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2001/12/03 第153回国会 参議院 参議院会議録情報 第153回国会 本会議 第16号
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2001/12/03 第153回国会 参議院

参議院会議録情報 第153回国会 本会議 第16号

#1
第153回国会 本会議 第16号
平成十三年十二月三日(月曜日)
   午後一時二分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第十六号
  平成十三年十二月三日
   午後一時開議
 第一 国家公務員等の任命に関する件
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、日程第一
 一、国際連合平和維持活動等に対する協力に関
  する法律の一部を改正する法律案(趣旨説明
  )
     ─────・─────
#3
○議長(井上裕君) 会議を開くに先立ち、御報告申し上げます。
 去る一日、皇孫殿下御誕生に当たり、議長は、昨二日、皇居において天皇皇后両陛下並びに皇太子殿下にお目にかかり、お祝いの言葉を申し上げました。(拍手)
     ─────・─────
#4
○議長(井上裕君) これより会議を開きます。
 日程第一 国家公務員等の任命に関する件
 内閣から、
 検査官に金子晃君を、
 総合科学技術会議議員に井村裕夫君、松本和子君及び吉野浩行君を、
 電波監理審議会委員に小舘香椎子君を、
 公正取引委員会委員に柴田愛子君を、
 日本放送協会経営委員会委員に須田寛君、宮崎満君及び一力徳子君を、
 中央更生保護審査会委員に福井厚士君及び細井洋子君を、
 また、宇宙開発委員会委員に立川敬二君を
任命することについて、本院の同意を求めてまいりました。
 これより採決をいたします。
 まず、検査官、総合科学技術会議議員のうち井村裕夫君及び松本和子君、電波監理審議会委員、公正取引委員会委員、日本放送協会経営委員会委員のうち宮崎満君及び一力徳子君並びに中央更生保護審査会委員の任命について採決をいたします。
 内閣申し出のとおり同意することの賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#5
○議長(井上裕君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#6
○議長(井上裕君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百二十一  
  賛成           二百二十一  
  反対               〇  
 よって、全会一致をもって同意することに決しました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
#7
○議長(井上裕君) 次に、総合科学技術会議議員のうち吉野浩行君、日本放送協会経営委員会委員のうち須田寛君及び宇宙開発委員会委員の任命について採決をいたします。
 内閣申し出のとおり同意することの賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#8
○議長(井上裕君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#9
○議長(井上裕君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百二十二  
  賛成             二百二  
  反対              二十  
 よって、同意することに決しました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#10
○議長(井上裕君) この際、日程に追加して、
 国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律の一部を改正する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○議長(井上裕君) 御異議ないと認めます。国務大臣中谷防衛庁長官。
   〔国務大臣中谷元君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(中谷元君) 国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
 この法律案は、国際連合を中心とした国際平和のための努力に対して適切かつ効果的に寄与するため、これまでの国際平和協力業務の実施の経験等を踏まえ、武器の使用による防衛対象の拡大、自衛隊法第九十五条の適用除外の解除及び自衛隊の部隊等が行う国際平和協力業務についての特例規定の廃止の三点に関して改正を行うものであります。
 次に、この法律案の内容について、その概要を御説明いたします。
 その第一点は、第二十四条の武器の使用に係る防衛対象に、自己と共に現場に所在するその職務を行うに伴い自己の管理の下に入った者の生命又は身体を加えることとするものであります。
 第二点は、自衛隊法第九十五条の適用除外を解除し、第九条第五項の規定により派遣先国で国際平和協力業務に従事する自衛官に対し、武器等の防護のための武器の使用を認めることとするものであります。
 第三点は、自衛隊の部隊等が行う国際平和協力業務についての特例規定を廃止するものであります。
 以上が、この法律案の趣旨であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#13
○議長(井上裕君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。海野徹君。
   〔海野徹君登壇、拍手〕
#14
