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2001/11/02 第153回国会 参議院 参議院会議録情報 第153回国会 本会議 第8号
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2001/11/02 第153回国会 参議院

参議院会議録情報 第153回国会 本会議 第8号

#1
第153回国会 本会議 第8号
平成十三年十一月二日(金曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第八号
  平成十三年十一月二日
   午前十時開議
 第一 銀行法等の一部を改正する法律案(第百
  五十一回国会内閣提出、第百五十三回国会衆
  議院送付)
 第二 出入国管理及び難民認定法の一部を改正
  する法律案(内閣提出)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、請暇の件
 一、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を
  行う労働者の福祉に関する法律の一部を改正
  する法律案(趣旨説明)
 一、銀行等の株式等の保有の制限等に関する法
  律案(趣旨説明)
 以下 議事日程のとおり


     ─────・─────
#3
○議長(井上裕君) これより会議を開きます。
 この際、お諮りいたします。
 田浦直君から海外渡航のため来る七日から八日間の請暇の申し出がございました。
 これを許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(井上裕君) 御異議ないと認めます。
 よって、許可することに決しました。
     ─────・─────
#5
○議長(井上裕君) この際、日程に追加して、
 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の一部を改正する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○議長(井上裕君) 御異議ないと認めます。坂口厚生労働大臣。
   〔国務大臣坂口力君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(坂口力君) 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げたいと存じます。
 少子高齢化等が進行する中で、労働者が仕事と家庭を容易に両立させることができるようにすることは、労働者の福祉の増進を図る上でも、経済社会の活力を維持していく上でも、極めて重要な課題となっております。
 このような状況に対処するためには、育児休業の取得や職場復帰をしやすい環境を整備するとともに、労働者が子育てをしながら働き続ける上で必要な時間を確保すること等が必要となっており、政府といたしましては、本法律案を作成し、ここに提出した次第であります。
 次に、この法律案の内容につきまして、概要を御説明申し上げます。
 第一に、事業主は、労働者が育児休業や介護休業の申し出や取得をしたことを理由として、不利益な取り扱いをしてはならないこととしております。
 第二に、育児や介護を行う一定範囲の労働者が、一年につき百五十時間、一カ月につき二十四時間を超える時間外労働を免除するよう請求することができる制度を設けることとしております。
 第三に、育児を行う労働者に対して勤務時間の短縮等の措置を講ずる事業主の義務に関し、対象となる子の年齢を一歳未満から三歳未満に引き上げることとしております。
 第四に、事業主は、労働者がその子の病気またはけがの際に休むことができる、子の看護のための休暇制度を導入するよう努めなければならないこととするほか、労働者の転勤について育児や介護の状況に配慮しなければならないこととする等の事業主が講ずべき措置を定めることとしております。
 第五に、国等は、仕事と家庭の両立に関し事業主、労働者その他国民の理解を深めるために必要な広報活動その他の措置等を講ずることとしております。
 政府といたしましては、以上を内容とする法律案を提出した次第でありますが、衆議院におきまして、この法律の施行後三年を経過した場合に子の看護のための休暇制度等について検討を加えること等の修正が行われたところであります。
 以上がこの法律案の趣旨でございます。(拍手)
    ─────────────
#8
○議長(井上裕君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。小宮山洋子君。
   〔小宮山洋子君登壇、拍手〕
#9
○小宮山洋子君 私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となりました政府提出の労働者の職業生活と家庭生活との両立を支援するための育児休業、介護休業等に関する法律案について、関係大臣に質問いたします。
 男女がともに個性を生かして生き生きと生きられる男女共同参画社会をつくることが二十一世紀の最重要課題である、最重要課題の一つというのではなくて最重要課題であると前文に書き込まれた男女共同参画社会基本法ができ、基本計画もつくられています。
 さまざまな分野の政策が必要ですが、中でも働くことと育児、介護といった家族への責任を両立させることをどのように支援していくかは大変重要な分野だと考えています。
 労働の規制緩和の中で、女性の保護規定がなくなり、育児の九割、介護は八割以上を女性が担っているという現状の中で、時間外労働などの激変を緩和する措置がとられていますが、来年の三月で期限が終わるのでこのたびの法改正が行われると理解しています。
 私たち民主党では、その範囲にとどまらず、根本的に男女が家族への責任を分かち合い、仕事と家庭が両立できるようにすべきという観点で独自の法案を用意してきました。
 まず、このたびの法改正のねらいを厚生労働大臣に伺います。
 日本は、予想以上の速さで少子高齢社会になってきています。合計特殊出生率は一九九九年に一・三四まで低下し、高齢社会のピークには四人に一人が高齢者と言われていたものが、三人に一人になると将来の人口推計が変えられてきています。
 ヨーロッパの国々でも、一九八〇年代に出生率が低下しましたが、父親もとりやすい育児休業制度などの政策により、ほとんどの国で出生率は上昇しています。出生率が上がっていくには十年かかると言われていますので、持ちたい人が安心して子供を産み育てられるように、早急にとれる政策を実行すべきだと考えます。ノルウェーでは、父親である男性のうち八割が育児休業をとっていまして、そのことにより、持ちたい子供を持つことができるようになったと言われています。先進国では、女性が働き続けられる環境が整っている国ほど出生率が高くなっていることが統計的にも明らかになっています。
 厚生労働大臣は、この法案によって、女性だけではなく男性も必要なときに仕事を休め、安心して育児、介護がどの程度できるようになるとお考えでしょうか。現在、育児休業をとっている人のうち二・四%にとどまっている男性の育児休業取得率を上げるための具体的な方策をお答えいただきたいと思います。
 では、法案の内容について問題点を伺っていきます。
 この法案の中で、これまでになく新しく盛り込まれ、多くの働く保護者が望んでいるのが看護休暇の制度です。私も三人の男の子を育てながら仕事を続けてきて一番困ったのがやはり子供が病気になったときです。自分の病気ならはってでも仕事に行きますが、子供が病気のときにはそばにいてやりたい、そう思うのにそれができず、仕事を断念する要因にもなっています。
 この法案では、事業主は、小学校就学前の子の看護のための休暇制度を導入するよう努めなければならないとされています。子供の看護休暇については、努力義務ではなく請求権にという要望が強く、私もそう考えますが、どうお考えか、坂口厚生労働大臣はこの点については前向きなお考えをお持ちだとも伺っておりますので、実効性を上げるための積極的な御答弁をお願いいたします。
 あわせて、衆議院での附則の修正で、三年後の見直しが加えられました。三年後には、請求権として認める見直しをお約束いただきたいと思います。
 また、看護休暇の日数については明記されていません。私たちの法案では、子供一人について年間十日と考えていましたが、大臣は、日数についてはどのようにお考えでしょうか。また、現在、看護休暇制度を持っている企業はわずか八%です。実際に事業所にどのように働きかけるおつもりかを伺います。
 スウェーデンでは、両親が、子供が小学校を卒業するまで、子供一人について六十日、特別な理由があるときは九十日休めます。常に、育児などで休む人が全従業員の二割はいるという前提で雇用をしているからできることなのでしょう。失業者がふえ、ワークシェアリングが真剣に考えられている中で、男女とも家族と向き合って人間らしく生きるために考えてよいあり方だと思いますが、厚生労働大臣はどのようにお考えでしょうか。休業中にかわって仕事をする要員の確保について、こうした観点も含めてお答えください。
 次に、現在、働き方はますます多様になってきています。パート、派遣、契約など多様な働き方で、実質的には正規雇用と同様の働き方をしている人が女性を中心にどんどんふえてきています。育児・介護休業の法律が、期間を定めて雇用されている労働者にも適用される必要があると考えます。これからの柔軟な働き方を保障するために、厚生労働大臣の所見を伺います。
