くにさくロゴ
2001/06/28 第151回国会 参議院 参議院会議録情報 第151回国会 文教科学委員会 第16号
姉妹サイト
 
2001/06/28 第151回国会 参議院

参議院会議録情報 第151回国会 文教科学委員会 第16号

#1
第151回国会 文教科学委員会 第16号
平成十三年六月二十八日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 六月二十六日
    辞任         補欠選任
     久保  亘君     小林  元君
 六月二十七日
    辞任         補欠選任
     斉藤 滋宣君     柳川 覺治君
     堀  利和君     石田 美栄君
 六月二十八日
    辞任         補欠選任
     扇  千景君     鶴保 庸介君
     佐藤 泰三君     鹿熊 安正君
     小林  元君     川橋 幸子君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         市川 一朗君
    理 事
                亀井 郁夫君
                松村 龍二君
                佐藤 泰介君
                内藤 正光君
                荒木 清寛君
    委 員
                阿南 一成君
                有馬 朗人君
                鹿熊 安正君
                鶴保 庸介君
                中曽根弘文君
                水島  裕君
                柳川 覺治君
                石田 美栄君
                川橋 幸子君
                小林  元君
                本岡 昭次君
                松 あきら君
                阿部 幸代君
                畑野 君枝君
               日下部禧代子君
                山本 正和君
                高橋紀世子君
   衆議院議員
       修正案提出者   平野 博文君
   国務大臣
       文部科学大臣   遠山 敦子君
   副大臣
       文部科学副大臣  岸田 文雄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        巻端 俊兒君
   政府参考人
       文部科学大臣官
       房長       結城 章夫君
       文部科学省生涯
       学習政策局長   近藤 信司君
       文部科学省初等
       中等教育局長   矢野 重典君
       文部科学省高等
       教育局長     工藤 智規君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一
 部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○学校教育法の一部を改正する法律案(内閣提出
 、衆議院送付)
○社会教育法の一部を改正する法律案(内閣提出
 、衆議院送付)
○私学助成の拡充並びに公立学校及び私立学校に
 おける三十人学級の実現に関する請願(第一号
 外四件)
○三十人学級の早期実現、私学助成の拡充等に関
 する請願(第一一号外六件)
○三十人学級の実現、教育費の父母負担軽減等行
 き届いた教育の実現に関する請願(第一二号外
 二件)
○子供に対する行き届いた教育の実現に関する請
 願(第一三号外一〇件)
○すべての子供に対する行き届いた教育の実現に
 関する請願(第一七号外三〇件)
○三十人学級の実現及び教育予算の大幅増に関す
 る請願(第一八号)
○私学助成の大幅増額を始めとする教育関係予算
 の拡充に関する請願(第二六号外二件)
○すべての子供に対する行き届いた教育の保障に
 関する請願(第七四号外五件)
○安心して子供を教育することができるための緊
 急対策に関する請願(第八七号外一〇件)
○行き届いた教育のための私学助成の大幅増額等
 に関する請願(第一一〇号外四件)
○私学助成の大幅な増額に関する請願(第一一二
 号)
○すべての子供に対する行き届いた教育の推進に
 関する請願(第一一三号外一件)
○私学助成制度の大幅な拡充に関する請願(第一
 二三号外一件)
○私学助成の大幅拡充等に関する請願(第二四六
 号外三件)
○小中高三十人以下学級の早期実現、私学助成の
 抜本的拡充等に関する請願(第二五七号外一件
 )
○私学助成の大幅増額等教育条件の改善に関する
 請願(第二五八号外三件)
○国立大学病院における医療等を充実させるため
 の看護婦の増員に関する請願(第二八一号外三
 件)
○私学助成の拡充等教育環境の改善に関する請願
 (第二八三号外三件)
○私立専修学校の教育・研究条件の改善及び父母
 負担軽減に関する請願(第三〇五号外二六件)
○教育費の父母負担軽減及び教育条件の改善を図
 るための私学助成の大幅増額に関する請願(第
 三三六号外一件)
○教育条件改善特別助成など私学助成の大幅増額
 等に関する請願(第三七〇号外二件)
○図書館司書等の正規職員としての配置等教育条
 件の改善に関する請願(第三七四号)
○サッカーくじの実施計画を再検討すること等に
 関する請願(第三七五号外三件)
○奉仕活動の強制等を内容とする教育改革関連法
 案反対等に関する請願(第七八〇号外三一件)
○サッカーくじの実施方法を再検討すること等に
 関する請願(第一二一九号外二三件)
○保護者の負担軽減及び教育条件の改善を目的と
 する私学助成の拡充に関する請願(第一七一八
 号外一件)
○三十人学級の早期実現及び適正な教育改革に関
 する請願(第一七二〇号)
○学校保健法に基づく学校病としてアレルギー性
 疾患を指定することに関する請願(第一九八三
 号外二四件)
○教育基本法の見直し反対及び奉仕活動の義務化
 等を内容とする教育改革関連三法案の廃案に関
 する請願(第二六一三号外一件)
○継続調査要求に関する件

    ─────────────
#2
○委員長(市川一朗君) ただいまから文教科学委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る二十六日、久保亘君が委員を辞任され、その補欠として小林元君が選任されました。
 また、昨日、斉藤滋宣君及び堀利和君が委員を辞任され、その補欠として柳川覺治君及び石田美栄君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(市川一朗君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案、学校教育法の一部を改正する法律案及び社会教育法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に文部科学大臣官房長結城章夫君、文部科学省生涯学習政策局長近藤信司君、文部科学省初等中等教育局長矢野重典君及び文部科学省高等教育局長工藤智規君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(市川一朗君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(市川一朗君) 地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案、学校教育法の一部を改正する法律案及び社会教育法の一部を改正する法律案の三案を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○佐藤泰介君 民主党の佐藤泰介でございます。おはようございます。
 大臣初め副大臣、また役所の方々、大変御苦労さまでございますが、いよいよ大詰めになってまいりました、私はきょうは、地教行法、学校教育法、社会教育法一部改正案に関する議論、これまで多くなされてきた疑問点、課題が明らかになってきましたので、ここまでの審議を踏まえて私なりに論点整理をさせていただいて、運用に当たっての疑問点を中心に、既に答弁をいただいた部分もあり重なる部分もあるかと思いますが、最終的な確認の意味も含めてそれぞれ確認の質問を中心にさせていただきたいというふうに思っております。
 民主党としては衆議院段階において賛成してきた法案でございますので、私自身としては気持ちよく賛成できるような形での答弁をいただければありがたいのかなと、このように思っておりますので、そんな意味を含めてまず御要望を申し上げておくと同時に、大臣を中心に答弁をいただきたいと思いますけれども、それぞれ副大臣なり局長さんで結構でございますので、私がある程度納得できるような答弁がいただけるようなことを冒頭お願いしながら、三法の提出前の経過等の問題点についてはこの委員会でもかなり明らかにはされ指摘もされてきたところでございます。しかし、私自身はそのことは代表質問で申し上げておきましたので、そのあたりは省略をさせていただいて、三法案についてそれぞれ一つ一つ具体的に、先ほど申し上げたように確認をさせていただくというような意味を含めて質問してまいりたいと思っておりますので、大臣初め副大臣、よろしくお願い申し上げる次第でございます。
 三法に入る前に、社民党の山本先生の方から先日出されました件でございますけれども、先日成立しました行政機関が行う政策の評価に関する法律は国民の視点に立った政策評価が求められていると考えられておりますが、この地教行法等三法案も政策評価の対象となると私は考えておりますが、文部大臣に改めてこれらの点についてお伺いをしたいというふうに思う次第です。
#7
○国務大臣(遠山敦子君) 文部科学省におきましては、国民に対する説明責任の徹底を図りますとともに、国民的視点に立った成果重視の行政への転換を図るという観点から、政策評価実施要領でありますとか計画を策定いたしますなど、政策評価を実施するための体制の整備に努めているところでございますが、今国会で行政機関が行う政策の評価に関する法律が成立いたしましたことに伴いまして、今後より一層積極的に政策評価に取り組んでいくことといたしております。
 したがいまして、地教行法等三法案の改正によって実施されていきます施策につきましても、政策評価の対象として政策評価実施要領等に定められた方法に従って評価を行いまして、その結果を教育改革を初めとする政策の改善充実に適切に反映していくことについて検討してまいる所存でございます。
#8
○佐藤泰介君 この前の山本先生の質問に対して若干不確かな部分もありましたけれども、きょう明確に御答弁をいただいたというふうに御理解をさせていただきます。とりわけ、この地教行法三法案の改正により実施されていく施策についても、政策評価の対象とし評価を行い、その結果を教育改革を初めとする政策の改善充実に反映していくとの答弁でございましたけれども、若干この改正法案、出てきた経緯は別にいたしましても、運用に当たってさまざまな疑問、課題が出されました。飛び入学は果たして大丈夫なのか、それから転職の問題等々本当に恣意的にならないのか、どうとかこうとか、さまざまな問題が指摘されてきたというふうに思っております。
 したがって、始まる前から問題があるということはなかなか大臣としても言いにくい部分があろうとは思いますけれども、そしてそれらの疑問について大臣も副大臣も精力的に答弁をされて、こういうふうにやっていくんだから、多少の御疑念はあっても、言葉はいいか悪いかわかりませんけれども、走りながら考えていくというような部分もあったのではないかというふうに思っております。
 したがって、十分に政策評価をしていただくわけではございますけれども、あくまでこれは仮にでございますけれども、評価の結果、問題があった場合はどのように対処されていくのか。また、今は触れられませんでしたけれども、三法案に基づいて展開される政策について事前評価等は行われるのかどうか、その点も重ねて恐縮ですが大臣の方からさらに御答弁がいただければというふうに思いますが、副大臣でも結構です。
#9
○副大臣(岸田文雄君) 政策評価におきましては、政策の達成状況の把握による政策の的確、着実な実施の推進、あるいは社会経済情勢の変化を踏まえた改善、見直し、こうしたもののため、政策の実施途上においても評価を行うことが求められております。
 今、先生の御質問にありましたように、仮に評価により問題点が判明すれば、当該政策の改善、見直し、新たな政策の企画立案、こういったことによって適切にこうしたものを反映していかなければいけないと考えております。
 そして、もう一つ、事前評価につきまして御質問をいただきました。
 行政評価法において事前評価が義務づけられている政策は公共事業等一部の政策に限られておりますが、ただ、これに加えまして、広く文部科学省の政策全般について事前評価も含めて政策評価に取り組んでいくということに文部科学省としてもしております。ですから、義務づけは限られておりますが、この政策評価に取り組むに当たりまして、事前評価も含めてしっかりと取り組んでいきたいと考えております。実績、経験を積みながら評価の充実に努めていきたいと考えております。
#10
○佐藤泰介君 ありがとうございます。
 前回だったか前々回のところの政策評価に基づく施策の評価のあり方等々について、一定の明確な形になったのではないかというふうに思っております。それは、あくまで万が一という言葉をつけられましたけれども、問題があれば十分に見直す用意はあると。それはあくまで子供たちにかかわることでありますし、広く国民生活にかかわることでございますので、事前評価についても法律ではこういう制約があるというようなことが言われておりましたけれども、教育問題というのはかなり国民各層に影響がありますし、広く国民に影響がある課題でございますので、事前評価も含めて進めていくという御確認をいただいたというふうに御理解をさせていただきながら、この問題は終わって、次の問題に質問を移らせていただきます。
 次に、この教育三法に関する諸施策を実施していく場合にも、財政的な裏づけといいますか、そういうものが必要になってくるんだろうと私は思っております。それはまさに当然のことと思いますし、さらにこの三法案による諸施策以外についても、教育改革を進めていくに当たっては、国の財政状況厳しい中ではありますけれども、小泉首相も小林虎三郎の逸話を引用して大変強調されたのであろうと私は理解しております。
 したがって、これからの二十一世紀、もう始まったわけでありますけれども、二十一世紀の人材の育成に必要な財源に関して、これはどこのどこのというふうには言いませんけれども、有馬先生はとりわけ高等教育の部分を強調されますけれども、全体を通じて、これからの二十一世紀、やはり日本の資源は人材でありますし、それから科学技術で生きていかなければならない、そういう国だというふうに考えますので、この三法案を現実に実施していく場合、あるいはこれからの教育改革、経済財政諮問会議で遠山大臣も一定の報告をされたようでございますけれども、きょうはあれに触れる時間はないのかもしれませんけれども、あれもちょっと急激な乱暴な方向転換かなという気もしないでもないんですけれども、そういったことは別にしまして、ともかくこの三法案を進めていくために、あるいはその他の人材養成を進めていくためにも、やはり私は財政的な裏づけが非常に重要になってくる。財政的な裏づけをつけずに頑張れ頑張れではなかなか、それは限度があるというふうに思っております。
 そうした人材養成に関する財源の確保に向けて、大臣の決意、あるいは国家予算のうちの文教科学予算、何%ぐらい獲得したいとか、私の記憶によれば大体下がってきているのではないかというふうに思っています、国家予算の中の文教の占める割合が。したがって、できますれば、私は、国家予算全体、一般会計の中の一〇%ぐらいはやっぱり将来に備えた財源措置を講ずるべきではなかろうかなというふうに基本的には思っておりますが、今は何%になっているんですか。七%、その程度か、六%なのか、ちょっと記憶が私は定かではございませんけれども、下がってきていることは事実。多少の上がり下がりはあるにしても年々下がってきているのではないかというふうに思いますが、それはそのときの事情事情によってそうならざるを得ないということもあるんだろうと思います。
 とはいいながら、これから二十一世紀に向けて、日本を本当に子供たちが支えていく、そういう状況をつくっていく、一方では子供たちがいじめ、不登校、大変な問題に直面しているわけですから、そうした問題を解決していくためにも十分な公財政といいますか、財政的な支援が、有馬先生は小中は大体いいんだろう、高校がとりわけ不足してえるということではございますけれども、その辺の連携をとりながら、全体として財政的な裏づけに向けた、やっぱりこれも大臣に決意をお伺いしたいなというふうに思います。
#11
○国務大臣(遠山敦子君) 一国の将来にとりまして、一人一人の子供たちが伸びやかに成長し、またその力を十分に発揮していく、そのために、よりよい学校教育を行うためにも予算は必要でございますし、またそういう国民の活躍を得てこそ一国の将来はあるわけでございまして、教育への投資はまさに先行投資として極めて重要なことであると考えております。今次内閣は諸般について改革断行という思想を明確にしている内閣でございますけれども、にもかかわらず、教育につきましてはその重要性を十分認識して現在いろんな施策が動いていると思っております。
 つい先般、経済財政諮問会議におきまして、今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針、これが閣議決定されましたけれども、その中にも、新世紀型の社会資本整備として重点的に推進すべき分野の中に、六項目中二項目、我が文部科学省に関する事項が挙げられております。一つは科学技術の振興であり、もう一つは人材育成、教育ということでございますが、この二つの点は平成十四年度予算の重点的に推進すべき分野の中にも取り上げられているわけでございます。
 もちろん、みずから削るべきものは削るという前提はございますでしょうけれども、しかし教育につきましては、今、委員御指摘のとおり、日本の将来にとって極めて重要な分野でございますから、初等中等教育初め高等教育、そして科学技術も含めて、我が省関連の予算というのは日本の基盤を力強くする、そういうものだというふうに考えておりまして、ぜひとも先生方の御支援も得まして、極めて厳しい財政状況ではございますけれども、だからこそこの分野に重点が置かれますように私どもとしても頑張りたいと思っているところでございます。
 現在の国の一般歳出と文部科学省予算の割合について申し上げますと、文部省予算と科学技術庁予算を足しまして、今、国の一般歳出に対する両方の分野の予算の比率は一三・五二%でございます。そういう状況にはなってございますけれども、私どもとしてはなお充実すべき分野がまだまだあると思いますし、今回の三法案、これが成立いたしますと、ますますきめ細かい面で教育関係の財政面での充実もより必要となってまいると考えております。これらの問題について今後とも十分に対応してまいりたいと思っているところでございます。
#12
○佐藤泰介君 大変力強い御決意を伺いました。
 とはいいながらも、未来への先行投資、もう大分聞きなれて、耳にたこができるような状況にあると自分自身では思っておりますが、その中でもかなりこれからの文教科学予算増額に向けての大臣の決意を酌み取らせていただきました。
 御支援をということでございますので、私どももこの文教科学委員会で教育問題について論じているわけでございます。何をするにしても財政的な支援措置が必要だろうというふうに思っていますので、私どもも大臣と同列といいますか、大臣の後押しをしながらそうした予算の獲得に向けていきたいというふうに思っております。
 ただ、私、今出てまいりました経済財政諮問会議の問題については、きょうは議論する時間はないかと思いますけれども、教育改革国民会議の問題もそうですし、中教審の問題もそうですが、今回はこれが中教審の論議があって国民会議が来てという形ですよね。そこへ今度、経済財政諮問会議でまた新たなものがぼんと来て、文教政策というのは一体どこが中心に立って立てていくのか。官邸からぼんと主導で来ると。教育というのは、そう一概にきょう決めたらあしたから変わるというような問題でもない。今までの積み上げが十分にある問題で、その中でどれだけ着実に合意形成を図り進めていくかということが重要なんだろうと私は思っています、実は。
 したがって、この三法についても、中教審と教育改革国民会議のかかわり方、それから今度はまた経済財政諮問会議で遠山大臣が発表された中身、それは中教審とどうかかわってくるのかというようなことがこれから生じてくるんだろうと思いますが、一応国の形として小泉総理がそのような手法をとられていくことには理解を示しつつも、やっぱりこれからの文教政策の立て方、あり方については、極端な言い方はもうしませんけれども、中教審の重みが、もうどうでもいいとは私言っておりませんけれども、意見を聞く程度に、今までは大体中教審が答申されて、それに基づいて諸施策が進められてきたと思うんですが、それが国民会議が来、経済財政諮問会議が来、そして一定のものを文部科学省でまとめられ報告をする。
 とりわけ国立大学の民営化の問題が若干中心であったのではないかと思っていますけれども、その問題もちょっと大臣が触れられましたので、こんな感想を持っているということをちょっと申し添えておきますけれども、これはこの国会ではなくて次の国会ぐらいに大幅な形で法案化されてくるんではなかろうかなというふうに私は思っています。
 しかし、やっぱり教育というのは、余りにも急激な変化というのは果たしてどんなものなんだろうかということを私は思っております。基本的には方向性としては全く否定したり反対するものではございませんけれども、中教審の位置づけや、あるいはそうしたものと首相直属のところから来るものとをどういうふうにしていくのかということは、一度しっかり論議をする必要があるんではないかということを私は思っております。
 ちょっと経済財政諮問会議に触れられましたので、感想、御答弁はいただきませんが、私がそんなことを思っているということだけ申し上げて、次の質問に入らせていただきたいというふうに思います。
 それでは、行政評価にかかわる部分はこれで終わりにさせていただいて、地教行法関連についてお伺いをさせていただきたいと思います。
 教育委員会の活性化についてですが、地方分権の大きな柱となっています教育の分権化の中で、教育委員会の役割はより重要なものとなってきていると思っております。特に教育委員の選定に当たっては、これまでさまざまな取り組みがなされ、また議論もされましたが、私はその象徴として東京中野区の区民推薦制などが一つは挙げられると、このように思っております。これらは住民の声を適切に反映するための工夫であるというふうに私は思っております。
 文部科学省でも、教育分権の観点から、地域の実情に合ったさまざまな方法での教育委員の選定をするように指導すべきであると考えますし、そんな趣旨も踏まえてこの法改正に至ったんだろうと思います。そのあたり、どのようにお考えになってみえるか、お伺いをさせていただきたいと思います。
#13
○副大臣(岸田文雄君) 先生から御指摘がありましたように、教育委員会というものは地方分権の流れの中で大変重要な役割をこれからも果たしていくものだと思っております。
 今回の改正案におきまして、教育委員会に地域住民の意向をより的確に反映するため、教育委員の任命に当たってその構成に配慮すること、こうしたことを規定することとしております。また、平成十年九月の中教審の答申におきましても、教育委員が幅広い分野から構成されるよう、その選任にさまざまな工夫を講じることが提言されております。
 こうしたさまざまな意見、議論を踏まえまして、文部科学省としましても、各地方公共団体において、それぞれいろんな事情がありますが、そうした事情の上でさまざまな工夫を凝らして教育委員の適材確保が図られること、これはぜひ進めていただかなければいけないと思いますし、文部科学省としても努力をしていきたいと考えております。
#14
○佐藤泰介君 ぜひさまざまな工夫を。
 ちょっと聞き漏らしたか、東京中野区の区民推薦制についてはお触れいただきましたでしょうか。
#15
○副大臣(岸田文雄君) 中野区の教育委員の推薦制につきましても一つの工夫の例だと認識しております。
 中野区においては、平成八年四月から区長が定めた要綱によって教育委員候補者区民推薦制度が行われておりますが、これは、区民が教育委員にふさわしいと考える人物を区長に推薦する、また推薦者が百人に達した者についてはそれ以上の集計はせず、本人の同意を得て氏名等を公表する、そして推薦結果は区長に報告されるが、区長は教育委員候補者の選任に当たりこれに拘束されることはないというものであります。
 この区民推薦制度につきましては、区長が教育委員候補者の選定に当たって区民の推薦の結果に拘束されないということ、あるいは百名に達した者についてはそれ以上の集計を行わないことから勧誘運動等がなされる可能性が低いということ、こういったことから法令上も問題ないと考えておりますし、一つの地域における工夫の例としてとらえております。
#16
○佐藤泰介君 ありがとうございました。
 平成十年の中教審でも既に答申がされているということで、今お見えになられませんが、阿南委員の方からも遅過ぎたんではないかというような指摘もございましたので、ぜひ各都道府県教委がさらに工夫が凝らせるような実効ある御指導、やっぱりかなり高年齢になってきて、ある部分では都道府県の教育委員会なんか不必要ではないかというような極論も出てくるやに聞いておりますので、そうではなくて、都道府県の教育委員会がリードしていくというような形の構成になり、活性化が図られるようなことがやっぱり私は教育の分権化にもつながっていくというふうに思っております。
 中野区の区民推薦制については、これ以上論議はしませんけれども、一つの工夫、住民の声を聞くにはかなりいい方法かなと、私はこのようには思っておりますけれども、あくまでそれは任命権者が決定していくことだということで任せてある、その中での一つの工夫だということの答弁でございますので、それはそれで私も納得、理解をさせていただきますけれども、やはりこれはどう実効を上げていくかということなんだろうと思いますので、かなり前から言われていることでもあったわけでございますので、実効が上がって教育委員会がさらに活性化されて、そこからそれが現場に反映していくような形でのお取り組みをお願いしておきたいというふうに思います。
 それでは次に、指導が不適切な教員についてですが、これまでこの問題については議論をされましたが、私は整理をさせていただく意味で、これまでの議論と重なるかもしれませんけれどもお許しをいただいて、私なりにこの議論を整理し、確認をしたいと思うのです。
 指導が不適切な教員の転職の措置は、同一地方公共団体であれば転任に相当するもので、任命権は都道府県教育委員会にあるが、身分は市町村の職員であるため、形式的には免職と採用は一体のものとして都道府県に採用されると、このようにこれまでの質疑の中で理解をさせていただきましたが、その理解でいいのかどうか。加えて、採用の際には、それらの職員の適性、知識等を十分に配慮することと聞いておりますが、そのような理解でいいのかどうか、お尋ねをしたいと思います。
#17
○政府参考人(矢野重典君) 本法律案におきます指導が不適切な教員の転職の措置は、委員から御指摘がございましたように、これが同一地方公共団体のうちでございますれば転任の処分に相当するものでございます。
 そこで、市町村立小中学校の教員は、御案内のようにその任命権は都道府県教育委員会にあるわけでございますけれども、身分はあくまでも当該市町村の職員でありますことから、ある市町村立小中学校の教員を別の市町村に異動させる場合には、法形式上、現在所属する市町村を免職して他の市町村に採用するということとなっておるわけでございまして、本措置におきましても、市町村を免職し、引き続いて都道府県に採用することとしているものでございます。
 そういう意味におきまして、このたびの免職・採用は、それぞれ免職と採用という独立した二つの処分ではなくて、法律上一体不可分に実施されるものでございまして、免職のみが行われてそして採用がされないということはこのたびの措置ではあり得ないものでございます。
 また、お尋ねの本法律案の措置により教員を教員以外の職として採用するに当たっては、対象となる教員の新たにつく職につきましては、新たにつく職についての適性や知識等を十分考慮すること、このことを明文上定めているところでございます。したがいまして、本措置は当該教員が新たにつく職に必要な能力を有すると認められる場合に限り適用できるものでございまして、我が省といたしましては、都道府県教育委員会に対してこの趣旨を周知し、適切に運用されるように指導してまいりたいと考えているところでございます。
#18
○佐藤泰介君 私の理解を深めさせていただきまして、ありがとうございました。
 そこで、その答弁について、ちょっとこれは通告はしていない質問になるのかもしれませんけれども、転職の措置を決定した後、新たに職につくのですが、この新たな職につく場合の必要な適性、知識等があると判断するのは一体だれがどこで判断するんでしょうかという問題と、また適性があったとしても、転職の措置の決定の時期にもよるのでしょうが、職場の定員のあきがない場合により実質的に待機状況で決定を待つことになりはしないのか、そのときの当該教員の仕事は一体どうなるのか、そしてその待機の期間等を含めてそれはどれぐらいの期間になるのか、長い期間の待機は極論すると懲罰的な側面を生む可能性も私は生まれてくるのではないかと、このように思いますので、これらの点について理解できるような答弁をお願いできればというふうに思います。
#19
○政府参考人(矢野重典君) まず、最初の点でございます、新たな職の適性や知識等について当該者がそれを有しているかどうかということの判断でございますが、それはその職についての任命権を有する、この場合でございますと都道府県教育委員会が判断をすることになるわけでございます。
 それからもう一点は、定数等の関係でそのポストにあき等のないという状況の場合の、仮に不適切な教員がいた場合の扱いでございますけれども、まず一点は、仮に当該者が指導が不適切な教員に当たると認定されるような場合におきましても、ポストに余裕がない、新たなポストがない場合には、これを認定をしていわば宙ぶらりんの状態に置くというようなことは、そういう扱いはなされることはないわけでございます。
 しかし、仮にあきがない場合のその者の扱いでございますけれども、やはり指導が不適切という判断でございますから、これは従来どおり教員として教育活動に従事するのはふさわしくないわけでございますので、教育センター等において必要な研修をしていただくということになろうかと思うわけでございます。
 その場合の期間でございますけれども、これは一概にどれくらいの期間ということは申し上げることはできないわけでございますけれども、いずれにいたしましても教育にとって大変大きな問題であるわけでございますから、任命権者において必要なポスト等につきましては優先的に御配慮をいただいて、しかるべくこの法律に基づく措置をとっていただけるものというふうに考えておるところでございます。
#20
○佐藤泰介君 大体理解できたような、ちょっと理解できぬような部分がございますが、指導が不適切ということが決まり、とはいえポストはない、したがってそれは免職・採用にならずに教育センター等で研修をしていただくと。指導が不適切なという前にはかなり研修を積むというのがこの法案ではなかったかと私は思うわけです。研修を積んでも、転職の措置必要あり、そして転職をする先がない、もう一遍研修しなさいと。極端な言い方をすると、転職が決まるまでは研修漬けをやるという趣旨ではないと思いますけれども、そんなようにも今の御答弁は理解ができたわけですけれども、転職の当てがない場合は、一応職は探すけれども当てが見つかるまでは再度研修をやる、学校へは戻すわけにはいかないのでと。
 適切なポストが見つかるまでは研修、その研修は学校現場に戻るような研修ではなくて、新たな県職員に行くような研修をそこでされるのであろうか。ちょっと自分の頭の中の整理が十分じゃないかもしれませんけれども、理解いただけますか、これは。
#21
○政府参考人(矢野重典君) 今、先生のおっしゃったのは、個々のそういうケースも、理屈のというんでしょうか、仮定の話としては当然あり得るわけでございますけれども、やはり都道府県というのは、県の教育委員会というのはそれ相応のポストもあるわけでございますし、また定年退職者等によるそういう定数というのも考えられるわけでございます。
 そういう状況の中で、この問題というのは大変重要な意味を持っているわけでございますので、そういう意味では、私どもとしては、人事権者としては優先的に、またそのことを十分考慮してこうした措置について対応していただけるものというふうにまずは考えるわけでございますが、今、佐藤先生がおっしゃったように、そういうケースもぎりぎりの場合としてはあり得るわけでございます。
 いずれにしても、指導が不適切と考えられる場合には、引き続き教壇に立って教育に携わっていただくことはやはり望ましくないというふうに私どもは考えるわけでございます。
#22
○佐藤泰介君 当然そこの措置からすれば、行き先がないから学校現場へ戻ってもう一遍教壇に立ってというのは、これは子供が不幸になるわけでございますのでぜひ避けていただきたいというふうには思いますが、定年退職といったって、それは前年度で採用を決めて、大体あくからと採用を決めてしまう場合が多いわけですし、優先的に、多分これは年度末に行われるんでしょうから、年度末に不適切採用分の枠をあけておくなんということはちょっと困難だろうと思います。しかし、それは都道府県の工夫の中でということですので、一遍この推移を見ながら、冒頭の、問題があれば見直すというところで御検討をいただきたい、これ以上はもう言いませんが。
 そうすると、ともかく現場からは離すわけですから、その外れたことによる現場の定数補充というのは一体どうなるんですか、それは。その点をちょっとお尋ねします。
#23
○政府参考人(矢野重典君) これは一般的には研修等定数によって措置されることになろうかと思います。
#24
○佐藤泰介君 今の問題のところは、やっぱりもう少しうまくいくような配慮、工夫、都道府県教委とも詰めをしていただいて、私の疑問がさらに解消されるようにお願いをしておきたいというふうに思います。
 では、次の質問に移らせていただきますけれども、これも議論されたところですが、今回の措置が公正かつ適正に運用されるか。そのことは当然のこととして、恣意的な運用を避けるためにどのようにされるのか、また運用の透明性をどのように保持されるのかという点についてまずお伺いをしておきたいと思います。
#25
○政府参考人(矢野重典君) 御指摘のように、このたびの措置が各都道府県教育委員会において公正かつ適正に運用され、恣意的にならないようにすることは極めて大事なことである、重要なことであるというふうに認識をいたしているところでございます。
 このため、各都道府県教育委員会の判断に資するよう、施行通知におきまして指導が不適切であるに該当する具体例を示すことといたしているところでございますし、また指導が不適切であるかどうか等を判断するための手続を教育委員会規則で定めることを法律上義務づけているわけでございますが、この手続の具体的な内容として想定しているものを施行通知でお示しすることといたしているところでございます。
 さらに、施行通知の内容や趣旨を各種会議の場で説明、指導すること等を通じまして、都道府県教育委員会における運用が適正かつ公正となるように指導を徹底してまいりたいと考えているところでございます。
#26
○佐藤泰介君 その点は理解をさせていただきました。
 では、次の質問ですけれども、この措置の具体例の中で、指導方法が不適切である項は、真剣に取り組む教員の創意工夫を阻害したり、これをやったら指導方法が不適切に当たるんじゃないかとか、そういう現場の教師が萎縮するといけませんので、真剣に取り組む教員の創意工夫を阻害したり、さまざまな指導方法を画一化の方向に進めるべきものではないかとの若干の懸念も私は感ずるわけでございますけれども、大臣はそのあたりはどのようにお考えでしょうか。
#27
○国務大臣(遠山敦子君) 申すまでもなく、教員一人一人が学習指導要領に則しながら、みずからの創意工夫をしながら授業を展開するということはもう基本でございまして、重要なことであることはおっしゃるとおりであります。
 今回の法律案の要件であります指導が不適切であるということに該当する三つの具体例を挙げておりますけれども、これらのことが教員の創意工夫を阻害したり、あるいは指導方法の画一化を図るということはないというふうに考えるわけです。
 三つの具体例の一つであります指導方法が不適切である場合として挙げましたものは、一つは、ほとんど授業内容を板書するだけで児童生徒の質問を受け付けない、そのような先生はほとんどいらっしゃらないとは思いますけれども、そのようなことであれば児童生徒は大変不幸なわけでございます。あるいは、児童生徒の発達段階や理解度を無視した授業を行う、そのようなことがあれば児童生徒はこれはついていけないわけでございますから。あるいは、もう十分理解し切っていることを繰り返し繰り返しというふうなことも不幸であるのかもしれません。
 それらのことは、先ほど申しましたように、学習指導要領に則した教員の創意工夫を阻害したり、あるいは指導方法が画一的になるということで、それぞれの教員が何か恐れを感じられるなんということはないと思いますし、またそのようなことであってはならないと考えているところでございます。
#28
○佐藤泰介君 私も全く同感でございまして、とりわけ最後の、そのようにあってはならないという答弁のところに大変期待を申し上げたいというふうに思っておりますが、これにかかわってちょっとお尋ねをしますけれども、今、三つの具体例の一つを話されましたけれども、ほかの具体例として、学級経営、生徒指導を適切に行うことができないというようなものも挙げられていると思います。
 嫌な言葉ではございますけれども、学級崩壊というような言葉が今使われております。そうしますと、学級崩壊イコール学級経営、生徒指導を適切に行うことができないイコール指導が不適切、多分保護者からはそんなことが言われるんではないかというふうに思います。
 しかし、学級崩壊というのは一概に教師の指導が不適切によって生ずるのか、あるいはさまざまな要因がそこにはあってそういうことが生じてくるんだろうと思います。非常に学級経営とか生徒指導を適切に行うことができないという部分と学級崩壊の部分が似通ってくる、類似してくる可能性も私はあると思うんです。それをもとにして、一概に指導が不適切というようなことには多分ならないんだろうというふうに思います。そこに至るまでにはさまざまな調査あるいは聞き取り、さまざまなことがされるんだろうと思いますけれども、一般的に言って、学級崩壊した、親が学校に言ってくる、学級経営、生徒指導不適切、学級崩壊になっている学級の先生は指導が不適切、これは現場ではそうではなくてお互いに助け合ってやっているんだと思いますけれども、そういうことが出る可能性は私は十分にあると思うんです。
 そうすると、その三つぐらいの例の中に学級崩壊が、その言葉だけが先行するような嫌いはないのか、その辺はどんなふうに考えておみえになるのか。
#29
○政府参考人(矢野重典君) 確かに、指導が不適切であることに該当する具体例として、その一つとして学級経営や生徒指導を適切に行うことができない場合もあり得るとしてお話を申し上げましたけれども、これは今、佐藤先生が御指摘になったような、学級崩壊といったようなことがあれば直ちにこのケースにつながるという話では全くないわけでございまして、例えばその原因が児童生徒の心を理解する能力や意欲に全く欠けているといったようなことでございまして、例えばこれが児童生徒の意見を全く聞かないとかあるいは対話もしないとか、そういうことを通じて生徒とのコミュニケーションを全くとろうとしないといったような、そういうまさに先生の資質、能力に起因するといったようなケースについて、学級経営や生徒指導を適切に行わない場合の例として挙げているわけでございまして、今御懸念されているようなケースが直ちにこのケースに該当するものとは一般的には考えられないものでございます。
#30
○佐藤泰介君 それで若干安心をいたしましたけれども、私は、文部科学省が具体的な例として挙げられている三点も、さまざまな学校内の現状に置きかえると、判断の基準ではありますが、私は決定的な要素とはならないのではないか、このように考えています。したがって、今後、これらの例が、例えば学級崩壊というようなものが、今の答弁を聞けばわかるわけでございますけれども、学級崩壊、指導が不適切というような、そんなことがひとり歩きを始めるようなことになれば私は大変なことになってくるんだろうなというふうに思いますので、そういった言葉だけがひとり歩きしないような十分な説明を都道府県教委にされるのか。
 あるいは、このパンフレットを出されましたですね。ちょっとこれを最初見たときに、どこが出したパンフレットかなと私は思いました。「私たちは議論を恐れません。」と。一体、挑戦的なこの文書、どこが出したのかなと。裏を見たら「緊急を要する教育改革」と。ああ、これは文部科学省が出したのかなと。それでも信用できずにこれを見たら、「文部科学省生涯学習政策局」と書いてあるから、これはやっぱり文部科学省から出たのかなと。
 山本先生、こっちを見てみえますけれども、対立の中からは教育改革が進まぬのだと、そんなお話もございました。私も全くそれは同感ですよ。それを文部科学省が、「私たちは」というのはこれは文部科学省なんでしょうか、「議論を恐れません。」と。フォーラム、シンポジウムでどんどん進めていきますよと。やっぱりちょっと強引な感じじゃないですか、大臣。大臣就任の前だと思いますけれども、大臣が就任されてみえたらこんなタイトルはつかなかったのではないかと私は思いますが、やっぱりこれは教育こそは国民合意のもとに着実に進めていく、そういうタイトルであるべきだと、ちょっと話が脱線しましたけれども、そういうタイトルであるべきだと私は思うんですよ。
 そして、この中を読んでまいりますと、「「プロ」としての教師を育成します」、「指導が不適切な教員への厳格な対応(教壇に立たせない)」、「児童生徒に対応する指導が不適切な教員を、教員以外の職に円滑に異動させるための方途を創設します。」と。これをフォーラム、シンポジウムに持っていって、保護者から、こう書いてある、うちの学級は学級崩壊になっておる、これはここに当てはまりますね、うちの先生はもう教壇に立ちませんねと、そういう質問は当然出てくると私は思うんですよ。
 そうすると、今、学級崩壊をもって即不適切な教員だとは言わないという局長の答弁がございましたけれども、やっぱり学級崩壊といったら、学級経営、生徒指導が不適切な教員ではないかと保護者からこのシンポジウムを開いたときに聞かれたときに、いや、それはそうではないんですと。今、局長が答えられたようなことは私たちはわかりますよ。しかし、保護者がそれで納得するのか、これを見せられて。あえて私はこのタイトルは全く違和感があり気に入らないということを申し上げておきたい。
 何か御感想があれば伺いますけれども。
#31
○政府参考人(近藤信司君) パンフレットを作成した趣旨とか経緯についてちょっと説明をさせていただきたいと思います。
 教育改革を国民運動として進めていくためには、政府が取り組む教育改革の内容を国民に説明するとともに、いろんな機会を通じて幅広い意見交換を行うことが何よりも重要と考えたわけでございます。
 このパンフレットは、こうした考え方に基づきまして、二十一世紀教育新生プランに基づく教育改革の内容を国民にわかりやすく説明するために作成をしたものでございまして、主として各地でPTA、保護者、教職員、地元企業関係者等の参加を得て開催をされております教育改革フォーラム等において参加者に配付する資料として現在活用しておる、こういうことでございまして、このパンフレットのタイトルにつきましても、幅広い意見交換を行うことによって教育改革を、国民運動を進めていきたい、こういう趣旨でつけたと、こういうことでぜひ御理解を賜りたいと思います。
#32
○佐藤泰介君 それは御理解できませんね、私は。教育というのは着実に積み上げて合意形成を図って進めていくということは、今までずっとこの委員会でも確認されてきたんですよ。それが、突如として「議論を恐れません。」と。おれらの議論についてこい、そうとも私は受け取らざるを得ぬではないかと。
 そして、例えば、いいことも書いてありますよ。「危機に瀕する我が国の教育」、「いじめ、不登校、校内暴力、学級崩壊、青少年犯罪」と。この現状認識は一緒ですよ。これをどうするかということになると、ここから出てくると、不適切教諭は立たせないとか、飛び入をやるとか、そういうことが出てくるんですよ、中では。もっとこの現状認識をしっかりして、ここについてこういう政策を立てたから幅広のフォーラムやシンポジウムをやってくださいというのならいいんですけれども、現状認識をしておいて、現状認識と異なるところで議論を恐れず私たちは教育改革を強引に進めていきますよととれないでもないというふうに思います。
 大臣、感想をお願いします。
#33
○国務大臣(遠山敦子君) このパンフレットの策定された趣旨は、今、生涯学習局長からるる御説明したとおりであります。
 いろいろな議論を尽くして、しかし進むべき方向については力を合わせて、いろんな考えの人も日本の教育をよくするために頑張ろうではないかという趣旨であると私は思っておりまして、今回の国会審議の経過を見ましても、私どもといたしましては十分な議論を今尽くしていただいていると考えております。
 そのことを、単に国会だけではなくて各地域におきましてもいろんな御議論をいただきながら、しかしできれば合意をもって日本の教育をよくするということで力を合わせていこうではないかという、そういう呼びかけであると私は考えているところでございます。
#34
○佐藤泰介君 お世話になった遠山大臣ですから理解をさせていただきます。まだたくさんあるので、これだけで行き来しておってはまた怒られるかな。
 次に、私は、今回の措置の審議をする以前の問題として、教育現場での適切なアドバイスや指導は非常に大切になってくるというふうに思うわけです。
 しかし、指導が今回の措置に結びつくことを教員に意識させることが今後の教育に大きな問題点を残すことになるのではないか。もう少し具体的に言いますと、こうした措置が教員に意識される、ひょっとしたら私は不適切な指導をしていて研修に入っているのではないか、そういう懸念を抱かせるようなことが現場の中に起きてくると大きな問題になってくるのではないかということを懸念いたしております。
 先ほどの答弁で若干、指導方法を工夫、そうであってはならないというような答弁をいただきましたので、多少は納得をして見守ってまいりたいとは思いますけれども、この転職が講じられた過程についてですが、今回の措置が行われる前には研修等の適切な措置が講じられるというようなこともこの委員会で論議をされました。その点についてちょっと御説明をお願いしたいと思います。
#35
○政府参考人(矢野重典君) いわゆる指導力不足教員につきましては、学校や教育委員会におきまして指導力を向上させ、児童生徒に対し適切に指導を行うことができるように研修や指導等を行うことがまず重要であるわけでございます。また、校務分掌の変更や他の学校への転任等によりまして指導を適切に行うことができるのであれば、このような措置を講じることが適切であると考えているところでございます。
 このため、今回の法律案では、児童または生徒に対する指導が不適切であることとともに、研修等必要な措置が講じられたとしてもなお指導を適切に行うことができないと認められるということを要件といたしているところでございまして、そのことにつきましては、具体的には学校内における校長、教頭による指導というのが考えられますし、また学級担任を外すなどの校務分掌の変更といったようなことも考えられます。さらには、都道府県教育委員会または市町村教育委員会による研修ということもあるわけでございますし、さらに他の学校への転任などの措置を講じてもなお指導を適切に行うことができないと、そういうできないと認められる教員に対象を限定いたしているところでございます。
#36
○佐藤泰介君 今四つばかり、学校内における校長、教頭の指導から始まって他の学校への転出、まさかこれ段階を追って指導されていくのではないとは思いますが、当然、学校における校長、教頭による指導は絶えず行われるんでしょうが、それがだめだったら二つ目に言う校務分掌の変更とか、都道府県教委の研修とか、それでだめだったら転出して他の環境の中でと。これは段階を追って指導、研修していくということではないですよね、今まで言われた中では。
#37
○政府参考人(矢野重典君) 今申し上げた措置は、御指摘のように、段階を追ってとるべき措置ということではございません。個々の教員のそれぞれの状況に応じてどうした措置が適切であるかということを考えてとられる措置の例として申し上げているわけでございます。
#38
○佐藤泰介君 総合的にそれらが行われていくんだろうと思いますけれども、しかしそれぞれでは一定の期間的なものが私はどうしても出てくると思うんですよ。
 学級担任を外す、校務分掌の変更というのは、学級担任をどの程度外しておくのか、十年も二十年も外しておくのか、それから都道府県教委、市町村教委に研修に出かける、どの程度の期間研修に出かけるのか、あるいは他の学校へ転任、一度雰囲気を変える、かわった、またかわる、またかわるというのか。ある程度の、無原則な期間の設定というのは、私は、総合的に行うにしてもさまざまな弊害を生む可能性があるのではないかということでございますので、総合的なこの四つの研修は一体どの程度の期間を想定してみえるのか、あるいはそれはあくまで総合的にやっていくので、その都度その都度判断していくんだからそんな期間の規定はないと答えられるのか、その点、お願いします。
#39
○政府参考人(矢野重典君) この研修等必要な措置でございますけれども、これは先ほどちょっと申し上げましたけれども、教員一人一人の状況に応じて種々工夫がされ適切に対応されるべきものでございまして、そういう意味では、今、委員お尋ねの点について一概に、あるいは一律にどういう研修等の措置がなされるべきかということについて申し上げることは難しいわけでございます。
 いずれにいたしましても、個々人の状況に即して適切な措置が講じられる、そしてそのことについて、先ほど申し上げましたけれども、具体的な判断を行う場合の手続が法律で義務づけられているわけでございますが、その決められた手続の中で判定委員会等が置かれるわけでございます。その中におきまして、どのような研修等の措置が講じられたか、あるいはそれに伴ってどういう成果があったかどうか、そういうことも個々に即して総合的に判断をされて本措置の対象になるかということを、総合的にそういう意味での判断をされることになるわけでございます。
 そういう意味で、この研修等の措置について一律にどうあるべきかということを設定することは難しいということは御理解いただきたいと存じます。
#40
○佐藤泰介君 では、次の質問に移らせていただきますが、今回の措置は、特に増加傾向にある精神疾患等に起因するものなどが私は多いんだろうと思っています。今回の措置ではなく、当然、医療上の措置をとることになると思うんですが、ただ本人に自覚がある場合でも同僚に迷惑をかけないために無理をして結果的に症状が重くなる場合や本人に自覚症状がない場合も考えられるので、どのような対応を考えておられるのか、お伺いしたいと思います。
#41
○政府参考人(矢野重典君) まず、精神疾患である教員につきましては、これは医療的観点に基づいた措置が講じられるべきものでございまして、今回の措置の対象にはならないものでございます。
 この点につきましては、今後の施行通知等におきまして、一つは、先ほど申しましたように、心身の故障については分限休職や分限免職で対応すべきものであること、また児童生徒への指導が不適切である原因が精神疾患等の病気に起因するおそれがある場合には、この措置の判定のための手続の過程で精神科医の意見を聞くことなどを教育委員会が定める手続に盛り込むように、そのことを手続に盛り込むように指導していくことを予定いたしているところでございます。
#42
○佐藤泰介君 今回の措置にとって判定委員会が設けられる、先ほど来出ているわけですが、このメンバーは教育関係者だけではなくて、今の問題と重なるかもしれませんけれども、精神科医の意見を聞くということだったと思いますけれども、私は三つの例からして、人が不適切に陥っていくには、その過程の中で相当何かがあって、当初は私はそんな教員はいないと思うんですよね。精神的な疾患が多いというふうに私は思いますよ。そうしますと、そのメンバーの中に、医療関係者の意見を聞くということではなくて、やっぱり判定委員会の中にも医療関係者などの専門知識を持つ者あるいは学識経験者等も参加させた構成にすべきではないのか、このような考えを私は持っているわけですが、そこら辺はどうなんでしょうか。
 それからまた、個人のプライバシーの領域まで入る可能性もありますので、この保護についてはどのように配慮するのかお伺いすると同時に、さらにこの判定委員会の結論が出て、指導が不適切、この場合、当該教員から判定委員会への資料請求等の開示請求は、私は認められると思いますけれども、この点はどうか。また、不服がある場合には不服申し立てができると思いますが、この点について確認をさせていただきたいと思います。
#43
○政府参考人(矢野重典君) 何点かのお尋ねがございましたので、順次御説明申し上げたいと思います。
 まず、判定委員会に、精神科医の意見を聞くだけではなくて、恒常的なメンバーとして入れるべきではないかという御意見でございますが、私どもも、精神疾患等の病気に起因する場合があるケースが考えられるわけでございますから、そういう場合には少なくとも精神科医の意見を聞くということはきちっとやってもらう必要があるだろうという趣旨で、そのことは徹底いたしたいと思いますけれども、先生が御指摘のような、一般的にあり得るというふうに都道府県教育委員会が判断されるならば、恒常的なメンバーとして精神科医を入れることは当然考えられるわけでございます。
 それから、判定委員会のメンバーでございますけれども、この判定委員会の構成につきましては、指導主事等の教育委員会の事務局の職員以外に専門的な知識を有する学識経験者等を加えることが私どもは望ましいと考えているところでございまして、その場合、個々の教員に関する具体的な判断につきましては、当該教員のプライバシーに配慮することは大変重要であるわけでございますので、その点、各都道府県教育委員会におきまして適切に対応されるよう指導をすることといたしたいと考えているところでございます。
 なお、この法律案の措置につきましては、地方公務員法に基づきまして、処分の事由を記した説明書を交付いたしますとともに、人事委員会に対し不服申し立てを行うことが可能であるわけでございます。
#44
○佐藤泰介君 大分質問を用意してきましたので、確認をさせていただかなければいけないので、ちょっと早目に、自分の意見を差し挟まずに、確認の方をさせていただきたいと思います。
 今回の、指導が不適切な教員を措置しなければならないほど問題が大きくなっている原因はさまざまあろうと思います。どのようなものが考えられるのか。また、私は社会の学校や教員に対する要求が変化してきたためだとも思っております。その要求の変化に学校や教員がなかなか対応できないため、現在の問題が出てきているとも考えます。したがって、学校のニーズといいますか、社会の変化に合った教員の養成や採用、研修の改善を具体的に図っていかなければならないと思うのですが、文部科学省としては、従来こうしてきた、こうしてきたということは聞いておりますけれども、こんな点を踏まえて今後どんな施策を考えて実行していこうとされているのか、お尋ねをしたいと思います。
#45
○副大臣(岸田文雄君) 今、御指摘がありましたように、社会の要請あるいは社会の実情を踏まえた教員の養成、採用、研修、こうした対応を考えていかなければいけない、これは大変重要な点だと思っております。
 各段階におきましてそれぞれ努力をし、そしてこれからも努力を続けていかなければいけないと思っておりますが、これからということを申すならば、例えば教員養成につきましては、平成十年に教員免許制度の改正を行いました。教員としての使命感の育成、教育実習の充実、こういった学校教育活動の遂行に直接資する科目の充実を図ったわけであります。このカリキュラムは平成十二年度大学入学者からの適用でありますので、十二年度大学入学者からこうしたカリキュラムの適用が図られ、こうした成果が上がるようしっかりと検証をしていきたいと思っております。
 また、採用ということにつきましても、断片的な知識量ではなく、面接の重視、実技試験の実施など人物を重視する方向で改善を進めていかなければいけない、こういった問題意識を持っております。そうした意識のもとに各都道府県教育委員会等を指導していく所存であります。
 そして、教員の研修でありますけれども、研修につきましては、教職経験や職能に応じた職務研修の充実、あるいは民間企業等における社会体験研修の実施、こうしたものにつきまして各教育委員会の取り組みを促しているところであります。
 こうした問題意識、そして方向に沿って養成、採用、研修、各段階で社会の実態あるいは要請に合った教員というものを育てていかなければいけない、こういった考えでおります。
#46
○佐藤泰介君 極端なことを言えば大体聞きなれたことばかりでございまして、養成もちょっと変更した、採用もこうした、そして研修についてもさまざまに入れたと。しかし、なかなか効果が上がっていないというところの検証が一体どうなっているのか、そこのところを十分に検証していただきたいというふうに私は思うんです。聞くといつもこういうふうに、養成はこうしています、採用はこうしています、それから研修はこうしていますと言うんですけれども、起きてくる問題を見ると、それが十分に実効が上がってきていない。この原因について、一遍十分な省内での検討を私はお願いしたいと思います。時間がなくなってきましたのであえて自分の意見をつけ加えませんけれども、その点は十分に要請をしておきたいというふうに思います。
 私はその中でもやっぱり一番大事なのは研修じゃないかと思うんですよね。大学で養成するカリキュラムを変えるということも必要、それから採用試験といっても一定の枠があるわけで、そう成績を度外視してめちゃめちゃ採用するというわけにもいかない、ある程度の工夫は必要であっても。やはり教員自体の研修がこれからは必要になってくる。とりわけ、社会の変化、学校や教員にこれまで以上に地域性や社会性、そしてより高い専門性や技術、さらに高い知識を求めてきていると思います。これらの習得のためには、長い時間が必要であると同時に、職場等の理解とそれなりの財政的措置がない限り実現するものではないと私は思っています。
 そうした意味で、これらをサポートする制度として教員の長期休業制度が必要と私は考えております。一度離れてみて、じっくり研修なり自主研修なりを積んでリフレッシュして現場に帰るというような、そうした教員の長期研修制度の創設が必要であると思います。今後、早い段階でのこの制度の実現をすべきではないかと私は考えております。そのことがそういった不適切な教員を生み出していかないことにもつながっていく、さらには自主研修をしていくことにつながっていくことになるのではないかというふうに思いますので、その点、お答えを願います。
#47
○政府参考人(矢野重典君) 教員の自主的な研修を奨励、支援する、大変大事なことでございまして、そうした観点から、平成十二年に教員が休業をして自発的に長期間、最大限三年間でございますが、大学院で学べる大学院修学休業制度が法律を改正していただいて創設されたところでございます。
 そして、その他の休業制度についての御言及がございましたけれども、その他の休業制度につきましては、平成十二年度の人事院勧告あるいは平成十三年三月の公務員制度改革の大枠において触れられているところでございまして、これは今後、公務員制度全体の見直しの中で検討されていくものと考えているところでございまして、私どもとしてはそういう動きを踏まえながら適切に対応してまいりたいと考えているところでございます。
#48
○佐藤泰介君 いみじくも局長も大学院修学休業制度の創設を話されたわけで、自主的な研修の奨励、支援が重要であるとするならば、文部科学省として、この公務員制度見直しの中に教員に関する長期休業制度がぜひこれからの二十一世紀、教育改革に向けて必要であるというような、意見を言う場なり要請をする場があったらぜひ今の考えを伝えていただいて、公務員制度全体の中で教員の長期休業制度の創設がいかに重要であるかというようなことの発言をぜひ要請して、次の質問に移らせていただきたいと思います。
 次に、教員のメンタルヘルスに関することですが、子供たちは教員の人格を通して学習だけではなく多くのことを学びます。私自身も、今まで振り返ってみると、恩師が授業中や下校の際、一緒に帰る道すがら話した言葉が懐かしい思い出として残っております。したがって、教員のメンタルヘルスは子供の成長に大変大事な事柄だと思います。そのためには、教員のメンタルヘルスのためには勤務条件の一層の改善等が今すぐにでも必要だと、私はこのように考えておりますけれども、現状を見て、教員の勤務条件の改善等に対する取り組みあるいはメンタルヘルスに関する取り組み等についてお伺いをしたいと思います。
#49
○政府参考人(矢野重典君) 御指摘のように、教員のメンタルヘルスは極めて重要な課題であると私ども認識をいたしているところでございます。このため、文部科学省では、まず一つには一部の教員に過重な負担がかからないよう適正な校務分掌を整えること、あるいは教員がゆとりを持って教育活動に専念できるよう会議や行事等の見直し等による校務の効率化を図ること、さらには日ごろから教員が気軽に周囲に相談したり情報交換をすることができる職場環境を整えること、そして教員に対するカウンセリング体制の整備、あるいは心の不健康状態に陥った教員について早期発見、早期治療に努めること、さらには教育委員会も積極的な学校訪問を通じて学校の様子や各教職員の状況を的確に把握するよう努めること、こういった点につきまして各都道府県に対し指導、助言を行ってきているところでございます。
 今後、我が省といたしましては、教員の心身の健康の保持増進も含めまして、勤務条件の一層の改善等に努めてまいりたいと考えているところでございます。
#50
○佐藤泰介君 さまざまな対策が講じられてきているということは十分理解をさせていただきましたが、指導が不適切であるということの三つの例、あえてもう申し上げませんけれども、挙げられた三つの例を読みますと、これは恐らく新採用で来て、初任研を受けて、条件つき採用で、そしてある年数が来れば、今、私知りませんけれども、五年研とか十年研修を経てというようなことをしていけば、この三つに当てはまるような教員はごく例外的な教員になるんだろうと私は思いますが、こういう状態に陥るまでには、途中に何らかの原因があってこうなってくるんだろうというふうに思います。その部分が、メンタルヘルスといいますか、ストレスが大変たまりやすい状況が今、現場にあるんだろう。
 したがいまして、勤務条件を改善してそのストレス解消というものに努めていくと同時に、あわせて、今さまざまなメンタルヘルスについての施策が言われましたけれども、電話相談とかカウンセリングというようなことでは私は不十分なところまで来ているんではないか。むしろ、教員が直接専門医に診てもらい、私はよくわかりませんけれども、ストレスの解消法というようなものが、専門医から見るとそういう解消法というのがあるようなことも聞いておりますので、何かの原因で不適切、それが私は半数、それ以上が精神的なものではないかと思っておりますので、文部科学省としてそうしたメンタルヘルスケアに向けた体制整備、そういったものを具体的に考えていく時期だと思います。
 そして、文部省としては、関係機関と連携してそうしたメンタルヘルスの体制整備に具体的に取り組むべき時期ではないか、電話相談、カウンセリング体制の整備を一歩踏み出すべきときではないか、このように思っておりますが、どうでしょうか。
#51
○政府参考人(矢野重典君) 御指摘のように、教員のメンタルヘルスの問題は大変重要な課題でございますので、そういう意味でメンタルヘルスを充実するための体制整備も含めまして、御指摘のような点も含めて私ども検討をしてまいりたいと考えているところでございます。
#52
○佐藤泰介君 最後はすぐ検討しますというところで結ばれてしまうので、ぜひその検討がきちっと検討されて、こんな様子ですということを、また改めて機会があれば、どの程度検討されてどうなったかということについて保留にしておきたいというふうに思います。
 次に、出席停止について伺わせていただきます。
 今回の出席停止の処分は、言うまでもなく憲法で保障されている教育を受ける権利を奪う重大な処分であることで、基本的人権に十分に留意し実施していかなければならないことは当然のことですが、運用に当たっても、可能な限り期間を短くすることや、児童生徒、そして保護者への説明、意見聴取、多様な意見を反映した慎重な手続を踏むなど、厳格に実施された結論として処分することが必要だと考えます。
 これらの出席停止処分の意義、そして手続、さらに運用について簡単に御説明を願います。
#53
○政府参考人(矢野重典君) 児童生徒の問題行動に対応するためには日ごろからの生徒指導を充実することがまずもって必要であるわけでありまして、学校が最大限の努力を行っても解決せず、他の児童生徒の教育が妨げられている場合にこの出席停止の措置が講じられることになるわけでございます。
 出席停止制度は児童生徒の教育を受ける権利にかかわる重大な処分でありまして、その運用に当たっては、御指摘のように慎重な手続を踏んで適切な運用に努めなければならないわけでございます。
 そういう意味で、今回の改正は、この出席停止制度に関しまして、一つは要件を明確化するということ、また二つには保護者からの意見聴取や理由や期間を記載した文書の交付を義務づけるなど手続に関する規定を整備し、さらには出席停止期間中の児童生徒に対する学習支援等の措置を市町村教育委員会が講じることとすることによりまして、出席停止制度の一層適切な運用を図ろうとするものでございます。
 今後、法改正に伴いまして通知を発出いたしまして、法改正の趣旨や留意点について指導を行ってまいりたいと考えているところでございまして、その中で、御指摘がございました出席停止の期間につきましても可能な限り短い期間とするよう指導をいたしますとともに、児童生徒からの意見を聞く機会を持つことなどにつきましても配慮するよう指導してまいりたいと考えているところでございます。
#54
○佐藤泰介君 出席停止の期間は可能な限り短い期間と、昨日、その前ぐらいは著しく長期にならないというようなことで答弁もあったかと思います。可能な限り短い期間というのは著しく長期にならないよりは期間がある程度想定されるのかなと私は解釈をさせていただきますが、これはあくまでケース・バイ・ケースがあろうというふうに私は思っております。
 できるだけ短期間で学校へ戻すということがやっぱり私は原則であろうと思いますけれども、私は教員時代に経験をしましたけれども、家庭の受け皿が何にもないところへ出席停止にしても全く意味がないということもあるわけでございますので、そのあたり十分にケース・バイ・ケース踏まえながら、確かに学校でその子が暴れる、何かすることによって学習が進まない子もおることは事実ですけれども、出席停止の子も救われるような方策が必要なんだろうというふうに思いますので、その兼ね合いを十分にうまくとりながらこれは進めていただくと同時に、若干、処分の期間が明確にならないことは気になりますけれども、それは学校、学級の子供も出席停止になった子も同列の中でうまく学校に適用していくような、そんなところで検討して進めていっていただきたいというふうに思います。
 そんなことを申し上げて、次の質問に移りますけれども、処分期間中の児童生徒の支援体制についてでございますが、特に継続的な家庭訪問、学習の指導、相談などは、決して学級担任だけではなく専門家の意見等を参考にしていかなければならない等、多くのスタッフが必要であることは言うまでもなく、その経験を共有化する作業なども必要となると考えること、さらに教員の配置やそれらの体制を維持する財政的措置も必要になってくると考えられます。また、処分終了後の児童生徒のケアについても先ほど述べたような条件整備なり手当てが必要だろうと思いますけれども、そのあたりについてお伺いをさせていただきます。
#55
○副大臣(岸田文雄君) 今、御指摘ありましたように、出席停止に係る児童生徒につきましては、学級担任等の教職員が家庭訪問をし、あるいはさまざまな教育相談を行う、こうしたことに加えて、関係機関との連携、専門職員の協力、こうしたことによる指導、取り組み、大変重要だと思っております。そうした取り組みを文部科学省としても支援していかなければいけないと考えており、そして平成十三年度におきましては、問題行動を起こす児童生徒に対する市町村教育委員会、学校における事前指導、出席停止期間中の指導の支援をするために、学校における生徒指導担当教員等の加配に加えて、さらに各都道府県に教員定数を上乗せする、こうした措置を行っているわけであります。こうしたマンパワーにおける支援に加えまして、例えばサポートチーム等の地域一体となった支援体制づくり、こういったものにつきましても支援を行っていかなければいけないと考えております。
 こうしたさまざまな支援、文部科学省としてもしっかりと責任を持って進めていく所存でございます。
#56
○佐藤泰介君 責任を持ってお進め願いたいと思います。十分な人的な配置をお願いしたい。一人、二人ということではなくて、十分に効果が上がるような人的な配置をお願いしておきたいと思います。
 それから、出席停止に関して保護者等の意見を聞くということはあるんですけれども、子供の意見は聞くように配慮するということです。とりたてて子供の意見を聞けというふうにはなっていないわけですけれども、二十六条の三項の中に「前項に規定するもののほか、出席停止の命令の手続に関し必要な事項は、教育委員会規則で定める」と、このようになっております。したがって、都道府県教育委員会において児童生徒の意見を聞くということがこの項目の中に定められたとしても、文部省としては何ら問題ないですね。
#57
○政府参考人(矢野重典君) 出席停止についての権限を有する市町村教育委員会がそのみずからの判断で教育委員会規則で今御指摘の点を定めることにつきましては、これは問題はございません。
#58
○佐藤泰介君 それでは、かなり問題になりました飛び入学の拡大について伺います。
 この制度は大学の優秀な学生の青田刈りに結びつくのではないかと懸念が出ています。さらに、飛び入学による専門以外の基礎学力、そして人格形成に必要な高等学校教育等の欠如などが問題となり、議論されてきた経緯があります。
 したがって、この制度の適正な運用と取り組みの透明性、そして関係者の連携協力の体制などが必要であると考えられますが、大臣はどのようにお考えになっていますか。これは問題が大きかったがゆえにいろんな質問が出されましたので、大臣の方から御答弁をいただきたいと思います。
#59
○国務大臣(遠山敦子君) 飛び入学に関しましていろんな御懸念が表明されまして、私どももそれぞれの時点で答弁させていただいておりますけれども、ここで飛び入学を適切に実施するためにどのようなことが大事と考えていて、またどのようなことをしようとしているかについて御説明させていただきたいと思います。
 これを適切に実施いたしますためには、まずは高校と大学との連携によって制度の適切な運用を確保することが重要と考えております。
 そのために幾つかの方途を考えているわけでございますが、まず飛び入学を実施する各大学において飛び入学に関し自己点検、評価を行って、その結果を公表することを求めることとしたいと思います。その旨を省令に規定したい。
 それから、飛び入学の実施状況を我が省におきまして把握をし、その結果を公表してまいりたい。
 さらに、大学、高校の代表者あるいは有識者などを含めた全国レベルでの協議の場を法改正後できるだけ早い機会に設けて、制度の趣旨に即した運用の確保を考えているところでございます。この協議の場におきまして御審議いただきたいことといたしましては、各大学での事例の蓄積をもとに、高校において特にすぐれた資質をどのように発見して学習指導や進路指導を行うか、あるいは大学においてその資質を伸ばすためにどのような指導を行うかなど運用のあり方について協議をするとともに、衆議院での附帯決議で指摘されておりますような指針等についての審議もいただきたいと考えております。
 また、各大学での飛び入学の実施状況やその点検、評価の情報を収集して、選抜の方法や入学後の指導体制について分析、検証、公表を行うこと。
 さらに、制度の趣旨から見まして適切さを欠く運用がなされるようなことが仮にあった場合には、それを公表するなど、是正等のための努力を行うことなどが考えられるところでございまして、これらのことを十分に実施することによりまして、この制度の運用についての透明性を確保し、かつまた今日の高等学校教育そのものが揺らいだりあるいは青田刈りにつながったりということのないように、私どもとしても十分にこの問題について取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
#60
○佐藤泰介君 この飛び入学に関しては、この委員会で議論を進めてくるに従って分野は拡大をしましたけれども、ある程度ガイドラインの作成とか、受け入れ側、送り出す側の連携とか、当初ぽっと出てきたときよりはさらに進めていくに当たっての進め方が私どもも理解できたようです。若干、分野を外すことについてはまだ賛否両論あろうにしても、ばかっと最初に出てきたときよりは、ある程度こんな形で進めていくんだなということが私は理解ができた、理解させていただいたと、このように思っております。とはいえ、さらに問題が生ずれば、さらなる検討をお願いしたいというふうに思う次第でございます。
 次に、大学と高校の連携、飛び入学もその一つでしょうけれども、飛び入学以外にも今さまざまな連携が接続に関して必要なんだろうと私は思っております。
 したがって、飛び入学だけが前面に出ちゃうんですけれども、そうではなくて、もっと高校と大学の幅広い接続の中で、飛び入学も一つだというふうに思いますし、むしろそうではなくて幅広い接続の方が、高校から大学へ行く場合は人数的にも多いわけですから、その辺の接続に関して今どのような取り組みをされているのか、質問をさせていただきたいと思います。
#61
○政府参考人(工藤智規君) おっしゃいますように、高校と大学の接続というのは大事な点でございまして、子供たちが学校をかわるたびに何かギャップがある、あるいはその接続がうまくいかないということではいけないわけでございますので、今回御提案を申し上げておりますのは高校生がスキップして大学に飛び入学するチャンスを広げようということでございますが、高校生在学中のまま高等教育レベルのいろんな学習の機会を提供する等の措置は大変大事なことだと私どもも認識してございます。このためにいろんな条件整備もしているわけでございまして、高校と大学の連携についてのいろんな実践例もふえてきているところでございます。
 例えば、各大学や高校における御努力といたしまして、オープンキャンパス等の名称で高校生に大学のキャンパスを開放すること、あるいは高校生が大学の公開講座でございますとか科目等履修生として授業を受講する機会を拡充すること、さらにその場合にその学習の成果を高校の正式の単位として認定すること、また大学の教員が高校にいわば出前講義いたしまして高校で授業を行うということなども取り組みとしてなされているところでございます。
 また、大学の入試に当たりましても、近年いろいろな試みや努力がなされているところでございまして、高校生とのコミュニケーションを重視した事前の面接を行ったりという、丁寧な入試という観点から、アドミッションオフィス入試ということがふえてまいっておりますし、また大学の入試問題の作成に関しまして、高校関係者と意見交換しながら大学の教員が適切な実施に努めているという取り組みもふえてきているところでございます。
 さらに、カリキュラムの開発につきまして、例えば研究開発学校として、大学教員による高校生への指導の実施など実践的な調査研究を行っている例も見られているところでございます。
 私どもといたしましても、これらの実践例を取りまとめ公表いたしますとともに、このようなさまざまな取り組みの一層の促進のために全力を尽くしてまいりたいと思ってございます。
#62
○佐藤泰介君 今の御答弁で納得をさせていただきますけれども、とはいいながら、グループ相互間でというようなことは言いませんけれども、まだそれほど規模が大きくなっていないんではないかと私は思っております。
 したがって、さらにその部分を膨らましていっていただく。最後のところで一層の促進を図ってまいるということがありました。実践例を取りまとめて公表しながら、さらにそういうよさを公表していただいて、さらにその部分が膨らみ拡大していくことを御期待申し上げたいというふうに思っております。
 それから、飛び入学とは反対の問題ですけれども、教育上、特別措置として限られた大学で実施されるものですけれども、教育をさらに広い目で見れば、飛び入学をする子供たちがいるのと、学習のおくれの子供たちがいることも一方では考慮していかなければならない。その数は圧倒的に学習のおくれの子供の方が多く、これらの子供への支援や飛び入学を議論する場合、同時に十分に認識していく必要があると私は思います。
 この学習のおくれの子供たちの解消のために、より大きく関係の連携を密にして強力に推し進めていかなければならないと考えますが、これらの体制づくりについてお伺いをさせていただきたいと思います。
#63
○政府参考人(矢野重典君) これからの学校教育におきましては、児童生徒一人一人に応じた指導を通じて、基礎、基本の確実な定着を図り、個性や能力を伸ばす教育を一層充実させることが必要であるわけでございます。このため、例えば、御指摘がございました理解のおくれがちな子供に対しては、補充的な学習を通して基礎、基本を繰り返し指導することなどが必要になってまいるわけでございます。
 こうした教育を推進する観点から、新しい学習指導要領におきましても、選択学習の幅を拡大するなど、個に応じた指導をより一層充実しているところでございます。特に、高等学校の学習指導要領総則におきましては、学習のおくれがちな生徒などについては、生徒の実態に応じ、指導内容や指導方法を工夫するとされているところでございまして、学習のおくれがちな生徒に対して必要な配慮を行うことを学校に求めているところでございます。
 我が省といたしましても、それぞれの高等学校におきまして、習熟の程度に応じた指導など、少人数によるきめ細かな指導を行うことができますように、新たな教職員定数改善計画を策定いたしまして本年四月から実施をいたしているところでございまして、新しい学習指導要領のもとですべての生徒の基礎学力の向上が図られますように努力をしてまいりたいと考えているところでございます。
#64
○佐藤泰介君 では次に、通学区域の改正についてちょっと触れておきたいと思います。
 これまでの通学区域で不都合があったのかどうか、改正の必然性が思い浮かばないんですけれども、ただ、全県一区になった場合、進学校に受験生が集中することや、高校生が長距離通学、下宿するなど余り感心できない状況や、保護者の不必要で際限ない負担増となるのではないかという点も危惧しております。
 したがって、受験競争の激化、学校格差の拡大が起きる可能性とそれに対する対処をお伺いしたいと同時に、あわせて、通学区域の設定に当たって地域住民の意向をくみ上げていくことの重要性を文部科学省としては今後指導されていくのか、いわゆる地域の学校づくりという観点も含めてお伺いをしたいと思います。
#65
○政府参考人(矢野重典君) 今回の改正は、公立高等学校の通学区域の設定につきまして、これを各教育委員会の判断にゆだねることをその趣旨とするものでございまして、全県一学区にすることやあるいは学区を拡大することを意図するものではないわけでございます。
 一方、御指摘のございましたような過度の受験競争の問題は改善に取り組むべき教育課題でございまして、私どもといたしましては、高等学校の入学者選抜につきまして、選抜方法の多様化、また評価尺度の多元化の観点からの工夫改善について指導をしてきているところでございます。
 我が省といたしましては、各都道府県に対しまして、生徒の多様な個性や能力等を多面的に評価する観点から、今後とも一層の高等学校入学者選抜方法の改善、多様化に努めていただくように指導をしてまいりたいと考えておりまして、各都道府県におきましては、これらを踏まえ、過度の受験競争の問題が生じないように適切な対応がなされるものと考えているところでございます。
 また、通学区域の設定につきましては、高等学校教育のあり方を基本に置きながらそれぞれの教育委員会におきまして適切に判断されるべき事柄でございますけれども、設定に当たりましては、生徒の進学動向や保護者の要請等、地域の実情を考慮することは大切なことであるというふうに私どもも考えているところでございます。
#66
○佐藤泰介君 ちょっと時間がなくなってきたので、あっちへこっちへと質問が飛ぶことをお許しいただいて、学校教育法に関して質問をさせていただきますが、全体的にかかわることはちょっと時間があればということで、ボランティア活動等の体験活動をどのように評価するのかについてお伺いをしたいと思います。
 特に、数量的な評価を行うことなく、児童生徒のよい面などに着目した評価であることが私は大切であると思いますが、また指導要録や内申書の記載内容等についてもこのように指導をしていくつもりがあるのかどうか、こんな点について、ボランティア活動等の体験活動の評価についてお伺いをしておきたいと思います。
#67
○政府参考人(矢野重典君) 今回の学校教育法の改正では、学校に対して教育指導を行うに当たって社会奉仕体験活動等の体験活動を充実するよう努める旨を規定するものでございまして、児童生徒に対して体験活動を行うことを義務づけるものではないわけでございます。
 そこで、社会奉仕体験活動等の体験活動を実施するに当たりましては、児童生徒の発達段階や活動に応じ、その自発性に配意をいたしますとともに、地域の実情に応じてさまざまな活動の場や機会を工夫し、多様な形で行われることが大切であると考えているところでございます。
 また、学校の教育課程として実施されます体験活動につきましては、これは他の教育活動と同様に評価を行うこととなるわけでございますけれども、その際、それぞれの体験活動のねらいや、あるいはその活動の特質に即して行われることが必要であるわけでございまして、そのための評価方法等について工夫をして、児童生徒の体験活動の成果を適切に評価していくことが大切であると考えております。各学校における体験活動の評価は、五から一といったような点数化した評価ではなくて、児童生徒のすぐれている点や長所を評価していく、そういう観点に立って行われることが望ましいと私どもは考えております。
 そういう意味で、指導要録や調査書の記録内容、記載内容等は各都道府県におきまして適切に定めていくことが必要であると考えているところでございます。
#68
○佐藤泰介君 今の趣旨を十分徹底させていっていただきたいと思いますが、どうしても評価というと五から一というのが想定をされるのが、保護者の皆さんも含めてそういう状況だろうと思いますので、評価を行う、評価を行うというと数量的な評価を行うというところにつながりかねないというふうに思いますので、その辺はしっかりとした、これについてはこういう評価を行うんだということは徹底をさせていただく必要があろうというふうに思います。
 それから、体験活動の条件整備について伺いますが、この活動の実施、これまでの説明では、適切に評価するとあわせながら、これだけの体験活動を実施していくにはかなりの支援といいますか、予算的な措置が必要になってくるんだろうと私は考えておりますが、総体として、こういった体験活動に対する経済的、授業の一環としては経済的な負担の増加も多少あるのかもしれませんけれども、そうではなくて、文部科学省としての支援体制そのものをどのように考えられているか、お伺いをしていきたいと思います。
#69
○政府参考人(矢野重典君) 私どもといたしましては、それぞれの都道府県の取り組み事例、あるいはこれまでの各自治体における予算措置状況等を参考といたしながら、地域における推進体制の整備とあわせましてどのような支援措置が考えられるか検討いたしまして、必要な予算措置にこれから努力をしてまいりたいと考えているところでございます。
#70
○佐藤泰介君 体験活動、さまざまな方法が私はあるんだろうと思いますけれども、私がイメージに描いています体験活動というのは、実施する場合も、学校に任せるということは当然のことだと思いますけれども、体験活動が選択可能な複数の同時実施の必要がある、そんな体制ができないのかなという考えを持っております。
 体験活動を実施する場合、教育現場においてさまざまな体験活動が用意され、子供たちがそこから選択をしてその体験活動をしていくというような体制整備ができれば、自分から選んでみずからやる、すべての子供が同じことをやるのではなくて、ある者はこういうのをやっている、ある者はこういうものをやっている、時には全体としてやるということもあろうと思いますけれども、余りにも授業の一環、評価をする、そして全体的でやっていくということになると、どうしても強制感が出てくるような気が私はしないでもありません。したがって、複数用意され、そこの中で子供たちが選択をしてやっていくような体制、なかなか困難な体制かもしれませんけれども、そういった体制をつくってやることによって本当のボランティア精神が育ち、いろんな体験活動の有効性が出てくるんだろうと。
 やっぱりまだまだ、みんなでやって、同じことをやって、みんなでやってということよりは、むしろ私はサークル的な活動に近いイメージ、そんな形でのこれからの方向として体制整備を図っていただきたいというふうに思います。
 委員長に怒られるといけませんので、ちょっと質問は変わりますが、時間ですと言われるともうできなくなりますので、ちょっと質問の内容は違いますけれども、あわせてやらせてください。
 社会教育法の改正について伺っておきたいと思います。
 社会教育法の趣旨に即して、社会教育の必要は今後より重要になってきていると私は思っています。さきの国会において私も、民主党の人権教育・啓発法の作成責任者として法案を作成した際にも、社会教育の重要性を痛感いたしました。しかし、現在においてもその取り組みは十分なものとは言えず、さらなる取り組みが必要と考え、一層の奨励を進めるべきではないかと考えております。
 また、教育の日の制定や教育休暇制度の導入をすることにより社会教育を進めるきっかけになるのではないかと、このことはプランの中にも書いてあると思いますけれども、考えるのですが、これについての具体的な取り組みをお尋ねしたいというふうに思います。
 若干、前の質問と後の質問と異なりますけれども、前の質問は大臣に感想があったら述べていただいて、後の質問は局長さんの方で結構でございます。
#71
○副大臣(岸田文雄君) まず、前の方の質問、体験活動において学校の創意工夫あるいは児童の自主的な姿勢を尊重する、こういったことの大切さは言うまでもないわけであります。決して強制ではなくして、こうした姿勢をしっかりと支援していくこと、こうした指導が大切だと思っております。
 そして、社会教育法の方の質問でありますが、社会教育法というものは、住民の自主的な社会教育活動を尊重しながら、それを奨励、援助することを社会教育行政の任務としております。その趣旨にのっとり、文部科学省としましては、住民の学習活動が一層奨励されるようその支援を行う、この支援に努めていきたいと思っております。
 そして、二十一世紀教育新生プランに盛り込まれている教育の日あるいは教育休暇制度の導入、こういった点の御指摘をいただきましたが、教育の日の制定につきましては、地域全体で教育について考え、そして実践するよい機会になるものと考えておりますし、また教育休暇制度の導入につきましては、職業を持つ親が家庭教育を実践する機会になるものと、大変重要な制度だと思っております。
 ですから、文部科学省としましては、こうした制度あるいは教育の日の制定、こういったものを地方自治体ですとかあるいは企業、さまざまな関係団体に導入を働きかけていくということで、こうした制度の普及に努めていきたいと考えております。
#72
○佐藤泰介君 では、以上で質問を終わらせていただきますけれども、大臣に冒頭申し上げましたけれども、中教審の位置づけといいますか、文教政策の今後の立て方等々、教育改革国民会議ができて、経済財政諮問会議、そこからどんどんどんどんおりてきて十分に検討もないまま報告が求められて、そこでどんどん進めていくということに大変私は心配をしております。
 日下部委員も昨日それをちょっと言われたと思いますけれども、中教審のもう一度しっかりとした位置づけ、そこで何をやってどうするのかということは、やっぱり大臣として十分にこれからの教育改革に当たって考えていただきたいということを申し上げながら、この間の教育三法に係る質疑の内容をきょうは確認させていただきました。
 まだまだ明快な答弁とは言いがたく、不十分な点もあるように思います。今後、これらを運用して問題が出た場合には、速やかな検討を加えることが必要だと考えます。また、今国会で成立した行政機関が行う政策の評価に関する法律の政策評価の客観的かつ厳格な実施を推進し、その結果の政策への反映を図ること等の趣旨を確認し、今後の文部科学行政推進に当たっていただくことを要望して、私の質問を終わります。ちょうど時間だと思います。
#73
○委員長(市川一朗君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午後零時二分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
#74
○委員長(市川一朗君) ただいまから文教科学委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、佐藤泰三君が委員を辞任され、その補欠として鹿熊安正君が選任されました。
    ─────────────
#75
○委員長(市川一朗君) 休憩前に引き続き、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案、学校教育法の一部を改正する法律案及び社会教育法の一部を改正する法律案の三案を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#76
○阿部幸代君 日本共産党の阿部幸代でございます。
 一昨日に続いて、学校教育法の出席停止要件の法制化にかかわって質問いたします。
 一昨日、私の質問に対して遠山大臣は、専門職員から成るサポートチームについてお話しなさっていたと思うんですが、その構成と活動の概要などをお聞かせいただきたいのですが。
#77
○政府参考人(矢野重典君) 私の方から御説明申し上げます。
 児童生徒の問題行動に適切に対応いたしますためには、日ごろから地域における学校と関係機関とのネットワークをつくっておくことが大変重要であるわけでございます。特に、個々の児童生徒に着目をして、それに対して的確に対応を行うためには、市町村や中学校区などにおきまして、学校や教育委員会のみならず、ふさわしい関係機関の職員から成るサポートチームを組織して、指導、助言、援助に当たることが大切であるわけでございます。
 そこで、サポートチームを構成する関係機関といたしましては、教育委員会のほかに児童相談所あるいは保護司、児童委員、警察などが考えられるわけでございまして、既に幾つかの自治体におきまして、これはいろいろでございますけれども、例えば教育委員会中心のものとか福祉サイドが中心のもの、あるいは警察が中心のものなどの先導的な取り組みが各自治体において行われているわけでございます。
 このサポートチームの役割でございますけれども、これは問題を起こす児童生徒につきまして個々の原因や背景を分析して、本人や保護者に対して、例えば保護者の養育のあり方に問題がある場合にはそれを見直すとか、あるいは交友関係にその原因があるといった場合にはそれを改めるといったような、それぞれのいろいろな原因や実情があるわけでございますが、その個々の実情にふさわしい対応をそれぞれの関係機関が連携をいたしまして、問題行動のよりよい解決を目指していくところにこのサポートチームの役割があるわけでございます。
#78
○阿部幸代君 このサポートチームというのは、少年等による凶悪事件の発生状況等を踏まえた少年の問題行動等に関する調査研究協力者会議の中に出てきていたかと思うんですけれども、やはりどちらかというと凶悪事件の未然防止の観点から組織されようとしているように思うんですね。一般的に学校が地域の人や専門機関の職員などによって支えられるということは好ましいことであると思うんですけれども、私が問題にしたいのは出席停止措置を受けた子供の学習保障の問題なんです。
 法案では、「出席停止の期間における学習に対する支援その他の教育上必要な措置を講ずる」とあります。責任ある支援体制が必要となるはずで、サポートチームにその責任が果たせるのかどうか、お聞きしたいのですが。
#79
○政府参考人(矢野重典君) 出席停止期間中の児童生徒の学習支援についての基本的な責任は、これは市町村教育委員会にあるわけでございます。そういう意味で市町村教育委員会が責任を持って最終的、基本的には対応しなきゃならないと思っておりますが、その対応するにつきましていろんな形で協力や援助を仰ぐということは当然あるわけでございまして、そういう意味で、その一つの援助、協力の仰ぎ方としてサポートチームをつくってやっているところがある、そういう例があるということでございまして、御質問の趣旨は、基本的にはどこかとなると、これは市町村教育委員会が責任を持って対応しなきゃならないものでございます。
#80
○阿部幸代君 子供の学習保障で行政上の責任が市町村の教育委員会にあるというのは当然だと思うんですけれども、直接学習指導をするのは市町村の教育委員会ではないわけですよね。ですから、出席停止措置になった子供のその学習保障を責任を持ってするのはだれなのか、直接。
#81
○政府参考人(矢野重典君) 基本的には先ほど申し上げましたような市町村教育委員会が責任を持ってやるわけでございますが、実際の出席停止期間中の子供に対する支援のあり方といたしましては、例えば学級担任や生徒指導担当教員により、家庭や家庭以外の場所に赴き学習課題を与えて指導したり教育相談を行うというようなことがございますし、また青少年施設において自然体験や生活体験の体験活動に取り組むプログラムを組んで応援をするというようなこともあるわけで、いろんな形での支援活動を行うわけでございますが、通常は当該生徒が属する学校が一義的、基本的に学習支援を行うことになるわけでございます。
#82
○阿部幸代君 今、学級担任とかそれから指導主事とかそういうことが言われたと思うんですけれども、担任やあるいは中学校ですと教科担任もですよね。学校を休むと勉強がおくれるから子供って本当に大変なんですね、中学校は各教科ばらばらですし。ですから、担任並びに教科担任ということだと思うんですけれども、こういう先生たちはその他の子供の学習指導で手がいっぱいだと思うんですね。
 そうすると、結局、出席停止の子供は自習が中心の生活を送ることになるのではないかというふうに思うんです。しかも、法案に期間の定めがないために、一カ月、二カ月、三カ月という長期の自習生活ということにもなりかねないというふうに私は心配をするんです。本当に責任ある学習支援ができるんでしょうか。
#83
○政府参考人(矢野重典君) 学習支援のあり方は、先ほど申し上げたような形で、個人の状況、生徒の個々の状況、あるいは地域の状況等々によってさまざまな対応が考えられるわけでございますけれども、そうした学習支援を応援する、学校として学習支援の取り組みを支援する、そういう観点から、国としても、例えば平成十三年度でございますけれども、学校における生徒指導担当教員の加配に加えまして、これは既に加配があるわけでございますが、それに加えて、各都道府県にこうした出席停止期間中の子供等に対する支援をいわば応援するという観点から教職員定数の上乗せをしているわけでございます。
 そうした教員の加配等を通じてきめ細かな出席停止期間中の子供に対する支援を行っていくことになるわけでございます。
#84
○阿部幸代君 出席停止の子供が出たらその学校には加配をする、そういうことですか。
#85
○政府参考人(矢野重典君) 現在、問題行動等に対応する生徒指導担当の教員というのが、通常の教職員定数に加えて特別な加配が講じられているわけでございます。現在の改善計画に基づく配当数を申し上げますと、生徒指導担当教員というのは全国で約二千名近い加配がなされているわけでございますし、さらには不登校担当教員として一千名近い加配がなされてございます。さらには、いじめ担当教員として七百名近い教員が加配されているわけでございます。
 そういう意味で、既に広い意味での生徒指導担当の加配が、四千名弱の加配措置が全国でなされているわけでございまして、その上に今申し上げたような出席停止期間中の子供に対する支援という意味で、合わせて百名近い加配を、上乗せをいたしたいと考えているわけでございまして、そうした加配された教員を有効に活用する形で出席停止期間中の子供の学習に対する支援が適切になされるものと考えているところでございます。
#86
○阿部幸代君 私は法律の学習支援という言葉も非常に問題だなというふうに思っているんですね。結局、自習を中心に学習生活の支援をするという形になって、通常の学習課程、教育課程とは別のものがここでつくられようとしているというふうに私は認識します。大問題だというふうに思っているんです。
 特に私が問題だと思うのは、遠山大臣の答弁の中で、状況によっては少年自然の家など社会教育施設で手厚く指導を行うということもおっしゃっていたと思うんですね。出席停止の子供は、今度は場所の問題になるんですけれども、家庭以外の別の施設で教育を受けることもあり得るのでしょうか。
#87
○国務大臣(遠山敦子君) 先般お答えいたしましたように、家庭の状況によると思いますけれども、家庭で十分対応できないような場合には社会教育、青少年教育施設で預かって、そこで自然体験や生活体験などの体験活動に取り組むプログラムを組んで指導に当たることもございましょうし、児童相談所や警察などの関係機関と連携して、その専門的職員などにより指導、援助を行うということがあると思います。
 つまり、出席停止の対象となる児童生徒というのは、それは通常学校にいてはあの要件に当たるようないろいろなことを行うわけですね。そのために一たん学校からは外して、家庭なりそういう機関なりでしっかりとその行動について反省も行い、そしてでき得れば学習ということもあると思いますけれども、日記、読書、その他の課題学習ということも大切でございますでしょうし、また精神的な意味で情緒を安定させていくためのいろんな専門的なアプローチも必要かと思われます。
 そういったことをどういうふうな形でやっていくかということは、それは個々のケースによって違うと思いますけれども、それらを駆使して、その児童生徒ができるだけ早い機会に学級、学校に戻ることができるようにというのが今回の措置であると考えております。
#88
○阿部幸代君 今、学級崩壊とか学年崩壊とか学校崩壊とか起こっていて胸を痛めていますけれども、そういうことに至る中で、学習についていけなくなった子供が逆に学習塾に行ってもう勉強したくないと、そういう子供と一緒になって授業妨害をするということが起こっているんですね。
 やはり生活指導中心の出席停止期間中の学習支援ということだと、本当の意味での学習支援にはならないというふうに思っているんです。生活指導中心の学習支援を、しかも少年自然の家など社会教育施設で預かってやるということになると、私が先ほど言ったように、普通の子供たちとは違う教育課程で学ぶ子供がつくられていくということになるんじゃないんでしょうか。
#89
○政府参考人(矢野重典君) 出席停止期間中の子供の学習支援、これはやはり個々の児童生徒の状況に応じてどういう対応をするかということになろうかと思うわけでございます。
 どういう対応をすることが適切であろうかということになるわけでございますが、そういう意味では、先生は例えば一般の学習、学校で行われているような教育活動というようなお話でございましたけれども、学級担任が家庭に赴いて学習課題を与えて指導したり、あるいはそうした学習上の問題について教育相談を行う、そういうケースも一般的にあるわけでございますので、一概に青少年教育施設とか、あるいは職場とか、職場体験といったようなことではなくて、そういうケースもあるわけでございます。
 いずれにしても、それは個々の児童生徒の状況に応じてどういう支援が適切であるかということを考えて講ぜられるべきものであるというふうに考えております。
#90
○阿部幸代君 期間の定めもなく隔離してしまう、家庭にしろあるいは社会教育施設にしろ隔離してしまうというところから問題が起こるんですね。そもそもそういう手だてを講じる大もとに、やはり特定の子供だけ排除すれば残りの子供たちがよくなる、そういう排除の論理があるというふうに思うんですよ。これは運用していく中で大きな問題になっていくと思うんですけれども、その辺は認識していますか。
#91
○副大臣(岸田文雄君) 今回の措置は、もちろん出席停止を受ける子供の学ぶ権利もしっかりと尊重しなければいけないわけですが、その趣旨としましては、他の大勢の生徒の学ぶ権利、これを守るということがあるわけであります。そして、こうした措置を講じてさまざまな支援をしていくわけですが、最終的には円滑に学校に復帰できるような支援をしていくこと、これが大切だと思っています。ですから、そういった出席停止の措置をとり、そして最終的には円滑にともに出席して学べるような体制をつくっていく、そうしたことはしっかりと頭に入れて指導していくことが肝要かと思っております。
#92
○阿部幸代君 やはり排除の論理、隔離の論理というのは教育の条理には基本的に反するというふうな認識をお持ちでしょうか。
#93
○副大臣(岸田文雄君) 隔離の論理、排除の論理、そういったものが好ましくない結果になるという認識は持っております。
#94
○阿部幸代君 そうしたら、今度の法制化はやはり問題が多いと思うんですね。現場の先生たちの一人も見捨てないという必死の努力、それを支えるところにこそ力を注いでいっていただきたいということを私は強く要望します。
 もう一つ質問があるんですけれども、出席停止措置の際に子供の意見を聞くという問題で、法律上は明記されませんでした。この問題について、これは子どもの権利条約第十二条にも反するのではないかという質問をしたんですけれども、それに対する答弁は、今の日本の法制度の中に子供の意見を聴取するということを義務づけている例はないということ、それから条約第十二条の第二項、そこには、直接子供の意見を聴取するだけではなくて、間接的なものあるいは団体を通して聞く、そういうこともあるから条約違反ではないということをおっしゃったと思うんですね。
 しかし、私は、今回の法改正案は新たに出席停止措置の四つの要件をつけ加えて、それに伴って、これまた新たに出席停止を命ずる場合にあらかじめ保護者の意見を聴取することを義務づける手続を定めています。初めてですね。新しいことをやるんですから、例がないからということではなくて、本来、条約第十二条の第一項、これを生かした全く新しい行政上の手続として直接子供の意見を聴取することを義務づけるべきではないか、文部科学省が先導的にそれをやるべきではないかと思うのですが、もう一度お聞きしたいのです。
#95
○国務大臣(遠山敦子君) ただいまの御質問の件でございますけれども、児童の権利に関する条約第十二条第一項におきまして、児童個人に関するすべての事項についてみずからの意見を述べることが認められるべきであり、その意見は相応に考慮されるべきとの理念を一般的に規定しております。また、第二項においては、その一般的理念を具体の手続の上で保障するために、特に自己に影響を及ぼす行政上の手続において、国内法の手続規則に合致する方法により直接にまたは代理人もしくは適当な団体を通じて意見の聴取の機会を与えられるとされているところであります。
 こうした条約の趣旨も踏まえまして、これまで出席停止の措置を適用する際には、その当該児童生徒や保護者の意見をよく聞く機会を持つことに配慮するよう指導してきたところであります。
 今回の法改正では、一方で行政手続法上、行政処分を行う行政庁が意見陳述の機会を設けることを義務づけられる対象としては処分の名あて人とされておりまして、他の利害を有する者については行政庁等の判断により機会が付与されるにとどまっていること、そして我が国における他の法制上、十五歳以下という発達途上の子供について一律に意見聴取を義務づける例も見られない、また児童生徒との関係について申せば、出席停止を命じるまでの過程において、当然ながらその児童生徒を指導してきておりまして、事実関係を積み重ねてきているところでありましょう。そういうことを踏まえて、法律上出席停止を命じる場合に市町村教育委員会に意見聴取を義務づけるのは当該処分の名あて人である保護者としたものであります。今回の改正によって保護者からの意見聴取を法律上規定することといたしましたが、これは条約の要請にも対応するものであります。
 もとより、児童生徒から意見を聞く機会を持つよう配慮することはこれまでどおり大切なことでございまして、今後とも児童生徒本人からの意見聴取等を通知等によって指導していきたいと考えております。
#96
○阿部幸代君 保護者に出席停止の措置を命じるということで、その保護者に意見を申し述べる機会を与えるという、その域を出ない法律上の位置づけだというふうに私は思うんです。保護者が本当に子供の代理人たり得るのかということなんです。今、虐待をする親もいます。それから、親といえば、どちらかといえば学校の言いなりになってしまうケースも多いでしょう。
 ですから、本当に憲法上の学ぶ権利を制限され剥奪される子供の直接の意見を聞く機会を法律上設けるべきだと私は思いました。大変問題の多いことだと思っています。
#97
○畑野君枝君 日本共産党の畑野君枝でございます。
 教育三法案についてはいろいろと聞いてまいりましたけれども、私はますます疑問が深まるばかりでございます。
 最初に、指導が不適切な教員の問題について伺います。私、これまで三回の質問の日程がありましたけれども、三回とも毎回聞いてまいりました。まだまだ問題点が出てきております。そこで、きょうは引き続いて四回目の連続質問をいたします。
 地方教育行政法案の四十七条の二では、次の各号のいずれにも該当するものとして、免職し、引き続いて教員以外の部署に転職させるというふうになっております。その一号では指導が不適切であること、二号では研修等必要な措置が講じられたとしてもなお指導を適切に行うことができないと認められること、こういうふうに概略なっているわけです。
 そこで、この間の審議の中で、一号の定義については示されず、具体例が三つ出されただけであります。概略を言うと、一つは専門的知識、技術等が不足、二つ目は指導方法が不適切、三つ目は心を理解する能力や意欲に欠ける、こういう、参考人からも非常にあいまいなものしか出されていないという意見もあったものであります。
 そこで、私はきょうは二号について伺いたいと思うんです。研修等必要な措置とは何か。先ほどの討論でもありました。私は一号で言われている指導が不適切であることの具体例三つに沿って伺いたいんです。
 一つ一つ聞いている時間がありませんから、一番目に言われました専門的知識、技術等が不足しているという指導が不適切教員に対して、それではどのような研修等必要な措置云々というふうになるんでしょうか。具体的にお話しください。
#98
○政府参考人(矢野重典君) 研修等必要な措置という中身といたしましては、これは先日も御説明申し上げましたけれども、幾つかの措置が考えられるわけでございまして、市町村教育委員会または都道府県教育委員会による研修、それから学校における校長等による指導、それから校務分掌の変更、あるいは他の学校への転校といったような措置が考えられるわけでございます。
 そういう措置が必要な措置として考えられるわけでございますが、今、委員がお尋ねの指導が不適切な教員の例として、教科に関する専門的知識、技術等が不足しているというケースを私どもも指導が不適切な場合の例としてお示しをしようと考えているわけでございますが、こういう場合については、これはまさに個々の教員の専門的知識、技術等の状態、状況等によっていろんな研修が考えられるわけでございますので、今ここで具体的にどういうものが考えられるかということをお示しすることは難しいわけでございます。それぞれの教員の状態に応じて、今申し上げた教科に関する専門的知識、技術の状態に応じてそれぞれの教育委員会が判断をしてなされるべきものであるというふうに考えるところでございます。
#99
○畑野君枝君 確認をいたしますけれども、そうしますと、専門的知識、技術等が不足しているという例の場合は、当然それが向上するような研修等の必要な措置になるということですね。
#100
○政府参考人(矢野重典君) そうした指導力の向上を目指して行われるべきものであるというふうに考えます。
#101
○畑野君枝君 当然だと思います。
 では、その具体例、指導方法が不適切という場合にはそういう指導方法が適切になるような必要な措置ということになるわけですね。
#102
○政府参考人(矢野重典君) これは一般的な話でございますけれども、まさにそうした知識や技術が不足している教員に対する必要な研修というのはそうしたものの向上を目指して行われる研修というふうに一般的に考えられるところでございます。
#103
○畑野君枝君 では続けて三つ目の、心を理解する能力や意欲に欠けといった場合には、そういうものが取り戻せるような必要な措置になるということも確認していいですね。
#104
○政府参考人(矢野重典君) これも一般的でございますが、そうした能力を向上できるような研修ということになろうかと思います。
#105
○畑野君枝君 こういうふうに私が聞くまで、具体的に何にも今まで言わなかったじゃないですか、マニュアルは出せないの一点張りで。個々のケースでございますと言って。だけれども、具体例そのものに沿ってだって、今そういうふうに答えられるわけでしょう。私は、一号と二号の関係をはっきりさせなくちゃいけない、両方あって初めて免職・配転になるわけだから。教員の身分にかかわる大事な問題ですよ。
 続いて、そうおっしゃったわけですから、二号の研修についてどのような内容が必要なのか。少なくとも三つの具体例に沿って示す必要があるんですよ。私は、今お答えになったわけですから、そういったことを含めて研修の中身をマニュアルで出してほしいというふうに申し上げました。マニュアルというといろいろなものがあるでしょうから、例えばガイドラインのようなものだとか、いろいろ中身があるでしょう。そういうのを出していただかなかったら、三つの具体例は出されて、では研修等必要なものはどうかと、やっと質問の中で答弁が出されていくというんじゃ審議できないですよ。そういうのをきちっと出すおつもりはあるんですか。
#106
○政府参考人(矢野重典君) 指導が不適切である教員に対する研修には、これも先ほど申しましたとおり、当該教員の状況や地域の実情に応じてさまざまであるわけでございます。
 少し具体的に申し上げますと、指導が不適切である原因についても、どういう能力や技術が不足しているのか、あるいは教員として必要な資質のどこに問題があるのか等々さまざまな場合が考えられるわけでございます。また、各教員の指導が不適切であるという状況について見ましても、学校において他の教員の補助的な役割を担うことが可能である場合や、あるいはそれも困難な場合など、さまざまな程度あるいは段階があると考えられるわけでございます。
 他方、研修の実施体制について見ましても、学校内において充実した指導体制ができる場合もございますれば、教育センターにおいて研修を行うことが適切な場合もあるわけでございまして、また学校内と教育センターの双方において研修することが適切な場合もあるわけでございます。
 このように、指導が不適切な教員への研修というのはまさに一人一人の状況やまた各地域の状況に応じて各教育委員会の判断によって行うべきものでございまして、先ほど来御指摘がございますけれども、国が一定のマニュアルをつくることはそもそも私どもとしてはなじまないと考えているわけでございまして、また場合によっては、そういうものをつくるということは各教育委員会の個々の状況に応じた適切な判断を損なうおそれすらあるというふうに私どもとしては考えるわけでございます。
#107
○畑野君枝君 本当に答えになっていないんですよね。適切な判断で各教育委員会でやられていると思うと、そういういいかげんな答弁でしょう。
 だから、この間、では各県でどんな実態が行われているかと。ビアホールに行けと命じられる、草むしりをしろと命じられる。それをやらなかったら、この研修とどう関係があるんだかレポートを書けと。教員いじめがやられているわけじゃないですか。そういうことがないようにということでさんざん議論してきたわけでしょう。定義もあいまいである。それに基づくどんな必要な措置かというのも、必要ないじゃないですか、こんなことでは。こんなことじゃ私はもう審議を続けられませんよ。ちゃんと出すようにしてください。
#108
○委員長(市川一朗君) しっかり答弁してください。
#109
○政府参考人(矢野重典君) これは少し繰り返しになりますが、少し……
#110
○畑野君枝君 繰り返しはいいの。新しいことを言ってください。時間がもったいない。中身のあることを言ってください。
#111
○政府参考人(矢野重典君) 委員長からしっかり答弁という御要請がございましたので。
 指導が不適切である教員に対する研修あるいはまた研修等に必要な措置というのは、これは各都道府県教育委員会、人事権者、任命権者である都道府県教育委員会が一人一人の状況に応じてさまざまな工夫を講じて適切になされるべきものです。それが基本でございます。したがって、国においてマニュアルや一定の基準を示すことにはなじまないわけでございます。そういう意味で、任命権者である都道府県教育委員会が個々の状況に応じて適切に判断することが基本であり、大事なことでございます。
 そこで、私どもといたしましては、委員先ほど来御心配の向きはこういうことであろうかと思うわけでございますけれども、本措置が公正かつ適正に適用されますように、本措置を適用するための要件でございます、一つは児童生徒に対する指導が不適切であること、また研修等必要な措置が講じられたとしてもなお指導を適切に行うことができないと認められること、こういうことが要件として決められているわけでございます。これに該当するかどうかを判断するための手続を教育委員会規則で定めることが法律上決められたわけでございます。この手続の具体的な内容は教育委員会が決めるわけでございますけれども、そこにおいてそのような要件に該当するかどうかを判断するに際しましては、その教員がこれまで受けた研修の内容でございますとか、あるいはその成果がどうであったとか、そういうことも含めて適切に判断されることになるわけでございます。
 そういう意味で、そういうことを通じて研修等必要な措置が講じられたとしても指導を適切に行うことができないという、そういう要件につきましては恣意的な認定がなされることはないというふうに考えているところでございまして、そういう意味で、繰り返しになりますけれども、基準やマニュアルを示す必要はないというふうに私どもは考えているところでございます。
#112
○畑野君枝君 答えになっていないんだけれども、その中で今重要なことを申し上げられました。つまり、研修内容やその成果がちゃんとよかったのかどうか判断すると。当然ですよ。そういうことを含めてきちっと徹底するつもりがあるんですか。あるということだからいいです。やってください。でも、それは法律が通ってからじゃ遅いでしょう。今こうやって四回聞いてやっと出てきたんだから。
 そして、私は、今の問題、大事な点なので、この一号と二号の関係を二つの角度からちょっと明らかにしたいと思っているんです。
 これは二つの大きなくくりがあると思うんですね。一つは、一号と二号が同時に当てはまるということなんですけれども、では逆の場合、指導が不適切と認定されたんだけれども、今後、研修等で適切に行うことができるな、改善の余地があるな、だから免職・配転しないというふうになるわけですね。確認です。
#113
○政府参考人(矢野重典君) 二号はまさにそういう意味でございます。
#114
○畑野君枝君 だから、今指導が不適切でも、本当に指導がよくなるような研修等の措置が講じられなくちゃいけない。だから、そういう研修とはどういうものなのかというものが示されないといけないわけでしょう。だから私は言っているんです。では、指導がよくなる研修というのは何かということで、私はやっぱり具体的な中身を基準として持っておく必要があるというふうに思うんです。
 それから、二つ目の角度で見ますと、衆議院の論議では、指導が不適切な教員と認定される場合に、これまで指導や研修が平素から行われているということは一般的だから、新たな指導や研修等を行うことは義務づけていない、今までやってきた研修あるいは指導においてこうした判断ができる場合には直ちに本措置を適用することは可能だ、こういうふうにも言っているわけですね。
 ここで問題なのは、新しい研修をする必要がないとして、今までやってきた研修で判断する場合なんですよ。今までやってきた研修が適切にやられてきたのか。それを先ほど局長もきちっとその効果、内容を判断しなくちゃいけないと初めて言ったわけでしょう。ですから、ちゃんと指導の適正化が図られるような研修がやられてきたか、客観的な判断が必要になるんですよ。
 そういう点では、この研修というのは指導を適切に行えるようにすることを阻害するようなものであってはなりませんね。いかがですか。つまり、指導を適切に行えるような内容であって、それがやられてきたという客観的な事実の吟味が必要になってきますね。
#115
○政府参考人(矢野重典君) 先ほど申し上げましたけれども、具体の当該教員がこの一号、二号に該当するかどうかということは、基本的にはこれはまた教育委員会が手続を規則で決めるわけでございますけれども、教育委員会の中に設けられます判定委員会で判断されるわけでございますけれども、その中におきまして、今申し上げた二号について該当するかどうかというのは、まさに教員がこれまで受けてきた研修の内容あるいはその効果がどうであったかということを吟味する形で二号に該当するかどうかということをここで慎重にかつ適切に判断されるべきものというふうに思うわけでございます。
#116
○畑野君枝君 そういうことをきちっと明らかにするのが法律案あるいはそれを実現しようとするときの最低限の責務じゃありませんか、国会の。
 例えば、これは新聞の四月十二日の投書、宮城県の公務員の方からの投書です。「教員の研修は公平な基準で」と。「宮城県で昨春、私の知人の教員が、特別研修を命じられた。研修の判断基準は不明確」、「研修内容は、午前中に研修先の施設の修理や草むしりなどを行い、午後は施設に児童を受け入れる際のカリキュラムづくりなどをしているという。教育の指導力向上の研修ばかりとは言えないのではないか。教育への使命感や児童への愛情、専門知識などの有無が研修の基準というが、分かりにくい。もっと具体的な基準でないと、扱いにくい教員を教育現場から遠ざける手段に使われてしまうことにもなりかねない。授業を外されることは、教員として人格を否定されたにも等しい。」、こういうふうに言っているわけですよ。
 ですから、ビアホールの勤務とか草むしりとか、こういうのは指導力向上に関係ないでしょう。どうですか。
#117
○政府参考人(矢野重典君) 申しわけございませんが、今のようなお尋ねをされますと、私としてはこれは何ともお答えのしようがないわけでございます。それは、基本的にはその教員が置かれた状況、またどうしてそういう事態になったのかどうか、その辺のところを十分事情を承知しないと、端的に今のようなお尋ねには具体的には我が方はお答えできかねる点を御理解いただきたいと存じます。
#118
○畑野君枝君 もう本当に大変な御答弁ですよ。それが指導力向上にかかわると。では、もしかかわるというのだったら、その論拠を示してください。個々のケースですか。
 いいです。もう時間がない。こんな認識があるんじゃ、どんどんそういうことが蔓延するわけでしょう。どういう根拠があるんですか、示してください。
#119
○政府参考人(矢野重典君) 私が申し上げているのは、具体的な事情がわからないのでコメントができかねるということを申し上げているわけです。
#120
○畑野君枝君 では、そういう実態もいろいろ文部科学省の方ではつかんでいられるようですので、そういうのもよく検討していただきたいと思うんですけれども。こんなことはステップアップにも何にもかかわらないということを私は厳しく申し上げておきたいと思います。
 そして、そういう点では東京都の話もしました、この間。三十一人が指導力ステップアップの研修に行って、三人しか復帰できなかったと。しかし、ステップアップ研修というのはみんなステップアップするための研修でしょう。ほとんどステップアップしないなんというのは研修の名に値しませんよ。研修とは何か。ちゃんと教員採用してきた教員なんですよ。教員採用がおかしかったということになるじゃありませんか。文部科学省の責任ですよ、そんなのは。
 そういう点でいったら、研修というのは教職員の公務員の権利なんですよ。それが保障できてこそ初めて本当の力が発揮できる。しかも、参考人の中には、研修だけではない、教職員の中での本当に相互の助け合い、三十人学級などの条件整備、そして開かれた学校、子供たち、父母とも地域とも、本当に先生の力が向上するような、そういう温かい自由なあり方が必要だって言っているじゃないですか。あなたたちは全然逆のことをやっている。
 しかも、この東京のステップアップ研修の中身、どんなことがやられているか紹介しましょうか、テキストを。「学習指導 教育改革国民会議は新しい学校づくりのための提言の一つとして、「授業を子どもの立場に立った、分かりやすく効果的なものにする」と述べています。」と。よい授業を実践するための基礎、基本について書きなさいといって、資料の中で教育改革国民会議はどういうことを例えば書いてあるか。「生活集団と学習集団を区別し、教科によっては少人数や習熟度別学級編成を行う。」と。これは野党が反対して、三十人学級、集団というのは生活集団と学習集団一体に三十人に少なくするべきだとさんざんやってきた問題じゃないですか。こんな課題を与えられて、どうやって指導力がつくような研修になるんですか。こういう混乱を持ち込んでいるんでしょう、現場では。だから、そういうことがあってはならないと、文部科学省として必要な基準というのを、研修等必要な措置、特に研修と書いてあるわけだから法律に、案文に。きちっとそこは責任を持って示さなくちゃだめですよ。
 こういうことがまかり通るというのはなぜか。実はこの第二号を出すときに、研修はどんな中身にするのかも全く検討もしていなかった、私はこういうことじゃないかと思うんです。そうだとしたら余りにも怠慢。こんなことでは審議できないですよ。反論しないんだから、そうだということですよ。いいです。すぐ立たないから、もう時間切れ。
 そういうことで、本当にこのような状況ではだめだと。指導が不適切な教員の定義も出さない。出されたのは具体例の三つだけ。あとはいかようにもやってくださいと。しかも、核心部分と言える研修の中身も出てこない。これじゃ国会として責任を持てない。これで採決なんかとんでもない話だと思います。そのことを申し上げて、次の質問に移ります。
 二つ目に、「社会奉仕体験活動」が衆議院で修正されまして、「ボランティア活動など社会奉仕体験活動」になりました。
 そこで、きょうは修正案の提出者の方にも来ていただきましたので、伺いたいと思います。この間、修正で加えられたボランティア活動についてということを伺います。
#121
○衆議院議員(平野博文君) さきの委員会に加えて再びお招きをいただきまして、大変うれしく思っております。
 まず、畑野議員の御質問でございますが、ボランティア活動に対する定義をどのように考えているか、こういうことだと思います。
 私は、ボランティア活動というのはその人の自発性あるいは無償性、社会性の三つの要件を満たすものである、そういう活動だと思っています。特に自発性が重要な要素であると考えております。
#122
○畑野君枝君 私もそのとおりだと思います。また、ボランティア協会など専門家から、その三つに加えて創造性というのも大事だということなどが辞書などでも紹介されているところですけれども、その点はいかがでしょうか。
#123
○衆議院議員(平野博文君) 確かに活動の中には、自主的であるわけですから、そういう創造性を含めて工夫をすると、そういうところも大事な要素だと思っております。
#124
○畑野君枝君 そうしますと、引き続き修正案提出者に伺いますけれども、社会奉仕体験活動というのは衆議院の論議の中では非自発性の活動も含むという政府答弁もありまして、「ボランティア活動など社会奉仕体験活動」というふうに一くくりにしてしまうというのではボランティア精神そのものの精神をやっぱりゆがめてしまう、ボランティア精神に反することになるんじゃないか、こういう疑念がわいてくるわけですけれども、いかがでしょうか。
#125
○衆議院議員(平野博文君) 「ボランティア活動など社会奉仕体験活動」というくくりにすることはボランティアの精神に反する、こういう御質問でございますが、私は、学校教育においてそもそも体験活動を実施する、このことについては子供の成長にとって非常に意義のあるものだと考えています。その中で特に社会奉仕体験活動を行う意義は、みずから進んで社会をともに支えていこうという心をはぐくむものであると考えています。
 しかし、この中の言葉で、社会奉仕という概念につきましては、先生と私の世代によってもいろんな考え方があるわけでございまして、そのために、体験活動の例として社会奉仕体験活動を例示することはいろんな議論があったわけであります。そこで、特に児童生徒の自主的、自発的な活動を重視することを明確にする視点からは、自発性を本旨とする「ボランティア活動」の言葉を法文に挿入し、「ボランティア活動など社会奉仕体験活動」と改めたものでございます。
 したがいまして、原案における「社会奉仕体験活動」とはボランティア活動を含むという趣旨であって、決して矛盾するものではなく、むしろボランティア精神を養えるように自発性を重視して実施されていくことが好ましいと、このように考えています。
#126
○畑野君枝君 本当に残念なことだったと思うんですね。例えば、一昨日に私、大阪ボランティア協会理事であり事務局長さんのコメントを御紹介させていただいたんです。そこの中では、今回こういうことでボランティア活動というものを非常に狭めてしまったという専門家の意見なんです。なぜかというと、奉仕というのは今あるシステムの中での手伝いだ、ボランティアは奉仕に含まれるというとらえ方だとボランティアを手伝いの中に押し込めることになると。さっき言われましたように、自発性とか創意工夫、そういうものは押し込められてなくなってしまうということに私はなると思うんですけれども。
 例えば、こういう例を挙げております。老人ホームに行く、お手伝いする、感謝される、奉仕というのはそこまでだというふうにおっしゃるわけです。そこからさらに、なぜお年寄りは個室でなく四人部屋にいるんだろうと考える、こうやって社会で市民として、主権者として生きる意識を育てていく、これがボランティアだと。つまり、ボランティアというのはうんと広くて、逆に社会奉仕というのは狭いものなんだというふうに専門家の方たちは考えていらっしゃるんです。
 こういうお話、聞かれたことありましたか。
#127
○衆議院議員(平野博文君) これは人によってとらまえ方がいろいろあると思っておりますから、一概に、今、先生がおっしゃるような定義には私ははまるケースとはまらないケースがあると思っています。
#128
○畑野君枝君 ということで、この法文そのものもいろいろな意見があるわけですよ。ですから、私は、修正されるならば、なぜそういう点の吟味、専門家からの参考人質疑やもっと広く国民の中での公聴会、そういうのを開かなかったのかと思うんです。余りにも拙速だ、こういうことに私なると思うんですね。
 この間、遠山文部科学大臣に伺ったボランティア活動と社会奉仕体験活動のくくりについて、ボランティア活動というのは社会奉仕体験活動に含まれるというふうにお答えになりました。大阪ボランティア協会などはそれは違うんじゃないかと。そういう意見もあるということは御存じでいらっしゃいましたか。
#129
○国務大臣(遠山敦子君) 私どもの考え方は先般お話ししたとおりでありまして、ボランティア活動は社会奉仕体験活動に含まれるものであって、児童生徒の自発性を尊重した活動であるという点に特色があるものと考えております。
#130
○畑野君枝君 ですから、全く専門家からの意見とは違う、そういう認識にとどまっているということが今のお答えでも明らかになったと思うんです。
 それで、修正案の提出者に引き続いて伺いたいんですけれども、こうしたボランティア活動のそもそもの意義をお話しされましたけれども、今後、学校の成績など評価の対象になると考えておられるのか、伺います。
#131
○衆議院議員(平野博文君) 成績の評価の対象になるかという御質問でございますが、ボランティア活動にしろ他の社会奉仕体験活動にせよ、単にたくさん参加すれば意義があると、私はそういう考え方に立ちません。一律に、したがって点数によって評価をするということについてはなじまないものだと考えています。
 また、自発性を尊重するという趣旨からすれば、これらの活動を行わなかったり熱心でなかったことでもってマイナスの評価を加えていくということは私はあってはならないと考えています。
 ただ、ボランティア活動の中で、先生も先ほど言われたように、主体性が特に顕著であるとか非常に工夫をしているとか、そういうところについては特筆して評価をする、このことまで否定をするものではないと私は思っています。
#132
○畑野君枝君 例えば、これは神奈川県で行われているボランティア活動実施事例という、ことし六月の時点でのものですけれども、小学校、アルミ缶の回収、中学校、幼稚園お泊まり保育の補助、老人ホームでの介助、いろいろと事例が挙げられていて、こういうのがボランティア活動というふうに言われているんですね。そうすると、この空き缶回収というのも評価の対象になるんでしょうか。
#133
○衆議院議員(平野博文君) 個別のことで、それが評価であるとか、そういうことを一義的に決めるべきものではないと思っています。
#134
○畑野君枝君 それでは、文部科学省の方に伺いたいと思うんですけれども、この間、評価をしてもボランティア精神に反するものではないというふうに言われました。その根拠について引き続き伺いたいんです。
#135
○副大臣(岸田文雄君) この間、評価の対象になるとお答えをいたしました。ボランティア活動というものについて、例えば公共性というものに着目して、社会の一員として自覚を持ち責任を持って役割を果たしたか、そうした意欲や態度が身についたか、こういった観点に照らして積極的に評価するということは十分考えられます。またあるいは、ボランティア活動は自発性ということが先ほど来強調されております。この自発性につきましても、そのボランティア活動の意義を理解し自主的、積極的に活動したか、そういうような活動を行う意欲や態度が身についたか、こういったことを積極的に評価する、これは評価としてあり得ることではないかと思っております。
 学校指導の中で、ボランティア活動というものを今のような形で評価する、こうした体験を通じて喜びやさまざまな達成感を感じてもらう、大いにその評価というものを通じても考えられるのではないかと思っております。
#136
○畑野君枝君 積極的に評価をする、大変なまた御発言をされました。
 では、同じように神奈川県で行われているボランティア活動、アルミ缶の回収、これは積極的に評価するんですか。
#137
○副大臣(岸田文雄君) ですから、こうした社会において社会の一員として役割を果たす、そういった意欲や態度が身についたか、そういったことはアルミ缶を集めるというような活動を通じてもいろいろと考えられると思います。
 具体的にどういった活動をするかは学校のさまざまな工夫に任されるとは思っておりますが、さまざまな形でこうしたボランティア活動あるいは体験活動が考えられるのではないかと思っています。
#138
○畑野君枝君 そうすると、本当にますますボランティア活動に反するような事態になるんですよね、現場では。例えば道に空き缶が落ちていたと。拾えば成績に関係する、拾わなければ成績に関係ないと、こんなような話になってくるわけですよね。成績に関係あったら拾うし、関係なかったら拾わないと、こういうふうになるわけでしょう。
 だから、結局、評価されればボランティア活動をやるというふうになったら、どんどんやらなくなるじゃないですか、ボランティアというのは自分でやるものなんだから。自主的なボランティア精神をスポイルする、阻害していく、こういうことになるんじゃありませんか。やっぱり教育の中身そのものを本当に十分御理解されていないというふうに私は思わざるを得ないんです。
 ですから、今、入試でも、子どもの権利条約に反して競争を強めるような学区を撤廃するとか、そして一学区になったら、どんどんボランティア活動をやるのが、ある県では百二十点中十点で点数にされると。自主的にやるんじゃなくて点数になるからやるといったら、ボランティア活動じゃないじゃないですか。
 ですから、参考人の方たちは本当にいろいろおっしゃっておられたと思うんです。民主党推薦の参考人の方は、アメリカというのは地域ぐるみでのボランティア活動は当たり前です、それを自発的なことをやれと言われたら、これは自発的じゃなくなっちゃうと。当然じゃありませんか。また、与党の推薦の参考人の方は、今回、子どもの権利条約を生かす視点と方策が重要だと、条約を生かすということは自分の権利が尊重されていると実感できる子供を育てることだ、自分の人権が尊重されていると感じられない子供が他者の人権を尊重することは困難だからですと。自分の権利を肯定的に自覚することから自他への責任の自覚も育つと。自分が本当に大事にされたら、ああ大事にされるというのはこんなにうれしいことなんだ、だからほかの人にも大事にしてあげよう、こういうふうになるわけじゃありませんか。この与党推薦の参考人の方は、だから例えばボランティア活動はそのような視点があってこそ真にボランタリーな、すなわち自発的な活動になり得ると思うと、こういうふうにおっしゃったわけでございます。
 ですから、そういう点からも、私は、ボランティア活動は成績、評価の対象からは外すべきだ、このことを強く求めておきます。
 時間が参りました。飛び入学の問題について伺うつもりでおりました。修正案提出者の方にその点についてもお願いをしていたわけでございますけれども、時間がなくなってしまいました。また次の機会にお伺いをしたいと思います。
 最後に、私申し上げたいのは、さきの委員会の討論の中で、生涯学習政策局長から、パンフレット「私たちは議論を恐れません。」という問題についての同僚委員の質問に対して、教育改革を国民運動として進めていくというふうにお述べになりました。行政である文部科学省が国民運動を進める。とんでもないことですよ。このことは教育基本法第十条で「教育は、不当な支配に服することなく」と言っていることを全く理解していない答弁です。この条文は戦前の国による教育支配の反省から生まれたものであります。その愚を再度繰り返さないということにほかならない中身なんです。国が特定の見解を押しつける教育の国民運動を呼びかけるなどとんでもないことであり、教育そのものをよくわからない、そういう立場だと。そういう立場からもこの教育三法案が出されている。今聞いただけでも問題点は全く解明されていない。
 こうしたものは廃案しかない、このことを最後に申し上げて、質問を終わります。
#139
○山本正和君 本日は、朝以来、具体的な項目についての確認質問といいましょうか、また問題点の指摘がずっと行われてまいりました。
 今度の三法案がさまざまな立場から問題が指摘される、また法案提出の経過についてもいろんな議論、疑問が提起されているという状況ですね。そういう状況の中で、今から私が六十分間時間をいただきますので、そういうものも含めて、もう少し根っこの部分から議論をしてみたい、また見解を承りたいと思っているわけであります。
 教育がこのままじゃどうにもならぬというふうな議論が随分内外で行われております。私は、三十年ちょっと前ですが、三重県で全国紙に報道された尾鷲中学校事件というのをいつもこういうときになると思い起こすんですね。漁村といっても市ですから、一応ある程度いろんな設備もあります。非常に山がきれいで海がきれいな、また川もすばらしい渓流が流れてくる町なんですね。そこで中学生たちが突然暴れた。そして、学校の窓ガラスをたたき壊す。先生が来ても相手にせぬ。町の中で夜の夜中までわあわあ騒ぎ始めてどうにもおさまらぬという状況だった。
 当時、私は三重県教職員組合の委員長をしておった。そうしたら、早速連絡が来たのは教育委員会じゃありません、組合の分会長から私のところに連絡があった。大変なことだというので、直ちに本部執行部を初め全員が現地に行きました。そして、一体どういうことだというので、家庭訪問をする。子供たちの騒いでどうにも寄りつかぬ状況をどうやって中へ入っていくかというようなこともいろいろやったんですが、そのときに思ったんです。
 これは教育の、特に国が行う施策での学校教育、こういうものが、恐らく学校教育制度が始まって以来、その十年ほど前にアメリカでは「暴力教室」という映画がありました。女教師が高校生によって強姦されるというふうな、そんな映画です。学校そのものがずっと大変なことになってくるということが言われておった中で、とうとう日本も起こった。しかも、三重県のようなどちらかといったらけんかをするのが余り好きじゃない県民性を持っている県で起こった。大変なことだと思ったんです。
 それをめぐって、一斉に三重県じゅうの中学校、小学校で子供の教育の問題についての議論が始まったんです。私は、そのときに文部省がつくったばかりの国立教育研究所の教授諸君に連絡をいたしまして、ぜひ来てくれと。もちろん三重大学の教育学部の先生たちもあわせて、それからお父さんお母さんもあわせていろんな議論をしたんです。大変なことだな、これはどうしたらいいんだろうかというふうな議論をした。
 随分時間がかかりましたけれども、やがて収束をして、そのときに収束に当たってきた先生たちと暴れ回った中学生たちとが、今も長い間、深い人間関係のつながりを持って交流しているんですね。そういうことを私は思い出すんです。
 去年の十月からですか、日経新聞が教育問題を取り上げて、今もう第七部になったんですね。私も文教をしばらく離れておったものだからやらなかったんだけれども、先週から入ったものですから泡を食って勉強してみたら、マスコミもそういうところで取り上げている。これは大変なことだなと思ったんですが、今こういう日本の教育が置かれている状況について中教審では果たしてどのような議論が具体的に行われたのか。何が一体大きな問題なんだろうかという点は議論をされたと思うんですけれども、それを国民の皆さんが、ああそうか、中教審はこれを心配しているんだというような具体的な幾つかの問題指摘がもし中教審であったとしたら、それをお聞きしたい、こう思うんです。
#140
○政府参考人(近藤信司君) お答えをいたします。
 中央教育審議会はこれまでも何度かにわたりまして答申を出しておりますけれども、現代社会は物質的には豊かになったものの、都市化でありますとか核家族化の進展に伴う人間関係の希薄化、あるいは家庭や地域社会における教育力の低下、社会の急速な変化の中で学校が子供たちの多様な実態に十分に対応できていないのではないか、こういった問題が生じている、こういったような指摘があるわけでございますし、あわせて少子化に伴う親の子供に対する過保護でありますとか過干渉の問題、あるいは社会全体や他人のことを考えず、専ら個人の利害得失を優先するなどの大人社会のモラルの低下の問題が生じてきている、そういったさまざまな問題が現在発生をしてきていると、このような御指摘をいただいているところでございます。
#141
○山本正和君 中教審ではそういう形でのまとめ方になると思うんです。
 先ほど言いました尾鷲中学の事件ですが、そのときに実はそれ以外に大学騒動がありました。東大が占拠されて大騒動になった。もちろん昭和二十年代以後も学生運動はいろんな活発なことがありました。皆さんの大先輩の事務次官をした佐野さんは当時東大の学生の自治会の会長ですよ、緑会のね。しかし、本当にそのときは日本の国を憂えて学生諸君がいろいろ運動をした。しかし、時計台の占拠のときはちょっと私もいささかびっくりしたんですね。学生運動もいろいろ変わってきたと。
 しかし、それじゃ一体国が学校というものをつくってからやってきた歴史はどうなんだろうかと。我が国は明治以来ですね、国の名前でやったのは。それまでは各藩にありました、藩校というのがね。あるいは寺子屋もあった。お寺の学習もあった。ずっとあったんですが、国家の名において教育が始まったというのは我が国は明治以来なんです。ヨーロッパはかなり前からやっていますし、それから貴族やお金持ちの連中に対するそういう学校教育に似たような教育は中世からヨーロッパでやっておったんですね。
 そこで、そのときに私どもがいろいろ議論しておったら、国立大学の先生の意見と、たまたま当時の慶応大学の村井先生という教育学の先生とのお話が一致しまして、そうしたら村井先生が、あなたこれを読みませんかといって読ませてくれたのがルソーの「エミール」です。ああ、昔読んだなと、もう一遍読んだ。そうしたら、その中に、これは「エミール」が書かれた時代ですよといって、今お配りしましたけれども、ここに書いてあるんです。
 要するに、人々が子供たちにあれこれ学ばせて、子供がさっぱりわからないんだけれども、何だかかんだかわからないことを無理やり詰め込んで、人工的につくり出した情念で、生まれながらに備わったものを絞め殺してしまう、子供たちが。そして、そのこしらえものを学校、これは教師と書いて学校ですよね、預ける。そうしたら、教師は、申し分なく育っている人工的な芽、文句を言わせないようにしてある、それにさらにとことんまでいろんなものを教えようとする。ところが、子供にとっておのれを知ること、おのれを生かすこと、生活しておのれを幸福にすること、そういうことは教えない、学校では。その結果、子供は奴隷であると同時に暴君である、学識は豊かでも分別に欠ける、心身ともに虚弱なこの子供は、まるでその無能ぶりと尊大さと、そして一切の悪徳を披露するためででもあるかのように世の中に送り出されると、こういうことを言っているんですね。
 ですから、教育の問題の原点がどこにあるかということを本当は私は議論してほしいんですね。中央教育審議会というのは私はそのためにあると思っているんです。もっと長い意味で、人間とは何か、そしてこの日本の国はどうやって生まれたのか、この中でどうやって生きていったらいいんだ、世界とはどうつながるなんというような、そういうことも含めた立派な国民はどうしたらいいんだろうかという議論をするのが本当は中教審という場であると私は思うんです。
 そういう意味で、この前からの大臣の御答弁で、中教審を大切にしていきたいというお話がありました。したがって、中教審は今後も我が国の教育施策の基本について本当に責任を持って論議する場であるという位置づけを大臣としてはずっとお持ちになるということについての御見解を承りたいと思うんですが。
#142
○国務大臣(遠山敦子君) ルソーの「エミール」にまでさかのぼって、教育のあり方、根本的なことをお話しいただきました。子供たちがそれぞれどのように伸びていくか、またその持てる力を十分に伸ばして、本当の学力のみならず、豊かな心を育てていこうということで教育改革というのが今始まっていると思っております。そんな中で、もっと根本にさかのぼって議論すべしということも大変示唆的であると思っております。
 もちろん、文部行政の中で審議会の占める役割というのはいつも非常に先導的で、その提言を体しながらいろいろな行政が行われてまいったと思っておりますが、なかんずく中央教育審議会というのは、教育全般を見てそのあり方を論じながら、その時々においていろんな御提案をいただいたと思っております。省庁再編によりまして今やもう中央教育審議会しか残っていないと申しましょうか、その本質を論ずるところは、そういう存在になりました。それゆえにこそ、ますます中央教育審議会の役割というのは重要と私は考えております。
 今日でももちろん、これからも中央教育審議会は日本の教育政策の基本にかかわる重要事項について調査審議を行う重要な機関として機能していただきたいと思っておりますし、我が省といたしましては、そこで御審議いただく成果等をしっかり踏まえて、今後とも文教政策の推進に努めてまいりたいと考えているところでございます。
 今回、教育改革関連法案を含めまして、二十一世紀教育新生プランに盛り込まれた事項の実施状況についても点検、評価を行って、より教育改革を実効あるものにしていく、またよりよい施策の推進に向けて取り組んでいくということが大切だと考えております。このために、今後しかるべき時期に中央教育審議会に、今回の教育改革の動き、進捗状況等の報告も行って十分な御論議をいただきながら、またさらには、本当に先生が御指摘のように、本来あるべき教育の問題、根本的な問題などについてもちゃんとリファーしていただきながらあるべき施策についての御提言をいただきたいと思っておりますし、私どもも、そのようなことの結論を得れば、それについて誠実にしっかりとフォローしてまいるべきと考えているところでございます。
#143
○山本正和君 この前もちょっと申し上げたんですが、教育刷新委員会あるいは中教審というものができていった経過、またその当時の国会の論議等をずっと見てまいりますと、やっぱり政権というものはそのときの総理を中心にして、先頭にして、その中で自分たちの考えている政治方針を貫こうとするんです。政権がかわれば政策が変わるのは、ある程度はこれはやむを得ないことだろうと思う。しかし、国家百年の大計といいますか、教育というのは政権がかわるたびにがらがら変わったらどうにもならないと思うんです。
 かつて大学は象牙の塔と言われた。それは何かといったら、そういういろんなものに動かされずにあるべき教育の姿を追っていたということだろうと私は思うんです。かつては、私はこの前も言いましたけれども、戦争に負けたときに私ども若い者が、大学を出たりあるいは学生であった者が、東京大学の総長の演説を聞いて、みんな涙が出るぐらい震えていろんなことを議論したんです。そういう本当に権威を持たさなきゃいけない部分というものを、しかしやっぱり政権というのはそうじゃありません、政治目的を持っていますから、つい利用したくなるんですよ。そのときそのときの総理大臣の方針によっていろんな問題を直すのはいいでしょう。しかし、教育という長い目で見てやっていかなきゃいけないものをその時々の政府によって、総理大臣の性格によって変えられたらいけないということも含めて中教審があるというふうに私は思うんです。
 だから、そういう意味で、中教審というものの役割をさらに十分にやっていこうじゃないかということを大臣は閣議の中でも主張していただきたいし、それから中教審の中でもそういう議論をして、逆に中教審から政府に対して物申すぐらいのことが必要じゃないかと私は思うので、そういう意味で本当に今、簡単に言うと、中教審がもっと自分自身の信念と、それから責任というものに感じて取り組むべきだと私は思うんですが、そういうことについては、ひとつ大臣、御賛同いただきたいと思いますが、どうですか。
#144
○国務大臣(遠山敦子君) 大変貴重な御意見を賜りまして、そのことについて十分私どもとしても取り組んでいきたいと思います。
#145
○山本正和君 そこで、これはちょっと蛇足かもしれませんが、我が国は、明治憲法ができてから、いわゆる文部大臣、初めは文部卿と言ったんですが、ずっと続きまして、文部大臣になったのが明治十八年、森有礼が初代。遠山大臣は調べてみたら百二十六代。有馬先生が百二十二代。中曽根先生、それぞれ歴代の大臣がずっとお見えになりますが、それぞれの中で一生懸命頑張っておられたと私は思うんです。
 それで、その中には特徴が二つある。一つは、政治家の出身。それはもう文部省から政治家になった人も含めて政治家といえば政治家ですよ。そういう政治家の出身で大臣になられた方と、学者から大臣になられた方、または教育の専門的立場にあることからなった方とあるんです。そのときに総理がだれだったかというのをちょっと見てみた。これはもう一番近いところでいくと、今の小泉総理ですね、遠山さんは政治家じゃありませんから。政治家でない人を大臣に起用した。森さんは町村さんという政治家を大臣にしました。中曽根先生も政治家ですからね。ところが、有馬先生は政治家になっておられたんだけれども、もともとの意図は東大の総長に文部大臣になってほしいということなんです。そういう中で見ていきますと、そのときそのときの内閣の性格というのがわかってくる。
 私は、そういう意味で、決して政治家が文部大臣になったらいかぬと言うんじゃないんですよ。政治家でなる方で立派な方もおられるけれども、要するに教育の専門、教育で一生懸命自分の仕事にささげたという人が文部大臣になったということの意義は極めて私は大きいと思う。そういう意味で、小泉さんが遠山さんをお選びになった深い事情を私は知りませんけれども、結果として教育の専門家が大臣になられた。その前に有馬先生がなっておられるという中で、今ここで二十一世紀になって最初に教育改革を論議している。
 ただ、これはもう率直に言いますが、国民の間にある批判の最大なるものは、本当の教育論議から生まれたものでしょうかという疑問があるわけでなんですね。そして、結局それは森さんが余りにも評判が悪かった。しかし、森さんは一生懸命になって教育改革をしようとしておった、そのことを何とか実現させてあげたい、それでとにかく何とか今度の国会に間に合わせようということでやったんじゃないか、こういう批判がある、一部。本当かどうかあえて私は問いません。そこから来る非常な誤解がある。
 それからもう一つ言うと、この三法案の中で一番最初にマスコミを含めて反対論で厳しく指摘されたのは何かと言ったら、子供たちをとにかく、十日間か二十日間か知らぬけれども、嫌であろうといや応なしに外へ連れていって勤労奉仕をさせるんだと、昔の大日本帝国のような。子供たちの希望だとかなんとかを無視して、そして無理やり働かせるんだと。今の子供がだらしないから、とにかく徹底的にそういうところへ行って働かせて根性を据えるんだ、そうじゃないかというのが、これが奉仕体験に対する批判、一番厳しい批判。
 それから今度は、親からどうも、今、学校は何をしているんだとか、その責任は政府だとか言われたらかなわぬと。だから、評判の悪い教師はすぐ首切ってかえます、首切るとどうも法律上ややこしいから違う言葉を使って、評判の悪い先生はいつでもかえますよ、お父さん、お母さん、安心してくださいと、こういうふうな印象を与えたんですね、この問題。
 それから、大学の飛び級問題でもそうなんですよ。親の中にはいろんな差があって、いろんな親が子供にかける願いがある。そうすると、高い方の地位におる人たちの願いにこたえて、ああ大丈夫ですよと、こういうふうにしたんじゃないかと、こういう批判が強かった。これが今日まだもって反対論の最たるもの。
 私のところにもけさまた電報が来たんです。絶対反対で廃案にしてくれということで電報が来たんです。しかし、私は正直言って、この前からずっと聞いておって、確かにそういうふうな印象はある。その中でも、しかし大臣は、必死になってこの三法案をよりよいものとして位置づけていこう、場合によっては悪かったら直そう、いろんな今からの批判も耐えようと。また、局長の方も、一生懸命になって、例えば体験活動というのは、本当に子供が今から学ぶ中で必要な、自分が人間として成長していくためのものとして学習活動に位置づけてほしいという答弁をこの前からしています。ちょっと表現が下手だから、どうも聞いておったら誤解を招くところがあるけれども。そういう問題が私はあると思うんです。
 だから、今ここで私は率直に言いますけれども、何よりも大切なことは、教育の最高責任者が文部大臣です。そして、文部省というのが弱腰になると、その国はがちゃがちゃになるんです。文部省が本当にしっかりして、同じ役人になるのでも、おれは文部省に一番行きたいというふうな国になればこの国はよくなる。金もうけするのにしまいの天下り先が一番いいのは大蔵省だから大蔵省へ行こう、こうなったらこの国は滅びるんです。文部省へ行ってこの国をよくしようという人たちがどんどん文部省を希望するような文部省にしなきゃいけないと私は思うんですね。
 そういうことからいって、今度の三法案についてのいろんな各論があります。私も今から詰めたいところがたくさんありますけれども、その前に、この三法案については国民のさまざまな批判がある、しかしその批判に対して、しっかりこれは謙虚に受けとめて、今後の教育行政の中では本当に国民のためにちゃんとやっていくように文部省は全力を挙げますと、こういうことを初めに大臣から伺っておきたいと思うんですが、どうですか。
#146
○国務大臣(遠山敦子君) 先生のお立場も、それから私どもの日本の教育をよくしたいという切実な願いと、まことにその目的は同じだと思っております。
 今、先生の方から、今回、政治家でないけれどもその役についた者であるからしっかりするようにという御激励をいただいたと私は思っておりますが、私自身は、決して自分がすぐれた教育専門家であるとも思いませんし、至らないところが多いとは思いますけれども、文部科学省の今日負っております日本国の教育について前進すべしとの大きな責務を考えますときに、与えられた役割について衆知を集めながら全力を挙げてやっていきたいというつもりでいるわけでございます。
 この三法案、先生にいろいろ解説をしていただきましたけれども、確かにいまだに誤解も多く、そして批判されている面もあろうかと思いますけれども、私は、日本の大多数の国民の皆さんは、日本の学校をよくし、教育が変わるということを念じておられると思っております。その方向に向けて今回の三法案というのは大きく一歩を踏み出す、そういう中身を持っていると思います。
 これまでできなかったようなことについて、それぞれの問題について解決をしようとしておりますし、その解決に向けても、いろんな御論議を通じまして、私どもとしても誠実に、それが本来あるべき制度として適切に運営されるように、そのためのいろんな手だてもこれから講じながらやっていこうということで次第に御理解をいただいていけるものと思っております。
 新しい世紀の始まりに当たって、何を教育の目的にするかということを考えますときに、本当に哲学的に深いものももちろんございましょう。しかしながら、この今回の法律案を中心として、ねらいとしております、今現実に動いている教育、特に学校教育の中で問題になっていることにとりあえずこういう形で取り組むことによってかなりよくなるのではないかということの確信を持って今日この三法案が提案されていると私は確信いたしております。
 大事なことは、学校というのは教員のためだけのものではないわけであります。それは、児童生徒一人一人が本当に力を発揮して自分の伸びるところを伸ばしていく、学校に来る前にもう何か人工的につくり出された存在になってしまうという御指摘もありますけれども、必ずしもそうではなくて、伸びるべきところが伸ばされていない、あるいは本来身につけるべき豊かな人間性でありますとか本当の学力というようなものを本当につけていってやる、そういうことが目的の機関であるわけでございます。
 ですから、学校教育をその本来の目的に向けてさらに前進させるように、そして社会教育についても、それをバックアップする形で十分にその機能を発揮してもらうように等のさまざまな願いを込めた法案であろうかと思います。
 この法案について、今回成立させていただきますれば、今言ったような大きな目的に向けての一歩といいますか大事なステップとして考えておりまして、その実施が円滑にかつ実効あるものとして進むように私どもとしては心から念願しておりますし、またやるべきことはやっていきたいと考えているところでございます。
#147
○山本正和君 そこで、少し各論に入りますが、いわゆる奉仕体験活動、この前もちょっとお聞きしまして、きょうも同僚議員からいろいろとお話がございました。
 実は、私どもの時代というのは、奉仕というとすぐ勤労奉仕と思うものだから語感が非常によくないんです。私の隣の日下部先生というのはもう英語の大家で、かつて文部省の政務次官のときには文部省のどの人よりも通訳が上手で、専門語もぺらぺらでおしゃべりになった方なんですけれども、その先生にちょっときのう聞く時間がなかったものですから辞書を調べて、アメリカとイギリスのところも調べて、日本では社会奉仕体験活動ですか、それをイギリスやアメリカではどうなるかといって聞いてみたら、アメリカではサービスラーニングと言うんですね。サービスですよ、サービスラーニング、アメリカは。公立学校における奉仕学習と、こう言うんだそうです。イギリスは、ちょっと先生に聞いたら何か難しいことを言うが、まあ意味はそういう言葉だったんです。要するに、奉仕学習なんですね。
 要するに、教育の中で、学校あるいは教師が子供の年間の教育計画を立てる、あるいは学校は卒業するまで六年間の教育計画を立てる。その教育計画の中に位置づけられたものとして、そして要するにカリキュラムを組むとかなんということも含めて、このサービスラーニングというものをどう生かすかと。
 ちょっとこの前私が言いましたように、理科の学習で水の問題を、なぜ水が川から流れてこう行くんだ、その間にどうなっていくんだ、そうしたらその上流で汚している、その汚した結果どうなるというふうなことだとか、あるいは上水道、下水道の問題というふうなことを含めて。そうすると、何でこんなに汚しているの、何でこんなところにごみばかり捨てるのというようになってくる。それじゃみんなでちょっと掃除しましょうかと。これは理科の話ですよ。しかし、総合学習だったらもういろいろある。地域におけるさまざまな、例えばお年寄りが、老人ホームがあると。そうすると、社会科の中で老人ホームの問題を扱って、そこでさあどうだという形で議論していく。
 要するに、各学校が、子供たちがどんどん伸びていく、その発達する度合いに応じてそれをどう取り入れていこうかという中でのサービスラーニングというものをアメリカではやっているように、私も一生懸命、いい年なんだけれども久しぶりに勉強してみた。イギリスでもどうか、ドイツでもどうか、フランスでも、みんな見てみたんですね。フランスが一番実践が少ないようですけれども、よその国はそれぞれ実践をいろいろやっている。
 そうすると、私は、文部省が今ここで提案している奉仕体験学習だったですか、それはこういう諸外国の流れ、そういう流れのものとほぼ同じような発想として位置づけてよろしいかと、このことを聞きたいんですが、どうですか。
#148
○副大臣(岸田文雄君) 今回の学校教育法の改正は、児童生徒の社会性や豊かな人間性をはぐくむ観点から、小中高等学校等において社会奉仕体験活動あるいは自然体験活動等の体験活動の充実に努め、それらの活動の促進を図ることを目的とするわけであります。ですから、こうした体験活動はそれぞれの地域あるいは学校あるいは児童生徒の実情、こういったものを踏まえて適切に判断されるものであります。
 ですから、そうした判断のもとに、今、先生の方からサービスラーニングの話がございましたが、学校の教育指導の中で適切に行っていく、そういった意味では共通する部分はあると思っております。
#149
○山本正和君 副大臣はちょっと遠慮して物を言っておられるのかわからぬのですけれども、ずばり副大臣も御自分の感覚で、今ここで私もちょっとヨーロッパや、これを見てみますと韓国もやっているし、中国はちょっと違いますから、これはもう全体主義国家ですから、命令一下ですからちょっと違いますが。
 そうすると、こういうところでやっているのは、学校教育の中にこれを位置づける場合には、あくまで子供が発達していく、その発達していくものにプラスするものとして、その位置づけの中でやろうとしているわけですよ。だから、一律に外へ行って働けとか、やれ十日間やってこいとか、そうじゃないんですよ。
 ところが、国民の間に非常にこの問題に対して嫌なアレルギーを感じるのは、我々みたいなおじいさんの世代も含めて、勤労奉仕じゃないかと思っちゃうわけですね。そうじゃないんです。子供が今から発達していく、発育していく、そしてさまざまな教育課程を小学校、中学校、高等学校とずっとやられていく、その中で人間形成に必要なものとして学習として位置づけるんだ、こういうふうに副大臣も本当は思っておられるんだけれども、役所の書いた文書に余りこだわらずに、ちょっとどうですか。
#150
○副大臣(岸田文雄君) 今、先生おっしゃったように、まずこれは義務づけではないわけですし、学校教育の中でこうした体験学習を通じて子供たち、児童生徒がこうした体験をし、感激をし、そして自分の将来をまた考える上で大きな財産になる、こうした大きな成果につながることが期待されなければいけないわけであります。
 そういったチャンス、機会を与える、こうした学校教育の中で適切に指導していく、こうしたことが最大の眼目だと思っております。そうしたことをしっかりと支援していくさまざまな方策をこの法律を根拠につくっていく、これが最大の目的だと考えております。
#151
○山本正和君 大変わかりやすい答弁でありましたけれども、どうもそういうふうに余り伝わっていないんです。何かやっぱり法律で決めちゃって、固定的に、今の子供はだらしないから、奉仕する精神がないから世の中へほうり込んで、十日間ぐらい、いやでも応でも、尻ひっぱたいてでもやらせいと、こうじゃないかというふうに受けとめちゃうんです。だから、そこのところは、したがって今の副大臣が言われたような言葉できちんと私はやってほしいと思います。
 それをしていく大前提は何かといったら、今、学校現場やお父さん、お母さんが抱えている問題点に対してこたえるためには、いいですかと。このことは、それぞれの学校が地域が全部違うわけですから。例えば四月といっても雪の降る北海道の北の方もある、もう海水浴をしようかという沖縄もある。山もあれば海もある。それぞれの地域の状況を生かしながら、学校が校長先生を中心にして子供たちの体験活動、アメリカ流で言えばサービスラーニングですか、それを教科に取り入れて、どうぞ御自由にしっかりとやってくださいよ、そのことをこの法律は保障するものですよと、こういうふうに言っていただいて、それでいいですね。
#152
○副大臣(岸田文雄君) 先生おっしゃるように、さまざまな地域の事情ですとか自発性、こうしたものをしっかりと尊重してやること、これがこの法律の趣旨だと思っています。
#153
○山本正和君 それでは、ひとつそういうことで各県の教育委員会にも、奉仕活動というものについては、国会においてこういう答弁をしたし、本来の趣旨がこうであったということで十分周知徹底していただくようにお願いしておきます。
 いろいろと他の国のいい例を全部持って集めたんですけれども、これは御紹介すると時間が限りがありませんから。
 私は必要だと思うんです。子供たちは逆に喜ぶと思うんですよね。老人ホームへ連れていって、帰りにひょっと寄って、みんなおじいちゃん、おばあちゃんとこうやっているうちに子供が物すごく生き生きと目を輝かすことがある。いろんな意味で私はそれは必要だと思うんですよ。
 しかし、本当に学校が子供たちと子供たちの発育のためといった観点から持っていった場合に初めてそれは有効なんであって、これはやらなかったら教育委員会からしかられるから計画に組み入れて、例えば夏休みの初めの十日間ぐらいこれをやろうかなんというふうなことを学校が計画したら間違いなんだと。そうじゃなしに、学校が年間の教育計画の中で、どうやったら効果的に子供たちが社会というものを知るか、あるいは困った人たちがどうおるか、あるいは日本の国の自然環境がどう汚れているか、どうしたらいいかというようなことをここでは議論しながらやっていく中でのサービスラーニングであるというふうな位置づけでちゃんと受けとめていくということで私はいいんじゃないかと思う。
 そういう意味からいったら、この法案は宣伝が下手なんで、本当はもっと国民の合意を得るために十分な時間があればこういう議論にはなっていなかったと私は思うんですね。副大臣、ひとつそこのところはしっかりとリーダーシップをとってお願いしたいと思います。
 その次の問題ですが、いわゆるどうも不適切な教員と、こういうふうに言っているんですね。不適切な教員と言うんだけれども、実は不適切な教員というのは、みんなちゃんと大学で勉強して単位を取って、そしてちゃんと教員の免許状をもらって、そしておまけに都道府県の、国で言えばこれは文部省ですけれども、各都道府県の教育委員会の非常に難しい試験を受けて合格しているのが教員の実態なんですね。
 それでは、その教員の免許というのはどれぐらい値打ちがあるのかということで調べてみたんですよ。制定時初めから、教員の免許制度から明治以来のやつを。すぐ古いことばかりで申しわけないけれども、年をとったから古いのが好きじゃないんで、若い人ほど本当は古いのを勉強してほしいと私は思うんですけれども。
 最初に訓導という資格を与えるときには大変に難しい資格だったんですね、訓導というのは。そして、東京でも、東京で今もう永田町小学校は廃校になるというけれども、これはかつては小学校で一番いい学校だった。一番いいエリートが集まる学校だった。だけれども、その永田町小学校は、中曽根先生のころはどうか知らぬけれども、我々の年ごろの戦前派の連中が永田町小学校にいたときには、訓導の資格を持っておる人は三分の一しかいなかったんです。それぐらい訓導は少なかった。
 師範学校を出て、二、三年したらもう教頭先生になったんですよ。だから、永田町小学校なんというのは恵まれた方です、三分の一も訓導がおったら。ほとんどいわゆる代用教員ですよ、あるいは仮免許。そして、大学を卒業しても代用教員にしかなれなかった。東京大学を卒業しても昔は訓導にはなれないんですよ。だから、これは訓導というそれぐらい大変な時代の教員資格です。
 それからずっと変わっていって、そして大学に教師になる道も開放されてできたのが戦後の昭和二十年代ですね、免許法という法律をつくってやっていた。私は、旧制の最後の中学校、女学校、師範学校の免許状をもらった。その者は無条件で高等学校の教員になった。ところが、中学校、師範学校、女学校の免許状というのは値打ちがあったんですよ。もう引っ張りだこだったんです。免許状はなかなかくれないんですよ、正直言って。これは文部省が言う許可学校、指定学校とあって、無試験検定を受けられるというのは指定学校に限った。教師になる資格というのは非常に厳密にあった。ところが、そうやって資格のある者が学校の教員になったときに、今で言う不適切か適切かとなったら、不適切なやつはたくさんおった。
 漱石の坊っちゃんというのは旧中免ですよ、夏目漱石の坊っちゃんはね。蚊帳の中に生徒からぼんとあれをほうり込まれて大騒動したり、酒を飲んでひっくり返ってけんかしたりね。今だったら、今度の適用を見たらどうも不適切になりそうな気がするんだけれども。
 それから、啄木は代用教員ですよ。ほとんど授業をしていないんです。ところが、啄木は一生懸命詩をつくって、こういう考えている姿を見て子供が勉強した。啄木に教わった子供たちは非常に優秀なのがたくさん出ている。
 だから、何が適切で何が不適切かということを決めるぐらい難しい問題は私はないと思うんですね。しかしながら、やっぱりそれはむちゃくちゃしたらやめさせなきゃいかぬですよ。しかし、その辺については今の法律の中で分限もあれば懲戒もあるんです。だから、その分限と懲戒以外に何かつくろうと、こうした。
 ところが、実際ずっと、この四回にわたる長時間の審議の中で、参議院では長時間でもないのか、短いのか、この審議の中では、実際問題としては本当に悪い教員がおった場合には分限や懲戒ができますと言っている。しかし、そうじゃない、間の人も不適切な教員と言うんだと。どうしてもそこのところがわかりにくいんですよ、いろいろ議論する中でね。
 私が思うのは、人間というのは間違いを犯すのが人間なので、しかし間違いを犯した者がその罪を問われないということはいけないんですよ、罪は問われなければいけない。しかし、それをあがなったらちゃんともとに戻らないといけないと私は思うんですよ。ただし、もうこれはだめというぐらい激しいことをやった場合には分限や懲戒があるんです。
 だから、不適切として仮に教壇から去った人が帰ってくるということについて、どうもきょうの議論の中では少なかったように思うんですけれども、帰ってくるということについての方途はどういう方途があるのか、ちょっとそこのところを私は十分聞いていないので、答弁してほしいんですが。
#154
○政府参考人(矢野重典君) 今回の措置によって指導が不適切というふうに判断をされて教員以外の職に新たに採用されるということになりますれば、その者が改めて教員ということになりますれば、それは制度的に復帰するという、そういう道は今回の措置には用意されておりません。したがって、新たにまた採用試験を受けて、教員の道に再度挑戦していただくということになろうかと思います。
#155
○山本正和君 実は私は裁判官訴追委員も兼ねておるもので、裁判官の奥さんが何かいろいろあってということで、その人の問題が議論された。そうしたら、仮に訴追されて免職になったとしても、五年たったら裁判官に戻れるんです。その間、何も悪いことをしなければ、裁判官の場合。
 裁判官というのは訴追以外には一切罷免できないんです、本来はね。最高裁判所が罷免しようとした場合には、罷免の手続を訴追委員会にかけなきゃいけない。それぐらい裁判官というのは身分の安定があるから初めてだれにも気兼ねせずに安心して裁判がやれるんです。しかし、裁判官本人が悪いことをする人もおるから、このごろはね。これは学校教育が悪いと言われたらまた学校教育のところに帰ってくるので、私はそうは思わぬけれどもね。
 そういう中で、私は不適切教員となった者がもう一遍試験を受けるというのは余りにも酷なような気がするんです、もう一遍学生と同じようにね。今の教員採用試験も本当は問題があるんですよ、採用試験制度そのものに。何か知らぬけれども、偏差値教育みたいな試験がやっぱりまだかなりあるんです、全部とは言いませんけれども。
 そういう中で、やっぱり不適切教員の者が再度戻る道については、この法律にはないけれども、今後の状況を見ながらもう一遍検討する余地はあるというぐらいのことはいかがでしょうか、法案を通過させるに当たって。その辺はどうですか。
#156
○政府参考人(矢野重典君) 少し法技術的な話でございますから、私から御説明させていただきたいと思います。
 山本先生の御指摘はごもっともな点があるわけでございます。だからこそ、この措置を適用するについては慎重でなければならないという仕組みをつくっているわけでございます。
 そういう意味で、例えば対象について、現状が不適切であるということだけでなくて、先ほど来御議論がございましたが、研修等の措置を講じてもなお指導を適切に行うことができないという可能性等についてもきちんと吟味をしてもらう必要があるわけでございます。そういう二つの要件を満たすものという形で対象を限定しているということがございますし、そして具体の判断につきましてはその手続を委員会規則で定めるということを法律で決めているわけでございまして、その手続についてもきちんと法律で決めているわけでございます。そして、対象を限定し、手続もそういう慎重な手続を踏むようにというふうに制度上の担保というんでしょうか保障があるわけでございます。そういう慎重な手続を踏んだ上でこの措置がなされるべきであるというのが今回の改正の趣旨でございます。
 そういう意味で、また改めて教員に復帰するということについては、今申し上げたような慎重な手続を踏むということが今回の制度的な保障としてなっているわけでございますが、それでもなお今御指摘のようなケースが場合によっては出てくるかもしれません。そういう意味では、これは今回の法律を通していただいて、具体的な執行、運用がなされる過程の中でそういう問題が出てまいりますれば、その段階で改めて検討させていただくということになろうかと思います。
#157
○山本正和君 局長の今の最後のところは大変私は大事に思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 率直に言いまして、教員も人間であり、そして家庭も持ち、子供も生まれる、あるいは交友関係でいろいろなこともある。そうすると、例えば自分の子供が事故でも起こして何かしたときにショックを受けて、もう学校で子供をよう教えないような状況になるということもあると思うんです。
 それは、そういう特殊なケースの話をしたらいかぬということで、これは一般論で言わなければいけないんですけれども、しかし一般論として言った場合でも、要するにかなり優秀で立派な者であっても不適切な指導をしているんじゃないかと思われる状況になることがたびたびあるし、また本人も実際は教壇にそのときの段階では立ちたくないというような気持ちになることも私はあると思うんです。そういう者からいえば、ある意味ではこれは転地療養じゃないけれども、新しい場所でまた元気が出てくるかもしれないということがあるような気もするんです。
 だから、有効によく使えばいいけれども、ところが極端な反対論の立場で言う主張で、これはもうとにかくお父さん、お母さんの評判をとるために気に食わぬ先生は皆ほうり出しますよというふうなことで受けとめられるといけないので、今、局長がお話しになったように、適用するに当たっては本当に十分慎重な上にも慎重を期し、しかも何遍も研修の機会を与え、しかもみんなで励ましも行って、それでもなおかつだめだったと。そのときには、仮に本人の気持ちは多少聞くにしても、本人の意向を無視してここへ来なさいよということがありますというのが今までの局長の答弁だと私は思うんです。
 だから、そういうことなんだということで確認をしたいのが一つと、今、局長は、もう一遍そういういろんなことも含めてさまざまな問題が出てきた場合には再検討をする余地もありますと、こういうふうに言われたということで、これは副大臣の御答弁でどうですか。
#158
○副大臣(岸田文雄君) 手続において慎重を期さなければいけない、これは先生がおっしゃったとおりであります。そして、こうした制度を実施するに当たりまして、先般も先生の方から政策評価の話もございました。絶えずこうした検証をしていかなければいけない、これはおっしゃるとおりだと思います。
#159
○山本正和君 では、今のことでひとつ不適切云々の問題についてはそういうことであれしたいと思います。
 今度はちょっと質問じゃなしに改めてまた要請をしたいんです。
 私は、今の学校の置かれている状況、これは大学も含めてですが、大変に困難な状況だと思うんです。特に、非常にまじめに取り組んでおられる方々にとっては毎日がつらくてかなわぬと思うんです。大学の教員が、なぜ自分たちの教えている、けさの日経にも書いてあったでしょう、東大の一年生で勉強しておった中国の方ですか、高等学校から日本に来てずっと勉強していて、とにかく東京大学へ行けというので一生懸命勉強して入ったと。一年たって、もうこれではどうにも自分が勉強をしたいというふうな学校に適さないと思って出ていったというふうなことが記事になったんですよ。
 それと同じようなことを私は大学の教員をしている人からいろいろな話を聞くんですけれども、自分たちが本当に大学の教官として一生懸命に学生といろんな話し合いをしながらやっていこうと思っても、その条件が余りにも外国と比べて悪いと言うんですよね。本当に学生たちとコミュニケートして、いろんな形で話し合いをしながらやっていくという、いわゆる学問の府としての大学の教員としてやろうにもなかなかやれる条件がないと、こういうことを言われている。大学ですらそうなんです。しかも、日本で一番みんながあこがれの的の東大がそうなんですよ。その中にそういう先生がおられるんですよ。これは前の学長さんのおる前で言ったらしかられるかもしれませんけれども、そういう先生もお見えになります。
 それから、私立でもそうですよ。やれ早稲田や慶応はいいと言うけれども、その中の大学の教官諸君もいろんな意味で苦しんでおる、一生懸命になればなるほど。それから、高等学校しかり、中学校しかり、小学校しかり。しかし、その先生たちは一生懸命な思いで苦闘しているんですよ。
 私は、率直に言いますけれども、二十代の若い先生たちが初めて担任をした、小学校で。子供たち全部一生懸命調べて家庭訪問してみる。さあ、もう大変なんですね。真剣になったらノイローゼになる。先輩から、おまえほどほどにせいと言われて、そうは言うけれども、まじめで一生懸命ですからほどほどにできないんですね。そのうちに、教師生活一年か二年したら、もう嫌になってやめようかとなってしまう。
 それは、私は今世の中全体が大変生きにくい世の中だろうと思うんです、若い人にとって。若い人にとって生きにくい世の中で、その中で生存競争をしなさいよと。そして、今の私が一番心配するのは国の流ればかりじゃないんですよ。国際的な流れが、お金さえもうければいいよと。金融でもって駆けずり回って、よその国の迷惑は関係ないよ、もうけりゃいいんだといって、タイの経済を一発で破壊するような企業が生まれるんですね。
 そういう弱肉強食の大変な時代の中で、では我が国の未来はどうなのかということを考えたときに、私はやっぱり教育だろうと思うんです。教育を大切にすることだろうと思うんですね。そういうことを言うと、私は正直言いますけれども、教育現場で働いている先生方に対する激励と応援と励ましと保障ですよ、今、我が国が目指さなきゃいけないのはね。
 そういう意味からいったら、そういう激励や励ましの保障の法案を何とかひとつ文部省はつくっていただきたい。こういう法案も、今もう緊急やむを得ずということでおっしゃるんだけれども、やっぱり私は緊急やむを得ぬと思うんです。今本当に苦しんでいる先生たちをどう保障するか。各都道府県の教育委員会や市町村の教育委員会あるいは校長連中が一番苦しんでいるのはそこなんですよ。若い先生と話してもなかなか話ししにくい。その若い先生たちをどうしたらいいかという悩みですよ。
 そうかといって、親もみんな苦しい。だから、親の苦しみと先生たちの苦しみ、そんな中で子供が、それでもほとんどの子供は一生懸命勉強して頑張ろうとしているんですよね。しかし、挫折するわけですよ、いろんな意味で。
 私は、だから教育に対して国が今なさなければいけないことは何かといったら、教育に対する保障だと思うんです。教育で一生懸命働いている人たちに対する保障ですよ。子供の教育で悩んでいる母親たちに対する、あるいは父親たちに対する保障だろうと私は思うんですね。そういう意味で、今、学校現場の置かれている状況、教育の置かれている状況を見て、そういうものの保障をどうしていったらいいかという観点からの議論を、これもまた先ほどお願いしましたけれども、中教審の場でぜひやっていただきたいと思いますが、いかがですか。
 あるいは、中教審に諮問をしていただく。諮問せぬでもいいし、また文部省の中でもひとつそういうふうな今置かれている学校現場や親たちが非常に苦しんでいる中で取り組んでいる者に対して、これをどうやって保障していこうかというふうな形での企画あるいは問題検討、でき上がった案を中教審にかけてもらってもいいし、オープンに議論してもらってもいいし、そういうふうな方向での文部省の取り組みをやっていただきたいと思いますが、いかがですか。
#160
○副大臣(岸田文雄君) 具体的な形はともかくといたしまして、先生の御指摘の問題意識は大変重要な点だと思います。そんな問題意識を持って議論をしていくこと、これはぜひ文部科学省においても進めていきたいと考えます。
#161
○山本正和君 ではもう一点。それでは最後に、今度は遠山大臣にひとつ、決意まで言っていただかなくてもいいんですけれども、先ほどちょっと言いましたけれども、教育の世界で生きてきて、そして大変な今の政治の難しい状況の中で大臣をおやりになっていると。
 ただし、私はこう見ると、そのときに、学者や教育の専門家を選ばれたときの総理というのは、それぞれ大変な時代に生きてこられた、また我が国の歴史の中でも随分苦しんだときの総理が選んでおられる例が多いんですよ。近く言えば小渕総理もそうです。その中で、何とかこの日本の国の中で頑張りたい、有馬先生、何とか助けてくれと。小泉さんもそうじゃないかと思うんですよ。これは難しいから専門家に頼もうということで遠山さんに頼まれたんだ。あの天野文部大臣を頼むときも、あの大変な世相の中でどうかと、随分いろんなことでお考えになっただろうと思うんですね。それぞれ大変な苦しみがあったと思うんです。
 しかし、そういう意味で、この法案の私の質問の最後の時間でございますので、ひとつ大臣の文部行政に対する決意みたいなものをお聞かせいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
#162
○国務大臣(遠山敦子君) 今、日本の教育が抱えております問題は極めて大きいものがあるという認識ではどなたも御一緒ではないかと思います。
 私は、教育といいますか文部行政に携わってきたことは確かでございますが、その後に海外に出て大使を務め、また美術館長ということもさせていただいたりいたしまして、幸いにも大変広い経験をさせていただきました。そのようなバックを持って考えますときに、日本の今の問題というのは、一人一人が創造性を持った本当に伸びる力というものをどんどん伸ばしていくという面と、それから特に心の問題といいますか、そこが非常に大事だなと思うわけでございます。
 私はたまたまトルコに駐在しておりましたけれども、そういう日本に比べれば経済的にもまだまだというところでありましたけれども、そこの国民の人たちの自国に対する誇りを持った生き方、あるいは自分の人生についてみずから何らか規律を持って生きようとする力、あるいは家族が助け合い、近隣の人たちが助け合い、親族が助け合う、その非常に豊かな心の交流を見ながら、私は日本のいろんな問題について考えさせられた経験もございます。
 もちろん、異国におけるいろんな文化の中で育ててきたそれぞれの国のしきたりなり、あるいは民族の当面する問題というのは違っておりますけれども、人間として、今日の世界を構成している、そういう一人一人の存在がどのように生きていくかというふうなことについては、いずれの国においても皆悩みを持ちながら、しかしそれなりの努力をして生きている、そういう現代であろうかと思っております。
 そんな中で、これからの日本を考えますときに、ちょうど世紀の始まりでもあり、日本が本当に国際的ないろんな、日本については期待がされているわけでございます。それにこたえていくことも大事であり、それは国家社会というレベルでどのような国になっていくかという大きな課題も抱えているわけでございますが、同時に、私は国家というものだけを考えるということではなくて、一人一人の人間がその国家の中の存在として、あるいはその国家の構成員として自信を持ちながら、しかしその社会に対して、あるいはその社会を構成する一員として何らか自分たちも寄与しよう、そういう精神をもっていくということも大事だと思っております。そのことのためには、心の問題と同時に本来あるべき伸びる力、そういったものを自分でも自覚し得るような、そういった教育というものを展開していかなくてはならないと思っております。
 私は、今回就任させていただいたのは余りにも突然でございまして、一体これからの日本の教育をどうやったらいいかということについてそれほど哲学的に深めるいとまもなく、この三法案の成立に力をかけてきたわけでございます。
 今、山本委員が一時間にわたっていろいろお述べいただいたことは、私のこれからの仕事の仕方なり、何らかお役に立てるという角度で顧みますときに、大変示唆に富んだお話をいただいたと思っております。そのような形でいろいろ議論を深めながら、委員の中にも本当にすばらしい御意見を持った方がいらっしゃると思いますし、また広く国民の中にもタウンミーティングとかいろんなフォーラムなどを通じて私も学ばせていただくところが多いわけでございますが、謙虚に、しかし広い心を持ってやるべきことを少しずつやっていきたいと思っているところでございます。我が文部科学省にも大変優秀な人たちがおりますから、その人たちの助けもかりながら、日本の教育についてさらに考えを深めてこれからも歩んでいきたいと思っております。
 どうも余りうまいことを言えませんけれども、そんな気持ちでいるところでございます。
#163
○山本正和君 ありがとうございました。
 終わります。
#164
○高橋紀世子君 高橋紀世子でございます。
 前回とまた同じような質問になってしまうんですけれども、しつこいようですが、もう一度伺いたいと思います。
 今このように、登校拒否児が十三万人、それからいじめの問題、子供たちの自殺の問題、そういう教育の危機を招いたことに対する責任、政府というか行政の責任がやはりあると思うのですけれども、その点をどう考えていらっしゃるか、伺いたいと思います。
#165
○副大臣(岸田文雄君) 今、先生の方から、いじめですとか不登校ですとか御指摘をいただきました。
 こうしたさまざまな問題行動ですが、その原因、背景につきましては実にさまざまであります。家庭、学校あるいは地域のあり方、さらに少子化、核家族化、都市化に伴う人間関係の希薄さ、そんないろんな要素が絡んでいると思います。ですから、こうした問題の背景には本当にいろんな立場の人間がかかわっていると思います。社会を構成する人間、特に大人の立場からそれぞれ皆こうした問題行動等の背景として責任を感じなければいけない問題だと思っています。そういった中にあって、文部科学省としてもやはりこうした現状に対して行政の立場から責任がある、それは御指摘のとおりだと思っています。
 いずれにしましても、こうした複雑な背景のある問題であります。各関係者が連携し、一致協力しながらしっかりと対応していくことが大切だと思いますし、それこそが責任を果たすことになるのではないかと考えています。
#166
○高橋紀世子君 複雑な理由があるということを伺いましたけれども、それはもちろん子供の育つ環境ですから複雑な理由はあると思うんですけれども、学校に行きたくない子供の数とかそれらを思いますと、やはり複雑な事情以外に、教育行政のあり方に何か子供の成長に合わないものがあるのではないかと思います。
 もう一度そのことについて、しつこいようですけれども、お聞きいたします。
#167
○副大臣(岸田文雄君) 確かに現代社会は人々の価値観も多様化しておりますし、世の中もドッグイヤーと言われるような物すごいスピードで変化しております。こうしたさまざまな動きの中で教育あるいは教育行政というものがどうあるべきなのかということを考えますと、これは絶えず点検をしていかなければいけない問題だと思っています。こうした大きな動き、急速な動きをしっかり見据えて、そしてあるべき教育行政の姿、こういったものは引き続き点検していかなければいけない問題だという問題意識は強く感じています。
#168
○高橋紀世子君 私は、この教育三法なんですけれども、その趣旨は大変高邁でいいんですけれども、もちろん文部省、先生方、皆さんがお決めになったんですけれども、何か学校側から出た息吹を感じないので、やはりそれが活性化につながらないのではないかと心配しています。この教育三法を実際に採決してしまうのは、まだもう少し検討が必要なような気がいたします。行き過ぎた平等主義による教育の画一化を助長するように思うのです。やはりこの三法は私自身は今決めるべきではないと思っています。
 真に自立した、他人への思いやりと創造性にあふれる人を育てるための教育のあり方を考えるとき、教育システムにおける決定権をだれが掌握するかという問題は非常に重要な課題だと思います。なぜなら、人間の自由な発想やみずからのハートから行動する勇気をはぐくむ教育環境は一人の人間の神頼み的な意識から生まれてこないと思うのです。私は、教育の現場に携わる一人一人の個性が交わりながら独創的な教育システムをつくり上げる過程の中にこそ、道なき道を行くフロンティア精神が生まれてくるように思います。
 ボランティアなどの体験学習や飛び入学制度の導入を国家主導で行えば、すべての学校において教育の画一化をさらに助長するような気がしてなりません。真の自由とは人から与えられるものではないと思うんです。それは一人一人の人間が本来備えている資質です。ゆとりという名の画一的な教育を押しつけてしまっているのがこの三法案のような気がしてなりません。
 私の率直な感想を述べさせていただきました。
#169
○副大臣(岸田文雄君) 先生の方から今三法案、行き過ぎた平等主義による教育の画一化ではないか、あるいは押しつけではないか、そういった御意見をいただきました。
 しかし、この教育改革三法案、例えば社会奉仕体験活動にしましても、先ほど来再々申し上げているように、これは実施するに当たりまして、やはり各地域の事情、その学校の工夫等を尊重し、また自発性等も配慮した上でさまざまな形で行われるということが肝要だと思っています。そういった中で、子供たちがそれぞれ体験活動を通じてさまざまなものを吸収し感じる、これが大切だというふうに思っております。
 また、飛び入学にしましても、まさにこれは画一ではなくして、特にすぐれた資質、きらりと光るような資質、こうした資質を持った児童生徒の選択肢を広げるということでありますから、画一化とは違う、逆の方向の施策ではないかというふうに思っております。ですから、行き過ぎた平等主義による教育の画一化という御指摘はこの三法案には当たらないんではないかと我々は認識しております。
 決定権限を学校に移譲するべきではないかという御指摘もいただきましたが、やはり教育水準の確保あるいは機会均等、こういったものを保障するために国として大綱的な基準を設けること、これは必要だと思っています。しかし、これはあくまでも大綱的な基準でありまして、この基準を踏まえながら各学校それぞれ特色ある教育、創意工夫あるいは選択、こういったものを実践できるように努めるということが肝要かと思っております。
#170
○高橋紀世子君 ありがとうございました。
 おっしゃるように、ボランティア精神も子供に持ってもらいたいし、それから飛び級と言うとあれですけれども、勉強したらすごくいいことがあるかもしれないという精神も必要だと思うんですけれども、今おっしゃったように、それを決めるのは文部省や我々ではなくて、実際子供たちを見ている現場でそういう機運が盛り上がってそういうことになるのを、そういう土壌を我々が助ける、そういうふうにしないと、どうしてもどこかで人から決められたことをやるという精神がつきまとうような気がしてなりません。
 きょうはありがとうございました。
    ─────────────
#171
○委員長(市川一朗君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、扇千景君及び小林元君が委員を辞任され、その補欠として鶴保庸介君及び川橋幸子君が選任されました。
    ─────────────
#172
○荒木清寛君 それでは、まず出席停止に係る権限の委任についてお尋ねをいたします。
 昭和五十八年十二月の初等中等教育局長通知「公立の小学校及び中学校における出席停止等の措置について」では、「出席停止の措置は、国民の就学義務ともかかわる重要な措置であることにかんがみ、市町村教育委員会の権限と責任において行われるものとされている。ただし、校長に対し権限の委任を行うことはできる。」とされております。
 出席停止について現行学校教育法第二十六条は、「市町村の教育委員会は、」「出席停止を命ずることができる。」と規定をしております。これは出席停止が義務教育の保障である就学義務の履行を停止するという重大な問題であるということにかんがみて教育委員会の権限にしたわけであろうかと思います。
 そこで、その五十八年の通知によって校長に委任をしている根拠、また実際にどの程度委任が行われているのか、あるいはどういう理由で委任をしているのか、伺います。
#173
○政府参考人(矢野重典君) 法制的に、どのような権限について校長への委任を行いますかは各教育委員会の裁量に属する問題でございまして、地教行法第二十六条に基づき、出席停止に関しましても教育委員会規則の明確な根拠を設けて校長に対して権限の委任を行うことは可能であるわけでございます。
   〔委員長退席、理事松村龍二君着席〕
 そこで、平成十一年度の出席停止の事例八十四件について見てみますと、市町村立学校管理規則等におきまして確認できる範囲で地教行法第二十六条に基づく委任を行っている事例は一件でございます。しかし、その場合におきましても、学校は事前に指示を受けたり事後に報告を行うなど、教育委員会の適切な関与のもと出席停止の命令を行っているところでございます。
 こうした権限の委任等は、一般的に、出席停止の運用に当たりまして、学校の実態を最も把握し、適時適切な判断をし得る立場にある校長の判断を尊重することが望ましい、こういう考えに立って行われているものと考えているところでございます。
#174
○荒木清寛君 改正案の二十六条一項も、現行と同様に教育委員会の権限としての出席停止ということであります。今回は要件の明確化ということで、第二項については市町村教育委員会は出席停止に当たって保護者の意見を聴取するとともに書面を交付しなければいけない、あるいは第四項の出席停止の期間中における支援措置についても市町村の教育委員会の権限としておるわけであります。
 改正後もこういう権限は今の地教行法二十六条によって校長に委任をすることができるわけでありますか。
#175
○政府参考人(矢野重典君) 改正後の二十六条二項に規定する保護者からの意見聴取あるいは第四項に規定する学習支援等の措置に関しても、法形式論として申し上げますれば、第一項の出席停止を命ずる権限の委任の場合と同様に、教育委員会規則の明確な根拠を設けることにより校長に対して権限の委任を行うことは可能でございます。
   〔理事松村龍二君退席、委員長着席〕
 ただ、先ほど申し上げましたように、これはあくまでも法形式論として申し上げれば可能であるということでございます。
#176
○荒木清寛君 形式論として可能ということは、特別の場合を除いて余り望ましくないという趣旨であろうかと思います。事柄の重要性にかんがみまして、やはりそういう第三者的な判断の客観性を保たなければいけないということもあろうかと思いますし、現実に平成十一年度の例でいえば一件しかない、極めて例外的な場合であったかと思います。
 そこで、今回改正になりまして、今、局長がおっしゃった法形式論的には可能という裏には、教育委員会において委任をせずにそうした権限を行使することが望ましい、適切であるという判断があるんだと思います。そうした事柄は今回改正案が通った場合の通知においては明確に示すべきではないでしょうか。
#177
○副大臣(岸田文雄君) 今、局長から説明させていただきましたように、法制的には二十六条に基づきまして出席停止に関しても教育委員会規則の明確な根拠を設け、校長に対し権限の委任を行うことは可能であります。
 しかしながら、今回の法改正により、出席停止の手続について、新たに保護者からの意見聴取あるいは出席停止の理由及び期間を記載した文書の交付といった手続を規定することとした、こうした趣旨を考えた場合に、やはり慎重であるべきだというふうに思います。
 御指摘のように、通知等を通じてぜひこの趣旨を徹底するようにしていきたいと考えています。
#178
○荒木清寛君 次に、授業の公開について、これは指導力不足教員への対応とも関係して、私は意見を含めてお尋ねをしたいと思います。
 学校教育は教師と児童生徒との信頼関係を基盤として営まれるものであり、信頼関係があって初めて有効な教育指導を行うことが可能となります。子供たちも、丁寧でわかりやすい授業、知的好奇心を満たすような授業、わくわくするような授業を待っている、当然のことでございます。しかし、現実には同じ学校の教師でも同僚がどういう授業を行っているのかなかなか見ることができない、また仮にその様子がわかったとしても特にそういう意見を言うことができないような雰囲気が強いとも言われております。
 この二十一世紀教育新生プランのキャッチフレーズは、学校がよくなる、教育が変わるであります。学校がよくなり教育が変わるためには、その前提として授業の充実が不可欠であると考えます。そのためには、学校の中にある垣根を低くしまして、授業を教員同士がお互いに見学したり助言し合うことができるような学校にならなければいけないと思いますが、いかがですか。
#179
○政府参考人(矢野重典君) これからの学校教育におきましては、それぞれの学校が家庭や地域住民とともに子供を育てていくという視点に立って、御指摘のように開かれた学校づくりを進めていくことが必要であると考えます。
 このような考え方に立ちまして、新しい学習指導要領におきましても、「開かれた学校づくりを進めるため、地域や学校の実態等に応じ、家庭や地域の人々の協力を得るなど家庭や地域社会との連携を深めること。」ということを強調したところでございます。具体的には、各学校がみずからの教育方針などにつきまして保護者や地域の人々に説明し理解や協力を求めたり、また保護者や地域の人々の声を参考にして教育活動の自己点検、自己評価を行ったりすることが大切であるわけでございます。また、教員同士が校内研修等を通じて授業の改善を図ったり、異なる学校の教員が研修会等を通じて積極的に交流を深めることも大変重要であるわけでございます。
 こうした観点から、各学校におきましては、それぞれの実態に応じて、授業参観でございますとか他校の教員にも開かれた研究授業など、さまざまな取り組みを行っているところでございます。例えば東京都におきましては、今年度からすべての都立高校におきまして保護者が随時授業を参観できるようにしていると聞いているところでございます。
 私どもといたしましては、それぞれの学校の実情に応じてこのような取り組みが積極的に行われ、開かれた学校づくりが一層進められますように引き続き指導に努めてまいりたいと考えているところでございます。
#180
○荒木清寛君 今お話にもありましたが、東京都立高校においてはいつでも保護者が授業を参観できる、私はそれは非常にすばらしいことであると考えています。関係のない第三者に公開をする必要はありませんし、また今回の不幸な事件も考えれば、そういうことに対するセキュリティーというのはしっかりしなければいけないと思いますけれども、しかし保護者あるいは地域住民も含めた利害関係者については、いつでも保護者については我が子が受けている授業を参観できる、見ることができる、私はこのことも授業をよくする大きな一つの要因になるというふうに思います。
 先生もお忙しいですから、十分に準備ができなくて授業をしてしまうという場合もあろうかと思いますし、あるいはしっかり準備をした場合には大変すばらしい授業ができるわけでありますけれども、そういうことが、保護者の方もそういうところを見ることができるということは、先生にとっても大いに励みになるというふうに思うのであります。
 そこで、今も答弁されましたけれども、改めて文部科学省として、地域住民まで含めるかどうかは別としましても、特に保護者等、そういう関係のある人には授業を積極的に公開すべきである、こうした観点で強く指導をしていく考えはありませんか。
#181
○政府参考人(矢野重典君) 今、御説明申し上げましたとおり、これからの学校教育においては開かれた学校づくりを進めていくことが大変大事であるわけでございます。そういう意味で、私どもといたしましては、各学校の実情に応じまして、先ほど御紹介申し上げたような取り組みが積極的に行われ、開かれた学校づくりが一層進められますように引き続き指導を進めてまいりたいと考えているところでございます。
#182
○荒木清寛君 それでは、先回ちょっと途中で終わってしまいましたので、私が前から関心を持っています障害を持った子供さんへの教育のことを残った時間で取り上げてまいりたいと思っております。
 公明党はことしの一月から三月まで全国十二都市で教育対話を実施いたしまして、それに基づきまして教育対話に基づく提案をまとめました。そこでも障害を持つ子供たちに対する教育の充実をいろいろ提言しておるわけでありますが、そうしたことも踏まえて何点かお尋ねしたいと思います。
 まず、盲・聾・養護学校など特殊教育諸学校における障害児教育専門の免許を持った教員の増加策についてであります。もちろん教員が、先生が学校で教えるためにはそれぞれの種類に応じた免許が要るわけでありますが、ですから養護学校については特殊教育教諭免許というのがあるわけであります。ところが、教職員免許法には特例といいますか附則がありまして、小中高等学校、幼稚園の教諭の免許状を有する者は、当分の間、盲・聾・養護学校の相当する各部の教諭、講師になることができる、こういう一つの例外措置があるわけであります。
 しかし、平成十二年五月一日現在の統計によりますと、全国の公立の盲・聾・養護学校の本務教員で、在籍をする学校種のいわゆる障害児教育専門の免許状を持つ教員は全体の四八%にとどまっている。半分以上は普通のといいますか、小中学校、幼稚園の教諭の免許状で教えているということであります。一生懸命頑張っていただいていると思いますけれども、しかし今後、重度・重複障害を持つ子供たちの割合の増加、障害の多様化等の進行によりまして、ますますそうした児童生徒一人一人の特色といいますか状況を理解した教育指導の必要性が高まっております。
 したがいまして、特殊教育ということでありますけれども、その教育の一層の充実を図るためには特殊教育免許保持者の増加が不可欠であると考えますが、この問題についてどういう見解を持っているのか、あるいは今後どういう施策を展開していくつもりなのか、伺います。
#183
○政府参考人(矢野重典君) 特殊教育諸学校の教員は、小学校等の教諭のいわゆる基礎免許状に加えまして、各学校種ごとの特殊教育教諭免許状の保有が必要とされているところでございます。しかしながら、先生御指摘のとおり、特殊教育教諭免許状を保有していなくても盲・聾・養護学校の教員となることができる特例が認められていることなどから、特殊教育諸学校教員の特殊教育教諭免許状の保有率は盲学校で二〇%、聾学校で二七%、養護学校で五二%と低い状況にあるわけでございます。
 このような状況に対しまして、本年一月の二十一世紀の特殊教育の在り方に関する調査研究協力者会議の最終報告においても指摘されておりますとおり、教員の採用、配置、現職教員の免許取得等の措置、これらを総合的に講じていくことにより対処することが必要であるわけでございます。
 具体的には、任命権者でございます各都道府県教育委員会等におきまして、一つには、教員採用に当たって特殊教育教諭免許状を有する者の採用を基本とするということ、また二つには、教員配置に当たって免許保有者の要件を明確にしたりあるいは配置後一定期間に免許を取得することを促すなどの工夫をすること、さらには認定講習の充実や情報提供などに努めまして教員が計画的に単位を取得する機会が得られ免許が取得できるようにすることが必要であるわけでございまして、私どもといたしましては今後ともこのような各教育委員会の積極的な取り組みを促してまいりたいと考えているところでございます。
#184
○荒木清寛君 平成五年に制定されました障害者基本法は、障害者の自立と社会、経済、文化、その他あらゆる分野への参加を促進することを目的といたしております。我々もそうした障害を持った方の御両親とお話をする機会も多いわけでありますけれども、やはり社会に出てきちんと職場で仕事をさせたいということを強く願っていることをいつも感じるわけであります。
 そういう意味では、障害を持つ子供たちもいずれ学校を卒業し社会に出るわけでありまして、社会に出てから働くことができるようなシステムづくりというのが求められています。他方、そのためには、学校教育におきましてそうしたお子さんたちに対する充実した職業教育が不可欠であります。昨今の情報技術、テクノロジーの進歩というようなことも十分その場合には踏まえなければいけないわけであります。
 そこで、障害を持った児童生徒に対する職業教育あるいは学校内作業教育の充実について見解を伺います。
#185
○政府参考人(矢野重典君) 近年の厳しい経済状況や生徒の障害の重度・重複化等によりまして高等部卒業者の就職率が低下しておりますことから、盲・聾・養護学校の職業教育及び進路指導の充実を図る必要があるわけでございまして、まさに御指摘のとおりでございます。平成十二年三月の高等部本科卒業者の就職率を見ますと、二三・二%といったような状況になっているわけでございまして、大変厳しい状況であるわけでございます。
 このため、新しい学習指導要領におきましては、生徒の職業的な自立の推進のために、新しい教科として情報、また流通サービスなどを新設いたしまして教科構成の改善を図ったところでございます。
 また、御指摘の職業教育につきましては、これは、生徒の働く意欲を培い、将来の職業生活や社会的自立を目指して、生活する力を高めることを意図する作業学習の充実を図っていくことが大変大事であるわけでございまして、文部科学省におきましては、平成十三年度に、厚生労働省や教育委員会、関係団体等の協力を得ながら、教育と労働が一体となった就業支援の充実方策について調査研究を新たに実施することといたしているところでございます。
 今後ともさまざまな施策を通じまして盲・聾・養護学校の職業教育の充実に努めてまいりたいと考えているところでございます。
#186
○荒木清寛君 先ほども言及がありました二十一世紀の特殊教育の在り方に関する調査研究協力者会議の最終報告の中にも、障害を持った子供さんの就学指導の方針変更というようなことも含まれております。そうしたことを受けますと、今後、小中学校に通学する障害を持つ子供たちの数は増加すると思われます。いわゆる統合教育というような考え方かと思います。また、幼稚園や保育園に通う障害を持つ子供の数もますますふえると思われます。
 そこで、教育情報の提供、相談業務あるいは施設や機能の開放など、障害を持つ子供たちのための教育センター、あるいは社会に出て後の生涯学習を支援するためのセンターとしての機能の充実が特殊教育諸学校に求められていると思います。こうしたことを我々も提言しておるわけでございますけれども、こうした機能の強化のためには国からの情報提供、人的、物的にかかわる財政支援が必要であると考えますが、この点の文部科学省の取り組みについて伺います。
#187
○政府参考人(矢野重典君) 盲・聾・養護学校は、その専門性や障害に応じた施設設備を生かして、地域の特殊教育センターとしての役割を果たすことが必要であるわけでございます。
 具体的には、盲・聾・養護学校は、小中学校に在籍する障害を持った児童生徒の指導の充実を図りますために、指導方法や教材を小中学校に提供したり、あるいは地域の障害者が情報活用能力を身につけるための情報教育センターとしての役割を果たす必要があるわけでございます。また、障害者等の生涯学習に資するように、運動場や体育館、プールなど学校の施設を開放したり公開講座等を実施するなどの取り組みを行うことも重要であるわけでございます。
 我が省におきましては、このような盲・聾・養護学校の機能の充実を図りますために、障害に対応した情報機器の設備を整備するための補助を行いますとともに、今回の教職員定数改善計画におきまして、教育相談担当教員でございますとか聾学校におきます通級担当教員等を新たに配置したところでございます。
 また、国立特殊教育総合研究所におきまして、平成十三年度に盲・聾・養護学校の地域の特殊教育センターとしての役割について調査研究を行うことといたしているところでございまして、今後とも地域の特殊教育センターとしての盲・聾・養護学校の機能の充実につきまして私どもとしても支援をしてまいりたいと考えているところでございます。
#188
○荒木清寛君 次に、近年非常に大きな課題となっております自閉症児、あるいはADHD児、これは注意欠陥多動性障害児ということでありますが、あるいは学習障害児への支援について文部科学省としてはどう取り組んでいこうとしているのか、伺います。
#189
○政府参考人(矢野重典君) 知的障害を伴わない自閉症でございます高機能自閉症児、それから注意欠陥多動性障害、ADHD児、あるいは学習障害児等につきましては、これは通常の学級に在籍することが多く、担任が障害の特性に留意して指導するなど教育的対応に努めているところでございますけれども、これらの児童生徒の実態等については十分に明らかになっていないわけでございます。
 そういう意味で、高機能自閉症児やADHD児に関する調査研究につきましては、国立特殊教育総合研究所の調査研究の成果も踏まえながら、平成十三年度、今年度から、専門家による調査研究協力者会議を設置いたしまして、高機能自閉症等に関する定義でございますとか判断基準について明確にするといたしますとともに、効果的な指導方法でございますとかあるいは指導の場、形態等について検討をいたすことといたしているところでございます。
 また、学習障害児でございますが、学習障害児につきましては、本年度から、四十七都道府県に委嘱をいたしまして、学習障害児に対する実態調査あるいは判断基準等について実証的、実践的な研究を行いますとともに、学習障害児等の全国的な実態調査を行うことといたしているところでございます。
 これらの調査研究等の進め方については、今後、専門家等の意見を聞きながら検討いたすことといたしているところでございますけれども、研究の成果につきましては、中間報告を出したり、関係者の意見を聞いたり、あるいは成果を活用して啓発リーフレットを作成するなどの工夫も逐次行ってまいりたいと考えているところでざいます。
#190
○荒木清寛君 けさちょっと理事会等で案件になった件もそうでありますけれども、どうも文部科学省の調査というのは時間がかかるようでもありますので、今、話のあった中間報告等も出して、そうした成果を十分活用して、現にそうした問題で悩んでいる人はたくさんいるわけでありますから、効果的な施策を模索しながら進めてもらいたいと思います。
 今、そうした自閉症児、ADHD児に対する対応ということで教育相談担当職員の配置というようなこともございました。今回の地教行法の改正案でも、この教育行政についての相談窓口の明示というようなことも入っているわけでございます。
 そこで、今指摘しましたような、近年明らかになってきて大きな問題になっている障害を持つ子供の親御さんからは、どこに相談していいのかわからない、あるいはどこのお医者さんに相談していいのかわからないというようなこともあるわけでございますけれども、そういう事態は今の教育相談担当職員の配置でありますとかあるいは今回の教育行政に関する相談窓口の明示ということによって解消するんでしょうか。
#191
○政府参考人(矢野重典君) 障害のある子供の保護者に対します相談、支援を行いますためには、先ほど御紹介があった一般的な窓口だけではなくて、教育委員会が福祉、医療、労働等と一体となった相談支援体制を特に整備することが必要であると考えているところでございます。
 このため、文部科学省におきましては、平成十三年度から、全国の都道府県教育委員会に委嘱をいたしまして、教育委員会が福祉医療機関と連携した相談体制の整備、そして教育相談を行う教育相談体系化推進事業というのを実施することといたしているところでございます。
 また、国立特殊教育総合研究所におきましては、都道府県の特殊教育センターの教育相談担当者に対する研修の実施でございますとか、特殊教育に関する教育相談、情報の提供を行っているところでございます。今後とも、こうした施策を通じまして、教育委員会のこうした障害を持つ子供の保護者に対する相談体制の充実が図られますように私どもとしても支援をしてまいりたいと考えているところでございます。
#192
○荒木清寛君 私は、前回の質疑の中でも、排除の論理ではなくて支援ということが大事なんだということを主張いたしました。あるいは、二十一世紀の我が国が目指すべき方向は共生社会の実現であるということについてはもうコンセンサスがあると思います。今回は前回に引き続いて二回に分けまして障害を持つ子供たちの教育の問題を取り上げました。
 そこで、最後に遠山文部科学大臣から、共生社会を実現するという観点から、二十一世紀の障害を持つ子供たちに対する教育というのはどのように展開していくおつもりなのか、その決意をお伺いいたします。
#193
○国務大臣(遠山敦子君) これからの社会を考えますときに、いろんな課題はございますけれども、その中の大事な要素といたしまして、障害のある者と障害のない者が同じ社会に生きる人間としてお互いを正しく理解し助け合っていく、支え合っていくということが大切であると考えております。
 二十一世紀の特殊教育のあり方につきましては、このようなノーマライゼーションの理念の実現に向けて、障害のある児童生徒がその可能性を最大限に伸ばし、そして自立して社会参加するために必要な力を培うために、児童生徒一人一人のニーズを把握して必要な支援を行うことが大事だと考えております。
 我が省といたしましては、今後、教育と福祉、医療、労働等の各分野が一体となって社会全体として児童生徒の自立を生涯にわたって支援していく体制を整備したり、あるいは障害のある子供と障害のない子供の交流教育を積極的に推進するなどによりまして、障害のある児童生徒の教育の一層の充実に努めてまいることが大事だと考えております。
#194
○荒木清寛君 終わります。
#195
○亀井郁夫君 自由民主党の亀井でございます。
 五日間にわたる教育関連三法案の質疑の最後のバッターを務めさせていただきます。大臣、副大臣、お疲れかと思いますけれども、ひとつ元気を出して積極的な御答弁をちょうだいしますようよろしくお願い申し上げたいと思います。一生懸命頑張りますから。
 今回の教育関連法案は、戦後五十五年間に培われた我が国の教育風土を大きく変革し、二十一世紀の教育はいかにあるべきかということを見据えた上での教育風土の改革といった大きなテーマのもとに実際に行われようとしておるわけでございます。
 去る八日の大阪教育大学附属池田小学校における痛ましい事件は、人間として生きる道を教えることを忘れた戦後日本の教育の結果の一つであり、今こそ国を挙げて教育のあり方を考えなければならない、そういう大事なときにあるんではないかと私は思います。
 今さら言うまでもありませんけれども、教育の柱は社会の教育、家庭の教育、学校の教育、この三つが柱でございますけれども、今回の法改正では、学校教育につきましては校長のリーダーシップを確立し、同時に不適切教員の免職、また問題行動を重ねる児童生徒の出席停止など、学校風土の改革についてやろうとするものでございますし、また教育の中心になっております教育委員会につきましても、委員の構成の適正化と原則公開により教育委員会の活性化を図ろうとしておるものでございます。
 さらに、社会教育法につきましては、家庭教育に関する教育委員会の責務を明らかにすると同時に、社会教育についても同じように責務を明らかにしようというものでございますけれども、これらの法律が一日も早く定着することを心から願うものでもございます。
 学校教育に関する問題につきましては一昨日質問させていただきましたので、きょうは社会教育法の改正に関して、社会教育と家庭教育を中心にしてお尋ねしたいと思うわけでございます。
 まず最初に、社会教育のうち、特に生涯学習の問題でございますけれども、今、生涯学習が大きな課題になっておるわけでございます。生涯学習の考え方は、昭和四十年のユネスコの成人教育に関する会議におきまして初めて提案されて以来、国際的に普及してきたものでございます。
 我が国におきましても、昭和五十九年に設置された臨時教育審議会におきまして、従来の教育を提供する立場から、逆に学習者の視点に立った生涯学習という観点からいろいろと提言が行われてきたところでもございますけれども、そういう意味では教育の改革の重点が生涯学習体系に移りつつあるということでもございます。
 我が国におきましては、人々は生涯いろいろな形で学習を続けなきゃならない、そして学習につきましてはいつでも自由に学習機会が選択できる、そしてその成果を適切に評価し、また生かしていかなきゃならないというふうな形で生涯学習社会を目指して今いろいろな施策が行われているところでもございます。
 しかしながら、生涯学習という言葉から受けるイメージは、ともすればお年寄りの生きがいづくりのための教育というふうな形にとられやすい点がございます。そういう意味では、真の意味における生涯学習を定着させていく必要があるのではないかと思うわけであります。生涯学習の中には自己実現なり自己の充実ということはもちろんでございますけれども、各人が自発的意思に基づいて学習したものを地域の子供たちに体験活動等を通じて教えてやるというふうなことも大事なことではないかと思うわけであります。
 そういう意味では、人生という長い学習活動の結果を子供たちに教える、単に学習するというだけではなしに学習結果を社会に戻していく、そして社会に貢献していくんだというふうな形での生涯学習でなければならないと私は思いますけれども、生涯学習に対する大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
#196
○国務大臣(遠山敦子君) 生涯学習につきまして、その概念の起きた一九六五年のユネスコの成人教育に関する国際会議のことについても触れられ、また日本におきましては臨時教育審議会で生涯学習社会の実現について論議が行われたことについてもお触れいただきました。
 生涯学習という概念というものは、たどれば五十年弱のことではございますけれども、私もまた先生と同じように、この考え方は教育を貫く一つの大変重要な要素であると思っているところでございます。臨時教育審議会で生涯学習社会の実現ということを論議されましたときには、学歴社会の弊害の是正でありますとか、社会経済の変化に対応するための学習の必要性、あるいは社会の成熟化に伴う学習需要を背景として論じられたところでありまして、人々が生涯のいつでも自由に学習機会を選択して学ぶことができ、その成果が適切に評価されるような社会の実現、これが教育改革の基本理念の一つとして位置づけられたわけでございまして、そのために、推進体制の整備でありますとかリカレント教育の機会の拡充、教育制度の弾力化など、今日までさまざまな施策が講じられてきているところでございます。
 生涯学習の実現のためには、学習機会の提供とともに、とりわけ個人が生涯学習によって得た学習成果を活用して社会に積極的に参加し自己実現することが可能となるような社会システムを形成することが重要でございまして、そのために、職業生活のためのキャリア開発でありますとかボランティア活動とともに、地域社会の発展のための活動が考えられるところでございます。
 私は、日本の国民の向学心あるいは何かにチャレンジしようとする気持ちを持っていること、それらの国民性というものは生涯学習に極めて適していると思うわけでございまして、行政としてはそういう意欲をさらに激励するといいますか、それを支援していく、そういう体制が重要だと考えているところでございます。次第に日本におきましても生涯学習の重要性が認知され、そして盛んになりつつあるということを喜びとするところでございます。
 御指摘の、地域の子供たちの体験活動にボランティアとして参加するということも、学習成果を単に自分を豊かにするというだけではなくて社会へ還元していくという意味で大変重要と考えるところでございまして、生涯学習の活動の一つとして位置づけられるものでありまして、こうした活動の一層の推進に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
#197
○亀井郁夫君 国民全員が常に学習の気持ちを持ちまして生涯学習社会の実現を目指すということは非常に大事なことでございますが、一方で地域の教育力という問題について目を向けてみますと非常に問題があるんではないかと思うわけであります。地域住民の人間関係や連帯感というものがだんだん希薄化してきているという状況の中で、よその家の子供をしからなくなったとか、あるいは隣近所に無関心な人がふえたというふうな形で、地域としての教育力がだんだん弱くなってきているというのも実態ではないかと思います。
 しかし、子供たちにとってみますと、やはりその地域社会でいろいろな人と交流しながらいろいろな経験を積み重ねることによって社会性もはぐくまれ成長していくわけでございますけれども、地域の教育力が低下してしまったという状況では子供たちも非常にかわいそうな状況にあるわけでございます。
 また一方では、ボランティア活動の形で地域における青少年の健全育成にもいろいろと手を出していきたい、かかわっていきたいという方々もおられるわけでございます。そういう意味では、社会奉仕体験活動だとかあるいは青少年に対してそういった体験を与えるということが非常に大きな課題だろうと私は思うわけでございます。
 こうした中で、今回、社会教育法が改正されまして、教育委員会に社会教育の一環としてさまざまな体験活動の機会を意図的に提供しなければならないとしたこと、さらには民間団体の主催による事業で活躍したような方々にも社会教育行政の分野で活躍する道を開いたということは非常に時宜を得た重要な改正であると評価されるところでもございます。
 私たちは、子供は社会の宝だという考え方に立ち、みんなで子供を育てていく、社会全体で子供を育てていくという考え方を持つことが大事でございますけれども、今回の改正を契機にして、どのようにして地域の教育力の向上を図っていこうとしておられるのか、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
#198
○国務大臣(遠山敦子君) 地域の教育力の向上を図りますためには、青少年の健全育成に関して地域住民による自主的な学習活動や社会参加活動などを振興して、地域で子供を育てる環境づくりを進めていくことが重要であると考えます。とりわけ今日、不足が指摘されております青少年の体験活動の充実に地域ぐるみで取り組んでいくことが求められているところでございます。
 このため、今回の社会教育法改正を契機にいたしまして、青少年の体験活動の機会の一層の充実を図りますとともに、地域でこれらのさまざまな活動に取り組んでいる人材を社会教育の専門的職員でございます社会教育主事に登用しやすくするということによりまして、社会教育行政の一層の振興に努めることとしているところでございます。
 また、具体的な取り組みといたしましては、全国子どもプランを策定いたしまして、他省庁とも連携しながら青少年の体験活動の機会の充実を図りますなど、地域で子供を育てる環境をつくっていこうということで取り組んでいるところでございます。さらに、本年度から、民間の青少年団体が地域において行う体験活動等の事業に対しまして、御協力を得ました子どもゆめ基金を通じた助成金の交付を行うことといたしております。
 次いで、中央教育審議会におきましても、青少年のさまざまな体験活動の推進方策に関して、学校内外にわたる青少年の体験活動の機会を充実させるための学校、地域、関係団体等の連携のあり方や、あるいは指導者の確保などについて目下御議論いただいているところでございます。
 こうして、さまざまな体験活動に地域の大人と子供が一緒になって取り組むことは地域の教育力の向上につながるものと考えておりまして、今回の法改正を契機といたしまして、関係団体相互間の連携あるいは地域住民の協力を幅広く得ながら子供たちのさまざまな体験活動の充実に資してまいりたいと考えているところでございます。
#199
○亀井郁夫君 ありがとうございました。
 今お話がありましたように、地域のお年寄りやそういう方々がどんどん子供たちと接触していくことは非常に大事なことだと思いますので、ぜひしっかりやっていただきたいと思います。そして、地域における教育力というものをぜひとも高めていくように御努力願いたいと思うわけであります。
 次に、家庭教育の問題についてお尋ねしたいと思うわけでございます。
 学校におけるいじめや不登校、校内暴力、こうした問題行動が随分深刻な状況になっておりますけれども、その原因の一つは、子供に対するしつけが十分でない、きちんと行われていないということから、やはり家庭教育が問題になると私は思います。
 そういう意味では、家庭教育はすべての教育の出発点だと言えるわけでございますけれども、しかし戦後の個人主義を中心とした教育を受けてきた者が親になっておりますし、親自身の教育力が非常に低下している。そしてまた、少子化や核家族化ということでございますから、おじいちゃん、おばあちゃんの教育もなかなか受けにくいということですし、また地域における人と人のつながりも、先ほど来話が出ておりますように、なかなかないという状況ですから、どうしても家庭の教育力の低下を何とか防いでいかなきゃならないという大事なときにあろうかと思うわけでありますけれども、実際には家庭教育が大変問題で、どのように教えたらいいかわからないという親も多いわけでございまして、そういう意味では自信の持てない親、教育の仕方がわからない親というのがたくさんおるわけでございまして、子供をしっかりしかって育てることができない状況ではないかと思います。
 これはデータがございますけれども、家庭の教育力の低下について総理府が調べた、ちょっと古いですけれども、平成五年時点におけるデータですけれども、二十歳以上の人たちのアンケートです。家庭の教育力は低下しているかという質問に対して、全くそのとおりだというのが三一%、ある程度そう思うというのが四四%で、七五%の人たちが家庭の教育力は低下していると答えております。どういう点が低下しているのかというので一番多いのは、基本的な生活習慣ができていないというのが五五%で一番多いわけであります。その次が根気強さ、忍耐強さ、こういうのが二番目で四七%、こういう指摘がされておるわけでございます。
 また、ちなみにこれは文部省の方で日本と韓国とアメリカとイギリスとドイツ、五カ国につきまして中学二年生の子供を対象にしてアンケートをとっておるわけでありまして、あなたはお父さん、お母さんから次のようなことをどのくらい言われますかということでございますけれども、友だちと仲よくしなさいとよく言われるというのは日本の場合わずか七%でございまして最低です。一番多いのはアメリカで五四%。それから、弱い者いじめをしないようにしなさいねとよく言われるのは日本ではわずか九%、一番多いのがイギリスで三四%です。それから、うそをつかないようにしなさい、これも大事なことですが、日本ではわずか一一%、一番多いのはアメリカで四七%です。それから、人に迷惑をかけないようにしなさいということは、日本では一六%ですが、一番多いのはイギリスで四四%ということです。
 その結果、子供たちがどういう行動をしているかといいますと、この一年の間に次のようなことをどのくらいしましたかということですね。いじめを注意したことがあるかというのは、日本では何度もあるというのはたった四%でございまして、一番多いのはドイツの二五%。それから、体の不自由な人やお年寄りの手助けをしたことがありますかというのは、日本ではわずか八%、一番多いのはドイツで二二%。困っている友達の相談に乗ってあげたことがあるかというのも、日本では二〇%で最低です。アメリカが五一%。いずれも最低であります。
 こういうことは、やはり家庭教育というものが平素されていない結果が子供たちの行動にもあらわれておるわけでありまして、自分だけできればいいというふうな行動様式になっていることが今のデータからも推測されるわけでございまして、家庭教育のあり方をしっかり見直していかなきゃいけない、これが不可欠の大事な課題だと思うわけでございます。
 そういう意味では、文部省の方も家庭教育が大事だということで、こうして家庭教育手帳なんかを二百四十万部つくって配られたりなんかしていろいろ努力しておられるわけでもございます。しかし、まだまだこれだけじゃどうにもならないわけでありまして、幾ら配っても家庭でお母さんやお父さん方が読んでくれなければ宝の持ちぐされでございまして、文部省の方では、小学校一年生に入るときの就学時健診のときには必ず親が来るから、そのときつかまえていろいろこれを教えたりなんかされて努力しておられるようでございますけれども、何とか家庭教育についてやっていかなきゃいけない、私はそう思うわけでございます。
 そういう中で、今回、社会教育法の改正が行われたことは一歩前進だというふうに評価するところでありますけれども、家庭教育への支援についてどのようにお考えか、副大臣、ひとつよろしくお願いします。
#200
○副大臣(岸田文雄君) まず、家庭教育というものはすべての教育の出発点であります。基本的倫理観ですとか社会的マナー、あるいは自制心、自立心などを育成する上で重要な役割を果たすものであります。
 しかしながら、今、先生から御指摘がありましたように、近年、核家族化ですとか少子化等に伴って家庭の教育力が低下していると指摘されております。平成十年の中教審答申あるいは昨年の教育改革国民会議報告、こうしたものの中でも行政による家庭教育に対する支援の充実の必要性が指摘されております。
 そういったことから、文部科学省におきまして、従来から、先ほど先生の御指摘にありましたような家庭教育手帳ですとか家庭教育ノート、こうした作成、配布、さらには子育て講座の全国的な開設等々さまざまな努力を厚生労働省とも連携しながら実施してきたわけであります。
 そして、今回この社会教育法の改正をお願いしております。教育委員会の事務として家庭教育に関する学習の機会を提供するための講座の開設等の事務を規定するものでありますが、これによりまして各教育委員会における予算の確保等におきましてもこれは容易になる、こうした結果が期待されるわけであります。
 こうした家庭教育に関する取り組み、この法律の成立が成ったならば、ぜひ一層充実するべく努力をしていくよう心がけていきたいと思いますし、結果につながるものと期待しておるところでございます。
#201
○亀井郁夫君 ありがとうございました。
 いろいろ考えて見ますと、やっぱり母親の子供に対する愛情という問題、普通は大体あるんですけれども、最近では本当にどうなっているのかと思うような事件がたくさんあります。この間は八歳の子供が実の親に木につるされて亡くなるということがありましたし、広島では子供が殺されまして、幼児が殺されて道端に捨てられちゃったというふうなことが起こっておるわけでありまして、本当に心を痛めるわけであります。児童相談所における児童虐待の相談件数もここ十年間で十倍以上になったというふうなこともあるわけでございまして、こうした背景の中には、やはり母親が自分の子供の育児について自信を持てない、不安を感ずるとか、いろんな状況があるのではないかと思います。
 そういう意味では、最近、子育てサロンというのもできたりして、お母さん方のグループ活動みたいなものがあちこちで行われておるようでございますので、大変いいことだと私は思いますけれども、そうしたサークル活動も積極的に育成していっていただいたらいいのではないかと思うわけでございます。
 特に、そういったところのリーダーとして頑張られた方々がまた教育委員会の方に入っていっていろいろと指導されるということもいいわけでございますから、今回の改正は本当にいいことだと私は思いますけれども、こうしたサークル活動の育成についてのお考え、副大臣、よろしくお願いします。
#202
○副大臣(岸田文雄君) 最近、子育て中の親を支援する子育てサークルの活動が活発になっておりまして、今後、こうした関係者が気軽に集える場として公民館等を提供するなどの支援をしたり、あるいはこうした方々に社会教育行政の場で活躍していただくことは大変重要だと考えております。しかしながら、現在、こうした方々は現行の社会教育委員あるいは公民館運営審議会委員、こうした委員の委嘱範囲に該当しないことが多く、登用されるケースが少なかったと承知しております。
 そこで、今、先生からも御指摘がありました今回の社会教育法の改正で、これらの委員の委嘱範囲の規定に「家庭教育の向上に資する活動を行う者」、こうしたものを追加しまして、各教育委員会が子育てサークルのリーダーなどの方々を委嘱することができるようにしたところでありまして、今後、各教育委員会において、こうした家庭教育の現状に詳しい方々に社会教育行政の場に参画していただくことによって家庭教育の支援、施策などの充実が図られるものと考えております。
 また、文部科学省では、昨年度から新たに子育て支援ネットワークの充実として、子育ての経験者などが気軽に親の相談に乗ったりきめ細かなアドバイスを行う子育てサポーターの配置、養成、あるいは公民館等を活用した子育てサークルの交流等の事業を実施する市町村に対して補助をしているところであります。こうした事業を通じましても子育てサークルの活動を支援していきたいと考えております。
#203
○亀井郁夫君 幼児教育を通じて母親を教育するということが一番手っ取り早い母親の教育ではないかと思いますので、ぜひともよろしくお願いしたいと思います。
 次に、幼児教育についてお尋ねしたいと思います。
 幼児教育の重要性は今さら言うまでもありません。三つ子の魂百まで、こう言われるとおりでございます。そういう意味では、幼児教育を放置しておったのでは、幾ら小中高、大学の教育を論じてみても私はいい結果にならないと思うわけでございます。そういう意味で幼児教育についてぜひとも力を入れていただきたいんですが、幼稚園と保育所の園児たちの数を調べてみますと、幼稚園が百七十六万六千、保育所は百七十八万八千、大体半々です。その幼稚園のうち、公立は三十六万三千で私立が百四十万二千ということで、二〇%が公立で八〇%は大体私立の幼稚園に行っておるわけであります。幼稚園と保育所を全部足しますと三百五十五万五千という数字になりますので、公立の幼稚園の数はわずか一〇%ということになるわけでございます。
 そこで、私が申し上げたいのは、私立の場合は私学だということで県の教育委員会は全くノータッチ、ということは文部省もノータッチということですね。保育所につきましても、これは厚生労働省の所管ということでございまして、都道府県におきましても教育委員会はノータッチということでございますから、文部省に幼児教育について責任を持ってやってくれと言ってみても、よく見たら手の届くところは一〇%しかないという状況でございまして、九〇%の幼児というのは文部省の手の届かないところにおるということでございます。これじゃ困るわけでありまして、幼稚園と保育所はぜひとも連携を密にしなきゃならない。特に保育所の場合には、元気な子を預かって元気に帰すということで託児所のところから進んでおりますので、教育という発想よりも預かるというところから進んでいるケースが多いようでございます。
 そういう意味では、保育所における保育所教育、心の教育をぜひやるようにお願いしたいと思うんです。これを厚生労働省に言いますと、ちゃんとやっていますよと、こう言われるわけでありますけれども、しかし現場の保育所の所長さん方に聞くと、いや、そうじゃないんで、なかなかできないんだという話を聞くわけでございますので、文部省の方で、幼児については自分の所管のわずか一〇%の公立の幼稚園の園児のことだけじゃなしに、全部を考えてやっていただかないと私はいけないんじゃないかと思うんです。
 保育所と幼稚園の取り組みの問題、同時にまた私立幼稚園についてはなかなか建学の精神等もあって難しいという面があるかもしれませんけれども、私立の幼稚園に対しては文部省としてはどのようなアプローチをしておられるのか、各県におきましてもどういう形でこれを指導できるのか、それについてお尋ねしたいと思います。
#204
○副大臣(岸田文雄君) まず、一点目の幼稚園と保育所との連携のお話でありますが、幼稚園と保育所は異なる目的、役割を持つ施設であるわけですが、両施設とも就学前の幼児を対象としていることから、文部省と厚生労働省の両施設の連携を強化するように努力しなければいけない、これは御指摘のとおりであります。
 具体的には、施設の共用化の指針の策定をするとか、あるいは教育内容、保育内容の整合性を確保するとか、あるいは幼稚園教諭と保育士の合同研修を行うとか、子育て支援事業の連携実施などの取り組みを行っておりますし、これからもこうした連携を深めていかなければいけないと思っております。こうした方向で両省の連携、そして幼稚園、保育所の連携を図っていく所存であります。
 また一方、私立幼稚園に対してどのように対するのかということでありますが、私立幼稚園は御指摘のように園数で約六割、在園児数で約八割を占めておりまして、大変大きな役割を果たしております。文部科学省においては、平成十二年度から実施された幼稚園教育要領について理解を深めるために、私立幼稚園関係者も含めて教育課程の理解推進のための協議会を開催するとか、あるいは幼稚園における道徳性を培う活動等の充実に関する調査研究を実施するとか、あるいは幼稚園における道徳性の芽生えを培うための事例集の配付をするとか、こんなことを行っているわけですし、また幼稚園新規採用教員研修については、都道府県教育委員会が私立幼稚園も含めて実施しております。
 私立幼稚園はおっしゃったように建学の精神に基づいて創意工夫ある教育活動が行われるわけでありますが、ぜひ幼稚園教育要領にのっとってこうした工夫が生かされるように都道府県の担当部局や教育委員会とも連携して施策を展開していかなければいけない、そういった認識を持っております。
#205
○亀井郁夫君 今、副大臣からお話がありましたように、幼稚園と保育所の関係というのが非常に緊密といいますか近くなってきておるわけでありまして、幼稚園の場合も預かり保育をやらなきゃいけない、保育所も長時間預かるという形で非常に似てきておるわけでございますけれども、やはり省庁の縦割り行政という関係では非常に難しい点があろうかと思いますけれども、それについてはぜひともしっかり考えていただいて、よくやっていただきたいと思うわけでございます。
 特に、今ちょっと副大臣の話にも出ましたけれども、幼稚園における道徳教育の問題でありますけれども、私、昨年ハワイに行きましたときに、日系の女性ガイドの方が言われました。亀井さん、どうして日本から来た子供たちはありがとうとか済みませんとかどうぞという言葉が言えないのか、アメリカでは子供たちにこのことを徹底的に教えるのに、日本から来た子は、何よ、この子は、一言も言わない、どういうわけですかと、こういうことを言われたわけでございます。確かに子供たちの道徳教育というものをしっかり考えていかなきゃいけないんですが、幼稚園の教育要領というのがありますね、これが去年から使われている。これを見せていただきました。それで、幼稚園の教育要領改訂ポイントには、ちゃんと道徳性を、しかも幼児期にふさわしい道徳性を身につけるということが目的に書いてあるわけであります。そういうことの中からこれをずっと見たんですけれども、大臣もちょっと見ていただきたいんですが、感謝という、ありがとうという言葉がどこにも出てこないんですね。ありがとうと言うようにしつけるとか感謝の気持ちがなきゃいけないという文言はないんです。ただ、道徳という言葉はあるんですよ、そういう言葉はあるんです。
 道徳といいましても、私に言わせれば教える先生が十分道徳の教育を受けていないんですから。文部省に言わせると、昭和三十三年から道徳の授業を置いておいたと言いますけれども、しかし日本で道徳の授業をやっている学校はありません。広島の場合は人権という時間でした。つい三年前に文部省の指導があって、人権という時間が道徳という名前に直りましたけれども、中身は先生は何を教えてもいいんですから。それと同じように、幼稚園の場合においても何を教えてもいいわけですね。そういうことから、広島なんかの場合は解放教育という形で保育所からそういう教育をされているわけでありますから。
 そういう意味では、もうちょっと懇切丁寧に、幼児に向いた形のものをつくっていただきたいというふうに思うわけでございまして、今おっしゃったように道徳性の芽生えを培うための事例集とか、こういうものもいろいろつくって御努力されていることは高く評価するわけでございますけれども、幼稚園あるいは保育所における道徳教育の問題について大臣はどのようにお考えか、大臣の口からお答え願いたいと思います。
#206
○国務大臣(遠山敦子君) 私は、先ほどおっしゃいました家庭教育も、子供が本当に幼いときにしっかりと善悪のけじめをつけさせる、あるいは感謝の気持ちを持たせる、そのことが小さい、幼い子供にとっての生涯の基礎になりますとともに、親にとってもよい子が育つわけですから非常に大事なことだと思っておりますが、家庭教育で仮に不十分である場合にも、少なくとも幼稚園なり保育園に至ったときにはきっちりとそのことが改めて教えられるということが大変大事だと思っております。
 うそをついてはいけない、仲間をいじめてはいけない、あるいは人に危害を与えてはいけない、生きるものを大切にしよう、本当に基本的な幾つかのことでいいんです。そのことをしっかり身につければ、大きくなって今のいろんな問題を起こすようなことはないと思うんです。そこが欠けているところが今日の日本のいろんな問題を派生している原因だと私も思っております。
 そのような意味で、幼稚園におきましても保育園におきましても、それは何も指導書がなくても教諭たちは子供に何が大事かということを教えることができるんです。そういうふうな教育が展開されることを期待いたしておりますが、仮に何か教えるべき根拠が必要あるいは見るべきものが必要ということであれば、今仰せいただきましたような、いろんな道徳といいますか、これを教えるべきそういうノートでありますとか、そういうものを充実して、そしてだれでもそのことに気づいてもらうようにしていくというのが教育行政の役割かと思うわけでございます。
 少なくとも、大事なことは、よいことや悪いことに気づいて考えながら行動すること、そして友達とのかかわり合いを深め思いやりを持つこと、こういうふうに言いますと大変抽象的で難しいようですけれども、一つ一つ子供が何か行為をしたときにそれを褒めてやる、あるいはいけないときにそれについてきちんとたしなめる、そういったことの繰り返しによって自然自然に身につくものではないかと思うわけでございます。
 新しい幼稚園教育要領では、特に幼児にふさわしい道徳性の芽生えを重視する観点から、幾つかの項目について指導内容の充実を図ったところでございます。いろんな、幼児が日常生活の中で教わるものあるいは他の幼児とのかかわりの中でトラブルとか葛藤を体験しながら道徳性を培うという指導方法が非常に重要と考えているわけでございます。また、それを受けて小学校、中学校においても、そういうことについてよりしっかりと心の中に何が正しく何が正しくないかということを見分ける判断力を身につけるということを教師は自分たちの伝えるべき最も大事なことの一つとして自覚してもらいたいと私は思っております。
#207
○亀井郁夫君 幼児教育において、先生の、教師の果たす役割が大きいわけでございますから、そういう意味では教員の採用ということも非常に大きな意味を持つわけでございますけれども、この採用につきましても、ちゃんとしたものを最初から採用していただかなきゃいけないわけでございます。従来はえてして学力試験中心でございましたけれども、最近ではいろいろな形での評価が行われるようになってきておるわけでございます。そういう意味では、使命感なり適性というものを十分評価してもらう。そのために面接担当に民間人を起用したり、あるいはスクールカウンセラーを起用したり、そういう形で面接試験を重視してほしいし、また学科試験だけではなしに論文試験のウエートをかなり高めていくということも大事でしょうし、それからまた最近ではクラブ活動なりボランティア活動を評価するということで、それを受けていなきゃいけないということにもなっておるわけでございます。
 さらに、ここでもう一つお願いしたいのは、先生になれなかったために臨時採用で学校の先生をしている、本当に先生になりたくて、臨採といいますけれども、臨採で先生をやっている先生方が大勢おられるんです。この方々が学科試験の方をうまく通らないものですからなかなか先生になれないんですけれども、こんな先生が本当に先生になればいいなと、本当にと言っては表現が悪いんですが、正規の先生になればいいなというふうに思うわけでございます。そういう意味では、臨採の成績を評価するというような形をやれば、かなりまたいい人が採れるんじゃないか、特にこういった幼稚園だとか小学校の低学年担当の先生にはこれはいいんではないかと思うんですけれども、これについてはどのようにお考えでしょうか。
#208
○政府参考人(矢野重典君) 教員の採用、選考に当たりましては、受験者の多様な経験を適切に評価するようこれまで各都道府県を指導してきたところでございますが、その際、御指摘のように、臨時的採用教員などの教職経験を適切に評価することも大変大事なことでございます。
 例えば、臨時的採用経験を持つ者につきまして、所属した学校の校長などから教員としての十分な使命感あるいは資質、能力を持つ旨の推薦があった場合などは選考の中でこれを適切に考慮することが必要であろうかと考えるものでございます。
#209
○亀井郁夫君 最後に一つお尋ねしたいんですが、今回の教育関連三法の改正、これによりまして我が国の教育風土が大きく改善されていくことを私たちは心から期待しておるわけでございます。しかし、具体的にこれらの法律が実施される段階になりますと、連日の質疑の中でも問題が提起されているように、いろいろな問題が教育現場においては起こることが予想されるわけでございます。文部科学省の教育改革に対する強い思いというものは答弁の中でも十分理解することができましたし、ぜひとも頑張っていただきたいと思うわけでございます。
 特に、学校運営について校長を中心にして教員が一体となってよりよい教育をしていこう、そういった教育風土をつくっていかなければ日本の教育のあしたはない、二十一世紀はないと思うわけでございますので、そういう意味では、これからも教育委員会があいまいな態度をとらないように、文部省としてもしっかり指導していただきたいと思うわけであります。もし文部省があいまいな態度で、これは現場よという形で問題を投げられれば、私はせっかくのこうした教育改革に対する熱い思いというものも水泡に帰してしまうのではないかということを非常に憂慮しておるわけでございます。
 振り返って見ますと、主任制度が採用されたとき、主任制度そのものは、私は、学校の運営について非常に大事な仕組みとして文部省が提案され、そして法律もできたんだろうと思うわけでございますけれども、しかし大きな譲歩を文部省はしたと思うんです。主任制は、主任は中間管理職ではないということにしまして、あとは現場に任すという姿勢をとりました。そのために、ちゃんといっている県もたくさんあるのだそうでございますけれども、私はうまくいっていない県が多いと思います。私の地元の広島を初め、北海道だとか、数えればたくさんございますけれども、そういうような状況では、そういった都道府県においてはこの主任制は定着しているとは私は思っていないわけであります。
 そういう意味では、特に不適切教員の免職という問題につきましては、これは非常に大きな問題でありますから、日教組を初めとする組合団体が厳しく対応してこられることは当然のことで、これは覚悟していかなきゃいけない問題だと思うんです。そのときに、文部省の方で討論を恐れずという姿勢で十分に徹底して話し合い、その思いを理解してもらうように努力してもらわなければならないと私は思います。適正な、あるいは公平な評価によって不適正教員と見られる人間を排除していくということは絶対必要なことですから、これについては厳正な姿勢で対応していただきたいと思うわけでございます。しかし、きょう議論がありましたように、これはあくまで公正で公平でなければならないということは申し添えてありますけれども、そういうような形の中で、お互いにしっかり話し合ってこの問題に取り組んでほしい。
 くどいようでございますけれども、これについて、これは現場の問題だから各都道府県の教育委員会マターだという形で投げることは絶対しないで、やはりこうあるべきだということを規則、通達で明らかにして指導してほしいと私は思います。そういうようなことをやることによって私は教育は変わってくると思います。くどいようですが、各都道府県のこれの実施結果がどうなったかということについても常にフォローしていただいて、フォロー結果も報告していただきたいと思うわけでございます。
 そういうことで、ぜひともあいまいな形で処理しないようによろしくお願いしたいと思いますけれども、この問題に対しまして大臣がどのようなお考えでこれから組合を初めとする諸団体と対応していかれるのか、思いのほどを大臣の口からはっきりと言っていただきたいと思うわけであります。
#210
○国務大臣(遠山敦子君) 今回の三法案のねらいは極めて明確でございます。日本の学校が抱えるいろんな問題に対して、学校がよくなる、教育が変わるということを国民が実感できるような信頼できる学校になってほしい、そういう願いを込めての改正であるわけでございます。
 本法律案が成立した後には、私どもといたしましては、教育委員会や各種教育関係団体を初めといたしまして、国民各界各層の広い理解を得ながらこれを確実に推進してまいりたいと思います。それぞれの学校で校長先生なりそのリーダーシップのもとに働く人たちがしっかりと対応するのを市町村教育委員会が支え、それを都道府県教育委員会がしっかり支え、そしてその動きをまた国がしっかり支える、そういう形でこの法案のねらいが、公正かつ客観的にではありますけれども、しっかりとした形で遂行されるように今後とも努力してまいりたいと思っております。そういう覚悟で臨みたいと思っているところでございます。
#211
○亀井郁夫君 大臣のお言葉を聞いて安心いたしました。大臣のお答えのように、学校が変わる、教育が変わる、日本が変わる、そういうことを我々みんな、日本の国民は期待しておるわけでありますから、大臣、先頭に立って、勇気を持ってぜひ日本の教育改革に頑張っていただくようお願いいたしまして、終わります。
 ありがとうございました。
#212
○委員長(市川一朗君) 他に御発言もなければ、三案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」「異議あり」と呼ぶ者あり〕
#213
○委員長(市川一朗君) 御異議がありましたので、改めて採決を行います。
 三案に対する質疑を終局することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#214
○委員長(市川一朗君) 多数と認めます。よって、三案に対する質疑は終局することに決定いたしました。
 これより三案について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#215
○畑野君枝君 私は、日本共産党を代表して、学校教育法、地方教育行政法、社会教育法など教育三法案に対して反対の立場から討論を行います。
 反対する理由は、第一に、この法案についての審議が十分尽くされず、余りにも拙速であるからです。
 今回の教育三法案は今国会の最重要法案であると与野党ともに位置づけてきた法案であります。したがって、十分な審議時間の確保が必要不可欠のはずなのに、会期末に衆議院から送付され、重要法案二十日間の原則をないがしろにされ、本日、審議打ち切りとされたことは、与野党で確認された本院、参議院のあり方にも反するものと厳しく言わなくてはなりません。
 第二は、この不十分な審議の中でも、審議をすればするほど矛盾が深まるという法案の重大な欠陥が明らかになったからであります。
 物理、数学で先行的に実施した飛び入学を法制化し全分野に広げる問題では、その是非をめぐっての全分野からの意見聴取や検証も行われず、高校との連携や受け入れ体制、高校生の青田刈りの問題など、すべて法成立後に先送りされるという無責任さが明らかになりました。参考人の方からも、反対、疑問の声が四人中三人も出されたにもかかわらずであります。
 また、指導が不適切な教員を免職・転職させる問題では、法律で明記する以上、その定義を明らかにすることは当然であります。ところが、そんな初歩的なことさえ答弁されませんでした。このままでは恣意的免職がまかり通り、人権侵害、プライバシー侵害につながると言わざるを得ません。
 研修問題についても、問題が放置されたまま、その是正の保証も、国としての責任は全く不明確なままであります。
 第三は、今回の法改正案は、困難を抱える子供と教育の現場に競争と管理をさらに持ち込み、一層激化させることにつながるからであります。
 高校の通学区規定削除、この問題は、受験競争を全県一区を可能としてさらに激しくするものであります。子どもの権利委員会の過度に競争的な教育制度の是正勧告に反するものであることが明らかになりました。
 また、今回の問題を起こす子供の出席停止要件の法制化等は、出席停止措置を受ける子供の意見を聞く規定や期間の定めもなく、教育的指導の放棄につながり、真の問題解決にならないものです。子どもの権利条約にも反する法案と言わなければなりません。
 社会奉仕体験活動の事実上の義務づけについても、自発的活動であるボランティア活動を非自発を含む社会奉仕体験活動に押し込め、本来のボランティア活動をゆがめるものとなりました。また、それを子供に強制はしないと言いながら、評価の対象にすることを明確にしました。子供たちにとっては、評価の対象である以上、強制につながり、よい子競争を強いられることになるではありませんか。それでは、教育基本法と子どもの権利条約が生かされ、真に自発的な活動が進められることにはなりません。
 審議を通じて、これらの法案が全く法案の体をなしていないこと、またこれまで以上に競争と管理、強制を押しつけるものとなることが明らかになりました。
 この法案は廃案以外には道はない、このことを確信し、私の反対討論といたします。
#216
○内藤正光君 私は、民主党・新緑風会を代表いたしまして討論を行います。
 教育改革関連三法案について、会期最終日前日のきょうまで本委員会において精力的に審議を行ってきました。二週間にわたる審議の中で明らかになった多くの問題点を踏まえ、私どもの考えを以下に申し述べます。
 第一に、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案についてです。
 まず、指導が不適切な教員の都道府県への転職の問題です。
 審議の中で、指導が不適切な教員として、例えば教える内容に誤りが多過ぎるといった知識不足や生徒の質問を全く受け付けないなどの不適切な指導、生徒とのコミュニケーションをとろうとしないといった意欲の欠如など、あくまで例外的な場合に対する措置であると審議を通じて確認されました。
 また、本制度の大前提として、免職と採用は一体のものであり、市町村職員としての免職のみが行われて都道府県職員としての採用がされないという事態がないこと、法の恣意的な適用が決して行われないこと、不服申し立てができることなどについて繰り返し確認したところであります。
 私たちは、指導の不適切な教員が子供たちに与える影響の大きさをおもんぱかり、厳格な法の適用並びに適正な手続の保証など、その運用を監視していくべきことを訴えた上で、この改正について是認することとしました。
 次に、公立高等学校の通学区域に係る規定の削除についてです。
 民主党としては、教育の地方分権化及び学校教育の多様化という観点から、この改正については賛成でございます。しかし、いたずらに受験競争の激化を招くことがないよう十分慎重に取り組んでいただくとともに、地域社会と結びついた高等学校教育が展開できるよう、地域住民の意向を積極的に反映するよう強く要望いたします。
 第二に、学校教育法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 まず、社会奉仕体験活動の導入についてはさまざまな議論がありました。私どもは、学校における体験活動の導入と促進については、知識の量を競うというこれまでの学校教育のあり方を見直し、生徒一人一人の豊かな心や創造力、積極性などをはぐくむという観点から、基本的に賛成であります。
 しかし、社会奉仕などという少々古めかしい言葉を今さらながら法改正で使用することに多くの反対意見がありました。奉仕とは献身的に国家社会のために尽くすということであると言われます。しかし、奉仕の意識はボランティア活動などによって十分に培われた後におのずと醸成されていくものではないかと考えます。学校教育段階においては、まずボランティア活動体験を通じて他者のために役に立つことの喜びや大切さを学ぶことから始めるべきであるとの認識から、衆議院において修正案を提出し可決されました。修正の趣旨にのっとって、体験活動が学校教育の場に生かされていくことを強く求めます。
 次に、児童生徒の問題行動への対応として出席停止を法改正で取り上げた問題であります。
 現在も、性行不良で他の児童生徒の教育に妨げがあると認める者については出席停止を命ずることができます。今回の改正により、性行不良の要件、手続等について新たに法で明定することになり、評価できるものと考えております。しかし、出席停止は決して当該児童生徒の排除を目的とするものではなく、あくまで学校と家庭、保護者、そして地域が一体となって問題解決に取り組むワンステップであるということを改めて申し上げておきます。
 次に、飛び入学問題です。
 今回の政府提出の改正案は、現在、数学と物理の分野に限定されている飛び入学をあらゆる分野で可能とするものです。飛び入学については、現在、千葉大学と名城大学の二大学で行われているだけであり、まだ卒業生も出ておらず、その評価は十分に定まってはいません。そのような中で飛び入学を拡大し、短大を含む全大学、全分野を対象に飛び入学を拡大しようとすることはまことに拙速であるとの感を払拭できません。
 こうしたことから、民主党は、衆議院において、飛び入学の対象となる大学について「当該分野に関する教育研究が行われている大学院が置かれていること。」、「当該分野における特に優れた資質を有する者の育成を図るのにふさわしい教育研究上の実績及び指導体制を有すること。」と限定し、短大を除くとともに、その分野においても受け入れる大学を限定するという、一定の制限の中で認める旨の修正案を提出し可決されました。千葉大学における飛び入学についての検証が十分になされていない状況下においては、本修正により最低限の歯どめはかかったと考えております。
 なお、制度の運用に当たっては、あくまで例外的な措置であること、その実施に関する指針策定のための全国的な協議の場を設けることなどが確認されております。
 今後、情報公開を徹底すること、そして飛び入学制度に関する実証的な調査研究を継続的に行い、研究結果を広く公表していくことを要望いたしまして、真にそれを必要とする子供たちのための制度として飛び入学の拡大を是認することといたしました。
 第三に、社会教育法の一部を改正する法律案についてです。
 本案につきましては、学校教育法と同様、社会奉仕体験活動の部分について民主党提出の修正案が衆議院において可決されました。この趣旨を十分生かし、ボランティアの持つ自発性、自主性を尊重しつつ、その奨励のための条件整備に努めるよう求めるものであります。
 以上、六つの問題点について私どもの考え方を示し、民主党・新緑風会といたしましては、三法律案に賛成の意思を表明し、討論を終わります。
#217
○委員長(市川一朗君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#218
○委員長(市川一朗君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより三案の採決に入ります。
 まず、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#219
○委員長(市川一朗君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、佐藤泰介君から発言を求められておりますので、これを許します。佐藤泰介君。
#220
○佐藤泰介君 私は、ただいま可決されました地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・保守党、民主党・新緑風会、公明党及び社会民主党・護憲連合の各会派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府及び関係者は、本法の施行に当たっては、次の事項について特段の配慮をすべきである。
 一、教育の地方分権の精神及び教育委員会制度の理念に基づき、各教育委員会が自主性、主体性を確立し、教育委員会制度に期待されている役割と機能を正しく発揮できるよう、諸条件の整備に努めること。
 二、指導が不適切な教員を免職し、引き続いて都道府県の教員以外の職に採用する措置の運用に当たっては、校長や教育委員会による恣意的な運用が行われないように、要件、手続等に関し、都道府県教育委員会に対して適切な指導、助言を行うこと。
 三、教員の資質の向上を図るため、教員の養成、採用、研修の連携を一層深め、長期休業制度の設立について検討すること。
 四、メンタルヘルスケアの充実を含め教職員の勤務条件の一層の改善等に努めること。
 五、公立高等学校の通学区域に係る規定の削除に関し、高等学校教育を適正に進めるため、受験競争の激化、学校間格差の拡大等を招かないよう努めること。また、通学区域の設定に当たっては、地域社会の意向等地域の実情を十分踏まえるよう努めること。
 六、今国会において成立した「行政機関が行う政策の評価に関する法律」が、政策評価の客観的かつ厳格な実施を推進し、その結果の政策への適切な反映を図ること等を趣旨としていることにかんがみ、今後の文部科学行政施策の推進に当たっては、可能な限り事前・事後評価を行うとともに、その結果を公表して国民への説明責任が果たせるように努めること。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#221
○委員長(市川一朗君) ただいま佐藤君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#222
○委員長(市川一朗君) 多数と認めます。よって、佐藤君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 次に、学校教育法の一部を改正する法律案の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#223
○委員長(市川一朗君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、佐藤泰介君から発言を求められておりますので、これを許します。佐藤泰介君。
#224
○佐藤泰介君 私は、ただいま可決されました学校教育法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・保守党、民主党・新緑風会、公明党及び社会民主党・護憲連合の各会派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    学校教育法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府及び関係者は、本法の施行に当たっては、次の事項について特段の配慮をすべきである。
 一、学校教育における体験活動の実施に当たっては、教育的な意義と見地を踏まえ、知的な探求や社会参加、職業意識の醸成などに資するように配慮するとともに、児童生徒の発達段階や、活動内容に応じて、児童生徒・保護者等の意向にも十分に配慮しながら行うこと。また、体験活動の重要性を踏まえ、実施に必要な諸条件の整備、支援措置を講じること。
 二、出席停止制度の運用に当たっては、これが児童生徒の教育を受ける権利の制限となることにかんがみ、可能な限り短い期間にするとともに、本人や保護者に対して十分な説明を行うよう努め、慎重な手続を踏むこと。また、出席停止に係る児童生徒の弁明の聴取等、教育上の措置として本人の人権に十分配慮して行うこと。
 三、出席停止期間中の児童生徒に対する教育的な支援措置が十分に行えるよう条件整備を推進すること。
 四、大学への「飛び入学」の拡大をもたらす本制度の実施に際しては、その趣旨を周知・徹底するとともに、高等学校と大学間の連携を一層推進すること。
   その実施に向けての協議の場を設置し、必要な指針等の策定を検討すること。
   また、本制度の実施状況に関する実証的な調査研究を継続して行い、時宜に応じてその調査研究の成果を公表すること。
 五、高等学校と大学等の連携については、今後もその在り方についての検討を進めるとともに、高等学校教育の改革、高等学校と大学等の接続の改善に向けて、関係者による協議や調査研究のための条件整備に努めること。
 六、今国会において成立した「行政機関が行う政策の評価に関する法律」が、政策評価の客観的かつ厳格な実施を推進し、その結果の政策への適切な反映を図ること等を趣旨としていることにかんがみ、今後の文部科学行政施策の推進に当たっては、可能な限り事前・事後評価を行うとともに、その結果を公表して国民への説明責任が果たせるように努めること。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#225
○委員長(市川一朗君) ただいま佐藤君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#226
○委員長(市川一朗君) 多数と認めます。よって、佐藤君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 次に、社会教育法の一部を改正する法律案の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#227
○委員長(市川一朗君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、佐藤泰介君から発言を求められておりますので、これを許します。佐藤泰介君。
#228
○佐藤泰介君 私は、ただいま可決されました社会教育法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・保守党、民主党・新緑風会、公明党及び社会民主党・護憲連合の各会派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    社会教育法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府及び関係者は、本法の施行に当たっては、次の事項について特段の配慮をすべきである。
 一、社会教育と学校教育との連携の確保に当たっては、学校施設の複合化、多機能化等、地域の特性に応じた総合的な施設づくりを推進し、子育て支援、生涯学習、文化振興等、開かれた地域コミュニティの拠点としての学校施設を整備するとともに、学校の安全確保についても十分に努めること。
 二、地域住民の生涯学習の振興に資するため、多様化・高度化する学習ニーズに対応した社会教育体制の整備に努めるとともに、「教育の日」、「教育休暇制度」の導入を促進するなど、地域における教育への関心・支援を高めるための条件整備に努めること。
 三、今国会において成立した「行政機関が行う政策の評価に関する法律」が、政策評価の客観的かつ厳格な実施を推進し、その結果の政策への適切な反映を図ること等を趣旨としていることにかんがみ、今後の文部科学行政施策の推進に当たっては、可能な限り事前・事後評価を行うとともに、その結果を公表して国民への説明責任が果たせるように努めること。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#229
○委員長(市川一朗君) ただいま佐藤君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#230
○委員長(市川一朗君) 多数と認めます。よって、佐藤君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの三決議に対し、遠山文部科学大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。遠山文部科学大臣。
#231
○国務大臣(遠山敦子君) 地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案、学校教育法の一部を改正する法律案、社会教育法の一部を改正する法律案、それぞれに対する附帯決議につきましては、その御趣旨に十分留意をいたしまして対処してまいりたいと存じます。
#232
○委員長(市川一朗君) なお、三案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#233
○委員長(市川一朗君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#234
○委員長(市川一朗君) これより請願の審査を行います。
 第一号私学助成の拡充並びに公立学校及び私立学校における三十人学級の実現に関する請願外二百二十八件を議題といたします。
 これらの請願につきましては、理事会において協議の結果、いずれも保留とすることに意見が一致いたしました。
 以上のとおり決定することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#235
○委員長(市川一朗君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。
    ─────────────
#236
○委員長(市川一朗君) 継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。
 教育、文化、スポーツ、学術及び科学技術に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#237
○委員長(市川一朗君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#238
○委員長(市川一朗君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時五十八分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト