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2001/10/29 第153回国会 参議院 参議院会議録情報 第153回国会 本会議 第6号
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2001/10/29 第153回国会 参議院

参議院会議録情報 第153回国会 本会議 第6号

#1
第153回国会 本会議 第6号
平成十三年十月二十九日(月曜日)
   午後一時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第六号
  平成十三年十月二十九日
   午後一時開議
 第一 海上保安庁法の一部を改正する法律案(
  内閣提出、衆議院送付)
 第二 平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国
  において発生したテロリストによる攻撃等に
  対応して行われる国際連合憲章の目的達成の
  ための諸外国の活動に対して我が国が実施す
  る措置及び関連する国際連合決議等に基づく
  人道的措置に関する特別措置法案(内閣提出
  、衆議院送付)
 第三 自衛隊法の一部を改正する法律案(内閣
  提出、衆議院送付)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(井上裕君) これより会議を開きます。
 日程第一 海上保安庁法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。国土交通委員長北澤俊美君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔北澤俊美君登壇、拍手〕
#4
○北澤俊美君 ただいま議題となりました法律案につきまして、国土交通委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、外国船舶と思料される船舶の乗組員等が、海上保安官の立入検査のための停船命令に応ぜず抵抗しまたは逃亡しようとする場合において、海上保安庁長官が船舶の外観等から判断して一定の要件に該当する事態であると認めたときは、海上保安官等は、他に手段がないときには、必要な限度において、武器を使用することができることとするものであります。
 本委員会では、今月二十三日、二十四日の両日、外交防衛委員会、内閣委員会との連合審査会を開会するとともに、同二十五日に当委員会を開会し、法律改正の背景、これまでの検討の経緯、能登半島沖不審船事案の教訓と反省、海上保安庁と防衛庁の協力体制、武器の使用を認める諸要件の妥当性、海上保安庁長官が認定する理由、領海警備のための体制の整備等について質疑が行われましたが、その中で特に、本件法律改正は緊急課題であるにもかかわらず、提出に至るまで二年余の時間が経過したことに関し、国の危機管理についての認識に対する疑義を呈する意見が多く出されました。これらの詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終局し、討論に入りましたところ、社会民主党・護憲連合を代表して渕上委員より本法律案に反対する旨の意見が述べられました。
 次いで、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定をいたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#5
○議長(井上裕君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#6
○議長(井上裕君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#7
○議長(井上裕君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百三十三  
  賛成           二百二十五  
  反対               八  
 よって、本案は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#8
○議長(井上裕君) 日程第二 平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法案
 日程第三 自衛隊法の一部を改正する法律案
  (いずれも内閣提出、衆議院送付)
 以上両案を一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。外交防衛委員長武見敬三君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔武見敬三君登壇、拍手〕
#9
○武見敬三君 ただいま議題となりました法律案二件につきまして、外交防衛委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 まず、いわゆるテロ対策特別措置法案は、平成十三年九月十一日に米国で発生したテロリストの攻撃による脅威の除去に努めることにより、国連憲章の目的達成に寄与する諸外国の軍隊等の活動に対して、我が国が実施する措置等を定めるものでありまして、政府は協力支援活動、捜索救助活動、被災民救援活動等の対応措置を適切かつ迅速に実施すること、対応措置の実施は武力による威嚇または武力の行使に当たるものであってはならないこと、対応措置は戦闘行為が行われることのない地域等で行うこと、対応措置を実施する際には閣議決定により基本計画を定め、国会に報告すること、自衛隊が対応措置を開始した日から二十日以内に国会に付議し、その対応措置につき国会の承認を求めること、諸外国の軍隊等から申し出があった場合、円滑な活動実施に必要な物品の無償貸し付けまたは譲与ができること、協力支援活動等を行っている自衛官は、自己、自己とともに現場に所在する他の自衛隊員、自己の管理下に入った者の生命・身体を防護するため、一定の要件に従って武器の使用ができること等を主な内容とするものであります。
 次に、自衛隊法の一部を改正する法律案は、米国で発生したテロリストによる攻撃等にかんがみ、自衛隊の施設または駐留米軍の施設・区域の警護に万全を期するため、自衛隊の行動として、自衛隊の部隊等による警護出動の制度を新設すること、通常時における自衛隊施設警護のための武器使用規定を整備すること、武装工作員の事案等に効果的に対応するため、治安出動下令前に武器を携行する自衛隊の部隊による情報収集の制度を設けること、治安出動時に武装工作員等を鎮圧するために行う武器使用及び海上警備行動時等における船舶停船のために行う武器使用について、それぞれ人に危害を与えたとしても違法性が阻却されるよう規定を整備すること、我が国の防衛上特に秘匿することが必要な秘密を防衛秘密と指定し、これを漏えいした場合の罰則を設けること等を主な内容とするものであります。
 委員会におきましては、両法律案を一括して議題とし、まず、小泉総理を初め全大臣出席のもと、国土交通委員会及び内閣委員会との連合審査会を開会し、二日間にわたり質疑を行いました。次いで、公聴会を開会し、六名の公述人から意見を聴取した後、改めて所管大臣に対する質疑を行い、さらに、小泉総理の出席を求めて質疑を行いました。
 連合審査会及び委員会におきましては、我が国がテロ撲滅の国際行動に参加する理由、派遣自衛官の安全確保のための武器使用基準と携行武器の種類、米軍への協力支援活動と戦闘行動との関係、外国領域における陸上輸送から武器弾薬を除外した理由、基本計画に定める事項への所要経費の追加、国連中心主義によるテロ事件の解決、アフガニスタンの和平、復興に向けた我が国の役割、生物テロに対する国内対策、警護出動の対象、警護出動に際しての武器使用の態様、治安出動下令前の自衛隊出動の要件、警護出動に当たっての警察と自衛隊の役割分担、原子力発電所等を警護出動の対象外とした理由、防衛秘密の定義、防衛秘密規定がマスコミの取材活動や国政調査活動に及ぼす影響、一定期間が経過した防衛秘密の指定解除等について質疑が行われましたが、詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑終局の後、民主党・新緑風会の木俣理事より、テロ対策特別措置法案に対し、基本計画に定める事項に、対応措置の実施に必要な経費を加えるとともに、原則として自衛隊の部隊等が実施する対応措置の実施前に国会の承認を得なければならないこととする旨の修正案が提出されました。
 次いで、両法律案及び修正案について討論に入りましたところ、民主党・新緑風会の海野委員より、テロ対策特別措置法案の原案に反対し、修正案に賛成する旨の意見が、自由民主党・保守党、公明党を代表して自由民主党・保守党の森山委員より、両法律案に賛成し、修正案に反対する旨の意見が、日本共産党の小泉理事、社会民主党・護憲連合の大脇委員、自由党の平野委員より、それぞれ両法律案及び修正案に反対する旨の意見が述べられました。
 次いで、順次採決の結果、テロ対策特別措置法案につきましては、まず修正案を否決した後、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定し、自衛隊法の一部を改正する法律案は、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、両法律案に対し、それぞれ附帯決議が付されております。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#10
○議長(井上裕君) 日程第二に対し、福山哲郎君外二名から、成規の賛成者を得て、修正案が提出されております。
 この際、修正案の趣旨説明を求めます。福山哲郎君。
    ─────────────
   〔議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔福山哲郎君登壇、拍手〕
#11
○福山哲郎君 私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となっておりますいわゆるテロ対策特別措置法案に対する修正案の趣旨及び提案理由を説明いたします。
 本年九月十一日に米国で発生した同時多発テロは、罪のない多くの人々を巻き込んだ卑劣かつ残虐な行為であり、安全で民主的な社会を希求する人類への挑戦であり、許しがたい行為と断ぜざるを得ません。この許しがたいテロ行為を根絶するために、私たちは、真摯な外交努力を重ねることはもちろんのこと、これらの背後に横たわる地域紛争、南北間格差、貧困などさまざまな要因を除去することに思いをいたさなければなりません。情報収集、金融、入管行政、麻薬、経済開発、環境、そして何より国民の安全を守るための危機管理体制の確立等、各方面にわたって多角的かつ継続的な取り組みが必要であるとの認識をまずは申し上げたいと思います。
 さて、政府提出のテロ対策特別措置法案並びに与党三党の修正案は、諸外国の軍隊の活動に自衛隊が後方支援活動を実施することを主眼としているものであり、戦後初めて自衛隊が戦火が交えられている地域と大差のない地域に海外出動するという、我が国の外交・安全保障政策の一大転機を画する内容となっております。
 小泉総理を初め政府は、憲法の範囲内で、武力行使をしないという前提で、できる限りの支援、協力を行うと本院の審議においても繰り返し答弁をされました。しかしながら、それで国民の皆さんが何となく感じている不安や懸念を払拭できたとは言えません。
 以下、民主党修正案の概要を申し上げます。
 その第一は、基本計画に定める事項に、対応措置の実施に必要な経費を加えることとしております。
 事態の変化や長期化などによって野方図な財政支出の拡大が懸念されますが、厳しい財政状況の中、総理の言う行政の裁量では具体的な歯どめがかかりません。対応措置の実施に必要な経費を基本計画に明示し、国民に税金の使途を明らかにすべきです。実施経費の面からシビリアンコントロールの確保を図り、財政民主主義の徹底、情報の公開を進めようというものであります。
 第二は、基本計画に定められた自衛隊の部隊等が実施する協力支援活動、捜索救助活動または被災民救援活動については、内閣総理大臣は、これらの対応措置の実施前に、これらの対応措置を実施することにつき国会の承認を得なければならないこととしております。
 ただし、緊急の必要がある場合には、国会の承認を得ないで当該活動を実施することができ、その場合に、内閣総理大臣は、速やかにこれらの対応措置の実施につき国会の承認を求めなければならないこととしております。政府は、国会で不承認の議決があったときは速やかに当該活動を終了させなければならないこととしております。
 民主党は、衆議院においても同様に、原則、国会の事前承認を求める修正案を提出いたしましたが、残念ながら党首会談は決裂し、政策論ではなく、まさに与党間の党利党略的な思惑から否決されるに至ってしまいました。
 参議院においても、政府は、一方では本法案が成立すれば基本計画の事前承認がなされたと同じであると言いつつ、他方ではその基本計画の重要な柱となる具体的な中身について、今後事態がどのように推移するかわからないなどとの空虚な答弁に終始し、最後まで明快なお答えはありませんでした。しかし、本法案によって、自衛隊はPKOへの協力以外で外国の領域で活動することが可能になります。また、支援の対象は諸外国の軍隊等に及んでおり、活動する自衛隊員や家族の心情を思いはかるにつけても、国民の代表である国会の意思をしっかりと受けた形で任務に当たられることが本来の姿ではないでしょうか。
 与党修正に言う対応措置の実施後二十日以内での事後承認では、自衛隊の海外展開が既に既成事実化している可能性があるにもかかわらず、まさに国会に白紙委任を求めているのと同じであります。
 このような対応は、審議を通じてより広範な意見の集約を図り、国民の理解と支持を広げていくという議会政治の本質を与党みずからが放棄していると言わざるを得ません。さらに、我が国が将来、アフガニスタン及び周辺地域の安定と復興に向けて重要な役割を果たしていくことを考えても、国際社会の理解を十分に得られるよう、自衛隊の派遣前に慎重に状況を見きわめることが重要であることも申し添えておきます。
 以上が修正案の趣旨と提案理由であります。良識の府として参議院では、委員各位において賢明なる御判断をいただけるものと期待しております。国民の代表としてシビリアンコントロールの任に当たるのだという使命感を持ち、本修正案に御賛同いただけるよう、改めてお願い申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#12
○議長(井上裕君) 討論の通告がございます。順次発言を許します。吉村剛太郎君。
   〔吉村剛太郎君登壇、拍手〕
#13
○吉村剛太郎君 私は、与党三党を代表して、ただいま議題となりましたテロ対策特別措置法案、自衛隊法改正案の二案について、いずれも賛成の立場から討論を行います。
 今回の米国における同時多発テロは、その犠牲者、行方不明者は五千人以上という、まさに命のとうとさを顧みない残虐非道な行為であります。国際社会は、このテロリストの暴挙を人類すべてに対する許しがたい挑戦と断じて、テロ撲滅のために立ち上がっております。
 米英両国は、今月八日以来攻撃を続行し、最近は特殊部隊が投入されつつある一方、アルカイダは十日にさらなるテロを予告し、アメリカでは炭疽菌の感染が拡大する等、第二、第三のテロの不安が世界じゅうに高まっています。
 このように情勢が緊迫する中、先般開催されたアジア太平洋経済協力会議、APECの首脳会談においても、インドネシア、マレーシアという国民の過半がイスラム教徒である諸国をも含めて、反テロ共同声明が採択されております。
 我が国は、二十四名もの犠牲者、行方不明者を出し、大きなテロ被害を受けた当事国であることを十分認識し、国際社会の平和と安全を守るために、国際テロの撲滅のための包囲網、共同行動に対し積極的かつ主体的に参加していかなければなりません。
 事態が一刻を争い、これまで周辺事態法や自衛隊法等では全く想定していなかった見えない敵との闘いが繰り広げられている今、我が国のとり得る対応として、憲法の枠内で最大限可能な措置を盛り込んだ、いわば緊急対処的な立法として今回のテロ対策措置法案は高く評価されるべきであります。これは武力行使にならないことを大前提に、テロ撲滅のための諸外国の軍事行動に対し自衛隊が協力支援や被災民の救援等を行うものであり、その迅速かつ効果的な実施が強く望まれております。
 この法律による対応措置に対する国会の関与のあり方につきましては、衆議院で修正された国会の事後承認により、タイムリーな対応が損なわれずにシビリアンコントロールの強化が可能となり、この法案に対し、一層広範な国民の理解と支持を確保することができると確信しております。
 次に、自衛隊法改正案について、賛成の理由を述べます。
 テロリストの暴挙は、今回の事態でも明らかなように想像を絶するものであり、自衛隊が平和と安全の維持の根幹であるべき自衛隊、駐留米軍の施設を警備対象とすることは当然の対応であります。また、治安出動の際における武装工作員等の鎮圧、海上警備行動の際における武器の使用に関する改正は、いずれも危機対処上万全な備えを期するための措置であります。
 さらに、我が国の安全が損なわれないため、防衛上特に秘匿を要する秘密について、防衛秘密の取り扱いを定め、罰則を整備しようとするものであります。これは自衛隊の不祥事に起因して諸外国に比較して立ちおくれていた防衛秘密に係る制度を整備しようとするものであり、当然の整備であります。
 以上、自衛隊法改正案は、国民の平和と安全を確保するという自衛隊の任務遂行に万全を期そうとするものであり、必要不可欠な措置と申せます。
 以上、二法案に対する賛成の理由を申し述べました。
 国際テロ根絶に向けた闘いは長期にわたることが予想されます。テロは手段と所を選ばぬ暴力による文明への挑戦そのものであり、守りに弱いところ、盲点を突いて社会秩序の混乱、破壊をもたらします。したがって、一国平和主義をとり、平和に安穏とし、備えを怠れば、テロの格好の標的になる危険性が大きくなります。
 このような状況のもと、これら二法案の成立はあくまでもテロ根絶への第一歩にすぎないことを自覚し、生物や化学物質等を悪用したテロの危険に対し、十分な備えを行うことが急務であります。特に、これら多様な危機管理のため政府、自治体、民間が連携して備えを万全なものとし、国民の不安解消に努めていかねばなりません。
 また、アフガニスタン復興に向けた国際的な枠組みの形成に外交努力を注がれることを政府に強く求めるものであります。
 最後に、民主党提出の修正案には断固反対することを表明いたしまして、私の賛成討論を終わります。(拍手)
#14
○議長(井上裕君) 藤井俊男君。
   〔藤井俊男君登壇、拍手〕
#15
○藤井俊男君 私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となっておりますいわゆるテロ対策特別措置法案の衆議院送付案に反対、民主党・新緑風会提出の修正案に賛成の立場で討論いたします。
 本年九月十一日に米国で発生した同時多発テロは、多くの罪なき人々を巻き込んだ卑劣かつ残虐な犯罪行為であり、安全で民主的な社会を希求する私たち人類への許しがたい挑戦であります。
 民主党は、この許しがたい今回のテロ行為を、国際社会の平和と安全に対する全く新しい形の脅威ととらえ、テロ撲滅に向けたあらゆる外交努力、国内外における徹底したテロ対策の実施とあわせて、国際社会の一致した協調行動の枠組みの中で、自衛隊の活用も含めた新たな対応措置が必要であると認識しております。そして、その対応措置は、日本国憲法の枠内で、しっかりとしたシビリアンコントロールのもとに実施されるべきであるとの考え方を一貫して示してまいりました。
 衆議院においては、当初政府案が、対応措置についての基本計画の決定、変更等を国会への報告事項としていたところを、与党三党の提案で、防衛庁長官がこれらの対応措置の実施を自衛隊の部隊等に命じた日から二十日以内に国会に付議して、これらの対応措置を実施することにつき国会の承認を求めなければならないとし、事後に承認を得ることと修正いたしました。
 しかしながら、参議院での審議を通じて明らかになったことは、この衆議院修正案では、依然として、自衛隊の海外派遣に際しての国民によるシビリアンコントロールを確保するための国会の関与という点で看過できない重要な問題点を抱えているということであります。
 本法律案によって、実力組織である自衛隊の部隊等が、我が国の領域をはるかに越え、公海上ばかりか、外国の領域に派遣されることが可能になります。このことは、我が国の自衛隊が国連平和維持活動への協力以外で戦後初めて外国の領域で活動するという、まさに政策の歴史的大転換であります。
 自衛隊の海外における活動について、我が国の国益に基づき、法律の目的にかなった対応措置を実施できるように、国民から選ばれた国会が事前にしっかりと関与することは、かつての軍部の行動を国会が制御できなかった反省に立って、極めて重要な原則であることを改めて強調したいと思います。
 また、支援の対象は周辺事態法に定める米軍に限らず諸外国の軍隊等に及んでおり、武器使用の範囲も拡大されています。
 しかも、テロという新たな事態において、従来の後方地域という概念すらあいまいになっております。我が国の有事につながるおそれのある周辺事態への対処に当たってさえ、基本計画に定められた対応措置を実施する際には、原則、国会による事前の承認が必要とされております。
 さらに、対応措置の実施後二十日以内での事後承認では、自衛隊の海外展開が既に既成事実化している可能性も高く、対応措置の実施について国会がしっかりと歯どめをかけることは実質的に困難となります。
 さらに、我が国が将来、アフガニスタン及び周辺地域の安定と復興に向けて重要な役割を果たしていくべきであり、このことを考えても、国際社会の理解を十分に得られるよう、自衛隊の派遣前に慎重に状況を見きわめることが重要であります。
 民主党は、これまで衆議院、そしてこの参議院における質疑を通じて、想定される実施地域、対応措置の態様等について、再三再四政府にただしてまいりました。一方で政府は、本法案が成立すれば基本計画の事前承認がなされたと同じであるというような考え方を言いながら、他方では、その基本計画の重要な柱となる内容については、今後事態がどのように推移するかわからないなどの理由で、終始具体的な政府からの答弁は全く行われませんでした。まさしく、自衛隊の海外への派遣について、国会そして国民に対して白紙で委任しろと言わんばかりであります。
 事前承認では機動性、柔軟性が危惧されるとの意見がありますが、民主党案では、「緊急の必要がある場合には、国会の承認を得ないで当該協力支援活動、捜索救助活動又は被災民救援活動を実施することができる。」と、緊急の場合の事後承認を容認しており、何ら法案として問題はなく、なぜこの修正案が与党に理解されなかったか、政策論というよりも、まさに与党内の政局的思惑以外の何物でもないと言わざるを得ません。
 さらに、事態の変化や長期化などによって、今後、対応措置のための財政支出の規模が懸念されます。財政状況が極めて厳しい我が国において、単に行政の裁量にゆだねるのではなく、万一にも野方図に支出が拡大されないようにすること、また、必要となる支出については国民の十分な理解と合意のもとになされることが必要であると考えます。したがって、財政的見地からも、シビリアンコントロールを確保するという視点に基づき、対応措置の実施に必要な経費を基本計画に明示し、国民に税金の使途を明らかにすべきと考えます。
