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2001/11/14 第153回国会 参議院 参議院会議録情報 第153回国会 本会議 第10号
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2001/11/14 第153回国会 参議院

参議院会議録情報 第153回国会 本会議 第10号

#1
第153回国会 本会議 第10号
平成十三年十一月十四日(水曜日)
   午後零時二分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第十号
    ─────────────
  平成十三年十一月十四日
   正午 本会議
    ─────────────
 第一 地方税法等の一部を改正する法律案及び
  租税特別措置法等の一部を改正する法律案(
  趣旨説明)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(井上裕君) これより会議を開きます。
 日程第一 地方税法等の一部を改正する法律案及び租税特別措置法等の一部を改正する法律案(趣旨説明)
 両案について、提出者から順次趣旨説明を求めます。片山総務大臣。
   〔国務大臣片山虎之助君登壇、拍手〕
#4
○国務大臣(片山虎之助君) 地方税法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 証券市場の構造改革に資する観点から、個人住民税について、所得税において源泉分離課税を選択した株式等に係る譲渡所得等を課税の対象としない措置の期限を平成十四年十二月三十一日までとするとともに、平成十五年一月一日以後に譲渡をする上場株式等について上場株式等の譲渡に係る軽減税率の特例及び上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除制度を創設するほか、所要の規定の整備を行うものであります。
 以上が地方税法等の一部を改正する法律案の趣旨であります。(拍手)
    ─────────────
#5
○議長(井上裕君) 塩川財務大臣。
   〔国務大臣塩川正十郎君登壇、拍手〕
#6
○国務大臣(塩川正十郎君) ただいま議題となりました租税特別措置法等の一部を改正する法律案の趣旨を御説明申し上げます。
 本法律案は、証券市場の構造改革に資する観点から、個人が上場株式等を譲渡する際の課税について、申告分離課税への一本化、税率の引き下げ、譲渡損失の繰越控除制度の導入等を図るとともに、緊急かつ異例の措置として、新規購入額一千万円までの要件を満たすなど一定の上場株式等に係る譲渡益について非課税とする措置を講ずるものであります。
 以下、その大要を説明申し上げます。
 第一に、国民が安心して参加できる、透明性、公平性の高い証券市場の構築に資する観点から、株式譲渡益に係る源泉分離選択課税を平成十四年末をもって廃止し、申告分離課税へ一本化するとともに、平成十五年一月以後に譲渡する上場株式等について、申告分離課税の税率の引き下げ、譲渡損失の繰越控除制度の導入を行うこととしております。
 第二に、最近の経済情勢等を踏まえ、緊急かつ異例の措置として、個人が平成十四年末までに新たに購入した上場株式等を、平成十七年一月から平成十九年末までの間に譲渡した場合において、その購入額が一千万円に達するまでのものに係る譲渡益について、一定の要件のもと、非課税とする措置を講ずることとしております。
 その他、既存の百万円特別控除制度の適用を平成十七年末まで延長するとともに、平成十三年九月末以前に取得した上場株式等に係る取得費の特例を創設するなど、所要の措置を講ずることといたしております。
 以上、租税特別措置法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を説明申し上げた次第であります。
 よろしくお願いいたします。(拍手)
    ─────────────
#7
○議長(井上裕君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。櫻井充君。
   〔櫻井充君登壇、拍手〕
#8
○櫻井充君 私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となりました地方税法等の一部を改正する法律案及び租税特別措置法等の一部を改正する法律案について質問いたします。
 二十世紀の最後の十年は失われた十年と言われています。その原因は、多くの問題を先送りにしてきた自民党政権にあります。不良債権処理、財政再建、医療制度改革等、例を挙げれば枚挙にいとまがありません。
 実は、証券税制の改正も先送りされたその一つです。
 平成十一年度税制改正では、金融システム改革、いわゆる日本版ビッグバンを促進する観点から、有価証券取引税等の廃止によって取引コストの削減を図る一方、譲渡所得について申告分離課税との選択制になっていた源泉分離課税を廃止することにより、国、地方を通じた課税の適正化を図ろうとするものでした。
 しかし、政府は、私たち民主党の主張に反し、申告分離課税への一本化は個人投資家の株離れを招き、経済に悪影響を及ぼしかねないとして、源泉分離課税制度の廃止を二年延長しました。現在、経済状況は安定したのでしょうか。今年度のGDP、国内総生産はマイナスになるとも言われておりますし、株価は一万円前後で低迷し、そして失業率は五・三%と悪化しています。総合的に見て、一昨年より経済状況は悪化しているのではないでしょうか。
 もし、本当に申告分離課税への一本化により、個人投資家の株離れを招き、経済に悪影響を及ぼしかねないというのであれば、なぜこの時期に改正を行わなければならないのでしょうか。昨年は衆議院選挙、ことしは参議院選挙が行われ、衆議院の解散でもなければ当分選挙はありません。自分たちにとって不利になるような法改正は選挙のない時期にやってしまおうというこそくな魂胆は見え見えです。税のあるべき公平性、中立性は無視し、党利党略で国政を担っているのではこの国はよくなるはずもありません。
 改めてお伺いいたします。申告分離課税への一本化は経済に悪影響を及ぼすのか、そして、もし本当にそうであるとすれば、なぜ景気の悪化が懸念されるこの時期に法改正を行うのか、塩川財務大臣、御説明ください。
 最近、与党の国会運営を見ていると、民主党が提案した法案を審議せず、次の国会でさも自分たちが作成した施策のような顔をして法案を提出しております。例えばホームレス対策法もそうですし、刑法の改正案も民主党の危険運転致死傷処罰法案のパクりです。
 小泉総理は就任時、よい案であれば野党の案でも取り上げていきたいという趣旨の発言をされております。実は、この申告分離課税に一本化し税率を二〇%にするということは、以前から民主党が主張していたことであり、民主党案がもとになっていたのではないでしょうか。
 このような行為を繰り返すのではなく、野党の案であっても、よい案は政府としてもそれをもとにきちんと議論すべきではないでしょうか。塩川財務大臣の御所見をお聞かせください。
 現在、我が国の証券市場の課題は、個人投資家の市場参入への促進です。このための税制の整備は必要なことではありますが、もちろんこれだけで十分とは言えません。
 例えば東証マザーズに上場された株価の推移を見てみると、三十八の上場企業のうち、上場時と比較して株価が上昇したのはわずか七企業、残りの三十一の企業の株価は下落しています。これでは個人投資家に信頼されるはずもなく、むしろこのような株式を上場した東証マザーズの責任を問われても仕方ないと思われます。所管である柳澤金融担当大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
 また、バブル期に発生した大手顧客に対する損失補てんや相場操縦、インサイダー取引などの不公正取引は、証券市場に対する個人投資家の信頼を失わせる大きな原因となっています。証券取引委員会が本来の役割を果たし、証券市場の監視体制を強化することは、間接金融に偏重した我が国金融市場の構造を直接金融により重視した構造に変えていくことに大いに資するものと考えます。
 そこで、私たち民主党は日本版SECをつくることが必要だと考えていますが、柳澤金融担当大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
 小泉政権発足直後、その期待感から株価は一万四千円台までに回復しました。しかし、構造改革が一歩も進まないため株価は低迷し、現在一万円前後で推移しています。
 塩川財務大臣は、構造改革の進捗状況に関して、十月二十五日の財政金融委員会で、我が党の峰崎直樹議員の質問に対して、構造改革が進まないではないかというお話ですが、よく細かく拾ってまいりますと改革は相当進んでいる、例えば、タクシーの運転手さんが構造改革によって我々は非常に苦しい立場になっているとおっしゃる、これはやっぱり改革がもたらした痛みだと思うという答弁をされました。
 そこで、十一月一日の財政金融委員会で、私がどのような改革が行われたのかと尋ねたところ、細か過ぎてわからないと、非常に無責任な答弁をされました。
 後日、その内容について文書で回答をいただきました。文書でいただいたことには感謝いたしますが、その内容は構造改革が進んだとは言えないものでした。
 塩川大臣は、就任時も、官房機密費に関するテレビ発言の内容について、忘れたととぼけられておられましたが、この景気の悪化の中、一国の財政を預かる方が、構造改革による痛みなのか、構造改革が進まないから痛みだけがふえているのかも判断できないのであれば、その地位にいる資格はないと言わざるを得ません。後進に道を譲るのも選択肢の一つと思いますが、塩川財務大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
 この株価の下落は、日本経済、特に金融システムに悪影響を及ぼしています。例えば、金融機関においては、株の含み益を不良債権処理の原資として用いるはずでしたが、逆に含み損を発生させ、自己資本比率を低下させています。また、生保業界では、株価の下落により利差益がマイナスとなり経営を圧迫しています。
 このことから考えても、株価は日本経済に対して非常に重要ですが、だからといって、株式会社の財務状況が変わらないままに、ただ株価だけを上げてやればそれで解決するというものではありません。
 今回の政府の緊急投資優遇措置は、個人が、改正規定の施行日以後平成十四年末までの間に購入した上場株式等を、平成十七年から平成十九年までの三年間に譲渡した場合において、その購入額の合計額が一千万円に達するまでのものに係る譲渡益については、一定の要件のもと、非課税にするという内容です。
 この施策は、株価だけを上げてやればそれでよいという小手先の方法で、根本的な解決方法ではありません。ましてや、この程度の対策で株価が大幅に上がるとは思えません。政府として、この施策によりどの程度株価を押し上げるとお考えなのか、塩川財務大臣及び竹中経済財政担当大臣の御見解をお伺いいたします。
 それでは、我が国の個人投資家がなぜ市場に参入しないのでしょうか。その一番の理由は、投資に対しての利益が低いからであると思われます。世界と比較してみると、日本の投資に対する利益率は数%で、ドイツの約一五%、アメリカの二十数%と比較するとかなり低いことがわかります。これでは、個人投資家が市場に参入しないのも当然です。
 今、政府がとらなければいけない対策は、企業の利益率を上げさせる施策ではないでしょうか。そのためには、ストックオプションの拡充やコーポレートガバナンスを強化すること、そして産業構造全体を変えていくこと等が考えられますが、竹中経済財政担当大臣の御所見をお伺いさせていただきます。
 現在の上場企業の中には、株価が額面割れしている企業もあります。要するに、投資する価値のないような企業も含まれているということです。今回の緊急投資優遇措置は、端的に言えば、投資しても利益が出るかどうかわかりませんが、とにかく株式に投資すれば税制を優遇しますよという内容です。これでは、株式市場に参入した個人投資家の多くの方が損をしてしまう可能性があり、正直、国家的詐欺行為のように思えてなりません。
 実は、このような場当たり的な対応は株価対策だけではありません。与党の一部から聞こえてくるデフレに対する対応策も、まさしくそのとおりです。
 デフレは確かに問題ですが、だからインフレにしてやればよい、そういう単純なものではないだろうと思います。ましてや、これまでの政府の無策のためにこのような経済状況をつくり出しているにもかかわらず、日銀を悪者扱いにしている議員の方々が数多くいらっしゃることは本当に重大な問題です。この方々は本気で金融緩和すればすべてが解決できると思っていらっしゃるのでしょうか。
 政府として、このデフレをつくり上げている原因は日銀の金融政策にあり、インフレターゲティングにより解決できるとお考えなのか、竹中経済財政担当大臣にお伺いいたします。
 現在、日銀が量的緩和を行っていますが、一般の金融機関の融資額は減少しています。この原因は、不良債権をふやさないように金融機関が融資を極力控えていること、また、企業も景気の先行きが不透明であり、また金融機関の貸しはがしが続いているために設備投資に消極的になっているためです。
 つまり、この状況を解決するためには、企業も金融機関も不採算部門を切り捨て、経営者を含めた大胆なリストラ等を行うことにより、企業の利益を上げることが非常に重要です。
 株価が下がっているからただ上げればよい、デフレだからインフレにすればよいという単純なものではなく、その原因をきちんと整理することが必要です。
 政府の対応を見ていると、きちんとした診断もせず、その場しのぎの対症療法を行っているやぶ医者としか思えません。やぶ医者に任せていてはよくなる患者も悪くなる一方です。
 失われた二十年となりませんよう、今、大胆な改革を実現できる民主党が政権を担う必要があることを訴え、また、関係大臣の御答弁が十分でない場合には、再質問をさせていただくことをあらかじめ申し添えさせていただき、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣塩川正十郎君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(塩川正十郎君) 私に対する質問は非常に多様にわたっておりましたので、質問漏れないように心してお答えいたしたいと思っておりますが、もし漏れましたら、また注意をしていただいて結構であります。
 物の見方というのは裏表ありますが、野党の方から見るとあのような質問になるのかなと思うて聞いておりました。
 まず最初に、まず第一問は、申告分離課税への一本化が経済に悪影響を及ぼすのであれば、なぜ景気の悪化が懸念されるこの時期に法改正を行うのかということでございました。
 この件につきましては、もう既に二、三年前から議論が与野党との間にございました。そこで、昨年の暮れでございましたが、税制改正のときに申告分離課税を二年間残そうということは、これは与党も野党の方も意見はございました。そのときの意見といたしましては、この分離課税を廃止すると株の売買の実績がうんと落ちてしまうから残しておけということでございましたが、今日、経過いたしましてその状況を見ました場合に、逆に分離課税をやってもふえておらないということは事実として上がってまいりました。それよりも損失繰越控除制を導入してほしいというのが一般投資家の声でございましたので、今回、一本化をすると同時に損失繰越制度を導入することによって一層の株価刺激を図った、こういうことでございますので、御了解いただきたいと存じます。
 二番目の問題は、申告分離課税に一本化し税率を二〇%にするということは、以前から民主党が主張しておったことであり、民主党案に基づいてやったのではないかと。野党の案でもよい案は政府としてもきちんと議論すべきではないかと。
 この趣旨を生かして、やはり政府としても二〇%いいなということでやった。さらにもう一つ、特例措置として一〇%下げると。いいことをやっているんですから、ここはやっぱり評価してもらわないかぬと思うのでございまして、私はかたくなな気持ちは持っておりません。野党でもいい案があったらどんどんおっしゃっていただきたい。そこに議会が生きてくる道があるのでございますから、意見があれば言っていただきたい。かたくなにおれが言ったのを横取りする、けしからぬ、そういう小さい根性ではいきませんから、どうぞよろしくお願いいたします。
 三番目の問題、現在の景気悪化は構造改革の進展に伴うものなのか、構造改革が進展していないためのものなのか、景気の悪化はどうなのかということでございまして、私たちは、考えてみますと、十数年の間必死になって補正予算を組んで、そして景気の浮揚をやってまいりました。その間に少しの補正予算を公共事業に投入すると一%ぐらいGDPが上がる。ちょこっとこう、こういう波をくぐってきた。そして、絶えずそういう刺激剤を、いわゆるカンフル注射を打っては景気を上げ、そしてまた落ち込む、この繰り返しをしてまいりましたので、十数年続いてまいりましたがため体力が弱ってしまっておる、この上げたり下げたり上げたり下げたりで。
 このことは、この根本原因はどこにあるかということになりますと、やっぱり高度経済成長時代の制度を変えなければ、ここは、安定成長したいわば景気下降時代に入ってきた、そういう経済体制がグローバリゼーションから来ておるのに、それを一時的な措置で繰り返しておって体力を消耗してきた。この際、構造を変えようではないかというのが今回の小泉内閣の主張でございます。
 それじゃ、構造を変えるのに、ようかんをかみそりで切ったように、あしたからようなるんだ、そんなことはありません。やはり法律を変えなきゃなりませんし、時間がかかります。今、構造改革の進行中でございますので、それをしばらく冷静にやっぱり協力をしてもらわないかぬ。
 タクシーの話が出ました。私はあれを一つの例としたんです。構造改革をするということは、痛みの出る人もあるということを言いました。けれども、国民全体にとってはいい。タクシーの運転手さんにとっては非常につらいことです、これは私たちもよくわかります。また、経営者にとっては、タクシーの経営者にとってもつらいことだろう。しかし、一般国民、多くの方々は、これによってタクシーはサービスようなった、乗ったときこんにちはとは言わぬけれども、おりるときにありがとうございましたと言いますから、これだけでも変わってきた。こういうことが構造改革なんです。一つ一つをつかまえて、これを点検せずにおっしゃるのはどうかと思います。
 それから、今回、緊急投資優遇措置をいたしました。二年間保有していただいたならば、平成十七年以降十九年末までの間でお売りになっても、その利益に対しては課税しませんという措置を講じました。
 これは、私は、一つの、証券に対する国民の関心を持っていただくために、そして、間接金融から直接金融への道を開きたいと思いましてこういうことを措置いたしたのでございまして、そのことはどのような成果があるかわかりません。しかしながら、こういう改革をすることによって、やっぱり新しい刺激が生まれ、そしてまた構造全体、いわゆる証券に対する考え方も変わってくる、いい結果が必ず出てくると思っておりますし、これによって、やはり私は、国民の貯蓄のあり方、そして資産構成の考え方、今まで土地ばかりに頼っておった資産ではなくて、証券にも投資していこうという、そういう機運が生まれてくること、それを望んでおることでございます。
 以上、五つございましたので、お答え申し上げた次第です。(拍手)
   〔国務大臣柳澤伯夫君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(柳澤伯夫君) 私に対しては、東証マザーズ上場企業のうち株価が上昇している企業が少ないのは上場した東証に責任があるのではないかと、こういうお尋ねでございました。
 株価につきましては、さまざまな要因を背景に自由な市場の需給関係で決まってくるものでございまして、マザーズ上場企業の株価につきましてもそのようなものと心得ております。したがいまして、市場の監督当局としてこれについてコメントすることは差し控えるべきであろうと、このように考えます。ただ、その際、我が国の株式市場の株価は、最近、企業の業績低迷等を背景にして全体として下落していること、このことにも留意して見るべきであろうと、このように考えております。
 東証も、マザーズの上場審査に当たっては、成長可能性のある新興企業を対象とする市場であることに留意をし、企業内容のわかりやすい開示、投資判断上のリスクの適切な開示など、企業情報をより充実した内容で投資家に提供することとしているものと承知をいたしております。
 当局といたしましては、各取引所が上場審査基準の適正な運用等によりまして、今後とも、証券市場の適切な運営を行うよう最大限の努力をしてまいりたい、このように考えております。
 次に、監視体制の強化や日本版SECの必要性についてのお尋ねでございます。
 証券市場の監視につきましては、証券取引等監視委員会が日常的に市場監視活動を行いまして、取引の公正を害する悪質な違法行為に対しましては刑事訴追を求めるなど、厳正に対処をしているところでございます。
 今後、証券市場の活性化や構造改革を一層促進するためには、証券取引等監視委員会のさらなる体制強化が必要である、こういう認識を持っておりまして、必要な人員の確保につきましては、ぜひとも関係当局の理解を得て監視体制の強化を図ってまいらなければならない、このように考えております。
 なお、日本版SECの設置について、民主党御提案の案につきましてお触れになりました。このことについては、たびたび委員会等でも既に議論をしているところでございますが、私どもとしては、金融についてはコングロマリット化が進んでいるということや、金融商品も、いろいろな保険あるいはバンキング、さらには証券といったようなことを一体的に考えられた上で企画、開発されているといった流れを考えますと、銀行、証券、保険の各分野を横断的に所管する現在の金融庁のような体制がこうした流れと一致をしておりまして、金融庁から証券市場部門のみを分離、独立させて日本版SECを設置しようということは余り適切な考え方だとは思いません。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣竹中平蔵君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(竹中平蔵君) 櫻井議員から私に対しては三点の御質問をいただいたと思います。
 まずは緊急投資優遇措置とともに効果についてであります。
 改革先行プログラムには、我々、証券税制の改正案、貯蓄優遇から投資優遇への金融の切りかえというのを大変重視して、その旨のことを書き込ませていただきました。そうした観点から、今回、上場株式等に対する譲渡益について一定の要件のもとで非課税とするというような措置を講じるということになったわけであります。しかし、同時に、プログラムにあわせて証券市場の構造改革プログラムの実施というようなことも述べておりまして、証券市場の活性化、全体に寄与するようなトータルの考え方が必要だということも述べたつもりであります。
 株価というのは、言うまでもなく、将来の一種の、この社会が、この企業がどれだけの価値を生み出すことができるのか、それを今の価値に示して資産価値になったものでありますから、やはり全体で考えなければいけない。その中で、税制だけでどのぐらいの効果が出てくるのかというのは定量的に申し上げるのは大変難しいとは思いますけれども、同時に、規制改革とあわせて進めておりますので、そうしたこともあわせて、それなりの効果が出てくるということを期待をしている次第であります。
 二番目のお尋ねでありますけれども、個人投資家の証券市場への参入促進策、特に、ストックオプションでありますとかコーポレートガバナンスの強化等々についてのお尋ねがありました。
 これはもう議員御指摘のとおり、コーポレートガバナンスの強化でありますとかストックオプションの拡充というのは大変重要でありまして、企業収益の改善なくして株価の上昇というのは当然ないわけであります。したがって、社外取締役の義務づけ等、コーポレートガバナンス強化につながる商法改正案を次期通常国会に提出する予定であります。
 私も、今のところにつく前にある会社の社外取締役をやらせていただきましたけれども、やはり対外的に自由に物を言うということによって一種のコーポレートガバナンスに資するということはかなりできるのではないかと。したがって、そういった法案についての御審議をぜひとも次回お願いしたいというふうに思うわけであります。
 ストックオプションにつきましても、制度改善のための所要の商法改正案を本臨時国会に提出したところであります。
 いずれにしても、先月取りまとめました改革先行プログラムに掲げました個人投資家の証券市場への信頼性向上に資するインフラ等の促進ということも含めて、着実に個人投資家をやはり証券市場に呼び込んで、家計が持っている千四百兆円の金融資産の有効活用というものを図っていきたいというふうに思っております。
 三つ目はデフレ対策であります。
 これは、金融政策は日本銀行の所管事項であるということが前提でありますけれども、これは議員も御指摘になったように、デフレそのものはやはり阻止したいし阻止しなければならない。そうした観点から、デフレを阻止するために引き続き柔軟な金融政策をとってほしいということは、これは骨太の方針等々にもずっと書いてきたことであります。
 同時に、不良債権処理を進めないと、金融機能、金融行政が働かなくて金融が十分な機能を果たせないというのは全くそのとおりでありますから、これも骨太の方針に沿って今粛々と柳澤大臣に進めていただいているところであります。
 こうしたことが相まって金融の効果というのが出てくる。インフレターゲティング論について、その中での一つの方法としてのインフレターゲティング論でありますが、これはインフレターゲティング論という言葉そのものがさまざまな、非常に幅広い意味を持っております。
 私としましては、あくまでもデフレを阻止という観点から、そういった目的、政策目標の手段とか目標の中立性、手段の中立性、どう物価を定義するかということも含めて少し議論を深める今段階にあるのかなというふうに認識をしております。決して政府の政策はパッチワークではなくて、そうしたトータルな中で骨太の方針に沿って考えているということをぜひ申し上げておきたいと思います。(拍手)
#12
○議長(井上裕君) 櫻井君から再質疑の申し出があります。これを許します。櫻井充君。
   〔櫻井充君登壇、拍手〕
#13
○櫻井充君 塩川財務大臣から御答弁をいただきました。
 その中で幾つか、まず、緊急の投資優遇措置に対して、どのような成果があるかがわからないという非常に無責任な発言がございました。
 その前の、申告分離課税の一本化が経済に悪影響を及ぼすのかどうかということに関して、そこの部分に関しても、結果的には、以前はそう思いながら政策を実施してみたけれども、余り影響がないので今回変えるというお話もされていましたが、もう一点、そこの中で、損失の繰り越しの方が重要であると、あくまでも株価が下落することが前提と思えるような発言もございました。
 つまり、私が申し上げたいことは、今、政府の政策があって、これからきちんとやっていった際に、株価が、株価がというより日本経済を立ち直らせていくためにどうするのかということを大前提に議論していかなければいけないんだろうと思います。
 そして、もう一つは、やってみなければわからないけれどもとにかくやってみるというのは、今までの繰り返しのことと全く同じなのではないでしょうか。そして、十年間、公共事業をやったら一%上がった、そしてまた下がったという、そういうことをずっと十年間やってきたと。これに対してのまずきちんとした反省を踏まえた上できちんと政策をつくっていかなければいけないと思っておりますし、そして私は、現在の構造改革に対しての痛みが、そのタクシーの運転手さんなりなんなりの痛みが構造改革によるものなのか、もしくは構造改革が始まっていないからそのための痛みなのかをまず判断してほしいと。その判断ができないのであれば、そこの財務大臣としての資質はいかがなものかということも問うているはずです。
 そのことに関して、私は後進に道を譲るのも一つの選択肢ではないかということもお伺いさせていただいておりますが、その点についても御答弁がございませんでした。ぜひその点についてきちんとした形の答弁をいただきたいと思います。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣塩川正十郎君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(塩川正十郎君) お尋ねが二つあったと思っておりますが、一つは、優遇措置を講じてどの程度株の振興に寄与するか、株価が上昇するかというお尋ねであったと思っております。
 優遇措置をすることによって、確かに私は効果は出てくるという確信を持っております。その意味において、いろんな過去におきましてこういう税制は、朝令暮改であってはいけませんけれども、改革を絶えずやることによって経済に新しく刺激を与えてきたと。こういう実績を踏まえるならば、やはりこの際に一つのやり方ではないかということで、この方法をとったわけであります。
 株価を上げる要因は、ただ税制の改正だけじゃございません。おっしゃるように、企業全体がやっぱり配当性向を高め、そしてまた証券の流通を、信頼性があって、透明性があって、確実な、いわば権威のある流通環境を証券業界においてつくらなければならぬと。当然でございまして、その意味におきましても双方が、投資家もあるいは証券会社の方も、双方が信頼で結ばれるような状況をつくることが大事であると思っておりますが、現在では投資信託一つ見ましても全部額面割れというような状況になっておるときに、やはり投資意欲を増進しようと思ったらやっぱり税制の面から働きかけることが有力ではないかと思いまして、今回の税制改革をもって提案しておるところでございます。
 それからもう一つ、私のことでございましたが、後進に道を譲るのも選択の道ではないかということは、これは初めて聞きました。きょう初めて聞いたことでございまして、それよりも、以前から私にもっと頑張れという声が全国からぼんぼん寄せられておりまして、(拍手)今もこのように拍手がたくさん出ておりますので、私は選択するとするならば、このやっぱり頑張れというこっちの声を選択いたします。あしからず。(拍手)
#15
○議長(井上裕君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時四十分散会
     ─────・─────
ソース: 国立国会図書館
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