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2001/03/27 第151回国会 参議院 参議院会議録情報 第151回国会 経済産業委員会 第4号
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2001/03/27 第151回国会 参議院

参議院会議録情報 第151回国会 経済産業委員会 第4号

#1
第151回国会 経済産業委員会 第4号
平成十三年三月二十七日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 三月二十三日
    辞任         補欠選任   
     市田 忠義君     西山登紀子君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         加藤 紀文君
    理 事
                畑   恵君
                保坂 三蔵君
                山下 善彦君
                足立 良平君
                西山登紀子君
    委 員
                加納 時男君
                倉田 寛之君
                陣内 孝雄君
                松田 岩夫君
                吉村剛太郎君
                直嶋 正行君
                本田 良一君
                藁科 滿治君
                荒木 清寛君
                海野 義孝君
                山下 芳生君
                梶原 敬義君
                水野 誠一君
                渡辺 秀央君
   国務大臣
       経済産業大臣   平沼 赳夫君
   副大臣
       厚生労働副大臣  増田 敏男君
       経済産業副大臣  中山 成彬君
       経済産業副大臣  松田 岩夫君
   大臣政務官
       経済産業大臣政
       務官       竹本 直一君
   政府特別補佐人
       公正取引委員会
       委員長      根來 泰周君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        塩入 武三君
   政府参考人
       内閣府政策統括
       官        岩田 一政君
       金融庁監督局長  高木 祥吉君
       経済産業大臣官
       房商務流通審議
       官        杉山 秀二君
       経済産業大臣官
       房審議官     斉藤  浩君
       経済産業省産業
       技術環境局長   日下 一正君
       経済産業省商務
       情報政策局長   太田信一郎君
       資源エネルギー
       庁長官      河野 博文君
       特許庁長官    及川 耕造君
       中小企業庁長官  中村 利雄君
       国土交通大臣官
       房技術審議官   佐藤 信秋君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○政府参考人の出席要求に関する件
○経済、産業、貿易及び公正取引等に関する調査
 (経済産業行政の基本施策に関する件)
 (公正取引委員会の業務に関する件)

    ─────────────
#2
○委員長(加藤紀文君) ただいまから経済産業委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る二十三日、市田忠義君が委員を辞任され、その補欠として西山登紀子君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(加藤紀文君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(加藤紀文君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に西山登紀子君を指名いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(加藤紀文君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 経済、産業、貿易及び公正取引等に関する調査のため、本日の委員会に内閣府政策統括官岩田一政君、金融庁監督局長高木祥吉君、経済産業大臣官房商務流通審議官杉山秀二君、経済産業大臣官房審議官斉藤浩君、経済産業省産業技術環境局長日下一正君、経済産業省商務情報政策局長太田信一郎君、資源エネルギー庁長官河野博文君、特許庁長官及川耕造君、中小企業庁長官中村利雄君及び国土交通大臣官房技術審議官佐藤信秋君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(加藤紀文君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#7
○委員長(加藤紀文君) 経済、産業、貿易及び公正取引等に関する調査を議題とし、経済産業行政の基本施策に関する件及び公正取引委員会の業務に関する件について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#8
○畑恵君 おはようございます。自由民主党の畑恵でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 先日、大臣から所信の方を拝聴いたしまして、さまざまな基本施策、列挙されておりましたけれども、中でもやはりITを強力なエンジンとして、多少息切れぎみの日本経済を何としても再生させたいというそうした強い大臣の思い、意気込みというのが伝わってまいりました。
 そこで、本日はそのIT関連施策の一つとして行われましたある政府広報について伺ってまいりたいと思います。質問をさせていただきたい案件ですが、経済産業省が所管します財団法人日本情報処理開発協会がクライアントとして掲載しました本年の二月二十四日付の電子署名及び認証業務に関する法律、こちらで通させていただいた、つくった法律でございますけれども、これについての政府広報でございます。
 その政府広報でございますけれども、全国の日経新聞と朝日新聞に掲載されたわけですが、当初、私が伺っております範囲では、これは日経新聞でございますけれども、日経新聞も朝日新聞も、新聞の一面の下段三分の一、これをそれぞれ使って若干のポンチ絵と、そして電子署名・認証に関する説明というのをお書きになって、通常のこういう広報の形で出されるはずだった。これが日経新聞でございますけれども。(資料を示す)ちなみに、朝日新聞のこれは広島版、同じような形でございます。北海道版も同じでございます。しつこいようでございますが、名古屋版、近畿、そしてこれ西部本社版、これも朝日新聞。ということで、これは全部同じ体裁なんですけれども、どういうわけか東京本社版というものだけが何と全面広告、こういう形をとっておられました。
 そこで、ここにたった一人写っている、足など組んで格好いいですけれども、この方が、何と来る参院選において東京都より立候補する、民主党から公認をことし一月二十日にもう受けている、そういう人物であったと。
 事実関係だけを申し上げますと、この財団は公費を使って特定の政党の公認候補者の宣伝をしてあげてしまったという、事実としてはそうなってしまうわけですけれども、この財団を所管なさる責任者でいらっしゃる大臣に、この政府広報についてどのように認識していらっしゃるか、まず伺いたいと思います。
#9
○国務大臣(平沼赳夫君) 御指摘の広告につきまして、特定の者の政治活動を支援するものではないか、このような疑念を招く結果となったことにつきましては、私といたしましても大変困惑をしているところでございます。
 また、当省においても財団においても、広告に起用する人選について入念なチェックを行わなかった、そういう点についても極めて遺憾であると、こう思っておりまして、私としては本当に残念なことだと、このように思っております。
#10
○畑恵君 今大臣から、困惑をしている、そしてチェック体制が甘かったことについては遺憾という思いが述べられましたけれども、私自身も実はこの仕事の前にニュースキャスターという仕事をしておりましたので、政府広報のお仕事というのは各省庁の方々と随分させていただきました。
 その中で、政府広報の仕事に携わるときに、広告代理店ですとかあと出演者側、依頼を受ける側ですね、そしてクライアント、それぞれの関係者が一番気を使うのが不偏不党ということであります。企業CMももちろんある程度同様の条件というのは課せられるんですけれども、政府広報になった場合にはその出演者が不偏不党であるかどうかというのはイロハのイ、大前提条件としてチェックをされます。私自身もそうでありました。これに少しでも抵触する可能性がある人物というのは、その出演者の選択段階で一番最初にオミットされます。例えば私の場合は、私だけではないですけれども、どうもあの人間は次の選挙に出そうだとか、だれだれさんから声がかかったらしいというぐらいでも、どこかに報じられますとそれがあだになって、事実でなくてもなかなかそのオーディションを通りにくいということにもなりまして、それだけ政府広報では不偏不党というのはもう第一条件になっている。もう業界のこれは常識中の常識でございます。
 にもかかわらず、この二月二十四日付の朝日新聞東京本社版の政府広報に民主党の候補者Aさんが起用されたということは、私自身は実に不可解。私もいろいろ広告代理店の友人とかおりますのでもういろんな方に聞きましたけれども、信じられないという言葉がだれからも出ておりました。
 この候補者は経済産業省のOBであったということでございますけれども、そもそもこのAさんをだれが起用しようと言い出して、どのような経緯で決定に至ったのか、少し詳細を教えていただけますでしょうか。
#11
○政府参考人(太田信一郎君) お答えいたします。
 財団法人日本情報処理開発協会によれば、二月二日に朝日新聞、これは東京本社の広告局から、財団の広告代理店である日経広告を通じまして、全国版下三分の一ページ分の広告掲載を千二百万円で受けます、それから東京本社版についてはこの上の三分の二ページ分について有識者インタビューを追加する、そしてこの追加分については千二百万円の枠内でサービスするとの申し出がございまして、財団がこれを了承したと承知しております。その上で、二月七日、朝日新聞から日経広告に対し、インタビューの相手方としてA氏の提案があったと聞いております。その提案に対して財団担当者は、インタビュー記事は朝日新聞が制作するとの認識のもと、これを了解したということでございます。
 なお、以上の一連の過程で経済産業省は一切の連絡を受けておらないところでございます。
#12
○畑恵君 今のお話というのは、新聞社側の方からサービスするということだというお話がございますけれども、不偏不党ということに抵触するというのも不思議だったんですけれども、もう一つ私大きな疑問がございまして、広告の出演者を選ぶ場合というのは、最も基本的な条件はやっぱりだれもがその人物の顔や名前をよく知っているというのが、もう当然のことですけれども条件でございますよね。
 電子署名・認証というのは、私どもはこうやって審議をしていますので皆さんよく理解していますけれども、一般の方々には耳なじみがない、暗号なんて出てくるとわかりにくいと。じゃ、だれか見知った名前や顔の方が説明するという形にしてアイキャッチをしてこの記事を読んでもらいましょうということで、もしだれか人物を登場させるのであれば、そういう理由で記事をつくるわけですけれども、このAさんという方が果たしてどうだったかと。経済産業省ですとか一部の専門家の方々の間では確かにITに詳しい人物として認知を得ている方だと思います。
 ただ、少なくとも、一般の人々にその名前や顔がどれだけ知られているかということになりますと、これはまだほとんど知名度のない方で、なぜ、こうした人物をわざわざ政府広報の出演者として、しかも全面広告にただ一人顔写真入りで出したかということになったのかが、これまた非常に不思議なんでございます。若干繰り返しになるかもしれないんですけれども、そういう人物をわざわざ起用するということを言われたときにどういうやりとりがあって、最後のところで連絡がございませんでしたというところで先ほど終わりましたけれども、どの点までチェックがあって、決定のときにどこの範囲で最終的に、ではこの人にしようという決定が下されたのか、もう一度伺えますでしょうか。
#13
○政府参考人(太田信一郎君) お答えいたします。
 財団法人日本情報処理開発協会が朝日新聞から広告記事が出た後に聞いたところによれば、朝日新聞がA氏を推薦した理由は、同氏がITに詳しく、また昨年七月に朝日新聞に掲載された教育の情報化の広告で起用した実績があり、また週刊朝日における連載、「朝まで生テレビ」への出演など朝日とのつき合いも多いということであったと聞いております。
 それから、どういう形でチェックをされたかということでございますが、先ほど申しましたように、二月七日に朝日新聞の方がインタビューの相手方としてA氏を推薦してきて、財団の方としては、朝日新聞が責任を持ってその部分についていわゆる記事体広告をつくるということでございましたので、了解をして、最終的にA氏のプロフィールが出てきたのが二月二十日ということで、この段階で財団それから私ども担当の部局の者がネガティブチェックをいたしましたが、大変遺憾なことに、A氏が特定政党の公認の候補者であることをいずれも知らなかったためにこういう事態になったということでございます。
#14
○畑恵君 二度の太田局長からの御説明を伺いますと、やっぱり新聞社側がこの人物を指定して推薦していらっしゃって、そのために千二百万円という、通常でしたらば下段三分の一しか紙面としては押さえられないところを、東京本社版はそっくり全面広告を打ってあげましょうということだったと私の方は理解させていただきました。この事実は間違いないことだと思います。
 これまで幾つかの疑問を提示してまいりましたけれども、実は、この広告を私も拝見したんですが、最初に開いたときにすごくびっくりしましたのは、今まで不偏不党とか余り知られた顔や名前の方でないのにというそういう驚きよりも、一番強く感じたのは、やっぱり全面広告を打つというのは非常にお金がかかることなので、何で経済産業省さん、こんなに今回入れ込んで全面広告を打ったんだろうと本当に驚いたんですね。それが一番率直な疑問でございました。私は東京版しか知らなかったので、東京版だけに載っているというのはもちろん知らないわけですけれども、素朴な疑問を感じました。
 仕事をいつもしていますと、全面広告を打つというのは非常にお金がかかるわけですね。私の方も広告代理店の友人に尋ねましたらば、朝日新聞は特に多くの方がお読みですから掲載料が高くて、これは土曜日でございました、二十三面、大分真ん中の方でございますので、土曜日、二十三面で全面広告を朝日新聞東京本社版に打つと幾らかかるか。紙面だけで二千四百万円かかります。だから、三分の一は割り引いたとしても、二千四百万円分、ほとんどただで朝日新聞さんは提供なさったわけですから、太っ腹といえば太っ腹でいらっしゃいますね。
 ただ、先ほど太田局長のお話にありましたように、財団の方は千二百万円で全国版、とにかく千二百万円で打ってくださいと言いましたのに、東京版全面二千四百万円分はおまけということでついてきたと。
 ただ、おまけといっても、やはり全くこれただという形にいかないんじゃないかと思うんですけれども、これ実際幾ら財団側はお支払いになって、そのプラスアルファというのはお支払いには、全面広告分は、プラスアルファというのはお支払いになっていらっしゃらないんでしょうか。
#15
○政府参考人(太田信一郎君) 当該朝日新聞への広告のための予算につきましては千二百万円であったと承知しております。まだ予算の段階で、支払いはしていないと承知しております。
 財団によれば、広告代理店を通じて、今委員御指摘のように、朝日新聞社から東京本社版の上段三分の二ページ分の有識者インタビュー部分については千二百万円の枠内でサービスするとの申し出があり、これを了承したということでございます。
 繰り返しになりますが、財団が契約をする予算としては千二百万円を予定しております。
#16
○畑恵君 財団としてはあくまでも千二百万円しか払うつもりはないし、そういう契約であると。やはり正確を期さなければいけないと思いましたので。
 では、その朝日新聞全国版、東京本社版を除いた版は下段三分の一だけ打って、東京本社版は全面広告だったら、だから今回のまさに広告の打ち方ですね、これだったら通常幾らかかるかということを調べましたところ、これが三千二百万円ということでございました。ということは、千二百万円差し引いて二千万円、やっぱりだれかが肩がわりしていることになるわけですね。
 それで、今回のように、ある特定の政党の公認を受けた方が余り一般の方に名前も顔も知られていないのに全面広告の出演者になったということでございますので、これはやはり非常に問題の根というのは深いのではないかと思います。
 今回の政府広報、とにかく一般のCMと違いまして、政府広報を打つそのお金というのはこれは公費、当然国民からの血税でございますので、これで一政党の候補者を宣伝してしまうというのは大変ゆゆしきことだと思います。
 確かに、財団側ですとか官庁側が最終的にチェックをする責任ということがありましたので、この部分に対しての問題というのは否めないことではありますけれども、とはいえ、決してこのような事態は、先ほど大臣もおっしゃられた、局長もおっしゃられたように経済産業省の本意ではなかったと思います。
 であるならば、これはやはり大変信頼を、その新聞社、広告代理店、出演者の方々を信頼してお仕事をお願いしたのにもかかわらずこういう結果になったということに対して、やはりやるせない思い、憤りというのは禁じ得ないのではないかと。
 では、それをどういう形で今後示されるかということについて伺ってまいりたいんですけれども、既に経済産業省からは財団側の方に抗議書が送られ、そしてそれを受けた形で財団から、新聞社、広告代理店並びに出演したAさんに対して文書による抗議がなされたと伺っております。
 これに対する返答がおありになったのか、また内容はどういうものだったのか、お教え願えますでしょうか。
#17
○政府参考人(太田信一郎君) お答え申し上げます。
 財団によりますれば、日経広告からは、財団からの抗議に対して、今回の記事体広告部分は朝日新聞社からの提案であり、企画、人選、取材、制作までのすべては朝日新聞社の主導で行われたものであるとの三月十六日付の回答を受け取っております。
 また、朝日新聞からは、広告の内容は、A氏の専門分野の範囲であり、選挙にわたる表現も一切ないため、現時点での当該広告掲載は、民主党の公認候補予定者としてのA氏を支持するものではなく、協会の公正中立性の立場を損なうものではないと考えるとの三月十四日付の回答を受け取ったと聞いております。
#18
○畑恵君 日経広告さんがたしか広告代理店と伺っておるんですが、広告代理店からの返答というのはありましたか。
#19
○政府参考人(太田信一郎君) 順番をあれしましたが、冒頭お答えしましたがもう一度繰り返させていただきます。
 日経広告からは、今回の記事体広告部分は朝日新聞社からの提案であり、企画、人選、取材、制作までのすべては朝日新聞社の主導で行われたものであるとの三月十六日付の回答を受け取っております。
#20
○畑恵君 申しわけありません、繰り返させてしまいまして。
 私もそんなに長くそういうお仕事の経験があったわけではございませんけれども、三年強こういう関係のお仕事を発注される広告代理店の方々とお仕事をしてきました。
 冒頭に申しましたように、こういう何かトラブルがあってはいけないので、広告代理店の方々が入られて全責任を負われるというのが通常の形であります。それは甘いと言われるのかもしれませんけれども、これは日本の商慣習でございまして、やはりぎりぎり裁判ざたになるようなことは起こさないという前提で、日本というのは余り契約書というのを交わさないんですね。かなりギャランティーが高い仕事でも、用件を、ファクス一枚送られてきてお互いにそれを取り交わすぐらいで、いわゆる契約書というのがないのが日本のある意味で商慣習になっておりますので、それだけに、もし何かトラブルがあったときには普通は広告代理店が全部負わなきゃいけない。だから、そういうことが起きないように広告代理店がよくよく細かくチェックをするというのが普通の仕事の体制でございます。
 ところが今回は、これだけ大手さんが、経済産業省の所管の財団から全国版の新聞の掲載のお仕事という、非常に大きな何千万というお仕事を受けていらっしゃりながら、朝日新聞さんからの提示であって自分は単なる間の取り次ぎである、だからうちには責任ございませんというような返答をしていらっしゃるというのは、これも余り通常の流れからすると例を見ないことだなというのが率直な感想でございます。
 そして、一番の問題でございますけれども、朝日新聞さんからの回答書というのを、先ほど局長も御紹介なさいましたけれども、Aさんというのはあくまでもこの分野の、専門分野の一人の権威であると書いてあります。選挙にわたる表現も一切ないため、現時点でのこの広告掲載は公正中立の立場を損なうものではないというふうに書いてある。これについては、もしそういうふうに新聞社の方がこうやって紙面で通告していらっしゃるのであれば、これはやはり、今後、私どもも、報道の中立性というのはどういうものであるかというのをよくよくこれは国会でも精査していかなければいけない問題ではないかと思います。単に今回の広告で終わるものではなくて、公器でありますので、私自身もマスコミにおりましたけれども、電波でありますとか新聞でありますとか、そうしたさまざまな文書というものが、公器であるという中でどこまでが本当に公正中立なのかということについては、やはりこれは議論を深めていかなければいけないのではないかというのが一点ございます。
 それから、私自身、ちょっとここについてはもう一度、これは経済産業省の方々の御認識を伺いたいんですけれども、朝日新聞広報室長の方からの返答文の最後に、今回お申し越しの広告は貴協会の公益法人としての公正中立な立場について第三者に疑いを抱かせるものではないことを御理解賜りますようお願いいたしますという文章で終わっているんですけれども、これは非常におかしな表現でございまして、第三者に疑いを大きく持たせたから、今予算委員会やこういう国会でこれだけの問題になって、大変御自身の信頼ですとか権威というのを失墜されていらっしゃるから、財団ですとか経済産業省がこれだけ大きな問題に取り上げているので、もう事実としてそういうことがあるのにもかかわらず、第三者に疑いを抱かせるものではないことを御理解賜りますようお願いいたしますというのは、これは全く事実誤認だと思うんですけれども、これについてはどのようにお考えでしょうか。局長でも大臣でもどちらでも。
#21
○政府参考人(太田信一郎君) 財団の方は、三月七日に朝日新聞、日経広告、A氏に対して抗議をいたしまして、先ほど御紹介しましたように日経広告、朝日新聞からは回答をいただいておりますが、誠意ある回答と考えていないというふうに承知しております。
#22
○畑恵君 やはり非常に認識に大きな隔たりがあるという感を否めませんし、ある意味で非常に日本の、独特かもしれませんけれども、麗しい商慣習からすると大きく逸脱した案件だなという感をまた強くいたします。
 ただ、そういうことで回答が来ていらっしゃるのであれば、これはやはり認識の違いということが明らかになった時点でどちらにどれだけの正当性があるかということを今後議論していきませんと、抗議文を出した、こういう返答が来て、このままになってしまったら、じゃ、やっぱりそれでよかったのかということになってしまいます。
 例えば、これが企業だといたします。不幸にしてこういう何かトラブルが起こってしまった場合には、通常これだけのクライアントが、今回は財団ですけれども、面目をつぶされて、財団は営業ではないですけれども、信頼を失墜させられて業務にいろいろなところで支障が出ているわけですから、要するに、これは企業でしたら、営業が妨害されたということになれば当然これは裁判になるか、恐らく通常は裁判になる前に広告代理店が一部、今回の場合は恐らく全額になると思いますけれども、今回のお仕事分のギャランティーというのは返還なさる、あるいはここまで被害が拡大した場合には慰謝料もクライアント側が請求をするということになるのがどちらかというと普通ではないかと思います。
 今回、こういう結果になったということに関して抗議文を送った、先ほど太田局長から余り誠意があるとは見られない回答があったと。今後、経済産業省並びにこの財団含めて監督するお立場にある大臣、どのように処置を考えていらっしゃるか、伺いたいと思います。
#23
○国務大臣(平沼赳夫君) 大変、畑委員御指摘のとおり、非常に裏側に何か意図が見え隠れするようなそういう私は認識を実は個人としては持っています。
 当省といたしましては、本件の事実関係を調査した上で、まず三つのことをさせていただきました。
 その一つは、三月七日に当該財団法人に対する文書によって厳重な指導を行いました。事業の実施、管理、責任体制の総点検とその明確化、これを私から指示いたしたところです。
 二つ目としては、当省内の処分の問題として、これも三月七日でございますけれども、私より担当局長に厳重注意、こういう処置を行いました。
 それから三つ目としては、同日、A氏に対して、今回の事態を我々としては大変遺憾に思い、憂慮している、特定の政党の公認を受けた者として自制すべきではなかったか、そういうことを指摘して、強く実は抗議を同氏に対して行いました。
 また、当該財団法人からは、やはり三月七日に私ども経済産業省の指導のもとに業務改善委員会、これを設置いたしまして、事業の実施、管理、責任体制の総点検及びその明確化を図る、そういう体制をとった、そういう報告を受けておりまして、また当該財団としては会長及び責任者の処分を行ったと、こういうふうに承知をしております。
 今御指摘の本件広告によって公益法人としての公正中立な立場を第三者に疑わしめる結果を招き、協会の社会的評価が著しく毀損されている、それはそのとおりだと思います。
 そこで、同協会の当事者である朝日新聞、日経広告それからA氏に対して法的措置をとる決意のもとに、現在弁護士と具体的検討、これを行っているところであると私は承知しております。今御指摘の本当にそういうずさんな面が、当省においても管理体制であったと思います。これは、ちゃんとそういう認識のもとにそのチェックをしていればこういうことは起こらなかったはずでございますので、私どもとしては、当該財団を含めて省内、その改善を、そして指導を強化して、二度と再びこういうことが起こらないように十分注意をしてまいりたいと思っています。
 いずれにいたしましても、その当該選挙区から、各政党候補者も予定されているわけですから、そういう方々を含めて大変御迷惑をおかけした、こういうことは事実だと思いまして、私どもとしては本当に申しわけないことだと思い、そういう反省の上に立って、繰り返しになりますけれども、二度と再びこういうことが起きないように徹底をしてまいりたい、このように思っています。