 衆議院において民主党が提出した、原則、国会における事前の承認という修正案は、残念ながら否決されたことは御案内のとおりです。しかしながら、以上申し上げてきたような今回の法律案の内容、さらに、自衛隊の部隊等の海外出動について規定しているPKO協力法や周辺事態法との整合性を図りシビリアンコントロールを徹底させる見地から、自衛隊の派遣については極めて慎重に行うべきであります。自衛隊の海外派遣の実施前に国民を代表する国会が関与すべきであることは当然であり、与党内で合意が得られなかったことはまことに残念でなりません。
 また、この法案によって遠く異国の地で活動されることになるであろう自衛隊員の心情を思いはかるにつけても、不安の中で派遣されるより、国民の代表である国会が自衛隊の派遣に対して責任ある決定をし、その意思をしっかりと受けた形で任務に当たられることが何よりの誇りとなり、本来の姿ではないでしょうか。その国会における審議の過程は、国民の理解と合意を形成する上でも極めて重要と考えます。
 民主党は、以上の点から、基本計画に定められた対応措置の実施等につき、原則、国会での事前承認事項とすること、及び必要な経費を基本計画に明示することを内容とした修正案を提出しております。良識の府としての参議院の名誉にかけて、参議院議員各位が、国民の代表としてシビリアンコントロールの任に当たる国会議員の責任のもとに賢明なる御判断をいただき、民主党・新緑風会案に賛同いただけるよう改めて要請するものであります。
 我々はいつでも過去を振り返り、過去の経験に基づいて将来を予見したくなるものであるとは、「第二次世界大戦に勝者なし」を著した米国人、元連合軍総司令部参謀ウェディーマイヤー氏の言葉であります。
 彼は、回想録の中で、どの国の国民も平和的、文化的な手段による国際問題の解決を拒否した彼らの指導者に対して絶対の信頼を寄せていた。あまたの戦場で戦い、傷つき、倒れていった兵士たちは、自分の苦労と犠牲によって自分の近親者や信愛する人たちが保護され、恒久的世界平和の状態が維持されることを保証することになると死んでいったのです。しかし、その努力が自国の安全保障を強化したり、または、世界のよりよき秩序を建設するのに、ほとんど、いや、全く役に立たなかったことを知ったのですと述べ、世界指導者の責任として、平和的手段による世界恒久平和の実現を訴えています。私たちは今、歴史の教訓に学ばなければなりません。
 小泉総理、国民の、国民による、国民のための政府、私はこの言葉をあなたに贈ります。我が国政府の暴走を憂う多くの国民の声が聞こえますか。
 航空機ハイジャックという物理的暴力テロから、現在は、炭疽菌による企業やオフィスなど市民社会に侵入してくる忍び寄るテロという新たな脅威とも我々は闘わなければなりません。他方、アフガニスタンにおいては、女性や子供、老人初め罪なき市民が今回のテロへの国際的な対応措置の中で被災され、苦しんでいます。
#16
○議長(井上裕君) 藤井君、時間が超過いたしております。簡単に願います。
#17
○藤井俊男君(続) 国際協調の枠組みの中、国民の生命と財産、秩序を守るため、そして、平和で安定した国際社会を構築していくために、民主党は、毅然とした正義感を持って、テロ終息のための外交政策、内政政策を実行することを改めて約束し、私の討論を終わります。(拍手)
#18
○議長(井上裕君) 吉川春子君。
   〔吉川春子君登壇、拍手〕
#19
○吉川春子君 私は、日本共産党を代表して、テロ対策特別措置法案及び自衛隊法改正案に反対の討論を行います。
 まず、私は、憲法違反の自衛隊海外派兵を一気に実行に移すという戦後史を画する重大法案であるにもかかわらず、参議院でわずか四日間という短期間の審議で委員会採決を強行したことに強く抗議いたします。
 ニューヨーク、ワシントンなどへの同時多発テロ事件は五千人以上のとうとい命を奪い、家族や友人等多くの人生を狂わせました。私は、このテロに対して心から怒りを禁じ得ません。テロ行為は、いかなる宗教的心情、政治的見解によっても絶対に正当化できない卑劣な犯罪行為であり、テロの根絶は、二十一世紀の人類の生存にかかわる問題です。それは、国連を中心に国際社会が一致団結して、テロリストの逃げ場が地球上のどこにもないという状況をつくることによってこそ可能です。
 ところが、アメリカの軍事攻撃は、イスラム諸国の中に報復戦争を認めるかどうかで亀裂を生み出すなど、国際的団結を壊す全く逆の作用をしているのです。小泉内閣は自衛隊をただ戦場に送りたいということに終始し、自衛隊海外派兵と戦争参加の道を一気に切り開くために提案されたのがこの法案であると言わざるを得ません。
 以下、具体的に反対の理由を述べます。
 第一は、自衛隊がアメリカの軍事行動に参加するものだからです。
 その結果、自衛隊が戦後初めて他国の人を殺傷し、日本人の戦死者が出る危険が現実のものとなるのです。
 法案は、小泉総理が無限定だと認めたように、米軍の軍事行動への協力は、地理的にも米軍の活動内容の面でも全く限定していません。米軍がテロ根絶のためとして地球上のどこでも軍事行動を起こせば、日本はその戦争に参加することになります。しかも、米軍が行う軍事作戦は日本に事前には知らされていないのです。米軍の報復戦争に日本がいわば白紙委任で参戦する法案です。こうした法律を対米関係で全く自主性を持たない日本政府が手にすることの危険性ははかり知れません。
 第二は、自衛隊が行う兵たん活動は、憲法違反の武力行使そのものだからです。
 小泉総理は、武力行使とは戦闘行為だけで兵たん支援は含まないと繰り返し答弁をしてきましたが、米軍への武器弾薬の輸送、燃料の補給などが武力行使と結びついたものであることは国際社会の常識です。NATOは、自衛隊が行う米軍への兵たん活動と同じことを集団的自衛権の発動、すなわち武力行使として行っているのです。
 そして、重大なことは、自衛隊の輸送、補給がどこへでもどんなものでもできるということです。例えば、米空母や護衛艦などに洋上補給することも含まれています。さらに、防衛庁長官は、大型爆弾から二百個以上の子爆弾をまき散らし、多くの市民を巻き添えにする無差別殺傷の残忍な兵器であるクラスター爆弾を輸送することまで認めています。
 また、政府は、自衛隊の活動は戦闘区域では行わないという空虚な説明を繰り返してきました。しかし、我が党の追及に、米軍が指定する戦闘区域、コンバットゾーンにまで自衛隊が入り込むことを認めました。アメリカと日本は戦闘区域の定義が違うなどとおかしな理屈まで持ち出しましたが、何の弁明にもなりません。政府の説明によれば、この戦争を行うのがアメリカであって、戦闘区域を設定するのはアメリカ以外にはあり得ないのです。しかも、ミサイル攻撃の発射地点でも、発射されている瞬間は戦闘区域だが、発射と次の発射までの間は戦闘区域ではないというとんでもない理屈まで持ち出しています。これは、欺瞞以外の何物でもありません。
 武力行使はしない、戦闘地域には行かないというのは、政府がこの法案は憲法の枠内だとする二つのよりどころです。この二つとももろくも崩れ去っているのです。そうである以上、この法案は廃案以外にないということを指摘せざるを得ません。
 さらに、自衛隊の武器使用の拡大も重大です。政府は、突発的なテロやゲリラの発砲に応戦することもあり得ると答弁しており、自衛隊の武器使用による交戦状態が生まれることを想定しているのです。
 第三は、難民支援を口実に自衛隊を海外に派遣しようとしていることです。
 難民支援はもともと軍隊の仕事ではありません。しかも、米軍の空爆は、病院、民間施設、赤十字の倉庫などを破壊し、罪なき人々に危害を加え、新たな難民をつくり出しています。一方で米軍への軍事支援を行いながら、他方で難民支援のために自衛隊を送るなどということは、甚だしい矛盾と偽善です。
 また、米軍の側に立って参戦している日本の自衛隊が難民支援に出動することは、相手側の攻撃対象とされ、逆に難民を危険にさらすだけです。政府は、初めに自衛隊派兵ありきという立場で難民問題を利用するだけだと言わざるを得ません。
 なお、民主党の修正案は憲法違反の自衛隊の海外派兵という本質を何ら変えるものでなく、賛成できません。
 次に、自衛隊法改正案は、米軍基地への警護出動の新設、治安出動下令前の情報収集出動や武器使用権限の拡大など、テロ対策を口実に自衛隊の行動と権限を大幅に拡大するものであり反対です。
 改正案は、憲法のもとではあり得ない防衛秘密を規定し、防衛庁職員、自衛官、その他の国家公務員だけでなく、民間人まで厳罰に処す漏えい罪を設けるなど、国民の基本的人権をじゅうりんするものです。さらに、報道機関の取材までもが教唆、扇動に該当する可能性があります。このような重大な法案をテロ事件に便乗して押し通すことは、憲法と議会制民主主義の原則を踏みにじるものであり到底認められません。
 先日、アフガニスタンの情勢を伝えるテレビに、縫いぐるみを抱いた幼い女の子が両親と一緒に険しい山道を越える姿が映り、私は胸が締めつけられました。この光景が、五十数年前、満州の荒野をさまよった満蒙開拓団の人々の姿とダブったからです。
 あの侵略戦争の痛苦の反省の上に立って、日本国憲法九条は、国際紛争を解決する手段としては武力による威嚇、武力行使を禁じております、交戦権も放棄しています。こういう世界に例のない徹底した平和主義を宣言したのです。こういう憲法を持つ国だからこそ、第二次大戦の終結以来、日本の兵士の軍事行動によって殺された人は一人もいないという津田塾大学のダグラス・ラミス元教授等の指摘に見られるような評価も生まれてくるのです。
 ところが、国会の審議の中で小泉首相は、最高裁判所が自衛隊は合憲だと判決を下しているなどと発言し、追及されて訂正せざるを得ませんでした。また、憲法前文と九条にはすき間があるとか、憲法前文と九条を政治的に考えたなどと答弁していますが、このような憲法改悪を目指す発言は絶対に許せません。
 日本共産党は、小泉内閣と与党の自民党、公明党、保守党と違って、反戦平和を貫いてきた政党として、憲法九条を日本が国際社会の一員として生きていく上での障害、制約とは考えておらず、それどころか二十一世紀に進む羅針盤だと考えています。そして、これは必ずや近い将来、世界の流れとして証明されるときが来るでしょう。
 我が党は、日本国憲法の理想を現実のものとし、安全に生存できる二十一世紀にするためにテロ根絶に全力を尽くす決意を申し上げて、討論を終わります。(拍手)
#20
○議長(井上裕君) これにて討論は終局いたしました。
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#21
○議長(井上裕君) これより採決をいたします。
 まず、平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法案について採決をいたします。
 最初に、福山哲郎君外二名提出の修正案の採決をいたします。
 本修正案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#22
○議長(井上裕君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#23
○議長(井上裕君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百三十七  
  賛成             六十二  
  反対            百七十五  
 よって、本修正案は否決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
#24
○議長(井上裕君) 次に、原案の採決をいたします。
 原案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#25
○議長(井上裕君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#26
○議長(井上裕君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数          二百四十  
  賛成             百四十  
  反対               百  
 よって、本案は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
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#27
○議長(井上裕君) 次に、自衛隊法の一部を改正する法律案の採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#28
○議長(井上裕君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#29
○議長(井上裕君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百三十六  
  賛成            百九十七  
  反対             三十九  
 よって、本案は可決されました。(拍手)
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   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
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#30
○議長(井上裕君) 本日はこれにて散会いたします。
   午後一時五十五分散会
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ソース: 国立国会図書館
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