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2001/11/09 第153回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第153回国会 本会議 第15号
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2001/11/09 第153回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第153回国会 本会議 第15号

#1
第153回国会 本会議 第15号
平成十三年十一月九日(金曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第十一号
  平成十三年十一月九日
    午後零時三十分開議
 第一 国家公務員の育児休業等に関する法律及び一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第二 地方公務員の育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
    …………………………………
  一 国務大臣の演説
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 日程第一 国家公務員の育児休業等に関する法律及び一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第二 地方公務員の育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 刑法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 刑事訴訟法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 国会議員の秘書の給与等に関する法律の一部を改正する法律案(議院運営委員長提出)
 国会職員の育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案(議院運営委員長提出)
 塩川財務大臣の財政についての演説及びこれに対する質疑

    午後零時三十三分開議
#2
○議長(綿貫民輔君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 日程第一 国家公務員の育児休業等に関する法律及び一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第二 地方公務員の育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
#3
○議長(綿貫民輔君) 日程第一、国家公務員の育児休業等に関する法律及び一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律の一部を改正する法律案、日程第二、地方公務員の育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。総務委員長御法川英文君。
    ―――――――――――――
 国家公務員の育児休業等に関する法律及び一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書
 地方公務員の育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔御法川英文君登壇〕
#4
○御法川英文君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、総務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 まず、両案の要旨について申し上げます。
 国家公務員の育児休業等に関する法律及び一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律の一部を改正する法律案は、本年八月の人事院の意見の申出等にかんがみ、職員がみずから育児または介護を行う場合における育児休業、介護休暇等の制度を拡充しようとするものであります。
 次に、地方公務員の育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案は、地方公務員について、国家公務員の場合と同様に、育児を行う職員の負担を軽減するため、育児休業の制度を拡充しようとするものであります。
 両案は、去る十月三十一日本委員会に付託され、十一月一日片山総務大臣からそれぞれ提案理由の説明を聴取し、昨八日質疑を行い、これを終局いたしましたところ、両案に対し日本共産党から修正案がそれぞれ提出され、趣旨の説明を聴取した後、国家公務員の育児休業法及び勤務時間法改正案に対する修正案について内閣の意見を聴取いたしました。次いで、採決いたしましたところ、両修正案はいずれも賛成少数をもって否決され、国家公務員の育児休業法及び勤務時間法改正案及び地方公務員の育児休業法改正案はいずれも全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 なお、国家公務員の育児休業法及び勤務時間法改正案に対し附帯決議を付することに決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#5
○議長(綿貫民輔君) 両案を一括して採決いたします。
 両案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
#7
○小此木八郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 内閣提出、刑法の一部を改正する法律案、刑事訴訟法等の一部を改正する法律案、右両案を一括議題とし、委員長の報告を求め、その審議を進められることを望みます。
#8
○議長(綿貫民輔君) 小此木八郎君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加されました。
    ―――――――――――――
 刑法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 刑事訴訟法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
#10
○議長(綿貫民輔君) 刑法の一部を改正する法律案、刑事訴訟法等の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。法務委員長保利耕輔君。
    ―――――――――――――
 刑法の一部を改正する法律案及び同報告書
 刑事訴訟法等の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔保利耕輔君登壇〕
#11
○保利耕輔君 ただいま議題となりました両法律案について、法務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 まず、刑法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本案は、自動車運転による死傷事犯の実情等にかんがみ、事案の実態に即した処分及び科刑を行うため、所要の法整備を行おうとするもので、その主な内容は、
 第一に、アルコールの影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させるなど悪質かつ危険な自動車の運転行為により人を負傷させた者は十年以下の懲役に処し、死亡させた者は一年以上の有期懲役に処するものとすること、
 第二に、自動車を運転して業務上過失傷害罪を犯した者について、傷害が軽いときは情状によりその刑を免除することができるものとすること
であります。
 次に、刑事訴訟法等の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本案は、財産刑、自由刑等の裁判を的確に執行するため、所要の法整備を行おうとするもので、その主な内容は、裁判の執行に関し、検察官等による公務所または公私の団体に対する照会権限を定めようとするものであります。
 両案は、内閣から提出され、去る十月三十一日本委員会に付託されたものであります。
 委員会においては、十一月二日森山法務大臣から提案理由の説明を聴取した後、六日から質疑に入り、七日には参考人から意見を聴取するなど慎重に審査を行い、本日質疑を終局し、採決を行った結果、両案はいずれも全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 なお、刑法の一部を改正する法律案に対し附帯決議が付されたことを申し添えます。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#12
○議長(綿貫民輔君) 両案を一括して採決いたします。
 両案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#13
○議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
#14
○小此木八郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 議院運営委員長提出、国会議員の秘書の給与等に関する法律の一部を改正する法律案及び国会職員の育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案の両案は、委員会の審査を省略してこれを上程し、その審議を進められることを望みます。
#15
○議長(綿貫民輔君) 小此木八郎君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#16
○議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加されました。
    ―――――――――――――
 国会議員の秘書の給与等に関する法律の一部を改正する法律案(議院運営委員長提出)
 国会職員の育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案(議院運営委員長提出)
#17
○議長(綿貫民輔君) 国会議員の秘書の給与等に関する法律の一部を改正する法律案、国会職員の育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。
 委員長の趣旨弁明を許します。議院運営委員長藤井孝男君。
    ―――――――――――――
 国会議員の秘書の給与等に関する法律の一部を改正する法律案
 国会職員の育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔藤井孝男君登壇〕
#18
○藤井孝男君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、提案の趣旨を御説明申し上げます。
 まず、国会議員の秘書の給与等に関する法律案でありますが、本案は、一般職の国家公務員に準じ、国会議員の秘書につきましても、当分の間、特例一時金を支給することとするものであります。
 次に、国会職員の育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案でありますが、本案は、一般職の国家公務員に準じ、育児休業及び部分休業の対象となる子の年齢を三歳未満に引き上げるとともに、代替要員の確保措置として、育児休業の請求期間を任期の限度とする任期を定めた採用または臨時的任用のいずれかを行うことができることとするもので、平成十四年四月一日から施行することといたしております。
 両法律案は、本日議院運営委員会において起草し、提出したものであります。
 何とぞ御賛同くださるようお願い申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#19
○議長(綿貫民輔君) 両案を一括して採決いたします。
 両案を可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#20
○議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。よって、両案とも可決いたしました。
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説
#21
○議長(綿貫民輔君) 財務大臣から財政について発言を求められております。これを許します。財務大臣塩川正十郎君。
    〔国務大臣塩川正十郎君登壇〕
#22
○国務大臣(塩川正十郎君) 今般、さきに決定されました改革先行プログラムを受けて、平成十三年度補正予算を提出することとなりました。その審議をお願いするに当たり、当面の財政政策等の基本的考え方について所信を申し述べますとともに、補正予算の大要について御説明いたします。
 まず、最近の経済情勢と、さきに決定されました改革先行プログラムについて申し上げます。
 我が国経済を取り巻く国際経済情勢を見ますと、これまで世界経済を牽引してきた米国経済が、IT関連産業の業況悪化を契機として昨年後半以降減速したこともあり、世界経済の成長には減速が見られます。
 我が国経済は、こうした世界的な経済動向のもとで、いわゆる産業の空洞化の進行も相まって、輸出、生産、設備投資は減少し、雇用情勢は悪化するなど、厳しい状況にあります。また、先般の米国における同時多発テロ事件により先行きに不透明感が増しており、今後、内外の経済動向を一層注視する必要があると考えております。
 こうした状況の中、政府としては、状況の変化に細心の注意を払いながらも、中長期的な視点に立って、個人消費を始め民需主導の持続的な発展を図るため、各般の構造改革を積極的に推進することを経済財政運営の基本とすべきであると考えております。このような観点から、十月二十六日に、構造改革を進めていく上で先行して決定、実施すべき施策を盛り込んだ改革先行プログラムを決定いたしました。
 同プログラムにおいては、経済活性化を図るため、雇用創出にも資する規制改革等を強力に推進するとともに、証券市場、金融システムの構造改革の一環として、証券税制の見直し、不良債権処理の強化等の施策を講じることといたしております。また、構造改革を進めていく過程で生じ得る失業や企業倒産の増加等に対応するため、雇用及び中小企業等に係るセーフティーネットの一層の充実策を講じることといたしております。さらに、これらとあわせ、構造改革を加速するために特に緊急性の高い施策として、電子政府の実現、学校の情報化の推進、保育所待機児童ゼロ作戦等の推進、廃棄物処理施設の緊急整備、地域科学技術振興を通じた新産業等の創出及び都市再生等に資するPFIの推進を図ることといたしております。
 このうち、証券税制に関しては、株式譲渡益課税について、平成十五年一月から、申告分離課税への一本化、税率の引き下げ、損失繰越制度の導入等の措置を講じるとともに、緊急かつ異例の措置として、平成十四年末までに新たに購入した上場株式等について、その購入額が一千万円までの譲渡益を、一定の要件のもと、非課税とする措置を講じるため、租税特別措置法等の一部を改正する法律案を国会に提出しております。
 次に、米国における同時多発テロ事件に対する取り組みについて申し上げます。
 同事件は、数多くのとうとい人命を奪う、極めて卑劣かつ許しがたい暴挙であり、ここに改めて、犠牲となられた方々に哀悼の意を表するとともに、被害者の方々に対して心からお見舞い申し上げます。
 同事件に対しては、世界並びに日本の経済システムの混乱が生じないよう、G7を初めとする国際的な協調体制の中で、金融システムの安定等、適切な対応を図ってまいりました。また、テロリストへの資金供与を防止するため、我が国としても、タリバーン関係者等に対し、資産凍結等の措置を講じております。
 次に、今般提出いたしました平成十三年度補正予算の大要について御説明いたします。
 まず、歳出面においては、改革先行プログラム関連として、雇用対策費五千五百一億円、中小企業等対策費二千五百十一億円及び緊急構造改革加速施策対策費一千九百八十九億円の計一兆円を計上するとともに、緊急テロ等対策費四百九十九億円、牛海綿状脳症対策費二百六十五億円、災害対策費三千百三十九億円、地方交付税交付金二千五百九十八億円を計上することといたしております。このほか、義務的経費の追加等、特に緊要となったやむを得ない事項等について措置することといたしております。これらの歳出の追加額の合計は二兆九千九百五十五億円となりますが、あわせて、既定経費の節減等を行うことといたしております。
 他方、歳入面においては、租税について、最近までの収入実績等を勘案して一兆一千二十億円の減収を見込むとともに、前年度の決算上の剰余金四千五百八十九億円を計上し、さらに、その他収入の増加を見込んでおります。
 なお、決算上の純剰余金については、国債の追加発行を極力抑制するとの観点から、財政法第六条に基づく国債整理基金への繰り入れを行わないこととしております。この剰余金の処理については、別途、平成十二年度歳入歳出の決算上の剰余金の処理の特例に関する法律案を提出し、御審議をお願いすることといたしております。
 以上によってなお不足する歳入について、やむを得ざる措置として、一兆六千八百二十億円の公債の追加発行を行うこととしております。今回の措置により、平成十三年度の公債発行額は三十兆円となり、公債依存度は三五・八%となります。
 これらの結果、平成十三年度一般会計補正後の予算の総額は、当初予算に対し歳入歳出とも一兆六百十億円増加し、八十三兆七千百三十三億円となります。
 以上の一般会計補正等に関連して、特別会計予算及び政府関係機関予算についても所要の補正を行うこととしております。
 財政投融資計画については、改革先行プログラムを実施するため、この補正予算において、日本政策投資銀行及び日本育英会に対し、総額六百十七億円を追加することといたしております。
 以上、平成十三年度補正予算の大要について御説明いたしました。
 今回の補正予算は、我が国経済の再生には構造問題の解決こそが不可欠であるとの信念のもと、財政節度を踏まえつつ、現下の緊急課題である雇用対策を最重点に編成したものであります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。(拍手)
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説に対する質疑
#23
○議長(綿貫民輔君) これより国務大臣の演説に対する質疑に入ります。仙谷由人君。
    〔仙谷由人君登壇〕
#24
○仙谷由人君 私は、民主党・無所属クラブを代表して、塩川財務大臣の財政演説と、今年度補正予算案並びに関連する諸法案に対する質問を行います。(拍手)
 まず、総理の政治姿勢について伺います。
 自民党内部のいわゆる抵抗勢力と目される政治家の方々の活躍が、改革課題をめぐって顕著になってまいりました。小泉政権に期待した多くの国民は、今、小泉総理は改革を本当に遂行するのだろうかと、かたずをのんで見守っています。
 第一に、国債発行限度を単年度三十兆円以内にするとの総理の公約は、今年度も貫き通すと改めて約束をされますでしょうか。与党内では、景気対策のための財政出動を伴う第二次補正予算あるいは十五カ月予算編成をとの主張が、声高に語られているようでありますけれども、小泉総理は、みずからの信念に基づく国債発行三十兆円枠を投げ捨てて、このような主張にくみすることはあるまいと考えますが、いかがでございましょうか。
 第二に、今や、あの勇ましかった道路特定財源の一般財源化は、私たちの視野から消え去っておりますけれども、来年度からは必ずこのことを実行されるのでしょうか。
 第三に、高速道路を建設、経営してきた日本道路公団ほか三公団の民営化は、自民党道路調査会の頑強な抵抗に遭遇しているように見えます。小泉総理がその初志を貫徹されようとすれば、民営化方策と同時並行で、道路整備五カ年計画七十八兆円、この平成十年の閣議決定を直ちに見直し、変更することであります。そのことが、公共事業の効率化、適正化をもたらし、それによる歳出構造の転換へと道を開き、総理が渇望する財政健全化の第一歩となると考えますけれども、そうなさいませんでしょうか。
 以上三点について、小泉総理と塩川財務大臣に答弁を求めます。
 第四に、郵政三事業の民営化までをも叫んできた小泉総理に対して、自民党総務部会は、郵政公社においてさえも信書配達分野への民間開放について全面否定の挑戦状をたたきつけています。このような抵抗を打ち破って民営化に突き進むことに内閣の命運をかけるのでしょうか。明確にお答えをいただきます。
 第五に、小泉総理の一内閣一閣僚という方針は、議院内閣制のもとにおける政党政治としては、至極当然であると言えます。にもかかわらず、派閥均衡や順送り、たらい回しの光景に辟易していた国民にとっては、今度の小泉内閣の組閣は斬新に映りました。加えて、派閥の領袖の了解を求めず、一本釣りで組閣するという手法の鮮やかさが、国民の喝采を呼んだところであります。
 ところが、与党内には年末内閣改造期待のマグマが充満し、総理の公約を押しつぶすかに見えます。まさか、年末に内閣を改造して、旧来の自民党政治である派閥談合、族議員政治に堕落することはあるまいと考えますが、いかがでしょうか。小泉総理、お答えください。(拍手)
 第六に、先月末、党利党略だけの、与党三党による選挙制度改革をめぐる醜いどたばた劇が展開をされました。総理が危うく毒を飲まなかったことによって、一年先延ばしをされました。
 驚くことに、この与党三党合意は、向こう一年間、小泉総理の解散権を縛り、さらに、本年末の衆議院議員選挙区画定審議会が一票の格差並びに定数是正の区割り案を勧告しても、これを無視し、放置する合意の成立をも意味するとの言い方が、与党内で流布されています。
 まさか、小泉総理がこのようなたくらみにくみすることはないと考えておりますが、総理大臣として、この与党三党合意に縛られて解散権は行使し得ないと考えているのか否か、そして、同勧告を尊重して、速やかに区割り画定法案を提出するという内閣の義務を果たす意思はあるのか、明確にお答えをいただきたいのであります。(拍手)
 次に、補正予算の内容について伺います。
 この補正予算は、雇用対策五千五百億円を目玉としています。しかし、その中核を占める、地方自治体に三千五百億円を交付して、短期的な雇用の場をつくり出させようとする新公共サービス雇用は、この間の失敗の歴史を全く反省しない代物だと考えます。
 総理は、少なくとも、平成十一年から開始され、本年度末まで実施されている緊急雇用対策の実態を自治体や厚生労働省からお聞きになったことがあるでしょうか。
 自治体の公益法人施設の駐車場の誘導員も甚だ多いわけでありますけれども、例えば緊急ため池パトロール事業、これを民間企業に事業費二千万円で委託して、三カ月間でなされた新規雇用はたったの三人、一人当たりの一カ月当たり事業費コストは百六十万円という例などが、あまた報告されているのであります。こうした市町村からの報告を見る限り、雇用のミスマッチ解消どころか、安定的就業のある雇用につながっていないものが極めて多く、事業費コストだけがかさんでいるのであります。
 さらに、先日報道されたように、ある自治体においては、雇用された人のうち三分の二は非失業者、失業していない人である。他の自治体でも、本来の通常業務処理にこの交付金が使われています。ある県の総括表を精査いたしますと、一人の新規雇用のための事業費はおおよそ六十万円ぐらいのコストがかかっています。
 雇用期間が最長六カ月間に限定をされており、かつ新規事業を対象としていることを主たる原因として、この事業が安定的な雇用機会の提供につながらない、まさに一時しのぎのばらまきであるとの批判が正鵠を射ていると思います。
 このような過去三年間に二千億円をかけた緊急地域雇用特別基金事業をどのように総括しているのか、厚生労働大臣に答弁を求めます。
 問題は、三百五十七万人の失業者のうち九十二万人に及ぶ長期失業者であります。この長期失業者が就業できるようにするために何をしなければいけないか、ここが問題であります。かつまた、非労働力人口四千九十四万人のうち就職希望者五百六十八万人、とりわけ、この五百六十八万人の就職希望者のうち、求職をしない理由、非求職理由を、適当な仕事がありそうにないとする人が二百十六万人に上ります。この人たちが継続して就業し得る仕組みを立ち上げることしか、解決の方法はないと考えます。
 数々の事業主への助成を柱とする施策も、平成十年四月の緊急雇用プログラム、同年十一月の雇用活性化総合プラン、平成十一年六月の緊急雇用対策、平成十二年五月のミスマッチ解消を重点とした緊急雇用対策、これらの対策が何ゆえに効果を持たなかったのか、何ゆえに四・六%まで失業率を下げるとしたこの目標値が五・三%になってしまったかを深刻に反省し、中期的視点で教育訓練と職業紹介が有機的に統合された仕組みをつくって、民間の事業としてもこれを開放することから始めなければならないと考えておるところでございますが、総理及び厚生労働大臣のお考えをお聞きしたいと存じます。
 厚生労働省は、ようやく、ホワイトカラーの再就職、転職のあっせんのためにキャリアカウンセラーを養成すると言い出しました。しかし、これも、現時点では全くのつけ焼き刃であります。外国では、キャリアカウンセラーは、大学院の修了を要するプロフェッショナル専門家であります。アメリカでは、既に十七万人も存在すると言われております。日本では、辛うじて百数十人であります。直ちに取りかからなければならないことは、キャリアカウンセラー養成のための教官と講座をつくることだと考えますけれども、厚生労働大臣は、そのような構想をお持ちかどうか、そして実行をされるおつもりがあるか、お聞きをいたします。
 不良債権問題についてもお尋ねをいたします。
 改革先行プログラムには、特別検査や整理回収機構の機能強化が盛り込まれました。しかし、いずれも実効性に乏しいか、あるいは問題が多過ぎます。
 新生銀行に対して瑕疵担保履行のために五千五百億円が支払われた、追加払い額は何と三千百二十億円に上った。新生銀行においては、要注意先債権の要管理先、破綻懸念先以下へ低下させた債権が、一年以内に五五%になった。このことは、金融再生委員会の当時の査定がいかにいいかげんで、政治的な査定であったかをあらわしていると考えております。柳澤大臣はこのことについて国民に謝罪をすべきだと私は考えますが、御所見を伺います。
 また、みずほグループの不良債権償却額の予定が、ここ八カ月で二・五倍に激増をいたしております。まさに、金融庁の資産査定、引き当ての甘さを露呈したものにほかなりません。査定の適正さを広言してきた柳澤大臣の責任は、極めて重かつ大であります。出処進退を含め、お考えをお聞かせください。
 特別検査は、これまでの金融庁の検査が適切であったというフィクションを前提としなければならないために、前回検査のあったことし三月末以降に株価や格付が著しく低下した企業だけを対象にするということになると聞いております。そもそも、柳澤金融担当大臣は、九九年三月、早期健全化法違反の公的資本増強を強行し、銀行の健全性を喧伝してきた、まさにその人であります。みずからがみずからを否定するような結果を出すはずはないでありましょう。総理大臣及び柳澤担当大臣に、反論があればお聞きしたいと存じます。
 また、RCCの機能強化についても、形を変えた銀行救済のための間接的な公的資金投入につながる、まさに国家的飛ばし以外の何物でもありません。その証拠に、この案では、RCCに不良債権の買い取りの入札に参加させ、時価と称して限りなく簿価に近い価格を銀行にプレゼントする仕組みになってしまうのではありませんか。柳澤金融担当大臣は、そうならないと保証できますか。お伺いをいたします。
 総理、今、不良債権処理は急務であります。すべての問題は、不良債権を大量に懐に抱いた銀行を健全な銀行と称して、これに対する公的資金を注入し、健全化計画を実行させるという虚構にとらわれたところに間違いが始まっているのであります。金融仲介機能を取り戻すためには、銀行の財務体質が健全化されなければなりません。そのために、厳格な資産査定、貸し倒れ引当金の引き当てが肝要であります。これまでの金融行政を総括し、過ちを率直に認めるべきであります。
 今、永田町で聞こえてまいりますのは、第二次補正、高速道路九千三百四十二キロメートルの完遂、年末内閣改造、ペイオフ凍結延期の、与党の大合唱であります。日本が断崖絶壁に追い詰められている、その危機感のない人たちの、なかなか直らない習性丸出しの、昔覚えた歌のリフレインというべきでありましょう。
 私は、失われた十年を繰り返してはならない、構造改革なくして本格的景気回復なし、改革なくして成長なし、こう小泉総理は言われておるわけでございますが、その前提としては、総括なくして改革なし、この言葉を小泉総理に指摘をし、質問といたします。(拍手)
    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕
#25
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 仙谷議員にお答えいたします。
 まず、国債発行額三十兆円枠についてのお尋ねであります。
 今回の補正予算も、安易な国債増発に頼るべきものではないという考えのもとに、三十兆円枠の原則を守りつつ、雇用対策に重点を置くほか、構造改革に資する施策を中心として編成したものであります。現在、この補正予算の速やかな成立をお願いしているところでありまして、二次補正予算の編成は考えておりません。
 道路特定財源についてのお尋ねであります。
 これは、既に私は、見直すという方針を固めておりまして、いわゆる骨太の方針で見直すことを明らかにしました。これを踏まえ、平成十四年度予算から自動車重量税を一般財源とすることとし、既に担当大臣に指示しているところであり、年末までにその成案を得ることとしております。
 道路整備五カ年計画の見直し、変更についてお尋ねがありました。
 道路整備五カ年計画は、道路整備を緊急かつ計画的に推進するため、五カ年間に行うべき道路整備の目標などを定めるものであり、現在の計画の策定期間は平成十年度から平成十四年度までとなっています。
 現在、経済財政諮問会議において、道路整備五カ年計画を含む公共事業の長期計画に関して議論されているところですが、そうした議論も踏まえ、今後、適切に対応してまいります。
 郵便事業への民間参入と郵政三事業についてのお尋ねであります。
 平成十五年に発足する郵政公社における郵便事業への民間参入については、いろいろ意見があることは知っております。しかし、私は、総務大臣に全面的な民間参入を前提に検討するよう既に指示しており、年末までに成案を得ることとしております。
 なお、公社化後の郵政三事業のあり方については、郵政三事業に関する懇談会において、民営化問題も含め具体的な検討を進め、来年六月を目標に具体案を取りまとめる予定であります。
 内閣改造に関連したお尋ねであります。
 内閣改造については、私は全く考えておりません。今後とも、各閣僚が一致協力して、内外の山積する課題の解決に向け、全力で努力していきたいと思います。
 衆議院議員選挙区画定審議会の勧告に関するお尋ねです。
 衆議院の選挙制度については、去る十月三十一日に、与党三党で、「選挙区間の人口格差を二倍未満とし、投票価値の平等にも十分配慮するなど、現行選挙制度の抜本的見直しを行い、今後一年以内に成案を得て、一体処理を行うこととする。」等について合意したところであります。
 衆議院議員選挙区画定審議会からは、本年十二月二十二日までに、区割りの改定案の勧告が行われることになりますが、今回の与党合意を踏まえ、その取り扱いを検討してまいりたいと考えております。
 いずれにせよ、衆議院議員の選挙制度の問題は、議会政治の根幹にかかわる問題であり、各党各会派において十分な議論をいただくべきものであると考えております。
 なお、この合意と総理大臣の解散権とは全く関係がございません。
 新公共サービス雇用についてのお尋ねです。
 平成十一年から開始された交付金については、地方自治体や厚生労働省から、地方自治体の創意工夫に基づくさまざまな事業が実施され、臨時応急の雇用・就業機会を創出するものとして一定の成果を上げてはいるものの、一部の事業において雇用創出効果の低い事業も、御指摘のとおり聞いております。
 今般の補正予算に盛り込んだ緊急地域雇用創出特別交付金については、構造改革の集中調整期間中の臨時応急の措置として、現行交付金の支給実態も踏まえ、失業者の雇い入れ割合を一定以上とするなど工夫を加え、雇用のセーフティーネットとして有効に機能するものとすることを考えてまいります。
 教育訓練と職業紹介が有機的に統合された民間の仕組み等に関するお尋ねがございました。
 政府が数次にわたり講じてきた雇用対策は、雇用情勢について一定の下支え効果を上げてきているものと認識しております。
 現下の厳しい雇用失業情勢に対応するため、今般の総合雇用対策においては、離職予定者への再就職支援を初めとして、民間の職業紹介機関や教育訓練機関にかかわる新たな助成等を行うこととしております。これらにより、民間の事業者が職業紹介と教育訓練の事業を行うに当たっての、両事業の一体的取り組みを一層促進してまいります。
 金融機関の特別検査と、これまでの金融行政に関するお尋ねであります。
 政府としては、金融機能が十分発揮されるためには、金融システムが安定し、内外からの信認を得ていることが必要であるとの認識のもと、早期健全化法に基づく資本増強制度の活用等により、金融機関における積極的な償却、引き当て等による不良債権処理の促進を図り、金融機関の健全性の確保に努めてきたところであります。
 今後、構造改革に資する観点も踏まえつつ、不良債権の最終処理への取り組みを一層強化していく必要があると考えており、先般の改革先行プログラム等に盛り込まれた諸施策を果断に実施することにより、遅くとも集中調整期間が終了する三年後には不良債権問題を正常化することを目指し、全力を尽くしてまいります。
 なお、特別検査の選定基準については、検査の対象となる債務者を風評リスクにさらすことはぜひとも避ける必要があること等から、コメントは差し控えさせていただきますが、いずれにせよ、特別検査の厳正かつ的確な実施を通じて、適正な債務者区分及び償却、引き当てを確保してまいりたいと考えております。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣塩川正十郎君登壇〕
#26
○国務大臣(塩川正十郎君) 私に対する御質問はほとんど総理がお答えいたしましたので、重複すると思うのでございますが、念のため、私の考えておりますことを申し上げたいと存じております。
 まず最初にお尋ねがございましたことは、経済対策のために、景気対策のために、さらなる財政出動をしたらどうだろう、三十兆円にこだわることはなぜだという御質問でございます。
 私たちは、三十兆円を主張しております大きい理由の一つといたしまして、一つは、財政に節度をつけるということが大事でございますのと、それから、現在、税収が五十兆に対しまして、借入金が三十兆を超える国債発行をもって予算を編成するということ自体が異常な事態であると思っておりまして、これはできるだけ収縮する方向に持っていくべきであると思って努力をしておるところでございます。
 このようなことから見まして、国際的信用を確保するためにも、ぜひ国債の発行をできるだけ抑制していくことが重要であろうと思っております。今回提出いたしました補正予算はそのような考えに基づきましていたしたものでございますが、どうぞ御趣旨を御勘案いただきまして、速やかに御可決いただくようお願い申し上げたいと存じます。
 なお、道路特定財源の一般財源化の問題についてお尋ねがございました。
 このことについても総理が答弁いたしておりますけれども、なおつけ加えさせていただきますならば、道路特定財源のその一部につきましては、十四年度予算で確実にこの実施を図っていきたいと思っております。現に、十四年度概算要求の中に、自動車重量税等の財源の一部を広く道路に関係する事業等に拡大して活用することといたしておりますので、この方針は変わっておらないで、今後とも継続してやっていきたいと思っております。
 また、日本道路公団ほか三公団についてでございます。
 この件につきましては、現在、種々御審議されておるところでございますけれども、今後は、道路に限らず、すべての公共事業等におきまして長期の計画は必要でございますので、長期計画はぜひひとつしっかりとつくっていただきたいと思うのでございますが、これが直ちにその計画と予算の拘束をする関係をつくっていくならば、そうした場合は財政の硬直化を招きますので、計画はどんどん進めていただくが、しかし、予算の縛りはぜひとも自由にしていただくような、そういう計画であってほしいと思っております。
 したがって、今後の計画につきましては、できる限り、我々も実情に沿った運用をしていきたいと思っております。(拍手)
    〔国務大臣坂口力君登壇〕
#27
○国務大臣(坂口力君) 仙谷議員から三問ちょうだいをいたしました。
 一番最初は、現行の緊急地域雇用特別基金事業の総括についてのお尋ねでございました。
 現行の基金事業につきましては、先ほど総理からも御答弁をいただきましたが、二千億円で平成十三年度末までに三十万人の雇用創出を目標として実施しているものでございます。平成十二年度末までには、千三百四十億円の事業費によりまして、約二十二万人の雇用・就業機会が創出されたものでございます。
 本事業は、地方公共団体が創意工夫を凝らしていただきまして、そして、自主的にお取り組みをいただくということを内容としてきたわけでございまして、多くの場合には雇用創出効果があったというふうに思っておりますが、一部には雇用創出効果の低いものもあったことを反省いたしております。全体といたしましては着実な成果を上げているものというふうに考えております。
 なお、こうした点も踏まえまして、現行の交付金の実態も踏まえまして、今回のものにつきましては、失業者の雇い入れを中心とするなど、ひとつ見直しも行いながら、より雇用創出効果を高めていきたいと考えているところでございます。
 それから、次には、教育訓練と職業紹介が有機的に結合された民間の仕組み等についてのお尋ねでございました。
 この点につきましての基本的な考え方は、これも総理からもお答えをいただいたところでございます。
 現在でも、ホワイトカラーの職業を取り扱います民間の職業紹介事業者のうち約二割程度が、教育訓練の事業を兼務しておるところでございます。この割合をより高いものにいたしますために、民間の職業紹介事業者が教育訓練の事業も兼務できることが可能であることを、もう少しよくPRしていかなければならないというふうに思っておりますので、それに努めたいというふうに思います。
 また、今般の補正予算案におきまして、民間機関の積極的活用という観点から、新たに、民間の職業紹介事業者を活用して、離職予定者に対する再就職支援を行う事業主に対する助成措置の創設などにつきましても、所要の経費を盛り込んでいるところでございます。
 最後に、キャリアカウンセラーにつきましての御質問をちょうだいいたしました。
 厳しい雇用失業情勢の中で、雇用のミスマッチの解消を図り、失業者の早期再就職を図りますために、今後五年間で五万人のキャリアカウンセラーを養成したいというふうに考えているところでございます。
 御指摘いただきましたように、指導的人材も含めて、キャリアカウンセラー養成のためのカリキュラムを、文部科学省や民間の関係団体との連携協力のもとに早急に開発いたしまして、キャリアカウンセラーの養成に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。(拍手)
    〔国務大臣柳澤伯夫君登壇〕
#28
○国務大臣(柳澤伯夫君) 私に対しましては、新生銀行等を例に挙げられまして、資産査定の適正さということに関してお尋ねがございました。
 資産査定が変化するということがあるわけですが、その要因といたしましては、一般論ではありますが、主に査定基準そのものが変更になるということ、それから、債務者の財務経営状態の認識が変更される、それから、債務者の業況の変化によって生じる、こういうような大枠三つの要因があろうかと考えております。
 金融当局といたしましては、平成十年六月の金融監督庁の発足以来、金融機関あるいは検査に携わる者に対しまして、特に債務者の財務経営状態を的確に認識するということに努めさせてまいりまして、全体として適正な資産査定の確保に努力してきたところであります。
 御指摘の新生銀行の資産査定の変化につきましては、当局といたしましては、査定基準の明確化というか、これも変更の一種なんですが、そういうことの影響や、債務者の業況の変化によるところが大きいのではないかと考えておりますが、いずれにいたしましても、金融再生委員会の判断がいいかげんであったとか政治的であったとかいうことは全くありませんで、御指摘は当たらないと考えております。
 なお、債務者の財務経営状態の認識をよりタイムリーなものとするという見地から、先般の改革先行プログラムにおきまして、市場の評価をも適時適切に勘案し、適切な資産査定を行う体制を整備させることとしたところであります。
 具体的には、主要行に対し、通常の検査を補完するため、借り手企業の信用力が市場で急速に低下した事例をも踏まえまして、市場の評価に著しい変化が生じている債務者等に着目した特別検査を導入するとともに、市場の評価に適時に対応した引き当てを確保することとしたところであります。
 私としては、このような施策の実施に全力を挙げて取り組むことが私の責任を果たすゆえんである、このように考えております。
 なお、新生銀行以外に御指摘になりました個別具体的な銀行の問題につきましては、当該銀行からそのような事実が公表されたとは承知いたしておりませんので、コメントは差し控えたいと思います。
 次に、特別検査についてお尋ねがございました。
 対象となる債務者の選定基準につきましては、検査内容そのものに関する事項でありますし、また、特別検査は、先ほど総理が仰せられたとおり、一定の条件に該当する債務者に着目して実施するものでありまして、対象となる債務者を風評リスクにさらすことはぜひとも避けなければならない、このように考えておりまして、コメントすることは差し控えさせていただきます。
 また、特別検査の結果につきまして、私あるいは当局としても何ら予断を持っておりません。厳正かつ的確な特別検査の実施によりまして、通常検査を補完し、市場の評価をタイムリーに反映した、適正な債務者区分及び償却、引き当てを確保してまいりたい、このように考えております。
 最後に、RCCの機能強化についてお尋ねがございました。
 これにつきましては、先般、金融再生法の改正案が議員提出法案として国会に提出されたと承知をいたしております。RCCの買い取り価格が時価によるものとされておりますことから、いわゆる国家的飛ばしというような御指摘は当たらないと考えますが、本件については、今後、同法案をめぐって国会において御議論が行われると承知いたしておりますので、これ以上に具体的なコメントを行うことは差し控えたいと考えております。
 いずれにせよ、同法案をめぐる今後の国会における議論を注視してまいりたいと考えております。
 以上でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#29
○議長(綿貫民輔君) 達増拓也君。
    〔達増拓也君登壇〕
#30
○達増拓也君 私は、自由党を代表して、ただいまの財政演説につきまして質問をいたします。(拍手)
 構造改革がなくて、景気回復もなし。小泉内閣の半年間は、構造改革がなくて、景気回復もなし、この一言に集約されると言えるでしょう。小泉総理は、構造改革なくして景気回復なしと言われましたが、現状を見れば、構造改革がなくて、景気回復もなしであります。
 海外の投資家は、小泉総理はNATOだと言い始めているそうであります。このNATO、N、A、T、Oとは、ノー・アクション・トーク・オンリーの略でありまして、実行が伴わないで言葉だけという意味であります。特殊法人の廃止・民営化、地方交付税見直し、道路特定財源見直しなどと言っても、ただ一時的な話題として総理の言葉が取り上げられ、改革は進まず、時が過ぎていくばかりです。
 その間、日本の経済状況は悪化の一途です。テロの影響が指摘されていますが、景気悪化の趨勢は、総理の就任当初から既に始まっていました。株価は下落し続け、失業率は上昇し続け、九月の完全失業率は五・三%という、最悪の数字です。今、私たちが直面する失業者の増大や株価の低迷は、構造改革に伴う痛みではありません。何も実施しない、何も実行しない、何もできないでいる小泉内閣の無策が、我が国の景気を悪化させているのです。
 総理自身が、構造改革なくして景気回復なしと言っていた以上、実行すべきことは、補正予算を組んで当座をしのぐことではなく、歴史的な構造改革の早期断行であります。構造改革も進まないし、景気もよくないので、とりあえず補正予算でも編成するかということでは、従来の自民党政治と全く同じであります。
 総理の経済財政運営のあり方は、平成十年、国民を塗炭の苦しみの中に突き落とした橋本内閣による経済不況、政策不況をなぞっているにほかなりません。財政構造改革の名のもとに、国民負担増と歳出削減という構造改革とは何も関係がない財政赤字削減策によって、倒産の多発、金融システム不安が起きました。あげくの果てに、補正予算により特別減税を二回も追加するという支離滅裂な政策運営に陥ったのであります。
 今回も、主要閣僚から補正予算提出前に二次補正の話が出るなど、既に小泉内閣の経済財政運営は破綻を来しているのであります。この補正予算にしても、余りにも遅く、また不十分であります。政府・与党周辺では政策転換が取りざたされているようでありますが、内部から政策転換の話が出てくる内閣は、既に政策破綻に陥っているのであります。橋本内閣も、そうでありました。
 小泉内閣は、数々の経済指標の悪化が日本の景気に警鐘を鳴らしていた中で、当初、一・七%の経済成長を見込んでおりました。それが、突然、マイナス成長に下方修正する羽目になり、慌ててこのような補正予算を仕込んできたと見られても仕方がありません。
 構造改革の施策がそのまま景気対策になるものは、たくさんあります。例えば、電気通信等の先端分野や、これから需要増が見込まれる社会保障分野を中心に規制を撤廃、緩和することにより、経済を活性化していくことが可能です。また、政府が独占している事務事業を民間に開放することにより、新しい産業、雇用を創出することができます。かつて電電公社、NTTが独占していた携帯電話を他の会社にも開放したことで、成長産業を拡大させ、膨大な雇用を創出することができたのは、その一例です。そのような新たな発展の可能性は、現在のお役所に縛られた規制の中にたくさんあります。
 その場しのぎではない、日本の仕組みを変えるような構造改革を今すぐ行うことこそ必要であると考えますが、総理の御所見をお伺いいたします。
 今回提出されている補正予算は、改革先行プログラムと称して、雇用対策を柱としていますが、結局のところ、構造改革を進めることができず、無策が続く現状の穴埋めを、失業対策で当座をしのぐことでしかありません。補正予算案の個別項目で、公共サービス雇用のための緊急地域雇用創出特別交付金が大きな割合を占めております。しかし、これは、地方自治体が臨時に雇用を請け負うことによって一時的に失業者を減らすだけにすぎず、構造改革を通じた抜本的な雇用創出効果をねらうものとは全く性質が異なります。
 結局は、この補正予算は、構造改革には何ら効果をもたらさない、何のビジョンもない、その場しのぎ、場当たり、先送りです。構造改革がなくて、景気回復もなしという現状がさらに続くでありましょう。総理は、景気の現状をどのように認識しているのか、この時期に補正予算を決断し実行することの意義は何か、さらに、今回の雇用対策は従来の場当たり的発想から抜け出したものとお考えなのか、伺います。
 また、政府・与党の一部からは、二次補正が必要との声が出ています。それに対し、総理の御見解を伺います。
 小泉改革のイの一番に掲げた不良債権処理についても疑問があります。アメリカのブッシュ大統領とかたい約束が交わされ、国際公約ともなっている三年以内の不良債権処理に向けて、今回の補正予算案では、日本政策投資銀行関連の特別会計予算が計上されているようでありますが、これで十分なのでしょうか、あるいはさらなる予算措置が必要なのでしょうか、総理にお尋ねいたします。
 いずれにしても、この補正予算は、小泉内閣がどのような理念に基づいてどのような社会をつくろうとしているのか、それが示されていない、場当たり的な予算にすぎません。補正予算であれ、本予算であれ、中長期的な展望を持ち、その上で、今すぐに講じなければならない方策は何かを明確に示すべきであります。しかも、それは、既存の枠組みにとらわれた単なるつなぎではなく、経済、行政、財政、税制の仕組みを見直すこと、そうでなければなりません。それこそが、まさに構造改革にほかならないと考えます。
 私たち自由党は、本当の構造改革を今すぐ断行すべく、日本の仕組みを変えるため、五つの法案、五つの法案をこの臨時国会に提出いたします。官僚がお金と規制と権限でがんじがらめにしている規制社会、管理社会を改め、自立した個人がみずからの責任と能力に応じて自由に活動できる、公平で開かれた自立社会をつくることが理念です。
 まず第一は、業法廃止法案、すなわち、自由な経済活動を阻害し、行政指導の根拠ともなっているいわゆる業法を原則廃止し、統一ルールを定めることによって、経済を活性化させるための法案です。
 これにより、明治以来我が国が行ってきた官が民に一々指導する社会を改め、民間の創意工夫が十二分に生かされるようになります。総理の御見解を伺います。
 第二は、特殊法人を三年以内に廃止・民営化することを定める法案です。
 小泉内閣は各役所に特殊法人の廃止案を検討させておりますが、改革は遅々として進んでおりません。これは、廃止・民営化する特殊法人を役所、役人に考えさせているからです。自由党は、まず政治のリーダーシップで廃止を決めることといたします。総理の御見解を伺います。
 第三は、国から地方への各種事業費補助金を廃止し、一括して、自主財源として地方に交付するための法案です。
 国と地方の役割分担を明確にし、国の通達行政、ひもつき行政、利権政治を改め、地方のことは地方が、住民と相談しながらできるようにします。むだな経費を省くことが可能になり、地方自治体の首長や地方議員が補助金をもらうために霞が関まで出向かなければならないような陳情政治をなくしていきます。総理の御見解を伺います。
 第四は、所得課税について、各種の人的控除は原則廃止するとともに、税率構造を簡素化し、税率を引き下げ、全国民が、たとえ少額でも、社会への参加料を源泉徴収ではなく申告制によって納めるようにする法案です。
 これで負担がふえる方々については、手当で対応いたします。官が民からお金を吸い上げて使い道を決めるのではなく、国民がみずからの才覚と自己責任でお金の使い道を決めることができるようにするのです。財源は、行政改革で十分捻出できます。税制の根本的な改革なくして真の構造改革はあり得ません。総理の御見解を伺います。
 以上示した四つの法案は、行政のむだをなくす、役所がはしの上げ下げまで口やかましく言ってくることをなくすといった構造改革に寄与するだけではなく、経済活動の土俵を広げ、新しいことにチャレンジできる環境を整え、個人や企業の努力が報われるような景気対策であり、雇用対策にもなるのです。
 そして第五に、すべての小選挙区を格差二倍以内に抑えるよう定数を是正し、議員定数を四百六十五人、四百六十五人に削減する、国会議員の定数削減法案です。
 与党三党は、衆議院選挙区画定審議会による国勢調査をもとにした衆議院選挙区の見直し作業が行われているその最中に、大都市部における中選挙区の復活で一時は合意したものの、自由党を含む野党の強い反対と世論の批判を受け、一時的には後退しております。平成六年の政治改革推進法案を成立させた原点に立ち返り、政治家がみずから襟を正すためにも、現在、継続審議扱いとなっている、自由党が提出した国会議員削減法案を速やかに審議し、成立させるべきであります。総理の御見解を伺います。(拍手)
 最後に一つ、内閣のあり方について質問します。
 小泉内閣では、外交のあり方や外務省の体制について、総理あるいは官房長官と外務大臣との間に、たびたびそごがありました。最近、ますますひどくなっているようであります。また、経済に関する現状認識や政策論についても、関係閣僚の間で反対のことが語られるようになっています。
 憲法第六十六条は、「内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。」と定めています。閣僚が自分の勝手な考えで、国会答弁をし、あるいは行政権の行使をほしいままにし、内閣の連帯が損なわれるようであれば、その内閣は不信任の対象であります。
 もし、総理がみずから内閣の不統一を自覚するならば、当然、総辞職というのが憲法の本旨でありましょうが、この点、総理の御見解を伺います。
 二十一世紀最初の年である今年のうちに、戦後のどの内閣もなし得なかったような大改革を実行すべきである、今の内閣にできないのならできる内閣を、国会が、あるいは国民がつくるべきであることを訴え、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕
#31
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 達増議員にお答えいたします。
 日本の仕組みを変えるような構造改革を今すぐ行うことこそ必要であるという御指摘でございました。
 改革なくして成長なしとの決意のもとに、構造改革を進めていきたいと思っております。
 具体的には、六月に閣議決定した基本方針に基づきまして、構造改革の道筋を示す改革工程表を九月に取りまとめました。さらに、改革工程表に盛り込んだ施策のうち、補正予算で措置する事項も含めて、先行して実施すべき施策を改革先行プログラムとして十月に決定しており、これにより構造改革を加速することとしております。
 私は、これらの構造改革を着実に推進することによって、民需主導の持続的な経済成長の達成が可能となると考えております。
 景気の現状認識、補正予算の意義、雇用対策の内容及び二次補正の必要性についてのお尋ねであります。
 我が国の景気は、失業率が過去最高の五・三%となるなど、厳しい状況にあります。また、米国における同時多発テロ事件等の影響もあり、今後とも、雇用情勢等については注視が必要だと思っております。しかしながら、我が国の潜在的な成長力は十分にあり、これを生かすためにも改革が必要だと思っております。改革なくして成長なしの決意のもと、今後とも、構造改革を強力に遂行してまいります。
 一方で、この改革を進めていく過程で、非効率な部門の淘汰が生じ、失業や中小企業への悪影響など、こういう面が生じることもあります。このような痛みといいますか、改革に伴って生じますマイナスの面につきましては、不安を和らげることが政治の責任でもありまして、このため、先般、総合雇用対策として、公的部門における緊急かつ臨時的な雇用創出、民間活力の活用によるミスマッチの解消や失業なき労働移動の支援、訓練延長給付の拡充や自営廃業者等に対する生活資金貸付制度の創設等を取りまとめ、補正予算において必要な措置を講ずることとしておりまして、雇用対策に適切な措置をとっていきたいと思っております。
 なお、現在、補正予算を提出しているところであります。二次補正についての編成は考えておりません。
 不良債権処理に向けて日本政策投資銀行関連の特別会計予算で十分なのかというお尋ねであります。
 不良債権問題の正常化を図る一環として、今般の補正予算において、経営困難企業の再建を進めるべきとの観点から、日本政策投資銀行の企業再建ファンドへの参画に伴い当面必要となる同行への資本に充てるため、産業投資特別会計から同行に対し、所要の政府出資を行うこととしたところであります。
 また、これとともに、特別検査の実施やRCCの活用、先般の改革先行プログラムに盛り込まれた諸施策を総合的に実施することにより、遅くとも集中調整期間が終了する三年後には不良債権問題を正常化することを目指し、全力を尽くしてまいりたいと思います。
 経済を活性化させる法案について、自由党の提案はどうかというお話がありました。
 法案の内容は詳しく承知しておりませんが、競争や技術革新を促すことなどにより、消費者・生活者本位の経済社会システムをつくり、経済の活性化を図ろうというその基本方針については、私も賛成であります。
 政府としては、引き続き、民間事業者の自由な経済活動を阻害する規制を撤廃するとともに、市場機能が十分発揮されるような新たなルールづくり等を含んだ規制改革を積極的に推進していきたいと思います。
 自由党が今国会で提出する予定の特殊法人の改革に関する法案についてのお尋ねであります。
 我が党といたしましても、特殊法人改革を、ゼロベースで徹底した見直しを行うという方針を立てております。年内には、全法人の事業及び組織形態の見直し内容を定める特殊法人等整理合理化計画を策定するとともに、平成十四年度予算から財政支出の大胆な削減を目指すこととしております。
 特殊法人の改革については、さまざまな御意見が現在出ていることを承知しております。自由党が提出を予定している法案についても、今後、具体的な提案を待ってその内容を検討してまいりたいと思いますが、小泉内閣としても、この特殊法人改革については、思い切った改革を、もうじき出てくると思いますので、皆様方の御支援、御協力をいただければありがたいと思います。(拍手)
    ―――――――――――――
    〔議長退席、副議長着席〕
#32
○副議長(渡部恒三君) 大森猛君。
    〔大森猛君登壇〕
#33
○大森猛君 私は、日本共産党を代表して、小泉総理に質問します。(拍手)
 最初に、財政演説に対する質問に先立ち、アメリカなどによるアフガニスタンへの軍事攻撃と自衛隊の参戦について質問します。
 総理、アフガニスタンをめぐる現在の状況は、極めて深刻になっています。米軍によるアフガン空爆が開始されて以来一カ月、日を追って、罪なき人々への犠牲が拡大し、まさに泥沼化しております。国連のNGOや国際赤十字の事務所、住宅、病院、老人施設が爆撃され、子供、女性、お年寄りを含めた多数の市民の命が奪われています。
 しかも、米軍の攻撃は、クラスター爆弾、さらに、あらゆる生物が窒息死する燃料気化爆弾デージーカッターなど無差別殺傷兵器をも投入するもので、今、これに対する厳しい国際的批判も起きています。
 インドネシアのメガワティ大統領は、軍事行動の継続は非生産的で、テロとの闘いでの世界連合を弱体化させると述べていますが、米軍の軍事攻撃は、今や、テロ根絶の国際社会の団結に重大な亀裂をつくり出しているではありませんか。
 とりわけ、今、重大なことは難民の問題です。アメリカなどの軍事攻撃がアフガン難民に対する人道支援の障害となっていることは、もはや猶予できない状況であります。国連は、空爆が続けば難民の中で九十万人の餓死者が出る危険があると報告しています。我が党のパキスタン調査団に対し、現地の国連関係者は、アフガニスタンにできるだけ多くの食料を運び込み冬に備える必要がある、ここ数週間が極めて重大、今援助が途絶すれば深刻な悲劇が起きると指摘をしています。だからこそ、アナン国連事務総長も空爆の早期終結を求めているではないですか。
 総理、今、数十万のアフガン難民の命を救うため、直ちに空爆中止、軍事攻撃の中止をアメリカに要求すべきではありませんか。総理の見解を求めます。(拍手)
 次に、自衛隊の参戦問題です。
 政府は、きのうの安全保障会議で、護衛艦二隻と補給艦一隻のインド洋派遣を決定し、けさ、三隻の自衛艦艇が長崎県佐世保基地を出港しました。
 総理、アメリカの報復戦争が泥沼化し、テロ根絶の上でもその道理のなさが国際的にも明らかになっているそのさなかに、憲法を踏み破り、自衛隊の参戦を強行するのですか。
 しかも、今回の出動目的は、テロ特措法に基づき米軍の戦争支援に自衛隊を出動させるために必要な現地の調査だと言いますが、一体、いかなる現地で、何を調査するというのですか、調査期間はいつまでというのですか。
 また、防衛庁設置法の調査研究を根拠にしたと言いますが、調査研究でどうして自衛隊が現実の戦場近くまで出動できるというのですか。明快な答弁を求めます。
 次に、補正予算と雇用、中小企業問題について質問します。
 小泉総理、あなたが就任して六カ月、この間、すべての経済指標が悪化しています。この六カ月間で、中小企業の倒産は九千六百六十五件、完全失業者は十五万人増加、GDPも史上初めて二年連続マイナスになろうとしています。既に国民は、かつてない痛み、激痛にさらされています。
 ところが、総理は、このような国民の痛みに全く目を向けないだけではなく、むしろこのような時期にあってこそ構造改革を加速させていく必要があると、驚くべき態度をとり続けています。これでは、不況、デフレの悪循環へどんどん突き進むことにならざるを得ません。
 今回の補正予算案は、雇用や中小企業のセーフティーネットなどと言っていますが、これが大量失業、大量倒産を促進する構造改革政策とワンセットで提起されていることが問題であります。これでは、雇用、中小企業、国民生活など、今日の深刻な問題の解決にはならないではありませんか。
 今、緊急に求められているのは、このような構造改革路線をきっぱりと改め、国民の苦しみを取り除く政治に転換することであります。生活と営業を最優先させる政策を実現してこそ、個人消費の拡大を中心とする実体経済回復への転換を図ることができるのです。
 小泉総理、あなたは、構造改革のためなら失業と倒産がどんなにふえ続けてもやむを得ないという冷たい態度をさらにとり続けるつもりなのでしょうか。答弁を求めます。(拍手)
 次に、雇用対策について質問します。
 完全失業率はついに五・三%、失業者は実に三百五十七万人と過去最高、統計に出ない、求職活動をあきらめた潜在失業者、これを入れれば八百万人にも達する、文字どおり戦後最悪の事態となっています。
 最大の問題は、大企業が相次いで数万人規模のリストラ計画を発表し、実行していることであります。電機大手各社は、一方で巨額の内部留保をため込みながら、IT不況を理由に、一万人、二万人という大量のリストラ競争を行っています。我が党の調査では、電機大手六社で、この十年間で、国内雇用を五万五千人減らし、海外雇用は二十万人もふやしています。その結果、わずか十年前、国内雇用の約半分だった海外雇用が、今や、国内の一・三倍にまでなっているのであります。
 総理、あなたはこのような事態を放置しておいても構わないと考えているのか、お答えください。
 九月十四日の予算委員会で、総理は、企業には経営者としての社会的責任と同時に、会社を倒産させてはいけないという責任があると答弁されました。では、これらの大リストラを進めている企業で、一社でも倒産しそうな会社があるのか、あるならはっきり答えていただきたい。
 次に、解雇法制についてお聞きします。
 今、大事なことは、これ以上失業者をふやさせないことであります。総理は、我が党の志位委員長の代表質問への答弁で、解雇の基準やルールを明確にすることは大切だと述べ、その後、厚生労働大臣は、そのための立法化の意向を明らかにしています。
 問題は、どういう法律をつくるかであります。
 政府は、これまでは、解雇四要件に基づく対応と労使間の話し合いにゆだねてきました。これに対して、我が党は、大企業の身勝手な解雇を許さない立場で、この最高裁判例で確立された四要件、すなわち、一、人員削減の必要性、二、解雇回避努力、三、解雇対象選定の妥当性、四、解雇手続の妥当性、これに基づく解雇規制法をこそつくるべきだとこれまで提案してきましたが、立法化する以上、当然、こうした内容とすべきと考えますが、総理の見解を求めます。
 次に、労働時間短縮と雇用の拡大について質問します。
 今日の厳しい失業情勢を打開する上で、もう一つ重要なことは、労働時間の短縮によって雇用を拡大することです。サービス残業はもとよりのこと、長時間残業をなくし、年休の完全消化を進めることが、雇用の拡大にとって決定的に重要です。
 さきの電機大手の労働者の年間労働時間は二千三十三時間、同じ電機でも、ドイツは千五百九十四時間、フランスは千六百七十二時間、これらと比較しても、今、過剰なのは、労働者ではなく、日本の労働時間であることは明らかではありませんか。
 今こそ、世界の流れでもある、労働時間短縮による雇用の拡大が必要です。それは個々の企業任せではできないことも明らかです。政府がイニシアチブを発揮すべきではありませんか。
 サービス残業については、坂口厚生労働大臣は、九月十四日の予算委員会の答弁で、四月六日に出したサービス残業規制の通達について、現在、周知徹底を図っているところだと答弁しました。通達を出してから、既に半年以上経過しております。その実態把握と指導は現在どのように進めているのか、お答えいただきたい。総理の見解を求めます。
 次に、中小企業問題についてお尋ねします。
 今、中小企業の経営困難はかつてないものになっています。にもかかわらず、政府は、支援するどころか、不良債権の早期処理を金科玉条として、長期にわたる不況で経営危機に苦しむ中小企業に対して、資金回収をますます激化させています。そして、厳しい中でも生き続けようと懸命に努力している中小企業の息の根をとめるようなことまでしています。
 国会に参考人として出席した、総理の地元の湘南信用金庫の理事長は、ある大手銀行は、割賦弁済を一時決済に切りかえろ、承諾しなければRCC送りにするとおどかす、月末に手形の決済をするため銀行に送金したら融資の返済に充てられ、不渡りを出したため、無理やり破綻させられたと、生々しい実態を話されました。
 ゼネコンに債権放棄をするのなら、せめて返済を待つぐらいはしてくれ、こういう中小企業の悲痛な声が総理には聞こえないのですか。
 中小企業は、日本の経済の土台を支え、労働者の七八%を雇用するとともに、地域経済や社会、文化の担い手として欠くことのできない役割を果たしており、これを支え、発展させることは、日本経済再生にとっても緊急の課題になっています。
 今やるべきことは、困っている中小企業をつぶすことではありません。困っている中小企業を助けることこそが、政治の役割、総理の仕事ではありませんか。総理の見解を求めます。(拍手)
 その際、金融機関の果たすべき役割は大変重要です。金融機関がその地域から預かっているお金はその地域の個人や中小企業に融資する、その度合いによって格付を行う地域再投資法、また、中小企業団体が提案している金融アセスメント法の制定など、新しい中小企業支援の方向に今こそ転換すべきではありませんか。総理の答弁を求めます。
 総理、今、景気を回復させるために一番大事なことは、GDPの六割を占める個人消費を拡大するために、雇用不安を解消すること、社会保障・医療制度を充実させること、消費税の当面三%への引き下げなどを行うことであります。
 国民生活防衛なくして景気回復なし、このことを強く指摘して、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕
#34
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 大森議員にお答えする前に、先ほど、達増議員の質問に対して答弁漏れがございました。失礼いたしました。補足答弁を最初に達増議員にしたいと思います。
 補助金の廃止及び財源の地方一括交付に関する法案についてのお尋ねがございました。
 提出される自由党の法案の詳細は承知しておりませんが、補助金等については、平成十四年度予算編成において、国庫補助金の縮減に努めるとともに、地方公共団体の自主性を尊重する統合補助金の拡充を図るなど、その整理合理化を進めることとしており、社会経済情勢の変化、国と地方の役割分担のあり方等を踏まえつつ、地方分権を推進する観点から、一層の見直しに努めてまいります。
 また、自由党の、個人所得課税のあり方についてのお尋ねがございました。
 個人所得課税における各種の人的控除を簡素化するという提案の趣旨は、私も十分理解できます。しかし、人的控除は納税者のさまざまな事情に配慮して適正な税負担を求めるためのものでありまして、これを廃止するということについては、またいろいろな問題が出てくると思っております。税率については、国際的に見ても、現在、日本の水準は決して高くありません。所得再配分機能の重要性も踏まえる必要があると考えます。また、給与についての源泉徴収制度の廃止については、サラリーマンの納税手続の負担増や執行体制の整備の必要性等の問題に加え、給与所得控除の見直し等との関連を慎重に検討する必要があると思います。
 いずれにせよ、個人所得課税のあり方については、公平、中立、簡素の観点から、社会経済の構造変化を踏まえ、国民的な議論の中で検討すべき事柄であると考えます。
 小選挙区の格差是正と議員定数削減に関するお尋ねであります。
 これは、今後、大変重要な問題であるということを私も認識しております。いずれにせよ、選挙制度の問題は、各党各会派、十分な議論をいただきまして、今後の国会の審議の動向を見守りながら判断しなきゃならない問題だと思っております。
 いわゆる閣内不統一の問題についてです。
 国務大臣がいろいろな問題について、方針が決まる過程で個別の意見を表明することは、私は自然なことだと考えます。時に一人の政治家として所感等を率直に述べるようなことがありましても、私は、憲法の関係で閣内不統一の問題を生ずるものではないと考えます。
 私としては、現在、確立された内閣の方針に従わない国務大臣がいるとは考えておりません。したがって、小泉内閣に閣内不統一が見られるかのような御指摘は当たらないと思っております。
 大森議員にお答えいたします。
 米国に軍事行動の中止を求めるべきではないかとのお尋ねであります。
 今回のテロは、日本としても、米国だけの問題ではない、人ごとではない、毅然として対応しなくてはならないということでありまして、私は、このテロと断固として闘う米国等の行動を日本としては支持しておりまして、国際社会と一体となってこのテロに立ち向かう必要があると思っております。
 また、軍事行動開始当初より、アメリカ軍は、アフガン人に対しても人道的援助を与えることをその主要な目標に掲げておりまして、いろいろな配慮もなされているものと承知しております。
 情報収集のための自衛隊艦艇の派遣についてお尋ねであります。
 本派遣は、九月に発表したいわゆる七項目措置を受け、テロ対策特措法による対応措置の円滑な実施等に資する観点から、防衛庁設置法に基づいて、必要な情報を収集する目的で行われるものであります。
 かかる活動は、当然のことながら、憲法の枠内で適切に実施されるものでありまして、自衛隊による参戦という認識は全く違う。戦闘行為に参加しない、憲法の範囲内で日本としての役割を果たそうということでありまして、自衛隊の参戦であるという御指摘は当たらないと考えております。
 さらに、本派遣の目的、期間及び法的根拠に関するお尋ねがありました。
 本派遣は、所掌事務の遂行のため必要な調査及び研究を行うこととの防衛庁設置法の規定に基づき、テロ対策特措法による自衛隊の協力支援活動等を円滑に行う観点から、活動が予想される地域及びその周辺において行うものであります。
 具体的には、我が国からインド洋に至る海域において、港湾の状況、気象、海象、船舶の航行状況等を調査するものであり、現在のところ、期間はおおむね二カ月程度を見込んでおります。
 構造改革のためなら失業と倒産がふえ続けてもやむを得ないという態度をとり続けるつもりなのかというお尋ねであります。
 改革なくして成長なしとの決意のもと、改革を強力かつ迅速に遂行するとの姿勢に変わりはありません。
 しかしながら、この改革を実施する過程で、非効率な部門の淘汰が生じ、当該部門における失業や中小企業への悪影響など、社会の中に痛みを伴う事態が生じることも当然であります。こうした改革に伴う痛みをいかに和らげるか、不安を和らげるか、これが政治の責任であるとも思います。
 このため、今回の補正予算は、構造問題の解決が不可欠であるとの方針のもとに、財政節度を踏まえつつ、現下の緊急課題である雇用対策を最重点に編成したものであります。
 IT関連企業のリストラについてであります。
 個々の企業の経営状況について具体的にコメントすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、それぞれIT関連企業の中間決算では、各社、大幅な赤字を記録しているということは承知しております。
 こういう経済社会が大きく転換する中にあっては、その企業が存続を図るためにいろいろな努力が必要であり、雇用調整もその一環だと思いますが、いずれの場合においても、企業としては、安易な雇用調整を行うのではなく、失業の予防や雇用の安定に最大限努力すべき責任があるというふうには私も考えております。
 大企業のリストラに対する考え方についてです。
 企業も、それぞれ存続のために大変な努力をしていると思います。先ほどお話ししましたように、失業の予防、雇用の安定にそれぞれの企業が最大限努力すべきものであると私は考えます。
 また、政府としても、労働者が離職を余儀なくされた場合にあっては、離職者対策、雇用対策等において適切な措置をとるように現在の補正予算でも組んでおりますし、今後とも、その雇用対策には適切な対応をとっていきたいと思います。
 解雇規制法についてです。
 解雇については、いわゆる整理解雇の四要件や合理的な理由を必要とするという裁判例により対処されているところでありますが、経済社会の構造変化等に伴い雇用の流動化が進む中で、労働環境をめぐる紛争の防止の観点から、解雇基準やルールを明確にすることは大切なことだと考えます。
 なお、解雇基準やルールの内容については、厚生労働省において、労使を初め関係者の意見も十分聞きながら検討していくことが必要であると考えます。
 労働時間短縮による雇用の拡大についてです。
 雇用の拡大の手段としてワークシェアリングが諸外国において導入されていることは認識しておりますが、これについては、労働時間短縮に伴い賃金の取り扱いをどうするか、時間当たり賃金を明確化することができるかといったさまざまな問題についての検討が必要であります。
 政府としては、現在、当事者である労使が議論を行っていることを踏まえ、労使の合意形成に向けた取り組みに協力するなど、社会的合意を形成していくよう努力していきたいと考えます。
 サービス残業の実態等についてです。
 厚生労働省におきまして発出した通達については、集中的な周知活動を行ってきたところであり、現在、通達の遵守の徹底を含め、労働時間管理上問題が認められる事業場に対しては厳正な監督指導を行っているところであります。
 窮状にある中小企業を助けることが政治の役割ではないかとのお尋ねであります。
 政府としては、今般の改革先行プログラムを受け、不良債権の最終処理に当たっては、借り手の再建可能性等をきめ細かく見きわめ、極力、再建の方向で取り組むとともに、中小企業を含む健全な取引先に対する資金供給の一層の円滑化に努めるよう金融機関に対し要請しているところであり、また、中小企業のセーフティーネット対策の一層の充実を図るため、今般提出した補正予算において、中小企業への円滑な資金供給を図ることとしております。
 中小企業支援に関して金融機関の果たすべき役割についてのお尋ねであります。
 金融機関に対しては、中小企業を含む健全な取引先に対する資金供給の一層の円滑化に努めるよう要請しているところであります。
 御指摘の地域再投資法などの詳細は承知しておりませんが、金融機関の融資業務等については、基本的に、自主的な経営判断、すなわち市場メカニズムに従って行われるべきであり、一定の基準に基づいて格付を行うこと等については慎重に考えるべきものと考えております。
 以上であります。(拍手)
    ―――――――――――――
#35
○副議長(渡部恒三君) 重野安正君。
    〔重野安正君登壇〕
#36
○重野安正君 私は、社会民主党・市民連合を代表し、先ほど行われました塩川財務大臣の財政演説並びに補正予算案等に対し、小泉総理及び関係大臣に質問いたします。(拍手)
 ことし七月、完全失業率が統計史上初めて五%に達し、九月には五・三%と、一層深刻な状況となりました。
 雇用失業情勢の深刻さは、完全失業率が高いというだけではありません。これに加えて、就職の意欲はあるのに自分に適した仕事がないために求職活動をあきらめている事実上の失業者は、総務省統計局の労働力調査特別調査から見ても四百二十万人もいます。こうした潜在的な失業者を加えると、日本の実質的な失業率は一〇%にも達するという認識を共有する必要があるのではないでしょうか。
 さらに、失業対策に今求められていることは、このような潜在的な失業者も視野に入れて対処していくという構想力を持つことだと考えます。総理並びに厚生労働大臣の見解をお伺いします。
 この危機意識が前提となるならば、現下の最優先課題は、積極的な雇用創出策の展開による、先の見える安心社会をつくることに集中されるべきであり、このためにこそ、政策と財政は総動員されなくてはなりません。
 ところが、どうでしょう。九月の政府の総合雇用対策のでき上がりは、相変わらず、小出しの感を否めないものになりました。その裏打ちとなるものが補正予算ですから、底割れ懸念すら現実味を帯びつつある雇用失業情勢に対する危機意識を決定的に欠く編成内容と言わなければなりません。このことは、雇用対策に万全を期すはずであったのに、手当てされた額が五千五百億円にとどまったことで、図らずも実証されました。
 金をかければよい施策が生まれるとは言えないまでも、しかし、我が国の失業情勢等に照らせば、雇用安定・創出のためには、創意工夫とともに思い切った大規模な財政出動が欠かせないことは、普通の常識ではありませんか。危機的な状況を迎えている雇用失業情勢の改善に打つ手はすべて打った補正だと、総理、言い切れますか。明確な答弁を求めるものであります。
 社民党は、ミクロの生活権、換言すれば、安心できる生活保障の積み上げこそがマクロの景気回復を果たすための牽引車たり得るとの立場から、国民の生活再建に直結する施策の推進を最優先すべきことを求めてまいりました。
 その要諦は、時短とワークシェアリングにあります。
 労働時間の短縮がワークシェアリングの効果を持ち、雇用の創出に結びつくことは、諸外国の例からも明らかです。フランスでは、時短でも賃下げなしを基本に、一九九八年に施行された週三十五時間制によって、四・二%の雇用増大という新たな雇用を創出する成果を上げているとの識者の分析も多くなされています。
 ワークシェアリングに積極的に取り組む企業には、助成措置や三事業会計にかかわる負担の軽減等の公的支援を行うことを提案したいと存じます。こうした具体策の実現に取り組む用意があるのかないのか、明確な答弁を求めるものであります。
 次に、テロ対策、なかんずく自衛隊派遣に関して伺います。
 与党の三幹事長がパキスタンを訪問し、ムシャラフ大統領と会談した際、同大統領から、パキスタンでの自衛隊の難民医療活動に期待が表明されたという報道がありました。総理は既に三幹事長から会談の報告は聞いておられると思いますが、ムシャラフ大統領は、自衛隊の活動について、具体的に、いつ、どこの地域で、どのような活動を期待表明なさったのでしょうか。明確にお教え願います。
 三幹事長とムシャラフ大統領との会談の報道がなされた同じ日、中谷防衛庁長官は、国連機関からパキスタン国内での難民支援要請は来ていない、現時点では自衛隊のパキスタンでの活動は考えていないと発言されたと聞いております。これは、パキスタンから要請があっても、政府としては自衛隊を派遣する意思はないということだと理解してよいのでしょうか。
 ところで、本日、防衛庁設置法五条の情報収集の目的で、二隻の護衛艦、一隻の輸送艦がインド洋に向け佐世保港を出港しました。自衛隊が初めて軍事行動支援のため海外派遣されましたが、性急な派遣のそしりは免れません。目前に迫った基本計画の閣議決定すらなぜ待てなかったのか、なぜきょうなのか、伺います。
 また、イージス艦を含む護衛艦が派遣されるようなことになれば、データが米海軍の艦船に自動的に提供され、事実上、米海軍との共同戦闘行為になることが懸念されます。憲法の禁じる集団的自衛権の行使そのものの行為であると考えますが、総理並びに中谷長官の答弁をお願いいたします。
 不良債権処理が促進すれば、民間金融機関が貸し出し姿勢をさらに厳しくすることは明らかです。一九九七年の金融危機以来、金融機関が融資しない貸し渋り、さらには債務返還を求める貸しはがしへと事態が進展し、社会問題ともなり、再燃、激化する可能性は大と言わなければなりません。
 政府は、今回、信用保険法を改正して、売り掛け債権を担保とした融資に対する保証制度を創設することで、物的資産に乏しい中小企業に新たな資金調達を可能にするとしています。
 しかし、これは単なるリスクレス融資であって、中小企業を破綻、倒産させない金融支援とはおよそ言えるものではありません。特別保証の復活や日本版CRAの創設など、大胆な施策を今こそ実行すべきときであります。
 例えば、デフレが深刻化する現在、今年三月で打ち切られた無担保無保証人の特別保証制度の復活を期待する声が大きくなるのも、当然と言えましょう。しかも、特別保証で国が返済を肩がわりした額は保証融資額のうち二・二%と、想定していた一〇%を大きく下回っていることも制度復活の声につながっています。これらの提案について、総理の見解をお伺いいたします。
 坂口厚生労働大臣にお尋ねいたします。
 実体のない五百三十万人というような雇用創出案ではなく、実際にハローワークに申し込まれている求職と求人のマッチングを図るための体制・機能強化こそが何よりも求められているのではありませんか。
 労働者・国民、事業主の要望等に迅速に対応していくためにも、また、労働条件のミスマッチ解消に不可欠な、求人や事業者に関する情報収集及び求人開拓を十分に行える職員の確保を含め、職業紹介部門の倍増くらい、つまり一万一千人を二万六千人にすることは、決して無定見な要求とはならないはずであります。その決意がおありか、明快な答弁を求めるものであります。
 次に、緊急地域雇用交付金制度についてお尋ねします。
 新たに五十万人の雇用創出を目指すこの制度について、基本的に賛成ですが、制度の運用について注文しておきたいことがあります。
 と申しますのは、この制度は、御承知のとおり、既に九九年度から実施されているのでありますが、NPOや労働組合も事業主体として参画できると説明されていたのでありますが、現実にNPOや労働組合が参入できない事情があると聞いているからであります。
 入札資格を取得していないからというのが理由のようでありますが、この制度は、明らかに失業対策という政策目的を持ってつくられたはずであります。この経緯等を踏まえるならば、雇用創出のために活動する多くの団体、労働組合が参加しやすいように改善すべきではないでしょうか。明快な答弁を求めます。
 財政再建に今求められていることは、雇用や福祉、教育、環境を重視した財政構造への転換、分権時代にふさわしい国と地方の税財源関係の確立など、納税者の要請にこたえられる支出が可能となる財政の徹底的再構築ではないでしょうか。
 小泉総理が掲げてきた、本年度予算においても公債発行枠は三十兆円にとめるという方針は、本補正で枠を使い切ったことになります。ただし、るる指摘させていただいたとおり、この編成内容では、底割れ危機にある雇用失業情勢の特効薬としては力不足なのは論をまちません。
 私たちが財政規律の発揮を強く求めてきたのも、単なる財政上の帳じり合わせではなく、政官財の癒着によって肥大化した既得権益を打破し、現在と将来の国民に対して安心と豊かさを提供できる、効率的で信頼ある行政府の再構築を果たすということにほかなりません。
 この補正で万全とおっしゃる根拠はどこに見出せるのでしょうか。総理並びに財務大臣、国民の皆さんが納得できるお答えをお聞かせください。
 いずれにしても、信なくんば立たずの教訓が厳しく問われているのは、政治のみならず、財政であり、税制であります。このことを自戒を込めて強調し、私の質問の締めくくりといたします。(拍手)
    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕
#37
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 重野議員に答弁いたします。
 潜在的な失業者も視野に入れた雇用対策と補正予算における雇用対策についてのお尋ねであります。
 失業率が過去最高の五・三%になるなど、現在、厳しさを増していると認識しておりまして、雇用情勢の厳しい中、求職活動をためらっている人がおられることも承知しております。
 このような雇用情勢に対応するため、総合雇用対策として、公的雇用における緊急かつ臨時的な雇用創出、ミスマッチを解消するため職業能力開発や民間の活用による再就職支援などの失業なき労働移動の支援、訓練延長給付の拡充や自営廃業者等に対する生活資金貸付制度の創設等を取りまとめ、補正予算において、国費五千五百一億円、事業規模で一兆円の雇用対策のための必要な措置を講ずることとしております。
 政府としては、ただいま御審議をお願いしております補正予算と、これから提出する雇用対策臨時特例法案の早期成立をお願いし、早期執行に努めるとともに、規制改革の推進による雇用創出や労働市場の構造改革を進めるなど幅広い対策により、雇用対策に適切な措置を講じていきたいと考えております。
 与党三幹事長のパキスタン訪問におけるムシャラフ大統領の自衛隊の難民医療活動に関する発言についてお尋ねがありました。
 三幹事長からのテロ特措法に関する説明に対し、ムシャラフ大統領は、具体的時期や場所についての言及はありませんでしたが、日本の部隊はパキスタン国民にも歓迎されるであろう、被災民支援といったことのために自衛隊がパキスタンに入ることを歓迎する旨述べたということは、私も承知しております。
 自衛隊艦艇による米軍への情報提供と憲法との関係についてのお尋ねであります。
 テロ対策特措法に基づき派遣される自衛隊艦艇の規模、編成等については、現在検討中であり、確定しておりません。自衛隊が行う情報収集はあくまでも防衛庁の所掌事務を遂行するためのものでありますが、一般的な情報交換の一環として我が国の主体的判断に基づく米軍への情報提供について、憲法上の問題は生じないと考えます。
 不良債権処理に伴う中小企業への金融支援に関してのお尋ねです。
 中小企業の景況が厳しい中、改革を進めるに当たって、中小企業のセーフティーネット対策の一層の充実を図るため、今般提出した補正予算に所要の金額を計上して、中小企業への円滑な資金供給を図ることとしております。
 御指摘の特別保証制度は、平成十年当時の未曾有の金融システム不安に対する臨時異例の措置として実施されたものであり、復活は適当ではありません。また、日本版CRAにつきましては、金融機関の行動は基本的には自主的な経営判断に基づいて行われるべきであり、政府が一定の融資等を義務づけることについては慎重に考えるべきものと考えております。
 効率的で信頼ある行政府の構築と今回の補正予算との関係についての御質問であります。
 今回の補正予算は、従来型の公共投資に重点を置いたものではなく、雇用対策や中小企業対策、さらに、改革に直結する緊急性が高い施策を中心としており、また、その財源について、安易な国債増発によるべきものではないとの方針に沿ったものであります。
 御指摘のような効率的で信頼ある行政府の構築を図るため、財政面での構造改革のみならず、あわせて、特殊法人等改革を初めとする行政のスリム化や規制改革の推進等の政策課題に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣塩川正十郎君登壇〕
#38
○国務大臣(塩川正十郎君) 私に対する質問はほぼ総理がお答えになったのでございますが、改めて申し上げたいと存じます。
 今回の補正予算は、我が国経済が厳しい状況にある中で、経済の再生には構造問題の解決こそが不可欠であるとの信念のもとで編成されたものであります。したがいまして、今回の補正予算に当たりましては、国債の発行の追加を極力抑制するとの観点から既定経費の節減等に努めたところでございまして、御理解いただきたいと存じます。(拍手)
    〔国務大臣坂口力君登壇〕
#39
○国務大臣(坂口力君) 議員からは五問ほどちょうだいをいたしました。
 まず第一に、潜在的な失業者を視野に入れた対応についてのお尋ねでございました。
 総理からも御答弁があったところでございますが、現在の雇用失業情勢は、九月の完全失業率が過去最高の五・三%になりますなど、非常に厳しさを増しているというふうに認識をいたしております。また、この雇用情勢の厳しい中で、求職活動をためらっている人がいることも承知をいたしております。
 このような方々がおられますことを踏まえまして、雇用機会の創出などの雇用対策などを適切に講じることが大事でございまして、一つは、それぞれの地域にマッチした雇用対策をつくっていかなければならないというので、それぞれの地域ごとの雇用対策に、今、力を入れているところでございます。
 また、ミスマッチに対しましては、これは親切に相談に応じさせていただくということが大事でございますので、キャリアカウンセラーの養成等を考えておりますけれども、それには少しまだ時間的な暇がかかるということもございますので、この人たちにかわるべき人を導入していきたいというふうに思っております。
 雇用保険につきましても、新しい技術を身につけるような人に対しましては、延長給付を行いまして対応したいというふうに思っているところでございます。
 それから、補正予算に盛り込まれました対策が十分かということについてのお尋ねがございました。
 政府といたしましては、現下の厳しい雇用失業情勢のもと、今後、構造改革の推進等によりまして失業者が増大するなど、さらに情勢が厳しくなることが懸念されますことから、これらに対応するための総合雇用対策を策定したところでございます。
 新たな緊急地域雇用特別交付金の創設でございますとか、あるいは、民間の就職支援会社等を活用いたしました再就職支援に対する助成など民間を活用いたしましたものなど、さらにまた、五年間で五万人程度のキャリアカウンセラーの養成を行いますこと、雇用保険の訓練延長給付の拡充、こうしたことを今回盛り込ませていただいたところでございます。
 ワークシェアリングにつきましてのお尋ねがございました。
 ワークシェアリングにつきましては、労働時間の短縮に伴います賃金の取り扱いをどうするかといったこと、それから、時間当たり賃金を明確化することができるかどうかといったこと、さらに、景気変動に対して所定外労働時間の調整で今まで対応してきたという我が国の雇用慣行がございますが、この問題をどう考えていくかといったこと、これらのことを整理しながら、労使でもお話し合いを進めていただいておりますので、我々もその中に入らせていただきまして、積極的にお話をさせていただきたいと考えているところでございます。
 公共職業安定所の体制についてのお尋ねがございました。
 定められました人数の中でやっているわけでございますし、そこに多くの失業者が今お見えをいただいておりますので、大変厳しい状況になっておりますことを十分に承知いたしておりますが、そうした中に、先ほども申しましたように、御相談に乗らせていただきますような人を緊急に増員いたしましたり、そうしたことで今対応をさせていただいているところでございますし、また、民間の職業訓練あるいはまた職業相談の企業等との連携もより密にしていかなければならないというので、そうしたことも今検討しているところでございます。
 最後に、新たな緊急地域雇用創出特別交付金の事業主体についてのお尋ねがございました。
 新たな交付金によります事業につきましては、現行の交付金と同様に、地方公共団体が、事業内容に応じまして、業務を的確に実施できるところを事業主体として選択することといたしております。地方にゆだねたものでございますけれども、しかし、御指摘のように、この本来の趣旨を外れるようなことがあってはいけませんので、そこは十分に我々も申し添えて、そして、地域の知恵を絞っていただきたいというふうに考えているところでございます。(拍手)
    〔国務大臣中谷元君登壇〕
#40
○国務大臣(中谷元君) 重野議員から、自衛隊によるパキスタン国内での被災民救援活動についてのお尋ねがございました。
 御指摘の私の発言は、パキスタン国内での被災民救援活動については、現時点において国連等の機関から要請は受けていないものの、今後の事態の展開、現地の情勢等を見きわめつつ判断していくことになる旨述べたものでございまして、政府として自衛隊を派遣する意思はないとの趣旨ではございません。
 防衛庁といたしましては、関係省庁と相互に連携しつつ、関係国との調整を含む所要の準備を進めているところであり、今後、与党三党幹事長パキスタン訪問団の報告や政府現地調査も参考にしつつ、基本計画の速やかな策定と必要な対策の早期実施に向けて全力で取り組んでまいりたいというふうに思っております。
 また、本日行われました情報収集のための自衛隊艦艇の派遣についてのお尋ねがございました。
 本件に関しましては、九月十九日に総理から発表されたいわゆる当面の七項目措置において、「情報収集のための自衛隊艦艇を速やかに派遣する。」とされております。また、先般、いわゆるテロ対策特別措置法が成立し、今後、同法に基づき自衛隊が協力支援活動等を実施することが想定されておりまして、現在、そのための基本計画の策定作業をいたしておりますが、今後、自衛隊が行う協力支援活動等を円滑に実施するため、現地における情報収集の必要性がより高まっており、本派遣は、このような活動に対して事前に必要な情報を収集するため、基本計画の策定前に派遣することが妥当であり、性急な派遣というような御指摘は当たらないというふうに考えております。(拍手)
#41
○副議長(渡部恒三君) これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#42
○副議長(渡部恒三君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後二時四十三分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  小泉純一郎君
        総務大臣    片山虎之助君
        法務大臣
        環境大臣臨時代理  森山 眞弓君
        外務大臣    田中眞紀子君
        財務大臣    塩川正十郎君
        文部科学大臣  遠山 敦子君
        厚生労働大臣  坂口  力君
        農林水産大臣  武部  勤君
        国土交通大臣  扇  千景君
        国務大臣    石原 伸晃君
        経済産業大臣臨時代理
        国務大臣    尾身 幸次君
        国務大臣    竹中 平蔵君
        国務大臣    中谷  元君
        国務大臣    福田 康夫君
        国務大臣    村井  仁君
        国務大臣    柳澤 伯夫君
 出席副大臣
        財務副大臣   村上誠一郎君
 出席政府特別補佐人
        内閣法制局長官 津野  修君
ソース: 国立国会図書館
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