○海野徹君 私は、民主党・新緑風会を代表して、質問に入らせていただきますが、その前に、十二月一日の内親王殿下の御誕生を心よりお喜び申し上げたいと思います。国民の一人として、待ち望んだ明るい知らせであり、日本国内の経済状態や米国での同時多発テロという暗いニュースが続く中で、一条の光を放つものであり、これを契機に我が国がよい方向に進んでいくことを希望したいと思います。健やかにお育ちになられることをお祈り申し上げます。
 それでは、ただいま議題となりました政府提出の国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律の一部を改正する法律案について、関係大臣に質問をいたします。
 平和で安定した国際社会は我が国繁栄の基礎であり、我が国は、その外交上の特性に基づき、みずからの役割をしっかりと認識した国際協力に力を尽くしていくべきであります。その一環としての国連PKOに我が国が今後とも積極的に参加していくために、過去の教訓に学び、絶えざる改善の努力を尽くしていくべきであることは論をまちません。民主党においてもさまざまな議論を重ねてまいりました。その意味で、今回、政府が提出されている法律案も、我が党が検討してきた方向性と重なる部分もあり、評価できるところもありますが、問題は、今回の政府案が、去る九月十一日のテロを受けての国際的な流れにどの程度まで対応できているかであります。事態の急速な変化に明らかにおくれをとっている感があります。そうした印象を持ちつつ、以下、政府の考え方をお伺いしてまいります。
 私は、去る九月十一日の米国における同時多発テロを契機に、国際社会は、その平和と安全を守るための方策を構築していく上で安全保障のあり方を大きく変えなければならなくなったと考えております。国家間の紛争をどのように防ぐかということに知恵を絞ってきた二十世紀から、国家でない主体が地域紛争やテロによって私たち人類を脅かす事態に直面することとなり、今新たな対応を迫られております。
 このような地域紛争やテロの背景には、拡大する一方の貧困問題、非民主的な政治体制、民族、宗教などをめぐる歴史的に根深い複雑な問題が絡んでいることも事実であります。国連においても、このような紛争の変化に伴いPKOを見直しつつあり、昨年八月にはいわゆるブラヒミ・レポートが発表されました。
 そこで、まず、このような国際環境及びPKOの変化をどのように認識し、我が国として国連PKOについてどのように取り組むべきとお考えなのか、官房長官にお伺いします。
 次に、私ども民主党は、平時においてこそ実のある議論ができると考え、PKO協力法についての検討を継続して重ねてまいりました。我が国がより積極的に国連PKOに参加できるようにするために、PKF本体業務の凍結解除についても、憲法との関係、要員等の安全や武器の使用基準などを考慮しつつ、前向きに検討してまいりました。
 これまでも各所でさまざまな議論がなされてきたわけですが、政府がこの臨時国会でPKF本体業務の凍結を解除しようと判断されるに至ったのは、どのような基本認識、問題意識の変化によるものなのでしょうか、防衛庁長官にお伺いいたします。
 また、特に政府は、東チモールのPKOに、来年、自衛隊の派遣を計画されているようですが、そのことが今回の改正の理由の一つなのでしょうか。今回の改正がなくては東チモールに派遣できないのでしょうか。あるいは、東チモールなどで近い将来、国連PKOにおいて、PKF本体業務を実施する可能性があると認識されているのでしょうか、官房長官にお伺いいたします。
 また、これからさまざまな形でアフガニスタンへの復興支援が始まると思います。
 今回の改正案は、与党内では、アフガニスタン情勢とは別だとの声もあるものの、逆に、アフガニスタンでの地雷除去活動などを念頭に置いたような発言も聞こえてまいります。一体、政府は、アフガニスタンでの国連PKOの可能性について、現時点でどのように考えておられるのでしょうか。また、国連重視を外交の柱としている我が国として、主体的かつ積極的に国連に対してPKOの実施を働きかけていくような考えはおありなのでしょうか。官房長官、外務大臣に見解をお伺いします。
 次に、今回の法改正では、いわゆるPKO参加の五原則については、基本的に見直さないとの方針であると伺っております。与党間の議論の経緯を見ておりますと、本質的な議論がないまま、政局的な思惑が錯綜し、結果としてこれらに手をつけず、法律の文言をいじった小手先の修正にすぎないとの感があります。
 特に、派遣されるPKO要員の安全確保に最も重要である第五原則の武器の使用基準についても、先般、いわゆるテロ対策特別措置法が成立したことから、それを参考にしたものと理解しております。そうですと、とりあえずこれまでの「自己又は自己と共に現場に所在する他の隊員」から、「その職務を行うに伴い自己の管理の下に入った者」を防護するためにも武器を使えるようにしたということだと思います。
 そこで、まず、この武器使用基準の拡大は、あくまで従来の第五原則に基づくものであるということのように理解してよいのでしょうか。防衛庁長官、お答えください。
 また、自己の管理下の枠はどこまで広がったのでしょうか。具体的にどのような状況で、どのような者なのでしょうか。すなわち、「職務を行うに伴い」といった場合、PKO協力法における職務はテロ特措法での職務よりもはるかに広く、任務内容も異なっています。
 今回、凍結解除を予定しているPKO協力法第三条第三項のすべての国際平和協力業務が想定されると考えますが、例えば巡回・監視業務、停戦監視業務などを実施する場合、他国のPKO部隊要員とともに活動する場合なども想定されるわけですが、どこまで、またどのような状況で他国のPKO要員のためにも武器の使用が可能と考えられるのでしょうか。特に、武装した他国のPKO要員の防護に関する考え方を具体的に例示していただきたいと思います。さらに、PKF本体業務に参加する場合、今回の武器使用基準の見直しで十分であると判断されるのか、防衛庁長官にお伺いします。
 自己の管理下の概念についてむやみに拡大することは、過去の憲法解釈との整合性にも問題が生じてくる可能性があると思いますが、この点についての説明もあわせてお伺いします。