 激変緩和措置の中で、子の養育のための激変緩和措置に関する協定のある事業所はおよそ三〇%です。その協定の内容は、一年間の時間外労働の上限時間を百五十時間としているものがおよそ九七%と、ほとんどです。時間外労働の制限措置をとる子の年齢を、現在の小学校就学前から小学校卒業までにすることが、子供の年齢による成長から見てもふさわしいと考えますが、大臣はどのようにお考えでしょうか。
 また、深夜業の制限は、十六歳以上の同居の家族がいる場合は除かれ、適用者を限定しています。十六歳といえば高校生になったばかりです。同居の家族の年齢要件をつけるべきではないと考えますが、御答弁ください。
 育児休業を理由としての不利益取り扱いについて、現在は解雇の制限のみであるものを、「解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。」と対象を広げたことは前進だと考えます。不利益取り扱いを禁止する具体的な内容と、実効性を担保するための政府としての取り組みを伺います。
 次に、転勤についてです。
 家族の状況への配慮が第二十六条に盛り込まれたことについては、懸案だった家族的責任条約と言われるILO百五十六号条約に批准している日本が、条約の実効性を確保するという意味では評価できると思います。条文では、事業主は、「就業の場所の変更により就業しつつその子の養育又は家族の介護を行うことが困難となることとなる労働者がいるときは、当該労働者の子の養育又は家族の介護の状況に配慮しなければならない。」とされています。ここで言う「配慮」の内容をお答えください。
 この、転勤について家族の状況を考えるようにということは、条約に関する百六十五号勧告に定められているのに、これまで何の対応もとられず、問題だったものです。男女ともに安心して能力を発揮し、家族とも向き合えるためには、家族を持つ労働者がそうでない労働者と差別されないようにというILOの百五十六号条約、また同一労働同一賃金の百号条約など、日本が守ることを世界に約束した国際条約を批准したことだけにとどめず、実効性のあるものにするよう、法整備、予算措置などをしっかりすることが必要です。国内法より上位にある国際条約を批准だけして実行しないようでは、国際化の中でともにやっていける国にはなり得ないと考えますが、厚生労働大臣と内閣のかなめとしての官房長官のお考えを伺います。
 安心して子供を産み育てられ、安心して年を重ねられるためには、仕事と家庭の両立が必要です。合計特殊出生率がひのえうまの年を下回る一・五七になり、一・五七ショックとも言われた一九九〇年ごろから少子化の問題が顕在化してきました。
 政府は、そのとき、子育て支援の方法を考えるために、健やかに子供を生み育てる環境づくりに関する関係省庁連絡会議という非常に長い名前の、省庁縦割りではなく知恵を出し合う会議を立ち上げました。しかし、当事者の声を取り入れた支援策が十分とられてこなかったことは、少子化がどんどん進んでいる現状からも明らかです。
 政府が挙げた方策は、本日質疑をしている育児休業の充実、そして働き方を改め労働時間を短縮すること、保育サービスの充実などです。こうした制度をつくるなどのハードに加えて、ソフトとも言える子育てについての男女の意識改革も含まれています。こうした課題は、十年以上たった今日も一向に改善されていないのではないでしょうか。
 保育の充実については、小泉内閣は、待機児をゼロにする、三年で十五万人保育所にはいれる子供の数をふやすことを掲げています。ところが、いまだにその具体策は明らかになっていません。どのようにして受け入れる子供をふやすのか、厚生労働大臣、具体的にお答えいただきたいと思います。
 また、量の確保ばかりに力を入れて、子供を中心に置いた、子供にとって最善の保育という保育の質がおろそかにされてはなりません。児童福祉法改正も議論されていますが、この点についての大臣のお考えを伺います。
 二十一世紀は、女性と男性がともに生きる世紀とも言われています。日本では、相変わらず企業の中枢は男性で、男性は過労死しそうなほど働き、女性は能力があっても働く場への道が開かれないことが多いのが現状です。先進国で日本だけが子育て中の女性の就業率が下がり、M字形カーブを依然として描いています。働きたいという女性を加えた潜在就業率は、二十代から四十代まで八〇%を超えていまして、先進国と同じ食パン形、馬の背形のカーブを描いています。一人一人が能力を発揮して生きるため、また、少子化で働き手が少なくなる中、日本の社会の活力を維持するためにも、女性が能力を発揮して働き続けられる仕組みが必要だと考えます。
 また、男性の豊かな人生という視点からも、仕事と家庭のバランスのとれた生活が必要だと思います。日本の男性は、報酬を得て働くペイドワークと、育児、介護など家族のための無報酬の働き、アンペイドワークの割合が十五対一と非常に偏っています。先進国では、最も差のある国でも四対一です。定年後三年が平均寿命といった数字さえある仕事だけの生き方ではなく、日本の男性のためにも、仕事と家庭の両立が大切だと思います。
 最後に、女性と男性の働き方についてのこうした観点をどうお考えか、そして、今回の法改正がそのためにどの程度役立つのか、厚生労働大臣と官房長官に伺います。
 少子高齢社会に対応するためにも、重要な法改正を働く男女の声を反映させるものにすることを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣坂口力君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(坂口力君) 小宮山議員からの御質問に対しましてお答えを申し上げたいと思います。
 十三問ほどちょうだいをしたというふうに思いますが、それぞれお答えをしたいというふうに思います。
 まず最初に、今回の改正の目的についてのお尋ねがございました。
 男女労働者が仕事と家庭を容易に両立させ、生涯を通じて充実した職業生活を送ることができるようにすることは、雇用の分野におきます実質的な男女の機会均等や男女共同参画社会の実現のためにも重要な課題でございます。御指摘をいただきましたとおりでございます。
 また、近年の少子化の進展の背景として、仕事と子育ての両立の負担感が増大していることが強く指摘されているところでございます。働きながら子供を産み育て、そして雇用環境を整備し、仕事と子育ての両立の負担を軽減することは、少子化対策の一環としても重要な、そしてまた喫緊の課題であると考えているところでございます。今回の改正は、こうした課題に適切に対処するためのものとして認識をいたしております。
 男性の育児休業の取得促進についてお尋ねがございました。
 育児休業取得者に占める男性の割合が低い水準にあります背景には、固定的な性別役割分担意識でございますとか、職場優先の企業風土から事業主やあるいは職場の理解が不足している現状等があるというふうに考えております。
 このようなことから、今回の改正法案におきまして、固定的な性別役割分担意識の解消でありますとか、職場優先の企業風土の是正を図り、仕事と家庭の両立を容易にするために国が意識啓発を行うことを盛り込んでいるところでありまして、法案が成立いたしました暁におきましては、男性の育児休業の取得促進に配慮をした広報啓発などを積極的に行っていきたいと考えております。
 子供の看護休暇につきまして、御自身の経験等も踏まえて御質問をいただきました。
 子供の看護休暇制度につきましては、将来的には請求権とすることが望ましいという点につきましては、私も議員と同じ認識を持っております。しかしながら、現在のところ事業所におきます看護休暇制度の普及率がまだ非常に低いこと等を考えますと、一足飛びにこれを請求権とするのではなくて、まずは努力義務規定を設けて着実に一歩を踏み出すことが重要であると考えているところでございます。
 また、衆議院の修正で追加されました三年後の見直しにつきましては、改正後の育児・介護休業法の施行状況を十分に勘案しながら、子供の看護休暇制度などにつきまして総合的な検討を行う所存でございます。
 また、努力義務規定に基づきまして各事業所において導入する看護休暇制度の日数につきましては、現状において年間に子供の病気のために休んだ日数を見ますと、女性労働者は五日以内が三分の二を占めておりますが、こうした現状等も踏まえながら、労使間で適当な日数について話し合って決めていただくことが適当であると考えているところでございます。
 また、看護休暇制度の普及についてのお尋ねがございましたが、子供の看護休暇制度の普及につきましては、事業主に対する啓発、指導を積極的に展開いたしますとともに、平成十四年度概算要求に盛り込んだ子の看護休暇制度を設けた事業主に対する助成措置を活用しながら、早期に制度が導入されるよう労使の取り組みを促してまいりたいと考えております。
 休業中の代替要員の確保についてのお尋ねもございました。
 事業主が育児休業中の労働者の代替要員を確保しやすくすることは、育児休業をとりやすい職場環境の整備という観点からも重要であると考えております。このため、平成十二年度より、育児休業中の労働者の代替要員の確保等を行う事業主に対する助成金制度を設けているところでございまして、この制度の活用も含め、代替要員の確保が進むよう環境の整備に努めてまいりたいと考えております。
 それから、期間雇用者への適用についてのお尋ねでございますが、育児・介護休業制度は、育児や介護を理由とする雇用の中断を防ぎ、その継続を図ることを目的とするものでありますことから、雇用期間があらかじめ定められている期間雇用者をその対象とすることはなかなかなじまないと考えているところでございます。今後、検討課題にさせていただきたいと思います。
 時間外労働の制限の対象となる子の年齢についてのお尋ねがございました。
 子供が学齢に達するころには親が育児にかける時間も格段に少なくなりまして、小学校就学前の子供の場合に比べまして育児のための時間の確保の必要性が低くなってきているところでございます。他方、小学校卒業までの子供を対象といたしますと、最大連続十数年にわたりこの措置の対象となりますことから、事業主の負担も非常に大きくなることも考えなければならないというふうに思います。このため、子供の年齢はひとまず小学校就学前までにすることが適当であると考えているところでございます。
 深夜業の制限についてのお尋ねもございました。
 深夜業の制限の制度は、深夜において家に子供以外にだれもいない状況を避ける趣旨から設けられたものであることから、子供を育児することができる同居の家族がいる場合にはこれを請求できないこととなっております。この制度は、平成十一年四月に施行されたばかりでありますことから、まずは制度の定着に努める時期であると考えておりまして、現段階で要件を見直すことは今のところ考えておりません。
 不利益取り扱いの禁止についてのお尋ねがございました。
 育児休業等の取得を理由として、解雇のみならず、減給したり、退職金や賞与の算定に当たり休業期間を超えて働かなかったものとして取り扱うことや、あるいは正社員からパートタイム労働者への身分変更を行うことなどは不利益取り扱いに該当するものと考えております。法案が成立した暁には、不利益取り扱いの判断に当たっての考え方を指針で明らかにして、各事業所において育児休業等を理由とした不利益な取り扱いが行われないよう十分周知、指導をしてまいりたいと考えております。
 転勤の配慮義務についてのお尋ねもございました。
 育児や介護を行う労働者に係る転勤配慮の内容といたしましては、労働者の育児や介護の状況を把握することや労働者本人の意向をしんしゃくすることなど重要であると考えているところでございます。
 男女ともに安心して能力を発揮するためには、批准した国際条約の実効性の確保についてお尋ねがございました。
 今回の育児・介護休業法の改正は、働きながら子供を産み育てやすい雇用環境を整備し、仕事と子育ての両立の負担を軽減することを目的とするものであり、ILO百五十六号条約の趣旨の実現を一層進めるものとなっております。今後とも、仕事と家庭が両立しやすい環境の整備などの施策に積極的に取り組みまして、批准した国際条約の趣旨に沿った対策を進めてまいりたいと考えているところでございます。
 保育所の待機児童につきましてのお尋ねがございました。
 都市部を中心とする保育所の入所待機への対応は喫緊の課題でありますため、本年七月の閣議決定を踏まえまして、平成十四年度において保育所を中心に五万人の受け入れ児童数の増が図られるよう概算要求を行っているところでございます。また、十四年から十五、十六年まで三年間で十五万人ふやすことにいたしております。また、この人数をふやすことを中心にして、その質の低下が起こらないように配慮をすることも当然でございますので、十分な配慮をしていきたいと考えているところでございます。
 最後に、仕事と家庭のバランス、女性と男性の働き方と今回の法改正との関係についてのお尋ねがございました。
 今回の改正法案におきましては、男は仕事、女性は家事、育児といった固定的な性別役割分担意識でありますとか、職場優先の企業風土の是正を図るための意識啓発の規定や、あるいは時間外労働の制限を初めとする仕事と子育ての両立の負担を軽減するための措置等に関する規定を盛り込んでいるところでございます。
 このため、法律が成立しました暁には、仕事と家庭のバランス、女性と男性の働き方について広く意識の改善を図ることができ、また、子育てをしながら働き続けやすい環境が整備をされて、女性の能力発揮を促進する上で重要な役割を果たすものであると考えているところでございます。
 以上、御質問いただきましたことにお答えをさせていただきました。(拍手)
   〔国務大臣福田康夫君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(福田康夫君) 小宮山議員にお答えします。二問だけでございます。
 まず、男女ともに安心して能力を発揮するために、批准した国際条約の実効性を確保する必要性についてお尋ねがございました。
 男女がともに職場を初め家庭においても共同して参画する社会を構築することは重要な課題でございます。ILO百五十六号条約などの国際条約の実効性を確保するため、仕事と子育ての両立支援策などを積極的に進めていく必要があると認識をいたしております。
 政府といたしましては、本年七月六日に、仕事と子育ての両立支援策の方針について閣議決定を行い、両立ライフに向けた職場改革の実施等、当面進めるべき取り組みを盛り込んだところでございます。これに基づく必要な施策の推進及び措置の実施を行ってまいる所存でございます。
 次に、仕事と家庭のバランス、女性と男性の働き方と今回の法改正との関係についてお尋ねがございました。
 今回の法改正は、このような意識啓発を行うことも含めまして、子育てをしながら働き続けやすい環境を整備するための制度改革を行うものでございます。したがいまして、男女共同参画社会の実現のために重要な役割を果たすものと認識しております。(拍手)
#12
○議長(井上裕君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────
#13
○議長(井上裕君) この際、日程に追加して、
 銀行等の株式等の保有の制限等に関する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#14
○議長(井上裕君) 御異議ないと認めます。柳澤金融担当大臣。
   〔国務大臣柳澤伯夫君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(柳澤伯夫君) ただいま議題となりました銀行等の株式等の保有の制限等に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 我が国の銀行等は相当程度の株式を保有しているため、株価の変動が銀行等の財務面の健全性や、ひいては銀行等に対する信認及び金融システムの安定性に影響を与えかねない状態にあります。
 このような状況にかんがみ、銀行等による株式等の保有を制限するとともに、その制限の実施に伴う銀行等による保有株式の処分の円滑を図るため、この法律案を提出することとした次第であります。
 以下、その大要を申し上げます。
 第一に、銀行等及びその子会社等は、その自己資本に相当する額を超えて株式等を保有してはならないこととしております。なお、この措置は平成十六年九月三十日から適用することとしておりますが、一定以上の株式等を保有している銀行等及びその子会社等が主務大臣の承認を受けたときは、その適用を一定期間猶予することとしております。
 第二に、この制限の実施に伴う銀行等による保有株式の短期間かつ大量の処分により、株式の価格の著しい下落を通じて信用秩序の維持に重大な支障が生ずることがないようにするため、銀行等保有株式取得機構を設立し、同機構が株式の買い取り等の業務を行うことにより銀行保有株式の処分の円滑を図るなど、所要の措置を講ずることとしております。
 以上、銀行等の株式等の保有の制限等に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)
    ─────────────
#16
○議長(井上裕君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。峰崎直樹君。
   〔峰崎直樹君登壇、拍手〕
#17
○峰崎直樹君 私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となりました銀行等の株式等の保有の制限等に関する法律案について質問いたします。
 小泉総理は、十月四日の衆議院予算委員会で、我が国の金融機関と金融庁はマーケットから疑念を持たれているとお認めになりました。そこで柳澤金融担当大臣にお伺いしますが、我が国の金融行政に関する最高責任者は一体どなたなんでしょうか。私の認識では、内閣府設置法及び金融庁設置法で、それは内閣総理大臣とされているはずですが、いかがですか。
 ところで、なぜ我が国の金融機関と金融庁はマーケットから疑念を持たれているのでしょうか。政府は、不良債権処理は峠を越えたという大本営発表を何度も繰り返し、そのたびにそれが真っ赤なうそであったことがばれたこともあるでしょう。しかし、金融行政の最高責任者である総理が全く他人事のように傍観をし、金融担当大臣が過去の失政を暴かれるのを恐れて何もせず、金融担当大臣と財務大臣と経済財政政策担当大臣がばらばらな姿勢であるということが最大の原因であることは明らかではありませんか。柳澤大臣、竹中大臣、それぞれお答えください。
 歴代自民党政権は、株価PKOに代表される市場原理への政府の介入という禁じ手ばかりを繰り返してまいりました。その結果、市場原理はゆがめられ、金融機関も本当の競争力を失い、不良債権問題は我が国経済にとって最大の桎梏になりました。にもかかわらず、銀行等保有株式取得機構による銀行保有株式の買い取りを企図した本法律案が政府から提出され、さらには、整理回収機構、RCCの機能強化と称する不良債権の国家的飛ばし策が与党内で検討されているということに、私は我が国資本主義の危機を感じないわけにはいきません。柳澤金融担当大臣は、市場原理をゆがめるこれらの政策について、かつては反対してこられたのではありませんか。なぜ賛成に転じられたのか、その理由をお聞かせください。
 以下、本法律案の内容について順次お伺いいたします。
 まず、この法律の目的です。第一条には、銀行による株式売却に伴う市場へのインパクトを緩和するとともに、銀行経営の健全性を維持するという趣旨の文言が並べられています。しかし、金融庁の説明では、機構による株式の買い取り額は二兆円程度であるとされている。日銀の一番新しいデータによれば、個人の金融資産は年間八十四兆円ふえ、そのうち株式が二十五兆円もあるということであります。ということは、本当の目的が後者すなわち銀行の健全性の維持にあることは明白です。こうした禁じ手まで出さなくては銀行経営の健全性を維持できないのであれば、これまでの金融行政の誤りを率直に認め、抜本的な危機管理策を実行に移すべきではありませんか。柳澤金融担当大臣及び市場を重視してこられた竹中大臣に御所見をお伺いいたします。
 次に、機構を通じた取引の公正性が確保できるかどうかという問題です。
 機構には、銀行界から役職員が派遣されるとお聞きしています。すなわち、銀行から株を買い取る機構は銀行の支配下にあり、機構は、金融再編により普通銀行とグループ化された信託銀行に株式の管理を委託することになるわけです。これでは出来レースではありませんか。倒産したマイカルが個人投資家向けに九百億円の社債を発行したときも、社債管理会社となった銀行がちゃっかりと融資を回収していたのではないかという話もあります。インサイダー取引、相場操縦、総会屋への損失補てんなど、証券市場の公正性をぶち壊すアンフェアな行為は、これまで何度も何度も繰り返されてきたではありませんか。この疑問に対し、柳澤金融担当大臣から納得のいく御説明を受けたいと思います。あわせて、民主党が提案しています日本版SEC法について早急に制定すべきと考えますが、大臣、いかがでございましょうか。
 次に、特別勘定による買い取り資金に対し二兆円の政府保証を付与することについてお伺いいたします。
 言うまでもなく、株は上がることもあれば下がることもあります。であれば、機構に株式を売却する銀行は、できるだけ株価が下がりそうな株式ばかり選ぼうとするインセンティブが働きます。その結果、機構の財産はどんどん食いつぶされ、いずれ債務超過に陥るであろうことは想像にかたくありません。本法律案では、機構の解散時に機構が債務超過であればその不足分を政府が補てんすることとされており、要は最大二兆円の国民負担が発生するおそれがあるわけです。一方、もし幸運にも機構に財産が残れば銀行に分配されます。もうけは銀行で山分け、損が出れば国民にツケ回し、これがこの法律案の正体なのであります。このような不公平な話が許されるのでしょうか。柳澤金融担当大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
 次に、このスキームが本当に機能発揮するのかどうか、お伺いしたいと思います。
 本法律案は、森前内閣の政策を継承したものであり、初めて構想が出たときから厳しい批判にさらされてきました。金融庁も否定的見解を繰り返し、法案化が決まってからも、自分たちはできるだけかかわらないように、表向き民間が自主的にやるものであるという形にしようと努めてきたわけであります。こうした不幸な生い立ち、そして余りにも筋の悪いスキームであるがゆえに、さすがの銀行界も余り活用する気はないと漏らしております。要するに、機能発揮する見込みはないということなのであります。であれば、我が国金融行政の信頼回復のためにも、このような法律案は直ちに撤回する方が得策であります。これらの点について、柳澤金融担当大臣の御見解をお伺いいたします。
 先ほども述べましたが、私は、政府が市場原理をゆがめる禁じ手まで出さなくては銀行経営の健全性を維持できないという事実が、今や抜本的な対策を講じる段階にまで来ていることを雄弁に物語っていると考えます。そして、こうした事態を招いた最大の原因が、九八年のあの金融国会以降も金融機関に厳格な資産査定と十分な引き当てを課すという大原則を踏み外したことにあります。
 私たち民主党議員とともに政策新人類と言われた日銀出身のある自民党議員が、つい最近、こう述べております。三年前の早期健全化法は厳格な評価抜きに健全行をさらに健全にするという国家的フィクションだった。もう一度申し上げます。国家的フィクションであった。まさにそのとおりだと思います。
 柳澤金融担当大臣は、金融機関の資産査定と引き当ては適切に行われていると強情にも言い続けてこられました。しかし、当の銀行自身からそれを否定する発言が飛び出し、倒産した企業が不良債権に分類されていなかったことが発覚し、与党の有力議員もフィクションだったということを認め、総理もまた金融当局がマーケットから疑念を持たれていると公言している今、柳澤金融担当大臣の論理は完全に破綻をしています。通常の金融検査に加え、わざわざ特別検査なるものを実施せざるを得なくなったのも、それを裏づけるのではありませんか。
 この際、柳澤金融担当大臣は、みずからの失政を率直に認め、潔く責任をおとりになるべきと考えますが、いかがでございましょうか。
 私は、この三年間の金融失政により、再び金融危機が顕在化してきたことを大変憂慮しています。今そこにある危機は、金融システム全体の過少資本問題による金融仲介機能の喪失です。問題解決能力のない政府・与党は、特別検査は適当にお茶を濁し、またしてもペイオフ凍結解除の再延期という先送りを繰り返すのでしょう。そして、国債発行額を三十兆円以下に抑えるという小泉総理の公約も、年が明ければあっさりと破棄されるのでしょう。そのとき、日本政府には構造改革を断行する能力も意思もないと判断した国債マーケットは、反乱を開始いたします。すなわち、国債価格の暴落、長期金利の急騰であり、日本経済全体のクラッシュの発生です。このような悪夢は、荒唐無稽な空想小説ではありません。
 私たち民主党は、一貫して、不良債権の抜本処理を急ぎ断行し、間接金融の金融仲介機能を回復するとともに、我が国金融システムを直接金融をより重視した構造に改革すべきであると主張してまいりました。
 以下、具体的に申し上げます。
 第一に、不良債権の抜本処理について、緊急一斉検査を実施して、金融機関に厳格な資産査定と十分な引き当てを課し、速やかに間接償却を終了させる。その際、債務超過の銀行は一時国有化などの手法により破綻処理に移行、不良債権はRCCに移して回収を進める。
 第二に、金融システムを株価変動リスクから守るため、一定の経過期間を経て、決済業務を行う金融機関の株式保有を原則として禁止をする措置を講ずる。
 第三に、証券市場に対する信頼を回復するため、不公正取引に対する罰則を厳格化するとともに、証券取引等監視委員会を金融庁から独立させ、証券取引委員会、日本版SECに改組し、監視体制を強化する。
 第四に、バブル崩壊後の金融行政を総括するため、国会に金融問題監視院、いわゆる日本版ペコラ委員会を設置し、金融犯罪・不祥事の真相究明と責任追及を行う。
 第五に、金融政策について、ハイパーインフレにつながる調整インフレは、国民生活を破綻に追いやるものであり、断じて容認をしない。インフレターゲティングに名をかりた調整インフレも同様である。
 これら民主党の主張に対する柳澤金融担当大臣及び竹中大臣の御見解をお伺いし、また、各大臣から明快な御答弁がいただけない場合は再質問させていただくことをあらかじめ申し添えておきます。
 また、竹中大臣が財政金融委員会へ所管大臣として出席できるようお願いをいたし、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣柳澤伯夫君登壇、拍手〕
#18
○国務大臣(柳澤伯夫君) 我が国の金融行政に関する最高責任者は、現在、行政改革が行われた後においてどのようになっているのか、設置法上は内閣総理大臣ではないか、こういうお尋ねがございました。
 内閣府の設置法上、金融庁は内閣府の外局として設置されておりまして、内閣府の長は内閣総理大臣でありますから、金融行政の主任の大臣も内閣総理大臣ということになるわけであります。また、しかし、同じ設置法上、金融庁には、金融行政の重要性等にかんがみ、内閣総理大臣を補佐する特命担当大臣を必ず置くということにされておりまして、金融担当大臣が金融庁の事務という、いわば内閣府に、通常、行革時に考えられておった調整事務あるいは内閣補助事務というようなものと異なる分掌管理事務というものが割り当てられておって、それを担当する大臣として金融担当大臣が任命されておりまして、そこには大きな権限と責任が担わされているというふうに解しているところでございます。
 第二番目でございますが、不良債権の処理に関連して、金融機関と金融庁に対してマーケットの一部から疑念が持たれているという御発言の御指摘がございましたが、これは主として、マクロ的な分析をマーケットの方々がやりまして、その結果と比較して、金融庁の発表するあるいは金融機関が発表する不良債権の状況とどうかといったようなことであるとか、あるいは債務者企業に対する市場の評価とのタイムラグを中心とするずれが原因であるというふうに私どもはとらえているところでございます。
 前者につきましては、つまりマクロ分析との差ということについては、市場に対し、例えば金融検査について、これはもう必然的にミクロの手法によるわけでございますので、それが一体どういうふうに行われているかということについて説明を行うなどして理解を求めることといたしております。それからまた、後者につきましては、これは特別検査というふうに銘打ちましたけれども、このような新たな検査手法をとることによってこのずれを縮小する、解消するということにいたしたところでございます。このような努力によってマーケットからの疑念の解消に努めていく考えでございます。
 第三番目は、銀行等保有株式取得機構の設立を提案し、またRCCの機能強化に賛成する理由についてお尋ねがございました。
 まず、取得機構については、株式の保有制限とワンセットで一つのシステムとして導入されるものでありまして、保有制限のもとで銀行等による株式の処分が円滑に進められるよう市場売却を補完するセーフティーネットとして設立されるものでございます。機構が市場原理をゆがめるのではないかとの点につきましては、銀行等が保有している株式を機構に売却するか市場に売却するかはそもそも任意でございますし、また、機構に売却すると決めたときも、機構による買い取りは時価で行うということが決められておりますから、このような指摘、市場の歪曲を招来するとの御指摘は当たらないものと考えております。
 次に、RCCの機能強化につきましては、先般、金融再生法の改正案が議員提出法案として国会に提出されたと承知をいたしております。これによりますと、このRCCの買い取り価格も時価によるものとされておりますから、不良債権の国家的な飛ばしであるとの御指摘は当たらないものと考えております。
 株式取得機構の設立は市場原理に対する政府の介入であるとの御指摘でございましたが、本法案は、我が国の銀行等による株式保有の現状を踏まえて、株式の保有制限を課するとともに、これに伴う銀行等による株式の処分を円滑に進めるためのセーフティーネットとして機構を設立するものでございます。これは、公共性を有する信用秩序の維持のために必要なものでございまして、市場原理に対する禁じ手との御指摘も当たらないものと考えております。
 機構の公正性の確保についてお尋ねがありましたが、機構の役職員等に対しましては本法律で守秘義務が課されておりますほか、機構の業務に関する重要事項については、業務の適正な運営を確保する観点から、機構の役員に加えて金融に関する専門的な知識と経験を有する第三者をも加えて、その方々をもメンバーとする運営委員会というところで審議することとされております。こうしたことを通じて機構の業務の公正性を確保してまいりたい、このように考えている次第であります。
 民主党が提案している日本版SEC法案についてのお尋ねがありました。
 たびたび議論が出ておるわけでございますけれども、我々としては、金融コングロマリットの出現といった金融の担い手の一体化や金融商品の業態のあるいは商品の壁を超えた一体化といった流れを踏まえますと、銀行、証券、保険の各分野を横断的に所管する金融庁の現体制はこうした流れとは一致しておりまして、金融庁から証券・市場部門のみを分離、独立させて日本版SECを設置しようとする同法案は、その観点で適当ではないと考えているところであります。
 それから、取得機構が最終的に決算を出したときに、もうけは銀行、損が出れば国民にツケを回すのは不公平ではないかとのお尋ねでございますが、本法案では、万一機構に損失が生じた場合には、まずは金融機関の拠出した売却時拠出金、さらには当初拠出金によって補てんをした上で、それでもなお不足する場合に初めて政府による補てんが行われるという順番になっているわけであります。
 他方、利益が生じた場合には、拠出金に相当する金額までは金融機関に配当しますが、なお残余財産があれば、これは国庫に納付してもらうということになっておりまして、このように、官民の間における利益と損失の分配は均衡のとれたものにいたしておりまして、もうけは銀行、損失は国民という御指摘は当たらないものと考えております。
 今回のスキームはワークしないのではないか、損とか得とかという御議論をなさりながら、またワークしないのではないかとのお尋ねもあったわけでございますけれども、本法案につきましては、先ほど来申しておるように、株式保有制限を一方に課しましたので、これに伴って、それに適合するための銀行等の保有する株式の円滑な処分に資そうということを目的として機構が設立されたものでございます。機構は、ETFや投資信託の組成、さらには自社株取得への対応のための買い取りを積極的に行うほか、相場の状況等によって銀行等による市場での株式処分が円滑に進まないような場合に備えてセーフティーネットとして存在させるという制度でありまして、期待された役割をその意味で存在を含めて果たしていくということを考えて御理解を賜りたいと思っております。
 金融機関の資産査定と引き当てに関するお尋ねがございました。
 これはもう言うまでもない一番基礎的に必要なことでございますけれども、これまで、金融機関に対する検査は、過去の決算に対してその適正性を検証してくる、こういうシステムでございました。しかし、この方式においては、タイムラグを中心として市場の評価とのずれが大きくなる可能性が現実に一つの出来事で、そういう状況にあるということを事実によって突きつけられたということを我々考えまして、その状況を改善するため、特別検査を導入し、市場の評価をよりタイムリーに反映するような検査を行うこととした次第であります。
 このように、検査手法についても種々改善を進めていき、銀行の健全性の確保という金融庁の基本的な使命を全うしていくということが私の責任であると考えておる次第であります。
 民主党が提案する具体的な主張についてお尋ねがございました。
 第一に、不良債権を間接処理するということでございますが、私どもとしては、オフバランス化による最終処理が重要であり、これを推進するために、特別検査の実施等により適正な債務者区分及び償却、引き当てを確保するとともに、RCCによる不良債権買い取り機能を強化することといたしたということでございまして、間接処理だけでは、不良債権の処理が終わったと、これは国際社会でも一つの共通の認識として広くとられている考え方であると、このように考えます。
 第二に、株式保有を原則禁止にするということでございまして、私どもの考え方とほぼ同じ方向性での御提案でございますが、株式の価格変動リスクを銀行等のリスク管理能力の範囲内にとどめることが必要でありまして、このため、銀行等の株式保有を制限し適正な規模に縮減することとして、今回、所要の法律案を御審議いただいているところでございます。
 第三に、日本版のSECを設置すべきではないかという御提案でございますが、証券市場の構造改革プログラムを私どもとしても策定いたしておりまして、ここでは厳格な行政処分の実施や証券取引等監視委員会の人員増強による監視機能強化等を図ることといたしております。金融のコングロマリット化等を勘案いたしますと、金融行政の体制というのがいかにあるべきかということについては、現在、国際的にもかなりいろいろな試行錯誤の過程にあるというふうに見るべきと思いますが、我々としては、いわゆる日本版SECの設置は適当でないと考えているところでございます。
 第四に、日本版ペコラ委員会の設置については、国会において御議論いただく事柄でございますが、破綻した金融機関については、金融再生法の規定に基づきまして経営破綻に至った原因の調査が行われているほか、旧経営陣の責任追及も行われるようにという規定がございまして、それに沿った諸般の措置がとられていることは御案内のとおりかと思います。
 第五に、金融政策につきましては、日本銀行において経済、金融の状況を踏まえつつ、適切に判断されるものと承知をいたしております。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣竹中平蔵君登壇、拍手〕
#19
○国務大臣(竹中平蔵君) 峰崎議員から私に対しては三点の御質問をいただきました。
 まず、マーケットの疑念についての御指摘であります。
 日本の金融システムにつきましては、現在、かなりの程度安定を取り戻した中で推移しているものと考えてはおりますが、景気の低迷を背景とする融資先の財務内容の悪化等を背景に不良債権の残高が横ばいで推移しているということ等から、マーケットの疑念が完全には払拭されていないのではないかという指摘もあることは承知をしております。
 このため、さらに不良債権処理を強化するということから、先般の改革先行プログラムにおきましては、緊急に新たな諸施策を講じることにしたところでありまして、これらの施策の実施等によりまして不良債権問題の抜本的な解決を図ることで、より強固な金融システムが構築されるというふうに考えております。
 なお、政府としては、当該問題を含めた金融問題に対して、まさに総理のリーダーシップのもとで、関係大臣が緊密に連携しながら、柳澤大臣が金融担当大臣として取り組んでいるところでございます。
 第二点でありますけれども、これまでの金融行政の誤りを率直に認め、抜本的な危機管理策を実行に移すべきではないかというお尋ねがありました。
 銀行等の株式等の保有の制限等に関する法律案は、日本の銀行等が相当程度の株式を保有しているために、株価の変動が銀行の財務面の健全性、ひいては銀行に対する信認及び金融システムの安定性に影響を与えかねない状況にあるというこの点にかんがみて、株式の保有制限を導入するというものであります。ただし、単に株式の保有に制限を加えるというだけでは、これに伴う銀行等による株式の短期間かつ大量の処分が株価の著しい変動を通じて信用秩序の維持に重大な支障を生じさせるおそれがある、このために、こうしたことのないようにセーフティーネットとして機構を設立するという趣旨のものであります。
 したがって、今回導入する新たな制度は、市場を重視する姿勢を堅持しながらも信用秩序を維持するために必要なものであるということでありまして、市場原理に対する禁じ手という御指摘は当たらないものではないかというふうに考えております。
 第三点でありますけれども、不良債権の処理と金融システムの改革について、これは提案も含めてお尋ねと御指摘がございました。
 この不良債権問題につきましては、日本の経済、財政の分野における第一の課題というふうに我々も位置づけておりまして、迅速かつ果敢に取り組むことにしておりまして、先般の改革先行プログラムにおいても、緊急に新たな諸施策を講じるというふうにしたところであります。これらの施策の実施等によって、遅くとも集中調整期間が終了する三年後には不良債権問題の正常化を目指すことにしており、これによって資金の流れが健全化し、有望な新規産業や新市場に資金が円滑に供給されるようになる、まさにリスクとリターンを反映された市場が形成できるというふうに考えております。
 一方、日本経済の安定的な成長のためには、国内にあります多額の個人金融資産の効率的な投資が促進されまして、次代を担う新しい産業への資金供給がスムーズになされるということは、これは絶対必要であります。このためには、従来型の間接金融に過度に依存した状況を改善して直接金融へよりシフトさせるということは、これは重要なことであるというふうに認識をしております。この点についても、したがって、改革先行プログラムにおいては、個人投資家の証券市場への信頼向上のためのインフラ整備を推進するというふうにしておりまして、これらの着実な推進が、バランスのとれた金融構造を通じて、日本経済のダイナミックな成長につながっていくというふうに認識しています。
 なお、金融政策でありますけれども、これは日本銀行において、経済・物価動向の先行きや政府における本格的な構造改革の取り組みというのを踏まえて、デフレ阻止に向けて機動的かつ柔軟な金融政策運営を行うように期待しているところでありまして、そうした中でインフレターゲティングの是非についても議論を深めていくことが重要であるというふうに考えております。
 最後に、財政金融委員会に出席しろという御指摘がございました。
 これまでも時間の許す範囲で努力をしてきたつもりでございますけれども、一層の努力をこれはさせていただきたいと思っております。
 以上、三点についてお答えを申し上げます。(拍手)
#20
○議長(井上裕君) 峰崎君から再質疑の申し出があります。これを許します。峰崎直樹君。
   〔峰崎直樹君登壇、拍手〕
#21
○峰崎直樹君 大変論議をしたいことは委員会に譲りたいと思いますが、どうしてもやはり代表質問の中でお聞きしておきたい点がございます。
 柳澤大臣に再質問させていただきたいと思いますが、先ほど、なぜマーケットから疑念が持たれているのかという指摘に対して、民間はマクロの分析と比較して金融庁発表にはずれがあるのではないかという点と、債務企業の陥っていくタイムラグ、恐らく今回のマイカルの格付が急速に下がったということを指されているんだろうと思います。
 そこで、それではお尋ねするんですが、実は、たしかあれは衆議院の予算委員会の参考人質疑の中で、破綻をしたそごうという百貨店がございました。このそごうが実は、メーンバンクの頭取さんがそのときに、数年前から実はそごうは債務超過であったということをその場で明らかにされたわけであります。
 そういう意味では、もう既に株式市場で五十円という額面を割ったものがかなり見られます。そういった企業というものが存在していて、そういうところは、いや実はよく調べてみると、破綻懸念先あるいは破綻先ではなくて要注意あるいはある意味では要注意にもなっていない正常先債権と、こういうふうにもなっているわけでありまして、問題は、その要注意あるいは正常先債権というものに実は大変問題があるのではないかということを指摘をされてきて、ようやく今回、そのタイムラグとしてしか今は認めておられませんが、実はそこはタイムラグではなくて、そういったものが恒常的に存在しているのではないかという私たちは質問をしているわけであります。
 改めてその点についてお伺いをしたいと思いますし、特別検査をするということに陥ったことも実はその点に大きな要因があるわけでありまして、金融行政のこれまでの検査に対するやはり問題があったということを私どもは質問せざるを得ないわけであります。その点、お答えを願いたいと思うわけでございます。
 二点目は、六番目に質問しました先ほどのいわゆる特別勘定による買い取り資金の二兆円の政府保証をつけることが不公平な形になっているのではないかということでございますが、形式論理上は今大臣がお答えになったようなことで、一見すると、政府とそれから銀行側とがどちらも損得をしないようなそんな感じに形式上はなっているわけであります。
 しかし、問題なのは、私が質問で指摘をしたように、銀行側が出す株というものは本当に将来値上がりすることがない中身になっているわけでありまして、そういう意味で、通常言われているぼろ株という表現がいいかどうかわかりませんが、そういうものをやはり出さざるを得ないインセンティブがあるがゆえにこういうものが設けられているわけでありまして、私は、やはり二兆円の政府支出というのは、これはやはり大きな問題があるのではないかということを改めて指摘をして、これに対する御見解を求めて終わりたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣柳澤伯夫君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(柳澤伯夫君) 第一問の質問は、マーケットが我が国の金融機関の資産査定あるいはそれに対する金融庁の検査結果、こうしたものに対して疑念を持っている要因として、私、
二つほど主なタイプの要因を挙げさせていただきましたけれども、若干ミクロ的な資産査定ということについて例を挙げられまして、そうした食い違いが起こったことが他の問題も大体そういうようなことになっているんじゃないかという類推を呼んで、そこから疑念が発生しているのではないか、こういう御質問でございました。
 具体の例も、個別企業を挙げられまして、この点については、何と申しますか、さんざん議論をされてきたことでございますので、私もここで議論させていただいても構わないとは思いますが、この件につきましては、私どもとしては、私どもで整々とした手続を踏んでそれぞれの段階での資産査定をし、そしてその処理の方法を決めてきたということでございます。
 それに対して、確かに今、峰崎議員が御指摘になられたように、メーンバンクの方が突然そういうようなことを言われたわけでございまして、私もそれは承知をしているわけでございますけれども、そういうことを帳簿の上ではっきりさせているわけではございません。そういうようなことで、これはもう皆さん、資産の評価というのは非常に見方によって違いますので、そういうような見方を当時しておった人もいるというようなことであったかというふうに思います。
 これは、いずれ皆さんと委員会で議論をしますが、この資産の査定というものといいますか、評価というのは、あくまでも評価でありまして、絶対的なものというのはなかなか見出しがたい、見方によっては、それをある基準でもってやっているというのが現在のやり方でございまして、我々としてはその基準に沿ってやったということでございまして、ぜひ御理解を賜っておきたい、このように思います。
 それから第二番目には、峰崎議員もお認めになられましたように、やっぱり我々の言い分にも一理あるというような表現をいただいたわけでございますけれども、これはどこを中心に考えて、そこから損が発生し、あるいは利益が発生したという、この移動というのは、ほぼこれは確率の問題というか、これから市況がどうなってくるかで、これ、だれも予想はできないわけです。こっち側から、株が下がるということでも第一次的にまずその負担に応ずるのは民間側ということになっておりますので、今度はもうかる方についても第一次的に利得を得るのは民間側、そういうことで全体をバランスさせているということでございますので、これはぜひ御理解を賜りたい。
 それから、そういうことならむしろ損だけする確率が高いようなぼろ株ばっかり買うんじゃないかということについては、御案内のように、それはもう一定水準以上、投機の株ではなくて投資適格性のある株式ということで制限が置かれることは、もう峰崎議員ほどの御専門家であればつとに御承知をいただいていることかと思います。
 以上でございます。(拍手)
    ─────────────
#23
○議長(井上裕君) 大門実紀史君。
   〔大門実紀史君登壇、拍手〕
#24
○大門実紀史君 私は、日本共産党を代表して、銀行等保有株式等制限等法律案について質問をいたします。
 まず、現在の経済情勢の認識について伺います。
 完全失業率が過去最悪の五・三%、潜在失業者を含めると十人に一人という人が失業しているというのはまさに非常事態であり、小泉内閣、特に経済閣僚の責任は重大であります。
 ところが、小泉総理や竹中大臣は、構造改革なくして景気回復なしと壊れたテープレコーダーのように繰り返すだけであります。ほかに言うことはないのでしょうか。これは言いかえれば、景気対策はやらない、需要対策はやらないということであり、その結果が今回の五・三%という未曾有の失業率を招いたのではありませんか。
 竹中大臣に伺います。
 あなたは、過去最悪の失業率となっても、これは構造改革を進める上で当然の結果であり、やむを得ないというお考えですか。答弁を求めます。
 竹中大臣は、IT不況やテロ、アメリカ経済の失速を理由に骨太方針のシナリオが狂い始めたと衆議院の予算委員会で発言をされました。
 しかし、日本経済は、アメリカのテロが起こる前から悪化の一途をたどってきたのであります。経済の悪化をアメリカのせいにするなら、そもそもアメリカ経済の好況を当てにしてきた骨太方針や、あなたの経済見通しが甘かったことを証明するだけのことではありませんか。大臣のお考えをお聞きします。
 この間の失業率の増大の最大の要因になっているのが大企業のリストラであります。ことしに入って、中小企業では全体として雇用が増加しています。ところが、従業員五百人以上の大企業では、ことし九月現在で、昨年に比べて四十五万人も削減されている。五カ月連続の減少であります。これは、あなた方が構造改革を唱え、競争力強化、生産性向上のかけ声のもと、大企業のリストラを奨励してきたことの結果にほかなりません。
 小泉構造改革そのものが失業率を悪化させていることについて、竹中大臣は経済政策の担当者としてその責任をどう考えているのか、明確な答弁を求めます。
 内閣府の消費動向調査でも、現在の需要低迷の最大の原因が国民の雇用不安にあることを認めています。しかし、この雇用不安をあおっている張本人は、不良債権の最終処理を掲げ、リストラを奨励、支援してきた小泉内閣自身ではありませんか。今や、小泉構造改革そのものが雇用不安をあおり、現在の需要の低迷を引き起こしている最大の原因と言わざるを得ません。
 私は、今の不況はまさに小泉不況の段階に入ったと考えますが、竹中大臣の認識を伺います。
 国民の皆さんが苦しんでいるときに、事もあろうに大銀行には手とり足とり放漫経営の後始末までつけてあげようというのが今回の法案であります。
 本法案は、銀行の株式の保有を制限し、銀行が放出する株を買い取るための機構をつくり、機構が銀行から買い取った株に損失が出た場合はその穴埋めのために公的資金を投入し、その負担を国民に押しつけようとするものであります。
 まず初めに、そもそもこの機構が本当に必要なのかどうかについてお聞きしたい。
 衆議院の参考人質疑では、出席された全国銀行協会の山本会長がこの機構について、一部の銀行を除いて業界としてのニーズはない、我々は市場売却を中心に考えると発言をされています。当の銀行業界自身が自助努力でやれる、機構なんか要らないと言っているのに、わざわざ公的資金を用意してまで機構をつくる必要がどこにあるのですか。柳澤大臣、明確にお答えください。
 現在、自己資本相当額を大きく超えて株式を保有しているのは一部の大手銀行です。大手銀行十六行のすべてが自己資本相当額を超えて株を保有し、そのうち九行の保有額は一五〇%を超えています。機構の買い取り対象となるのは専らこれら一部の大銀行であることは明らかです。自分で株式の売却を進められないほんの一部の大銀行を救うためにわざわざ機構をつくって、その損失を国民が肩がわりする必要がどこにあるのですか。
 大銀行は、これまでの株式の含み益を吐き出して莫大な利益を手にしてきました。大手銀行十六行で過去五年間に総額十六兆四千億円を超える株式の売却益、都銀九行だけでも過去五年間で十二兆円もの利益を上げています。これまで株でさんざん利益を上げておきながら、株価が低迷したらその負担は国民に回す、こんなやり方はどう見ても筋が通らないのではありませんか。それでも国民の理解を得られると柳澤大臣はお考えですか。
 法案は、機構をつくる目的を、銀行等による株式の短期間かつ大量処分により、株価の著しい変動を通じて信用秩序の維持に重大な支障が生じることのないようにするとしています。
 しかし、この間、銀行が毎年二兆円から三兆円の規模で株式の売却を行っていますが、それが株価の低迷の要因になっていないことは、金融庁の幹部からも、銀行の代表からも、また産業界の代表からも指摘されているではありませんか。それとも、柳澤大臣は、この間の株価の低迷が銀行の株式売却によって引き起こされた、そのために著しい変動を生じさせたとでもお考えなのですか。明確に答弁をしていただきたいと思います。
 結局、本法案は、銀行の株式損失のリスクを国民に肩がわりさせようとする以外の何物でもありません。
 日本の銀行が抱える不良債権が問題になってもう十年以上になります。いまだに不良債権はなくならない、むしろこの不況で新しい不良債権がどんどんふえています。幾ら公的資金を銀行に投入しても、結局、問題が解決しないことは既に証明されているではありませんか。
 そもそも株価は実体経済を映し出す鏡であります。不良債権をなくすためにも、株価の安定のためにも、大銀行支援に明け暮れるのではなく、実体経済を温めることこそ今求められているのではありませんか。
 本法案は、金融のゆがみを一層拡大するものであり、世界でも類のない荒唐無稽な銀行支援策であります。国民には痛みばかり押しつけ、大銀行には至れり尽くせりのメニューを用意する、こういう小泉構造改革そのものを直ちに撤回すべきであることを申し上げて、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣柳澤伯夫君登壇、拍手〕
#25
○国務大臣(柳澤伯夫君) 銀行業界自身が自助努力でやれると言っているのに、機構をつくる必要があるのかというお尋ねがございました。
 政府といたしましても、まずは銀行等がみずからの努力によって株式を市場に計画的に売却し、保有制限を達成するよう努めていくべきものと考えておりまして、このことは法案にも明記されているところであります。
 しかし、それだけにゆだねるときは、銀行等による株式の短期間かつ大量の処分によって株価の著しい変動が起こる、そのことを通じて信用秩序の維持に重大な支障が生ずるおそれもある。このような考え方から、そうした事態は避けるべきだ、このように考えて、市場売却を補完するセーフティーネットとして機構を設立することが必要であると考えたわけでございます。
 それから、一部の大手行を救うための仕組みではないかとのお尋ねでございますが、我が国の金融システムは、システムという言葉で表現されますように、事実として大手行を中心に、それとの強い関連のもとで地域銀行等を含め一体のものとして構成されておりますので、直接的には大手行に関連する施策でありましても、その大手行が安定することが地銀等の安定にも資するという、そういうシステムの安定というものはそういうものだということを御理解賜りたいのであります。現に機構の設立についても、このような考え方のもとで、できる限り多数の銀行の参加が期待されているところでございます。
 それから、株価が低迷したらその負担は国民に回すというやり方は国民の理解を得られないのではないかというお尋ねがございました。
 本法律案は、金融システムの構造改革に向けて、銀行等の株式保有のリスクを限定するために保有制限を課そうということでございまして、そういうことをする以上、これに伴う銀行等による株式売却が円滑に進められるように、公的支援を背景としたセーフティーネットとしての機構を設立することも必要でありまして、それは公共性を有する信用秩序の維持のためにも必要なものであると考えるわけでございます。
 それから、本法案の目的から見て、ここ数年の株価の低迷は銀行の株式売却によるものと認識しているのかというお尋ねでございました。
 機構は、新たに、先ほど来申し上げておるとおり、株式保有の制限をするのに伴って、銀行等による株式の処分が円滑に実現するように、そういうことのセーフティーネットとして設立されていることは繰り返すまでもないと思います。
 株価でございますけれども、株価はさまざまな要因を背景に市場において決定されているものでございまして、特に短期的な要因というものを特定することは極めて困難でありますが、市場においてどういうことが言われているかというと、世界的な景気減速による影響、企業業績の先行きに対する懸念、株式市場における需給関係等についても言及される場合が多いわけでございまして、私どもとしては、少なくとも短期的には株式の需給というものも価格に影響を与えるということは、これは否定すべくもない、そのゆがみをこの機構によって取り除こうということであることをぜひ御理解賜りたいのでございます。
 それからその次に、不良債権に関するお尋ねがございました。
 金融庁といたしましては、金融機能が十分発揮されるためには、金融システムが安定し、内外からの信認を得ていることが必要であるという認識のもとでおつくりをいただきました金融再生と早期健全化のための緊急二法というものを活用して、一九九八年度以降この処理に当たってきたところでございます。
 不良債権の残高は微増をしておるという御指摘もありましたけれども、これらは早期健全化法に基づく資本増強制度の活用によって、金融機関が積極的な引き当て等を行っております。問題は、その残高が減らないということだけで不良債権問題の解決が進捗していないというのも誤りでして、やっぱりその残高が減らないことについては、我々は、これはひとつ直接処理でもって残高の減少にも努めていこうということを新しい施策として打ち出していることでありまして、御理解を賜りたい。
 いずれにせよ、構造改革に資する観点から、不良債権の最終処理への取り組みを一層強化していく必要があると考えておりまして、先般の改革先行プログラムに盛り込まれた諸施策を果断に実施することによりまして、遅くとも集中調整期間が終了する三年後には不良債権問題を正常化することを目指して、全力を尽くしてまいる所存でございます。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣竹中平蔵君登壇、拍手〕
#26
○国務大臣(竹中平蔵君) 大門議員から四点、私に質問をいただいたと思います。
 まず、失業率についてのお尋ねがありました。
 九月の完全失業率五・三%、過去最高の水準であり、有効求人倍率〇・五七倍、前月より〇・〇二ポイント低下ということでありまして、雇用情勢は大変厳しいというふうにもちろん私も認識しております。
 しかしながら、重ねて申し上げますが、このような時期にあってこそ、規制改革等の制度改革を積極的に推進するなど、構造改革を加速させることにより雇用創出に努めることが極めて重要であるというふうに考えます。
 失業率上昇の大きな要因は、長年にわたって構造改革がむしろおくれてきたからであって、グローバル社会での日本経済の競争力が低下したからであるというふうに考えます。だからこそ、構造改革を一層進めることが失業問題の長期的な解決の私は王道であるというふうに考えます。
 第二に、アメリカを中心とした外需に依存した経済の見通しがそもそも甘かったのではないかとのお尋ねがありました。
 アメリカ経済の動向については、日本経済に大きな影響を与えるものでありますけれども、先行きは不確定要因が多く流動的であることから、今後日本経済を見通すに当たっても一定の前提を置くことがどうしても必要になります。
 日本は、六月の基本方針策定と同時に再生シナリオを私たち発表しておりまして、その中で、今後二、三年は平均してゼロないし一%程度の低い成長になることを甘受しなければならないということを申し上げました。この時点で、世界経済は減速し、アメリカ経済は既に弱いものになっておりましたけれども、海外経済の減速が長期化しないという想定のもとでこのような見込みを示したものであります。
 当時、アメリカ経済は弱い状態にあり、減速をしながらも一部に底がたい動きが見られ、消費者心理に下げどまりの兆しが見えておりましたことからこのような想定を置いたところでありまして、その時点での見通しが甘かったというふうには考えておりません。
 なお、経済は日々刻々動くものでありますから、状況判断に当たっては、十分に情報収集に努力して分析した上で適切な判断をしていきたいというふうに考えております。
 第三点、失業率の上昇は構造改革の結果生じたものではないかというお尋ねがありました。
 失業率が五・三%、これはもう先ほど申し上げたとおりでありますけれども、このような厳しい状況から再生するためには、やはり構造改革なくして成長なしの決意のもとで、潜在的な成長力を生かして、構造改革を強力、迅速に行うことが重要であるというふうに考えております。
 しかしながら、同時に政府としては、構造改革に伴って生じる痛みに耐え得るようなセーフティーネットを整備するということも重要な課題というふうに考えております。このため、先般、産業構造改革・雇用対策本部において総合雇用対策として総合的な施策パッケージを取りまとめたところでありまして、この中に盛り込まれた施策のうち、特に急いで取り組むべきものについては改革先行プログラムに織り込んだところであります。政府としては、今後とも引き続いて、雇用に係るセーフティーネットの整備に万全を期してまいりたいというふうに考えております。
 第四点として、構造改革が景気を厳しくしている原因なのではないかというお尋ねであります。
 御指摘の消費動向調査においても、確かに雇用環境に関する意識の悪化が見られております。このような厳しい経済状況から日本を再生するためにも、先ほど申し上げたとおり、やはり構造改革を進めなければいけないという決意のもとで、日本経済の潜在的な成長力を生かして、民需主導の自律的な経済成長を達成してまいりたいというふうに考えております。
 改革工程表に盛り込んだ施策のうち、緊急のものについては、補正予算の措置も含めまして改革先行プログラムとして既に取りまとめております。これらに従い構造改革を加速するとともに、工程表に従って着実に改革を進めることが私たちの責務であるというふうに考えております。
 以上、四点についてお答えを申し上げます。(拍手)
#27
○議長(井上裕君) これにて質疑は終了いたしました。
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#28
○議長(井上裕君) 日程第一 銀行法等の一部を改正する法律案(第百五十一回国会内閣提出、第百五十三回国会衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。財政金融委員長山下八洲夫君。
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   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
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   〔山下八洲夫君登壇、拍手〕
#29
○山下八洲夫君 ただいま議題となりました法律案につきまして、委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、最近における銀行業、保険業その他の金融業等を取り巻く社会経済情勢の変化に対応し、銀行等の的確、公正かつ健全な経営を確保しつつ、我が国金融の活性化を図るため、銀行等の株主に関する制度の整備を行うとともに、銀行の営業所に関する規制等について所要の見直しを行うものであります。
 委員会におきましては、銀行業への異業種参入の評価、主要株主の適格性基準の明確化の必要性、主要株主を二〇%以上の株式所有者とする根拠、機関銀行化の弊害防止のための大口信用供与規制のあり方、普通銀行本体で信託業務を解禁する趣旨等について熱心な質疑が行われましたが、その詳細は会議録に譲ります。
 質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表し池田幹幸委員より本法律案に反対する旨の意見が述べられました。
 討論を終了し、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対し附帯決議が付されております。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
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#30
○議長(井上裕君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#31
○議長(井上裕君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#32
○議長(井上裕君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百二十三  
  賛成             二百六  
  反対              十七  
 よって、本案は可決されました。(拍手)
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   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
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#33
○議長(井上裕君) 日程第二 出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案(内閣提出)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。法務委員長高野博師君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
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   〔高野博師君登壇、拍手〕
#34
○高野博師君 ただいま議題となりました出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案につきまして、法務委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、ワールドカップサッカー日韓共催大会の開催を来年五月に控え、いわゆるフーリガン対策等が求められていることから、我が国で開催される国際競技会等の円滑な実施を妨げる目的をもって暴行等を行う外国人を上陸拒否及び退去強制の対象とするとともに、外国人犯罪の現状にかんがみ、刑罰法令違反者等に係る退去強制事由を拡大し、あわせて入国審査官による事実の調査に関する規定の整備等を行うものであります。
 委員会におきましては、出入国管理行政の基本姿勢と本改正との関係、フーリガンと国際会議で暴行を行うおそれのある者等を同様に扱う理由及びこれによりNGO等の活動が制約される可能性、入国審査官が事実の調査を行うに当たって人権に配慮する必要性、最近の不法入国の態様と政府の対策の現状等の諸問題について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知を願います。
 質疑を終局し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対して附帯決議を行いました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
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#35
○議長(井上裕君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#36
○議長(井上裕君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#37
○議長(井上裕君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百二十一  
  賛成           二百二十一  
  反対               〇  
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
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   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
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#38
○議長(井上裕君) 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時四十五分散会
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ソース: 国立国会図書館
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