#24
○畑恵君 今大臣から深く陳謝なさるという、本当に何か心がこちらまで痛んでしまいますけれども、お言葉がございましたけれども、確かにそのチェック体制の甘さというのはもちろん否めませんけれども、これは一つの日本の確かに商習慣であったと。通常これが欧米のような国であれば、全部事細かく書いて契約書を取り交わして、今回のような問題があれば即裁判もするまでもなく、こういう誠意のないことをなさった側が罰せられると。でも、そういうことは今まで日本の商習慣ではしないというのが、お互いに信じ合うというのが前提で、だから契約書を取り交わさなかったと。
 ところが、この信頼を大きく踏みにじられたわけですから、当然それは欧米のようにこれは裁判に、先ほどそういうお話がありましたけれども、大臣がおっしゃられたように法的な措置をとる以外に方法がないと。大変残念なことでございますけれども、これはやはり法的な措置をとられて、事の真偽を明らかになさって、そうでないと、こういうことがその抗議書一枚、それに不誠実な回答をすればそれで済んでしまうということになると、じゃ、またやってみようということにこれは当然なりますので、再発防止という面でも、ぜひともそれはきちんと法的な措置をとられて白黒をきちんとつけていただきたいというのが一点ございます。
 それから、先ほどAさんという方にも抗議文を送られたということでございますが、私自身、例えばこの方は、今ある大学の助教授をなさっていらっしゃるということでございますし、ですからそういう立場でいろいろなお仕事をなさっているのかもしれませんけれども、私自身も一緒に仕事をした経済産業省の、当時は通産省でございますけれども、OBでございます。こういうことをしたらどういうことになるか、どれだけ自分自身が一緒に仕事をした同僚、上司、部下に迷惑をかけるか、信義にもとることかというのはよくおわかりになっていらっしゃった方がこういうことをなさったということは、私はとても罪深いことだと思います。
 これからこの方が政治家を目指されるのであれば、やはり一にも二にも人間の信頼というのを裏切るということは決してしてはならないというのは当然のことではないかと思いますので、やはりそこの部分についても、Aさんからは回答書が、回答書がおありだったら多分先ほど提示されたと思うんですけれども、回答書がなかったのだと思いますので、私はきちんとこのAさんという方も回答書を出されて、どういう思いでこういうことをなさったのかというのをきちんと申し開きをして、そして有権者の方に御理解いただく必要があるのではないかと思いますので、ぜひその点についてももう一度Aさんの方にもこの問題についてただしていただきたいと思います。いずれにしても、厳正な処置をお願い申し上げます。
 若干時間が残っておりますけれども、これで質問を終わります。
#25
○足立良平君 民主党・新緑風会の足立でございます。
 森総理が三月十日に辞意表明をされたわけでありますが、この森内閣のまさに主要な閣僚といいますか、本当の中心的な閣僚としての平沼経済産業大臣として、一体どういうふうに受けとめておられるのか、ちょっとお聞きをしてみたいと思います。
#26
○国務大臣(平沼赳夫君) 私の認識では、マスコミの方では正式な辞意表明と、こういう報道でございますけれども、森総理大臣は、九月に本来なら予定されております総裁選挙、これの前倒し、そういうことで、その前倒しをすることについてそれはいいであろう、こういうふうに言われた、私はこういうふうに認識しております。
 それがマスコミでは事実上辞意表明と、こういうことでございますけれども、現時点では、皆様方の御協力で昨日、平成十三年度の予算も成立をいたしました。そして、さらにこれから予算関連法案、予算だけ、本予算だけでは仏つくって魂入れずという、やっぱり完全な形で予算が執行されて、そしてその効果が出るのはやはり予算関連法案、これも成立をしなければなりませんし、また教育改革に大変意欲を持たれている森総理、その教育改革の法案もこれから、そういうような段階で、私は総裁選挙を前倒しをし、そこは了承したけれども、まだ時期という問題が残っていると思います。
 そういう中で、私は森内閣の一員として、今申し上げたように予算関連法案を含めて、閣内の一員として全力を挙げて森内閣を支えていく、そういう意識で私は務めていく、そういうことで、まだ退陣の時期がいつか、そういうことが明確になっておりませんので、与えられた仕事を全力を尽くしてやっていく、こういう認識で今いるわけでございます。
#27
○足立良平君 今大臣のお話を聞いていまして、表向きはそういうことなんでしょうね、表向きは。だから、それ以上、それが単なる繰り上げであるのか実質な辞意表明であるのかということは今ここで詰めようとは思わないんです。
 私はあえてこういうふうに申し上げたのは、問題は、今もちょっと政治家というのは裏切ってはいけないとかというふうな、いわゆる信義を重んじなきゃならないと、いろんなことを議論としておっしゃっていましたけれども、森総理というのは、大臣は今の答弁でまだ決まっていないとおっしゃるけれども、大体やめていく人ですから、今さらむち打とうという気は余りないんですが、政治家の言葉というものが大変に軽いという状態がずっと続いてきたことが、逆に言ったら支持率の低迷であり、あるいはまた今日の状況を私はもたらしてきているように思うんですね。ですから、そのことが私は経済的にも大変に影響を与えているのではないか、しかもそれは我が国の経済にとどまらずに、日米関係においてもしかりでありますし、あるいはまたその他グローバルな今の経済状況の中でそういう感じを受けてならないわけですね。
 ですから、今大臣がいみじくもおっしゃいましたように、次の総裁選挙がいつになるかわからないということは、大体もう腹の中にあり、これは大臣自身も含めて、もう大体森内閣はこれで終わりだと。終わりだといいながらずっと、いつになるかわからないけれども、ひょっとしたらある面においては政治的空白というものは継続しているわけです。これは我が国の今日の置かれている経済状況から見ると、実は大変な空白期間を、むだな時間を送っているのではないのか、こんな感じをしますので、したがってそういう面で大臣としてもう一度ちょっと考え方をお聞きしておきたいと思いますし、新聞、マスコミ等見ておりますと、次の世代交代で平沼経済産業大臣は次の云々という話もよく散見しますけれども、大臣のこれについての考え方も一応聞いておきたい。
#28
○国務大臣(平沼赳夫君) 足立先生御指摘の、多分にマスコミの報道の中で、そういう形で退陣という形がマスコミの中では既定事実化している、こういうことは私は残念であります。
 ただ、私は、昨年の七月に通商産業大臣に就任させていただいて、そして引き続き中央省庁の再編でこの一月六日から経済産業大臣としてそういう立場をいただいているわけでありますけれども、就任以来、私は、政策面では森総理は非常にまじめに一生懸命取り組んできたと思っています。
 この国の経済を持続的な安定軌道に乗せるためにはやはり日本再生をしなきゃいけないということで、足立先生も御承知のように、産業新生会議というのを民間の方々にも入っていただき、また学識経験者にも入っていただいて、かんかんがくがくの議論の中で基本的ないわゆる行動計画というのがまとまりました。それが、とにかく時のたつのが早いドッグイヤーと言われている中で、二百六十項目の項目、このうちの半分は三年以内にやり、その百三十の、半分のうち百は一年以内に達成しようということで、この国会にお願いしている法案も含めて、構造改革というものが具体的なスケジュールに乗ってきました。
 また、ITという問題に関しても、IT戦略本部、戦略会議というのを開いて、七回の会合の中でいわゆる基本戦略もできたわけでありまして、そういう中で私は、今そういった問題の具体的な仕上げ、そういうものに入ってきて、政策面では本当に、行政改革を含めて政策面ではかなり実効を上げてきた、こう思っています。
 そういうマスコミの報道によって、御指摘の、やはり諸外国に対して非常にそういう意味では、ある面で信用、そして日本に対する信頼度、こういうものが毀損されることは事実だと思いますけれども、しかし現下のこういうやらなければならない問題をやっぱり着実にやっていくということが、本当に厳しい中ですけれども、日本の信頼を保つことにつながると思っております。
 私の名前も何か当て馬的にちらほら出ておりますけれども、しかし私は先ほど申し上げたように、そういった政策面で経済産業省としてやらなきゃならないことを着実にやることによってそういうマイナスの面を補って、そして与えられた期間全力で頑張らせていただきたい、このように思っておりまして、御満足のいくお答えになっていないかもしれませんけれども、私としては、そういう中で本当に日本が着実に今やることを、厳しい中ですけれども、一つ一つ積み上げていくことがやっぱり国際的な信頼をつなぎとめる、こういうことにもつながると思っておりまして、その点で全力を尽くして頑張ってまいりたい、このように思っております。
#29
○足立良平君 満足かどうかは別として、期待した御答弁には実はなっていませんでして、これはもうこれ以上申し上げません。
 ただ、私はこれはあえて、今は野党の立場でありますし、自民党のことをとやかく今言うことはかえって失礼になると思いますから、余り申さない、申したくありませんけれども、やはり今もう既に次の総裁どうとかという話が多分相当水面下ではあるんでしょう。けれども、やはり問題は、平沼大臣も含めて、これからの日本というものを一体どういうふうにしていくかということを皆さんが手を挙げて議論をしていく体制が本当は必要なんだろうなという感じは私はしていますから、そういう面で決断するときはやっぱり人間というのは決断せにゃいかぬのかな、こんな感じがしております。
 本題に入っていきたいと思うんですが、私はこの経済産業委員会の理事というのは実は初めてでありまして、正直言って、内容的には十分熟知をしているわけではないんですが、ずっと今まで平沼大臣の閣議が終わった後の記者会見とか、マスコミを通じていろんな点でメッセージを発信されてきている。私は実はそれを注意深く、インターネットからもとったりしてそれを拝見しているんですが、それを見ておりますと、最近の経済状況については、一応三月に入ってから改善の足踏み状態であるとか、デフレ云々のような表現もちょっと出ておりますけれども、総じて、アメリカ景気がずっと落ち込んできたり、あるいはまた今日の不況の状況をずっと継続しているんだけれども、大臣の認識としては日本経済のファンダメンタルズというのは全然変わっていないというところに、私はこの会見の内容をずっと見ておりますと、そういうふうに私はちょっと受けとめているんですが、大臣として現在の景気の状況についてどういうふうにお考えになっているのか、ちょっとこれをお聞きいたしたいと思います。
#30
○国務大臣(平沼赳夫君) 私の閣議後の記者会見の発言等をインターネット等を通じて足立先生には精査をしていただいて、大変ありがたいことだと思っております。
 私は、バブル崩壊後、日本の経済というのは非常に御承知のように停滞したことは事実だと思っています。しかし、いろいろな形で努力をした結果、ようやく企業の収益性やあるいは設備投資の面で顕著にあらわれてきまして、回復の基調に入ってきたことは事実だったと思っています。そういう意味では、例えば経済成長率がプラスに転じて、この最後の四半期のまだデータは出ておりませんけれども、それがたとえマイナス〇・八であっても一・二は達成できる、そういう一つの回復基調にあるということは私は事実だったと思っているんです。
 しかし、一つは、予算委員会等で宮澤財務大臣も繰り返し言っておられましたけれども、やはりその後に来るGDPの六〇%を占める個人消費に火がつかない。これはいろいろ、先行き少子高齢化を迎える、あるいは環境制約がある、そういった先行き不透明感で個人消費に火がつかない。そこへもってきて、非常に九〇年代好況であったアメリカの経済というものが減速状況になってきて、それにつれて貿易輸出立国の日本の輸出にも陰りが見えてきた。
 そしてもう一つは、これは月例経済報告でも緩やかなデフレ、こういう認識を新たに出しましたけれども、その一つの根拠というのは、消費者物価というのが二年連続下落をした、いわゆる消費者物価がマイナスだ、こういう形でありまして、戦後、世界の先進国を調べてみますと、先進国の中で二年連続消費者物価が下落したという事例はない。ですから、やはり緩やかなデフレ傾向に入ってきた、このまま放置しておくと非常に厳しい状況になる、そういう認識も私は持っておりまして、あちこちで言わせていただいています。
 ただ、先ほどもちょっと触れましたけれども、やはり経済成長のネックになっている、そういったいろいろな経済の構造改革でございますとか、あるいは不良債権の処理の問題でございますとか、こういったことをやはり避けて通れないという形で取り組む。そして、産業新生の基本行動計画のもとで具体的に今作業も進んでまいりました。また、不良債権処理についても、金融庁と我々と財務省と連携をして、とにかく不良債権処理について、あくまでも民間の責任でありますけれども、政府がどういう形でうまくサポートできるか、そういうことを模索しようということで、私ども経済産業省といたしましては、産業再生法というものを使いながら、しかし中小企業者に対してはセーフティーネットを構築しながらそういう体制も構築をしていこう、こういう形で今そういうネックになっていることも一つ一つ着実に解決をしていく。
 そういう前提に立って、私は、日本経済というのは今非常にマイナスの面しか強調されないけれども、しかしやはり世界に比べて、余り経済評論家もマスコミの人たちも言わないけれども、非常に力強い面もあるのではないか。
 例えば、個人のいわゆる資産というものが千四百兆近くあるような国もありませんし、また外貨の準備高も圧倒的に世界の中で大きいし、さらには貿易収支も常に黒字だし、また一億二千六百万人になんなんとする国民、均質で非常にポテンシャリティーの高い国民、またさらには、私どもとしては、こういう環境問題ですとか、いわゆる老齢化の問題なんというのを、逆に負と言われていたことを成長のエンジンに変えていけば、やっぱりきちっとやることをやればこの国の経済というものはまだまだ大きく飛躍する余地がある。それをするために、今ちょっと景気はそういう中で足踏みになりましたけれども、デフレ傾向を克服し適切な措置をしていけば、必ずポテンシャリティーからいって私は二十一世紀、日本の経済が安定的軌道に乗って、そして国民生活の向上が図れる、こういうことも可能だと。
 そういうことで、私はいろいろな機会でそういうことを申し上げているところでございまして、私の足元の経済に対する認識とこれからの日本の経済に対する一つの認識というのは以上のとおりでございます。
#31
○足立良平君 大変丁寧に答弁をしていただきました。
 今大臣のお話をずっと聞いておりまして、今日の状況の中で、私は、大臣も、まあたくさんずっとおっしゃいましたから抜けたのかもしれませんけれども、設備投資というのは相当落ち込んできている、それから先行指標である機械受注そのものも相当これは落ち込んできているということだろうと思います。したがって、そういう面からすると、今大臣もおっしゃったように、個人消費に点火がどうしてもうまくいかない。今、千四百兆近い金融資産というのを個人が持っている。だれが持っているのか、私も自分の懐から見ても全然ぴんとこないんですが、持っている。統計上そうなっている。それを持っていても全然個人消費が動かないという要因というのは、私はやはりここに一番問題点があるように実は思っているんですね。
 ですから、確かに個人資産なり、おっしゃったように外貨の準備なり貿易収支の問題なり、国民の教育レベルというかそういうレベルの問題も含めて、プラス要因というのはそれはそれなりだけれども、少なくともこの十年、十一年間の間ずっと、バブルが一九九一年でしょうか、ピークにして、九一年の一月か二月ぐらいからずっと下がり続けて、しかも何百兆円の景気対策をどんどん打ち込んできて、そして最終的には個人消費に点火させるつもりで十一年間ほどやってきて、それが全く点火することがない状態が今日まで来ているとなると、私はそう簡単な今までのやり方ではいけないのではないかというふうに実は思えてならないわけであります。
 だから、そういう面から先ほど私はあえて、ファンダメンタルズは全然変わっていないというふうに大臣はおっしゃっているけれども、やっぱりそうばかり楽観的に物を、まあ余り悲観的に考え過ぎてもいけないんですが、そういう面ではマインドを冷やし過ぎるといけないかもしれませんけれども、さりとてやはりその原因たるものはきちんと把握すべきことは把握しておかないと、私は対策を間違ってしまうのではないかというふうに思えてなりません。
 そこで、そういう意味で、それでは個人消費、最終的な個人消費に点火をさせる手法というのは、政策として一体経済産業省としてはどういう政策をこれから考えようとされているのかということについてお聞きをしておきたいと思います。
#32
○国務大臣(平沼赳夫君) 先ほどちょっと長々とお話をしまして、その中にも含まれているわけでありますけれども、確かに千三百九十兆になんなんとする個人金融資産があるにもかかわらず消費に火がつかないということは、総体的に言えば、先行きが不透明で、そこで国民の皆様方の財布の緒が非常に締まってしまっている、そういうことが背景に私はあると思っています。それは、やはり高齢化を迎えて老後がどうなるんだろうか、医療、年金あるいは介護、こういった問題について非常に先行き国民の皆様方が不安感を持っている、それがまた非常に消費を冷え込ませている、こういうことだと思います。ですから、私はそういう不安感を払拭する政策というものがこれから必要だと思います。
 そういう中で、経済産業省といたしましては、一つはやはり先ほど触れましたように産業新生のための基本方針、こういうものを時間を切って明確なスケジュールのもとに国民の皆様方に提示をして、そして、こういうことをこういう形で達成すればこういう未来が開けてきて、そこから新しい新規の産業も生まれてくるし雇用も生まれてくる、そういう形で二百六十項目に我が省が各省庁と連携をとってそしてまとめた行動計画、この中に私は具体的に、いわゆるITに向かっての電子商取引の促進をする、あるいはITに向かってやはり人材の教育をしていく、また全国のネットをやっぱり構築する、こういうことを具体的にやっていくことによって国民の先行き不透明感、そういうものは払拭されるわけですから、こういう二百六十項目というものを着実に実行して、そういう意味で国民の皆様方に理解をいただく。
 例えば、サッチャーという政治家が英国病と言われていた中で英国のいわゆる経済の再生をしたときに、はっきりした道筋を示して、多少痛みを伴うけれども先行きはこうなると、こういうビジョンを描いたわけでございますから、私は、その産業新生のプランの中でもう少し、今も一生懸命周知徹底するようにしておりますけれども、そういうことを周知徹底をして国民の御理解をいただく。また、これは私の直接の所管ではございませんけれども、厚生労働省におきましても、年金ですとか医療ですとか、そういった問題でこれから国民の皆様方に本当に将来的なビジョン、こういうものを提示することによってその不安感を払拭していく、こういうことも私はしていかなければならないことだと思っています。
 そういうことで、我が省としては中小企業というものも抱えておりますから、中小企業に対しましても中小企業の皆様方がそれぞれ活力を持っていくような政策も具体的にやらせていただいているわけでありまして、そういう中小企業対策というものも明確に力強く推進をしていくという形で、経済産業省といたしましては、そういうポテンシャリティーというものも日本はあるわけですから、そこを触発するようなそういうきめ細かい対策をやっていく。そういうことをやっていけば、私は消費というものにも結びついていく。
 一つ、いろいろなことがありますけれども、さっき触れましたように、電子商取引なんというもののジャンルというものを整備していけば、そこだけでも七十兆円の市場が開けてくる、こういう予測も立っていますから、そういうことを着実にやって、私は、消費拡大というものを経済産業省としては推進をしていきたい、このように思っています。
#33
○足立良平君 今大臣がおっしゃったように、私も全く意見が一致なんです。個人消費が低迷しているということは、先行きに対する不透明感ということが極めて大きいというふうに私も思います。
 少なくとも、先行きに対する不透明感、大臣はこれからそれをはっきりさせなきゃいけないとおっしゃるけれども、今日までの十年間の間に先行きに対する不透明感を透明にしていくというメッセージを我が国政府というものは今まで本当に発してきたのかというところが一番私は問題だろうと思います。だから、それがずっと今まで結果としてはやってきていない、だからこそ今、そういう今の状態、大臣がおっしゃったような状況に私はなっているんだろうと思いますから。ちょっと時間がどんどん過ぎてしまいますから、ここで余りこの点については議論をいたしません。そういう点では一度さらに考えていただきたいと思います。
 さてそこで、これは今まで大臣ばかりにお聞きしていましたから、副大臣の方にもちょっとお聞きを、これは事務的な問題ですからお聞きをしておきたいと思うんです。
 経済産業省設置法というのは、従来の通産省、私は通産省の方がなれているものですからつい通産、通産と言っちゃうんですが、経産省であるのか経済省であるのか略称はちょっと別として、経済産業省、経済という言葉がついたというのは一体何だろうなというのを私、実は一生懸命考えてみた。考えてみて、それはそれぞれ、ことしの初めでありましたか、事務次官がどこかでちょっと書いているなにも見ましたし、その意気そのものは一応私はそれはそれなりにいいというふうに思います。
 ここで、この第四条ですけれども、経済産業省の「所掌事務」の中で第一番目に「経済構造改革の推進に関すること。」、これが第一に挙がっている。そして、第三番目に「産業構造の改善に関すること。」と、こうある。「経済構造改革の推進に関すること。」、「産業構造の改善に関すること。」、ちょっと似たようなのがあって、またよく似ているようでもあるし違うようでもあるし、これは一体どういうふうに解釈したらいいのかということ、これをちょっと副大臣にお聞きをしたいと思います。
#34
○副大臣(松田岩夫君) 実は足立委員から御質問をいただいて、私も恥ずかしながら初めて経済産業省設置法を読まさせていただきました。
 今御質問の第四条第一号「経済構造改革の推進に関すること。」、第三号「産業構造の改善に関すること。」、この意味するところは何かという御質問であったかと存じます。
 経済構造改革の意味するところについてはさまざまな考え方がもちろんあるかと思うのでございますが、経済産業省としては、多少長くなりますが、事務方からいただきましたものをちょっと読まさせていただきますが、国際的な大競争時代が到来し、また我が国経済の潜在的な活力が低下するおそれが大きい中で、強靱な経済基盤を中長期的に確立すべく、各般の施策を関係省庁の有機的な連携の上に推進すること、すなわち産業横断的な基盤のあり方を対象とした概念だと。経済構造の改革というのは、産業横断的な基盤のあり方を対象とした概念だと、こういうことでございます。
 一方、産業構造の改善とは何かと。これまたちょっと読まさせていただきますが、我が国経済及び産業の持続的な発展を確保するため、経営資源を高付加価値部門にシフトすることにより、新たな産業の創出や既存産業の高付加価値化を図ること、すなわち、今申しました経済基盤の上に成り立つ各産業のあり方に着目した概念だと。これが一つの考え方、経済産業省設置法のコメンタールではそうなっておるわけでございます。
 経済構造の改革とは、繰り返せば、産業横断的な基盤のあり方を対象とした概念、産業構造の改善とは今申しました経済基盤の上に成り立つ各産業のあり方に着目した概念、こういうことでございます。
 具体的には、先ほど大臣からお話がありましたように、昨年十二月に当省が関係省庁の協力を得ましてまとめましたいわゆる行動計画、「経済構造の変革と創造のための行動計画」、これがまさに第一号に該当する仕事としてさせていただいたわけでございますし、例えば一昨年十月に施行されました産業再生法を通じて、経営資源の効率的な活用を目指した事業再構築のための企業による取り組みを支援している、これは今申しました設置法第四条第三号に基づいて行っていることである、こういう理解でございます。
#35
○足立良平君 そこで、もうちょっとお聞きしておきたいと思うんですが、経済構造の改革というものは、これ、エンドレスで経済構造改革をずっとだらだらだらだら牛のよだれみたいにやっているわけじゃない。やはりこれは、後ほど少しちょっと時間があれば触れてみたいと思うんですが、日米首脳会談の中でも不良資産の問題を含めて経済構造改革というのは早急に手をつけなきゃいけないということになっている。そうなってくると、私は、この「経済構造改革の推進に関すること。」というその考え方は、今日の我が国の経済の状況からしてある面においては政府として、イニシアをとるといったら言葉が悪いかもしれませんけれども、一つのいろんなインセンティブを与えながら早急にダイナミックに進めていかなきゃいけない問題だろうというふうに私は思っています。
 それが、その二百六十項目、大臣がおっしゃるように、これは三年以内でやるのかことしでやるのか、あるいはもう早急に手をつけるということになりますと、そうすると、この第四条第一号の「経済構造改革の推進に関すること。」というのは、ある面においては限定的なものになるというふうにも私は思うんですね。その点、これは産業構造はちょっともう省きますが、そういうふうに考えると、第四条なり、この「所掌事務」のこれというのはもう二年か三年たつとこれは改正をしなきゃいけないということも出てくるというように受けとめていいんでしょうか。
#36
○副大臣(松田岩夫君) ただいまの点でございますが、先ほど具体的な例としてまさに経済構造改革のための新しい行動計画というのをつくらさせていただきました。これは、まさに足立委員おっしゃるとおり、現在の日本経済が抱えておる問題、現在の日本経済が置かれている状況に照らして、一刻も早く措置すべきものとしてでき上がっておるわけであります。
 一応のめどといたしまして、二〇〇五年ごろまでにということをこの二百六十項目全体のめどといたしておるわけでございますが、二百六十のうち、いつも、大臣から先ほどもお話がありましたが、百三十項目は三年以内に、さらにそのうち百項目については一年以内ということにいたしておるわけでございます。この計画は、まさにこの経済構造の改革と申しますのは、今、足立委員おっしゃるとおり、今日の環境にあわせて今日すべきことをこうして実行させていただこうということで今鋭意努力をいたしておるところでございますが、もちろんその時々により経済構造改革のあるべき姿は当然進化していくものだと考えております。
 この意味で、今申しました計画の実現、経済構造改革が、今の構造改革が終わるという、その二百六十項目については終わりましても、新たに状況の変化は今日のこういう経済情勢、グローバルな時代、技術進歩の激しい時代、国内のいろいろな諸構造も変わっていく時代でございますから、そういう時勢の変化に応じて当然経済構造改革の中身そのものも変わっていく、それをしっかりフォローしていくと、こういう意味でございまして、第四条第一号に申します経済構造の改革をするという使命そのものはずっとあるものだと考えていくべき性格の事柄ではないかと思っております。
#37
○足立良平君 せっかく副大臣力を入れて説明していただいたんですが、私ちょっとわかりにくいのは、経済構造改革ということは経済産業省としては、原則的な考え方としては、市場が経済構造というものを変えていくものだというふうに原則的にお考えになっているというふうに私は理解をしているんです。
 二百六十項目というのは、私も実はこれは質問せにゃいかぬと思ってゆうべ一生懸命読んでみた。十二時過ぎまでかかって読んだんだけれども、一体これ何をしようとしているのか、どうなのかというのは私も正直言って、余りわからへん。また改めて聞きます、これは。これは一生懸命読んでみたんだけれども、何か理解できない。
 けれども、少なくとも、今いろんな規制というものが我が国経済の中に各官庁全部張りめぐらされて、そして自由な経済活動の中で、今いみじくも大臣や副大臣がおっしゃったようにいろんな状況の変化、そういうものに即応できるようなシステムが今できていない、規制に阻害されて。
 したがって、そういうものでは、経済構造改革というのは、いろんながんじがらめになっている規制というものを取り払ってしまって、あるいはまた経済原則、市場原則に基づいて、そして自由にそれが展開していくということを考えているのは、私は経済産業省だ。だからこそ、それは行政指導というわけのわからぬことを相当使っていることはありますね。あるけれども、他の省庁に比べたら規制緩和というものはより進めていこうという姿勢を持っていることも私は評価をしたい。
 となると、今おっしゃったように二百六十項目はやるけれども、世の中が変わってきたら、また次に経済産業省主導に基づいて、今度は二百六十が、これが三百になるのか百項目になるのか知らぬけれども、また構造改革をエンドレスでやっていきましょうという考え方は、私はちょっとおかしいのではないのかなという感じがするんですが、いかがでしょうか。
#38
○副大臣(松田岩夫君) 今、足立委員の申されました市場メカニズム、マーケットメカニズムを根本に置いておる、そのとおりでございまして、この新行動計画、読んでいただきましたように、経済の例えば要素であります労働とか資本とか、こういったものが市場メカニズムにあわせてまさにフル稼働できるような環境を整備する、そのために規制改革やらその他の条件を整備するというのが、大ざっぱに言えば、一つの大きな目的であるのがその今の行動計画、二百六十の中の多くの項目でございまして、まず基本の考えは足立委員がおっしゃったとおりでございます。
 同時に、経済構造というものは一たんつくり上げたらそれで終わりというようなものではないというのもまた事実かと存じます。それぞれ、経済そのものは生き物でございますから、ベースは市場メカニズムに依存しつつ、しかしその市場メカニズムを有効に働かせていくための諸条件というものは、ほっておいたらまた一方で規制になったり制約するものが生まれてくるかもしれませんし、一方で、民間が主導なんですけれども、少し後押ししたら一層それが促進される、こういうもう一つの側面もございます。その両方あわせてこの行動計画はでき上がっておるわけでございますが、そういった内容は一たんやったらそれでもう永遠に終わりという性格のものでないことは御理解いただけるかと存ずるのであります。
#39
○足立良平君 ちょっと、これまた少し議論を相当したりしなきゃいかぬと思うんですが、それは確かに、私は完全に市場主義者ではないんです、私自身は。ないんですが、しかし基本的な考え方としては、私はやっぱりそれでも市場というものを大変重視していかなきゃいけませんし、そういう面からすると、松田副大臣がおっしゃっているのは本当にそれでいいのかねという感じはちょっとします。後ほどまた改めて議論の場を設けさせていただきたいと思います。
 それで、これは簡単にちょっと大臣にお聞きをしておきたいと思うんですが、日米首脳会談で、不良債権の処理はこれはもう一応半年以内に処理をする、処理をすると言ったら言葉は悪いかもしれない、結論を出すというふうにこれは大臣として受けとめておられるというふうに考えてよろしいでしょうか。
#40
○国務大臣(平沼赳夫君) 森総理がブッシュ新政権と初会談、これをワシントンでやったわけであります。いわゆる経済問題を話し合ったときに、不良債権に焦点を当てて話があったということは事実でございます。また、共同声明においても、足立先生御承知のとおり、不良債権の問題に効果的に対処する旨述べております。政府といたしましても、不良債権の問題に早急に取り組む考えであることは、それは言うまでもないことだと思います。
 私、いろいろ調べてみましたら、半年というのが翌日の新聞等で躍ったわけでございますけれども、この半年というのは、実は経済もろもろで話し合っていたときに、日本サイドから、経済財政諮問会議の中でやっぱり日本の経済に対してマクロ的に、年金の問題ですとかそれを含めた社会保障の問題ですとか、あるいはその他この他の総合的な一つのシミュレーションといいますか、一つの姿、将来像、そういうものを描く作業というものを経済財政諮問会議では研究所、研究機関にお願いをして半年以内にそれの結論を出す、こういう形で、私も経済財政諮問会議のメンバーで、そのことに触れたときに、たまたま同行していた麻生経済財政担当大臣にこれは半年だね、こういうことでブッシュ大統領の前で言って、それでそれは半年ですよ、こういう話があり、これがあたかも不良債権処理問題の半年という形で報道されたということが私は真相だと、こういうふうに聞いております。しかし、早期にやらなければならないということは、これは事実で私はあると思っております。
 私は、記者会見等をお読みいただいているということでこういう御質問が出たと思うんですが、たまたま、私は産業再生法というもので不良債権を処理する一つの経済産業省の取り組み方針を閣僚の記者会見で冒頭発言をいたしました。記者の皆さん方の関心もそこに集中していろいろ話をしたときに、私としては産業再生法を使う、そういった不良債権処理というものは、やっぱりこの与党のいわゆる経済対策、そういうものと整合性を持って、それからもう一つは、私は朝刊を見て不良債権処理というものが半年ということが躍っておりましたから、そういうことを含めてやっぱり一つのタイム的な問題としては、半年ぐらいの中でなるべく早くやるべきだと、こういうことを私は主張いたしました。
 ですから、そういう中で、必ずしもアメリカに対する約束として半年、不良債権処理を半年以内にやると、こういうことには私はなっていない、今申し上げたような背景の中でなっていないと、こういうふうに認識をしているところでございます。
#41
○足立良平君 今大臣がおっしゃった記者会見の場合は、不良債権処理について半年以内、こういう形で国としても政府としても取り組むということに相なりましたので今まで我々が云々と、こういうふうにおっしゃっているようです。ですから、それは今大臣が釈明されたような状況下でそういうふうに認識をとりあえずあの時点でされたと。それで、森総理以下が帰ってこられて事情を聞いた上でというのが今の答弁としてなり、ひょっとしたら、政府として、アメリカ政府も違った認識、受けとめ方をしておったので、統一見解で何かそういうのは言っていないよというふうなことに言ったりとか、相当ちょっとあいまいな状態にあることは事実だと思います。
 ただ私は、今それをとやかく言おうとは今の段階では思いません。思いませんけれども、少なくともここで、その上でちょっとお聞きをしたいんですが、構造改革を進めるということで、ずっと今まで、前回の予算の委嘱審査のときにも大臣ずっと御主張されていたわけですが、この産業再生法ですか、略称ですね、これを使って云々というふうにおっしゃっている。
 そもそも産業再生法というものは、不良債権の放棄といいますか、債権の放棄ということを前提にした法律ではないわけです。したがって、そういう全然違った法律、ある面においては、これは産業の再生法でありますから、今日の三つの過剰の問題を一応処理していくということでつくられた法律であることは事実だけれども、いわゆるこの法律をつくった前提条件というのは、それは違う。少なくとも債権放棄を前提にしたものはこれは対象にしないということが、ある面においてはこの法律をつくったときの私は考え方だったんだろうと思っているんですね。それを、一点の法律の改正なりあるいはまた何もなしで、こんなもの全部こっちは省令を変えたらどうでもなりますよという物のやり方が、私はこれはいかがであるのかと。少なくとも立法府で議論をして決めたものが、行政府が全然違ったものを使っていこうという物の考え方は、私はちょっと理解できない。
 その点についてちょっとお聞かせを願いたいと思います。
#42
○副大臣(松田岩夫君) ただいまの点でございますが、産業再生法、それなりの成果を今日まで合計八十件ということで上げてきておるわけでありますが、足立委員もう御案内のとおり、個々の企業による自主的な事業再構築というものを積極的に後押ししていこうということで先ほどありました産業構造の改善に資していこうと、こういうことでございます。
 この産業再生法の御議論のときにもありましたわけですが、また直接、今お話のありました債権放棄とかそういうものを、過剰設備とか過剰債務といったものの解消を、直接的な解消をしていくというものでないことは先生御案内のとおりであります。
 ただ、そこの際に、結果として過剰設備があるいは過剰債務が解消されていくといいますか、減少していくという効果はもちろん想定しておったわけでございますし、またいわゆる支援措置として、例えば債務の株式化による環境整備といったようなことも一つの支援措置として考えておったわけでございます。
 そういう意味で、今回のいわゆる債権放棄による場合、金融機関の不良債権の処理に当たりまして金融機関が債権放棄をすると、そういう自主的な整理、私的な整理というものが個々の間の厳密ないろいろな話し合いの中で進んでいく過程の中で、そういったものを受ける受け皿の一つとしてこの産業再生法によってまさに債権放棄を受けることによって、今申しました中核的な事業再構築ができると。その事業再構築が目的でございますが、そういうものができるというケースの場合にはそれを認定し、支援していくということも考えていっていいという判断に至ったわけであります。
#43
○足立良平君 今、松田副大臣の方から、これは大変有効であったというふうにおっしゃっている。それで、実績をとってみたら、これで本当に有効と見るのかという感じが私はする、逆に。
 それは、そもそもこの法律はたしか平成十一年の秋だったでしょうか、これは今日の我が国の経済の状況を踏まえて小渕内閣としてはもう早急にやらなきゃならぬということで、国会を二カ月くらい延長をやって、そしてある程度これは大変な熱意を持ってやった法律であります。そして、それが今日までその対象になっておるのは約八十件ですね。あるいはまた今答弁の中で、たしか債務の株式化という話があったんです。債務の株式化の対象になっているのは二件しかない、今、実績として。わずか二件ですよ、一年半の、この施行して。
 これが早急に、過剰債務であるとか過剰設備であるとか、まあ過剰労働についてはよく労働組合と話をせいということになっているけれども、それはちょっと横に置いて、早急にこれをやらなきゃならないというのは、これは我が国経済の今日の不況の状況がバブルがはじけて以降ずっと続いてきているんです。そして、これで早急にやろうとしている。すると、わずか八十件だと。しかも、その八十件の中身というものを考えてみると、本当にこれは、まあどうしてもやらなきゃいけないと言うたら言葉は悪いかもしれぬけれども、例えばトヨタ自動車であるとか住友金属であるとか三菱自動車であるとかというふうに、あるいはまたその他日本で大企業と言われるような企業がずっと並んでいる、実績として。
 というふうに考えてみると、本当に我が国の今日の経済で一番不良債務なり過剰設備を持ったり、一番ここで経済の発展というか回復に阻害をしているようなゼネコンの問題とか、いろんな建設業、不動産業あるいはまた流通業等々を含めて、こういうところについてはほとんどこれは対象というか、申請されていない、認可されていない。というふうに考えてみますと、本当にこの法律というものが今副大臣がおっしゃったような認識を持って受けとめていいのかどうかというふうに私は実は思う。
 あと時間が余りありませんから、もう答弁はいいです。
 それで、その上で私は不良債権の問題の処理の中で、ずっと内容をちょっと一つ一つチェックをしてみますと、実はこの認定基準というものについて、これは大変に難しい基準に相なっているなというふうに思う。この認定基準がずっと、これはそれぞれ、生産性が相当程度向上するとか、あるいはまた計画の実施が円滑かつ確実に実施されると見込まれるものとか、あるいは経営資源の有効活用とか、これちょっと一応全部認定基準としてあるわけでありますが、そうすると、この状態、今までの認定基準の中では、債権放棄をした、今度新たに出てくる問題ですね、債権放棄をした企業というのはこの認定基準ではだめだと。ということは、最低、債権放棄をするような企業というのは対象外ということをまず限定的にこの認定基準は間接的に言っているように私は受けとめているわけですね。
 だから、大臣も、たしかこの債権放棄を受けた企業の適用というのは追加で二つくらいですね、本業の収益で十年以内で有利子負債の返済を可能だとか、あるいはまた毎年の事業収支が黒字になるようなとかいうふうな条件をおつけになっている。これも私はそのまま受けとめているんですが、実際的に債権放棄をして、そして企業が本当にうまく回転しているのかというと、今までの帝国データの調べによりますと、債権放棄をしたとしても二七%の企業は結果として全部倒産している。そうすると、倒産するような企業についてはこれは対象から外しますよと予定している、こっちの法律は。実際は、債権放棄した今までの実績からすると、二七%は放棄したにもかかわらず一応倒産をしているという実績がある。今日の経済の状況からするなら、私はそういう状況はまだ続く可能性を持っていると、ぐっと上がらないですからね。
 そうすると、私はモラルハザードが相当生じてくるのではないかというふうに思うんですけれども、その点についてどういうふうにお考えになっているでしょうか。
#44
○副大臣(松田岩夫君) 今回新たに講じようとしております措置は、先ほどから申しておりますように、私的整理の取り組みを側面から支援しようと。あくまでも当事者間の協議と合意による私的整理を前提として行おうとするものでございまして、先ほどお話しありましたように、金融機関の不良債権の直接処理といいますか、そういったことをこの際しっかりと進めさせていただくという新たな状況の中で、金融機関を中心とする当事者間で債権放棄が合意される場合に対応するための事業再構築計画の活用と、こういうことでございます。まずそれが大前提でございます。
 先生御案内のように、現在の産業再生法におきましても、今言いました認定を受けまして構造改善をしていただくわけでありますが、構造改善をしておる企業の将来の経営としての、先ほどお話ありましたように市場経済でございます、経営の将来にわたる安定性までを我々政府が確認しているとか、そういう性格のものではございません。
 もちろん、我々認定をいたす以上しっかりとやっていただきたい、そういうことで見させていただくわけでございますが、事柄の性格上、今回新しい措置をとることになりましても、従前の運用と同様、将来の当該企業の破綻の有無を担保するような性格のものでもございませんので、あくまでも当事者間の厳密な協議と合意によってでき上がったものを支援させていただくというものでございますので、御心配になられましたモラルハザードといった問題も従来と同様ないものと考えております。
#45
○足立良平君 これは経済産業省が認定するわけですね。ですから、そういう面からすると、認定するというのはそれは経済産業大臣の責任で認定するわけですからね。これは生産性向上だとか、あるいはまた十年間で有利子負債が一応解消できるとか、あるいは毎年の決算が黒字経営になるとか、これを一応出された資料に基づいて認定するわけだから、それは経済は生き物だから実際的にはそのとおりいくかいかぬかというのはあるかもしれません。だから、そういう面で私はあえて申し上げているので、その上での話で、具体的な話になると、またこれはちょっと別の場所に譲りたいと思います。
 それで、その他、相当この問題の、認定をめぐりましてとか、認定の仕方の問題であるとか、事後チェックの問題であるとか質問項目出していましたけれども、時間がありませんから、もし時間があれば後ほどまたもう一遍返ってきたいと思います。
 それで、ちょっとエネルギー関係についてお聞きをしておきたいと思うんです。
 厚生労働省の増田副大臣お見えでございますから、エネルギーの問題について、特にこれは電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律というのが昭和二十八年八月七日に成立をいたしています。いわゆるスト規制法というものであります。
 これについて労働省は、もう簡単でいいですから、今までこれの法律の改廃について検討されておりますか。
#46
○副大臣(増田敏男君) 端的にお答えを申し上げます。
 昭和二十八年の先生がおっしゃいましたただいまの法律、その後何回か調査会等が行われました。四十一年の報告、そして昭和五十二年の調査報告、その後、平成九年九月から調査会の廃止について関係労使団体である電力総連及び電気事業連合会等に対して説明し、いろいろと議論がなされまして、平成十一年度予算から調査会を廃止したという経緯で実は今日に至っております。
 そこで、お答えになるわけですが、電気事業においては、停電ストが行われると、先生御案内のように国民経済、国民生活に甚大な影響を及ぼすことでございます。一般の需要に応じ電気を供給する事業等については、スト規制法の必要性は引き続きあるものという理解で現在おります。
 以上です。
#47
○足立良平君 そこで、これは前提条件をもう少しして議論を進めさせていただきたいと思うのは、昭和二十八年当時、それから今日、経済産業省の方においては、電力の自由化ということをテーマに置いて今いろんな議論を進めているところですね。
 いわゆる一社で供給責任を持って、そしてそこで電力を供給する場合に仮に争議行為が行われたときには、お客様には大変な迷惑を受けることにつながってくるわけです。ところが、実際的に電力が自由化をされていわゆる供給先というものがある面では自由に選択ができる条件が出てきたときには、当然従来の独占体制の中におけるそういう争議行為の規制の問題と、自由化が行われて自由にある程度供給先というのが選べるような状態における争議行為の規制というものとはおのずから変わってくるのが至当ではないかというふうに私は実は思っているんです。
 だから、事業の自由化との兼ね合いの中でこの問題というのは考えていく必要があるのではないかというふうに思うんですが、その点について厚生労働省としてはどうお考えでしょうか。
#48
○副大臣(増田敏男君) さらに重ねて、自由化になったら今後の対応はどうだというような端的なお尋ねだったと思います。
 そこで、お尋ねのような場合につきましては、今後の電力の自由化についての議論の進展を見ながら対応を検討していく、こういうことに実はしてあります。したがって、先生は電力の専門家ですから、その辺全部踏まえながら、諸外国を展望しながら御質問なさっているという背景もよくわかります。
 したがって、ぜひ、お尋ねのような場合については、議論の進展、自由化の動向、これを見ながら対応を検討していきたい、こういう姿勢でございます。
#49
○足立良平君 それでは、厚生労働省、もう結構ですから、どうぞ退席してください。御苦労さまでした。
 さて、その上でこれは経済産業省の方にお聞きをしておきたいと思います。
 エネルギーの自由化、これは電力の自由化という部分にとどまらず、エネルギーの自由化という点でちょっと基本的な考え方をお聞きしておきたいというふうに思うんですが、一般的に産業における自由化というのは、それぞれの競争関係の中で価格が下がり、あるいはサービスが向上し、そしてそのことによって市場というものはさらに拡大をしていくということが私はあり得るのではないかというふうに思うんです。
 ただそこで、電力なりエネルギーというものの自由化というのは、それだけの問題ではなしに、例えば国としてのセキュリティーの問題がどうであるのか、あるいはまた環境との調和の関係をどのように考えていけばいいのかとかいろんなファクターがある。だから、一般的な産業なりあるいは一般的な商品の自由化を進めていくに当たっての概念と、このエネルギー産業における自由化の概念というのはおのずから制約条件がある。カリフォルニアの問題については、この前、議論がされておりますから私はここで余り取り上げようとは思いませんが、エネルギーの自由化というものに関してそういう点を私は今思っているんですが、それについて経済産業省としてどういうふうにお考えでしょうか。
#50
○副大臣(中山成彬君) お答えいたします。
 今、足立委員がお話しになりましたように、エネルギーというのは一般の商品あるいはサービスとは性格が異になるものだと、このように考えておるわけでございまして、国民生活あるいは経済活動にとって不可欠な必需財でございます。
 安定供給ということも考えなきゃいけませんし、また環境ということも考えていかなければならぬわけでございまして、これからのエネルギーの自由化ということに関しましては、多様な選択肢の中からこれらの課題にどのようにこたえていくか、どういうシステムを構築していくかということも十分配慮しながらやっていく問題だと、このように考えているところでございます。
#51
○足立良平君 今の中山副大臣のお話は、結局、エネルギーの場合には自由化ありきというところではないんだというふうに受けとめさせていただきたいと思います。それでよろしいでしょうか。
#52
○副大臣(中山成彬君) 自由化の路線ということはこれまでもやってまいりましたし、既定路線でございますけれども、それを考えるに当たっては、先ほど言いましたように、要するに国民生活の問題とかあるいは環境の問題とか、非常に基幹的な重要な問題であるということを認識しながら進めていく問題だというふうに認識しているということでございます。
#53
○足立良平君 そうしますと、環境との関係についてでありますが、環境との関係について、COP3、長期のいろんな試算を今やっているわけでありますが、これについて実現が大変に難しい状況に今なってきている、エネルギーの最終消費が、という試算が出ていることを私は承知をいたしております。
 したがって、そういう観点から、これから経済産業省として、どういう政策でCOP3の国際的な公約を達成するためにやっていこうとされているのか、これをお聞きしたいと思います。
#54
○国務大臣(平沼赳夫君) 大変、私どもとしては大きな問題だと、こういうふうに認識をしております。
 我が国のエネルギー政策においては、環境保全は重要な課題であります。特に、今御指摘のCOP3の合意を踏まえて、エネルギー起源の二酸化炭素排出量を二〇一〇年度に九〇年度と同水準に抑制する、これが目標でございます。
 近時のエネルギー需給両面における各種情勢の変化を踏まえて、昨年四月から総合資源エネルギー調査会において、需給両面における現行施策の評価や施策全般にわたる今後のあり方、さらには長期エネルギー需給見通しについて目下検討を行っているところであります。
 もう足立先生御承知だと思いますけれども、現在の検討状況といたしましては、この三月六日に行われた総合資源エネルギー調査会総合部会及び需給部会合同部会におきまして、現在の政策枠組みを維持した場合の二〇一〇年度におけるエネルギー需給像が基準ケースとして示されました。この中で、二〇一〇年度のエネルギー起源の二酸化炭素排出量は、炭素換算で九〇年度の二億八千七百万トンを約七%超過して三億七百万トンになると見込まれているわけであります。
 したがって、非常に大きなハードルと、こういうことが前に立ちふさがっているわけでありますけれども、今後は、この基準ケースを踏まえて総合資源エネルギー調査会においてエネルギー起源の二酸化炭素排出抑制等を実現しなければなりませんので、その抑制を実現するために、需給両面における対策について幅広く検討を進めていただくことに相なっております。あわせて、今後目指すべきエネルギー需給の姿を目標ケースとして策定していただくことになっています。
 本検討を夏ごろまでに取りまとめていただいて、こうした取り組みを通じて適切なエネルギー政策を構築してまいりたい、このように現状思っているところでございます。
#55
○足立良平君 そこで、今、自由化議論とのここでもう一度絡みが出てくるわけでありますが、一般的に、この自由化ということによって競争関係の中で、例えば電力料金というものを低価格にしていこう、競争の条件の中で、というのが自由化の一番大きな私は目標、目的になっているんだろうと思いますね。そうすると、一般的なものとして、価格が下がってくれば需要というものはそれだけふえていく可能性を持っている。価格が下がれば需要はふえてくる。それを、需要がふえるということは、CO2の排出が一方ではふえるということになる。大変相矛盾した状態になってくるわけですね。ですから、環境というのを、言葉では簡単に環境との整合性を図っていきますと、こうおっしゃるけれども、実際は全く違った現象が生じてくるわけです。
 例えば、マイクロガスタービン、これはコージェネレーションの中に入るのか入らないのかは別として、例えば、今ローカルエネルギーとしてこれから私はやっぱりスーパーであるとかあるいはまたその他いろんなところでどんどん伸びていくだろうと思います。これは、大量生産、大量使用、大量廃棄という、大きな発電所をつくって送電線をどんと引っ張ってきてというのからすると、ローカルエネルギーとして、私は、それはそれなりに一つの考え方としてはあり得るんですね。ところが、これをいわゆるコジェネとして熱を使わない場合、例えば夏季なんか、多分今はガスでやるんでしょうけれども、そうするとそれはCO2をそれぞれ排出してくる。そうしたら、これからのエネルギー源として、いわゆるローカルエネルギーとしては、それはそれなりに肯定されるんだけれども、一方においては、大変そういう問題を今度は派生をしてくることもなってくるわけです。
 だから、そういう点を考えてみると、これからのこの環境問題というものについて、私は、ある面においては、これは経済産業省としては、環境を守るという面においては社会的規制というものが必要になってくるだろうと思うんですけれども、そういう面で、もう少しちょっと踏み込んだこれからのあり方というものについて考え方をお聞かせ願いたいと思います。
#56
○副大臣(中山成彬君) 今お話しになりましたように、自由化によりまして料金が下がれば需要がふえて、これは環境上は問題ないかと、こういうような話でございまして、まさにそういった面があることは事実であろう、このように思っておるところでございます。
 そこで、マイクロガスタービンについてのお話もございましたけれども、マイクロガスタービンにつきましては、窒素酸化物の発生が従来のディーゼル発電機等より格段にすぐれているという特性がある上に、天然ガスをその燃料として用いた場合には二酸化炭素発生量がほかのものよりも相対的に少なくなる、あるいはまた熱電併給を行うコジェネとして用いる場合には一層総合熱効率が向上するといったような利点があると、このように認識しているところでございまして、マイクロガスタービン等のコジェネとしての導入促進に対しましては、省エネの観点から、税制とかあるいは財政投融資等によりまして支援を行っているところでございます。
 これらもろもろのことを考えまして、ただいま審議中でございますけれども、安定供給とかあるいは環境とか、さらに自由化と、またいろいろ難しい問題がございますけれども、全体として考えていくべき問題だと認識しているところでございます。
#57
○足立良平君 ちょっとこれは、中山副大臣、マイクロガスタービンが環境にいいというのは、私は熱効率としては、発電だけを見ますと大体三〇%くらいだろうと思いますね、発電効率としては。ですから、熱を利用しなければ、マイクロガスタービンというのは発電効率が悪い、一般の火力発電所に比べましてね。ただ問題は、冬はいいんですよ、熱をそのまま暖房に使えるから。夏、全部これ排出しちゃう、ヒートアイランドになっちゃう。それで、これは発電効率としては大体二〇%、二五%前後ぐらいだろうと思います。
 そうすると、ちょっとその面で、私は今の答弁というのは少し実態にはそぐわないのではないかというふうに思います。私ももう少しその点は勉強しなきゃいけませんから、私の言っているのは間違っているかもしれません。けれども、ちょっと私はそう思っているんです。
 それと問題は、やはり今原子力発電というのが、これはCO2を全く排出しない発電。そのバックエンドの問題をどうするかという問題はちょっとあるんですが、この原子力というのは全くCO2を排出しません。これがベース電源になっているわけです、昼間を中心にして。
 そうすると、今マイクロガスタービンを導入いたしますと、今度はこれがベース電源になる、その箇所においては。だから、全くCO2が排出されないベース電源の原子力を使わずに、いわゆるガスを使った、その箇所だけですが、これがベース電源になってまいりますとそこに新たにCO2が発生する、そういう意味なので、ちょっとその点も私は実態的にはどうであるかという感じがいたします。
 それで、時間がもう余りございませんので、最後ですが、これはちょっと大臣にお聞きをしておきたいというふうに思うんですが、自由化をどういうふうに進めていくか。私は自由化を否定しようとは思っていないんです。エネルギーの自由化についてはこれは全面的に否定をしようとは思っていない。けれども、この安定供給あるいはまた環境との関係、あるいはまた日本国としてのセキュリティー等々を考えてみると、私は、大変これは決断を要するのは、市場原理だけでエネルギーを考えてしまうと、やっぱりちょっとこれから日本のエネルギー政策としては間違いを犯してしまうのではないだろうかという感じがしてならないんです。
 それは、昨年の当委員会でも私は若干申し上げたんですが、原子力一つとりましても、これはバックエンドの問題、廃棄物の問題を含めて方向性は定まっているんですが、それぞれの住民の皆さん方の理解というのがなかなか得にくい問題が一つある。
 さりとて、今自由化を進めてIPPとの競争関係が進んでまいりますと、もう初期投資が大変な投資になってきて、そしてこれは下手をしたら三十年、四十年後に不良資産化するのではないかというふうな感じに思えるような今のエネルギーの変化の中では、原子力についても電力会社も本当にこれから何としてもやらなきゃいけないという気持ちになるのかどうなのかといったら、少し私はクエスチョンマークを実はつけます。
 ですから、そういういろんな点を考えてみると、これからのエネルギーの需給の関係というものを考えてみたときに、一体だれが本当に責任を持ってくるんだろうか。今までは長期需給計画をつくって、これは電力会社から出させて、そして一応国としてある程度それを認めてこれで行きましょうということになっていたけれども、これからは、自由化なら自由化を進めていったときに、実はそれぞれ各企業が最大の利益を追求していくとなると、そういうリスクの多い投資、しかも長期的な相当長い投資というものは行いにくくなってくる。
 そうなってまいりますと、私はこの安定供給というものが実は大変難しくなってくる要素があるのではないかというふうに思えてなりません。とりわけ原子力問題についても、十三基、十三基と今まで修正して言っていますけれども、この問題にとっても私はそういう点があるのではないかというふうに思いますので、そういう観点でひとつ考え方を最後にお聞きして、終わらせていただきたいと思います。
#58
○国務大臣(平沼赳夫君) 本当に足立委員御指摘のように、やっぱり電力の自由化というのはグローバリゼーションの中で一つの流れである、こういう認識を私は持っておりますけれども、一方で今御指摘になられたようないろいろな看過できない非常に重要な問題がございます。
 また、カリフォルニア州の状況にもかんがみて、電力というのは安定供給というものが非常に大切でございまして、自由化というような一つの流れの中で検討している我が国の中で、カリフォルニア州のああいうクライシス、危機的な状況というのはやっぱりしっかりと受けとめなければならないと思っています。ですから、そういう意味で、私どもはこれをちゃんと調査しなきゃいかぬということで、実は調査団を派遣いたしまして、これはもうよく足立委員御承知のように調査結果も出つつございます。
 したがいまして、私どもとしては、やはり一つの流れであるけれども、電力というものは初期投資も大変膨大なものでありますし、またランニングコストも非常に高いものである。そういうようなことを考えますと、もちろん環境の問題もあります。
 ですから、そういう中で一つの流れでありますけれども、我々は電力の安定供給と安全さ、これを確保していくためにやはり慎重にこれからそういういろんな問題の分析をしながら、そして自由化も一つの流れと踏まえつつ、我々としては一番いい道は何かということも衆知を集めてこれから検討しまとめていかなければならない、そういう基本的な考えを持っております。
#59
○足立良平君 終わります。
#60
○委員長(加藤紀文君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
   午前十一時五十八分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
#61
○委員長(加藤紀文君) ただいまから経済産業委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、経済、産業、貿易及び公正取引等に関する調査を議題とし、経済産業行政の基本施策に関する件及び公正取引委員会の業務に関する件について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#62
○海野義孝君 公明党の海野でございます。
 大臣初め皆様、大変御苦労さまでございます。きょうは細々とした問題を経済産業省とそれから公取委員会の方に七、八問ぐらいお聞きしたいと思っております。時間は多少早く終わるんじゃないかという感じでございます。
 最初に、先週のいわゆる委嘱審査のとき、あるいはきょうの午前中の討論の中にもいろいろ出ておりましたし、大臣からも御答弁がありましたけれども、景気の問題についていろいろ言われているわけでございますけれども、そうした中で、産業界どうなんだということでございまして、新聞報道等によりますれば、この三月の決算は経常利益ベースで二五・五%ぐらいということでありますけれども、来年度の見通しは五、六%ぐらいというようにかなり伸び率は鈍る、急激な伸びの後で大分伸びは鈍るというような報道がされているわけでございます。
 そうした中で、設備投資等につきましても大変このところ活発でございましたけれども、先行きについてはやや慎重な動きが見え始めているということがありますけれども、やはり我が国の今後の産業構造の改革あるいは安定した経済成長軌道に乗せるためにも、産業界の動向というのが大変注目されているわけでございますけれども、企業の開廃業率の問題というのがよく言われるわけでございまして、この点では、昭和六十一年をピークにというか境にしまして開業率と廃業率が逆転したと、こういう状況になってきているわけでございます。
 六十一年ごろまでといいますと、ちょうどバブルに差しかかる直前で、大変高度成長が続いていた時期でありまして、産業界におきましても大変活況であったという時代でございましたけれども、バブルの発生以後、今日に至るまで大変な激動というかそういう時期にあるわけでして、やや産業界もそういう意味では気色が悪くなってきたということでございます。
 そういったことで、せっかくいろいろな法律をつくって努力されているわけでございます。新規産業の育成のためにも、例えば中小企業の創造法であるとか新事業の創出促進法等、技術開発の支援とか投資促進等のための措置を講じてきているわけでありますけれども、そうしたことが近年数字的にも効果をあらわしてきているかどうかというような点についてまず一つはお聞きしたい。その後また大臣にこの問題についても少しお聞きしたいと思いますが、まず当局の方で、この点についての何か数字的な面でも変わった面が出てきているかどうか、その辺いかがでございましょうか。
#63
○政府参考人(斉藤浩君) 御指摘のとおりでございまして、これまで中小企業創造法、それから新事業創出促進法等によりまして、創業の支援あるいは開業に際して必要になります資金調達あるいは成長に一番重要と思われます技術開発の支援等を行ってきております。
 これらの優遇措置の利用状況についてまず御説明申し上げたいと思います。
 中小企業創造法におきましては、特に創業をされる中小企業者の方々の資金の借り入れというものが重要でございますので、その際に信用補完の枠の拡大という優遇措置を設けております。その優遇措置を受けるための認定件数ということでございますが、本年二月末現在で七千四百二十九件という実績になっております。
 それから、技術開発等をしてどんどん伸びていく新事業創出促進法につきまして、これにつきましても、やはりベンチャー企業の創業者が銀行から資金調達をしたいという場合に無担保無保証でも受けられるようにということで、信用補完制度の特例を設けております。この実績につきましては、本年二月末現在で五千八件という実績になっております。
 それから、伸びていただくために技術開発の支援ということも大変重要でございます。特に、政府で行っております技術開発に対する補助金等の中で、中小企業者の方々に大いにその技術開発の補助金を使っていただこうということで目標を政府部内で設けております。英語の頭文字でSBIR制度というふうに呼んでおりますが、これで本年度の目標額を百三十億円ということで、昨年に比べまして三十億円強の増加ということで、中小企業者の方々、ベンチャーを中心に大いに政府の技術開発資金を使っていただこうという援助をいたしております。
 それから、さらにその段階が過ぎまして株式公開を目指すベンチャーの方々につきましては、新事業創出促進法の認定を受けますとストックオプションの特例が受けられるということになっております。この制度は大変人材の確保の面で有効とされておりまして、昨年の三月から一年間の実績でございますが、もう百十件の認定を行っているということでございます。
 具体的にその成果ということになりますと、議員から御指摘ございましたように、依然として残念ながら廃業率が開業率を上回るという実態は変わっておりませんが、近年、特に十一年、十二年にかけましては、ややその低下傾向に歯どめがかかったのではないかというふうに思っております。例えば、一つの例としまして新規設立登記をされた会社数というものを見てみますと、平成十一年、十二年にかけまして増加傾向にあるということでございます。
 それからまた、ベンチャーの企業の方々の資金調達面で一つの目標とされておりますのが株式公開でございます。従来、日本では公開まで行くに際しまして大変時間がかかるということが言われておりました。これにつきましても、一昨年以来、従来の店頭市場に加えまして、マザーズあるいはナスダック・ジャパンというベンチャーの方々が株を公開するというその市場が相次いで整備をされているということもございまして、例えば創業から株式が公開されるまでの期間というものをとってみますと、平成七年には三十二年という非常に長い期間でございましたが、平成十二年には二十二年ということで、十年間の大幅な短縮が見られている等の効果が出ているものと考えております。
#64
○海野義孝君 どうもありがとうございました。
 今御答弁いただいたように、いろいろな御努力によって少し効果がやっぱりあらわれてきているというふうに私は理解します。
 これは総務省の統計局のデータでございますけれども、大体三、四年ぐらいくくった平均値での開廃業率を出しているんですが、これによりますれば、平成六―八年の開業率が三・七であったのが八―十一年では四・一というように上向いてきているということでございまして、これは大変結構なことだと思うんですが、ちょっと解せないのは、廃業率の方が六―八年が三・八であったのが八―十一年にかけては五・九というように近年にないような数値にはね上がっているということですが、これはあらかじめ御答弁をお願いしていないかと思いますので、すぐ即答できないかと思いますが、何かつかんでいらっしゃるようでしたら、ちょっとその辺お答えいただけたらと思います。
#65
○政府参考人(斉藤浩君) 開業率と廃業率につきましては、いろいろなデータがございます。今議員の御指摘がございました総理府統計局の事業所統計、これは三年くくりでございまして、確かに廃業率は平成六年から八年までに対しまして八年から十一年にかけてかなり大幅に上がっております。
 一方、もう一つの統計といたしまして、雇用保険事業という、言ってみれば雇用者を雇っている事業所という単位で見たものもございます。これの状況も、開業率、廃業率をそれぞれ出しておりまして、これを見ますと、毎年出しているんですが、平成八年の二・五%から、廃業率で申し上げますと、平成十一年にかけまして四・〇ということでかなり上がってきているということでございます。一方、開業率につきましては、大体四%内外で推移をしているということかと思います。
 その間、特に八年から十一年という時期を考えますと、実はこの統計自身では何の分析もしていないのでございますが、我々経済産業省として経済を見ている立場から推察をいたしますと、やはりバブル後の清算ということで多くの事業所が事業を閉めると。会社が全部つぶれてしまうというばかりではなくて、事業所統計でございますので、事業所数で見ますと、例えば不採算部門を大いに閉めましてもうかるところに集中するというような事態がちょうど企業のリストラという形で進んでいた時期かと思います。そういうこともありまして、事業所数で見ますと、かなりそういう意味では大きく廃業率といいますか閉鎖をした率が出ているんではないかというふうに推察しているところでございます。
#66
○海野義孝君 ただいまの御指摘のように、やはり大手の企業等も近年急ピッチでリストラを進めてきたということがございまして、それに関連したグループ企業あるいはいわゆる外注、下請等の企業等においても当然不採算部門等の整理をするというようなことが近年急速に進んだと。
 そういった中で、一方では、諸施策によりまして、いわば開業率の面でも前向きの、リストラ後の新しい挑戦といいますか、そういう動きも出てきたんではないかと、こういうように思いますが、いずれにしましても産業界、企業が元気を出してもらわなくてはならないわけでございまして、そういう意味では経済産業省、なかんずく大臣の今後の御決意といいますか、そういったことがやはりそういった企業に対しても大きな希望というか目標を与えていくということになるんではないかと思いますので、開廃業等の最近の企業動向を踏まえての御決意を一言お願いします。
#67
○国務大臣(平沼赳夫君) 先生御指摘のように、新規のベンチャー企業、これは我が国経済の活力の源泉であると、そういうふうに思っておりまして、その創業を活性化して育成を図ることは新たな産業の創出と良好な雇用の機会、これの確保を図る上で極めて重要なことだと、このように認識しております。
 このため、従来から、新しい市場の創出、そしてそうした新しい市場においてベンチャー企業が円滑に企業活動が行えるようにするための環境整備、こういう二つの側面からの施策を一生懸命講じているところでございますけれども、今後とも、今申し上げたような重要性にかんがみまして、これを強力に推進していく考えでございます。
 一つ目の新しい市場の創出の側面から、昨年十二月に「経済構造の変革と創造のための行動計画」、これを閣議決定いたしまして、IT分野、エネルギー分野、医療、福祉や環境など今後の成長が期待される分野における新規産業創出のための施策に取り組んでいるところでございまして、こういった施策を着実に推進してまいりたい、このように思っております。
 また、二つ目のベンチャー企業などが円滑に企業活動が行えるようにするための環境整備の側面についてでございますけれども、直接金融市場の活性化など資金面、そしてストックオプション制度の整備など人材面、産学連携の一層の推進など技術面からのこういう施策もやはり積極的に取り組んでいかなければならない、このように思っているところでございまして、委員御指摘のとおり、大変日本の産業の活性化のために大切なテーマでございますので、一生懸命にやってまいりたい、このように思っております。
#68
○海野義孝君 そういった面でも、特にそういった産業界に対するPRといいますか、こういった制度があるというようなことにつきましても、あるいは税制上の措置等についても、意外に地元なんか回ってみましてもそういったことについて知らないというような例があるわけなんですね。ですから、大いにそういった施策について宣伝をしていただきたい、こう思います。
 次に、科学技術に関する総合戦略につきましてのお取り組みについてお聞きしたいと思います。
 新聞報道等によりますと、科学技術基本計画というのは月中にも、もう残り少ないんですが、決定される予定で、今後五年間で二十数兆円というような研究開発を進めていくというようなことも聞くんですけれども、その事実はともかくとしまして、さっきの大臣のお話にもありましたけれども、今後のグローバルな競争がさらに深化していく中で、我が国にとりましても先端技術開発等を通じての国際競争力の確保、維持、こういったことがもう重要であることは論をまたないわけでございます。
 そういった点では、これまでの我が国の技術開発については、従来的な省庁間の縦割り行政等の弊害もあったかに思いますけれども、これからの二十一世紀の我が国の競争力に影響を与えるという点では、特に当面の五年、十年というのは極めて重要なわけでございまして、そういった意味でも、ことしの一月に総合科学技術会議と協力しての基本計画の推進というのがこの一月に総合科学技術会議で出たわけですけれども、これと協力しての省庁間の縦割りを排するように推進していくということが、そういう取り組みがやっぱり大事だと思うんです。
 この点もちょっと大臣にお聞きしたいんですが、そういった点で経済産業省が技術開発支援政策に関してのイニシアチブをとって、科学技術基本計画の着実な推進、縦割りの是正、政策評価制度の確立、そういった点に努めていかれるべきではないか、こう思うんですけれども、御見解をお聞きしたいと思います。
#69
○国務大臣(平沼赳夫君) 海野先生御指摘の点、そのとおりだと思っております。
 国民が豊かな暮らしを享受するためには、新しい技術革新を次々に生み出す国際競争力のある産業の創出、発展につながる技術フロンティアへの開拓の取り組みというのが不可欠だと思っております。このような技術フロンティアの開拓に当たっては、政府の重点的な研究開発投資とそれを効果的、効率的なものとするための科学技術システムの改革を車の両輪として進めることが重要だと思います。
 具体的には、ライフサイエンス、情報通信等の戦略的に重要な分野に対する重点的な研究開発投資や、産学官連携の強化等の科学技術システム改革の推進も必要であります。
 経済産業省といたしましては、このような観点から、三月中に決定される予定の科学技術基本計画の着実な実施について、科学技術政策推進の司令塔である、私もそのメンバーの一員でございますけれども、総合科学技術会議とよく連携をして、今ともすれば縦割りになると、こういうふうな御指摘がございましたけれども、やはり省庁間の連携で縦割りにならないような各省とのしっかりとした連携を図りつつ、全力で私は取り組んでいきたいと思っております。
 また、この場合、異分野間の融合や新たに出現する科学技術領域にも機動的に対応をしていく、こういう決意でもございます。さらに、政府の研究開発投資の効果的、効率的な実施に当たっては、研究の評価というものを厳密に行っていくことが肝要だと思っております。
 そのため、経済産業省といたしましては、平成十三年度早々にも経済産業省技術評価指針、これを改定することにいたしておりまして、競争的な研究環境の実現及び効果的、効率的な資源配分に資する評価システムの一層の構築に努めて、そしてこういった本当にこれから大切な科学技術創造立国に向けての施策を一生懸命に取り組みたい、このように思っております。
#70
○海野義孝君 ありがとうございました。
 次に、高度情報通信ネットワーク社会形成基本法成立に伴ってのことで御質問したいと思います。
 これは昨年の十一月二十九日に成立され、ことしの一月六日に施行されたわけでございますけれども、その中で電子商取引の促進を図るための環境整備といったものが進められているわけでございますけれども、電子商取引の促進に伴って、消費者行政の充実あるいは消費者保護の徹底ということが望まれるわけでございまして、この点に関して二つほどお聞きしたいと思いますが、第一点は、訪問販売法の十八条の二のところに大臣に対する申し出権というのがあるのでございます。
 これは、何人も、訪問販売、通信販売もしくは電話勧誘販売に係る取引もしくは連鎖販売取引の公正及び購入者等の利益が害されるおそれがあると認められるときには、主務大臣に対して、その旨を申し出て、適当な措置をとるべきことを求めることができる、というのがあるんですけれども、これに絡んでのその実効性についてちょっとお聞きしたいんですが、この制度の申し出件数については、平成八年度のスタート時点から今日まででは五年間で五十四件ということでして、この制度の趣旨、スキーム、申し出の内訳及び対応状況等についてどうなっているか、簡単にひとつお答えいただきたいと思うんです。
#71
○政府参考人(杉山秀二君) お答え申し上げます。
 ただいま先生から御指摘のございました訪問販売法の主務大臣に対する申し出制度でございます。
 これは平成八年の法改正で設けられたものでございまして、現在まで当省に出されております申し出の件数は五十四件、五十一事業者でございます。これは先生先ほど御指摘のとおりでございます。
 その内訳でございますが、個人からの申し出が三十一件ございまして、全体の五七%ほどでございます。そのほかに、消費者団体から二四%、十三件、それから消費生活センターあるいは国民生活センターが六件、一一%、その他地方公共団体等が七%というふうになっておるわけでございます。
 こういった申し出のございました五十四件、五十一事業者でございますが、いずれも事実関係の調査等を行っておりまして、さらに必要な場合には法律に基づきます報告徴収というものを二十一件、二十一事業者、今まで行っております。その上で、五つの事業者に対しましては法律に基づく行政処分を行っております。また、十の事業者に対しましては事業改善等の行政指導を行っているというような対応をしているところでございます。
#72
○海野義孝君 もう一点お願いしたいと思いますが、この制度の趣旨によりますれば、特に消費者保護の分野においては、行政措置の機動的発動には一般消費者との一体となった取り組みが必要であることからこのような規定を設けることとしたものであるとありまして、そういった点でこの制度の実効性を確保するために、この制度の周知徹底を図るということと、特に消費者の理解を高めるべきであるということを思うわけでございますけれども、先ほどの御答弁で、いろいろとこの制度発足以来具体的な対応が進んでいるようには思いますけれども、その点につきましての御見解をひとつお願いします。
#73
○政府参考人(杉山秀二君) この主務大臣に対します申し出の制度というのは、先生御指摘のありましたように、できるだけ多くの消費者の方々にこの制度を知っていただいて十分に活用していただく、そういう趣旨に出るところでございますので、啓蒙普及といいますか、できるだけ知っていただいて御活用いただくということが大変大事だということは先生御指摘のとおりだと思います。
 したがいまして、従来からこの申し出制度も含めましたパンフレットの作成等をやってきたわけでございますが、さらに本年度からは、特にこの申し出制度自身を内容といたしましたパンフレットを一万六千部ほど作成いたしまして、各消費者団体あるいは全国の消費生活センターなど二千六百の関係機関に配付をするといったようなことをいたしまして、特段の普及啓発というものに努めているところでございます。
 また、消費者がこの制度をより使いやすくするという観点から、平成十一年の法改正におきまして指定法人制度というものが新たに設けられております。これは申し出を行おうという消費者に対しまして、いろいろ指導や助言を行うことを任務といたしました指定法人を主務大臣が指定をするということでございまして、昨年の九月に日本産業協会をこの指定法人として指定をいたしておりまして、この協会は指定をされた後、いろいろ指導、助言等の活動をやっております。
 今後とも、この指定法人あるいは消費者団体あるいは地方公共団体、これらと十分な連携をとりながらこの制度の普及啓発を一生懸命やりまして、この制度の一層の活用に努めてまいりたいと考えているところでございます。
#74
○海野義孝君 どうも大変ありがとうございました。
 次に、公取の根來委員長に御質問をしたいと思いますが、下請代金支払遅延等防止法の対象範囲の拡大ということについてのお考えをお聞きしたいと思うんですが、この下請法につきましては、一九五六年に制定されまして半世紀近く経過しているわけでございます。この間、第三次産業のシェアが大きく増大しまして、また経済のソフト化、情報化等が進展しているわけでございまして、日本経済、産業の構造というのは大きく変貌している、こういうことでございます。
 また、社会経済の変化によりまして、この下請法に単純に抵触しないそういった事案も増加しているようにも聞くわけでございますけれども、依然としてこの対象業種は製造業に限られているということでございますけれども、例えば、放送番組制作委託等の役務取引等のサービス産業はいまだに対象とされていないということも聞くわけでございます。こういった課題の解決に向けた、時代のニーズに見合った制度の整備ということが十分に進んでいるとは言いがたい、このように思うわけでございます。
 公正取引委員会におかれましては、早急にさまざまなこういった課題を整備して、この法律の改正に努めるべきではないかと、このように思うわけでございますけれども、いかがでございましょうか。
#75
○政府特別補佐人(根來泰周君) ただいま委員が御指摘のように、私どもも、このいわゆる下請法につきまして、範囲を拡大すべきかどうかということについて常に問題意識を持っているわけでございます。
 申すまでもございませんけれども、この下請法というものは、物品の製造委託、修理委託の実態に着目して一律的に規制しているものでございます。
 そこで、今例として挙げられましたような役務関係でございますが、この役務もこの下請法の対象に入れるべきではないかという考え方もございまして、私どもといたしまして、平成八年から九年にかけて企業取引研究会というのを開催いたしまして、種々検討をしていただいたわけでございますが、残念ながらこの研究会におきまして、詳しくは申し述べませんが、三点を挙げて、役務を下請法の対象とすることについて、慎重というか消極的な答えをいただいているわけでございます。
 簡単に申しますと、役務の場合には定型的な取引というのはないわけでございまして、例えば書面交付といいましても、書面に何を盛るかについていろいろ問題があるわけでございます。また、この下請法は、御承知のように親会社と、親企業と下請企業というふうに資本金等で差別を設けているわけでございますけれども、役務の場合は小が大に下請をしているという場合もございますので、なかなかこの下請法になじまない点があるという理解であります。
 そこで、私どもとしては、おっしゃるような現下の情勢にかんがみまして、役務取引についても独占禁止法の優越的地位の乱用に当たる場合があるのではないかという目的意識から、平成十年に、「役務の委託取引における優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の指針」というものを作成して公表しまして、個別的にはこの指針に基づいて優越的地位の乱用に当たるかどうかという見地から対処しているところでございます。
#76
○海野義孝君 引き続き、また積極的に前向きにお取り組みをいただきたいと思います。
 次に、きょうわざわざ国土交通省の佐藤技術審議官にお越しいただきまして恐縮でございました。電子入札構想による談合の抑止という問題についてお答えをお願いしたわけでございます。
 お聞きしたい点は、二〇〇三年の行政の情報化、電子政府の実現に向けまして、今、国、地方自治体の取り組みが進んでいるわけでございます。e―Japan構想におきましては、行政の既存業務をそのままオンライン化するのではなくて、業務改革、省庁横断的な類似業務・事業の整理及び制度・法令の見直し等を実施し、行政の簡素化、国民・事業者の負担の軽減を実現することが必要とあるわけでございますが、電子入札によりまして談合を抑制し、調達価格を下げようとの自治体等の動きは一部の自治体にわずかに見られる程度でございまして、このままでは電子入札をきっかけとした競争の促進あるいは談合の排除ということはなかなか進まないではないかというように懸念されるわけでございます。
 この点につきまして、御省としては、国、地方自治体の動向をどのように見ていらっしゃるか、また電子入札導入を契機とした公共事業の談合抑止実現に御省としてどう対応していくお考えか、御見解を賜りたいと思います。
#77
○政府参考人(佐藤信秋君) お答え申し上げます。
 最初に、二点に分けてちょっと御説明申し上げたいと思うんですが、電子入札の動きでございます。
 国土交通省では、直轄事業におきまして本年の十月から電子入札を一部試行する、こういうことにしておりまして、二〇〇四年度には国土交通省の直轄事業に全面的に導入したい、そんなスケジュールで考えております。
 各省におきましてもこうした行動につきまして御理解をいただいておりまして、連絡をとりながらともに進めていこうと、こういうことにしております。
 先生御指摘の各地方公共団体、自治体でございますが、これは私どもアンケートをとってみたりいたしますと、都道府県レベルで大体五割ぐらいが電子入札に興味がある、進めてみたいと、こういうお返事でございました。
 したがいまして、これを全面的に進めていこうということで、近々、地方公共団体も含めまして、電子入札等の導入を推進するための手法転換へのアクションプログラムというものをつくってまいりたい、こんなふうに思っております。各省とも協力しながら、目標としては二〇一〇年度を目標に地方公共団体も含めた電子入札の推進ということを進めてまいろうとしているところでございます。
 一方で、談合との関係でございます。先生御指摘のように、この電子入札を導入するということによりまして、公共事業の発注の見通しでありますとか、入札契約の状況でありますとか、インターネットで提供して透明性が高まる、あるいはまた入札手続がインターネットで行われるというようなことで、競争参加者が一堂に会する必要がない、こうした観点からも間接的に談合防止等に対しての抑制ということが強まるものと考えております。
 一点、談合防止そのものにつきましては、こうした間接的な環境整備のほかに入札制度のいろんな改革などを通じて努力してまいりたい、そんなふうに思っております。
#78
○海野義孝君 どうもありがとうございました。
 ちょっと話が下手で時間がたつばかりですが、もう一問だけお願いします。
 根來委員長、申しわけありませんが、先ほどの御質問だけでお許しいただきたいと思います。
 最後に、平沼大臣にお聞きしたいと思いますが、経済構造改革の評価といいますか、効果といいますか、のことについて大臣の御所見をお聞きしたいんですが、大臣、先般お聞きしました所信でもお述べになっていらっしゃいますけれども、経済構造改革については、これが着実に実施されれば今後十年間でGDPを年率二・四%押し上げる効果があると。これは当時の通産の方での経済構造改革の効果試算という中にあるわけですが、ITを初めとした七分野のそういった戦略的分野がフルに効果を発揮していけばGDPを年率二・四%押し上げると。しかし、改革が遅滞した場合には〇・七%程度しか期待できないということで、まさに経済構造改革の効果というか、産業構造改革の効果が問われるわけでございますが、やはり今問題になっているのは不良債権の問題でございまして、これと、産業界のそういったまさに不採算部門の整理と戦略的な分野への投資ということ、そういったものがやはり効果が出てこないと大変厳しい状況が予想されるわけでございます。
 そういった面からいきますと、この構造改革が成功しても、果たして二・四%というようなGDP押し上げ効果が出るかということについては大変疑問だというようにも考えざるを得ないわけでございますけれども、そういった点でも、今後の構造改革を進めていく上で一つの障壁になっている不良債権の処理の問題、こういったことに絡んで、大臣としても経済財政諮問会議等においてさらに強力な御発言をしていかれるということを私は御期待申し上げるわけですけれども、その点いかがでございますか。
#79
○国務大臣(平沼赳夫君) 海野先生御指摘のように、不良債権を処理するということは、日本の経済新生、再生のために私は避けて通れない道だと思っております。そういうことをやるためには、銀行の不良債権処理を一刻も早く進めまして、金融再生を図るとともに、企業の債務リストラクチャリングによる産業再生を進めることも重要であると考えております。
 具体的には、金融側から不良債権処理を促進させること、二番目には産業側の債務リストラを円滑化すること、これも必要だと思っております。三番目は、これは経済産業省、非常にこれは留意しなければならない点だと思っておりますけれども、不良債権処理に伴うセーフティーネット、こういう対応が必要だと思っています。こういった観点から対策を講じていくことが私は重要だと思っています。
 経済産業省といたしましては、産業側の債務リストラの円滑化のために会社分割制度を用いた企業の組織、事業再編の促進、また再建途上の企業に対する金融機関からの融資、DIPファイナンスと、こう言っておりますけれども、それを充実すること、こういった施策を講じてまいりたいと思っています。
 さらに、従来、産業再生法は必ずしも債権放棄を想定した運用をしていませんでしたけれども、今後、産業再生法の改善、活用を図りまして、企業の事業再構築に債権放棄が含まれる場合の認定基準を明確化することといたしました。これによりまして、金融機関と企業間の私的整理を側面から支援しまして、企業の事業再構築が一層進展することを期待いたしております。
 先ほども触れさせていただきましたけれども、不良債権の処理に伴う影響を最小化しなければなりませんので、中小企業や雇用等に関するセーフティーネットの有効活用を図っていくことが必要であるとの認識をいたしておりまして、こうした施策を進めることによって、我が省といたしましては中長期的な経済発展に向けての最大限の努力を傾けてまいりたい、このように思っております。
#80
○海野義孝君 時間になりましたのでこれで終わりますけれども、大臣におかれましては大変難しいかじ取りをしていかれるということでございますけれども、ひとつ大変重要な今時期にありますので、特にこの日本の経済産業のまさに正念場であるのが今年であると言われておりますので、その点につきましてもひとつ積極的にかつ慎重なそういった推進をお願いしたいと思います。
 ありがとうございました。
#81
○山下芳生君 景気、経済の問題について質問をします。
 今、国民の暮らしは、所得も消費も減り、失業や倒産も過去最悪であります。今、日本経済は私は放置することのできない深刻な新たな事態に直面をしているというふうに思うんですが、とりわけGDPの六割を占める個人消費、家計消費がこの八年連続減少している、こんなことはかつてなかったことでありますけれども、そのことが私は今の日本経済における最大の問題ではないかと思っておりますが、個人消費の減少について、日本経済全体の中で、大臣、どのような認識をお持ちでしょうか。
#82
○国務大臣(平沼赳夫君) これは先生御指摘のとおりだと思っておりまして、我が国の経済というのは緩やかな改善を続けてまいりましたけれども、今御指摘のとおり、GDPの六〇%を占める個人消費、これが一進一退で少し下がる傾向にある、こういう形で景気回復というものが力強さを欠く大きな原因の一つだ、重要な一つだと、こう思っております。
 また、足元のところでは米国経済の減速と、こういうこともございまして、輸出、生産が減少して景気回復は足踏み状況に入っている。そして、先ほどから申し上げておりますように、大変国民の皆様方も先行きに不透明感、こういうものを持っておられると思っております。
 こうした中、この個人消費を初めとする民間需要の喚起、これを図ることが何よりも重要な政策課題だと私は思っておりまして、こうした観点からも、不良債権の処理を進めること、あるいは経済構造改革を一層推進する、こういうことで私どもとしては対処をしていきたい。委員御指摘のように、本当に今厳しいそういう個人消費、このことは大変大きな問題だと、このような認識でございます。
#83
○山下芳生君 私、宮澤財務大臣がことし一月にある会合で講演をされた記録というものを見せていただきました。一年前にも同じ場所で講演をされているようですが、こうおっしゃっています。
 国民経済全体の回復過程におきまして、企業設備あるいは企業利益というものは回復しつつあることは疑いないところでございますが、それが家計消費というものに一向に連動していかないということ、私自身は、実は昨年の夏ごろに企業もそうなれば家計もそうなるだろうと期待していたことが間違いであったということになるわけでございますと。
 企業収益が上がれば家計に連動するだろうと期待していたけれども、そうならなかった、そう思っていたのは間違いだったと宮澤財務大臣は反省されているわけですが、この点、先ほどもお述べになりましたけれども、私、ここが一番やはり今の経済の大問題だろうと思うんですが、もう一度大臣の御認識を伺います。
#84
○国務大臣(平沼赳夫君) 宮澤財務大臣は予算委員会等でも同様な発言をされておられまして、企業収益が回復をしてきた、それからバブル崩壊後非常にマイナスであった経済成長率もようやくプラスに転じた、また設備投資意欲も高まってきた、したがって個人消費には火がつくだろうと、こういうことだったけれども一向につかなかったと、こういう認識を吐露されておられるところでございます。
 個人消費が一進一退の動きを続けている大きな要因といたしましては、足元を見ますと、ボーナス、こういうものが低迷をしておりまして、所得の改善が緩やかなそういう段階にとどまっている。それから、昨年九月末時点で調査した日本銀行の生活意識に関するアンケート調査において、将来不安を理由に消費を減らしている人が全体の約六〇%に達している。将来の所得や負担に対する不確実性が高まっている、こういったことが挙げられるのではないか、このように認識しております。
 個人消費を含めた民需の自律的回復を実現するためには、我が国経済に対する先行き懸念を払拭しまして、新たな成長、発展の道筋を切り開いていくことが私は重要だと思っています。そのためには、経済構造改革を抜本的に推進する、そういうことも重要だと思っておりまして、一生懸命取り組んでいるところでございます。またあわせて、本日、総理から指示のあった不良債権対策や株式市場活性化対策等の緊急経済対策については、関係閣僚とも協力をしつつ、効果的なものとなるように全力を挙げていきたい、このように思っているところでございます。
#85
○山下芳生君 そういう答えで私は安心を半分したんですが。
 実は、先週の当委員会の議論の中で、梶原委員の方から、消費がなかなか伸びない、なぜだろうということで、ちょっと聞き方が違かったかもしれませんが、大臣の方から、今、国民の皆さんが買うものがだんだんなくなってきたんじゃないかというような趣旨のことをお言いになって、大臣の地元の方でも各家庭にテレビが大体二台ある、軽自動車も入れれば車は二台ぐらい持っている、もう買うものがないんだ、だから新たに買うものを、消費を引き出すために例えばセカンドハウスの税制優遇等ということをお述べになったのを私聞きまして、それはちょっと消費が冷えている原因ということではないんではないかと思っておりましたので。
 今、日銀の生活意識アンケート調査もお触れになって、私もこれ見ましたら、もうはっきりしているんですね。この数年間、消費支出を減らしている理由のベストフォーというのは変わっておりません。大きく言って雇用の不安と老後の不安だと思います。これが明確に消費を減らす理由としてずっとこの数年間は続いているわけです。
 問題は、なぜ、じゃそういうことになっているのかということをもう少し、特に雇用不安を立ち入って分析する必要があると思うんです。
 旧経済企画庁が昨年の十二月に発表いたしましたいわゆるミニ経済白書を見ますと、やはりここでも現下の経済回復局面の特徴ということで、企業部門と家計部門の回復過程に二極分化があらわれていると、これは先ほど宮澤大臣がおっしゃったことと同じ認識だと思いますが、ダム論的な考え方からすれば、生産が増加したら企業収益が増加し、雇用が増加し、所得が増加し、消費の増加といった企業部門から家計部門への流れが既に顕在化してもいい時期だと述べているわけです。生産は順調に増加し、企業収益も大幅な改善が続いている。そろそろかなと。ところが、企業部門でのリストラが続いているため、常用雇用で見た雇用者数は伸びず、失業率も高く、賃金の回復にもおくれが見られているという分析をしております。
 私、これはなかなか的を射た分析だなと思っておりまして、単に老後の不安だとか将来の不安というだけではなくて、今現にリストラが企業部門で相当行われていることによって、企業の収益は上がっても所得が上がらないと。先ほど所得が低下しているということをおっしゃいましたけれども、やはりここに一番の今の消費不況の直接的な、所得が減れば消費が減るのは当たり前ですので、そういうことが起こっているんではないかと。
 私、これは正しい分析だと思いますが、その点、大臣の御認識、いかがでしょう。
#86
○国務大臣(平沼赳夫君) 確かに、委員のそういう御認識というのは、私は一つの方向として正しい見方であるとは思っております。
 私、梶原先生の御質問に対して今おっしゃったことというのは、やっぱり先行き不透明感、そういうこともあって、個人に属する金融資産が伸びて千四百兆近くある。そういったものがありながらやっぱりそれが個人の消費に結びつかない一つの背景としては、魅力ある製品というものが出てないし、しかしそういう大きないわゆるストックがあるのに、それを使って個人消費を伸ばす将来の方策として余暇の時代の中でセカンドハウス構想というようなものも長期的にやっていけば消費が拡大すると、こういう観点で私は申し上げました。
 だけれども、先ほど申し上げたように、現状の認識というのはボーナスに象徴されるように緩やかな形でしか伸びてないし、それからその統計にもあらわれているとおり、六〇%の方々が将来に、雇用でありますとかあるいは老後に対して不安を持っている、こういうことはやはり消費の伸び悩みの大きな原因だと、このように認識しております。
#87
○山下芳生君 そこはもうはっきりしていると思うんですね。新しい欲しい商品がないから消費が伸びないということについては、実は日銀のアンケートにもそういう項目がありまして、そう答えた方はわずか一〇%あるかないかですね、老後の不安、雇用の不安は五割、六割になるのに対して。やはり決定的な原因はその二つの理由だということは間違いないと思います。
 であるならば、私は、やはり日本経済で一番大きな力を持っている個人消費、家計消費がこの二つの原因で冷え込んでいるわけですから、この原因を取り除く、そして直接ここを応援する経済の運営にしなければ、これは本当の景気対策にはならないというふうに思うんですね。これはもういろんなところで議論をしておりますから。
 残念ながら、きのう通過をいたしました、成立した予算案を見ましても、老後の不安という点でいいますと、医療、年金、介護、それぞれ給付のカット、負担の増ということで約二兆円。雇用保険、失業保険の期間のカットということまで入れますと約三兆円ですね、負担増が新たな予算でかぶさるということですから、これは逆に雇用不安や老後の不安を拡大することになるというふうに私たちは批判の目で見ております。
 そこを私は逆に冷え込ませながら、もう一つ、きょうぜひ大臣と議論をしてみたいのは、最近、総理も大臣も景気対策の中心ということで金融機関の不良債権の処理ということを大変強調され始めました。私は、これは国民から見れば雇用不安、老後の不安を解消する、消費を応援する、家計消費を応援するということならそうだなという実感がわくと思うんですが、銀行の不良債権を処理するということがなぜ今、日本経済の緊急中心課題になるのか、なかなか私はぴんとこないのではないかと思うんですが、なぜこれを中心課題に据えるんでしょうか。
#88
○国務大臣(平沼赳夫君) 不良債権の処理というものは、これは金融面におきましても不良債権があるということになりますと、中小企業や企業に対して必要な融資だとかそういう支援がやはり手かせ足かせになってできない面があります。それから、産業サイドの抱えている不良債権、それがありますと、やはりいい部門があっても、例えば運転資金を含めて設備投資をやりたいといってもそれが一つの大きなネックになって、潤沢な、そして必要に応じた資金供給が滞ってしまう。
 そういう中で今までいろいろやってまいりましたけれども、この産業というものを活性化をして、そして円滑に伸ばしていくためには、やはりこの不良債権の処理という問題は避けて通れない、そういう我々は認識を持っておりまして、今委員御指摘のように、例えばそういう中小企業というものが本当は生き延びる、そういう姿があるけれども、そういう制約状況で伸ばすところも伸ばせない、そういう形でどんどんリストラになるという可能性もあります。ですから、そういうところを生かしていくためにも、幅広い形で支援をしながら、そして不良債権処理というものを進めていけば、やはり全体に活力が出てくれば雇用、こういうものが確保されますし、さらにそういったそれぞれの企業にも収益性がついてきますから、全体で見ると経済の活性化にもつながっていく。
 そこをそのまま放置していくと、いつまでたってもそういう形で解決がされない。ですから、この不良債権処理という問題もやはり前向きに取り組んでいこう、こういうものが我々の共通の認識でございます。
#89
○山下芳生君 私も金融機関がいつまでも不良債権をずっと抱えたままでいいとは思っておりません。かつての住専のように乱脈経営、乱脈な投機的な経営で破綻に陥った企業の不良債権を、これは金融機関が自己責任、自己負担の原則できちんと処理するというのは大事なことだと思っております。ただ、その不良債権の処理が今の日本経済に対する対策の中心課題だとなると、私は違和感を覚えるんですね。
 実は、先ほど紹介したこの旧経企庁のミニ経済白書も、タイトルは「日本経済の現況 日本経済 自律的回復への正念場」ということになっておりますが、この中には先ほど述べたように家計消費の回復がおくれているということが大変問題だという指摘はあるんですが、金融機関の不良債権の処理が緊急中心課題だという認識はここには書かれておりません。もっと言いますと、不良債権問題というのは一言もここには書かれてないんですね。これは内閣府になるんでしょうか、間違いありませんね。
#90
○政府参考人(岩田一政君) ただいま御指摘のございました「日本経済の現況(二〇〇〇)」というのをごらんいただきますと、債務の問題で、「企業収益及び過剰債務の改善」というところで間接的ではありますが、過剰債務の問題ということで債務問題には触れております。
 以上でございます。
#91
○山下芳生君 非常に間接的に触れているわけですよ。金融のところには不良債権ないんです。株価とそれから金利のことしか書いておりません。ですから、去年の十二月までは政府の日本経済の現況の認識としては不良債権問題が緊急の課題という認識どころか、この問題については一切触れてもなかったということだと、私はこれを見たらそう思うんですね。
 それが三月二十日、日米首脳会談があって、もうやめる予定の国民の支持のない方が、私は国を代表して外交を行うのは国益に反すると御本人にも厳しく批判をいたしましたけれども、それでも行かれた。そして、行ったらアメリカの大統領から強い要請があって、それを丸のみする形で不良債権の早期処理あるいはもう半年後に結論を出すということまで、総理が言ったのか麻生さんが言ったのかわかりませんけれども、言われているわけですよね。これは対米公約してきた。それを受けて翌二十一日、平沼経済産業大臣が記者会見をされて、さあこれからは不良債権処理の促進を図るんだと言って、これはそれに呼応する形で表明をされたわけですね。その後は、もう私、先週一週間ぐらい見ておりますと、政府・与党挙げて、今の日本経済の中心課題は不良債権の処理だという大キャンペーンが張られた。
 この間の日曜日の夜、NHKのスペシャル番組を見ました。平沼大臣と麻生さんと柳澤さん三人がおそろいになって出て、やっぱりこれが一番大事なんだという大合唱をされておりましたけれども、余りにも唐突な感を私は受けるわけです。アメリカに言われて中心課題に据えたんでしょうか。
#92
○国務大臣(平沼赳夫君) これは、実は山下委員も御承知だと思うんですけれども、経済産業省は通商産業省時代からやはりこの不良債権という問題は避けて通れないということで、部内的にもいろいろ検討をしておりました。
   〔委員長退席、理事保坂三蔵君着席〕
 そして、一月になりまして、これは森総理がブッシュ大統領に会いに行くもう随分前でありますけれども、一月の時点で、私どももそういう基本認識を持っているところに、柳澤金融担当大臣から、やはりこの不良債権処理というものはこの国の経済の回復にとっては避けて通れないことであると。これは主体的には金融庁で努力をしなければならないことであるけれども、やはり産業を担当している経済産業省、ここにはいろいろな業種がありますけれども、そういったところの実態把握を含めていろいろ協力をしていただけないか。また、国土交通省にはゼネコンを初めとするそういういろいろな問題がある、ここもひとついろいろな形で側面的に協力をしてくれないか。こういう申し出がございまして、私どもとしてもそういう問題意識を昨年来持っておりましたので、それでしたら御協力をさせていただきましょうと。こういう形で、これも山下委員御承知だと思うんですけれども、一月から審議官クラスで今まで四回にわたっていろいろ会議をいたしまして、しかしあくまでもこれは官が前面に出て取り仕切るということじゃなくて、やはりそういうものを、問題点を、それぞれ関係先持っておりますから、どういう実態で、そしてどういう組み合わせでやればいいか、そういったことをクローズアップする、そういう形で我々協力して今まで四回やってきました。
 そういうことで作業を進めておりまして、そしてたまたま総理がこの直近にアメリカに行きましたときにアメリカサイドからもそういう問題提起があったわけでありまして、私が閣議後の記者会見というのは、ちょうどまだ森総理がアメリカから日本に戻る飛行機の中におられたと思いますけれども、その森総理不在の閣議の後の記者会見で、従来、私どもとしては産業再生法というものをやはり一つの手だてとしてそういう不良債権処理をやっていく、その一つのアイデアがまとまりました。ですから、それを記者会見で私は発表をさせていただいた、こういう経緯があります。
 したがいまして、少し長くなりましたけれども、山下委員が言われるように、アメリカから唐突にこれをやれという形で一瀉千里になったわけではなくて、実は、そういう時系列的なことをお話ししましたけれども、そういう経緯の中でやってきた、こういうことでございますので御理解をいただければと、このように思っております。
#93
○山下芳生君 私も時系列でちょっと振り返ってみたいと思うんですが、ミニ経済白書の前に、去年の七月には経済白書が出されております。
 この中には、この時点では不良債権問題、触れられております。ただ、こういう記述があるわけですね。読み上げますと、「大手行に関しては@累積で四十五兆円を超える処理が行われてきたこと、A金融界再編の動きが強まるなかで、金融検査マニュアルも念頭に処理に取り組んだとみられること、B公的資本注入もあって自己資本比率にも余裕がありこの面から金融収縮を招く恐れが後退していること、などから不良債権問題はほぼ峠を越えたものと考えられる。」と。
 これは当時の経済白書の分析であります。こういう認識じゃなかったんですか。
   〔理事保坂三蔵君退席、委員長着席〕
#94
○国務大臣(平沼赳夫君) それは、いわゆる資本注入等をしまして、実態的には金融機関というものは六十八兆に上るそういう処理をしてきたことは事実であります。
 しかし、御指摘のようにいろいろな形で、先ほどお触れになった個人消費が一向に回復しないとか、それからさらにはその上にアメリカの景気の後退、こういうものが重なる。先行きの不透明感、そういうものが個人消費に結びつかなかったわけでありまして、逆に、六十八兆も消しましたけれども、さらに今金融機関では三十二兆と、こういう形でまだ不良債権がある、こういうことであります。
 ですから、その白書を書いた時点では確かに、振り返ってみますと、企業の収益性も上がってきた、さらには設備投資も活発だったと。こういうような中で実態的には、実際に金融機関の抱えている不良債権は先ほど言いましたように六十八兆、こういう形で消えてきたことも事実です。そういう中でその白書が出たと思っておりますけれども、その後の経済の推移の中で、さらに今申し上げたようにまだ不良債権が解消されていない。そして、企業の中にもそういう不良債権が、産業サイドにもある。こういうことがクリアになってきて、ここをやっぱり避けては通れない。こういう認識で、私どもとしては、昨年の秋以降ぐらいからはそういう問題認識を持っていろいろ作業を進めてきたと、こういうことでございます。
#95
○山下芳生君 もう一つ時系列で振り返ってみる必要があると思うのは、ことしの通常国会の冒頭の政府四演説であります。
 全部、私、見直してみましたけれども、宮澤財務大臣もそれから経済演説も不良債権問題には触れておりません。総理の演説の中に不良債権問題に触れた部分がありまして、こう言われています。「各金融機関においては、不良債権に対する適切な手当てを行っており、金融機関の健全性について、かつてのような問題があるわけではありません。」と。もう明確に言い切っておりますよ、心配するなと。
 ですから、去年の七月の経済白書が峠を越えたと言い、それから十二月のミニ白書がもう記述もなくなって、一月の総理の演説が問題なしというふうに、ずっと不良債権問題の認識では政府は公式にこういう見解を発表してきたわけですよ。ところが、日米首脳会談を受けてこれが中心課題なんだというふうに、突然私は躍り出てきた感をやっぱり否めないわけですね。どうでしょうか、今三つ並べましたけれども。
#96
○国務大臣(平沼赳夫君) 確かに、それは実際に演説やあるいは白書でそういう字句を拾って、そういうことでお並べになられると、そういう御指摘というのはそういう形になると思いますけれども、我々としましては、今るる申し上げたような中で、やはり不良債権処理というのは一応大きな形で、いわゆる政府の資金を注入したりして大幅な改善はされたけれども、しかし景気の低迷等相まって、そういう形でやはりこの問題を解決しなければならない。そういうことで、我々経済産業省としても、通産省の時代からこういう問題意識で実はいろいろ検討して、さっき言われたように、一月からはそういう具体的な作業を始めたと。
 こういうことで、御指摘の点とは矛盾があるかもしれませんけれども、我々サイドは、やはり実態の、産業界を抱えている役所としては、その問題意識を持っていたことは事実でありまして、それがそういう白書やなんかには反映されていなかったということはある意味では残念なことでありますけれども、しかし、そういう問題意識は我々はずっと持っていたと、こういうことでございます。
#97
○山下芳生君 問題意識を持っているだけでは国民にはわからないということだと思いますね。
 それで、にわかにここに来て不良債権が問題だ問題だとなって、国民は今戸惑っていると思うんですよ。何となくそうかなと思わされつつあるんじゃないかと。
 そこで、私、改めてちょっと基本的な問題から問いたいと思うんですが、金融庁さんに伺いますが、そもそも不良債権とは一体何か、どういう定義をされていますか。
#98
○政府参考人(高木祥吉君) お答え申し上げます。
 一般的に、不良債権、幾つかの定義があるんですが、代表的にリスク管理債権ということで御説明申し上げたいと思います。
 リスク管理債権につきましては、いわゆる金融機関の不良債権につきまして、個々の貸出金の元利払いの延滞状況だとか、あるいは貸し出し条件の変更の有無等の状況に応じて分類をいたしております。具体的には、破綻先債権、延滞債権、三カ月以上延滞債権、貸し出し条件緩和債権の四つの区分になされております。
 それぞれの区分について簡単に御説明申し上げますと、破綻先債権と申しますのは、更生手続開始だとか民事再生手続開始等々のそういった手続開始の申し立て等の事由が生じた債権のことをいっております。
 それから、延滞債権でございますが、これは今申し上げました破綻先債権以外の債権で、元本とか利息の弁済の見込みがないものとして、もう未収利息にも立てないといった債権でございます。
 それから、三カ月以上延滞債権と申しますのは、未収利息等の計上はしているわけですけれども、いずれにしても元本または利息の支払いが三カ月以上延滞している貸出金のことでございます。
 それから、最後の貸し出し条件緩和債権でございますが、これは、債務者の経営再建または支援を図ることを目的といたしまして、金利の減免だとか利息の支払い猶予、元本の返済猶予、債権放棄その他の債務者に有利となる取り決めを行った貸出金でございます。
#99
○山下芳生君 そういう内容を定義しているということであります。
 続いて金融庁に伺いますが、バブル崩壊後の我が国の金融機関の不良債権とその処理の推移について、わかるように御説明いただけますか。
#100
○政府参考人(高木祥吉君) お答え申し上げます。
 ちょっと資料の制約もございますが、まず不良債権の処理額についてお答えを申し上げます。
 不良債権の処理額と申しますが、我々が把握しておりますのは不良債権の処理に伴う損失ということで、その推移でございますが、五年三月期以降について私ども取りまとめをしておりまして、五年三月期で一・六兆円、六年三月期で三・九兆円、七年三月期で五・二兆円。ただ、この三年度につきましては、いわゆる主要行、都長銀、信託を対象にしたものでございます。それから、八年三月期以降は全国銀行ベースで把握しておりますが、八年三月期が十三・四兆円、九年三月期が七・八兆円、十年三月期が十三・三兆円、十一年三月期が十三・六兆円、十二年三月期が六・九兆円、それから十二年の九月期、中間決算でございますが、二・三兆円という状況になっております。その平成五年三月期以降の不良債権の処分損の累計でございますが、約六十八兆という状況でございます。
 それから、リスク管理債権の推移でございますが、リスク管理債権そのものは十年三月期から導入をいたされておりまして、十年三月期で二十九・八兆円、十一年三月期で二十九・六兆円、十二年三月期で三十・四兆円、それから十二年九月期の中間期で三十一・八兆円という水準になっております。
#101
○山下芳生君 ありがとうございました。
 今言われた報告は、私は、お手元に配付した資料、一枚目のグラフにしてみました。バブル崩壊後、毎年毎年数兆円から十兆円以上不良債権が処理をされた、その累計はこの九年間で六十八兆円に上っているということであります。
 ところが、中にはある時点で公的資金二十数兆円使用してこういう処理をしてきたわけですが、しかし処理しても処理しても不良債権は減っていない、逆にふえているわけですね。これは一体なぜなのかと。これは大臣、どういう御認識でしょうか。
#102
○国務大臣(平沼赳夫君) これは、全体が減っておりますけれども、やはり景気というものが思ったほど、個人消費の回復なんというのがはかばかしくなくて、そして業績も非常に悪い、そういう中でやはりこのグラフにありますとおりリスク管理債権というものも減っていかない、こういうことが主な原因だと、このように思っております。
#103
○山下芳生君 素直にお認めになったんですけれども、私もそのとおりだと思いますよ。
 不良債権という、先ほど定義を聞きましたけれども、その実態というのは、やはり生きて活動している企業が大半であります。私の地元でも、まじめに働いて、まじめに営業しているんだけれども、この不況の中で苦況に陥って赤字経営に陥って、そして資金繰りがつかないで苦しんでいる中小企業の皆さんがたくさんいらっしゃいます。そういう方々が返済の条件変更したり三カ月延滞になったりしたらリスク管理債権になっちゃうということになるわけですよね。
 つまり、幾ら処理してもじわじわじわじわ不良債権が新たに広がってくる根本にあるのは、やはり長引く不況、この実体経済の悪さがあるわけで、特に大臣お認めになったように個人消費の低迷というのが地域の中小企業にとっては大変大きな打撃になっているわけですね。
 そうしますと、正常債権だったものが、長引く不況、実体経済の悪化で不良債権にずっとなっていく。幾ら処理しても、残念ながらそういう事態が広がっていく。だとしたら、この実体経済を立て直すというところをしっかり手当てする、家計消費を上向かせるという点で手当てをする、そういうことをしないで幾ら不良債権を処理するということだけ力を入れても、これは根本的な解決にならないんじゃないでしょうか。大臣、いかがでしょうか。
#104
○国務大臣(平沼赳夫君) そこで我々といたしましては、やはり景気というものを持続的な安定軌道に乗せる、そして企業の収益力を高める、そのためにやらなきゃいかぬということは、一つは不良債権の処理というのもそれは避けて通れないことだと思っておりますし、同時に企業そのもの自体が活力を持ってもらうためのいろいろな、あくまでも民間主導でやらなければいけませんけれども、側面的に企業が活動しやすい条件をつくっていく。
 そのためには、産業新生会議というところで、非常に熱心な討議の中で、これは民間の経営者の方々にも入っていただいた、あるいは中小企業を代表する商工会議所等の方々の御意見も反映をする、こういう形で産業新生の行動計画というのをつくりました。これはもう詳しくは御説明しません。もうよく御承知のことだろうと思いますけれども、やっぱり企業が活動しやすくて、収益力を回復できて、さらに発展できる、そういう側面的にやらなければならないことをとにかくやろうというそういう意欲で、タイムを区切って、二百六十項目もの項目を列挙して、実際にこれは動き出しているところであります。
 また、さらには、アメリカなんかも九〇年代、大変ITで大きなインセンティブが与えられて、雇用の創出や収益力の回復、またその他の面で非常に大きな効果があったと。こういうことで、IT基本戦略の中でもそういった収益力を回復するための我々アプローチをさせていただいて、これも具体的にタイムを区切ってどういう形でやっていくかと、こういうことで、これは税制も含めて、あるいは規制の緩和でありますとか、新しいある意味でインセンティブを与える規則の創造ですとか、そういうことを総合的にやって私どもとしてはその家計部門の消費を拡大する、そのためにはでき得る限りのことをやっていこう、こういうことで取り組んでいるところでございます。
#105
○山下芳生君 私は、この十年間の不良債権の推移が、やはり単に不良債権ができた後それを処理するというだけでは根本解決にならないということをもうこのグラフ見ただけでわかるわけですよ。もう六十八兆円、当初数兆円しかなかった不良債権の何倍もの額を処理したのにまだ三十兆あるということですから、やはり原因と結果を取り違えた対策ではだめだと思うんですね。同時に、この不良債権処理が、いろんなところで声が上がっておりますように、実体経済を冷やす方向でこれは処理がされるんじゃないかという心配があります。
 そこで、平沼大臣に伺いますが、経済産業省として、先ほどの議論にもありましたけれども、産業再生法を活用して不良債権処理をサポートするということですが、この内容はもう繰り返しません。私は、これは債権放棄を希望する企業が産業再生法の事業再構築計画の認定を受けることで金融機関から希望どおり債権放棄、いわば借金棒引きですね、これをしてもらいやすくするスキームではないかと思うわけですね。そうすると、債権放棄をしてもらわなければ事業再構築できない企業に事業再構築できる企業なんだというお墨つきをこれは経済産業省が与えることになるんじゃないか、そういうことになるんじゃないかと思うんです。認定を受けた企業にどんな優遇制度があるのか、あるいは債権を放棄した金融機関にどんな優遇制度があるのか、考えているのか、そのあたりも説明いただけるでしょうか。
#106
○副大臣(松田岩夫君) 債権放棄を伴う企業に対して産業再生法を運用させていただくという方向で現在準備をいたしておるわけでございます。
 委員も御案内のように、先ほどもまた御質疑があったことかと存じますが、不良債権問題についての御認識について今御議論がありましたので、私も申し上げたいことがあるんですが、そのことは時間の関係もありますのでちょっととどめますが、いずれにしても企業の過剰債務問題でございまして、これは一方では、それを解決するということは企業が新しい分野に、あるいは自分が得意とする分野にどんどん伸びていっていただく、そういう手だてを今度の補正予算あるいは十三年度予算におきましても組んでおるわけでございますけれども、そういったことをいたしていただくためにも、まず企業から見る過剰債務というものをしっかりこういった新しい前向きの政策と同時に並行的に進めていくことは当然必要なことだという点だけあえて申し上げさせていただいた上で、ただいまのことでございますけれども、債権放棄による私的整理ということも、当事者間の銀行と、あるいは債務者との間のいろいろな調整の中で出てくると思います。債権売却とか法的整理とかいうこともあるでしょうが、債権放棄による私的整理というものも出てまいりました場合に、それを側面的に手助けさせていただくというのが今回の産業再生法の適用ということでございます。
 当然のことながら、債権放棄をするとかどう企業が自分の再生を図っていくかということは、その当事者間の問題でございまして、経済産業省とか国が直接どうこうということではございません。利害関係を持つ当事者間の当然のことながら合意に基づくものでございます。そうした合意ができて債権放棄を伴うという場合に産業再生法の活用を図るということでございまして、したがいまして、モラルハザードが生まれるとかいうこともないというふうに思いますし、今のお話のように一つの支援の方法ということでございまして、結果としてそういうことを通じて企業サイドの過剰債務が処理されていくということ自身は大いにこの際いいことではないかというふうに思うわけであります。
#107
○山下芳生君 もう時間がありませんので少しはしょりますけれども、そういうことが政府が認定した形でリストラをやられるとなると、しかも今度は借金棒引きにお墨つきを与えるということですから、何が何でも再建計画を完遂させるということになろうかと思います。これまでもリストラ計画の中には、大半というか、もうほぼ一〇〇%従業員を減らすという計画が伴っておりました。
 きょう、二枚目の資料にこれまでの事業再構築計画を承認された約八十企業の計画で減税額が大きい順に十の計画をまとめてみました。そうすると、この計画だけで減税額は二百二十六億、それから従業員が二万三千二百六十人減るんですね。これは、ざっと計算すると、人一人減らしたら百万円減税があるというふうに勘定できるようなこれは制度になってしまっております。これは、ですからリストラを応援する、人減らしを応援しているということに私はなっていると判断せざるを得ない。
 今度、さらに借金棒引き、債権放棄に伴う事業再構築計画になりますと、より一層こういう条件が厳しくなるわけですから、人減らし計画になる。私は、失業問題、雇用問題、下請企業の切り捨てというものが大いに加速されて、逆に新たな不良債権を景気を冷え込ませて生んでいくという方向にすらなりかねないと、こう思いますが、いかがですか。
#108
○副大臣(松田岩夫君) 今お手元にお配りいただきました資料でございますが、私ども現在までに、午前中の御審議でも出ましたけれども、八十一件の計画を認定させていただいたわけでありますが、いわゆる解雇を伴うものはございません。この表中のあるいは従業員の数の減少というのは、いわゆる出向とか、在籍のまま御出向いただく、あるいは転籍で御出向いただく場合もあるかと思いますが、そういうものによる数字が挙げてあるのかなと、ちょっと今見たばかりですので、推測で申し上げておるわけでございますが、配置転換といいますか、出向と申しますか、そういう数字ではないかなと推察を申し上げるわけですが、少なくともこの我々の認定の中では解雇、いわゆる解雇を伴うものはございません。
 御案内と思いますけれども、事業再構築計画を実施するに当たっては、もちろん各事業者が雇用の安定を図るため必要な措置を講ずるよう努めるべき旨を産業再生法そのものにも書いてございますが、個々の認定事業者におきましてもこの点については十分な配慮を持って事業再構築に取り組んでおられるものと思っております。
#109
○山下芳生君 解雇は確かに当たり前なんですよ。解雇を伴うような計画を政府が認めたらえらいことですからね。これは、私もいただいた計画書の中に書いてあることなんです。計画が何年間か推移したらこうなるというふうに書いてあるんですよ。だから、全部どこかよその企業に出向されるんじゃありません。実際に減らされるんですね、採用をしないとか退職後補給しないとか、そういう形になっています。それは出向も中にはあるでしょうけれども、恐らく大部分は賃金が下がったりということが我々調査したら実態としてありますから、これはやっぱり所得を冷やし、雇用を減らすという方向で今までの計画は大半そうなっていると。一層そういう雇用不安、所得の減少を助長しかねない、そういうものになるんだということを私は指摘せざるを得ません。
 それから最後に、同時にもう一つ、産業再生法とはまた別のスキームで、金融機関が不良債権の処理をしようと思えば、これはやはり中小企業をダイレクトに、中小企業に産業再生法を適用して事業再構築、債権放棄ということは余りないと思います。やはりもう回収されてばっさり切り捨てられるという企業が多いんじゃないかと。
 それで、平沼大臣、今不良債権の中に中小企業はどの程度あるのか。これはもうこれからえらい影響を受けようとしているわけですから、そういう点での把握はされていますか。
#110
○政府参考人(中村利雄君) 先ほど金融庁から不良債権額三十二兆円という数字が示されましたけれども、その内訳について私どもまだ存じておりません。
 ただ、その中で全体の金融貸出額でございますね、これは大企業向けが約四五%で中小企業向けが約五五%という数字になっていると思います。
#111
○山下芳生君 貸出金額というと、我々の調査でも、これは朝日新聞の調査では六割から七割ですね。それから、帝国データバンクでは六九%が中小企業向け貸し出しということになっております。ですから、恐らく類推すれば不良債権の中の割合もそれぐらい、あるいはやはり経営がしんどいという点ではもっとそれ以上の比率になるかもしれません。件数ではもう九九・数%は中小企業に対して貸し出されているということですから、ここが、不良債権処理と一言で言っても、それが日本経済にとって大事なんだと大臣おっしゃるけれども、中小企業を守らなければならないのが経済産業大臣ですよ。そこに大変な影響があるんだと、それを私は平気で言ってほしくない。こんな影響があるんだということについて、いかがですか。
#112
○国務大臣(平沼赳夫君) 御指摘のとおり、中小企業が抱えている雇用者数というのは、我が国の雇用者数全体の七〇%、これを占めておりまして、言ってみれば中小企業というのは雇用の担い手になっております。ですから、そういった不良債権処理をするに当たっても、中小企業に対しては十分なセーフティーネットを張ってしっかりとした対策を講じていかなければならないということは、私はそのとおり、やらなければならないと思っています。
 経済産業省といたしましては、こういった側面も踏まえまして中小企業のセーフティーネット対策として連鎖倒産防止対策等の対策をとらせていただいていますし、また健全な中小企業への資金供給を円滑に行う観点から、特別保証制度の期限が御承知のように今月末に切れるわけでありますけれども、昨年十二月二十五日に、臨時国会で御審議いただいて成立させていただきましたけれども、一般保証における無担保保証制度の限度額、この引き上げも行わさせていただいたり、関連企業の大型倒産等の環境変化に対応したセーフティーネット保証の拡充を図ったところでありまして、限度額を御承知のように一億円から一億六千万円にさせていただきましたし、他の事業者による事業活動の制限があった場合には保証別枠等の特例を適用する、そういった適用する範囲を直接取引関係にない中小企業にも拡大する、そういった措置も講じさせていただきました。
 御指摘のとおり、中小企業を経済産業省は守る立場にございますので、今後とも信用保証制度や政府系中小企業金融機関等の適切な運用等を通じまして、中小企業に対する円滑な資金供給を引き続き確保して不良債権処理の進展が、今御心配のような中小企業の経営に与える悪影響を極端に最小化すべく私どもとしては責任を持って十分に対処していきたい、このように思っています。
#113
○山下芳生君 終わります。
#114
○梶原敬義君 私は、三つのことを質問したいと思います。
 一つは、民活法と第三セクターの関係です。
 今ずっと議論を聞いておりましたら、プラザ合意以降、内需拡大をどうするかという議論を随分この委員会でもしたんですが、そのときの議論を思い出しながら聞いておりました。今まさに我が国は内需拡大、特に個人消費が伸ぶか伸ばないか、重要な課題でありますが、当時、プラザ合意以降の議論というのは、民活法あるいはリゾート法、こういうものを活用していこうというような議論も大分したんですね。
 そこで、私、昭和六十一年の商工委員会で民活法の審議のときにどうもぴんとこなかったものですから素朴な質問をしたんですが、民間活力導入で箱物等をつくって、この組織が地方で、例えば九州を想定したんですけれども、うまく回転するとは思えないがどうかと質問したら、当時の福川産業政策局長はこう答えたんですね。確かにどんどんもうかるという性質のものではない、地方の状況に合わせてその運用は十分に考えていかなければならない、その辺は我々としても十分に留意して運用に当たりたいと、こう答えたんですね、当時の政策局長は。次官になった人ですね。
 それで、先月の二十二日に衆議院本会議で同僚議員の代表質問を聞いておりましたら、片山総務大臣がこう答えているんです。第三セクターは地方公共団体を含む出資者の自主的、主体的な判断によってつくられ、その責任において運営がなされているものであり、国の責任は当たらないと、こう答弁しているんですね。
 宮崎のシーガイアとか岡山の空港開発ですか、その他ざっとつぶれたところはたくさんありますね、経営がおかしくなっていると。まさに、この段階になったら手のひら返して国は関係ないと、こういうような表現になっておりましたから、聞いておりましておかしいぞと思ったものですからちょっとその点を指摘して、もう少し当時の民活法、第三セクター、リゾート法を審議するときの状況を思い出しながら、国にも責任の一端があるぞと、こういうことは逃げられないんじゃないかと思うんですが、大臣、いかがですかね。
#115
○政府参考人(斉藤浩君) 最初に、運用状況について御説明させていただきたいと思います。
 民活法は、昭和六十一年に、委員から御指摘ございましたが、制定されまして、十五年を経過しました。これまで百八十一件のプロジェクトが認定されております。それの地域的な分散といたしましては、大都市圏だけではなくて、むしろ大都市圏以外の地方圏の方が六〇%ということでかなり……
#116
○梶原敬義君 時間がないから簡単にね。
#117
○政府参考人(斉藤浩君) はい。
 したがいまして、それにつきまして上手に運用するようにということでございましたので、まず施設整備につきまして補助金等、それから特段の融資をやったりしております。
 それから、ソフト面での事業運営につきましても、民活講習会あるいは民活アドバイザーを派遣するなどによりまして事業運営についてもできるだけうまくやっていただくという御支援をしてまいっております。そのかいもありまして、当省所管の認定プロジェクト、百八十一件というのは各省の分を含んでおりますが、当省関係は八十五件でございますが、かなり順調に運営されているものも多いわけでございます。
 ただ一方で、御指摘のとおり、特にバブル期にかなり大規模な土地投資を伴ったものにつきましてはかなり厳しい状況にあるのも事実でございます。これらにつきましては、地元の自治体あるいは民間企業が協力しまして計画の内容の見直しをして、新たな施設に新たな人たちを入れるなどによりまして懸命の経営努力が行われているところと承知しております。
#118
○国務大臣(平沼赳夫君) 梶原先生から国の責任はどうかと、こういうことでございますけれども、当省といたしても、今お答えをしましたように幾つかのそういう案件がございます。順調に推移しているところもありますけれども、こういうバブル崩壊後、厳しい局面に立っているところもあることは事実でございます。ですから、そういったところに対しては個々の事業体に経営改善の努力を要請するとともに、その特色を生かした事業を行うなど支援もいたしているところでございます。
 しかし、第三セクターというのは株式会社でございまして、株式会社である以上、自治体を含む出資者の主体的な判断と責任において運営すべきものだと、こういうふうに考えておりまして、私は、お言葉でございますけれども、片山総務大臣と同じような認識に立っていると、こういうことでございます。
#119
○梶原敬義君 結論はわかりましたけれども、例えば私のところの大分県でもいっぱい計画はあったんです。バブルがはじけましたから、あれ着手しておれば大変なことになっているんですよね、県も、地方自治体も。それをあおったのは、それは国ですよ。我々も審議しながら、したんですから。だから、片山さんのように、今大臣の答弁で、はいそうですかとは、これは言えないんですね。
 むしろ、私は、言わないということはいいこともあるわけですから、もう一回見直して、いいところはどんどん、こんな内需が冷え込んでいる時期ですから少し進めたらどうかと、ケースによっては。今こそ勇気を出す時期ではないかなと思うんです。
 もともと私は今度の金融不安というのは、真相はわかりませんけれども、恐らく山一証券が橋本元総理に、あそこまで行って相談すれば何とかしてくれるんじゃないかと半分期待しながら行ったんだろうと思う。逃げたんでしょう、恐らく。ああ、もうできませんと、怖くなったから。それから山一がつぶれ、それから銀行がつぶれ、がたがたっと金融不安が一気に増してきたんですよ。私は多分、これはもう何年かすればわかると思いますが、相談に来たら、いやとぱっとはねつけて逃げたんだと思う。それは表に出ておりませんが、そうじゃないかと思うんです。
 私は、宮崎のシーガイアというのは資本金が三億で負債総額三千億か何かですから、これはこのまま放置はできないんではないかと思うんですよ、大変な状況ですから。逃げるんじゃなくて、何とかこれが国の経済や国民のために将来必ず役立ってくるときがあると思うので、逃げないで取り組んでいただきたい。責任を感じておられないということについては、政府内でまたどこかでチャンスがあれば認めていただくまで頑張りたいと思っているんです。
 次に、家電のリサイクル法、四月からいよいよ実施でございますが、この家電のリサイクル法に基づく取り組みの状況というのは大体今どういうところまで来ているのか、お聞きします。
#120
○政府参考人(太田信一郎君) お答え申し上げます。
 梶原先生おっしゃられたように、四月一日から家電リサイクル法が施行されます。これまで、リサイクル義務者である製造業者等により全国各地に三十七カ所リサイクルプラントを設置しております。また、三百八十カ所の指定引き取り場所の整備が進められてまいりました。
 また、排出者から製造業者等の指定引き取り場所までの廃家電の運搬については、これまで各地域において、自治体、小売業者、製造業者等の関係者による話し合いにより、指定引き取り場所の設置や各地の収集・運搬システムの構築が行われてきております。
 さらに、小売業者が確実に廃家電を製造業者等に引き渡すよう、マニフェスト、管理票制度を料金決済システムと兼ね合わせた家電リサイクル券システムとして整備いたしております。
 一方、これは最も重要なところでございますが、本制度について消費者、事業者の理解を得ることが必要不可欠であります。そこで、環境省それから自治体とも連携をとりつつ、普及啓発用のポスター、パンフレット、ステッカーあるいはビデオの作成あるいは説明会の開催、さらには市民参加型のシンポジウム等の普及啓発活動を行ってきたところでございます。
 このように、当省としては、関係省庁それから自治体とも協力して四月一日の施行に向けて鋭意準備を行ってきているところでございます。
#121
○梶原敬義君 消費者の負担額というのがもう決まったようでありますが、テレビが二千七百円、冷蔵庫が四千六百円、洗濯機が二千四百円、エアコンが三千五百円、これは間違いないですね。
#122
○政府参考人(太田信一郎君) お答えいたします。
 リサイクル費用としては、今、梶原先生おっしゃられたとおりでございます。あと、消費者が小売業者に引き取ってもらう費用については、それに上乗せされて消費者が負担することになります。
#123
○梶原敬義君 輸送費が千円から二千円の幅だと、そのことですね。
#124
○政府参考人(太田信一郎君) はい。
#125
○梶原敬義君 ちょっと聞きたいのは、そもそもこの金額がどうして出たのか。これは、三十八カ所工場があって、恐らくそれぞれの原価はまちまちだろうが、きれいに横一線。これは通産省の指導があったのかないのか、その辺を結論としては聞きたいんです。
 そこで、それより前に、三十八のリサイクル工場の、きょうは途中で、先ほど通告したから資料はまだないんじゃないかと思うんですが、三十八の工場名と場所と、大体その場所に設備投資金額は工場ごとにどのぐらいかかっているのか、わかりますか。
#126
○政府参考人(太田信一郎君) まず、リサイクル料金については、私どもが指導をしたということはございません。まさにメーカーがそれぞれ原価に基づいて算定したものというふうに承知しております。
 それから、三十七カ所の場所については、後ほど資料を御提出させていただきたいと思いますが、四品目でございますから、一ライン大体三億円から四億円かかると。四ラインということで、大体それだけで十数億と。それにまた土地代等がかかりますので、大体二十億から三十億円ぐらいが平均的なコストではないかというふうに承知しております。場所によりけりでございますけれども、大体そういう幅におさまっているのではないかというふうに考えております。
#127
○梶原敬義君 二十億から三十億。企業ごとの設備が、大体土地も地域によって違うと思いますね。そして、設備も必ずしも全部一致するわけではない。ところが、処理費用はぴしゃっと一致しているわけですね。消費者が負担する金額というのは、二千七百円、四千六百円、二千四百円、三千五百円というのはもう横一線に並んでいるんですね、これはもう見事なものですが。それは法律の審議の過程では、私どもはある程度は通産省が中に入って価格を決めるに当たっては指導するのかな、適正価格をはじくのに経済産業省の意見が反映されるのかなと思っておりましたが、全くそれは関係ないと。それでぴしゃっとそろうというのはどうも不思議でね。
 高いと判断するのか安いと判断するのか。私は、将来工場がこれで回らなくなったら、稼働率が非常に低いというなら価格がまた上がるのか。全く見通しの立たないような話でありまして、これでは国会で議論をしているのは何の議論をしているのかよくわからぬから、我々が前もって議論したことが今日のこの状況と整合性を持ちたいわけです。
#128
○政府参考人(太田信一郎君) お答えいたします。
 家電リサイクル法二十条でまさにリサイクル価格を定めて公表する規定がございます。一つには、特定家庭用機器廃棄物、これは四品目でございますが、再商品化等に必要な行為を能率的に実施した場合における適正な原価を上回ってはならないということが一つございます。もう一つは、排出者の適正な排出を妨げることのないよう配慮しなければならないと規定されております。
 先ほど、それぞれのリサイクル工場、土地によって幅があると申しました。そういうことを踏まえた上で、これは全体二つのグループに分かれてそれぞれが、梶原先生言われましたように、稼働率あるいはいろんな人件費等を考えてそれぞれみずから算定したものでございます。我々としてはそれを各メーカー、二つのグループから聞きまして、今申しました二つの原則、能率的に実施した場合における適正な原価を上回ってはならないということと、排出者の適正な排出を妨げることのないよう配慮しなければならないという両方にかなったものになっているというふうに理解しております。
#129
○梶原敬義君 それなら少し関係しているんですね、今は何にも関係していないという話だったから。
#130
○政府参考人(太田信一郎君) 私どもが直接ああしなさい、こうしなさいという意味で関係していることは全くございません。ただ、法律の施行を私どもつかさどっておりますので、各メーカーから出てきたものが二十条に合致しているかどうか、これは最低限チェックする必要があるということで、チェックしているところでございます。
#131
○梶原敬義君 私は、必ずしも一物一価の原則じゃないが、こういうスタートに当たってはそういう一線に並ぶのもあるかなと、こう理解はしているんですよ。ただ、適正な価格であるかないか、あるいは先で、これでスタートして一年たったらもっと上がるのか下がるのか、そこらの見通し等についても、今言う二十条の適正な原価であるかどうか、物差しはそこにあるんだと、それはあなたたちが見ているはずですから、そこは自信を持ってある程度言えるのではないでしょうか、適正な価格だと判断したとかせぬとか。それはいかがですか。
#132
○政府参考人(太田信一郎君) メーカーがコストを算定するときに、当然のことながら設備の償却費等をある一定の期間をもって見るわけでございますから、そういう意味におきまして、これが毎年変わるようなことは我々予想しておりません。まずスタートしたからにはそれが当分の間続くというふうに見ておりますし、期待しておるところでございます。
#133
○梶原敬義君 それは、局長、期待をするといったって、これ商売ですからね。やっていて荷が集まらぬで、そして稼働率は落ちるは、人はたくさん抱えて設備はやっている、固定費はどんどんかかる、こういう状況になれば、これはやっぱり価格にもまた消費者にも返ってくる話ですし、そういう点は私は今回スタートに当たり相当きめ細かく頭を突っ込んで検討をしてもらう必要がこの法律の手前からいってあったんじゃないかと思いますが、今のお話では大体担当者が松下かどこかから出てきた金額を見て、横並びで少し安易に価格そのものを認知したという気配を感ずるんですが、そういうことはないですね。
#134
○政府参考人(太田信一郎君) お言葉でございますが、担当者はもうきちんと全部ヒアリングをして聞いた結果の判断ということでございます。
#135
○梶原敬義君 民活法の話じゃないですが、もう長いことずっとやっておりますと、また後で基盤技術研究センターの話もどうせこの委員会でやるようになると思いますが、前に言ったことと今日の状況というのは随分ずれが出ておりますから、それは後で局長がああ言ったというのがまた出ないようにぜひしていただきたいと思います。
 それから最後に、石油エネルギーの問題とその対策で、この前も少し質問いたしましたが、私は今のような状態でどんどん石油をたいている状況、世界各国自動車がガソリンたいて走り回っている状況というのは、これは戦後始まったわけですから、そして今日まで来たわけですが、これがあと百年も二百年も続くような状態ではないと見ているんです。そこで、石油代替エネルギーの問題を一生懸命考えないといけないんじゃないか。特に自動車というのはもう今世界の人々にとっては、これは欠かすことのできない生活必需品みたいになっておるから、ガソリンをたかぬでも何か代替エネルギーで自動車が走るようなことをもっと真剣に考えるべきではないかと思っておるんです。
 例えば、きょうの新聞で、これ通告しておりませんが、燃料電池車の研究ですね。これで見ますと、東京の神宮前で国連大学開催のシンポジウムでトヨタ自動車、ホンダ、マツダ、ダイムラークライスラーの四社がそれぞれ燃料電池の最新の試作品を展示しておると載っておりますが、私は予算の使い方としてやっぱりこういうところは思い切って国費も投入すべきじゃないか。
 これを読みますと、「米国は二〇〇四年まで続く次世代車開発のプロジェクトの中で、燃料電池の開発などに国費を年間二百億円近く投入している。日本では今月十九日、業界横断的に六十五社が参加する「燃料電池実用化推進協議会」が発足。出遅れ気味の日本政府に対し、近く要望をまとめる方針だ。」と、こうなっておるんですね。
 私はやっぱりこういうことには思い切って予算を、空にロケットを打ち上げて、たしか二機落ちまして、その金額は千二百億ぐらいかかっているんですよ。ですから、上もいいけれども、下走るのにガソリンがなくなったら、これは大ごとですから、もっとそういうところに地に足がついたお金を投入して、あるいは通産省の研究部門でもっとどんどんやらして特許をとらすとか、そういうことに力を入れるべきではないかと思うんです。通告しておりませんが、大臣。
#136
○国務大臣(平沼赳夫君) 御指摘の燃料電池に関して、もっと国を挙げて取り組むべきだ、こういう御指摘は私は長期的に二十一世紀を展望したら正しい方向だと思っております。
 ついせんだっても、今お話しの中に出ておりましたけれども、燃料電池実用化推進協議会、それをサポートする推進研究の組織が発足をしまして、私もそのスタートの会に出させていただいて所管大臣としてスピーチもさせていただきました。私は参りましたら、日本を代表する、しかもまた海外からも参画をしておりまして、たしか八十七社、非常に強力な企業それから海外からの参画、そういう形で発足をいたしまして、そして日本もいよいよこの燃料電池というのも本格化してきたなと。
 経済産業省といたしましても、この新エネルギー、そういうものには非常にこれから力を入れていこう、こういうことで平成十三年度の予算の中でも相当大幅にアップをさせていただいています。
 ただ、梶原先生はまだそれじゃ少ないと、こういう御指摘であると思っておりますけれども、そういう新しい燃料電池実用化推進協議会あるいはそれをサポートする実用化推進研究会、こういったものができたものを契機としてこれからどんどん盛り上がってくると思いますので、経済産業省といたしましては大切な分野ですからこれからますます力を入れて頑張っていきたい、このように思っております。
#137
○梶原敬義君 もう三分あります。
 今思い出しましたが、あわせて、北海道で風力発電をやっていたら北海道電力がもう買わない、上限を決めるというようなテレビのニュースが流れておりまして、それは北海道電力の言い分というのはあると思います。あると思いますが、しかしこういうものは企業がやらないなら、北海道電力がやらないなら、経産省挙げてもう少し何かそれをうまく使うような方法を、電力をもう直接札幌に引くとか、自然電力を引くとか、何かやっぱりもっと発想を変えてやっていただくような御指導をお願いしたいと思います。
#138
○国務大臣(平沼赳夫君) 風力発電に関しましては日本も随分進んできたことは事実でありまして、ただ諸外国に比べますと、ドイツなんかは風力発電がたしか五百万キロワットぐらいになっています。それに比べては日本はまだ微々たるものであります。
 今、北海道電力の問題、これの御指摘がありましたけれども、我々としては、いずれにしてもやはり化石燃料というのは非常に限りがあるわけでございますし、また環境破壊というそういう問題もありますので、この新エネルギー分野というのは伸ばしていかなければならないことは事実でございますので、いろいろな方策を検討しながら、我々としては御指摘の点も踏まえて前向きに検討していきたい、このように思っております。
#139
○梶原敬義君 終わります。
#140
○水野誠一君 今、梶原委員の方から、最後に環境問題についての、あるいは新エネルギーについての御質問がございました。それを私は引き継ぐような形で、きょうは環境関連政策について幾つかお尋ねをしたいと思います。
 二十一世紀が環境の時代であるということについては、これはもう平沼大臣も全く御異議がないのではないかと思うわけでありますが、後で幾つか考えを述べさせていただきたいと思うんですが、環境省もできたと、今度の省庁再編で、環境庁が環境省に格上げになったということでもありますし、また政府も事あるごとに環境政策の重視ということをうたっておられるわけであります。
 これは二〇〇一年、ことしの二月の日経エコロジーの記事のコピーなんですが、ここでは「二〇〇八年「環境技術革命」」というような特集が載っております。これは、二〇〇八年というのは、二酸化炭素削減の目標期間が始まるのが二〇〇八年であるということで二〇〇八年ということを言っているんですが、ここから環境技術革命というのが起きてくるんじゃないか。
 私は、政府がIT革命ということを森首相を中心に言っておられる、これは私もう十年遅いんじゃないか、ITということをもしか言うとすればもう十年前に言ってほしかった、むしろこれからは環境革命、環境技術革命じゃないかと、こういうことを前にこの委員会でも申し上げた記憶があるのでありますが、政府もそういう中で、最近の報道の扱いは非常に小さかったんですが、環境政策を官民一体で検討する私的懇談会として二十一世紀環の国づくり会議、これは循環社会の環ということでつけられたんだと思うんですが、そういう会議が総理主宰で設置されたようでございます。
 大量生産、大量消費の社会から持続可能な、サステーナブルで簡素で質を重視する社会への転換を図る、そして地球と共存する日本を実現するという大変結構な趣旨のもとで、全閣僚と有識者で構成して施策を検討していくということのようでございますが、ぜひ具体的な提言、内容を期待していきたいと思います。
 しかし、重要なのは、こういう審議会、これは本当にいろいろできてくるわけでありますが、器はできてくるのでありますが、その提言の中身が果たしてどんな中身になるのか、そしてさらに言えば、それを具体的な政府の施策としてどう生かしていけるのかと、ここが問題でありまして、私たちはこういった総理の私的諮問機関がまた新しくできたというだけではもう決して喜んではいられない、そういう感じを持っております。
 環境型社会の構築とか、今申し上げた持続可能な社会の実現あるいはそれをすべてひっくるめて環境革命を起こすべきといったことが非常に重要なスローガンであることはもちろん間違いないわけでありますが、その意味するところがいかにも遠大な構想で、ともすれば理念先行、それから具体策の欠如といった批判を生む余地、これも私はどうもあるんじゃないかなと。ここを一つ前提としながら、これらを実現するための具体的な処方せんは何なのかと。
 もちろん、一口に言って、もう環境問題というのは大変幅が広いわけでありまして、先ほども梶原委員の御質問の中にもあったようなエネルギーの問題から、ごみの処理の問題から、さらにそういった生活全般に広がるところでの環境問題というとらえ方まで非常に広いと思うんですが、省エネあるいはリサイクル、それから環境教育あるいは国際協調、こういうものがみんな大事であり、またそれらを一体としてとらえなければ環境政策というものは実現しないということも事実だと思います。
 しかし、そういったものの根底にあるものはやっぱり環境技術なんですね。企業の持つ環境技術がどう進歩するか、あるいはそこにおける国際競争において日本がどう優位性を保てるか、ここが私は大変重要じゃないかと。そういう意味でIT革命十年遅かったと。それよりも今言うべきであれば環境技術革命だと申し上げるのは、まさに世界に先駆けて日本が環境関連技術でどれだけデファクトスタンダードをとっていけるか、そこにまさに勝負はかかってくるんではないかというふうに思っているわけであります。
 そこで、ひとつ大臣に伺いたいと思うのでありますが、こういった民間の環境技術開発の重要性ということについて、大臣の御所見、御認識をまず伺えればと思います。
#141
○国務大臣(平沼赳夫君) 水野委員御指摘のように、私も二十一世紀というのは人類がいかに環境問題を克服して、そして二十二世紀も引き続いてこの地球がすばらしい環境でずっと推移をしていくことだと、こういうふうに思っています。
 しかし、余談になりますけれども、英国のホーキングという博士が、これは大変、宇宙物理学者ですけれども、日本に来られたときに、彼は筋肉が萎縮して言葉が出ないでコンピューターで言葉をやっているんですが、太陽と同じ恒星はこの銀河系宇宙の中でも一億以上あると。そういう島宇宙というのが今わかっているだけでも全宇宙でこれまた一億以上ある。そうすると、地球と同じように生命が発生するそういう惑星というのが一体幾つぐらいあるかと、こういう質問をしたら、それは恐らく一億個じゃきかないだろうと、同じ条件の。それだったら、宇宙が誕生して四十億年とか五十億年と言われていますけれども、一億年前の地球と同じ環境になって生命が発生して、どうしてそういう高度な文明を持ったものがこの地球に発信してこないのかと言ったら、そういう生命体というのは、文明が成熟をしてしまうと自己矛盾を起こして必ず滅び去ってしまう、だからそういうものは来ないんだと、こういう答えだったと思います。
 まさに、今、地球というのもオゾンホールの拡大だとか、その他のいろいろな、もろもろの公害、そういったものを考えるとやはり本当に瀬戸際まで来ていると思います。ですから、そういう中で環境問題というものをやっぱり克服し、それをどちらかというとマイナスに見られているというものをプラスに転化することが私は必要だと思う。
 そういう中で、やはり民間というものがこれから参画をして、そして技術開発をして、それに立ち向かっていくためには、まだ環境対策というのは社会の中でコスト分担のあり方がまだ明確でない。だから、企業が自主的に技術革新に取り組むインセンティブ、これが非常に小さいと思っています。ここをやっぱり解決していかなきゃいかぬ、こういう問題点があると思っていますし、環境対策はまだ十分には市場というものに組み込まれていない、ビルトインされておらないので、一般に技術開発費が高額であるために技術開発リスクが非常に大きい、これがやっぱり一つの制約になっていると思います。
 それから、将来の需要の見通しや消費者の環境問題に関する意識と今後の市場についての不透明感がまだ強い。こういうことから、いわゆる企業、民間、この市場メカニズムだけでは十分な技術開発が行われずに、国としても積極的にこれにそういう背景があるから参画していかなければならない、このように思っておりまして、私どもとしては、やはりそういう今言った問題点がありますから、民間企業、そういうものが参画しやすい環境をつくっていく、そのことが我が省に課せられたポイントだと、このように思っております。
#142
○水野誠一君 今大臣の御認識を伺ったわけでありますが、その中で、比較的コストの高い開発になると、それからリスクということがあってなかなか民間でそういった技術開発が進まないというお話もあったんですが、例えば私も幾つか事例を勉強している中で、これは前にこの委員会でもちょっとお話ししたことがあるんですが、NECが、いわゆる集積回路とか半導体とか、そういう精密電子部品の洗浄に今までフロンを使っていたと。しかし、これは特定フロン全廃という規制を受けてこれを何とかしなきゃいけないということで、フロン洗浄を経ないで、つまりレーザー捺印機という機械を導入して、洗浄過程を省略して回路プリントができるような技術を開発したと。これに五十億円かかった。しかし、五十億円かかったんだけれども、洗浄工程が省ける上、不良品発生率が著しく下がってコストダウンができて、この投資は三年足らずで回収してしまった。それ以降はもう完全にコストダウンというメリットが出てくると。
 あるいは、こういった技術開発を先取することによって、パテントを取れる企業も出てくるわけですから、そうすれば世界にその技術を普及して、今までは環境対策コストという考え方が、逆に言えば環境対策投資としてむしろビジネスにつながっていく。こういう事例は、実は私が調べていく中でも荏原製作所とか、いろんな企業の中でもう既にあるんですね。ですから、これも考え方だと。つまり、コストとして考えるか、むしろ時代を先取して、先取りしてそれを先行投資としてとらえるか、この違いが私は二十一世紀において非常に重要な意味を持つんじゃないかと思うんです。
 そこで、一つ確認をしたいんですが、九四年に通産省の諮問機関であります産業構造審議会地球環境部会が、そういう意味での環境ビジネスの市場規模は現在十五兆円だが、二〇〇〇年には二十三兆円、二〇一〇年には三十五兆円に膨らむと予測しているデータを拝見したんですが、これは少し古い数字なんですが、最近の何か調査があれば御説明願いたいと思います。
#143
○政府参考人(日下一正君) 先生御指摘のとおり、廃棄物リサイクル関連産業や環境に配慮した製造業などの環境ビジネスは、この循環型の社会の形成を担う新たな産業として今後の発展が期待されるところでございます。
 私ども、九四年に、産構審の産業環境ビジョンでその市場規模について推計をしたところでございます。その後、平成九年、九七年の五月に決定をされました「経済構造の変革と創造のための行動計画」という閣議決定されたものがございます。その試算が一番新しい試算でございますが、この九五年当時には、市場規模で十五兆円、雇用規模六十四万人でございますが、二〇一〇年には、市場規模で三十七兆円、雇用規模で百四十万人に増大すると予想されております。
 中身としましては、低公害車でございましたり、使用後に地中で分解するプラスチックなどの環境調和型の製品分野、廃家電や廃自動車などのリサイクル関連分野、ガス化溶融炉などの新たな廃棄物処理の分野などの市場が拡大するということで推計したものでございます。
 先生御指摘の産構審のビジョンとの関係でございますと、基準年が変わってきて、その後の技術進歩などの諸情勢を反映して見直したものでございます。
#144
○水野誠一君 今の数字を伺っても、二〇一〇年の予測が二兆円ぐらいふえているということですね。それだけ大いに環境関連ビジネスの成長性といいますか、可能性というのは大きい、こういうふうに理解してよろしいのかなと思うわけであります。
 そこで伺いたいんですが、経済産業省は、これまでの民間技術開発に対して具体的にどういった支援策を講じてきているのか伺いたいと思います。
 また、十三年度予算において「環境問題への対応」というくくりが、十二年度が四十五億円だったのに対して来年度九十三億円と倍増しているように見えるんですが、このうち企業の環境技術開発関連はどの程度で、どういった点に重点を置いておられるのか、御説明をいただきたいと思います。
#145
○政府参考人(日下一正君) 民間の環境技術開発は大切だということでございます。
 御指摘のように、民間企業における環境技術開発を促進することが不可欠であるという立場から積極的に取り組んでいるところでございますが、地球環境問題につきましても大変中長期にわたっての取り組みでございます。中身としましても、二酸化炭素の排出抑制や革新的技術開発を通じた温室効果ガスの抑制ということでございまして、息の長いものでございますし、循環型社会の形成につきましても、最終処分場の逼迫や資源制約に対応するための三Rの推進などの課題、いずれも息の長いものでございますので、国がしょわなくてはいけない技術開発分野も多いと考えております。
 したがいまして、国自身がみずから国立の研究所で行うもの、旧工業技術院、現在の産業技術総合研究所などで行うもの、あるいは国の負担でもって民間企業に委託をして技術開発を行うものがこういう革新的な分野につきましては大部分でございます。二酸化炭素の固定化でございましたり、革新的金属材料の素材開発あるいはリユース部品の試験・評価方法の確立などでございます。また、エネルギー低消費型の機器に用いる材料などについても、NEDOを通じて民間企業などに対する補助を行うという形をとっております。
 では、具体的に十三年度予算においてどのような拡充をしているかということについて申し上げたいと思います。
 十三年度予算の中では、地球温暖化関連につきましては、第一に、省エネルギー技術の実用化開発、それから省エネルギーの制御システムの開発、それからテレビなど家電機器の待機時消費電力削減などに対する技術開発。第二には、エネルギーの供給面の方の対策といたしまして、太陽光発電、燃料電池、バイオマスエネルギー、風力発電、クリーンエネルギー自動車、水素エネルギー等に関する技術開発。第三には、先ほども御指摘ございましたが、代替フロン対策としまして、PFCの代替ガス及び代替プロセスの開発、それからHFCなどの回収、破壊処理技術などに関する技術開発。第四には、二酸化炭素の固定化、再利用として、二酸化炭素の回収、それから海洋隔離、地中貯留などに関する技術開発をそれぞれ推進してまいることとしております。
 循環型社会の形成につきましては、第一には、リサイクルしやすい素材の開発として、スーパーメタルでございましたり、建築廃材、ガラスなどに関する技術開発。第二には、リサイクルしやすい製品の設計として、設計段階、それから分解・分別段階における共通基盤の整備でございましたり、資源循環型の住宅に関する技術開発。第三には、廃棄物の再資源化につきましては、非鉄金属系素材のリサイクル促進でございましたり、これは民間のを助成しているわけでございますが、石炭灰有効利用などに関する技術開発をそれぞれ推進しているところでございます。
#146
○水野誠一君 ありがとうございました。
 今回の予算を見てまいりましても、各省が環境問題への対応とか環境型社会へ向けてという見出しをみんな掲げているということで、例えば、国土交通省では、埋立処分場の不足問題に対応して海面処分場の整備に百三十四億円あるいは交通需要マネジメント実験に七億、ディーゼル微粒子除去装置の普及に一億、あるいは農水省では、食品リサイクルのための技術開発に四十七億、森林資源循環利用プロジェクトに十七億、また環境省では、廃棄物処理施設整備に千七百億、PCB対策の補助金として二十億、環境型社会形成に向けた廃棄物の研究推進に九億といったふうにいろいろな項目で環境関連の予算が出てきております。
 経済産業省もさまざまな施策についてのパブリックコメントなどをなさっておりますので、この縦割り行政の障害、これを何とかしてほしいという声を環境政策についても恐らく耳にされているんではないかと思うのであります。
 例えば、たまたま手元に東京都商工指導所のつくった「環境・リサイクルビジネスの事業化戦略」という調査報告書がございますが、この中には、事業者側の声として、リサイクルできる商品を開発しても省庁ごとの規制や補助を受けるための条件がばらばらなためにスムーズな商品開発ができず、できるとしてもコスト高になると。これはさっき大臣が御指摘になった、つまりコスト高というところの原因は意外とこういうところにあるかもしれないという気もします。それから、国も地方も環境問題、特に補助金についての窓口の一本化を図ってほしい、あるいは省庁再編をするからには従来の縦割り行政を排し企業活動がしやすい形態にしていただきたい、こういったコメントが事実いろいろ出てまいります。
 私が最近ちょっと経験したことでも、元新日鉄の研究者だった方が、ごみ処理の焼融炉、つまり焼き溶かす炉の開発のベンチャーを始めたと。これは、二千度以上の高温でごみを焼くことによって水と資源物質に完全に分解してリサイクルできるというすぐれた技術、これの実験炉までは頑張ってつくったんだけれども、実証炉段階になってどうしても支援が必要だということで通産省に御相談をしてみた。ところが、こういう技術は厚生省の分野だということで厚生省に回され、厚生省ではなかなかこの技術が理解していただけなかったということで、私もその後のてんまつをちらっとこの前聞きましたら、結局、アメリカの研究機関に相談をしたところが、アメリカの国防省系の研究所が、これはおもしろい、そのかわり特許をよこせということで、結局アメリカにこの技術開発は持っていかれてしまったようなんです。
 この手の話は、最近話題になりました青色ダイオードあるいは紫色レーザービームの開発をした四国の徳島の中小企業におられた中村先生という方がいらした。中村さんは結局日本ではどこも支援の手が伸びずに、あるいは就職の口が見つからずにアメリカ・カリフォルニア大学に教授として招かれたと、こういう話もありまして、やはりこれは、私は、日本のこういう技術の支援あるいは開発の中では目ききがいないとなかなかそういうものを拾って育てていくということができないんじゃないだろうかなと、そんな感じをしております。
 今ITに関しては、非常にIT革命というにしきの御旗のもとで予算がつく、つきやすいということで、逆に無理とかむだとか、そういうものがあるんじゃないか、かなりむだがあるんじゃないかという疑問が既にいろいろ指摘されているわけでありますが、十三年度予算の概算要求が出たころの報道にも、環境技術開発についてはこれまでばらばらに実施してきた開発支援が十分に機能していないという反省から、民間企業の技術力や研究開発に詳しい通産省と環境汚染現場の実態を知る環境庁が協力して効率的な技術開発をねらうといった記事なども拝見をしました。これは大変いいなと思ってその記事を拝見していたわけでありますが、これは具体的にどんなことをお考えになっているのか。
 各省連携した効率的な支援策が欠かせないのはもちろんのことなんですが、経済産業省としては、企業の研究開発とその実用化の推進という観点から、政府内でも最も積極的にイニシアチブを発揮していただいていいんじゃないか。さっきのごみの焼融炉の話じゃありませんが、それは厚生省のお仕事ですというのではなくて、むしろ通産省がリードして厚生省も巻き込んでその開発に当たっていくというふうな、そのリーダーシップを大いに発揮されてもいいんじゃないかという気がするんですが、その辺は、この新しい体制ではいかがなものなんでしょうか。
#147
○副大臣(松田岩夫君) 水野委員仰せのとおりだと存じます。
 最初に、環境技術開発予算、各省にいろいろあるが、これを総合的、統合的に効率よくという御趣旨の御質問でございましたが、例えば平成十二年度から政府全体として取り組んでおりますこのミレニアムプロジェクトにおいては、省庁横断的な連携体制のもと、環境技術開発を実施しようということで既に始めておるわけであります。
 具体例を申し上げますと、御案内のことでございますが、関係省庁から構成されます連絡会議を設けましてその間の施策調整を図りながら、リサイクル分野の技術開発について、例えばプラスチック、電子・電気製品等のリサイクル技術開発は経済産業省、有機性廃棄物については農林水産省、FRP廃船については国土交通省といった、もう少し細かく言いますといろいろあるわけでございますが、関係省庁による役割分担のもと、政府全体としていかにいい循環型社会の構築を目指していくかということで、このリサイクル技術開発を総合的に、各省分担しながらやっていくというようなことを一つの例として申し上げたわけでございますが、今行っておるわけであります。
 御案内とは思いますけれども、今度、公立といいますか国立の研究所は独立行政法人ということで、経済産業省で申しますと、産業技術総合研究所ということで全部統合いたしました。正直、世界で一番大きな人数とか予算規模で申しますと研究所の一つ、あるいは考え方によっては世界最大と言ってもいい研究所が生まれるわけでございます。
 そういうことで、各研究所、皆そうなんでございますが、各省とも、まさに今おっしゃった趣旨に沿って、とりわけ経済省、産業界とまさに直接関係いたしております。産官学連携のもと、今おっしゃったいいネタが残念ながらアメリカに行ってしまったというお話を聞きますと、非常に残念に思うと同時に、何やっているんだという思いを私自身も今いたしたわけでございますが、そういう思いは、正直、経済省の諸君、皆今持っておりまして、我々産総研と簡単に申しておりますが、産総研を中心にして、産官学提携しながら、新しいニーズ、環境ばかりではございませんけれども、きょう取り上げていただいた環境関係の技術はもちろんのことでありますが、精いっぱい頑張っていきたいということを思っておりますことは事実でございますし、新しい体制の発足とともにそういう体制をつくり上げております。ぜひまた今後ともそういう面で御指導、御鞭撻を心からお願いいたすわけであります。
#148
○水野誠一君 今のお答え大変ありがたく受け取りました。
 最後に一言だけ申し上げたいと思うんですが、今の時代というのは、生産、利用、回収、リサイクルといった一つの商品のライフサイクル、これを一体としてとらえていく、つまりインバースマニュファクチャリングという言葉が最近出てきたんですが、昔ですと物をつくるということ、それからそれを売るということ、ここぐらいまではみんな企業が非常に関心があった。しかし、これからは回収、再生まで、リサイクルまで全部含めて物の設計をしていかないといいものがつくれないという、時代に合った製品ができないということになってきているわけであります。
 これは同時に、これは東大の山本先生なんかが盛んに言われるんですが、個別技術では何にも解決できないんだと。つまり、トータルの技術をインテグレートしていって初めて環境問題というのは解決できるということになりますと、生産は通産省、回収、廃棄の方は厚生省というような業務分担ということが、業務分担は必要なんだけれども、逆に言えばそれが一気通貫で考えられている技術の開発でないと意味がない時代に完全になってきている、こういうことが私はとても重要だと思うんです。
 それと同時に、もう一つは、先ほどから経済性の問題、これは決して環境と経済というのは矛盾しないということを申し上げた。エコノミーとエコロジーという言葉がございますけれども、これは語源が一緒だと言われているぐらいで、今までは相矛盾する要素としてとらえられていた。しかしそうではなくて、知恵を使っていけばエコロジーに対する積極的取り組みは必ずエコノミカルな意味でもメリットになる、利益になるんだという考え方ですね。
 そこへの発想転換というものをしていく上でも、これはやはり通産省、今はもう経済産業省ですが、つい通産省と言ってしまいますが、経済産業省に経済という意味がついたという先ほど御質問もありましたけれども、やはり経済産業省のイニシアチブということが私は重要な意味を持つと信じておりますので、その点はひとつお願いをして、質問を終わらせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
#149
○渡辺秀央君 どうも御苦労さまでございます。
 きょうは一般質疑、先日の大臣の所信表明に関しての質疑でありますので、幾つかの問題点、お聞きをいたしておこうと思っておりますが、構造改革について、そして中小企業対策、そして同時に、そういったところのいわゆる特許関係の問題、最後に若干私の考え方を申し上げて、エネルギー問題を少し大臣の意見を聞きながら意見交換をしてみたいというふうに思います。
 その前に、昨年の末の臨時国会の最後のところで、私は平沼大臣に、行政改革に伴う内閣改造で、ぜひひとつ留任をして、しっかりこの厳しい経済産業関係において継続性、そしてまたその中であなたの持っている見識と、そしてまたぜひ政治主導の大胆な行政を展開してほしいがための留任の期待感を申し上げました。めでたくというか、御苦労にも留任をされました。どうぞひとつ、本当に大変な時期だと思いますよ、この時期に、通産省の有能な官僚諸君ではありますけれども、やっぱり相当な決意でこれは取り組んでいかなければならない。
 大変恐縮だが、私は、今の自民党と私どもがいたときの自民党とを区別して、実は全国今私はいろんなことで演説をして歩いているのでいつも申し上げているんですけれども、しかし、かつて私どもがいた自民党というものの中にはかなり、それはその当時の、十分な議論あるいは白熱した議論、あるいはまた役所の諸君たちと実際上相当なやりとりをして、場合によっては同僚、先輩議員とのけんかもしながら、けんかという言葉はいいかわからぬが、議論をしながら政策を実行してきたようなことも回顧しながら、こういう日本の経済、そしてまた産業に従事する人たちが、ともかく不安に駆られた経済活動や、あるいはまた生産活動に入っているという実態は、これはまさに政治家としてお互いに反省せにゃならぬことだろうと思うんです。一日も早く、脱却は難しくとも、方向づけはせにゃいかぬのだろうというふうに思います。
 そういう意味で、今ほどのいろんな同僚議員の質問も承っておりまして、非常に参考になる問題点がございました。ただ、私は、さっきの水野さんの質問の中で、本当に私も同じ思いだったんですが、中村教授の話は。ああ、これはいかぬなという感じがしました。昔からあることではありますよ、日本として。
 ただ、私は、通産省の諸君たちの名誉のためにも、私はかつてダイオキシンの問題で、これはたしか私はまだ在野時代だったんじゃないかと思うんだけれども、思い出せませんが、時期が。つい先ごろの話、二、三年か三、四年前、通産省の若い諸君に、ダイオキシンが出ないいろんな技術を町の技術屋が開発した、そしてそれを紹介して、どういうものかねという話をしたら、これはちょっと今の話とまた違いまして、その人は、私は名前も忘れましたが、若い通産の役人が、それは厚生省と一緒にひとつ考えましょうと言って、厚生省の方がむしろたじろいだという経緯がありました。
 だから、私は大変生意気なようですが、やっぱり一人一人の官僚の人たちの、有能な官僚諸君ばっかりなんですから、その人たちのいわゆる意識だろうと思うんです。だから、そこは僕は生意気ぶって申し上げるようで本当にあれですが、しかし、こういう物すごい危機的な状態のときこそ役所の中の役人の諸君たちに、大臣は就任と退任のときのあいさつだけじゃなくて、日ごろ、大臣の人柄、僕は特に平沼大臣に期待しているので言うんですが、役所の諸君たちと接触をしてほしい、そして絶えず通産省の役所の諸君たちがそういう問題意識をしっかり持って対応していけば今のようなことも、あるいはまた将来とも対応できると。
 こういうときは政治家だけができることでもない、役所の諸君たちのいろんなエネルギーを政治家が吸収しながら、また政治家のバイタリティーを役所の連中が信頼しながら、そういう相関関係だろうと思うんですね。ぜひ、いろいろ話を承っておりながら、大臣に今後の行政の中でのそういう手腕の発揮を御期待申し上げたいと思っております。
 そこで構造改革ですが、これまたなかなか容易じゃありませんね。先ほど来からいろいろ意見も出ているようですが、私が今言った四項目の十三細目にわたる項目なのでちょっときょう三十分の中でとてもこれは議論し尽くせないなというふうに、今また余計なことを言っちゃったので時間の経過でありますが。
 実は、三月十九日の日米首脳会談の話で出たのかもわかりませんけれども、森さんという人もよくよく承知をしておりながら、しかし報道ぶりを見ると、これは要するに不良債権処理を半年の期限を明示したみたいなことになっている。これはブリーフがよかったのか何が悪かったのか知りませんが、いわゆるブリーフの仕方が間違っている、両方とも食い違った。一国の、私も自分で経験したことがありますが、ブリーフの食い違いなんということはこれはあるまじきことですよね。だけれども、しかしそういうことになった以上は、不良債権処理あるいはまた構造改革を積極的にこれはもう言うに及ばずやらなきゃならぬということですね。
 そこで、大臣の所信を聞きたいのでありますが、いわゆる所信表明ではそういうような見解は述べられる。述べられるけれども、これは本当にこの構造改革をやろうとするのでは、いわゆるソフトランディングでなくて、まさにハードランディングを考えざるを得ない。政治家が今まで、お互いそうですけれども、あっちにも顔が立ちこっちにも顔が立って、こっちにも喜ばれてあっちからは賛同を得るなんというようなことは、もうとてもできる段階ではないと思う。僕は、今の自民党を中心とする政権の間違いはそこにあると思っていますよ。だから、その勇気が出てこないから国民が信頼しない。
 そういう意味では、私は、平沼大臣のぜひ政治力と指導力で、このあえてハードランディングしかないということを言う、それしかないぞということの意味じゃなくとも、その決意、かつて私の本当に信頼した梶山さんがあれだけの提案をしておりながら自民党に受け入れられなかった、それが今日そのツケが来ているわけですね。
 だから、不良債権問題も後ほど若干お聞きしたいこともありますが、これはもうそういう意味では本当に今日的にこの構造改革というのは、産業の再編成あるいはまた再統合とでもいうか、切るものは切る、あるいはだめになっているものは仕方がないねということを、まあ死刑を言い渡すことだとは思いませんが、しかし少なくともそれぐらいの構想を持ってこの構造改革のみならず産業再編成ということをやっていかないと、私は日本の経済あるいは産業の将来はないのではないか。現に、他国のことを申し上げるつもりはありませんが、韓国でも思い切った財閥解体あるいはまた産業の再編、これがやっぱり若干のちゅうちょをしたために今日の混乱が起こっているやに聞いてもおりますし、私もよく見聞きをいたしております。
 そういう点を考えると、非常に大事な面における今までの、経済国家日本と言ってきた以上は、金融が信用がなくなってきた、この経済産業省で日本の言うならば国際的な地位を確保していくための責任が課せられてきたと言っても差し支えない、そういう意味における平沼大臣の決意、考え方を、ありましたらひとつお述べいただければと思います。
#150
○国務大臣(平沼赳夫君) 渡辺先生から、大変非常に構造改革について勇気を持ってやるべきだと、こういうお話がございました。
 この九〇年代の停滞というのを振り返ってみますと、日本の経済分野というのがやはりグローバル化の時代の中で経済構造改革を怠ってきたと、こういうことがある意味では言えると思います。
 ただ、私ども経済産業省は、日本には企業の数が五百万あると言われておりまして、そのうち数では九九・七%が中小企業であります。この経済大国の屋台骨を支えてくださっているのがある意味では中小企業と言っても過言ではありません。したがいまして、構造改革を進めるということがすべてその犠牲の上にやるということは私は到底不可能だと思っています。勇気を持ってやらなければならないということは、そのとおりだと思います。
 そういう中で、産業新生のために昨年会議が設置されまして、そこでかんかんがくがく御承知のように議論をしながら、そこには各種経済界の方々や財界人、有識者にも集まっていただいて、そして洗いざらい議論をさせていただいて、やはりそういった企業が、悪い部分は切り捨てていかなきゃいけないけれどもいい部分は伸ばす、そういう環境をつくっていかなきゃいけないということで、もう先生よく御承知のように、二百六十項目、そういうものをリストアップして、タイムを区切って今具体的に動き出しています。
 ですから、やはり企業の活動にとってグローバライゼーションの中で不必要な規制はなくす、あるいは必要な法的な措置はする、そういった形で全体をレベルアップしていこう、こういうことで今鋭意取り組んでいるわけでありまして、御指摘のように勇気を持ってやらなければならない、こういう覚悟で私ども頑張ってまいります。しかし同時に、いいところは伸ばす、やはりそういう大前提で私は全体がレベルアップするようなそういう方策をとってまいりたい、このように思っております。
#151
○渡辺秀央君 私の申し上げたことを多分わかっていただいてのことだろうと思うのであえて今の答弁に対してのあれはいたしませんが、構造改革を今おっしゃる国内的な政策として緊急かつ迅速、かつまた大胆にある程度やっていかなきゃならぬと。そういうときに伴って出てくるのが、言うならば今度は国際的な影響、特に東南アジア等においては、国内でそういう方向をやるとその痛みは必ず東南アジアのかつて日本が、あるいは今日日本が協力している企業に直結していくという問題が起こってくる。ですから、なかなかこれ厄介な問題、国内の問題であって国内の問題にとどまらないということだろうと思うんですね。
 そういう意味では、ぜひ大臣の所管の中でいろいろ配慮しながら、二〇〇〇年のジェトロの投資白書によると、最近の日本の親企業は資本効率を重視する経営方針のもとで海外子会社を売却する件数がふえてきているというような傾向、あるいは米国に拠点を置いている子会社なんか売却が目立つようです。日本の国内でより一層の構造改革を進めるとこうした傾向に拍車がかかってしまう。アジア諸国の経済に影響を及ぼす、この点についての配慮を、単なる資金の問題ということではない問題が出てくると思うんですね。
 そこらも十分配慮しての構造改革への取り組みであろうとは思います。思いますが、何しろ日本の行政は縦割り行政、幾ら行政改革をやって統廃合をやった役所であっても、これはやっぱりもう縦割りであることは間違いない。そこのところを、さっきのように何とか会議だ、何とか諮問会議だというようなことでない、どうもそういうことに今までお互い、私も反省の域ですが、過ごしてきちゃって、そこで終わっちゃうんですな、どうしても。
 だから、それをせっかく総理大臣特命大臣みたいなのもできているようですから、無任所、そういうところへぼんと投げて、そこで専門的に一カ月なら一カ月集中的に議論をさせて、のんべんだらりじゃないですよ。だって、教育改革だってあれだけやったのが何にもできていない。中間報告で終わっちゃっている。もうみんなそうでしょう。だから、そうでなく、区切っちゃって、一カ月あるいは二十日間なら二十日間で、三週間で結論を出せというようなこと、乱暴に言うならばですよ、すべてそうだと言うんじゃないんです。
 そういうような決意でやらないと、今の大臣の答弁はもう全く百点満点の優等生の答弁なんだけれども、しかしそれでは実際に国内の産業や経営をやっている人たちあるいは中小企業の人たちあるいはベンチャーの人たちが見えないですね。そこを私は申し上げたい。だから、通産省というのは野人の集まりみたいなものでバイタリティーを持っているわけですから、思い切って振りかざしてやってみられたらどうか。
 今の東南アジア諸国に与える影響等を考えた場合の構造改革に対してはどう思われますか。
#152
○国務大臣(平沼赳夫君) 経済構造改革というのは、会社法制の抜本的な見直しでございますとか雇用システムの改革、それから各種の規制の改革などを通じまして民間の経済活動が自由濶達に行われる、そういうような環境を整備していく、このことだと思っておりまして、企業の創造的な活動や新規産業の創出をそれによって促すものだと思っています。
 こうした変革というのは、停滞と閉塞を打破して、我が国経済の新たな成長と発展をもたらすものではありますけれども、今先生御指摘のように、この変革の過程で雇用面等に生じる影響を最小化すべく、中小企業や雇用に対するセーフティーネットの有効活用を図っていくこと、これはもとより必要だと思っています。
 また、御指摘の海外への影響に関してでございますが、アジア等に進出している我が国企業についても、事業を集約化する、そういう結果、一部には活動の縮小を余儀なくされ、さらにはそういうものを売却する、こういった企業もある一方、アジアにむしろ活路を求める、そういう事例も同時にあるわけでございます。私どもとしては、全体的には創造的なそういう活動を促すものだと、こういうふうに認識しております。
 したがって、今いろいろ御指摘をいただきましたけれども、やはりそういう中で、全体の活力を高めて国内にも海外にもいい影響が出る、そういうことをやっていかなきゃならない。そのためには経済産業省がイニシアチブを持って、そしてきめ細かく対応していく、こういうことだと私は思っております。
#153
○渡辺秀央君 ちょっとこの議論をやっていくと切りがないですから、またいずれかの機会にいたしましょう。ぜひ経済産業省の大いなる力を発揮していただきますよう期待をいたしておきたいと思います。
 時間がなくなってしまいましたが、そういう中で構造改革をやっていきますと中小企業にもろに来る。もろに来ない業種、業界もあるかもわからぬが、大体今までその点について同僚議員の質問もありましたようですから、私はなるべく省くことにいたしました。今、余り時間も、あと十分かそこらしかありません。
 貸し渋りの問題も質問にあったやに聞いておりますが、これはちょっと異常ですよ。異常ですから、中小企業庁長官にせっかくお越しいただいておりますが、私は、いつも出先機関、出先の通産局のところで信用保証協会、各県と連携をとってその実態を、情報をしっかりつかんでおくということが大切だろうと思うんです。もちろん努力はしていることは認めますし、やってはいただいているんです。ところが、本当に肝心なところへ行くと、やっぱり前と同じ担保だとか、いや限度枠だとかということにどうもいまだになっているようで、まあこれはいたし方ない、無責任に国民の金を使えるわけじゃありませんから、そのことを云々するわけじゃありませんが、やっぱりそこには中小企業なんだ、かつては中小企業省をということまで僕らはやったものだよね。
 それはどういうことかというと、精神論ばかり言って恐縮ですが、中小企業の経営者に対して元気を出させる、それがやっぱり一つの役割なんですよ、中小企業庁あるいは通産省、出先の通産局、また通産局の課長なり中小企業対策の部長は。そういうところをぜひひとつよろしく大臣から御指導をいただいて、より以上の効果が上がるようにお願いを申し上げておきたい、期待をいたしておきたいと思うんです。
 そこで、さっき中小企業の技術の問題や環境技術の話もありましたが、この中小企業をそういう中で残して、九九・八%も中小企業だと。いや、金の比率は四、六であるとか。それはもうよくわかっています。しかし、実際に中小企業の技術が、かつては日本の中小企業の技術というのは、それは本当に最たるものであった。ところが、長い間の不況で中小企業は設備投資もできぬと。ある意味においては大企業が生き残るために中小企業にしわ寄せをよこしている。したがって力がなくなった。要するに、もうからない仕事をやるわけだ、何とか川上の方の仕事の関連を持っていきたいために。
 そうすると、持っていた、あるいはまたせっかくの蓄積した財力というか資力というか力というのを吐き出しちゃっているんですよ。大体みんな吐き出しているわけだ。それが無担保無保証のところにと逃げ込んでいっているわけでしょう。そういうことを考えると、技術の開発なんというところにとても行かぬ。
 ですから、中小企業の技術開発に関しては、これは私の前からの持論ですけれども、せっかく特許庁に、これはおこがましいが、私と梶山だんなと、とにかく特別会計をやりましたよ。この特別会計が今日大変成果を上げている。であるとするならば、この特許庁の技術を中小企業がやりたいというときには思い切って、もうこれは場合によっては特別立法したっていいんじゃないですか。そして融資をして、特許料に関しては思い切って出してやって、それで産業生産活動に意欲と情熱を持って、将来の展望を持ちながら中小企業がやっていけるようなそういう、それは私の言うのは乱暴なことかもわからぬが、今や中小企業の技術力を補てんしてやるという一つとしては、特許庁が持っている、あるいはまたは特許を持っているところから中小企業の人たちがやりやすいようにするのには、そこでは中小企業に限っては、場合によっては事業団から全額特許料は出してやろう、だからやってみろと。そういうようなことを、いわゆるしりたたきですけれども、激励の、それぐらいの思い切った変わった施策ぐらいを出してみたらどんなものだろうかなと。
 これはアイデアの一つかわかりませんけれども、しかし大きな施策になると思いますよ。そういうこともぜひ、いかがですか、ちょっと検討してみませんか。
#154
○国務大臣(平沼赳夫君) 今御指摘のように、中小企業から出ている特許というのは膨大な数がございます。こういった形でそれを実用化するためにインセンティブを与えるべきだと、こういう御指摘ですけれども、それは非常に検討に値することだと思いますので、私どもとしても今の御指摘というものを深く検討させていただきたい、このように思っております。
#155
○渡辺秀央君 助け船を出すわけではありませんけれども、いつまでとは言っているわけじゃないから。検討をしなさいと。しかし、そういうことはそんなに難しいことじゃないということを申し上げているわけです。
 それから、もう時間がないから、あと五分しかないのかな、エネルギー問題ですが、私ちょっともう大ざっぱに言います。
 要するに、金融は統合されました。大臣、統合されてきている、合併している。あるいは産業界も、もうそういう底辺においては連携あるいはジョイントしながらやっている。そういう中で、今の電力の状態というのは、一体このままいけるのかねということがちょっとありますね。それはまさに、自由化が私はすべて悪かったとは言わない。しかし、どうも電力の料金の自由化問題については、もう要らざる労力とそれから経費が電力会社に負担されたりして、逆にコスト、もう年がら年じゅう料金計算やっているんじゃないの、今。為替があれだけ変動しているんだから。どうしてそういうばかなことをやったかなと。これは私は、別に当時国会議員でなかったから、残念なるかなという感じがしますよ、いまだに。いまだにする。
 もう少し、こういう経済が安定していないときこそエネルギー、それは石油も交えてですよ、エネルギーは、いわゆる緊急経済対策をやるなら、向こう三年間これでいくよというものを出せば、またこれも経済活性の、あるいはまた経済の方向を、あるいは生産の方向を考えるエネルギーになりますよ。これは社会主義政策だとは思わないね、僕は。緊急避難的な政策だと思う。
 そういうことも考えてみると、電力会社の、まあ電力、このごろはIT関係もちょっとはやっていいみたいな話のようですけれども、あれだけの電力のいわゆる実力というか、言うならば、ある一時期においてはこれは国家的な、保護とは言わぬけれども、政策であそこまでの力がついてきた。そうしたら、今ここで電力企業がこの日本の経済の緊急時において一体どういう役割を果たしているのかねと。
 私は、かつて閣僚のときも、経済がおかしくなってきた、緊急避難的に例えば郵政関係だったらNTTを中心にして設備投資を思い切ってやれ、あるいは中曽根内閣のときにも設備投資を電力会社に思い切ってやってもらう。景気、内需拡大をした。今それできないでしょうが。その余力を与えなくしたんだ、通産省、エネルギー庁が、それは。自由化のために。
 それが果たして国家国民と、今日のような日本の、資源の乏しい我が国の経済状況の中で、この底の浅い産業、経済構造を持っておって、正しかったのかどうかの議論はいずれやるとしても、しかし何らかここらで考えないと、このままではこっちでちょびこっちでちょびということで産業政策、経済政策をやってもだめではないですかということを僕は問題提起をいたしておきたいと思うんです。
 電力それぞれ合併をしろなんということを、大それたことを言うつもりはありません。しかし、現実に電力料金の格差が起こっている。あるいはまた、これは原子力に関しては賛否両論ありますよ。ありますけれども、しかし、それらについても原子力の十分に行き届いた電力会社と、それを享受して恩恵に浴しているところと、それを生産して困っている地域といろいろあるわけでしょう。
 そういうことも押しなべて考えてみて、エネルギー需要の見直しというのは、それは深谷通産大臣のときに聞いています。そういうことではなくて、もっと抜本的な、そんなものエネルギーが足りるか足りないかの話ぐらいのことだと思うんだ、僕は。そうじゃない、本質的な、本格的なそういうところまで突っ込んだことを少し考えないと産業界全体の力にはならぬのではないかということを申し上げ、御意見があったら一言聞いて、質問を終わりたいと思います。
#156
○国務大臣(平沼赳夫君) グローバライゼーションの中で、電力の自由化というのは一つの流れだと思っております。しかし、渡辺先生御承知のように、カリフォルニアで電力の危機がありました。そういったことを考えてみると、やはり十分検証して、電力というのは安定的な供給ということを担保しなきゃいけませんし、安全性という問題もございますから、そういったことを十分検証して、そしてどれが一番この国にとって二十一世紀望ましいエネルギー政策か。これは新エネルギーの問題もございますし、今電力会社の問題もございます。そういったことをすべて包括的に我々は考えていかなければならない時期に来ている。そういうことで、これから一生懸命努力をさせていただきたい、こういうふうに思っております。
#157
○渡辺秀央君 どうぞ頑張ってください。
#158
○委員長(加藤紀文君) 本日の調査はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時五分散会
ソース: 国立国会図書館
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