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2001/06/07 第151回国会 参議院 参議院会議録情報 第151回国会 厚生労働委員会 第15号
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2001/06/07 第151回国会 参議院

参議院会議録情報 第151回国会 厚生労働委員会 第15号

#1
第151回国会 厚生労働委員会 第15号
平成十三年六月七日(木曜日)
   午前十時二分開会
    ─────────────
   委員の異動
 六月七日
    辞任         補欠選任   
     大島 慶久君     野間  赳君
     釜本 邦茂君     海老原義彦君
     武見 敬三君     宮崎 秀樹君
     朝日 俊弘君     高嶋 良充君
     松崎 俊久君     藤井 俊男君
     浜四津敏子君     弘友 和夫君
     山本  保君     大森 礼子君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         中島 眞人君
    理 事
                亀谷 博昭君
                斉藤 滋宣君
                柳田  稔君
                沢 たまき君
                井上 美代君
    委 員
                海老原義彦君
                大島 慶久君
                狩野  安君
                釜本 邦茂君
                田浦  直君
                鶴保 庸介君
                野間  赳君
                南野知惠子君
                宮崎 秀樹君
                川橋 幸子君
                木俣 佳丈君
                高嶋 良充君
                長谷川 清君
                藤井 俊男君
                大森 礼子君
                浜四津敏子君
                弘友 和夫君
                小池  晃君
                大脇 雅子君
                西川きよし君
                黒岩 秩子君
   国務大臣
       厚生労働大臣   坂口  力君
   副大臣
       内閣府副大臣   松下 忠洋君
       財務副大臣    若林 正俊君
       厚生労働副大臣  桝屋 敬悟君
       厚生労働副大臣  南野知惠子君
   大臣政務官
       厚生労働大臣政
       務官       田浦  直君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        川邊  新君
   政府参考人
       内閣府政策統括
       官        坂  篤郎君
       財務大臣官房審
       議官       木村 幸俊君
       国税庁調査査察
       部長       金井 照久君
       厚生労働省社会
       ・援護局障害保
       健福祉部長    今田 寛睦君
       厚生労働省年金
       局長       辻  哲夫君
       社会保険庁運営
       部長       冨岡  悟君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○確定給付企業年金法案(内閣提出、衆議院送付
 )

    ─────────────
#2
○委員長(中島眞人君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。
 まず、政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 確定給付企業年金法案の審査のため、本日の委員会に内閣府政策統括官坂篤郎君、財務大臣官房審議官木村幸俊君、国税庁調査査察部長金井照久君、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長今田寛睦君、厚生労働省年金局長辻哲夫君及び社会保険庁運営部長冨岡悟君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(中島眞人君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#4
○委員長(中島眞人君) 次に、確定給付企業年金法案を議題といたします。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#5
○木俣佳丈君 おはようございます。民主党・新緑風会の木俣佳丈でございます。
 きょうは二時間の長丁場でございますが、大臣、副大臣の方、政務官の方また政府参考人の方々にはよろしくお願い申し上げます。
 まず、質問に先立ちまして、代表質問の中でもるる御説明というか御答弁もございましたけれども、やはり私自身が年金ということについて非常に切実な不安というのを持っておるわけでございます。
 これはたしか総務省の統計だったと思うんですけれども、十年前は社会に対する不安というものを大体三五%ぐらい、国民全体の三五%ぐらいが持っていた、ところが今は十年たって二〇〇〇年ぐらいだと大体倍の七〇%を超えているという、こういう社会の状況でございます。それはひとえに、別に年金のことだけではないと思うんですね。仕事がどうなるかわからない。
 私も今三十六歳でございますけれども、私、きょうの朝も、私の大学の同級生たちと勉強会をしてまいりました。彼らも口々にやっぱり言うのは、いつリストラされるかわからないから、おまえの事務所でちょっと雇っていただけないかと。こういう笑えないような、本気でかなり言っているところがありまして、私も非常に金銭的に困っておるものですからそうはいかないよと、こんな話をしながらきょうも来たわけでございます。いずれにしても大変な不安の中で、そしてまた不満の中で、今、社会があるということは間違いないのではないかと私は思っております。
 そういった意味で、私は今、特に年金を何とかすればすべてがよくなるということではないかもしれませんけれども、やはりこれだけスピードを上げて少子高齢化が進んでいく中で、世界一のスピードで進んでいく中で、やはり年金ぐらいはという声が私の地元の方の後援会の方々からも第一の要望でございます。年金ぐらいは守ってもらわないと、あなたを国会議員にさせた理由がないよということらしいんです。
 ところが、事実を述べると、昨年の強行採決の話でございますが、支給は結局五年延びて、一番ひどいのがうちのおやじの年代でして、ことし、とにかく六十になるとか六十一になるとか、こういう方々なんですよね。どうしてくれるんだという話になっちゃう。ですから、とにかく年金というのをどう守っていくのかというのが非常に大事だと私は切々に思っております。そういった意味で、国会議員のひとつ必修事項という思いで私も年金についてこれからも続けて勉強させていただきたいというふうに思っておるわけでございます。
 第一問としまして、ちょっと通告にございませんけれども、さきに質問をいたしました内閣に御質問をさせていただきます。
 副大臣いらっしゃいますが、内閣総理大臣の諮問機関の経済戦略会議、樋口廣太郎さんが座長だったと思いますけれども、昨年、答申を出しまして、もちろん内閣は違いますが、総理に諮問されたということでございますが、この扱いはどのようになっておりますでしょうか。
#6
○副大臣(松下忠洋君) 現在、経済財政諮問会議という内閣府の中に設置法できちっと定められた会議の中で、国家が抱えているもろもろの課題について熱心に勉強し議論をしているわけです。内閣の継続性がございますから、政治の継続性がございますので、会議そのものの名称は変わりましたけれども、そこでの議論の成果も踏まえながら、新しく今度の経済財政諮問会議の中でやはり同じ国家の抱える課題としてしっかりと議論していくというふうに私はとらえております。
#7
○木俣佳丈君 再度伺いますけれども、経済戦略会議は総理大臣に答申をしたわけですが、これはどのようになったか。
#8
○政府参考人(坂篤郎君) 事前に調べていませんので、やや大ざっぱなお答えで許していただきたいと思うのでございますが、経済戦略会議につきましては、答申といいますか勧告といいますか意見だったか、何かそういう名前のものですが、それを受けまして、政府の方でこれは実行しますとか、これはこれから検討しますとか、あるいはこれは実現のためにはなかなか検討すべき課題が多いですといったような、何といいますか、政府としての取り組み方についての、通常ABCというふうに言っておりますけれども、そういった区分けをいたしてございます。したがいまして、盛り込まれたことすべてについてすぐやりますということにはなっていない、そういう区分けに従って取り組むと、こういうことになっているということでございます。
#9
○木俣佳丈君 そのABCで御記憶にあれば副大臣にもお答えいただきたいんですが、特に基礎年金の部分、一階と言いますけれども、国民年金、基礎年金の部分はどういう答申でございましたか。これはこの間も代表質問で私も質問しましたが。
#10
○副大臣(松下忠洋君) 竹中大臣とのやりとりの中でお話があったことを私も陪席して聞いておりますので、そのことの繰り返しになるかと思いますけれども、御質問がございまして、そういう問題のやりとりがございました。
 竹中大臣のお話では、賦課方式である基礎年金について、税でやるか保険でやるかはどちらもありというのが世界の現実だというようなお話をしておられました。国民の負担意識の問題、それから国庫補助の程度、歴史的な要因等のベストミックスの中で決まる問題であって、どちらでやるかということは重要な問題ではないと竹中大臣はお話をしておられました。
 本質的な問題は、その保険原理の部分と福祉原理の部分、いわゆる若い者が年寄りを支えていくというようなそういった税方式になろうかと思うんですけれども、そういうような考えに立って制度そのものを持続可能なものにしていくんだということを議論していくのが大事だ、こういう話をしておられましたが、そういうことであると思います。
#11
○木俣佳丈君 余り揚げ足をとるわけではございませんが、どちらでやるかは重要ではないということをお答えになったんですが、厚生労働大臣、本当にそうでしょうか。この基礎年金、どちらでやるかは余り重要ではないことでしょうか。
#12
○国務大臣(坂口力君) 年金の場合に、基礎年金の場合とそれから厚生年金の場合と両方あると思いますから区別して考えなければならないというふうに思いますが、現在のいわゆる基礎年金の方は御承知のとおり保険で三分の二、そして公費負担が三分の一と、こういうふうに今なっているわけでございます。ですから、今お話がございましたように、どちらでいくかということになれば、今は保険が主体で、それを公的なものがカバーをしているということになっております。これを二〇〇四年までに半々まで持っていこうということに今合意されているわけでございます。
 ですから、社会保険の中で半分、そして国庫負担で半分という、今のところの合意はそういうことになっているというふうに承知をいたしております。
#13
○木俣佳丈君 もう一度、坂口大臣に伺いたいんですが、どのような徴収方法にするかというのは余り関係ございませんですかね。つまり、保険で取る方法なのか、それとも例えばもう一つは国庫負担、一般歳出から出るというのか、または税で取るというのか。そういうやり方というのは余り関係ありませんですかね、この基礎年金について。
#14
○国務大臣(坂口力君) 今おっしゃった御趣旨がどういうことなのか、ちょっとよくわかりにくいのですが……
#15
○木俣佳丈君 保険か税かです。
#16
○国務大臣(坂口力君) 保険か税かということですね。
 保険か税かということを言います場合に、助けたり助けられたりという相互扶助の世界のところはやはりどちらかといえば私は保険の世界だと思うんですね。しかし、一方的に負担をする、一方的に援助をするという世界はどちらかといえば税の世界だと思うんですね。
 ですから私は、この年金というのは、若いときに、若い人たちに掛金をしてもらい、そして高齢者の皆さん方がそれを受けるわけでありますから、賦課方式でいけばですね、そういう形でいけばこれは助けたり助けられたり、その方々が今度は高齢者になりましたら今度はまた出してもらうわけになるわけですから、税か保険かという分け方からいえば、私はどちらかといえば保険の世界に属する部分だというふうに基本的には思っているわけでございます。
 しかし、基礎になる部分につきましては、とにかく半分までは税も応援しようということでございますから、私はそれはそれなりに評価をしていると、こういうことでございます。
#17
○木俣佳丈君 今お話しになられましたように、性善説的にというふうに言っていいかもしれませんけれども考えた場合に、要はおじいさんやおばあさんを我々世代が助けましょうという人がみんないた場合には、これは本当に保険方式ということで全く問題ないというふうに思うんですね。
 ただ、今、実際に三分の一の方が何らかの形で払っていないというのが基礎年金の現状でございまして、その数が三百何十万人という法外な数になり、ここ数年間で何十万人、九十万人ですか、ふえているというような現状を考えたときに、いや、本当にその保険方式が続くのかなというふうに考えたら、そうではないというのが実は経済戦略会議の方針でございました。
 経済戦略会議の中では、さきに代表質問の中で述べさせていただきましたように、文言そのものを言えば、「将来的には税方式に移行することが望ましい。」と、こういう方向でして、これは単に三分の一がモラルハザードというのか、納めていないというだけではなくて、特に女性の専業主婦と働いている方々、いわゆる三号被保険者と二号被保険者、一号被保険者との女性の中での差が出てしまうということも含めて、要は社会全体が高齢者、高齢化したときに助けていくという方式になるから税方式にしなさいというふうにこれは専門家たちも言っているんですが、この答申は、統括官、先ほどのABCで言うと何になるんですか、これは。
#18
○政府参考人(坂篤郎君) 詳しくは厚生労働省さんからお答えいただいた方がよろしいかと思いますが、私の記憶ではたしかCというか、いわゆる民営化あるいは税方式といった部分につきましてはC、つまりいろいろ検討を要するという方になっていたように記憶しております。
#19
○木俣佳丈君 これは厚生労働省がCとつけたということですか。
#20
○政府参考人(辻哲夫君) 私も記憶で恐縮でございますけれども、これは各省に意見が求められまして、各省が意見を言うという形で厚生労働省、当時厚生省であったと存じますが、Cという御意見を申し上げたと承知しております。
#21
○木俣佳丈君 そうしましたら、厚生労働省、局長でも大臣でも副大臣でも結構でございますけれども、では、その経済戦略会議の答申の中で、社会保障の中で年金というのは私は最も大事なものだというふうに思っておるんですけれども、そのプライオリティーとしては、今の心の中の御判断で結構ですが、大臣、ABCのどれでございますか。
 つまり、優先順位で要するにCとついたわけなんですね。経済戦略会議の中で答申を出して税方式にした方が望ましいよと、こういうふうに言ったら、厚生労働省の方でつけたんですか、Cというのは。これは、ちょっと慎重に検討するというんですかね、言葉で言うと。まずやらないよ、こういう話になったと。
 ただ、私は、社会保障全体の中では年金が幹であるというふうに教わっております。その中に医療が、そしてまた介護が枝としてあるというふうに考えておりますが、その幹の部分をCとつけたわけというのは。
 それで、今の大臣の思いの中では、年金というのは、要は年金をもう抜本的に変えなきゃいけないのか、いや、そうでもないのか、いやいや、やらないのかと言ったら、ABCのどれでしょうかね。
#22
○国務大臣(坂口力君) そのABCの基準が何かということによって違いますが、重要性からいうならば、私は委員と同じように年金はAだと思うんですね。重要度からいきましたらA。
 それをどう変えていくかということの、これからの何と申しますか、緊急度と申しますか、そういうことについてABCをつけたらどうなるかというのは、これはまた別な話だと思うんですが、重要度からいうならばA、こういうことでございます。
#23
○木俣佳丈君 大変適切なお答えだと思います。
 つまり、政策というのは、大臣今言われましたように、要するに方向性がまず一つあって、じゃどのぐらいという量的、定量的な把握があって、そしてタイムリーかタイミングという三つの軸で考えなきゃいけないというのが大臣の今のお答えだったと思うんですよ。私も全くそのとおりで、一、二番目については大臣はAと言われた。三番目の時間軸のところ、ここも私はAだというふうに思うんですが、大臣、もう一度お答えいただけますか。
#24
○国務大臣(坂口力君) 年金につきましては何度か見直しもしていただいているところでございますが、私は年金につきましていろいろ思っておりますことは、やはり年金の現状につきまして国民の皆さん方によく御理解をいただく、現状についてよく理解をしていただかなければなりません。そのためには、やはり厚生労働省は年金につきましてのデータをできる限りこれは詳細に公開をしなければなりません。そして、よくそれを御理解いただいて、そして皆さん方のいろいろのお考えを聞くということでなければならないというふうに思っております。
 そして、やはり年金につきまして大事なことは、現在だけではなくて将来も含めて一番安定したシステムというのは何かというところにあるだろうと思います。これから高齢化が進んでいく、そして高齢化のスピードや大体高齢化の程度というのもわかっているわけでありますから、これは計算できるわけでありますから、その中で一番現在も将来も安定したシステムというのはどういう形にすべきか、そしてその中で負担と給付をどうするかということだろうというふうに思っております。
 そうした意味で、徐々に改正は加えられておりますけれども、もう一遍私は大きく見直すときが来るというふうに思っておりますが、それは余り慌て過ぎてもいけませんから、よくその辺のところを国民の皆さん方にも理解をしていただいて、そしてトータルでこれでいいかどうかということをもう一遍見直しをする。そのときには三号被保険者の問題も入ってくるでしょう。いろいろな問題も入ってくると思いますが、それらも含めてやはり御議論をいただくというときがあるのではないかというふうに思っています。
 そのときに、そのときがいつなのかということ、そこまで私もちょっとわかりませんけれども、できるだけそういう時期のために整理すべきものは整理をして、国民の皆さん方によく理解をしていただけるように我々もデータを整理しなければならないと思っています。
#25
○木俣佳丈君 大臣が言われますように、大きな改革を、特に基礎年金の部分、一階、二階、三階もそうなんですが、今回は三階でございますが、全部見直さなきゃいけないときが本当に来ると思うんです。
 何でかというと、これはついおとといの夕刊に載っておりましたが、これは朝日新聞ですが「首相は年金セールスマン」と、こう書いてあります。セールスマンなんだと思って、民間商品より圧倒的にお得だよというので、恐らくキャンペーンをこれから打たれるんだなというふうに私も推測したんです。やはりこれは本当に早くやらないと、三分の一が結局未納者なんですね、要は払っていないという意味で、免除も含めてなんですが。これではやはりどうにも立ち行かないというのが現状だと思うんです。ですから、要は定性的、定量的、時間というこの三番目の軸のところをなるべくこれは急がなければならないというふうに思います。
 さらに、もう一度松下副大臣に伺いたいのでございますが、竹中大臣は結局経済戦略会議のメンバーであったんですね。私も樋口さんはちょっと知っている方で、奥田さんなんかも我が故郷の、我が大学のという感じなんですけれども、一生懸命やっぱり御討議されたと思うんです、仕事の合間合間というのか、仕事をサボってというのか。そういうものに対して結局Cという評価になってしまったこと、これをどう考えますか。
#26
○副大臣(松下忠洋君) 私、そのABCという中身をよく存じませんが、坂口大臣が先ほどお話しされたことに尽きると、私はそう考えておりますし、今度の経済財政諮問会議の中でも、社会保障制度のあり方、改革については、これは重要な課題の一つとして勉強しております。坂口大臣にも入っていただいて熱心に勉強会、討議が続いておりまして、そういう面での現在の諮問会議における重要な課題の一つで議論されているということはしっかりとお話し申し上げておきたいと思っておるわけでございます。
#27
○木俣佳丈君 聖域なき構造改革ということで、小泉内閣はこう言われておりまして、要はだれがリーダーシップをとって、今、坂口大臣が言われたような安心な、安定な、簡素で公平な、こういう年金をこれからつくっていくかということが肝だと思うんですね。そのときに、経済財政諮問会議では、いろいろ出ておりますけれども、例えば、一つは年金給付に課税強化をしなきゃいけない、こういう話がありますね。これは完全にもう決まった案ですか。
#28
○副大臣(松下忠洋君) この経済財政諮問会議は六月中にいわゆる経済社会の構造改革についての基本方針、いわゆる骨太の方針と言っていますけれども、それを出すということで今ずっと勉強会をしているわけです。いわゆる骨太の方針でありまして、改革の方向性を示していこうというところまででございまして、制度設計に至るものについてはこれは当然厚生労働省、坂口大臣のところでいろんな議論を深めていきながら決めていくことになっていくというふうに思っておりますし、その骨太の方針を、方向性を示していくというところの議論でございますから、そこまで我々は今まだ中身を議論しているということではありません。
#29
○木俣佳丈君 いやいや、今話しているのは細かい話じゃなくてめちゃくちゃ骨太な、もうこれ以上骨太にしたら何だかわからないような話になっちゃいますよね。
 だから、例えば税方式が経済戦略会議で話されたことを受けてということをさっき副大臣も言われましたね。これはだからどうなんですか。これは受け入れる方針なんですか、この経済財政諮問会議の方では。
 さらに、今の税の話も欧米諸国と比べて、これは塩川大臣だから財務省に聞くべきなのか、財務副大臣、政務官に伺うべきなのかわかりませんが、今、高齢者に夫婦二人のモデルだと三百四十万ぐらいから課税がかかっている、ところが給与所得者だと二百二十万からかかる、これでは余りに不公平だからということで今考えているということなんですが、当然これは意見が違っていいと思うんですよ。なぜならば、例えば経済戦略会議でだっと答申を出された、それを各省に振ったらABCついたということですね。ですから、何も別に厚生省がとか大蔵省がじゃなくて、リーダーになろうというのが竹中さんなんでしょう。そこは違いますか。
#30
○副大臣(松下忠洋君) 共助の精神に基づく将来にわたり持続可能な制度にしていくというのがやっぱり議論の基本にあると考えているんです。ですから、今お話しのことも、骨太の方針を作成することで今勉強会をさせてもらっておりますけれども、社会保険方式というものを基本としつつも、保険料と公費を適切に組み合わせていくということで持続可能な安心できる制度を構築していくということで議論を進めていくということになっております。
#31
○木俣佳丈君 リーダーはだれですか、リーダーは。
#32
○副大臣(松下忠洋君) 経済財政諮問会議は、議長は内閣総理大臣でありますし、座長は竹中平蔵大臣が座長としてやっている。そして、坂口厚生労働大臣もそのテーマについて参加していただいて議論をしているということでございます。
#33
○木俣佳丈君 いや、ですから何度も言いますように、要するにお伺いを全省庁に立ててやったらできないから経済財政諮問会議というところでどんと太いものを出そうということなんでしょう。もう話が出尽くしているわけですよね、言ってみると。もう答申が次々、答申があって答申があって、それだったらもういいじゃないかと僕なんかは思うんですけれども、もう方向性は決まっているわけなんですよ。坂口大臣がいみじくも先ほど言われたような、やはり抜本的な改革をしていかなければ恐らく年金というのは立ち行かないだろうというのが国民に知れ渡り過ぎちゃっているということなんですよ。だから、三分の一が結局やめちゃっていて、そのうちの何割かは何か民間の保険に入っているという、そういう事態なんでしょう。
 ですから、私は基礎年金というのは本当に大事で、まさにシビルミニマム、生活の基礎的なところを、ベースをつくっていくものだから、やはり税で負担をしていくというような方針をどんと出されたらどうかと。こういう大蔵省が主導のような、課税をがちっとかけていくよ、これからは老人にも高齢者にもというようなものよりももっと先にあるんじゃないかと思うんですよね。リーダーシップのとり方というのはどういうふうになっているのかなというのがちょっとわからない。
 もう一度伺いますが、さっき副大臣は、とり方なんかは余り関係ないんだというようなお話を言われたと思うんですよ。だけれども、それは重要なことなんです。とり方によってその制度が生きるかどうかということだから、もう一回ちょっと御認識を、よく勉強していただいて、本当にどういう方式でやったらいいかというのが肝のところですから、基礎年金というのは。何でもいいじゃないんですよ。何でもいいということを言っているから、結局三分の一の人たちが払わなくなっちゃっているんですよ、実際に。
 ですから、御決意を含めて、リーダーシップのとり方ということも含めてちょっと言ってくださいよ。そうじゃなければ屋上屋をつくっているだけじゃないですか。どうですか。
#34
○副大臣(松下忠洋君) 竹中大臣の話されたことをはしょって御説明申し上げたことになっているんですけれども、当然、経済財政諮問会議の中では、小泉総理大臣のリーダーシップのもとに竹中平蔵大臣が座長として、そしてしっかりと仕切りながら議論を進めていますから、そういう今までの議論の積み重ねの上に立ったしかるべき方向が出ていくというふうに私は認識しております。
#35
○木俣佳丈君 余り議論をしてもあれですが、経済戦略会議の中ではとにかく基礎年金は税方式にしなさいというふうに打ち出しているんですよ。ですから、僕もそう思いますし、我々民主党としても全額税方式をなるべく早く執行していくべきだというふうに言っているんですよね。その方針で御検討いただきたいというふうに思うんですが、どうですか。
#36
○副大臣(松下忠洋君) そのことで経済財政諮問会議でも坂口大臣も入っていただいて議論しているんだと思うんですよ。
 今の認識では、社会保険方式を基本としつつ、保険料と公費を適切に組み合わせていくということで持続可能な安心できる制度を構築していこうということで今我々は認識しているわけでございます。
#37
○木俣佳丈君 いや、だから、ちょっと伺いたいんですが、まず二つありまして、本気で何とかこれをしようというんだったら、じゃ松下副大臣、三六%の人が納めていないんですよ。三六%ですよ。これをどうしたらいいと思いますか、そうしたら今の段階で。今までの議論と同じようなことだったら全然変わらないじゃないですか。これを変えようというのがまさに戦略会議であって、経済財政諮問会議ですよね。じゃ、どうしたらいいんですか。
 いやいや、坂口大臣にはさっき伺いましたから副大臣で結構です。リーダーシップのとり方ですから、やっぱり。だから、これ違ってもいいんですよ、今のところは。今のところはですよ。ですから、ちょっとそこを教えてくださいよ。
#38
○副大臣(松下忠洋君) 副大臣そのものが会議をリーダーシップして議論しているわけではありませんから……
#39
○木俣佳丈君 ですから、きょうは竹中大臣に出てきてくださいと僕は言ったんです。
#40
○副大臣(松下忠洋君) ですから、経済財政諮問会議の中での議論の話を今しているわけですから、当然、内閣総理大臣が議長として、私も陪席しておりますけれども、その中で坂口大臣も入ってどういうあり方がいいのかということの勉強会をして、そういう中で答えは出ていくというふうに見ているわけですから、そのことをお話し申し上げているわけでございます。
#41
○木俣佳丈君 いや、それはわかりますけれども、そうじゃなくて、僕は、きょうは竹中大臣に出てきてくださいと、こういうふうに言ったんです。
 というのは、よくあるんですが、大臣になると話が違う方とか忘れる方とか何か最近よくいらっしゃって、かつてだったら恐らくそれで御辞職されちゃう、御辞任されるような話だったのが、今、結局小泉人気、小泉総理大臣の人気ということで、我々もどうしたらいいものかというふうに手を上げてしまっているというのが現状なんですが、国会の場で記憶をなくしたり前言を翻すような。
 例えば、それが公職になったら言葉が違うということはもちろんありますよね。それはあります。しかしながら、竹中さんというのは、我が先輩ではありますけれども、なぜ大臣に民間からなったかといえば、彼の方針はいいんだと小泉さんが思ったからですよね。ですから、トップダウンで彼にやってもらおうというふうに思ったと思うんですよ。竹中さんは、しかも総理の諮問機関である戦略会議の中でも、そうだ、基礎年金は税方式でやろうと明確にこう言われた。しかも、あの東京財団の理事長なんですね、彼は。その理事長が出したこんな大きな、見られましたかね、国会議員そしてまた候補者たちが読むべき二十五の提案なんという仰々しい提案をされて、いや、よくまとまってはいると思いますね、あの中でも明確にそのような話が書いてある。しかし、この間の答弁では全く違う答弁をされているわけなんですよ。
 ですから、例えば彼が経済学者というようなことであるならば、経済学者の一番大事なことは考え方なんですよね。考え方を変えるのだったら、じゃ何なんだという話になっちゃうんですよ。そういうのをえせ学者というふうに私は思うんですけれども。ですから、厳しい言い方かもしれませんけれども、やはりこれは国民の方を向いた政治を、または内閣をつくっていただきたいので、何度も申しますようにそういうことを言っているんです。
 いずれにしても、坂口大臣がいみじくも言われたように、抜本改正をしなきゃいけないんだと。そのために、ある意味で今の制度を保持している方々がなかなか自分から言い出しにくいところを経済財政諮問会議で言って、今度の特殊法人の改革でもそうでしょう、結局、PHPの江口さんを初めとして言ってもらって、言われたよということを受けて今度は切っていくわけですよね。いいんじゃないですか、それは。非常にすばらしいと思うんですよ。だったらば、基礎年金についてだって、なぜそこを置いておいてと、こういうふうにやるのかというのがわからない。それだけをぜひ竹中大臣に詳細にお伝えいただきたいと思いますが、いかがですか。
#42
○副大臣(松下忠洋君) きょうの委員のお話は大臣にしっかりお伝えすることにいたします。
 いずれにしましても、この諮問会議では坂口大臣も入っていただいてしっかりあるべき姿の議論をしておりますので、それだけを御報告申し上げておきます。
 ありがとうございました。
#43
○木俣佳丈君 松下副大臣は御予定がおありなので、どうぞ。
 それから、これは厚生労働大臣に伺いますが、この間の代表質問の中で、給付に必要な費用を二十歳から五十九歳までの全国民で支える仕組みを考えると、未納・未加入の者は全体で見れば五%だというふうにお答えになっていたんですね。これは何だろうと思うんですね。
 つまり、基礎年金のところは基礎年金のところで完結するべきものであって、二階部分は二階部分で、若干代行部分がありますから重なる部分もございますが、二階部分は二階部分で完成するものであって、三階部分は三階部分でというふうにやはりこれを分離して考えなければいけないと思うんです。
 それを、だから、全体の資金の中で考えたら、要は基礎年金でいえば三六%の未納者というものをまぜこぜにして、厚生年金というのは有無を言わさず給料から天引きされるわけでございますから、ここでなかなか払わないという人がないわけなんですよね。ですから、ここと一緒にして五%というのは全く論にならないと思うんですが、いかがですか。
#44
○国務大臣(坂口力君) 三割というのは、未加入者、未納者を含めまして三割といいますのは一号被保険者でございまして、いわゆる基礎年金全体という意味ではなくて、一号被保険者の三〇%ということでございます。そういう意味で、皆さん方、その中には免除されている皆さん方もおみえでございますし、それから未加入の人もあるし、しかし加入はしているけれども払っていない未納者もいると、こういうことでございます。その三者を合わせていくと今御指摘のように大体三分の一ぐらいに達してきている。
 しかし、免除している人たちはこれはゆえあって免除しておるわけでありますからこれはちょっと横に置かなければならないというふうに思いますが、未納者と未加入者、これを減らさなきゃならないことだけはもう委員の御指摘のとおりであります。
 ここがなぜそうなっているのかということを私たちももっとよく知らなけりゃいけないと思うんです。国民の皆さん方が、公的年金はやめて、いや、おれはもう私的年金の方がいいよというふうにおっしゃられるその気持ちというのは一体どこから来ているのかということを私たちはもっと理解しなきゃならないんだろうというふうに思います。我々が思っていることと多分そのおやめになる皆さん方との間には思いにどこかにずれがあるのではないかと私も思っておりまして、そこは皆さん方の御意見も十分に聞きながら我々も考えていかないといけないというふうに思っております。
   〔委員長退席、理事亀谷博昭君着席〕
 全体から見れば五%というふうに言いましたのは、もうこれで破綻するではないかという御質問でありましたから、全体から見れば五%だから破綻するということはありませんということを申し上げたわけでありまして、一号被保険者の皆さん方の中で未加入あるいは未納者が多いということを私たちもそれをこのままにしていいとは決して思っておりませんで、ここはその皆さん方のお気持ちに近づいて、そしてどうするかということをやはり考えていかなければならない。
 放置できない問題であるということは、私もそのとおりでございます。
#45
○木俣佳丈君 それでも、いずれにしても、今いみじくも言われましたように、平成十一年の、未納者が十一年三月現在で二百六十五万人となっており、結局、平成八年に比べてということなんでしょうか、九十万人もふえているという数字があるわけでございます。
 要するに、減りもしないでどんどんふえているということなんですが、これは現段階では何が問題だと思いますか。
#46
○国務大臣(坂口力君) 未加入者と未納者との問題は、先日もあるいは申し上げたかもわかりませんが、全部ではございませんけれども、特に学生の皆さん方を初めとしまして二十歳になりますと皆さん方に皆加入してくださいといって手帳をお送りいたしております。そうしますと、その皆さん方は加入者になるわけであります。加入者にはなりますけれども、それじゃその皆さん方が払っていただけるかというと、払っていただけないものですから未納者になるわけであります。
 今度は加入をしてもらったんですが、今までは加入者は少なかったんですね、だけれどもそれを、今度はそれを皆加入者になってもらったんですけれども未納者になっているということでございまして、未納者が非常にふえた大きな要因の一つになっている。ほかにも私は理由があると思います。全部が全部ということを申し上げているわけではございません。
#47
○木俣佳丈君 いや、これは私が学生のころだったものですからよく覚えているんですけれども、学生の加入の依頼を始めたのは十数年前。やっぱりここでも非常に伺っていてもそごがあると思うのは、つまり、収入がない人たちで、学生は払いなさい、こういうふうになっていて、一方でいわゆる三号被保険者、妻に当たる、妻と言っちゃいけないのか、要するに主たる所得の扶養家族の方ですね、連れ合いの方は事業者の方が払うようになっていると。主人の方が払うもので代行されて、三号被保険者は結局払わないでいいようになっている。これは矛盾だと思いませんか、同じ所得がないんだから。
#48
○副大臣(桝屋敬悟君) 委員の話が大分あちらこちらへ飛ぶものですから答弁する方も大変でありまして、先ほどから委員は、今の一号被保険者あるいは基礎年金の未納、未加入、あるいは免除者も含めて大変に保険料を支払われない方が多い、この実態をどうするのかと。三割という話もいただきましたけれども。
 今、大臣の方からお答えを申し上げたのは、学生をたまたま例に大臣は引かれましたけれども、一つは加入促進ということで保険証を、これは以前はやっておりませんでしたけれども、全部お送りするということで加入促進を図ってきたわけでありまして、逆にそうしますと、今度はその方がなかなか年金の位置づけといいますか年金の意義を十分御認識ない方もいらっしゃるわけでありまして、あるいはその中には支払いが苦しいということもあるんでしょう、ということで未納者がふえてきた。先ほど、随分前に比べるとふえたではないかという御指摘をいただいたわけでありますが、そこはそういう背景もあるんだということを大臣はお答え申し上げたわけであります。
 それに対して、委員の方からは、学生というと三号被保険者、サラリーマンの妻の問題もあるではないか、これはどうだと、こういうふうにまた御指摘をいただいたわけでありますが、これも違う論点では、確かに女性の年金という問題では私はこれは議論をしなきゃならぬテーマだというふうに思っておりますが、ただ学生の国民年金と今のサラリーマンの妻の問題は、これはまた議論を始めると長くなりますが、違う観点があるんだろうというふうに思っております。
 いずれにしても、大臣も申し上げましたけれども、基礎年金、三〇%と見るか五%と見るか、委員は先ほどから基礎年金という言い方をされて免除者も含めて三〇パーと言われるわけで、これは私なんかが見たり横で聞いておりまして、これが議事録になり多くの国民の皆さんに伝わると、基礎年金の三〇%の方が払っていない、負担をしていないというふうに理解をされると、これは逆に言うと、正直そうではありませんよと、基礎年金全体というこの枠組みがあるわけでありますから、その中で冷静に考えてみると五%ということもこれまた事実であります。
 一つは、大臣も先ほどから言っておりますのは、やはり年金に対する信頼感、特に若い方の信頼感について、私ども、厚生労働省として今日まで余り本気で取り組んでこなかったということもこれは真摯に反省をしなきゃならぬというふうに思っておりまして、先ほど、保険証を送り届けるというようなことだけでなくて、もっと省を挙げてPRに努めなければならぬ。やはり年金は何といいましても不確実な、そして遠い将来の老後を本当に確実に保障できる我が国の唯一の私は合理的なシステムである、仕組みであるということをもっと声を大に国民の皆さんに御理解いただくように我々は頑張らなきゃならぬと。これは、委員の御指摘を踏まえて本当に反省をしなきゃならぬことだろうというふうには思っております。
 恐らく大臣はそんな気持ちで答弁をさせていただいたと思います。
#49
○木俣佳丈君 済みません。言葉足らずだったかもしれませんが、一号被保険者のうちの三六%でございます。
 実際、今私も改めて年金手帳を見まして、紆余曲折の人生だものですからいろいろ、二号被保険者だったときは何年かあるのかなとか自分ではじこうか、またはちょっと厚生労働省の方にはじいてもらおうかなというふうに思ったんですけれども、結局、去年の制度の我々は改悪と言っております。とにかくもらいが少なくなりということでありますから改悪だと思うんですが、今もらっている人から比べますと大体一千百万から二百万減額が余儀なくされるわけでございます。
 どうなんでしょうかね、今私がふと思ったのは、三十歳、三十五歳、このぐらいの者が、これは局長にちょっと伺いたいんですけれども、今から一万三千円こう払っていって、もちろんこれどんどん上がっていくでしょうけれども、実質の経済成長率を、どうでしょうか、今からだと二十五年間平均してどうでしょうか、一%ぐらいに考えるんでしょうかね、大蔵省の計算みたいにでたらめな計算はされないと思うんですが、大体一%なんでしょうね、二十年間というのは。物価上昇というのも大体経済成長と同じぐらいかそれ以下、〇・五ぐらい消費者物価指数が上がっていくというような、こういった経済の状況の中で、私は割引現在価値として考えた場合に実際に得するんですか損するんですか。局長。
#50
○政府参考人(辻哲夫君) 今三十歳ないし三十五歳という御指摘がございましたが、まずもちまして二十歳から六十歳という四十年間で六十五歳以降の年金を受けるという仕組みでございますので、ある意味じゃもらうときのことを考えますと、二十歳から見れば四十五年後、それで大体平均的に十五年ぐらい余命がございますのでもらい終わるのは六十年後、場合によってはもっと長生きするわけですけれども、大体基本的には私どもは四十五年後から六十年後ぐらいを考えなくちゃいけないと、こういうふうに考えて、その将来をどう見るかでございます。
 確かに、今のような経済がずっと続くということもあるかもしれません。しかしながら、過去の歴史を見れば経済の循環というのは数十年単位で必ず起こっておりまして、将来のそのときにどうなっているかというのは実はだれにも責任を持って予測はできないし、その結果責任は問えないと。したがいまして、いわば納めたものが戻ってくるという計算でやっても、もしそのときに経済の変動があったら実は年金制度は頼りにならなくて皆が絶望しちゃう、こういうことで行っているというような制度でございます。
 しかし、あえて損か得かという話をしますと、そういう金利とか年金改定率を入れるとあらゆる想定がありますのでできないということで、元本ベースといいますか十一年度価格だけで比較させていただきますと、現在の六万七千円という基礎年金は六十五歳から大体十五・五年間平均的な余命がございますが、千二百四十七万円になります。それに対しまして、現在二十歳の方、相当俗っぽく言うと割に合わないとおっしゃっている世代になりますけれども、この方々が今一万三千円からずっと今の保険料の予定で上がってまいります階段を全部納めますと、四十年間ですね、これが千三十六万になります。したがいまして、もらう額の方が出す額よりも多いということになります。今生まれる方ともっと将来の人はもっと割を食うというふうによく言われますが、二〇〇一年生まれ、ことし生まれの人、この方でも今の保険料の階段でずっと納めていただいて、二十歳から納めていただいて千二百十万でございまして、やはりもらうものよりも出す額が少ない。
 一方におきまして、国庫負担率を二分の一に引き上げると、二〇〇四年までに引き上げるということでございますので、引き上げられましたときには、今の生まれる方のよく言われますのは、一番割を食うんじゃないかと言われる現存する若い方々でも出す額が八百八十八万になるということで、一般的には私ども、年金というのは世代と世代の助け合いですので、親孝行するのに損だ得だと言うことはいかがかと思いましたけれども、やはり損だという話が非常に横行しておりますので、このような事実関係もこれから示してまいりたいと考えております。
#51
○木俣佳丈君 払う額ともらう額というのをまさに時間軸で変えて考えているものですから、今、局長が言われたようになるんですけれども、まず幾つかあると思うんですね。
 物価は上昇していくという要因がある。それから、もし一千万円今あるならばということでいうと将来価値というのは全然違う。だから、さっき言いましたように千二百四十七万円、十五・五年というのは将来の額でありますから、現在価値に直して要は考える必要があるんですよね。
 ですから、そこで結局損か得かというのを単純に将来の二十、私でいうと三十年後ですか、の額で、そこからもらうのがこれだけで、今払うのがこれだけよという、こういうのはちょっと考えるとこれは違ってきてしまうというふうに私は思いますが、どうでしょうか。
#52
○政府参考人(辻哲夫君) 私が今申し上げましたのは実はどちらも十一年度価格でございます。したがいまして、将来それを比較するときには物価が上がるというのと、年金自身の関係で申しますと、一つは年金が将来に向けてどれだけ改定されるかということをまず計算して比較しなくちゃいけないと思うんです。
 これは、まず年金そのものは五年に一回の再計算で現役世代の生活水準の上昇を勘案いたします。したがって、物価以上に生活水準が上がるのは通常でございますが、物価以上の改定というものを、通常、年金の場合は行うことを想定いたしております。したがって、もらう方もふえると。一方、じゃ出すものについてはどうかといいますと、保険では運用されるわけですけれども、運用する場合にも利子がどれぐらいかということになってくる。ということで、年金改定率と利子というものをそれぞれに勘案して比較するということが必要になると思います。
 私どもといたしましては、四十五年後から六十年後の長期のものについて、恐らく経済の実情でもそれを想定して比較してそれでいい悪いといったことは一般的には行えないんじゃないかということで、逆にそういうようなことを仮定計算で行って損だ得だと言うのはかえって混乱が起こるんではないかということで、十一年度価格で今説明申し上げました。
#53
○木俣佳丈君 確かに政府自体、要は我が国の政府自体の経済モデルが物すごいいいかげんですから、ですからそれは局長言われるように物すごい難しいと思うんですよ。それはよくわかります。
 これから細かな話はいろいろまた勉強させていただきますけれども、いずれにしても、今不安が事実としてあるというのをどうしていかなければいけないのかというのが非常に大きな問題で、基礎年金ばかりやっていますと本論の確定給付企業年金がお粗末になりますので、ちょっと飛びまして、いよいよ企業年金法の関係に入っていきたいと思います。
 私がいろいろ勉強させていただきまして、企業年金、三階建ての三階というふうによく言いますけれども、一階、二階、三階とそれぞれ年金には性格があるというふうに私も伺い、勉強させていただきました。三階部分というのは言ってみるとある種のお小遣い的なものでもあるのかなと。お小遣いというとあれなんですが、より豊かな生活をしていくためのある意味でいうとリゾート的なところでもあるのかなというような僕なんかは印象がしておるわけでございますけれども、さて、その企業年金というのが、これは衆議院の方でも我が党の議員たちがいろいろ性格について御質問を坂口大臣にしてまいりましたけれども、企業年金というのは性格としては年金なのか、退職金または、退職金というのは賃金の後払いということでございますけれども、賃金の後払いなのか。これはどちらでございますか、大臣。
#54
○国務大臣(坂口力君) ここはなかなか難しいところでございまして、両面が実はあるわけでございます。歴史的な経緯からいうならば、やはり退職金の延長線上で生まれてきたということも事実でございますが、しかし現在皆さん方に御提示をいたしておりますこの企業年金というのは、退職金というものを中心にして考えているわけではございませんで、やはり年金という立場で将来のゆとりある生活をしていただくという、そういう立場での年金をどう構成を構築するかという立場で今やっているわけでございます。
   〔理事亀谷博昭君退席、委員長着席〕
 しかし、退職金と全然関係ないかということになれば、それは関係のあるものもあると思います。これは労使の関係によっていろいろ違うというふうに思いますが、退職金は退職金としてこれは支払いをするということにした上で、企業年金は企業年金でやりますよというところもあるんでしょうし、あるいは退職金を企業年金の形でやりますよというところもあるいは生まれてくるのかもしれない。それはかなりバラエティーに富んでいるというふうに今思っております。
#55
○木俣佳丈君 厚生省の方からいただいた資料では、年金制度として出発したことは事実であるが、その多くが退職一時金の一部を切りかえる形で実施されてきた経緯を有しているというので、副大臣または局長、または大臣、よろしいですか、それで。
#56
○政府参考人(辻哲夫君) 仰せのとおりでございます。
#57
○木俣佳丈君 それは厚生省の方からいただきましたから、まあそうでしょうね。
 ですから、要は退職金の一部を切りかえる形でその多くが発展したということは大臣間違いありませんね。これ、ちょっと確認したいんですが。
#58
○国務大臣(坂口力君) それはそういう歴史的経過だと思います。
#59
○木俣佳丈君 ここが本当に定点でして、これがないとすべての議論がすごくあいまいになってしまうというふうに私は衆議院の議事録を見ていて思いました。そこだけちょっと押さえとして初めに伺いたい、そういうふうに思ったんです。
 あと、私がいろいろここのところで自分なりに戦後の日本というのをちょっと考えて、この企業年金というのは、お小遣いというのはさっきちょっと間違った言い方で、より豊かな、契約において取るわけですから、退職金であろうがそれを横倒しにした年金であろうがこれはもう契約でございますから、そういうお小遣いみたいなものではないことはもう一回確認したいんですけれども。つまり契約で、企業との一つの協約の中で実施されるものだと思います。
 いずれにしても、これは、何で日本はボーナスがあり、退職金があるのかなと改めて思ったんですね。退職金というのはこういうことではないかというふうに思ったんです。これは、企業が賃金をそのときそのときに今払っていくとなれば、結局過大な負担がそこに、要は労働分配率ですね、負担がかかってしまうから、そして経済がどんどん成長する中で再投資をどんどんしなければいけない。ですから、分配率からしたら投資の方に向かわせてほしいと。労働組合側と話をして、結局、最終的なところでつじつま合わせをするからよろしく頼むねというのが私は企業側の論理ではなかったかなと。
 つまり、退職金という日本に極めて独自なこの制度というのは、終身雇用、年功序列賃金体系、労使一体のあり方、これの決定版みたいなものだと私は考えました。それはなぜかというならば、右肩上がりでどんどんやればどんどんもうかるんだ、こういう時代だったから、労使で考えて、退職金でもいいよ、そのかわりしっかり約束をしてくださいよ、これが退職金の姿であったと思うんです。
 それをさらに横にぱたんと倒していくいわゆる企業年金というのは何かといえば、つまり、退職金をもらう時期になっても、もちろんこれはあるそうですね、選択制で一括でぼんともらえる場合もあるし、いや、これは年金でちょうだいよという場合と、選択できるそうですね。ですから、別に義務ではございませんけれども、横倒しするということは、さらにそれを延ばしていくということになるわけですね。
 これは実は、右肩上がりの経済の中では極めて企業に有利。だから投資をどんどんやれるわけですね。だから現在価値が、もちろんそれは投資が生み出す生産余剰、つまり付加価値と金利と考えた場合に、余剰の方が、生産付加価値の方が高かったんですね。ですからそういう意味で退職金にずらしていき、それをまた倒していくというのはまさに戦後の経済成長の礎だったということを思うんですけれども、大臣、どんなふうに思われますか。
#60
○副大臣(桝屋敬悟君) 委員の戦後を振り返った今のお話を伺っておりまして大臣は腕を組んでおりますから、まず私が。
 委員のおっしゃったことは、私は一つの見方としてはまさにそのとおりだろうなというふうに思います。なおかつ、そうした状況が今大きく変わってきておるという状況の中で、新しい労使の協議による新しい仕組みというものも考えなければならぬ時代が今来ておる、その必要性も今あるのかなと、そんなふうに感じながら聞かせていただきました。
#61
○木俣佳丈君 大臣、何かありますか。
#62
○国務大臣(坂口力君) 私は退職金をもらったことがないものですから、今のお考えが果たしてどうなのかということはよくわかりませんが、企業の論理というところから委員はそういうふうにごらんになっているんだろうというふうに思います。
 しかし、この退職金制度というのは、ふだんのいわゆる勤労に対する報酬、それだけではなくて、日本の終身雇用制度の中で長い間やはり勤めてもらった、長い間お勤めいただいてありがとう、私は退職金というものがそういう意味を込めての意味合いというものがあったことも事実ではないかというふうに思います。
 ただ、これから長く勤めるということがだんだんなくなっていくかもしれないという、こういう中にあって、果たしてそれがどうなっていくか。そういう中で考えますと、こうした年金制度の要求があるというのも、それは今までのような、そうした方に長く勤めて退職金をもらうというのではなくて、そんなに長くは勤めないからもうその都度その都度年金にしてもらって、そしてやめてもそれが自分について回るようになればその方がいいと、こういうふうに思われる方も出てくるのではないか、そんなふうに思っています。
#63
○副大臣(桝屋敬悟君) お話を伺いながら、私ももう一点。
 先ほどの委員のお話の中で、ひとつ委員、この点はどうでしょうか。先ほど事業主にとって非常に右肩上がりの経済の中で有利な形ではないかという話もありましたけれども、考えてみれば、年金というのはやはり事業主負担が必ずあるわけでして、事業主負担はずっとおやめになる前からプールをしていくわけでありますから、むしろ退職前に事業主が投資をするという形で、そして先の形へ備えるということも一つ、今までの英知の中で生まれてきた制度ではないかと、こんなふうに思っております。
#64
○木俣佳丈君 いや、もっとも、そうだと思うんですね。だけれども、その率というのか、今だと一七・三五でしたか、あの率が労使折半。これは厚生年金か、失礼。企業年金の話ですからそこではございませんが、その率が問題というか、どうだったのかなというふうにちょっと私、定性的に思ったんですね。
 いずれにしても、今、大臣言われたように、長い間勤めてもらって本当にありがとうというような気持ち、これは本当に日本の物すごい大事な文化だったと思うんです。企業文化なんという言葉がございました。しかし、どうでしょうか。今、企業文化なんという言葉を使う企業というのは非常に減ってきました。働く期間も非常に短くなって、一つのところで。転職ということを考えて、次に来るであろう確定拠出の年金とあわせて企業年金をもう少し整理統合しなければいけないというような話が出てきたと思うんです。
 そういう中で、先ほどおっしゃられたように、賃金の後払い、または退職金の一部を切りかえる形で実施されてきたということであるならば、これはやはりある意味で支払う義務があるというふうに思うんですけれども、その支払う義務については、大臣、どのようにお考えになりますか。企業年金についてですね。
#65
○政府参考人(辻哲夫君) 基本的な、制度的な議論の方を先に説明させていただきたいと思いますけれども、そもそもと申しますと恐縮でございますけれども、退職金の性格としては、賃金の後払いという議論もございますけれども、むしろ在職中の功労に対する報償だという側面もあるということで、まずもって賃金の後払いという形で制度論的に私どもいわば規定をいたしまして、その制度論的に規定したものを年金に移しかえたという形で、まず企業年金は制度的にはとらえておりません。
 しかしながら、一方において確定給付企業年金、適格退職年金は税制上に根拠を置いたものでございますのでいわゆる法律に基づく権利関係というのはございませんが、このたび御審議いただいております確定給付企業年金につきましては、この法律に基づいて行われる給付につきましては、今言いました制度の性格はともかくといたしまして、退職金の性格との関係は別といたしまして、この制度としては事業主に給付義務が生じるという構成になっております。したがいまして、それを変えるときには、また労使の合意によってそれを変えるということが必要であるということでございます。
#66
○木俣佳丈君 ちょっと伺いたいんですが、今の支払い義務という発想と支払い保証という発想の違いというのは何ですか。
#67
○政府参考人(辻哲夫君) 支払い義務は、いわば民法的にその義務が固定されるということでございますが、支払い保証は民法的に固定された支払い義務を、いわば本当に払い切れるかどうかということは、これは通常の法律に根拠を置くとはいえ、その根本は私的年金の制度を法律で枠組みづけているということでございますので、企業の民法上の義務ということになりますので、一言で言えば払えなくなればその分は穴になってあくと。もちろん民法上の問題として請求をすれば訴訟で追及できるわけですけれども、それにしても払えないときにはそこで穴があくというのは、通常の債権債務関係と同じでございます。
#68
○木俣佳丈君 我々がかなり固執してきましたこの支払い保証の点なんですけれども、今のお話だとよくわからないので、義務とその保証の違いというのをもうちょっと明確に言っていただけますか。
#69
○政府参考人(辻哲夫君) 申しましたように、今義務がありまして、その義務を保証するという意味では、今申しましたように民法上拠出責任を負う企業、通常、企業年金は企業が拠出を行います。労使の合意によって従業員も拠出する場合がございますけれども、基本的には企業の拠出でございます。その拠出義務を負う企業に民法上追及できるという形になっているわけですが、ただ保証となりますとある範囲内でしか払えない。
 その場合に、まさしく公的な制度で私的年金を補完するという意味で、例えばアメリカでは公社をつくりまして、私的年金を実施する企業にいわば相互扶助、保険システムをつくってもらい、その保険システムのもとで、個別企業では払い切れないものをその保険システムで保証するというような枠組みが枠組みとしては考えられるわけでございますが、今回の法案には、そのような支払い保証というのをそのような意味でとらえるとすれば、その制度は入っておりません。
#70
○木俣佳丈君 大変複雑な義務と保証、こんなに違うものかなという感じがするんですけれども、つまりそういう制度をつくるというのが支払い保証、そういう何かバックアップ機関というのがあるかないかという差ですか、簡単に言うと。
#71
○政府参考人(辻哲夫君) 支払い保証という言葉そのものをどう定義するかということでございますが、一般的には私ども、企業年金において支払い保証制度というふうに言いますときには、今申しましたような枠組みが一般的な枠組みであると考えております。
#72
○木俣佳丈君 大臣に伺いたいんですが、これは附則の第六条ですか、にございますけれども、その見直しというのには当然その支払い保証制度なども入るということでよろしゅうございますか。これは金田誠一議員のお答えを再度ちょっと確認したいんですけれども。
#73
○国務大臣(坂口力君) この支払い保証制度につきましては、これは今まで関係者でいろいろと御議論をしていただいてきたところでございますが、正直なところ、合意を得ることができずに今日を迎えたわけでございます。これは、ぜひここは合意を本当はしていただきたかったわけでございますが、なかなかそこまで参りませんでした。これからも合意を得られるように我々としては努力をしていきたいというふうに思っておりますし、今御指摘のような方向で私たちもやっていきたいと思っております。
#74
○木俣佳丈君 小泉総理がさきの代表質問の中でも、要は自分の改革を邪魔する人たちはみんな邪魔者なんだと、党内であろうがなかろうが、こういう話がありましたが、この場合、邪魔者というのはどなたですか。
#75
○国務大臣(坂口力君) 合意がなかなか得られなかった、それはやはり経営者の側の皆さん方からの合意が得られなかったということは事実でございます。
#76
○木俣佳丈君 これは大臣御自身だとどのように思われますか。やはり私、論理からして、先ほどから企業年金は退職金の一部の方が多いということ、それから賃金の後払い的性格だというのは法案には明記されておりません。アメリカのERISA法というのですか、あちらには基本的にはそれが明記されているらしいんですけれども、だからこそ、それが論拠となって支払い保証制度というのがあるんだという、こういう論法なんですが、今のお話だと、義務はあるけれども保証はないよみたいな話になっているんですが、どうもすっきりしないところがあるんですよね。ですから、やはりこの支払い保証制度というものも入れるべきだとお思いになりませんか、そういう論理でいうと。どうですか。
#77
○副大臣(桝屋敬悟君) 先ほどからの委員のお話は、一つはやはり今回新たに三階の部分の企業年金、これを整理する、この機会により完全なものを考えるべきではないかと。
 そういう意味では、先ほどから議論が出ております義務と保証という観点での議論をしていただいております。もちろん義務というのは、私は年金のこの義務というのはまさに債権でありまして、言葉をかえればまさに積立義務といいますか、ちゃんと将来にわたって年金を支給できる、その積み立てをしておく義務が年金を運営する者にはあるわけでありますけれども、そういう意味では、今回新たに整理をするこの三階部分の整理は、今審議をいただいております確定給付と、それから今後御議論いただきたい確定拠出、さまざまな形を今検討しているわけですが、その中でとりあえず今回の確定給付については、今までも委員御承知のように積み立て不足がさまざまに論じられてきて、言われてきて、大きな問題になっているわけでありますから、ぜひそこを整理したいということで我々はこの法案を用意したわけであります。
 そうした中で税制適格年金、これは今まで、積立義務については税制の制度でありますから我々の制度でこの義務を課するということができなかったということもあったわけでありまして、そうした意味で、積立義務がないグループと、あるいはこれまで積立義務がきちっと課せられていた厚生年金基金からの移行グループ、そうした形があるわけで、それを今回整理するわけでありますから、ここは保証制度があれば確かに一番私たちもいいと思っておりますが、そういう積み立て不足の現状があるということもこれもまた事実でありまして、今直ちにこの整理をする中で、じゃ厚生年金基金のように任意の支払い保証制度を全員で合意してやろうということにはなかなか合意が至らなかったということでありまして、先ほど御指摘もいただきましたが、ぜひとも次の研究課題、検討課題ということで整理をさせていただいている次第でございます。
#78
○木俣佳丈君 副大臣は整理という言葉を何度も何度も使われるんですが、整理をするというよりまた煩雑になったという感じがちょっと私は個人的に思いました。というのは、なぜならば、適年は十年で廃止の方向ということなんですね。これは税の話で後でちょっと御質問をさせていただきますけれども、これも非常に問題が多い。
 今度、給付が基金型、規約型、これ二つできると。そして、拠出ができ、厚年基金があると。要するにもう何かいろいろ制度があるねと、こういうような感じになってきた。やはり企業年金、一階でも二階でも三階でも、何度も申しますように簡素というのが非常に大事である、そして公平で安心で安定である、こういう四つの大原則がある中で非常に煩雑になったと私は思っております。
 そこで、支払い保証について、義務はあるけれども保証制度はないよと、こういう中で過ぎるわけでございますが、モラルハザード等々が起きるのが怖いんだ、積み立て不足を放置するようなモラルハザードを招くんではないかという議論があると、このように大臣もお話しになっていらっしゃるんですが、大臣、これ実際に諸外国でもございますか、モラルハザードの例というのは。
#79
○政府参考人(辻哲夫君) 諸外国の事実関係でございますので、こちらでまず御説明を申し上げたいと思います。
 私ども、諸外国の資料を正確には確保できておりませんが、アメリカの仕組みは比較的情報がありますので御説明いたしますと、アメリカの今申しました支払い保証制度におきましては、これまでの改正を経まして、現時点では収支相償って積立金を持った形で運用されていると。したがって、少なくとも言えますことは、モラルハザードが頻発をして財政が苦しいという状態に現時点ではないというふうに認識いたしております。
#80
○木俣佳丈君 今お答えになりましたように、ないんですよね、基本的に。ない中で、今、大臣がちょっと言われましたように、この改革の足を引っ張るのは企業側なんだと、こういうふうになったんですが、なぜ企業側は、これは推測でございますが反対をするんでしょうか。
#81
○政府参考人(辻哲夫君) 事実関係という意味で申し上げたいと思いますけれども、我が国の場合、副大臣からもお話しございましたが、厚生年金基金の方はこれまで積立義務をかけ、そして皆がある程度積立義務を守って安定しておると。一方、適格退職年金はそれがなかったものですから、企業によりましては相当大きな積み立て不足が放置されております。
 この支払い保証制度は、あくまでもいわゆる保険制度でございます。あらかじめ拠出金を出して、そのプールしたものから倒れたものを保証するということですので、いわば保険が成り立つ基盤としての安定性が要ると。それにつきまして、この二つのグループは非常に大きな格差がありまして、いわば基盤形成の合意が得られないという客観的事実と申しますか、嫌だ嫌でないという以前に、基盤形成の途上にあるといいますか、したがいまして、まず適格退職年金の方の積み立て不足を解消して保険制度として合理性を持つ基盤というものが整備されなければ、アメリカの例を直ちに日本に持ち込むということは困難であると私ども事務的に判断いたしました。
#82
○木俣佳丈君 これは制度の話、骨の太いところでございますので大臣にお答えになっていただきたいんですけれども、今、局長が言われたように、事実として適年の積み立て不足がそれほどあると。しかし、これ一千万人ですか、加入者がいらっしゃるということでありますが、この問題点はまた後で御質問しますが、しかし、これを放置してきて、さらに十年間という長い間また放置することについてはどのように御感想をお持ちですか。
#83
○国務大臣(坂口力君) 放置するといいますよりも、これから十年間は、その今まで放置された分を取り返していただく、整理をしていただく、そして正常な形にしていただくための修復期間としてとらせていただいたわけでありまして、これから十年間、このままでまたほっておいていいですよということを言っているわけでないことはもう委員も御承知のとおりでございます。
#84
○木俣佳丈君 それはそうだと思うんですが、では、そうしますと、積み立て不足がある適年を移行させるわけですね。移行させるというかなくしちゃうというところがかなりあるんじゃないかという懸念があるんですよね。なくしちゃう場合には約束がどうなるのかということですよね、まずは。それから、積み立て不足があってほかに移行させる場合には、積み立ての部分を埋めさせて移行させるのかというのと二つ議論があると思うんですが、前者の方、どうですか。積み立て不足がそれだけ大きい場合に、そのままやめてしまった場合に、結果、どのように勤労者はそれに対して対応できるんですか。
#85
○政府参考人(辻哲夫君) 適格退職年金につきまして、まず十年間の経過措置を設けておるわけでございますが、厚生年金基金、既に積立義務のある厚生年金基金につきましても、支払いを行うというものについては非常に長期的にゆっくりゆっくり払いますので、したがって積み立て不足の解消といいますのも大体三年から二十年間ぐらいかけるということで、もともとゆっくり不足を解消すると。しかも、その不足を解消することについてさらに十年間の経過措置を設けまして最長三十年間ぐらいかけると。
 私どもとしては、適格退職年金から何とか、従業員のためにそれを努力して、三十年ありますので移行してきていただきたいというふうにして、基本的にはそういうことで可能であると考えておりますが、正直言いまして、ぎりぎりの話、それどころでないということを労使が判断されましたときには、一つは確定拠出年金に移行できますことと、それから中小企業退職金共済制度、これに移行できるということをこの制度の中に盛り込んでおります。
#86
○木俣佳丈君 いや、じゃ例えばやめますといった場合に、拠出の方に移行する場合にでも、積み立て不足についてはどんなふうになりますか。
#87
○政府参考人(辻哲夫君) 積み立て不足を持ったという不透明な形で移行するというのは、これはいずれにしろ権利関係好ましくございませんので、まず移行する前提としては、積み立て不足がない、確定拠出年金に移行する前提はないということでございまして、ないということは、具体的には、給付水準を労使合意によりまして引き下げて、積み立て不足のない状態にして移行させるということを前提にいたしております。
#88
○木俣佳丈君 違う。だからやめちゃうということ。
#89
○政府参考人(辻哲夫君) やめた場合は、ですから私どもはやめなくていいように仕組みをつくっておりますが、あえてそこでやめるという判断をされましたときには一時金で処理されるというのが通常でありますのと、それから適格退職年金の場合は生命保険との関係では特約がございまして、集団としては退職年金をやめても個人の年金契約に移りかわるという特約がございまして、そういう形でおやめになったときは個人契約に乗り移れば年金として継続できるという仕組みはございます。
#90
○木俣佳丈君 ちょっと細かいところなんですけれども、私も中小企業政策をずっとやっているものですからここはポイントだと思うんですけれども、そうすると、適年はもうだめだからやめましょうと、労使合意でこうなったとしますよね。労使合意といいながら、実は中小企業はほとんど経営者の意向で大体決まっちゃうんですけれどもね。結局、経営者がそういうふうに意向を出してやめるというふうに言った場合には、今言われたように、要は一括で積み立て不足も含めて一時金としてそこで清算される場合には、その裏打ちになるようなまた保険がかかっているということですか、適年には。
#91
○政府参考人(辻哲夫君) 仮に解散するときにはその範囲内で一時金として支払うというのがルールでございますから、その範囲内で払われる不足があれば、不足のあるありのままの状態で出す一時金、これを今度は生命保険の契約に移しかえまして、それを生命保険の年金給付として維持していく、こういう意味でございます。
#92
○木俣佳丈君 そうすると、まず一つ目は、解散しますと、一時金でもらう場合にも、本当はもっとあるはずなのに、労働協約の中でか何かわかりませんが、積み立て不足がある中で、結局そこで清算を強制的にするということですよね、基本的には。それで、それを移行させる場合には、その積み立て不足の部分は穴埋めして移行するということでいいんですか。
#93
○政府参考人(辻哲夫君) 強制的に適年をやめさせるということは制度としては考えておりませんで、結局、適格退職年金というのは、もともと年金と一時金が選択できるという仕組みのものでございましたので、廃止をいたしますと、その段階で選択肢としては一時金しかなくなるという意味でありますこと。それから、これは解散を前提にしてこの制度が仕組まれているのではなくて、その時点でむしろ退職金としての色彩というものが適格退職年金は大変強い面が正直ございますが、税制上優遇を受けるためにはどうしても年金という仕組みでなければ受けられません。そのような意味では、中小企業退職金共済制度というのはもう退職金として非常に安定した制度でございまして、そのような形で引き継がれて、安定的な推移ができるように仕組んでいるということで、どうしようもなくなって皆が全く納得できないで廃止になってしまうということが起こるとは考えておりません。
#94
○木俣佳丈君 ちょっと私はなかなか理解ができなくてわからないんですけれども、積み立て不足がかなりあると。積み立て不足というのは、将来、この時点からこの人が、どういうふうに言ったらいいのかな、いずれにしても現時点で積み立て不足がこれだけありますよと。つまり、現在本当はこれだけ積み立てていなければならないものがそれだけないよというのが積み立て不足ですよね、基本的には。違いますか。そうですよね。
 ならば、要はその部分を穴埋めして例えば一時金ということで払うのならいいんですけれども、その部分をそのままにしながら、不足をそのままにしながら一時金で払うというのは、これは非常に不利益ですよね、労働者側、勤労者側には。違いますか。
#95
○政府参考人(辻哲夫君) 今行われているお話は適格退職年金についてと存じますが、まさしく適格退職年金はそのあたりについて、いわばその義務というのは確定給付ということで、例えば信託とか生保と契約を結びましたときに、これだけの年金を出す、だからこれだけの保険料を納めるという、いわば民事の私的な契約関係におけるいわば確定給付のための積立義務というのが適格退職年金にある今の関係でございます。
 それについて税制上に根拠を持つだけですので、全く積立義務もなければ、したがって不足があったときに解散すればそのままというのを、このたび確定給付企業年金法に移行すればまず積立義務が生じる。それから、解散をいたしますときには、新制度に移行すればそれに対して不足分を請求することができるという根拠規定が新たにこの規定には入っている。こういう形で、むしろ今の適格退職年金の問題点をこの法案で改善しようとするものでございます。
#96
○木俣佳丈君 定性的には非常によくわかるんですが、例えばここ一年間で適年をやめた企業数というのはどのぐらいありますか。質問にありませんから、ちょっと待ちますから。
#97
○政府参考人(辻哲夫君) 恐れ入ります。手元の資料でお答えさせていただきますと、適格退職年金の契約件数は、平成十年度で八万五千四十七件ございましたものが十一年で八万一千六百五件となっておりますので、この差というのは恐らく廃止をされたのではないかと想像いたします。それから……
#98
○木俣佳丈君 平成何年と何年ですか。
#99
○政府参考人(辻哲夫君) 直近のデータでは十年から。少し長目になりますけれども、データを読ませていただきますと、平成五年の九万二千四百六十七件をピークに徐々に減っておりまして、それで最近の動向は十年に八万五千四十七件であったものが十一年度は八万一千六百五件に減っている。
 それで、一つ申し落としておりますが、あくまでも適格退職年金の契約を廃止したときに分配されるのが今言った話でございまして、もともと退職金規定がベースにありますので、その不足分は退職金の振りかえという形で適年ができておりますので、不足分は別途何らかの方法で会社が退職金として払うという、いわば雇用契約上というか、退職金規定上の義務が残っているという前提でございます。適年についてのみ私申しましたので、全体ではそういうことになります。
#100
○木俣佳丈君 今、いみじくもお答えになりましたように、ここ六年間で一万一千、特にこの十年から十一年、多分十二年とか十三年だとさらに膨らんでいると思うんですけれども、恐らく四千とか五千とかいう感じでばたばたとなくなっているんですよね。
 だから、もちろん力があればこの確定給付の方に、または拠出の方に移行をするんでしょうけれども、これはどうでしょうね、本当にそうなるかなというのが私の感想でございます。これを機に企業年金というのをやめようじゃないかというのがこの数字でかなり明快にあらわれているように思うんです。これは感想です。
 次の問いに参りますけれども、新しい企業年金制度で、六十三条で、積み立て不足が生じた場合には事業主は掛金を拠出しなければならない、こういうふうになっております。仮に掛金の積み増しをしなかった場合にはどんな罰則が課せられるのか、お答えいただければと思います。
#101
○政府参考人(辻哲夫君) 御指摘の追加拠出を怠った場合に、その者を直ちにいわば直罰といいますか、罰するという形にはなっておりません。ただ、そのいわば拠出を怠った行為により事業主の事業の管理または執行が著しく適正を欠くと厚生労働大臣が認めるなどのときは事業主に対し改善命令をかけることができる。さらに、その命令に違反したときは事業主は百万円以下の科料に処する、これは罰則でございますけれども、こういったワンクッション置いた形になっております。
#102
○木俣佳丈君 これは改善命令は直ちには行わないんですか。どのぐらいの期間を考えていらっしゃいますか。
#103
○政府参考人(辻哲夫君) これはこれからの運用でございますが、率直に申しまして、事業主に資力を、事業主はこのためにあらゆる努力をされるべきだという前提でありますが、これを確保しながら現実にやっていただくということを考えますと、一つの伝家の宝刀的なといいましょうか、これは個々のケースによりましてそのタイミングというものは相当考えた上で発動することがむしろ有効であり、一概には言えないと思います。
#104
○木俣佳丈君 どの程度これが有効にきくのかなという気がするんです。というのは、これとある種対比して考えていいと思うんですが、厚年基金の方のことですと、積み立て不足が非常にあって、全基金の七割、一千三百が積み立て不足だというふうになっている。ただ、この厚年基金の方には、例えば支払い保証であるとか積み立て不足、または最悪解散したとしても年金権というのはがちっと連合会が保証している、こういう制度でございますね。
 それと比べると、確定給付企業年金でこの六十三条、今言われたように、直ちには罰しない、そしてこの後、保証制度がないわけなんですが、そうした場合に、これはどうなんでしょうか、年金として不安が残る年金だと。つまり受給権の保護をどのようにされるつもりか、お答えいただけますか。大臣でも副大臣でも。
#105
○副大臣(桝屋敬悟君) 今、積み立て不足の場合の追加拠出のお話、さらには罰則、そのときの処理、それから支払い保証制度、そういうものがなければ本当にこれでいいのかというお尋ねでありますが、今の六十三条の問題については、厚生年金基金との比較をいただきましたけれども、厚生年金基金は代行部分もあるわけでありまして、今回の我々が考えております確定給付企業年金とは性格がやはり違うだろうと思っております。
 しかしながら、さっき言いましたように、追加拠出をしないというような場合については大臣が改善命令をする、しかもそれについてその改善命令に違反した場合には科料に処するというふうにしているわけであります。
 支払い保証制度は、先ほどから議論が出ておりますけれども、さまざまな理由で現時点では統一的な支払い保証制度を創設するということが困難であるということは申し上げましたけれども、もちろんこれは今後の検討課題であるというふうに認識をしております。
 法案において、積立義務の設定あるいは受託者責任の明確化を図っておりまして、さらに情報開示について詳細な規定を設けているということで、とりあえず今回の法案が今までの適年やあるいは企業年金の状況の中で、私は整理整理とさっきから何回も言っておりますけれども、私は大きな整理に一歩前進の形になるのではないか、こう思っているところでございます。
#106
○木俣佳丈君 いずれにいたしましても、厚年基金と比べた場合にかなり見劣りがする、これは恐らく厚生省側からすれば保証制度についてかなり前向きに考えなければいけないということだと思うんですが、本当にこれは早急にやはり考えていただきたいと思いますので、大臣、この質問の最後に御決意のほどをひとつ。
#107
○国務大臣(坂口力君) 先ほどから申しておりますように、今日までに至りますまでのいろいろの経緯もございました。そうした経緯を踏まえながら今皆さん方にこの御審議をお願いしているわけでございますが、私たちも、より完全な制度というものをつくり上げていかなければならないということは重々わかっているわけでございまして、公的年金とは違いますものの、やはりこうして三階建てのところにつくります以上はより完全にしていかなければならないというふうには思っているわけでございまして、一層努力をしたいと思っておる次第でございます。
#108
○木俣佳丈君 次に、財務省からも来ていただいておりまして、お待たせいたしましたが、年金の税制についてこれまた大きな疑問が私もございます。
 やはり税というのは国家の最高権力でございますので、徴税権というのが最高権力だと私は思っておりますので、この点を改善しなければならないと私はつくづく思っております。
 その中で、最近、塩爺なんて言われている塩川さんから、坂口大臣は坂爺なんて言われているそうでございますが、塩川大臣から年金については税金がほとんどかかっていない、こういう御発言がございましたが、事実関係も含めてどうぞお答えいただけますか。
#109
○政府参考人(木村幸俊君) お答え申し上げます。
 今、木俣委員の方から御指摘があった塩川財務大臣の御答弁でございますが、本会議における答弁だと思います。このときに、我が国の年金に係る税負担は、拠出段階から給付段階を通じて実質的に課税がなされておらずという形で答弁させていただいております。
 これは委員よく御承知のとおり、現在、我が国の公的年金の課税を考えてみますと、拠出段階では社会保険料控除ということ、それから運用段階では特別法人課税は課税されておりませんし、また給付段階で見ますと、これは公的年金に限らず企業年金も含めたところでございますが……
#110
○木俣佳丈君 額だけでいいから。時間がないから、額だけ。課税額、徴収額ね。
#111
○政府参考人(木村幸俊君) 委員のおっしゃっておりますのは、公的年金等に係る給付段階の課税だと思いますが、これにつきましては、税調の答申にも書いてございますように、現在、公的年金等支払金額の約三十三兆円強のうち約二・一兆円が課税されている、七%しか課税されていないということでございます。
 そういったことを踏まえまして、全体として見ますと、公的年金を中心といたします我が国の年金課税におきまして先ほどのような答弁がなされたものと考えております。
#112
○木俣佳丈君 そのほかの税はどうですか。年金について、そのほかの税はかかっていませんか。つまり拠出時、そしてまた運用時。
#113
○政府参考人(木村幸俊君) 私、今、公的年金課税について申し上げましたけれども、今の委員の御指摘は、恐らく今回の、例えば確定給付企業年金それから適格退職年金、例えば従業員の拠出分についての御質問だと思われますが、これにつきましては、よく御承知のとおり、拠出段階では生命保険料控除の対象とされております。それから運用段階では特別法人税の課税対象から除かれている。また給付段階におきましては、これは年金収入からまず従業員の拠出分を全額控除いたしまして、残った分について公的年金等の控除適用がございますが、そういう形になっております。
#114
○木俣佳丈君 公的年金からお話をすれば、今お答えがあったように二・一兆円税がかかっているんですよね。この額というのはそんなに少ないんですか、七%というのは。つまり、消費税が例えば五%すべてのものにかかり、そして介護保険料が年額三万六千円、平均すれば。そして医療保険料が上がりましたよね。こういう中で、いわばとらの子の年金であるところに七%かかっているということはどのように考えますか。
#115
○政府参考人(木村幸俊君) 今、私がちょっと言葉足らずだったということで誤解を与えたかもしれませんが、二・一兆円強というものはまさに課税対象となっている部分でございます。課税ベースの話でございます。したがいまして、課税ベースがございまして、それに対しまして例えば公的年金課税でございますと、それぞれの方々のその状況におきまして実際に課税額が決まってくるということでございます。
#116
○木俣佳丈君 いや、源泉徴収の対象となる部分が三十三兆円でしょう。そのうち、だから徴収額が二・一兆円でしょう。違いますか。
#117
○政府参考人(木村幸俊君) 今の二兆円強と申しますのはあくまでも源徴の対象となる公的年金等の額でございまして、具体的には実際納めていただいている税金の額というものではございません。
#118
○木俣佳丈君 わかりました。公的年金については二・一兆円だけが課税の対象となるということで、再度直したいんですけれども。
 いずれにしても、そこにどれだけの額がかかるかわかりませんが、何千億というのが一応国庫にもちろん入るわけですから、これはそんなに少なくないと私は考えます。
 さらに、企業年金の方に移行しますと、例えば運用時にトータルで一千八百億特別法人税というのがかかるわけでございますけれども、これができたのが昭和三十六年のときだそうですね。私が、以前、これは経済産業省の方の関係ですが、中小企業の留保金の課税というのを、これがたしか昭和三十七年ですかね、いわゆるシャウプ税制勧告を受けて、所得税と中小企業の法人税の差が実はそのころ三〇%以上あった。この合間を縫って企業が留保に回していく、こういう所得隠しという、いわゆる性悪説に立ったという言い方なんでしょうが、この留保金をかけていくということで、これは我々も法案を出しまして、修正されながら、政府が出してきた修正案という、我々はそうやって考えていますが、これが可決していったわけでございます。
 私は、実はこの運用のところで特別法人税がかかるというのもこれに似たようなものではないかと。額的にもこれは大体一緒ぐらいですよね、一千八百億。これは留保金の税額も大体一千八百億ぐらいだったんですね。
 税というのは、考え方は、あるものには税がかかり、なぜその税率なのかというのがやはり大事だと私は思うんです。この場合に一・一七三%かかるわけですが、例えば、運用益が三・五%のときにも同じ額だし、それから七%運用益が出たときだってこれは全く同じで、つまり、ある積んだ基金に対して一・一七三、国税が一、地方税が〇・一七三かかってくるというものなんですが、こういった税は諸外国で見られますか。
#119
○政府参考人(木村幸俊君) まず、私の方からちょっと御説明させていただきたいと思いますけれども、この特別法人税、今まさに委員から御指摘がございましたように、各運用と実態と、運用の実績と関係なくそういった形で負担を求めているのは事実でございます。
 ただ、これはもう改めて御説明する必要はないかと思いますが、まず、従業員の年金のために事業主が負担する掛金、これはその支出時にまず企業段階では損金に算入されます。同時に、その従業員に対する給与課税を行っておりません。したがいまして、まさに年金受給時までに課税を繰り延べるという、その遅延利息相当分の負担を求めての課税でございますから、まさに運用の実績とは直接は関係しないものでございます。
 ただ、そういった運用時に関係ないと理論的には申し上げましたが、そうは言いましても、やはり現在の低金利の状況等を踏まえますとやはり課税するのはいかがかということで、現在、十四年度まで臨時的な措置といたしましてその課税を停止しているところでございます。
#120
○木俣佳丈君 いや、諸外国であるかどうかです。
#121
○委員長(中島眞人君) 発言は挙手してください。
#122
○政府参考人(木村幸俊君) 諸外国につきましては、特別法人税、こういった形のものはないと思いますが、ただ一言申し上げますと、年金課税全体といいました場合、まさに拠出段階、それから運用段階、それから給付段階、全体としてその負担の適正化を図っていく必要があろうかと思っております。
 そういう意味で見ますと、アメリカの場合でございますと、例えば公的年金でございますが、拠出段階では所得控除がございません。それが給付段階では軽減措置により、実質的に非課税になっているということがございまして、拠出段階で所得控除がないということは、そこで課税されているわけでございます。日本の場合は、拠出段階、そこで社会保険料控除の適用がございまして、そこで課税されていない。そこで、いわば企業段階では損金算入、それから個人段階では課税していないということは、いわゆる非課税のタマリとかができてくるから、それで特別法人税という形で負担を求めているといったものがございますので、単に特別法人税のようなものが諸外国にないからといって、ただそれだけをもっていかがなものかというものではないかと思っております。あくまでも全体として、拠出、運用、給付、その全体の段階を通じましてどういう形で負担の適正化を図っていくかということがまさに重要な問題だと考えているところでございます。
#123
○木俣佳丈君 もちろん日本だけあっても別に構いませんよ、日本だけ。別にそれが悪いというわけじゃないですよ、独自性ということで言うならば。しかしながら、アメリカはそれはもちろん課税されますよね、従業員拠出分については。だけど、これは日本だって別に厚生年金基金であればそうかもしれないけれども、例えば適年の場合どうですか。社会保険料控除じゃないですよ。五万円が上限の生命保険控除じゃないですか。月割りにしたら四千円までじゃないか。それ以上は税がかかるわけでしょう。だから、そういうめちゃくちゃな答弁をしないでください。
 それから、イギリスの場合には非課税です。ドイツは課税されます。ただ、一定は控除されます。こういうのが現在なんです。運用時に、積み立て時にかかるのは、これは日本だけなんです。しかも、適格退職年金と厚年基金のこれ差がありますでしょう、課税のところで、運用時のところ。ありますでしょう。ちょっともう一回答えて、今の。
#124
○政府参考人(木村幸俊君) 今、御質問をちょっと聞きそびれてしまったわけでございますが、私が申し上げましたのは、今、委員の御指摘の中で、アメリカにつきましては例えば公的年金控除──失礼いたしました、委員のおっしゃられましたのは、日本の場合は生命保険料控除しか、例えば適年ないし今回の確定給付企業年金につきまして、従業員の拠出分につきましては生命保険料控除の適用しかないではないかという御質問だったと思います。そういうことでよろしいでしょうか。
#125
○木俣佳丈君 税の専門家でしょう。税の専門家が混乱するぐらい混乱しているんですよ。税というのも簡素、公平、中立でしょう。この間も石税調会長と私も議論してこてんぱんにやられましたけれども、簡素がないんですよ、全然。
 これ、先ほどもちょっと言われましたけれども、全くミス答弁だと僕は思うんですがね。金利水準が今〇・〇幾つだというようなこともかんがみながら、平成十四年までは要は凍結しましょう、こういう話だったでしょう。それはちょっと論理がおかしいんじゃないですか。積み立てのお金に対して、その利に対してかけている。課税じゃないじゃないですか。利子課税と違うでしょう。利子の話を何でそこへ持ってくるんですか。一般的には、例えば利息に対して税をかけるなら、もちろんそれはありますよね。ありますが、そうでないのに、要は金利が今こういう水準だから、結局そこのところがかけたりかけなかったりで、そういう税ではないでしょう、この税自体が。ちょっとおかしいんじゃないですか。
#126
○政府参考人(木村幸俊君) 特別法人税につきまして、現在、低金利の状況を踏まえまして臨時的に凍結していると申しましたのは、基本的な考え方というのはまさに、今、委員御指摘のとおり、これは利子に対する課税ではございません。あくまでも遅延利息相当分に対して負担を求めているものでございますから、基本的には負担を求めるべきものだと考えてはおります。
 ただ、さはさりながら、やはり実際問題として運用の実態を考えました場合に、余り運用の状況が低い場合、利回り等が低い場合にはそれに対して一定割合の負担を、例えば一%、地方まで含めまして一・一七三%の負担を求めるのはいかがなものかということで、現在それにつきましては課税を停止しているところでございます。
 それから、先ほどちょっと質問がはっきり聞き取れなくて失礼いたしましたけれども、五万円の話でございますが、この五万円というのは考え方といたしましては確定企業年金の従業員の拠出分、これは事業主負担だけによる年金額以上の退職年金の給付を受けたい者があくまでも任意に支払うものでございます。そういった面で、例えば厚生年金基金とか公的年金と違いますので、そういった形で生命保険料控除の対象としているということでございます。
#127
○木俣佳丈君 いや、だから非常にこれは複雑なので、ちょっと説明をするのも委員各位に理解していただくのも非常にこれは難しいんですが。
 厚生年金基金というのは同じように企業年金ですよね。それはいいですか。いいですよね。しかし、適格退職年金も三階部分ですよね、同じ三階部分。だけれども、要は、厚年基金においては課税のベースが非常に少ないんです。要するに、適年の場合には事業主拠出対応部分全部に課税がかかってくるという、こういうことになるんですよ。だから、そこのあたりも、同じ三階部分でありながら、要はこちらは公的なものだよ、こちらはそうではないよ。だから、それは今までは法の性質そしてまた年金の性質も違っていたかもしれないけれども、三十六年にできてもう四十年たつわけですよね。
 だから、このころに、例えば留保金の課税も、私も本当にそうやって思うんだけれども、こんないわば留保金課税みたいなものを、何というんですか、企業性悪説だよね、まさに。所得税の方が高いからその分企業に回して節税を図ろうというようなことが留保金課税のものなんですが。同じように適年に回してしまえば税が安くなるから、ですからその部分を回してしまえと。だけれども、その運用時のところでは、そこに税をかけてやれというような、何だかとにかく非常にいびつな形がそのままずっと残っているんですよ。
 だから、今、全く現在の企業のあり方とかいうのにそぐわない税なんですよね、この特別法人税というもの自体が。これは廃止する意向はありませんか。つまり、論拠が非常にこれは難しいんです。遅延利息相当分の負担を求めるという意味において課税する、これはどういうことですか。
#128
○政府参考人(木村幸俊君) 私の説明がわかりにくくて恐縮でございますが、要するに、繰り返すようでございますけれども、まず企業が掛金を支出いたします。その段階、企業の方では損金に算入されます。それと同時に、本来、損金に算入されるならば、例えば給与もそうでございますが、その段階で給与所得課税を行うわけでございます。ところが、これは現在、年金受給時まで課税を繰り延べるということにいたしておりますので、そこに非課税のタマリができてしまうと。その非課税のタマリについて課税しないでいいんだろうかというところが基本的な考え方でございまして、それにつきまして遅延利息相当分という言葉が今御指摘がございましたけれども、そういう観点から課税をさせていただくということで、まさに基本的な考え方に立っているわけでございます。
 ただ、いずれにいたしましても、年金税制、これから、まさに高齢化の進展のもとで年金受給者が増加しているとか、高齢者の所得水準の上昇に伴いまして生活実態が多様化している、いろんなことを考えていかなきゃなりません。その中で、世代間の公平を初めといたしまして、公平、中立、簡素の観点から、先ほど来申しております拠出、運用、給付を通じた負担の適正化に向けて検討を行っていく必要があると考えておりまして、その中でこの特別法人税のあり方についても検討されるべきものと考えているところでございます。
#129
○委員長(中島眞人君) 時間がありません。
#130
○木俣佳丈君 もう時間でございますのでやめたいと思うんですけれども、要するに、厚生省というのか年金を守らなきゃいけない立場の方からすると基金をしっかりしてくれということなんですね。だけれども、大蔵省は取れるところから取るというような感じというか、どうもそういう感じなんですよ。ですから、非常にこの税制も含めてわかりにくい。ですから、やっぱり拠出とか、拠出はまあいろいろありますね、上限を設けても仕方ないかもしれない、企業年金は。上限を設けても仕方ないかもしれないけれども、基本的には拠出、運用は非課税、それで最後のところでぴっと網をかけていく、こういうわかりやすい税にやっぱりしなければいけないというふうに思います。
 そしてまた、今、経済財政諮問会議の中で話されておりますけれども……
#131
○委員長(中島眞人君) 時間が来ておりますから。
#132
○木俣佳丈君 課税最低限についても、高齢者に本当に今の時点で過重な負担をするのはどうかな、こんなことを思っておりますので、坂口大臣に明快な御発言をその場で、経済財政諮問会議の場でしていただくことをお約束して、質問を終わります。
#133
○委員長(中島眞人君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時二十分まで休憩いたします。
   午後零時六分休憩
     ─────・─────
   午後一時二十四分開会
#134
○委員長(中島眞人君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。
 この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、武見敬三君、山本保君、松崎俊久君及び朝日俊弘君が委員を辞任され、その補欠として宮崎秀樹君、大森礼子君、藤井俊男君及び高嶋良充君がそれぞれ選任されました。
    ─────────────
#135
○委員長(中島眞人君) 休憩前に引き続き、確定給付企業年金法案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#136
○浜四津敏子君 公明党の浜四津でございます。よろしくお願いいたします。
 まず、経済財政運営の基本方針原案についてお伺いいたします。
 先月三十一日、小泉総理が議長を務めておられる経済財政諮問会議が取りまとめた経済財政運営の基本方針原案が発表されました。新世紀維新と銘打たれておりまして、二十一世紀の日本の経済社会を大きく改革しようとするものと受けとめております。その中には社会保障制度の改革も大きく掲げられております。国民の安心と生活の安定を支える社会保障制度の確立を目指して、年金、医療、介護などの総合的な改革が取り上げられております。
 この社会保障制度の改革は、ほかの改革、例えば経済財政構造改革などの改革と全く同じ発想で全く同じ視点あるいは手法でするのではなくて、共通の部分ももちろんありますけれども、国民の命、健康、暮らし、将来の安心、こうした国民生活に直結する大事な制度の改革でありますから、そうした特色を持つ社会保障制度の改革につきましては、その意味で違った視点、違った手法がなければならない、こういうふうに思っております。それによって初めて真に国民に安心と安全な改革というものがもたらされる、こういうふうに考えております。
 まず、坂口大臣に、この基本方針原案についての御感想と、また厚生労働省としての基本スタンスをお伺いいたします。
#137
○国務大臣(坂口力君) 今、お話をいただきましたように、五月三十一日でございましたか、第九回の経済財政諮問会議が開かれまして、厚生労働大臣は臨時議員ということになっておりまして、この日は私も出席をさせていただきました。そして、この日に決定されましたのは、これから議論をされます大きな項目を何にするかという項目だけがこの日は議論をされまして、その中身につきましては次の機会ということになったわけでございます。
 したがいまして、その中身につきましての立ち至った議論というのはなかったわけでございますが、私は、その幾つかの項目が立てられております中で厚生労働省として関係のありますところで、我々の意見として考えておりますことを二、三実は発言をしたわけでございます。
 一つは、年金につきましては、やはり公的年金というものが盤石であって、その上に私的年金と申しますか企業年金等ができ上がることが大事でありますから、とりわけ厚生年金のところが新聞紙上等で民営化をしていくなどというような大きな記事が出たりしたものでございますから、我々はそういう考えは持っておりませんということを明確に申し上げたところでございます。
 それから、医療につきましては、やはり医療制度の改革にとりましてこれから高齢者医療というものが特に大事になってまいりますが、医療の中に民間の経営と申しますか、そうした民間企業の導入を図ってもいいのではないかというような、そうしたことがこれまたマスコミで報じられたりもしておりましたために、やはりもしそういうふうになりましたら全体の医療費がさらに拡大することを我々は懸念をいたします、その辺のところも十分に議論をしてもらわなければなりませんということを申し上げたわけでございます。
 また、医療費の増大につきましては、全体として医療費の抑制をするというお考えが伝えられておりますが、全体としての医療費の抑制、それは我々も努力をしなければならないことは十分にわかっておりますが、しかし高齢者医療がその中で四割を占めている。では、その高齢者がだんだん多くなっていくという現状の中で、高齢者が増加することによる医療費の増加というのは、これは当然増としてお認めをいただかなければなりませんということを申し上げたところでございます。
 そのほか、社会保障勘定等の問題もございましたが、主に年金、医療につきましてはそうしたことを申し上げたところでございます。
#138
○浜四津敏子君 今、若い世代には社会保障制度の将来、これからの先行きについて大変大きな不安があります。特に、少子高齢化が加速する中で、将来世代の負担増の不安、そして自分たちが給付を受ける年代に達したときには給付が十分に受けられないのではないか、こういう不安でございます。
 こうした不安を払拭できる的確な対策また改革を急がなければいけない、こう思っておりますが、その一つとして、むだを省き、効率化、合理化を図っていくことが必要と考えております。このむだを省いて効率化、合理化を図る一環として、公明党では社会保障基金機構の創設を提案しております。
 それは、我が国の社会保障制度は、年金、医療、介護そして雇用と各制度ごとに分かれておりまして、国民にとっては負担と給付の全体像が見えにくい、また加入あるいは保険料の納付また給付等につきまして利便も悪く、また給付面でも公平に欠けるところがある、こうした課題を解決するために、この社会保障基金機構構想を提案しているものでございます。
 具体的には、各保険制度を一つに集約いたしまして、加入あるいは保険料の納付、給付等にかかわる手続を一括して行う。それによってむだを省き、また国民へのサービスの向上を図る、そして公平を確保して財政の安定を目指そう、こういう案でございます。管理も一本化して、個人単位の被保険者カードを交付する案、また所得保障である現金給付を行う年金保険、雇用保険についてはこの社会保障基金機構が経営主体となり、現物給付を伴う医療保険、介護保険については、医療保険は都道府県を経営主体とし、介護保険は市町村から広域連合へと拡大を進めると、具体的な内容の提言をさせていただいております。
 この社会保障基金機構の創設構想というのは、当時我が党の政審会長をしておられた坂口大臣が提案されたものと記憶しております。さきの経済財政諮問会議の基本方針原案には、この社会保障基金機構構想と極めて中身の近いと思われる社会保障個人勘定構想というものが提示されております。この社会保障個人勘定構想というのは、年金、医療、介護など、保険料の徴収も給付もばらばらになっている各制度の一元化を進めること、こういうことを意味しているようでございます。
 そこで、大臣にお伺いいたしますが、この社会保障個人勘定構想についてどのようにお考えでいらっしゃるか、社会保障基金機構を提案された思いもあわせて、お考えを伺わせていただきたいと思います。
#139
○国務大臣(坂口力君) 実は、社会保障個人勘定というのが中身がどういうことなのかということがわかりにくかったものでございますから、先日も、経済財政諮問会議の中で、ひとつ御説明をいただきたいということを申し上げたわけでございます。
 今、浜四津委員の方から御説明をいただきましたとおり、社会保障基金機構、すなわち徴収を一元化していくという話ではないかというふうに私も受け取っていたわけでございますが、個人勘定のお話はやや趣を異にいたしておりまして、私の理解が十分であるかどうかもまだわかりませんが、それぞれ国民個人個人の掛金をした部分、いろいろの掛金をいたしますが、その掛金をした部分が合計でどれだけになっていて、そしてそこで給付を受けるときにはどれだけの給付ができるかという、その個人個人におきます出と入りと申しますか、掛金をする部分と受ける部分とのそこが明確にわかるようにしていこう、こういうお話のようでございます。これは、それをトータルで見ていけば徴収の部分を一元化していくということにも結びついていくのかもしれませんが、やや趣を異にしているように私は聞きました。
 それで、そのときに私がそこで申しましたのは、それぞれの人がどれだけ自分が掛金をし、そしてその結果として自分が年金ではどれだけの給付を受け、あるいはまた介護ではどういうことが受けられるのかといったことがわかるということは、それはいいことかもしれませんが、それが余りにも個人のことになり過ぎて、自分で掛けて自分でそれを受ける、すなわち自分で貯金をして自分でそれを出して使うという自分個人のことだけに余りなり過ぎますと、社会保障という立場が薄くなってしまう可能性はありませんか、社会保障の立場でそれを考えましたときに、今私たちが掛金をするのは今高齢者の皆さん方のためだというそういう思い、そうしたことが横にのけられてしまうことになりはしませんか、そういう危惧を私は持ちますが、いかがでしょうかということをそのときに少し申し上げたところでございます。
 この社会保障個人勘定という考え方が今後どういう方向に進められていきますのか、もう少し注目をしているところでございます。
#140
○浜四津敏子君 ともかく、アプローチの仕方が少し違うのかなとは今のお答えを伺って感じましたが、むだをなくすためにこれらの制度の一元化というのはやはり必要になってくるだろうというふうに思います。それを何らかの形でぜひとも進めてまいりたい、こういうふうに希望しております。
 次に、受給権の保護について伺います。
 今回の法案の柱の一つが受給権保護でありまして、そのために具体的には三つの仕組みがこの中に組み込まれております。その一つが積立基準の設定、そして二つ目が受託者責任の明確化、三つ目が情報開示、この三つによって受給権保護を図っていこう、こういうものであろうと理解しております。
 しかし、それだけではなくて、年金の受給者の権利保護という観点からの仕組みも私は必要ではないかと考えております。例えば、年金の減額などといった受給者にとっての不利益変更を伴う場合には、これは現役加入者の賛同だけではなくて、受給者が何らかの形でその決定に関与できるようにするのが好ましいのではないだろうかと考えております。企業年金はもともと積立方式が基本でありまして、給付に必要な年金の原資というのは当然積み立ててあるということが前提になっているはずでございます。それを現役加入者の賛同だけで受給者の年金給付を減額するなどの不利益変更を決めるというのは、基本的には余り好ましくないのではないか、こう思っております。
 また、先ほども議論がありましたけれども、これが退職年金の性格を持つというものであれば、労働の対価としての賃金の後払いという性格を持つわけですから、それはあくまでも受給者の固有の権利である、こういう性格も持っているのではないかと思います。
 この点について、何か対応されるお考えがあるのかどうかをお伺いいたします。
#141
○政府参考人(辻哲夫君) 御指摘のように、給付水準の引き上げ、これは本当に加入者にも受給者にも不利益になるという意味で、好ましいことではないと考えております。
 しかしながら、企業年金の給付水準をどの程度とするかというのは、各企業がみずからの問題として労使の合意に基づいて決めていくということでございますので、母体企業の経営状況の悪化などによって企業年金を廃止するというような事態を避けるためには、次善の策として、加入者のみならず受給者の給付水準引き下げを行うということもやむを得ざる選択肢の一つということと考えております。
 受給者の関与に関してでございますが、この場合、受給権保護の観点から、通常の規約変更の手続と比べてより慎重な手続が必要と考えておりまして、現在の厚生年金基金におきましては、受給者の三分の二以上の同意といった追加的な要件を課しております。この場合、受給者本人が希望されますときには、その引き下げ前の給付に見合う一時金を支給する、こういうふうにしておりまして、受給者の既得権の保護を図っております。この確定給付企業年金法に基づきます新企業年金におきましても、このような厚生年金基金における取り扱いを基本的に踏襲し、受給者の受給権の保護を図っていく考えでございます。
#142
○浜四津敏子君 次に、受託者責任についてお伺いいたします。
 法案の六十九条以降に定めてございますが、六十九条は規約型企業年金における事業主の忠実義務及び禁止行為、そして七十条が基金型企業年金における基金の理事の忠実義務及び禁止行為、七十一条、七十二条と忠実義務が定められているわけであります。
 この六十九条の二項一号に事業主の禁止行為として「自己又は加入者等以外の第三者の利益を図る目的をもって、資産管理運用契約を締結すること。」と、こう定めてあります。例えば、企業年金契約を締結するからその見返りに低利融資などの便宜を図ってもらう、あるいは別の形で何らかの形で自己または第三者の利益を図るということも必ずしもあり得ないことではないというふうに思います。そうした場合に、この忠実義務違反あるいは禁止行為をした場合、今回の法案では具体的にどういう対応がなされるのか、お伺いいたします。
#143
○政府参考人(辻哲夫君) この法案では、御指摘のとおり、確定給付企業年金を実施する事業主は加入者等のため忠実にその業務を遂行しなければならない、こう規定されておるわけでございますが、自己または加入者以外の第三者、これらの利益を図る目的をもって資産管理運用契約を締結することを禁ずるといった事業主の行為準則を明確に規定しておりまして、仮に加入者等の利益に反する行為をした場合は行政処分の対象となるように仕組まれております。
 御指摘のありましたような例、これはまさに自己の利益を図ることを目的に資産管理運用契約を締結した場合に該当するということでございますので、改善命令等の行政処分の対象となります。そして、それにつきましては、具体的にはそのプロセスで報告の徴収や立入検査の結果、受託者責任に反すると認めて改善命令をして、それに従わないとき、これは罰則もかかります。そしてさらには、厚生労働大臣は規約の承認取り消しや基金の解散にまで至ると、非常に悪質な場合、そういう形でそのことが逆に起きないように担保いたしております。
#144
○浜四津敏子君 六十九条から七十二条に規定されております忠実義務というのは大変抽象的で、その内容が具体的にはなかなかイメージしにくいわけですけれども、例えば六十九条の二項、また七十条の二項で禁止行為を定めているとともに、忠実義務違反行為の例を具体的に列挙しております。それに加えて、その一部を厚生労働省令で定めると、省令にゆだねているわけでありますが、ここで言う「厚生労働省令で定める行為」というのは具体的にどういう行為を定めようとしているのか、お答え願います。
#145
○政府参考人(辻哲夫君) 御指摘の厚生労働省令は、条文にもありますように、積立金の管理及び運用の適正を害する行為を具体的に省令で列挙するものでございますが、具体的な内容といたしましては、例えば特別の利益の提供を受けて積立金の管理及び運用に関する契約を締結することという、今のポイントになっていることと、それから自分と利害関係のある者が保有している有価証券等を企業年金の運用資産として取得すること、こういったことを想定いたしております。
#146
○浜四津敏子君 次に、情報開示についてお伺いいたします。
 七十三条には「事業主等は、厚生労働省令で定めるところにより、その確定給付企業年金に係る業務の概況について、加入者に周知させなければならない。」と、こうありまして、この情報開示の対象者の範囲について衆議院においても議論があって、受給者に対しても周知に努めるものとするという修正が行われました。
 この受給者に対する情報開示については、具体的にはどういう形で取り組まれようとされているのか、お答え願いたいと思います。
#147
○政府参考人(辻哲夫君) 基本的には、受給者に対する情報開示、これは加入者と違いまして、受給者の場合はもう権利が確定して給付がなされておりますので、現時点における財政運営の状況、将来掛金が動くかどうかといったようなことを知るという意味で、情報開示の内容の必然性というのは加入者よりは低いということから努力義務になっておりますが、これをどのようにするかということにつきまして、基本的には企業年金だよりといったような情報開示に相当する内容を企業は出しておられます。こういったものを全部送付していただくのが一番いいわけでございますけれども、これはコストがかかる。まず送付するように努力をいただきたいし、コストがかかる場合には、例えば支払い通知書を必ず送りますので、これに求めがあれば渡しますよといったことをつけ添えていただいて必要な方には届けようと、こういった具体的なことを検討いたしまして、十分御修正の趣旨に沿うように努力をしてまいりたいと思います。
#148
○浜四津敏子君 次に、中小零細企業への対応についてお伺いいたします。
 三条によれば、事業主が確定給付企業年金を実施したいというときには、その開始に当たって、労使で合意して年金規約を作成することが必要になってまいります。これまでの適格退職年金よりかなり煩雑、またかなり大きく変わることになってまいります。
 また、五十八条で定めております財政再計算についても、大変難しい煩瑣なイメージがあります。したがいまして、この法案が成立して実際に動き始めるということになりますと、どのような年金規約をつくればいいのか、また財政再計算はどういうふうにすればいいのか、会社も従業員もかなり戸惑うことになるのではないか、こう思います。企業年金はやめてしまおう、こういうふうに考える企業も出てくるように思います。
 したがいまして、適格退職年金から確定給付企業年金へ移行する場合にスムーズに移行できるように、特に中小零細企業の方々に対してどういう配慮をされようとしているのか。これは、制度上の配慮に加えまして、正しく理解されるようなPR等も必要だ、こう思いますけれども、その点についてどう考えておられるでしょうか。
#149
○副大臣(桝屋敬悟君) 浜四津委員の方から、適格退職年金から新企業年金へ移行する、特に中小零細企業に対しての対策はどうかというお尋ねをいただきました。
 御指摘のように、中小企業においても何とか円滑な移行を図っていただきたいと思っているわけでありまして、さまざまな配慮を法律の中でも行っているところでありまして、我々もそういう取り組みを続けていきたい、こう思っております。
 具体的には、確定給付企業年金、積立義務や給付設計の基準の中には、適格退職年金ではこれまで導入されていなかったものがあるわけでありまして、まさに委員から御指摘のように、例えば今お話しをいただいた財政再計算のあり方についても、これについては中小企業を対象とした簡易な方法をお示しすることが必要であるというふうに思っておりますし、何よりもこれから十年間の移行期間を設けて、きょうのこの委員会でも議論がありましたけれども、何とか移行をしていただきたいと。それから、積立基準についても一定の経過措置を講ずるというふうにしているわけでございます。さらに、給付設計に関して受給資格期間等について適切な経過措置を設けると。こうした対応をすることによりまして、円滑な移行が図られるようにしてまいりたいと考えているところでございます。
 それから、さまざまな議論が多分現場で労使を含めてあると思うんですが、移行先につきましても、新制度への移行のほか、確定拠出年金あるいは中小企業退職金共済制度、こうしたものへの移行ということもできるようにしているわけでありまして、そうしたことも含めて、先ほど委員から御指摘がありました、制度以外にも正しく理解をしていただくPRという御指摘をいただきまして、まさにそうした姿勢が私たちに求められているというふうに考えているところでございます。
 今回の法案の趣旨あるいは円滑な移行のための措置の内容を中小企業あるいはその従業員にぜひ御理解いただくことが重要であると考えておりまして、政府としてもあらゆる広報媒体を活用しまして、あるいは中小企業団体等を通じまして周知に努めていきたい、このように考えているところでございます。
#150
○浜四津敏子君 次に、代行返上についてお伺いいたします。
 厚生年金基金は、厚生年金の一部、いわゆる代行部分を国にかわって行い、その上に企業独自の給付を上乗せして両者を一体として給付する、こういう仕組みになっております。今回の法案においては、厚生年金基金が代行部分を国に返上して新企業年金になる、こういうことを認めておりますが、厚生年金基金について今回この代行返上を認める理由はどこにあるのかをお伺いいたします。
#151
○政府参考人(辻哲夫君) 我が国の企業年金の中心的な存在である厚生年金基金それから適格退職年金につきましては、まず、厚生年金基金につきましては公的年金の一部を代行していることから終身年金を原則とするということで柔軟な給付設計が困難だ、もう少し柔軟にしたいといった声があること、あるいは適格退職年金を実施している企業と厚生年金基金を実施している企業とが合併する際には合併後の企業は厚生年金基金しか採用できない、こういったことから、企業合併が最近進んでおりますけれども、これにも影響を与えているといった問題が指摘されております。
 今回の改革は、こうした事情を踏まえまして、受給権保護の仕組みの充実強化を図るとともに、多様な企業行動に対応して個々の実情に応じて企業年金制度の選択や制度間の相互移行を可能とするために厚生年金基金の代行返上も認めることといたしたものでございます。
#152
○浜四津敏子君 その関係で、法案の百十四条の一項では、厚生年金基金が代行返上を行う場合に、一定の条件のもとに、現金ではなくて国債、株式その他の有価証券で物納ができる、こういうことになっております。
 物納というのは相続税についても認められてはおりますけれども、制度としては極めて例外的なものであるというふうに理解しております。本来は現金で返すことにした方がいいのではないかとも考えられますが、今回、あえてここで物納を認めるということにした理由がどこにあるのかをお尋ねします。
#153
○政府参考人(辻哲夫君) 御指摘のとおり、厚生年金基金が代行部分を返上いたします場合、払い込みは金銭で行うことが原則でございます。ただ、受け取る方の公的年金の資金運用におきましては、年金資金運用基金が既に現金だけではなくてさまざまな資産をもって資産運用をいたしております。
 そういうことから、代行返上に伴い一度資産を売却し、一方、また受け付けた年金資金運用基金の方が買い入れるというようなことにつきましては、株価などが不必要に変動するといったことで積立金の運用にマイナスになるといったことも考えられます。こういうことから、一定の条件のもとでは物納を認めても合理的であるということで、一定の条件のもとで厚生年金基金の国債や株式などの現物資産により返上できる道を開いたものでございます。
#154
○浜四津敏子君 今お答えの中で、一定の条件のもとにと、こういうお話がありました。百十四条の三項にその条件についての定めがありますが、物納ができる有価証券については、本来、厚生年金本体では買わないようなものでは物納を認めないと、こういう趣旨だろうと思います。安全でかつ効率的な運用に支障になるようなものは物納できないということであろうとは思いますが、その具体的な要件については厚生労働省令で定めると、こういうふうになっておりますが、具体的にどのような要件、どのような内容をこの省令で定める予定なのか、お伺いいたします。
#155
○政府参考人(辻哲夫君) まず、その要件の前提条件としての考え方でございますが、年金資金運用基金で、いわば物納をいたしますと直ちに運用が開始できるようにという体制のものでなければ受け付けてはならないということでございますので、まず、法律におきまして、現物返上の対象となる資産は政令により国債、株式その他の流動性のある有価証券に限定するということを決めております。
 そして、年金資金運用基金の具体的な管理運用方針に沿ったものとするために、いわば年金基金がもともとやっているのにそのまま乗れるようにというものでなければ乱しますので、改めて銘柄の入れかえを行う必要のないよう、もともと自分でもそうしていたと、いわば雑駁な言い方をしますと、年金基金の方もそうするつもりでいたといったような形、すなわち物納資産は有価証券指数に連動するいわゆるパッシブ運用ファンドであること、もともとこの年金資金運用基金はパッシブ運用を基本にいたしておりますが、このようなことを行うということをまず枠組みで決めております。
 したがいまして、御指摘の法案百十四条第三項の厚生労働省令におきましては、そのような要件の細目といたしまして、まず、対象となる有価証券指数、いわばパッシブファンドをつくる上で有価証券指数に対応したものをつくるというのが形でございますが、日本株式であれば例えばTOPIX、東証株価指数によるといったパッシブファンドをつくるときの具体的な準拠すべき指数というものを決めましたり、それから、どのように具体的にパッシブ運用ファンドを構成するのか、方法論が、勝手な形でこれはパッシブ運用ファンドだというように言われてもまた変なものが紛れ込んだりしてはいけませんので、そのつくり方、こういった技術的な側面を省令で定めることにいたしております。
#156
○浜四津敏子君 この公的年金自体が、国債、株式その他の有価証券、特に株で運用するということが前提になった仕組みでございます。それをうまく運用できれば掛金は安くなりますし、運用に失敗すると高くなる、また制度そのものも危うくなる、もともとそういう仕組みになっているわけであります。その運用が効率的で利回りよく運用できる、要するに砕けた言葉で言えばよりもうかるというやり方と。しかし、他方で、そういう一時的にはもうかるかもしれないけれども非常にリスキーな運用という面も持っているかと思いますが、そのバランスが大変大事になってくるんだろうと思います。
 この運用が過大なリスクを生じることがないのかどうか、株の運用そのものを前提としている年金制度そのもののあり方に多少の危惧を感じるものがあるんですが、そのあたりは大丈夫なんでしょうか。
#157
○政府参考人(辻哲夫君) 御指摘の点、私ども、年金の資産運用に携わるもの、非常に大変な点、大変重要なことと存じます。
 具体的には資金運用につきまして、法律に基づきまして、まさしく効率的でより収益が上がるように、しかしながら安全でなくちゃいけないと。この要件を満たすために、運用の基本方針というものを厚生大臣が決めることといたしております。
 運用の基本方針は、結論から申しますと、資産構成をどうするか。株をたくさん持ち過ぎますと、株の上下動で大変大きな収益の変動が生じると。しかしながら、株は長期的には債券の収益率を必ず上回ります。これは、今までの経済の実績、また市場の構造から当然の前提でございます。したがって、長期で運用が保証されている資金につきましては株式を組み入れることには合理性があると。この組み合わせをどの程度にするかということで、俗にポートフォリオと申しておりますが、株式、債券、現金といったものの構成割合を運用方針の中に定めることといたしております。
 それは、社会保障審議会の担当の専門の分科会で全部チェックをいただきまして、そのようなチェックを経た上で資産構成を定める、そして経済の動向に応じて必要なときにはそれを見直す、こういった形で国民の皆様に開かれた形で資産構成を管理していくと、そういった形で効率性と安全性が両立するように努めているところでございます。
#158
○浜四津敏子君 近年、離職者また退職者がふえつつあります。雇用の流動化が進んでおりまして、また長引く景気の停滞によりまして企業の倒産もふえていると。こういう状況の中で、かつては一度就職すれば定年まで同じ会社にずっと勤めると、こういう終身雇用が一般的だったわけですけれども、そうした状況が大きくさま変わりしつつあります。
 転職した場合あるいは会社が倒産した場合に、企業年金の給付というのがどういうことになるのか、また企業年金制度というのはあくまでも企業に勤める従業員の方々のための制度でありますから、雇用の流動化あるいは離職、転職、こういう従業員の側の変化に対応して、これも必ずしもといいますか、多くの従業員の方々は不本意ながら転職、離職せざるを得ないと、こういう状況にある方々が多いわけで、こうした変化に対応した企業年金の制度の整備ということも必要になってまいると思っております。
 今回の法案は、この雇用の流動化、離職、転職の増加に対応した企業年金制度の整備という課題にどのように対応しているのか、お伺いいたします。
#159
○国務大臣(坂口力君) 今回の確定給付企業年金、それからもう一つ御審議をいただきます確定拠出型年金、この二つをセットにしているわけでございますが、企業の方の流動化、これに対しましては、本日の確定給付型企業年金というのが一応よく当てはまるだろうというふうに思います。また、個人の方の流動化に対しましては、確定拠出型の年金の方が対応するだろうというふうに思います。
 いずれにいたしましても、今までのように長く同じ企業の中に働くということがなくなってまいりますと、やはり今まで掛金をしておりました年金をかわりますときに、そのままそこに置いてまた新しく一からやり直さなければならないというようなことではいけないわけでありまして、持ち運べると申しますか、やはりその人について回れるように、いわゆる公的年金のような形にしないといけないということでございます。
 そういう点で、今回の年金は配慮をしたというふうに思っておりますが、しかしまだまだ不十分な点もございますので、これからさらにまた、ひとつ折を見ながら改善を加えていかなければならないというふうに思っている次第でございます。
#160
○浜四津敏子君 終わります。ありがとうございました。
    ─────────────
#161
○委員長(中島眞人君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、大島慶久君が委員を辞任され、その補欠として野間赳君が選任されました。
    ─────────────
#162
○井上美代君 日本共産党の井上美代です。
 私は、確定給付企業年金法案は、これは企業年金の受給権を守るために新たな企業年金を創設するなどの施策を行うものだと思います。現在、厚生年金基金、それから適格退職年金の財政というのは大変厳しくなっておりますが、これらの企業年金の受給権がどれぐらいきちんと守られるのかがこの法案の重要なポイントであるというふうに思います。
 そこで、まず現行制度のもとでの企業年金の概要について質問をさせていただきます。
 厚生年金基金の基金数、そしてまた基金に加入している現役の加入者の人数、さらに年金の受け取りを始めている受給者の人数、これらを述べていただきたい。そして、適格退職年金についても同じように、契約の件数、加入者数、そして受給者数を述べていただきたいと思います。全体像をはっきりさせたいと思います。
#163
○政府参考人(辻哲夫君) まず、厚生年金基金の方から御説明申し上げます。
 現時点における厚生年金基金の数は千七百九十四基金でございます。それから、加入者数は、これは平成十二年三月末でございますが、千百六十九万人でございます。そして、受給者数は百二十五万人でございます。
#164
○政府参考人(金井照久君) 御質問の適格退職年金に係ります契約状況でございますが、信託協会などで取りまとめました計数で申し上げますと、平成十二年三月末現在の適格退職年金契約の契約件数は約八万一千件でございます。実施企業数は約九万六千社でございまして、この契約におきます加入者の数は約一千万人となっております。また、受給者数でございますけれども、平成十二年三月末現在の年金受給者の数は約三十八万人となっておりまして、さらに平成十一年度におきまして退職一時金を受け取った者は約五十四万人となっております。
 以上でございます。
#165
○井上美代君 次に、現在の企業年金の給付額が大体どの程度のものなのか、そしてまた現在受給している人の受給額はどうなっているのか、厚生年金基金、そして適格退職年金の平均の月額を述べていただきたいと思います。
#166
○政府参考人(辻哲夫君) 厚生年金基金について御説明申し上げます。
 平成十二年三月末におきまして、厚生年金基金の平均年金月額は六万八百円、うち代行部分は二万八千九百円、上乗せ部分は三万一千九百円でございます。
 なお、厚生年金基金の年金は終身年金を原則といたしておりますので、有期年金といったものを多く含む、そうでない他の制度との間で単純に平均額の比較はできないものと考えております。
#167
○政府参考人(金井照久君) 適格退職年金契約に基づきます給付の状況でございますけれども、信託協会などが取りまとめました計数で申し上げますと、平成十一年度におきます退職年金の給付総額は約三千九百二十八億円となっておりまして、また平成十二年三月末現在の年金受給者の数は約三十八万人となっておりますので、これからまいりますと一人当たり平均の年金受給額は年間で約百四万円という計算になります。
 また、退職一時金の給付の状況でございますけれども、給付総額が約一兆七千六百七十七億円となっておりまして、平成十一年度中の退職一時金の受給者の数が約五十四万人となっておりますので、一人当たり平均の退職一時金の受給額は約三百二十六万円となっております。
 以上でございます。
#168
○井上美代君 今、年金額等が明らかになりましたけれども、厚生年金基金は代行部分を除くと三万二千円ですね。そして、公的年金である厚生年金の平均月額が十七万七千円なんです。だから、五分の一ぐらいであるということがはっきりいたします。
 私は、こうした年金がやはり高齢者の生活にとって大変影響が大きいんだということを申し上げたいわけです。このように非常に老後の生活にとって重要な内容を持っている、生活に直接かかわってきている年金についてさらにまたお聞きしたいというふうに思います。
 現在、厚生年金基金と適格退職年金の財政の悪化というのが先ほどからの質問でも大きく問題になってきているということが言えると思うんです。そして、特に、積み立て不足という状況が広がっているということがきょうの質問の中でも出されております。
 積み立て不足というのは、将来に約束した給付を支払うために現在保有していなければならない金額に対して、実際にある年金の資金が少なくなっていくということです。この積み立て不足がひどくなり、そして企業年金の中に解散するものあるいは約束した給付を引き下げるものが急増しているわけであります。
 厚生年金基金について詳しくお聞きしたいと思いますが、解散数と、そして給付の引き下げが近年どのように行われているのかということを述べていただきたい。
#169
○政府参考人(辻哲夫君) まず、厚生年金基金の解散、平成六年度以降を申し上げさせていただきます。解散基金数、平成六年度一基金、七年度一基金、八年度七基金、九年度十四基金、十年度十八基金、十一年度十六基金、十二年度二十九基金といった形で解散件数がふえてきております。
 それから、給付水準の引き下げを行った基金数、平成九年度以降を御説明申し上げます。平成九年度七基金、十年度十六基金、十一年度五十二基金、十二年度百七十七基金となっております。
#170
○井上美代君 厚生年金基金の解散、そして給付の引き下げが急増しているということが今の数字でわかります。
 給付の引き下げは、二〇〇〇年度は、一九九九年度で計算しますと実に三倍以上になっているんですね。適格退職年金についても、一九九九年度は前年度に比べて契約件数が約三千五百減っている。そして加入者というのは二十八万人減少しております。
 なお、適格退職年金の給付引き下げは、統計がないのでわかりませんが、相当の数に上っているのではないかなと思われるわけです。本来、この積み立て不足というのは企業の負担で解決すべきものです。つまり、掛金をふやして解決していかなければならないのです。その積み立て不足が大きい場合には、償却計画をきちんと立てまして、そして何年かかけて赤字を補てんするのが法令で定められた原則です。ところが、その積み立て不足を給付の切り下げという形で従業員に負担を転嫁して解決しようとしているということで、これはもう大変深刻な事態になっていると思います。
 お聞きしたいと思いますが、厚生労働省は四年前、企業年金の財政状況を検証する方法として、最低保全給付、そして最低積立基準額という概念を据えられております。そしてまた非継続基準という検証方法を導入されておりますが、これについてわかりやすく説明をしていただきたいと思います。
#171
○政府参考人(辻哲夫君) 平成九年度に非継続基準の財政検証というルールができましたために最低保全給付という概念が確立されたわけでございますが、非継続基準と申しますのは、そのときにもし解散したとしたならば、各加入員や受給者の過去の加入期間に係る給付に必要な部分を持っているかどうかということを検証すると。非継続というのは、もしやめたとしたならばという意味でございますが、その各加入員や受給者の過去の加入期間に係る給付というものを最低保全給付と言っておりまして、これに必要なものを基準額と、こう言っておるわけでございます。
#172
○井上美代君 最低保全給付というのは、それまでの勤務期間に対応した給付のことです。最低積立基準額というのは、その最低保全給付を支払うのに必要な積立額だということなんです。
 私は、ここに、厚生省の年金局企業年金国民年金基金課が監修になられて発行されております「財政運営基準の解説」というのを持ってきておりますけれども、ここにはこの最低保全給付について次のように説明をしております。
 加入員について、従来は退職するまで保全すべき受給権の範囲は不明確だったが、受給権の保護を図っていくために、退職前であっても過去の加入期間に応じて受給権が付与されているとみなして最低保全給付を定めたと、こういうふうに述べております。つまり、そのときまでの働きに応じた給付、それまで掛金を掛けて積み立ててきた部分についてはしっかりと受給権として守っていこうという、その考えがここにあって導入されているものなのです。企業年金問題が大変深刻なのに、この最低保全給付、最低積立基準にまでさかのぼって給付を引き下げる事態が広がっているという、ここが問題であります。
 つまり、給付を引き下げるというときには三つの方法がありまして、一つは、将来の働き分に対応する給付、これから掛金を掛ける部分の給付を引き下げるという場合です。二つ目は、これからの部分にとどまらず、そのときまでの働きに対応した給付にまでさかのぼって、つまり先ほど述べました最低保全給付、最低積立基準まで切り下げる場合です。さらにもう一つあります。三つ目には、現在給付を受けている受給者の分まで、今もう給付を受けているんです、その受給者の分まで給付を切り下げること、この三つがあるわけなんです。したがって、さっき言った給付の削減の数にはこの三つがまじり合っていることになります。
 最低積立基準まで切り下げた基金の数というのが一体どのぐらいあるのかということをお聞きしたいと思います。御答弁ください。
#173
○政府参考人(辻哲夫君) 平成九年度から十二年度までに引き下げたもののうち、最低保全給付が減少した、いわば最低保全給付を引き下げたケースは二百十五件、それから受給者の引き下げを行ったケースは五件でございます。
#174
○井上美代君 一九九九年度までに切り下げを行った基金が七十五ありますが、そのうち最低保全給付を切り下げたのは五十九です。二〇〇〇年度だけで給付の切り下げを行った基金が百七十七あります。そのうち、最低保全給付を切り下げたのが百五十六もあります。これを計算してみますと、切り下げを行った基金というのは実に全体の九割を占めているんですね。将来分だけでなく過去の勤務にまでさかのぼって給付を切り下げているのですから、これはもう本当に大変なことだというふうに思います。
 私は、重大な問題ですけれども、受給権の保護の観点から、この最低保全給付、最低積立基準という方式が導入されたにもかかわらず、その受給権が守られていないというこの問題でお聞きをしたいと思います。
 アメリカのERISA法については何回か出てきておりますけれども、その部分の切り下げは禁じられており、そして、倒産というどうにもならない場合を除いて過去の部分まで切り下げることはできないという、このERISA法には大変厳しいルールがしいてあるわけです。
 そこで、日本の厚生年金基金がどのような理由で給付の引き下げを行っているか、その理由とそれぞれの件数を述べていただきたいと思います。
#175
○政府参考人(辻哲夫君) 給付水準の引き下げの理由、それからそれに基づく十二年度までの引き下げの件数でございますが、まず、母体企業における退職金規程等の変更、これは退職金規程に連動しておりますことが多いことから、これにつきましては七十七件。それから、母体企業が経営悪化したということで切り下げたのは七件。それから、掛金負担の困難、過去分のものを含めまして事業主が掛金を将来に向けて出して埋めなければならないわけですけれども、それがどうしてもできないという理由が百六十四件。それから、これは別の理由でございますが、合併に伴う給付水準の変更、それに合わせるためにいずれかを落としたということが四件。
 以上でございます。
#176
○井上美代君 給付水準の引き下げを行った基金数と引き下げの理由を今答弁してくださいました。今、簡単に答弁されましたけれども、一番多いのが百六十四という、この理由の中で挙げているのでは三つ目になるのですが、「設立時又は直近の給付水準の変更時から五年以上が経過しており、かつ、給付設計を変更しなければ掛金が大幅に上昇し掛金の負担が困難になると見込まれるなど、給付設計の変更がやむを得ないと認められる場合」ということで、やはりこういうふうにしてカットをされているということ、ここが一番多いんですね。これはやはり、この理由が多いということは許されないことだと私は考えております。
 次に多いのが、最初に書いてあるものですけれども、七十七基金というふうに言われましたが、「基金を設立している企業において労働協約又は退職金規程等が変更され、その変更に基づいて基金の給付設計を変更する場合」と、こういうふうになっているんです。「債務超過の状態が続く見込みであるなど」と、こういうふうになっています。
 企業がいろいろな理由をつけて引き下げるわけなんですけれども、何しろ、債務超過の状態が続く見込みであるなどという、「など」というところが非常にあいまいな形になっているんですね。そういう点からも、この引き下げが行われているということに、その内容に問題があるというふうに思うわけなんです。
 給付切り下げを行った二百五十二の基金のうち、経営困難で切り下げたのがわずかに七つでしょう。経営困難で切り下げたのはたった七つなんです。そして、大部分というのは掛金が将来上昇するからという理由なんですね。つまり、大部分の厚生年金基金は、経営が困難になっているわけではないのに、過去の働き分、つまり既に発生した給付にさかのぼって切り下げられているのです。これはおかしいじゃありませんか。大変重大な問題だというふうに思います。
 将来どれぐらい株が上がって、どれぐらいの利回りになるのか、どれぐらいの人数になるのか、大変これは予想が難しいことだと思います。企業側の恣意的な裁量が入る危険が非常にあるわけです。年金は長年に掛けていきます。三十年の人もいれば、四十年という長年にわたって掛け、そしてまた運用するわけなんですね。だから、経営が困難ではないのにこんなに簡単に引き下げてしまっていいのかという、こういう大きな疑問をこの点について感じているわけなんです。
 やはり最低限の給付水準を定めること、つまり、最低保全給付、最低積立準備金については切り下げを禁ずることが必要ではないかというふうに思いますが、大臣、非常に重要な部分ですので御答弁をお願いいたします。
#177
○国務大臣(坂口力君) 今、委員が御質問になりまして、そして局長が答えますこの数字をずっと見ておりまして、やはり最近の経済状況の悪化につれてこの年金にも非常に大きな影響を与えているということを見ながらお聞きをしていたわけでございます。
 今、いろいろの御意見がございましたが、しかしこの企業年金の給付をどのような内容とするかということは、基本的にはこれは労使の自主性にゆだねられているものでございます。そのような基本的な性格を踏まえた上で、今回の法案につきましては受給権保護を図るための措置を整備しているということでございます。
 おっしゃるお気持ちは私も十分わかっておりまして、相なるべく、せっかく掛金をしていただきましたこの年金がそのまま持続できるようにできるだけのことはしなければならないという思いで私も聞かせていただきましたが、しかし、もとになります企業が倒産をしてしまいましては元も子もないわけでございますから、そこのところはやはり我々も十分に理解をしながらこの年金のことを考えていかなければならないんだろうというふうに思っております。
 しかし、今御指摘になりますように、余り軽々に、いわゆる企業の実績がそれほど悪化をしていないのに年金の方を先にカットするというふうなことがあってはならないということは、私もそのとおりだと思っております。
#178
○井上美代君 今、大臣、それほどでもないと。私は、経営困難で切り下げているのはたった七つだと、多くがそうじゃない理由で切り下げているんだということを申し上げたんです。だから、そこは非常に約束とも違うし、そして生活費をやっと掛けている人だっているわけなんです。だから、そういうふうに掛けているにもかかわらず、もう受給されている人にまでさかのぼって切り下げをするなどということは許されないというふうに思うんです。
 既に受給者がいらっしゃるんですけれども、そこまで切り下げるということについては、大臣、いかがでしょうか。これは許されないんじゃないでしょうか。
#179
○政府参考人(辻哲夫君) ちょっと技術的な点で一つ御説明させていただきたいと思います。
 経営困難は少なく、掛金負担の困難が多いということは、これはちょっと統計上というか集計上の論点もありまして、単独の企業がつくった基金というのは経営困難ということで出てきておるわけですが、総合型の場合は、総合型の中の会社で、経営困難なのでついていけないというのが相当あるというところが、全体としては経営困難という形でまとめられませんので、そういうことで掛金負担困難というふうに計上されておりまして、実質はやはり経営困難という面の非常に強いものだということを一つ申し上げたいと思います。
 それから、給付引き下げにつきましては、これは、受給者が希望した場合には引き下げ前の額に相当する一時金が保障されているという前提でございます。
#180
○井上美代君 先ほどの答弁ではわずかに七つということが出ておりますのに、そのようにまた言いわけをしたりされるというのはおかしいと思います。
 私は現状もいろいろ聞いております。きょうも傍聴にもおいでになっておりますけれども、現状と、今そちらが答弁されました数字というのは重なっているわけです。だから、やっぱり現状で苦しんで、本当に苦労している人たちがいるんです。だから私は、受給者まで切り下げているという問題については、これは非常に重要な問題であるというふうに思いますので、検討していただきたいと思います。大臣、いかがでしょうか。
#181
○政府参考人(辻哲夫君) まず受給者については、三分の二の同意が必要だといったいわば重い手続を課しまして、なおかつ、本人が希望する場合には引き下げ前のものを保障するという既得権を保障しているものでございます。
 このような十分の手続と既得権への配慮を行っておりますので、これにつきましては、今申しましたのは厚生年金基金の例でございますが、このような慎重な手続というのを今後変える考えはございませんし、新確定給付企業年金法におきましてもこの手続と内容というものを維持したいと考えております。
#182
○井上美代君 大臣に私はお聞きしているんですけれども、大臣なかなか御答弁いただけないんですけれども。
 この給付年金が不十分であるというふうに先ほどから御答弁くださっております。そして、いいものにしていかなければいけないというふうに先ほどから御答弁くださっておりますが、こういう問題のあるところは、改善しないと参考人は今言われましたけれども、私は改善していただかなければいけないんだというふうに思いますが、いかがでしょうか。
#183
○国務大臣(坂口力君) 今までの企業年金と同じように、既にお支払いをしている皆さん方にはしていくということを言っているわけですから、私はそれでかなり歯どめになるのではないかというふうに思います。
#184
○井上美代君 質問したいことがありますので先に進みますが、今の御答弁では全く私の質問の答えにはなっておりませんので、私は、今の点につきましては、持ち帰って検討もしていただきたいと思いますし、改善をしていただきたいということを主張しておきます。
 厳格な基準を設ければ確定給付年金を採用する企業がなくなるというようなことを盛んに言われますけれども、その厳格な基準のアメリカではむしろ、労働者を確保するために、一定規模の企業では確定給付年金が見直されてふえているわけです。こういう現象が起きているんです。国民の老後の生活設計、そして生活保障にかかわる制度ですから、私は厳格なルールを定めなければいけないというふうに思います。その上で競争原理に任せれば、よりよい人材を確保するためによりよい確定給付年金をつくっていく競争がそこから生まれていくのではないでしょうか。やはりこの点はアメリカ式を学ぶべきだと思いますが、いかがでしょうか。
#185
○政府参考人(辻哲夫君) 確定給付企業年金法、この法案提案の一つの背景でございます適格退職年金、ただいまにおきましては、積立義務さえないという状況のもと、むしろ、まず確定給付の企業年金が安全で、さらに充実するような受給権保護をするということに今着手しているところでございまして、確かにアメリカで指摘のような形がございますが、これは公的年金の上乗せの、労使が話し合って多様なニーズにこたえるためにつくる企業年金、これは今言ったような環境整備をする中で労使がつくり上げていく、そしてそれを法の枠組みで、実態に応じて枠組みを形成していく、こんな形で、現時点におきましては、この確定給付企業年金法におきまして受給権の保護をこのように図るということが最善の道であると考えております。
#186
○井上美代君 今回の確定給付企業年金法案には、確定給付企業年金から今度は確定拠出年金、いわゆる日本版の四〇一kですけれども、これに移行できる規定が設けられております。そして、今回の制度改正で、厚生年金基金そして適格退職年金など、従来の確定給付型の企業年金も日本版の四〇一kに移行できるようになります。
 特に重要なポイントは、これから掛金を払う分だけでなく、今まで掛金を払った分、つまり先ほどの最低積立基準にまでさかのぼって丸ごと移行できることになっている点は重要であると思っております。
 この点でまず確認をしておきたいのですけれども、現在既に企業年金の給付を受けている受給者からの疑問について質問します。
 厚生年金基金、適格退職年金、あるいは今回新たにつくられた確定給付企業年金が確定拠出年金に移行した場合に、その企業から年金を既に受給していた受給者の年金というのはどうなっていくのでしょうか。既に受給している人の年金が四〇一kに移行することはないと思いますが、その点を含めて御答弁をお願いいたします。
#187
○政府参考人(辻哲夫君) 今、御指摘なさいました確定給付型の企業年金から確定拠出型年金に移行するというケースにつきましては、まず既存の確定給付の企業年金の一部のみを確定拠出年金に移行して引き続き確定給付型の企業年金を存続させる場合と、それからもう一つは既存の企業年金を終了、いわば廃止いたしまして全部を確定拠出年金に移行させる場合、この二つのケースがございます。いずれの場合におきましても、移行時点における受給者は確定拠出年金、いわゆる日本版四〇一k、これの加入者にはなり得ません。したがって、受給者に係る資産を確定拠出年金に移換することはできません。
 どのような取り扱いになるかと申しますと、まず既存の企業年金の一部を確定拠出年金に移行して、引き続き確定給付型の企業年金を存続しながら一部を確定拠出年金を行うという場合は、受給者に関しましては、厚生年金基金、適格退職年金、それから新法に基づく新企業年金のいずれにつきましても、移行時点における受給者は、制度が残っておりますので、引き続き既存の企業年金から従前どおりの給付を受け取ることができます。
 一方、既存の企業年金を終了して全部を確定拠出年金に移行する場合は、これは払う既存の企業年金はなくなるわけでございますので、通常の解散と同じでございまして、移行時点における受給者に対して既存の企業年金の残余財産が一時金として分配されることとなります。
 ただし、厚生年金基金の場合は、既存の受給者に係る財産を厚生年金基金連合会に移しかえいたしまして、引き続き連合会から従前の確定給付型の年金を受け取り続けるということができることとなっております。
#188
○井上美代君 今御答弁がありましたけれども、厚生年金基金以外の確定給付企業年金の受給者については、もとの企業の企業年金が丸ごと確定拠出年金に移行してしまうと、年金として給付を受けることはできなくなり、一時金として受け取るしか方法がないということです。これはやはり、過去にさかのぼって丸ごと移行を認めたことに問題があるということを私は指摘しておきたいと思います。
 次に進みます。
 確定給付年金と確定拠出年金、これ、大臣はどちらが老後の生活保障にふさわしいとお考えになりますでしょうか。大臣の御答弁をお願いします。
#189
○国務大臣(坂口力君) それはやっぱり人によって、場所によって違うと思いますが、どちらも私は大事だと思っています。企業全体で考えますと、確定給付型の企業年金の方がいいんだというふうに思いますし、個人に焦点を当てて考えましたときには、確定拠出型の方がより扱いやすいのではないかというふうに思います。
#190
○井上美代君 予想どおりの答弁でちょっと残念なんですけれども、私はやはり、給付のとき確定をしていないととても不安だと思うんですね。これだけ経済が激動しているんですから、やはり給付されるときにきちんと決まっているということが大事なんだというふうに思います。
 ここに、厚生労働省のつくった「確定拠出年金法(案)のあらまし」というパンフレットを私持っております。この中でも確定拠出年金のマイナス面として挙げてあるんですが、老後に受け取る年金額が事前に確定しないということを挙げておられるんですね。事前に給付のときの年金額が確定しないということ、これがマイナス面として挙げられております。
 国民にとって老後の生活保障ということを考えれば、将来の給付が約束されている確定給付年金に、やはり私は先ほど申し上げましたように軍配を上げなければいけないのではないだろうかというふうに思います。それにもかかわらず、既に確定企業年金の給付の発生している分までさかのぼって丸ごと移行を認めてしまっている。この点は絶対に容認できない内容であります。現在の労使の力関係でいえば、どんどん歯どめなく確定給付から確定拠出年金へと移行が進むことは、本当に火を見るより明らかではありませんか。私はこのことを思うと、本当にこの法案の問題点が非常に大きいというふうに思っております。
 私は、次に、代行返上の問題を取り上げたいと思います。
 今回の法案では、厚生年金基金の重荷になった代行部分を返上できるようにするわけですけれども、一九八〇年代に厚生省は厚生年金基金の設立を推奨してまいりました。その際に代行のメリットを強調したと思いますが、その強調のメリットというのは何だったのでしょうか。
#191
○政府参考人(辻哲夫君) 私ども、現在も厚生年金基金の意義というものを次のように考えております。
 厚生年金基金は、厚生年金の終身年金の給付に上乗せして一定以上の水準の独自の給付を一体的に行うということで、老後の生活設計という面では、終身年金という信頼感、これは非常に大きいものだと考えております。
 また、企業独自の年金として終身年金を行うという今の話と合わせまして、厚生年金の代行を行うことにつきましては、資産規模等における運用面のスケールメリットなどがある、こういったところは厚生年金基金の意義であると考えております。
#192
○井上美代君 代行のメリットは、規模を大きくすれば資産運用がリスク分散などで安定化するという点、これを言っておられるんだと思いますが、今回、代行返上でかなり規模が縮小する企業年金が出てくるのではないかというふうに考えるわけです。こうなると、資産運用が大変不安定化していくということが避けられないのではないでしょうか。こういった点でも、支払い保証制度をつくって、そしてきちんとしたセーフティーネットを張ることが大事ではないかというふうに考えます。
 支払い保証制度については、財界から強い反対があったということはよく存じておりますが、そういう要求を入れて、結局今回の法案には盛り込まれませんでした。
 モラルハザードを招くということが盛んに言われました。つまり、まじめに積み立てもせず倒産したときだけ給付を持っていくような悪質な企業が出てきて、まじめに積み立てを行い保険料を払っている企業が損をするという理屈です。
 そこで、この問題について質問しますけれども、現在、厚生年金基金連合会の任意の共済事業として行われている支払い保証事業がありますが、そこでは、それぞれの基金から集める拠出金の支払い方法として、未積立債務額に応じて払うという方式も採用されておりますが、これはどういうもので、どういう考えに基づいたものであるかということを御答弁願います。
#193
○政府参考人(辻哲夫君) 御指摘の厚生年金基金連合会の支払い保証事業、これは、厚生年金基金連合会の会員があらかじめ拠出金を出してプールして、そして解散のときに不足額があるところについて不足額を充当する、こういう仕組みでございますが、そのあらかじめ出す拠出金の額は三つの考え方の合計をしております。
 一つ目は、基金の加入員数及び受給者数等の人数に応じた一定の額。それから二つ目が、最低責任準備金の〇・三倍、これが支払い保証限度額でございます。残念ながらすべてを保証できないという仕組みになっておりますが、この〇・三倍とされている保証限度額に応じた一定の額。今御指摘の点は、支払い保証限度額に対し積み立て不足となっている額に応じた一定の額、この三つの額を合計することになっておりますが、この積立不足額に応じて計算されるというのは、より積み立てしている人に少なく、より積み立ての少ない方に多いという、いわばそういう責任の重さに応じた負担をしておりますので、その点、いわばモラルハザードといいますか、努力した者と努力していない者の差をつけているということでございます。
 この拠出の仕組みができましたのは、そもそも、厚生年金基金連合会の会員たる厚生年金基金、これは同じ仕組みで適用されておりまして、給付の仕組みも同じように仕組まれており、積立金も同じように仕組まれており、そして営々と皆が同じように努力してきたということで、同じ土壌を持った会員が任意で合意して、任意で成り立っている制度でございますので、このような仕組みを会員が話し合って受け入れた。その結果、このような三つの要素の一つの要素にこういう考え方が入っているということでございます。いわば、皆が納得して受け入れた考え方であるということでございます。
#194
○井上美代君 最後の質問になりますけれども、アメリカでは、積み立てをまじめにしない、放置するモラルハザードを防ぐために、課税措置などとともに、支払い保証制度の拠出金について、積み立ての不足が大きくなるほど拠出金を引き上げるなどペナルティーを講じております。このような工夫を重ねればこういったモラルハザードは防げると考えますが、この点について私は大臣に答弁を求めたいというふうに思います。
#195
○国務大臣(坂口力君) 今朝来、この支払い保証制度につきましてはいろいろの御意見がございました。皆さん方からのいろいろの御質問もあったところでございます。これは、皆さん方の御意見にもありますように、これからも努力をして、そしてぜひよりよい制度にしていかなきゃならないと私も考えております一人でございます。
 ただいま御指摘いただきましたような制度というのも、それは一つの行き方ではないかというふうに思いますが、今後ひとつまた検討課題の一つにさせていただきたいと思います。
#196
○井上美代君 質問を終わります。
    ─────────────
#197
○委員長(中島眞人君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、釜本邦茂君が委員を辞任され、その補欠として海老原義彦君が選任されました。
    ─────────────
#198
○大脇雅子君 たくさんの質問が重ねられまして、大体の焦点も絞られ、お答えもたくさん出たところで概略的な点をまた御質問させていただきますが、それは確認的なものと考えていただきたいと思います。
   〔委員長退席、理事亀谷博昭君着席〕
 公的年金制度との関連について初めにお尋ねをいたします。
 一九六一年に我が国は国民皆年金・皆保険という制度を確立したわけです。しかし、その後、経済成長が鈍化したり少子高齢化の進展に伴う人口構成が変動したことによりまして、年金財政の脆弱化あるいは悪化が生じてきました。その結果、保険料の引き上げ、給付年齢の引き上げ、給付水準の切り下げ等、制度内容の見直しが行われてまいりました。しかし、国民が職業生活から離れた後、基本的な生活を支える公的年金制度を堅持する意義は非常に大きいものがあります。いわゆる三階建ての企業年金の制度、これは終身雇用の日本的な雇用慣行と相まって、有能な人材を長く企業に確保するという機能を発揮したと思います。
 現在におきまして、まず公的年金制度と相まっての企業年金制度の位置づけというものを確認しておきたいと思います。
#199
○副大臣(桝屋敬悟君) 委員の方から、最初に公的年金制度に対する企業年金制度の位置づけということでお尋ねをいただきました。
 国民年金あるいは厚生年金などの公的年金、これはこの企業年金を審議していただいております委員会でも随分議論がありましたけれども、国民の老後を支えるために社会全体で世代間扶養を行う仕組みでございまして、現役時代から見ると極めて遠い将来の高齢期の生活の基本部分をどんなに長生きをされても終身にわたって確実に支えるということをその役割としているというふうに整理できるかと思います。
 一方、企業年金などの私的年金につきましては、個人や企業の自助努力に基づきまして掛金を積み立てて運用する、そこから給付を行うというものでございます。企業年金は公的年金と、まさに委員御指摘のように、相まって、多様化する老後のニーズにこたえてより豊かな老後生活を実現するためのものでございまして、少子高齢化が一層進んでいく中で、その充実がますます求められていくものと考えているところでございます。
#200
○大脇雅子君 土台は公的年金制度ということになろうかと思います。この土台がしっかりしてこそ、その上に立つ企業年金制度も効果を発揮すると思うわけですが、近年、公的年金制度は世代間連帯を機軸として発展してまいりましたが、年金財政の悪化が問題となる状況で、現役世代、とりわけ若い世代に、次の世代に財政負担を多大にかけるということになるわけで、制度の存続そのものがいろいろと危ぶまれているわけであります。
 先ほど未納者の問題を鋭く突かれた議員もありましたけれども、この制度に対する信頼醸成と確立、とりわけ若い世代は世代間の不公平感が強いということで、保険料を負担するけれども将来自分たちはもらえるのだろうか、非常に額が少なくなるのではないかという制度に対する信頼をなくしつつあるという指摘がなされています。
 こうした意識について御調査をされたことはございますか。
#201
○政府参考人(辻哲夫君) 平成十一年国民年金被保険者実態調査をさきに公表させていただいておりますが、その調査によりますと、大都市の若年層において最も未納者の割合が高くなっているという傾向が見られます。また、未納の理由について世代別に見ますと、若い世代におきましては、保険料が高く経済的に支払うのが困難、あるいは国民年金を当てにしていないといった理由を挙げる者が多いという傾向が見られます。
 一方、この調査結果から未納者の実態を見ますと、所得面で納付者と余り差異がない、また過半数の者は、これは全年齢でございますけれども、生命保険、個人年金に加入し、相当な額の保険料を負担している。また、未納者の割合は年代が高くなるに従いまして急速に減少いたしております。
 こういったことを総合的に考えますと、若い世代につきましては、公的年金制度に対する理解が浅いのではないかと考えられます。これまで私ども、若い世代に対して公的年金制度の理解を深める努力が必ずしも十分ではなかったと認識しておりまして、この点、今後重点を置いていく必要があると考えております。
#202
○大脇雅子君 若い世代の不公平感について今後とも啓発をしていきたいというふうに述べてこられましたが、その具体的な方針についてなかなかあいまいではなかったかと思います。
 具体的にこうした世代の不公平感というものについて、どのように厚生労働行政として受けとめられて、分析し、そして具体策を打たれていくおつもりか、改めてお伺いしたいと思います。
#203
○国務大臣(坂口力君) 公的年金につきましてなかなか若い世代の皆さん方の御了解が得られにくいということは御指摘のとおりでございます。
 昨年でございましたか、年金の改正を行いましたときにもいろいろの御意見はございましたけれども、老後の給付の額をふやすよりもむしろ保険料を納めていただく皆さん方が過度の負担にならないということを前提にした年金制度の改正というのが行われたわけでございまして、それらの点はそうした若い人たちの心境をも配慮した私は改正であったというふうに思っている次第でございます。
 そして、若い人たちは自分が支払った保険料が将来戻ってくるという考え方でとらえておりまして、これまでの世代は自分が支払った以上の給付が受けられるのに自分たちは支払った保険料も戻ってこないのではないかという認識が広まっているのではないかというふうに懸念をいたしているわけでございます。
 長い道のりを重い荷物をしょいながら行く人生でございますから、公的年金というのはいずれにいたしましても大変大事な問題でございまして、遠い将来の老後を確実に保障する最も合理的な仕組みとして社会全体の世代間扶養を基本とする相互扶助の仕組みであることに間違いがないわけでございます。
 公的年金がなければ、年金保険料を支払うかわりに、個々人で年金給付のない親の扶養というものもこれは行わなければならないわけでありまして、自分が払って自分のところに戻ってくるということだけではなくて、せめて自分と自分たちの両親との間の関係を見ていただいて、そしてもし今、年金という制度がなければ自分たちが毎月々両親に対して何がしかの仕送りをしなければならない、その分はやはりこの年金が今してくれているというこの現実にも目を向けていただいて、そして現在の高齢者の皆さん方のために自分たちは今出しているけれども、将来はまた自分たちのために次の世代が出してくれるのだという、その相互扶助の精神がこの公的年金にはより大事だということをどう理解していただくかということが一番の中心だろうというふうに思っている次第でございます。
 その辺のところを若い世代の皆さん方によく御理解をしていただけるように、私たちもこれはいろいろな機会をとらえて、そしてよりわかりやすく説明をしていかなければならないというふうに考えている次第でございます。
#204
○大脇雅子君 質問通告をしていないんですけれども、相互扶助とか連帯性というものについて私はいろいろいつも考えているわけでございますが、例えば、これは前に申し上げたかもしれませんけれども、私はスウェーデンの連帯性の考え方は一体どこから来るんだろうと思って、スウェーデンに通い詰めたことがございます。
 風土が寒いし人口も少ないからそういう中で歴史的にはぐくまれたという考えもありますけれども、私は幼稚園を幾つか見て回りまして、幼稚園が年齢別で切り分けられていないわけです。幼稚園のクラスというのは、小さな赤ちゃんから小学校へ上がるまでの人が一クラスでありまして、上の人は下の人を見ながら、下の人は上の人に助けられながら保育園を卒業していく。だから、工作一つするにしても、年齢別で競争するわけではなくて、お互いに頑張って助け合うということでございました。そして、必ず保育園の横に老人施設がございまして、その老人施設と往復をして交流をしている。地域の小学校もまたそういうところに溶け込んでいる。
 私は、厚生労働大臣が構造改革、教育改革をされると、これは文部省の関係もあるかもしれませんが、保育所とか幼稚園、とりわけ保育園を小学校や中学校、高校のように年代別で分けないで、そういう相互扶助の精神を現場で学ばせる、そういうシステムに変えていただくと、日本の中にも連帯の相互扶助という物の考え方が小さいときから育っていくのではないかというふうにいつも考えまして、ぜひそういうクラスの構成の仕方みたいなものを一度考えていただきたいというふうに思っておりますが、大臣、いかがでしょうか。
#205
○国務大臣(坂口力君) 貴重な御意見でございますから承らせていただきたいと思いますが、確かに日本の場合にはそうした行き方ではなくて、本当に年齢別にきちっと割り振りをした行き方になっておりまして、やはり上下の関係というものが小さなときから断ち切られているのかもしれません。小さなときからそういうことをもう少し見直していくというのもやはり御指摘のとおりなのかもしれないというふうに思いますが、私今お聞きをしながら、しかしそういうことを言うとまた幼稚園の先生方から、小さい赤ちゃんを大きい子がけったらどうするかとかなんとかそんなお話が出やしないかと思いながら聞かせていただいたわけですけれども、しかしそういういろいろなことがあったとしても、やっぱりそういう交流も大事なのかもしれません。
 よく考えさせていただいて、私たちもやはりそうしたことも考えながら、小さなときからの教育ですから、小さいときからそういう考え方がどうしたら芽生えていくかということをもっとやっぱり考えていかなきゃならないということはもうよくわかります。ありがとうございました。
#206
○大脇雅子君 助け合いというのは昔は地域の中でやられていたんですが、このごろは地域が分断され、子供も一人っ子になり、兄弟が少なくなる、そういう中で、やはり私はそういう連帯の精神というものを、これはもう百年で育てるようなことではないかと思いますので、これは私の本当に前から持っておる考え方でございますが、よろしくお願いしたいと思います。
 さて、確定給付企業年金法案についてお尋ねを続けていきたいと思います。
 現行の企業年金制度につきまして、税制適格年金制度というものの加入者数、あるいは年金資産の運用等の実態から見て解散件数というものが近時非常にふえてきているというふうに言われておりますが、改めてどの程度のものか、お尋ねをします。
#207
○政府参考人(金井照久君) 適格退職年金契約の状況につきまして御説明させていただきます。
 信託協会などが取りまとめました計数で申し上げますと、平成十二年三月末現在の加入者数は約一千万人でございます。信託銀行、生命保険会社等の受託機関に年金資産として積み立てられております金額、これは平成十二年三月末現在で約二十一兆円となっております。
 また、最近の適格退職年金契約の解約件数でございますが、直近三年分を申し上げますと、平成十一年度及び平成十年度におきましてはそれぞれ約四千五百件、平成九年度では約三千六百件となっております。
#208
○大脇雅子君 こうした破綻とか解散に至った理由はさまざま御説明がありまして、またかと思われるかもしれませんが、もう一度これの理由を再確認させてください。
#209
○政府参考人(金井照久君) 適格退職年金契約を解約いたします理由といたしましては、事業主の倒産により契約を継続できなくなったために解約する場合のほか、労使間の合意によりまして任意に解約する場合や厚生年金基金に移行するために解約する場合等、種々の原因があるというふうに見ております。
#210
○大脇雅子君 適格年金制度がそうした財政上の問題を抱えながら、経済事情に大きく左右されながら、これからは新規契約は認めず、既存のものは十年間で他の企業年金制度へ移行を義務づけるということになっています。最初は五年ということだったはずなのが、それが何か十年に延びた。なぜ十年なのかという点と移行の見通しについてお尋ねします。
#211
○政府参考人(辻哲夫君) 基本的に、まず円滑な移行が行われるように十分な配慮が必要であるということでございますが、いわゆる制度の再計算というのが五年単位が基本になっておりまして、二回分ぐらいといったような考え方をベースに置きまして、かつ実態として、十年間、具体的には経過措置を講じまして移行しやすくするということにしたわけでございます。
 十年間、そのようなことで置いたわけでございますが、経過措置といたしまして、さらに細かく積立基準や給付設計について、積立基準については、通常二十年というのが厚生年金基金の今のルールでございますけれども、この十年と足しまして最大大体三十年間ぐらいかけてゆっくり解消していただければよいというようなことをいたしましたり、給付設計につきましても、新しい制度では適格退職年金から見ますといわゆる厳しくなるという面もありますが、その厳しい基準というのは新たな加入者だけに限るような経過措置にする。
 こういったように、移行しやすいように、理解しやすいように、それから、新企業年金以外の確定拠出年金や中小企業退職金共済にも移行できる、こういったようなきめ細かな手当てを入れまして、私ども、十年の間にこの今の適格退職年金というものが円滑に移行するものと考えております。
#212
○大脇雅子君 規約型、基金型企業年金の個別の論点について次にお尋ねをいたします。
 確定給付企業年金法案は、現在審議中の確定拠出企業年金法案とともに、受給権者の保護、労使の自主性の尊重ということをキーワードとしていると思われるわけであります。この点について、まず労使の自主性の尊重という意味から、労使の合意の効果についてお尋ねをします。
 まず、この制度の発足においては、労使の自主性尊重の趣旨から合意が要件とされておりますが、この合意形成というものについて問題は何かないのでしょうか。規約の内容において必要記載事項は具体的にどこに力点が置かれ、またスタート時点の合意内容が後に景気や経済状況についての判断の相違が生じた場合の処理、これをどうしたらいいか、あるいは受給資格の変更とか掛金負担の変更等の必要が生じた場合の取り扱いはどのようになるのでしょうか。
#213
○政府参考人(辻哲夫君) まず、合意形成についてでございますけれども、企業年金の運営に当たって重要な事項はすべて規約の記載事項といたしまして、これらの事項が労使合意に基づいて決定され、その内容が従業員に周知されるようになっております。
 規約型については第四条、基金型につきましては第十一条の各項に重要事項というものを列挙いたしまして、これらにつきまして労使が、内容については御紹介申し上げませんが、相当具体的に重要事項が網羅されておりまして、これに基づいて労使が合意をするという形で整理をされておりますと同時に、さまざまな社会状況の変化で規約の変更が必要となる場合が十分あるわけでございますが、法案第六条におきましてその手続を決めておりまして、規約型の場合は労働組合等の同意を得て、基金型の場合は代議員会の議決を経て、いずれも厚生労働大臣の承認、認可を受けて、そしてそのような状況の変化に対応できるように仕組まれております。
#214
○大脇雅子君 こうした合意の形成について、例えば労働組合がある場合、ない場合、そういった場合は違ってまいりますか、その手続において。
#215
○政府参考人(辻哲夫君) 従業員の過半数で組織する労働組合があるときには当該労働組合の同意を得て、そして過半数で組織する労働組合がないときは当該従業員の過半数を代表する者の同意を得てということで合意形成をお願いすることにしております。
#216
○大脇雅子君 そうしますと、例えば就業規則においては従業員の意思の形成の民主的な法則というのを決めているんですけれども、やっぱりそういったような考え方は準用されると考えてよろしいんですか。
#217
○政府参考人(辻哲夫君) 基本的に、いわゆる労働条件と申しますか、退職金にいたしましてもそうでございますし、そのようなものとの均衡といいますか、そのようなバランスを考えて、いわゆる労働条件につきましては意見を聞く、今申しました合意形成の過程の形が意見を聞くということになっておりますけれども、こちらの法体系の場合は一歩進みまして同意を得るということで、少し厳格かとも思いますが、基本的にはそういう労働条件の並びという考え方で整理されていると考えております。
#218
○大脇雅子君 そうした民主的な手続面の充実も、例えば政令、通達等でしっかり踏まえておいていただけるとありがたいと思います。
 それから、厚生労働大臣が承認をするわけですが、この承認申請手続におきまして、設立要件の不備とか、あるいはどの程度内容に立ち入って審査するのでしょうか。また、是正させる場合というものはどのような取り扱いになるのでしょうか。また、取り消す場合の要件は何かあるのでしょうか。
#219
○政府参考人(辻哲夫君) 規約の承認行為というのは非常に重要でございますが、具体的には給付の種類、受給の要件、額の算定方法、給付の方法に関する事項、掛金の拠出に関する事項等々、法令に定められた要件を満たしているかどうかを相当内容を精査する、意思決定過程が適正であったかということを含めまして審査させていただくことになっております。
 是正させるかどうかということでございますが、通常、申請に当たっては事前に申請者との間で法令に定めた要件を満たすことができるかどうかということについて十分意思疎通を図る、またその過程で必要なお話をさせていただいているということで、正式申請後の是正というものは恐らく生じないというふうに想定しておりますが、十分に内容面での話し合い、そして審査をさせていただくつもりでございます。
#220
○大脇雅子君 加入者資格あるいは受給要件についてお尋ねをいたします。
 加入者資格について規約に定める場合や受給要件につきまして特定の者について不当に差別するものであってはならない、こうされておりますが、具体的にはどのような場合を想定しているのですか。
#221
○政府参考人(辻哲夫君) 特定の者についての不当な差別的なものというのは、例えば性別、国籍、給与の多寡、そういうことによる差別がありますれば、それはこれに該当する差別と考えております。
#222
○大脇雅子君 そういたしますと、パートタイム労働者とか契約社員等の加入資格についてはどのようになるのでしょうか。例えば、職業生活に続く将来的な生活安定に寄与する企業年金に加入できる者の範囲としては、パートタイム労働者や契約社員も当然確定給付企業年金の加入者となり得ると考えますが、どうでしょうか。
#223
○政府参考人(辻哲夫君) 御指摘のとおり、パートタイマーも厚生年金の被保険者であればその労使の合意に従いまして当然企業年金の加入者となることができます。
#224
○大脇雅子君 五十五条の掛金についてお尋ねします。
 事業主負担を原則として、本人拠出については、年金規約で定める場合に加入者本人の同意を前提として認めることになっておりますが、本人の拠出を認める場合のメリットは何でしょうか。あるいは、負担しても受け取れない場合など、何かデメリットも生じるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
#225
○政府参考人(辻哲夫君) 本人拠出を認めるメリットといたしましては、事業主拠出に限った場合に比べまして掛金が増加するわけでございますから、充実した給付を行うことも可能だということで、老後の所得保障としての機能が本人拠出も参加することによって強化されるということが挙げられます。
 一方、例えば入社後、年金受給権が得られないような短い期間で脱退した場合には退職一時金にとどまり、本人拠出分に見合う給付が十分に受け取れない場合もあり得るわけでございますが、確定給付型の企業年金は、その根本というのは加入者間における相互扶助の仕組みでありまして、本人拠出分についても基本的にはいわば相互扶助の一環として出ているものという性格を持っている、そして本人拠出を設ける場合にあっても実際に拠出するかどうかは本人の同意に基づくという前提になっております。
 こうしたことから、本人拠出分を必ず給付しなければならない旨の規制までは行っておりません。
 なお、個別の企業年金における労使合意のもとで本人拠出分が必ず支給されるような給付設計をするということは可能でございます。
#226
○大脇雅子君 では次に、受託者の責任の明確化についてお尋ねをしたいと思います。
 この法律というのは、受給権者の保護といいながら支払い保証制度がないことなど、さまざま今御批判がありましたが、私は、まずその六十九条に書いてある忠実義務、七十一条には投資等をするそうした事業者、事業者というか、その受託をして運用をする人たちの忠実義務が七十一、七十二条に載っているんですが、この忠実義務というものの定義をどのように解釈したらいいか、お尋ねします。
#227
○政府参考人(辻哲夫君) 御指摘のとおり、確定給付企業年金法案では、事業主、それから企業年金基金の理事、それから年金資産の管理及び運用を行う受託機関、この三者につきまして行為準則を定めておりまして、その忠実義務というものの内容は、具体的には、事業主につきましては法令、厚生労働大臣の処分及び年金規約を遵守し、加入者等のため、これは加入者のためのみにという趣旨でございますけれども、忠実にその業務を遂行しなければならないということで忠実義務を課し、さらに第三者の利益を図る目的をもって資産管理運用契約を締結することを禁じるなどの禁止行為を定めております。
 そして、次に企業年金基金の理事につきましては、今申しましたと同じような基金に対する忠実義務、そして第三者の利益を図る目的をもって資産管理運用契約を締結することを禁じる等の禁止行為とともに、その任務を怠った場合の損害賠償の規定を設けております。
 そして、年金資産の管理及び運用を行う受託機関については、加入者等または基金に対する忠実義務、加入者等または基金のためのみに事務を執行するという忠実義務を定めております。
#228
○大脇雅子君 民法によりますと、善良な管理者の義務というのがありまして、この善良な管理者の義務というのは一般の平均人の分別でもって行う管理義務というふうに言われておるんですが、この忠実義務はそうではなくて、専門的な知識水準を持ったエキスパートの人たちが持つべき注意義務というふうに解すべきだと思いますが、その点いかがですか。
   〔理事亀谷博昭君退席、委員長着席〕
#229
○政府参考人(辻哲夫君) 御指摘のとおりでございます。
#230
○大脇雅子君 そうしますと、先ほど説明されました年金管理者の義務とか、あるいは運用者の義務についての行為準則がありましたが、ハイリスク・ハイリターンということの自己責任の原則というのはここでは適用はされず、やはりさらに高度に、加入者のために最少の経費でもって利潤を上げる義務というのがあると思うんですが、いかがですか。
#231
○政府参考人(辻哲夫君) 専門家としての注意義務ということで、基本的に、特に資産運用に関してその注意義務は大きな論点となるわけでございますが、これはリスク・リターンというものを考慮して、専門家としての注意をして分散投資、当然分散投資を含めてそれを行うという形での義務はかかっております。
#232
○大脇雅子君 アメリカのERISA法によりますと、そこに課せられている年金基金の管理者とかあるいは運用者の義務の中には、やはり自分の資産とは必ず分別管理をすべきだという義務とか、あるいは代理の人に運用を任せていけなくて自分できちっと執行する義務とか、そういったものが明示されているんですが、このERISA法と比べて日本の場合の忠実義務の責任の度合いというのは強化されているのでしょうか、同じなんでしょうか。
#233
○政府参考人(辻哲夫君) アメリカの確定給付型の企業年金における受託者責任の内容、これは加入者のためのみに忠実に業務を行うという忠実義務、それから資産運用に関する注意義務、利益相反取引の禁止などの義務が資産の管理運営に携わる者に課されておりますが、ただいま説明いたしましたように、我が国の確定給付企業年金についてもこうしたERISA法の規定する責務と同内容ということを整理いたしまして、同内容の責務を課しているところでございます。
#234
○大脇雅子君 そういたしますと、ERISA法ではこうした義務に対しては罰則の適用がありますが、日本はないわけですが、それに対してどのようにして実効性を担保しているのでしょうか。
#235
○政府参考人(辻哲夫君) 米国のERISA法では、受託者がこの責務に違反しました場合、調べてみますと、民事責任だけが課されておりまして、罰則や行政処分はないと承知いたしております。
 一方、我が国の確定給付企業年金では、関係者の違反については、罰則はないものの、民事責任のみならず行政処分を課すこととしておりまして、この点、今回私ども法案作成に当たりまして、ERISA法に比べて相当、関係者がこうした責務を果たせるように配慮をしたところでございます。
#236
○大脇雅子君 そうしますと、行政処分があるというところではむしろ我が国のこの法律の方がまさっていると。しかし、先ほども問題になりましたように、基金に損失を与えた場合の損失補てん義務というのは、これはどうなりますか。
#237
○政府参考人(辻哲夫君) 基金の理事が注意義務を果たさないために損害を与えたときには、その損害賠償責任が存在するという前提になっております。
#238
○大脇雅子君 そうしますと、結局は、アメリカのERISA法とかドイツの企業老齢年金改革法などでは給付の最低基準が保障されているんですが、それは日本ではないですよね。
#239
○政府参考人(辻哲夫君) 給付の保護に関してはそれぞれさまざまな法体系を持っておりますが、水準についての規制はございません。
#240
○大脇雅子君 そうすると、その水準の規制と最低付与基準とはちょっと違うんですかね。どういうふうに理解したらいいんでしょうかね。
#241
○政府参考人(辻哲夫君) 先ほど申しました趣旨は、どの国の法体系も企業年金たるものこのような水準を保証しなければならないという規制あるいはその基準がなく、むしろ決めた確定給付のものをいかに保証するかという点での保証体系、例えばアメリカについては支払い保証制度というものがERISA法の体系であるわけでございますが、そういう体系が例えばアメリカにあるのに対しまして、本法案におきましてはその支払いの保証というところは入っていないということでございます。
#242
○大脇雅子君 そうすると、今まで多くの議員の方が支払い保証制度がないということが我が国の欠陥だというふうにさまざま質問をなさっていらっしゃいまして、私も支払い保証制度がないというのは本法案の一番基本的な欠陥ではないかというふうに思うんです。この支払い保証制度については、さまざまな審議会では検討をするという検討事項になっているんですが、具体的にどのような手順でいつごろまでにこの支払い保証制度について考えるのでしょうか。
 実は今、みんなで出そうとしている附帯決議の第一項にはそれが入っているわけですけれども、この間、憲法調査会の中で、内閣法制局の返答によりますと、附則に入っていないようなものは一つの努力義務にすぎないと、こう言われて、私はもう少し附帯決議というのは官公庁に対する施政の方向を規定する強いものだと。
 今回の熊本のハンセン病の判決を読みますと、附帯決議があって廃止すると書いてあったのに全然ほうっておいたではないかということが実は立法不作為の大きな原因になっているわけで、だから要するにこれはどのように、附帯決議をつけます関係上もありますが、具体的にいつごろまでにどのような手順でそれを検討するのかということは検討していらっしゃるでしょうか。
#243
○政府参考人(辻哲夫君) 今回支払い保証制度を導入しなかった経過を御説明申し上げたいと思います。
 支払い保証制度、これは積み立て不足があって、そして基金が廃止されましたときに、その不足を補てんするための拠出金をあらかじめその確定給付企業年金のグループといいますか、を行っているものが強制的にその拠出金を拠出していただいて、そしてそれを保険原理によって配分するということでございます。
 我が国におきましては、確定給付企業年金、このたびこの法案で適格退職年金から移行します新企業年金とそれから既存の厚生年金基金、この二つが確定給付企業年金になるわけですけれども、この二つのグループのうちで積み立て不足に相当差がございます。と申しますのは、そもそも適格退職年金につきましては積立義務さえなかったということでございますので、そういう状況が起きているわけでございます。
 現時点においてそこに大きな差がありますときに、この相互扶助制度としての、あるいは保険制度ないしは相互扶助制度と言ってよいこの支払い保証制度の基盤がまだ醸成されていないわけでございます。これは公平の観点から見ても醸成されていないわけでございます。しかも、積み立て不足を解消するには相当な年数を要します。
 そのような状況のもとで、まずこの新法におきまして積み立て不足というものをどのように解消していくのかということが、まずその基盤がどのようになっていくのかという実施状況を見きわめるということが前提でございまして、そういう状況のもとで、どの段階でどうというのを現時点で申し上げるような段階ではないと考えております。
#244
○大脇雅子君 確かに、今さまざまな基盤の相違があるのですから、直ちの導入ということは難しいかもしれませんが、しかし制度を仕組む以上、やはり支払い保証制度というものは必要不可欠ではないかと思いますので、でき得る限り早くそうした制度が導入できるようにと思っております。
 次に、情報開示についてお尋ねしますが、事業主は業務概況について加入者に周知させなければならないとされておりますが、事業主等あるいは従業員に対しても義務づけられる周知徹底の財務状況等の内容というものはどういうものでしょうか。
#245
○政府参考人(辻哲夫君) 御指摘の業務の概況の具体的な中身でございますが、掛金の納付状況、資産の運用状況、そして財務の状況、大きくこの三つがございます。
#246
○大脇雅子君 通常の会計基準で行われる財務諸表とか決算報告書などもここに入りますか。
#247
○政府参考人(辻哲夫君) 御指摘のとおりでございます。
#248
○大脇雅子君 衆議院における修正で、七十三条二項に「加入者以外の者であって事業主等が給付の支給に関する義務を負っているもの」というものを入れた意義というのはどんなものでしょうか。どのように考えられますか。
#249
○政府参考人(辻哲夫君) この追加の趣旨でございますが、基本的には情報提供は、今申しましたような財務の状況というのは、積み立て不足がどのようになるのか、そしてこれから掛金はどうなるのかといった、加入者に対してはこれは周知しなければならない。それから、この二項の衆議院における修正の対象は、受給者と、それから受給待機者、資格期間は満たしているけれどもまだ年齢に到達していない、この二つの方々が対象でございますが、この方々はいわば受給権が確定しておるということでございますので、後これがずっともらえるということだけがいわば一つの法律的な位置づけになっておりますので、必ずしもその状況をお知らせしなければならないものではない。しかし、受給者にとっても企業年金がどうなっているかというのは深い関心事でございますから、これはできる限りお知らせすべきだと。その意味での努力義務が入ったわけでございます。
#250
○大脇雅子君 第百条に定める報告書の閲覧請求についてお尋ねをします。
 閲覧請求を加入者に認めておりますが、この趣旨は何でしょうか。そしてまた、請求を拒むことができる正当な理由がある場合にはこの限りではないとしてありますが、この正当な理由とは一体どんなことを指すのでしょうか。
#251
○政府参考人(辻哲夫君) 閲覧の請求を加入者に認めている趣旨は、企業年金の運営状況について情報開示を行うことによってチェックを受ける、加入者がよりチェックをし適正な運営ができるようにという趣旨でございますが、この拒むことができる正当な理由と申しますのは、個別具体的なケースにおいて判断されるべきでございますが、一般的には、例えば同一人物による過度の反復継続的な閲覧請求や大人数による同時請求、こういった場合はその請求を一時的に拒むことにも一定の合理性があると考えております。
#252
○大脇雅子君 さらに、正しく行われない場合の苦情処理というのがありますが、これは行政不服審査か何かの前置みたいな意味があるんでしょうか。これはどういうふうに位置づけたらよろしいでしょうか。
#253
○政府参考人(辻哲夫君) これは閲覧ということでございますので、処分性という、個々人に対する処分性というよりも閲覧できるかどうかということでございますので、むしろ閲覧できない場合の状況については、労使でどうしてできないんだと、正しく行わない場合にはまず内部的にお話をしていただきたいと思いますけれども、制度的には、私どもに対して例えばそういう苦情が入りました場合には、私ども自身も調査をいたしまして、法令等に違反して情報開示が適切に行われていないと認められた場合には、厚生労働大臣は事業主、企業年金基金等に対して業務改善命令等の行政処分を行うこととされておりまして、厚生労働省といたしましても適切な情報開示がなされるように指導してまいりたいと考えております。
#254
○大脇雅子君 この個人が提出する掛金についての税制上の取り扱いについてお尋ねをいたします。
 会社の方の掛金は損金扱いになっていくわけですが、損金扱いというか非課税の対象となっていくわけですが、個人の掛金を生命保険の控除とする取り扱いについて、なぜ個人の掛金は生命保険控除の対象とされるのでしょうか。通常、個人の加入の生命保険控除よりもむしろ社会保険の控除の方として見るのが妥当ではないかということが考えられます。
 そしてまた、現在、通常の税務申告において、生命保険控除というのはほとんど五万円が枠でありまして、この生命保険控除の枠のままで個人の掛金を生命保険控除としても、どうも何の効果も実務上は生まないような気がするんですが、なぜこのような取り扱いをされるのか、財務省の方にお尋ねいたします。
#255
○政府参考人(木村幸俊君) お答え申し上げます。
 確定給付企業年金の従業員の拠出でございますが、御承知のとおり、事業主負担を原則といたします企業年金におきまして、企業年金の制度設計上、例外的、補完的な役割にとどまっております。したがって、その事業主負担だけの年金額、それ以上の退職年金の給付を受けたい者が任意に支払うものでございます。そういった意味で、現行の適格退職年金の本人拠出同様、生命保険料控除の対象とせざるを得ないというふうに考えております。
 なお、厚生年金基金の保険料でございますが、これにつきましては、公的年金の一部を代行しているという性格にかんがみて、社会保険料控除の対象としているところでございます。
 それから、生命保険料控除の問題でございますが、現在確かに生命保険料の控除につきまして、その適用状況、これ詳しい数字はないわけでございますが、適用割合を見てみますと、民間の給与所得者でございますと、平成十年で見ますと大体八割強ぐらいの方が適用しているところでございます。逆に言えば二割弱の方は適用していないわけでございますが、その枠をどの程度使用しているか、これについてちょっと私ども数字は持っておりません。
 ただ、一つあえて申し上げることができるとすれば、通常の個人年金の場合でございますと生命保険料控除の適用がございますが、その給付時におきまして公的年金等の控除の適用はございません。確定給付企業年金につきましては、その給付時におきまして公的年金等の控除の適用があるということだけを申し上げたいと思います。
#256
○大脇雅子君 公的年金と企業年金との関係かもしれませんけれども、制度設計というものを多少でも誘導していくという法的な意図があれば、やはり取り扱いは生命保険控除ではなくて社会保険控除と同等のような扱いがなされるべきでないかというふうに私は考えます。
 それから、三十九条に老齢年金と障害給付金との併給調整について書かれておりまして、一部または全部の支給停止に関する規定が設けられておりますが、この趣旨は何でしょうか。障害年金給付金との調整というと何か少し趣旨にもとるような気がしますが、いかがでしょうか。
#257
○政府参考人(辻哲夫君) 例えば六十歳を過ぎまして既に老齢給付金の受給権を有している者が事故により障害の状態となり障害給付金を支給される、こういったことがあるわけでございますが、この場合、老齢給付金を必ず全額支給しなければならないとすると合算した給付額が極めて高額になる、こういったことで、それについても必ず給付を行わなければならないことになってしまいます。三十九条はこのような場合に労使合意により規約に基づきまして老齢給付金の全部または一部を支給停止し、合計の給付額を適切な水準とすることができるという趣旨で置かれております。
 なお、この給付額の調整を行うかどうかは労使の合意に任されておりまして、労使合意に基づき、このような場合においても相当高額であっても両方の給付を全額支給しようという場合にはそうすることも可能でございます。
#258
○大脇雅子君 質問時間も少なくなりましたが、この法案提出の意義についてでございますが、今回の新制度は寄託する費用の計算と将来の受益とのバランスをどのようにとらえているのでしょうか。運用コストをどのようなものとして見たらいいのか、どの程度のシミュレーションをしておられるのでしょうか。
#259
○政府参考人(辻哲夫君) 基本的に厚生年金基金がそうでありますが、一般的には信託銀行あるいは生命保険会社といったところと資金運用を中心といたしまして委託を結ぶわけでございますが、これにつきましては市場的な競争のもとで決まってまいるわけでございますが、この新制度におきましても基本的には既存の厚生年金基金と各社との関係と同様のものになるものと考えております。
#260
○大脇雅子君 さて、最後の質問で、よろしくお願いしたいのですが、この法案でポータビリティーは誘導されるのかどうかということでございます。
 それから、やはり資産運用能力が非常に低い日本の銀行や証券会社に比べて、非常に商品もたくさん持って多様化したものを持っている外資系の銀行や保険会社にこれが流れていくということは見越されるんでしょうか。最後にその傾向をお尋ねして、終わります。
#261
○政府参考人(辻哲夫君) この確定給付年金についてでございますが、確定給付年金は長期の加入を前提として構成されております。そういうことで、長期間加入した場合にどのぐらいの期間加入して、そしてどのような年金を出すか、これは相当個々の企業年金によって差がございます。したがいまして、この給付設計が負担の方も給付の方もまちまちであるというものを、ポータビリティーに関しての御質問かと存じますが、通算するということは技術的に非常に難しゅうございまして、そこのところはこの法案で取り込めていないということと、もう一つ、資産運用に関しましては基本的には今の厚生年金基金の資産運用というものがなされているわけですが、それと同様の事象が展開するということで、特段外資系にこの法案がシフトするというゆえんといいますか、理由を持っているというようなことはございません。
#262
○大脇雅子君 終わります。
    ─────────────
#263
○委員長(中島眞人君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、浜四津敏子君が委員を辞任され、その補欠として弘友和夫君が選任されました。
    ─────────────
#264
○西川きよし君 一昨日に続きまして、よろしくお願いを申し上げます。重複する部分はどうぞお許しいただきまして、自分自身も納得をさせていただきながら質問させていただきたいと思います。
 本日は、まず給付の水準ですけれども、この給付の水準につきましては、年金給付及び一時金の額は、定額または給与及び加入期間その他合理的な基礎に基づいて算定されるものでなければならない、また、給付は、加入年数や給与等に照らし、特定の者について不当に差別的なものであってはならない、こういうふうに法律には書いてあるわけですけれども、まずこの点から御答弁をいただきたいと思います。局長、よろしくお願いします。
#265
○政府参考人(辻哲夫君) まず、この給付の基準についてでございますが、確定給付型の企業年金における給付額の算定方式には、定額に加入期間を乗ずる方法や退職時の給与に加入期間に応じた給付率を乗ずる算定方式や勤務実績をポイント化いたしましたものを用いる方法、これらの方法を組み合わせるなどのさまざまな算定方法があるため、それらが可能になりますように、年金給付、一時金の額は、定額または給与及び加入期間その他合理的な基礎に基づいて算定されるものでなければならないと規定しております。
 また、会社の一定以上の役職の者に対して特別に優遇するような年金を設計する、これはもう不当差別でございまして、このような不当差別を防止するために、特定の者について不当に差別的であってはならないという規定が入っております。
#266
○西川きよし君 このところ、企業における従業員の処遇のあり方については、年功的な要素から能力でありますとか成果に対しての要素が大変強まりつつあります。そうした場合に、当然給与や昇給、また下がるといいますか降給、そういうものも反映されてくると思うんですけれども、こうした変化については、企業年金にどのように反映をさせていくことが必要となるのか、ぜひお伺いしておきたいと思います。
#267
○政府参考人(辻哲夫君) 我が国の雇用慣行は終身雇用や年功序列賃金といった特徴がございましたが、近年、勤労者の意識の変化や産業構造の変化などに伴いまして、御指摘のように能力や成果に着目して従業員を処遇する企業も増加してきているものと認識しております。
 したがいまして、確定給付企業年金におきましても、もとよりその給付算定方式といたしまして多様なものを認める、相当給付設計を自由にするという考え方で構成されておりますが、今、申しましたように、例えば勤務実績をポイント化したものを用いるといった方法、これは今申しましたように条文で可能なようになっているわけでございますが、こういったものはまさしく御指摘のような状況における給与体系の変化に対応できる、そのような法体系になっていると考えております。
#268
○西川きよし君 ありがとうございました。
 次に、掛金についてお伺いをしたいと思います。
 事業主負担を原則として、本人拠出については、年金規約で定める場合に加入者本人の同意を前提として可能とすると、こういうふうにされておるわけですけれども、今回の法案では、支払い保証制度が検討課題とされ、制度創設には至らなかったわけですけれども、本人が拠出したものについて仮に支払われないという事態が生じることになれば、これは大変問題ではないかなというふうに思うわけですけれども、この点についてはいかがお考えでございましょうか。
#269
○政府参考人(辻哲夫君) 御指摘のように、本人拠出を設ける場合がありましても、これは強制的にということではなくて、実際に拠出するかどうかは本人の同意を要件といたしておるわけでございますが、この本人拠出の考え方は、確定給付型の企業年金は加入者間における相互扶助の仕組みでございまして、本人が拠出した掛金であっても、形としては相互扶助のために行われるという基本でございます。また、そのような制度であるということを理解した上で本人の同意を要件としているということでございます。
 そういったことから、いかなる場合におきましても本人拠出分を必ず給付しなければならないという旨の規制までは行っていないわけでございますが、拠出する以上、やはり個別の企業年金における労使合意のもとで合理的な本人に対する給付が必要でございますし、労使合意によれば本人拠出分が必ず支給されるという給付設計も可能でございます。
#270
○西川きよし君 ありがとうございました。
 それでは次に、今度は受給者保護の項目からお伺いしますが、積立義務の項目についてでございます。
 この積立金については、余剰が生じた場合には、財政運営の安定を図る観点から制度内に留保するものとし、事業主への返還は行わないというふうにされているわけです。また、積立金が運用環境等の変化に備えて安全を見込んで設定をする一定の限度を超える場合には、超過額に応じて掛金を減額または停止するものとすると、このような規定になっているわけですけれども、この中にございますこの一定の額というのは非常に重要だと思います。この水準によりましては、受給権の保護にも影響を与えかねないのではないかというふうに考えるわけですけれども、こちらの方も引き続き御答弁を局長、お願いします。
#271
○政府参考人(辻哲夫君) 御指摘のように、新企業年金におきましては、積立金に剰余が生じた場合は制度内に留保するものといたしまして、事業主へ返還を行わないということになっております。
 そういう仕組みのもとで、大変運用が好調で運用収益がどんどん増していくというような状況のもとで、積立金が確定給付の年金債務に比べて相当程度上回っているという場合になお掛金を積み増す、そしてそれについては税制上の損金算入を認めるということは、これは必要な部分を経費として認めるという税制上の合理性の観点からそのようなところまで適切ではないのではないかという観点から、積立金につきまして一定限度を設けまして、この限度を超えている場合には超過額に応じて予定されている掛金を減額または停止するということにしたものでございます。損金がどんどんどんどん押していくという形ではなくて、一定限度まで認めると。
 では、この掛金の減額または停止措置を行うことによって積立基準がかなり低下するなどして、加入者の受給権に影響が出てもまた困ります。そのようなことで、この積立上限の水準というのは非常に大切なもので、ここに安全性を見込まなければならない。すなわち年金財政の安定性を長期間にわたって十分に確保できる積立金の水準を上回るようにこれを設定しておかなければならないということでございます。
 具体的には、死亡状況や運用利回りに関しまして相当厳しい安全性を織り込んだ基準を設定いたしまして、合理的に考えられる予想の中で、一言で言えば最も厳しい死亡状況や運用利回りを見通しまして、十分な安全を織り込んで算定した年金債務を基準として積立上限を算定することにいたしております。
#272
○西川きよし君 ありがとうございました。
 それでは、次に移ります。
 次は、財政再計算及び財政検証についてお伺いをしたいと思います。
 この財政再計算と財政検証、今回の法案ではそれぞれの企業や基金で行うようにとされておりますけれども、公的年金の五年に一度の財政再計算を見ておりますと、大変複雑な仮定に複雑な計算式、年金の計算というのは本当に難しく素人にはなかなか理解できません。そんな印象を持ちましたけれども、もちろん国と企業の年金資産は全然その大きさが違うわけですし、政府側の説明では簡単な方法を提示しますということでございます。そういうふうにおっしゃっているわけですけれども、年金資産、そして数理、そしてまた経理、こういうふうに詳しい方というのは企業にそんなにいるわけではないように思うわけですけれども、特に中小企業ではそんな専門家を置く余裕といったようなものがあるのかな、そんな気が僕はいたします。
 そこで、心配なのは、そんなややこしいことがあるんだったら、もううちの会社は企業年金はひょっとしたら無理かなと、そんなケースが出てくるのではないかなというふうにも思ったりもいたします。この点については、局長はいかがお考えでしょう。
#273
○政府参考人(辻哲夫君) まず、この財政計算につきましては、中小企業に対する配慮として、簡易な財政再計算等の方法を示すことによって負担の軽減を図るということをまずしているわけでございますが、御指摘のように、年金数理人の関与は必要でございます。
 そして、決算等について確認を行う年金数理人は、その企業で雇うわけではなくて委託するという形のものでございまして、今の必要経費の中でそれほど大きな負担になるものではございません、雇うということでいえば非常に大変でございますけれども。ましてや、今簡易な財政再計算の方法をとるということを導入しておりますので、この簡易な財政再計算法をとる場合には、この委託に要する費用は大幅に減るものと考えております。そういうふうにできる限り配慮をいたしまして、このことが移行の制約にならないように十分配慮してまいりたいと思います。
#274
○西川きよし君 どうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 それでは、最後の質問は大臣にお伺いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 今回の確定給付企業年金、そして次にまいります確定拠出年金と、これで一応の企業年金の新しい姿が整うというふうなことになるのではないかなと思うわけですけれども、しかし支払い保証制度の問題あるいは年金税制等々、さらなる検討が必要な項目も多々たくさん出てまいります。
 そうした中で、大臣がこれから将来描いておられます、それにまた将来望ましいと思われる企業年金のあり方を大臣にお伺いをして、最後の質問としたいと思います。
#275
○国務大臣(坂口力君) 御審議をいただいておりますこの企業年金は、いわゆる公的年金の上につくります企業年金でございますが、しかし企業年金といえどもこれは年金でございますから、やはり長期にわたりまして安定をしていること、そしてまた国民から信頼の得られるものであること等の年金としてのやはり要件を満たさなければならないと思っておるところでございます。
 公的年金は個人の掛金によりますが、この企業年金は主として企業が掛金をしてくれるわけでありまして、一部拠出型の場合には個人がする場合もございますけれども、ほとんどの場合にはやはり企業がするわけでございます。そうした違いはございますけれども、今申しました年金としての性格というものはやはり備えていかなければならないというふうに思いますし、そういう目で見ましたときに、これからもまだ検討をしなければならない点もたくさんあるというふうに思います。
 今御指摘いただきました支払い保証制度でありますとか年金に対する税制でありますとか、こうしたこともこれからなおやはり検討を加えなければならない課題の一つではないかというふうに私も思っておるところでございます。そして、今後も見直すべきところはその都度見直していくという姿勢で、よりよい企業年金をつくり上げていくという姿勢が大事ではないかというふうに思っておる次第でございます。
 先ほど御指摘いただきましたように、公的年金とそして企業年金として形をここに整えさせるわけでございますから、さらに質的向上を目指して今後も努力をすることをお誓いしたいと存じます。
#276
○西川きよし君 ありがとうございました。
#277
○黒岩秩子君 初めに、年金と直接関係がないんですけれども、大変緊急を要している問題がありますので、そのことに触れさせていただきます。
 というのは、六月一日に大阪地裁で判決が出ました在外被爆者への手当支給についての問題です。
 いわゆる被爆者援護法には、国籍条項もなく、居住条件もなく、死亡したとき以外の失権規定もありません。にもかかわらず、厚生労働省は局長通達を盾に在外被爆者に法の適用を拒み続けてきました。このことに対して大阪地裁は法を守れと言ったにすぎないと考えております。役所としてのメンツにこだわって控訴するというような恥ずかしいことをどうかしないでほしいと訴えたい。
 大臣が先ほど昼食の時間もなく、原告である郭さんに会ってくださったそうで、大変うれしく思っております。郭さんの意を酌んで、どうか控訴をしない方向で厚生省の中をまとめていただきたいと思っております。
 厚生省の言い分についての反論を今皆さんのところにお配りしましたけれども、この問題での議連としてお配りしたものですので、長くなるので後でお読みいただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
 そして次、この前の、おとといの六月五日の質問の続きをさせていただきます。
 先日、私が年金局長に御質問いたしましたのは、従業員への偽りの情報開示について御質問したのに、局長のお答えというのは専ら役所への情報開示の偽りについてのお答えでした。局長のおっしゃった七十三条あるいは百十八条についてよく勉強してみましたところ、全くお答えにはなっていないということがわかりまして、再度御質問いたします。
 従業員への偽りの情報開示については、どのような罪があるのでしょうか。
#278
○政府参考人(辻哲夫君) まず、加入者に周知を行わなければならない情報の内容でございますけれども、企業年金に関する業務の概況の内容と申しますのは、掛金納付状況、資産運用状況、財務状況など厚生大臣への業務報告をわかりやすく簡潔にしたもの、まず、そういう厚生大臣との関係ではその業務報告をわかりやすく簡潔にしたものと考えております。
 厚生労働大臣に報告した業務報告書は、それと同じものを事業所内において加入者等から請求があった場合には開示することになっておりますが、国あての報告に虚偽があれば処罰の対象となりますが、それと同じものを閲覧に供することから、加入者への開示については特に処罰は必要ないと考えております。いわば、国に報告するもののエッセンスというものを置くというのを想定いたしておりまして、国に報告を虚偽ですればこれは罰するということでございますけれども、それと違うものを加入者について開示するということにつきまして、そのようなことを想定して処罰する必要はないという考え方で構成しているということでございます。
 国への報告と異なる内容のものを開示したらどうなのかというお尋ねかと存じますが、そのような開示をして惑わして実際に損害が生じた場合には損害賠償を認めることとなっておりますけれども、これまでに厚生年金基金において閲覧書類で国に報告したものと違う虚偽のものを備えていたというような実例は聞いておりません。
 そのような実態面におきまして、なかなか国に虚偽の報告をするというのは大変なことでございますけれども、国に虚偽の報告をしないでわざわざそれと違うことを加入者に対してするといったことを想定して罰則を設けるというのは、刑罰による担保措置については必要最低限にすべきだという観点から、現在のところ必要性はないというふうに判断した次第でございます。御理解いただきたいと思います。
#279
○黒岩秩子君 実は今まで皆さんがいろいろ御指摘くださいましたように、今回の年金法の改正というのが従業員、つまり零細中小企業の従業員の皆さんにとってはかなり大変なものではないかということを感じております。
 今、七十三条の、また附帯決議もつきましたけれども、やはりこれについては罰則規定がない、これはかなり問題だと思いますので、今後の見直しの中でぜひ見直しの項目に入れていただきたいと思っております。
 次に、無年金障害者の問題、これについてもこれまで多くの皆さんがこのことに取り組まれて今回来ていると思います。そしてけさの新聞にも、七月からこの裁判が始まるという記事が載っておりました。
 私、実は新潟の海で事故を起こした無年金障害者の方と友人でおりまして、その方から実に長いお手紙をいただきまして、このことをいろいろ調べてみました。そして、議事録によりますと、このようなことが書かれておりました。社会保険方式をとる現行の年金制度では、年金給付を行うことは困難であるから、障害者プランを踏まえ適切な検討をということになっておりました。そして、今もそのとおりなのか、そしてこのことについて年金局と障害保健福祉部双方にお伺いしたいと思います。
#280
○政府参考人(辻哲夫君) 障害者に対する年金につきましては、これまでも二十歳に達する前に障害にかかった方々につきましては障害基礎年金を保障するなど、社会保険の枠組みの中で、社会保険によって年金制度を運用するという枠組みの中でのできる限りの対応をとってきているところでございますが、任意加入ができるという中で加入していなかったというケース、それから強制加入であったのに未加入、未納だったことにより無年金になった方、こういう方々につきましては、年金制度におきまして給付を行うということは、保険料の負担において給付を行う、そして保険というのは、俗に保険事故と呼んでおりますけれども、保険事故が発生する前に皆が保険料を払っている、そしてその後に起きたときに出すという大原理で社会保険制度は成り立っておりますので、社会保険制度の根幹にかかわるということから、年金制度からこの対応を行うことはやはり困難であるというふうに考えております。
#281
○政府参考人(今田寛睦君) 障害者施策においてこの無年金障害者の方々への対応をどういう措置が行えるかどうかという指摘でありますが、障害保健福祉施策につきましては、従来から障害の内容でありますとかあるいは障害の程度に着目をして必要な福祉サービスあるいは手当を給付することを基本としておりまして、年金制度に加入されていたかどうかというような点に着目してこの福祉施策を行うということは大変難しい状況にある、このように考えております。
#282
○黒岩秩子君 九四年の国会におきまして衆参両院の附帯決議において「速やかに検討する」というふうにありました。私は、この附帯決議においてこのようなことが書いてあるということにもかかわらず、七年間もこのままであるというのはまさに立法不作為ではないかと思います。このことについて大臣、どのようにお考えでしょうか。
#283
○国務大臣(坂口力君) 今、局長から、いろいろ局長は局長の立場で難しい答弁がございましたけれども、しかし、検討します、このことを。お約束します。
#284
○黒岩秩子君 力強いお返事いただきまして、ありがとうございます。ぜひお願いいたします。
 この経済大国で単に障害年金というのが、今二級の方でしたら年間八十万、そして大体この無年金障害者というのは十万人いると言われておりまして、年にすると八百億円です。この八百億円という数字が多いか少ないか、そのことはいろいろあると思いますけれども、私は経済大国と言われるこの日本の中でこの程度のお金が出せなくて、これだけ苦しい思いをさせてさらに裁判までさせているという現状は許しがたいと思われます。
 実は、この方からのお手紙にこういうふうに書いてあります。「任意加入の道があることも知らされず、加入を勧められることもなく、強制加入後のように免除・猶予制度もありませんでした」。こういう方たちに何と答えたらいいのか、障害福祉部長さんにお伺いします。
#285
○政府参考人(辻哲夫君) 今御指摘の点は年金制度に関することでございますので、私どもの方で説明させていただきたいと思います。
 この任意加入制度を設けた趣旨というのは、これは、年金は時代とともに実態に応じて改正というものはなされておりますけれども、任意加入であった当時というのは、基本的には、学生さんというものについては一般的に所得がないということで強制加入にするのはいかがかということでその当時は考えられて、もし必要と考えられたら任意加入と、むしろそういう形で任意加入というものがとらえられて位置づけられた時代でございました。
 そのような時代のもとでそれぞれの方が、お一人お一人さまざまな事情があったと考えますが、平たく言えば、保険に入っていなかったのに後から事故が起こったからというのは、これは保険制度としてはどうしても根幹に触れることでございまして、ここのところは、この年金制度でそれについて過去にさかのぼって保険制度を覆すということについては、私どもなかなかつらい説明でございますけれども、年金制度の根幹に触れるというふうに言わざるを得ないという状況でございます。
#286
○黒岩秩子君 先ほど年金局長がおっしゃいましたように、二十歳にならないときに起こした事故については年金を支給していると。お役所の得意な公正という点からいきますと、この不平等ということをどのように考えられるのでしょうか。
#287
○政府参考人(辻哲夫君) 私自身この制度を導入するときに関与いたしましたが、社会保険制度としての年金制度で可能なところまで挑戦しようと、挑戦という表現は不適切かもしれませんが、そういう気持ちで、社会保険とそれから給付の充実のぎりぎりの接点ということで設けたのがこの二十歳前障害に対する障害基礎年金でございます。
 その考え方は、二十歳から年金に加入されるという年齢になると。二十歳前に障害は発生しておりますけれども、これは制度から見れば二十歳になった途端に障害になったというふうに擬制をいたしまして、これは同時に障害になっているということだからぎりぎり保険制度で説明がつくということで、いわば二十歳に入ると同時に障害になられたと、こういうような擬制でぎりぎりの体系をとりました。
 そういうことで、年金制度としては説明のつくところを手当てしておりますが、明々白々に年金制度の論理というものが否定されますと、これは、積み木のようにできているのが社会保険でございまして、年金制度そのものの全体の論理の崩壊につながるということで、そのような形で現在が成り立っているということでございます。
#288
○黒岩秩子君 そのようなぎりぎりのところで御努力なさったことについては了解いたしました。
 しかし、一人の人間が二十歳前に事故を起こせば年金がもらえて二十歳過ぎたらもらえないという、これはどう見ても不都合なわけですから、この点、今までの経過を議事録で読みますと、年金局と障害福祉部との間でお互いになすり合ってきたとしか私には思えません。どうかそういう縦割り行政の弊害をなくしてお互いに歩み寄る中で、どちらでも構いませんけれども、このような不合理な点がなくなるように御努力をお願いしたいと思います。
#289
○副大臣(桝屋敬悟君) 今、黒岩委員からもお話をいただきましたけれども、二十歳前から障害があった、そして二十歳後の障害で比較をされましたけれども、今、辻局長がお答えをしましたように、私はこの二つを比較するのは非常に難しい話でありまして、掛けたくても掛けられなかった方々をまずはこの保険制度の保険の理論の中でぎりぎり救ってきたという、ここをぜひ御理解いただいて、その部分と、それから保険の仕組みの中でどうしても救えないという方がいらっしゃる、これを比較して何とかならぬかと、こう言われると非常につらいところがありまして、ただ、大臣が検討するというふうにおっしゃったわけでありまして、これは今まで、最初に委員御紹介いただきました障害者プランの中でということも含めて、我が国の社会保障全体の中でこれはもうずっと言われている問題でありますから、改めて検討させていただこうということでございます。
#290
○委員長(中島眞人君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#291
○小池晃君 私は、日本共産党を代表して、確定給付企業年金法案に対して、反対の討論を行います。
 日銀の世論調査によると、老後の生活に不安を持っているのは若い世代ほど多く、三十代では八二・四%が年金だけではゆとりがないと答えています。若い世代は年金支給額の切り下げや支給開始年齢の引き上げで将来不安を高めており、受給権保護は、企業年金に対する信頼を確保する上で極めて重要になっています。
 九八年に年金審議会は、企業年金が安定的に機能し、高齢期の所得保障の一翼を担うに足る制度となるためには、受給権の保護を中心とした企業年金に関する包括的な基本法の制定が必要であるとの答申を行いました。企業年金に関する包括的な基本法とするなら、アメリカのERISA法で定めているような受給権保護、受託者責任、情報開示、検証体制、そして支払い保証制度、年金のポータビリティー等が必要ですが、本法案はこれらの要件を満たすものとなっていません。
 受給権を保護する上で基本となるのは、必要な年金資産を積み立てることですが、前提となる積立金不足の監視と解消のための指導体制が全く不十分です。そして、積み立て不足が生じた場合には、受給権が発生していても労使の合意があれば給付の引き下げができるだけでなく、既に支給している年金まで受給者の三分の二の同意があれば引き下げられることになっており、受給権保護の名に値しないものであります。
 実際に二〇〇〇年には百七十七もの厚生年金基金が給付の切り下げを行っています。米国では、企業年金は給与の後払いという考え方が定着しており、年金受給権が既に発生している給付については引き下げは制度上許されないことと比べて、本法案の受給権保護は極めて不十分であると言わざるを得ません。
 さらに、我が国では支払い保証制度を持っているのは厚生年金基金だけですが、それにしても代行部分に対する保証はなく、保証水準が低いため九割の基金が給付引き下げになるおそれがあります。しかし、本法案ではこうした不十分な支払い保証制度すらありません。企業の責任と負担を回避したものでまさに欠陥法案です。
 また、今まで適格退職年金を採用していた中小企業で、積み立て不足が解消できず新企業年金への移行が困難な場合は、確定拠出企業年金などへ移っていかざるを得ません。
 このように、本法案は、運用リスクも労働者任せで企業が全く責任を負わない確定拠出企業年金導入を、税制上の優遇とあわせて促進するものとして提案されていることも見逃せません。
 以上の問題点を指摘して、反対討論とします。
#292
○委員長(中島眞人君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 確定給付企業年金法案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#293
○委員長(中島眞人君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、柳田君から発言を求められておりますので、これを許します。柳田稔君。
#294
○柳田稔君 私は、ただいま可決されました確定給付企業年金法案に対し、自由民主党・保守党、民主党・新緑風会、公明党、社会民主党・護憲連合、二院クラブ・自由連合及びさきがけ環境会議の各会派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    確定給付企業年金法案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について、適切な措置を講ずるべきである。
 一、支払保証制度については、企業年金の加入者及び受給者の受給権保護を図る観点から、モラルハザードの回避などに留意しつつ、引き続き、検討を加えること。
 二、企業年金の受給者に対する情報の開示については、事業主、企業年金基金及び厚生年金基金に対し、国会修正の趣旨を踏まえて、実情に即した適切な指導を行うこと。また、企業年金が給付額の減額などの受給者にとって不利益な変更を行う場合には、適切な手続の下に行われるよう必要な措置を講ずること。
 三、事業主、資産管理運用機関等の受託者責任については、企業年金の管理・運営に関わる者がその内容を十分理解し、適正に行動するよう指導すること。そのため、受託者責任の理念が関係者間に周知徹底するよう努めること。
 四、適格退職年金については、確定給付企業年金等への移行が円滑に行われるよう、積立基準等につき、適切な経過措置を講ずること。
 五、中小企業が実施している適格退職年金については、それらの確定給付企業年金への円滑な移行を促進する観点から、財政再計算について簡易な基準を設定するなど、その事務負担の軽減を図るための特段の配慮を行うこと。
 六、厚生年金基金のいわゆる代行部分の返上については、関係法令の周知徹底を図るとともに、その返上が有価証券による現物で行われる場合には、厳正な資産評価に基づいて適正に行い、インサイダー取引等が生じることのないよう厚生年金基金を監督すること。
 七、厚生年金基金及び厚生年金基金連合会の今後の在り方については、法施行後の制度間移行の状況等を踏まえ、必要な検討を行うこと。また、厚生年金基金連合会の財政については、引き続き、その情報の開示を進めるとともに健全化に努めること。
 八、確定給付企業年金などの企業年金制度については、公的年金の上乗せ給付としての役割が期待されていることから、その一層の普及促進に努めること。
 九、転職に伴う年金原資の移換制度については、企業年金のポータビリティを確保する観点から、引き続き、検討を加えること。
 十、年金に対する課税の在り方については、制度間のバランスに留意しつつ、拠出時・運用時・給付時を通じた負担の適正化に向けて検討すること。
  右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#295
○委員長(中島眞人君) ただいま柳田君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#296
○委員長(中島眞人君) 多数と認めます。よって、柳田君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、坂口厚生労働大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。坂口厚生労働大臣。
#297
○国務大臣(坂口力君) ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして、努力をいたします。
 ありがとうございます。
#298
○委員長(中島眞人君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#299
○委員長(中島眞人君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時二十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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