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2001/03/22 第151回国会 参議院 参議院会議録情報 第151回国会 文教科学委員会 第3号
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2001/03/22 第151回国会 参議院

参議院会議録情報 第151回国会 文教科学委員会 第3号

#1
第151回国会 文教科学委員会 第3号
平成十三年三月二十二日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 三月二十一日
    辞任         補欠選任
     三重野栄子君     谷本  巍君
 三月二十二日
    辞任         補欠選任
     谷本  巍君     三重野栄子君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         市川 一朗君
    理 事
                亀井 郁夫君
                松村 龍二君
                佐藤 泰介君
                内藤 正光君
                山下 栄一君
    委 員
                阿南 一成君
                有馬 朗人君
                中曽根弘文君
                水島  裕君
                柳川 覺治君
                石田 美栄君
                小林  元君
                本岡 昭次君
                松 あきら君
                阿部 幸代君
                畑野 君枝君
               日下部禧代子君
                高橋紀世子君
   国務大臣
       文部科学大臣   町村 信孝君
   副大臣
       総務副大臣    遠藤 和良君
       文部科学副大臣  大野 功統君
       文部科学副大臣  河村 建夫君
   大臣政務官
       文部科学大臣政
       務官       水島  裕君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        巻端 俊兒君
   政府参考人
       日本学術会議事
       務局長      川口  雄君
       文部科学省生涯
       学習政策局長   近藤 信司君
       文部科学省初等
       中等教育局長   矢野 重典君
       文部科学省高等
       教育局長     工藤 智規君
       文部科学省科学
       技術・学術政策
       局長       大熊 健司君
       文部科学省研究
       振興局長     遠藤 昭雄君
       文部科学省研究
       開発局長     今村  努君
       文部科学省スポ
       ーツ・青少年局
       長        遠藤純一郎君
       厚生労働大臣官
       房審議官     伍藤 忠春君
       厚生労働大臣官
       房審議官     鈴木 直和君
       厚生労働大臣官
       房審議官     三沢  孝君
       厚生労働大臣官
       房審議官     青木  豊君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○平成十三年度一般会計予算(内閣提出、衆議院
 送付)、平成十三年度特別会計予算(内閣提出
 、衆議院送付)、平成十三年度政府関係機関予
 算(内閣提出、衆議院送付)について
 (総務省所管(日本学術会議)及び文部科学省
 所管)

    ─────────────
#2
○委員長(市川一朗君) ただいまから文教科学委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、三重野栄子君が委員を辞任され、その補欠として谷本巍君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(市川一朗君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 平成十三年度一般会計予算外二案中、総務省所管のうち日本学術会議及び文部科学省所管についての委嘱審査のため、本日の委員会に日本学術会議事務局長川口雄君、文部科学省生涯学習政策局長近藤信司君、文部科学省初等中等教育局長矢野重典君、文部科学省高等教育局長工藤智規君、文部科学省科学技術・学術政策局長大熊健司君、文部科学省研究振興局長遠藤昭雄君、文部科学省研究開発局長今村努君、文部科学省スポーツ・青少年局長遠藤純一郎君、厚生労働大臣官房審議官伍藤忠春君、厚生労働大臣官房審議官鈴木直和君、厚生労働大臣官房審議官三沢孝君及び厚生労働大臣官房審議官青木豊君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(市川一朗君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(市川一朗君) 去る十九日、予算委員会から、三月二十二日の一日間、平成十三年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総務省所管のうち日本学術会議及び文部科学省所管について審査の委嘱がありました。
 この際、平成十三年度一般会計予算外二案中、総務省所管のうち日本学術会議を議題とし、遠藤総務副大臣から日本学術会議関係予算の説明を聴取いたします。遠藤総務副大臣。
#6
○副大臣(遠藤和良君) 平成十三年度日本学術会議歳出予算要求額の概要について御説明申し上げます。
 日本学術会議は、我が国の科学者の内外に対する代表機関として、科学の向上発達を図り、行政、産業及び国民生活に科学を反映浸透させることを目的とし、科学に関する重要事項の審議、科学に関する研究の連絡を図ること等を職務としております。
 平成十三年度総務省所管一般会計歳出予算要求額のうち、日本学術会議の歳出予算要求額は十三億五千八百万円であり、これを前年度の当初予算額十四億六千一百万円と比較いたしますと、一億三百万円の減額となっております。
 次に、その内訳について御説明申し上げます。
 第一に、科学に関する重要事項の審議等を行う総会、部会等のほか、百八十の各専門分野の研究連絡委員会の審議関係経費として三億八百万円を計上しております。
 第二に、学術関係国際会議の開催、国際学術団体への加入分担金、国際学術関係会議への代表派遣、アジア学術会議の開催等の国際学術交流関係経費として三億六千五百万円を計上しております。
 第三に、平成十五年七月に任命予定の第十九期日本学術会議会員の選出のための学術研究団体の登録及びそれらを審議するための会員推薦関係費として二千六百万円を計上しております。
 そのほか、日本学術会議一般行政経費として六億五千九百万円を計上しております。
 以上が平成十三年度日本学術会議の歳出予算要求額についての概要であります。
 よろしく御審議くださるようお願い申し上げます。
#7
○委員長(市川一朗君) 以上で日本学術会議関係予算の説明の聴取は終わりました。
    ─────────────
#8
○委員長(市川一朗君) 平成十三年度一般会計予算外二案中、総務省所管のうち日本学術会議及び文部科学省所管を議題といたします。
 予算の説明につきましては既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#9
○松村龍二君 自民党の松村龍二であります。
 本日、文教科学委員会におきます予算委嘱審査が一日行われるわけでありますが、トップバッターを切って質問をさせていただきたいと思います。
 先般、所信表明のときに水島大臣政務官から、自分は科学的知識があるから、ひとつうんちくを傾けてやると、こういうお話がございましたので、後ほど聞かせていただきたいと思います。
 また、自民党からは亀井委員、また有馬委員から御質問がありまして、有馬委員は何と申しましても学術関係、あるいはそういういろんな科学面のオーソリティーでありますので、私は素人的な観点から幾つかの科学技術について質問させていただきたいと思っております。
 ただ、その前に、先般、予算委員会におきましても文部科学大臣及び厚生労働大臣から御所信を承ったわけでありますが、現在いろいろ十四歳の犯罪というふうなことが取りざたされましたり、成人の日に日本じゅう、会場におきます雑音とか秩序というものがないということから、今の教育どうなっているんだというふうな話も国民の関心を引きつけておるところであります。そのような問題で、初等中等教育におきます教育の問題も重要でありますけれども、行き着くところ、幼時における教育あるいは家庭における教育ということが重要であるということはだれも否定しないと思います。
 そういう中にありまして、私、先般お聞きしましたのは、その幼時におきます教育、家庭教育等について政府の対応が文部科学省、厚生労働省、その他非常に交錯しておりまして、ここで一度立て直しをする必要があるのではないか、こういう観点から御質問をしたわけであります。
 交錯しております事情は、例えば保育の問題で、昔は託児所ということで厚生労働省が養護という意味で託児所、これが保育所になりまして予算がどんどんついてきた。また、文部省、厚生労働省、あるいは建設省等が協議しまして、エンゼルプランというものについて協議されて全体的な計画が行われておるわけでありますけれども、児童館というのは厚生労働省の所管でありますし、公民館においてやはり児童の教育というのを地域的な関心でもって取り組まれるとか、いろいろ錯綜しているのではないかという御質問をしたわけです。
 その際に大臣からは、自分が大臣になったときに、かつて文部大臣になったときに厚生大臣と相談しまして、両者の間の緊密な連絡ということについて協議し、以後、局長レベルで交換をしておるというような御答弁もあったわけであります。
 そこで、突然お聞きするわけですが、生涯学習政策局長にお聞きしますけれども、児童養護施設というのはどういうものか御存じか、また全国で幾つぐらいあるものか、ちょっと答弁いただきたいと思います。
#10
○政府参考人(近藤信司君) お答えをいたします。
 児童養護施設でございますが、児童福祉法第四十一条に根拠規定がございまして、「児童養護施設は、乳児を除いて、保護者のない児童、虐待されている児童その他環境上養護を要する児童を入所させて、これを養護し、あわせてその自立を支援することを目的とする施設とする。」と、このような規定があると承知をいたしているわけでございます。
 施設の数でございますが、平成十二年三月一日現在の厚生省の報告によりますならば、公立、私立合わせまして合計五百五十三カ所設置をされていると、このように承知をいたしております。
#11
○松村龍二君 「保護者のない児童、虐待されている児童その他環境上養護を要する児童」ということは、昔、終戦後、浮浪児といいますか、親のない子供が戦災孤児というような時代にこのような施設が重要視されてできたということはわかるわけですけれども、今の時代におきます児童養護施設というものの役割、これも親のない、保護者のいない児童、今事実上保護者のいない児童というような、教育がほったらかされているということからすると、まさに児童養護施設が一般の児童も預かるというふうなことも必要なのではないかというふうにすら思うわけです。
 今突然お尋ねして非常に立派なお答えをいただいたわけですが、私が指摘したいのは、文部科学省が自分の所管は幼稚園以上の教育であると承知し、これが初等中等教育局だと思うんですね。それから、それ以下の子供になりますと生涯学習局であると。生涯学習局というのは、どちらかといえば老人のいろいろな教養とか学校卒業後の一般国民の教養、突然年代を隔てて三歳以下のことは生涯学習局が担当すると。それからまた、文部科学省はそういう観点だけれども、先ほど申しましたように、厚生労働省は違う観点から児童の保育に当たっている。その辺でどうも一貫しない、日本の国として、幼稚園と保育所の一元化というような問題とか、そういうようなことについて検討が行われる必要があるんではないかと、こういうふうに思うわけです。
 そこで、もう一つ伺いますが、三歳児神話というのが昔ありまして、三歳までは親が育てないといかぬ、何よりもかえがたい教育を親がするというのが三歳児神話ということだったと思うんですが、その後、三歳児神話というのが崩れて、だれかが面倒を見ればいいんだと、愛情を降り注ぐ方がおればいいんだというふうになってきたというふうにも承知するんですが、生涯学習政策局長はこの三歳児神話ということについてどのようにお考えでしょうか。
#12
○政府参考人(近藤信司君) お答えをいたします。
 三歳児神話につきまして、それぞれいろんな考え方があるんだろうと思っておりますが、いずれにいたしましても、乳幼児期は生涯にわたる人間形成の基礎が培われる極めて重要な時期でございます。とりわけ、やはりすべての教育の出発点である家庭教育において、基本的な生活習慣でありますとか自制心、自律心、これを育成していくことが何よりも大事だろうと思っております。そういう意味で親の果たす役割が極めて重要であろうと。こんなことから、私どもといたしましては、現在、家庭教育の充実に全力を挙げて取り組んでいるところでございます。
#13
○松村龍二君 ところが、厚生省においては三歳児神話というのはもう崩れたんだと。さっき申しましたような理由で、だれか愛情を注ぐ、保育所の保母さんが愛情を降り注いでおれば別に親が三歳まで面倒を見なくてもいいんだと、こういうふうにちょっと考え方を変えて、それがエンゼルプランのゼロ歳児保育とか、そういうものの拡充になっているというふうに承知しておりますが、そのような理解でよろしいでしょうか、局長。
#14
○政府参考人(近藤信司君) 結構だと思っております。
#15
○松村龍二君 そこで、いずれにいたしましても保育所における教育、これの特徴は、やっぱり保母さんというのは若い方がそろっているんですね。幼稚園というと、どっちかというと先生方が年をとってこられている。保育所の方は若い女性の方が多いというようなことで、極めて保育所の方が手が行き届くというメリットと、一面、長時間預かりますから、やっぱり幼稚園のように短時間にしつけをする、限られた二年間とか、そういう期間において学校へ入るまでのしつけ教育をするという観点とは違って、どうしても長く一日おつき合いして、そういう中でしつけをしないといかぬという困難さがあると思うんです。
 そういう中におきまして、文部科学省も十二分に幼児の保育、教育ということについて全面的な取り組みをしていただきたい。
 それから、この問題でも、私、どういうふうに交錯しているかということをちょっと調べようかと思いまして、かつての総理府の青少年対策室へ電話しまして、どういうふうになっていますかと聞いたら、うちは少年の不良化の問題であって、少年以上であって、幼児のことは知りませんと、こういうことなんですね。
 別に一元的に文部科学省と厚生労働省を統括してよその役所に頼まぬといかぬということはないと思うんですが、それだけに、文部科学省が今の時代の幼児教育ということについて、やっぱり一元的に責任を持つというふうな意気込みでやっていただきたいというふうに思うんですが、大臣、御所見を承りたいと思います。
#16
○国務大臣(町村信孝君) 松村委員から幼児教育の重要性、またそれにかかわる行政のあり方、何かばらばらになっているんじゃないかという大変貴重な御指摘をいただきました。
 現実、確かに幼稚園と保育所というのが所管が分かれているという実態はあるわけでございますが、しかし何省とかかに省とか関係なく子供は子供でございます、幼児は幼児でございます。ですから、それぞれが力を合わせてやっていく必要があろうと思っております。
 私は、将来的には幼稚園、保育所を分けておく理由はないと、こう思っております。なぜならば、現実がもう幼稚園における保育機能というのが預かり保育等々で大分進んできております。それぞれの幼稚園で夕方まで預かるという機能が付加されてきておりますし、また保育所における教育機能というものも随分充実されてきている、こう思っております。
 たまたま対象になる法律が違ったり所管の役所が違うというだけでばらばらしているようなことではいけないだろうと、そう思ったものですから、先般、松村委員の御質問もございましたけれども、私が三年前に文部大臣のときに当時の小泉厚生大臣と語り合って、よく両省庁で連携を密にしていこうと。連携を密にするだけではなくて、いろいろな面で、例えば施設の面の共用化を図っていこうとか、あるいはそれぞれが学校で、養成段階で学ぶときに同じようなカリキュラムをやっていけば同じ資質が持てるんではないんだろうかとか、いろいろな面で共通点を探っていこうではないかと。将来、これはいつということを申し上げるほどなかなかまだ煮詰まっておりませんけれども、いずれは私はやっぱり一元化すべきものだろうと、こう思っております。
 そのことがだれよりもかれよりも、文部科学省にとっていいとか、そういうことではなくて、子供たちにとって一番その方が望ましいのではなかろうか。そんな思いでこれからも取り組ませていただきたい、かように考えております。
#17
○松村龍二君 大臣から非常に前向きの御答弁をいただきまして、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 国会便覧を見ますと、初等中等教育局に幼児教育課というのがあるんですね。さっき申しましたように、私が答弁を求めるのは初等中等教育局ではなくて生涯学習政策局に御意見を聞くと。それからまた、厚生労働省あるいは法務省の保護司というようなことになっておりますので、ぜひ政治主導でよろしく取り組んでいただきたいということをお願い申し上げます。
 それでは次に、科学技術基本計画につきましてお伺いいたします。
 二十一世紀を迎えまして、我が国は、経済活動の停滞、少子高齢化による労働力人口の減少、地球温暖化を初めとする環境問題など、さまざまな課題に直面しております。また、情報や資本などの国境を越えた移動がさらに活発化するなど、グローバリゼーションが進むことによって先進諸国の間での経済競争は激化しております。
 このような状況の中、我が国が国際競争力を確保し、持続的な発展を遂げていくためには、先端的な研究開発を積極的に実施し、その成果を産業競争力や国民生活の向上につなげていくことが必要であります。また、環境問題など地球規模の問題を解決するために、我が国は先進国として科学技術を基礎とした解決策を示して積極的な貢献をしていくことが重要であると思います。
 政府におかれましては、平成七年に科学技術基本法に基づきまして科学技術基本計画を策定し、これに基づき諸施策を実施してきたものと承知しておりますが、平成十二年度で五年間の計画期間を終了すると聞いております。したがって、この三月末までに二十一世紀の最初の五年間の我が国の科学技術政策の基本となる新しい科学技術基本計画を策定する必要があると思いますが、新科学技術基本計画はどのように今検討されているか、科学技術・学術政策局長にお尋ねします。
#18
○政府参考人(大熊健司君) 御説明申し上げます。
 先生お尋ねの新しい科学技術基本計画でございますけれども、現在、本年一月発足した総合科学技術会議におきまして科学技術に関する総合戦略について検討が行われているところでございまして、この総合科学技術会議では、昨年十二月二十六日に科学技術会議が行いました科学技術基本計画に関する答申、これをベースにしまして、一つは科学技術政策の総合性と戦略性、二つ目は総合科学技術会議の運営、三つ目は生命倫理を初めとした科学技術に関する社会的責任への取り組み、こうした点の問題につきましてさらに検討を行っているという状況でございまして、この総合戦略でございますけれども、本日開催される予定の総合科学技術会議本会議におきまして内閣総理大臣に対して答申がなされると、こういうふうに聞いております。
 政府としましては、この答申を受けまして、科学技術基本法に基づき、平成十三年度から十七年度までの五年間を対象とする新しい科学技術基本計画を閣議決定しようと、そういうふうな今は準備の状況でございます。
#19
○松村龍二君 厳しい国際競争の中、我が国が科学技術の分野で世界をリードしていくためには、政府の研究開発費の増加が必要なことはもちろんでありますが、研究開発費や人材など限られた資源をどの分野にどのように使っていくかということにつきまして、またどのようにして研究者や技術者が独創的かつ創造的な成果を生み出せるようにしていくのか、戦略的な取り組みが不可欠であります。そのような戦略的取り組みという観点で、我が国はどのような戦略で科学技術政策を進めていくのか、町村大臣にお伺いします。
#20
○国務大臣(町村信孝君) ただいま局長から御説明させていただきました新しい科学技術基本計画、きょうの夕方、総合科学技術会議本会議がございまして、私もそれにこの委員会が終わりました後出席をしようと、こう思っているわけであります。
 今度の新しい基本計画の特色でございますけれども、やっぱり第一の課題は科学技術の戦略的推進のための重点化を図っていきたい、こういうことでございます。これは、限られた資源、人であるとかお金であるとか、そういったものを今後重点的に投入すべき四分野というのを掲げておりまして、ライフサイエンス、情報通信、環境、ナノテクノロジー・材料、この四分野を中心に重点的に推進をしていこうというのが一つの考え方であります。
 二番目の特色といたしましては、科学技術のシステムを改革していこうということでございまして、具体的に申し上げますと、科研費などの競争的資金の拡充、それから三〇%ぐらいの間接経費をあらかじめ設けておいて研究をより充実したものにしていこうというのが一点。それから、若手研究者の自立性の向上、例の前から議論されておりますポスドクの問題等でございますが、これが二番目。それから三番目が、大学、研究所などの研究教育施設、これが大変老朽化している等々の問題がございまして、これを重点的に整備していこうと。それから四番目は、研究成果の産業化とか社会還元の推進。今までも進めてきた分野ではございますけれども、まだまだそうした取り組みが不十分でございますので、それをやっていこうと。それから五番目は、研究の評価というものをより充実して、そのために必要な人材等々も投入をし、そして研究開発活動の透明性を向上させていきたいと。こんなようなことを考えながら新しい科学技術基本計画を策定してまいりたいなと、かように考えているところであります。
#21
○松村龍二君 昨今の我が国の深刻な経済状況を打破し、我が国経済の活性化を図るとともに、国民生活のさらなる向上につなげていくためには、先端的で独創的な研究成果を生み出す研究開発に取り組んでいくことはもとより、その研究成果を新技術、新産業の創出につなげていくことが極めて重要なことは言うまでもありません。そのため、研究者や研究機関がみずからその研究成果の移転に積極的に取り組むとともに、産学官の連携によりその実用化が推進されることが重要と考えておりますが、大野副大臣に御所見をお伺いします。
#22
○副大臣(大野功統君) 松村先生御指摘のとおり、今後の新しい日本にとって産学官連携は極めて重要な課題でございます。単に研究成果を生む、技術を生むだけではなくて、やっぱりそれを育てていかなきゃいけない、それを実用化に向けて開発をしていかなきゃいけない。このことは、我々、閣議に負けじと副大臣会議を毎週やっておりますけれども、副大臣会議でもこの問題を研究しようと、こういうことでございます。
 ただ、大切である、大事であるということを認識するだけじゃなくて、やっぱりそのシステムをつくっていかなきゃいけない。当然のことでございまして、文部科学省におきましても、例えば産学官の共同研究をやろう、あるいは産業界から委託研究を受けてその勉強をしていこう、それから研究成果を特許化していかなきゃいけない、そしてまたTLO等を通じて技術を産業界に移転していかなきゃいけない、こういうシステムの問題にも十分取り組んでいるところでございます。
 今後の課題といたしまして、新しく、例えば最近非常に評価ということを大切にしていこう、評価をして、高い評価の中で資源配分をやろうと、こういう動きでございますが、この産学官連携という一つの取り組みを評価の中の重点項目として入れていこうと、こういうことが一つございます。
 それからもう一つは、研究開発費を与えて、そして何かやっても失敗するかもしれない、そういう場合には、一定の場合でございますけれども、その研究開発費のリスクを国の方でとりましょうと、産業界の負担にしないということも考えなきゃいけない。そしてまた、産業界と研究開発を結ぶ目きき人を養成していこうと。さらに、例えば研究開発費をもらって開発をしてこれから売り上げを伸ばしていく、そのような場合に、直ちに研究開発費を返さなきゃいけないということではなくて、例えば売り上げの何%を返していけばいいよと。こういうようなきめ細かな配慮をしながら、先生御指摘の産学官連携を強化していきたい、このように思っているところでございます。
#23
○松村龍二君 そこで、現在、地域におきまして非常に進んでおる部分が見られます。シェアトップ中小企業、世界シェアの五〇%以上を持っておる中小企業あるいは国内シェアトップの企業数ということを見ましても、なかなか地方が頑張っておる。国内シェアトップ企業数は、まあ私の地元の北陸の方も結構頑張っておりまして、昔から物つくりの伝統文化があるということを如実に物語っているのかなと我田引水で思うわけであります。そのように地方も頑張っておるわけでありまして、この科学技術振興という場合に、そのような地方の、地域の力を活用することが重要かと思います。
 そこで、お伺いしますけれども、科学技術の振興に当たっては、地方自治体においても昨今積極的な研究開発投資を行っており、地域の大学や公設試験研究機関において地場の企業とも連携しながら研究開発を進め、テクノポリスやハイテクパークといった名前で整備するなど、活発な科学技術活動を展開しているものと承知しております。我が国全体の科学技術のレベルを向上させていくためにはこのような地域のポテンシャルを生かしていくことが非常に重要と考えますが、文部科学省におきます地域科学技術振興のための取り組みについて、大野副大臣にお伺いします。
#24
○副大臣(大野功統君) まさに御指摘のとおりでございます。
 近年、各地域におきまして自主的かつ地域の特性を生かして科学技術振興への取り組みを活発にやっているところでございます。それが地域の振興にもつながりますし、またそれが日本全体の活性化にもつながっていく。活性化は地域からということで頑張っているところでございます。
 具体的に申し上げますと、まず第一には産学官連携強化を目的といたしました地域研究開発促進拠点支援事業、こういうものがございます。これは、産業界と大学とが連携したところへ研究者、人を派遣していこう、こういう試みでございます。それから二つ目に、具体的な共同研究を県と連携して進めていく地域結集型共同研究事業というものがございます。五年間でこれだけの研究をやろうという産学官連携でございます。三番目に、研究開発の発掘、育成から企業化まで、これを一貫してやっていこうと。研究成果活用プラザということでございます。
 このように、地域のすぐれた研究開発資源、そしてまた能力をフルに運用して各種施策をやっていこう、こういう考えでございます。今後とも、この問題につきましては地域の自主的な取り組みをベースにして、国としてもそれを一生懸命後押ししてあげよう、こういう心構えでやってまいる所存でございます。
#25
○松村龍二君 アメリカにおいては、このような地域、大学を中心に研究機関あるいは行政その他が団結しまして新たな技術を生み出していくというふうな、新産業を創出するという力を持っておるというふうに聞くわけでありますけれども、またそのような関係機関の総合的な連携システムを備えた地点を知的クラスターと呼ぶそうです。私もかなりインテリのつもりですけれども、知的クラスター、クラスターって何だろうかなと思って、ブドウの房というような、これは何かいろいろ寄り集まっているという意味だそうですが、言葉もなかなか難しくなっておりますけれども、我が国におきます知的クラスター形成に向けました文部科学省の取り組みについて、さらにお伺いします。
#26
○副大臣(大野功統君) 知的クラスターという言葉も、私、担当になって初めて知りましたけれども、要するに産業政策、立地政策ということではなくて、それはやっぱり技術が中心になるんだと、知が中心になるんだと。こういう観点から、研究者それから技術の種、シーズという言葉をよく使っておりますが、技術のシーズを大切にして、そこに着目して、それから世の中に発展していこう、こういう趣旨でございます。したがいまして、独創的な技術のシーズが一つここにあって、それからもう一方に企業の実用化へのニーズがあって、それがお互いに刺激し合いながら産業の発展、経済の発展に貢献していこう、こういう趣旨でございます。
 平成十三年度におきましては、科学技術振興事業団によりまして、先生おっしゃいました知的クラスターの構築に向けたいわばフィージビリティースタディーをやっていこう、こういう計画でございます。このフィージビリティースタディーの中で、共同研究を含む研究開発活動の推進、あるいは人材の養成確保、技術移転機能等の充実等々、知的クラスターを形成する具体的な方策について対象地域ごとに検討していこう、こういう動きでございます。
#27
○松村龍二君 どうもありがとうございました。
 それでは、この各論の中にナノとか何か難しいまた言葉がいろいろあるんですが、ライフサイエンス、二十一世紀は生命科学の世紀だと言われております。先ほど申しましたように、水島大臣政務官、我が国はヒトゲノム計画に対して量的または科学的にどのような貢献を果たしてきたのか。また、ポストゲノム、ゲノムがわかった後の医療等の分野に応用するポストゲノム研究に対する我が国の戦略はどのようになっているのか。また、もしも一緒にお答えいただくのであれば、そのヒトゲノム研究を進めていく上で倫理面の配慮が必要であると考えますが、政府としてどのような取り組みをしているのか。
 私の持ち時間は五十分でございますので、水島大臣、あと自由に時間を使っていただいて教えていただきたいと思います。
#28
○大臣政務官(水島裕君) 松村先生、質問していただきましてどうもありがとうございました。最後の倫理面は大野副大臣が多分お答えいただくと思いますので、その前の二つに関しまして、ではまとめてお答えしたいと思います。
 委員の方々も御存じのように、結構日本も頑張ってきたわけであります、やや不満なところがございますけれども。今御質問の今までのヒトゲノム計画というのは、シークエンス、順列の解析というふうに理解させていただきたいと思いますけれども、それに関しましても、よく御存じのように、例えば慶応大学の清水教授は二十二番目の染色体の解析をしましたし、それから理研の榊さんは、これは東大の医科研と共同ですけれども、二十一番目の染色体のシークエンスの解析をしたということで結構頑張っているんですけれども、トータルで、今、先生量と科学的というふうにおっしゃいましたけれども、量ということですと六対三対一ぐらい、今までの世界の貢献度。アメリカが六、それからヨーロッパが三、日本が一と、大体そんなぐらいであります。でも、この数字は大変私、我が省にとっても不満でございまして、日本はもっとできるべきだと思います。
 そこで、多少反省ということになると思いますけれども、例えば一九八六、七年だったと思いますけれども、今横浜の理研のゲノムセンター所長をしている和田先生という方が国際学会なんかでシークエンスを自動的にやれやれということを随分提案して、日本にも提案したわけでありますし、また松原謙一先生という方がいらっしゃいますけれども、その方も一生懸命言った。だけれども、余り国として十分それを取り上げなかった。取り上げていればもう少しできたんではないかという反省点もあるわけでございますし、松原先生なんかは、しょっちゅうお会いしますと、何か百万円ぐらいしか文部省は研究費をくれなかったとかと言っております。でも、そういう多少問題のある、だけれども恐らくやむを得なかった事情でそういうことになったと思います。
 それからもう一つが、シークエンサーというので配列を見ているんですけれども、これも日立ともう一つ別な会社が試作品までつくったんですね。これ一九九〇年だったと思いますけれども、つくりまして、ですから日本もそれでばあっとやればもっと早くできたんだけれども、これも国の責任も多少あるかもしれませんけれども、それがうまくできなかったということであります。
 そういう反省材料を生かしまして、日本は一度軌道に乗るとうまいんですけれども、出だしのいいものをキャッチするというところが下手なわけでございますので、今例えば再生医学あたりでも日本で欧米をしのぐようないい芽が出ているんですけれども、そういういい芽がありましたらぜひ我が省としましても、文部科学省としましても積極的にそういうのを進めるようにこれから反省点を踏まえてやっていきたいというふうに思っております。
 それから、科学的にどういうふうに貢献したかということが、今のもそれに入るわけでございますけれども、もう少し具体的に申し上げますと、アルツハイマーとかダウン症候群というのがあるんですけれども、その遺伝子がどこにあるかという、特定するといいますけれども、それが日本で行ったということと、もう一つたんぱくを合成するのには、ちょっと難しいですけれども、完全長cDNAというのがあるといいんですけれども、そういうシークエンスに関しましては日本がトップぐらいということで、結構いろいろ貢献もしているわけでございます。
 それから、次のお答えに入りたいと思いますけれども、今までそういうことでシークエンスの解析、塩基がどういうふうにどういう順番で並んでいるかというものの解析は日本は随分実力以下の成績だったんで、これからはポストシークエンスでは頑張っていかなくちゃいけないということで、これは今は改組しましたけれども、昨年末の科学技術会議でもその戦略は十分練っているわけであります。
 そのポストシークエンスとしましては何が重要かといいますと、まず第一は、これ御質問が医学というようなことをおっしゃいましたのでそちらで言っておりますけれども、きょうお答えする医学以外には食料、例えば菌に強い植物とか環境問題にもこのポストシークエンスは非常に重要な役割を果たすわけでございまして、時間がありましたらそれについてもお答えしたいと思いますけれども、一応御質問のように医学に限っていきますと、ポストシークエンスで一番大切なのはたんぱくの構造決定とその機能の解析なんですね。ポストシークエンスで見つかったたんぱくがどういう構造をしているかというのをはっきりつかまえないと、その後の応用ができないということなんです。
 たんぱくの構造は、ちょっと専門的になりますけれども、普通どういうふうにするかと申しますと、一つがエックス線解析、もう一つが核磁気共鳴を使う方法。エックス線解析は日本の兵庫県にSPring8というのがあって、これがもう物すごい強力なものなんですね。アメリカにはSPring7で、ヨーロッパはSPring6だと思いましたけれども、つまり日本のエックス線解析技術が世界一である。
 それからもう一つ、核磁気の方はNMRというのでやっているんですけれども、これは横浜の理研に世界一のものが、大きなものができた。つまり、液体の中に溶けていても構造が調べられるようなものができたということですから、とにかくハードは日本が一なんです。あとはいかに運用するかということでありまして、今の文部科学省あるいは科学技術会議の予定ではシークエンスの方は六対三対一だったけれども、たんぱくの構造解析は少なくとも三分の一は日本でやろうというふうに考えております。
 しかし、たんぱくの構造がわかっても、これが実際に実用化しなければ意味がないわけでございますので、その後のたんぱくの機能を調べるとか、それを実用化に結びつけるということも一生懸命やろうと思っております。
 それから、ポストシークエンスとして第二番目はオーダーメードの医療でございまして、これはシークエンスのわずか一つが違っている、これはSNPと言うんですけれども、これを調べますと、この人はどういう病気になるのか、薬を使うと副作用が出るとか、どのくらいの量で済むかとか、そういうことがわかるわけでございますが、そのSNPを日本で中心に行って、オーダーメードの医療を日本から発信できたらというふうに考えているわけでございます。
 以上でございますけれども、我が省としても今省内で検討していることは、今までは技術の開発あるいは研究というのは文部科学省、いいところまでいきましたら審査なんかは厚生省がする、それから大量に物をつくるのはベンチャーとかあるいは製薬会社がつくる、そういうふうになっておりますけれども、その連携がどうも今までうまくいかなかったということで、先ほど大野副大臣もおっしゃっていましたけれども、これからは技術の開発と同時に、その後がうまくつながるように厚生労働省とも相談しながら一緒にやっていくというふうなことを、文部科学省あるいは町村大臣も含めた五人会議というのをやっているんですけれども、そういうところで十分話し合っているというところでございます。
 以上でございます。
#29
○松村龍二君 こうしたゲノムの研究をする際に多数の方からの試料の提供が必要でありまして、その方の遺伝情報が明らかになってしまうため、さまざまな倫理的、法的、社会的な問題を招く可能性があるという側面もあると思いますが、ヒトゲノム研究を進めていく上で倫理面の配慮につきまして政府としてどのような取り組みをしておるのか、大野副大臣にお伺いします。
#30
○副大臣(大野功統君) まさに先生御指摘のとおり、ヒトゲノムの研究というのは人類の幸せを築き上げるものであるとともに、同時にやはり人間の生命、命の根元に触れるものでありますから、倫理面での心構えをきっちりとしておかなきゃいけない、当然のことでございます。
 これまでの科学技術会議生命倫理委員会、こういうものがございまして、この生命倫理委員会で、平成十二年、昨年でございますが、六月にヒトゲノム研究に関する基本原則がつくられております。それに基づきまして、この原則に基づきまして文部科学省、厚生労働省、それから経済産業省、この三省で研究者が遵守すべき具体的指針といたしましてヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針の作成を共同で進めているところでございます。
 もちろん、こういう問題ですから大勢の国民の皆さんに御意見を賜らなきゃいけないということでパブリックコメントにも付したわけでございます。既にパブリックコメントを終えておりまして、方向としてはことしの四月一日からこのガイドライン、生命倫理に関しますガイドラインを告示する、施行する、こういう運びになっております。
 具体的に主な内容でございますけれども、主な内容としては、例えば血液とか粘膜等を提供してもらうわけですが、その提供してもらう人には必ずインフォームド・コンセント、必ずお知らせして、こういうことに使うんだという同意、了解を求める、これはもう一番基本的な問題でございます。さらに、提供者の個人情報は絶対漏らしちゃいけない、こういう大事なこともございます。また、研究機関の中に倫理審査委員会を設けて研究計画の科学的、倫理的妥当性、こういう面からも十分検討してもらおう、こういうこと、その他若干まだございますけれども、この三つ申し上げたのが主な内容でございます。
 こういうことに基づきまして、ヒトゲノム研究に携わっている研究者の皆さんがこのガイドライン、指針を十分に理解していただいて、指針に沿った研究が研究面では十分行われる、ただし倫理面ではきちっと守っていく、こういう研究がなされることを期待しているところでございます。
#31
○松村龍二君 かつて原子力と臓器移植の問題は国会議員が審議するのに最もふさわしくないテーマであるという逆説といいましょうか、風刺的な言葉を聞いたことがありますけれども、科学技術こそが我が国の将来を切り開くという観点で、わかりやすく、またPRもよろしくお願いしたいと思います。
 本当は、昨今地震が非常に多いので、地震調査研究という観点でどのようにあれしているか、また深海地球ドリリング計画というのがあるそうでありまして、地震のメカニズムを解明するために地球のしんに向かって穴をあけていくというような計画もあるそうでありまして、そのようなお話も聞きたいと思ったんですが、時間がありませんので、これでもって私の質問を終わります。
 どうもありがとうございました。
#32
○亀井郁夫君 自由民主党の亀井でございます。
 引き続いて質問させていただきたいと思います。
 昨年来、年若い少年たちの凶悪事件がどんどん起こってまいりました。そしてまた、二十歳代の若いお父さん、お母さんが子供を殺して道路端に捨てるというふうな事件もありました。そういう意味で、日本人の心というものはどうなっているんだろうかという思いをしているのは私だけではございませんで、国民全体として日本人の教育というものについて、日本の教育という問題について考えなきゃいけないという状況に今置かれておるわけでもございます。
 この国会は教育国会という形で位置づけて多くの法案が出るわけでございまして、これまで歴代の内閣が手をつけられなかったような案件も出ておるわけでございますけれども、何と申しましても日本の教育のかなめは文部科学省でございます。そういう意味では、文部科学省の強いリーダーシップがなければ日本の教育は変えることができない、言うまでもないことではないかと思うわけであります。
 私のおります地元広島、皆さん方に大変御迷惑をかけました。三年前に文部省の方で調査に入っていただき、そして十数項目にわたって指摘を受け、指導を受けてまいりました。そして、広島に文部科学省の方から辰野さんが教育長として来られまして、三年、間もなく終わりますけれども、頑張っていただいたわけでございまして、非常に広島県の教育もようやく変わろうかなという感じになってきておるわけでございまして、広島県の人で辰野さんの名前を知らない人はいないぐらい今有名になったわけでございます。ぜひともずっとおっていただきたいというのが広島県民の希望でございますから、大臣、ひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。
 しかし、こうした中で、大臣の地元である北海道も大変厳しい状況にあることがわかりました。広島が一番悪くて、何かにつけて広島ほど悪くはないんだけれどもうちはこうだということで悪い代名詞に広島県が使われておったんですが、今度は、広島や北海道ほどじゃないがといって、北海道も一緒に共連れになったんじゃないかと私は思います。
 そういう状況の中で、昨年の十一月二日のこの委員会でいろいろと問題を指摘させていただきました。何といいましても、広島では昭和六十年に知事、議長、教育長と解放同盟、広教組との間で結ばれた確認書が大きな災いになり、それ以降ずっと教育の現場が一段と荒れてきたのも事実でございます。北海道の場合には昭和四十六年に教育長と道教組の間で結ばれた協定、四六協定と北海道では呼ばれておりますけれども、三十年間これがあったということで、北海道の教育を大きくゆがめてきたと私は思うわけでございますし、そういう意味ではこの四六協定を破棄することから北海道の教育のあしたが開けてくるんだろうと思うわけであります。
 広島県の場合も、その八者確認書がようやく十五年たった昨年、知事も破棄を認めて、破棄するということになり、教育現場もそういった桎梏から解放されて、校長先生方もみんなできるんだという状況になったわけでございますけれども、北海道についてもこの一番もとになっている四六協定を破棄しなきゃいけない。当時の大臣も教育長さん方も皆さん破棄するように指導すると言われ、現在進めておられるようでございますけれども、しかしなかなか道教組の反対運動も厳しいようでございまして、聞くところによると何かストライキをやるんだという話もあるんだとか聞きました。そんなことはできっこないと私は思いますが、それぐらい厳しい中で今進めておられるようでございますけれども、この辺についてはぜひとも勇気を持ってやっていただきたいと思うわけであります。
 特に、私、国会に出してもらいましてから二年半余りになりますが、ずっとこの文教科学委員会で勉強させてもらいましたが、率直に申し上げまして、文部科学省の人には不満かもしれませんが、役所の性格かもしれませんが、非常に保守的な役所だなという思いがするわけでありまして、変えることに対しては物すごく抵抗があるというふうに感じておるわけでございます。しかし、文部科学省が変わらなければいけないわけでございますから、そういう思いで各都道府県の教育委員会の指導に力を発揮していただきたい。大臣、ぜひともよろしくお願いを申し上げたいと思うわけでございます。
 そういう意味で、大臣に、教育に対する思いというものは大臣は非常に強いものをお持ちでございますし、それをベースにした北海道の状況、地元でございますし、その後、どのような形で動いてきており、これからどうなろうとしているのか、御説明いただければありがたいと思います。
#33
○国務大臣(町村信孝君) 今、委員御指摘をいただきましたように、この国会、私どもとしては六本の法律を出させていただき、また予算の中にも教育改革に関連する重要な予算が幾つも入っている。ぜひこれをてこにして教育改革を進めていきたい、こう思っておるところでありますが、これは幾ら文部省が笛を吹いても何をしても、実際にこれを受けとめてもらうのは各学校現場、そして市町村教育委員会、都道府県教育委員会でございます。したがいまして、教育改革を進めるための各学校における校長のリーダーシップというものが大変重要であろうと。その校長のリーダーシップのもとでいろいろな独創的な教育、ユニークな教育というものが展開をされていくということが求められているわけでございます。
 そういう中にあって、北海道のいわゆる四六協定というものにつきましては、校長の権限を著しく制約する事柄を含むなど、いろいろ問題があるということで、昨年、前文部大臣の大島大臣が四六協定を破棄されるべきである、こういうお答えをし、その方向に沿って指導をしてまいりました。私になりましてからも引き続きそういうことで四六協定の破棄という方向で指導をしているわけでございますが、これに対して北海道教育委員会も一生懸命取り組んでおりまして、三月二十日に四六協定の一部削除を北海道教職員組合に通告をしたということでございました。これが北海道の教育正常化の第一歩になるであろう、こう期待をしているのでございますけれども、これに対して、北海道教職員組合が早朝ストライキを二十九分間ですか、実施をしたという報告が上がってきており、また新聞にも報道されているようでございます。
 こうした争議行為というのは、言うまでもございませんが、地方公務員法上許されることでは全くございませんので、こうした行為が行われたことは大変遺憾である、かように考えているところでございまして、任命権者である北海道教育委員会におきまして事実関係を十分調査した上で厳正な対応をとってもらいたいものだ、かように考え、そういう方向で指導していきたいと思っているところであります。
#34
○亀井郁夫君 早朝の二十九分のストライキということを今お聞きしましたけれども、もってのほかでございまして、地方公務員として許されていないことを先生がやるということで大きな問題だと私は思いますので、そういう意味では毅然たる姿勢でこの問題については対応していただくようお願いしたいと思うわけであります。
 それでは次に、歴史教科書の問題についてお尋ねしたいと思いますけれども、日本の伝統文化を考えた場合に、歴史教育の重要性というものは今さら言うまでもないことでございます。
 日本の場合には敗戦という大きな痛手を受け、これを契機にいたしまして、戦前の歴史を何とかして忘れよう、同時にまた戦前の社会についてもこれを否定しようというふうな動きがずっと続けてこられたことは事実でございまして、そういう意味では五十五年間がそうした歴史だったと私は思うわけであります。
 そういうことから、学校の歴史教科書を開いてみましても、前からも指摘しておりますように、いろいろ大きな問題がある。これが本当に日本の国の教科書かと率直に言って思いたくなるような教科書もあるわけでございまして、そういう意味では教科書の適正化、正しい教科書をつくることは大事だということはみんな感じているところでもございます。
 そういう意味では、国の歴史には言うまでもなく影の部分もあります。同時にまた、光の部分もあるわけでございますから、この両方の事実をしっかりと子供たちに教えて、やはり日本に生まれたことを誇りに思うような子供をつくっていかなければ私はならないと思うわけであります。
 最近の状況を考えますと、やはり日本人としての誇りを失ったことがそうしたいろんな考えられないような事件の温床にもなっているんじゃないかと思います。これは子供たちだけではなしに、政界、官界、財界、いろんなところにおいて人の道を忘れてしまったような事件が多く起こっておるわけでございます。
 そういうことの中で、新しい歴史教科書をつくる会が先生方の手でつくられ、これが中学校の歴史教科書として今つくられようとしておるわけでございますが、私たちもその中身は全く知ることができないわけでございますし、白表紙本ですから知らないわけでもございます。しかし、どうしたわけか、この白表紙本の中身が漏れておるようでございまして、そういう意味では、隣国の方からいろいろとこれについての申し入れが来ているということから、これは内政干渉ではないかという形での問題も起こっておるわけでもございまして、非常にそういう意味では問題だろうと思うわけでございます。
 やはり大事なことは、そうした歴史教科書にしろ、何でもそうですけれども、教科書を公正、公平につくっていくということが一番大事でございまして、外部の圧力、隣国の圧力によって教科書の中身が変えられるということになってはこれまた大変なことでございますし、そういうことはないと思いますけれども、そういう意味で、ぜひともこれに対しては文部省としても毅然とした姿勢でちゃんとやっていただきたいというふうに思うわけでもございます。
 そういう意味で、今申し上げましたように、中国や韓国からこの教科書の検定について、当該教科書を不合格にしてほしい等、いろいろと来ているということが新聞等で報道されておりますけれども、どういうことがどのような時点、形で外務省に来、そしてまた外務省の方から文部省に対して正式にいろいろな申し入れがあったのかどうか、それについて事実をお教えいただきたいと思います。
#35
○政府参考人(矢野重典君) 平成十四年度から使用されます現在検定中の中学校歴史教科書につきまして、中国政府や韓国政府から関心や懸念が表明されていることは私どもも承知しているところでございます。
 例えば、本年三月二日、中国外交部副部長から在中国臨時代理大使への申し入れにおきましては、侵略を否定し歴史を美化する教科書を阻止すべきであるとの内容があったことなどは聞いているところでございますが、こうした先方の関心や懸念の表明が具体的に検定の不合格までを求めたものであるかどうかということについては私どもも承知していないところでございます。
#36
○亀井郁夫君 そうした形で中国や韓国からも、韓国からも話があったと思うんですけれども、そのことについての説明がなかったんですけれども、そうした行動が内政干渉と言えるんではないかという意見が随分あるわけでございますけれども、こうしたことについては内政干渉と見れるのかどうなのか。特に、文部大臣としてこういうものについてどのようにお考えか、お尋ねしたいと思います。
#37
○国務大臣(町村信孝君) 中国あるいは韓国等からの反応、あるいは外交関係での、外交ルートでの申し入れ等、今一例を申し上げたわけですが、その他いろいろな形であるわけでございます。
 内政干渉に当たるかどうかというのは、これは国際法上の何かいろいろな定義とかその他があるようでございまして、必ずしも私ども、文部科学大臣としてこれは内政干渉であるとかないとかいうことをお答えする立場にはございませんけれども、いずれにいたしましても、現在、文部科学省におきまして検定作業中、審議会における専門家による最終的な審査が行われている段階でございまして、それに当たっては、内容が正しいかどうか、不正確かどうか、誤った記述がないかどうかとか、あるいは一方に偏った記述にはなっていないかどうか、あるいは近隣諸国との友好関係に配慮したものになっているかどうか、いわゆる近隣諸国条項といったような幾つかの検定基準というものが現にあるわけでございまして、そうした基準にのっとって粛々と今作業が進められているということでございまして、三月末ごろまでにはその答えを出さなければいけないだろうと、こう思っております。
 いずれにいたしましても、これは文部科学省の中で厳正な検定をやっていくという従来から申し上げております立場には何ら変わりはございません。
#38
○亀井郁夫君 大臣のお考えはわかりましたが、先ほどちょっとお尋ねしたのに局長の方から返事がなかったんですが、外務省が受けとめて、外務省のマターとして受けとめて、外務省からあえて文部省には正式に何もなかったのかどうなのか、その点についてちょっと答弁がなかったんですが、外務省から何もなかったんですか、文部省には。
#39
○政府参考人(矢野重典君) 先ほど申し上げましたように、例えば中国の外交副部長から在中国臨時大使に申し入れがありますれば、そういう申し入れがあったということは私どもにお伝えをいただいているところでございます。
#40
○亀井郁夫君 外務省は、そういう形について話があったことを、韓国からもありましたよね、そういうことを文部省に伝えることが問題だと私は思うんです。そうすることによってやっぱり文部省に対していろいろと影響力を外務省から与えるということになると、やはり内政干渉に近くなってくるんじゃないかと私は思うものですから、このことをお尋ねしたわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、文部省としてはちゃんとした姿勢で検定を進めていただいているんだろうと、大臣のお言葉を信じたいと私は思います。
 それで、次にお尋ねしたいのは、極秘で行われているはずの教科書の内容がどんどん外に漏れちゃって、マスコミに漏れちゃって、百三十七カ所修正されたとか、私はよく知りませんけれども、そういうことが何かまことしやかに流れてしまうということになりますといかがなものかと思うわけであります。そういう意味で、どのような形で、機密といいますか、そういうものの保持をすることになっているのか、お尋ねしたいと思います。
#41
○政府参考人(矢野重典君) 検定審査の内容や、また資料の取り扱いに関しましては教科用図書検定調査審議会委員、また私ども文部科学省職員につきましては国家公務員法の守秘義務を遵守し、これを公にしないように、その取り扱いについて厳正に対処をしてまいってきているところでございます。
 他方、検定資料の中には、いわゆる白表紙あるいは修正表のように発行者が作成をいたしまして文部科学省に申請してきたもの、あるいは検定意見書のように文部科学省から発行者に提示するものなどがあるわけでございますが、これらの取り扱いにつきましても、文部科学省といたしましては、法的な規制はございませんけれども、発行者に対し厳正な管理を要請してまいってきているところでございます。
#42
○亀井郁夫君 今、法的な規制はないということでございますけれども、そうすると、精神規定だけで守りなさいということだけでは守り切れないと私は思いますし、そういう意味では具体的な形でもっとこの辺については厳しくやっていかなければ、公務員として秘密保持の義務があるのは当然でございますけれども、そういったことだけで、それに反しないようにということだけでは守れないんではないかと私は思いますけれども、もうちょっと具体的に話していただけませんでしょうか。
#43
○政府参考人(矢野重典君) 先ほど申し上げましたように、発行者に対しましては、これまでも検定資料の管理、これはオープンにしないようにということを厳重に指導をしてきたところであるわけでございますけれども、私ども今回の事態を踏まえまして、検定資料の管理体制の状況、あるいは今回の事実関係についての調査をするように発行者に求めているところでございます。
 私どもといたしましては、今後、発行者の検定資料の管理体制の確認の状況等を踏まえまして、必要に応じ、より一層の機密維持の方策について検討をしてまいりたいと考えているところでございます。
#44
○亀井郁夫君 今調査を依頼しておられるということでございますから、ぜひその調査結果についても教えていただきたいし、その調査に基づいてどのように変えていくか、直していくかということについてもぜひ知らせていただきたいと思うわけでもございます。
 そういう意味では、この過程では、昨年は検定委員のある人がこれを採択すべきでないという文書を配ったりしていて大変な問題を起こしたことがございますけれども、検定委員の中に内容を漏らしている人がいるんじゃないかとさえ思えるわけでございまして、出版社の方ももちろんそうでございますけれども、検定委員の人たちについてももう一度よくチェックしていただかなきゃいけないし、検定委員の選び方についてもどのような形でこれまで選んできているのか、それについてもちょっと教えていただきたいと思います。
#45
○政府参考人(矢野重典君) 教科用図書検定調査審議会の委員でございますけれども、これは大学教員等の各分野の研究者のほか、小中高等学校の校長等でございますとか、さらには医師、弁護士等のさまざまな専門家など、各教科の特性、専門性に応じまして幅広い分野から選任をされているところでございまして、現在、全体で百二十四人の委員が任命されているところでございます。
 これらの委員の選考の方法でございますが、これにつきましては、文部科学省が研究実績や経験等の観点から調査をした結果に基づいて選んだ候補者、あるいは各教科のすぐれた研究者や審議会の委員から御推薦をいただいた候補者など、幅広い候補者の中から文部科学省がその学識経験等を勘案して任命をいたしているところでございます。
#46
○亀井郁夫君 今のお話を聞きますと、文部科学省の方でいろいろな話を聞くけれども最終的に決めておられるんだろうと思います。その過程で、各界からというのはわかりますけれども、各界からどなたがいいかということについてはやはり手続的に、いろいろな業界等あるんですから、その辺のところの推薦を正式に得るとか協議してもらうとかいう手続をもうちょっとちゃんとするとか、あるいはまた選任も、局長さんが決めてしまうのじゃなしに、もうちょっと重い形で選任というものをやっていく必要が私はあるのではないかと思うんですけれども、それについては、大臣、どのようにお考えでしょうか。
#47
○国務大臣(町村信孝君) この委員の選定方法、任命方法、どうしたらいいかなと。今百二十数名ですか、大変幅広い、数の多い方々にお願いをし、また幅広い分野から選ぶということでもあるものですから、なかなかこういう方法というのを決めるのが難しい分野かなとも思ったりもいたしますけれども、いずれにしましても最終的には文部科学大臣が任命をするわけでございますから、今後とも、こうした審議会の重要性にかんがみまして、委員として最も適切な人をいろいろな方々のお知恵をいただきながら選んでいくと。ありきたりなようでございますけれども、そういう方法でこれからもやっていくしか方法はないんじゃなかろうかなと、こう思っております。
#48
○亀井郁夫君 この委員の重要性についてぜひとも、十分認識しておられると思いますけれども、御検討をいただいて、こういうことの起こらないようによろしくお願いしたいと思うわけであります。
 さて、教科書が決まりますと採択ということがこれから始まるわけでございますけれども、従来、採択はもちろん教育委員会が決めるということになっておりますけれども、地方の小さな町の教育委員会では到底決める能力がないわけでございまして、そういう意味では、いろんな形で各県等もやっておりますけれども、実際には先生方が調査員に任命されて、そこで先生が決めてしまうというケースがほとんどではないかと私は思うわけでございます。
 そうしますと、今現実には先生方が選ぶときの基準としては、私が聞くのでは、大阪にある解放同盟の同和教育研究協議会ですか、そういった研究機関がつくった各教科書の裁定文書を、裁定した分厚い本が毎年出ておりますけれども、それをもとにしながら採択が事実上なされているというのが広島県なんかの場合の実態だということを聞いておるわけでございますけれども、こういうことでは困るわけでございまして、教育委員会が本当に責任を持って選んでいくような仕組みというものをつくるように文部省としてはぜひとも指導していただきたいと思うんです。
 やるのは各県の教育委員会でございますけれども、各県の教育委員会だけではできませんので、文部省からそういう意味で指導、助言をしっかりしてもらわなければならないと思いますけれども、こういう点についての指導はどのようにしておられるのか、お尋ねしたいと思います。
#49
○政府参考人(矢野重典君) 御指摘のとおり、公立学校の教科書の採択の権限は、法律に基づきまして、学校の設置者である市町村または都道府県の教育委員会にあるわけでございます。このため文部科学省ではこれまでも、教育委員会の判断と責任において適切に採択が行われなきゃならない、そういう観点に立ちまして指導をしてまいってきているところでございまして、具体的には、一つには専門的な教科書研究の充実を図るということ、また二つには適正かつ公正な採択が確保されるということ、さらには開かれた採択が推進されること、こうした点についてこれまでも指導をいたしてきているところでございます。
 具体的には、例えば適正かつ公正な採択の確保につきましては、教職員の投票によって教科書採択が決定されるなど、採択権者の責任が不明確になることがないということなども指導してまいってございますし、また開かれた採択の推進につきましては、保護者の参加あるいは採択理由等の採択関係情報を公開することなどについて指導をしてきているところでございまして、今後とも教育委員会の責任において適切な教科書採択が行われますように教育委員会を指導してまいりたいと考えているところでございます。
#50
○亀井郁夫君 今のお話を聞きまして、いろいろと具体的に指導していただいているようでございますけれども、ぜひとも具体的に御指導いただくようによろしくお願いしたいと思います。
 次に、道徳教育の問題についてお尋ねしたいと思いますけれども、道徳の時間は昭和三十三年から学習指導要領に週一時間ということが載っておりますけれども、現実に広島県の場合には三年前までは全くありませんでした。人権という時間で適当なことが教えられていたわけでございます。
 ようやく今道徳という名前だけは時間割りの中に上がってきたわけでございますけれども、その中身についてはまだ昔と同じような状況でございまして、そういう意味では先生方も何を教えたらいいのかということについては非常に困るわけでございまして、そういう意味では何とか教科書らしいものがないかということを話してきたわけでございます。
 来年から心のノートを生徒全員に配っていこうということで、今年度の予算にもこの心のノートの予算が計上されておることはまことに喜ばしい限りでございまして、これでそういう意味では人の生きる道というものを子供たちが習う手引書というものを手にするわけでございますから、いいなと思って私も大変楽しみにしておるわけでございます。これも一党一派に偏することなしの、人間として生きる道はどうあるべきかということで十分でございますから、その辺について立派なものをつくっていただきたいと思うわけでございます。
 この心のノートの作成方法、手順等についてどのように考えておられるか、河村副大臣、よろしくお願いします。
#51
○副大臣(河村建夫君) お答え申し上げます。
 教育改革国民会議の提言の中にも、学校において道徳教育を行うことをためらわないという提言もあるわけでございますが、今御指摘のように、道徳教育というのが、命の大切さとか他人を思いやる、あるいは物事の是非、よしあしといいますか善悪、こうした規範意識をきっちり植えつけていくということが非常に大事でございます。
 どうしても家庭、それから地域社会、この連携もまた必要になってくるわけでございまして、そうした中で奉仕活動体験なんかも必要であるという指摘もここに私は焦点が当たっているんだというふうに思います。
 そういう意味で、児童生徒の心に根差したといいますか、そうした道徳性の育成を図っていく、この重要性にかんがみて、今御指摘がございましたように、児童生徒の身につく道徳の観念といいますか、そういうものをわかりやすくひとつ書きあらわしていこうということで心のノートというものを児童生徒用の冊子として取りまとめよう、そしてすべての小中学生に配付しようと、こう考えておるわけでございます。
 これ、所要の経費につきまして予算編成でお願いをしておるわけでございまして、今審議をいただいているところでございます。これが成立いたしました後に速やかに作成に着手したい、このように思っておりまして、具体的な中身については学識経験者あるいは教員の方々、いろんな方の御協力を得ながら作成案を今練っておる、こういう段階でございます。
 いずれにいたしましても、この心のノートというものをきちっと作成して、そしてそれを配付して、道徳教育を進める上での一つの大きな糧にしていきたい、充実に努めてまいりたい、このように考えておるわけであります。
#52
○亀井郁夫君 この心のノートというのは、単に児童生徒だけではなしに、私は両親の教育にもなるだろうと思うわけであります。家庭教育をちゃんとしようと言うんですけれども、なかなか家庭教育は、お父さんお母さん来てくださいと呼び出しても事実上、なかなか教育できないわけでありますけれども、そういう意味では、この子供たちに配られる心のノートというのは、単に子供たちだけではなしに、全家庭にもこれをもとにしてやはり教育をされるということで親の教育にも私はなるものだと思いますので、ぜひともいいものを全力挙げてつくっていただくように心からお願いしたいと思っております。
   〔委員長退席、理事松村龍二君着席〕
 それでは次に、国旗・国歌の実施状況についてお尋ねしたいと思いますけれども、卒業式と入学式、入学式はまだですが、卒業式は全部大体終わりました。そういう意味では、非常に問題だった広島県の場合も、おかげさまで一〇〇%ということに一応国旗・国歌、なりました。形だけはなりました。一番問題だった備後の府中市の小中学校においても今回は国歌が斉唱されるということになりました。そしてまた国旗も、今までは三脚でカーテンの陰に置かれた学校が多かったんですけれども、ことしは一応正面に掲げる学校がほとんどになってきたわけでございまして、国旗・国歌の法制化によって、また文部省の指導によって広島県の場合も正常化の方に動いてきておるわけでございますけれども、これについて全国の実施状況はどういう状況になったのか、お教え願いたいと思います。
#53
○国務大臣(町村信孝君) 小中高等学校、日本全国の様子はまだ必ずしも全体の調査が行き届いておりませんので詳細は把握しておりませんけれども、例えば高等学校について見ますと、昨年実施率が低かった六つの都道府県において、ことしは国旗掲揚についてはすべて一〇〇%になりました。国歌斉唱についても、北海道が昨年は七八・七%だったものが九六・六%、大阪府が八二・四%だったものから一〇〇%に上昇するなど、全体に実施率が向上してきているのかな、こんなふうに思っておりまして、いずれにいたしましても、従前からもそうでございますけれども、今後とも、卒業式、入学式等におきます国旗・国歌の取り扱いにつきましては学習指導要領にのっとりまして適切な指導が行われますように、児童生徒に国旗・国歌の意義をまず理解させること、そして日本や諸外国の国旗・国歌を尊重する態度が育つように指導に努めてまいりたいと考えております。
#54
○亀井郁夫君 今、大臣がおっしゃったように、国旗を上げればいい、国歌はメロディーを流せばいいということじゃなしに、やはり国旗・国歌を尊重するという態度を養成するのが教育の基本にあるだろうと思うんです。実際に実施率は高くなっておりますけれども、広島の場合も、メロディーが流れますとみんなわざと座っちゃうとか、生徒も座る、先生も座るという学校がまだまだ多いわけでございまして、そして座った先生に対して校長先生が厳しくとがめましたところ、それがまたマスコミで問題になるというふうなことでございまして、そういう意味では、実施率一〇〇%といってみてもまだまだ中身が私は問題だろうと思うので、文部科学省として実施の態様についても十分調査していただきたい。やったやったという報告だけで一〇〇%だといって喜んでおるわけにはいかないと私は思いますので、文部省としては、こういう形についての調査をもとにしながら指導していただきたいというふうにお願いしているんですけれども、これについてはどうお考えでしょうか。
#55
○政府参考人(矢野重典君) 文部科学省におきましては、公立の小中高等学校における入学式、卒業式での国旗掲揚、国歌斉唱に関する取り扱いにつきまして、本年二月二十三日付で各都道府県教育委員会並びに各指定都市教育委員会に調査を依頼しているところでございます。
   〔理事松村龍二君退席、委員長着席〕
 この調査は、各学校における国旗掲揚、国歌斉唱の実施状況を把握いたしまして、各都道府県、指定都市における今後の指導に資することを目的として例年実施しているものでございまして、国旗掲揚、国歌斉唱の実施の有無について調査をいたしているところでございます。
 なお、国歌斉唱につきましては、メロディーだけ流した場合については、これは斉唱しなかったものとして数えることといたしているところでございます。
 学校の入学式及び卒業式における国旗掲揚、国歌斉唱に関する取り扱いについての指導についてのお尋ねございましたけれども、このことにつきましては、ことしの調査結果等も踏まえながら、今後検討をしてまいらなきゃならない課題であるというふうに考えているところでございます。
#56
○亀井郁夫君 今の局長のお話で、ちょっとしつこいようですけれどもお尋ねしたいんですけれども、国旗については掲揚の仕方について今回は調査したということですね。そうすると、今まではどんな形でもいいと。三脚でもいい、正面でもいい、どこでもいいと。どこでもいいと言っちゃ表現が悪いんですけれども、そういう形でやれば実施ということになっておったんですが、もうそれについては今度は違うということですね。正面にちゃんと掲げたのが実施ということになるんですね。
 それからもう一つは、国歌の方もメロディーだけでは実施したことにならないというお話でしたが、そうだとすれば、広島なんかの場合はメロディーだけの学校がたくさんあるんですから、実施率は半分ぐらいにしかならないんじゃないかと私は思うんですね。
 だから、メロディーだけのやつは実施の中に入れないと今おっしゃったんだけれども、そこのところをやはりはっきりさせてもらって、実施の中に入れないなら入れないでいい、入れるなら入れるでもいいですから、しかしこういう実施の中にはこういうスタイルのやつがこうなんだというところまで調べてくださいということをこれまで何度もお願いしてきたんですけれども、これまではそういう形での対応はなかったので、きょうは局長の答弁が従来よりは一歩進んだなと思って喜んでおるんです。
 しかし、その点、どうなんですか、メロディーだけは実施じゃないとおっしゃったけれども、実施になっているんじゃないんですか。
#57
○政府参考人(矢野重典君) 今回の調査におきましては、先ほど申し上げましたように、国旗掲揚の取り扱いについては特段の注はいたしてございませんけれども、国歌斉唱につきましては、先ほど申し上げましたように、斉唱した場合、メロディーだけ流した場合、また斉唱もせずメロディーも流さなかった場合という三つに区分をいたしておりまして、そしてメロディーだけ流した場合については斉唱しなかったものとしてカウントするということと、調査方法の問題でございますけれども、そういうことといたしているところでございます。
#58
○亀井郁夫君 わかりました。これは調査の仕方としてそうだということですね。そうであれば、わかりました。しかし、そうだとすれば、できるだけこれからもやはりちゃんとしたことが、メロディーだけじゃなくて、斉唱をちゃんとするということをもって実施としてカウントするという形で指導していただきたいと思うわけでもございますので、よろしくお願いしたいと思います。
 次にお尋ねしたいのは、組合員の有給による組合活動、これに対する給与返還請求の問題についてお尋ねしたいと思いますけれども、組合員が事実上有給で組合活動を続けている。文部省の場合、そうじゃないとおっしゃるんですけれども、やはり広島県の場合もそうでしたし、北海道の場合もそうでしたし、ほかのところでよく聞くわけでございますけれども、私はこれはとんでもない話だと思うわけであります。
 広島では破り年休、北海道では帰って消す鉛筆年休という形で、年休を使った形だけとりながら、結果は破いたり消して使っていないということでやっておるわけでございまして、こういうものについては、こんなことをやっている県が私はほかにもあるんだろうと思うんですけれども、これについてはどういう状況なのか、文部科学省の方で調べておられるんじゃないかと思うんですけれども、ちょっとどことどこの県だということを教えていただきたいと思います。
#59
○政府参考人(矢野重典君) 多くの地方公共団体におきましては、これは当然のことながら、法令にのっとり、教員の服務規律の徹底や勤務管理を適正に行っているところでございますけれども、御指摘の広島県における破り年休、あるいは北海道の場合でございますが、これは鉛筆年休と称するようでございますが、のように、一部の地方公共団体におきましては教職員の不適正な勤務実態の存在が指摘されたところでございます。
 このため、私どもといたしましては、そのような不適正な事態に対しましては、教職員の勤務管理の適正化を図るとともに、法令にのっとった適正な厳正な措置を講じるよう当該教育委員会に対する指導の徹底に努めているところでございまして、例えば適正な手続を行うことなく勤務時間中に組合活動を行っていた例といたしましては、御指摘の広島県や北海道以外に三重県、東京都があるわけでございますけれども、ともに是正に向けた取り組みが進められているところでございます。
#60
○亀井郁夫君 一部の県というのは、広島県、北海道はばれたからそうですが、三重県と東京都、東京都も今度は給料の返還請求しましてわかったんですが、これだけなんですか、一部の県というのは。ほかにはないんですね。だから、一部の県がほかにこことこことあるんだとわかっているのならそれを教えてくださいと、こう言っているわけですから。そういうことなんですね。ばれたところだけ言ったんじゃだめですよ。
#61
○政府参考人(矢野重典君) 私どもが承知しておりますのは今申し上げた県だけでございます。
#62
○亀井郁夫君 局長、言い切られましたけれども、そうじゃないところがこれから出てくると私は思いますし、私も全力を挙げて調べますからね。
 ですから、そういう姿勢が私はいけないと言うんですよ、文部省として。やはりおかしい県があればおかしいとはっきり言って、その県を正していく姿勢を私は文部科学省に求めているわけです。三重県にしても東京都にしてもマスコミで出たところだけでしょう。北海道でもこの間出たからそう言っているんであって、こういう姿勢について私はぜひ改めていただきたいと思うんですけれども、大臣、どう思われますか。
#63
○国務大臣(町村信孝君) 公立学校の教職員が給与を受けながら教員の組合の活動を行うということは、これはもう地方公務員法上の完全に違反でございますから、ノーワーク・ノーペイの原則に従えば、職務に従事しない時間について給与を支払うということは当然許されるべきではないと、こう思っております。
 そういう実態につきまして、私ども常に各都道府県教育委員会等に対してその実態を把握するように求めております。北海道についても、確かに報道があったということもございますが、前からそういう指摘があったので今回改めて厳正なる調査を、北海道教育委員会に調査をするようにということを申し上げたわけでありまして、現状を把握しているのは、さっきから申し上げているように、北海道、広島、三重、東京、この四つでございますが、ほかにあるかないか、常に私どもとしては各都道府県教育委員会と連携を保ちながら、委員御指摘のように、国民の税金が給与という形でその職務に支払われるべきものが、もしそうでない形で使われたとするなら、これはまさに税金のとんでもない目的外使用といいましょうか、まさに不正な使用方法になるわけでございますから、そういう観点からしっかりと私どもとしても取り組んでいきたいと、かように考えております。
#64
○亀井郁夫君 今、大臣言われたように、これは大変なことだと思いますね。北海道の場合は三十年間そんなことをしていたんですから、その金額は何十億になると思います。それから、東京都の場合も一億数千万今度返還請求求めておりますけれども、三重県もやりました。
 わかったところだけを言うんじゃなしに、文部省としては、こういう例があるんですから、四十七都道府県についてどんなことになっているのかということを教育委員会に対して調査をぜひしていただきたいと思うんです。その結果を踏まえて、やはりおかしいところについては給与の返還請求をしなければ、大事な税金使っているんですから。それについてどのようにお考えか、ぜひ調査していただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
#65
○国務大臣(町村信孝君) すべての都道府県、もう一度しっかりと調査するように命ずることにいたします。
#66
○亀井郁夫君 もう時間も参りましたのでこれでやめますけれども、大臣、ぜひよろしくお願い申し上げたいと思います。
#67
○有馬朗人君 自民党の有馬朗人でございます。
 私の質問は大変易しい質問ですから御心配なく。
 科学技術基本法は日本の科学者、技術者にとって大変勇気づけていただきまして、ありがたく思っています。また、科学技術基本計画により、五年間十七兆円強が科学技術研究に与えられましたことはまさに画期的であったと思います。世界的に見ても珍しい。そしてまた、大きな成果を上げたと私は信じているわけです。
 しかしながら、その第一次科学技術基本計画の中にも強調されていたにもかかわらず、二つの点がまだ不完全である、不満足であると思いますので、その点について御質問申し上げてみたいと思います。
 私は、十年ほど前から大学貧乏物語ということを申しまして、大学の研究費不足と施設の老朽化、狭隘化について訴えてまいりました。研究費の方はまた後に質問させていただきますが、かなり満足すべきものになってきておることを喜んでおります。しかし、施設の方が問題であります。既に先ほど文部科学大臣はお触れになっていることでありますので、繰り返しになりますけれども、もう一度ここを触れさせていただきます。
 施設の方が問題でございますので、一体、第二次科学技術基本計画、今回の科学技術基本計画でこの点にどのように対応なさろうとなさっているか。単に紙の上に重点化と書くのではなく、実行力のある、具体的には何兆円を使うというぐらいの書き方でこれを実行していただきたいと思いますので、大臣のお覚悟のほどをお聞き申し上げます。
#68
○国務大臣(町村信孝君) 専門家の有馬委員に素人の私がお答えするのはいつも内心じくじたるものを覚えながらでございますが、お問い合わせでございますからお答えいたしますが、過去五年間の科学技術基本計画の中では、補正予算等々も随分ございましたものですから、三百十万平米、事業費約一兆八百五十億円を確保してやってまいりました。ただ、委員御指摘のように、依然としてまだ施設の老朽化あるいは大学院の学生の数が増加をしているなどなど、いろいろな状況から、施設の老朽化、狭隘化の問題は依然として重要な問題だと、こう考えております。
 今後、整備が必要な約一千百万平方メートルのうち、全部一遍にはこの五年間でできませんので、そのうち半分ぐらいになるんでしょうか、今そこを詰めているところでございますけれども、緊急に整備が必要なものにつきまして、この三月末までに科学技術基本計画を閣議決定いたしますので、そう時間を置かないうちに、できれば四月中にも新しい施設整備計画を決定したいということで今大車輪で作業をしているところでございます。
#69
○有馬朗人君 文部科学大臣に全面的にお願いをいたしたいと思いますし、また信頼をいたしておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
 先ほど補正予算でということがお話にありました。私も補正予算がかなり出てきたことは喜んでいますけれども、ただ補正予算というのは大変使いにくい。すなわち、急に補正予算の話が来たり、またいついつまでに使わなければならないというような規制が強いというわけでありまして、私といたしましての希望はぜひとも当初予算をふやしていただきたい。
 そこで、来年度の文教施設費について、どのくらいになったか、去年に比べてどのくらい伸びているかということをお聞かせいただきたいと思います。大臣じゃなくても結構です。
#70
○国務大臣(町村信孝君) 十三年度当初予算は、整備面積二十五万平米、施設整備費としては一千十三億円ということになっておりますが、委員からおしかりをいただくかもしれませんが、平成十二年度の補正予算で既に五十万平米、一千四百八十五億円が計上されておりまして、実質はこれは補正でございますから十三年度にキャリーオーバーされて使うことになるということでございますから、トータルいたしますと、七十五万平米、二千五百億円弱というような金額になろうかなと、こう思っております。
#71
○有馬朗人君 ある時期には、具体的に申しますと一九八一年あたりは一千五百億円に達していたと思います。また、もう一度そういう時期がありました。そういう意味で、当初予算をぜひとも今後ふやす方向にお願いをいたしたいと思います。
 そこで、大臣、副大臣、ぜひともお願いは、現場を見ていただきたい、いかにひどいものかという現場を見ていただきたい。ぜひともここでお約束いただきたいと思います。お供いたします、どこでも。よろしく。
#72
○国務大臣(町村信孝君) 私も折に触れて大学の現場に行くようにしております。かつて東京大学の医学部に伺い、あるいは病院も見てまいりました。病院は、今は大分新しくなりましたけれども、かつて古いときでございましたが、東大病院に入院すると病気が悪くなるという話を医学部の教授から伺いました。なぜならば、天井からぱらぱらごみだか何か天井の粉が落ちてきて、一日たつと顔が少しすすけてくる、こういうところに入院すると確実に患者は悪くなるんですというお話を聞いて愕然といたしましたし、また本当に狭いところに、廊下まで全部使って施設を置いたり、もう例を挙げるととても口にするのが恥ずかしいような状況が多々あったことを私もよく承知をしております。
 多分、両副大臣あるいは両大臣政務官も同じ経験をしておられると思いますので、こうした面で鋭意取り組んでまいりたいと、改めて決意を申し上げさせていただきます。
#73
○有馬朗人君 ありがとうございます。私の執念でございますので、よろしく。日本の国公私立大学をよくするということは執念でございます。よろしくお願いをいたします。
 次に、もう一つの執念であります青少年の理科教育についてお伺い申し上げたいと思います。
 まず、大臣にお聞きいたしますが、新科学技術基本計画ではこの点どういうふうなお考えでいらっしゃるでしょうか。大きな計画はぜひとも推進いただきたいのですが、実はお願いは草の根的努力への援助であります。私自身も学校や自治体と協力いたしまして個人的にあるいは仲間と実験授業などを方々でやっているのですが、実験材料、例えばモーターを買うとか抵抗板を子供に与えるというふうなお金が不十分でありまして、私自身への謝金をそっちへ回すとか、そういうことをしばしばやっているわけであります。多分、日本じゅうの多くのボランティアがそういう努力をしておられると思います。
 そこで、例えば教育委員会などと協力をすることによって、このような努力を組織化して財政的な補助、それは大がかりなものでなくても結構でありますが、考えられないものでしょうか。この二点についてお伺いいたしたいと思います。
 まず第一は、全体に今度の基本計画の中で青少年のいわゆる理科離れ対策をどうお考えになっておられるか。多少細かいことで、ボランティア活動などを御援助になる方向に進んでいるかどうか、この二点についてお伺いいたします。
#74
○国務大臣(町村信孝君) 今度の新しく決めます科学技術基本計画の中でも、「科学技術活動についての社会とのチャンネルの構築」という項目の中に、初等中等教育を通じまして科学技術に対する興味、関心を育成する、また大学における科学教育も改善をしていこう、体験学習、産業現場等におけるインターンシップや社会人講師の活用等というような形で問題意識は持っているわけでございます。
 実際、科学技術離れとか理科離れとか言われて久しいわけでございますし、現実にIEAの調査等を見ると、そこそこの点数はとるんだけれども、好きではない、あるいはそれに関する職業につきたくないという比率が日本人の児童生徒に一番多いというのは大変問題だと、こう思っております。したがいまして、新しい学習指導要領の中でもできるだけ実験を多くしようとか観察を多くしよう、ただ単に座学、教科書の上だけで勉強することではない形での勉強が思うようにできるようにと、こう思っておりまして、この面で鋭意取り組んでいかなければいけないなと、かように思っているところであります。
 もちろん、科学の実験や何かで色が変わったりしておもしろいとかいうことはあるんですけれども、なぜこれが意味があるのか、なぜこれを学ぶことに重要性があるのかということの動機づけからやっぱり児童生徒にしっかりしていくということが大切なんだろう、よく試験に出るから勉強しなさいというようなアプローチというのはやっぱり余りいい方法ではないんだろうなと、こう思っているところでございます。
#75
○有馬朗人君 大野副大臣にお伺いいたしますが、日本の科学博物館や技術館は私は不十分だと思うんです。そこで、お台場に日本科学未来館ができることはすばらしいことと思います。
 そこで、私のお願いは、上野の科学博物館、北の丸の科学技術館、これも文部科学省のもとにあるわけでありますが、それとお台場の日本科学未来館の協力、役割分担が必要だと思います。この点で、まず日本科学未来館の構想及びそれぞれ似通った科学博物館、科学技術館との協力をどういうふうに進めていったらよいか、この辺について、大野副大臣のお考えがあればお聞かせいただきたいと思います。
#76
○副大臣(大野功統君) 町村大臣もお触れになっておられましたけれども、私も有馬先生から質問されますと、教授から口頭試問を受けている学生のような気になりますけれども、あえて私の方から考え方を申し上げさせていただきたいと思います。
 まず、国立科学博物館でございますけれども、これはもう御説明するまでもないことでありますが、やっぱり命の根源、これは何だったんだろうか。例えば、シーラカンス、ナウマンゾウ等を展示して命の根源を見てもらおう、それから生物の多様性というのを見てもらおう、こういう意味があるのではないか。また、天体や地球の成り立ち、生い立ち、これは隕石なども展示しておりますから、そういう自然界あるいは生命の根源を見せていこう、こういうことではないかと思います。
 また、科学技術館、これは先生が会長をされていらっしゃると思いますけれども、産業界の主導によってたしか昭和三十九年につくられておりますけれども、やはり子供たちにいわば科学技術や産業技術の現代から近未来にかけてのものを展示して、それを見ていただく、見てもらう、さわってもらう、体験してもらう、こういうことで興味を持ってもらうというものだと思います。
 それから、お台場でつくられます日本科学未来館でございますけれども、これは七月九日にオープンになります。同時に、余談でございますけれども、留学生会館もできる、それからオープンサイエンスラボラトリーもできる、総合的に見ていただくと大変ありがたいのでありますが、日本科学未来館だけをとってみますと、これからの先端科学技術を見せていこう、そしてやはり見て、さわって、体験してもらう、参加型の体験をしてもらう、このことは私は大変大事なことだと思っております。
 今理科離れとおっしゃいましたけれども、理科離れというのは、結局は理科に対する興味を失っていく。もし子供たちがこの三つのところでいろんなのを見て、そしてさわって、体験することによって科学に対する興味を増す、考える力を増していく、チャレンジしていく力を増していく、こういうことであれば、私はこの三つの博物館なり科学館というのは大変重要な役割を果たしてくれるものと大いに期待しておるところでございます。
 今申し上げましたように、この三つのものはそれぞれ特色は持っております。特色は持っておりますけれども、ねらいは、今申し上げましたように、理科に対して興味を失っていく、これを防がなきゃいけない。防がなきゃいけないどころか深めていって、そして世界的に有数の科学者に育ってほしい、こういう我々の願いが込められているところでございます。
 特に科学技術館の方は、そういうノウハウの蓄積が十分あると思いますので、そういうノウハウをお互いに連携協力しながら子供たちに広めていく。そのことによって私はすばらしい役割が果たしていけるのではないか、このように信じておりますので、今後とも御指導のほどよろしくお願いします。
#77
○有馬朗人君 ぜひとも、その三つが親密になって協力をする、そしてまた各地区地区にあります科学博物館ないしは科学技術館等々とも協力をして、子供たちだけではなく一般の人たちの理科への啓蒙、技術への啓蒙を図るべく御努力賜りたいと思います。
 最近、私が非常に心を痛めている問題がございます。それは学力低下だと言われていることであります。私は、小中の子供たちの学力は低下していないとさまざまなデータから主張しているのでありますが、残念ながら全国的、持続的な調査というのがこのところありません。
 この点につきまして河村副大臣にお伺いいたしたいと思いますが、まず一九六六年までは継続的に十年間やっていたと思いますが、どうしてやめちゃったのか、これが一点。
 二点は、教育課程を変えた一九八一年前後の三年間及び一九九四年前後の三年間に全国的調査を文部省としてやっております。それを見ますと、小学校の子供たちの学力の変化はほとんどありません。ただ、中学は、一九八〇年代と一九九〇年代の二つの調査の結果を比べてみますと、数学、国語、社会はほとんど変化ないのですが、理科と英語が少し下がっていると私は素人なりに思うわけであります。この変化に対して対策をどうしたのか、文部省としてどうされたのか、この辺についてお伺いいたしたいと思います。
#78
○副大臣(河村建夫君) 御指摘のように、文部省は昭和三十一年から四十一年の間に全国的な規模で児童生徒の学力の実態を把握いたしまして、学習指導要領や教育条件の整備充実に役立つ基礎資料を得るということで全国的な学力調査を実施したところでございます。
 この学力調査の結果でございますが、これによりまして各都道府県ごとが平均点などを発表いたしたものでありますから、平均点を一点でも上げたいというようなことが起きて、非常に学力競争といいますか、そういうものが過熱したということがあります。それから、教員の勤務評定につながる、成績のよかったところ、悪かったところ、こういう理由で組織的に調査の実施を拒否する教職員団体、組合、全国的に反対闘争が出たということもございました。それからさらに、教育課程に関する方針を立てる、あるいは学習指導の改善に役立てていこうという所期の目的は一応これによって達した、こういうようなこともありまして、昭和四十一年度をもって全国的な学力調査は取りやめになったというわけでございます。これが第一点の一九六六年まで行っていた学力評価というものをやめた理由でございます。
 今、有馬先生御指摘のように、理科と英語、だんだん学力が低下しているのではないか、もう一度これをきちっと評価する必要がある、どういう形でやるか、今再び学力調査をという声にこれからこたえていかなきゃいけないことになっておるわけでございます。これも学力評価の全国一斉のものはなくなったのでありますが、各県においてはいろいろやっておるわけでございます。そういうものをひとつ参考にしながらやっているわけでございますが、そういたしますと、出題傾向が異なるとかというようなこともありまして、なかなか比較が難しいということもございます。
 小学校においては昭和五十六年、五十七年、それから平成五年、六年、中学校については五十七、五十八、また平成六、七年にも実施をしたわけでございます。理科については、委員御指摘のように、通過率の高い問題といいますか、そういう問題もあってなかなか比較は難しいのでありますが、外国語については前回調査に比べて向上しているという点もございました。例えば、理科でございますが、観察、実験に基づいて規則性を見つけるなどの思考力とか実験結果をまとめて表現する力がやや低い状況があるとか、あるいは外国語においては文章の流れをとらえて読んだりとか自分で内容を考えて書いたりする、この辺がやや低いのではないか、こういうような指摘があるところでございます。
 このような状況を考えて、新しい学習指導要領においては、理科では目的意識を持った観察、実験や探求的な活動を一層重視する、あるいは外国語では文章の粗筋や大切な部分を読み取ったり自分の考えや気持ちなどが正しく伝わるように書いたりするコミュニケーション能力、そういうものの育成を図っていこうということで内容の改善が図られたわけでございます。
 このように、学力評価といいますか、調査によって新しい学習指導要領の実施が実現されるということでございますので、引き続きそういう方面に向かって努力をしていかなきゃいかぬ、このように考えておるわけであります。
#79
○有馬朗人君 ありがとうございました。
 私は、小学生、中学生、できれば高校生の学力も定期的、継続的に調査していただきたいと思っております。今おっしゃられたように、県ごとに比べるとか先生ごとに比べる、こうではなくて、やはり日本の子供たちの学力がどこにあるか、極端に言えば名前を隠してでも平均の点数をつかまえておくことが必要であると思います。私は、中教審の会長時代にもお願いをいたしましたし、大臣をやらせていただいたときにもこのことについて繰り返しお願いしてまいりましたが、幸い来年度より全国調査を実施するとお聞きいたしております。大変喜んでいるわけであります。まず、その計画についてお教えいただきたいと思います。
 もう一つ、中教審時代に、やはりそういう調査をしたときに、問題があれば直ちに手直しができるカリキュラムセンターをつくったらという御提案を申し上げましたけれども、これも実行に移ったと伺っていて喜んでおります。そこで、学力調査をやった上で、直ちにその結果をカリキュラムセンターで分析、検討いたしまして、今行われているように約十年ごとの教育課程見直し以前に手直しが行われる可能性があると伺っておりますので、この辺の二点について具体的な方針を河村副大臣にお聞かせいただきたいと思います。
#80
○副大臣(河村建夫君) 教育課程の基準の改善を適切に行うためには、やっぱり児童生徒の学習の状況がきちっと把握されていなきゃいかぬ、これが一番大事なことでありましょう。そういう意味も含めて、今、有馬先生御指摘のように、来年度から全国的な学力調査を実施するということになったわけでございます。
 学習指導要領は十年で一回改訂を行ってきたところでございまして、平成八年七月の中央教育審議会の答申、また平成十年七月の教育課程審議会答申におきまして、今後は教育課程のあり方についての研究や実践、また学力調査の結果等を踏まえて、不断に、絶えず見直しながらその改善に向けた検討を行うことが必要であるというふうに提言をされたわけでございます。
 これを受けまして、文部科学省といたしましては、ことしの一月に国立教育政策研究所の教育課程研究センターを設置いたしまして、カリキュラムのあり方についても恒常的に研究を行っていく、不断の研究を続けながら、中央教育審議会初等中等教育分科会を常設化するということで、ここにおきまして教育課程の基準について絶えず見直しを行っていこう、そして改善を検討する体制をきちんと整備していく、こういう方向を打ち出しておるところでございます。
#81
○有馬朗人君 ありがとうございました。やはりきめ細かく子供たちの学力を常に把握していただきたいと思います。そして適切な方針を常にお打ちいただければ幸いでございます。
 ここで高等教育局長にお伺いいたしたいと思います。
 学校教育法一部改正で十七歳入学を数学、物理から一般化しました。数学、物理ですら実行する大学は、千葉大と名城大ぐらいで、ない。そのときに、非常に広く十七歳入学をすることを進めても各大学はやらないんじゃないかと思いますが、どのくらい各大学はこの問題について理解をしているのか、実際実行してくれるのでしょうかということが第一問であります。
 第二問は、逆に私心配していることは、今回、大学院などについての規制がなくなりました。そのために条件がやややわらかくなった。そのため青田刈り的に十七歳入学を促進し過ぎるという問題が起こらないだろうか。一体全体、適正規模はどのくらいと考えておられるのか。適正規模について二番目の質問といたします。
 そして、それに対する歯どめがあるのか、その歯どめについてお伺いいたしたいと思います。
 以上三問、高等教育局長にお伺いいたします。
#82
○政府参考人(工藤智規君) 学校教育法の改正につきましては国会に提出いたしましたので、ぜひ時間をいただきまして十分御審議を賜りたいわけでございますが、今し方御質問ございましたように、これまで認めております制度としましては、数学と物理に限りまして、しかも博士課程を置いている大学での教育体制ということで飛び入学を開いてきたわけでございます。ただ、どうしても分野が限定されているということと指導体制に相当手間暇がかかるということもございまして、なかなか大学が広がらない、御指摘のあった二校にとどまっている状況でございます。
 今後、いろいろこれまでも国民会議等の御議論をいただきまして、改正案といたしましては、分野を限らず、いろんな分野で埋もれた素質を持っていらっしゃる子供たちがいる可能性が大きいわけでございますので、ぜひそういう子供たちの進学機会を広げてまいりたいという趣旨の制度改正をお願いしたいと思っておるわけでございます。
 大学側の受け入れ体制等、私どもこれからこの趣旨の徹底を図りまして、ぜひ御活用いただき、埋もれた人材の発掘とさらなる能力の伸長が図られるように努めてまいりたいと思っております。
 その際に、青田買い等の懸念はないのかということでございますけれども、基本的にはどれぐらいの規模が適正かどうかというのは、ストレートに申しますとわかりません。といいますのは、私どもとしましては、今まで埋もれた子供たちが発掘されて、大変多くの子供たちがこの制度を活用して進学されるのを期待してございますけれども、実際に各大学あるいは進学者の希望の動向もございますので、必ずしも適正規模というのが私どもで推測したり定めたりすることではないのかと思っているところでございます。
 いずれにしましても、法律が制定されますと、文部科学大臣の定めとして、一定の要件をきっちりどこまで定めるかという問題もまた御審議いただきたいことでございますけれども、受け入れ大学でしっかり教育指導すること、あるいはすぐれた素質の判定につきましても丁寧に行っていただくこと等々、それなりのお願いをしながら、制度の適切かつ有効な運用が図られるように努めてまいりたいと存じております。
#83
○有馬朗人君 最後に大臣に御質問申し上げ、御覚悟のほどをお聞きいたしたいと思います。
 義務教育標準法などのことで、今回いろいろ地方自治体の努力がさらにやりやすくなったというふうなことで大変喜んでいるわけでありますが、私はそもそも中教審で教員一人当たりの生徒数を二十一世紀の初頭に先進国並みにすべきだと要望いたしました。
 そのことに関連いたしまして御質問申し上げますが、まず教育への公的な財政的裏づけが日本は少な過ぎると思うんです。学校教育費が日本は少な過ぎるんですね。義務教育については少人数教育への努力ということが今後さらに必要になると思います。
 大臣の御努力によって、今一人当たりの生徒数は随分少なくなってきて喜んでおりますが、さらに少人数教育への努力が必要である。さらにまた、チームティーチングなどによって子供たちの実力に合わせて習熟度別にきちっと教育を進め、落ちこぼれのないようにしていくという努力が必要であると思います。
 さらに、高等教育については、やはり私は、これだけ私学にいろいろお願いをしているわけでありますから、私学助成をふやしていかなきゃならないと思います。GDP当たりでいつも申し上げて恐縮でありますが、学校教育費を見ますと、日本は三・七%、アメリカは五・一%という大きなものを学校教育に使っているわけです。その内訳で初等中等教育を見ますと、日本は二・八%にすぎないけれどもアメリカは四%、高等教育は、日本は〇・八にすぎないけれどもアメリカが一・一、イギリスに至りますと一・四%です。
 こういう点で、私はやっぱり日本は教育に対して国の援助が少な過ぎると思っているわけでございまして、何とかもっと日本の教育の財政的な支援をふやしていただきたいと思う。この点について、一遍にはできませんでしょう、長く時間がかかると思いますが、大臣の御方針とお覚悟をひとつお聞かせいただきまして、私の質問を終わります。
#84
○国務大臣(町村信孝君) GDPと教育予算をどう考えるか、もうこれは委員先刻御承知のとおりでございますけれども、その一つは児童生徒の数が今国によって、日本は十八歳以下人口が非常に少ないわけですね。あるいは、そもそもGDPに対する公財政支出の比率が、何か日本は大きな政府のように言われておりますが、実は小さいんですね、全体として見たときに。そういった違いなどもありますから、なかなか単純な比較というのが難しい面もあるわけでございます。
 しかし、委員御指摘のような少人数教育により行き届いた指導をするというような観点から、私ども教科等に応じて、あるいは低学年の場合二十人でもいいですよというような今回法律を改正し、また予算措置もお願いをしているところでございますが、教員一人当たりの児童生徒数が今回五年たちますと大体欧米並みの水準に改善をされるだろうということを期待しているわけでございます。
 ただ、さはさりながら、私学の予算も含めて、例えば高等教育についてはまだ大分格差があるなという御指摘であれば、それは私ども率直に現状を認めるわけでございまして、今後、厳しい財政の中ではございますけれども、文部科学大臣といたしましては、できる限りそうした高等教育を含めて、教育全体の予算の確保については最大限の努力をしていきたい、かように考えているところでございますので、ひとつよろしくお願いを申し上げます。
#85
○委員長(市川一朗君) 時間です。
#86
○有馬朗人君 どうもありがとうございました。
 以上で質問を終わります。
#87
○本岡昭次君 民主党・新緑風会の本岡でございます。通告いたしました質問の順序を若干変えての質問になると思いますが、御了解をいただきたいと思います。
 まず初めに、先ほど同僚議員の質問について改めて私の方から伺いたいんです。それは、日の丸・君が代の問題であります。
 本委員会で日の丸・君が代を国旗・国歌とすることについて随分長時間審議をいたしました。参考人の意見も聞きました。最終的に国旗・国歌と法制化されたことを私たちはそれは当然認めます。
 しかし、その議論の中で、特に学校教育との関係でさまざまな議論が出ました。それを思い起こしているんですが、一番重要な問題が、強制をしないという言葉がいろんなところで出てきたように私は記憶しています。いま一つは、内心の自由というものを守らねばならぬということもありました。
 それで、先ほどの質問と文部省のやりとりの中で、調査をするというこの事柄です。君が代を歌う、立っているだけではないかと、こうきたときに、形は斉唱になっておっても歌っているものか歌っていないのかと。歌ったと、しかし本当に国を愛して愛国心に燃えて歌っているのかとかいう、それこそ内心のところへまでいくと、私は大変なことになると思います。だから、この種の問題はだからこそ内心の自由というものがあるんだというものを前提に置きながら、そして教育現場にそれを強制することがないようにせにゃいかぬ、自発的に自主的に教育現場がそういう国旗・国歌としての指導要領に基づいた対応をしていくべきであろうというふうな論議の私は流れになったと思います。
 したがいまして、文部省がきめ細かく調査して、そしてこういう形でなければならぬというふうに持っていくことは、これは国の指導による強制以外の何物でもないと、こう思います。文部大臣は、各学校の校長が校長の権限を持って自主的、自発的に大いに特色ある教育をやるべしと、こうおっしゃいます。そしてまた、子供も先生もそれぞれ内心の自由というものを持っております。私もございます。だから、そういう非常に微妙な問題に対して調査をして、ある一つの形をつくっていくというようなことが適切なのかどうなのか、可能なのかどうなのかということは非常に疑問を持ち、逆にそうしたことがある一つの強制的な、強権的な形が前面に出て、せっかく私たちがここで法制化のために真摯な議論をしていたそのことがつぶされるのではないかと私は心配をいたします。気になりました。
 文部大臣、一言でいいですから、私の今話をしていることについて所見をいただければありがたいと思います。
#88
○国務大臣(町村信孝君) 国旗・国歌についてはいろいろなこれまでの経緯、長い歴史もあったわけでございますけれども、一昨年ですか、法制化という形になりました。明文法がいいのか慣習法がいいのかと、いろんな議論があったわけでございますが、法制化をされました。
 教育現場では、学習指導要領に基づきまして今までも、法制化されるというような点にかかわらず、それまでも国旗・国歌の意義を理解し、またいろいろな折に触れての国旗・国歌に対する敬意のあらわし方というようなこと、あるいはそれは日本の国旗のみならず、外国の国旗・国歌に対する敬意のあらわし方というようなことを、やっぱり社会人として、あるいは国際人として、当然持つべき常識としてそういうものをわきまえておく必要があるだろうというようなことから学習指導要領にも述べられておりますし、また一般的な社会通念に従った形で、それは設置者である教育委員会とか校長が適切に判断をしてもらうことではあろうとは思います。
 常識的にはやっぱり国旗は見えないところに置くのではなくて、ちゃんと壇上に見えるところに置くなり掲揚するなりするし、国歌というのはただメロディーが流れればそれでいいというものでもない、やはりみんなが立って旗の方を向いて歌うというのが極めて社会通念上、これはもう常識、世界じゅうの常識だろうと思います。
 何でひとり日本の国、国内だけでこの国旗・国歌に対する私からすれば極めて異常な反応が一部教職員組合からなされなければならないのか、私は本当に正直言ってそうした対応については疑問を持つわけでありまして、どうしてもっと自然な形でこれが行えないのかなということを率直な印象として持っているところでございます。
#89
○本岡昭次君 今、教職員組合の名前が出ましたから、教職員組合の名誉のために申し上げておきます。
 今おっしゃったように、法治国家の中でそれが法制化されて、そしてある一つの形ができている。だから、今おっしゃったように、一〇〇%近い形のものができたんであって、それまでなぜかということは、これはやはり戦争に対するあるいは第二次世界大戦中における日の丸・君が代の持った意味、またそういうものを反動化に使おうとする人たちの動き、そういうものに敏感に現場の教職員が反応したということであって、だからこれは、今おっしゃったように、自然にそういうものがみんなの中で、おっしゃったように国旗は正面に掲げるのがいいだろうと、国歌を歌うときは皆が立って前を向いて歌うのがそれは当たり前だというふうになってくるというそれが大事なんであって、形を先につくって、それに従えというふうな形を調査とかいうふうなことで私はやるべきでないだろうということを申し上げておると、そういうふうに理解をしてください。
 それでは次に、教育基本法の見直しの問題について申します。
 中央教育審議会、新しくできまして、鳥居新会長がこの問題で報道陣に対して述べられたということが新聞に出ております。
 ちょっと読んでみます。教育基本法の改正は憲法問題でもあるので、憲法やその他あらゆる法制関係の問題を含めて考えていかなければならない。日本の法制度全体の問題とも考えられる。したがって、教育問題全体から見て、法制度全体から見て、また社会全体から見て必要であるならば変える。そこへ煮詰めていくプロセスが大事なのであって、まず教育基本法改正ありきという発想を私はとらない、このように述べておられます。私は、この鳥居会長の考え方を支持いたします。
 しかし、町村文部大臣は同じ新聞の記事の中でこうおっしゃっています。多少の異論があってもスピーディーに思い切って教育基本法を変えていきたいというふうにおっしゃっておられまして、私からすれば随分乱暴な発想だなというふうに思います。一体教育基本法のどこをどのようにスピーディーに、今多少の異論があってもそれをねじ伏せて教育基本法を変えねばならぬというのは、一体教育基本法のどこに問題があり、どこをどのようにしたいと、このように大臣はお考えなのか、教えていただきたいのであります。
#90
○国務大臣(町村信孝君) 私は、反対の方をねじ伏せるほどの腕力もございませんので、常に論議と説得で物事を進めていきたいと、かように考えておるものでございます。
 教育基本法のあり方につきましては、既にいろいろな方々からいろいろな御提言もございます。直近では教育改革国民会議の中で最終報告が昨年十二月下旬に出されたところであります。そこには三つの考え方が観点として示されております。
 一つは、新しい時代を生きる日本人の育成という観点で、科学技術の進展やグローバル化、男女共同参画社会、生涯学習社会の到来など、こうした新しい時代の変化を考慮する必要がある。あるいは、新しい時代における学校教育の役割、家庭教育の重要性、学校、家庭、地域社会の連携の明確化、こうしたことを考慮する必要があるのではないかというのが一番目の視点。
 二番目の視点は、伝統、文化など次の世代に継承すべきものの尊重、発展ということから、日本人としての自覚、アイデンティティーを持ちながら人類に貢献をするということからも、自然、伝統、文化の尊重、家庭とか郷土とか国家、こうしたものの視点が必要であろうと。
 それから三番目は、教育振興基本計画の策定等を規定してはどうかということで、基本計画の中身はこれから詰めるわけでございますけれども、現在の教育基本法の内容の理念的な事項だけではなくて、他の基本法に、特に最近できた基本法には具体的な基本計画といったようなものが触れられているのが通例でございますけれども、教育振興のためのそうした基本計画の策定に関する規定を設けることが必要ではないか、こうした三点が教育改革国民会議の提言にあるのは委員御承知のとおりでございます。
 こうした基本的な視点をお示しいただいたわけでございますから、私どもといたしましては、文部科学省といたしましては、この最終報告を踏まえて、今省内で幅広い議論、検討を行っているところでございまして、そんなに遠くないうちに中央教育審議会等で幅広く国民的な議論を深めていただく、しっかりと取り組んで成果を得ていきたいと。
 鳥居会長は当然会長としてのお立場で、それは中教審のメンバーの中にもきっといろんな御議論の方々がいらっしゃると思います。そういう御議論を踏まえて集約をするお立場で、自分はどういうふうにしようか、中立的な立場でいるんだよという御発言をされるのは、これまたまことにごもっともなんだろうなと、かように私は考えております。
#91
○本岡昭次君 教育改革国民会議というんですか、これは総理の私的諮問機関として発足し、亡くなられた小渕前総理がつくられ、それを森総理が継承されたということであります。この総理の私的諮問機関、それはそれなりに重みを持っていると思います。
 しかし、それはかつて臨時教育審議会、臨教審ですか、を法律によって設置して、そして日本の教育はいかにあるべきかということを問いかけて議論をしたのと随分違います。あのときの臨教審のメンバーの皆さんは、この文教委員会にも出かけてこられて、私たちはこう考えるんだが、皆さんどうですかといって、岡本会長と私たちはここでやりとりを随分やりました。公的なものとしての中でのある一つの、意見の違うところはあったとしても、整理がなされました。
 しかし、今度の教育改革国民会議ですか、これは全く私的な意味でできて、そこに集まった皆さんがある一つの提言をされて、それを町村文部大臣が金科玉条のように最初に三項目をお並べになるということはどうも私は納得いかぬのです。やっぱり文部大臣として私はかくかく思うということがなければいけないんじゃないかということで、この教育基本法の見直しの出てくる発想というんですか、そういうものにどうも納得ができません。またそれは今後議論することにしまして。
 それで、今いろいろ研究しているんだとおっしゃいましたが、所信の中にも、改正原案を文部科学省で作成し、中教審に諮問するというふうに明確に書いてありますが、時期ですね、それでは一体いつ、文部科学省で改正原案をつくると書いてありました、所信の中に。その改正原案をつくるという作業をやって、いつそれでは中教審に諮問をなさるんですか、時期。もう三月の末です。明示されてもいいんじゃないですか。
#92
○国務大臣(町村信孝君) 所信の中では、新しい時代にふさわしい教育基本法の見直しについては、教育改革国民会議最終報告を踏まえ、文部科学省内で検討を行った上で、中教審等で幅広く議論を深めるという形で、文部省内で原案をつくってとは失礼ですが書いてはございません。
 ただ、私の考え方としては、一応、私的なものとはいえ総理の諮問を受けてお出しをいただいたこの国民会議の一定の議論の成果というものがあるわけでございますから、全く更地でどうしましょうかという形で諮問をするよりは、この国民会議の御議論の成果を踏まえ、それを文部省内で少しく消化をし、私どもの考えも十分こなした上で中教審に諮問をしたいと。
 その時期はいつかという今お尋ねでございましたけれども、今部内でいろいろ検討しているというか、中身の検討をしているところでございまして、ちょっといつごろまとまるかということについて余り明示的なことを申し上げるほど煮詰まってはおりませんけれども、まあだんだん暑くなってきたころかなと。ちょっとこういう言い方をすると、かつて桜の花の咲くころという答弁があって、ああいうふうになりましたけれども、まあぼつぼつ暑くなるようなころには諮問ができる状態には持っていけるのではなかろうかと私は考えております。
#93
○本岡昭次君 やはり、こうした重要な問題は、文部科学省内で検討をして原案的なものをつくるにしても、一応一つの期間というものがあってやっていくのが通常だと思うのです。
 もう一度尋ねます。この通常国会中にこうした諮問ということが行われるというふうに私どもは理解してよろしいですか。
#94
○国務大臣(町村信孝君) 実は、中教審にはこの基本法以外のテーマでも幾つか諮問をさせていただきたい、こう思っている事項がございます。それを今順次総会にお諮りをしていくということに、一遍に幾つも幾つも諮問をするのは大変委員のメンバーにも失礼に当たるかと思っておりまして、大体私どもの考えなり諮問事項がまとまったものから順次お諮りをしていこうと。そして、そう頻繁に開くこともできないというような事情もありまして、この国会中にどうかと今お尋ねでございましたけれども、それをちょっと今明言するほど明確な時期の想定をしているわけではございません。まあ国会の終わりのころか、あるいは国会が終わった後か、あるいは参議院の選挙も現実にはもう七月末想定されておりますから、その後になるのか、ちょっとそこら辺はまだはっきりしておりませんが、少なくとも真夏とか秋ということではないんだろうなぐらいの程度しか今はちょっと申し上げることができないのはお許しをいただきたいと思います。
#95
○本岡昭次君 それでは、次の質問に入ります。
 これは町村大臣がいろんなところで新聞で御発言されているのを取り上げるということでまことに恐縮ですが、しかし大事なことなのでお許しください。新聞記事に書いてあること、それは事実でないということなら事実でないというふうにおっしゃっていただいたら結構であります。
 先ほど取り上げました中教審の初総会というのがありました。そこでのあいさつとして、「行き過ぎた平等が日本にまん延している。教育を通じて社会を変えたい」とあいさつをされたという報道があるのであります。それで、行き過ぎた自由が日本に蔓延している、こうおっしゃられると、私たちは、何が行き過ぎた平等で、日本に蔓延しているというのは一体具体的にどういう状態を言うのかということをお聞きしたくなるのであります。
 それからまた、報道陣との懇談で、「戦後教育の欠陥だと思うが」、「はき違えた個性の尊重、はき違えた自由が不登校を生んでいる」と、こういうふうにおっしゃって、小中校生の不登校の理由はここにありと結論づけられたと。
 私のように戦前の軍国主義教育を受けて軍国少年として育って、戦後、民主教育を、文字どおり戦後教育を受けて、昭和二十二年ですか、文部省がつくった教科書「民主主義」というのを読ませていただいて、はあ、こんな考え方もあるのか、こんな生き方もあるものかというて、目からうろこがとれるという言葉がありますが、文字どおりそういう感動を覚えた世代であります。それだけに、文部大臣がおっしゃっているこの「戦後教育の欠陥だと思うが」と、こう書かれてきたときに、まさに戦後教育に対するいわれなき誹謗中傷ではないかと思います。しかも、不登校を自由の履き違えとして、しかもそれが戦後教育の欠陥だと、こういうことについても、ちょっと余りにも簡単な現状認識、浅い現状認識じゃないかと思うんです。
 というのは、先ほど言いましたように、戦後の民主教育をリードしたのは文部省なんですよ。私が今言いましたように、昭和二十二年の文部省の「民主主義」という教科書、これで私たちは民主主義のスタート台に立ったんですよ。それで今日まで戦後の民主教育を推進してきた、それでは文部省の文教行政の責任はどこにあるのか。
 人ごとのように戦後教育の欠陥だというようなことを簡単に文教行政の長たる人が私は言うべきでないと、こう思います。暴言だと思います。この言は撤回されるのが至当だと思うんですが、いかがですか。
#96
○国務大臣(町村信孝君) 本岡委員に大変注意を払っていただいたことに感謝を申し上げますが、私の基本的な考え方につきましては、一月二十五日に、二十一世紀教育新生プランの基本的な考え方という部分に私なりの考えあるいは文部科学省の考えが書いてございます。
 そこの冒頭には、戦後の日本の教育の成果というものをまず触れております。これはまさに機会の均等が十分行き渡って、ありとあらゆる面で、小学校はもとよりですけれども、中学、高校、さらには高等教育まで非常に教育が行き届くようになってきたし、またその中から生まれてきた人材が戦後の日本の発展を支えてきたということはまず評価をしております。しかし、その上に立って、じゃ戦後五十年余たった今日、改めて考えてみると、そこの結果に満足だけしていいんだろうかといえば、改めて専門家である本岡委員に言うまでもなく、さまざまな学級崩壊等々いろいろな問題が起きております。このことについて、国民の多くが今の日本の教育このままでいいんだろうかという危機感を持っておられる。私もその危機感を共有するものの一人でございます。
 そうした現象がじゃなぜ発生をしてくるんだろうかということを少しく掘り起こして、根っこにさかのぼって考えてみる必要があるんじゃないか。そうでないと、ただ対症療法的な、何か事件が起きるとその対症療法ということだけに終わってしまってはいけない。
 そこで、少しく私なりに考えてみたときに、例えば戦後の教育の世界あるいは日本全体がそうだと思います、平等ということ。これは確かに戦前の身分制度がなくなってよかった等々、先ほど申し上げたように、よかった点はもちろん評価をします。ただ、それが行き過ぎると、機会の平等、チャンスが平等にあるというものであったはずが、結果の平等までもがどんどん今追い求められつつあるということは、やはり平等の行き過ぎ、ある意味では私の言葉ではまさに悪平等ではないのかなと。機会が平等にあるということと結果が平等だということは違うはずであります。
 しかし、例えば、これもよく言われておりますけれども、学校の徒競走、運動会でゴール前で一斉に手をつないでゴールインする、これは結果の平等だ、子供たちに差別をしないように、みんな平等なんだからゴールインも平等にした方がいいとか、あるいはこれは衆議院の文部科学委員会で出た話でございますけれども、ある委員からは、シンデレラの主役を演劇会で四幕全部かえていく、みんなが主役がいいんだと。そういう確かに考え方があるのかなと思ってびっくりいたしましたけれども、例を挙げれば枚挙にいとまがないほど、通知表に全部三をつける先生が出てきて、なぜかというと、その子たちはみんな能力が等しいからだと、そういう間違った観念に基づいて何か通知表に三を全部つけてしまった先生がかつているとか、もうこのたぐいのことがいっぱいあるわけであります。
 その結果、どういう問題が起きたかというと、それは文部省の率直に言って反省も含めて今申し上げておりますけれども、教育が津々浦々どこへ行っても同じようになったといういい面があるけれども、余りにも画一化し過ぎている、伸びる子供の芽を摘んでいるんじゃないんだろうか、あるいは理解の遅い子供に対しても、ゆっくり勉強したいという子供にも一定のスピードでどんどん行って、そして落ちこぼれが出てくるんじゃないんだろうか。そういうようなやっぱり悪平等というものはこの教育界から排除をしていかないと、これからの二十一世紀は特に個性が輝く人間が必要になってくるであろうということを考えたときに、私は教育という現場の中の余りにも行き過ぎた平等というものをやっぱり取り去っていく努力をしていかないといけないだろう。
 また、済みません、答弁が長くなって恐縮なんですが、もう一点、お問い合わせのあった不登校の問題でございますが、これはマスコミのいつものやり方でありますが、発言の一部だけをとらえてそれをタイトルにするという最も私にとっては残念な報道のされ方をしてしまったわけでありまして、私は、記者の懇談の場でも申し上げましたけれども、不登校の原因にはいろいろあると。例えば、学校の中でいじめがあったりとか、あるいは友人関係、あるいは先生との関係で心理的な悩みで不登校になるケースとか、あるいは授業がわからなくてつまらなくてもう行く気にならなくなるとか、いろいろある中で、そのうちの一つには、例えば家庭や学校の中で自己統制力といいましょうか、セルフコントロールする力、そういうものを児童生徒に身につけさせるということが不十分であった、そんなことから不登校になるケースもあるんじゃないんだろうか。
 したがって、対応は、それぞれに応じてわかる授業をやるとか、スクールカウンセラーを配置するとか、学校復帰を支援する指導教室を充実していくとか、いろいろやっていかなければいけませんということを言ったんですが、残念ながら、マスコミ的には最もある部分だけをとらえられて報道されてしまったことは大変残念だなと思って、そんなこともあったものですから、私の考えを一応文部科学省のホームページに載せて、私の真意をできるだけ広く国民の皆さんにわかっていただきたいと、そんな努力もしているところでございます。
#97
○本岡昭次君 平等という価値、行き過ぎた、いや行き過ぎていないとか、また悪平等とかいろいろありまして、その今おっしゃった言葉に対して、これは議論すると非常にいい議論になるんじゃないかと思います。しかし、時間がありませんし、できれば、森内閣、四月に終わるというふうな報道ですが、終わる終わらないにかかわらず、ひとつ町村文部科学大臣、引き続いて文教行政を担当していただいて、この種の問題の答えをぜひとも出すために一緒に努力していってはいかがでしょうかね。
 行き過ぎた平等なのかどうなのか。今あなたのおっしゃった運動会で用意ドンとみんな一緒にというのは、これは私はナンセンスだと思っているんですね、もともと、私のような人間でも。そんなばかげたことをやって、それこそ形だけで何の教育的意味もないと思います、それは、おっしゃるように。だから、何かそういうものを象徴的に取り上げておっしゃるのも、ちょっと事例として適当かどうかと思いますけれども、もうこれ以上言いません。私、あと十五分しかありませんので、またゆっくりと議論をさせていただきたいと思います。
 それで、次に教科書問題について触れてみたいと思います。
 先ほども歴史教科書の問題が出ました。今、教科書検定の最終段階を迎えておりまして、私が議員立法として再々参議院に提案しております従軍慰安婦の問題もその中の話題になってきております。
 それで、私は、問題は、従軍慰安婦の存在を否定する議論や旧日本軍が強制した性暴力でないという事実を歪曲する議論、これは少しおかしいし、こういう議論をしてはならないと思います。
 というのは、一九九三年八月、河野官房長官談話として従軍慰安婦問題について政府の一定の見解が出たのであります。読んでみますと、従軍慰安婦については、国が関与して強制的に組織されたという事実を認めた、そして女性の名誉を深く傷つけ、人権を侵害したことを河野官房長官が謝罪を正式にされたんですよね、一九九三年八月に。それを受けて教科書がこの問題を書くようになったという事実関係です。
 ところが、今出ている議論は、そんな事実はないという議論が、それはそのことを教えるのがどの年齢が適当かという議論は議論として当然成り立つと思います。中学校が適当なのか高校が適当なのかというような議論は当然議論すればいい。しかし、その事実も否定し、しかも河野官房長官が政治的な圧力に屈してこのことを認めたという主張をする人すらあるのであります。
 それで、事実は、私は一九九〇年六月の参議院の予算委員会で従軍慰安婦という忌まわしい状況があったんではないかと聞いたときに、政府は、いや、それは民間の人がやったことであって国は関与していない、国は知らないと、こう言ったので、そうかと、間違いないかと言って、私は調査をして次の予算委員会に、これは何だと、これは慰安婦ではないのかという事実を突きつけて、わかりましたと言って、当時の海部総理大臣が調査をしますと言って、海部総理が調査を命じたんです。そして、政府としての調査が始まったんです。そして、二年間かけて第一次報告、第二次報告とやった。そして、今五冊の調査報告書なるものが出ているんです。十万円です。あんな本、売れるかどうか別にして。
 そういうものをきちっと政府として調査をした結果として出ているものについても、事実でないとか、強制されたものだとかいうふうな論調でもって私は議論することはやっぱりよくない、こう思っておるんですが、この河野官房長官談話に対する町村大臣のひとつ認識を伺っておきたいと思います。
#98
○国務大臣(町村信孝君) 今、委員から詳しくお話をいただいた経緯を私も承知しているところでありまして、当時の河野官房長官の談話の認識と私も同じでございます。
#99
○本岡昭次君 そこで、その問題についてはひとつきちっとした政府内の統一した見解にぜひともしておいていただきたいと思います。
 それから、日本の侵略戦争を否定して韓国併合は朝鮮の発展につながったというふうな歴史観なり、南京大虐殺はなかったというふうに述べ、国会が戦後廃勅した、参議院も廃勅しましたが、教育勅語を全文掲載するというふうな教科書が検定に申請されているというふうに新聞報道で伺っているわけで、先ほどの従軍慰安婦の問題も同様でありますが、やっぱり史実と真実という問題ですね。その評価はいろいろあるにしても、そうしたものから逸脱をしていくというふうな教科書、これは子供のために私はよくないと思います。
 それで、これ全部聞くわけにいきませんが、ただ一つだけ。教育勅語を全文掲載するというふうな、今までなかったことだと思うんですが、そういう教科書は私は適切でない、そういう文書を全文掲載すべきでないと、私はこう思います。
 その新しい歴史教科書をつくる会の代表をされている方と議論をいたしましたら、こういう答弁が返ってきました。教育勅語にある道徳項目、「父母ニ孝」ですか、「夫婦相和シ」、忘れてしまいましたが何かそんなものがずっとありました、道徳。それで、それは教育基本法の中に生きておるんだ、教育基本法の中に教育勅語というものが生きておるんだと、一体になって。だから、教育勅語を全文載せてなぜ悪いのかとおっしゃるから、はあ、珍説ですねと私は言うたんです。いや、珍説じゃない、新しい学説やとおっしゃるから、ああ、そうですか、私の勉強不足でしたかと言って私はやったんですがね。
 これ、文部大臣、教育基本法と教育勅語、この新しい歴史教科書をつくる会の人がおっしゃるように、教育勅語の中の言葉は、道徳的ないろんなものは教育基本法の中にちゃんと生かされているんだ、中に入っているんだ、だから戦後の教育というのは教育基本法と教育勅語と両方で見ていくというのが正しいんだという論調なんですが、これは非常に重要な視点だと思いますね。私はそんなことは絶対あり得ないという立場なんですが、大臣、いかがでございますか。
#100
○国務大臣(町村信孝君) 私が今ここで特定の事象について余り個人的な見解を述べるのはいかがかと。まして、私はちょっと正確に教育勅語が今話題になっている中学校の歴史の教科書にどういう原案で載せられているのか記憶にございませんけれども、いずれにいたしましても、教科書の検定というのは委員よく御承知のとおりでございまして、学習指導要領の範囲内であり、かつ検定の基準にのっとって審査をするということでございますから、どういう中身を載せるか載せないか、これは基本的に執筆者の自由というものがあります。
 ただ、全体としてあるいは個々で見ていって、著しくアンバランスであるかとかないかとか、あるいは近隣諸国への配慮があるかないかとか、あるいは不正確で間違っていないかとか、そういうことで検定をするわけでございまして、特にこの事象を書かなければならない、例えば学習指導要領に日露戦争と書いてあります、もし教科書に日露戦争のことが載っていないとそれは書きなさいということが言えるわけでございますが、今の教育勅語の扱いをどうするかといったようなところまではたしか学習指導要領には私は書いていないと思いますから、執筆者がどういうお考えでそれを載せるか載せないかということについて、今この場でそれは適切であるとか適切でないとかいうコメントをすることは避けたいと思いますし、また今の教育基本法と教育勅語の関係についてお問い合わせありましたが、そのことについてちょっと私も今十分論ずるだけの知識も経験もございませんが、ただ、教育勅語は国会の決議で、たしか排除決議でしたか、国会決議によって排除されたという経緯からかんがみますと、教育基本法と教育勅語が、どういうんでしょうか、パラレルで存在をすべきものであったかどうかということについては私もいささかの疑問を持つものでございます。
#101
○本岡昭次君 この問題はこの程度にさせていただきます。
 それで、心のノートというのを今度は七十三億円の予算措置で道徳教育の副読本として全小中学校の子供に配付するということになりました。これは道徳教材として全小中学校の生徒が道徳の授業に使用するということを義務づけることになるのですか。もし義務づけることになれば、道徳の国定教科書がつくられたというふうなことになるし、もしそういう教科書的な扱いを一斉にやるとすれば教えたことに対する評価をせにゃ仕方がないというふうなことになっていくと思いますがね。この心のノートという、これはどういうふうになっていくんですか。
#102
○国務大臣(町村信孝君) 道徳は国語とか算数等のような教科ではございません。道徳の時間ということになっているわけでございまして、この心のノートはそういう意味で教科書ではございません。したがって、その使用を強制するという性格ではないと私は思っております。
 ただ、大勢の方々から、道徳の時間が余り有効に活用されていないじゃないか、何か適切な、みんなで考えたり議論したりする材料があった方がいいんじゃないかと。そんなようなこともあるし、現実に道徳の時間というものが年間三十五時間以上ですか、というのが、実際にはそこに達していない小学校もたくさんあるし、中学校では大半が三十五時間以下なんですね。という実態を見たときに、やはり児童生徒にとっていろいろな道徳というものを、もちろんそのノートを見たから全部道徳が身につくなんてそんな簡単なものでもないと思いますけれども、一つの手がかりとしてこれを児童生徒も活用するし、あるいは親も活用するしというようなことで、道徳的実践力の育成に資することになればいいなと、そんな思いでこの心のノートをつくらせていただき、皆さんにそれを理解し身につけてもらいたいなと、こう思っているわけであります。
#103
○本岡昭次君 今の大臣の言葉をそのまま受け取らせていただきます。
 それで最後に、二十人授業を可能とする教職員定数改善、これは法律のときに議論をすればいいと思うんですが、一、二お尋ねをしておきます。
 まず、基本的教科について二十人授業と、こうなっているわけですが、それでは基本的教科以外の授業について二十人学習集団に学校の校長の判断でしてもいいのか、あるいはまた習熟度別ということでそういう二十人授業のそれをやると、こうなっているが、習熟度別学習以外の学習形態であってもそれはいいのか。
 要するに、学校長の判断で教職員と協議した上でよりよい教育効果を上げるために学習集団を二十人にするということは可能であると、こうおっしゃるのか、いや、それは習熟度別学習という形態でなければいけないというのか、理科、算数、国語という基本的教科、英語も入るんですか、それでなければいけないとおっしゃるのか、ここのところをひとつ聞きたいのと、それから最後に、一体この少人数学習教員加配というものをどういう基準でやろうとなさっているのか、詳しいことはまた法律のときに質問いたしますが、そこだけちょっと教えてください。
#104
○国務大臣(町村信孝君) 習熟度は一つのわかりやすい例として言っているわけでありまして、習熟度以外の学習集団で二十人というものがあってもそれは構わないと私ども思っております。
 それから、加配のやり方ですか、これは今、各学校の要請を受けて市町村教育委員会、市町村教育委員会の要請を受けて都道府県、それで都道府県の教育委員会と文部省との方で具体的にできるだけ各地の皆さん方の御要望を受けた形で実現ができるようにその加配をやっていくということでありまして、ベースは各地区の要望に応じて私どもとして、そうはいっても予算の制約その他ございますけれども、その中でできる限り各地区の要望を反映をした形でやっていくというのが加配の基本的な考え方であります。
#105
○本岡昭次君 これで終わります。ありがとうございました。
#106
○委員長(市川一朗君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時四十分まで休憩いたします。
   午後零時五十分休憩
     ─────・─────
   午後一時四十二分開会
#107
○委員長(市川一朗君) ただいまから文教科学委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、平成十三年度一般会計予算外二案中、総務省所管のうち日本学術会議及び文部科学省所管を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#108
○小林元君 民主党・新緑風会の小林元でございます。
 まず最初に、地元のことで、ITER、国際核融合原子炉ですか、三月十四日に原子力委員会のITER計画懇談会が開かれたようでございまして、日本誘致の意義を認めるということで国内の建設地の選定作業を始めたらというような報告書が提出をされたというふうに伺っております。
 その中で、未来の人類のための保険料という意味で価値ある、意義のある投資だというふうに言っておりまして、多分、町村大臣が前大臣のころだったと思いますが、これは文部省所管ではありませんでした、科学技術庁の所管だったんですけれども、財政改革というようなことで凍結するというような方針も一時は出たわけでございます。
 これから、五月に原子力委員会に報告をすると、そしてまた政府の方で閣議決定というようなことになるんだと思いますけれども、現在、国が日本として手を挙げると、そして国内で今誘致運動をしているのは茨城県の那珂町、苫小牧、大臣の方の北海道の苫小牧、そして六ケ所村ですか、三カ所があるわけでございますが、これからの進め方等につきましてお教えをいただきたいと思います。
#109
○国務大臣(町村信孝君) 今、小林委員御指摘のように、三月十四日に原子力委員会のITER計画懇談会が開催をされました。これまでの議論を集約して、我が国にITERを誘致することについて意義があるという内容の報告書の骨子案について議論が行われたと聞いております。
 次回以降、これを踏まえて最終報告書の取りまとめのための審議が行われると、かように聞いておりまして、報告書がまとまり、パブリックコメントを経て最終的な報告書が出されると思っておりますから、今のところはその懇談会の最終報告書の審議を見守るということにしたいと考えております。
 仮にITER計画懇談会で日本誘致について結論が得られた場合には、その結論をも参考にしながら、適地の選定、財源の確保などさまざまな観点からの検討が行われなければならないわけでありますし、今度総合科学技術会議というのができたわけでございまして、そちらにもお諮りをした上で、ことしの夏ごろを目途に日本への誘致の是非について最終的な判断をしてまいりたい、かように考えているところでございます。
 また、サイトについてのお触れもございましたけれども、これは国際的に取りまとめられましたITER最終設計報告書に述べられたサイト要件というのがあるわけでございまして、これらを参考にしながら選定を行ってまいりたいと考えております。
#110
○小林元君 御存じのように、開発プロジェクトはEU、日本、ロシアと、こういう参加国ということになっておりまして、アメリカが撤退をしたと。アメリカは財政難で大変だったと。今はまた景気の問題はありますけれども、大分よくなったと。しかし、にもかかわらず、そのような動きが、手を挙げるというような動きは見えないようでございますが、なぜアメリカは手を挙げないのか、参加しないのか、この辺の理由をお伺いしたいと思います。
#111
○政府参考人(今村努君) お答え申し上げます。
 先生ただいま御指摘のとおり、アメリカは一九九九年七月をもちましてITER計画から撤退をいたしました。これは、その時点におきまして、米国政府、直接的には、エネルギー省としては参加継続を意図しておりましたけれども、米国議会から参加継続の支持が得られなかったためというふうに聞いております。
 そして、その理由につきましては、まず、その時点におきましての設計に基づく建設費の見通しが一兆円と非常に大きかったこと、またその時点におきまして建設サイトが未定であったなど、ITER自体の実現性に対して危惧があったというふうに聞いております。
 さらに、その背景といたしましては、この当時、米国のエネルギー省自体の予算削減の議論がありまして、実際、例えば一九九六年段階で核融合エネルギー予算、当時エネルギー省が持っておりましたエネルギー予算が三分の二に削られるといったような中で、エネルギー省といたしましては、核融合エネルギーの開発計画の再構築について検討がなされ、その結果、ITERのようなエネルギー開発を志向する重点投資から、より科学志向へと変更をされたという背景があった、このことが影響していたというふうに理解いたしております。
 なお、昨年九月、当時の大島科学技術庁長官がアメリカのリチャードソン長官と会談をされた際に、当時のリチャードソン長官はITERの今後の展開を厳密に見守っていきたい、ITER計画に協力していけるよう議会に働きかけていきたいといったような発言がなされておりまして、ITERの計画が具体化すれば米国が再参加する可能性はまだ残されているのではないか、このような受けとめ方をいたしております。
 以上でございます。
#112
○小林元君 アメリカがどのような動きをするかはいろいろあるんでしょうけれども、そういう動きというものに我が国として惑わされることなくといいますか、判断をしていただきたい、このように思っております。
 そしてまた、今誘致に手を挙げているのはフランス、カナダ、イタリア、日本と、こういうふうに聞いておりますが、この誘致国の中に、カナダのようにプロジェクトには参加をしないけれども誘致をするというお考えがあるそうなんですが、これは開発プロジェクト参加国でなければというような条件はないんでしょうか。
#113
○政府参考人(今村努君) お答え申し上げます。
 現在、三極で行われております協力の事業の内容はITERの工学設計活動でございまして、この工学設計活動につきましては、工学設計活動を行う協定が当事国間で結ばれております。その協定の中で、締約国は他の国をその国を通じて関与させることができるということが協定上認められております。この規定に基づきまして、カナダはEUを通してITER計画、ITERの工学設計活動に参加しております。つまり、ほかの極がもちろんそれを了解した上でのことでございますが、了解を得てカナダは工学設計活動に参加していると、そういう立場でございます。
 また一方、今御質問の誘致の点でございますが、ITERの誘致に関しましては、確かにITERのカナダの誘致を求めております地元の団体が熱心に誘致活動を展開しておることは事実でございますけれども、カナダ政府としては正式な誘致の表明はしていない、現在その検討を行っている状況であるというふうに承知いたしております。
 なお、建設に関して、現在の締約国以外の国が建設をしたいと名乗りを上げることができるのかどうかという問題でございますが、この点につきましては、現在の締約国、つまり当事者である日本、EU、ロシアの間の非公式な協議におきましては、現行のITER工学設計活動協定の締約国及びそれ以外の第三国の参加については、締約国が了解するという前提のもとで、つまり誘致に立候補することができるということにしようという打ち合わせをしていると、そういう状況でございます。
#114
○小林元君 そこで、茨城県の那珂町、我田引水でありますけれども、JT60の研究が進められているわけでございます。これが始まる前に、そのような計画に対して茨城県は、昭和四十九年、もう随分昔のことでございますが、核融合懇談会というものを設置いたしていろいろ検討をしたわけでございます。私も実はその仕事にかかわったことがちょっとありまして、現在、茨城県では今度のITER計画に対しまして安全問題懇談会、こういうものを地元で設置をしております。実は次の日、十五日に、基本的に安全性の確保ができるというような報告書を承認したということになっておりまして、これは文部科学省の方でどのようにこういうものを評価しておられるのか、お聞きをしたいと思います。
#115
○政府参考人(今村努君) お答え申し上げます。
 茨城県のITER安全問題懇談会の最終報告案につきましては、この三月十五日の審議におきまして、基本的安全性は確保されると判断するとの趣旨の内容が確認され、現在その最終報告書の取りまとめの段階であるというふうに承知いたしております。
 ITERの誘致に関しまして、やはり地元の理解と協力が極めて重要なことは申し上げるまでもないことでございますが、こうした形で地元自治体が安全性を含め独自にITERに関しまして種々の御検討をなされるということ自体は非常に有意義なことではないかというふうに考えております。
 また、ITERの安全性につきましては、この報告書にもございますとおり、核分裂を伴う既存の原子力発電所とは異なりまして、いわゆる核的暴走あるいは臨界事故というものが原理的には起き得ないこと、あるいは内蔵する放射能が少ないといった固有の安全性を有しておりますが、一方におきまして、量、レベルは低いわけでございますけれども、放射性物質を扱うということ、あるいは放射性廃棄物が発生し、その安全管理が必要な施設であるということもございまして、この安全確保には万全を期すべきものである、このような認識に立っております。
#116
○小林元君 いずれにしましても、那珂町ではこれまでのJT60の実績もあるわけでございますし、立地条件なり受け入れ体制あるいは協力体制というものは万全であるというふうに私は考えております。
 いずれにいたしましても、政府といいますか、総合科学技術会議の決定あるいは閣議決定という手続もあるわけでございますが、適切な判断を下していただきたい、御要望をしたいと思います。
 次に、教育改革国民会議、これは町村大臣もこの担当補佐官というんでしょうか、総理大臣の補佐官兼オブザーバーということで出席をされ、取りまとめに努力をしたというふうに思っております。
 その最初の、前文的なところがありますけれども、そこに、これまでの過去を振り返って、「校長や教職員、教育行政機関の職員など関係者の意識の中で、戦前の中央集権的な教育行政の伝統が払拭されていない面がある。関係者間のもたれ合いと責任逃れの体質が残存する。」、こういうふうに言っているわけでございますが、これはかなり問題をぼやっとといいますか、余り明確に指摘したものではないのかなと。
 やはり中央集権といいますと、これまで、文部省に限らず国の行政というものが中央集権という志向でずっと来たということは事実だと思いますし、関係者間でもたれ合ったというのはいかがかと思いますけれども、それはどの省庁をとってもそうだったんですけれども、文部省も例外ではなかったというのが大方の見方だと思います。そういう中で、ドイツやアメリカのように、いわゆる文部省というものはないというような国さえもあるわけでございます。ですから、極論を言えば文部省解体論というような議論もないわけではありません。
 いずれにしましても、昨年、地方分権推進法というものが出てまいりました。そしてその後も、あるいは今回提出される予定のいろいろな法案の中にも地方分権を一層進めるというようなところはうかがえますけれども、これに関して、今まで、例えば地方で木造校舎をつくりたいと。これはいろいろ議論があると思います、火災のおそれとか、災害に弱いとか。しかし、生徒を教えるについて、コンクリートの中で教えるよりはいいんじゃないか、しかしそれに対しては補助金はだめですよというようなことで相当もめたというか、文部省と地方の教育委員会が交渉したと。実現はしたようでありますけれども、そんなこともありました。
 今回の教職員の標準法の問題も、いわゆる標準法イコール規制法というふうに地方では受けとめておりましたし、また文部省もそのように考えてきたんじゃないか。いろんな面でやはり中央集権的な考え方で行政を進めてきた。それらが画一的と言いますけれども、そういうことにあらわれてきたんではないかと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
#117
○副大臣(河村建夫君) 私の方から答えさせていただきたいと存じますが、小林委員御指摘の点、確かにこの教育改革国民会議の報告にもそのことが指摘をしてございます。ただ、教育行政が国と地方との役割、戦後いろんな形で果たしてきておりまして、国が自主的な教育の機会均等とか、いわゆる全国的な教育の水準を上げるとか、それから全国的な基準を制定して、あるいは必要な財政援助をやる、あるいは指導者等の役割、指導助言の役割を果たしてきたという一つの国の役割。また一方で、地方公共団体は学校等の教育機関を、直接現場を持つところとして生涯学習、文化、スポーツ、住民にも直接身近なところに具体的な事業を実施する、こういう役割を十分担ってきてその成果を上げてきたと、こう思うわけでございますが、さらに、委員御指摘のような点が、では全然そういうイメージとしてなかったかと言われると、そういう意識というのは私はやっぱり残っておったというふうに思いますし、ややもすると文部科学省、今は文部科学省でございますが、そこにもまた古い伝統のある役所だと、こういうイメージもありました。
 そこで、「今後の地方教育行政の在り方について」という平成十年の中教審の答申の中にも、国の指導等があたかも法的拘束力があるような受けとめ方もなされてきたと、今、委員御指摘ありましたそのような問題点が実は指摘をされておるわけでございます。これを受ける形で、文部科学省としても、さらに地方分権を推進して地域に根差した主体的かつ積極的な地方の教育行政の展開を図っていかなきゃいかぬということで、いわゆる地方分権一括法というのもできたわけでございます。地方公共団体に対する指導等も、これまで「行うものとする。」という義務づけ的な表現であったわけでございます。これを、今後、いわゆる地方の主体性ということで「行うことができる。」と、このように改正をいたしたところでございますし、もう必要のなくなった通知等五十件余りあったんでありますが、これも廃止するというようなことで指導通知等の見直し等を行ってきたわけでございます。
 また、学校というものが子供や地域の実情に応じて開かれた学校になる、また学校が自主性と自律性を高めていかなきゃいかぬということで、学校管理規則の見直し等も指導いたしてまいりましたし、また学校に対して、保護者や地域住民の意向というものが学校運営に反映できるようにする必要があるということで、新たに学校評議員制度というものを制度化されたところでございます。
 今後とも、国として果たしていかなきゃいけない役割、教育の機会均等あるいは全体的な教育のレベルを上げていく。今後ともやっていかなきゃならぬわけでありますが、一方では、教育の地方分権の推進というのは非常に必要なことでありますので、今御指摘のようなイメージを払拭するためにも努力をしていかなきゃいかぬと、このように考えているわけであります。
#118
○小林元君 いや、私は、今までの教育の成果というものを否定するというつもりで言っているんではないんですよ。それはそれとして十分に評価をし、これまで戦後の発展を支えてきた教育というものはやっぱりこれは十分に評価する必要があるんじゃないかというふうに思っております。
 しかし、そうはいっても、とかく現場で混乱があるたびに、通達だ何だというような形で半ば法律が法であるというようなことで行政指導するということでありますと、どうしても現場というものはやっぱり納得した形で教育というものは進めるというのが理想だと思いますので、いろんな混乱があって耐え切れないと、だからといって伝家の宝刀を抜くというやり方には私は余り賛成できない。
 そこで、次のところにもそれと同じようなことが書いてございます。先ほどもいろいろ問題が指摘をされました。
 これまで、教育の世界にイデオロギーの対立が持ち込まれ、教育者としての誇りを自らおとしめる言動がみられた。力を合わせて教育に取り組むべき教育行政機関と教員との間の不幸な対立が長らく続き、そのことで教育に対する国民の信頼を大きく損なってきた。教育関係者は、それぞれの立場で自らの在り方を厳しく問うことが必要である。
と。
 私は、全体から見ればそうかなと思いますけれども、そうはいっても、ここに記述されていることというのはどうも不毛の議論ではないかというような気がしてなりません。やはりいろんな対立があったことも事実だと思いますし、それを乗り越えて教育というものは進められてきた。しかし、一番強いのは何といっても文部科学省というか文部省、これは教育行政の権力を持っているわけですから、何をするについてもこうだと言えばそうせざるを得ないといいますか、それに従うというのはこれは行政の仕組みです。
 そういうことになりますと、やっぱり現場に起きている混乱というものに対してどう対処するか、どれをどういうふうに整理をしていくのか。これはやっぱり強大な権力を持っている、現に行政の責任者である文部省がやはり十分な話し合いの姿勢を持ちながら改善をしていく、これが本来の姿勢だろうと。そんな理想論を言って、本当にまとまったのかといえば、それはなかなかそうはいってなかったと思います。
 しかし、これからも文部省、この文部科学省発足を機会に、いろんな問題があると思いますけれども、それを乗り越えていかないと、やっぱり教育というのは、最終的に言えば権力で教育をするものではないわけでございまして、ですから、権力が、何といいますか、じかに手を突っ込むというようなことを排除するために地方の教育委員会、そういう制度もつくられたと思うんですよね。ですから、やっぱり教育というのは、有馬先生おられますけれども、権威でやるものだというふうに私は思っております。そんなことはまあ遠い理想かもしれませんけれども、粘り強くそれをやっていく、そういう気持ちが大事ではないか。そういう意味で、これからどういうふうにされるのか、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
#119
○国務大臣(町村信孝君) 委員御指摘のとおりに、確かにそれは文部科学省としての権限というのはございます。また、それに基づいて、先ほど河村副大臣が御説明したように、国として果たすべき役割というものは私はあるだろうと、こう思っております。
 ただ、さはさりながら、じゃ国で何もかも全部決めることができるかというと、決してそうではございませんし、幾ら逆立ちしても文部科学省の人間が個々の教室の現場にまで一々立ち入るわけにもまいらないわけでございます。
 したがいまして、私どもとしては、常に幅広くいろいろな方々からの御意見も承りながら、いい政策をやり、いい教育をつくる努力をしていくという姿勢が求められるというのは小林委員御指摘のとおりだろうと思います。
 ずっと、特に冷戦構造のもとで日本教職員組合、対日教組という形での構造が今日まで続いてまいりました。ある意味では大変不幸な、不毛の対立であったという面もあったかと思います。しかし、平成七年の定期大会で日教組も大分方針を変えられました。一部の都道府県ではまだまだ旧態依然たる冷戦構造が続いている地域もございますけれども、国全体としては、日教組もそういった方針を変えられて、お互いにある意味ではよりよい教育をつくるためにともに努力をしていこうという姿勢に変わったと私は思っておりますから、そういう意味で、教員の組織あるいはいろいろな団体あるいは産業界、幅広く皆さん方の御意見を聞き、もとより国民の幅広い意見を聞きながら、よりよい教育が実現できるように文部省としても努力をしていきたいと、かように考えております。
#120
○小林元君 時間がないので、通告の順番をちょっと変えたいと思います。
 新しい学校づくりという中で、教師の問題、教員の問題がいろいろ取り上げられております。教員に適さない教師、これは実際にかなりの数というと問題があるんですけれども、茨城県でもそういう教員がおります。これに対して大変困っている。しかし、これは全国的なといいますか、法的な問題もありまして、なかなか適切な対応というのがとれないわけでございます。
 その問題は、いずれにしましても、今回、今回といいますか、もう既に十一年度から特別枠で社会人の特別非常勤講師制度、こういうものができております。八千六百二十一人ですか、十一年度で。そういう者が非常勤講師になっているということでありますが、非常勤あるいは期限つきの教員、社会人教員、こういう雇用形態を多様化しようと。
 大賛成でありますけれども、ただ、今採用試験を見てみますと、依然として年齢制限をするというような採用の仕方をしているわけですね。それというのは、やっぱり免許制度の問題もあると思います。途中から、社会人からぜひ先生をやってみたいといっても、免許が取れていないとか、それではだめだとか、いろいろあると思います。本当に免許制度が絶対なのかどうかということにも問題があるでしょうし、幅を広げるというんであれば、その辺も含めて、年齢制限、免許制度。しかも、今はリストラ、リストラということで優秀な人材でも場合によってはやめてくれというようなこともあるわけでございます。教員でもでは困りますけれども、この際教員をぜひやってみたいという方を大歓迎したらどうかなというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
#121
○政府参考人(矢野重典君) 教員採用の問題につきましてでございますけれども、さまざまな資質、能力や経験を持つ人材を広く教員として採用していくことは大変大事なことでございまして、このため、文部科学省といたしましては、教員採用を人物重視の方向で見直しました。
 先ほど御指摘がございましたような民間企業の勤務経験等を適切に評価する選考方法の実施でございますとか、これまた御指摘がございましたけれども、受験年齢制限の緩和を進めるといったようなことで各都道府県・指定都市教育委員会をこれまで指導してまいってきているところでございます。その結果、幾つかの都道府県におきましては既に社会人のための特別選考を実施しているという県も出てきているという状況にあるわけでございます。
 また、免許についての御指摘もございましたけれども、社会人を一般の教員として採用する制度として特別免許状という制度も既につくってございますし、その活用も進めているところでございます。
 さらに、これは常勤の教員ではございませんけれども、特別非常勤講師という形で多様な社会人を学校現場に活用するという道も開き、またその活用についての促進方も進めてきているところでございます。
 文部科学省といたしましては、今後とも教育委員会のこのような取り組みを促してまいりたいと考えているところでございます。
#122
○小林元君 ぜひ進めていただきたいと思います。
 それから、教育改革国民会議の報告書を見ますと、家庭教育といいますか、しつけとか道徳とか、大変大事だというふうに書いてあります。これはもうだれもそうだと思っておりますし、そうはいっても子供が悪い、青少年が悪いと言うんでしょうけれども、現実はやっぱりこれは親の責任、大人の責任だと思うんですよね。
 本当に率直に言って、端的に言って、一番今だれが悪いのかといえば、やっぱり残念ながら一番政治家が信用ないわけですね。これは私も一人の政治家として大変恥ずかしい思いをするわけですが、先日の世論調査によりますと、政治を信用する人は二%だと。これは大変なことだと思うんですね。そして、政治家を信用する人は六%だと。その後のことは、森総理のことはもう今さら言うつもりもありませんが、いずれにしましても一けたに満たないというのはこれは憂うべき現状だ。
 ですから、政治といいますか、あるいは行政も含めて、そして役人も最近はだんだん信用もなくなってきました、ということになりますと、幾らかけ声をかけてもなかなか大変なのかなというのが現実ではないかなと思います。端的な御感想を大臣にお伺いしたいと思うんですが、いかがでしょうか。
#123
○国務大臣(町村信孝君) ありとあらゆる分野で国民の信頼のないところにいい仕事はできないんだろうと、こう思います。特に私ども政治家の場合は、委員御指摘のとおり、国民の信頼がないところに幾らいい法律をつくり、幾らいい政策を出してみても、国民にそれを率直に受け入れてもらえないということはあろうかと思います。そういう意味で大いに私どもも襟を正していかなければならないというふうには考えております。
 したがいまして、今回の教育改革、私どもとしては文部科学省挙げて進めようとしているわけでございますが、ひとり文部科学省だけでこれが実現できるとも思いません。国会の諸先生方の御協力もぜひいただきたいわけでございますし、同時に、これはやはり幅広い国民の賛同なくして進まないだろうと、かように思っておりまして、国民運動的な教育改革というような意味から、今、私ども毎週末地方に出かけてまいりまして、PTAの皆さん、あるいは教育委員会、教育関係者の皆さん方とひざを突き合わせて話をして、ぜひこの教育改革に御理解をいただき、それぞれのまた地域地域で独自の取り組みをしていただきたいと、そういうお願いもして、まさに国民運動としての教育改革を進めていきたい、そういう姿勢でこれからも臨んでいきたいと考えているところでございます。
#124
○小林元君 大変難しい問題だと思います。そしてまた、今、親子の信頼関係がないといいますか、信頼というか、触れ合いがないと言った方がいいのかもしれません。そういう中で家庭教育云々と、こういうふうに言われております。そしてまた、思いやりの心で奉仕活動とか、そういう議論もされたようです。
 一番最大の問題は、私は親の背中が見えないことではないかと。日本人の今働いている人の大半はサラリーマンでございます。自営業の方、昔は農業をやっている人が八割というような時代もあったわけでございますが、両親が汗をかいているという姿を本当に見てきたわけで、そういう中で育ちました。手伝いをするのは当たり前と。
 しかし、今のサラリーマンというのを標準の姿を見れば、会社へ行って仕事をしてくる、それは物をつくる人もいるでしょう、事務をとる人もいるでしょう。しかし、帰ってくるときはどういう顔になるか。大概酒を飲んでくる、上司の悪口を言って帰ってくるというようなことが多いわけでございます。また休みは、もうバブルもはじけましたから余りゴルフにも行かないと思いますけれども、朝早くからゴルフに行くというような、親がストレス解消をする姿しか見えないという残念な状態なんですね。
 ただ、そうはいっても、例えば先生の子供さんなら先生という実情を見ています。お巡りさんの子はお巡りさんの姿を見ています。ところが、ほとんど目に触れない状態で働いている人が大部分なんですね。奉仕活動も結構なんですが、どうしても企業などの協力を得まして、文部省で二年前におやりになったようですね、お子さんを連れてきて職場でお父さんはこんな仕事をやっているんだと。大変いいことなんですが、報告書に何も書いていないんです。遠慮することはないと思うんです。お父さん、お母さんの職場へ来ていただいて親の働いている姿を見せてやったらどうかと。これはやっぱり事業所や会社や企業の協力がないとできないんですね。ばらばらにやったらこれはやられる方も迷惑でございます。何かいい方法がないか。ぜひやってみれば子供たちは相当変わっていくんじゃないかなというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
#125
○国務大臣(町村信孝君) 親の背中を見て子供が育つことは本当に大切なことだなと思っております。ある統計によりますと、特に父親と子供が触れ合う時間が日本の父親は一番少ないという統計を私、見た記憶がございまして、何とかそういう事態を改善したい。
 今回の教育新生プランの中にも、すべての企業ができるかどうかわかりませんけれども、できるところからでも、例えば教育休暇制度といったようなものをつくってもらえないかなと、そんなことを私も、プランに書いてありますから、経済団体のトップの皆さん方とお目にかかって、ぜひそういう休暇制度をつくってください、あるいは残業のない日をたくさんつくってできるだけ早く、その帰りに飲みに行かれちゃったらこれはもう何のことはないのでありますけれども、家に帰るようにして子供と触れ合う時間をつくってもらうというようなこと。
 あるいは、文部省は「子どもと話そう」全国キャンペーンというのを当時の小杉文部大臣のときからやったりしておりますし、あるいは「子ども霞が関見学デー」というのを当初文部省で始めたんですが、今は全省庁で夏休み中に子供たちが親の働いている姿を見る、そんな機会もつくろうということで始めたりしております。
 さまざまな形で、親が額に汗して一生懸命働いている姿を子供たちに見てもらうことが本当に大切なことだと、こう考えております。
#126
○松あきら君 公明党の松あきらでございます。
 本日は、町村初代文部科学大臣に新体制のもと初めての質問をさせていただくわけでございますが、残念ながら私の持ち時間が非常にタイトでございまして、本日は絞った問題を伺いたいというふうに思います。
 まず、脊柱側わん症についてお尋ねをいたしたいと思います。
 学校保健法施行規則第四条に、検査項目に脊柱の疾病や異常の有無が挙げられております。今、子供たちの中で脊柱側わん症という疾病が発生しておりまして、背中がS字に曲がる病気なんです。特に男の子より女の子の方が倍くらい発生が多いということでございますけれども、五度、十度、十五度、二十、三十、四十、五十度という形で進行いたします。そしてまた、厄介なことに痛いとか肩が凝るとか、そういう自覚症状が全然ないんです。ですから、わからないうちに進んでしまう。そして、こんなになるまでなぜ気がつかなかったのか、自覚症状がないということで残念だと驚くケースが多いということは専門医もおっしゃっているわけでございます。
 二十度を超えると体全体を包む補装具を身につけなければいけなくて、これは十六時間から何と二十三時間装着をしなければならない。本人は動作が制約されまして、学校に行くのももう辛いですよね、悲しい。そしてまた、学校などでも、精神的にまいっている上に、またいじめなどの問題にも遭うということも聞いているわけでございます。五十度になりますと、背中を切って金属棒を入れる、こういう手術をすることになるわけです。ですから、早期の発見がぜひ必要であるというふうに思うわけです。
 学校健診では、上半身を裸になりまして、写真をお配りいたしましたけれども、前屈姿勢をとって背中をお医者さまが診る、あるいは触診、こういうことで、これが義務づけられているわけです。しかし、整形外科医が本来は望ましいんですけれども、学校医はほとんど内科医です。したがって、見逃してしまうケースがとても多くなるわけでございます。
 実は、私どもの党が二十年前にこの脊柱側わん症の検査項目として要求しまして、これを入れたという経緯があるんですけれども、千葉市の場合、脊柱側わん症の早期発見に最も力を入れていると言われておりますけれども、かつては毎年背中を切る、こういう手術を受ける児童がいたわけですけれども、早期発見のおかげで今では手術がゼロになったそうなんです。千葉市では、全小中学校でモアレ検査、これは写真の検査です。そして、第二次検査を行い、患者は脊柱側わん症管理手帳というのをつくりまして、義務教育の期間中ずっと経過を観察しているということなんです。
 残念ながら、我が神奈川県はモアレ検査の実施は把握をしていないと、こういうことでございます。埼玉県では、九十二市町村でこの早期発見の第一歩というモアレ検査を学校健診に取り入れているのは、わずかに小学校で十五市町村、中学校で十三市町村、こういう現実があるわけでございます。
 小学生よりも中学生の方が顕著ですね、発生が多いわけです。早く発見すれば治すこともできるんですけれども、気づかずに大きくなってしまうと手術をしなければならないことにもなります。健診の見落としなどで後でひどいことになっては本当にかわいそうな悲惨な青春時代を送ることになるわけでございます。
 そこで、この側わん症の治療の方法というのはまだなかなか確立はしていないということなんですけれども、一つには小魚ですとか海藻、豆腐、根菜類など、こういうカルシウム豊富な食べ物をとるといい、またよく遊ぶ子はならないとか、いろいろ言われている。ラジオ体操、左右対称の体操がいい、いろいろ言われておりますけれども、国でもこういうデータをとるだけでなく、データは私のところにもあるんですけれども、地方自治体でばらばらな検査体制になっております。
 そこで、このために学校健診をぜひきちんとしていただきたいんですけれども、どのような脊柱側わん症についてチェックをし、どのような対応をなされてきたんでしょうか。また、早期発見のモアレフォトグラフィー検査についてどのような指導をなされてきたのでしょうか。この二点をまずお伺いしたいと思います。
#127
○政府参考人(遠藤純一郎君) 最初に、検査の方法の指導の問題でございますが、この脊柱側わんの異常につきましては、今御指摘ございましたように省令で検査をする、こういうことになっておりますけれども、毎年行われております児童生徒の健康診断で、脊柱の疾病及び異常の有無、形態等について検査するということになっておりまして、具体的にどういうような方法で検査をするか、検査方法につきましてはそれぞれにお任せをしている、こういうことでございまして、一般的にはやはり前屈検査法といいますか、それが多いというふうに理解をしておるわけでございます。
 ただ、先生御指摘のように、脊柱側わん症の早期発見というのは非常に重要でございまして、私どもの方でも、これは昭和五十二年に必ず検査をするようにということで決まったわけでございますけれども、昭和五十四年にこのための教師向けの手引書といいますか、しおりといいますか、「知っておきたい脊椎側わん症」という冊子をつくりまして、検査の際の留意事項あるいは日常の留意事項というものを示したわけでございますけれども、平成二年にデータ等に基づきましてこれを新しく改訂をしたということもございます。
 それから、平成七年に「児童生徒の健康診断マニュアル」、こういうことで冊子をつくっておりますけれども、ここでも二ページにわたりまして脊柱側わんの検査における留意事項等々を示しておりまして、そういうことで脊柱側わん症の早期発見ということに資するようにということにしておるわけでございます。
#128
○松あきら君 余りいいお返事じゃなかったと思います。
 モアレについてはお返事がなかったんですけれども、これは実は、このモアレ検査を実施していない、つまり前屈姿勢で先生が診る、あるいはさわるだけの検査ですと、例えばいろんな中学校とか小学校のデータが出ているんですけれども、二千八百十六人のある中学校では患者がゼロ、千一人でもゼロ、これはモアレ検査をしていないと出てこないんですよ。だから患者がいないかというと、そうじゃないんですね、実は。このモアレ検査をしていますと、千六百七十五人で患者は十八人とか、こういうふうに出てくるんです。
 しかも、これは早期発見をして治療しなければ、生涯にわたり脊柱の変形を残し、高度の者は心肺機能に異常を来すなど、成人になってから障害を生じることがあると言われているんですよ。ですから、これは絶対に私は国としてきちんとしたこのモアレ検査もするべきだ、国としての指針を出すべきだというふうに思います。このために、やはり学校健診に内科医とともにぜひ整形外科医も入れて毎年実施をしていただきたいと思いますけれども、大臣の御決意を伺いたいと思います。
#129
○副大臣(河村建夫君) 今のお話を伺いながら、確かにこれまでのところ整形外科医を入れたモアレ検査、モアレ写真というんですか、モアレフォトグラフィーというそうですが、きちっとしていないということも事実でございます。
 今御指摘の点ございますので、これから児童生徒の疾病等の状況に応じて、専門的な観点から児童生徒や養護教諭等の指導を行うことができるような体制をまずつくっていく必要があろう、その上で整形外科医を含めた専門医を活用する方策というものを具体的に検討してまいりたい。整形外科医を入れることによって今のモアレ写真、これも適用できると、こういうふうに考えますので、これから検討してまいりたいというふうに思います。
#130
○松あきら君 ありがとうございます。うれしいお答えをちょうだいしたというふうに思います。
 次に、障害児の教育についてお尋ねをいたしたいと思います。
 現在、障害児につきましては、三歳児健診までに発達におくれがあるとみなされた子供たちには週二回の訓練会というのがあるわけでございますけれども、小学校に入学しますと、そのサポートがほとんどなくなってしまうわけです。中には、困ったことが起きても学校の先生は忙しくて相談できない、大抵の親たちは途方に暮れるという状況なんですね。訓練会の機能を充実させて、小学校、中学校、できれば高校まで一貫して障害児のサポートをしてくれたらと強い要望がございます。
 また、子供の状態や教育について、学校生活を見てもらいながら教員及び保護者の相談に乗ってくれる心理面の専門家、スーパーバイザー、スクールカウンセラー、臨床心理士がいてくれれば安心して障害者を育てていけるという希望が出されております。障害児用スクールカウンセラーなども含めて、これはぜひ実現をしていただきたいことでございます。
 そして、障害児に対しましては、健常児に対するよりさらに深い知識と豊富な経験が必要な分野でございます。しかも、学校の特殊学級には障害児教育について勉強不足の先生がかなり多く見受けられるという報告がなされているんですね。やはり障害児学級の担当になるためには、例えば何単位かの発達障害に関する科目の義務、こういうこともすべきだと思います。
 障害児教育についての取り組みをお伺いをしたいというふうに思います。
#131
○副大臣(河村建夫君) 時間もありましょうから簡略に申し上げます。
 確かに、障害児教育、特殊教育の知識について教員がきちっとした知識を持っているということは非常に重要でございます。それで、平成十年の教員免許制度の改正におきまして、障害のある幼児、児童生徒の心身の発達及び学習過程の内容を教員養成課程の中で必修という形にいたしまして、いわゆる発達心理学等々のことをきちっと学んでくるということが平成十二年度の大学の入学生から適用されておるところでございまして、文部科学省としても、今後とも教員の養成、研修を通じて、特殊教育、今御指摘のような問題についての資質の向上に努めてまいりたい、このように考えております。
#132
○松あきら君 あとは私が少し述べさせていただいて、もう自分の時間があと三分ぐらいなんですけれども、きょうは大臣と質疑ができなくて非常に残念でございます。私は、昨年秋にも質問をさせていただいたことの一つは、来年は文部科学省になりますから、次の大臣は文部科学大臣でございますと。つきましては、今、教育、非常に大事です。心の教育、問われております。
 もちろん、精神面、その一環としまして私は「水は語る」という本をお出しして皆様に、三分一という湧水ですばらしいきれいなわき水なんですけれども、このお水をビーカーにとってそれぞれ氷結結晶をしたんですけれども、その前に言葉を張るんですね。「ありがとう」、「ばかやろう」、いろんな言葉を張ります。そして、同じように氷結結晶すると、「ありがとう」と書いた写真を皆さんに見ていただいたんですけれども、きれいな六角形のダイヤモンドのような結晶ができます。「ばかやろう」と書いた、「死ね」とか書いたのはぐしゃぐしゃになって結晶ができないんです。
 これは何十年も研究なさっていらっしゃる方の御本の中の御紹介だったんですけれども、例えば水にも心がわかるのかと不思議な気がいたしましたけれども、例えば人間の体、七〇%が水分であると。ですから、そういうことも含めて、また今子供たちは缶ジュースを飲まない子はいない、袋菓子を食べない子はいない、こういうことで非常に糖分をよくとるんですね。そうしますと、低血糖になって、低血糖になるとどうなるかというと、頭が重い、疲れる、切れる、荒れる、こういう原因にもなる。
 ですから、私は、もちろん環境ホルモン等々、ダイオキシンの問題もありますけれども、心の面と、そして科学的な面、両方の面からこの教育というのをしっかり考えていただきたい、これをぜひお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
#133
○山下栄一君 きょうは二つ、私、質問させていただきたいと思います。
 まず、学校を地域で支えるといいますか、地域と学校の連携を強くする、そういう試みが始まっておりますけれども、これをさらに強くすることが教育改革につながる、そういう観点から最初に質問させていただきたいというふうに思います。
 午前中も大臣触れられましたことし一月二十五日の教育新生プランですけれども、あそこのキーワードは「学校が良くなる、教育が変わる」という、これは私はすばらしいスローガンだと思います。だけれども、学校がよくなるということが非常に難しくなってきている。それの前に子供が非常に育ちにくい世の中にどんどんなってきているんじゃないか。自然環境の破壊もそうかもわかりませんけれども、非常に真っすぐに育ちにくい。家庭の教育力がどんどん低下し、地域の教育力も、人のつながりがどんどん希薄化する中で地域の教育力が低下してきておる。地域コミュニティーの復権ということが叫ばれて久しいわけですけれども、なかなか難しい。学校の教育力も向上しているとは思えない。大人全般、社会全体の教育力が衰弱しているのではないかと、そういう指摘があります。
 人間、生まれていろんな活動をするけれども、我が子を育てる、後継者を育てるということ、これをど真ん中に置いた人間の生き方が非常に求められている。周辺に追いやっていては、なかなかまともに育ちにくい。そのような育ちにくい環境を人間がつくってしまったと。最後のとりではやっぱり家庭であり、そしてもう一つが学校ではないか。
 特に、義務教育、学齢期、六歳から十四、五歳、物すごい勢いで心身ともに成長するこの時期、大人の権威がなかなか通用しにくい、そういう年齢になるんじゃないかなと思うんですけれども、その子供たちを預かる教育機関としての、社会組織としての学校、ここが崩れてしまうと、家庭もそうなんですけれども、子供は非常に路頭に迷うといいますか、不幸な状況になってしまう。生まれてきて不幸だったというふうになってしまう。そういう意味で、この教育新生プランの「学校が良くなる、教育が変わる」というのは非常に大事な言葉であるというふうに思っております。
 それで、既にこれは文部省だけじゃないと思うんですけれども、地域における学校サポートチーム、そういう試みが近年始まったと。これは物すごく大事な取り組みであるというふうに私は思います。このサポートチームの取り組み、最近始まったと思うんですけれども、考え方等、文部省としてのこの辺に対する取り組みを御説明してください。
#134
○政府参考人(矢野重典君) 問題行動を起こす児童生徒に対しましては、学校のみならず家庭、地域社会、関係機関が互いに連携し、一体となって取り組んでいく必要があるわけでございます。
 このため、日ごろから市町村や中学校単位などで学校、PTA、教育委員会、児童相談所、保護司、児童委員、警察等の地域におけるネットワークをつくっていくことが大切であるわけでございます。個々の児童生徒に着目して的確な対応を行うためには、市町村や中学校区などにおいて各ケースごとに児童生徒の状況にふさわしい関係機関の職員、これは例えば教育委員会、児童相談所、保護司、児童委員、精神科医、警察等々の関係機関の職員があるわけでございますが、こうした職員から成るサポートチームを組織して、個別の問題行動を起こす児童生徒の指導、援助に当たることが有効であり、また大事なことであるわけでございます。
 こうしたサポートチームは、既に幾つかの地域においてそういう例があるわけでございますけれども、文部科学省といたしましても、平成十三年度におきまして、これらの問題行動を起こす児童生徒に対する地域における支援体制のあり方、サポートチームのあり方につきましてその実態や課題の分析などの理論的、実験的な調査研究を行うことといたしているところでございますし、また平成十四年度以降におきましても、関係省庁と連携をとりながら、このような児童生徒に対する支援を行う地域のシステムづくりについてこれを支援できるような、そういう予算措置を講ずることについて検討してまいりたいと考えているところでございます。
#135
○山下栄一君 このサポートチームという考え方、私は具体的な問題行動を起こしたその子ども、またグループ、事案、事例に応じて臨時にチームを編成すると。今までだったら学校、教職員中心にやっていたけれども、さまざまな地域の応援を得るような仕組みをチームとしてつくろうじゃないかという試みだと思うんです。それが僕は画期的だと思います。
 というのは、やっぱり学校の問題というのは、地域と連携といっても、学校の中における出来事とか、それはなかなか手出しができないというふうなものが厳然と今も私はあると思うんです。だから、例えば児童相談所とか警察、また病院その他と連携をとることが自然になかなかできにくい、そういう仕組みになってしまっている、意識の上においても体制の上においても。だから、私はこのサポートチームというのは非常に大事な試みだと思うんです。
 だけれども、体制は整えても機能しないということになったら意味がないというふうに思いますので、私は時代背景として、学級崩壊、学校崩壊という言葉がありますように、学校の教職員だけに任せても学校も困る、責任を押しつけられても困るような事態になってしまっている、だから悩んでいると。大人が悩んでいるから、連帯しようじゃないかという試みで自発的にネットワークづくりが始まったと、こう理解しているわけです。
 ところが、ネットワークづくりは始まったけれども、現実にさまざまなネックがある。法律的にも、縦割りの行政の仕組みにおいてもそういうことじゃないのかなと。サポートチームということは、かけ声はあったとしてもなかなか現実的には根づかないような状況になっているというふうに私は感じるんです。
 だから、このサポートチームも、教育委員会主導型もあれば、児童相談所主導型というか、中央でいったら厚生労働省主導型というか、少年サポートセンターみたいな警察主導型のところもある。いろんな僕は主導型があっていいと思いますし、教育委員会主導型でなくてはならないこともないと思うんです。まだまだ大人の意識として、地域の意識として学校には入りにくいというふうなものが厳然とあるので、このサポートチームの試みをみんなで応援しないとなかなか難しいのではないかというふうに感じております。
 端的に言うと、私は児童相談所と学校の二枚看板がかぎを握っていると。ところが、児童相談所と学校の連携は基本的に余りそんな仕組みになっていないというふうに私は感じているんですけれども、現場において。この壁を何とか取っ払わないと、なかなかこのサポートチームをつくっても機能しないのではないかと思うわけです。
 この点についてのお考えをちょっと大臣にお聞きしたいと思います。
#136
○国務大臣(町村信孝君) 委員御指摘の点、大変重要だと私どもも思っております。
 先ほど局長の方からどういう考え方でこれを構成していくかということで、また委員御指摘のとおり、児童相談所や教育委員会や保護司、児童委員、警察、いろんな方々が連携をしてやっていくということで、個々の事案によって、個々の地域によって、例えばここにちょっと資料がございますが、福島県郡山市では教育委員会が中心になり少年サポートチームをつくる、山口県では教育事務所や教育センターが中心となって学校サポートチームをつくる、石川県では生徒指導サポーターという形で県教育委員会、県教育事務所がやるとか、あるいは北海道の少年サポートチームは警察本部が中心となって学校教育委員会、児童相談所等々、いろんな組み合わせが実態に応じて既に動き始めているようでございます。
 その際に大切なことは、まさに委員御指摘のとおり、何省であるとか何局であるとか何課であるとか、そういう意識を取り払って、子供たちをよりよく導く、その子供たちの抱えている問題をいかに的確に解決するかというそこの問題、あるいは子供中心に考えれば、何省とか何局とか、そういう壁は自然となくなっていくんだろうと。そういう意味で、大人の方が、対応する人たちがそういう意識を取り去ってこの問題に、このチームにかかわりを持っていくということが非常に大切だろうと、こう私どもも思っております。
#137
○山下栄一君 私は、地域で一番体制が整っているのがやっぱり文部科学省の体制じゃないかなと。なぜかというと、例えば地域で校区というのがありますけれども、校区には学校があり、そこには教職員が何十人とおるわけです。ところが、例えば児童相談所のもとにいろんな児童委員とかいらっしゃいますけれども、大半がボランティアで支えられている。児童相談所というのは政令指定都市、都道府県単位にしかないわけで、警察にしても、警察署というのは別に校区ごとにあるわけではない。この警察も少年補導員を中心にしたボランティアで支えられている。だから、例えば校区という単位でとりますと、非常にいろんな力の連携が大事だけれども、行政の仕組みとしては文部科学省が一番充実していると思うんですね。
 だけれども、それだけではもう太刀打ちできないほど非常に複雑な要因のもとに子供の環境がある。一つの問題行動をとってみても、さまざまな知恵と苦しみの中から連帯しないと解決できないという問題がある。警察の力もかりたい、児童相談所のノウハウもかりたい、だけれども人が少ないということがある。したがって、民間の例えばNGO、NPO、またお医者さん、小児科医、また心理の専門家、さまざまなノウハウを結集しながら学校を支えるという、そういうことが、上からこんなこと叫んでもできないわけで、悩みの中から地域の自発的ネットワークづくりが必要だと思うんです。
 繰り返しますけれども、今も大臣に非常にありがたいお話をしていただきましたけれども、行政のネックがあって連携しにくいということだけはやはり取り払うような、そういう私は取り組みをしていかないと、最後のとりでとしての、もう学校だけではないんですけれども、学校は大事なとりでだと思います。そこが崩れるともう子供が寄るすべがなくなってしまうという、それほど「学校が良くなる、教育が変わる」という言葉は私は本当にタイムリーな言葉だと思いますので、どうかその辺の配慮といいますか、町村大臣のリーダーシップでどうか本当に二十一世紀の子供が輝いてきたという、そういうふうな状況をつくるためにこのサポートチームをぜひとも成功させていただきたいというふうに思っておりますので、その辺の、今ももう言っていただきましたけれども、もう一言、大臣、お願いできますか。
#138
○国務大臣(町村信孝君) 先ほど来も御指摘ありましたが、学校も、今までどちらかというと学校といえば私は学校の先生たちの独占物であって、よそから一切手を触れさせないぞというような閉鎖的な部分があり、そのことがまた問題を、ある意味では問題が生じたときにその解決を困難ならしめていたという学校側のまた反省もなければならないと思うんです。
 そういう意味で、学校は地域に開放しよう、周辺の住民に開放しよう、意識においても行動においても開放していこうというふうに今一生懸命心がけているところでございます。そのためのいろいろな仕組みもできたりしているところでございますから、学校の方もいい情報ばかりじゃなくて困った情報、困ったこともどんどん情報として出していく。そして、地域の人たちがいろんな形でまた支えていくという、お互いに支え合いながら、そしていい教育、いい子供が育つように努力をしていくというその基本姿勢でいけば、今、山下委員がおっしゃったような問題は解決されるだろうし、この地域サポートチームもそういう意味で有効に機能していくのだろう、かように考えております。
#139
○山下栄一君 次の問題に移りたいと思いますが、開かれた学校にかかわる話なんですけれども、兵庫県川西市の最近の事件でございます。
 これは新聞報道されましたので既に御案内かと思いますけれども、小学校五年生の女の子が学校主催のスキー教室で、担任の先生ではないんですけれども、生徒指導的な先生だと思いますけれども、男子の教師によって胸ぐらをつかまれたと。それ以前にもこの先生からは体罰などを受けていたということでした。
 そのスキー教室の思い出を日を置いて作文として書くことがあったと。その十一歳の女生徒は、このスキー教室の思い出をいい思い出ではなくて悪い方の思い出として書いたと。それに対して女性の担当の先生が、この作文を書き直したらどうだというふうに言ったと。そんなことがきっかけで担任の先生に対しても不信を抱き、学校に不信を抱いてこの子供は不登校になっていったと。
 川西市には子供の人権オンブズパーソン条例というのが二年前にできて、九九年ですから二年前ですね。これは私、画期的な条例だというふうにいろいろ勉強しながら思いましたのですけれども、そこに人権救済を訴えたと。子供の人権を守る観点からでございます。
 こういうことがあって、私は、学校における教師と生徒の関係ですけれども、教師にいろいろ問題があっても、ある意味じゃ密室における、先ほどお話ありました開かれていない学校の中で権威を持っている、権力を持っている評価をする教師が、される側の子供に対してある意味では権力者の立場にあるとも言えると思うんですけれども、なかなかそれはわからない面がある、学校で一体何があったのかと。その辺が最近いろんなことで問題が指摘される場合もあるわけですけれども、この川西の事件もその一つかもわかりません。
 そんな中で、いろいろ申し立てをしたい、学校において何か校長先生や担任の先生に文句を言いたくても、評価される対象ですから、なかなか言えない面がある。実際、行政訴訟手続といいますか、行政不服審査法においても、学校の中における校長先生、教員と生徒の関係は一般行政の関係ではないということから不服申し立て手続がない、泣き寝入りしないようにしようと思ったら裁判に訴えるしかない、そういう今の法の仕組みになっているわけです。
 そんな中で、この川西市の条例というのは私はそういう意味で新しいこれは問題提起だと思いますし、行政不服審査法第四条の適用除外にされた学校における教師と生徒の関係に対して一つのヒントといいますか、モデルを提案したのではないかというふうに思っているんです。
 大臣にお聞きしたいのは、川西市のこういう取り組みについてどのように評価されるかということをきょうはお聞きしたいということです。
#140
○国務大臣(町村信孝君) 確かに、委員御指摘のとおり、行政不服審査法第四条一項八号では、学校の中での先生と生徒との関係で不服審査にはなじまないというふうに考えられることから対象から外しているということのようでございます。一般の行政の関係とは確かに私も違うと思いますし、本当を言いますと多分こういう最後のよりどころとしてのオンブズパーソン制度なんでしょうけれども、そこに至る前に、どれだけ学校の中で問題がやみからやみに葬り去られるという意味ではなくて、きちんと学校の中でこの問題が解決されるかという、そういう意味の信頼関係がなければ本来教育というものは成り立たない、こう思われますので、最後の手段としてのこういうオンブズパーソンという仕組みがあるということはわかりますけれども、そこに行く前にどれだけの努力がされたのかなということがまず問われなければならないんだろう、こう思っております。
 さはさりながら、いろんな問題が生ずる現実もあるわけでございまして、私ども今回法律改正をいたしまして、きちんとした苦情処理窓口を各教育委員会に設置をしましょうということでやっているところも現に幾つかあるのでありますけれども、そうした相談窓口を明示するということを地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案という形で今回御提案を申し上げたい、こう思っているところでございまして、そんな形でできるだけまずは信頼関係に基づくきちんとした解決が行われるような努力を関係者の中でやっていただくことが大切なんではなかろうか、こう思っております。
#141
○山下栄一君 大臣がおっしゃったことは非常に大事なことだと私も思います。こういう形で第三者機関に訴えざるを得なくなった、そこまで追い込まれてしまった、またそこまで信頼関係が切れてしまったということは非常に不幸なことであるというふうに思うんです。ただ、例えば小学生にしても、子供は担任を選ぶことができないわけで、相性が悪いと一年間我慢し続けなければいかぬという、そういう状況が現実としてあるわけです。だからこそ、担任の先生以外のいろんな先生がかかわって支えるということが非常に私は大事だというふうに思うんです。
 信頼関係が、学校側と保護者、子供と崩れてしまった場合どうなるのかというふうな、ところが就学義務は一方で課されているわけですから、そのために私は最初質問しましたサポート体制というのは非常に大事だなと。学校の方も孤立しないようにみんなで教員を支える、そういう仕組みが、そういう意味で私はサポート体制というのは大事だろうと。学校だけに全部押しつけるという時代ではもうない、地域に開いて、学校そのものを地域の総合力でサポートする。それをしないと学校の先生も大変だなというふうに思うわけで、それほど今子育てがしにくい環境になっている。
 そういう意味で、一番目の質問と二番目の質問は連動するんですけれども、ただ私は最後の手段としての不服申し立ての子供の人権を守る観点から、学校の中における教える側の先生と生徒、保護者との関係の救済の仕組みは整える努力をする必要があるのではないかというふうに思います。
 したがいまして、行政不服審査法第四条第二項の、学校における教員と生徒の関係は一般行政の不服にはなじまない、教育行政における不服審査のあり方ということを正面に据えて文部科学省は取り組むべきではないか。すなわち、第四条第二項の、個々の適用除外の事例に応じた法律の仕組みはつくることができると書いてあるわけだから、教育行政にふさわしい不服申し立てのあり方というか、救済のあり方を追求する必要がある。
 先ほど大臣は地教行法の中で教育委員会に窓口をつくるとおっしゃったけれども、それも一つの試みなわけですけれども、僕は法律という観点からそれをそろそろ考える時期に来ているのではないかと。昭和三十八年に行政不服審査法が実施されてもう三十数年たつ中で、第二項の問題が、努力はされたんでしょうけれどもそのままになっている。教育行政における、信頼関係がすべての世界だけれども、最後の場面としての不服申し立てといいますか、権利救済のあり方を本格的に研究すべきではないかと御提案したいんですけれども、副大臣、お願いします。
#142
○副大臣(河村建夫君) 先ほど大臣からも基本的な御答弁があったとおりでございますが、山下委員御指摘のように、学校の中でそういう信頼関係が崩れてしまったという場合のケースもやっぱり想定をされるわけでございますから、それに対しての対応をきちっとやっていくということは私も大事なことであろうというふうに思いますし、先ほど御指摘になりました川西市の事例もこの取り組み、子供の人権救済の観点から置かれたと、こういうふうに理解をされるわけでございます。
 確かに法的な、きちっとしたものでまだないという御理解だと思いますが、先ほど大臣が説明されました今国会に提出している地方教育行政の組織及び運営に関する法律、これでは、教育委員会の中において、事務局の職員のうち所掌事務に係る教育行政に関する相談を行う職員というものをきちっと指定するということで、これまた公表するという形になっておりまして、これまで教育委員会の中で苦情処理窓口の設置状況が平成八年現在でも都道府県で二七%程度、全県四十七のうちの十三県ですし、市町村においては二百七十一、わずか八・一%と、こういう状況下にございました。
 そういう意味では、確かに地域に開かれた学校づくり、あるいは学校内におけるそうした問題をきちっと受けとめるところがなかったという面で、今回の法律を通していただくことによってきちっとそのことが位置づけられるまず第一歩だと、こういうふうに考えておるわけでございまして、文部科学省としても、今の御指摘の点は重く受けとめて今後の地方教育行政の展開を推進していかなきゃならぬ、このように思います。
#143
○山下栄一君 もう時間なくなってしまったんですが、先ほど大臣、今も副大臣も御答弁いただきました地教行法の教育委員会における相談窓口は、あれは別に専門的にそういう職員を配置するのではなくて、今の現体制でそういう窓口の仕事もするというようなことやと思うんですよ。詳しくはまた法案のときにやりますけれどもね。
 だから、第一歩であることは間違いないけれども、僕はこの今の時代の中で、地域のみんなで学校を支えようという時代でもあるし、サポート体制が今も真剣にテーマとして上がってくる状況の中で、僕はやはり学校も密室ではあってはいけないし、だけれども最後の救済手続のあり方については本格的なやはり取り組みをぜひともやっていただきたいと思います。
 この川西市の取り組みは教育委員会じゃないんですよ。第三者機関なんですよ。大学の先生と弁護士さんと、もう一人は公益法人の役員の方、この三人の方が大変な権限を与えられているんです。調査権から意見表明権から勧告権まで与えられているという非常にユニークな試みですので、私はこの川西市の取り組みを高く評価するものでございます。これも一つの研究材料にしていただきながら、行政不服審査法第四条第二項の本格的な取り組みを文部科学省でもやっていただきたい。このことを最後に御要望し、大臣の御答弁をいただいて、終わります。
#144
○国務大臣(町村信孝君) 今回の件で委員の御指摘をいただいて、私も川西市のこういう独自の取り組みがあるということを改めて勉強させていただきました。今後、こうしたことも大いに参考にしながら、さまざまな問題解決に当たって、先ほど、冒頭お触れになりました地域サポートチームですか、こうしたいろいろな取り組みについて大いに促進をしていきたいと思いますが、この川西市の形が本当に一番いい形なのかどうなのか、ちょっとその辺もよく勉強させていただければと、かように考えております。
#145
○畑野君枝君 日本共産党の畑野君枝でございます。
 私は、まず最初に、宇和島水産高校実習船えひめ丸と米原潜グリーンビルとの衝突事故の問題について伺います。
 ハワイでの事故の真相究明につきまして、文部科学省としてどのようにこれを求めていくおつもりか。特に、今回被害に遭われているのは学校関係者でございます。その点につきまして具体的に伺います。
#146
○国務大臣(町村信孝君) 今回のえひめ丸の事故につきまして、まず、これは御指摘のとおり、水産高等学校における乗船実習ということでございますから、これが安全確保を大前提に行われるべきことは当然のことでございまして、大変今回の事態は遺憾な事態だったと、こう受けとめております。こうした事故が二度と起きないように、事故原因の究明、今ハワイの方でそれが行われているわけでございますけれども、それを徹底的にやってもらうことと再発防止、これが何よりも重要であろう、こう思っております。
 したがいまして、政府全体といたしましても、事故直後から米国政府に対してそうしたことを強く求めてきているところでございまして、アメリカが今その原因調査をやっていると、こう理解をしております。また、原因究明がわかった暁、その結果を踏まえまして適切な再発防止策というものをアメリカ側としても講ずる必要があるんだろうと、こう思っております。
 文部省といたしましても、今回の事故に遭われました関係者の思いをしっかりと受けとめて、関係省庁と協力して可能な限りの対応をしてまいりたいと考えております。
#147
○畑野君枝君 宇和島水産高校の地元の愛媛県では、全国から支援の輪が広がりまして、署名も七十五万集まっているというふうに伺っております。また、えひめ丸が出港いたしました三崎港でも水産高校がございますが、生徒会の皆さんが事故の原因究明と実習船の引き揚げを求めて、ほぼ一、二年生全員の署名を総理大臣にも提出したところです。署名の中では、海は水産学校生の学校です、その海で安全に勉強、実習でき、二度とこうした事故が起こらないようにとの願いを込めて、アメリカ大使館にも提出をされているというふうに伺っております。
 私も、三崎港は地元でございますので、行方不明の御家族、また被害に遭われた御家族のところにも伺いましてお話を聞いてまいりました。文部科学省としては引き揚げの問題についても取り組まれるということでございますが、あわせて、事故原因の真相究明、今、文部科学大臣がおっしゃったように、ぜひ全力を挙げて進めていただきたいというふうに思います。
 その点につきましては、この事故の起きたハワイの現地でございますけれども、日本の水産高校の実習船が多く実習を行っているというふうに伺っております。その実態、把握されておりますでしょうか、伺います。
#148
○政府参考人(矢野重典君) お尋ねの件でございますが、全国水産高等学校実習船運営協会というところがございまして、そこを通じて調査いたしましたところ、平成十二年度におきましては、ハワイ沖で実習を行っている水産高校は、学校数で三十二校、実習船は二十七隻でございまして、実習生の数は年間約一千百名でございます。
#149
○畑野君枝君 これだけ多くの学校、そして実習船、生徒さんがハワイの近海で実習をされている。
 伺いますと、水産高校の実習では、本科に加えて専攻科まで学ぶ生徒は通算して一年六カ月の実習をされる。まさにこの実習というのは大きな役割をして、本当にあこがれの的として取り組まれてきたというふうにも伺っているわけです。それだけに、今回の事故で救助された実習生の皆さんについても、その後の進路の問題を含めて深刻な影響が出ているというふうに思います。その実態をどのように把握されていらっしゃるのか、特に心のケアなどについてどのように対処されていらっしゃるのか、伺います。
#150
○政府参考人(遠藤純一郎君) 突然の事故に遭った生徒の精神的な影響は大きなものがあると考えられます。事故に遭った生徒に対する心のケアは大変大事なことであると、こう思っております。
 愛媛県の教育委員会におきましては、これまで事故に遭った生徒たちの心のケアに対応するため、臨床心理士等を宇和島水産高校に派遣するとともに、同校の養護教諭、保健所等の関係機関と密接に連携し、各種の対策、例えば被害に遭った生徒や家族同士で自由に話し合える家族の集いといったものを開催するとか、あるいは同校に配置しております心の相談員、これは通常週二日の勤務なんですけれども、毎日出てきていただくとか、あるいは保健所に被害に遭った生徒や家族からの相談の専用電話を設置するといったような各種の対策を講じている、こう承知しているわけでございます。学校は三月二十日から春休みに入っておりますけれども、春休み中にも担任の教師と教育相談担当の教師による家庭訪問を予定していると、こう聞いておる次第でございます。
 文部科学省といたしましても、愛媛県の教育委員会から要請があれば積極的に支援をしてまいりたい、こう考えておる次第でございます。
#151
○畑野君枝君 文部科学大臣に御確認ですが、そういうことで、県からの要望に国としてもぜひ対応を積極的に進めていただきたいと思いますが、いかがですか。
#152
○国務大臣(町村信孝君) 今、局長がお答えをしたとおりのことでございまして、積極的に対応してまいりたいと思っております。
#153
○畑野君枝君 そこで、ハワイでの安全確保についてでございます。
 ハワイの米海軍の審問会議で証言台に立たれたえひめ丸の大西船長は、悲惨な事故がなぜ起きたのか、原因の徹底解明をしてほしい、第二、第三のえひめ丸事故が起きないようにお願いしますと事故の原因究明と再発防止を強く訴えられました。
 また、行方不明の指導教官中田淳さんの妻、直子さんは、前艦長に渡した手紙の中で、事故の原因をすべて明らかにしていただきたい、パパの事故は悲しい出来事だったけれども、そのことで今はこんなに安全な海になったんだよ、たくさんの国の人々がハワイに遊びに来てね、日本からも安心して実習船が来ることができるように変わったんだよと切実な思いを書かれているわけでございます。
 全国の水産学校生の願いが二度と踏みにじられないように、文部科学大臣としてもアメリカ政府に、また関係省庁に海の安全の確保を強く働きかけていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#154
○国務大臣(町村信孝君) 事故の再発防止につきましては、これは今政府一体となって取り組んでいるところでございますが、去る二月二十八日、午前八時から官邸に大統領特使のファロンさんという方がお見えになりました。私、関係大臣の一人としてその場に出席をいたしまして、その何日か前だったと思いますけれども、先ほどお話しのあった全国水産高等学校長協会理事長の大沼さん初め関係する方々がハワイ・ホノルル港の安全確保ということについてお申し入れがございましたので、早速その校長先生たちの御要請を私からも伝えまして、ぜひ航行の安全を確保してもらいたいというお願いをしました。
 ファロン特使の方からは、それは当然のことであって、事故後にすべての艦長に安全手続の徹底を再指示した、安全が最優先であると、こういう御返事をいただいたところでございまして、こうしたことなどを含めて、今後とも水産高校の実習船のホノルル港寄港に際して安全が保たれますように最大限の努力をしてまいりたいと考えております。
#155
○畑野君枝君 ぜひ徹底をお願いいたします。
 さて、今度の事件に関連して、東京湾の隣にございます相模湾での安全確保の問題について伺います。
 先ほど申し上げましたように、神奈川県にも宇和島水産高校と同様にハワイ近海で実習をしている三崎水産高校がございます。今は横須賀市にございますけれども、その学校でも小型実習船のわかしお丸、十九トンが相模湾での実習を日常的に行っているわけでございます。一年生はカッターで四月から九月、夏休みは除いてですけれども、週四回実習しておりますし、また、わかしお丸で二年生は伊豆大島沖まで四月から七月、九月から十一月、週二回実習を行う。三年生や専攻科などでもこの相模湾で実習をしているということを学校からも伺っているところでございます。
 ところが、この相模湾、湘南海岸など含めてある湾でございますけれども、日本近海では唯一アメリカの原子力潜水艦の訓練水域に指定されております。こうした相模湾の潜水艦行動区域の廃止を含めた見直しを求める声が漁業関係者あるいは相模湾周辺の自治体から上がっているんです。三月十九日、湯河原町議会では全会一致で潜水艦行動区域の廃止を含めた見直しの意見書が採択されているわけです。
 それで、こうした子供たちの実習船の訓練がこのような潜水艦行動区域になっているというこの実態についての御認識があるのかどうか、伺います。
#156
○政府参考人(矢野重典君) 御指摘の相模湾における実習を含めまして、海上における乗船実習に当たりましては安全確保が大前提であるわけでございます。
 相模湾におきましては、御指摘のように、潜水艦行動区域が設けられているものと承知をいたしておりまして、米側はこの水域におきましても、当然のことながら公共の安全に妥当な配慮を払うべきものと私どもは考えるものでございます。
#157
○畑野君枝君 海は水産学校生の学校だと言われているように、本当に大変な事態が日本近海でもあるわけでございます。
 三月一日、衆議院の予算の分科会で我が党の大森猛議員が潜水艦行動区域について外務大臣に質問をいたしまして、こうした遊漁船が集まる場所で果たして訓練に適当かどうか首をかしげたくなるという答弁もされているわけです。隣接した三崎港というのは全国の多くの水産高校が出航拠点としております。それから、相模湾につきましても実習船も数多く航行する。えひめ丸のような事件が起きたら大変だという声が挙がっているわけです。
 この点で、今、局長さんからもお話がありましたけれども、こうした水産学校の学校生の学校である海の安全を守る、そのために潜水艦行動区域の廃止を含めた見直し、これをアメリカに求めていくべきではないかと思いますけれども、文部科学大臣としてはいかがでしょうか。
#158
○国務大臣(町村信孝君) 当該潜水艦行動区域の扱いにつきまして、これは文部科学省が直接お答えをする立場にはございませんけれども、いずれしても今回のような事故が二度と起きないように、外国であると国内であるとを問わず、事故原因の究明と再発防止が徹底的に行われることが必要であろうと。そのために、政府としても事故直後からアメリカ政府に対してその旨を強く求めてきているところでございます。
 なお、三崎水産高校における訓練の実情につきまして先ほど委員から御説明ございました。私どももそういう形で三崎水産高校の小型船による実習が行われていることは承知をしておりますけれども、校長先生のお話によりますと、小型船の実習は大体沿岸部で行っているから、これまで近くで原潜を見かけたという話も聞いていないし、特に危険ということもない、また学校として特に訓練海域の廃止の要望等を行ったこともないと、こんな話も一応聞いているところではございますので、御報告をさせていただきます。
#159
○畑野君枝君 今回新しくこれが話題になったということでございますから、その点はぜひ政府としてもきちっと調べる、必要なアメリカ政府への申し入れも行う、こういうことが大事だというふうに思いますけれども、その点はいかがですか。
#160
○国務大臣(町村信孝君) 先ほど申し上げましたとおり、潜水艦行動区域の扱いにつきましては、文部科学省として、今私どもは直接お答えをするという立場にはございませんので、ひとつ御理解をいただきたいと思います。
#161
○畑野君枝君 子供たちの教育に携わっているということで、ぜひ関心を持っていただいて、各省庁との連携も強めていただきたいというふうに申し上げておきます。
 さて次に、子供たちの学校教育の環境という問題に関連して、NLP、米軍夜間離発着訓練及び爆音問題、低空飛行などの航空機騒音による児童生徒への健康被害について伺います。
 教育現場への影響について文部科学省としての見解を伺いたいと思うわけでございますけれども、昨年は二月の高校の受験シーズンの中でNLP訓練が行われる。それから、この間、航空ショーという昼間のショー、小中学校八十五校で運動会の競技や閉会式などに影響を受けるような爆音被害がある、こういうことが重なっているわけです。市に寄せられた声では、期末、中間試験などで学校の帰りが早い時期など、家で勉強に身が入らないことも多々ある、爆音のせいで、騒音のせいで試験が思わしくなくても責任をとってくれない、どうしてくれるのか、こういう声も悲痛な声として上がっているわけです。
 こうした昼間の航空ショーあるいは夜のNLP、こうした訓練に対する苦情が周辺自治体に集中して、地元の市長からはこのままNLPを続けるならば日米の友好関係を中断する、このような宣言の中で急遽中止されるということもございました。ことしの一月にも、大和市におきまして、被害を受けている五つの市の市長、助役が初会合を開いてNLPの中止を求めていくという共同宣言も出しているわけです。私も、厚木基地のあります大和市長、綾瀬市長にもお会いしてまいりました。二月二十三日から四日間の予定であったNLP訓練、結果として急遽全日程中止という新しい事態も起きているわけです。
 こうしたNLPの訓練の中止あるいは昼間の訓練の中止を行うべきだというふうに私は思いますけれども、こういう状況の中で神奈川県がことしの二月に厚木基地周辺生活環境調査の報告書を発表いたしました。学校に関する調査もありまして大変貴重なものでございますが、このことについてはどのように御認識されておりますか。
#162
○政府参考人(遠藤純一郎君) 本日、委員から御質問があるということで、神奈川県から御指摘の厚木基地周辺生活環境調査報告書を入手いたしました。
 これによりますと、この調査は神奈川県の企画部の基地対策課が、平成十二年に生活環境への航空機騒音の影響や住宅防音工事の効果の調査の一環としまして、住民あるいは教員、児童生徒に対しまして騒音に関する意識調査を実施したというものと承知をいたしております。
 いろいろあるようでございますけれども、例えば児童生徒の意識調査では、騒音のために授業中先生の声が聞き取りにくいといったような状況があるというような回答が多かったというふうに承知をしているわけでございます。
#163
○畑野君枝君 お話がありましたように、この報告書の中では航空機の騒音問題が教師にも児童生徒にもさまざまな影響を及ぼしているというふうにされております。小学校、中学校、高校の最もうるさい地域、ここではうるささ指数、W値と言われておりますが、八〇以上の地域におきましては授業を一時中断する、これが最も多い結果が出て、中学校、高校では一〇〇%という状況です。一時中断するときの回数の最も多いのは一時間当たり六回以上、一時間で六回以上中断せざるを得ない。そして、集中力や思考力、理解力について児童生徒に大きな影響を与えていると考えている教員が多い。それから、お話がありましたように、児童生徒からは先生の声が聞き取りにくいというのが八三%、こういう結果が出ております。
 ここに一九九九年に沖縄県の文化環境部のまとめた航空機騒音による健康影響に関する調査報告書というのがございます。これは、九五年、航空機騒音健康調査研究委員会の指導で四年間かけて調査をされたものです。この委員会では十八名の臨床医、公衆衛生関係者、技術者などによって構成されておりまして、子供への影響という項目では、学童の記憶力テストを実施したところ、二千二百六十九名を対象にしておりますけれども、社会環境や学校環境などの生活環境によってもその発達や向上が大いに影響している、重大な問題だということで指摘をしております。
 そこで伺いたいのですが、国としても、こうした県任せにしないで、専門家も配置して学校教育への影響についての健康調査を実施すべきではないか、このように思うわけでございます。
 特に、この間、声を挙げているNLP関連の三沢、横田、厚木、岩国の基地、あるいは沖縄の嘉手納、普天間飛行場など基地周辺自治体、それから低空飛行訓練というのも行われておりまして、授業が中断されて子供の集中力がなくなる、こういう学校からの声に対しましては外務大臣も調査されるという御答弁もあるわけでございますけれども、ぜひこうした調査を文部科学省としても子供の立場から行っていく必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#164
○政府参考人(遠藤純一郎君) 学校の環境を良好に保持して児童生徒の健康増進を図るということは大事なことでございますので、そのために学校環境衛生の基準というものを文部科学省において定めておるということでございまして、騒音につきましてもこの基準において規定しているところでございます。
 各学校の設置者の方で基本的にはこの基準に適合するよう措置するということになっているわけでございまして、したがいまして航空機騒音を含む騒音につきましても、児童生徒の健康の保持増進を図るため、各学校の設置者において基準を達成するための適切な措置がとられるべきものと、こう考えておりまして、文部科学省として個別地域につきまして調査をするということは考えていないということでございます。
#165
○畑野君枝君 横浜防衛施設局がアンケート調査を行うということなんですが、これは二十以上で子供は入っていないんですね。ですから、こういうことを含めてぜひ国としても、文部科学省としても意見を言って、そうした子供たちの大変な実態を調査する、このことを要望しておきたいと思います。
 さて、最後なんですが、先ほどの生活環境調査の中で、冷房設備のない学校の必要性について、九割以上が早く実現してほしいという回答も寄せられております。W値八〇以上のところでは、冷房設備の完備状況は、小学校で二二・二%、中学校で一〇〇%、高等学校でゼロというふうになっております。暑くて窓をあけられない、冷房設備が欲しいという声が出されているわけで、ぜひ文部科学省としても、担当はいろいろあると思いますけれども、残っている小中学校はもちろんのこと、全く設置されていない高校についても国としての補助の対策をとるように進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#166
○政府参考人(矢野重典君) 防衛施設周辺におきまして航空機等の騒音により被害を受けております公立学校の騒音対策につきましては、これは防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律という法律がございまして、その法律に基づきまして、防衛施設庁が防音サッシあるいは空調設備等の防音工事に要する経費の一部を国庫補助することができることとなっているところでございますので、文部科学省といたしましては、今後とも所管庁と連携をとりながら騒音対策の円滑な実施に努めてまいりたいと考えるものでございます。
#167
○畑野君枝君 大臣に御確認なんですけれども、そういうことで、直接的には防衛施設庁の所管ですけれども、公害防止工事としては、文部科学省としてもこれらと連絡をとりながら進めるというふうになっているところでございます。ぜひこれも進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#168
○国務大臣(町村信孝君) 文部科学省としましても、今後とも防衛施設庁等所管庁と連絡をとりながら騒音対策の円滑な実施に努めてまいりたいと考えております。
#169
○畑野君枝君 終わります。
#170
○阿部幸代君 日本共産党の阿部幸代でございます。
 高校生の就職問題について質問いたします。
 報道によりますと、この春卒業する大学、短大、それから高専、高校の学生生徒のうち、就職を希望する者の中で実際に決まったという割合はおよそ八割、いまだに十五万人が就職できずに、青年の就職状況は非常に厳しいとのことです。
 私は、その中で、高校生の就職状況についてどのようになっているか、文部科学省並びに厚生労働省にお聞きしたいと思います。
#171
○政府参考人(矢野重典君) まず、私の方から御報告申し上げます。
 文部科学省が行いました高校生の就職内定状況に関する調査結果では、平成十三年三月卒業予定者の就職内定率は、十月末の時点で、近年最も低かった昨年同期より〇・八ポイント増の五六・三%でございます。
   〔委員長退席、理事松村龍二君着席〕
 また、十二月末時点では前年同期より一・五ポイント増の七二・八%と、こういう状況でございます。
#172
○政府参考人(三沢孝君) それでは、厚生労働省としてお答え申し上げます。
 本年三月卒業の新規高卒者の就職状況でございますけれども、私ども厚生労働省が調査しました最新のデータは平成十三年一月末現在、したがいまして文部科学省より一カ月後の数字でございます。この数字で見ますと、就職内定率は八〇・五%ということで、前年同期に比べまして一・二%の増というふうになっております。
#173
○阿部幸代君 お役人の答弁というのは何か物事がよくなったことを強調するような答弁なんですけれども、私、念のためにメモしておきましたけれども、文部省は昨年十二月末段階の数字を握っておられますね。卒業予定者百三十三万四千人のうち就職を希望しているのが二十六万五千人、内定しているのが十九万三千人、未定であるのが七万二千人になります。労働省は一月末現在の数字を持っておられますね。就職を希望しているのが二十二万人、内定しているのが十七万七千人、未定であるのが四万三千人です。文部省の方が七万二千人で多いんですけれども、これは職安あるいは学校紹介以外のそういう生徒の数も含まれているからだと思うんですね。
 それで、やっぱり七万とか四万とか、高校卒業生でこれだけの子供たちが就職できない可能性が多いわけです。これはやっぱり厳しいと、報道にもありましたけれども、厳しいという認識、まずお持ちですか。
#174
○政府参考人(矢野重典君) 御指摘のとおりでございまして、就職の状況を前年同期と比較すれば若干の改善は見られますものの、就職未定の生徒は、委員御指摘のとおり、約七万二千人に上っているなどの状況でございまして、依然厳しい状況にあるというふうに認識いたしております。
#175
○政府参考人(三沢孝君) お答え申し上げます。
 私どもも文部科学省と同じような認識を持っておりまして、昨今の厳しい雇用情勢を反映いたしまして、全体としては昨年度とほぼ同水準の厳しい環境にあるというふうに認識しております。
#176
○阿部幸代君 文部科学大臣にお尋ねしたいんですけれども、こういう高校生の就職難の原因についてどんなふうに認識しておられるでしょうか。
#177
○国務大臣(町村信孝君) 一言で言えば、昨今の厳しい経済情勢ということが当然反映をしているんだろうということであろうかと思いますが、企業の方の採用の仕方というものも従前と比べて少し変わってきているような気がいたします。前は大体三月末卒業して四月に一括採用という形だったものが、通年採用といいましょうか、必要な時期に必要なタイミングで採用するというふうに企業の採用の仕方も変わってきたのかなという感じもしております。
   〔理事松村龍二君退席、委員長着席〕
 それからもう一つは、卒業した人たちのこれは意識の問題でございますけれども、一言で言いますと、アルバイトでもいいというフリーター志向的な部分もあるのかなという感じもいたします。正しいといいましょうか、きちんとした職業観なり勤労観なりというものが必ずしも身についていないという学生もいるのかもしれません。
 しかし、いずれにしても、両局長が答えた現在のとにかくこの厳しい雇用情勢、就職状況というのは、やっぱり何といっても目下の経済的な厳しさの反映だというのが一番の原因であろう、かようには考えております。
#178
○阿部幸代君 私ども日本共産党埼玉県委員会で県会議員それから市町村会議員が直接学校に赴くなどして、県内の公立と私立の高等学校二百十一校中百七十七校について就職の実態調査をやってまいりました。その学校の現場の直接の声をちょっとお聞きいただきたいと思うんです。
 百十七人が就職を希望している羽生市内の高校では、求人数は多いときの三分の一。地元小規模事業者からの求人が多い。派遣、パート、アルバイト、臨時が増加し、不安定雇用の状況。企業は人材を育てようとしない。即戦力を望んでいると回答しています。
 九十名が就職を希望している栗橋町のある高校では、ここ二、三年で求人数が減少。二千ないし三千件あったものが五百ぐらいに落ち、五百あっても、通勤距離や生徒ができる仕事はどれかと選別していくと、有効求人件数は百五十件くらいになる。男子は近くに工業団地があるので製造業に多く就職する。女子はほとんどない。デパートや大手スーパーも求人ゼロ。以前多かった販売員もない。サラ金など金融業の求人も来るが、親が困っている状況を見ているので希望者はゼロ。就職後の労働条件も二交代、三交代勤務を一週間続けるなど劣悪。実際に働き出すと残業が多くなるというふうに回答しています。
 もう一校ちょっと御紹介しますが、五十四人が就職を希望している所沢市内の高校では、求人件数の推移は九一年度約二千三百社だったのに対して、二〇〇〇年度約三百三十社と減少している。生徒の希望の多い職種は販売であるが、しかし事業所は短大、専門学校以上の求人に移行してしまった。数少ない事業所に応募が殺到し、高倍率になっている。都市銀行、信用金庫など金融業は高校生から短大以上の求人へ完全に移行して全然ない。正社員の数をなるべく減らし、派遣社員、パート、アルバイトで労働力を賄おうとする事業所がふえているというふうに回答しています。
 一つ一つ読んでいると、今の日本の社会の中で若い本当に自立へと旅立つ子供たちに大きなしわ寄せが来ているのがよくわかるんです。こういう自立へと旅立つ高校生の就職難は本当に深刻です。政治の責任は私大きいんだと思うんですけれども、大臣、どうでしょうか。
#179
○国務大臣(町村信孝君) 厳しいことは私も率直にそれはお認めいたします。
 ただ、去年の数字を見ましても、これは厚生労働省、一月末の時点では七九・三%、三月末では九二・一%、六月末になると九五・六%という形で、一月、二月ではまだかもしれないけれども、大体三月、六月というふうになりますとそれなりに九割を超えて決まってくるという実態もあるということはまずお認めをいただきたいと、こう思っております。
 それから、さっき申し上げましたように、かつては高校卒業あるいは中学校卒業、金の卵と言われた時代もございました。今はやっぱりそれ相当の勉強をし、あるいは何かわざを身につけるというようなことでないと、さっき即戦力を求めるというようなお話もありましたけれども、やはり企業もそういう人材を求めるように変わってきている。あるいは一括して年度末というか四月から新規入社という形でなくなってきている。あるいは日本全体でリストラといいましょうか、が進む。あるいはさらに、国際的に展開できる企業であれば海外に職を求めていくといったような、そうした大きな経済の流れがあると私も思っております。
 したがいまして、海外投資をしてはいけませんよと、みんな、あなた方海外に行かないで国内で全部雇用しなさいと言ってみても、企業活動というのは今やボーダーレス化しておりますから、そういう形で雇用が結果的には海外に流出してしまうという実態もこれはあるわけでありまして、それらを全部含めてそれは全部政治が悪いんだと言ってしまえば簡単ではありますけれども、そう言ったからといって別に何が解決するわけでもないだろうと、こう私どもは思っております。
 しかし、いずれにいたしましても子供たちが、高校生が、それは願わくば全員きれいな形で就職できることが望ましいわけでございますので、そういう意味での政府を挙げての経済対策、これからもしっかりやっぱりやっていかなければならないだろうし、あわせて企業に対しても、リストラ等々あるんだろうけれども、できるだけ生徒の採用の拡大、こういうものをやってもらいたいというのを私どもの方からも主要経済団体に厚生労働大臣とも協力をしながらお願いしたり、また各都道府県教育委員会に対しましても、教育機関と職業安定機関が一層連携をして新規求人開拓などをするようにというようなお願いもしているところでございます。
#180
○阿部幸代君 今失業率は四・九%だと思います。統計をとり始めて最悪だと思うんですが、若者の場合は九%なんですね。それで、働いている若者のうちで五人に一人はフリーターということで、やっぱり一番しわ寄せを受けているんです。
 高校は本当に深刻だと思うんですが、こういう声もあったんですね。福祉科クラスがあるが、一級のホームヘルパーの資格があっても就職の受け皿がないとか、商業高校のため経理、簿記などを中心に習得させており、パソコンの財務会計や文書処理を含め一定の実務能力を持って卒業できる、しかしこうしたことが生かされない、就職問題が本当に深刻になっていると、こういうお答えなんですが、大臣、実は九四年の十月に衆議院の文教委員会で当時の労働省は、「一人の就職未決定者も出さない決意で高校新卒者の早期かつ円滑な就職を支援してまいりたい」と、こういうふうに答弁していたんです。
 大臣もいろいろ今おっしゃって、私は政治が手をこまねいていてはいけないという、そういう立場なんですが、やはり若い期待を裏切らないように厚生労働省とも連携して雇用対策に万全を期していただきたい、重ねてお願いしたいんですが、いいですか。
#181
○国務大臣(町村信孝君) 九四年十月時点の答弁を私が云々することは、まだバブルがはじけて間もないころでしょうか、まだまだまたよくなるかもしれないという期待があったのでそういうかなり勇ましい答弁をしたのかなという気もいたします。
 いずれにいたしましても、それは願わくば、先ほども申し上げたように、できれば希望する人が希望する職種につけるように、そういう状態が望ましいことはもちろん言うまでもないことでありますので、先ほど申し上げましたように、厚生労働省その他関係機関ともよく相談をし、また連携をとりながら、できるだけ雇用が拡大するように私どもなりに最大限の努力はしていきたいと考えております。
#182
○阿部幸代君 まず雇用を創出するという意味で考えているんですけれども、私は介護保険の問題でいろいろ気がつくことがあるんですが、例えば埼玉県で、介護保険が実施されて特別養護老人ホームに介護認定を受けて入る資格がありながら入れない人が五千人余りいるんです。こういう人たちが入れるようにすると相当の雇用効果があるはずで、五十人規模の特養ホーム百カ所ですか、そうすると一カ所二十三人にして二千三百人ぐらいの雇用効果があるんです。
 厚生労働省にお聞きしたいんですが、こういう特養ホームの待機者を解消すればどれだけの雇用効果があるか、あるいは介護保険の事業全体でどれだけの雇用効果があるか、試算はありますか。
#183
○政府参考人(伍藤忠春君) お答えを申し上げます。
 まず、第一点目の埼玉県で五千人の待機者というお話でございましたが、私ども平成十年度に調査した数字で全国で四万七千人の待機者がいるという数字がございますが、これを解消するとどのぐらい雇用がふえるかということで、現在一施設に大体七十人弱入っておりますから、そういった数字を前提に試算をいたしますと、四万七千人分の待機者を解消いたしますと約二万八千人程度の雇用が拡大するというような見通しを持っております。
 それから、二点目の介護保険全体で今後どのぐらいふえるかと、こういうお尋ねでございますが、平成十二年度から五カ年計画でゴールドプラン21という計画を今推進しておりますが、この計画が実施をされましてサービスが予定どおり伸びたといたしますと、この介護保険関係の従事者、平成十年度現在で五十二万人でございましたが、計画どおり実施をされますと、十六年度には約百万人程度がこの介護保険分野で従事をするというような見通しを持っております。
#184
○阿部幸代君 若い人たちの中に福祉の仕事がしたいということで福祉の勉強をする人がふえているんですね。その人たちの受け皿といいますか、働き場所をしっかりつくるために努力していただきたいし、特養ホームの待機者については埼玉県の数字というのは介護保険が実施されて名前でつかんだんですね。複数の施設に、特養に入りたいということで申し込んでいると思うんですが、ダブらないように名前でつかんでいるんです。こういう作業も必要ではないかということをちょっと提案して次の質問なんですが、もう一つの雇用の確保策といえば、ただ働き、サービス残業をやめるという問題なんです。
 民間のシンクタンクの発表では、社会経済生産性本部ですか、サービス残業をやめれば九十万人の雇用を確保できるという試算があるんですけれども、例えば事業所調査である労働省の毎月勤労統計と総務庁の労働力調査とのギャップってありますよね。ここにサービス残業を予想することができて、これを私計算すると六百万人ぐらいの雇用効果になってしまうんですけれども、こんな推計ではなくて、やっぱりどれだけただ働きをしているのか本当に実態をつかんで、もうそれを根絶するために本腰を入れて雇用確保策をとるべきではないでしょうか、厚生労働省。
#185
○政府参考人(鈴木直和君) サービス残業をなくすことによる雇用効果、今御指摘ありましたように、民間の機関等でもそういった計算がなされたということはございますが、ただいずれにしても今後の検討が必要という段階の調査というふうに理解をしております。
 ただ、サービス残業を解消するということは重要なことと考えておりまして、このためには労働時間が正確に把握されることが必要でありまして、厚生労働省としては、昨年十一月、中央労働基準審議会の建議がありまして、これを踏まえて個々人の始業、終業時刻、この把握が的確に行われるよう使用者が講ずべき措置を具体的に示すべく、近々通達を発出したいというふうに考えております。
 今後、適正な時間管理が行われるよう指導していきますが、同時に時間外労働をこなした場合に割り増し賃金を支払わないということは労働基準法違反になりますので、的確な監督を実施して、その是正に努めていきたいと考えております。
    ─────────────
#186
○委員長(市川一朗君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、谷本巍君が委員を辞任され、その補欠として三重野栄子君が選任されました。
    ─────────────
#187
○日下部禧代子君 社会民主党の日下部禧代子でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、昨年の三月十四日あるいは十五日、二日続けまして本委員会において質問をさせていただきました日本学術会議についてお伺いさせていただきたいと思います。
 日本学術会議の会員は二百十名でございますね。これは約七十三万人の日本の科学者の中から選ばれた方々でいらっしゃいます。その二百十人のうち女性の会員は二人でしかないというその事実を昨年指摘させていただきました。文化人類学の原ひろ子さん、家政学の島田淳子さん、この両氏のみでございました。
 さて、それから一年たちましたが、女性会員、それ以後今何人になっておりますでしょうか。お名前と、それから専門分野もよろしくお願いいたします。
#188
○政府参考人(川口雄君) 先生、二人というふうにおっしゃいました昨年の例でございますけれども、これは第十七期といいまして平成九年七月から三年の任期を持った会員でございます。このときは二名でございました。現在は平成十二年七月から三年の任期ということで、第十八期になりますけれども、全体で七名の女性会員がおります。
 お名前、それから専門分野を申し上げますと、井上和子さん、語学、文学の専門でございます。柏木惠子さん、心理学の専門でございます。原ひろ子さん、文化人類学、民俗学の専門でございます。岩井宜子さん、刑事法学の専門でございます。毛里和子さん、政治学の専門。米沢富美子さん、物理科学の専門。丹羽雅子さん、家政学の専門。
 以上の七名でございます。
#189
○日下部禧代子君 二名から七名ということは三・五倍。三・五倍という数字だけをとればこれは大変な増加率であるなというふうに思いますが、しかし実数をお聞きになるとみんな、えっ、ということになるのではないかというふうに思います。
 日本学術会議が発足したのが昭和二十四年、一九四九年でございます。それから、初めて女性の会員が出現いたしましたのが何と一九八一年、昭和五十六年。四半世紀において女性の会員は一人もいらっしゃらなかったのでございますね、あそこで有馬先生もうなずいていらっしゃいますが。大変にこれは驚くべき事実で、御証人があそこに今いらっしゃるわけでございますが、非常にこれはもう大変な事実だというふうに私は思います。それが今まで見過ごされていたということも、これも大変なことだと思います。
 猿橋先生にお会いすると、もう一生懸命になって女性会員のことをふやしてくださいとおっしゃっていらしたのは、何とやはり御自分が女性会員として初めてであるというその歴史的な使命感に、本当にいつもいつもそれを感じていらっしゃったのだなというふうに改めて私は猿橋先生の今お顔を思い浮かべているわけでございます。
 ところで、女性会員はふえたわけでございます、いずれにいたしましても。そのためにどのような御努力がなされたのか、あるいはまた今後どのような方策がなされようとしているのか。つまりこれで、ふえた、ふえた、三・五倍だ、わあい、万歳と言ってもらったら困るという意味でございます。
 前回、私は国の審議会のように女性が何割という、いわゆるアファーマティブアクションというような、そういうことも考えなければならないんじゃないかという御提言もした覚えがございますが、その点も含めまして、いかがでございますか。
#190
○政府参考人(川口雄君) 日本学術会議の会員につきましては、学術研究団体から推薦された候補者につきまして総理大臣が任命するという仕組みになっております。これにつきましては平成十一年九月、それから十二月に日本学術会議の会長からこういった学術会議の候補者の推薦の任に当たります登録学術研究団体の代表者あてに、会員推薦に当たって女性会員の増加のために特段の配慮を促すという文書を発出しております。
 また、今、先生御指摘の女性会員の割合を定めたらどうかということに関してでございますけれども、平成十二年六月に「日本学術会議における男女共同参画の推進について」という声明を日本学術会議が出しまして、女性会員比率を今後十年間で一〇%までに高めるという目標値を設定したところでございます。
 また、女性研究者一般の話につきましては、女性科学者の環境改善のために、平成十二年六月に政府、大学、研究機関等に対しまして「女性科学者の環境改善の具体的措置について」ということを要望しております。
 それから、平成十二年十月でございますけれども、日本学術会議の中にジェンダー問題の多角的検討特別委員会というものを設置しまして、ジェンダー問題に焦点を当てまして、人口でありますとか健康、教育、家族など、多角的な観点から検討を行っているところであります。
 日本学術会議としましては、男女共同参画社会の実現に向け、女性会員の増加とか女性科学者の環境改善のための取り組みに鋭意努力しているところでございます。
#191
○日下部禧代子君 十年間で一〇%にという、いわば私が申し上げましたアファーマティブアクションとも言うべき数値目標をお立てになりましたということは評価いたします。会長の吉川先生も私、個人的でございますが、何度かお会いして、お会いするたびに半ば脅迫めいて吉川先生に申し上げておりますので、それは実現されるものだと、そしてまた会員の皆様方の御努力によってされるものだというふうに信じていたいと思います。時々またハッパをかけますから。
 それから、この日本学術会議の所管省庁でございますが、現在これは総務省でございますね。ところで一方、総合科学技術会議は内閣府に置かれることになりましたね。日本学術会議は、一昨年だったと思いますが、「日本学術会議の位置付けに関する見解」というものを出しております。そして、日本学術会議はやはり総合科学技術会議と同じく内閣府に置くべきだというふうな主張を述べられているのでございますが、この点におきましてどのような御見解をお持ちでしょうか。
#192
○政府参考人(川口雄君) 先生今お述べになりましたように、日本学術会議におきましては、平成十一年十月でございますが、「日本学術会議の位置付けに関する見解」というものを決定いたしまして、同会議の独特の役割とか機能あるいは科学技術立国を標榜する我が国の科学を重視する姿勢などにかんがみ、その位置づけについては内閣府とすべきであるとの見解を取りまとめたところでございます。
 現在、総合科学技術会議というものが発足いたしまして、総合科学技術会議におきまして日本学術会議のあり方について検討されることになっております。私どもとしましては、日本学術会議の設立の趣旨あるいはこれまでの活動等を踏まえまして、なおかつ日本学術会議の意見も聞いて適切に検討が行われるものというふうに期待しております。
#193
○日下部禧代子君 ぜひともこれから日本学術会議の御意見を聴取するというような機会を持っていただきたいというふうに思います。
 次に、この日本学術会議というのは科学技術創造立国を目指す日本といたしましては非常にやはり重要な位置づけだと私も思っておりますが、しかしながら、どうもその実像でございますね、御活躍ぶりも含めてなかなか見えているとは言えないのではないかというふうに私認識しているのでございますが、その点、大変日本の科学者を代表する方々が会員でいらっしゃるにもかかわらず、どのような御活動なのか、どのようなイメージ、実像なのかということをもう少し知ってもらう、一般の国民に知らせる努力というのも必要ではないかというふうに思いますが、何か具体的な御計画というものがおありでしょうか。
#194
○政府参考人(川口雄君) 日本学術会議につきまして広報活動が足りないのじゃないかという御指摘でございますけれども、本当に私ども事務局といたしましてもちょっと不十分じゃないかという感じは持っております。また、会員の中でもそういった考え方が多くて、先ほど申し上げました第十八期、この活動計画の中でも今後広報活動をしっかりやっていこうというふうなことをうたっております。
 私どもといたしましては、いろいろな提言とか勧告等を行いますけれども、そういったものの中身についての広報が必要だということは認識しておりまして、ホームページを使ったり、あるいは月刊誌で「学術の動向」というのがございます。そういったものを通じまして、学術会議の活動の状況につきまして一生懸命広報していきたいというふうに思っております。このほかに、公開講演会でありますとかあるいはシンポジウム、そういったものを通じまして国内あるいは国外、国の内外を問わず、情報の発信としてしっかり活動していきたいと思っております。
 また、現在の期であります十八期でございますけれども、平成十二年七月から始まりました十八期の活動の開始に当たりまして、日本学術会議といたしましては、我が国、さらには世界人類が直面している問題の解決に学術の果たすべき責務は極めて大きいというふうに考え、その解決を図るために日本学術会議の総力を結集してこれに対応できるよう、二つの大きな課題のもとに有機的、機動的な審議を行う体制を新たに整備しまして、現在、精力的に審議を行っているところでございます。
 その課題の一つは、地球環境の問題でありますとかあるいは資源やエネルギーの問題、そういったいわゆる人類的課題につきまして、人文社会科学及び自然科学にまたがる全学術分野を見渡すという日本学術会議の立場から、科学に立脚した解決策や日本の役割などに関する提言を行う日本の計画、ジャパン・パースペクティブと言っておりますけれども、そういったものでございます。これにつきましては一年間を目途に提案を取りまとめ、公表するというふうにしております。
 また、もう一つの課題としましては、こういった問題につきまして、その解決のためにも現行の学術の状況を見直して新たな学術体系の提案を行うということでございまして、これにつきましては二年間を目途に取りまとめ、公表するというふうにしております。
#195
○日下部禧代子君 総務省がやはりPRが不十分であるというふうに素直にお認めになってしまったということは、これは余りに素直過ぎるのか、これからもっと頑張りますという決意表明なのか。決意表明というふうにとらせていただきたいというふうに思います。
 そこで、町村大臣に、これは所管は違います、日本学術会議。たまたま私は日本学術会議の今一つ具体的な例を出させていただきましたが、日本の女性研究者、女性科学者の問題につきましてはこれまでたびたび本委員会において私は議論をさせていただいております。
 今ここで日本学術会議の会員という一つの事象を取り上げまして、日本の女性の科学者あるいは研究者の社会的な位置づけといいましょうか、そういうものの一端が、現状が象徴的に示されているように私はとらえて、こういう質問をさせていただいているのでございますが、男女共同参画型社会を目指す日本といたしまして、そしてまた教育、科学を御担当なさいます大臣といたしまして、今の議論をお聞きになりましてどのような御感想をお持ちになったのでございましょうか。よろしくお願いいたします。
#196
○国務大臣(町村信孝君) 率直に言って、二人から七人という数字に驚きを感じております。随分少ないなと思います。
 男女共同参画社会の実現、私も政府の会議のメンバーの一人でございますから、できる限り女性が輝く社会をつくる必要があると、そういう思いでございます。
 大学における女性研究者の割合は、平成七年度一〇・七%から平成十一年度には一二・九%にやや上がっております。また、国立試験研究機関における女性研究者の割合は、平成七年度の八・三%から、ちょっと古いので恐縮ですが、平成十年度に八・七%、まあ微増ではございますが、若干ふえていると。そんな状況でございまして、しかし全体としてはまだまだだなという気がいたしております。
 ささやかにできることは何かないかと思って、私は、前の大臣のときも、また今回も、審議会におきます女性の登用ということを心がけてまいりまして、この一月六日、新省庁発足と同時に審議会が改組、再編成をされました。中央教育審議会、科学技術・学術審議会では審議会メンバーの三割を女性にお願いをすると。それから、文化審議会ではたしか四割だったと思いますけれども、女性にお願いをしたというようなことで、できる限り女性の皆さん方に御発言をいただき、活躍をしていただきたい、そんな思いでいるわけでございます。
 したがいまして、日本学術会議も十年かけて一〇%という、変化の速い時代にもうちょっと速くてもいいのかなという印象は持ちますが、そこは学術会議は学術会議なりのきっとお考えもあるのでございましょうが、いずれにいたしましても、ありとあらゆる分野で女性が大いに活躍をする、そんな社会をつくるために、微力ではございますが努力をしてまいりたいと考えております。
#197
○日下部禧代子君 大変力強いお言葉をいただきまして、ありがとうございました。
 子供たちにとりまして、特に女性、女の子にとりまして、どういう女性の先輩がどういうところで活躍しているのかなと。やはり女性の研究者が、女性の科学者が生き生きとして活躍している、そのことがまた社会で評価されている、そういうことを知ることによって、やはり大変大きなそれはインセンティブになるというふうに私は思っております。それは、具体的には自分の母親かもわからない、あるいは姉かもわからない、あるいはおばかもわからない、そういった身近な人々、あるいはまた一般的にという両方の面で私は大変に大きなこれは影響を持つのではないかなというふうに思っております。
 これも余りいい数字ではございませんけれども、女性の医師がつくっております日本女医会というのがございます。その日本女医会がこのほど発表いたしました調査結果がございますけれども、女性の医師数というものを日本の医学会所属の九十二学会にアンケートしたんですね。ところが、女性と男性、つまり女性指数の記載がないものが何と六三・五%、医学会のうちの六三・五%にも達したという結果が出ております。それからまた、理事とか評議員の女性の選任率が非常に低い。例えば、女性会員が三〇%以上を占める皮膚科、眼科、小児科においてさえも理事、評議員の選任率はそれぞれ四・五%、五・五%、三・〇%にしかすぎなかったという調査結果を発表しております。
 こういうところにも如実に、女性の科学者、その中でもまた女性のお医者さん、女医というのは非常にふえていっていると思うんですね。実際に現場では活躍していらっしゃるにもかかわらず、こういう評議員あるいは理事、学会の中で余り高い地位を与えられていないということの事実を知って、私はまた改めて驚いた次第でございます。
 第四回の世界女性会議で採択された行動要領といいましょうか、綱領といいましょうか、そこでは、「女性の地位向上のための制度的な仕組み」というところで「立案及び評価のための男女別のデータ及び情報を作成・普及すること」ということが明記されているわけでございます。
 そういうことを考えますと、こういう女性科学者、女性のお医者さんを含めまして、生活環境、これは育児休業の取得の状況とか介護休業の取得の状況も含めまして、家庭と職業の両立のための条件整備と地位向上のための努力、さまざまな点でなされるべきであるということを強く申し上げまして、次の質問に移りたいと思います。
 もう一言この今の問題でつけ加えておきたいのは、日本学術会議の会員、せっかくふえたのではございますけれども、先ほど最初に専門、専攻をおっしゃってくださいというふうに申し上げた意味というのは、どうも家政学というのは毎回会員になっていらっしゃいます。十三期から十四、十五、十六、十七、そして十八、家政学の女性の会員は必ずあるんです。ところが、その他になりますと非常にそれは少ない。つまり、女性の仕事は家政、男は仕事、女は家庭という、そのような今まで言われてきた男女分業論というのがここにも何か出ているという気がいたしますので、私は専攻をあえておっしゃっていただいたということでございます。
 ぜひとも次の十九期、平成十五年だと思いますが、そのときには七名で喜ぶというのではなくて、もうかなりぐんと伸びた数字をお知らせいただけるものと大いに期待しております。
 ところで、次に留学生の問題に移りたいと思います。
 今回の予算では五百五十八億円が留学生交流において計上されております。また、この留学生の問題というのは、平成十二年四月のG8教育大臣会議あるいは九州・沖縄サミットにおいても再認識されたところでございます。
 まずお伺いいたしますが、昭和五十八年にスタートいたしました、今世紀初頭には十万人というのを目指しました留学生受け入れ十万人計画の進捗状況をまず聞かせていただきたいと存じます。
#198
○副大臣(河村建夫君) 昭和五十八年一万人と、こう言われております。それから十万人をということで進めてきたわけでございますが、その後、我が国の経済、不況等もあって、アジア方面の留学生が日本は多いのでありますが、あちらは経済危機と、こういうこともありまして、平成八年、九年とその伸びがちょっと減少したのでございますが、また増加傾向にございまして、昨年五月現在では約六万四千人、前年より約八千三百人、一四・八%増ということになったわけでございます。
 昭和五十八年、二十一世紀初頭に十万人という計画を考えたわけでございますが、これが現時点で六万四千ということで、まだ達成されておりません。今、委員御指摘のように、平成十一年のケルン・サミット、それから昨年四月のG8教育大臣会議あるいは沖縄サミット、そこでこれから十年間において学生等の流動性を倍増するということが強くうたわれておるわけでございまして、これから本格的にその留学生の受け入れをさらに進めていかなきゃなりません。
 ただ、数がふえさえすればいいというわけではありませんで、これから留学生一人一人を大事にする政策というもの、質的な充実というのも必要になってまいるわけでございます。未来からの大使と言われております留学生でございまして、日本を十分理解し、日本を好きになって帰っていただくということも大事でございますし、またこの留学生との交流を進める中で、日本社会そのものが国際化していく、あるいは国際的な人材もできていく、あるいは一方大学も国際化していく、こういう重要な役割を果たしておるわけでございますので、さらに留学生の受け入れというものを本格的に進めてまいりたい、このように思っておるところでございます。
#199
○日下部禧代子君 それでは、受け入れの状況を他の先進国と比較していただきたいと思います。これは高等教育の部分でございます。
#200
○政府参考人(工藤智規君) 御案内のとおり、日本の場合に国際語でない日本語というハンディがあるせいもございまして、どうしても英語圏諸国にたくさん行ってございます。アメリカが大変多いのでございますけれども、私ども持っております最新のデータでは四十九万人の留学生がアメリカに入国してございまして、高等教育機関在学者の全体に占める割合が六%でございます。さらに、ヨーロッパ諸国を申し上げますと、イギリスが二十一万人で全体の中で一七%、ドイツが十六万人で約八・六%、フランスが十五万人で約七%という状況でございます。
 それに比べまして、日本の場合は、大変ふえてきてございますけれども、全体の中に占める割合が一・八%でございます。
#201
○日下部禧代子君 今お述べいただきましたように、日本の場合には他の先進国と比べて実にその割合が低いということが出ておりますね。
 ところで、この十万人計画を進めることによって何%ぐらいをいつまでに達成しようという御計画でいらっしゃいますか。
#202
○政府参考人(工藤智規君) 先ほど副大臣から申し上げましたように、昭和五十八年に十万人計画を立てましたときは、当時のフランスの数でございまして、当時からすると十万人というのは大変大きな数字でございましたけれども、副大臣から申し上げましたように、未来からの大使とも言われている留学生が日本で若いころ学んでいただき、帰国後それぞれの国で活躍いただくことを念じて、単に量だけではなくて一人一人大事に日本のお客様として、かつ日本の友達もつくっていただきながら過ごしていただくことにしているわけでございます。十万人で何%というパーセントの目標数値があるわけではございませんで、当面十万人を目指して、しかも量だけではなくて一人一人大事にした受け入れに努めてまいりたいと思っております。
#203
○日下部禧代子君 ちょっと苦しい御答弁のように受け取りました。やはり目標というのはもう少しきちっとお立てになって、その目標があるからこそどのようにして環境整備、それを目標値に達するまでに努力するかということになるのではないかというふうに思いますので、かなりこれはちょっと今のお答えだとアバウトかなというふうな気がするわけでございます。
 ところで、そういった環境整備、今までの障害、他の先進国に比べて非常にパーセンテージが低い、もっともっと日本で留学生を受け入れる、そして十万人計画が達成されるのを早めるということの意味も含めまして、いわゆる条件整備というのが考えられてきたわけでございます。
 幾つかございますけれども、時間の関係で二つぐらいどのようになっているかをお聞きしたいと思います。
 一つは、今まで留学試験というのを来日後日本の国内で受ける、そして入学許可を得るというふうな制度が専らでございました。これは非常に留学をする人間にとっては不便でございます。自分の国においてそういう試験を受けることができれば、渡航費も含めまして随分これは便利だというふうに思います。この点はどのように改善されたのか。
 もう一点は、学位取得の問題でございます。日本の留学生の九〇%がアジアの方たちでございます。もちろん日本はアジアの一国でございますから、これはさまざまな考え方がございましょうけれども、現在国際化が進む中で、やはり留学の大きな目標の一つはその国でとれた学位というものがどのくらい国際的に通用するかということが非常に大きな魅力になるんではないかなというふうに思います。したがって、どうしても国際的な評価を受けやすいとすると、アメリカだとかヨーロッパに留学してしまうというふうになるわけだと思うんですね。
 日本の場合、特に文科系のドクターコースの学位の取得の割合というのが低いのでございますが、その点、現在どのようになって、これがどのように改善された結果、このようになっているというふうにお知らせいただければと存じます。
#204
○国務大臣(町村信孝君) 委員御指摘のように、今までですと、日本に来た後、私費外国人留学生統一試験、それから日本語能力試験、この二つを受け、それにあと各大学が独自で実施する入試を受験するというのが一般的な姿であったわけでありますけれども、できるだけ日本に来る前に試験をやったらどうかということで日本留学試験というものを検討しているところでございます。
 これは、日本に来る前に日本の高等教育機関の入学許可を得やすくするため、国の内外で広く実施される予定の新たな統一試験でございまして、日本語と基礎学力の両方を見ようということにしてございます。平成十四年度から実施をしたい、こういうことで今鋭意その準備を、外務省あるいは国際交流基金等々と相談をしながら今準備を進めているところでございまして、ことしの十一月には試行試験を一回やってみようということにして、本格的なものは平成十四年六月、そしてそれも今後年二回やっていこうと、そういう考え方でございます。
 この日本留学試験、まだ細部にわたって全部詰め切ったわけじゃございませんけれども、国内の八ブロックの主要な都市、あるいは海外の十都市程度、中国をどうするかということでちょっと議論が今変わってきているというか、前は中国は難しいという話だったんですが、最近は中国、やりましょうというように話がちょっと変わってきたので、海外の都市数は少し変わってくるかもしれませんが、いずれにしても十都市前後でやろうと。これができるようになりますと大分留学しやすい環境が一つでき上がるのかな、こう思って期待をしております。
 それから学位の問題、これも前々からの問題でございまして、日本人の学生には厳しくていいけれども、外国の人には多少日本語のハンディキャップも考えれば、もう少し、どういうんでしょうか、どんどんと言うとちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、権威を損なわない程度にもう少し積極的に前向きに学位を差し上げてもいいんではないのかなと、こう思ったりもしております。
 ただ、例えば特に博士課程の文科系、実際の学位取得者が二二%ということでございますから大変低いのでありますが、これは平成十年二二%で、平成八年が一七%ですから、ちょっとよくなったという程度でございます。ただ、これ日本人も含めて全体で見ると、平成八年が日本人も一七%、平成十年日本人も二一%でございますから、全体にこれはきつい状態なんですね。理科系は平成十年度は七九%ですから、何でこんなに違いが出るのか。いろいろな長い長い歴史のある中でこういう姿になっているようでございまして、それにしてもちょっと低過ぎるんではないのかなという思いもしておりまして、できるだけその辺、特に留学生の皆さん方にはという思いもあるんですけれども、最後の最終判断は担当教官がやる話で、そこまで文部科学省がどんどん出しなさいといっても、そう簡単にはいかない事情があることは委員も御理解をいただけるかと思いますが、できる限りやはり日本語のハンディキャップ等々も十分加味した上でそういう選考をやっていただきたいと期待をしているところであります。
#205
○日下部禧代子君 やはり学位の取得しやすいということも同時でございますけれども、ドクターそのものが国際的に通用する、国際的に評価されるものでなければならないということがさらに重要なことではないかなというふうに思います。そうでなければ、日本のドクターが世界的に見て、例えばアメリカの何かの大学よりは少し見劣りがするというような評判になってしまうと、これはもう日本でドクターを取ってもほとんど意味がないということになってしまいます。その点、ドクターの中身でございますね。そして、国際的に評価されるものであるということが重要だということをつけ加えておきたいと思います。
 それからもう一つは、留学生の受け入れの中で重要なことは、どこで住むのか、日本においてどのような生活をするのかということだろうと思いますが、このたび国際研究交流大学村、どうして村とつけたのかわかりませんが、すごい何か新しいモダンなお台場のところに村というのができるというのも非常におもしろい、アンバランスだなと思っておりますけれども、とにかくその大学村の運営費でございましょうか、ことしは六億六千万円計上されております。これは建設が終わったということでの費用だというふうに思うわけでございますが、あの場所は確かに景色もいいと思いますが、なかなかアクセスは、私行ってみて、これはゆりかもめで行けばいいんですが、それ以外ですとなかなか行くだけで交通費かかってしまいます。
 やはり留学生というのは地域の中に溶け込んでいく、そのことからさまざまなことを体得していくという意味が大きいんだろうと私思うんですね。ですから、そういうハードの面というのも非常に重要だと思います。しかしながら、やはり普通の日本の一般の人たちとどのように接触できるか、交流できるかということもこれは非常に大きな課題ではないか。つまり、ハード面はもちろん必要ですが、これからは特にソフト面というのが非常に私は重要ではないかなというふうに思います。
 例えば、私自身イギリスにいる間、ブリティッシュカウンシルからもう毎日のように招待状がいっぱい来まして、どれを選べばいいのかと本当に頭を悩ませました。その地域のさまざまな階層、さまざまな年代の人々からの招待状という形でブリティッシュカウンシルが届けてくるわけであります。そうしますと、普通のウイークデーでもそうですし、クリスマスとかイースターということになりますと、もう本当にどれに行こうかしらという感じです。
 それを通してさまざまな方々と深いおつき合いになって、いまだにそういった方々と交流ができているというような、そういうソフト面が日本ではなかなか留学生の受け入れできめ細かさがないような気がするのでございますが、その点も含めまして、これからの留学生対策、今後の課題、そして大臣の御決意を承りたいと存じます。
#206
○副大臣(河村建夫君) 私の方から答えさせていただきますが、日下部委員御指摘のとおり、せっかく留学生の皆さんに来ていただいて、いかに交流をそこでしていただくかということが非常に大事なことだろうというふうに思います。
 いよいよ七月九日にオープンをする予定になっておるわけでございますが、そこで留学生、これは特にこの宿舎においては大学院レベルと、こういうふうに考えておるわけでございますが、そこと日本人の学生、さらに研究者が交流できるようにということで全体で八百戸を今用意いたしておるわけでございます。そのうちの留学生の皆さんに約七割の五百六十戸、それから国内外の研究者の方々に全戸数の約一割、残る二割を日本人の学生にも入っていただいて、そこで交流を持っていただこうということを考えておりまして、すべての階に交流ラウンジというのが設けてありまして、そういうことができるようにということを考えておるわけでございます。
 確かに、日下部委員御指摘のように、イギリスを初めとして諸外国は家族ぐるみのつき合いといいますか、そういうことを非常に大事にいたします。日本のそういう習慣、文化はちょっと違う面もございますが、この交流村においてはできるだけそういうことが進むように、それがまた大事であろうという配慮のもとにこの交流村といいますか、留学生宿舎が運営をされておるわけでございまして、さらに快適で充実した生活を留学生の皆さんが送れるようにということで十分配慮して諸施策の充実に努めていかなければならない、このように考えております。
#207
○日下部禧代子君 私、先ほど申し上げましたように、ハード面ももちろんでございますが、ソフト面のきめ細かさ、これがあるとやはり心の中にすごくさまざまな思い出が残って、いわゆるヒューマンセキュリティーのもとになることだと思います。これからは、もう平和ということにおいてもこれほどの大きな平和への貢献というのもないのではないかというふうに私は思います。人間と人間は心で結びつくということでございますから、ぜひともその点を御考慮の上、留学生政策を拡充していただきたいとお願いしておきます。
 最後でございますが、これは全く違うお話になります。ロケットでございます。この夏、HUAロケットの打ち上げが予定されているというふうに伺っております。
 ところで、これは一昨年でございましょうか、HUロケットの八号機が打ち上げ失敗に終わりまして、本委員会におきましてもさまざま追及させていただいたところでございますが、このHUロケットの七号機というのがございますよね。八号機の打ち上げが失敗したということで七号機は打ち上げが中止されたというふうに聞いているのですが、これはもちろん完成しているわけでございましょう。今、どこでどのようになっているのでありましょうか。
#208
○副大臣(大野功統君) HUロケットでございますけれども、先生御存じのとおり、宇宙開発事業団が全精力を込めて、そしてまた日本の科学技術の粋を集めて作製いたしました。また、打ち上げました我が国初の純国産ロケットと言っていいようなものだと思います。
 残念ながら、例えばひまわり五号の打ち上げなど、宇宙開発の歴史の上で大きな足跡は残したわけでございますけれども、平成六年、第一号機打ち上げ以来、連続で五回は大成功しているのでありますが、平成十年、十一年と二回にわたりまして失敗をいたしました。そのちょうど失敗をいたしまして今度八回目でありますが、何号という場合は七号機が残っている、八号機の方が先に上がったわけでございます。七号機は準備をしていたわけでございますけれども、やはり同時に開発をいたしておりましたHUAロケット、こちらの方にもう全精力を投じようと。過去二回の失敗にかんがみまして、やはり同時並行的に開発、製作を進めておりましたHUAロケット、この方に全精力を注ごうということで引退ということになったわけであります。
 お尋ねのどこでどうしているかでございますけれども、ただいま宇宙開発事業団の種子島宇宙センターで保管されております。そして、その七号機の部品につきましては、HUA、今製作を進めて打ち上げようとしているそちらの方の部品に転用している、こういう面もございます。
#209
○日下部禧代子君 もう製作費が、聞くところによると百六十億くらいですか、これは。百六十億を超えるぐらいの製作費がかかっていると思うんですね。そして、そのまま種子島にずっと置いておくおつもりでございますか。これはどのように、それは分解してしまうということも、純国産と言ってもよろしいというふうにおっしゃったわけで、これは中小企業の方々も一生懸命になってその製作に御協力なさったとも聞いておりますが、やはりそれだけのお金がかかったものをそのまま置いておくというのもこれは大変に不思議なことだというふうに思います。この七号機というのを有効にお使いになるという点においてのお考えはどのようになっておりましょうか。
#210
○副大臣(大野功統君) HUのコストでございますけれども、百五十億程度ということだと思います。
 それから、どのように利用するか、こんなに多額の金をかけたものを放置していくのはもったいないじゃないかと、こういう御趣旨だと思いますが、先ほど御説明いたしましたとおり、部品につきましては有効に利用する、できるものはしている。
 それからもう一つは、先ほども申し上げましたけれども、やっぱり日本の宇宙開発の歴史の上で大きな役割を果たした、あるいは知的財産、科学技術の財産とでも言えるものですから、これをどのように保管して後世に伝えていくか、こういう観点もあろうかと思います。ただ、非常に難しいのは、このHUロケットというのは高さが五十メートルありまして、この五十メートルを格納する建物が大変であります。では外で保管するかとなりますと、外の方はやっぱり雨水に当たりますと腐食を起こすと、こういうことで非常に悩ましい問題がいっぱいあるわけでございます。今、やはり技術的財産であるという観点を含めまして、適切な方法でこれを有効利用するということを検討している最中でございます。
 なお、お断りしておかなきゃいけないのは、私、うろ覚えで先ほどHUを百五十と申し上げましたが、百九十でございました。先生のおっしゃったより十億円上がっちゃいまして申しわけありません。
#211
○日下部禧代子君 その百九十億円もかかったロケット、そしてまたさまざまな日本の英知によってつくられた七号機でございます。先ほどのお台場の話がまた出てまいりますが、宇宙未来館ができるというふうなことも伺っておりますが、ぜひともそういうところで子供たちに夢を与える、そういう形で有効に使われることを望んでおります。
 ありがとうございました。
#212
○高橋紀世子君 私は三人の子供を育てました。一人はもう三十一になっていますし、次は二十六歳、そして真ん中に三十歳の女の子がいます。子供を育てた経験にかんがみながら、素朴な質問をさせていただくことをお許しください。
 大臣は、所信表明の中で、国民の教育に対する信頼が大きく揺らぎ、我が国の教育は危機に瀕しているとお述べになりました。具体的にどんな点が危機に瀕しているのか、どういうふうに考えておられるのか、伺いたいと思います。
 教育というのは私も大変な場面になっていると思います。教育の何が危険なのか、この具体的な内容についての認識を考えてみたいと思います。
 また、ここで言う国民が信頼しなくなった教育の責任というのは一体だれなのでしょうか。本人なのでしょうか、それとも政治なのでしょうか。私は、そのところをもう少し自分でも考えてみたいので、きょうは質問をさせていただきます。
#213
○国務大臣(町村信孝君) 午前中の本岡委員からの御質問もあったところでございますけれども、戦後の日本の教育、すばらしい点もあったと、こう思っております。これだけ多くの子供たちが上級の学校に行けるようになったなどなどでございまして、戦後の日本のいろいろな意味での発展を支えてきた、そういう意味での積極的な評価ができるわけであります。
 ただ、現在の姿を見たときに、もちろんいい面はあるものの、また大変危機的な状態にもある。現象的に言うならば学級崩壊あるいは登校拒否あるいはいじめ、不登校など、学校の中だけをとりましてもそうした問題がありますし、もうちょっと幅広く見ると薬物の乱用でございますとか学校の外でのさまざまなまた援助交際であるとか、いろんな問題があろうかと思います。そうしたことを、じゃどうしたらいいんだろうかと。
 今、委員からはこうした状態になった責任はどこにあるのかと。一義的にどこだけが悪かったと言うつもりはございません。それはやっぱり家庭の問題でもあったでしょうし、学校の問題でもあったでしょうし、また地域社会の問題でもあったと思います。それぞれがやはり責任といいましょうか、原因があってのことなんだろうと、こう思います。
 家庭について言うと、特に家庭のしつけというものが最近本当に聞かれなくなった。じゃ、それをどう復活するといいましょうか、どう立て直していくのかという大きな課題がございます。もちろん地域社会の問題もありますが、行政的には学校の問題がどうしても大きくなってまいります。現に子供たちが学校の中でいる時間が大変長いという物理的な問題もあろうかと思います。
 そこで、学校をよくする、教育が変わるというようなことで二十一世紀教育新生プランというものをつくりまして、総合的にやっぱりよりよい教育というものをつくっていきたい。家庭であれ学校であれ地域社会であれ、すべての大人の責任においてよりよい教育をつくる、そういう努力をしていくことがその責任を果たすことになるのではないだろうかと、このように考えているところでございます。
#214
○高橋紀世子君 今度、こういうお仕事をさせていただきまして、私は大変勉強不足だったんですが、教育法を一生懸命に見ました。
 そうしますと、二十条、三十八条、四十三条なんですけれども、学校の中でのカリキュラムその他はやはり文部省が決めていて、文部省に責任があるというふうに書いてあるように私はとれました。私は子供三人を私立や公立で育てましたけれども、学校の内容は大変似通っていて、違う学校に入れたんですが、余り独自性は感じられなかったんですね。私は昭和十六年生まれで、戦後すぐ学校に行きましたけれども、世の中が平和になったせいかもしれませんけれども、そのときよりももう少し整い過ぎていて、どの学校に入れても同じ範囲で、同じ選択肢で、私は大変画一的になっていると感じたんです。
 それで、初めて教育法を読みますと、やはりそこにカリキュラムについては小学校も中学校も高校も文部省の指示を得るというふうな、文部省のあれがというふうに私はとれたのです。やはりもう少し学校自体に何を勉強するかということを考える主体性みたいなものがあった方が活性化するのではないかと思ったんです。
 そして、今学校の荒廃が叫ばれる中で、文部省の認定を受けないフリースクールが脚光を浴びています。これはいろいろいい面、悪い面あるのかもしれませんけれども、私は大変こういう学校が出てきたことをうれしく思っていますけれども、その辺のことはどうお考えになりますでしょうか。
#215
○国務大臣(町村信孝君) 高橋委員御指摘のように、全国の学校を一定の水準に確保しようと、教育の機会均等を実現しようと、こういうようなことから、学校教育法の中で教育課程につきましては国としてある種の基準を設けるということが学習指導要領ということになってきているわけでございまして、しかし実際の学習指導要領は、かなり細かく書いていた時代もございますけれども、かなり大綱的な、大ざっぱというか、大ぐくりしたような書き方に変わってきておりまして、そんなことから、今各学校における取り組み、かなり創意工夫を生かした形でやれるように変わってきております。
 例えば、私は前の文部大臣のときに、中高一貫の言うならばモデル校といいましょうか、最初にできた宮崎県の五ケ瀬中学校・高等学校というのを見てきたんですが、そこの一週間のプログラムを見るとびっくりしたんですね。いろんな科目があるんです。五ケ瀬学とかいいまして、これは何をやるんですかと聞いたらば、要するに地域のフィールドスタディーのようなことをやったり、あるいはそこに、町に古くから住んでいる、町といってもこれは山の中ですけれども、古くから住んでいる方を呼んできてみんなでわらじをつくってみたりとか、およそ都会の学校では考えられない、逆に言うとその地域の特色を生かしたようなことが行われていたりしております。
 既にもう九割以上の学校がやっておりますが、これから総合学習の時間というのが新しい学習指導要領で始まりますけれども、その中では相当またそれぞれの学級、それぞれの学年、それぞれの学校で先生方、生徒たちが一緒になって知恵をひねって、どういうふうにこれから向こう半年間、一年間これをやっていこうかという工夫が発揮できるようになる。
 さらには、中学校の段階、さらに高等学校に行くともっとなんですが、今までは余り選択の余地がなかったんですが、最近は非常に、今度新しい指導要領の中では選択肢をふやすような形で、個性を伸ばすというような観点から選択学習の機会をふやすというふうにやっております。
 いずれにいたしましても、あえて誤解を恐れずに申し上げると、私は、公立学校の私学化、公立学校であっても私立学校のように、それぞれの校長先生の、そして先生たちと、またあるいは保護者の皆さんと一緒になって特色のある公立学校というものをつくっていく。その特色に引かれて学校選択ができるようにしていくというふうにしていくことが私は今公立学校をもう一度再活性化する一つの有力な方法ではないんだろうかと、こう思って、そういう方向で各学校の取り組みを促しているところでございます。
#216
○高橋紀世子君 今、大臣が言われたとおり、私も本当にそうなんですけれども、もう一歩、これは自由だぞ、ここは自由にしていいんだぞという自由をいただくというところに私はちょっとこだわっているんです。
 やはり、学校側からもう少し主体的なもの、これもさっき山の中の学校のことをおっしゃいましたけれども、文部省がどういうふうに指導しようとも我々はこれを教えるんだ、これをやるんだという学校側からの主体的な希望、夢というのがもう少し出てくるためには、やはり文部省の今懇切丁寧に全部指導している部分を半分ぐらい取っ払うことが大事ではないかと私は考えます。
 そして、例えば教務についても、全部は無理かもしれませんけれども、英語、国語、理科、社会、全部決めてくださっているんですけれども、やはり徐々にだとしたら、理科、社会は地域の学校で決めるようにしたら、さっき山の中の学校であちらこちらでいろんな主体的な勉強をしたというように、全然学校によって違う勉強をしても学力が低下したからどうのということは私はないと思うんです。それよりも、主体的に何かやろうという意気込みがないことが今の荒廃につながっていると思うので、私自身はそこを強調して頑張っていきたいと思っています。
#217
○国務大臣(町村信孝君) 各学校の主体性を持つこと、これは大切なことだと私も思います。
 ですから、学校の中ではまず、例えば校長先生が中心になりまして、会社に例えちゃいけないかもしれませんが、小とはいえ一つの会社の社長として我が社をどういうふうに発展させようかということを考え、工夫をしていただくということがこれからますます大切になってくる。そういう意味で、学校の主体性というのは校長先生を中心にもっともっと発揮されてしかるべきだろうと、こう思っているところであります。
 学習指導要領というのは、最低限これだけは一応皆さんやっておいてくださいねということを、ある種のスタンダードを示すという意味で、もうこれ一切なくてもいいですと、実際アメリカのようにそれぞれのカウンティーといいましょうか、市町村ごとにもう自由にやっているという確かに国もあります。それはそれで一つのおもしろい地方自治の、もともと地方分権の国でありますからそういうことなんでしょうけれども、逆に、私もささやかですがアメリカで経験をしたことを言いますと、隣町に仮に引っ越すともう全然違う授業で、これはまるで接続がないということで、何カ月かたてばそれはなれるんでしょうけれども、これも困ったものだということで、むしろアメリカでは各市町村ごとにばらばらではなくて、国が何かある種の学習指導要領的な国全体のスタンダードがあった方がいいなという声がだんだん実は強まってきております。ああいう国柄ですから、なかなかそうならないんだろうと私は思っておりますけれども、これはしたがってどちらがいいのかなということは一概には決め切れない部分もあろうと思います。
 しかし、いずれにしても、委員が御指摘のように、それぞれの学校が主体性を持って特色ある教育をやる、その特色を情報発信して、その情報発信されたものを受けとめて、それでできれば選択肢のある学校の中から児童と保護者が一緒になって考えて、その学校の特色に引かれて入るようにするというふうにこれからはなってもらいたいものだと願っているものでございます。
#218
○高橋紀世子君 やはり学校自体でさまざまな特色を持つと、先生がおっしゃったように、少々ばらばらになる、混乱があると思うんですけれども、私はその混乱の危険性よりも画一性からくる危険性、無気力であったり、やはり本当に想像しない習慣が身につくことの方が恐ろしいと思いますので、私自身は少々問題があっても文部省のカリキュラム制度についてはもう少しソフトにしていくようにお願いしたいと思います。
 それからもう一つ、私、この間まで労働政策委員というのをやらせていただきまして、ハローワークのところで就職をお願いにいくと、その職につくにはちょっと技術が足りないと、地域に職業訓練所みたいなのがありまして、そこに行って美容師の訓練を受けたり、大工さんの訓練を受けたり、コンピューターの訓練を受けたりする学校があるんです。そこを見学に行きましたら、皆さんもう本当に学校とは思えない黄色い頭をしたりそれぞれなんですけれども、すごく楽しそうに実習していらっしゃるんですね。
 そのインターンということがやっぱり学校で、私は、それは労働省のところですから学校からそういう訓練所には行けないかと伺ったんです。学校からこういうところに来れないんですかと申し上げたら、行けないと伺ったんです。私は、今こういう若者が迷っている時代は、就職というと何か実質的で嫌ですけれども、将来何になったらいいだろうという迷いがやはりすごく強くあると思う。インターンというとおかしいんですけれども、実習みたいなことを学校の授業の中に組み込んでできて、自分は将来何になろうかということがもう少し私たち周囲の者の努力で学生たちが見れたらいいんではないかなと。
 私、今ドットジェイピーという組織からインターンの学生さんが四人ほど来てくれて、そして国会議員の様子を研修に来てくれているんですね。でも、この制度は私立の制度なんですけれども、すごくいい制度で、いろんなことを一緒にしてくれるんですけれども、その人たちが就職をするかしないか考えるのにもすごくいいと思うし、やはり日本全体にもう少し就職との関連が学校の中で行われるようにしたら随分子供たちが安心して学校に行けるんじゃないか。
 うちの子供たちも、三人いましたけれども、どれもこれも就職のことになると本当に悩んで、それで結局あれやこれや、生物学科に行っていたのに宣伝会社に就職したのもありますし、それから私の秘書をしているのもありますし、いろいろあるんですけれども、とにかく学校の中でもう少し就職との関連を学ぶことができたらいいと思います。
 文部科学省は厚生労働省と連携し、学校と職場を結ぶパイプとしてインターンシップ制度を教育カリキュラムの中に積極的に取り入れることができないだろうか。縦割り行政の弊害は学校と職場の交流の欠如という形で国民に返ってきています。子供に職業意識、大人の人も子供を受け入れることによって未来への責任感を芽生えさせる大きな可能性を秘めたインターンシップの導入を期待します。縦割りの壁を越えていってほしいのです。
 学校教育のカリキュラムについて、我が国では法的に何の規定もありません。学習指導要領に基づく行政の指導によって全国的に文部科学省が決定権を持つというふうに見て、そういうことですけれども、非常にこれは珍しいケースだと思います。さっきおっしゃったように、アメリカはそれぞればらばらですから、文部省が統一していません。教育現場により近い学校の教師や父兄、生徒自身などによってみんなでカリキュラムの決定権を持つ、そういうふうにその方たちにもカリキュラムを考える権利を渡していくようなことはお考えになれないでしょうか。それだけです。
#219
○副大臣(河村建夫君) 高橋先生御指摘の点は非常に私も大事なことだと、こう思います。
 実は、今度の教育改革関連で二十一世紀教育新生プランというのを立てました。その中の十番目に職業観、勤労観をはぐくむ教育を推進しようということで、まさにインターンシップ等の推進というのがございます。十三年度予算の中にも大学、短大、高専等の関係の推進に五億円、それから高等学校のインターンシップを進めるための一億円と予算を実は今組んでおるわけでございます。
 それで、公立の高等学校あたりも、実は職業高校あたりはそのことに盛んにもう既に取り組んでおりまして、一番進んでおります農業高校あたりは実際のお百姓の家へ行くんです。これもう六二・七%、工業高校が四三%、水産は実習もございますが四四%、家庭科では四八%、看護科なんというのはもう実際に行かないと仕事になりませんから一〇〇%行っております。
 そういうことで、このインターンシップ制を取り入れながら実際の勤労観を養い、そして同時に自分の進路をそういう中で見つけていくということでございます。ただ、普通科だけはこれはそういうひとつの、まだ就職しない、大学ということもございましょう。わずか七・四ですが、これでもインターンシップということがもう導入されております。これはこれからもっと進みます。
 そして、おっしゃったように、もちろん厚生労働省との連携の中で企業側にもしっかり受け入れていただかなきゃなりません。このことは文部科学省も十分留意をしておりまして、もっともっと進めていかなきゃいけない政策で、先生のお言葉によってさらに拍車をかけてやっていかなきゃいかぬと、このように思っております。
#220
○高橋紀世子君 ありがとうございました。
 やはり看護学校とか特別のスペシャリストの場合は子供たちが決めて、自信を持って決められているところはそれはそれなりで意味があるんですけれども、決められていない、これから選択しようと思うところにインターンシップの制度が大切だと思いますので、普通科のところにやはりそういう手を差し伸べることが将来との距離が学生さんに近くなって、やはり自分の将来を考えていない学生や生徒はいないと思いますので、普通のどっちへ行っていいかわからない子供たちに一緒に考えてやるような環境づくりをしていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
#221
○委員長(市川一朗君) 以上をもちまして、平成十三年度一般会計予算外二案中、総務省所管のうち日本学術会議及び文部科学省所管についての委嘱審査は終了いたしました。
 なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#222
○委員長(市川一朗君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時一分散会
ソース: 国立国会図書館
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