 この武器の使用基準においては、たまたま我が国PKO要員と現場にいる者に限って武器を使用することができるということだと思いますが、しかし、この規定では、我が国のPKO要員は、現場にいる者、例えば国連職員や非武装のPKO要員、選挙監視要員、NGOスタッフなどを守らなくてはならないということが想定されているのでしょうか。それとも、武器を使用して守ることは可能であるが、場合によっては守らなくてもよい、守らないこともあり得るということでしょうか。現場でともに職務に従事する非武装のPKO要員にしてみれば、何かあった場合には必ず守ってもらえるという安心感があるのとないのとでは大変な違いだと思います。
 我が民主党では、非武装のPKO要員について、しっかりと守れるような措置を講じるべきとの考え方で、さまざまな検討をしてまいりました。
 与党の中でも、警護任務を付与すべきかどうかについて議論があったやに聞いております。今回は警護任務の付与を見送られておられますが、武器使用基準の緩和だけで、人道上の理由ということで、我が国PKO要員が武器を使用して自己の管理下に入った者を守ることを想定しているのでしょうか。この点について防衛庁長官はどのようにお考えか、お伺いします。
 また、さきに述べましたブラヒミ・レポートは、強力な交戦規定の必要性を求めています。現行法上、我が国の武器使用は国連の武器使用基準よりもさらに限定された場合のみの使用に限られており、こうやって内閣法制局によるいわばガラス細工の憲法解釈を積み重ねてきているわけですが、参加各国が準拠している国際基準を我が国だけが受け入れず、しかも目的を同じくする組織活動を行うということは、いたずらに混乱を招きかねないことはかねてから指摘されているところであります。そのような事態を避けるため、我が国は、他国からあらぬ誤解を受けぬよう、我が国としてできること、できないことをしっかりと世界に向けて説明すべきだと考えます。
 しかし、一方で、幾ら口を酸っぱくして我が国の特殊な状況を説明しても、憲法なり法律は国により解釈がいろいろあり、立法の背景も含め、単なる条文解釈で説明し切れるものではありません。
 例えば、さきのテロ特別措置法にあった負傷者を対象とした捜索・救援活動も、我が国の与党側の説明を受けたパキスタン政府は、ビンラディン等の捜索と思っていたなどという、およそ日本の常識でははかり知れないような解釈をしていたとの話もあります。まして、派遣されるのは、戦闘地域ではないにせよ、潜在的危険が生じ得る場所です。現地の混乱は推して知るべきです。ならば、ぎりぎりまで説明の努力は尽くすにせよ、他国の常識とかけ離れた活動は、かえって現地の混乱を助長する可能性があることを指摘せざるを得ません。
 国連自身のPKOに対する考え方も刻々と変化しています。我が国が引き続き国連PKOに積極的に参加する方針を維持するのであれば、中長期的な視点から、国内法の整備等を通じて、明確な武器使用のあり方を検討していく必要があると考えますが、官房長官、防衛庁長官の御所見をお伺いします。
 ポスト・タリバンを想定し、今回の法改正で十分なのか、さらなる改正の方針はないのかも、あわせてお答えいただきたいと思います。
 先般来、委員会において、総理は、安全保障に関する課題について、憲法にはすき間がある、自衛隊は戦力であるといった趣旨の発言をされてこられております。重要な政策変更にかかわる課題を、具体的な中身については常識の範囲というあいまいな答弁を繰り返すいわゆる常識論ですり抜け、これまでの国会の議論の積み重ねを一気に踏み越えようという姿勢が散見されます。総理がどの程度の覚悟で言われているのか不安な面もありますが、総理の覚悟によっては重要な問題提起と受けとめたいと思います。
 私も、これまで先輩たちが積み上げてこられた議論の重要性を認めるにやぶさかではありませんが、一方、きちっと議論を整理した上で、我が国としてこれからのPKOにどう参加していくべきか、正面から議論していくべきときだと考えます。
 その点、今回政府が提出された法案は、国会の議論を意識する余り、我が国の国際協力がどうあるべきかの視点が欠落しているような気がします。政府はこの問題の解決に着手するつもりがあるのか、官房長官、端的にお答えいただきたいと思います。
 最後に、私は、国際情勢の変化を機敏にとらえ、国連の一員として、国際社会の主要な一員としてその責任と役割を果たし、日本は平和構築を目指していくべきと考えております。
 特に、PKOは、憲章上に根拠規定があって、その個々の条文に即して粛々と活動してきたというよりも、予見できない紛争が発生し、国連としての関与が求められるという時代の要請にこたえる形で国際社会が苦悩しながら対処してきた歴史だと思います。その教訓を踏まえて、我が国としても、日々紛争の解決と平和で安定した国際社会の建設を模索して、主体的にかかわっていくという姿勢が必要ではないでしょうか。この点について、官房長官の御決意を伺って、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣中谷元君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(中谷元君) 海野議員にお答えをいたします。
 まず、どうしてPKF本体業務凍結解除の判断をしたのかという点についてでございますが、いわゆるPKF本体業務については、国会審議の過程において、国会修正により別に法律で定める日までの間は、これを実施しないとされたものでありますが、その際、凍結の理由については、我が国として初めての試みである国際平和協力業務の経験を実際に積み、内外のより広い理解を得てからPKF本体業務を実施することとしたものと説明をされたものと承知をいたしております。
 政府としては、平成四年の国際平和協力法施行以来、国連平和維持活動に対し実績を積み重ねてきたことによって、我が国の国際平和への積極的な貢献について、内外のより広い理解が得られ、また期待が高まったと考え、国会等でのさまざまな御議論も踏まえつつ検討したところでございますが、先般、与党のこの問題における合意を受け、政府として、いわゆるPKF本体業務の凍結を解除することとする本改正案の提出を行うことにしたわけでございます。
 次に、武器使用による防衛対象の拡大と参加五原則との関係についてお尋ねがございました。
 第五原則を含めた参加五原則は、我が国が国連平和維持隊に参加するに当たって、憲法で禁じられた武力の行使をするとの評価を受けることがないこととするように担保する意味で策定された国際平和協力法の重要な骨格でございます。
 他方、国際平和協力業務に従事する自衛官等による「自己と共に現場に所在する」「その職務を行うに伴い自己の管理の下に入った者の生命又は身体」の防衛のための必要最小限の武器の使用は、いわば自己保存のための自衛権的権利というべきものであり、憲法の禁じる武力の行使に該当するものではございません。
 したがいまして、国際平和協力業務に従事する自衛官等に、「自己と共に現場に所在する」「その職務を行うに伴い自己の管理の下に入った者の生命又は身体」の防衛のための武器の使用を認めたとしても、参加五原則が策定された目的の範囲内のものであるというふうに考えております。
 次に、どこまで、またどのような状況で他国のPKO要員、特に武装した他国のPKO要員のために武器の使用が可能になるのかというお尋ねがございました。
 今回の法改正案で凍結解除するとしている業務を実施する場合も含めて、どこまで、またどのような状況で他国のPKO要員等が防衛の対象になり得るかは、具体的な状況のもとで、その者が不測の攻撃を受けて自衛官と共通の危険にさらされたときに、その現場において、生命、身体の安全確保について自衛官等の指示に従うことが期待される者かどうかによるわけでございます。
 特に、武装した他国のPKO要員に関してお尋ねがありましたが、一般論としては、部隊行動している武装した他国のPKO部隊は、通常、その身を守るために十分な手段を有し、独自の判断で行動するものと考えられますが、その場合には防衛対象とならないものと考えられます。
 他方、例えば、我が国の施設部隊が業務を実施している場所に、業務上の連絡調整や視察のために訪れている他国の要員のように、武器を所持した他国のPKO要員であっても、不測の攻撃を受けて自衛官等と共通の危険にさらされたという具体的な状況のもとで、独自の対処によりその生命または身体の安全を確保することが難しく、自衛官等の指示に従って統制のとれた行動をすることが適切かつ合理的である場合には、防衛の対象となり得ると考えられます。このようなケースにおいて、当該自衛官等は、事態に応じ合理的と判断される限度で武器を使用することができることでございます。
 次に、PKF本体業務に参加する場合、今回の武器使用基準の見直しで十分と判断しているのかというお尋ねがございました。
 これは、自衛隊の部隊等が国際平和協力業務を行うに当たって、活動する自衛官等が安全かつ効果的に任務を達成し得ることが重要であり、この観点から、今回の国際平和協力法改正案は重要な意義があるものと考えております。今後とも、国際平和協力業務に参加する自衛官等が安全かつ効果的に任務を遂行できるよう、国会での御議論を踏まえつつ、不断に検討を行ってまいりたいと考えております。
 次に、「自己の管理の下に入った者」の概念の拡大と従来の憲法解釈との整合性についてお尋ねがございました。
 今回の改正案における「自己と共に現場に所在する」「自己の管理の下に入った者」の意味内容は、テロ対策特措法におけるものと同じであり、その解釈を拡大するものではありません。また、この「自己と共に現場に所在する」「自己の管理の下に入った者」の生命、身体を防衛することは、いわば自己保存のための自然権的権利というべきものであって、そのために必要な最小限度の武器使用は、憲法の禁じる武力の行使に当たらないものであります。
 次に、警護任務を付与することなく、武器使用基準の緩和だけで「自己の管理の下に入った者」を守ることを想定しているのかというお尋ねがございました。
 今回の改正は、国際平和協力業務に従事する自衛官等による武器の使用に係る防衛対象に、「自己と共に現場に所在」し、「自己の管理の下に入った者」を加えるものであります。今回の改正において、他国のPKO要員や国連職員などについて、不測の攻撃を受けて自衛官等と共通の危険にさらされた場合に、その現場において、生命、身体の安全確保について自衛官の指示に従うことが期待される者である場合には、防衛対象になることを想定しているものでございます。
 次に、中長期的視点からの武器使用のあり方についての検討はどうかというお尋ねがございました。
 政府としては、国際平和協力業務に参加する自衛官が安全かつ効果的に任務を遂行できるように、武器使用のあり方についても、国連PKO活動の実態や国会での御議論も踏まえつつ、不断に検討してまいりたいと考えております。
 また、ポスト・アフガンを想定した法改正の方針についてのお尋ねがございましたが、アフガニスタン情勢は、そもそも国連PKOが設立されることになるか否かを含めて、流動的な状況でございます。アフガニスタン情勢に関して、今後我が国がいかなる協力を行い得るかどうかについては、現状でお答えすることが困難でありますが、情勢の推移等を十分把握した上で、関係国及び関係国際機関とも協議しつつ検討していく必要があるというふうに考えております。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣福田康夫君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(福田康夫君) 海野議員にお答えします。
 まず、国際環境やPKOの変化及び我が国としての国連PKOへの取り組みについてお尋ねがございました。
 議員御指摘のとおり、冷戦の終結以来、紛争解決における国連の役割が見直されるとともに、国際社会が対応を迫られる紛争の多くが国家間の紛争から一国内における紛争へと変わった結果、PKOの任務も多様化してきております。すなわち、停戦や軍の撤退等の監視といった伝統的な任務も引き続き重要ではありますが、これに加え、選挙、文民警察、人権、難民帰還支援から行政事務や復興開発まで、多くの分野での活動がPKOの任務に加えられてきております。
