであります。米国やヨーロッパでアラブ系住民に対する嫌がらせが多発し、日本でも先月二十一日には、富山県でイスラム教の礼拝堂から盗まれたと見られるコーランが破り捨てられるという許されない事件も起こってしまいました。さまざまな宗教、国籍など異なった背景を持つ方々が安心して日本に住み、働くことができるよう、私たちも言動や政策決定に意を尽くさなくてはなりません。総理の具体的な対処について伺います。
 総理が「聖域なき構造改革」を国民の前で宣言し、訴えたにもかかわらず、小泉内閣や与党が打ち出す政策は、後ろ向きの対症療法あるいは弱肉強食を是認するような政策が目立ち、一般市民を大事にするというメッセージに欠けており、失業や廃業など痛みを受けた人々にさらに不安をもたらすものばかりであります。
 私は、ここに改めて、従来型の経済構造が行き詰まった今こそ、新しい生き方を可能にする新しい社会に向けて真の構造改革が必要であることを訴えたいと思います。
 例えば、男性の働き過ぎと女性への直接、間接の差別を改めて、男女共同参画社会の実現を目指す中に新しい生き方、社会が見えてくると思います。また、従来、とかく保護の対象、お荷物と誤った認識を持たれてきた高齢者が、無理なくそれぞれの状況や立場に応じて生き生きと活躍でき、いわば現役として町づくりの中心になるような形のともに支え合う経済社会、地域社会につくり変えていくべきだと考えています。
 以下、そうした観点から日本が直面している重要課題についてお尋ねします。
 まず、雇用政策について伺います。
 政府は、五月に経済財政諮問会議が発表した五年でおよそ五百三十万人の雇用創出という数字をもって、あたかも雇用不安が生じないかのごとく無責任な宣伝をしていますが、小泉総理はこの数字にどの程度責任を持つ覚悟がおありでしょうか。これを公約と受け取っていいのでしょうか。
 また、九月二十日に発表された総合雇用対策と経済財政諮問会議の報告書はどのような関係にあるのでしょうか。総合雇用対策によって五百三十万人の雇用創出が担保されるのか、あわせてお聞かせください。
 民主党は、再チャレンジができる社会を目指し、既に職業訓練と生活支援とを柱とした雇用におけるセーフティーネットの整備を提唱しています。セーフティーネットには、構造転換につながり、労働者にとっても実践的でキャリア形成につながる職業訓練制度の充実が含まれなくてはならないと考えますが、いかがでしょうか。具体的な整備状況も含めて、お答え願います。
 雇用の創出は、労働力とサービスが不足している部分にこそ重点を置くべきです。とりわけ、介護の分野の雇用創出を本格的に検討すべきです。
 ここで、これまで示されました政府の方針においては、ゴールドプラン21の進展やケアハウスの増設に伴う、いわば自然増によって雇用がふえることしか想定されていません。しかし、実際はもっと多く、少なくとも二十万人以上の雇用を生み出すことができます。
 この際、構造改革の中で、実態を踏まえて福祉施設の設置や補助の基準などを見直すべきです。例えば、特別養護老人ホームの職員配置やケアマネジャーの増員などを通じて、福祉現場の業務を生きた人間、サービスを受ける側の視点に立って適正化し、追加的雇用の創出を積極的に行うことを提案したいと思いますが、いかがでしょうか。
 総理は、雇用創出の観点からNPOへの期待も示されています。
 NPOの支援については、十月一日から支援税制がスタートしました。現在、NPOが行う介護サービス事業は収益事業として課税対象となっていますが、その必要と意義を踏まえて社会福祉法人と同等の扱いとすべきと考えますが、いかがでしょうか。
 さて、昨今、正規雇用から非正規雇用へのシフトが急速に進んでいます。特に女性の占める割合が高く、短時間雇用者の七割が女性となっています。
 新しい働き方が可能になっている一方、正社員と同じような仕事をしながら年収は三分の一以下、ボーナスはほとんどなし、正社員への移行も認められないといった不安定で不利なケースが少なくありません。不安定さと不公正さをそのままに、正規社員を非正規社員に置きかえる傾向を放置、拡大してはなりません。
 多様な働き方で安心して働ける仕組みを確立するため、例えば短時間正社員などさまざまな働き方を設定し、それぞれに応じた処遇のあり方が確保されるような合理的なワークルールを確立することで雇用形態による差別をなくし、均等な待遇が保障されるような仕組みづくりを幅広い議論のもとに進め、法律の遵守と適切な監督体制によって公正を担保することが二十一世紀日本の雇用環境に求められています。総理の御所見をお伺いいたします。
 今国会では、民主党提出の職業生活と家庭生活との両立支援法案と政府の育児介護休業改正案とが継続審議となっております。
 働く親が育児休業から復帰して、まず直面するのが子供の病気やけがです。育児や看護のサービスの充実はもちろん重要ですが、看護休暇制度は保育所整備とともに車の両輪であると考えますが、いかがでしょうか。政府案では、子供看護休暇制度は努力義務にとどまっています。
 男女共同参画推進本部長でもいらっしゃる総理、ここは与野党の枠を超えて、総理のリーダーシップで請求権化するという英断を下すことはできないでしょうか。期待を込めてお考えを伺います。
 保育所の受け入れ枠の拡充は、現実には待機児童の解消につながってはいません。保育士などの充実と子供にとって居心地のよい施設環境の質が担保されて初めて親は安心して働けるのです。
 民主党は、さきの通常国会に、無認可保育所の開設に当たって自治体への届け出を義務づける児童福祉法改正案を提出し、今国会において継続案件となっております。保育の質を担保し、子供を持つ親が安心して預け、働くことができる保育施設の拡充と質の向上には最低限必要な法改正だと自負しております。
 総理、民主党提案の児童福祉法改正案にぜひ賛同していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 民主党が数度にわたり野党共同で法案を提出するなど力を入れてきた民法改正について伺います。
 八月四日発表の内閣府の世論調査で、民法改正への賛成が初めて反対を上回りました。与党内にはいまだに改正に反対する意見が根強くあると聞いていますが、この問題に積極的に取り組んでいらした森山議員が法務大臣でいる今こそ法改正を実現すべきと考えますが、総理はどうお考えでしょうか。
 野党共同で提出した民法改正案は、非嫡出子の相続差別の廃止をもその内容としております。親が法律婚であるかどうかは子供の責任のないことです。非嫡出子に対する差別を廃止することについて、あわせてお答えください。
 さきのCOP6再開会合において、日本は、国際的な議論の積み上げを無視して唐突に京都議定書離脱という挙に出た米国の顔色をうかがい、さらには科学的根拠の乏しい森林の吸収源を拡大することで議定書の科学的正当性を傷つけ、国際的な信用をさらに失墜させました。総理はこの責任をどう考えているのでしょうか。
 総理は常々、環境政策に力を入れるとおっしゃっていますが、抵抗勢力に堂々と立ち向かい、地球環境保全に邁進する覚悟はおありなのでしょうか。
 地球温暖化による破滅を回避するためには、何としても、京都議定書の基本精神に立ち返り、発生源での温暖化物質の排出削減を断行しなくてはなりません。無理やり獲得した吸収源を使い切るのではなく、あくまでも補完措置であると位置づけるべきです。いかがでしょうか。
 また、環境問題に積極的に取り組むリーダーとしての姿勢を見せていただきたいと思います。ますます深刻化する有害化学物質による健康被害、これに取り組むための法整備、諫早湾干拓事業の真の生態系回復につながる見直しができるかどうかという点も重要な試金石となることを指摘し、総理の覚悟を伺います。
 民主党は、さきの国会で、野党共同の戦時性的強制被害者問題の解決の促進に関する法律案を提出するなど、戦後補償問題に取り組んでまいりました。過去と向き合えない日本という国際的イメージを払拭するためにも、みずからが行った過去の不正義のすべてに取り組むべきだと思います。
 従軍慰安婦とされた女性たちの問題については、司法の場でも、判決文において、原告が受けた被害の重大さを考えると、立法措置を講じていないことに対する不満の心情は察するに余りあると述べられるなど、立法府の重要性は明確に確認されています。
 総理として、責任感、そして歴史観を持ってこの問題を直視し、率先してこの法律案の成立に取り組むべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 総理は、所信表明演説において、わざわざ「自国のことのみに専念して他国を無視してはならない」とする憲法の前文を引用され、国際協調の精神のもと、テロ対策に取り組む意欲を示されました。しかし、総理、総理が引用されたくだりの前段には、「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。」とあります。武力による報復が行われれば、罪のない人々を戦渦に巻き込み、難民をふやし、子供たちを犠牲にします。この現実から目をそらすことはできません。
 日本は自国のことのみに専念すべきではありません。ことしは国連の定めた文明間の対話年であります。二十一世紀の初めの年でもあることし、公正なルールに基づいて正義を守り、テロや戦争の根本原因に迫り、解決に向けて積極的に努力し、世界に発信していくべきです。あわせて、創造性ある構造改革を推し進め、安心できる働く場の確立、新しい生き方をはぐくむ環境の整備、子供を初めとしたすべての市民の人権擁護、環境問題への取り組みなどを充実させる姿勢を世界に示すことで、やはり憲法前文にあるとおり、国際社会に名誉ある地位を占めることを目指したいと考えます。
 総理のお考えを伺って、質問を終えさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
#19
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 岡崎議員にお答えいたします。
 自衛隊派遣の根拠についてのお尋ねがありました。
 今回の同時多発テロ事件を受けて、国連安保理においては、今回のテロ事件を国際の平和及び安全に対する脅威であると認め、テロの実行者及び支援者等の処罰並びにテロ行為の防止のための国際社会の努力を求めること等を内容とする決議が採択されています。
 我が国としては、今回のテロに関連する安保理決議を踏まえた国際社会の取り組みに憲法の範囲内で積極的かつ主体的に貢献していく考えであり、そのような観点に立って法律案の作成に取り組み、一日も早い法案成立を目指してまいる所存でございます。
 テロリズムの根絶に向けた外交的働きかけについてのお尋ねがございました。
 政府としては、国際社会が一致団結して、テロリズムの遠因となるさまざまな問題の解消に取り組みつつ、テロリズムを根絶すべくあらゆる努力をすべきと考えます。
 このような考え方に立って、政府は、米国と協力しつつ、多国間協議等の場で適切な取り組みがなされるよう関係国と協議し、また、テロへの対応に向けた国際的連帯が強化されるよう、中東・イスラム諸国を含む関係国と協議していく考えであります。
 中東外交及びアフガニスタンの和平に向けた外交についてお尋ねがございました。
 これまでも我が国は、中東の国々に対する外交を重要な課題ととらえて取り組み、これらの国々との関係を構築してまいりました。
 今回の米国における同時多発テロ事件に際しても、我が国は、親書の発出や特使の派遣等を通じて、パキスタンに加えサウジアラビア、イラン、エジプト等の中東諸国に働きかけを行い、国際テロに対応するための国際的連帯の強化に努めているところです。また、我が国はこれまでアフガニスタンの和平にも取り組んできております。今後も我が国として外交努力を重ねてまいりたいと思います。
 難民救援を行う場合の武器使用の緩和についてお尋ねがございました。
 自衛隊による被災民救援のあり方については、今後いろいろ予測し得る事態を考えつつ、憲法の範囲内でできる限りの救援活動は何かという観点から、派遣される自衛隊員及び支援活動の安全確保のための武器使用のあり方などを含め検討を急いでおります。近日中に法律案を国会に提出して、御審議をお願いしたいと考えております。
 テロに対する国民の安全の確保についてお尋ねがありました。
 まず、私は、テロ発生直後の時点で米軍施設を自衛隊で守ると言ったことはございません。国民をテロから守るための対策をしっかり講ずることの重要性は言うまでもないことであり、私は、テロ発生後直ちに、国内で攻撃対象となる可能性の高い米国関連施設の警備強化を指示し、またその他の重要施設の警戒警備、ハイジャック防止対策の強化、出入国管理の徹底等の措置を講じたところであります。今後とも、国民の安全を確保するため、あらゆる角度からテロ対策の充実強化に努めてまいります。
 外国人差別の助長を防止するための対処についてお尋ねがありました。
 外国人に対する不当な差別が法のもとの平等を定めた憲法十四条や人種差別撤廃条約の趣旨に反することは言うまでもありません。今後とも、適正な出入国管理に努めるとともに、差別事件に対する適切な対応や各種の啓発活動を通じて、外国人が日本人とともに安心して住み、働くことができる社会であるように努めてまいりたいと思います。
 五百三十万人の雇用創出及び総合雇用対策と経済財政諮問会議の報告書との関係についてのお尋ねがございました。
 経済財政諮問会議に設置された雇用拡大専門調査会が五月に取りまとめた緊急報告は、規制改革等民間活力の活用による雇用創出型の構造改革を実施することにより、過去十年間で平均して約五百万人の雇用が創出されたサービス部門における雇用拡大の動きがさらに加速され、今後五年間で約五百三十万人規模の雇用創出が期待できることを試算として示したものであります。
 先般取りまとめた総合雇用対策では、雇用の受け皿整備を柱の一つとして、医療、福祉、保育などの分野における規制・制度改革を通じた新市場、新産業の育成を盛り込んでおり、これは雇用拡大専門調査会の緊急報告において指摘されているサービス分野における雇用創出型の構造改革の推進と基本的な考え方として軌を一にするものであります。
 今後、総合雇用対策における規制・制度改革の実施を初め、サービス分野における構造改革が推進されることにより、サービス分野における雇用機会の増大の動きが加速されるものと考えております。
 職業訓練制度の充実についてお尋ねがございました。
 先般取りまとめた総合雇用対策においては、構造転換に対応し、労働者にとっても実践的なキャリア形成につながる職業能力開発施策を盛り込んだところであります。
 具体的には、事業主、大学、NPOなど、あらゆる教育訓練資源の最大限の活用等を通じた雇用に結びつく効果的な職業能力開発、キャリア・カウンセラーの養成等による官民を含めたキャリア相談機能の強化等を推進し、職業能力開発施策の一層の整備充実を図ってまいります。
 介護分野における雇用創出についてのお尋ねがございました。
 介護分野につきましては、先般取りまとめた総合雇用対策における雇用創出の柱となる分野であります。今後とも、ゴールドプラン21に沿って介護基盤の整備を進める中で、株式会社によるケアハウス等の経営を解禁し、PFIを活用した公設民営型による整備を促進するといった規制改革も進めながら、雇用創出を図ってまいります。
 NPO法人の収益事業に関する課税についてのお尋ねがありました。
 介護サービス事業については、法人税法上、医療保健業等の収益事業に該当するため、NPO法人についても公益法人等と同様に収益事業として課税することが適当と考えております。
 なお、社会福祉法人については、公益性が高い事業を営むことを目的としており、法律上、設立、管理及び監督に関し厳格な規定が設けられていること等を踏まえ、その営む医療保健業については、例外的に収益事業から除外され、非課税扱いとされております。
 多様な働き方に応じた処遇確保の仕組みづくりについてのお尋ねがございました。
 労働者が、多様でかつ柔軟な働き方を選択でき、それぞれの働き方に応じた適正な労働条件、処遇が確保されるよう、現在、パートタイム労働法に基づき、短時間労働者の雇用管理の改善に努めているところであります。今後とも、処遇の均衡の確保や、短時間正社員制度も含めた柔軟な雇用管理システムのあり方などについて幅広く議論を進めるとともに、多様かつ柔軟な働き方が可能となるよう必要な指導、支援を行ってまいります。
 子供の看護のための休暇制度についてお尋ねがございました。
 現在のところ事業所における看護休暇制度の普及率が相当低いことなどの現状を踏まえると、一足飛びにこれを請求権とするのではなく、まずは努力義務規定を設け、着実に一歩を踏み出すことが重要と考えます。このため、努力義務規定を盛り込んだ政府の育児・介護休業法の改正法案の早期成立に努め、より多くの企業で子供の看護休暇制度が導入されるよう努力してまいります。
 認可外保育施設の届け出制の導入についてお尋ねがございました。
 民主党から認可外保育施設への届け出制の導入を内容とする児童福祉法の改正案が提出されていますが、政府としても、認可外保育施設に対する指導監督等の強化に努めているところであります。
 現在、与党三党においても、届け出制に加え、利用者への情報提供の強化等を盛り込んだ児童福祉法改正案が検討されていると承知しており、これらについてあわせて御議論いただくことになると考えております。
 選択的夫婦別姓を内容とする民法改正についてのお尋ねがございました。
 この問題は、婚姻制度や家族のあり方と関連する重要な問題でありますから、御指摘の世論調査の結果に見られる国民の意識動向や議論の推移を踏まえて検討を進める必要があると考えます。
 嫡出でない子の相続分の問題についてのお尋ねですが、この問題についても、国民各層の御意見を幅広く聞き、各方面における議論の推移を踏まえながら対処していく必要があると考えております。
 京都議定書に係る我が国の対応を含む地球環境保全に邁進する覚悟についてお尋ねがございました。
 先般のCOP6再開会合においては、我が国は、京都議定書の二〇〇二年発効を目指し、合意形成に最大限努力しました。この合意に向けた我が国の積極的貢献は、国際的に評価が得られているものと私は理解しております。
 我が国としては、引き続き、京都議定書の二〇〇二年発効を目指して、COP7までに最終合意を達成すべく、交渉に全力を尽くす考えであります。その際、すべての国が一つのルールのもとで行動することが重要であり、米国を含めた合意が形成されるように、米国に対し建設的対応を求めるとともに、引き続き最大限努力する考えであります。また、京都議定書の目標を達成するための国内制度に総力で取り組んでまいります。
 こうした取り組みを含め、私は、今後豊かな環境を我々の子孫に確実に引き継げるよう、引き続き地球環境保全に全力を尽くす覚悟であります。
 吸収源の活用はあくまでも補完措置として位置づけるべきではないかとのお尋ねであります。
 森林等については、これによる二酸化炭素の吸収量の活用は京都議定書においても地球温暖化対策の一つとして位置づけられ、先般のボン合意においても各国に認められる吸収量についての合意が見られたところであります。我が国としては、森林の適切な管理等による二酸化炭素の吸収源対策を含め、京都議定書の目標を達成するための国内制度に総力で取り組んでまいります。
 環境問題に取り組む姿勢についてお尋ねがございました。
 化学物質問題については、安全で安心な国民生活を確保するため、化学物質審査規制法や化学物質管理促進法の適切な実施などに積極的に取り組んでおります。
 諫早湾干拓事業については、現在、防災機能の十全な発揮、概成しつつある土地の早期の利用、環境への一層の配慮、予定された事業期間の厳守の視点に立って総合的な検討を行っております。
 いずれにせよ、環境問題は小泉内閣の最重要課題の一つとして認識しており、二十一世紀に生きる子孫へ恵み豊かな環境を確実に引き継ぎ、自然との共生が可能となる社会を実現できるよう、環境施策の推進に努めております。
 戦時性的被害者問題についての法律案に関するお尋ねがございました。
 いわゆる従軍慰安婦問題については、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であるとの認識のもと、政府としては、元慰安婦の方々に国民的な償いをあらわす事業等を行うアジア女性基金に対して、既に最大限の協力を行ってきております。御指摘の法案については、このような事実も踏まえ、国会での御議論にゆだねたいと思います。
 日本は国際社会に名誉ある地位を占めるべきとのお尋ねがありました。
 文明間の対話を進めつつ、テロや戦争の根本的な解決を目指すべきことは言うまでもございません。武力行使を行わないことを内外に宣明している我が国として、この問題を解決するため、やるべきことは私はたくさんあると思います。外交面、人道面、文化面、経済面、日本は積極的な努力を積み重ねて国際社会の一員としての責任を果たしていかなきゃならないと思います。
 また、構造改革に全力で取り組み、日本経済を再生し、新しい日本の未来を切り開いていくことは、これは日本のみのことではなく、世界に対する我が国の責務でもあると思います。いろいろな取り組みにより、我が国は国際社会において名誉ある地位を占めることができるよう全力を尽くしていく覚悟でございます。(拍手)
    ─────────────
#20
○副議長(本岡昭次君) 月原茂皓君。
   〔月原茂皓君登壇、拍手〕
#21
○月原茂皓君 私は、自由民主党・保守党を代表して、小泉総理の所信表明演説に対し、焦点を絞って質問いたします。
 質問に先立ち、先般、米国において発生した同時多発テロによって犠牲となられた方々及び救出作業中、職に殉じられた警察官、消防士の方々に対し、心から哀悼の意を表します。また、その御家族並びに米国政府に対し、心からのお見舞いを申し上げます。
 九月十一日午前、私は参議院調査団の一員としてワシントン、カナダの調査を終え、オタワからシカゴに向かう機中にいました。離陸後一時間余り、機内放送は国家安全保障上の理由によりオタワ空港に引き返すと告げました。空港到着後、今回のテロを知りました。今もあのときの情景が激しい怒りと深い悲しみとともに鮮明によみがえるのであります。
 今回のテロの特色は、政府や軍関係の中枢をターゲットにするだけでなく、無防備な民間機をハイジャックし、民間のオフィスビルを攻撃し、何の罪もない人々のとうとい命を一瞬に奪った無差別大量殺人、極めて卑劣、非道な犯罪行為であります。テロ犠牲者のうち外国人が約八十カ国二千人、攻撃対象が多数の国々の企業の集まる国際経済・金融の中枢、これは米国のみならず、日本を含めた世界全体に対する許しがたい組織的かつ計画的な攻撃であります。九月十一日をもって世界は変わった、安全保障の枠組みは変わったのであります。
 九月十二日、国連安保理一三六八号では、テロ攻撃の実行者、組織者及び支援者を法に照らして裁くために、すべての国に対して共同して迅速に取り組むことを求めることと、そして彼らを援助し、支持し、またはかくまう者は、その責任が問われることを強調すると決議しております。
 したがって、今回の我が国の対応は、米国にどのように協力するかという視点だけでなく、国際社会の一員として、また現に三十一の日本企業、多数の同胞も犠牲となっていること、今後我が国も攻撃の対象になり得ることを考えると、まさに我が国自体の問題としてどう対応するかが問われているのであります。
 第一は、国内のテロ・ゲリラ対策であります。
 政府は、今回、自衛隊に武装工作員、いわゆるゲリラ対応、不審船対応を認めるほか、テロリズムに対する警護対象を自衛隊の施設と米軍施設に認める方向にあります。諸外国の例を参考にして、警察力だけで対応し切れない場合に備えて、自衛隊も対象を限定することなく警護行動ができる制度を早急に整備しておくべきであります。
 治安出動の敷居を低くすればとの考えもありますが、言うはやすく行うはかたしであります。今日のテロ、ゲリラの攻撃力は多種多様であります。極めて高度な技術を持っております。大切なことは、法体系を整備することと同時に、情報収集・管理体制やテロ・ゲリラ攻撃に対する実践的訓練と効果的な防御体制を役所の垣根を越えて構築することであります。究極的には、内閣のコントロール下にある公共財である自衛隊、警察の有機的運用、効率的運営の見地に立って、難局には国を挙げて対処する体制を構築することであります。また、所要の資材の装備化は急務であります。総理の所見を伺います。
 総理は、所信表明において、備えあれば憂いなしの考えに立って有事法制の検討を進めると述べられました。次期通常国会での成立に向けた御努力を願うものであります。
 同時に、危機管理体制の整備という点では、防衛庁を独立した省に位置づけることも必要であります。自由民主党などの協力を得て、第百五十一国会衆議院に我が保守党党首が提案者として現在審議中の法案を、保守党は皆様の御協力を得て引き続きその実現のために全力を挙げて努力することを改めて申し上げておきます。
 次に、日本外交として何ができるかを冷静に判断して、その上に立ってテロ撲滅の第一線に立つ米国の情報活動への協力を行うとともに、米国に協力する諸国への経済援助にめり張りをつけることが重要であります。
 次に、今回のテロに関連しての特別立法の問題であります。後方支援活動の根拠をどこに求めるか、このことは武力行使の授権を内容とする新たな国連決議が必要だ、あるいは集団的自衛権を認めることが必要という主張があります。このことについては、総理は既にお答えになっておりますが、国民により詳しく説明して、ちゃんとした理解を得る必要があると思います。
 我が国憲法は集団的自衛権の行使は認めていないと政府はこれまで答弁しています。我が国憲法は集団的自衛権自体を認めているかとの追及に対して、行使を認めていないから論ずる意味がないと言及を避けてきております。我が国憲法は集団的自衛権を認めているのか、この際、総理の率直な見解をお伺いいたします。
 医療、難民支援活動でも警護は必要です。難民に紛れて潜入したテロ、ゲリラがテロ、暴動を起こすことのおそれもあります。自衛隊員が心配なく任務を遂行できるためにも、また他国の部隊の足手まといにならないためにも、自衛隊員の武器使用基準をこれまでよりも緩和すべきと思いますが、総理の所見をお伺いいたします。
 今回の支援活動は、自衛隊の海外における行動範囲を拡大します。中国、韓国初めアジア諸国が我が国の立場に警戒感を強めることのないよう配慮することも必要と思われますが、既に総理も答弁されておりますが、重ねて所見を伺いたいと思います。
 十月一日に資金源断絶の安保理決議を見ました。既に金融庁がマネーロンダリング対策を拡大適用して金融機関に協力要請しております。より実効性を高めるために、国連のテロ資金防止条約及び爆弾テロ防止条約の今国会での早期承認と銀行法など関連する国内法の整備が必要であります。
   〔副議長退席、議長着席〕
 政府は具体的にどのような政策をとったのか、我が国においてテロリスト及び関係者の金融市場での活動を把握しているのか、資産を凍結した事実はあるのか、総理にお伺いいたします。
 今回はテロに対する闘いであります。アラブ・イスラムとの闘いではありません。日本という異国の地で努力しているアラブ・イスラムの人々を安心させることも忘れてはならないと思うのであります。
 次に、ハイジャック・テロ防止対策に関して伺います。
 このたびのテロによって世界の民間航空界は、旅客の減少や航空保険の見直し等、深刻な打撃を受けております。我が国においてもCIQ体制や検査機器の充実強化策を早急に講じるとともに、我が国航空会社並びに関連業界に対する緊急融資等の支援策を講ずることが喫緊の課題であります。今年度補正において措置すべきと考えますが、国土交通大臣の見解をお伺いいたします。
 補正予算の規模についてお伺いいたします。
 今年度の補正予算についても、安易な国債増発を避け、二〇〇二年度予算における国債発行額三十兆円以下と同様の方針で取り組むことを表明されております。国債発行額を三十兆円以下に抑えながら経済対策を実施するために国債を幾ら追加発行できるかは今のところ明確でありません。当初予算における国債発行額は二十八・三兆円、三十兆円までの枠は一・七兆円であります。しかし、景気低迷による税収の落ち込みから、現状ではこの枠は小さくなっている可能性があります。税収は当初予算ベースから一兆円以上少なくなるという見方もあります。その場合、補正予算で使える額は数千億ということになります。
 税収は当初予算からどのくらい落ち込むと見ているのか、税収が落ち込んだとして、国債発行額三十兆円以内で雇用対策等、必要な経済対策を講じることが可能なのか、国債発行額三十兆円以下の補正予算で今年度のプラス成長は可能か。政府は、二〇〇一年度の経済見通し実質GDP成長一・七%と予測していましたが、米国経済の減速、日本経済の悪化傾向と経済情勢は激変しています。その上、今回のテロ事件の影響を考えると、税収見積もりは大きく下回ることは必至であります。
 来年度予算については、歳出を三兆円削減することにより国債発行額を三十兆円以下に抑えるとしています。しかし、そこで仮定されているのは、今年二月時点で想定していた経済成長率は名目、実質ともに二%というものであります。現状の景気低迷を考えると厳しいと言わざるを得ません。来年度の成長率二%というのは、現時点で考えても妥当と言えるのか。経済の前提が崩れているとすれば、国債三十兆円以下に抑えるために必要な歳出削減幅を現在言われている三兆円よりも大きくする必要があると思いますが、それは可能でしょうか。総理にお伺いいたします。
 国債発行額を抑制し、むだな公共事業を思い切って削減するという小泉政権の果敢な姿勢は高く評価するものであります。今年度はもちろん、来年度についても消費の低迷、設備投資の減少が続き、民需主導の景気回復は当分望めそうにありません。
 小泉総理は、テロ事件の影響等で経済情勢に大きな変化があった場合には大胆かつ柔軟に対応するとしていますが、そもそも経済政策は刻々と変わり得る情勢の変化に柔軟に対応できるようなものでなくてはなりません。総理が引用された、この世に生き残る生き物は変化に対応できる生き物だとのダーウィンの言葉どおりです。
 テロ事件が米国初め世界経済に与える影響は多方面にわたっております。世界同時不況の到来さえ現実のものとなりつつあります。我が国がなすべきことは、せめて世界経済の足を引っ張らないことが世界第二位の経済大国としての責務であると思います。
 次に、税制についてお伺いします。
 二〇〇〇年末で個人金融資産に占める株式の割合は四・八%、預貯金五四・九%、これは投資よりも貯蓄を優遇してきた税制の結果とも言えると思います。この状況が示すように、戦後経済発展に間接金融が寄与してきたのは厳然たる事実であります。しかしながら、グローバル体制のもとではゆがんだ構成となったのであります。
 我が国経済の活力を維持向上していくため、証券市場の充実も大きな課題であります。証券税制の改正に当たっては、金融資産を間接金融から直接金融にウエートを移すことに役立つ視点からの検討も必要だと思います。
 例えば、確定拠出年金に関する法案が成立しましたが、今後の年金制度の改革や労働市場の流動化にも役立つことから、高く評価されます。しかし、税制の優遇措置が不十分であり、今後の年金制度を支えるには十分とは言えません。我が国企業の資金調達の方向と証券市場の役割を考えるとき、証券市場の活性化に資することを踏まえてどのような税制改革を描いておられるのか、総理にお伺いしたいと思います。
 経済・財政分野における第一の課題である不良債権問題についてお伺いいたします。
 二〇〇一年三月期の主要十五行の自己資本は約二十三兆円、過去五年間の平均業務純益は約三兆円、株式保有額は三十七兆円。ある民間シンクタンクの試算によると、二〇〇一年九月中間期の株式の含み損は五兆円程度とされております。不良債権問題は二、三年で最終処理するとの方針ですが、その償却原資はどのように確保されるのでしょうか。その処理に当たって、整理回収機構を使って簿価で買い取ることにより間接的に公的資金を投入するという考え方がありますが、総理はこれを否定されました。当然のことだと思います。しかし、総理はどのような方策をお考えでしょうか。
 遅くとも、集中調整期間が終了する三年後には不良債権問題を正常化すると言われていますが、時期は平成十六年三月までということなのか、また、正常化とはどのような状態を意味するのか。一般国民は不良債権がゼロになると錯覚している向きもあるのです。わかりやすく説明していただきたいと思います。
 不良債権の最終処理に力点を置き過ぎて画一的に実施すると、本来生き延びることのできる企業をつぶしたり、新規企業に資金が回らないことも懸念されます。不良債権処理に当たっての考え方をお示し願いたいと思います。
 人の幸せは仕事にあります。仕事を終えた家族の夕べのひとときの団らんほど幸せなものはありません。政府は、今国会を雇用対策国会と位置づけ、総合的雇用対策のメニューを示し、国民の雇用不安に真剣に取り組んでいます。スピードが要求されます。
 イソップの寓話に、もう少しでおぼれそうになった少年が、通りかかった人に大声で助けてくれと言った。その人は、一体おまえは不注意だとしかった。とにかく助けてください、助かった後でしかってくださいと子供は言った。これに似た声がちまたにあふれる前によき結果を出すことが、私たち政治に携わる者の責務だと思います。
 最後に申し上げます。
 保守党は、小泉内閣を責任を持って支えます。総理の強いリーダーシップに期待して、質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
#22
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 月原議員にお答えいたします。
 激励をいただき、感謝申し上げます。
 国内のテロ・ゲリラ対策についてお尋ねがございました。
 いわゆるテロ対策、ゲリラ対策、危機管理の一環でございますが、警察機関の警備体制を強化することによりまず一次的には対応すべき問題であります。そして、警察力をもっては治安維持ができない場合には、自衛隊に治安出動を命ずることにより不測の事態に備える必要があると考えております。
 また、自衛隊や米軍の防衛関連施設については、特別の必要があれば、治安出動によることなく自衛隊が警護に当たることを可能にする法律改正案を近日中にも国会に提出したいと考えております。
 さらに、関係機関の情報を内閣情報集約センターに一元的に集中するとともに、警察、海上保安庁、自衛隊、この三者間では相互協力の取り決めや共同訓練等を行い、こうした事態に即応できる体制の充実に努めております。関係機関のテロ、ゲリラに対応するための装備の整備については、今後とも十分に配慮していきたいと考えます。
 有事法制の次期通常国会成立に向けてのお尋ねがございました。
 所信表明でも申しましたとおり、備えあれば憂いなし、この考え方に立って引き続き有事法制について検討を進めてまいります。
 国会への提出の時期などについては、状況を見ながら今後適切に判断をしたいと思います。
 支援活動の根拠についてのお尋ねであります。
 今回の同時多発テロ事件を受けて、国連安保理においては、このテロ事件を国際の平和及び安全に対する脅威であると認め、テロの実行者及び支援者等の処罰並びにテロ行為の防止のための国際社会の努力を求めること等を内容とする決議が採択されております。
 私としても、こうした安保理決議を踏まえた国際社会の取り組みに対し、我が国も憲法の範囲内で積極的かつ主体的に貢献していくべきであると考えており、そのような観点に立って法律案の作成に取り組み、一日も早い法案成立を目指してまいる所存であります。
 集団的自衛権と憲法との関係についてのお尋ねであります。
 政府は、従来から、我が国は国際法上集団的自衛権を有しているが、憲法第九条のもとにおける自衛権の行使は我が国を防衛するため必要最小限度の範囲にとどまるべきものであり、集団的自衛権の行使はその範囲を超えるものであって、憲法上許されないと考えてきております。
 自衛隊の武器使用についてのお尋ねですが、憲法の範囲内で、派遣される自衛隊員及び支援活動の安全が確保されるよう、その武器使用権限については適切な配慮をしてまいりたいと考えております。
 こうした考えのもとに、近日中に法律案を国会に提出して、御審議をお願いしたいと考えます。
 我が国の支援活動に関するアジア諸国の反応についてのお尋ねであります。
 今般の米国同時多発テロへの対応に関する我が国の措置は、国際の平和と安全の確保を目的として、テロ根絶に向けた国際的な取り組みに参画するためのものであり、アジア諸国に対して警戒感を与えるようなものではないと考えております。
 いずれにせよ、中国、韓国を含むアジア諸国との友好協力関係の重要性を踏まえ、これら各国に対し、我が国の措置について適切に説明してきております。
 テロ資金供与防止条約等の締結準備の進捗状況及びテロリストの資金凍結についてのお尋ねであります。
 御指摘の未締結条約については、関連する国内法の整備につき鋭意検討を進めておりまして、テロ資金供与防止条約については、年内の署名及び早期締結に向けて作業をしております。また、爆弾テロ防止条約については、締結準備作業を一層加速しました。
 資産凍結については、既にタリバン関係者やウサマ・ビン・ラーデン等への制裁を定めた関連国連安保理決議に基づき、これらの人物及び団体等に対する資産凍結を行うための措置を講じました。
 今般出された安保理決議一三七三号を実効性のある形で実施すべく、現在関係省庁において鋭意検討を行っているところであります。
 補正予算と来年度予算、この国債発行額を三十兆円以下に抑制しつつ、どのような対策を講じるかという実現可能性についてのお尋ねであります。
 補正予算の編成に当たりましても、雇用対策に重点を置き、なおかつ構造改革に資する施策を盛り込みたいと考えておりまして、その中でも補正予算の財源については安易な国債発行に頼るべきものではないと考えております。
 税収が五十兆円程度にとどまるという予想をしておりますが、これからの経済情勢によっては不透明な点もありますが、私は、補正予算も来年度予算も国債発行額三十兆円以下という目標のもとに、できるだけ歳出の見直しに努め、必要な部分にはつけていかなければなりませんが、それ以上に、今までの歳出にむだはないか、不必要な点はないか、徹底的な見直しを行いまして、国債三十兆円以下の目標を達成するべく今後も努力をしていきたいと思います。そうすることによって、これから新しい時代における改革なくして成長なしということが実現できるように精いっぱいの努力をして、民需主導の自律的な経済成長を目指していきたいと思います。
 証券税制についてのお尋ねがありますが、国民の一般の方々が安心して証券市場に参加できるよう、透明性、公平性の高い証券市場を構築する必要があると考えております。
 そういう観点から、貯蓄優遇から投資優遇への金融のあり方の切りかえと、これが必要だという観点から、できるだけ早期に証券市場の構造改革に資するような税制改正法案を今国会に提出したいと今検討を進めているところでございます。
 不良債権処理に関するお尋ねでございますが、不良債権の償却原資としては、貸し出し収益等の銀行の本業にかかわる収益から成る業務純益によることが基本と考えられ、業務純益を可能な限り確保すべく、収益力強化や経費削減のための各般の取り組みが求められるところであります。
 次に、公的資金の投入及び整理回収機構の機能拡充については、預金保険法上、金融危機に対応するための措置として、公的資本増強を行うことが可能となっているところですが、現在、主要行の自己資本比率は十分な水準にあり、資本増強が必要な状況にはないと考えております。
 また、今般の改革先行プログラムにおいて、不良債権問題の早期解決に資する見地から、預金保険機構、RCCは不良債権の買い取りについて、価格決定方式を弾力化の上、十五年度末までに集中的に実施することとしたところであります。このような措置により、遅くとも集中調整期間が終了する三年後、すなわち平成十六年度には、不良債権残高の貸出金に占める比率をおおむね三%台後半から四%程度とするなど、不良債権問題の正常化を図るよう努めていきたいと思います。
 なお、不良債権の最終処理を進めるに当たっては、借り手企業の再建可能性を的確に見きわめ、極力、再建の方向で取り組むとともに、新規企業を含め、健全な借り手に対する資金供給の円滑化にも配慮していきたいと考えます。
 残余の質問については、関係大臣から答弁いたさせます。(拍手)
   〔国務大臣扇千景君登壇、拍手〕
#23
○国務大臣(扇千景君) 月原議員から私に対しまして、テロ対策として空港の保安検査機器等の充実強化策と航空輸送対策についての御質問がございました。
 国土交通省におきましては、今回のこのテロを契機に、ハイジャック等の防止に向けて、空港におきます手荷物検査等の強化、そして保安対策に対して万全を期しているところでございます。
 また、航空の輸送を安定的に維持するために、昨日、航空機へのテロにより、航空保険契約等の見直し、それによって第三者に損害が発生した場合の措置について閣議決定をいたしました。
 国土交通省といたしましても、今後、ハイジャック等の防止施策を一層充実強化させるためにも、検査機器の充実強化等について必要な措置を十分に対処してまいりたいと思っております。
 また、米国のようなテロ事件が我が国でもし発生した場合ということに関しまして、さらなる被害の拡大を防止するためにも、我が国の空域で飛行中の定期便及び旅客機等を速やかに最寄りの空港に着陸させるような措置は現状でも可能ではございますけれども、今回の米国の事案も踏まえながら、そのような場合により迅速かつ的確に対処するためのマニュアルの作成を事務方に指示をいたしております。
 今後、航空安全の確保を図るためにも、あらゆる措置を対処してまいりたいと考えております。
 なお、今回のテロを契機として、例えば航空旅客に関しましては、九月の十一日から二十四日の二週間で国際線の旅客数が対前年度比二七%減、また、旅行会社の海外旅行のキャンセルにつきましては、九月十一日から二十八日までの十八日間、約二十九万人のキャンセルが出ております。
 これらにつきましても、その対応に対し、短期間ではありますので、その動向を今後しばらく見守りながら、できればそれに対してもなるべく皆さんの資料を集めて対処法を考えていきたいと思っております。(拍手)
#24
○議長(井上裕君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────
#25
○議長(井上裕君) この際、新たに議席に着かれました議員を御紹介いたします。
 議席第百六十五番、比例代表選出議員、中島啓雄君。
   〔中島啓雄君起立、拍手〕
#26
○議長(井上裕君) 議長は、本院規則第三十条の規定により、中島啓雄君を財政金融委員に指名いたします。
     ─────・─────
#27
○議長(井上裕君) この際、永年在職議員表彰の件についてお諮りいたします。
 議員関谷勝嗣君は、国会議員として在職すること二十五年に達せられました。
 つきましては、院議をもって同君の永年の功労を表彰することといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#28
○議長(井上裕君) 御異議ないと認めます。
 同君に対する表彰文を朗読いたします。
   〔関谷勝嗣君起立〕
 議員関谷勝嗣君 君は国会議員としてその職にあること二十五年に及び常に憲政のために力を尽くされました
 参議院は君の永年の功労に対しここに院議をもって表彰します
   〔拍手〕
    ─────────────
#29
○議長(井上裕君) 竹山裕君から発言を求められました。発言を許します。竹山裕君。
   〔竹山裕君登壇、拍手〕
#30
○竹山裕君 皆様のお許しをいただき、私は、本院議員一同を代表して、ただいま永年在職表彰の栄に浴されました関谷勝嗣君に対しまして、一言お祝いの言葉を申し上げます。
 関谷君は、昭和五十一年の第三十四回衆議院議員総選挙において初当選されて以来、連続八回の当選を数え、二十三年七カ月の長きにわたり衆議院議員として御活躍されてこられました。その後、昨年の参議院愛媛県選出議員補欠選挙に当選されて本院議員に転じ、さきの通常選挙で当選を重ね、このたび国会議員として在職二十五年に達せられたのであります。
 この間に、君は、衆議院においては運輸委員長、公職選挙法改正に関する調査特別委員長、外務委員長として、また本院においても、現在、国際問題に関する調査会長の重職を担われております。
 また、運輸政務次官、郵政政務次官を経て、第二次海部内閣の郵政大臣、小渕内閣の建設大臣及び国土庁長官として国政の枢機に参画し、その卓越した政治手腕を遺憾なく発揮されました。
 一方、自由民主党におきましては、総務会副会長、政治改革本部長等の要職を歴任されてこられたのであります。
 このように、君は、卓抜の御見識と豊富な政治経験に基づき、我が国議会政治発展のため、多大の貢献をされてこられました。
 ここに、我々議員一同は、君の二十五年の御功績に対し深甚なる敬意を表しますとともに、本日、はえある表彰を受けられましたことに心から祝意を表する次第であります。
 今日、我が国は、経済、行財政、社会保障等各方面において構造改革の必要に迫られております。加うるに、国際テロ対策もあり、それだけに国会の果たすべき責務も重く、国民の期待も大なるものがあります。とりわけ参議院におきましては、その独自性の発揮が今までにも増して求められているところであります。
 どうか、関谷君におかれましては、この上とも御健康に留意され、今後も国民のため、さらには参議院の権威高揚と我が国議会制民主主義の発展のため、なお一層の御尽力を賜りますよう切にお願い申し上げて、お祝いの言葉といたします。
 おめでとうございます。(拍手)
#31
○議長(井上裕君) 関谷勝嗣君から発言を求められました。発言を許します。関谷勝嗣君。
   〔関谷勝嗣君登壇、拍手〕
#32
○関谷勝嗣君 お許しをいただきまして、一言お礼を申し上げます。
 ただいまは、院議をもちまして在職二十五年の表彰を賜り、さらにその上、竹山裕先生から身に余るお祝いの言葉をちょうだいし、感激のきわみであります。
 本日、光栄ある表彰をいただきましたのも、ひとえに長年にわたり先輩、同僚議員の皆さんの御指導のおかげであり、また私を御支援してくださった愛媛県民の皆様の御温情のたまものであります。この機会に改めまして厚くお礼を申し上げます。
 私が初めて議席を与えられましたのは、福田内閣の時代でありました。当時は既に国際化の流れはありましたが、今日ほどではなく、解決しなければならない政策課題はそのこと自体の解決でおおよそ完結をいたしておりました。しかし、現在は解決しなければならない課題には幾多の関連事項が複雑に関係しており、英知と努力でもって解決をしなければなりません。
 時あたかも第百五十三回臨時国会が開会され、今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針を軸として改革が進められようといたしております。改革は、我々が今日まで営々として築いてきた構造や組織を創造的に変更するため当然不安や痛みを伴います。痛さをお互いに分かち合い、その痛さを少しでも軽くし、改革を実現しなければなりません。その上に国民一人一人が将来に希望を抱き、努力した者が正しく報われる社会をつくらなければなりません。
 平成に入って早くも十三年がたちました。世の中が少しでも穏やかに、世界が平和でありますようにと願って新元号が平成と決定されましたが、景気回復もはかどらず、また米国で起きた卑劣きわまりないテロ事件等社会不安が増幅いたしています。それだけに、国会の果たすべき責務は重大なものがあります。
 私は、本日の表彰を機に、二院制のもと参議院の良識と独自性を一層高め、我が国議会制民主主義の発展のため、全力を尽くしてまいります。
 皆様方のなお一層の御指導、御鞭撻をお願い申し上げ、お礼のごあいさつとさせていただきます。
 まことにありがとうございました。(拍手)
#33
○議長(井上裕君) 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時十七分散会
     ─────・─────
ソース: 国立国会図書館
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