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2001/04/12 第151回国会 参議院 参議院会議録情報 第151回国会 国土交通委員会 第8号
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2001/04/12 第151回国会 参議院

参議院会議録情報 第151回国会 国土交通委員会 第8号

#1
第151回国会 国土交通委員会 第8号
平成十三年四月十二日(木曜日)
   午前十時一分開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月十一日
    辞任         補欠選任
     長谷川道郎君     片山虎之助君
     林  紀子君     筆坂 秀世君
 四月十二日
    辞任         補欠選任
     岩井 國臣君     仲道 俊哉君
     片山虎之助君     岸  宏一君
     筆坂 秀世君     大門実紀史君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         今泉  昭君
    理 事
                鈴木 政二君
                山内 俊夫君
                寺崎 昭久君
                森本 晃司君
                緒方 靖夫君
    委 員
                泉  信也君
                岸  宏一君
                坂野 重信君
                中島 啓雄君
                仲道 俊哉君
                野沢 太三君
                松谷蒼一郎君
                脇  雅史君
                北澤 俊美君
                佐藤 雄平君
                山下八洲夫君
                続  訓弘君
                大門実紀史君
                渕上 貞雄君
                戸田 邦司君
                島袋 宗康君
   国務大臣
       国土交通大臣   扇  千景君
   副大臣
       国土交通副大臣  泉  信也君
   大臣政務官
       国土交通大臣政
       務官      吉田六左エ門君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        杉谷 洸大君
   政府参考人
       警察庁刑事局長  五十嵐忠行君
       防衛庁運用局長  北原 巖男君
       防衛施設庁長官  伊藤 康成君
       外務省アジア大
       洋州局長     槙田 邦彦君
       外務省北米局長  藤崎 一郎君
       国土交通省鉄道
       局長       安富 正文君
       国土交通省航空
       局長       深谷 憲一君
       航空事故調査委
       員会委員長    佐藤 淳造君
       航空事故調査委
       員会事務局長   中島 憲司君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○航空事故調査委員会設置法等の一部を改正する
 法律案(内閣提出、衆議院送付)

    ─────────────
#2
○委員長(今泉昭君) ただいまから国土交通委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨十一日、林紀子君及び長谷川道郎君が委員を辞任され、その補欠として筆坂秀世君及び片山虎之助君が選任されました。
 また、本日、筆坂秀世君が委員を辞任され、その補欠として大門実紀史君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(今泉昭君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 航空事故調査委員会設置法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に警察庁刑事局長五十嵐忠行君、防衛庁運用局長北原巖男君、防衛施設庁長官伊藤康成君、外務省アジア大洋州局長槙田邦彦君、外務省北米局長藤崎一郎君、国土交通省鉄道局長安富正文君、国土交通省航空局長深谷憲一君、航空事故調査委員会委員長佐藤淳造君及び航空事故調査委員会事務局長中島憲司君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(今泉昭君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(今泉昭君) 航空事故調査委員会設置法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○野沢太三君 自民党の野沢太三でございます。
 本日は、航空事故調査委員会設置法の一部改正ということで、鉄道事故の調査を対象に加えるために必要な法改正を行う趣旨であると伺っておるわけでございます。
 ことしは国鉄改革がスタートしてJRグループ七社に分かれてからちょうど十四年目に当たります。改革の仕上げとも言えます本州三社の完全民営化の法案も別途提出されておりますが、安全対策に大きな力を持つ今回のこの法律案が、そもそも国鉄が解体してJRや三セク鉄道各社等に分かれた昭和六十二年当時から、鉄道と乗客の安全を守るために必要な法律ではなかったかと、かように私は考えるわけでございます。それにしても、今出てきたことは大変結構なんですが、ややその点で時期が遅かったんじゃないかなと思いますが、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
#7
○国務大臣(扇千景君) 野沢先生はむしろ私より国鉄に関してはお詳しくていらっしゃいますから、野沢先生がお考えになっている以上に私がお答えできるかどうかわかりませんけれども、私たちは、今回この法案を出させていただきました基本には、御存じのとおり、これまでの鉄道におきます交通事故、いわゆる事故調査というものは、基本的には鉄道事業本体が独自に調査を行って、また調査結果及び再発防止対策というものは国土交通省に報告するという、私はそういうシステムになってきちんと今まで対処されていたと思っておりますけれども、特に、先生が今、今日までの事故のあらゆることを考えれば遅きに失したのではないかというような御指摘もございましたけれども、私は、今までも特に重大な事故の場合におきましては、臨時の調査組織を鉄道局内に立ち上げて対応してきたところでございますので、少なくとも私は、この体制というものは国鉄改革以前からのものであるというのは野沢先生が一番御認識のあるところだろうと思いますので、私は今日も、昭和六十二年のJR発足後におきましても特に変更の必要性がないと、そういう判断からとられた処置であると私も認識しております。
 しかしながら、その後、事故を踏まえまして、鉄道の事故の原因を科学的、いえもっと公正にまず実施をして、そしてさらに的確な再発防止処置を講ずる。そういうことが、一昨年、あらかじめ委員会を選任しておいて、特別に特大な事故あるいは特異な事故、いろんな事故がございますので、そういう特別な理由のある事故に関しましては発生した際に直ちに立ち上げるようなことができる事故調査検討会の体制を整備しまして、そして日比谷線の事故においても所要の成果を上げたところでございますので、この日比谷線の事故の経緯を踏まえまして、絶えず平時におきましても専門技術的な立場から事故調査を行える常備の調査体制というものを設置するということとともに、円滑な事故の調査を行うためには調査の報告を聴取する、または物件の留置等の権限を付すということが必要であるからということで今回の改正に踏み切り、なおかつ今後の事故の防止体制というものを確実にしていくという目的のために、今回御審議いただいているこの法案を提出させていただいた次第でございます。
#8
○野沢太三君 鉄道の安全性ということにつきましては、これまでたび重なる事故の反省に立ちまして、絶えざる分析、反省そして対応を講じてきたからこそ今日の姿があろうかと思います。
 先日も、ここへお招きしました井口雅一東大名誉教授のお話によりますと、鉄道に乗って事故に遭う確率というのは大体十のマイナス八乗レベルまで下げられておる。これはもう道を歩いているときよりもむしろ安全だというくらいの状況にあるわけでございますが、これを今後ともさらに維持し、今回の日比谷線の事故その他重大事故を招かないというようなこと。
 それから、後ほどまた触れたいと思いますが、ホームからの転落事故等についても何としても防いでいきたいという思いでいっぱいでございます。その場合に、今回いわゆる専門家の皆さんが常設の形で事故調査委員会を設置されるということでございますが、このことの効果が非常に私はあるんじゃないかと思います。
 先般の井口参考人の陳述におかれましても、大変的確に現場に参集し、直ちに最高のレベルのメンバーを組み立てて取り組むことができたと。その意味で大変これは効果があったというふうに評価いたしますが、常設委員会をつくるということは航空事故では既に先例があるわけでございますけれども、今回このことの意義についてのお考えをお述べいただければ幸いと思います。
#9
○国務大臣(扇千景君) 今、野沢先生がおっしゃいましたように、私の手元にもこの事故調査検討会の井口先生からいただいた御意見というものを私も拝聴しておりますけれども、少なくとも、日比谷線の事故を受けての常設機関の必要性の提言が、今、先生がおっしゃいましたように、この事故調査検討会の井口座長の中にもはっきりと書いてございます。「常設・専門の調査体制を整備し、再発防止策が講じられる体系を構築すること。」というふうにお答えをいただいておりますので、私はこういう皆さん方の、専門家の座長の御意見等々も配慮しながら、少なくとも一昨年の事故調査検討会の体制を整備して、日比谷線事故においての所要の成果を上げた、こういうのが私は一番大事であろうと。
 しからば、こういう大事なことをわかっていながらどう動くのかというのが私は今度のこの法案を出させていただいた、実行に移すということの一つの重要な決断であり、今後の再発防止には最大のでき得る限りのことであるというふうに考えておりますので、少なくとも特大の事故でありますとか特異な事故の、私が先ほど申しましたようなことに関しましては、本業を別に持ちながらも御活躍いただいた委員の皆さん方のこういう貴重な御意見を、過大な負担がかかるという問題もあったんですけれども、今回常設の事故調査委員会を置くことによって日本のどこで事故が発生しても対応できるという、そういう体制が整備されること、これが私は一番大事なことだと思っております。
 そして二つ目には、事故調査に関するノウハウ、要するにデータの蓄積を図ること、それが私は今後も事故再発の防止には欠かせないことであろうというのが二つ目でございます。
 三つ目には、法律に基づきました報告の徴収等の調査権限が付されるということでございますので、これはやっぱりこの権限を付与されるということは大きな効果があると考えております。常設の事故調査委員会の設置により生じるこのような効果を生かしまして、事故の原因究明及び再発防止に万全を期すということのために今回こういうことを皆さんに御提案し、御審議いただいているということを御理解賜りたいと存じます。
#10
○野沢太三君 十年前に起こりました信楽線の事故、私も現場へ派遣をされまして調べてきた一人でございます。あの運輸省の報告書は一年七カ月かかっておりますが、今回の日比谷線の脱線事故については七カ月で提案されたと、これはまことに大事なことであると思います。毎日あの事故現場を何十万の方が通過しているわけですから、一日も早く原因を究明して対策を講じない限り安心して乗れないということでは困るということで、大変これは大勢の方々の協力があったものと思いますが、今回はさらにこれを法的に裏づけをした形で事故調査と対策を講じられるということでございますので、大いに期待をいたしております。
 そこで、日比谷線の脱線事故の原因につきましては、これまでの報告書を伺いますと、車両と線路の構成条件が複雑に絡み合って発生した競合脱線というふうに指摘をされていると理解しておりますが、さらにその後、問題点についても究明を続けていらっしゃるということでございますので、現時点でどのように原因を特定しておられるのか、この点について伺いたいと思います。
#11
○政府参考人(安富正文君) 先ほど先生からお話がございましたように、昨年十月の事故調査検討会の報告書におきまして、いわゆる競合脱線ということで事故原因をある程度推定しまして、いろんな対策を講じているところでございますが、さらにこの報告書の中で、急曲線における低速走行時の安全性をさらに向上させる必要があるということから幾つかの検討課題の指摘をいただいているところでございます。
 一つは、急曲線や衝突を考慮した車両の設計のあり方、それから二番目に、浮き上がりから脱線に至るメカニズムの解明、それから車両の静止輪重や急曲線における軌道狂いの具体的な管理の方法といったことについて今後さらに検討していくべきだということの御提言を受けたところでございます。
 現在、我々としては、この提言を受けまして、本年の二月に、学識経験者それから鉄道事業者を含めましたいわゆる検討会、具体的には急曲線における低速域での乗り上がり脱線等の防止に関する検討会というものを設置いたしまして、これらの調査検討会で提言されました幾つかの課題について現在具体的に取り組んでいるところでございます。
#12
○野沢太三君 引き続きひとつ問題を解明しまして、なるほどこれだということが特に現場を管理している一線の技術者にも理解しやすい形で集約していただけるとありがたいと思っております。
 そこで、もう一つお伺いしたいのが、先日、保線の現場管理者が数名、業務上の過失があったということで警察の方から書類送検をされているという報告を受けておりますが、今のお話のように、今回の事故は複雑な要素、車並びに線路、運転条件等の複合による結果出てきたものであると、いずれの物差しを当ててみてもそれぞれの分野ではすべて基準どおりの保守管理をしていたんではないかと、そういう中からなおかつこのような現象が出たというそこに難しさがあるわけでございますが、線路関係者だけが送検されて、車その他の関係者についてはどのようなお調べがあったのかどうか、これについて警察の方のお考えを聞きたいと思います。
#13
○政府参考人(五十嵐忠行君) 地下鉄日比谷線列車脱線事故につきましては、警視庁におきまして、三月二十七日、関係被疑者五名を業務上過失致死傷罪等で東京地方検察庁に書類送致したところでございます。
 本事件は、公共の旅客輸送機関における死傷者多数を伴う重大な事故であることから、警視庁におきましては、さまざまな事故原因の可能性を念頭に置きながら、現場の見分、証拠品の押収、分析、車両関係者も含めた多数の関係者の事情聴取等を行うなど、広範かつ綿密な捜査を尽くしたところであります。その結果、脱線の原因としては複数の要因が推定されたのでありますが、証拠に基づき、レールの保守管理監督などを行った過失を認定し、業務上過失致死傷等として立件送致するに至ったものと承知しております。
 なお、車両の関係者等にはどのような点を取り調べたかとのお尋ねでございますが、個別事件の捜査の具体的内容にわたりますので、答弁は差し控えさせていただきます。
#14
○野沢太三君 まだ十分に証拠なりデータが集まらないからまだまだこれから調べるんだということかもしれませんが、先ほど指摘を申し上げましたとおり、線路も車もあるいは運転条件もすべて許された範囲内であのような事故が出ているのではないかと我々は見ておるわけでございます。どうか、その捜査の内容が偏ったり片手落ちにならないように、公平公正な御判断をいただきたいと希望をいたしておきます。
 そこで、問題は、再発防止が一番重要でございます。最終報告書の中にも五項目ほどの対策が提案されておりますが、一つは、静止輪重の管理、軌道平面性の管理の問題、レールの研削状況、それから必要に応じて車輪フランジ角度を変更する問題、それから脱線防止ガードの追加設置、この五項目がございます。これにつきまして、ひとつその後どのようにこれが処置され改善されたか、お伺いをいたしたいと思います。
#15
○政府参考人(安富正文君) 先生御指摘のように、五項目について各事業者に指示を出して、現在対策を講じているところでございますが、具体的にちょっと営団について申しますと、例えば静止輪重の管理につきましては、現在、対象車両数が二千四百四十七両、対応する車軸九千七百八十八軸でございますが、このうち約九八%につきまして静止輪重の管理値を一〇%以内と調整することが終了しております。残りにつきましても、可能な限り早期に終了する予定でございます。
 それから、軌道の平面性の管理につきましては、営団については従来より実施していたところでございます。
 それから、レールの研削形状の適正化でございますが、これにつきましては、営団の方では新品のレール断面形状に近づけるような研削を既に実施しておりまして、研削に当たっては、研削前後の断面を測定して形状を確認するという手続もちゃんとやっております。
 それから、車両のフランジ角の変更でございますが、フランジ角度が六十二度となっていた七百六十九両の車両につきまして、フランジ角を七十度に変更するということで、現在までに約四五%についての変更を終了したところで、本年九月末までに終了する予定でございます。
 それから、脱線防止ガードの追加設置につきましては、これらの既に述べました四つの対策を講じた結果、推定脱線係数比が一・二未満となった八十二カ所、路線延長で三千九百五十二メートルの区間につきまして本年三月十一日までに脱線防止ガードの設置を完了しているところでございます。
#16
○野沢太三君 大分しっかり対応していただいていることはわかりますが、問題は最後の脱線防止ガードの追加設置でございます。
 あの現場はたしか百六十メートルほどのカーブと私も現場を見て理解しておりますが、この辺のカーブでは通常、ほかの民鉄、私鉄、JR等ではほとんど脱防ガードを設置していたにもかかわらず、営団の場合には、速度も緩いということもありましょうか、あるいは三十年間無事故で来たということもありましょうか、条件を緩和されて、ここに脱防ガードがなかったというのが致命的な結果を招いたのではないかと大変惜しまれてならないわけでございます。
 営団地下鉄が発足以来、大変輝かしい実績を積み重ねてきた中であのような大事故を起こしてしまったということの中に、どうも保守管理あるいは技術に対する過信なり、あるいはおごりがあったのではないかということも考えられるわけでございまして、これはやっぱり、まだまだ私どもの鉄道技術というものは完璧なものではないんだということの中で、最後に救いを求めるのがこの脱防ガードの設置ではないかと思うわけでございます。これは一営団にとどまらず、鉄道全部について影響があるかと思いますが、他の民鉄、私鉄、JRについての御指導はどのようになっていましょうか。
#17
○政府参考人(安富正文君) この報告書を受けまして各鉄道事業者に具体的に指示をいたしまして、最終的に幾つかの項目についてそれぞれ対応していただくことになっておりますけれども、最終的な対応として、推定脱線係数比というのを設けまして、一・二未満になっている区間について、各鉄道事業者においてそれぞれ推定脱線係数比を出しまして、それぞれについて一・二未満になっているところについては脱線防止ガードレールをつけるようにと現在指導しております。
 必ずしもまだ具体的に何%進んでいるということは、私の手元にまだ報告が来ておりませんけれども、これについて鋭意早急に整備を図って、脱線防止ガードレールをつけるということで現在進めているところでございます。
#18
○野沢太三君 先ほどの私の発言の中で片手落ちと言いました言葉はどうも差別用語につながるのではないかということで、訂正をいたしておきます。偏りがないようにということで修正をしていただければ幸いでございます。
 そこで、質問を続けてまいりますが、今回、脱防ガードをつけるかどうかという基準について推定脱線係数比という手法を導入しまして、これが一・二未満であればつけた方がいいんだと、こういう一つの報告がございますが、これはコンピューターを使ってしっかり計算をしないと出てこない。現場でぱっと当たればわかるという簡単なものではないわけでございます。
 井口先生にもこの点お伺いをしたんですけれども、いやそれほど難しくはないんだと先生はおっしゃるんですが、現場の人のレベルと井口先生の頭のレベルとはどえらい違いがあるわけでございまして、この辺のところを、本当にきのう、あす採用してきた人でもわかるような基準とルールでないと鉄道の安全は保たれない、こう思うんですけれども、その意味でこの計算方法並びに実際にどの程度この一・二未満というのがあったのかどうか、はっきりしていたらお話をしてください。
#19
○政府参考人(安富正文君) この推定脱線係数比の計算方法につきましては、確かに私自身も余りよくわからないということで、かなり専門的な分野になるかと思います。
 ただ、現実にはどういう形でやっているかと申しますと、我々としては計算方法につきましてプログラムをつくりまして、このプログラムで、ある程度数字を入れていけば簡便な手順で計算が可能となるプログラムをつくりまして、これをフロッピーディスクにおさめて、これを各鉄道事業者に送付して、すべての事業者が対応可能なように一応配慮したところでございます。
 さらに、具体的ないわゆる計算方法につきまして、全国の鉄道・軌道事業者の主任技術者を本省に集めて説明会を行ったほか、我々の方から全国の運輸局に本省の担当者が出向きまして、運輸局管内の鉄道事業者の現場の担当者に対しまして詳細な説明会を開催するということで、鉄道事業者の理解が深まるように現在対応しているところでございます。
#20
○野沢太三君 そういうわけで、今後のこれは事故調査委員会の人事とか運営にもかかわることかと思いますが、どうかひとつ、学者の先生ばかりでなくて実務家、経験者、そしてその道の専門家、そういった多様な人事構成で御推薦をいただくことが大事ではないかと考えております。その辺の御配慮をよろしくお願いをし、そして御提言については、できるだけ具体的にわかりやすい尺度で出していただくことが大事ではないかと思っております。
 そこで今度は、外国の事例等もありますが、その前に、四十七年二月に、この航空事故調査委員会設置法がそもそも最初に提案されたときでございますが、警察庁長官と運輸事務次官の覚書が交わされておりまして、これが現時点でも生きておるというふうに伺っております。この内容を私も拝見をいたしたわけでございますが、当時の情勢からしましても、刑法に基づく現場のチェックということがどうしても優先されがちで、原因究明と再発防止という本法案の趣旨がやや遠慮をしているんじゃないか、こういうイメージを持つわけでございます。
 これはもうこの時点でしっかり見直しまして、諸外国の場合のように、やはり何としても原因をはっきりさせて再発を防止することの方が利益が大きいと先般の参考人質疑の中でも御指摘があったわけでございますが、この機会にちょうどいいわけですから、これを見直して適切な申し合わせにするということについてはいかがなものでございましょうか。国土交通省並びに警察、両方からお伺いしたいと思うんです。
#21
○政府参考人(安富正文君) この覚書に関する件でございますが、事故調査委員会の実施する事故調査の目的は、先生おっしゃるように、原因を究明して事故の再発の防止に資するということでございます。ただ、もう一つ、刑事責任を追及するという形で犯罪捜査というのが行われるわけでございますが、両者それぞれ原因究明と犯罪捜査ということで目的が異なっております。このため、たとえ両者が競合する場合でも必要な原因究明が行えるように、捜査機関と十分調整の上、調査を行うことが必要でございます。
 このため、先ほど申しました、事故調査委員会と警察との間で今後の事故調査に当たって十分協力調整を行うということを目的としまして覚書を締結したものでございまして、今回、鉄道をつけ加えるということで新しく調査委員会が体制強化になるわけでございますが、鉄道事故調査等についても引き続き有効であるというふうに考えております。
 特に、我々鉄道の関係で申しますと、日比谷線の中目黒における事故の調査におきましても、具体的な現地での捜査機関との協力関係につきましては比較的スムーズにまいりまして、我々としては非常に所要の成果を上げたところでございます。したがいまして、今後の航空・鉄道事故調査委員会におきましても、捜査機関と相互に十分な協力調整を行って、的確な事故原因の調査が行えるように、捜査機関と連携を図りながら引き続き努力していきたいというふうに考えております。
#22
○政府参考人(五十嵐忠行君) 警察による捜査と航空事故調査委員会による事故調査は、それぞれの公益目的達成のために異なる法律に基づいて行うものであり、一方が他方に対して優先されるものではありません。
 御指摘の覚書につきましては、捜査機関と航空事故調査委員会との間で必要な調整を行い、円滑な運用を図る必要があるため、航空事故調査委員会設置法制定の際に、両者が相互、対等の立場であることを前提として締結したものでありまして、今後ともこの覚書に基づいて捜査と事故調査との間に支障が生ずることのないよう努めてまいる所存であります。
#23
○野沢太三君 御趣旨はそのとおりかと思いますが、現場の状況を見ますと、どうしてもお巡りさんの方が先に物をおっしゃる、それに実務者が遠慮をするということが実態としてございますね。
 今回の日比谷線の場合には、例えばあの当該脱線箇所のレールを外して車両基地の方へ持っていっちゃった。これは私は、その後の再現実験なりあるいはさらなる原因分析をするのに相当実際上支障が出たんじゃないかと愕然としたわけでございますが、これも十分打ち合わせをした上でということでございますけれども、その辺の手法なり現場の保存なりあるいは証拠物件の保存なり、これはもうぜひひとつ協力とそれから相互の知恵をしっかり交換して、結果が国民のためになる、お客様のためになるんだということでいっていただきたい。単なる責任追及だけでは、これは私は問題が解決しない課題であると思っていますので、なお一層ひとつ打ち合わせを密にしていただきたいと御要望をいたしておきます。
 それから、今回、鉄道の事故に当たりまして専門委員をこの法律の中で五人増員しております。この五人はそれぞれの見識ある方ということで結構かと思うんですが、問題は事務局の体制が大事でございまして、航空事故の方に比べますと鉄道事故の方はスタート早々でもございますので人数が非常に限られた形になっておりますが、鉄道の事故というものは、車の専門家あるいは線路の専門家、さらには電気あるいは運転、あるいは諸法規その他含めて多分野の総合技術でございますから、もう少しこの辺のところをしっかりと顔ぶれをそろえないことには思うような調査ができないのではないか。そして、常設の人をもし置くのが経費的にもあるいは行革の時代ですから難しいとすれば、何らかの形でプロジェクトチームのようなものをつくっておきまして、一たん緩急あるときには直ちに参集して対策に当たると、こういった仕組みをこれからもつくっておかないと効果を上げないと思いますが、この辺についてはいかがでしょうか。
#24
○政府参考人(安富正文君) 鉄道の事故調査官につきましては、現在この法律の改正に当たりまして、全体を統括する首席事故調査官を含めまして六人の調査官を増員するということで体制を組んでおります。これらの事故調査官は、鉄道の基礎的な技術分野であります土木、電気、あるいは車両、運転といったようなそれぞれの専門分野について必要な知識を有する者を職員として配置するということで考えております。
 また、具体的な今後事故が起こった場合でございますが、事故の現場調査を中心に地方運輸局におきます鉄道の専門知識を有する職員を活用するといったようなことも含め、さらには必要に応じまして、具体的には鉄道総合技術研究所のいわゆる研究員あるいは交通安全環境研究所の研究員といった外部の専門技術を有する機関にそれぞれの、先ほど先生からプロジェクトチームというようなお話がございましたけれども、そんなことも考えながら、例えばシミュレーション解析であるとか車両の分解調査といったような具体的な業務を委託するといったようなことも含めて、これらの機関との連携を密にしながらその専門技術の活用も図っていきたいというふうに考えております。
 こういった形で、調査体制を確立することによって科学的かつ徹底した鉄道事故調査が可能と考えておりますが、今後とも調査状況を見ながら適切な調査体制の確保ということを図っていきたいというふうに考えております。
#25
○野沢太三君 ぜひ、事故のデータの蓄積、それから経験の交流、あるいは定期的な意見発表という場、どこで発表するかはいろいろありますが、できるだけオープンに情報公開をしながら進めるということが極めて大切と思います。特に今、中小民鉄あるいは三セク鉄道としてスタートしてもう十年以上になりましたが、こういった小さな鉄道会社には十分な技術屋さん、技術力やデータの蓄積がないわけでございますので、その辺に対して絶えず情報提供をしながら安全対策を進めるその一つの総本山として、総司令部として機能するようにひとつ工夫していただきたいと思うわけでございます。
 それから、もう一つ大事な課題が人と並んで予算でございますが、今回もある程度の予算を計上しておられるようでございますが、通常の運営経費程度の予算しか持っていないように思います。事故防止を本格的にやろうとしますと、再現実験をしたりあるいは海外への調査も必要でございましょうし、また事故が起こった場合には相当な経費もかかるかと思いますが、この場合に直ちに使えるような形でもう予算化をしておく。概算要求して年度末まで待たないとだめというような予算の仕組みでは、これは機能しないんじゃないかと思いますが、その点、いかがでしょうか。
#26
○政府参考人(安富正文君) 予算についてのお尋ねがございましたが、今回、航空・鉄道事故調査委員会に必要な経費につきましては、平成十三年度予算で九千六百万円を一応確保しているところでございます。これは十二年度と比べまして約三千四百万円の増額となっておりまして、当面必要な予算を確保できたものと我々としては考えております。
 しかしながら、実際に事故が発生した場合、あるいは件数がふえた場合、その内容によりましては必要な経費がさらに増加するということが考えられます。このような場合には、従来、航空事故調査委員会でも、先生御指摘のとおり予備費とか補正予算といったようなあらゆる形での活用も含めて必要な経費を確保してきておるところでございますし、我々の経験からいいましても、先回の日比谷線の脱線事故があったときも、特に会計等にお願いしてシミュレーション解析とか現場再現といったような調査に必要な経費を確保して実施したところでございますので、今後ともそういった形で適切に対処してまいりたいというふうに考えております。
#27
○野沢太三君 ぜひ、事故や災害があったときには、もう黙ってぱっと使えるような形の予算の裏づけという仕組みをこれからもひとつ考えておいていただきたいと、かように思います。
 それで、今回のこの調査委員会は国土交通省に所属をしているという形になっておりますが、先般の参考人質疑の中でも、これを例えば内閣府に移すとか、あるいは外国の例でいえば国会に直属するというような形で独立性を持たせた方がいいんだという御意見もございます。海外の事例等も参考にしながら、さらにその辺のあり方についての議論を深める必要があろうかと思います。
 イギリスではたしか、健康保健省というんでしょうか、ここに所属させて運輸監督を別建てに運輸省と独立にしてやっている。あるいはアメリカのNTSB、国家運輸安全委員会、これはもう長年の経験の中から独立行政委員会ということで、これも運輸省から完全に独立させて今日まで来ておるわけでございます。この原則は、専門的な調査のほかに情報公開と国民のために役に立つんだということが第一義的に取り上げられておられるという点で一つのこれは理想的なモデルではないかと思いますが、この点についてのお考えをお伺いしたいと思いますが、副大臣、ひとつよろしくお願いいたします。
#28
○副大臣(泉信也君) 今、委員から御指摘ございましたように、アメリカ、イギリス等それぞれの事故調査のあり方が少しずつ違うことは事実でございます。恐らく、それぞれの国の歴史的な背景あるいは組織のあり方論からきておることだと思っておるわけです。
 独立性という先生の御指摘につきましては、私どもも当然大切なことだと考えております。国土交通省にあるから調査委員会の独立性が損なわれるのか、こういう御心配も一部にはあると承知しておりますが、この調査委員会のいわゆる四条で、この委員会は国土交通大臣の指揮を受けないという形でまずその独立性を規定いたしておりますし、また委員等は国会の同意を得て国土交通大臣が任命するという、国会の御承認をいただく、そうした形で公正性を確保しておるということになっているわけでございます。
 また、実際の事故の調査等に当たりましては、国土交通省という省を挙げて取り組む必要がございまして、航空局、鉄道局、あるいは海上保安庁、気象庁、そうした機関はもとより、地方運輸局、地方航空局、航空交通管制部などの各機関の援助協力があって事故の原因究明が初めて円滑にいくのではないかと考えておるところでございます。
 したがいまして、当面、鉄道の調査を恒常的にさせていただくような法案を提出させていただいておりますが、今後とも各国の調査体制のあり方、またこれからの事故の態様等をよく見きわめながら、先生御指摘のようなことにつきましても検討してまいりたいと思っておるところでございます。
#29
○野沢太三君 ぜひそのような形で、当事者の皆さんも誇りを持って仕事ができるというふうにひとつ考えていただきたいと思います。
 イギリスのHMRI、これはハー・マジェスティーズ・レールウェー・インスペクトレート、要するに女王陛下の鉄道監督局だと、こういう思想でつくられているという点、まことにこれは私ども参考に値するものではないかと思っておるわけでございます。
 そこで、鉄道の事故といいますと、先ほどから申し上げております日比谷線のように難しい事故もございますが、実際はもっと簡単なところで大勢の方がけがをしたり亡くなったりしておるわけでございます。その意味で、鉄道駅のホームの安全ということについて一、二お尋ねをいたしたいと思っております。
 まず、最近における鉄道事故の中で人身事故というのはどのぐらいあるのか、これについてお話を伺いたいと思います。
#30
○政府参考人(安富正文君) 平成十一年度における鉄道の運転事故が九百二十七件ほど発生しております。このうち、人身障害事故として挙げられておりますものが三百五十六件発生しており、これによって百九十七名の方が亡くなり、百六十七名の方が負傷するということになっております。また、人身障害事故の主な原因別の内訳を見ますと、線路内に立ち入ったものが百九十七件で約五五%、ホーム上での接触が八十八件で約二五%、いわゆるホームからの転落が四十七件で約一三%という構成割合になっております。
#31
○野沢太三君 先ほど私は、鉄道に乗っているのは道を歩くよりも安全だというふうに申し上げましたが、実はホームになりますとそうはいかないわけでありまして、一番我々の身近な鉄道の利用の現場でありますホームが実は大変危険なところであると。
 目の不自由な方の団体の方々から御意見を伺う機会があったんですが、ほとんど半数以上の方がホームから転落をされた経験もお持ちであるということでありまして、これは私どもとしては何としても対応せねばならぬ課題であると思っております。
 幸い最近は、南北線の開通でごらんいただきますように立派なホームドアがついている、あるいは昨今では羽田のモノレールもホームさくをつくろうかということも計画をしておられるようでございますが、先般の一月二十六日、ことしですが、新大久保の痛ましい事故がございました。韓国の李さん、それから日本では関根さんが、助けようということで飛び込んで間に合わなくて亡くなられたという痛ましい事故でございます。このような事故をもう二度と繰り返したくない、させるべきではない。そして、これはしっかり対応すれば必ず防げる事故だと私は思うわけでございます。
 この新大久保事故後とられました対策、対応についてどのようなことをなさったのか、御説明いただきたいと思います。
#32
○政府参考人(安富正文君) 今回の新大久保駅転落事故の発生にかんがみまして、平成十三年の二月十九日付で、ホームにおける安全対策の実態把握の結果を踏まえまして緊急に実施すべき安全対策を定めて、全国の鉄軌道事業者に指示したところでございます。
 具体的な安全対策の内容でございますが、列車速度が高く、かつ一時間当たりの運転本数の多いプラットホームを中心としまして、一つは、非常停止押しボタンまたは転落検知マットの整備を行う、それからプラットホーム下の退避スペースの確保を行う、それからホームさく等の設置についての具体的な検討を行う、それから旅客に対する注意喚起の徹底を図るといったようなことを具体的に指示して実施しているところでございます。また、さらには駅構内における酒類販売の自粛といったことについても検討して、必要な場合には要請するというようなことを講ずるように指示したところでございます。
 これらの対策については、現在、具体的なそれぞれの整備計画あるいは検討状況等について事業者に指示しているところでございますが、五月末日までに報告をさせて、その報告を受けてまた具体的な対応を考えていきたいというふうに考えております。
#33
○野沢太三君 新大久保の現場も私も見ましたが、あそこはけた式、いわゆるスルーガーダーでございますので、もう全く逃げる空間がないわけでございます。しかし、大部分のホームはいわゆる昔流の積み上げ式のホームでございますから、これをけた式にして逃げる空間をつくる、あるいはコの字型の擁壁にして建築、車両限界から外側に人が避難できるスペースをつくる、これはそう難しくないわけでございます。
 これはお金をかければできるわけでございますから、この辺の費用の賄い方として、先般私もこの委員会で議論して成立させましたバリアフリー法の考え方によりますと、国が三分の一、地方が三分の一、事業者が三分の一出して、そしてバリアフリーにする。私は、ホームが安全になるということはもう何物にもかえられないバリアフリーではないか、こう思うわけでございますから、バリアフリー法の対象事案をもう少し拡大しまして、こういったホームを安全な形にするためにいわゆるホームの改良をする、あるいはホームドア、ホームさくをつくる、こういったことも検討、研究をしてみる価値があるんじゃないか。
 御相談していただきたいと思いますが、御意見ございましょうか。
#34
○政府参考人(安富正文君) 先般、交通バリア法を制定していただきまして、いわゆる高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の利便性、安全性の向上を図るということで現在進めているところでございます。
 これは、当然のことながら健常者にもそれなりに安全性の確保ということで非常に効果があるというふうに考えておりますが、ただ、具体的にはこの交通バリア法では、直接的に施設の新設、大改良を行う場合には、事業者がエレベーターまたは傾斜路等で段差を解消するとともに、ホームドアとか可動式ホームさく、さらには点状ブロックその他の視覚障害者等の転落を防止するための設備を設けることが義務づけられておりますけれども、既存の駅にこれらのホームさく等を設置する場合には、かなりまたいろんな問題が、課題があるかと思います。
 先生御指摘のように、こういう交通バリア法の適切な運用を図ることによって、こういう健常者も含めたホームの安全性の向上に資するんじゃないかということで検討しろということでございますが、我々としても、この交通バリア法の適切な運用を図ることによってこういうことができるかどうか、引き続き検討していきたいというふうに考えております。
#35
○野沢太三君 どうぞよろしくお願いいたします。
 私も、これについては今後一貫して努力をしてまいりますので、ひとつ国の側におかれましても御工夫をいただきたい。特に、関係の市町村はその駅というものは自分の町の玄関であり、窓口であり、お客様がやってくる一番大事な場所ですが、そこが大変危ないんだということではこれはやっぱり恥ずかしい話だと思いますので、地方自治体の方にもお願いをいたしてまいりたいと思っております。
 それでは、時間も余りありませんが、拠点空港の整備についてお伺いをしてまいりたいと思います。羽田をもう少し改良して、ここの航空容量をふやしたらどうかという御提言が東京都からも出ておりますが、この羽田の改良につきまして、今のC滑走路平行案とB滑走路平行案というのがございますけれども、この両方の案を比較した場合に、容量がどのくらいふえるのか、あるいは工事費、騒音、航空障害の程度がいかなる状況になるのか、このメリット・アンド・デメリットをひとつお比べいただいてどうお考えか、お聞かせいただきたいと思いますが、大臣、ひとつよろしゅうございますか。
#36
○国務大臣(扇千景君) 今、野沢先生から御質問のございました、羽田の拡張に関してのお尋ねがございましたけれども、これは去る三月二十八日でございますけれども、航空局におきまして開催した第四回の首都圏第三空港調査検討会におきまして、例の羽田の再拡張についての現在までの検討状況の報告を行いました。
 これは御存じのとおりでございますけれども、首都圏第三空港調査検討会、これは約二十名でございますけれども、その中には東京都の副知事あるいは千葉県の副知事、そして神奈川県の副知事もお入りになって二十名の皆さん方で御審議いただき、なお第四回の検討会からは、船主の代表でありますとかあるいは海上保安庁の大学の校長でございますとか、約二十二名でございます。そして、御検討賜りました報告をいただきましたけれども、議論を深めていただいた結果、羽田の再拡張につきましては、港湾あるいは航路への影響、それから河川への影響、騒音影響、工事費等に関しての今後の検討をさらに深める必要があるというふうにはおっしゃいましたけれども、少なくとも処理能力あるいは定時安定性など航空の機能面から見てC滑走路平行線よりB滑走路平行線の方がすぐれているとの観点から、B滑走路平行線案をベースに検討しようということになりました。
 と申しますのも、B滑走路の平行線では大体年に四十・七万回、それからC滑走路におきましては一年で約三十五・四万回、そして処理能力といたしましては、大体一時間にB滑走路では四十、そしてC滑走路では三十五便と、大体こういう概算が出ておりますので、私たちは少なくとも国民の皆さんの利便性、またせっかく再拡張するに関しては第三の滑走路としてはより許容範囲が大きい方が、また諸外国からの今の羽田への申し込み等々の殺到ぶり、そして今後ふえるであろう需要とそれから供給のバランスから考えても今後B滑走路を基本に話し合っていただきたい。石原東京都知事にもその話をしましたら、石原東京都知事も、自分たちは今までC滑走路を言っておりましたけれども、必ずしも東京都案にはこだわらない、より国民の皆さんの利便性を優先したものを考えましょうという、そういうお考えもいただいておりますので、私どもは今後B滑走路を基本にした話し合いのベースを進めていただきたいと思っております。
 細かいことがもしあれでしたら、関係者に答弁させます。
#37
○野沢太三君 羽田をさらに有効に使うということは大変結構なことと思いますが、このたび千葉県知事に御当選されました堂本さん、この間まで参議院にいらっしゃったんですけれども、羽田の国際化について一定の御理解をいただけそうだということであります。
 私どもは、成田と羽田がそれぞれの特性を発揮しながら協力して首都圏全体の国際空港としての役割を演ずることが大事ではないかと思っておりますが、この成田、羽田の役割分担の問題、さらには利用可能な時間が羽田と成田では大分ずれがあります、差がありますが、成田の場合にはさらにアクセスが非常に遠くて不便であることからさらなる増強が必要ではないかと思いますけれども、この点についてお伺いをいたしたいと思います。
#38
○国務大臣(扇千景君) そもそも二十一世紀が幕あけしまして、今、世界的に日本がどのような国際空港を持つべきであるか、またどの程度国際空港がなければならないかという、そういう原点に立ったグローバルな考え方を二十一世紀の我々は持つべきであると。今、目先のことだけで事を処したのでは、子供や孫の時代、あるいは今の国際化に私は日本がついていけないであろうと、そう思っております。
 先生も御存じのとおり、少なくとも我々は諸外国に行きまして、ましてや先進国のみならず、三月二十九日に韓国の仁川空港におきましても四千メートル級の滑走路を二本持って開港いたしました。二〇二〇年にはこれが四本になります。そうしますと、一年間に一億人の観光客を受け入れようというのが隣の韓国でももう既にオープンしたわけでございます。
 そういうことで、我々は諸外国に行って、国際空港に着陸して一本しか滑走路がない空港というものはほとんど国際という看板をつけるに値しないと言っても過言ではないと、私はそう思っております。
 しかも、日本は先進国七カ国であるにもかかわらず、国際空港という名前をつけても滑走路一本で成田の玄関口で対応してお客様を受け入れている。その状況を私は二十一世紀型ではないと。恥ずかしい。そして、我々は今しなければいけないことをしようということで、やっと二本目の滑走路のめどが立ってきたわけですけれども、その滑走路の長さも、これはまだ世界に誇れる、ジャンボが滑走できる滑走路の長さではありません。
 堂本知事が誕生されて私に面会にいらっしゃいまして、私は、成田だ羽田だとお互いの県を、自分たちの権益だけを守っていればいいという時代ではなくなりましたね、真に国際国家であるためには両方のでき得る能力をすべて利用するということが国際社会に対応することではないですかと、私はそういう観点を持っておりますということを申し上げたら、堂本知事も、私も同じ考えですと。
 あの方も国会議員としていろんなところへおいでになっていますから、そういう理由ではきちんと私たちと意見を同じくして、私も石原知事にもお電話で申し上げ、お互いに、東京、千葉、そして国、三位一体になって二十一世紀のあるべき姿を考えていくことがまさに私は国際社会に対応できる日本の考え方であろうと思っておりますので、そういう原則のもとで、私はより国民の利便性を考えた国際空港のあり方、また羽田の活用を新たに検討するということにも大事な意義があると思っております。
#39
○野沢太三君 いわゆる利用可能時間とアクセスの問題について、局長。
#40
○政府参考人(深谷憲一君) 御説明申し上げます。
 成田空港の利用可能時間でございますけれども、現在、午前六時から午後十一時までというふうになっております。これは、成田空港が内陸に位置いたしております関係上、周辺地域の深刻な騒音問題、こういったことに配慮いたしまして、地域と共生しながらという観点からそういった運用の時間となっております。
 他方、羽田につきましては、沖合展開事業が現在進んでおりますが、沖合展開後のC滑走路、こういったものが供用後、二十四時間運用可能な飛行場と現在相なっております。
#41
○政府参考人(安富正文君) アクセスについてのお尋ねがございましたので申し上げます。
 いわゆる成田のアクセスにつきましては、北総・公団線、いわゆるBルートでございますが、運政審の東京圏における鉄道整備計画において、二〇一五年までに開業することが適当である路線と位置づけられたところでございます。
 このような動きを受けまして、平成十二年三月に千葉県を中心とする事業化推進検討委員会が設立され、県、空港公団、それから国等の関係者で事業化に向けて精力的な取り組みが行われているところでございます。
 具体的に、その整備内容であるとか費用負担の方法、整備・運営主体等について具体的に検討しておりまして、今後この検討結果を踏まえまして、関係者とも調整しながら国土交通省としても必要な支援をしてまいりたいというふうに考えております。
#42
○野沢太三君 私は、成田空港が開港する前に現地を調査しまして、成田新幹線というものが必要ではないかということで御提言をした一人でございますが、沿線の反対等もありましてこれは実現をしませんでしたけれども、現在、いわゆるJRのNEXという形で在来線利用の形で結果的にこれが実現をしておりますが、今後、平行滑走路ができますとさらなる需要が伸びてくると思いますので、ひとつ今のようなお話で、もう一つ鉄道のアクセスがあった方が便利ではないか。それから、NEXも南回りだけでなくて北回りで行きますと北関東の方の御利用もさらに便利になる、かように思うわけでございますので、一層の御工夫をお願いいたします。
 なお、まだ関空二期工事や中部国際空港等のあり方について御質問する予定でしたが、ちょっと時間が足りませんので、これで私の質問を切り上げます。
 ありがとうございました。
#43
○山下八洲夫君 民主党・新緑風会の山下八洲夫です。
 航空事故調査委員会の設置法に入る前に、大臣に御感想でも聞ければなと思ってちょっと御意見を申し上げさせていただきたいんですが、きょう新聞を見ておりましたら、実は天声人語に大変おもしろい記事が出ておりました。全部読みますとちょっと長くなりますからかいつまんで読ませていただきたいと思いますが、扇大臣は一方では保守党の党首でもございますので、ぜひ感想をいただきたいというふうに思うんです。
 「自民党総裁選が少しおもしろくなった。タイプの違う候補者が何人か出てくる。政策も少しは違うようだ。何より当初の思惑通りいかなくなったのがいい。いろいろ誤算があるのもいい。結果がわかりにくくなったのはさらにいい。「一寸先は闇」の政治の醍醐味だ」、それから「しかしこの総裁選ばかりは、党員でなければ観客でいるしかない。」、私も観客でしか入れないんですけれども、「次のわが首相を実質的に選ぶ選挙である」、それから総裁選では、「「今回、私たちは観客です。ただし、年季の入った観客ですぞ」と。役者にとって、そうした観客ほど厳しいものはない。ごまかしは許されない。プロとしての真の力量が問われる」、「来るべき選挙でクビにするかどうかを考えることにしよう。観客としても、安易には見ていられない。」と。
 このようなおもしろい天声人語がございましたけれども、私もなるほどなとかなりの部分同感するところもあるわけですが、特に扇大臣はこの総裁選に参加したいんじゃないかなと思いながら、感想をお聞かせいただきたいと思います。
#44
○国務大臣(扇千景君) 今、山下先生から天声人語の御紹介がございましたけれども、私も山下先生と同じ立場で、今はサポーター、観客席にいるという、私は同じ立場でございまして、連立与党とはいえ自民党のコップの中の争いでございますから、人の争いはおもしろいほどいいというやじ馬根性というものが世間にはございますけれども、私は、少なくとも今立候補を予定されております皆さん方の政策論争、そして森内閣にかわって立ち得る総理・総裁という人たち、その人たちが二十一世紀の日本をどのようにしていきたいのかという基本の政策理念というものを、我々は今は森内閣で連立与党の枠組みに署名しております。けれども、新たな総裁によって、果たして我々は今までのような自公保という枠組みであるべきか否かは、もう一度新しい総理になった方と協定を結ぶということにしております。
 そういう意味では、一つのコップの中の争いだけではなくて、私は二十一世紀の日本の方針を世界に示す大事な選挙であるということで、おもしろがってはいられないので、我々は真剣な面持ちで、日本のトップになる人の日本の顔が、どのような方がどのような政策理念を持って出ていらっしゃるのかを真剣に見ているというのが現状でございまして、天声人語のように気楽な気持ちでおもしろがっていられればいいなとは思いますけれども、今現実に連立与党の党首としてはおもしろがっていられないというのが心境で、手が出せないだけに半分いらいらしていると言ってもいいかもしれません。
 以上です。
#45
○山下八洲夫君 それこそ私はサポーターでも何でもありませんが、大臣はサポーターで手が出せればもっといいという最後の本音が出たようですけれども、その辺はもうよしといたしまして、本題に入って質問させていただきたいと思います。ただ願わくは、きょうが扇大臣の、私にとって最後の質問にならないように、また次回の委員会のときでも扇大臣に質問ができるように願いを込めながら質問をさせていただきたいと思います。
 去る一月三十一日の例の日航ニアミスの件でございますが、結論を申し上げますと、大変残念でございましたが、負傷者が四十二名発生をした、そういう中でも幸いでございましたのは、それこそ一人の死者もなく、そして一方では羽田へちゃんと日航機も帰ってきた、こういうことは大変結果としてはよかったなというふうに私も率直に思っております。
 そういう中から、事故が発生しましてから今日まで大体二カ月半ぐらいかかっているんですが、その間、事故調査の状況はどのようになったのか、その辺についてまず一つお尋ねいたしたいのと、それからもう一つは、警察の捜査との関係がどのようになりながら調査をなさっているか。特に、先ほどの質問の中で出たわけでございますが、地下鉄日比谷線の場合は事故調査及び対策について七カ月でやりますよというふうに方針が出て、その方向でどんどん進んでいるわけでございますけれども、この日航ニアミス事故につきましてもできれば短期間で調査や対策をしてもらいたいというふうに私自身は思います。
 あわせて、これはすべての関係者がいらっしゃるわけでございますから、調査にいたしましても、今後の対策にいたしましても、今まで以上に航空機事故にしてはとりやすい、そういうふうに思いますので、その辺につきまして御答弁をお願い申し上げたいと思います。
#46
○政府参考人(中島憲司君) 一月三十一日のニアミス事故の調査状況につきまして、まず御説明申し上げます。
 航空事故調査委員会は、一月三十一日、航空局から事故通報を受けまして、直ちに航空事故調査官を現地に派遣し調査を開始いたしました。その後、他の航空事故調査官の応援態勢をとりながら全力で調査を進めているところであります。
 これまで航空事故調査委員会におきましては、関係者からの口述の聴取とその整理、機体の調査等及び整理、飛行記録装置、航空機衝突防止装置等のデータの分析及びこれら異なる記録装置の時刻合わせ、シミュレーションによる分析など、あらゆる角度から調査を進めておりまして、いずれにいたしましても、本件事故の重大性にかんがみ、全力で原因究明に取り組んでいるところでございます。
 それから、警察との関係でございますが、私ども、警察と調整を行いながらこの調査も行っておりまして、口述の聴取にいたしましても調整をし、そして私どもが先にパイロットから口述を聴取したところでございます。この調査につきましては、先ほども申し上げましたように、全力でこれの進捗に取り組んでまいりたい、このように考えております。
#47
○山下八洲夫君 警察の捜査との関係につきましては、また後ほど触れさせていただきたいと思います。
 航空事故調査の基本的な視点といたしまして、私は航空事故というのはある意味では大変な特殊性を持っているんだろうなというふうに思っております。特に、事故が発生する率は大変少ないんですけれども、一たん事故が発生しますと大変な大惨事になる危険性を持っておりますし、そういうことから考えていきますと、航空については特に安全性を高めることが社会的にも求められているんではないかな、そういうことを念頭に置きながら、航空法の第一章の総則の第一条が平成十一年の六月に改正されたわけでございます。
 旧法と新法を比べてみますと、まず旧法でございますけれども、全部読みませんが、これ第一章の総則の第一条ですから法律の目的で、一番重要なところだと私は思っています。航空機を運航して営む事業の秩序を確立し、となっている。秩序を確立し、というところが、改正されました現行法では随分抽象的に変えられてしまったなと思うんですね。「適正かつ合理的な運営を確保してその利用者の利便の増進を図ることにより、」と。これはどちらかといいますと営業第一主義になってしまった、こういうように私は感ずるわけです。
 ですから、今、航空界もそれこそ運賃のダンピング競争で大変激しい競争をいたしていますので、多分航空各社あたりも、パイロットさんも別会社だ、あるいはスチュワーデスさんも別会社だ、整備も別会社へやらせちゃおう、あるいはもう中国へ行って整備はやろう、こういうふうになってきて、だんだんと競争も激しくなってきている。そういう中で、民間航空ですと必ず株主のことを考えましても利益を上げないといけないわけでございます。そうしますと、私は、今まで以上に危険な状況が生まれてくるのではないかな、そういう気がして心配でなりません。
 そういう立場から、私は、この法律の第一条はできればまた旧法の精神に戻していく、こういうことが必要ではないかなというふうに今回この航空法の勉強をしながら強く感じたわけでございますが、大臣はその辺につきましてどのような感想をお持ちになるでしょう。
#48
○国務大臣(扇千景君) 先ほどの山下先生の御質問に私、一言つけ加えるのを忘れましたので、お答えする前に一言つけ加えさせていただきたいと思います。
 それは、いかに与党第一党といえども、自由民主党の総裁選びのために私は国会の空白をつくってはならないと思っておりますし、また国会の空白をつくるための総裁選であってはならないという我々の国会議員としての職務というものがございます。そして、新しい総裁ができるまで、総理ができるまで審議をしないというようなお話も新聞には載っておりますけれども、参議院はさすがに良識の府で、きょうこうして国土交通委員会が委員長のもと開かれておりますことに私は心から敬意を表し、さすが参議院なんだと、私も参議院に籍を置いていてよかったなという気持ちがありますので、きょう委員会を開いていただいたことにまず敬意を表するのを一言言い忘れましたので、つけ加えさせていただきたいと存じます。
 それから、答えさせていただきたいと思いますけれども、今のお答えで、先生が今航空法第一条の目的のところの改正前と改正後の話でのお話がございました。私も、先生に言われまして改めてこの法律を読んでいるところでございますけれども、先生がおっしゃるように、分割化ということで逆に危険性があるのではないか、責任の所在の明確化もないのではないかというようなことも考えられるというお話でございます。
 少なくとも私は、平成十二年二月に、御存じのとおり、施行されました改正航空法の趣旨というのを私も手元で見ておりますけれども、安全性の確保を大前提とした上でも、需給調整規制及び運航の運賃の規制を廃止して、航空会社の事業運営を可能な限り市場の原理と自己責任の原則にゆだねることによって航空会社の経営の効率化あるいは活性化を図って、それによってより一層の利用者の利便の向上を図るものである、こういう解釈にならざるを得ない、またなるということでこれにお願いしたわけですけれども、それに伴いまして航空法の第一条の目的規定も改正が行われたわけでございます。あのときの議論もそうなっております。
 ですから、そういう航空法の改正の結果、航空会社は安全な運航の確保を図りつつ、利用者のニーズに対応して、要するに路線あるいは便数、運賃の多様化を図ってきておりますし、これらを通じて、利用者の側から見ますと、あるいは利便の向上が図られたというふうにも一方では私は言えると思うんですね。
 そして、私が分社化した分で大体どういうところかなという、代表的な例えばJAL等々を考えますと、JALは、要するに国際線におきましては日本航空ですけれども、そのうちの定期路線を運航するものには日本アジア航空、これはJAAという、そしてまた、そのうち特に低コストを図る路線にはJALウェイズというこれも別にあるわけですね。JAZというのもあります。またANAでは、国際線では全日本空輸、いわゆるANAがありますし、日本貨物航空のNCAがありますし、また先ほどの日航のあれと同じように低コストのためにはエアージャパンというものもあるという、今、先生がおっしゃいます分社化ということになるわけですけれども、私は今、先生がおっしゃいましたように、逆に利用する側から言いますと、この分社化の推進あるいは機体の整備の海外への委託等を行っているという、低利でしかも多くの皆さんにより安く利用していただくための知恵の一つであると。
 ただ、それによって安全が確保できるかということに関しては最大限に、私たちは利用者の観点から特別の問題が生じているとは思っておりませんけれども、分社化することによってそれが損なわれてはならないということは厳に戒めなければならないというふうに思っております。
#49
○山下八洲夫君 先ほど大臣が国会の空白のことを御発言なさいましたので、また触れざるを得なくなってしまったわけなんですが、それこそこうやって野党は一生懸命、衆参含めまして私は国会審議を行おう、そういう姿勢で取り組んでいると思っております。ただ、与党の第一党がこの国会会期中にもかかわらず総裁選をきょう告示いたしまして、これから党内の総裁選の選挙運動をやられるということが大きな原因になっていることは、ぜひ大臣も御理解をしていていただきたいと思います。その証拠に、この前もきれいに席があいているような状況ではないかなというふうに私は思っております。その点、野党の皆さん、与党もいらっしゃいますけれども、随分こちら側は空白が少ないんではないか、そのように思っていますので、ぜひその点については御理解をいただきたいというふうに思う次第です。
 こんな議論をするためにやっているんじゃありませんので、できれば副大臣と佐藤事故調委員長さんに御答弁いただきたいなと思うんです。結論を先に言いますと、委員会の独立性の確保の件でございます。
 国家行政組織法の第八条に基づき、今回は国土交通省に設置がなされているわけでございますが、結論を私は先に申し上げますと、できれば国家行政組織法の三条に基づいて委員会を設置した方がいいんではないかなと。これは十日に参考人質問等も行わさせていただいたわけでございますが、そこでも参考人の方からも、何とか、今回はだめでも将来はとにかくやるべきではないか、やっぱり世界の動向に、流れに当然従っていくべきではないかというようないろいろないい前向きの意見も拝聴させていただきました。できれば、私自身も米国のNTSBのように独立させた方がいいのではないかというふうに考えている次第でございます。
 なぜかと申しますと、私は、あってはならないんですけれども、もう一つは、これから航空事故、ニアミスを含めて重大インシデントを含めてふえてくる危険性ももう一方ではあるなという心配もいたしております。東京管制部におきます航空管制官の定員及び取り扱いの機数の推移を見てみますと、平成三年、航空管制官が四百二十九名でした。そして、取り扱い延べ機数が六十九万九千八百九十四機数、約七十万です。そして、十年たちました平成十二年、航空管制官は四百三十一名、二名増員になっております。そして、じゃ取り扱い延べ機数はどうか、九十九万四千五百六十四機数、約百万に近づいているんですね。ここで、管制官はお二人増員になっておりますが、取り扱い延べ機数は三十万機数もふえてきている、こういう状況でございます。
 それから、管制官の勤務を見てみますと、東京航空交通管制部を例にいたしますと、一日目は午前七時から十五時三十分、三時半まで、もちろん休憩時間が入りますが、八時間三十分になっております。そして二日目は、今度は午後一時から、十三時から夜の九時三十分、二十一時三十分まで勤務になっております。三日目でございますけれども、三日目は今度は十七時、五時から二十四時、夜中の十二時までですね。それから、四日目がどうなっているかといいますと、四日目は午前零時から今度は朝の十時三十分までですから、三日目と四日目というのは、当然休憩時間は中に入っています、多分仮眠もあると思いますが、結局は十七時間三十分拘束されて、こういう状況で勤務体系がつくられ、五日目が初めて週四十時間の関係で公休になっているというような勤務体系になっています。
 こういうことを見てまいりますと、一方では航空機の機数はどんどんふえていく、一方ではそういう管制官等を含めて、そういうところはそれはどんどんコンピューター化されて人は要らないんだという面もありますけれども、やはり機数がこんなにふえれば二人ふえただけでは私はカバーできないのではないかと。幾らコンピューター化されたといたしましても、素人ながら感ずるわけなんです。
 そういう中で、ぜひこういう状況を見ながら、私は一つは国家行政組織法の第八条委員会ではなくて第三条委員会にすべきだと思いますが、副大臣とそれから佐藤事故調委員長さんの御見解をいただきたいと思います。
#50
○副大臣(泉信也君) 管制官の数あるいは飛行機の機数等の関係を御説明いただきました。
 確かに一時期、管制官一人当たりが担務いたします機数というのが減少してまいった時期がございますが、最近は少しずつ増加しておる。それでも私どもは定員の増加をお願いしながら、できるだけ管制官一人当たりの機数が著増しないように努力をしてきたところでございます。そしてまた、先生御指摘のように、新しい機器の開発等を用いながらできるだけ無理のないようにということをやって安全の確保を図ってきておるところでございます。なお、この努力は続けなければならないと思っております。
 先ほど三条機関にむしろ移行すべきではないかというお話がございました。御承知のように、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ここはある全体を一つの調査委員会で調査をするということになっておりますが、イギリスあるいはドイツ等はそれぞれが独立した形で調査に当たっておる、フランスはまた若干違うというように、それぞれの歴史的な背景を持った調査委員会が設立してあると思います。
 三条機関ということにつきましては、もう申すまでもございませんけれども、準立法的な機関あるいは準司法的な機関という位置づけをするべきものだと思っております。八条機関は、いわゆる専門家と申しましょうか、学識経験者等による合議制の中で一つの目的を達成するということになるわけでございますので、私どもは基本的には八条機関で十分対応できるものであるという考え方でございます。そして、独立性でありますとか中立公正さというものは、この調査委員会の法律の四条等に書いてありますように十分に担保されておる、このように考えております。
 しかし、御指摘のように、他国の状況等をさらに考えながら、どういう調査委員会がいいかというのはこれからの検討課題であると思いますし、また御指摘のような三条機関に移すことも我々の検討の分野の中に入れてやっていくことを否定するものではございません。
#51
○政府参考人(佐藤淳造君) 二月から航空事故調査委員会の委員長を拝命しております佐藤でございます。
 事故調査委員会の独立性というようなことについてお尋ねかと思いますが、事故調査は科学的でかつ公正な見地から行う必要がございますために、委員会の独立性は十分に確保することが必要であると考えております。
 このために、法の第四条において、委員会の委員長及び委員は独立してその職権を行うと定められておりますし、法第六条におきましては、委員長及び委員は衆参両院の同意を得て国土交通大臣が任命することとなっております。こういうわけで、独立性の点では問題が生ずることはないと考えております。
 また、職権につきましては、具体的な調査の実施に当たり必要な処分を行うこと、あるいは国土交通大臣に必要な援助を求めることなどが定められ、さらに、事故の防止のために講ずべき施策については勧告あるいは建議をすることが定められております。
 以上のことから、独立性、権限については十分に確保されていると認識しておりますが、今後とも独立性の確保、公正中立の立場からの的確な事故調査の遂行に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
    ─────────────
#52
○委員長(今泉昭君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、片山虎之助君が委員を辞任され、その補欠として岸宏一君が選任されました。
    ─────────────
#53
○山下八洲夫君 それは、確かに八条委員会でございましても独立性が確保されなければ困るのでございます。それは当然のことであるのです。それより三条委員会の方がより高いレベルで独立性が確保できるのではないか、そのように思うんです。
 と申しますのは、仮に鉄道事故が、鉄道事故でもいいでしょう、あった。死者が出た、あるいは負傷者が出た、こうしますと当然病院に搬送されると思うんですね。病院の所管というのは今でいいますと厚生労働省になってくるわけでございますし、警察が捜査に当然入るわけでございます。今、警察は内閣府かな。そういうふうにほかの省にもまたがっているんですね。そのことを考えますと、八条委員会より私は三条委員会の方がよりベストであるというふうに考えておりますので、できれば将来はそういう方向で歩むんだというようなことを要望させていただきたいと思います。
 それから、鉄道事故の調査体制についてお尋ねしようと思っておりましたが、先ほど与党の質問で出ておりましたので、私は省略をさせていただきたいと思います。
 そういう中で、日本版のNTSBの確立についてお尋ねをしたいというふうに思うんです。十日の国土交通委員会の参考人質疑で鉄道安全推進会議会長さんの臼井和男さんという方、参考人で陳述をなされたわけでございますが、この方は例の信楽高原鉄道事故でお嬢さんを亡くされたという方でございます。胸を打たれるような陳述があったわけでございますが、この方はいわゆる鉄道安全推進会議、TASKを自分たちで立ち上げて一生懸命運動をやってきた。そして、ようやくここに来て、三条委員会でなくて八条委員会であるけれども、鉄道事故調査のことも設置される、そのことについてはもう涙ながらに喜んでいらっしゃいました。本当に胸を打たれたわけでございます。
 そういう中から、できれば、この臼井さんにおかれましても、それこそもっと早くやってもらいたかったというような言葉もありましたが、いずれにいたしましても、私が申し上げたいのは、今日まで政府見解としましては、運輸事故についてはそれぞれの輸送モードについて事情や事故原因が異なっており、従来どおりそれぞれのモードごとの事故調査体制が望ましいという国会答弁を随分なさっていらっしゃるんですね、過去。例えば百四十五回の国会でも、参議院の交通・情報通信委員会、あるいは百四十六回の委員会でもそのような答弁がなされております。
 ただ、今回そうではなくて、航空と鉄道について一つの調査機関にした理由は今までの国会答弁と全然違うんですけれども、どういうところにそういうことが発生してきたのか、そのことをぜひお聞かせいただきたいなというふうに思います。
 と申しますのは、ある一定の部分は共通するからいいじゃないかということであれば、前々からそれはわかっていることであるわけでございますし、それを含めてぜひ、なぜこのように方向転換なされたか、御答弁をいただきたいと思います。
#54
○副大臣(泉信也君) 今回、鉄道を航空と同じ調査委員会にして、事故調査、原因の究明、再発防止を図るということになりました理由は、一つには歴史的な経緯がございまして、従来から国鉄はまさに国鉄として事故原因を究明してきた。そしてまた、民間鉄道につきましても、国鉄の当時の技術研究所等の力をかりながら事故原因を究明し、当時の運輸省に報告するというような経緯がございました。しかし、JRとなった後、そうした事柄が必ずしも適切でないということが一つ。
 そして、事故が幾つかございましたが、そのたびごとにテンポラリーな調査体制ですと、原因の究明、そのことはできましても、それが蓄積されないという事実がございまして、また重大インシデントもよく検討しなければならない、将来の大きな事故につながるおそれがあるわけでございますので、事故原因の究明にどうしても必要であるということから、鉄道局に事故調査検討会というものを設けて、大きな事故に対して調査体制を組んでまいりました。
 信楽鉄道のときには大きな事故でございましたので、本当にそのときに限って委員会を立ち上げるということをやりましたけれども、そうした反省の中で、鉄道に対する調査体制を、検討会というものを設けさせていただき、日比谷線の事故には御活躍をいただき、事故分析をさせていただいたわけでございます。
 そうしたもろもろの反省から、これまでの国会答弁と違うではないかという御指摘をいただきましたけれども、どうしても運輸技術審議会の答申でありますとか、事故検討会からの御意見でありますとか、そうしたものを踏まえまして、今回ようやく、おくればせながらと言って過言ではないと思いますが、鉄道も含めた事故調査委員会の法案を提出させていただいたわけでございます。
 海難事故につきましては、いわゆる三条委員会で、海難審判庁でこれは歴史的に調査をさせていただいておりますし、自動車については若干要素が違うということで、まだ私ども、この問題を一つの調査委員会の中でというところまでは考えておりませんが、いずれも、先ほど申し上げましたように、他国の例も参考にしながら、またこの委員会等での御意見を踏まえながら、引き続き検討させていただきたいと思っております。
#55
○山下八洲夫君 ただいま副大臣が、反省を踏まえてというような御答弁がございましたので、私も素直に、前向きに受けとめていきたいなと思っております。多分、地下鉄日比谷線事故が起きちゃったものだから、これは法改正をしないといけないというふうに思われたのではないかというふうに思います。今までよりよくなるわけですから、私も多くを追及いたしません。
 今、自動車の問題が出たわけでございますが、昨今自動車も、高速道路で五十台あるいは七十台という大変大きな追突事故が起きますので、この辺についても前向きに検討していかないといけない時期にそろそろ入ってきたのではないかなというふうに私は思っておりますので、その辺については御要望だけさせていただきたいと思います。
 それで、先ほども事故調査委員会の予算のお話が出たわけでございますが、予算とスタッフについて若干お尋ねしておきたいというふうに思います。
 実は、中標津事故、プロペラ分解費用を、「調査費用というのは幾らだったですか。」という第百二回の参議院運輸委員会の質問に対しまして、当時の星忠行事故調査委員長の回答は、「調査費用は、実はこれは日本近距離航空の方で費用を持つと協力の申し出がございました。したがって、私どもとしては費用について関知しておりませんので金額はわかりません。」、このような答弁がなされております。
 それから、日航の一二三便、この事故につきまして、元事故調査委員会総務課長の佐藤和男さんが「航空事故調査委員会二十年のあゆみ」、あの冊子です、あの冊子に「その日のこと」ということで感想を述べられているんですね。この一二三便の「事故調査の段階で、事故調の調査体制に不備があることが内外から指摘され、急遽来年度の定員要求に追加要求することが決定した。」。「追加要求でとお願いしたが、行政管理庁は要求の差し替えでなければだめだという。当時増員要求についても要求枠があり、要求数についても各原局ともかなり厳しい査定をされていた訳で、どこの要求枠を削るにしても大問題となる。「変更要求なら認めるが、追加要求では認めない」」。このようなことが書かれておりまして、そして最終的には「年間三千万円足らずの予算ではどうにもならない。」。これも最終的にはどうも大臣官房会計課の協力を得て予算を確保したようでございます。こういう厳しさが現実にあるわけです。
 それに比べまして、アメリカのNTSBの事故調査体制は大変人材も予算も豊富だなと私は感じたんです。五名の委員のもとに事務局以下十二の局と十五の部、さらに幾つかの課や地域事務所が設けられているんですね。九七年時点の常勤スタッフは総計で三百八十一名、年間予算は九八年の予算要求額で約四千六百万ドル、五十五億円ぐらいです。二〇〇一年が六千五百万ドル、二〇〇二年が七千二百万ドル。これは衆議院の国土交通委員会で参考人の方が陳述なさっていらっしゃいます。
 それから見ますと、我が日本はちょっと寂しいのではないかな。先ほど十三年度の予算は九千六百万円組みましたというようなお話もございましたが、本当にこのような状況で事故の解明ができるのだろうか。例えば、鉄道にいたしましても、東は北海道から九州は鹿児島まで鉄道があるわけでございますし、そのスタッフがさっとそこへすぐ飛んでいけるか。参考人発言の中で、当時、井口雅一さんでございましたか、あの方は、日比谷線事故が東京だったからすぐ集まることができた、だから早く調査することもできたというような御発言もございました。
 そういうことを考えていきますと、予算の面にいたしましても、スタッフの面にいたしましても、本当に大丈夫かなというふうに思いますので、ぜひ御意見があれば、できれば佐藤事故調委員長にもお願い申し上げたいと思います。
#56
○政府参考人(佐藤淳造君) まず、事故調の調査体制についてでございますが、委員会のスタッフ、つまり事務局の体制としては、現在調査官二十一名を含めまして合計で三十一名おります。そのほかに、私のような委員が、常勤が三名と非常勤二名、さらに五名おるわけでございます。
 その事務局のメンバー三十一名のことでございますが、発足当時は十八名から始まりまして、だんだんと増員されてまいりました。今回、改正をお願いしているわけでございますが、この法律が通りますと鉄道関係等を含め四十一名という体制になることを予定しております。
 事故と申しますのは、全然事故がないときもありますし、突然大きな事故があるときもあるわけでございますので、通常、大体この人数でやっていけると、こう考えておるわけでございますが、大きな事故とかあるいは非常に専門的な難しい事故とかいう場合には、よく御存じの専門委員という方をさらにお願いして対処しておりますので、こういったことで体制は一応大丈夫であると考えております。今後とも、事故調査体制の確保ということに努めてまいりたいと考えております。
 予算のことも含めてお尋ねであったように思いますが、予算措置につきましては、事故調査委員会の発足以来、次第に充実が図られてきたわけではございますが、やはり大きな事故など起こりました場合には、あらかじめ定められました予算だけでは不足いたすわけでございまして、平成六年に例えば中華航空の事故、あるいは平成八年にガルーダ航空の大きな事故などがございましたが、こういった場合にも、その当時の事故調査活動を実施するに当たって適時に必要な財政措置を確保させていただいたと聞いております。そういうことで、今後とも必要な財源確保にも努めてまいりたいと考えております。そういうことです。
#57
○副大臣(泉信也君) 委員長が今遠慮しいしいお答えになったのではないかと思いますが、私どもも必要な予算を、あるいは人員の確保については精いっぱい努力をしておるつもりでございます。
 ただ、委員長から答弁をさせていただきましたように、大きな事故が起きた場合、外国旅費等も含めまして、十分と言い得るかどうかは別といたしまして、必要な予算を設定し、事故調査に遺漏のないように今日まではしてまいったつもりでございます。絶対額だけ見ますと、平成十二年度が六千万余りということでございますので、必ずしもそれで十分かどうかというような議論はあろうかと思います。
 我々としては、事故が起きないことを願っておりますが、事故が起きた場合には必要な費用を、予算を獲得するようにいたしますし、また常日ごろから海外等での研修等の旅費等につきましても努力をして確保してまいりたいと思っております。
#58
○山下八洲夫君 事故が起きてはなりませんし、事故が起きなければそんなに大規模な予算も必要ないということは理解できます。ただ、もし仮に事故が起きましたときに、補正予算を組まないと使えないんだとか、そうではなくて、やはり小回りがきくような体制だけはぜひ内部で検討していただき、事前に確立しておいていただきたいということを要望させていただきたいと思います。
 それから、細かい話になって恐縮なんですが、鉄道事故の範囲、これについてお尋ねをしたいと思います。
 NTSBは比較的厳格に鉄道事故の範囲を定めているんですね。例えば死亡事故に伴う事故、多大な物的損害を伴う事故、あるいは旅客列車が関係している事故、その他、委員会より、破局的または特に発生しやすい特性を有しているが、その調査がNTSBの設置目的に達すると判断された事故について調査を行うと、比較的明確になされているんです。
 今度、この日本の鉄道事故調査委員会の調査範囲ですけれども、これは、これからの面もあろうかと思いますが、どのような考えでその範囲を定められるか、わかる範囲で結構でございますから。
#59
○政府参考人(安富正文君) 今回の航空・鉄道事故調査委員会の調査対象とする鉄道事故及び鉄道事故の兆候、いわゆるインシデントにつきましては、具体的に国土交通省令で定めるということになっております。
 現段階で具体的にどういう形で定めるかということにつきまして、これから検討することでございますが、一つの例としてお聞きいただきたいと思いますが、まず、当然のことながら、列車脱線事故、それから列車衝突事故、列車火災事故、これを定めたいというふうに考えております。それからもう一つは、乗客乗員に死者を生じた場合、それから、あるいは五人以上の死傷者を生じた事故ということを規定していきたいというふうに想定しております。
 また、鉄道事故の兆候でございますが、これは、列車衝突事故に至らなかったけれども危うく衝突しそうになった場合であるとか、あるいは列車の走行中に台車等に著しい亀裂が発生した場合など、幾つかの場合が想定されますので、これにつきましては、やはり重大な事故につながるような事態を具体的に調査対象として国土交通省令で、ある意味で事業者に十分わかるように具体的な事例を引きながら、これから検討していきたいというふうに考えております。
#60
○山下八洲夫君 ちょっと副大臣、後先になって大変失礼をしましたが、委員会の事故調査体制等でお尋ねさせていただきます。
 現行の事故調査委員会はもちろん国土交通省に設置されているわけでございますが、先ほどから出ていますように、事務局の職員は国土交通省が中心になっていらっしゃいますね。それで、大体三年を基本にして、長い人で七年ぐらいというので、ローテーションで異動されているようですね。事故調査のためには、例えばかなりやはり高い知識が必要じゃないかなと。そういう意味では経験豊富な専門家を積極的に育成する必要があると思うんです。
 なぜかと申しますと、特に航空運送事業にかかわる皆さん方は、航空機の事故調査に際してはやっぱりその分野にかなり精通した専門家が行っていると思うんですよ、今日までも。だけれども、まだまだ私は実態的には、そういう状況に本当に日本の場合なっているんだろうかなというようなことについて若干の心配をしております。
 中華航空事故、私は岐阜県ですから名古屋空港とは目の前で、ちょうど、もっと思い出せば、細川内閣が総辞職をして、次の内閣が決まるまでの間に起きた事故でございまして、随分記憶は生々しく残っております。そのとき、何かいろいろと調べておりましたら、私も専門家じゃありませんからわかりませんが、アルコール死後産生の解明というようなことがあったそうです。中華航空の名古屋事故で乗員の遺体から抽出した血液からアルコール反応があったと。だから、不用意かどうかはわかりませんが、報告書が作成をされまして、飲酒操縦ではないかといって、あれは私もそのときの、あれは酒を飲んでパイロットは操縦していたらしいというのを随分新聞記事で見た記憶がございます。そういうふうにかなり一時報道された。
 だが、これに対しまして、これは日乗連という、機長さんですか、パイロットさんなんかの集まりである、そこの意見聴取が平成七年の二月に意見聴取されまして、死後産生の可能性、要するに血液からなくなっていてもそういうアルコールが検出されることがあるんだというようなことで、最終的には航空事故に関する意見聴取の記録からこのアルコールの部分が部分的に修正されたというようなことが日乗連の機関誌ですか、それに出ていたわけです。
 それからもう一つ、日航一二三便事故で、ボイスレコーダーの件です。これにつきましても、ボイスレコーダーが、読み取りにおいて三度の報告が行われているが、たびたび訂正されておると。そして、最近公表された録音テープによっても、最終的な報告書に誤りがあったことが判明しておると、これらジャンボ機の操作や乗員が使用する用語に疎い調査官と委員が調査したんじゃないかなと、そのようなことが言われているんですね。だから、経験豊富な専門家の育成が必要だと。
 そういう中で私が思いましたのは、これはイギリスにあるんだそうですが、クランフィールド大学、ここは七十七カ国、四百七十八名の方が航空機事故調査ロングコースを出られて事故調査の資格を持っているんだそうでございます。オーストラリアなんか三十名と大勢行っていらっしゃるんですが、日本は二〇〇〇年にわずか一人、鈴木さんという方がこのロングコースを出られたと。事故調のメンバーだと思うんですが、寂しい限りなんですね。そういう専門的な人を育成しようという気持ちが本当にあるんだろうかと。もっと本当に、国名を出したらおしかりを受けるかわからないんですが、例えば香港でも二十三名、インドでも十二名、イラクでも三十四名というふうに、どんどんこのロングコースを出られているんですけれども、そして資格をしっかり持たせていると。
 それから、これと同じような権限を持っている方が日本では日乗連の中にパイロットの皆さんを中心に二十三名いらっしゃるんだそうですが、この資格書をちょっと借りてきたんですけれども、これは近村さんというパイロットの方です。この方は、もし事故が起きた、そうすると、外国で起きれば、これを胸につけておけば警察もオーケーを出してその事故調査のところへ行ける、日本では使えないと。本当に使えないのか、それを確認しながら、その辺についてもあわせて教えていただきたい。
 なぜ、一つは専門的にこういう調査官を一生懸命育成しようとしないのか。金がないからなのか、人が足りないからなのか。それと、なぜこれは日本では使えないのか。それを含めて御答弁をいただきたいと思います。
#61
○政府参考人(中島憲司君) 先ほど外国の大学の事故専門コースに一名というお話がございました。私どもは、ふだん事故調査の仕事を行いながら、その中でその専門コースに派遣をしてそちらの方で研修を受けることが適当であるという者を研修に送っているわけでございまして、そういった事情から、クランフィールド大学については一名でございますけれども、その他のいろいろな資質の向上のための施策を同時に講じているところでございます。
#62
○山下八洲夫君 これを。
#63
○政府参考人(中島憲司君) 今、クランフィールド大学の話を申し上げましたが、NTSBにも研修に派遣をいたしております。
#64
○山下八洲夫君 これ、けさ借りたものだから、僕も。通告はしていなかったんだけれども。
#65
○政府参考人(中島憲司君) ちょっと今お答えする用意がございませんので、後で調べてお答えしたいと思います。
#66
○山下八洲夫君 ロングコースといっても、いろいろと聞いてみますとわずか三カ月ぐらいなんですね。そんな、三年も四年も行きなさいというんではないんです。ですから、そういうところへ派遣する者という言葉を使われましたが、者がいらっしゃらないということであれば、それこそなお一層人材育成をお願いしたいというふうに思います。
 と申しますのは、これは大臣がいいかな、警察当局と事故調査委員会、最初に後ほど質問させていただくと申し上げたんですが、事故調査委員会が事故現場で調査が競合する場合、ある意味では警察の立場は警察の立場として私はよくわかるんですが、どうも犯罪捜査が事故調査に優先しているというふうに、せんだっての参考人の陳述の中でもそのような御意見が多く出されましたし、また委員の皆さん方もそういうようなスタンスで質問される方が随分いらっしゃいました。
 例えば、最近起きました日航のニアミスの事故につきまして、この方もパイロットで当日参考人として意見陳述されたわけですが、航空安全推進連絡会議議長の大野則行さん、この方は、やっぱり航空の安全を最大の課題にして、事故の絶滅を図ることが一番大事なんだと、それと同時に、だから捜査よりまず徹底した調査をすることが大事なんだということを強く申していらっしゃいました。確かにそうだと思うんです。
 ですから、この一月三十一日の事故につきましても、聞くところによりますと、羽田に飛行機が戻ってきた、そうしましたら警察の行動は極めてスピードが速くて迅速で、航空機のドアがあけられて操縦室に入って警察官が機長に質問等を行ったというところからスタートをしているようですね。まず四十二名の負傷者を誘導するのではなくて、まずそこからスタートをしたというようなことをお聞きしております。
 それで、これも質問通告しておりませんが、私はちょっと心配したんですが、これもけさちょっといただいたんですが、最近、警察がやはりパイロットの方やその関係者あるいはそちら側の弁護士さんなんかにいろいろと事情聴取のようなことをなさっているようでございます。最近でいいますと、四月二日、四月四日、四月六日と、こういうのがあるんです。それで、四月六日のところにこのようなちょっとメモがあるんですね。弁護士が空港警察に出向いた際、弁護士に対しまして警察が、ライセンス類の入手は令状をとってでもやる、被疑者不詳でもやると。これは多分業務上過失傷害か何かでやろうとしているんだと思うんです。それから、これ、事故調の佐藤委員長にもぜひ伺いたいなと思うんですが、もう一つは、取り調べが一通り終わっても事故調から新たな事実があれば再調査もやると、このようなことを結局は空港警察の警察官がおっしゃっているということなんです。
 そうしますと、本当に二度と繰り返してはいけない事故を解明するためにその当事者が本当のことをどんどんおっしゃるだろうか、また事故調にいろいろと正直に申し上げれば、後からそれで事実があれば再調査されて、それこそ業務上過失傷害か何かで起訴でもされたら大変だということになれば、事故の解明にもつながらないというふうに思いますので、その辺についてちょっと御感想を聞かせていただきたいなというふうに思います。
#67
○政府参考人(佐藤淳造君) 私がお答えできます範囲は限られておりますが、事故調の報告書が出ました暁にという、そこのところでございますが、私ども、事故調査をやりまして、その結果を報告書として一般に公表しております。そういうことで、警察から鑑定依頼のようなものがございました場合もその報告書を回答にかえて警察に渡す、そういう形をこれまでもとってまいったということです。
 警察がその報告書をどのように取り扱うかということ、犯罪捜査の証拠として用いられるということもあるのかもしれませんが、その点につきましては事故調査委員会としては特に言及する事柄ではないと考えておりますので、そういう線でもって私どもは処理しておりますということをお答えいたします。
#68
○山下八洲夫君 そうしますと、大臣、やっぱり犯罪捜査と事故再発防止の問題にならざるを得ないんですね。特に、昭和五十年に警察庁長官と運輸事務次官が交わしました覚書の問題にならざるを得ないと思うんです。ここでは、事故調査が犯罪捜査に支障を来さないようにする、そのように記されているんですね。これがやっぱり大きな障害になっているのではないかなというふうに私は思います。
 私はこの覚書を破棄しろとは申し上げません。昭和五十年ですから一九七五年ですか、今二〇〇一年だな、そうすると二十六年ですか、もうたっているんですから、当時と比べまして航空機もコンピューター化されてもう全然変わっていると思いますし、もう大きく世の中が変わっていると思うんですね。だから、そのときの覚書を、やはりしっかりと警察と国土交通省が向かい合って、今日までのいろんな事故調査でどうだったか、そしてどういうところに問題点があったか、どういうところはよかったか、そういうことを整理していただいて、事故調査とそれこそ捜査はきちっとすみ分けをする。そうしないと、私は本当の意味での事故原因がわからないというふうに思いますので、ぜひそのことについて、大臣、取り組んでいただきたいと思うんです。
 ですから、新たな覚書を、今の時代に合った覚書を結び直せばいいんです。ぜひその方向で取り組んでいただく決意をお聞きいたしたいと思います。
#69
○国務大臣(扇千景君) あってはならない事故のために、今回はたまたまと申しますか、そういう言葉を使っては失礼だと思いますけれども、ニアミスで済んだと。私はあの事故の報告を受けましたときにはもう寒気がしましたし、また、あの事故がまともに起こっていれば私はこの場に立っていないであろう、当然責任をとって辞任しなければならないし、それよりも何よりも、私は、羽田に一応着陸してくれたということの処置ができたと。そのために、羽田であったればこそ事故調のメンバー七人も即羽田にそろって派遣することができた。これが違う場所であれば七人の事故調のメンバーは即移動できたかどうか。これもクエスチョンだと思うくらい、私は、羽田に着陸してくれて、すぐ国土交通省としては事故調のメンバーに通知をし、伺えたということだけでも私は不幸中の幸いであった、こう思っております。
 今おっしゃいましたように、今までの事故に関しまして、少なくとも、これは衆議院でも議事録に載っておりますけれども、警察官が先なのかあるいは人命救助が先ではないかと厳しい御指摘もございました。私も申しましたのは、例えば、これが航空事故だったからですけれども、私たちは、火事が起こっていれば、火事の現場に行って火事の原因を調べるよりもまず火を消すことだというふうに私も表現をしましたけれども、そういう意味で、今後二度と事故が起こらないための調査の重要性というのは十分考えながらも、まして今回の場合は重傷者が一名いらしたということでございますので、まずその対処が、常識的に考えても、だれが考えても、乗客の皆さんの身の安全ということからすれば、私は、羽田に着陸できたときにはまずその乗客の安全を図るというのが第一義的なことでなければならない、これはもう常識だろうと思います。
 けれども、今回の場合は、私たちは、いずれにしましても、今後事故を発生させないという意味で、事故の調査とあるいは犯罪捜査、警察が入ったという今の山下先生のお言葉にもございましたけれども、それぞれの公益の実現のために私たちは重要なこれは作業だと。両方とも重要であるというのは認識しながらも、おのずと同時に、同スタートでできるということも、私はそれぞれの立場を理解し必要な協力を今後お互いにするというのは当然のことでありまして、まず常識的に考えても、私はそれぞれの立場を理解しながらも、最後の再発防止には両者が一致して協力し合って、知恵を出し合って、二度としない、事故を起こさないということの観点においては私は両者が協力するのは当然だと思います。
 少なくとも今度は私は、先ほども委員長のお答えがるるございましたけれども、事故調査委員会の任務遂行というものに支障を来してはならないということでは、特に今後もそのことに関しては事故調で厳然と調査をしていただいて、なるべく早く調査結果を出していただきたいと切望はいたしておりますけれども、拙速にすることによってあいまいな調査結果であってはならないと思っておりますので、今時間がかかっているということでは私は御理解を賜りたいと思います。
 また、今、覚書の点がございました。これも言っていると長くなるので私も恐縮だと思いますけれども、改めて私もこの覚書を拝読させていただきましたけれども、少なくとも我々は、当時の、事故調査委員会によります事故の調査と警察による捜査が競合する場合であっても、それぞれの使命達成に私たちは、先ほど私が申しましたように、支障を来すことのないように事故調査委員会と捜査機関との間で十分な協力調整を行うというのは私はむしろ当然のことであって、それでこれを締結したという覚書でございますので、そういう意味ではこれまでも私は捜査機関の捜査との関係において事故原因の究明に支障を来したことはないんだというふうには思っておりますけれども、より今後の事故の発生防止のためにこれが今の時宜にかなっているかどうか、山下先生がおっしゃったとおり、私たちは前向きに絶えず検討していかなきゃいけない。
 そういう意味では、私は今後も両者が十分な協力体制をとれるようなことを考えながらも、前向きに、私たちはまた時代に合っているかどうかということも改めて考える、今後のためには私は今おっしゃったようなことを頭に置きながら検討していくにはやぶさかではないということをお答えしておきたいと思います。
#70
○山下八洲夫君 簡潔にもう一度確認を含めて御答弁いただきたいと思うんですが、なぜかと申しますと、先ほど事故調の方へ質問させていただいたわけでございますが、今回の一月三十一日に起きました日航ニアミスの事故におきまして、あの事故が起きてから今日まで関係者は、事故調の方は一回事情をいろいろと聴取なさっているんですね。警察は九回なさっているんです。そして、九五八便の機長さんはもう十回も警察から事情聴取されているんですね、参考人としてされているんです。次から次へ事情聴取されているんですね。事故調の方は一回ですよ。
 それで、私が申し上げたいのは、それは警察といたしましては当然、犯罪捜査、これが任務ですから、これを優先さすのは当然です。事故調査する必要がないんです、警察は、極端な言い方をすれば。犯罪捜査が当然なんです。私は、だから警察がけしからぬと言っているんではないんです。それ以上に、本当に二度とあの事故を防ぐ、安全性を高めるということを将来的に見た場合には、なお一層事故調査の方が大事ではないですかと。だから、そのことを、事故調査がしっかりできる、そういう環境をつくってもらいたい。
 そのためには、事故にかかわった関係者、例えばパイロットさんであろうとスチュワーデスさんであろうと本当のことをすべて明らかにできる、こういう環境をつくることが大事なんです。やはり、昭和五十年、もう随分前ですよ、二十五年間努力されたかもわかりませんが、五十年のこの警察庁長官と運輸事務次官の覚書がある意味では障害になっているのではないですかと私は申しているんです。
 だから、この覚書がけしからぬとも言っておりません。これが障害になっているのなら今の時代に合わせて、未来にどちらが安全性を高めるためにいいのか、そういう上へ立っての覚書についての見直しの議論を警察と国土交通省はなされたらどうですかということを申しておりますが、その決意だけ一言お願いします。
#71
○国務大臣(扇千景君) 私は、今度の事故調査委員会の報告というものが出されるときに、調査委員会に対して、この調査をするのに何か支障があったのか、何か不都合があったのかということも重ねて私は聞いていきたいと思いますので、その上でお互いの覚書が支障があったというのであれば私は即座に見直すべきであろうと思いますので、その検討を待ちたいと思います。
#72
○山下八洲夫君 それでは時間がなくなってきましたので飛ばしまして、ちょっと質問したいのを二点ばかり質問させていただきたいと思います。
 一つは、この間の参考人の陳述を伺っておりまして強く私が感じましたのは、事故の犠牲者に対します、遺族等に対しますケアの問題です。これについて伺いたいなと思うんです。
 アメリカにおきましては、一九九六年に航空災害家族援助法という法律が制定されまして、特に精神的ケアについての援助について第一義的責任を有することになっているんです。
 どちらかといいますと、もう鉄道事故、航空事故にしたってそうだと思うんですが、まず最初にいろいろと行動されますのは、それはある意味では当然かもわかりませんが、事故犠牲者に対する情報やら、あるいは事故現場へ向かう手配などは、すべて事故を起こした企業が大体行っているのが現実だと思うんです。そうではなくて、やはりある意味では、いろんな精神的なケアもありますので、一つは、せっかく航空事故、鉄道事故、両方あわせた調査委員会に一つ土俵が大きくなったわけでございますから、ぜひアメリカと同じような航空災害家族援助法を今度は前向きに検討してもらいたいなというふうに思っています。
 と申しますのは、参考人陳述の中で本当に胸を打たれたんですが、臼井和男さん、お嬢さんが亡くなられた、この方も盛んにおっしゃっていたんです。とにかく、どういう事故だったという原因がわかっても自分には何にも意味はないんだけれども、事故が起きたらとにかく知りたいんだと。それが全然教えてくれない、知りたいんだと。それからもう一つは、亡くなった六カ月から七カ月間とその後はまた全然違うんですとおっしゃるんです。どちらもケアは必要なんだと。もうとにかく自分の精神状況は大変な状況になっている。ですから、そういう意味では専門的なケアが必要ですよ、それも短期のケアと長期のケアが必要ですよ、このようなことを申されていたんです。
 私はこれには胸を打たれたわけでございますが、その辺についてぜひ検討の余地を残していただいて、これから検討していただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。
#73
○国務大臣(扇千景君) 山下先生が今アメリカの例を例えてお出しになりましたけれども、私もアメリカの国家運輸安全委員会の組織を見ましたけれども、少なくともアメリカにおきましても御存じのとおり、この委員会の中には政府あるいは広報、そして遺族担当官という、完全に独立してきちんと遺族担当官というものを配置してあります。
 今、先生がおっしゃいましたように、アメリカの例をお出しになりました、私も拝見もいたしましたけれども、少なくとも私たちは国土交通省としては事業監督の立場がございますので、今までもしておりましたけれども、それぞれの事業者に対しましても被害者やその遺族に対しての適切な対応をするようにという指導はいたしておりますけれども、今後も被害者の保護あるいは観点からも、今、参考人のお話を山下先生がおっしゃいましたように、私たちは途中でもいい、何でもいい、すべて公表できるものはまず公表して、事故に遭われた御家族あるいは御親戚等々の皆さん方になるべくでき得る限りの現状の情報開示をしなさいということが、私は大臣になってから、これは事故だけではございませんけれども、すべからくそういう姿勢で私は大臣就任当時から行ってまいりましたので、今後も私はそういうことに関しては、ぜひ事故があったときには怖がらないでまず開示して、皆さんの御意見をいただくことが次の安全防止になるんだという原点に立っておりますし、必要な情報の提供とともにカウンセリングも適切に実施するようにということも、機関の紹介を皆さん方にしているというのが現状でございます。
 けれども、なお、今までのように、また航空・鉄道事故調査委員会におきましても、事故の被害者あるいは遺族の心情にも配慮して調査途中の結果を報告するというようなことも公表しておりますので、ぜひ私は被害者、または今までの遺族というような立場に立たれた皆さん方に対しましても、事業者の被害者への対応に関しては少なくとも私たちとしてでき得る限りの指導をしていきたい、そのように思って、また誠意を持って対処するためにはあらゆる方策を今後も考えていきたいと思っております。
#74
○山下八洲夫君 時間がなくなりましたので、最後に端的に御質問させていただいて終わらせていただきたいと思います。その前に、中島事務局長さんには質問できなくて済みませんでした。随分飛ばしてしまったものですから。
 結論を申し上げますと、国際運輸安全連合、ITSA、オーストリアのケーブル列車事故とかコンコルドがおっこちちゃった事故とかシンガポール航空機の墜落事故とか、いろいろな大きな事故が世界規模でもやはり起きているわけでございますが、この国際運輸安全連合に日本もぜひ加盟しなさいよというのはもう数年働きかけがあるようなんですが、全然それに関心を示さず、参加を今日まだいたしていないようでございます。
 やはり、他国のそういう大きな事故も、日本で起きた事故も、世界が共有して世界で安全性を高めていくということに大変重要な、私はこのITSAは重要な任務を持っているのではないかなというふうに思います。ですから、私はぜひこういうものにも積極的に日本も参加をしてもらって、大いに安全性を高めるための努力をしていただきたいということを申し上げまして、答弁があれば答弁いただきますけれども、なければないで結構でございますから、私の質問を終わらせていただきます。
#75
○国務大臣(扇千景君) 山下先生の締めくくりは、少なくともITSAに関して日本も参加するようにという御意見をいただきました。事故調査委員会におきましても、ITSAに関しましては資料をみんな収集しております。その上で、今後また広域な資料、あるいは統計資料の提供をいただきながら、今後の活動状況も把握しながら前向きに検討していきたいと思っております。
#76
○委員長(今泉昭君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時十九分休憩
     ─────・─────
   午後一時三十分開会
#77
○委員長(今泉昭君) ただいまから国土交通委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、航空事故調査委員会設置法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#78
○森本晃司君 公明党の森本晃司でございます。
 まず最初に、今回、鉄道事故調査体制が整備されるわけでございますけれども、なぜ今日までこの体制づくりがおくれたかということについて、お尋ねをさせていただきたいと思います。
 一昨日の参考人質疑の中でも、先ほど来の質問の中でも出ておりましたけれども、臼井参考人の話の中で、この法案についてどうお考えですか、どういう御感想をお持ちですかということを私が御質問させていただきましたときに、声を詰まらせて、この体制が今できるということを大変うれしいと。瞬間、私ももうそれ以上お尋ねをすることを戸惑うぐらいの思いで、感いっぱいの思いでお話しいただきました。お嬢さんを亡くされて、そしてただ単に亡くしたことを悲しむだけではなしに、それを乗り越えて、そして再びこういった事故がないようにその体制づくりのために奔走された臼井さんのお気持ちであったと私は思っておるところでございます。
 海難事故あるいは航空事故に対して鉄道の調査体制というのはおくれておりました。交通分野における最大の課題というのは何といっても安全の確保であると思うところでございますが、過去に起きた事故等の教訓を生かして効果的な対策を講じて同じような事故をいかに未然に防ぐことができるのかということは極めて大事であります。
 今まで海難事故に対しては、海難審判法に基づいて設置された海難審判庁が海難の事実を迅速に調査して原因を的確に究明して安全のための施策に反映をさせています。一方、航空事故については、航空事故調査委員会設置法に基づいて設置された航空事故調査委員会が調査、解析して事故原因の究明を行っているという状況でございます。鉄道については、最近まで事故の再発防止を目的とした独自の事故調査機関は存在しておりませんでして、事故の原因調査は鉄道事業者に任せられておりましたが、平成十一年に事故調査検討会が設置されて検討を行うことになりました。
 一昨日の参考人質疑の中でも、日比谷の鉄道の調査に当たられた方からも非常に貴重な御意見等々を伺いましたけれども、鉄道事故の調査体制が海難や航空に比べてなぜ今日までおくれてきたのかという点について、お伺いをさせていただきます。
#79
○副大臣(泉信也君) 先日の参考人質疑で、臼井参考人が森本先生の御質問に声を詰まらせてお答えをなさったことは、私もたまたま聞かせていただきました。それほど事故で御家族を亡くされた方等の思いが大きいということを私も承知をさせていただいたところでございます。
 お尋ねの調査体制のおくれということにつきましては、先生も今お話しございましたように、事業者が独自に調査を行う、そしてその結果を当時の運輸省に報告をする、それに基づいて運輸省が行政の中で安全対策を立てていく、こういうことでございました。これはまさに国鉄という大きな組織の中で国が鉄道技術研究所を持って対応してきたという歴史的な経緯があったことは否めないことだと思います。JRができて既にもう十年以上もたってなぜかということになるわけでございますが、どうしてもそうした経緯があって新しい事故調査委員会を立ち上げるということがおくれてしまったということは否めないことだと思います。
 今日までのところはそうした事故調査、原因をきわめる調査委員会というようなものを立ち上げながら対応してまいりましたが、御承知のように、単発的な調査体制では事故の原因究明がそれだけに終わってしまう、ノウハウの蓄積ができない、こうしたことから、運輸技術審議会でありますとかあるいは事故調査検討会等からも、ぜひ専門の調査委員会を立ち上げる、そして公平公正に事故原因を究明する、こういうことが必要であるという御提言をいただいてまいりました。
 したがって、国土交通省といたしましては、正直若干おくれたかなとは思いますが、今日までの国会での御議論、そして審議会等の御意見を踏まえまして、ようやくこの国会に法案を提出させていただいた次第でございます。
#80
○森本晃司君 次に、今回の改正によって鉄道事故の原因究明が法律に基づいて行われることになりましたが、鉄道事故専門の組織としてではなしに、鉄道事故と航空事故を同一の組織で行うという方式が今回とられているわけでございます。一見いたしますと、空を飛んでいるものと地を走っているものと、事故が起きたときは全く違うような気がするんですけれども、どうして同一組織になったのか、それで十分にそういう調査等々は行っていくことができるのか、その点についてお答えいただきたいと思います。
#81
○政府参考人(安富正文君) 航空と鉄道を同一の組織、調査体制とすることについてのお尋ねがございました。
 今回、新しく鉄道の事故調査体制を整備するに当たりまして、我々としてもいろいろ内部で検討したわけですけれども、いかに効果的かつ効率的な組織とするかという観点で検討を進めてまいりました。このような観点から、航空事故とそれから鉄道事故の調査を同一の組織で行うこととしましたのは、一つには、航空、鉄道ともにいわゆる複雑なシステム、一つのシステムという形で運行されておりまして、委員会の行う調査を実施するに当たりまして、例えば初動調査時の調査手法であるとか、あるいは運行のシミュレーションによる分析の手法であるとか、あるいは原因究明の手法といったような幾つかの点で経験が有効活用できるんではないかということが第一点でございます。
 それからもう一つは、委員会の審議の過程において、当然合議体ということでやっていくわけでございますが、ヒューマンファクターであるとかあるいは金属疲労といったような問題、あるいは電子制御システムといった最近の最新の科学、そういうところの分析につきましてはある程度共通の専門知識の有効活用というのが図られるんではないかという点が第二点でございます。
 それからもう一つが、そもそも委員会の開催あるいは現場調査、さらには情報公開といった体制といったいわゆる事務局の体制について、これを一つの事務局が行うことによって効率的な業務の執行が可能になるんではないかといったようなことから、今回、航空・鉄道事故調査委員会という形で同一の組織で行うこととしたものでございます。
 こういうメリットから同一の組織にしたわけですけれども、今後とも、航空事故と鉄道事故の相互に関連する部分とあるいは専門的に分かれる部分がございますが、このメリットを生かして効率的に行える体制をつくっていきたいというふうに考えております。
#82
○森本晃司君 次に、アメリカでは独立した行政機関として鉄道事故それから海上事故、航空事故等、調査を一括して行っていますいわゆる米国国家運輸安全委員会、NTSBがありますが、今度の法律でも独立した行政機関でないけれども、航空事故と鉄道事故が一緒に調査されることになりましたが、さらにいろんな点で共通するところ、あるいは事務等々について、アメリカでは三つ、陸海空が一緒になっているわけでございますが、日本も今後は海上も一緒にするという考え方は将来的にあるのかどうか、そういったことについてお伺いしたいと思います。
#83
○副大臣(泉信也君) 今回は航空と鉄道を一つの調査委員会でということで法案を提出させていただいておりまして、海難事故につきましては御承知のように海難審判庁、自動車については特別のオーソライズされたと申しましょうか法律的に裏づけされた事故調査委員会等の設定がなされていないわけでございます。
 これは、アメリカのように一つにすることも論理的にはあっておかしくないことだと私も考えます。ただ、それぞれの国の歴史的な背景等がございまして、必ずしもヨーロッパがすべて同じような体制をとっておるわけではないということは御承知のとおりだと思います。
 海難の場合には、発生原因が操縦者の故意とか過失によるものが多い、あるいは物的証拠が場合によっては全く得られないというような事案があるわけでございまして、そうしたことから海難審判庁という一つ変わった形で今日まで日本は対応してまいりました。
 自動車の場合も、アメリカでは高速道路の自動車事故を対象にした調査をやっておりますが、やはり発生原因が運転者の故意あるいは過失によるという、ある意味では海難と同じようなところがございますが、道路の構造でありますとか、そのときの天候の模様でありますとか、いろんな複雑な要因が重なり合って事故が発生をしておるという、ややそれぞれの四つの分野の事故発生の状況が違うところがあるというようなことで、とりあえず私どもは鉄道と航空という、先ほど鉄道局長がお答えしましたように、ある種の重なる、金属疲労でありますとか、構造力学でありますとか、そうした共通的な要素があるところをとりあえず一緒にした委員会を立ち上げさせていただいたわけでございます。
 ただ、今後、事故の態様あるいは原因分析のあり方等、外国の事例等を参考にいたしまして、我が国の事故調査体制についてはなお検討していく必要があると考えておるところでございます。
#84
○森本晃司君 参考人からも両論の意見が出たわけでございますけれども、国土交通省の附属機関としてではなしに、アメリカ同様に独立した行政機関にしてはどうかという御意見が参考人質疑でございました。また一方、それは委員自身がしっかりとその点について自覚していくことが大事なんだという御意見もございましたけれども、独立性を保つという考え方はありませんか。いかがですか。
#85
○国務大臣(扇千景君) 先生が今おっしゃいます独立性ということを考えましたときには、やっぱり私は公平性というものが両立してくるんだろうと思います。独立性と公平性、いかに公平性を保ちながら独立性を付与することができるかということから考えますと、私は少なくとも事故の再発防止、そういう観点から考えましたら、事故の原因究明あるいはそれを今の時代に合った科学的かつあるいは公平的な見地から行うということが必要であることは、一昨日の参考人のときにもるる御意見が出たところでございます。
 私は、委員会の独立性というものは十分に確保されるべきものでありながらも、それが保てるかということになりますと、少なくとも現在では一応確保されているということをお答えできると思います。
 それは御存じのとおり、委員会設置法の第四条でございますけれども、委員会の委員長及び委員は、独立してその職権を行うこと、また同法の第六条には委員長及び委員の任命は両議院の同意を得た上で国土交通大臣が行うこととされておりますので、私はそういう意味におきましては委員会の独立性につきましては十分に現在はこの規定によって確保されている、一応そういうふうに考えておりますけれども、今後とも、今、先生がおっしゃいましたように、独立性の確保と公平中立な立場での適切な事故の調査というものは、これは私どももいろいろな面から検討してそれを守っていかなければならないというふうに今は考えております。
#86
○森本晃司君 今スタートしたところでございます。また、独立性は今、大臣から保たれているということでございましたけれども、今後これがスタートすると同時に、そういったこともこれでいいんだとせずに、独立性を保つことができるかどうか、公平性を保っているかどうか、絶えず検討を続けていただきたいと思います。
 次に、先ほども申し上げましたが、平成十一年に事故調査検討会が設置されましたけれども、その検討会と、今回は前進しているわけでございますけれども、航空・鉄道事故調査委員会における鉄道事故調査と調査の手法としてどのような違いがあるのか、御説明いただきたいと思います。
#87
○政府参考人(安富正文君) 平成十一年にできました事故調査検討会と今回の航空・鉄道事故調査委員会の両方についての調査の手法の違いということでございますが、基本的には調査を実施する調査手法等については、当然のことながら鉄道分野におけるそれぞれの専門的な分野、例えば土木、電気、車両、運転といったようなところの専門家を集めて、これからも事故調査委員会において体制を組んでやっていくわけでございますし、いろんな調査手法についても同じだと考えております。
 ただ問題は、我々、一昨年の六月に発足しました事故調査検討会を日比谷線の事故の際に活用しましてやった結果、幾つかの反省点がございます。それはどういうことかと申しますと、一つは、やはりその都度立ち上げるということでございますので、即応性がなかなか確保されないという点、それからさらには委員の先生方、実は本業を別に抱えておりますので、その本業の傍ら、今回の日比谷線事故の場合には夜の五時ごろから夜中十二時までかけてやるとかいったような、あいている時間を見つけるとかそういうことが非常に難しかったわけでございまして、そういう観点で、今回、常設的な専門的な調査機関として事故調査委員会を発足させたわけでございまして、そういう点で事故調査のやり方自体はやはり同じようにいろんな調査分析等を使ってやっていくことになるかと思って考えております。
#88
○森本晃司君 次に、この調査委員会、専門家をしっかりと配置し、そしてそういったことを重視すべきではないかと思っているところでございます。航空事故の調査は極めて複雑な作業でかつ高度に専門化された仕事でして、航空機の運航などかなりの長期にわたって携わった実際の経験をも必要としていると。委員会の構成委員には、多くの場合に航空事故の原因究明、再発防止策の検討に必要な豊かな航空知識を有する人物が必要となっています。そういう人が欠如しているのではないだろうかということを指摘される方が何人かございます。
 航空事情に疎い委員では、専門委員や調査官らが行う調査内容を正確に理解できないか、また調査の弱点や誤りを指摘できないとも考えられます。委員会の公正を保つ上で委員長及び委員の任期を比較的短期間に制限する規制を持っているために、航空事情に精通した人に対して限定して任命することも容易ではありません。しかし、精通した人がいないというのも事故調査能力という点で問題があります。専門性のある人の確保という点からどのように考えているか、御所見をお伺いしたいと思います。
#89
○政府参考人(中島憲司君) 御説明申し上げます。
 航空事故調査官については、航空機の操縦、整備、管制、機体の検査あるいは無線技術といった航空に関する極めて高度な専門知識を有する者であって、それぞれの現場において十年以上の実務経験を有する者を配置いたしております。
 これまでにおいても、毎年研修を行い、また専門的知見の維持向上に努めると同時に、事故調査官としての技能の維持向上を図るために、外国の大学の事故専門コースや政府機関に派遣して事故調査の研修を受講させるなど努力を重ねているところであります。
 今後とも、技術革新やシステムの高度化、複雑化等に対応した資質の向上のためにも、研修の充実、海外機関との積極的な情報交流等を行うことにより、教育訓練の充実に努めていくこととしたいと考えております。
#90
○森本晃司君 鉄道もどんどん新しいものが開発され、進んでいっているわけでございまして、鉄道分野にも同様のことが考えられるわけでございますけれども、どの分野の専門家を予定されているか、お伺いいたします。
#91
○政府参考人(安富正文君) 先生御指摘のように、鉄道事故はさまざまな要因が複雑に絡み合って発生する場合が多いということは事実でございます。したがいまして、その原因究明には多くの専門的分野からの多角的な検討がなされるということが必要不可欠になってまいります。さらには、最先端の鉄道システムに対する高度な専門的知識が必要ということが要求されてまいります。
 このため、事故調査を効果的に行うため、現在、我々として、鉄道に関する委員の分野としましては、鉄道の基礎的な技術分野である車両、運転、土木、電気といったような分野についての専門知識を有する方を委員として選任したいということで人選を進めたいと考えております。
 さらに、もちろんこの分野だけに限らず、いろんな複雑な技術システム等がございますので、これらの四分野の専門家の知識を用いて委員会の場で十分な討議を行うとともに、足らざる専門分野については、専門委員等を適宜人選する、あるいは外部に、例えば鉄道総研であるとか安全環境研究所であるとかそういったところに業務を委託するというようなことも通じまして、鉄道の専門的な複雑な事故原因の究明を図ってまいりたいというふうに考えております。
#92
○森本晃司君 今、委員についてはお答えいただきましたけれども、委員と同様に、的確な事故調査を行うためには事故調査官の高い資質というのがとりわけ重要であるかと思います。
 事故やインシデントの実際の調査と原因究明、再発防止策の検討は調査官によって行われるものだと聞いているところでございます。しかし、その皆さん方は国土交通省の職員であるために平均三、四年で人事異動ということがあります。それでは専門家がなかなか育たないんではないだろうかと。十三附属書の下位規定である航空事故技術調査マニュアルにも、長く務めるほどよい専門家になると記してありますし、調査官の経験蓄積を重視しています。事故調査官の資質向上のために、今までも一生懸命努力はされてきたかと思いますが、行ってきた方法と、今後どのように充実を図っていくかということについてお伺いいたします。
#93
○政府参考人(中島憲司君) 事故調査官の資質の向上について御説明を申し上げます。
 先ほども申し上げましたように、知識あるいは経験の豊富な者を配置いたしておりまして、さらに各種の研修等々を行っております。そういったことから、これまでも資質の向上には努力を重ねているところでございます。
 人事のローテーションにつきましては、調査官が現場の最新の知識を習得できる機会を確保しつつ、長期在籍者も一定数が適宜確保されるよう、人事ローテーションにつきまして十分配慮の上実施することといたしておりまして、調査の継続性につきましても確保されているものと考えております。
#94
○森本晃司君 三月十五日のこの委員会で、私が事故調査委員会が先なのか、それとも警察が先なのかと。先般の航空事故のニアミスのときに警察が先に入っていって、そして機長さんにいろいろと質問をする。機長さんは、乗客の安全ということとかいろんな機長にはその瞬間に果たさなければならない責任があるわけでございますけれども、どうやら警察が先に入って、そして機長さんの行動をいろいろ制約したと。
 また、事故調査委員と違いまして、警察の方々一生懸命やっておられるんですが、やはりこういったことに関しては知識あるいは経験等々は極めて少ない方々がおられるんで、伺いますと、機長さんやあるいはその関係者が専門用語で一言言えば調査委員の皆さんであればすぐにわかっていただくことを一つ一つ全部解釈をしていかなければならないという問題もあったようでございます。
 また、事故の原因調査とそれから犯罪という面の調査でいろいろと質問の仕方も内容も変わってくるわけでございますけれども、そういったことについて先般私も質問をしました。また、参考人の皆さんからもいろいろと意見を伺いました。殊に、機長さんが参考人としてお見えいただいたときに、その点をもっとちゃんとしてもらいたいという御意見もございました。衆議院の参考人質疑でもそんなことが述べられているようでございまして、事故調査が事故の再発防止を目的としたもので、刑事司法捜査とは根本的に異なることに注意が必要だと。また、事故調査に当たっては過去の責任を追及するよりも、今後の再発を防止する観点に視点を移すべきだということも述べられております。また、衆議院の附帯決議にもそういったことについて、「事故調査と犯罪捜査のそれぞれが適確に遂行されるよう、十分協力すること。」と掲げられております。
 間もなくこの法律が成立するわけでございますが、こういったことについての大臣の御所見をお伺いいたします。
#95
○副大臣(泉信也君) 事故調査委員会の目的は、第一条に書いてございますように、事故の防止ということが第一の眼目でございます。
 したがいまして、いわゆる犯罪捜査と事故原因の究明というものは全く別の考え方で取り組まなければならないと考えております。そのことは、この事故調査委員会の法律の十五条にも引用されておりますICAOの条約にのっとって調査をするということを、準拠して調査をするというふうに規定してあるわけです。
 ICAOの条約は、御承知のように、事故調査そのものは、まさに事故またはインシデント調査の唯一の目的というのは、将来の事故またはインシデントの防止である、罪や責任を課すのが調査活動の目的ではないということを規定してございまして、そのことを受けて十五条は事故調査のあり方を記しておるわけでございます。
 したがって、過去の経緯から見ますと、日本では犯罪捜査がこうした航空事故の場合も先行するというか、犯罪捜査が行われておる後からこの事故原因を究明するという体制がとられたこともありまして、しばしば引用されますこの覚書が読み方によってはやや犯罪捜査が先行しておるのではないかというふうに読めないこともない箇所がございます。しかし、その後結ばれました細目を見ますと、お互いに協力していこう、お互いにそれぞれの立場を守っていこうというふうに規定がなされておるわけでございます。
 今日までの事故調査の歴史を振り返ってみましたときに、犯罪捜査と事故原因究明がこうした覚書にのっとってなされてきた中で、大変困った、犯罪捜査が先行して事故原因究明がどうにもならなかったというような事例はなかったというふうに私どもは承知をいたしておりまして、お尋ねのように、犯罪捜査とは峻別した形で事故原因の究明を今後とも続けてまいりたいと考えておるところでございます。
#96
○森本晃司君 情報公開についてお伺いしたいと思います。
 基本的に、調査の進捗状況や確認された事実などについて十分情報を公開すべきではないかと思うところでございます。事故調査に当たって知った情報をどのように公開していくつもりか、御所見を伺います。
#97
○政府参考人(安富正文君) 先生御指摘のとおり、事故調査に当たりましては、事故調査の公平性、公正性の確保とか、あるいは被害者、遺族への心情への配慮といったようなことから、さらには早急な再発防止対策を講じていくという必要性のためにも、必要に応じまして調査経過について適宜報告を行い情報公開に努めていくべきだと考えております。
 しかしながら、調査経過において得られた事実を断片的に公開するということになりますと、一つは無用な憶測を招くといったような問題、さらには、それがマスコミに報道されることによって不適切な世論を形成するというようなことがありはしないかということで、ひいては科学的かつ公正な調査を妨げるおそれが出てくるということも片一方ではございます。また、関係者からの証言の公開につきましても、場合によっては関係者の責任追及といったようなことにつながりかねないといったようなことから、その者から正確な情報を得ることを阻害するおそれがあるといったようなことも考えられます。
 そういった幾つかの問題がございますけれども、我々としてはこういう点に十分注意した上で適宜情報を公開していくことが必要であると考えております。そういう意味で、幾つかの問題はございますけれども、調査経過についてその都度事実関係等について公表すべきものがありましたら、いろいろな点注意した上で適時適切に情報公開を行うことが必要であるし、また、そのようにしていきたいというふうに考えております。
#98
○森本晃司君 最後に、大臣にお伺いをしたいと思います。
 この委員会の設置を契機として、より一層の輸送機関の安全性の向上、事故防止に努めていかなければならないと思うところでございます。科学が発達し、いろんな技術が発達すればするほど、私たちの乗り物もスピードを増していくわけでございますけれども、それだけに大きい事故が起きたときというのは、また考えられないような事故が起きたり、多くの犠牲者が生まれたりするわけでございます。
 ぜひ安全性の向上という点と、もう一つ、一昨日の参考人の方の、殊に御遺族の方のお話を伺っておりまして、この調査委員会ができましたと同時に、事故の原因を究明すると同時に、どうぞそういった悲しい思いをされている被害者の方々に対しても、調査委員会からいろんなことに対するケアをしっかりとしていただきたいし、調査委員会の結果が発表になった後も引き続いてそういった方々への心配り、配慮が必要ではないかということを痛感いたしました。大臣にお伺いして、質問を終えたいと思います。
#99
○国務大臣(扇千景君) 少なくとも安全性の確保というものは輸送機関としての基本であるという観点から私ども国土交通省は、これまでもさまざまな施策、対策をとってまいり、それに対応してまいりましたけれども、その結果、御存じのとおり、列車の脱線、衝突及び火災事故に見ますと、平成元年に六十二件発生いたしておりましたけれども、その後十年間でこれが三十二件、少なくとも五二%に減少しております。また、踏切事故などを加えた運転事故全体を見ましても、平成元年に千四百七十九件発生していたものが、その後の十年間で五百五十二件減少し、これは六三%に減少ということでございますので、今までの対処で少なくともこれだけ減少したなとは言えますけれども、数が減少しただけでゼロになったわけではございませんので、私たちはもっと気を引き締めて安全対策に対処していかなければいけない、そういうふうに思っておりますけれども、今、先生がおっしゃいましたように、これだけスピードの出る時代になり、なおかつ複雑な事故が発生しましたときには科学的にも究明し、二度と同じような事故を発生させない、こういう基本的なものを私ども対策で提言できることをしていかなければならない。
 そういう意味では、体制を整備するというのは絶えず私たちはしていかなければならない。運輸の安全行政を講じる上で、私たちは基本的な環境整備というものもしていかなければならないと認識をいたしております。また、かてて加えて私どもは、事故調査委員会の原因の究明をぜひ受けて、この報告を待って、これまでにも増して迅速かつ的確な対処をしていかなければならない。
 そして、一月六日から国土交通省が新たに発足いたしました。まさに陸海空、目が離せないという省庁の責任の重さを私も十分に痛感しつつ、国民の皆さんに安全と安心な交通機関というものを提供できるように絶えず気を引き締めていきたいと思っております。
#100
○森本晃司君 終わる予定でございましたが、御遺族への後のメンタルケアの問題について、それをお答えいただいて終わります。
#101
○国務大臣(扇千景君) それは私も、先ほど委員にお答えしておりましたけれども、参考人をお呼びになって、事故が起こった当初はもとより、事故が起きて年数がたてばたつほどメンタル面での影響が大きいという参考人の御意見も、切実なお声を聞いて、私どもも絶えず、今までもそういうところへの御紹介はしてまいりました、専門家に御紹介。けれども、私どももそういう意味で、国としてあるいは事故調査委員会でどういうふうな結果が出てくるのかという、絶えずその報告も待ちながら、関係の国土交通省としてはでき得る限りの対処をしていく。また御紹介もし、そして私どもでできることであれば万全を期していくというのは当然のことでございます。
#102
○森本晃司君 終わります。
#103
○緒方靖夫君 日本共産党の緒方靖夫です。
 この法案に賛成であります。ただ、問題はいろいろ多くあります。したがいまして、それをよりよいものにするという、そういう立場から質問をしたいと思います。
 航空機事故は一たん発生しますと甚大な被害を及ぼすことになる、これはもう常識であります。事故を未然に防止する、万が一事故が起きたときには徹底した原因を究明して再発防止に当たる、これは当然です。事故調の役割はその点で決定的なものであって、そのために機能強化や体制、つまり調査官等の人員とか予算も含めた全面的な拡充、これが求められていると思います。
 その点で、私、大臣に三点にわたって御提案したいことがあります。
 第一点、事故調の独自の施設設備、機材などの拡充、これを行うこと。
 二つ目、調査官など人員の増加、強化。日航ジャンボ機の墜落事故のときに群馬県の元県警本部長が指摘しているわけですけれども、現場保存時に県警は百九十名いた、事故調は二名だったと、嘲笑に近い指摘をしているわけですね、警察が。真実の確認は必要ですけれども、いずれにしても事故調の弱点をついたことは間違いないと思うんですね。やっぱりこの弱点を強化していく。
 三つ目、技術者の育成強化、この点です。そのためには研修の強化が不可欠ですし、特に海外での研修に力を入れる必要があると思います。昨年度に国際的権威があるイギリスの大学での研修を入れていることは、先ほども話がありましたけれども非常に大事なことだと思います。しかし、数が少ない。先ほど比較して同僚議員が述べましたけれども、パイロット、機関士等の組合、日乗連では独自に海外研修を毎年行って既に二十数名の研修生を生み出しているわけです。本家本元の事故調がこのテンポでいいのかと、これを強める必要がある。
 この三点にわたって私は提案したいと思うんですけれども、大臣の御所見を伺いたいと思います。
#104
○国務大臣(扇千景君) けさから各先生方のいろんな御質問に私も答弁させていただいたり、また先生方の御意見を伺っておりまして、本当にこの事故調査委員会の必要なことは言うまでもなく、この重要性に関しては皆さんにも十分御理解をいただけたところであろうと思っておりますけれども、今、緒方先生から三つの御提案をいただきました。しかも、その中で、教育の場面の資材の提供でありますとか、あらゆることをしなさい、また二つ目には調査官の人員増がどうなんだと。
 あの御巣鷹のときに県警では百九十名、事故調は二名だという寂しい数字も私も改めて拝聴いたしまして心の痛む思いをしておりますけれども、少なくともこれらに関しては私どももこれで十分だとは思いません。思いませんけれども、事故調査委員会におきます予算の体制につきましては、私どもは昭和四十九年に発足しましたときにはわずか二十一人の体制でございましたけれども、初めてのことでございましたからそれでスタートしたものが、十二年になりますとこれが今度三十四人体制と。まだこれで十分とは言い切れませんけれども、事故調査委員会の発足以降、順次充実してきたと。充実という言葉を使うとおこがましいかもしれませんけれども、できる範囲では補足してきたという言葉を使うべきであろうと思いますけれども、そのようにしてきた。
 また、御存じのとおり、今、先生がおっしゃいました二つ目の人員のことは、わずかですけれども、できる限り前向きに来たということはお認めいただけるのではないかと思いますけれども、私自身もこれで十分だとは思っておりません。質の問題が、今、先生がおっしゃった三番目の点で質の問題をおっしゃいました。
 ですけれども、私はこれもちょっと勉強させていただきたいと思うんですけれども、外国へ行ってそれの専門官で勉強することが日本の事故調のメンバーの資質として正しいのか、あるいは今の事故調で専門家を入れていることが、果たして世界レベルでいえば日本の事故調の人員の皆さんのレベルというのがどの点にあるのか。私は、かなり日本人は高いところにいてくださる方をお選びしていると思っているんですけれども、改めてその人員の養成ということに関しては、今後、今の三つ目の御提案に関しては、これはやっぱり参考に値することであり、先ほどからも他の先生からもこのお話が出ておりまして、山下先生にも先ほど御指摘をいただきましたので、私もこれは大いに今後研究させていただきたいと思いますし、外国へ行かなくても日本にみんなが研修に来るというぐらいな権威を持ったものをつくれればもっとありがたいなと思いますし、日本はそういうところにお金を使うのが私は一番いいと思っておりますので、これも検討材料にさせていただきたいと思っております。
 そういう意味では、少なくとも私ども、今後、財源の確保あるいは体制強化に向けて、今の御提言も含めて今後の課題として対処していきたいと思っております。
#105
○緒方靖夫君 事は国民の命と安全の問題ですので、安易に妥協せずに、また安易に満足せずにぜひ進めていただきたいと要望しておきたいと思います。
 事故の原因究明に当たって科学的に公正中立に行う、これがいかに大事かということは言うまでもありません。それを保障する上でも多様な角度から意見聴取をする、これが求められております。法の十九条で意見聴取をすることが決められております。この意見聴取会開催の要件に、必要と認めるとき、一般的に関心の強いものとなっておりますけれども、具体的にどういうことなのか、簡潔で結構ですから説明してください。
#106
○副大臣(泉信也君) 設置法十九条第二項、まさに先生が今引用されましたように「必要があると認めるとき」ということでございまして、その判断は委員会が当然持っておるわけであります。今日までの事故調査の中で、この第二項を使っての意見聴取は行われた例がないと私は承知をいたしております。
 また一方、十九条の三項は、いわゆる「一般的関心を有するものについては、」開かなければならないと規定してございまして、五十七年以降、この三項によってなされた意見聴取は六件あると承知をしておるところでございます。
 なお、第一項は、まさに事故調査を終える前に事故の原因に関係があると認められたものに対し意見を述べる機会を与えなければならないというふうに書いてございまして、この一項は当然常に行われる、二項はその必要性の判断を委員会がして意見聴取をするということでございますので、それぞれ少しずつ性格が違う中で二項は発動されていないというふうに理解をしておるところでございます。
#107
○緒方靖夫君 ただいま、この二十年間で六件ですね、聴取が行われたという、そういう御答弁がありました。今度の法改正では、事故ばかりではなくてインシデントも事故調査の対象となる、そうなるわけですね。すると、インシデントの場合も当然意見聴取をやる、その対象になるということ、これはもう既に自明だと思いますけれども、そのとおりですね。
 そうすると、今お話がありましたように、死傷者が出た事故でも意見聴取をしたのが非常に限られている、六件ということになります。つまり、死傷者が出て、社会的関心が多いもの、高いものが中心要件になっていながら、これまで極めて少ない意見聴取しか行われていないということになるわけですね。そうすると、今度は死傷者もない、事故とも言われない、そういうインシデントが対象となるわけで、これは非常に大事なことなんだけれども、どれだけ意見聴取の機会が持たれるのか、その可能性がどれだけあるのか、そういう疑問がわいてくるわけですね。
 せっかく法を改正しても、もしインシデントについて意見聴取会が開かれなければこれは意味がないということになるわけで、私はできるだけ開催していく方向が今後重要ではないかと思いますけれども、その点、お伺いいたします。
#108
○副大臣(泉信也君) 死傷者の数だけで必ずしも判断し切れないところはあると私は思っております。ただ、わかりやすく言えば、どうしてもそういうメルクマールを使って第三項を発動したということは否めない事実だと思います。
 インシデントにつきましては、まさに事故ということではないわけでございまして、事故の要因になるということですから、意見聴取をするという、事を構えるということでは必ずしもないと思うんです。関係者を呼んで事故調査委員会が、特にある分野の関係者においでをいただいて意見を聴取するというようなことは、当然私は行われるものと考えております。
 なお、現在のいわゆる十九条の事柄につきましても、先ほど申し上げましたように第二項を発動した例はないというふうに承知をしておるわけですが、特に専門家の方においでをいただいて事故調査委員会がある種のことをお尋ねした例は今日までもあると理解をしておるところでございます。
#109
○緒方靖夫君 私が懸念していたことについて、大臣がインシデントについては聴取会が開かれる可能性が実際上少ないと言われる、そういうふうに認められたような話が今ありましたけれども、しかし、実際そうならないように、そしてまた同時に、今言われましたように意見を聞く、さまざまな形で関係者の意見をよく聴取する、そのことはやると言われましたので、その点はやはりうんと重視していただきたい。
 あわせてまた、名前はともかく、私はいずれにしても聴取する機会を聴取会も含めて持っていただきたい。それがやはり今の時代の要請に合っていることだということを指摘しておきたいと思います。
 意見を述べる公述人についても、選定要件では原因究明に役立つと認めるときとあります。ある意味では当然のようですけれども、ここにも委員会の裁量が働き過ぎないようにすべきだと私は思います。時には事故の被害者、遺族も含めて、パイロットや機関士など幅広く意見を聞くべきである、このことも意見として申し上げておきたいと思います。
 このこととあわせて、専門家の意見を積極的に反映させることの重要性、これがあると思います。先ほども述べましたけれども、事故調の体制も専門性も決して十分ではない状態です。大臣も、この間頑張ってきたけれどもまだまだ足りないということは認められました。もっと幅広く各専門家、例えばパイロット、客室乗務員、整備士などが力を発揮する、あるいはその力を大いにかりる、そういう必要があると思います。時には調査に協力もいただくなど、そうした力をくみ尽くすことがやはり今後の課題だと思います。このことについては、一昨日の参考人質疑の中で前の事故調査委員会の委員長であった武田さんも賛成であると述べておりました。
 大臣、ぜひこの点を検討していただきたい、そう思いますが、いかがですか。
#110
○政府参考人(中島憲司君) ただいまの御質問の件でございますけれども、私どもの調査は科学的かつ公正にということが重要な点でございます。そういった点で、外部の方に調査に参加していただくという点につきましては、今申し上げました科学的かつ公正また中立性、こういった点についても考慮していかなければならない事項であろうと、このように考えております。
#111
○緒方靖夫君 大臣にお伺いしますけれども、今、事務局長が述べられたように、その科学性、公正性、これは非常に大事だと思います。その点からも、一昨日の参考人質疑で武田前委員長も認められたように、賛成だと言われたように、私は各方面の専門家、こういう方々の意見をよく聞く、このことが大事だと思うんですけれども、大臣の御所見を伺います。
#112
○国務大臣(扇千景君) おっしゃるとおりだと思うんです。私は、原因の究明ということに関してはあらゆる手を尽くしても尽くし切れない、それが次の事故の発生の防止になると、そう思っておりますし、また防止ということに関しては一〇〇%ということはあり得ないと、私はそう認識しておりますので、十分な上にも十分な、多くの意見を聞いて、少しでも予兆があればその予兆をとらえて防止する、これが私は原則であろうと思っております。
 今おっしゃったように、事故の兆候を探るという上で各種、各部の分かれた人たちの御意見を聞くということは、事故の予兆あるいは兆候を探る上においても一番大事なことであろうと思っています。
#113
○緒方靖夫君 今、大臣は大変大切なことを言われたと思います。そのとおりだと思うんですね。やはり国民の命と安全を守るためには何をやってもやり過ぎることはない、そう思います。したがって、各専門家の御意見あるいは見解を幅広く聞いていくということをぜひこれから実践していただけたらと、そのことを述べておきたいと思います。
 さて、事故調と警察との関係についてです。これはいろいろ議論されてまいりましたけれども、参考人質疑でも大変活発な意見が出されました。
 まず確認したいんですけれども、ICAOの附属書で、この附属書の定めに基づく調査と、罪や責任を加えるためのいかなる司法上、行政上の捜査とは分離されるべきであると書かれているわけですけれども、これに従うということになりますね、当然。
#114
○副大臣(泉信也君) ICAOの国際条約でこの部分について申し上げますと、第十三附属書に、「事故又はインシデント調査の唯一の目的は、将来の事故又はインシデントの防止である。罪や責任を課するのが調査活動の目的ではない。」と定めてございまして、また、同じ附属書においては、「事故調査当局は、調査の実施に関し、独立性を有し、かつ、制限されない権限を有する。」と定め、かつ、「罪や責任を課すためのいかなる司法上又は行政上の手続きも、本付属書の規定に基づく調査とは分離されるべきものである。」と勧告をしておるところでございます。
#115
○緒方靖夫君 詳しくかつ正確に述べていただきありがとうございます。
 同じくICAOでは、事故調査については独立性を維持し、調査に関しては制限されない権限を有する、このことも書かれておりますけれども、これも当然ですね。
 これらの記述は大変重要だと思います。つまり、事故調の調査と司法の捜査とは分離する、このことを明確にしているわけですね。それからもう一つ、事故調査は独立性を維持し、調査は制限されない権限を有する、このことも明らかです。これに従うことは当然のことだと思うんですね。ところが、事故調と警察の間で覚書が結ばれております。
 そこで、お尋ねしますけれども、この覚書はいつ、だれが結んでいるんですか。
#116
○国務大臣(扇千景君) 昭和四十七年二月五日、警察庁長官後藤田正晴、運輸事務次官町田直、以上でございます。
#117
○緒方靖夫君 今言われましたように、覚書が結ばれたのは事故調査委員会がまだ設置されていなかったときのことなんですね。事故調の設置は覚書ができてその二年後だということになります。つまり、警察が第一義的に捜査をやっていた時期に交わされたものということになります。なるほど、警察が上位にある書きぶりになっている。それはそういう背景があると思うんですね。
 例えば、覚書の二ではどうなっているかというと、事故調と捜査機関が競合する場合、あらかじめ捜査機関の意見を聞く、このように書かれている。何のことはありません、事故調が乗務員等関係者から口述聴取をするに当たって、あらかじめ警察の意見を聞かなければだめだということですね。一方、それじゃ警察は事故調にあらかじめ意見を聞くということがあるのかというと、これはないわけですよ。ですから、対等、平等性を欠いているわけです、警察と事故調との関係は。
 ICAOの立場である、事故調の調査と司法の捜査とは分離する、このこととも、事故調査は独立性を維持し、調査は制限されない権限を有する、このことと明らかに違っていると言わざるを得ません。競合した場合、お互いが話し合いをするのは当然でしょう。何もそれを否定することはありません。対等、平等にやっているならば、それに合わせればいいわけですけれども、何も一方的に警察にあらかじめ、もう文言に書いてある、覚書の、あらかじめお伺いを立てる必要はない、私はそう思うんですね。
 それ以外にも警察上位の項目があります。例えば事故現場において事故調が関係者から聴取する場合、警察は事故調に便宜を図るものとする、細目の五です。事故と捜査の分離や独立性を維持し、調査に制限されないなどといいながら、なぜ便宜を受けなければならないのか。対等、平等なら便宜を図ってもらう必要はないわけですよ。
 なぜこうした問題が出たのか。先ほど指摘したように、この覚書は事故調ができる前のものであること、つまり警察が第一義的に捜査を行っていたときにつくられたからだと私は思うんですよ。
 大臣、この際、この覚書を見直す検討時期に来ていると私は思うんですけれども、その点、見直しについての検討をされるのかどうか、その点についてお伺いしたいと思います。
#118
○国務大臣(扇千景君) 今、先生がおっしゃいましたとおり、私もこの覚書を再度、先生がおっしゃるので見ておりますけれども、先生がおっしゃったことだけではなくて、私もこれを拝見しておりまして、第四ですね。四には、「航空事故調査委員会から捜査機関に対し、法案第十七条」云々によって「捜査機関は支障のない限り協力するものとする。」ということで、航空事故調査委員会からも要請があれば、これは捜査機関としても協力しなければならないということも明記してありますので、事故調だけが劣勢でそして警察関係のみが優位であるということではないので、私はこれは同等に扱っているといいますか、対等な覚書であると思っております。
 また、この覚書があることによって今まで十分な協力体制ができなかったのかということを私、聞きましたら、いや、これが邪魔になったことは一度もないという、これは私にうそをついているとは思えませんけれども、少なくともこれによって今まで協力体制が損なわれたことがないということも言っておりましたし、また事故の原因の究明にこの覚書が支障があって究明ができなかったという事例も現段階ではございませんという答えでございました。
 少なくとも、今、先生がおっしゃいますように、私も先生の御質問にお答えしましたように、昭和四十七年という覚書でございますので、そういう意味では先ほども私、山下先生にも同じことでお答えしましたけれども、現代の状況においてあらゆる面から捜査しなければいけない。
 先ほども事故調からもお話ございましたように、今は科学的捜査というものも時代の変革とともに新たに調査に加わってきたということから考えましたら、果たしてこの覚書で、今支障がないものの今の時世に合っているかどうかということは絶えず我々はそれに注意を払い、なおかつその検討を行うということを怠ってはならないということだけは申し上げておきたいと思います。
#119
○副大臣(泉信也君) 今、大臣が御答弁を申し上げたとおりに、永久に見直さないという趣旨ではもちろんございません。
 ただ、先生が引用されました四十七年二月の第二項で、「あらかじめ捜査機関の意見をきき、」云々というふうに捜査の優越性を引用されました。しかし、五十年八月のいわゆる細目、これは刑事局長と事故調査事務局長が結んだ中では、当該部分につきまして申し上げますならば、「警察の行う関係者からの事情聴取及び委員会の行う関係者からの報告聴取は、それぞれの責任者があらかじめ対象、順序等を協議して行うものとする。」というように、当初のいわゆる覚書からもっとお互いに協力していこうというふうに細目の取り決めがなされておりまして、それに基づいて今日までの事故調査がなされておりますから、大臣がお答えいたしましたように、当面この覚書が支障になって事故解明ができなかったという例はないと私どもは理解しておるところでございます。
#120
○緒方靖夫君 扇大臣は、時世に合っているのかどうか、そういったことも含めて検討していきたいと言われました。それは非常に大事なことだと思うんですね。
 私、ここにありますけれども、この昭和四十七年の覚書、これと五十年の細目、これを考えてみても、この覚書をもとにして細目ができているわけですね。そして、このときには事故調はなかったわけですから、昭和四十七年には。しかも、文言として「あらかじめ」と入っているわけですね。ですから、私は、こうしたものについてこの機会にやはり見直していくということ。
 大臣も支障はなかったと言われました、これまで。これについても私、すぐこの後、支障があった例について質問していきたいと思うんですけれども、今のことでいいますと、今、大臣が言われたように、やはり時世に合っているかどうか大体はっきりするじゃないですか。事故調がなかったときに、そのつくられた覚書をもとにして事故調が調査をするこの矛盾。今、泉副大臣は、永久的とは申しませんと言われました。私はそのとおりだと思うんですね。物には永久的というのはないですよ。
 したがって、大臣、やっぱりこういうものについては勇断を持って見直していただきたいということをお願い申し上げ、今、大臣が言われた、これまで支障がなかったと言われたことについて、やはり最近起こった出来事で私、重大な問題があるということを痛感しておりますので、そのことについてちょっと述べさせていただきます。答弁は、まとめて後で聞かせていただければ大変幸いだと思います。
 それは、一つは、この間のニアミス事件なんですね。私、これやっぱりどう考えてみても、事故調と警察との関係、それからまた機長の責務との関係、これでいいのかという思いが強くあります。
 まず、お伺いしますけれども、事故が起こったときにけが人、病人などの乗客を降機させることは航空法に基づく機長の責務だと思いますけれども、その点、お伺いいたします。
#121
○政府参考人(深谷憲一君) 御説明申し上げます。
 機長の責務についてのお尋ねがございましたけれども、航空法におきましては、機内で負傷者などが出た場合、その搬送につきましてその責務を具体的に航空法自体では規定した条文は必ずしもございませんが、航空法七十三条、これは「機長の権限」ということで、「航空機に乗り組んでその職務を行う者を指揮監督する。」というふうな規定がございますが、そういった七十三条でございますとか、七十四条では危難の場合の機長の措置が定められてございます。等々の趣旨にかんがみますと、各エアラインでは運航規程を別途定めておりますが、そういったものを総合的に見ますと、機長は機内の負傷者が適切に手当てを受けられるように措置されるということについては責務があるものというふうに考えております。
#122
○緒方靖夫君 よくわかりました。要するに、航空法に基づく機長の責務ですね。もうこのことは明確ですよ。その点で、先ほどのニアミス事故で羽田に着いた九〇七便の場合、重傷者を含めてけが人が四十数名おられました。ところが、その日の十六時四十七分に、これは国土交通省からもらった資料の時刻ですけれども、十六時四十七分にスポットに駐機した途端に警察が機内に入って、そして機内に入った途端にコックピットに入れよ、機長に事情聴取させよと再三要求したんですね。大臣、御存じですか、こういうこと。そして、十七時十三分、警察はコックピットに入りました。機長はその間、機内に入ってきた警察との対応に忙殺された。そして、やむなくコックピットをあけて警察を入れたら事情聴取をずっとされた、そういう経過ですよ。
 今、局長が言われたように、機長の責務はまさにこうした大勢のけが人がいる、その人たちをいち早く機内からおろして、そして手当てをさせる、そのことであることは当たり前じゃないですか。しかし、機長の責務は警察が機内に入ったことによって支障が生じたことになるとこの経過は物語っていると思います。したがって、けが人の降機の機長の当然の責務は果たせなかったということになるんじゃありませんか。
 搬出に支障があった、あるいはなかったのか、この問題については、私は正確に言えば事故調査委員会の調査が行うべきことだと思います。その調査委員会の重要な調査項目の中にこれが入っている、こういうことが。
 したがいまして、私はお尋ねしたいんですけれども、搬出に支障があったかあるいはなかったか、その点について今予断を持って言えるのかどうか。私はあったと思いますけれども、少なくとも調査委員会が結論を出さない限りはこのことについては言えないのではないかと思いますけれども、いかがですか。
#123
○政府参考人(深谷憲一君) 御説明申し上げます。
 御指摘の事案につきましては、先生既に御案内のとおり、当日の十五時五十五分ごろ発生をいたしたわけでございます。事実関係といたしましては、その後九〇七便の方から日本航空の方へ連絡がございまして、十六時二十分ごろ日本航空がけが人に対します手当てといたしまして救急車の手配を既にされております。先生先ほど御指摘のとおり、九〇七便は、十六時四十七分と言われていますが、スポットに入ったわけでございますが、その直後の十六時五十三分ごろから救急隊員によりまして負傷者の搬出が開始をされておるというふうに報告を受けております。その後、一般の方々も十七時二十五分ごろには降機を開始されて、すべての一般旅客の方が十七時四十三分ごろには降機されたというふうに報告を受けております。
 事実関係はそういうふうに認識をしておりますが、御指摘の今回の警察官が九〇七便到着後すぐに操縦席に立ち入って事情聴取を行ったということの件でございますけれども、日本航空によりますと、先ほど申し上げましたように、このことによって救急隊員等による負傷者の搬出が妨げられたというふうな事実はないというふうに報告を受けておりますけれども、先ほど申し上げましたように、日本航空からの報告では、先ほどの時間経過の中でけがをされた方は速やかに機外に搬出されたというふうに伺いました。
 また、先ほど御指摘のように、こういった事案につきましては、日本航空におきましても運航規程の中で、機内で傷病者が発生した場合におきます救急車の依頼、地上への連絡方法、操縦室と客室との連絡等について極めて具体的に定めておりますとともに、客室乗務員に対しましては救急措置についての訓練を受けさせているというふうなことでございまして、実際、今回の事故におきましても、九〇七便の事故発生後、着陸前に……
#124
○緒方靖夫君 長過ぎる、簡潔に。
#125
○政府参考人(深谷憲一君) はい。会社に対して救急車の手配を要請していると、こういう経過でございますが、いずれにいたしましても、負傷者の救助活動が適切に行われたかどうか、そういったことなどにつきまして、今後の航空事故調査委員会の調査によって最終的に明らかにされていくというふうに認識しております。
#126
○緒方靖夫君 今、局長は最後に大切なことを言われました。その調査を待ってということですね。だから、今あなたが阻害がなかったとか警察のそうした捜査活動が一切問題なかったと言う立場にはないということ、このことを言われました。
 長い答弁だったけれども、私、一言言っておくと、機長は航空法七十三条に基づいて指揮監督責任があるわけですよ。ですから、それはだれがやろうと、自分が直接救出するかどうかは別として、指揮監督をするというその立場を保証しなきゃいけないわけですね。それが妨げられた、これは重大な問題なんですね。
 大臣、お聞きのとおりですよ。これまでそういう事例は報告されていないといっても、先ほど大臣が認められたように、各方面の方々から聞けば、その事故機に乗っていた、ニアミス事件の機に乗っていた機長のお話を聞けば、そういうことも明らかになってくるわけですね。
 ですから私は、先ほどの話ですけれども、やはり予断なく、やはりこうした問題については見直すことについてどうするか。ここで大臣は初めて聞かれたということも多々あると思いますので、そうした問題については先ほど同僚の山下委員にもお答えになっておりましたけれども、やっぱりそうした時代に合っているのかと、あるいはこれでいいのかということを念頭に置きながら見直していくことについてやぶさかでないという、そういう立場で対処していただきたいと思いますけれども、お答えを願います。
#127
○国務大臣(扇千景君) こういう法案を出させていただいて、お互いにこういう意見交換をし、そして事実を明らかにし、なおかつ今論議している最中も空を飛んでいる多くの皆さんが安心して乗っていただけるということが第一義的な我々の目的でございますから、私はどっちが先だとかどっちが後だとかということではなくて、両方が相まって、今、緒方先生がおっしゃるように先とか後ではなくて、あらゆるところからの事情聴取をし、そして最善の防止策を講じていく、これが基本だろうと思います。
 ですから、この文言がどうのこうのというよりは、我々としてできることは何なんだろうかと。しかも、今の局長の話で何分に着いて何分でどうこうと言いますけれども、何よりも私は、先ほども山下先生に申し上げましたが、今回は無事に羽田に着陸でき、なおかつ四十数名の中で一人だけ重傷でいらっしゃいましたけれども、それが到着後六分で搬出できたということは、この事故の原因を調査する前に、まず六分後には彼女を、彼女と言っていいでしょう、重傷者を搬出できた。六分後であるということをもってすれば、もう既に退院していらっしゃいますし、何よりもよかったなと思うのが私は人間として当然のことでありますので、これがもし命を落とすような人が出ていたのでは本当に大変なことであったと思いますけれども。
 そういう意味では、私は先だ前だは後の話で、まず安全を期して皆さん方の対処をするというのが先ほど先生がおっしゃった機長の役目でもありますし、また事故をもし連絡を受けてこの何分何秒の差で回避できたということに対しても、今後は万全を期さなきゃいけないといういい教訓になって、なおかつあらゆる面で対処しなきゃいけないということだけはお約束しておきたいと思います。
#128
○緒方靖夫君 私は、大臣にもう一問お聞きしたいんですけれども、それは再調査の問題です。
 今までも、事故調に再調査の要求が幾つも寄せられております。その中で、私は日航の一二三便の事故、これは八月で十六年目を迎えますけれども、五百二十名もの命が奪われた航空史上まれに見る重大事故です。ここでのジャンボ機事故の事故原因と再発防止にかかわって、新たな重大な問題についてお尋ねしたいと思います。
 それは事故機のボイスレコーダー、これはオリジナルはテープなんですが、摩耗するといけないのでCDで私は聞きました。これを私は何度も聞いてみたわけですけれども、同時にパイロット等の専門家のプロにも聞いてもらったわけですが、この中で明らかになったことがあります。これは、事故の根本問題にかかわる重大な問題だということを改めて痛感いたしました。
 二つ挙げたいと思うんですけれども、一つは事故調査委員会の報告書がありますけれども、報告書におけるボイスレコーダーの記録とここに載っている音との間には大きな違いがあるということです。実際、これは、二十四分四十六秒のところで、この報告書には、キャプテン「エンジン」と書いてある。しかし、この音はボディーギアと聞こえる。あるいは、同じく四十八秒というところでは、機関士が「オールエンジン」と言っているのがボディーギアと聞こえる。五十五秒も同じです。つまり、こういう基本的な事実関係でこの報告書に、私が聞いた限りでは、また専門家に聞いてもらった限りでは違いがあるわけですね。これが第一点。
 第二に、それ以外でも報告書の真偽が問われる問題があると思いました。二十四分三十八秒、この報告書の中には「・・・」、つまり解読不能と書かれている。しかし、実際聞いてみると、危ねえという声が聞こえる。三十六分二十秒、同じく「・・・」、解読不能、実際聞いてみるとモニターと聞こえる。三十九分五十秒、解読不能のところ、解読不能で「・・・下げ・・・」と書いてあるところ、頭下げろと頭と聞こえるなど、実際にここに出されている報告書と、そして調査委員会が聞いたはずのボイスレコーダーとの間には実際にこういう違いがあるわけですよ、信じられないんですがね、そういう違いがある。私、こういうことはやっぱり事故原因の究明にかかわる重要事実だと思います。初めてなんですよ、国会で出すのも、こういう問題。だから、大臣によく、また泉副大臣にもよく聞いていただきたいと思うんです。
 したがいまして、こういうことが起こってくる場合に、一体どういう事実なのか。そういうことについて、私はこれについて改めて再調査、こういう要望が寄せられているわけです、実際、今までに。ですから、それについて再調査、ここで再調査してくれとか言ってお答えも困るでしょうから、再調査についてどうされるのかということについて、やはり検討が必要ではないか、そのことをお尋ねいたします。
#129
○国務大臣(扇千景君) 古いお話を今突然緒方先生から言われまして、その当時の事故調のメンバーは既に任期が来て、今もういないわけですね。それと、ボイスレコーダーというものが常識的には、国際的にも第一義的にボイスレコーダーというものを採取し、それによって事故の原因を究明するというのは、私は世界レベルでボイスレコーダーの収集ということはされていることでありますけれども、今、先生がおっしゃいました私はそのCDを伺っていないのでよくわからないんですけれども、そのCDは何をもとのCDなのかと。それはボイスレコーダーじゃなくて、機内にCDが改めて設置してあったわけではないんですね。
 機内の事情というものを知り得るには、今の時点では世界的にボイスレコーダーが一義的であると言われておりますので、先生のCDとおっしゃったそのCDはいつだれがどこでしたものかということが私には今判明できませんので、私はお答えすることはできません。
#130
○緒方靖夫君 大臣にお答えしますけれども、オリジナルはテープにおさまっております。しかし、テープを何度も聞くと摩耗するのでCDに写したということで、同じ音です。そして、こういう話を初めてお伺いすると思います、大臣は。したがいまして、これを聞いていただくという機会もぜひ持っていただきたいと思いますけれども、いずれにしましても、大臣、やはりこれは大事な問題なんですよ。報告書に出された問題、これと聞こえている音が違う。素人の私が聞いたって違うわけだから、プロが聞いてももちろん違う、私と同じふうに聞こえる。ですから、これはやはり原因究明にとって非常に大事な事実の問題なんですね。
 ですから、きょうは初めてここで突然大臣は聞かれて返答のしようがないということになるかもしれませんけれども、私は少なくとも大臣に私が持っているもの、私がお出ししなくてももうすべて大臣のところに集まると思います、指示されれば。ぜひ手のひらに乗っけていただいて、この問題について調査をしていただく、そして必要な再調査についてのそういう検討もしていただく、このことを改めて大臣にお伺いします。
#131
○国務大臣(扇千景君) 私、今、緒方先生に伺いまして、私がボイスレコーダーが一義的なものであるし国際的にと申しましたけれども、そのボイスレコーダーをテープに起こしたものという意味ですか、それは。
#132
○緒方靖夫君 そうです。
#133
○国務大臣(扇千景君) そうすると、私は、その当時の事故調査委員会で、ボイスレコーダーは当然あのときには収集し、なおかつそのボイスレコーダーを解析しながら事故の原因を究明したと思っておりますけれども、そのボイスレコーダー自体が違った解釈であったということは今初めて伺いましたので、私はそういうことがあり得るのかどうか、しかも事故調査委員会の報告というものは私は大変重要なものだと思って、今でも事故調査委員会を私は信じておりますけれども、その事故調査委員会で、あの当時の御巣鷹の問題のボイスレコーダー自体と違ったことがテープにあるということ自体も私は今まだ半信半疑でございまして、よくもう一度調べてみますけれども、そんなことが、その当時のボイスレコーダーを違ったテープに起こすことができ得るのかなと、そんなことできないだろうと思いますので、これはもう一度よく聞いてみます。
#134
○緒方靖夫君 終わります。
#135
○渕上貞雄君 社民党の渕上でございます。
 事故調の独立性について同僚の議員の方から何回もお話あったようでございますけれども、いわゆる事件の調査に当たっての公平中立、科学性、それをどのように具体的にどう保障をしていくのかといった場合に、その事故調の独立性というのが求められる。それはもちろん、事故の安全性をどのようにして追求をしていくのか、原因がどこにあるのかを調査して、いかにして安全を確保していくのか、そして将来にわたって再び同じような事故を繰り返さないようにどうしていくのかということであろうと。
 そこで、やはり事故調に対する信頼性の確保をどのようにすれば国民から得られるのかどうかといった場合に、どうも運輸省の中にあったのでは運輸省の言いなりになるのではないかとか、例えば別なところにあれば、民間の力が非常に強くなってその民間会社の意見が非常に強くなるのではないかという思いを国民はすると思います。したがって、国土交通省等からやはり独立させるべきではないかという国民の思いもあると思うのでありますけれども、より望ましい事故調のあり方の将来構想等についてどのようにお考えなのか、大臣にお伺いいたします。
#136
○国務大臣(扇千景君) 先ほどからも先生もお聞きいただきましたように、この事故調の独立性、中立性というものは朝から何度も議題になっておりますので、それほど何度も議題になるほど重要なことであると私は受けとめております。ですから、この中立性と独立性の相関性というものを図りながら、なおかつ独立性を持ちながら、しかも中立でなければならない、これは御存じのとおり、私も何度もこれを見ておりますけれども、少なくとも航空事故調査委員会の設置法の中の第六条、第四条等々ともにこのことが明記してございます。
 ですから、先ほどからもお答えしておりますように、現在におきましてこの委員会の設置法、今私が申しました第四条、第六条、これによって少なくとも独立性を損なうことのないような機構を今私どもは実行しておりますし、そして委員会の委員は独立してその職権を行うとこの四条に書いてありますこと、また二つ目には、委員会の任命は両院議院の同意を得て、その当時は運輸大臣と書いてございましたけれども、今は国土交通省になっておりますので「国土交通大臣が」ということが明記してございますので、私は現段階でこの事故調の委員会の独立性と中立性というものは確実にその設置法の目的に合った措置がとられていると、そう思っておりますし、また今後、先ほどからるる御意見がございましたように、今後もこの独立性の確保と公正中立な立場の的確な事故調に、委員会の皆さん方に御検討いただけるように私どもとしては十分に注意していこうというふうに考えております。
#137
○渕上貞雄君 このことについては参考人の方々からは、日本人の意識の問題、文化の問題、それから社会性の問題、国民の認識の問題等、いろいろ大変難しい条件もあるとか、我が国の制度、あり方などについてもいろいろ御意見をいただきました。なるほど大変難しいものだなと思いながら、事故ということに対する国民の生命、財産をどう守っていくかといった場合には、やはり中立性、独立性、科学性というものが非常に重要だろうと思います。これを、この法案を私もずっとつくっていただきたい、つくろうという意識で今日まで来ましたので、より今後とも大きく育てていただくように御要望申し上げておきたいと思います。
 次に、事故調査委員会の候補者の選任についてでございますけれども、法案についても専門的知識を有する人を選ぶということになっております。やはりここでは、この問題についてもいろんな御意見がございました。参考人の方々もやはりそういう実務経験を持っている方々を加えることについては必要なことだというふうに言われておりました。事故調査、インシデントを分析する、行う上でやはりそういう実務者の意見というのは非常に重要ではないかというふうに思っておりますので、調査官の人選においても同様の配慮が必要であると考えますが、御見解はいかがでございましょうか。
#138
○政府参考人(中島憲司君) 御説明申し上げます。
 現在の私ども事務局の体制といたしましては、三十一名、それぞれの専門的な知識、経験を有する者でございます。今御指摘のことは、外部から私どもの調査にそういう参加をするという御趣旨ではないかと思いますが、その際には公正性またその中立性、こういった立場が担保される必要があると、このように考えておりまして、そういった点から問題がないかどうかということを検討する必要があろうかと思います。
#139
○渕上貞雄君 事故の性格上そういうことも必要であろうと思いますので、どうか運営に当たってよろしくお願いを申し上げておきたいと思います。
 次に、情報公開と被害者、遺族への対策の問題についてでありますけれども、この点は、日比谷線の脱線事故の場合の事故調査委員ですか、あの委員長の会見というのは、やはり列車を利用する人々にとっては大変私は的確な情報と安心を与えたと思うんですね。その点では、やはり情報というのは、ああいう場合に速やかに早急に最大限公開をしていくべきであろうと考えております。
 逆に、悲惨な事故に巻き込まれた遺族の方々、被害者の方々へのケアについても、国土交通省として、事故調においてもやはり十分配慮すべき重要な課題だと思っておりますけれども、そのお考え方についていかがでございましょうか。
#140
○政府参考人(安富正文君) まず、事故調査の情報公開でございますが、これにつきましては、当然調査の透明性確保とか、あるいは早急に緊急な再発防止対策を講ずるということが必要でございますので、経過報告など適宜情報公開に努めていくべきだと考えております。
 ただ、先ほどもちょっと申しましたが、余り断片的な事実をいたずらに出すということになると憶測等、あるいは不適切な世論を形成するということもございますので、そういう点についても十分注意しながら、事故調査中における経過報告等情報公開につきましては、適時適切に行っていきたいと考えております。
 それから、被害者、遺族ケアにつきましても、従来より我が方として、国土交通省の方で、事業監督の立場から事業者に対して適切な対応をとるように指導してきておりますし、また被害者保護の観点からも被害者に対する情報公開等努めてまいりました。先ほど、日比谷線の事故の経緯、委員からお話がございましたけれども、情報公開につきまして、被害者、遺族の心情を配慮しまして、できるだけ各ワーキンググループ等で検討した経過報告については、適時その都度報告するというような形でやってきております。
 そういう意味で、我々としても、今後被害者または遺族の方々に対するケアという観点から、情報公開等含めて誠意を持って対応していきたいというふうに考えております。
#141
○渕上貞雄君 これは最も大事なことだと思いますし、どうかひとつ、今後とも積極的な情報公開を求めていきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げておきたいと思います。
 次に、警察の捜査と事故調の関係についてでございますけれども、アメリカの場合のこの事故調の考え方と、我が国における事故と捜査との関係、警察と事故調との関係についてはかなり違ったものになってくるであろう。したがって、過失の場合は責任を問わずということでアメリカの場合物事が成り立っている、法も成り立っている。我が国の場合そういうわけにはいかない。そこで、やはり非常に重なり合う部分というものがある。
 そういうところの問題についてやはり、先ほどのお話からすれば、もう少しそこら辺の区分けというのは明確にあってしかるべきではないのかというような御質問がありましたけれども、やはり事故の再発防止をするための原因を究明していく場合の調査でございますから、やはりそのためには、なるほどと言われる、国民も納得できるようなルールというものは、もちろん事故調と警察の間できちっとルールは決めているんだ、それで見直したらどうかと、見直す必要はないのではないか、今までのルールでいいではないかという先ほどの答弁もございましたね。しかし、やはりここのところは、せっかく新しい法案をつくっていくところですから、見直す必要があれば見直すべきではないかというふうに思っています。
 参考人の方もそれは余り必要ないのではないかという意見もありました。わかった上で、なおやはりそういう犯罪捜査に対する事故調査が原則的に優先されるというルールと、事故原因のためにそれを調査するという事故調のルールというものをやはり明確にしていくべきではないかというふうに思っているところです。
 結果的に、航空・鉄道事故調査委員会の調査は、刑事、民事、行政の各責任追及のためになされてはならないと考えます。ですから、その点は明確に私はする必要があるのではないかと思うんですが、その点はいかがでございましょうか。
#142
○政府参考人(安富正文君) 事故調査委員会の実施する事故調査の目的は、当然のことながら、原因究明することによって今後の事故の再発の防止を図るということでございます。そういう意味では、刑事責任を追及する犯罪捜査とは基本的に目的が異なるというふうに考えております。
 ただ、実際の事故が起こった際に両者がそれぞれの目的でそれぞれ調査を行う、これはどちらが優先するというものでもないかと思いますが、両者が競合する場合であっても、我々として必要な原因究明が行えるように捜査機関と十分調整の上調査を行っていきたいというふうに考えております。
 このため、現在、事故調査委員会と警察との間で協力、調整を行うことを目的として覚書を締結しているわけでございますが、この覚書の趣旨も、そういう意味でお互いにそれぞれ競合する場合においては相互連絡、調整、連携を図って、それぞれが支障を来さないようにしましょうということでやっているものでございますので、我々としても、鉄道の関係につきましてもこれが引き続き有効であると考えておりますが、今後とも警察との関係につきましては、捜査機関と十分協力し、あるいは連携をし、我々の原因究明の調査に支障がないような形で、お互いにそこら辺を尊重しながら的確な事故原因の調査が行えるように引き続き努力していきたいというふうに考えております。
#143
○渕上貞雄君 できるだけ事故が起きないようにすべきでありますが、どうかひとつ、起きたときの処置として今後こういう法案ができていくわけですから、ひとつ十分な注意と、それからルールをきちっと確立できるような体制というものをつくっていただきたい。
 次に、勧告制度についてお伺いしますけれども、本法案は事故調査の結果については国土交通大臣に必要があるときには勧告をする、こういうことになっておりますが、事故を調査した上で事故の原因が究明されたときは、やはり同種事故の再発防止、それから別種事故の発生防止に役立てるためには、事故に関係した諸機関に対して問題点を改善するようやはり勧告制度を設けるべきではないかと思うんですが、いかがでございましょうか。
#144
○政府参考人(安富正文君) 現在、例えば航空事業者、鉄道事業者、あるいは車両メーカーといったところに対する再発防止対策の指導につきましては、航空法、鉄道事業法に基づく命令、あるいは行政指導に基づいて国土交通省において行っているところでございます。
 御指摘のように、勧告の対象を例えば事故を起こした事業者直接であるとか、あるいはその関係の者に拡大させるというようなことにした場合には、言ってみますと、事故調査委員会と国土交通省の両方が事業者等への再発防止策の指導を行うという、言い方によっては二重行政的な指導になりかねない、かえって事業者等に混乱を来たして円滑な安全対策の実施に支障が生ずるんではないかと考えております。
 したがって、事業者の監督、安全指導を一体的に行う国土交通省において、それぞれ航空・鉄道事故調査委員会からの勧告を受けて、さらにはこの勧告の内容に基づいた総合的な事故防止対策を策定いたしまして、具体的には安全対策基準の見直し、あるいは事業者に対する指導監督、場合によっては助成、支援といったようなことを一元的に行うことが事故の再発防止を図る上で最も効果的ではないかと考えております。
 こういう観点から、我々としても、国土交通省として委員会の勧告権限に基づきまして、一層事故の再発防止対策について適切に講じてまいりたいというふうに考えております。
#145
○渕上貞雄君 再発防止のために一元的に指導していくことについてはわかりました。よろしくひとつお願い申し上げておきたいと思います。
 次に、鉄道における重大インシデントの報告と解析についてでありますが、航空における重大インシデントの報告についてはといいましょうか、航空の場合はすべてのものを報告しなければならないというふうになっておりますが、鉄道における重大インシデントの報告は初めてのことだと思います。
 どのような内容のものをどのようにどこへ報告することになるのかお尋ねをしたいし、また解析はどこまで行うのでしょうか。その点について、いかがでございましょうか。
#146
○政府参考人(安富正文君) 先生御指摘のように、鉄道における重大インシデントにつきましては今まで報告等をとっておりませんでした。したがいまして、今回の法改正により、鉄道事業法第十九条の二を新たに追加いたしまして、例えば所定の取り扱いを行わずに列車を運行させた、事故にはならなかったけれどもそういう運行があった。さらには、進路に支障があるにもかかわらず、信号が誤表示をして青信号を表示したとか、あるいは車庫等で車両が脱線してしまったとか、そういう問題につきまして、その発生状況、内容等を国土交通大臣に鉄道事業者から報告させることとしております。
 これらのうち重大インシデントとして事故調査委員会の対象となるものは、もっと、例えば列車衝突事故には至らなかったのだけれどもちょっと一歩間違えると衝突しそうな事態であるとか、そういうかなり事故に近い、事故に直結する内容につきまして具体的に国土交通省令で規定しまして、これについては詳細な事故原因究明を行うということで事故防止対策に反映させていきたいということで考えております。
 そういう意味で、これらの重大インシデントにつきまして原因究明を図ることによって、今後、事故と類似のこういう事例についての知見、ノウハウを蓄積するとか、あるいはなぜ事故に至らなかったのか、逆の反省点をいろいろ究明するとか、そういう形で再発防止対策に役立てていきたいというふうに考えております。
#147
○渕上貞雄君 インシデントの収集と関係者へのフィードバックシステムについてお伺いいたします。
 インシデント調査と並んで重要なのは、やはり小さな事故から教訓を学ぶということであろう。一定規模以下の運転阻害事故については届け出の必要がありません。それから、運転阻害事故の大半は国土交通省に報告されていないし、外部への公表もされておりません。現場でどのような、どの程度の数の運転阻害事故が実際に発生しているのかはわからないと思います。また、各鉄道会社における事故調査も個人の責任追及に終始しております。事故調査としては不十分であると考えます。
 イギリスでは、かなり小さな故障やインシデントを事故調査機関に情報が集中されるような制度を確立する一方で、重大な事故、そういう事故調査としてこれから先大事なことは、やはり膨大なそういうデータベースを整備して、インシデントの段階から安全性を管理監督する体制を整備しているのがイギリスの実情のようでございまして、運転阻害事故を調査分析して、そこから再発防止のための教訓を引き出す作業を行うべきではないかと思います。
 また、再発防止のためには、報告された事故データについても、死蔵させることではなく有効に活用させる必要があると思いますし、系統的な調査分析作業と成果について関係者へのやはりフィードバックさせるシステムというのを構築すべきではないかというふうに思いますが、その点はいかがでございましょうか。
#148
○政府参考人(安富正文君) 鉄道のインシデントにつきましては、今回の法改正で、先ほども言いましたように、鉄道事業法十九条の二を新たに追加いたしまして、事故調査委員会の調査対象となります重大インシデント以外のインシデントについても、今後鉄道事業者からその発生状況であるとか内容等について国土交通大臣の方に報告させることとしております。また、我々としては、これとあわせて、列車の遅延等の輸送に障害を生じた事態につきましても、事故インシデントに準じて報告させるといった内容の充実を今検討しているところでございます。
 これら収集した情報につきましては、そのような事態を生じた原因あるいは事故に至らなかった要因等について当然分析を行いまして、今後の事故防止対策に反映させるとともに、当然これらの情報を事業者へ周知し共有化を図るということが必要であると考えております。そのために、具体的には現在でも保安連絡会議という事業者の関係者を集めた会議を開催しておりますし、全国の事業者にこれを通じて周知を図っておりますとともに、特に注意を必要とする要注意事項については、その都度保安情報という形で各事業者に周知を図っているところでございます。
 今後はさらに、先ほど申しましたインシデントの問題も含めまして、これら事故あるいはインシデントについての、先生からも御指摘がございますが、データベース化といったようなことを図って、そういうデータベースの構築を通じて体制の充実を図っていきたいというふうに考えております。
#149
○渕上貞雄君 よりひとつ収集していただいて、事故再発防止のために調査、資料分析を行っていく、そして事故のないようにひとつお願いを申し上げておきたいと思います。
 事故調の任意調査についてお伺いいたします。事故調査委員会の調査について、改正案の第二条の二の四項で鉄道事故の定義をし、第五項では事故の兆候について定義をしています。私は、そもそも事故調査委員会の法律上の調査権の対象を広げるべきであると考えますが、この定義に当てはまらないものの取り扱いについてお伺いをしたい。
 少なくとも、この定義に当てはまらない事故やインシデントについて、委員会が自主的に資料を収集したり任意の調査を行ったりすることは、事故調査委員会の目的とする鉄道事故の防止に寄与するものではないかと考えます。法律が禁止するものではないのではないかと考えますけれども、見解はいかがでございましょうか。
#150
○政府参考人(中島憲司君) ただいまの御質問でございますが、航空事故調査に関しましては、委員会設置法第三条に委員会の所掌事務として航空事故の原因を究明するための調査を行うことと定められておりまして、発生したすべての航空事故の調査を実施してきているところでございます。
#151
○渕上貞雄君 発生した事故のすべての調査を実施する、鉄道事故の場合は一定程度重大インシデントというくくりがあるのじゃないんですか。そこら辺のところは大丈夫ですか。まあやってもらえばそれで結構であります。
 では、車両事故と原因についてお伺いいたします。鉄道車両の検査については、全般の検査、それから重要部の検査、月検査に分かれておりますけれども、各検査種別ごとにその検査期間が異なっておりますし、この期間の延長が安全問題と密接にかかわっていると考えられます。
 まず初めに、最近の鉄道車両故障の件数と原因について明らかにしていただきたい。また、今後車両検査はいわゆる今の車両構造の変化に伴ってブラックボックス化が進んでおりますし、現場では対応し切れない機器が増加をしている傾向にあります。このような状況の中で、車両検査について、国土交通省としてどのように指導されているのか、お伺いをいたします。
#152
○政府参考人(安富正文君) まず、先ほど航空事故調が行う事故の対象についてのお話がございましたけれども、あくまで航空・鉄道事故調査委員会の今回の事故調査対象としては限定して我々としては考えております。
 ただ、実際に、いろんな事故、あるいは運転阻害も含めた先ほどのインシデントについてでございますが、こういうものについては、我々の方である程度調査、事故分析等を行い、もちろん全体的な、マクロ的な分析になる場合もあるかと思いますが、そういうものをさらに航空事故調査委員会にも、先ほど言いましたようにフィードバックするという形で、実際にそれらの個別の事故、あるいはそういう全体的な事故の傾向であるとか今後の対応であるとか、そういうことについては、鉄道事故調査委員会と我々鉄道局と一緒になって同じように事故調査をしていくという形になるかというふうに考えております。
 それから、先ほどの車両の故障についての報告でございますが、現在、現行の鉄道事故等報告規則においては、列車の運転の休止あるいは三十分以上の遅延による運転阻害が発生した場合には、その件数のみを報告させているところでございます。
 平成十一年、例えば八百九十四件が報告されております。近年は横ばい傾向にございますが、このうちの相当部分が車両故障による運転阻害ということではないかと思いますが、そういう報告でございますので、事故に至らない車両故障全体についての原因や傾向を十分把握するために、先ほども申しましたが、運転阻害に当たる状況について、あるいは小さなインシデントについても報告させるという形で今後事故分析をしていきたいというふうに考えております。
 それから、車両の検査でございますが、確かに最近の近代的な車両ということになりますと、なかなか、ブラックボックス化してくるという状態になっておりますので、そこら辺の事情につきましては、事業者からの意見も十分踏まえまして、現場の意見も踏まえまして、今後どういう体制でやっていったらいいかということについては検討していきたいというふうに考えております。
#153
○渕上貞雄君 先ほどの答弁はわかりました。国土交通省内でその点の分析その他についてひとつ十分やっていただくようにお願い申し上げておきたい。
 それから、静止輪重比の管理分析についてでありますけれども、日比谷線事故の報告では、「静止輪重管理の実施状況や達成実績等の分析を行い、継続的に研究に取り組むことが必要である。」としていますけれども、報告後、国土交通省としてはどのような取り組みをしているのか、お伺いいたします。
#154
○政府参考人(安富正文君) 国土交通省では、事故調査検討会の最終報告を受けまして、昨年十月二十六日に全国の鉄道事業者に対して、平成十三年末までに再発防止対策を実施するよう、またそのための実施計画を平成十二年末までに提出するよう通達したところでございます。この通達の中で、静止輪重の管理につきまして、管理値を一〇%という形で努力目標として定めまして、これを具体的にそれぞれの事業者が輪重を直接測定して、アンバランスが管理値を超えるものは調整を行うように指示したところでございます。
 今後、静止輪重の管理分析につきましては、それぞれ各事業者でその努力目標値である一〇%以内という形でやっていただくこととしておりますけれども、場合によってはこういうことが困難な場合もございます。そういう場合には、フランジ角度の変更といったような事項、あるいは線路や車両の全体の実態に即した総合的な対策を講じてもらう、さらにその結果、推定脱線係数比というのを使いまして、一・二未満の箇所になる場合には脱線防止ガードの追加設置を行うというようなことを指導してきているところでございます。
#155
○渕上貞雄君 最後になりますけれども、安全に対する大臣の決意をお伺いしたいわけですが、先般、参考人質疑におきまして、信楽事故の被害者として鉄道事故の再発防止に向けて約十年間いろんな取り組みをされてきた臼井参考人は次のように言われました。事故調査とは遺族を納得させるだけの質を持っていなければならないと発言をされました。また、安全に終わりはないとも発言をされました。娘を亡くされた参考人の思い、十年もたてば自分の気持ちも風化したなど言われておりましたけれども、なおやはり被害者としての立場から言われた発言だと思いますので、非常に重みのある発言であったと私は思っております。
 最後に、国土交通大臣の安全に対する決意をお伺いして、質問を終わります。
#156
○国務大臣(扇千景君) 今、渕上先生もおっしゃいましたように、安全性を保つということが一番大事なことであるということは、けさからの御審議の中でも私もお答えしておりますし、またそれでなければ我々の役目は果たせない、そのために我々があると言っても過言ではない、それくらい重要性を私は感じております。
 ただ、先ほどからも御答弁いたしまして、現在の列車の事故数等々が減少しておりますことも事実ではございますけれども、一たび起こったら重大な、これだけのスピードを出す時代になりましたので、一たび何か起こったときには今まで想像できないような大きな、大事故になりかねないという今の二十一世紀型の現状でございますので、先ほどから私も申しましたように、いろんな原因調査をし、しかも分析をし、そして二度と事故を起こさないための準備というものは、一〇〇%できるということはあり得ないと。年々増加します新しい制度、あるいは新しい車両等々、新しい機種等々を含めまして、私は、今後とも事故の安全性を確保していかなければならない。
 また、今、渕上先生からお話しになりましたように、少なくとも被害者の皆さん方、またそういう被害者の保護者の皆さん方に対するカウンセリングというものも、私は、今後重要な私どもの任務の一つとしてその対処を考え、また今までもカウンセリングの専門家を適切に御紹介は申し上げておりますけれども、なお今後はそのカウンセリングも、皆さん方が参考人でお聞きになったとおりのことを私どもはどこまでできるか、これは挑戦ですけれども、挑戦という言葉は適当じゃないですね、勘案すると言うべきでしょうか、そういう意味では今後これらを加味した私どもの安全対策というものに万全を期していきたいと思います。
#157
○渕上貞雄君 ありがとうございました。
#158
○戸田邦司君 私がお伺いしたいと思いました点につきましては、もうほとんど議論し尽くされていると言っていいのかと思いますが、幾つかの点について確認し、また最初に今回のこの法案をまとめるに至った経緯について、二、三お伺いしておきたいと思います。
 まず、今回の事故調査委員会、これについては今までの航空事故調査委員会に鉄道事故を加えた、そういうようなことだということですが、海難事故などについてはアメリカは一緒に扱っている、そういう経緯があります。先ほどの議論の中で、海難審判庁があるという事実もあります。アメリカはそういう制度をとっていない。ヨーロッパは海難審判制度というのは昔からきちっとある。
 ただ、最近の海難審判に対する期待といいますか機能といいますか、そういった点につきましてはヨーロッパ自身が考え方を変えてきているんじゃないかと私は見ております。昔よく船の安全関係の会議などで海難審判の話を英国の連中なんかにも聞きましたが、いつまでこのままでやっておれるかというような疑問も彼ら自身持っている。それから我が国と違っていますのは、海難審判に係ると刑事訴追は重ねてはない、そういう制度を彼らはとっていたように私は記憶しております。
 そういった背景も考えながら、今回、例えば海難については非常に数が多い、それからヒューマンファクターが非常に多いということはありますが、重大な事故についてはこの事故調のようなところでやるという仕組みもあったんじゃないかと思いますが、その点についてまずお伺いしたいと思います。どなたでも結構です。
#159
○副大臣(泉信也君) 海難事故についてもこのような事故調査委員会でやってはどうかと、審判という手続にのっとってというお尋ねであろうかと思いますが、海難事故の場合は物的証拠がない場合もある。また、完全に乗組員等の方々が生存されていないというような状況が発生することも多いわけでありまして、さらに運航が船長の判断によってなされる。この部分は、やや鉄道とかあるいは航空と違いましてシステマチックな運航形態がとれないという海上輸送の一つの特徴かと思いますが、そうした事柄がございまして、事故当時の状況を把握するということがなかなか困難な場合がある。したがって、海難関係者の証言が大変重要視されるという一つの背景がございます。
 したがって、事実の究明に当たりましては、現在の海難審判制度でやっておりますような対審制とか参審制、公開制といった制度を取り入れた民主的なやり方をとっているわけでございまして、今回の航空と鉄道の事故調査委員会のような仕組みを取り入れるということにつきましては、この法案を提出させていただきます時点では議論にならなかったということでございます。
 しかし、先ほど来、多くの先生方から御指摘ございますように、アメリカ型と申しましょうか、そうした一つの独立機関で陸海空の事故調査をやるということについて、これからも検討していく考え方であることは申し述べておるとおりでございます。
#160
○戸田邦司君 自分で知っていてそういうことを聞くのはけしからぬと、こういう話がおありかと思いますが、実は昭和四十二、三年ごろから航空事故が連続して起こったことがありました。それで、航空事故調査委員会の設置、あれがああいった事故によって加速されたということはあったと思いますが、そのときに海も陸も入れてという議論がありました。海難審判制度のあり方についても議論がされました。当時、海難審判制度についてこれを否定するような材料がなかなか見つからないといいますか、整理がうまくつきませんで、それで航空事故調査委員会だけを発足させました。そういう経緯があったと思います。
 ただ、その後の行政サイドのいろんな対応を見ますと、大型の鉱石運搬船が連続して沈没事故を起こしたことがあります。あの原因究明については、まさしく行政サイドが運輸技術審議会などを使ってこの事故究明に当たったという経緯があります。なかなか本当の原因がわからなくて苦労したところはあるんですが、最終的には結論が出たということだと思います。
 そういうような大事故あるいは大々的に取り組まなければならない事故、こういったものについては、その事故の種類を限定して私はこの種の事故調査委員会でやるというのも一つのやり方ではないかと思います。そういったことで、これからの課題として検討していただきたい、こう思います。
 同様のことは自動車についても言えるかと思います。自動車事故というのは主として警察庁が今扱っておりますが、構造的な問題あるいはヒューマンファクター、こういうことがあるわけですが、自動車につきましても、例えばアメリカで問題になりましたファイアストンのタイヤの問題、こういうのが起こったら一体日本ではどこが対応するだろうかというような問題もあるかと思います。それから、外国ではよく起こるんですが、何十台という追突事故、ああいったものを防ぐ手だてがないのかどうか。これは人的な面も含めて検討しなければならない。ですから、自動車事故にしても、事故の態様を限ってこういう委員会で扱うということは可能ではないかと思っております。これもこれからの課題として検討をしていただきたい、こういうことを希望しておきます。
 それから、先ほど事故調査委員会の予算の話が出ました。この前の地下鉄事故につきましては、相当苦労して事務方が取り組んできていたと思います。十三年度予算で九千六百万円ですか、そういう予算がとれているそうでありますが、この前は営団地下鉄に相当の協力をしていただいている。それで、私は二つの面で余り好ましいことではないと思っておりますのは、一つは事故を起こした当事者にお願いして協力をしてもらった。これは、あの場合には快く協力していただいて、営団地下鉄の協力によって結論が左右されるということはなかったと私も確信しておりますが、事故を再現する、そういうようなことから考えると、やはり国側が相当の予算措置を講じて自分で事故の再現ができるというようなことも考えていかなければならない、こう思います。
 そういうことで、私は予算があの額で十分だとは思っておりません。事故が起こらなければ使わないだけでありまして、もう少し大きな事故が起こっても対応できるような予算措置を講ずべきではないかと思いますが、この点はいかがでしょうか。
#161
○副大臣(泉信也君) 事故がないことが一番いい、そして予算をとっておっても事故がなければ返せばいいという先生の御趣旨は全くそのとおりだと思います。
 今日までの、航空事故に限って申し上げますと、大きな事故が起きました場合、中華航空でありますとかガルーダの場合、あるいは日本航空の御巣鷹山の事故等のときには必要な予算を追加していただいて、遺漏のないように事故分析ができたというふうに思っております。
 そして、先ほど営団の事故に当たって、私が聞き間違えたのであれば申しわけございませんが、営団側から資金的な助成と申しましょうか必要な金が出たというふうに御発言があったようでございますが、営団の事故につきましては、八千万円の現地調査費、シミュレーション解析費等を私どもで準備させていただいて事故原因の解明に当たったわけでございます。
 ただ、現場等はどうしても営団の敷地、そうしたレール上で夜間、電車が通っていないときにそこをお借りしての分析をせざるを得なかった、そういう意味では営団から御協力をいただいたことは事実でございますが、少なくとも資金的には私どもの方のお金で分析をさせていただきましたことを申し添えておきたいと思います。
#162
○戸田邦司君 私も営団から資金的な協力を仰いだとは聞いておりません。実態的にそういうような実験をやる協力を全面的にしていただいた、そういうことではなかったかと、こう思っております。
 それから、この事故調査委員会の独立性について相当の議論がされてきました。私は蒸し返すつもりはありません。私の意見を申し上げまして御感想をお伺いしますが、内閣府に三条機関として設置しろというのがかなり多い意見だったように思います。国土交通省の中にあっても三条機関であるか八条機関であるか、その違いがあるかと思いますが、私は委員会の委員の先生方の見識、それから大臣が何を言おうとも言うことを聞くような仕組みになっていないというようなことであれば厳正中立を保てるんじゃないか、こう思っておりまして、運用でかなりのことが、かなりのというか当初の目的は達成されるんじゃないかと思っております。
 内閣府に置いた三条機関、現実に三条機関というのはあるわけですが、私、どうも考えてみますと、余りよく働かないといいますか動かしにくいといいますか、これは国会の言うことも聞かなければ行政機関の言うことも聞かないという点で非常に使いにくいということがあります。ですから、よく働かないといいますか、当初の目的に従って中立を保って公平にできないということであれば、その場合は大臣に文句を言う、しかし結論については大臣の言うことに左右されない。そういう運用によってこれは独立して中立であるということが保てると私は思っておりますが、泉副大臣、いかがですか。
#163
○副大臣(泉信也君) 御指摘の独立性、公正性というものが一番この事故調査委員会には求められておることだと思いますが、それは先ほど来お答えを申し上げておりますように、法律的にも十二分に担保されておるというふうに思います。また、今日までの航空事故調査委員会のレポートが世界的にも高い評価を受けておるということは、そうしたことの裏づけだと思っておるところでございます。
 三条機関か八条機関かということにつきましては、いわゆる海難審判庁の三条機関というものは持ち合わせておりますが、今回の航空、鉄道というものはやや、やはり八条機関になじむのではないかと、合議制の中で物事の原因を明確にするということであると私どもは考えておるわけです。
 いわゆる今日まで航空事故調査委員会が八条機関として果たしてきた役割から見まして、今回の鉄道も加えた調査委員会としては十分機能するのではないかというふうに考えております。そしてまた、大臣からのいわゆる介入を排除するという規定も持ち合わせております。ですから、今回の航空・鉄道事故調査委員会というものは、十分先生御指摘のような中立性、公正性そして行政の介入を排除するという仕組みが保たれておるというふうに考えております。
 先ほど来申し上げておりますように、そうは申し上げながらも、他国の例も参考にしながら事故調の今後の推移を見守りながらまた必要な検討を続けていくつもりでございます。
#164
○戸田邦司君 運用の面できちっとできるということかなと私は思っております。
 それから、新たにできる事故調査委員会で鉄道事故部会とそれから航空事故部会、この二つに分かれておりまして、先日の参考人のお話をお伺いしていましたら、井口参考人からだったと思うんですが、鉄道事故部会と航空事故部会はお互いに他の部会にくちばしを挟まないようにした方がいいというような意見がありました。
 私は、調査する過程においてはそうではないかと思いますが、最終的に事故の原因をまとめていく、その時点ではやはり全委員が意見を言ってまとめる、そういうことになるかと思いますから、井口先生がおっしゃられたことが一〇〇%それをしなければならないというか、できるかという点については私は疑問があります。相互の部会の間で、例えば金属の問題とか構造的な問題、あるいは最近の電子機器関係の問題とかヒューマンファクター、そういった共通した課題もあるわけですから、最終的には相互に意見を言ってよりよき結論を出してもらうということではないかと思っておりますが、この点についてはいかがでしょうか。
#165
○政府参考人(安富正文君) 航空事故、鉄道事故についての……
#166
○委員長(今泉昭君) ちょっと待ってください。参考人として出ていませんよ。泉国土交通副大臣。
#167
○副大臣(泉信也君) 航空事故、鉄道事故につきましては、各分野の専門的知識を持った者が事故原因の究明に当たることは当然でありまして、事故発生時に迅速な事故調査が求められるということから二つの部会を設けて、それぞれの対応をしてまいりたいと考えております。
 しかし、御指摘のように共通する部分がある。例えば、機械設計の基礎でありますとか金属疲労の問題、あるいは電子技術あるいはヒューマンファクター、基礎医学といったそうした共通する部分は当然お互いに見識を出し合っていただいて、解明を一層促進するということで進めてまいりたいと思います。
 最後のところは、参考人の方からの御意見も私は聞かせていただきましたけれども、やはりそれぞれの立場でそれぞれの委員が事故原因についての御発言をいただく、そして結論を出していただくということで、私はこの両、鉄道と航空の事故委員会に所属する先生方の総意が一つにまとまるものだと期待をしておるところでございます。
#168
○戸田邦司君 安富局長には大変失礼いたしました。答弁はどなたでも結構ですということだったものですから、失礼しました。
 最後に一問ですが、これはもう既に大変な議論を尽くしてきておられます。警察庁と国土交通省の問題、事故調とそれから捜査の問題になりますが、先ほどお伺いしましたら、事故調が始まって間もなくに後藤田警察庁長官と町田事務次官で覚書が交わされているということでありますし、その後でさらに詳細についての覚書ですか、それが交わされているということであります。これは、事故調の方から見てこれまでに差し支えのない運営がされてきているということであればそれで結構なのですが、なお念のため、定期的にそういった捜査とそれから事故調査の進め方について両者で確認し合う、作業が円滑に進むように相互に協力できるようにというようなお話し合いをしていかれた方がよろしいのではないかと思っております。
 これは、人がかわると覚書をまた曲げて読んだりするなんということはないだろうとは思うんですが、人がかわると変わるんですね。ですから、特に人事異動なんかありましたときとか、そういったときには時々意見の交換をやっておくということが必要ではないかと思っております。これは私の方からの意見として申し上げまして、私の質問を終わります。
#169
○国務大臣(扇千景君) 今、最後に戸田先生から、御自身の御意見も含めて開陳をいただきまして、きょう、るる先生方から御質問がございました。
 基本的には、警察庁と今度の覚書というものが大きな問題になりまして、先ほども諸先生方に私はお答え申し上げましたように、昭和四十七年二月五日の覚書、そしてまた、昭和五十年にこれが改めて細目ということで修正はされましたけれども、お互いに事故の安全、そして多くの皆さん方のあらゆる面での安全確保ということから考え、また事故の調査ということから考えますと、両者が相まって協力して初めて私たちは安心して乗っていただけるという今までの御論議の中で、先ほども私はお答えしましたように、どっちが先だとか後だとかということではなくて、少なくとも我々は多くの皆さん方に安心していただけるためのあらゆる手だてを講じるということだけは先ほどから申しておりますので、見直すことも含めて、また検討することも含めてあらゆる手だてを尽くすということを、万全を期すということだけは申し上げておきたいと思います。
#170
○戸田邦司君 終わります。
    ─────────────
#171
○委員長(今泉昭君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、岩井國臣君が委員を辞任され、その補欠として仲道俊哉君が選任されました。
    ─────────────
#172
○島袋宗康君 去る四月一日、南シナ海上空で、米軍の電子偵察機EP3と中国軍のF8ジェット戦闘機が空中接触し、米機は海南島に緊急着陸し、中国軍機は墜落し、乗員が行方不明となる事件が発生いたしました。
 その後、米中間で外交折衝が続いて、本日、米軍機の乗員二十四名は釈放されたことは御承知のとおりですけれども、この事件の米軍偵察機は沖縄の嘉手納飛行場を発進した飛行機であったということであります。
 外務省にお伺いいたしますけれども、この点は事実でしょうか。事実とすれば、米側から事件発生の通報はあったのかどうか、そしてそれはいつあったのか、明らかにしていただきたい。我が国から発進した米軍機が絶えず中国領空付近で偵察飛行を行っているという事実があるとすれば、日米間で安保条約上あるいは地位協定上の問題は発生しないのかどうか、その辺についてお尋ねしたい。
 さらに、このように米軍の行為によって我が国と中国との間に外交上の問題は発生しないのかどうか、お伺いをしておきたいと思います。
#173
○政府参考人(藤崎一郎君) 幾つかお尋ねをいただいたわけでございますが、まず、事故に遭いました米軍機が嘉手納飛行場から出発した飛行機なのかどうかという点でございますが、これはそういうことであるということで承知しております。
 二番目に、この飛行機の事故につきまして米側より連絡を受けたのかどうかという点につきましては、私どもも対外発表の前にこの事故があったということについては通報を受けております。
 第三番目に、これが日米安保条約との関係で、あるいは地位協定の関係で問題がないのかという御指摘でございますが、今回の米軍の活動は公海上における通常のパトロール活動であったというふうに承知しておりまして、安保条約、地位協定との関係で問題になることはないというふうに承知しております。
 日中関係への影響につきましては、アジア局長の方から答弁させていただきます。
#174
○政府参考人(槙田邦彦君) 今回の事故に関連いたしまして、今、委員の御指摘のありました、米軍の偵察機が沖縄の施設・区域を使用したというふうなことをとらえて、これまで中国が我が国を批判している、あるいは懸念を表明したというふうなことはないと承知しておりまして、日中関係全体につきまして、この事故が直接の影響を与えるというふうには考えておりません。
#175
○島袋宗康君 ないように願っております。
 次に、最近、米軍機が我が国の民間空港に着陸する回数が非常にふえているというふうに報道されております。この点については、米軍機の民間空港使用は好ましいかあるいは好ましくないのか、国土交通省航空局長にお尋ねいたします。
#176
○政府参考人(深谷憲一君) 御説明申し上げます。
 米軍機が我が国の飛行場に着陸しているという事実がございますけれども、先般も報道がございましたけれども、一般論として申し上げまして、米軍につきましては、日米地位協定、これに基づきまして我が国の飛行場に出入りするという権利が認められておりますので、それにのっとって出入りされているものと思っております。
#177
○島袋宗康君 私は、好ましいのか好ましくないかを聞いているんです。
#178
○政府参考人(深谷憲一君) 御説明申し上げます。
 好ましいとか好ましくないとかいう価値観を私どもは、法令、条約等に基づきまして、のっとって行われているものでございますので、そういった価値観は今現在持っておりません。
#179
○島袋宗康君 ただいまの、米軍機の民間空港使用回数が増大ないしは頻発することは民間空港の安全上問題であろうと私は思います。外務省は、米軍当局に対して民間空港を使用しないように、あるいは厳しく抑制するように申し入れるお考えはないか、お伺いいたします。
#180
○政府参考人(藤崎一郎君) お答え申し上げます。
 ただいま航空局長から御答弁申し上げましたとおり、米軍の航空機は地位協定五条に基づきまして我が国の飛行場に出入りする権利が認められておりまして、私どもは本件につきまして特段の申し入れをするということは考えておりません。
#181
○島袋宗康君 次に、米軍機が訓練空域外の民間地域、市街地上空等での訓練飛行を行っていることが問題になっております。
 最近、沖縄県名護市上空での訓練飛行をめぐり山崎信之郎那覇防衛施設局長や外務省沖縄事務所の橋本宏大使などが言った発言が地元で猛反発を招いております。名護市議会代表が日本はこれでも独立国なのかと抗議したのに対し、橋本大使は日本はとっくに独立している、そんな話を受けるわけにはいかないなどと感情的なやりとりもあったと地元紙は報道しております。山崎防衛施設局長のアメリカ軍の実弾射撃を伴わない航空訓練は沖縄全域で可能だとの発言に対し、稲嶺知事でさえ、沖縄米軍基地の歴史的状況や過重な負担を考えれば提供空域内で行うべきだと反発したと報じております。
 民間地域上空での軍用機の飛行訓練は言語道断だと、外務省は米側に対しこのような飛行訓練は行わないように厳重に申し入れるべきだと私は思いますけれども、いかがですか。
#182
○政府参考人(藤崎一郎君) お答え申し上げます。
 米軍による通常の飛行訓練ということは、実弾射撃訓練を伴う飛行訓練などとは異なりまして、施設区域の上空に限って行うことが想定されているものではございません。他方、これが無制限に行われているものではございませんで、米軍としては当然のことながら我が国の公共の安全に妥当な考慮を払って活動すべきものでございますし、そうしているというふうに承知しております。
#183
○島袋宗康君 米軍としては妥当な形で訓練、市街地で訓練をするかもしれませんが、沖縄県民、名護市におけるところの訓練というのは一カ月続いているんですよ。そこで市民がたまらなくなって市議会で決議をして、そしてその決議をもって先ほど申し上げたような内容になっているわけですよ。それを外務省がこれでいいんだというふうな状況というものは全くおかしいんじゃないですか。
#184
○政府参考人(藤崎一郎君) お答え申し上げます。
 私どもといたしましては、訓練における安全確保につきまして万全を期するようという点については累次米側に申し入れてきているところでございます。また、住民の方々に対する騒音の影響ということについても累次申し入れてきているところでございますし、私どもといたしましては、こういう住民の方々の御理解を得ながら訓練というものが行われる必要があると思いまして、この考えというのは一貫して持っている次第でございます。
#185
○島袋宗康君 少なくとも、訓練飛行というのはいわゆる限られた訓練空域があるわけですからそこで行うべきであって、民間の市街地を訓練空域として認めることは、これは許されるものではないと思います。
 したがって、そういう協定であればもう少し外務省はしっかりしていただいて、民間空域におけるところのいわゆる訓練空域以外には飛行を差しとめるようにしていただきたいと要望します。
 次に、嘉手納、厚木、横田などの米軍飛行場周辺の住民が米軍機の騒音に悩まされていることは御承知のとおりでありますけれども、これらの飛行場周辺では米軍との騒音防止協定が結ばれております。夜間の飛行訓練などですが、これらの騒音防止協定を米側はきちんと履行しているのかどうか、お伺いいたします。そして、これらの飛行場周辺の自治体や住民からの苦情はなくなったかどうか、その辺についてお伺いいたします。
#186
○政府参考人(伊藤康成君) 米軍の飛行場に係ります騒音規制措置につきましては、日米合同委員会等におきまして日米間で合意されているものがございます。内容的には、例えば日曜、祭日の飛行ですとか飛行時間及び場周経路等に係る規制措置というようなことについていろいろと規定をしておるところでございまして、これまで米軍におきましてはこのような措置を遵守しているものと承知をしているところでございます。
 それから、それぞれの関係の基地の地元の方からは、例えば今午後十時から午前六時の間の飛行をしないということになっているといたしますと、それをもう少し長い時間に、もっと長い時間にしていただきたいとか、そういったような要望というものは私どもも何度かいただいておりますが、これは基地提供の目的でございますところの米側の運用上の要求との整合ということもございますので、現在のような形になっておるということでございます。
#187
○島袋宗康君 仮に万が一、我が国の領域内で米軍機と民間航空機との接触事故を起こした場合には、第一義的な事故調査権はどこにあるのか、我が国なのか米側なのか、そしてその際に我が国には米軍機内への立入調査権はあるのかどうか、お伺いいたします。
#188
○政府参考人(藤崎一郎君) お答え申し上げます。
 米軍機が関与する事故に関する事故調査につきましては、例えば米軍機と我が国民間機が関係する事故ということでございますと、日米両国メンバーで構成される航空機事故共同調査委員会において事故調査を行うということになっております。
#189
○島袋宗康君 米軍機の機内に調査権が及ぶのかどうかをお聞きしております。
#190
○政府参考人(藤崎一郎君) ただいまお答え申しましたとおり、米軍機と我が国民間機が関係する事故においては、日米双方のメンバーで成る航空機事故共同調査委員会ということで事故調査を行うということでございます。
#191
○島袋宗康君 沖縄県の那覇空港は民間空港でありますけれども、自衛隊との共同空港となっているため、国土交通省の調査に基づいて去る四日の朝日新聞が報じた報道資料によりますと、二〇〇〇年の那覇空港における自衛隊機の着陸回数は一万五百五十三回で一位。二位の名古屋空港の六千百三十四回、三位の長崎空港の四千九百五十七回等に比べてはるかに多くなっております。前年の一九九九年もこの三空港の順位は同じで、着陸回数は一万一千十八回、六千百五十四回、五千二百十二回という数字であります。
 那覇空港は全国でも有数の過密な空港であり、その那覇空港で自衛隊機の発着回数が多過ぎるのは問題であると言わなければなりません。このような状況になっている理由はどういうことなのか、もっと発着回数を減らすことはできないのかどうか、お尋ねいたします。
#192
○政府参考人(北原巖男君) 御答弁申し上げます。
 ただいま島袋先生御指摘のとおり、先般、国土交通省が公表されました民間空港におきます自衛隊機の着陸回数の資料、これに基づきますと、那覇空港は年間一万回強と最も多い着陸回数になっております。御指摘のとおりでございます。
 これにつきましては、島袋先生十分御承知のとおり、那覇空港には私ども航空自衛隊の戦闘機部隊、また海上自衛隊の対潜哨戒機部隊、さらには陸上自衛隊のヘリコプター部隊などが配置されておりまして、そうした部隊が部隊運用あるいは訓練等のために日常的に滑走路などを民間と共同で使用しているといったことが理由でございます。
 私ども防衛庁といたしましては、我が国沖縄地域におきます防空あるいは海上防衛等の任務を遂行するために使用できます飛行場といたしましては那覇空港以外に求められない状況であると、そのように認識いたしておりますので、何とぞ先生におかれましては御理解を賜りたいと思っております。
 ただ、私ども防衛庁といたしましては、何よりも大事なことは、先生もおっしゃっておられますが、航空安全だということを強く認識いたしておりまして、今後とも、みずからその安全確保に努めてまいりますとともに、国土交通省と緊密に連携あるいは調整を図りながら那覇空港におきます航空交通の安全確保を期してまいりたい、努力してまいりたいと、そのように考えております。
 以上であります。
#193
○島袋宗康君 私は毎週那覇空港を利用している立場でありますけれども、自衛隊機がやっぱり発着陸いたしますと、それだけ民間機がおくれて出発するというふうな状況が続いております。したがって、その回数、飛行回数というのが非常に多過ぎるのではないかということを指摘したわけでありますけれども、ぜひこの安全面は守っていただくと同時に、もっとその回数を減らして民間機がもっと優先的に離発着できるような体制をやはりつくっていくべきでないかというふうに要望するわけでありますけれども、その辺はいかがですか。
#194
○政府参考人(北原巖男君) 私どもといたしましては、先ほど先生に御答弁申し上げました、我が国の防空あるいは海上防衛、こういったものに対しますいわゆる任務遂行のために、常日ごろから十分な訓練等が必要と認識しております。そうした中で、やはり何よりも安全を確保していくことが大事である、また民間機の動向等を十分踏まえながら慎重に、また責任を持って対応してまいりたいと、そのように考えているところでございます。
#195
○島袋宗康君 那覇空港における自衛隊機の着陸回数が非常に多いということを申し上げましたけれども、過去十年間の異常接近事例においても、平成八年十二月十二日に那覇空港滑走路上空でエアーニッポン四三三便のボーイング737型機那覇発石垣行きと航空自衛隊F4ファントム戦闘機とのニアミスが発生しております。
 また、国土交通省の資料によりますと、航空における重大インシデント報告一覧を見ても、平成十二年二月四日にエアーニッポン七三五便福岡空港発石垣空港行きボーイング737の機長から、那覇市の北西約四十マイルの海上上空を二万八千フィートで飛行中、他の航空機が接近したとの報告がなされております。これは、後日の航空局の調査結果によると、他機というのは米海軍のFA18ホーネットということが判明しております。
 このように、那覇空港及びその周辺空域は甚だ危険が充満しているというふうな状況であります。したがって、那覇空港における航空の安全確保にはくれぐれも万全を期してもらいたいと思いますけれども、航空局長、いかがですか。
#196
○政府参考人(深谷憲一君) 先生御指摘のとおりの事案も発生いたしておりました。私どもの方の調べによりますと、異常接近、いわゆるニアミスと判断されたものは過去十年間で三件ございますが、そのうち一件が先ほど先生も御指摘いただきましたように那覇空港で発生しております。ほかの二件は、仙台空港近辺あるいは北太平洋上空で発生したものでありますが、御指摘の那覇空港での事案につきましては、平成八年に発生しておりますけれども、自衛隊機が関係したということで調査をいたしましたけれども、その結果、航空交通のふくそうが一因であったというふうに考えました。
 このため、再発防止策としまして、国土交通省の那覇空港事務所、それから那覇空港を使用しております自衛隊の各部隊に対しまして、特定の時間帯に航空交通が集中しないように調整するということを平成九年夏に申し入れをいたしました。これを受けまして、那覇空港事務所、それから那覇空港を使用いたします自衛隊各部隊の間で調整協議が行われまして、航空交通の平準化がかなりその後図られております。
 いずれにいたしましても、航空交通の安全が枢要でございますので、これからも安全のためのいろんな調整、対策、きちっととっていきたいと、かように思います。
#197
○島袋宗康君 平成十二年一月一日現在で、平成七年から平成十一年までの五年間の異常接近発生状況の報告を見てまいりますと、合計数が十三件となっております。異常接近と認定された件数は、平成八年のたったの一件である。これは、さきに触れた那覇空港滑走路上空でのエアーニッポン四三三便と航空自衛隊F4ファントム戦闘機の異常接近である。
 このように、当事者が異常接近と感ずる件数と実際に異常接近と認定される件数との数字の隔たりが大きいのは問題ではないかというふうに思いますが、その基準をもっと厳しくするというようなことはないのか、お伺いいたします。
#198
○政府参考人(深谷憲一君) 異常接近報告の件数につきましては、先生御指摘のとおり、平成七年から十一年までの五年間ですと御指摘のとおりの数字でございます。その後、直近の十二年での五年間ということですと、十五件報告が出ておりますけれども、私どもといたしましては、機長さんから異常接近の報告をいただきますが、それが事実としてどういう状況であったのかというのをつぶさに調査することといたしておりまして、我々の判断基準といたしましては、回避の操作をとる余裕のない状態での空中衝突あるいは空中接触の危険、こういった危険性がある程度までに接近したというふうな事案であったかどうか。二つ目といたしましては、異常な回避操作によって空中衝突または空中接触を避けることができたもの、こういう事案であったかどうか、こういうことをメルクマール、判断基準といたしまして、機長報告をいただきましたものがいわゆるニアミス例に該当するかどうかというのを判断させていただいております。
 この基準に照らし合わせますと、機長報告を受け調査を行った、最近、昨年までの五年間の中では、先ほど申し上げました一件という状況で判断しております。
 なお、昨年からは、このニアミスの判断をするに際しまして、航空安全検討会というものを新たに航空局内に置きまして、専門家による検討を経た上で、その原因究明あるいは再発防止対策等を講じておるところでございます。
#199
○島袋宗康君 先ほど来問題になっております一月三十一日の日本航空の九〇七便のニアミス事故後、航空局長を長とする航空管制システム検討委員会を発足し、二月二日に第一回の委員会が開催されたということでありますけれども、その後の検討状況はどのようになっているのか。このときのニアミスは管制官の誤誘導が事故の発端となったと思いますけれども、管制官のオーバーワークとか要員不足とかの問題はないかどうか、お伺いいたします。
#200
○政府参考人(深谷憲一君) 去る一月三十一日に発生しました日本航空九〇七便のニアミス事故についてと、その後の対策等についてお尋ねがございましたけれども、去る二月二日に航空管制システム検討委員会というものを立ち上げまして、その場におきまして、直ちに対応すべき事項、それから若干時間を置きながらも、ことしの六月までには結論を得るべき対策としてとるべき事項、こういったものを整理し、種々の対策をとったり、これからとろうといたしております。
 直ちにとるべき対策といたしまして我々が考えましたのは、まず緊急総点検、これは速やかに実施をいたしました。その点検結果、それから現場からの種々の改善要望事項につきましては、去る二月九日に全国の管制官の責任者を集めまして、それらの事項について確認をさせていただいたところでございます。さらに、訓練生を指導いたします訓練監督者に対しましては、既に先月の中旬以降、約三カ月間をかけて全員についてのヒューマンエラー防止等に関する研修をスタートさせまして、現在鋭意進めておるところでございます。
 なお、ことしの六月を目途に結論を得るべき事項として掲げました訓練体制のあり方でございますとか、ヒューマンエラー防止をするための管制支援システムの整備の話でございますとか、管制空域あるいは航空路の抜本的再編等、これにつきましては鋭意結論を得るべく検討を深めておるところでございます。いずれにしましても、事故の再発防止に向けて最善を尽くしたい、かように思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 なお、御指摘の管制官につきましては、事故の再発防止のため、管制官の訓練監督者の研修につきまして先ほど申し上げましたようなことを既にスタートさせておりますけれども、管制官の技能証明取得後におきましても一定期間ごとに管制技能のチェックを行う制度の導入ができないかというふうなことをその方向で検討をさせていただいておるとともに、御指摘のオーバーワーク、この点につきましては、負担が過度とならないよう勤務時間の設定等に配慮をしてきておるつもりでございますが、要員配置につきましても、今後とも、各管制機関の航空交通量の増加状況でございますとか、管制運用上のそれぞれのエリアにおきます特殊性でございますとか、管制機器の整備状況、こういったものを総合的に考慮しながら、安全上の問題が生じないようこれからも引き続き必要な検討を行って万全を期していきたい、かように考えております。
#201
○島袋宗康君 鉄道における追突や衝突などの事故を発生させないための安全対策として、航空におけるレーダー管制システムのように、鉄道全線を一元化してコントロールし事故を未然に防止するというシステムは構築できないのかどうか、その辺についてお伺いいたします。
#202
○政府参考人(安富正文君) 鉄道において御指摘の線区を一元的に監視するコントロールシステムができないのかということでございますが、新幹線ではいわゆる列車運行管理システムというのがこれに該当するのではないかというふうに考えております。
 これは、例えば東海道新幹線ではコムトラックと呼ばれておりますが、列車運行管理システムとして列車の進路制御あるいは車両の運用管理などを行うシステムでございます。さらに、新幹線ではATCと呼ばれる自動列車制御装置というのが設置されておりまして、これは先行列車との間隔や線路の状態によってあらかじめ決められた指定速度、指示速度を列車に伝えて、列車の速度を制御するものでございます。そういう意味で安全を確保しております。
 さらには、新交通システム等では一部ATOと呼ばれる自動列車運転装置というのが設置されておりまして、これは先ほどの新幹線のATCの機能に加えまして駅での発車や停止制御までも自動的に行う、無人運転とかワンマン運転といったようなことが可能になるものでございます。
 そのほか、一般の鉄道では、当然信号等でやっているわけですが、さらにATSと呼ばれる自動列車停止装置が設置されておりまして、これは信号機が停止信号を表示しているにもかかわらず乗務員が誤認して進行しようとしたときには、車両の方で自動的にブレーキをかけてしまい、停止させて追突や衝突事故を防止するというシステムでございまして、こういうものが幾つか組み合わされて、現在鉄道の安全を確保しているものでございます。
#203
○島袋宗康君 最後の質問ですけれども、我が国の航空路の現状はどのようになっているのか。航空路の数、訓練空域の数、位置、面積、全国の空港・飛行場における航空機の発着回数を、直近の五年間の推移及び内外の民間機、自衛隊機、米軍機の別に関係当局より資料をいただきたいと思います。詳細にわたる部分は後日で結構ですので、ぜひ御提出をお願いしたいというふうに思っております。
 以上申し上げまして、最後に大臣より航空及び鉄道の安全確保に関する決意のほどをお聞きして、質問を終わりたいと思います。
#204
○国務大臣(扇千景君) きょう皆さん方の大変有意義な、また私どもにも勉強させていただく御意見をるる検討させていただいて、討論をさせていただきました。
 そういう意味では、御存じのとおり国土交通省、陸海空に及ぶ安全対策また事故の防止ということに関しましては、あらゆる面で、先ほども申しましたように、一〇〇%安全が確保されたということは言い得ないというのが現状でございます。丁寧な上にも丁寧に、またあらゆる努力をして、私どもは、事故防止あるいは事故が起こったときの調査等々あらゆる面で今後、きょうの御意見等々いただきながら、国土交通省としてでき得る限りの対策あるいは処置をしていくということを申し上げておきたいと思います。
#205
○島袋宗康君 終わります。
#206
○委員長(今泉昭君) 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 航空事故調査委員会設置法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#207
○委員長(今泉昭君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、寺崎君から発言を求められておりますので、これを許します。寺崎昭久君。
#208
○寺崎昭久君 私は、ただいま可決されました航空事故調査委員会設置法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・保守党、民主党・新緑風会、公明党、日本共産党、社会民主党・護憲連合、自由党及び二院クラブ・自由連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    航空事故調査委員会設置法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たり、次の事項の実現に向け万全を期すべきである。
 一、航空・鉄道事故調査委員会は、他の行政機関等からの独立性を確保するとともに、公正・中立な立場でその責務を十分に踏まえた、迅速かつ厳正な事故等調査及び調査結果の早期報告を行うこと。
 二、公正中立な事故等調査を遂行するため、特定の分野に偏ることなく、適確な委員の選任を図ること。
 三、大規模かつ複雑化する事故調査に対応するため、研修、海外機関との情報交換などにより、最新の科学等の知見を駆使した、高度な業務が可能となるよう、事故調査官の専門性の向上に努めること。
 四、委員会事務機能については、委員の求めに適確に応えられるよう、適正な人員配分、十分な予算措置に配慮すること。
 五、事故調査等が公正かつ精緻に行われるため、その内容・手順等について明文化するとともに、新たに習得される科学的知見を加味し、世界的レベルに見合うものとなるよう、随時見直しをすること。
 六、事故原因の究明・調査は、国民生活に重大な影響を与えることにかんがみ、適正な業務遂行に支障を及ぼす恐れのないものについては、国民・事業者・事故関係者に対し、必要な情報を開示する体制を確保すること。
 七、報告書の作成までの間、相当の時間を要すると見込まれるときは、中間段階での報告を必要に応じて行うよう努めること。
 八、委員会は、事故再発防止に万全を期するため、必要があると認めるときは、積極的に、事故防止のため講ずべき施策について勧告・建議すること。
 九、勧告・建議を受けた国土交通大臣、関係行政機関の長は、関係事業者等への安全対策の指導・徹底など講ずべき施策を着実に実施すること。
 十、航空・鉄道事故調査委員会と捜査機関は、国際民間航空条約の趣旨に立って、事故調査、犯罪捜査の各々が適確に行われるよう十分に協力すること。
 十一、委員会の組織の在り方については、今回新たに整備される委員会の活動を踏まえ、その体制・機能の強化、航空・鉄道・自動車・海上交通にわたる運輸事故全般の調査体制の確立の必要性について、諸外国に比べて遜色のないよう、その例を参考にしつつ、今後の課題として検討を行うこと。
  右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#209
○委員長(今泉昭君) ただいま寺崎君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#210
○委員長(今泉昭君) 全会一致と認めます。よって、寺崎君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、扇国土交通大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。扇国土交通大臣。
#211
○国務大臣(扇千景君) 航空事故調査委員会設置法等の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれましても熱心な御論議をいただきまして、心から御礼を申し上げたいと思いますし、なおかつ今、全会一致をもって皆さん方に可決させていただきましたことを深く感謝申し上げたいと存じます。
 また、今後、審議中におかれましての委員会の皆様方の御論議等々を私どもは重視しながら、そして今、附帯決議が決議されて提議されました航空・鉄道事故調査委員会の公正中立な立場での迅速かつ厳正な事故等調査の実施などの課題につきましては、その趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。
 ここに、委員長初め委員各位の皆さん方に御熱心な御論議をいただき、また御指導いただき、そして御協力いただきましたことを心から御礼申し上げたいと存じますし、また深く感謝申し上げて、ごあいさつにかえたいと思います。
 ありがとう存じました。
#212
○委員長(今泉昭君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#213
○委員長(今泉昭君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時三十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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