くにさくロゴ
2001/06/21 第151回国会 参議院 参議院会議録情報 第151回国会 厚生労働委員会 第18号
姉妹サイト
 
2001/06/21 第151回国会 参議院

参議院会議録情報 第151回国会 厚生労働委員会 第18号

#1
第151回国会 厚生労働委員会 第18号
平成十三年六月二十一日(木曜日)
   午前十時一分開会
    ─────────────
   委員の異動
 六月二十日
    辞任         補欠選任   
     釜本 邦茂君     森山  裕君
     武見 敬三君     仲道 俊哉君
     月原 茂皓君     鶴保 庸介君
     風間  昶君     浜四津敏子君
     山本  保君     海野 義孝君
 六月二十一日
    辞任         補欠選任   
     仲道 俊哉君     宮崎 秀樹君
     朝日 俊弘君     今井  澄君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         中島 眞人君
    理 事
                亀谷 博昭君
                斉藤 滋宣君
                柳田  稔君
                沢 たまき君
                井上 美代君
    委 員
                阿部 正俊君
                大島 慶久君
                狩野  安君
                田浦  直君
                鶴保 庸介君
                南野知惠子君
                宮崎 秀樹君
                森山  裕君
                今井  澄君
                川橋 幸子君
                木俣 佳丈君
                長谷川 清君
                海野 義孝君
                浜四津敏子君
                小池  晃君
                大脇 雅子君
                西川きよし君
                黒岩 秩子君
   国務大臣
       厚生労働大臣   坂口  力君
       国務大臣
       (経済財政政策
       担当大臣)    竹中 平蔵君
   副大臣
       内閣府副大臣   村田 吉隆君
       財務副大臣    若林 正俊君
       厚生労働副大臣  桝屋 敬悟君
       厚生労働副大臣  南野知惠子君
   大臣政務官
       厚生労働大臣政
       務官       田浦  直君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        川邊  新君
   政府参考人
       内閣府大臣官房
       審議官      磯部 文雄君
       財務大臣官房審
       議官       木村 幸俊君
       厚生労働省年金
       局長       辻  哲夫君
       厚生労働省政策
       統括官      坂本 哲也君
       社会保険庁運営
       部長       冨岡  悟君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○確定拠出年金法案(第百五十回国会内閣提出、
 第百五十一回国会衆議院送付)
○厚生年金保険制度及び農林漁業団体職員共済組
 合制度の統合を図るための農林漁業団体職員共
 済組合法等を廃止する等の法律案(内閣提出、
 衆議院送付)

    ─────────────
#2
○委員長(中島眞人君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨二十日、山本保君、釜本邦茂君及び武見敬三君が委員を辞任され、その補欠として海野義孝君、森山裕君及び仲道俊哉君がそれぞれ選任されました。
 また、本日、仲道俊哉君が委員を辞任され、その補欠として宮崎秀樹君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(中島眞人君) 次に、政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 確定拠出年金法案の審査のため、本日の委員会に内閣府大臣官房審議官磯部文雄君、財務大臣官房審議官木村幸俊君、厚生労働省年金局長辻哲夫君、厚生労働省政策統括官坂本哲也君及び社会保険庁運営部長冨岡悟君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(中島眞人君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(中島眞人君) 次に、確定拠出年金法案を議題といたします。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○黒岩秩子君 トップバッターという初体験を楽しみにしております。
 まず初めに、在外被爆者の問題について、この前の続きなんですけれども、大臣が記者会見等々で、大阪地裁判決を控訴するに当たって被爆者援護法を見直すという御発言をなさっていると伺っておりますけれども、どのような見直しを考えておられるのか、伺わせていただきたいと思います。
#7
○国務大臣(坂口力君) 先日もこの場で少しお話を申し上げましたが、今回の判決というのは、大阪における判決、それからその前の広島におきます地裁判決、両方とも私は内容を何度も繰り返し読ませていただきましたが、それは日本に居住または現在する人にのみ被爆者援護法というのは適用されるか否かということが論点になっております。そして、双方が全く逆の判決になっているわけでございます。
 したがいまして、我々といたしましては、ここは上級審において御審議をいただいて結論を出していただくのが妥当という結論になったわけでございますが、しかし勉強いたします経緯の中で、現在の被爆者援護法ができました当時、平成六年でございますが、村山内閣のときでございます。その当時に、いわゆる外国に居住する皆さんの問題がどういうふうに議論をされたのかといったことにつきまして、当時の関係者、あるいはまたその法律をおつくりになりました内閣法制局等にもお聞きをしたわけでございますが、余り議論、多少の議論はあったようでございますけれども、しかし大きな議論はされていないようでございます。そして、昭和四十九年にいわゆる局長通達が出ておりますけれども、その四十九年の局長通達がそのまま生きた形で、そして平成六年のこの法律はでき上がっているという結果になっております。
   〔委員長退席、理事亀谷博昭君着席〕
 そういう結果になっておりますので、今回の判決に対する問題は問題としまして、外国に居住される皆さん方の問題を真剣に一度議論をして、どういうふうに位置づけていくのか。とりわけ、韓国、北朝鮮、そしてブラジル、アメリカ、この辺のところに多くの皆さんがおみえであるというふうにお聞きをしておりますが、あるいはそのほかに、人数は少ないかもしれませんけれども諸外国に散在しておみえになるということもあるだろうというふうに思います。
 そうしました場合に、その人たちの問題は、外国に行かれたからというのでもうそれはそれでいいというふうに割り切っていいのかどうか。それはそうはいかないということになれば、その皆さん方のことをどういうふうにしていくかということをもう少し真剣に議論していくべきではないか。私は、やはり外国に行かれた皆さん方に対しましては、外国にお住まいの皆さん方の立場としてどのようにするかということを考えなきゃならないだろうというふうに思っておりますが、その辺のところをひとつ議論を早くして、年内にも結論を出したいということを申し上げたところでございます。
#8
○黒岩秩子君 どのように見直していくかという内容なんですけれども、先日、判決を受けるために来られていた郭さんが六月十四日に日本を立って帰国なさるときに、これで私は被爆者ではなくなるんですという言葉を残して帰国されたわけですけれども、その郭さんの被爆者でありたいという、援護法を適用される対象でありたいというその願いに沿うような形で今の法の見直しということをやっていただけるのでしょうか。そこのところをお聞かせください。
#9
○国務大臣(坂口力君) まさしくそこのところを議論しなければならないというふうに思います。
 日本の中にいる人も外国にいる人も同じように扱うという考え方も、それは当然一方ではあるでしょう。しかし、やはり日本でつくりました法律は日本の中だけでそれは存在するのであって、外国に居住する人にまでそれを当てはめるのは無理ではないかというまた一方で考え方もあるでしょう。そのときには、それじゃ外国にお住まいの皆さん方に対してどのような形で対応をするかという問題が起こってくるということになるだろうというふうに思います。そこをまさしく議論しなければならないところであるというふうに思っております。
 広島におきます判決も非常に単純明快でございまして、この法律は主権の及ぶ範囲において有効性を有すると。主権の及ばないところにまでそれはもう及ばないんだという単純明快な判決でございました。私は、それもなるほど一理のある判決だというふうに思っているわけでございますが、しかし今どちらというふうに決めているわけでは決してございませんで、いずれにしても、しかしこのままで何もしないでということにすることはそれはよくない、それはいけないと私は思っておりまして、どういう形でしてさしあげるのが一番いいのかということをもう少し議論を重ねたい。少し外部の人の御意見も聞きながら議論をしていきたいと、そう思っている次第でございます。
#10
○黒岩秩子君 どこにお住まいになっていたとしても、そのとき日本に住んでいて広島、長崎で被爆をされたという点では全く変わりがないことですので、どうかその方たち皆さんにとっていいような方向での法の見直しをお願いすることにいたしまして、次の問題に移させていただきます。
 確定拠出年金法案につきまして、この間、局長さんからの御答弁をいただきまして、その続きなんですけれども、自社株を運用商品とするということについて、局長さんが先日おっしゃったのは、そういう際には労使合意など厳正な基準をクリアしなければならないとおっしゃいました。逆に言えば、自社株については厳正な基準をクリアしなければならないだけのリスクがあるということでもありますね。
 自社株を運用商品とすることで生じるリスクについてはどのように認識しておられるのか、伺います。
#11
○政府参考人(辻哲夫君) 自社株による運用は、まず個別の株式によるものでありまして銘柄が分散されておりませんので、株式投資信託と比べて一般にリスクが高いということが言えると思います。そしてさらに、その企業が倒産した場合には、自社株で運用した年金資産がゼロとなってしまうということで、同時にまた自分自身も失業するという大変大きなリスクがございます。
 したがいまして、先般申しましたように、運用商品の加入者への提示に当たっては、まず労使合意により規約で運用商品に関する基本方針を定め、それに従って具体的な運用商品が選定されることになるので、労使合意によってまず自社株を運用商品とするかどうかについて合意していただくために十分議論が必要ですし、それから、組み入れられたとしても、加入者への資産運用のあり方や運用商品の情報提供により、その商品のリスクについて十分な提供が行われるという前提ですので、それらの一連の手順において、自社株の選択には今申しましたような二重のリスクがあるということを十分説明しなければならないというふうに考えております。
#12
○黒岩秩子君 実は、自社株についてはさらに心配があるのですけれども、陰湿ないじめによるリストラが横行する企業社会において、企業が従業員に対して自社株による運用を有形無形な圧力で強制するという可能性があると思われますが、この点についてはどのようにお考えでしょうか。
#13
○副大臣(桝屋敬悟君) 先ほどから自社株の話が出ておりますけれども、確定拠出年金は、運用商品の選択、これはあくまでも加入者がみずからの意思によって行うというふうにしていく必要がございます。
 今、委員の方から、企業が従業員に対して自社株で運用するということをいろんな形で強制をするという状況が出てくるのではないか、こういう御懸念のお尋ねをいただいているわけであります。あくまでも加入者がみずからの意思で運用を行うというその環境づくりのために、事業主の禁止行為として、事業主は加入者に対して特定の運用商品を選択するよう強要または推奨してはならないという規定を省令で設けることとしております。これに違反をした事業主には行政処分を課すことができますし、さらにそれに違反をした者には罰則を適用することもできるという形を考えているわけでございます。
 こうした措置とあわせまして、事業主に対して資産運用に関して加入者への強要等は行わないよう強く指導していくこととしておりまして、御指摘のような御懸念が生じないように努めてまいりたいと考えているところでございます。
#14
○黒岩秩子君 そのような厳重なことが行われたとしても、今行われているリストラに伴うさまざまな圧力、そういう中で自社株を買わされてしまうというような危険が存在して、その場合、局長さんがおっしゃったように、自分の企業が倒産し、そしてさらに年金までなくなってしまうというような、そのような危険のことを考えた場合に、自社株の割合を制限するというようなお考えはありませんでしょうか。
#15
○政府参考人(辻哲夫君) 今申しましたように、まさしく二重のリスクがあるということを必ず各プロセスで説明するという上で導入されるという前提で、確定拠出年金はあくまでも加入者の老後の所得保障のために加入者が自己責任により運用する制度でありますので、自社株を含めまして、運用商品の導入及びその選択は、今言いましたような手続のもとで労使合意のもとでみずからの意思により行うということでございますので、自社株の運用割合を制限することを含めまして、個別の運用商品についての運用規制を設けることは適切じゃないと考えております。
 ただ、事業主及び運営管理機関は、確定拠出年金加入者のためのみに忠実にその業務を遂行しなければならない、これは法的な義務でございます。その法的な義務を負って、もちろんその義務違反については行政処分がかかり、罰則がかかるという法的義務を負いまして、運営管理機関につきましては、さらにその運用方法の選定を行うに際しては「資産の運用に関する専門的な知見に基づいて、これを行わなければならない。」とされております。したがって、投資対象として合理的であるという専門的な知見を持って当たらねばならないとされております。
 したがいまして、自社株を運用商品に組み入れるかどうか、組み入れるとしてどの程度のものとするかといった判断については、おのずからそのような法的義務のもとで制約があるものと考えております。
#16
○黒岩秩子君 今言われたようなことを本当に実現できるのかどうかに対しては、私自身は不安を感じております。しかし、次に移ろうと思います。
 次は、情報開示の問題です。
 加入者の自己責任が求められるならば、資産管理機関や運営管理機関となる金融機関がどれだけ信頼に値するかの判断も加入者の責任として求められることになります。そうすれば、加入者は資産管理機関や運営管理機関となる金融機関の経営状況についてもよほどよく知っておかなければ自己責任を貫徹することができないことになります。
 資産管理機関や運営管理機関となる金融機関について、加入者に対して十分に経営状況を開示すべきだと思いますけれども、どのようにお考えでしょうか。
#17
○政府参考人(辻哲夫君) 御指摘の運営管理機関や資産管理機関は、確定拠出年金の運営の中核となるものでございまして、その重要な役割を担っていることから、自己責任で運用する加入者に対して、これらの機関となる法人の経営状況を適切に情報開示していくことは御指摘のとおり極めて重要なことと考えております。
 具体的には、運営管理機関や資産管理機関は、個々の企業において労使と十分協議した上で企業が選任することとなりますが、これらの機関の経営状況が加入者にも十分開示されますように、まず運営管理機関につきましては、金融機関であるなしにかかわらず、その業務状況に関する資料を加入者の求めに応じて情報提供するよう義務づけをいたしております。
 それから、保険会社や農業協同組合連合会が資産管理機関となる場合には、運営管理機関が運用商品の内容等の情報提供とあわせて、すなわち資産管理機関の業務状況等に関する資料を加入者の求めに応じて情報提供するよう省令で義務づける考えでございます。
 なお、信託銀行の扱いでございますけれども、信託銀行が資産管理機関となる場合には、銀行法や金融機関ノ信託業務ノ兼営等ニ関スル法律により、その業務状況等に関する資料の情報開示が別途義務づけられております。
 それから、確定拠出年金法案以外でも、銀行法や保険業法などの金融機関の各業法におきまして、金融機関に対して、毎事業年度ごとに業務状況等に関する説明書類を事業所に備え置き、公衆の縦覧に供するように義務づけられております。
 そのようなことを全体含めまして、加入者に対する情報開示が十分行われるようにしてまいりたいと考えております。
#18
○黒岩秩子君 そのようになればいいと思いますが、このことについても大変不安があります。そして、同様に金融商品や投資先の企業についても十分な情報が開示されなければならないと思いますけれども、投資対象について加入者に対し十分な経営状況を開示すべきと思いますが、この点についてはどうでしょうか。
#19
○政府参考人(辻哲夫君) 確定拠出年金は、まさしく加入者が自己責任で運用する制度でありまして、加入者が個々のニーズにおいて適切に運用ができますよう、法案におきまして、運営管理機関に対し加入者に運用の指図を行うために必要な情報を提供するよう義務づけております。
 運営管理機関が加入者に情報提供すべき事項は、例えば預貯金や保険商品であれば金融機関や保険会社が保証している利回り、あるいは投資信託であれば当該投資信託の内容についての具体的な情報、個別の債券や株式であれば投資先の企業等の情報などを提供いたしますし、また、今述べたそれぞれの商品の過去の当該商品のリターンの実績、それから預金保険制度や保険契約者保護機構等の保護制度の有無や保護の内容、それから元本欠損を生じるおそれの有無やその要因などの重要情報、こういったことを運営管理機関が提供しなければならないということを厚生労働省令で規定することとしております。
 それから、商品を出している金融機関の財務状況はどうかということにつきましては、やはり省令で、加入者の求めに応じて運営管理機関に対して、その提示する商品を提供する金融機関の業務や財務の状況の説明書類を提供するよう義務づけることとしております。
 いずれにせよ、加入者に対する情報提供があって適切な選択が行われますので、加入者が提供された情報の内容を承知した上で運用指図ができますよう最善の努力をしてまいりたいと考えております。
#20
○黒岩秩子君 今までおっしゃってきましたように、この確定拠出年金法案というのは、金融機関が加入者のために行動するということが前提になっていて、金融機関への全幅の信頼に基礎を置いているという法案だと思います。
 しかし、商工ローンとかあるいは抵当証券、変額保険など、金融機関にだまされたという話は後を絶たないし、大銀行のトップが乱脈経営の責任をとるために辞任したという話も聞いておりません。また、中小零細企業への貸し渋りも依然として横行しているという、こういうのが現在の状況であると思います。
 大臣にお伺いしますけれども、このように金融機関に対する恨みつらみがちまたに満ちているというこの現状をどのようにお考えでしょうか。
#21
○国務大臣(坂口力君) 金融機関に対する評価はさまざまだと私も思います。
 とりわけ、金融機関が過去にとってまいりました姿勢に対して批判的な意見の多いこともよく承知をいたしております。特に、いわゆる右肩上がりというふうに言われておりました時代、その右肩上がりの時代における、どちらかといえば、傲慢という言葉を使うとおしかりを受けますけれども、何か上から下を見るような金融機関の姿勢というものが皆の心の中にしみ込んでいる。そうしたこともあって、金融機関に対して、金融機関が非常に厳しい立場に立たされたときに、今までの姿勢は何であったかといったような反発が出ていることも私は事実だと思います。
 しかし、金融機関は金融機関としてそれぞれ努力をしていることも事実でございますし、金融機関がたくさん不良債権を抱えておりますが、この不良債権は何ゆえにできたかといえば、そこに金融機関からお金を借りた人たちが返さないがゆえに不良債権ができたわけでございますから、それは金融機関だけが責められる話ではなくて、やはり借りた人たちでそして返せない状況にある人たちの責任もまたあるわけでございます。ですから、すべてがすべてを私は金融機関の責任にすることはこれは酷だというふうに一面思っております。
   〔理事亀谷博昭君退席、委員長着席〕
 今、御指摘のように、今回の確定拠出年金というものを導入いたしまして、そしてその資金というものが、それは一部は金融機関に預けられることになるでしょう。また、一部は株式等に行くことにもなるんでしょう。金融機関の中も、投資信託等に行く場合もあるんでしょう。その行き先はさまざまだというふうに思いますが、それはその中で誠心誠意、それは皆さん方の年金でありますから取り扱いをしていただかなければなりませんし、年金だからこれは安易に取り扱っていいなどというようなことを決して思うわけもないというふうに思っております。したがって、金融機関が姿勢を正していかなければならない問題は問題として存在するといたしましても、今回の私たちの提案をいたしております確定拠出年金そのものの存在が否定されることではないというふうに私は考えます。
#22
○黒岩秩子君 大臣のお考えはわかりましたけれども、この間、前回の審議において年金局長がおっしゃったのは、去年、つまり十二年度の株式が大変まずかったので、その前はそうでもなかったということをおっしゃいましたけれども、十二年度に非常に株式が低迷したと。そういう現在という時期において確定拠出年金を創設するということにはかなり無理があるのではないかというのが私の感じなのですけれども、時期尚早だということについてどのようにお考えでしょうか。
#23
○政府参考人(辻哲夫君) まず、株式の状況につきましては、一般論といたしまして、長期的に見ました場合に、これは我が国はもとより世界じゅう同じでございますけれども、債券の収益率を株式の収益が上回る、こういう現状のもとで、基本的に年金の資金の運用というのは長期的に考える、そして長期的に確実に収益を上げるという考え方でございます。そのようなことで、一時的に今乱高下しておりますけれども、あくまでも数十年という単位で考える年金資産の運用におきまして、私どもは今の落ち込みというものは必ず回復できると考えて資産運用に当たっております。
 それはそれといたしまして、この確定拠出年金導入の必要性は、中小企業にも企業年金が必要だと、これについてこたえるには確定拠出年金がふさわしい場合がある、あるいは雇用の流動性が増している、増している中でそれにふさわしい年金制度が必要だと。このような雇用の流動性とか、あるいは企業のさまざまな再編の状況で、そういう状況に応じてこの年金が選択肢として必要だという現実もございます。その現実にこたえなければならない。
 そういったことから、しかもこの年金につきましては六十歳まで引き出しができないという非常に長期の運用を前提としました年金制度でございまして、しかも運用収益というものを長期的に考えなければならない。こういったことを考えますと、初めに普及ありきということでなくて、きちっと御指摘いただきましたことを十分に各方面に御説明をさせていただき、御指導させていただくということで導入するという前提で、ぜひとも導入自身は早期に必要であると考えております。
#24
○黒岩秩子君 私としましては、今まで申し上げたようなさまざまな不安というものが今までの御答弁によって解消されておりませんので、メリットについてはポータビリティーとかさまざまなこと、今おっしゃったこともいろいろわかりますけれども、まだまだ不安が大きいという意味において、とりあえず今回のところでは反対させていただこうと思っております。
 以上です。
#25
○西川きよし君 おはようございます。よろしくお願いいたします。
 いつも最後の方なんですけれども、早くから御質問をさせていただきますと、何かすがすがしい感じがいたします。皆さんの御配慮、本当に厚くお礼を申し上げます。ありがとうございます。
 まず、私の方からは、企業、運営管理機関等の責任について質問を進めてまいりたいと思います。
 確定拠出企業年金を導入する場合の企業の責任、受託機関等の責任についてお伺いしたいと思うわけです。
 これまでにもございますように、この制度においては加入者の資産を長期に運用するわけですから、資産の保全と運用の健全性の確保ということが大変重要になってくるわけです。そうした中で、企業側の責任として確定拠出年金規約を定めるわけですけれども、例えば既存制度を移行して確定拠出年金を実施する場合に有利と不利が生じるようになってはならない、こう思うわけであります。
 しかし、現実問題といたしまして、中小企業などが制度を導入する場合、規約の作成でありますとか給付の裁定請求など専門的なことが必要になってくると思うわけです。そういった場合、例えば社会保険労務士の方に相談をするというようなことも考えられるというふうに思うわけですけれども、やはりそうした場合に相談ができるという機関が身近にあって初めて安心する、必要になってくるというふうに思うわけですけれども、まず、この点についていかがでしょうか。
#26
○政府参考人(辻哲夫君) 企業が確定拠出年金を実施するに当たりましては、労使合意の内容を踏まえて確定拠出年金の規約の作成、運営管理機関や資産管理機関の選任などを行う必要があるわけでございます。
 確定拠出年金は、その制度の性格は基本的には加入者が自己責任において選択をするという民間制度でありますことから、これらの相談のための専門の何らかの公的機関を設置するということは考えておりませんが、実際の規約の作成等の業務に当たりましては、確定拠出年金は労働に関する事項そのものでございまして、これらに関する相談のいわば専門家でございます社会保険労務士に相談することは可能であると同時に、各運営管理機関においても、各企業からの各種の相談に応じるコンサルティング業務というものを行う、そして企業のニーズに適切に対応できるようにするということでその体制を組んでいらっしゃる、準備していらっしゃると聞いておりまして、企業はこうした機関などに相談しながら確定拠出年金を実施していくことができると考えております。
 ただ、もちろんのことといたしまして、制度の仕組み、あるいは行政への申請などについての御相談であれば、これは厚生労働省の本省なり、それから地方厚生局でこれは対応させていただかなければならないというふうに考えております。
#27
○西川きよし君 ありがとうございました。
 そこで、運営管理機関のあり方でございますけれども、運営管理機関については登録制ということで緩やかな規制となっておるわけですけれども、この場合、例えば運営管理機関を希望する法人が健全であるのかどうか、あるいは経営面等々に懸念があるのかないのか、その判断というものは大変に今度は重要になってくると思うわけですけれども、その際の見きわめについては、どういう手法をお考えでございましょうか。
#28
○政府参考人(辻哲夫君) 運営管理機関は、加入者の年金資産の管理は行わないものの、加入者の持ち分管理、記録の管理でございますけれども、持ち分管理や運用商品の選定及びその前提としての情報提供など極めて重要な役割を担う機関でございますので、この機関をいかに適切なものとするかは極めて重要でございます。
 運営管理機関につきましては、ただ、競争を促進してより本当に適切な運営機関が育つように幅広く参入していただくことが望ましいこと、それから、行政といたしましては、従来の事前規制型から事後チェック型への移行という大きな流れがありますことから、登録制とさせていただいております。
 運営管理機関の登録につきましては、登録を申請する法人が厚生年金保険法などの年金関係法や銀行法、証券取引法などの金融関係法に違反して罰則を受けていない法人であること、それから、運営管理業務以外に営んでいる業務が公益に反していたり、損失の危険の管理が困難であるために運営管理業務の遂行に支障があるような法人でないことなど要件を課しておりまして、登録申請に際しましては、提出された書類などに基づき、これらの登録要件を満たしているかどうかについて厚生労働省と金融庁の両省庁で十分審査していく考えでございます。
 なお、運営管理機関は、加入者の資産を管理するものでなく、記録管理や商品の情報提供だけを行うものでございますので、経営状況そのものは登録の際のチェック基準とはされておりません。
#29
○西川きよし君 ありがとうございます。
 企業側が運営管理機関、資産管理機関を選定する場合に、企業は加入者である従業員の利益のみ配慮して選定を行うわけですけれども、そうした場合に業者間の競争は物すごく活発になると思うわけですけれども、その中から業者を選ぶというのは大変難しい選択を迫られるというケースも出てくると思います。
 また、選定後の企業側のチェックということも十分なものでなければならないと思いますが、そうしたことは十分に担保をされているのかどうか、この点についてはいかがでございましょうか。
#30
○政府参考人(辻哲夫君) 確定拠出年金の実施に当たりましては、企業は、事業主は加入者のためのみに忠実に業務を遂行しなければならないといった法的義務を負っておりまして、運営管理機関や資産管理機関の選任に当たりまして、加入者のみの立場に立って十分検討した上で、加入者に最も適当と考えるところを選任する義務がございます。
 また、企業は、忠実義務というものを前提にいたしまして、運営管理機関や資産管理機関を選任した後でも両機関から定期的に報告を受けてその業務遂行について注意を怠らないようにするとともに、加入者の立場から見て運営管理機関の業務内容は適切でないという判断をいたしました場合には、運営管理機関の解任などの措置を講ずる必要がございます。
 確定拠出年金制度の導入に当たりましては、労使が十分に論議しその内容を熟知すること、すなわちそういう趣旨の制度になっているということを十分熟知する、そういう中で企業が的確にその責任を果たしていくということが非常に重要でございますので、今申し述べました事業主の忠実義務などの責務の具体的な内容、今言ったようになっているその義務を果たさなければならないということを労使含めて企業などの関係者に十分周知いたしまして、その責務が果たされるようにしてまいりたいと考えております。
#31
○西川きよし君 企業側の対応といたしまして、運営管理機関の選定後の加入者への情報提供の責務、これはどのようにされているのでしょうか。
#32
○政府参考人(辻哲夫君) 加入者がみずからの責任で運用指図を行う仕組みでございますので、加入者が資産運用について適切な知識を持ち得るようにすることが重要であり、その点について、運営管理機関だけでなく事業主の役割は重いものであると考えております。
 そのために、法案では、事業主は加入者に対する資産運用に関する一般的な情報提供を行うように努力義務が課されておりまして、最低限、確定拠出年金制度の仕組み、リスクの内容あるいはリターンとの関係などの投資に関する基礎的な知識、特に元本保証か元本割れがある可能性があるものか、こういったことについて正確な知識、そして預貯金、投資信託、保険商品などの特徴やリスクとリターンなどの主な金融商品の特徴や仕組みなど、こういった事項について加入者に情報提供が行われるようにする考えでございます。
 現実問題としては、企業は、資産運用に関する一般的な情報提供を運営管理機関に委託することができるものでございまして、委託を行うケースは多くなるものと考えておりますが、今後、運営管理機関となることを準備している関係者においては、資産運用に関する情報提供がより適切に行われるよう、これはいわば競争の重要な一環でございますし、そこは本当に信頼を得るものかどうかというのが競争の入り口でございますので、さまざまな工夫を凝らしていらっしゃると聞いておりまして、そのようなことを含めて、資産運用に関する情報提供が適切な形で行われるように指導してまいりたいと思います。
 ただ、委託をしました場合におきましても、事業主はその委託先の運営管理機関が適切な情報提供を行っているかどうかをチェックする責務を負っております。したがいまして、事業主の責務は極めて重要でございまして、導入するときの事業主の責務について周知徹底をしてまいりたいと思っております。
#33
○西川きよし君 企業が加入者へ行う情報提供については、あくまでも努力規定とされているわけですけれども、これを義務規定とされなかったのはどういった理由によるものであるのでしょうか、この部分もお伺いしたいと思います。
#34
○政府参考人(辻哲夫君) 資産運用に関する情報提供につきましては、各加入者によって資産運用に関する知識水準や個々の方々の老後の生活設計が異なりますので、どのような内容、方法でどの程度まで行うべきか、これは一義的にそれをしなければ法的違反となるといういわば内容、基準を決めるのは非常に難しいことから、ペナルティーのかかる義務規定とせず努力義務規定としたものでございます。
 ただ、厚生労働省といたしましては、先ほども御説明しましたように、確定拠出年金制度の仕組み、リスクの内容やリターンとの関係などの投資に関する基礎的知識、それから預貯金等の主な金融商品の特徴や仕組みなどの事項について、これは最低限加入者に情報提供しなければならない。そしてまた、情報提供の方法につきましては、例えば加入者に対し、加入者の状況に応じて個別の運用商品を説明したパンフレットやビデオの配付、あるいは説明会などでの説明、こういうことが行われることが必要でございまして、これらの点、それから必要に応じて運営管理機関自身は個別に加入者に対して、もちろん求めに対して説明をしなければなりません。こういった点を通達等で明確に示したいと考えております。
#35
○西川きよし君 次に、資産管理機関の責任についてお伺いをしたいと思います。
 この企業型年金をスタートさせた場合に、企業から運営管理業務の委託を受けた運営管理機関が加入者からの運用指図を取りまとめまして資産管理機関に金融商品の購入、売却を指示することになっていると思うわけです。この場合、資産管理機関が直接加入者と契約を結ぶことはないわけですが、例えば、金融商品の安全性が著しく低下した場合、運営管理機関が加入者に通知することは当然といたしましても、資産管理機関としても重層的な責任を負うことも必要ではないかというふうに思うわけですけれども、この点についての規定、いかがでしょうか。
#36
○政府参考人(辻哲夫君) 確定拠出年金制度におきましては、運営管理機関が運用商品の選定、その前提としての加入者に対する情報提供を行うということで、それに基づいて加入者は自己の責任において運用を指図するという仕組みになっておりますので、運営管理機関は、受託者責任としての忠実義務に基づきまして、その選定した運用商品について、その価格が元本を大きく割っているなどその安全性が著しく低下した場合などにおいては当然に加入者に対して必要な情報提供を行う、指図の前提としての情報が変動があれば、その情報の変動を伝えなければならないという義務がございます。
 ただ、その資産管理機関につきましては、その結果行われる指図に基づいて指図どおりに行うことだけが任務でございまして、逆にそれ以外のことをやってはなりませんので、したがいまして、御指摘のような責任を資産管理機関が直接に加入者に対して負っているものはないという整理になっております。
 いずれにいたしましても、この点についての責任は運営管理機関が大きく負っておりまして、その点、運営管理機関が今まで御指摘ありましたようにきっちりチェックされて選任されるというふうになりますように十分配慮してまいりたいと考えております。
#37
○西川きよし君 どうかよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 この資産管理機関自体が経営破綻をしたような場合の加入者保護についてでございますけれども、このような場合に、加入者の年金資産は優先的に保護されるのかどうか、この点についてはいかがでしょうか。
#38
○政府参考人(辻哲夫君) その資産管理機関が破綻した場合には、信託銀行につきましては、信託法により信託財産は他の財産と区分して分別管理を義務づけられているために、破綻しても確定拠出年金に係る信託財産は全額が保全されます。生保、損保につきましては、保険契約者保護機構の資金援助によりまして責任準備金の最大九割まで保全される、こういった仕組みになっております。
 資産管理機関が破綻した場合には、今言いました信託銀行の信託財産として管理されるものを除きましては、確定拠出年金の年金資産を優先的に全額を保護するということは困難でございますが、確定拠出年金はあくまでも労使合意による公的年金の上乗せのいわば私的な仕組みとして実施する仕組みでございますので、このような状況を確定拠出年金を実施する企業は十分認識の上、労使で十分協議して、そして資産管理機関を選定していくということが必要であると考えております。
#39
○西川きよし君 確定拠出年金については、それを設けた企業、加入者、それから運営管理機関、資産管理機関等々、それぞれに違った利害を持つわけですから、それぞれがそれぞれに利潤の追求に走るようなことがあったのでは、これは加入者の福利向上に結びつかない危険性もあるのではないかなというふうに思うわけです。そういった意味でも、それぞれの分野においてしっかりとした加入者への忠実義務を負っていただかなくてはならないと思うんですけれども、この点についての御答弁を副大臣お願いいたします。
#40
○副大臣(桝屋敬悟君) 今回の確定拠出年金、これはもう何度も出ておりますけれども、加入者みずからが老後の所得保障のために運用方法を選択しまして、そして場合によっては運用リスクを負う制度でありますから、加入者が適切に運用できるようにするための加入者保護を図ることが極めて重要であると考えております。
 先ほどから委員の方から、企業、それから運営管理機関、さらには資産管理機関、それぞれに対して、例えば選定上の諸問題でありますとかあるいは情報提供の問題でありますとか、事細かに確認をいただきました。いずれも極めて大事な話でありまして、この法案におきましては、企業、それから運営管理機関、資産管理機関に対しまして加入者への忠実義務を課しているところでございます。
 今後、企業や運営管理機関などの関係者が、今の委員の御指摘もいただきましたように、こうした責務に従って適切に業務を実施していただきますよう、金融庁ともしっかり連携をしながら、十分厚生労働省としても指導していきたいというふうに考えているところでございます。
#41
○西川きよし君 それでは次に、今回の確定拠出年金、そして先日の確定給付年金と、一応これで企業年金の新しい仕組みの整備が行われるわけですけれども、しかし公的年金制度全体を見渡したときに、やはりその基礎となる基礎年金部分、よく出る話ですが、基礎年金部分である、つまり国民年金にこれだけの空洞化状態があるままでは、国民全体の老後の安心には到底結びつくものではないのかなというふうにも思います。その意味におきましても、この問題の解決に向けた取り組みというものがなお一層重要になってくると思います。
 そうした中で、ぜひ一点お伺いしたいなと思うわけですけれども、先日、国民年金の損得論に対しまして、公的年金は得といった内容の内部解説書を作成されたという報道を私も目にいたしました。ぜひ、きょうこの機会にこの解説書の内容とはどういったものかというものを御答弁いただきたいと思いますが、よろしくお願いいたします。
#42
○政府参考人(辻哲夫君) 御質問の解説書につきましては、近年、国民年金の未納者が特に若い世代において増加していることを踏まえまして、老後生活の基本的な部分を確実に支える公的年金の役割や重要性について、改めて普及、広報を行う必要があると考えて作成したものでございます。
 その内容でございますが、年金は、保険料を納め始める二十歳から年金を受給し始める六十五歳までの間に四十五年間という長い長い期間があること。そして、それからもらい始めて平均寿命で見ますと八十歳までということで、二十歳から見れば四十五年後から六十年後までという長い期間にわたる保障の仕組みであるということ。そして、このような長い期間において、大きな生活水準の上昇を含めて社会経済の変動があっても、その遠い将来のその時々の生活水準を踏まえた給付を約束できるのは、やはり社会全体での世代間扶養を基本とする相互扶助の仕組みである公的年金だけであること。そして、私的年金には賃金や物価のスライドはなく、遠い将来のその時々の生活水準を踏まえた給付を約束できず、公的年金にかわり得るものではないことなど、公的年金の基本的な考え方とともに、特に若い世代には保険料を払った分だけ戻ってこないんではないかという意識が非常に広まっておりまして、あえて、基礎年金には国庫負担が行われていることもあり、保険料納付額と平均寿命まで生きたときの受給できる年金額、これを両者を対比すると、年金額の方が多いこと。さらに厚生年金の場合は保険料の半分は事業主が負担していること。こういったことから公的年金は決して不利ではないということといった損得論に関するものも含めて考え方をまとめているものでございます。
 この解説書自体は、全国の社会保険事務局、社会保険事務所においていわば草の根的な広報啓発活動を行っていくためのマニュアルとして作成したものでございますが、今後、こうした考え方や説明ぶり等について各方面の御意見を伺った上でよりよいものにし、これに基づき国民の皆様に公的年金の大切さを理解していただけるよう、年金教育や年金広報に全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
#43
○西川きよし君 ありがとうございました。
 よく本当に聞かれる話ですけれども、これまで政府が強調されてきたのは、公的年金は得だから加入し損だから加入しないといった形の任意保険や私的保険ではないんだ、公的年金は国民全体の連帯のもとに順送りに各世代の老後を支え合っていく社会保障制度でありまして、国民全員参加を前提にして成り立っている強制加入の制度である、こういったことであったと思いますし、我々もそう思っておりました。
 もちろん、私もこういった考えに賛同する一人といたしまして、いろいろなところで聞かれたときでもそういうふうに説明をさせていただきましたし、損得論の話が出ますと、必ず僕らは少しでも皆さん方に御理解していただくようにそういった細やかにお話をさせていただくんですけれども、そうした中で今回の内容を目にいたしまして、正直これまでの姿勢に少し揺るぎが出てきたのではないのかなというような心配もいたします。
 やはり公的年金制度におきまして、損得論で割り切れない国民の感情はいろいろあるんだと思います。だからこそ国民の連帯意識によって成り立つものだと、そのように皆さんには僕らも訴えてきたわけですけれども、今回、このような方針をおとりになった厚生労働省としてのお考えを最後に坂口大臣にお伺いをして、きょう御配慮いただいたことも感謝いたしまして、質問を終わりたいと思います。よろしくお願いいたします。
#44
○国務大臣(坂口力君) 今、西川委員が御指摘になりましたように、公的年金というのは支え合う心、その一言で成り立っているというふうに私も思っております。
 その支え合う心の中で、それが現在同じ生活をしている皆さん方だけではなくて、現在とそして将来、いわゆる世代間の公平、世代間の支え合い、そうしたものも含めての広い意味での支え合う心であるというふうに思っております。そうした広い立場に立って成り立っております公的年金というものをよく御理解をいただいて、そして御参加をいただくというのが一番の中心であることに間違いはございません。
 もうそれに尽きるわけでございますが、今、局長の方からも答弁がありましたように、しかし、そうはいうものの、国民の皆さん方の中にはそういう高い理念、それはわかってはいるけれども、しかし現実問題としてこうではないかという一般社会の中における損得論というものが芽を出してきていることも、これも否定しがたい一面であるというふうに思います。
 そういうことがあるものですから、恐らく芽を出してきておりますそうした国民の皆さん方の気持ちにも少しこたえてと申しますか、そういう気持ちに反応して、それに合ったようなこたえ方をしようというふうにしたんだろうというふうに思います。しかし、そういうことがあったとしても一番大事なのは、最初委員が御指摘になりました社会保障の理念というもの、公的年金の理念というものが一番その中心の大きな柱であることは間違いがございませんし、そこを忘れてはもう損得論も何もあったものではないわけでございます。
 これから国民の皆さん方のいろいろの御意見、いろいろの反応に対して、私たちこたえながらも、しかし一番中心はこういうことでございますというその中心のところは忘れずに、そこを一番高らかに掲げて、これからも皆さん方にお話をしていきたいと思っているところでございます。
#45
○西川きよし君 ありがとうございました。
#46
○大脇雅子君 確定拠出年金法案の各論について、きょうはお尋ねをしたいと思います。
 確定拠出年金制度の発足におきましては、労使の自主性の尊重から合意が要件とされております。過半数組合がない場合には、その代表の選出についてはどのように決めるのでしょうか。労働基準法上の労使協定を締結をする場合と同様に解してよろしいのでしょうか。
#47
○政府参考人(辻哲夫君) 確定拠出年金を導入する企業に従業員の過半数で組織する労働組合がない場合におきましては、従業員の過半数を代表する者の同意を得ることで労使合意を図ることとしております。
 そのときの従業員の過半数を代表する者の具体的取り扱いにつきましては、御指摘のとおり、労使協定を締結する際に適用される労働基準法施行規則等の規定を基本的に踏襲していく考えでございます。
#48
○大脇雅子君 民主的な手続が確保されるよう、通達などできちっと基準を示していただきたいと思います。
 第四条第一項二号で、厚生労働大臣が承認をする場合に「退職手当制度が適用される者の範囲に照らし、特定の者について不当に差別的なものでないこと。」とされておりますが、これは具体的にどのような場合を想定しているのでしょうか。
#49
○政府参考人(辻哲夫君) 法案におきましては、労使合意により規約でその一定の資格を定め、当該資格を有しない者については確定拠出年金の加入者としないことができるというふうにしております。
 この場合、一定の資格としては、例えば流動性の高いことが常である研究職とするといったような例が想定されますが、その資格に該当せず確定拠出年金の加入者とならない従業員について、例えば厚生年金基金などの企業年金や退職金前払い制度の対象にもしないというようなことになりました場合は、事業主が当該従業員についてのみ老後のための支援を行わないこととなりますので、全体として不当に差別的な取り扱いに当たると考えられることから、こうした内容の規約につきましては承認することができないものと考えております。
 いずれにいたしましても、不当に差別的な取り扱いに該当するような主たる事例などについては、今後、規約の承認基準に関する通達等で明らかにしていきたいと考えております。
#50
○大脇雅子君 掛金についてお尋ねしたいと思いますが、アメリカの四〇一k年金制度と異なりまして、本法案の企業型年金の場合は事業主負担とし、本人の拠出については認められていないのですが、これはなぜでしょうか。
 また、四条の事業主掛金の算定の仕方においては、「定額又は給与に一定率を乗ずる方法」に加え、そして「その他これに類する方法」というふうに書かれておりますけれども、政府が示している拠出限度額の区分及び金額の根拠というのは、国民に対して極めてわかりにくいということが考えられます。
 また、社会保障制度審議会からも根拠が明確でないというふうに指摘されておりますが、どのような根拠でこのような限度額が決められたのでしょうか。そして、根拠となったデータや算式というものの資料は提出されるべきと考えますが、いかがでしょうか。
#51
○政府参考人(辻哲夫君) まず、米国の四〇一kと異なり、企業型年金に本人拠出が認められない理由ということについて御説明いたします。
 我が国の確定拠出年金の企業型は、現行の企業年金と同様に、事業主がまず拠出するということが基本になっております。企業型における企業の従業員本人の拠出は、その拠出がまず任意であるということ、そして付加的であるということ、そして運用もみずから選択するという仕組みですので、そのように見ますと、それは貯蓄そのものと考えられるということから税制上の優遇措置が講じられませんで、したがって今回の法案では従業員の上乗せ拠出はできなかったということでございます。
 それから次に、法第四条で事業主掛金の算定方法が掲げられておりまして、「定額又は給与に一定の率を乗ずる方法」に加えて、「その他これに類する方法」とありますが、定額の個々の従業員についての拠出金を決める、あるいは給与に一定の率を乗ずる拠出金、掛金を決めるという方法以外にそれに類する方法と申しますのは、例えば給与に一定の率を乗ずる方法と定額を併用する、すなわち給与に一定の率を乗じた額と定額の合計額を事業主掛金とする方法がそれに当たるものと考えております。
 それから、拠出限度額についての算出根拠でございますが、少し長くなることをお許しいただきたいと思いますが、まず確定拠出年金の拠出限度額につきましては、税制上の優遇措置が行われますことから、現行の確定給付型の制度である厚生年金基金や国民年金基金の税制を勘案して、これらとの公平性の観点から設定をいたしております。
 まず、企業型の年金につきましては、そもそも確定給付型の年金である厚生年金基金がない企業についてもそれに相当する確定拠出型を導入できるようにしたものでございます。したがいまして、今の厚生年金基金において厚生年金保険の代行部分の一・七倍相当額を努力目標水準として設定しておりまして、これを掛金ベースに置きかえた額が年四十三・二万円、月三万六千円となることから、厚生年金基金がある場合とのバランスで、この額を既存の企業年金等に加入していない企業の従業員に係る拠出限度額としたものでございます。
 また、既存の企業年金等に加入している者につきましては、既存の企業年金に加入していない者との公平性が必要となる。既に既存の企業年金で一部いわば恩恵を受けているということがございますので、したがいまして、現在の平均的な厚生年金基金の上乗せ部分の給付水準が今申しました努力目標水準のおおむね半分となっていることを考慮しまして、企業型の限度を四十三・二万円の半分を控除した残りの半分ということで二十一・六万円、一・八万円としたものでございます。
 次に、個人型年金のうち自営業者等につきましては、確定給付型の制度であります国民年金基金の拠出限度額、これは八十一万六千円、月六万八千円ということでございますが、したがいまして、個人型年金においてもこの枠を共通の枠として拠出限度額とし、国民年金基金に加入している者についてもその掛金を控除した額、すなわち確定拠出と確定給付を合わせて八十一・六万円になりますように限度額を設定したものでございます。
 また、個人型年金のうち企業の従業員については、上乗せの年金制度において企業の何らの支援を受けていない者でございますので、大部分の現在の厚生年金基金における上乗せ部分の掛金額、いわば厚生年金基金があって支援を受けている場合の掛金額、すなわち従業員が現に支援を受けている額は大体月一・五万円の範囲内でございますので、これとの均衡を踏まえまして一・五万円と定めたものでございます。これらの根拠につきましては公表をいたしているところでございます。
#52
○大脇雅子君 税制優遇等の関係があって、さまざまなバランスを考えてつくられているという枠組みはわかったわけですけれども、例えば自営業者等の第一号被保険者が個人型に加入する場合は月額六万八千円ということを言われまして、それが上限ということで、これは国民年金基金に加入している場合は同基金への拠出とあわせてそれが設定される。しかし、現行の国民年金基金は、国民年金の第一号被保険者の中でも医師とか弁護士など経済的に非常に裕福な人とか、老後資産形成のための税制優遇を与えるというものとして批判が多いということで、この個人型は富裕層だけに選択肢を広げるという批判があるんですけれども、これはどうでしょうか。
#53
○政府参考人(辻哲夫君) 確かに、国民年金基金と確定拠出で共用するという六万八千円、一方において、何ら企業の支援のない個人については一・五万円というのが、結果として、いわゆる自営業といった個人については優遇している、し過ぎじゃないかと、こういう御指摘かと存じます。
 これにつきましては、まず個人の方におきましては公的年金は基礎年金だけでございまして、いわば国民年金基金というのはサラリーマンの比較におきましてはいわば二階、三階部分に相当するものである。一方、企業年金につきましては既に二階が公的年金でありますので、三階部分に関してである。したがいまして、二階、三階部分を既に六万八千円保障しているという、その六万八千円の範囲内のみで確定拠出年金を認めると。一方、企業の何らの支援を受けていない個人につきましては、三階部分につきまして、何らかの支援を受けている三階部分のいわば厚生年金基金の実態と勘案してバランスを図るということで、今までの均衡をそれ以上に個人に対して優遇するということにはなっておりません。
#54
○大脇雅子君 次は、企業年金加入者及び企業年金運用指図者による運用の指図につきましてお尋ねをします。
 企業年金の加入者及び企業年金運用指図者による運用の指図というのは、四条の一項五号というところで少なくとも三カ月に一回行い得るものとされておりますが、指図するためのノウハウというのを加入者が確実に身につけるということがありませんと、その趣旨を生かした制度の運用ができないということが考えられますが、どのように保障するのでしょうか。
#55
○政府参考人(辻哲夫君) まさしく加入者みずからの責任で運用指図を行うということでございますので、加入者が資産運用についてのノウハウといいますか適切な知識を持つということが不可欠でありまして、事業主、それと運営管理機関それぞれが適切な情報提供を行うことが重要であり、行われることとしております。
 まず、事業主につきましては、一般的な資産運用に関する情報提供、リターンとリスク、元本確保型と元本割れする可能性の違いは具体的には何か、どういう理由かといったことを含めた一般的な情報を提供するということと、それからあわせまして、個々の運用商品に関して、じゃそれはどんなものなのかということを具体的に説明する必要がある。これは運営管理機関が行うということで、その場合は、個々の運用商品につきましてのただいま申しました特にリスク・リターン特性、それから実際の過去の実績、数値、それからそれらの商品についていわば権利保全がどのように働いているか、どんな仕組みになっているか、こういったことを個々の商品とそれからその権利保全の仕組みについて運営管理機関が説明しなければならないこととされております。そのようなことを経て加入者が適正な判断を行えるようにするという仕組みになっております。
#56
○大脇雅子君 企業型では、事業主が個々の従業員の委任を受けまして、その委任の範囲内で運用指図をするということは差し支えないということにされていますが、これは個々の従業員の意思を確認した上で、一括運用を希望する従業員の分に限って事業主が一括して運用指図することを認めるという趣旨でしょうか。そして、特にこの委任は従業員が自発的、任意的でなければならないとされておりますが、この委任を行った従業員に対しても事業主による情報提供の義務というのは適用されるものでしょうか。
#57
○政府参考人(辻哲夫君) これは、あくまでも個々の従業員の自発的な委任によらなければ事業主が運用指図してはならないという法体系を前提にしておりますことと、それから、個々の従業員につきましてはみずからの責任で行うし、それを乗り越えるような、それを飛び越えるような措置を事業主が行ったときは、それも事業主の受託者責任違反となる、こんな仕組みになっております。
#58
○大脇雅子君 今回の確定給付企業年金制度及び確定拠出年金制度では、公的年金制度と相まって国民の老後の生活の安定を保障するための制度だという根本的な精神というのは忘れられてならないと思います。
 事業主や資産管理機関が忠実義務を負っている。資産運用のための情報は具体的に、現在、一般的、個々の運用商品別の説明というふうにお聞きしましたが、具体的にはどのように開示されて、どの範囲でどのような内容になるんでしょうか。目先の運用利回りに関連する情報のみを提示するということは、逆に制度の骨格にかかわる運用システムそのものの信用を損なうということになると思いますが、さらにお聞きしたいと思います。
#59
○政府参考人(辻哲夫君) 先ほどの答弁させていただいた中で、委託した場合の事業主の加入者に対する情報提供いかんということがございました。失礼いたしました。
 これは、委託をしている場合でも、やはり事業主は法二十二条の資産運用のあり方に関する情報提供を加入者に対して行わねばならないという義務は残っております。
 それと、具体的な忠実義務による情報の内容はどうかということでございます。先ほどもちょっと触れましたが、恐縮ですが具体的に申させていただきますと、まず一般的な情報として、事業主は確定拠出年金制度の仕組みそのもの、元本確保商品が含まれており、かつあくまでもリスクの内容やリターンとの関係などの投資に関する基礎的な知識をそれについて提供する、そして主な金融商品の特徴や仕組みなどについても説明する、こういったことを事業主は情報開示しなければならないということを通達で明らかにしてまいりたいと考えております。
 運用管理機関は、今度は一般的な勉強をされた加入者に対して、その提示する個々の運用商品に関して、当該商品のリスクやリターンの特性を含めた具体的な内容や仕組み、それから、御指摘ございました過去の当該商品の利益や損失の実績を示しますと同時に、その時点における一般的な市場の状況についての認識というものは、当然そのときにあわせて説明するということが前提と考えられます。
 それから、預金保険制度や保険契約者保護機構等の保護制度の有無や保護の内容、こういったことを個々具体に情報提供しなければならないというふうに考えております。
#60
○大脇雅子君 運用コストが非常に問題になると思いますが、これは情報提供の中に入りますか。
#61
○政府参考人(辻哲夫君) 運用コストは、いわゆる管理手数料といってよろしいと存じますが、これにつきましては年金規約の中に定めることとされておりまして、まずそれを労使の間で決めた上で、それから制度実施に入るというものでございます。
#62
○大脇雅子君 ちょっと質問通告していないんですけれども、政府はこうしたコストというのをどの程度になると見込んでいるんでしょうか。現在の厚生年金の業務委託コストや運用報酬と比較して、どんな見通しを持っていらっしゃるんでしょうか。
#63
○政府参考人(辻哲夫君) あくまでも、これから導入いたしましたときの運用コストそのものは一定の競争環境の中で形成されてまいりますので、幾らとずばり言えないわけでございますが、既に実施されている米国の四〇一kで記録管理などの運営に関するいわゆる管理手数料でございますけれども、これは大体年間平均で資産額の〇・六%といった情報が入っております。
 私ども、今、企業年金との関係はどうかということが御指摘ございましたが、企業年金の方はすべて一括して運用する、それに対して確定拠出年金の方は個々の管理口座を持つというところだけ事務量がふえますが、最終的に運用するときはそれが一括して運用されるということで、運用のロットは同じでございますけれども、管理の手数料がちょっと上回るということで、手数料としては確定給付型の今の実績よりもやや割高になると考えております。その割高になると考えられているものが、米国の〇・六%という今の水準を大体勘案してこれから参入される運営管理機関は決められるのではないか、そして運営管理機関もそんな形でそれを勘案して議論されるというふうに考えておりますので、その〇・六%を勘案して決めるという水準は決して私ども高いものではないと考えております。
#64
○大脇雅子君 確かに〇・六%だということになればそんなに高くはないんですけれども、例えば商品を乗りかえていくとそのたびにコストはかかって、米国の四〇一kの実績なんか見ると二割とか三割という運用コストになっているような例もあるんですが、そういう危険性というのはどう考えられますか。
#65
○政府参考人(辻哲夫君) 基本的にさまざまな運用指図を行うことを前提としておりますが、投資信託に関しては投資信託の内容によって手数料が異なります。これにつきましては、個々にまたあらかじめ話し合って投資信託の手数料というものを決めるということになっておりますが、それ以外の管理については一括の管理手数料でございます。
#66
○大脇雅子君 私は、運用手数料が高くなれば、結局リスクを持った商品というものが対象になっていくという、リスクの高い運用ということを今度は考えざるを得ない。そうしますと、運用リスクは結局のところ、企業ではなくて個人に負わされるというのが今回の制度でございますから、各金融会社というのはコンピューター等によってさまざまな管理を行うわけでございましょうが、投資信託は信託別にコストが決まっていくという場合に、やっぱり余り乗りかえると運用コストが非常に高くなるということはあるでしょうね。
#67
○政府参考人(辻哲夫君) あくまでも、投資信託というのはさまざまな株式なり公社債なりの組み合わせによって行われるというものですので手数料というものがかかるわけでございますが、それ以外のものは、今申しましたように、一括の管理手数料であると。そういう中で、しかも元本確保型商品が確保されていると。もとより、リスクのあるものについては全く個人が積極的に選択するときだけの話でございまして、基本的には元本確保型が確保されており、それを選択することができるという中で、元本確保型の最も利回りの低いもの、これは預貯金と考えてよろしいと存じますが、その預貯金におきましても、未曾有の低金利である現時点におきましても、今申しましたような管理手数料の見通しのもとで、一般の市中金融機関における預貯金と同等ないしはそれを上回るものが出せるというふうに私ども認識しており、そのように民間の関係者もおっしゃっております。
#68
○大脇雅子君 先ほどお尋ねしたんですが、現在の厚生年金基金の業務委託コストとか運用報酬などと比べますとどの程度でしょうか。やはりこのくらいの利回りで今いっているんでしょうか。
#69
○政府参考人(辻哲夫君) 今の厚生年金基金につきましては、基金の運営に関する費用は平均で資産額の〇・五%、運用報酬も含めると〇・八%ということでございます。そういうことから、運用報酬を除きました管理だけでいきますと〇・五%ということで、やや低目かなというふうに思います。
#70
○大脇雅子君 この点が一番加入者にとっては気になるところであり、金融の動向や景気の動向によってかなりこれが変動をして元本を押していくということがあるのではないかというふうに心配がされるところであります。
 次に、事業主の行為基準というものにつきまして、四十三条を見ますと忠実義務が規定してありまして、「当該個人に関する情報を保管し、及び使用しなければならない。ただし、本人の同意がある場合その他正当な事由がある場合は、この限りでない。」と書いてあるわけですが、この「正当な事由がある場合」というのは一体何を指すのでしょうか。少し細かい質問ですが、お願いします。
#71
○政府参考人(辻哲夫君) 個人情報につきましては、本人の同意や正当な理由なく目的外で使用された場合は、結果的に個人の権利、利益が侵害されるおそれがあることからそのような規定ぶりになっておりまして、具体的に正当な事由がある場合というのは、刑事訴訟法によって事業主が証言を行う場合や、令状による差し押さえ、捜索または検証の場合といった例外的な場合のみを想定しております。
 いずれにしろ、加入者の個人の情報が適切に管理されるよう事業主に対して強く指導してまいりたいと考えております。
#72
○大脇雅子君 受託者の管理運営に関する責任の明確化として、行為準則の内容はどのように立てておられますか。例えばアメリカのERISA法と比べて責任の度合いが強化されているのでしょうか。
#73
○政府参考人(辻哲夫君) まず、この法案に基づく行為準則を申し上げますと、まず事業主に関しましては、事業主、運営管理機関、資産管理機関、すべてでございますけれども、加入者の立場に立ってのみ行動をする、これはもう大基本の行為基準でございますけれども、そういう忠実義務が課せられております。それから、今申しましたように、加入者や受給者の個人情報を適正に保管し、目的外の使用を禁ずる個人情報保護義務、それから加入者や受給者以外の者の利益を図る目的、自己や第三者の利益を図る目的をもって運営管理業務の委託等を行ってはならない、こういった具体的な禁止行為、こういったものを明確化しております。
 運営管理機関に関しましては、今申しましたような一般的な義務以外に、運用商品の選定に当たっては専門的知見に基づいて行わなければならないという、いわば運用商品選定に当たっての専門家としての注意義務、それから加入者に対して特定の運用商品を推奨してはならないという具体的な禁止行為、こういった責務が付加されております。
 企業、運営管理機関などの関係者がこれらの責務に違反した場合は、民事責任を負うこともあると同時に、行政処分や一部違反行為には罰則を科すということとしておりまして、これによりまして加入者保護を図ることとしております。
 米国の四〇一kに適用されるERISA法の受託者責任の内容につきましては、加入者のためにのみ忠実に業務を行うという忠実義務、運用商品の選定に際しての注意義務、利益相反行為、今言いました自己ないしは第三者のためにやってはならないという利益相反取引の禁止などの義務が管理運営に携わる者に課せられると同時に、加入者がみずからの運用方法を決定することを前提に、少なくとも三種類のリスク・リターンが異なる運用商品を加入者に提示しなければならないとされております。
 我が国はこれと比較いたしますと、今まで述べました受託者責任に加えまして、この三種類以上のリターン・リスクの異なる運用商品の中に元本確保商品を一つ以上提示しなければならないという義務が付加されております。
 そして、米国のERISA法では、受託者がこの責務に違反したときは民事責任のみが課せられて、行政処分や罰則を科すことはございません。
 したがいまして、総括して申しますと、ERISA法に比べましてこの確定拠出年金法案はより重いといいますか、十分の受託者責任を課しているものと考えております。
#74
○大脇雅子君 それでは最後に、制度間移動についてお尋ねします。
 確定給付型年金制度や企業型確定拠出年金制度の加入者が個人型へ移行することについては規定がございますが、選択肢をふやす意味では、複数の企業を動く場合に、確定拠出年金に加入していた労働者が確定給付型年金制度のある企業に移った場合、このような労働者の取り扱いはどのようになるのでしょうか。
 さらに、制度間移動、広い意味では制度間移動ということになるかもしれませんが、第三号被保険者はここに加入できないということになるわけですから、例えば勤務をして三年以内の場合は脱退一時金というのが支給されるわけですけれども、大体、今三年で退職するという人は女性でも少ないと思いますね。そうした場合に、これは非常に短過ぎるのではないかというふうに思いますが、この二点についてお尋ねしたいと思います。
#75
○政府参考人(辻哲夫君) まず、転職の場合でございますが、転職前は確定拠出年金の企業型年金に加入していたが、転職先の企業が厚生年金基金などの確定給付型の企業年金を実施していた場合で企業型がないときは、これは個人型年金にそれまでの企業型年金の資産を移換して、個人型年金としてその資産の運用のみを六十歳まで行う、もし六十歳まで一切状態が動かないとしたら運用のみを行っていくということになります。なお、当然のことながら、当該企業の確定給付型の企業年金には加入することとなります。
 また、転職先の企業が確定給付型の企業年金を実施し、かつ確定拠出年金を実施している場合は、当該企業の確定給付型の企業年金と確定拠出年金に加入することになり、この場合、当然前の企業型の資産を移換することができる、こういった仕組みになっております。
 三号被保険者についてでございますが、現在、その三号被保険者は、一般的に税制上の措置というものにこの制度はリンキングしておりますが、その対象となる所得がないということから対象となっておりません。
 そんな中で、三年以内という、これは今までのさまざまな制度の均衡から定めたものでございますけれども、三年以内の場合は一時金として戻されますけれども、三年以上の場合は六十歳まで個人型の年金として運用して六十歳からもらうという仕組みになっておりまして、逆に言えば、六十歳までの間に現行制度でお勤めになったり、そういった形でまた確定拠出に入ったときにはそれをまたふやすということとして運用することになります。
 いずれにいたしましても、この三号被保険者の扱いにつきましては、現在の公的年金制度における女性と年金の問題で三号被保険者の負担ということが大変大きな議論になっておりますので、その総合的な検討を行っているところでありまして、今後、その結果も踏まえまして必要な対応を検討してまいりたいと考えております。
#76
○浜四津敏子君 公明党の浜四津でございます。
 それでは、御質問させていただきます。
 まず初めに、年金、雇用、医療、介護などの総合的な取り組みについて大臣にお考えを伺います。
 高齢者にとって老後の安心のためには、長期的、安定的な年金制度の実現は決定的に重要なことでありまして、どうしても実現させなければならない課題でありますが、その長期的、安定的な年金制度は、単に年金の財政の側面だけから論ずるのではなく、定年制のあり方やあるいは高齢者雇用の促進、また医療、介護を含めた社会保障全体、また経済全体の活性化策などを一体的に考えなければならないと思います。雇用制度、医療制度、介護制度などはそのままにしておいて、年金制度改革を年金の論理だけでいわば縦割り行政のもとに検討することは各制度をゆがめることにもなりまして、決して得策でないと思います。例えば、高齢者の雇用環境の整備と無関係に年金の支給開始年齢だけを引き上げるのでは中高年齢層の皆様の不安を一層増幅することになり、生活防衛のための貯蓄志向をますますあおることにもなると思います。
 そこで大臣に、年金、雇用、医療、介護などの総合的な取り組みの必要性について、まずお考えを伺います。
#77
○国務大臣(坂口力君) まず、社会保障全体を考えてまいりますときに、社会保障そのものは、やはり経済でありますとか財政でありますとかあるいは税制でありますとか、全体の流れの中でこの社会保障というものを考えていかなければならないというふうに思います。
 特に社会保障の場合に、今までは社会保障というのはかなり経済的に重荷になるものという感じが非常に強かったわけでありますが、社会保障の中で経済に果たします役割というものもあるわけであります。
 したがいまして、社会保障が経済全体の中で雇用問題を含めましてどういう大きな影響を与えるのか、また社会保障におきます負担というものが、その中には保険料の問題もありますし一般財源の問題もございますが、例えば、保険料であればその保険料を納めるということが経済に対してどういうふうにマイナス面に働くのかといったようなことも総合的に見ながら、この社会保障の問題は論じていかなければならないものというふうに思います。
 そしてまた、社会保障の中身そのものは、今御指摘のとおり、年金、医療、介護あるいは雇用、まだほかにも障害者の問題もございますし、純然たる福祉の問題もございますし、さまざまございますが、それらの問題が余りにも縦割りになっていてはいけないことはもう御指摘のとおりだと思います。
 ややもいたしますと、厚生省の中におきましても、年金は年金局、そして医療は医療の担当局、そして介護は介護の担当局というふうに、同じ厚生労働省の中におきましても局ごとに縦割りになってしまう可能性もなきにしもあらずでありまして、年金なら年金の改正をやるというときには、それは医療にも介護にもほかにもいろいろ影響を与えることですけれども、ややもすると年金の改正のことだけに目が行ってしまうということもあるわけでありますから、そこはよく注意をしていかないといけない問題だというふうに私も認識をいたしております。
 したがいまして、特に厚生省と労働省が一つの省になったわけでありますから、とりわけ雇用の問題というのは非常にこれからの社会保障に大きな影響を与えることでございますし、一つの省になったわけでございますから今まで以上に雇用の問題と社会保障の問題というのをもう少し密接に考えて、そして取り組まなければならないというふうに思います。
 女性の皆さん方の雇用の場、そして中高年の皆さん方の雇用の場、これらをどうつくり上げていくかということと社会保障の保険料がどうなっていくかということとは、これはもう不可分の話でございますので、そうしたことも踏まえてこれから取り組んでいかなければならないと考えているところでございます。
#78
○浜四津敏子君 ありがとうございました。ぜひよろしくお願いいたします。
 次に、既に議論し尽くされておりまして周知のところではありますけれども、現行の企業年金等には次のような問題点があります。
 一つには、現行の企業年金等は中小零細企業や自営業者に十分普及していないこと。二つ目には、従業員が転職する場合に年金資金のポータビリティーが十分に確保されておらず、労働移動、転職への対応が困難であること。三つには、近年のように景気が大きく変動する中では企業の業績の影響を受けるため、現行の企業年金等だけでは従業員にとって老後の備えが不安であること。
 これらの問題点に的確に対応するためには、中小零細企業や自営業者が導入しやすく、従業員の老後の所得確保の一層の充実と安定が図られ、かつ転職の際にも不安を感じないで済むような制度をつくることが必要となります。
 こうした観点から今回の確定拠出年金法案が提案されたものと思いますが、まず、不安の点を一点お伺いいたします。
 それは、平成十一年二月に経済戦略会議答申が出されましたが、そこにはこうありました。「公的年金は、シビル・ミニマムに対応すると考えられる基礎年金部分に限定する。」、「報酬比例部分(二階部分)については、段階的に公的関与を縮小させ、三十年後に完全民営化を目指した本格的な制度改革に着手する。」とあります。
 そこで、将来的には一階部分を厚くし、二階部分を民営化し、そのため今回の三階部分は二階部分民営化の地ならしとなるのではないかという心配であります。この点について、まず御答弁願います。また、あわせて、今後の年金制度についてのいわゆる一階部分、二階部分、三階部分のそれぞれの役割及び役割分担についてのお考えをお伺いいたします。
#79
○副大臣(桝屋敬悟君) この委員会でも、今、委員からお話のありました経済戦略会議の報告書の話についてはずっと議論が出ているところでございます。
 まず最初に、年金制度の一階、二階、三階部分の役割分担といいますか、あるいは今後どうなるかという私どもの考え方でありますが、今回の三階部分の整理については、まさに今、委員から御指摘をいただいたとおりでございまして、企業年金としての三階部分、さきに議論いただき、成立をさせていただきました確定給付型、これでまさに受給権の保護を図ると、そしてこのたびの確定拠出年金で新たな選択肢をつくり上げるということで、三階部分がまさに私的年金といいますか、企業年金として一階、二階の上乗せの部分として充実した体系ができるというふうに考えているわけであります。
 そこで、一階、二階でありますが、これはもう大臣の方からも何度もこの委員会で答弁をさせていただいております。まさに公的年金が一階、二階部分でありまして、自営業者の方々にとっての一階、それから被用者の方々にとりまして一階、二階に位置づけられるものでございますが、この公的年金、高齢者の生活の基本部分を終身にわたって確実に支えるということがその役割だというふうに私どもは考えております。
 老後生活の基礎的な費用を賄う基礎年金、これを全国民共通の給付として保障する。そして、被用者に対しましては、退職後に賃金収入がなくなるということに配慮いたしまして、報酬比例の年金を保障するということでございまして、両者あわせて現役世代の手取り年収のおおむね六割を確保するということで考えているところでございまして、この公的年金、一階、二階の部分については、私どもは、これはまさに今言いましたように、高齢者の生活の基本部分を終身にわたって支えるという我が国の国民にとって極めて大事なものでありまして、これは堅持をしなければならぬだろうというふうに思っているところでございます。
 いずれにしても、この一階、二階、さらには今審議をいただいております三階、相まって、国民の老後の所得保障、所得確保の一層の充実が図られていくように期待をしているところでございます。
#80
○浜四津敏子君 企業型の確定拠出年金と似ているものに財形年金貯蓄という制度がございます。勤労者の計画的な財産形成を促進することにより、勤労者の生活の安定を図ることを目的とする勤労者財産形成促進法に基づく三種の財産形成制度の一つで、八二年から運用が開始されたものでございまして、現在かなり高い普及率であると言われております。
 この財形年金も確定拠出型年金も共通の目的を持っておりますけれども、内容的には相違点がたくさんあると言われております。従来の財形年金制度との関係及び役割分担をどうお考えになっておられるか、お答えいただきたいと思います。
#81
○政府参考人(辻哲夫君) まず、御指摘の財形年金制度は、勤労者を対象としまして、勤労者自身の自助努力、つまり勤労者自身の課税後の手元に入った所得からの拠出によりまして老後の備えを図ることを促進する貯蓄制度でございまして、そして、優遇措置としての非課税となった利子について遡及課税されることを条件に六十歳以前でも解約による取り崩しが可能である、こういう仕組みでございます。
 これに対しまして確定拠出年金制度は、公的年金の上乗せの年金制度の新たな選択肢として導入するものでございまして、まず対象者として、勤労者だけではなくより広く自営業者も対象としているということと、それから、上乗せでございますので公的年金の保険料を払っている者のみが加入でき、かつ拠出段階で非課税とされているということ、それから、高度障害や死亡の場合を除きまして、財形年金制度と異なりまして六十歳に到達するまでは引き出しができないこととされておるということで、いわば貯蓄と異なると。機能として、財形年金制度は貯蓄制度でございますが、貯蓄とは異なった取り扱いとして、国民の老後の所得保障の一層の充実を図るための制度だということで分担されていると考えております。
#82
○浜四津敏子君 次に、確定拠出年金の対象者について伺います。
 企業型年金の加入者については九条に、また個人型年金加入者については六十二条にその規定がございますが、企業が実施する企業型年金においては、対象者はその企業に使用される国民年金の第二号被保険者ということになっております。また、国民年金基金連合会が実施する個人型年金では、企業年金などに加入していない国民年金の第二号被保険者や、自営業者等の国民年金の第一号被保険者を対象としております。つまり、今回の確定拠出年金には専業主婦などの国民年金の第三号被保険者、また公務員はこの制度に加入できないことになっております。
 なぜ専業主婦など国民年金第三号被保険者及び公務員が加入できないこととしたのか、その理由をお答えいただきたいと思います。また、将来的に専業主婦など国民年金の第三号被保険者についてはぜひ御検討いただきたいと思いますが、そのお考えがあるかどうか、お答えいただきたいと思います。
#83
○政府参考人(辻哲夫君) 御指摘の、まず国民年金の第三号被保険者の取り扱いでございますが、第三号被保険者は、税制上の措置と連動したこの制度におきまして、税制上の措置の対象となる所得がないということで対象としなかったというのが理由でございますが、現在、公的年金制度における女性と年金の問題について総合的な検討が行われているところでございまして、この結果も踏まえましてさらに対応を検討してまいりたいと考えております。
 それから、公務員につきましては、企業型のように事業主、すなわち国や地方公共団体が拠出する場合は、これは公務員の福利厚生の問題そのものでもあるということになりますので、このために、民間企業における企業型年金の普及の程度等を見きわめた上で、いわば民間準拠という考え方を踏まえた上で公務員制度の一環として検討することとなりますので、関係省庁とも十分連絡をとり合って適切に対処してまいりたいと考えております。
#84
○浜四津敏子君 次に、個人型年金における拠出限度額についてお伺いいたします。
 従来の企業年金は、企業が年金制度を実施した場合、従業員が加入できるものでありまして、企業が年金制度を実施しない場合には、企業の従業員は公的年金しか受給できないという問題がありました。大企業の多くは厚生年金基金や適格退職年金を実施しておりますが、中小零細企業の多くは企業年金を実施しておらず、特に中小零細企業の従業員は企業年金のメリットを受けられなかったわけであります。
 こうした公的年金しかない多くの中小零細企業の従業員の方々の老後の備えをどうするかがこれまでの大きな課題でありました。今回の確定拠出年金法案はこの課題に対する答えとして、こうした方々が任意で個人型年金に加入できる道を開いたものと理解しております。
 とはいうものの、まだ懸案の点が幾つかあります。その一つが拠出限度額の格差であります。
 二十条の企業型年金における拠出限度額は、ここでは「政令で定める」となっておりますが、確定拠出型年金のみを実施する企業の場合、その拠出限度額は月三万六千円、確定給付型と確定拠出型の双方を実施する企業の場合の拠出限度額は月一万八千円と理解してよろしいでしょうか。
#85
○政府参考人(辻哲夫君) 基本的に限度額は、既存の企業年金、それから個人にありましては国民年金基金といった既存の年金における税制優遇措置との均衡で定められたものでございます。
 特に、中小企業の確定給付がある場合とない場合の違いが議論になるわけでございますけれども、確定給付がありますときには、確定給付が全くない場合と比べまして既存の確定給付の実態が目標水準の大体半分ぐらいの実態であるということから、その目標水準に対応いたします四十二・六万円の半分、実態としてあるものの半分を控除した二十一・三万円、すなわち一万八千円になっているものでございます。
 それに対しまして、何ら確定給付の企業年金もない、何らの支援のない中小企業の従業員の場合、現に支援がなされている方との均衡、今度は、現に企業年金で支援されている方に何らかの支援をしている掛金の実態、これとの均衡で決めるということになりますが、現に大部分の厚生年金基金におきましては、上乗せ部分の掛金として事業主が拠出されている額は月一万五千円の範囲内であるということで、現に何らの企業年金のない方については、現実にある企業年金における掛金の実態でまずはスタートするということで、その実態が一・五万円の範囲内であるということで一・五万円としたということで、現行のいわば確定給付における制度の実態との均衡で定め、そのような差が出たものでございます。
#86
○浜四津敏子君 公的年金しかない多くの中小零細企業の従業員の方々、いわゆる谷間の方々については拠出限度額が月一万五千円、企業型の年金が実施されているところでは月三万六千円、あるいは月一万八千円、また自営業者は月六万八千円と、これだけの差があるわけで、極めてこの一万五千円というのは低い金額とされているわけであります。
 この個人型年金に加入する企業の従業員に係る月一万五千円の拠出限度額については、今後再検討される用意があるんでしょうか、お答えください。
#87
○政府参考人(辻哲夫君) ただいまの私の答弁の中で、恐れ入ります、企業年金を実施している場合は二十一万三千円と申したかもしれませんが二十一万六千円で、企業年金を実施していない場合は四十三万二千円でございましたので、ちょっと額の内容の言い間違いをおわびして訂正いたします。
 それで、今の何らの支援のない企業における従業員のものにつきましては、まず導入するということから既存の実態との均衡で定めましたが、今後、実施状況を見て検討してまいりたいと考えております。
#88
○浜四津敏子君 次に、加入者への情報提供についてお伺いいたします。
 確定拠出年金は加入者が運用方法を決定し、その運用リスクを加入者自身が負う制度でありますから、企業の従業員などが制度の内容や運用商品の内容などについてよく理解しないまま制度に加入するようなことにならないようにするとともに、自己のニーズに合った運用商品を適切に選択できるようにする必要があります。このため、加入者に対する情報の提供は極めて重要でありまして、こうした措置を行う責務を負っている企業などの役割は非常に大きなものがあります。
 二十二条では、企業型における情報提供の努力義務が規定されております。また、七十三条には、個人型の年金について二十二条を読みかえ準用ということになっております。また、九十七条には、「確定拠出年金運営管理機関は、事業主又は連合会の委託を受けて、第二十二条の規定による資産の運用に関する基礎的な資料の提供その他の必要な措置を行うことができる。」と、こう書いてあります。
 この運営管理機関は、運用商品に関し具体的にどのような情報をどのような方法で加入者に提供しなければいけないこととしているのか、お答えください。
#89
○政府参考人(辻哲夫君) 御指摘のように、情報提供というものがこの制度の基本的な前提でございまして、極めて重要なものであると考えております。
 今御指摘の各事項は、まずこの確定拠出年金を実施する者の情報提供義務と、それから実施する中で個々の加入者が運用指図を行いますときの運用指図に当たっての情報提供と、この二段といいますか、二つの段階に応じて情報提供が必要である旨の御指摘でございます。
 まず、前者につきましては事業主等ということでございますが、一般的な運用に関する情報提供であるということで、確定拠出年金制度の仕組みの内容、それからリスクの内容やリターンとの関係など、投資に関する元本保証と元本割れする商品の違い、考え方、こういった基礎的な知識、それから預貯金、投資信託、保険商品などの特徴やリスクとリターンなど、主な金融商品の特徴や仕組み、こういったことをまずお知らせする、勉強していただくということが基本でございまして、これらのことを行うべきということを通達で明らかにしてまいりたいと思います。
 次に、運営管理機関は個々のいわば商品選択、指図を行っていただきますに際しての情報提供を行わねばならないということでございますので、今度は選択の対象となる、指図の対象となる個々の運用商品に関して、当該商品のリスクやリターンの特性を含めた具体的な内容や仕組み、それから過去の当該商品の利益や損失の実績、いわばその商品の持っている実績というようなもの、それからそのときにおける投資環境の説明、そして今度は保護という観点から、預金保険制度や保険契約者保護機構等の保護制度のそれぞれの商品についての有無や保護の内容、こういった具体的な情報を加入者に提供しなければならないとしております。
 情報提供の方法につきましても、これらの対象者の知識あるいは置かれた状況によってさまざまでございますので、個別の運用商品を説明したパンフレット、あるいはビデオの配付、あるいは説明会での説明、あるいは必要に応じて運営管理機関は、これは個々の運用指図を行っていただくための説明ですので、個別に加入者に対して説明を行う、こういった形で情報提供を担保していただきますようこれらの方法につきましても通達で示す予定でございます。
#90
○浜四津敏子君 知識についてはかなりばらばら、かなり層が厚いといいますか、いろんな方がいらっしゃるでしょうから、きちんときめ細かな、ニーズに合った情報を提供していただきたいと思います。
 次に、金融・証券市場の透明性確保について金融庁の方にお伺いいたします。
 加入者が適切に運用方法を選択できるようにするためには、こうした運用商品についての情報提供だけではなく、金融商品等についての十分な情報開示を初めとする金融・証券市場の透明性が十分確保されていることが重要であると思います。
 本年四月には金融商品販売法が施行されました。これは、金融機関に対して、顧客に対する勧誘方針の作成、公表の義務づけや、元本が割れるおそれがある金融商品についてその要因などを顧客に説明することを義務づけているものであります。金融・証券市場の透明性の向上のための措置が着実に講じられていると思いますが、引き続きその透明性の向上に努めていくべきだと思っております。
 この透明性向上に向けた今後の具体的な対応について、金融庁に御説明いただきたいと思います。
#91
○副大臣(村田吉隆君) 先生の御意見のとおり、金融・証券取引というのは自己責任に基づく取引でございますし、その取引のためには、まず投資家にとって必要な情報がしっかりと提供されていなきゃいけない、こういうことが一つでございます。それからもう一つは、公正な市場が確保されていなければいけない、こういうことなんだろうというふうに思います。
 まず第一点の、必要な情報が提供されていなければいけないと、こういうことに関しましては、今、先生が御指摘のとおり、本年四月から金融商品販売法という法律を施行いたしまして、金融商品販売業者が顧客に対して必要な説明を提供しなきゃいけないということを罰則をもってそういう措置を講じたところでありますけれども、そもそも証券取引法の範囲内でも企業会計基準をだんだん整備いたしまして、例えば連結財務諸表とかあるいは時価主義とか──失礼しました、罰則はないそうでございますのでその点だけ取り消させていただきますが、企業会計原則に基づきますそういういろんなインフラの整備を行ってきて、顧客に対して必要な情報がしっかりと的確に提供できるような環境整備を行ってきたわけでございます。かつまた、六月からEDINETという、そういうコンピューター、インターネットを利用して有価証券報告書の内容を自由に国民が入手できるようなシステムというものを開発しまして動かしているということでございます。
 ただ、後段の方の公正な市場取引の確保という点に関しましては、金融庁の中にあります証券取引等監視委員会におきまして、最近新聞なんかでも散見されますように、証券会社等の不公正な取引については厳しく処分に臨むということでございまして、そうした意味で最終的に公正な取引を担保して投資家の保護を図っていきたい、こういうふうに考えているわけでございます。
#92
○浜四津敏子君 ありがとうございました。
 終わります。
#93
○委員長(中島眞人君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。
   午後零時一分休憩
     ─────・─────
   午後一時二分開会
#94
○委員長(中島眞人君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。
 この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、朝日俊弘君が委員を辞任され、その補欠として今井澄君が選任されました。
    ─────────────
#95
○委員長(中島眞人君) 休憩前に引き続き、確定拠出年金法案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#96
○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 まず最初に、そもそもの問題なんですけれども、この確定拠出年金を導入する目的について簡単に御説明を願いたいと思います。
#97
○政府参考人(辻哲夫君) 確定拠出年金は、確定給付型の現在の企業年金に比べまして、中小零細企業などにも普及しやすい、それから転職の際の年金資産の移しかえ、すなわちポータビリティーといったことが十分確保されて労働移動に対応しやすい、こういった利点がございまして、現在の雇用の流動化への対応など、いわば我が国社会の状況変化に対する構造改革に資するもの、それから、特に中小零細企業や雇用の流動化が高まる企業の従業員などの方々にとっては、年金制度のいわゆる三階部分の充実につながる、こういったことが導入する意義でございます。
#98
○小池晃君 確定拠出年金を導入する目的ということで、中小零細企業への普及ということとポータビリティーと、大きくこの二つを今言われたわけですけれども、それぞれ本当にメリットというふうに言えるのかということをちょっと一つずつ議論をしていきたいというふうに思うんです。
 まず、ポータビリティーの問題であります。確定拠出年金はポータビリティーがすぐれているんだ、すぐれているんだというふうに言われるんですけれども、本当にそうなんだろうか。これは、例えば企業型の年金に加入していた労働者が三年以上勤務して、その労働者が転職をして、転職先の企業に、移動先に確定拠出年金がなかった場合というのはどういう扱いになるんでしょうか。
#99
○政府参考人(辻哲夫君) 御指摘の企業型年金に加入していた従業員が企業型年金を実施していない企業に転職いたしました場合、まず転職先の企業で確定給付型の企業年金を実施していない場合は、国民年金基金連合会が実施する個人型年金に従業員の資産を移換して資産運用を続けるということになる上に、さらに本人が希望すれば個人型の加入者となり、みずからの掛金拠出を行ってそれをふやしていくということができます。
 一方、転職先の企業で確定給付型の企業年金を実施している場合は、当該企業に従事している間は、それまでの確定拠出型の年金を個人型年金に移換して、運用指図者として運用のみを行うということとなります。
#100
○小池晃君 転職先に確定拠出年金があればそのまま移動していくことはできるわけですけれども、なければ個人型に加入するか運用するだけと。ぎりぎりの生活をしている労働者にとって、個人型年金の拠出金を出すというのは大変重い負担になると思うんですが、しかもこれは六十歳になるまで引きおろせないわけですよね。そういう制度、こういう拠出を労働者が果たしてするのか。私は、現実的には大変これは労働者にとってはきつい負担になると思うんですが、どうですか。
#101
○政府参考人(辻哲夫君) ただいまの、就職先で確定拠出に入れない場合は逆に確定給付があるということでございますけれども、いずれにいたしましても、掛金を個人が出せるのかということにつきましては、旧総務庁の調査によりますと、勤労者世帯では将来に備えて貯蓄をふやしている状況でございますが、平成十年では、世帯収入が四百九十五万円以下の勤労者世帯にありましても、一年間で三十万円強貯蓄をふやしている状況であると承知しております。
 こういうような状況を踏まえれば、個人型年金に加入し、年十八万円という拠出限度額の範囲内でみずから拠出し得る額を任意に定め、掛金を拠出して老後に備えようとお考えになる従業員も多いものと存じます。
 以上でございます。
#102
○小池晃君 いや、貯蓄をするというのは将来の不安があるからですよ。やはりそれは当然でしょう、老後の不安で。介護保険の負担もふえている、公的年金は削られる、医療費の負担もふえている。それに対して個人が備えるというのはこれは当然、そういうふうに皆さんは大変深刻な状況に置かれているわけですよ。
 果たして、じゃ確定拠出年金というのはどうか。これは六十歳まではおろすことはできないわけですよね。手数料を取られ続けて、運用だけになってしまうと。確定拠出年金という制度は自己責任の制度なんだ、運用も自己責任だといいながら、なぜこれ、じゃ引き出しは六十歳までできないのか。
 例えば、三年以上拠出した労働者が公務員になった場合、これは確定拠出年金にそもそも入れないわけですよ。そうすると、積み立てた分というのは六十歳になるまで運用を指図するだけだということになるわけですね。それからまた、退職して第三号になった場合、先ほども議論ありましたけれども、第三号被保険者になった場合も延々と運用だけを続けていくと。
 途中でおろせるというのであればある程度頑張って、貯蓄はそういうことでしているわけですから。でも、六十になるまでおろせないと。これから六十になるまで一体何が起こるかわからない。すぐに六十になるんだったらいいですけれども、私だってあと二十年ある。これから二十代、三十代で入る人は三十年、四十年あるわけですよ。何が起こるかわからない中で、六十歳までおろせないような拠出を続けるか。例えば、二十二歳で学校を卒業して就職をして、五年間働いて結婚して退職して第三号被保険者になったと。そうしたら、六十歳になるまでこれは三十三年間あるわけですから、三十三年間この運用だけやる。
 結局、こんな形では、長期にわたる運用で手数料収入が入ってくるのは金融機関、もう金融機関が喜ぶだけの制度になるんじゃないかと。こういう問題にどうお答えになるのか。
#103
○政府参考人(辻哲夫君) まず、六十歳まで引き出せないということにつきましては、確定拠出年金はあくまでも老後の所得の確保を図ることを目的として設けられるものでございますけれども、御指摘の中途引き出しを認めることになれば、貯蓄との区別がつかないため、老後のための制度にならないことから認められないということでございます。
 先ほど御指摘のありました貯蓄、これはやはり私どもも老後への不安が大きい、遠い将来への不安が大きいということが大きな理由だと認識いたしておりますけれども、そうであればこそ、税制上の優遇措置をもって老後のためにこの拠出年金に参加しよう、加入しようという考え方は、制度の定着とともにふえていくものと考えておりますし、そのような意味で、最も不安の核心である老後に確実に給付がされるという意味での意味があるということと、それから、恐らくこれからは雇用流動性が高まっていくという中で、ポータビリティーのある年金というものが次第により意義のあるものとなると考えております。
#104
○小池晃君 私、これは自己責任を運用面も含めて押しつけながら、引き出しができないという一点で貯蓄と線を引くと。こういうのは本当に、結局、そもそも確定拠出という制度そのものがやはり年金制度になじまないからこんな無理なことになるんだろうというふうに私は思うんです。
 ポータビリティーがすぐれているといいながら、結局、転職先に確定拠出制度がなければこれは意味をなさないわけですね。公務員になったり第三号被保険者になったらその途端に途切れる、このような制度で果たしてポータビリティーにすぐれているというふうになぜ言えるんだろうかと。
 私は、究極のポータビリティーというか、一番ポータビリティーという点ですぐれているのはやっぱり公的年金だと思う。とりわけ、やっぱり基礎年金を拡充させることだと思うんですよ。どのような職につこうとも、公的年金、基礎年金を充実すれば、これは終生のポータビリティーが維持できるわけであります。やはり基礎年金だけできちっと生活をしていけるという土台をつくって、その上で報酬比例の公的年金をしっかり維持して、それがやはり労働者にとって最もポータビリティーを保障する一番のやり方ではないかというふうに思うんですが、いかがですか。
#105
○政府参考人(辻哲夫君) 御指摘のとおり、基礎年金、厚生年金、公的年金は実質的な価値、すなわち賃金の上昇をも含めたものとして遠い将来も価値が保障される、そして国民である限り基礎年金、そして被用者である限り厚生年金といったことが必ず適用されてつながれるという意味で、御指摘のとおりのまことに大切な制度だと考えます。
 したがって、この制度を本当に長期的に維持発展させていかなければならないわけでございますが、そのような意味におきましては、将来とも負担可能な範囲内でとどめる、そして持続可能なものとするということも非常に大切でございまして、そのような観点に立ちましてこれまでも改革の努力をいたしましたし、今後ともこの大切な年金が維持できるように、給付と負担の均衡を図り、改革を重ねてまいりたいと考えております。
#106
○小池晃君 私は、ポータビリティーにすぐれていると言うけれども、この恩恵にあずかれる人というのは、極めて特殊な能力を持っていて、ベンチャー企業をどんどん渡り歩いていけるようなそういう労働者にとっては確かにメリットはあるかもしれない。でも、やはりポータビリティーという点でも非常にいろんな問題、大きい、ポータビリティーにすぐれているというふうに必ずしも言えない面が多々あるんではないかというふうに思うんですね。
 それから、もう一つのメリットでありますけれども、中小零細企業への普及を図ることができるんだということですね。この面についてちょっと聞きたいんですけれども、今回の確定拠出年金の制度の中で、中小零細企業に対して何らかの優遇措置というのはあるんでしょうか。
#107
○政府参考人(辻哲夫君) この確定拠出年金の制度は、税制上優遇措置を行うことといわばパッケージになっているわけでございますけれども、その税制上の優遇措置は、既存の年金制度における税制上の優遇措置との均衡上、可能な限りのものを導入するということで組み立てられております。
 特に、中小企業におきまして確定給付型がない場合に、既存の何らの支援もない場合にも加入できるということにしたといったことで、何とか中小企業に、今言いました税制の体系の均衡上、導入できる限りの努力をした。その結果、むしろ今まで何もなかったところに新たに企業年金が導入できる。その結果、税制上中小企業だけに着目した体系にはなっておりませんけれども、中小企業の従業員の方にも、その結果一定のメリットが生じるものというふうに考えております。
#108
○小池晃君 今の説明は、要するに制度そのものが中小企業にとって導入しやすいということであって、制度の中に中小企業に対して導入を優遇するようなシステムが組み込まれているんですかということを聞いているんです。
#109
○政府参考人(辻哲夫君) 中小企業特有の中小企業という定義に着目した措置はございません。しかしながら、何らのいわば企業年金の支援がないというのは中小企業に事実として多いのではないかと考えますので、その点においてメリットがあるという趣旨でございます。
#110
○小池晃君 中小企業そのものに導入することを進めるような制度的な仕組みが組み込まれておるわけではないわけであります。制度そのものが中小企業向きなんだというふうにおっしゃるけれども、それはなぜかといえば、中小企業の経営が不安定で、やはり確定給付年金を単独で維持していくことが大変困難だということに私はほかならないと思うんですね。だから、確定拠出で中小企業の労働者はリスクに耐えなさいということになるとすれば、これは弱みにつけ込むようなやり方だと言われても仕方ないんじゃないか。
 中小企業向けには、例えば既に中小企業退職金共済制度、いわゆる中退金というのがあるわけですね。中退金は、これは新規に加入した企業あるいは増額した場合なんかには、掛金とか増額分に対してはこれは国からの助成が行われているわけです。今年度予算で見ると九十億円ですね。これは助成が削られてきている、問題だということをおととい井上議員が指摘をしましたけれども、それでも今九十億円。さらに、人件費、事務費で四十六億円助成もされている。
 私は、中小企業にとって老後の生活に備えるということであれば、こういう制度を拡充すること、これは中小企業にとってメリットがずっとあるんじゃないかというふうに思うんですけれども、いかがですか。
#111
○政府参考人(辻哲夫君) 御指摘の中小企業退職金共済制度は、年齢を問わず退職ということを事由として給付が行われるということでございますことと、中小企業のみを対象とするということから、ポータビリティーもこの適用対象とする中小企業の範囲内だけであるということに対しまして、確定拠出年金は退職というだけでなく老後の、これは六十歳ということが支給開始の年齢になっておりますが、老後の所得保障のために導入されるという点、それから中小企業を退職して大企業に勤めたりあるいは自営業者となった場合もポータビリティーが確保されるといったことで、中小企業退職金共済制度と確定拠出年金は、老後であるか退職であるか、あるいはポータビリティーの幅の広さ、こういったことから目的や内容の異なるものでございまして、これから高齢化が一層進んでいく中で国民の老後の所得確保を一層充実させるためには、新たな確定拠出年金も選択肢として必要であると考えております。
#112
○小池晃君 ポータビリティー、ポータビリティーとおっしゃるのは、先ほど議論したんですけれども、例えば全国中小企業団体中央会の九九年十月のアンケートではこう言っているんですね。
