くにさくロゴ
2001/06/05 第151回国会 参議院 参議院会議録情報 第151回国会 外交防衛委員会 第13号
姉妹サイト
 
2001/06/05 第151回国会 参議院

参議院会議録情報 第151回国会 外交防衛委員会 第13号

#1
第151回国会 外交防衛委員会 第13号
平成十三年六月五日(火曜日)
   午前十時一分開会
    ─────────────
   委員の異動
 六月一日
    辞任         補欠選任   
     木俣 佳丈君     吉田 之久君
     続  訓弘君     高野 博師君
 六月四日
    辞任         補欠選任   
     齋藤  勁君     木俣 佳丈君
     吉田 之久君     峰崎 直樹君
     高野 博師君     荒木 清寛君
 六月五日
    辞任         補欠選任   
     矢野 哲朗君     野間  赳君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         服部三男雄君
    理 事
                佐藤 昭郎君
                海野  徹君
                益田 洋介君
                小泉 親司君
    委 員
                須藤良太郎君
                月原 茂皓君
                野間  赳君
                森山  裕君
                依田 智治君
                今井  澄君
                木俣 佳丈君
                広中和歌子君
                峰崎 直樹君
                荒木 清寛君
                吉岡 吉典君
                田  英夫君
                佐藤 道夫君
   国務大臣
       外務大臣     田中眞紀子君
       国務大臣
       (防衛庁長官)  中谷  元君
   副大臣
       外務副大臣    杉浦 正健君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        櫻川 明巧君
   政府参考人
       外務大臣官房審
       議官       林  景一君
       外務省総合外交
       政策局国際社会
       協力部長     高須 幸雄君
       外務省経済局長  田中  均君
       厚生労働大臣官
       房総括審議官   木村 政之君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
〇国際労働機関憲章の改正に関する文書の締結に
 ついて承認を求めるの件(内閣提出、衆議院送
 付)
〇最悪の形態の児童労働の禁止及び撤廃のための
 即時の行動に関する条約(第百八十二号)の締
 結について承認を求めるの件(内閣提出、衆議
 院送付)
〇相互承認に関する日本国と欧州共同体との間の
 協定の締結について承認を求めるの件(内閣提
 出、衆議院送付)

    ─────────────
#2
○委員長(服部三男雄君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る一日、続訓弘君が委員を辞任され、その補欠として高野博師君が選任されました。
 また昨日、高野博師君及び吉田之久君が委員を辞任され、その補欠として荒木清寛君及び峰崎直樹君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(服部三男雄君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 現在、本委員会に付託されている条約の審査のため、本日の委員会に外務大臣官房審議官林景一君、外務省総合外交政策局国際社会協力部長高須幸雄君、外務省経済局長田中均君、厚生労働大臣官房総括審議官木村政之君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(服部三男雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(服部三男雄君) 国際労働機関憲章の改正に関する文書の締結について承認を求めるの件、最悪の形態の児童労働の禁止及び撤廃のための即時の行動に関する条約(第百八十二号)の締結について承認を求めるの件及び相互承認に関する日本国と欧州共同体との間の協定の締結について承認を求めるの件、以上三件を便宜一括して議題といたします。
 三件の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○海野徹君 おはようございます。民主党・新緑風会の海野徹です。
 それでは、日本・EU相互承認協定について質問をさせていただきたいと思います。