 このように、多様化するPKOの任務に効果的に対応し、また、過去のPKOの教訓を受け、国連は、有識者から成るブラヒミ・パネル等を踏まえたPKOを中心とする国連の平和活動の包括的な見直しを行っております。このような状況を踏まえつつ、我が国としては、今後とも、これまでの活動の経験をも踏まえながら国連平和維持活動等に積極的に参加していくよう、一層努力してまいりたいと考えております。
 次に、東チモールへの派遣と今回の法改正との関係及び今後のPKF本体業務実施の可能性についてお尋ねがございました。
 現在、東チモールへの派遣準備が行われている自衛隊の施設部隊は、いわゆるPKF本体業務以外の業務の実施を予定しており、PKF本体業務の凍結解除がなければ派遣できないというわけではありませんが、今回の武器使用規定の改正によって業務の一層の円滑な実施が確保できると考えております。また、現時点において、東チモールのPKOを含め、いわゆるPKF本体業務の実施のために自衛隊の部隊等の派遣を具体的に検討しているわけではありません。
 次に、アフガニスタンでの国連PKOについてお尋ねがございました。
 アフガニスタンの情勢は、そもそも国連PKOが設立されることになるかも含め、流動的な状況であります。アフガニスタン情勢に関連する今後の我が国の具体的な対応については、現状でお答えすることは困難ですが、情勢の推移等を十分把握した上で、関係国及び関係国際機関とも協議しつつ検討していく必要があると考えております。
 次に、中長期的な視点からの武器使用のあり方の検討についてお尋ねがございました。
 政府としては、現在、さらなる国際平和協力法の改正を予定しているわけではありませんが、国際平和協力法の武器使用規定のあり方については、国連PKO活動の実態や国会等での御議論も踏まえつつ、今後とも必要に応じ検討してまいりたいと考えております。
 また、ポスト・アフガンを想定した改正の方針についてのお尋ねもございました。
 アフガニスタン情勢は、そもそも国連PKOが設立されることになるか否かを含め、流動的な状況であります。アフガニスタン情勢に関連して、今後我が国がいかなる協力を行い得るかについては、現状でお答えすることは困難でありますが、情勢の推移等を十分把握した上で、関係国及び関係国際機関とも協議しつつ検討していく必要があると考えております。
 次に、これからのPKOへの参加のあり方という視点についてお尋ねがございました。
 国連PKOは、これまでも国際の平和と安全を維持するために重要な役割を果たしてきたところであります。このような国連を中心とした国際平和のための努力に対し、人的な面での積極的な協力を行うことが、我が国の国際的地位と責任にふさわしい協力のあり方であると考えております。
 政府としては、このような考え方のもと、平成四年の国際平和協力法施行以来、国連平和維持活動等に対し各種の協力を行ってきたところであり、こうした実績や国会等での御議論も踏まえ、今回の改正法案を提出したところであります。
 政府としては、今後とも、国連平和維持活動等に積極的に参加するよう一層努力していく考えでありますが、我が国の国際平和協力の具体的な進め方については、国会等での御議論を十分に踏まえながら引き続き検討していきたいと考えております。
 最後に、PKOの教訓を踏まえての平和な国際社会の建設に向けた取り組みについてのお尋ねがございました。
 国連PKOは、国連憲章に明文の規定はございませんが、御指摘のとおり、国際の平和と安全の維持のために重要な役割を果たしてきております。
 我が国は、従来より、責任ある国際社会の一員として、紛争の解決と平和で安定した国際社会の建設を目指し、PKOへの参加はもとより、紛争予防の取り組み、軍縮・不拡散等の努力を行ってきており、今後ともこうした取り組みを積極的に行っていく考えであります。(拍手)
   〔国務大臣田中眞紀子君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(田中眞紀子君) アフガニスタンでの国連PKOについてのお尋ねでございますが、同国の情勢は、そもそも国連PKOが設立されることになるかも含め、流動的な状況でございます。
 アフガニスタン情勢に関連する今後の我が国の具体的な対応につきましては、今ほど官房長官の答弁にもございましたとおり、現状でお答えすることは困難でございますが、情勢の推移等を十分把握した上で、関係国及び関係国際機関とも協議しつつ検討していく必要があると考えます。(拍手)
    ─────────────
#18
○議長(井上裕君) 畑野君枝君。
   〔畑野君枝君登壇、拍手〕
#19
○畑野君枝君 私は、日本共産党を代表して、PKO協力法改正案について質問いたします。
 まず第一に、平和維持軍、PKFの凍結解除についてであります。
 PKFは、国連報告書「平和維持活動の五十年」によれば、政府がこれまで派遣を強行してきたPKOと異なり、専ら武装し武力を使用する歩兵部隊を中心とする活動であります。このようなPKF活動への参加が武力行使を禁止した憲法第九条に反するものであることは明らかであります。だからこそ、これまでPKFへの参加は凍結せざるを得なかったのではありませんか。防衛庁長官の答弁を求めます。
 政府自身、武力行使を伴う平和維持軍には参加できないと表明し、PKFが武力行使を伴うことを認めてきました。実際、国連ではPKF活動での武力の行使を当然の前提としています。国連が実施したPKFのうち、武力は行使しないと明言しているPKFがあるとでも言うのですか。外務大臣、明確にお答えください。
 しかも、この十年、PKO活動は、PKOといっても停戦合意や受け入れ国の同意を前提とした国連憲章の六章半と言われたものと違って、国連憲章第七章を適用し、軍事的強制活動権限を持ったPKOが生まれ、これでもPKOと言えるのかという議論があったほどであります。これによって、PKFは停戦合意や当事者の同意がなくても派遣できることになっています。政府はこの変貌をどう認識しているのですか。
 九九年から行われたPKOは、すべて第七章が適用されたPKOであります。このような停戦合意や当事者の同意なしに派遣されるPKO活動に自衛隊を参加させることができるのでしょうか。外務大臣、はっきりとお答えください。