 今のところ、確定拠出年金制度を導入する考えはない、そう答えている中小企業は五七・四%であります。半分以上の企業は当面導入するつもりはないと。そういう中で導入をしても、ポータビリティーといっても、転職先に確定拠出がなければそのメリットというのは生かせないわけですね。私は、ポータビリティーという点でも中小企業への普及という点でも、この確定拠出年金のメリットだと言われているものは極めて根拠薄弱だというふうに思うんです。
 メリットがないだけではなくて、やはり大きなデメリットがあるということを引き続いて議論をしたい。運用の問題であります。
 運用の問題では、株式投資が中心ではなくて国債や投資信託が中心というような言い方もされていますけれども、株式投資信託の実態はどうなっているか、これは実績データを見るとこんな感じなんですね。一応純資産が一千億円以上の主なものだけ拾ってみました。
 五月三十一日現在で、野村証券のノムラ日本株戦略ファンド、六千四百三十三円です。野村証券のノムラジャパンオープン、六千九百六十円、それから日興証券の日興エボリューション、七千二百十三円、同じく日興証券の日興ジャパンオープン、八千三百三十九円です。それから大和証券のデジタル情報通信革命というのが六千五百十五円、それからアクティブ・ニッポン、六千五百四十七円。そもそも一万円だったんですから、これがもう軒並み六千円から八千円になっちゃっているんですよ。これが実態なんです、株式投資信託の。管理コストもかかる、それからこの制度では運用時には特別法人税が課税されるわけですね。
 やはり株式投資信託を選んだ場合、今のような相場の状況であれば、ほとんど元本割れどころか大変なマイナスを加入者はこうむるということになるんじゃないでしょうか。どうですか。
#113
○政府参考人(辻哲夫君) 確定拠出年金の運用商品は、常に個人別の資産の額を把握できるように時価評価が可能であること、それから商品の変更が迅速にできることといった条件を満たせばその対象とできるということから、御指摘の株式投資信託についてはこうした条件を満たすものであって、運用商品として提示される対象になるものと考えております。
 株式投資信託、ただいま御指摘のありましたものは、まさしく日本の株価がまた未曾有の下落を最近示したときの下落の経過、そのときにぴたっと合ってしまったという例でございますけれども、まさしくそのように、そういう性質上、元本割れのリスクはあるわけでございますけれども、ただ、中長期的に見れば、株式は債券の収益率を必ず上回ります。この制度は六十歳まで引き出しができない、まさしく老後のためということで、ひとつこれはきちっと別にしようという制度でございますので、まさしく超長期運用を前提としております。したがいまして、中長期的には高いリターンが期待できる株式投信というのは、運用商品として十分の確認の上で選択された上で選択される対象としてニーズがあるものと考えております。
 いずれにいたしましても、株式投資信託につきましては、労使合意によりまして規約で運用商品に関する基本方針を定めるということになっておりますので、これを運用商品としてこの方針の中に含めるかどうか、これは労使で十分議論していただくということが必要でございますし、また、加入者の資産運用のあり方や運用商品の情報提供におきまして、十分この運用商品についての内容を説明する、情報提供するという形で株式投資信託も扱われていくことが適切であると考えております。
#114
○小池晃君 年金の長期運用というのは大変難しいわけですよ。おととい、局長もはっきり言っていたじゃないですか、おとといの審議で。年金福祉事業団の私は資金運用部長をしていたんだ、そのとき半分以下しか当たらなかったと局長がおっしゃったんですよ。将来を予想するのはいかに難しいか痛感しているとおっしゃったじゃないですか。プロがこれだけ、要するに年金福祉事業団の資金運用部なんというのはもう毎週のように専門家を呼んで意見を聞くわけでしょう。一番言ってみれば最先端の情報が最も豊富にある中で判断をしても、あなた正直に言ったんですよ、半分以下しか当たらなかったと言ったんですよ。
 それをそんな難しいことを、その運用を国民に押しつける、やはりこういうことが果たしていいんだろうか。よい結果が生まれると思うんですか。あなた、自分もできないことを国民に押しつけるんですか。
#115
○政府参考人(辻哲夫君) 私が申しましたのは、まさしく毎週市況を聞くわけでございまして、次の週はどうか、次の週はどうかという短期の予測についてのことを申し上げました。中期においてさえそうだと思いますが、予測というものはいかに難しいものかということを痛感したものでございます。
 長期運用につきましては、そうであるからこそ、一定の短期的な期間の価格上下動にいわゆるベットするといいますか、かけて投資するのではなくて、一定の市場に対応するような、パッシブ運用と申しておりますけれども、一定の市場に連動するような資産構成を持って、そしてポートフォリオ、すなわち資産のバランスを政策的にリスクをどこまでとるかを決めて、そしてむしろ短期的な市場変動に右顧左べんしないで長期的に運用する。そのように私が申しました趣旨は、短期的な見通しがいかに不安定なものであるかということであるからこそ、パッシブ運用と申しますけれども、より幅の広い商品のもとで長期運用に徹することが必要だ、こういう気持ちで言ったものでございまして、決して私が申しました、ちょっと誤解があったらおわびいたしますけれども、毎週毎週聞くような予測というものはなかなか当たらないということと、長期運用というものが適切にできるかどうかということは別事でございます。
 今の年金福祉事業団の資産運用、大変厳しい状況にありますが、これは買った株を間違ったとかそういった意味よりも、むしろ株式についてはパッシブ運用、すなわち市場に連動した市場全体の株式構成で運用しておりますので、むしろ未曾有の日本の株価下落というものの影響を受けているということでございまして、これは短期的には株価は必ずぶれます。しかし、長期的には必ず収益率というのは安定していくということで、今の時点での結果のみで評価するべきものではないと考えております。
#116
○小池晃君 おとといの議論で局長がおっしゃったのは、当面のことは予想は難しいけれども、長期は予想できないなんておっしゃっていないですよ。半分以下しか当たらなかった、将来を予想するのはいかに難しいか痛感していると言ったんですよ。正直に、長期に、年金なんというのは最も長期の運用なわけですよ。そういう中で、やはり将来にわたってこういう資金の動向などを、いろんな要素があるわけですから予想していくのは大変難しい。やはりそういうものを国民に押しつけていいのかというふうに思うんです。
 それから、元本保証の商品もあるんだということをいろんな場所で弁解されているけれども、これは預貯金や国債ということになるわけですよね、主に商品としては。そうすると、これはまさに預貯金だと。預貯金じゃなくて今度の制度は年金だというふうに言いながら、リスクがあるんだというふうに指摘をすると、いや、一方で元本割れしない商品があるんですというふうに逃げるわけですね。それだったら、例えば財形年金貯蓄制度と何も変わらない。何のために確定拠出年金制度をつくったのかということになるんじゃないだろうか。
 元本割れしない商品があると言うけれども、こういう商品というのは、言ってみれば今度の制度でいえば管理コストもかかる、特別法人税もかかる。実際の運用利回りというのは極めて低くなるわけであります。その上、六十歳になるまで引き出せない。だれがこんなものに金融商品の一つとして見たときにメリットを感じるか、魅力を感じるか。私、大変この制度、いろんな言いわけをすればするほど矛盾がはっきりしてきているんじゃないかというふうに思うんです。
 その上で、手数料の問題、管理コストのことをちょっとお聞きしたいんですけれども、この管理運用コストが重いんだと、先ほども議論がありました。先ほどの投資信託で見ても、例えば野村証券のノムラ日本株戦略ファンド、これは販売手数料が三%です。信託報酬が一・九%。約五%のコストがかかっております。これは一兆円販売したというふうに言われていて、五百億円の手数料を集めているんですね。それがさっき言ったように一万円のものが六千円におっこっちゃっているわけですよ。
 私は、確定拠出年金というのは、確定給付に比べて管理運用コストがかかる上に、やはりこれが原則として加入者の負担となるということも言われている。これは手数料の軽減を図る努力をすべきではないかというふうに思うんですけれども、いかがですか。
#117
○政府参考人(辻哲夫君) 管理コストの体系でございますけれども、基本的には管理コストは運用方針の中で定めるということで、一括して定められるということと、それから別途の体系があるのは投資信託だけという体系になっております。
 投資信託を採用する、選択するということがない限りの管理コストでございますけれども、これは私ども多くの機関によって競ってより適正なものとしてほしいと考えているわけですけれども、米国の四〇一kにおける管理手数料、投資信託に対する手数料を除いた分の管理手数料でございますけれども、〇・六%というデータがございますけれども、こういうものも踏まえながら設定されると聞いておりまして、より適正な競争が行われることによって適正な水準となるように私どもは考えております。
#118
○小池晃君 これは、競争の中で手数料が下がっていくんだというふうに、引き下げが進んでいくだろうというふうにおっしゃるんだけれども、そういうものだろうかと。
 新聞で、三井住友銀行の執行役員の中野健二郎さんという方がこう言っているんです。コスト割れの手数料でサービスを提供し続けるのは無理がある、そうでなくてもレコードキーピング会社や運営管理機関は、市場規模が大きくなるまで厳しい運営を迫られる、投資回収まで七年から十年はかかるだろうと。実際はコスト削減は極めて困難だというふうに金融機関の側は言っている。
 これはアメリカでは、アメリカの確定拠出年金はリスクを、リスクそのものも企業が一定負担している場合もある。さらに、受託金融機関の手数料を含む管理運用コストは大半の企業が負担しているわけであります。ちょっとお聞きしたいんですけれども、日本の場合は、この確定拠出の仕組みは事業主が元本割れした分を補てんしたり一定の利回り保証をするということができるのか。あるいは、事業主が管理運用コストを負担することは制度上できるんでしょうか。
#119
○政府参考人(辻哲夫君) まず、確定拠出年金におきまして事業主が元本割れした分を補てんできるかどうかにつきましては、これは元本保証があることになりますので、加入者はハイリスク・ハイリターンの商品のみで運用しようとするといった、いわゆる加入者のモラルハザードを招くおそれがあるということで、自己責任という制度の趣旨とも相入れないこと、それから、元本が割れたり運用結果が一定の利回りに満たなかった一部の加入者についてのみ事業主が追加して掛金を拠出することとなって、これは特定の者に対する差別的な取り扱いになってしまう、あるいは、仮に拠出限度額そのもののぎりぎりの、目いっぱいの拠出が行われている場合、制度的に追加拠出が認められないということと不整合であるということから、これは不適切であり、確定拠出年金法案ではこの点は認められておりません。
 ただ、企業年金における管理運営コストは今言ったような趣旨とはまた違う次元の問題でございますので、企業が全部または一部を負担することも可能であり、どのように負担をするかは労使で十分協議をいただきたいと考えております。
#120
○小池晃君 元本割れした分の補てんは、あるいは一定の利回り保証というのはできないけれども、管理運用コストを一部もしくは全部事業主側が負担することはできると。
 すかいらーくの執行役員の大場典彦さんという方はこう言っています。制度変更で従業員の不利益にならないようにするというのが会社の方針なので、関係機関に支払う費用の多くは会社側が負担することになるかもしれない。これは私、当然あるべき方向だろうというふうに思うんです。やはり事業主が管理運用コストを負担することが制度上はできると。
 これは、負担しやすいような環境を整備するための努力を厚生労働省としては当然するべきだというふうに思うんですけれども、その点、いかがでしょうか。
#121
○政府参考人(辻哲夫君) 確定拠出年金における管理運用コストについては、ただいま申しましたように企業が負担することも可能でありますので、企業が負担した場合に負担金を損金算入できる方向で現在税務当局と協議しているところでございます。
#122
○小池晃君 年金の運用問題、先ほどいろいろ議論しました。
 さらにお聞きをしたいんですけれども、旧年金福祉事業団、現在、年金資金運用基金になったわけですけれども、ここが自主運用を行っているわけですけれども、ことし二月末での運用の赤字額、これは幾らになっているんでしょうか。
#123
○政府参考人(辻哲夫君) 本年四月に解散しました年金福祉事業団が行っておりました資金運用事業の年度末の集計、全体分析を今行っておりますのでまとまっておりませんが、二月末時点の運用実績について、資金運用部への利払いコストや民間運用受託機関への運用手数料等について一定の前提を置いて試算したところを申し上げますと、平成十二年四月から平成十三年二月までの十一カ月間の総合収益額は、金利や配当収入などの実現収益額約四千億円のプラス、株式の大幅な下落等に伴う評価損の約二兆二千億円のマイナス、これを合計いたしますと約一兆八千億円のマイナスとなっております。
   〔委員長退席、理事亀谷博昭君着席〕
 なお、前年度の、十一年度の単年度の総合収益額は約一兆八千億円の黒字となっておりました。したがって大変な落ち込みでございますが、これは主として株価のこれまで上昇に支えられたものが、一転、十二年度は株価が未曾有の下落を示したということに伴うものでございます。
 なお、同様に試算した十三年二月末時点の累積の利差損益額に関しましては、今申しましたような十二年度の大変大きな落ち込みがございまして、時価ベースで二兆円の赤字、簿価ベースで一兆八千億円の赤字でございまして、時価ベースで十一年度末に約五千億円の黒字になっておりましたが、これも十二年度の株価の大きな下落でこのような状況になっております。
 なお、三月に若干株式市場が持ち直しておりますので、今の額は、三月分を含めますと、若干でございますが改善する見通しでございます。
#124
○小池晃君 これは、自主運用で大変な赤字を出しているわけであります。これは、年金の法案の審議をこの委員会でもやったときのことを思い出すんですけれども、あのときは、赤字だと言ったら、いや、今黒字になっているんだということを盛んに厚生省はおっしゃったんですね。ところが、一年たってみるとどうか。また一兆八千億円の赤字だと。大変やはりリスクが伴うということがこれははっきりしていると思うんですね。
 大臣、ちょっと今までの議論を踏まえてお聞きをしたいというふうに思うんですけれども、年金局長みずからが大変難しいんだと。プロ中のプロでしょう、言ってみれば。そういう人でさえ難しい、将来を予測するのは大変難しいんだと。これは実際にこの厚生年金の運用の成績を見ても、これだけ欠損が出ているわけです。やはり、プロがやってもこれだけ難しいことを国民に押しつけてよい結果が生まれるんだろうか。
 大体、労働者が老後の資金のために、貯金で自分で、本当に自己選択で自分の世界でやるんだったらいいと思いますよ。でも、年金という形で老後の資金を、毎日毎日相場を気にしながら仕事をしなければならない。あるいは、これは、高齢者になって受給者になってからも、毎日毎日どうなるかと新聞を見て、相場を見ながら一喜一憂しながら老後の生活を送らなきゃいけない。
 私、これは根本的に、そもそもこういうあり方、こういう社会というのは正常な社会なんだろうか、正常なあり方なんだろうか。年金の制度の中にこういうものを組み込んでいくということが果たしていいことなんだろうかということ、その根本的なところを大臣に見解を私は伺いたい。
#125
○国務大臣(坂口力君) 今回のこの確定拠出年金というのは、多様なやり方というものを取り入れているわけでありまして、株を別に全部強要しているわけではありません。これはもう御承知のとおりであります。
 衆議院でもお答えを申し上げたわけでございますが、私なら、そういう才能はありませんから、定期と国債、十年国債と二十年国債、それでもう私は行きますと。そんな、私はそれは株は選びませんと、こう申し上げたわけでございますが、それはそれぞれの選び方でございまして、そういう株を選ぶ人も中にはあるでしょう。しかし、すべての人に株を選べということを強制しておるわけではなくて、ほかの行き方を、いろいろの道を選択していただけるようにしているわけでありますから必ずしも、株が上下しますから、それに一喜一憂全部がするというわけではないと思います。株というのは大体上がったり下がったりするのが株でありますから、それはその日その日によって違いますので、それで、一時上がった、下がったといって一時的に見て判断をするというのは、私は誤りなんだろうというふうに思います。
 ですから、確定拠出年金の場合にはいろいろの選択肢を与えているというところに特徴があるわけでございまして、また株も、恐らくどこかの会社の一つの株を買うとか買わないということではなくて、幾つかの株式を組み合わせたものを対象にするんだろうというふうに思っておりますが、そうした行き方も個人個人がされる場合にもそれは中にはあると思いますけれども、個人ではなくて組合全体で一括しておやりになる場合もございましょうし、いろいろのそれはやり方があるだろうというふうに思います。
 そして、中にはもうそういう株式なんかはやめておこうということが最初から合意できれば、それは、そういうことを排除して、そうしておやりになるというケースもあるだろうというふうに思っておりますから、株は予測できないものだからどうだといって小池先生から言われましても、それはなかなか答えにくい話でございまして、株というのは予測できないものだと、私もそれはそう思いますけれども、必ずしも、だからそれを強要しておるものではないというふうに思います。
#126
○小池晃君 私が言っているのは、そもそも株をやるかどうかは個人の選択ですから、それは別にいい悪いはないわけですよ。年金制度としてこういう日々相場を気にしながら、動向を見きわめながらということが個人に問われるような制度が年金制度としてふさわしいのかどうかということについての大臣の見解を伺っているんです。
#127
○国務大臣(坂口力君) ですから、そういう選択肢があるわけで、そういう選択をされる方はやはりそういうことに興味をお持ちの方でありますから、それは私は、年金というものに一つの関心を持っていただくということにはなるんだろうと思うんですね。年金の運用というものを全部人に任せるというのではなくて、自分でやはり運用していきたい、そういうふうにお思いになる方、その中に、やはり株式で運用していきたいというふうに思われる方も中にはおみえになるだろう。それはそういうふうにお思いになる方もおみえになるわけでありますから、そこはやはりお任せをしてもいいのではないかというふうに思います。
#128
○小池晃君 選択肢なんだ、選べるんだというふうにおっしゃるんですけれども、果たしてそうなんだろうか。
 アメリカでは、確定拠出年金はどういうふうに位置づけられているかというと、既に確定給付型の年金を持っている大企業では、それにかわるものというんじゃなくて、補足する付加的なものというような位置づけであります。特に大企業では確定給付型の年金が依然として中心であります。確定給付年金の数も、少数加入の基金では減少しておりますけれども、五百人規模の基金ではほとんど減少していない。千名以上の基金では確定給付が逆に増加していると言われております。
 一方、我が国の導入の仕方はどうか。これは特徴としては、確定給付型年金にかわるものとして、さらに選べるものとして付加されているというよりは、確定給付をやめて確定拠出にという流れがどうやら本流になりつつある。例えば野村証券、日興証券は、これは確定給付をやめて確定拠出年金に移行するんだと。このために、日本証券業厚生年金基金、これはかつては国内の規模では最大の基金だったわけですけれども、これが存続が今危ぶまれているという報道もございます。
 そもそもの位置づけなんですけれども、私はやはり公的年金、先ほど言ったように、ポータビリティーという点では、究極のポータビリティーはやっぱり公的年金だと。やっぱり基礎年金の充実を前提として公的年金という土台をしっかりつくる、その上に核となる確定給付型の企業年金がしっかりと乗る、それに補完する部分的なものとして確定拠出的なものがあるというのが本来あるべき姿であって、今のように確定給付をやめて確定拠出にというあり方は私は間違っていると。
 私は、こういう位置づけで、先ほど言ったように、土台としての公的年金、その上に核としての確定給付年金がしっかり座る、こういうのがあるべき姿だというふうに思うんですが、その点について、大臣、いかがですか。
#129
○国務大臣(坂口力君) 基礎年金、それから厚生年金という、いわゆる一階、二階の部分がしっかりしているということがまず大事なことは、私もそれはそのとおりというふうに思います。
 特に、中小企業の経営者あるいは中小企業にお勤めの皆さんというのはもう二階どまりでありまして、この二階のない人もあるわけでありますから、せいぜい二階どまり、三階なんというのはない人が多いわけであります。だから、今までは、ある人はどうかという話だけではなくて、そういうない人もあるわけですから、ない人にも三階の部分を共有していただけるような制度をつくろうというのが一つの今回の意味でありまして、だから、そういうない人にも三階の部分を持っていただける道をつくろうと。
 その内容はいろいろそれは選択をしていただきますよと。拠出の面におきましても、経営者が出していただければそれにこしたことはありません。中小企業といえども企業が出していただけるということであればそれが一番よろしいですけれども、しかし、そうもいかない。やはり経営者がそういう拠出をしていただけないということになれば、個人で入っていただくという道もそれはつくりましょうと。そして、その中で、それは株式という方法もあるし、あるいは国債を買うという堅実な方法もあるし、それはいろいろの行き方がありますからどうぞそこは御選択をくださいということを言っているわけであります。
 一階、二階がしっかりしている、そして、その上にプラスアルファとして三階部分というのが我々の考え方でございます。
#130
○小池晃君 実態は違うと先ほどから言っているんですよ。ないところに乗せているんじゃなくて、実際にある確定給付をやめて確定拠出にというのが大企業は大体そういう流れなんです。中小企業を見るとどうかというと、メリットがほとんどないから、先ほど言ったように、五七%の企業は当面考えていないと。
 ない企業に乗せるというんだったら、それはある程度わからないでもない。でも、実際としてはやはり確定給付年金がどんどん切り縮められていって、それが確定拠出に置きかえられる。今回の法案の流れというのはまさにそれを加速しているじゃないですか。こういうことでいいんですかと。
 やはり公的年金が土台だというのは大臣もおっしゃった。その上にしっかり確定給付が乗って、それをしっかり、前回議論しました、受給者の権利をきっちり保護する基本法のようなものをつくって、アメリカのERISAのようなものをつくって、そしてそれを充実させていくことこそ今求められているんじゃないんですかというふうに言っているんですけれども、大臣、この点で見解はいかがですか。
#131
○国務大臣(坂口力君) ですから、そこは労使でお話し合いになるわけですから、三階部分のところを確定給付年金の方でいこうというふうにお決めになるところはそれは給付年金でいかれるわけでありますから、それを、すべてが拠出年金の方に持っていってほしいということを我々は言っているわけではありません。
 並列的におやりになるところもあると思いますし、そして、給付年金の方を選択になるところもこれは当然あるだろうと思いますし、私は多いのではないかというふうに思います。しかし、中にはそれは拠出年金の方をお選びになるところもそれはあるだろうというふうに思いますから、そこはお話し合いの中での選択の話だと思います。
#132
○小池晃君 大事なところは労使で決めていくということであれば、政府は一体何のためにあるのかということになるわけであります。
 確定拠出年金のそもそもの本当の一番のねらいは何だろうか。
 出てくる経過を見ると、まず九八年二月に、自民党の臨時経済対策協議会の緊急国民経済対策、ここが始まりであります。「証券市場の活性化方策」、「四〇一kプランとその投資運用のしくみについては、年金制度全般の動向をみつつ、早急に党内機関にて検討する。」としたわけであります。さらに、同年六月の自民党政務調査会労働部会勤労者拠出型年金等に関する小委員会、ここが勤労者拠出型年金の創設についての提言を出した。さらに、自民党の私的年金等に関する小委員会を経て、関係四省に具体案作成が指示されてこの法案が作成され、提出された。
 おとといの審議でも、金融庁の政府参考人ははっきり言っていました。マーケットを拡大してビジネスチャンスをもたらすと期待を表明されておりました。
 私は、こういう最初の出どころのところから見ても、確定拠出年金の導入というのは、引退後の所得保障の充実のためというよりも、これは金融市場の活性化、ビジネスチャンスを拡大するという色合いが強いのではないかというふうに見られても仕方がないんじゃないかと思うんですが、大臣いかがですか。
#133
○国務大臣(坂口力君) それは、結果としてそうなることも私はあるだろうと思います。
 自民党の中でそういう議論をされて、そしてこういう法律ができた、それは与党として私は当然のことだと思いますね。また、自民党以外の党でもいろいろ四〇一kについての研究会なんかをやりまして、これを研究してやろうじゃないかという動きがあったことも事実でございます。
 これは私も、小池百合子さんが発起人になられまして、そして超党派でひとつやりましょう、一緒に研究をしませんかというようなお話をいただいて、私もその中に入れていただいていろいろ勉強させていただいた経緯も過去にございました。それはなかなかこれ、一つの方法としていい方法ではないかというような、そのときに意見が多かったように記憶をいたしております。
 ですから、そういういろいろなところで、いろいろなそういう研究会ができたり、いろいろな勉強が基礎になってこの法律ができてきたことは、私はそれはそれでいいんだろうというふうに思いますし、結果として私はこれが証券業界の活性化につながるということはそれはあるかもしれない、しかし、予測していたことでないかもしれない、それは今後の動向を見ないとちょっとわからない話だと私は思います。
#134
○小池晃君 アメリカからはこういう意見も出ています。アメリカの四〇一k協会のウレイさんという会長です。
 アメリカ人は貯蓄をしないため、四〇一kが導入された。日本には千三百兆円も個人資産がある。今さらなぜ四〇一kを導入して、さらに個人金融資産をふやす必要があるのか。しかも、日本の金融市場は非常に不透明、非効率であり、金融機関の運用能力は非常に低い。このような時期に日本でなぜ急いで導入するのかと。アメリカの四〇一kの本家本元がこう言っているわけですね。
 私は、今回の中身を先ほど議論してきたけれども、メリットと言われている点も、ポータビリティーにしても中小企業にとってのメリットという点も大変甚だ疑わしいし、運用の問題では大変リスクが大きい、手数料も重い。そういう中で、老後の資金をリスクにさらすようなこういう四〇一kというのが今の日本でなぜ必要なのかということについては、全く説得力が私はないというふうに思うんです。
 大臣、今四〇一k、今の日本でこういう状況の中でなぜ導入するのかという、このアメリカ四〇一k協会の会長のコメントにどうお答えになりますか。
#135
○国務大臣(坂口力君) アメリカはアメリカとしての四〇一kをやっているわけでありまして、日本は日本としての四〇一kをやろうと今しているわけであります。
 日本は千三百兆あるいは千四百兆近いとも言われておりますが、預貯金がだんだんとふえていく、その中で預貯金が非常に率が高くて、そしてアメリカあたりに比べますと日本は株式というのは、株の方は非常に少ない、全く少ない。余りにも日本は預貯金だけに偏り過ぎているというところも問題であることも事実であります。
 これらの問題を経済全体としてどうしていくかという問題があることも事実でありまして、現在は年金という一つの社会保障の中での話でありますけれども、結果としてそれが経済全体にもそういう何らかの好影響を及ぼすということになれば、それはプラスアルファのこととして結構なことではないかというふうに私は思います。
#136
○小池晃君 私は、このねらい、そもそも老後の生活保障のためというより、やはり金融機関のビジネスチャンスを広げるためというねらいが極めて強いということははっきりしているだろうというふうに思います。
 最後に、年金税制の問題についてお聞きをしたいんですけれども、経済財政諮問会議の問題であります。
 基本方針の素案の段階で、年金課税の問題について見直すと。公的年金、企業年金に対しては優遇した税制が行われていて、この点を含めて負担の適正化の観点から見直すというふうにされていますけれども、この問題について、厚生労働省としてはどのように検討されているんですか。
#137
○政府参考人(辻哲夫君) 今月十一日に経済財政諮問会議に提出され、会議後公表された今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針の素案におきましては、御指摘のように世代間・世代内の公平を確保するための年金税制の見直しに関して基本的な記述がなされております。
 年金収入が他の所得と比べて優遇した課税が行われている点を含めた年金課税のあり方につきましては、世代間の公平や拠出、運用、給付の各段階を通じた負担の適正化の観点からさまざまな議論が現になされているところでございまして、厚生労働省としても、各方面における検討状況を踏まえつつ対応していく必要があると考えております。
#138
○小池晃君 厚生労働省は、旧厚生省ですね、八六年に年金税制に関する研究会、公的年金税制のあり方について提言をされています。
 その中では、標準的な年金額の給付にも課税が及ぶことは本来想定されていないと考えるべきである、標準的な老齢年金の水準は老後の生活維持の基盤を支えるものとしていわば社会連帯の合意のもとで設定されたものだ、この標準的な年金額にまで課税が及ぶことは公的年金に対する国民の支持と信頼を確保する観点からも適切ではないと、こういうふうにはっきり言われています。
 厚生労働省としてこの点、この問題についてこの考え方、この提言に示された中身はこの考え方を変えたんでしょうか。
#139
○政府参考人(辻哲夫君) 御指摘の一九八六年、昭和六十一年の年金税制に関する研究会の提言は承知しております。これは、当時の社会保障研究所長を座長とし年金や税制に関する有識者により構成されていた研究会のものでございまして、当時の厚生省としての見解を示すような性格のものではないと認識しております。
 いずれにしましても、年金税制の見直しに当たりましては、このような見解があることも含めて幅広い検討が必要だと考えております。
#140
○小池晃君 厚生省の正式な見解ではないにしても、やはりこの研究会が出した基本的な方向というのは、厚生行政のその後に一つの指針となっているというふうに考えますし、その点については今も変わっていないということははっきりしているんじゃないですか。どうなんですか。
#141
○政府参考人(辻哲夫君) その点は私ども、これはあくまでも研究会の見解でございますので、今後、今申しましたように、世代間の公平や拠出、運用、給付の各段階を通じた負担の適正化を図るという観点、こういう観点からの議論を進められるというところでございますので、この研究会の見解そのものはあくまでも厚生省の見解ではないという整理で今後検討を進めてまいりたいと思います。
#142
○小池晃君 研究会という性格だからというふうにおっしゃるけれども、じゃ中身はどうなんですか。標準的な年金というのは老後の生活を支えるものだと、ここに今後課税が及ぶことは適切ではないという考え方そのものについては、厚生労働省としてはどのようにお考えになるんですか。
#143
○政府参考人(辻哲夫君) 基本的に私どもの認識は、年金に関しては他の収入がある場合もございます。そういうことで、他の収入もある場合の問題、そしてまた、全体として税による公平を図るという観点、そして年金自身の負担と給付との観点、これはまさしくさまざまな幅広い観点からの検討が必要でございますので、その点、今後十分各方面で現に御議論がなされますし、ただいま申しましたように、この研究会の意見も意見として一つの考え方としてございますので、この見解も含めてもちろん議論されることと考えておりますので、そのような観点からの議論を踏まえて私どもも適切な対応をしてまいりたいと思います。
#144
○小池晃君 じゃ、ちょっと別の聞き方をしますけれども、標準的な年金額というのはどういう基準で決められているのか、それから現在の額はどうなっているのか、お示し願いたいと思います。
#145
○政府参考人(辻哲夫君) 標準的な年金額につきましては、前回の財政再計算におきまして、夫は再計算時点での平均的な報酬額で四十年間厚生年金に加入し、妻は四十年間専業主婦であるという世帯を仮定して計算してお示ししたものがございます。
 具体的には、夫婦二人が四十年間加入した場合の老齢基礎年金の月額が十三万四千円、平成十年時点での現役男子の平均標準報酬月額の平均値である三十六万七千円をもとに四十年加入で計算した報酬比例年金部分の給付額十万四千円、これを今の十三万四千円と加えまして、合計二十三万八千円がその標準的な年金額でございます。
#146
○小池晃君 この標準的年金額の給付には、この場合はこれだけであれば課税されていないわけであります。基本的な考え方として、先ほども冒頭でもおっしゃっていましたけれども、年金のその額というのは、新規裁定の時点で現役世代の手取りの六割という考え方は、これは厚生労働省としての正式な見解ですね。
#147
○政府参考人(辻哲夫君) この水準は、ボーナス込みの年収の六割に相当するものでございます。
#148
○小池晃君 現役世代の手取りの六割ということが基本的な考え方だと。この標準的な年金からも課税をするということになれば、現役世代の手取りの六割という所得は保障されなくなる、年金額の引き下げになるわけですから。こんなことを行うつもりなんですか、こんなことも検討の対象になっているんですか。
#149
○政府参考人(辻哲夫君) 先ほど申しましたように、年金以外の収入も高齢者は今の収入実態を見ますと相当にございます。それから、これから考えますときに、年金の収入を考えるときの現役との公平、そういった観点も、税と年金を含めてどう考えるかという観点もございます。
 そういう観点から、その点はより総合的な幅広い観点から議論されるべきでありまして、ある部分だけ取り出して、六割を切ることが妥当かどうかというような議論ではないと考えております。
#150
○小池晃君 別の収入ということで逃げるんですけれども、大臣にちょっとお聞きしたいんですけれども、今経済財政諮問会議が出されている年金の給付における課税の見直しということで、標準的な年金から税金を取るなんということになれば、これは現役世代の手取りの六割というのが保障されなくなる。年金の引き下げになるわけですね。こんなことは私は決してやってはいけないことだと思うんですが、大臣、いかがですか。
#151
○国務大臣(坂口力君) そこはどうなるか、まだ決まっておりません。ただし、我々が勤めておりますときにも、年々歳々もらいます給与とそれからボーナスを含めました額から税金を払っているわけでありますから、その六割という年金の部分から、その年金の部分が非常に高い額であるならば、それは当然現在でも税の対象になるでしょう。
 ですから、平均値ではなくて高いかどうかということになっているわけでありまして、だから平均でどうかといえば、現在も平均値だったら税は私はかかっていないと思いますが、ちょっとそこは調べないとわかりませんけれども、私はかかっていないというふうに認識をいたしておりますけれども、これからも平均値で平均のところをかけようということではなくて、そういう非常に高いところ、だから年金プラスほかの所得で非常に所得の多い人のところからちょうだいをしようということになっているということであります。
#152
○小池晃君 要するに、標準的な年金額から課税するようなことは考えていないということですね。
#153
○国務大臣(坂口力君) 多分そういうことになると思います、まだ決まっていませんけれども。
#154
○小池晃君 終わりにしたいと思いますけれども、公的年金は老後の生活保障の基盤であります。今までいろいろと議論してきた確定拠出、確定給付、その土台になる非常に大切なものであります。私、給付カットになるような課税というのは行うべきではない。
 そもそも標準的な年金額というのは夫婦で二百八十万円、これは決して十分とは言えないわけですよ、これだって。これからさらに税金を取るなんということは決してあっちゃいけないと思う。ここからさらに課税最低限を引き下げるということになれば、まさに老後の生活を直撃するわけですし、そんなことを進めていって、一方で幾ら三階部分を立派なものをつくっても、一階二階がおんぼろの家に三階に立派な家をつくったってどうしようもないわけですから、やはりそういう意味では、この公的年金を切り縮めるというやり方は断じてやるべきでないと。標準的年金から課税するというのは、私は明らかに今までの厚生省の方針とも反するものだというふうにも思いますし、やっぱり断固拒否すべきだということを最後に強調したいというふうに思います。
 同時に、今回提案されている確定拠出年金について言えば、やはり公的年金の拡充こそ重要なのであって、やはり大変メリットと言われている中身も大変問題が大きいし、老後の生活資金をリスクマネーにさらす、喜ぶのは金融機関だけというようなやり方は断固拒否したいということを申し上げて、質問を終わります。
   〔理事亀谷博昭君退席、委員長着席〕
#155
○木俣佳丈君 最後の質問になりますが、民主党・新緑風会の木俣佳丈でございます。
 きょうは、竹中大臣にもこちらまでお越しいただきましたこと、心から感謝申し上げます。
 と申しますのも、今まで年金関係でこれで都合五時間、私は質問をさせていただいておるわけでございますが、自分なりにちょっと納得がいかないところが幾つかあるものですから、これは大臣御本人がやはりお答えいただかなければ晴れないということで、特別にお呼びしたわけでございます。
 質問に先立ちまして、きょうの日経新聞の一面にも載っておりますが、本日、経済財政諮問会議の基本方針というのを決定されるということでございます。この中で、いろいろな数字も、竹中大臣の試算ということ、参考値ということでも載っておるわけでございますが、この位置づけについて冒頭に伺いたいんですが、これは内閣の中ではどのような位置づけになるんでしょうか。
#156
○国務大臣(竹中平蔵君) いわゆる骨太の方針の位置づけということでよろしいんでしょうか。
#157
○木俣佳丈君 はい、そうです。
#158
○国務大臣(竹中平蔵君) もう議員、皆様方よく御承知のように、ことしの一月六日の中央省庁再編の中で内閣府がつくられ、総理のリーダーシップを支えるための機関であると。その中に経済財政諮問会議が設けられて、経済財政諮問会議というのは、経済政策の大枠、国家の重要な政策について調査審議すると同時に、予算の大枠について同じように調査審議するというものであるわけです。
 今回の骨太の方針といいますのは、それに当たってのいわば、英語で骨太の方針と言うとき、私たちはニュー・ダイレクション・ポリシーズというふうに言っておりますので、まさに政策の方向を示すものだというふうに考えております。特に小泉内閣になりましてから、いわゆる構造改革というのを進める、構造改革の中身をぜひメニューとして、国民に対してメッセージ性の高いものとして伝えたいという総理の御意向もありまして、今回のいわゆる骨太の方針は、構造改革についてのプログラムを七つのメニューという形で示して、それを受けて、予算のあり方はどうあるべきなのか、財政のあり方はどうあるべきなのか、これについて、特に社会保障、社会資本、それと国と地方のあり方という予算項目の大きな問題についてさらに議論を深めている、そういう位置づけになっていると承知しています。
#159
○木俣佳丈君 この案は六月二十六日に基本方針を閣議決定するということでございますが、伺いたいのは、例えば大臣がおっしゃっていたような、これからチャレンジャー支援でどんどん起業を、千社ぐらい伸ばしていくんだ、起こしていくんだということとかですね、こういった数値目標も閣議決定をされるんでしょうか。
 そしてまた、大臣御自身が、これは私的な試算なんでしょうか、不良債権処理をしても新規の失業が十万から二十万、こういう試算は閣議で決定されるんでしょうか。どうでしょうか。
#160
○国務大臣(竹中平蔵君) 議員お尋ねの千社というのは、新たな創業の話でございますね。
#161
○木俣佳丈君 そうです。
#162
○国務大臣(竹中平蔵君) 骨太の方針というのはまさに政策の方向の議論であります。
 私自身はこういう言い方をさせていただいているんですが、これは政策の全体を示すアンブレラのようなものであると。そのアンブレラのもとで、とにかくチャレンジャーを支援することが大事であるというその方向性を示して、そのための政策の仕組みがつくられなければいけないという方向を示すと。
 具体的に言いますと、今回の創業の会社数に関しては、これは平沼大臣がイニシアチブをとられたいわゆる平沼プランの中に出てきた数字ではないかというふうに思いますけれども、こういうアンブレラを受けて、各大臣がまさに政治のリーダーシップを発揮して、イニシアチブを発揮していただきたい、平沼プランないしは坂口プラン、そういうものが出てきて政策全体が動くようにしてほしい、そういうふうに考えております。したがって、数値そのものは、これは平沼大臣のイニシアチブの部分でありますから、今回の閣議決定の対象ではもちろんございません。
 同じように、これは後半のお尋ねの部分の経済の、まあこれはシナリオの部分ですね、何%成長になるのかとか、この数字そのものに関しては、御承知のように、政府経済見通しが閣議決定されておりますので、それとの整合性をどのように考えるかという問題もありますし、まだまだ経済自体が大変流動的であるということもありますので、私の談話というか、私、担当大臣の見方ということで意見を別途表明させていただこうというふうに考えています。
#163
○木俣佳丈君 今お言葉の中にありましたような経済計画が昭和三十年から、池田内閣からあるわけでございますけれども、一番直近だと、小渕内閣のときの平成十一年七月のことを今、大臣おっしゃったかと思うんですね。こことの整合性というのはあるんですか。
#164
○国務大臣(竹中平蔵君) 中長期の経済計画、さらには年度に関する政府経済見通しというものとはいわば別のものとして、今度の骨太の方針をよりよく理解していただくための参考の数値ということで、担当大臣の私的な意見として申し上げたいというふうに思っています。
#165
○木俣佳丈君 先ほど大臣が言われた政府の経済計画も数値が閣議決定されていると言われたと思うんですが、それは確かですか。
#166
○国務大臣(竹中平蔵君) ちょっと済みません。質問の中になかったので、私うっかりと間違えたかもしれませんが、あれはたしか附属の資料のようなものでありますので、閣議決定された経済計画の外のものであったというのが正しいかと思います。
#167
○木俣佳丈君 そのとおりでございます。
 昭和三十年から今まで経済計画がずっとあるわけですが、附属資料、参考として閣議決定されなかったのは何回あるか知っていますか。
#168
○国務大臣(竹中平蔵君) 申しわけありません、存じ上げません。
#169
○木俣佳丈君 これは、小渕さんが決めた平成十一年七月、先ほど読み上げた「経済社会のあるべき姿と経済新生の政策方針」、これは十年ビジョンでございますが、これだけです。昭和三十年からずっと、数値も含めて政府の経済計画というのは、五カ年であろうが七カ年であろうが、すべて数値も含めて閣議決定されているんですよ。しかし、最後の一番重要な失われた十年のこの経済計画だけは、数値は参考資料になっているんです。これはぜひ御記憶いただきたいと思うんですが。
 つまり、私が申し上げたのは、そういう中で百兆以上の補正を組み、流し、今六百六十六兆と言われていますが、どんどんこれ累積の債務がふえておりますので、国と地方がどんどん伸びているわけですよね、債務が。これを行っても今までできなかったのが、今回の骨太といいますけれども、方針は大体これ一緒なんでしょう、基本的には、前回の経済計画と。全く違いますか。違うならば違うと言っていただきたいんですが。
#170
○国務大臣(竹中平蔵君) 全く別途に議論しておりますので、同じか別かというふうに聞かれるとなかなかお答えは難しいのでありますけれども、基本的には、時代認識はやはり大変大きく変わっているというふうに考えておりますので、その意味では、二十一世紀型の経済社会をどうつくるかということに向けて時代にふさわしい新しいものを議論したというふうに考えています。
#171
○木俣佳丈君 いずれにしても三年前のことで、私が初当選してからの決定でございますよね。
 三年、ドッグイヤーと言われますから、もちろんどんどん早くなって、一年が七年というようなことでいえば昔の二十年に当たるかもしれませんから、それは変わるかもしれませんけれども、いずれにしても、三年前のものがひっくり返るような話では、これは経済計画としても考え直さなければいけないと思いますが、いかがですか。
#172
○国務大臣(竹中平蔵君) 経済計画の位置づけそのものが私は大変変わってきているのだと思います。数字そのものを三年前ないしは五年前に出して、それがなかなか見直されないというのは、確かに今の時代、ドッグイヤーの時代には大変問題であろうかと思います。
 今、私自身検討したいと思っておりますのは、一つはアメリカの予算教書にあわせて示されるような経済の見通しであります。これは五年示すわけですね。しかも、マクロの経済と財政の数字が大変整合的な形で示されて、かつそれを実は毎年毎年予算教書を出しますから毎年毎年それを見直す。さらに言えば、年央改定という形で年の真ん中で見直している。それでも、議論というのは一方的になるといけませんので、あれはホワイトハウスが、行政府がやるわけですが、実は議会も同じようなことをやって、非常に多元的にチェックしてまさにローリングにローリングを重ねていくと。
 そういった状況も含めて、経済計画のあり方そのものを、さらには経済見通しの示し方そのものをかなり抜本的に変える必要があるというふうに考えて、若干の準備は進めております。
#173
○木俣佳丈君 ぜひ、その三年前のものはもう古いんだということであるならば、これは閣議で変更の手続をやっぱり私はするべきではないかと思うんです。こっちはこっち、あっちはあっちと。要は、同じような経済計画らしきものが二つ並行してあるなんということは、これは国家じゃありません。内閣の一体性とか政府の一貫性ということからしたら、国家としてはやはりこれをどちらをとるのかということになりますので、今回、閣議決定された場合には、今言ったこの十年のビジョンというものをしっかりこれを見直していただきたいと強く御要請いたします。
 さらに、ある議員から伺ったんですが、この骨太の方針というのを策定するに当たって、かなり竹中大臣が当初思っていたものと開きが大きくなってしまって、このままでは自分は玉砕だと、こういうような話を竹中さんが言っていたよと、こういうような話があったんですが、今この方針について満足のいくような方針になりましたですか。
#174
○国務大臣(竹中平蔵君) どこの出所のお話かちょっと存じ上げないんですが、一般にはマスコミは何か、いわゆる既得権益というのがあって、それに対する改革というと、これがぶつかり合って、大体改革しようと思ったのがつぶされるというようなストーリーを想定してそういうものを書いていらっしゃる。そういうものを私自身もたくさん見かけたことがありますが、はっきり申し上げまして、私が骨太の方針でぜひ実現したいと思ってきたこと、もちろん一〇〇%とは申しませんけれども、それが大きくねじ曲げられたというようなことは私自身は全く考えておりません。
#175
○木俣佳丈君 それでは、きょうの審議の年金のお話に入っていくわけでございます。
 きょう竹中大臣に来ていただきましたのは、前二回とも私が一番気になるところで、先ほども同僚議員からも質問がありました、言うならば基礎年金一階部分という、一階、二階、三階ということで通称されておるようでございますけれども、その一番の老後の生活を支える基礎年金の部分の財源のお話でございます。
 これは本会議の中でも質問をさせていただいたわけでございますが、やはり私が思うのは、三階部分の今審議をしております確定拠出、私、最終質問者になっておりますけれども、何でもそうでございますけれども、基礎のところがしっかりしなければ、その上にビルを建ててもまさに砂上の楼閣で倒れてしまうと。こういう意味からしても、ここをはっきり経済財政諮問会議というのは、要は省庁縦割りから一歩抜け出して、つまり統合的な観点から経済というのはこうあるべきだ、国家の役割というのはこうあるべきだ、地方の役割というのはこうあるべきだ、こういうことを言うと私も伺っておりますので、伺うわけでございます。
 再度、前回の総理の諮問機関の経済戦略会議では、将来的には税方式に移行することが望ましいというふうに書いてあるわけです。これはやはり、この間の質問の中でも述べましたように、自営業者を初めとする第一号被保険者、このうちの三分の一以上、三六%の方々が未納になっていると。全体からすれば、何度も申し上げるんですが、基礎年金の部分の五%にしかならないけれども、二号、三号というのはある意味で強制拠出みたいなところがございますから、ですからやはりこれはおかしいんじゃないか。
 さらに、審議の中で大塚局長からも未納、未払い、免除、こういった方々の中の所得のスペクトラムを見てみますと、ほとんど所得が変わらないで、要は払わない人と払えない人が余り変わらないと、こういう御意見もあったものですから。ということは、恣意的に払わない人が多い。しかも、聞いてみますと民間の保険会社に入っている。こういうような話がかなりあるということが一つと、それから、やはり一番問題は女性の問題で、サラリーマンの妻は、払わなくていいというとちょっと違いますけれども、働いている女性とサラリーマンの妻の扱いが違い過ぎると。ですから、やはり女性の就労に非常に抑制的に働いている。こういった二点が大きなポイントではないかと思うんです。
 これで、戦略会議は、将来的に税方式にすることが望ましいと言っておるんですが、残念ながらその戦略会議のまとめについて、税方式に移行することは、重要度でいうとABCあって、内閣府の方ではC、検討も難しい、こういうようなランクにしているということなんですが、大臣は今でもやはり税方式に移行するというのは、基礎年金、違うと思っていらっしゃいますか。
#176
○国務大臣(竹中平蔵君) これはこの委員会だけではなくて、お前は学者のときこう言っておったじゃないかという議論を随分ほかの委員会でもいただくものですから、ちょっと前置きだけ少しさせていただきたいんですが。
 私、政策科学というのを初めて勉強したときに、議論の段階が幾つかあるんだという話を徹底的にされました。
 一つは、アイデアルな制度は、理想的な制度はどういう制度かということだと思うんですね。私は、理想的な制度と聞かれたら、年金なんかない制度が、ない社会が一番いい社会なんだと思います。年金なんかなくても自分で支えられるし、お金持ちの人がいて、ぽんとくれるし、同じことが税金だって言えるんだと思うんですね。軍隊なんかない社会が一番いい制度だと。アイデアルな議論というのは一つあるんだと思います。
 しかし、現実はそうではないですから、もう少し望ましい姿というか、ディザイアラブルな姿というのが次にあるんだと思うんですね。私はそのディザイアラブルな姿、観点からいうと、年金の一階部分については、木俣議員と御一緒で税がディザイアラブルじゃないだろうかというふうに個人的には実は今も考えております。
 しかし、現実の選択というのは、次に第三の段階に行くわけですけれども、リアリスティックな制度というのが多分あって、ディザイアラブルというのを目指さなきゃいけないんだけれども、現実に今の制度があって、今の制度から出発しなければいけなくて、今の制度を変えるためには現実には非常にコストが要るし、時間の制約もあるし、緊急性もあるし、そういう中で現実の政策論議が行われているんだと思います。こんなことはもう釈迦に説法かもしれませんが。
 経済戦略会議でも、基本的には二十一世紀のどこか早い時点でそういうのが望ましいというふうに書いていたというふうに記憶しています。これは、本会議でも木俣議員の御質問に対して直接考え方を申し述べさせていただきましたけれども、今の制度そのものは本当に持続可能か、サステーナブルかどうか、これはやはり議論すべき問題であろうかと思います。
 その場合に、リスクが二つあるじゃないかと。一つは人口変動のリスクである。もう一つは市場変動のリスクである。人口変動のリスクというのは、支える人と支えられる人がいて、支える人と支えられる人の人口の比率が予想に反して大幅に変わってしまったときにリスクにさらされる。急激に少子高齢化に向かっている日本の社会というのは、そういうリスクを今非常に切実に負っているんだと思います。
 しかし、理屈からいうと、この人口変動のリスクをゼロにする方法は理屈の上ではあるわけでありまして、それは全部積み立てればいいと。そうなってくると、しかし基礎的な部分がありますので、ないしは、はっきり言いますと、特定の世代は自分は払わないで、自分は積み立てないでもらっていった世代がいるわけですから、その部分を補てんする部分が残る。それはそうすると、保険原理じゃなくて福祉原理だから税ではないだろうか。こういう実はロジックなわけであります。
 ここは多分御一緒なんだと思いますが、済みません、大変答弁が長くなって申しわけありませんが、そういうディザイアラブルな方向としては私は個人的にはやはり経済戦略会議で議論したことは間違っていなかったというふうに思っております。
#177
○木俣佳丈君 学校の講義じゃないものですから、もう少し短目に簡便に御答弁いただければと思うんです。
 リアリスティックという言葉がありましたけれども、もちろんそうなんですが、普通は僕はフィージブルと、要は執行可能性ということで大体言っておりますけれども、要するに執行可能性ということからしても、今何度も申し上げましたように、第一号被保険者の四百万人が払っていない、三百数十万ですか、ということからすると、やはりこれは不公平が起きてしまうわけなんですね。これはどのぐらいふえているかというと、大体三年間で百万人ぐらいふえているんですよ、ちょっと大げさに言うと。九十万人ぐらいふえているんです。ですから、この人たちに、それではどういうふうにして入ってくださいよと言うのが、要は手がないということなんですよ、今。それで、またこれから先、経済が何とかかんとかいろいろ言って不安が募って百万人もふえていくと、これは大変なことになってしまう。
 ですから、二十一世紀のどこかじゃなくて、私ども年金をもらうのは三十年後なんですが、そんなことではちょっと困っちゃうということで、四年後の見直しというのを厚生省は考えているんですね。だけれども、四年後に二分の一までの見直しをするのならば、もっと先に要は全額にするのかどうするのかということを決定しなければ、やはり僕はできないと思うんですよね。
 どうですか。時間という軸がやはり一番大事だと思うんですけれども。
#178
○国務大臣(竹中平蔵君) 時間軸が重要だというのはそのとおりだと思います。
 ただ同時に、経済戦略会議でも議論をしましたのは、賦課方式から積立方式に例えば徐々に切りかえていくに当たっては、特定の世代に二重払いが生じるわけですよね。その二重払いというのを特定の世代に集中させたら多分これは大変なことになりますから、これはやっぱり分散させなければいけないんだと思うんです。
 その意味では、私は、これは個人的な考えでありますけれども、年金改革というのは百年をかけた議論をしないと、特定世代に背負わせれば三十年、三つの世代に背負わせれば百年ということになりますから、そういう面もあるというふうに思います。
#179
○木俣佳丈君 いずれにしても、政府の方が要は未払い、未納の方に対する対策というのをいろいろ考えてはいても、小泉さんは年金のセールスマンといっても結局具体的な作戦というのが出てきていないんですよね。ですから、私どもは、とにかく即刻二分の一、そしてさらにやはり全額税方式にするべきだというふうに再度主張したいと思います。
 これは私も改めて拝見して、これは先生御案内だと思いますが、先生の監修の「日本の政策立案者、立候補者へ贈る必読の二十五章」、ああ、必読なんだなと、私は現職ではございますが勉強させていただかにゃいかぬということで、これの「年金改革」というところに書いてございます。
 この中にありますように、東京学芸大の小塩先生というんですか、「年金の二階部分は段階的に民営化せよ」という章の中に、これは年金の特に一号被保険者の話、それから三号被保険者の話ということもあって、税に即刻せよ、こういうふうに書いてあるんです。それで、これは監修者は竹中平蔵と書いてある、理事長さん。
 私が申し上げたいのは、こっちではこう言い、あっちではこう言いでは、やはり学者としてこれはどうなんだろうかというふうに思うんですよね。これはやはり責任を持って監修されたと思うんです。だから必読だと思うんですね。であるならば、やはり早急にこれをまとめ上げる、これが経済財政諮問会議の意味ではないんですか。どうでしょうか。
#180
○国務大臣(竹中平蔵君) 小塩教授は大変立派な教授で、私自身も尊敬しております。
 ただ、一つ御理解いただきたいのは、監修というのは、独立した第一線の学者に自由に議論してもらって皆さん方が政策を考える場合の重要な素材に供するということでありますから、監修した私がその全員の意見すべてに責任を負えるという立場にはない。これは大変形式論で申しわけありませんが、その点をひとつ御理解いただいた上で、私はやはり長期的にはディザイアラブルな方向としては、何度も申し上げておりますように、そういう改革に向かわなければいけないのかなと個人的には今でも思っております。
 経済財政諮問会議のじゃ役割は何かということでありますが、経済財政諮問会議のこの骨太の方針は、これは読んでいただければ、案がもう出かかっておりますからわかりますように、それぞれの問題の緊要度等に応じて、ある部分は結構詳しく論じられているものもあれば、そうでない部分もたくさんあります。
 実は、年金の部分というのは、ほとんど一般論しか論じさせていただいてなくて、これはもう要するに一言で言えば持続可能な、サステーナブルなものにしなければいけない、現状をサステーナブルにしなければいけないという問題意識を強烈に出しておりますが、それをどのような形で持っていくかという制度設計については、今後オープンに議論していくというような立場をとらせていただいているわけであります。
#181
○木俣佳丈君 私は先生ほど経済学に通じてはおりませんけれども、現在の経済、特に消費、三百兆の消費のところをどう動かしていくかというのが一番大事ではないかと、多分先生もそれは意見は同一だと思いますけれども、その場合にやはり、私はミニ集会なんといって御婦人やなんかと話をしていると、年金って一体どうなるのというような話なんですよね。だから、やはり結局、多分これは竹中大臣もお感じのとおりで、高齢者の方々、中高年齢の方々の資産というものがどう動いていくかというのがかなり重要な、一つの大きな重要なファクターになるということであるならば、そこの不安要因というのを取り除く。それは年金しかないと。年金しかないというか年金が一番大きいということに私は思うんですよね。
 というのは、私ども愛知県の名古屋で、昨年天に召されましたけれども、きんさん、ぎんさんという方がいらっしゃった。これは百六歳のときに有名な話でございますが、百歳以降テレビに出てどんどん元気になられて、貯金がどんどんできたというんですね。お孫さんに使うんですかと言ったら、老後の蓄えですと、こういう笑えない話が本当に広がっていまして、いや、日本というのはそういうものですよ、百六歳でも老後の心配なんですよと、こういう話になっているわけなんですよ。
 ですから、やはりいろいろそれは、理屈は貨車で積んでこいとよく言う方があるわけでございますが、私はやはり理屈を言っているよりも、先生が監修されて、そして経済戦略会議の中の一員であって、これは連名ということは責任者でもあるということだと思いますので、やはりもっと徹底的な見直しをしていただきたい。
 しかも、私も拝見を、案の部分でございますが見させていただきましたけれども、確かに年金のところは弱い。社会保障のところは全体がまさに骨太というか、どういうことなのかなというぐらいの議論しかされていないのはわかります。不良債権にそれは注力されるのはわかるんだけれども、しかし同時に、新聞にこうやって、先ほども同僚議員がお話ありましたけれども、「課税強化」という話がどんとこんな大きな字で出ちゃうんですよね、税のバランスで。今まで構造改革者とは何だったかというと、増税者なんです、要するに。構造改革者というのは、簡単に言うと、構造改革しているんじゃなくて、増税して、財務省の方がいらっしゃるからあれだが、増税して経済をどうするかという話だった。まさにその議論になるのかなというふうに思うんですね。
 というのは、先ほども年金の平均月額が大体二十三万八千円ということで、標準の夫婦二人世帯、四十年、モデル年金ということでお話がありました。基礎年金だと今十三万四千円でございますから、掛ける十二で百六十万八千円になるわけなんですね。ということは、ひょっとしてこれが今の若年世代の夫婦二人、標準平均で二百二十万の課税対象ということでいうと、基礎年金プラスちょっとで課税の範囲になると、大体のほとんどのサラリーマンは課税の対象になるんだということなんですね。
 ただ、これももう言い尽くしたわけでございますが、今、結局三千円平均の介護保険料が要る、そして医療保険料もどんどんふえているという中で、消費税も五%に二%上がったと。どんどん高齢者に対する負担が大きくなる中で、もちろん世代間の平等ということ、公平ということで課税をかけていくという論理なんでございますが、しかし先般も申し上げたんですけれども、もう一つ公平性というのがあるんじゃないか。つまり、若年層においては、もうちょっと働けばもうちょっともうけることができるというチャンスの可能性がある。ところが、お年寄りの方はそういったチャンスがないという意味で不平等なんですね。
 ですから、先ほども同僚議員からありましたように、年金税制のあり方研究会というものの中では標準課税ぐらいの世帯は課税をしない方がよい、こういう結論を一つ内々に厚生省はしているんですが、こういったものは大臣がおっしゃるのとは別にどんと新聞をにぎわしちゃうんですね。これでは消費をどんどん冷やすと思うんですが、内容的にどうでしょうか、全体、ちょっといろいろなことを言いましたが。
#182
○国務大臣(竹中平蔵君) たくさんのことをおっしゃって、一生懸命私ノートをとっていたんですけれども。
 御質問の趣旨に関しては、ちょっと大きくとらえさせていただきまして、基本的には改革というのは増税、将来の先行きの不安を高めるようなものであっては絶対にいけないということだと思います。その点については私はもちろん全く同感でありまして、新聞のどの報道かちょっとわからなかったのでありますけれども、基本的な経済財政諮問会議の考え方というのは、やはり小さな政府にしていこう、小さくても信頼のできる政府にしていこう、頑張った者が報われて、その意味ではゆとりのある社会にしていこうということでありますから、目指しているところは決してその課税強化等々ではありません。
 ちょっと若干、これは私自身の二カ月の経験ということで聞いていただきたいと思いますが、どうしてもこういう改革で議論すると、やはり財政の改革というのは先走るのだと思います。この予算を切れ、この支出を切れ、この課税システムを変えなければいけないのではないかと。恐らくは財務省が一生懸命やればやるほどそういう議論になってしまうんですが、私自身は、二カ月前に就任しましてからかなりそのねじを担当大臣としては巻き戻したつもりであります。それでは、財政のいわゆる金庫番的だと言うとちょっと語弊があるかもしれませんが、そういう発想ではなくて、やはり改革によって痛みを越えて本当に豊かな社会をつくれる、伸び伸びと自由に生きられるような社会をつくるということで、そのメッセージをかなり強烈に出したつもりではあります。
 ただ、いずれにしても、御指摘のような将来不安を取り除くということは、消費振興のためからも大変重要だというふうに考えておりますので、やはりその諮問会議の中の年金の部分に書いておりますようなサステーナブルなシステムに持っていく努力は、これはどうしても絶対に必要だというふうに思います。
#183
○木俣佳丈君 今回は二十六日が閣議の決定のときだということなので、きょう発表ですから、それ以上大きな修正というものはできないかもしれませんけれども、同意いただけると思うんですが、なるべく早急にこうという方向をやはり社会保障の部分もするべきだと思うんですが、なるべく早急に、大臣が大臣でいらっしゃる間に。どうでしょうか。
#184
○国務大臣(竹中平蔵君) 先ほど申し上げましたように、これは不十分かもしれませんけれども、一つのアンブレラであります。このアンブレラのもとにサステーナブルなシステムにするためにどのように行っていくべきかということを、私はこれから坂口イニシアチブという形で議論を詰めていただくんだと思います。同じように、例えば公共事業に関しては扇イニシアチブのようなものが出てくると思いますし、現実問題としてこの議論の過程で不良債権処理に関してはニュー柳澤イニシアチブというようなものが出てきた、そういうふうに私は理解しております。
 そういう中で、それがさらに経済財政諮問会議での議論を通して、御指摘のようにそのアンブレラとイニシアチブが整合的に動いて、国の政策がまさに内閣のリーダーシップのもとで遂行できるというように、これはもう当然担当大臣としては努力しなければいけないと思っています。
#185
○木俣佳丈君 私の大学の先輩でございますので、あんまりなことを言いたくないんですが。
 いや、確かにそれはそれぞれの大臣がイニシアチブでやったものを統合していくというのは、坂口先生は大変すばらしい先生だと思いますので、もちろんそういう方向も一つだと思うんですが、しかしながら経済財政諮問会議というのは、例えばアメリカでいえばOMBとか、ああいうところが全体を統括して、大統領府の下で全体を切った張ったやるわけですよね。その役割を、要はやってくれる人はだれだろうと首をかしげていて、小泉さんがやっぱり竹中さんだと、こういうふうに引っ張ってきた。ということは、それぞれの大臣のイニシアチブはそれはいいんですが、それをやっぱり相当にがっとまとめ上げていくところがポイントだと思うんですよ。
 ですから、柳澤さんが云々、いろいろ対決されているそうでございますが、しかし、そんなことではやはりどうもこれは、改革はまさに、何というか、どこかへ行っちゃうのかなという感じがするんですが、やはり冒頭申し上げたような、ちょっと玉砕ぽいのかなという感じがするんですけれども、どうでしょうか。
#186
○国務大臣(竹中平蔵君) ちょっと手元にフルテキストを持ってきていないのでありますが、経済財政諮問会議の今般の骨太の方針の中に「政策プロセスの改革」という一チャプターをあえて設けております。その中に、各省庁のイニシアチブに期待しながら経済財政諮問会議がこの問題についての議論を深めていくということを明確に今回書かせていただいておりますので、まさに今、木俣議員おっしゃったようなイメージを私自身ぜひ実現したいと考えております。
#187
○木俣佳丈君 ぜひ、期待をしておりますので、思う存分やっぱりやってくださいよ、本当に。本当に思う存分やっていただきたいと思う。野党ながら本当に期待をしておりますので、ぜひ。
 いろいろ税でもあるんですね。特別法人税の話も、これ四十年そのまま回していきますと、この間も局長から話がありました、二割は基金から欠損になっちゃうわけですよ、取られちゃうわけですよ、一・一七三%ですけれども。ですから、こういう悪税が残っていて、財務省は悪税とは言わないだろうけれども、しかし、こういったものはやはりいっぱいあるので、経済財政諮問会議だけじゃないかもしれませんけれども、やはりどおんと骨の太いところを、そしてまた安定的な老後の暮らしとかいうのを出さないと消費は伸びないというふうに思いますので、ぜひ御精励をお願い申し上げたいので、最後に一言どうぞ。
#188
○国務大臣(竹中平蔵君) 新米大臣でありますけれども、まさにそういうことをやる重要なチャンスだと思いまして今のポストを引き受けさせていただきましたので、全霊を傾けてやりたいと思っております。
#189
○木俣佳丈君 大臣、どうぞ、御用事があるそうでございますので。
 それでは、一階部分のお話を伺いながら、明確な御答弁はないままでございますが、三階部分の拠出年金の御質問に移らせていただきます。
 先般もずっと一時間半、いろいろ加入者の保護について多く述べさせていただき、前向きな御答弁をいただいたところでございますけれども、この運用について、元本が確保される運用方法について御質問いたします。
 第二十三条で、運営管理機関は少なくとも三つ以上の運用方法を提示して、そのうち一つ以上は元本が確保される運用の方法として政令で定めるものでなければならないとしておりますけれども、これは具体的にはどういったものを指すか、お答えください。
#190
○政府参考人(辻哲夫君) 御指摘の元本が確保される運用の方法とは、一般的には、預貯金のように金融機関などが常時元本以上の支払いを約束しているものや、国債のように満期時に元本以上の支払いとなるものが考えられますが、確定拠出年金では、加入者保護の観点から、これらの運用商品のうち、金融機関などが破綻しても法律でセーフティーネットがあるものに限定する予定でございます。元本確保商品となる具体的な商品としては、預金保険制度などの法律で保護されている預貯金、国債などを考えております。
#191
○木俣佳丈君 ちょっと具体的にもう一回確認したいんですが、例えば預金とかが代表的なものだと思いますが、預金または国で保証された国債、それからあとセーフティーネットのあるいろいろな保険商品もございますが、こういったものも含まれますか。
#192
○政府参考人(辻哲夫君) 今まで申しましたところは明確に言えるわけでございますが、その余に関しましては今後検討してまいりたいと考えております。
#193
○木俣佳丈君 もう一度、どれについてはですか。
#194
○政府参考人(辻哲夫君) 預貯金、国債以外のものにつきまして、元本保証商品をどの範囲とするかにつきまして今後さらに検討してまいりたいと、こう思います。
#195
○木俣佳丈君 とにかく、国債においても金利が一・数%で、貯金においては普通預金であれば、あれ何%でしょうか、〇・何%ですか、というようなことでありまして、やはりどういったものがセーフティーネットのある商品かというのはわかりませんけれども、これは前向きに検討されるということでよろしゅうございますね。検討に加えると。それだけでは当然回せませんから、確定拠出になりませんよね、運用の面で。
#196
○政府参考人(辻哲夫君) 具体的には政令で定める予定でございまして、今申しましたようなセーフティーネットがあるものの範囲というのはどのようなものとして検討するかということで、これ以外のものについてもこれから検討いたします。
#197
○木俣佳丈君 また、そのうち一つ以上は元本が確保されるものという条文は、読み方をこれ間違えますと、加入者は必ず一つは元本保証のものを選択しなければならないという意味にもとれないでもないんですが、こういうとり方ではないというふうに判断してよろしゅうございますね。
#198
○政府参考人(辻哲夫君) あくまでも加入者の選択でございまして、そこまで法律が規制しているわけではありません。
#199
○木俣佳丈君 さらに、運営管理機関が加入者に対しまして元本確保の保証の商品を含めるように推奨するということは許されるんでしょうか、それとも運営管理機関の行為準則に抵触するものとして許されないのか。どちらでしょうか。
#200
○政府参考人(辻哲夫君) 法案第百条六号におきまして、運営管理機関は加入者に対して特定の運用商品を勧めてはならないと規定しておりまして、これはすべての運用商品について特定のものを勧めることを禁止しているところでございます。したがって、これは元本確保商品も例外ではございませんで、運営管理機関が加入者に対して元本確保商品を選択するように推奨するということも逆に許されません。
 ただ、その前提として、元本確保型商品とそうでない商品を明確に区分して説明するなど、運用商品の内容が十分説明されているということはもう当然のことでございます。
#201
○木俣佳丈君 許される、許されない、ちょっと聞き取れなかったんですけれども。
#202
○政府参考人(辻哲夫君) 特定の元本確保型商品を選択するように推奨することは許されません。
#203
○木俣佳丈君 あと、そもそも元本が保証されるというのは非常に難しいと思うんですが、預金というお話がありましたので銀行預金を考えます。
 そうしますと一千万まで、全額保護されるのは来年の三月三十一日までと今政府では予定しておりますね。そうしますと、それ以降というのは元本確保保証型の運用という意味ではなくなると思うんですけれども、その辺の見解。
#204
○政府参考人(辻哲夫君) 御指摘のように、銀行の預金などは平成十四年度以降は全額保護にはならず、一千万円とその利息分のみが保護されることになりますけれども、一つの金融機関において各預金者の預金一千万までとその利息分までは確実に保護されております。したがいまして、本制度におきましても加入者は複数の金融機関に分散して預金することができます。したがって、そのような保護の範囲内で分散することはできます。
 したがいまして、個人別管理資産の内容として個人が複数の預金先に自由に預金できることから、運営管理機関は預金保険制度による保護の内容等を加入者に情報提供するよう義務づけるなど、金融機関が破綻することも考慮した上で適切に運用ができるようにいたしたいと考えております。
#205
○木俣佳丈君 今のお話は、そうすると例えば一銀行に二千万預けているところだとどうなりますか。
#206
○政府参考人(辻哲夫君) これは、この制度の対象としてであろうがなかろうが、仮に来年、平成十四年度以降は、もし破綻すれば一千万円とその利息分のみが保護されるということは、この制度であろうがなかろうが一緒でございます。したがって、元本確保されるというのは一千万までで、いわば金融機関を分散されればこれは保証されるので、むしろこれはそのような運用が行われるようにという前提で元本確保型のものであると理解してよろしいかと考えます。
#207
○木俣佳丈君 それでは、確認いたしますけれども、つまり銀行預金の場合、特に来年の三月三十一日以降、つまり平成十四年四月一日以降は一銀行に一千万円まで預けなさい、これが元本保証の意味です、こういうことでよろしゅうございますか。
#208
○政府参考人(辻哲夫君) これはこの制度であろうがなかろうがある状態でございますので、したがいまして、これは具体的には運営管理機関が預金保険制度による保護の内容を具体的に情報提供する、要するに一千万以内とその利息分までしか保証されないので、そのような配慮が加入者の資産保全上必要であるという情報提供を義務づけるといった形で担保してまいりたいと考えます。
#209
○木俣佳丈君 そんなに銀行を守らなくていいと思うんですが。
 いいわけですね。つまり、一千万まで預託して運用させるならこれは元本保証のものであって、それ以上になった場合にはやはり守られないというわけだから元本保証とは言えないということでいいですか。イエスかノーかだけ。
#210
○政府参考人(辻哲夫君) ある意味ではノーで、ある意味ではイエスでございます。
 と申しますのは、一つの金融機関だけしか預貯金をできない場合であれば、これは一千万を超えるものは保全されない可能性がありますので、これは元本保証と言えませんが、申しましたように、この制度は幾つでも口座を個人別管理資産の中で持てますので、そのように一千万以内でやれば幾らでも持てるという意味では、限度はないという意味でございます。
#211
○木俣佳丈君 幾つか分散して。よくわかりました。なかなかこれもかなり民業にあれするところなものですからお答えにくいかと思いますが、よくわかりました。
 次に、事業主による一括運用の問題につきまして御質問をしたいと思います。
 企業型の運用においては、事業主が個々の従業員の委任を受けてその委任の範囲内で運用を指図することは差し支えないと、このようにされているわけであります。これは、個々の従業員の意思を確認した上で、一括運用を希望する従業員の分に限っては事業主が一括して運用指図をすることを認める、こういう意味でよろしゅうございますか。
#212
○政府参考人(辻哲夫君) 確定拠出年金はあくまでも個々の加入者が運用指図を行うものであるが、御指摘のとおり、事業主により一括運用することをみずからの意思で希望する加入者がいる場合には、その加入者の分に限って、その限りにおきまして事業主が一括して運用することということでございます。
#213
○木俣佳丈君 次の質問でございますけれども、個々の従業員の委任というもの、これを認める場合には、この委任というのは従業員が自発的、任意的に行われることが当然ながらこれは必要だと思います。これは当然だと思います。
 そこで、企業の中でこの自発性、任意性が損なわれて、ある種の暗黙の圧力というんでしょうか、圧力のもとで委任が行われるようなことがあってはならないと思うんですが、これはどうでしょうかと言うならば、それはそうだと言われるので、どのようにそれを回避いたしますでしょうか。
#214
○政府参考人(辻哲夫君) 御指摘のようなことを担保いたしますために、資産の運用は加入者みずからが判断するという法の趣旨を徹底するため、事業主の行為準則における禁止行為として、事業主は加入者に対して運用を委任するよう強要または推奨してはならないという規定を省令で定めるということにいたしますと同時に、このことの延長として、これは忠実義務の一つの形でございますけれども、これに違反した場合は受託者責任違反になるということでございます。
 したがいまして、暗黙の圧力のもとに委任を受けてその加入者みずからの意思を無視するようなことがあれば、これは忠実義務違反でございまして、行政処分、罰則とつながっていくような形になっております。
#215
○木俣佳丈君 その際に、例えば一度は委任して一括で運用をする、これが基本的な姿だと思いますけれども、一度委任した従業員も、やはりちょっとこの委任を撤回したいというような場合に、すべきではないかという、こういう意見もあるんですが、どうでしょうか。
#216
○政府参考人(辻哲夫君) 事業主に対して運用指図を委任することは、法的には民法上の委任と考えられます。そもそも民法上の委任は、その当事者がいつでも解除できるということは民法六百五十一条に規定されておりまして、加入者が事業主に運用指図を委任した場合におきましても、加入者の判断によりまして随時、いつでもその委任を解除することができるものでございます。
#217
○木俣佳丈君 わかりました。
 また、この委任を行った従業員に対しても、この第二十二条の事業主による情報提供の責務は適用すると考えるんですが、これはこれでよろしゅうございますね。
#218
○政府参考人(辻哲夫君) 加入者が事業主に運用を委託している場合も含めまして、加入者がいかなる方法で運用いたしておりましても、事業主は法案二十二条の資産運用のあり方に関する情報提供を行う必要がございます。
#219
○木俣佳丈君 次に、いろいろあるのでございますが、加入者につきまして少しお尋ねをしたいと思いますけれども、今回も附帯決議の中で第三号被保険者の話が書いてございますが、加入できない方として公務員の方々がいらっしゃるわけでございますが、この理由を伺えないか。
 と申しますのは、平成十一年七月のいわゆる四省案、四省のいろいろ提言をまとめたものについて、これを読みますと、公務員については、個人の拠出は企業の従業員と同様に認められるべきだと、このようにされておりまして、それからしますと個人型には問題なく入れるものではないかということではなかったかと思うんですが、これが撤回された理由というものは何かございますか。
#220
○政府参考人(辻哲夫君) 公務員の扱いにつきましては、企業型年金を実施することにつきましては四省案の段階では案の中身では含まれておらず、引き続き検討事項とされておりました。そして検討いたしましたわけでございますが、やはりこれは公務員制度の一環となると公務員の福利ということになりますので、それにつきましては民間における企業年金の普及の程度等を見きわめるべきだ、やはり民間準拠を基本として福利を考えるべきだということで検討事項となったものでございます。
#221
○木俣佳丈君 公務員の加入問題についてはいろいろな検討が必要ではないかともちろん思うわけでございますけれども、しかしやはり公務員の皆さんの中でも拠出年金、これは非常にいいじゃないかということで加入されたい方もかなり多いと思っております。
 と申しますのは、特に若年層というか、四十代以内の方々が拠出年金の方が受給のカーブで見ますとかなり確定給付を上回るというところに入っておりまして、私どもはまさにその最たる者なんでございますけれども、そういった方々がやはり入りたいということをおっしゃると思いますので、これは早急にどのようにするべきか、これは大臣ぜひお答えいただきたいんですが、御検討を前向きにしていただきますようにお願いしたいんですが。
#222
○国務大臣(坂口力君) 公務員の場合には、それではその掛金はどうするのかというような問題もあると思います。本人が出すのかそうでないのかというような問題もあると思いますし……
#223
○木俣佳丈君 個人型ですから。
#224
○国務大臣(坂口力君) 個人型の問題につきましては、それだけの需要と申しますか、皆さん方の御要望があるということになれば、それは今後の検討課題になると思います。
#225
○木俣佳丈君 次に、専業主婦、いわゆる第三号被保険者、サラリーマンの妻というか、夫の場合もあるかもしれませんが、サラリーマンの配偶者を持つ者の場合なんでございますけれども、この方々が加入可能とされていたけれども、今回加入は認められないわけでございますね。間違いですか。ちょっとお答えください。
#226
○政府参考人(辻哲夫君) 今回は加入が認められておりません。
#227
○木俣佳丈君 この理由は何でございますか。
#228
○政府参考人(辻哲夫君) 相当今回の提出過程で議論がなされました。そもそも税制上の優遇措置を拠出に対して行うということとこの制度は一体のものになっているわけでございますが、やはり税制上の対象となる所得というものがないということが基本的な理由でございます。
 したがって位置づけられないということでございますが、そもそも公的年金制度における位置づけとして、第三号被保険者につきましては所得がないということで負担しなくていいのかというもともとの議論が行われておりまして、そのような議論における女性と年金の問題の一環として今後検討すべきであるとされたものでございます。
#229
○木俣佳丈君 これは、今の局長のお答えではちょっと不満がありまして、というのは、例えば学生は今回個人型に加入できますか。
#230
○政府参考人(辻哲夫君) 学生も国民年金の一号被保険者であり、かつ保険料納付を行っているときには加入はできます。個人型に加入できます。
#231
○木俣佳丈君 できますね。
 そうしますと、学生さんでももちろん所得のある方もある、ない方もある、基本的にはない方の方が多い。課税の最低限以下の、源泉も最後に申告をしますと返ってくる方が多い。
 こういうことで考えますと、同じ所得がない方で、学生だと要は一号被保険者ですから入れて、同じような所得がなくても主婦というか要するにサラリーマンの配偶者だと入れない。これは非常に不公平だと思いますけれども、大臣か副大臣、何かちょっとお答えを。じゃ、局長の後で。
#232
○政府参考人(辻哲夫君) まず、事務的な、なぜ理屈の上でこういう整理になったかということを、恐れ入りますが私の方から説明させていただきたいと思います。
 それで、第三号被保険者が今の制度で負担しなくてよいということになっておりますのは、この第三号被保険者が導入されます前、昭和六十年の改正でございますが、夫の、いわば保険料を納めて夫が受けられる年金の中に妻の部分が入っておったということを、妻を、いわば被扶養の妻も国民年金の強制適用にいたしまして、いわば夫の中に入っていたものを強制適用して取り出していくという形で基礎年金ができました。したがいまして、夫の負担の中に妻の負担が入っておるということで、負担と給付がいわば夫の保険料負担を通してから密接に連動していると。
 一方、学生は、これはあくまでも学生として加入して、いわば独立した主体として負担をして年金をもらうという関係でございますので、そこは直ちに同様には言えないというふうに考えております。
#233
○国務大臣(坂口力君) この問題はやはり年金の根幹にかかわってまいります。いわゆる個人単位にするのか世帯単位にするのかという問題と大きく関係するというふうに思います。
 私は、将来はやはり年金は個人単位にしていかなければならないという意見の一人でございますが、今後、議論をしていただく中でこの問題も検討をしていきたいというふうに思います。
#234
○木俣佳丈君 先ほど局長の理由というものが、税制優遇にあって所得がないということが第一だということなんですよね。ですから、そうすると理由が、学生も所得がないとすればこれは不平等になるということだと思うので、やはりこれは早急な改善をしていただきたいと強く要望いたします。
 次に、企業型においての差別的扱いという、私流の言い方かもしれませんが、差別的取り扱いの禁止ということでございます。
 第九条の二項で「年金規約で一定の資格を定めたときは、当該資格を有しない者は、前項の規定にかかわらず、企業型年金加入者としない。」とされているということなんですね。つまり、従業員の中で特定グループだけ拠出年金の加入の権利がありということだと思うんですが、逆に言うと特定グループだけを加入させないということにもこれは当然なるわけであります。これは裏返しだと思います。
 これについて、第四条では特定の者について不当に差別をしないものだと、こういうふうにされておりまして、どうもこの九条の二項と四条が相反するんではないかと私は思うんですが、これはどんなふうに思いますか。
#235
○政府参考人(辻哲夫君) この両者の関係でございますが、まず労使合意によりまして契約で一定の資格を定めて、その資格を有しない者については加入者としないことができると。
 これは、特定の職種といったことで、例えば典型的には研究職などが考えられると思いますが、非常に職種を転々とするという前提の方がむしろ一般だという場合には、その方については確定拠出年金の方がいいんじゃないか、しかしそれ以外の方につきましては確定給付型の方がいいんじゃないかと。こういった場合でございまして、そのような合理的な理由がなくして不当に差別的な取り扱いのあるときはこれはいけないという関係でございまして、その場合の一定の場合というものにつきましては、私ども、合理的な場合とはどんな場合かということを今後典型的な例を示してまいりたいと思います。
#236
○木俣佳丈君 ということは、今挙げました九条二項と四条の反する問題でございますけれども、特に四条で差別的な扱いをしないことと、不当にと書いてありますね、「不当に差別的なものでないこと。」と。
 この差別的ということを、特に今の職業の多様化というか、今言われた研究職と一般職と何職というだけじゃなくて、かなり多様化していると考えたときに、一つのガイドラインのようなもの、こういったときには差別的になるんだということを明確に別途つくられるということでよろしゅうございますか。
#237
○政府参考人(辻哲夫君) 御指摘のように、非常に大切なことでありますので、通達でガイドラインを示したいと思います。
#238
○木俣佳丈君 非常に重要なポイントだと思いますので、ここはひとつ早急にモデルを、ガイドラインをつくっていただいて、通達を出していただきますようによろしくお願い申し上げます。
 次に、サラリーマンの個人型加入の問題でございます。
 厚生年金基金を実施している企業がさらにこの拠出年金を導入する場合において発生するのではないかな、発生する可能性がある問題について伺いたいと思います。すなわち、そのような企業が年金の規約で特定の従業員グループについて確定拠出年金には加入できないものとすることが考えられる。今の質問のようなことでございます。この場合に、確定拠出年金に入れなくなった従業員というのは個人型の年金には加入できるんでしょうか。
#239
○政府参考人(辻哲夫君) まず、個人型への従業員本人の拠出は、確定給付型の企業年金や確定拠出型の企業型のいずれも事業主が実施しない場合、その従業員にみずからの拠出を認めなければ年金制度の三階部分を全く利用できないこととなるので、公平の観点から、こうしたものに限って加入者個人の拠出を事業主の拠出とみなして加入の道を開いたものでございます。
 このような個人型年金では、三階部分について事業主が拠出しない企業の従業員を対象としておりまして、既に厚生年金基金に加入している従業員については、三階部分に事業主が拠出していることから個人型には加入できないものになります。
#240
○木俣佳丈君 加入はできないわけでございますね。
 そうした場合に、やはり先ほどのガイドラインということもございますけれども、同一社内で結局かなりの格差、極端に言うと従業員の分断というような感じにつながると思うんですけれども、こういったものについて大臣はどのようにお感じになられますか。
#241
○副大臣(桝屋敬悟君) 年金規約で一定の従業員グループが確定拠出年金に加入できない、今そういう話があったわけでありますが、これはどう考えるかということでありますが、御指摘のような場合が生じるのは、確定拠出年金に加入する者としない者との間での取り扱いの違いについて不当差別に当たらないという合理的な理由があることが前提となるものであります。不当差別に当たる場合には、そのような規約は承認をしないというふうに考えております。
 いずれにいたしましても、確定拠出年金の実施はその企業の労働条件にかかわるものでありまして、仮に一定の従業員グループを確定拠出年金に加入できないこととする場合においても、労使でこれは十分協議をした上で決定をしていただきたいというふうに考えているところでございます。
#242
○木俣佳丈君 次に、個人型年金の加入者について伺いたいと思います。
 第六十二条の第一項第二号というので、サラリーマンで個人型年金に加入できる者というのを「六十歳未満の厚生年金保険の被保険者(企業型年金加入者、厚生年金基金の加入員その他政令で定める者を除く。)」、こう書いてありますけれども、この「その他政令で定める者」というのはどういう方なのか、お答えください。
#243
○政府参考人(辻哲夫君) 個人型年金は、年金制度の三階部分について事業主が何ら拠出しない企業の従業員に対処すると、先ほど申したとおりでございます。したがいまして、事業主が拠出しているものとして「その他政令で定める者」というのは、適格退職年金などがこれに該当するものと考えております。
#244
○木俣佳丈君 いずれにしましても、この制度の売り文句のポータビリティー、つまり要は連れていくという、持ち運びが便利ということなのでございますが、やはり多くの、中に公務員それから専業主婦、三号被保険者ですね、こういった方々が外れているというのはちょっとゆがめられていくのではないかな、ちょっと心配しておりますのでつけ加えさせていただきます。
 さらに、これは社会保障制度審議会でも指摘をされておるわけでございますが、現行の退職金や企業年金の水準というものを踏まえると拠出の限度額が少な過ぎるのではないか、こういう批判が聞かれるわけでございます。特に、最も私的年金の必要な、会社が三階部分を持っていなくて個人型に加入する中小企業の従業員ということでしょうか、こういう方々にとって著しく低いと、こういうような審議会での指摘があるわけでございますが、この限度額が低いという問題をどのようにお考えになるか、お答えいただけますか。
#245
○国務大臣(坂口力君) これも今後いろいろと考えていかなきゃならない問題でございますが、今までの例えば国民年金の、国民年金にもこの二階建ての部分というのはつくったわけでございますが、最初つくりましたときにはもう少しやはりお入りをいただけるのではないかというふうに思っておりましたが、案外この予想に反して二階部分にお入りいただく皆さんというのは多くなかったというようなこともございます。それで、お入りいただくにしましても、そんなに高い額でなかったというようなことも参考にひとつなったのではないかというふうに私は思っております。
 これからひとつ今後の推移を見まして、そして皆さん方の、もう少しこれは上げてほしい、上がった方がいいというようなお声が多いようでございますれば、それは今後検討をしていかなければならない問題だと思います。
#246
○木俣佳丈君 この問題についても、特に大企業と中小企業の格差という問題がございますので、今、大臣御答弁されましたように、しっかりと検討をいただきたいとお願い申し上げます。
 最後の質問になりますけれども、ハイブリッド型、混合型の年金でございます。
 アメリカでは、この確定拠出型と給付型、DC、DB両方の混合をして、給付のところである程度持っていき拠出のところで調整をしていくような、個人別に管理した上で保証を設けるような、キャッシュバランスとかいろいろな何かパターンがあるそうでございますけれども、こういったものがありますが、本法案のもとでこういったいわゆるハイブリッド型、給付型と拠出型の混合型、これは導入することは可能ですか。
#247
○政府参考人(辻哲夫君) 御指摘のキャッシュバランスプランと言われているようなハイブリッド型についてでございます。
 キャッシュバランスプランとは、個人ごとの年金原資、例えば各時期における給与の総額の一定割合、これに対して一定の利回り、例えば十年国債の利回りといったようにそれを企業が約束しまして、そして支給開始のときに、その年金原資のもとで約束した利回りで回した額に相当する額を保証する、約束するという企業年金でございます。
 このタイプは、利回りにつきまして企業が保証するということから、むしろ確定給付の分野に該当いたしますので、さきに御審議いただきました確定給付企業年金法において給付設計の一つとして導入できるようにしているところでございます。
#248
○木俣佳丈君 最後になりますけれども、この手数料等々、恐らく競争でかなり下がるのではないかと言われておりますが、米国でもたしか一・五%ぐらいですかという数字をちょっと頭に、先ほどは六%とか何かお話がありました。一・五%というような手数料になるとまさに目減りしていくというような話になりますので、そのあたりも含めて、選択肢が本当にふえるような企業年金、三階にしていただきますようにお願いを申し上げまして、質問を終わります。
#249
○委員長(中島眞人君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#250
○井上美代君 私は、日本共産党を代表し、確定拠出年金法案に対する反対討論を行います。
 まず、法案の内容に入る前に、当委員会での審議が極めて短時間で拙速なものとなったことに抗議の意思を表明いたします。国民の老後保障に関する重要法案である本法案は、多方面の専門的な知見を踏まえた慎重な審議が必要であったにもかかわらず、審議時間も短く、参考人質疑も行いませんでした。国会審議の形骸化であり、参議院の存在意義の否定にもつながりかねません。
 反対理由の第一は、確定拠出年金制度は、老後保障をリスクマネーにゆだねるものであり、将来不安の高まりに一層拍車をかけるものだからです。
 確定拠出年金は、企業の運用責任、積立責任はなく、資産運用の責任を個人にゆだねるものです。運用の失敗はすべて個人がかぶらなければなりません。現在、悪質な金融機関、金融商品による被害が後を絶たず、個人投資家への情報の開示もおくれています。資金の管理、運用に莫大なコストがかかり、加入者への負担となることも問題です。
 その一方、政府は、厚生年金の給付大幅カットなど、老後保障の根幹をなす公的年金を大改悪し、国民の信頼を地におとしめました。自己責任の名のもとに、社会保障への国の責任を放棄することは到底許されるものではありません。
 反対理由の第二は、リストラのあらしが吹き荒れる状況の中でこの確定拠出年金制度が導入されれば、企業のコストダウンの手段となり、労働者に痛みを押しつけるものとなるからです。本法案の成立を、労働組合のナショナルセンターが反対する一方、財界団体が懸命に推進している事実に、一体この法案がだれのためのものなのかはっきりあらわれております。
 現在、確定給付型の企業年金である厚生年金基金と適格退職年金の解散、給付の削減が急増し、労働者の年金受給権が踏みにじられております。また、退職金制度も、ポイント制、前払い制の導入など、総額圧縮の攻撃にさらされております。このような状況下で企業年金、退職金の資金を移換できる確定拠出年金が導入されれば、堰を切ったように確定拠出への移行が進むことは火を見るよりも明らかです。確定給付から確定拠出への移行は労働条件の抜本的な改悪であり、老後保障の不安定化にほかなりません。少なくとも、アメリカのように過去の勤務期間分に係る給付は切り下げを禁じて受給権を守り、確定拠出年金への移行も禁ずるべきであります。
 最後に、日本共産党は、国民に痛みを押しつける小泉構造改革路線に正面から対決し、社会保障の連続改悪を許さず、老後保障の抜本的改善による将来不安の解消、そして個人消費の回復による経済の再生を目指す決意を表明し、反対討論といたします。
#251
○委員長(中島眞人君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 確定拠出年金法案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#252
○委員長(中島眞人君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、柳田君から発言を求められておりますので、これを許します。柳田稔君。
#253
○柳田稔君 私は、ただいま可決されました確定拠出年金法案に対し、自由民主党・保守党、民主党・新緑風会、公明党、社会民主党・護憲連合及び二院クラブ・自由連合の各会派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    確定拠出年金法案に対する附帯決議(案)
  政府は、確定拠出年金が自己選択と自己責任に基づく初めての年金制度であることにかんがみ、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。
 一、確定拠出年金の実施に当たっては、本制度に対する国民の理解が深まるよう十分な周知を行うなど、円滑な実施を図るために必要な環境整備に努めること。
 二、企業型年金規約の承認に当たっては、法律や政令で定める基準に合致していること及び労使合意が適正になされていることの確認を的確に行うこと。
 三、確定給付型の企業年金等から確定拠出年金への移行に当たっては、労使合意が適正になされていること、並びに従前の確定給付型の企業年金及び移行時における権利の保護が十分なされていることの確認を的確に行うこと。
 四、事業主等が加入者等に対して行う資産運用に関する情報提供については、提供されるべき情報及び提供に際しての禁止行為に係る基準を示し、加入者等が適切な理解のもとに資産運用を行うことができるようにすること。
 五、受託者責任については、その理念・内容が事業主、運営管理機関など関係者に十分に周知され定着するよう努めること。特に、金融機関が運営管理機関を兼ねる場合は、加入者等のために忠実な業務の遂行が確保されるよう適切な指導を行うこと。
 六、事業主、国民年金基金連合会や運営管理機関が確定拠出年金の実施に関し業務上取り扱う個人情報については、その適正な保管・使用に万全を期すよう指導を行うこと。
 七、管理手数料については、加入者等の利益が図られるよう、運営管理機関の幅広い参入とその競争を基本に、サービスに応じた適正な水準となるように配慮すること。また、手数料についての情報が、加入者等に適切に提供されるようにすること。
 八、確定拠出年金の拠出限度額など拠出の在り方については、制度の実施状況などを踏まえ、今後とも検討すること。
 九、国民年金第三号被保険者の取扱いについては、公的年金制度における取扱いとのバランスや本制度の導入の目的及び公平性の観点から、引き続き検討を行うこと。
 十、年金に対する課税の在り方については、各制度間のバランスに留意しつつ、拠出時・運用時・給付時を通じた負担の適正化に向けて検討を行うこと。
 十一、国民が年金資産を運用するに当たっては、金融・証券市場の信頼と安心が確立されていることが必要であることにかんがみ、市場の公正性・透明性を高めるための改革を進めること。
  右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#254
○委員長(中島眞人君) ただいま柳田君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#255
○委員長(中島眞人君) 多数と認めます。よって、柳田君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、坂口厚生労働大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。坂口厚生労働大臣。
#256
○国務大臣(坂口力君) ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして努力をいたします。
 ありがとうございました。
#257
○委員長(中島眞人君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#258
○委員長(中島眞人君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#259
○委員長(中島眞人君) 次に、厚生年金保険制度及び農林漁業団体職員共済組合制度の統合を図るための農林漁業団体職員共済組合法等を廃止する等の法律案を議題といたします。
 政府から趣旨説明を聴取いたします。坂口厚生労働大臣。
#260
○国務大臣(坂口力君) ただいま議題となりました厚生年金保険制度及び農林漁業団体職員共済組合制度の統合を図るための農林漁業団体職員共済組合法等を廃止する等の法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 公的年金制度の一元化につきましては、就業構造の変化、制度の成熟化の進展等に対応し、公的年金制度の安定化と公平化を図るため、財政単位の拡大及び共通部分についての費用負担の平準化を図ることを基本として、統一的な枠組みの形成を推進することが必要であります。
 この法律案は、こうした状況を踏まえ、公的年金制度の一元化の一環として、農林漁業団体職員共済組合の年金給付等を厚生年金保険へ統合するとともに、当該共済組合の組合員であった期間を有する者に対する規定を整備する等所要の措置を講ずるものであります。
 以下、この法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、農林漁業団体職員共済組合法等を廃止し、旧農林共済組合の組合員を厚生年金保険の適用対象とするとともに、旧農林共済組合の年金給付等のうち厚生年金相当部分については、厚生年金保険から支給することとしております。
 また、厚生年金相当部分の年金給付に要する費用に充てるため、旧農林共済組合は、厚生年金保険の管掌者たる政府に対して当該費用に係る積立金に相当する額を納付するとともに、農林漁業団体の事業所等に係る被保険者については、特例保険料率を設定することとしております。
 第二に、旧農林共済組合の年金給付等のうち、旧農林共済組合員期間に係る職域年金相当部分について、統合後もなお経過的に存続する農林共済組合が支給することとしております。
 なお、この法律の施行期日は、平成十四年四月一日としております。
 以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#261
○委員長(中島眞人君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後三時二十七分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト