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2001/04/12 第151回国会 参議院 参議院会議録情報 第151回国会 厚生労働委員会 第9号
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2001/04/12 第151回国会 参議院

参議院会議録情報 第151回国会 厚生労働委員会 第9号

#1
第151回国会 厚生労働委員会 第9号
平成十三年四月十二日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月十一日
    辞任         補欠選任   
     武見 敬三君     大野つや子君
     南野知惠子君     沓掛 哲男君
     今井  澄君     朝日 俊弘君
 四月十二日
    辞任         補欠選任   
     阿部 正俊君     海老原義彦君
     大野つや子君     久野 恒一君
     沓掛 哲男君     木村  仁君
     朝日 俊弘君     小川 敏夫君
     松崎 俊久君     今井  澄君
     浜四津敏子君     木庭健太郎君
     山本  保君     山下 栄一君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         中島 眞人君
    理 事
                亀谷 博昭君
                斉藤 滋宣君
                柳田  稔君
                沢 たまき君
                井上 美代君
    委 員
                阿部 正俊君
                海老原義彦君
                大島 慶久君
                狩野  安君
                釜本 邦茂君
                木村  仁君
                久野 恒一君
                田浦  直君
                鶴保 庸介君
                今井  澄君
                小川 敏夫君
                川橋 幸子君
                木俣 佳丈君
                長谷川 清君
                木庭健太郎君
                山下 栄一君
                小池  晃君
                大脇 雅子君
                西川きよし君
                黒岩 秩子君
   国務大臣
       厚生労働大臣   坂口  力君
   副大臣
       厚生労働副大臣  増田 敏男君
   大臣政務官
       厚生労働大臣政
       務官       田浦  直君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        川邊  新君
   政府参考人
       法務省人権擁護
       局長       吉戒 修一君
       文部科学大臣官
       房審議官     田中壮一郎君
       厚生労働省労働
       基準局長     日比  徹君
       厚生労働省職業
       安定局長     澤田陽太郎君
       厚生労働省職業
       能力開発局長   酒井 英幸君
       厚生労働省雇用
       均等・児童家庭
       局長       岩田喜美枝君
       経済産業大臣官
       房審議官     北村 俊昭君
       中小企業庁長官  中村 利雄君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○経済社会の変化に対応する円滑な再就職を促進
 するための雇用対策法等の一部を改正する等の
 法律案(内閣提出、衆議院送付)

    ─────────────
#2
○委員長(中島眞人君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨十一日、武見敬三君及び南野知惠子君が委員を辞任され、その補欠として大野つや子君及び沓掛哲男君が選任されました。
 また、本日、大野つや子君及び朝日俊弘君が委員を辞任され、その補欠として久野恒一君及び小川敏夫君がそれぞれ選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(中島眞人君) 次に、政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 経済社会の変化に対応する円滑な再就職を促進するための雇用対策法等の一部を改正する等の法律案の審査のため、本日の委員会に法務省人権擁護局長吉戒修一君、文部科学大臣官房審議官田中壮一郎君、厚生労働省労働基準局長日比徹君、厚生労働省職業安定局長澤田陽太郎君、厚生労働省職業能力開発局長酒井英幸君、厚生労働省雇用均等・児童家庭局長岩田喜美枝君、経済産業大臣官房審議官北村俊昭君及び中小企業庁長官中村利雄君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(中島眞人君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(中島眞人君) 次に、経済社会の変化に対応する円滑な再就職を促進するための雇用対策法等の一部を改正する等の法律案を議題といたします。
 本案につきましては既に趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○長谷川清君 民主党の長谷川清です。おはようございます。
 私は、衆議院の質疑応答の経緯と参議院本会議における質疑応答の経緯等々を整理いたしまして、ここで大臣にそれぞれ整理の結果の質問を確認していただきたい、こういう立場からまず確認の答弁をお願いしたいと思いますので、これはすべて大臣にお願いをしたいと思います。そして、時間の状況いかんによりまして一般質疑の中で何問か質問をすることにもなりますが、これについてもほとんど大臣にお願いすることになろうと思いますが、よろしくお願いしたいと思います。
 それでは第一問でありますが、最近の雇用情勢は、失業率が四%台後半で高どまり、求人倍率も最近低下をしているということなど厳しい状況にあります。これが雇用不安や消費の冷え込みという悪循環を生み出しており、こうした中では雇用政策こそ経済政策としても重要であるということであります。
 今回の法律改正によりまして再就職援助の枠組みは徐々に整備されつつありますけれども、さらに再就職の促進を図るためには、いわば受け皿となる雇用機会の創出が重要になります。福祉や介護分野を初めとする雇用機会の創出を重点に据えて取り組むということが重要であると考えますが、いかがでしょうか。
 また、地域におきましても政労使による雇用創出プラン作成等の取り組みも進みつつありますので、地域における効果的な雇用創出を図る観点から、地方公共団体のみならず関係労使とも密接に連携をしていくべきであると考えておりますが、この点についても伺いたいのであります。
   〔委員長退席、理事亀谷博昭君着席〕
#7
○国務大臣(坂口力君) 長谷川先生にお答えを申し上げますが、厚生労働省といたしましては、御指摘のとおり、再就職の受け皿となります新たな雇用機会の創出支援が重要であると考えております。情報通信分野や福祉・介護分野など、今後成長が見込まれます分野におきまして良好な雇用機会を創出し、着実な就職促進を図ってまいる所存でございます。
 また、地域雇用対策が効率的かつ効果的に実施されることが大変重要であると考えております。地方公共団体はもとより、雇用開発の当事者である労使とも密接に連携しつつ地域における雇用創出の一層の推進に努めてまいりたいと思います。
#8
○長谷川清君 次に、政府は四月六日、銀行が保有する不良債権につきまして期限を切って直接償却などの措置を促す不良債権処理の特別対策を含む緊急経済対策を決定いたしました。しかし、この対策に沿って不良債権処理が期限を切って促進されると、企業倒産やリストラが加速をし、その影響は当該企業のみならず、関連取引先、下請企業も含め広範な労働者に及ぶことが明らかでございます。新しい発想に立って、雇用に関するセーフティーネットの整備拡充が不可欠であります。
 こうした観点に立って、今後とも、政府として雇用対策を機動的、弾力的に講じ、国民に安心を与えるべく雇用対策に万全を期すべきであると考えますが、この点はいかがでしょうか。
#9
○国務大臣(坂口力君) 今般の緊急経済対策に盛り込まれました雇用対策につきましては、不良債権のオフバランス化等構造改革に伴います雇用情勢の変化に対応し、雇用の安定を図るために必要な措置を当面の状況を勘案しつつ盛り込んだものでございます。
 今回措置されました施策を十分に活用しつつ、今後とも、雇用情勢の動向、変化に機動的、弾力的に対応し、国民の雇用不安の払拭に努めてまいります。
#10
○長谷川清君 次に、三点目であります。
 円滑な労働移動と解雇防止の観点から、再就職援助計画の作成に当たっては安易な解雇を促進することがないよう政府が十分な措置をとるべきと考えますが、この見解について伺います。
#11
○国務大臣(坂口力君) 再就職援助計画につきましては、計画作成に至った経緯等を記載させることを予定しておりますほか、その作成に際しましては労働組合等の意見を聞かなければならないこととしております。
 また、国が助成措置を講ずるに当たりましては、対象となる計画につきまして労働組合等の同意を得ていることを要件とすることを施行に向けて検討してまいります。
 こうしたことを通じて安易な解雇の促進とならないようにすることとし、これらの制度の趣旨を十分周知するように努めてまいりたいと思います。
#12
○長谷川清君 では、四点目であります。
 再就職援助計画の認定に当たっては、事業主による最大限の解雇回避の努力がなされたかどうかなど、判例で確立された解雇の法理を踏んまえたものであることを確認した上で認定を行うようにすべきであると考えておりますが、これはいかがでしょうか。
#13
○国務大臣(坂口力君) 再就職援助計画は、関係労使が、離職を余儀なくされるに至る諸事情を含め、離職を余儀なくされる労働者が発生することを了知した上で作成するものであり、公共職業安定所長は、労働組合等の意見聴取を確認の上、その計画に記されている再就職援助措置が適切なものであるかどうかについて判断し、認定を行うものであります。
#14
○長谷川清君 では、五点目です。
 業種法廃止との関連で、経済・産業構造の転換の進展に対し、企業が事業構造の転換等によって対処しようとする場合に、労働者に対する職種転換教育等に対する支援措置などの対策を講じるべきではないか。
 また、業種にとらわれず一般的な枠組みで施策を講じる場合にあっても、その施策の周知及び効果的な実施のため、業種団体等の役割は引き続き重要であると考えますが、この見解についていかがでしょうか。
#15
○国務大臣(坂口力君) 事業転換に伴い労働者の職種転換が見込まれる場合には、事業主が、新たな職務に必要な職業能力の明確化と、これに対応したキャリア形成支援や訓練機会の確保を図ることが必要であり、国としても、こうした支援を計画的に実施する事業主に対して必要な助成措置等を講じてまいりたいと考えております。
 また、業種にとらわれない施策を講じる場合であっても、業種団体等の役割は引き続き重要であると考えており、今後とも、業種団体等の協力を得ながら施策の周知、効果的な実施に努めてまいりたいと思います。
#16
○長谷川清君 それでは次に、職業能力開発促進法について伺います。
 今回、職業能力開発促進法の改正の中で技能検定制度の見直し等を行うこととしております。社会的職業能力評価システムの整備については、労働移動をしても労働条件が低下し生活が脅かされないようという視点が重要であり、技能検定制度の見直しにとどまることなく、政府は積極的に社会的な職業能力評価システムづくりを進めていく必要がございます。今回の改正の趣旨はこのような広がりを持ったものと理解をしておりますけれども、それでよろしいかどうか。
 また、今後、社会的な職業能力評価システムづくりを進めていくに当たりまして、業種等を軸に、当該業種の労使等との密接な協力、連携のもとに、当該職業能力評価システムづくりに政府が積極的に関与、支援していくものと理解をしておりますが、これでよろしいかどうか。
#17
○国務大臣(坂口力君) 御指摘のとおりと理解をいたしております。
#18
○長谷川清君 次に、七点目として、職業能力開発促進法の改正の考え方について、産業構造の変化や技術革新のもと、変化する職務に対応し、職業生活の安定を図っていくためには、労働者の自発的な能力開発やキャリア形成が重要であることは当然でございます。そのような能力形成や熟練形成は、継続した職業経験の蓄積とこれを可能とする安定した雇用がなければ達せられないと考えられます。
 政府もこれを十分に認識し、キャリア形成を促進、支援するための事業主の講ずべき措置に関する指針を定めるものと理解をしておりますが、これでよろしいでしょうか。
#19
○国務大臣(坂口力君) 御指摘の趣旨を十分に認識した上で、キャリア形成支援を含め、労働者の職業生活設計に即した自発的な職業能力開発を促進するために事業主が講ずる措置に関する指針を定め、これを事業主等に対して周知してまいりたいと考えております。
#20
○長谷川清君 それでは次に、八点目では、労働者が職業生活設計に即し自発的な職業能力の開発及び向上を行っていくためには三点ございます。
 一つは、業務能力の向上について、労働者が能力開発をするための目標を明確化すること。二つには、実務に即した実践的な職業能力を開発していくためには、その企業で継続、計画的な実務経験が不可欠と考えられ、そのような機会の確保を含めた配置等を含む配慮を行うこと。三点目は、これらの支援、配慮措置を講ずるに当たっての労働者間の機会の均等及び労働者の意思の尊重に配慮すること。
 これらが特に重要であり、今後、労働政策審議会で検討される指針においてこれらの点が十分に配慮されるべきであると考えますが、この点についていかがでしょうか。
#21
○国務大臣(坂口力君) この点に関しましても、御指摘のとおりと理解をいたしております。
#22
○長谷川清君 次に、九点目であります。
 パートタイマーや派遣労働者等、多様な雇用形態が進展をしておりますが、これらに関する公正な労働基準の整備はもとより、能力開発面についても、企業にとらわれない社会的な能力開発支援の仕組みを今後検討していくことも必要であると考えます。今後の取り組みの方向についてどのような施策を準備しておられるのか、この点について伺います。
#23
○国務大臣(坂口力君) パートタイム労働者や派遣労働者につきましても、個々の労働者の実情に応じた職業生活設計及びこれに即した自発的な職業能力開発の支援などを促進するとともに、訓練期間等を配慮した多様な教育訓練機会の確保を図ることにより、就業形態の多様化に的確に対応した職業能力開発の一層の推進を図ってまいりたいと思います。
#24
○長谷川清君 次に、十点目。
 政府の緊急経済対策には派遣労働の規制緩和や雇用形態の多様化について触れられておりますが、政府の役割は、通常の労働者との均衡を考慮して、パートタイム労働者の労働条件、処遇の改善に向けた法的整備も含めた対応を進めた上で、こうした新たな雇用形態が労働者の職業生活の全期間を通じた安定した職業生活につながるような良好な雇用機会として確立をしていくことこそ本義であると考えますが、この点に対する見解を伺います。
#25
○国務大臣(坂口力君) 労働者が多様でかつ柔軟な働き方を選択でき、それぞれの働き方に応じた適正な労働条件、処遇が確保されるようにすることは非常に重要な課題であると認識しております。
 パートタイム労働法第三条では、パートタイム労働者と通常の労働者との処遇の均衡を考慮することについて規定しており、均衡を考慮した雇用管理のあり方の技術的な事項について、研究会において昨年四月に報告書をまとめていただいたところであります。
 今後、こうした成果を踏まえまして、この問題についての労使の一層の理解を深めていくとともに、パートタイム労働者の処遇改善に向けた事業主への指導、支援の推進などによりまして、パートタイム労働法の趣旨の一層の徹底とさらなる課題の把握に努めてまいりたいと思います。
#26
○長谷川清君 以上で確認答弁は終わりますが、続きまして、一般の質問としまして、不良債権処理促進政策の実施に当たっては、可能な限り民事再生法、会社更生法などの法的処置によるものとともに、これが一つでありますが、さらに労働政策としても、これらの法的枠組みで定められている再建計画などへの労働組合等の参加や事前協議などが重要であると思いますが、この点についてはいかがですか。
#27
○副大臣(増田敏男君) お答えをいたします。
 御指摘の民事再生法や会社更生法につきましては、会社の再建におきましてその労働者や労働組合の協力が不可欠でありますことから、裁判所において、再生計画案等に関し労働組合等の意見を聞く旨の規定があります。さらに、民事再生法におきましては、債権者集会の際に労働組合が意見を述べることができるなどの規定があります。
 労働政策の観点からは、これらの労働組合等の関与の規定に沿った手続が進められ、当該企業の円滑な再建が図られることが重要と考えております。
#28
○長谷川清君 では次に、民事再生法の活用による企業再建に当たっては、営業譲渡等の手法が活用されることとなると判断をしておりますが、営業譲渡については、会社分割法制のような労働者の雇用・労働条件の継続等が法律上明確に定められておりません。労働者の保護に欠ける面がここに生じます。
 昨年の商法改正、会社分割法ですね、その折にもございましたが、政府は判例など徹底的な周知を行うとしておりますが、このことに万全を期するとともに、現下のような経済構造改革の進展による会社組織の多様な再編成に対応する労働契約の継承等について、必要な労働者の保護に関し、早急に立法措置を含めて講ずるべきであると考えますが、この点はいかがですか。
#29
○副大臣(増田敏男君) 会社分割以外の企業組織再編に伴います労働関係上の諸問題につきましては、国会における附帯決議を踏まえ、学識経験者で構成いたします企業組織再編に伴う労働関係上の諸問題に関する研究会におきまして検討を本年二月より開始いたしました。立法上の措置を含め、検討を行っているところであります。そこでの検討を踏まえまして対処してまいりたいと思います。
 また、企業組織再編に伴う解雇等に係る判例等の周知につきましては、現在、それらを取りまとめたリーフレットを作成中であります。その配付等により周知徹底を図ってまいりたいと思います。
#30
○長谷川清君 この点につきましては、商法改正の段階で附帯決議第四項で明らかになっておりますが、あの当時の状況と現在、また背景が変わっておりますので、早急にということをぜひ心していただきたいと思います。
 次に、不良債権最終処理が行われる過程で、倒産や人員整理が不可欠となることが予想されております。そのような場合でも、労働者の賃金や退職金についてはきちっと確保されて、労働者に一方的なしわ寄せが起こらないための配慮というものを尽くすことが重要になってまいります。その点についての見解を求めます。
#31
○副大臣(増田敏男君) 先生御指摘のように、不良債権最終処理が行われる過程で倒産や人員整理が不可避となるような場合におきましても、労働者とその家族の生活の糧であります賃金、退職金につきましては、就業規則や労働契約等に基づきまして確実に確保されるべきだと考えております。
 また、これら賃金、退職金といった労働債権の支払いをより確実なものとするためには、倒産等の場合における労働債権の支払いに当たっての他の債権との優先順位がより上位にあることが望ましいものであると考えます。倒産手続における各種債権の取り扱いにつきましては、現在、法務省の所管する法制審議会におきまして行われております倒産法制の見直しの中で検討されているところであります。
 厚生労働省といたしましては、この審議会の議論に参加すること等により、労働者保護の観点から適切に対応していくこととしているところであります。
#32
○長谷川清君 構造変化のもとで、離職を余儀なくされた者を中心に、学卒未就職者、自営業廃業者などに対する抜本的な支援策について、職業能力開発支援や職業指導に関する公共職業能力開発施設と公共職業安定機関の連携というものを軸にして今後やっていくことが重要になると、このように考えておりますが、この点についてはいかがでしょうか。
#33
○副大臣(増田敏男君) 現下の厳しい雇用失業情勢のもとでは、学卒未就職者や自営業廃業者等の求職者が円滑に就職することができますようにするため、公共職業能力開発施設において公共職業安定所長の指示に基づく必要な職業訓練を実施しますとともに、訓練受講者に対して公共職業安定所による具体的な就職活動の方法に関する職業指導を行っているところであります。
 さらに、今後におきましては、労働者の適性や職業経験等に応じて職業生活設計を行い、これに即した職業能力開発や職業選択を行う機会が確保されることが重要でありますことから、今回の改正法案におきまして、国は労働者がその職業生活設計に即した自発的な職業能力開発を行うこと、いわゆるキャリア形成を支援するよう努めることを規定し、これに基づきまして新たに設置するキャリア形成支援コーナーにおいて求職者等に対してキャリアコンサルティング等の援助を行うこととしたところであります。
 公共職業能力開発施設、また公共職業安定機関が相互に緊密な連携を図りつつ、これらの措置を一貫して実施することによりまして、求職者が円滑に就職することができますよう積極的に支援してまいりたいと考えているところであります。
#34
○長谷川清君 それでは、今回のこの改正は、衆議院が議論をする中にあっても、四月六日に緊急経済対策が出されましたのは衆議院の議論の後でございますね。私ども民主党の場合には、それらを予想いたしまして四月三日に抜本的な、この経済緊急対策というものが不良債権から始まり、そして産業構造の改革転換へとこれが進んでまいりますと、必ずやこれは倒産と。一部によりますと、百三十万人もの失業が出る、二十二・二兆ぐらいの規模の不良債権に取り組む場合という前提で、朝日新聞が四月七日にそういう報道をしていますね。そういう影響が果たしてどういうふうに出てくるのかはわかりませんが、朝日新聞が出しております。多くの人がそれを見て不安を持っています。失業率において一・九%増加する、失業者は百三十万人ふえると、こういう発表といいましょうか、記載をしたことについて、その数字をどのように現在見ておりますか。あれは間違っておると言うならその数字を示してください。
#35
○政府参考人(澤田陽太郎君) 不良債権のオフバランス化に伴ってどれぐらいの失業者が出るかという試算につきましては、いろいろな前提の置き方によって大変幅のある結果が出るのであります。長谷川委員御指摘の朝日新聞の記事はある民間シンクタンクがやったものでありますが、これは確かに百三十万人、一・九%という数字が出ておりますが、別のシンクタンクの推計を見ると、前提が当然違うわけでありますが、そのシンクタンクの推計はこれから五半期、ですから二年半にわたって不良債権処理をやると、その間に、半期ごとに追加的失業者が七万人から十四万人、ですから、五半期になりますと三十五万人から七十万人出るという推計もございます。
 このように大変幅のある結果になっておりますので、私どもも政府としていろいろどういうことになるのか重大な関心を持っておりますが、前提条件がもう少しはっきりしないといかんとも推計もできないという状況でございまして、御指摘の点にお答えするならば、朝日新聞の記事が正しいとか正しくないとかいうことではなくて、事ほどさように推計が非常に難しいという認識であります。
   〔理事亀谷博昭君退席、委員長着席〕
#36
○長谷川清君 これはいろんなとり方があるでしょうし、基準の置き方も違いますので、しかし、増大することだけは事実だということだと思います。少なくも、この改正法案を作業する段階にあって、こういう大がかりなハードランディングをするようなことを前提に、予期しておりましたか。
#37
○政府参考人(澤田陽太郎君) 今般、政府がつくりました緊急経済対策は四月六日でありますし、私どもが法案を国会に審議をお願いいたしましたのは二月十六日でございまして、その間ほぼ二月ほどの時間的なギャップがございます。私ども、法案を提出する段階では、経済構造改革が今後必ずや進展するという点を視野に置いて、構造転換に的確に対応すべく雇用対策を抜本的に見直して、所要の法案を総合的に直したということでございます。
 しかしながら、四月六日の不良債権処理等々の問題を含む緊急経済対策における抜本対策自身は二月間先でございまして、それ自身は残念ながら想定し得なかったということでございます。
#38
○長谷川清君 今回出されたような、ああいう緊急の経済対策というものと雇用対策というものは、私は、やはり同時セットになっている相不可分の関係、片方がひとり歩きをしまして、この緊急対策だけが進行しますと大変なことになるということであろうと思います。そういう相関連していると、合わせ技をもって初めて事がなし得るという、こういう関係にあることはお認めになりますね。
#39
○政府参考人(澤田陽太郎君) 長谷川委員御指摘のとおりだと思います。
#40
○長谷川清君 もしそうだとすれば、我々は、まず理念といいましょうか、思想といいましょうか、そういう基本的なものを持っておかないと、抜本的な、基本的な対策ができないと思うんです。
 そういう意味において、我々は少なくも二兆円必要だ。今現在のいわゆる失業保険というものが耐え得るのは、一体どの数字をもって想定していたか。右肩上がりのあの時代の、大体三%前後なら耐え得るという、今現在からいきますというとそういう基準は随分変わっておりますし、その基本的なものがまず二兆円。もう一つは、長期、大量に失業者がならないように、そのための職業能力訓練、この二つが大きな柱であり、セーフティーネットだと思います、枝葉がございますけれども。
 我々はそれを、二兆円の特別の基金を創設してという備えが必要であるという基本の態度でございますが、今回のこの改正に当たりましては、どちらかというと、今お答えがあったように、改正案をつくっていくあの段階では想起できなかった問題です。しかし、それが大きな問題として今日現実に動き始めるんですから、その場合にあって、政府が今とっております七項目程度のおっ取り刀で今の一般会計の予算の範囲の中でやろうという、このありようという問題に基本的には一つの不安があるということだけはぬぐえないんです。
 私はそれを責めようというのではなくして、確かにそういう時代時代においていろんな変遷がございますから、常日ごろからやはりちゃんとそういうものの思想や理念というものを基本的に持って、そして安全、安心というものを確保していくという、こういうことがいかに大事であるかということ。
 と同時に、これらの運用に当たり、大臣、そのまま継続されたら一番いいと思いますけれども、今こういう状況ですから、そうでない場合にありましても、大臣の今現在のこの決意というものはただならないものがそこにはある。いろんな意味において一厚生労働省の範疇ではない、大きな日本というもの全体をマネージメントしていく大黒柱の一つ一つのその一つにある。対極には、いわゆる昔の通産省、そしていま一つには昔の大蔵省、今の財政金融等々いろいろあるでしょうけれども、大きな立場に立ってこの問題の、先ほど私の確認答弁の中にも出ておりましたが、唯一救いとなりましょうか、誠意として認められるものは、今後とも雇用情勢の動向、変化に対して機動的、弾力的にこれをやっていこうと。ここは本当に今回の法改正によってよりどころといいましょうか、私は、これはひとえに大臣の見識、認識、省庁挙げての決意というものが現実にこれは息づいていきませんと本当に大変なことになると思いますが、最後に、大臣のそういう視点に立っての決意をひとつ約束していただけないかと、こう思うんです。
#41
○国務大臣(坂口力君) ただいま長谷川委員から御指摘をいただきましたとおり、現在のこの状況を考えますと、この緊急経済対策とそして雇用の問題、これはもう両立をして、両立と申しますか、両方を一体として考えていかなければならない問題だというふうに私も思います。
 現在御審議をいただいております法案は、提出が二月でございますが、これをつくり上げましたのはもう一つ前になるわけでございますから、この法案そのものはもう少し中長期的展望に立ってこれからの雇用をどうしていくかということを中心にしてできたものでございます。
 そして、その時々の経済の動向というのは、これはかなり急激に変化をするものでございますから、本年に入りましてからの経済の大きな動き、そうしたものをにらみまして緊急経済対策が発表されました。そして、その中に雇用対策も含めておりますが、これはいずれにいたしましても当面のものでございますし、そして現在の、言ってみれば予算の範囲内ででき得るものを中心にしているわけでございます。
 しかし、これからの経済の動向がどのように進むものなのか、そしてそれはオフバランス化ということを言っておりますが、どの程度急激にこれを行うのかというようなことにも影響されるであろうというふうに思いますが、これからの動向を見ながら決めなければならない問題であるというふうに思います。
 民主党さんの方から二兆円規模の対策をお出しになっておることも承知をいたしております。これから経済の動向を十分に見ながら、そして予測を十分に立てながら、おくれをとらないように対策をとっていかなければならないだろうというふうに思います。それは民主党さんがおっしゃっているような規模になるのか、それとももう少し小さなもので済むのかそれはわかりませんけれども、今後の動向を十分に把握しながら、誤りなきを期さなければならないと決意をしているところでございます。
#42
○長谷川清君 大臣が御出身の公明党さんも二兆、期せずして二兆という同じ規模で提起されております。中身もほぼ同質、私ども民主党と同質でございます。ただいまのお話を聞いていささか安心しましたけれども、本当に、本会議でも言いましたが、私は坂口さんを信頼しておりますから、ぜひひとつその視点で頑張っていただきたい、予算を含めて頑張っていただきたいと思います。
 それでは、以上をもちまして前座でありました私の話を終わって、これから主役が出てまいりますから、ぜひひとつよろしくお願いしたいと思います。
 ありがとうございました。
#43
○川橋幸子君 主役が務まりますかどうですか、とにかく本日は貴重な時間をちょうだいいたしましたので、かみ合う議論を大臣ほか答弁席の皆様方にお願いしたいと思います。
 今、長谷川委員の方から大変根本的なこと、基本的なことをお伺いさせていただきましたので、以下、私がお話しさせていただく、あるいは尋ねさせていただくことも今のラインに沿った質問が多くなろうかと思いますが、幹のところを長谷川委員、枝葉のところまで、枝葉まで行きますかどうですか、ブレークダウンしたことをお尋ねさせていただきたいと思います。
 さて、現下の失業情勢をどう把握するんだろうか、それから緊急経済対策は二カ月先、新内閣でとはおっしゃいますけれども、現内閣で四月六日に発表なさった対策でございます。となると、今後この失業率というのはどうなるんだろうかというのが大変危惧されるわけでございますが、現在の四%台後半の失業率、今後はさておきましても、現在の失業の水準の高さ、こういうものが国民生活へどのように影響しているか、その影響の問題といいましょうか深刻さといいましょうか、そういうものについての大臣の御認識を伺いたいと思います。
#44
○国務大臣(坂口力君) この四%台後半の失業率というのは、日本にとりましては初めてのことでございますし、国民の皆さん方もこの失業率というものを大変心配をしながらごらんをいただいているのではないかというふうに思います。
 四%後半の数字も、回復過程に向かっておりますところの四%後半ならば少し安心をして見ていられるわけでございますが、停滞ぎみの経済、あるいはひょっとしたらこれは荒療治もしないことには経済の立て直しが難しいから荒療治をこれからやろうという矢先のことでございますから、そういたしますと、この失業率が若干ふえるかもしれないというそういう可能性と申しますか、そういう危険性をはらんだ四%後半でございますので、国民の皆さん方はもちろんのこと、現在失業をしておみえになります皆さん方は大変な毎日でございましょうし、何とか新しい職を探したいというふうに必死の毎日を送っておみえになりますことはもう想像にかたくないわけでございます。
 現在のところはきちんと働いておみえになります皆さん方にいたしましても、やはり何となく不安だという思いというのはお持ちになっているのではないか。そうしたことが消費動向にも影響をするといったようなことも考えられるわけでございますので、これからの経済に対する治療方法にもよるわけでございますが、てきぱきと大々的な措置をしようというふうになりますと、やはりそれ相応の雇用対策というものをしておかないと不安が先行するというふうに私は心配をするところでございます。
#45
○川橋幸子君 さてそれで、先ほども長谷川委員から質問がございましたけれども、一体今後の失業増はどの程度なんだろうかということが国民の、今、大臣のおっしゃった不安のもとなんだろうと思います。
 先ほど挙げられた数字はニッセイ基礎研究所という民間の予測のようでございますが、二十二兆円の処理をすると百三十万人完全失業者がさらにふえて、完全失業率が一・九ポイント、二ポイント上昇すると。現在五%近くなわけでございますが、それが七%近くという、最大の数字にしろそういう民間の予測があるわけでございます。
 さてそこで、今後のこととは申せ、民間のこうしたシンクタンクの数字が出るということに対して政府はどのように考えておられますでしょうか。政府自身が予測の必要性があるというふうに私は思うのですけれども、お答えをお願いします。
#46
○政府参考人(澤田陽太郎君) 今後の雇用情勢、失業情勢がどうなるかにつきましては、私どもも大変重大な政策的関心を持っております。その場合、世上言われております不良債権のオフバランス化がかなりのポイントになるだろうと思いますが、先ほども長谷川委員にお答えいたしましたように、オフバランス化の程度、期間、これによって相当経済、雇用への影響のあらわれ方が変わってまいりますので、その点をもうしばらくしっかり見ていきたいなと、こう思っております。
 いずれにいたしましても、今後、大臣からお話がございましたように、失業情勢が四%後半という中で悪くなる危険性も十分考えなければならないと思っておりまして、予測をするということ以上に、雇用対策としてどうした万全な措置を講ずるかという点に重点を置いて考えておりますし、引き続き状況をよく見て考えていきたいと、こう思っております。
#47
○川橋幸子君 予測をすることそれ自体が目的というよりも、適切な雇用対策でもって対応する、セーフティーネットを整備していくというそうした政府の姿勢を示すのに、私は、その見込みをどの程度かと、政府がどの程度を考えてどの程度の手当てをするということを国民は見守っていると思うのでございます。お天気予報でも、雨が降るのか、あらしになるのか、雪が降るのか。雨の量がこの程度、何十ミリなんということまでは求めませんけれども、国民の自助努力を求めるなら、そうした見通しをしっかりと立てていただきたいと思います。
 さて、日本の失業率は、二月、最近直近で四・七%、去年、去年といいましょうか、年度間の最高が四・九%まで上がって、辛うじて五%を免れたということでございますけれども、これは日経の「経済教室」というところで京都大学の橘木俊詔先生という方が書かれている論文でございます。実は日本の失業率というのは、日本というのは潜在的な失業者数が非常に諸外国に比べると大きい、これは証明されて証拠があるということから考えると、現在でも実質一〇%に迫るようなそういう深刻さなんではないか、こういう指摘がございますけれども、これについてはいかがお考えでしょうか。
#48
○政府参考人(澤田陽太郎君) 日本の失業率につきましては、過去も実質はもっと高いのではないかという論争がございました。ただ、それを経過して、現在はっきりしておりますことは、日本の失業率はILOが定めた国際基準に準拠したものでございまして、例えばアメリカ流の失業率の定義に合わせて日本を再計算する、逆に日本の定義に合わせてアメリカの失業率を再計算するといたしましても、公表している数字とそれほど違わないという結果になっております。
 今回、日経新聞の「経済教室」で発表されました点につきましては、いわゆるディスカレッジドワーカーを加えた潜在失業率を計算すれば一〇%強になるということは計算上間違いございません。ただし、問題は、日本の場合に潜在失業者を加えて計算するのであれば、諸外国も潜在失業者を加えて計算しないことには比較する上ではフェアではない、こういうふうに私は思っております。
#49
○川橋幸子君 統計上の問題は局長今お答えのとおりだと思うんですね。かつても統計のとり方のベースが違うんじゃないかという話がさんざんありましたけれども、そのベースはほぼ共通の物差しではかられているという、そういう問題意識で日本の失業率が低目に出るのではないかというような話があったわけですけれども、今回のこの橘木さんのおっしゃっていることは、その数字そのものよりも深刻さの程度というのはどういうものなんだろうかと、こういう訴えかけかと思います。私個人としましては、私は橘木さんの説に賛成するものでございますけれども、統計の数字だけでなかなか失業の深刻さというのは単純に機械的にはかれないということを申し上げたいと思います。
 一点だけ、今、局長の御答弁の中に、今後とも失業率の問題、失業統計の問題については国民生活への影響という観点から研究してまいりたい、検討してまいりたいやの言葉があったように思いますので、大臣から一言、この点についても検討を進め、研究を深めてほしいということをいかがお考えか、一言お答えいただければと思います。
#50
○国務大臣(坂口力君) 日本の失業率を出しますときのその基礎データが一体どうなるかという問題は古くて新しい問題でございます。一つは、日本の雇用形態の問題がいつも取りざたをされましたり、あるいはまた女性がお仕事をおやめになりましたときに、すぐ家庭に戻られて、そしていわゆる失業者としてカウントされないというようなことが主張されましたり、さまざまなことが今までから主張されてまいりました。
 こうしたことを考えますと、やはり各国で比較をするのでありましたら、そうしたことを一律に見て比較をしなければならないというふうに思いますから、国際統計などにこれからいろいろの数字を出さなければなりませんが、そのときにはできる限り国際的な基準に従って出すというのがいいのではないかというふうに思いますし、もし日本の現在の出し方が国際基準から若干外れているというようなところがあったとすれば、それは直すような努力をしていかなければならないというふうに思っている次第でございます。
#51
○川橋幸子君 これも朝日新聞なんですけれども、多分質問のときに予告しましたので大臣も聞いていらっしゃるのではないかと思いますが、「四十九歳なぜキレる」という統計が出ております、該当の方が結構いらっしゃるかと思いますが。
 昨年の九月でしたでしょうか、決算委員会で、旧厚生大臣でございますが、津島大臣に対して、自殺、日本の特に中高年男性の自殺が著しい増加をしていて、史上最高といいましょうか、余りうれしい話ではないんですけれども、非常にそうした数字が顕著に出ているということをお伝えいたしましたら、津島大臣の方からも、社会的に厳しくなったからふえたということは否めないでしょうねということと、それから心のケアの問題についても旧厚生省としては進めていきたい、あるいは生活保護の問題についてもその本旨に沿って進めていきたいと、そのようなお答えがあったわけでございます。
 私は、この「四十九歳なぜキレる」というのはぴったり自殺の数字と合っているといいますか、自殺の数字と合う以前に失業の数字とよく合った数字だということで、これを書いた記者のアンテナというのはそういう鋭いものだったんだなと思うわけでございますけれども、これは横軸が年齢でございまして、縦軸が殺人(未遂、予備も含む)の年齢別検挙人数というものです。このピークのところが四十九歳であるわけですね。本当に見事にピークでございます。この年齢層は団塊の世代でございますので、そもそも人口が多いからふえて当然というお話もあるようでございますが、やっぱりそれ以上に切れる四十九歳というこの傾向がはっきり出てくるわけでございます。
 ちなみに、これも同じ朝日新聞の社会面の記事でございますけれども、殺人事件検挙者数の上位五位、ナンバーファイブまでの年齢を九五年から九九年まで書き出しているのでございますが、この記事によりますと、九六年以前はそう四十九歳という数字は出てこなかったわけですが、九七年に四十九歳というところがナンバーツーになりまして、九八年、九九年で四十九歳がナンバーワン、九九年は切れる十七歳と言われている十七歳をオーバーいたしましてナンバーワンに躍り出たという、こういう数字があるわけでございます。失業の深刻度をどの程度に見るかというものがこういう社会面の記事である種の鋭さを持ってつかれている、そういう数字だと私は考えておりますが。
 さて、一言、じゃこの現象をどう見るかということだけお答えいただきましょうか。切れる四十九歳の現象について感想を伺いたいと思います。
#52
○国務大臣(坂口力君) 私もこれはどうなのかということは十分にお答えすることができませんけれども、今御指摘になりましたように、平成十年から自殺者がふえていることだけは間違いがございません。そして、平成の一けた代のときに比べて、十年、十一年を見てみますと、約一万人近い自殺者がふえている、これは異常な事態であるということだけはわかるわけでございます。
 その中で四十九歳がなぜ多いかということは私にもわかりませんが、今、委員が御指摘になりましたように、団塊の世代でありますし、競争も激しいわけでございますから、ストレスもかなり激しいのかなというふうに思います。ただ、この十年、十一年、経済状況が非常に芳しくないわけでございますから、そうしたことが無関係であるというわけにはいかないんだろうというふうに、私も、これは想像の域を出ないわけでございますが、そう思っております一人でございます。
#53
○川橋幸子君 済みません。予告していなくて恐縮なんですが、大臣の御指摘、大変的確だと私も受けとめさせていただきますが、前回そうした問題についてもこれから検討していきますというような津島大臣のお答えがあったような感じがいたしますが、感じじゃいけませんね、お答えいただいたと思いますが、そうした問題については引き続きまたこれも調査研究していただきたいということを要望させていただきたいと思います。
 さてそれで、現在、失業者の生活実態をどのようにとらえているかということでございます。
 九九年の労働白書によりますと、四十代から五十九歳までとっていますね。大変働き盛りで家計の担い手の中心という世帯主の男性をとると、失業すると収入は六割減ると。だけれども、支出はそう減らすわけにいかない。消費性向を見ると失業前の一・五倍になる。それで、どうやって生活を賄うかといいますと、これは預貯金の取り崩しと失業保険給付という、こういう数字が多くなってくるわけでございます。橘木さんの御指摘ですと、預貯金の引き落としが六二・七%、失業保険給付で生活費を調達するというのが五〇・七%と、これは回答者割合ですが、そういうことになってくるわけでございます。
 結局、失業者の生活実態をどのようにとらえるかによって、リスクをかぶった人が失業の痛みにどれだけ耐えていけるかということが問題なんだと思いますが、労働省ではこのあたり、生活実態をどのようにとらえて、どの程度の痛みに耐えられるかということをどう認識しておられますでしょうか。
#54
○国務大臣(坂口力君) 今、委員いろいろ数字をお挙げになりましたが、私も今この表を拝見しまして、やはりいわゆる失業生活というのは一年が一つの限界かなという気持ちでこの表を拝見いたしました。失業なさる方は、御本人及び家族が大変な痛みであることはもちろんでございますが、社会全体がどのような痛みを分かち合うか、それを感じるかということなんだろうというふうに思います。そうした意味で、雇用保険等が非自発的の方にかなり長くしたというようなことは一つ賢明であったかなという気もいたします。
 これから先も、やはり失業の皆さん方に対する早い手当て、対策、そして起こる前の予防措置というものが大変大事になってまいります。余り早くから準備をするというわけにもいかないというふうに思いますが、日ごろからこれはいろいろの能力を、この法律にもございますが能力を身につけていただくということ。そして、企業が厳しい状況になってまいりましたときには、とにかく失業という状況になりますまでに早く手を打たなければならない。もうどうにもこうにもならなくなってから失業を言い渡すということではなくて、少し早くにそのことを告白すべきではないか、そしてその対策を立てるべきではないか。それは企業だけではなくて、国やあるいは地方自治体もそれに対して手を差し伸べるべきではないかというのが私の実感でございます。
#55
○川橋幸子君 一年が限度かなとおっしゃっていただいたわけで、その一年の限度を念頭に置かれてその後の対策に対する見解を述べられたわけでございますが、昨年、ちょうど一年前の雇用保険法の改正の審議のとき、倒産解雇がふえると非自発的失業者がふえるであろうということで、給付を弾力的に改正、改められたわけですね。でも、四十五歳から六十歳未満の働き盛りの年齢の場合は、延びたところで三百三十日が限度でございます。そういう日本の法律であるということ、もう申し上げるまでもなく大臣よく御存じの話でございますが、この対策についてはまた後ほど触れさせていただきたいと思います。
 以上の実態を踏まえまして、今度の緊急経済対策に書かれております雇用面の対策、緊急経済対策の車の両輪となるべきものでございますけれども、緊急経済対策における雇用面の対策が十分なんだろうかということをお尋ねさせていただきたいと思います。
 タイプは二つあるという説明でございます。雇用機会を創出する対策と、それからもう一つはセーフティーネットを整備していくと。やむを得ず離職あるいは失業者がふえる場合には最後のよりどころとなるセーフティーネット。前回この委員会でもセーフティーネットという言葉をめぐりまして大変含蓄のある御議論が交わされましたけれども、内閣が発表いたしました対策の中のセーフティーネットという一つの固有名詞になっておりますのでセーフティーネットで通させていただこうと思いますが、そうしたセーフティーネット。新しい雇用機会をつくる方と、それから余儀なく失業した方には安全網、命綱を整備しますと。
 こういう二つのタイプがあるといたしまして、やっぱり幾らデフレといいましても、デフレだからこそ新しい雇用機会をつくり出すということは大変重要でございます。しかも、緊急経済対策と銘打っておりますので、雇用創出、それも緊急になされなければいけないと思います。政府がデフレ宣言をされまして、不良債権処理も荒わざでやられると。そうした構造改革によって、日本経済を外科手術することによって立て直さないことにはどうしようもない。痛みを伴うかもしれないし、血が流れるかもしれないけれども、この中で新しい雇用機会をつくるというふうに言っていらっしゃるわけでございますが、いつまでにどのくらいの人数の雇用機会の創出をどのようにして図られるのか、具体的な方策をお尋ねさせていただきます。
#56
○国務大臣(坂口力君) いつまでにどれぐらいのというのは、なかなか申し上げるのは難しいと思いますが、これは経済がどのようにこれから進んでいくのか、そしてそれに対して、外科的な手術というお話が出ましたけれども、その手術の仕方がどうなのかということによってかなり違ってくるんだろうというふうに思います。
 経済の進み方も非常に急テンポでございます。非常にミスマッチがあるというふうに言われておりますが、例えばITならIT関係のところのミスマッチが非常に多いというふうに言われておりますけれども、それではどの程度の技術あるいはどの程度の知識を持った人ならばそこで通用するのであろうか。それは一年前と現在とではかなり違うようでございます。
 先日も専門家の皆さん方にお集まりをいただきましてお聞きをいたしましたが、一年ぐらい前にはかなり専門的な人を要求した、しかし最近はかなりすそ野が広くなってまいりまして、坂口さん、何も知らないあなたが半年ならば半年一生懸命勉強したぐらいでも通じるようになってきたというお話でございますから、大分通じるようになってきたのかなというふうに思っている次第でございます。
 そうした動きにもよりますので、私はなかなかどこまでと言うことはできないと思いますけれども、しかし総論としては、どういう事態になっても対応できる体制というのをやはり今組んでおかなければならないというふうに思っています。
 そして、先日の緊急経済対策のときに出しましたものは当面のものとして出したわけでございますが、その基本とするところにおきましては、IT分野の問題でありますとか、医療システム分野でありますとか、保育、介護の分野でありますとか、循環型社会の分野でございますとか、そうした問題も取り上げながら幅広い中でどうするかということも考えていく。その中で、そのときそのときに対応をしていこうということになっております。また、現在の雇用面のセーフティーネットの整備というところに限定をいたしましても、今までからもいろいろのことを御承知のとおりやってきておりますが、それらを整備し、それらをさらに延長したような形でさまざまな問題をそこに提起させていただいているということでございます。
 例えば、中高年の非自発的な失業者の雇い入れ助成を行います緊急雇用創出特別奨励金の要件の緩和でございますとか、あるいは対象労働者の拡充措置でございますとか、こうしたこともずらっと並べながら、いろいろのことに対応していく、そしてこれからの動きによってその方向、最も必要な方向により重点的にこれから手を打っていくということになるんだろうというふうに思っておる次第でございます。
#57
○川橋幸子君 大臣の御答弁の中で、これは当面の施策です、これから動向を的確に見守って必要なことは適切にやるという、そのように承りましたが、ぜひそうしていただきたいと思います。
 ちなみに、今お挙げになりました中高年の方々の緊急雇用創出特別奨励金、緊急に雇用をつくりますというこのメニューは既に予算の中で措置されているわけでございますけれども、今までの予算の累計額は六百億円、うち消化されているのは十七億円という、こういう数字になっております。それから、新規・成長分野の雇用創出特別奨励金の方も累計で九百億用意されまして、使われたのは百四十二億、一割強というレベルなんですね。
 今回の法改正の後も、雇用関係の奨励金、六十種類あるものを当面四十種類ぐらいに整理できるという見込みでやっていらっしゃるようでございますけれども、やっぱり緊急の雇用創出のために刺激剤としてのこうした奨励金というのは思い切って要件緩和をする必要があるんじゃないかと思いますが、この点、いかがでしょうか。
#58
○政府参考人(澤田陽太郎君) 今回の緊急経済対策の中でも、昨年の五月から一年間に限っていわば要件緩和をした奨励金二種類について、その要件緩和を引き続き延長するということを明確にしております。
 また、今後の事態がどうなるかによって、大臣からも御答弁がございましたが、機動的、弾力的に対策を打つ用意をしておるということでございますが、そうした中で、各種助成金、特に雇用保険三事業に基づく助成金につきましては、今、川橋委員御指摘のように、四十種類弱に整理統合するという方針ははっきりしておりまして、そうした中でどれだけ助成金制度として今の要件を緩和すべきものがあるかというのは、これから審議会等で十分御議論いただくことになります。
 ということで、御指摘の御意見を十分踏まえて、関係労使交えて議論することとなると思いますが、大前提として、雇用保険制度につきまして大変財政状況が厳しいということもございまして、三事業についても整理統合をしたと、メニューの統合化を図り効率化を目指すということでやっておりますので、要件緩和の問題も、全体としての効率性を高めるという観点で、どの程度できるかは今後の議論と雇用情勢によるというふうに考えております。
#59
○川橋幸子君 それでは、これから検討をいただけるということでございますので、そのように御期待させていただきたいと思います。
 これまた一年前の雇用保険法の改正のときに、参考人の方に来ていただきまして意見を聴取したことがございます。東大の大沢真理教授にお見えいただきましたわけでございますけれども、そのとき既にこの雇用保険法の改正の中でも、さまざまな給付メニューをもっと統合して効果的に使えないかということが話題になっておりまして、そのあたりの意見を聞きましたところ、あの大学の先生でも、もうこれは相当の専門家でないと何がどうなっているのかわからないのが現状です、思い切ってやってくださいというような、こんな御意見も出ておりました。ぜひ単純にして使いよくして、それから給付メニューを重点的にしていただくということを御要望させていただきたいと思います。
 さて、地域におきます雇用創出というのは大変重要だと私ども思っております。先ほど長谷川委員から紹介のありました私どもの民主党の緊急雇用対策といいましょうか、緊急経済対策に対する雇用対策の対案、あるいは公明党でお出しになられました緊急対策の中身を拝見いたしましても、地域における雇用創出を大変重視されているところでございます。それから、昨日は連合が労働大臣あてに要望書を提出させていただきました。いずれも地域における雇用創出が重要、しかもその中では介護とか福祉ですとか教育ですとか、つまりニーズが地域の中にあって、その中で雇用創出される。製造業と違って場所を変えて加工するという、そういうニーズではないものがあるわけでございます。
 今回、法案でも地域雇用開発の関係についてはさまざま御工夫なさっていらっしゃるようでございますが、一点よくわからないのは、地方分権の流れの中ですと、これからは地方の仕事は地方で考えてもらいますよというようなことで、国のイニシアチブというのがどうも軽くなってくるような、そういう行政側といいますか、国の政府の対応に危惧を覚えますことと、それともう一点は、地方の方では地方分権地方分権と言いながらも財源の手当てがないということがあるのでございましょうか、自治体の中で労働関係の組織あるいは労働の施策を自主的、自発的に整備していく、こういう動きがそれほど感じられないのでございます。
 そこでお伺いいたします。
 地域の雇用機会の創出は大変重要でございますけれども、国の役割、自治体の役割のそれぞれをどのように認識されまして、地方分権の流れの中でそれぞれの主導性、主体性の発揮というものをどうしていかれるか。それから、何よりも国、自治体が連携をしなければこの問題はうまく効果的に実施できないと思いますが、こうした両者の連携のあり方などをどう工夫し、調和させていかれるお考えなのでしょうか、お伺いします。
#60
○政府参考人(澤田陽太郎君) この間の地方分権の議論の中ではっきりしてきましたことは、雇用と申しますか職業の分野について申しますと、職業紹介や雇用保険に係る事務については国の事務として整理される、地方公共団体は国の施策と相まって当該地域の実情に応じて雇用に関する必要な施策を講ずるという整理になってまいりました。
 この考え方は、地方自治法の第一条の二に書いてありますように、国は全国的な視点に立って行わなければならない施策あるいは全国的統一でやらなければならないものに重点化してやるということと、住民に身近な行政はできるだけ地方公共団体にゆだねることを基本とすると、こう書いてあります。そしてさらに、国が地方公共団体との間で適切に役割分担をするんですが、その場合に、地方公共団体に関する制度の策定及び施策の実施に当たっては地方公共団体の自主性あるいは自立性が十分に発揮されるようにしなければならないと、こうなっていますので、今回の、前置きが長くなりましたが、雇用対策法等の一部改正の中でも新しい条文を起こしておりまして、地方公共団体の施策という、三条の二になりますけれども、地方公共団体は国の施策と相まって当該地域の実情に応じ雇用に関する必要な施策を講ずるように努めなければならないと、条文が一つあります。それから、第二十条の二のところで国と地方公共団体との連携という規定を設けておりまして、お互いに主体的にやる政策について連携することが必要だと、連携協力するものとするという規定を置いております。そういう形で、新しい地方自治の枠組みの中で今回の地域雇用開発をするという仕組みを地域雇用開発法の中で、精神だけではなくて具体的に仕組みをつくりました。
 端的に申しますと、一点は、都道府県が発意をして地域雇用開発計画をつくる、それに国、厚生労働大臣が同意する方式に改めたと、一点であります。そして、そうした場合に地域で実効ある雇用開発ができるようにするためには、国と地方自治体だけで協力、話し合うだけではなくて、そこにおります労使というセクターも関与するという仕組みをつくっております。そして、財源の話で申しますと、地域雇用開発計画をつくる地域が四タイプございますが、それぞれのタイプに応じて国が必要な財政措置を当該地域の事業主に講じますし、都道府県は都道府県で独自の財源でもって産業政策と連携をとった施策をそこへ集中投下していただくという形になることを期待しております。
#61
○川橋幸子君 仏つくって魂入れずにならないように実態面でも工夫されるという御答弁でございますが、そこで私は思うことがございます。
 先ほど、地域に密着したニーズに対して雇用機会ができるということを申し上げまして、保育ですとか介護ですとか教育ですとかというようなことを申し上げたわけでございますが、ひとつこの枠組みを使ってそうした面での雇用創出にトライアルしていただきたい。枠組みだけではどうもわかりにくいといいますか、それから今既にそれを、枠組みを動かして雇用創出してほしいというニーズも高いのでございます。
 そこで、大臣はもちろん内閣の一員でいらっしゃって、政党の代表ということではないということは存じておりますけれども、公明党で出されました子育て支援21や今回の経済対策などを拝見しておりますと、自治体の中で保育や介護やあるいは教育もございます、そういう雇用創出はできるわけですし、そういう場合には自発的な計画を上げていただくにしろ、具体的に国がどのようにそこに財政的な支援をするかという一つのケーススタディーというものがこういうもので可能になるんじゃないかと思いますが、いかがでございましょうか。
#62
○国務大臣(坂口力君) 地方自治体の問題と国がやるべき問題とそれぞれ分担というのはあるんだろうというふうに思いますが、だんだんと地方分権が進んでまいりまして、やらなければならないことに対する地方の任務というのはだんだん大きくなってきていることは間違いないというふうに思うんですが、問題はそのときの財源をどうするかということになるんだろうというふうに思います。
 それぞれ政党はいろいろなことを言っているわけでございますけれども、結局はその財源配分を一体どうするかという問題に尽きてまいりますので、それは全体の税制改革等との問題とあわせてこれから検討をしていかざるを得ない問題になるだろうというふうに思います。
 もちろん、仕事そのものはそれぞれの地方自治体でお願いをするということになるだろうというふうに思いますが、それのバックアップの財政体制をどうするかということが一番今後の課題になるというふうに私は思っております。
#63
○川橋幸子君 抽象的な質問で突然具体的なことをお伺いすることになって戸惑われたかもわかりませんが、要望でもございますので聞いていただきたいと思います。
 先ほど来、民主党案ですとか公明党案ですとか連合案ですとかさまざまなことを申しておりますけれども、民主党の場合はどういうタイトルかと言いますと、セーフティーネットを整備することこそが日本の元気のもとですよ、そういうタイトルで、今までは企業に対してさまざまな融資あるいは公的資金を注入してまいりましたが、今は人に、一人一人の人間に対して投資をしていくことが元気のもとになるのではないか、そういう案を発表しているところでございます。
 先ほどもございましたが、民主党、公明党あるいは連合の要請、それぞれが二兆円という奇妙に数字が一致するセーフティーネットを張ってほしいという、こういう要望でございます。それから、金額だけではなくて中身の方も、生活支援だけではなくて、あわせて教育訓練で人に投資をしようという、こういうプランであることも共通しております。それから、先ほど申し上げました地方の雇用開発を生活密着型の事業でもってニーズが発生する場でそろえてほしいと、このような共通点があるわけでございます。
 いっそのこと連立を組みたいような気もいたしますけれども、私は、これから内閣改造があり、多分補正があるんだと思いますし、先ほどもおっしゃられたように、当面の施策というふうに位置づけられているとすると、追加措置が必要な局面に至ったときにはこれらの案を十分御検討いただきたい、御考慮をいただきたいということを申し上げたいと思います。要望させていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
#64
○国務大臣(坂口力君) 余り先のことを申し上げるのは甚だ失礼かと思います。とにかく、ただいまどのようなことをやっていくかということに今は懸命になるべきときであって、新しい政権が生まれました後のことは、それはそれでお任せをしなければならないわけでございますので、私がそこのところに踏み込んだ発言をするのは大変失礼だというふうに思いますから、ひとつここはお許しをいただきたいと思います。
#65
○川橋幸子君 選挙を控えておりまして、政権交代が全くないということではない事態かと思います。そういうことから言いますと、大臣おっしゃったように、先のことまで言えないという、こういうお話かと思いますが、先ほど来の御答弁の中にも、今後の動向を注目いたしまして必要なときに適切な対策を打つということを言っていただいておりますので、もし留任なさいましたら、あるいは三党政権継続なさいましたら、政治主導の経済対策、雇用対策の継続性の意味からも、今のような要望あるいは提言、ないしはそれぞれの政党が考えていることを酌み取っていただいて、効果的に措置していただきたいと思います。
 さて、それではもうちょっと細かい話に移らせていただきます。
 この緊急経済対策の中でセーフティーネットが大事だと書かれておりまして、@、Aと二点でタイプ分けしてあるわけでございますが、特にAのタイプ分けについて私はさっぱり理解できなかったというのが正直なところでございます。
 どういうことが書いてあるかと言いますと、調整機能を強化するための規制改革ということが書いてございます。そして、具体的に挙がっておりますのが、派遣労働について規制を緩和すると。派遣労働といいますと、一般の国民の場合は不安定雇用というふうに考えているわけでございます。不安定雇用をさらに規制緩和してふやすことが何でセーフティーネットなんでしょうか。セーフティーネットの名前に値しないじゃないかと思うのでございます。
 派遣労働法の施行後、法制定のときも、何年後かには、三年後かには検討して見直すという条項が入っていることは確かでございますけれども、今この段階で派遣労働のさらなる規制緩和を雇用のセーフティーネットとして挙げられるということは、どういう理由からでしょうか。現在、それほどによい評価をしておられるのでしょうか。どのように状況を把握していらっしゃるのか、お答えいただきたいと思います。
#66
○政府参考人(澤田陽太郎君) まず、派遣労働といいますか、派遣業の現状について若干お話し申しますと、一昨年の十二月に派遣労働法を改正いたしまして施行いたしました。それ以降、本年四月までの間に、一般労働者派遣事業の新規許可件数千六百四十一件ということで、対前年同期比で三八%強の増加となっております。新規に許可を得た事業所におきましては、新しく適用対象となりました営業とか販売とか介護などの業務にかかわる労働者派遣を行うものも含まれておりますし、既に派遣業の許可を得ている事業者の中でも、新たな業務に参入しているところも相当出ているものと考えております。
 詳細な状況につきましては、本年の初めに、一月に調査を実施いたしまして、現在集計中でございまして、夏ごろまでに結果を取りまとめたいと思っております。
 派遣労働の見直しがなぜセーフティーネットかというお話がありましたが、私どもは、労働者派遣事業はILOの百八十一号条約を踏まえて、社会経済情勢の変化への対応とか、労働者の多様な選択肢の確保等の観点から、労働者保護というものを前提として、臨時的、一時的な労働力の適正、迅速な需給調整を図ろうという制度でございますので、労使のニーズに対応した就業機会を図ることができると基本的に考えております。そうした意味で、適正な就業機会の拡大を図る、それによって労働移動を円滑化し、場合によってはセーフティーネットとしての役割も十分期待し得るという観点で今回の緊急経済対策に入っているところであります。
 蛇足になりますが、先回の法改正のときに、法施行後三年で必要な場合には見直しを行うということが附則でついておりますので、それを今回の緊急経済対策でもなぞって書いたということでございます。
#67
○川橋幸子君 前回の法改正の際に見直しも議論されて規定されているので今回もそこに書いただけと、それから、何でセーフティーネットかといえば、ILO条約でそのような役割を持つことが規定されていると、このようなお答えと思いましたけれども、前回議論して、いずれ三年過ぎたら見直しますということは、これは私もよくわかりますが、それが何で緊急経済対策に入ってくるかというのがいまいちよくわからないことが一つです。お答えは結構でございます。次に進みますので、お答えは結構ですが、大変働く人たち、特に派遣労働の場合は女性の方が多いわけでございますけれども、そうした女性たちに不安を与えることにならないかということを心配しているわけでございます。
 それから、ILO条約のことを述べられまして、引用されまして、もしセーフティーネットのことを強調なさるのであれば、むしろILO条約というのは、派遣労働あるいはパートタイム労働、あるいは有期雇用という、こういう不安定雇用に対してそういう雇用者の労働条件の保護を図りましょう、就業条件の保護を図りましょうと、そういう意味のセーフティーネットであると思いますので、もうお答えは結構でございまして、局長もよく御存じなことでございますので、ここでは、もしセーフティーネットと書かれるんだとすれば、就業条件の環境整備をしますということを書いていただきたかったということを申し上げまして、次のところに移りたいと思います。
 次は、今、働く女性の話を申し上げましたけれども、先ごろ、「働く女性の実情」、いわゆる白書というものが発表されました。その分析を拝見いたしますと、大変わかりやすく、役所の白書の中ではわかりやすく書いていただいて、工夫されていることを私は評価いたしますけれども、中身の方はやっぱり余り歓迎する明るい話ではないことが出てくるわけでございます。
 現在の急速なグローバリゼーション、今日のバブルの崩壊、あるいは現在の何月危機と言われているような不良債権に基づくデフレ経済というのも、これは私は、グローバリゼーション、過去の壁があったころの市場経済と違う全地球規模での流動化というものが非常に大きく影響しているんだと思います。そのグローバリゼーションの影響が実は女性の側に非常に大きく出ているのではないか、それを白書が言っているのではないかというふうに考えたわけでございます。
 グローバリゼーションの中にも、新しく経済開発など光の部分があるとすると、逆の部分、競争の中でむしろ不利な立場に追いやられて格差が出てくる影の部分があるわけでございます。光と影の、影のマイナス部分の影響が女性の中に強くあらわれていることを白書は言っているのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#68
○副大臣(増田敏男君) 三月二十九日の発表のことだと思いますが、先般公表いたしました「働く女性の実情」では、直近の景気後退期である平成九年から十二年における女性雇用者の動向を正規、非正規別に見ると、正社員の雇用が抑制される一方、女性を中心に非正規雇用が増大しているという分析をしているところであります。
 非正規雇用を選択した者の中には、正社員としての雇用機会が不十分であるためにそのような働き方を選択した者もありますけれども、十一年の統計から見ますると、大方の方々は自発的にそのような働き方を選択していることから、非正規雇用者の増大を直ちにマイナスと評価することはできないのではないかなと、こういう思いも一部にあります。
 いずれにいたしましても、厚生労働省では、こうした非正規雇用の増大等に対応し、いかなる就業形態を選択したといたしましても、それぞれの働き方に応じた適正な労働条件、処遇が確保されるよう施策を推進することが重要な課題である、このような認識に立っております。
 影の部分という御指摘でございましたが、引き続いて努力を傾倒してまいりたいと思います。
#69
○川橋幸子君 質問の中では、非正規雇用者の増大、今回の白書の指摘の中では雇用労働者の増加寄与率の数字で言っておりますけれども、正規社員の方は〇・六ポイント、これに対して非正規社員の場合の寄与度は正規社員の倍の一・二ポイントということでございますので、雇用機会均等法はできまして、改正されましていい法律にはなってきていますけれども、なかなかそういう分野で男性と同じように働ける女性というのはそうふえていない、むしろ正規雇用を逆に支えるような形で、以前は縁辺労働力と申しましたけれども、もう今や縁辺ではなくて非常に数は多い、そうしたところで増加が多いということを私は訴えたいと思います。
 それからもう一点、私も非常に気になる数字を発見いたしました。何かといいますと、有配偶者の労働力率が低下したということでございます。
 今まで日本の女性の労働力率は上がってきたわけですね。それで、育児期だけ下がっているのでM、アルファベットのMに似ているからMの谷と申していたんですが、この谷の部分が上がってきたわけです。なかなかフラットまでは行かない。日本は非常に特有にこのMを強く維持しているわけでございますが、それにしても、その谷の部分は上がってきたわけでございますけれども、今回、ちょうど育児期に当たります三十代の女性の労働力率を見ますと、白書では、独身者は労働力率は上昇したけれども、既婚の方、結婚をしていらっしゃる方は逆に下がったと。これは何を意味するかというと、仕事と家庭が両立しにくい、さらにしにくくなった、子育て支援というのがなかなか得にくいという、こういう状況なんだろうと私は思っております。
 大臣にはこれは聞かないことになっているようでございますけれども、今うなずいていらっしゃいましたのでお答えを聞きたいと思いますが、いかがでございましょうか。
#70
○国務大臣(坂口力君) うなずきましたのは、なるほどというのでうなずいていたわけでございますが。
 やっぱりこのM字型のところを少なくともフラットに、山型になれば一番いいんでしょうけれども、できるだけフラットになるところまで持っていかなきゃならないんだろうというふうに思いますが、そこに至りますまでには、今御指摘になりましたように既婚の、お子さんをお持ちの女性の皆さん方にどう職場と家庭とを両立していただけるようにするかということをもう少しやっぱりきめ細かく進めなければならないんだろうというふうに思います。お子さんだけではなくて、御両親の介護の問題も含まれているんだろうというふうに思います。
 例えば、お子さんの場合には延長保育なども出てまいりましたけれども、お父さんやお母さんのデイケアなどは時間が短くて、すぐ迎えに行かなきゃならないというようなものがそのままになっているという話もあるわけでございますし、トータルでそうした問題を一歩一歩やっぱり解決していかなければいけないんだろうというふうに思いますが、やはりそこまでまだ、かなり改善はされてきたというふうに思いますが、我々はどうしましても改善をされたところに目が行くものですからよくなったという気がしますけれども、日本全体で見ましたときには、やはりまだ全体に行き渡っていないということではないかというふうに思います。
 一層努力しなければならない分野だというふうに思っております。
#71
○川橋幸子君 今回、省庁統合の中で、数合わせというそういう批判の強い中で、厚生労働省につきましては、年金と雇用の接続ですとか、あるいはこうした子育て支援、保育、介護と仕事との両立支援など、むしろその統合の妙が、効果が上げられる、そういう体制になられたわけでございまして、ぜひ大臣がおっしゃったような方向でお願いしたいと思います。
 さてそこで、少々技術的なことに入らせていただきますが、このように非正規雇用者がふえてきているわけでございますが、非正規雇用者といいますのは、どうも正規労働者に比べますと賃金、労働条件に大きな格差がございます。賃金格差がございます。
 一つは、パートの百三万円の壁というのがございまして、百三万を超えて働くと年金の三号被保険者の問題等々出てくる。そのあたりもあるわけでございます。
 制度的な要因もあるわけでございますけれども、私は、今回この法案の中では雇用保険法が書いてございますので、雇用保険の事実上、制度上の適用の枠組みの中でも正規と非正規の間には格差があるのではないか、大きいのではないかということを思っております。これをどう考えるんだろうか、また今後どんな対策を考えていかれるのだろうかということを思っているわけでございます。
 やりとりよりも質問の方を先にまとめて申し上げてみますと、今回、パートタイム労働者等の雇用保険加入のための収入要件は廃止されましたから加入はしやすくなるという、こういう配慮がなされているんだろうと思いますが、本当に加入が進むんだろうかということが一つ。
 もう一つは、政府が現在育児休業法の改正案を提案されております。今通常国会で審議されることを私どもも願い、私どもも対案をつくっておるわけでございます。これも他党と協力しながら政府案に対して審議をさせていただきたいと思っておるのでございますけれども、詳しい議論はその法案審議の場に譲るにいたしましても、一点、非常に気になりますのは、育児休業法の適用対象の中からそもそも期間雇用者は除かれている。日々雇用される者と期間労働者は育児休業法の対象にならないという、そういう規定がございます。
 それで、加入促進がございまして、一方では保険料を払うそういう有期雇用者がふえているわけでございますけれども、保険料は通常の正規労働者と同じように払いながら、なぜ雇用保険のサービスになるような雇用保険給付が得られない、サービスが得られない。これはまさに正規と非正規の間の壁ではないかと思いますが、この点はいかがでしょうか。
#72
○政府参考人(岩田喜美枝君) 育児・介護休業法の適用対象者についてでございますが、有期雇用者につきましては法律の適用全体から除外されているということではございませんで、育児休業・介護休業法の中にはさまざまな事業主が講ずべき措置についての規定がございます。その中で、長期の休業につきましては、雇用期間が原則として一年以内に限られるという期間労働者につきましては、そもそもこれらの休業制度というのは雇用を継続するという目的のための制度でございますから、そういうことで対象とすることはなじまないという整理にさせていただいております。
 ただ、パートタイマーの中には、形式上は有期雇用でございましても、契約を反復更新するということで実質上は期間の定めのない雇用になっているというふうに判断されるケースも少なからずございます。これは現状もそういうことといたしておりますけれども、具体的にどういうケースがその判断に該当するかということについては必ずしも明確ではございません。
 そういうことで、今国会で育児休業・介護休業法の改正案の御審議をお願いするわけでございますけれども、それが成立した暁には、改正後の法律に基づきまして大臣が指針を策定するということができることになっておりますので、その指針の中で有期雇用労働者、特に継続・反復更新される有期雇用労働者の取り扱いについてその具体化を図ってまいりたいというふうに思っております。
#73
○川橋幸子君 子供が一歳になるまで、非常に手のかかる時期でございます。六カ月未満は母乳を飲んだり、それからその後は離乳食ということになるでしょうけれども、大変手のかかる、子供としてはケアを必要とする時期でございます。その間の休業について有期雇用者は制度になじまないということから外されること自体、何か新しい発想でもっと工夫できないかと私は思います。
 今回、政府案もさまざま苦労されまして、継続、反復して雇用される場合には実質的に期間の定めのない雇用とみなすというような工夫はなさって、その定義そのものは、指針ですかに譲られるということのようですが、今、日本の雇用市場の中で、女性はふえるけれどもなかなか正規従業員ではふえない、非正規従業員でふえていく。その労働条件の格差もある。さまざま社会保険の中での制度上、事実上の壁もある。この壁をどうやったら乗り越えられるかというのが私は大きな課題だろうと思うのでございます。
 実質的な審議はまた育介法の改正のときにさせていただきますけれども、例えば、純粋にですよ、純粋に契約期間がはっきりしていて、その期間が来たら、満期が来たら更新されることはないと。実質的じゃなくて雇用契約そのものがそのようになっている。三年間の雇用契約、プロジェクトか何かありまして、その期間内に仕事が完成するというような形の有期雇用についている場合、保険料は払っても三年間は妊娠してはだめよと、そういう私はむごい制度になっていると思いますけれども、いかがでしょうか。
#74
○政府参考人(岩田喜美枝君) 今、御指摘いただいた問題も含めまして、有期雇用労働者、特に反復更新される方、あるいは期間の長い有期雇用労働者の扱い、そういうようなことについても、指針をこれから策定していくそういう段階で労使の方々とも意見交換をしてまいりたいというふうに思いますし、また将来新たな制度的な整備が要るということでしたら、それも引き続き勉強してまいりたいというふうに思います。
#75
○川橋幸子君 経済の構造改革というのは、やっぱり労働市場の構造改善も進めないと私はマッチングしないと思います。
 連合の方ではワークフェアというような言葉を使って要請しておりまして、それは厚生労働大臣にも昨日、今回の緊急経済対策に合わせた雇用対策について要望していると伺っていますけれども、ワークフェアと連合が言っているとわざわざ言わなくても、アメリカの方は自由経済だから何もそういうところは手当てしない競争社会なんですよと、こういうアメリカでも公正労働基準、フェア・レーバー・スタンダードという、こういう概念が非常に強くはっきりしてございます。また、EU諸国の中では、近年は労働の柔軟化と安定化、フレキシビリティーを持たせるけれども一番底のミニマムのところはしっかりと底なしにならないように安定化させましょうと、こういう方針がとられておられまして、それぞれの労働市場の構造改革についてはそれぞれの国が自分の国に応じた方策を検討しているわけでございます。
 私は、今、日本は、この大改革の中でどんな道を選択しようとするのか、経済対策とマッチする労働市場対策として何を選択しようとするのか、これを真剣に考える時期に来ているんだと思います。今までのような終身雇用だけでもつはずはない。これでは産業構造改革に対応もできませんし、それからグローバリゼーションの中での技術革新にも対応できない。こういう世界の労働市場のグローバリゼーションが進む中で、日本はどんな方法を考えながら雇用の安定と雇用の質の維持を図っていくかというのは非常に大きな問題ではないかと思います。
 そこで、まずお聞きの仕方としましては、雇用形態の多様化に対しまして、それを何も手当てしないということではなく、むしろ法律でもってそのルールを整備する、法的整備を含めまして雇用・就業環境の整備を図るべきだと思いますが、いかがでしょうか。
#76
○副大臣(増田敏男君) パートタイムの関係から申し上げますが、パートタイム労働者の増加など雇用形態の多様化に対応いたしまして、その雇用・就業環境の整備を進めていくことは先生のおっしゃるとおりもちろん重要であります。もちろんそのように考えております。
 このため、パートタイム労働者の適正な労働条件の確保や雇用管理の改善等を図るための施策を推進しているところでありますが、今後とも、パートタイム労働者の処遇改善に向けた事業主への指導、支援の推進などにより、パートタイム労働法の趣旨の一層の徹底とさらなる課題の把握に努めてまいりたいと思います。
 ワークシェアリングにどのように対応するのかというようなお話も先ほどお話の中に出ましたが、私、初めて先生と議論をさせていただきます。労働関係の女性の第一人者でパイオニア的な存在だと。同時にまた、私のふるさとの埼玉県所沢で助役をなさっておられたというようなことから、非常に広い視野に立ったいろいろの御指摘をなさるな、このようなとらえ方をしながらお話を聞いておりました。
 そこで、労働時間短縮等につきましては、十分な成果が得られていない年次有給休暇の取得促進と所定外労働の削減に重点を置いて施策を講ずることによりまして、目標とする年間総実労働時間千八百時間の達成、定着に努めてまいりたい。
 ワークシェアリングにつきましては、当面は、労使を初めとして十分な議論を行い、社会的コンセンサスを形成していくことが重要であると考えております。
 同じようなお話をきのう実は連合と、私が大臣のかわりに会わせていただきまして、予定時間を倍オーバーしていろいろお説を伺いました。私のしゃべるのも多かったと思うんですが、確かに大きな過渡期ですから、認識は一致のようであります。先ほど、育休、介護の問題等の関係でいろいろ御意見がございましたが、先生にお話を聞きながら、ここまで築かれた労働行政、私は着々寸進、少しずつでも寸進して洋々万里と、こういうことで歩んでいきたいなと、こんな思いを持って意見を伺わせていただいておりました。
 これで一たん終わります。ありがとうございました。
#77
○川橋幸子君 何か過分のお褒めの言葉をいただいて本当に恥ずかしい限りですけれども、私も、増田副大臣が大変フレキシビリティーがありまして誠意を持ってお答えいただいておりますので、きっと労働行政は推進するだろうと期待させていただきます。
 さて、それでパートタイム雇用につきましては、もう見直しの時期に来ておりますので、毎年毎年、研究研究、検討検討と続きますが、私は来年の通常国会にはもう法的整備ということで一歩踏み出していただきたい、多分そのように進めていらっしゃると思いますので、そのようにお願いしたいと存じます。
 ワークシェアリングにつきましては、労使に任せておいてこれで事が進むんだろうかというのが一般の人の気持ちでございます。今、非常に厳しい雇用環境、経済環境の中で、こういうときに構造改革をやるというのはやっぱり政府の非常に情熱なり志なり、政府の側のイニシアチブが必要でございます。具体的にどのようなテンポで何をするかは、これはもう労使で話す、これが大変重要でございますが、そのイニシアチブを示していただきたいというのが私の願いでございますが、増田副大臣、どうですか。聞き届けていただけますでしょうか。
#78
○副大臣(増田敏男君) お話はよくわかりました。
 ただ、社会的なコンセンサスが十分調いませんと、もちろんその土台の上に労使間の話がきちんと調ってこの問題はなっていくだろう、だから私たちはそっち任せでいいんだ、こういう理解は、おっしゃるとおりいたしておりません。先生と違ってまことに非力ではありますけれども、与えられた職責に全力を尽くして、それがうまくいくような方法で頑張っていきたいと、こう思っております。御理解をお願いいたします。
#79
○川橋幸子君 非力な一議員からの要望でございますが、副大臣、力強い御答弁いただきましたので、それでは次の問いに移らせていただきたいと思います。
 さて、今回提案の一連の法改正と我が国の雇用政策の将来展望について、何問かお伺いしたいと思います。
 失業の中身を分析すると、需要不足からくる失業率は三分の一程度でしょうか、あとの三分の二以上はミスマッチ、需給のミスマッチからくる構造的な摩擦的な失業ということで、やりようによってはこれは解決できるんだということのようでございますけれども、私は、今回の提案というのは、我が国の労働市場の実態から考えるとそんなに簡単にミスマッチは解消しないだろうと、もっと大胆にやっていただきたいと思うわけでございます。
 ミスマッチの構造的な摩擦的な失業部分というのは、何年前でしょうか、我が党の同僚議員が質問しましたときに、たしか牧野労働大臣でいらっしゃったと思いますけれども、需要不足は景気対策で、ミスマッチはゼロにしてみせますとおっしゃったことを私は非常に強く覚えているのでございますけれども、このミスマッチの解消というのは、今回、改正法案の提案によりましてどんな程度にどんなテンポで改善すると見ておられるのでしょうか。
#80
○国務大臣(坂口力君) 雇用におきますミスマッチは、種々のミスマッチがあるわけでございます。一つは年齢によるミスマッチもございますし、あるいはまた地域によるミスマッチもございますし、また能力によりますミスマッチもございます。
 とりわけ、年齢それから能力、これらによりますところのミスマッチの解消に向けまして、現在、募集でありますとか採用に当たり年齢にかかわりなく均等な機会を与えるよう努めるといったようなことをやりましたり、あるいはまた労働者の自発的な職業能力開発の促進のための措置を盛り込んだりといったようなことで、年齢、能力、この辺に焦点を当てたミスマッチ対策というのを今進めようとしているわけでございます。
 御指摘いただきましたように、ミスマッチもなかなか簡単ではございません。一生懸命にやっているわけでございますが、新しい産業等も出てまいりますし、そして特にIT産業などにつきましては、それが足らないことはよくわかっているんですが、それを十分にこなせる人を養成するということもこれまた難しいというようなこともございまして、なかなかいきにくい面もございますけれども、かなりしかし成果は上がってきているというふうに思っております。
 ただし、もうこれで十分というところまではいかないわけでございますので一層ミスマッチの解消に努めていきたいというふうに思いますが、なかなかいつまでどんなテンポでというふうに先生から言われましても明快にお答えするだけの自信はございませんが、しかしここは一生懸命目標に向かって頑張るという以外にないんだろうというふうに思っております。実効が上がりますように努力を続けていきたいというふうに思っております。
#81
○川橋幸子君 大臣、やっぱり認識をもう少し深刻なんだというふうにお持ちいただきたいと思います。
 ミスマッチは、失業率がこれだけ高どまりしておりまして、九〇年代初めには二%の失業率だったわけでございますけれども、今、約倍以上の五%近くになっている。その中身はミスマッチによるものが大部分だというこういう説明でございまして、それを解消するというのが今回の法案なわけでございますけれども、募集・採用の年齢制限を禁止されるとか、職業能力開発によってエンプロイアビリティーを高めていくとか、それから今回の再就職支援の措置によって失業なき労働移動を図るとか、さまざまなことが言われますが、先ほど大臣がおっしゃったように一年という期間は非常に私は重要だと思います。雇用保険では最大一年、多少の訓練給付はあるようでございますけれども、制度的には三百三十日でしたか、そういうことなわけです。
 そうですね、もっと具体的に言いましょうか。大臣はパソコンがきっとおできになるんだと思いますが、私がパソコンを習ったとして習得するのに一年でどれだけ行きますでしょうか。中高年の人が年をとってから失業して新規産業に、このごろはITの中でもすそ野が広がってきているから簡単な仕事でも就職できるというようなお話がございましたけれども、私は一年で、もう十回言われたことをすぐ忘れて同じことを何回も何回も質問するというのがこれは私の例でございますけれども、中高年の再就職、一年では私は足りないと思います。
 これだけ技術革新が大きくてミスマッチが大きい状態の中でマッチングを図ると、やっぱり訓練期間というのは一年どころか二年、三年という、こういうことを私は要すると思いますけれども、いかがでしょうか。もうお昼も過ぎて皆さんお疲れのようでございますが、私の持ち時間は二十分までいただいておりますので、もう少しおつき合いいただきたいと思います。
#82
○政府参考人(酒井英幸君) 先生がおっしゃるとおりの側面があるんだろうと思います。
 ただ他方で、この中高年の労働者の方、できるだけ早く、培われた能力を生かされて再就職ができますようにということも考えなければならない。ITの分野におきましても、私ども、今般の緊急対策でもそうでございますけれども、いろいろレベルの違うコースを設けるとか期間もできるだけ弾力的にやるとか、そんなようなことはもっと強く認識をしてやっていかなければならないというふうに思っているところでございます。
 先生が今御心配されました中高年の方々につきましては、やはりミスマッチの度合いも確かに大変大きいところでございます。今回の法律の改正でもそのあたりをどうしていくかということで、御指摘いただきました能力開発の方法として自発的にやっていこうと、エンプロイアビリティーということも今御指摘ありましたけれども、自発的に能力開発をし、またそれを的確に評価していくということで、今、先生がおっしゃったエンプロイアビリティーといった側面の評価方法の改革といったことも含めて、この法律に基づいてやっていかなければならないことと思っております。
 私どもも大変に中高年の方々のことは心配でございますので、今回の緊急対策におきましても、中高年のホワイトカラーの離職者の方々に対する訓練コースの充実といったことにも取り組んでいこうということでございまして、今の御指摘のように、いろいろ実情に合った工夫はしていかなければならないというふうに考えているところでございます。
#83
○川橋幸子君 いろいろ工夫していただきまして、実効性ある職業能力開発あるいは教育訓練をやっていただきたいと思いますが、私がやっぱり申し上げたいのは、特に中高年です。
 もちろん個人差はありますけれども、過去の熟練とか過去におけるキャリアがこの急速な技術革新の中で使われなくなってくる場合に、新しい技術を身につけるのには一年では足りない。やはりこの際は、ミスマッチの解消を図るためにも訓練期間を長くとる。逆にセーフティーネットをしっかりさせて、セーフティーネットの中で安心してもう一回再チャレンジするというんでしょうか、新しい社会経済に対応するような、もう一回リフレッシュといいますか、トレーニングの期間を中高年に与えることこそが私はミスマッチの対策にもなるし、それから自殺とか、先ほど切れる四十九歳なんという話をいたしましたが、そういう社会病理に対して有効な手だてではないかと思っているのでございます。
 そこで、もうそろそろ私もやめようとは思いますが、これだけはやっぱり申し上げたい、お聞きしたいということがございます。もう何回か質問に入れたことがございますのでまたかと思われるかもわかりませんけれども、やっぱりこの点はしっかりと御研究いただきたいということがあります。
 何かといいますと、日本の失業保険制度というものは、給付のレベルと給付の期間がともに欧州諸国に比べて非常な手薄いものになっている、こういう指摘があるわけでございます。先ほどお名前を挙げました、参考人で来ていただいた大沢真理さんからそういう資料をちょうだいしたわけでございますけれども、特に初年度だけじゃなくて二年目、三年目、ヨーロッパの方なんでしょうけれども、場合によっては四年目、五年目も給付される、そういう失業保険給付があるわけでございます。
 それぞれの国の実態に応じてということでございますので、あながち数字だけで単純に比較することはできないにしても、やはり識者の指摘は、期間が短いこと、これが日本の失業保険制度の非常に大きな問題だということが言われるわけでございます。
 今、大沢さんがお持ちになられて挙げられたものは、特に給付額のところは、従前の所得と失業給付との粗置きかえ比率というもので出されているようでございますが、私はこのあたりをにらんで、日本の失業保険といいましょうか、雇用保険制度を今の緊急経済対策のこの時期に合わせてもう一回見直してほしいと思いますのと、そういうときは欧州諸国の実情、法制度をよく調べていただきまして、少なくとも先進国と言われているこの国がそうした制度の中で遜色がないような、そういう人に優しい国になってほしいと思っております。
 その点を一点お伺いいたします。
#84
○副大臣(増田敏男君) 本年四月より施行されました改正雇用保険法におきましては、保険料負担のあり方等も考慮した上で、倒産、解雇等により離職した方々に対しまして十分な給付を行うことにより、離職した方の生活の安定に配慮することとしているところであります。改正雇用保険法の確実な施行に努めることが重要である、まず、こう考えております。
 また、日本の失業給付の給付率は、離職前賃金の原則六〇から八〇%となっております。先生御案内のとおりであります。これが主要国に比して低い水準とは言えないと実は考えているところであります。
 なお、欧米諸国の失業保険の保険料率は我が国の数倍程度となっている国が多いことから、単純に給付についてのみ比較することは適当ではなく、各国の労働事情等に応じて給付と負担のあり方を総合的に評価すべきものと考え、また、私は説を聞きながら参考にさせていただきたいと思います。
#85
○川橋幸子君 ぜひ御検討いただきたいと思いますが、今、副大臣がおっしゃられた給付額の水準の話は、どうもこちらの橘木先生の話を読みますと、ボーナス等を分母に入れると低くなる、入れないと高くなる、定期給与だけにすると置きかえ比率は高くなると。
 今、保険料の徴収は賃金総額でボーナス等も入れて徴収するということになっているのではないかと思いますが、やはりボーナス等々は、これは何か御褒美ではなくて生活の資金でございますので、その辺も含めて御検討いただきたいと思います。
 私は、よく社会保障がモラルハザードを起こす、人に投資なんといって、それぞれの人たちに長い期間の訓練手当を上げるとむしろ怠け者をつくるというような、モラルハザードの話が非常に強く日本では言われているような、強過ぎるような言われ方をするように思っております。例えばの話、企業の側だってモラルハザードはたくさんある、それが心配されながらも、この緊急事態では税金からさまざまお金を注入しているわけでございます。
 私が心配するのは、企業のモラルハザードを言わずに個人のモラルハザードだけが強調される社会というのは、人に優しい社会とは言えないのではないかということがまず第一点。それから二点目といたしましては、そういうセーフティーネットを張るとモラルハザードを起こすんだからといって、逆に現在の失業なりさまざま社会的な倒産なりのこういうしわ寄せが起きて生活が追い込まれる人たちに対して社会が無関心になってしまう、人の痛みに対して無関心になってしまう、これが一番社会の倫理を失わせるモラルハザードではないかと思います。
 痛みを伴うというのは、私個人は、保険料の値上げは、必要ならば痛みを分かち合うという意味でも、必要なものは拠出することに対して国民は拒否しないと思っている人間でございます。
 最後に、大臣の方から、こうした日本の経済の状況あるいは社会の状況をごらんになられて、セーフティーネットというのを政府はどのように考えていこうとするおつもりか、また先のことまでは言えないとおっしゃるかもわかりませんが、最後に大臣の哲学をお伺いしまして、質問を終わらせていただきます。
#86
○国務大臣(坂口力君) 哲学まで述べる自信はございませんが、先日もこの委員会で安全ネットのお話が出まして、サポーティングネットというお話が出ました。そのお話を私も聞きながら、私の考えておりますことはどちらかといえばサポーティングネットに近いのかなというふうに思いながら聞いたわけでございます。
 一人一人の人に対しましてもそうでございますが、やはり弱い層、例えば高齢者の層でございますとか身体障害者の皆さん方でありますとか、そうした層に対してどのような手当てをするか。それは財政的な手当てをするということだけではなくて、政策的な優先順位をどうつけるかということも含めてどういうふうにしていくかということが非常に大事であって、そうした全体で弱い層に支えをする、そういう社会というものがやはり安心した社会をつくるということで大変大事なのではないかというふうに思っております。
 先ほど雇用保険のお話が出ましたが、確かに諸外国よりも雇用保険が短いということは事実でございますけれども、その雇用保険の長さをさらに長くするという努力をすることの方がいいのか、それよりも再雇用、すなわち失業をなくするという、あるいは失業された皆さん方に一日も早く再就職をしていただくということにより積極的に取り組む政策が必要なのか、そうした優先順位もあるんだろうと私は思います。
 それを、どれを優先していくのが最も日本の社会にふさわしいのかということも考えながら合意を目指していかなければならないというふうに思っている次第でございます。
#87
○川橋幸子君 終わります。
#88
○委員長(中島眞人君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。
   午後零時二十分休憩
     ─────・─────
   午後一時二分開会
#89
○委員長(中島眞人君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。
 この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、浜四津敏子君及び山本保君が委員を辞任され、その補欠として木庭健太郎君及び山下栄一君がそれぞれ選任されました。
    ─────────────
#90
○委員長(中島眞人君) 休憩前に引き続き、経済社会の変化に対応する円滑な再就職を促進するための雇用対策法等の一部を改正する等の法律案を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#91
○井上美代君 日本共産党の井上美代でございます。
 雇用対策法の一部改正案を中心に質問をいたします。
 政府自身も景気の後退を認めている現在の状況の中で、一層リストラの拡大が進もうとしております。日経連が六年前、「新時代の日本的経営」という財界の労働力戦略を発表して以来、過剰雇用の解消、そして労働力の流動化が進められてまいりました。全国労働組合総連合の調査でも、九六年から三年間で三百七十六万人の雇用の削減が行われております。
 そこで、まず大臣に雇用と景気について質問をしたいと思います。
 一昨日、宮澤財務大臣が日本共産党の大門議員に対して答弁されましたけれども、その中で、現在進めている政府の緊急対策を進めることで何がしかの失業が出てくることは当然と、このように答弁をされております。大臣もそういう認識なのかどうかということをまずお聞きしたいと思います。
#92
○国務大臣(坂口力君) 今回の緊急経済対策につきましては、現在の経済状況にかんがみましてこれを一日も早く回復せしめるためにどうするかという問題でございます。そのやり方はいろいろあるというふうに思いますが、余り緩慢にやっておってはいけないので、ひとつ思い切った対策を打つ必要があるというような声もあるのは御承知のとおりでございます。
 現在のこの緊急経済対策の中で雇用の問題が一番心配をされるわけでございますから、雇用対策というものも十分これは行わなければなりませんし、雇用に対しましては極力やはり失業者を出さないという、そういう立場を貫きながらこの経済対策というのは進めなければならないというふうに思っております。しかし、そうした中で経済の動き等のこともありますから、万が一そこで起こりましたときにはそれに対して迅速に対応できるようにしなければならないというのが私たちの立場ではないかというふうに思います。
#93
○井上美代君 失業が出ることは当然だという宮澤財務大臣と同じだということだと思います。
 私は、政府の経済政策は、結局は人員削減、そして賃金カットなどのリストラをして、企業収益を回復させようという戦略だと思います。しかし、現在は企業が利益を上げればやがて国民が潤うだろうというふうに思っておられるかもしれませんけれども、そうではないということです。国民の家計を支援する政策が求められております。
 雇用対策法の一部改正案は、円滑な労働移動を促進するために、離職を余儀なくされる労働者が出る場合に、事業主に対し再就職支援計画の作成を義務づけ、その企業の再就職援助に対して国が財政的に支援をするものということですね。この改正案の根底にある考え方というのは、再就職を支援することが国民の雇用の安定につながるということですね。
 昨年十二月に中央職業安定審議会の建議が出ました。この建議は「経済・産業構造の転換に対応した雇用政策の推進について」という建議です。次のようにそこで述べられております。
 「離職を余儀なくされる者に対する事業主による計画的な労働移動支援を定着させ、円滑な労働移動を実現させることが必要である。その際、労働移動支援については、これが安易な解雇を促進することのないよう配慮を尽くす」と、こういうふうにその建議には書いてあります。
 この再就職支援の措置が安易な解雇促進につながらないような、そういう仕組みが今回の法案の中にあるのだろうかということで、御答弁お願いします。
#94
○国務大臣(坂口力君) 再就職援助計画のことを申し上げなければなりませんが、この再就職援助計画には、計画作成に至った経緯等を記載させることを予定しておりますほか、その作成に際しましては、労働組合等の意見を聞かなければならないこととしております。また、国が助成措置を講じるに当たりましては、対象となる計画につきまして、労働組合などの同意を得ていることを要件とすることを施行に向けて検討してまいりたいと考えております。
 こうしたことを通じて、安易な解雇の促進とならないようにすることとして、これらの制度の趣旨を十分周知徹底するように努めてまいりたいと思っているところでございます。
#95
○井上美代君 今、経緯とか労働組合等の意見を聞くとかと言われましたけれども、法案そのものには安易な解雇を規制する仕組みというのはないということが今明らかになったというふうに思います。
 再就職援助計画には計画作成までの経緯が書き込まれるということですけれども、その計画作成に至る経緯というのは一体どんな内容を書くのかということを御答弁ください。
#96
○政府参考人(澤田陽太郎君) 再就職援助計画の記載事項につきましては、今後、労働政策審議会の意見を聞いた上で定めることといたしておりますが、この計画は相当数の労働者が離職を余儀なくされることが見込まれる事業規模の縮小等を行おうとするときに作成を事業主に対して求めるものでありますから、現時点で計画作成に至る経緯としては、工場の閉鎖とか生産量の減少等といった事業規模の縮小等の内容及びこれにかかわる事情、こういうものについて記載することが考えられます。
#97
○井上美代君 そのような内容が書かれるということですけれども、再就職援助計画は職業安定所の所長が認定をし、そしてその上で国が財政的な支援をするということになっています。
 職安の所長が計画作成に至る経緯の内容を見まして、そして再就職援助計画の前提となるリストラ計画に対して、これはちょっとおかしいぞと思って変更を求めるということがあるだろうか。御答弁をお願いいたしたいと思います。
#98
○政府参考人(澤田陽太郎君) 御質問の点につきましては、雇用対策法の第二十四条第四項で書いてありますとおり、公共職業安定所長は、再就職援助計画で定める労働者の再就職の援助のための措置の内容が再就職促進を図る上で適当でないと認めるときに、その措置の内容について変更を求めることができるという書きぶりでございまして、先生のおっしゃいます、いわゆるリストラ計画そのものについては法文では何も書いてありませんし、そこについては二十四条には該当しないということになります。
#99
○井上美代君 今の御答弁のように、職安所長にリストラの計画を出して問題があっても規制はできないということです。
 ここで、やはり大変になってくるというふうに思いますが、再就職援助計画については組合との協議は義務づけられておりますけれども、対象となる一人一人の個人との協議というのは義務づけられていないということです。本人が全く知らないままに計画のリストに載ることがあるのではないだろうかというふうに思いますが、本人との協議の義務づけが必要ではないか、そうでなければリストラにつながるのではないかと思いますが、いかがですか。
#100
○政府参考人(澤田陽太郎君) 再就職援助計画の作成に際しまして、事業主は労働組合等の意見を聞かなければならないものとされておりますが、その場合に、労働組合等は当該事業所の労働者の総意を酌み取った上で事業主に対して意見を述べるということになりますので、その段階で個々の労働者の意見を反映することが労働組合等としての役割であり責務であると考えます。
#101
○井上美代君 今、労働組合が総意を述べると言われましたけれども、これはあくまでも労働組合の総意でありまして、個人一人一人は意見が違うというふうに思うんです。だから、それを反映することは組合の中ではできない。だから、私は本人の意見を確認する協議をきちんと義務づけるべきだと、このように思っております。このままではこの法案はリストラにつながっていくというふうに思います。
 政府の行政改革推進本部の規制改革委員会が昨年の七月に「規制改革に関する論点公開」というのを出しております。その中で、委員会の中でちょっと意見が出されておりますけれども、整理解雇の四要件のうち解雇回避努力義務というのがあります。それについて、経済社会の変化の中でこれだけでは雇用は守れないから再就職・能力開発の支援を入れるべきだという意見が出されております。
 これに対して、旧労働省の回答というのは、再就職・能力開発の支援という要件がいわゆる整理解雇の四要件の一つである解雇回避努力義務、これに代替するものであったとしてもほかの要件を無視することはできないと、あと三つありますからね。無視することはできないと述べて、再就職支援を整理解雇を認める要件の一つとして容認する発言をしております。
 これを要件として認めてしまったらリストラにつながるというとんでもないことになっていくわけなんです。なぜ否定をしなかったのかということを御答弁願います。
#102
○政府参考人(日比徹君) ただいまの論点公開、その中で私ども意見といいますか考え方を御説明しておりますが、正確に申し上げますと、解雇を正当化する要件の一つとして再就職・能力開発の支援という要件を法律に規定しようとしても、どの程度の措置を講ずれば解雇を正当化し得るかについてコンセンサスを得られるような基準を設けることは困難と、そういうふうに申し上げているわけでございます。
 今、委員の御指摘は、そのこと自体をなぜ否定しなかったかとのお尋ねでございますが、この考え方、意見は、その後に続きますようにこの規制改革委員会における一つの御意見として、解雇規制についてその立法の可否を含めて検討してはどうかというのが御意見でございますので、それに対する考え方として、先ほど申し上げたようなことを述べた上で、解雇規制についての立法の問題については四要件というものがあり、少なくともそのうち三要件、最初の要件をどうするかはさておいても、解雇規制という立法形式をとる以上は要件を具体的にしなければ現実の立法効果としてはいかがであろうか、そういうことで解雇規制という形をとる立法というものについて慎重な態度を示したということでございます。
#103
○井上美代君 今の御答弁は、結局、再就職・能力開発の支援とそして解雇回避努力義務、これは代替するものではないという答弁ですね。
#104
○政府参考人(日比徹君) もう公表されているものでございますから正確にお読みいただければと思いますが、代替し得るものであったとしても他の要件のことがあるということを申し上げておりまして、代替し得るものかどうかについてここで意見を述べたということではないと思っております。
#105
○井上美代君 答弁は非常にあいまいであります。このあいまいなところがあるからリストラにつながっていくわけなんですが、企業が再就職支援をすれば整理解雇を認めるなどということになったら、まさに私はこの法案はむき出しのリストラ促進法案であると、こういうふうになると思います。
 現在、地方裁判所では整理解雇四要件を緩和する判決が相次いでいると聞いております。政府が明確な基準を持って労働者の権利を守る立場でしっかりと解雇規制をすることが求められているというふうに思うんです。そのためには、判例に任せるのではなくて、この解雇四要件を立法化していく解雇規制法が必要だと思っております。そして、私どもはその法案も上程しているわけなんですけれども、大臣、このことについてどのようにお考えになりますか。
#106
○副大臣(増田敏男君) 解雇については、その理由、態様等は多様でありますことから、いわゆる整理解雇の四要件や合理的な理由を必要とするという裁判例の考え方を踏まえ、具体的な事情に応じ労使間で十分話し合っていただくべきものと考えており、一律に解雇を規制するような立法措置は適当ではないと考えております。
#107
○井上美代君 私は大臣にお聞きしたんですけれども、そもそも解雇の規制なしにこのリストラの、今の時期、どうしてどんどん失業していくのをそのままにしていられるのですか。リストラで先ほど申し上げましたように大量の失業者が出ているんです。これをただ見ているだけで済ましていこうということなんですか。大臣にお願いいたします。
#108
○国務大臣(坂口力君) 決してリストラで解雇される人たちをそのまま見ているわけではございません。その人たちの問題がありますからこのような法律も出し、いろいろの対策を立てているわけでございます。
 現在の経済状況を見ましたときに、この現在の日本の経済を救いますためにはやはり思い切った措置が必要であり、そのためには、まことに残念なことであり、まことに望まないことではありますけれども、一部に解雇される人あるいは職を失う人が出る可能性があるわけでございます。その人たちに対して私たちは対応をしていかなければならないというので緊急雇用対策の中に雇用の問題も入れ、そして当法案の中にもさまざまな問題をここで御提起しているところでございます。
#109
○井上美代君 では、リストラが進む中で、この転職支援そして再就職支援法案はいわゆるセーフティーネットの役割を果たすとでもおっしゃるのでしょうか。私は全く違うと思います。
 私は、ある人事・労務専門弁護士の著書、「原則倒産時代 大リストラの展望」というのを読みました。この中で、再就職支援業、英語で言いますとアウトプレースメントと言うんですけれども、こういうものがあるということが書いてあります。そして、今後これはますます重要になるということが強調されております。これからの人事というのは、実力主義になり、そして格付をされる中で落伍者が出てくる。こういう人間の人件費は企業にとって負担になるだけだから、再就職支援をして再就職への意欲を高め社外に出してしまおう、こういうふうに言っているわけなんです。そうすることで人件費を減らそう、それが恒常的にできるようにしよう、こういうことを言っております。また、人材の含み損の清算をしなければならないとも言っております。国民の労働権を守るという考えとは、これは全く異なるものだと思います。
 つまり、やむを得ないリストラの結果として転職支援をするというのではありません。人件費削減を日常化し、そして恒常化させていくために再就職の支援をしようというのです。再就職がリストラの手段となっているのです。これはつまり、この法案がリストラを進めるための再就職支援に国の財政的援助をする、まさにリストラ支援法ではありませんか。解雇規制をして、労働者の権利がしっかり守られる状況がなければ、そういう方向に行ってしまうわけなんです。この問題については後で触れたいというふうに思います。
 私は、解雇規制がないために、いかに今人権侵害が横行しているかというところに移っていきたいというふうに思います。
 世界的ゲーム機メーカーのセガを取り上げたいと思います。私は、隔離された労働者の皆さんとも会って、いろいろ聞いてきました。
 セガは二年前に退職勧奨に応じない従業員を、見せしめのために本社のビルの一階にある、パソナルームと呼ぶんですけれども、隔離部屋に閉じ込めました。窓はなく、ロッカーと机、そしていすと電話が一台あるだけの部屋に待機させました。週刊誌も現代の座敷牢というふうに報じました。この質問を一九九九年の三月二十三日に労働・社会政策委員会で我が党の市田議員がやりました。そのときの甘利労働大臣は、御指摘の件が事実ならゆゆしき事態だと、こういうふうに答弁をされました。
 ところが、セガはこの四月からまた隔離部屋を復活しました。セガは、六年前から物流部門、そしてソフト開発部門などを次々に十六社に分割しました。そして、十六社の社員は全部で一千八百人に上り、これまでほとんどが出向扱いでした。ところが、昨年十一月末の団体交渉で、突然、この出向社員を全員ことしの四月からまた別の出向先に転籍させると発表しました。この転籍について、セガは、本人同意は必要ないとして、団体交渉直後に、全労働者に対して全員を転籍することになったと通知を一方的に出しました。この通知も私ここに持っております。転籍先の就業規則や賃金規則などの説明も全くありませんでした。転籍に本人同意が必要なことは判例として確立しているものです。
 ところが、労働組合員十四人が、このような違法なやり方は許されないというので転籍不同意書を提出しました。それもここにあります。ところが、それを出したところから今度は、人材調整本部というのがその隔離部屋の名前ですけれども、これを復活させて、四月一日から一切の仕事を取り上げてしまいました。そして、閉じ込められております。今度は窓はあるんですけれども、机といすに電話、そしてパソコン一台があるだけです。
 また、昨年十月に千葉にあるゲーム機器の製造部門のあった矢口事業所を閉鎖し、そして希望退職に応じなかった八人に対して仕事を奪い、やはり隔離部屋で待機を命じました。そして、この四月からは無期限の自宅待機を命じ、さらに賃金の三割カットを通告してきたのです。本当にもうとんでもないことをしていると思います。
 私は、そこでKさんという方に会いました。その人は、やはり同じ人材調整本部と言われる隔離部屋に入れられている一人です。脳性麻痺で障害を持っていますが、二十数年間懸命に働いてきた人です。お客様からの電話相談を受けてアドバイスをしたり、必要とされる部品を幾つもの中からもう即座に取り出すんです。そして、技術相談にも応じ、全国配達業務の責任者として頑張ってきているベテランです。
 この方のお母さんから電話をもらいました。七十七歳の母です。そこには、息子も私も障害者です、息子は一生懸命働いてきて、それなのに今、仕事を取り上げられて、私たちの生活がこの先どうなっていくのか考えると夜も眠れなくなるのです、どうかこんなひどいことをやめてください、こういうふうに言われました。そして、このKさん自身は、二十三年間働いてきた、ショックです、この先が、将来が不安でたまりませんと、このように話されました。
 ここで大臣にお聞きしたい。退職強要あるいは転籍強要に応じない労働者をこのような隔離部屋に閉じ込めるということを、大臣はどのようにお考えになりますか。
#110
○副大臣(増田敏男君) 委員御指摘の事実が仮にあるとすれば、遺憾なことであると考えます。ただ、御指摘の点については、団体交渉が行われているのであれば、労使が誠実に交渉を行い解決すべきものと考えます。労使の努力によっても解決が困難な場合には、労働委員会制度により解決すべきものと考えます。
#111
○井上美代君 団体交渉と言われますが、両方に言い分があるときには団体交渉ができます。しかしながら、ここでは人権侵害が行われているんです。それを団体交渉でやりなさいと言うのは余りにもひどい態度ではございませんか。大臣、いかがでございましょうか。大臣にお願いしています。大臣です。
#112
○副大臣(増田敏男君) 私が答えたところの関連ですから、それをお答え申し上げます。
 団体交渉によって交渉ができないというような場合には、労使の努力によって解決が困難、こういう形になると思います。労働委員会制度により解決すべきものと考えます。
#113
○井上美代君 大臣に先ほどので答弁をお願いします。
#114
○国務大臣(坂口力君) 今初めてお聞きをすることでございまして、その事実がどういうことであるかということをつまびらかに私は存じておりません。いずれにいたしましても、一度調査をして事実を一遍確認したいと思います。
#115
○井上美代君 私は、やはりこういう人権侵害に対してはぜひ積極的に調査をしてほしいと思うんです。今の大臣の御答弁をぜひ一日も早く実行に移してほしいというふうに思います。
 今、この労働委員会の制度の問題も出ましたけれども、この方たちは労働省にも要請書を出しております。そしてまた、法務省の人権擁護局にも出しております。しかしながら、まだ解決にはもちろん行っておりませんで、またさらに隔離部屋に押し込めるということをやっているわけなんです。申し立てが法務省の人権擁護局にもあっていると思います。また、今回、その千葉の矢口事業所での退職を強要するための自宅待機や賃金カットについても申し立てをしたと聞いておりますので、きちんとした対応をやられているのかどうかということをお聞きしたいと思います。
#116
○政府参考人(吉戒修一君) お答えを申し上げます。
 委員お尋ねの事件は、非常に具体的な事件でございますので、関係者のプライバシーとか私どもの方の守秘義務の問題もございますので余り立ち入った御答弁はできませんけれども、御指摘のとおり、一昨年、平成十一年十一月に、法務省の人権擁護機関におきましてセガの労働者の方から人権侵犯の申し立てを受けておりまして、現在その調査中でございます。
 それから、つい最近のものは公になっておりませんので、申し立てがあったかどうかという点につきましてはちょっと答弁は控えさせていただきたいと思いますけれども、いずれにいたしましても、私どもの方では一般的に人権侵犯の申し立てがございますと、所要の調査をいたしまして、その結果に基づいて適切に対処してまいりたいというふうに考えております。
#117
○井上美代君 今後、やはり先ほどから、午前中の質問も含めて、リストラが進められ、そして失業者がふえるということはもう確実です。こういう中で、それに従わない者が、人権問題が起きて、そして被害を受けるということが出てくるというふうに思いますので、私は法務省の人権擁護局が、やはり長々かかるのではなくて、調査にも早く乗り出してやっていただきたいというふうに思います。
 次に、フォードによるマツダのリストラ問題が今ちょうどマスコミで騒がれておりますけれども、希望退職一千八百人が募集されたわけなんですけれども、これに応募して二千二百十三人の労働者が三月の末で退職をしております。
 話題になっているのは、希望退職が殺到したことなんです。午前十時から受け付けが始まったんですけれども、余りの多さに十時一分で締め切ったんです。この一分の間にその数は二千六百人とも言われていますし、三千人とも言われているんです。一千八百人の募集に対してこれだけ、一分間で来た。中枢の幹部社員もたくさんこの中には応募していた。三十代も目標の三百五十人を上回る五百二十五人に及んでいるわけなんです。広島カープとマツダ自動車は県民、住民の誇りでもあったそうですけれども、下請企業のリストラも相まって地域経済への影響が深刻だと言われております。
 なぜこんなに多くの労働者がマツダに見切りをつけたのかということ、やめざるを得なかったのかということ。その大きな原因となったのは、一つは、リストラ計画に先行してフォードから来たフィールズ社長を先頭に、マツダビジネスリーダー教育と称する、変革か死かというんですけれども、そういう企業危機論が徹底的にたたき込まれたということが言われております。会社の将来への不安が非常に高まったということなんです。
 それにあわせて、もう一つの大きな原因として、私は退職勧奨、そして退職強要の問題を挙げたいと思います。
 希望退職の募集を前に、多数の労働者と面接を会社は行いました。そこでは、退職勧奨、退職強要がやられました。そこに登場するのがある再就職支援会社のつくった「部長(面談者)の心得」というマニュアルです。資料として一部をコピーして皆様方のお手元にお配りしてあると思います。このマニュアルは三十ページほどあります。外資系、アメリカ系の日本DBMという再就職支援会社がつくったものです。日本DBMは再就職の支援会社では最大手で、唯一の上場企業で、マツダとも契約をしてリストラされた労働者の再就職支援をしております。
 退職者目標は部門ごとに割り当てられましたから、面接は部門ごとに部長が行いました。面接は従業員を三つに分類して行われました。皆様、その資料を見ていただきますと書いてありますけれども、@が残留者です、マーキングAというんです、「厳しさを認識させ今後の活躍を期待する。」、その次がマーキングB、本人選択です、「厳しさを認識させ、本人の選択に委ねる。」、そしてBが退職候補者、マーキングCです、「社外での活躍を促す。」と、こういうふうになっているわけです。
 そして、それぞれに対してどのように面接を進めるか、想定問答が書かれております。言うまでもありませんけれども、マーキングC、すなわち企業がやめさせたい労働者への対応は詳しい想定問答となっておりまして、このマーキングCに対する対応は二つに分かれております。つまり、希望退職に応じた場合と応じない場合です。応じない場合の最後はこうなっているんです。一部資料にもあります。「できれば、今日から○○日後には、ご意見を再度お聞きしたいと思います。貴方のキャリアの活かし方を、真剣にお考え下さい。ご相談があればいつでも来て下さい。」と、こういうふうに言っております。また、できればまた会いたいというように、「できれば」と、こういうように書いているのが実に巧妙なところだと思います。マツダもこのマニュアルの存在を認めておりまして、退職を強要しないためのマニュアルだと、こういうふうに言い逃れをしております。
 しかし、退職勧奨の面接を繰り返し、社外転出をした方が長い目で見ればあなたのためになるなどということを言いながら、退職強要に当たっておりますけれども、これは全く私は違法であるというふうに思います。実際、やめないと言ったら、また来週面談するというふうに言われるわけですね。だからまた呼ばれるわけなんです。そのようにしてやっているわけですね。
 こういった退職勧奨とともに、もう一つ希望退職が殺到した大きな要因となっているのは、面接の中でマーキングCの希望退職に応じない者に退職勧奨をする際に、再就職の支援会社を紹介して再就職を全面的に支援すると言っていることなんですね。
 次のようなくだりがあります。
 「再就職については色々不安もあるかと思いますが、日本DBMは、貴方ができるだけ早く、精神的に安定した状態で、遣り甲斐のある仕事を得られるよう、貴方の立場に立ち、貴方のキャリアを活かせるよう、専門的なカウンセリングをしながら求職活動開始から就職先の決定まで支援してくれます。是非日本DBMのキャリア相談を受けられることをお勧めします。」と、こういうふうに書いているんです。つまり、再就職支援が退職勧奨の手段になっているということを私はこの法律との関係で申し上げたいわけです。こんなところにいてもあなたのためにならないよ、次の職が見つかるまでお手伝いをするから退職してしまいなさいと、こういうふうに言っているわけなんです。
 この再就職支援会社が近年急増しているわけなんですけれども、私は一昨年の年末に再就職の支援協会という業界団体もできたということを聞いております。特に、職業安定法の改正で、民営の職業紹介事業の対象となる職種が非常に広がっている、そして急速にこういう事業がふえているということなんですね。
 そこで、私はこれらの民間の職業紹介事業所数の推移というのを知りたいんですけれども、それを教えてください。
#118
○政府参考人(澤田陽太郎君) 平成十一年十二月から改正職業安定法が施行になりまして、それ以降本年の四月当初までの間で有料職業紹介事業の新規許可件数を見ますと、千三百七十二件、前年同期比で一二四・五%増と、倍増いたしております。本年四月末現在のトータルとしての有料職業紹介事業所数は五千九件というふうになっております。
#119
○井上美代君 やはり大変な急増ぶりだというふうに思います。
 ところで、この日本DBMのホームページを見ますと、これらの再就職支援会社のねらいが書かれております。大変わかりやすく書いているんですけれども、「従来の「リストラ」は割増退職金などを主軸に実施されていますが、社会環境の変化により、割増退職金とアウトプレースメントを」、いわゆる再就職支援ですね、これを「ワンパッケージにした雇用調整が新たな手法として注目を集めています。」と、こういうふうに書いてあるんです。
 この内容はこのマニュアルと符合します。つまり、退職勧奨の手段として再就職の支援を位置づけているわけなんです。当然退職させて再就職をあっせんすればもうそれだけで手数料そしてカウンセリング料などの収入が入るわけなんです。営利企業ですから、できるだけたくさん退職させることを事業としても進めていくということです。
 ここでもう一つ私が心配していることがあります。それは、誇大広告などをする悪質な業者が出てくるおそれがあるということです。ある雑誌なんですけれども、この業界について特集をしております。その中には、半年後の再就職実績は八〇%と聞いていたが全然違っていたという、そういう記事が載っています。実は先ほどのセガでも再就職支援会社が数社乗り出していて、やはり成功率八割をうたい文句にしているそうなんです。だからセガも頼んでいたようです。しかし、こういった数字については検証する方法もありません。営利企業の宣伝の自由に任されております。そして、だからこそ問題があるわけです。人の一生を左右する職業選択の問題です。だからこそ職安など公的機関があるわけです。
 こういった再就職支援会社の誇大広告などは、どうやって行政としては規制をし、指導をしていくのか。ガイドラインなどで誇大広告などを禁止するようにきちんと明示すべきだというふうに思っておりますが、この点はいかがでしょうか。
#120
○政府参考人(澤田陽太郎君) 再就職支援会社という名称で言われているものはいろいろございますが、そういう中でも教育訓練とか相談、助言等の業務のほかに職業紹介を行うということを事業として行っていれば、それは職業安定法上の職業紹介事業に該当いたしますので、職業安定法に基づきまして、そうした職業紹介事業の適正な事業運営を図っていく上で必要があれば指導等をするということになります。
 誇大広告の点でございますが、仮に職業紹介事業者について広告に関する基準をつくるということでその基準がもしできたとしても、ではその基準に反した結果をもたらしているかどうかということをチェックしないと誇大広告かどうかということになりません。それは先生今御指摘のとおりであります。したがいまして、結局、基準があったとしても実際に誇大広告かどうかは事後に個別に判断しなければならないということになりますので、一般的に基準をつくっても、それは意味がないということになるんではないかと考えております。
#121
○井上美代君 どうしてそういう無責任なことを言われるのかわかりません。行政が指導をするときだって決まりがあって指導ができるんでしょう。しかしながら、今のような答弁では、私は今誇大広告の問題を申し上げましたけれども、一つ一つこれは相当の問題があるんですよ。時間も限られておりますから触れられないですけれども、私は、ルールなしに判断もできないし、指導もできないと思うんです。だから、きちんとしたやはりルールをつくるということが大事なんだと思うんです。それは、こうした民間のいろんな事業者がふえているわけなんですけれども、職業安定法の改正で出てきたこの仕事の紹介という、そういう紹介と、そして私が先ほどから言っておりますDBMのやり方、リストラを手伝うというそういう事業、立ち入って三つにクラスを分けて、そしてリストラする人にどんどん勧奨していくという、そういうこともやられているわけでしょう。これだってルールをつくらなければ、指導もできなければ規制もできないし、チェックも評価も何もできないと思うんです。だから、そういう意味で私は今の誇大広告の問題についても、やはり指導をしようと思えば、きちんとルールを決めて、それを明示していくというところから始まると思うんです。そういう点について、大臣、いかがでしょうか。
#122
○政府参考人(澤田陽太郎君) 先ほどのお答えを補足いたしますと、例えば委員御指摘のように再就職成功率八割という広告を打ったといたします。広告基準として誇大広告であるともし仮に基準化したとした場合に、では事後にチェックをして結果八割であったら、それは誇大広告にならなくて事実やったということになるわけです。そういうことを私は先ほど申し上げた次第でございます。
 それから、本件の御質問についてのお答えでございますが、有料職業紹介事業者、職業安定法上の事業者であれば、職業安定法及びそれに基づく指針に基づいて私どもは必要な場合には適正な指導をする仕組みになっております。
 それから、具体的な日本DBMの件でございますが、これにつきましては、先ほど申しましたように、相談、助言に加えて職業紹介をしているかどうかというところは本日お聞きしている限りではよくわかりませんので、そういうところをはっきりさせる必要があろうかと思っています。そして、職業紹介事業に該当するあるいは職業紹介事業になろうとしているということであれば、法に基づいた申し上げたような対応をとることは当然のことであります。
#123
○井上美代君 先ほどこの禁止の問題で言われたんですけれども、誇大広告をして実際に仕事を紹介してもらえなかったとか、いろいろ不満が出てくると思うんですよね。それは声になって反映されると思うんです。そのときに、やはり基準を持ちながらそこを調査し、そしてそういう事実があるとすればきちんと禁止をさせていくという、そういうことをするべきだと。何もないところからやるということを私は言っているのではありません。
 そしてもう一つはDBMの問題ですけれども、はっきりさせる必要があるということを言われましたけれども、はっきりさせるというのは具体的にはどういうことをやられるんですか。
#124
○政府参考人(澤田陽太郎君) 現在のところはマツダという企業とDBMの契約で多分やっておられると思います。そうしたDBMのアウトプレースメント会社としての事業に対してマツダに働く労働者の方々が疑問があるということであれば、私どもは地方労働局におきまして個別紛争解決援助制度というものがございますので、そちらの方にお話があるかもしれませんし、あるいはマツダ、企業の方からも私どもの方に何らかの接触があるかもしれません。
#125
○井上美代君 私は非常に重要な時期に今あると思うんですね。このような法律を出してきておられるのと現状とがかみ合っていないわけなんです。だから、そういう点ではこういう業者がいるということについては徹底して調べてほしい、そして今言われましたようにはっきりさせてほしい、そういうふうに思いますので、今言われたことを本当に一日も早く実施に移してくださることを私は約束させていただきます。ぜひ早く実施に移してください。
 それで、一昨年施行されました改正職安法ですけれども、ここで職業紹介の事業が民間企業にも開放されたわけです。こういった企業が急増しているということは今紹介いただいたとおりなんですけれども、その改正の審議の中で関係者や専門家からも今回のような問題が起こる可能性が警告されておりました。日本労働弁護団も「職安法改正に関する声明」の中でそのことを言っております。今回の改正で誇大広告、おとり広告、おとり募集、こういうものに関する規制が皆無、こういうふうになっているのは問題だと、こういうふうに声明の中で言っておられます。
 本来、人権にかかわる職業紹介という業務は公的機関が担うべきだと考えますけれども、大臣、いかがでしょうか。公的機関が担うべきではないかと思っております。
#126
○政府参考人(澤田陽太郎君) 職業紹介に関しましては、ILO条約におきましても、国の職業紹介と民間が行う職業紹介が相補ってトータルとしての労働市場の需給調整機能を高め、機能するようにという精神が貫かれておりまして、先般の職業安定法改正もこうした精神に基づいてやったものであります。
#127
○井上美代君 大臣、私はいろいろ調べたものを述べさせてもらいましたけれども、大臣の見解をお聞きしたいと思います。特に私は、この解雇規制法に、やはり今判例になっております解雇四要件について法律にしていかなければいけないということを強く思っておりますけれども、大臣の見解を述べてください。
#128
○国務大臣(坂口力君) ただいまのDBMでございましたか、ここを中心にしてのお話をお伺いいたしておりまして、この件につきましても私きょう初めてお聞きするわけで、ここはどういう業務内容をしているのかということはこれは調べればわかる話でございますから、局長が先ほど申しましたとおり、現場の状況を把握すればこれは明らかになることであり、それに対して十分にひとつ指導監督をしていかなければならないというふうに思っております。
#129
○井上美代君 私はもう時間の限られるところでほんの少しの例を挙げましたけれども、今労働者は泣いております。生活ができないだけではありません。やはり私は、外国でもそうですけれども、一人の労働者の後ろには子供がおります、そして妻がいます、おばあちゃん、おじいちゃん、家族がいます。私は、私が挙げました業者たちのこの冷たいやり方は、全くそこには家族など考えてはいない仕打ちです。このようなところに労働者たちが追い詰められているということを考えるときに、私はこの法律を黙って通すわけにはいかないんじゃないだろうかというふうに思っております。
 今までの審議の中でも、このリストラと再就職支援を一本化して進める、そして今回の法改正の内容というのもかなり明らかにはなってきたんですけれども、私は解雇規制法による雇用の安定、サービス残業の根絶による雇用の拡大がない限り、国民の生活の向上、そして景気の回復を進めていくということはできないと思います。労働者がもう少し生活の上でも温められることによって、そして国民生活の向上と景気回復にそれでこそつながっていく、もうそれが私は唯一の道だというふうに考えております。したがって、今回の法案については私は絶対に反対でございます。
 以上述べまして、質問を終わります。
#130
○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 二月の完全失業率は四・七%と引き続き大変厳しいと。さらに、政府の緊急経済対策では不良債権処理をやるんだということですから、さらに大量のリストラが行われる危険がある。雇用危機というのは一層深刻化するのではないかと危惧されるわけであります。こうした雇用の危機に対応するための雇用対策法の改正ということであります。
 ただ、大きな問題点、今、井上議員が指摘をされましたけれども、果たしてこの雇用の危機に対応するものになっているのかということについて、若干細かいことに踏み込んでお聞きをしたいというふうに思います。
 まず、この法律の二十四条で言う「離職を余儀なくされる」者、これは一体どういうことを指すんでしょうか。
#131
○政府参考人(澤田陽太郎君) 「離職を余儀なくされる」という定義のお話だろうと思いますが、事業規模の縮小等に伴いやむを得ず離職をしたこと、別の言い方をいたしますと事業主との雇用関係の終了が事業規模の縮小等により労働者の意に反して行われるものであることが客観的に明らかである場合というふうに考えております。
 そうした場合に、一見自分の都合で退職したように見える場合が問題になるわけでありますが、自己都合のように見えても実際は事業主から勧奨があったというようなことが客観的に明らかな場合には「離職を余儀なくされる」という範疇に入るものと考えております。
#132
○小池晃君 その離職を余儀なくされる個々の労働者に対して、再就職を希望するんですかどうなんですかということをやはり個々に聞いていくべきではないかと思うんですが、いかがでしょう。
#133
○政府参考人(澤田陽太郎君) 再就職援助計画に書くべき事項につきましては、今後、労働政策審議会で議論していきますが、計画中のかなりの重要な事項としては再就職援助措置の内容がどうであるかということが大きなことになると思いますが、そうした再就職援助措置の内容については、対象労働者がどういう希望を持っているかということが反映されることが必要だろうというふうに考えております。
 したがいまして、援助計画において、事業主の方が対象労働者から計画に書いている再就職援助措置についてあなたは希望をしますかしませんかという確認は考え得るんではないかというふうに現段階では思っております。
#134
○小池晃君 労働者とその問題について事前に協議して、再就職するかどうかについて個別の希望を聞くと、現段階ではそう考えているんだと。当然、希望をしない、私はもう再就職援助計画は希望しないという労働者に、いや、だめだ、再就職援助計画を強要すると、こんなことがあってはならないと思うんですが、いかがですか。
#135
○政府参考人(澤田陽太郎君) 再就職援助を希望しない労働者に対して援助を強要するということは、なされるべきではないと考えております。
#136
○小池晃君 結果としてその労働者が再就職を希望しない、かつその人が不当解雇だ、整理解雇は不当だというふうに訴えている場合、争っている場合、これは当然、労使間の協議にゆだねられていくということになると思うんですが、いかがですか。
#137
○政府参考人(澤田陽太郎君) 労働者自身が再就職援助計画の対象者になることそのものに異を唱えて争っているということであれば、それはまずは労使間で話し合っていただいて自主的に処理することが第一義的に大事だろうと思っております。
#138
○小池晃君 その場合ですけれども、その場合というのは労使間の協議ということですから、当然これは整理解雇四原則などの過去の判例法理に従って処理されていくべきものであるということでよろしいですか。
#139
○政府参考人(澤田陽太郎君) 整理解雇に当たるかどうかという、そこの問題も含めて最終的には裁判で解決することになると思いますが、それはまさに最終的な姿でありまして、その前にいわゆる整理解雇四要件につきましては既に確立した判例法理として労使の間に周知、定着しているものと承知しております。
#140
○小池晃君 さらにお聞きをしていきたいと思うんです。
 再就職援助計画の記載事項として現段階でどのようなものを考えておられますか。
#141
○政府参考人(澤田陽太郎君) 今後、労働政策審議会で関係労使公益委員の御意見を踏まえて決まることになりますが、現段階で事務当局として考えておりますことは、まずはそうした再就職援助計画作成に至った経緯を書いていただきます。そして、再就職援助の対象となる労働者が確定されなければなりませんので、対象労働者の氏名、そして対象労働者がいつ離職するか、そしてそうした方々に対する離職前の再就職援助措置がどういうものなのか等々、もう一つ、それから計画作成そのものについての労働組合の意見聴取が当然入りますけれども、こうしたことは根幹的な事項であろうと考えております。
#142
○小池晃君 そこで、法の第二十四条の第四項でこうあるんですね、「公共職業安定所長は、前項の認定の申請があつた場合において、その再就職援助計画で定める措置の内容が再就職の促進を図る上で適当でないと認めるときは、当該事業主に対して、その変更を求めることができる。」と。
 この変更命令でありますけれども、ここで言う公共職業安定所の所長が変更を求めることができる内容というのは、再就職援助計画で言うとどの部分になるんでしょうか。
#143
○政府参考人(澤田陽太郎君) 援助計画の中に書かれるであろう再就職援助のための事業主が講ずる措置、それが変更を求める対象になります。
#144
○小池晃君 ということは、計画作成に至る経緯などの部分というのは、これは変更を求める対象ではないと。
 さらに、法の二十四条の第二項で、再就職援助計画を作成するに当たって労働組合の意見を聞かなければならないというふうにしているわけでありますけれども、ここで言うその労働組合の意見を聞かなければならないという意見は、これは再就職援助計画全体を対象とするものと理解してよろしいんでしょうか。
#145
○政府参考人(澤田陽太郎君) はい、そのように考えております。
#146
○小池晃君 ということは、ここで言う再就職援助計画の全体ということは、再就職援助計画作成に至る経緯、すなわちリストラが行われた経緯の是非あるいは余儀なき離職に至った経緯の是非、こういう部分も含めて全体をその労働組合の意見を聞かなければならないというふうに理解してよろしいということですね。
#147
○政府参考人(澤田陽太郎君) 再就職援助計画の記載事項が確定しますれば、その確定した記載事項について事業主の方から労働組合、労働者代表等に意見を聞くという仕組みになるのは、いわば当然であります。
#148
○小池晃君 ですから、今私が申し上げたような事項も含めて、それは労働組合の意見を聞く対象ですねということを確認したいんですけれども、確認していただけますか。
#149
○政府参考人(澤田陽太郎君) はい、対象であります。
#150
○小池晃君 それで、再就職援助が行われると。いろんな教育なりが行われた、結果としてその人が終わったけれども再就職できなかったと。こういう場合のこの労働者というのは一体どういうことになるんでしょうか、どういう扱いになっていくんでしょうか。
#151
○政府参考人(澤田陽太郎君) 残念ながら、事業主の支援措置あるいは国の支援措置等で再就職できなかったという方が出た場合には、第一点は、今回の改正雇用保険法に基づきまして、求職者給付について自発的離職者と非自発的離職者に分けて、非自発的離職者については手厚くいたしましたが、その非自発的離職者という範疇で所要の給付を受けるということが一点であります。そしてあとは、公共職業安定所におきまして、求職者という形で職業相談、情報提供、紹介あるいは大量に発生する場合の特別の求人開拓等々を行うことになります。
#152
○小池晃君 結局、雇用保険は手厚い給付をされるんだということなわけですけれども、私、これはやっぱり、再就職が結果としてできなければ、これは原職に復帰させるようにするのが筋じゃないかと。そうでなきゃ結局この法律というのは、再就職促進法というふうに言われていますけれども、実は整理解雇リストラ促進法ということになってしまうじゃないかという危惧がぬぐえないわけであります。
 さらに、ちょっとお聞きしたいんですけれども、この法案の中で目玉とされているのが採用、募集における年齢制限の緩和であります。しかし、これは果たして実効性はあるんだろうかという指摘がされている。これは指針を何かつくるというお話なんですが、その指針で今検討されていることは、求人の場合に、職務に必要な能力を具体的に書くんだということが言われている。それから、年齢制限をつけることがやむを得ないものを例示するということが検討されているようでありますけれども、結局こういうことであると、その職務に必要な能力がないという口実で中高年の雇用が拒否されかねないという指摘がされているわけです。私、これは実効性を伴うものとするための具体的な措置が必要ではないかと考えるんですが、いかがでしょうか。
#153
○政府参考人(澤田陽太郎君) これまでの議論でも再三出てまいりますが、労働力需給のミスマッチの中で年齢、能力のミスマッチが大きいということで、特に能力のミスマッチの問題について言えば、雇う方も就職を希望する方も、それぞれの求める能力、提供する能力を明確にすることがミスマッチ解消の大前提であると、こう考えております。
 そうした意味で、中高年齢者の年齢ミスマッチを解消する上でも、求人の方にこの仕事はどういう能力を必要とするかということを書いてもらうことが能力ミスマッチの解消を媒介にして年齢ミスマッチの解消につながると、こういうふうに私ども考えておりますので、委員御指摘のように、そればかりではないという、いわばマイナスの影響が全くないとは申しませんが、そうした考え方を求人者、求職者両方に広めていくことが基本的には大事だろうと、こう思っております。
#154
○小池晃君 結局、新たな考え方でそれを示すんだと、そういう程度のお話だと思うんですけれども、実効性を伴う措置というのは具体的には余りないということになるわけです。結局、法律そのものに立ち返ってみても、これは年齢制限禁止じゃないわけで、制限の緩和であります。しかも、それは努力規定だということにすぎないわけでありまして、やはり本当にこれが中高年の雇用危機を打開するものになるのかどうかという点では、私、甚だ疑問を持っているわけです。
 さらに、引き続きちょっと別の問題について議論をしたいと思うんですが、雇用をどうやってふやしていくかという問題であります。
 政府は四月六日に緊急経済対策を発表いたしましたけれども、この緊急経済対策の中で、新たな雇用を創出するということについて、一体どのような対策を厚生労働省としてうたっていらっしゃいますでしょうか。
#155
○政府参考人(澤田陽太郎君) 今回の緊急経済対策では、新たな雇用創出という観点では、長期的な経済活力を引き出す規制・制度改革等への取り組みというのがあります。
 厚生労働分野では、具体的には保育分野におきまして、公立保育所の業務の委託先を社会福祉法人以外の民間事業者とすることが既に可能である旨の周知徹底を図ることとか、介護分野におきまして特別養護老人ホームと同様の要介護者に対応できるようなケアハウスについて、一定の要件を満たす民間企業等が都道府県知事の許可を受けて運営可能となるよう検討を進めることということが盛り込まれております。
#156
○小池晃君 今のが一体どうして雇用創出なのか、私全然理解できないです。だって、厚生労働省の雇用創出の項目で言っているのは、一つは医療のIT化です。それから今おっしゃった介護、保育の民間委託だと。
 医療のIT化というのは、これは人減らしですよ。結局一時的には人減らしになっちゃうんです。それからさらに、介護も保育も民間委託だと。これは、公的サービスから民間委託していけば実態としてどうなっているかといえば、介護現場でも常勤職員がどんどん首切られて、そしてパートにどんどんかわっているんです。だから、この雇用対策というのは本当に私は見てあきれてしまった。一体何でこれが雇用対策かと、雇用創出じゃなくて、これは逆に雇用減らしだというふうに言わざるを得ないような中身、そんなものしか出ていないわけです。
 私、本気で雇用創出と言うのであれば、こんな民間委託とIT化なんということじゃなくて、やっぱり本腰を入れて社会保障対策を進める、公共事業から社会保障に予算配分を大きく変えると。これがなければ雇用創出とはとても言えないというふうに思うのであります。
 一方、じゃ具体的に雇用創出ということで、さらにやっていることはどうかということで、ちょっと取り上げたいのが緊急地域雇用特別交付金の問題であります。
 九九年六月の緊急雇用対策で緊急地域雇用特別交付金が創設されております。総額二千億円の基金なんですね。これを地方自治体に交付して、地方自治体が独自の工夫で事業を起こす、雇用創出効果があって、かつ住民に役立つ事業を行うと。これ全国の自治体で活用して失業者の就労事業が行われているわけですけれども、九九年六月の緊急地域雇用特別交付金、この制度をつくった理由を御説明願いたいと思います。
#157
○政府参考人(澤田陽太郎君) 平成十一年六月の緊急雇用対策、図らずも今回と名称が同じでありますが、当時の緊急雇用対策は、やはり当時として厳しい雇用失業情勢があったということが背景であります。そうした中で、地方公共団体が地域の実情に即して創意工夫に基づく事業を実施すると。その場合に、ポイントは臨時的な雇用就業機会を図るということが目的でございました。したがいまして、平成十三年度末までの臨時応急の措置ということでこの二千億の基金ができた次第であります。
#158
○小池晃君 非常に景気が悪いので、臨時的であったけれどもやったんだと。これは失業者からも住民からも大変歓迎されています。
 京都では二〇〇〇年度に交付金を使って何をやっているかというと、地下鉄の駅の放置自転車の防止啓発事業というのをやっているんです。一駅に二人から六人配置して、自転車を持ってきてとめようとする人に、近くの駐輪場に置きなさいと案内したりあるいは放置された自転車にチラシを配ったりする。これをやって、それまでは歩道に自転車がいっぱい散らかっていたのが歩けるようになったということで、住民からも大変好評だと。ところが、事業期間が終わったらもとどおりになってしまったというんですね。これは引き続きやってほしいという要望があって、二〇〇一年度は対象となる駅をふやす、一日当たり七十二人新たな仕事がふえると。これは大体高齢者が応募してきているんです。ある委託先では、十六人の募集に五十人以上が応募した。その半分は六十歳代だったそうです。
 この緊急地域雇用特別交付金、金額が少ないとか期間限定が六カ月だとかいろいろ問題点はあるんですけれども、でも全国で二〇〇〇年度までに二十三万人が就労の見込みだと。地方自治体がさまざまな工夫をして交付金を使った事業を行って住民にも喜ばれている、失業者の臨時的なつなぎ就労という点でも一定の役割を果たしているんじゃないかと思うんですが、この評価、いかがでしょうか。
#159
○政府参考人(澤田陽太郎君) この二千億基金は、十三年度末までに三十万人の臨時的な雇用就業機会をふやすという目標でございます。今、小池委員おっしゃるように、二十数万人、十二年度で見込まれますので、そうした意味では着実に取り組みが進められていると私どもも考えております。
#160
○小池晃君 ところで、九九年六月の緊急雇用対策というのはこれだけじゃない、いろんな施策があるわけです。四つぐらい雇用の奨励金、交付金があると思うんですが、それぞれの事業の目標と到達をお示し願いたいと思います。
#161
○政府参考人(澤田陽太郎君) 四つございまして、一つが新規・成長分野雇用創出特別奨励金でございます。これは十三年度末までで十五万人を対象にしておりますが、本年二月までで奨励金の支給申請が約二万六千人という状況でございます。二つ目が緊急地域雇用特別交付金、これは先ほど申しましたように三十万人目標に対し十二年度の見込みを合わせて二十三万人。三点目は人材移動特別助成金でございまして、十二年度末までのこれは助成金でありますが、対象者七万人想定のところ、十三年二月現在、支給決定一万一千人。四点目が緊急雇用創出特別奨励金、十三年度末までの対象者二十万人を想定しておりますが、十三年二月現在、支給申請ベースで七千人となっております。
 この四つの奨励金等でございますが、それぞれ性格が違いまして、常用労働者を雇い入れることを目的とするもの、あるいは六カ月以内の短期の雇用就業機会に限り対象にするもの、さらには地域の完全失業率が著しく悪化した場合に限り発動されるものと種々ございますので、目的に応じてこの実績等が出ておりますから、その活用度合いを横に並べて一概に評価はしがたいと、こう思っております。
#162
○小池晃君 いや、でも性格の違いはありますよ。それはありますけれども、でも目標に対する到達という点では、今おっしゃったとおり、四つの中では緊急地域雇用特別交付金がその目標に照らす実績という点でいえばこれはやはり一番目標に近い、一番言ってみれば活用されているということはこれは事実として明らかじゃないかと思うんですが、いかがですか。
#163
○政府参考人(澤田陽太郎君) 六カ月以内の臨時応急の雇用就業機会の創出という目的三十万人に対して二十三万と、これは目的にかなり近づいていると思いますが、四番目に申しました緊急雇用創出特別奨励金、これは例えば失業率が五%を超えたときに発動するという要件でございますので、現在、幸いにも失業率が五%に乗っていないという状況では発動されないので実績が伸びないということで、これは非常にいいことではないかと、こう思っております。
#164
○小池晃君 目標に対して達成していると珍しく褒めているんだから、そのくらい素直に認めてくださいよ。
   〔委員長退席、理事亀谷博昭君着席〕
 なぜこの交付金が活用されているのか、私はこの交付金の性格にやはりポイントがあると思うんです。ほかの補助金というのは、既存の事業、既存の仕事を対象にして、雇用したその事業主にお金が渡されると。それに対してこれは全然違うんですね。これは新たに就労事業を起こした自治体に交付するんだと。だから、ただ単に事業主にお金を渡すんじゃなくて仕事起こしがあるわけですよね。ここがほかの制度と決定的に違うと。雇用のミスマッチが言われているわけです。特にやっぱり中高年に厳しいと。そういう中で、最もそういう厳しい層に合わせた職起こしがやられている、だからこそ私はこれの達成率が高いんじゃないかなというふうに思うんです。
 実際、大阪で私が見てまいりましたのは、西成区の高齢者の特別清掃事業という釜ケ崎地区の事業です。これは釜ケ崎地区、いわゆるあいりん地区の労働者の平均年齢は五十四・四歳、高齢化しているんですね。その上、不況で職がないと。生活道路の清掃事業とか公園の掃除とかペンキ塗りとか、こういう作業で一日五千七百円の賃金だというんです。これは、昨年度二千八百十五人の登録だったのがことしは三千三十人ということで年々ふえている。これ最初は地方の単費事業でやっていたんだけれども、九九年から先ほどの特別交付金、これを使ってNPOに事業委託をすると。規模を拡大しているんですね、一日百二十五人分ふえたと。生活が少し変わったんだという声も上がっています。これだけやってもようやく一人の労働者が月に二、三回しかできないそうであります。それでも非常に歓迎されていると。
 ところが、特別交付金というのは、今まで議論してきましたけれども、実は先ほどから強調されているように来年の三月で終わりだと。これがなくなると一体どうなっちゃうんだという声が上がっているわけです。先ほど局長も、これを始めた理由というのは大変雇用情勢が厳しかったから始めたんだと。その始めたときに比べて雇用情勢がじゃよくなったのか。これは全然よくなっていないわけで、むしろ悪化している。それなのにこの特別交付金事業はこのままでは来年の三月までに終了だと。
 雇用対策を本当に強めるというのであれば、これをやめるなんというのはとんでもない、これはやはりもっと使い勝手をよくして、期間を延長して、金額もふやすべきでないかと、そう思うんですが、いかがですか。
#165
○政府参考人(澤田陽太郎君) 臨時応急の措置としてできたものであります。したがいまして、当初決められた来年三月末までの期間、あと一年弱ございますので、その間にこの制度が当初の目的を十分達するようにその活用を促進していきたいということが現在考えていることであります。
#166
○小池晃君 臨時応急でやったということは百も承知なんですよ。それでも雇用情勢がよくなっていないんだから、それを続けなさいと言っている。いまだ雇用情勢が改善していない、むしろ悪化しているわけです。本当に実効性のある、やはり空手形じゃない、本当に雇用を生み出す力のある雇用対策が今求められているんじゃないか。
 この交付金事業の改善、継続の決議というのが全国の地方自治体で上がっているんですね。例えば、福島県では三月末までに九十の市町村のうち五十三自治体で意見書が採択されている。北海道では二百十二市町村のうち六十一自治体で意見書が採択されています。それから、三月には高知県議会、福島県議会でもこれを継続せよという決議が上がっております。
 今年度いっぱいの制度ということなんだけれども、じゃもうそれは終了したとして、この交付金制度が終了しても、緊急のつなぎの制度として、つなぎの公的就労制度として、別の形でもいいからやはりこういう仕組みの、地方自治体に補助金を出して、そして地方が創意工夫を生かして就労事業を起こすと、こういう仕組みのやはり雇用対策を、これは今のが終わるんだということであれば、別の形でもいいからこれはやはりやるべきでないかと思うんですが、いかがですか。
#167
○政府参考人(澤田陽太郎君) 私どもが基本的に追求し、また期待したいのは、地方におきまして地域の実情に即しつつ安定した雇用就業の機会がふえていくということであります。したがいまして、今回御提案しております雇用対策法等の一部改正法案の中でも、地域法を改正いたしまして、地方自治体主導の形での雇用創出という仕組みをつくって、国もそれに協力をしていくということを提案しているわけであります。したがいまして、本法案を成立させていただきまして、十月一日からその仕組みで本格的な安定した地方におきます雇用就業機会の創出に邁進していきたいと、こう思っております。
#168
○小池晃君 私が言っているのは、雇用情勢は九九年六月にこれを始めたときに比べればむしろ悪化をしているじゃないかと。大臣は衆議院の委員会で何と言ったか。この交付金は緊急のときの当座の手当てだとおっしゃったんですね。
 そういうことでいえば、今はむしろそのときに比べれば緊急性は高まっているんじゃないですか。今こそ緊急のときなんじゃないですか。恒久的な措置をもちろん考えていただくのは結構だけれども、臨時でやったけれども結構成果が上がっている。そういうものであれば、これは今まさに緊急のときで、九九年六月つくったときよりもさらに悪化しているわけですから、これはやはり形を変えてでもこういう就労を起こすと。今もう本当に何でもやらなきゃいけないときじゃないですか。これだけ深刻な雇用不安が広がっている、そんなときに格好をつけていられないでしょう。せっかくこれだけうまくいった制度があるのであれば、これをぜひやるというふうに、大臣、何でできないんですか。どうですか。
#169
○国務大臣(坂口力君) 先ほどから議論が続いておりますように、この制度そのものは応急臨時に行われたものでございます。これは一応期限を切ってスタートしたことでございますから、この制度は制度として、一遍これはその制度で終わらざるを得ないんだろうというふうに思います。
   〔理事亀谷博昭君退席、委員長着席〕
 しかし、これからのこの雇用動向というものを見て、そしてどういう雇用対策がこれから一番適切なのかということを考えてまた新しい何か対策を立てるか、そして過去のものも参考にして考えるか、その辺のところはこれからの検討になるだろうというふうに思います。
#170
○小池晃君 そんなのは何も言っていないのと同じですよ。
 私は、実例でちゃんと検証されている、実際にこれだけやってきているじゃないか、目標に照らしたって結構いい線いっているじゃないかと。だから、これを参考にして、これをモデルにしてさらに続けるということは、何も私、全然理不尽なことじゃないと思いますよ。
 そのことを検討しないのか。一般的にいろいろある中で検討していきたいというのではなくて、やはりこの緊急地域特別交付金、これを参考にしてやはり検討していく必要がある、そのくらいのことは言えないんですか。
#171
○国務大臣(坂口力君) ですから、先ほど精いっぱいのことを申し上げているわけで、この制度そのものはこれは一応終わるわけですから、この制度をこれから継続するということは申し上げるわけにもいきません。
 これから新しい対策が必要ならば必要に応じて練られるわけであります。ですから、過去のいろいろやられたことの中で非常によかったものはそれは参考にしながら新しいものがつくられるでしょうということを申し上げているわけで、それ以上のことは申し上げられませんけれども、しかし、かなりお答えをしているように思いますが。
#172
○小池晃君 私も、本当に本気で雇用対策というのであれば、やっぱりこういう公的就労事業を起こすというやり方をぜひ続けるべきだというふうに考えます。
 最後に、残された時間で職業能力開発促進法の改正の問題について何点かお聞きをしたい。
 これは法の基本理念が変わるわけですね。「この法律の規定による職業能力の開発及び向上の促進は、」「経済的環境の変化による業務の内容の変化に対する労働者の適応性を増大させ、及び円滑な再就職に資するよう、労働者の職業生活設計に配慮しつつ行われることを基本理念とする」と。これは、本来、職業能力の開発というのは、これはもう転職しようがしまいが個々の労働者にとって大変大切なものだと。私は、労働者の適応性を増大させ円滑な再就職のために行うということでは、職業能力開発の基本理念がゆがむことになるんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
#173
○政府参考人(酒井英幸君) 今回の改正の第三条にその基本理念を書いておるわけでございまして、先生今お読みになりましたような規定でございますが、今回の改正の基本理念に関しましては、労働者のさまざまな変化によります業務内容の変化に対する労働者の適応性を増大させるということが一つありまして、及び転職に当たっての円滑な再就職に資するよう、この理念、この二つでございまして、しかもそれを労働者の職業生活設計に配慮しつつ行うと、こういうようなことでございます。
 でございますので、基本的に労働者の雇用が安定してまいりますための職業能力開発の重要性ということにつきましては従来どおり堅持しておるところでございまして、それは転職を予定しておられる方であろうとなかろうと、そのようなスタンスであるわけでございます。ただ、今も申し上げましたように、転職をするというようなことがあった場合にも円滑な再就職ができるように、そういうような側面を今回加えて、労働者の立場をより一層職業能力というサイドから強化しようと、そういうような基本理念の改正であるところでございます。
#174
○小池晃君 そうはいっても、その基本理念の第三条は変わったんですよね。これは事実であります。
 さらには、中央職業能力開発審議会がまとめた「今後の職業能力開発施策の在り方について」というのを読むと、こう書いてあるんですね。
 「最近、企業内において、」「長期の明確なキャリア・パスを描きにくくなるとともに、短期の即戦力志向が高まり、全体として長期的視点からの人材育成に対する取組が弱まりつつある。」、「もはや、企業に長期的視点からの人材投資を期待するだけでは、十分な能力開発の機会を確保することは困難である。」と。
 要するに、企業は長期的視点からの人材育成というのはもうできないんだ、できなくなってきているんだと。それなのに何で労働者には長期にわたる職業生活設計ができると。私はちょっとこれはおかしいんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
#175
○政府参考人(酒井英幸君) 先生お読みいただきました、大変ありがとうございます、建議の中に確かにそのように前段に書いてあるわけでございますが、であるから、少し後の方に、したがって今後は企業と労働者がそれぞれの取り組みによる能力開発を自発的な形で進めていくべし、そういうことによって全体として職業能力開発を推進することが必要であると、こうも言っておるところでございまして、確かに企業がいろんな競争の中で即戦力志向といったような企業戦略もこれはいや応なく出てきている状況の中で、人材育成戦略が描きがたくなってきている。
 そういうことでございますので、むしろ、企業主導の職業能力開発に頼るだけでなくて、労働者自身が職業生活の節目節目におきまして自発的にみずからの職業生活設計に基づいて能力開発をやっていくということが重要であるというのが建議の趣旨でもあり、またそれを踏まえた今回の改正であるわけでございます。もちろん、先生御懸念のように労働者だけに任せるわけではございませんで、これは国、都道府県あるいは事業主がこれを当然支援していかなければなりませんし、また事業主の追加的に今回盛り込みますところの自発的な職業能力開発ということにつきましては、事業主の負う責務、そういうことを支援していくのは事業主の責務ということもここに書きまして、事業主の責務につきましては厚生労働大臣がまた指針を示すといったようなこと、その他いろんなこの法律に基づきます私どもの能力開発のための国あるいは事業主が行う体制整備のための、キャリア形成支援のための体制整備ということにも取り組んでいこうと。
 そんなことで、ぜひともこの自発的な職業能力開発ということを積極的に推進させていきたいと実は思っているところでございます。
#176
○小池晃君 だから、今おっしゃった趣旨そのものが大変私は問題だと思うんですよ。
 要するにおっしゃりたいことというのは、結局雇用が流動化していくんだ、だから企業というのは長期的な職業能力開発というのはもうしないしできないんだ、やはり労働者の自己責任で労働者みずからが職業生活設計をせよ、キャリアアップをしていく、そういう努力を労働者はしなさいねということなわけですから、やはりこれは、この法律一つとってみても、結局今回の雇用対策法等の改正全体像の本質というのは、企業の責任というのは免罪してリストラを促進していくということになっているんだというふうに、まさに今おっしゃった趣旨はそういうことだと思うんですよ、私は。そのことをちょっと指摘しておきたいと思うんです。
 それから、教育訓練給付制度がありますけれども、これは一九九九年三月から二〇〇〇年十二月まで、この累計が三十七万人受講して三百五十六億円が支給されております。これは、資格取得とか再就職に、実際にこういう教育訓練を受けて実際どれだけ役立っているかということについて追跡調査みたいなのはなさっているんでしょうか。
#177
○政府参考人(澤田陽太郎君) 昨年、雇用保険制度を見直す際の関係審議会からの報告がございまして、その中で「教育訓練給付が真に再就職促進等に資するものとなるよう、」「指定された講座に係る再就職促進等の効果の検証に努めるべき」と、こう報告をいただいております。したがいまして、私ども、その効果の測定についてどういう形の検証が可能か、検討を進めてまいりたいと思っております。
#178
○小池晃君 私が聞いたのは、そういう追跡調査をしているかということなんです。していないということなんですね。
#179
○政府参考人(澤田陽太郎君) 制度発足後、しておりませんので、審議会の報告に沿ってこれからしていきたいと思っております。
#180
○小池晃君 私は、この点でも本気で労働者の能力開発を効果的に進めようという気があるのであればやはり当然調査が必要だと。審議会から指摘されているということで、やるということですので、これはぜひやっていただきたいと思いますけれども、直ちに実施をすべきだというふうに申し上げたいと思います。
 全体として見ると、今回の法案ですけれども、緊急経済対策の中身を見ても、本当に雇用の創出に資するような中身は全然出されていないと。一方で、今度の雇用対策法というのは、まさに雇用の流動化という実態に合わせて、再就職支援という名前だけれども結局はリストラを進めていくような中身であるし、能力開発についても、長期的な企業の職業能力開発という責任を投げ捨てて、労働者個人にキャリアアップの責任を押しつけるというような中身になっているということを指摘せざるを得ません。
 全体としては非常に重大な中身を持っている、今後の労働行政に大変大きな影響を与える法案であるにもかかわらず、お聞きしているところでは、きょうのこの審議が終わった段階で採決をするというようなことも言われているようであります。大変憤りを持っております。これは徹底的にやはり審議をすべき内容の法案であるし、そういう意味では本日の採決なるものに断固抗議をして、私の質問を終わりたいと思います。
#181
○大脇雅子君 私は、雇用対策法等の改正につきまして、まず最初に法案の中核的な問題について確認を求めたいと思います。
 本改正法案には、募集、採用時に年齢にかかわりなく均等な機会を与えるよう努めるという事業主の努力義務が規定されています。不当な年齢差別で雇用そのものや労働条件等の権利を侵害される労働者に対する保護に一歩を踏み出したこの規定の意義は高く評価したいと思います。
 そして、この雇用対策法第七条は、その募集、採用の対象について何ら限定していないということから、フルタイムの中高年労働者だけではなく、例えば派遣労働の形態で働く女性労働者も三十五歳の壁があり、女性パート労働者も四十代、五十代では非常に厳しいという状況が指摘されていることから、このような労働者に対する差別の禁止もぜひ含めた施策を積極的に進めるべきだと考えるが、どうでしょうか。
#182
○国務大臣(坂口力君) 本法案中の、事業主は労働者の募集、採用について年齢にかかわりなく均等な機会を与えるよう努める旨の規定がございますが、これは特定の性や年齢あるいは雇用就業形態の労働者に限って対象とするものではないことは御指摘のとおりでございます。
 なお、派遣労働者につきましては、派遣元が派遣労働者を募集し採用する場合、この規定の対象となるほか、労働者派遣につきましては、合理的な理由がなく年齢による差別的派遣や受け入れ拒否等を行うことは不適当である旨を労働者派遣法に係る指針、通達において明らかにしているところでございます。
 厚生労働省といたしましては、この規定について実効を上げるために、事業主が適切に対処するために必要な指針を定めるとともに、公共職業安定所が中心になって行う求人年齢制限の緩和の指導を一層積極的に行う所存であります。加えて、派遣労働者につきましては、引き続き派遣元及び派遣先に対する指導の徹底を図ってまいります。
 なお、年齢差別を法律で禁止することにつきましては、我が国の雇用慣行にもかかわる大きな問題でありますことから、社会全体の合意を形成しつつ検討を進めていくべき問題であると考えております。雇用全般のあり方につきまして、国民各層の参加を得て有識者会議を開催し、幅広く議論をしていただくこととしているところでございます。
#183
○大脇雅子君 次は、再就職援助計画と労働契約の解除についてお尋ねいたします。
 本改正法案は、事業規模の縮小に伴い離職を余儀なくされる労働者の失業なき労働移動を確保するために再就職援助計画策定に関する規定を設けましたが、事業主でこの再就職援助計画を所定の手続にのっとり労働組合等の意見聴取の過程で同意を得て策定したからといって、当該計画の対象労働者に対する事業規模の縮小等を理由とした解雇を法的に有効にするものではなく、これら労働者は解雇の法的効力を争い得ると解してよいかどうか、御答弁願います。
#184
○国務大臣(坂口力君) 御指摘のとおりと理解をいたしております。
#185
○大脇雅子君 長引く不況のもとで雇用創出の実効性を確保し、非自発的離職を余儀なくされている労働者の失業なき労働移動を図るということが緊急な課題として本法案の改正に至ったという経過があると思われます。
 今回発動されました緊急経済対策、これは景気回復と労働者の雇用確保のための施策として有効かどうかということについて、労働省の見通しをお尋ねいたします。
#186
○副大臣(増田敏男君) 今般の緊急経済対策は、我が国にとって喫緊の課題である構造問題を取り上げ、その根本的な解決に取り組もうとするものであります。対策に盛り込まれた施策の着実な実行を通じて、日本経済の構造調整が一層進展し、今後の経済成長の礎を築くことができると考えているところであります。
 不良債権のオフバランス化への取り組みは、企業の不採算部門の縮小、整理などを伴う場合も多く、雇用面への影響も考えられることから、緊急経済対策には雇用面のセーフティーネット整備のための対策も盛り込んだところであります。
 今回措置されました施策を十分に活用して、雇用面への影響を最小限にしてまいりたいと考えております。
#187
○大脇雅子君 銀行業界の不良債権処理によって、とりわけ破綻懸念と判定された中小零細企業の倒産が増加することが予想されます。倒産防止、さらには各産業ごとの経営振興策、これはどのようにされているのでしょうか。そして、そのセーフティーネットというのはどのようなものであり、雇用確保に効果はあるのでしょうか。さまざまな起業のための施策、製造業等活性化のための措置等、いかがなものがございますでしょうか。経済産業省の参考人にお尋ねをしたいと思います。
#188
○政府参考人(中村利雄君) 金融機関の有する不良債権の中で中小企業向け債権が占める割合とか、あるいは破綻懸念先以下の中小企業向け債権等の内訳につきまして、金融機関を所管しています金融庁からもまだ特段の情報を示されておりませんので、当省として正確な数字を申し上げることはできませんけれども、民間銀行の中小企業向け貸出金は貸出金全体の約五割を占めておりまして、大変大きなウエートでございます。こういうような観点から、不良債権のオフバランス化の促進に伴いまして、中小企業が直接または間接に相当な影響を受ける懸念があると私ども認識しております。
 このために、私どもは二つの観点からの施策を用意いたしております。
 一つは、先生御指摘のセーフティーネット対策でございます。これは、対象となる企業と取引の関係にある中小企業が連鎖倒産の危険など経営の安定に不測の支障を生じないようにするものでございまして、これにつきましては昨年末に拡充されました金融面でのセーフティーネットがかなり充実をしてきております。
 具体的には、まず第一に、倒産企業に売掛金債権等を有する中小企業の連鎖倒産防止対策としまして、政府系金融機関による運転資金の別枠かつ低利の融資。第二に、中小企業信用保険の別枠化。これは通常、無担保が八千万でございますが、一億六千万まで無担保で保証を受けられるようになるわけでございます。第三に、中小企業倒産防止共済に加入している中小企業についての無担保無保証での貸し付け等の措置がございます。
 第二に、不良債権のオフバランス化の対象になります企業のいわゆるリストラによりまして影響を受ける取引先中小企業、これについては、単なる直接取引関係にあるものだけではなくて、二次下請等やあるいは周辺地域にございます中小企業につきましても中小企業信用保険法の別枠化、これも、昨年、法改正をしたわけでございますが、措置を講じているところでございます。
 さらに第三に、最近の経済環境の変化等によりまして売上高の減少等の影響を受けている中小企業に対しまして、政府系中小企業金融機関による運転資金の別枠での融資というものを行っております。
 第二点の対策がいわゆる経営革新でございまして、中小企業は、現在、大きな経済構造変化の中で大変厳しい経営環境にあるわけでございます。こうした中で、自身の健全化に向けまして前向きの努力をしている中小企業に対して支援をしていこうということでございます。具体的には、平成十一年に中小企業経営革新支援法というものが制定されておりまして、ここでは生産方法や販売方法の改善、さらには新商品の開発などの経営革新努力を通じて経営の向上を目指す中小企業に対する支援を行っております。
 具体的には、中小企業が策定いたしました経営革新計画を都道府県知事等が承認した場合に、県、国の補助金あるいは政府系金融機関による融資、それから信用保証協会による信用保証額の特例、これも倍額まで行くわけでございますが、措置が利用可能となっておりまして、先月までに実績で約四千社近い中小企業が同法の承認を受けているわけでございます。
 今後、これらの施策の一層の活用を図るということによって中小企業の経営革新を推進したい、これによってできるだけ破綻懸念先にならないように支援をしてまいりたいと思っています。
 さらに、このために私どもとしましては、中小企業支援センターあるいは商工会、商工会議所等に相談の窓口を設けておりまして、そこで積極的に相談に応ずるというようなこともしたいと考えております。さらに、相談内容に応じまして、例えば経営革新計画の作成に対してきめ細かな指導、助言を行うというような体制を早急に整備してまいりたいと考えています。
#189
○大脇雅子君 きめの細かい施策が幾つか用意されていると思われました。
 そこで、この起業といいますか、業を起こすということが、雇用の創出と同時に、日本の経済の活性化の死命を制するのではないかと思うわけですが、こうした施策といわゆるそうした業を起こす起業者の育成ということというのはやはり相関関係があると考えてよろしいのでしょうか。
#190
○政府参考人(中村利雄君) 私どもの中小企業施策の柱が、一つは創業、ベンチャーということで、年々、ここ数年来、廃業率と開業率が逆転をしているわけでございまして、創業、ベンチャーを起こすということが第一の私どもの施策の柱でございます。もう一つは、やはり既存の企業がこうした構造変化をしっかり乗り切っていただくことが必要である。現に五百万社の中小企業があるわけでございまして、このための経営革新を支援する。この二つの観点から、金融面あるいは指導、助言等々のいろんな施策を講じているところでございます。
#191
○大脇雅子君 ありがとうございました。
 それで、この産業活力再生特別措置法というのは今まで四千社、これは見通しを超しているんでしょうか、あるいはどうなんでしょうか、どのように考えたらよろしいんでしょうか。
#192
○政府参考人(北村俊昭君) お答えいたします。
 今、先生から御指摘がありました法律の関係でございます。
 私どもの関係の局で所管いたしておりますいわゆる産業再生法、正式には産業活力再生特別措置法でございますけれども、これは平成十一年十月に施行いたしております。本日現在で、この法律に基づきます事業再構築計画の認定実績は八十九件でございます。この法律の枠組みのもとで、例えば分社化、増資、営業譲渡、こういった企業による経営資源のいわゆる選択と集中、そういうことに向けた取り組みを、現在、私どもとして支援をしているということでございます。
 なお、今、先生が四千件という数字を挙げられましたが……
#193
○大脇雅子君 四千社。
#194
○政府参考人(北村俊昭君) 四千社という数字を挙げられました。これは恐らく中小企業の関係の法律の件数でございますので、中小企業庁長官からお答えをさせていただきたいと思います。
#195
○政府参考人(中村利雄君) 先ほど、中小企業経営革新支援法という法律について御説明申し上げましたけれども、その認定を受けておりますのが最近の時点の実績で約四千社ということでございます。
#196
○大脇雅子君 労働省の雇用対策と両輪のように働く必要がある施策だと思いますが、ぜひ頑張っていただきたいと思います。
 もうあとは労働省関係の質問になりますので、御退席いただいて結構です。
 それでは、厚生労働省の方にお尋ねしたいんですが、社会構成上、就業人口六千三百五十二万人の八四%を占める雇用労働者五千三百四十九万、完全失業率は四・七%で、これを失業者数でいいますと三百十八万人、このように高どまりしているわけであります。
 なぜこう高どまりしているのかということで、求人倍率はふえても、なおかつさらなる増加が見込まれるというのに、私は産業の基礎的なところのデフレスパイラルの危機を代表質問でも指摘させていただきましたが、とりわけ深刻であるのは、主たる家計支持者の中高年労働者、それから新規卒業者の中の未就職者というものがあると思います。
 完全失業率を見ますと、二十四歳以下が九・〇、二十五歳から三十四歳が五・七、有効求人倍率で見ると、二十五歳から三十四歳が〇・九八、四十五歳から五十四歳が〇・四六、五十五歳以上がまさに〇・一四という状況であります。
 こうした年齢別の雇用状況を踏まえて、若年労働者、中高年労働者等、やはりそれぞれの特色を踏まえて受け皿となる施策が必要だと思うわけですけれども、それについて厚生労働省はどのような対策を考えていらっしゃるんでしょうか。
#197
○副大臣(増田敏男君) 若年者につきましては、自発的な離職や早期の離職が多く、また一般的に職業意識や職業能力が未熟であることから、若年者が適切な職業選択が行えるように、在職中からの職業ガイダンスやインターンシップ等を通じた職業意識の啓発を行うとともに、就職面接会の開催を初めとする就職機会の確保、あるいは職業能力の向上を図るための支援などの雇用対策に努めているところであります。
 また、中高年齢者につきましては、御指摘のとおり求人倍率が低いことから一たん離職をすると再就職が困難な状況にあるため、定年の引き上げや継続雇用制度の導入等によりまして六十五歳までの安定的な雇用の確保、また中高年を含めた離職を余儀なくされる者に対する在職中からの支援、またIT訓練などのさまざまな教育訓練の実施等によりできる限り早期に就職できるように努めているところであります。
 これらに加えまして、現在御審議いただいている雇用対策法等改正法案においては、産業構造の変化等経済社会の変化が進む中で離職を余儀なくされる労働者の円滑な再就職の促進を図るとともに、労働者の募集、採用について、事業主は雇用慣行との調和に留意しつつ年齢にかかわりなく均等な機会を与えるよう努めることとする旨の規定を盛り込んであるところであります。
 さらに、これらの取り組みにあわせ、再就職の受け皿となる新たな雇用機会の創出支援が重要であり、中小企業や新規・成長分野における新たな雇用機会の創出への支援策をいろいろと盛り込んでいるところであります。
#198
○大脇雅子君 新規・成長分野における雇用創出特別奨励金問題は、前に小池議員がお尋ねになりましたので、次の質問に移らせていただきます。
 まず、再就職援助計画についてお尋ねいたします。
 再就職援助計画の策定に関して、過半数労働組合または労働者代表に対する意見聴取において、労働者の意見というものは具体的にどのような手続で、そしてどのように反映されるのでしょうか。計画にのる労働者の選定方法それから範囲、個別労働者の意見の聴取、育児・介護等家族の状況など、きめ細かく労働者の実情を反映できるように基準を示すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
#199
○政府参考人(澤田陽太郎君) 再就職援助計画の作成に際して労働組合等の意見を聞くことになっておりますが、労働組合等は、当該事業所の労働者それぞれの意見を踏まえ、総意を酌み取って事業主の意見聴取に臨むということになるものと考えております。
 再就職援助計画中の主要事項になります再就職援助措置の内容、これにつきましては、対象労働者の状況に応じてどういうものにすることがいいかという点について、対象労働者の希望が反映されることが望ましいと考えております。そのために、再就職援助計画におきまして、事業主が対象労働者から再就職援助措置について希望があるかないか、こういう点を確認したかどうかが判明するような記載事項の工夫ということが考えられるんではないかということを今考えておりまして、今後、労働政策審議会の意見等も聞いて検討していきたいと、こう思っております。
#200
○大脇雅子君 労働組合ないしは労働者の代表に対する意見聴取で総意を酌み取ってと今言われたんですが、問題はその総意とは何かと。今ちょっとふと、わからないということと、それから例えば三六協定などを締結するときに民主的に選出された労働者代表などのガイドラインがございますね。ああいうのは適用されるんですか、どうでしょうか。
#201
○政府参考人(澤田陽太郎君) まず、総意を酌み取って事業主との意見聴取に臨むと申し上げましたが、総意という意味は、労働組合は構成員たる個々の労働者の利益代表でありますから、事業主がつくるであろう再就職援助計画の計画内容についてそれぞれ意見を述べることができますから、組合員たる、あるいは組合がない場合の個々の労働者の代表として、それぞれの意向を踏まえて組合としての意思決定をする、あるいは労働者代表としての意思決定をする、そういう意味でございます。
 それから、今、大脇委員御指摘の三六協定の話については、私、ちょっと御質問の趣旨がわからないので、申しわけございませんが、もう一回お願いいたします。
#202
○大脇雅子君 時間外労働を何時間するかということに関しまして、労働組合の代表者を選出するときに、例えば無記名の投票による労働者代表を選出して、管理職によって間違った労働者の意見が反映されることのないようにというようなさまざまなガイドラインが労働省にあるわけですが、そうした民主的な手続というのはこの場合の意見聴取にも、あるいは就業規則などの策定のときの意見聴取とかあるわけですが、それも適用されますかと、こういう御質問です。
#203
○政府参考人(澤田陽太郎君) 失礼いたしました。
 過半数労働者代表手続のいわば適正化につきまして、労働基準法体系の中で過半数代表の規定がありますので、通達、指針等が出ております。事柄は似たような話でありますので、そうした指針、通達等の精神は、当然本件についても準用といいますか適用されてしかるべきだろうと思います。
#204
○大脇雅子君 その労働組合の総意と、もう一つ、個別労働者の希望の反映ということになりますと、非常にきめの細かい意見聴取手続をしていただかないと、本当の再就職援助計画が労働者の意に沿わないような形になると思うんですが、これはもう事業主に、そのように個別労働者の意見聴取も、例えばおっしゃった希望の有無等を具体的に記載する必要などあると思うんですが、これは必ずこの二つの意思を聞くということを確認させていただいてよろしいでしょうか。
#205
○政府参考人(澤田陽太郎君) 事業主が再就職援助計画の対象になった労働者について援助措置の適用を希望するかしないかを個別に確認することは、これは僕は必要だろうと思っておりまして、今後そういう方向で検討を進めたいと思います。
 ただ、その前の、どういう労働者を再就職援助計画の対象労働者にするかとか、どういう再就職援助措置を設けることが適当かということにつきましては、労働組合あるいは労働者代表の方と詰める話だろうと思っております。当然、労働組合あるいは労働者代表は、事業主とそういう話し合いをする前提として個々の労働者の事情をよく把握するということになると考えております。
#206
○大脇雅子君 再就職援助計画を望まない労働者については当然これからは除外されるという御答弁が先ほどどなたかの議員の質問であったと思いますので、改めて確認する必要はないかと思いますけれども。
 だから、個別労働者の意見といった場合に、再就職援助計画にのるかどうかということと、どういう再就職援助計画を希望するのかと、二つの種類の意見ということがありますと、そういうふうに理解してよろしいでしょうか。
#207
○政府参考人(澤田陽太郎君) 後段の方は大脇委員御指摘のとおりだと思います。
 前段の、のるかどうかというところは、今回の法律のスキーム前の問題でございまして、再就職援助計画を円滑に作成するためには、事実上、個々の労働者が援助計画の対象になるかどうかについては十分話し合いがなされないと円滑に計画も作成できませんし、労働組合等々との意見もなかなか調整が進まないと思いますので、そうした意味で事実上、前段の問題については処理がなされるものと考えております。
#208
○大脇雅子君 それで、個別労働者が育児や介護等、家族的責任を負っているような状況にあるときには、今度も育児・介護休業法の改正で、住居の変更を伴うような配転については事業主の配慮の努力義務をたしか課しているような法改正が用意されていると思うんですが、ILOの百五十七号条約を我が国も批准しているわけですから、育児・介護休業等の家族的責任の状況というものも当然、個別の労働者の意見聴取の内かあるいは外かという問題はあるかもしれませんが、使用者としては配慮しなければいけないというふうに思いますが、いかがでしょうか。
#209
○政府参考人(澤田陽太郎君) 再就職援助計画中の援助措置の内容がとりわけ家族的責任を持っている方にとって重大関心事だろうと思います。そうした場合に、そうした育児、介護等の家族の状況も含めた対象労働者の状況に応じたものになるように、すなわち関係労働者の意見が、希望が反映されるものとなることが当然望ましいと、こう思っております。
#210
○大脇雅子君 育児、介護の家族的責任をどのように評価していくかということが少子高齢化社会の中の大きな問題であると思いますが、大臣はこの点についていかがお考えでしょうか。
#211
○国務大臣(坂口力君) 今の局長との間の応答を聞いておりまして感じますことは、これはやはり個別労働者の意見を聞くということになりましたときに、御指摘のとおり、やっぱり重要な要素の一つになってくるのかな、女性の場合に特に重要な要件の一つになってくるのかなというふうに感じながら私も聞かせていただいていたところでございます。
 ただ、この法律の中でその辺のところをどのように位置づけていくのかということは、これからまたさらに具体的には進めていかなければならない問題だというふうに思いますが、一般的に申し上げれば、育児や介護の問題というのはこれからだんだんと、女性が働いていただくためには大きくなりこそすれ小さくなっていくことはないわけであります。これからさらに大きな問題になっていくわけでございますので、当然、働いていただいております女性の皆さん方が労働移動をしていただくというときには、そうした問題が必ず大きな問題になることは避けて通れない問題であろうというふうに思います。
   〔委員長退席、理事亀谷博昭君着席〕
 ですから、これからのこうした雇用問題を考えていきますときに、女性の働く場というものを真剣にやっぱり考えていかないといけないだろうというふうに思います。
#212
○大脇雅子君 ちょっとお言葉を返すようでございますが、育児、介護等の家族的責任というのは女性の問題だけではございませんで、まさに男も女も官も民もすべて平等に負うということが、今、国際的ないしは国内的な法律の基本的な考え方でございますので、女性に対する配慮として必要だというふうにおっしゃっていただくなら、男性の場合もまた育児、介護の家族的責任の状況をしんしゃくすることが必要だというふうに考えますが、いかがでございましょうか。
#213
○国務大臣(坂口力君) 大変失礼をいたしました。
 もちろん男性にも育児、介護の問題はかかわってくる問題でございますから、女性だけにかかわった問題ではございません。しかし、男女同じようにかかわってくる問題ではございますが、女性の場合には特別やはり配慮をしなければならない問題ではないかというふうに思いましたので、申し上げたところでございます。
#214
○大脇雅子君 働く者が男性で家族的な責任を負う者が女性だという考え方の解消に向けて地球規模での差別是正が取り組まれている現状で、ILO百五十七号条約のみならず、最も基本的な女子差別撤廃条約というのもそれを、原則を確認いたしておりまして、私どもは、日本の法律の中で、そういった法の精神というものをどこまで細やかに法や制度の隅々まで適用させていくのかということが大きな関心として、またここでも努力をさせていただいている女性議員ばかりだと思いますので、ぜひ厚生労働大臣におかれましては、この育児、介護等の家族的責任の状況を男女とも尊重されるという法の適用、運用に関して力を注いでいただきたいと思います。
 それから、公共職業安定所管内の三十人以上という一定規模の大量離職の場合が本法案におきましては再就職援助計画の主眼となっております。衆議院における質疑において、この三十人というのをどういう規模で算定するのかということに関しまして、事業所単位では少数であっても同一公共職業安定所管内で見て三十人以上という一定規模の大量離職の場合にはこの改正法案の対象とするということが確認されております。
 私は、さらにそれに加えて、改正地域雇用開発促進法におきましては、雇用機会増大促進地域などということが指定されて、そこにおけるさまざまな雇用の創出を初め確保の努力が行われるわけですが、同一公共職業安定所管内だけでは、その場合、実効性が上がらないということがあり得ます。すなわち、計画地域内の複数の公共職業安定所で見る必要がある場合もあるのではないか、むしろそれが実情に即した対処として重要ではないかと考えますが、いかがでしょうか。
#215
○副大臣(増田敏男君) 再就職援助計画は、離職者が発生することによる地域経済への影響を未然に防止する観点も踏まえ、一定規模以上の離職者が発生する場合に作成、提出を義務づけるものであります。
 しかしながら、一定規模以上の離職に至らない場合であっても、労働市場圏の状況等から地域に重大な影響を及ぼすと認められますときは、関係公共職業安定所による在職中からの支援が十分に行えるようにするためにも、その作成を促すようにしてまいりたいと思います。
#216
○大脇雅子君 再就職援助計画は事業主に対する働きかけを前提とします。しかし、この施策によって企業の経営努力、今まで解雇回避努力義務というようなことが言われてきましたが、それらがあいまいになっては重大事であります。この点についてはどのように考えておられるのでしょうか。
#217
○副大臣(増田敏男君) 再就職援助計画は、離職を余儀なくされる労働者の再就職促進を目的とするものであります。これを制度化することによって、かえって事業主の雇用維持に対する努力を阻害することのないよう配慮する必要があると考えます。
 このため、再就職援助計画においては、計画作成に至った経緯等を記載していただくことを予定しているほか、その作成に際しては労働組合等の意見を聞かなければならないこととしています。
 また、国の支援措置としては、公共職業安定所長が認定した再就職援助計画に基づき、離職予定者に求職活動のための休暇を与える事業主のほか、離職を余儀なくされる労働者を受け入れ、早期定着のための講習等を実施する事業主等に対して助成金を支給することとしております。この助成の実施に当たっては、対象となる計画について労働組合等の同意を得ていることを要件とすることを施行に向け検討してまいりたいと思います。
 さらに、このような助成措置とあわせて、計画を着実に実施し円滑な再就職を実現する観点から、公共職業安定所では、事業主に対する必要な助言、指導や離職予定者に対する在職中からの求人情報提供、職業相談・紹介、求人開拓等を機動的に行ってまいりたいと考えます。
#218
○大脇雅子君 景気回復及び産業構造改革を理由に、今回の法改正によって企業の安直なリストラを通じた経営政策に手をかすというような事態になっては困ると思います。こうした事態が生じることがないよう企業に対して周知徹底を図り担保するためにどのような手だてを確保されているでしょうか。
#219
○国務大臣(坂口力君) 再就職援助計画が安易なリストラの促進にならないようにしなければならないのはもう御指摘のとおりであり、当然のことであるというふうに思います。
 再就職援助計画にこの計画作成に至った経緯などを記載させることを予定しておりますし、その作成に当たりましては、何度か申し上げておりますが、労働組合等の意見を聞かなければならないこととしております。この点につきましては本法案にも明示しているところでございます。
 また、公共職業安定所長に提出をし、認定を受けた再就職援助計画に基づきまして事業主が講じます一定の再就職援助措置につきましては、国が助成措置を講ずることといたしております。この助成の実施に当たりましては、対象となります計画について労働組合などの同意を得ていることを要件とすることを施行に向けて検討することといたしております。
 こういったことを重ねて、そして今御指摘をいただきましたような安易なことにならないように幾つもの歯どめをかけていきたいと考えております。
#220
○大脇雅子君 これまでの質疑を通しまして、例えば有給の休暇を再就職援助計画で付与するとか、あるいは訓練費用などを提供するとか、あるいはその認定について変更命令をどういう範囲で出すのかというのが、これ質問通告してありませんが、何か今までの質疑を見ながらちょっとクエスチョンを感じたんですが、これらは労働基準審議会というんですか、新しく今度なりましたね、その審議会にかかる事項なんでしょうか。大体、厚生労働省としてはこういうもののイメージをお持ちなんでしょうか。
#221
○政府参考人(澤田陽太郎君) 再就職援助計画に書く事項については、労働政策審議会にお諮りして詰めていきたいと思っております。
 そして、公共職業安定所長が再就職援助計画のうち再就職援助措置の内容が適当でないと判断する場合の基準等につきましては、これは今後施行までに、これまでといいますか現在あります不況業種雇用安定法、ここにおきましても同様のスキームがございまして、そちらではやはり計画の変更を安定所長が求めることができるわけです。そういう場合には通達で明らかにしておりますが、事業主が通常の労働者に行うような助成措置を明らかに怠っているというような場合とか、ある意味では余り安定所長が自由裁量権を発揮するのも行政の透明性という観点からよくありませんので、ある程度、限定的ではありますが、幾つか明確にした上で変更要請をできるような基準をつくっていきたい、こう思っております。
#222
○大脇雅子君 職業能力開発促進法につきまして、労働者の主体的なキャリア形成を掲げ、労働力需給のミスマッチを解消するための失業なき労働移動に対する支援策を打ち出しておりますが、これまで我が国における人材形成の特色はオン・ザ・ジョブ・トレーニングとして、いわゆるOJTというものが非常に大きく労働者の能力形成にかかわってきたと思います。
 こうした、企業自身が積極的に人材育成の責任をとらないで労働者の自己負担のみ過大になるということが危惧されますが、この点についてはどう考えたらよろしいでしょうか。
#223
○政府参考人(酒井英幸君) このオン・ザ・ジョブ・トレーニングにつきましては、これは大変重要なものとして引き続き大きなウエートを占めていくものというふうに基本的には理解しているところでございまして、今回の改正の趣旨は、産業構造が変化したりあるいは労働者の就業意識が変化したりと、そういう中で労働移動が増加する一方で企業の中でも労働者に求められる職務の内容が随分変化してきていると言われているところでございまして、そういうものに対しては、新たな課題に対して問題を発見して解決する能力といったことがより求められてきている、創造力といいますか、そういうものが求められてきていると。そういうような中では、OJTにつきましては、これは従来からの企業主導の職業訓練でございますが、そういう変化に適切に対応できるOJTというものの重要性は極めて大きいものと考えているところでございます。
 今回は、それに加えまして、労働者自身が職業生活設計に即した自発的な職業能力開発ができるようにということで追加をさせていただいたところでございまして、それにつきましての、つまり自発的に労働者が職業能力開発できる、それを伸ばしていくというようなことについての事業主の責務を努力義務として新たに設けるということで、追加的にそういう事業主の立場をさらに高めさせていただいたということでございまして、企業の雇用労働者に対する能力開発面での責任は後退するよりもむしろ高まったというふうに言えるのではないかということで、企業としても労働者のキャリア形成を支援するための措置を講ずることによって労働者が自発的な能力開発に進むことができるようにというふうに考えているところでございます。
#224
○大脇雅子君 今回、技能検定制度の見直しが打ち出されていますが、労働移動を余儀なくされる労働者個人がそれまで形成してきたキャリアというのをみずから評価し、出していくという方法の確立もぜひ必要ではないかと考えますが、いかがでしょうか。
#225
○副大臣(増田敏男君) 今回の技能検定制度に関する改正につきましては、産業構造の変化や雇用の流動化等に対応して労働者の雇用の安定や円滑な再就職の促進を図るため、民間機関のノウハウを十分に活用して、技術革新等社会経済状況の変化に即応した技能検定制度を整備し、幅広い職種について社会横断的な職業能力評価制度の整備を図るものであります。
 委員御指摘のように、労働者個人がそれまで形成してきたキャリアを評価することは極めて重要なことであり、厚生労働省といたしましては、業界団体等と協力しつつ、中長期的にホワイトカラーも含めた幅広い分野にわたって労働者個人がそれまで形成してきた実践的な職業能力を評価する適正な評価基準の確立や評価方法の充実を進め、その活用を積極的に促進してまいりたいと考えております。
#226
○大脇雅子君 次に、地域雇用開発等促進法改正についてお尋ねします。
 責務を規定する第三条では国の責務が明確にされておりますが、地方公共団体や関係者等の責務が薄められたのではないか。とりわけ、失業の予防という概念が消失しておりますが、これはどう解釈したらよろしいんでしょうか。
#227
○政府参考人(澤田陽太郎君) 今回の改正案におきましては、地方分権の流れの中で地方公共団体の主体性や創意工夫を生かした地域雇用開発を促進するという観点を色濃く出しております。したがいまして、地方公共団体等の関係者の責務を国が書くということは削除いたしておりますが、それにかわる思想として、関係者が相互に連携を図りながら協力しなければならないという規定を雇対法の中で第二十条として新たに設けることといたしております。
 それから、現行の地域法の中で「失業の予防」というのが確かにございまして、今回削除されております。それは、現行地域法では急速に雇用情勢が悪化している地域区分として二つございます。一つは特定雇用機会増大促進地域、もう一つが緊急雇用安定地域、この二つの地域区分を今回廃止いたしましたので、両地域での対策として失業の予防を対応させていたという関係でそこも落ちております。しかしながら、失業の予防ということは国の責務として大変重要な対策でございますので、削除したとはいえ、引き続き適切に講じてまいるということでございます。
#228
○大脇雅子君 製造業の発展を支える技術を有する事業者の集積の活性化を促進するための措置を総合的かつ効果的に講ずる意義というのは大変大きいと思いますが、具体的にはどのような施策を実施されるおつもりでしょうか。
#229
○政府参考人(澤田陽太郎君) 製造業の発展を支えるいわば基盤技術の集積、これを高めて活性化することは大変重要であります。そういう観点で、厚生労働省としては、高度技能等の育成、発展、活用を通じた雇用開発、それを支える人材育成のための対策を講じております。
 一方、経済産業省におきましては、特定産業集積の活性化に関する臨時措置法という法律に基づきまして、金型等を製造する物づくりの基盤となる産業集積と、地域の中小企業を活性化するための投資促進とか産業インフラ整備等の対策を講じております。
 こうした両省の施策が相まって、高度技能の育成、発展、活用を図り、地域の産業、雇用の空洞化の防止等々、総合的な政策効果を発揮していきたいということで、今回、地域法の改正の中で、都道府県が主体的に作成いたします高度技能活用雇用安定地域の計画づくりと、先ほど申しました経済産業省の特定産業集積の活性化に関する臨時措置法に基づく産業政策上の地域指定、これをできる限り共通化したいと思っております。地域指定をできる限り共通化した上で、先ほど申しました両省の政策をそれぞれ連携協力して講じていく、こういう仕組みを考えております。
#230
○大脇雅子君 地域における失業率や有効求人倍率の実情を見ますと、例えば北海道や近畿、九州、沖縄というのは完全失業率が五%を超えておりますし、有効求人倍率も北海道や九州が〇・四九、近畿は〇・五一という深刻な状況にありますが、こうした深刻な地域に対する施策はどのように考えておられるでしょうか。
#231
○副大臣(増田敏男君) 雇用情勢が悪化した地域においては、公共職業安定所における特別の求人開拓やきめ細かな職業相談等に取り組みますとともに、完全失業率が一定水準を超えている近畿、沖縄においては緊急雇用創出特別奨励金の支給を行っているところであります。
 これらの措置に加えまして、現行地域法に基づき、雇用機会が不足している北海道、九州、沖縄等の地域につきましては、雇用機会増大促進地域に指定し、地域雇用開発助成金の支給や職業紹介等、必要な措置を講じているところであります。地域法の見直し後におきましても、雇用情勢が厳しい地域に対しましては、引き続き都道府県と連携しつつ必要な措置を講じてまいることといたしております。
#232
○大脇雅子君 今回のように、雇用対策につきまして基本的に大きな変動を伴う法改正がなされるわけであります。しかし、雇用及び職業につきまして、ILO百十一号条約というのがございます。これは言うまでもなく、雇用及び職業についての差別待遇に関する条約というものであります。
 今回、努力義務で年齢差別禁止について定められたわけでございますが、私はぜひ、あらゆる差別、例えばこの雇用及び職業についての差別待遇に関する条約に関しましては、「人種、皮膚の色、性、宗教、政治的見解、国民的出身又は社会的出身に基いて行われるすべての差別、除外又は優先で、雇用又は職業における機会又は待遇の均等を破り又は害する結果となるもの」という形で総合的に差別の禁止が定義され、これに対する諸施策を加盟国が行うべきだと。
 我が国はこれらについてはいまだ批准をしておりませんけれども、ぜひこの一九五八年採択のILO百十一号条約の批准は早急になされるべきではないか。こうした差別禁止といわゆる平等処遇の原則があって初めて私はこの今回の法改正も効果を発揮し、労働者の働く権利を守るものであるというふうに確信いたしますので、どうかこの条約批准のための検討というものを始めていただきたいということを最後に要望いたしまして、私の質問を終わります。
#233
○西川きよし君 どうぞよろしくお願いいたします。
 本日、私の方からは障害者の雇用対策に関連してお伺いをしたいと思います。
 先日の本会議におきましても御議論がございました。今回の法改正で、雇用対策法から障害者対策に関する規定が削除されています。官房長官の御答弁では、今回の法改正後も政府の取り組みが後退することはない、障害者の職業の安定を図るための施策を初め、各般にわたる障害者施策を強力に推進していく、このように答えておられました。
 障害者の雇用対策の重要性について、まず大臣の方から御答弁をいただきたいと思います。
#234
○国務大臣(坂口力君) 障害者に対します施策の重要性につきましては、委員と同様、私も非常に重要だというふうに思う一人でございます。
 雇用対策法中の障害者の職業の安定に係ります規定につきましては、既に障害者雇用促進法に吸収されて発展を遂げているところであって、今回の改正後も障害者の雇用対策の重要性はいささかも減じられることはないと認識しているということを本会議でも官房長官が述べられたというふうに思います。
 今まで雇用対策法の中にありましたものがほとんど障害者雇用促進法の中で整備をされて、そして障害者雇用対策法の方が先に改正をされていたというようなことがございまして、今回この中にまたそれを含めるのは両方にまたがる形になるものですから障害者雇用促進法の中に一括してまとめられるという形になったわけでございますが、こちらの方から除きましたから決して軽視をしたというわけではございませんで、その重要性はだんだん増しておりますし、今後それが少なくなっていくというようなことは決してないというふうに私たちも思っている次第でございます。
#235
○西川きよし君 昨年の労働省の発表によりますと、障害者の法定雇用率を達成していない民間企業の割合が五五・七%と初めて五割を超えた一昨年をさらに上回っているわけですけれども、その要因について厚生労働省ではどのように考えておられるのか、副大臣にお伺いしたいと思います。
#236
○副大臣(増田敏男君) 平成十二年六月一日現在の民間企業におきます障害者の雇用状況は、障害者雇用率が一・四九、法定雇用率未達成企業の割合が五五・七%となっております。このうち大企業においては、常用雇用労働者数は減少したものの、障害者数が増加し雇用率が上昇いたしましたが、三百人未満の企業で障害者数が減少したことから、雇用率は全体として横ばいとなったわけであります。
 法定雇用率を達成していない企業割合が高まったことについては、従来、障害者雇用率の高かった百人未満の企業において、景気の影響によりまして障害者の離職が進んだことが影響している、このように考えております。
#237
○西川きよし君 ありがとうございました。
 企業規模別の雇用率を見てみますと、百人未満の企業で前年比〇・〇六%減の一・六六%と、昭和五十四年の最低値と同じ数字となっておるわけですが、この背景についてはいかがお考えでございましょうか。
#238
○政府参考人(澤田陽太郎君) 百人未満の企業につきまして見ますと、常用労働者数が前年比で〇・八%減っておりますが、雇用障害者数がそれ以上、前年比で四・七%大きく減少したということが百人未満での障害者雇用率低下の状況であります。
 業種別に見ますと、従来、障害者雇用率が比較的高くて、かつ中小企業の占める割合が高かった繊維・衣服製造業あるいは木材・家具製造業、窯業・土石製造業、こういうところで雇用状況が悪化しております。
 こうしたことで、中小企業の占める割合が高い業種で、景気の影響を強く受けて、事業規模の縮小、倒産等により障害者の離職が進んだということが要因として考えられるところであります。
#239
○西川きよし君 この小規模企業の雇用率についてですけれども、平成十一年に一・七二%、法定雇用率を初めて下回りました。それまで百人未満の企業ではずっと法定雇用率を超えておりまして、小企業に多くの障害者が働いていたわけですが、一昨年より法定雇用率を下回る傾向にあるわけです。
 小規模企業の障害者雇用の厳しさが今後も増大していくんではないかな、このあたりの対応策として何かお考えがあればお聞かせいただきたいと思いますが、副大臣いかがでございましょうか。
#240
○副大臣(増田敏男君) 百人未満の小企業は従来より障害者雇用が進んでいましたが、先生おっしゃいますように、バブル崩壊後の長引く景気の低迷によりまして、近年、障害者雇用率が低下傾向にあるところであります。
 障害者雇用率未達成企業に対しましては、雇用率達成指導を厳正に実施いたしますとともに、障害者雇用納付金制度に基づく各種助成金制度の活用、あるいは障害者向け就職面接会の開催、職場定着指導の実施等を積極的に行い、障害者の雇用の促進に引き続いて努めてまいりたいと考えております。
#241
○西川きよし君 ありがとうございます。
 一方、これまで低かった五百人以上の中堅、そしてまた千人以上の大企業の雇用率は上昇しております。このうち、例えば千人以上の大企業で働く障害者は全体の四〇%から四五%と、障害者雇用における大企業の役割というのは大変大きいものがあると思うわけですけれども、しかしその一方で、大企業における法定雇用率に達していない企業の割合は七〇%から八〇%と、これまで一向に改善されておりません。
 障害者の雇用制度に大きな影響を持つ大企業の努力と、そしてその動向が今後の雇用率制度にとって大変重要なかぎになってくると思うわけですけれども、この点について厚生労働省としてはいかがでしょうか。副大臣、よろしくお願いいたします。
#242
○副大臣(増田敏男君) おっしゃるとおりでございまして、千人以上の大企業の雇用状況は、常用雇用労働者数が減少となる中で雇用障害者数が微増となったため、雇用率は〇・〇三ポイント増加し一・五五%となったわけであります。
 大企業における障害者雇用の進展は、社会的責任として障害者を雇用すべきであるとの認識のもと、産業構造の変化による事業縮小、リストラの影響など厳しい雇用情勢の中でも、障害者の雇用の維持、また雇い入れを行った企業の努力の結果と考えられます。
 しかしながら、一方で、雇用率未達成の大企業も依然として多いことも事実であることから、今後とも障害者雇用率の低い大企業に対しましては、雇い入れ計画の作成命令あるいは特例子会社の設立促進等、障害者の雇用の促進のための指導、援助を積極的に行ってまいりたいと思います。
#243
○西川きよし君 ありがとうございました。
 次に、障害者の能力開発について政府にお伺いをしたいと思います。
 昨年十二月にまとめられました中央職業能力開発審議会総括部会長報告の中ではこの問題に対しまして三点からの指摘が行われておりますが、まずその内容を御説明いただきたいと思います。
#244
○政府参考人(酒井英幸君) 先生御指摘の総括部会長の報告は、同日に会長に報告がありまして、中央職業能力開発審議会の建議ということで私ども重く受けとめているところでございます。
 その中で御指摘のように障害者の能力開発につきまして三点御指摘がありまして、一つ目は、就職前の職業準備訓練から就職後の職場適応まで一貫した支援が重要であり、職業能力開発施策も関係機関や事業主等と連携を密にして進めていくことが重要である。
 二点目が、ノーマライゼーションの観点から、一般の公共職業能力開発施設における障害者の受け入れの促進が重要である、さらに障害の重度・重複化、高齢化やニーズの多様化に対応して、障害者職業能力開発校等においての訓練について障害者の特性に応じた設定を進める、それからIT化の技術的成果を効果的に活用した新たな訓練手法を検討することが必要。
 三点目が、障害者が離職せずに技術革新の進展等に対応した必要な技術技能を身につけられるよう、また中途障害者の職業転換等に的確に対応できるよう在職者訓練を積極的に実施することが必要、さらに離転職者の就職促進のための委託訓練の一層の拡充を図ることが必要といった提言がなされているところでございます。
#245
○西川きよし君 ありがとうございました。
 このところ、障害者雇用における求人企業の求める要件といたしまして、情報処理関連の知識そして技術、こういうものを打ち出すところが大変ふえてきているとお伺いするわけですけれども、このことは、例えば若い方々にとりましては、障害の程度が重度の方であっても職業訓練をしっかりと受けることで企業側の求めに対して十分にこたえることもできる。しかし、また一方で、中高齢の障害者の方など、仕事として今御答弁の中にもありましたコンピューターを使うことが困難な方々にとっては雇用面において大きな問題として立ちふさがっているという問題もございます。
 そして、ただいま御答弁いただきました二番目ということですけれども、ITの訓練手法の検討ということが言われておりますけれども、例えばこうした問題への具体的な対応策というのは大変難しいと思うんですけれども、ぜひ御答弁いただきたいと思います。
#246
○政府参考人(酒井英幸君) おっしゃるとおりでございまして、申すまでもないことでございますが、IT化ということに伴いまして、障害者の方のみならず、多くの労働者がパソコン操作といったことの能力を求められるといった状況にありますものですから、そういうようなことについての教育訓練手法というものの開発に努力せねばということで、今年度、予算をとって取り組むことにいたしている点がございます。
 必ずしも障害者の方ということではないわけでございますが、そういうことの結果、ITに関しますところの教育訓練ソフトをコンピューターネットワークを活用して配信して、自宅でその勉強ができる遠隔教育訓練システムといったことの開発に取り組もうということでございまして、そういうことは障害者の方々も含めまして幅広い労働者が活用し得るものではないかと実は期待はしているところでございます。
 そういうことに加えまして、障害者の中でも特にコミュニケーション上の制約が大きい視覚障害者あるいは聴覚障害者の環境整備ということにも努めるべく、今、訓練用機器あるいはソフトの開発の研究に取り組んでいるところでございます。
 そういうことの有効活用を図って、障害者の方々の職業能力開発機会の確保に一層努力をしていかなければならないと思っている次第でございます。
#247
○西川きよし君 ぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 これまでどちらかと申しますと就職のための準備、訓練をしてから就職を目指すという考え方が一般的であった、こういうふうに思うわけですけれども、最近では、まず就職をして、その職場で準備、訓練、そして支援をするというような考え方に変わってきておりますし、政府におかれましてもトライアル雇用制度でありますとかジョブコーチ制度、せんだって参考人の皆様方のお話にも出てまいりましたけれども、このジョブコーチ制度を導入されておりますけれども、ぜひこうした施策についても積極的な推進を図っていただきたいと思います。
 大臣には、雇用対策における障害者の能力開発のあり方についてもお考えをぜひお聞かせいただきたいと思います。
#248
○国務大臣(坂口力君) 今お話しいただきましたように、障害者の雇用を考えますときに、今まではそのお仕事ができるかできないかということを一つの指標にしてそして雇用を考えておりましたけれども、そうではなくて、ほとんどの障害者はその中で訓練と機械の改善等によってほとんどの雇用は可能になるということから、まず雇用ありきということで、とにかく雇用というものが先に成立をして、そしてその後で具体的な仕事の内容については訓練をしていただくという手順、それが大事だということが言われるようになってまいりましたし、私もその考え方を支持する一人でございます。
 今お触れになりましたように、トライアル雇用というんですか試験雇用というんでしょうか、まず三カ月ぐらい前から雇用して、そしていろいろの訓練をしていただく。まず、雇用の中身をひとつ訓練していただくという、そういうあり方。
 あるいはまた、ジョブコーチということをお触れになりましたが、職場にうまくなじむことのできないような皆さん方に対しましては、その仲立ちをする人というのがやはり必要になってくるということから、ジョブコーチというのが非常に大切な役割を果たすようになってまいりました。そうした人たちが最近だんだんとふえてまいりましたし、そういうジョブコーチのもとで立派にお仕事をなさる方もふえてきたところでございますので、そうした行き方というものも今後さらに進めていかなければならないというふうに考えているところでございます。
#249
○西川きよし君 ありがとうございました。ぜひよろしくお願いを申し上げます。
 次に、都道府県教育委員会等における障害者の雇用状況についてお伺いをいたしたいと思います。
 民間企業における法定雇用率の未達成企業の割合が五〇%を超える一方で、先ほども申しましたが、国、地方自治体は民間企業に率先して障害者を採用する立場にあることは改めて申し上げることもないわけですけれども、そうした中で今回の調査結果を拝見しておりますと、都道府県教育委員会等につきましては法定雇用率を達成しておりません。
 この問題につきましては、旧総務庁の行政監察局より平成八年にその達成のための環境整備についての勧告が旧労働省、旧文部省に行われております。しかし、この間に改善されたのは〇・二四%で、今回の調査結果では一・二二%となっております。
 この勧告後に旧労働省と旧文部省ではどのような改善措置がとられているのか、またこの点については現在どのようなお考えで対応されていらっしゃるのか、文部科学、厚生労働、両省に御答弁をいただきたいと思います。
#250
○政府参考人(澤田陽太郎君) 都道府県教育委員会等の雇用率の実情は、西川委員御指摘のとおりであります。
 厚生労働省といたしましては、各都道府県教育委員会に対しまして、障害者の採用計画をつくっていただくということで、各教育委員会には計画的な採用を行うよう指導をいたしております。教育委員会は、平成十二年一月一日をスタートとする採用計画を今実施中でございます。
 それから、文部科学省に対しましても、教育委員会に障害者の雇用促進について御指導いただくよう要請をいたしております。
 今後とも、文部科学省と連携しながら、教育委員会におきます障害者雇用が進むよう引き続き努力をしてまいりたいと思います。
#251
○政府参考人(田中壮一郎君) 文部科学省でございます。
 都道府県教育委員会におきます障害者雇用率が依然として法定雇用率をかなり下回っている状況にありますことは、大変遺憾に感じておるところでございます。
 都道府県教育委員会が雇用する職員の大部分が教員でございまして、教員免許状を有する障害者の数が少なくてなかなか計画的に採用することが困難な面があることや、近年、少子化に伴いまして教員の採用自体が非常に少なくなっていることもなかなか改善が図られていない一因ではないかと考えておる次第でございます。
 文部科学省では、これまでも行政監察局の勧告等を踏まえまして、教員採用選考において、単に障害があることをもって不合理な取り扱いがなされることなく、選考に当たって適切な配慮や工夫を講じていただくことなど、各都道府県教育委員会における障害者雇用を促進する観点に立って、各教育委員会を指導してまいっておるところでございます。
 この結果、すべての都道府県あるいは政令市教育委員会におきまして、募集要項等におきまして、身体等に障害があって試験会場等で特に配慮が必要な場合にはそういった配慮を行いますということは、これは明記していただいておるところでございます。また、障害者に対する配慮として、点字受験を認めた例がある県市が、平成八年度には三十四県市でございましたけれども、平成十二年度には四十三県市になっておりますし、また肢体不自由などの障害を持っておられる方のために試験時間の延長を認めた例がある県市につきましても、十八県市から三十五県市に増加するなどの改善が図られておるところでございます。
 また、文部科学省といたしましては、学校施設に対する補助におきましても、児童生徒のみならず、障害を有する教職員が勤務する学校におきまして、必要な場合にはエレベーターやスロープ、障害者用トイレ等の設置についても国庫補助の対象としているところでございます。
 いずれにいたしましても、各都道府県教育委員会におきましては、現在、障害者の積極的な雇用について努力をしているところでございます。文部科学省といたしましても、引き続き、厚生労働省との密接な連携のもとに、あらゆる機会を通じて各教育委員会におきます積極的な取り組みを促してまいりたいと考えております。
#252
○西川きよし君 どうもありがとうございます。よろしくお願い申し上げたいと思います。
 いろいろ資料に目を通させていただきますと、視覚に障害をお持ちの方々、体に障害をお持ちの方々がいろんなところで大変よく頑張っておられるということで、御支援のほどをよろしくお願い申し上げたいと思います。
 次に、身体障害者雇用納付金制度の見直しについてお伺いをいたしたいと思います。
 この調査結果にもありますように、小規模な企業における未達成率が大きくなっているわけですが、これまでの行政監察の勧告にもありましたように、三百人以下の事業所に対する納付金の徴収が猶予されている問題につきまして、この徴収範囲を拡大すべきではないかといった指摘がございました。
 もちろん、経済が厳しい状況は今も続いておるわけですけれども、事務量や徴収コストの問題も十分に理解はできます。しかし、少なくとも法定雇用率を達成することは企業として当然果たすべき社会的な責任であるということを考えますと、やはりこの点の見直しは必要であると思うわけです。
 勧告後の旧労働省の対応と、厚生労働省としての今後の対応のあり方について、そのお考えもあわせてお聞かせいただきたいと思います。
#253
○副大臣(増田敏男君) 障害者雇用納付金の徴収対象を常用雇用労働者三百人以下の中小企業に拡大することについては、平成八年五月の総務庁行政監察勧告における指摘を受けたこと、御発言のとおりであります。及び、これら中小企業の近年における雇用率の低下という状況を受け、旧労働省においても検討を進めてきたところであります。
 しかしながら、現在の中小企業の厳しい経営環境等を考えますと、障害者雇用納付金の徴収対象を中小企業にまで拡大することは、なお慎重に検討すべき課題であると認識をいたしております。
 なお、納付金の徴収を猶予していたとしても、法定雇用率を達成することは事業主の責務であることから、厚生労働省としては、これまでも実雇用率の低い事業主に対しては、企業規模の大小にかかわらず、障害者雇い入れ計画の作成命令、適正実施勧告、企業名の公表を前提とした特別指導等障害者雇用促進法に基づく障害者雇用率達成指導を行ってきたところであります。
 今後とも厳正に指導を実施してまいりたいと考えております。
#254
○西川きよし君 ありがとうございました。よろしくお願いを申し上げます。
 次に、職場における精神疾患を抱える労働者の支援策についてお伺いをいたします。
 このところ、厳しい不況、リストラ、あるいはこのリストラの影響で在職の労働者への負担等々が重なり、うつ病など精神疾患を抱える労働者がふえてきているという状況がございます。これはもう皆さんもよく御存じのとおりでございますけれども、実は私の身近な人の中にも数人こういった方々が寂しいことですけれどもいらっしゃいます。いろんな症状で悩んでおられますし、そしてまた管理職の立場からその方々の処遇に大変苦労されている方もいらっしゃいます。
   〔理事亀谷博昭君退席、委員長着席〕
 先日も、病院関係者の方ともお話をさせていただき、お伺いしたんですけれども、やはりそうした悩みを持って診察に来る方は多くいらっしゃるそうですが、その中でも、本人や周囲の人からは心の病ではないかと思いながらも、診察の結果、病気ではない、疲れや心労が重なってのことで、ちょっと職場を配置転換するとかリフレッシュをすることで随分と症状が和らぐことがある、そのような方も多くいらっしゃるということでした。ところが、管理職の立場からすると、特定の人物だけを特別な処遇をすると、こういうことをやりますと今度は他の従業員からいろいろな声が出てくるわけです。なかなか難しい問題で、今度はそうした管理職の方々のストレスが強くなる。そういった悪循環に陥るケースも少なくないようでございまして、そういう意味ではこうした労働者に対する支援ということ、これも大変重要であると思います。
 旧労働省では、精神障害者の雇用促進研究会においてこうした問題も含めた研究に取り組んでいるとお伺いしております。その設置の目的、現在までの検討状況、ぜひ御答弁いただきたいと思います。
#255
○政府参考人(澤田陽太郎君) 御指摘の研究会は、平成十一年七月に設置をいたしております。
 設置の目的は、今、先生御指摘のようないろいろな事情を踏まえまして、精神障害者の方々の雇用就労の実態、あるいは雇用管理上の課題等を把握、分析する。そして、精神障害者の雇用の促進を図るために、労働面、福祉面、医療、保健の面等々の関係機関の連携のあり方について調査研究する。そういうものを踏まえまして、今後の精神障害者雇用施策の方向について検討するということで、これまで十四回開催をいたしてまいりました。
 そういう中で実態把握をやっておりますが、精神障害の特性に応じた就労形態とか、それから精神障害者の雇用管理に関する配慮事項、あるいは企業におきます環境整備等について、今検討を重ねているところでございます。
#256
○西川きよし君 ありがとうございます。
 こうしたことによって休職あるいは離職を余儀なくされる方もたくさんいらっしゃるわけですし、また自殺というような方もいらっしゃいます。こういうケースはあってはいけないと思うわけですけれども、実際にこういったことを何とかしなければいけないんですけれども、これを未然に防ぐ、そして職場での支援、あるいは休職後の復職に向けての支援、さらには離職した場合の再就職に向けての支援等々、いろいろ配慮していくべきだと思います。
 大変難しい問題であるとは思うんですが、この点について御答弁をいただきたいと思います。
#257
○副大臣(増田敏男君) 先生御指摘のとおり、精神障害者に対しましては、職場での支援、休職後の復職に向けての支援、離職した場合の再就職に向けての支援等、さまざまな場面での支援策を講じていくことが重要であると考えております。
 現在、職場に同行し職場定着を支援するジョブコーチのパイロット事業の実施や、職場での業務遂行を援助する者を配置する事業主に対する支援、これらを行っているところでありますが、精神障害者の雇用促進・安定のための現在の支援策はさらに充実していくべきものと認識いたしております。
 このため、厚生労働省としては、精神障害者の雇用の促進等に関する研究会において調査研究を進め、精神障害者の雇用支援策の充実について前向きに検討してまいりたいと思います。
#258
○西川きよし君 ありがとうございました。
 こうした精神障害者の雇用政策として、これまでにも障害者の雇用促進法において企業側にその雇用を義務づける必要があるのではないか、こういった意見もたびたび出てきているわけですけれども、この点についても先ほどの研究会において検討されていると伺っておりますが、現在までの検討状況と今後のあり方について、ぜひ大臣にお考えをお伺いさせていただきまして、少し時間が早いようですけれども、私の最後の質問とさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
#259
○国務大臣(坂口力君) 障害者の問題は、身体障害者、それから知的障害者の問題、そして精神障害者の問題へとだんだんと進んでまいりました。身体障害者の皆さん、それから知的障害者の皆さんの場合には、病状が固定しやすいということもございまして就職がかなり進められてまいりましたが、あと残されましたのが精神障害者の皆さん方でございます。
 先ほど局長からの答弁もございましたが、この精神障害者の雇用の促進等に関する研究会、もう既に十四回を重ねていただいているようでございますから、かなり多方面からの御議論をしていただいているものと思うわけでございます。
 この結論を待って、そしてどうするかということを最終的に決定させていただかなければならないわけでございますが、ここからは私の個人的見解でございますけれども、精神的障害者の皆さん方の場合には、先ほども申しましたとおり、症状が固定しにくいという一つの特徴がございます。したがいまして、安定したお仕事についていただきます場合に、病状が変化をいたしますと、それに対応できるかどうかの問題があるのであろうというふうに思います。もう一つ、プライバシーの問題もあろうかというふうに思います。こうした問題をどう乗り越えていくかというのが今後の課題であろうというふうに思います。
 いずれにいたしましても、しかし、難しい状況がありましても、それを乗り越えてこの精神障害者の皆さん方に対しましても雇用を促進していかなければならないことだけは間違いのない事実でございまして、そこで、その目的に向かって一日も早く、どう結論づけ、どのような施策をしていくかということになってくるのであろうというふうに思っている次第でございます。
#260
○西川きよし君 どうもありがとうございました。
 終わります。
    ─────────────
#261
○委員長(中島眞人君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、松崎俊久君が委員を辞任され、その補欠として今井澄君が選任されました。
    ─────────────
#262
○黒岩秩子君 最後になりましたので、皆さんが大分質問してくださいまして、私の質問は残り少なくなりました。
 実は、私の住んでおります新潟県におきましても新潟中央銀行が破綻しまして、また、私の住んでおる町でも一番大きいスーパーマーケットが倒産いたしました。そういうような中で、血しぶきが町じゅうにかぶってきて、そこらじゅうであっぷあっぷしているという現状がありますので、今回のこのような法改正というのは喫緊の問題であると思いますし、また、この法改正によってそれらのことが少し前進するかなという予感もあります。しかし、よく内容を検討してみましたら、幾つかの問題を感じましたので、それを御質問させていただきます。
 まず、先ほどから大勢の方がおっしゃっておりました再就職援助計画のことなんですけれども、二十四条の四項におきまして公共職業安定所長が再就職の促進を図る上で適当でないと判断した場合というのがありますけれども、職安の所長さんはどのような基準で適当でないと認めるのか、その基準をお伺いしたいと思います。
#263
○政府参考人(澤田陽太郎君) 「再就職の促進を図る上で適当でないと認めるとき」と、こう書いてございます。ここにつきましては、現行の業種雇用安定法におきまして、業種雇用安定法に基づく雇用維持等計画を事業主につくってもらうという仕組みがございます。その雇用維持等計画の中で、事業主が定める措置の内容が雇用の安定を図る上で適当でないと認めるときは、安定所長はその変更を求めることができると、同様の規定がございます。
 その現行業種雇用安定法上の「雇用の安定を図る上で適当でないと認めるとき」ということについては、一つは計画の内容が明らかに実現不可能な内容であると認められる場合、いわば事業主が講ずる措置が、非常に立派なことが書いてあるけれども、どうも実現不可能ではないかというケースであります。
 それからもう一つは、離職者が出る場合に、求人開拓等、事業主はある程度してもらわなきゃいけないわけですけれども、事業主が最低限やらなきゃならないような責務が明らかに欠けている場合、こういうことが現行業種雇用安定法上のスキームの中で通達ベースで明らかになっておりますので、こういうものもアナロジーとして参考にしながら、今回の新しい再就職援助計画における安定所長の変更の求めについても考えていきたいと、こう思っております。
#264
○黒岩秩子君 ありがとうございました。
 今の基準でいきますと、恐らくほとんどの場合、それにひっかからないのではないかと想像いたします。そうすると、再就職援助計画というものを雇用主がつくった場合、それでほとんど通ってしまうというのが現状なのではないかと私は理解したんですけれども、それでよろしいでしょうか。
#265
○政府参考人(澤田陽太郎君) 今回の再就職援助計画の計画事項について、たびたび申し上げておりますが、今後、労働政策審議会で労使の御意見を踏まえて確定していくわけですが、その中に事業主が講ずる措置というものが必ずや入ります。
 その場合に、私どもはできるだけ事業主に努力していただきたいという目的で、事業主が政策方向として私どもと同じ方を向いているような措置を計画の中に書いて、実際やる場合には国からその事業主に対して助成するという仕組みをとっておりますので、そうした中で、本当に実効ある再就職援助措置が計画の中で書かれるように指導もしていきたいし、当然国の助成が出る場合には労働組合等の同意を条件とすることを今後検討すると、大臣、副大臣から申し上げておりますように、労働組合の方も、あるいは労働者代表もそういう方向で御努力をいただけるんじゃないかと、こう思っております。
#266
○黒岩秩子君 ありがとうございました。
 その場合、もう一つ、整理解雇の四要件ということについて、職業安定所の方でその判断をするということはできないのでしょうか。
#267
○政府参考人(澤田陽太郎君) 再就職援助計画に乗る方、対象者が、いわば整理解雇か通常解雇かわかりませんけれども、解雇という形で確定されるケースがあろうかと思います。そうした場合には、安定所は行政機関でございまして司法機関ではございませんので、法的にそこが適当かどうかということは判断できません。むしろ、事業規模の縮小等でやむを得ず離職者が出る場合には、どういう必要性があるのか、どういう基準で対象者を選んだか、先生御指摘の四要件について労使の間で判例法理を踏まえて十分話し合っていただくということを前提として考えております。
#268
○黒岩秩子君 そうしますと、結局そこのところは裁判に、司法に預けるということになるんだと思いますけれども、解雇される労働者の側にとって裁判というのはかなり高い敷居なわけです。
 今回の援助計画というのをよくよく考えてみますと、使用者側にとっては援助のために助成金がもらえる、だけれども労働者の側にとっては、一カ月間有給で再就職のための活動ができるというメリットはあるものの、それが過ぎたら解雇されてしまうという結果になるわけで、解雇に至る責任ということを考えてみますと、私から見ると使用者の側にかなりの責任があるはずなのに、使用者の側にとってはかなり有利な援助計画。今回の法改正というのがあるにもかかわらず、労働者の側にとっては、先ほどから井上さんたちがおっしゃっていたようなかなり不利な状況があるのではないかと思われるのですけれども、このことについてどのようにお考えでしょうか。
#269
○政府参考人(澤田陽太郎君) 使用者が再就職援助計画を作成し、公共職業安定所長の承認を得て、かつ国の助成を得ようとすれば、それは労働組合のあるいは労働者代表の同意がなければ国の助成は出ないという方向で、今後施行までの間に検討したいということを再三申し上げておりますので、そこはかなり安易なリストラを阻止する、労働者にとって不利な再就職援助計画を促進するということにはならない、むしろそこに強力な歯どめをかけるということになると考えております。
 それともう一点、国の助成がつくかつかないかは別にして、再就職援助計画を作成するには、事実上労使で十分話し合ってかなりの程度意見がすり寄って合意がないと計画自身をつくることはなかなか難しいというのが、ここは事実だろうと思っておりまして、そうした面からも労働者代表、労働組合等と使用者が十分話し合っていただきたいと、こう思っております。
#270
○黒岩秩子君 労働組合のことなんですけれども、私は、労働組合というのは臨時職員とかあるいはパートタイマーとか、そういう方たちが含まれていない労働組合が圧倒的だと思っております。首切りの対象になるのは、そういう意味では労働組合でバックアップされない方たちが多いのではないか、そういうことを考えたときに、やはり弱い立場の人たちにとってかなり不利になるのではないか、そのことをどのようにフォローアップなさるのか、お伺いしたいと思います。
#271
○政府参考人(澤田陽太郎君) これは、先ほど大脇委員の御質問にお答えしておりますように、今回の再就職援助計画は労働者の雇用形態等々による違いを是認するものではございませんで、基本的にはその企業に雇われている労働者の方々全体にかかわる再就職援助計画でありまして、どういう方が対象になるかも労働者によって初めから違いが出てくるという考え方ではありません。
 その場合に、どういう方々がやむを得ず離職せざるを得ないかという点につきましては、繰り返しになりますが、労働組合がその事業所で働く労働者の全体の利益、意見を踏まえて使用者と意見交換をし、事実上協議をするということになると思いますので、まさに労働組合の機能が問われる場面が出てくると思っております。
#272
○黒岩秩子君 今の最後におっしゃった、労働組合の機能が問われるということ、私も本当にそう思います。
 私自身、ずっと労働組合に属しておりましたけれども、臨時職員が加盟できるような組合であるならばその労働組合の機能は果たせると思いますけれども、そうでなく、特権的な労働者だけでつくられている労働組合というのはかなり大変なことになるのではないかというふうに思われるので、そこら辺のところをまた御配慮いただけたらと思います。
 次に移りますけれども、西川さんの方から今大変細かく障害者の問題について御質問をいただき、私も随分たくさんの勉強をさせていただきました。
 とにかく、私の周りでもそうなんですけれども、能力がないからということでリストラされる場合にはやっぱり障害者が圧倒的に多く、それも大臣おっしゃいましたように知的障害者とか精神障害者の方がどうしても先に解雇されるという形になります。
 それで、今の援助計画もそうですし、それから能力開発のための講習とかいろんなことがありますけれども、障害者、知的障害者、精神障害者にとっては特にそのような仕事を変えるということに対してすごく時間がかかる、変化に対して適応するのがとても大変だということを考えた場合に、普通の方よりももっと優先的に、障害者を首を切らないで残すというような措置は考えられないものなのかどうか、大臣にお伺いします。
#273
○国務大臣(坂口力君) 今お話しいただきましたように、障害者は就職するに当たりまして各種のハンディキャップを持っております。そうしたことから、公共職業安定所におきましては、障害者求人開拓推進員によります積極的な求人開拓というのが現在でも行われているわけでございます。それから、職業相談、職業指導、職業紹介といったようなこともやっております。障害者向けの就職面接会の積極的な開催というようなことも最近は行われるようになってまいりました。
 それで、今お話しになりましたように、しかし一度就職をしておみえになった方が一度離職をされるということになりますと、再び職を求めるというのが大変難しいのはもう御指摘のとおりだというふうに思います。
 そこで、事業主は、障害者を解雇する場合は、障害者雇用促進法に基づきまして速やかに公共職業安定所長に届け出しなければならないことになっております。公共職業安定所はその障害者の早期の再就職に努めているところでございます。
 また、障害者の解雇によって障害者雇用率が未達成となります事業主に対しましては、雇用率の達成指導を厳正に実施しているというようなことが現在行われていることでございますが、しかし、障害者もたくさんお見えになるわけでございますから、これから全部の皆さん方にそれが行き渡るようにしなければならないというふうに思っております。
 先ほどからも議論が出ておりますように、現在の身体障害者、知的障害者に、さらに精神障害者を加えた障害者の皆さん方に雇用を勧めていくという時代がもうそこまで来ているというふうに思います。これを達成していきますためには、それぞれの企業がやはり社会的責任を果たしていただかなければなりません。企業が、やはり障害者を雇用するあるいは環境に配慮するといったようなことをする企業こそ本当の企業だという社会的評価というようなものが生まれることもまた大事ではないかというふうに思います。
 そうした全体の意識改革の中で障害者雇用というものが進んでいくものというふうに思いますが、しかし法律的にもやはり押さえるべきところは押さえていかないといけないのであろうというふうに思っております。
#274
○黒岩秩子君 ありがとうございました。
 それで、今指摘されました法定雇用率未達成の企業に対して、先ほどのお話ですと三百人未満のところではペナルティーが科せられていないということのようですけれども、ペナルティーというのはどのような規模で科せられているのでしょうか。どのような規模でというのは、幾らといいますか、そういう具体的な数字でお知らせいただきたいんですが、局長さん、お願いします。
#275
○政府参考人(澤田陽太郎君) 規模三百人以上のところには、法定雇用率を満たしていない場合には、実雇用率と法定雇用率の差の分だけを納付金という形でいただくということで、納付金というものの計算の仕方は、詳しく申し上げますと、一応定額制になっておりまして、一人当たり月五万円という形で納めていただくと。
#276
○黒岩秩子君 実はその五万円なんですけれども、五万円という数が多いか少ないかとなると思いますけれども、三百人以上の会社というのは私の感覚でいえば大きい会社だと思うんですけれども、その会社にとって、五万円払えば雇わなくてもいいということになったら、払った方が楽だというような値段のような感じがしております。
 それで、多くの会社は五万円を払う程度で済むならばその方がいいという判断があって未達成がこんなに多いのではないかと思われまして、先ほど大臣がおっしゃいましたように、企業というのは本当の意味で社会的に環境にも配慮し、それからまた障害者の雇用にも配慮しというような会社が優良企業なんだと思っているわけなんですけれども、現実にはなかなかそうではなく、お金で考えてもうかる方がいい、楽な方がいいというようなところへ流れていく可能性が多いので、そこら辺の今五万円というその納付金を上げるお考えはないものかどうか、お伺いしたいと思います。
#277
○政府参考人(澤田陽太郎君) 納付金の計算の仕方についての考え方でございますが、未達成のところから納めていただいた納付金を雇用率を達成している企業の方に調整金だとか奨励金という形で再配分していく、それで未達成のところの部分と達成したところの部分がバランスをとれるような考え方で計算しておりまして、この五万円が低いかどうかという議論はあろうかと思いますが、基本的には障害者の雇用は企業の社会連帯という思想の中で、みんなで障害者雇用を促進していく。その努力をしたところにはインセンティブを与え、努力をしないところには多少のペナルティーをかけるということでございますので、金額を高くしてペナルティーを強化するという議論はあろうかと思いますが、その辺はなお十分いろんな観点から議論をしていかなきゃならないのじゃないか、かように考えております。
#278
○黒岩秩子君 ありがとうございました。
 それで、先ほど西川議員からの御質問に文部科学省の方がお答えくださったんですけれども、教育委員会での雇用率が大変低いという問題が、教員という資格を持っている方たちが障害者の方に大変少ないというふうに言われたんですけれども、実はこのことと深く関係するのではないかと思われるのは、いわゆる学校というところが障害を持っている方たちをほとんど排除したところで成り立っているということがあるように思われてならないんです。というのは、もしそこに知的障害児とかさまざまな障害を持っている子供たちが入れば、そこには介助者とかいう人たちも必要になってくるわけで、そうするとその介助者というのも公務員として数えていけば、ここの中にはいろんな障害者の雇用が考えられると思うんです。
 そういう意味で、文部科学省の方がいらっしゃらなくなってとても残念なんですけれども、文部科学省の方で、もっと学校の中にいろいろな障害を持っている子供たちを入れていって、それでその子供たちを抱きかかえていく過程の中で障害者の雇用というのも考えられるのではないかと思っているのですけれども、大臣、どのようにお考えでしょうか。
#279
○国務大臣(坂口力君) 小さいときからの教育というのは大変大事でありますし、小さいときから障害者の皆さん方と共同生活をすると申しますか、同じに学校の中で生活をするといったようなことが社会全体で受け入れていくという大きな素地になることは私も間違いないというふうに思います。
 したがいまして、今まで障害のあるお子さんを特別な学校へ入れてというようなことが一時行われておりましたけれども……
#280
○黒岩秩子君 今もです。
#281
○国務大臣(坂口力君) 今もですか。
 しかし、最近はかなり一般の学校の中で同じに勉強をさせようという動きが強くなってきております。そうした動きがこれからだんだん大きくなってくるのではないかというふうに思いますし、学校も社会もそうした状況になって本当のノーマライゼーションという考え方が理解をされるのではないかというふうに思います。
#282
○黒岩秩子君 本当に御理解のある御発言をありがとうございます。
 実は、高齢化社会というのは障害者が多くなる社会ということだと思っています。それで、まだまだこれから障害者の率が高くなる社会になるわけで、それは私たち自身が知的障害者にもなるし、あるいは視覚障害者、聴覚障害者あるいは身体障害者、あらゆる障害者になってからでないと死ねないというのが現実だというふうに思っているので、これからさらに高齢化社会が進むという中では、この障害者の問題というのが大変大きなことだと思っております。
 実は、うちの近くにいつも外へ出ると自分のうちに帰れなくなってしまうおばあちゃんがいまして、おばあちゃんは会う人ごとに私のうちはどこでしょうかと聞くんです。そうすると、小学生なんかが、ばか、ばかと石を投げたりするという現実がありまして、やっぱり学校の中でいつもいつもいろんな障害を持っている人と一緒にいたらそんなことはないんじゃないかと思いながら、いつもそのおばあちゃんの姿をうちの子供たちと一緒に何か胸を痛めながら拝見しておりました。そういうことについて、今、大臣から御理解のある御発言を伺ったので、大変うれしいと思います。
 最後に、地域雇用開発促進法の一部改正のことについてお伺いさせていただこうと思います。
 都道府県が各地域を指定するまでには市町村の意見聴取をするという形があるわけですけれども、市町村というのもこれはかなり広いところもありまして、本当の意味でそこの企業の中の雇用者と使用者の関係のことまで含めて理解しようとしたら、事業主、労働者の現状とか意見を反映させるための手段としてはどんなことをお考えでしょうか。
#283
○政府参考人(澤田陽太郎君) 今回の地域雇用開発法のスキームとしては、厚生労働大臣が地域指定の基準を示します。それを見て地方自治体が自分の地域、エリアの中でどの市町村を、これは単独でも複数でも構いませんが、どの市町村をどのタイプの基準に当てはまるから指定しようと都道府県が発意をいたしまして、関係市町村に意見を聞きます。指定をして、その地域ではこういう計画をつくりたいんだけれどもどうですかと聞きます。それが市町村の意見反映の仕組みとして法律に書いてあります。
 市町村が地域指定オーケー、そこでの計画オーケーということになりますと、県としての計画ができて、厚生労働省の出先機関としての地方労働局に話が上がってきます。そのときにその計画について、今度は計画の中身になりますけれども、その計画のエリア内にかかわります使用者、労働者代表等々が参画いたします各四十七都道府県に一つずつ置くことに今回の法律でも想定しております労働審議会というものがありますので、その審議会の方に都道府県から出てきたこの計画についていかがかという正式な審議事項としての意見を聞くというスキームで市町村及び関係労使の意見反映という仕組みを考えております。
#284
○黒岩秩子君 ありがとうございました。
 最後にもう一度障害者の問題を伺わせていただきます。
 再就職援助計画の中に、障害者は優先的に事業所にとどまれるというような内容を盛り込むということは不可能なことなんでしょうか。
#285
○政府参考人(澤田陽太郎君) 先ほど大臣から障害者の雇用の促進あるいは雇用の維持についての基本的な考え方、政策の御答弁がありましたが、今回の雇用対策法改正案の仕組みの中に、障害者の離職について特別に配慮するという規定は現在盛り込んでおりませんし、盛り込むことはなかなか難しいだろうと思っております。
 そこは先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、障害者雇用促進法というスキームの方で障害者の雇い入れなり離職防止についてできておりますので、これを縦と横からかぶせるという形で対処していきたいと、かように考えております。
#286
○黒岩秩子君 いろいろありがとうございました。
 何か、もしかすると大臣、きょうが最後になられるのかなというのがありまして、なるべくそうではないのを願っておりますけれども、最後に、一カ月に満ちませんでしたけれども、いろいろと理解のある心で受けとめてくださる答弁をいただきまして、感謝の言葉を申し添えます。
 ありがとうございました。
#287
○委員長(中島眞人君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
    ─────────────
#288
○委員長(中島眞人君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、阿部正俊君及び沓掛哲男君が委員を辞任され、その補欠として海老原義彦君及び木村仁君がそれぞれ選任されました。
    ─────────────
#289
○委員長(中島眞人君) これより討論に入ります。
#290
○井上美代君 私は、日本共産党を代表して、経済社会の変化に対応する円滑な再就職を促進するための雇用対策法等の一部を改正する等の法律案に対し、反対の討論を行います。
 法案の内容に入る前に、今回の重要法案をたった一日の審議で採決してしまうことに断固抗議いたします。
 今回の改正法案は、雇用の基本法というべき雇用対策法の理念を根本から変えてしまうものです。また、雇用にかかわるたくさんの法案の改正を行うものです。わずか一日の審議で通してしまうことは、国会の形骸化にほかなりません。
 同法案に反対する理由の第一は、法案が、雇用対策法に「円滑な再就職の促進」という理念条項を設け、同法の第一条の「目的」にある「完全雇用の達成」を事実上言葉だけのものにし、企業収益を高めるための雇用流動化を国家的規模で推し進めるものだからです。
 政府・与党は、産業再生法などでリストラを行う企業への優遇を進め、そして今度は、失業率を一層悪化させる不良債権処理を進めようとしております。しかし、その結果、景気回復どころか失業率は高どまりし、景気後退の悪循環へと袋小路に突き進んでいるのであります。企業がもうかればやがて国民が潤うと政府・与党がしがみついている景気回復のシナリオは、もはや通用しないのであります。
 反対理由の第二は、この法案の最大の目玉である在職中からの再就職支援それ自体がリストラを推し進めるものとなるからであります。
 本法案は、企業に対し、リストラされた労働者への再就職支援を義務づけるというものですが、再就職支援と一体になっているリストラ計画そのものに対しては何の歯どめもありません。それどころか、在職中からの再就職促進が、退職勧奨、退職強要など退職促進と一体となり、まさにリストラの手段となる危険は避けられません。リストラを進めるための再就職支援活動に国の財政を支援することなど、到底認めることはできません。
 なお、募集、採用にかかわる年齢差別の禁止の努力義務規定も、その実効性は保証されていないものであります。
 日本共産党は、大企業のリストラを進める政治には断固として反対するとともに、我が党提出の法案のように、解雇規制、サービス残業の根絶で、労働者が安心して働ける労働環境の実現のために奮闘する決意を述べて、反対討論を終わります。
#291
○委員長(中島眞人君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 経済社会の変化に対応する円滑な再就職を促進するための雇用対策法等の一部を改正する等の法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#292
○委員長(中島眞人君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、柳田君から発言を求められておりますので、これを許します。柳田稔君。
#293
○柳田稔君 私は、ただいま可決されました経済社会の変化に対応する円滑な再就職を促進するための雇用対策法等の一部を改正する等の法律案に対し、自由民主党・保守党、民主党・新緑風会、公明党、社会民主党・護憲連合、二院クラブ・自由連合及びさきがけ環境会議の各会派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    経済社会の変化に対応する円滑な再就職を促進するための雇用対策法等の一部を改正する等の法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法律の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。
 一、急速なグローバリゼーションの進行など経済社会の構造変革に伴う雇用情勢の変化に機動的・弾力的に対応するため、雇用の創出とセーフティネットの整備について取り組むこと。
 二、本改正により、雇用政策の課題である労働者が安心して働ける社会を構築するため、自発的な職業能力開発を支援するとともに、ミスマッチによる構造的な失業の解消に努め、雇用の維持安定を図ること。
 三、事業主による再就職の援助を促進するための措置については、安易な解雇を促進することのないよう十分に周知するなど適切な運用が図られるようにすること。
 四、障害者の雇用の促進は雇用政策の重要課題であり、本改正による関係規定の削除は障害者雇用対策の重要性をいささかも減じるものではないことを認識し、景気動向を踏まえ、必要な施策の推進を図ること。
 五、雇用就業ニーズの多様化を踏まえ、パート労働者などで短期雇用を反復継続する労働者について、フルタイム労働者との均衡等を考慮して、雇用労働条件管理の改善を進めるとともに、派遣労働者について適正な就業環境の確保を図ること。
 六、少子高齢化が進展し、育児期後の女性の再就職希望者が多い中で、労働者の募集及び採用について年齢にかかわりなく均等な機会を与えるべき事業主の努力義務については、その趣旨に沿った適切な運用に努めること。また、国家公務員及び地方公務員についても、民間事業主へ努力義務を課すことを踏まえ、本改正の理念の具体化に向け適切な対応を図ること。
 七、地域雇用機会増大計画、地域能力開発就職促進計画、地域求職活動援助計画又は地域高度技能活用雇用安定計画について協議を受けたときは、厚生労働大臣は、地域労使の意見が反映されるよう配慮の上、当該協議案の考え方を尊重すること。
 八、地方労働基準審議会、地方職業安定審議会の廃止に当たっては、その果たすべき機能が適切に関係審議会に継承されるよう万全の配慮を行うこと。
  右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#294
○委員長(中島眞人君) ただいま柳田君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#295
○委員長(中島眞人君) 多数と認めます。よって、柳田君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、坂口厚生労働大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。坂口厚生労働大臣。
#296
○国務大臣(坂口力君) ただいま御決議のありました本法案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重し、努力してまいる所存でございます。
 ありがとうございました。
#297
○委員長(中島眞人君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#298
○委員長(中島眞人君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時五十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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