 このような活動が恒常化してきたからこそ、最近出されたブラヒミ報告は、PKO三原則を前提としながらも、武力行使という事態が一層強まる方向を打ち出しているのです。まさに日本の参加五原則が事実上意味を持たなくなる方向にあります。
 中谷防衛庁長官は、これまでも、PKFの凍結解除だけではだめだ、参加五原則まで見直さなければならないと表明していましたが、それはこのPKOの変化に対応しようとするものですか。
 本来、日本政府が自衛隊派遣の前提条件としている参加五原則が形骸化されている以上、自衛隊派兵は成り立たないではありませんか。
 PKO法が強行された当時、政府は、PKOは平和時の活動であるから心配ないと繰り返しました。しかし、今日、自衛隊はテロ対策を理由にして、アメリカ、イギリスのアフガニスタンへの軍事攻撃という、現実に行われている戦争に参加するに至っています。このような時期に相呼応して武力行使を伴うPKFの凍結解除が行われることは重大であります。
 自衛隊は、テロ特措法に基づいて、アフガニスタンに多国籍軍が展開した場合、その後方支援を行うことができるのですか。また、将来、アフガンPKOに本PKO法改正に基づいて派遣が可能になるのではありませんか。そのために凍結を解除しようというのですか。
 以上、防衛庁長官の答弁を求めます。
 第二に、武力の行使と武器使用についてであります。
 国連PKOの標準行動規範、いわゆるSOPは、PKF活動における武力行使を当然としています。ところが、政府は、武力行使と武器使用は違うといった国際社会では通用しない見解を持ち出し、自衛隊の海外派兵を強行してきました。そもそも国際社会で、軍隊による武力行使と武器使用が区別されるなどという話は聞いたことがありません。ですから、国連のどの基本文書を見ても、武器使用などということは書かれておりません。政府は国連基本文書のどこに武力行使と武器使用の違いが書いてあるというのですか。外務大臣、ここでお示しください。
 九一年の武器使用と武力の行使の関係についての政府見解は、国連に派遣された自衛隊員の武器使用は、自己保存のための自然権的権利であり、武力行使には当たらないと述べています。では、国連文書では、国連に派遣された各国の要員の自己保存の権利について、どのように記述しているのですか。それは、武力の行使としているのではありませんか。明確にしていただきたいのであります。
 しかも、PKOの任務につく兵士の教育、訓練に使われる国連PKO初級者ハンドブックは、国連要員は、自己防衛の権利、正当防衛権ばかりでなく、デッドリーフォース、相手を死に至らしめる武力行使の権利があると述べています。このようなPKOに、日本はどうして参加できるのですか。外務大臣の明確な答弁を求めます。
 いわゆる防衛対象を自己の管理下の者へ拡大することについて防衛庁長官に伺います。
 歴代政府は、PKO法の成立時には、自衛隊員の正当防衛だけだから憲法違反ではないと言い、九八年の改正では、司令官の命令で武器を使用しても正当防衛だと言い、武器使用の概念を拡大してきました。そして、今回、自己の管理下にある者の防衛に武器を使用しても憲法違反ではないと言っています。一体、武器使用はどこまで行ったら憲法で禁じた武力の行使になるのですか。
 国連は、武力の行使として、PKOの個々の要員の正当防衛権ばかりでなく、他国の武装部隊要員、国連施設などを防衛することを挙げています。他国の武装部隊を防衛するための武器使用は、憲法で禁じた武力の行使に当たるのですか。国連施設を防護するための武器使用は憲法違反なのですか。状況に応じて判断するなどというあいまいな答弁ではなく、明確にお答えください。
 自衛隊の警護任務についてお聞きします。
 政府は、自衛隊による警護任務は法律に書いていないのでできないとしてきました。しかし、国連の警護任務には、傷病兵や避難民の保護が含まれています。政府見解が、自衛隊が防衛する自己の管理下の者に傷病兵や避難民を挙げていることと一致するではありませんか。これは、自己の管理下を規定することによって、事実上、警護任務に踏み込むことではありませんか。結局、政府の見解は、憲法で禁じられた武力行使を一層拡大するものにほかならないではありませんか。
 最後に、日本国憲法は、武力行使を伴うか否かにかかわらず、自衛隊という軍事組織の海外での軍事活動を許しておりません。だからこそ、日本政府は、国連に加盟する際、憲法九条によって日本は軍事活動に参加できないことを表明し、加盟したのではありませんか。小泉内閣はこの条件を撤回したとでも言うのですか。そうでないなら、憲法九条を真っ向から否定することになるではありませんか。官房長官の答弁を求めます。
 テロ特措法の強行により、米軍の戦闘地域に初めて自衛隊が海外派遣された十一月二十五日早朝、私は、横須賀からの掃海母艦「うらが」の出動を目の当たりにし、憲法の平和原則を平然と踏みにじる暴挙に強い憤りを覚えました。そして今、PKO法が改悪されようとしています。
 今、日本がなすべきことは、憲法九条を生かすことであります。それは、難民援助を初め山ほどあるではありませんか。この点で積極的に貢献するという立場を貫くことであります。
 本法案は廃案にすべきだということを強く訴えて、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣中谷元君登壇、拍手〕
#20
○国務大臣(中谷元君) 畑野議員にお答えをいたします。
 PKF本体業務は憲法との関係で凍結されたのではないかというお尋ねがございましたが、PKF本体業務につきましては、国会の審議の過程で、国会修正により別に法律で定める日までの間は、これを実施しないとされたものでありまして、凍結の理由については、憲法九条に反するものであるという理由ではなくて、我が国として初めて実施をする試みである国際平和協力業務の経験を実際に積んで、内外のより広い理解を得てからPKF本体業務を実施することとしたものと説明されたと承知をいたしております。
 次に、国連憲章第七章に言及したPKOへの参加が可能かというお尋ねでございます。
 そもそも、PKOの設立に関する安保理決議の内容は、現地の情勢等個々の事例を踏まえて安保理において決定されるものであり、設立根拠となる安保理決議等で国連憲章第七章に言及のあるPKOについても、その目的、任務にはさまざまなものがあり、どのような目的、任務を有するかについては一概に申し上げることはできません。
 いずれにせよ、我が国が国連PKOに参加するに当たっては、停戦合意、受け入れの同意を含む参加五原則等の国際平和協力法上の要件を満たす必要があります。
 あるPKOについて、その設立の安保理決議において何らかの理由で国連憲章第七章に言及されている場合も、当該PKOが国際平和協力法上の要件を満たし、かつ、我が国は同法の規定に従って国際平和協力業務を実施するものである限り、我が国の参加は法的に可能でございます。
 次に、参加五原則に関する見解についてのお尋ねがございました。
 参加五原則は、我が国が国連平和維持隊、PKFに参加するに当たって、憲法で禁じられた武力の行使をするとの評価を受けることがないことを担保する意味で策定された国際平和協力法の重要な骨格であると認識をいたしております。また、我が国が国連PKOに参加するに当たっては、参加五原則等の国際平和協力法上の要件を満たす必要があり、参加五原則が形骸化されているとは考えておりません。
 なお、この問題につきましては、今後とも、国際平和協力法に係る問題について、国会等での議論も踏まえつつ、必要に応じ検討してまいりたいというふうに考えております。
 次に、PKF凍結解除がアフガニスタン情勢に呼応して行われるのは、重大ではないかというお尋ねがございました。
 政府としては、平成四年の国際平和協力法施行以来、国連平和維持活動等に協力し実績を積み重ねてきたことによって、我が国の国際平和への積極的な貢献について、内外のより広い理解が得られ、また期待が高まってきたと考え、国会等でさまざまな御議論も踏まえつつ検討したところ、先般の与党間における合意を受けて、いわゆるPKF本体業務の凍結を解除することとする本改正案の提出を行うものでありまして、アフガニスタン情勢に呼応して行うということとしたものではございません。
 次に、アフガニスタンに多国籍軍が展開した場合の後方支援についてのお尋ねがありました。
 現在、アフガニスタン情勢につきましては、非常に流動的でありまして、事態が今後どのように推移するか現時点で全く不明確であることから、お尋ねのような支援を行うことができるかどうかについて、現時点でお答えすることは困難でございます。
 いずれにしろ、将来、アフガニスタンに何らかの国際的な部隊が展開することとなり、その具体的内容が明らかになれば、その段階で、憲法の範囲内で我が国としてこれにどのような支援が可能か検討してまいりたいというふうに考えております。
 次に、アフガニスタンでの実施を目的に凍結解除をするのかとお尋ねがありました。
 これも、現在、情勢は流動的でございます。現時点において、アフガニスタンを含め、いわゆるPKF本体業務の実施のために自衛隊部隊の派遣を具体的に検討していることはございません。
 次に、一体どこからが憲法で禁じた武力の行使になるのかというお尋ねがございました。
 憲法九条第一項で禁止された「武力の行使」とは、我が国の物的・人的組織体による国際的な武力紛争の一環としての戦闘行為をいいます。今回の法改正による、「自己と共に現場に所在する」「その職務を行うに伴い自己の管理の下に入った者」の生命、身体の防衛のために、必要最小限で武器を使用することは、いわば自己保存のための自然権的権利というべきものであって、憲法で禁止された「武力の行使」に当たらないものでございます。
 続きまして、他国の武装部隊を防衛するための武器使用や国連施設を防護するための武器使用は憲法違反なのかというお尋ねがございました。
 国連PKOは、本来的に、強制手段によって平和を回復する機能を持つものではなく、武器の使用は自衛のためのものに限られるものと承知をされております。
 こうした国連PKOにおける武器の使用について、具体的にどのような場合を想定されてお尋ねになっているのかは明らかでなく、一概にお答えすることは困難でありますが、あえて一例を申し上げれば、武器を所有した他国のPKO部隊の要員であっても、不測の攻撃を受けて自衛官等と共通の危険にさらされたという具体的な状況のもとで、独自の対処によりその生命または身体の安全を確保することが難しく、自衛官等の指示に従って統制のとれた行動をすることが適切かつ合理的である場合には、改正後の国際平和協力法第二十四条に規定する防衛の対象になると考えられます。このような武器の使用は、いわば自己保存のための自然権的権利というべきものであって、憲法上の問題を生じるものではございません。
 最後に、「自己の管理の下に入った者」を武器使用の防衛対象にすることにより、憲法で禁じられた武力行使に踏み出すものではないかというお尋ねがございました。
 今回の改正による、「自己と共に現場に所在する」「その職務を行うに伴い自己の管理の下に入った者」の生命、身体の防衛のために、必要最小限で武器を使用することは、いわば自己保存のための自然権的権利というものであって、憲法の禁じる武力の行使に当たるものではありません。
 また、今回の改正後の法第二十四条は、自衛官等が、自己とともに現場に所在する者のうち一定の者を防衛するためやむを得ない必要があると認める相当の理由がある場合には武器の使用ができることを規定したものでありまして、傷病兵や避難民の保護を任務として新たに付与することを内容とするものではございません。
 以上です。(拍手)
   〔国務大臣田中眞紀子君登壇、拍手〕
#21
○国務大臣(田中眞紀子君) 国連PKOと武力行使についてのお尋ねがございました。
 PKOは、国連が世界各地における地域紛争の平和的解決を助けるための手段として、実際の慣行を通じて確立してきた一連の国連の活動であり、基本的に中立非強制の立場で行われるものでありますが、国連文書において、国連PKOの要員には自衛のための武器の使用が認められていると承知しております。
 我が国が国連平和維持隊に参加するに当たっては、憲法で禁じられた武力の行使をするとの評価を受けることがないことを担保する意味で策定されたPKO参加五原則に沿って制定された国際平和協力法の要件を満たす必要がありますので、憲法上問題とはなりません。
 次に、九〇年代に入ってからの国連PKOの変化についてのお尋ねがございました。
 冷戦の終結以降、紛争解決における国連の役割が見直されるとともに、国際社会が対応を迫られる紛争の多くが国家間の紛争から一国内における紛争へと変わった結果、PKOの任務も多様化してきております。すなわち、停戦や軍の撤退等の監視といった伝統的な任務に加えまして、選挙、文民警察、人権、難民の帰還支援から行政事務や復興開発まで、多くの分野での活動がPKOの任務に加えられてきております。
 それとともに、設立に関する安保理決議において国連憲章第七章に言及のあるPKOもふえてきております。もっとも、PKOの設立に関する安保理決議の内容は、国連に期待される役割や現地の情勢を踏まえて安保理において決定されるものでございます。したがって、設立根拠となる安保理決議で国連憲章第七章に言及のあるPKOについても、その目的、任務にはさまざまなものがありまして、どのような目的、任務を有するかについて一概に申し上げることはできません。
 なお、紛争当事者の合意原則などのPKOの基本原則が維持されるべきことについては、ブラヒミ報告及びこれを受けた事務総長報告におきましても確認されております。ついては、PKOが国連の軍事的強制行動を含む方向に大きく変貌しているとの御指摘は当たりません。
 国連PKOにおける武力の行使と武器使用についてのお尋ねもございました。
 PKOは、基本的に中立非強制の立場で行われるものでありますが、国連文書において、国連PKO要員には自衛のための武器の使用が認められていると承知いたしております。
 いずれにせよ、我が国が国連PKOに参加するに当たりましては、憲法で禁じられた武力の行使をするとの評価を受けることがないことを担保する意味で策定されたPKO参加五原則に沿って制定された国際平和協力法の要件を満たす必要がありますので、憲法上問題とはなりません。
 国連文書において、派遣された各国要員の自己保存の権利についてどのように記述しているかとのお尋ねもございました。
 PKOは、基本的に中立非強制の立場で行われるものでありますが、国連文書において、国連PKO要員には自衛のための武器の使用が認められており、この自衛には要員の生命等を防護する場合が含まれていると承知いたしております。
 我が国が国連PKOに参加するに当たりましては、憲法で禁じられた武力の行使をするとの評価を受けることがないことを担保する意味で策定されたPKO参加五原則に沿って制定された国際平和協力法の要件を満たす必要がありますので、憲法上の問題とはなりません。
 最後に、国連PKOにおける武器使用基準と我が国の参加についてのお尋ねでございました。
 PKOは、国連が世界各地における地域紛争の平和的解決を助けるための手段として、実際の慣行を通じて確立してきた一連の国連の活動でありまして、基本的に中立非強制の立場で行われるものでありますが、国連PKO要員には自衛のための武器の使用が認められていると承知いたしております。
 国際平和協力法においては、自己または自己とともに現場に所在する我が国要員の生命または身体の防衛のための武器使用が認められておりますが、今次法改正案が成立すれば、これに加えて、「自己と共に現場に所在する」云々、「その職務を行うに伴い自己の管理の下に入った者」を武器を使用して防衛することも可能となります。かかる武器の使用につきましては、刑法上の正当防衛または緊急避難に該当する場合には、人に危害を加えることも許容されております。
 いずれにせよ、国際平和協力法において認められる武器の使用については、これまで国連側に十分説明し、理解を得てきたところでございまして、今次法改正案が成立した後も、改めて、国連側に今次法改正の内容を含め説明を行いまして、理解を得た上で参加してまいりたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣福田康夫君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(福田康夫君) 畑野議員の御質問は、まず、PKF本体業務の凍結解除が、我が国の国連加盟の際の条件に反し、憲法九条を否定するものではないかとのお尋ねでございました。
 我が国は、昭和二十七年六月十六日付岡崎外務大臣発リー国連事務総長あて書簡をもって国連に対する加盟申請を行いましたが、加盟に当たって我が国が何らかの留保を付したとは考えておりません。
 他方、我が国が憲法第九条の禁ずる「武力の行使」または「武力による威嚇」を行い得ないことは当然であります。いわゆるPKF本体業務の凍結が解除されても、自衛隊の部隊等は、我が国が国連平和維持隊に参加するに当たって憲法で禁じられた武力の行使をするとの評価を受けることがないことを担保する意味で策定されたPKO参加五原則に沿って制定された国際平和協力法に基づいてこのような業務を行うこととなりますので、憲法上問題にはなりません。
 次に、憲法九条を生かした日本の貢献のあり方についてお尋ねがございました。
 我が国は、戦後一貫して、日本国憲法のもと、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国にならないとの基本理念を掲げ、世界の平和と安定のために積極的に努力を行ってきております。
 我が国は、今後とも、このような方針を掲げながら、世界の平和と安定のための努力を続けたいと考えており、このような観点から、国連平和維持活動を初めさまざまな分野での貢献を積極的に進めていく考えであります。(拍手)
#23
○議長(井上裕君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時五分散会
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ソース: 国立国会図書館
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