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2001/06/19 第151回国会 参議院 参議院会議録情報 第151回国会 厚生労働委員会 第17号
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2001/06/19 第151回国会 参議院

参議院会議録情報 第151回国会 厚生労働委員会 第17号

#1
第151回国会 厚生労働委員会 第17号
平成十三年六月十九日(火曜日)
   午前十時一分開会
    ─────────────
   委員の異動
 六月十四日
    辞任         補欠選任   
     益田 洋介君     山本  保君
 六月十五日
    辞任         補欠選任   
     森田 次夫君     釜本 邦茂君
     山下 善彦君     狩野  安君
     岡崎トミ子君     松崎 俊久君
     堀  利和君     朝日 俊弘君
 六月十九日
    辞任         補欠選任   
     鶴保 庸介君     月原 茂皓君
     浜四津敏子君     風間  昶君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         中島 眞人君
    理 事
                亀谷 博昭君
                斉藤 滋宣君
                柳田  稔君
                沢 たまき君
                井上 美代君
    委 員
                大島 慶久君
                狩野  安君
                田浦  直君
                武見 敬三君
                月原 茂皓君
                鶴保 庸介君
                南野知惠子君
                川橋 幸子君
                木俣 佳丈君
                長谷川 清君
                風間  昶君
                山本  保君
                小池  晃君
                大脇 雅子君
                西川きよし君
                黒岩 秩子君
   国務大臣
       厚生労働大臣   坂口  力君
   副大臣
       内閣府副大臣   松下 忠洋君
       財務副大臣    村上誠一郎君
       厚生労働副大臣  桝屋 敬悟君
       厚生労働副大臣  南野知惠子君
   大臣政務官
       厚生労働大臣政
       務官       田浦  直君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        川邊  新君
   政府参考人
       内閣府政策統括
       官        坂  篤郎君
       金融庁総務企画
       局審議官     渡辺 達郎君
       金融庁総務企画
       局参事官     浦西 友義君
       財務大臣官房審
       議官       木村 幸俊君
       厚生労働省健康
       局長       篠崎 英夫君
       厚生労働省労働
       基準局長     日比  徹君
       厚生労働省職業
       安定局長     澤田陽太郎君
       厚生労働省社会
       ・援護局障害保
       健福祉部長    今田 寛睦君
       厚生労働省年金
       局長       辻  哲夫君
       厚生労働省政策
       統括官      坂本 哲也君
       社会保険庁運営
       部長       冨岡  悟君
       中小企業庁次長  羽山 正孝君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○確定拠出年金法案(第百五十回国会内閣提出、
 第百五十一回国会衆議院送付)

    ─────────────
#2
○委員長(中島眞人君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。
 まず、政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 確定拠出年金法案の審査のため、本日の委員会に内閣府政策統括官坂篤郎君、金融庁総務企画局審議官渡辺達郎君、金融庁総務企画局参事官浦西友義君、財務大臣官房審議官木村幸俊君、厚生労働省健康局長篠崎英夫君、厚生労働省労働基準局長日比徹君、厚生労働省職業安定局長澤田陽太郎君、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長今田寛睦君、厚生労働省年金局長辻哲夫君、厚生労働省政策統括官坂本哲也君、社会保険庁運営部長冨岡悟君及び中小企業庁次長羽山正孝君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(中島眞人君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#4
○委員長(中島眞人君) 次に、確定拠出年金法案を議題といたします。
 本案につきましては既に趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#5
○鶴保庸介君 保守党の鶴保庸介でございます。
 いよいよ確定拠出年金法の審議に入ることになりました。以前から国論を左右すると言っては大げさかもしれませんが大きな物議を醸しながら今日に至った、さまざまな紆余曲折を経て今回の法案審議でございます。
 私も今回のこの質問を契機にいろいろと勉強させていただいたんですが、年金制度というとちょっと一般の国民からは取っつきにくいと。制度そのものがやはり複雑な感じが私自身もしております。ただ、一番国民生活に身近なものであるがゆえに素人が素人なりに考えてわかるものでなくてはならないというふうな気がいたしますし、その視点に立って、もう余り細かいことにこだわらず大ざっぱに、大ざっぱにと言ったらちょっと語弊がありますが、大づかみに審議をさせていただきたいというふうに思います。
 趣旨説明の中で、大臣もその意義についてはお話がありました。ただ、役所的な、官僚的なものでなくして、言葉づら、字づらのものでなくして、本当に確定拠出年金制度はどういう意義があるのかということをちょっと生の声で、生の言葉で一度聞いてみたいというふうな気がいたします。私自身、この後の質問の中でそんな話も議論させていただきたいと思いますので、大臣、まずよろしくお願いいたします。
#6
○副大臣(桝屋敬悟君) 大臣のまた生の声もこの後あるかもしれませんが、委員の方から確定拠出年金制度導入の意義ということについてお尋ねをちょうだいいたしました。
 委員の方からいよいよというふうにおっしゃっていただきまして、本当にこの国会の、この厚生労働委員会の大きなテーマでありまして、さきの確定給付年金法案とあわせまして三階部分の多様な選択肢を用意するということで、あらあら体系ができ上がるわけであります。一日も早い成立をお願い申し上げたいと思うわけであります。
 さて、確定拠出年金制度でございますが、現在の企業年金制度、さまざまに議論されておりますけれども、やはり中小零細企業にとってどうかという観点が大事だろうと思っております。そういう意味では、中小零細企業などにも普及しやすいという点、さらには転職の際の年金資産の移換、いわゆるポータビリティーということが言われておりますが、そうしたものが確保され、労働移動に対応しやすいといった利点がある年金制度であるというふうに考えております。
 こうした確定拠出年金制度の導入、これはやはり現在の我が国の経済社会の状況の中で構造改革に資すると、特に雇用の流動化に対応する、短気雇用への対応というようなことについては大きな力を発揮するのではないかと考えているところでございます。また、特に、今申し上げました中小零細企業、雇用の流動化が一段と高まるということも考えられるわけでありまして、企業の従業員など多くの方々が待ち望んでおられるということも伺っているところでございます。
 何とぞ、御審議の上、一日も早い成立をお願い申し上げたいと思います。
#7
○鶴保庸介君 雇用の流動化に資するというのは確かにそのとおりだと思います。ただ、雇用流動化ということが前面に出てきますと、それは企業の側の都合といいますか、論理を割と重視したものであるのかなと、ややもするとそういうふうに言われがちでございます。
 各種新聞がこの問題について取り上げておりますアンケート調査なんかによりますと、確定拠出年金の導入の考えがないという企業が最も今のところ多いわけなんですね。検討中というところが多いわけですが、導入の考えがないというのも三〇%近くあるというふうに聞いております。この辺、どうお考えになられますか。
 つまり、雇用の流動化を進める上でという考え方であるならば、企業はもっともっとこの導入の機運を盛り上げていくのが筋ではないか。導入していってもらえるであろうというふうに見通しておられるのか。ちょっと意地悪な質問かもしれませんが、まず聞いておきたいなというふうに思うんです。
#8
○副大臣(桝屋敬悟君) 私どもは、一等最初に申し上げましたように、今回、三階部分の私的年金として選択肢を用意するというふうに考えているわけでありまして、今回の確定拠出年金制度は衆議院段階でもさまざまな問題点、新しい制度であるということについてさまざまな御指摘や御懸念の声もいただいたところでございます。
 したがいまして、私どもとしては、今どれぐらいというお尋ねもいただいたわけでありますけれども、まず普及ありきということではなくて、まずは導入をして、そして労使の中で、現場においてしっかりと議論もしていただき、あるいは勉強もしていただいて、年金に加入をなさる方一人一人のまさに主体的な取り組みといいますか、老後に対する考え方を改めて考えていただくという、こういう機会にしていただきたいという思いもありまして、まずは制度を普及するということよりも、制度をきちっと定着させるということに配意をしていきたいというふうに考えておるところでございます。
#9
○鶴保庸介君 まさに私もそこにあるんだとは思うんですね。目的とするものが雇用の流動化というようなことではなくして、その結果としてついてくる、労働者も含めて、国民全体の年金に対する意識改革、自己責任といったものへの意識改革が、これは目的ではありませんけれども、そういったものに物すごく大きな意義があるんではないかと。だからこそいろいろな、さっきも言いました流動化でありますとか、年金制度の苦しい財政事情といった個別の事情と相まって一歩踏み切っていくことに意義があるというふうな私は考えでございます。
 そうであるならば、目的ではないが、その意義として出てくる自己責任という自己責任そのものの確立についてでございます。確定拠出年金のみならず、今後の社会保障制度全体を見て、自己責任原則というのはやはり大きな一つのメルクマールと言っていいのかどうかわかりませんが、一つのテーゼであろうというふうに思うんです。
 このことをやや原理主義的に考えますと、突き詰めて考えていくと、この制度そのものの個別の論点にも大きく影響があるというふうに思いますから、これは大臣にぜひとも聞いておきたいんですが、自己責任という考え方、これは今後の社会の中で、大臣、この社会保障制度全体を見回して何か御意見ございますでしょうか。つまり、私はこの後の質疑の中でお話をさせていただきたいと思うんですけれども、六十歳前の引き出しについて、この制度を考えたときに、自己責任原則をもっともっと突き詰めていくならば、引き出しを認めない理由はなぜなのかということがやはり疑問になってくるわけです。そういった問題意識でちょっとお伺いをしておきたいんです。
#10
○国務大臣(坂口力君) 社会保障制度全体で考えますと、高齢でありますとか疾病でありますとかあるいはまた失業でありますとか、そうしたことを考えて、そしてそのときのためにお互いがひとつ助け合っていこう、支え合っていこうという制度であるわけであります。したがいまして、なかなか自立という言葉を使うのは難しい面が率直に言ってあると思うんです。
 森内閣のときにこの自己責任と自立ですか、何かそういう言葉を使いましたときに、果たしてそれだけの言葉でいいかというのがかなり議論になったように記憶をいたしておりますが、やはりこの自己責任ということだけを端的に言ってしまいますと、それでは社会保障とは何かという話になってくるわけでございます。
 ですから、ここで言いますところの自己責任というのは、保険料なら保険料はちゃんと払っていく、それはその責任がありますよと。その責任を明確に果たしていくということが、とりもなおさずこれはお互いの助け合いということに結びついていくのであって、そうしたお互いに決められたことを明確にやはりやっていくんだということをかなり強調している側面だというふうに私は思っております。
 したがいまして、病気やあるいは老後のこと、あるいはまた失業いたしましたときのために自己責任を果たしていくというのは、そうした意味で自己責任を果たしていく。自己責任を果たしていくということは、とりもなおさずそれがみんなの、お互いの助け合いの社会の中に入っていく前提だという趣旨ではないかというふうに思っております。やはりそれぞれの責任というものを果たしていただかなければならない。
 最近、例えば年金なら年金で掛金をしない人たちがたくさん出てきている。その人たちに対して、やはりそこは責任は果たしてくださいよ、それは御自身の責任、自分のことであるのと同時に、そしてまた他の人々のことでもありますよ、そこをやはりわきまえてひとつぜひお願いをいたしますということを今申し上げているわけでございまして、ただ単に自分だけのことを考える自己責任という意味では私はないと思っております。
#11
○鶴保庸介君 大変重要な問題だろうと思います。個人としての自己責任、義務を果たすこと、それからまた社会保障制度そのものの存在意義といったこと、何か相矛盾するといいますか、相対立するような概念といいますか、そんなふうに聞こえてもくるような印象なんでありますけれども、やや抽象論になってしまうと難しい問題になってくるので、先ほどちょっと口に出しました今回の法改正での一つの論点であります六十歳前の引き出しについてということを題材にこの話をしていきたいというふうに思うんです。
 支給開始年齢は六十歳でございますね。その前に自分で掛けた、自分で掛けたといいますか労使協定の中で確定拠出年金を掛けました掛金を六十歳前に引き出しを認めない理由ということを私なりに考えてみたわけであります。
 これは貯蓄ではない、したがって個人の持ち物でもないんだ、公的年金なんだという趣旨から六十歳前の引き出しを認めずにということなんでしょうけれども、アメリカなどでは税制優遇措置なんかをしていることに対してのタックスペナルティーを支払いさえすれば六十歳前に引き出しを認めてもいいんじゃないかという話があります。これはやはり自己責任という観点からの要請なのかなという気がいたすのです。
 六十歳前引き出しを認めない理由あるいはその根拠、その要請といいますか、それはどういう理念といいますか、そんなものに基づいておられるのか。やや私はこの辺が、ぼけているという言い方はきついかもしれませんが、ちょっとぼけているような気がいたしてならないものですから、お伺いをしてもよろしいでしょうか。
#12
○政府参考人(辻哲夫君) 六十歳前の引き出しを認めないという理由でございますが、まさしく御指摘のとおりでございまして、この確定拠出年金はあくまでも老後の所得を確保することが目的だという形で整理されておりまして、六十歳前の中途引き出しを認めるということにつきましては、これは老後のための制度ということにならない、すなわち六十歳前の中途引き出しというのは単なる貯蓄優遇制度となると。
 今御指摘の米国との違いでございますが、米国はむしろ貯蓄を推奨するというような背景がありますのに対して、日本の場合は貯蓄が過剰だと、こういった大きな違いのもとで、この確定拠出年金制度が成り立つかの根本にかかわる、要するに六十歳以降のための確定拠出である、ここはもう根本に触れるということから、このことは触れなかったということでございます。
 ただ、転職した場合には転職先の制度へ年金資金を移換できて、六十歳以降までずっと持ち回れるというようなこととか、それから給付時には年金だけではなくて一時金も受給できるとか、その点は老後の所得保障という一線を画して、できる限り利用しやすい制度に配慮してやっておりますけれども、六十歳前に出すということは、今申しましたような相当大きな基本に触れる問題であるという理解をいたしております。
#13
○鶴保庸介君 もう一度ちょっとお伺いするんですが、貯蓄奨励ということがアメリカでは現実の要請としてあった、日本ではそれが余りないということが理由なんですか。
#14
○政府参考人(辻哲夫君) これは、一つは税当局の御所管にも触れることでございますが、基本的に貯蓄を優遇するような税制政策をむしろ見直すというのが日本の現在の政策的な流れであると理解いたしております。そのような中で、私ども、この制度を構築いたしますために何をもってこの政策的根拠とするかというのは、あくまでも公的年金の上乗せであると。具体的には、この制度は、国民年金の一号被保険者であれば一号被保険者であり保険料を納付していることを前提にしている、あるいは企業の職員であれば厚生年金の適用事業所の職員であることを前提にしている。このように、あくまでも公的年金の上乗せとして機能するということで、公的年金の支給開始年齢よりも早いところで出るということは体系上とり得ない、こういうような形においても理解いたしております。
#15
○鶴保庸介君 税制当局の方がいらっしゃるわけではないので、こんな議論をしてもしようがないのかもしれませんが、私は今回の日本版四〇一k法案の貯蓄といいますか掛金は、いわゆる今までの貯蓄とは違うというふうにやっぱり思いたいし、そう制度上なっているように思います。
 日本人の個人資産が何千兆円あるとかいうふうに言われておりますけれども、それはやはり還流しないから、貯蓄として滞留したままになっているからでありまして、それが問題になっているのでありまして、貯蓄率が高いのがいけないとか、だから貯蓄は奨励しないんだというような短絡的な発想では私はいけないというふうに思います。これは、年金として掛金をし、それがしかも株式の投資でありますとか投資信託でありますとか、還流することをわざわざ制度上もう決めてしまっているわけですね。こういうものはむしろ奨励をしていった方がいいんではないかというような気がするのであります。
 このことにはお答えをなさらなくても結構でありますが、そういうことを思ったものですから、これはもう一つ合理的根拠に欠けるんじゃないかというふうな私は気がしたんです。したがって、私は六十歳前の引き出しを認めた方がいいんではないかなとちょっと思ったりもいたしました、合理性というか理屈の上だけでありますけれども。
 逆に、いろんなお話の中でもう一つ私なりに考えた理由、それは、ほかの年金が六十五歳までに支給開始年齢を段階的に引き上げていっている、確定給付の方でございますが、こういう事情があるからそのつなぎとして六十歳から開始しながら順番にやっていこうということもあるのかなというふうに思っておるんです。
 そこで、この支給開始年齢六十歳というのは一体これまたどういう根拠なのかなということをはたと私なりに疑問に感じたんです。そのことについて、ちょっと一言お伺いできますでしょうか。
#16
○政府参考人(辻哲夫君) 確定拠出年金の基本的な構造、先ほど申しましたように公的年金の上乗せの選択肢ということでございますので、公的年金、すなわち自営業者につきましては国民年金の一号被保険者、それから企業の従業員、サラリーマンにつきましては二号被保険者、これを対象とした、一号、二号被保険者であることを前提とした仕組みでございまして、その場合、自営業者が加入する国民年金の被保険者となるのは原則六十歳までということでございますので、自営業者と企業の従業員との公平性を確保するという観点から一律に六十歳を上限とすることが適切であるという判断をとったものでございます。
 他方、確定拠出年金は、老後の所得保障であることから遅くとも六十五歳から支給するということもまた必要だと思いますが、仮に六十五歳まで加入を認めますと、六十歳以降制度に加入して、短い期間掛金を拠出して直ちに受給できる、これでは貯蓄との違いがまた不明確になるではないか、こういったようなことから六十歳という受給開始年齢とされているものでございます。
#17
○鶴保庸介君 わかりました。
 自己責任という原則をいかに考えるかは、それを突き詰めて考えていくと非常に難しい袋小路に入ってしまうような問題のような気がした次第です。
 ただ、こういうことをつらつら考えていくよりも、現実にじゃどうなのかということもやはり関心のあるところでございまして、アメリカは四〇一kを導入されてから以降、景気のいいときに導入したやに聞いておりますけれども、それが株価がどんどん今下がってきて一体どういうふうになっているのか。これは衆議院の方の審議の中でもされたことでございますが、一応現状を聞いた上で、その後、日本の制度がどんなふうになっていくのかという見通しの議論に移っていきたいというふうに思うんですけれども。
#18
○政府参考人(辻哲夫君) アメリカにおきます四〇一kの普及の状況あるいは最近の株価下落局面における動向ということについて御説明申し上げます。
 まず、普及の状況でございますけれども、米国労働省の資料によりますと、米国におきましては、一九八〇年代半ばは四〇一kの加入者が約一千万人、確定給付型の加入者が約三千万人でございましたが、その後、四〇一kが急速に普及する一方、確定給付の加入者は減少しておる。こんな動向をたどりまして、一九九七年には四〇一kの加入者が三千四百万人、確定給付型の加入者が二千三百万人ということとなっております。
 米国の四〇一kの商品選択の動向でございますが、当初やはり元本確保型の商品が中心で推移いたしまして、その後、株式の動向に対応するといった形が見られますが、株式が増加してきたと承知しております。昨年から今年にかけて株のやや変動が見られているわけでございますけれども、米国の四〇一kのプラン数や加入者数の推移などの直近のデータは、公的な推計あるいは民間の推計、推計としたものはまだまとめられていると承知しておりませんが、専門誌などを見る限りにおいては、現時点でのアメリカの株価の動向のもとで米国の四〇一kが減少しているというような話は聞いておりません。
#19
○鶴保庸介君 とすると、簡単に大ざっぱにまとめてしまうんですが、四〇一kは最初導入されたときは、確定給付型のものから、ややローリスクのものから普及が始まって、ずっと四〇一kのハイリスク型のものもどんどんふえてきているという現状なんだろうというふうに理解をいたします。
 では、日本はどうでしょう。これからどんなふうに見通しておられるか。これは神のみぞ知る、だれもわからないことでありますけれども、制度上自信を持ってこうなると言える部分がもしあればお伺いしておきたいというふうに思うんですけれども。
#20
○政府参考人(辻哲夫君) この日本の確定拠出年金の枠組みといたしまして、アメリカの確定拠出年金は三種類以上のリターンとリスク特性を異にする商品を組み入れろと、いわばローリスク・ローリターン、ミドルリスク・ミドルリターン、ハイリスク・ハイリターンというような、こういうようなリスク、リターンのいわば類型の違うものを三つ組み合わせて入れろということが決められておりますが、日本の場合は、そのルールの上に、元本確保型の商品をその三つの中に必ず含んでいなければならないということで、安全運用を相当意識した形になっております。
 一方、日本におきましては、アメリカに比べてはるかに預貯金の資産における保有高が高い、こういうことを考えますと、これはあくまでも制度の今後の見通しでございますので私ども軽々に申すべきではありませんが、やはりアメリカと同じような、当初元本確保型がまず主流であるということは言えるのではないかというふうに考えております。
#21
○鶴保庸介君 では、その元本確保型、これはいろいろと懸念もあり、これまで議論をされてこられましたけれども、どう担保するのかということについては余り議論されてこられなかったような気がするんですね。いかがでしょう。その担保、これについてどういうふうに、元本割れするのではないかと心配する声に対して、大丈夫ですよというのをどういうふうにこれ御説明されておられますか。
#22
○政府参考人(辻哲夫君) 元本確保型の商品につきましてよく御指摘されておりますことは、大変な今低金利でございますので、元本確保型の商品を中心といいましても非常にリターン、すなわち利率が低いのでコスト割れしてしまうんではないか、そういうわけにいかないんじゃないかと、こういう御懸念、御指摘をいただいております。
 これにつきましては、元本確保型の商品、これは典型的には預金と考えていただいて結構だと思いますが、預金が一番今体系的には低金利でございますが、この低金利の預金で運用いたしましたとしても、加入者の資産が資産管理機関から一括して金融機関に預けられると。通常の運用の場合は、個々の金融機関に預けて、個々の金融機関ごとに口座を持ち、通帳を出し、管理するわけですけれども、これを運営管理機関経由で資産管理機関で大量一括して大口扱いで運用しますことから、一般の個々の預金に比べて有利な利回りが得られます。
 一方におきまして、これらから控除されます運営管理機関の手数料についても、多くの運営管理機関の競争によって適正な手数料とするというようなことから、一般の預金の利率と同程度かそれ以上の利回りがコストを引きましても出ると考えておりまして、そのような懸念に当たることにはならないというふうに考えております。また、民間金融機関からも今言いましたような方向で利回りを考えているというお話を伺っております。
#23
○鶴保庸介君 よくわかりました。
 先ほど、アンケートの結果で導入の考えはないという企業がまだまだたくさんあるというふうな話をちょっといたしましたけれども、時間がございません、大ざっぱに言ってどういう企業にそういう導入の機運があるのかなということを漠然と思うんです。平均勤続年数の年数の長さ的なものもいろいろと影響したりするのかな、あるいは基本的には労使協定でこれは結ぶものでありますからその企業のいろんな社風もこれあるんだろうと思うんですけれども、その辺、ちょっと質問通告と外れるかもしれませんけれども、どんなふうにお考えになっておられますでしょうか。
#24
○政府参考人(辻哲夫君) この法律がまだ成立しておりませんことから、私どもも広報というものは行っておりませんので、どこまで内容が浸透して、適切な導入についての判断を企業があるいは国民の皆様方が詰めた議論をした上でこれを考えていらっしゃるかというのは今の段階では定かでないわけでございます。
 ただ、一般的には、私ども仄聞するところによりますと、もともと確定給付の年金というのは中小企業で導入はしにくい、しかしこれであれば拠出の範囲内でということで、追加拠出が企業にございませんので中小企業は導入しやすい。
 それからもう一つ、明確によく伝えられておりますことは、雇用が流動化する中で、長期勤続をもう前提にしていないという従業員の方が大変ふえておりますが、この方々の場合は、現在の確定給付は長期の加入をしたときに初めて意味のある年金が出ますので、むしろ確定拠出の方がありがたい、こういったことは相当伝えられておりまして、このようなところにニーズが生じることは間違いないと考えております。
#25
○鶴保庸介君 時間がございませんので、これを最後の質問にさせていただきたいと思います。
 そういう各企業ごとの特色といいますか、労使の協定、社風によるんだろうというふうに思うんですけれども、その中でやはり投資教育ということをこの法案の中でも重視しておるやに聞いております。
 ただ、ここでまた一つ、私、最後に質問といいますか疑問に思ったことは、資産運用に関する情報提供は事業主の努力義務というふうになっておりますけれども、努力義務というのはどこまで努力をしていいのか。また、その努力に対して従業員さんの方が不満に思った場合、どういう事後的な担保措置があるのか。妙に投資に詳しい従業員さんがいて、もっともっと私は知りたいといった場合に、どういうふうな苦情、これは使用者の側に言うしか現実にはないわけであろうと思いますけれども、それをもうちょっと担保するような制度があってもいいのではないかなという感じがいたした次第であります。
 その辺について、一定の苦情処理スキームみたいなものがあるのかどうか、それを最後に質問して終わりたいと思います。
#26
○政府参考人(辻哲夫君) 情報提供についての努力義務とした理由いかん、あるいは苦情処理についてのスキームというお尋ねでございます。
 加入者がみずからの責任で運用指図を行うというこの制度におきまして、加入者が適切な知識を持つようにする、すなわち事業主の情報提供義務は非常に重いものでございます。しかしながら、提供すべき情報につきましては、加入者によりまして資産運用に関する知識水準や老後の生活設計が異なるということで、義務としますと、どのような内容、方法でどの程度行うのかということを一律的に決めなければ義務違反かどうかが定まらないということで、まさしく制度運用の実務から見て義務づけが困難だということでございまして、努力義務としたものでございます。
 しかしながら、この具体的な内容は、例えば確定拠出年金の特徴や加入のメリットなどの具体的制度内容、リスクの内容やリターンとの関係などの資産運用に関する基礎的な知識、それから預貯金、投資信託、保険商品などの特徴やリスクとリターンなど主な金融商品の特徴や仕組みなど、こういった最低限必要な事項、これは通達で明らかにいたしまして、必ずこのようなことについてはわかりやすくかつ丁寧な情報提供を行うことを前提といたしております。
 そのようなことで、苦情が出ましたときでございますが、これは一義的にはあくまでも個人の責任で資産運用を行うという枠組みで、加入者の指図は私的な行為でございますので、社会にあるさまざまな私的な商品にかかわる苦情と同じ位置づけになるわけでございますので、これだけそれに対しての窓口を開くということは考えておりませんが、これに対する丁寧な対応が非常に必要でございますので、そのような情報が厚生労働省あるいは運用管理機関の所管に関しましては金融庁と共管でございまして、金融庁に入りましたときは相互に連絡をとり合いながらこの処理に当たってまいりたいと考えております。
#27
○鶴保庸介君 ありがとうございました。
#28
○木俣佳丈君 おはようございます。民主党・新緑風会の木俣佳丈でございます。
 きょうも引き続き年金の法案ということで、一時間半にわたりまして御質問をさせていただきます。またさらに、恐らく木曜になるかと思いますが、そのときにもやはり続けて御質問させていただきますので、よろしくお願い申し上げます。
 まず初めに、基礎年金の話で、前回からお話を、いろいろ御意見を承っておりましたが、経済戦略会議で基礎年金の部分、これをどのようにしていくか、こういう話を何度も何度も繰り返しされたわけでございますね。それで、前回も聞きましたように第一号被保険者の三分の一、全体ですれば五%かもしれませんけれども、要するに未払いの方があるということで、制度設計が成り立たないということで税方式にしなさい、こういう答申を経済戦略会議で戦略として政府が出したわけなんですね。
 これは竹中大臣もお出になっていたものですから竹中大臣に御質問をしたかったわけでございますが、竹中大臣はほかの所要で、ほかの委員会に出ていらっしゃるということで副大臣に先般も御質問をしたわけですが、先般の質問の御答弁の中で補足があれば今いただけますか。そのままでよろしゅうございますか。
#29
○副大臣(松下忠洋君) 特にございません。
#30
○木俣佳丈君 そうなりますと、ちょっと私も黙っていられないという感じがします。
 この間の質問の後、週末も挟みまして私も六百人ぐらいの人に会いました。いろんな方々に年金のお話をしました。こういう現状であるので要するに税で、例えば消費税を四%上げてそこへ突っ込むということがやはり安定になると思いますがいかがでしょうかというふうなことを言ったんです。今のままだとどうなるかわかりません。しかも、我々の世代では、あなた方の世代では、もう本当に一人が四万、五万という負担をしなければ今の給付水準が守れないんですよ。どちらがいいですか。将来ふと気がついたら何かもうパンクしていた。パンクすることはないんですが、しかし非常に危ういというよりも、そしてまた負担がぐんとかかるよりも薄く広く全員で見ていった方がいいんじゃないか、こういうお話をしたときに、そうだね、それであれば、本当にそこに使うのであれば消費税が四%上がったとしてもその方がいいかなという方の方が多かったんですね。
 これについては松下副大臣、今どのようにお考えになりますか。
#31
○副大臣(松下忠洋君) 確かにいろんな議論をする過程にはいろんな意見が出てくる、それはもう当然のことだと考えています。
 総理大臣の年金に対する施政方針の話にはっきり小泉内閣としての考え方がきちっと述べられておりますので、これはもう今ここで申し上げるまでもないことだと思うんですけれども、「「自助と自律の精神」のもとに、社会保険方式を基本としつつ、保険料と公費を適切に組み合わせることにより、給付に要する費用を賄っていく必要があると考えております。」というふうに述べられておりまして、こういうことを基本にしながら経済財政諮問会議でも厚生労働大臣の方のいろんな御意見も伺いながら議論されているというふうに認識しておるわけでございます。
#32
○木俣佳丈君 副大臣は、先日、要するに保険方式でやるのか税方式でやるのか、そういったことは正確に言うと重要ではないというようなお答えがあったんですが、これは今もそういう同じような認識ですか。
#33
○副大臣(松下忠洋君) 竹中大臣がそういう話をしておられるので、それを引用してどうかというお話をされました。竹中大臣のお話をずっと今復習して見てまいりますと、こういうふうに言っておられます。そういう議論でしたから、やりとりでしたから、木俣さんも御存じだと思います。
 これは、「国民の負担の意識の問題であります」とおっしゃって、それから、「別途国の方からどれだけ補助しているかということのベストミックスの中で、さらには歴史的な要因の中で決まってくる問題だと思いますので、これは重要な問題ではありますけれども、どちらでなければいけないという問題ではないというのが基本的な私の認識であります。」ということです。
 私はここを少し言い違えたと思っておりますけれども、「どちらでなければいけないという問題ではないというのが基本的な私の認識であります。」というふうにおっしゃっておられまして、「これは重要な問題ではありますけれども、」と竹中大臣もおっしゃっておられますし、私もそのとおりだと思っております。
#34
○木俣佳丈君 それでは、今、保険方式でやっていて大変大量な未納者の方がいる現実をどのようにお考えですか。
#35
○副大臣(松下忠洋君) 未納者の方がおられるということも知っております。
 調べてみますと、自営業者の、二千万人ほどいるわけですけれども、それの三割が未払いだということなんですね。それで、三割といいますと大体六百万から七百万人になるわけですけれども、そのうちの半分ほどは所得の極めて低い人、ない人で、免除の人だというふうに聞いております。この人たちを除きますと三百万人ぐらいが未払いだということなんですね。
 これは、やっぱり自分の将来を考えると、これは個人として考えたときにはきちっとお支払いいただきたいという、それは素直な気持ちです。全体として、さっきおっしゃいましたけれども、人口からいきますと五%ぐらいじゃないかとおっしゃいますけれども、これは仕組みそのものからいきますと、やはり自分としてはきちっと納めていただかなきゃいかぬ、こういうものだと私は思いますけれども。
#36
○木俣佳丈君 今の未納者の数字、大塚局長、あれでよかったですか。
#37
○政府参考人(辻哲夫君) 今御指摘のとおりでございまして、数字で申しますと、保険料を納めていない方のうち免除されている方が四百四十三万人、それから未加入、未納の方が三百六十四万人、ほぼ三百万人台でございます。
#38
○木俣佳丈君 じゃ、ついでに大塚局長、ここ三年間で未納者、免除者、こういった数字がどのぐらい伸びましたか。ちょっと通告は行っていませんが、大体わかると思います、二、三年で。
#39
○政府参考人(辻哲夫君) 今、手元にちょっと数字を持ってきておりませんが、事実として、未納者が数十万人の増が見られます。
 この理由でございますけれども、職権適用と申しておりますけれども、二十歳になれば、今まで把握されていなかった方を、どんどん手帳を送りつけている、送りつけていわば掘り起こしておりまして、そういう方というのはどうしてもみずから届け出ていない方なので未納がふえていると。それからもう一つは、正直申しまして、景気が悪くなっているということも背景であろうと思います。そういう状況で未納がふえているのは事実でございますが、適用対策との関連でもあるということが一点。
 それから、未納者につきましてこの際でございますから動向を言わせていただきますと、未納の方と納付の方は所得において余り差がない。納付の方が大体七割ぐらいが生命保険、個人年金に入っていらっしゃるのに比べて、未納の方も五割ぐらい入っていらっしゃるということで、どうもこのふえるということは、所得状況が厳しくなっているとか、所得に関してふえているんではないというような理解も持っております。
#40
○木俣佳丈君 局長、私の論をサポートいただきましてありがとうございます。
 まさに今言われたように、所得の上下じゃなくて、それからもう一つ言えば、年金というのは景気によって目減りがしたりふえたりするわけじゃないでしょう、もらう方は、給付の方は。ですから、非常に制度上問題があるということを言いたいんです。
 ここ三年ぐらいで九十万人ぐらいふえているはずなんですよ、たしか覚えでは。ですから、これはこのままじゃいけないんだというのが経済戦略会議の方針だったはずなんですよ。ですから、税方式に移行するのが望ましいという結論を出したわけなんですが、先般、審議官にお尋ねしたときにもランクで言うとC、要するに検討は難しいという、こういう位置づけになっているわけなんですよ。これを僕は竹中大臣に直接伺いたいわけなんです。
 多分伺ってこられたと思いますので、代理で来られて、代理と言っては失礼かもしれませんが、大臣の代理だと思いますから、これは竹中大臣は何とおっしゃっていましたか。
#41
○副大臣(松下忠洋君) 参議院の本会議の議事録ですけれども、先ほども申し上げたとおりでございまして、「重要な問題ではありますけれども、どちらでなければいけないという問題ではないというのが基本的な私の認識であります。」とおっしゃっておられます。
#42
○木俣佳丈君 だから、どうしろというのがないじゃないですか。だから、どうしたらいいんですか。
#43
○副大臣(松下忠洋君) ですから、こういう認識だということでお伺いしてまいりました。
#44
○木俣佳丈君 だから、今言いましたように、経済戦略会議では明確に出されているんですよ。責任者は竹中さんなんですよ、責任者は。もちろん座長は違いますけれども。責任者の一人としていらっしゃって、しかも、御案内でしょう、理事長をやっている東京財団が出した本、多分お読みになったと思いますけれども、あの中にも書いてあるんです。一階部分は公的でもいいけれども二階部分以上は民営化しなさいと明確に書いてあるんです。理事長がそうやって言っているわけですよ。これは必読だよ、国会議員と候補者はこの二十五のテーマを読まなきゃいけないと、こういう本まで出しているわけですよ。
 竹中さんは私の大学の先輩でもありますけれども、学者としてこんなことをやっていたら、政界へ来てくちゃくちゃになったら、恐らく僕はもう通用しない方になってしまうと思うんです。学者の本分は考え方ですから、考え方を一気にそんなふうにひっくり返してでたらめなことを言うようでは私はどうにもならないと思うから、出てきて御釈明くださいというふうにチャンスをお与えしたつもりなんですけれども、今それが代理の副大臣のお答えで、そのまま竹中大臣のそれがお答えで、しかもランクはC、見直す必要も何もないと。全然論にならないじゃないですか。それで百万人もふえているわけでしょう。
 これはもちろん厚生労働省に言わなきゃいけないことだけれども、戦略会議で全体を統括して国家の像を見たときにこれはこうしなさいというふうに出たわけですから、もう一度ちょっと答弁してください。これは竹中大臣のこけんにかかわる問題です。
#45
○副大臣(松下忠洋君) 今、木俣委員のお話はそのままお伝えすることにいたしますが、ここでおっしゃっていらっしゃいますのは、その後、「いずれにしても、より本質的な問題というのは、」「保険原理の部分と福祉原理の部分の考え方に立って、制度そのものを持続可能な、サステーナブルなものにしていくということであるというふうに思っておりますので、そういう方向での改革が今後も進むというふうに考えています。」とおっしゃっていますので、これ以上の私自身の言葉としてはもう申し上げることはありません。
#46
○木俣佳丈君 だけれども、これはちょっと質問できませんね、こういうあれだと。何回もやったわけですから、これは。
#47
○委員長(中島眞人君) 速記をとめてください。
   〔速記中止〕
#48
○委員長(中島眞人君) 速記を起こしてください。
#49
○木俣佳丈君 余り説得されるつもりもございませんでしたが。
 いや、だけれども、本当に正反対のことを言われているわけなんです。今、局長がいみじくも言われたように、所得が減っているから未納の方がふえているんじゃなくて、民間の方に逃げているんです。小泉さんは一生懸命、要するに厚生省の、国家のやっている基礎年金のところは実は民間よりもいいんだ、安く済むんだということを言われているんだけれども、これが通用しないというところが問題だと僕は言っているんです。ですから、税方式にした方がいいでしょうと、こういうふうに言っている。しかも、大きく見直すその時が来るというのを坂口大臣も言われているわけですから、ですからこれは時が来るじゃなくてもう時は来ているというふうに私は思うんです。
 ですから、今度ぜひ、大臣に伝えるだけじゃなくて、もうこれ二回目ですから、しつこくあさっても三回目行きますので、大臣に絶対に出るようにこれは言っていただかないといけませんので、ちょっとお伝えしていただいて、出てくるようにと御指示いただけますか。
#50
○副大臣(松下忠洋君) この委員会でそういう議論があったということはお伝えいたします。先生からそういう話があったことはお伝えいたします。あとは院の方で考えられることだと思うんですけれども、お伝えはいたします。
#51
○木俣佳丈君 副大臣としてだから言ってくださいよ、それを。
#52
○副大臣(松下忠洋君) 申し伝えます。議論があったことを申し伝えます。
#53
○木俣佳丈君 続けてこの年金課税の話にちょっと入りますけれども、経済諮問会議、今やっているところで、これで要するに現役とのバランスをとって御高齢の年金に要は課税をかけるよと。今まで要するに、今、夫婦二人であれば給与所得者の場合が二百二十万円が課税最低限。六十五歳以上になりますと、配偶者が七十歳未満だとお一人が六十五歳以上で三百三十九万円、お二人とも七十歳以上だと三百五十四万円に、こうなっていると。ですから、百三十万円ぐらい差があるからバランスがとれないからこれは課税しますよと、これが経済財政諮問会議の方針で、これでよろしいですか、大体。副大臣。
#54
○副大臣(松下忠洋君) 世代間で課税最低限といいますか今おっしゃったことの違いがあるということは、これはもう数字としてはっきり出ておりますし、中でそういう議論をさせていただいているというふうに、私も陪席しておりますけれども、整理されております。
#55
○木俣佳丈君 これも私、週末、多くの方に言いました。そうしたら、何でというふうに言われるんですよね。
 要するに、公平と考えた場合に公平をどう考えるかということなんです。つまり、所得で夫婦二人で二百二十万円ということと、三百五十万円または三百三十九万円という絶対額で公平か公平じゃないかと見る見方が一つあると思うんです。だけれども、年金の場合にはもう一つはその人の年齢のチャンスという意味の公平さというのを考えるのも私は必要じゃないかと。
 例えば、七十歳になってアルバイトなりなんなりというのはできますか、それ以上の所得がふえますかというと、これは無理なんですよね。だけれども、例えば二十歳ぐらいで、二十数歳で二百二十万夫婦でもらっていて、これは大変苦しいと思うんですが、しかしこれは働けば、もう少し頑張ればもう少しふえるというチャンスがあるわけですね。
 ですから、チャンスの公平で言うと高齢者と若年者のこの差があるわけで、私は将来、もう後は老いの時でゆっくりした老いを暮らしたい、こういう方々に、消費税がまた上がるんですよね、そしてまた介護保険料がふえた、医療費負担もふえた、どんどんふえていく中でさらにまた追い打ちして課税最低限を下げていくと、財務省が。こういうやり方というのは本当にどうだろうかというふうに思うんですが、どうですか。財務副大臣と両方。
#56
○政府参考人(木村幸俊君) 私からまずお答え申し上げます。
 今、委員の御指摘の数字でございますが、基本的にはまさに公的年金等控除というのがございまして、これはまさに高齢者の生活におきまして公的年金等も大きな役割を果たしているということから設けられておる控除でございますが、これにつきましては、今御指摘のように、その結果といたしまして年金生活者の方々の課税最低限が給与所得者に比べましてかなり高い数字になっていることは事実でございます。
 要するに、こういった年金税制とか高齢者に対する税制につきまして今後どう考えるかという問題でございますが、まさに高齢化の進展のもとで年金の受給者が増加しております。それからまた、高齢者の所得水準上昇に伴いまして生活実態が多様化してきていると、そういったものをいろいろ考えていくことが多うございます。
 今後、世代間の公平を初めといたしまして、公平、中立、簡素といった税制の基本的な観点に立ちまして、従来から申し上げておりますように、年金課税全体としてまさに拠出、運用、給付を通じた負担の適正化を図っていく必要がある、そういった方向に向けて検討を行っていく必要があると考えているところでございます。
#57
○木俣佳丈君 副大臣、何かありますか。
#58
○副大臣(村上誠一郎君) 木俣委員の御質問にお答えします。
 課税最低限の問題も含めそうですが、私自身はやはりトータルで考える必要があるんじゃないかなと。例えば、国民資産の千四百兆のうち六十歳以上が三分の二を持っていますし、五十歳以上が大体四分の三を持っているわけですね。そういうことを含めて、所得だとか資産だとかいろんなものを考えて課税最低限を決めるということが私は一番重要じゃないかなと思います。
 ただ、私自身としては、税の公平の負担から考えた場合に、今までは老人というか年輩の方は弱者だという通念がありましたけれども、やはり受益者負担ということをお互いに老年層も若年層も分かち合うということがこれから必要じゃないかな、そういうふうに考えております。
#59
○国務大臣(坂口力君) 今、木俣議員のいろいろのお話を聞いておりまして一つ感じますことは、例えば消費税に転換をしていくことになりましたときに、先ほど御指摘になりましたように例えば四%なら四%ふやすということになりますと、それはやはり高齢者にもその分オンするわけであります。ですから、高齢者の皆さん方にもそれはオンしますから、これはそれなりにやはり高齢者の皆さん方は終生それを負担していかなければならないということで、かなり負担になるなという気がいたします。
 そして、今また逆に、年金の税制に対するお話が出ましたが、これも中を見ますと、すべての高齢者がそんなにたくさんの年金をもらっておみえになるわけではなくて、やはり課税対象になるような人は大体全体の中の一割、せいぜい一割かちょっとそれにプラスするぐらいな程度の人だと私は思います、たくさん取っている人、年金プラス所得ですよ。それで、多い人はそういうことだというふうに私は思います。ですから、すべての人の年金に税制が満遍にかかってくるという意味ではないというふうに私は理解をいたしております。
#60
○木俣佳丈君 もちろんそうだと思いますけれども、これが例えば二百二十万になったときにかなり、今だと課税ベースが三兆ぐらいだと思いましたけれども、二・三兆か三兆ぐらいだと思いましたが、これが十倍ぐらいに膨れるというのは火を見るより明らかだと思うんですよ、そこまで下がれば。百数十万。ですから、相当な負担になるのはこれは間違いないと私は思います。
 それと、今言われたように、今の制度のままでは基礎年金部分というところはやはり相いかなくなりますから、ですから結局そこを税で補てんしなければならないのは、これもやっぱり僕は明らかだというふうに思うんです。
 ですから、私が思うのはそこのところを、つまり課税最低限というものを高齢者の今の三百四十万とか五十万というのを下げるんではなくて、むしろ消費税が上がるんだからと、こういう議論の方が要は安定した年金というのが私はできると、このように思っておるんです。
 さらに議論を進めますと、税制のところで考えますと、今、税というのはいろいろな意味での拠出と給付と運用のところのバランスだと何度も何度も財務省の方からありましたけれども、ならば例えば経済諮問会議では特別法人税についてはどのように考えていらっしゃいますか。副大臣。
#61
○副大臣(松下忠洋君) 今ちょっとここに持っていませんので、お答えすることはできません。
#62
○政府参考人(辻哲夫君) 特別法人税につきましてでございますが、これは現在、特別法人税は、低金利といった非常に厳しい経済環境のもとで、平成十四年度まで課税が停止されているということでございます。
 ただ、特別法人税を含めた年金課税のあり方につきまして、政府税制調査会等において、世代間の公平や拠出、運用、給付を通じた負担の適正化の観点からこれを見直すということが必要であるという指摘をされておりまして、この検討状況を踏まえながら厚生労働省としても対処してまいりたいと考えております。
#63
○木俣佳丈君 松下副大臣、余りそんなに細かな話じゃないんですよ。要するに、課税のベースというのは、拠出のときか運用のときか給付のときかという大きな三つのうちで、先回も言いましたように、運用のところで課税がかかっているところは日本だけだという、そういうことですから、これをどうするかというのをだから議論したかどうか、議論があったかどうか。ちょっと、統括官。
#64
○政府参考人(坂篤郎君) 例えば、先般十一日に発表されました「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針(素案)」、これはまだ素案の段階でございますが、そこの二十四ページあたりに「年金制度の改革」という項がございまして、そこの(2)に「今後の検討課題」というのがございますが、その「今後の検討課題」の一つとして先ほど来先生が御指摘になっておられますような「世代間・世代内の公平を確保するための年金税制の見直し」という項がございます。そこはごく一般的に、今後の課題ということからそうなるのかもしれませんが、ごく一般的に書いてありまして、今、先生が御指摘になりましたような特別法人税といったような議論は特段出てきておりません。
#65
○木俣佳丈君 厚生省の年金局長に伺いたいんですが、例えば仮に今度、給付型年金でもそうですが、拠出型年金でもそうです、年間拠出を例えば四十万円ぐらいを特別法人税の一・一七三を掛けて四十年間運用させた場合の税のパーセンテージ、全体の基金に占める税のパーセンテージは多分出ていると思うんですが、どのぐらいになるか。
#66
○政府参考人(辻哲夫君) 企業型の確定拠出年金の限度額四十三・二万円というもので四十年間拠出する、その場合の運営管理コストを除く運用利回りを四%とするという前提を置きますと、その間に課される特別法人税の累計額は約六百万円、四十年後の年金資産額約三千二百万円の約二〇%に相当するという試算がございます。
#67
○木俣佳丈君 今、松下副大臣はこの額を聞いて、一から二割、今、二割ということだったんですが、減少するんですよね、これ。運用面で基金が削られるわけですが、これは多いと思いますか少ないと思いますか。多いと思うか少ないと思うかだから、それは副大臣答えてよ。
#68
○政府参考人(坂篤郎君) 私どもがお答えするのがふさわしいかどうかということはございますが、確かに少ない額ではないわけですけれども、四十年という長期にわたる負担の総計でありますし、これにより特にすごく無理がかかるということは必ずしもないんじゃないかなとは思いますが、私ども、先ほど申し上げましたように、そういったことについて詳しく検討したわけではございませんので、あるいは厚生労働省さんから御答弁をいただいた方がよろしいかなというふうに思います。
#69
○木俣佳丈君 それじゃ、今この場でちょっとお願いしますが、副大臣、これは答えてください。
 経済財政諮問会議で税を見直すということであるならばトータルとして、要は拠出のところと運用のところと給付のところで給付だけを考える、これは財務省的発想ですよ。ですから、まさに運用のところの、今、基金をどう守るかということで新しい年金制度をいろいろ出すわけですから、ここのところもしっかりと、この特別法人税の見直しについて、またはこの廃止について議論するということを確約ください。
#70
○副大臣(松下忠洋君) 厚生労働大臣も入っての議論になっておりますから、当然そういうものを含めて議論されていることは間違いありません。
 十一日に議論して出しました中間報告的な素案でも「世代間・世代内の公平を確保するための年金税制の見直し」ということで、公的年金や企業年金等に対しても一般の給与所得などと異なって特別の所得として扱われているということで、若い世代の給与所得者に比べ優遇した課税が行われている、この点を含めた年金税制のあり方について、世代間の公平や、拠出、運用、給付の各段階を通じた負担の適正化の観点から見直していくというふうになっております。
 この経済財政諮問会議というのは改革の青写真を示していくということでありますから、あとの制度設計の問題についてはこれからまたそれぞれの省庁で改革の方向に沿って議論していくということになっていますので、こういうことで議論させてもらっております。
#71
○木俣佳丈君 ちょっと、じゃ、厚生大臣からぜひ、また副大臣からお答えください。
 これ、十一日の発表で全く検討されていないというふうに言われているわけですから、これはぜひ検討課題にやっぱりのせてください。どうでしょうか、大臣。
#72
○国務大臣(坂口力君) 現在のところ、まだそこまで具体的なところまで話は行っていないことは事実でございますので、まだ大きな項目、柱立てだけの話でございますから、今後はそうした問題も検討課題にのせていくものと思います。
#73
○木俣佳丈君 いずれにしても全体基金の一〇%、または多いと今言われたような拠出限度だと二割が削られてしまうわけですよね、この基金の。だから、これは大変な額だと僕は思いますし、別にそんな微細な議論ではないです、これは。これは国民ほとんどの人がもう廃止をせよと、財界も含めて労働界も含めて廃止をせよと。守るは財務省ということになっているわけですから。だから、これはやはり徹底的に議論いただかないと、単に現役とのバランスを給付のところだけでとるんだ、ここでさらに課税をかけていくんだというのでは、これはバランスある議論ではございませんので、ぜひこれは検討を本当にしていただかないと困るということをつけ加えさせていただきます。
 大臣、じゃ再度検討いただくということでよろしゅうございますか。
#74
○国務大臣(坂口力君) 当然検討課題に入れたいと思います。
#75
○木俣佳丈君 それでは、基礎年金の話から今回の確定拠出年金のお話をさせていただきたいと思います。
 まず初めに、技術的な議論も含めて御確認いただきたいような答弁も含めてさせていただきたいと思っておりますけれども、この問題は、先ほど同僚議員の方からもありましたように、加入者の保護というのがまず一番のテーマになってくるかというふうに思っておるわけでございます。
 そこで、初めの質問としましては、事業主の禁止行為の具体的内容につきまして、ちょっと細かくなりますので副大臣または政府参考人からお答えいただきたいと思いますが、この企業年金にかかわる問題について、財界というのは労使自治に任せるべきという立場から行政の介入というのを嫌うような傾向にあると言われております。しかしながら、従業員、働く側の立場からすれば、企業の行為に一定の基準とか制約が設けられるのは当然にこれは必要なことだと、これは余り異論がないかと思います。質問の十です。
 それで、第四十三条に「行為準則」ということで載っておりますけれども、この三項二号で掲げておりますが、「企業型年金加入者等の保護に欠けるものとして厚生労働省令で定める行為」と記述されておりますが、これはどのような行為を想定しているか、具体的にお示しいただきたいと思います。
#76
○政府参考人(辻哲夫君) 御指摘の法案第四十三条三項二号に基づく省令におきます加入者の保護に欠ける行為として、加入者に対して特定の運用商品を選択するよう推奨または強要することや事業主に運用指図を委託することを推奨または強要すること、まずこれを禁止します。それから次に、自己または第三者の利益を図る目的をもって運営管理機関に対して特定の運用商品を提示させること。それから三つ目が、運営管理機関に対して特定の運用商品を加入者に推奨するよう求めること、こういったことを規定して、加入者の運用指図の権利を不当に侵害するような事業主の行為を禁止することを考えております。
#77
○委員長(中島眞人君) 速記をとめてください。
   〔午前十一時十一分速記中止〕
   〔午前十一時二十四分速記開始〕
#78
○委員長(中島眞人君) 速記を起こしてください。
#79
○木俣佳丈君 ちょっと調子が狂ってしまいますが、時間が延びますので、ちょっとおなかが減るかもしれませんが。
 次に、投資教育につきましてお尋ね申し上げたいと思います。
 きょう午前中も同僚議員からもこのお話がございましたけれども、日本は投資をするという意識に非常に欠けている国ということをよく言われております。例えば、財務省にはなんでございますが、これだけ低金利の続く中で預金が激増している、こういったことを見ても、一体投資ということ、投機ということも含めてやはりなかなか理解が進んでいないというような気がするわけです。そういう中でこの法案が可決するものですから、非常に危ういこともあるのではないかな。幾つか投資に関する事件もございましたし、こういったことについてお答えをいただきたいんです。
 平成十一年七月の四省案、これでは投資教育という言葉が使われておりましたが、しかし本法案では第二十二条で「資産の運用に関する基礎的な資料の提供その他の必要な措置を講ずるよう努めなければならない。」として、一般的な資料提供、しかも単なる努力規定として定めているにすぎないということで、投資教育という四省案から相当に後ろに下がったものであるというふうに考えております。
 自己責任原則というのはもちろん大事だと思いますが、しかし何度も申しますように、投資教育ということを、単に自分で全部やれよということだけではなくて、やはりもう少し細かい投資教育が必須のものと考えるわけでありますが、まず第一番目に伺いたいのは、これが事業主の明確な義務規定とならなかった理由についてお答えいただけますでしょうか。
#80
○政府参考人(辻哲夫君) 資産運用に関する情報提供、まず投資教育という言葉自身が概念として一義的でないということで、このような「資産の運用に関する基礎的な資料の提供その他の必要な措置」となったわけでございます。
 それにいたしましても、このことにつきまして、各加入者によって資産運用に関する知識水準や老後の生活設計が異なることから、どのような内容、方法でどの程度まで行うべきか、これを一義的に決めることが実際上の制度運用の実務から見て非常に難しいということから、義務づけということは義務づけ違反であるかどうかということが明確でなければなりませんので、努力義務にとどめたものでございます。
 米国のERISA法におきましては、このように義務も課しておりませんし努力義務規定もないということで、これはもう当然の前提ということで法的には位置づけられているものと承知しております。
#81
○木俣佳丈君 ERISA法にはあってこちらにはない、そういうことを何度か伺ったことはありますけれども、そもそも法律の内容的にもERISA法とは大分似て非なる、例えばアメリカの四〇一kという制度とこの確定拠出企業年金というのは、途中で引き出しができないとか、そういう意味でも似て非なる法案でございますので、余りそういうときだけERISA法と比べてどうのこうの、こういうことを言う必要があるのかな。
 それからまた、先ほどから申しますように、日本ではやはり貯金は美徳ということが、特に戦後、傾斜生産方式を進める上でも必要ということで、私も小学校に銀行の人が来たのをよく覚えておりますけれども、こういったことが進んでおったのと反対に株式等々その他投資に対する教育がなかったわけですから、これは当然のことというのにはならないと思うんですが、大臣、ちょっとお答えいただけますか。規定はなくても当然そうするものだということなんですが、これは答弁の中で確認しておきたいんですけれども、やはり企業側にこういった投資教育をする必要があるということを明確にお答えいただきたいと思います。
#82
○国務大臣(坂口力君) 確定拠出型の年金を導入しようと思いますと、これは従業員の皆さんもさることながら、やはり企業経営者の皆さん方に対する教育と申しますか、教育といいますよりもいろいろの情報提供あるいはまた現状の分析等々、そうしたことをよくお知らせしなきゃならないだろう。いろいろのことを判断していただきますいわゆる判断基準になるようなものをお示ししなければならないというふうに思いますし、また勉強もそれぞれやっていただかなければならないというふうに思っています。
 その中で、国が出しますものというのは、とりわけ株式等のことについて具体的なことを国が出せるというわけではありません。しかし、国の方は、現在の経済の状況がどういうことになっているかとか、今どういうことを政策として行おうとしているかとか、そうしたことをやはり提供して御判断をいただく材料にしていただくということが大事ではないかというふうに思っております。
#83
○木俣佳丈君 今お話がありましたような情報提供、お知らせをしていくということが大事だと、私もそう思います。また、判断の基準となるようなというお言葉でございましたので、やはりいわゆる情報提供のガイドラインのようなものはきちっと別に制定していかなければならないと思うんですが、その方向でいいと思うんですが、再度確認したいと思います。
#84
○政府参考人(辻哲夫君) 御指摘のとおり、内容について、私ども、法二十二条の趣旨をより指導する必要があると思います。
 具体的には、まずこの確定拠出年金制度の仕組み、それから各種商品のリスクの内容、リターンとの関係などの投資に関する基礎的な知識、それから預貯金、投資信託、保険商品などの特徴やリスクとリターンの仕組みなど主な金融商品の特徴や仕組み、こういった事項については最低限加入者に情報提供すべきものとして考え、また情報提供の方法として、企業等が個々の加入者に応じてテキストの配付ですとかビデオの上映や配付ですとか、あるいは説明会の開催等の方法を、わかりやすく、かつ丁寧な情報提供をそのような方法により行うべきと考えておりまして、以上述べました内容を通達により明らかにしたいと考えております。
#85
○木俣佳丈君 ありがとうございました。
 いずれにいたしましても、投資教育という非常にかちっとした言葉からしますと、この二十二条の資料提供というものも、しかも努力規定ということでございますから、二段階でちょっと下がった感じがするわけでして、ここは、今、局長の方から通達でというお言葉がございましたので、これを明確にしながら企業側に明確な提示を重ねてお願い申し上げる次第でございます。
 続きまして、労使合意のあり方につきまして、これは非常に問題というか、いろいろ問題になってくると思いますので、少し細かい御質問をさせていただきます。
 企業年金の制度導入に関しては、労使、特に過半数組合、または過半数の代表者と法文に書いてございますが、ここで労使の合意で規約を策定する、これは三条の規定になっております。この規約の導入に関しまして労働協約を締結した場合は、労働協約を再度直した場合には労組法の十六条の規範的効力が及ぶと、このように理解してよいかどうか、お答えいただきたいと思います。
#86
○政府参考人(坂本哲也君) 労働協約についてのお尋ねでございますけれども、労働協約は使用者と労働組合が労働条件その他に関する事項につきまして書面によって作成をする、そして両当事者が署名しまたは記名押印することによって効力を生じるわけでございますけれども、今回のこの確定拠出年金法に基づく年金の導入に関しまして、企業内において労働組合が存在する場合に労働協約を締結するということはもちろん可能でございまして、その場合、年金につきましては労働条件でございますので規範的効力が生じるということになるわけでございます。
#87
○木俣佳丈君 もう一度確認したいんですが、規範的効力が及ぶと理解してよいということでよろしいですか。
#88
○政府参考人(坂本哲也君) 労働組合法の労働協約ということになりますので、年金につきましては労働条件に該当するということで規範的効力が生じると、及ぶということになるわけでございます。
#89
○木俣佳丈君 そうしましたら、この規範的効力が及ぶ場合、個々の労働者にとっては不利益なものであってもその効力は及ぶということで理解してよろしいですか。
#90
○政府参考人(坂本哲也君) 不利益とおっしゃる意味があれですが、労働協約の内容はこの確定拠出年金法に抵触するようなものであってはならないわけでございまして、法律に抵触する部分は法律の方が優先をするということになるわけでございます。
#91
○木俣佳丈君 過半数で組織する組合がない場合に労働者の過半数代表というのが法文に明記されておりますが、ここと合意した場合、この規約の締結をもって制度導入の手続は完了したと、このように考えてもよろしいわけですか。
#92
○政府参考人(辻哲夫君) 労働組合がない会社の事業主が従業員の過半数を代表する者と合意して確定拠出年金を導入する場合について、当該合意に基づき確定拠出年金の規約を作成し、厚生労働大臣の承認を受けたことにより導入の手続は完了し、従業員にその効力が及ぶとされております。
#93
○木俣佳丈君 その場合の合意の手続でありますけれども、いろいろあると思うんです、従業員総会とかその他あると思うんですが、これはガイドラインというのか、どのようになるのかというのは何か通達等々で定めますか。
#94
○政府参考人(辻哲夫君) 現在、労働基準法施行規則におきまして、御指摘の労使協定を結ぶ際の手続として、労働者の過半数を代表する者について具体的に、労働協約の締結を行う者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法により選出された者であることとの要件が課されております。確定拠出年金法案におきましても、労働組合がない場合の被用者年金被保険者等の過半数、すなわち加入しようとする者の過半数を代表する者につきましても、この規定を基本的に踏襲していく考えでございます。
#95
○木俣佳丈君 また、そのような場合に合意手続については明確にやはり今言ったことを明示していただかなければいけないんですが、そういった合意に反する人というか、いや、それでは嫌だよと、こういうような人があり、その合意はちょっとというような、ちょっとこれでは自分のためには不利益になるんだよと、そういった労働者にとって不利益なものだとしても個々の労働者というのはそれに従う必要があるかどうか、お答えいただけますか。
#96
○政府参考人(辻哲夫君) 確定拠出年金の導入自身は、むしろ確定拠出年金の導入によりまして事業主の拠出が行われるということですので、それ自体が労働者の不利益になるということはございませんので、そのような意味で確定拠出年金の導入についてということであれば直ちに不利益につながらないと考えます。
 ちなみに、確定給付型の企業年金から移行するときに確定給付型の企業年金を引き下げてその後移行するというような場合は、その部分がどういう意味を持つかということかと存じます。その場合におきましては、これはまた別途、確定給付型企業年金の切り下げにつきまして、労使の合意につきまして相当いわば厳密な手順を経ておりまして、この厳密な手順を経た場合に厚生労働大臣の承認または認可を得て効力を発します。そのときは、その厳密な手続を経た結果、全員に効力が及ぶということになります。
#97
○木俣佳丈君 今の移行の手続については、また再度御質問させていただきます。
 次に、将来の給付の減額について伺います。
 この拠出年金を導入して、これが法ができて導入した後で、企業型において企業が業績不振やリストラ、経費カット、こういったものを理由として減額または拠出率の引き下げというのを行うことは可能かどうか、お答えください。
#98
○政府参考人(辻哲夫君) 確定拠出年金の事業主掛金につきましては、掛金額または掛金の拠出率など掛金の算定方法を年金規約で規定しなければならないこととされております。企業が労使合意により企業型年金規約を変更した上で、将来期間分について掛金の減額や掛金率の引き下げを行うことは可能でございます。この掛金の減額等はいわば労働条件の将来への不利益変更に当たることから労使間で慎重な協議を行っていただくと、その前提での規約の変更だというふうに理解しております。
#99
○木俣佳丈君 その他、この拠出額の減額または拠出率の引き下げというものを行う理由というので例えばほかには、もうとにかく理由というのは何でもいいんですか、労使合意があれば。そこをちょっと。
#100
○政府参考人(辻哲夫君) 一義的には労働条件の変更にかかわる内容ということで、これはあくまでもやはり労働条件の変更というのは労使の合意によるということで、この確定拠出年金法によってその理由を限定するというような考え方にはなっておりません。
#101
○木俣佳丈君 再度、重要なポイントだと思いますので。
 この変更というのは労使合意があれば何でもというとちょっと言い過ぎかもしれませんが、つまり労使合意があれば変更というのはとにかく何でも大丈夫だということでよろしゅうございますか。
#102
○政府参考人(辻哲夫君) あくまでもこの確定拠出年金法でさまざまな合理的な理由でなければできないことといったような個別の規制がございますけれども、そのようなものをクリアし、かつ労使が適正な手続をもって合意していると。これは非常に重要なことでございますけれども、ここがクリアできれば引き下げについての内容は効力を発するということでございます。したがいまして、手続が適正なものであったかどうかについて、これは十分な審査が必要であると考えております。
#103
○木俣佳丈君 今のお答えの中で、この理由についての合理性ということでございましたが、この合理性の判断というのはだれがどのようにするということで考えてよろしゅうございますか。
#104
○政府参考人(辻哲夫君) 今申しましたのは一般的な規制についてでございまして、引き下げにつきまして個々にこの法律には規制は存しません。したがって、引き下げに関しては、問題は合意が適正に行われたかどうかでございまして、その判断は厚生大臣が承認に当たって行うということでございます。
#105
○木俣佳丈君 大臣がどのような基準に照らし合わせてこれを合理的であるというふうに考えるわけですか。何かそういった通達なり別の基準というものをおつくりになるつもりですか。
#106
○政府参考人(辻哲夫君) 少なくとも、この掛金の引き下げということに関しては、まさしく企業内における労使の労働条件の変更でございまして、このことに対して確定拠出年金サイドから一定の基準を設けるということは適切でないと考えております。
#107
○木俣佳丈君 いや、ちょっとごめんなさい、意味がよくわからなかったんだけれども、要は大臣が御判断されるということですよね。
 そのときのガイドラインというか、こういったところにやっぱり抵触するというその基準ですね、一つの物差しというのはこの法案の中にあるわけですか。
#108
○政府参考人(辻哲夫君) 規約そのものにつきましては、確定拠出年金を導入するときに規約で定めなければならない事項というのは法定されております。このさまざまな事項については、この法定した事項が定められているかどうかということは、これは法律に基づいて審査いたします。
 ただ、今の拠出金額の引き下げのことだけに関しましては、むしろ手続が適正であるかどうかということだけが基準でございます。
#109
○木俣佳丈君 そうしますと、もう一回振り出しに戻って、その手続の話だと、労使合意があれば要は理由はともかくということになると思うんですよね。
 例えば、ある企業ではこの理由に合理性があると考えた。それを労使が合意すれば大臣は自動的に手続上はオーケーだからということで判こを押す、判こを押すというか認めるという、こういう話になるわけですよね。そういうことですね。
#110
○政府参考人(辻哲夫君) 個々の企業における労働条件の変更というものに対して、確定拠出年金をつかさどる厚生労働大臣は仰せのとおり個々の介入はいたしません。したがって、手続が適正かどうかだけで承認の判断をいたします。
#111
○木俣佳丈君 さらに、この拠出額の引き下げの限度というのはないと理解してよろしいですか、無制限に下げていいと。
#112
○政府参考人(辻哲夫君) この点おのずから、例えば退職金の振りかえといったようなことが事実としてその原因であるときには、その退職金との関係が問題になるとか、おのずから一定の限度は内在するものと考えますが、この制度によって引き下げの限度は設けておりません。
#113
○木俣佳丈君 引き下げの限度はないということでありますから、労使合意というのが前提ではありますが、ちょっとこれ本当にこういったことでいいのかなと。要は、企業年金という、賃金の後払いという性格からすると、これは労使合意があればということですべて決めてしまっていいのかなという気がどうしてもとれません。
 要するに、行政のチェックというのをどこでどう働かせていくかというのが非常に重要だと思うんですけれども、どういうふうにチェックをしていったらいいと思いますか。
 つまり、労使合意のところまではもちろん踏み込めないというような今判断が示されたと思うんですけれども、しかしながら余りにもこれ不利益になるじゃないかというのが出てくると思うんですよね。極端に言えば、物すごく差がある、または、なくしちゃうとかいうときに、これは幾ら何でもちょっとやり過ぎじゃないかいなというのが多分出てくる可能性が非常にあるんじゃないかというふうに僕は考えるんです。その場合に、もちろん法廷闘争は最終手段として、監督官庁として明確な何か意思というものを出さないとならないような気がしますが、どのようにお考えになりますか。
#114
○政府参考人(辻哲夫君) 私ども、あくまでもこの労働条件、個々の企業における労使の個々の労働条件の変更の問題でございますので、そこについて公的な介入ということはいたすべきではないと。
 今御指摘のように、この確定拠出年金法の問題ではなくて、労使合意による不利益変更というものが法的に著しく合理性を欠いた場合にどうなるかというような議論はたしか法廷での取り扱い例があると聞いておりますけれども、そのようなものの一環であると考えております。
#115
○木俣佳丈君 この拠出額の減額あるいは拠出率の引き下げの手続について、ちょっとケースを挙げますので、こういった場合どのように扱われるか、三つまとめてお答えいただきたいんです。
 第一番目は、過半数労働組合や過半数代表従業員の同意を得て会社が拠出金の減額ないし拠出率の引き下げを行った場合、これは今のケース。二番目、過半数労働組合や過半数代表従業員の多数は同意したが、不同意の従業員がいて、拠出の減額ないし拠出率の引き下げにあくまでも反対した場合。三番目として、過半数労働組合や過半数代表従業員の同意がないまま会社が一方的に拠出金の減額ないし拠出率の引き下げを行った場合。この三つでございます。
#116
○政府参考人(辻哲夫君) まず第一点目でございますけれども、御指摘のような手続を経て企業型年金規約を変更し、厚生労働大臣の承認を得て、掛金の減額または率の引き下げを行うことは可能でございます。
 それから第二点目、不同意の従業員がいてそして反対したという場合はどうかということでございますが、これにつきましても、従業員の過半数で組織する労働組合や従業員の過半数を代表する者の同意があれば、一部の従業員が反対していても企業型年金規約を変更し、厚生労働大臣の承認を得て、掛金の減額または率の引き下げを行うことが可能でございます。
 三点目の同意のないまま一方的に行われたという場合でございますが、従業員の過半数で組織する労働組合や従業員の過半数を代表する者の同意なしに企業が一方的に掛金の減額や率の引き下げを行うことは認められず、こうした同意なしに企業が企業型年金規約を変更しようとしても厚生大臣は承認しないこととなるということでございます。
 いずれにいたしましても、労働条件の変更というものに係る内容でございますので、拠出額の減額あるいは拠出率の引き下げの手続につきましては、承認に当たってその内容が適正であるかどうか、これを十分に審査いたしたいと考えております。
#117
○木俣佳丈君 続きまして、今度は給付の方に向かいますけれども、厚生年金基金の給付の減額に当たっては、規定として、加入者の三分の二以上の同意と加入員の三分の一以上で組織する労働組合がある場合、その同意の必要を言っているわけでございます。この拠出年金に移行するに当たって、確定給付企業年金の給付を減額する場合にはかなり厳しい減額要件というものを付加していると思うんですけれども、これは確定拠出年金においても厚生年金基金の給付減額における同意要件と同じだというふうに考えてよろしゅうございますか。
#118
○政府参考人(辻哲夫君) 確定給付型の企業年金におきましては、将来の給付を引き下げる場合には、御指摘のような通常の規約変更よりも慎重な手続を課すことを考えて、厚生年金基金がそうでありますので、確定給付型の新企業年金についてもそのようにすることを考えております。
 一方、確定拠出年金につきましては、確定給付型の企業年金とは異なりまして、毎月の拠出額を約束しているものであって将来の給付水準を約するものではないと。少なくともこれまでに事業主が拠出した掛金に相当する分につきましては、加入期間三年以上であれば権利が確定し、不利益な取り扱いを受けることはないと。例えば、よく言われる懲戒免職のときといった場合は企業年金は出ませんけれども、これは加入期間三年以上であれば権利は確定いたします。このようなことから賃金と類似した性格を有しております。
 このため、確定拠出年金における拠出水準の変更につきましては、確定給付型の企業年金における給付水準の引き下げではなくて、むしろ賃金水準の変更の際の手続とのバランスを重視すべきものと考えておりまして、その引き下げにつきましては通常の労使合意によることとしたものでございます。
 就業規則の変更による賃金水準の変更の場合、これはむしろ労働組合の意見を聞くこととされておって合意は必要としていないということでございますので、就業規則の変更による賃金水準の変更に比べれば、このたびの確定拠出年金における手続は合意ということでございますので、慎重な手続になっておるということでございます。
#119
○木俣佳丈君 今お話にありますように、ちょっと確認をしたいんですが、確定拠出年金または給付年金について、企業年金全般でございますけれども、米国の場合には例えば懲戒免職になった場合にはこの年金をストップするということがたしかできますよね。日本の場合には、これは執行をとめるというのか給付をとめるということは日本の場合はできませんですね。
#120
○政府参考人(辻哲夫君) この法体系によりますれば、確定給付企業年金、これにつきましては従来の退職金から振りかえてきたという沿革もございまして、懲戒免職の場合は支給しないとすることを定めることは可能でございます。ただ、そのときに支給するとすることも可能でございます。しかし、支給しないとすることを定めることは可能でございます。
 しかしながら、今回のこの確定拠出年金に関しましては、少なくとも加入期間三年以上であれば権利は確定いたしますので、これにつきましてはたとえ懲戒免職であってもこの部分を取り戻すことは法的にできないという仕組みになっております。
#121
○木俣佳丈君 次に、これは確認の御答弁をいただきたいと思っております。
 従業員の過半数労働組合がない場合の過半数代表ということで、この場合に証明する書類が必要となっているけれども、具体的にどのような証明が必要なのか。労働基準法では、過半数代表者の地位、選出手続について、規則六条の二において、一、「法第四十一条第二号に規定する監督又は管理の地位にある者でないこと。」、二として「法に規定する協定等をする者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続により選出された者であること。」との規定があるが、これを準用する、または踏襲するべきではないかと思うのでございますが、ここのところの確認をしたいんです。
#122
○政府参考人(辻哲夫君) 確認させていただきますと、労使協定を結ぶ際の手続として、労働基準法施行規則においては、労働者の過半数を代表する者については、労働基準法第四十一条第二号に規定する監督または管理の地位にある者でないこと、それから労働基準法に規定する協定等をする者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法により選出された者であることとの要件が課されております。
 また、この要件を確認するために労働基準監督署長への届け出の書類には、協定の当事者である労働者の過半数を代表する者の職名及び氏名、それから労働者の過半数を代表する者の選出方法を記載することとされております。
 確定拠出年金法案における被用者年金被保険者等の過半数を代表する者の手続に関しましても、この労働基準法施行規則の今申し上げました規定を基本的に踏襲し、的確に運用してまいりたいと考えております。
#123
○木俣佳丈君 ありがとうございました。
 続きまして、移行措置について、既存制度からの移行ということで、先ほど若干触れさせていただきましたが、これが非常に重要なポイントではないかと思っておりますので、御質問をさせていただきます。
 例えば、確定給付の方または今までの企業年金というのが、カーブが後ろへ行くほどせり上がっていくような形になり、長期の勤続者ほど累進的に増加するというカーブがかかれて、そのようなモデルで支給をされると大体私も理解しております。
 今度の拠出年金というのは、それはもちろん拠出の額をどうするかということでございますけれども、これでももちろん変動しますが、一般的に大体一定というような考え方でしますと、カーブが逆になるというよりも、もちろん後ろへ行けば行くほど上がるわけでございますが、若い方でカーブが確定給付のカーブよりも上回るというか、上回って交差して下へおりていくという、こういうカーブを描くようでございます。ですから通常の退職金ほどの累進性は有することはない、これが一つの特徴だと考えております。
 そうしますと、若年層には確定拠出の設計の方が有利である、中高年の方には確定給付の方が有利となる、このようになるわけでありますけれども、中高年に既存の企業年金を確定拠出に移行する場合に、中高年層に不利益が生じないような手はずというのは何かございますでしょうか、そういうものが必要だと思いますけれども。
#124
○政府参考人(辻哲夫君) 確定給付型の企業年金あるいは既存の退職給付から確定拠出年金へ移行するということにつきましては、将来受け取る額が運用実績において変動すること自体が直ちに不利益にはならない、あるいはそもそも確定拠出年金には職場を移動する方についてはポータビリティーが確保されているなどの利点があること、こういったことが理由で議論をしてこの導入がなされると思いますが、そのようなプロセスを経た移行自体が直ちに一定の者に不利益変更となるということまでも断じることはなかなか私どもはできないと思っております。
 しかし、その移行に当たりまして個々の従業員に影響が出ますことから、確定給付型の企業年金をいわば振りかえますとき、それは申しましたように一部水準を引き下げたりするわけでございます。例えば厚生年金基金では、加入者の三分の二以上の同意を求めるなどの必要な手続を経て、そして確定拠出年金を実施するために必要な労使合意を経ることを必要としております。
 したがいまして、さまざまな、今申しましたように直ちに不利益になるということが一概に基準をもって言えないという状況のもとで、個々具体のケースについて給付設計の変更を禁止するというふうなことは、労使の自治の問題があり、これまでも企業年金行政では行っていないところでございまして、むしろ確定給付型の企業年金から確定拠出年金に移行する場合には、それぞれの特徴を踏まえて労使間で十分その点を検討した上で移行の是非を決めていただくということが一番ではないかと考えております。
#125
○木俣佳丈君 直ちに不利益になるとは限らないというのは、それは上がることもございますので、下がることもありますから、それが確定拠出または自己責任という表現で言われておるということだと思います。
 ただ、これは非常に難しいと思うんですけれども、個々の労働者が、旧制度、今までのものと選択ができるかどうかというのをちょっと考えてみますと、それは確かに今までの制度が残って確定拠出がさらに入った場合にはそういったこともあるかもしれませんが、やはり企業の事務の煩雑さ等々から考えますと、そういったいわゆる何というんでしょうか、ハイブリッドというのはこのことをいう、また別の意味でハイブリッド年金という意味がどうもあるようでございますけれども、要はまぜてメニューをどんと置いて、一、二、三、四、五ですか、こんなふうに並べて、はい、好きなものをとりなさいと、こうではないはずなんですね。つまり、組合と、代表者と企業側が決めて、いや、我々はこれでいくと、こういう判断になるわけですから、ある中高年層にはある種の不利益変更というものが発生するんではないかというふうに再度思うんですけれども、どうでしょうか。
#126
○政府参考人(辻哲夫君) まず、個々具体の企業経営を考えましたときに、そもそも非常に雇用の流動性が増していると。そもそも流動性が増している中で、年齢にかかわりなく、その方々のこれまでの雇用期間がどうであったかというような実態とか、それから、これから個々人が確定拠出年金によって得られるであろうという魅力をどのように感じているかとか、こういった個々具体のケースまで立ち入って考えてみますと、一概に年齢で有利不利は言えないと考えております。
 もう一つ、今のハイブリッドのことにつきまして。ハイブリッド、すなわち個々の労働者について一概に基準ができないのであれば、確定拠出と確定給付をもう選択できるようにしてはどうかという御指摘かと存じます。
 これにつきましては、確定拠出年金は合理的な理由があれば従業員の一部のみを対象として実施することは可能でございまして、労使合意に基づいて確定拠出年金の加入資格を認めた上で、その一部対象とした方々について、その対象の中で従業員の選択により確定拠出への拠出じゃなくて給与や退職一時金として受け取ることは差し支えございません。要するに、確定拠出の対象としたものが確定拠出に入るか、給与や退職一時金として受け取るかの選択は差し支えございません。
 ただ、確定給付型の企業年金は一定の集団のもとでの相互扶助に基づく保険の仕組みでありますので、確定給付企業年金と確定拠出企業年金の間において個々の従業員が加入及び脱退の自由を選択できるような仕組み、すなわち確定拠出グループを決めた上で、その中で確定拠出か給与、退職金かという選択はよろしゅうございますが、確定拠出か確定給付か、これを自由に選択できますと、確定給付年金の方が一定の集団のもとで相互扶助に基づく保険の仕組みでございますので確定給付年金の方の安定的運用ができなくなると、そのような意味で、御指摘のハイブリッドと申しましょうか、選択型のものはそちらの方については困難でございます。
#127
○木俣佳丈君 込み入った話ですね。ハイブリッドの話は再度させていただくとして。
 この確定拠出年金でございます。ですから、拠出を一定化させるということではありますけれども、基本的に、そうはいってもということで、ほとんどの企業が予定利率というものを置いて、これは仮置きということだと思いますが、それで運用を二十年、三十年基本的にはしていくと。もちろん、この受給権というのは三年から出るわけでありますけれども、恐らくそれを、予定利率というものをどう置くかというのが非常に決定的になってくると思います。
 この予定利率というものを例えば過大に置くという方法はあるんですね。予定利率を過大に置くということは、毎年の拠出を減らせばいいということになるわけですね、ちょっとうがった見方でいうと。これだけもらうためにはこれでいいんだよ、何でかといえば運用はこれだけできますから、こういう発想だと思うんですが、こういった過大な利回りを想定する場合というのはやはり拠出側に不利益になると思うわけですが、何か予定利率の置き方に基準というものは考えていらっしゃいますか。
#128
○政府参考人(辻哲夫君) 御指摘の点は、例えば退職給付制度を確定拠出年金に移行させる場合に、いわば退職給付制度と今、先にもらってしまう確定拠出年金を比較する上で、一定の予定利率というものをどう考えるのかと、こういう御指摘かと存じます。
 これにつきましては、そもそもと言っては恐縮でございますけれども、確定拠出年金は雇用の流動性、あるいは個々の企業における従業員の多様なニーズ、そういういわば個々の企業におけるニーズを踏まえて、労使の話し合いによって導入されるものでございまして、単純に長期に勤続してもらえるはずの退職給付制度の額と比較するというものを前提にしていないんじゃないか。
 すなわち、雇用の流動性のもとで早く職場を離れる、だから確定拠出年金が欲しいとか、自分はむしろ退職金よりも早くもらってそれを運用する方が自分の今後の勤務のあり方としてふさわしいと、こういう方々のいわば希望等に基づいて労使合意で導入する確定拠出年金と退職金給付を一定の利回りで比較するということのその前提そのものをいわば制度的に想定いたしておりませんので、したがいましてそのような意味での予定利回りというものを私どもでは想定いたしておりません。
#129
○木俣佳丈君 想定しようと想定しまいと、恐らくは、拠出のエビデンスというか証拠のためにも企業側は大体このぐらいで回していくんだよ、だからこれだけを拠出するんだよ、我々は給付から移行してこういうふうにしても、ある程度は安心なんだよと、やはりこういう説明をしなければ、いや、もうとにかく移行しますよと、それは何でか、いや、いつやめてもいいようにね、企業はこれは言いません、絶対に。
 しかも、もらう方から、つまり年金の受給を受ける方からすれば、株式市場が、恐らく私が思うに今一万何千円ですか、三千円とか二千円とかいうオーダーで、これから先、小泉総理が言われるように二、三年間で不良債権を処理する、こういうふうになった場合に、株式の上昇というのは見込めないと私は結論づけるんです。しかも、例えば円ドルの換算でも、恐らく極めてこの暮れにかけてどんどん百三十円に向かっていく、さらに円安というのが続くんですね。となりますと、企業業績が上がって株式の方に資金が流れるということが本当にあるかなという感じがするんです。相殺されて、大体今の水準か四千円ぐらいが大体のここ二、三年の平均になる、私はこうやって見ておるんですが、局長、どう見ていらっしゃいますか。
#130
○政府参考人(辻哲夫君) 率直に申しまして、私も年金福祉事業団の資金運用事業部長をさせていただきましたけれども、毎週、専門家から当面の見通し、長期見通しを伺いましたが、率直に申して半分以下しか、あるいは当たらなかったというのが現実でございまして、私自身、公務員といたしましても、将来をどのように予測するかがいかに難しいことかと正直痛感いたしております。
 それで、今御指摘の利回りというものをどう想定するか、どうしても議論で出てくるじゃないかというような御指摘かと存じます。私ども、この制度に関しまして、利回りに関してはいわば二つの面で論議があると思います。
 一つは、確定給付年金を確定拠出年金に振りかえますときに、過去にさかのぼって振りかえますので、過去のいわば加入実績に応じた移換額を現時点に換算いたしまして、そしてそれをどれだけの額として振りかえるかというときの利回り、これはまさしく制度的に、いわば切りかえるときに枠組みに乗って行われるものですので、これは制度が定めねばなりません。これにつきましては、企業年金が解散した場合に企業年金の加入者等に分配されることとなる額、これは最低積立基準額と言われているものでございますけれども、こういう額の計算方法は既に決められておりまして、これは全企業年金一律の利率、具体的には二十年国債の直近五年平均というものと同じものを用いる予定でございます。
 しかし、肝心な点は、将来に向けて振りかえるという場合にどういう利率を想定したらいいのか、これも非常に今申しましたように難しい問題でありますのと、まさしく企業で確定拠出年金に移行することの是非も含めまして、その点の見通しというものは労使で十分議論されることでありまして、それに行政が介入するというのは難しいことだと考えております。
#131
○木俣佳丈君 外れたということなんですが、そんなことを余り国会の場で別に引き出そうと思って私も言っていませんでして、むしろ自信を持って厚生年金というのはちゃんと守れるんだというような意見を言っていただかないと、我々ももうやめようかなと、こういうふうになってしまいますので、もう少し勉強してください。
 それで、そうはいっても、ちょっとくどくなりますけれども、今申しましたように、将来に向けて振りかえていく、このときに、振りかえますその説得として、要は予定利率をこのぐらいで回していけば、つまりこういう運用の仕方をしていけばこういうふうになりますよと。企業年金でありますから、別に個人で加入する方とは別ですよね。ですから、企業と労使の合意で、あ、そうか、それだったらいいなということで移行する形の方ですよ。であれば、やはりこのぐらいで回していくということが想定できれば、こっちに行っても急激な経済の変化はあるかもしれないけれどもそこはしようがない、しかしながら今の時世に合わせてこちらへ移行しよう、年率大体このぐらい、二・七とかぐらいのパーセンテージになると思うんですけれども、これで回していきましょうと、こういうふうになると思うんです。
 ですから、そこの置き方で、何度も言いますように、割引現在価値というのか、つまり複利で回していきますから、このぐらいの拠出でいけばこのぐらい、十年後だったらこうなりますよ、二十年後こうなりますよと。この説明がなければ恐らく、労働組合側も非常に計算して賢いものですから、合意は僕は得られないというふうに思うんです。というのは、もう一つはポータビリティーの面で途中で出られないから、だから特にこれは慎重になると思うんです。ですから、予定利回りというのを、それはもちろん水面下で持っているかもしれませんけれども、それでは情報の開示には絶対にこれはならないというふうに思うんですね。ですから、これはやはり大臣の意思でこの予定利回りというのをどういうふうに持っていくかということも含めて、明確な何らかの置き方に基準というものを置いてやりなさいよと、説明するときですね。
 ただし、ここからが大事だと思うんですよ、ただし、それにすべてが引きずられるわけでない、拠出ですから。つまり言いたいことは、給付額がそれに引きずられるものではない、しかし説明のときには何らかの予定利率というのを置くというのは当然ですと、こういうことだと思うんですよ。そうでなければ説明にならない、絶対に。大臣、どう思われますか。ぜひ大臣にお答えいただきたい。
#132
○副大臣(桝屋敬悟君) 今、予定利率の話をいただきました。特に新しい、これから掛けて、それがどう動いていくかという利率について何らかの形を示さなければという話がありました。局長の方からは、そっちについてはまさに労使で十分に話をしていただくことが基本でありまして、行政が介入するのはいかがかというお話がありました。
 今回の確定拠出年金については、当然ながら、事業主の投資教育の努力でありますとか情報開示でありますとかということも言われているわけでありますし、加えて、運営管理機関がどれほど従業員お一人お一人に、あるいは今、組合員という話がありましたけれども、導入に当たっては随分労使で、組合の皆さん、まさに今、少々では組合の皆さん納得しませんよという御指摘をいただいた。まさにそのとおりでありまして、それは恐らく運営管理機関になるべき金融機関の皆さん方のいろんなこれから営業合戦といいますか、そういうこともあるでありましょうし、そうした情報をしっかり活用していただいて十分な労使協議をしていただきたいというふうに、とりあえずは思っているところでございます。
#133
○木俣佳丈君 もう時間が来ておりますので、もう一度、ここ非常に大事だと思いますから。
 ですから、やはり投資教育ということも言葉が消えたと。こういう指し示していくときの、じゃ何を判断基準としていくか。予定利回りというのは確かに拠出年金とちょっと違うというか、土俵が違うところの話ということもわからないこともないんです。ただ、そうすると、後はもう全部自己責任、きょうからあなた、三階部分については自己責任だからもらえるかどうかわかりません、ただ我々はこういうふうにする、これは時代の要請だからと。こういう話だけでは、これはやはりちょっと僕は難しいと思うので、やはりこの予定利率、大体こういうような運用を、予定利率という言葉が違うのかもしれませんけれども、大体我々目標としてはこのぐらい、十年だったらこのぐらい、二十年だったらこのぐらいというものをやはり何らかの形で示していくような指導をぜひお願いしたいんですが、大臣、どうですか。
#134
○国務大臣(坂口力君) 今お話を聞いていまして、予定利率というのはなかなか難しいなと。過去の平均利率というのはこれは出るでしょう。それは出る。だから、過去の平均利率というのは出ますし、こういう経済状況のときにはこういう利率になりましたということは言うことができるんだろうと。しかし、これから先のをどうするかというのは、経済状況によりましてうんと違ってまいりますし、これは違いますので、なかなか難しいなと。
 最近、日銀総裁の話を聞く機会が多いわけでございますが、過去の利率の平均の話は、それは確かにこれだけでございましたというのは、それはそのとおりだと思いますが、これから先の話は聞いたことございませんので、私はちょっと、先の話はなかなかそこは難しいなと。しかし、予測し得るいろいろのデータというのは、情報はあり得るだろうと。
#135
○委員長(中島眞人君) もう時間です。時間ですから。
#136
○木俣佳丈君 ですから、そういうことのデータを、予測できるものを、持っているデータをとにかく出すような努力をしろという指導は、大臣、ぜひお願いしたいんです。最後、これだけ。
#137
○国務大臣(坂口力君) それはまたできると思います。
#138
○木俣佳丈君 ありがとうございました。終わります。
    ─────────────
#139
○委員長(中島眞人君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、浜四津敏子君及び鶴保庸介君が委員を辞任され、その補欠として風間昶君及び月原茂皓君が選任されました。
 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。
   午後零時二十一分休憩
     ─────・─────
   午後一時二分開会
#140
○委員長(中島眞人君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、確定拠出年金法案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#141
○山本保君 公明党の山本保です。
 きょうは最初に少し時間をいただきまして、国会会期末も見えてきましたので、お許しをいただきまして、ALS、筋萎縮性側索硬化症の病気、大変な重病、難病だということを聞いております。ちょうどいろいろ私、個人的にもまた最近御相談を受けたりしたものですから、この病気、またはその病気の治療、それから福祉サービスなどについて少し現状をお聞きしたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 実は先日、六月三日に愛知県で日本ALSの支部会、支部の総会がございましたときに、厚生労働大臣からは丁寧なお祝辞をいただきましてありがとうございました。
 それで、まず最初に厚生労働省にお聞きしますが、この病気、ALSの現状についてどのような状況なのか、お願いいたします。
#142
○政府参考人(篠崎英夫君) 今、先生御指摘のALS、筋萎縮性側索硬化症と申しますけれども、人口十万人に二、三人の発症率でございまして、中年の男性、女性よりも男性が約二倍数が多いのでございますが、症状といたしましては、ある日突然手に力が入らなくなるというような症状からスタートいたしまして、数年で言語障害、嚥下障害、そして呼吸ができなくなるというような形で大変重篤な病気でございます。
 現在まで、これは特定疾患治療研究事業というものの対象になっておりまして、平成十一年度末で医療受給者証の交付件数は五千二十三件でございます。そのうち、重症患者用医療受給者証が交付されている方が二千九百四十一件でございますので、発症間際の方はそれほど重症でないということかもしれませんが、症状が進みますとすぐ重症になるわけでございまして、約六割の方が重症患者用の医療受給者証の交付を受けているということでございます。
 なお、本疾患の発症の原因については、いまだその多くが未解明ということでございます。
#143
○山本保君 これだけ医学が進んできましてもその原因または治療について手がついていないというようなことは、なかなか私どもも信じられないような気もいたします。それも、今のお話ですと大体全国に五千人ですか、一般的に言えば多くない数かもしれませんけれども、最近、この前のハンセン氏病のことなどもありましたけれども、同じようなオーダーでございます。何かもっと手が打てないかと思うんですが、最近、これについての研究は進んでいるんでしょうか。この辺についてもお願いします。
#144
○政府参考人(篠崎英夫君) 特定疾患の研究事業が厚生科学研究事業の一端としてございまして、着々と研究は進んでおるのでございますけれども、今のところ、その原因あるいは治療法の解明というところまでは行っておりませんで、むしろその対症療法といいますか、重症になった方々に人工呼吸器を装着するとか、あるいは進行を少しでも緩やかにするためにリハビリテーションを行うとか、そういう研究が今一番進んでいるという状況でございまして、残念ながら原因の解明あるいは治療法の確立というところまではまだ若干時間がかかると思っております。
#145
○山本保君 若干細かいことを、局長、済みません、通告していなかったかもしれません、もしおわかりならということで、もしくは心にとめていただければと思っているんですが、二点ほど申し上げたいんです。
 一つは、患者さんから直接お話を伺いましたとき、いわば呼吸不全の人工呼吸器でありますとか、その他いろいろ生活のための機器などを受けるようなことになっているようでありますけれども、非常に残念なことに、進行が早くて書類を出してお願いをしているうちにもう次の段階に行ってしまう、届いたときにはもうおくれている、次の段階だと、こういうような声も聞いているんですけれども、この辺についてもう少し、手続などの簡素化というようなものについては取り組んでいただけないかというのが一点。
 第二点目に、ちょっとお聞きしましたら、十二年度からでしたですか、重症難病患者拠点・協力病院設備整備事業ですか、こういうのを国の方でやられて、各県でもこれをもとにしたような、また愛知県でもそういう事業が行われているようなんですが、どうも患者さんの側に余りうまく伝わっていないのではないか。利用者が、私、どうも見まして、特にこの愛知県で聞きましたのは、ショートステイなどが一年間全く一件も使われなかったという、患者さんの側にそういう事業があるということも十分周知していなかったというようなお話もあるのでございますが、こういう事業の進展のぐあいというようなものはどうなのか。その辺について、今後これをきちんともっと充実させていただければというお願いでございますが、二点をお願いいたします。
#146
○政府参考人(篠崎英夫君) 第一点目の手続等の簡素化につきましては、現在、難病患者地域支援対策推進事業というようなものもあわせてやっておりますので、都道府県に対しまして、なるべくそういう申請手続に時間を要しないようにこれからも指導してまいりたいと思っております。
 それから二点目のショートステイ等でございますけれども、一応予算上は平成十二年度では二百五十人分、平成十三年度では三百二十五人分とっておるわけでございますが、私どもも、これは国、県、市町村で、市町村の事業としてやっておりますので、なかなかその普及につきましては、もう一息というような気がするということでございますので、今後、こういう難病患者さんに対する居宅生活支援事業と申しますが、これをより推進して、また患者さんサイドに立った視点で充実強化に努めてまいりたいと考えております。
#147
○山本保君 今、市町村というふうにお話がありました。確かに、この患者さんたちに対して、これはこの病気だけではないと思いますけれども、医療、またその場合でも、通院型、入院、通院、在宅、そして福祉型のサービス、どうも手続といいますか、その取り扱いがいろいろ分かれていて、一カ所に行けばいいというふうにはなっていないようだということも聞いておりますので、この辺もあわせて改善をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。
 最後に、このALSについて、大臣または副大臣の方から、取り組みの今後の決意についてお聞きしたいのでございますけれども。
#148
○国務大臣(坂口力君) 今、局長から話がありましたように、いずれにいたしましてもまだ原因が明確になっていない病気でございます。比較的中年の皆さん方に多いということで、しかし最近はそれほど珍しい病気でもなくなってまいりました。我々の周辺にも知っている人の中でこの病気になられる方がちょいちょいございます。筋肉が次々とやられていきまして、最後に呼吸筋がやられるものですから、非常にミゼラブルな病気であることは間違いございません。
 原因も明確でありませんし、そしてなかなか治療方法も完璧なものが存在しないというような状況の中でございますので、こうした病気につきましてさらに研究を重ねていきたいというふうに思いますし、またその患者さんの皆さん方、不幸にしてなられた皆さん方に対しますさまざまな生活に対する支援、そうしたことにつきましてもできる限りの配慮をしていきたいと考えているところでございます。
#149
○山本保君 ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、確定拠出年金法案についてお聞きします。
 もう何度も繰り返しになりますけれども、最初に桝屋副大臣、この制度導入の意義について簡単に御説明ください。
#150
○副大臣(桝屋敬悟君) お答えを申し上げます。
 確定拠出年金制度導入の意義でございますが、午前中のこの委員会でも議論になりました。今回お願いをしております確定拠出年金制度、現在の企業年金と比べまして、一つはやはり中小零細企業などに普及をしやすいという点がございます。それから二点目に、転職の際の年金資産の移換、すなわちポータビリティーが十分確保されている、労働移動に対応しやすいといった利点がある制度でございます。
 こうした確定拠出年金の導入、これは我が国の雇用の流動化への対応など経済社会の構造改革に資するものであるというふうに考えておりまして、特に中小零細企業や雇用の流動化が高まる企業の従業員など多くの方々が待ち望んでおられるというふうに考えておるところでございます。審議をお願いしております。早期導入に向けて法案の一日も早い成立をお願い申し上げたいと思います。
#151
○山本保君 それではちょっと先に、この確定拠出の具体的な中身に入る、今二点がありましたが、それについてお聞きするつもりですけれども、その前に年金制度に対して、今まで私もお話をお伺いしてきた中のものを思い出しまして、二点お聞きしたいんです。
 一つは、たくさん用意をしていただいたかもしれませんが、申しわけありません、時間の都合で三番というところなんですけれども、昨年から学生さんの、大学生などの保険料の納付猶予という制度が発足し、そして年金というものが国民の中に定着するようにということであったと思うんですけれども、この制度の利用率といいますか、利用の状況、この辺はどんなものでございましょうか。
#152
○政府参考人(冨岡悟君) この制度につきましては、昨年の四月の施行以来、制度の普及、そして利用の促進を図ってまいりましたが、ことしの三月末現在、一年後の状況を申し上げますと、対象となる学生さんの数は約二百三十万人程度と思われますが、三月末現在の推計で百四十万人の申請があったものと、これは大体六割の方から申請があったものと考えております。
#153
○山本保君 二百四十万人ですね。六割……
#154
○政府参考人(冨岡悟君) 二百三十万人になります。
#155
○山本保君 ごめんなさい。二百三十万人に対して申請はどれだけでございますか。百四十万ですか。ちょっと聞かせてください。
#156
○政府参考人(冨岡悟君) 百四十万人でございます。
#157
○山本保君 ありがとうございます。
 これは、申請をしなくても当然自分で払うという方もおられますね。こういう、つまり学生さんでまだ入っていないというか、この制度がまだ普及、利用していないといいますか、私も学生時代やっていなかったんですけれども、そういうことではいけないと思っているんですが、その数というのはわかりませんでしょうか。
#158
○政府参考人(冨岡悟君) 別の調査によりますと、学生の方で親御さんが支払っておられるという割合がかなり高くなっております。三〇%から四〇%が親が払っているという状況でございまして、今回この制度を利用されない方のかなりの多くは、引き続き親御さんが払っているケースが多いんじゃないかと思っております。そういうふうに推計しておりますが、厳密に御質問の方の人数といった点についてはちょっと把握しかねております。
#159
○山本保君 私、ちょっと誤解しておったのか、もう一回確認したいんですが、つまり六割はこの猶予制度を使っていて、親が払っているのが三割ぐらいあるという、そういう意味だったのか、そうではなくて、二百三十万人のうち百四十万ですからあと九十万人、あと九十万人の方はこういう利用しやすい制度になったけれども、いわば登録といいますか、年金制度に加入はしていないというふうに理解していいのか、ちょっとそこなんですが。
#160
○政府参考人(冨岡悟君) 厳密な数について、最近のことでございまして、まだ私ども把握できていないわけでございまして、申しわけございませんけれども、これまでの調査で学生の方について親御さんが支払っている割合がかなり多いということから、今回申請されなかった方のかなりの割合は親御さんが払っているものと推計されますが、それでは、そういう方以外で本当に未納になっている方、申請もしていないし親御さんも支払っていない、そういう方が幾らという数については現在のところちょっと把握しておりません。
#161
○山本保君 ちょっとくどく聞きましたのは、二年前でしたか、この審議のときに、今裁判なども始まっているようですから余りここでは深入りはしないつもりなんですが、厚生省の方でいわゆる学生無年金の方について総数も把握ができないというような話もあり、また当然年金であるからお金を払っていなかった方がいただくというのは、これはもう論理として合わないという当時の大臣の答弁がありましたけれども、私、それはおかしいという指摘をしました。
 当時、特に無年金の場合はどちらでもよかった場合だったわけで、私自身も実は入っていない、大臣もその当時の政務次官も実は入っていなかったらしいですね。つまり、ほとんどの学生さんが入っていなかったわけでありまして、入っていなかった人が、ただ偶然その方たちは運よく事故に遭わなかっただけであって、運のよかった人が運の悪かった人を非難するような、そういう言い方はおかしいということを指摘したわけです。
 ですから、この問題はそれ以上言いませんが、しかし、それにしても入っていない人の実情というのは、大学なんですから、ただ全面的にばらばらに書かれているわけじゃなくて、ある程度の調査というのはできるんじゃないかと思うんです。こういうところの実態というのをきちんと調べておく必要が私はあると思いましたので、ちょっとお聞きしたんです。時間がありませんので、私のねらいをお話ししました。
 二番目に、これも以前に前の部長さんにお願いしたことですけれども、中学生や高校生向けの年金の教育について、その当時の教科書といいますかテキストブックを見せていただきましたところ、はっきり言いまして、内容は絵が使ってあったり言葉遣いは易しくても、つまり学者が大学生かそれ以上の人に書いたようなものをただ言葉を易しくしただけだったというような私は印象を持ちました。
 若い方が興味を持ちますのは、どういうタイプの年金があるかとか、年金に入らなければどんな不都合があるかとか、またこれから就職したときにどんな形でそれについてアクセスするのかというようなことを知るという、その必要性に適応した教科書にすべきじゃないかということを申し上げたんですが、この辺については何か改善がなされましたでしょうか。
#162
○政府参考人(冨岡悟君) 若い方に対する年金教育と申しましょうか、広報という点につきましては、大変重要な課題だと思っております。将来無年金の方をつくらないといった意味では大変重要なことと考えておりまして、御指摘の点につきまして、私ども、中学生向け、高校生向け、そして先生向けの副読本をつくって全国で利用いただいておりますが、その中身につきまして、確かに先生、前にも御指摘いただきましたが、多少、私どもが見ましても、具体的じゃない面とかわかりにくい面、それからひとりよがりな面が確かになきにしもあらずでございまして、そういった点につきましても、先生の前回の御指摘をいただきまして、専門家のアドバイスも受けまして、できるだけわかりやすく具体的にしたつもりのものを、十二年度におきまして中学校で三十三万部、高校で三十五万部、こういったものを配付しまして、また全国で先生を対象としたセミナー、それから生徒を対象とした授業、こういったものの充実に努めているところでございます。
 今後とも、この点につきましては大変重要な課題だと思っておりまして、実は若い方のみならず、大人の方に向けましても公的年金制度の意義といったものを端的に情に訴えるような形で広報していくことが私どもの務めだと思っておりますので、鋭意努力してまいります。
#163
○山本保君 ありがとうございます。
 それで、今度は今回の確定拠出型についてちょっとお伺いしたいんですが、今のお話の続きのような形になりますが、午前中にも、自己責任という原理が重視されたということから、特に中小の企業に勤める場合などにどういう年金制度があるかというようなこと、これをきちんと知っておくということは必要だと思います。
 今、運営部長からも一般向け、成人向けということもありましたけれども、職業安定局の方ではこの辺について今回の制度改正というものでどういう対応をされる予定なのか、お聞きしたいと思います。
#164
○政府参考人(辻哲夫君) この確定拠出年金の知識の普及についてであると存じます。
 確定拠出年金は、中小零細企業など現在の確定給付の企業年金を導入しにくいところに普及しやすい、あるいは転職の際の年金資産の移しかえ、すなわちポータビリティーが十分確保され労働移動に対応しやすいと、こういった利点がありまして、このことはまさしく中小企業の労使にとってプラスになるものと考えておりまして、現に中小企業の関係者も大きな期待を寄せていらっしゃると聞いております。
 したがいまして、まずこの制度に対する理解を深めていく必要があるということでございますが、特に自己選択と自己責任に基づく初めての年金制度でありますことから、この制度に対する国民の理解が深まりますよう、特に中小企業につきましては私どもなりに各方面を通じて、特に中小企業関係団体などを通じて広報に努めてまいりたいと考えております。
#165
○山本保君 ちょっと順序が逆になってしまって申しわけありませんが、中小企業庁に来ていただいていると思うんですけれども、最初に桝屋副大臣からもお話がありまして、今回のこの確定拠出型年金というのが中小企業また零細企業などに向いているというような特徴を持っているというふうに言われているわけですけれども、この辺について、普及させるために中小企業庁としてはどんな対応をされているのか、お願いしたいと思います。
#166
○政府参考人(羽山正孝君) 御説明申し上げます。
 中小企業庁といたしましては、確定拠出年金制度の創設は中小企業の労使双方にメリットをもたらすものと考えております。したがいまして、中小企業庁といたしましても、確定拠出年金制度が実施された場合には、中小企業の経営者及び従業員が制度を正しく理解いたしまして、自分たちにとって最も適した年金制度を選択できますように、厚生労働省とも緊密に連絡をとりつつ、また各種の中小企業団体と連携することなどによりまして制度の周知徹底に努めていきたいと考えているところでございます。
#167
○山本保君 それで、もう一つの課題の方なんですね、ポータビリティーとかいう話がありました。
 まず最初に年金局長にちょっとお聞きしますが、いわゆるフリーターという人がおられる。最近、大分ふえてきたというか、一流企業においても退職する人が就職してから三年間で三割というような話もよく聞くわけでありまして、これは一概に不安定であるとかまたよろしくないというふうに言えないような、私もそんな一面があると思っておるんです。
 これまでの、ある学校で成績が決まれば、それに格付けられた仕事に入り、そして定年まで働いてという、こういうスタイルが日本経済の停滞といいますか元気のなさを生み出したんじゃないかというふうに私自身は考えているところなんです。
 そうしますと、こういう方に対してもこの今回の年金などが活用できるようにすべきではないかと思うんですけれども、いかがでございましょうか。
#168
○政府参考人(辻哲夫君) 御指摘のいわゆるフリーターとは、勤め先における呼称がアルバイトあるいはパートである雇用者で、そのうち若い方々のことというふうに私ども理解しておりますが、こうした若者のうち、公的年金に加入する義務を有する二十歳以上の方は、多くの場合、国民年金の第一号被保険者となるものと考えております。
 したがいまして、第一号被保険者は確定拠出年金におきましてはみずからの選択により個人型に加入できることとなっておりまして、いわゆるフリーターにつきましても勤務先で厚生年金保険の対象となっておらず、一号被保険者の場合は確定拠出年金の個人型に加入することは可能でございます。
 そういうことから、確定拠出年金は広く国民の老後の備えのためのものでございますので、特定の方々に対してのみ制度の加入を推奨するということは考えておりませんが、フリーターを含めまして、離転職が多い方にとっては、このポータきビリティーの確保された確定拠出年金は老後の備えとして必要なものであると考えております。この場合、確定拠出年金の加入は、国民年金の第一号被保険者であり、かつ保険料を納付していることを加入の要件としております。
 したがいまして、若い世代には国民年金の未納者が多くなっているという実態調査の結果も出ているわけでございますが、この公的年金の基本的な考え方や大切さを理解していただき、国民年金の未納、未加入という状況にならないことをまずお願いいたしまして、その上で確定拠出年金制度もぜひ活用していただきたいと考えております。
#169
○山本保君 局長、それに関連してまた少し詳しく考えたいんですよ。
 つまり、三階部分についてはそうですが、一階、二階部分は二十五年ですか、期限がございますでしょう。私なんかも実は、フリーターとは当時言わなかったですけれども、できが悪かったせいかなかなか就職できませんで、まだいまだに年金受給資格がありません。結構若い人にそういう方がたくさんいると思っております。
 それに、今回こういうことでこの三階部分についてはこうしたんだとなれば、皆さんに年金を利用していただくとなれば、本体の方ももっと期間を短くするというような改正が必要ではないかというふうに、これはそれを認められたから今回こう短くしたんじゃないかと、何でも期間は三年以上ですか、権利ができますよという制度にしたんじゃないかと思うんですよ。何か論理が二つ合わなくなってきているんじゃないかという気がしているんです。これが一つなんですが、どうでしょうか。
#170
○政府参考人(辻哲夫君) 御指摘のように、国民年金のいわゆる年金の受給資格期間は二十五年でございます。この背景でございますけれども、年金は、みずから納めたものが運用して戻ってくるものではなくて、現役時代に保険料を納め、そしてそのときの高齢者を支えたその拠出実績をもってまた次の世代が負担をしてくださるという世代間扶養の仕組みによって成り立っております。したがいまして、現役時代、基本的には二十から六十の間納めていただくことを前提にして、老後の基礎年金というものがそれなりの水準が確保されるようになっております。
 したがいまして、現役時代にその世代間扶養のいわば務めを果たすというような意味で二十から六十までの四十年間のうち二十五年を求めるということでございまして、私ども、しっかりした年金が確保され、かつ世代間扶養が持続いたします上で資格期間というものは必要であるというふうに考えております。
#171
○山本保君 どうもしっくりは胸に落ちないんですよね。論理が二つ原則があるというふうに聞こえてなりません。きょうは、このことはこれで結構なんですが。
 もう一つ、別の面からこの制度のやはりおかしいかなと思いますのは、これも何回も言われていることですけれども、一号被保険者というのがまさにサラリーマン以外ということで全部一くくりにしていますよね。本当に元気があってお金をどんどんもうけができるという方も、本人に能力がないとか、またはあるけれども仕事がないという方も全部一まとめになっているという制度は、どうもこれだけ細かいきちんとした制度をつくっている割にはすごくいいかげんなんじゃないかなという気がするんですけれども、この辺について検討していくというような考えはございませんか。
#172
○政府参考人(辻哲夫君) 一号被保険者の方々、非常に多様であると、もっとこれに配慮すべきではないかという御指摘かと存じます。
 基本的に一号被保険者、いわゆる自営業ということで所得把握というものが、あるいはその所得の形態、これは自営業でございますので、さまざまな源泉で収入を得られているということで、この把握を一律に客観的に行うことは難しいということで、いわば定額の保険料というものを設け、そして申請に基づきまして、所得の低い方はむしろ減免するというような形で、結果として多様な所得形態、実態を持ついわゆる二号以外の一号被保険者の方々の実態にいわば沿うようにと、こういう形にしておりまして、その基本というのは一律の把握の困難性というところにございます。
 しかし、私ども、これは国民年金にとりまして古くにして新しい問題でございまして、また今後とも、どのようにより一号の被保険者の方々の実態を把握し、それに沿った制度とするのかということについては検討してまいりたいと思います。
#173
○山本保君 やはり社会状況というのが変わってきたということ、当時とは違うわけですから、この実態というのは、ただ単に例外的な人がいるという意味ではなくて、新しい制度の基本になるのではないかなという気がいたします。どうもありがとうございました。
 最後に、大臣、この新しい年金制度の普及、また今後の推進に向けまして、決意を一言お聞きしたいと思います。
#174
○国務大臣(坂口力君) 今回、一階、二階の公的年金の上に企業年金、しかも確定給付年金、そして確定拠出年金というふうに選択のできる三階の年金をここに提案させていただき、今御審議をいただいているわけでございますが、一応こうした形で、時代の一つの流れに沿ったと申しますか、雇用の状況にも沿いました一つの行き方ではないかというふうに考えている次第でございます。
 それぞれ選択の幅ができたわけでございますので、それぞれ経営者とそしてまた労働組合等の間でいろいろと御議論をいただいて、その中でまた御選択をいただければ幸いだというふうに思いますし、新しい年金でございますから、またこれから若干の我々の方も手を加えていかなきゃならない点もそれはあるのではないかというふうに思っておりますが、大枠のところはこれででき上がったのではないかというふうに思っておる次第でございますので、どうぞよろしくお願い申し上げたいと存じます。
#175
○山本保君 終わります。
#176
○井上美代君 日本共産党の井上美代でございます。
 まず最初に質問したいのは、今なぜ確定拠出年金を導入するのかという問題です。
 政府の「確定拠出年金法(案)のあらまし」という、こういうこのパンフレットが出されております。これを読んでみまして、制度のメリット、デメリットなどというのが書いてないんですね、デメリットなんかはちょっと書いてあるんです。だけれども、なぜ今導入するのかというのが書いてないんですね。
 私は、なぜ書いてないのかということなんですけれども、これは労働組合の最大のナショナルセンター、連合ですけれども、連合は確定拠出年金の導入には時期尚早ということで反対をしております。また全労連も反対をしております。労働者の老後保障にかかわる問題で労働者を代表する団体が反対をしております。一方、懸命に推進し、そしてキャンペーンを張っているというのは、これは財界の団体なんですね。
 なぜこうなっているのかというふうに言えば、結局、この法案というのは、不況の中で企業の負担を軽減しなければならない、そのために、労働者に痛みがあるけれども我慢をしてもらおうという、こういう側面があるというふうに思います。これはまさに小泉内閣が構造改革そのもので言っておられる痛みを国民に求める、これだというふうに思うんですね。だから私は、なぜ今この拠出年金なのかというここのところを率直に、しかもはっきりと、それで隠さずに、いいところもあるがこういうふうに問題もあるんだということをやっぱり国民にも向かって言わなければいけないというふうに思うんですよね。
 これは重要な質問ですので、大臣にお答えを願いたいというふうに思います。
#177
○国務大臣(坂口力君) 私もこのパンフレットを隅から隅まで見ているわけじゃございませんで、今も御指摘がありましたので見ておるところでございますが、この中にも確定拠出年金の特徴というのが書いてございまして、そこにはプラス面、マイナス面も書いてあるわけでございます。そのほか、この確定拠出年金なるものの仕組みなるものが詳細に書いてあるわけでございますから、詳細にその仕組みが書いてあるということは特徴が書いてあるということでございまして、これは、よく見ていただきましたら、なるほどこれが拠出年金だということがわかるようになっているということではないかというふうに思います。
 そうして、パンフレットの問題はパンフレットの問題といたしまして、やはりいろいろの制度には当然のことながらプラスの面、マイナスの面、それはあることは私もそのとおりではないかというふうに思いますけれども、今回のこの確定拠出年金というのはそうマイナス面ばかりではない。今御指摘になりますように、経営者の側にとってそれが非常にプラスになるだけの年金かといえば、決して私はそうではないという気がいたします。
 それは、よく言われますように、これだけの労働移動も起こるときでございますから、やはり労働移動というようなことを考えた年金制度というものができなければなりませんし、また企業が倒産をするというようなことはあってはならないことでございますけれども、今までの制度、例えば確定給付年金などでございますと、企業が倒産をいたしますとなかなか年金ももらえないといったようなことが起こる可能性がございますが、今回のこの確定拠出年金の方はしっかりとこれは確保されるわけでございますから、そうした面でもプラスの面もあり得る、そういうふうに思っておりまして、必ずしもマイナス面ばかりではない、プラスの面もこれは十分にあり得る年金であるというふうに私は思っております。
#178
○井上美代君 私は先日、この委員会の審議の中で大臣にお聞きいたしました。確定拠出年金と確定給付企業年金と、どっちが国民の老後保障にふさわしいとお考えになりますかということをお聞きしました。大臣は、企業にとっては確定給付、個人にとっては確定拠出がいいというふうに答弁をされました。
 私は資料を今皆さん方のお手元にお配りしているんですけれども、これを見ていただきますと、これは企業の人事担当者を対象にしたアンケートなんです。これを見てみますと、確定拠出年金のメリットの第一は、運用リスクが生じないので掛金の追加負担が生じない。それから、デメリットの第一というのは、従業員の投資に対する経験が十分でないこと。この追加負担が生じないというのは企業にとってのメリットであり、そしてまた投資経験がないというデメリットは従業員にとってのデメリットです。
 私は、やはり確定拠出年金というのは、企業にとっては負担を軽減し、そしてまた労働者にとっては負担がふえるものだというふうに思うんです。この点で確定給付型の企業年金は、企業にしっかり責任をとらせ、労働者の負担を軽くするものです。やはり確定給付の方がよりすぐれているというふうに私は、この間の質問のときもそうでしたけれども、思うんですけれども、大臣はこの点はどういうふうにお考えでしょうか。
#179
○国務大臣(坂口力君) 先日も同趣旨の御質問があったというふうに思っておりますが、長期に雇用されると申しますか、長く一カ所にお勤めの皆さん方にとりましては確定給付型の方が安定をしているかなというふうに思いますが、しかしそうではなくて、再三にわたりまして職場を変わられるような皆さん方にとりましては確定拠出型年金の方が私はすぐれていると思っております。
 先ほども申しましたとおり、企業の経営状況のいかんによりまして確定給付型の方は非常に揺れることがございますけれども、しかし確定拠出型年金の方は、これは第三者機関と申しますか、別なところにきっちりと積み立てられていくわけでございますから、そういう面では安心をそこはできるのではないか。ただ、個人個人で責任を持って運用をしていくというところが一体どうなるのかということでございまして、その運用次第によってはそれは大変なプラスになることもあるし、それはならないこともあるだろう。そこは個々人がやる場合もあるし、また労使で話し合いをして、そして安定した運用の仕方をすることもあるだろう。
 そういうことを考えますと、必ずしも確定拠出型の年金がマイナス面ばかりであるというふうに考えるのは、私は当たらないのではないかというふうに思います。
#180
○井上美代君 私は、やはり確定給付年金の給付のところでの、出口のところでの確実性があるという点で、こちらの方がよりいいというふうに思っているわけなんですけれども、確かに経済の動きの中でこの四〇一kについての利点を言っておられるんですけれども、私はやはりその利点というのが情勢の動きの中でマイナスになるという、非常にリスクがあるということを強調したいというふうに思います。
 政府は、この確定拠出年金の一番の売り文句として、老後の所得保障の新たな選択肢というのを大臣も何回も言っておられるし、それぞれの参考人の方々もそれを言っておられます。この点を挙げておられますけれども、厚生年金基金や適格退職年金などと並ぶ新たな企業年金として選択肢がふえるのだというふうに強調しておられるわけですね。
 この点で私は質問をしたいのですけれども、現在、確定給付の企業年金のある企業、あるいは退職金制度のある企業では、その企業年金制度、退職金制度をそのままにして、その制度に上乗せして確定拠出年金を導入するだろうかということですね。恐らくこれは、確定拠出年金を導入することは、一方を置いておいて導入することというのはあり得ないというふうに思っておりますけれども、大臣、そこはどうでしょうか。
#181
○副大臣(桝屋敬悟君) まずは私の方から。
 既存制度をそのまま維持しながら確定拠出年金を新たに導入することはまず考えられないんじゃないかという、こんなお尋ねでもあったように思いますが、その前に、新たな選択肢としてという私どもの説明に対しての御意見もいただきました。
 企業が確定拠出年金を実施する場合、新たに導入するだけでなくて、労使合意によりまして現在の企業年金や退職一時金、この全部または一部を確定拠出年金に移行することも可能でございますし、現にそうした準備を進めている企業もあると聞いております。
 いずれにいたしましても、確定拠出年金は新たな選択肢として、御批判をいただきましたけれども、新たな選択肢を整備するという意味で導入をするものでございまして、確定給付型あるいは退職一時金からの確定拠出年金への移行を含めて、いずれの制度を選択し、また組み合わせて実施するかについては、それぞれの制度の特徴を踏まえながら、個々の企業の実情に応じて労使で十分協議をしていただきたいと考えているところでございます。
 先日も、私、ある中小企業の社長さんとお話ししておりましたけれども、やっぱりいろんなところがあるんだなと。いやいや、私はやはり現在の企業年金をそのまま続けていきたいと、こう言っておられましたし、今新たに検討されている確定拠出についても今従業員とともに勉強しているんだと、こういう御意見もいただきまして、さまざまな企業の実情によって私は労使の協議が行われるのではないかと期待をしているところでございます。
#182
○井上美代君 大臣に、企業年金制度と退職金制度をそのままにして、その制度に上乗せして確定拠出年金を導入することはないだろうと私は思っているんですけれども、その点、いかがでしょうか。
#183
○国務大臣(坂口力君) それは、新しい制度をここにつくるわけですから、給付型の年金と拠出型の年金を新しくつくっていくわけでありますから、それは次第にそのどちらかに移行されていくものというふうに思っております。
#184
○井上美代君 それは、この四〇一kの方に移行していくというふうに考えてよろしいですね、今の御答弁は。
#185
○国務大臣(坂口力君) いや、必ずしも私はそう言っているわけではございませんで、それは給付型の年金を選択になる方も多いだろうというふうに思います。
#186
○井上美代君 もう一度お聞きいたしますけれども、そうして給付年金を選択する人もいると。そういうふうになりましたときに、給付年金をそのままにして、それはそれとして企業に置いておいて、そして確定拠出年金を導入するということがあり得るだろうかということですが、いかがでしょうか。
#187
○政府参考人(辻哲夫君) 私どもは、確定給付だけ、確定拠出だけ、それから確定給付と確定拠出と組み合わせ、その三つがあり得ると考え、それを前提にした制度を仕組んでおります。
#188
○井上美代君 これが実施に移されたときに、三つが横並びに並ぶのかということを私は今言おうとしているんです。
 日経連の幹部の発言もあるんですけれども、これはここを担当しておられる幹部です。企業としては、既存の企業年金制度や退職一時金制度をそのままにしておいて、既存制度とは別枠で新たな原資を追加する新制度を導入する財政的余裕はなく、多くは既存制度からの移行が基本となろう、こういうふうに言っておられます。
 私はこのようになっていくというふうに思うわけなんですけれども、大臣、その点はどうでしょうか。今の日経連の幹部の方の言葉に対してどのようにお考えになりますか。
#189
○政府参考人(辻哲夫君) これはあくまでも予測に関することでございますので、私ども事務的な状況を申し上げます。
 やはりこれは、そもそも確定拠出年金、例えばずっと六十とかそういう年齢まで勤めるということを前提にしない、むしろ自分の力を転職しながらつけていく、こういう働き方というのはどんどんふえてきておりまして、そのような方々はむしろ確定拠出を望んでいる。そして、確定拠出の仕組みを持っていることがそのような方々の雇用というものを増しやすくなるというような環境も生じてきている。あるいは、そのような方々にとっては、確定給付というのは長期間勤めなければ十分なものはもらえないので、確定拠出の方がいい。
 一方、やはり確定給付があることが魅力で、そして長期にその企業に雇用されようとする方々もいて、そしてそのようなさまざまな仕組みのもとで企業はそれにふさわしい人材を得ていく、こういうような状況を想定いたしております。
 したがいまして、確定給付はともかく拠出約束があるので確定拠出に移る、こういったことだけで従業員のニーズにも対応できませんし、私どもはあくまでもこれはそれぞれの労使の話し合い、そして今後の雇用の方向性、そういうものによって考えるべきであって、一概にどちらにというふうに物事が動くとは考えておりません。
#190
○井上美代君 私は、やはり労働の流動化の問題も大変心配しております。流動化によって労働者が本当に生活できて働く意欲を持ってやれるということであればこれはまた別ですが、そうはならない、今の今日の現状から見てそういうふうになっていないというところに問題があるというふうに思いますので、どこにでも持っていけるなどというのを一方的にこれはいいことだというふうには言えないというふうに思うんです。
 それを言い置きまして、私は次へ進みたいわけですけれども、結局、新たな選択肢といいますけれども、確定給付の企業年金、退職金を切り下げ、そしてその切り下げた分を移行するしか道はないということですよね。上乗せするという道はないというふうに日経連も言っておられるわけです。不況でやはりリストラの嵐が非常に吹いている。そして、そういう中でリストラの嵐はそう簡単にはおさまらない。この確定拠出年金を導入するということの意味がやはりそこにあるのではないかというふうに思うわけなんです。これで果たして本当に胸を張って、今の労働者の姿を見て新たな選択肢だと堂々と言えるかどうかということですね。
 私はこれはぜひ大臣に判断してほしいところなんです。だから、大臣に御答弁をお願いしたいと思います。
#191
○国務大臣(坂口力君) 私は、今回のこの年金制度の導入と現在の経済の動向というのは、これは別問題だと思っています。現在の経済の動向がこういうふうに景気が停滞をしているときだからこの年金を導入するというわけでは決してありません。それは何ら関係のないことだというふうに思います。それよりも、これからの先を見た雇用状況、あるいはまたそうした皆さん方の選択の問題を見まして、新しいこの制度を導入していった方がいいのではないかということでございます。
 また、今までの企業年金は企業年金といたしまして、これはこれでまたさまざまなデメリットもあったわけでございますから、そうしたデメリットをできるだけなくしていって、そうして新しい時代に対応していける年金をつくっていくためにはどうしたらいいか、そうした角度から生まれてきたものでございます。
 そうしたことでありまして、決して現在の経済動向を考えて、そして導入したこの年金制度ではございません。
#192
○井上美代君 私、大臣の今の答弁をお聞きしまして、大臣のリストラに対する現状認識というのは甘いんじゃないかなという気がするんです。経済動向と年金とは別だというふうに言われたんですけれども、それは今つくっているところでは別に考えながらつくっておられるというふうに思いますけれども、これはいつの時代でもやはり経済と密接にかかわっていくというふうに思うんですね。
 だから、やはり企業の側が今生き残るために物すごいコストダウンをやっているでしょう。そしてまた、それが必要だということで、首切りだとか賃金カットだとか、そういうものをどんどん進めているわけです。だから、企業年金についても、厚生年金基金それから適格退職年金の解散、給付切り下げが非常に急増している。これはまた私、先日この委員会で質問いたしましたときに明らかにいたしました。
 こういう中でこの確定拠出年金が導入されれば、企業の側というのは、確定給付の方は切り下げるけれどもかわりに確定拠出を導入するから我慢しなさいということで、結局、言ってみればそういうふうに労働者に迫っているということになるのではないか、確定拠出年金は確定給付切り下げの言ってみれば手段になっていることが明らかではないかと、こういうふうに思うんですね。やっぱり推進しようという頭をちょっと考えを変えてほしいと思うんですけれどもね。私はそういうことだというふうに思うんです。
 結局、企業がリストラの手段を新たに得るという、そういうことだというふうに考えます。だから、労働者にとっての選択肢とはなり得ない、このことをもうはっきりと申し上げておきたいというふうに思うんです。ぜひ労働者のことをまず考えていただきたいというふうに思います。
 次に進みますけれども、確定給付型の企業年金から確定拠出年金への移行についてなんです。その移行する場合について質問をしていきたいというふうに思うんです。
 移行の仕方にはさまざまなケースが考えられますが、大きく分ければ、確定給付型の企業年金を解散して全部丸ごと移行する場合、そしてもう一つは部分的に移行する場合があると思います。
 この部分的に移行する場合についてですけれども、これは関西経営者協会が昨年の九月に「日本版四〇一k制度のあり方 導入における留意点と制度普及のための視点」という、そういう報告書を出しておられますが、そこに詳しく書いてあります。
 それによりますと、大体次の三つがあるということなんですね。一つは、新規採用の従業員からの導入をさせる。これは意外に簡単なわけですよね。そして二つ目が、各従業員について今後の将来期間分からの導入。だから、将来、これからですね、今後の将来期間分からの導入をする。三つ目が大変なんですが、企業年金などの過去期間分に係る年金資産等を個人ごとに分配し日本版四〇一kに移換する場合。この三つがあるというふうに関西経営者協会は言っておられます。
 そして、アドバイスとして、新規採用の従業員からの導入は既得権などの問題が発生することがないために労使合意が容易である、こういうふうに述べて、その一方で、現行制度を廃止して移行する場合は労使交渉がかなり難しくなるので部分移行の方がまとまりやすい、こういうふうにアドバイスとして言っているんですね。
 私は、労働者が既得権と考えるのはもう当然のことだと思います。過去の期間分の年金資産というのは、将来その分は約束された給付をもらえるものとして積み立てられてきたものだからなんです。この部分、過去の期間の部分、その部分については給付の引き下げを私は禁ずるべきだというふうに思うんです。もう約束違いなんですね、約束違反なんです。だから、これは禁じるべきであるし、確定拠出年金への移行も禁ずるべきだというふうに思うんですね。この辺をお聞きしたい。
 ところが、政府というのは、移行を禁ずるどころか促進する仕組みを導入しようとしております。積立金を移行する場合の税制上の優遇措置ですけれども、これはどういう仕組みか、仕組みも含めまして参考人にお聞きします。
#193
○政府参考人(辻哲夫君) 今御指摘の三つの移行の形につきましては、それぞれ法律で移行についての根拠条文がございまして、あらゆる形で選択ができるというふうになっておりますが、特に既存の確定給付の年金を全部あるいは一部移行させますときの税制上の措置について御説明を申します。
 それで、それは、確定拠出年金の拠出限度額、それからそれまでの移行させる企業年金に対する加入期間に応じまして、過去にさかのぼって確定拠出年金の限度額を適用して加入期間を考慮し、そして加入者個人ごとに区分してその移換額というものを決めまして、それを確定給付型の企業年金から確定拠出型の企業年金に移換する場合に非課税とするという旨が法律に明記されております。
#194
○井上美代君 この仕組みも財界が要望したものなんですね。
   〔委員長退席、理事亀谷博昭君着席〕
 これは、一九九八年の九月に経団連の出した「確定拠出型企業年金制度の導入を求める」という文書があります。「退職一時金、既存の企業年金の原資の一部又は全部を確定拠出型企業年金へ移行する際、課税されないようにする。」と、こういう要望書が出ているんです。この事実で、確定給付から確定拠出への移行をだれが望んでいたのか、とてもはっきりわかります。これが本当に労働者でないということがはっきりするわけです。
 過去期間分の年金資産を移行する問題に行く前に、果たして現行制度のもとで過去期間分の受給権がきちんと守られているのか、そのことについてまず見てみたいと思います。
 企業年金を解散するケースについてまず見てみますが、適格退職年金については、解散の数はわかっても実態はほとんどわかりませんので、厚生年金基金について見たいと思います。
 厚生年金基金の解散が近年大変ふえております。現在までに七十五が解散をしており、最近では、九七年には十四の解散、九八年には十八の解散、九九年には十六の解散、二〇〇〇年には十八の解散となっています。厚生労働省では、解散の際の認可基準を出していますよね。それによって解散した理由がわかります。どのような解散理由で幾つの基金が解散しているのか、その報告をいただきたいと思います。また、企業が倒産したケースは幾つなのか、政府参考人の答弁を求めます。
#195
○政府参考人(辻哲夫君) まず、厚生年金保険法上、厚生年金基金の解散理由には大きく三つございまして、一つが代議員の定数の四分の三以上の多数による代議員会の議決、それから二つ目が基金の事業の継続の不能、三つ目が厚生労働大臣の解散命令と、こうございまして、今も数字、御指摘ございましたが、平成九年度から十二年度までに解散した七十七基金についてその内訳を申しますと、四分の三以上の多数による代議員会の議決というのが六十九基金、それから基金の事業の継続の不能が八基金、それから厚生労働大臣の解散命令はゼロでございます。
 基金の事業の継続の不能が八基金、これはまさしく企業の倒産の形態に対応するものと推察されるわけですが、実際問題、その実態がどうであるかということは、この四分の三以上の多数による代議員会の議決の中身がどうかということが問われるわけでございます。
 この四分の三以上の議決による解散の中身を私ども整理しておりまして、一つ目が母体企業の経営状況が著しく悪化していること、二つ目が加入員数の減少、年齢構成の高齢化等により今後掛金が著しく上昇する見込みであり、その負担をすることが困難であると見込まれること、三つ目が加入員数が著しく減少し基金の運営を続けていくことが困難であると見込まれること、その他基金の事情変更等により運営を続けていくことが困難であると見込まれることといった区分になっておりまして、それぞれの明確化を図っておりますが、特に将来掛金が著しく上昇する見込みで負担が困難であると見込まれるというのは非常に相対的な評価かと思いますが、これは今言った基金数のうち三基金でございます。
 そういう意味では、やはり母体企業の経営状況が著しく悪化しているとか、それから加入員数が著しく減少し、これはすなわちその個別企業が停滞し、やせ細っていくということでございますけれども、基金の運営を続けていくことが困難であると見込まれるときと、こういったところが実はメーンでございまして、やはり多くの解散基金は継続することが真に企業の経営上困難であると、こういったことにより解散しているというふうに考えております。
#196
○井上美代君 さらに政府参考人にお聞きしたいのですけれども、解散した七十五の基金のうちに積み立て不足のまま解散した基金の数というのは幾らでしょうか。答弁をお願いします。
#197
○政府参考人(辻哲夫君) 恐れ入ります。集計上、平成六年度から十二年度までに解散した、この場合八十六基金になりますけれども、一応その集計がございますので、その八十六基金の間で、積み立てておくべき積立金、いわゆる最低積立基準額を保有していなかった基金は六十九基金、八十六のうち六十九基金でございます。
#198
○井上美代君 今まで解散した七十五でしたか、の基金のうちに一九九七年以降に解散したのが六十六ですか、そのうち、純粋に経営上の理由で解散した基金というのは、純粋に経営上の、これは答えていただきましたかしら、さっき。
#199
○政府参考人(辻哲夫君) 恐れ入ります。説明が多岐にわたりましたので、その点からのポイントを申しますと、基金の事業の継続の不能というのは七十七基金のうち八基金でございました。
 ただ、申しましたように、それでない解散事由も、事実上極めて企業が危機的な状況にあるという客観的な事実があるということも申し添えた次第でございます。
#200
○井上美代君 経営難といっても、非常に企業自体が追い込まれて倒産になっているというような、非常に純粋に経営上の理由で解散したというのは九だけなんですね。やはり今倒産がすごく多いんですけれども、多くは企業本体というのは存続しているんですね。しかも、大多数は積み立て不足のまま解散をしているというのが現状だというふうに思います。
 私は、確定給付企業年金法案の審議のときに、厚生年金基金の給付を切り下げる理由に、経営難ではなくほかの理由が非常に多かったということをこの間の質問でやりました。大臣も、企業の実績が悪化していないのに先に年金をカットすることはあってはならない、こういうふうに答弁をされました。
 解散理由を見ても、解散や給付の引き下げにおいて本当にきちんと受給権が守られているというふうにはどうしても言えないんじゃないかというふうに思います。こういう確定給付型の企業年金の受給権が守られていない状態の中でこの確定拠出年金が導入されればどういうふうになるのかということを考えてしまうんですけれども、その点はいかがでしょうか。
 何しろ、やはり受給権が保護されなければいけないと思うんですよね。だから、そこのところが守られなければいけないというふうに思うんですけれども、この現状の中ではとてもそういうふうになっていないということですが、そこはどういうふうにお考えになるでしょうか、御答弁願います。
#201
○政府参考人(辻哲夫君) 今、解散の実態を説明申し上げましたが、企業の倒産、すなわち基金の事業の継続の不能が直ちに出ておるというのは八基金でございましたが、むしろ四分の三以上の代議員の合意による解散が六十九基金、その六十九基金の大部分と申しますものが母体企業の経営が著しく悪化しておる、それから加入員数が著しく減少して基金としてこれはもう成り立っていかないということは運用を続けることが困難であると見込まれると、こういったことで、実は企業そのものの消長に伴いまして、もう立ち行っていかない、積み立てができないというこういう状況で、むしろそういう状況のもとでいわば解散というものを選択して、そしてその場合には四分の三の代議員の合意が必要でございますが、そういうぎりぎりの選択を行ってそのような道を選択することも一つの道、やむを得ない道ということで認めているものでございます。
 ちなみに、もちろん解散時の財産はすべて所要の手続により分配されるということになっております。
#202
○井上美代君 解散それから給付の引き下げがやっぱりやられているわけですけれども、だから受給権が保護されていないというふうに思うわけなんですけれども、その点はどうですか。
#203
○政府参考人(辻哲夫君) それで、今の解散を選択するというようなことで、今大変私どもつらい事実だと思っておりますのは、解散が続いておりますほか、前回の質疑でお改めいただきましたように、相当な、百数十という、二百近いものが引き下げを行っておりまして、それはむしろ積み立て不足を、残念なことと私も思いますが、労使合意のもとで給付水準を引き下げることによって積み立て不足を解消するということも現時点で労使が選んだ、しかし将来に企業年金を守っていくための道として現実になされているという事実もあることでございます。
#204
○井上美代君 今の御答弁なんですけれども、やはり今の後半の部分がそうかなと思うんですが、政府は、確定給付から確定拠出に移行する場合、積み立て不足を残したまま移行することはないと、こういうふうに言っておられるんですけれども、そうすることで受給権を守るのだというふうに主張しておられますが、しかしながら、やはり移行する前に、つまり確定給付型の企業年金を資産を個人に分配をする前に給付設計を見直して、そしてやはり給付を切り下げることで積み立ての不足を解決して移行することもできるのではないかというふうに思うんですが、その辺はどうでしょうか。
#205
○政府参考人(辻哲夫君) これまでは確定拠出年金が導入されておりませんので、解散をしないとすれば、この際、労使で話し合って引き下げという選択を行うといった事実があったわけでございますが、今後、確定拠出年金との関係で、確定拠出年金を導入しようというもし合意がありますときには、確定給付は積み立て不足を持ったまま移行するということは確定給付サイドで無責任な状態が続くことになりますので、御指摘のとおり、積み立て不足を解消するように給付の引き下げを所要の手続によって労使で合意いたしまして、そして引き下げた後、いわばその引き下げたものを、積み立て不足がございませんので、労使合意でそれが妥当とされたときには確定拠出に移行させることもできます。
 しかし、それはあくまでも移行させるときにはそれまでの分を移行させるということですので、全部移行させるときには解散に等しい手続が必要でございます。一部をさらに移行させるときには、移行させる分、さらに引き下げるわけでございますので、それは引き下げに必要な、これまで御議論いただきました通常よりもやはり相当加重した手続が必要でございます。そのような相当加重した手続で労使が合意した上で移行させることは可能でございます。
#206
○井上美代君 先ほど受給権が踏みにじられて積み立て不足のまま解散がふえていることを明らかにいたしましたけれども、こういった現状のもとでは、移行前に解散するときに、積み立て不足を企業負担で解決せず給付の切り下げで解決し、そして確定拠出に移行する企業がたくさん出てくるのではないかというふうに考えるわけですが、そうなると、まさに確定拠出年金の導入が給付切り下げの口実になる、給付切り下げの呼び水になると言えばいいでしょうか、ということだというふうに思うんですが、この点は大臣の認識ではどのようにお考えでしょうか。
#207
○政府参考人(辻哲夫君) その前に事務的なことを御説明申し上げたいと思います。
 移行させますときに労使合意が必要と申しました。労使合意なくして移行できませんので、じゃ引き下げとかそういうことを労使合意がなければ、確定給付企業年金法では事業主の積立義務はさらに引き続き続くわけでございます。したがいまして、あくまでも移行というのは、全部移行させるときには代議員の四分の三、一部を引き下げて移行させるときには代議員の三分の二という、労使が徹底して話し合って納得してという前提でございまして、それでない限りは積立義務は法的に重く課されているわけでございます。
#208
○国務大臣(坂口力君) 今までの企業年金が残念にして行き詰まりを来しましたときに一体どうするのかということには、いろいろの行き方があるんだろうというふうに思います。行き詰まりました場合に労使でお話し合いになって、そして今までの状況をよく勘案して、そして企業年金をそこでもうストップしてしまうという行き方もそれも中にはあるんでしょう。しかし、ここでやはりストップさせてはならない、若干その額を下げることがあったとしても次の新しい年金に移行させて、そしてその中でお互いに頑張ってこの企業をまた再建しようではないかというそうした考え方も多分あるんでしょう。それはその企業のそれぞれの立場、それぞれの置かれました立場によっていろいろのことが私は考えられるのではないかというふうに思います。
 今、委員が御指摘になりましたのは、その中の一つとしてそういう行き方も私はあることも恐らくあるだろうというふうに思いますけれども、しかし、必ずしもそういうふうにばかり行くわけではないというふうにも思います。
#209
○井上美代君 やはり移行のときに受給権を脅かされる、しかも過去に積み立ててきた分を持って移行するというふうになるわけで、私は大臣の今の御答弁を聞きながら、やはりそこの労働者の受給権というのをどう確保できるのかということにもっと神経を使わなきゃいけないし、もっと今後の方策としても考えていかなきゃいけないんじゃないかというふうに思います。
 次に移りますけれども、退職金の問題なんです、今度は。
 現在、退職金の見直しも加速度的に進んでおります。少し古いのですけれども、社会経済生産性本部が行ったアンケートでは、三割以上の企業で退職金の縮小、廃止に向かうと考えているという結果が出ております。現在はさらにその事態は進んでいる。新聞等でも取り上げられているとおりです。確定拠出年金が導入されれば、まさに退職金の見直しというのに拍車をかけることになるというふうに考えるのですが、それはどうですか、参考人。
#210
○政府参考人(日比徹君) 退職金制度でございますが、近時、例えば月例賃金に上積みして前払いという形で退職金制度を廃止する、そういう選択を認める、そういう動きも出ております。
 ただ、そういう最近における動きは動きとしまして、一時金払いか年金払いかということにつきましては、この十五、六年の間で一時金払いのみから年金払いのみ、あるいは年金払いと一時金払いの併用というような形への動きが出ております。この動きは今申し上げましたように十数年来の傾向でございまして、私どもの調査で見る限り、退職金制度そのものは企業規模計でほぼ九〇%前後というのはこの十数年来同じような動きでございます。ただ、今申し上げましたように、年金というものに次第にシフトしていっているというのが傾向であろうと思っております。
 今般、拍車がかかるのではないかというお話でございますが、今申し上げましたように、この十数年来の傾向から見ますと、今般、メニューがふえるという、選択肢がふえるということから考えますと、年金なのか一時金払いなのか、あるいはその併用なのかということにつきましては、各労使でこれが検討あるいは話し合いの契機になろうかと思っております。
#211
○井上美代君 この点で特に注目をすべきなんですけれども、それは退職金の前払い制度、今言われましたけれども、給与への上乗せ方式の導入が広がっていることです。
 これも社会経済生産性本部のアンケートですけれども、前払い制度の導入の障害になっているのは何かというアンケートをしているんですけれども、そこのところでは、前払い制度にすると所得税がかかってしまって税制上不利というのが約八割です。この税制上の問題を解決するのが確定拠出年金で、税制上の優遇があります。だから、確定拠出年金はこの前払い制度の受け皿になるというふうに考えられるわけです。今、答弁にもありましたけれども、そういうことではないかというふうに思っております。
 その点、どうでしょうか。
#212
○政府参考人(日比徹君) 税制面につきましては、退職金をめぐりましてはいろんな角度からの御議論がございます。
 一時金制度あるいは年金払いの場合、それから一部企業でこの前払い方式というのはまだどこまで定着しておるかはあろうかと思いますが、退職金をめぐりましていろんな支払い方式というものがございまして、その間、税制的にはできるだけ一定の理念のもとで中立的に税が算定されることが本来望ましいわけでございますが、一方で、退職金といいましても、支払い形式というものが例えば年金のように老後の保障をしっかりにらんでいるものもございますし、そこについては議論が十分なされた上で現在の税制がとられていると思いますが、新しいタイプの前払い方式等が出てくるわけでございますので、それにつきましては、量的にも広がった段階で必要があれば検討を加えるべきものと思っております。
#213
○井上美代君 今、私は確定拠出年金が退職金の前払い制度の受け皿になるのではないかということを思っているんですけれども、退職金についても、確定拠出年金に移行するのではなくて、やはり将来の給付が確定したものとして企業がきちんと責任を持つべきだというふうに思うんですね。
 これは、九六年になりますけれども、三和総合研究所が行った調査がありますが、ここでも退職金の使い道はやはり老後の生活費というのが八〇%近くあるわけです。そういう退職金の役割に照らせば、やはり私は、確定拠出のようなリスクマネーに退職金をゆだねるべきではない、こういうふうに考えるんですけれども、退職金がこの確定拠出年金への移行ともかかわってくるというふうになりますと、これは生活にとっても大変なことだというふうに考えておりますが、大臣、この点はいかがでしょうか。
#214
○国務大臣(坂口力君) 退職金をどういう形にするのか、そしてそれは年金型がいいのか、それとも今話がありましたように併用型がいいのか一時金型がいいのか、あるいは前払い型がいいのか、それは労使の間でいろいろのお話し合いによって決まってくることでございましょうし、そこまで我々がとやかく言える範囲ではないというふうに思いますが、今回提出をいたしております確定拠出型の年金がそうした退職金の前払いのかわりをするものということではないと私は思っております。
#215
○井上美代君 国際的な流れでいいますと、退職金も企業年金も退職給付会計として賃金の後払いとして位置づけられて、それから受給権を保護するという流れになっております。政府が進めようとしているのはまさにそれに逆行して、一括して自己責任の名のもとに受給権を後退させる方向に向かっていると私は言わざるを得ないというふうに思うんですね。だから、そういう点で、私はもう本当に政府が責任を持って退職金等を守っていただくということが重要であるというふうに思います。
 私は、時間もだんだん少なくなってきましたから、中退金の問題に入りたいと思うんです。
 これは中小零細企業の企業年金なんですけれども、中小企業はとても大変で、そういう点でもこの企業年金の問題というのは重要なんですけれども、政府は今回の確定拠出年金導入の理由として、先ほども言われましたけれども、中小零細企業への企業年金の普及を挙げておられます。
 確かに、厚生年金基金、それから適格退職年金といった企業年金の全くない企業の方が圧倒的に多いというのは、大臣が言われましたように現実です。そして、確定給付型の企業年金に比べて企業負担の軽減できる確定拠出年金の方が企業にとって導入しやすく、そして現在の全く企業年金のない企業の従業員にとっては新たな選択肢と言える、そういう側面というのはあると思います。
 その一方で、今度は中小零細企業向けの退職金制度でありますけれども、企業年金のかわりにもなり得るものとして中小企業の退職金共済制度というのがあります。
 まず、私は、この制度について、申しわけない、時間がもう幾らもありませんので、手短にまず概要を述べてほしいと思います。
#216
○政府参考人(日比徹君) この制度でございますが、これにつきましては、中小企業に限定いたしまして事業主拠出で掛金を払っていただく、その掛金につきまして一定納付月数経過しますと、退職という事由が起こった場合に納付月数に応じまして退職金という形でお払いする。その支払いをしますのは中小企業退職金共済機構というところで行う。そして、その共済機構の事務費につきましては一部国から補助を行う、また掛金についても一部国から助成を行う。それから、税制上の関係では、企業が負担します掛金につきましては損金または必要経費扱い、それから退職金を一時金で受け取る場合には退職所得控除が認められる等の状況になっております。
#217
○井上美代君 この中退金なんですけれども、ことしの二月に省令の改正がありましたね、そしてこの中退金制度が大きく変わりましたよね。その概要、国庫助成の仕組みがどう変わったのかということですね。そして、いろいろ助成率なども変わってきているんですけれども、ちょっとだけそこを答弁をお願いしたいんですが、短くお願いします。
#218
○政府参考人(日比徹君) 中退におきます掛金助成は、加入促進という観点で行っているものでございますが、ことし四月からその助成率等を変更いたしております。
 ごく簡単に申し上げます。
 主な改正でございますが、新規に加入するときの掛金助成につきまして、助成期間を従来の二年から一年に短縮しますとともに、助成率を三分の一から二分の一に引き上げる。また、短時間労働者の加入促進を図るという観点から、掛金月額の低い層、具体的には二千円、三千円、四千円という層でございますが、そこに対する助成率を従来から大幅に引き上げたということで、その他の改正点もございますが、主とした改正は以上のとおりで、加入促進をより効果的に、また必要な方々について徹底するという観点の改正を行ったところでございます。
#219
○井上美代君 今言われましたように四月一日から改正、私の立場から言えば改悪ですけれども、されております。掛金に対する助成率を三分の一から二分の一にと、言ってみれば一・五倍にしております。そして、助成期間が半分になるわけですから、国の財政負担の削減であることはもうはっきりしていると思います。しかも、助成額に上限までつけられております。
 企業年金の大企業と中小零細企業との差別の是正を本気で考えているのならば、この中退金の改悪はすべきではないというふうに思うわけなんです。確定拠出を導入する際には差別是正を言って、一方では差別是正に役立っている中退金を改悪するのは全く矛盾しているのではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。これは私、大臣に御答弁をお願いいたします。
#220
○国務大臣(坂口力君) 四月から行われました見直しに当たりましては、一律にこれは行ったわけではありませんで、掛金助成の必要性の高いいわゆる掛金月額の比較的低位な者及び短時間労働者に重点を置いて助成するものに改めたところでございます。中小企業退職金共済制度の果たす役割というのは大きいわけでありまして、今後もこの制度の普及充実に努めてまいりたいと考えております。
#221
○井上美代君 今、中退金の四月一日からの改正なんですけれども、やはりどう考えてもこれは、三分の一を二分の一にして、そして五千円の上限をつけて二十四カ月から十二カ月にしたというのは、全体を見ますと、これはやはり改悪であるというふうに思うんですよね。だから、そういう点で本当になかなか年金制度がない中小企業が多い中で、やはりこういう改悪というのは許されないというふうに思うんです。やはり財政事情で国庫負担を削減するということについては、削る場所というのを考えなければいけないんじゃないかと思うんですね。こういう中小企業などというところを削るのでは困るわけです。
 だから私は、お金の使い方というのがあるわけなんですけれども、削る場所も考えて、本当に政治の光を当てなければいけないところには光を当てていくという、そのことが非常に重要だというふうに思うんですね。だから、そういう点で、最後に大臣の御答弁を求めて、私の質問を終わります。
#222
○国務大臣(坂口力君) ですから、先ほど申しましたとおり、中小企業も内容はさまざまでございます。特に掛金月額の比較的低いようなところ、あるいはまた短時間の労働者といったようなところに重点を置いて改正をしたわけでございますから、必要なところに必要な光を当てた改正であるというふうに思っておる次第でございます。
#223
○井上美代君 質問を終わります。
#224
○大脇雅子君 私は、確定拠出年金法案が審議されるに先立って、先回の代表質問で、このような制度が創設されることによって、前提として必要なことは金融関係の健全な経済活動というものが保障されるかどうか、不良債権処理ということを現在課題にしている金融業界が、この確定拠出年金の財団をどう受けとめているのかという点と、資産運用の力量において外国企業との競争についてどのような評価をしておられるのかという二点についてお尋ねいたしましたところ、金融担当大臣は、確定拠出年金制度の説明をなさいまして、ただ一言、心配はないというお答えでありました。これは私の提起した答弁にはなっていないということで、再度本日ここでお尋ねをしたいと思います。
 企業年金の選択肢をふやすという前提条件におきまして、確定給付企業年金制度も、今回議題となっております確定拠出年金制度も、その加入者等への給付を保障する制度的な前提条件というのは、企業や労働者、自営業者など、加入者の掛金をもとに運用する金融関係の健全な経済活動というものがどうしても前提になります。金融分野における不良債権処理については、小泉内閣の痛みを伴う問題の処理ということが言われておりますが、決して先行き透明な改革案が提示されているわけではありません。むしろ、具体的な像というのは、あるいは政策というのは霧の中だと批判をされているところであります。
 そこでお尋ねをしたいのですが、処理の対象となる不良債権処理というもの、これはどのような額を想定され、何年間で処理をされるのか。そして、それに伴う効果、痛みというのはどんなものであるんでしょうか。そしてまた、これによって金融機関等の体力の増強というものが果たしてどのような見通しのもとに不良債権処理をされるのかという点についてお尋ねをしたいと思います。
#225
○政府参考人(浦西友義君) お答えを申し上げます。
 不良債権の具体的な処理につきましては、先般の緊急経済対策の中で述べられておるところでございますが、主要十五行、四月以前は十六行でございますが、まず昨年九月末時点で破綻懸念先以下の不良債権が十二・七兆円ございました。この十二・七兆円を平成十三年度、十四年度の二年度にかけてオフバランス化するというのが第一点でございます。それから、新規に発生いたしました破綻懸念先以下の不良債権につきましては、三営業年度でオフバランス化するということでございます。
 具体的な数字を申し上げますと、十二・七兆円が、昨年度下期で四・四兆円減少いたしまして八・三兆円になっております。一方、下期に新規に三・四兆円発生いたしましたので、本年三月末の残高は十一・七兆円ということになっております。
 金融機関が不良債権処理を積極的に進めました結果、全体として利益が相当減ったわけでございますが、ただ自己資本に対する影響を主要十六行で見ますと、昨年の十二年三月末の一二・三%から本年三月末一一・七%ということで、マイナス〇・六%の低下にとどまっております。
#226
○大脇雅子君 この不良債権の基準について、十二・七兆円と言われる不良債権基準は何をとっておっしゃっているんですか。いろいろ基準ございますよね。
#227
○政府参考人(浦西友義君) 不良債権の定義といたしましては、破綻、実質破綻それから破綻懸念先、それプラスいわゆる要管理先債権と言われているものがアメリカのSEC基準に沿った不良債権でございますが、その中で破綻懸念のある債権以下の不良債権をオフバラ化の対象としておるわけでございます。
 したがいまして、残っております要管理先債権、これは三カ月以上の延滞が生じているとか、あるいは当初の契約に比べて金利減免等がされているいわゆる条件緩和債権等はその対象にはなっておりません。
#228
○大脇雅子君 そういたしますと、このように景気が後退し、そしてデフレが進み、要管理先債権というものがいわゆる不良債権化するということが見込まれるのではありませんか。それに対してはどのような見通しをお持ちなんでしょうか。
#229
○政府参考人(浦西友義君) 要管理債権が破綻懸念先以下になる率につきましては、経済情勢等によりまして相当左右されるものでありまして、現時点においてどれぐらいのものが破綻懸念先以下になるかということの予測が大変困難なわけでございますが、ただ今回の緊急経済対策でも述べておりますように、既存の債権につきましてよく金融機関としてウオッチしていただきまして、そういった債権が不良債権化しないように努力していただくというふうにお願いしておるところでございます。
#230
○大脇雅子君 現場では、各金融機関が今、不良債権処理というところでさまざまな取り組みをしているわけですけれども、平成十三年度、十四年度で新規発生も含めて可能だというふうに考えておられますか。
#231
○政府参考人(浦西友義君) 今、不良債権の処理のペースといいますか、それについての御質問だと思いますが、先ほど申し上げましたが、十二・七兆円につきましては十三年三月で約三五%減って八・三兆円になったわけです。その意味からいたしますと、この八・三兆円をあと二年かけてゼロに持っていくということでございますが、さらに努力が必要だとは思いますが、一応この半期だけの実績を見るとそれなりの減少を見ておると。それから、新規に発生いたしました三・四兆円についても、三年間ということでございますので、これに向けて金融機関も全力を挙げて取り組むものというふうに思っております。
#232
○大脇雅子君 そういたしますと、その処理に伴って倒産等いわゆる痛みと言われるものがどのように発生するというふうに見ておられるのでしょうか。あるいはこの半年の実績ではどうでしょうか。
#233
○政府参考人(浦西友義君) 金融庁といたしましては、不良債権処理が実際に経済に与える影響について推計はしておりません。したがいまして、その具体的な影響についての御説明を申し上げることはできないわけでございます。ただ、不良債権処理に当たっては、十分企業の実態あるいは地域経済の実態を踏まえて合理的な経営判断のもとで行っていただくよう緊急経済対策にも書かせていただいておるところでございます。
#234
○大脇雅子君 そういたしますと、二年後、不良債権処理が終わるというか、一応のめどがついた場合に金融機関の体力増強といったようなものは一体どんな程度のものと見通しておられますか。
#235
○政府参考人(浦西友義君) 金融機関の体力増強についての御質問でございますが、金融機関は不良債権処理を積極的に進める一方、収益力の向上ということで、この二、三年全力を挙げて努力してきております。
 一つは銀行の収益の柱、金利収入ということでございますが、金利収入以外にも手数料収入を含めて全体の収益力の増強に努めているというふうに承知しております。
#236
○大脇雅子君 そのような銀行というか金融関係機関の情報公開について、金融庁はどのような施策をお持ちでしょうか。
#237
○政府参考人(浦西友義君) 金融機関の情報公開については銀行法の中で積極的な情報公開の基準を定めておるわけでございまして、各金融機関も当然ながら法律で要求された情報公開はしておるわけでございますが、それ以外でも各金融機関の判断によりまして積極的な情報公開に努めているところでございます。
#238
○大脇雅子君 さて、そのような改革がなされることを土台といたしまして、今回、国内外の金融関係商品というものが個人の責任においてさまざまな運用の対象になるわけですが、そうした金融商品が競争原理のもとで加入者に選択されますときに、日本の金融関係企業は外国企業との一層の競争にさらされるわけであります。日本の金融資産の国外流出などいろいろ懸念されているわけですけれども、日本の金融関係企業と外国の金融関係企業と比較した場合に、資産運用の力量というものをどのように評価されているんでしょうか。
#239
○政府参考人(浦西友義君) 日本の金融機関と外国の金融機関の資産運用の力量についてのお尋ねでございますが、確かに海外の金融機関は年金制度等の違い等もございまして、そういった能力といいますか、非常に高い能力を有する金融機関があるわけでございますが、日本の金融機関につきましてもこの九〇年代、国内のみならず海外においても海外の金融機関と競ってきておりまして、その実力につきましても年々向上してきているものというふうに考えております。
#240
○大脇雅子君 そういたしますと、確定拠出年金という制度が創設されることによって形成される市場に対する金融機関の受け手というか、それを運用していく一つの市場が形成されるわけですが、そのような市場形成については金融庁としてはどのように受けとめておられますか。
#241
○政府参考人(浦西友義君) 金融機関のみならず、マーケットの整備あるいはマーケットが発展するということは資産運用の効率化に役立つわけでございます。そういった意味で、いわゆるビッグバン以来、市場のインフラ、制度整備に努めてきておるわけでございます。今回も法律で例えばCPのペーパーレス化等を提案させていただいておるわけですが、そういったことも全体の市場整備に役立つものというふうに考えております。
#242
○大脇雅子君 そうしますと、金融の市場としては今度の確定拠出年金の創設というものは非常に歓迎すべきものというふうに理解してよろしいでしょうか。
#243
○政府参考人(浦西友義君) 今回の確定拠出年金の創設は、マーケットの拡大とともに内外の金融機関に大きなビジネスチャンスを与えるものだというふうに思っております。
#244
○大脇雅子君 ありがとうございました。
 それでは、次は年金の空洞化についてお尋ねをいたします。
 この確定拠出年金の土台となります公的年金制度の信頼感というものは、これまで何度か申し上げてまいりましたが、どうしても未納・未加入者問題というのは避けて通れないということであります。
 社会保険庁の調査によりますと、九七、九八年度の二年間に一度も保険料を支払わない未納者の割合は、三年前の前回調査よりも五%ふえて加入者全体の一六%を占めたということであります。実数は、未納者二百六十四万六千人、未加入者九十九万人、免除者四百万人ということで、保険料を負担していない人が国民年金対象者の三分の一を超える状況だということであります。これは、さまざまの議員が指摘をし、それに対する周知徹底、その他徴収の努力ということは今まで幾度か御答弁いただいているわけであります。
 二、三お尋ねをいたしたいのは、この未納者それから未加入者の理由と世代別内訳というものを改めて確認させていただきたい。そして、今後どのように対処したらいいのかと。どうも深刻さについての認識が少しまだ不足しているのではないかと思えるわけであります。
 それから、今回、自営業者等の国民年金制度加入者に個人年金型をつくるとされておりますけれども、老後の生活における経済的な格差というものがますます拡大するおそれがあるのではないか。この未納、未加入の問題をまず解決して、根本的な年金制度の国民年金制度というものをしっかり打ち立てて、そこを充実しない限りは我が国における年金制度というのは格差拡大の危険性をはらむのではないかというふうに思うのですが、どうでしょうか。
#245
○政府参考人(冨岡悟君) お尋ねの調査結果によりますと、国民年金の保険料の未納の理由としては、保険料が高くて経済的に払うのが困難ということを挙げている方が六二・四%と一番多くなっております。続きまして、国民年金を当てにしていないというのが一二・二%でこれに続いているわけでございますが、このような答えをなされる人は比較的若い世代に多く見られます。
   〔理事亀谷博昭君退席、委員長着席〕
 こういった結果でございますが、未納の方の世帯の所得といった観点からこれを見てみますと、未納の方は納付されている方に比べまして若干低い傾向はございますが、世帯の所得の分布状況といったものはそれほど差がございません。それから、未納の方の半分以上が生命保険等の民間保険に加入しておりまして、かなりの額の保険料を負担しておられます。こういった状況でございます。
 それから、年齢階級別に見ますと、二十歳代から三十歳代前半の若い層で未納の方の割合が二〇%を超えておりますが、一方、受給年齢が近づきます五十歳代になりますと一〇%以下となりまして、未納の方は急激に減ります。二百六十五万人の未納の方がおられますが、実は二十歳代の方でこの半分を占めているという状況にございます。
 このような状況につきましては、私どもは将来の無年金者を出さないという観点から非常に重要な課題と認識しておりまして、公的年金の重要性につきましての周知徹底、それから口座振替の促進、それからさまざまな督促といったことを鋭意やってまいりましたが、実は来年四月からは国民年金の運営形態に一部変更がございまして、保険料の収納につきましては社会保険事務所が当該年とそれから過年度分すべて一元化して集めることになっています。こういったことから、制度的には被保険者の方の負担能力へきめ細かく配慮しようということで、一つは半額免除制度を創設することとしております。
 それから、現在、国民年金の保険料を納付されている方の八五%は金融機関を通じて納付されておられます。そういうことで、この金融機関の窓口を拡大し、身近で納付できるようにすることが非常に重要かと考えておりまして、現在、市町村の指定金融機関が納付窓口でございますが、これを都市銀行といった銀行はもちろんのこと、漁協、農協、それから全国の郵便局、こういうところのすべてが使えるようにしたいと考えております。
 それから、未納の方に対しましては、年六回督促状を送付する、それから電話でも督促するといった徹底した、制度の周知とあわせまして、納付督励を行いたいと思っております。
 このようなきめ細かな努力を重ねることによりまして国民年金の安定に努力してまいりたいと、このように考えております。
 以上でございます。
#246
○大脇雅子君 今、国民年金の徴収が社会保険庁に一元化されるということで、地方分権推進策の一環として国民年金の保険料の徴収を社会保険事務所にまとめるということは確かに承知しておりますが、こうした新制度の切りかえで事務作業等に支障が生じているのではないか、あるいは有効に対処できているのか。例えば、市町村が担当する国民健康保険料の徴収との連動など有機的な取り組みが必要と考えますが、この徴収について、今きめ細かくと言われたんですが、具体的にこの切りかえについての問題点というのはありますか。
#247
○政府参考人(冨岡悟君) ただいま御指摘のように、この切りかえはかなり大きな事務的な変更だと承知しております。そういうことで、この円滑な移行、これにつきまして現在準備を進めておりまして、その周知徹底を含めて準備しておりますが、御案内のように、各種届け出の受理、こういった適用事務と申しましょうか、資格確認事務と申しましょうか、そういったことにつきましては、従前どおり法定受託事務として引き続き市町村が実施するところでございます。
 こういうことから、引き続き、国民年金につきましては市町村それから社会保険庁が緊密な連携を保ちながら、事務的な支障を来さないようにすることが重要かと考えております。
 そういうことで、現在、いろんな事務の円滑な実施に向けて準備している中で、例えば、同じ県内での社会保険事務所がばらばらでやっておりますような事務を県単位の社会保険事務局が一括して処理するような事務の効率化、それから例えば納付書、これを年度初めに一斉に二千万の方にお送りしているわけでございますが、こういった印刷、送付作業、こういったものを効率的に集中的に行うといったこと、こういった準備を進めておりますし、住民票の管理といったものは市町村が行っておりますものですから、そういった住民の住所の異動のあった方につきましても十分連携をとって行う必要があるのではないかと思って、各市町村レベルでもさまざま相談しているところでございます。
 それから、御指摘のございました国民健康保険の保険料の収納といったものと協力できないかという御指摘でございましたが、例えば国民健康保険の保険料を集合徴収する、市町村がまとめてどこかで集まって説明しながら集める、そういった機会があるという場合には、市町村と話し合いがつけば社会保険庁も出向きまして一緒に納めてもらう、こういったような協力もできるのではないかなと。いろんなことでその地域の実態に合った事務を進めてまいりたい、かように考えております。
#248
○大脇雅子君 これは大臣にお尋ねをしたいので、通告はしていないんですけれども、国民年金というのが一律一万三千三百円を出して、そして富みたる者も貧しき者も同じように積み立てて、一定年度積み立てればもらうというのが日本の国民年金で、後世代の人たちが高齢世代の人たちを維持するということなんですが、実はこういう国民年金制度というか基礎年金を仕組んでいるところというのは結構諸外国では少ないわけであります。
 所得の再分配という原理を導入して、一定程度給付が非常に多い高齢者に対してはやめて、そして本当に困っている人たちには最低限の文化的な生活を保障するという、そういう仕組みで全体的にそういう社会保障としての所得再分配原理というものをこれに導入しないと、国庫補助三分の一を二分の一にするというだけではなかなか本当の構造的な改革というのはできないんではないかというふうに私などは思うわけですけれども、そういう点は今議論されていないんでしょうか、今の国民年金制度の改革についてお伺いをしたいと思います。
#249
○政府参考人(辻哲夫君) その点につきましての事務的な検討の視点をまず申し上げたいと思います。
 公的年金制度、応能負担、必要性に基づいた給付というのは一つの形だと考えておりますけれども、国民年金の場合、外国では所得のある方のみを対象にするということが多うございますが、すべての方を適用対象とするという形をとっておりますことと、収入の形態というものがサラリーマンの場合はいわゆる給与ということで一律に把握できますが、それ以外の自営業者の場合は経費と収入といいますかとの関係をどう考えてどの部分を所得としてとらえるかとか、それからそもそも把握がすべてできるかと、こういった応能による負担というものを仕組みとして導入することが非常に難しいということから定額の保険料を取ったということで、定額の保険料が理論的に正しいというよりも、技術的に応能の負担を取るのが難しいからという仕組みでこれまで来た経過がございます。
 そのような状況で、先ほど運営部長の方から説明いたしましたが、所得の低い方については半額免除をするとか、あるいは全額免除をするとか免除をして、そちらに配慮をいたしまして負担能力に応じる仕組みとすると、こういった形をとっているのが現状でございます。
#250
○大脇雅子君 定額であるということと定額の給付であるということが、日本の国民皆年金の中で基礎年金方式としてはいいのか悪いのかと私も悩むところがありますが、どうもこれだけ未納者と未加入者が多いと、やはり制度的な欠陥みたいなものが根底にあるのではないかと実は考えたりして、困ったときに自分がきちっと支えられる年金制度であるというメッセージを送るには、今の国民年金制度というのは非常に難しいのではないかというふうに考えるものですから、少し再検討が必要なのではないかというふうに考えてお尋ねをするんですが、大臣いかがでしょうか。
#251
○国務大臣(坂口力君) 先ほど局長が答弁をしましたことに尽きるわけでございます。
 応能負担でいくべきじゃないか、年金というのはやっぱりそういうものだという議論がずっとなされてまいりまして、しかしそれならば所得の把握というものがきちっとできているかというところに議論はもう常に行くわけでありまして、そこがきちっとできないものですからやむを得ないということにまた話は戻ってしまう。そこがぐるぐるといつも回っている議論だというふうに私は思っております。
 その辺のところが今後うまく把握をされるというようなシステムができ上がりましたときには、それに沿いまして、今、先生が御指摘をいただきました、本来の応能負担によりますところの年金制度というものがもう一度考えられるときがあるのかもしれないと私も思っている次第でございます。
#252
○大脇雅子君 それでは、質問をこの確定拠出年金の方に戻す前提として、先ほど金融庁の方にお尋ねをしたときに、不良債権処理をこれから行うという決意は非常に明快なものであったわけですが、経済に与える推計は金融庁としてはしていない、どういう影響かということはわからないと、こういう返事でありました。
 低成長のもとで、景気低迷を脱する端緒が今全く見えておりません。政府は、最近、悪化を認めておりますが、朝日新聞だかの漫画によりますと、竹中経済財政大臣が悪化だという教科書のページをむちで指し示したら、そんなことはもうとっくにわかっておりますと答えている国民の漫画が出ていたわけですが、確かにここのところ、そういう状況のもとで、聖域なき構造改革の断行によって、中小企業あるいは中小零細企業の切り捨てによる倒産とか吸収合併とかリストラという雇用状況の悪化がますます懸念されるわけであります。
 今後の雇用情勢についてどのように予測されているのか、そうした土台の上に立っての確定拠出年金法の位置づけというものが必要だと思うのですが、いかがでしょうか。大臣にお尋ねしたいと思います。
#253
○国務大臣(坂口力君) この不良債権の処理が、先ほどのお話にもございましたとおり、どういうスピードでどれだけの大きさで進んでいくのか。先ほどのお話でございますと十二・七兆円、それが若干減りましたのとまた新しく出てまいりましたのでどれだけとおっしゃいましたかね、約十二兆円ぐらいだったというふうに思いますが、それをこの十二年、十三年で処理をしていくということでございます。
 その辺のところの処理を今度はするに当たりまして、じゃそれを処理したらどれぐらいの雇用不安というものが発生してくるのかということを、これを先にやはり予測をしなければならないというふうに思っています。いつか武見先生にセーフティーネットという言葉が間違っているという御指摘を受けましたけれども、ネットを張って下で待っているから大丈夫だよというのではやっぱりいけないので、落ちないようにどうするかということを先に考えるのが政治として大事なことだというふうに思っております。
 ですから、そのために一体どういう手だてをするのかということと経済政策とあわせて、我々が担当しておりますところの雇用を含めます労働問題につきましても、もしも仕事を変えていただかなければならないような人が生じましたときに、その人たちをどういうところにそれを受けていくかという受け皿を先に用意しておかなければならないんだろうというふうに思っております。
 その辺のところを今一生懸命にやっているところでございますが、いろいろの分野でそれをつくり出していこうというので、重点的にそれをしかしやっていこうと。全体で、慶応大学の島田教授を中心にしまして五百三十万という数字が出されたりもいたしておりますが、これは第三次産業が八〇年代に約六百万人ふえた、そして九〇年代に四百万人ふえた。ですから、これから先この十年間でひとつ前倒しをして一生懸命やれば五百万人の第三次産業を中心とした雇用をつくることは決して難しい話ではないという、ボーデンと申しますか、基礎的なところから出発をして、それではどうするかということでの積み上げが今行われているわけでございまして、我々、詳細にそこを、どの分野でどれだけつくっていくためにはどういう政策をやればいいかということを今積み重ねをやっているところでございます。
 間もなく先生方にもその内容をお示しさせていただけるものというふうに思っておりますが、できるだけ詳細にその辺のところをやりながら、そしてもし仮に不幸にして職場を変わらなければならなくなった人、あるいはまた企業はそう悪くはないけれども、しかしもう自分から変わりたいというふうに思う人、それはさまざまだろうというふうに思っておりますので、その皆さん方に対する受け皿をやはりつくり上げていかなければならないというので、今一生懸命にやらせていただいているところでございます。
#254
○大脇雅子君 そういたしますと、そういう中で確定拠出年金制度というのが創設をされ、労働者の選択肢をふやすということになるわけでありましょう。
 企業年金制度を持っている場合には確定給付企業年金制度への移行が比較的行いやすいんですが、規模の小さい企業は確定拠出年金制度を目指す可能性というものが多いのではないかと思いますが、どのような見通しを持ってこの両制度を位置づけておられるのでしょうか。
 アメリカでは四〇一k年金制度などの確定拠出型年金制度への移行が八〇年代以降高まってまいりまして、九五年段階では確定給付型と確定拠出型の両年金制度が拮抗しているという報告もあります。日本でも同様の事態が生ずるのではないかと思うのですが、選択肢を拡大するということに対してこの確定拠出年金法をどう位置づけておられるでしょうか。
#255
○副大臣(桝屋敬悟君) 最初に確定拠出年金制度、委員の方から、小規模の企業、いわゆる確定給付の制度を持っていないところで広がっていくのではないかというようなお話もありましたけれども、おっしゃるように、大企業に比べまして従業員の流動性が比較的高い、あるいは財務力が比較的低いと言える小規模企業にとりましては、確定拠出年金は、ポータビリティーにすぐれている、あるいは掛金の見通しも比較的立てやすいということがございますから、確定給付型の年金と比較しまして導入しやすいということは確かに言えるだろうというふうに思っております。
 そういう意味では、今アメリカのお話も出していただきましたけれども、小規模企業におきましては、確定給付企業年金よりも確定拠出の方がより普及する可能性はあるのではないかというふうに思っておりますけれども、いずれにしても、これは労使で十分協議をいただくものでありますから、どんな実情になるのか。
 衆議院段階でも議論しましたけれども、東京商工会議所のアンケートあたりでは、中小零細企業、約二割の方が希望しているとか、そんなデータもいただいてはいるのでありますが、私どもとしては、確定給付、確定拠出、この二つの制度がこれであらあらでき上がるということでございますから、まず普及ありきということではなくて、特に確定拠出につきましては加入者に十分理解をしていただいた上で定着をしていただきたいなと、こう思っているわけであります。
 アメリカの例もお話をいただきましたけれども、確かに拮抗しているという状況もあるようでありますが、アメリカはもう相当たっているわけでありますから、二十年近くが経過をしているわけでありますから、我が国でもそうした長い目で見ていかなければならぬというふうに思っているところでございます。
#256
○大脇雅子君 ありがとうございます。
#257
○西川きよし君 どうぞよろしくお願いいたします。
 本日は、私はまず冒頭に、大阪教育大学附属小学校事件、その後の対応についてお伺いしたいと思います。
 今回の事件で亡くなられた子供さんの御冥福を心よりお祈り申し上げますとともに、御家族の皆様方、心からお悔やみを申し上げる次第でございます。また、当然ながら、その他の子供たちの心にも相当深い傷が残されたことだと思います。
 大阪府におかれましても、児童等に対する相談体制も整え、その対応に当たられておりますけれども、まず今日までの状況をお伺いしたいと思います。
#258
○政府参考人(今田寛睦君) このたびの大変不幸な事件でありましたけれども、事件が発生をして直ちに、御遺族それから児童に対する心のケアへの対応という観点から、私どもの職員を現地に派遣をいたしまして、連絡調整に当たらせていただきました。
 現地でありますけれども、御承知のように大阪教育大学を主体といたしましてメンタルサポートチームができておりますし、そこで教諭によります家庭訪問への同行、あるいは御遺族それから児童などに対します助言、指導、さらにはホットラインによります電話相談などで心のケアに非常に精力的に当たっていらっしゃるという状況であります。
 私ども厚生労働省といたしましても、このチームの依頼を受けまして、とりわけ心的外傷後ストレス障害、PTSDでありますが、この問題につきましての助言、指導をしてほしいという御依頼もございましたので、私ども国立精神・神経センターから専門の医師を派遣したという状況でございます。
#259
○西川きよし君 どうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 小さな子供たちにとって余りにも痛ましい事件に遭遇をしたわけですから、心に受けた傷をいやすには相当な時間がかかることだと思います。今後におきましても、厚生労働省の最大限の協力、御支援を賜りたいと思います。まず、大臣の方からも御答弁をいただきたいと思います。
#260
○国務大臣(坂口力君) 本当に今回の事件はまことに痛ましい事件でありまして、私もお亡くなりになったお子さんに対して心から御冥福をお祈り申し上げたいと思いますし、またまだ入院をしておみえになります皆さんに対しましてはお見舞いを申し上げたいと存じます。
 今、部長から話がございましたとおり、心のケアの問題、やはり一番大事でございまして、いわゆる心的外傷後ストレス障害、PTSDというふうに言っておりますが、そうしたことをできるだけ和らげていきますためにどういう我々が支援をすることができるのか。大阪の方の国立病院等の医師を中心にいたしまして、できる限り協力をさせていただきたいということの申し出をいたしているところでございまして、積極的に取り組みをさせていただきたいというふうに思っております。
 それともう一つは、二度と再びこういうことを起こしてはならないわけでございますので、小学校の生徒さんはもうもちろんでございますが、幼稚園もございますし、保育所もございますし、そうしたところの皆さん方が安心をしていただけるような社会にするために一体どうしたらいいのか。二度と再び繰り返さないための施策、そのことについても我々は真剣に取り組んでいかなければならないというふうに思っております。
 今回の事件がいわゆる精神障害者の方によるものなのか、精神障害によるものなのか、それともそれは精神障害というよりもそれは違った形の異常性格等によるものなのか、そうしたことは今後の捜査にまつところが大きいわけでございますが、いずれにしましても今のままで置いておきますと、またそうしたことが起こらないとも限りません。
 したがって、今後の推移を見ながらでございますけれども、こういったことが繰り返されないための一つの仕組み、そうしたものをやはりつくり上げていかなければならないというふうに思っております。これは法務省等ともよく相談をさせていただかなければならないことでございますが、そうした中で一歩も二歩も前に進めていきたいと決意をしているところでございます。
#261
○西川きよし君 どうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 それでは、今回の確定拠出年金の導入の必要性について質問を続けてまいります。
 これまでの政府の説明によりますと、少子高齢化の進展、高齢期の生活の需要の多様化、そして雇用の流動化など社会経済情勢が大きく変化をしておりまして、そうした変化への対応が求められているわけです。そこで、私の方からは雇用の流動化に対応するための今後の企業年金のあり方についてお伺いをしたいと思います。
 日本の企業ではこれまで終身雇用制度と呼ばれるシステムを採用してきたわけですけれども、このシステムにおきましては長く勤めれば勤めるほど賃金や処遇などの面で大変有利になっていくというわけです。いわゆる年功序列的な仕組みが築かれてきたわけですけれども、この終身雇用という考え方、そして年功序列という考え方、このこと自体はこれまでの日本の社会におきましても大変に大きな役割を果たしてきたものだと高く評価を皆さんもしておるわけですけれども、この点につきまして大臣はどういうお考えでございましょうか。御答弁をいただきます。
#262
○国務大臣(坂口力君) 今、委員がお話しになりましたように、長期雇用と申しますか終身雇用、それに年功賃金、こうした日本の雇用慣行と申しますか雇用のあり方というものは、非常に安定もいたしておりましたし、戦後の日本の経済の大きな原動力になったことも事実だというふうに思います。
 この日本の労働慣行というものが非常に大きな役割を果たしたことは私もそのとおりと思っておる次第でございますが、しかしだんだんと経済の状況につきましても変化をしてまいりましたし、そしてまた社会全体の動きも変わってまいりました。これからこのような雇用が継続をしていけるかということになれば、それは疑問視する人が非常にふえてきたことも事実でございます。
 例えば、ITの非常な発達によって家庭内におけるいろいろの仕事でございますとか、SOHOなどというような言葉も出てきておりますが、小さな一室を借りての事業でありますとか、家庭での仕事でありますとか、そうしたものもふえてきておりますし、今まで企業の中で行われておりました仕事を企業の外に出て、そして多くの企業からいろいろの仕事を引き受けて、いわゆるそういう引き受けをすることによって経営を行っていくというような、そういう企業もふえてきたところでございますし、かなり多様化してきたことも事実でございます。
 そうした中でございますので、やはりこういう新しいIT社会にふさわしい体制の制度もつくり上げていかなければなりませんし、雇用慣行もやはりつくり上げていかなければならないと考えている次第でございます。
#263
○西川きよし君 ありがとうございました。
 次に、企業年金においてもそうした終身雇用制、年功序列制と連動して設計し、また運営されたと思うわけですけれども、一般的に見まして従業員は長く勤めるほど退職金や年金が増額をされてもちろん有利になるわけですけれども、例えば平成八年版の労働白書では転職による退職金の低下率という調査の結果が分析をされております。この部分について、政府参考人より少し御説明をお願いいたします。
#264
○政府参考人(坂本哲也君) 平成八年版の労働白書におきまして、製造業で千人以上の企業の男子労働者の転職に伴う退職金の低下率というものを試算いたしております。この試算によりますと、学歴とか職種にかかわらず大体四十歳前後で転職した場合が低下率が最も大きくなっております。
 その理由でございますけれども、これは退職金の支給率というのが、勤続年数が長くなるに伴って累進的に増加をするというのが通常でございまして、仮に二十歳から六十歳まで四十年間勤続期間があった場合でも、そのちょうど真ん中あたりで分断されますと相対的にその短い期間の勤続年数ということになるというような事情で、四十歳前後で転職した場合が最もその低下率が大きい、こういう結果になっております。
#265
○西川きよし君 ありがとうございました。
 このところ本当に世間では、また私の身の回りでもそうですけれども、見渡しますと、中途退職を真剣に考えている人たちというのが結構いらっしゃいますし、また一方では有能な人材を中途採用しようという、そういう企業もたくさんあるわけですけれども、しかしそうした方々にとりましては、このように中途退職した場合とそうでない場合との生涯賃金の格差は大変なネックになるんだろうと、こう思います。
 雇用流動化という大きな潮流の中で確定拠出年金が果たそうという役割、この役割はどういうものなのか、大臣よりそのあたりの説明をいただければと思います。
#266
○国務大臣(坂口力君) 雇用の状況を見ますと、今まで日本は第二次産業を中心にして発展をしてきたと申しますか中心で今日まで来たわけでございますが、しかし第二次産業につきましてはこれだけの国際化の中で非常に厳しい状況を迎えております。そして、もう頭打ちと申しますか、これ以上なかなか進めていくことができない状況になっております。
 そういたしますと、これから先、日本の国の中で雇用をどこで伸ばしていくかということになれば、やはり三次産業で伸ばすということが一番大きくなってくるのではないかというふうに思います。欧米先進国と比較をいたしましても、日本もかなりこの第三次産業は伸びてはきましたけれども、欧米先進国、とりわけ米国と比較をいたしますとまだ一〇%ぐらいの差がございまして、日本もまだこの第三次産業の方に進出できる幅は大きいというふうに考えております。
 そういたしますと、先ほどの長期雇用といった形よりも、そういう第三次産業の皆さん方の中には、いろいろの企業の中を渡ると申しますか変わることによって、そしてよりよい自分の能力をさらに磨いていく、そうした皆さんも多いことは事実でございます。その皆さん方におこたえをしていきますためには、やはりそういう職場を何度もお変わりになるような皆さん方に対してこたえられる制度というものもつくり上げていかなければなりません。年金もしかりだというふうに思います。また、そうすることによりましてその皆さん方も安心をしていただくことができるわけでございますから、そういう時代的背景も考えて、我々は今回のこの年金制度の御提案をさせていただいたところでございます。
 中小零細企業におきましてはもちろんでございまして、いろいろこれは時代の変化とともにやはりそのお仕事の内容も変化をさせていただかなければならないんだろうというふうに思いますし、あるいは他の企業と合併をしていかなきゃならないことも多いんだろうというふうに思いますが、そうした皆さん方のところでも適用していただけるようなものをやはりつくっていくということも大事ではないか。
 もう何度も言い古しておりますけれども、中小零細企業などにも導入しやすいし、そして転職の際にも移換をしやすい、持ち歩きができやすい、そうしたことをやはり中心にして今回提案させていただいた次第でございます。
#267
○西川きよし君 ありがとうございました。
 大臣のお話を聞いておりますと、何か本当に安心をするといいましょうか、御答弁をいただいて、何か心療内科で先生にお話をお伺いして本当に安心させていただけるような、そんな気持ちがいたしますが、現実に世間の皆さん方に聞きますと、またこうして質問をさせていただいている間でも、何かちょっと不安な気持ち。
 今おっしゃいましたポータビリティー、持って歩けるということですけれども、これが担保されるためには、一つには個人の持ち分が確定できること、それから個々の制度間で資産の移換ができる、さらには資産の移換に際して課税されないこと、こうしたことが要件になっているのではないかなというふうに私自身も思うわけですけれども、この制度におきましてどのような対応がなされているのか、政府参考人の方にお願いいたします。
#268
○政府参考人(辻哲夫君) 御指摘のとおり、この確定拠出年金制度におきまして、ポータビリティーの確保というのは基本的な事項でございまして、加入者個人の持ち分、すなわち個人別管理資産が明確に記録され個々人の残高が確定できるということ、そして加入者が転職した場合には転職先の制度に非課税で資産を移転できること、このことが法案の基本的な枠組みとして定められております。
#269
○西川きよし君 それでは次に、今回の確定拠出年金の導入によって個人がどのような影響を受けるのか、そのあたりについてお伺いをいたします。
 確定拠出年金の導入形態として考えられるのは、例えば既存の退職給付制度の上乗せ分として企業型年金を補完的な制度として位置づけられるものであるというふうに思うわけですけれども、このような場合には、企業負担のみによって従業員の個人の資産がふえるわけですから、給与等が抑えられなければ従業員にとってはもちろん利益の多い制度になると思うわけです。しかし、やはり一般的には現在の退職金や企業年金の代替制度として確定拠出年金を導入するケースではないかと思います。
 この場合は、それぞれの給付の将来の価値がどうなるのか、これは労使の話し合いになるわけですけれども、今後、制度の普及を図っていくという意味ではこの移行をスムーズに行うための条件整備ということも大変重要になってくると思うんですが、この点は政府参考人の方はいかがでしょうか。
#270
○政府参考人(辻哲夫君) 御指摘のような場合におきまして、移行の手続として大きく二つございまして、この確定拠出年金そのものを実施するのに必要な要件といたしまして、従業員の過半数で組織する労働組合があるときは当該労働組合、過半数で組織する労働組合がないときは過半数を代表するもの、この同意を必要としております。
 もう一つ、企業年金や退職金において積み立ててきた資産を非課税で移換いたしまして確定拠出年金を実施する場合には、厚生年金基金からの移行の場合であれば移換に係る加入員の二分の一以上の同意を得ることとなるなど、資産移換について労使合意が要ること、それから確定給付型の企業年金においては積み立て不足がないこと、こういった要件を課すこととしておりまして、従業員の受給権が不当に侵害されることのないよう、その権利保護に十分配慮することにしております。
 また、これらの手続を経る過程におきまして十分な話し合いがなされ、関係者が納得している、そして最も適切な選択になるということが必要でございまして、この点、特に指導を尽くしてまいりたいと思います。
#271
○西川きよし君 そこで、今回のこの制度におきます公平性、中立性の確保についてお伺いをいたします。
 まず、個人型年金についてですけれども、個人型年金においては自営業の方などと勤めている企業が拠出を行わないサラリーマンとの間で拠出限度額に大きな差があるわけでございますけれども、これは公平という観点からいたしますと問題があるのではないかなというふうに思うわけですけれども、この点はいかがでございましょうか。
#272
○政府参考人(辻哲夫君) 個人型年金におきます自営業者の場合とそれから企業のサラリーマンで個人型年金に入る方の場合の格差、これがあるのは事実でございまして、これがどういう背景に基づくかということについて御説明申し上げます。
 まず、確定拠出年金の拠出限度額というのは、これは各加入者が公的年金も含めて拠出できる水準が公平になるようにという基本的な考え方に立っております。すなわち、公的年金から上乗せのものを全部積んで、全体として公平なものになるようにと。
 具体的には、確定拠出年金は、企業の従業員にとりましては三階部分、一階は基礎年金、二階が厚生年金、そして三階部分に位置づけられるのに対しまして、自営業者にとりましては一階部分しかございませんので、確定拠出年金は二階、三階部分に相当するわけでございます。したがって、二階部分の分だけ自営業者はより分厚いものを見ているということでございます。
 一方、自営業者等に対する国民年金基金の拠出限度額やサラリーマンに対する既存の企業年金等の税制優遇の対象となる水準を勘案して、サラリーマンについては既存の企業年金等の税制優遇の対象となる水準を勘案して決めております。
 これ、抽象的なのでもう少し具体的に説明させていただきますと、個人型年金のうち自営業者等については、今申しましたように、サラリーマンにとって三階部分の選択肢となる確定拠出年金がいわば二階と三階を含めたものになるわけでございますので、現在、確定給付型の制度は二階分と三階分を含めて国民年金基金というものがございまして、それにつきましては限度額が既に六万八千円となっております。したがいまして、この二階と三階に相当する、月六万八千円と相当分厚いものでございますけれども、ここに新たに選択肢として入りますので、やはりこの二階と三階分を共有するという意味で、この六万八千円を既存の国民年金基金の拠出額とこの新たな確定拠出年金の限度額と共有いたしまして、したがって合わせて六万八千円になるようにセットしておる。
 一方におきまして、個人型年金のうち、企業の従業員につきましては、これは上乗せの年金制度において何ら企業の支援を受けていない方についてのものだと。実は、企業の従業員についてはお互いに二階を持っておりますので三階だけの話だと。では、三階で比較しますとどうかと申しますと、三階部分に相当する既存の制度である厚生年金基金における実態、これは大部分、約九割の厚生年金基金においては、上乗せ部分の掛金として従業員が現に事業主から支援を受けている額が月一万五千円の範囲内であるという状況でございます。
 したがいまして、三階部分の既に持っている方との均衡ということがこの方々についてのバランスになりますので、その一・五万円の範囲内であるという状況を踏まえて、三階の既存の企業年金の実態との均衡を配慮して一・五万円ということになったということで、額は、見かけが違いますけれども、そのような背景によるものでございます。
#273
○西川きよし君 御丁寧にありがとうございました。
 この確定拠出年金制度についてこれまで出されてきた意見の中では、例えば老後の生活保障のためのスキームなので年金払いでなければ受給は認めないという考え方もあったとお伺いいたしておりますけれども、この点については今回どのような対応になったのでしょうか。
#274
○政府参考人(辻哲夫君) 御指摘のとおり、確定拠出年金は老後の所得保障のためのスキームでございますので、法案第三十五条一項の規定によりまして年金払いを原則としております。
 しかしながら、老後の生活設計は個々人により相当異なっておりますことから、多様な生活ニーズにこたえるため、確定拠出年金制度におきましても、その支給方法は年金払いに限るのではなく、必要に応じて一時金払いによる受給や年金払いと一時金払いの組み合わせの受給、こういった形も認めることが適切と考え、現在の案となっております。
#275
○西川きよし君 ありがとうございました。
 それでは、時間も参りました、最後の質問にさせていただきます。
 この給付方法の選択次第では税負担が軽くなったり重くなったりということが生じることもあり得ます。加入者の立場になれば、税負担の少なくなる給付方法を選択するのが自然だと思うわけですけれども、生活設計に合わせた多様な受給方法を認めた趣旨を生かすには中立的な税制であるべきではないかなというふうに思います。
 この点について、例えば社会保障制度審議会は「現行の退職所得課税では年金ではなく一時金として取得することを奨励する面があることに留意すべきである。」と、こう指摘していますけれども、この点についてのお考えをお聞かせいただきまして、質問を終わりたいと思います。
#276
○政府参考人(辻哲夫君) 社会保障制度審議会の御指摘は、現行の退職所得課税上かなり大きな控除額が退職所得につきまして認められておりますことを踏まえまして指摘がされているものと思います。
 具体的には、一時金と年金と両方できるわけですけれども、一時金で受け取り退職所得課税の適用を受けた場合と、年金で受け取り公的年金等控除の適用を受けた場合とでは、この両者が中立的かどうかということでございますけれども、その税額はその現に受ける方の勤続年数、それから一時金の額、それから公的年金の水準、受け取った一時金を仮に運用していった場合の利率等によってさまざまでございまして、ケース・バイ・ケースで、いずれが有利かということで、一概には片方が有利とは言えないものでございます。
 したがって、この審議会の御指摘は、現行の退職所得課税が年金でなく一時金として受け取ることを奨励する面があると指摘されていますけれども、必ずしもそうは言えないのではないかというふうに考えております。
 いずれにしましても、年金税制全体のあり方に関しましては、退職金税制とのバランスを含めまして従来よりさまざまな議論のあるところでございまして、今後、政府税制調査会等の各方面において、拠出、運用、給付の各段階を通じた総合的な検討が行われると承知しております。
 厚生労働省といたしましても、それらの検討状況を踏まえまして対応してまいりたいと考えております。
#277
○西川きよし君 ありがとうございました。
 終わります。
#278
○黒岩秩子君 西川議員に続きまして、私も大阪の痛ましい事件のことについて、初めに桝屋副大臣に御質問したいと思います。
 あの小さなやわらかい体が傷つけられて、八人もの幼い命がなくなってしまったことを思うと胸が詰まります。そのようなところへ追い込んだ加害者のことを御遺族や関係者の皆さんは深く恨んでおられることと思います。いや、そんな甘いものではないと言われることも想像しております。しかし、この加害者というものが飛び抜けて特異であると言い切れないところが我が国の現状であると言わざるを得ない、これが悲しい現実であると考えております。
 先ほど大臣が精神障害者であるかないかというところをおっしゃっていましたけれども、私にとっては、その方が精神障害者であってもなくてもほとんど同じことだと思えます。
 私が八年間運営しておりました登校拒否の子供たちや障害者の駆け込み寺としての塾、そこに来ていた子供たち。そのころ、神戸のあの痛ましい事件が起きました。そのとき、うちの塾に来ていた子供たちの一人一人の発言は、あの殺してしまったいわゆる加害者の方に大変共感を持っておりました。といいますのは、登校拒否をした子供たちの大半の子供たちは、自殺のことを考え、あるいは多くの子供たちが既に自殺を体験してきております。
 今回の加害者の場合でも、自殺をしたい、だけれどもできない、事件を起こせば殺してくれるだろうというような、これもうそか本当かわかりませんけれども、このような精神状態でいるということが大きな共通項としてさまざまの犯罪、事件にあると思っております。つまり、その犯行というのが、自殺をしたい、その場合の道連れとしてだれかを連れていこうという、一人で死ぬのが怖い、そういう人たちの犯行のように私には思えてなりません。そして、中学生の今や四分の一から三〇%ぐらいの子供たちが一度は自殺を考えたことがあるというのが今の現状だとすれば、この宅間という容疑者のことをどうするかということだけで問題は片づかないと思われます。
 小泉総理大臣が即座に保安処分のことを考えようと言われたのが、周りのさまざまの方たちによってたしなめられているというふうに私には思えたんですけれども、新聞で桝屋副大臣が何か副大臣の会議の中で感情的な対応はやめようと訴えかけられたと拝見しまして、桝屋副大臣の真意をお伺いしたいと思います。
#279
○副大臣(桝屋敬悟君) このたびの事件は、先ほど大臣も言っておりましたけれども、今回の事件に関してその原因がどこにあったのかどうなのかということは、これは予断を持たずに、捜査の中で明らかにされてくるのではないかというふうに思っております。私もまだわかりません。捜査の状況を見守りたいと思います。
 副大臣会議で私が申し上げましたのは、たまたまですね、たまたまといいますか、保岡興治先生の御発言もあり、法務省と厚生労働省で、坂口大臣の前の津島大臣のときに、ことしの一月から、重大な犯罪を犯したような精神障害者への対策ということで、法務省と厚生労働省で協議が、検討会が始まっているという経緯がありましたので、実は私も関心を持ってこの検討会は見守っておりました。
 かなり冷静に、あるいは緻密な議論が専門の方々の意見も交えながら行われているというふうに見ておりましただけに、今回の事件でそれが感情的に議論をされ、冷静な議論が横道にそれるのではないかというようなことも私個人的には感じていたものですから、冷静に議論をすべきですよねということを実は法務の副大臣とお話をした、意見交換をさせていただいたということでございます。
 先ほど大臣からも、こうしたことが繰り返されないように総合的にやはり検討しなければならぬというその必要性は感じておりますが、冷静にということをそうした観点で申し上げたわけであります。
#280
○黒岩秩子君 実は、私としましては、多くの子供たちが、前にも申し上げたかもしれませんが、愛されているという実感を持てないでいる、そのことが死にたくなるということと深いつながりがあると感じております。
 そこで、厚生労働省の仕事としましては、そういう子供たちの心を聞くというようなことが公の機関としてできていったらいいのかなということを感じております。実は、ばんそうこうを張れば治るようなたぐいのことではありませんから、即効性がある再犯防止ということは私にはほとんど不可能のように思われます。
 今回の彼の場合だって、何十年も前にたくさんの原因があって今の事件ということになってきているわけで、確かに被害者の子供たち、そして被害者の周りの親や子供、この方たちのPTSDとかそういうこともかなり大事だと思いますけれども、やはりこういうことが起こらないためには、加害者の人たちの中にある、そうせざるを得ないようなものを取り除いていかなければならない。これが一番大きな再犯防止ということになると思っておりますので、どうかそちらの方向で、罪を重くするとか刑罰を加えるとか少年法をどうのこうのするとかいう、そういう次元ではなくて、どうやって心に寄り添うか、そしてその心を聞き取っていけるのかという方向での対応を望んでおります。
 次に、年金の問題に移ります。
 先日、私の質問に対して大臣から約束しますとお答えをいただきました無年金障害者の問題、このことは実は無年金障害者の方たち、十万人の方たちにとって大変な喜びであるだろうと思っております。実際に私の友達はもう大変喜んでおりました。
 そしてもう一人、私の友人で障害者施設で働いていた方が、その障害者施設に入っている人の年金がもらえている人ともらえていない人との生活の余りの違いにとても痛ましい思いをしてきたと話されておりました。年金をもらっている方たちができるようなことが年金がない方たちができないでいる、そういうことも伺っておりまして、大臣の方から、どのような形でその約束を果たしてくださるのか、具体的なところ、現在のところでお答えいただきたいと思います。
#281
○国務大臣(坂口力君) 前回御質問をいただきましたときに、一遍検討させていただきますということをお答え申し上げたわけでございます。
 先生ともこうして議論をさせていただかなければならないんですが、少し役所の中でも議論をさせていただかなければなりません。役所には役所のやはり今までの経緯もございまして、その論理もあるわけでございます。先生や私には、政治家は政治家としてのまた論理もございまして、先生と私と同じ意見かどうかはわかりませんけれども、共通する部分もまたあるわけでございます。
 そうしたところも踏まえまして、少し議論をこれは重ねなければならないというふうに思っている次第でございますので、間もなく国会が終了いたしますけれども、国会開会中、毎日委員会ですとかなんとかあるものですから、時間をゆっくりとって、ゆっくり局長さんと話をするということもなかなかできないものでございますから、終わりましたら少し落ちついて議論を重ねさせていただきたいというふうに思っている次第でございます。
 先般申し上げましたことを決して忘れているわけではございません。
#282
○黒岩秩子君 その議論の中でよい結果が出るのを期待しております。年金局長にも、よろしくどうぞお願いいたします。
 それでは次に、確定拠出年金法案のことに移らせていただきます。
 経団連とか日経連などの経済界からの強い要請があって今回の制度が導入されていると伺っております。その理由の一つとして、企業年金の運用環境の悪化が挙げられているわけですけれども、実は企業年金の運用というのは、専門家をたくさん抱えたり、あるいはたくさんのスケールメリットを持っているそういう企業ですら上手に運用できなかった年金を、個人ならば上手に運用できるというその根拠はどこにあるのでしょうか。大臣にお伺いします。
#283
○副大臣(桝屋敬悟君) 今まことに厳しい御意見をいただきました。確かに、十二年度の株価下落に伴いましてまことに厳しい状況にあると。企業年金を取り巻く環境は極めて厳しいということは事実でございます。
 ただ、委員、この委員会でもずっと言われておるんですが、私どもは経済界の要望、希望を入れてのみこの法案をつくっているわけではありませんで、まさに企業の従業員にとっても多くの利点のある今回の確定拠出年金と考えているわけであります。
 具体的には、中小零細企業に導入しやすいとかポータビリティーにすぐれているとか、あるいは企業が倒産をしてもみずからの年金資産は必ず保全をされるというようなことは、何度もこの委員会でも申し上げてきているところでございます。
 法案におきましては、運用に関しまして、企業などの関係者に対して、加入者の立場に立ってのみと、まさに加入者の立場に立ってのみ行動するという忠実義務等の受託者責任を課しているということ、それから、運用商品の内容につきましても運営管理機関が加入者に適切に情報提供を行うよう義務づけをいたしまして、加入者が適切に運用できるようにしているということもございます。さらには、法案では、加入者への運用商品の提示においては元本確保型の商品を選択肢の中に入れるということを義務づけているところでございまして、運用に自信のない加入者でも利用しやすいようにしているところでございます。
 こうしたことから、加入者がそのニーズに基づきまして適切に運用できるようになるというふうに私どもは期待をしているわけであります。
#284
○黒岩秩子君 今のお答えは期待をしているということであって、実際にそのことができるのかどうかというところを今義務づけられているとおっしゃったのも、実は義務づけられてはいるけれども罰則はないという次元のことだと思いますので、個人で本当に運用ができるのかどうか、そこのところをもう一度お答えをお願いします。
#285
○副大臣(桝屋敬悟君) 何度も言いますけれども、やはり今回の法案の中で、一つはやっぱり忠実義務等の受託者責任を課しているということがあります。それから、情報提供ということについては、これはまさに義務づけをして加入者が適切に運用できるようにしているわけでありまして、こうした体制の中で、運営管理機関とともに事業主の努力ということも相まって、私は加入者がまさに老後のニーズに応じて適切に運用できるというふうになるというふうに考えているところでございます。
#286
○黒岩秩子君 今おっしゃったその資料の提供のことなんですけれども、この資料の提供というのも企業側が資料を提供するわけで、企業側が運用に困っているのに、その困っている方が資料を提供した、それで個人が運用できるのはなぜなのでしょうか。
#287
○政府参考人(辻哲夫君) 企業側が運用に困っている、具体的には企業年金が大変最近状況が厳しいということを御指摘と存じます。
 確かに、副大臣から御説明のありましたように、特に平成十二年度の企業年金の運用環境が非常に悪くなっているということが伝えられておりまして、これは十二年度に非常に株が下落したからでございますが、ただ平成二年度からその前の十一年度までの十年で厚生年金基金、企業年金の平均利回りを見ますと、十年間で、相当株が落ちた時期でございますけれども五・二%、それから平成七年度から十一年度までの五年間で七・〇%ということで、通常の預金よりもはるかに高いリターンを得ておりまして、やはりこの十二年度の株の下落が非常に効いております。
 そういうことで、一概に企業年金が物すごくずっと悪いということでなくて、そういうことだという前提でございますが、それにいたしましても、そういう厳しい環境で事業主が確定拠出年金を導入いたしますときに加入者に十分の情報提供をしなければならない。
 その情報提供というのは、企業年金は、これは国際的に通常でございますけれども、株を組み入れておりますけれども、そもそも株を組み入れなくちゃいけないということじゃなくて、情報提供の内容としては、預金とか要するに元本確保型の商品もありますよ、それで株を組み入れたものはそのかわりに額が上がることはあるけれども元本もなくなっちゃうこともあるというような、具体的なリスク、リターンの関係、こういったことをいわば客観的に情報を提供すると。決して適切な表現ではないかもしれませんが、もうけ方を情報提供するというのじゃなくて、安全な運用ができるものは何かという情報を含めた客観的な情報を提供する、こういった形で、現実問題としては運用商品の中に必ず元本確保型の商品を組み入れることをこの法律は義務づけている。
 こういう前提での運用でございますので、企業年金が今言いましたような環境が悪いからといって、この法律の確定拠出年金におきまして加入者が同じようにリスクをとって大変なことになるということを直ちには意味しておりませんで、今申しましたような情報を十分提供し、元本確保型の商品が確保され、そのような形で安定的な運用ができるものと考えております。
#288
○黒岩秩子君 実は、今言われました元本保証型というのはほとんどゼロ金利という状態なわけですから、年金として積んでいくということを考えた場合にはかなり額が少なくなるということも含めて、あるというふうに感じておりますが。
#289
○政府参考人(辻哲夫君) 確かに現在の日本の金利というのは史上未曾有の低金利だそうでございます。そういう低金利におきましても、結論から申しますと、この確定拠出年金は運営管理機関を通しまして一つの大きなロットに集めまして、その大きなロットで運用をいたしますので、個々の銀行における預金の史上まれに見る低金利に比べまして有利な金利がとれることになっております。一方、コストの面からいえば、運営管理機関を複数競わせまして、コストを極力下げるようにしている。そういうことから史上まれに見る低金利の一番低い預金金利と同等ないしはそれ以上の金利が預金についてもこの制度の場合はとれるというふうに見込んでおりますし、現に民間の金融機関の方もそのようにできるとおっしゃっていると聞いております。そのような観点から、御指摘のような御懸念はないものと考えております。
#290
○黒岩秩子君 それでは次に、ペイオフのことについて金融庁にお伺いしたいと思います。
 来年の四月から始まるペイオフ、これについて資産管理機関が加入者個人の預金口座の置かれている金融機関と同一の場合、それぞれの資産が一千万円まで保証されるのか、それとも合計して一千万円までしか保証されないのか、そこのところをお伺いします。
#291
○政府参考人(渡辺達郎君) 今御指摘のございましたペイオフ後のどこまで保証をするかという点でございますけれども、今、先生おっしゃいましたようなケースで確定拠出年金の運用機関である金融機関が破綻してしまった場合、そういうときにどういうふうにしてその保険金を計算するかという特例を実はここで審議していただいております確定拠出年金法案の附則第二十三条というところに盛り込んでおります。預金法の原則ではなく、この確定拠出年金法案で特例を設けております。
 この特例に従いまして計算、これは非常に複雑な計算式なものですから私が今口頭で御説明するのは省きますけれども、この結果どういうことが起こりますかといいますと、加入者につきましては、確定拠出年金に係る加入者持ち分と加入者の当該金融機関に対する他の預金と名寄せした上で、元本一千万円とその利息が最低保証される。
 先生がどちらかと、最初と二回目とおっしゃいましたが、二回目の方がその適用になるということでございます。
#292
○黒岩秩子君 そうしますと、多額の預金がある方にとっては年金の方がほとんど保証されないということになりかねないということになるわけですね。
#293
○政府参考人(渡辺達郎君) いずれにしましても、両方合わせて一千万ということですから、仮にその金融機関に例えば九百万円お持ちの方がおられるとすると、残りの百万円の分が枠の中に入るということになると思います。
#294
○黒岩秩子君 わかりました。かなりそれは厳しいということだということがわかりました。
 次に移ります。
 法案によりますと、金融機関が資産管理機関となるということがあり得るわけですけれども、その金融機関が破綻した場合には、これはどのように保護されるのでしょうか。年金局長、お願いします。
#295
○政府参考人(辻哲夫君) まず、運営管理機関を通して指図が、資産管理機関にかけまして、資産管理機関が束ねてさまざまな金融商品について金融機関で運用するわけですけれども、その金融機関が破綻したときは通常の今の市場のルールでございまして、例えば銀行が破綻したときの場合でございますね、それは今御説明のありましたような銀行についての公的資金のスキームで処理されるわけですけれども、むしろ私どもの制度特有の問題といたしましては、この制度で資産管理しているのはだれか、これは資産管理機関でございまして、信託銀行がその資産を管理しておりますので、信託銀行に関しましては破綻いたしましても信託法によりましてその資産は別に管理されているわけでございます。
 したがって、例えば信託銀行が破綻いたしましても、その資産は信託銀行に対する他の債権者からその資産に手をつけられることはございません。この制度のためのみにあります。しかし、その信託財産についての通常の金融機関における運用の破綻は一般のルールでございます。
#296
○黒岩秩子君 その次に、資産管理機関が運営管理機関を兼ねることができるようになっております。その際、特定の運用商品を奨励した場合には行政処分が科されますし、また専門的知見に基づいて運用商品を提示するエキスパートルールも定めています。しかし、運営管理機関が加入者に自社関連商品に偏った運用商品を提示して、結果として加入者の選択肢が限定され自己責任に基づく運用ができないというようなおそれがあるのではないでしょうか。このことについてはどうでしょうか。
#297
○政府参考人(辻哲夫君) 冒頭、資産管理機関と運営管理機関が兼ねる御指摘がございましたが、資産管理機関は、申しましたように、運営管理機関から加入者の指図を束ねて受けたものをそのとおりに行動するところでございまして、資産管理機関におけるいわゆる行動の恣意性というのはございません。したがって、問題は運用管理機関がどうかということでございます。
 そのときに、運用管理機関がもし金融機関であれば金融機関としての自分の商品を持っていらっしゃる、その場合に自分の商品を売り込まないか、こういうことになるわけですが、その場合の運営管理機関は法律的に相当きっちりした法規制をかぶっておりまして、運用商品の選定に当たって加入者のみのために判断する、運営管理機関や加入者以外の者の利益のために判断してはならないと、そういう判断をすれば忠実義務違反になるという法的義務をかぶっております。
 それから、運営管理機関は、資産運用についての専門的知見に基づいて専門家として合理的な判断をとっているという行動を立証する義務がありましたり、先ほど申しましたように、運営管理機関みずからの利益それから加入者以外の第三者の利益を図る目的で運用方法を選定、すなわち商品を勧めてはならないと、こうなっております。
 そういうことから、単に自社商品だからといった理由でもしその選定をしてこれを勧めれば、これはこれらの責務に違反しまして、これは行政処分の対象となります。そういうことからそのようなこと。
 それからもう一つは、さらにもう一つ厳しいことをやっておりまして、運営管理機関が金融機関でありますときに、その金融機関の当該商品を選定するというようなことがあるわけでございますけれども、運用商品の営業に係る事務を行う者がその運営管理業務を兼務してはならない。したがって、銀行の商品の営業に当たっている者が運営管理機関の業務に当たってはならないということで遮断しております。
 そういったあらゆる措置を講じておりますので、そのようなことは起こらないと考えております。
#298
○黒岩秩子君 時間がなくなってしまいましたけれども、先ほど行政処分と言われていますけれども、そのことについて条文百十一条でしたか、罰則規定がないわけですから、あらゆる観点からと言われましたけれども、あらゆる観点なのでしょうか。罰則がないということはあらゆる観点じゃないんじゃないかと思いますけれども。百十八条で百条の一から三しか罰則がない。
#299
○政府参考人(辻哲夫君) 百条の一号から四号までは罰則がかかっておりまして、今申しました五号、六号に関しては、確かにいわば「第三者の利益を図る目的をもって」といったような非常に認定の難しい条文が入っておりますので、直罰ではなくてやはり行政処分という形になっているのは事実でございます。
#300
○黒岩秩子君 実はこのことは自社株を運用するということにも関係してくると思うんですけれども、そういう形で自社株を、今いろいろあらゆる方法でそういうことができないようにと言われますけれども、自社株を買わせたい、運用させたい、それが企業のわけですから、それに対してどのような制限を設けておられるでしょうか。
#301
○政府参考人(辻哲夫君) 基本的に運用商品につきましては、市場に上場されているようなものというのは時価評価が可能でございますので、自社株は形式上この運用商品に入れることは一応可能でございます。
 ただ、まず自社株を運用商品に入れる前提といたしまして、労使合意によりまして規約で運用商品に関する基本方針を定めて、その基本方針に従って運用商品が選定されることになるので、自社株を運用商品とするかどうかは労使で十分合意をしていただかなければならない。
 それから、加入者の資産運用のあり方や運用商品の情報提供によりまして、商品のリスクについて十分な情報提供が行われた上で選択が行われなければならない。これは、自社株に対してもそのことが適用されます。したがって、自社株というものが真に加入者の利益のためになるかどうかということが今言ったような形でまず問われております。
 もとより、今申しましたが、事業主は確定拠出年金加入者のために運営管理機関ともども忠実にその業務を遂行しなければならないという忠実義務を負っておりまして、自社株の運用商品の組み入れが忠実義務から見て妥当かどうか、真に加入者のためのみに有利なものであるから選んでいるんだということを外しておりますれば、これは忠実義務違反にもなりかねません。
 そういうことから、自社株が直ちに運用されなければならないからといって運用されるという生易しいものではございませんで、もう一度申しますと、労使で話し合った運用方針の中で加入者の利益のために必要だということで納得して入っている、しかもそれが現に選択される場合にその加入者のためになって有益だということが立証されて選択できるような形でしかこれは情報提供してはならない、こういう厳正なものをクリアした上でございますので、自社株が御指摘のような、不適切でございますけれども、加入者のための目的ではなくて運用されるということは考えられないと考えております。
#302
○黒岩秩子君 時間が来ましたので、続きはあさってやらせていただきます。
#303
○委員長(中島眞人君) 本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。
   午後四時十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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