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2001/11/02 第153回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第153回国会 本会議 第12号
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2001/11/02 第153回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第153回国会 本会議 第12号

#1
第153回国会 本会議 第12号
平成十三年十一月二日(金曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第八号
  平成十三年十一月二日
    午後一時開議
 第一 独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律案(第百五十一回国会、内閣提出)
 第二 テロリストによる爆弾使用の防止に関する国際条約の締結について承認を求めるの件
 第三 テロリストによる爆弾使用の防止に関する国際条約の締結に伴う関係法律の整備に関する法律案(内閣提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 日程第一 独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律案(第百五十一回国会、内閣提出)
 日程第二 テロリストによる爆弾使用の防止に関する国際条約の締結について承認を求めるの件
 日程第三 テロリストによる爆弾使用の防止に関する国際条約の締結に伴う関係法律の整備に関する法律案(内閣提出)
 地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び租税特別措置法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑

    午後一時七分開議
#2
○議長(綿貫民輔君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 日程第一 独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律案(第百五十一回国会、内閣提出)
#3
○議長(綿貫民輔君) 日程第一、独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。総務委員長御法川英文君。
    ―――――――――――――
 独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔御法川英文君登壇〕
#4
○御法川英文君 ただいま議題となりました独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律案につきまして、総務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、国民主権の理念にのっとり、行政機関と同様に国民に対する説明責務を有する独立行政法人等の保有する情報の一層の公開を図るため、法人文書の開示を請求する権利及び独立行政法人等の諸活動に関する情報の提供等の措置を講じようとするものであります。
 本案は、第百五十一回国会に提出され、六月十二日本委員会に付託され、同月二十一日片山総務大臣から提案理由の説明を聴取した後、今国会まで継続審査となっていたものであります。
 今国会におきましては、昨日提案理由の説明を省略し、質疑を行い、採決の結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 なお、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#5
○議長(綿貫民輔君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第二 テロリストによる爆弾使用の防止に関する国際条約の締結について承認を求めるの件
 日程第三 テロリストによる爆弾使用の防止に関する国際条約の締結に伴う関係法律の整備に関する法律案(内閣提出)
#7
○議長(綿貫民輔君) 日程第二、テロリストによる爆弾使用の防止に関する国際条約の締結について承認を求めるの件、日程第三、テロリストによる爆弾使用の防止に関する国際条約の締結に伴う関係法律の整備に関する法律案、右両件を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動等に関する特別委員長加藤紘一君。
    ―――――――――――――
 テロリストによる爆弾使用の防止に関する国際条約の締結について承認を求めるの件及び同報告書
 テロリストによる爆弾使用の防止に関する国際条約の締結に伴う関係法律の整備に関する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔加藤紘一君登壇〕
#8
○加藤紘一君 ただいま議題となりました両件につきまして、国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動等に関する特別委員会における審査の経過及び結果について御報告申し上げます。
 まず、爆弾テロ防止条約について申し上げます。
 爆弾を使用したテロ事件が続発する中、平成八年七月にG7及びロシアが参加してパリで開催されたテロリズムに関する閣僚会合において、テロリストによる爆弾使用等に関する国際条約の検討及び作成の促進をすべての国に対して要請したことを受けて、国連により設置されたアドホック委員会において条約草案の検討が行われた結果、平成九年十二月十五日、第五十二回国連総会において、この条約が採択されました。
 本条約の主な内容は、爆発物その他の致死装置を人の身体への重大な傷害や施設の広範な破壊等を生じさせる意図を持って公共の用に供される場所に設置する行為等を国内法上の犯罪とすること、そのような犯罪が外国において外国人によって行われた場合にも、我が国において訴追ないし引き渡しができるようにすること等であります。
 次に、爆弾テロ防止条約の締結に伴う関係法律の整備に関する法律案について申し上げます。
 本案は、爆弾テロ防止条約の締結に伴い、爆発物取締罰則、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律、放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律、火炎びんの使用等の処罰に関する法律、細菌兵器及び毒素兵器の開発、生産及び貯蔵の禁止並びに廃棄に関する条約の実施に関する法律、化学兵器の禁止及び特定物質の規制等に関する法律及びサリン等による人身被害の防止に関する法律について、所要の改正を行うものであります。
 その主な内容は、
 第一に、生物兵器または毒素兵器を使用して、生物剤または毒素を発散する行為及び生物剤または毒素をみだりに発散させて人の生命、身体または財産に危険を生じさせる行為についてそれぞれ処罰規定を整備すること、
 第二に、毒性物質等をみだりに発散させて人の生命、身体または財産に危険を生じさせる行為についての処罰規定を整備すること、
 第三に、これらの行為等に係る国外犯の処罰規定その他所要の規定を整備すること
であります。
 以上両件は、去る十月三十日本委員会に付託されました。
 本委員会におきましては、両件を一括して議題とし、三十一日政府から提案理由の説明を聴取し、昨十一月一日質疑を行い、引き続き採決を行いました結果、爆弾テロ防止条約は全会一致をもって承認すべきものと議決し、また、爆弾テロ防止条約の締結に伴う関係法律の整備に関する法律案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#9
○議長(綿貫民輔君) これより採決に入ります。
 まず、日程第二につき採決いたします。
 本件は委員長報告のとおり承認するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。よって、本件は委員長報告のとおり承認することに決まりました。
 次に、日程第三につき採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び租税特別措置法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
#12
○議長(綿貫民輔君) この際、内閣提出、地方税法等の一部を改正する法律案及び租税特別措置法等の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を順次求めます。総務大臣片山虎之助君。
    〔国務大臣片山虎之助君登壇〕
#13
○国務大臣(片山虎之助君) 地方税法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 証券市場の構造改革に資する観点から、個人住民税について、所得税において源泉分離課税を選択した株式等に係る譲渡所得等を課税の対象としない措置の期限を平成十四年十二月三十一日までとするとともに、平成十五年一月一日以後に譲渡する上場株式等について上場株式等の譲渡に係る軽減税率の特例及び上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除制度を創設するほか、所要の規定の整備を行うものであります。
 以上が、地方税法等の一部を改正する法律案の趣旨であります。(拍手)
    ―――――――――――――
#14
○議長(綿貫民輔君) 財務大臣塩川正十郎君。
    〔国務大臣塩川正十郎君登壇〕
#15
○国務大臣(塩川正十郎君) 租税特別措置法等の一部を改正する法律案について、その趣旨を説明いたします。
 本法律案は、証券市場の構造改革に資する観点から、個人が上場株式等を譲渡する際の課税について、申告分離課税への一本化、税率の引き下げ、譲渡損失の繰越控除制度の導入等を図るとともに、緊急かつ異例の措置として、新規購入額一千万円までの要件を満たすなど一定の上場株式等に係る譲渡益について非課税とする措置を講ずるものであります。
 以下、その大要を申し上げます。
 第一に、国民が安心して参加できる、透明性、公平性の高い証券市場の構築に資する観点から、株式譲渡益に係る源泉分離選択課税を平成十四年末をもって廃止し、申告分離課税へ一本化するとともに、平成十五年一月以後に譲渡する上場株式等について、申告分離課税の税率の引き下げ、譲渡損失の繰越控除制度の導入を行おうとするものであります。
 第二に、最近の経済情勢等を踏まえ、緊急かつ異例の措置として、個人が平成十四年末までに新たに購入した上場株式等を、平成十七年一月から平成十九年末までの間に譲渡した場合において、その購入額が一千万円に達するまでのものに係る譲渡益について、一定の要件のもと、非課税とする措置を講ずることとしております。
 その他、既存の百万円特別控除制度の適用を平成十七年末まで延長するとともに、平成十三年九月末以前に取得した上場株式等に係る取得費の特例を創設するなど、所要の措置を講ずることといたしております。
 以上、租税特別措置法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を申し上げた次第であります。よろしくお願いいたします。(拍手)
     ――――◇―――――
 地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び租税特別措置法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
#16
○議長(綿貫民輔君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。小泉俊明君。
    〔小泉俊明君登壇〕
#17
○小泉俊明君 民主党の小泉俊明です。
 質問の前に、小泉純一郎総理大臣の御母堂様の御逝去の報に接し、謹んで御冥福をお祈り申し上げます。
 それでは、民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となっております租税特別措置法等の一部を改正する法律案及び地方税法等の一部を改正する法律案、いわゆる証券税制に関する改正案に関し、質問させていただきます。(拍手)
 さて、私たち日本人は、世界一勤勉でよく働き、世界最高水準の技術を持ち、一千四百兆円という世界で最も大きな国民金融資産を持つとともに、百三十三兆円にも及ぶ世界一の対外純資産を有しています。しかし、それにもかかわらず、我が国は、今、先進国の中で最も危機的な、まさに恐慌突入直前とも言えるような経済状態に陥っているわけであります。
 言うまでもなく、この責任は、政治と行政の失敗にあります。政府・与党は、この九年間で十四回もの景気対策を実施してまいりましたが、いつまでたっても、よくなるどころか、ますます悪くなっているというのが現実であります。
 小泉内閣になりまして半年たちますが、完全失業率は史上最高の五・三%、三百五十七万人にもなりました。倒産も、毎月千五百件を超え、小泉内閣発足以来の半年だけでも一万社弱の会社が倒産をしています。自己破産の数も、約十四万人とここ五年間で三倍にもふえ、ことしはこれを上回る勢いであります。
 また、私のように国会まで電車で通っておりますと、一週間に何度も飛び込みで電車がとまる。ここ三年連続、確認されているだけでも一年間に三万人を超える国民が自殺をしており、実数は十万人とも言われております。小泉内閣の発足以来の半年だけでも、一万五千人以上もの国民が自殺により亡くなっているのが、今の現実であります。これが、小泉総理の言う痛みの実態なのでしょうか。大臣、そして与党の皆さん、この血の出るような国民の叫び声が聞こえますか。
 この原因は一体どこにあるのか。私は、当選以来のこの一年四カ月間、国会に籍を置き、わかったことは、与党の政治家や高級官僚が経済の実態を正確に把握しておらず、現状に対する危機感が全く欠如しているという事実でありました。正確な現状認識を欠いているため、原因分析も不十分で、対策も、よく言われるように、ツーリトル・ツーレート、余りに遅く、余りに規模が小さい。ここにこそ、日本がこのような状態になった最大の原因があるのであります。
 事実、私が、財務金融委員会で、一年間でどれくらいの自殺者がいるか、これを尋ねましたところ、財政と金融の最高責任者であります宮澤前財務大臣も塩川財務大臣も、そして柳澤金融担当大臣も、毎年、新聞で大きく取り上げられているにもかかわらず、「知りません」と平然と答えられました。私が会ったほとんどの財務省の官僚の方も、住宅ローンすら銀行からお金を借りた経験がありません。これでは、自分たちは前線から何十キロも離れた、弾が飛んでこない永田町と霞が関という安全な場所に身を置き、前線の状況を全くわからずに指揮をとっている指揮官と参謀のようなもので、前線で死んでいく国民はたまったものではありません。
 そこで、まず、このような日本経済の現状について、どの程度厳しい現状認識、そして危機感をお持ちなのか、塩川財務大臣、柳澤大臣、そして竹中大臣にお尋ねいたします。
 次に、日本経済がここまで悪化した原因の認識についてお尋ねいたします。
 私は、これほど日本経済が悪化した最大の原因は、ここ十年間で株と土地の一千三百兆円にも上る国民の資産が失われた資産デフレにあり、政府・与党が適切な対応をとらずにこれを放置し続けた点にあると思うのであります。
 この資産デフレにより、個人消費も企業の経済活動も設備投資も萎縮をし、担保価値の継続的下落により信用収縮が今も続いている。まさに、日本経済全体が収縮しつつある。これをとめなければ、幾ら不良債権の処理を急いでも新たな不良債権が発生をし続け、イタチごっこになってしまうのは明らかであります。
 そこで、この資産デフレについてどのような御認識を持っているのか、塩川財務大臣と竹中大臣にお尋ねいたします。特に竹中大臣には、経済財政諮問会議におきまして、この点についてどのような議論がなされたかもお尋ねいたします。
 次に、株式の時価総額は、ピークの八九年十二月末の六百三十兆円から今年九月末で三百兆円弱と、約半分以下になってしまいました。小泉内閣が発足以来のこの半年間だけでも、日経平均は一万四千円から一万円と、四千円も値下がりをしています。
 まず、この半年間の四千円の値下がりにより一体幾らの国民資産が失われたのか、また、日経平均が一万円を割った段階で大手十五行の含み損が一体幾らになるのか、塩川財務大臣に明確なお答えをいただきたいと思います。
 私が調査したところによりますと、この小泉政権の半年間の株価の下落だけでも、何と百兆円もの資産が失われています。これは我が国の年間予算をはるかに上回る金額であるとともに、我が国の年間GDPの二割にも当たる膨大な金額であります。
 小泉総理は、株価に一喜一憂せずと言いますが、これほどの資産が失われるのを放置しながら、一体どうやって景気回復を図ろうというのでしょうか。
 株価は経済の血圧のようなものであり、一万円前後の水準では、日本経済は心臓停止寸前の状態にあるというのが現実であります。私は、現在の危機的な経済状態を直視するとき、日本経済の収縮をとめるために早急にとるべき対策は、株式市場の活性化に全力を傾注することであると思うのであります。
 財政金融の最高責任者であります塩川財務大臣、柳澤金融担当大臣は、この半年間の株価の下落に対してどういう認識を持ち、そして、株式市場の活性化についてどう考えているのか、御答弁いただきたいと思います。
 また、竹中大臣には、経済財政諮問会議においてこの点について議論がなされたのかについてお尋ねいたします。
 次に、私は、昨年の六月の当選以来、委員会で一貫してこの株式市場の活性化についての質問をしてまいりましたが、株価が下落を続ける中で、一年たって政府・与党からようやく出てきたのが、百万円の特別控除と売買単位を小さくするという対策であり、余りにも対策の規模が小さいため、市場においてはほとんど評価されませんでした。
 そして、今回、アメリカにおけるテロ事件後の世界経済の減速も考慮に入れて出てきたのが、今回の改正案である株式譲渡益課税についての源泉分離課税の見直しと緊急投資優遇措置であります。
 確かに、申告分離一本化、税率の二〇%への引き下げ、損失の繰越控除の特例の創設などは、民主党がかねてから主張してきたものであり、一定の評価はできると思います。
 しかし、改正案の趣旨、目的を見ますと、国民が参加できる、透明性、公平性の高い証券市場の構築に資する観点からとあります。この目的は、現時点で株式市場の活性化が景気対策として極めて重要であるとともに、テロによる世界同時不況のふちにある世界経済において我が国が国際的責任を果たしていこうという認識が全く感じられません。
 私は、株式市場の活性化を目的に入れるべきであると思いますが、塩川財務大臣はいかがでございましょうか。
 また、今回の改正案には、緊急かつ異例の措置として、一定期間保有した株式に関し、一定限度で非課税とする緊急投資優遇措置が盛り込まれています。
 確かに、国民の株式市場への参加を促そうという意図は、これはわかります。しかし、既にほとんどの市場参加者が重症を負っている現状においては、市場の活性化にどの程度の効果があるのか、疑問であります。特に、一千四百兆円の国民金融資産のほとんどを占めると言われる高齢者層に株式投資に参加をしてもらい、固定化したお金を活動的に若返らせる効果が期待できないのではないでしょうか。
 塩川財務大臣は、国民のだれを対象とし、どのような具体的な効果があるとお考えなのでしょうか、お尋ねをいたします。
 また、竹中大臣には、経済財政諮問会議の基本方針で言われる株式投資におけるチャレンジャー支援というのは、具体的にどのようなものが議論されていたのかをお聞かせいただきたい。
 また、塩川大臣にも、株式市場の活性化策として、今回の改正案以外にもどのような対策をお考えか、お尋ねいたします。
 さらに、株式市場の活性化を図るためには、不正行為を防止し、証券市場への信頼回復を図ることが不可欠であります。
 しかし、証券取引等監視委員会における現在の告発の実態は、インサイダー取引に関しましては、平成十年、十一年、十二年の三年間でわずか七件、株価操縦に関しては、平成五年から今年までの九年間でたった四件しか、これはありません。
 アメリカのSECの刑事手続件数が九六年から九九年までの四年間で三百九件もあるのに比べて、余りに少な過ぎます。これでは不正行為の防止の実効性があるのか、疑問を感じざるを得ません。
 柳澤大臣、証券市場への信頼の回復を図るため、実効性ある、どのような具体的な対策を考えているのか、お尋ねいたします。
 また、市場への信頼回復という点から注意しなければならないのが、格付会社の存在であります。
 民間の一株式会社にすぎない格付会社の格付により、国の信用も毀損し、国民自身が自信を失うとともに、海外の投資家が投資を手控える危険が大きいと言えます。
 そこで、どの程度この格付会社の実態を把握しているのか。すなわち、どのような経歴と資格を持った人たちが何人くらいで、どのような基準で格付を行っているのかについてどの程度把握しているのか、財務大臣にお尋ねいたします。
 また、格付の影響の大きさを考えるとき、政府としても、大臣みずから反論すべきときはきちっと反論すべきであると思いますが、財務大臣、いかがでしょうか。
 最後に、今NHKで放送中の北条時宗が、元の襲来に際しての心構えを禅の師であります無学祖元に問うたとき言われた言葉が、莫妄想、妄想にとらわれずに現実を見よであります。まさに危機に際してリーダーがなすべきことは、現実を直視して危機の本質を見抜き、その対策を命がけで実行することであります。国民から私たち政治家に今求められているのは、まさにこれであります。
 ぜひとも、大臣お一人お一人のその御見識に基づき、御自分の言葉で御答弁いただけますようお願いを申し上げまして、質問を終わります。(拍手)
    〔国務大臣塩川正十郎君登壇〕
#18
○国務大臣(塩川正十郎君) 私に対しましては、たくさんの質問をいただきました。約八点あると思っておりますが、順次お答えさせていただきたいと存じます。
 まず最初にお尋ねがございました問題は、現在、失業率が最高になっておったり、また倒産件数も多い、この経済の認識をどう見ておるかということでございます。
 これは後で竹中大臣からも御説明があると思いますので重複は避けたいと思うのでございますが、私は、やはり現在、非常に悪い状態にあるということは十分に認識しております。特に企業収益が非常に収縮しておりますし、それがために設備投資が行われないということ等ございまして、景気は引き続き悪化しております。
 そこへもってきて、さらには、産業の空洞化が起こりまして、輸入物資が非常にふえております。これらが非常に低価で、安定な供給がされておるものでございますから、中小企業の対抗力が非常に弱いということも認識しておるところでございます。
 この回復がおくれております原因の一つといたしましては、やはりIT産業が予想以上の深刻なダメージを受けたということもございますし、またさらに、先般起こりましたアメリカでのテロ事件の影響がございまして、アメリカ経済に与える影響は、非常に先行きが暗いものがある、不透明なところがございます。
 ぜひひとつ早期に回復してくれることを願っておるのでございますが、こういう状況の中にあって、政府といたしましては、状況の変化に細心の注意を払いながら、中長期的な視点から経済、財政の構造改革に積極的に取り組んでいきたいと思っておりまして、十月二十六日に改革先行プログラムを決定し、これを着実に実施するために、近く皆さんに提出いたしますところの補正予算に盛り込み、さらには本予算におきましてもこの実現を図るようにいたして、民需主導の持続的な成長を目指しておるところでございます。
 同時にまた、年末にかけまして、これからの先行きについての中長期的な経済の見通しをお示しいたして、ぜひひとつ積極的に御議論いただきたいと思っておるところであります。
 日本経済の悪化の原因は資産デフレにあるということでございまして、これに対する答弁をしろということでございます。
 私は、確かに、資産デフレの状態が起こっておるようにも思うのでございますけれども、これは、バブル崩壊に伴う株価と地価の下落がこの主動因である、これが家計を圧迫して、また企業の体質改善にも非常に阻害条件になっておることは承知いたしておりまして、このためにも、ぜひとも資産価格の下落をここで抑制しなければならぬと思うておりまして、いわば都市を中心といたしました積極的な小型の公共事業等の展開等をもってこの対策を講じたいと思っております。
 それから、債務の返済を優先するといったバランスシートの調整にも積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
 なお、このような状況に応じまして、間接金融中心の金融構造や不動産市場の低迷など、資産市場の抱える構造問題を解決するために積極的に取り組めという小泉さんの御指示でございますが、私たちもそのことに一層の努力をしてまいりたいと思っております。
 なお、この件につきましては改革先行プログラムの中に盛り込んでおるものがたくさんございますので、この件につきましては、後でまた竹中大臣から説明があろうと思っております。
 次に、小泉政権発足以来の半年の間で株価が四千円も下がってきておる、一万円台になって、これを割り込もうとしておるではないか、これによる国民の資産の喪失額及び大手十五行の含み損の額は幾らぐらいになっておるのかということでございます。
 このお尋ねに対しましては、東証一部上場株式の時価総額を見ますと、小泉内閣が発足しました本年四月二十六日と昨日の時価総額を比較しますと、おおよそ八十兆円減少しております。また、主要行の含み損につきましては、金融庁の所管ではございますけれども、各銀行が保有する株式の種類が異なることや、あるいはまた、保有株の時価が日経平均に必ずしも連動されていないこと等を考えますと、一概に申し上げられないと認識しております。
 次に、この半年間の株価の下落及び株式市場の活性化についてどう考えておるのかという御質問でございます。
 我が国の株価は、下落基調での推移となってまいりました。先般のテロ事件の発生後、一時、日経平均株価が一万円を大きく割り込むなど、一段の下落をいたしまして、私たちも早急に方策をいたしたのでございますが、やっと九月下旬以降はやや持ち直しまして、一万円台にまで復活してまいりました。しかし、これで十分とは申せず、もっと株価の上昇を図るべきであると思っております。
 株価は、企業の業績見通し等を反映するものであり、経済指標の一つとして今後とも十分注意してまいりますが、証券市場の活性化のためには、目先の株価対策といった視点ではなくして、やはり貯蓄優遇から投資優遇へ金融のあり方を切りかえるということと、もう一つは、企業自身が体質を強化して配当性向を高めていくというようなこともございますし、またさらには、市場の透明性、公平性を確保いたしまして、安心をして投資していただける環境をつくる必要があると思って努力いたします。
 また、税制等につきましても、今回提示いたしました税制改正の内容の中に盛り込まれておるように、大衆の皆さん方が参加しやすいような方法をいろいろととってまいりたいと思っておるのでございます。これによりまして、証券・株式市場の活性化を図っていきたいと思っております。
 なお、今後とも、株式市場の活性化のためには、企業体質の強化並びに配当性向に魅力を持たすような方法につきまして、一層の財政面からの努力もいたしたいと思っております。
 さらに、緊急投資優遇措置、これは、一千四百兆円の国民の金融資産のほとんどを占める高齢者層に株式投資に参加してもらうための効果が期待できないのではないか、こういうお話でございます。
 私たちは、高齢者に限らず、より多くの個人投資家が積極的に株式市場に参加してくれるきっかけをつくりたいと思いまして、今回の証券税制の改正をいたしたところでございます。一定の期間の保有も要件としておることから、株式の保有を促進するということに重点を置いておるということも御承知いただきたいと思うのであります。
 次に、御質問ございました第七問目の問題でございますけれども、今回の改正案以外にも、株式市場の活性化策としてどのような対策を考えておるかということでございます。
 これには、国民一般が安心して参加できる、透明性、公平性の高い市場の構築といった証券市場の構造改革を進めることがまず先行するものでございますが、同時に、企業体質が改善するようにいたしたいと思っております。
 それと同時に、個人投資家の証券市場への信頼向上のためにインフラの整備をいたし、また、証券に対する魅力を、そして安全を確保するために、例えばETFの積極的な活用等を図ってまいりたいと思っておりますし、また、魅力ある投資信託の実現等に対しまして、証券業界等の御協力をいただきたいと思っております。
 最後の御質問でございますが、国債の格付についてどう考えているかという問題でございます。
 私たちは、この国債の格付につきましては非常に神経を使っておるのでございまして、国債の格付ということは、要するに、国の経済力を外国がどのように評価するかということに結びついておりますし、いわば国力の象徴ともいうことでございます。
 格付におきましては、国の格付を行う部門、ソブリン部門と申しますが、この部門では、通常、数名のアナリストたちがチームを構成いたしまして、格付を行っていると承知しております。また、こうしたアナリストたちは、通常、金融機関での勤務経験を持つ専門家であり、また、公認会計士等の資格を有する者でもって構成されております。
 現在、国債は円滑に消化されておりますが、格付会社は、国債発行等に対しまして、当局の姿勢というものに重点を置いて監視いたしております。私たちといたしましては、国債の安定的な消化に努力をすることに重点を置いております。また、幸いにいたしまして、国債の消化は順調に進んでおりまして、また、この消化の結果といたしまして流動性資金の十分な確保もできておるということは、日本の経済のいわば短期的な観点といたしましては成功しておるように思っております。
 特に私は、重点を置いていますのは、為替レートの安定的な推移というものに十分な注意をいたしておるのでございまして、そのこと等をわきまえまして、格付会社等の格付チームが訪日いたします場合は、みずから積極的に、その求めに応じて、国債の状況並びに国の経済政策等について理解を得るように努力しておることでございます。
 なお、民間の格付会社の最終的な判断あるいはこれに対する批判というようなことは、政府といたしましてはコメントすることは差し控えたいと思っております。
 以上、急ぎ申し上げましたが、非常に質問が多かったもので、十分時間をかけられなかったことは残念でございますが、御了解いただきたいと存じます。(拍手)
    〔国務大臣柳澤伯夫君登壇〕
#19
○国務大臣(柳澤伯夫君) 日本経済の現状認識に対するお尋ねでございます。
 我が国経済は、一九九八年度以降、既に三年間、名目GDPがマイナス成長を続けております。これは、私の立場からいいますと、実質GDP以上にやはり名目GDPを大事だと思ってフォローしておりますけれども、そういう状況にございます。また、消費者物価の下落率も最近一層大きくなりまして、緩やかなデフレの状況にあるというのが政府全体の認識でもありますし、私もそのように観察をしているわけでございます。こうした中で、失業率もこれまでの最高水準を記録するなど、その厳しさを増しているということに認識をいたしております。
 このような状況のもとで、株価の下落等によりまして、銀行の配当可能利益に減少等の影響が出ておりますけれども、現時点におきまして主要行の自己資本比率はどうかといいますと、総じて高い水準にあるというふうに認識しておりまして、金融システムの安定に動揺があるというふうには考えておりません。
 しかしながら、米国におきます同時多発テロ事件の影響等によって経済の先行き不透明感が増している中で、金融の動向についても、今後、引き続き最大限の注意を払ってその推移を見ていく必要がある、このように考えている次第であります。
 次に、株価及び株式市場の活性化についてのお尋ねでございます。
 株価はさまざまな要因を背景に市場において決定されるものというふうに認識しておりまして、その変動要因を特定することは困難だと考えております。ところが、現実の市場においてどういうことが指摘されているかといえば、米国を初めとする世界的な成長の減速及びこれに伴う景気の先行き不透明感等が今日の状況をもたらしている、このようなことを申しているということを認識しております。
 証券市場については、個人投資家の積極的な市場参加のための環境整備を図るということが大事だと考えておりまして、中長期的観点から、市場による直接金融の機能を高め、市場の活性化を図っていくことが我が国金融の構造改革を進める上で重要な課題だ、このような認識をいたしております。
 こうした観点から、先般策定した証券市場の構造改革プログラムというものの大要のところを先行改革プログラムにも移行掲載をしていただきまして、このような政府全体の政策という位置づけをいただいて、引き続きこれを着実に実行してまいりたい、このように考えている次第であります。
 それから、証券市場の信頼回復策につきましてお尋ねがございました。
 特に、米国のSECと証券取引等監視委員会の摘発件数の比較をなさったわけでございますけれども、これはあえて申し上げますが、対象とする証券市場の規模等も異なっておりますので、この摘発件数そのものを単純に比較するということが必ずしも適当だとは考えておりません。
 しかし、もとより、金融庁では、証券市場の信頼回復を図ることが個人投資家の参入を求めるためにも極めて重要なインフラだと考えておりまして、先ほど申した証券市場の構造改革プログラムにおきましても、非違事件があったときの厳格な行政処分の実施、それからまた、証券取引等監視委員会の人員増強による監視機能の強化等を図ることといたしております。
 今後、同監視委員会を中心として、新しい委員長が就任されて、市場仲介者への不信と一部市場参加者への不信と、それから監視当局への不信、この三つの不信がある、この三つの不信の解消が自分らのこれからのスローガンである、こういうことを明言されておりますので、こうしたことも踏まえまして、証券市場の信頼回復を図るため、今後とも、私どもとしても鋭意努力をしてまいりたい、このように考えております。
 以上でございます。(拍手)
    〔国務大臣竹中平蔵君登壇〕
#20
○国務大臣(竹中平蔵君) 小泉議員から私に対しては、四点の質問をいただきました。
 まずは、日本経済の現状認識とその政策対応についてのお尋ねでございます。
 日本の経済は、四―六月期のGDP成長率がマイナス〇・八、個人消費は、おおむね横ばいの状況は続いていますけれども、弱い動きも見られるということ、さらには、九月の完全失業率が過去最高の五・三ということでありまして、大変厳しいということは認識をしております。
 これまでも、経済の現状を的確に判断しまして、適宜適切な経済運営に努めてきておりまして、累次の経済対策は民需の落ち込みを相殺するという形で景気がスパイラル的に悪化するというのを防ぐ、そういう効果があった、下支えの効果があったというふうに認識をしております。
 第二のお尋ねは、日本経済悪化の原因が資産デフレにあるのではないかという点であります。
 経済悪化の原因としましては、アメリカの経済の減速に端を発した世界同時的な減速の影響を受けているということのほかに、確かに、御指摘にありましたように、バブル崩壊後の資産デフレを背景としました不良債権の問題など、構造的な問題が日本の経済の潜在的な成長力の発揮を阻んでいるということは間違いないと思います。
 資産デフレを背景としますこういった不良債権の問題は、日本経済が抱えるいわば負の遺産でありまして、経済成長にとって大きなおもしであると考えております。このため、先般の改革先行プログラムにおいて、緊急に新たな諸施策を講じることとしたところでございます。
 これらの諸施策を確実に実施に移すことによって、遅くとも集中調整期間が終了する三年後には、不良債権問題の正常化を目指すこととしております。
 なお、経済財政諮問会議の議論でありますけれども、資産価格の問題のほか、それと密接に関連しています不良債権処理や金融政策、都市再生問題について、活発な調査審議を行っているところであります。さらに、重要問題については、今後、集中審議を進めるつもりでおります。
 第三に、経済財政諮問会議におきます株式市場の活性化等の論議についてのお尋ねがありました。
 株価の動向につきましては、諮問会議において、景気判断や今後の政策対応とあわせて、たびたび審議されております。株式市場の活性化に向けた対策についても有識者議員から具体的なメモ、資料が提出されるなど、審議を深めております。これらの審議は、先ほど申し上げました基本方針や改革工程表や改革先行プログラムの中に十分生かされているというふうに認識をしています。諮問会議の今後の審議においても、株価の動向には十分な注意をしつつ進めていきたいというふうに思っています。
 第四点は、株式投資におけるチャレンジャー支援について、諮問会議における議論に関するお尋ねがありました。
 日本経済は、間接金融に、特に相対型の間接金融に過度に依存した状況にありまして、直接金融へよりシフトさせるために、国内にある多額の個人金融資産を効率的に投資に向かわせる、次代を担う新産業へ資金供給がスムーズになされるようなシステムをつくっていくことが大変重要であるというふうに思っております。
 したがって、この点について、諮問会議では、経済の活性化のためには個人、企業の潜在力の発揮が不可欠であるとの認識のもと、個人金融資産が投資へ向かうインセンティブのあり方でありますとか、起業、創業の重要性について議論しまして、基本方針のチャレンジャー支援プログラムの中で、税制を含めた諸制度のあり方の討議が必要としたところでございます。さらに、この基本方針に基づきまして、改革先行プログラムの中には、これに関する諸施策を盛り込んだところでございます。
 以上、お答え申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#21
○議長(綿貫民輔君) 鈴木淑夫君。
    〔鈴木淑夫君登壇〕
#22
○鈴木淑夫君 私は、自由党を代表いたしまして、証券税制の改正に関する租税特別措置法改正案並びに地方税法改正案につきまして、質問いたします。(拍手)
 小泉内閣が示した改革工程表を見ますと、「証券市場の構造改革」という項目はありますが、そこには、今臨時国会での措置として、ただ一言、「証券税制について、早急に対応する。」としか記されておりませんでした。また、同じ改革工程表の「税制改革」の項目には、今臨時国会での措置は特に書かれておらず、今後の経済社会の構造変化等に対応した望ましい税制構築へ向けて政府税調で今後とも引き続き幅広い視点から検討を行うと、これもまた政府税調任せ、あなた任せで、抽象的なことしか書いてありません。結局、小泉改革は税制について何をどうしたいのか、はっきりとせず、今後一体どうなることかと、私は正直心配して見ておりました。
 果たせるかな、ここに提出された証券税制改正法案は、構造改革を実現する上でどのような効果を発揮するものなのか、将来の経済社会の中でどのような位置づけになるのか、全く理念も哲学も感じられないものであります。
 今、なぜ、税制改革、特に証券税制の改革が必要なのか。それは、IT革命の進展につれて、金融の情報が瞬時に世界を駆け回るようになり、金融のグローバル化、市場化、証券化が国際的な潮流となったことに対応するためであります。
 従来であれば、日本の貯蓄は、当然、日本の投資に向かう、したがって、高貯蓄率は当然高投資率、ひいては高成長を生み出す、これが日本の高成長の基本的な要因でありました。しかし、今日の金融グローバル化のもとでは、日本の貯蓄は国際的に投資機会を選択しますから、国内の投資が優遇されていなければ、海外に流出し、経常収支の大幅黒字と投資不足の低成長という今日の日本経済の姿を招くのであります。
 証券税制は、これまでのように貯蓄を優遇すれば経済発展に寄与するわけではありません。今日では、投資を優遇しなければ経済は発展しないのであります。
 したがって、証券税制改革の第一のねらいは、預金や貯金の保有という貯蓄よりも、株式保有のような投資を有利にするものでなければなりません。
 第二に、このことは、預金や貯金で集めた資金を貸し出しに回す間接金融よりも、金融市場で証券に投資する直接金融を優遇する税制に変えなければならないということであります。
 貯蓄よりも投資、間接金融よりも直接金融という税制改革は、金融の市場化、証券化という国際的なトレンドに日本の税制を適応させることであります。そして、グローバルな金融の競争に日本が勝ち抜くための構造改革にほかならないのであります。これこそが、今日求められている証券税制改革の理念であり、哲学でなければならないと私は思っております。
 塩川財務大臣、今回の証券税制改革に当たって、少しはこのことについてお考えになったのでありましょうか。お伺いいたします。
 さて、千四百兆円にも達する個人の金融資産を、もっと投資に回そう、もっと直接金融の場に引き出そうという構造改革の理念からすれば、ここに提出された税制改革法案のねらいは、千四百兆円の個人金融資産に占める株式保有のシェアを引き上げることでなければなりません。そのためには、配当課税を利子課税よりも優遇し、また、株式を長期間保有した場合の譲渡益課税を、短期保有と比較して優遇しなければならないのであります。
 しかしながら、驚いたことには、この法案の中には、配当課税の改正が全く入っていないのであります。驚くべきことであります。相変わらず、株式は譲渡益ねらいの短期回転売買の対象だという従来の古臭い考え方に立って、譲渡益課税だけ考えればよいという発想なのでありましょうか。
 現在の配当に対する課税は、一銘柄当たりの配当額が十万円未満の場合に限り、申告義務免除で源泉徴収率は二〇%と、利子課税と同じ扱いでありますが、これが十万円を超え五十万円未満になると、源泉分離課税を選択した場合でも三五%、総合課税ではもっと高率になるケースがあります。その上、五十万円以上はすべて総合課税となるのであります。
 現状では、配当額が十万円未満で二〇%の税率が適用されるケースが約九割に達していますが、それでいいというものではありません。これは、十万円以上あるいは五十万円以上の配当が税制上不利な扱いとなっているため、高齢者など十分な金融資産を持った人々が多額の株式を保有しないからであって、九割が二〇%だからよいと時々説明を受けますが、そういう話ではないのであります。これでは、長期で多額の金融資産は株よりも預貯金で持っていた方が有利な状態、これまでの状態、これがいつまでも続き、構造改革の理念には全く反しております。
 配当二重課税の問題を考えると、厳密なインピュテーションはしないにしても、配当税率は利子税率の二〇%より低くてもよいのではないかと私は考えますが、塩川財務大臣はどのようにお考えでしょうか。(拍手)
 また、塩川財務大臣は、ボーナスが支給されるまでに改正法の施行を間に合わせてもらいたいと言ったと報じられておりますが、一年以上保有した上場株式の譲渡所得に対する暫定税率の特例の創設や、一年以上保有した上場株式の百万円特別控除の延長など、暫定措置、特例措置をこの法案の中で講じておられるわけであります。
 これは、株式を一年以上持てばお得ですよという税制を株価対策として暫定的に導入しようとするものではありませんか。そこには、今後、永続的に株式を長期保有すれば金融資産の運用上有利になるのだという、構造改革の理念は全く見ることができません。その場しのぎの、場当たり的な三年間の暫定措置にすぎないではありませんか。
 暫定措置は、公平性の観点からも疑問が残ります。唯一の恒久的措置として、譲渡益課税を二六%から二〇%に引き下げる、そして、三年間の損失繰り越しを認めておりますが、これも、私は不十分だと思います。リスクの高い株式保有の譲渡益課税と確定金利の課税との間の公平性、中立性を維持するためには、株式譲渡益課税の税率の方が低くてしかるべきであります。また、損失の繰り越しは、三年間に限定する理由はないと思います。塩川財務大臣の見解をお伺いいたします。
 日本と同様、企業の資金調達が銀行からの借り入れ中心であったドイツでは、株式の流通、売却、配当等における税負担を軽減するなど、早い時期から、証券税制見直しを中心に中長期的な視野からの積極的な対策を打ち出してまいりました。その努力が公社民営化に伴う大量の株式売り出しと相まって実を結び、個人の金融資産に占める株式の比率がこの十年間に六%前後から一三%前後にまで倍以上の上昇を示したことは、よく知られているところであります。
 税制改正のポイントは、配当二重課税を考慮したインピュテーション方式により、配当課税を総合課税となる利子課税よりも有利にしていること、また、一年以上保有した株式の譲渡益課税は原則として非課税にしていることなどによって個人が株式を長期間、大量に保有する動機を強めている、これがドイツの税制改正の特色であります。
 このようなドイツの証券税制改正とその成果について、塩川財務大臣はどのように認識しておられるのでしょうか。また、日ごろ、株式の長期保有を促進したい、個人金融資産の中で株式保有のシェアを高めたいと言っておられる柳澤金融担当大臣は、ドイツがうらやましいとはお思いになりませんか。両大臣の御見解を求めます。(拍手)
 小泉内閣発足から半年が経過いたしました。「聖域なき構造改革」を絶叫されてきた小泉総理ですが、今や、それを実行に移すべきときであります。
 その際、重要なことは、構造改革の必要性の背後にあるものを的確にとらえ、問題点を解消し、伸ばすべきものは伸ばしていくために、どのような仕組みに改めればよいのか、また、それが将来の新しい経済社会を構築していく上でどのような位置づけになるのかということを、筋道を立ててもっとよく考えること、そして、きちんと国民に説明していくことであります。
 今回の税制改正も、構造改革の有機的な一環として全体の改革との関連が少しでもかいま見えればいいのでありますが、残念ながら、行き当たりばったりの暫定措置にすぎないと言わざるを得ません。
 この法案が、小泉内閣の構造改革の先にある将来の経済社会の姿をどのように説明してくれるのか、それとも、財務大臣がおっしゃるように、株式に対する当面の駆け込み需要を期待するだけの、株価維持のための暫定的施策にすぎないのか、塩川財務大臣に改めてお聞きし、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
    〔国務大臣塩川正十郎君登壇〕
#23
○国務大臣(塩川正十郎君) 鈴木さんから、平素の卓越した御議論の上に、非常に的確な御質問をいただきましたので、これも数たくさんございますので、順を追うて説明いたしまして、もし漏れておるところがありましたら、御寛容いただきたいと存じます。
 まず最初におっしゃいましたことは、証券税制を改正するのだが、大体、証券に対する哲学を持っておるのか、あるいは、改正について一つの理念が貫き通されておるのかという御質問でございます。
 私は、委員会等におきましても申し上げておるのでございますけれども、今、国民の財産観というものを変えなければならないのではないか。従来、国民は、不動産、特に土地を中心とした財産観というものを持っておりまして、これがやはり証券市場の発達をある程度おくらせてきたことでもあるし、また、銀行の融資等も偏り過ぎてしまって不良資産を生んでくる大きな原因の一つになってまいりましたのも、銀行自身がそういう不動産を中心とした企業の評価というものをしておるところに原因があるように思っております。
 こういうことから、私たちが考えておりますのは、この財産観を土地から有価証券に振りかえるような方向に持っていきたい、そのためには、言われるところの間接金融から直接金融への移管を図っていくということに重点を置いておるのでございまして、そういう変化を促していく一つの手段として証券市場の育成を考えておるということを、ぜひひとつ御認識いただきたいと思っております。
 しかも、税制の改正につきましては、この重点をどこに置くか。
 今まで、株式というものにまつわりますところの、相場師的な、投機的な投資が随分とございましたこと等によりまして、まず、証券に対する信頼を回復するという意味におきまして、透明性と公平性、そういうものを図ることが必要であるということでございまして、そのためには、今回、申告分離課税に一本化することによって透明性を確保するということ等を図っていきたいと思っておりますし、また、将来におきます監視制度等も強化していきたいと思っております。
 そして、株式はできるだけ保有を重点に制度を進めていきたいと思っておりまして、そのためには、今回の一連の税制改正の中でやっておりますインセンティブは、保有を十分にしていただくための措置であるということに御理解していただきたい、いわゆる貯蓄から投資優遇への金融のあり方の切りかえということでございます。
 次に、個人の金融資産を直接金融に引き出すに際し、配当課税を利子課税よりも優遇すべきではないかというお考えでございます。
 確かに、このことは一応我々も検討はいたしておるのでございますけれども、先ほど申しましたように、長年にわたりまして日本の財産観というものは不動産と貯金ということに重点を置いた、これを一挙に切りかえていくということはなかなか時日を要することでございます。
 配当課税につきましての一つの考えとして、定率かつ定期的に発生する利子に比べまして、法人の事業の成果を配分するというのが配当でございますから、非常に不安定なことであることは事実でございます。そしてまた、国民の中では、預貯金に比べまして株式投資をしている人は比較的高額所得者の階層に属しておる、そういう考え方がまだ依然として残っておること等がございますので、利子と配当とを一律にこれを検討して改正するということは、今のところ、ちょっと時間を要するのではないか。
 しかしながら、直接金融市場を育成するという観点に立ちまして、配当に関しますところのいろいろな要件がございます。この配当に関する諸要件、分野を検討してまいりたいと思っております。
 それから、リスクの高い株式保有の譲渡益課税と確定金利の課税との間の公平性、中立性を維持するために株式譲渡益課税の税率の方が低くてしかるべきではないか、こういうお考えでございます。
 これは、先ほど申しましたように、株式の長期保有を促す措置として、一〇%の税率を今回適用することにいたしましたし、百万円の特別控除制度もあわせてこれを適用することにいたしておりまして、そういたしますと、当面は、実質的に利息よりも税負担の水準は低いものと思っております。
 また、これは暫定措置であって、証券税制の恒久化を図れというお話もございました。
 しかしながら、一応は、譲渡損失の繰越控除等を暫定的にいたしておりますことは、災害等の現行の損失繰越期間が三年間とされておりますこと等の観点から、それに並行した考え方をとったものであります。
 それから、株式の流通、売却、配当等における税負担を軽減して個人の金融資産に占める株式の比率を十年間で六%前後から一三%前後に上昇させた、このドイツの証券税制改正とその成果について日本もやはり参考にすべきではないかというサジェスチョンでございました。
 ドイツの九〇年代におきますところの証券関係税制の改正内容を見ますと、有価証券取引税の廃止等の負担軽減がなされる一方で、株式譲渡益の課税対象範囲の拡大等の負担強化も行っております。また、そもそもドイツでは、個人の株式譲渡益については一九二〇年代より原則非課税となっておりまして、これらを踏まえると、個人の株式保有の動きを税制のみで説明することは難しいと思っております。
 むしろ、最低額面金額の引き下げ等の規制緩和や新興企業向け市場の創設等の市場整備といった金融制度の改革が累次にわたり実施されたことや、米国の株価との連動性が高まったことなどによりまして、株式市況が好調になったということを聞いておるのでございまして、我々も、これの推移につきましては十分な研究をしてまいりたいと思っております。
 最後に、今回の税制改革は小泉内閣の構造改革の先にある将来の経済社会の姿をどのように説明してくれるのかということでございます。
 再三御説明申しておりますけれども、小泉内閣といたしましては、不良債権の処理、競争的な経済システムの構築、財政構造の改革などの経済財政の構造改革に積極的に取り組んでいるところでありまして、先ほどは改革先行プログラムを決定したところであります。
 そして、我が国の経済の再生を図るためには、金融・証券市場を通じて資源が有効に成長分野に流れることが必要であり、そのためには、企業が活性化し、収益力を高めることが基本であることはもちろんでございますが、株式・証券市場の監視並びに取り締まりの体制の充実等を図りまして、とりあえず、証券市場の信頼向上並びに証券関係業者の活躍をさらに積極的に進めていただくためのインフラの整備等を急ぐ必要があると思っておりまして、それに対して鋭意努力いたします。
 今回の税制改正の見直しといたしましては、申告分離課税への一本化により、透明性、公平性の高い証券市場の構築に資するとともに、税率の引き下げや損失繰越制度の導入により、リスク負担等の緩和に配慮するなどいたしまして、国民が安心して証券市場に参加していただくきっかけとなるものと期待をいたしておるところであります。(拍手)
    〔国務大臣柳澤伯夫君登壇〕
#24
○国務大臣(柳澤伯夫君) 鈴木議員からは、私に対して、ドイツの証券税制がうらやましくないか、こういうお話を御提起いただきました。
 ドイツの証券税制につきましては、ただいま塩川大臣の方からも、ややディスカレッジ的な言辞というか制度の説明を受けてしまったので、どうも余り、私、元気がなくなりそうなのでございますけれども、しかし、ドイツでは、キャピタルゲイン課税全体に対する基本的な考え方が違うという背景はあるにせよ、やはり、一年以上保有した株式の譲渡益が原則非課税であるということは、中長期的に見て、ドイツの個人株主、個人投資家のシェアアップに大いに効果があった、意義があったということはもう明白ではないか、このように思います。
 もちろん、そのほかにもいろいろあるわけでございまして、私、塩川大臣と一緒に昔の大蔵次官と会ったこともあるのですが、彼が言うには、ドイツにおける国有企業の民営化をしたときに、株式の販売を、個人投資家を徹底的に育てようという意図とオーバーラップさせまして、郵便局を通じて売った、郵便局の窓口を通じて国有化の株式を売却した、そして、もちろん郵便局は、これはもう郵便貯金などと違って元本の保証はない、株式投資というのは元本の保証がないという危険性はあるけれども、また楽しみも多いのだというような啓蒙教育活動というものをあわせて行ったというようなことを聞きまして、二人で大変感銘を受けたのでございますけれども、いろいろな問題について、やはり真っ正面から我々は取り組んで問題を本当に打開していく、こういう姿勢が大事で、ドイツはまさにそれを愚直にやっているなという感を深くいたしたのでございます。
 昨年も、先ほど議員がおっしゃったインピュテーション方式につきましては、これは余りにも事務負担が大きいではないかというような反省があったようでございまして、これは逆に、配当額の半分を課税対象とするという半額課税方式の導入というようなことをやったようでございます。それと、私どもの方も、今、法人の持ち合い株式の解消ということを進めているのですが、ドイツでは、この解消を促進するために譲渡益の非課税というものをやっておることは、既に御案内かと思うわけでございます。
 我が国におきましても、証券市場の構造改革を進め、個人投資家の株式保有促進を図るとの観点から、株式保有にインセンティブを与える税制措置を整備することは、言うまでもなく他のインフラ整備と並んで必要なのでございまして、本法案におきます緊急投資優遇措置や長期保有上場株式に係る税率の引き下げの措置等が盛り込まれておりますので、それは、私どもの考えている必要な環境整備の一環としてその整備に資するものというふうに私ども考えているところでございます。
 以上でございます。(拍手)
#25
○議長(綿貫民輔君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#26
○議長(綿貫民輔君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後二時二十六分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        総務大臣    片山虎之助君
        法務大臣    森山 眞弓君
        外務大臣    田中眞紀子君
        財務大臣    塩川正十郎君
        国務大臣    竹中 平蔵君
        国務大臣    柳澤 伯夫君
 出席副大臣
        財務副大臣   村上誠一郎君
ソース: 国立国会図書館
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