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2001/10/19 第153回国会 参議院 参議院会議録情報 第153回国会 本会議 第4号
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2001/10/19 第153回国会 参議院

参議院会議録情報 第153回国会 本会議 第4号

#1
第153回国会 本会議 第4号
平成十三年十月十九日(金曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第四号
    ─────────────
  平成十三年十月十九日
   午前十時 本会議
    ─────────────
 第一 平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国
  において発生したテロリストによる攻撃等に
  対応して行われる国際連合憲章の目的達成の
  ための諸外国の活動に対して我が国が実施す
  る措置及び関連する国際連合決議等に基づく
  人道的措置に関する特別措置法案、自衛隊法
  の一部を改正する法律案及び海上保安庁法の
  一部を改正する法律案(趣旨説明)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(井上裕君) これより会議を開きます。
 日程第一 平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法案、自衛隊法の一部を改正する法律案及び海上保安庁法の一部を改正する法律案(趣旨説明)
 三案について、提出者から順次趣旨説明を求めます。国務大臣福田内閣官房長官。
   〔国務大臣福田康夫君登壇、拍手〕
#4
○国務大臣(福田康夫君) 十月八日以降、米軍は、英国軍とともに、アフガニスタンに所在するタリバンの軍事訓練施設等に対する攻撃を行っております。政府としては、毅然とした対応なくしてはテロの一層の助長を招きかねないとの考えに基づき、このようなテロリズムと闘う米国等による軍事行動を強く支持するとともに、憲法の枠内でできる限りの支援をしていく考えであります。
 このような政府の立場を申し述べた上で、平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法案について、その趣旨を御説明いたします。
 この法律案は、平成十三年九月十一日にアメリカ合衆国において発生したテロ攻撃が、国際連合安全保障理事会決議第千三百六十八号において、国際の平和及び安全に対する脅威と認められたことを踏まえ、あわせて、同理事会決議第千二百六十七号、第千二百六十九号、第千三百三十三号その他の同理事会決議が、国際的なテロリズムの行為を非難し、国際連合のすべての加盟国に対し、その防止等のために適切な措置をとることを求めていることにかんがみ、我が国が国際的なテロリズムの防止及び根絶のための国際社会の取り組みに積極的に寄与するため、我が国が実施する措置、その実施の手続その他の必要な事項を定めることを内容としております。
 当該テロ攻撃は、アメリカ合衆国のみならず人類全体に対する極めて卑劣かつ許しがたい攻撃であります。我が国としては、国際的なテロリズムに対して断固としてこれに立ち向かっていくとの決意を持って、このようなテロリズムとの闘いに我が国自身の問題として主体的に取り組み、世界の国々と一致結束して、テロリズム根絶のための努力を行わなければなりません。
 本法律案は、かかる観点から、テロ攻撃によってもたらされている脅威の除去に努めることにより国際連合憲章の目的の達成に寄与する諸外国の軍隊等の活動に対して我が国が実施する措置、その実施の手続その他の必要な事項及び国際連合の決議または国際連合等が行う要請に基づき、我が国が人道的精神に基づいて実施する措置、その実施の手続その他の必要な事項を定め、国際テロリズムの防止及び根絶のための国際社会の取り組みに積極的に寄与し、もって我が国を含む国際社会の平和及び安全の確保に資することを目的として提出するものであります。
 以上が、この法律案の提案理由であります。
 次に、この法律案の内容について、その概要を御説明いたします。
 第一に、政府が対応措置を適切かつ迅速に実施すること、対応措置の実施は武力による威嚇または武力の行使に当たるものであってはならないこと、対応措置は戦闘行為が行われることのない地域等で行うこと等の基本原則を定めております。
 第二に、協力支援活動、捜索救助活動または被災民救援活動を実施することが必要な場合には、閣議の決定により基本計画を定めることとしております。
 第三に、自衛隊による協力支援活動としての物品及び役務の提供の実施、捜索救助活動の実施等、自衛隊による被災民救援活動の実施並びに関係行政機関による対応措置の実施を定めております。
 第四に、内閣総理大臣及び各省大臣等は、諸外国の軍隊等または国際連合等から申し出があった場合において、その活動の円滑な実施に必要な物品を無償で貸し付けまたは譲与することができることとしております。
 第五に、内閣総理大臣は、基本計画の決定または変更があったときはその内容を、また、基本計画に定める対応措置が終了したときはその結果を、遅滞なく国会に報告しなければならないこととしております。
 第六に、協力支援活動、捜索救助活動または被災民救援活動を行っている自衛官は、自己、自己とともに現場に所在する他の自衛隊員、同じく自己とともに現場に所在する者であってその職務を行うに伴い自己の管理の下に入ったものの生命、身体を防護するために、一定の要件に従って武器の使用ができることとしております。
 なお、この法律案は、施行の日から起算して二年を経過した日にその効力を失うこととしておりますが、必要がある場合、別に法律で定めるところにより、二年以内の期間を定めて効力を延長することができることとしております。
 以上が、この法律案の趣旨でございます。
 なお、この法律案は、衆議院において一部修正されておりますが、その概要は、次のとおりでございます。
 第一に、内閣総理大臣は、基本計画に定められた自衛隊の部隊等が実施する協力支援活動、捜索救助活動または被災民救援活動については、これらの対応措置を開始した日から二十日以内に国会に付議して、これらの対応措置の実施につき国会の承認を求めなければならないこととするとともに、政府は、不承認の議決があったときは、速やかに、当該協力支援活動、捜索救助活動または被災民救援活動を終了させなければならないこととするものであります。
 第二に、協力支援活動として行う自衛隊による役務の提供のうち物品の輸送には、外国の領域における武器弾薬の陸上輸送を含まないこととするものであります。
 以上でございます。(拍手)
    ─────────────
#5
○議長(井上裕君) 国務大臣中谷防衛庁長官。
   〔国務大臣中谷元君登壇、拍手〕
#6
○国務大臣(中谷元君) 自衛隊法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
 防衛庁といたしましては、平成十三年九月十一日にアメリカ合衆国で発生したテロリストによる攻撃等にかんがみ、我が国における同様の攻撃等への備えに万全を期することが必要と考えております。
 そのためには、本邦内にある自衛隊の施設並びに日米地位協定第二条第一項の施設及び区域の警護のため、自衛隊の部隊等の出動を可能とするとともに、通常時からの自衛隊施設の警護のための権限の整備が必要であります。また、自衛隊が武装工作員等の事案や不審船の事案に効果的に対応するため、武器使用権限等の整備が必要と考えており、あわせて、我が国の安全が損なわれないよう、我が国の防衛上特に秘匿することが必要な秘密について、その保全と仮にそれが漏えいした場合の罰則の整備の必要があります。
 以上が、この法律案の提案理由であります。
 次に、この法律案の内容について、その概要を御説明いたします。
 この法律案は、自衛隊の行動として自衛隊の部隊等による警護出動を新設するとともに、通常時における自衛隊施設の警護のための武器使用の規定を整備し、治安出動下令前の武器を携行する部隊による情報収集の制度を設けるとともに、治安出動時に武装工作員等を鎮圧等するために行う武器使用及び海上警備行動時等において一定の要件に該当する船舶を停船させるために行う武器使用について、それぞれ人に危害を与えたとしても違法性が阻却されるように所要の規定を整備し、あわせて、我が国の防衛上特に秘匿することが必要な秘密について、防衛秘密としての指定その他の取り扱いを規定し、防衛秘密を取り扱うことを業務とする者がこれを漏えいした場合の罰則規定を設けることを内容とするものであります。
 以上が、自衛隊法の一部を改正する法律案の趣旨でございます。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。(拍手)
    ─────────────
#7
○議長(井上裕君) 扇国土交通大臣。
   〔国務大臣扇千景君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(扇千景君) 海上保安庁法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 現在、海上保安官等の武器の使用については、海上保安庁法において警察官職務執行法が準用されております。武器の使用が認められる場合において人に危害を与えることが許容されるのは、刑法に定める正当防衛または緊急避難に該当する場合のほかは、死刑または無期もしくは長期三年以上の懲役もしくは禁錮に当たる凶悪な罪の既遂犯等の場合に限定されておりますが、単に逃走を続けるだけで、その外観等からだけでは船内でどのような活動が行われているかを必ずしも確認できない、いわゆる不審船に対しては、武器使用は認められても、これを停船させるための船体に向けた射撃は、人に危害が及ぶ可能性があるので、事実上困難であります。
 このため、平成十一年六月の関係閣僚会議で了承された能登半島沖不審船事案における教訓・反省事項においては、不審船を停船させ、立入検査を行うという目的を十分に達成するとの観点から、危害射撃のあり方を中心に法的な整理を含め検討することとされたところでございます。
 このような趣旨から、このたび、この法律案を提案することとした次第でございます。
 次に、この法律案の概要につきまして御説明を申し上げます。
 適確な立入検査を実施する目的で船舶の進行停止を繰り返し命じても乗組員等がこれに応ぜずなお抵抗し、または逃走しようとする場合において、海上保安庁長官が一定の要件に該当する事態であると認めたときは、当該船舶の進行を停止させるために海上保安官等は武器を使用することができることとし、その結果として人に危害を与えたとしてもその違法性が阻却されるということとしております。
 以上が、海上保安庁法の一部を改正する法律案の趣旨でございます。(拍手)
    ─────────────
#9
○議長(井上裕君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。加藤紀文君。
   〔加藤紀文君登壇、拍手〕
#10
○加藤紀文君 私は、自由民主党・保守党を代表して、ただいま議題となりましたテロ対策関連三法案につきまして、総理大臣に質問をいたします。
 まず、米国の政治的、経済的中枢を標的に、市民を無差別に巻き込み、五千人以上もの死者・行方不明者を出した同時多発テロ行為、史上例がないこの残虐な事件の犠牲となられた方々に対し、心から哀悼の意をささげたいと存じます。
 既に御案内のとおり、米英両国は、同時多発テロを受け、アフガニスタンにあるアルカイダのテロリスト訓練施設及びタリバンの軍事施設への攻撃を今月八日未明に開始、それは今日に至るまで断続的に続けられており、地上戦も想定されることから、ますます緊迫の度を増しています。
 小泉総理は、この攻撃に対し、いち早く強い支持を表明され、十日からテロ対策関連法案の衆議院の審議が開始されました。特別委員会で集中的、活発な審議がなされ、一層広範な国民の支持を得るため、国会の承認と外国の領域における武器弾薬の輸送について修正が加えられ、賛成多数により、昨日、参議院に送付されました。
 これは、テロ撲滅に向け急迫する国際情勢に対処する我が国の真剣な取り組み姿勢を内外に明確に示すものであり、参議院といたしましても、テロ対策関連法案について毎日朝から晩まで審議し、一日でも一刻でも早く成立されるよう最大限努力する決意をまず申し上げたいと思います。
 同時多発テロ直後に採択された国連のテロ撲滅のための決議に顕著なように、各国が協調してテロ根絶に力を尽くし、国際的なテロ包囲網が形成されつつあります。
 軍事面においては、米英両国に続いて、今後の作戦にカナダやオーストラリア、フランスが参加すると表明しております。また、ロシアや中国、さらにはサウジアラビアも協力を打ち出しています。主義や宗教、政治体制の違いを超えて、テロ撲滅が国際社会の総意となっているのであります。
 大多数の国々は、国情に応じ、政治、経済、外交面のみならず、テロ資金源の断絶、情報収集等、あらゆる手段を動員し、テロの根絶に向け国際協調に取り組んでおります。
 国連とアナン事務総長に対して、人権問題や国際テロの防止に尽力した功績等でノーベル平和賞が贈られることが発表されました。国際社会に反テロの結束を促すまことに時宜を得たメッセージであります。
 この二十日から上海でAPEC首脳会議が開かれますが、テロの影響によりアジアも経済の減速が懸念されており、景気回復のためにもアジア太平洋のテロ包囲網をどのように強化するか、十分に協議する絶好のチャンスだと考えます。
 我が国といたしましても、憲法前文に掲げられた理念に立脚し、我らは、いずれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであって、国際社会において名誉ある地位を占めるため、積極的にテロ根絶の国際的制裁に参加していくことが重要であります。また、テロに対する闘いは我が国自身の問題でもあり、我が国も共有する自由主義や民主主義的価値観に対する挑戦を受けているのであります。
 そこで、まず総理にテロ撲滅への決意を伺い、APEC首脳会議出席に向けて、我が国の姿勢を内外に鮮明にしていただきたいのであります。
 今回のテロ事件の当事者はひとり米国のみならず、被害者を出した国々は八十カ国にも及ぶと言われており、二十四名の死亡・行方不明者を抱える我が国も大きな被害を受けた国の一つであります。
 さらに、テロの被害は世界の各方面に及び、特に経済面においてはアメリカの個人消費心理等に深刻な影響を与えつつあり、世界同時不況を回避し、経済を再建するためにも、テロ対策に万全を期することが急務であります。こうした中、我が国としてみずからの安全にかかわる重大問題として、今後いかなる対応をとっていくべきか、政府、与党一体となって検討を行い、今回のテロ対策特別措置法、そして自衛隊法改正案等の三法案を提出に至ったものであります。
 アルカイダは十日、さらなるテロを予告し、アメリカでは炭疽菌の感染がマスコミや議会関係者に拡大し、細菌テロの不安に動揺が広がっています。
 このように事態が急を告げ、これまで周辺事態法や自衛隊法等では全く想定していなかった見えない敵との闘いが繰り広げられている今、我が国のとり得る対応としては、憲法の枠内で最大限可能な措置を盛り込んだ、いわば緊急対処的な立法であり、このテロ対策特別措置法によって迅速かつ適切に対応することが強く要請されています。
 これらテロ対策関連法案は、世論調査等でも高い支持が得られていますが、第二、第三のテロの不安が世界に広がる中、一層国民の理解を深めるため、この法案の緊要性等について総理から国民に改めて強く訴えていただきたく存じます。
 テロ対策特別措置法の原案では、活動の内容や実施区域等を定める基本計画を閣議決定し、国会に報告するとしておりました。
 これについては、衆議院の修正で、自衛隊が対応措置を開始した日から二十日以内に国会に付議し、対応措置の実施につき国会の事後承認を求めることとされました。この修正は、シビリアンコントロールの強化と、国会も主体的に関与する等という観点からのものと理解しております。
 民主党の主張は国会の原則事前承認でありますが、これでは事態が動いていく中で迅速な対応が損なわれるおそれなしとしません。民主党との修正合意ができなかったことは残念でありますが、この法案の協力支援はタイミングよい実施が生命線でありますので、この修正が総合的に見て適切であると考えております。総理に、この点を確認させていただきたく存じます。
 米英両国の軍事行動が進むに伴い、協力支援と並んで、被災民の救援活動の要請が高まるのではないかと思われます。
 戦闘行為が行われることのない地域で自衛隊が活動することがもちろん大前提であるものの、被災民の救援等を効果的に行うためには、ある程度危険なところでも実施することも必要になってくるかもしれません。どの程度の規模のテロ等が発生したら、医療、救援等を中止して退去するのか、武器使用もかかわり難しい判断が必要になる事態も想定されます。実施区域については、相手国と十分協議するとともに、我が国も現地情報の収集に八方手を尽くし、救援の効果的な実施と安全の確保に万全を期していかねばなりません。
 実施区域の指定や変更等に関し重要視すべき事柄等について、総理に答弁をお願いいたします。
 我が国は、近年においてもペルー日本大使公邸占拠事件、オウム・サリン事件等が起こり、さまざまなテロ事件を経験しております。
 これらの事件の教訓を踏まえ、このアメリカのテロ事件を機に、国内のテロ防止のために、重要施設等の警備強化を初め航空テロ対策、入管の厳正なチェックの強化等々に万全の措置を講ずることが火急であります。
 さらに、核、生物、化学を悪用したいわゆるNBCテロ対策については、警察、自衛隊を初め消防庁等関係機関を挙げて全力で取り組み、必要な法制、予算措置も講じていかなければなりません。事は一刻を争いますので、補正予算等での適切な対応を強く要請します。
 総理は、NBCテロの危機管理も含め国内テロ対策についてどのように取り組んでいかれるか、総理の取り組みと決意をお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
#11
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 加藤議員にお答えいたします。
 テロ撲滅への決意並びにAPEC首脳会議出席に向けての我が国の姿勢についてのお尋ねでございますが、今般のアメリカにおける同時発生テロに対しましては、これはアメリカのみならず、世界の人類に対する自由、平和、民主主義に対する卑劣な攻撃であると受けとめておりまして、我が国も犠牲者が出ておりますが、これは人ごとでない、我が国自身の問題としてとらえて、アメリカ初め関係諸国と協力しながら、毅然とテロ根絶、撲滅のために日本もできる限りの支援協力体制をとっていきたいと思っております。
 さらに、APEC首脳会議におきましても、我が国の立場、それを各国首脳にもよく説明して理解をいただき、同時に、今後、このような問題に対しても日本が国際社会における役割というものを十分認識し、日本としての責任を果たしていくということをお伝えしたいと思っております。
 国会承認に関する衆議院の修正についてでありますが、私としては、この修正というのは、より多くの国民に理解と協力を得られる方法であればということで受け入れました。今後、行政府の責任において、自衛隊の活動の迅速性を確保しつつ、速やかに適切な国会の承認を受ける趣旨であると考えます。
 いずれにせよ、衆議院の修正を誠実に受けとめ、法案が可決、成立した際には、その対応に万全を期してまいりたいと思います。
 本法案に基づく活動の実施区域についてのお尋ねでありますが、本法案における実施区域の指定に当たっては、活動の効果的実施と安全の確保に万全を期す考えであります。特に、対応措置を外国の領域で実施する場合には、当該外国の政府と協議しつつ、現地の情勢を的確に把握することが不可欠と考えておりまして、本法案においてもその旨規定しているところであります。
 国内テロ対策への取り組みについてですが、国際テロの脅威から国民の安全を確保することは、これは政府にとりましても重大な責務であります。まず、テロリストを我が国に入国させないということ、テロリストの拠点を我が国につくらせないということ、そして国内でテロ行為を起こさせない、これが一番大事なことでありまして、これを基本に、あらゆる角度から必要な対策を強化しております。
 特に、NBCテロ対策においては、従来の危機管理体制に加え、捜査、鑑定、治療、除染などの対処能力の向上や、必要な医薬品の確保、関連の法整備などを早急に進め、国民の安全と安心を確保するための対策を強力に推進してまいりたいと思います。
 以上でございます。(拍手)
    ─────────────
#12
○議長(井上裕君) 藁科滿治君。
   〔藁科滿治君登壇、拍手〕
#13
○藁科滿治君 私は、民主党・新緑風会を代表して、テロ対策特別措置法案並びに関連法案について質問をいたします。
 まず最初に、今回の同時多発テロ事件による犠牲者の方々、そして御家族の皆様に対し、心より哀悼の意を表したいと存じます。
 さて、周知のように、衆議院における審議におきまして、今回の特別措置法案の施行によって想定される事態への具体的対応から、テロ対策に向けた中長期的な対応に至るまで審議がされてきましたが、なお不明瞭な部分が残っております。参議院においては、国民が、法の目的と具体的な内容、そして政府の今後の基本方針について十分に理解、納得できるよう、総理並びに関係大臣の明快な御答弁をお願いしたいと思います。
 九月十一日、米国で発生したテロ事件は、過去に類例のない、同時多発的に、また民間人を手段に、そして民間人を対象とした残虐、卑劣きわまりないものでありました。しかも、グローバル化した国際社会のもとで、その影響は経済、社会、生活のあらゆる面において世界的規模で広がりつつあり、今後の動向は予断を許さない状況にあります。
 一方、こうした状況の中で、各国の世論は、テロの現象面の対応だけでなく、テロの本質、つまりテロ発生の根幹にあるさまざまな要因を除去する、そうした対応に関心が向かいつつあります。
 米国の最近における国内世論も、報復行動を強く支持しながらも、事態の推移とともに徐々に冷静さを取り戻しつつあります。これは、米国の国民が、報復行動だけではテロの根絶は不可能であり、むしろ報復合戦による新たなテロへの危惧と不安を認識しているからだと考えます。
 また、今回のテロで犠牲となられた日本人の父親の方は、報復行動は期待していない、それで息子が戻ってくるわけではないのだからと唇をかみしめながらテレビのインタビューに答えられていました。恐らくこの方は、このような痛ましい事件が二度と起きないようにしてもらいたいと心の底から訴えられていたのかもしれません。
 さらに、我が国の最近の世論調査におきましても、テロ対策の必要性については高い支持率を示していますが、軍事行動、そして今回の特別措置法案の是非については意見が二分されている状況であります。つまり、米国、日本を初め世界の多くの人々が真に望んでいるものは、テロの根絶に向けた多角的かつ継続的な取り組みではないかと考えます。
 そこで、我が国は、テロリズムという特殊な形態による市民と国家への攻撃を未然に防ぐために、国連を中心とする国際機関や米国を初めとしてこれに懸命に取り組んでいる国々と連携し、テロを生み出し、またこれを助長するあらゆる根源を断ち切っていく国際的な協調行動に参画していかなければなりません。とりわけ軍事力、資金力を持った国際テロ組織を根絶させるためには、テロリストの幹部を捕捉して裁判にかけ、またその訓練施設や拠点を破壊することは重要なポイントであると考えております。
 そうした認識のもとで、今回の法案は、テロ対策に関する国際協力、特に軍事行動をする外国の部隊への後方支援を主眼としておりますが、今日、国民が抱いているさまざまな不安や懸念を払拭するためにも、また中東諸国に対する我が国の中立的なポジションを維持していくためにも、まず後方支援が武力行使と一体化した形で遂行されることは避けなければならないと考えます。
 そのことを含め、この法案には改善すべき多くの点があります。以下、私は、三点について私の考え方を述べながら、それぞれ総理、関係大臣より御見解をいただきたいと思います。
 第一は、基本計画に定められた自衛隊の部隊が実施する対応措置の国会承認の問題であります。
 衆議院における審議におきましては、民主党の修正要求に関して党首会談が持たれましたが、我々の国会事前承認の要望に対して、残念ながら政府・与党は事後承認ということで押し切りました。まことに遺憾な結果と言わなければなりません。
 今回の自衛隊の活動は危険な地域での活動となり、またその活動が国際的にも大きな影響を与え、また評価を受けることにもなるわけでありますから、基本的に自衛隊の行動について国民的合意とか国家的承認が適時必要になるものと考えております。つまり、国権の最高機関としての国会の関与はぜひ必要になると考えます。現行の自衛隊法や関連法においても、自衛隊を動かすときの国会承認はシビリアンコントロールが基本になっているわけで、この基本原則は貫かれるべきであります。法案には活動地域の限定がないわけですから、現地の事前調査や相手国との事前の交渉を踏まえながら作成される基本計画は極めて重要であり、これに基づいて実行される自衛隊の対応措置の国会事前承認は、この法律の目的が適正に達成されるために必要不可欠のものと考えます。
 どうか、国民の高い支持を得ている小泉総理にはこの件についてぜひとも再考していただきたいと思いますが、総理の率直なお考えを伺いたいと思います。
 第二に、自衛隊が行う輸送・補給活動には武器弾薬を含めないものとすべきであります。
 これも、これまで十分に議論されてまいりましたので繰り返しを避けますが、現在の米英の作戦は、テロ拠点の攻撃とテロ容疑者の捕捉に限定されたものではなく、タリバン政権の打倒に向かっている現状、つまり国家間の戦争の様相を示していることに留意すべきであります。攻撃対象の国は最貧国で、しかもそこの国民の多くは飢餓や凍死の危機にさらされているという惨状にあります。この国に対する攻撃が市民を巻き添えにし、さらに深刻な状況を誘導するものであれば、恐らくイスラム世界のみでなく、これに参戦し、協力する国への反感は一段と大きくなるものと考えられます。
 この点の認識を含め、我が国としても、武力行使と一体となるような行動は極力避けるべきであり、武器弾薬の輸送業務あるいは戦闘地域近くでの野戦病院における医療活動などは制限されるべきと考えますが、御見解を伺いたいと思います。
 第三に、武器使用についてですが、武力行使と一体となるような武装や戦闘に巻き込まれるような武器の使い方は極力避けるべきであると考えます。
 今回、武器を使用できる防護対象には「自己の管理の下に入った者」が加わり、そのことにより、難民キャンプが急襲されたり、また緊急避難時に攻撃を受けるなど、このような事態が発生した際に、自衛官が応戦する、いわゆる戦闘状態になることも十分考えられます。このような事態に陥らないためにも、活動地域を限定することとあわせ、武器使用について、現行の周辺事態法、自衛隊法、PKO協力法の規定を準用しながら細かいルールを決め、現場での裁量に間違いが生じないようにすべきと考えますが、御見解を伺いたいと思います。
 あわせて、小泉総理に、去る十月十五日に行われた日韓首脳会談に関して伺います。
 この会談で、総理は韓国の金大中大統領に今回の特別措置法について理解を求められましたが、金大統領は、理解する、異論はない、ただアジア諸国の懸念に配慮して平和憲法の枠内で協力してほしいと要望を出されております。つまり、この法案に関しては、我が国国民のみならず、近隣のアジア諸国の懸念も大きいわけですが、総理としてこのことをどのように受けとめられたのか、改めて御見解を伺いたいと思います。
 テロリズムを根絶させるためには、テロリストを孤立化させ、支援国に圧力をかけ、資金源を断ち、さらには長期的には、テロリズムを生む貧困、内戦、国際社会からの隔絶といった、こういったものをもろもろを取り除いていかなければなりません。
 これまでサミットやAPECの諸会議においても、テロ対策は、飢餓、貧困、エイズと並び、その対策の重要性が話し合われてきました。にもかかわらず、我が国としては、テロ防止関係の国際条約も一部批准していないなど、非常におくれた状況があります。今こそ、このおくれを取り戻し、先進国の一員として国際社会の要請にこたえていく必要があると考えます。
 我が国が求められる国際協調行動は、単に武力行使への支援という短期的な課題だけではなく、とりわけ我が国の持つ特性を生かして、国際テロの本質的問題を解決する中長期的な施策に重点が置かれなければならないと考えます。
 かかる視点から、以下、四点について私の考え方を述べますので、政府としての御見解を明らかにしていただきたいと思います。
 まず第一に、最貧国あるいは国際社会から取り残された地域からこのようなテロが出てくるという、こういう実態を踏まえる必要があります。特に、冷戦終結後、中東、東欧、アジア、アフリカ、南米の一部地域で地域紛争や宗教戦争などが泥沼化し、しかも国際社会から取り残されたという留意すべき背景があります。私たちは、これらの国、地域に対し、真剣に貧困問題の解決に向けた努力をすべきと考えます。
 とりわけODAについて、従来の被援助国からの要請によるものではなく、日本の主体的な判断を踏まえた提案型の援助といった戦略的な視点を取り入れるべきだと考えます。また、援助の供与に当たっては、人道上必要な援助が被援助国の国民を直接裨益するよう、これまで現地で人間的信頼関係を築いてこられたさまざまなNGOと連携することが特に重要ではないかと考えますが、いかがでしょうか。
 また、国内政治の安定化、民主化のための援助も踏み込んで実施すべきと考えます。このことは、我が国としても、既にカンボジア問題で実績をつくっておりますが、これらの経験を生かしながら、取り残された国、地域の経済的、政治的な発展に向け努力をしていくべきと考えます。
 第二に、これまでの我が国の中東地域へのかかわりから、テロ撲滅のための中東和平、そしてアジア和平外交を積極的に推進することが重要ではないかと考えます。
 既に高村前外務大臣提案の、東京でのアフガニスタン和平復興会議構想について、中東諸国幾つかから評価も出てきております。また、ブッシュ大統領は過日の会見で、アフガニスタン復興への我が国の幅広い協力に期待感を示しています。政府としても、これらの動きを尊重し、国際社会から期待されている我が国外交の役割と使命を自覚し、アジア、中近東の和平のために積極的な取り組みを進めていくことが肝要であると考えます。
 第三に、テロ対策における国連活動への貢献の問題であります。
 今回のテロ事件の発生後、翌九月十二日に米国の自衛権発動を認め、必要なあらゆる措置をとる用意があることを表明した安保理決議第千三百六十八号を出して以降、問題解決に向けた国連の取り組みがおくれていることは各方面から指摘をされているとおりであります。
 我が国としては、紛争解決における国連の機能強化をかねてから主張してきておりますが、今後は国連の場において、テロ等の予防、テロ対策専門家の訓練、育成、生物化学兵器の規制、小型武器の規制などに向け常設の機関を設けるなど、我が国として積極的に国連に働きかけるべきと考えますが、いかがお考えでしょうか。
 第四に、この他、テロ防止のために我が国が率先して協力できる分野で国際貢献すべきと考えます。
 例えば、空港における武器の検出などのセキュリティー技術の開発、テロリストの資金源を断ち切るための資金浄化システムの充実、さらに武器輸出の国際的規制などがありますが、我が国主導でできるこれらの分野で積極的に国際協力をしていく必要があると思います。
 以上のような施策を通じて、我が国は、単に米国の外交・安全保障政策にただ乗りかかっているというのではなく、日本国憲法が掲げる平和主義をむしろ前面に打ち出しながら、主体的な外交方針を持ってテロ対策と平和外交に臨んでいくべきだと考えます。そして、そのことを通じてのみ我が国が国際社会からも正当な評価を受けるのではないかと私は確信いたしております。
 以上、特別措置法の内容について、また今後のテロ対策で我が国が貢献すべき方向性について私の考えを述べさせていただきましたが、このことと関連して、懸念している二つの問題がありますので、あわせて質問をさせていただきます。
 その第一は、国内のテロ対策の問題であります。
 今回のテロ事件を通じて、我が国のテロ対策が大きくおくれていることが判明いたしました。既に、阪神・淡路大震災や地下鉄サリン事件などを通じ危機管理体制の必要性が叫ばれてきましたが、基本的には国際テロに有効な政策手段は打たれてきませんでした。アメリカにおいては、現在、炭疽菌による新たなテロ行為も発生し、国民の不安感は高まっておりますが、我が国政府においても、これらのテロから国民の安全と生命が守られるよう、一刻も早くテロ対策の強化に当たるべきと考えます。関係大臣より、現在の進捗状況や今後の対策方針などについて御説明をしていただきたいと思います。
 第二は、インド、パキスタンの核保有の問題であります。
 一九九八年にインド、パキスタンが核実験を行い、世界で六番目、七番目の核保有国となりました。インドとパキスタンの間の軍拡競争はアジアの緊張関係を増幅してきており、各国はこのために経済制裁を科してまいりました。これが今回、九月二十二日にブッシュ大統領が経済制裁の解除を打ち出し、また日本も経済援助の方針を打ち出しました。しかし、これらの対応がテロ対策のための協力支援という範囲にとどまらず、核保有を認めたというようにとらえられるとしたら、アジアの安全と安定にとって大変大きな問題でございます。我が国は唯一の被爆国として、この点の問題意識をしっかり持ちながら外交を進めていくべきと考えますが、見解を改めて伺いたいと思います。
 最後に、本法案は、我が国の外交・安全保障政策の根幹に深くかかわる法案であります。以上、私の考え方を述べながら質問を申し上げましたが、総理、関係大臣より明快な御答弁を重ねてお願いして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
#14
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 藁科議員にお答えいたします。
 まず、衆議院の修正についてのお話でありますが、これは私は、民主党のこの新法案に対する基本的な考え方、基本的に新法が必要であるという、そして安全保障の立場から、できればお互い協力すべきは協力すべきだと、反対のための反対はしないという基本的な方針を伺いまして、私もできたら民主党が賛成していただける方が望ましいと思っておりました。
 そこで、いろいろ党の、与党初め民主党との間で折衝を伺っておりまして、最終的に与党側も民主党の意向をかなり受け入れた形で、武器輸送の面とか、あるいは国会の関与がある方がいいということで、与党としても大方民主党の意見を受け入れることができたという報告を聞いておりまして、最終的に私はこれで民主党も賛成してくれるものと思っておりました。
 そこら辺が思い違いなんでしょう。こういうこともたまにあるんだなと。お互いがこれで受け入れてくれるだろう、お互い、民主党も与党もこれで受け入れるだろうと。ところが、結果的に違ったということでありますけれども、私としては、この修正を誠実に受けとめまして、できるだけ多くの国民が理解と協力を得られるような形で、自衛隊の海外派遣にしましてもテロ対策に対する国際協調にしても、適切な対応を図ってまいりたいと思っております。
 本法案における協力支援活動等の内容及び実施地域を制限すべきとの御指摘でありますが、本法案における協力支援活動等は、それ自体としては武力の行使に当たらない内容であり、また、その実施地域は戦闘行為が行われない地域に限定されております。また、法が成立した場合に、実際に協力支援活動の内容を検討するに当たっては、実施地域やそれぞれの活動の内容について御懸念のような問題が生じることのないよう、慎重な運用に努めてまいりたいと考えます。
 自衛隊の活動地域を限定するとともに、武器使用についてルールを決めるべきではないかとのお尋ねであります。
 自衛隊の活動地域においては、戦闘行為が行われない地域で活動を実施することとしており、仮に戦闘行為が行われることが予測される場合には、活動の一時休止、避難をすること等とされております。
 また、本法案に基づく自衛官の武器使用については、実際の活動に際して同法案に定められた要件に従い適切に行われるよう、あらかじめ自衛官の武器使用の基準や手続に関する要領等を作成するとともに、隊員に対して指導を徹底する必要があると考えております。
 テロ対策特別措置法案に対する近隣のアジア諸国の懸念についてのお尋ねでありますが、この法案は、憲法の平和主義及び国際協調主義の理念を実現するために、憲法の範囲内でできる限りの適切な支援を行うとの考えに立っておりまして、アジア諸国に懸念を抱かせるようなものではないと考えます。
 いずれにせよ、先般の私の訪中、訪韓の際を初めとしまして、近隣のアジア諸国に対しては、我が国の措置について適切に説明してきております。
 国際テロの本質的解決のため、ODAを活用し貧困問題に取り組むべきではないかとのお尋ねがありました。
 政府は、テロの発生する土壌となり得る貧困問題の解決のため、ODAを積極的に活用してまいりました。援助の実施に当たっては、開発途上国の主体性を尊重しつつ、戦略的に援助を実施してまいりたいと考えます。また、途上国住民の多様な要望に応じたきめ細かな援助に適したNGOとの連携にも意を用いております。政府としては、今後ともこうした努力を継続してまいりたいと考えます。
 途上国の政治の安定化、民主化のための援助を実施すべきとの御意見でございますが、我が国は、途上国における民主主義の基盤強化は中長期的な安定と開発に資するとの観点から、民主化支援を援助の重点課題の一つとしております。具体的には、法制度など各種制度づくり支援、人材育成、選挙支援などを行ってきており、今後とも積極的に取り組んでいく考えです。
 我が国の外交的役割についてのお尋ねですが、これまでも我が国は中東和平問題に積極的に取り組んでまいりました。
 テロリズムに対する国際的連携を強化するためにも中東和平プロセスを進めることが重要になっており、イスラエル、パレスチナ両当事者に対し暴力の停止と交渉の再開を今後とも働きかけてまいります。
 また、アフガン和平についても、従来より紛争各派を東京に招待するなど積極的に取り組んでおり、また、東京でアフガン和平復興会合を開催する用意がある旨、既に表明しています。国民各層の広範な支持を得、国際社会と友好的な関係を樹立する政権の誕生が永続的平和に至る唯一の道であり、今後とも積極的に貢献していきたいと思います。
 テロ予防等のための常設機関の設置など、我が国として積極的に国連の活動に参画すべきではないかとのお尋ねであります。
 我が国としては、テロを根絶するためあらゆる手段を用いて断固たる決意で立ち向かう考えであります。このような考えのもと、議員御指摘の取り組みについては、既存の枠組みも活用しつつ、テロ防止等に向けた国連を初めとする国際社会の取り組みに積極的に参画していきたいと考えます。
 インド、パキスタンへの経済援助と両国の核保有の問題についてのお尋ねですが、我が国は両国のテロとの闘いにおける国際社会への協力を高く評価しております。この観点から、これまでの経済措置とは別に、政府は両国への緊急の経済支援の方針を決定し、特にパキスタンについては既に具体的支援を実施してきています。
 他方、大量破壊兵器の拡散を招かないということの重要性は、我が国も十分考慮に入れなくてはならないと思います。引き続き、核兵器のない世界を一日も早く実現すべく、こうした問題を念頭に置き外交努力を強化していきたいと思います。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣扇千景君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(扇千景君) 藁科議員の我が国のテロに対する取り組みについての御質問をいただきました。
 少なくとも、我が国としては今回のテロに対して、日韓共催で先月二十三日から大阪及びソウルで開催されました世界観光機関総会、いわゆるWTOで、我が国の主体的な提案によりまして、テロに対抗していくための決議を採択させていただきました。
 また重ねて、今月六日には、モントリオールで開催されました国際民間航空機関、ICAOの総会でも、我が国の提案を踏まえまして、航空保安に対する国際基準の見直し、あるいは国際的な監視・監査体制を確立していこうということで、閣僚レベルの国際会議の早期開催等の決議をされたところでございます。
 また、国内ではどういう対応をしているかというお尋ねでございますけれども、国土交通省、陸海空でございまして、簡潔にその要旨だけを言わせていただきますけれども、まず航空に関しましては、もし何かあったときに未然防止対策ができているかということを懸念いたしまして、飛行中の旅客機等々を的確に最寄りの空港に着陸させる等のマニュアルを作成いたしまして、そのマニュアルどおり実行させていただきまして、どこに手抜かりがあるかということも全部検査させていただきました。
 また、鉄道に関しましては、新幹線等々乗り物に対して未然防止をしようということで、構内の防犯カメラを設置しますとか、あるいは車内の巡回を強化します。そして、運転席への立入検査を強化して入れないように施錠の確保をしようとか、あるいは沿線の巡回をしようとかという対策を鉄道に関してはいたしました。
 また、海上保安庁としましては、重点的な警備対策をしようということで、臨海部の米軍の施設でありますとか、あるいは原子力発電所、あるいは臨海部の国際空港等の監視を強化していこうということをさせていただいております。また、そういう意味で陸海空でございます。
 こういうシーズン、日本じゅうに皆さんが安心して旅行していただけるような万全の体制を期して、皆さん方に安全と安心であるという、そのマニュアルをつくって実施するということがまず大事だと思って実行しております。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣中谷元君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(中谷元君) 藁科滿治議員から、テロ防止のために我が国が率先して協力できる分野で国際貢献をすべきではないかというお尋ねがありました。
 テロ活動というのは言語道断でありまして、決して許されるべきものではありません。総理からも、自衛隊の活動についての答弁がございましたけれども、我が国としても、テロを根絶するための国際社会の取り組みに対して、憲法の枠内で積極的に国際社会に貢献すべきであると考えております。
 このような考えのもと、防衛庁といたしましても、テロ防止等に向けた国連等を初めとする国際社会の取り組みに対して、防衛庁の持つ能力と知見の範囲内で可能な限りの協力を行っていく所存であります。
 また、今回、我が国が国際的なテロリズムの根絶のための取り組みに積極的かつ主体的に寄与するために、自衛隊等による諸外国の活動に対する協力支援活動等を可能にする本法律案を国会に提出いたしました。
 本法律案の一日も早い成立に向けて、参議院の皆様方の御協力をお願いいたします。(拍手)
   〔国務大臣福田康夫君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(福田康夫君) テロ対策の進捗状況と今後の対策方針などについて、藁科議員からお尋ねがございましたので、お答えいたします。
 今回の米国でのテロの発生を踏まえ、政府としては、従来の危機管理体制の整備に加え、情報収集や出入国管理、さらには資金源対策など、多面的な国際テロ対策を強力に推進しております。また、炭疽菌など生物化学剤を用いたテロに対しても、従来からのNBCテロ対策に加え、関係機関の対処能力のさらなる強化や必要な医薬品の準備、関連の法整備などを早急に行い、国民の安全確保のためのテロ対策を全力で進めてまいります。(拍手)
    ─────────────
#18
○議長(井上裕君) 遠山清彦君。
   〔遠山清彦君登壇、拍手〕
#19
○遠山清彦君 私は、公明党を代表して、ただいま議題になりましたいわゆるテロ対策特別措置法案等三法案に対し、質問いたします。
 初めに、去る九月十一日に米国で起きた同時多発テロで犠牲になられた方々に改めて深い哀悼の意を表するとともに、御家族並びに関係者の皆様に心からお見舞い申し上げます。
 今回のテロ事件は、民間人を対象とした無差別大量虐殺であり、人道上許されざる凶悪犯罪であります。日本人も二十人以上が犠牲となっていることから、我が国も被害当事国であります。国際社会の平和と安全を根底から揺るがすテロに対しては、日本としても毅然たる態度を示し、その根絶に全力で取り組まなければなりません。そして、我が国が憲法の枠内でとり得る有効で具体的な方策を迅速に示し、実行することが国際的信頼を得る上でも肝要だと思います。
 私は、アフガニスタンを実効支配するタリバン政権が、今回のテロ事件の主要容疑者であるオサマ・ビンラディン氏の身柄を引き渡し、いかなるテロ組織も支援しないことを国際社会に示していれば、米英両国による軍事行動の必要性もなかったと確信いたしております。しかし、国際社会の再三の要請にもかかわらず、対話の道が閉ざされ、容疑者も捕まらなければ、実力で容疑者の身柄を確保する行動に出ざるを得ません。
 今回の米英国の行動は国内社会に比べて司法機能が十分整っていない国際社会における警察的代替行動という側面もあると考えますが、総理の御見解をいただきたいと思います。
 また、日本は国際刑事裁判所の設置など、国際司法機能強化へ向けてさらに努力するべきであると考えますが、総理の所見をお伺いいたします。
 米国並びに英国は、軍事行動開始直後、アフガニスタンの一般市民を巻き添えにしないよう最大限の注意を払っている旨国連に報告しております。しかし、まことに遺憾ながら、既に一般居住区への誤爆によって民間人の死傷者が出ており、米国政府もそれを認めております。テロ事件と無関係の民間人の被害は断固回避されなければなりません。誤爆に対する総理の見解を求めるとともに、ブッシュ米国大統領に対し、誤爆は何としても避けるよう政府として強く働きかけることが重要と思いますが、総理のお考えを伺いたいと思います。
 さて、議題の法案につきましては、今日までの国会の議論を踏まえ、与党案に基づく修正が加えられました。すなわち、対応措置の実施に対する国会の事後承認と外国の領域における武器弾薬の陸上輸送の除外であります。これらの修正項目に対する総理の見解をお伺いいたします。
 今回の国際社会によるテロ根絶への行動の中で最も重要なことは、テロに全く無関係な人々の生命、財産が不当に傷つけられることがないよう配慮することであります。これからアフガニスタンとその周辺国は厳しい冬に向かいます。公明党を初め与党が被災民支援を強く主張している理由はここにあります。
 私は、去る今月の五日から四日間、パキスタンを訪れ、イスラマバード及びペシャワールにおいて、UNHCR、国連難民高等弁務官事務所の現地事務所スタッフや難民支援準備をする日本のNGOのメンバーと意見交換をいたしました。また、ペシャワールでは難民キャンプの一つを視察いたしました。この現地調査を受けた結論は、特別措置法案に基づいて、我が国が自衛隊を難民支援等のためにパキスタンなどに派遣することには大きな意義があるということであります。
 国連の資料によれば、パキスタン国内には、今回の事態に関係なく既に二百万人のアフガン難民がおり、そのうち百二十万人が百二十七の難民キャンプで暮らし、八十万人の多くは路上生活を強いられております。これらの難民の約八割が女性と子供であり、劣悪な環境の中で長期間難民生活に耐えております。
 今回の事態で、さらに最大で百万人の新しい難民が短期間のうちにパキスタンに流入してくると予想されます。このような状況のもと、現地政府、国際機関、そしてNGOは対応に苦慮しております。
 新法による日本の支援策について、UNHCR現地高官たちは、予想される人道支援活動の規模の大きさにかんがみ、国内における災害救援の実績を持ち、またルワンダ難民支援等の国際活動実績を持つ自衛隊による支援を原則歓迎すると私に明言いたしました。
 私は、難民をめぐる事態の緊急性も念頭に置き、この法案を早期に成立させ、具体的な支援計画策定のために現地調査団を早急に派遣すべきだと考えます。法案に盛り込まれている日本の人道支援に対する総理並びに防衛庁長官の決意と所見をお伺いいたします。
 次に、短期的な措置としてはともかく、中長期的な視点に立てば、軍事行動のみで国際テロを撲滅することができないのは明らかです。テロ発生の要因として指摘されている構造的な貧困問題、人権や教育をめぐる問題、テロ組織への資金源にもなっている麻薬取引の問題などの解決に国際社会は真剣に取り組まなければなりません。日本はその先頭に立つべきであります。
 日本外交の柱の一つが国連中心主義であることを想起すれば、日本は国連の場においてテロ根絶へ向けた外交活動を一層強化するべきであります。例えば、国連安全保障理事会に国際テロ対策専門機関の設置を提唱する、あるいは今月初頭の国連総会でも議論された包括テロ防止条約の締結へ向けて強力なリーダーシップを発揮するべきであると考えます。日本のテロ根絶へ向けた中長期的対策について、総理の具体的なビジョンをお伺いいたします。
 ブッシュ米国大統領は、今月十一日の記者会見で、軍事行動終結後のアフガニスタン再建について、国連主導が望ましいとしつつも、米国として深く関与していくことを表明いたしました。
 日本は従来、アフガニスタン和平実現の積極支援を打ち出しており、昨年三月にはタリバン、反タリバン、元国王側近の各派有力者を日本に招待し、和平へ向けた信頼醸成を行ってきました。今日までの経緯を踏まえ、日本もアフガニスタンの再建に強く関与し、同国の安定と一日も早い復興に寄与すべきであると考えますが、総理の所見をお伺いいたします。
 最後に、この同時多発テロ発生以来、米軍の軍事行動等に関連して、米軍基地が集中する沖縄県の観光業界が深刻な打撃を受けております。修学旅行を中心に、これまで十二万人以上の宿泊キャンセルが出るなど、県の基幹産業である観光業、特に観光ホテル業は、経営そのものを根底から揺るがす非常事態に直面しております。
 この状況下、政府は、既に沖縄振興開発金融公庫に特別相談窓口を設置し、貸付金の返済条件緩和や運転資金の緊急融資に着手しております。しかし、対象が中小企業に限定されており、打撃を受けているのは大手も含めた観光業者全体であることを考えると、まだ不十分と言わざるを得ません。雇用の安定のためにも、支援の対象と手段のさらなる拡大を図るべきであると考えますが、総理並びに沖縄担当大臣の積極的な答弁を求め、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
#20
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 遠山議員にお答えいたします。
 今回の米英の行動の性格及び国際司法機能強化への我が国の取り組みについてのお尋ねであります。
 先般の多発テロ事件は人類全体に対する極めて卑劣、許しがたい攻撃でありまして、日本としても毅然として対応し、テロの一層の助長を防がなくてはならないと思っております。
 累次の安保理決議も先般のテロを国際の平和及び安全に対する脅威であると認める中で、国連憲章第五十一条に基づく個別的及び集団的自衛権の行使としてなされた今般の米英の行動は、断固としてテロリズムと闘おうとする米英の姿勢のあらわれであると考えます。我が国としても、こうした米英の行動を強く支持するところであります。
 また、我が国は、国際社会における最も深刻な犯罪の発生を防止し、よって国際の平和及び安全を維持するという観点から、国際刑事裁判所規程の採択のため努力したところであり、今後も設立に向けた努力を継続してまいります。
 米国による誤爆についてのお尋ねですが、米政府のこれまでの発表によると、今般の軍事行動に際して民間人に死傷者が出た模様であり、詳細は現在調査中であると承知しています。これに関し、米政府は種々の場で、いかなる民間人の犠牲が出ることも遺憾であると述べるとともに、米軍は市民を目標としていない、民間人の犠牲を防ぐべく注意深く目標を選定し、あらゆる努力を払って市民の巻き添えを防ぐよう努めている旨述べております。私からもそのように要請をしてまいりたいと考えております。
 法案の修正についてでありますが、衆議院において、国会の事後承認を要する枠組みとすること及び外国の領域における武器弾薬の陸上輸送は行わないことと修正されたことについては、本法案に対する一層広範な国民の理解と支持を得ていくとの趣旨によるものと考えております。政府としては、衆議院での修正を誠実に受けとめ、法案が可決、成立した際には、対応に万全を期してまいりたいと思います。
 人道支援に対するお尋ねでございます。
 我が国の外交政策の大きな柱であります人道支援につきましては、国際連合などからの要請に積極的にこたえられるよう、本法案に被災民救援活動を規定したところであります。本法案が成立した暁には、同活動の適切かつ効果的な運用を図るため、現地調査団の派遣の検討を含め、迅速な対応に努めてまいります。
 テロ根絶へ向けた中長期的対策についてのお尋ねであります。
 我が国としては、国連その他の場も活用しつつ、テロを許さない国際環境形成のための外交努力、国際的な法的枠組みの強化、貧困の削減、民主化の推進等のあらゆる手段を用いて、テロを根絶するため、世界の国々と一致団結して断固たる決意で立ち向かってまいります。
 アフガン和平及び復興支援についてのお尋ねですが、これまでも我が国は、さまざまな形でアフガン和平に貢献するとともに、アフガン国民の窮状にかんがみ、適切な形で人道支援を実施してまいりました。今後とも、関係国・機関とも協調し、アフガニスタンの和平、復興の両面でバランスのとれた貢献の方途を考えていきたいと思います。
 沖縄公庫による資金支援についてのお尋ねですが、沖縄の観光関連業界が今回のテロ事件で厳しい経営状況にあるということは承知しております。政府としても、このような沖縄が置かれている特殊な状況にかんがみまして、公庫等を通じて適切な融資が行われるよう指導するとともに、また、県や関係各省などとも協議しながら、金融面の支援について配慮をしていきたいと考えます。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣中谷元君登壇、拍手〕
#21
○国務大臣(中谷元君) 遠山清彦議員から、この十月五日から四日間、直接パキスタンに行かれ、現地の国連UNHCRや日本のNGOのメンバーからの御意見を聴取された上で、我が国の人道支援に対する自衛隊派遣等の決意と所見についてのお尋ねがございました。
 人道支援につきましては、先般のテロ攻撃に対して行われる諸外国の活動に関連して発生する被災民の救援が国際機関から要請されることも想定され、我が国がそのような要請に積極的にこたえられるように、本法案に被災民救援活動を規定したところであります。
 本法案の成立をお認めいただき、国連のUNHCR等からの要請があった場合には、詳しく状況、要請内容を聴取し、現地調査団の派遣の必要性の有無も含め、その対応について十分な検討を行ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣尾身幸次君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(尾身幸次君) 遠山議員にお答え申し上げます。
 観光関連業界に対する資金支援のお尋ねにつきましては、総理からお答えいたしましたとおり、政府といたしまして、沖縄が置かれている特殊な状況にかんがみ、沖縄振興開発金融公庫におきまして相談窓口を開設させ、適切な融資等を行うよう指導するとともに、観光関連業を営む中小企業に対する資金支援を強化するため、近日中に低金利の特別緊急融資制度の創設を予定しているところでございます。
 沖縄公庫では、お尋ねの大手ホテル等に対しましても、債務償還条件の緩和などの相談に応じるなど、資金支援に努めてきているところでございますが、さらに、民間金融機関との連携のもと、支援のための取り組みを強化するとともに、政府といたしましても、沖縄県とも協議をしながら、大手ホテル等の資金調達について遺漏なきよう取り組んでまいりたいと考えております。
 さらに、テロ対策について申し上げますと、政府といたしましてテロ対策には万全を尽くしているところでございまして、テロの性格から、どの地域が危険でどの地域が安全とは言えないと考えております。
 沖縄県議会におきましても、沖縄県民生活や経済活動は支障なく平穏どおり行われていることを全国民にアピールする旨の決議が満場一致でなされておりまして、国民の皆様におかれましては、過剰な反応に陥ることなく安心して沖縄を訪れていただきたいと考えております。
 私自身も近く後援会の沖縄旅行を計画しておりますが、今でありますと沖縄旅行は料金面でもサービス面でも極めて有利でございますので、ぜひ関係の皆様に沖縄旅行をお勧めいただきたくお願いを申し上げる次第でございます。(拍手)
    ─────────────
#23
○議長(井上裕君) 吉岡吉典君。
   〔吉岡吉典君登壇、拍手〕
#24
○吉岡吉典君 日本共産党を代表して、議題となっているテロ対策特別措置法案外二法案に対して、小泉総理に質問いたします。
 テロは許すことのできない人類に対する敵対行為であり、国際社会の知恵と力を結集して根絶しなければ人類は安心して生活することができません。
 このテロ根絶の闘いに日本も当然参加しなければなりません。言うまでもなく、それは憲法に沿って行うべきであります。法案のように、米軍などが行っているテロとの戦争に、日本の軍隊、自衛隊が他国領域にまで出動して武器弾薬や兵員輸送を初めとする兵たん支援を行うことは、明白な参戦行為であり、幾らテロ対策だからといっても、また、武力行使は行わない戦場には行かないなどといっても、戦争放棄、戦力不保持、交戦権否定を明記した憲法と相入れないではありませんか。
 しかも、衆議院の審議では、戦力を保持しないと規定した憲法に反する自衛隊は戦力を持っているとの答弁が公然と行われ、さらに、交戦権を認めない憲法のもとで、従来存在しないと言われてきた交戦規則を自衛隊が持っていることを明らかにする政府答弁もありました。総理、どんな交戦規則があるか明らかにしてください。
 これらは日本国憲法第九条をずたずたにしてしまうことにはなりませんか。これでは、テロ対策を機に日本国憲法の基本中の基本を葬ってしまうことにはなりませんか。総理の答弁をお願いいたします。
 アメリカで日本国憲法九条の会の会長を務めるオーバビー教授がかつて日本の新聞で、戦後世界のだれ一人も日本軍人によって殺されたり撃たれたりしていない、これはすばらしい記録だと語りました。この言葉を総理はどう受けとめますか。
 その日本が、戦後初めて自衛隊員に戦死者が出るだけでなく、自衛隊員によって殺傷されたり撃たれたりする外国人が出る可能性のある国になろうとしています。これは、日本の戦後のあり方を根本的に転換することであり、決して容認できません。総理は、テロ対策上これもやむを得ないというのですか。はっきりお答えください。
 テロ勢力と闘う上で明らかにしなければならないことに、米軍の武力行使でしかテロ防止はできないのか、武力行使で本当にテロが根絶できるのか、自衛隊の派遣抜きに日本のテロとの闘いへの参加はできないのかといった問題があります。
 武力攻撃ではテロの根絶はできないという強い声が国際的に広がっております。衆議院特別委員会において、現地で活動しているNGOの代表は、自衛隊派遣は当地の事情を考えて有害無益と陳述しました。
 総理は、テロ防止、テロ根絶は米軍の武力攻撃に頼るしかないと考えているのですか。自衛隊を派遣して米軍に協力しなければテロに立ち向かっているとは言えないと考えているのですか。そうだとすれば、軍事協力をしていない国はすべてテロに立ち向かっていないということになります。総理はどう考えますか。
 我が党は、去る十一日、各国政府に再度書簡を送り、テロ勢力との闘いを、一部の国による軍事攻撃と戦争の拡大という道から、国連を中心に国際社会の責任による対応に切りかえることを提案しました。
 これは、ビンラディンを法で裁く問題も、非軍事的制裁措置も軍事的制裁措置も国連憲章の精神に沿い、国連が中心になり、安保理事会の決定によって行おうというものであります。これは、米軍の武力攻撃によって生まれたテロ反対勢力内の亀裂を解消し、テロ反対の国際的団結を強め、テロ勢力と闘う力を一段と強めるものであると考えます。アナン国連事務総長も国連中心の解決を主張しております。
 国連を中心に解決という論議の中で、総理は、国連が何を言っても容疑者は出てこないとか、何もしないということかなどと言っております。これを見ると、総理は国連無力論をとっているようにうかがえます。国連中心の解決についての総理の態度を明らかにしていただきたいと思います。
 次に、自衛隊の派遣と憲法の関連についてお伺いします。
 総理は、自衛隊派遣について、武力行使はしないなどという限定があるから憲法上認められると繰り返し言明しています。しかし、テロとの戦争に自衛隊を派遣して補給や武器弾薬、兵員の輸送などの協力支援を行うこと自体がテロとの戦争の一構成部分ではありませんか。総理もこのことは認めますか。
 総理は、戦闘行為が行われていないところなら地理的には世界じゅうどこへでも行って協力支援活動を行うことができると繰り返し言明しました。その上、例えばミサイルの発射地点でも、発射されているときだけが戦闘区域であり、発射と次の発射の間は発射地点といえども戦闘区域ではないとの政府の答弁が行われております。総理の言う戦闘区域には行かないというのはこういうことでしかないのですか。答弁を求めます。
 日本国憲法は、もともと自衛隊のこのような海外での活動を許しておりません。
 日本国憲法制定議会の速記録を読んでみてください。日本国憲法の立法の精神は、あれもこれも合憲という総理の言い分と違って、集団自衛権への参加であれ国連のとる軍事制裁への参加であれ、軍事力による参加は将来とも認めないというものです。憲法改正案を提案した政府答弁で明確に述べられております。貴族院では本会議の特別委員長報告でもこのことが述べられ、それを受けて採択しているのです。総理、この事実はお認めになりますか。
 日本国憲法は、軍隊を持たないことを前提として制定された憲法ですから、軍隊による国際貢献などは全く想定しておりません。自衛隊の主たる任務が、自衛隊法第三条で「直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛すること」と規定され、海外での戦争にかかわることなど全く規定していないのも、当時の論議で明らかなように、憲法第九条との関係からであります。
 参議院では、自衛隊の創設に際して、憲法の明文が拡張解釈される危険性を一掃するためとの提案理由に基づく自衛隊の海外出動をなさざることの決議が採択されています。総理の言うような前文と九条のすき間などある余地がないのです。テロ対策も、この憲法に徹して非軍事的分野でこそ最大限積極的に行うべきではありませんか。総理の見解を求めます。
 最後に、総理は、中国、韓国初め、アジア諸国は自衛隊が海外に出かけて軍事行動を展開することに強い不安と批判を持っていることをどう認識していますか。
 そして、今、世界各地で二十一世紀を戦争のない世紀、武器なき世界にと目指す人々らが日本国憲法第九条に生きたモデルを見出し、九条を世界に広めようとする動きを繰り広げていることをどう受けとめているか。総理、お答えください。
 私どもは、二十一世紀の希望となっている日本国憲法を名実ともに守りながら、テロを根絶するために断固として闘うことを進めることこそが日本のとるべき道だと考えていることを再度表明して、質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
#25
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 吉岡議員にお答えいたします。
 共産党は自衛隊は憲法違反の存在であるという認識でありますので、我々、自衛隊は憲法違反ではないという立場からするとなかなかかみ合わない点もあることもあると思いますが、御理解をいただきたいと思います。
 本法案における協力支援活動は憲法上許されないではないかと、あるいはテロとの戦争の一構成部分になるのではないかとの御質問であります。
 本法案における協力支援活動等は、それ自体としては武力の行使に当たらない内容であり、また、その実施地域は戦闘行為が行われない地域に限定されていること等から、諸外国の軍隊による武力行使との一体化の問題を生じさせることはなく、憲法上の問題はないものと考えています。
 また、衆議院の審議における自衛隊が戦力に当たるか否かをめぐる私の答弁について、また武器使用のルールをめぐる防衛庁長官の答弁についてのお尋ねがございました。
 これは、私の言っている戦力というのは、常識的に一般国民が考えれば、戦う力ですから、自衛隊は戦う力があるだろうと思っているのが一般国民の考え方だと。ところが、憲法上の規定、戦力という憲法上の規定では、これは必要最小限度の実力、これは戦力に当たらないと規定しているんですから、そういうことでいえば、憲法で保持を禁止された今の自衛隊の戦力は、戦力であるとしたものではないんです。ここがちょっと難しいんですよ。一般的な常識の言葉の中と、法的な定義の問題、これが非常にある面においては国民に誤解を与える面があるかと思います。だから、同じ憲法でも、片っ方の政党はこれは憲法違反である、片っ方は合憲である、分かれているのはそういう点もあるということを御理解いただきたいと思います。
 御指摘の防衛庁長官の答弁については、本法案に基づく自衛官の武器使用の適正を期するために、その基準や手続に関する要領等を定めてまいる旨を述べたものと承知しております。適切な部隊行動を担保するためにこうした基準等を定めることについては、憲法第九条との関係で問題が生ずることはないと考えております。
 憲法の平和主義と今般の法律案についてお尋ねがありました。
 我が国は、これまで、平和主義の理想を掲げる憲法のもとで、専守防衛に徹するなどの基本理念を堅持してきており、御指摘の発言はこうした我が国の姿勢のあかしであると考えております。本法案においても、このような憲法の精神のもとに派遣される自衛隊員などの安全確保のための武器の使用について必要最小限の範囲で認めるものであり、法が成立した場合には、この適切かつ慎重な運用に最大限努めてまいりたいと考えます。
 軍事協力をしていない国はテロとの闘いに貢献していないと考えるのか、また、非軍事的分野で最大限積極的に行うべきではないかとのお尋ねでございますが、日本としてはできるだけ、国力に応じてテロ撲滅のために、根絶のために最大限の努力をしていきたいと思います。
 その際に、外交努力あるいはテロ資金の凍結の金融面の努力、あるいは難民支援の医療活動等やってまいりますが、自衛隊につきましても憲法の範囲内でできるだけの協力を求めるということで、国際社会に責任ある一員としての役割を果たしていきたいと考えております。
 今回の事件を国連を中心に国際社会の責任による対応に切りかえるべきではないかとのお尋ねですが、この同時多発テロ事件に対し採択された国連安保理決議においては、自衛権が各国固有の権利であることに改めて確認しつつ、今回のテロ行為を国際の平和及び安全に対する脅威であると認め、テロの実行者及び支援者等を処罰し、並びにテロ行為の防止、抑圧のために国際社会が努力することを求めています。
 我が国としては、安保理決議を踏まえ、テロリズムと闘う米国等の行動を支持するとともに、国連を初めとする国際社会の取り組みに今後とも積極的に協力していく考えであり、私が国連無力論をとっているとの御指摘は当たらないと考えます。
 本法案に定める対応措置を実施する地域、さらにはミサイルの発射地点と戦闘区域との関係についてのお尋ねであります。
 対応措置の実施は、我が国領域及び現に戦闘行為が行われておらず、かつそこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる地域に限定されております。
 自衛隊が活動を行うことができる地域に該当するかについては、当該地域で活動を行っている国連などの国際機関や外国の部隊等からの情報と我が国がみずから収集した情報等をあわせ、総合的に分析することによって、我が国として主体的に合理的な判断を行うことが可能であると考えております。
 なお、米軍等の艦船が戦闘行為であるミサイルの発射を行った場合、我が国としてはそこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められるかどうかを総合的に分析して、その地点で支援協力活動を開始、または継続する可能性を慎重に判断してまいりたいと考えます。
 憲法制定時の議論と自衛隊の海外での活動についてのお尋ねであります。
 憲法制定時の議論にはさまざまなものがありますが、自衛隊の海外での活動につきましては、政府は、従来から、武力行使の目的を持って武装した部隊を他国の領土、領海、領空に派遣するいわゆる海外派兵は憲法上許されないと考えています。しかし、本法案に基づく活動は、それ自体は武力の行使に該当せず、また米軍等の武力の行使と一体化するものでもなく、憲法上の問題は生じないものと考えます。
 我が国の自衛隊の派遣に関するアジア諸国の反応についてのお尋ねでありますが、今回のテロ事件に対する対応に関する我が国の措置は、テロ根絶に向けた国際社会の取り組みに積極的かつ主体的に寄与するためのものであり、アジア諸国に対して不安を与えるものではないと考えております。
 中国、韓国を含むアジア近隣諸国との友好協力関係の重要性を踏まえ、これら各国に対し、我が国の対応について適切に説明してきております。先般の私の中国、韓国訪問の際にも、両国首脳に直接我が国の取り組みを説明いたしました。
 日本国憲法第九条の精神を広めようとする世界での動きに関する御指摘であります。
 我が国は、戦後一貫して、日本国憲法のもと専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国にならないという基本理念を掲げ、世界の平和と安定のために積極的に努力を行ってきております。
 今後とも、このような方針を掲げながら、世界の平和と安定のための努力を誠心誠意続けてまいりたいと思います。(拍手)
#26
○議長(井上裕君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時三十八分散会
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ソース: 国立国会図書館
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