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2001/03/27 第151回国会 参議院 参議院会議録情報 第151回国会 財政金融委員会 第5号
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2001/03/27 第151回国会 参議院

参議院会議録情報 第151回国会 財政金融委員会 第5号

#1
第151回国会 財政金融委員会 第5号
平成十三年三月二十七日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 三月二十三日
    辞任         補欠選任   
     藤井 俊男君     櫻井  充君
 三月二十七日
    辞任         補欠選任   
     久保  亘君     円 より子君
     木庭健太郎君     白浜 一良君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         伊藤 基隆君
    理 事
                林  芳正君
                日出 英輔君
                勝木 健司君
                浜田卓二郎君
                池田 幹幸君
    委 員
                上杉 光弘君
                河本 英典君
                鴻池 祥肇君
                清水 達雄君
                谷川 秀善君
                野間  赳君
                星野 朋市君
                山下 英利君
                若林 正俊君
                久保  亘君
                櫻井  充君
                笹野 貞子君
                円 より子君
                峰崎 直樹君
                木庭健太郎君
                白浜 一良君
                大門実紀史君
                大渕 絹子君
       発議者      峰崎 直樹君
       発議者      池田 幹幸君
   委員以外の議員
       発議者      江田 五月君
       発議者      大脇 雅子君
   国務大臣
       財務大臣     宮澤 喜一君
       国務大臣
       (金融担当大臣) 柳澤 伯夫君
   副大臣
       内閣府副大臣   村井  仁君
       財務副大臣    若林 正俊君
   大臣政務官
       経済産業大臣政
       務官       西川太一郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        石田 祐幸君
   政府参考人
       内閣府国民生活
       局長       池田  実君
       財務省主計局次
       長        藤井 秀人君
       財務省主税局長  尾原 榮夫君
       厚生労働省職業
       安定局長     澤田陽太郎君
       厚生労働省雇用
       均等・児童家庭
       局長       岩田喜美枝君
       国土交通省総合
       政策局長     風岡 典之君
       国土交通省住宅
       局長       三沢  真君
   参考人
       住宅金融公庫理
       事        五十嵐健之君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○政府参考人の出席要求に関する件
○平成十三年度における公債の発行の特例に関す
 る法律案(内閣提出、衆議院送付)
○法人税法等の一部を改正する法律案(内閣提出
 、衆議院送付)
○租税特別措置法等の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
○特定非営利活動の促進のための法人税法等の一
 部を改正する法律案(江田五月君外九名発議)
○関税定率法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)

    ─────────────
#2
○委員長(伊藤基隆君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る二十三日、藤井俊男君が委員を辞任され、その補欠として櫻井充君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(伊藤基隆君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 平成十三年度における公債の発行の特例に関する法律案、法人税法等の一部を改正する法律案、租税特別措置法等の一部を改正する法律案及び特定非営利活動の促進のための法人税法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に内閣府国民生活局長池田実君、財務省主計局次長藤井秀人君、財務省主税局長尾原榮夫君、厚生労働省職業安定局長澤田陽太郎君、厚生労働省雇用均等・児童家庭局長岩田喜美枝君、国土交通省総合政策局長風岡典之君及び国土交通省住宅局長三沢真君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(伊藤基隆君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(伊藤基隆君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 平成十三年度における公債の発行の特例に関する法律案、法人税法等の一部を改正する法律案、租税特別措置法等の一部を改正する法律案及び特定非営利活動の促進のための法人税法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に参考人として住宅金融公庫理事五十嵐健之君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(伊藤基隆君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#7
○委員長(伊藤基隆君) 平成十三年度における公債の発行の特例に関する法律案、法人税法等の一部を改正する法律案、租税特別措置法等の一部を改正する法律案及び特定非営利活動の促進のための法人税法等の一部を改正する法律案の四案を一括して議題といたします。
 平成十三年度における公債の発行の特例に関する法律案、法人税法等の一部を改正する法律案及び租税特別措置法等の一部を改正する法律案の三案につきましては、既に趣旨説明を聴取いたしておりますので、特定非営利活動の促進のための法人税法等の一部を改正する法律案について、発議者江田五月君から趣旨説明を聴取いたします。江田五月君。
#8
○委員以外の議員(江田五月君) ただいま議題となりました民主党・新緑風会、日本共産党、社会民主党・護憲連合及び自由党の四会派共同提出に係る特定非営利活動の促進のための法人税法等の一部を改正する法律案につき、提出者を代表して、その趣旨を説明します。
 本法律案は、特定非営利活動促進法の制定の際に両院で付された、税制等を含めた制度の見直しについて施行後二年以内に結論を得るとの趣旨の附帯決議に基づき、特定非営利活動法人、すなわちNPO法人の活動を税制面から支援するため、地方税に関する支援措置を定めた特定非営利活動の促進に関する地方税法の一部を改正する法律案とあわせて提出したものであります。
 以下、本法律案の内容につき、既に提出されております政府提出の租税特別措置法等の一部を改正する法律案と比較して説明します。
 第一に、既存の寄附金優遇税制のNPO法人等への適用要件についてであります。
 政府案は、租税特別措置法上の措置として、国税庁長官の認定するNPO法人に対し適用することとし、その認定の具体的要件は政省令に委任しており、そこで想定される認定要件は、例えば、いわゆるパブリック・サポート・テストの適用について、補助金を除外している点、事業による自立を困難にしようとしている点、活動等が一市区町村内に限定される団体は除外される点など、いたずらに厳しくなっており、既存のNPO法人の数%も認定されないだろうと言われています。これでは、市民の自由な公益的活動をサポートするという支援税制の本質に反するものと言わざるを得ません。
 そこで、本法律案では、市民の公益的活動を支援するという立法趣旨を踏まえ、十分に緩和した要件を明確に法律に規定し、あわせて、認定機関を第三者機関である特定非営利活動等促進委員会としています。これにより、恣意的な運用が防がれ、また、既存のNPO法人の六ないし七割が適用可能となります。
 第二に、寄附金税制の対象となる寄附金について、現行のいわゆる一万円のすそ切りを廃止するとともに、NPO法人等に対するボランティア活動やホームステイなどの労務の提供等について、通常必要と認められる費用を寄附金控除の対象とすることとしております。
 第三に、NPO支援のため、政府案にはない各種の支援税制を定めることとしております。具体的には、収益事業から非収益事業へのいわゆるみなし寄附金制度の創設、法人税についての公益法人並みの軽減税率の適用、支払いを受ける利子・配当や少額の事業収益の非課税等であります。
 以上が、この法律案の趣旨及び主な内容です。
 政府案は、地方税について何らの支援措置も講じていないという点でも批判を免れません。私どもは、先ほど述べたとおり、別途、法案を提出しています。
 二十一世紀はNPOの時代です。多くのNPO法人が国税及び地方税の両面で支援を受け、市民の自発的な活動によって支えられた健全な社会を実現するため、特定非営利活動の促進に関する地方税法の一部を改正する法律案とあわせ、本法律案の成立がぜひとも必要であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願いします。
#9
○委員長(伊藤基隆君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより四案について質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#10
○山下英利君 おはようございます。自由民主党の山下でございます。
 本日は、国税三法並びに非営利活動に対する税法案の内容につきまして質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 まず、ここ数日来、東証の平均株価指数も若干反発してきていると、そのような状況でございますが、これは、三月末をにらんだ、そして金融当局のこれからの期待感、さらにはアメリカのIT関連の株価の買い戻しというようなところで株価も上がってきているというところが一つの要因で、これは決して継続的に行くというものではなくて一過性のものであるというふうな見通しがされておりますけれども、株価が乱高下するということに対して、目を奪われることのない、そういった私ども日本の経済の体質改善、強化に努めていかなければいけない、そのように思っている次第です。
 我が国の経済は、近年、バブル経済の崩壊及びその後の景気の長期的な低迷におきまして、それまでの右肩上がりの経済成長から、今それを変えていかなければいけない、そのような状況に余儀なくされております。本日の質問は、これまで質問させていただいた部分と一部重複するかもしれませんが、改めて、これからの日本の経済のあり方を含めて、今回の法案に関連した質問とさせていただきたい、そのように思っている次第でございます。
 これからまさに少子高齢化、経済のグローバル化やソフト化、情報化といった変化がまさに急速に進んでいる中で、我が国の経済が二十一世紀において安定的に発展するために経済を本格的な回復基調に戻していく、そして同時に、我が国経済が抱える構造的な諸課題に対処していかなければいけない。すなわち、今、国民のまさに不安感というものがこの構造変革というものにかなりしわ寄せをされてきている。
 先ごろ新たに発表されましたが、金融機関の不良債権の処理問題、これにつきましても、これを可及的速やかに進めていくことに対する期待感というものがこの株価の反騰にも反映されているのではなかろうか、そのように思っている次第でございます。
 このような課題に対処するための構造改革のおくれが指摘されておるところでございますけれども、その構造改革、中身を見ますと、大きく取り上げられるのが社会保障制度の改革、雇用のシステムの改革、そして今申し上げた金融機関の不良債権処理の問題と、大きく見て喫緊の課題となっているところでございます。
 こうした構造的な諸問題に対して明確な将来像が描けないということが、国民の間に不安感が高まっているというところの主な原因であると考えます。この不安感から、家計は貯蓄をふやし、なかなか消費を進めてこない、消費を抑制している、そして景気低迷から抜け出せなくなってきている。昨年来、IT関連で企業収益も大分よくなったというところが、また今少し下降線に戻りつつあるというような状況で、通常ですと、企業収益が伸びれば個人の所得が伸びて、そして消費にも反映してくるというようなシナリオが書ける状況なんですが、今は、この先行きの不安感から、やはり家計が直接消費に回ってこない、そしてそれが結局価格の低下、またそれが企業収益の圧迫というような悪循環をつくり出しているんだと、そのように思う次第です。
 このような観点から、まず今回の特例公債法に関連して御質問をさせていただきます。
 我が国の財政は、国と地方を合わせて長期債務残高が年度末で六百六十六兆円と、GNP比で一一八・六%となる見込みなど、先進国の中でとりわけ高い数字にある、厳しい環境にあるというふうに言われております。国民は今後の我が国財政に大きな不安を抱いているということがよく言われております。私は、最近見ますと、この六百六十六という数字がひとり歩きをしている、六百六十六という数字が国民の間での不安感を増長させていると、そのような気もしてならないのであります。
 このような国民の不安を一日も早くぬぐうために、国民の国家財政への知識、これの理解を求めるという努力も必要ではなかろうかと、そのように思っている次第です。普通、借り入れがあれば、それに見合う資産がある、いわゆるバランスシートというものに対する考え方、これが理解を求める上でも非常に有効ではないかと。また、今、国際化という波の中で、このバランスシートの考え方で説明していっていただければより理解も進むのではないかなと、そのように思っている次第でございます。
 この状況を国民に明らかにする上では、できるだけ早く財政再建への議論を開始していただきたいと、そのように思っております。景気の安定化、これを今喫緊の課題として推し進めているわけですが、これから先の財政構造の改革、財政再建への議論も、景気が安定して次に何をやるんだという、そういった話も国民の間に伝え聞かれるようになれば不安感というのも安らいでいくんじゃないかなと、そのように思っております。
 今後の我が国の発展に欠かすことのできないこの財政再建について、改めて財務大臣のお考えをお聞きしたい。そして、先ほど申し上げたバランスシートというか、国民にわかりやすく説明するという点につきましても財務大臣のお考えをお聞かせいただきたいと、そのように思っている次第です。よろしくお願いいたします。
#11
○国務大臣(宮澤喜一君) まず、政界における御活躍をお祈りいたします。
 今の不安感の問題でございますが、私は、やはり一九八五年のプラザ合意から事は起こっていると考えていまして、当時、円は二百四十円であったわけでございますから、その後、円は数字の上でもほとんど倍になったという、そういう大きな変革を我が国の経済社会は経過いたしました。
 その間にバブルあり、バーストあり、いろいろなことでまだその始末がついておりません。円がそれだけよくなったということは、悪いことばかりでは明らかにないはずでございますけれども、非常な変革要因になったことは明白でありまして、まだその始末がついておらないというのが、それが第一の不安感であります。
 しかし、たまたまその時期に、ITを初めとする二十一世紀に向かっての、新しい経済とまでは申しませんが、ほとんどアメリカではそう言われているような変革が起こって、それに対して対応しなければならないという、その不安がもう一つ私は重なっておると思います。
 しかし、我が国にとっては、のうのうしているよりは、こういう苦労をするということが実は二十一世紀に本当に対応できるいわば試練になるかもしれないと、こう考えることもできると思いますが、いずれにしても、両方ともこれは不安な要因であります。
 それで、おまけにITに対する対応というのが、今、山下委員もおっしゃいましたが、アメリカではレイオフでやってしまいましたが、我が国の場合には非常に広い範囲での従来の労働慣行あるいは労使関係等々を呼びますために、そのことがまたもう一つ不安の要因になって時間がかかっておる。及び、企業はようやく利益を出し始めましたが、その多くが既往の債務の返済に使われて、家計の上昇、つまり賃金の上昇につながってこない。労働側は、雇用の問題がございますから、むしろ賃金よりは雇用と考えるのがまた当然でございまして、そういう意味で、私どもが予想したよりも企業は早く利益を出し始めましたが、それが家計に今のところ回ってこない。時間の問題だと思いますけれども、そういう状況がさらに我が国のGDPをもう一つ十分なバトンタッチができずにいるという、大体こういう状況と思います。
 その間、財政はおっしゃいますようにバランスシートで考えるというのはまさにそのとおりでございます。ですから私自身は、国の債務が非常に大きく、実際に大きいわけですが、それが大変な出来事とは思っていますけれども、やっぱりバランスシートで物を考えるということは大事なことだと片っ方で思いますが、同時に、財政だけ考えましても、しかしどのようにしましても国債費が大きいということはなかなか変えられませんので、それは歳出の二割を占めるということでございますから、どのような大蔵大臣でも、入った歳入の二割は国債費になるということは、これはかなりつらい財政であることに変わりはございません。
 それから、そのような状況の中で、財政再建でございますが、昨日成立させていただきました平成十三年度予算は、一つはまだこの不況回復の部分をいろいろに用意しておりますが、他方で国債発行を少しでも減らそうという、いわば財政の将来に向けての配慮、両にらみの性格を持っております。
 既に政府の経済財政諮問会議で、財政再建を頭にしましてマクロモデルをつくることを経済研究所に指令をいたしました。半年余りかかると言われておりますが、財政再建といいましても、今まさに山下委員が言われましたように、社会保障の問題であるとか、中央と地方との関係であるとか、税制であるとか万般な問題を含んでおりますから、モデルをつくってシミュレーションをして一義的に決定する、端的に申せば、給付と負担との関連をどうするかという国民的な選択をしてもらわなければならないという問題だと思っておりますので、したがいまして、そういう形でモデルができましたらシミュレーションをする。
 これはある意味で、問題に直面せざるを得ない、言葉ではごまかし切れない問題にぶつかることになりますが、やはり二十一世紀に向かってそういう国民的な選択を必要とすると政府は考えておりますので、そのような道にただいま進みつつございます。
 これはしかし、いざそういう選択に直面いたしますと、これは極めて難しい政治問題になる可能性は高うございますが、しかし、やはりそれを踏み越えて財政再建というものを考えませんと、本格的なものは生まれてこないのではないか、また、その時期になってきているというふうに考えております。
#12
○山下英利君 ありがとうございました。
 できるだけスケジュール観をお示しいただけると、これからもそれに向かって全力で前へ進んでいけるというふうな気がいたします。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 続きまして、その構造改革という中でまさに今焦点となっております金融システムの構築、金融機関の不良債権処理の問題につきまして御当局に御質問させていただきたいところでありますが、格付機関による我が国の金融機関の格下げが相次いでいる中で、日本国債の格付も主要先進国の中で最も低い状況にあるわけでございます。こうした中で、不良債権の抜本的な処理を進めて我が国の金融機関の体質改善を進めないと、再びジャパン・プレミアムというようなものが大きくマーケットを揺るがしてくると。ジャパン・プレミアムが拡大すれば、金融機関の海外における資金調達、これが非常に厳しい局面にさらされるわけでございますけれども、不良債権の抜本的処理に向けた御決意をお伺い申し上げたいと思います。
#13
○国務大臣(柳澤伯夫君) 不良債権問題、一九九七から九八年にかけての金融危機の中で、日本の経済の中で最大の問題ということになりました。そして、御案内のように、金融二法が国会の御熱心な論議の中から成立をいたしまして、その運用を政府にお任せいただいたわけでございますけれども、私どもは、この不良債権問題については、債権の厳格な査定ということと、それに応じた十分なる引当金を積むことによって金融機関の健全性をいち早く確保するということをもって最大の課題だということで取り組んできたわけでございます。その観点では、私ども、ある一定の健全性の確保による安定化というものを、確保という言葉が当たるかどうか、とにかくそれを獲得できたというように考えておるわけでございます。
 しかしながら、昨年の秋以降、大変に株価が急落する中で、再び金融機関の保有する株式の損失というものに、売却で損をするというところは多かったわけではありませんけれども、含み損というようなものに世間の注目が集まりまして、再び金融不安というようなものが取りざたをされるようになりました。
 しかし、この点について私ども、そんなに深刻な問題ではありませんということで大体世間の御理解もいただけたように思うんですけれども、しかし振り返って、その程度の利益の変動でもって何か金融機関が不安になるというのは、一体どこからそういう原因が来ているんだということを考えると、結局、収益力の問題だと。
 なぜ日本の金融機関の収益力が弱いかといえば、これはいろんな側面がございます。利ざやが確保できないとかリストラが不十分であるとか、あるいは金融機関の合併等をして規模でシナジー効果を上げたらもっと収益力の高いものになるかとかいうようないろんな側面のこともあるんですが、当面不良債権の問題との絡みで見ますと、やっぱり不良債権をオフバランス化するということによってこのROAはすぐに積極的な影響が出るわけでございまして、そういうようなことで、不良債権のオフバランス化というものが欠かせないことだということで、私どもこれに取り組むということを申し上げ、そして金融機関にもその方向での努力を呼びかけさせていただいておるということでございます。
 現在、そのための環境整備を含めてのいろんな仕組みというものの検討をいたしておるところでございますけれども、私ども、今この政府の緊急経済対策の中身にもこれが取り上げられましたので、四月の上旬にはその取りまとめをぜひ完了して、新年度、どういうものになるかまだ判然としないわけでございますけれども、その枠組みを効果的に動かして不良債権のオフバランス化というものを進めてまいりたい、このように決意をいたしておる次第でございます。
#14
○山下英利君 ありがとうございました。
 その枠組みを決めていただく中でお考えをちょっとお聞きしたいんですが、いよいよ二〇〇一年四月からペイオフが解禁になります。さらなる預貯金のシフトが発生する可能性も考えられるわけです。その場合、中小の金融機関の資金ポジションがさらに悪化するおそれもあるということに対しての金融庁のお考えをお聞かせいただきたい。
#15
○国務大臣(柳澤伯夫君) ペイオフが実行されますと、やっぱり預金者は金融機関の体力というものに注目をせざるを得ないわけでございます。そういうことで私ども、そういう意味合いもあって、現在、中小金融機関についても検査を行い、必要な自己資本の増強というものに努めるようにということの話をしておるわけでございます。
 中小金融機関、特に協同組合組織での中小金融機関については、幸いにして資本注入の権限が一年延長されて、ペイオフの解禁の時期とこれが軌を一にしているというようなこともありまして、そういった努力をさせていただいておるわけでございますが、他方、もうちょっと実務的にと申しますか、そういうことの中で、顧客との関係の改善ということ、これは主要の顧客に対して訪問をして、自分たちの財務内容をきちっと説明していたずらな不安をもう持たないようにしていただく、信頼をしていただく、こういうような努力をすると同時に、これは全銀協が傘下の銀行に進めておるところでございますけれども、預金規定というものを各金融機関において改正をしておいたらどうかと。それはどういうことかというと、仮に破綻をしたときに顧客の預金と借入金が相殺できるような規定を置いておいたらどうなんだというようなことを今進めているわけでございます。
 こういうようなことをいたしますと、大体中小の人たちというのは、預金もしておるけれども、他方借り入れもしておるというようなことでございますので、預金のみが危険にさらされるというようなことが必然的に少なくなるというようなことがございます。
 それと同時に、こんなことは考えたくもない、そういうことはあってはならないことでございますけれども、風評等によって預金が流出するような、そういう事態になったときに何をすればいいのか、そういう一種の危機管理でございますけれども、こういうものもあらかじめいろんなことを考えて周到に計画をしておくようにというようなことを進めておりまして、最も基本的にはもちろん内容の充実でありますから、自己資本の充実等が一番大事なんですけれども、さらに加えて今言ったようなやや実務的な対応についても遺憾のないようにしたい、こういうことで対応しようとしているわけでございます。
#16
○山下英利君 わかりました。
 それから、中小金融機関についてちょっともう少し突っ込んだ御質問をさせていただきたいんですけれども、中小金融機関が不良債権の直接償却等を進めた場合、日本には従来から金融機関と中小企業の間でいわゆるメーンバンク制といったような取引環境があったわけでございます。そういった中で、中小企業にメーンバンクが金融的に破綻をした場合の影響というのは十分考えられるわけでございます。
 不良債権の直接償却を進めるに当たって、そういった中小企業への円滑な資金供給をどうやって確保していくのか、さらには、そういった中小金融機関の破綻に際して取引先中小企業への円滑な資金供給をして、そういったメーンバンク制のもとの中小企業を金融機関の破綻と一線を画させるような、そういったお考えというのはいかがでございましょうか。
#17
○副大臣(村井仁君) 山下議員の長い金融機関における御活躍を背景にしての実態に即した御質問だと承りましたが、私どもも、金融機関が直接償却等によりまして不良債権の処理をする、そういたしますと結果的に金融機関の体力が強まるわけでございますから、したがってさらにリスクをとった貸し付けもできるようになる、これが本当のねらいでございまして、何も貸し先に対しましてきついことばかりやるというのが目的ではないということをまず御理解いただきたいと存じます。そういう意味で私ども、中小企業を初めとする資金需要者に対する円滑な資金の提供というものができるような、そういう体力を中小金融機関といえども備えてほしい、こういう願望を持っているんだということを御理解いただきたいと存じます。
 そういう意味で、先ほど大臣からも御答弁申し上げましたように、検査等につきまして一通りのことを、いわゆる協同組織金融機関、信用金庫、信用組合等につきましても一通り終えておりまして、体力いろいろでございますけれども、公的資金の投入等によりましてしかるべくそういう体制を整えてまいりたい、こんなふうに考えているところでございます。
 それから、破綻した金融機関の場合でございます。
 これについてちょっと御付言がございましたので申し上げさせていただきますが、破綻した金融機関には私ども金融整理管財人というものを送り込むわけでございますが、そしてそこで内閣総理大臣の承認を受けました業務及び財産の管理に関する計画というものをつくらせて、それに基づいて業務の執行をさせるわけでございますが、そこで非常に重視しておりますのは、金融仲介機能の維持に配慮しながら優良な顧客基盤の維持と貸出資産の劣化防止に努める、これを非常に重視しております。
 そういう意味で、要するに優良な貸付先、善意の借り手というものが金融機関が破綻したために害されるということができるだけないようにという努力をしているわけでございまして、それはもちろんそういうことでやっておるわけでございますが、なおそこがうまくいかない場合には、これはもちろんいろいろな手だてがあるわけでございまして、政府系金融機関が出る場合もございましょうし、あるいは信用保証ということで補うということももう一つの方法でございます。
 それから、とりわけて、今ちょうど年度末でございますが、去る三月十三日でございますけれども、柳澤大臣以下私どもで、関係金融機関の代表にお集まりいただきまして、年度末の資金対応というものにつきまして特段のお願いをいたしまして、かりそめにも貸し渋りとかいうようなことがないように努力をお願いするということをしたこともあわせて御報告を申し上げたいと存じます。
#18
○山下英利君 ありがとうございました。
 私からのお願いということになりますが、金融機関の破綻処理、金融機関の不良債権処理という問題にあっては、もう一つ金融機関取引の基本になっているのが土地本位制といいますか、担保主義と。これは昔からあって、また現在もそれは引きずっているわけですけれども、そういった面で土地に関する流動化の促進を図ることが、要するに担保物件の円滑な処理、そして不良債権額の確定、さらには経済効果の押し上げにつながるものだと思っておりますので、十分その辺のところも財務当局の皆さんで推し進めていただきたいと、そのように思っておる次第です。
 時間がもうほとんどなくなりましたので、どうもありがとうございました。
#19
○櫻井充君 民主党・新緑風会の櫻井充です。
 きょうは、まず最初にNPOの支援税制についてお伺いさせていただきたいと思います。
 平成十年に特定非営利活動促進法が施行されまして、それに伴っての今回、支援税制ということになります。
 その前に基本的なことをお伺いしたいんですが、今後、日本社会においてNPOの位置づけをどう考えられているのか、まずその点について政府の見解をお伺いしたいと思います。
#20
○国務大臣(宮澤喜一君) この点は前にもお答えをいたしておりますけれども、私は以前から財務省の事務当局に対しまして、このたびの法律案ができますまでの経緯でありますが、やっぱりNPOというのは、かなり成熟した自由社会において、市場経済の社会においていわば新しい役割を担う社会的な存在になるであろう、理由は余りくどくど申し上げるまでもないことですけれども、そういうふうに考えておいた方がいい。したがって、本来、政府とは縁を持ちたくないという考え方の団体であろうけれども、しかし国として何かできることはやっぱりするということ、それもまた大事なことであるというのが、今、政府もまた政党も法案を出しておられる基本的な考え方であります。
 ただ、そうではあるが、これはいわゆる減税ということになりますので、どういう条件のもとに減税をするか。これは公のいわば財政支援に関するものでございますから、なるべく政府は余計なことはしないのが本当は好ましいわけですけれども、最小限そういうわけにもまいらないということで法案を提出いたしました。
 したがって、政府の考え方はいわばポジティブであります。ネガティブではございません。ネガティブならばこういう法案を提出することはございません。ただ、ポジティブでございますが、それが公金についてのいわば財政援助でありますので、ある程度いろいろなことを整えておかなければならない。それが甘い、辛いということは当然ございましょうと思いますけれども、また政党の方のお考え、各党のお考えは、なるべくそこは緩やかに甘くせよと。それもごもっともなことなんですが、しかし納税者の金を免除するということでございますから、最低のものはやはり整備をしておかなければならない。そこらあたりが幾らかお考えの違いということかもしれません。
#21
○櫻井充君 ちょっと確認なんですけれども、アメリカでは、過去半世紀にわたって拡大してきた政府活動と活発な民間非営利セクターの存在は相反するというような議論がなされてきていたわけです。今はそうではありませんけれども。こういう考え方ではないということですよね、大臣の考え方としては。
#22
○国務大臣(宮澤喜一君) 何反ですか。
#23
○櫻井充君 つまり、相反すると。政府活動と、それから民間非営利セクターの存在というのは、存続というのは相反するものではないと。アメリカは以前は相反するものではないかという議論がなされていたようですけれども、そういうものではないという私の認識でよろしゅうございますか。
#24
○国務大臣(宮澤喜一君) 相反するものでないと考えますがゆえに、場合によって財政的な支援を与えたいと、こう考えておるわけです。
#25
○櫻井充君 もう一つは、現在NPOの先進国でありますアメリカにおいてのNPOの存在といいますか、その辺に関して政府はどのようにお考えでございましょう。
#26
○政府参考人(池田実君) お答えいたします。
 旧経済企画庁で作成しました平成十三年度国民生活白書はボランティア、NPOをテーマとしておりまして、そこでアメリカにおけるNPO活動にも触れております。
 それによりますと、アメリカでは市民の積極的なフィランソロピー活動がNPOの活動を支えている。これは、市民生活に必要なサービス、生きがいを提供するなど、NPOの活動が生活の中で重要な位置づけを占めていることを市民が十分理解しているからこそである。他方、NPOは努力をして社会からの支援を得ることによって、活動の継続が可能となっているとも言われている。このようにアメリカでは、市民がNPOを選び、育て、見守るという姿勢が生活の中に根づき、市民とNPOが好循環の関係を保つ中で、経済社会の成長が続いていると、こう触れております。
 それから、アメリカにおいてNPO活動が活発である背景として、アメリカの識者の見解を紹介しておりまして、その中に、コミュニティーが政府より先に形成されていたため、建国当初から政府を頼らない自助努力の風土が強いことなど、ほかにも挙げていますが、そういうようなことが挙げられております。
#27
○櫻井充君 ちょっと私が持っているのは古いデータなんですけれども、九〇年で、アメリカにおいてですけれども、非営利セクターの雇用者数が七百二十一万人、全雇用者数の六・八%を占めると。そして、経常収支の総額も、国内総生産、GDPの六・三%に当たると。非常に大きいわけでして、日本もこのぐらいまでNPOの活動を広げていこうというふうにお考えなのかどうか、改めて政府の考え方をお伺いさせていただきたいと思います。
#28
○国務大臣(宮澤喜一君) 私が申し上げる担当者であるかどうかわかりませんけれども、私自身は、やはりこういう活動は自然に広がっていくであろう、それはやっぱりいいことだと基本的には考えています。
#29
○櫻井充君 もう一つ、社会福祉支出の中で、基本的にはアメリカはヨーロッパから比べると社会福祉支出が少ないわけですけれども、その中でどの程度非営利団体が支出しているかといいますと、非営利団体が二千九百五十億ドル、それから連邦政府が二千四百四十億ドル、それから州、地方政府が千三百八十億ドルということで、こういう分野でも非営利団体が一生懸命活動されているというような状況になっています。
 そこで、やはり日本もこういう社会を目指していくべきではないかと私は考えているんですが、今回のパブリック・サポート、優遇税制を受けられる団体をどの程度認定されるのかというところになってくると、まず一番大事な点がパブリック・サポート・テストになるんだろうと思います。このパブリック・サポート・テストの内容を見てみますと、政府案になりますとかなり限定されてしまうんではないかという感じがいたしますが、いかがでございましょう。
#30
○政府参考人(尾原榮夫君) 今、パブリック・サポート・テストについてお尋ねがございました。
 大臣からもお話しございましたように、NPO法人制度、そもそも公の関与からなるべく自由を確保するという枠組みになっております。したがいまして、その態様は多様であり、区々でございます。
 そこで、今回の税制上の優遇措置、公的サービスの財源でございますから、この減免を伴う対象となる法人にはふさわしい公益性を有する必要があるだろう、そういう考え方からパブリック・サポート・テストを設定いたしまして、これによりまして活動の公益性を推測し得る指標として使っているわけでございます。
 具体的な指標といたしましては、NPO法人の総収入金額に占める寄附金等の金額の割合が三分の一以上というふうにしてございます。このパブリック・サポート・テスト、ただいま申し上げましたように税の優遇措置を伴うということでのテストでございますので、現在、政府としてお願いしている考え方、適切なものであろうというふうに考えております。
#31
○櫻井充君 今、自由を確保するとおっしゃいました。この自由というのは一体何を指して自由とおっしゃっているんですか。
#32
○政府参考人(尾原榮夫君) 大変申しわけございません。
 今、NPO法人制度でございますが、その設立については、一定の要件を満たしている場合には所轄庁はNPO法人として認証しなければならないとされている、つまりNPO法人制度というのは公の関与からなるべく自由を確保するという枠組みになっているということを申し上げたわけでございます。
 他方、税の優遇措置でございますが、やはり公的サービスの財源となる租税を減免するということでございますので、この対象となる法人はそれにふさわしい公益性を有する必要があるということを申し上げたわけでございます。
#33
○櫻井充君 しかし、今、政府がやっていることというのは、制限をかなり加えていることであって、自由を確保することから反対の方向を向いているんじゃないですか。
#34
○政府参考人(尾原榮夫君) NPO法人制度は、まさに公の関与から自由に活動される法人であろうというふうに認識しております。
 ただ、税制上の優遇措置を受ける対象のNPO法人はどうあるべきかということでございまして、やはり寄附金につきましての租税の減免措置を伴うものであるだけに、納税者の負担においてなされるわけでございますので、その対象となるものについて今回パブリック・サポート・テストを設けていること自体、自由を束縛するとかいうことではなしに、税制としてどのような制度がよろしいのかという観点からの基準というふうに考えております。
#35
○櫻井充君 いや、このテスト自体が少なくともアメリカのパブリック・サポート・テストの計算式から比べるとはるかに厳しいといいますか、認定が受けにくい条件になっているわけです。ですから、そういう意味でいうと、こういう制限をかなりつけ過ぎているんじゃないか。
 例えば、政府案では、認定の要件の中で政治、宗教活動を一切行わないというふうになってきています。しかしこれは、もともとあった法案の中には、主たる目的としなければいいという概念になっていたわけであって、その点からしてみても、いろんな制限がついていて、必ずしも自由を確保しているという状況にはないんじゃないかと思います。
 この点について、いかがでしょう。
#36
○政府参考人(尾原榮夫君) 繰り返しになりますが、NPO法人自体は、NPO法に基づいて自由に御活動をいただく仕組みになっているというふうに承知しております。
 ただ、税制上の特例措置を設ける場合、どのようなNPO法人についてその対象とするのが適当であるかということでございますが、ただいま例でございましたように、この優遇措置の対象となるということのためには、政治活動を行うということは特定の立場に偏るということにもなりかねませんので、税制の優遇措置の認定NPO法人になるためには、政治活動を一切行っていない、そこはNPO法よりも厳しい基準になっているというふうに御理解いただきたいと思います。
#37
○櫻井充君 そんなの法律から見たらおかしいじゃないですか。法の精神というのは一つなはずですよ。ある部分は主たるものでなくていい、片側のところは絶対認めないと。これ、一つの精神になっていないじゃないですか。おかしいですよ。
#38
○国務大臣(宮澤喜一君) それは御質問がちょっとわかりにくいので、どなたもNPO活動はしてもいいんですよ。しかし、減税を受けようとするのならこうですと言っているだけじゃないですか。
#39
○櫻井充君 しかし、法の趣旨からいけば、少なくとも主たる活動でなければやってもいいというお話になっていますし、もう一つ、この間、私、本会議で質問をさせていただきましたが、そのときに福田官房長官からこういう答弁がございまして、今回の「「政治上の主義を推進し、支持し、又はこれに反対することを主たる目的とするもの」でなければ、設立の要件に合致するものであり、すべての政治活動が禁止されるというものではなく、」と。そして、今回のNPO法人に係る税制上の措置においても、支援の対象としてふさわしい法人の要件を規定したものであるというふうになっているわけであって、基本的には、そういうことはやっていても認めるという答弁にはなっているんじゃないですか、ここは。
#40
○政府参考人(尾原榮夫君) 繰り返しになりますが、NPO法人は主たる事業としてそのような政治活動なり宗教的活動をしてはいけないというふうに書いてあるわけでございます。
 他方、税制の優遇措置、つまり納税者の負担において、その限りにおいて税の負担の公平を犠牲にするわけでございますが、これはまた裏返して言いますと、実質的に税金で補助金を与えるという側面もあるわけでございます。そのような制度を仕組む場合に、やはり特定の立場に偏らないというような意味、あるいは税制の公平というような意味からして、NPO法で規定している要件よりも厳しい要件が適用されるといいますのは、この税の恩典制度が適用される以上やむを得ないことではないか、こういうふうに考えております。
#41
○櫻井充君 そういうことをおっしゃるのであれば、まずすべての公益法人の政治活動を禁止された方がいいんじゃないですか。片側のところは認めておいて、片側は認めないということ自体おかしいんじゃないでしょうか。
 例えば、ささえあい医療人権センターというところがございます。ここがこの間、政策提言のようなことを行いました。これは厚生省と組んでです。厚生省と連動して、医者にかかる十カ条、こういう形でやっていきましょうという政策提言をいたしました。それからもう一つは、その団体がいろいろ患者さんからの苦情を受けているわけですが、その中で差額ベッドの問題がございました。その差額ベッドの問題をやっていて、こういう場合には差額ベッド料は徴収されませんよとか、そのものを一冊の本に今回まとめたりいたしております。
 そういうような、ある部分でいえば政治活動につながっていくようなものを行っているわけですが、ここは今回、十年間こういう活動をやってまいりましてNPO法人としての認可を受けようとしています。こういう団体というのは、税制の面での優遇措置というのは受けられないということになるんでしょうか。
#42
○政府参考人(尾原榮夫君) 今、個別の事例についてのお話がございました。
 申請いただければ十月一日からこの法律に基づきまして適切に処理されるわけでございますが、一般的に申し上げまして、政策提言でございますが、「政治上の主義を推進し、支持し、又はこれに反対すること」ということには該当しないというふうに考えているわけでございます。
#43
○櫻井充君 じゃ、もう一つ、ちょっと確認です。
 政策提言することは構わないということですね。
#44
○政府参考人(尾原榮夫君) 政策提言自体は差し支えないというふうに考えております。
#45
○櫻井充君 もう一つ、済みません。
 政策提言するNPO法人であっても優遇税制は受けられるということの認識でよろしゅうございますね。
#46
○政府参考人(尾原榮夫君) 政治活動を行っていないということは一つの要件でございまして、政策提言をする法人、つまりNPO法人自体が政策提言をすることを主たる目的とすると、こういうことではございませんですね。
#47
○櫻井充君 違います。
#48
○政府参考人(尾原榮夫君) 一般的に申し上げまして、政策提言は該当しないというふうに考えております。
#49
○櫻井充君 該当しないというのは、それだと受けられるということですか。
#50
○委員長(伊藤基隆君) 発言は委員長を通してやってください。
#51
○櫻井充君 はい、わかりました。
#52
○政府参考人(尾原榮夫君) その点の要件は満たさないことにはならない、満たしているということでございます。
#53
○櫻井充君 もうちょっとわかりやすく言ってください、イエスかノーか。つまりは、政策提言しているところでも支援税制は受けられるんですね。受けられるか受けられないかだけ答えてください。
#54
○政府参考人(尾原榮夫君) 今度の要件といたしましては、一切の政治活動を行わないというところで実は書いているわけでございまして、そこでの政治活動というのは「政治上の主義を推進し、支持し、又はこれに反対すること」、「特定の公職の候補者若しくは公職にある者又は政党を推薦し、支持し、又はこれらに反対すること」というふうにすることとしてございます。
 つまり、NPOを引くわけでございまして、したがいましてこれに該当しない限りは問題はないわけでございますから、政策提言は基本的に政治活動をするということにはならない、こういうことでございます。
#55
○櫻井充君 問題ないと。
#56
○政府参考人(尾原榮夫君) はい。
#57
○櫻井充君 端的に問題ないと言っていただければわかることなんですけれども。
 それで、これは野党案の提出者の方にお伺いしたいんですが、野党提案の中では、政府提案の中の分母から本来事業収入を引いております。分子が小さくなる分、かなりのNPOが優遇税制を受けられるというような形になっていますけれども、なぜこのような本来事業収入を分母から引かれたんでしょうか。少なくともこういう式をつくられたのか。
#58
○委員以外の議員(江田五月君) その御質問にお答えするには、まず野党案がNPOをどう見ているかということを御説明しておかなければならぬと思います。
 簡単に申し上げますが、先ほど宮澤財務大臣は成熟した社会でNPOは新しい役割を持つようになるであろうとおっしゃいました。私ども、それは確かに一つだと思います。市民の自発性、多様な価値観に基づく市民活動の主体であって、政府や企業が主導する社会システムを二十一世紀に対応できる新しいシステムに変革する、その変革の主体であると思っておりまして、二十一世紀はNPOの時代だという認識を持っておるわけです。
 それだけではなくて、先ほどアメリカのNPOの説明がございましたが、もともと政府活動が始まる以前から民間、市民のさまざまな活動というのがあった。それは教育にしてもあるいは宗教にしても、医療にしても社会福祉にしてもそういうもので、そしてそれが政府活動よりももっときめ細かく、かゆいところに手が届くように行われるということはしばしば見られるわけで、粘りのきく、あるいは懐の深い、そういう社会をつくっていくにはどうも政府活動というのはかなり失敗をしているんじゃないかということがあって、むしろ市民に譲っていく、そして結果として小さな政府が実現をしていく、そういう成熟した社会に、新しい役割というよりも旧来から持っているNPOの役割を今こそ大切にしていかなきゃならぬという、そういう点がもう一方であるのかなと。
 同時に、政府活動あるいは企業活動だけでなくて、第三の市民セクターで人々が仕事の場を持つ、これも随分雇用として大きな役割を果たすところがあって、そういう場で市民が生きがいを持ち、人とのつながりを持っていく。旧経済企画庁の白書によれば好縁、好ましい縁、そういうものをつくっていくと。
 そんなようなことがあって、私どもは、このNPOというのはやっぱり支援をしなきゃならぬ、促進をしなきゃならぬ、支えていかなきゃならぬ、あるいは政府は譲っていかなきゃならぬ、そういう立場だと思っておりまして、したがって何が公益的な活動かということも、政府の方が判断するのではなくて、むしろ社会に支えられているということでもって公益的活動の認定の基準にしていこうと、こう考えたわけでございます。
 したがって、そういう支援になるような制度設計をしなきゃならぬということが問題でございまして、事業収入でみずから自立をさせながらNPO活動をやっていく、例えばガレージセールなどで、それぞれの家庭で要らなくなったものを集めて売る、これ自体はNPO活動とはあるいは言えません。しかし、その売り上げから例えば海外へのいろんな援助をしていくというような、自分の事業活動で自分の自律的な活動を支えながらNPO活動をやるということは、これは当然促進をされてしかるべき、支援されてしかるべきなので、したがって事業収益というものを分母からも分子からも除きましょうと。同時に、補助金というのは言ってみれば国民の税金から回ってくるわけですから、これもある種の寄附と同じような性格を持っていると考えられるので、これは分子の方に入れましょうと、こういうことで方程式をつくったわけでございます。
#59
○櫻井充君 今の野党案に対して、政府はどのようにお考えでしょう。
#60
○国務大臣(宮澤喜一君) 今の江田議員の御説明は、アメリカの実情を基本におっしゃいましたが、これはやはり一つの私はお考えだと思っております。それは、ピーター・ドラッカーが一番そのことを言っておりまして、アメリカという国はやっぱりボランティアの国なんですね。彼は、大人一人が毎週何時間をボランティアに費やしているかということを統計を挙げて言って、それは驚くべきものであって、教会の活動とも違う。発生がそうかもしれないが、今やもうそうでないぐらいですから、江田さんのおっしゃるように、政府のある前にそういう活動があったとでも言うぐらい大きい部分であるんで、したがって、分子、分母から両方除いたところでそういうことをしたって、それが本来じゃないかと、こうおっしゃっているわけでございましょう。我が国はそこまで事は明らかに行っておりませんから、お考えはそれでなるほどなというふうに思うけれども、日本はどうも今のところそうではないとやっぱり申し上げざるを得ないんじゃないでしょうか。
#61
○櫻井充君 ちょっとわかったようなわかんないようなあれですが。
 もう一度確認になりますけれども、今後そのNPOの活動というのが社会において非常に重要であって、これからもっと拡大していかなきゃいけないと考えていくとすれば、きつい要件をつけること自体が私は間違いなんだと思うんですよ。つまりはこれは政策的なものだと思うんです。税制というのは公平中立な立場でなければいけないということは、これ大原則だろうと思います。しかしながら、政策的なもので例えば減税するとかいうことがあるわけであって、これを政策的なものとしてみなしてくるのかどうかということになるんだろうと思うんです。
 例えば、今回の野党案の場合に、もう一点、パブリック・サポート・テスト、将来は三分の一ですけれども、一回目は五分の一でいいですよということも認めてきています。つまりは、なるたけ優遇税制が受けられるようになって、そしてNPO活動をもっとどんどんふやしていってくださいというメッセージであって政策的な取り組みになるわけです。
 そういう意味において、今回の政府の提案ではそういうメッセージが全く伝わってこないんです。大体、今回のもので優遇税制を受けられるNPOというのは、政府としてどの程度あるとまずお考えなんですか。
#62
○政府参考人(尾原榮夫君) 今、今回の対象となるNPO法人がどの程度になるかというお尋ねでございました。今回の制度を策定するに当たりまして、昨年の九月に内閣府に実態調査をしていただきました。しかし、それもまた一部のNPO法人からの回答に基づいているわけでございます。
 いずれにいたしましても、NPOの実態、態様、正確に把握できないところもございますが、NPO法を政策的に支援する重要性という見地から、この十月一日から新しい制度が適用になるようにしているところでございまして、そのために今回、適用要件も明らかにして、しかも明確かつ客観的な基準によることとしているわけでございまして、できる限りたくさんのNPO法人に利用していただきたいと思っております。
 したがいまして、現在でどの程度かということについては、まさに十月一日を見てみないとなかなかわからないところがある、要は、積極的に利用していただきたいということに尽きるわけでございます。
#63
○櫻井充君 積極的に利用したくても利用できなかったらどうするんですか。
 やはり、こういうのをつくったときに、実態も何もわからないで、まあとりあえずつくってみたらというだけの話じゃないですか。もっと多くのところがこういう優遇税制を受けられるようにしましょうと基本的に考えているのか。大体五〇%なら五〇%ぐらいがこういう対象になるようにしようじゃないかとか、そういうことを本来、今実態もわからずにとおっしゃいましたけれども、実態がわかった上でこういう政策というのは出してくるんじゃないですか。そういうことが何もなしに、とりあえずやってみて皆さん御利用くださいというのは、それはちょっとひど過ぎるんじゃないですか。
#64
○政府参考人(尾原榮夫君) 実態がわからないでという、少し誤解を与えるようなことを申し上げました。
 実は、このNPO法案の、まさに二年以内に適切な措置を講じなければならない、税制を講ずる場合にはその実態をできる限りよく把握した上で講ずるのが当たり前の話と考えておりまして、先ほどの内閣府で行われました実態調査でございますが、千以上のNPO法人を対象に、この措置を検討するに当たってのアンケート調査を出させていただきました。それに基づいて今回の措置を組み立てさせていただいているということを申し上げたわけでございます。
 ただ、申し上げたかったのは、残念ながら、千以上のアンケート調査をお願いしたところ、実際回答していただいた方というのが限られていたという面もあったということを申し上げたかったわけでございます。
#65
○櫻井充君 じゃ、数少なく返ってこられた方が今回の政府のパブリック・サポート・テストの計算式をお認めになっていますか。
#66
○政府参考人(尾原榮夫君) 今回の政府案についていろんな御意見が寄せられていることは承知しておりますが、我々、実態調査に照らしまして、また税の適正公平な課税というような面に照らしまして、さらにはNPO法人に外部資金を導入しやすくするという観点から考えまして、適切な措置であるというふうに考えております。
#67
○櫻井充君 何か答えになっていなくて、先ほども答弁ありましたけれども、二年以内に何かつくんなきゃいけないということで、とりあえずつくってみたということなんじゃないかという感じがします。
 ちょっと別な観点からいきますと、今度はもう一つ、大口寄附とか助成のカウントの上限を設けています。上限二%です。野党案は五%ということになっています。ここも要件きつくなっていますけれども、これはなぜですか。
#68
○政府参考人(尾原榮夫君) 寄付金等の二%の要件と申しますのは、もちろん二%以上の寄附をいただいても結構でございますけれども、パブリック・サポート・テストについては二%までカウントするということでございます。これは、NPO法人が偏った活動がなされていないかどうかというような観点からの二%の基準でございまして、アメリカにおいても同様の考え方からの基準が導入されているというふうに承知しております。
#69
○櫻井充君 それでは、少なくともNPOが、じゃ政府の考え方で結構でございますが、運営していく中でどういう収入が主たるものになるべきだとお考えですか。どのものが主たる収入となって、そしてもっと言えば、どういう所得の割合になっていくと理想的なNPO活動ができるというふうにお考えですか。
#70
○政府参考人(尾原榮夫君) NPO法人の所得なりの構成がどうかということでございましたが、これはNPO法人のそれぞれの活動の方針あるいはサポートされる状況等によって決まってくるんだろうと考えております。
 ただ、今回の優遇税制の対象となるためのパブリック・サポートの基準は、総収入金額を分母にとりまして寄附金等を分子にとる、その比率だけで判断するということになっておりますので、直接にどういう収入構成がいいのかということについては、税の方では判断をしていないわけでございます。
#71
○櫻井充君 収入構成を判断していないからこういう規定が設けられるんじゃないかと思うんですよ。実情がどうなのかということだと思います。
 そしてもう一つ、今回大きな問題だと思うのは、NPO側の優遇税制というのは全くないんですね、今回の措置の中で。例えば、野党案の場合には、収益事業への税率を一律二二%にしようじゃないかと、こういう優遇措置を設けようという案も出ているわけです。しかしながら、政府の方ではNPO側の優遇措置というのは全くございません。これはなぜですか。
#72
○政府参考人(尾原榮夫君) 今回の制度を内閣府と相談しながら構築するに当たりましては、繰り返しになりますが、実態調査に基づいてやっているわけでございます。
 その実態調査によりますと、現在、法人税を申告しておられるような法人というのはごくわずかであり、赤字法人が多い、申告していても非常に少ない金額のものになっている等の実態が判明したわけでございます。
 やはり、今一番NPO法人を税制面からやるにふさわしいといいましょうか、適切なことは、財政基盤の弱いNPO法人に対して外部資金をどうやって入れやすくしていくかというふうに考えまして今回の措置となっているわけでございます。
 したがいまして、NPO法人自体に対して措置をするという考え方はとっておらないところでございます。
#73
○櫻井充君 今、外部資金が入りやすいような状態をつくるとおっしゃいました。そうすると、パブリック・サポート・テストを初めとした認定要件がきついわけですから、優遇税制を受けられるというその認定要件がきついわけですから、外部からの支援を受けにくくしているんです、政府提案は。野党提案の方がはるかに外部からの収入が受けられるようになっていますよ。今おっしゃっていることは自己矛盾じゃないですか。
#74
○政府参考人(尾原榮夫君) 繰り返しになりますが、今回の措置は、寄附金優遇措置を設けることが一番大切であるということで今回の優遇措置を講じているわけでございます。
 なお、寄附金の優遇措置、これも繰り返しになりますが、税の減免を伴うだけに、やはりパブリック・サポート・テスト等の要件によりまして公益性を客観的に担保する基準はどうしても必要であろうというふうに考えたところでございます。
#75
○櫻井充君 委員長、答弁になっていません。
#76
○委員長(伊藤基隆君) 続けてください。
#77
○櫻井充君 答弁になっていません。
 私が聞いているのは、外部からの資金をどう流入させるかということです。流入しやすいようにしなきゃいけないと今おっしゃったじゃないですか。要件が厳しいということは流入しにくいことじゃないですか。違いますか。私はそこの点について聞いているんですよ。どうお考えかです。そんなあなた方の考えを聞いているんじゃないですよ。私の今の質問にちゃんと答えてくださいね。
#78
○政府参考人(尾原榮夫君) 外部資金導入を容易にするといいながら、要件が政府案では厳しいので外部資金が集まりにくいではないかというお尋ねであったかと思います。
 私、説明申し上げましたのは、税の優遇措置を設けまして外部資金を容易にさせるためには公益性を担保する必要がある、その外部資金を導入することを容易にさせるということが重要な政策目標だと、これもわかっております。
 ただ同時に、どうやって税の一種の使われ方として公益性を担保していくか。そういう意味で、そういう客観基準があるのとないのと比べまして、その限りにおいては対象法人が絞られてくるわけでございますが、それは税の考え方から出てくるところでございまして、これをもって直ちに外部資金が集まりにくくなっているということにはならないのではないかと思っております。
#79
○櫻井充君 それでは、政府提案と野党提案では、どちらが外部資金が流入しやすい、集まりやすくなるとお考えですか。
#80
○政府参考人(尾原榮夫君) 政府で考えております適用要件より、ただいま御提案のございます四党からの要件は緩やかなものになっているわけでございます。したがいまして、その限りでは全般的に外部資金が集まりやすいということなのかもしれませんが、一方において、公益性の担保。つまり、租税の減免を伴う以上、その公益性をどうやって担保するかという点については、政府の考え方とその点において異なる点があるわけでございます。
#81
○櫻井充君 そうしますと、今回の、政策的なものとすると公益性が重要であると。NPOの運営が先ほど赤字だということをおっしゃっておられましたけれども、赤字でつぶれても仕方がない、もうこの際だから公益性が担保されるようなところだけちょっと残せばいいという考え方になるんじゃないですか。
 もう一つ、野党案の提出者の方にお伺いしますが、野党案では今の話ですと公益性が担保されないような答弁でございます。いかがでございましょうか。
#82
○委員以外の議員(江田五月君) もともと何をもって公益かという判断に食い違いがあるのかと思いますが、私どもは、公益というのは、政府がこれが公益ですよといって枠をはめてしまう、そういう公益の判断をそろそろ変えた方がいいんじゃないかという考え方でおりまして、したがって、パブリック・サポート・テストというようなものもそういう考えにのっとって導入をしようとしているものでございます。
 そもそもNPO法人、認定されるものはもともと認証されているNPO法人ですから、その認証の段階で公益性の一定の判断というものはあるわけですね。それに加えて一定の要件をさらに付加しているわけでございまして、例えば、政府案の方は一市区町村を越えるような活動でなきゃいけないというようなことを言われるんですが、なぜかといいますと、いや、それは国税だから、一地方の活動だけだと国税がいろいろ言うのはおかしいと言うんですが、それだったら、一市の中で営業しているような八百屋さんや魚屋さんは、じゃ所得税を納めなくてもいいのかというようなことになるわけで、何を言っているんだろうという気がいたします。
 私どもの方で公益から外れるものが、どんどんここでこの税の優遇を受けるようになるということは考えておりません。ありません。
 さらにもう一点言いますと、税というものはとにかく国がちゃんと集めてそれを補助金の形で出していくものなんで、民間の中で、市民の中で資金が回っていくようなことはけしからぬというような、そういう頭があるのではないかという気がいたしますが、それもおかしい。自分のところで全部資金を管理しなきゃ心配で寝られないというような、そういう頭を変えてほしいと思います。
#83
○櫻井充君 今の中でまず大事な指摘は、認定を受ける時点で公益性は担保されているということなんだろうと思います。
 ですから、政府がおっしゃっているような、ここで公益性を担保するものじゃないんですよ。いかがですか。
#84
○政府参考人(尾原榮夫君) NPO法人制度の認証というのは、法人格が認められるということが主たる法的効果かと思います。今回お願いしておりますのは、そのようなものの中から税制の優遇措置の対象となるような法人をどのような客観的な明確な基準で担保していくかということでございまして、その点は異なるであろうというふうに考えております。
#85
○櫻井充君 それでは、こういう理解でよろしゅうございますか。今回の優遇税制が受けられないところは公益性がないと、そういうことですね。
#86
○政府参考人(尾原榮夫君) 今回の対象とならないところでございますが、それは単に今回の優遇税制の対象とならないということだけであって、今回の優遇税制の対象にならないからそのNPO活動が重要か重要でないというようなことを言っているわけではございません。
#87
○櫻井充君 今そういうことを言っていないじゃないですか。民主党案は要件は緩いかもしれないけれども、これで公益性が保てるかどうかという、そういう答弁なさったじゃないですか。ですから私は聞いているんですよ。政府が言っているこの条件でなければ公益性は担保されないんですね、それ以外、外れたところは公益性じゃないんですねと。つまり、もう一つ言うと、もう少し緩くたって公益性は担保できるんじゃないですか。我々そう思っているんですよ。ですから、今おっしゃっているのはまさしく公益性を担保するために要件をきつくしているんだと、そうだったじゃないですか。
#88
○政府参考人(尾原榮夫君) 私が申し上げておるのは、税の優遇対象となるためには、租税の減免を伴うという観点から、納税者の納得なり信頼を得る制度でなければならない、そういう観点から公益性を担保していく必要があるというわけでございまして、もとより、NPO法人が対象とならない活動自体を、何といいましょうか、重要であるとかないとか言っているわけじゃない、税の面から見ての公益性、こういうことでございます。
#89
○櫻井充君 いや、今、納税者の方が納得されるかどうかとおっしゃっていましたね。外交機密費どうですか。(「関係ないよ」と呼ぶ者あり)いや、関係なくないですよ。言っておきますけれども、こういう形で国に納めていること自体を納得していない人たちだっていっぱいいるわけですよ。自分たちがこういう活動をやっている人たちを支えていきたいと思って寄附をしようとしたって全く優遇税制が受けられない。おかしな話じゃないですか。そこはおかしくないですか。
 じゃ、国がこれから全部仕事をしていくのかどうかということになると思いますよ。国は大きな借金を抱えていますよ。この借金は、すべての事業をこれからずっと継続して国がやっていくのか、ある部分、国が持っている部分を地方に渡したりとか民間に渡したりとか、そうやって国が小さな政府を目指していくのかこれから議論になってくると思います。こういうことをやっていったら育たないでしょう、NPOが。違いますか。
#90
○政府参考人(尾原榮夫君) 大変難しいお尋ねをいただきました。
 今回の優遇税制の認定要件の問題でございますが、今私どもの方から申し上げておりますのは租税の減免を伴う措置でございますから、しっかりとその事業にその寄附金が充てられる、あるいはその他の要件がたくさんございますけれども、事業が継続する等々いろんな要件が書いてあるわけでございます。
 今のパブリック・サポート・テストといいますのは、NPO法人を、いわゆる政府側がこれが公益性がある、ないという判断をするのは適当でございませんので、客観的な指標で、どれだけの方からの寄附金を受けられているのかというような観点から公益性を判断していくという仕組みになっているわけでございます。
#91
○櫻井充君 今、どのような方から寄附金を受けられるから公益性だとおっしゃいました。じゃ、三千円未満の寄附はカウントしていないじゃないですか。公益性をどうやって数えるんですか。
#92
○政府参考人(尾原榮夫君) 三千円の足切りの問題でございますが、二点ほど申し上げさせていただきたいと思います。
 一つは、現実の寄附金の実態を見ますと、大体三千円ぐらいは寄附をなされているなという統計がございます。
 それからもう一つ、現実に国税庁が今回お認めいただきますればそれに基づいて認定をしていくわけでございますが、少額の寄附についてどうなっているかというところまでお互いにチェックをするということになりますと、手間も大変煩瑣でございます。したがいまして、三千円というような足切りで申請者側あるいは認定側も事務がスムーズに行えるような、こういう配慮から三千円をつくっているものでございます。
#93
○櫻井充君 どれだけ多くの人から寄附をしてもらっているから公益性を担保するとおっしゃったじゃないですか。煩雑だから三千円以下はすべて切り捨てると言っているんじゃないですか。おかしい話じゃないか、自己矛盾じゃないですか、これも。言っておきますけれども、私の後援会の、政治活動を支えてくださっている方々は一口千円で寄附していただいていますよ。みんながみんな三千円以上じゃないですよ。
 それからもう一つ、民主党案ではボランティアの部分もカウントすべきじゃないかと。ボランティアという活動は日本ではすべてが無償だと言われていますけれども、決してそういうことではなくて、自発的にいくものはすべてボランティア活動だと私は思います。
 そういう意味において、野党案の中には、その部分も優遇税制が受けられるような形にすべきじゃないかという話も出ているわけです。これこそまさしく公益性じゃないですか。みんなが支えていくということになるんじゃないですか。そういう小口の人たちはカットする、その考え方はおかしくないですか。
#94
○政府参考人(尾原榮夫君) この辺も、円滑な執行をするにはどうするかということで内閣府とも協議をしてまいりました。NPO法人の実態調査からいたしますと、今の三千円ということでございますが、個人の寄附については七割程度、法人の寄附については九割以上がこの基準を満たしているということが判明しておりまして、そういう意味で厳しい基準とは考えていないわけでございます。
#95
○櫻井充君 煩雑だからカットされる人が出てくるわけですよ。そうでしょうか。自分が支えているんだというところを認識してもらうということ自体、私はすごく大事なことなんだと思うんですよ。
 そういう意味で、今回もう一つ、寄附側の優遇として一万円の足切りがあります。これは多分、政治資金ですか、あれと同じような形で一万円で足切りされているんだろうと思いますが、今回野党案の提案の中には、一万円未満も寄附側の優遇税制を受けられるようにするという提案がございます。これ、実を言いますと、今申しました点から考えると若干整合性がないんじゃないかというふうに思いますが、いかがですか。
#96
○委員以外の議員(江田五月君) 野党案は、「居住者が特定寄付金を支出した場合には、特定寄付金の額の合計額を所得から控除することができるものとし、現行の一万円の裾切りは廃止するものとすること。」となっておりまして、認定NPO法人に対する寄附だけではなくて、特定寄附金すべてについてこの一万円のすそ切りというものを廃止するということにしておりまして、今の制度と野党案が提案しております新しい制度との間は違っておりますが、この法案が通ることによって今の制度も変わるわけでございますから、その点の整合性はとれていると思っております。
#97
○櫻井充君 改めてお伺いいたしますが、その寄附側の優遇も一万円という足切りをなくしちゃった方がいいんじゃないか、そう思いますが、いかがですか。
#98
○政府参考人(尾原榮夫君) 今の一万円の足切りといいますのは、寄附金控除の対象となる寄附金の額は、一万円を引いた残余の部分が対象になる、所得の一定限度等々の範囲内である必要がございますが、という問題でございます。
 これは、この制度は寄附金を奨励するということで設けられているわけでございまして、そのような奨励という見地から考えますと、通常どなたもがなさるような、一定限度額を超えてなさる、そのようなものを優遇税制の対象にするという考え方で成り立っているわけでございます。そういう意味で、この一万円という足切りといいますのは合理的な理由があるというふうに政府は考えているわけでございます。
#99
○櫻井充君 どこが合理的なのかよくわかりませんが、その優遇を受けられる人たちはある程度の献金なり寄附なりをしなきゃいけない。しかし、収入の少ない方々がわずかなお金でも寄附をされる、そういうものが本来であれば優遇税制を受けられていくというのは、私は当然のことなんじゃないかと思います。本当はそのぐらいの額を寄附したいと思っても、手にない方々もたくさんいらっしゃいます。しかしながら、自分たちが例えば社会を支えていきます、政治活動を支えていきますという思いで寄附されている方々がいらっしゃるとすれば、その方々にも優遇税制が受けられるようにするというのが私は本質論じゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
#100
○政府参考人(尾原榮夫君) この寄附金税制は税制の優遇措置でございますので、所得がない限りは税負担の問題が生じない、よって寄附金税制の対象にもなってこないわけでございまして、これは税の仕組み上やむを得ないことであろうというふうに考えております。
#101
○櫻井充君 やむを得ないじゃなくて、そこを変える意思がおありかどうかということじゃないですか。今までの制度があって、もうやむを得ないと言ったら何も変わらないじゃないですか。そこを言っているんですよ。
 大臣、いかがでしょうか。
#102
○国務大臣(宮澤喜一君) 一つは税の執行上の話と申しておりますが、もう一つは、しかし税負担をしていない人にはどうもどうしようもないと、こういう気持ちがあるようですが。
#103
○櫻井充君 もう一つ。
 赤字であるというNPOを何とか助けてあげるためには──その前にちょっと基本的なことをお伺いしたいんですが、NPOの場合には、非関連事業収入にかけられる税率と、それから本来事業収入の税率というのは何%なんですか、今。
#104
○政府参考人(尾原榮夫君) NPO法人の課税でございますが、公益法人課税と同様に、三十三の収益事業に該当する場合には納税義務が出てくるわけでございます。それでその税率でございますが、NPO法では普通法人ということで三〇%の税率がかかることになりますが、ただ、所得八百万円以下までは二二%の税率という仕組みになっております。
#105
○櫻井充君 本来であると、非営利という考え方からすれば社会福祉法人と同じ要件でもいいんじゃないか。つまり、収入八百万だけじゃなくて、それを超えたとしても、少なくとも本来事業収入の分に関していえば、これは本来事業収入に関しても今三〇%ですよね。これは二二%でもいいんじゃないかと思うんですが。
#106
○政府参考人(尾原榮夫君) 今の税率の問題をもう一回言わせていただきますと、基本税率は三〇%になりますけれども、八百万円までの部分は二二%の税率が適用になるということでございます。
 それから、社会福祉法人と同じような扱いにしてはどうかというお尋ねがございました。
 実は、この社会福祉法人でございますが、社会福祉法上厳しい指導監督がなされておりまして、また困窮した人に対してもサービスの提供が義務づけられているわけでございます。そのようなことから、社会福祉法人の営む医療・保健業については非課税というような取り扱いになっているのはそのとおりでございます。
 しかし、この収益事業課税といいますのは、民間で営んでいるものと競合しているかどうかという判断から事業の指定をこれまでもやっているわけでございまして、医療・保健業について申し上げますれば、通常の法人から協同組合、公益法人と多々ございまして、そういう意味で、基本は課税を行っていくのが基本というふうに考えてございます。
 したがいまして、NPO法人につきましても、三十三の収益事業に該当すれば課税が行われるという考え方になっております。
#107
○櫻井充君 その中で、NPO法人が介護に参入した場合、これは結果的には課税されることになったんですか。
#108
○政府参考人(尾原榮夫君) NPO法人の営む介護事業でございますが、この介護事業、幾つかの収益事業に分解されるようでございますが、基本的に課税対象になってくる、こういうことでございます。
#109
○櫻井充君 これも社会福祉法人との整合性という点から考えるとちょっと合わないんじゃないかと思いますが、それはいかがですか。
#110
○国務大臣(宮澤喜一君) それはそうではなくて、社会福祉法人だけを優遇していまして、その他の法人は全部課税にしておる。
 問題は、どうして社会福祉法人だけがそうされているのかということであれば、それはいろいろ議論のあるところですが、NPOであろうとその他の公益法人であろうと、みんなそれは課税でございます。
#111
○櫻井充君 そこはちょっと後でまた議論させていただきたいと思います。
 それともう一点ですけれども、いわゆるみなし寄附の控除といいますか、非関連事業収入から本来事業を行っていくために収入を移転するような場合、野党案ではみなし寄附の控除を認めています。政府提案ではそこは認めてきていません。
 これについて、政府の方とそれから野党の提案者の方に答弁をお願いしたいと思います。
#112
○政府参考人(尾原榮夫君) 政府の考え方から申し上げますと、NPO法人を政策的に支援する上で、その実態に照らしまして、本当に必要かつ有効な措置は何かという観点から寄附金控除等の特例措置を講ずることにしてございます。
 みなし寄附金のお尋ねがございました。
 収益事業を行っておりましても、法人がそもそもわずかでございます。また、収益事業を行っている法人でも法人税を負担していない法人がほとんどであるということから、これらの措置は有効なものとは考えがたく、今回講じないことにしているわけでございます。
 なお、みなし寄附金の問題でございますが、公益法人等に対します課税のあり方とも関連してまいります。今後、認定NPO法人の実態等を見きわめました上で、また公益法人等の課税のあり方も検討しながら検討していく課題であるというふうに考えております。
#113
○委員以外の議員(江田五月君) 政府案の策定に当たって、どの程度NPO活動をやっている皆さんの実態調査をされたか、声を聞かれたかということなんですが、先ほど九月のアンケート調査とか言われました。しかし、その段階ではパブリック・サポート・テストの中身なども何も明らかにならずに、ただ聞いただけの話なんですね。
 先日、麻生大臣が、自分の知っている限りで、自分は二つNPO団体を知っている、一つはこの基準だと落ちるが、もう一つは通るから、まあ五割は認められるんじゃないかというような、まあこれは麻生流の言い方ですから、それをそのままあれこれ言いませんけれども、やっぱり声を十分聞いてない。
 私ども、野党案をまとめるに当たってさまざまなNPO団体の皆さんから意見を聞きました。また、私どもがまとめた案を、パブリックコメントということで案についての意見も聞きました。そうした中で、NPO団体の皆さんが、こういうものをひとつぜひやってほしい、自分たちの活動の中でこういうものがあったら随分活動がしやすくなるという要望がございました。
 そういう中で、一つこれは外せないといって言われているものが今のみなし寄附金制度でございまして、そういうわけで私たちはこれを採用したわけでございます。
#114
○櫻井充君 ぜひこれは政府にお願いですけれども、まず、もうこのままこの法案を変える意思はないんでしょうから、これを施行したと仮定いたします。こういうことを言うと、前にも宮澤財務大臣から、今審議している最中だからそういうことを言っちゃおかしいと言われましたけれども、そうであれば、もう少し積極的にこの与党案を見直すというような意見があってもいいはずですが、全く与党案見直す気がないのでしょうから、そういう意味で申し上げておきたいのは、この認定要件で実際に認定されて、ほんの数%しかもし認定されないようなことがあったとすれば、私はこれは積極的に見直していかなきゃいけないんだと思うんです。
 それは、最初の宮澤財務大臣のお話がございましたけれども、NPOをこれから育てていくんだと、そういうことであったとすれば、政策的に考えていけば、全体の数%しかこういうものが認められない、それからNPO側が赤字で非常に苦しんでいる中でそこの優遇税制も何もないというようなことであったとすれば、その現実をどうやって解消していくのかということがこれから我々国会でやっていく仕事なんだろうと思うんです。
 そういう意味で、もしこれが施行された上でどうもふさわしくないようだというふうに判断されたならば、即刻この要件などを実情に合わせて変えていただきたいと思いますけれども、いかがでございましょうか。
#115
○国務大臣(宮澤喜一君) 今回の御提案を申し上げました過去の経緯等々、御存じのとおりで、政府はよくやったといって褒めていただけるかと思いましたが、必ずしもそうではなくて、また四党提案もいろいろのお考えに立っておられます。それは、私どもも初めてやることでございますので、いろいろな御質問あるいは四党提案も大変な参考とさせていただきたいと思っております。決して朝令暮改をするという気持ちはございませんが、ただし、初めてやったことですから改良の余地があるということも十分あり得ることであって、それは御質疑にかんがみまして十分まだ勉強をさせていただきたいと思っています。
#116
○櫻井充君 ありがとうございます。実情に合わせてぜひ変えていただきたいと、そう思っております。
 それでは、ちょっと話題を変えまして、柳澤金融大臣にお伺いいたしたいと思いますけれども、金融システムが安定してきていると言いながら、この間の予算委員会でも質問させていただきましたが、また生命保険会社が破綻したという状況でございます。その中で、ソルベンシーマージン比率の見直しを今後行っていかなきゃいけないというようなお話をされておりました。
 それで、今の日本のソルベンシーマージン比率と、それからアメリカのソルベンシーマージン比率、その大きな違いはどこにあるのか、どこにあるとお考えなのか、その点についてまず御所見をお伺いしたいと思います。
#117
○副大臣(村井仁君) 若干技術的な話でもございます。私の方からお答えさせていただきます。
 アメリカにおきまして、やはり早期是正措置の発動基準といたしまして、我が国のソルベンシーマージン基準に相当するRBC基準、リスク・ベースド・キャピタル基準というのがございます。これはもう先生十分御案内のとおりでございますが、これと我が国のソルベンシーマージン基準の比較でございますけれども、まずその算定に当たって会計制度がそれぞれ彼此違いますので、アメリカでは例えば什器、動産等の価値を認めていないなどの差異はございますが、そのほかに三点ほど大きな差がございます。
 一つは、まず第一に分子に算入される有価証券の含み損益でございますが、これにつきましてアメリカでは、原則、債券を除く有価証券がすべて対象になっている。我が国は上場株式に限られている。具体的には、例えば非上場株式ですとか外国証券などがアメリカの場合は入っているが、日本では除かれている、こういう違いでございます。
 二番目は、分母の価格変動リスクでございますが、これにつきましては、アメリカでは時価評価額にリスク係数を乗じて算出しておりますけれども、我が国では帳簿価額に乗じている、こういう差がございます。
 それから、三番目でございますが、分子に算入される将来利益でございますが、これについてアメリカでは配当準備金繰入額の五〇%相当額を対象としているわけでございますが、我が国では一〇〇%相当額を対象にしている、こういった違いがございます。
 しかしながら、私ども、これはもう委員十分御案内と存じますが、今回見直しを進めておりまして、先般パブリックコメントも得たところでございますが、それによりまして変える予定にいたしておりまして、まず今第一点に申し上げました点につきまして、これはアメリカのように従来の上場株式のみならず他の有価証券についても対象とするということで、ほとんどアメリカと同じになるはずでございます。
 それから、二番目の分母の価格変動リスクにつきましては、自己評価額にリスク係数を乗じて算出するという形にいたしますので、この点もアメリカとほぼ似たような形になると存じます。
 それから、三番目に分子に算入される将来利益でございますが、これもやはり配当準備金繰入額の五〇%相当額を対象とするということで、アメリカの場合と同じ形になります。
 大体そういうことで、大きく変えますので、アメリカと大体似た形になるのではないかと思っております。
#118
○櫻井充君 そのソルベンシーマージン比率を使ってくると、最近破綻した生命保険会社というのは全てソルベンシーマージン比率二〇〇を超えておりまして、この間、東京生命ですか、四百四十幾つだったと思いますけれども、新しいソルベンシーマージン比率になりますと、これらの破綻しました生命保険会社は幾つになるんでしょうか、その値は。
#119
○副大臣(村井仁君) これにつきましては具体的にちょっと数字を申し上げた方がよろしいかと存じますが、一番最近の東京生命の場合でございますと、旧来のソルベンシーマージン基準でございます昨年九月末で三七〇%ということで、二〇〇を超えたわけでございますが、この新しいのを適用してみますと昨年九月末の時点で一九〇%ということになりまして、二〇〇を切るという形になります。
 同様に、昨年破綻しました例、三ケースにつきまして申し上げますと、大正生命で、これは昨年三月末の数字でございますが、六七%でございましたのがマイナスの五〇%という形になります。千代田生命でございますが、昨年三月末二六三%でございましたものが、これ見直しますと一五八%ということになります。協栄生命でございますが、昨年三月末で二一〇%という数字でございましたものが、見直し後では一一〇%ということになるということでございます。
#120
○櫻井充君 これってまるで、不良債権の額がたしか十二年度三月末でふえまして、そのときに不良債権の評価の仕方が変わったから不良債権の額がふえたんだという答弁をいただきましたけれども、まるでそれと一緒でして、今までのソルベンシーマージン比率というのが余りに甘過ぎて実態をきちんとあらわしていなかったんじゃないだろうかと、そういう感じがいたします。
 大臣、いかがでしょう。
#121
○国務大臣(柳澤伯夫君) そういうことも全否定をするというだけの私、自分自身、根拠を持っているかと言われれば、うん、ちょっと考えさせてくれと、こういうふうに言わざるを得ないんですが、ただ、先生、このソルベンシーマージンなるものは、要するにその時々のその国の金融情勢でもって、現実に例えば債券の時価が非常に振れたということになると、そういう実績に基づいてリスク係数というものを決めるんです。したがって、このソルベンシーマージン比率というのは、分子も分母もその時々の金融情勢の実績に基づいて変動をさせる、こういうものなんだそうでございまして、いや、私もこれを実際運用してみてかなりの経験を積めばこういう言い方はしませんけれども、そういう論文が最近出て、私も先生御指摘だったものですから急いで夕べ読んでみましたんですけれども、そういうことなんですね。そうであれば、それを一概に基準を変えて、実際破綻しちゃったものを二〇〇を割らせるように係数をいじったり、算入すべき項目を変えたり、評価の仕方を変えたりしたんだろうと、そういうことだけ言われるのはやや一面的な批判だと、私はそのように考えております。
#122
○櫻井充君 いや、そういうことを言っているわけではございません。
 それでは、大臣、このソルベンシーマージン比率というのは一体何のためにあるんですか。その本質論になると思います。何のためにこの数字があるのかということです。BIS規制があるのと同じように、なぜこの数字が必要なんですか。
#123
○副大臣(村井仁君) それは、先ほども申し上げましたが、早期是正措置の発動基準として、私どもとしましては一つのメルクマールとして見ておるということでございます。
 ただ、申し上げるまでもないことでございますけれども、やはり私ども、生命保険に対する監督の技法というものも、これもいろいろ経験を積みながらだんだん進歩させつつあるつもりでございまして、そういう意味で、過去、生命保険会社が非常に安定した経営をしていた時期と、非常に金利水準も下がってきまして大変いわゆる逆ざやに悩むというような環境になってきました現在、そこは事情がいささか違ってきていると。そこで私どもとしましても、大変保守的な対応を現在模索して、そしてようやくパブリックコメントも得て、今年度末に修正をしようということにしているという経過も御理解をいただきたいと思います。
#124
○櫻井充君 これは健全性の一つの指標ですよね。要するに、破綻した際に国民の皆さんが大変困るという状況があるからこそ健全度の指標の一つとして用いるんだろうと思うんです。ですから、この数字を合わせろということでは私は全くございませんで、この数字がいかにその健全性をあらわす指標となり得るのかと。もちろんこれがすべてではないと思っています。それを、今これだけを用いて、この企業が大丈夫なのかどうか、この生命保険会社が大丈夫なのかどうかという議論をしていること自体、本来は間違いだろうと思っています。
 そういう意味において、生命保険会社の基本的なフローの収益力というのは業務純益であらわされるわけですから、そういう業務純益もあわせて評価をしていかなきゃいけないんじゃないか、そう思いますが、いかがでしょう。
#125
○国務大臣(柳澤伯夫君) 大変恐縮です、分業をしておりますのでちょっと混乱をしておりますけれども。
 確かに、業務純益という指標、フローの指標が重要だということになりまして、今回私どもソルベンシーマージン比率も変えますけれども、同時に、基礎剰余、これ仮称でございますけれども、基礎剰余という──失礼しました。基礎利益と事務当局が決めたそうですが、私のところへまだ上がってきておりませんので、いかに経過中かということを御理解いただきたいのでございますけれども、業務純益に相当するものもディスクロージャーの対象にすると、こういうことで、先ほど言ったソルベンシーマージン比率の改定と同時にこういう制度をこの三月期から導入しようと、こういうことで今対処しております。
#126
○櫻井充君 なぜこういうことを申すかといいますと、これはちょっとここの場で言うとふさわしくはないと思いますので伏せてはおきますけれども、まだ幾つかの生命保険会社の業務純益、これはマイナスのところもある。社団法人の日本経済研究センター、こちらから出されました報告書に従って業務純益を算出してまいりますと、赤字のところも、マイナスのところもございます。そしてもう一つ、こちらでつくられましたソルベンシーマージン比率を見てみても、危険水域を大きく下回っているという生命保険会社がまだございます。
 そういう意味において、果たして今それらの生命保険会社に何の手だてもしなくていいのか。もしくは、名前は伏せて言っていただいて結構でございますが、幾つかの生命保険会社に対して金融庁は何らかの、指導とは言いませんけれども、ちょっとここは危ないかもしれないと、そういう認識などはお持ちなんでしょうか。
#127
○副大臣(村井仁君) 委員ただいまのお尋ねがどのような係数をベースにしてお尋ねか、ちょっと私今手元にございます資料では判断いたしかねますが、私どもは、先ほど申し上げましたように、ソルベンシーマージン基準につきまして改定を行いまして、これを今度の三月期から適用してまいるということで、従来よりははるかに安全また健全な監督ができるだろうと考えておりますので、現在、私どもが得ている情報の限りでは、そのような懸念はないと判断をしている次第でございます。
#128
○櫻井充君 きのう、こういう式を使って計算したものがありますと言ってその資料はお渡ししております。ですから、そういう答弁はないと思いますが。
 それでは、金融庁がそう判断されているのであれば、それはそうだと思います。しかし、我々が得ているものであれば、決して今の生命保険会社がすべて安全だとは言えないというふうに考えているということだけお伝えさせていただきたいと思います。
 それからもう一つですが、ちょっと時間がなくなってきたんですが、銀行の利益率に対して今金融庁どうお考えか。
 つまりは、今のBIS規制の中で確かに健全度は一応保たれているということになっていますが、今後このままの利益率であったとすれば、また資本が足りなくなってくるなどというようなことが起こってくるんじゃないかと思いますが、その点についてどう認識されているか、教えていただきたいと思います。
#129
○国務大臣(柳澤伯夫君) まず、先ほどの御質問からちょっと触れさせていただきたいんですけれども、研究者がいろんな独自の前提を置いて研究成果として発表される、それを前提にしていかがかという質問というのも、質問としてはあり得るとは思いますけれども、私どもはそういったことも全部踏まえまして検討した結果、今副大臣が言ったような御答弁をさせていただいておるわけでございまして、余り先生も不安な保険会社があるんだと断定的に言われて国民に不安を与えるというのは、やっぱり金融の問題だけに、大変恐縮なお願いでございますが、慎重にしていただければ幸いだと、こういうように思います。
 特に、私どもから見ますと、あの算式はかなり大胆なことをやっておりますので、それをもとに今言ったようなことは、私どもとしてなかなか受け入れられないということを御理解賜りたいと思います。
 それから、日本の銀行の利益率はまさに私が非常に気にしているところでありまして、私は、かつてのように世界に伍してジャパン・マネーの運用者として世界の国際金融市場で活躍をし、そしてまた、世界のマーケットの中でしかるべく日本として資金をそこに疎通させることが世界経済全体のためにもいいんだというようなところにどんどん活動していく、そういう金融機関になってもらいたいと、私は本当にそのように思っております。私、就任のときにもそのことを申しました。
 そういう観点からいって、今の日本の収益力というか利益率が諸外国の一流の金融機関に比して概して劣っている、率直に言って劣っているということは私として看過できない問題だと、このように考えております。
 ただ、ちょっとデータ的なことを申しますと、例えばROEといっても、当期利益ROEなのか業務純益ROEなのかということで、ROEを一つとって横並びで見ようとしても、なかなかそのあたりでしっかりした基準を設けてでないと安易な結論を導くのは慎むべきだと、こう思っておりますので、その点の留意は必要だと思っております。
 しかしいずれにしても、どのデータを見ても収益力の点は非常に劣るというふうに考えておりまして、私どもはこのような認識のもとで、まずリストラをやってもらいたい、むだな経費を使うということは厳に慎んでもらいたいということ。
 それからもう一つは、もうちょっと資産を活用しない形での収益、つまりそれはフィービジネスと言われているものですけれども、フィービジネスというものをもっと重視して、私のうろ覚えの記憶ですが、記憶によれば半分近くがアメリカの一流銀行の場合にはフィービジネスと。そのくらいの収益を手数料で稼いでいるというようなこともあるわけでございまして、それらは日本も見習うべきだというふうに思いますし、また、これはなかなか今の金融情勢のもと、社会経済情勢のもとでは難しいんですけれども、やはりリスクに見合った貸し出しの利ざやというものについても、その確保のために注力をさせていただくのが合理的な活動ではないかと、このように思います。
 最後に、再編、合併というようなことがありましたけれども、これらの合併、再編の際にいずれも当事者たちが強調しておるのはシナジー効果ということでありまして、双方が業務上補い合って強力なサービスを提供してそこから収益を上げていく、こういうことが言われておりまして、これらもROEの向上を初めとする収益の強化に私は貢献するものだというふうに考えておりまして、貢献しないんだったらそんなことは意味のないことだというふうに私は思っております。
#130
○櫻井充君 前段の方の大臣の発言は、それは私なりに理解しているつもりです。
 しかし、大臣、これは仮定の話ですが、そういう危ない生命保険会社が仮にあったとして、それを国民の皆さんが何も知らなかった。知らないときに損を受けるのは国民の皆さんですよ。ですから、すべてを隠しておけばいいというものではないんだと思うんですよ。それを客観的に評価するということが大事なことであって、これは私はあくまで一つのこういう客観的な評価があるんじゃないかという提案をさせていただいただけの話です。
 つまり、今までのソルベンシーマージン比率が甘かった、甘かったというよりも、少なくともこの社会の実情には合っていなかったということは、それは金融庁もお認めのはずだと思います。なぜならば、二〇〇以上は安全ですよと言っておきながら、それで破綻している生命保険会社があるわけですから。
 ですから、すべて私どもは社会不安をあおるために何でもかんでもやりますと言っているわけではなくて、まだこういう形で見たときに危ないところもあるんじゃないか、可能性はないのかどうかということ、そこのところは考えなきゃいけないんじゃないか。
 ちょっと時間がないので、もう一つです。
 なぜこういうことを申すのかといいますと、昨日の峰崎委員と柳澤大臣との話を聞いておりましたときに、そごうの問題ですけれども、どちらも正しいと私は思っています。それは柳澤大臣は、不良債権の中の分類がこういうものだ、その手続に沿って全部やってきたんだということになってくると、手続も何の問題がなくてああいう形で破綻してしまうとなったら、そうすると今までの我々の手法が全然間違っていたのかどうかと、これまた議論しなきゃいけないんだろうと思うんですよ。
 そしてもう一つ言うと、もう一点問題になってくるのは、粉飾決算ではないのかどうかということを考えなきゃいけないんだと思うんです。きょう時間があれば本当は、公認会計士のあり方、公認会計士の制度を議論したいと思っておりました。というのは、今の日本のあり方ですと、公認会計士さんは企業……
#131
○委員長(伊藤基隆君) もう時間が迫っておりますから、簡潔にしてください。
#132
○櫻井充君 済みません。
 企業がもうこういう公認会計士さんは必要ございませんといって首を切られてしまって客観的なデータを出せないということがあるわけで、アメリカは企業と公認会計士の間を監視するそういう役割を持っている人たちもいて、その部分を考えていかないと、これからきちんとした客観的な数字は得られないんじゃないかというふうに思っています。
 済みません、時間を過ぎてしまいました。
#133
○国務大臣(柳澤伯夫君) 簡潔にお答え申し上げます。
 私、このソルベンシーマージンを見るときに、先生が御勉強になられた論文を私も見せていただいたんですが、非常にいい言葉を見つけたんですね。それは、今度の東京生命もやっぱり解約でやられている面が少なからずあるわけです。どうして解約でやられるかというと、ソルベンシーマージンの下の方から見ていって、一番下のこれが危ない、それがつぶれるとこの次はこれだということになると、これは実際どうしようもないことでして、こういうことであってはならないわけで、やっぱりその慶応の先生も、二〇〇を超えていればどれもこれも安全なんですよ、安全の度合いを相対的に比較するなどというようなことはやってはならないことですというくだりがありまして、私、本当にそのとおりだと思うんですね。
 やっぱり下から見ていって、こいつがだめになったら次はこれだといってやられて解約されたら、ソルベンシーマージンがどんなに高くても、もうそういうようにねらい撃ちされたら耐えられないというのが金融機関というものの本性なんですね。そこはやっぱりお互い論議の上で共通の認識にしておきたいということでございます。
 なお、最後に、そごうの問題は最後はどうなっていたかというと、我々の譲渡のときには破綻懸念先になっていたということは先生も御案内のとおりでございます。
#134
○委員長(伊藤基隆君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時十分まで休憩いたします。
   午後零時七分休憩
     ─────・─────
   午後一時十一分開会
#135
○委員長(伊藤基隆君) ただいまから財政金融委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、木庭健太郎君が委員を辞任され、その補欠として白浜一良君が選任されました。
    ─────────────
#136
○委員長(伊藤基隆君) 平成十三年度における公債の発行の特例に関する法律案、法人税法等の一部を改正する法律案、租税特別措置法等の一部を改正する法律案及び特定非営利活動の促進のための法人税法等の一部を改正する法律案の四案を一括して議題とし、休憩前に引き続き、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#137
○峰崎直樹君 民主党・新緑風会の峰崎でございます。
 このところ、ずっと予算委員会と財政金融委員会を連続させていただいておりまして、質問項目もある意味では大体同じようなことを聞いているわけでありますが、きょうは法案に限りまして、関連いたしまして、まず税制の問題について質問させていただきたいと思います。
 一つは、間接金融というものが日本で重視されて、直接金融というものが今までどうも弱かったんではないか、こういう指摘があるわけでございますが、これを金融担当大臣にもお聞きしてみたいと思うんですが、その点、二十一世紀を前にして、日本が追いつき追い越せということで、ある意味ではこれまでのシステムというのはうまく機能したけれども、どうやらそのシステムが弊害になり始めてきていると、こういうことで金融制度改革もビッグバンを含めて進められたんだろうと思います。
 その意味で、この直接金融へ国民自身がリスクをとっていい、こういうことをもっと刺激をしていかなきゃいけないんじゃないか、こういう論調が強くなってきていると思うんですね。そういうことについてどうお考えになっておられるのかということについてまずお聞きしたいと思いますし、財務大臣の方には、これまで間接金融に対して非常に優遇をしていた税制が、ある意味では私は今度は直接金融に向けて税制上の優遇措置をとっていくべきなんではないかと、こんなふうにも考えるんですが、この点どのようにお考えになっているのか、まずお聞きしたいと思います。
#138
○国務大臣(柳澤伯夫君) 我が国がこれまで間接金融の国であった、これは個人の金融資産の保有の形態から申しましても現金・預金が五四%というような状況で、これをアメリカの九・六%、さらにドイツでも三五・二%というようなものに比べて、圧倒的に日本は個人の金融資産の保有状況も現金・預金に偏っているわけでございます。
 また、企業の資金調達というようなもので見ましても、日本は三八・八%が借入金でございまして、他方、アメリカは借入金による調達というのは一二・一%というような状況で、ドイツは三三・三%というように一応三〇%台の借入金の形態をとる調達という形をとっているわけですが、ドイツもある意味でいうと間接金融の国というふうについ最近まで言われてきたことがここにもあらわれているかと思うわけであります。
 そういうことで、じゃだれがリスクをとってきたかといいますと、これはもう仲介機能を担うバンキング、銀行業務をやるところがリスクをとってきたわけでございますけれども、最近のいわば経済の活動というものが非常にテンポも速くなる、それから経済活動自体もリスクを背負う企業活動が多くなるということの中で、それをすべて金融仲介機能をやる銀行がとる体制というのはやっぱり限界があるということが言われているわけでございまして、このリスクをもうちょっといろんなところで分担し合うという体制が、結局はリスク分散ということを通じて、みんなが一つのところで全部背負ってしまうシステムよりも安定度の高いシステムになるのではないか、こういう考え方が私は基本にあろうかと思います。
 そういうことの一環として、個人の資産保有形態としても、もう少し株式というようなリスクを背負ったものにウエートを高めていく、こういうようなことが望ましいという考え方を私どもとっているわけでございます。
#139
○国務大臣(宮澤喜一君) 基本的には今、柳澤大臣のお答えになられたとおりでございます。個人の資産運用の上で私はよく二宮金次郎どまりと申しますのは、貯蓄までは大変よろしいので、ですからもうほとんどが預金になってしまう。それからあと、株を買っているそうだなんというと、これは何となく余りよくないことをしているようなふうにとられる風潮がございまして、一向にエクイティーキャピタルをするというところまでいかない。これはやはりそういう社会の一つの物の考え方、風潮もあったのではないかと思いますが、その点は、今、柳澤大臣の言われたとおり、極めて顕著に我が国はそういう傾向が今日までございます。もちろんその裏側は、したがって会社の方はエクイティーキャピタルよりは銀行から金を借りるということになってきました。これも柳澤さんの言われたとおりでございます。
 それで、今私ども考えますのは、最近ドイツもそういうふうに考えているようでございますが、もう少し国民が資産運用としてエクイティーキャピタルというものを考えてもいいのではないのかと。また、アメリカあたりからそういう資産運用のコンサルタントみたいなものが、専門家が来たりしたこともございまして、政府として個人の資産運用が単に銀行預金にとどまらずもっとエクイティーキャピタルに向けられるような施策も考えていくべきではないかというかなり有力な議論が出てきておりまして、そのことは場合によっては税制にも及んでいいのではないかといったようなところがただいま議論されているところでございます。
#140
○峰崎直樹君 ところで、国民がどうして貯金、あるいは郵便貯金もそうでしょうし、そういう元本が保証されたものに移行するのかというときに、実は二年前になりましょうか、本来であればことしの三月三十一日にペイオフが実質上実施されることになっていたわけですね。これが延期をされたということは、すなわちあと実質上二年間はもう国がすべて元本を保証しますよと、こういう実は公的な保証をつけているんです。このことは大変大きな役割を果たしているんではないかと思うんですが、この点はどのようにお考えでしょうか。これはどちらにお聞きしましょうか、宮澤大臣にもお聞きしましょうか、かつてこのペイオフについて一応発言されていますので。
#141
○国務大臣(宮澤喜一君) それは、最近、殊に平成十年の秋ごろ金融機関が倒産したりすることがございまして、銀行預金が全額保証されているということは確かに国民に安心感を与えた。それによって、そういう預貯金がさらにふえるということに恐らく貢献いたしたであろうと。昭和の二、三年のことは別といたしまして、それ以後は銀行がつぶれるというようなことはほとんど考えられなかったことでございましたから、その間どれだけ働いたかははっきりいたしませんが、この平成十年あたりころからは確かにそれが随分役に立っておったことは私は事実だろうと思います。
#142
○峰崎直樹君 それが銀行預金に行ったと。
 もう一つ、私も郵便貯金の問題もあると思うんですね。郵貯を完全民営化しろなんという声について、私は個人的にはそういう立場に立っていませんけれども、しかし、今日の郵貯そのものが非常に民間の金融機関にとって、あるいは民間でもありません、今でいえば直接金融の証券とか株式投資と比較したとき、ここはもう元本保証ですよね。十年物でいけば、定額預金でいけば、半年たったらいつでも解約できる、このシステムを持って、しかもそれは絶対に国家信用がついているわけですから。そうすると、こういう事態になればなるほどリスクキャピタルが必要だ、リスクキャピタルが要るんだよと言っても、実は大きな国家が信用をつけているところが、郵貯もあり、そして金融機関のペイオフがまだ解禁しないよとなったら、これは幾ら直接金融市場にと言っても、それは資本が流れないのは当たり前だと思うんですよね。
 このあたり、金融担当大臣の柳澤大臣、どんなこれからの展開を持っていらっしゃるか、その点をお聞きしたいと思うんですが。
#143
○国務大臣(柳澤伯夫君) 今、先生がおっしゃられたとおり、民間の銀行、金融機関につきましても、ペイオフの凍結ということで元本保証の形でございます。それから郵便貯金は、もともと郵貯法に国家が保証するということがうたわれておりまして、元利が保証されておると。こういう状況の中で、元本の保証のないエクイティーキャピタルへの資金の供給というものを期待しても、これは到底そういうことにはならないんじゃないかという御指摘は、私は至極もっともだというふうに思います。
 それでは、何を一体これからどうするんだといえば、一つはペイオフ、これは凍結が解除されてペイオフの時代に入っていくということが一つございます。それからまた、郵便貯金についても、その持っているユニバーサルサービスあるいはもう一つの民間とは違う決済機構というような、これはなかなかかけがえのない価値を持っているシステムだと私は思っておりますが、しかし、今持っている個人預貯金の三分の一とか半分とかというものを受け入れてしまう郵便貯金という存在が、今後本当に持っていっていいだろうかという全体金融に占めるウエートということになると、私はやっぱりもう少し論議すべき余地があるんではないか、このように考えている者の一人でございます。
 それでは、そういうような環境のもとであっても、なかなかリスクキャピタルに資金を差し向けるというような個人は期待できないじゃないかと申されるだろうと思うんですが、私は、もう少しエクイティーキャピタルの面についても、リスクがあるんだったらハイリターンをよこせということでなければ、まさにローリターンでハイリスクだなんというようなことを言っておったんでは、とてもリスクマネーを供給する人などというものはあらわれない、このように考えています。
#144
○峰崎直樹君 私も全くそのとおりだと思っているんです。
 そこで、金融担当大臣に確認をしたいんですけれども、もうペイオフの再延期ということはあり得ないでしょうね。
#145
○国務大臣(柳澤伯夫君) 私はもうあってはならないと思っております。
#146
○峰崎直樹君 では、もう一点確認します。
 これは金融の方のところで本当は議論しなきゃいけないので、また時間があったらしたいと思いますが、確認だけしておきたいんですが、いわゆる金融機関、銀行などに対する株式の時価会計、この会計もいよいよ来年度九月から中間決算が始まります。これもまさか、この時価会計を一年間先延ばししようとか、そういう考え方はございませんね。
#147
○国務大臣(柳澤伯夫君) ございません。
#148
○峰崎直樹君 そういう意味で、今、与党の皆さん方が経済対策として議論されて、株価対策あるいは株式市場対策ということの中で、私どもからすると、何か大もとの根本のところが、まさに間接金融を助長するような形でできておきながら、いやもっとエクイティーキャピタルをどんどんやらなきゃいけないんだという議論をされている。そしてそこで税制上の優遇措置と、こうなったときに、私は何か本筋を違えてやしないかなというふうに思えてならないんです。
 そういう意味で、我々としても税制上必要な措置というのはあっていいと思っているんですが、例えばその場合、財務大臣にお聞きしたいと思うんですが、銀行の預貯金にはマル老、昔で言えばマル優ですけれども、銀行の預貯金にそれがあって、それじゃ今度は株式に対してそういうマル老的なものあるいはマル優的なものを設けたらどうだと、こういうような意見が出たら、これはどのようにお考えになりますか。
#149
○国務大臣(宮澤喜一君) 今、峰崎委員がお触れになった問題は、実は私どもの党内、やがては政府も巻き込まれることになると思いますが、与党三党と申し上げた方がいいかもしれませんが、これから実は議論が始まろうとしておるところでございます。
 国会で税法を御審議いただいておりますので、そういうことについて十分注意をしていかなきゃならないと私どもは考えておるところでございますが、与党三党の中で議論され始めておりますことは、今、峰崎委員の言われますとおり、やはりドイツの例もあって、もう少し国民がエクイティーキャピタルの投資に関心を持ってくれるのが当然であるし、またそのために、それに役に立つような制度の改善あるいは改正も考えるべきではないかという議論が今出ようとしておる。出ようとしておりますという意味は、少なくとも政府にとりましては、税法の御審議を国会でいただいているということがございますから、軽率にそういう議論に入るわけにはいかないという立場がございますのですが、全体としては、これからの問題としてこの問題はやはり大きな問題として取り上げようという空気でございます。
 その場合、例えば今のマル優なんというのもその一つの問題でございましょうし、例えば株式の配当課税と利子課税とは一応別のものとして考えられているという点もございましょうし、あるいは譲渡所得につきまして、果たしてこれをどのように考えるべきなのか、損得を通算すべきであるかとかそうでないかとか、相続のこともあり得るかもしれません。
 いろんな角度から国民が株式投資、エクイティーキャピタルへの投資にもっと関心を持てるような制度を、それに資するような制度を考えていくべきではないかという議論がこれから展開しようとするところでございまして、今、峰崎さんのおっしゃったような問題も、恐らく人によっては提起される問題ではないかというふうに予想いたしますが、ただいまのところ、その議論はまだ展開はいたしておりません。
#150
○峰崎直樹君 財務大臣、解説は結構ですから、政治家としてこれは積極的にやりたいとか、あるいはこれは真剣に検討するとか、そういう形での答弁をお願いしたいというふうに思います。
 そこで、これから先の話をしていると今のような議論になってしまいますから、過去の実績についてお聞きします。
 一つは、九九年度に大幅な減税がございました。まさに五段階から四段階に下げ、なおかつ八掛けの税率で所得税を減税されましたね。地方税も変わりました。そのときに、まさにそれは景気対策として出されたわけでありますが、今景気の中で一番問題になっているのは消費がふえない、こういうことであります。
 そこでお聞きしますが、この大減税をやったおかげで消費性向は伸びたんでしょうか、それとも消費性向は伸びなかったんでしょうか。どちらなんでしょうか。
#151
○国務大臣(宮澤喜一君) 私が少し長い答弁を申し上げましたのにはわけがありまして、国会に税制を御審議願っているところでございますので、いわばそれと違ったことについての議論を今申し上げることに私自身にちゅうちょがございますものですから、それでああいうこれからのこととして申し上げたわけであります。
 それから、今のお話は、平成十一年、九九年度に大きな減税をいたしまして、個人所得で四兆円超でございました。法人はたしか二兆円超でございます。お尋ねは、この減税の結果、消費性向について影響があったか、その数字はどうかというお尋ねでございますけれども、事務当局の調査によりますと、それらの相関関係を示す数字というものが、お答えするだけの確たるものがないということを言っております。
#152
○峰崎直樹君 お答えするものがないんじゃなくて、予算委員会その他の場で、一向に消費は伸びていかないということをおっしゃっているわけですよ。
 私は、消費性向をずっと見ていて、ある数字を見て、やはりこれずっと傾向的にそんなに伸びていません。むしろ下がっています。ということは、あの大幅な減税をやられたときのその効果というのは率直に言ってやっぱりなかったのではないのかというふうに思えてならないわけです。もちろん、減税をしたことだけが、それが支出に直ちに結びつくという短絡的な議論をしようとは思わないんですが、制度でもって大きく減税をしていくということの与えた今日のいわゆる赤字国債への依存度の高さ、これは私はやはり大きな責任があると思っているわけですね、そういう意味では。その点、前回の九九年度のこの減税政策というのは、率直に申し上げて私は失敗だったのではないかというふうに言わざるを得ないんじゃないかと思うんです。
 じゃ、次のいわゆる結果について質問したいと思いますが、それは住宅促進税制です。
 六年間で百五十万円という住宅促進税制があって、そしてあの九八年の大変な状況の中で十五年間にわたって六百五十万円近い大減税をやりましたですね。これが実は効果がどの程度あったのかということについて聞きたいわけですが、最初は確かに、私も建設統計なんかを見ていると、このいわゆる減税、そこに駆け込み需要というのがあったと思うんです。ところが、この半年あるいは一年ぐらい前から住宅着工件数というのは、特にサラリーマンを中心とした民間の持ち家の住宅のところを中心にして、むしろもうマイナスになり始めていたんではないか、前年同月比から。
 そうすると、本来景気対策として入ったこの住宅促進税制というものを、ある意味ではまたずるずると延ばしていくということについて、果たしてこれは最初に提案したときの本来の趣旨から逸脱し始めているのではないか、こういうふうに私どもは考えているのですが、その点は財務大臣はいかがお考えでしょうか。
#153
○国務大臣(宮澤喜一君) 最初の問題も一言申し上げなきゃならなかったかもしれませんが、減税の結果として可処分所得はふえたと考えるのが本当だろうと思いますが、その際、消費性向がどうなったかということについて、つまりはっきりしたことが申し上げられない、こういうふうにお答えするのが正確かもしれません。
 それから、後の話は、私はおっしゃっていることに真理なしとせずという思いがしておりまして、一般的に、言葉は悪うございますが、駆け込み需要というようなものを意図する政策は、その期間中効果がありましても、その後にどのような効果を及ぼすかということにはいろいろな議論があるところでございます。それで、今お話しになりました住宅減税は非常に大きな効果を確かに生みましたが、その後の住宅需要にどのような影響を与えるかということは定かではありませんし、普通考えますと、駆け込みが大きければ大きいほどその後の需要は少しは減退するというのがもしかしたら常識かもしれません。
 いずれにしても、あれだけ大きな臨時措置をいたしましたその後、これが恒久化するということはあり得ないことであって、やはりある段階でこれはもっと正常化した、臨時措置でない措置に入れかわっていかなければならないというふうに思います。
#154
○峰崎直樹君 ということは、今回は十五年を十年にして少し下がったと。しかし、依然として六年間で百五十万に比べれば三倍以上のいわゆる減税効果があるわけですね。しかも、平年度一兆円に達する減税だと私どもは聞いております。
 もう一方で、これは金融の方に絡むんですが、住宅金融公庫の利息に対する補助というのは、これは政府から出ているんでしょうか出ていないんでしょうか。ちょっと質問通告していませんが、私は出ているというふうに聞いておりますが、どのぐらい出ているか、お聞きになりましたか。
#155
○国務大臣(宮澤喜一君) ちょっと専門家がおりませんで、十分でないかもしれませんが、住宅金融公庫に対しましては、十二年度予算計上額補助金四千四百七十五億円となっております。
#156
○峰崎直樹君 事前にこの問題での数字は聞いておりませんでしたので申しわけなかったと思いますが、しかし、一方で利息に対する補助を出し、一方で税制上の優遇措置を一兆円近く出すという、これは私どう考えても、持ち家を志向されることについてはもちろん否定をしませんけれども、そうではない、持ち家を持てない人との間の格差というのは極めて大きくなっていると思うんですね。そういう点で、私は、この税制上のあり方というのはやはり税の公平性という点で一番大変なものを失ってやしないかなというふうに思えてならないんで、この点は、今度の改正も余りにもひどいというふうに我が党は反対をしているわけでございます。
 ちょっとこれは質問から外れるかもしれませんが、住宅金融公庫の問題についてもう一つ金融庁にちょっと。金融担当大臣あるいは副大臣になるかもしれませんが、BIS規制でいくと、この住宅ローン、いわゆるモーゲージに対するリスクウエートは五〇%と聞いているんですが、それはそれで間違いありませんか。
#157
○副大臣(村井仁君) お説のとおり、五〇でございます。
#158
○峰崎直樹君 ということは、民間企業に貸すよりもはるかに割がいいんですよ。ところが、それが住宅金融公庫の方がかなりウエートが高くなっている。そのために、私は今まで金融機関のことをぼろくそというか、かなり厳しいことを言っていましたけれども、ここは逆に銀行に対して非常に同情しているんです。つまり、政府系金融機関が余りにも大きいウエートを占めているがために、先導役といいますか、住宅金融公庫が実は大変ウエートを高くしているがために民間金融機関がここでは余りもうけられない、さっき言ったように四千何百億の補助を出しているわけですから。
 そういう意味では私は、その補助のあり方、あるいはもともと住宅金融公庫の制度というものが要るのか要らないのか、あるいはどうするかということに絡むんだろうと思うんです。そういう政府系金融機関が実は民間の経営基盤をかなり侵食しているという側面について、先ほど櫻井委員が質問したときに、銀行の経営基盤のことをちょっと言っていました。やっぱりそういう民間の銀行が経営基盤を失っている大きな要因の一つに、そういう民間金融機関が本来ならばもっとその利ざやがきちんと確保できるのに、実はそういう政府系金融機関がそこを侵害しているんじゃないか、恐らくこういう反論が来ると思うんです。
 いや、そうは言ったって住宅の足りない方に対する福祉的な要素もあるんだよと。私はそのときには、直接それはそういう人たちに対する補助をすべきであって、いわゆる住宅金融公庫がそういうウエートを高めているということに対しては、いわゆる商業銀行というところの経営基盤を侵食し続けたままいるということについては、私はこれは早く是正すべきだと、このように考えているんですが、その点は金融担当大臣はいかがお考えでしょうか。
#159
○国務大臣(柳澤伯夫君) これは前にも多分予算委員会で御質問を受けた問題でございますけれども、余り長っ話をするとまた時間をおとりしますので申し上げないんですが、経緯的に言いますと、やっぱり日本の金融機関というのはどこまでも事業金融、事業者金融だったという伝統があったわけです。
 したがって、貸すときには、その貸した金をどうやって運用して返してくるんだ、金利を生んでくるんだと、こういうことの計画を出させたわけです。つまり、金を貸しておいて返すお金はほかからもうけてくるというような消費者金融のことには、それ自体が不健全というか、つじつまの合わない話ということで敬遠してきたというのがこれまでの商業金融のあり方だったわけです。なるがゆえに住専などというようなものも出てきたというふうに私はこの経緯を解しているんです。
 しかし、今日どうだ、あるいは将来どうだといったら、私、心情的に峰崎委員に非常に同調したい気持ちがあるわけでございますが、しかし子細によく見ますと、一つは景気対策という面、また今先生がお触れになったような、住宅を公的な支援のもとで確実に確保させるということが国民の厚生というか福祉というか、そういうものを上げるゆえんであるというようなことを手っ取り早く実現するための方途として住宅金融公庫による融資というものがあったと私は解しております。
 ただ、率直に言って、特に地銀あたりからは、もう住宅金融を地方銀行はやりたいんだと、そのときにこれがもうちょっと減ってくれるとありがたいというような声も、私は率直に言って聞いておることを申し上げたいと思います。
#160
○峰崎直樹君 櫻井委員との予算委員会でのやりとりを聞いておりました。私、そのとき、私個人が一九七六年に住宅を買ったときには住宅金融公庫ではなくて民間の金融機関の住宅ローンでした。もうその当時から、七〇年代半ばから完全に民間はそういうことをやっているわけです。そのとき、たしか政策投資銀行にノウハウがあるとかとおっしゃっていましたけれども、実は政策投資銀行はノウハウなんか持っていないんですよね、そういう意味では。あれは恐らくきっと間違いだろうと思います、住宅金融公庫にノウハウがあるということだったんだろうと思いますが。
 しかし、そういう意味で、民と官の関係については、民ができるようになったら官はやっぱりリタイアしていく、我々はそう考えるべきだというふうにこれまでも常々言ってきました。やはり官が残る部分というのは、どうしても官でなきゃできないところ、そういうところに限定していかなきゃいけないというふうに私は思っていますので、その点はぜひそういう改革を進めていただきたいというふうに思っています。
#161
○国務大臣(柳澤伯夫君) おっしゃるとおりだと思います。おっしゃるとおりだと思うんですが、民間金融というのは繁閑によって、つまり銀行はもうかるところに行くということがありまして、じゃもっともうかるところに行ったらもう住宅金融、ちょっと見向きもしないとまでは言わないけれども、そういう面もあるということで、今住宅金融がいいものですから、あのときもちょっと私は櫻井先生にお答えしたんですが、十兆円返ってきちゃったんですね、代理貸しをしていることを武器にしましてね。そういう物すごい揺れがある、民間金融の方には揺れがあるということもやっぱり念頭に置かないといけないと思います。
#162
○峰崎直樹君 それじゃ、官の方は揺れはないですか。
 郵便貯金ってさっき私申し上げましたですね。六%の高金利が十年前あったときに、ずっと十年間実はもうみんな預けかえしませんでしたよ。そのために、例えば札幌市でいえば地下鉄を通す、そのときの金利幾らかと。五%、六%高かったですね。それで、おかしいじゃないかと。今は民間金融は物すごい安いぞという疑問が出たときに、いやいや実はこれは財政投融資資金を使って、公営企業金融公庫に流れてきてと、全部それは一体のものですよね。
 そうすると、これ安くするとなると、これは郵貯で預けているところの金利分をどこかが補てんしなきゃいけないんでしょう。それはどこがリスクをかぶるんですかと言ったら、先ほど言ったように政府金融ですと。じゃ税金ですということの話になるんでしょう。
 今は物すごい安いですよ、金利は。だけれども、定額貯金で一千万預けた、そうすると、半年たった、あるいは一年たって利息が急反転して三%、四%になったと。すぐ預けかえられますよ。そうすると、今までの郵便貯金に預けたお金というのは、これは七年あるいは十年、十五年という超長期、かなり長いタームで貸し付けていますね。そうすると、そのいわゆる預けかえられたところの高金利分は今度だれが負担をしなきゃいけないのか、この金利リスクというのは一体だれが責任をとるのかと考えたときに、民間は、確かにもうかるところについて、もうからなくなったら逃げてしまうという要素は僕はあると思いますよ。だけれども、必ずそれはリスクというのはあるわけですよね。そうしたら、その官のリスクというのは一体これはだれがどうとるのかということについての本当の合意が私はできているんだろうかなというふうに思えてならないんです。この点はどう考えていますか。
#163
○国務大臣(柳澤伯夫君) 私は、率直に言って、住宅金融は今は本当のこと言っていいマーケットなものですから、住宅金融の仕事をしたいという気持ちが非常に強くて、そういう訴えも正直言って私のところに届いておりますという現状報告をさせていただいたわけでございます。
 しかし、今はそうやって熱心なんだけれども、ある程度安定的に熱心であろうかというと、これは、今度はマーケットを大事にしなきゃならぬということを身にしみて知っているでしょうから今後は少し態度が改まるかもしれませんが、率直に言うと、やっぱり民間というのはマーケットメカニズムに沿ってもうかるところに行動の重点を移していくというのは、これは自然のことでございます。何もとがめられる話ではありません。
 そういうことで、住宅金融のようにある程度国民の厚生福祉に密接に結びついた分野について、じゃ公的金融は何もなくていいのかということになるということにはならぬのじゃないかということを私申し上げたわけでございまして、その他、最近の公益事業、地方の行う公益事業について、かつて財投あるいは公営公庫から借りたものの金利が非常に高くて、近くの農協に借りかえた方がいいとかというような話もよく知っておりまして、一部返す道も開いたりしておりますが、そのときのいろいろなつじつま合わせというのは結局税とかそういうもので行われていることになると、こういうことを申し上げざるを得ないと思います。
#164
○峰崎直樹君 そうだと思うんですね。最後はやっぱり税になってくると。
 そうすると、ある意味では私はやはり税で負担すべき分野はあると思うんです。そのとき、いわゆる住宅金融公庫に対する財政補てんという形じゃなくて、それは実際に困っておられる方、あるいは住宅を保有したいという人には、やっぱり必要だねというときにはそちらの方に保障していくのが私は筋ではないかなというふうに思うんです。
 というのは、所得制限の問題とかいろいろな問題を含めて、きょうはその論議をする場じゃありませんからあれしませんけれども、やはり財投改革と言われているものが、財投機関債を出すけれども、破産をしたときどうするんだとか、そういったことについては、これは株式会社じゃないわけですから、当然それはいろんな意味での補てんをしなきゃいかぬとか、いろんな問題がついて回ります。そういう意味では、まだまだそういった点でも改革がやっぱり不十分だなというふうに思っている一人でございますので、その点はまたひとつ今後財投改革の流れで議論していきたいと思います。
 私は、何度も言うように、超長期にやらなきゃいけない、民間ではできないような分野というのはやはり公的分野がやらなきゃいけないし、郵便貯金制度というのは、そのためにはあっていい制度だと思っている一人でございますので、その点は念のために申し上げておきたいと思います。量がそれでいいかどうかというのは別問題ですけれども。
 さてそこで、昨日の予算委員会、もう時間も余りありませんので、本当にこういう認識でいいんだろうかなというのをちょっと感じた点がございます。それは何かといいますと、森総理大臣が、まあもうおやめになる総理大臣だから余りとがめなくていいのかもしれませんが、ただ共通した認識をもし持っておられるとしたら私はこれはまずいなと思っているわけですが、この間の経済政策についてどういう評価をされているか。
 つまり、失われた十年、こういうふうに言っていることに対して、政府としてとってきたその政策の中で、「評価もしていただきたいのは、約二年分ぐらいのGDPとして、資産としては損しているわけですね、」と。これすなわちバブルのことですね。「しかし、逆に言えば、国民生活というか国民所得は減っていないんです。たしか私の知っている数字でも、バブルの一番いいときから見ても今は一三、四%伸びているんです。」と。やっぱり財政出動ということになったわけで、「そういう意味では、公共事業すべていけないとか従来のそういうやり方に反省がなければいけないということに、私は必ず当たらないというふうに思うんです。」と、こういうふうにおっしゃっているんです。
 私はここのところ、GDPが一九九〇年に比べて一四%伸びていると、そうすると、これはバブルをしたけれども実は経済は伸びているじゃないかと、これが我々のやった成果なんだよというふうに森首相はきのうお答えになっているんです。
 私は、実はその背景に、この間何百兆円の財政資金を、税金を借金をしながらふやしてきたという歴史、あるいはゼロ%に近い超低金利というものが全部実は国民の例えば預金をしている方の負担になって出てきておるわけですね。このような認識を財務大臣お持ちになるんでしょうか。私、きょう実は昨日の速記録、先ほどようやく入ったものですから、そこの点を改めて読んでみて、自分たちのこの間のバブル、ポスト十年間の経済政策は間違えていなかったと。
 これはイギリスのBBC放送の記者が、日本はバブルの後大変なようだといって調査に来られたそうです。そのときに、何だ、日本経済はゴールデンリセッションじゃないかと、要するに不況だ不況だと言っているけれどもちっとも不況になっていないじゃないかと。私は、実はここのところに日本人全体がゆでガエル状態に入っちゃっていてどうにもならなくなってきているんじゃないかと。そういう意味で、危機感というものがどんどんどんどん失われていったというのはこういう認識のもとにあるから出てくるんじゃないか。
 柳澤大臣は、きのうのやりとりを聞いていて、いや、もうオフバランスにしなきゃいけないんだということを不良債権問題でおっしゃいましたけれども、結果的にこの失われた十年というのは何だったんですかというときに、ソフトランディング路線をずっととってきたと言うけれども、宮澤大臣、ソフトランディング路線をとったのではなくて、要するに臭い物にふた、あるいは本来なら解決しなければいけないものを先送りをしてきたからこういう状態になっているのである、そんなふうに私たちは見ているんですが、そこら辺どのようにきのうの首相の答弁をお聞きになったでしょうか。
#165
○国務大臣(宮澤喜一君) 確かに、きのう総理が答弁された中で国民総生産はふえてきているということを言われたように思いますけれども、名目値に関する限りはそれは正確ではございません。平成九年度の国民総生産は五百二十兆でございますから、今五百十何兆でございまして、ふえてきているということは名目値に関する限りは正確でないと思います。
 ただ私は、総理の言おうとされたことは、それは同じ穴のムジナだとおっしゃればともかくですけれども、ともかくやっぱりこれだけの大きな、一九八五年以来、プラザ合意以来大きなブームがありバストがあって、そしてこういう異常な不況を、とにかく国民生活、それは非常に苦しんではおりますけれども、この程度のことを維持しておる。そして、今、日本としてはやはり世界的な金融的な責任もございますから、そういう意味で世界に迷惑をかけるというほどのことは、とにかく日本発の大不況といったようなことは、そこまで言われずに済んできている。もちろん、そのコストというのは大きな借金でございます。
 その大きな借金が過って使われたということであればこれはまた別でございますけれども、今の段階でそれをなかなか証することは恐らく難しいと思いますから、随分借金をした、しかしなかなか景気はよくならないねといったようなことぐらいですと、もうそれは別に反論することはございませんが、この借金をしなかったら、それだったらどうなっていたのかということはまた別の観点から検証しなければなりませんでしょうし、森さんが言われたのは、借金はしましたけれども、しかし今国民生活がまさに破綻に瀕するというような一人一人の暮らしをしているわけではない、外貨はふえているといったようなことから見て、自分は一概に失敗したとは思っていないということを言おうとされたのであろうと思います。
 ここで民需活動が、企業の活動も家計も両方とも正常に復しておれば恐らく成長率は三%ぐらいになるんでございましょうから、片っ方がまだそうなっておりませんけれども、それはもちろん認めますが、全体としてこの失われた十年間という言葉の意味は何なんですかということを総理としてはきっともう少し時間があれば論じてみたい気持ちがあったのではないかと、私はそう思って聞いておりました。
#166
○峰崎直樹君 過去の財政である意味では放漫とも言えるぐらい赤字国債、国債を発行し続けてこられたわけです。財務大臣、過って使われなかったかどうかということについて、私はそこの検証というのはやっぱりきちんとやるべきだと思っているんです。リンゼーさんと恐らく柳澤大臣との間の会談でもあったと言われておりますが、要するに日本の財政というのは効率のいいところにきちんと使われているんだろうかねと、そうではないんじゃないのかという疑いの目を持たれている。
 そして、この間の議論の中で、不良債権問題というものを基本的に解決しないと、幾ら財政を投入しても、一時的に何とか景気が上ったように見えるけれどもまた落ち込んでしまうという、そういう構造がだんだんこの十年間でわかったんじゃないでしょうか。そうしたら、財政を拡大、財政を拡大という形での展開をしているということについては、そういうやり方はもう実は基本的な解決方向ではないんじゃないのかということを私はやはり示しているんじゃないかというふうに思えてならないんです。
 これはこの三月十五日の財政金融だったでしょうか、私と宮澤大臣と議論したときに、宮澤大臣の方からシュンペーターの理論を出されて、要するにケインズでなくて、供給側を破壊しなきゃいけないということもおっしゃったんですよ。ひょっとしたらその方にいわゆる力点を置かなきゃいけなかったのに、実はいわゆる公共事業を中心にして需要サイドばかりずっとやってきたというところを、やはりもうそろそろ変えなきゃいけない、従来のやり方は間違っていたんじゃないだろうかということを早く私は認識すべきときに来ていたんじゃないかと思うんです。ちょっとその議論をやり始めるとまた時間、別途またとっていただきたいと思いますが。
 そこで、最新号の「ファイナンス」を読ませていただきました。財務省にかわって新しいスタイルになった「ファイナンス」という雑誌がございますね、財務省が出している。その中で、新しい財務省になってからの予算と税財政の中でいろんな方が対談をされていて、そうだなと思ったのは、要するにこれからはいわゆる受益と負担というものの関係についてのきちんとした、コストとベネフィットと言っていいんでしょうか、そういうところの論議というものをしっかりと据えなきゃいかぬというふうに実は述べられています。私、そうだと。
 そこで、こういう制度改革に私は財務省はしっかりもう入るべきだと思うんですが、それは何かといいますと、申告納税制度。要するに、源泉徴収制度というのはこれはあっていいと思うんです、当然。そうじゃなくて、年末調整というやり方ではなくて、これだけIT機器が発展をしてきて、いわゆる電子商取引も、電子申告なども出てきております。そういう意味では私は、日本人がなるほど自分の税金はどう使われているのかということを自覚をさせるための、あるいは自覚をしていただくためには、今のあの年末調整制度というものはやはり変えていかなきゃいけないんじゃないかなというふうに思えてならないんですが、その点、財務大臣はどのようにお考えになりますでしょうか。
#167
○国務大臣(宮澤喜一君) 前段のことは私もいつか機会があったらと思いますけれども、今、そんな済んだことを言っているほど事態は楽でございませんので、何も申し上げません。
 それから、コスト・ベネフィット、負担と給付の話は、実は私も思っておりますからこそマクロモデルをつくることを始めたわけでございます。これでシミュレーションをやりますとどうしても負担と給付という選択に追い込まれることになりますので、政治的には非常につらいことでございますけれども、しかし私はそれしか抜本的な前へ向かっての方策はないのではないかと思っていますので、そちらへ今政府は向かっておるわけでございます。
 それから、年末調整とおっしゃいました意味はちょっと私わかりかねますけれども、どういう意味で言われましたのでしょうか。
#168
○峰崎直樹君 いわゆる事業会社の場合は、我々が所得をいただいたときには自動的に天引きをされます。まあ源泉徴収ですが。そして、それは年末調整となって、十二月年末に、はい、あなたは生命保険の控除をするためには持っていらっしゃいよとか、そういうあれを出しますよね。
 やられたことありませんか。
#169
○国務大臣(宮澤喜一君) それが悪いとおっしゃる意味は、みんなが申告したらいいとおっしゃるんですか。
#170
○峰崎直樹君 そうです。
#171
○国務大臣(宮澤喜一君) それは税の立場からいえば非常にいいことかもしれませんが、一人一人の納税者は、まあそういうことだと思ってしまえばともかく、そうでないことがやっぱり今やっていることで、よほどいいんじゃないんでしょうか。
#172
○峰崎直樹君 直ちに機械的にそうやれと言っているんじゃないんです。そうではなくて、受益と負担の関係を見たときに、要するに自分が幾ら納めている、社会保険料は幾らだ、税は幾らだということをやっぱり意識をするということが重要なので、そうすると、この税はどう使われているんだろうかとか。先ほど櫻井委員のNPOの問題で出ましたね、いわゆる自分たちの税金の中からこれぐらいはNPOに寄附したいなとか、そういう納税者の意識、社会に対する貢献の意識、こういったものが実は出てくるんじゃないかと。
 その意味で、当面、私は選択制で結構だと思うんです。そのかわり、きちんとそういう申告納税をする方にはインセンティブを、例えば還付を少し多くしてあげるとか、そういう形でのインセンティブを与えるということが私は重要だと思っている。そういう意味で、そういうふうにお考えになりませんか。
#173
○国務大臣(宮澤喜一君) 実は私には思いも寄らないお話だったという気がするんですが、税務からいいますとということもございますけれども、一般の納税者からみんなが申告をしろという制度のことをおっしゃるんだと思いますが、それは、そこまでしませんでも、ある程度の納税、徴税というものが今のような方法でできておるとすれば、確かに、峰崎委員のおっしゃることは、そういう考え方は国民に税の意識というものを実は薄れさせると。自分はこれだけの税金をこれだけの手数をやって払っているので、したがって税金の行方というものに対してもそれだけ国民が意識を持つんだと、こういうことからおっしゃっているわけだと思います。
 私は、そのことももちろん否定いたしませんけれども、現実の税務行政からいえば、なるべく国民には申告というような大変に手数を付することは避けてさしあげたいし、また税務行政も一々それは大変なものですからこういうことをしておるという、そういう現実を、皆さんに申告納税してくださいということで変えるかということになりますと、私はどうもそういうふうに思っておりません。
#174
○峰崎直樹君 今もちょっとお言葉の中に、してあげる、要するに国が、徴税当局がきちっとそれをやるから、まあそこまではという、パターナリズムというんですか、そういう感じがするんですよ、宮澤大臣のお話をずっと聞いていると。
 それで、私はむしろそういう徴税当局は定数なんかをもっとふやさなきゃいかぬと思いますね。大変な厳しい仕事をされていますし、今やもう国際的にも取引をしていますし、いろんな意味で今の定数では足りないんだろうと私は絶えず思い続けている一人ですけれども。
 しかし私は、それは多少の手間暇をかけても、国民が、自分の手で納税をした、そしてその使われ方に対して厳しく見るというのが、これが今日求められている非常に大きな価値観の転換というか発想の転換になっているんじゃないかと思えてならないんですよね。ですから、まあそこまで手間暇を皆さんかけなくていいよというふうにおっしゃることは、私はかえってよくないことじゃないんだろうかと思えてならないんですけれども、御意見をいただきましょう。
#175
○国務大臣(宮澤喜一君) パターナリズムということで申し上げたのではなくて、国は国民に奉仕をすべきものですから、なるべく国民の手間を省くということが奉仕者としての政府の私は務めだというふうに申し上げているので、パターナリズムとはお思いにならないでください。
 しかし、それにもかかわらず、峰崎委員のおっしゃるような、例えばなかなかドイツ人でもそう考えてくれないと思いますが、しかしやることはみんな手間でもやってください、それがあなたの国に対するいわば、務めとはおっしゃらなかったけれども、あなたのお務めで、それであなた御自身が税金というものがどう使われるかの意識を持つようになられるんですと。それはパターナリズムと申しませんけれども、そういうかなり教育的なお立場なんでしょうか。それはちょっと、私はそうも実は思いませんですけれども。
 でも、大変ある意味で純粋な御主張をしていらっしゃるということは、そういう考え方があるなというふうには伺いました。
#176
○峰崎直樹君 もうこれ以上議論をするのはあれですが、財金委員会はまたこれからも続くでありましょう。ずっとお聞きしていて、このところ二週間ばかり宮澤大臣と柳澤大臣にいろいろとお話を聞かせていただいているんですが、宮澤大臣、最近ベストセラーになっている本で「チーズはどこへ消えた?」という本、御存じですか。
#177
○国務大臣(宮澤喜一君) そういう本、見たことあります。
#178
○峰崎直樹君 見たことありますか。僕、もう読み終わりましたから差し上げてもいいんですが。
 要するに、あれは読む人によっていろんな解釈ができるんだろうと思うんですが、本当に変わらなきゃいけない、変えなきゃいけないという、そこはやっぱり一歩我々が勇気を持ってそういう方へ踏み出していくというか、これから我々、二十一世紀にはそういう積極的な姿勢が必要なんだと思うんです。大臣のお話を聞いていると、どうも十九世紀の、一八六八年とは申しませんが、本当に何かそこのところのずれがずんずん毎年大きくなっていくような気がしてならないので、ぜひ発想の転換といいますか、大胆な転換をしていただきたいなと、そのことをお願い申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
#179
○浜田卓二郎君 最初に、相続税について二、三伺いたいと思います。
 今回の改正案で、贈与税の基礎控除を従来の六十万円から五十万円引き上げておられます。引き上げることは結構だと思うんですけれども、この五十万引き上げた理由というのはどこにあるのでしょうか。
#180
○国務大臣(宮澤喜一君) これは、私の聞きましたのは、一つはやはり少額であることで……。
 主税局長からお答えします。
#181
○政府参考人(尾原榮夫君) 十三年度改正で百十万円に引き上げを御審議いただいておりますが、これは、基礎控除が昭和五十年以来据え置かれていることや、今資産の保有が集中している高齢者から若年、中年世代への早期の資産移転が必要ではないかという意見がございます。また、この問題を考える場合の所得税の課税最低限との関係をどう考えるか、それから昭和五十年からの物価水準の上昇をどう考えるかということを総合勘案いたしまして、百十万円というふうにお願いしているものでございます。
#182
○浜田卓二郎君 いろいろ物価上昇率とかあるんでしょうけれども、長生きになっちゃっているんですよね。だから、今のうちに若い世代に資産をできるだけ移転して新しい住宅投資とか積極的な土地の活用とかいうのを図るということで、私は方向としていいと思うんですけれども、六十万円を何十年据え置いてやっと五十万上げる、ちょっといじましい感じもいたします。いろいろ御議論はあったと思いますが、もっと積極的におやりになっていいんじゃないかなという感想を申し上げておきます。
 それから次に、小規模宅地等、宅地とか事業用の用地とかですね、これの特例拡充をされておられますが、個人用の小規模の宅地については二百平米から二百四十平米、それから工場等事業用資産については三百三十平米から四百平米となっております。この引き上げ幅の根拠を同様にお聞かせください。
#183
○政府参考人(尾原榮夫君) 今回、相続人の事業あるいは居住の継続の円滑化の配慮ということから、今御指摘のように対象面積の拡充を行っております。
 事業用宅地についてでございますが、三大都市圏における平均的な事業用宅地の面積をカバーする水準、統計でとってみますと三百九十九・一平米というのが平均になっておりまして、そこで今回、三百三十平米から四百平米というふうにさせていただきました。
 居住用宅地についても同様の考え方をいたしますと、三大都市圏における一戸建て住宅の平均敷地面積は二百二十平米でございますが、事業用宅地とのバランスを考えまして、ちょうど二割引き上げられることになっておりますものですから、二百四十平米というふうにさせていただいておるところでございます。
#184
○浜田卓二郎君 ある広い地域の平均値をとってお考えになるというのは一つの安全な手法なんでしょうけれども、こういう相続のときに問題になるのは、田園調布に住める人は限られた人だから別によく考えなくてもいいということかもしれませんけれども、相続が起きると住んでいる場所から移転しなきゃいけないというような苦情とか陳情とか悲鳴というのはよくあるわけですね。
 それから、工場用地にせよ、例えば地元の話で恐縮ですけれども、川口の鋳物屋さんは、まだ鋳物で頑張っているところがあるんですけれども、相続になったらもうだめだと言っているのは、それはたまたまなんでしょうけれども、土地がおやじさんの個人名義になっている、しかもその場所は後で鉄道ができて駅の近くになっちゃっているということで、そんなところで鋳物をやるのが悪いといえばそれだけの話なんですけれども、やっぱりそういう工場が相続が起きた途端に立ち行かなくなる。
 そういうことで、これは承継税制の問題でもありますけれども、土地の相続課税の特例というのはずっと議論されてきたわけでありまして、私は、今回の引き上げ、これはまた結構な方向だと思うんですけれども、その相続税を考えるときに、今おっしゃったような広い地域の平均の居住面積が云々というだけで問題が、今まで言われてきた問題が解決できるかというと必ずしもそうではないわけでありますから、この方向を別に否定するわけではありませんで、さらに実態をよくごらんになってこういう方向を進めていっていただきたいというふうに思います。
 それから、次に移りますが、相続税の最高税率は七〇%ですけれども、この七〇%の税率の適用を受ける相続人というのはどのぐらいいるんでしょうかね。
#185
○政府参考人(尾原榮夫君) これは、七〇%だけということでの人数でございますね。
#186
○浜田卓二郎君 ええ、人数です。もうアバウトでいいですよ、一人とか二人とかですね。
#187
○政府参考人(尾原榮夫君) 申しわけございません。これは税務統計できっちり出てまいりませんので、推計になります。
 私ども、この五年ぐらい平均で見ますと、年当たり十人ぐらいおられるのではなかろうかというふうに考えております。
#188
○浜田卓二郎君 数にしたらほとんどいらっしゃらないんですね。しかし、中には、固有名詞は申し上げませんけれども、事務当局から説明を聞かせていただきましたが、一千億以上の相続をなさる方も一人とか、あるいは何年に二人とかというふうにおられるんだろうと思うんですね。
 その場合の課税を考えますと、たまたま一千億持ったのが悪いというふうな価値判断になるのか、一千億の人が相続した場合には、大体ざっと言えば七百億の相続税を払うんですよね。これはもうペナルティーですよね。私はそう思うんですよ。
 だから、国家というのがどれだけ取っていいのかということにもなりますけれども、まあ常識的に言えば半分以上は取るなよというのが私は何となくいいような気がするんですよ。七割も取っちゃう。二十億以上ですからそれぐらいの数にしかならないわけですが、そういう数の人であっても、私は七〇%という税率というのはちょっとどうかなという気がいたしますね。
 それと、費用対効果で考えることかどうかなんですけれども、日本の相続税は高い高いとみんな思っちゃっているんですね。ところが、説明を聞きますと決して高くないという御説明ですし、それから、現にこうやって今回お出しになられた贈与税の基礎控除とか土地の特例とかというのを一つ一つ考えていけば、確かにいろいろと改革が進んできていると思うんですね。でも、高いというのが残っているというのは、やっぱりその最高税率の高さというのが非常にシンボリックになっているような気がしてしようがないんです。
 小渕総理のときに宮澤大蔵大臣でした。相続税を引き下げましょうという話があって、最高税率は少なくとももう下がると多くの方が期待された。ところが下がらなかった。今回の税制改正も、今回出てきた法律案でも下がっていないわけですね。
 私は下げたらどうかと。つまり、一生懸命に相続の実態というのをお考えになって、そんなに高くないですよという制度にしてこられているんだろうと思うんだけれども、この最高税率の高さというのが非常に象徴的に残ってしまっている。ほかの税体系とあわせてやるんだという御議論でいつも説明を受けますけれども、それはすぐはやらないという言い方の問題に聞こえてしようがないわけでありまして、せめてここだけやれよと言いたいものですから、この点については大臣のお考えだけ伺いたいと思います。
#189
○国務大臣(宮澤喜一君) 小渕内閣時代にもそういうことがございました。殊に、所得税の最高税率を下げましたですね。そういうこともございまして、やはり相続税の最高税率というのは私は下げた方がいいと思っておる一人でございます。
 ただ、見送られました理由というのは、いずれ相続税は全部見直さなければならないと申しますか、むしろそのときは全部の税制改正ということになるのかもしれませんが、そういう問題であるし、ちょっとここはどうお聞き取りになりますか、年に十人ぐらいの方々の問題でございますから、そうしますと、何か金持ちを優遇しただけのことかということにとられるのも、どうもそれでいいのかなというような思いもありましてそのままにしておりますけれども、いずれにしても、これはもう高過ぎて直すべき問題でございます。
#190
○浜田卓二郎君 七〇%が最高税率であって、それから九段階刻みで、やっぱり七〇に引っ張られてみんな高くなっているわけですから、それを下げていくということで、七〇だけじゃないということですね。今おっしゃったことを全く逆にして言えば、繰り返しになりますけれども、それが高いという印象がまだ残ってしまっていると。しかも期待感を大いに抱かせちゃったんですよ。ことしもまたやらないという話に、実はそういう方々からは言われる話になっているものですから、繰り返し申し上げたわけであります。
 次に、時間が大してありませんから、大ざっぱなことを申し上げて大ざっぱな御答弁で結構ですから、少し財政再建について御議論いただきたいと思うんですが、私は、一昨年でしたが、財政収支試算をもとにして、予算委員会で大蔵大臣と財政の展望についてかなり詳細な議論をさせていただいた記憶がございます。そのときにも申し上げましたが、租税の弾性値は一・一で計算をしておられるわけでありまして、景気が回復すれば財政はよくなるよという話が、どうも計数上はなかなかそうならないというのは、お互いにその議論の中でそうですなという話になったというふうに記憶いたしております。
 財政収支試算というのは不思議に当たるんですね。昭和五十年度予算を出発点にして最初のオリジナル版の財政収支試算がつくられた。そのとき私も担当者として作業に加わったわけでありますけれども、実はそのときから今日に至るまで、あそこではじき出される数字というのはそんなに違わないでそうなっているわけなんですね。
 これはなぜかといいますと、税の伸び方も平均してみればそんなに一気には伸びないし、ならしてみれば弾性値は一・一であるし、もう一つは歳出の削減というのがほとんど実はできていないということなんだろうと思うんですね。つまり、一定の歳出構造というのはでき上がっちゃっていて、それを対前年何%伸ばすか、切り込むにしても対前年伸びをゼロにするぐらいが関の山でやってきているから、実はそのとおりの姿に今日なってしまっている、私はそう言わざるを得ないと思うんですね。
 そこで、きょうは三点申し上げてみたいと思うんですけれども、毎年毎年の予算のつくり方、それからそれを含めた財政運営のスタンスといいますか、それがもう全く私の言葉で言えば借金なれになっちゃっていると、金は借りればあるという発想に実はなっているんですね。借金が少ないときは返そうと思うからみんな苦労するんですよ。
 ところが、バブルの例でおわかりのように、何千億と借りちゃうと返せる見込みが当人にもなくなっちゃう。そうするとまじめに節約して返そうなんという話にならないで、いかにうまく逃げるかになっちゃっているわけです。本人の生活を見てみると、今でもそうですよ。かつてのバブル紳士たちが本当に責任追及を受けて小さくなっているかといえば、決してそうじゃない。悠々と暮らしていますよ。かなりいい暮らしをやっている。これは何だという気が私はするんですけれども、どうも今の財政を見ているとそういう気がしてしようがない。
 総理や大臣が海外に行かれるときは、大体何かお土産を持っていかれる。私もかつて外務政務次官をやりまして、ODAの実態なんというのはかなり現場で見せていただきましたけれども、日本が来ればお金をもらうというような期待感が生まれておって、そしてODAなんというのはプロジェクトに対する融資になっているんですけれども、しかしそうじゃなくて、もう開発途上国の一般財源の一つになっちゃっていて、来年は幾らふえるかというような発想が実は一般的になってしまっている。
 それも含めて、また機密費の問題も含めてですけれども、要するにお金はあるという前提なんですね。お金はある、借りてくりゃあるという話になっちゃっているわけですよ。だから平気で赤字国債が十九兆も出るんですね。
 確かに、国債はこれ以上発行できるかどうか、国の余力があるかどうかという議論になれば、私は、国債はまだ発行できるし、日本の経済はまだ、というよりも日本の家計部門はまだ健全だと思っております。でも、政府はそれだから幾ら金を借りてもいいという話とは違うわけで、やっぱり健全な家計、健全な財政というのは、お金がなきゃ使わないんですよ。お金がないんですね、今は。だから、もっと稼いでこいと、本当を言えば。税金を取ってこいということですよ。税金を取りもしないで、お金があるという前提でどんどんお金を使っている。税金が取れないのならお金を使うのをやめるしかないんですね、素朴に考えて。
 何でお金があるんですか。赤字国債十九兆円も出して何でODAができるんですか。あるいは、ODAだけじゃなくて、今のばらまき的な施策ができるんですか。だから、そこをやっぱり出発点に返らないと、財政再建なんというのは私は未来永劫できないというふうに思うんですね。
 ですから、宮澤総理は、かつては赤字国債脱却という目標を掲げられて、私は記憶しておりますけれども、目標年次どおり赤字国債を脱却されました。
 赤字国債と建設国債は差がないと。それは経済的には差がないかもしれない。しかし精神的には差があるんですよ。今や目標がなくなっちゃっているでしょう。幾らでもお金がある、借りられる。だから幾らでも国債を出す。赤字国債十九兆でお互いに平気な顔ができるというそのスタンス自体が、私は第一にこれからの財政再建を考える場合にきちんと直さなければならない点だと思うんですね。
 生意気なことを申し上げて恐縮ですが、一言御感想だけ聞かせてください。
#191
○国務大臣(宮澤喜一君) これは、さすがに長年現場で苦労なさった方のお言葉だと思って伺っています。
 もう金がこれしかないんだというときは、本当に予算折衝も何もつらくて、もう夜中まで、大みそかまでというような時代を私も見ておりましたが、今の制度というのは、浜田さんのお言葉をかりれば、金はつくればできるということになってしまっているだろうと。そういうときには本当にぎりぎり土俵際で頑張るという、そういう状況と違ってきているんじゃないかと、こうおっしゃっているんで、だれもそういう気持ちであってはならないと思っていますけれども、しかし確かに、つくればお金は一応できる、借りられるという意味で。ということは、財政をつかさどる我々としては一番気をつけなければならないことであります。
 平成十三年度の予算で三兆でも四兆でも国債をとにかく減らしたということは、私のつもりでは、やっぱり本来こういうものは減らさなければならないんだということを、自分たちへの気持ちが半分以上ございましたけれども、やっぱりそれはきちんとそういうことをわずかでもしておかなければならないなということでありました。
 ですから、おっしゃっていることはわかっていまして、他方でしかし、それなら国債をいつになったらどうやってやめられるかということになると、やはり私は、本当にマクロモデルをつくってシミュレーションをやって、そして給付と負担との選択をするしか方法はないと思っております。したがって、そういう方法を今経済財政諮問会議でとりました。
 これで、半年ぐらいでマクロモデルができましたときに実は非常に難しい瞬間が来るわけでして、シミュレーションをやって、さてそのとおりにしなければならない、言葉のあやではごまかせないというときには、やはり非常に国民的な議論、決心を必要とする状況にならなければ将来いつまでもこういうだらしのない財政が続くということになるわけですから、それは実は並々ならない決意でここへ進んでいっておるんだというふうに私は考えています。
 そのときに、実際きちんとやりましたらいいかげんな答えは出せないわけでございますので、それこそ中央財政、地方財政、税制、社会保障、みんな、これだけしかありません、そうでないときは国民負担をこれだけにしなければなりませんという、そういう選択をどうも国民的にしていただかなければならない、そういうふうな思いでいるわけでございます。
#192
○浜田卓二郎君 ですから、私は一つ、今の繰り返しですけれども、赤字国債については、建設国債と差がないといっても、財政のスタンスとしては、赤字国債はやっぱり赤字国債ということで、これをまずなくす目標を掲げるべきだと思うんですね。
 それからもう一つは、財政当局はもっと強くていいと思うんですよ。けちじゃなきゃいけませんよね。だから、このごろ気前がよくてしようがないような気がするんですね。どれがつまらない政策かとは言いませんけれども、普通だったらもっと強烈な反対論が財政当局から出るだろうと思っていたら、ちっとも出なかったというようなことが幾つか私の記憶にも残っているわけで、ひとつ、お役目ですから、大臣も役所も使命感を持って頑張ってほしいというふうに思います。
 二番目に申し上げたいことは、歳出構造に思い切って切り込むような作業というか、その作業の前提になるようなものは少なくとも早く始めてほしいなと思うんですね。
 例えば、予算の項目で一番でっかいのは地方交付税交付金ですよね。やっぱり地方自治体を何とかしなきゃならないでしょう。だから、私は強制合併論者なんですけれども、合併法をつくって、例えば十年以内に、今、千という議論になっていますけれども、三百というのも一つの試算として出たことがありました。ですから、やっぱりこの予算のでかい項目を何とかするというのが一つです。それには合併であり、地方財政の合理化であり、それを前提とした交付税の仕組みの見直しですよね。交付税があるから合併しないというところはいっぱいあるんですから、それが一つ。
 それからもう一つは、私は今、景気対策としての公共事業費については必ずしも否定的ではありません。でも、やっぱり九兆円という項目はでかい項目です。これについての、整理合理化というんですかね、これは景気刺激策という観点とは別の観点で、少し中長期で結構ですからメスを入れる、そういうことを財政当局が本格的に仕掛け始めるということは私は必要だと思います。
 それから行政改革も、役所の名前を変えたり、どっちを切ってくっつけたりというのは私は余り興味ありません。そんな暇ないというような気がいつもしているんですが、それよりも、この行政改革をやったら幾ら税金が節約できる、そういう目標を立てるべきですよ。そして、別の言い方をすれば、税金を節約できる行政改革をやるべきですよ。そういうことを中長期の計画をつくって、それと並行して財政の議論をやってほしい。これを一貫して政権が変わっても続けられるのはやっぱり役所ですから、私は役所の諸君には、そういう財政を預かっているという使命感で頑張るときじゃないかなと、頑張ってほしいなということを申し上げたいんですね。
 最後に、もう一つの項目は税ですよ。この議論を避け過ぎますよね。私は、消費税は、ほかの税目から考えれば、課税ベースが広くて、公平で、そして、そういう意味では相対的に見てこれから大いに推奨すべき税だとずっと思っています。
 この間、宮澤大臣、何かちょっと消費税について言及されたら、野党が途端にかみついた。そしたら途端に引っ込んじゃったですね。私は、せっかくおっしゃったのに、何引っ込めるんだろうというふうに実は思っておりました。
 それから、ここは与党も野党もいるわけですから、例えばいい議論もあるんですよ。国民年金の国庫負担をふやせ、これは逆に言えば税負担をふやせということですよね。基礎年金だけにして、基礎年金を全部税で賄うという構想は私はむしろ個人的には賛成ですよ。だけれども、その構想が出ていくときに、じゃ、その財源の税をどうするんだという構想はくっついてこないでしょう。そしたら切り捨てるべきですよ。そんな片肺の、片手落ちの案を出したって役に立たないんだから。
 だから、やっぱり税の議論を正面からやってほしいと思いますね。お米と同じですよ。一粒も輸入しませんなんて言っていて、そんなのはうそっぱちだった、だれも責任とっていないんですから。消費税上げませんなんてずっと言っていて突然上げる方が罪なんであって、今二つ申し上げたわけですけれども、そういう財政のあり方をきちんと議論しながら、しかし最後はやっぱり歳入の問題をきちんと議論していかなきゃいけない。
 私は、個人的には消費税という名前は変えた方がいいと、余りにいろんな記憶がぶら下がり過ぎていますからね。そういう議論をしていますけれども、形は、私はやっぱり消費税が一番いいと思っていますし、そうであるとすれば、例えば生活必需品に対する軽減税率の問題とか、もっと真剣に税のあり方、つまり歳入をどうするかということを一緒に議論をしてほしい、そう思っております。
 以上、いろいろ申し上げました。最後に御感想だけ伺って、私の質問を終わります。
#193
○国務大臣(宮澤喜一君) どうもいろいろありがとうございました。
 経済財政諮問会議は、仮に政権交代がありましてもずっと続けて仕事をする機関でございますので、そこで夏過ぎごろにはマクロモデルによって、今まさに浜田委員のおっしゃいましたような問題に手をつけることになります。恐らくその際、一番中心になるのはというか、やっぱり一番基本になるのは国民負担というものであろうと思います。国民負担の限界をどこに置くかによって、結局それを配分することになるわけでございますから。
 今、年金のお話がございまして、これも安定的な財源を得て平成十六年までにということになっておるわけですけれども、それなんかもこのマクロモデルのもとに議論されるべき一つの事項であって、本当に真っ正面から取り組みますと、国民負担を仮に、五〇ということをだれも言ったわけではございません、今三六ぐらいかと思います。しかし、仮に何とかと。もっと上げてもいいのなら給付も上げられる、そうでなければ上げられない。地方財政にしましても同じことだと思います。
 そういう中から税負担というものが、国民負担のうちで社会保障負担を除きましたあとが税負担になりますが、それをどういう税に割る、中央、地方にどう割るといったようなことは、この作業からどうしてもまじめにやる限り出てこなければならないことであって、ただそれが恐らく、非常にリアリスティックでないような、驚くような答えになる可能性がございます。しかし、そこはたじろがずに、どれだけそれがやれるかということに私はなってこなければいかぬのだろうと。それができましたら、切り口はどこからでも同じですが、財政再建という切り口で結構だと思うので、その中で大抵の答えが私は出せると思います。
 思いますが、政治にそれだけの気力があるかどうか。これは超党派で大きな問題でございますので、マクロモデルをつくった作業というのはそういうところへ行き着くべきものだと私自身は実は考えておるわけでございます。
#194
○大門実紀史君 日本共産党の大門実紀史です。
 今も御議論ございましたが、最初に財政再建についてお聞きしたいと思います。
 この間、我が党は、財政再建のためには公共事業費の総額の削減が必要ではないかという質問なり御意見を申し上げてきたところですが、今の宮澤大臣のお話の中でも、国民負担についてはかなりいろいろ言われますが、公共事業費の削減について余り明確にお答えいただいていないのではないかというふうに思います。
 そこできょうは、周辺の景気とかの議論は除いて単刀直入にお伺いしたいんですが、財政再建との関係で見て、公共事業費の削減は宮澤大臣としてお考えになっているのかいないのか、端的にまずお伺いしたいというふうに思います。
#195
○国務大臣(宮澤喜一君) それは、先ほど申しましたようなプロセスで作業が進んでまいりますと、歳出はどこまでということが出てこざるを得ませんので、そうすると歳出の中でどう削るかと。削らないかもしれませんが、ふえるということは恐らくありそうなことでないので節減の方にいくと思いますが、その中で公共事業費はどれだけ削るといったようなことに帰納してこざるを得ない、そういう作業になると思います。
#196
○大門実紀史君 削減も考慮に入れざるを得ないというようなことだと。当然そう思います。
 それで具体的にお伺いしたいんですけれども、公共投資基本計画というのが閣議決定されまして、今もそれは維持されているといいますか、目標をやろうということで取り組まれているというふうに思いますけれども、これは九〇年に海部内閣が、その前の日米構造協議との関連がありまして、アメリカとの関係で、そのときは九一年から二〇〇〇年度までですが、十年間で四百三十兆の公共事業をやるというふうな公約があったわけで、その後、村山内閣のときに若干変更といいますか、新しい公共投資基本計画ということになりまして、九五年から二〇〇四年までに六百三十兆をやると。さらにその後、橋本内閣のときに、例の構造改革の一環として、期間を延長して二〇〇七年までに六百三十兆円をやるというふうに今なっているというふうに思います。
 それで、旧経済企画庁、今内閣府かと思いますが、その実績値をとっておられるようですので伺いましたところ、九五年から九七年の実績値でいきますと、ほぼ目標どおり推移しているというふうなことを伺いました。それで、六百三十兆を十三年間に延長しましたから、十三年間ということになりますと、単純に割りますと年間で四十八・五兆を十三年間やるという計画になると思うんですが、経済企画庁といいますか、内閣府の方ではほぼ順調にその目標どおりいっているということをお聞きいたしました。
 ただ、九七年までしか実績が出ておりませんので、私の方で少し、少なくとも二〇〇〇年度までどれぐらいになっているのかという推計をしてみたんです。これは政府が発表されております経済見通しあるいは行政投資実績の用地費の部分というふうなものを使って試算をしてみましたけれども、恐らくそれほど実績と違わないと思うんですが、要するに二〇〇〇年度までに大体二百八十四兆ぐらい公共投資が行われているというふうな計算になります。残りはすなわち三百四十六兆円、それを二〇〇七年までですから、あと七年間でやるというふうなことの、大体そういう推計が出てくるんです。
 それと、旧建設省といいますか、国土交通省の外部団体といいますのか外郭団体といいますのか、建設経済研究所というところが、公共事業の財源の約六割は借金で行われているというふうなこれも数字を出されておりますので、非常にアバウトですけれども、あと七年間でやる三百四十六兆円、これを目標どおりやるとしますと、大体六割が借金ということになりますと、二百兆円以上これから借金をふやさなきゃいけないというふうな数字が出てまいります。
 したがって、この公共投資基本計画をこのままやり続けますと、二〇〇七年までにこの公共事業の部分だけであと二百兆も借金がふえるというふうなことになってしまうわけですから、大変な財政破綻どころか破滅に近いことになると思うんですが、それでもこの公共投資基本計画を最後まで目標どおりやり遂げるおつもりかどうか、ぜひお伺いしたいというふうに思います。
#197
○国務大臣(宮澤喜一君) 私が私だけでお答えしていいかどうかとは思いますものの、今の実は大門委員のお話は大変に古い歴史的な経緯のあることでございまして、日本人がウサギ小屋に住んでいると言われて非難されたあのころに起こった出来事でございます。
 振り返るとまことにいろいろ曲折がございましたが、こういう不況になって結果としてはまた公共投資に重点を入れておりますものですから、結果として今お話しになったように案外実績が積み上がっておるのかもしれません。実は、そういう約束があったことを忘れておったわけではございませんけれども、かなり古いいきさつであったものですから、結果としてはそうなっているかという感じを今お話を伺って思いました。
 ただ、どう申しますのでしょうか、そういう話し合いがあり、そういう計画もできて、実際にはそれが一遍棚上げになったりまた中断されたりということであったと思いますので、こういういわば別の環境になりましてどういう処理をいたすべきものか。今、役所としては前の経済企画庁が管理しているアイテムなのかもしれませんが、ちょっと今どういうふうに扱うべきか私もお答えをいたしかねますので、一遍それを管理している諸君がどういうふうに考えておりますか聞いてみることにいたします。
 大分前の話であったもんですから、ああそうだったかと思いながら、しかし、ちょっと別の要因から案外その実績が積み上がっているということがあるのかもしれないと思います。
#198
○大門実紀史君 きょうは公共事業問題はこれ以上触れませんですけれども、いずれにせよ、財政再建にとって、もう何度も申し上げているとおり、世界最大規模になっていると、GDP比ですね。これの削減に手をつけないで財政再建はないだろうというふうに思いますので、先ほどの答弁もございましたけれども、国民の負担ばかり言うんではなくて、公共事業費にメスを入れるということを御検討いただきたいというふうに申し上げておきます。
 次に、不良債権処理に関して幾つか質問させていただきます。
 まず最初に、不良債権処理と今回の法人税の一部改正との関係について先に一つ二つお伺いしておきたいと思います。
 金融庁の方でいろいろ不良債権処理の最終処理のスキームを言われている中で、会社をいわゆる採算部門と不採算部門に分割をして、債権放棄だとかいろいろというふうな、会社を分割していろいろやっていくというふうなことも今出されているわけですけれども、財務省の方にお伺いいたしますけれども、今度の法人税改正の中の会社分割のときの適格組織再編成というのがありますが、要するに、不良債権処理を目的にして不採算部門と採算部門を分けるというようなことも適格になるのかどうか。なるということは、その場合でも課税の繰り延べが受けられるということですが、こういうふうな不良債権処理を目的とした会社分割でも今回の法人税改正の適格法人になるのかどうか、お伺いしたいと思います。
#199
○政府参考人(尾原榮夫君) 今回御審議をお願いしております企業組織再編成税制でございますが、商法改正が行われましてこの四月一日から会社分割制度ができるということで、その整備を図るものでございます。
 それで、この中でのエッセンスを申し上げますと、資産が移転する場合には課税が起こるのが原則でございますが、所有形態といいましょうか、実質的に変更がない場合には課税繰り延べを認めようというのが今回の税制のポイントでございます。そのポイントといたしまして、企業グループ内の組織再編成と、共同事業を行うための組織再編成の二つのパターンに分けまして要件を決めております。つまり、通常の資産の売買とは違う課税の繰り延べが認められる場合の要件を書いてございますが、この中の要件に企業組織再編成の目的については書いてございません。
 今、先生のお話は、今の金融機関の不良債権処理との関連でお話があったかと思いますが、例えば企業グループ内の組織再編成でございますれば、独立した事業単位で移転が行われる、つまり主要な資産、負債と従業員の相当数が移転する、それからさらに、移転した事業が継続するという見込みであることというようなことでございまして、今法律で御審議をお願いしている実態に即して適用がなされるものと考えております。
#200
○大門実紀史君 そうしますと、不良債権処理で採算部門と不採算部門を分けて、不採算の方を例えばつぶしてしまうといいますか、整理してしまうというふうな目的ですと、今おっしゃいました事業の継続とかそういうことにならないわけですから、明らかに採算、不採算を分けて不採算を整理してしまうという場合は、この法人税改正の適格法人には該当しないというふうに解釈してよろしいわけですか。
#201
○政府参考人(尾原榮夫君) 現実には個別の事例を見ての解釈の問題になってまいりますが、移転した事業が継続することが見込まれることということが要件に入っていることはそのとおりでございます。
#202
○大門実紀史君 ちょっとまだ不明確なところがあるんですが、ドイツとかほかの国の場合は何年間とかはっきり決められていますが、今回の場合は、どこまで事業を継続するかはっきりしておりませんので、場合によっては半年でつぶしてしまうとか、一年後につぶしてしまうとかいう場合の租税回避といいますか、その対策措置がかなり不十分ではないかなと。もちろん、税務署長が判断するというのもございますけれども、その辺の租税回避、これを利用していろいろやっていくというふうな租税回避に使われない措置をぜひお願いしたいというふうに申し上げておきます。
 次に、不良債権処理そのものに関して質問をさせていただきたいと思います。
 金融庁の資料によりますと、全国の銀行の不良債権、すなわちリスク管理債権残高の総額が十二年九月で三十一・八兆ということでございます。この間、金融と産業の両方を再生しようということで関係省庁連絡会議が設置されて、金融庁、経済産業省、国土交通省が参加されて何回か会議を持たれているということですが、いわゆる不良債権の多い三業種と言われています建設、不動産、流通、この問題が非常に大きな問題であるので関係省庁の会議が行われているのかなというふうに思っているところですけれども、この三十一・八兆円のうち、建設、不動産、流通の三業種の不良債権額がどれぐらいになるか、金融庁が把握されておりましたら教えていただきたいと思います。
#203
○国務大臣(柳澤伯夫君) これは、金融庁が把握しているということよりも、平成十二年九月末、これが直近の決算時期でございますが、その決算の説明資料によりますと、これが明らかにされているわけでございます。
 各行ごとにそれぞれの様式で明らかにされているわけでございますが、それを集計をさせていただきますと、東京三菱と新生はこれを開示していないようでございますので、その他のものということで申し上げますと、建設業が二・三兆円、不動産業が四・三兆円、卸・小売業、いわゆる流通と言われているところかと思いますが、これが一・八兆円でございます。ということで、目見当として五割ちょっとかなというところでございます。
#204
○大門実紀史君 私、昨年三月期の主要銀行が発表した資料を少しまとめてみたんですが、同じように、三業種が全体のリスク管理債権に占める割合は大体五、六割というのが出ておりますので、今、大臣にお答えいただいたのとそれほど変わらなく推移しているというふうに思います。
 その内訳で、パーセントで見てみたんですが、建設が一八・七%、不動産が五二・三%、流通が二八・七%というのが去年の三月期の結果で数字が出てまいります。つまり、建設と不動産を合わせますと全体の七割になるということです。つまり、主要行ですけれども、主要行のリスク管理債権の総額の中に三業種が占める割合というのは大体五、六割と。その中の七割が建設、不動産ということですから、全体の不良債権のうちの、アバウトですけれども約四割ぐらいが建設、不動産関係になるのではないかというふうに思います。
 そこで、柳澤大臣にお伺いいたしますけれども、今いろいろ言われていますが、不良債権の最終処理、不良債権問題の最大の問題点はといいますか、ターゲットといいますか、これはやはりゼネコン関連といいますか、建設、不動産。ゼネコンは両方またいでいる場合がありますので、ゼネコン関連の不良債権が一番何とかしなければいけない対象ではないか、実態としてそうなっているんではないかと思いますが、大臣の御認識をお伺いしたいと思います。
#205
○国務大臣(柳澤伯夫君) もちろん、私ども三省庁の連絡会を開いたについては、私、改めて先生の御質疑に対してお答えをし、またさらに、先生の方では分析をされたデータを御披瀝になられたわけですけれども、そこまで詳しい数字を別に根拠に持ってやったわけではないんですが、一般に構造不況業種と言われているところが、今この問答で明らかにされたようなものというのはある意味で常識化しておりましたので、それに基づきまして、一番関係も深い通産省、国土交通省にお呼びかけをして、仕事をするに当たってのお互いの情報だとか意見だとかというものを交換して、まず共通の認識を持とうではないですかというようなことで呼びかけさせていただいたということでございました。
#206
○大門実紀史君 私も建設関係出身ですのでゼネコンのことよく知っておるんですけれども、製造業と違いまして、ゼネコンの場合の不良債権といいますか、いろいろ構造的に難しいところがあることは承知しているんですが、このゼネコンの不良債権、建設、不動産関連がかなり大きなウエートを占めるという中で、やはりここをどうするかということをいろいろ今考えておられるのかなというふうに思いますが、金融庁でそこまでまだ踏み込んでいないということでしたら、国土交通省の方で、このゼネコンが抱える不良債権処理について、今後の進め方等々、お考えがあればぜひ聞かせていただきたいと思います。
#207
○政府参考人(風岡典之君) ゼネコンをめぐる環境でございますけれども、まず全体的、客観的な状況としまして、建設投資をめぐる環境というのは非常に厳しくなってきております。その中で、業者数は非常に多いということで競争が激化しておりまして、その意味で構造的に供給力の調整ということが必要ではないかというふうに思っております。加えまして、不良債権問題というものがありまして、そういう二重の意味でゼネコンの経営というものが非常に厳しいと。
 私どもとしましては、個別企業につきまして、具体的にA企業とB企業が合併しなさいとかどうこうしなさいということは、これは行政として言うべきことではないというふうに思っておりますけれども、今申し上げましたような客観的な状況の厳しさというのがありますから、個別企業がいろんな経営戦略がとれるような条件整備、環境整備ということを進めていくべきではないかということで、私どもはいろんな取り組みをしております。
 例えば、入札・契約制度におきましては、不良業者の排除というものを徹底するとか、あるいは技術力のあるところが入札に参加できるようなことにしていくとか、あるいは合併とか企業連携とか、そういったことが少しでも不利益にならないような条件整備とか、そういうようなことを幅広く、環境整備ということについて努力をしているところであります。
#208
○大門実紀史君 国土交通省関連での取り組みの関係の質問をまた後でさせていただきたいと思いますが、従来、ゼネコン関連の不良債権の処理といいますと、御存じのとおり、銀行との関係では債権放棄というのをやられてきたわけですけれども、今回の処理策にもやはり債権放棄という言葉が随所に出てくるわけなんですが、私は、今までの債権放棄というのが決していい結果をもたらさなかったといいますか、かなり疑問を持っております。
 そこで、まず、今までのゼネコン向けの債権放棄が何だったのかというようなことで幾つか質問をさせていただきたいと思います。まず、国土交通省にお伺いした方がいいのかなと思いますが、金融機関が九七年以降、ゼネコンに対して債権放棄した金額は幾らになるか、御存じでしたら教えてください。
#209
○政府参考人(風岡典之君) 平成八年に債務保証の免除という形で飛島建設に対する免除が行われました。また、昨年末に債務免除の要請をして、現時点ではまだ金融機関の同意が得られていない三井建設というのもありますが、こういったものを含めますと、債務免除を要請した上場ゼネコンは全体で十社でございまして、その債務免除額の合計は二兆二千億円と承知しております。
#210
○大門実紀史君 私も各銀行がゼネコンにどれぐらい債権放棄をしたかというのを自分なりに表をつくってみましたけれども、ほぼ同じ金額になるわけなんですが、東京三菱は公的資金を受けて返したというのはありますが、債権放棄をした方の銀行のほとんどが公的資金を注入されて、その後、かなりこれが大きなインセンティブになって債権放棄をしているというのは、事実としてそういうことだろうというふうに思います。
 もちろん我が党は公的資金の注入には反対をしてきたわけですが、大手行の債権放棄額、これはゼネコン以外もですが、全体の金額でいきますと、九九年三月で一兆六千億円債権放棄をしている。主要行ですね。二〇〇〇年三月にはさらに一兆四千億円債権放棄をしている。これは、細かい数字はちょっと違うかもわかりませんが、ほぼそれぐらいの債権放棄をしている。つまり約三兆円債権放棄をしている。その中の、今御答弁ありましたが、二兆二千億ですから、約七割がゼネコンの十社に回されたというふうなことになると思います。
 国土交通省に続けてお伺いいたしますが、債権放棄を受けたゼネコンというのは、その後経営が健全化して、要するに再建されて立ち直っていっているのかどうか、わかる範囲で結構ですから教えていただきたいと思います。
#211
○政府参考人(風岡典之君) 十社につきまして債権放棄が、要請中も含めまして行われるということになるわけでございますが、債務免除に当たりましては、金融機関とゼネコン各社との間で経営の改善計画というのをつくっているわけでございまして、これに基づきましてゼネコン各社は、人員の削減だとか、あるいは販売費等の間接経費の節減だとか、あるいは不採算部門についての事業の見直しという、そういう意味でリストラを懸命に実施しているところであります。
 なお、十社のうちその大半は、五社ぐらいはまだ改善計画をつくりましてから一年もたっていないという状況でありますのでなかなか評価は難しいわけでございますが、とりあえず現時点で債務免除を受けました十社の営業利益率というものを見てみますと、建設業界全体が営業利益率が低下をしておりますが、この十社について見ると、平成八年度が二・八%でしたのが平成十一年度は三・七%ということで、リストラの効果等があらわれて営業利益の面では少し改善の兆しが見られているということが言えようかと思います。
 しかしながら、先ほど申し上げましたように、建設市場をめぐる環境というのは、中長期的には投資が非常に厳しい環境にあります。また業者数も多いし、その中で競争が激化するということでありますので、債務免除を受けた十社だけではなくて、その他のゼネコンも含めて今後の経営環境はいずれにしても非常に厳しい、こういうようなことが言えようかと思います。
#212
○大門実紀史君 私は、この間のゼネコンに対する債権放棄というのはほとんど何も余り解決していないのではないか。しかも日本経済全体に対しても、どちらかといえば悪い影響の方が多かったのではないか。しかもゼネコンにとっては悪循環を招いているのではないかというような気がしてならないわけなんですけれども、債務免除を受けたゼネコンを一つ一つ申し上げませんけれども、フジタにしてもハザマにしても熊谷組にしても、特に熊谷組は債権放棄を今度も含めて四千三百億受けることになりますが、それを受けてもまだ六千億以上の有利子負債が残るというようなことで、全体として、例えば熊谷組、余り個別企業をここで言うとあれですが、幾つかの債権放棄を受けた企業の危機は去っていないというふうに思いますし、実際問題、営業利益率というのは、公共事業の積み増しの関係もあるんでしょうけれども、全体としてやっぱり四苦八苦しているというのが私は実態ではないかというふうに思いますし、もう一度債権放棄を要請するかしないかというところまで来ているゼネコンも中にはあるというふうに思います。
 もう一つは、これだけの巨額の債権放棄をして、経済全体にどういう影響を与えたのかという点でもかなり問題があったんではないか。例えば、債権放棄を受けた、債務免除を受けた十社で、これはホワイトカラー中心ですけれども、リストラだけで一万人近く行われている。それぐらい失業者をふやしているわけですよね。さらに、株価はもう御存じのとおり、ゼネコンの株価というのはみんなもう惨たんたるものでして、債権放棄を受けた後、例えば佐藤工業は五十二円ですし、フジタが三十六円です。長谷工は三十六円、ハザマが四十七円、熊谷が七十三円ということですね。ちなみに、先週倒産いたしましたけれども、中堅ゼネコンの冨士工は六十円ですから、もうどのゼネコンも惨たんたる状況で、株価が全然上がらない。今、株価問題は大問題になっていますが、全体の株価を押し下げる、足を引っ張る役割をゼネコンが果たしているということも言えると思いますし、そもそも債権放棄をされたゼネコンの株をなかなか投資家は買わない。
 つまり、ゼネコンの経営の中身を見ますと、破綻が先送りされただけとか延命されているだけだというような判断も働いてみんな株を買わないということももちろんあるわけですが、株について言ってもそれだけひどいものですし、特にこれは公共事業のあり方で、きょうは議論いたしませんが、そういうゼネコンを救済するために公共事業が追加されるというようなことで、またさらに延命を図るというようなこともこの間行われてきたというふうに思いますし、公的資金の注入との関係でいきますと、銀行が債権放棄をやればやるほど銀行の自己資本が毀損していくわけですから、いずれ国に返さなきゃいけないところがまたおくれるとか、返せなくなるというようなことにもなるわけですから、どこから考えてもこのゼネコンに対する債権放棄策というのは私は失敗ではないかというふうに考えています。
 今後のこれからの最終処理においても債権放棄という言葉が随所にいろいろ出てきますけれども、同じようなやり方では非常に問題がありますし、債権放棄そのものが問題があるわけですけれども、今後どういうふうに考えておられて債権放棄ということが今議論されているのか。例えば、先週倒産した中堅ゼネコンの冨士工は、さくら銀行を初め幾つかの取引銀行に債権放棄、債務免除を要請したんですが、断られて倒産したわけです。ですから、銀行自身も、債権放棄というのは、取引先企業もゼネコンもうまく立ち直らせていないというふうに感じているんではないかと思います。
 つまり、債権放棄というやり方そのものが手段として行き詰まっていると私は思うわけですが、これからの最終処理の中で債権放棄についてどういうふうに考えておられるのか、大臣の考えをお聞きしたいと思います。
#213
○国務大臣(柳澤伯夫君) ゼネコンの御出身だそうで、非常によく事情に通じておられる立場からの御質疑をいただきまして、傾聴させていただきました。
 私ども、今回、不良債権のオフバランス化ということを考えて呼びかけをさせていただいているということはたびたび申し上げたとおりでございます。その場合に一体どういう方法があるかといいますと、私は、清算型の処理というのはやはり国民経済的にも非常にロスが多いということで、基本的には再建型の処理ということを目指していかざるを得ない、またいくべきであろうと、こういうように考えております。
 その場合でも、法的な再建型のものも先生御案内のようにあるわけで、昔から会社更生法あり、また今日では民事再生法ありというような状況でございまして、そういうことでも十分我々のオフバランス化の趣旨には合致するわけでございます。
 しかし、その場合に問題なのは、結局、企業が、問題になっている他の会社との関係で提携をしたりなどというようなことは一切その場合には考えられない。つまり、司法当局の俎上にのった企業について、これをどう処理するか、債権者について損失の負担をどのように配分するかといったようなことにとどまるわけでございまして、そういうところに一種の限界があると。
 それに対して、私的な再建型の整理ということになりますと、これはもう話し合いの問題でございますので、先ほど建設省さんが言ったように確かに、Aさんの問題を考えるときに、おまえさんBさんと一緒になったらどうですかというようなことは、それは行政の立場から直接には言えないまでも、あなたのところ一社だけで今後残っていくということよりも、どこか相性のいいところ、今までおつき合いのあるようなところと話し合いをしていかがでございますかというようなこともあり得るというのが、私的というか任意的というか、そういうものでの再建だろうと、こう思うわけでございます。
 ただ、その場合に非常に問題なのは、株主の責任というようなものが全くそこにあらわれてこないというようなところは、確かに、法的な処理に比べてかなり問題のあるところかなということは感じておるわけでございますが、そこはそこでまた何か工夫の余地がないか。必ずしも私、今それを具体的に頭の中に思い浮かべているというわけではないんですけれども、例えばいわゆる債務の株式化と申しますか、デット・エクイティー・スワップというような手法で株主の責任というものについてもしかるべき負担を考えてもらうというようなことはあり得ないのかというようなことで、若干そこに工夫の余地はあるのかな、こんなふうに思っているわけでございます。
 いずれにせよ我々は、これこれしかじか、この方法で行くんだというようなことではなくて、民事再生法あるいは私どもの私的な整理というようなものを通じて、できるだけいい環境を整備して金融機関の不良債権のオフバランス化というものと日本の企業の再生あるいは日本経済の再活性化というものをできるだけコンバインした形で成果を上げられたらいい、それにはどういう手法があり得るかということで今検討をしているということでございます。
#214
○大門実紀史君 法的整理ですとかなり影響が出ます。先ほどずっと債権放棄のお話をさせていただいて、それについてちょっとお答えいただけなかったんですが、具体的にきょうはゼネコンの話をさせていただいておりますので、銀行とゼネコンの間の不良債権処理の場合、私的整理という形になりますと、ゼネコンの中の例えばグループ、ハザマなんかやっていますけれども、子会社を半分に整理して、債権放棄を考えるかどうかというのはありますが、そういうようなやり方しかちょっとないような気が一つするんですが、銀行のゼネコンに対する債権放棄というのは、今、大臣の頭の中にはそういうスキームは考えておられないということですか、私的整理の中では。
#215
○国務大臣(柳澤伯夫君) 私的整理ということになりますと、債権者に何がしかの損失の分担というものがない形での整理ということは考えにくいわけでございまして、そういたしますと、その損失の負担ということは、具体的に言えば、債権者たる金融機関の場合には債権の放棄ということにならざるを得ない、それしかないわけでございます。そういうことをしかしやりながら、それ自体としても経済合理性がある、同時に、今申したように、当該の企業あるいはそれと連携を結ぶような企業といったようなものの再生というようなことをあわせて実現するにはどういう手法が一番いいんだということを今考えさせていただいているという段階でございます。
#216
○大門実紀史君 余り詰めて伺うつもりはないんですが、結局、ゼネコンの場合、私、何度も申し上げますけれども、何らかの再編といいますか、分社化も含めて、子会社の整理も含めて、そういう中で債権放棄という形がかなり有力な手段に、今考えておられるということですが、なると思うんです。
 その場合、きのうの予算委員会で我が党の小池議員が柳澤大臣に質問させていただきましたけれども、大臣は明確に、銀行がゼネコンなりなんなりに債権放棄するときに、それを支援するための公的資金の再注入はないんだというふうにお答えになりましたけれども、それをもう一度確認させていただきますが、そういうことでございましょうか。
#217
○国務大臣(柳澤伯夫君) 要するに、資本注入というものがなぜ行われたかということをやっぱり思い出すべきだろうと思うんです。あの場合にそんな異例なことが行われたのは、明らかにほとんどすべての金融機関が過少資本に陥っているんではないか、そういうようなことが国際的にも、場合によっては国内的にもマーケットでいろいろ取りざたをされて、現実に資金の調達がうまくいかないとか、そういうようなところがあらわれてくるというようなシステムとしての危機があったので、そこで資本の注入をしますよ、しかもその資本の注入というのは押しなべて行われたわけでございます。
 そういうことを前提にして、これから資本の注入が行われるかといえば、それは私は、基本的には、再びシステムとしての危機が起こらない限り行われるべきではないし、またその必要もないだろう、こう考えているわけでございます。A、B、C、Dとずっとたくさんの銀行がある中で、Aだけが過少資本に仮に陥るというようなことが、私はそういうことを考えておりませんが、仮にあった場合に、これはそれじゃ資本注入すべきか。私、全然そういうふうに思っておりません。そのことを申し上げたということです。
#218
○大門実紀史君 わかりました。
 不良債権最終処理にかかわる具体的な方策はこれから出されるということですが、公的資金注入の問題はわかりましたけれども、何らかのインセンティブといいますか、枠組みだけ示してもなかなか実態は進まないという現実もまたあるかと思いますが、そういうインセンティブなり誘導策というようなことの中で、国民負担を伴うようなスキームといいますか、誘導策は考えておられませんか。それもあり得ることかということをお聞かせいただきたいと思います。
#219
○国務大臣(柳澤伯夫君) まだ考えている途中だということでございますので、私どもも、頭の中に何かスキームがあって、それを発表の時期まで待とうというような状況でしたら何か物を申し上げることもできようかと思うんですが、今はまだそういう段階にないわけでございます。
 ただ、先生が国民負担というお言葉で表現されたものがどういうものであるかちょっとよくわからないわけでございますけれども、私どもとしては、環境整備の中に税にわたるようなことはあり得るということは申し上げておかざるを得ないと思います。
 例えば、債権放棄でも、関係の複数行が全部打ちそろってオーケーを出したら損金に認めるとか、しかしそうでなければ損金として認めない、むしろそれは過剰支援というようなことで、これは損金の算入を認めないというようなことがどうもあるようなんでございますけれども、もちろん、世間が納得するようなスキームがかわりにそのほかにできていなければ、これは我々としても認めるわけにはいかないんですけれども、どちらかというと、司法であるとかあるいは税法というのはかなり形式論理で公正を追っかけるというようなところがございますが、私どもがこれから考えるところは、若干それを緩やかにして、先ほど言った産業の再生とかそういうものの実現をひとしく重視していきたいと。
 そういうことの中で、若干その負担に、例えばプロラタを離れたような負担ということも当然あり得るわけで、それをすぐに損金算入だというようなことでやらないように頼むというようなことがあるいはあるかもしれぬ、そういったたぐいの問題があるかもしれぬと、そのことは申し上げておきたいと思います。
#220
○大門実紀史君 恐らく無税償却関連のことを想定されているんだと思いますが、いずれにせよ、具体的な方策が示されたときにまた議論をさせていただきたいと思います。
 いずれにせよ、そもそもこのゼネコン、特にゼネコン、不動産、建設関係の不良債権というのはバブルのツケから始まって、それが後から地価の下落だとか受注減だとか株の問題とかで膨らんだと。大体、銀行とゼネコンの責任は、僕は大もとはそこにあるというふうに考えておりますので、国民に負担を背負わせてそれを処理するということだけは我が党としては引き続き反対していきたいということを申し上げて、私の方の質問は終わります。
#221
○池田幹幸君 日本共産党の池田幹幸です。
 最初に、株式買い上げ機構、今論議されました不良債権の処理と並んで政府・与党の緊急経済対策の目玉になっております民間ファンドによる株式買い上げ機構のことについて伺いたいと思うんです。
 ただ、これは民間ファンドによるというふうに発表されたんですけれども、その後、公的資金が注入されるのかどうかとかいろいろありました。私、公的資金の話が出たら、もうこれは明らかにPKOじゃないかというふうに感じたんですけれども、いや、株価対策じゃないんだというふうな話もあり、そしてまた、これは金融システムの不安解消のためだとかいろいろ言われております。
   〔委員長退席、理事勝木健司君着席〕
 まず最初に、一体この設置目的は何なんだということを端的にお話しいただきたいと思います。
#222
○国務大臣(柳澤伯夫君) 設置目的といっても、まだ設置されたわけではないのでございますけれども、与党三党の緊急経済対策の中に、今、先生御指摘のように、「一、金融再生と産業再生の実現」というのがございまして、冒頭は「不良債権の的確かつ迅速な処理」というのがございまして、それに引き続いて二に「民間ファンドによる株式買上機構の創設」というものが掲げられたわけでございます。
 これは、今先生御指摘のように、民間ファンドによる株式買い上げ機構ということでございますので、私どもとしては、何といっても民間のイニシアチブと民間のファンドの利用による仕組みであろうというふうに考えておりまして、ただいまは民間サイドにこの案を投げかけて、その考え方をお聞きしながら、どのような案が考えられるのかというようなことを検討しているところでございますが、基本的に、今先生がおっしゃったようなPKOとかなんとかということではなくて、やっぱり市場原理を基本として検討されるべきものである、このように考えておる次第です。
#223
○池田幹幸君 私、設置目的は何なんだというふうに伺ったんですが。
#224
○国務大臣(柳澤伯夫君) 大変失礼しました。
 もしそういうことであるならば、ここに掲げられている場所等から推察、推測するのがよろしいんではないかと、このように思いますけれども、金融再生ということとの絡みであれば、ここにも書いてございますが、銀行の持つ株式というもの、それを持ち合いを解消することに伴って、それがどういうふうに市場に影響するかというようなことがるる書かれておりますので、それの受け皿として考えられているのではないか、このように考えております。
#225
○池田幹幸君 かなり第三者的な言い方をされたわけですけれども、政府・与党の会議が十五日に緊急対策本部を持たれて、報道によりますと柳澤大臣が金融庁に対してその具体化を指示したというふうに出ております。そうじゃないんですか。私、一昨日、金融庁に来ていただいてお聞きしたんですけれども、金融庁の方はそういう指示はいただいていると。ただ、どうしていいのか苦慮しているという話もありましたが、実際、大臣は指示されていないんですか、具体化の指示は。
#226
○国務大臣(柳澤伯夫君) こういうように政府・与党の方から言われたわけでございますから、当然民間の方々の意見が中心になるわけでございますけれども、それについていろいろと聴取をして、そのまた緊急経済対策本部というものがつくられておりますので、その本部に、こういうことかと思いますと、仮にそういうものができたとしたらですね、そういうことを出すのは私どもの任務だということになりますので、そういうものとして、民間の意見を聞きながら何か考えられないかということで検討させていただいている、こういうことでございます。
#227
○池田幹幸君 PKOでも株価対策でもないんだというお話でした。
 そうすると、書かれておるような金融システム不安の解消ということを目的としてやるということになるんですか。民間にいろいろ聞いてということですけれども、政府・与党で考えておることを、何をやろうとして民間にヒアリングしておられるんですか。
#228
○国務大臣(柳澤伯夫君) 結局、ここに書かれていることは、銀行の保有株というものをほかに移転するということでございます。それで、銀行としては持ち合い株の解消にそれが結果としてなると、こういうことが基本でございます。
 結局、ですから、その株式はどこかに受け皿が必要なわけでございまして、その受け皿の構想の一つとしてこういうことが検討の俎上に上っていると、こういうことでございます。
#229
○池田幹幸君 じゃ、もっと端的に伺いますけれども、銀行の持ち合い株を移転させると、移転させるというのはなかなか難しい言葉ですが、いわば買い上げ機構で買い上げようということだと思うんですが、そういうふうなことをやれば金融不安の解消につながるんですか。
#230
○国務大臣(柳澤伯夫君) 金融不安というふうに先生がおっしゃられると、私もちょっと心理的な抵抗を感ずるわけですけれども、ありていに言って、昨年の十一月過ぎごろから株式が急激に低下したことによって、現実に世の中では、当たっているとかいないとかということではなくて、これで金融不安が起こるんだみたいな議論が行われたわけですね。そういうような意味合いでは、銀行の保有株がそれだけ減少すれば、株価に影響する程度というものがそれだけ減じられるということにはなろうかと思います。
#231
○池田幹幸君 そうしますと、要するに銀行保有株の価格が下がって銀行の経営不安につながらないようにしようということで、そのために移転しようということになっているわけですが、買い上げてもらおうということですが、そうすると、経営不安に至らないようなところまでの価格下落を食いとめるとしますと、銀行保有株はどれぐらい買い上げなければいけないんでしょう。理論的に言えば、経営不安がなくなるというふうにするためには、もう全部買い上げるということになると思うんですね。
 全部買い上げるというと、大体、報道を見ますと、今の銀行の保有株四十兆円ぐらいある、四十兆全部買い上げるのかと。かなり現実的でないと思えるんですが、そうすると、経営不安につながらない程度に買い上げるというのはどれぐらい買い上げればいいというふうにお考えですか。
#232
○国務大臣(柳澤伯夫君) 私、経営不安とかなんとかということには心理的な抵抗を感じますし、それから、取りざたはされましたけれども、現実の金融機関の例えば自己資本比率への影響というのはかなり限度のあったものだということはたびたびここで申し上げましたので、今日のような保有のレベルであっても、それはもうカタストロフィーみたいなことが起これば別でございますけれども、たびたび御答弁申し上げたように、昨年九月の株式相場から二割仮に株式相場が減じたということであっても、それも連動率多分一〇〇%だったと思うんですけれども、現実の連動率というのは、実は今の日経の平均をとりますと、連動率は大体七〇%ぐらいと言われているんです。ですから、二割落ちたとしても一割四分ぐらいしか響かないと。どちらかというと、オールドエコノミーの株式を中心にして保有されていると。株式保有の株の構成ですね、こういうものがちょっと日経平均とは違うということがあるわけでございまして、いずれにせよ、現在であってもその程度のものだということでございますので、不安を解消するためには全部が必要なのかとか、あるいはどれだけ必要だとかという問題ということは、私ども今先生がおっしゃるような意味で実は考えておりません。
 ただ、一般的に私どもは、例えばドイツなどはコアの自己資本の六割を限度としているというような話も聞きますし、あるいはコアの自己資本と等額ならば、価格変動リスクを持った資産でも持っていていいじゃないかというような議論もあるとか等々いろいろ聞かされているわけでございますが、我が国の株式保有の状況がいかにあるべきかということについて何か結論めいた固定的な考え方を持っているかといえば、一切持っていないという状況です。
#233
○池田幹幸君 経営不安とか金融システム不安という言葉は抵抗あるとおっしゃるんですが、前回の当委員会でお隣の浜田委員が質問なさって、そのときに銀行保有株、主要株の株価下落による目減りはどれだけになっているんだと伺ったら、五兆円から九兆円という答弁でしたね。それぐらい減っているわけですから、今の一割四分程度というのはそんなに低いのかなと私は思いますが、現実の問題としては五兆円から九兆円目減りしておったということですね、あの時点で。また少し株価が戻ってきているからそれはよくわかりませんけれども、そういう状況にあります。
 そうしますと、どの程度買い上げるかということでいえば、要するに株価下落が銀行の経営に響かないようにしようと思えば、保有株をゼロにすること、つまり全部買い上げること、これ理論的にはそうですよ、理論的には必ずそうなりますね。
 そこで、そうしますと、全部でないにしても、株の買い上げの規模というのは相当大規模なものにならざるを得ないわけですね。そうしますと、これは株価対策ではないとおっしゃるんだけれども、これは株の価格形成には非常に大きな影響を与えざるを得ないと言えると思うんですが、どうですか。
#234
○国務大臣(柳澤伯夫君) どうも池田先生のお話はちょっと私よりもテンポが速いような気がいたします。まだそういう保有機構というようなものがつくられるのかどうか、つくり得るのかどうかという意味でつくられるのかどうか、そういうようなことも少なくとも私には判然としていないわけでございます。そういうことで御質問になられるのに私がやや素直にお答えすると、いかにもそれを考えているかのような話になって、どうもその気には私はならないんでございます。
 ただ、理屈からいえば、需給関係でだけで、供給量を減らせば需給関係に影響を与えるのは、これは私も経済学を習った人間として、それはそうだと言わざるを得ないと思いますね。
#235
○池田幹幸君 何か人ごとのようにおっしゃるけれども、政府・与党緊急経済対策本部で決めて、具体化をわざわざ大臣も指示されて、そういう問題なんですからね。しかし、柳澤大臣の今の答弁は私もそうだろうとは思っているんです。というのは、そのヒアリングなさった結果、やってくださいと言った金融機関はあったんでしょうか。
#236
○国務大臣(柳澤伯夫君) いや、それは、ここで私はもう一貫して言っていると思うんですけれども、そういうものに積極的だった、積極的という意見は聞いておりません。
#237
○池田幹幸君 ただ、民間ファンドによるということになっているから積極的でないと思うんですね。非常に微妙な言い方を西川全銀協会長などはなさっているわけですね。
 要するに、この問題については、「保有株式を機構と市場のどちらに売却するかは、株式を保有している銀行や企業の自由でなくてはならない。」とまず一つおっしゃる。で、「機構への売却を市場価格で行って、売却後の価格変動リスクをいずれの形にせよ元の保有者が負担するということは到底できない。」ということもおっしゃるわけですね。さらに、「現在の株価水準では含み損を抱える銘柄が多く、実際にどれくらいの売却が行われるかが不明である。」、三つぐらいのことをおっしゃっている。
 つまり二番目のところでいえば、裏を返せば、買い取ってもらうけれども、しばらく凍結して、損が出たらもとの保有者、つまり銀行がその損を負担するというんじゃこれはだめだと言っているわけですね。裏返せば、公的資金という話が出ているけれども、それでやってくれるんならいいと、そういうことだと思うんです。
 現実に、「私ども金融機関から、株式を売却した後の下落リスクを国に負ってくださいということは、とても申しあげることはできないと個人的には考えている。」とおっしゃっているんで、自分の口からは言えないというだけのことで、それをやってもらえるんならやってくださいということじゃないんですか。そういうヒアリングの結果があるんじゃないでしょうか。
#238
○国務大臣(柳澤伯夫君) そういうヒアリングの結果というふうに先生がおっしゃられたんですが、あるいは先生のお持ちの資料にも、対象はその場合に金融機関の持っている保有株だけではなくて全産業界ということになっているんじゃないでしょうか。ですから、そういう意味では話の筋としてはすれ違いが起こっているということだろうと思っています。
#239
○池田幹幸君 いやいや、後ろの方は金融機関ということ、明確に「金融機関から」と言っていますから、全産業じゃなしに、全銀協会長。
 株の買い上げが銀行の保有株だけなのか、それとも持ち合い解消で産業側の株も買うのかという議論があったというのはありました、いろいろと。しかし、ここで今私が読み上げたのは、銀行の保有株式を買ってもらうということについての意見を聞かれてそういうふうに答えているんですね。だから、銀行としては、銀行が金を出して買い上げ機構をつくり、民間だけで処理しなさいと言われるのなら私のところはだめですと、だけれども、国がやるというんなら結構ですと。ただし、銀行の側から国にその負担を負ってくださいとは言えないがと言っているわけですから、要するに、そう言いながら、実際は税金で面倒見てくれるなら、公的資金で面倒見てくれるならお願いしますと言っているのに等しいじゃないですか。
#240
○国務大臣(柳澤伯夫君) 私どもから与党の方に説明をさせていただいておる銀行界の考え方というものによりますと、銀行界としては、以下の点が満たされることが議論の大前提ということで、対象は全産業界ということになっていると、こういうことでございます。買い上げる株式の所有者は銀行だけではなくて全産業界だと、こうなっていますということです。
#241
○池田幹幸君 そのヒアリングの結果という、まとまったものは私は伺っていませんでしたけれども、それはそれであるんでしょうが、少なくとも全銀協の会長としての記者会見を見る限り、ずっとこういう形になっておるということですよね。
 だから、じゃどっちなんですか、今政府・与党で考えておられたのは。全産業の株の買い上げだったんですか。あれを見ると、どうしても私は銀行の保有株の買い上げとしか政府・与党緊急経済対策本部の文書からは読めないんですけれども。
#242
○国務大臣(柳澤伯夫君) いや、私も、この政府・与党の緊急経済対策というのは、金融機関の保有株の問題だろうと、こう思って聞いております。
 それに対して、銀行界の希望というか、それが前提ですよと言っているのは、全産業界の株式だということになっていますから、議論の筋が食い違っているんではないかというふうに私は見ていますということを先ほど申し上げたわけです。
#243
○池田幹幸君 この話は、政府・与党緊急経済対策本部が終わった後で、柳澤大臣が記者会見されて話されたことで出てき始めた問題なんですよね。
 それで、宮澤大臣は、なかなか難しいんなら財政で面倒見ることも考えないではないというふうにおっしゃったと。そこで、それは公的資金投入のことじゃないかということでわっとなったんですね。宮澤大臣も、いやそうじゃないという弁明もされました。そういう経緯は確かにあるんですが、今の全銀協会長などの話という形で進んできまして、金融システム不安解消だとおっしゃったにしても、こういう機構をつくれば、株が下がればその損失の部分は結局国民にしわ寄せが来るということになるじゃありませんか。まだそこまで話が進んでいない、私の方が進み過ぎたとさっきおっしゃったけれども、しかし、これを突き詰めていけばもうそういう方向は見えているじゃないですか。
   〔理事勝木健司君退席、委員長着席〕
#244
○国務大臣(柳澤伯夫君) 先生が今みずから問われ、みずからお答えになっていたとおりでございまして、やっぱり話の進行が速過ぎるという感じで、私は、ちょっとそのテンポにおつき合いすると無用な誤解を招くんではないかと危惧する次第です。
#245
○池田幹幸君 与党の中には、銀行が嫌がったら強制的に買い上げようというふうなことまで出ておったと。それから、これはけさの新聞ですよ。自民、公明、保守、与党三党は株式買い上げ機構に関する作業部会を開いたと。そこでいろいろ議論があって、私が最初にお尋ねしたところがここで問題になっているんですけれども、まず金融機関の保有分に限って買い上げようということが一つと、あとは、全部買い上げるのか、いやいや、そうじゃなしに、どこか上限をつけて買い上げようじゃないかというところまで話が行っているじゃないですか。
#246
○国務大臣(柳澤伯夫君) 党のことは、私そこに立ち会っておりませんので何とも申し上げかねるわけでございますけれども、私どもとしては、党からこういうある種宿題みたいなものをいただいたということで、民間の方々の意見も聞きながら、何ができるのかということについて現在いろいろ検討中であるということでございまして、それを、党の方の検討の状況を踏まえまして私どもにいろいろ御質疑があってもなかなか答えにくい、私どもはまだ全く検討している段階だと、こういうことでございます。
#247
○池田幹幸君 それでは、その検討のまだ初期の段階だという宮澤大臣に伺いますけれども、私は、資本主義のもとでも銀行が株式を保有するということについては反対なんです。これはもう禁止すべきだと考えているんです。しかし、政府が、実際に銀行が保有してよろしい、五%条項があったにしても一定の限度を設けて保有してよろしいという立場に立っている以上、株のリスク、これは一〇〇%銀行に責任を持たせるべきじゃないですか。少なくとも、この間の議論を聞いていると、そのことがどうも忘れられていると。柳澤大臣は少しニュアンスの違うことも言っておられますけれども。
 少なくともこういう買い上げ機構をつくれば、その量の多寡はともかくとして、市場価格形成、要するに市場における株価形成、これに介入する、価格形成をゆがめるということになることは間違いないし、ゆがめておいて損したら、結局は銀行の責任を少し免除してやるよ、あるいは全面的に税金で見てやるよというような結果に向かうとしたらとんでもないことじゃないですか。
 つまり、柳澤大臣、これから考え始めるとしても、こういう方向はだめだという考えに立つべきじゃないかと私は考えるんです。いかがですか。
#248
○国務大臣(柳澤伯夫君) ですから、先ほども申し上げましたように、どのような案が考えられるか検討いたしておりますが、その場合にも市場原理を基本として検討すべきであると考えておりますと申し上げました。
#249
○池田幹幸君 それを貫くということは、また先走っているかもしれませんが、公的資金は注入しない、PKOのようなことはやらないというふうに理解していいんですか。
#250
○国務大臣(柳澤伯夫君) 財務大臣から、あのときに、何らかの公的な支援をすることも考えた上でスキームを検討してみたらどうかと、こういうお話があったわけでございます。
 したがって、私としては、今の先生のお話も十分わかります上に、さらに市場原理を基本として検討すべきだというふうに我々は考えておるわけでございまして、そういうことをもろもろ総合して、何が考えられるのかということを今後とも考えていきたい、このように考えております。
#251
○池田幹幸君 ちょっともう時間も迫ってきましたので、余りこればかりやっていられないのですが、要するに、証券税制も今度の緊急対策で考えておられると。今度の予算では、株の譲渡益課税、これについて源泉分離方式を二年延長というふうに法律に載っかっていました。今度の租特の中に入っています。
 そういう論議をしている最中に、またまた政府・与党の方で、この国会が終わったらすぐまた有価証券に関する税制を大幅に変えると。あの中身を見ると、ずらずらとえらい詳しく出ていますよ。これはちょっと、今審議している最中に何ということだというふうに思うんですが、これは株価対策のためには絶対必要なんだと、あそこはちょうど株価対策の欄に出ていました。これはやるおつもりですか。
#252
○国務大臣(柳澤伯夫君) これは私、この委員会だったと思うんですが、率直に言いまして、今は政府一体で御審議をいただいている立場でございますけれども、もうちょっと前の経緯を申しますと、私どもは財務省当局に対してこの株式に係る税制の要望をした立場の役所でございます。
 そのときにはどうだったかというと、先ほどお触れになられた、まさに党の緊急経済対策に掲げられていたようなことを中心として実は要望しておったということでございまして、それを受けて、与党かあるいは自民党のみかもしれませんが、あの税制改正の大綱の検討事項にはこういうことも検討をしなきゃいかぬことだということで、いわゆるあの検討項目の中にこれが掲げられているという事実がございます。
#253
○池田幹幸君 つまり、こういう形での株価対策をやっていこうということで理解していいんですか。これはやっぱり株価対策でしょう、あのずらずら並んでいる税制改正の方向は。
#254
○国務大臣(柳澤伯夫君) 私どもの要望はどういう考え方であったかというと、本当に資本市場というものを日本に中長期的に構築するためにこういう税制が枠組みとして必要なんだという考え方で税制改正の要望をいたしました。与党三党の緊急経済対策も、証券市場等の活性化対策ということであって、株価対策という言葉は、私は注意深く避けられているのだろうと、このように読み取っております。
#255
○池田幹幸君 今言われました中長期的にという話がありました。市場の活性化、恐らく個人投資家の参入をもっとふやしていこう、そういうお話だろうと思うんです。確かに、個人の持つ金融資産に占める株式の割合、これを見ますと落ち込んでおりますね。落ち込んでいますけれども、しかしそれは額で落ち込んでいるのであって、株価が落ち込んだら当然額としては下がります。
 この個人投資家の数というのは、統計を見ると、これは金融庁からいただいたんだけれども、落ちていないんですよ、市場に参入している投資家の数は。そういう点からいうとちょっとその方向が違うかなと私は思うんです。もし個人投資家をふやして市場を活性化しようというふうに考えるのであれば、これはちょっと話は別のところにあるんじゃないか。
 私、前回の質疑でも紹介したんですけれども、証券広報センターが行っているアンケート調査、これで要するに出てきていることは、市場が全く信頼されていないということでした。もう余り繰り返しません。八二%の回答者が証券会社の営業姿勢は顧客の利益第一ではないと言っているんですから、本当に全く信頼されていないんですよ。そういう状況に今あるということなんです。そういうことであれば、やらなくてはならないことははっきりしているんじゃないか。
 このことを私は前回質疑させていただいて、大阪証券取引所の実例を挙げました。いろいろ聞いてきましたけれども、金融庁も証券取引等監視委員会も、全くわかったようなわからないような答弁でした。あの前回、私、大臣には最後伺わなかったんですけれども、この姿勢を続けておったんじゃもうだめだろうと思うんですよ。第一、私は非常に具体的に具体例を出して挙げましたので柳澤大臣も覚えておられると思うんですけれども、あれは要するに、株価操縦とまではいかなくても、仮装売買というのをやったことは事実なんですから、そういうとんでもない事件なんです。しかも、それを一証券会社だけがたくらんでやったんじゃなしに、取引所の今理事長になっておる人、これが当時は一証券会社の社長だった。取引所の理事長、これが中心になって関連会社をぼんぼんつくった。これはついでに言えば大蔵OBですよ。こういうことをやったことによって信頼も失ってきたし、そして、少なくともある点では自浄作用があったんでしょう、そういうことをやった理事長と副理事長は追い出されたと。しかし、非常に中途半端だと私は思っているのです。
 前回紹介したところでありましても、光世証券という会社が、大阪証券取引所の関連会社のロイトファクスというところとか、あるいは日本電子証券、こういったところで仮装売買をやったわけですから、前回、調査するともしないともうやむやに答弁なさったんですけれども、きょうは大臣に、前回のこともお聞きになっておられたと思うので、これはきちんと調査をして、本当に市場の信頼を取り戻す、そういった行動に移るべきだと思うんですが、いかがでしょう。
#256
○国務大臣(柳澤伯夫君) まず、総論というか一般論で申し上げますと、先生がおっしゃるように、私は、個人投資家に株式、あるいはその他の有価証券を含めてですけれども、そういうややリスクのある金融商品に対して関心を持ってもらうということが必要だと思いますけれども、そのためには、単に税制とか税の負担であんばいをすればそれが実現されるというふうに思うのは誤りだと思っております。
 私も、証券会社の姿勢であるとか、あるいは発行会社ですね、事業会社です、事業会社の株主等に対する重視の経営姿勢、あるいは財務の政策、そういうものが相またないと、ただ税の負担だけ何とかまけてやれば個人の皆さんが出てくれるというようなことを考えたら、それは誤りだと。ですから私は常に、ういうことを含めた総合的な政策の一環として税の問題も取り上げなければもう誤るだろうと、このように私自身も考えているわけでございます。
 そこで、先生のかねての御質問でございますけれども、これにつきましては問題が二つあって、大阪証券取引所と関連の会社の問題というものと、その関連会社と通常の民間会社との取引の問題、こういうふうに二つあろうかと思うのでございます。
 大阪証券取引所の問題については、我が方から、業務改善の計画を出すようにということで、そういう指示を出したわけでございます。彼らは、その改善措置についての指示を受けまして、その前提の部内の手続として調査をしたと、こういうことのようでございます。その調査に基づいて、今言ったような問題についての対処を、今先生がお触れになられたような一定の措置でもってこれにこたえたというふうに私は理解をしているところでございます。そして、今先生がおっしゃったように、理事長、副理事長の退任、あるいは関連会社の整理とか、公益理事の増員とか諸規則の制定とかもろもろあるわけでございます、再発防止のためのいろんな措置があるわけでございますが、そういう改革を実施したということでございます。
 もう一つの問題の、個別の企業の取引にかかわる問題につきましては、これは先生御承知のとおり、私どもとしては市場監視委員会にそれを通告して、こういう問題があったぞよということを知らしめたと、こういうことでありますが、それ以上の問題については、これは監視委員会が個別の取引の問題についてどういうことをなさるのかなさらないのか、あるいはなさるとしてどんなことになるのか、これについては私がここで申し上げられる問題ではない。いつものことでございますが、個別問題については、特に今その問題が進行中でございますので、私として申し上げる立場にはないということでございます。
#257
○池田幹幸君 きょうは証券取引等監視委員会に来ていただかなかったのでそれは置いておくとして、金融庁の側としては、これは十分に取引所の側に連絡をして調査報告書も出させて検討もしたんですよね、なさったんです。十分な資料を持っておられるわけですよ。その仮装売買の件についても十分握っているはずなんですね。この光世証券の問題についてはかなり有名ですし、そんなこともその報告書を出させて聞かなかったとしたら金融庁の怠慢だと私は思うんですね。そんな資料は当然オープンにしていいんじゃないですか。それは出せませんか、報告書とか、そのような仮装売買の。私、前回、一つ資料をお見せしましたけれども、あれはほんの一部ですか。
#258
○国務大臣(柳澤伯夫君) これは、我々の関心事は改善措置にあったわけです。我々は別に調査をしろとかそういったことを言ったんじゃないんですね。部内の問題として措置をとるに当たって彼らは調査をしたのでございましょう。そういうものなんです、性質としてですね。ですから、我々が期待をしているのは措置であって、その措置が行われたということであれば、我々としてはそれを評価すべきであって、それが十分かどうかということでありますが、先ほど言ったように、まずこの措置でいいだろうと、こういうことでございまして、調査というのはその大阪証券取引所の部内の調査であって、手元にあるのかどうか知りませんが、みだりにそんなものを公表すれば、それはやっぱり、そういう筋合いのものではないだろうと私は考えます。
#259
○池田幹幸君 出せないということのようですが、しかし、改善を命じた、自主的に調査をして方向を出した、一定の処分をやったと。ところが、その結果がきわめて不十分だ、問題を残したということを私は申し上げたんですよね。
 私が申し上げているのは、光世証券の元社長、今の大阪証券取引所の理事長、この会社と関連会社とで仮装売買をやったんですよ。こんなことをほったらかしておいて改善されましたというふうに金融庁が言っているんだとしたら、これはとんでもないことだと私は思います。
 委員長にお願いしたいんですけれども、少なくともこの資料、調査報告書とそれからロイトファクスの顧客勘定元帳、これを出していただければはっきりすることですから、本当に公正な市場を形成しよう、その責任を負おうというふうに考えておられるなら金融庁としてやるべきだし、当委員会として当然それを取り寄せるように計らっていただきたいと思います。
#260
○委員長(伊藤基隆君) ただいまの件は、後日、理事会で検討いたします。
#261
○池田幹幸君 時間がなくなってきましたので、NPOに関して、もうほんの一、二点しか伺うことができませんが、伺いたいというふうに思います。
 櫻井委員の議論の中でかなり出尽くしていたんですけれども、要するに、NPOを税制上の支援措置をとろうということは、このNPOの活動を活発化させよう、そのことが日本社会においても非常に有意義なことなんだと、そういう考え方で支援しようということは、その点ではだれも否定していないわけです。
 ところが、その考え方に基づいてやったと言われる今度の租税特別措置法の中のNPO関連の税制は、これは余りにも認定要件が厳しくて、ほとんど現在のNPO法人、先ほども櫻井さんは数%程度とおっしゃったんですけれども、政府はそれについても全然まだわからないという、こんな無責任な話は私はないと思うんですけれども、そんな状況にあると。しかし、現実にNPO法人から要請が同僚委員の方々にも来ていると思うんですけれども、連日ファクスがどんどん来ていますよ。今度の政府法案じゃだめだ、我々NPO法人はほとんど認定されないという要請、これじゃだめだという要請が来ています。これを見ても、いかに今度の政府の法案が、一言で言えば仏つくって魂入れずという感じになっちゃっているというふうに思うんですが、再度、どのようにお考えなのか、まず財務大臣に伺いたいと思います。
#262
○国務大臣(宮澤喜一君) 今朝も、これは随分長く御質問もあり、お答えも申し上げましたし、また四党の御提案というものもあって、江田議員からも御説明がありました。要するに、私どもは、NPOというのは将来いろんな意味でもっともっと活躍をするであろうし、またそれが望ましいことである。我が国においても、アメリカのほどではありませんけれども、そういう趨勢にあって、この際、長年の問題でありましたこの寄附金の問題を法制化するということで案を御審議願っておるわけであります。
 御批判はいろいろ先ほど承りましたし、お答えをいたしましたが、もっともっと寛大な緩い基準で寄附金の免税を認めるべきである、それによってこの人たちの活動をもっと助けるべきである、大体はそういう御主張でありまして、将来の社会に貢献する力になっていくと私どもは信じますし、また望んでおりますけれども、何分にも税金というものの犠牲において援助を行うということになるわけでございますから、それについては、国としてはやはり一定の基準をもって判断をせざるを得ない。また、新しい何か機関を設けて判断をするということも、事実上これは税についての行政に関することでございますから、それは国税庁がやっぱり判断するのが適当ではないかといったようなことで私どもの御提案を申し上げていると。パブリック・サポートがどういうぐらいであれば十分であるとか、あるいは個人支配がどうであるとかいろいろ問題がございましたけれども、大体御議論はそういうところでございました。
 それで、私からは、いろいろ御検討をいただいて、御意見も伺って、それは確かに傾聴をいたしましたと。ともかく、しかし政府がせっかくここで一つ決心をしてこういう施策をいたすのでございますので、いろいろ御議論のあることは将来にわたって十分記憶にとどめておりますが、まずこれで発足をさせていただくことが、物事がやはり税金の免除ということでございますので、そういう意味では公的な意味合いを持っておる、したがって公的な性格を持った援助だと我々は考えると、そういうことを申し上げたわけでございます。
#263
○池田幹幸君 パブリック・サポート・テストとおっしゃったんですが、伺いますと、例の二%条項ですね、総収入に占める寄附金総額三分の一以下であればだめというふうなこととか、その寄附金総額を算定するに当たって一人の人間が二%以上はだめだとかいろいろありました。これ、どこから引いてきたんだと言ったら、アメリカのやつを参考にしたと。二%という数字もそのようでした。私たち、パブリック・サポート・テストというのは賛成なんです、そのやり方には。やり方には賛成なんですが、それは日本の実態に合った形でやらなければ、既にNPOが非常に発達しているアメリカの基準をそのまま日本に持ってくるというのは、これはやっぱりむちゃだろうと思うんです。
 現実に、これは日本NPOセンター事務局長の方がいろいろ書いておられますけれども、そういうふうな、もう三分の一とか二%とかあるいは三千円の足切りとか、こんなのはだめだと。またさらに、きょう議論のなかったのを一つだけ紹介しておきますけれども、NPO法人の役員や社員の寄附金については、寄附総額の二分の一を超えると算入しないと、こういうのも変だと。多くのNPO法人の寄附集めに率先してこたえるのが役員や社員ではないか、そこが固まってこその税制優遇措置と他者への募金の働きかけだと言っているんです。だから、ほかの人に寄附してくれというときに、自分は全然寄附しないではだめなんだということで、また、小さなところではあっという間に二分の一になるんですよね。そういうことですから、やってみて考えるということではなしに、やはり今の時点で考え直すということが大事だということを申し上げて、終わります。
#264
○大渕絹子君 NPO法案の話が出ていますので、私もちょっと順番を変えまして、最初にNPO法案のことを聞きたいと思います。
 今、池田理事と大臣とのやりとりを聞いておりまして、認定要件が非常に厳しいので、その認定されるNPO法人がどれだけになるのかというのが今のところわからないというようなことを朝から御答弁になっているわけですけれども、そういうことでしたら、実態がわかるようなパブリックコメントみたいなものを募集するようなことは、調査をするというようなことはできませんでしょうか。
 実態を調査して、どれだけのNPO法人がこの今回の法案に該当するのかというようなことをきちんと調査をしてみることが必要ではないかと思いますけれども、事務方の方、いかがでございましょう。
#265
○政府参考人(尾原榮夫君) 今回、NPOの寄附金の優遇税制の措置を御審議いただいておりますが、今お話し申し上げましたように、どの程度の法人が要件を満たし、どの程度申請をするのか確たることは申し上げられません。
 それで、今回、具体的な認定基準はできるだけ客観的かつ明確でなければならないということでお示ししているところでございまして、それに沿って積極的に活用していただくということを期待しているわけでございます。私ども、既に具体的認定基準を出しておりますが、できるだけ早く政令、省令の作業にもきちっと着手していきたいと、こう思っているわけでございます。
#266
○大渕絹子君 それでは、今回のこの議論を踏まえて、できるだけ多くのNPO法人が適用になるような条件づくりといいますか、そういうものをしていただきたいというふうに思います。そのことを要望しておきたいと思います。
 それで、野党の法案についてちょっと確認だけさせていただきたいと思います。
 ボランティア活動に関する費用を支払った場合等の寄附金控除の特例について規定する租税特別措置法第四十一条の十六において、特定非営利活動法人または民法第三十四条により設立された法人で公益の増進に著しく寄与するものとして政令で定める活動とありますけれども、著しくとするのは、地方税法改正法案の方の第三十四条あるいは第三百十四条の場合の取り扱いと比べて厳しい要件を課しているものと考えますが、その理由をまずお聞かせいただきたいと思います。
#267
○委員以外の議員(江田五月君) この関係は少し説明を要するのであります。
 NPO法ができて二年以内に税を検討すべしという附帯決議に基づいて、私ども、全国のNPO団体の皆さんといろんな話し合いをしてまいりました。そうした中で、NPOに外部資金が集まってくる税制をつくってほしいということのほかに、NPOが行う例えば阪神・淡路大震災における救援の活動、その活動にみんながボランティアで参加をしてくる、そのときにその参加をしてくる人に特定の負担が生ずるわけですね。あるいはそういう参加をしてくる人に住居を提供する、そうした提供される方々にも特定の負担が生ずる、これを何とかカバーできないかというような意見が随分上がってきて、ボランティア費用というものを何か税制上見る必要があるということを考えたわけですね。
 そこで、NPO法人に外部から資金が入ることについては、これは寄附金税制ということで、個人の場合ですと特定寄附金ということでよろしいわけですが、その場合にはそのNPO法人に着目をしてこれを認定NPO法人ということでこの基準をつくればいいわけですが、そうした活動についてはなかなかそうはいかないということで、しかし、NPO法人なりあるいは国なり地方団体なり特定公益増進法人なりが行う活動に対するすべてのボランティア参加費用は税の優遇を受けられるとするのもちょっと行き過ぎではないかということで、法人に着目をして決めるのでなくて、活動に着目して、それは認定NPO法人でなくても、ある一定の活動があって、それを政令で定めれば、そこに対するボランティア費用というものは特定寄附金の中にカウントできるということで、そういう活動ですから、ちょっとやや高目ということで「著しく」という言葉を加えておると。それほど高いハードルをつけておるわけじゃありません。
 なお、地方税のことをお話しになりましたが、地方税の場合はむしろ法人に着目をして、都道府県知事が一定の法人の場合に認定をして地方税についての免税措置を講ずることができるように条例で定めようと。その条例の場合に、国の法律と若干ハードルの高い基準をつくっても、それは地方のそれぞれの自主性だと思っております。
#268
○大渕絹子君 その「公益の増進に著しく寄与する」ということを定めたその判断をする場合に、極めてその判断の客観性あるいは公平性、公正性というようなものが担保できないとならないと思いますけれども、法案ではどういうことになっておりますか。
#269
○委員以外の議員(江田五月君) 政府の法案はとにかくもう認定要件が何もかにもすべて政省令にゆだねられているということになっておりますが、私どもはそうではなくて、極力法案の中に書き込んで、法案の中に書き込まれないものは後から政省令でいろいろ難しいハードルをつけるようなことができないようにしてあります。
 ただし、ただいま申し上げた、活動に着目したボランティア費用の特例については、これはなかなかそうはいかないので政令で決めるということになっておりまして、この場合には、この法律が皆さんの御理解をいただいて制定された後に、客観性、公平性、公正性がちゃんと担保された政令をつくっていきたいと思っておりまして、その点はよく注意をしてまいります。
#270
○大渕絹子君 政府案と野党案の一番の違いは、もちろんその寄付金の控除を受ける要件についてどう決めるかというところだったと思いますけれども、この野党案の施行によってNPO法人の活動にどういう促進がなされていくのかということをお聞かせください。
#271
○委員以外の議員(江田五月君) 趣旨説明の中で、政府案によると既存のNPO法人の数%も認定されないだろうと言われていると私は申しました。数%も認定されないというのはまだ甘い表現でして、現実にNPOの皆さんから聞くと、限りなくゼロに近いという怒りの声が上がっているようなことでございます。
 私は、NPO団体の皆さんに、それでも政府によって認定されるように自分自身の姿を変えるようなことはせずに頑張ってほしいということを言っているんですが、私どもは今、NPOで活動している皆さんの六割なり七割なりの団体が認定されるように要件を決めているわけで、こういう要件で、しかも初年度はパブリック・サポート・テストについても五分の一という、最初の期間ですから助走的な措置、つまり自転車に乗るとき、乗らない人を後ろから支えて押してあげるという、そういうような措置まで加えてNPOの活動を支援する、促進するということで、今三千五百ぐらいでしょうか、NPOに認証された法人がございますが、私どものようなこの制度ができますと、もっともっとNPOとして認証を受けて活動をしていく団体がふえてくる。それによって確かに、そこに外部資金が投入されることによって国税の収入というものが若干は減るでしょう。減るけれども、それをはるかに上回る民間の活動が行われるようになって、政府もスリムになり、さらにもっともっと質のいい活動で地域社会が豊かになって暮らしやすくなっていくということで、私は大変大きな効果が生まれてくると思っております。
#272
○大渕絹子君 ありがとうございました。
 そこで、宮澤大臣、野党案の説明を今詳しくしていただきました。このことを受けて、政府も今回この法案を出したことによって、このNPO法人を助成していこうという姿勢には何ら変わりがないというふうに思っておりますので、ぜひこの法の運用に当たりまして、野党側が提案をしておりますことも十分に考慮をして、より円滑にその運用ができますように決意をお聞かせいただきたいと思います。
#273
○国務大臣(宮澤喜一君) 政府も、NPOがその本来の、この際の表現としては公益的な仕事をしてくれることを大変に望んでおりますから、財政援助という形を考えておるわけでございます。
 その場合に、しかし納税者の金でございますから、多ければ多いほどいいというわけにもまいらない。やっぱり一つの基準を設けて、一定の公益のために仕事をしてくれることに対する一種のこれは財政的な援助でございますから、そういうものとして私ども考えると、こういうことでございます。今もお話がございました。午前中もございまして、いろいろ御質疑や何かの形でいろんな御指摘がありましたから、政府としてそれを十分心にとどめましてこれからの問題として考えさせていただきます。
 しかし、今政府の考えておりますところでは、政府も長年のこの問題を決心いたしましたんでございますから、まずこういう形で始めることが妥当であろうと、こう思っておるわけでございます。
#274
○大渕絹子君 NPOに参加をされている人たちというのは、自分たちの活動が有意義だと認められて国からもそうした税的な控除も受けるというようなことが広がっていきますと、ますます元気になってますます元気に頑張ってくださるというふうに思っておりまして、ぜひよろしくお願いを申し上げます。
 それでは、財政の方に移らせていただきたいというふうに思います。
 特例公債が本格的に発行されるようになったのは一九七〇年代の半ば以降でございます。その後、八六年以降は大幅な自然増収にも恵まれまして、九〇年には特例公債脱却の目標を達成することができました。九四年から再び特例公債を発行せざるを得ないような状況に陥っていくわけですけれども、九五年、九六年、やや景気が上向いたところで、九七年、橋本内閣は財政構造改革法を制定し、財政再建政策へと転換をさせました。そうしたら、そのせっかく上向き出した景気が腰を折られたというような感じで、いまだにあのときの財政運営の失敗がその足かせになっているんではないかと言われています。
 その後、九八年度補正以降は三年連続して三十兆円を超える国債が発行されるという事態、今回の予算案に盛られた数値を加えれば、二〇〇一年度末の見込みでは三百八十九兆円の国債発行残高になります。そのうち特例公債分は百七十七兆円ということになるわけでございます。
 宮澤大臣は、歴史に残る借金大臣とみずから発言し、もうちょっとのところで我が国は立ち直れる、こういうふうに考えておりますと述べられるんですけれども、大臣の考えておられる道筋が私にはまだよくわからないんですね。ですので、私にもわかるように説明をしていただきたいなというふうに思います。
 九七年の財政再建政策の失敗を繰り返さないために、国債による財政運営の今後の見通しというのは私たち野党側もしっかりと見据えてやらなければならないと思いますので、大臣の考えていらっしゃることをわかりやすく明快にお答えをいただきたいなというふうに思っています。
#275
○国務大臣(宮澤喜一君) それではお時間を拝借いたします。
 このたびの不況というものがどれだけのいわゆるギャップを持っておったものかということは、何年かたちまして検証しないとわからないところでございますが、私は、平成十年の夏ごろから始めまして、とにかく減税にしろあるいは公共事業にしろ、金融機関に対する支援にしろ、あらゆる国力を挙げてこの不況から逃れなければならない、こう考えました。そうでありませんと、日本の金融機関は幾つかのものは倒産いたしましたし、海外でもジャパン・プレミアムが発生いたしましたし、もとより国内でも失業がふえてくる、こういう状況でございますから、かつて経験したことのない不況である。しかも、東南アジアの不況もあったということで、二年続けて今おっしゃったようなことをいたしました。
 三年目の秋ごろには、うまくいけば企業活動が復活してくるであろう、その結果として家計にもいい影響を持つようになるであろう、しかしそれまでは国としては支援を続けるしか方法はない、こう考えておりまして、昨年の秋と思いましたが、昨年の春過ぎには企業活動の方は思ったよりもむしろ予想を上回って、今日まで設備投資等々の活動は続いております。
 問題は、それが普通でございましたら、企業の高収益というものは当然労働にも分配されるということで、それが家計をよくするということですが、その部分が今日まで実現をしていないということでございます。これをGDPで申しますと、大体GDPの六割部分が消費でございますから、その部分が欠落した状況でございますので、今日我が国の経済成長というのはなお一%台であると。これは三%ぐらいは当然にあってしかるべきで、そういたしますともう余り文句を言うことはないわけでございますが、少し時間がかかっておると私は思っていまして、したがって、昨日通過させていただきました本予算におきましても、ややそういう備えをしております部分と、それから国債をなるべく減らしたいと、財政のこともございますから、そういう両にらみの予算を通過させていただいたわけでございます。
 そこで、これからの指標で申しますと、先般、平成十二年の十―十二月がプラス〇・八ということでございました。それで、一―三月が残っております。一―三月は恐らく私は、これまだわかりませんが、それよりはいい数字が出るだろうと。これは六月の十日ごろでないとわかりませんが、それで、政府の予定どおり一・二%という十二年度の成長というものは、恐らく私は間違いないと思っておりますから、そういうふうに見ますと、今の日本経済は、家計がそういう状況にあるということはございますけれども、マイナスを続けておるわけではない。ただ、プラスの状況が家計の理由によりましてもうひとつ伸びないなと、こういう状況でございますから、決して悪いというわけではない。株価は確かに非常な暴落を最近いたしまして、少しずつ回復をいたしておりますけれども、そういうことでございます。
 他方でしかし、それだけの債務を負いました。これは、私はむだをしたという思いはございません。これも何年かたって検証していただかなければ言えないことでございますけれども、一つ一つは生きておった、それだけ不況が深かったと。おまけに、新しい産業といったようなものが、二十一世紀からの問題がございますから、それへも対応いたしておりますから、むだをいたしたとは私は思っておりませんけれども、しかしいかにも大きな債務であって、これはこれから我々が一生懸命成長を積んで、そして払っていかなければならない債務ではございます。
 ですから、全体を総括いたしまして、国民の側からお考えになって、随分金を使ったなと、もっと早くいかなかったのかなという御疑問はあると思います。これはしかし、何年かたって検証をしていただきませんと何とも申しがたいことであるし、こんなに金を使わなくてもよかったということも、これも検証をしていただかないと何とも言えないことだと思っておりまして、政府としては全力を尽くしてここまでいたしましたと。今の段階では家計に企業のプラスがシフトしていかないということが残念なことですが、恐らくこれは、いわゆるIT革命によって、アメリカではレイオフで労働関係を片づけてしまいました。日本はそういうことのできない国でありますから、いろいろ労使関係等々に、いわゆる年功序列であるとか生涯雇用であるとかいうことはいろいろに変わってきつつあっておって、それが一つ労働側の事情にあると思います。
 それからもう一つは、企業はかなり利益を得ておりますけれども、かなりの部分が古い債務の返済に充てられていて、労働側は雇用の不安がどうしてもございますので、賃金要求というのがその分だけやっぱり鈍りがちになるということはやむを得ないことかもしれませんが、それらのことがあって家計というものが予想どおりには盛り上がっていないと。それは私ども今でも心配をしている出来事でございますが、大体総括いたしますとそのような事態であった。
 よく、政府は無策であった、大変借金をしたと。そのうち大変借金をしたことはそのとおりですが、無策であったかどうかは、実はこのたびの不況の深さというものが果たしてどのぐらいのものであったのかということとの関連において、やはりやがて時間が参りましたら検証を受けなければならないことであろうと、長くなりましたが、そう思っております。
#276
○大渕絹子君 今、雇用の不安などを払拭して家計の財政を上げていって、そして一番最初、成長を積んでという言葉を言われましたね。その成長を積んでというところが、どういう政策で積んでいくのかというところがまたちょっとわかりにくいんですけれども、今ある社会の不安を一つ一つ払拭をしていかなければならないというところはわかるんですけれども、どういう具体的な施策で、あるいはこれからも、今これは公債法ですが、国債との関係で成長を積んでというところをもうちょっとわかるように。
#277
○国務大臣(宮澤喜一君) まず、四半期で申しますと、平成十一年の十―十二月期がマイナス一・五でございました。これは非常に大きゅうございました。しかしその後、十二年の一―三月、プラス二・四、十二年の四―六月、プラス〇・二、十二年の七―九月、これはマイナス〇・六になりましたが、十二年の十―十二月、〇・八と、こういうことでございますから、この間に我が国経済はマイナス成長という状況からは脱出することができて、わずかながらプラスに転じておりまして、この十二年度はプラス一・二というのは、ほとんど私は間違いないと考えておりますが、そのぐらいのところまでは回復をしておる。
 しかし、昔の我が国を思いますと、一%なんというのはもう本当に自慢のできる話ではございませんで、いかにも情けない数字ですが、しかしマイナスというサイクルは脱却をいたしたと、こう思っております。
#278
○大渕絹子君 参考人の方にお聞きをしますけれども、国債の大量発行にもかかわらず金利が低下をして安定しているし、国債も高く売買されているというようなことが、安定をしているというふうに言われていますけれども、財務省が発行年限を短期化するなど国債の多様化を図っていることもあるのではないかと思います。そしてまた、より本格的な要因は、企業の資金需要がいまだ低調で、運用先に国債を選ばざるを得ないという根本的な事情があるんだろうというふうに思います。金融機関も運用先として価格変動リスクの大きい長期国債よりも短期や中期の国債を求めておりまして、ここは需要と供給の思惑が今のところ一致をしているので順調な国債発行ができる状況が続いているというふうに思っておりますけれども、財務省の財政の中期展望等々、数字も示してこれからの見通しについてお答えをいただきたいと思います。
#279
○政府参考人(藤井秀人君) 計数に係る御質問でございますので、私の方からお答えをさせていただきます。
 本年二月に国会に提出させていただきました中期展望、これはもう先生御案内のとおり、例えば、成長率につきましては二%と仮定するなどの一定の前提を置きます。その上で、十三年度の予算の制度、施策、これを維持したとした場合のいわゆる後年度負担額推計、これによりまして十六年度までの三カ年の財政の事情を試算いたしているところでございます。
 財政の中期展望はそういう性格のものとして御理解をいただきたいわけでございますけれども、その試算におきましては、まず歳出面におきましては、社会保障関係費の増に加えまして、国債残高の増加に伴います債務償還費の増等による国債費が増加する。あるいは十三年度、地方財政対策の制度改正を行いました。これによります特例加算額、これが十四年度におきましては十三年度の四分の一から二分の一に倍増するというような事情が見込まれております。他方、歳入面におきましては、定額郵便貯金の集中満期、これに伴います利子に係る税収、そういう一時的な増加要因が剥落するというようなことが見込まれております。
 今、先生の御質問でございますけれども、その結果といたしまして、十四年度以降の公債発行額、この中期展望によりますと、十三年度予算の二十八兆三千億、これに対しまして、十四年度では三十三・三兆円、十五年度で三十五・四兆円、そして十六年度は三十八・三兆円ということが試算をされているということでございます。
#280
○大渕絹子君 三月十九日、日銀は史上初めて量的緩和を打ち出しまして、もうこれ以上はないと、金融政策の最後通知ということをいたしましたけれども、バランスシート不況に陥っている我が国経済では、この金融政策、効果を上げることは不可能に近い状況になっているんではないかと言われます。言ってみれば気休めの量的緩和にすぎないというような声も聞こえるわけですけれども、どんなに金融緩和をして資金を用意しても、借り手がなければお金は回らないというふうに思うんですね。
 アメリカのヘッジファンドなどが大量に日本の低金利資金を借りてヘッジファンドに回しているというようなことも言われていますけれども、借り手不足の資金を活用して、経済の活性化を図るために大量の国債を発行して内需拡大をせざるを得ないというならば、今こそ、日本の社会全体、おくれている社会資本整備をしっかりとしながら、真の豊かさに向けて大胆に踏み出すべき時代に入っているのではないかと思いますけれども、財務省はどう考えておるんでしょうか。
#281
○副大臣(若林正俊君) せっかくに発行をしております国債収入、これを国民生活を豊かにするための支出の方に充てて有効に活用したらどうだと、こういう御指摘であろうかと思っております。
 まさに委員御指摘のような趣旨に沿いまして、歳出面におきまして新しい要請に応じた対応を努力して、この十三年度の予算におきましてもそのような視点で編成をし、昨日御了解いただいたものと考えておりますが、特に、具体的には、御承知のように日本新生特別枠、七千億円でございますが、これを活用してIT革命の推進を初めとします四分野につきまして重点的に発展基盤の構築に資するようにします。
 この四分野というのは、IT革命の推進、それから環境問題への対応、高齢化への対応、都市基盤整備の推進、そういう重点四分野を中心としまして重点的な予算配分をしているところでございますし、また、こういう経済の状況を念頭に置きまして、平成十一年度以降、三年連続となりますが、高水準の公共事業関係費は確保をいたしました。それを今申し上げましたようなところに活用していく。さらに、景気の動向をにらみながら、今後予測しがたい状況に対応するために公共事業予備費三千億を計上するなど、自律的な景気回復と我が国の経済の構造改革に向けた取り組みを盛り込んでいる、このように考えているところでございまして、こういう努力を通じて、新しい発展基盤を構築することを通じて国民一人一人が、おっしゃいますように真の豊かさを実感できるような、そういう状況をつくり出していく、このことを可能にしようというものでございます。
#282
○大渕絹子君 しかし、予算編成にはいつもシーリング枠などが邪魔をして従来型の公共事業に特化せざるを得ないような状況がずっとあったわけですよね。今おっしゃったような分野にもっともっとお金を費やして、本当の豊かさを追求できる絶好のチャンスといえば絶好のチャンスだろうと思うんですよ。ですから、ここは思い切って予算の使い方を転換すべき時代に来ていると思いますので、きょうは特別に経済産業省とそれから厚生労働省に代表して来ていただきました。これから特に力を入れていただきたい分野の代表選手ということで、ぜひお答えをいただきたいと思います。
 まず、厚生労働省の方にお聞きをいたしますけれども、都市部では保育所の待機児童がまだ大変多くありますね。先ごろ未認可保育所で赤ちゃんがもう一人の赤ちゃんの下敷きになって死んでしまったというような事故も起きていますけれども、こうした未認可保育所などにまだ頼らざるを得ないというような状況もございます。保育所の整備ということは、都市部と過疎地とはすごく違っていることはよくわかっていますけれども、保育所の整備を進めて、そこで働く人たちの雇用の場所の確保ということもまた拡大ができるというふうに思います。
 そういうことにお金を使っていただきたいというふうに思いますし、また、少子化を危惧しているということで少子化対策をいろいろ打ち出されてきていますけれども、我が党は、出産費用について、本当にここは産む側が負担をしなくてもいいような制度にして、出産を安心してできる体制を組むべきであるということを主張してまいりましたけれども、その件についてもお答えをいただきたいと思いますし、今回特に私は強調したいのは、産業再生法だとかあるいは今回の法人税法の改正などによって会社の分社化や合併が進められるとなると、失業者というのが恐らく出てくる。また、不良債権処理によっても中小企業の人たちの失業というのは大変多くなってくると思います。今、大胆な不良債権処理ができないのは、その失業者に対する受け皿がないからだというふうに思っておりまして、ここはもう本当に特別な法でもつくって、失業者に対して失業保険の給付期間がきちっと保障される体系づくりというのを急いでやる必要があると思いますけれども、具体的にこの三点についてお伺いをいたします。
#283
○政府参考人(岩田喜美枝君) 先生お尋ねの三点の中で二点、所管事項がございますのでお答えさせていただきたいと思います。
 保育所の入所を待っておられる待機児童の問題、これは都市部には特に深刻な状況であるというふうに思っております。仕事と育児を両立しながら女性が職業能力を発揮できる、そういう環境をつくるためにも大変重要な課題だというふうに思っております。
 これまでもこの待機の問題を早期に解消するために努力してまいりまして、例えば、平成十一年度には少子化対策臨時特例交付金、これを二千億円交付させていただきましたけれども、現在この交付金を活用しまして市町村の方で保育所の整備が進められているところでございます。また、平成十二年度から新エンゼルプランがスタートしておりますけれども、この新エンゼルプランに基づきまして、三歳児未満の低年齢児、この部分の受け入れ枠が特に不足をいたしておりますので、ここを重点に受け入れ枠の拡大に努めているところでございます。今後とも、保育所の待機児童解消問題については、早期にそれが実現できるよう取り組んでまいりたいというふうに思っております。
 二点目の少子化対策との関連でお尋ねがございました出産費用についてですが、これは、医療保険制度におきましてただいま出産育児一時金として支給されておりまして、一律三十万円の支給でございます。これは、全国の国立病院の分娩費の実態調査をいたしまして、その平均値を勘案して支給額を決めさせていただいているところでございまして、現状では、平均的に見れば、分娩費の費用はこの出産育児一時金でカバーされているというふうに認識をいたしております。
 出産に要する費用は、医療保険によっても今大変ばらつきがあるようでございますし、また出産のスタイルも、出産される方がいろいろ選択をするということで多様であるようでございますので、出産費用の支援のあり方については、現在、現行の仕組みで対応できているというふうに考えておりますので、新たな出産費用の公的な支援のあり方については慎重に検討するべき課題ではないかというふうに思っております。
#284
○政府参考人(澤田陽太郎君) 三点目のお尋ねでございますが、雇用保険法上の求職者手当、いわゆる失業手当についての問題であります。
 改正雇用保険法がこの四月から施行されまして、そこにおきましては、倒産、解雇等により再就職の準備を行う時間的余裕がなくやむなく離職する方につきましては、従来よりも手厚い給付日数を措置しております。これにより、そうした方々の生活の安定に配慮するということで制度的枠組みが動きますので、私どもは改正雇用保険法の円滑な施行に最大限の努力を上げたいと、こう思っております。
 また、早期再就職を図るという観点からいたしますと、労働力需給のミスマッチを早く解消するという点がポイントになります。そうした観点では、失業手当の受給中に求職活動をしてもなかなかマッチした仕事がないという方につきましては、私ども職業訓練等を受けるように訓練の受講指示をいたします。職業訓練の受講中は失業手当見合いの訓練手当が出まして、最長二年間この職業訓練に安心して携わるということができますので、こうした訓練延長給付制度も活用して離職者の方々の早期再就職に努めていきたいと、こう思っております。
#285
○大渕絹子君 宮澤大臣、今の厚生労働省の雇用保険のあり方で本当に不良債権処理が断行できるでしょうか。私はできないと思うんですよね。ですから、思い切ってここは受け皿をきちっとしておいて、国民の不安を取り外しておいてから不良債権処理を断行するという政治判断がなければならないというふうに思っておりまして、今のようなお答えではいつまでたっても、それは不安がいっぱい、消費などに向かないということになると思うんですよね。そこは聞いておいていただきたいと思います。
 さて、自然エネルギーへの転換とか、あるいは大気・水質汚染、環境保全、地球温暖化防止対策、これは今、副大臣の方からもお答えがあり、財務省としても手厚くしているという答えですけれども、経済産業省としても、ここ一年でどうせこれで国債を発行して景気回復しなきゃならないんだったら、今までやれなかったところに金を費やそうよというようなことの発想で財務省に働きかける決意をぜひお願いいたします。
#286
○大臣政務官(西川太一郎君) 本日の閣議で宮澤大臣が、いわゆる景気回復のために公共事業、できるだけ速やかに効果の上がる分野に息切れをせずにというような趣旨の御発言があったように報道で承知をいたしておりますが、ただいま大渕先生の御指摘のように、中長期的にかかるケースでもございますけれども、環境問題などを中心として、新たな国民のためのクリーンエネルギーをつくり出しましたり、また太陽光発電等によってそうしたものをさらに充実をさせる、それから自動車の排ガス問題なども、これはいわゆる新しいタイプの自動車というものを普及させるなどなど、先生御指摘の環境問題というものを対象としてしっかりとやっていきたいというふうに思います。
 そこで、昨年十二月に閣議決定をいたしました経済構造の変革と創造のための行動計画の第三次フォローアップにおきましても、環境問題を克服することを新たな経済成長の要因に、逆にそのマイナスの面をプラスに転じていこうと。先ほども先生御指摘がありました少子化問題もそうだろうというふうに思いますが、当省といたしましては、そうしたものが生かせる経済社会システムというものをしっかりと開発をしていきたいというふうに思っております。
 そういう意味で、先生の御指摘は非常に大切なものだというふうに理解をいたしておりまして、例えば、具体的に環境・温暖化対策などにつきましては、くどくなりますが、ただいま申し上げましたクリーンエネルギー自動車でございますとか低公害車の普及、それから天然ガスのステーション、こういうものもいろいろなところに設置をしていかなければいけないというふうに思います。
 それから、これはいろいろ御議論のあるところでございますが、温暖化という点に関して申すならば、極めて効果がありますのは原子力発電でございまして、これにつきましては安全性の問題をしっかり確保していかなければならないという重要な条件がございますが、そうした点がございます。それから、熱効率を非常によくする次世代ボイラーでございますとか、ちょっと技術的になりますけれども、高性能工業炉、こういうものも開発していかなければいけません。
 そういうようなことを積極的に進めて、ただいま先生おっしゃるように、この機をとらまえて経済成長につなげていく努力を当省としては努力をしてまいりたいというふうに思っております。御支援、よろしくお願いをしたいと思います。
#287
○大渕絹子君 ありがとうございました。
 厚生労働省と経済産業省の皆さん、結構でございます。ありがとうございました。
 それでは次に、税制の方に移らせていただきたいと思います。
 一般会計の税収入ですけれども、印紙収入と合わせて前年度比で九・二%の増加、特に法人税収は企業収益の好転によって税収の伸びは一五・二%と大きくなっているということですね。しかし所得税は、郵貯の大量満期があったので二〇・六%増を示しているが、進捗率は一・四%と下回っており、所得税収は伸び悩んでいるという、こういう状況の中で今回の税制改正案が出されていますけれども、大臣、昨年七月、政府税調が中期答申を提出されました。かなり踏み込んだ中身の税制改正が期待されたわけですけれども、今回の改正についてどう評価をされますでしょうか。今回の税制改正の中身についての評価でございます。
#288
○国務大臣(宮澤喜一君) 基本的には、既に二年前に大きな税制改正をいたしておりますし、減税もいたしております。今回は、幾つかございますけれども、企業関係につきましての税制改正をお願いいたしておりますし、それから例の株式の譲渡益課税につきましての延長、あるいは住宅ローンの少し平年度化するような改正等々が大きな部分でございまして、普通で申しますと、余り大規模でない、税収的にはといったようなふうに申し上げることはできるだろうと思います。
#289
○大渕絹子君 中期答申では、二十一世紀にふさわしい税制の確立という観点から、個人所得税の課税最低限のあり方や、女性の社会進出や高齢化の進展等に対応した各種控除制度の見直しなど制度の根幹にかかわる問題点も指摘されていましたけれども、こうした抜本改正は今回見送られてしまいました。
 法人課税についても、経済の流れの中で企業組織の再編成に柔軟な対応をした税制の整備が求められる中で、今回、会社分割税制改正は盛り込まれましたけれども、連結納税制度については先送りをされましたね。赤字法人に対する外形標準課税の問題も見送られました。
 抜本的な改正とはほど遠い中身になっているのではないかと思いますけれども、この見送られた課題について参考人の方々にお伺いをしたいと思いますけれども、まず、税調答申では、給与所得者の課税最低限の意味を、その水準を超えると課税が始まる給与収入の水準というふうに定義をしていますけれども、この水準は幾つかの控除を組み合わせて構成をされていますよね。具体的には、給与所得控除あるいは基礎控除、配偶者あるいは配偶者特別控除、扶養控除、そして社会保険料控除などの合計で今は決められていますけれども、このあり方について御検討なさっているのでしょうか。
#290
○政府参考人(尾原榮夫君) 昨年の七月に政府税調の中期答申が出されました。これは、近い将来、税制の抜本的改革を国民の方に広く判断してもらう場合の判断材料とでもいいましょうか、そういうことで各税の問題点、現状について御指摘をいただいたわけでございます。
 そういう意味では、まさにこれから国民の間で議論していただくべき課題でございますが、今の御指摘について申し上げてまいりますと、所得税の分野は、やはり公的サービスというのは国民が皆で広く分け合うのが基本ではないか、そうしますと、個人所得課税を考える場合も累進制のもとで分け合うわけでございますが、課税最低限が余り高いことは望ましくないのではないかという御指摘をいただいているわけでございます。
 また、課税最低限の問題になってまいりますと、それぞれ今先生からお話がございました所得控除、控除一つ一つのことを、例えば男女共同参画型社会との関係でどのような役割を果たすのかとか、さまざまな社会構造変化の中で考えていく必要があるわけでございますけれども、やはり公平、中立といった観点からは簡素化、集約化の余地がないか検討していく必要があるのだろうと。
 ただ、今、税制の基本にかかわる話でございます。政府としてただいまどのようにあるべきかという具体的なところまでは考えておりませんけれども、まさに国民的な議論をこれからお願いしたい、こういうふうに考えているわけでございます。
#291
○大渕絹子君 課税最低限の考え方だろうというふうに思うんですけれども、私は、人間が一人普通に人間らしく暮らせていくための最低限の生活保障費を基本にして課税最低限というふうに考えるならば、今の控除制度、控除の積み重ねによって課税最低限を決めていくというやり方は不公平感が出てくるというふうに思うんですよね。
 その不公平感が出てくるものの一つに特別配偶者控除制度というのがございます。今日のように女性の就労が増加をして共稼ぎ世帯が一般化をしてまいりますと、共働きでない、御主人だけ、あるいは奥様だけが働いているという片稼ぎ世帯との間に不平等が生じてまいりますよね。共働きの世帯では、基礎控除、現行は三十八万円ですけれども、これがお互いに自分の基礎控除として受けられるのですから、これは二ですよね、掛ける二。ところが、片稼ぎの世帯では、基礎控除、それから配偶者控除、それから配偶者特別控除と、この三十八万円が三回受けられるという、掛ける三ということになるわけですね。そうしますと、共働きの方よりも片働きの人の方が今の税制上、控除が三十八万円多くなるという、こういう考え方になりますよね。
 ここは極めて働いている女性たちの中からも御批判が出ておりまして、考え直さなければならないのではないかというふうに思っておりますが、いかがでしょう。
#292
○政府参考人(尾原榮夫君) 今、配偶者に係る控除、配偶者特別控除を含めまして御指摘をいただきました。
 今、先生がおっしゃいましたように、最近、就業に対する税の中立性、つまり男女共同参画社会が進展する中での中立性を考えますと、この性格、あり方の見直しが必要ではないかという声が非常に高まっているわけでございます。
 他方、現実の世界では、配偶者控除、配偶者特別控除、多数の世帯に適用されているということも事実でございまして、そういった点にも留意すべきではないかという意見、あるいはこの配偶者特別控除、我が国の所得税制は個人単位の税制をとっているわけでございますけれども、ある一定のところまでは、奥様なり、あるいはその逆のケースでもいいわけでございますけれども、パート問題、つまり世帯全体で逆転しないようにと。つまり、ある一定のところから控除がなくなっちゃいますと、世帯全体、奥様という言い方は大変失礼でございますが、パートに出られている方の収入と世帯主の世帯を合わせたところが税引き後で逆転するというのを防いでいるというところも実はあるわけでございます。
 いずれにいたしましても、今先生から御指摘いただいているような点、いろいろ税調でも指摘されておりまして、これからも検討を深めてまいりたいと思っております。
#293
○大渕絹子君 そういう考え方だから女性の社会参加が進まないんじゃありませんか。男女の賃金格差が法律上なくなっているわけでしょう。そういう状況の中で、パート労働とか短期の就労形態でいいなんという発想はもうおかしいんですよ。もうこれからは賃金がどんどん削減をされていく、年功序列がなくなって、それから年齢差もなくなって平準化されていくということになれば、男も女も働かなければ生活できない時代になってくるわけでしょう。そういう状況の中で、差別的な税のあり方というのはやっぱり考慮していかなきゃいけないと思いますよ。
 ではもう一つ、社会保険料の控除が課税最低限の中に入っていますよね、社会保険料の金額が。社会保険料というのは、健保も年金も負担するのは給料の額によって決まりますよね。高い人はより高く、低い人は低いなりにということで決められるわけですね。そうすると、この社会保険料が丸々最低限の中の加算数値になるわけですから、給料の高い人は当然最低限も高くなる、低い人は低くなるという、この不公平感を生み出しているわけですね。
 この社会保険料の控除については、課税最低限に加えていくことが果たして公平、公正な税のあり方なんだろうかという議論がありますけれども、ここはどんなふうに考えますか。
#294
○政府参考人(尾原榮夫君) 今ございます所得控除は、人的控除、今の扶養控除等以外の控除でございますが、特別な支出に伴う担税力の減殺に配慮する、あるいは一定の政策的要請を勘案するということで設けられているものでございます。
 今の社会保険料控除でございますけれども、この社会保険といいますのは強制加入になっておりまして、そういうことを考慮いたしましてその支払い金額の全額を所得控除する、こういうことになっております。ただ、社会保険料控除を含めた所得控除制度全体の話でございますが、複雑になっているんじゃないか、今社会経済情勢も随分変わっているのでどう考えていくのかというような御指摘もございます。したがいまして、こういった控除全体につきまして、公平、中立の観点、あるいは簡素、集約の余地はないかという観点から、国民的にも議論をしていただきまして検討していく必要があるなと深く考えているところでございます。
#295
○大渕絹子君 いろいろな考え方があるので、どれが正しいというようなことはないと思いますけれども、議論を重ねながらより時代にマッチをした税制度にしていかなければならないというふうに思いまして、これからの財務省の努力に期待をしたいと思いますし、私たちも法律をつくる立場から議論をしてよりよいものにしていかなければならないというふうに思っております。
 あと、入りますと長くなりますので、この程度でやめさせていただきます。
 ありがとうございました。
#296
○委員長(伊藤基隆君) 他に御発言もないようですから、平成十三年度における公債の発行の特例に関する法律案、法人税法等の一部を改正する法律案及び租税特別措置法等の一部を改正する法律案の三案に対する質疑は終局したものと認めます。
    ─────────────
#297
○委員長(伊藤基隆君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、久保亘君が委員を辞任され、その補欠として円より子君が選任されました。
    ─────────────
#298
○委員長(伊藤基隆君) これより三案について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#299
○勝木健司君 私は、民主党・新緑風会を代表して、政府提出の平成十三年度における公債の発行の特例に関する法律案及び租税特別措置法等の一部を改正する法律案に反対する立場から討論を行います。
 まず、公債特例法案に反対する理由を申し述べます。
 本法律案は、ばらまき財政支出の集大成ともいうべき平成十三年度予算に伴い、十九兆五千五百八十億円もの赤字国債の発行を認めるものであります。
 政府は、来年度予算の執行により我が国経済を回復軌道に導くというシナリオを描いていますが、財政健全化への道筋が見えない中、財政赤字をいたずらに膨張させることは、国民の将来不安を高めるだけであり、個人消費や設備投資の回復など望むべくもありません。事実、宮澤財務大臣は、財政は破局状態に近いという本音をのぞかせながらも、歳出削減の具体策は全く示しておらず、さらには、財政再建のためには消費税増税もやむを得ないとの認識を示しておられますが、これでは将来世代の不安はおさまるはずもありません。
 結局、政府の経済政策は、喫緊の課題である財政構造改革や経済構造改革と相入れるものではなく、将来世代に負担を先送りするだけの場当たり的な政策と言わざるを得ず、私どもは未来への責任を果たす政党として、到底賛成することはできません。
 次に、租税特別措置法等改正案に反対する理由を申し述べます。
 反対の第一の理由は、本法律案が、株式譲渡益に係る源泉分離課税存続の二年延長や新住宅ローン減税などに典型的に見られるとおり、総じて何らの理念も示さず、改革を先送りにし、無責任な減税を寄せ集めているものにすぎない点であります。株価対策と称して国際的にも特異な株式譲渡益に係る源泉分離課税を存続し、また、本来、期限を限ってこそ景気浮揚効果の期待できる大型住宅ローン減税を引き続き実施することは、公平性の観点から見ても大いに問題があると言わねばなりません。
 反対の第二の理由は、いわゆるNPO税制に見られるように、真に社会情勢等の変化を踏まえたものとなっていない点であります。政府案のNPO税制は、ほとんどのNPO法人がその認定を受けられないような案となっており、市民の公益的活動を支援するという観点からは全く不十分と言わざるを得ません。
 したがって、一部理解できる部分はあるものの、総体としては政府案に賛成することはできません。
 なお、NPO税制に関しては、民主党・新緑風会は、日本共産党、社会民主党・護憲連合及び自由党との四会派共同で、認定要件のハードルを低くし、かつ認定手続の透明性を確保するなどの措置を盛り込んだ、真にNPOを支援する法律案を提出いたしております。この法律案を成立させることこそが実質的なNPO活動の促進につながることを付言させていただきまして、私の討論を終わります。
#300
○大門実紀史君 私は、日本共産党を代表して、政府提出の公債発行特例法案、法人税法等の一部改正案及び租税特別措置法等の一部改正案の三案に反対する討論を行います。
 公債特例法案は、ゼネコン型公共事業や軍事費などの浪費を続けた結果生じた二〇〇一年度政府予算案の歳入不足分として、十九兆五千五百八十億円もの赤字国債を発行するためのもので、我が国財政をさらに危機的状況に追い込むことになり、反対です。
 我が党は、歳入の改革として、高額所得者、大企業減税を見直すこと、歳出の改革として、不要不急のむだの見直し、とりわけ対米公約の公共事業費の削減を提案しています。
 この方向こそ、財政危機を抑える最善の道であり、本国会で宮澤大臣が示唆する発言を行った消費税の増税など、財政危機を国民負担で乗り越えようとする動きには断固反対するものであります。
 次に、法人税法等改正案についてです。この法案は、現在進められている大銀行や大企業の組織再編成を中心とする企業分割・合併等に際し税制上の恩恵を与え、労働者や中小企業の切り捨てに拍車をかけるものであり、反対です。
 さらに、この法改正による分割税制が、日米首脳会談で約束された不良債権の早期処理に利用され、さらなる失業、倒産の激増を招くことは疑いなく、日本経済を取り返しのつかない事態にまで落ち込ませることになります。
 租税特別措置法等改正案に反対する理由は、第一に、増加試験研究費の税額控除の二年延長を初め、みずほグループだけで百四十億円もの減税となった巨大銀行のための登録免許税の減税措置や、土地譲渡所得課税の軽減措置延長など、専ら大企業、高額所得者のための大型減税を引き続き維持、拡大していることです。
 第二は、既に廃止することを法律で決めていたにもかかわらず、株式市場に配慮する形で、源泉分離課税方式を二年間延長することに加え、投機性の高い商品先物取引の所得までも総合課税の対象から外し、税負担を軽減していることです。
 以上、租税特別措置法の改正案には、中小企業投資促進税制の延長や医療・福祉税制など中小企業や勤労国民の利益に沿った改正も含まれていますが、全体としては反対であります。
 なお、政府のNPO支援税制は、対象法人を国税庁長官が認定する上、認定要件が厳しく、門戸が狭められるなど多くの不十分さや問題点を含んでおります。日本共産党は九六年以来、NPOに対する優遇税制の提案を行ってきました。今回、他の野党とともに、多くのNPO法人を育成・支援するNPO法改正案を共同提案しましたが、野党案こそNPO活動の活動基盤を抜本的に強化するものであり、すべてのNPO法人が求めている真のNPO支援税制であることを述べて、日本共産党を代表しての私の反対討論を終わります。
#301
○委員長(伊藤基隆君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより順次採決に入ります。
 まず、平成十三年度における公債の発行の特例に関する法律案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#302
○委員長(伊藤基隆君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、法人税法等の一部を改正する法律案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#303
○委員長(伊藤基隆君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、租税特別措置法等の一部を改正する法律案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#304
○委員長(伊藤基隆君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、勝木君から発言を求められておりますので、これを許します。勝木健司君。
#305
○勝木健司君 私は、ただいま可決されました法人税法等の一部を改正する法律案及び租税特別措置法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・保守党、民主党・新緑風会、公明党及び社会民主党・護憲連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    法人税法等の一部を改正する法律案及び租税特別措置法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。
 一 中長期的な財政構造健全化の必要性にかんがみ、今後の経済動向にも留意しつつ、歳出の重点化・選別化に努めるとともに、税制に対する国民の理解と信頼、税負担の公平性を確保する観点から、課税の在り方についての抜本的見直し等を行い、社会経済構造の変化に対応した税制の確立に努めること。
 一 特定非営利活動法人に対する寄附金税制について、非営利活動を促進するという趣旨等を十分踏まえ、認定基準を定めるほか、特定非営利活動法人に対する税制について、その実態等にかんがみ、引き続き検討すること。
 一 租税特別措置については、その政策課題の緊急性、効果の有無、手段としての妥当性、利用の実態等を十分吟味し、今後とも徹底した整理合理化を推進すること。
 一 急速に進展する経済取引の国際化・複雑化及び電子化等に見られる納税環境の変化、更には滞納整理事務等を始めとする事務量の増大にかんがみ、今後とも国税職員の処遇の改善、定員の確保を行うとともに、事務に関する機構・職場環境の充実及び一層の機械化促進に特段の努力を払うこと。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#306
○委員長(伊藤基隆君) ただいま勝木君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#307
○委員長(伊藤基隆君) 全会一致と認めます。よって、勝木君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、宮澤財務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。宮澤財務大臣。
#308
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても御趣旨に沿って配意してまいります。
#309
○委員長(伊藤基隆君) なお、三案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#310
○委員長(伊藤基隆君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#311
○委員長(伊藤基隆君) 次に、関税定率法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 政府から趣旨説明を聴取いたします。宮澤財務大臣。
#312
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま議題となりました関税定率法等の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
 政府は、最近における内外の経済情勢の変化に対応する等の見地から、特恵関税制度、関税率等について所要の改正を行うこととし、本法律案を提出した次第であります。
 以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
 第一は、特恵関税制度の改正であります。
 平成十三年三月三十一日に適用期限の到来する開発途上国に対する特恵関税制度について、その適用期限を十年延長するとともに、特定の鉱工業産品等に係る特恵関税の適用方式の変更、特恵税率の多様化、後発開発途上国に対する新たな特恵関税対象品目の創設等を行うこととしております。
 第二は、個別品目の関税率の改正であります。
 コーングリッツへの加工原料用等のトウモロコシの関税割り当て一次税率の引き下げ、紡織用繊維のフロック等の関税率の撤廃等を行うこととしております。
 第三は、関税の減免税・還付制度の改正であります。
 旅客が輸入品を沖縄県から沖縄県以外の本邦へ携帯して出域をする際の関税の払い戻し制度を免税制度に変更すること等を行うこととしております。
 第四は、暫定税率等の適用期限の延長であります。
 平成十三年三月三十一日に適用期限の到来する暫定税率、石油関係の関税の還付制度、ウルグアイ・ラウンド合意に基づく関税化農産品に係る特別緊急関税等について、その適用期限を一年延長することとしております。
 その他、税関手続の簡素化等所要の改正を行うこととしております。
 以上が、関税定率法等の一部を改正する法律案の提案の理由及びその内容であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
#313
○委員長(伊藤基隆君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時二十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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