 今回、協定を締結するに当たって、いろんなこれは長年お互いの折衝してきた経緯があってこの協定締結ということになったんですが、双方の経緯について、それから今回この協定を締結することによってお互いにメリットが出てくると思うんですが、そのメリットについてどういうように御理解されているのか、把握されているのか、外務大臣にお聞かせいただきたいと思います。
#7
○国務大臣(田中眞紀子君) 海野委員にお答え申し上げます。
 日本と欧州共同体は平成七年五月に相互承認に関する協議を始めまして、それぞれの国内制度について調査研究を行った後、平成十年十月の日・EU閣僚会議におきまして、通信機器、電気製品、化学品、医薬品の四分野について協定締結の作業を進めることで意見が一致いたしました。そしてその後、政府と欧州委員会との間で協定の締結交渉を行い、去る四月四日に署名を行いました。
 それから、メリットにつきましてはいろいろ細かい点がございますので、事務方からお答え申し上げさせていただいてよろしゅうございましょうか。
#8
○政府参考人(田中均君) メリットについてお答えを申し上げます。
 これは、お互いそれぞれの現地で検査を受ける必要がなくなるということがございますから、まず第一に検査期間が短縮されるということでございます。それからもう一つには、こういう検査のために現地に事務所を置いたり、それなりのスタッフを置く必要がなくなるということでございますから、そういう意味でスタッフあるいは費用の節約になるということでございます。
 それから、間接的にではございますけれども、検査期間が短縮されたことによってその期間を有効に活用ができるという問題もございますし、さらにはいろんな翻訳とか書類の準備に要するもろもろの費用が節約できる、このようなことでございます。
#9
○海野徹君 短期的な問題ということはそういうことで理解はできるわけなんですが、これが中長期的に今後、経済問題だけじゃなくて外交関係を含めていろんな相互の承認というのは各分野で出てくると思うんですが、その辺の見通しはどうですか。
#10
○政府参考人(田中均君) 委員御指摘のとおり、私どもといたしましても、日本とEUの経済関係がますます緊密化していくことになると思いますし、できることであれば今後分野を拡大していきたいというふうに考えております。
 ただ、これは双方の認証機関というものがある程度それぞれの分野で同等であるということが条件になると思いますし、やはり国民の健康とか安全にかかわる話にもなりますので、そういう検査機関の技術的な同等性ということについてはきちんとした調査をしながら、また日本、EU双方の経済界の要望ということも十分踏まえながら拡大ということを検討してまいりたい、かように考えるわけでございます。
#11
○海野徹君 今、局長から同等であるという、これは技術レベルももちろんそうなんですが、評価の基準そのものもやはり同じでなければ、より正しい評価は出てこないわけなんですが、ヨーロッパは非常に我が国よりもかなり厳しい基準を持っているんじゃないんでしょうかね。だから、ある意味では日米欧なんかでいろんな分野である種の科学摩擦、サイエンスの摩擦みたいなのが今あるやに感ずるんですね。
 その辺のことについてどうやってクリアしているのか、今問題はないのか、中長期的に見れば我々の方の基準をやっぱり見直さなくちゃいけないことになっていくのか、そうなると産業界へ非常に影響を与えていくわけなんですが、その辺の見通しはどうなんでしょうか。
#12
○国務大臣(田中眞紀子君) 今おっしゃっている基準の問題ですが、これは大変私も重要だというふうに思っておりまして、本協定のもとでの相互承認を行うに当たりましては、製品の基準が日本と欧州の間でおおむね同等であるということがまず前提であるということです。
 協定の対象分野の拡大につきましては、こうした基準の同等性というものに加えまして、同等性というのがまず大前提ですけれども、それにさらに加えまして、経済界の要望などその要素を勘案いたしまして検討していくということになっております。その中でも、必要に応じて日本国内の基準のあり方につきましても関係省庁とよく調整をとりまして進めていきたいというふうに考えております。
#13
○海野徹君 今回の協定はアンブレラ方式ですから、今後いろんなところが分野に入ってきますね。そうすると、もうすぐ申し出があるようなところも多分あると思うんです。その辺についても、もうそういう他省庁との調整というか連絡はスムーズにいくような状況になっているんですか、あるいはまだそこまではいっていない、今回まずこれでスタートする、そういう状況なんですか。
#14
○国務大臣(田中眞紀子君) 具体的な個別のことも御報告できると思いますので、これも事務方の方からお願いできますか。
#15
○政府参考人(田中均君) 今、大臣が御答弁されましたように、基準についての同等性とか経済界の要望ということがございます。そういうことでEUとの間では今後新たな分野についても検討を重ねていきましょうと。
 ただ、御案内のとおり、この協定を結びますのにかなり時間がかかりました。それは、事前に認証制度の同等性とかそういうことについて確認を相当しなければいけないという問題がございまして時間がかかったということがございます。したがって、私どもとしては、まずこの協定についてきちんとした実施を図っていきたい。その中で、必要に応じ、先ほどの経済界の要望であるとか検証の同等性といったようなことを勘案しながら各省庁と御相談の上進めてまいりたいということで、これについては政府部内で各省庁の御同意があるということでございます。
#16
○海野徹君 事前にいろいろ可能性のあるところ、あるいはもう既に声が聞こえているところは、もう早目早目にそういう調整というか、クリアできるような体制で進めてほしいと思います。
 それで、適合性の評価機関の選定、あるいはそれをどうチェックしていくかというその体制はどうなっているんでしょうか。
#17
○政府参考人(林景一君) 条約上の仕組みでございますので、私から御説明申し上げます。
 先ほど来御説明しておりますとおり、この全体の協定の仕組みの大前提として、お互いに技術レベルが同等であるということがございまして、それを踏まえまして、輸出側当局の選定あるいは監視というものが適切になされるということが基本的な前提としてございます。
 その上で、この協定上の仕組みといたしましては、選定と監視についてのお尋ねでございますけれども、選定につきましては、この相互承認の枠組みに入ります適合性評価機関というものを選定する行為を登録ということで呼んでおります。例えば、日本向けのヨーロッパからの適合性評価を行います評価機関の登録ということに当たりましては、次のような手順を踏むことになっております。
 これは、まず登録を申請する評価機関が登録申請をする。これに対して、今の場合ですと、ヨーロッパ側の当局が審査をいたしまして、その所要の基準、これは日本側の基準でございます指定基準でございますけれども、これを満たしているかどうかということを判断して指定を行う。指定をしたその評価機関を協定のもとで登録することを、合同委員会というものを設けることになっておりますので、そこで日本側に提案をいたします。この合同委員会の場におきまして、合意によりまして登録を決定する、そういう形で選定がなされることになっております。
 その上で、その登録されたものにつきまして、監視は一義的には欧州共同体の当局が責任を持って、立入検査などを行うということによって適切な業務を行うということが確保されるといいますか、欧州側当局がその義務を負っているということでございます。
 ただ、それで事足れりということにするわけではございませんので、これは安全とか健康にかかわることでございますので、万一にもその登録を受けた適合性評価機関が適切な業務を行っていないというような疑いがある場合には、日本側から改めて検証をするようにヨーロッパ側に要請することができるという仕組みがございますし、また日本政府から疑念が晴れない場合には異議申し立てを行うことができる。異議が申し立てられて、合同委員会で決定されれば、今度は日本と欧州共同体で合同で検証を行う、そういった仕組みができておりまして、これによりまして適切な評価がなされるように確保することにしております。
 以上でございます。
#18
○海野徹君 せっかく協定を結ぶわけですから、実効性のあるように進めていただきたいなと思います。
 外務大臣、まことに申しわけないんですが、通告をしてありませんでしたが、この一日、二日、非常に気になるニュースが入っているものですから。
 こういうような協定を結ぶ中でも、いろんな歴史があるわけですね。いろんな外国との、他国、他地域との交渉の経緯、歴史があってこういうものが結ばれていくわけなんです。外交ってそういうものだと思うんですね。日本政府あるいはアメリカ政府あるいは対中国政府との外交というのは、基本的な戦略がありながら、歴史がありながら、その都度いろんな味つけというんですか方向性を修正したり、あるいはそれをさらに伸ばしたりというようなことがあると思うんですが、外務省の方から、外務大臣と他国の外務大臣との話の、こういうことを言った、ああいうことを言ったというのがどんどんああいう形で出ていくというのは、外務省としての情報管理というのはどうなっていらっしゃるんですか。
 その辺、外交交渉というのは大変重要な部分がありまして、そんなに簡単な話が出てくるということが外交交渉なのか。じゃ機密って何なのかということになるんですが、これ通告していなかったものですから、ちょっと気になっているニュースが多いものですから、大臣の御見解を聞きたいと思います。
#19
○国務大臣(田中眞紀子君) 今、海野委員がおっしゃったことはまさしく私自身が一番感じていることそのものずばりといいますか、そういう思いがしておりまして、まず国家公務員の守秘義務というものがあるはずですけれども、それがまず完全に機能していないということに驚いております。
 それから二つ目は、それがまた思惑絡みで、ほかの方がおっしゃったこと、それは複数の国際会議もございますし、一対一の場合もあります。一対一といっても、周りに何人かはお互いにデレゲーションがいるわけですけれども、その中で複数の人が発言をし合うわけでして、会話というものは生き物で、一人だけが演説をするわけじゃありませんから、ほかの方が言ったことが私が言ったように言われるとか、それに対して私が受け答えしたところの一部だけが報道されるということ、それをもとにしてまたこうした委員会で質問を受けるわけですね。
 それだけで追われていると、今、委員がおっしゃったような本論の外交の基本的な姿勢というものが見えなくなってしまう。しかも、そこにやっぱり政局絡みとか何か思惑が、バイアスがかかると、ますますややこしくなるということを思っておりまして、もう一回一人一人が、私も含めまして、この外交の重責を担う立場として、自分自身も戒めますが、同時に役所の上の方の方も下の方も、顔が見えないということではなくて、むしろそういうことを世間に言いたいのであれば、前に出て、自分の顔と名前を明らかにしてやっていただきたいというふうに感じています。
#20
○海野徹君 私は、政治家というのは言葉は大事にしなくちゃいけない、政治家の言葉って大変大事だなと思っているわけなんです。私は、東洋哲学というのは時所位即応の原則という気持ちでいるんですが、要するに時と所とそれとその地位に応じてそれなりの言動ってあるべきだろうなと思うんです。
 そういった意味で、外務大臣として前線で外交交渉をやられるわけなんですね。我々の、ある意味で日本国民の国益を担って外交交渉をやっていかれるわけなんです。その中では、いろんな機微にわたってやりとりがされると思うんです。それが非常に部分的なものが大きくなって、しかもそれが本意でないような形で進んでいくということは、これはますます国益を損ねることになる。それを私、すごく心配するものですから、あえて今質問をさせていただいたわけなんですが、ぜひそういった意味では時所位即応の原則、東洋哲学という立場が言葉を、それで行動を非常にある一定の慎み深いものにしていくということを御理解いただいて、私の質問は終わります。
#21
○益田洋介君 最初に、協定について質問いたします。
 今回の協定が締結されれば、日本から通信機器ですとか電気製品といった我が国の製品がEU諸国に輸出される際に必要な手続の一部が省略されるということになるわけですが、これは局長、全体として、具体的な数値を挙げるのは難しいかもしれませんけれども、かなりの日本の企業に経済効果というのが期待されるんじゃないかと思いますが、この点、どういうふうな考え方、また、この協定の目的自体がそこにあるんではないかという気が私はしているんですが、いかがでしょうか。
#22
○政府参考人(田中均君) 今の点は委員御指摘のとおりでございまして、こういう協定を結んだ結果、これは先ほども御説明申し上げましたけれども、検査期間の短縮、翻訳、現地出張あるいは現地事務所に要する費用の削減、特にこういうことが、大企業はともかくといたしまして、中小企業の方には大きく裨益するのではないかというふうに考えております。
 具体的な数字で示せという御指摘でございますけれども、なかなか計算が困難な面がございますけれども、民間のシンクタンクに委託しまして計算をしたところによりますと、これは通信機器と電気製品の二分野だけでございますけれども、もろもろの費用節約の効果は五年間で約二百五十億円程度に上るという試算がされております。
#23
○益田洋介君 外務大臣にお伺いします。
 過日、与党三党の幹事長が訪米をいたしまして、さまざまな方とさまざまなテーマについて意見を交換して帰ってまいりました。その際、パターソン上級部長と会って、メーンのテーマというのは沖縄の兵力削減について、逆に、パターソン上級部長は、これから中国のあるいは台湾海峡の緊張という状況を考えていくならば、むしろ沖縄駐留米軍の兵力を強化しなきゃいけないんじゃないか、こういった驚くべき発言があったと。私は同行した人から確認をいたしました。この点、どういうふうにお考えですか。
#24
○国務大臣(田中眞紀子君) パターソン米大統領特別補佐官との会談で、御指摘のようなやりとりは行われていないという報告を受けております。
 なお、在沖縄米軍の問題につきましては、私は大変重要だというふうに思っております。外相会談での議題につきましては今後また考えたいと思っておりますけれども、まだ調整がついておりませんので、その機会も得ずにおります。
#25
○益田洋介君 先ほど同僚議員が懸念を示していたように、言ったとか言わないとか、こういう発言は他の閣僚がしたものだとか、そういったインフォメーションの錯綜が目立つわけです。私は、これは同行した人から実際聞いたことなので、そしてその心配を外務大臣と共有をしたいためにこういうふうに言っているんですから、私は聞いていませんと、そういう言い方はちょっと外務大臣、おかしいんじゃないかと思いますよ。
 次に、台湾海峡問題なんですが、先日、アメリカの電子偵察機と中国の迎撃機が残念なことに空中で接触事故を起こした。その事故の後始末というものは、まだこれはアメリカは納得していないと思うんです、機体の返還ということでございますけれども。さらには、台湾への武器の売却を正式に決定したと、アーミテージ国務副長官の訪日、それから訪印、米朝ミサイル交渉の再開への兆しなどがうかがわれる、こういったことで、台湾海峡問題というのは実は米中間の冷たい平和というような状況に変化しつつあると。そういうふうな状況の変化が私には感じられますが、外務大臣はいかがでしょうか。
#26
○国務大臣(田中眞紀子君) ブッシュ政権は中国を戦略的な競争相手と位置づけていますが、同時に中国との良好な関係、協力関係の維持と発展に努めていくとしておりまして、一つの中国政策の維持につきまして既に明らかにしておりますし、アメリカの対中政策の基本的方針には大きな変改はないというふうに考えられます。
 そうした良好な米中関係はアジア太平洋地域の平和と安定にとって極めて重要でございますし、我が国としましても米中関係が良好に進展していくように期待をし、また努力もいたします。
#27
○益田洋介君 期待は期待として、当然私たち与党の国会議員もそうした基本的な考え方には賛成ですが、状況の緊迫、状況の変化というのはやっぱり如実に掌握しなきゃいけないんじゃないか、それが私の論点だったんです。
 次に、防衛庁長官に伺います。
 沖縄の駐留米軍の勢力の強化といった、今パターソン上級部長の発言について触れましたが、昨日、熊本市内で山崎拓自由民主党幹事長が講演をいたしました。その際に、沖縄の米軍の兵力を削減するのであれば、相当強い意思を持って集団的自衛権の行使にもやはり踏み切るべきだと、周辺事態に限って、そんな発言をされたというふうに聞いています。これは若干、私見でございますが、どうもつじつまが合わないんじゃないかという気もいたしていますが、長官はどのような御意見ですか。
#28
○国務大臣(中谷元君) その件につきましては、山崎さん自身も後で釈明の会見をしておりますが、自分の考えではなくてほかの人の説を述べたものであると言っておりますけれども、この件につきましては、私は、総理、官房長官と同じく、この集団的自衛権と沖縄の問題を関連させるつもりはなくて、別の問題だという認識でおります。
#29
○益田洋介君 やはり昨今、政治家の発言というのは非常に注意深くしなきゃいけない、独創的な考え方、自分の考え方ではないのを公党の幹事長がそういう公の場で述べるということは私はじくじたるものがあると思います、その話はいいとして。
 前回の当委員会で、中国の人民解放軍が台湾海峡において過去になかったような大規模な上陸作戦の演習を展開しようとしている、その準備を進めているという話をいたしました。四日、香港の有力紙が伝えるところによると、北京の軍事専門家の何人かは、実は演習は台湾本島への上陸作戦だと、だから、幾つかある台湾の離島を占拠しようということを想定しているのじゃなくて、台湾本島に上陸することを想定したそうした演習であり準備であるというふうなことを発表いたしまして、事態がまた一歩緊張の度合いを強めてきたんじゃないか、そんな印象を持っておりますが、長官はどういう御意見でしょうか。
#30
○国務大臣(中谷元君) この演習についての見解につきましては、益田委員も御指摘のとおり、各国いろいろと報道が出ておりまして、台湾につきましては通常の訓練である、また米国においても軍事演習は異常なことではない、また中国も通常の訓練であるという見解を述べております。
 我々といたしましても、各国の反応とこの地域での軍事情勢等、引き続き注意深く監視をしてまいりまして、情報収集に努めてまいりたいというふうに思っております。
#31
○益田洋介君 遠い国の話をしているわけじゃないんで、近隣諸国の間でこういうふうな実弾射撃を用いた演習をしようとしているので、我が国政府としては何かやはりコメントとかあるいは注意とか、そういったものを提言すべきじゃないかと思いますが、この点いかがでしょう。
#32
○国務大臣(中谷元君) 委員御指摘のとおりだと思います。そのことが正式に発表できるためにもさらなる情報収集を行いまして、事実確認、これを進めていかなければならないというふうに思っております。
#33
○委員長(服部三男雄君) 時間が来ましたので。
#34
○益田洋介君 ありがとうございました。
#35
○吉岡吉典君 提出されている三案件とも賛成ですので、そのうちILO憲章の改正に関連して質問させていただきます。法案の中身は事前に説明を聞きまして大体了解できました。
 憲章の根本にもかかわる問題ですが、日本が、一九一九年のILO第一回総会で採択された第一号条約、工業的企業に於ける労働時間を一日八時間且一週四十八時間に制限する条約を今日まで批准していない問題、私が聞いた説明では、この一号条約を今さら批准ということは今後ともないでありましょうという説明も、これは労働省の時代ですが受けました。
 第一号条約というのは、どういう経過で歴史的に採択されるに至ったかという点を考えてみますと、この条約が採択されるに先立つこと百年、ロバート・オーエンを代表とする当時の先覚者たちが提案し、また世界の労働者階級の長い闘いがあって、そういう産物として一九一九年に至って採択されたという歴史的経過から見ても、また第一次世界大戦におけるベルサイユ平和条約の一部分として採択された取り決めに沿ってILOが創設され、こういう条約が結ばれたという経過があり、その論議の中では、結論的に言いますと、社会正義に沿った人道的な労働条件が確保されることが恒久平和の基礎になるんだということがいろんな立場から強調されております。
 そして、ベルサイユ平和条約第十三編労働には、困苦及び窮乏を伴う現今の労働状態は大なる不安を醸成し、ひいては世界の平和協調を危殆ならしむると。だから、そういうことを改善しなくてはならないということからこういう条約の採択に至った。これ、どこから見ても私は歴史的な条約であったと思います。
 それが、とうとう日本は批准しない国になってしまうということをどう考えるのか、これはまず厚生労働省にお伺いします。
#36
○政府参考人(木村政之君) ILO条約につきましては、各国の政府、労働者及び使用者のさまざまな関心を反映しまして、種々の分野を対象としたものが採択されてきているところでありますが、政府といたしまして、それぞれの条約の目的、内容、我が国にとっての意義等を十分検討の上……
#37
○吉岡吉典君 第一号条約について聞いているんです。
#38
○政府参考人(木村政之君) 第一号条約につきましては、工業的企業について一日八時間、一週四十八時間の原則を定めておりますが、これにつきまして、我が国では既にこれが実施されておりまして条約の基準を基本的には満たしております。
 ところが、一方、この条約におきましては、時間外労働を含む総実労働時間の最大限度を定めることとされておりまして、これにつきましては、我が国におきまして当該基準が工作物の建設等の事業への適用が除外されていること……
#39
○吉岡吉典君 そういう批准していない理由じゃなくて、批准していない事態をどう考えるかということを聞いているんです。そんなこと、何回も聞いているんです。
#40
○委員長(服部三男雄君) 吉岡委員、発言のときは挙手を願います。
#41
○政府参考人(木村政之君) 批准できない理由につきましては、既に先生にも御説明を再三させていただいておると思います。したがいまして、我が国にとりましての意義等を十分検討の上、その時々の国内のコンセンサス、国際世論等も勘案いたしまして、批准することが適当と考えられるものにつきましては、国内法制との整合性を確保した上でこれを批准すべきものと考えておりまして、今後ともこの方針にのっとりまして検討を進めてまいりたいと考えております。
#42
○吉岡吉典君 人の聞いたことに答えなさいよ。僕はそんな答弁をもらわないように、事前に原稿まで渡したんだよ。それでそんな答弁、なっちゃいないよ。
 それでは、それはいいですが、要するに歴史的な第一号条約を批准していない国、今後も批准しない国、僕はこれは非常に不名誉なことだと思います。
 これは外務大臣にお伺いしますけれども、この条約がILO第一回総会で審議されたときに、日本はこれに対して修正案を出して、物すごく論議をやっております。日本の修正案、これは外務省がまとめた大正九年四月の第一回国際労働会議報告書という膨大なものがあります。それを読んでみますと、修正案の中身も論議も日本の発言も詳細に出ております。
 それで、結論的に言いますと、修正案を出して、その修正案を取り入れさせて、政府も労働代表も使用者代表も全部賛成した条約なんです。修正させて賛成して、それで八十年たっても批准しないで今後も批准しない、こういう外交のやり方というのは私は国際的には背信行為をやっていると見られる、そういうことになりかねないと思うんですが、こういう外交のあり方でいいかどうか、大臣、御意見をお伺いします。
#43
○国務大臣(田中眞紀子君) 外交のあり方という前に、私も労働省に伺いたいんですが、批准していない理由をもう一回、もう少しわかりやすく平明に御説明ください。
#44
○委員長(服部三男雄君) 田中大臣に注意しますが、そういう不規則発言は困ります。あなたは委員でもないし質問者じゃないんですから。それならば、外務省と労働省の間でちゃんと行政関係で話してください。当委員会ではそういうことは困ります。
#45
○国務大臣(田中眞紀子君) でも、やはり過去の経緯があるわけですし、大変昔のことでありますので全部を知悉しているわけでもありませんし、先ほどの説明ではやはり私もわかりませんので、ぜひお願いいたします。
#46
○委員長(服部三男雄君) 労働省、答えなくてよろしいです、そういうことは。
 吉岡先生、質問してください。
#47
○吉岡吉典君 その次に、第一号条約について私、若干つけ加えますと、もうこれは批准できない条件を日本で次々整えていますね。そして、条件が合わないから批准できないという、これは理屈にはならないということもつけ加えておきます。
 なぜこういうことが起こったかというと、この審議、当時の文書を読んでみるとはっきり書かれておりますけれども、本当はILOに加盟したくない、しかし加盟しないと国際的に孤立するから加盟するんだということが当時の現地と本国とのやりとりの中でも、いろいろな文書でも書かれています。だから、入りたくないのに入っちゃった、だからそこで採択された条約も批准しないということが続いているとしか私には思えません。
 これは労働法の大家である中山教授が岩波新書の「ILO条約と日本」という本の中で書いていますが、それによりますと、「日本政府のILOにおける行動様式をみていると、ILOなど無い方がいいというか、あるいは日本はILOに加盟している必要がないといった極論が、日本政府を支配しているのではないかという印象をすらもつにいたる。」と、こう書いております。
 私は、ILOに加盟すること自体に本音は反対だということが、創設当時だけじゃなくて戦後も貫いているとすれば大問題だと思いますけれども、外務大臣、ILOについて日本政府の正確な態度はどういうことになっているのか、お答え願います。
#48
○国務大臣(田中眞紀子君) ILOは、設立された目的というものがまずそもそもあるはずでございまして、それは労働者の労働条件の改善を図るということによりまして社会正義と世界平和を確立するということだと思います。このILOの基本的な精神は今日も脈々と続いているはずでありますし、それに何ら反対するものではないというふうに思います。
 そしてまた、現在どのようにILOについて評価をするのか、そういう視点から申しますと、ILO自体は条約とか勧告の採択を通じて国際労働基準の向上を図っておりますし、そうした改善を踏まえて、さらには社会正義、これは結局ILOの設立の目的に戻りますけれども、社会正義の実現に向けて重要な役割を果たしているんだというふうに考えます。
#49
○吉岡吉典君 今のような答弁ではありましたが、実際にどういうことがILOがつくられてから起こってきたか。第一号条約については今申し上げましたけれども、この中山さんの書かれた本では、日本政府の態度についてILOがない方がよいと思っているんじゃないかという感想を書かれていますが、戦後、日本の使用者団体も同じような態度をとってきた。
 日本ILO協会というのがあります。これは、最初は日本のILOへの復帰を目指してつくられて、復帰後はILO条約の批准を促進することなどの運動をやってきたわけです。この日本ILO協会から日本の経営者団体が全部一斉に一九五五年二月脱退した、戦後です。その大きい理由の一つは、ILO協会の条約批准推進運動に協力するわけにはいかない、こういうことになっていたんです。だから、政労使から成り立っていると言われているILO、そのILOを支えるためのILO協会から、条約批准に協力できないという理由で経営者団体は全部脱退した。これは、日本ILO協会で生涯働いてこられた工藤幸男さんという人の「日本とILO」という本の中で詳しく書かれております。
 この経営者団体が脱退した十四年間に日本が批准した条約はたった二件、二条約です。こういう実態があったわけです。こういうことを見ますと、今の瞬間はどうかは別として、長い歴史的に日本政府も日本の使用者団体もILOが目指す方向に向かっていなかった、こういうふうに言うしかないと私は思えてしようがないんです。
 厚生労働省にお伺いしましょう。
#50
○政府参考人(木村政之君) 先生御指摘のように、ILOの条約につきましては、これまで批准されておりますのは二条約でございます。
 ちょっと漠とした答弁になってしまいますが、ILOの条約につきましては、経済や産業の発展の程度、それから労働市場や雇用慣行の実情等がさまざまな各国の政府、労働者及び使用者の関心を反映いたしまして、種々の分野を対象としたものが採択されてきておるところでありますが、私ども政府といたしましては、ILO条約につきましては、批准後はこれを厳正に実施するとの基本的立場に立ちまして、条約を批准するに当たり、国内法制上必要となる措置についての慎重な検討を行った上で、問題がないと結論が得られた条約につきましては速やかに批准するということで国会の承認を求めることとしておるところでございます。
 これをお答えとさせていただきます。
#51
○吉岡吉典君 そういう日本の労働行政に合格する条約が十四年間に二つしかなかったなんという、そんなことはないんです。それは日本の労働行政がやはり経営者団体の思うままにされていたことだと私は考えざるを得ません。
 もう時間がありませんから、最後に外務大臣にお伺いします。
 私は、ILOの掲げた目的、理想については、政府は賛成してこれを評価しているという答弁が先ほど外務大臣からあったと思います。それを今の日本で生かしてもらいたいということです。というのは、今、日本でリストラ旋風が吹いて、労働者は解雇の不安におびえております。そういう問題を考える場合に、日本の論議の中で、ILOが掲げた目的、理想、そういうふうなものの論議がほとんどなくて、労働者の解雇の問題も結局は国際競争力を強める上でのコストの一要素の程度にしか考えられない、そういう状態になっているとしか思えない論議が行われております。
 労働条件の改善という問題は、ILOが生まれたときからはっきりとこれが恒久平和の基礎なんだという高い立場に立って取り上げております。労働省の文書でもこう書いているんです。「国際労働機関は、労働条件の改善によって社会正義を実現し、ひいては世界に恒久平和を確立せんとの人類の希望のもとに、」「設立されたものである。」と、こう言っているんです。こういうものがあるとすれば、労働者の解雇、労働条件等を考える場合に、これがコストの一要素として考えられるというようなことであってはならないと思います。
 私はそういう点、労働行政は外務省の直接の担当ではありませんけれども、この席には閣僚は田中外務大臣しかおられませんので、田中外務大臣を通じて、私は、日本の政府全体が今の労働条件を考える場合に、ILOが掲げ、その後も繰り返し再確認され、労働省自身も言っているようなこの労働条件の改善によって社会正義を実現し、ひいては世界の恒久平和の確立を目指すんだと、そういう考え方に立ってリストラの問題も労働行政の問題もすべて考えを貫いていただきたい、こういうふうに思います。大臣の答弁をお願いします。
#52
○国務大臣(田中眞紀子君) 決して労働力をコストの一部であると思ってリストラクチャリングをやっているとは私は考えておりません。それほど今の景気、経済の状態がよろしいとは認識しておりません。
 日本は資本主義経済体制でございますし、世界との貿易、金融との兼ね合いの中でもってこの経済状態を維持しておりますので、日本国内の経済体制、まさしく小泉内閣が聖域なき構造改革ということを言っておりますのも、あらゆる面でのむだを排除していかなければいけない。しかし、それは労働力の削減であるとかいうことだけを言っているわけでは決してありませんで、企業というものがどのようにして収益性を上げ、そしてそのことによって景気も回復していく、体力を強化する、少しでも経済のエネルギーとしてのむだをなくして企業が再生していく、そうすることによってむしろ、今日本は本当にすごい、あらゆる意味でもってターニングポイントに来ている、時代のかじを大きく切らなきゃいけないというのが今の小泉内閣の使命だなということを私は日に日に切実に感じております。
 そういう中にあって、みんなでもって努力をして日本の経済を再生する、そのことによって、それが世界の経済にも世界の幸せにも貢献をすることができる、それがこのILOの原点である社会正義であり、そして世界の平和を確立することに寄与する、貢献すると思います。
 したがって、労働力を、コストダウン、コストをカットするということであると、コストの一部として考えているということでは決してありません。これはみんなで少しでも、むしろ私は、そういうリストラクチャリングには私なりの考えがあって、今はちょっと時間がありませんし、しゃべり過ぎるとまた委員長からしかられちゃいますから、今回はまた別の機会に送りたいというふうに思いますけれども、むしろ適材適所で、高齢者やら障害者やら、みんながそれぞれ生きがいがあって社会に貢献できるような社会、女性も含めてです、あらゆる人が自分に合ったような能力の出し方、社会から評価をされて参画できることによって生きがいを持って生きる、そういう社会をつくること、それが私たち国会議員みんなの務めではないでしょうか。
 自分の問題として、ただ労働者対経営者というような対立図式でとらえるのではなくて、お互いがお互いをかばい合いながら補完をするというような社会を、そして意識構造を構築していくことがこのILOの憲章に合致するというふうに考えます。
#53
○吉岡吉典君 委員長、いいですか、ちょっと。
#54
○委員長(服部三男雄君) 時間ですから終わりにしてください。
    ─────────────
#55
○委員長(服部三男雄君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、矢野哲朗君が委員を辞任され、その補欠として野間赳君が選任されました。
    ─────────────
#56
○委員長(服部三男雄君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 まず、国際労働機関憲章の改正に関する文書の締結について承認を求めるの件の採決を行います。
 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#57
○委員長(服部三男雄君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 次に、最悪の形態の児童労働の禁止及び撤廃のための即時の行動に関する条約(第百八十二号)の締結について承認を求めるの件の採決を行います。
 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#58
○委員長(服部三男雄君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 次に、相互承認に関する日本国と欧州共同体との間の協定の締結について承認を求めるの件の採決を行います。
 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#59
○委員長(服部三男雄君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 なお、三件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#60
○委員長(服部三男雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十時五十分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト