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2001/03/27 第151回国会 参議院 参議院会議録情報 第151回国会 厚生労働委員会 第4号
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2001/03/27 第151回国会 参議院

参議院会議録情報 第151回国会 厚生労働委員会 第4号

#1
第151回国会 厚生労働委員会 第4号
平成十三年三月二十七日(火曜日)
   午後一時三十分開会
    ─────────────
   委員の異動
 三月二十三日
    選任          黒岩 秩子君
 同日
    辞任         補欠選任   
     櫻井  充君     松崎 俊久君
 三月二十六日
    辞任         補欠選任   
     川橋 幸子君     小川 勝也君
 三月二十七日
    辞任         補欠選任   
     小川 勝也君     川橋 幸子君
     木俣 佳丈君     高橋 千秋君
     浜四津敏子君     風間  昶君
     山本  保君     大森 礼子君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         中島 眞人君
    理 事
                亀谷 博昭君
                斉藤 滋宣君
                柳田  稔君
                沢 たまき君
                井上 美代君
    委 員
                阿部 正俊君
                大島 慶久君
                狩野  安君
                釜本 邦茂君
                田浦  直君
                鶴保 庸介君
                南野知惠子君
                川橋 幸子君
                木俣 佳丈君
                長谷川 清君
                大森 礼子君
                風間  昶君
                小池  晃君
                大脇 雅子君
                西川きよし君
                黒岩 秩子君
   国務大臣
       厚生労働大臣   坂口  力君
   副大臣
       厚生労働副大臣  増田 敏男君
       厚生労働副大臣  桝屋 敬悟君
   大臣政務官
       総務大臣政務官  滝   実君
       厚生労働大臣政
       務官       田浦  直君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        川邊  新君
   政府参考人
       内閣府大臣官房
       審議官      小島 誠二君
       総務省行政評価
       局長       塚本 壽雄君
       外務大臣官房参
       事官       佐藤 重和君
       外務省総合外交
       政策局国際社会
       協力部長     高須 幸雄君
       厚生労働省健康
       局長       篠崎 英夫君
       厚生労働省職業
       安定局高齢・障
       害者雇用対策部
       長        上村 隆史君
       厚生労働省社会
       ・援護局長    真野  章君
       厚生労働省保険
       局長       大塚 義治君
       厚生労働省年金
       局長       辻  哲夫君
       社会保険庁運営
       部長       冨岡  悟君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正す
 る法律案(内閣提出、衆議院送付)
○平成十三年度における国民年金法による年金の
 額等の改定の特例に関する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
○労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法の一
 部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)

    ─────────────
#2
○委員長(中島眞人君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 本委員会の委員は一名欠員となっておりましたが、去る二十三日、黒岩秩子君が委員に選任されました。
 また、去る二十三日、櫻井充君が委員を辞任され、その補欠として松崎俊久君が選任されました。
 また、本日、山本保君が委員を辞任され、その補欠として大森礼子君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(中島眞人君) 次に、政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に内閣府大臣官房審議官小島誠二君、外務大臣官房参事官佐藤重和君、外務省総合外交政策局国際社会協力部長高須幸雄君、厚生労働省健康局長篠崎英夫君及び厚生労働省社会・援護局長真野章君を、また、平成十三年度における国民年金法による年金の額等の改定の特例に関する法律案の審査のため、本日の委員会に総務省行政評価局長塚本壽雄君、厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部長上村隆史君、厚生労働省保険局長大塚義治君、厚生労働省年金局長辻哲夫君及び社会保険庁運営部長冨岡悟君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(中島眞人君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(中島眞人君) 次に、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案につきましては既に趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○木俣佳丈君 民主党・新緑風会の木俣佳丈でございます。
 本日はこちらの法案、そしてまたその関連について御説明を受けたいと、このように思っておるわけでございます。
 一九四五年の八月十五日に終戦、終戦というか敗戦いたしましてから既にもう五十六年でございます。八月十五日というのは私も非常に、私は戦争を経験しておりませんけれども、私の実は祖母が八月十五日生まれということで、そういったこともあって非常にこの八月十五日というのを大事に思っておる者の一人でございます。
 そのときに、私は考えますのに、あの第二次世界大戦で、非常に忌まわしいことではございますが、我が国の同胞、国民二百四十万人、いや三百万人と言われる方々がお亡くなりになったわけでございます。これを思うと、本当に胸の詰まる思いがいたします。
 一昨年も初めて広島の地へ参りまして、原爆ドームそしてまた原爆資料館、こういったものを見てまいりました。二度とこういったことは我が国は起こすべきではない、これが憲法の精神でもございますし、我々議員一人一人、そしてまた内閣の大臣、皆さん初めとして思っていただきたいことであると重ねてお願いをしながら、心に刻みたいと思っております。
 そこで、先ほど、戦争で戦闘によって亡くなった兵隊の方々、そしてまた一般の国民の皆さんが巻き込まれて亡くなった方々、二百五十万、三百万という大変な数でございますが、いまだに遺族の方々の願いとしては、その遺体がだれのものなのか、こういったものが遺族のせめてもの慰めというか、心の平安を取り戻す唯一の方法ではないか。
 そしてまた、その遺骨がおさめられているその場所において、国立では二カ所しかないというふうに聞いておりますけれども、これを何とかもう少し諸外国並みに、我が国のために亡くなった方々でございますので、広げてもらえないだろうか。そしてまた、この歴史の忌まわしいものも含めて大きく取り上げて、名前を石に刻むとか、沖縄ではありますけれども、こういったことができないだろうか、こんな思いをされておると私も聞いております。
 きょうも御遺族の方々が数名この議場で傍聴されておりますけれども、代表するつもりで私も質問をさせていただきたいと思っております。
 まず初めに、戦没者等遺骨のDNA鑑定について伺います。
 厚生労働省は、平成十二年二月一日、読売新聞によると、DNA鑑定を当面見合わせるという御意見を出されたかと思うと、平成十二年八月十五日の読売新聞では再びこれを実施すると言ってみたり、そしてまた同年八月二十八日の毎日新聞には全額遺族負担とするということで御遺族の方々の猛反発を買われたり、この対応が一方方向ではないというふうに私は思うわけでございます。迷走しているという感がございます。
 初めに厚生労働大臣、坂口大臣にこのあたりを伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。
#7
○政府参考人(真野章君) 先に私から経過を御説明申し上げたいと思います。
 DNA鑑定につきましては、平成十一年の七月以降、遺骨収集に当たりまして遺骨が個別またはこれに準ずるような形で埋葬されている場合には、一部の未焼骨遺骨を持ち帰るということにいたしております。そういうようなことで、現にDNA鑑定を御希望される遺族の方々からの要望にもおこたえをしようとしております。ただ、埋葬資料及び埋葬状況から見て、特定の方の遺骨である蓋然性が高い場合に実施をいたしております。
 これまで実は十二例実施をいたしたわけでございますが、御遺族というふうにはっきりわかったのは一例だけというようなことでございまして、私どもといたしましては、これからの状況のために焼骨せずに遺骨を持ち帰ってきているわけでございますが、このDNA鑑定がいわば遺族の方の御期待も大変大きいということから、そういういろんな技術的な問題点も含めまして検討会を設けて、そこでいろんな議論をしていただこうというふうに考えております。
#8
○木俣佳丈君 大臣に伺いたいのでございますが、決意も含めて。
 確かに十二例という数、調査の事始めかもしれませんけれども、これをどのぐらいに広げていきたいというふうに大臣は思っていらっしゃいますでしょうか。
#9
○国務大臣(坂口力君) この戦争中にお亡くなりになりました皆さん方に、私たち、本当に後に残りました者は心を込めてその皆さん方に感謝をしなければなりませんし、そして御冥福をお祈り申し上げなければならないと思うわけでございます。
 その遺骨をどうするか。現在までたくさんの遺骨を日本に持ち帰れたところもございますし、また地域によりましてはそのままにまだなって日本に遺骨を持ち帰ることのできない地域もあるわけでございます。そうした地域性の問題もございますし、それから今お話がございますようなDNA鑑定の問題もございます。
 このDNA鑑定の場合には、今、局長から御答弁を申し上げましたとおり、かなり蓋然性が高い、一つの地域で多くの皆さん方がお亡くなりになって、そしてそこで何百人という皆さん方、あるいはもう少しけたが多いような地域もあるのかもしれませんし、そうしたところでのDNAの鑑定というのは非常に困難も伴うのではないかという気も私は率直に申しましていたします。その地域でお亡くなりになったという、そして地域もあるいはまた場所等がかなり限定をされておりますような場合には、このDNAの鑑定ということもこれは意義が非常に大きいというふうに思いますが、ただ全体をこのDNAで振り分けるということもなかなか難しいのではないかという気がいたします。
 御家族の皆さん、御遺族の皆さんのお気持ちを十分に察しながら、しかしそのことを、DNAの判定をすることによってかえって傷をつけるというようなことになってもこれはいけませんので、その辺のことも十分に配慮をしながらこのことにつきましては取り組むべきであるというふうに思います。そして、どういうケースの場合にこのことを実施していったらいいかというようなことにつきましてももう少し整理をさせていただいて、御家族の皆さん方、御遺族の皆さん方とも御相談を申し上げるのが筋ではないかという気がいたしております。
 私、打ち合わせをしているわけではございませんで、今お聞きをいただきましたので、現在の私の心境でございます。
#10
○木俣佳丈君 大変真摯なお答えをいただきましてありがとうございます。
 ただ、やはり、先ほど申しましたように、特に異国で亡くなって、場所によっては何百体というところもございましょうし、例えば旧ソ連で亡くなった方が何万人かというと、五万、六万、七万ぐらいでしょうかね、遺骨収集、いわゆるゴルバチョフのときのあのリストということでございますが、八万、九万人ぐらいでしょうか、という方々がありますし、確かにこれは組み合わせで考えますと物すごい膨大な数になるというのはよくわかります。よくわかりますが、しかし今回の原子力潜水艦とえひめ丸のあの事故で、いまだに行方不明ということしかないわけでございまして、要するに亡くなったかどうかもわからない、どこにいるのかもわからない。たとえ一つの遺品でも欲しいというのがやはり私は遺族の方々の切なる思いではないかと思うんです。
 そうしたときに、私が聞き及びますのに、DNA鑑定に関する問題点を整理するためにいろんな学者の方々で構成する有識者の会議というのを厚生労働省が立ち上げて、まさに検討されているということでありますけれども、この進捗状況を伺いたいと思うのでございますが、いかがでしょうか。
#11
○政府参考人(真野章君) 今、先生御指摘のように、DNA鑑定の活用を図りたいということから、私ども、有識者にお集まりをいただきまして検討会を開催したいというふうに思っております。これは、ただ、昨日成立をいたしました平成十三年度予算に盛り込んだものでございますので、昨日予算が成立をいたしましたので、新年度早々にもこの検討会を立ち上げて御議論をいただきたいというふうに考えております。
#12
○木俣佳丈君 ということは、これはまだ立ち上げてはいないということでよろしいわけですか。
#13
○政府参考人(真野章君) 平成十三年度予算で検討費、検討会の費用をお願いいたしておりましたので、今まだ立ち上げてはおりません。
#14
○木俣佳丈君 それでは、大臣にぜひ決意のほどを伺いたいのでございますが、検討会がこの四月から年度が始まりましたら予算が執行されていろいろな意味からの検討をされるということでありますけれども、御遺族の方々は五十六年たったとしても一日一日が非常に大事な日々というか一刻も早く、えひめ丸のあの練習船の方々とやはり同じ私は思いだと思うんです。
 ですから、そのあたりをしっかり、そしてまた大臣の思いを込めて早急に、こういう基準で御遺族の方々に御提示し、そして厚生労働省としてはこの部分をこのように助けるんだと、こういったものを早急につくっていただきたいと思うんですが、決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。
#15
○国務大臣(坂口力君) よくわかりました。できるだけ早く結論を出していただくようにしたいというふうに思います。
 私も兄をインパール作戦で亡くしましたが、これなどはもうどこで亡くなったのかわからないわけでございまして、ビルマの広野のどこで亡くなったのかわからないようなわけでございますし、いたしますから、そうした人に対し、私の兄のような場合も含めてするというのは甚だ不可能なことだろうというふうに思っております。
 しかし、もっと限定できる、確かにここで亡くなったことがその当時の手紙等ではっきりしているとかいろいろ限定できるような条件の方も私はおみえになるのではないかというふうに思います。また、戦後、当時のソ連に抑留をされたような皆さん方の中で、ハバロフスクならハバロフスクのどの地域において建設工事に携わったというようなことがはっきりしておみえになる皆さんもおみえになるわけでございますし、その皆さん方の多くがハバロフスクの墓地に眠っておみえになることも事実でございますし、そうした非常に限定をされたような場合には対象として考えられるのかもしれないというふうに私は今思っているわけでございます。
 DNAなどに素人の私が余り申し上げるのは失礼でございまして、より専門家の皆さん方に、どのような形にすればより多くの皆さんが、一人でも多くの御遺族に御満足をしていただけるようなことになるのかということを検討してもらいたいと思っております。そして、できるだけ早く結論を出してもらいたいと思っているところでございます。
#16
○木俣佳丈君 大臣の強い決意を伺うことができたと私も認識しますので、何とぞ今の言葉、大臣の言葉というのは、坂口大臣が大臣でいらっしゃるときだけではなく、これは政府の継続性ということも含めてございますので、たとえどのような内閣になろうともこのお言葉を引き継いでいただきたいと心から思うわけでございます。
 先ほどソ連のああいう遺骨収集の言葉が出ましたけれども、私の恩師もやはり旧ソ連に抑留されて数年間大変な御苦労をされたということを聞くにつけ、いわゆるゴルバチョフ・リストというんでしょうか──失礼しました、先ほどの数字ちょっと間違えましたが、五万三千のうち収集見込みというのが一万五千であると。つまり、三分の一しか収集見込みというのが結局できていないのにもかかわらず、今回、平成十四年でこの収集を打ち切るということでございますけれども、例えばソ連に集中して考えた場合に、こういった、例えば死亡者数がはっきりし、恐らくリストとしても割と明確になっているものを三分の一で打ち切ってしまうというのはどのように考えたらいいんでしょうか。ちょっとお答えいただけますでしょうか。
#17
○副大臣(増田敏男君) お答えを申し上げます。
 ソ連抑留中に亡くなられた方の遺骨収集につきましては、平成四年度から本格的に実施をしてまいりました。昨年九月に森総理大臣から、戦後処理問題の重要性並びに遺族の高齢化にかんがみまして、平成十四年度までにはおおむね終了するよう指示を受けたところであります。
 そこで、これを受けまして、厚生労働省としては、平成十三年度中に未調査の埋葬地について調査を終了することとし、平成十三年度及び平成十四年度において収集可能な埋葬地での遺骨収集をおおむね終了させると、こういう方針になっております。わかっている限り平成十四年度までに終わらせたいというのが方針であります。したがって、そういう予算等を組みながら対応しているという状況です。
#18
○木俣佳丈君 わかりました。
 続きまして、例えば納骨の仕方ということでございます。
 私もアメリカのみならずいろんな場所の、戦争で戦死された方々の墓地というか国立の墓地、例えば私もワシントンにおりましたのでアーリントンの墓地などは二、三回行ったわけでございますけれども、やはりこちらと日本の国立のいわゆる墓地というものの差が大分あるんじゃないかな、このように思っておるんですが、この点については、大臣、どのような御感想をお持ちか、お聞かせいただけますでしょうか。
#19
○政府参考人(真野章君) 事実関係だけ事前に御答弁させていただきますが、千鳥ケ淵の墓苑でございますが、昭和三十四年三月に竣工いたしまして、今日まで海外から収集されました無名戦没者の御遺骨三十四万七千三百六十四柱をおさめております。ごらんいただきますと六角の建物でございますが、ここは六十立方メーターの容積ということでございまして、ここには実はおさまり切れなくなりまして、平成二年に三十立方メーターの部分を増設いたしまして、それから平成十一年度にさらに二百九十立方メーターの容積を持つものを増設いたしております。そういう意味では、容積的には御遺骨を納骨するのに十分対応できるような状況になっているということでございます。
 先生御指摘のアーリントンというような御意見もございましたけれども、この千鳥ケ淵の戦没者墓苑の納骨堂をどういうふうに建立するかという議論のときに、当時いろんな地域、国でのそういう無名戦没者の墓地の状況その他も調査の上、昭和三十四年当時そういうふうに結論を出して竣工したというふうに聞いております。
#20
○木俣佳丈君 私も国立の墓地が幾つあるかと思って、これも御遺族の方から伺ったんですが、今幾つあるかちょっと言ってもらえますか、国立の墓地は。
#21
○政府参考人(真野章君) 国内には、今、千鳥ケ淵の戦没者墓苑でございます。一つでございます。
#22
○木俣佳丈君 沖縄の摩文仁の丘というのですか、こちらも国立じゃないんですか。
#23
○政府参考人(真野章君) 失礼しました。先生おっしゃるとおりでございます。
#24
○木俣佳丈君 要するに、担当の局長でも知らないぐらいな感じだと私は思うんです。これでは、要は、忌まわしい戦争、そしてまた、そうはいえ、我が国のために亡くなった方々のために私はなっていないんではないかというのが私の印象でございます。
 沖縄へ昨年も行きましたときに、平和の礎ですか、ずっと名前が彫ってある戦没者の慰霊碑というか、ございますね。アーリントンへ行きましてもベトナムで亡くなった方がずらっと並んでおります。そしてまた、ちょっと違いますけれどもユダヤのホロコースト、ワシントンにホロコーストのミュージアムというのがございますが、六百万人の名前が建物全面に刻み込んでございます。
 やはり、私は戦争というものがいかにひどいもので悲しいものかというものを我々は真っすぐに見なければいけない。そのためにも、先ほど、初め六十平米に三十八万体ですか、私、三十四万体と聞きましたが、三十八万体とお答えになった、六十平米に。ということは、七・何メーター掛ける七・何メーターなんですね。この議場よりも随分小さい、そしてまた広げたといっても二百九十平米ですから、この議場の半分ぐらいしかないわけですよね。私も例えばパリのカタコンベという地下の埋葬所に行きましたけれども、ここに行きましてももう延々と遺骨が並んでいるような状況、そういったものと比べましても戦争の思いを残すには私は極めて不十分であると言わざるを得ない。中には、遺族の方々が、もうこんな狭いところへ自分の兄や妹をおさめてくれるなと、こういう思いを率直に私に告げてくださる方もございます。
 私は、再度大臣に御決意のほどを伺いたいのでございますが、戦争というものをどう見るか。これは、何回も何回も中国やらアジアから非難をされる、非難をされるたびに微調整をしていく、または謝罪する。いや、謝罪すれば私はいいものではないというふうに思います。
 恐らく先生は私の気持ちがもう極めてわかる議員のお一人であると信じておりますけれども、やはりその戦争の忌まわしさをどのような形で残していき、それは単に物で残すだけではない、例えば御遺族のために名前を刻んでいくとか、そしてまた戦争の資料館のようなきちっとした形で、こんなことで戦争になってしまったんだ、そして日本もやむを得なかったかもしれない部分も含めて、ずっと大きな、例えばシンガポールのセントーサ島、ここにあるような資料館、記念館、こういったものをきちんと残していき、我々やそしてまた孫子の代、こういったものに残していくのが大事だと思うんですが、大臣の、千鳥ケ淵に絞ってまず御意見を伺い、そしてまた後段の戦争に対する思いをちょっと述べていただけますか。
#25
○国務大臣(坂口力君) 千鳥ケ淵の方には私も何度かお邪魔をさせていただきまして、お参りをさせていただきました。
 今御指摘になりますように、表面からは何らそこにお祭りをしてあります皆さん方の姿というのは見えないわけでありまして、中にお名前を刻んであるんだろうというふうに思いますけれども、その表面からお一人お一人のお名前が見えるように少なくともなっていない、そういう状況にありますことは、今、先生が御指摘になりましたとおりでございます。
 これをどんな形にしていくかということは、それは先ほど御指摘になりましたように、我々が戦争というものに対してどういうふうな思いを持ち、そしてまた多少なりとも経験をした人と同じに生活をしたり、あるいは私のように一部体験をしたりといったような世代がおります間はまだまだ伝わっておりますけれども、こういう世代が亡くなりましたその後になりましたときには、もうそうしたことも全くないわけでありますし、いたしますから、だんだんとそうした戦争というものが風化していく。そうしたことは、このままでいきますと何となく間違いないような気がしてなりません。ですから、そこを風化させないために私たちがどうしていくかということは、全体としてやっぱり考えていかなきゃならないということは先生と私は認識を同じくするわけであります。
 ただ、その場合に、その中で墓地をどうするかという問題も多分含まれるであろうというふうに思いますが、それは、墓地というのはその中の一つであって、それがすべてではないだろうというふうに思います。墓地も含めましてどうしていくかということは、常に私たち、とりわけ大きな戦争に何度もかかわってまいりました日本という国が考えていかなければならないことであることだけは間違いがないというふうに思います。
 そうしたことは余り時間がたってしまいましてからやろうとしましてもできないことでありますから、その亡くなった人たちの家族、亡くなった人たちを知っている年代の生きている間にと申しますか、そうしたときにやはり考えていかなければならないと私も思っております。
#26
○木俣佳丈君 全く同意見でございまして、同意見であるならもう本当に大臣の御決裁できちっとこれを、多分名前は表面に出ていないだけではなくて下の部分にもないと私は聞いております。
 ですから、今本当に言われたとおりでこれが風化してしまうと。風化してしまうというか、本当にだれがどうだったか、どんな歴史があったのかわからないということになってしまいますので、私はこの際、そんなに資金的にかかることではないと。例えば三十何万体、三十何万人の名前を石に刻む。それをあの部分に、あそこで足りなければ、皇居に私も何度も行きましたけれども、皇居の一部を借り受けてそこに建てるぐらいのことはそう大したことではないと私は思いますので、そのあたりの御決断をぜひいただきたいと思っております。
 きょうは戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正するという法案ではございましたが、この関連ということで、やはり御遺族の方々の痛みを、もちろんこういった資金で実際の生活面で支えていただくというのはこれは非常に我々も大事なことだと思っておりますが、それ以上に、やはり心、精神の部分、魂の部分というもののいやしというのか、というものが何よりも私は大事だと思いますので、再度、今の納骨の部分、そしてまたそれを一つの記念碑というか、一つの忘れない心に刻む部分として残していただくという決意を最後にいただいて、私の質問を終わりたいと思います。大臣、いかがでしょうか。
#27
○国務大臣(坂口力君) 千鳥ケ淵の方は、無名戦士の墓ということでお名前は刻まれていないそうでございます。ちょっと私の方が間違っておりました。
 今、いろいろの御意見がございましたけれども、先ほど申しましたとおり、戦争を繰り返してはならないというこの問題は、ただ単にこの墓地をどうするかということだけではなくて、もう少し私は幅も広いし奥行きも深い問題ではないかというふうに思っております。
 こうした問題を後世にどのように継承していくかというのは、私たち現在住んでおります、特に昭和の時代を経験いたしました人間にとりまして大変大事なことだというふうに思っているわけでございます。それをどんな形にして伝えるかということをこれからもう少し検討しなければいけないというふうに思いますが、先生が御指摘になりましたようなこの墓地の問題もその中の一つに入ってくるのだろうというふうに思っております。
 そうしたことも含めまして、先生とまたいろいろと議論を重ねる場があればというふうに思います。
#28
○木俣佳丈君 終わります。
#29
○井上美代君 日本共産党の井上美代でございます。
 私は、遺骨収集について質問をいたします。
 まず最初に、全体的なところを質問したいと思います。
 第二次大戦での海外の戦没者数と、そしてまた遺骨収集の現状はどのようになっているのかということ。約半数の遺骨が収集されていないのではないかというふうに考えておりますけれども、いかがでしょうか。
#30
○政府参考人(真野章君) 戦没者の遺骨収集でございますが、昭和二十七年度から開始をいたしておりまして、陸海軍や一般邦人の引揚者の方々が持ち帰られたものを含めまして、これまで海外の戦没者約二百四十万人と推計されておりますが、そのうち百二十四万柱が本邦に帰ってこられているというふうに承知をいたしております。
 南方地域及びモンゴル地域における遺骨収集につきましては、相手国の事情などによりまして収集できない地域を除きましておおむね収集を終えておりますけれども、遺骨がまだ残存しているという確実な情報があれば、逐次その収集を行っているところでございます。
 また、旧ソ連地域における抑留中死亡者の遺骨収集につきましては、平成三年度から収集を実施いたしておりまして、これまでに一万二百六十四柱の遺骨を収集してまいっております。
#31
○井上美代君 今後の遺骨収集の見通し、これは予算との関係があると思いますけれども、予算も含めましてお願いをいたします。
#32
○副大臣(増田敏男君) ソ連抑留中死亡者の遺骨収集については、森総理大臣の指示を受けまして、平成十四年度までにおおむね終了することとしております。これにより、収集可能な地域での遺骨収集は全体として一つの節目を迎えることとなります。しかし、新たに残存する遺骨に関する確実な情報が寄せられましたら、埋葬地資料の提供があった場合には、速やかに遺骨収集を実施することとしております。
 さらに、これまで相手国の事情等により収集できなかった地域については、引き続き外務省を通じて相手の国の事情の把握等、交渉に努め、遺骨収集の実現に向けて最大限の努力をしてまいりたい、このように考えております。
#33
○政府参考人(真野章君) つけ加えさせていただきますが、平成十三年度予算のお尋ねでございましたが、遺骨収集に係ります予算は、旧ソ連地域及び南方地域を合わせまして約四億九千万円を計上いたしております。
#34
○井上美代君 十二年度についても教えていただきたいのですが。
#35
○政府参考人(真野章君) 約三億九千万円でございます。
#36
○井上美代君 若干ふえているということですね。
 私は、パプアニューギニアでの遺骨収集の状況がどうなっているのかということをお聞きしたいと思います。戦没者や収集について、何人、どのようになっておりますでしょうか。
#37
○政府参考人(真野章君) パプアニューギニアでございますが、戦没者数は約十二万八千人というふうに推計をいたしておりまして、これまで十六回にわたりまして遺骨収集を行っております。これまで復員の方々が持ち帰られた遺骨も含めまして約四万九千二百柱の遺骨が本邦に帰ってこられているというふうに承知をいたしております。
#38
○井上美代君 収集率についてはこれは四〇%になっていないかなと思いますが、そういうことでよろしいですか。
 いずれにしましても四〇%に足らないというふうに思いますけれども、私はやはり異常に少ないというふうに思うわけなんです。なぜなのかということを手短に御答弁いただきたいのですが。
#39
○政府参考人(真野章君) パプアニューギニアでございますが、戦没場所が大変、人跡未踏の密林というような山岳地域が多く、それから非常に面積も広大であるということ、それから非常に生還者が少なかったということから遺骨についての情報が非常に限られていると。それからさらに、戦後五十五年たっておりまして、いわば自然現象によりまして地形が、地形というよりも情景、非常に熱帯雨林でありますので、そういうことで大きく変化しているというようなことから、遺骨の発見、収集が特に困難な地域ということで、他の地域に比べましても収集数が少なくなっているんではないかというふうに考えております。
#40
○井上美代君 いろいろ事情がある、地域的ないろんな条件があるんだというふうに思いますが、これまで厚生省がどういう努力をされてきたのかということもちょっと手短にお願いいたします。
#41
○政府参考人(真野章君) 先ほど申し上げましたように、昭和三十年に第一回目の遺骨収集を実施いたしまして、その間、昭和四十年代の後半まで三度ほど行っております。その後、五十六年から大体二年に一度ずつぐらい遺骨収集を行っておりまして、先ほど申し上げましたように計十六回、そして遺骨収集団によります遺骨の収集というのは約一万六千七百五十八柱というような状況になっております。
#42
○井上美代君 私は、厚生省が相当苦労をしながら南方地域の遺骨収集に努力されたというふうに思うんですけれども、先ほどから出ておりますように相手国の事情等によって、自然条件などもあるんですけれども、収集できない地域を除いておおむね収集を終えていると、このように言っておられます。ただし、今後も収集可能なところについては情報があればその情報を確認した上で当該の地域で遺骨収集を行うこととするというふうに言っておられるんです。
 私は、これではやはり受け身ではないかなと、もう一息頑張ってほしいというふうに思うんです。南方は特殊なところだということはよく聞いておりますのでなんですけれども、余りにも遺骨収集の率が低いというふうに思うんです。だから、そういう意味で、あと一息の努力をお願いしたいというふうに思います。そして、遺骨の調査に取り組んでいる人もいるわけですね。だから、そういう人たちともっと連携をとって、そして積極的に遺骨収集を行うべきだというふうに思うんです。
 第二次大戦の戦没者の遺骨収集が全体で約半分、パプアニューギニアにつきましては三九%ぐらいになりますか、すごく低いわけですね。だから、今困難もお聞きいたしましたけれども、やはりもっと遺骨の収集に力を入れてほしいと。これまでも相当力を入れていただいたことはよく承知しているんですけれども、私はもっと情報もとりながらやっていかなければまた後に悔いを残すのではないかというふうに思いますので、皆さんの御努力に対しては大変かと思いますけれども、ぜひ頑張ってほしいというふうに思っております。
 先へ進みますけれども、皆さんのところに資料も出しておりますけれども、遺骨収集問題で東部ニューギニア戦線での戦死者の遺骨収集に関連した問題でお聞きしたいわけです。
 ここに出しておりますのは毎日新聞の一九九九年八月十四日の新聞です。(資料を示す)これは福井記者が取材をして書かれたものです。このパプアニューギニアは、当時、東部ニューギニア戦線というふうに言われておりましたけれども、今はパプアニューギニア国というふうに独立しております。
 この新聞に出てまいりますこの写真の人ですけれども、西村幸吉さんという方です。一九四二年にニューギニア島の東北部に上陸して約一年間戦われて、そして所属大隊の兵士たち、前線兵士約八百人のうち十人が生き残った方なんですね。その中のお一人がこの西村さんです。この報道にあるように、十年近く前にみずから発掘した金歯のある頭蓋骨を持ち帰ったということなんです。写真で手に抱えておられるのがそうなんですけれども。
 持ち帰っておられて、そして一九九九年の報道の時点ではこの御遺骨の遺族はわからなかったんです。しかし、西村さんは、この記事を出せば遺族はきっと出てきてくれると思うというので、西村さんはまずこの遺骨の記事を出してもらったわけなんですけれども、しかし名前は挙がらなかったんです。そのために、西村さんは、この遺骨の出た陣地の戦闘にかかわった家族をずっと訪ねていらっしゃるんですね。そして、五十日ぐらいかけて訪問して、ついにそのお姉さんというのを探し当てるわけなんです。しかしながら、生まれた家はもう代がわりになっておりまして、お姉さんがいましたけれども、嫁いだ先でもう年をとっていて遺骨を受け取ることはできないというふうに言われて、この遺骨は今も西村さんが抱えておられるわけなんです。このようなことがあるんですけれども、本当に戦争の悲劇というのは今日まで続いているということがはっきりすると思います。
 私は、大臣にお聞きしたいんですけれども、こうした努力をされている方がいらっしゃるんですけれども、どのようにお考えになるか、御意見をお聞きしたいと思います。
#43
○国務大臣(坂口力君) この西村さんとおっしゃる方のこのお話は、私、今回初めてお伺いをするわけでございますが、太平洋戦争のその当時、この地域で戦争に参加をされていた方のお一人だというふうに、こう書かれておりますから。しかし、その中でわずか十人お残りになって、その中のお一人としてもう七十九歳にもおなりになっている。しかし、今もなおその当時のいわゆる戦友の皆さん方、亡くなった皆さん方のことに思いをはせて、やはりこのままにはしておけないという思いで御活躍になっている、そのことにただただ頭が下がるわけでございます。
 やはりこうした皆さん方の御努力というものを無にしないようにこれはしていかないといけない、そんな思いでございます。
#44
○井上美代君 この西村さんは、仕事を引退された後は、生涯の仕事としてパプアニューギニアでの遺骨調査と、そしてパプアニューギニアの人たちの役に立てばということで、さまざまなことをやっておられるんです。
 この西村さんから次のような訴えがあったんです。これをぜひ聞いていただきたいと思うんですが、昭和三十年に厚生省はオロ州のブナ村の遺骨が出た場所に「戦没日本人之碑」というのを建てておられるんですね。資料の下の方に、写真が黒くなっておりますけれども、あります。
 当時のニューギニアというのは、オーストラリアの委任統治下にあったわけです。その碑のある土地には税金は当時はかからなかったわけなんです。しかし、一九七五年にパプアニューギニア国として独立をするわけなんです。碑のあるこの土地にも税金がかかるようになりました。ここの管理にもお金がかかるようになったんです。
 そして、地主さんは、日本政府がお金を出すか、そうでなければ撤去してほしいと西村さんに訴えたんですね。そこで、西村さんはやむを得ず地主と契約をして、自腹を切って毎年一万円を支払うことで税金と管理費の足しにしてもらうことにしたということで、今日までずっと払い続けてきておられるんです。
 パプアニューギニアに厚生省はこのような碑を七カ所建てたわけなんです。そのうちの二カ所は、ラバウルとウエワクに大きな戦没者の碑があるんですけれども、そこに移されております。このラバウルとウエワクの戦没者の碑のある二カ所には、日本政府が毎年二百万円の管理費を支出しているんです。しかし、残りの小さな五カ所の、本当に小規模な碑には何ももちろんやられておりませんし、ブナ村と同じような状況になっているということがあるわけなんです。
 西村さんの話によりますと、地主は、日本政府が税金と管理費を支払うか、そうでなければ撤去してほしいと、こう述べておられるそうですけれども、西村さんは、今は自分が負担している、しかし既に八十を超えて自分が死んでしまったときにどうなるかということを心配しておられるんです。
 厚生省はこのような場所の税金や管理費を支払うのか、それともこの碑を移動する措置をとるか。何しろ移転する場合はこれまでの場所の提供に対して地主に何らかの言ってみれば謝礼もしなければいけないというふうに思うんですけれども、西村さんが本当に自分がいなくなったときのことを心配してきておられますので、私はその点について具体的に御答弁をいただきたいと思います。大臣、ぜひよろしくお願いします。
#45
○国務大臣(坂口力君) このパプアニューギニアの地理的な状況等も私は余りよくわからないままでの答弁でございますが、そうした地域に日本がかつて墓碑を建てたというようなことがあり、そしてその後、いろいろの国内の事情によって、そこが私有地になったり、かなり状況変化も来しているというようなことでありましたならば、それは一西村さんという方お一人におすがりをしているわけにもいかないだろうというふうに思います。
 したがいまして、これは適当な場所に移させてもらうのがいいのか、それともそこがいいのか、そのことも含めまして、この問題について何らかの形で決着をつけなければいけないだろうというふうに思いますから、それは場所をどこかに変えることも含めて、早速検討をさせていただきたいと思います。
#46
○井上美代君 それでは、検討していくということをお約束いただいて私は胸がちょっとおりるような気がしております。どうぞできるだけ急いで、前向きに検討をすぐしていただきたいと思います。
 それで、私は、こうしたわずかなお金ですけれども、心を込めて日本政府がやるということが非常に大事だと思います。ODAでは言ってみれば日本が世界でも一位なんですけれども、政府開発援助もこのようなところでやれるといいと思うんです。
 というのは、この西村さんが一生懸命、現地に行っておられるんですけれども、現地の青年たちになかなか仕事がない、農村が生活できない、そういうことも含めまして、沼地に遺骨が随分あるらしいんですけれども、その沼地のところも活用しながら産業を興したいと、こういうふうに言っておられるんですね。そして、産業を興して沼地を道路にしていきたいということもあるんです。
 そうしたときに遺骨がそこから出てくるということもありますので、私はODAの中にもぜひ入れるように御検討を願いたいというふうに思っておりますけれども、いかがでしょうか。大臣にお願いをいたします。
#47
○国務大臣(坂口力君) 地域にも貢献をしていくことが望ましいことは御指摘のとおりであるというふうに思います。この旧地域の人々と戦争犠牲者という共通の立場で交流することを目的とした慰霊友好親善事業というのも行われているようでございますが、これは国の補助も出ております。
 そして、御質問があるということで、このパプアニューギニアに対するODAの状況を調べてみましたところ、太平洋地域における我が国の二国間ODAの実績を見ました場合に、ほかにもたくさんの小さな島がありましたり国がありましたりいたしておりますが、それらの中では特に断トツにこのパプアニューギニアに対するODAというのは今まで提供されているわけでございます。
 これは九八年度までの累計でございますが、有償資金協力が五百六十八億三千五百万円、無償の資金協力が二百四十三億二千四百万円、それから技術協力が百四十六億三千七百万円。これは九八年まででございますから、多分これ以降も出ているであろうというふうに思います。これら地域の中でこのパプアニューギニアを見ますと飛び抜けて多くのODAがございますから、これは話をどうするか、今後このパプアニューギニアとどういう話をしていくかということになるのであろうというふうに思います。
#48
○井上美代君 ぜひ大臣、そこのODAがそういうふうにやはりやられていても、こういう細かい、沼地に遺骨もあるというようなところに結びついていないんだと思うんです。だから、ぜひODAの中でそういうところにも活用してほしいというふうに思いますが、その点いかがでしょうか。大臣からぜひODAにそれを提起してほしいというふうに思いますが、いかがでしょうか。
#49
○国務大臣(坂口力君) 多分ここは外務省が所管しているところであろうというふうに思っておりますので、一遍外務省と検討したいと思います。
#50
○井上美代君 どうもいろいろありがとうございます。
 それでは、DNA鑑定について最後に、時間が迫ってきておりますが、お願いをしたいというふうに思います。
 厚生省は、遺骨収集の際、戦没者の遺骨の一部を焼骨せずに持ち帰っておられるということは、先ほどの木俣議員の質問でもはっきりしていると思います。この数は、モンゴル・ダンバダルジャの日本人墓地から八百五、それから沖縄の真嘉比壕の十五など、この関係だけでも合計二千三百五十体あります。これらの検体は国の責任でDNA鑑定によって遺族に直接お返しすべきだと私は強く思っております。
 一つは、モンゴルと沖縄の遺族の方から御要望もいただいているんですけれども、モンゴル・ダンバダルジャ戦没者DNA鑑定要求遺族会というのをこの両方でつくっておられるんです。そして、会長の吉宗弘毅さんは父親の遺骨を捜してダンバダルジャの遺骨収集に参加されまして、何としてもという思いがありました。しかしながら、父親の遺骨を特定できないままに、昨年、無念の思いで亡くなられております。
 この遺族会の多くの人たちが、DNA鑑定を国の責任で行い、そして判明したものは遺族に御遺骨を返してほしい、こういうふうに言っておられるんです。署名した人は延べ人数にいたしまして二百八十人になっております。
 厚生省は、DNA鑑定について検討会の結果を見てというふうに言っておられますが、ダンバダルジャの遺族が署名を集める中で出された意見の、DNA鑑定に反対した人というのがいらっしゃるんですけれども、その方たちは十人足らずなんです。だから、もう圧倒的な遺族が国がDNA鑑定してこの遺骨を遺族にお返ししてほしいと、こういうふうに願っておられるわけです。
 そして、もう一つは沖縄ですが、ことしの二月に沖縄の真嘉比壕の発掘に参加をされました秋山格之助さんは、きょう傍聴席にお見えになっておりますけれども、お兄さんがここで亡くなったのではないかと、こういうふうに言われております。秋山さんは十五体のDNA鑑定を政府の責任で行い、そして兄さんの遺骨を特定して返してほしいと、こういうふうに望んでおられます。今、遺族の方々も本当に高齢化しつつあります。遺族の願いにこたえて、DNA鑑定を私は急いでやっていただきたいと、このように思っているわけです。
 だから、私は具体的に質問をさせていただきますけれども、厚生省は二〇〇一年度の予算、先ほど御報告くださいましたけれども、この調査費でモンゴルや沖縄の検体の一部を実際にDNA鑑定するつもりが、あるのだろうと私は思っているんですけれども、御遺族もそれを期待しておりますが、どうなのかということをお答えいただきたいと思います。もし実際にDNA鑑定するならばどの程度の調査をするのか。検討会をどう進めようと今しているのか。検討会のメンバーはどのような人がなるのか。結論はいつ出すのか。
 遺骨と名簿がそろっているケースは少なくなっていると思いますけれども、DNA鑑定を行うとしても無制限にずっと広がっていくというわけではないんですね。だから、そういう意味でも一定の予算は必要だと思いますけれども、私はもう今日、外交機密費の問題がはっきりしてきておりますけれども、やはり不当なこういう支出を国民は非常に疑問に思っております。だから、そういう一部を割いてでも私は今御遺族の叫びにこたえるときではないかというふうに思いますので、ぜひ御答弁をお願いしたいと思います。
#51
○副大臣(増田敏男君) 遺骨収集事業において収集した遺骨については可能な限り御遺族に返還すべきものと考えております。その判定のため、DNA鑑定もできる限り活用すべきという立場から、平成十一年度より、遺骨が埋葬資料から見て特定の方のものである蓋然性が高いと認められる場合には、御遺族からの申し出があれば遺骨の一部をDNA鑑定の検体として提供することとしております。
 これまで十二件の御遺族から申し出がありました。このうち一件について親子関係が存在するとの判定がなされ、先ほどお答えしたと思いますが、他の十一例については血縁関係が否定されたところであります。
 このような中で、今後、より幅広くDNA鑑定の活用を進めるためには、まずは埋葬資料と実際の埋葬状況との一致の程度や、埋葬者の氏名判明の度合いなどがどの程度であればDNA鑑定が有効なのかといった技術的問題を初め、DNA鑑定を希望しない御遺族がいる場合等におけるプライバシーの問題、これらなどの点を整理する必要があることから、平成十三年度において有識者による検討会を設置し、検討を進めることといたしております。これが進め方であります。
#52
○委員長(中島眞人君) 井上委員、時間ありません、もう。
#53
○井上美代君 一言です。
 DNA鑑定は十三年とおっしゃっているんですけれども、私はやはりDNA鑑定を早くしてほしいというふうに思います。検討会もだから早く立ち上げてほしいというふうに思っております。一番大事なところは、DNA鑑定を国の責任で行い、判明したものは遺族にお返ししていくという、この国の責任で行っていただくというところが大事なんですけれども、一番最後に大臣にそのことについて、ぜひそこを乗り越えて頑張ってほしいというふうに思っておりますが、いかがでしょうか。
#54
○委員長(中島眞人君) 簡潔にお答えください。
#55
○国務大臣(坂口力君) そこまでなかなか今のところ煮詰まっておりません。
 先ほど木俣議員にも申しましたように、早く検討会を進めさせていただいて、一日も早く結論を出せるようにしたいというふうに思っている次第でございます。その費用だとかそういったことにつきましてもその中で御検討をいただきたいというふうに思いますし、いたしますから、今ここでそこまでお答えができる状況にないことを御理解いただきたいと思います。
#56
○井上美代君 ありがとうございました。
    ─────────────
#57
○委員長(中島眞人君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、浜四津敏子さんが委員を辞任され、その補欠として風間昶君が選任されました。
    ─────────────
#58
○大脇雅子君 まず、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案に関連いたしまして、厚生労働大臣にお尋ねをしたいと思います。
 アジア太平洋戦争の被害者であります日本国民に対しては、援護法のたび重なる改正によって手厚く補償がされてまいりました。それに対して、植民地であった朝鮮半島から徴用によって日本軍属になった在日朝鮮・韓国人に対する補償は日本国民と比べまして極めて不十分であります。国民年金法や児童手当法等の国籍条項は撤廃されたとはいえ、広義の社会保障という観点から日本政府としては今後援護法の拡大適用ということをお考えになっていないかどうか、お尋ねをいたします。
#59
○国務大臣(坂口力君) 援護法につきましては、御承知のとおり国籍要件というのが設けられておりまして、朝鮮半島出身者など日本の国籍を有していない人には同法は適用されていないのが現在まででございます。
 委員のお気持ちはもう私も痛いほどよくわかるわけでございますが、国籍要件が設けられているというのは、やはり国が、国との間の雇用関係、国との間の特別な関係にあった人に対していろいろのことをしてさしあげるということになっているものでございますから、どういたしましても国との間の国籍要件というものが出てくるわけなんです。
 それで、ここを抜きにしてしまうということになりますと普通のこれは社会保障と同じような形になってしまう可能性があるわけでございますし、いたしますので、ここは、もうおっしゃるそのお気持ちは痛いほどわかるのでございますけれども、この援護法におきますところの国籍要件というのはなかなかこれは取りがたいというのが現在の厚生労働省の考え方でございます。
 それぞれ、二国間の特別取り決めによります解決など、これは昭和二十七年のサンフランシスコ平和条約におきましても、朝鮮半島に属する人々の財産でありますとか、あるいは請求権の問題というのは、これは二国間の特別取り決めによって解決することとされていることはもう先刻これもよく御承知のとおりでございまして、せっかく、今までにも、過去にも熱心に先生はここを御指摘いただいているようでございますから何とか少しは前向きの発言をしたいわけでございますけれども、いかんせんここはどうしても国籍要件というのは取りがたいというのが現状でございます。
#60
○大脇雅子君 そうした答弁は今まで何回もお尋ねをしては繰り返すということでまいりましたが、今回、ILOの意見書、オブザーベーションというのが提出されまして、今期の総会基準委員会でその報告書が議論されるということが言われております。それは一九三二年の時点で既に日本が批准しております強制労働条約の関係でございます。
 この強制労働条約第二条には、「本条約ニ於テ「強制労働」ト称スルハ或者ガ処罰ノ脅威ノ下ニ強要セラレ且右ノ者ガ自ラ任意ニ申出デタルニ非ザル一切ノ労務ヲ謂フ」ということになります。
 いわゆる従軍慰安婦、並びに中国、朝鮮から労務者を連行して労働せしめたということは、一九四二年の華人労務者内地移入に関する件の閣議決定等あるいは一九九三年の官房長官談話で、慰安婦は本人たちの意思に反して集められ、慰安所における生活は強制的な状況のもとでの痛ましいものであったということで、それらが国策であったということは明快であります。一九九七年に出されたILOの専門家委員会の報告でも、慰安婦問題は戦時適用除外に当たらない、強制労働条約違反だとしています。こうした事実にかんがみますと、慰安婦並びに中国、朝鮮から連行された労務者の強制労働というのはまさにこの強制労働条約違反と考えます。
 この補償の有無の問題を今お尋ねしているわけではなくて、一九三二年に日本が批准した強制労働条約違反として従軍慰安婦と強制連行の労働を認められるかどうか、政府の見解をイエス、ノーで伺いたいと思います。
#61
○政府参考人(高須幸雄君) 我が国が一九三二年に加盟いたしましたILOの強制労働に関する条約、第二十九号条約と申します。この条約に基づきまして強制労働をなくすということが決められているわけでございます。この強制労働条約及びILOの勧告がいかに国内で適用されているかということを審査する専門家委員会がございます。この専門家委員会の意見で過去に日本の慰安婦、いわゆる慰安婦問題が強制労働に当たるということを見解として出されたということは確かに事実でございます。
 この問題を考えるに当たりまして一番重要なことは、二十九号条約の適用に関する各締約国の考え方がどういうふうになっているか、かつまたその時点での、そういう行為が行われた時点での国家実行はどうだったのかということを踏まえた上で、個別具体的な事案について条約違反の有無が慎重に検証される必要があるということだと思います。そういう意味では、二十九号条約の適用に関する考え方をそのまま当時の問題に当てはめるということは、結論づけるのは必ずしも適当ではないと考える次第でございます。
 実際、二十九号条約に関します当時の締約国の考え方や国家実行については不明な点が多く、また個別の事案の事実関係についても資料の散失等の事情もございますし、検証が困難だと思われます。
#62
○大脇雅子君 今まで委員会からは、従軍慰安婦に関連して四回、強制連行に関連して二回の意見が勧告として出されております。今、当時の各国加盟国の見解というか法解釈というか、それがはっきりしていないということでございますが、このILOの勧告適用専門家委員会というのは非常に整備された条約の監視機構ということで、とりわけ構成する委員の人たちというのも、国際司法裁判所の判事とか各国の最高裁長官経験者や著名な国際法、労働法等のトップレベルの法律家をそろえておりまして、準司法的な解釈をする機関だということはもう既に国際機関の中では定着した認識であろうかと思います。
 当時の加盟国がどうであったかということよりまず前に、この条約勧告適用委員会の権威とその法解釈というものが基準とされるべきではないかと思いますが、その点についてはどうでしょうか。
#63
○政府参考人(高須幸雄君) お尋ねのILO条約勧告適用専門家委員会と申しますのは、ILOの総会の決議に基づきましてできました常設の専門家の委員会でございます。
 この委員会の役割は、各国加盟国の政労使がILOに提出した報告に基づきまして、ILOのたくさんの条約がございますけれども、各批准国における適用状況を検討してその結果を理事会に報告するという役割でございます。そういう意味では、あくまで各国政府や労使団体がILOに提出した報告に基づきこの専門家委員会は検討するという機関でございますので、個別の事案について独自に調査を行ったり事実認定を行う機関ではないということだと思います。また、そもそもこの専門家委員会は個別の事案について条約の有権的な解釈、適用を行う機関ではなく、ILOとしての最終的な見解を与える権限を持っているわけでは必ずしもございません。
 なお、今回、二〇〇〇年の専門家報告に基づく専門家委員会の意見というのが出ているわけでございますけれども、このことしの報告書については、さきの大戦にかかわる賠償、それから財政請求権の問題についてのサンフランシスコ平和条約及びその他の関連条約等により、条約等の当事国と日本政府との間では法的に解決済みであるという考え方を正しいと認識するということをこの専門家委員会は見解として述べております。
#64
○大脇雅子君 確かに、法的な問題としてはサンフランシスコ条約やあるいは二国間協定で解決をしているというふうに言っておりますが、その前提はやはりILO二十九号条約違反だと、そしてそれによって解決されたということは論理上当然に言えるのであって、日本国政府もその前段のILO二十九号条約違反かどうかということについてあいまいな態度ではおかしいというふうに考えます。
 さらに、この報告書を読みますと、そういう法的な立場でサンフランシスコ条約だとか二国間条約ということを言ってもなおかつ十分ではないということを言っているのがこの今回の報告書でありまして、「政府が、これらの請求者及び彼らを代表する団体と協議しつつ、被害者の期待に応える方法で、時期を失する前に被害者の補償のための別の方法を見い出すことを希望する。」と言っていることについてはどういうふうに受けとめておられるんでしょうか。
#65
○政府参考人(高須幸雄君) 二〇〇〇年の日本政府の報告書に対するILO条約適用専門家委員会の意見につきまして、この専門家委員会の意見の結論の部分で、確かに、いわゆる慰安婦問題につきまして、この委員会は「被害者の期待に応える方法で、時期を失する前に被害者の補償のための別の方法を見い出すことを希望する。」ということを述べております。
 日本政府といたしましては、このいわゆる慰安婦問題及びいわゆる強制連行問題も含めましてですけれども、さきの大戦にかかわる賠償、それから財産請求権の問題につきましては、申し上げましたとおりサンフランシスコ平和条約及びその他の関連条約等に従って誠実に対応してきたところです。したがって、他の方策ということを現在のところで講じることは考えていないということでございます。
 確かに、この専門家委員会が言われた「被害者の補償のための別の方法を見い出すことを希望する。」ということについては真摯に受けとめて真剣に対処すべきだと思いますが、政府といたしましては、これまでにこの問題につきまして多数の女性の名誉と尊厳を傷つけたという問題であるという深い認識のもとに、アジア女性基金にあらわされた日本国民とそれから政府の真摯な気持ちにつきまして関係者の理解を得るように今後とも最大限の努力をしていく考えでございます。
#66
○委員長(中島眞人君) 時間が来ております。
#67
○大脇雅子君 まだもうちょっと、一分ありますから、ちょっと意見だけ。
 このオブザーベーションという意見は、立法上の改善が要請されているにもかかわらず兆しが見えない場合とか、何年かにわたって直接請求がなされて問題が非常に大きいときになされるわけですから、それを対応する気はないというような形で対処されることは、今後、日本が国際法上も世界の中のそうした条約に対する責任逃れと立法不作為の怠慢ということが言われるのではないか。さらに次の時間にこの点を含めて個人の請求権問題についてお尋ねをしたいと思っております。
 時間ですから、終わります。
#68
○西川きよし君 よろしくお願いいたします。
 昨年の法案審議の際に質問をさせていただきました毒ガス障害者対策について、その後の取り組み状況についてお伺いをいたしたいと思います。
 昨年お伺いいたしましたときには、まず国と雇用関係のなかった動員学徒などの障害者の方々と旧陸軍工員などの旧令共済組合員の障害者の方々との格差の是正の問題でございまして、改めまして、本日、この二つの制度はどのような点において格差が生じていたのか、まず政府参考人よりお願いいたします。
#69
○政府参考人(篠崎英夫君) お答えいたします。
 厚生労働省の毒ガス障害者対策の対象者は、財務省所管のガス障害者対策の対象者、これは、今、先生おっしゃいましたいわゆる旧令共済組合員の方々でございますが、に比べまして平均的には作業の危険度が低くまた従事期間も短かったと認識をされておりまして、療養を要する重度の疾病状態にある者に支給をされる特別手当というものと医療手当、この二つの支給が行われていなかった状況でございます。
#70
○西川きよし君 この問題につきましては昨年の質問のときにも厚生大臣にもお伺いいたしまして御答弁いただきましたが、そのときに丹羽厚生大臣は、現在医学的な観点から検討を進めているところですが、その結果に応じて対応を行いたい、こういうふうな御答弁をいただきました。
 その後、検討結果、どのような措置がとられたのか、本日、坂口大臣の方から御答弁いただけたらと思います。お願いいたします。
#71
○国務大臣(坂口力君) 昨年御質問をいただきました丹羽厚生大臣との間の問答も拝見をさせていただきました。
 厚生労働省の毒ガス障害者に対する救済措置は、国との雇用関係に基づかない動員学徒等であった者を対象としていたわけでありますが、これらの方々の当時の就労状況から見まして、これまで比較的軽度の障害を念頭に置いたものとなっておりました。しかし、これらの方々の中にも、国家公務員共済組合連合会が特別手当及び医療手当を支給しているいわゆる認定患者というのがあるわけですが、認定患者と同様の重度の疾病状態にある方が存在するのではないかという御指摘があったわけでありまして、平成十一年十二月から厚生労働省の毒ガス障害者対策検討委員会におきまして医学的な観点から検討を行ってきたところでございます。
 この結果、昨年五月に取りまとめられました最終報告におきまして、厚生労働省が救済措置を講じてきました毒ガス障害者の中にも認定患者と同様の重度の疾病状態にある者が存在する旨の結論が得られたところでございます。すなわち、かなり重い人もその中にはやはり存在すると。今まで厚生省が考えてきたのは軽度の人しかいないのではないかというのでやってきましたけれども、公務員の共済組合の中に入っている人たちと同じように、かなり重い人たちもこの中には含まれている。
 この最終報告を踏まえまして、厚生労働省の救済対象者のうち重度の疾病状況にある方に対しまして、平成十三年度から特別手当及び医療手当の支給を行うことといたしまして、これら手当の支給に要する経費を含めまして総額十五億円の予算を計上したところでございます。
#72
○西川きよし君 ありがとうございました。少しでも前進することをよろしくお願い申し上げます。
 これまでの会議録を拝見いたしますと、元社会党の浜本先生がこの問題、毎年のように訴えておられましたのを拝見させていただきました。先輩議員の御苦労に敬意を表しまして、自分も一生懸命勉強しなければいけないというふうに思います。
 また、来年度からは戦傷病者等の労苦継承事業という新たな取り組みも行われるということでございます。ぜひこうした方々の御労苦についても後世代に語り継いでいくべきと思いますが、これは副大臣にお伺いしたいと思います。
#73
○副大臣(増田敏男君) 戦傷病者等の労苦継承事業については、戦争体験の風化が懸念されます中で、さきの大戦において傷病を受け、これを抱えながら生活を営んでこられた戦傷病者や戦傷病者を長年支えてこられた御家族の方々の御労苦を明らかにして、後世代に伝える事業であります。
 厚生労働省では、平成十三年度においてこの事業の実施に当たっての具体的かつ効果的なあり方を調査検討することとしております。したがって、先生のいろいろ御期待を込められた御質疑、これから具体的な検討が始まる、こういう形になりますので、いろいろと御助言をいただく機会があるかと思いますが、よろしく御協力をお願いいたします。
#74
○西川きよし君 ありがとうございました。
 次に、中国におきます毒ガスの遺棄処理対策についてお伺いをしたいと思います。
 平成十一年度の補正予算では八億円、今年度予算では二十八億円が組まれておりましたが、今日までの処理状況について、そして具体的にどれだけの処理が行われたのか、御答弁をいただきたいと思います。これは政府参考人の方にお願い申し上げます。
#75
○政府参考人(小島誠二君) 遺棄化学兵器の廃棄処理事業につきましては、平成九年に発効いたしました化学兵器禁止条約に基づく義務を果たすべく、平成十一年に日中間でその廃棄処理について覚書を交わしたところでございます。政府といたしましては、これに基づきまして中国側の協力を得つつ着実にこの処理のための事業を推進しているところでございます。
 具体的に申し上げますと、平成十二年度につきましては、中国側の協力のもと、江蘇省南京市において約二万発の赤筒、これはくしゃみ剤を含む有毒発煙筒のことでございますけれども、赤筒等の発掘回収事業を実施し、また黒竜江省北安市において約九百発の化学砲弾類の発掘回収、こういった事業を実施したところでございます。
 また、今申し上げましたのは発掘回収でございますけれども、実際に化学兵器を無害化するといいましょうか、実際に廃棄処理をするその前段階といたしまして、中国側と緊密な調整のもとで、化学剤の分析でございますとか実際に処理をする技術の確立といいましょうか選定といいましょうか、そのための評価、こういった事業を取り進めているところでございます。
#76
○西川きよし君 ありがとうございました。
 二万発と九百発と、大変な数でございますけれども、今御答弁をいただきまして、この回収された毒ガス弾の処理方法についてもどういうふうに対処されたか、ぜひ政府参考人の方にお伺いいたします。
#77
○政府参考人(小島誠二君) 化学兵器につきましては、これは処理のための装置の実績でございますとか、処理の確実性でございますとか、運転の安全性でございますとか、あるいは全体の安全性、環境への影響、こういったことを綿密詳細に検討する必要がございます。そのために、私どもといたしましては、専門家によるグループを設立いたしまして検討してもらっているところでございます。これにつきましては、私どもだけでできる事業ではございません。中国側の理解も得る必要がございまして、そういう専門家による作業と同時に、中国側との意見の交換も進めておるところでございます。
 いずれにしましても、私どもの推定でいいますと七十万発、これが大半が埋まっているわけでございまして、できるだけ早く私どもとしてはこれを発掘回収し、処理をしたいと思っておるところでございます。
#78
○西川きよし君 どうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 時間が短くて申しわけございません。最後の質問になりますが、ただいまの御答弁にもございましたが、昨年秋に行われました中国黒竜江省における発掘回収作業の様子も報道で拝見をいたしました。毒ガス弾の五メートル横で半世紀にわたって生活をされてきた住民からは、毎日毎日本当に心配しながら生活をしてきた、もっと早く撤去してほしかったというお話も紹介されておりました。来年度以降についてもできる限りの対応が必要であると、こういうふうに思います。また同時に、回収作業に当たっていらっしゃる職員の皆さん方の安全対策についても十分な対応を改めてお願い申し上げたいと思います。
 そして、今後の取り組みについて、そして方針について政府のお考えをお聞かせいただきまして、私の質問を終わりたいと思います。よろしくお願いいたします。
#79
○政府参考人(小島誠二君) 先ほど申し上げました化学兵器禁止条約においては、平成十九年までに遺棄化学兵器を処理するということが決められております。私どもといたしましては、この条約上の廃棄期限を十分認識いたしまして、これを達成すべく鋭意努力をしていきたいと思っております。
 特に、来年度におきましては、ハルバ嶺と申しまして吉林省にございますけれども、そこに大半の化学兵器が埋まっておるわけでございますけれども、これを発掘回収するためのインフラの整備、具体的には道路でございますけれども、これを整備するということ、それから先ほど申し上げました南京市における発掘、これは続きでございますけれども、これを進めるということをいたしたいと思っております。
 さらには、先ほど来申し上げておりますけれども、化学兵器の処理技術の検討、これを引き続き行いまして、できるだけ早く廃棄処理のための作業技術、これを確立するために努力をしていきたいと思っております。
#80
○西川きよし君 どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
#81
○委員長(中島眞人君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#82
○委員長(中島眞人君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#83
○委員長(中島眞人君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#84
○委員長(中島眞人君) 次に、平成十三年度における国民年金法による年金の額等の改定の特例に関する法律案を議題といたします。
 本案につきましては、既に趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言願います。
#85
○木俣佳丈君 民主党の木俣でございます。
 年金の今度の制度改革、特に物価スライド云々ということでございますが、冒頭、私は、年金というのは老後を支える幹である、そしてまた介護があり医療がある、これは枝である、このように考えておるわけでございます。
   〔委員長退席、理事亀谷博昭君着席〕
 特に基礎年金のことについて大臣に伺いたいのでございますが、坂口大臣が大臣就任前の昨年十一月三十日、自民党の丹羽元厚生大臣、それから保守党の野田幹事長とともに社会保障に関する緊急提言というのを発表されました。この中で、特に基礎年金、基礎年金というのはまさにナショナルミニマムというか一番の生活を支える基礎だと思っておりますが、国庫負担率の三分の一から二分の一への引き上げは喫緊の課題であり、直ちに実施すべきである、このように資料の中には宣言されております。
 ところが、本年二月二十六日の日経新聞によりますと、政府は基礎年金に対する国庫負担の割合を三分の一から二分の一へ引き上げるのに十年程度かけて引き上げるんだと、このような報道がございますけれども、これはどちらが正しく、そして今の現状、基礎年金については大臣はどのようにお考えか、大臣御本人からお答えください。
#86
○国務大臣(坂口力君) 厚生労働大臣に就任をさせていただきました直後にも申し上げたわけでございますが、社会保障の中で年金が柱であることは間違いないというふうに今も思っております。そして、基礎年金の国庫負担三分の一を二分の一に引き上げるということは、既にこれは前回の法案審議のときにも議論になり、そして附帯決議等にも書かれていることでございまして、決定されていることでございますから、ここはどうしても早く引き上げをしなければならないというのが私の考え方でございます。
 二〇〇四年までにということになっているわけでございますが、できるだけ早く私はここは引き上げた方がいいのではないかというふうに思っております。ただ、引き上げにつきましては、しかし現在の段階におきましても二兆四千億という財源が必要でございますから、それをどうするかということのその財源の見通しも立たないままでこれを引き上げるということを言いましても、これは絵にかいたもちでございますから、そのことの議論が詰まりました暁においてそれは成立することであるというふうに思っている次第でございます。
 先般報道されましたような十年かけて段階的にというような考え方は、現在の厚生労働省の中にはそうした考え方はございませんし、何らそういうことを議論したこともございません。できるだけ早くというふうに思っておりますが、ただ財源をどうするかということもこれは同時決着をしなければならない話でございますから、そのこともこれはあわせて議論をしていかなければならない、そしてできるだけ早くと、こういうことを申し上げているわけでございます。
#87
○木俣佳丈君 今の報道は間違いだということと、できる限り早急にというお答えがあったと思います。
 二〇〇四年までという一つの基準がありましたけれども、やはり喫緊の課題であって直ちに実施するべきだと、昨年の十一月の三十日に大臣がそのようにお答えになっているわけでございまして、やはり直ちに実施するというのが、例えば今から三年後というのが直ちにというニュアンスとは大分違うと思いますが、再度、その財源はどうするかということも含めてお答えいただけますでしょうか。
#88
○国務大臣(坂口力君) そこが一番難しいところでございまして、その財源問題がなければあすにでもこれはもうやりたいわけでございますが、なかなかそうはいかないわけでございまして、この財源問題をクリアしないことにはこの問題が解決をしないわけでございます。
 ここは厚生労働省だけではなくて、財務省を初めといたしまして、これは政府、与党の間でも合意を得なければならない問題でございまして、いろいろと御議論をいただいているところでございます。そして、この政府・与党の方の社会保障の会議におきましても、この大綱は今月いっぱいのうちにまとめながら、その具体策につきましてはことしいっぱいぐらいをかけて、ことしの秋ごろには結論を出すような形でプロジェクトをつくって進めていくといったようなことが今行われているわけでございまして、少なくとも結論はことしの秋ごろには出さなければならないのではないかというふうに私は思っております。
#89
○木俣佳丈君 先送りと言うとあれかもしれませんが、やはり年金改革は今までも数度にわたって我々流に言うと先送りになっているんではないか、このように結論づけておるんです。
 これは、秋に結論を出すというのも、どのように出すのかな。財源の話だけなのかな、要は数字だけでいえばもう決まっているものだと。つまり、あと決めるべきは、財源をどこから引っ張ってくるのかな、こういうことを秋までに出されるということだと思うんです。
 これは大臣、大臣個人的にというのもちょっとおかしいんですが、あえて言わせていただきますと、一議員としてお考えになるには、この財源、二兆四千億と大体言われておりますね。これは消費税でいうと大体一%ということでございます。現在一%ではちょっと足りないかもしれません、一%強と言われておりますが、これは税でやりますか、それともその他の財政出動で行いますか、どちらでしょうか。
#90
○国務大臣(坂口力君) まさしくそこを決めなければならないわけでありまして、そこをどうするかということが一番の問題になるだろうというふうに思います。税で決めるのか、税で決めるとしたらその税の中のどういう税でやるのか、あるいは税ではなくて現在の財政の中でどういうふうにそれをつくり出すということにするのか、そうしたことも含めてこれは検討をしていただかなければならないだろうというふうに思います。
 そして、社会保障全体の中で先ほど申しましたように年金がやはり柱でありますし、この年金と医療と介護、少なくともこの三つは整合性のとれたものにしなければなりませんから、そうしたことも考えながら結論を出さなければならない問題でございまして、この年金だけの結論を出せばいいというわけにはいかない。
 そして、この年金の問題も二、三年しましたらまた基本からつくり直しますというようなことであってはいけない。この年金の問題はかなり先まで計算のできる話でございまして、医療よりも介護よりもその先行きが非常にわかりやすいものでございますから、それだけにやはり二、三年ごとにこの制度をころころと変えていくというようなことがあってはならない。やはり一度決めましたらそれで二十年ないし三十年は行きますよということを皆さん方に申し上げられるようなものでなければならない、そういうふうに思っています。
#91
○木俣佳丈君 もう少し短い御答弁でいただければと私は思いますが。
 この先ほどの与党の三党の合意文書でもありますように、「その財源については」と書いてございますが、これは赤字国債で賄うのではなく緊急避難的であれば年金基金を一時取り崩すというのも検討すべきだと。「ただし」と書いてあります。これは、安定財源としての消費税を引き上げることなどを含め直ちに返済することを条件とする。ということで考えますと、これはもう結論は実は出ているということであると私は結論づけたいと思うんです。
 ですから、恐らく秋というのは参議院選挙が終わってからということでございましょう。恐らく参議院選挙前にこれを言うということは、消費税を上げるということになりますので、大変これは言いにくいことかもしれません。しかし、私の思うには、今国民が望んでおること、我々より上の世代の方々が望んでおりますのは、年金が不安では本当に将来の不安は増すばかりである、これはもう耳にたこができるぐらい言われていることでありまして、これは選挙後に上げるというよりも、かえって私は与党の方々のためにもあえて選挙の前にやはり結論をつけるという方が実は選挙結果がいいように思うんですが、大臣、どのようにお考えになるでしょうか。
#92
○国務大臣(坂口力君) いろいろと我々の選挙のことまで御心配をいただきまして、ありがとうございました。よく考えてやらせていただきたいというふうに思います。
 いずれにいたしましても、その財源をどうするかということが最大の課題であることだけは間違いがございません。今それを軽々に私がここで言えるような段階でないことも事実でございまして、これらの問題を関係者の皆さん方とよく御相談をさせていただきながら落ちつくべきところに落ちつけなければならないということでございます。そうしたことをひとつ踏まえてやりたいと思います。
#93
○木俣佳丈君 ぜひ、再度与党の方々にも大臣から働きかけていただいたらどうかと私は思うわけでございます。
 続きまして、基礎年金というのは先ほどから申しますように生活に最低限必要な資金であるということを考えるわけでございますが、これが今、十二年度ベースの老齢基礎年金の月額というのが六万七千十七円ということでありまして、これはいかにも一人だと少ないと思うわけでございます。これはよく議論があることではございますが、改めて私も問いたいと思っております。
 と申しますのは、例えば生活保護の一つの水準がございますが、最低生活費というものの水準ですね、厚生省が出しておりますけれども、例えば老人単身世帯七十代、これは何で女性なのかわかりませんが、七十代女性と書いてありますが、一級地一、つまり東京都とか一番コストがかかるところで十万八千九百九十円。三級地の二という一番辺境の地というのか、地方の地で八万四千四百円と、こうなっておるわけでございまして、私も何十年後かにではございますが、恐らく二級地の一か二ぐらいのところで老後を迎えるのかなと、このように思っておるんですが、とても実は基礎年金では足りないということでありまして、要は憲法の第二十五条の生存権という生活の保障の最低水準というものもこれは満たさないと思うのでございますけれども、こういったものを再度改定する思いは、大臣、ございますでしょうか。
#94
○政府参考人(辻哲夫君) 大臣の御答弁の前に制度の仕組み、考え方について御説明申し上げたいと思います。
 確かに生活保護制度、それから今の基礎年金、どちらもいわゆる所得保障制度でございますが、その趣旨、目的は異なるところがございます。
 まず、生活保護でございますけれども、これは憲法二十五条というところに根拠を持ちますが、これはあくまでも資産、能力その他あらゆるものを活用してもなお最低限度の生活が営めないときに初めて行われるものと。したがって、御指摘のような基準額そのものが無条件に支給されるものではなくて、本人の収入や資産、あるいは扶養義務者による扶養の有無等を調査いたしまして、それらが基準額を下回る場合に限り下回る部分の額が支給されると、こういう仕組みでございます。また基準額は、今御指摘の額はいわゆる住宅扶助も入っておりますけれども、そういう最低限の生活全般に着目して設定されております。
 一方、年金の方は、稼得能力と申しておりますけれども、現役時代に一定の稼ぎを持っている方が年をとってそれを失うことを補てんするということでございますので、現役世代に一定の資産や所得など生活基盤を構築している者に対してそれに老後出すという仕組みで、基礎年金はその対象は老後生活の基礎的な部分に限られておると。
 このように、給付の前提として想定している生活基盤が異なり、したがいまして制度が念頭に置いている趣旨が異なる生活保護の基準額と基礎年金の水準を単純に比較するということは適切ではないというふうに考えております。
#95
○木俣佳丈君 早口でよくわかりませんが、どうしてこれを比較するのがおかしいのか、いろいろ一生懸命説明をされていますが、私はわかりません。
 簡単に言って、要は基礎年金だけもらう人というのはやっぱりありますよね。あれば、結局それがいわゆる厚生省から生活保護を受けるその最低水準より下回っておればこれは大変なことではないかと単純に思うわけでございまして、これが国民の声だと思うんです。
 それから、いろいろな資力調査、ミーンズテストと英語で言うんですが、ミーンズというのは非常に嫌な言葉で、もちろん英語でもミーンズテストというのはありますけれども、このミーンズというのは本当に後で問題にしたいと思うんですが、いろいろな意味があるんですね。ア・マン・オブ・ミーンズと言うと資力のある人、リッチな人ということなんですけれども、ミーンズというのは卑しいとか下品とか小さいとか、こういう意味なんです。
 ですから、こういうミーンズテストという言葉を大体使うこと自体が僕は卑しいと。厚生省もこういう英語を使うならもっといい言葉に、資力テストとかすればいいのをあえて厚生省はミーンズテストなんといってやって、英語を知っているぞと言いたいのかわかりませんが、使っているのがそもそも私は頭にくると、こういう感じがしました。
 いずれにしましても、生活保護の最低生活保障水準、生活保護の水準というのも地域によって当然変わっていまして、六段階あるようですね、見ますと。にもかかわらず、基礎年金というのは全国一律で六万七千十七円と、このようになっているということ、満額で六万七千十七円。これはもう少し、これからの地方分権というのも考えた場合に、生活の一番の基礎となる年金でございますから、やはりこの際いろいろ、何というんでしょうか、地域ごとの差をつけるというのも当然ではないかと思うんですが、いかがでしょうか。大臣に伺います。
   〔理事亀谷博昭君退席、委員長着席〕
#96
○政府参考人(辻哲夫君) 恐れ入ります。ちょっと技術的な説明をその前段でお許し願いたいと思います。
 申しましたように、年金は最低生活を保障するためではなくて、若いときから一般的にずっと老後のために準備してきた方、そしてその方に老後に基礎的な給付を全国一律で出す制度でございます。したがいまして、地域を問わず全国一律の保険料で一律の給付と、こういう仕組みになっておりまして、個々の最低生活水準を図るといったような、個々の事情に応じて年金額が定まるというものではございません。そのようなことから、居住地に着目した地域差を年金に設けようということはしていない状況でございます。
#97
○木俣佳丈君 坂口大臣に。
#98
○国務大臣(坂口力君) ここは、生活保護との比較というのは、比較すること自体がなかなか難しいんだろうと僕も思うんです。年金の方はこれは保険でございますし、そして基礎年金だけではなくて、やはり基礎年金だけで都合が悪いという方はその二階建てのところを、それが国民年金であろうと厚生年金であろうと、そこを一生懸命積んでおみえになるわけでございますし、いたしますから、これは長い間の計画の中でつくり上げられていくのが年金である。
 生活保護の方は、もうこれはそうした過去のいろいろの思い等があったにしろ、そうしたことがなかなか思うようにいかなくて、そして結局のところはやはりこの保障を受けなければならなくなったということでございまして、年金の場合にはそうしたこれから将来に対する長いスケジュールの中でのことでございますから、基礎年金というのは確かに六万七千円というのはそんなに多い額ではありません。しかも、現在、平均をいたしますと五万円ぐらいでありますから、これはこれだけで生活をするというのはなかなかそれはできないことだというふうに思います。かなり山の中ででも生活をしていなければ生活は不可能なことだと。山の中でありましても五万円で生活というのはこれはなかなかできないんではないかというふうに思いますが、これはその他のことをやはり計算に入れていかざるを得ない額だというふうに私は思っております。
 ですから、ここは上げることはこれは皆賛成だと思うんですけれども、ここを上げようということになりますと、そうすると保険料も上げなければならないということになりまして、その保険料を一体だれがどれだけ負担をしてくれるのかということがまた大きな問題になってくるということでございますから、辛抱をしなければならないところは辛抱をして、そして掛金をしていただく皆さん方のことも思いながら受け取るものは受け取らなければならないというのがこの年金制度ではないかというふうに思っております。
#99
○木俣佳丈君 大臣のお気持ちはこういうことではないかと。先ほども挙げましたような、年金については消費税でやっぱり賄っていかなきゃいけない。我々も、民主党では公約としてまず直ちに二分の一に増額しなければいけないと。これも、これはまずむだが、国庫のですね、国家支出のむだがある。これでまず埋めていくんだ、これは二兆四千億なんだと。そしてさらに五年以内に満額これは税方式に切りかえていかなきゃいけないというふうに考えております。
 基礎年金について、今の六万七千円、一人当たりですね、ということで考えていきますと、大変なことがまだありまして、これは厚生省の厚生白書にも書いてありますように、例えば医療費、保健医療支出に占める割合の比率がここ数年どんどん上がっておりまして、最近一番新しいものがあるかもしれませんが、十年で五・二%だそうです、消費支出の五・二%。さらに介護保険が始まっていったわけでございますね。要するに、これを年金から差っ引かれるわけでありまして、そうすると幾らも残らないというのが結論として今の基礎年金の状況ではないかと私は思うんですね。
 比べますと、例えば、米国の場合、ソーシャルセキュリティーというのがまさにこの基礎年金に当たる。これは税方式でございますが、大体九百ドル超というのがたしか平均だと伺っております。今の円ドル換算で言うと十万円を超えるお金が一人当たり出てくる。こうしますと、物価水準または消費支出の中における食料費が極めて米国の場合低いものですから、最低の水準はこれは保てるのではないか、このように思うんですね。
 ですから、再度私も申し上げたいのは、やはり直ちにという大臣の、まさに大臣に就任される前に言われたことを直ちに私は行っていただきたい、このように思うわけでございます。
 さらに、物価スライドではない方式に今回特例的にされるわけでございまして、ここで伺いたいんですけれども、物価が下がるものではないという、いわゆる下方硬直性というんでしょうか、というのを前提にしながらこの年金も考えられていた。しかしながら、過去、平成八年と昨年、物価指数が下がったということで、今回も特例的な措置をするんだということなんですが、今年度も物価は下がる見込みでございますが、来年もさらにこの法案のような特例措置をする予定でございましょうか、大臣。
#100
○国務大臣(坂口力君) 去年、ことしとこれで二年連続をいたしまして物価の下落に合わせて年金を下げなかったわけでございます。
 今、委員も御指摘になりましたように、恐らくこの法律ができましたときには、こういうデフレ傾向と申しますか物価の減少がずっと続くというようなことは余り想定をせずに、物価上昇はずっと続くであろうということを想定してこの法律は多分考えられたのではないかというふうに思います。
 したがいまして、これからこういうことがまだ続くかどうかということは、これは経済のことはわかりませんし、来年もさらに下がるかということはわかりません。わかりませんが、毎年毎年こういうふうに下がるのを据え置くというようなことをやっておりましたのではこの法律の意味がなくなってくることも事実でございますので、こういう状況が二年これで続きました以上、やはり今後ここをどうするかということを早急に検討しなければならないだろうと、そんなふうに思っているところでございます。
#101
○木俣佳丈君 物価が下がるというのは、もうこれから先、恐らく数年間はあると私は思います。特に、地価を初めとしまして衣服も相当に下がっております。下げどまったという意見もございますが、まだまだいろんな分野で、これから電力料金も下がります。その他、自由化、規制緩和が進むにつれて恐らくデフレ傾向というのは当面続くのであろう、少なくとも五年は続くのであろうと私は思うんですが、そのたびごとに特例措置、特例措置といういわゆるびほう策を続けるというのは、不安をかき立てるだけと私は思いますし、恐らく大臣もそういうふうにお思いだと思うんですね。
 ですから、このあたりでやはりきちっと、完全物価スライド制ということではなくて、下がったとしても基本的には年金は下げないんだよ、上がったときだけ上がるんだよという、こういう法文上の措置をするべきだと私は思います。
 特に、この法文上、「財政再計算が行われるまでの間に、」と書いてあります。これは平成十六年、三年後だそうでございますが、それを待たずともやはり抜本的な年金法の改正というものをするべきだと思いますけれども、最後に大臣の決意を聞いて、私の質問を終わります。
#102
○国務大臣(坂口力君) いつごろこの年金の再計算をするかということは、これを早めるかということは今のところまだ決まっておりませんが、早晩これはやらなければならないことだというふうに思います。その中で、今御指摘になりましたようなこの物価スライドにかかわりますところにつきましても検討をしていくことになるだろうというふうに思います。
 ただ、上がったときには上げますよ、下がるのは下げませんよということでありますと、そうすると再計算のときにその分をどう計算するかということになるわけでございますし、今後の年金財政にも影響を与えることでございますから、その計算もまた変わってくるわけでございますので、その辺も十分踏まえながらもう一度検討をしていくということになるのではないかというふうに思います。
#103
○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 この年金特例法については、この厳しい消費不況のもとで年金生活者を守るために据え置くという趣旨には賛同をいたします。
 そういうことを踏まえて質問をしたいと思うんですが、坂口厚生大臣は衆議院の厚生委員会でこう答弁されているんですね。年金そのものに対する、これからどうしていくかという大きな問題もあると思います。それにあわせて物価スライドをどうするかという部分的な問題もあると思います。全体の問題も一年か長くても二年の間に整理しなければならない話だと思っておりますが、物価スライドのことは来年までに、ことしのうちに決着をつけておかなければならない話だと思いますから早急に検討に入りたいと。
 大臣言われた大きな問題、全体の問題というのは一体何を指すんでしょうか。
#104
○国務大臣(坂口力君) これは社会保障全体を見ましたときに、先ほども申しましたとおり、年金が中心であることは間違いがございませんが、年金制度というのと医療制度というのもかなり密接に影響をし合うものでございます。また、介護保険などに対します考え方も影響を及ぼすものでございます。したがいまして、中心になります年金の形をこれからどうしていくかということは、年金、医療その他社会保障全体に大きな影響を与えることでございますから、それらの問題も踏まえてこの年金制度というのは考えていかなければならないのではないかということを私は申し上げたわけであります。
 森総理も来年の通常国会には年金制度の改革案を出すというお約束をしておみえになるわけでございますから、それは出さなければならないというふうに考えておりますが、そういたしますと、その医療保険制度の改正案を出すということになりますと、やはり年金にも影響をすることでございまして、あるいは年金の考え方ということがこの医療保険にも影響することでございますから、あわせてこの年金の問題も同時並行でやはり考えていく必要がある。そうしたことを私はトータルで申し上げたつもりでございます。
#105
○小池晃君 この答弁を読むと、部分的な問題というのは物価スライドをどうするか、大きな問題というのは国庫負担をどうするかという趣旨だと私は思うんですね。
 それで、この基礎年金国庫負担二分の一の問題でありますけれども、これはついに二〇〇〇年度予算にも盛り込まれなかった。これはこれ以上の先送りは許されないと思うんです。
 大臣、この衆議院の答弁の中で、物価スライドをどうするかはことしじゅうに決着をつけるんだと。その問題は後で議論いたします。大きな問題、全体の問題は一年か長くても二年の間に整理しなければならないと。これは要するに国庫負担を二分の一に引き上げる。これはもうやることは決まっているわけで、時期の問題だと。これを一年か長くても二年の間に整理しなければならないと、こういう趣旨と理解してよろしいんですね。
#106
○国務大臣(坂口力君) 先ほど私が申し上げた中で、森総理が言われたことで年金というふうに私申し上げたようでございますけれども、あれは医療制度についての改革を来年の国会に出すということをおっしゃったということを言いたかったわけでありまして、もしも言い間違っておりましたらお許しをいただきたいと思います。
 今御指摘になりましたように、大きな問題といたしましては、この年金制度をそうした社会保障の中でどう位置づけていくかということを中心にして考えていく。それは理念の問題もありますし、それから御指摘の財源の問題も含めてのことでございます。したがいまして、この一、二年の間にその大きい問題も決着をつけていかなければならないんだろうというふうに思います。
 この基礎年金に対します国庫負担が現在三分の一でございますが、これを二分の一にするということにつきましては、これは国会におきましても合意を得ていることでございますし、このことにつきましてはできるだけ早くこれを実現していくという方向でやはりすべてを考えていかなければならないことも私は事実だというふうに思っております。
 ただし、それには財源の問題があるわけでございまして、この財源の問題をどうするかということの決着もあわせてつかないことには、ただ単に年金だけを考えていたのではこれは解決にならないわけでございますから、トータルでそれをどうするかということもあわせて考えていかなければならないということを申し上げているわけでございます。
#107
○小池晃君 さらに、物価スライドをどうするかという問題で、附則の話でありますけれども、これは次期財政再計算までの間にとなっているわけですが、大臣は答弁では年内に決着というふうに衆議院で言われました。これはことしじゅうに何らかの法案を提出するというふうに理解してよろしいんでしょうか。
#108
○国務大臣(坂口力君) 年内に詰めるぐらいの覚悟でということを申し上げたわけでありまして、法律をいつまでにつくるというようなところまで私も頭の中を整理して申し上げたことではございません。
 ただし、こういう状況をいつまでもずっと続けるということはよくないことであると。二年続けたわけでございますが、また来年も、ことしから来年に向けての経済がどうなるかよくわかりませんから予断は許しませんけれども、同じようなことをまた続けなければならないというのではこの法律をつくりました意味というものが問われてくるわけでございますので、そうした意味ではできるだけ早くこの法律のあり方というものについてもう一度検討するということをやはり考えていかなければならないのではないかという趣旨のことを申し上げたわけであります。
#109
○小池晃君 物価スライドは一九七三年に実現したわけです。五%を超えて物価が変動しないとスライドしないということに当初なっていたのが、九一年四月から完全自動物価スライド制になってきていると。物価スライドはどうあるべきかという問題は、これは年金受給者に大変大きな影響を与えるものだと思うんです。
 私、検討するのであれば、やはり財政再計算のときにあわせて、年金全体の将来像がどうなるかということとあわせて国民に示して検討すべき性格の問題ではないかと考えるんですが、それより以前に、あるいはことしじゅうにというような形で検討すべき問題ではないのではないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
#110
○副大臣(桝屋敬悟君) 私の方からお答えを申し上げます。
 今、委員からもお話がありましたように、完全物価制が導入された経緯の御説明がありましたけれども、五%条項というものが確かにあったわけであります。仕組みがあったわけであります。この言ってみればゾーン制というような形でありますけれども、物価変動幅が小さい局面においては物価スライドのあり方の一つということであったわけでありますけれども、最近の経済状況等勘案をいたしまして、物価変動が低位に推移をしているということを受けまして今は完全物価制に移行してきたと、こういう経緯があるわけでありまして、これも大事な経緯だろうというふうに思っております。
 いずれにいたしましても、大臣が先ほどから、前回のお話でも今年じゅうに決着をつけるというようなお話もされておられるわけでありますけれども、私どもが留意をしなきゃいかぬのは、平成十二年度、十三年度、二カ年にわたって特例措置を講じたことに伴います財政影響を考慮するということでございまして、次期財政再計算までの間に給付額等やスライド規定の見直しについて検討し、その結果に基づいて所要の措置を講ずることとしているわけでございます。
 現在のように、前年のみの消費者物価を指標とした自動物価スライド規定の見直しについてもあわせて検討はしていきたいというふうに思っているところであります。
#111
○小池晃君 その検討の一つとして、今おっしゃったゾーン制、ある程度の幅を超えないとスライドしないということも選択肢の一つだということなんでしょうか。
#112
○副大臣(桝屋敬悟君) ゾーン制については、今申し上げたように、今までゾーン制から毎年の完全物価スライドへ移行してきたということがあるわけでありますから、容易に前のゾーン制に帰っていいということではない。
 ただ、本当に私ども悩んでおりますのは、これほど経済が激しく動いてきた、動いているということは、これは正直申し上げて大変に我々の想像を超えたところもあるわけでありまして、一つはこれからの経済がどう動くかという、もちろん大臣が先ほど言っておりますように、経済は我々は安定をさせる方向で一生懸命今取り組みをしているわけでありますが、そうした、これからの二、三年、あるいは中期的に見て経済がどう動くかということも十分勘案をしながら検討しなければならぬ課題だと思っております。
#113
○小池晃君 続いて、障害年金の問題についてお伺いしたいんですけれども、無年金障害者の問題です。
 これは、さきの年金審議の中で私も何度か質問して、当時の丹羽厚生大臣はこう言っているんです。個々のケースの場合において、どうしても知り得ない場合とか、加入できないような場合とか、そういうケースがあるのかないのか、そういうことを含めて検討しなくちゃいけないと。真にやむを得ない理由によってこの場合はというようなことを少し勉強していただけたらと、ケースを一つ一つ洗い直す必要もあるのではないか、こう考えておりますというふうに答弁されました。
 これはやっぱり大変深刻な問題が続いていて、八九年当時に任意加入していた学生というのは、これは一%にも満たない。ほとんどが知り得ない、加入し得ないという、そのような環境に置かれていた方だと考えるべきではないかと思うんです。
 障害者プランの見直しも始まったと聞いております。本来ならば、現在の障害者プランの終了時までに解決すべき問題であったはずでありまして、やはり直ちに検討、そして解決の道へ踏み出すべきでないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
#114
○政府参考人(辻哲夫君) ただいまの、前大臣のお答えになりましたところについての検討状況ということを御報告申し上げたいと思います。
 それで、この議論の前提として、障害年金につきましては、六十年改正において障害福祉年金を障害基礎年金に裁定がえして、年金をそのように高めたといったような措置をとっているというようなことで、それに準じたような、あるいはそのようなことをしているから今御指摘のような個々で救えるものはないかというような御議論をされたというふうに承知しております。
 趣旨といたしましては、二十歳に達する前に障害にかかった者について障害基礎年金を保障したという背景は、既に国民年金の加入者となる二十歳前に障害を発生しておられる、こういう方につきまして、いわば拠出制年金に加入する機会がなかったということでございますので、加入可能な二十歳になると同時に受給権を発生させたと。ところが、さまざま今議論になっているものにつきまして、それと同様に救えるものがあるのかという趣旨かと存じますが、すなわち二十歳前障害者と同様な事情にあると言えるものがあるのかどうか、ここをよく吟味してみたい、こういった御趣旨ではなかったかと理解するわけでございます。
 その後、私ども検討いたしまするに、結局任意加入ができるのに任意加入しなかったケース、これにつきましてはむしろ強制加入に変えて、加入する機会を強制にいたしまして救おうとしたといったことを行いましたが、今度は強制加入であるにもかかわらず加入しなかった、すなわち保険料を納めていなかったケース。そして、今度は学生の納付等のいわば免除の特例申請というものができるようにして、負担能力のない方は免除申請をすればそれによって障害年金が保障できるようにと、また新たに措置をとり、これを救おうとした。
 こういった中でやむを得ず、救える人はいないのかと、こういった議論をし、検討したわけでございますが、結局議論いたしまするに、保険料をそのような今までの経過の中で納めた方、そしてまた保険料納付の猶予の申請を現に行われた方、この方々との均衡を考えますと、事後的に救済を行うということはこれは社会保険の根幹にやはり触れてしまうということで、そこのところは困難だなというようなことでこれまで検討してまいった状況でございます。
#115
○小池晃君 今のではやはりこの問題の解決につながるような議論ではないというふうに思います。やはり、こういう問題について一つ一つの事例についてよく検討すべきだと思うし、拠出をした人との公平性という問題だけでこの問題すべて切り捨てるという議論では私はこの問題は解決できないと思いますので、引き続き結論を出さず検討していただきたいというふうに思っております。
 さらに、障害年金の中身の問題ですけれども、肝臓病の患者の問題についてちょっと取り上げたいんですが、肝炎患者の障害年金の認定基準の問題です。これは認定基準が大変古過ぎるという意見が出ております。検査項目とか検査方法がかなりこれは現在のやり方に合っていないんじゃないかと思うんです。
 例えば黄疸指数なんという、ほとんど今やられていないような検査項目もある。それから、肝炎の予後に大変大きな影響を与えると言われている血小板の数なんかも入っていない。これは見直すべきではないかという意見も出ていると思うんですが、いかがでしょうか。
#116
○政府参考人(冨岡悟君) お答え申し上げます。
 障害の認定基準につきましては、内部疾患それから外部疾患いろいろありまして、それぞれ認定の基準をつくっておるところでございますが、内部疾患につきましては医学的な観点からもいろいろ検討する点が多うございまして、その時々の医学技術の進歩、こういったものを踏まえまして適時適切に見直していくことが必要かと思っておりまして、そういった努力を今後とも続けてまいりたい、かように考えております。
#117
○小池晃君 それから、肝炎の場合に、対症療法によって一時的に検査データがよくなる場合もあるんですね。そういう際に毎年提出する現況届の数字がよいと支給停止になるという声も出されていますけれども、こういう問題についても、肝炎なんかは治療によっては検査データがよくなるということは間々あるわけでありまして、やめればすぐにデータはもとに戻るということがあるわけです。対症療法による数値の下降によって打ち切るようなことはやっぱりやめるべきじゃないかというふうに思うんですけれども、この点についても御検討いただけないでしょうか。
#118
○政府参考人(冨岡悟君) お尋ねの点につきましては、肝機能検査の成績につきましては確かにその時々の検査によって変動しやすいという性格を持っておりますが、私どもの使っております認定基準におきましては、肝機能検査成績はその性質上変動しやすいものであるので、肝疾患の経過中において最も適切に病状をあらわしていると思われる検査成績に基づいて行うものとする、こういった基準に基づいて運用しております。
 したがいまして、現在障害年金を受けておられる方につきまして、現況届の提出を受けまして障害の程度の確認をするわけでございますが、検査数値が一時的に下がった場合、そういった場合にその数値だけで認定するということではなくて、ある一定期間の検査成績の推移、それから障害の状態、それから日常生活全般の状態を総合的に把握することによりまして認定を行っているところでございます。
 以上でございます。
#119
○小池晃君 そういう実情をよく見ながら判定していくということを進めていただきたいと思うんです。
 それから、腎臓病の患者さんのところからは、やはり今透析療法に移行する患者さんの三分の一は糖尿病性の腎症なんですね。ますますふえているわけです。糖尿病性の腎症の場合は、クレアチニンなんかのデータがよくても心不全なんかがひどい、あるいは合併症がひどいというケースというのは多々あるわけであります。ただ、障害認定、年金の認定上はクレアチニンの値で認定されるので軽く出てしまうという声が出ている。それから、腹膜透析をやっている患者さんの場合もデータは結構いいというケースが多い。しかし、認定上は低く出てしまうと。
 やはり病態とか治療法に合った基準にしていくべきではないかという声が出て私も当然だと思うんですが、いかがでしょう。
#120
○政府参考人(冨岡悟君) 今、腎臓病についてのお話でございましたが、私ども、認定の基準として、例示としてある一定の物差しみたいなものをもとにしていることは確かでございますが、実際の認定に当たりましては医師の判断等に基づきまして、実際の生活の状態、障害の状態を勘案いたしまして個別的、総合的に認定しているところでございます。
#121
○小池晃君 ところが、その実態はそうなっていないんじゃないかという声があるわけですね。やはりクレアチニンのデータで機械的に認定が低く出てしまうということがあるんだと。やはりその実態に合わせてやるというのは当然のことでありますけれども、その認定基準自体も病態とか治療法に合わせてやはり変えるべきではないかというふうに思うんですが、いかがでしょう。
#122
○政府参考人(冨岡悟君) 現在の認定基準におきましては、一定の数値みたいなものは基準として必要なわけでございますが、この運用に当たりましては、私どもはこれは例示であるといたしまして、実際の認定に当たりましては障害の状況、生活の状況を勘案して総合的に認定するようにと、そのような方針で運用しております。今後ともそのような障害の実態に合った認定に努めてまいりたいと、かように考えております。
#123
○小池晃君 実態に合った認定をしていっていただきたいというふうに思います。
 それからさらに学生の特例納付制度、前回の年金改定で入った制度ですけれども、これについてお聞きしたいんですが、当時、これは定時制とか通信制の学校に通う学生には適用されないんだと、これが大変問題だという声がありました。
 総務省がこの問題について意見書といいますか、厚生省に対してあっせんといいますか、申し入れをするというふうに聞いておるんですが、この趣旨について御説明を願いたいと思います。
#124
○政府参考人(塚本壽雄君) お答え申し上げます。
 国民年金におきましては二十歳以上の者が被保険者ということでございまして、保険料を納付しなければならないわけでございますけれども、御指摘の二十歳以上でありましても一定範囲の学生等については、学生である期間、保険料の納付が免除されるというような特例制度でございます。ただ、これは御指摘のように高等学校の定時制課程などについては対象外ということでございます。
 私どもに行政相談という制度がございますけれども、これに先ごろ二十歳を迎えた高等学校の昼間の定時制に在学する子を持つ親御さんから、定時制についてはそのようなことで除外されているけれども、実際親としては保険料を払う負担が大きいと。また、学生が免除されているのはこの方の理解では一般に学生の間は収入がないということが理由だというふうに聞いておるんだが、この定時制の昼間に在学している子供については、自分の子供、収入がないことは明らかであるのでこの特例制度の対象にしてほしいという申し出があったわけでございます。
 これにつきまして私ども総務省で検討いたしました結果、高等学校の定時制の生徒もさることながら、同じく対象外とされております大学の夜間、あるいは通信制という学生さんと今の実態というふうに考えますと、従来はやはり勤労学生ということが主体であった、こういうことだと思いますけれども、現在の状況を見ると無職でその生計を親に依存しているという方々も増加しているんではないかということでございます。
 そこで、これらの学生等も特例納付制度の趣旨になじむと考えまして、厚生労働省におかれてその実態を把握していただく、その上で特例制度の対象範囲のあり方について検討されるようにということを求めたものでございます。
#125
○小池晃君 まことにもっともな私は考え方だと思うんですね。実態を踏まえた意見だと思うんです。
 厚生省はこの要請に当然私はこたえるべきではないかと思うんですが、いかがでしょう。
#126
○政府参考人(辻哲夫君) 私ども、実は本日、今総務省より御説明のありましたようなあっせんをいただいたところでございますので、まずあっせんの内容等を十分に吟味させていただくということで分析させていただいているところでございます。
#127
○小池晃君 これはやはり当然この要請に私はこたえていくべきであるというふうに思っております。
 最後に、この四月からの定額部分の支給開始年齢の繰り延べの問題についてお伺いしたいんですが、参議院の予算委員会で年金局長は予算ベースで八百億円の減少となっているというふうに、要するに定額部分の支給開始年齢六十歳からの繰り延べの分の数字をおっしゃいました。この計算根拠をちょっと簡潔に御説明願えますか。
#128
○政府参考人(冨岡悟君) お答え申し上げます。
 平成十三年度予算におきまして、厚生年金の定額部分の支給開始年齢の引き上げの対象となる人数につきましては年度間の平均で約三十万人と見込んでおります。年度末では約六十万人となる見込みでございます。このうち、厚生年金の被保険者期間が二十年以上ある方、約二十万人につきましては、定額部分の平均年金額が約六十九万円となっております。それから、被保険者期間が二十年未満である方、約十万人でございますが、定額部分の平均年金額が約十三万円と見込んでおります。これらの方全員が六十一歳から定額部分を受給するならば、影響額は約千五百億円の減少となります。このうち、約半数の方が繰り上げ請求をするものと仮定して計算いたしましたところ、厚生年金の給付金の減少額は約九百億円と見込まれます。また、このような方は老齢基礎年金も一時繰り上げ給付を受けることになりますので、老齢基礎年金の給付について約百億円増加が見込まれます。差し引きしますと、両方合わせまして約八百億円の減少というふうに見込んでございます。
#129
○小池晃君 私、この計算はちょっとおかしいと思うんですね。そもそも繰り上げ請求というのは、これは年金の数理上は中立であるはずですから、制度改定の影響の中にこの問題を読み込むというのは私はちょっとおかしいんじゃないか。要するに、いずれ八割支給になって最後には戻ってくるような計算になるわけですから、予算上の問題だけでいえばもちろんわかるんですけれども、年金の計算上これを読み込んでいくというのは私はちょっとどうかと。四月から実施される支給開始年齢の繰り延べの影響、支給停止される年金額というのは先ほどおっしゃった千五百億円というベースの数字、これ自体も人数に若干疑問があるとは思うんですけれども、やはりここがこの四月からの支給開始年齢の繰り延べで影響が出てくる額だと見るのが私は年金の考え方からいえば当然ではないかと思うんですが、いかがですか。
#130
○政府参考人(冨岡悟君) ただいま申し上げましたトータルの八百億円というのは、十三年度一年間の差し引きの影響額ということでございます。それから、御指摘のありました年金の年齢の繰り上げによりましての影響額は、先ほど申し上げましたように千五百億円ということでございます。
#131
○小池晃君 三十万人という設定も老齢年金の受給者、新規裁定の中で九九年度で三十二万人、通老で四十二万人ですから受給者だけでも七十四万人になる。女性の分がありますからこれがすべて繰り延べになるわけじゃないですけれども、やはり先ほどの計算の三十万人という数字も私は疑問があると。ただ、繰り延べの影響額は千五百億円、ここがベースだということは確認できたと思うんです。
 その上で、雇用保険の改悪もやられるわけですね。雇用保険の改悪で定年退職後の失業給付が三百日から百八十日になりますけれども、この一人当たりの給付減というのは幾らになるのでしょうか。──いいです。これは通告はしてあるんですけれども、一人当たりの給付減は六千二百十一円掛ける百二十日で大体七十四万円です。
 さらに、現在の六十歳から六十四歳までの求人倍率はどうなっているか。これはどうでしょうか。
#132
○政府参考人(上村隆史君) 平成十三年一月現在の求人倍率でございますが、五十五歳以上全体では〇・一四倍で、その内訳は、五十五歳以上五十九歳以下が〇・二〇倍、六十歳から六十四歳以下が〇・〇八倍、六十五歳以上が〇・二四倍という状況でございます。
#133
○小池晃君 先ほど私が申し上げましたけれども、雇用保険の改悪で定年退職後の失業給付が一人当たり約七十五万円削られる。その上、六十歳から六十四歳の求人倍率というのは〇・〇八、全年齢でいうと〇・六六で、年齢層全体で見ればこの層は一番低いわけであります。厚生年金が男子、満額もらえなくなる。その上に雇用保険も四月一日から切られる。三月末に駆け込み退職をする人が少なくないというふうに言われているんですね。
 大臣、最後にお伺いしたいんですけれども、これだけ就業率が低下をしている。消費不況が加速している。さらに今議論されているような不良債権処理が進めば、リストラもどんどんふえていくだろうということも心配されているわけであります。この四月からの支給開始年齢の引き上げ、それから雇用保険の給付減、私はこれはまさに今の景気回復に逆行するものではないかというふうに思うんですね。四月からの改悪、私は中止、凍結すべきだ、景気対策から見てもこれは直ちにやめるべきだというふうに考えるんですが、いかがでしょうか。
#134
○国務大臣(坂口力君) 給付日数の問題につきましては、既に法案も通った問題でございますし、そしてこれはいわゆるリストラ等に遭われた皆さん方、いわゆる非自発的におやめになった皆さん方に対して手厚くすることを中心にしたものでございますから、私は雇用が厳しくなるということがありましたならば、それに非常に適合した問題であるというふうに思っております。
 ただ、今御指摘になりましたように、普通におやめになりました皆さん方の場合には日数が少なくなるわけでありますが、皆さん方も、定年退職をされる皆さん方は前もってわかっているわけでございますから、その皆さん方は恐らく前もって自分が定年退職をした後はどういうふうにしようということはいろいろとお考えになっておみえになるんだろうというふうに思いますから、私はそういう皆さん方がすべて駆け込みになられるというふうにはちょっと思っておりません。この皆さん方、できるだけ雇用保険のもらう日数が多ければいいなどというようなお考えはお持ちになっていないと私は思っております。
#135
○小池晃君 もう時間ですので質問しませんが、雇用保険、重点化したんだというふうに言うけれども、非自発的失業でふえた分というのはごく一部ですよ。全体としては五千億円給付を削減しているんですから、これは規模拡大なんてとても言えないと思うんです。これはもう大臣もよく御存じだと思うんです。
 私は、求人倍率がこんな低いわけですから、やはりこういう層にとって大変この四月からの仕打ちは冷たいものであるということを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
#136
○大脇雅子君 スライド制についてちょっと確認的にお尋ねをしたいんですが、次期の財政再計算までに給付額あるいは物価スライド規定のあり方について検討をするというふうに言われておりますが、スライド制についてはその算定根拠とか方法が非常に重要であろう。全国消費者物価の動向というのは必ずしも個々の生活実態を反映できないと今まで批判がされてまいりました。その見直しの視点というか論点について確認的にお尋ねしたいと思います。
#137
○政府参考人(辻哲夫君) まず、この物価スライドの今の仕組みにつきまして御説明申し上げたいと思います。
 基本的には、年金制度は長期的に負担と給付を均衡させる、また均衡することが成り立つ前提でございますので、原則五年ごとに行う財政再計算におきまして長期的な給付と負担の均衡を見通しまして、その段階で、五年に一回の段階で国民の生活水準あるいは賃金の変動、こういったものを総合的に勘案いたしまして、年金額の水準というものを確認し、見直すことにいたしております。そして、その水準を設定いたしまして、財政再計算の間の間、通常五年でございますけれども、これにつきましては、その間、実質的な価値を維持するという観点から、その指標として物価指数というものを用いると、こういう仕組みで現在動いております。
 したがいまして、この消費者物価指数にかわるよりも適切な指数というものがあるのかないのかどうかという点が一つ問題になるわけでございますけれども、基本的には、年金の実質的な価値を維持するための指標、生活水準あるいは賃金水準は五年に一回セットいたしますので、その間の実質的な価値を維持するための指標と申しますのはやはり国際的にも消費者物価指数が用いられておりまして、現在のところ、この消費者物価指数を年金額改定の指標としてスライドするように規定されているということでございます。
#138
○大脇雅子君 私は、一般的な所得水準もしくは生計費に基づく算定の方が、より実効性が高いというふうに考えます。検討する場合にそうした点も御考慮いただきたいと思います。
 例えば、厚生年金保険法に基づく障害手当金というのにはスライド制の適用がありませんが、平等処遇との観点から見直すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
#139
○政府参考人(辻哲夫君) スライド制につきましては、今御説明申しましたような仕組みであるわけでございます。
 この厚生年金保険の障害手当金の性格でございますけれども、これは、障害の度合いといたしましてはいわゆる厚生年金の障害年金三級、これよりも軽いということでございまして、年金形態で持続的に支給する必要がないということで一時金で給付するという性格のものでございます。これにつきましては、ある一時点に支給されるのみであって、受給者の生活の日々の保障をするという役割は要していないことから、年金給付と異なりまして物価スライドの対象とする必要がないということで考えて、実際問題といたしましても、厚生年金制度には例えば一時金としては脱退一時金がございます、あるいは国民年金制度にはそれ以外に死亡一時金がございますといったように各制度の一時金ございますけれども、やはり同様にスライドをさせていないということで、性格が異なるということからスライドしないということになっております。
#140
○大脇雅子君 脱退一時金等の一時金支給と比べて少し障害手当金は違うような気がしますが、そのような御見解として伺っておきます。
 一九六七年に採択された年金権の保障内容の国際基準とされておりますILO百二十八号条約、この障害、老齢及び遺族給付に関して早期批准ということをすべきだと思いますけれども、なぜ日本ではこれが課題になっていないのか、あるいはまたその方向として今後御検討なさるかどうかについてお尋ねします。
#141
○副大臣(桝屋敬悟君) 今、大脇委員からのILO百二十八号条約のお尋ねがございました。委員お話しのとおり、障害、老齢及び遺族給付に関しまして、保護の対象となるべきもの、給付の支給要件、さらには給付の水準等について規定をしたものでございます。
 この条約の内容は、委員も御案内のとおりだろうと思いますが、老齢給付の場合は三十年拠出で従前所得の四五%の給付、それから障害給付で十五年拠出で五〇%の給付、遺族給付については同じく十五年拠出で四五%の給付を確保するということになっているわけでありますが、この老齢、障害、遺族給付、これはいずれも我が国は、老齢給付は五六・八%、それから障害給付が六一・三%、遺族給付は五〇%となっておりまして、その給付内容の基準は満たしているわけでございます。御案内のとおりでございます。
 問題は、常用的ではない短時間労働者の扱いでございまして、ILO百二十八号条約は全被用者の九〇%を年金制度がカバーをするということになっているわけでありまして、我が国におきましては四分の三条項もあるわけでありまして、短時間労働者について被用者年金制度を適用していないという状況もあるわけでありまして、ここが最大の問題であります。九〇%に対して我が国は今八二・一%でございます。
 この短時間労働者に係る年金制度の適用については、委員も御承知のとおり、本年七月に各分野の専門家から成ります女性のライフスタイルの変化等に対応した年金の在り方に関する検討会、これを今鋭意やっていただいておりまして、この中でしっかりと議論をいただこうと、その上でというように考えております。
#142
○大脇雅子君 八二%まである現在、そして基準も国際条約をオーバーしているということであれば、もうそこだけですので、ぜひこれはパートタイム労働者、多くの女性たちの年金権の問題ですので検討の深まることを希望いたします。
 オーバーステイ外国人の国民健康保険の被保険資格についてお尋ねをいたします。
 オーバーステイ外国人の中には高額の医療負担に苦しむケースというのがあり、健康保険の適用はまさに人道問題であります。たとえ在留特別許可を申請しても、そのすべてが許可されるわけではないと承知してはおりますけれども、少なくとも在留特別許可を得たオーバーステイ外国人については国民健康保険被保険者資格にかかわる住所地の判断等、その許可がなされるべき時点以降に限定するのではなくて、申請時にさかのぼって被保険者資格を認めるべきであると考えます。それこそ人道的配慮ではないかと思うのですが、その取り扱いについて御見解を伺います。
#143
○政府参考人(大塚義治君) この問題につきましては、委員かねて御指摘の点でございますけれども、御案内のとおり国民健康保険は地域の住民の相互の助け合いという制度でございます。したがいまして、その被保険者はその地域に居住をする、つまり住所を有する、生活の本拠を置く、具体的には外国人の方の場合には在留資格を有しているということが必要だという取り扱いをいたしておるわけでございます。
 ただいまお尋ねの在留特別許可でございますが、在留資格が存在しない場合でも特別な事情がある場合には法務大臣の許可によりまして特別許可が行われる場合がございます。ございますけれども、これは原則的には適法な滞在ではございませんが、さまざまな事情、特に特別な事情があるということになりますと、退去強制手続の過程でそういう事情が見つかれば、あるいは判断できれば、法務大臣により特別に許可されるという仕組みでございます。したがいまして、その時点から適法な滞在となるわけでございます。
 御指摘ではございますけれども、そうした在留特別許可の仕組み、そして健康保険制度の基本的な考え方からいたしますと、在留特別許可がありますれば、その時点から国民健康保険の被保険者になることは可能でございますけれども、さかのぼってという取り扱いは困難であると申し上げざるを得ないわけでございます。
#144
○大脇雅子君 東京地方裁判所の平成十年七月十六日の裁判で、武蔵野市に対する訴えで、定住の意思を持って日本国内に生活実態を築く現実があった場合には健康保険の被保険資格を認めるべきだという判決があり、控訴審においては、それが給付されたことによって申請を却下されたという実態がございますが、在留資格の問題からすれば、在留特別許可を申請した場合にはそれに伴った実態があるはずであると。確かに、在留資格は認められたとしても、それの背景とする住所地における定住の意思を持って日本国内に生活実態を築く現実があったればこそ認定されるということですから、遡及するということについて何ら非合理な観点はないと思って、むしろその取り扱いの方が現実の実態を踏まえた措置ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
#145
○政府参考人(大塚義治君) 武蔵野市の例で裁判になりましたことは私どもももちろん承知をいたしておりますし、地裁でお示しのような判断がございましたのも承知をいたしております。
 私どもといたしましても、上告、上級審の判断を仰ぐべきだということで控訴したわけでございますが、これも御指摘のようにその後実際に被保険者資格を得られたものですから、その時点で裁判は決着をしたという経過がございます。
 お示しの在留特別許可でございますけれども、これも私から御説明するまでもございませんけれども、申請行為というよりも、一連の強制退去の手続の中で、法務大臣、具体的には法務省入国管理当局ということになりますが、諸般の事情を考慮して、言葉はきついようでございますけれども、自由裁量という立場で判断をするということになっておりまして、いわば最終的な許可がおりますまではその取り扱いは定かでないわけでございます。
 もちろん、その判断の場合に生活実態というのが考慮されるわけでございますけれども、そういう背景、バックグラウンドがあることはおっしゃるとおりだと思いますけれども、国民健康保険制度の制度的な運用、一方ではその実務ということを考えますと、重ねての御質問ではございますが、極めて困難と申し上げざるを得ないということも御理解を賜りたいわけでございます。
#146
○大脇雅子君 保険制度が相互扶助の、いわば助け合いの理念に基づいて保険に加入している者というものの限定があるという趣旨が制度の制約という趣旨でおっしゃっているんだと思うのですけれども、しかし保険制度の理念であります相互扶助というのはやはり相互の助け合いということでございますから、外国人で不法滞在者であっても、既に定住をしているという状況の場合には、日本の国籍を有する人と同じようにさかのぼって仲間に入れるということに私は人道的なあるいは制度の運用上問題があるとは思われないのであります。
 自由裁量だと言われても、現実にそうした生活実態があり、それを追認的に在留資格として認めたという実態からすれば、ケース・バイ・ケースで判定してもいいのではないかというふうに思います。「第二次出入国管理計画」では、技能実習を新たな在留資格として創設することを検討することになっていますので、ケース・バイ・ケースでその在留資格を認めていくということであれば、ケース・バイ・ケースでやはり申請のときにそういう実態があればさかのぼるということが共生社会における一つのルールであってほしいと思いますが、いかがでしょうか。御検討いただければと思います。
#147
○政府参考人(大塚義治君) 国民健康保険制度の制度的な理由と申し上げましたのは、一つには助け合いの制度であるということと、もう一つには強制適用と申しましょうか、一定の資格を有する方には当然に被保険者になっていただき、保険料をきちんと納めていただくという前提がございます。それも含めて制度の基本という趣旨のことを申し上げました。
 もう一つは、在留特別許可でございますけれども、繰り返しになりますが、在留特別許可を受ければもちろんその後の被保険者資格は認められるわけでございまして、これをさかのぼるというのは、他のケースも同様でございますけれども、医療保険制度のようなそのときそのときのリスクをお互いにカバーし合うという制度からいたしますと、さかのぼるということ自体が非常に難しゅうございます。
 したがいまして、在留特別許可がおりた以降につきましては当然被保険者として取り扱いますけれども、これをさかのぼるというのは二重の意味で困難だということを申し上げたつもりでございます。
#148
○大脇雅子君 時間ですから、また次回に質問の機会を得たいと思います。
#149
○西川きよし君 よろしくお願いいたします。
 年金改革についてまずお伺いを申し上げます。
 昨年の年金改正審議からもう一年が経過したわけですけれども、その審議を通じまして、私の質問に対して何点か今後検討していくという御答弁をいただきました。必ずその後、二度、三度としつこくお伺いをするようにいたしておりまして、その中でもぜひこれまでの検討状況をお聞かせいただきたいというのは、二十歳前の障害による障害基礎年金受給権者が被疑者であるあるいはまた被告人として拘置所等に勾留をされた場合に、有罪の判決が確定するまたしないにかかわらず年金の支給を差しとめている問題を質問いたしました。
 この問題でありますが、改めて申し上げるまでもなく、刑事手続におきましては有罪の判決が確定するまでは罪を犯した者として取り扱うことはしないということが原則でございます。前回質問をさせていただきましたときには、そうした状況にある年金受給者に家族もありますし、その家族の生計が障害年金によって賄われているとした場合に、拘置所等に勾留されたことだけで一律に支給停止することは問題があるし、また無罪の推定に照らし合わせても矛盾をするものであって、この問題解決の検討をお願いいたしました。当時の丹羽厚生大臣は、大変重要な指摘であるので今後十分に検討させていただきたいという御答弁をいただきました。
 一年がたちまして、その検討状況をぜひ年金局長より御答弁をいただきたいと思います。
#150
○政府参考人(辻哲夫君) 検討状況を御報告いたします。
 まず、この仕組みについて確認的に申しますと、二十歳前障害による障害基礎年金など無拠出制の年金につきましては、国民年金法三十六条などにおきまして、監獄などに拘禁された場合、その支給を停止するということとされております。
 これは、無拠出制の年金につきましては、受給者本人は保険料の負担を行っていないと、二十歳前に起こったということでございますので、そしてその費用は他の加入者の保険料あるいは国庫負担によって賄われているとの仕組みのもとで、監獄等の施設に拘禁されている間は収監者の生活に要する費用はすべて国費によって賄われていると、こういうことからとられている措置であると認識しております。
 これを改めることにつきまして、現在いわば日常生活費の一部を補うという性格を持った年金、御家族との関係ということもあるわけですけれども、これとの調整というものをどう考えるのか、あるいは現行規定を、先ほど申しました規定を懲罰的な性格と見ました場合に有罪確定されていないということをどうとらえるのかといったこの基本論、昨年の委員会での議論も踏まえて検討をさせていただき、今なお検討させていただいているところでございます。
#151
○西川きよし君 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 僕自身も、昨年、この問題の質問をさせていただくべきか、本当に随分悩みました。これはお便りをいただいて質問をさせていただいたんですけれども、その当時より年金局年金課の職員の皆さん方も本当に真摯に御協力をいただきました。一緒に考え、勉強させていただきました。やはり、その結果、罪を憎んで人を憎まず、そして家族の置かれた立場、状況ということを考えまして思い切って質問をさせていただきました。
 ぜひ本日は坂口厚生大臣にも御見解をお伺いしたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
#152
○国務大臣(坂口力君) 丹羽元大臣が大変貴重な、そして重要な御指摘だというふうにおっしゃったそうでございますが、私もそう思います。
 ただしかし、事務的には今いろいろと詰めを行っている段階で、まだこうだという結論のところまでまだ至っていないということでございますので、いましばらくひとつ御猶予をお願い申し上げたいと思います。人権にかかわります大変重要な問題でございますので、もう少しの検討を、時間をいただきたいと思います。
#153
○西川きよし君 ありがとうございました。
 本当に自分自身も悩みましたので、そちらの御答弁もよく御理解させていただきます。よろしくお願いを申し上げます。
 次に、複数の障害がある場合の障害認定についてお伺いをしたいと思います。
 この問題についても昨年の審議の際に御質問をさせていただきました。例えば、腎障害、肝障害など複数の障害がある方に対する障害の認定の基準が大変抽象的な基準で、非常にわかりにくいという声がございました。そういう意味では、複数内部障害の認定基準の内容と表現のあり方について御検討いただくということでございましたが、この点について政府参考人より御答弁いただきたいと思います。
#154
○政府参考人(冨岡悟君) 検討の状況を御報告申し上げます。
 ただいま御指摘の複数の障害がある場合の障害の認定についてでございますが、御案内のように、複数ある場合には併合認定、すなわちそれぞれの障害の程度を併合して障害の程度を併合認定表に当てはめて認定するというのが、例えば身体障害と目の障害があると、そういった場合にはこのような方式がとられているところでございます。
 御指摘の問題点は、内科的疾患が併存している場合にはどうかということでございまして、私ども、昨年の先生の御質問を踏まえまして検討させていただきました。これを担当しております医師といった専門家の先生の意見も踏まえまして検討してきております。検討してきておりますが、例えば内科的疾患の場合には、例えばAとBという疾患がある場合に出てくる症状はお互いに影響し合っているということで、どちらかの影響が何%でどちらかの影響が何%とかいった点がなかなかわかりにくい。それから、検査の数値といったものも、どちらの影響でこういった検査数値がどの程度出てくるのかといった点もなかなかわかりにくいといった点がやはりどうしても出てくると。
 それから、障害の組み合わせは非常に多種多様なものが考えられまして、これを機械的に割と当てはめ基準みたいなものをつくって一律に認定するということは、内部障害の場合にはかえって実態に即した認定ができるとは限らないんじゃないかといったふうな、やはりなかなか、そういったさまざまな問題点が我々としてもあるんじゃないかというふうに検討いたしております。
 そうはいいましても、先生御指摘のように、これをなるべくわかりやすく、その意味では公平にというのは要請だというふうには私ども十分認識しております。そういった面で、現在の基準、我々が使用しております基準の内容とか表現のあり方、そういったものを含めまして引き続き検討させていただきたいというのが現在の検討状況でございます。
#155
○西川きよし君 ありがとうございました。
 次に、昨年の改正で創設をされました学生の保険料の納付特例についてお伺いをしたいと思います。
 昨年は、改正案審議がこの年度末でございました。制度の周知徹底の作業が十分に行われるんだろうかと大変心配でございましたので御質問をさせていただきました。この一年間における周知度、あるいは特例の利用状況について、制度発足前の予想と比べていかがでしょうか。ぜひこれも政府参考人にお願いいたします。
#156
○政府参考人(冨岡悟君) 現在の状況をお答え申し上げます。
 学生納付特例の対象となる学生の人数は、当初二百三十万人程度と見込んでおりました。ことしの一月末現在でこのうち百三十万件の申請が行われております。二百三十万人中百三十万件の申請が行われております。今年度末までにはさらに十万人ほどふえまして、対象となる人数の約六割程度の方から申請があるものと見込んでおります。納付特例の申請をしていない学生さんの中には、特例制度を利用せずに親御さんやそういった方が保険料を納付している方も多数いるのではないかと、そのように思っております。
 ただ、中には制度の関心が低いとか知らなかったということでこの申請をしないという方があれば大変私どもとしては残念な点でございまして、周知に努めておりますが、例えば昨年実施しました具体的な例を御報告しますと、まずポスターを作成しまして、大学、市町村等に掲示しました。この枚数、二万枚掲示いたしております。それから、この制度の特例につきましてリーフレットを作成しまして、大学とか、やはり市町村の窓口に四百万枚配布いたしました。それから、全国の市町村の広報紙に掲載をしていただくようお願いいたしました。これもほとんど御協力いただいております。それから、十一月の年金週間におきまして、全国紙五紙、それから地方紙四十四紙に新聞広告を打っております。
 以上のようにいろんな手だてで広報に努めてまいりましたが、また今年度、年度がわりに当たりまして、こういったもの、さらに周知徹底して枚数をふやすといったこともいたしますが、これに加えまして、最近の学生さんはインターネットといったものを大変よく利用されますので、インターネットによる広報を行うといった中身の充実にも努めてまいりたいと、以上に思っております。
 以上です。
#157
○西川きよし君 大変御丁寧に御答弁いただきまして、ありがとうございます。多岐にわたりましてPRしていただきました御努力、御理解させていただきます。
 最後の質問にさせていただきます。
 この制度については、学生本人に所得がないのに保険料支払いを義務づけるのは不合理である、あるいは学費や仕送りで負担の多い時期で経済的に大変であると、こういった学生さんや親御さんの声にこたえたものでありまして、その意味ではこの制度の対象となる学生さんや親御さんからは、大変助かった、喜んでいますよという声も随分と聞きましたし、その一方で、せっかく喜んで申請に行ったけれども対象にならなかったということもお伺いいたします。
 それは、この法改正の審議の際に議論のあったところでございますけれども、一つには夜間の学校に通っている学生さんのこともお伺いしたいなと思っておりました。これは先ほど小池先生の方からも御質問がございましたのでこの部分は割愛させていただきまして、今度はまた、働きながら勉強して大学などに入学をした場合に、つまり前年に収入があるわけですから、前年度に収入があることなどで対象外となるケースがあります。この点についても制度の不備ではないかなというふうな声も聞きます。
 制度がスタートいたしまして一年が経過する中で、こうした国民に対しまして、最後に厚生労働大臣の御見解をお伺いいたしまして、質問の最後としたいと思います。よろしくお願いいたします。
#158
○国務大臣(坂口力君) 前半の方ですね、先ほど小池議員の方からも出ましたけれども、夜学に通っておみえになる学生さんの問題でございますが、これは早急にその実態を把握いたしまして、そして納付特例制度、この対象になる人はどんな人たちなのか、ならない人たちはどんな人たちなのかというところ、若干ふるい分けをしなきゃならないのではないかというふうに私は個人的見解として思っております。
 できる人は救えるように何とかしていきたいというふうに思っておりますが、そうした作業をこれから至急に進めさせていただきたいと思っているところでございます。
 後半の税との絡みの問題でございますが、前年度に一生懸命に働いて、そしてお金をためて、そして夜学なら夜学に通われるようになったと。前年の所得でいくものでございますから、前年に高い所得がございますと、その翌年、所得がなくてもその前年度の所得に合わせていろいろ考えられるものですからなかなかうまくいかないというお話につきまして、ここは正直申しまして我々厚生労働省の範囲だけのことではなかなかうまくここがいかないんですね。
 ここは、税の問題、これは国税、地方税も含めてでございますけれども、税の問題とあわせて考えなきゃならない問題なものでございますから、我々がここでこういうふうに検討しますということをなかなか言えない問題でございます。ここは税との問題でどうしていくかということも含めてもう少し考えさせていただきたいというふうに思いますが、ただ、ここは税との絡みがありますので、なかなか難しい問題であるというふうに申し上げた方が現在のところは正しいのかもしれないと、そういうふうに思っております。
#159
○西川きよし君 ありがとうございました。
#160
○委員長(中島眞人君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 平成十三年度における国民年金法による年金の額等の改定の特例に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#161
○委員長(中島眞人君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#162
○委員長(中島眞人君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#163
○委員長(中島眞人君) 次に、労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 政府から趣旨説明を聴取いたします。坂口厚生労働大臣。
#164
○国務大臣(坂口力君) ただいま議題となりました労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 労働時間の短縮は、豊かでゆとりある勤労者生活を実現するために不可欠な課題であるとともに、高齢者、女性を含めたすべての労働者に働きやすい労働環境の整備のためにも重要であります。
 これまでの労使による真摯な取り組みとこれに対する行政の指導援助により着実に労働時間の短縮が進んできたところでありますが、政府目標である年間総実労働時間千八百時間については、本年三月末とされている労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法の廃止期限までに達成することは困難と考えられることから、今後も引き続き労働時間短縮のための施策を講じていく必要があると考えております。
 政府といたしましては、このような課題に適切に対処するため、本法律案を作成し、ここに提出した次第であります。
 次に、この法律案の内容につきまして、概要を御説明申し上げます。
 本年三月末とされている労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法の廃止期限を五年間延長して、平成十八年三月三十一日までとすることとしております。
 なお、この法律は、一部の規定を除き、公布の日から施行することとしております。
 以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要でございます。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げる次第でございます。
#165
○委員長(中島眞人君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後四時四十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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