くにさくロゴ
2001/06/28 第151回国会 参議院 参議院会議録情報 第151回国会 厚生労働委員会 第20号
姉妹サイト
 
2001/06/28 第151回国会 参議院

参議院会議録情報 第151回国会 厚生労働委員会 第20号

#1
第151回国会 厚生労働委員会 第20号
平成十三年六月二十八日(木曜日)
   午前十時二分開会
    ─────────────
   委員の異動
 六月二十六日
    辞任         補欠選任   
     鹿熊 安正君     釜本 邦茂君
     斉藤 滋宣君     柳川 覺治君
     木俣 佳丈君     羽田雄一郎君
     本田 良一君     朝日 俊弘君
     海野 義孝君     山本  保君
 六月二十七日
    辞任         補欠選任   
     柳川 覺治君     斉藤 滋宣君
     羽田雄一郎君     木俣 佳丈君
 六月二十八日
    辞任         補欠選任   
     釜本 邦茂君     成瀬 守重君
     朝日 俊弘君     堀  利和君
     松崎 俊久君     本田 良一君
     山本  保君     大森 礼子君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         中島 眞人君
    理 事
                亀谷 博昭君
                斉藤 滋宣君
                柳田  稔君
                沢 たまき君
                井上 美代君
    委 員
                阿部 正俊君
                大島 慶久君
                狩野  安君
                田浦  直君
                鶴保 庸介君
                成瀬 守重君
                南野知惠子君
                川橋 幸子君
                木俣 佳丈君
                長谷川 清君
                堀  利和君
                本田 良一君
                大森 礼子君
                浜四津敏子君
                小池  晃君
                大脇 雅子君
                西川きよし君
                黒岩 秩子君
   国務大臣
       厚生労働大臣   坂口  力君
   副大臣
       厚生労働副大臣  南野知惠子君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  中川 義雄君
       厚生労働大臣政
       務官       田浦  直君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        川邊  新君
   政府参考人
       司法制度改革審
       議会事務局参事
       官        仁尾  徹君
       法務大臣官房審
       議官       小池 信行君
       厚生労働省医政
       局長       伊藤 雅治君
       厚生労働省労働
       基準局長     日比  徹君
       厚生労働省雇用
       均等・児童家庭
       局長       岩田喜美枝君
       厚生労働省政策
       統括官      石本 宏昭君
       厚生労働省政策
       統括官      坂本 哲也君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○政府参考人の出席要求に関する件
○個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○将来の安心及び生活の安定のための社会保障の
 拡充に関する請願(第二号外七六件)
○食品衛生法の改正及び運用の充実強化に関する
 請願(第四号外二〇四件)
○介護保険の改善及び医療保険の改悪反対に関す
 る請願(第五号外三二件)
○小規模作業所等成人期障害者施策に関する請願
 (第七号外二件)
○高齢者の生活安定、雇用機会の創出等に関する
 請願(第二五号外四件)
○介護保険の改善及び医療費の負担増反対に関す
 る請願(第五〇号外二二件)
○安心して子供を産み育てることができるための
 緊急対策に関する請願(第九八号外一一件)
○建設労働者の賃金の保障及び労働条件の改善等
 に関する請願(第一一八号外三件)
○国立病院及び療養所の廃止、移譲及び独立行政
 法人化反対等に関する請願(第一二二号外二一
 件)
○介護保険及び国民健康保険の改善に関する請願
 (第一七六号外二六件)
○在宅介護利用料の引下げ等介護保険の緊急改善
 に関する請願(第二〇〇号外一件)
○国民の暮らしを守るための雇用確保及び社会保
 障の拡充に関する請願(第二一三号外一一件)
○介護保険等の緊急改善に関する請願(第二六二
 号)
○総合的難病対策の早期確立に関する請願(第二
 六八号外五七件)
○視覚障害者が購入するパソコン等に対する公的
 助成に関する請願(第二九二号外一五件)
○無認可保育所に対する国からの補助に関する請
 願(第二九四号外二件)
○男性助産婦導入反対に関する請願(第三三〇号
 外一六件)
○保育・学童保育予算の大幅増額等に関する請願
 (第三三七号外七一件)
○安心して暮らせる老後を保障するための年金制
 度の改善に関する請願(第四二四号外三二件)
○国立病院及び療養所における院内保育所の改善
 等に関する請願(第五二五号)
○看護制度の一本化等に関する請願(第五七〇号
 外二二件)
○腎疾患総合対策の早期確立に関する請願(第六
 五〇号外七三件)
○業者婦人に対する社会保障の充実等に関する請
 願(第八七六号外四〇件)
○中国帰国者の老後の生活保障に関する請願(第
 九〇三号外一件)
○中国帰国者に対する老後の生活保障及び授産事
 業の実施に関する請願(第九〇四号外一八件)
○障害者のための介護保険制度の改善等に関する
 請願(第一〇〇三号外九件)
○パーキンソン病患者の療養生活の質の向上等に
 関する請願(第一〇七五号外一〇件)
○国立療養所香川小児病院の統廃合反対に関する
 請願(第一一〇二号外四件)
○マッサージ診療報酬の引上げに関する請願(第
 一一六七号外一四件)
○保険料についての特例措置の継続等介護保険の
 緊急改善に関する請願(第一一九三号外五件)
○じん肺根絶に関する請願(第一四八五号外一一
 件)
○国立病院及び療養所における看護職員の増員等
 に関する請願(第一五五五号外八一件)
○労働時間についての男女共通規制の実現、育児
 ・介護休業制度の改善等に関する請願(第一六
 二三号外二四件)
○肝がん予防を始めとする肝臓病についての総合
 的対策確立に関する請願(第一六七六号外二四
 件)
○交通運賃の割引等精神障害者保健福祉手帳によ
 るサービス拡大に関する請願(第一六八〇号外
 二〇件)
○肝がん再発予防薬等未承認のがん治療薬を使用
 可能とする制度の創設等に関する請願(第一六
 八五号外二件)
○リンパ浮腫治療の充実に関する請願(第一八一
 五号外一〇件)
○介護保険及び国民健康保険の改善並びに医療保
 険の改悪反対に関する請願(第一八四四号外一
 件)
○介護保険の緊急改善に関する請願(第一八四六
 号外二二件)
○女性労働者の賃金及び労働条件の改善に関する
 請願(第一八六九号外二二件)
○子育て支援についての緊急対策に関する請願(
 第一九六〇号外二四件)
○介護保険、医療保険及び年金制度の改善に関す
 る請願(第二〇六四号外三五件)
○小児慢性特定疾患治療費助成制度の存続及び拡
 充に関する請願(第二〇六五号外一四件)
○小規模作業所等に対する成人期障害者施策に関
 する請願(第二一一二号外二〇六件)
○介護サービス基盤の整備等介護保険の緊急改善
 に関する請願(第二二五二号外一件)
○安心して掛かりやすい医療に反する患者負担の
 再引上げ反対等に関する請願(第二三〇六号外
 二件)
○てんかんを持つ人に対する医療及び福祉の向上
 に関する請願(第二四〇三号外一二件)
○骨粗しょう症検診制度の充実に関する請願(第
 二四三三号外二一件)
○労働者のためのルールの確立に関する請願(第
 二四五五号外二二件)
○高齢者の施設建設等に関する請願(第二六一一
 号外二件)
○母子家庭に対する自立支援施策の一層の充実等
 に関する請願(第二六一二号)
○失業者及び高齢者の就労対策の充実に関する請
 願(第二六八八号外二二件)
○公的責任による社会福祉の拡充に関する請願(
 第二七三四号外一件)
○看護婦の大幅増員による患者の安全確保、介護
 保障の確立等に関する請願(第二八六二号)
○継続調査要求に関する件

    ─────────────
#2
○委員長(中島眞人君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。
 まず、理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(中島眞人君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に斉藤滋宣君を指名いたします。
    ─────────────
#4
○委員長(中島眞人君) 次に、政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律案の審査のため、本日の委員会に司法制度改革審議会事務局参事官仁尾徹君、法務大臣官房審議官小池信行君、厚生労働省医政局長伊藤雅治君、厚生労働省労働基準局長日比徹君、厚生労働省雇用均等・児童家庭局長岩田喜美枝君、厚生労働省政策統括官石本宏昭君及び厚生労働省政策統括官坂本哲也君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(中島眞人君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#6
○委員長(中島眞人君) 次に、個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律案を議題といたします。
 本案につきましては既に趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#7
○長谷川清君 民主党・新緑風会の長谷川清です。
 きょうは、質問の順序を少し変えまして、流れがちょっと変わりますけれども、きょうは同時刻にこの二階で司法制度改革審議会の意見書に対する質疑が今行われておる、こういう状況下にありながら関係者の皆さんにも来ていただいておりますので、これを先に質問させていただきたいと思います。
 まず、司法制度改革審議会、これはいろいろの要点があって、これから審議をされていると思いますけれども、その中で、特に私ども労使関係についての個別紛争にかかわる部分で、ADRにつきまして、この点についてのみ、一応いろいろありますけれども、時間の関係でこの点を一点、審議会の参事の方にお願いをしたいと思います。
 それから続きまして、法務省の方には、司法関係者の労働部門に携わっている人々の整備状況、言うならば法曹人口というものについて現在の状況やこれからの状況、できればその法曹人口の中における労働専門という分野においての方々の数、こういった点を一点お聞きしておきたいのと、もう一つは、労働委員会における命令というものと、いわゆる裁判所における判決というものが必ずしも一致しない、相違する場面が多々ございます。それは、現実的に一体どのぐらいの比率になっているか、この二点について法務省の方にお伺いをしておきたいと存じます。
#8
○政府参考人(仁尾徹君) 司法制度改革審議会の意見書は去る六月十二日に内閣に提出されたわけでございますが、意見書におきましては、個別労使紛争を中心に増加しております労働関係事件の最近の動向、あるいは労働関係事件の専門性等を踏まえて、「訴訟手続に限らず、簡易・迅速・柔軟な解決が可能なADRも含め、労働関係事件の適正・迅速な処理のための方策を総合的に検討する必要がある。」とした上で、民事調停の特別な類型といたしまして、雇用・労使関係に関する専門的な知識経験を有する者の関与する労働調停を新たに導入すべきであるとしているところであります。また、その具体的な制度設計に当たりましては、申立人の住所地での申し立てを可能とすること、訴訟手続との連携を強化すること、調停の成立を促進するための仕組みを設けること等につきまして、他の紛争解決手段との関係をも考慮し、検討すべきであるとされているところであります。
#9
○大臣政務官(中川義雄君) 委員御指摘のとおり、このたびの司法制度改革審議会の意見書の中で特に労働関係事件について取り上げておりまして、労働関係訴訟事件の審理期間をおおむね半減することを目標にしなさいということが言われております。そんなこともありまして、労働事件を初めとしまして、知的財産権、医療過誤等の専門的知見を要する事件に迅速かつ的確に対応するとの観点から、法曹人口の大幅な増加を図り、その中で裁判官を大幅に増員するとともに、法曹の専門性を強化していくということを強く指摘されているわけであります。
 これを受けまして、政府といたしましては、今後しかるべき推進体制、この七月には司法制度改革推進準備室をまず設けて、その中で専門的にいろいろと検討していきたい、そして、審議会の意見を最大限に尊重して改革の実現に積極的に対処していきたいと、こう考えている次第であります。
#10
○長谷川清君 もし時間があれでしたら、お二人の方は結構でございます。
 今も報告がございましたように、要するに厚生労働委員会として本法が今出されております。それにかかわる幾つかの、六つのケースがあったり、それを絞って三つのケースだとかいうことの中に、今も私が聞きました司法に関するいわゆる民事調停を主張する案というものがございましたが、今もお聞きになりましたとおり、司法の関係という部分については我が国においてはまだ、今現在、どちらかというと、位置づけからいきますと最後のとりでであって、人手においてもその体制においてもシステムがまだ十分にできていないからこそ、改革委員会を設置して、きょう報告がこれから二階でやられて、これからこういうことを準備していこうというようなことが今検討されていると、こういう、言いかえれば報告がございました。
 そういう状況の裏づけとしまして、少なくもこの司法に関係する我が国における人口というのが現在では約二万人と言われておりますが、これがこの審議会の中においては、二〇一八年の段階で五万人の規模にしようという、こういう目標になっております。
 現在の二万人という我が国の状況は、国民の一人当たりに換算すると、いわゆる一人の法曹関係者が国民の六千三百人に当たる、六千三百人を言うならば賄うというわけではないが、そういう対比になるという、こういう状況下にあるところ、国際比較をしてみますると、アメリカは約九十四万人の法曹人口を持っており、同国民対比でいきますと二百九十人であります。六千三百人と二百九十人、これは大変な違いがあります、需要と供給の関係では。イギリスでは約八万三千人の人口に対して七百十人、ドイツは十一万一千人に対して七百四十人、フランスは三万六千人に対して千六百四十人といったように、しかも今後の年間におけるそれぞれの法曹人口の増加状況と、過去における実績でいきますと、年間でアメリカは約一年間に五万七千人が増員されている。イギリスは約四千九百人、ドイツは約九千八百人、フランスが二千四百人と、こういう状況が総グロスにおけるいわゆる司法の中における需給関係ということになっておりますから、今、ここの先ほどの報告にございました審議会の目標が達成されたといたしましても、二十年たっても諸外国には追いつかないというそういう関係になっておりますから、我が国においては、いかに裁判所というものは敷居が高いものであるという結果が如実にあらわれていると思います。
 私は、それのよしあしを論じようとしているのではございませんで、三つの選択として言われておりました、司法について今我々が抱えている労働分野における個別紛争の処理の機構をどこを中心に据えるかという点からいけば、まだ準備不足。最後の最後のとりでとしての司法の存在は認めるけれども、今急増している状況の中にあって対応をすぐできるものではないという。したがって、これは三つの中からは退場していくと思います、我々のテーブルでは。しからばというので、二つ残ります。
 きょうは私は、こうやっているうちにもう残り一時間三十分を切っておりますけれども、その時間のすべては、なぜ、今回提案されております政府案が労働委員会を中心に据えていないのか、それは労働行政の分野の範疇で柱を立てているところに最大の問題がある、その点について、私はもうこの一点だけの質問です。いろいろな質問をこれからいたしますけれども、それらは全部寄せ集めるとそこに帰結をすると認識をいたしております。
 そういう視点に立って、大臣にまずお伺いをいたしますけれども、今、政府が提案をしております労働局を中心にする立て方というものについて、本当に目的を達する、紛争を解決する、そういうものになるという確信を持っていらっしゃいますか。
#11
○国務大臣(坂口力君) 今、長谷川委員から御指摘をいただきましたように、残念なことではございますけれども、労働者のさまざまな紛争というのが起こっていることは事実でございます。そして、今お話がございましたように、それが司法の場に持ち込まれて、そして議論をされることもございましょう。しかし、なかなか、今お話ございましたとおり、規模的にもそれを迅速にこなしていけるような体制にまだ今なっていないということもそのとおりではないかというふうに思います。
 時代の変遷とともに、労使関係の間に持ち込まれてまいります問題も非常に幅広くなってまいりました。昔は余りなかったような問題も、最近は多くあちこちで取り上げられるようになってきていることも事実でございます。例えばセクシュアルハラスメントの問題等も、これは昔はそれほど取り上げられてこなかったというふうに思いますけれども、最近はたくさん各地域で取り上げられるようになってまいりました。その内容も非常に幅広くなってきているというふうに思います。
 その中で、私は、今、委員が御指摘になりましたように、地労委が務めておみえになった役割というのは非常に大きいと思うんです。私もそれぞれの地域の皆さん方もよく存じ上げておりますし、そして大変熱心にさまざまな問題をお取り上げいただいていることも存じております。そうした皆さん方が今までからもそうでございましたし、そして地労委のところに寄せられる相談の内容もまた非常にふえてきているのではないかというふうに思います。同時にまた、国の側のいわゆる出先でございます労働局に寄せられております案件も非常にまた範囲も広く、そしてまた件数も非常に多くなってきているわけでございます。
 それは、私が思いますのに、地労委で解決をしていただきます分野のこと、そのようにお願いをした方がいいというふうに思われるところは地労委の方にお願いに皆さん行っておみえになるのだろうというふうに思います。しかし、特に国がかかわっておりまして、これはやっぱり国の方に行った方がいいといったようなところは、労働局あたりのところにやはり御相談をいただいているのではないかという気もいたします。
 決して我々、この法律を出すことによって、ここに集約をしようとかそういう気持ちは全くございませんで、ここに選択肢として一つその選択肢をふやさせていただく。しかし、今まで伝統的にいろいろとおやりをいただいてまいりました、それが司法関係のところでありますとか、あるいはまた地労委の方々でありますとか、そういう皆さん方のところで熱心にまたおやりいただけるようなやはり対策というものも当然のことながら考えていかなければならない。その中の一つとしてここに御提案をさせていただいたというふうに御理解をいただければ幸いでございます。
#12
○長谷川清君 ただいまの大臣の話を聞いておりますと、私もこの地労委の案というものが全然無意味であり必要ないと言っているのではありません。労働行政のもとにおけるその範囲のいわゆる労働基準監督署、ルールを守る監督という監督権と、仲裁的な、中立で、守るべき、監督すべきそのルール、それ自身についていろいろの不満があったり紛争が起こる。そういう場合を処理する権限、これはより司法の権限なんです、より司法に近い権限。これを同時に二つあわせ持つというこういう問題が生じますから、もし労働委員会ではなくて行政のラインの範疇でやるという場合は、私は法案のタイトルは紛争の解決などという仰々しいものではなくて、ワンストップサービスにはなっていないんですから、権限上どうしてもあっせんまで、それ以下のいわゆるどちらかというと紛争予防的業務の方が多いんです。
 これは、後においてもまた明らかにしていかなきゃなりませんが、この二つの異質の権能を本当に調和できるのかどうか。組織はきちんと分けなきゃなりませんし、専従体制をきちっと置かなきゃなりません。これが甘いというと、混同しますと、だんだん今常時の勤務をやっている業務と新たなニーズで発生している紛争業務とが混線してくることになるんです、同じ世帯の中に二つの機能を備えようというんですから。そういったいろんな問題や、あるいはそこで果たして解決率を見ますると、大体の解決率は二二%ぐらいなんです。指導しながら関与して、そして問題が解決をしたという解決率は。
 したがって、まあ言うならば法案は紛争の解決というタイトルになっているが、中身はそれを超えない。逆説的に言うと超えると違反です。超えない範囲の中のお手伝い、言うならばどちらかというと、タイトルと中身を一致しようとさせれば、中身にタイトルをつけるとすれば、紛争の解決という法案ではなくて、せいぜいお手伝い法案です。そこら辺はよくわかった上の提案なのか。
 それからもう一つは、今大臣も後半の方で言っておりました、労働委員会というものもということを言っておりますが、そういう認識が本当にあるなら、なぜ政府案としてそれを提案しなかったか、それを柱にしなかったのか。事情があって次善の策で柱にはできなかったが、地方労働委員会を設置するということを法案提案の中でなぜそれはできなかったのか、そういう問題が生じてまいります。
 その点について、もしお答えがあればお願いします。
#13
○副大臣(南野知惠子君) 本当に先生の一本筋の通った御説得、今、大きな大きな意味での勉強をさせていただきました。
 先生がお話しになられましたこの名前のことでございますが、本法案というものにつきましては、国及び地方公共団体が相まって全体としての複線型で紛争解決をしていこうというシステムを整備するものであり、国と地方公共団体の役割分担のもとに紛争の解決を促進していくということから、適切に対応するという意味では、先生がおっしゃったお手伝い法案、そのほかいっぱいあるだろうと思いますが、命名がございますでしょうが、それをさらに踏み込んでいく適切な題名であるというふうに思っております。
 病気におきましても治療より予防という気持ちがございます。先生のお話も十分御指導いただいたつもりでございますので、ありがとうございました。
#14
○長谷川清君 要するに、今複線型という話も出ましたが、労働委員会の地方版というのは原案には入っていなかったんですよ。衆議院でそれを修正して入れたんです。
 私が問いたいのは、そういう原案の中に大きな一番大事な機能が喪失をしたままで、言われたから入れているというそういう認識では、今後の運営に当たってベストミックスは実行できない。幾つか数ある中のいろいろの、労働局もやりましょう、労政事務所でもやりましょう、あるいは相談コーナーも設けましょう。行政がやり得る範囲というものは、権限上の問題からいって限界があるんです。
 だから、司法ほど重くもなく、司法ほど敷居が高くもなく、行政ほど手軽でもなく、労働委員会というものを中立として最後の仲裁まで、相談、その上のあっせん、それがだめなら調停、仲裁というそういう機能を備えて、先ほども聞きましたけれども、労働委員会における命令というものは司法における裁判の判決と同様の価値を持つ、そういうシステムを四階建てで建物がつくられているからです。ここにワンストップサービス、相談に来た人がどんどん階段を上って最後まで行っても解決がつくんです。
 ところが、労働局案というのは二階建てです。むしろ二階建てでも一階半ぐらいの二階建てなんです。どちらかというと、いろいろと相談に乗ってあげる、情報を提供してあげる、これは本来業務なんです。本来業務でありながら、従来の基準の中に分掌事項が入っていないから、労働基準法を一部変えたり、地方においてはこの基準、規定を変えて、とりあえずの処置として、わあんと今上がってきている全国で百万と言われる紛争をとりあえず便宜的に、暫定的にこなしている状況です。その便宜的、暫定的にやっている状況を、今回法律でそこをかちっとコンクリートにしたら一体どうなるのか。
 こういう問題について、例えば質問に入りますけれども、そういうことは今に始まったんじゃないんです。もう平成の初年からそういう状況がずっと個別の相談が起こってきて、少なくも統計がとれるぐらいの総量になってきたのは七年ぐらいでしょう、平成七年ぐらい。七年、八年、九年、十年、もう七、八年たっているんですよ。こういう問題について私は、一つは対応が非常に遅いということが言えるし、いま一つはその内容の問題、遅いにしてはお粗末過ぎる、こういう感がするわけでありますから、一体この提案に至るまでの過程はどういうことが審議されてきたのか。少なくも研究会は六つのケースを選択肢で既に報告を出しているんです。平成十年に。
 今日までの経緯について、かいつまんで報告をしてください。
#15
○政府参考人(坂本哲也君) 本法律案の提出までの経緯について若干御説明をさせていただきます。
 ただいま先生御指摘ございましたように、この個別労使紛争処理制度のあり方につきましては労使関係法研究会、ここで検討が行われまして、平成十年十月に報告書が取りまとめられておりまして、その中で六つの案が示されたところでございます。
 具体的には、まず一つ目は労働委員会を活用する案、二つ目は新たに雇用関係委員会といったようなものを設ける案、三つ目は労政主管事務所を活用する案、四つ目は、先ほどもちょっとお話しございましたけれども、民事調停制度を活用する案、それから五つ目が都道府県の労働局を活用する案、それから六つ目は雇用関係相談センターといったようなもので対応する案と、この六つあるわけでございます。
 また、この労使関係法研究会とは別でございますけれども、一つに、全国労働委員会連絡協議会、全労委の方でも労働委員会制度のあり方に関する検討委員会というものが検討を進めておられまして、平成十二年七月に報告がまとめられました。ここでは、都道府県が地方自治に基づいて個別的労使紛争処理に地方労働委員会を活用する場合のサービスのあり方の一方策というものを提示いたしております。
 またさらに、労使団体それぞれで検討も進められております。日経連では、企業内の自主的解決を基本としながらADRとしての民事調停の活用を提案をする。一方で連合の方では、労働委員会制度の改編を行って個別的労使紛争を扱えるようにすべきといった提言でございました。そういった法律案の要綱も提示をされたところでございます。また、民主党の方におかれましてもいろいろと検討が行われてきたというふうに承知をいたしております。
 こういった状況を踏まえまして、個別紛争が非常に多発しているという、これに迅速に対応していかなきゃいかぬという状況の中で、私どもといたしまして昨年の九月に個別的労使紛争処理問題検討会議というものを設けまして、昨年十二月にこの報告をまとめたわけでございます。この報告を踏まえまして、今般労働政策審議会に諮問をし、答申を得た上でこの法律案を取りまとめたところでございます。
 以上でございます。
#16
○長谷川清君 今、二つのことを答えていただきました。一つは経緯であり、一つは六つのケースの検討状況。
 最初の経緯の中で言われております去年の九月に検討会議、いわゆる公労使を集めての検討会議を発足させている。がしかし、その前の八月二十八日には、週刊労働ニュースでもう既に地方労働局案を発表しておりますね、「個別紛争処理システム」として。「個別的紛争処理システムの整備のため、十五億円を盛り込んだ。このうち、総合的なシステム整備には九億五千万円を計上する。 具体的には、都道府県労働局長による紛争解決援助制度を拡充し、紛争調停委員会」、今提案されているそのままです、「を設置したうえで、調停制度を創設する。また、全国二百六十カ所に、多様な相談にワンストップで対応する総合労働相談コーナーを設置する。」と。
 八月の段階でもう既に、少なくも八月の段階でこれほど、予算を含めて発表するほどの案ができているということは、少なくも、一カ月かけたか二カ月かけたか知りませんが、その間には、去年にその部屋まで設けて、個別紛争検討の部屋を設けましたね。恐らくそこから検討したんでしょう。そういうものをがっちりともう既に固めて、それから、さあどうですかといって検討委員会を開催している。検討委員会は何回かやっておりますね。それも承知いたしております。経緯を見ると、最初から最後までずっと変わっていないんです。これはあくまでも労働行政が行政の範疇の中で、今できている状況を、まず一番最初は八年に、そして九年、十年に、そうやっていろいろ基準法や何かを変えて対応がとりあえずできているという、そういう経緯に基づいてそこでやらせようという、こういう発想であります。
 根っこから欠けておりますのは、ここにもワンストップサービスなんというけれども、ちっともワンストップサービスではないのでありまして、我々が主張しておりますのは、二点目の六つの検討ケースという中でどんどん絞られていって、最後は三つになって、そのうちの一つの司法は今退場して、残ったのは二つという、労働委員会かあるいは地方局なのか、こういうことが最後の判断。
 六つのケースの中で研究会はどういうふうに言っているんですか。六つを比較してみると、比較対照の上においてはやはり労働委員会が一番と評価をしております。理由は一々述べません、もう。時間がありません。しかし、一応、大事だから言っておきます。
 研究会が労働委員会に対してコメントしておりますのは、一つは、これまでの労働委員会に蓄積されてきた労使紛争解決に関する知識や経験を活用することができるという点、二つには、公労使三者構成による調整能力を活用できることが利点である、三つ目、既存の制度を新たなニーズのために活用できること、四つ目、労働委員会は既に地域一般労組のあっせん申請や不当労働行為申し立てを通して個別労使紛争の調整に相当の件数を行っていてそこに扱う不安はない、企業の人事労務管理や労働者の希望とか不満に通じたそれぞれの人々を相談員に任命して、その知識経験を生かすことは個別労働関係をめぐって生ずる労使双方の苦情不満の処理に極めて有益である。
 こういったようなあらゆる、私が言っているんではなくて、研究会であるとか検討会であるとかいろんなものは、そういうふうに総合的なワンストップサービスというものが機能として必要であるということを社会全体は求めているんです。にもかかわらず、すべての機能を全部備えている労働委員会を中心に据えるどころか、衆議院ではやむなくそれは修正で入れましたけれども、その認識の甘さがあると。私は本来ならば、それは今や遅いかもしれないが、わかった、だから今後のために、修正した部分のその重さというか、そういうものを十分に今後指導性の中で発揮していくよという部分がないと、これはどこをどうつないでもゼロ掛けるゼロはゼロなんです。労働委員会が全部、一つの機関ですべてを賄っていける。
 私は、ヨーロッパを全部回った、昔の昔ですけれども、イギリスにおいても、労働審判所というのは明らかに労働問題だけを扱う場所なんです。しかも仲裁まであります。三者構成です。ドイツもしかりです。ドイツは労働裁判所と言っておりますが、我が国の場合には裁判所と言っておりません。それはなぜかというと、憲法では司法というのは明確に線を引いています。最高裁とその直接の地方裁判所、この権限以外はすべて認めない、司法権は。そういうこともあり、日本では労働裁判所とは呼んでおりませんのと、もう一つは、戦前はこれは民事調停、調整で扱っておりましたね。それと労働調整です。この二つは国家権力ががんと行使されていったがために、戦後やっと権力からの独立という形で労働委員会が誕生して、もう五十数年たっているわけです。
 私は、集団を扱う場合も、イギリスもドイツもフランスもみんなそうです、集団も個人も今からもう、一九七〇年代から個別も扱っている。しかも労働オンリーの性格を持って、しかも四階建ての最後の仲裁までやるという機能を備えております。我が国は、そのうちの集団だけはそういう機能を持っているんです。個別紛争を扱う法律背景がないから、本来ならば、ここでそれを打ち立てればILOの基準にも従うことになりますし、世界の常識と同じような。
 しからば、ここでお伺いしますが、労働委員会におけるあっせんということと、今皆さんが提案している地労委におけるあっせんというのは、どこが違うんですか。
#17
○政府参考人(坂本哲也君) 今、労働委員会、地方労働委員会で行っております集団的な労使紛争のあっせんといいますのは、三者構成、公労使の三者の機関としてその調整のためにいろいろと御苦労をいただくことにあるわけですけれども、本法律案の予定しております個別労使紛争に関するあっせんにつきましては、その前に労働局長の助言、指導といったようなものを置きまして、そして労使紛争、個別的ないろんな問題につきまして助言、指導を踏まえた上で、また必要に応じてあっせん案を提示をする。これは学識経験者のみで構成する委員会で対応するということにいたしておるところでございます。
 基本的に、やはり個別紛争につきましては、ここに持ち込まれます方、大変厳しい状況に置かれている、困った形で持ち込まれているということで、速く、また廉価に解決をするということが必要であろうということで、そういった対応にしておるわけでございます。
#18
○国務大臣(坂口力君) 長谷川委員のお話をずっと聞かせていただいておりまして、大分私もわかってまいりました。
 それで、この労働局というのは、今までから助言や指導はずっとしてきたわけですね、今までから。これは行政の範囲でございますから。これはいわゆる行政機関ですから、それは監督や指導をするのは当然でございましょう。そこに今度あっせんということを一つ加えたわけですね。しかし、監督指導をするところですから、あっせんといいましても、それは私はやっぱり助言、指導が中心のものだろうと思うんです。あっせんというのが加わりましても、やはり中心は助言ですとか今までの指導だとかということを中心にした中でのことであって、若干あっせん的意味合いをそれにプラスするとしても、監督指導をする役所ですから、そこには私は限界があると思うんです、ここには。そこが地労委と私は違うところだと思って、今、聞かせていただいてまいりました。
 地労委は純然たる中立の立場で、三者協議によって純粋にこれはおやりをいただいているわけですから、あっせんというものに真正面から取り組んでいただけるわけでありますが、そこが私は若干違うというふうに思いながら聞かせていただいてきたところでございます。
#19
○長谷川清君 違いはそのとおりでありますし、加えるならば、労働委員会がやっているあっせんというのは、今言うように権限上の制約があるんです。逆に言うと、それ以上のことをやっちゃいけないんです。労働委員会はもしあっせんを求められれば、そこで不調になってあっせんが打ち切られる。労働委員会であっせんを打ち切られたらそれっきりです。あとは裁判に行くしかないんです。
 こちらの労働委員会では調停委員会に入ります。調停委員会に入ると、三者のいわゆる公労使の委員がタッチをいたします。一番最初から言うと、相談の段階は調停委員が担当者が相談に乗ります。そこでいろいろ判断して、あっせんを求められて、あっせんが調う条件を持っていればあっせんに入れます。あっせんもその調停担当委員がやることができるし、希望があるなら三者で扱うということもできますが、そこが打ち切られた場合の話です。打ち切られたら調停委員会で、調停委員会になりますと今度は三人のいわゆる公益委員、三者構成委員によって構成されていて、調停権が与えられています。いわゆるあっせん案に対する勧告の権限です。つまり、どこが違うかというと、権限の違いなんです。労調法に基づくいわゆる労働委員会、こちらは労働基準法の、ですから法律の背景も違います、機能も違います。
 したがいまして、これをせっかく衆議院では地方の労働委員会を可能ならしめたのでありますから、私の願いとしましては、これからのいわゆる次善の問題として、ベストにはならなかったけれどもそれを本当は柱に据えれば一番問題がなかった。それと、労働局がやっているそういう業務を法律できちんと整理しておけばいい。そうすれば複線型の効果が出るんです。
 ところが、主役が逆になっておりますけれども、これからつくるであろう地労委という問題について、それは地方の自主性で、地方分権の時代でもあるからといったような、これも確かに額面はそのとおりなんですよ。しかし、そういう必要性の認識が深ければ深いほど中央における指導性、今後における、今既に愛知を初め高知だとか四県、地方は立ち上がっておりますね。これから首都圏におけるハードな部分が立ち上がってくることになると思います。そういう場面でできるだけ中央における指導性を発揮してもらわなければならぬということが私の注文になるわけでございます。
 それでまた、そういう問題が一つ起こってくるのと、つまりは、今のここの質問の中では、その同じあっせんにしても違いがある。だから、地労委の場合には、あっせんを打ち切られてもそのまま残っているというケースはほとんどない、全部解決に至っております。それは終着駅まであるから、相談に来る人はこれは何行きかということを解決してもらいたくて来るんです。予防的な、医学的な予防の部分においてはいろいろありますよ。時間がなくて触れるわけにはいかない。しかし、今、行政がやっていることは多分にしてその範囲なんですよ。そこには役立つんです。だから大いにやらなきゃいけない。
 例えば平成十一年の四月一日から平成十一年の九月三十日までの六カ月間の解決率を調べてみますと、全体で何らかの処置を求めてきた数は一万六千四百六十六件、そのうち解決をされたのは三千六百八十四件、解決率は二二%です。それはそうなるんです、もともと。それをわかった上の提案なんですよ。
 でございますから、まず地労委を健全に立ち上げていただく。それはできるだけ機能を備えたもの、できれば仲裁まで入れたもの、最悪でも調停権、ここが入っているもの。そして、一たび地方における、これからつくるであろう地方の調停委員会が打ち切ったとき、あっせんを打ち切ったら直ちに労働委員会の方に連絡、連携をとって、それが解決されていくような、そうすればベストミックスで全体というものの解決点も高まってくると思うんです。
 法律には紛争の解決が目的だと、こう書いてありますけれども、私は紛争の解決は手段にすぎないと思うんです。本当の意味のこの法案の目的というものは、紛争や何かを解決することによって、近代国家、近代社会、どんどん変わっております、そういう移り変わりがある近代国家の中にあっても近代的労使関係というものを確立することを促進していく、そこが最大の私どもの労働に関する労使の課題の紛争に当たってはそこが最大のノウハウであるということを、これを見落としてはならぬと思うんです。
 そういう意味において、小さな紛争の解決、こんなようなことは、私は今の法案のままであるととてもではない、題名に偽りあり、中身はまるでそうではない。だから寄ってたかって、それも必要ですから、予防的な部分という意味においてどんどん案件を扱っていただくことは結構ですが、ワンストップサービスの機能を備えたところに連携、連絡をとっていったり、第三の問題としては中労委とのたて糸よこ糸の関係の連携というものが、私は百歩譲って、衆議院が修正をしてまいりましたこの法案に対する幾つか注文をつけるとすればそういったようなことが起こるのであって、それが可能か不可能かは一にかかって労働委員会というものの機能、この認識というものを本当にわかっていただかなければそれはできないのではないか、そういう不安を持って言っておるわけでございます。そういう視点に立った場合に、まず現状の認識というものは非常に大事であります。
 私も東京都へ行ってまいりました。労働委員会の、あるいは東京都労働局のこれまで扱ってきた経緯であるとか、今現在の問題点とか、どんなふうに状況が処理されているか、またどのぐらいの日数がかかっているか。大体、相談という段階では三十分以内というのが七〇%、三十分から一時間というのは一六%ぐらい。一回の相談を受ける窓口での時間というのは大体二十五分ぐらい。そしていろんなことをやっております。街頭にまで出ているし、夜間におけるあれがふえているから、木曜日は夜間受付の日と決めてそこでもやっております。そこにおける件数、あらゆるデータは資料もいただいてまいりました。
 現状というものに対する認識、既に衆議院においても、総量、全体では百万が将来には百五十万の件数になるであろうということが言われておりますけれども、そういう実態というのが需要であるとするなら、それに対する解決する供給という、いわゆる労働行政が行う行政サービスの範囲ということを十分にわきまえた上の提案であったのかどうか、私はそういう点が懸念されてならないんです。
 労働委員会に対する認識は、今まで多くの時間がある中で我々は余り聞かされておりません。私ども民主党が一年以上かけていろんな学者先生からもいろいろと意見を聞き、あらゆる文献、世界じゅうのあらゆるケース、さまざまなことを全部民主党内においていろいろと研究結果、昨年の本当は通常国会で議員立法で出そうとしてすべて準備しておりました。それが結局国対上の関係でできなくて、そして去年の臨時国会、今度こそというので参議院先議でこれを出そうと、当時の各理事の皆さんには、全部その案はぜひ党内で検討してほしいと言って全党には全部行っているはずであります、私が行きましたから。
 そういったいろんな経緯の中で、ありとあらゆることを分析の結果、客観的なあらゆるものも含めて、やはりベストは、こういう紛争処理のシステムとしては労働委員会を中心に据える以外にないと。私は、今、与野党が逆転していて我々が与党だったらこの原案は絶対反対です。労働委員会を中心に据えた提案をいたします。そして、行政は何をすべきかという、限定的な非常に権限上の制約がありますから、せいぜいなせることは限界がございます。
 これら、以上の問題について、何か現状把握の中で、いわゆる皆さんが持っております解決点なり、もっと、いや高いよとか、いろいろな問題点について現状の中で何か問題点がある、あるいは私が今言ったようなことについて問題の発言があるというようなことはございましたか。
#20
○政府参考人(坂本哲也君) 先生いろいろ御指摘いただきました現状につきましては、私どもの把握しております状況と基本的には同様でございまして、現在、都道府県の労働局なり監督署に持ち込まれております労働条件の分野に関する個別労働関係紛争でございますけれども、平成十一年度が二万四千件、十二年度は四万八千件ということで非常に増加傾向にございますし、また、都道府県の労政主管事務所、ここでの相談件数も非常にふえておる。年間で十二万件を上回っておるといったような状況だというふうに私ども把握しております。
 このうち、解決の状況でございますけれども、具体的にいろんな指導を行って解決に至った件数で把握しております状況は、先ほど先生御指摘のような状況だというふうに私どもも理解をいたしております。
#21
○長谷川清君 それでは、このあたりで衆議院のいろいろの議論、それから、私が今申し上げたいろいろの視点、そういう点につきましてひとつ問題整理をいたしまして、確認のための答弁を求めたいと思います。全部で八問ございます。よろしいですか。
 国際労働機関のILOの三者構成の精神にのっとった労働委員会は、中立的機関であり、個別労働関係紛争の解決のための複線型システムの一翼として位置づけるべきであると考えるが、いかがですか。
#22
○国務大臣(坂口力君) 労働委員会は、労使の実務に詳しい労使委員の参加による労使慣行を踏まえた調整が行えるという利点があり、他の機関とともに個別労働紛争解決のための複線型システムの一翼を担うものと考えております。
#23
○長谷川清君 それでは、二問目をお願いします。
 衆議院での国会修正により、地方公共団体が個別労働関係紛争の解決のための施策として、地方労働委員会を活用し得ることを明確にされたことを踏まえ、都道府県において個別労働関係紛争の解決のための方策を検討する場合に、地方労働委員会の活用について適切に検討が行われるべきであると思いますが、いかがですか。
#24
○国務大臣(坂口力君) 都道府県は地域の実情に応じて個別労働関係紛争の解決のための方策を検討することとなりますが、その際、地方労働委員会の活用を図ることも有効な手段として検討されることを望んでおります。
#25
○長谷川清君 次は、三点目です。
 衆議院での国会修正により、個別労働関係紛争の解決のための施策として、地方労働委員会を活用し得ることが位置づけられたが、労働者が地方労働委員会に解決を求めたことを理由として不利益取り扱いを受けることは、民法第九十条公序良俗に違反し、許されないと考えるが、それでよいか。
 また、そのような場合には、都道府県労働局長に相談があれば公序良俗に反するものとして適切な対応がなされるべきと考えますが、いかがですか。
#26
○国務大臣(坂口力君) 労働者が地方労働委員会を初めとした個別労働紛争の解決機関に援助を求めたことを理由として、事業主が不利益取り扱いを行うことについては、民法第九十条に定める公序良俗に反するものとして禁止されているものであると考えます。
 地方労働委員会に援助を求めたことを理由とする不利益取り扱いに関して、都道府県労働局に援助を求められた場合には、公序良俗に反するものとして適切に対応してまいります。
#27
○長谷川清君 それでは、四問目です。
 法案では、紛争調整委員会が個別労働関係紛争解決のためにあっせんを行うとあるが、実際の個別労働関係紛争の現場では弱い立場にある労働者からの一方申請が出ることが考えられます。この場合、あっせん制度が十分に生かされるように配慮すべきであると思いますが、いかがですか。
#28
○国務大臣(坂口力君) 紛争解決制度の利用者である紛争当事者が利用しやすい制度となり、弱い立場にある労働者からの一方申請が行いにくくなることがないよう、制度の運用に当たっては最大限配慮をしてまいります。
#29
○長谷川清君 では、五問目です。
 法案では、「あっせんによっては紛争の解決の見込みがないと認めるときは、あっせんを打ち切ることができる。」としてあります。あっせんを打ち切る場合でも、それまでの過程で労使双方の意見を十分に聴取し、必要な調査などが行われるものであると考えておりますが、いかがですか。
#30
○国務大臣(坂口力君) 本法案に基づく紛争解決制度としては、あっせん制度だけではなく、都道府県労働局長による相談や助言、指導も行うこととしており、これらの過程で当事者から事情を十分に聴取し、必要な調査等を行うことにより適切に対処してまいりたいと思います。
#31
○長谷川清君 それでは、次に六番目です。
 紛争調整委員会が男女雇用機会均等法に基づく調停を行うことになったが、これまでのいろいろな経緯の中でできた均等調停委員会の目的や趣旨や機能は従来と全く変わらないということでいいのか。
 また、それが紛争当事者に明らかになるように省令などにおいて措置をするということだが、これに対して対外的な表示として明らかになるものと考えてよろしいかどうかという点です。
#32
○国務大臣(坂口力君) 現在、男女雇用機会均等法に基づいて行われている調停制度の目的、趣旨、機能は今回の改正によって何ら変わらないものであります。
 また、省令等において男女雇用機会均等法に基づく調停のための会議を、例えば機会均等調停会議といった名称とすることを検討してまいりたいと思います。
#33
○長谷川清君 今、例えば機会均等調停会議と言われましたが、大体こうなるという感じでございますね。
#34
○国務大臣(坂口力君) はい。
#35
○長谷川清君 では、七問目。
 中央労働委員会は、地方労働委員会が個別労働関係紛争の解決を行うに当たって、関係者の教育などを必要に応じて行うこととしてはいかがかという点についてお伺いします。
#36
○国務大臣(坂口力君) 中央労働委員会は、各都道府県が地方労働委員会を活用したサービスを行うことについて、情報の収集・整理、経験の交流、職員研修の援助などの役割を担うべきであるとされた全国労働委員会連絡協議会の検討チームの報告を踏まえ、今後、中央労働委員会において地方労働委員会の要望も受けながら適切な対応が図られるものと考えております。
#37
○長谷川清君 確認の答弁を欲しいのは次の八問まででございます。
 裁判官や弁護士らによる労働関係に関する話し合いと共同研究の場を持つことにより、労働裁判や裁判外紛争処理制度、ADRにおける処理の質が向上し、時間も早まると考えられるが、厚生労働省としても必要な協力を行うべきではないか。
 また、司法修習カリキュラムにおいて労働法を重視する、そういう働きかけを行うべきではないかという点についてお伺いします。
#38
○国務大臣(坂口力君) 労働関係紛争の適正、迅速な解決を実現していくためには、裁判所を含めた関係機関の協力、連携が不可欠であり、厚生労働省としても必要な協力を行ってまいりたいと思います。
 また、今後とも、必要に応じて司法修習カリキュラムにおいて労働法を重視することについて、関係機関に対しまして働きかけを行ってまいりたいと思います。
#39
○長谷川清君 それでは、確認の答弁は以上でございますが、それに準ずるような感じで一般の質問としてお伺いしておきたいのは、地方公共団体が地方労働委員会等において個別労働関係紛争の解決のための活動が円滑に行われるよう必要な支援を行っていく旨、大臣の答弁がございました。具体的にはどのような支援が行われるのかという点についてお願いします。
#40
○副大臣(南野知惠子君) 地方労働委員会におきます個別紛争解決制度といいますのは、地方自治に基づきまして都道府県知事からの委任を受けて行われるものであります。
 また、どのようなサービスを提供するかということにつきましても、当該地域の実情に応じまして都道府県の判断により決められるものであるというふうに思っておりますが、国といたしましては、都道府県で行われますサービスの内容に応じまして、情報の提供その他の必要な支援をしてまいりたいと思っております。
 以上でございます。
#41
○長谷川清君 次は、同様の質問でありますが、地方労働局における個別労働関係紛争処理制度が拡充されること等の判断から、これまで地方自治体が地域密着型で行ってきた労使行政サービスの質を低下させるおそれがないよう必要な支援を行うべきであると思いますが、いかがですか。
#42
○政府参考人(坂本哲也君) 今回のこの法律の制定によりまして、都道府県での紛争解決に対する取り組みが後退することのないように、私どもといたしましても、十分な連携を図りながら情報提供等の業務を通じまして地方に対する支援を行ってまいりたいと思っております。
#43
○長谷川清君 都道府県の労働局における個別労働紛争解決制度が地域の実情を踏まえつつ有効な制度として活用されるために、運用に当たりどのように対応をするのか、この点についてお願いします。
#44
○政府参考人(坂本哲也君) 地方労働局での個別紛争への取り組みが地域の実情に即したものになるようにということで、一つは、地方労働審議会等の場を活用しながら地域のいろいろなニーズを吸い上げていく、いろんな要望をお聞きしながら地域の実情に沿ったようなものに運用ができるように取り組んでまいりたいと思っております。
 また、国の組織ということで対応するわけでございますけれども、この業務に当たる職員に対しましては、地域の実情に十分配慮した、その地域の状況を十分把握しながら運用に当たるようにという意味での研修といいますか、そういったものを通じて徹底を図ってまいりたいと思っております。
#45
○長谷川清君 それでは次に、労働局の案で提案されておりますこの政府案は、どこが長所でどこが短所であるのか、その点についてお伺いしておきます。
#46
○国務大臣(坂口力君) どこが長所でどこが短所かと言われますと、なかなかお答えをしにくいわけでございますが、先ほどから、先生の御意見をずっとお聞きをいたしておりまして、これは先生おっしゃるとおり、先生のおっしゃることは正論だなと思って聞いているわけでございますが、余り正論だといって言い過ぎてしまいますと、それじゃおまえの出したのはどうかということになるわけでございますので、我々は我々の立場としてのことをここで先ほどからるる申し上げているわけでございます。
 先生が御指摘になりましたいわゆる地労委に活躍をしていただきます部分、それから裁判所がおやりをいただきます部分、そして労働局が担当をいたします部分、そこはおのずからやはりそれは分けられてくる。それぞれやはり特徴があり、そしてそこで解決をしていただくのに最もふさわしい案件というのはそれぞれあるというように私も思います。
 そして、その中で労働局がやりますことは、先ほどもちょっと申しましたとおり、指導監督庁でございますから、指導監督をいたしますところがあっせんをするということになってまいりますと、それはやはりその立場上、一方に、いや、それはあっせんは別だと、指導監督する立場とは別だというふうに言ったといたしましても、そこがそううまく割り切れるかどうかということが、私は率直に言ってあり得るというふうに思います。
 そこが欠点というか、欠点というよりも難しい、我々のやらせていただく仕事の中としては難しいことだというふうに私は理解をいたしておりますが、そうしたことを抱えながらも、一方において、労働局にはさまざまな御意見が、さまざまな御相談が寄せられているということも事実でございますので、労働局がこなし得る範囲の中で御相談を申し上げ、御助言を申し上げていくというのが我々の姿勢ではないか。
 したがいまして、事の大きい小さい、さまざまいろいろあり、どれが大きいのかどれが小さいのかということをなかなかこれ判断することも難しいですが、やはり中労委でおやりをいただきますこと、そしてあるいは司法の場でおやりをいただきますことと比べれば、労働局がお引き受けをいたしますことはもう少し日常茶飯事的な出来事、そして、本来ならばもう少し法律をよく御存じいただいておればそういうことが起きなかったことが、よく御存じいただいていないために起こってきた。それは経営者の側にあるかもわかりませんし、あるいは労働者の側にあるかもしれない。そうした問題に対して適切にアドバイスをし、そして、こういう内容だからひとつこれはこういうふうにしていただいたらどうですかという御意見を申し上げるという、若干この中身はそういう羅列と申しますか、段階があって、そういう方向に私はなってくるのではないかというふうに思いながら委員の御発言を聞かせていただいたところでございます。
#47
○長谷川清君 私は、政府提案の長所、いいところは、今起こっている個別紛争というのは全国レベルなんです。労働局というのは、これは全国的、総括的に対応ができるという点は私はすぐれていると思うんです。それから、そこには専門の職員がいる。さらに、こういうのを扱っていくことによってそういうものの養成が可能になっていくという意味において、需要と供給という関係はそういう、ただ致命的欠陥は、さっきから申し上げている権限上の制約があるからやれる範囲が、程度が決まっちゃうということ、そこだけは見落としてはいけない。
 ですから、私は過大にも評価しないし、いい点はいい点、悪い点は悪い点で、そういうものをどう補い合って、言うところのベストミックスで解決率を高めて、それが全体的な、日本の社会においてこれからどんどん労働の移動も激しくなるしいろんな不安も増大するんでしょうから、そういう分野に、そういう需要というものに対して全国的に、しかもレベル的にあるいは機能的なものを、多様なものを用意して、これは例えば労働法制研究会が既に発表しておりますが、今やっているこれらというんです。今、労働局がやったり労働基準局がやったり労政事務所がやったりというこれらは当面の措置であり、将来的には労働条件に関する紛争を調整するための総合的なシステムを検討する必要が断じてあるということを言っていますね。これは私が言っているんではなくて、大体客観的にこの問題を研究した人なら大体十人が十人、そういう機能を備えたものを総合的に、その中の一つであるということなんです。
 ところが、実際の提案はその一つしか提案しなかったんですよ。その認識について私は問うているんです。それを衆議院では修正といいながらも入れておりますけれども、それが単に格好だけで、今後の認識いかんによって、それはまた地方の問題だから地方でやりなさいと。そしてまた、何か聞くところによると、一方からの申請があったときに、あっせんを受けて立つ側の方のもう一方に、何もこれは義務はないんだよ、参加したくなければそれですぐ打ち切りますよ、参加しなかったからといって不利益も何もありませんよ、そういったようなことを省令だとか様式で決めるといったような、私はそれは当たっているんですよ。あっせんというのはAとBが来なければあっせんにならないんです。そこに、任意ということでやるんだからそうなることはわかるが、それをシステム化して、文章化して、様式化するがごときは一体どういうことなんですか。
 そうでなくたって解決率は二二%。さっきもお認めになりました。もうあっせんなんか格好だけはあるけれども、だから私はさっき二階と言いましたが、一階半という。あっせん機能はほとんどそうやって、何らかのそれには力が働いているんじゃないですか。自民党が圧力をかけたか日経連が圧力をかけたか知りませんよ。
 私は、いろんな意味において、連合の意見も聞きましたし、日経連の常務さんともお会いしましたし、いろんな面において多種多様な客観的な、法律をつくるんですから客観的でなきゃいけない。私は、言わずもがなのそういったようなことを規定化し、そして、そういうところの道筋をつくっていくような運用ということなどがちらちら見えるものですから、くどくどと、いろんな意味において、少なくも私が信頼している坂口厚生労働大臣でありますから、坂口大臣のときに何ともえも知れない法律が、どんどんどんどんそれが成長する発展性は何もなくて、問題がどんどこ起こってくるような内容であっては禍根を残す。
 そういう意味において、どうか、いろんな意味が込められておりますから、私は一番最後には大臣の認識と今後の姿勢を問いますけれども、今申し上げるようなこういう、あるときは研究会であったり、あるときは検討会であったり、あるいは勉強会であったり、いろんなところでもやってきている今までのそれらの問題というものと、提案されておりますその基本、軸が違っていると私は今でもまだ思うのでございます。
 そういう点については、今後、十分にひとつ間違いのないような執行と、今確認答弁にもいただきましたけれども、それ以外にもたくさんございますから、そういう点についてもひとつよく肝に銘じておいていただけないか。こういう便宜的、暫定的なありようというものに、これを恒常化し、法律でそれを固められてしまうということになってしまいますと、それでなおかつ労働委員会というものが、ある場合は地方でできなかったり、ある場合は機能が非常に乏しい、それと同じようなもので労働委員会がつくられていたりというようなことになってくると、大変なことになると思います。
 私は、集団の場合については、東京や大阪や、首都圏にどうしても集団事件というのは集中しちゃうんです。九州の果てであるとか北海道の出先の工場で起こった事件も、集団ですから、本社が東京にあったり組合の本部が東京にありますと東京の中労委に提起してくるんですね。だから、集団の場合には、過密な都市と地方においては過疎みたいに、ほとんど労働委員会が機能しない。こういったいろんな問題を四十一年のころから研究会や何かは全部ずっとやってきているんですね。四十一年、五十七年、ずっとやってきていますね。そして、個別の紛争のことについて扱ってきているんです。
 そういったようなことをいろいろ考え合わせていったときに、これだけの時間があってこれだけあれしながら、なぜこういう貧弱なところに軸を置いた法案をつくってしまったのか。これは、いまだにまだ私は納得ができていない。そういう意味においては、賛成をする立場で、しかし条件つきで、いろんな意味のそういう申し上げたところの部分は、本当にこれから執行の中にあって大臣は認識を深めていただいて十分に指導性の発揮をしていただけると。
 言外に私が申し上げたいろんな連絡、連携の問題や支援の問題や、そして結果としてそういうものが地方で立ち上がって機能するという答えを出していくための指導、最後にこの点のことをお伺いいたしまして、私としては、いろいろなことを申し上げましたけれども、特に基本の軸に置くべき判断の問題と、それに対する今後の、やむを得ない次善の策で今やられておりますから、それの上に立っての今後の運営が非常に大事になる、なろうことなら先ほどのようなそういう省令のようなものは撤廃してもらいたいぐらいに考えております。
 以上です。
#48
○国務大臣(坂口力君) いろいろと御指摘をいただきましてありがとうございました。
 御指摘をいただきましたように、個別労働紛争といいますものは、かなり質、量ともに多岐にわたってきたことはもう御承知のとおりでございます。そうした中で、これらをできる限り円満に解決をし、そして皆さん方に、この日本の中のそうした紛争を極力起こらないようにしていくためにはどうしていったらいいかということをやはり全体で考えていかなければならないというふうに思っております。そうした中で、今までありました個別紛争に対しますいろいろ解決をしていただいておりますそうした全体を見ながら、今回出しました法律は、その一部をここに提案したわけでございます。
 今回の出しましたこの法律は、そうした個別紛争全体を包括した意味での法律では決してないわけでありまして、その中に新しく労働局が受け持ちますところにつきましての法律を出させていただいたわけでございますので、そこはひとつ御理解をちょうだいしたいと思います。
 ただ、今御指摘をいただきましたように、ここに地方の労働局がそれぞれ担当いたします分野というものもわきまえなければなりませんし、そうして、今まで大変な御活躍をいただいた、そして多くのそこに経験と大きな蓄積をしていただいております地労委の今までの御意見やら、あるいはまた司法関係者の皆さん方の御意見というものは十分に尊重をさせていただきながらこれから進めてまいりたいと思いますし、またその行き方におきまして誤りなきを期していきたいと考えているところでございます。ありがとうございます。
#49
○長谷川清君 まだ少し時間があるようでございますから、それでは、これは政府参考人で結構ですが、予防の問題について、特に中小零細企業における自律解決に向けた予防措置ですね。いろいろ調べてみますと、大多数の発生源は中小零細の規模のところが非常に多うございます。業種別あるいは地域別、いろんなものを調べてみますと、最大限やはり中小企業に対する予防策、ここが非常に大事になってくると思うんです。その点について質問をいたしまして、私の最後の質問にいたします。
#50
○政府参考人(坂本哲也君) この法律案におきましては、紛争当事者の自主的な解決の努力義務規定を設けているわけでございますけれども、こういった規定を受けまして、私どもといたしましては、紛争当事者に対しまして、基本的な労働関係法令ですとか判例、そういった知識があれば紛争の発生を未然に防止することができるケースが現実問題として相当数見られるわけでございますので、具体的な取り組みといたしましては、いろいろ関係の法令とか判例をパンフレットにまとめまして、それを関係方面に配布する、あるいは都道府県の労働局でもって労使紛争の未然防止のためのセミナーを開催すると、こういったような取り組みを行ってまいりたいと思っております。
 また、全国二百五十カ所の相談窓口がございますけれども、そこで各種のいろんな情報提供を行うということで、特に中小企業の事業主の皆さん方に対しまして、自主的な解決の取り組みの支援に努めてまいりたいというふうに思っております。
#51
○長谷川清君 終わります。
#52
○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 最近の雇用情勢のもとで、個々の労働者と企業との紛争は増加しております。個別労使紛争の処理のための制度は緊急に必要であり、本法案の内容は十分とは言えないまでも、公的機関の関与で一定の救済効果が期待できるものと考えております。
 私は、実施上の問題についてただしたいと思います。
 これは、大変これから個別労使紛争がふえるだろう、急増するだろうということが予想されるわけでありますけれども、この制度を今年度十月から立ち上げるのに、新たに労働紛争調整官が配置されると聞いております。これは全国で何人配置されるか、配置されない県はどういうふうになるのか、お答え願いたいと思います。
#53
○政府参考人(坂本哲也君) 労働紛争調整官でございますけれども、ことしの十月から北海道、千葉、東京、神奈川、愛知、大阪、福岡、大都市圏を中心に七つの都道府県労働局にそれぞれ一名、計七名配置するということにいたしておるところでございます。
#54
○小池晃君 これは、制度の中身、法律をつくっても、それにふさわしい体制ができるかどうかというのは決定的に重要だと思うんです。私、これは全県に配置する方向でぜひ努力すべきだと思うんですが、いかがですか。
#55
○政府参考人(坂本哲也君) 今般は相当の事務量が予想される七局にこの紛争調整官を配置をすることにしたわけでございますが、それ以外の局におきましては、既存の人員体制の中で効率的な事務処理を行うことによって対処をしてまいりたいというふうに思っているわけでございます。
#56
○小池晃君 ぜひこれは広げる、実効ある措置にするためにも体制強化していくことを主張したいというふうに思います。
 実際の例に即してちょっとお聞きしたいんですが、例えば今、東京の京王電鉄というところでこういうことが起こっています。バス部門の労働者千二百六十名、これ全員を本人同意なしで一たん解雇した上で新子会社に転籍するという方針が出ております。会社側は何と言っているかというと、それが不服ならやめてもらいたいと。これ会社提案では百五十万円も減収になるんですね。退職金も昇給もなし、各種手当もないと。これ、ひどいんですよ。さらに労働時間も延長で、L勤務というんですけれども、毎日のように朝六時から九時過ぎまで働くと。会社側はどう言っているかというと、転籍については労働組合との協議が調っていれば個別同意は必ずしも必要ないと、非常に不当なことを言っているわけですね。
 東京労働局は、分社化が営業譲渡だとしたら、会社提案を労組が認めたとしても本人同意が必要だという見解を示しております。こういうケースは、労働者は今回のこういう個別紛争処理のスキームに持ち込むことができるのか、その場合どういう処理になっていくのか、お伺いしたいと思います。
#57
○政府参考人(坂本哲也君) 御指摘のようなケースにつきましては、事業主と労働者との間の労働関係に関する紛争であるという限りは、この法律案に基づく紛争解決制度の対象となるというふうに考えております。
   〔委員長退席、理事亀谷博昭君着席〕
 ただいまお話しございましたような転籍に関しましては、従前の会社の退職、それから新会社との雇用契約の締結、こういう行為を一度に行うものであるという点に着目をいたしまして、転籍を命じるには対象労働者の個々の同意が必要であるという確立した判例があるわけでございます。
 助言、指導におきましては、その事案における事実関係をこういった判例に照らしながら、必要に応じて専門家の意見を聞いて、必要となる助言、指導、こういったものを行うことになるだろうと思っております。
#58
○小池晃君 こういうケースでも個々の労働者がこのスキームに持ち込むことは可能だということですね。
 結局、解決の方向として今示されたのは、判例法理を示してということになって、そうすると、それに両者が合意しなければ結局裁判ということになっていくわけですね。私、こういう処理システムをつくることは緊急課題だと思います。基本にどんとやっぱり実体法が備わっていると。例えば、勝手に首切っちゃいかぬとか勝手に不当な扱いをしちゃいかぬという、解決のための実体法を確立することがやはり一番重要なことなんじゃないか。
 我々は、解雇規制法であるとか労働契約法の制定あるいはパート労働法の実効ある改定を求めてまいりました。特に大企業の職場では今やりたい放題のリストラが、こういう実体法がないためにやりたい放題にやられているんじゃないだろうかと思います。救済制度の確立というのは確かに大事なことですが、やはりどんと実体法を据えて、それに基づいて判断していけば処理にも時間がかからないわけですし、やっぱりこのことが紛争解決の最短の道ではないかと、そのように考えるんですけれども、大臣、いかがですか。
#59
○国務大臣(坂口力君) 確かにいろいろの問題が起こってまいりますのにはそれなりの理由があるわけでありますし、できればそれを未然に防止することができれば、それにこしたことはないというふうに私も思います。
 未然に防止をいたしますときに、多様化しましたいろいろの案件を一つの法律でくくってすることができるのかどうかは、それはわからないというふうに思いますし、そこはちょっと私は難しいのではないかというふうに思いますが、しかし大きな企業において、しかも非常に基本的なところで多くの労働者の労働権を侵すような、そういうことがもし法律の不備によって多く起こってくるということであるならば、それは法律の見直しということ、あるいは新しい法律の検討と申しますか、そうしたこともそれは当然やらなければならないんだろうというふうに思います。
#60
○小池晃君 私、そういう法律が今こそ本当に求められていると思うんです。
 きのう、住友ミセスの裁判の判決が出ました。これも既婚女性に対して一律に低く査定をした。ミセスでどこが悪いねんということで裁判を起こして、昇格差別を認めて、差別賃金の支払いを認めたわけです。これの経過を見ると、九二年に調停を求めている。九四年にも婦人少年室に調停を求めていて、しかしずっと解消に至らずに結局十年かかっているんです。やはり、私はこういう実体法、賃金や昇格、配属、あらゆる不利益な取り扱いを禁止する実体法というものをつくっていくことがこういう問題を解決していく最短の最善の道であるということを主張したいというふうに思うんです。
 その上でさらに、この解決をしていく組織の問題なんですが、まず紛争調整委員会の任命、これは基準はどうなるんでしょうか。公平な人選が担保されるんでしょうか。
#61
○政府参考人(坂本哲也君) 紛争調整委員会の委員でございますけれども、産業社会の実情に通じて、法令ですとか判例ですとか、あるいはまた企業の人事労務管理についての専門的な知識を有しておられる方がふさわしいというふうに考えておりまして、具体的には、弁護士などの法曹関係者ですとか社会保険労務士ですとか学者ですとか、あるいは人事労務管理の実務に携わった経験を有しておられる方、こういった方を任命してまいりたいというふうに思っております。
 今般のこの個別労使紛争解決制度が、簡易、迅速そしてまた適正な紛争解決に向けてその機能を十分に発揮していくためには、あっせん委員を初めとして制度を運用する人材にかかっているわけでございます。こういった観点から、委員の任命に際しましては、労使双方から信頼が得られるような公正中立の立場に立ってあっせんを行うことができる方、こういった方を厳正に選任してまいりたいと思っております。
#62
○小池晃君 さらに、法案では個別紛争を地労委でも扱うことができると。中労委、地労委は公労使の三者構成であります。それはなぜかというと、各個別事案に対して、当然労使双方の主張の違いから紛争が起こるわけですから、できる限り公正公平な審議でその是非を判断すると。
 その労働者委員の選任をめぐる問題について聞きたいんですが、労働者委員の選任、選出はどのような基準で現在行われているんでしょうか。
#63
○政府参考人(坂本哲也君) 中央労働委員会の労働者委員につきましては、内閣総理大臣が労働組合の推薦を受けた者の中から労働者一般の利益を代表するにふさわしい適格者を、いろんな要素を、種々の要素を総合的に勘案して任命するということにいたしておるところでございます。
#64
○小池晃君 そこでお聞きしたいんですが、現在の労働者委員のいわゆる系統別の構成について説明していただきたい。
#65
○政府参考人(坂本哲也君) 現在といいますか、この四月一日から中央労働委員会の労働者委員は十五名ということになっておりますけれども、いずれも連合系の労働組合から推薦のあった方が任命をされておるところでございます。
#66
○小池晃君 これまで二十一期から二十六期までの数はどうなんでしょうか、系統別の数について。
#67
○政府参考人(坂本哲也君) 第二十一期から第二十六期までの労働者委員でございますけれども、補欠の委員の選任も含めまして、これまで合計八十二名でございますけれども、結果としましてはいずれも連合系の労働組合から推薦のあった方が任命をされておるところでございます。
#68
○小池晃君 第八十八回ILO総会の覚書ですが、ここではILO代表、代表顧問の選任について、その基準を何と言っているでしょうか。
#69
○政府参考人(坂本哲也君) 昨年の第八十八回のILO総会の覚書、これは全文はかなり長いものでございますけれども、この代表の選任についての基本的な考え方を述べているくだりを御紹介いたしますと、各国の目標は、もちろん場合に応じた使用者及び労働者を最もよく代表するすべての団体との合意でなければならない。
   〔理事亀谷博昭君退席、委員長着席〕
 しかしながら、実現が極めて困難であり、理想としか言えない、こういった表現が盛り込まれているところでございます。
#70
○小池晃君 いや、そこもあるんでしょうが、こう言っていますよね。「労働者階級を代表する労働者団体が数多く存在する特殊な国では、政府は、労働者の代表及び顧問を指名する際にこれらの団体のすべてを考慮に入れなければならない。この方法を取ることによってのみ、政府はその特殊な状態を考慮した上で、関係する労働者階級の見解を総会において代表することのできる人物を選ぶことができる」。そういう記載に間違いないと思うんですが、これはILO代表の選任についての指摘でありますけれども、私は中労委の委員の選任においても同様の考え方があっていいのではないか。
 一九四九年の労働事務次官の五四号通牒では、地労委員の選考に当たって、系統別の組合数及び組合員数に比例させるとしております。九八年九月十八日の当時の甘利労働大臣の答弁でも、中央委員会、中央労働委員会のことだと思うんですが、委員の任命に際してもこの五四号通牒、こういう考え方でやっていると答弁しております。
 基本的に考え方としてこの五四号通牒の基準に沿った公平公正な任命を行うべきということはよろしいですね。
#71
○政府参考人(坂本哲也君) 御指摘の五四号通牒でございますけれども、これまでの国会答弁でも述べておりますように、労働者委員の任命の際に尊重すべきものであるというふうに考えております。
 しかしながら、東京高裁判決でも示されておりますように、この五四号通牒はあくまでも行政の内部的な指針にとどまっておりまして、任命に当たって内閣総理大臣の有する広範な裁量権を制限する性質のものとは言えない、したがって違法の問題は生じないというふうに判断をされているところでございます。
#72
○小池晃君 その問題は後で議論したいと思います。
 この基準に沿って、この基準の考え方で任命していくものだという、基本的な考え方はそうだと思うんです。
 ことし四月に中労委の労働者委員二名が追加任命されていますけれども、この追加というのは特定独立行政法人の発足に伴う追加ということでよろしいですね。
#73
○政府参考人(坂本哲也君) 今回の四月の増員でございますけれども、これは特定独立行政法人の創設に伴うものでございます。しかしながら、増員されました公労使各側二名の委員といいますのは、独立行政法人関係の紛争のみを扱うわけではなくて、法律上は既存の国営企業担当の四名の方と合わせて六名で国営企業と特定独立行政法人関係の紛争を扱うということになっておるところでございます。
#74
○小池晃君 どういう仕事をやることがよろしいかということを言っているんじゃなくて、この二名の追加というのは独立行政法人の発足に伴うものだということは確認できると思うんです。
 この二名が追加されて、その任命がことし四月に行われて十五名になりました。ところで、特定独立行政法人化した機関の労働組合の系統別組織状況はどうなっているでしょうか。
#75
○政府参考人(坂本哲也君) 私どもの方で問い合わせましたところでは、連合系が全農林など約六千八百人、それから全労連系が全通産など約三千八百人、いずれの系統にも属さない方が一千三百人、そういうふうに承知をいたしております。
#76
○小池晃君 さらに、二〇〇四年には国立病院の職員の労組である全医労が加わると。この組合員数は三万二千百名、これも全労連系ということであります。
 今までも労働者委員の選任に当たっては、連合系以外にも立候補者はあったはずなんですね。純中立とかマスコミ文化情報労組会議も加わった労働委員会民主化対策会議、これは百三十二万人擁しております。労働者委員の候補者も出ていたと聞いております。今回の二名の増員分でも、全労連系の委員候補が立候補して、先ほどその他千三百名と言われた職組からも推薦の組合が出ているというふうに聞いております。しかしながら、今回も結果として増員分二人とも連合系だと。
 これだけいわば組織数が拮抗しているということの中で、特定独立行政法人の増員分まで連合系で独占というのは私はちょっと合点がいかないんですね。少なくとも一名は全労連系委員を選任しなければ、やっぱり選任の公平性に私は疑問を持たれても仕方ないんじゃないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
#77
○国務大臣(坂口力君) 今、委員が御指摘をいただいております問題につきましては、中央労働委員会の労働委員というのは、内閣総理大臣が労働組合の推薦を受けた者の中から労働者一般の利益を代表するにふさわしい適格者をいろいろな条件を総合的に勘案して任命をするというふうになっております。これは御承知のとおりです。
 今回増員されます二名の労働委員といいますのは、既存の四名の委員と合わせて六名のグループで、先ほども話がありましたように、これは国営企業及び特定独立行政法人を担当する人たちであるということをお聞きいたしているところでございまして、十三名おみえになります中で九名が民間で四名が国営と、こういうふうになっておることは御承知のとおりでございます。
 でありますから、今回の場合には、国営企業とそれから特定独立行政法人を担当するということでありますので、そこにお入りになっております労働者の皆さん方の人数で見ました場合に、連合系の方は二十六万人おみえになるわけでございますし、それから御指摘ありました全労連系の方は六千名おみえになるわけでございます。
 委員が御指摘になりますように、今後その組合にお入りになっております人数等がこれから変化をしていく、そしてこれから組み合わせがどう変わっていくかという今後の変化によりまして、当然のことながらそのことは今後の問題の選定に加味されるものと私は思います。
#78
○小池晃君 基本的な考え方を立法当時から見ると、労働組合法に基づいて労働委員会制度をつくられたときに、芦田均国務大臣がこう言っているんですね。大体、組合加入の員数などを参考にして、その組合員の大小によって代表権を案分していくというようなことをするほかに仕方がない。この趣旨に沿って五四号通牒が出された。その後の国会答弁を見ても、やはりこれに基づいてやっていると。
 先ほど裁量権と言われたけれども、やはりこの間一貫して連合系で独占してきたということは、この立法の精神から見ても、あるいはみずから定めて運用してきたこの通牒の基準にも反するもので、裁量権と言うけれども、裁量権の乱用ではないかというふうに思っておるわけです。地労委においても、例えば長野県では田中康夫知事が、五名とも連合でいいのか疑問を持っている、選任方法について根源的な見直しをすべき疑問を持っているというふうに表明をしております。
 今、答弁で、独法と国営企業六名合わせて、案分なんだというふうにおっしゃいましたけれども、でも今後その数の推移によっては検討し直すという御答弁もございました。ぜひこれは公平公正な任命を行うよう、やはりそういう疑問を持たれないような取り組みを進めていただきたいということを申し上げたいと思います。
 さらに、紛争調整委員会の運営の評価の問題ですが、ここは新しくできる地方労働審議会が行うわけであります。この審議会の構成についても、私、公平に行われることが必要だというふうに思うんですが、この地方労働審議会の構成についても幅広く各系統の労働組合代表が入れるように配慮をしていくということを求めたいと思うんですが、いかがでしょうか。
#79
○政府参考人(坂本哲也君) ことしの十月一日から地方労働審議会が新たに設置されるということでございますが、現在、都道府県労働局には地方労働基準審議会、それから地方家内労働審議会、地方職業安定審議会、また地区職業安定審議会、この四つの審議会が設けられておりまして、これらの審議会を再編統合して設置をするということになるわけでございます。
 現在設置をされております各審議会の委員は、公労使の三者の代表ということで構成をされているわけでございます。このうちの労働者委員につきましては、広く労働者一般の利益を代表するにふさわしい適格者を都道府県労働局長が任命するということになっているわけでございまして、新たに設置される地方労働審議会の委員につきましてもこのような考え方で対応していくことにいたしております。
#80
○小池晃君 私、ここにおいても公正な任命ができるようにすべきことを主張して、次の問題に移りたいというふうに思います。
 九八年の夏に大阪の関西医大の附属病院で研修医になりたての二十六歳の青年、森大仁さんが過労死をされています。北大阪労働基準監督署は、ことしの四月二十七日にこの大学と前学長らを労働基準法違反の疑いで書類送検しておりますけれども、この事案について説明していただきたい。
#81
○政府参考人(日比徹君) ただいまの事案でございますが、関西医科大学附属病院の耳鼻咽喉科で勤務していました臨床研修医が、平成十年八月十五日の深夜に急性心筋梗塞で倒れ、翌十六日に死亡したというものでございまして、その死亡した臨床研修医の遺族から、労働時間割り増し賃金、最低賃金など労働基準法及び最低賃金法違反があったとして、平成十二年四月二十一日に北大阪労働基準監督署に対して告訴が行われたものでございます。現在、今御指摘のように、本年四月二十七日に大阪地方検察庁へ書類送検をいたしております。
#82
○小池晃君 この森さん、三月に大学を卒業して、国家試験に合格をして、五月から見学生になった。無給です、この期間は一カ月間。一日十五時間、週七日間、こういう契約になっている。六月からは研修医になった。
 資料をお配りしておりますけれども、資料の一枚目に六月からの労働時間、これは御両親が提訴のときに提出した資料であります。ほとんど毎日、一日の労働時間十五時間以上、朝七時半に出勤をして、帰るのは十時、十一時と。宿直の翌日も通常勤務で深夜まで働くから四十時間連続勤務です。六月、七月で休みは一日だけです。一週間の労働時間、見ていただくようにほぼ百時間。最高百十四時間。法定労働時間は四十時間ですから、三倍近い超長時間労働であります。
 こうした無理な労働の結果、八月に心筋梗塞で亡くなられた。きょうお父さんもお見えなんですけれども、陸上部に所属をされていて、身長百八十一センチ、体重八十キロ。大変体格がいい方ですね。本当に希望に燃えて医師の道を歩み出して、亡くなられた。私も同じ医師として……。
 これは森さんだけじゃないわけです。関西医大の四十人の同級生がアンケートをやっています。平均勤務時間は週八十一時間。八五%は休憩時間は不定だそうです。
 お父さんはこう言っているんですね。私は社会保険労務士として二十六年、お父さんは社会保険労務士なんです、二十六年間やってきたと。企業の労務の指導をいたしてきたが、今の世の中、こんな劣悪な事業所があるとは想像もしておりませんでしたと。
 お聞きしたいんですけれども、告訴があるまでこういう実態を調査する、監督するということはされなかったんですか。
#83
○政府参考人(日比徹君) 告訴の前に、実は御家族から平成十一年五月十一日に申告が行われておりますが、申告以前、この関西医科大学附属病院の研修医の問題につきまして指導等を行ったかどうかにつきましては、記録なり文書を見る限りにおいては実施いたしておりません。
#84
○小池晃君 資料の二枚目を見ていただきたいんです。賃金はこれだけ働いて一カ月わずか六万円であります。六月は加えて時間外割り増し賃金七千五百円、こういう賃金なんですね。
 三枚目に時間外賃金の算定根拠が出ておりますが、これだけ法定時間外労働をしながら、割り増し賃金はゼロです。
 九八年当時の大阪府の最低賃金は幾らになっているか。例えば週四十時間、一日八時間で週五日、一カ月二十一日働いたとしたら、一カ月の最低賃金は幾らになるでしょうか。
#85
○政府参考人(日比徹君) 一九九八年八月で計算いたしますと、当時の最低賃金日額五千三百六十八円。したがいまして、今おっしゃられました条件で計算いたしますと、月額で十一万二千七百二十八円ということになります。
#86
○小池晃君 月六万円という水準は、週四十時間労働だとしても最低賃金にはるかに及ばないわけです。実際には百時間近い労働をやっていると。明らかに最低賃金法違反であります。これは関西医大だけじゃないと思うんですね。もう全国の研修医というのはこういう状況に置かれている。特に私立医大の研修医はみんなそうです。
 私、こういう過酷な実態に研修医の労働時間、賃金が置かれているということを厚生労働省として把握しているのかどうか、お聞きしたいと思います。
#87
○政府参考人(伊藤雅治君) 研修医の労働時間等の実態の把握につきましては、体系的に行っているわけではございませんが、平成六年度に研修医の勤務状況等に関する厚生科学研究を行ったところでございます。
 この結果によりますと、研修病院での一週間当たりの日勤は五・五から六日程度、一カ月当たりの日直及び宿直は合わせて五ないし六回程度となっております。また、月収は平均二十一万七千円となっておりますが、御指摘のようにこれは病院間で非常に格差がございまして、特に私立の医科大学におきましては、現時点におきましても五万円から六万円という大学病院がかなりあるのが実態でございます。
#88
○小池晃君 全日本医学生自治会連合、医学連が行ったアンケートによりますと、全国三十二大学、研修医四百人、指導医六百八十六人が回答しておりますが、忙し過ぎて休養がとれないということを国立大学で三四%、私立医大で五五%の研修医が訴えている。改善すべき点としては、激務の緩和と休養保障、これは四割を占めております。
 一方、研修医の研修先からの給与は、私立大学では今お話があったように月十万円未満が七四%、六五%の研修医が生活していけるだけの経済保障を求めています。非常にささやかな私は願いだと思うんです。しかも、これは二〇〇四年から臨床研修が必修化されるわけであります。
 こういう実態で、特に今の私立医大の労働条件、労働実態を見て、こういう実態で私は研修に専念なんてとても無理だと思う。これは、指導体制の充実ももちろん重要ですけれども、日本の医療の将来にとってもこれは緊急課題だと、緊急に私は改善すべき問題ではないかと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
#89
○国務大臣(坂口力君) この研修医の問題というのは本当に、私も経験がございますが、非常に厳しい状況であることをよく存じております。私どものように昔のときには、これは医師国家試験を受ける前にいわゆるインターン制度として存在いたしましたために無給でございましたし、そしてその間を研修するということでございましたが、それではやはり研修医としての立場は守れない、やはり何ら資格もないし、そして財政的な問題も何もないということではやっていけないというので、改善がされたわけでございます。
 しかし、改善されたとはいいますものの、今お話がありましたような内容でございまして、研修医制度というものがやはりもっと大事だと、もっと充実をさせなければならないということが言われております一方におきまして、財政的には現在のような状況でありますことを大変残念に思います。
 したがいまして、今回、この森さん、本当にもうお気の毒と申しますか、立派な体格の方であったにもかかわらず、そうした御病気でお亡くなりになったということを私も本当に残念に思いますし、御冥福をお祈り申し上げたいというふうに思いますが、この森さんの死をやはり無にしないようにしていかなければならないというふうに私も考える一人でありまして、今検討会をつくっていただいておりますが、そしてそこで、病院は今まで何か時間外労働をするのは当然だというそういう雰囲気になっていたわけでございますが、病院といえども、そこで働く人たちが人間らしい労働ができるようにやはりしていかなければならない。
 そのために、やはり研修医の先生方も生活ができ得るそういう体制にしなければならないというふうに思います。もしそれができないということになると、その先生方、今のような状況でありますと、またアルバイトにいろいろなところに行っていただいて、さらにまた体を傷めていただかなければならないということに結びついてまいりますので、そこは十分に考えていかなければならないと思っております。
#90
○小池晃君 本当に日本の医療の将来を支える人をどう育てるかという話であります。七百億から一千億あれば二年間の研修の研修医の分の賃金を保障できるという話もあります。やはりこれは思い切って必修化に当たって措置をとっていくべきだと。
 まず、改善するための取り組みの第一歩として、私、この研修医の長時間労働や低賃金の実態を厚生労働省として直ちに全国的に点検調査すべきではないかというふうに考えるんですが、まず医政局にお伺いしたいと思います。
#91
○政府参考人(伊藤雅治君) 今、大臣から御答弁がございましたように、平成十六年から医師の臨床研修については必修化されることになっております。私ども、今検討会をつくりまして、この実態把握を行いながら関係審議会等の御意見をお聞きした上で、研修医の給与水準のあり方、研修病院における研修医の適正な受け入れ数などを詰めまして、そして関係省庁とも連携をしながら平成十六年に向けて万全を期していきたいと考えているところでございます。
#92
○小池晃君 労働行政という視点から基準局にお伺いしたいんですけれども、全国的に研修医の過酷な労働実態について点検をする、法違反については改善指導するということを私はすべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
#93
○政府参考人(日比徹君) 研修の問題でございますが、まずこの場合には研修医でございますけれども、世の中に研修生という形でいろんな類型ございます。大きく分けますと、雇用関係に入って業務に必要な知識、技能等を習得するための研修もございますし、雇用関係との関係ではなく、一定の技能なり技術なりを習得あるいは練度を増すための研修というようなこともあるわけでございます。
 この研修医の場合、どう見るかでございますが、本来は技術、技能を習得するあるいは練度を増すというようなことで行われているものでございますが、関西医大の御指摘のケースのように、具体的にこれを見た場合、労働基準法上の労働者であるというケースがあるのは事実でございます。
 私どもといたしましては、労働基準法上の問題、これがあるということになれば、今般のケースと同様にきちんとした処理をやってまいりたいと思いますし、またその過程では医政局とも十分な連携をとらせていただきたいと思っております。
#94
○小池晃君 研修医が労働者かどうかという問題がありましたけれども、どういう実態がある場合に労働者というふうになるんでしょうか。
#95
○政府参考人(日比徹君) これは個別具体的な状況の判断でございますが、幾つかのポイントといいますか、そういうようなことを申し上げます、余り長くなっても恐縮ですから。
 例えば、具体的な仕事自体の依頼なり業務に従事することについての指示などに対して諾否の自由の有無があるかないか、あるいは業務の内容、遂行方法についての指揮命令、これは具体的などの程度の指揮命令があるのかどうかとか、あるいは時間的、場所的な拘束の問題等々の事情を勘案しまして個別具体的に判断するということでやっております。
#96
○小池晃君 最終的には個別具体的ということでありますけれども、今の基準で言えばもうほとんどの研修医というのは私は労働者だと。
 大体、大学病院で教授がみんないなくなっても全然支障ないと思いますけれども、研修医が全員いなくなったら直ちにその病院は機能を停止すると思います。それだけ医療の中心を支えていると。研修医の働きなくては病院は成り立たないということで言えば、今の基準に照らしても、私は労働者であることは明らかであると思う。やはりこの長時間・低賃金に置かれている実態をこのまま放置すれば、森さんのようなケースが新たに生まれないとも限らない、これは患者にとっても日本医療の将来にとっても重大な問題だというふうに思います。
 これは直ちに全国的に点検を行って、やはり必要な指導、法違反を改善指導していくということをすべきではないかと思うんですが、改めて大臣にそういう方向で御努力願いたいということを申し上げたいんですが、いかがでしょう。
#97
○国務大臣(坂口力君) これは今検討会が既に始まっておりますし、その中でそうしたことも含まれているというふうに聞いておりますし、これは必ず実行していきたいというふうに思います。
 そして、この研修医の問題もそうでございますが、大学病院のあり方そのもの、やっぱりその中で、研修医の皆さん方だけではなくて、そのほか働いておみえになります医師の皆さん方も含めてでございますが、もう時間外労働をすることが何か日常茶飯事になっている、日付が変わらないと帰れないという人がたくさんいる、そういう状況がずっと続いているところがあるわけであります。
 上の教授や助教授が帰らなければ下の人たちも帰れないというようなこともございまして、そうした状況が続いたりもいたしておりますので、そうした附属病院等のあり方全体もやはりこの際に見直していく必要があるんではないかというふうに思いますが、これはしかし文部省の範囲でございますから、私が余分なことを申し上げるのは大変失礼でございますけれども、私の感想でございます。
#98
○小池晃君 私立医大の大学病院については厚生省管轄ですから、もう大いにやっていただきたいと思う。
 最後に、残る時間で、六月二十六日に閣議決定されたいわゆる骨太方針、「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針」の問題、ちょっと幾つかお伺いしたい。
 この中で、社会保障個人会計の構築がうたわれております。私、この個人会計というのを導入されると加入者の間での損だ得だという論議が先鋭化するんじゃないだろうか。そもそも社会保険というのは個人のリスクを社会で支える制度だということで言うと、その理念から照らしても大変問題が大きいのではないか。それから、例えば医療や介護という点で見ると、これは給付と負担のレベルが個人レベルで見合うような形になるものじゃないわけですね、そもそもの制度からいって。これを個人単位で例えば月別に示すなんというのは、私は実務的にも不可能だと思う。
 この個人会計というのは大変問題が大きいんではないかというふうに考えるんですが、いかがでしょうか。
#99
○政府参考人(石本宏昭君) 社会保障は、国民が生活する上でさまざまな困難な事態に直面しましたときに、相互扶助と社会連帯の考え方に立ちまして社会全体で支え合うという仕組みでございます。したがって、国民に社会保障の給付あるいは負担をわかりやすく情報提供していく、または制度に対して理解を深めていくということは大変重要な問題だと認識しております。
 今般の諮問会議で御提言のございました社会保障個人会計(仮称)につきましても、このような情報提供の一つの具体的な方策という観点で検討すべきという趣旨で私ども理解しておりまして、御指摘の損得論を助長するおそれがないかなどの点に十分配慮しながら検討していきたいと思っております。
 また、医療や介護などいわゆる短期保険につきましては、給付と負担を並べて比較することが適当かどうか、あるいは実務面で定期的に示すこととコストとのバランスといったような課題がございまして、この点十分配慮していかなければならないと思っておりますが、一方で、医療や介護保険につきましても、保険料の状況とあわせて給付の内容につきまして国民にわかりやすく説明していくということはまた重要な問題でございますので、いずれにしましても、今後総合的に検討していきたいというふうに考えております。
#100
○小池晃君 さらにプライバシーの問題もあるわけですから、社会保障番号制度を言われていますけれども、問題が多過ぎるんではないかというふうに思います。
 それから、株式会社方式による経営の見直しということもうたわれておりますけれども、そもそも人の命を預かる医療に営利性というのはなじまないのではないか。私は、株式会社による運営を認められているアメリカでも、株式会社による参入というのはマイナスが大きいというふうに言われているんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
#101
○政府参考人(伊藤雅治君) 世界的に見まして、株式会社による病院経営が広く行われている米国の事例というのはかなり例外的な状況だというふうに私どもとしては理解しております。そこで、株式会社の参入を認めております米国の事例につきましては、マイナス面を指摘する評価もあり、利益率の高い医療への過度の集中などの問題点も指摘されていると承知をしているわけでございます。
#102
○小池晃君 最後に大臣にお伺いしたいんですけれども、老人医療費の伸びの抑制という問題であります。
 今度の骨太方針では、「伸びを抑制するための新たな枠組みを構築する。」というふうに言われている。この中身は一体どういうものなのか。一部、当初、総枠制ということも言われて、私も予算委員会でこの問題を大臣にただしまして、必要な医療の積み上げではなくて、あらかじめ上限を設定して、それを超えたら保険診療の対象としないようなやり方、これはやはり医療の特性を無視したようなやり方ではないかというふうに考えている、暴論ではないかというふうに申し上げたんですが、その辺について、この「伸びを抑制するための新たな枠組み」というのはどのようなものを想定していらっしゃるのか、お聞きしたいと思う。
#103
○国務大臣(坂口力君) 厚生労働大臣としての意見というのは意見として十分実は申し上げているわけでございます。
 それは、いずれにいたしましても、これから高齢者の人口というのはどんどんとふえていくわけでありますから、高齢者医療の割合というのがふえることは、これは間違いないわけでございます。人口増があるにもかかわらずその分野を減らせと言われましても、それは減らすわけにはまいりません。ただ、いろいろなところで医療の中にむだがあってそしてふえていく部分につきましては、これは極力制限するように我々も努力をいたします。しかし、人口増によるところを減らせと言われましても、減らすことはできません。
 そして、経済の動向、いわゆる経済の成長の動向と大きな開きのないようにということを言われるわけでありますけれども、それも高齢者がふえることによってふえる分はこれはやむを得ません。それまで減らせと言われてもそれは減らすわけにはまいりませんので、むしろ経済の動向を人口の変化に合わせてもらう以外にありませんと、こう私は申し上げているわけでございます。
 したがいまして、この医療費の増加につきましての新しい枠組みというのはまだ何も決まってはいないわけで、これから決めていくわけでございますが、そうした高齢者の増加というものを念頭に置きながらやはりこれは決めていかざるを得ないというふうに私は思っております。
#104
○小池晃君 枠組みの問題についてですけれども、要するに、そういう高齢者の増加分は見るんだと。上限をあらかじめ設定してそれを超えたら保険で見ないというようなそういう考え方は、私は医療の特性を無視した暴論だと思いますし、あるいは今一部で出ております老人の診療報酬の一点単価を下げるという話も浮かんでいるようでありますけれども、これもやはり老人医療の現場を荒廃させると。
 高齢者一人当たりの医療費というのは事実上年々低下しているわけでありまして、今本当に必要なのは、保健予防活動を高めてやはり健康な高齢者をふやしていくことだ。同時に、むだを削るのであれば、薬剤費とかあるいは医療機器、そういう面にメスを入れる。安全性や有効性を確認した上で検証した上で、例えばジェネリック薬品の普及を図るというようなことを大いにやっていく。ほかにやるべきことはいっぱいあるんだということを申し上げて、質問を終わりにします。
    ─────────────
#105
○委員長(中島眞人君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、山本保君が委員を辞任され、その補欠として大森礼子君が選任されました。
 午前の質疑はこの程度とし、午後一時二十分まで休憩いたします。
   午後零時十四分休憩
     ─────・─────
   午後一時二十二分開会
#106
○委員長(中島眞人君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。
 この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、朝日俊弘君が委員を辞任され、その補欠として堀利和君が選任されました。
    ─────────────
#107
○委員長(中島眞人君) 休憩前に引き続き、個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#108
○大脇雅子君 個別紛争の内容と従来の解決等についてお尋ねをします。
 これまで、主に個別企業の労働組合、地域ユニオンあるいはネットワーク等が労働者の就業における労働条件内容やセクハラ、人間関係の個別相談等に当たってまいりました。そして、企業との解決交渉や行政、司法への訴え等に助力したわけであります。相談内容によっては、労働基準監督署、ハローワーク等、東京都労政事務所、神奈川県の労働センターなど、各都道府県に置かれている労政担当部局に相談することも多くあり、現在、それが増加しています。これまで相談が労働省にございました件数や内容、そしてそれにはどのような特徴があり、とりわけ行政における対応はどのような状況にあるのか、お尋ねします。
#109
○政府参考人(坂本哲也君) 私どもで実施をいたしました調査に労使コミュニケーション調査というのがございますけれども、この調査によりますと、企業内におきまして労働組合を通して不平不満を述べたことがある労働者、この割合が大体約一六%ほどございます。全体を実数であらわすことはなかなか難しいんですけれども、組合員数から換算しますと相当数に上るのではないかと思っております。また、個別企業の労働組合ですとかあるいは地域ユニオン、こういったところで受け付けている相談件数につきましても、全数の正確な把握はできておりませんけれども、相当数に上るというふうに聞いておるところでございます。
 行政における対応でございますけれども、全国の労働基準監督署に寄せられます相談件数、これは推計で年間約百万件ほどに上っておりますけれども、これらの中には制度の内容の問い合わせなどに関するものも含まれておるわけでございまして、このうち労働条件に関する個別労働関係紛争についての相談件数ということになりますと、平成十二年度では大体四万八千件程度ということでございまして、これは年々増加傾向にあるわけでございます。
 そして、相談の内容でございますけれども、やっぱり解雇をめぐる問題が一番多くて約五〇%くらいになっております。続きましては、労働条件の引き下げに関する問題、これが二〇%程度。それからさらに、出向とか配置転換をめぐる問題、これが約一〇%といったような状況になっておるところでございます。
 また、お話がございましたように、都道府県の労政主管事務所、ここへの相談につきましても、あらゆる分野の相談を取り扱っているわけでございますけれども、制度の内容の問い合わせなども含めまして、私ども把握している限りでは、平成十一年度で全国合計で約十二万二千件ということでございまして、ここ数年来十万件を超えているという状況でございます。
#110
○大脇雅子君 労働基準監督署においては、現下の深刻な不況や雇用情勢を背景にして、解雇や労働条件の引き下げ等相談が増加しているということですが、紛争解決の援助制度はこれまでどのように機能してきたと思われますか。また、その援助制度と申告との関係はどのように現場では取り扱われているのですか。
#111
○政府参考人(坂本哲也君) 労働条件に関する紛争で、労働基準法等の関係法令違反が認められないけれども何らかの具体的な処理を求めておられる件数というのは、平成十二年の四月から九月までの半年で見ますと二万三千三百八十一件ということでございまして、この紛争解決援助制度が平成十年十月に設けられまして以来ずっと増加を続けておるわけでございます。ちなみに、その前の半年、平成十一年の十月から平成十二年の三月までの半年間は一万六千件余りでございまして、四二%の増加ということになっておるわけでございます。このうち、何らかの指導等を行って解決に至った事案、これは私どもで把握しているだけで三千件余りということになっております、
 こういうことで、労働基準法に基づきます現行の紛争解決援助制度は、労働条件に関する紛争の解決に当たりまして一定の成果を上げているものというふうに認識をいたしております。
 なお、労働基準法関係法令違反に係りますいわゆる申告事案でございますが、これは、この法律案の紛争解決援助制度の対象として扱うのではなくて、労働基準監督署における監督指導によってその是正を図る、それを通じて解決を図っていくということになるものと理解をいたしております。
#112
○大脇雅子君 今回の法案のスキームでは、企業内制度による自主的紛争解決というのが前提となっており、努力義務として規定されておりますが、実際、企業においての自主的解決への取り組みの実情というのはどんなものであると把握しておられるのでしょうか。そして、その自主的解決が不調に終わった場合、あるいはそもそも企業内の自主的解決制度への不信があって外部の相談体制に駆け込んでいる労働者の実情はどのように把握しておられるでしょうか。
#113
○政府参考人(坂本哲也君) 先ほども引用いたしましたけれども、労使コミュニケーション調査、平成十一年に実施をいたしましたこの調査によって見ますと、企業内に苦情処理機関が設置をされております事業場は全体の二五・二%ということになっております。
 そして、この調査によりますと、不平や不満を述べたことのある労働者のうち四分の三、七五・二%がその述べた相手方といいますのは直接上司へ述べたということでございまして、我が国におきましては、現状では、苦情処理機関よりはむしろ上司ですとかあるいは人事担当者、そういったところが相談を受けることによって苦情の処理が図られている、これが一般的な姿ではないかというふうに考えております。
 また、この労使コミュニケーション調査によりますと、苦情処理機関がある事業場での解決状況について見ますと、話を聞いて納得したものが多いというふうに認識している事業場と、それから実際に救済、解決に至ったものが多いというふうに受けとめておられる事業場が合わせて約八五%となっておりますけれども、不調に終わった場合ですとか、あるいは企業内の解決制度に不信等がある場合には、それぞれの事案に応じまして、地域の労働組合ですとか、あるいは監督署ですとかあるいは都道府県の労政事務所、こういった行政機関に相談が持ち込まれているのではないかというふうに考えておるところでございます。
#114
○大脇雅子君 この法案によりますと、「努めなければならない。」というふうに書いてあるわけですが、これは前置主義ではありませんよね。こちらの労働省の個別労働関係紛争の解決のスキームに来る前置主義ということではないと思うわけですが、この努力義務についてはガイドラインなどを設けられるのでしょうか。それとも、その他どのような取り組みがなされようとしているのでしょうか。
#115
○政府参考人(坂本哲也君) 労使によります自主的な解決、この段階で解決が図られれば最も望ましいわけでございますので、そういった自主的解決を促進するための支援策といたしましては、各都道府県の労働局におきまして紛争自主解決支援セミナーといったようなものを開催をしたり、あるいは紛争解決の事例集といったようなものをつくったり、またパンフレットにまとめる、それを各方面に提供するといったような形で、必要な支援を行ってまいりたいと思っております。
#116
○大脇雅子君 労働者側から個別紛争について相談があった場合に、各都道府県の地方労働局というのはどのようにその解決に資するために取り組むのか、具体的にどうでしょうか。
#117
○政府参考人(坂本哲也君) 個別労働関係紛争についての労働者の相談でございますけれども、これは全国で二百五十カ所ほど総合労働相談コーナーを設置することにいたしておりますが、そういった相談コーナーで受け付けまして、相談内容に応じまして関係法令ですとか判例ですとかあるいは紛争解決の事例、そういった情報や資料を提供する、あるいは総合労働相談員による相談を行うといったようなことになるわけでございます。
 そうしてまた、都道府県労働局長による紛争解決のための援助を労働者が希望をするという場合には、必要に応じまして労働局長の助言、指導が行われるわけでございまして、このような相談、あるいはまた助言、指導、これによりまして紛争の相当程度は解決が図られていくのではないかというふうに考えております。
#118
○大脇雅子君 今回の個別紛争解決スキームが実効性を持つためには、あっせん制度というのがどれだけ有効に機能するかにかかっていると思われます。改正前の雇用機会均等法における調停制度の開始の経験に学びますと、一方からの申請があって、とりわけ労働者側の申請については、使用者の参加がなければ多くの場合申請した労働者の立場が非常に危惧されるわけです。この実効性を確保するためにどのような手だてを考えておられるのか、お尋ねします。
#119
○副大臣(南野知惠子君) 本法案のあっせん制度といいますのは、一方からの申請によりまして利用することが可能であると。それは先生も今お話しになられたとおりでございますが、両当事者の話し合いによる自主的な解決というものを基本としておりますために、相手方がどうしてもあっせんに乗れないというようなときには、また解決を望まない場合には、あっせんを続けること、これは無理であるということは当然のことだと、続けられないということであろうかと思っております。
 ただし、都道府県労働局長などによります相談や助言、指導の過程におきましては、あっせん制度の趣旨、また効果を説明することにより当事者の双方が制度を利用しやすくなるような環境をつくっていかなければならないのではないかと、そのように思っております。
#120
○大脇雅子君 雇用機会均等法の改正以前の両当事者の合意というので調停制度の問題点として指摘されていたものは、使用者側の拒否、不同意によって調停が開始されないケースが半分、そしてせっかく女性労働者が調停申請をしても、婦人少年室の調停開始にかかわって調停を開始する必要がないと判断した場合が半数あるいはそれ以上という実態がありまして、そもそも制度が動き出さないという問題点がありました。
 今回の法案におきましても、「双方又は一方からあっせんの申請があった場合において当該個別労働関係紛争の解決のために必要があると認めるときは、紛争調整委員会にあっせんを行わせるものとする。」というので、この権限は都道府県の労働局長ということになっているわけです。
 今回のあっせん手続においても同様の事態が生じるという懸念が払拭できないのですが、この点はどのように考えておられますか。
#121
○政府参考人(坂本哲也君) 労働局長に対してあっせんの申請が行われた場合の取り扱いでございますけれども、これは、例えばその事案が裁判所で係争中であるとかいった、要するに他の紛争解決制度で処理が行われている紛争ですとか、あるいはその当事者が不当な目的で申請を行っていることが明らかな紛争といったような、明らかにあっせんに付することが適当でない事案を除きまして、原則としてあっせんに付するということにいたしておるところでございます。
 また、相談とか助言、指導の過程で、このあっせん制度の趣旨ですとか効果、こういったものをわかりやすく説明することによりまして、当事者双方が制度を利用しやすくなるような、そういった環境づくりに努めてまいりたいと思っております。
#122
○大脇雅子君 原則としてあっせんに付するという今の対応というものは、現場にぜひ徹底していただきたいと思います。
 あっせんが開始された場合にどのようにあっせんを進めるのか、例えばあっせん案の作成、提示はどのようにするのか、またあっせん不調の場合はどのように判断をするのか、またあっせんの打ち切りというものについて、これは十分検討を要すると思うのですが、それの対応についてはどうか、お尋ねをいたします。
#123
○政府参考人(坂本哲也君) あっせんの具体的な進め方でございますが、あっせんはその事件ごとに紛争調整委員会の会長から三人のあっせん委員が指名される、そしてその三人のあっせん委員で行うことになるわけでございます。
 あっせん案の作成ですとかあっせん案の提示、それからまた、あっせん不調や打ち切りの判断というものにつきましては、その三人のあっせん委員の全員一致によって決定をするということになるわけでございます。また、あっせんの打ち切りの通知等につきましては、三人のあっせん委員の名前で行われることになるわけでございます。
 また、事案の整理ですとかあるいは紛争当事者からいろいろ事情聴取をするとか、あるいはまた解決に向けた紛争当事者間の話し合いを促進するといったような場面におきましては、状況に応じてあっせん委員のうち担当となった方が行うというような形で柔軟に進めることも考えておるところでございます。
 また、あっせんの打ち切りのケースでございますけれども、幾つかございますけれども、まず一つ目に当事者が手続に参加する意思がないとき、それから二つ目にはあっせん案が受諾されなかったとき、それから三つ目には当事者があっせんの打ち切りを申し出たとき、それから四点目はあっせん手続の進行に関して当事者間で意見が一致しないため手続の進行に支障があると認めるとき、こういったときに三人のあっせん委員の決定によって手続を打ち切るということになろうかと思います。
#124
○大脇雅子君 あっせん案の作成、提示は、法案によりますとあっせん委員の全員一致をもって行うということになって、これ、あっせん案の作成が全員一致できない場合には、これは作成、提示ができないという場合には一体どうするんでしょうか。あっせん案を両当事者みんな待ち望んでいるときに、全員の一致というものができないというときの対応について、これはどうしたらいいんですか、どうなさるんでしょうか。
#125
○政府参考人(坂本哲也君) 担当である三名のあっせん委員の間で十分話し合っていただいて、実情に即したあっせん案の取りまとめに御努力をいただくということを期待いたしておるところでございます。
#126
○大脇雅子君 十四条で、あっせん委員は、必要があると認めたときは、「管轄区域内の主要な労働者団体又は事業主団体が指名する関係労働者を代表する者又は関係事業主を代表する者から当該事件につき意見を聴くものとする。」、これはどういうときに主として使われるんでしょうか。そういうあっせん委員のあっせん案が提示できないときなんかはこの十四条を弾力的に使うということが考えられるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#127
○政府参考人(坂本哲也君) 十四条の趣旨でございますけれども、これはあっせん委員があっせんを行うに当たりまして、いろいろその地域における雇用の状況ですとかそういった状況を十分踏まえる必要があるといったような場合に、あるいは労使双方から申し立てがあった場合に、そういった団体の方の御意見もお伺いしてやろうということでこういう規定を設けているわけでございます。先ほどのあっせん案の取りまとめに際しまして、そういった取り組みというか、そういう意見の聴取があっせん案の取りまとめに非常に効果的であるといったような場合につきましては、そういった手法も用いることができようかと思っております。
#128
○大脇雅子君 あっせん案が打ち切りになったからといっても、あっせんを申請した労働者にとっては紛争が解決したわけではありません。むしろ、あっせんを申請したことによる使用者からの解雇その他の不利益扱いを受ける可能性があるわけであります。このような事態は絶対に生じてはならないことでありますから、この第四条三項が規定された趣旨を踏まえますと、労働関係者への不利益処遇はないという点についての周知徹底が一般的にも個別的にも必要だと思われます。
 本規定の実効性を確保するためにはどのような具体的な処方策があるのか、大臣にお尋ねいたします。
#129
○国務大臣(坂口力君) 御指摘いただきましたように、あっせんの申請を行っていただきましたときにそこから問題はスタートするわけでございます。そのときに事業主が不利益な取り扱いをするということになりましては、これはあっせんどころではなくなってくるわけでございます。不利益な取り扱いとしては、配置転換の問題でございますとかあるいは転勤、降格、減給、あるいは昇給停止でありますとか出勤停止でありますとか雇用契約の更新拒否でありますとか、いろいろなことがあるんだろうというふうに思いますが、そうしたことがもし行われるようなことがあってはこれはいけないわけでございますので、あっせん案の手続がされましたときに、そういたしますと、そのことを使用者側に連絡をしなきゃならないわけです。こういうことであっせん案が出ておりますということを言わなきゃなりませんが、その言わなければならないときに不当な取り扱い、不利益な取り扱いというのは、これは一切あってはならないことだということを明確にそのときに申し上げるということが大事かというふうに思っております。
 もし仮に事業主が不利益な取り扱いをするような事実がありました場合には、そういったことを一切行わないように、より厳しくまた指導しなければならないというふうに思っております。
#130
○大脇雅子君 総合労働相談員の採用に当たりましては公平公正の立場から選任し、総合労働相談の運営においては客観的評価を行うために地方労働審議会等の意見を求める等の適切な対処をするというふうに衆議院では答弁がされておりますが、労使関係や雇用労働事情に通じた専門的で公平公正な適任者を幅広く求めるということがこの労働相談制度の実効ある運営に資するものと考えますが、今後どのようにしていくのかお尋ねします。
#131
○副大臣(南野知惠子君) 労働相談員の方々につきましては、社会的信望があり、かつ労働関係法令または労働問題に係る動向などに関しての幅広い知識、さらに労使関係の実務に係る深い経験、そういった者がふさわしいというふうに思っておりますが、委嘱させていただくに当たりましては、労使双方からの信頼を得られるというような、公平公正な立場に立って御相談を行える者を選任したいと、このように思っております。また、社会保険労務士の方または労使関係の実務処理に携わってこられた方など、幅広い分野からもこのような条件に合致する適任者を選任して積極的に委嘱していきたいというふうに思っております。
 何しろ人と人が相手でございますので、知識または実務、さらに心を添えながら、人間性というものの適正が図られるものと考えております。
#132
○大脇雅子君 衆議院の附帯決議では、紛争調整委員会が均等法に基づく調停を行う場合については、現行の機会均等調停委員会の設置の趣旨や目的等を十分に尊重した上でその扱いを明確にした運営が求められております。これについて大臣のお考えを伺いたいと思います。さらに、その扱いを明確にした運営とは具体的にどのようなものでしょうか。
#133
○国務大臣(坂口力君) 衆議院におきまして附帯決議がされたわけでございますが、その趣旨をこれはもう十分に尊重していきたいというふうに思っている次第でございます。
 その中で、その扱いを明確にした運営というふうに書かれているわけでございますが、これは省令等におきまして、男女雇用機会均等法に基づく調停のための会議というものを、きょう午前中にも御答弁を申し上げましたけれども、機会均等調停会議といったような名称にすることを今検討しているところでございます。そして明らかにしていきたいというふうに思っております。
#134
○大脇雅子君 紛争調整委員会の委員は、現行の機会均等調停委員会の委員が原則として留任することになるのでしょうか。あるいは、委員の増員はどのような見通しなのでしょうか。あっせんによる紛争解決の実効性を確保するためには委員の手当等、処遇がまた重要な意味を持つと思いますが、委員会の運営を補佐する事務局体制の充実もあわせて大変重要だと考えます。大臣の御意見を伺いたいと思います。
#135
○国務大臣(坂口力君) 紛争調整委員会の委員というのは、現在の機会均等調停委員会の委員がそのまま残留するわけではないというふうに思っております。新たに選任を行うことになるというふうに思いますが、男女雇用機会均等法の調停を担当する委員につきましては、女性労働問題につきましての専門的知識を持った方を任命したいというふうに思っております。
 新設されます紛争調整委員会につきましては、その対象とする紛争の取り扱い範囲が男女雇用機会均等法の調停よりも拡大されることが考えられますことから、大都市圏を中心に全国で委員を百七十四名、現在百四十一名でございますので、三十三名増員をすることとしたいというふうに思っております。
 また、この増員や取り扱い件数の拡大に伴いまして必要となります委員手当につきましては、平成十三年度予算で従来よりも大幅にふやした額を確保しているところでございます。
 今後、この紛争調整委員会の事務局につきましては、主要な都道府県労働局に労働紛争調整官を配置するなど必要な体制の整備に努めてまいりたいと思っております。
#136
○大脇雅子君 時間ですので、終わります。
#137
○西川きよし君 よろしくお願いいたします。
 短い時間ではございますが、早速参ります。
 私の方からは、まず、紛争予防策についてお伺いしたいと思うわけですけれども、今回の法律によりまして個別紛争解決のシステムが整備されることは、働く方々への利益につながることと評価をいたします。
 しかし、できる限りは対立紛争を未然に防ぐという観点からの施策が大切ではないかなというふうに私は思うわけですけれども、その一つといたしまして、経営者側にこの労働基準法の遵守を徹底させることがまず必要ではないかなというふうに思います。
 この労働基準法の違反件数、違反内容はどういったような傾向にあるのか、そのあたりからまず御答弁をいただきたいと思います。
#138
○政府参考人(日比徹君) お尋ねの労働基準法の違反の状況でございますが、幾つかの数字がございますが、まず、私どもが定期監督等を実施いたしました結果としての違反の状況について申し上げますと、平成十二年で定期監督等に入りました事業場は十四万七千七百有余ございますが、そのうちの五八・八%の事業場で何らかの違反がございました。数量的に多いものを申し上げますと、労働時間に関するものあるいは就業規則に関するもの、ここら辺が多くなっておりまして、その他では割り増し賃金のものも相当多いという傾向でございます。
 なお、紛争の未然防止というようなこととも絡めて考えますと、申告、つまり労働側の方からの申告に基づいて監督を実施し、その結果、違反があった状況を申し上げますと、こちらの方が実際のトラブルにつながっていようかと思いますので、その状況で見ますと、平成十二年、何らかの違反があった事業場は一万九千五百有余でございますが、非常に多いものが賃金不払いでございます。賃金不払い事案が一万二千四百八十一ということで、かなりの量を占めております。続きまして、解雇の問題が三千五百二十件ということでございまして、労働者からの申告に基づくものといたしましては賃金不払いが非常に多い。
 それから、ここ何年か全体に違反事案はふえておりますけれども、ふえているものの中でもやはり賃金の問題あるいは解雇をめぐる問題、これが非常にふえる傾向にございまして、ちなみに、極めて悪質ということで送検をいたしておる事件で見ましてもここ何年かふえておりますが、ふえた分そのものがほとんど賃金不払いでふえておるというような状況にございます。
#139
○西川きよし君 ありがとうございました。
 今お伺いいたしますと相当な件数あるわけですけれども、この遵守の徹底と申しましょうか、よろしくお願いを申し上げたいと思いますし、監督官の増員、監督取り締まり体制の整備、また違反者に対する制裁の強化、こういった検討も必要ではないかなというふうに思うわけですけれども、今の御答弁も含めましてお聞きいただいて、大臣、いかがでございましょうか。
#140
○国務大臣(坂口力君) どの法律でも同じでございますけれども、守っていただいて初めて意味があるわけでございますが、しかし、なかなか守られないこともあるわけでございまして、そこに私たちの悩みもあるわけでございます。
 法律違反を減らしていきますためには、やはり法律そのものをよく理解していただくということが大事でございますから、とりわけ中小企業の経営をなさっている皆さん方等を対象としました法律の内容等の説明を十分にするとか、あるいはまた、わかりやすいパンフレットをつくって、そして皆さん方に御理解をしていただけるようにするとか、そうしたふだんからのやっぱり努力が必要なんだろうというふうに思います。そうしたことを十分に行い、国会でいろいろ御審議いただいて法改正が行われましたようなときには、わかりやすく、こういうところが変わったということもお知らせをして、そして、その上でもろもろの問題に対処をしていただくようにしなければならないというふうに思っております。
 しかる後に、なおかつそれでもそこで起こってまいりました問題につきましては、けさからいろいろお話がございますように、司法関係もございますし、地労委もございますし、我々の方の労働局もございますし、そうしたところで御相談をいただき、そして解決をしていただくということが順番として大事なことだというふうに思います。
#141
○西川きよし君 ありがとうございました。
 法案の第二条でありますが、紛争の自主的解決、三条では紛争の予防、自主的解決を促進していくことがうたわれているわけですけれども、こうした援助策については、具体的にはどのような施策をお考えでしょうか。
#142
○政府参考人(坂本哲也君) 個別労働関係紛争の解決のためには、やはり当事者間の話し合いによって自主的に解決をするということが基本であろうというふうに考えておりまして、このような自主的な話し合いのための企業内における相談窓口の整備ですとか、あるいは苦情処理機関の設置といったような自主的な取り組みを促進するための具体的な施策といたしまして、わかりやすい形でのパンフレットやリーフレットを作成して関係方面に理解を深めていただくというようなことのほかに、地域ごとにセミナーを開催するといったようなことで取り組んでまいりたいというふうに思っております。
 また、紛争の多くは、単に法令を知らないとか、あるいは判例をよく承知していなかった、また一部誤解に基づくものもあるわけでございまして、そういった意味では、適切な情報提供ですとかあるいは相談を行うといったようなことで紛争に発展することを未然に防止する、あるいは紛争が発生した場合でも早期に解決をすることができる、そういった事例が大変多いわけでございます。
 このため、全国に二百五十カ所ほど総合労働相談コーナーを設置いたしまして、そこに総合労働相談員を全部で五百七十二名ほど配置をいたしまして、各種の情報提供ですとか相談を行うことにいたしておるところでございます。
#143
○西川きよし君 ありがとうございました。
 次に、地方労働委員会との関係についてお伺いしたいと思います。
 現在までに、例えば福島県、愛知県、高知県、静岡県におきましては、地方労働委員会が個別労働関係の紛争処理を取り扱っているとお伺いしておりますが、こうした地方労働委員会による紛争処理はどのようにして行われているのか、また集団的労使紛争のときのように調停や仲裁なども行われていくのか、そのあたりの実態について御答弁をいただきたいと思います。
#144
○政府参考人(坂本哲也君) ただいまお話しございましたように、地労委で具体的に取り組みを始めておりますのが、福島県と愛知県と高知県はことしの四月一日からでございます。それから静岡県はことしの五月一日からサービスを開始いたしておるわけでございますけれども、その四県の地方労働委員会におきましては、当事者が希望する場合には地方労働委員会においていわゆるあっせんを行っているというふうに聞いております。調停とか仲裁をやっているというところはないようでございます。
 具体的なやり方でございますけれども、地方労働委員会の事務局ですとか、あるいはその地域の労政事務所等におきまして労働相談を実施いたしまして、当事者間の問題を整理して双方の主張の要点を確かめて紛争が解決されるように努めておるというふうに聞いております。
 ちなみに、私どもで把握しております実績でございますけれども、ちょっと四月と五月の実績しかございませんけれども、福島県では労働相談が七件、今のところあっせん申請はないようでございます。静岡県は五月にあっせん申請が二件ほど、愛知県では労働相談が七件であっせん申請が二件、高知県では労働相談が二十一件であっせん申請が二件と、こういった実情にございます。
#145
○西川きよし君 今回の地方労働局に新しい仕組みとともに、民事調停あるいは労働委員会についても複線的システムの一つと位置づけるということなんですけれども、利用する側からいたしますと、どのような場合にどこに行けばよいのか、それぞれの機関がどのような役割を持っているのか、そういったことが正確に周知をされていないと、結局のところ二度手間になったり三度手間になったりというふうになるのではないか。そうすると、かえって労働者の皆さん方には不利益になるのではないかなというふうに私も心配するわけですけれども、この点についてはいかがでございましょうか。
#146
○副大臣(南野知惠子君) 先生の御懸念、本当にもっともだろうと思います。
 お申し出のありましたその複線的システム、これにおきましても、紛争当事者が紛争解決方法についてのみずからの希望に応じて適切な紛争解決制度を選択することができる、一方からの押しつけでなく、そういったところがやっぱり重要であろうかと思います。
 このためには、都道府県労働局におきましては、紛争当事者に対しまして各種紛争解決制度などについての情報を提供してまいりたいと思いますし、また希望に応じました紛争解決制度を選択することができるような援助も行ってまいりたいと思っております。関係機関との連携を密にさせていただき、複線的な紛争解決システムの実効性を高めてまいりたいと思っております。
 先生の御不安を少しでもなくすために、皆様方の御審議をいただき可決されるならばこれが十月から展開されるということになろうかと思いますが、私自身も現場に赴きまして、やはりそのような現場がどのようになっているのか、展開を身をもって体験させていただきながら視察、または指導できれば指導してまいりたいと思っております。
#147
○西川きよし君 どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 次に、不利益な取り扱いの禁止規定についてお伺いをいたしたいと思います。
 今回のような処理システムが整備される中で、やはりそれぞれの労働者が自由に苦情を言うことができれば言うまでもなく制度としてすばらしい機能ということになるわけですけれども、法案の第四条の第三項では、「労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。」と、こういうふうにされております。この解雇以外のその他不利益な取り扱いとはどういうことを指しているのか。また、違反をした事業主に対して罰則規定がないわけですけれども、事業主による不利益扱いを防止するための施策についてはどのようにお考えなのか、御答弁をいただきたいと思います。
#148
○政府参考人(坂本哲也君) 解雇その他の不利益な取り扱いの内容でございますけれども、解雇以外には配置転換ですとかあるいは転勤ですとか、降格をするとか減給処分をするとか、昇給停止あるいは出勤停止ですとか、さらにまた雇用契約の更新を拒否するといったようなことが挙げられるわけでございます。
 このような不利益取り扱いを防止していかなければならないわけでございまして、そういった観点から、労働者の方から労働局長に紛争解決のための援助の求めがあった場合、都道府県労働局の方で事業主の方から事情を聞くことになるわけでございますけれども、そういった際に、援助の求めがあったことを理由としてこういった不利益取り扱いをしてはならないということを十分に説明を申し上げると。そして、現実に事業主がこの規定に違反しているといったような事実が明らかになった場合には、そういった行為を行わないように厳正な行政指導を行ってまいりたいと、こういうふうに考えております。
#149
○西川きよし君 ありがとうございました。
 次に、障害を持つ労働者への対応についてぜひお伺いをいたしたいと思います。
 これまでも当委員会で随分と質問させていただきました障害を持つ方々の雇用問題についてでございますが、例えば、一年間働いた後に助成金の受給期間が終わった時点から給料を減額するといったような事例でありますとか、職場における人権侵害等々、こうした障害を持つ労働者が不利益を受けるケースは、残念ながら皆さん方も御存じのとおり後を絶たないわけですけれども、今回の処理システムにおきまして、障害を持つ労働者に対してはどういうふうな配慮、対応をお考えでしょうか、お伺いいたします。
#150
○政府参考人(坂本哲也君) 今回の個別労働紛争解決制度でございますけれども、これは、あらゆる個別労働関係紛争を対象といたしまして紛争解決援助を行うものでございます。そういった意味で、障害を持っておられる労働者がこのようなトラブルに巻き込まれた場合のセーフティーネットとして、その助けとなるのではないかというふうに考えております。
 いずれにいたしましても、個別労働関係紛争といいますのは、障害を持っておられる労働者にとりましては、なおさら生活の糧である労働に関する重大な問題であるということでございますので、相談コーナーにおきます労働相談ですとか、あるいは紛争解決の援助に当たりまして当事者の身になった懇切丁寧な対応、きめ細かな対応といったようなものを行っていくこと、これが大変重要であろうと思っております。
 そういったものを通じまして、迅速的確な紛争解決が図られるように最大限の配慮をしてまいりたいと思っております。
#151
○西川きよし君 どうぞ弱い立場の人のためにもひとつ最大限の御指導をよろしくお願い申し上げたいと思います。
 もう時間がわずかしかございません。最後にさせていただきたいと思いますが、これまでにも、職場におきまして知的障害者の方々に対する人権を侵害する事件などが本当に多々ございました。平成八年から九年にかけましての水戸市や滋賀県の企業における人権侵害の事例が相次いで起こったことは、もう皆さん方も記憶に新しいところだと思います。今後、こうした事件を防止するという点から、訴える力が弱い方々に対してどんなに小さな声でもきちんと、今も答弁いただいたんですけれども、なお一層きちんと受けとめて行動する、そういった対応が私は本当に必要ではないかなと思います。
 今後、障害を持つ労働者の労働環境の整備につきまして坂口大臣から最後に御答弁をいただいて、質問を終わりたいと思います。よろしくお願いします。
#152
○国務大臣(坂口力君) 御指摘いただきましたように、過去におきまして障害者の皆さん方の人権を無視したような事件が幾つか起こっておりますことも事実でございます。
 今お話しございましたように、いろいろなことを相談していただく能力のある人はそれはそれでいいわけでございますが、そういう能力を十分にお持ちでない皆さん方に対しましても、これは御相談がないからというのでそのままにしておくわけにはいかないというふうに思います。これは積極的にこちらから乗り出していってでも、やはり解決をしなければならないことも多いと思います。
 それぞれの地域におきましては障害者雇用連絡会議というのをつくっておりまして、ここでいろいろ御相談に乗っているわけでございますが、ただ単にここで雇用の質や量のことを御相談に乗るだけではなくて、雇用していただく側の皆さんに対しましては、雇用の内容もさることながら、その前にやはり人権を一番大事にしなきゃならぬなと、人権を中心にして考えていただかなきゃならないんだということを一番御理解をいただかなければならないことだというふうに思いますので、その辺を我々もこれから強調をしていきたいと思っている次第でございます。
#153
○西川きよし君 ありがとうございました。終わります。
    ─────────────
#154
○委員長(中島眞人君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、釜本邦茂君及び松崎俊久君が委員を辞任され、その補欠として成瀬守重君及び本田良一君がそれぞれ選任されました。
    ─────────────
#155
○黒岩秩子君 今回は、男女雇用機会均等法のことについてのみお伺いしようと思います。
 今回のこの法案によって機会均等法もここに含められるということで、修正前の均等法十三条によりますと、「都道府県労働局長は、前条第一項に規定する紛争について、関係当事者の双方又は一方から調停の申請があつた場合において当該紛争の解決のために必要があると認めるときは、機会均等調停委員会に調停を行わせるものとする。」となっておりまして、今度の改正によって十四条になりますが、やはりここでも同じように「必要があると認めるときは、」という条件がついております。
 女性がこの機会均等法にもとるということで訴えるというのは、実はよくよくのことだと思っております。多くの女性たちはあきらめている。だけれども、やっとの思いで申し出たときに必要があると認められないと言われたとすれば、これは大変ショックなことだと思います。過去においてどのような場合に必要があると認められなかったのか、そういう例があるのでしたらお教えいただきたいと思います。
#156
○政府参考人(岩田喜美枝君) 先生、今読み上げられました十三条で、調停委員会が開かれることになる二つのまず基準があるんですね。一つはその問題が男女雇用機会均等法に基づく具体的な条文で扱われていること、具体的には女性であるということを理由とする差別的な取り扱いをめぐる紛争であるかどうかという点ですね。これは「前条第一項に規定する紛争について、」というのがそういう趣旨でございます。
 それから、今、先生の直接の御質問でございます都道府県労働局長が必要があると認めるときはというのがどういう基準で行われているかということかと思いますけれども、これは想定しておりますのは、例えば紛争発生から長期間が経過しまして事実関係の確認が困難となっているような紛争ですとか、裁判所で係争中であるなど他の紛争解決処理でその手続が始まっているような紛争であるとか、そして当事者が不当な目的で申請を行っているということが明らかであるような場合などが想定されております。
 これまで調停の必要が認められないということで調停の開始がなされなかった事案でございますけれども、調停申請が行われましたのが百四十件これまでございましたけれども、このうち二件が調停を開始する必要が認められないということで開始に至っていないということでございます。
#157
○黒岩秩子君 今言われました三つの場合なんですけれども、一番目の長期間たったという場合のその長期というのは、具体的にはどのぐらいのことを指すのでしょうか。
#158
○政府参考人(岩田喜美枝君) 法令では具体的な基準はございませんけれども、内部の取り扱いでとりあえずの目安として一年程度ということで取り扱っておりますけれども、個々具体的に判断していくということになろうかと思います。
#159
○黒岩秩子君 それで、今百四十件のうち二件がそのようにして却下されたということなんですけれども、先ほどおっしゃった三番目の不当な要求であるということとの関連の中で、この二件というのが具体的にどういうことであったのか、お教え願いたいと思います。
#160
○政府参考人(岩田喜美枝君) 明らかに不当な目的で調停の申請があったというのは具体的にどういうケースがこれに当たるかというのは、ちょっと今具体的なことが念頭にあるわけではございませんで、一般的にそういう懸念を排除するためにそういう取り扱いのルールを設けているわけでございます。
 開始をしなかった二件と申しますのは、会社は一社、女性が二人ということで二件というふうにカウントしているわけでございますけれども、申し立てをしておられた申請の内容を調停の開始をする必要があるかどうかということで当時の婦人少年室が若干事情を調べました結果、申し出の中身が事実と違っていたという事実誤認があったということで、このケースは開始をいたしておりません。
#161
○黒岩秩子君 そこのところは今納得がいきました。
 この長期間というのが一年だというのは、私はとても短いというふうに感じたんですね。それは女性たちがそういうことというのは、家庭の中でもそうですけれども、女の方が下だということは当たり前だと思っていますし、お茶くみをさせられるのも当たり前だと思っている。だけれども、何かのところでそのことに気づいて、ああおかしかったんだと思ったとき、それが二年たっても三年たってもその人にとってそれが重要だった場合には取り上げていっていただきたいと思いますので、今の長期間ということについては再考願いたいという思いがございます。
 このことの質問はこれで打ち切らせていただきます。
 先ほど、小池議員の方から医者になるための研修医の実態が話されまして、私も本当に涙とともに伺わせていただきました。
 私は、きょうは小児科医療のことに限ってお伺いしたいと思います。
 先日、本院におきまして少子化対策ということで決議がなされましたけれども、その決議の中に小児科医療の整備ということがありました。実際、子供を持つ親にとって一度でも、子供が熱を出して運んでいってもちっとも診療ができなかった、あるいはたらい回しにされたあげくに亡くなってしまった、そういう事件がありましたら、二人目の子供を産むというのはちゅうちょするのが自然な感情だろうと思います。そういう意味で、この小児医療が充実するということが少子化対策にとっても大変大きな問題だと思っております。
 これは、実は私の知り合いの若い女医で、子供二人抱えた女医が、そこの病院では三人の勤務体制なんですけれども、たまたま一人が休んでいた、そして一人の医者が一つのことにかかっていて、もう一人どうしても必要だったというとき、彼女は家にいまして子供を二人見ていました。一人は生まれたばかりの赤ん坊。ところが、どうしても彼女は行かなくてはならなくて、その赤ん坊と上の子と二人を連れて診察に近くの病院まで出かけたわけです。
 診察している間じゅう赤ん坊は泣き続けていたというような事情を聞いていまして、そこから小児医療がどんなふうになっているか聞いてみましたところ、とにかく小児医療をやることによって病院の赤字はふえるばかりだということで、病院はどんどん小児科を減らしている。そのために小児科が少なくなっているから忙しくて忙しくて大変だということで、医学部の学生たちは小児科に行こうとしなくなっている。
 このような実態については皆さん御存じのことと思いますけれども、このような実態をどのように改善しようと思われているのか、大臣のお考えを伺いたいと思います。
#162
○国務大臣(坂口力君) 先日も、小児科の先生方十数名お越しをいただきまして、ぜひとも小児医療についての考え方をもう一度ここで考え直してほしいというお話がございました。
 今、黒岩委員からお話がございましたとおり、だんだんと小児科を標榜する先生方が少なくなってきていることは事実のようでございます。内科、小児科というふうに両方掲げておみえになりますので全体ではそんなに減っているようには数字の上では見えないんですけれども、本当の小児科の先生だけを見れば、これはかなり減ってきていることは間違いないようでございます。
 こうした状況を克服していきますためには、やはり多くの若い医師の卵たちに小児科を選んでいただかなければならないわけでございますが、それも今お話しございましたように小児科は嫌われておりまして、なかなか小児科を選択していただけないという状況にあることも事実のようでございます。
 ここを克服していきますためには、小児医療のもろもろの環境整備というものがやはり大事なんだろうというふうに思います。小児科を行えば行うほどその病院が赤字を抱えるというような状況では、これはなかなか小児科をやってほしいと言いましてもそれは無理だというふうに思いますから、その辺のところからやはりもう少し考え直していかないといけないというふうに私は思っております。
 ただ、単なる小児科だけではなくて、救急医療の問題もしかりでございまして、この辺も、お母さんやお父さん方に御心配をしていただかなくてもいいようにするためには、どうしてもやっぱり根っこのところの問題を解決しなければなりません。正直申しまして、小児科なら小児科のことばかりを余り言いますと、ほかの科の皆さん方からなぜ小児科のことだけを言うかという、そういうおしかりも出るわけでございますけれども、ここは少子高齢化社会の全体の中で考えましたときに、この小児医療というのは最優先課題であるというふうに思っている次第でございまして、ぜひとも積極的に取り組みたいと思っております。
#163
○黒岩秩子君 それで、具体的なことなんですけれども、坂口大臣がかつて小児科医でいらしたということもありまして、小児科がどんなふうに特異なのかというのは、やはり夜中に事が多い。それから、例えばレントゲンを撮りに行くといっても、大人の場合だったら自分で歩いて行ってくれるのに、小児科の場合だったら看護婦さんがつかなきゃいけない。そういう意味で労働力がたくさん必要とされているわけだし、赤ちゃんが泣いてしまえば診察ができなくて長時間になってしまうとか、そういうさまざまなことを考えた場合に、小児科というものを特別に加算していかなければだめなんだと思います。そういう意味で、どうしてもこれはお金をたくさん投入するという形でしか解決できない問題なのではないかと思うのですけれども、大臣、どうでしょうか。
#164
○国務大臣(坂口力君) お金だけの問題でもないとは思いますけれども、しかし財政的なこともやはり重要な課題の一つであるというふうに思っている次第でございます。その辺も十分にわきまえながら行わなければなりません。医師のことだけを考えましてもいけませんので、今お話しになりましたように、看護婦さんを初めとしてその他の方々にもかなり負担のかかることでございますから、小児科医療全体が非常に負担のかかる問題であるということの認識、それを持っていただくようにしていかないといけないというふうに思っております。
#165
○黒岩秩子君 そのようなことでお願いしたいと思います。
 それで、さらにもう一つ、同じ医療現場の問題なんですけれども、精神科医療のことです。
 これまでも何回も私は述べてまいりましたけれども、精神科医療がひどいという状態はそこここで皆さんの目に触れているに違いないと思います。先日の池田小学校の事件のときにもそのことがいろいろ問題になりましたけれども、あの加害者が薬を何百錠と持っていたというような問題もありますし、精神科が、これまでかかっておきながらそれをほとんど放置しているという状態とか、そういうさまざまな問題が世の中にとってさまざまな問題を起こしているという。
 そして、これは実は精神科の場合にもやはり小児科と同じように、医者たちが精神科の医者になりたくないという、そのこともあって精神科特例という形で医者の数が少なくても精神病院はいいというふうになっている。このことによって、実は新潟県では拘束をしていたことによって窒息死というような事件が何年か前にございまして、新潟県では大騒ぎをいたしました。
 この精神医療の問題について大臣も前から何回か問題であるということをおっしゃっておりましたけれども、そのことについて今後どのようになさっていこうとお思いなのか、その決意を伺わせていただきたいと思います。
#166
○国務大臣(坂口力君) 精神科医療につきましても、これは精神科の先生が足りないというようなこともございまして、患者さん何人に対して医師何人というその割合も、精神科の場合には普通の科よりも非常に多くとってあると申しますか、医師一人に対する患者さんの割合が非常に多くなっているわけであります、多くてもいいということになっているわけであります。こうしたことがいろいろの精神科の問題を助長することにまた結びついていることも、これは否定できないと私は思っております。
 しかし、ここを一挙に解決することができるかといえば、急に精神科の先生方をふやすわけにもまいりませんし、一挙にはいかないんだろうというふうに思いますが、しかし年次を決めて徐々にやはりここは改善をしていかないといけない。そうでなくても精神科の場合には、一人の方に対する診療時間というのはほかの場合に比べて非常に長いわけでございますから、多くの時間をかけて聞いていただかなければならないわけでありますから、これはもう少しやはり医師と患者、あるいは看護婦さんの人数等々につきましても、年次を決めて、いつまでにはここまでやっていく、いつまでには一般の病院と同じように、内科や外科と同じような体制にしていくといったようなことを決めながら、これは段階的にやはりやっていかないといけないというふうに思っている次第でございます。
#167
○黒岩秩子君 段階的だということについては本当にそれ以外ないと思いますけれども、実は小児科にしても精神科にしても、もちろん内科もそうなんですけれども、患者さんたちはほとんど話を聞いてもらえば治ってしまうという場合がかなり多くて、そういう意味では、やはり診療時間が長くとれるかどうかというのがあらゆる科にとっても問題だと思います。外科なんかの場合は違うかもしれませんけれども。
 しかし、中でも特に小児科と精神科というのは長時間かけて、小児科の場合だったら子供をあやしながら遊んだりしながら診療ができるということが望ましいことですし、精神科の場合はとにかく薬を上げて解決しようということではなくて、やはり話をどこまで聞くかということが一番の治療になると思いますので、その時間のことを考え、労力のことを考えれば、やはりここにお金を投入するという形でその問題が解決できることがあるんだとすれば、そういう方向で解決していっていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
 終わります。
#168
○委員長(中島眞人君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#169
○委員長(中島眞人君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、柳田君から発言を求められておりますので、これを許します。柳田稔君。
#170
○柳田稔君 私は、ただいま可決されました個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律案に対し、自由民主党・保守党、民主党・新緑風会、公明党、日本共産党、社会民主党・護憲連合、二院クラブ・自由連合及びさきがけ環境会議の各会派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法律の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。
 一、個別労働関係紛争が増加しており、相当な件数にのぼるようになっているという実態等を踏まえ、これを公正、迅速、適正に解決するために、十分な体制の確立など司法、地方行政を含めた複線的な紛争解決システムの整備を図ること。
 二、個別労働関係紛争については、企業内において、不満・苦情の段階で、これを適切に処理することが望ましいため、企業内における苦情処理機関等の整備やその活用の促進に向けた情報提供等の支援を強化すること。また、本法に基づき、労働者が紛争解決について援助を求めた場合、このことを理由に事業主が不利益な取扱いをしてはならないとの法第四条第三項の趣旨を労働関係当事者に周知徹底すること。
 三、紛争調整委員会が男女雇用機会均等法に基づく調停等を行う場合には、機会均等調停委員会の設置の趣旨や目的、名称・設立の経緯を十分に尊重し、その扱いを明確にした運営を行うこと。
 四、地方公共団体が地方労働委員会等において個別労働関係紛争の解決のための取組を行うに当たり、十分な連携を図るとともに、必要な支援を行うこと。また、中央労働委員会は、全国の地方労働委員会が行う個別労働関係紛争の解決のための取組に係る情報の収集及び提供その他必要な支援を行うこと。
 五、紛争調整委員会が行うあっせんにおいては、事実の把握、紛争当事者双方からの十分な意見聴取に努めること。また、紛争調整委員会の運営状況の評価を地方労働審議会で行うとともに、職員の研鑽を図り、委員会の機能の充実を図ること。さらに、本法による個別労働関係紛争処理制度が十分に活用されるよう、本制度の周知徹底に努めるとともに、利用者の利便性を高めるために体制の充実を図ること。
 六、都道府県労働局、地方労働委員会等における個別労働紛争解決制度については、裁判外紛争処理制度として適切に位置づけること。あわせて、労働関係事件への対応について、裁判外紛争処理と裁判所の連携を明確にし、十分な検討を行うこと。
 七、国が行う地方労働行政については、地方公共団体と十分な連携を図るとともに、地方労使団体の意見を十分尊重するものとすること。
  右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#171
○委員長(中島眞人君) ただいま柳田君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#172
○委員長(中島眞人君) 全会一致と認めます。よって、柳田君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、坂口厚生労働大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。坂口厚生労働大臣。
#173
○国務大臣(坂口力君) ただいま御決議のありました本法案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重いたしまして、最大限努力してまいる所存でございます。
 ありがとうございました。
 以上でございますが、一言だけお礼申し上げたいと思います。
 委員長を初め、委員各位の皆さん方には、長い国会の間大変お世話になりました。ありがとうございました。お礼を申し上げたいと存じます。(拍手)
#174
○委員長(中島眞人君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#175
○委員長(中島眞人君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#176
○委員長(中島眞人君) 次に、請願の審査を行います。
 第二号将来の安心及び生活の安定のための社会保障の拡充に関する請願外千四百三十四件を議題といたします。
 これらの請願につきましては、理事会において協議の結果、第七号小規模作業所等成人期障害者施策に関する請願外百一件は採択すべきものにして内閣に送付するを要するものとし、第二号将来の安心及び生活の安定のための社会保障の拡充に関する請願外千三百三十二件は保留とすることに意見が一致いたしました。
 以上のとおり決定することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#177
○委員長(中島眞人君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#178
○委員長(中島眞人君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#179
○委員長(中島眞人君) 次に、継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。
 社会保障及び労働問題等に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#180
○委員長(中島眞人君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#181
○委員長(中島眞人君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時三十七分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト