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2001/04/05 第151回国会 参議院 参議院会議録情報 第151回国会 内閣委員会 第7号
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2001/04/05 第151回国会 参議院

参議院会議録情報 第151回国会 内閣委員会 第7号

#1
第151回国会 内閣委員会 第7号
平成十三年四月五日(木曜日)
   午前九時三十分開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月三日
    辞任         補欠選任
     脇  雅史君     中原  爽君
     富樫 練三君     市田 忠義君
 四月四日
    辞任         補欠選任
     小山 峰男君     竹村 泰子君
     市田 忠義君     林  紀子君
 四月五日
    辞任         補欠選任
     中原  爽君     加納 時男君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         江本 孟紀君
    理 事
                仲道 俊哉君
                長峯  基君
                森田 次夫君
                小宮山洋子君
                簗瀬  進君
    委 員
                上野 公成君
                海老原義彦君
                加納 時男君
                鹿熊 安正君
                山崎 正昭君
                竹村 泰子君
                円 より子君
                大森 礼子君
                白浜 一良君
                大沢 辰美君
                林  紀子君
                照屋 寛徳君
   国務大臣
       国務大臣
       (国家公安委員
       会委員長)    伊吹 文明君
   副大臣
       法務副大臣    長勢 甚遠君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        舘野 忠男君
   政府参考人
       警察庁長官官房
       長        石川 重明君
       法務省刑事局長  古田 佑紀君
   参考人
       東京医科歯科大
       学難治疾患研究
       所教授      山上  皓君
       京都学園大学法
       学部長      川本 哲郎君
       日本弁護士連合
       会犯罪被害者支
       援委員会委員   白井 孝一君
       会社員      井上 保孝君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○犯罪被害者等給付金支給法の一部を改正する法
 律案(内閣提出、衆議院送付)
○政府参考人の出席要求に関する件

    ─────────────
#2
○委員長(江本孟紀君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、脇雅史君、小山峰男君及び富樫練三君が委員を辞任され、補欠として中原爽君、竹村泰子君及び林紀子君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(江本孟紀君) 犯罪被害者等給付金支給法の一部を改正する法律案を議題とし、参考人から意見を聴取いたします。
 参考人を御紹介いたします。東京医科歯科大学難治疾患研究所教授山上皓君、京都学園大学法学部長川本哲郎君、日本弁護士連合会犯罪被害者支援委員会委員白井孝一君及び会社員井上保孝君、以上四名の方でございます。
 参考人の方々にごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用中のところ、当委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございます。
 本法律案につきまして、皆様から忌憚のない御意見をいただき、審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
 次に、議事の進め方について申し上げます。
 まず、参考人の皆様から、山上参考人、川本参考人、白井参考人、井上参考人の順に、お一人十五分以内で順次御意見をお述べいただき、その後、各委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
 なお、参考人の御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、まず山上参考人からお願いいたします。山上参考人。
#4
○参考人(山上皓君) 意見を述べさせていただきます。
 私は、九年前に大学の一室で犯罪被害者のための相談活動を始めました。ある遺族の方の切なる願いを受けてささやかに始めた活動ですが、今では全国二十の民間組織が全国被害者支援ネットワークのもとに結集して、協力して被害者支援活動を進めております。関連資料を青い袋に入れて提出してございます。
 被害者支援を実践する上で、多くの犯罪被害者の方々が社会の中で孤立し、何の支援も受けられぬまま大変つらい思いをして暮らしておられるのを知りました。被害者がどんな思いで生きておられるのかは、一般の方々には容易にはうかがい知れないところがあります。
 私はもともと、精神鑑定などを通じて犯罪者だけでなく被害者や遺族の方々にもお会いする機会があったのですが、それでも、被害者の悲惨な実態を本当に理解できたのは九年前に犯罪被害者相談室を開設してからのことです。被害者のための窓口を開き、そこにできるだけの支援をしようとするボランティアがいること、それが被害者の方々を勇気づけて、支援を求め、声を上げることを可能にしてきたのだというふうに思います。
 私たちはみずから、またしばしば被害者の方々の言葉を通して、犯罪被害者の悲惨な実態を社会に向けて伝え、被害者への理解と支援を求める努力をしてきました。その声に多くの反響があり、警察、検察等関係諸機関、メディア等の支援もあって社会の理解も深まってきました。気がついてみれば、社会が決して放置してはおけないような重大な問題が犯罪被害者の体験を通して見えてきます。
 基本的人権というのが人間が生存と自由を確保しみずからの幸せを追求する権利であるとすれば、同じ社会の一員によってゆえなくして生命を奪われ、あるいは心身に生涯いやされぬ深い傷を負わされる犯罪被害者は、人権侵害の最たる行為をなされたと言えます。
 犯罪の被害に遭うことは、しばしばその人の人生が一変することを意味します。私たちの多くはこの社会を信頼し、人並みの注意を払っていさえすれば安全かつ平和に人生を送れるものと思っております。しかし、犯罪は一瞬にしてそのような人々、被害者となる人とその家族の人生を破壊してしまう力を持っております。それまでは当然あり続けると思っていた自分にとってかけがえのない大切なものが、他人の不法な行為によって突然奪い去られてしまうのです。
 一家の働き手を失って生活に窮する家庭、亡くした子供のことで自分を責め続ける母親、家族間で互いを責めながら崩壊に向かう家庭、心身に重い傷を負って苦しみ続ける被害者、そのような悲惨な例を目にするたびに、私たちは犯罪が引き起こす被害の底知れない深さを思い知らされます。犯罪の被害に遭うことで一瞬にして生ずるこの人生の落差を埋めることは、我々を含め、どのような人にとっても決して容易なことではありません。そして、現実に、我々は皆あすにでも被害者となる可能性を持っているのです。
 犯罪の被害者の場合、天然災害の被災者の場合以上に深く心を傷つけられる傾向があります。少数で孤立しやすいこともありますが、社会への安全感、信頼感が根底から揺るがされることが多いのです。同じ社会の一員の不法行為によって害されたという事情に加えて、被害に遭った後の社会の被害者への対応が余りに配慮に欠け、被害者がしばしば二次的にさまざまな被害を受けることが多いからでもあります。
 事件に遭ったとき、被害者は、社会が被害者を守り、支援してくれ、加害者には厳罰を下してくれるものと期待します。しかし、現実にはしばしば逆の体験をすることになります。
 例えば、心身に重い傷を負い、仕事もやめなければならなくなって苦しむ被害者が、傷の手当てや検査に要した高額な医療費の支払いを求められることがこれまでもしばしばありました。犯罪の加害者には国選の弁護人がつき、法的な助言や協力が得られる一方で、性犯罪の被害者など、身を守るすべを知らない被害者が告訴取り下げを脅迫的に迫られるようなことさえしばしば起きています。マスメディアはしばしば、人権擁護のためといって加害者を匿名にしながら、被害者の人権をじゅうりんし、反省することを知りません。加害者に対する処罰、処遇も欧米の例に比して余りに軽いと思われることもしばしばあります。
 犯罪被害者が社会に対し、また司法に対して不信を抱くとしても無理はない事情があると思います。社会は、みずからの健全さを保つためも、犯罪被害者支援に立ち上がる必要があると思います。
 この問題の重要性にいち早く気づいた欧米諸国では、被害者の権利擁護のための法的整備を進め、施策の充実を図る中で、民間ボランティア組織と警察、検察その他関連諸機関が一体となって取り組む被害者支援のための社会システムを確立しております。国連被害者人権宣言は十五年も前に採択されております。
 日本でもこの数年で被害者支援がようやく広がりを見せ、法律面でも刑事司法手続等に関しては改善が図られましたが、それでもまだ社会による被害者支援の内容面では被害者支援先進国とされるイギリスやアメリカに比べて二十年のおくれをとっております。日本の被害者は、犯罪の被害に遭うという不幸に加えて、必要とされる支援を受けられずに放置されているという二重の不幸を負っているのです。
 お配りした資料、A3の二枚折りにした資料でありますけれども、に基づいて、被害者支援の現状と課題について簡潔に紹介させていただきます。
 資料の最初のページには、犯罪被害者に本来必要とされる社会による支援サービスについて、アメリカやイギリスにおいて現実に行われているものを例にとって示すものであります。
 危機介入とは、事件直後の危機的状況への精神的サポートを指します。事件直後の家族や友人などへの緊急連絡とか病院への付き添いなどに加え、一時的な避難場所の確保が必要とされることもよくあります。被害者のニーズに応じて適切な援助機関を紹介することも援助者の重要な役割で、そのためには地域における協力機関のネットワークづくりも必要であります。また、刑事司法制度や被害補償制度、被害者の受けられる支援サービスなどについての情報提供も重要であります。
 自宅や自室が犯行現場となったような場合には、現場の片づけや清掃が必要ですし、壊されたドアのかぎや窓の修理は安全の確保のためにも必要です。日本ではこれも自分たちでしなければいけないのですけれども、欧米では援助者がこれをかわってすることができます。
 生活支援も重要です。被害者が病院や警察に行くときなど、子供の世話や買い物を手伝う人が必要とされます。自宅にかかってくる電話への対応や押しかけてくるマスコミへの対応も難題ですけれども、現在は傷ついた被害者、遺族がこれらすべてに対応しなければならないのです。被害者支援の体制が整えば、これらに対応することもできます。
 そのほかにも、英米では二十四時間ホットラインサービスが国内各所にあって、被害者はいつ、どこからでも援助を求めることができますし、危機介入に引き続いて継続的カウンセリングを必要とする人には一定期間無料でこれを受けることもできます。被害者が裁判に証人として立つときには、援助者が付き添って支えることもできます。被害体験を共有する被害者、遺族の自助グループは、被害者の心の支えとして極めて重要な役割を果たすことができますが、英米では、自治体がそのような活動に家を提供したり遺族の方を専従スタッフとして雇用するなどして自助グループ活動を支援しております。
 翻って、日本の被害者支援の現状を見ますと、大きなおくれを認めざるを得ません。連携する民間援助組織が全国二十組織に広まってきたとはいえ、その活動は、日中の電話相談の受け付けと被害者がみずから求めてきた場合のカウンセリング程度にとどまっております。それ以上に広げるには人も資金も足りないのです。
 資料の二ページ目をごらんください。アメリカでもイギリスでも、この三十年ほどの間に、国としての被害者支援対策が整備されてきました。いずれの国においても、国による被害者の権利擁護のための基本法、あるいは被害者憲章の制定と、それを契機とする公的資金の投入が社会的被害者支援システムの確立に大きく貢献しました。
 このページの下に示すのは、私たちの始めた東京医科歯科大学での犯罪被害者相談室の相談受理件数の年次変化を示します。相談室は、二〇〇〇年に社団法人被害者支援都民センターへと発展的に移行しました。相談受理件数は、相談室の体制が整い、その活動が広く知られていくにつれて年々大きく増加してきましたが、都民センターとなってその数はさらに倍加しております。それでも、今私たちが支援できる被害者は、支援を本当に必要としている人の何十分の一にとどまっているだろうというふうに私たちは思います。
 右のページに示したように、被害者支援相談室での相談活動を進める中で、多くの犯罪被害者が心に大きな傷を受けて孤立して何年も苦しんできていることや、適切な助言や短期のカウンセリングをするだけでも非常に軽快する人たちがいるということ。それから、性犯罪や暴力犯罪の被害者、殺人や交通事故の遺族の方々には重い後遺症状が残ってPTSDと診断される方が高率におられることなどがわかってきました。
 最後のページをごらんください。資料の最後のページには、全国被害者支援ネットワークの概要を示しております。現在、ここに示す二十組織が協力して活動を進めております。委員会活動も活発に行われていて、「トレーナーのための研修」委員会では年二回の全国の合同研修会を開いております。ボランティア活動とはいっても、事件や被害者のプライバシーについて守秘義務を負う上、傷つきやすい被害者に接することから、専門的なトレーニングが必要です。
 「被害者の権利」委員会では、犯罪被害者基本法の制定を目指して、その検討の過程で、最初の一歩として、きょう、中に添えてありますけれども、一昨年の五月に犯罪被害者の権利宣言を発表し、国に基本法の制定と被害者支援への公的資金導入を働きかけてきました。資料には、権利宣言とともに、私たちが望む被害者支援のための総合的施策の要望書の写しも同封させていただきました。
 国による総合的な施策の実現が求められております。さきに実現した被害者保護関連二法に加え、このたびの犯罪被害者等給付金支給法の一部を改正する法律案は、被害者支援の充実のために決定的な重要性を持つ法案として私たちは評価しております。国として、できるものから順に、さらに総合的な支援策の実現を目指していただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
#5
○委員長(江本孟紀君) ありがとうございました。
 次に、川本参考人にお願いいたします。川本参考人。
#6
○参考人(川本哲郎君) 川本でございます。
 私の専攻は刑事法、刑法と刑事政策でございます。お手元に資料として配付されていると思いますけれども、交通犯罪者の処遇につきまして、重罰化に関して若干研究を行いましたし、また交通事故の被害者の方についての研究も行っております。また、四年前にイギリスに一年間滞在しておりましたので、イギリスの刑事政策の事情というのも幅広く調べてまいりました。そのようなことを踏まえて、本法案について若干の所感を述べさせていただきます。
 まず最初に、お手元に、レジュメというほどのものでもないんですけれども、私の所感に関する条文を抜き書きいたしております。
 一番目のところでございますが、重障害の等級を引き上げるとか、あるいは重傷病給付金を新設されるとか、支給金額を引き上げられるとか、そういうことにつきましてはほとんど異論は見られないところでございまして、私も基本的には賛成したいと。
 ともかく、私の恩師の同志社大学の大谷教授が犯罪被害者の給付金についての活動をされたのはもう今から二十何年前のことです。そのときに、「衝動殺人」という映画が、木下恵介監督がつくられたものが上映されたのがもう二十年以上前のことです。それから見ますと、ようやくここまで来たのかと。まだ先はあるということで、後で日弁連の先生からも、さらにこれを進めていくということについての御提案があると思いますけれども、私の率直な感想としましてはようやくここまで来たと、かなり時間をかけてしまったという思いがありますので、基本的にはこの法案については賛成の立場をとっております。
 したがいまして、あとのところも、若干の疑問があるというところに対する反論というような形で意見を述べさせていただきたいと思います。
 二番目ですが、「被害者に対する援助」というところで、警察本部長等が、犯罪被害等の早期の軽減に資するための措置として、被害者またはその遺族に対して情報の提供、助言及び指導、警察職員の派遣その他の必要な援助を行うように努めなければならないというところで、特に情報の提供については異論が出てくる可能性がございます。これは、被害者にとって必要な情報を提供するのは当然のことで、今、山上先生がおっしゃったように、従来それが余りにもなかったと。被害者に対して刑事裁判がどういうふうに進行しているのかすら知らされていなかったわけですから、情報の提供が重要であるのは言うまでもないことなのですが、ただ、その情報の範囲が余りにも広過ぎると若干問題が出てくると。
 これは御案内のとおり、アメリカ、イギリス等では、特に性犯罪者について情報を広く伝えるというようなことがございました。そういたしますと、その情報をもとに地域住民が性犯罪者を追い出すというような動きがイギリスなんかでは昨年もございました。
 ただこれは、だから情報の提供が悪いというんではなくて、情報の提供の仕方に問題があるわけですから、必要な情報をきっちりと被害者の方に伝えていただく、そしてその後のフォローをしっかりしていただくということが一番重要なのであって、情報の提供に問題があるからこういうことはやめた方がいいのではないかというふうに動くと本当に困るということでして、そういうような外国の例があったとしても、これは情報の提供の仕方の問題で、情報の提供が悪いということではないんだということをぜひ御確認いただきたいと思うわけです。
 それと、あともう一つは、早期の援助につきまして、これはイギリスの研究で交通事故の場合ですけれども、余りに早過ぎると。一週間以内に援助をするというのはちょっと問題があるんじゃないかというような研究もありますので、また援助の仕方についてもさらに研究を、調べていく必要があるだろうということでして、これも繰り返し申し上げると、援助が悪いんではなくて援助の仕方の問題ということですから、その点も御確認をいただきたいということでございます。
 その次、三番目、「犯罪被害者等早期援助団体」で、今、山上先生もおっしゃったように、セルフヘルプグループと言いますが、自助団体ですね。やはり被害に遭った方でなければわからないというようなこともございます。そこで、欧米でも日本でも自助グループ、セルフヘルプグループというのが非常に活躍しておられるし、大きな役割を演じてこられているわけです。
 それを国として援助していただくのは当然のことでして、これについても今まで余りにも援助が少な過ぎたのではないか、ほぼ民間のボランティアでこつこつと長い間、膨大なエネルギーを費やしてここまでやってこられたという点について、さらにもう一層の援助が必要なのではないか。
 先ほど山上先生がおっしゃったように、山上先生のところでセンターをつくられたのが今から九年前ですね。その甚大な御努力でようやく、何回も言いますが、ようやくここまで来ているわけです。まだまだ見直すべき点、改善すべき点はあるわけですので、これが私の感想で言えば、ほんのワンステップにしかすぎないんじゃないかという気がいたしております。
 もとに戻りますと、セルフヘルプグループを支援する犯罪被害者支援センターです。これにつきましても、私も京都の犯罪被害者支援センターの会員でその活動をしているわけですが、本当にボランティアで、先ほどから繰り返し申し上げているように、かなりのエネルギーを使って民間グループが活動されている。それをやはり支援する必要があるということにはもう異論はないだろうと思うわけですが、ただ、そこのところで、その次のところに書きましたが、またここも、警察本部長等が、団体の求めに応じて、その事業を適正に行うために必要な限度において、被害者等の同意を得た上で、その氏名及び住所その他当該犯罪被害の概要に関する情報を提供することができるという案がございます。これにつきましては、警察庁の検討会の方でも、その資料の中に書いてあると思うんですが、民間援助団体における倫理規定の整備、つまりここの場合もその情報提供にかかるわけでして、民間援助団体の方が情報の提供をされて、その情報を変なところに出されるというようなことがあると問題になるということなんですが、これにつきましても先ほどと同じでありまして、この情報を提供する必要はあるわけですね。つまり、迅速な被害者支援にとって、被害者支援センターの方にやはり必要な情報を提供していただく必要はある。そうでないと、どういう人が困っているのかとか、それが把握できないわけですから、これは絶対に必要なんです。ただ、これも情報の提供の仕方の問題で、それをきっちりとフォローしていただきたいということです。
 それで、検討会の方でも、その情報を管理するための体制の確立、情報を取り扱う職員に対する教育の充実等、情報に関する秘密の保持のあり方についての検討が必要だというふうにされまして、そしてその後で、犯罪被害者等早期援助団体の役員等は、業務に関して知り得た秘密を漏らし、また、事業の目的以外の目的のために利用してはならないという二十三条七項という条文がございまして、それに対しては二十万円以下の過料を科すというふうなことになっております。これは刑法の百三十四条の秘密漏示罪というのがありまして、医師とか弁護士等々の方が秘密を外に漏らした場合に犯罪となるという規定で、ここには「六月以下の懲役又は十万円以下の罰金」という規定がございます。
 そうすると、それよりは軽いのではないかというふうな疑問も出るかと思うのですが、ここにつきましても、被害者支援センターというのは先ほど申し上げたようにボランティアの方を中心にされているわけでして、まあほとんど予想で言えばそういうようなことは起こらないだろうと。もし起こるとすれば、むしろ教育訓練の不足で何か勘違いをされるというようなことが懸念されるということですので、ここについても、罰則を厳しくした方がいいということではなくて、ボランティアの方とかあるいは専門家の方、法律について余り詳しくない専門家の方に十分な事前の教育訓練を行う、そのことによって予防をするのが重要であると。決して罰則で、こういうことをしたら犯罪だというような威嚇効果をねらうというようなのはちょっと筋違いなのではないか、そういうことを考えましたら、二十万円の過料というのは妥当ではないかと思う次第でございます。
 そして最後に、「今後の課題」ですが、これもまた後でも触れられることになろうかと思いますし、またここに挙げましたのも先ほどの警察庁の検討会の方で挙げられたもので、まあ、大体今後の課題としてはこれぐらいのものが考えられるのではないかということでございますが、特に私の方からは、二番の過失による犯罪被害への本制度の適用。先ほど申し上げた交通事故の被害者の方です。この方に関しましては、御案内のとおり、自動車保険の方でかなりその損害が賠償されるということから対象から外れているわけですが、果たしてそうなのだろうかということはやはり調べていただかないといけないと。交通事故の被害者は死亡者だけで一万人あるわけですから、その中でひょっとしたらその損害保険のネットから漏れている被害者の方があるかもわからない。そういうことを考えれば、今後ぜひ検討していただきたいと思う次第です。
 それと、あと四番目の親族間犯罪の支給制限、これにつきましても、親族間という特殊な事情から犯罪被害者補償は行わないんだと、あるいは特に事情があるときはその三分の一を支給するんだというふうな規定になっておりますが、これについてもやはりケース・バイ・ケースでいろんな場合がございます。確かに、親子なので補償をするというのは疑問があるというふうなケースもあろうかとは思うんですけれども、逆に、ただそういう条件があるというだけで対象にならないというのは余りにもしゃくし定規なことになるわけでして、ぜひその柔軟な考えを採用していただきたいと思う次第です。
 それと、あと最後、五と六ですが、制度の周知徹底、これもここ五、六年ですか、被害者の方に関する調査研究が活発に行われた結果、その実態がかなり明らかになってきたわけですが、そこでこの制度を御存じないという被害者の方がかなりあるということがわかっております。せっかくこういういい制度を設けていただいているのに、その利用が十分に行われないということは非常にもったいないことですので、ぜひその周知徹底、広報を活発に行っていただきたいということ。最後に、PTSD、心的外傷後ストレス障害というのは、何と皮肉なことに阪神大震災で有名になったものですけれども、被害に遭われた方がどのように苦しんでこられたかというのが何と天災で初めてわかったと。私ども専門家は、犯罪被害者の方のPTSDについてはそれ以前から知っていたわけですけれども、世間的に広がったのは五年前ということになりますので、そこのところの手当てもぜひきちんと行っていただきたいということです。
 以上、まとめますと、基本的にぜひこの法案は早期に成立させていただきたい、もし問題があるとすればそれに対する手当てを十分にお願いしたいということでございます。
 以上です。
#7
○委員長(江本孟紀君) ありがとうございました。
 次に、白井参考人にお願いいたします。白井参考人。
#8
○参考人(白井孝一君) 弁護士会の方の資料につきましては、お手元に「犯罪被害者に対する総合的支援に関する提言」及び「「犯罪被害給付制度に関する中間提言」に関する意見書」というものを配付させていただいてありますので、ぜひともこれを参考にしていただきたいというふうに思います。
 初めに、現在、先生方も御承知のように、国連の犯罪被害者の人権宣言という内容からいたしまして、私たち弁護士あるいは弁護士会の被害者に対する取り組みというのは大変おくれておりました。そればかりではなくて、犯罪被害者の方から、弁護士というのが二次被害の加害者になるという厳しい指摘もございまして、こういった中で私たちは反省いたしまして、心を入れかえて、そしてようやく弁護士会の方でもここ数年の間に犯罪被害者支援ということについて真剣な取り組みを始めるようになりました。各弁護士会内に犯罪被害者支援に関する委員会とか支援センターというものを設けまして、そして特別に訓練を受けた弁護士がこれに担当いたしまして、相談活動等に乗るようになりました。
 中には二十四時間体制で、担当の弁護士が携帯電話を持ちまして、そして被害者の方から弁護士会に電話がありますと携帯電話に転送される、そしてなるべく早い機会に弁護士が被害者の方とアクセスがとれるようにというようなことをやっている弁護士会もございますし、あるいはまた、先ほど山上先生の方で民間の支援団体のことが報告ございましたけれども、そうした支援団体の方に出向いていって当番制で相談に乗るというような活動も始めております。
 またあるいは、弁護士が二次被害の加害者にならないようにということで、すべての会員に、加害者にならないように注意するようにというパンフレットを配った弁護士会も出てまいりました。
 そういうことで、大変おくればせながらではありますが、少しずつ取り組みを始めております。
 被害者の方々の要求からいたしますとまだまだ足りないというふうに思っておりますけれども、何よりも、とにかく現場において一人でも二人でも救済できるということを我々の活動の基本に置くということでやっております。
 そういうようなことを前提にいたしまして、それでは今後のあるべき姿、被害者支援のあるべき姿というものはどうしたらいいんだろうかということで検討いたしましたのが、そこに配らせていただきました総合的支援に関する提言というものであります。時間が限られておりますので内容についてはぜひお読みいただきたいと思いますが、根本的にはやはり私たちとしては、総合的な支援策というものを国の方で立てていただきたい、あるいはそれに準じて地方自治体でやっていただきたいということが趣旨でございます。
 ここに、私が担当しました静岡県のある被害者の方の例をちょっと御紹介いたしますと、この方の場合は、息子さんが高校二年生でしたけれども、全く自分とは関係ない数名の若者に因縁をつけられまして、殴る、けるの暴行を受けて植物人間のようになってしまったというケースであります。
 九六年の九月に事件が起きまして、私どもが、被害を受けた経済的な被害等について報告を出していただいたのが九九年六月。およそ三年近くの間にどれぐらいの費用がかかったかというふうに申しますと、病院の支払いが七百三十八万円です。これについて高額医療等で還付を受けたものが三百二十八万円ということであります。そのほか介護用品とか、特別に、寝たきりの子供を運ぶための特別の車両とかその他の費用を含めますと、三年間でかかった費用が一千百六十九万円。そして、六カ月ごとぐらいに病院をかわらなければならないという状態でありましたので、働いていた奥さんが一年間休職をしなければなりませんでしたが、休職期間中の減収が二百五十万円というような状態でありました。
 しかし、加害者側から受けた見舞金がありまして、また、特別に私どもの方でお願いをして県警の犯罪被害者対策室の方に努力していただきまして、この犯給法で支給されたお金が三百三十五万円ありました。そうした還付金や見舞金や給付金等を含めまして、三年間に払われたお金が千二百九十三万円ということでありました。
 したがって、この方たちの実際に出費した千百六十九万円、受けたお金は千二百九十三万円ですけれども、奥さんの減収を入れますとマイナスの方が大きいと。しかも、これ三年間の総計ですので、その後、現在に至るまで毎月三十万円近くの医療費を支払っておりまして、そのうち還付金などで戻ってきたものを考慮いたしましても、毎月十万円以上のお金がマイナスになっていくという状態にあります。
 しかも、全く植物人間と同じような状況にありますので、病院の方は、これ以上手当てしても治らないということですので、出ていってくださいということになります。この方は、九六年から九九年までの間に四つの病院をかわらなければならないという状況にありました。静岡市に住んでいながら、中には伊豆の方まで病院を探してそこでお願いすると。現在は藤枝市に病院を移っておりますけれども、ここももうことしの夏が限度だろうと。また新しい施設を探さなければならない。そして、静岡県の方にこういう場合の施設はないだろうかということをお伺いを立てたところ、あることはあるけれども、現在百四十名の方が順番待ちをしている、そういう状態なので、あなたが順番に並んでいただいても入るのはいつになるかわかりませんという状態ということであります。
 そして、加害者に対する裁判という問題ですけれども、私どものところに来たのは、刑事裁判が終わってから見えました。この加害者の諸君がなぜうちの子供にこんなことをしたのか、本人たちの口からどうしても聞きたいと。刑事裁判をやっているときには息子の看病で精いっぱいで何が何だかわからない状態だったということで、私どものところに来ました。それがきっかけだったわけですが。
 裁判をやっても、まず最初に、どこの刑務所に入っているのかわからない。それから、殴った人間は三人だけではなくてほかにもいたはずなのに、その人たちについてはどうなっているのかわからない。そういう状態でしたから、私たちとしては、まず法務省の方に、矯正局の方に、どこの刑務所に服役しているのかという弁護士会照会を出して回答を得るということもやりましたが、いつ出所するかはわからない、教えることはできないということでした。
 それから、裁判を起こす場合に裁判費用というのがかかります。それは弁護士費用以外に印紙代を払わなければなりませんが、この点につきましては、本来の請求額が非常に高くなり、印紙代も相当の金額になりましたが、裁判所の方に訴訟救助を適用してほしいということをお願いしましたが、この方たちは夫婦共働きですので一定の収入がかなりあると。実際には出費で、なくなっているにもかかわらず、収入を基本にいたしますと訴訟救助が出ないということで、何とかそれを工夫してやってもらえないだろうかということで、請求額を半額に減らして印紙代を半額に減らして、それでようやく裁判官の理解を得て訴訟救助を得たという状態ですが、後に和解が成立いたしますと、この訴訟救助を得た分を裁判所に納めなければならないという状態でした。
 そして、この方たちはどうしても加害者に裁判に出てきていただきたい、本人たちと直接話したいということでしたので、意図的にテレビや新聞に出て加害者に自分たちの苦しみが伝わるようにしたわけですが、幸いにして加害者の方たちが裁判に出てきてくれました。私たちとしては、被害者の御両親と話をして、せっかく加害者が刑務所から出てきて社会復帰をしようとしているんだから、マスコミなどにさらされないようにということで、むしろ加害者側を我々は擁護するというようなことで、加害者については一切取材は避けてやってくれということをお願いしまして、そして彼らも謝罪をしたいという意思を表明したために対話が始まりました。
 そして、前後十回にわたって加害者と被害者が直接対話をいたしまして、最終的には、お金は、今は一銭もお金がないので払えないけれども一生涯かけて支払っていきたいということで、毎月一万円か二万円ぐらいずつ払っていただくというような、金額的には本当に毎月三十万円の医療費がかかるのに一万円や二万円ではとても焼け石に水ですけれども、本人たちが一生涯かけてこの被害者のために尽くしたいということを言ってくれたのでこれで和解をしたわけですが、同時に、本当に償うんだったらば、彼らは、被害者の少年に会って、そして病院の送り迎えとかなんとかボランティアのことをやりたいというふうに加害者が申し出てくれたわけですが、現在会わせるとフラッシュバックが生じるおそれがあるということで、じゃ、被害者本人に対してボランティアをするというつもりでほかの人にやってもらいたいということで、裁判所の和解ではこの加害者の方たちがほかの困った人に対するボランティアをすると。そして、事件のあった九月十五日に、毎年九月十五日に被害者の両親にボランティアの内容を報告するという和解をしたわけでありますが、今現在両親が一番心配しているのは、私たちが働けなくなったらうちの子供はどうなるんだろうかということであります。
 そういった被害者の方に我々はどのようにこたえたらいいだろうかというのがこの支援の課題ということになると思います。それに対してやはり少しでもこたえるようにというのが私たちの提言であります。
 今回の法案は経済的支援ということに関する犯給法についての法案でございますので、その中で経済的支援に関して申し述べたいと思います。
 私たちが考えていますのは、経済的支援というものを総合的に考える場合に三つの側面があるというふうに考えております。
 一つは、今言いましたように、直接被害者自身が加害者に対して損害賠償等の請求をする、これがやはり一番の基本にありますので、この加害者に対して損害回復を請求するについて効果的な支援というものが必要であるというふうに考えております。
 これにつきましてはどのようなことが考えられるか、問題になっているかといいますと、加害者情報あるいは事件情報に関する提供。そして、早い段階からの弁護士の支援など法的サービスを受けられるようにすること。そのためには法律扶助制度を改善していただくこと。犯罪被害者支援弁護士の国選弁護制度を設けていただくこと。それから、先ほど言いましたように訴訟救助の適用を改善すること。民事訴訟における被害者の立証責任の軽減をすること、これは民事訴訟法の改正をしていただくということになります。それから、制裁的慰謝料というものを場合によっては認めるように民法を改正していただくこと。保全処分における保証金を無担保でできるようにしていただくこと。また、債権の優先性を認めるために抵当権に優先する先取特権を認めていただくこと。それから、加害者から誠意ある謝罪を受け、十分なる対話に基づく解決を図るための仲裁制度のようなそうした制度を設けていただくこと。それから、民事、刑事をあわせて一緒に裁判できるような附帯私訴制度を新設すること。それから、被害者の弁済を可能ならしめるような刑罰制度の改善を図っていただくこと、というようなことを弁護士会で検討しております。
 それから、次に公的補償という問題ですけれども、やはり公的補償ということを考える場合には、これは被害者の権利なんだという権利性ということをやはり明確にすべきだというのが日弁連の考え方であります。
 項目につきまして、医療関係費を含め、かなり細かいところも検討しておりますが、時間がありませんので、項目につきましては割愛させていただきますが、今回のような単なる医療費というだけではなくて、休業補償とかあるいはその他の点、施設の費用も含めまして総合的に見ていただきたいというのが提案であります。
 それからまた、事件直後の処理やあるいは介護のために会社を休まなければならないということになった場合、被害者本人だけではなくて家族などの会社を欠勤しなければならないという方があります。そのような場合に労働基準法を改正していただいてできる限り雇用の確保をしていただくということと、同時に会社の経営者の方に対する補助を出していただくこと、そういうようなことも検討しなければならないと思います。
 このように非常に多岐にわたって相当総合的にやらなければならないわけですけれども、やはりこれを一遍に実現することは無理でありますので、当面、もしできれば自賠責保険並みの補償をしていただきたいというのが願いであります。これは今の国民生活において、自動車の強制保険程度の補償はというのはコンセンサスが得られるのではないかということに基づくものであります。
 第三番目の側面といたしましては、民間支援団体に対する効果的な支援を行うための経済的援助ということであります。
 民間支援団体によるボランティアあるいは専門家の支援というのがどうしても必要不可欠だということであることは一致していると思いますが、それを全部手弁当でやってくれ、自前でやってくれというのは、これはもうどだい無理な話であります。したがいまして、どうしても国の方から財政的な援助を出していただきたいということが趣旨であります。例えば静岡県の場合などでは、警察官の方々が一人一人ポケットマネーから寄附をして、そうして財政を支えるというような気の毒な状態、そういう状態であります。ですから、ぜひとも国の費用で出していただきたい。私の試算では、全都道府県に五百万円ずつ出していただいてもたった二億三千五百万円で済みます。一千万円出しても四億七千万円で済むわけでありますから、ぜひともこの点をお考えいただきたいというのがお願いでございます。
 今回の改正法の点につきましては、私どもは積極的に評価して、よくここまで思い切った改正案を出していただいたというふうに考えております。一歩でも二歩でも前進するという点からいけば大変なことだというふうに考えております。これにつきましては、この法案を作成していただくに当たって検討会の諸先生方やあるいは警察庁の被害者対策室の方が大変な努力を尽くされたということを聞いておりますので、そうしたことの成果だというふうに私たちは考えております。
 しかしながら、やはり被害者の要求という点からしますと、まず、金銭条項の点につきましてはまだまだ不足の点がありますので、それにつきましてはお手元にお配りいたしました意見書にしたためてありますので、ぜひそれを御参考にしていただきたい。
 基本的な考え方というのは、警察庁が調査いたしましたおよそ平均的な想定される被害者というものを想定いたしまして今回の改正案ができているわけでありますけれども、それよりもなお深刻な方々を取り残してしまっていいのかということであります。やはりこの法案はこの法案の制度として基本としながらも、より深刻で必要のある被害者の方には、特別にその被害者の方たちにはこれだけのものを支給いたしますよという道を残していくべきではないかというのが趣旨でございます。
 金銭条項につきましてはその程度で、あとは文書に譲りたいと思いますが、もう一つ、被害者の指定援助団体制度というものが新設され、そしてこの法案では新しく目的条項が設けられまして、この中で今までとは違った、金銭条項とは違ったものが含まれているということで、この点についてちょっと述べさせていただきたいと思います。
 まず、このような警察あるいは検察庁と連絡をとりまして連携いたしまして被害者の支援を早期に行うということは、これは絶対必要でございます。ですから、このような制度を設けていただくこと自体は私どもとしては賛成であります。
 しかしながら、被害者に対する支援というものは、警察や検察庁と連絡をとり合いながら行う支援だけではなくて、多方面にわたる非常に総合的な支援であります。ですから、これを犯給法という法律の中で公安委員会の管轄のもとに指定団体ということで閉じ込めてしまうというだけでいいんだろうかということが我々の問題提起であります。
 今回の改正案は改正案としてこれはいいのでありますけれども、総合的な民間の支援ということを考えました場合に、私たちとしてはやはりそれにふさわしい法律というものを別途つくるべきではないかと。犯罪被害者支援法というような、仮にそのようなものをつくって、その中で警察や検察庁と連絡をとり合う、連携し合う支援というものはどうあるべきかという条項を一項目設ける、そのような形にするのが本来のあり方ではないかというふうに考えております。
 それからもう一つは、この指定団体制度あるいは警察の情報提供等、あるいは人員派遣による支援ということがこの犯給法という法律に設けられたことによって、この犯給法という法律の性格が変わったのではないかというふうに我々は評価いたしました。
 と申しますのは、この犯給法の性格というものが恩恵的な見舞金的なものというふうに今まで述べられているわけですが、今回のように民間による援助団体というものの制度を設ける、あるいは警察が直接情報提供や人員を派遣して支援をするということになりますと、これは明らかに被害者の人権というものに対する支援ということになります。人権を回復するということに対する支援ということになりますので、人権回復の活動に対する支援という性格が加わってくるわけであります。これはある意味でいいますと我々が提唱しております基本法の考え方の先取りというふうに評価できるわけでありまして、その意味では、犯罪被害者等給付金支給法というこういう名称ではありますけれども、法律の性格がここで一部大きく前進したのではないかというふうにもとらえられるということであります。ですから、今後のこの法律の運用あるいは解釈に当たりましてはそのようなことが言えるのではないかというふうに思います。
 ただ、いずれにいたしましても、現場においてこれを生かすためには、先ほどありましたように、我々弁護士やあるいは民間団体の方でもしっかりとした研修、倫理規定等を設けまして、この法律をフルに活用できるような体制というものを考えていきたい。
 また、今回新たに拡大いたしました給付金の内容につきましても、実際に現場で警察官の方の意見を聞きますと、これだけやるには相当の人員と手間暇かけないととても大変ですというお話ですから、本当にこの法律を生かすためには、しっかりとした人員配置と、そしてそれに申請をする側の方でも熟練する必要があるということを考えております。
 したがいまして、私たちといたしましては、本当は基本法を制定していただいて総合的な体制をとっていただきたいというのが願いでありますが、この法律をできるだけこの国会においていいものに修正していただいて、なおかつ我々現場の方においてそれを生かすということを考えていきたいと思います。
#9
○委員長(江本孟紀君) ありがとうございました。
 次に、井上参考人にお願いいたします。井上参考人。
#10
○参考人(井上保孝君) 井上でございます。
 皆さんは、一昨年十一月二十八日、東名高速で幼い子供二人が焼死した交通事故のことを覚えていらっしゃるでしょうか。新聞報道などで皆さんも御存じの方がいらっしゃるかと思いますが、私、その被害者遺族、井上でございます。
 まず、私が経験した事故というか事件について簡単ですがお話をさせていただきます。
 一昨年十一月二十八日、東名高速の上り線、私の家内が運転し、私が助手席に乗って、後ろに三歳七カ月の長女と一歳十一カ月の次女が乗っておりました。その我々の乗用車に酒酔い運転をしていたプロのドライバーによる大型トラックが追突し、車が炎上し、私たちの娘二人が焼死しました。
 私自身も、重度といいますか三度の熱傷を負いまして、十一月二十八日から昨年の三月十七日までの三カ月半、それから六月から八月にかけて一カ月半という二回の入院を経験いたしまして、五回の手術を行いました。昨年八月に退院してからも、平日、毎日約一時間半、会社を抜け出してといいますか、時間をつくってリハビリに通い、月に一回薬をもらいに行ったり、あるいは外来診察のために、入院していた川崎の病院なんですが、私、千葉に住んでおりますが、千葉から川崎まで通っております。
 交通事故の場合、いかに悪質で被害が甚大であってもほとんどが業務上過失致死傷罪、刑法二百十一条による業務上過失致死傷罪で裁かれております。この刑罰が余りにも軽いのではないかということについて、私たちは昨年来、悪質な交通事犯に対して厳罰化を求めて運動しておりまして、あす衆議院の方でも審議されるというふうに伺っておりますが、この運動あるいは悪質な交通事犯に対する厳罰化ということについてはまた別の機会でお話しさせていただくことがあるかと思いますが、きょうは犯給法ということで、私自身が体験したこと、あるいは私の家内が体験したことを聞いていただきたいと思います。
 業務上過失致死傷罪ということで加害者が起訴されておりますので、今回の犯給法は過失犯に対しては適用外ということになっておりますが、私自身が五カ月強の入院に要した費用、これを私自身は、今回、これは非常にラッキーといいますか、経済的な負担についてはそれほどかかっておりません。しかしながら、費用としては、娘二人の葬儀あるいは供養に関する費用も含めますと三千万円以上かかっております。
 これはまず、加害者が雇用されていた運送会社が事故を会社として受けとめてくれたということがあるかと思います。それから、この会社が任意保険にも入っていたことで、医療費とか入院費用、そういったようなものを医療機関から保険会社あるいは会社の方に直接請求してくれたということで私自身の負担が軽減されたということですが、これをもし自分で負担する、あるいは立てかえなきゃいけないというようなことになっていたら大変なことになっていたのではないかと思っております。現実にそういうことを、私みたいなケースであればいいわけですけれども、そうでない人というのは、ほとんど自分でまず立てかえたり、あるいは工面をしたりということをさせられているというふうに伺っております。
 それから、私もまだリハビリ中ですが、熱傷というのは、やけどですね、これは一生涯つき合っていかなきゃいけない病気であって完治することがないと言われております。私も今まで五回手術を受けましたけれども、今後も不都合な部分が出てくればその都度手術をするということで、なかなか固定だとか完治するというような場面には、先生方もいつというようなことをおっしゃっていただけません。
 この経済的負担もさることながら、私みたいに費用を医療機関から保険会社の方に直接請求されるようなケースであっても、それでも我々はいろいろな、例えば書類を整えたり、請求のための証明書をとったりというようなことで、非常に時間と労力を費やしております。これは、私たちが家内も含めて会社員であったということで、事故後に収入が直ちに断ち切られるというような心配をすることがなかったこともありますが、とても例えば娘の忌引というような期間内で処理できるような手続の量じゃありません。しかも、こういう作業というのは負の作業なんですね。事故さえ起こらなければやることの必要のなかった作業なんですが、これを煩わされてやっていると、やはりいやが応にも亡くなった子供たちのことを思い起こさせられることになるわけです。そういうつらさがございます。
 したがいまして、今回のこの給付金に関しても、できるだけ簡便な手続で、かつ本人たち、被害者遺族がお金を立てかえなければならないようなことは避けられるよう配慮していただきたいと思います。まかり間違っても、被害者や被害者遺族が医療機関から医療費の支払いで追いかけ回されることのないよう望みたいと思います。
 現実に、昨年の九月に犯罪被害者のシンポジウムで長崎県の女性が、全身ガソリンをかけられて私と同じような熱傷を負ったわけですけれども、その方はずっと医療機関からお金を払えということで何度も何度も追いかけられたということを訴えておられました。そういう現実があるということを知っていただきたいと思います。
 次に、私が体験した心の傷といいますか、これについて述べさせていただきます。
 一昨年の十一月二十八日に事故に遭って以来、私は救急車で救命救急センターに運ばれて三カ月半入院しておりましたので、その後、初めて自宅に戻ったのが三月の十七日でございます。そのとき、子供の遺影と遺骨を持ち帰って、子供たちの遺品の整理を始めたんですけれども、子供たちの生活していた部屋には元気だったころの子供たちの遊んでいたおもちゃや身につけていた持ち物がいっぱいあったんですね。これらのものを片づけていると、涙があふれて、何度も大声を出して泣いていたということを思い出して、私はもうこのことをお話しすると、申しわけないんですけれども、自分自身今でもこういう状況になります。
 数日後、私たちは四月一日から復職したんですが、会社に出ても子供たちのことは絶えず頭の中にあって、例えば仕事中でも、九九年の十一月二十八日以前の資料を見たりすると、このころは子供たちが生きていたんだというようなことがふっと頭をよぎりますと、もう仕事にならないんですね。もう涙がぼろぼろ出てくる、こういうようなことを何度も経験いたしました。家内も、何日も出社がつらいということで、復職したものの、つらい日が続きました。
 そんなとき、私が入院しているときに家内が手にした検事さんから紹介を受けた本なんですけれども、一冊の本にある団体のことが載っていました。それで、その団体に連絡をとったんですが、これが被害者支援都民センターという団体との初めての接点でした。
 妻は今でもカウンセリングを二週間に一度受けております。また、月に一回、先ほど先生からお話がありましたが、自助グループ、セルフサポートグループというんですか、これに出ております。これは、同じような体験をした人同士で、繰り返し自分の気持ちを、あるいは体験を話すということで回復していこうという作業を続けることなんです。
 この自助グループについて、一人の方の、詳しくはお話しできないんですけれども、お話ししたいと思います。
 この方は、やはり息子さんを交通事故で亡くされて、今でも長崎県で漁業をしておられる方なんですけれども、この自助グループに出るために月に一回、飛行機に乗って東京の支援センターに来られているんです。もっと近いところに同じような団体あるいはグループがあればということを熱望されておられますが、現実に今も月に一回、東京に来ておられます。
 こういった心の傷というのは、一過性のものではなくて、なるべく早く、しかも継続して支援を受ける必要があるというふうに思います。
 今回、この犯給法の中で援助団体の指定ということが定められておりますが、先ほど川本先生、白井先生の方からも御指摘ございましたけれども、経済的な支援がやはりどうしても必要だろうと思います。
 現実に、三月二十四日、被害者支援都民センターがキャンペーンを東京駅八重洲中央口で行ったのをテレビあるいは新聞で御存じの方がいらっしゃるかと思いますが、やはりこういったキャンペーンをして、みんなに被害に遭ったときにすぐに思い出していただける、あるいはこういう組織があるんだということを知ってもらうための活動も必要だと思うんですね。
 今までそういった活動に対して、ほとんど民間のあるいは被害者の寄附金、あるいはボランティアに頼っているわけですね。人材も確保しなきゃいけないし活動も広げていこうということになると、どうしても公的な支援が必要だと思います。そういう意味で、何とか、こういう援助団体に指定されるということは経済的な支援もしてもらえるんだというふうな仕組みであってほしいと思います。
 被害者の方から見るとまだまだ不十分だと思っておりますけれども、まず一歩前進させるという意味で、この犯給法についてはぜひ成立させていただきたいと思います。
 先ほど山上先生からもお話がありましたけれども、日本の犯罪被害者の支援に対しては二十年おくれているというふうに言われましたが、この距離を埋めるためにも、さらなる被害者支援策の拡充をお願いしたいと思います。
 また、警察の情報提供にしても、我々被害者から見ると、事実が知りたいんです。一方的に警察に事情を聞かれることは幾らでもあるんですが、我々が警察から情報を得るということはほとんどないんですね。裁判に出て初めて事実が明らかになる。それまでは一切わからない。今までは、その裁判をやっていたこと自体が知らされていないというような状況だったんですが、それは徐々に改善されつつあるというふうに思っておりますけれども。
 例えて言いますと、警察の方から証拠品が返されて、もう見るのも嫌だ、血のついたようなものと思うかもしれませんけれども、これは後々民事裁判あるいは何か交渉するときに大事なんですよというふうに一言警察の方から言っていただければ、それを残しておけるわけですね。ところが、そういう判断すらつかないような状況で、ぽいと返されて何らコメントもないというような状況だと、本当に被害者側としてはどうすればいいのか。もう気持ちの上からいうと思い出したくもないものだからということで、すぐに処分しちゃう、そういうふうになっちゃうんですね。そういうアドバイス、そういう意味での介入はできるだけ早くしていただけたらと思っております。
 私どもの、事故を経験した被害者遺族として私の気持ちを述べさせていただきました。どうもありがとうございました。
#11
○委員長(江本孟紀君) ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 なお、質疑時間が限られておりますので、簡潔に御答弁いただくようお願い申し上げます。
 それでは、質疑のある方は順次御発言願います。
#12
○仲道俊哉君 自由民主党の仲道であります。
 四人の参考人の皆様方には、貴重な時間、出席をしていただきまして、そしてそれぞれの立場で貴重な御意見をいただきましたことを、まずお礼を申し上げたいというふうに思います。
 まず一問目は、警察と民間援助団体、それぞれの先生方の方からも御意見が出ましたが、その連携の強化について、まず山上参考人の方にお願いをいたしたいというふうに思います。参考人は全国の被害者支援ネットワークの会長さんですね。そういう意味で、これまで被害者支援に誠心誠意取り組んでこられましたことに心からまず敬意を表したいというふうに思います。
 従来、ボランティアとして犯罪被害者の支援活動を行っていた民間援助団体は、今度は、改正後は都道府県公安委員会の指定民間援助団体として法的に認知をされるわけですが、犯罪被害者の相談業務や給付金の申請補助業務、支援業務などについては今後ますます重要な役割を担うと期待されているわけですが、しかし現状は、昨年の十一月一日の時点で調べてみますと、十六都道府県で十七団体しかできていないわけですね。その他の県ではそういう設立がされていないわけですが、その上に、多くの団体が設立から余り間もなく、また規模も小さいということで、なかなか活動が思うように、また寄附金等もなかなか集まらないというような問題点を抱えているわけです。
 そういうことで、今後十分に国民や被害者の期待にこたえるためには、私は、警察による設立促進、それから、今意見も出ましたが、団体に対する十分な財政支援、それから被害情報の提供、また相談業務のための警察施設の団体への提供、そういうことで、警察と民間支援団体のより一層の連携強化が必要であると、こう考えるわけですが、全国被害者ネットワークの会長としてどのような御意見をお持ちでしょうか、お願いをいたしたいというように思います。
#13
○参考人(山上皓君) 今御指摘いただいた四つの政策というのがもしとられれば、大変有益、有効であろうというように私は思います。
 私たち民間援助組織はまだ二十しかありませんけれども、やはり被害者支援というのは全国どこにおいても同じ支援が得られるようになるのが目標であります。イギリスでも、そういうように目指して、全国に同じ質の高い支部をきちっとつくって全国同じレベルで対応できるようになっていますけれども、日本ではまだそれができていないために、遠隔の地から電話をかけてこられたり、あるいは飛んでこられたりということも自己の負担でしなければならないという状況があります。ぜひその組織をふやして、各地どこにでもつくっていかなければいけないと思います。
 それから、全国にそういう被害者援助組織をつくっていくときに、やはり人材とそれから資金の確保が大事であります。人材は我々のいろんなつながりの中で探していけるんですけれども、ボランティア活動で財政的な負担も大きいとなるとなかなか着手できないというところがありますので、財政的な支援に関してはぜひその方策を検討していただきたいというように思っております。
 また、各地に組織を広げていくときには、やはりセンターとして、そういう質の高い組織が育っていくようにトレーニングをしたり、それから人材を集めて研修をしたりというようなことが必要になってきますので、そういうセンターを充実させなきゃいけないんです。
 私の医科歯科大学の前の犯罪被害者相談室というところが今事務局を持って何とかその役割を細々とやっていますけれども、そこは財政が本当に貧しいものですから、全国に出張していくこともなかなかできないような状況にありますので、こちらから行くにしても、あるいは全国から集めて研修をするにしても、そういう財政的な支援がとても必要とされております。
 それから、警察との連携でありますけれども、英米の被害者支援先進国というところはどこでもそうなんですけれども、警察との連携を非常に密にされます。ボランティア組織で自立性はきちっと保っておりますけれども、犯罪の被害者にできるだけ早く必要な支援を提供できるようになるためには、被害者についての情報を、あるいは被害者との接点を早く持つ必要があるものですから、警察との協力が不可欠であります。一方、警察は、非常に早い時点で接することができますけれども、被害者が必要とするものにずっと応じ続けるような体制にはなかなかありませんので、民間の援助組織が直ちにそれを引き継ぐような形ですることができるわけであります。
 そういうことで、事件後なるべく早い時期に被害者が援助を得られれば、その後の障害の程度も軽くなりますし、二次的な被害も防ぐことができるので有効なんですけれども、日本ではまだそれがとてもできない状況です。
 先ほど紹介いたしましたけれども、日本の民間援助組織は、まだ、電話相談あるいは面接相談というように、本人が自分から求めてきたときに初めてできるという援助しかしていません。大部分がそうですね。被害者支援都民センターでは、これからようやく直接的な支援を被害者の方に出かけていってでもするような体制を今整えてきているところでありますけれども、それは全国の中では例外的であります。そういう状況でありますので、実際に全国で被害者の本当に必要なときに速やかに援助を受けられる人というのは、本当に援助を必要としている人の恐らく百分の一もいないだろうと思います。
 そういう状況ですので、連携を密にして支援ができるような体制をぜひとりたいと思いますし、それを促すような法の制定あるいは財政的な援助などを進めていただければというふうに願っております。
 以上です。
#14
○仲道俊哉君 今の問題につきましては、先ほど川本参考人からも援助団体に対するところのかなり問題点について指摘をされたようなんですが、この問題については川本参考人の方からもちょっと御意見を関連してお聞きいたしたいと思います。
#15
○参考人(川本哲郎君) 援助団体の方が今非常に努力されて活動されているというのは、私もよく存じております。
 少なくとも、京都の犯罪被害支援センターにつきましては順調に運営されていると。ただし、これからどんどん業務がふえてきたりしますと、先生御指摘のとおり、それなりの対応策は必要になってくるだろうと。さらには、いろんな研修も行う必要があるというのは事実だと思いますが、そこのところは何とか乗り切れると思いますし、乗り切っていかなくてはいけないし、その点についてやはり政府の方からも十分な御支援をお願いしたいということでございます。
#16
○仲道俊哉君 次に、精神的な障害、PTSDです。
 山上参考人については、かなり著書あたりも出してこれについての御造詣が深いわけですが、このPTSDの本法による障害給付金の等級の認定等はどうあるべきか、特に認定判断に当たって配慮すべき点等、今、井上参考人からも子供さんを亡くされてから後の大変貴重な体験談をお聞きいたしたわけですが、そういう意味では、PTSDの専門家としてぜひ参考人の御意見をお聞きいたしたいと思うわけですが、いかがでしょうか。
#17
○参考人(山上皓君) PTSDのような精神的な症状に関して、それを客観的に評価するということ、あるいはそれをどの時点でその症状が固定したと考えるかとか、そういうようなことはとても難しい問題を含んでおります。
 私が感じておりますのは、犯罪の被害者で大きな被害に遭った場合には、共通して非常に大きな衝撃を受けて、かなりの比率でそういう症状がかなり長く遷延していくという経過があります。そして、被害に遭ってから早い時点で適切な援助あるいは治療的な介入があれば、それが軽くされたり、あるいはより悪化するのを防ぐということができるということが言えますので、むしろこういう精神的な症状に関しては、早い時点で精神的なサポートができる、そして適切な治療的な援助が無料できちっと継続されるという状況をつくることを優先するのがいいのではないかというふうに私は感じております。
#18
○仲道俊哉君 今の問題について、白井参考人の方からも先ほどちょっと御意見をお聞きしたわけですが、私は、経済的支援以上に精神的なケアの充実というのが非常に重要になるわけですが、警察や指定民間団体の精神的被害者に対する取り組み、これは実際どうあるべきであろうかという参考人の御意見をお聞きいたしたいと思うんです。
#19
○参考人(白井孝一君) 民間支援団体の中に、訓練を受けた専門の相談員のボランティアの方もおりますし、それからまた臨床心理士とか精神科医の方もおりますので、直接にはそれらの方々と被害者の方とがお互いに話し合って心理的なケアというものをする、これが第一になると思います。
 しかし、警察とか検察庁、また弁護士など、事件直後に刑事手続あるいは民事手続で被害者の方と接する者が、本当に被害者の方のそういう心理状況、心の傷というものをしっかり理解して、それに配慮しながら事を進めるということをしないとさらに二次被害を及ぼしてしまうということでありますので、弁護士会の方でも、仮に加害者側の弁護人になって示談を申し込むような場合であってもその点を十分注意するように、ましてや被害者の方から相談を受けた場合に、君、そんなもの刑務所に入っているからもうだめだよ、お金は取れないからもうだめだよというような形でやってしまうようなことは絶対にしてはならないというような、やはりそれに携わる者がしっかりとした研修を受けて理解しながらやっていくということが必要だと思います。
#20
○仲道俊哉君 まだ質問があるんですが、もう時間が参りましたので、これで。
 ありがとうございました。
#21
○竹村泰子君 民主党の竹村泰子でございます。
 きょうは、山上先生、川本先生、白井先生、そして井上さん、本当に貴重なさまざまな体験を通してのお話、また大切な部分をきちんと踏まえていただいて、参考人としておいでいただきまして、本当にありがとうございます。
 犯罪被害者の支援制度、これは、もう言うまでもなく憲法の保障する権利と言うべきところでありましょうし、憲法十三条、個人の尊重、生命、自由、幸福追求の尊重、憲法二十五条、生存権、国の生存権保障義務等がその根拠となるわけでございます。
 お話をお伺いしましたとおり、我が国におきましてはやっぱりまだまだ欧米の諸国におくれているということで、山上先生、川本先生、そしてまた日弁連の皆様が、特に日弁連は早くから、身銭を切ってという言葉は変ですけれども、自前の救済制度をいろいろと働きの中に入れてくださっておりますことを私たちよく存じ上げております。そして、山上先生が先ほど御提案くださいました支援ネットワークのお働きの中で、アメリカやイギリスで提供されている支援サービス、こういったものを見ますと本当に我が国との違いに驚くばかりですし、やはりボランティア活動と申しますか、そういうことの位置づけがすばらしいと思うのでございます。
 我が国では、大変な御努力で十八都道府県にようやくそれらしき活動ができているということでありますけれども、まずその被害を受けた人がわかったときに、危機介入、情報提供、連絡、資金提供、片づけ、清掃に至るまで、子供の世話とか外部への対応とか、そういうことをボランティアサービスとそれから公的なサービスとが全く協力をしてやっているということでございましょうか。
 私たち民主党は犯罪被害者基本法案を提出し続けておりまして、今国会でも衆議院で提出をしておりますけれども、もちろん、そういった法整備のみではなくて国の姿勢が問われているというふうに思うわけでございますが、山上先生、川本先生、どうかもう少し詳しく御助言いただければありがたいんですが。
#22
○参考人(山上皓君) 最初のページに、アメリカ、イギリスにおいて提供されている支援サービスと書きましたけれども、これはアメリカですと、州によってあるいは市によって、自治体がかなりその裁量を持って独自のプログラムを展開しているということであります。
 そのモデルとなるような、これは、アリゾナ州ツーソンでビッキー・シャープという方がリーダーになって、検事局の方ですけれども、そこに二十人ほどのスタッフとそれから百人ほどのボランティアが協力してほぼこれに相当する活動も二十四時間体制でやっています。ボランティアの方が土日と夜間、車でパトロールしながらということで、警察の情報で緊急に駆けつけるということもしておりますけれども、そういった体制ができるまでには、やはりその組織が二十数年をかけてしっかりとした研修、指導体制を組み、蓄積してきた結果であります。
 それで、アメリカはこれに類するものがまたあちこちでいろんな形で、そういうアリゾナのこれはピマという郡の活動ですけれども、ニューヨーク市ならニューヨーク市でまた大きな支援サービスセンターがありますし、それぞれが独自のプログラムを持って、こういうレベルのものを、被害者のニーズをできるだけ適切にということで取り組んでおります。それから、州によっては警察が積極的にこの役割をとって、警察の被害者カウンセラーという方が十人ぐらい専任でおられて、こういう役割をかなりの部分引き受けておられるところもあります。民間と警察の役割というのは、アメリカの場合は非常に入り組んでいて、それぞれの地域の特徴によって違っております。
 イギリスの場合は、全国一律でビクティム・サポートという援助組織がしておりますが、危機介入の事件直後のものに関してはこれほどまでにはしていないところがございます。ただし、警察から直ちに情報をもらって数日後には接触をとってということで、年間に百万件以上のケースについてビクティム・サポートは援助を行っております。
#23
○参考人(川本哲郎君) 今のにつけ加えることはそれほどないわけですけれども、イギリスの事情で、今、山上先生の言われたビクティム・サポート、これはかなりきめ細かくといいますか、団体の数も多いですし、小さな町にでもそのビクティム・サポートの支部がございます。私のいたケンブリッジという人口十万ぐらいの町にももちろんその支部がありますし、そこの地方紙に年間何回もビクティム・サポートに関する記事も載るということで、そこらはちょっと日本とはやっぱり状況が違うのかなという気がしております。
 ただし、先ほど申し上げた京都の犯罪被害者支援センターにつきまして言いますと、ボランティアの方はかなり一生懸命やっていただいているので、そういうところは、それこそ先ほどの阪神大震災以降、日本でもボランティアというものの位置づけというのはかなり認められるようになってきていますので、今後さらに発展することが期待できるのではないか。今、現状ではまだまだですけれども、ここ四、五年でかなり広がってきているし、イギリスに追いつくように頑張るという可能性もあるのではないかと思っております。
 また、交通犯罪被害者につきましても、イギリスではロード・ピースという全国的な被害者支援団体があります。日本でも、交通犯罪の被害者の方々がいろんな本を書かれたり、いろんなところで発言されるというのがここ四、五年かなりふえてきております。ですから、そういう点でも同じような関係にあるのかなという気がいたしております。
 あと、蛇足ですがつけ加えますと、私どもの大学で、昨年から交通問題についての総合講座というのを開きまして、その中で交通事故の被害者、遺族の方に一回お話をしていただいています。これはもうすごいインパクトがありまして、最近の大学は情けないことに大講義はどこの大学でも若干の私語があるわけですけれども、十歳の息子さんを亡くされたお母さんが来て大講義でとつとつとしゃべられるんですが、そのときに教室が水を打ったように静まり返ってしまった。やはり学生にとっても初めて伺う話であった、被害者の方の声を直接聞くことができたということで非常に教育効果は大きかったわけです。
 ただ、こちらの方で依頼するのは本当に難しいところがございまして、片方でそういう主張をされたいという反面、やはりかなりつらいことを話していただくわけですから、その点、本当にそういう姿勢で訴えたいという方がふえてきているというのは非常にありがたいことだというふうに思っております。
 以上でございます。
#24
○竹村泰子君 ありがとうございます。
 白井先生にもたくさんお聞きしたいことがあるんですけれども、時間が本当に短いものですから、失礼をするかもしれませんが。
 特に女性に対する犯罪、ストーカー事件でありますとかあるいは強姦事件でありますとか、そういう場合の、取り調べ最中も含めまして、心的外傷といいますか、大変大きなものがあると思います。その人の人生にも本当にぬぐい切れない大きな傷跡を残してしまうと思うんです。
 申しわけございません、井上さん、きょうは大変、本当にお嬢さん二人を亡くされた中での御体験を聞かせていただきましてありがたかったんですが、やはり心的外傷による傷跡というものはどこからもまだいやされてはいらっしゃらない、もちろんいえることはないと思うんですけれども、そういうケアがないのではないかと想像させていただきます。
 そして、同時に、先ほどちょっとおっしゃいましたが、情報の提供がほとんど被害者の側にはなかったと。私たちも先国会、刑事訴訟法及び検察審査会法の改正でかなり被害者に対する支援を深くいたしましたけれども、裁判が開かれていることも知らなかったというふうな被害者の方のお話も聞くにつけ、本当にその人が無罪で釈放されたことすらわからなかったという被害者のお話もお伺いしましたけれども、井上さん、時間が本当にございませんが、もう少しそういった心的外傷のことも含めてお話を願えれば、恐縮でございますが、よろしくお願いいたします。
#25
○参考人(井上保孝君) 私のケースの場合、加害者に対して、東京地裁が求刑を五年、それから判決が四年、それに対して控訴をいたしまして、結果は変わらずということで懲役四年が確定したわけでございますけれども、その裁判の経過については、以前のある交通事故のケースがきっかけとなってかなり裁判記録を公開してもらえるとかというような進展があったものですから、徐々にではありますけれども、事実を知ることができてきております。
 そういう面で、我々も、時間はかかるかもしれませんけれども、おいおいいやされていくのかなと思っております。家内も、先ほど申しましたように月に一回の自助グループに出たり、私もふっと思いついたことを紙に書いたり、あるいはそれを家内としゃべることによってちょっとずつ、吐き出すという作業をやることによって負担が軽くなってくるような気持ちがいたします。
#26
○竹村泰子君 ありがとうございます。
 犯給法の審議でございますので、私がさっきお聞きいたしましたことは少し犯給法の問題ではないかもしれないんですけれども、しかし犯罪被害者の方たちに対するさまざまなことが本当に手おくれ状態に、手詰まり状態になってきているということを私どもも深く反省し、そして今後の対応を図りたいと思うんですが、先ほどちょっとお触れになりました長崎の事件の問題をもう少し詳しく、時間いっぱい、二、三分しかございませんが。この犯給法の審議を今しておりまして、その参考人においでいただいているわけですけれども、例えばカウンセリングでありますとか、そういったことが、私どもは基本法ができればと思いますけれども、そういったことで井上さんが何かお考えになっていることがあれば、最後にお聞かせいただきたいと思いますが。
#27
○参考人(井上保孝君) 長崎の方のケースというのは、事故が起こったのは私どもの事故よりも三日か四日ほど早かったというふうに伺っております。十一月の二十五日ごろだったというふうに伺っております。
 まず、刑事裁判が非常に遅くなって、昨年の六月か七月ごろだったかと思います。それで、一審判決で執行猶予がついた、一年六カ月。やはりこれは私どもと同じ酒酔い運転です。写真も見せていただきましたが、田舎道といいますか、何もない一直線の道路です。もう事故の起こりようがないようなところで、酒酔い運転で一人息子さんを亡くされたと。
 この方の裁判が執行猶予がついたということで、もういてもたってもいられなくて、どこか相談するところがないかということで、たまたま知っていた被害者支援都民センターの方に電話をかけてきて、今空港にいるんだけれども行っていいですかということで、もうそれだけ言って飛行機に飛び乗ってこられたと。それで、我々がちょうど控訴をするかしないかというようなことを警察の方で検討していただいているときだったものですから、控訴してもらうにはどうすればいいんだというようなことを聞きたいということで、私どもで書いた抗議文書といいますか上申書といいますか、そういったものを参考にお見せして、こういうふうに書いたらいかがでしょうかというようなアドバイスを差し上げて、それを都内でホテルで缶詰になって書いて、それを持ち帰って福岡高裁の方に提出したと。
 そういう行動がなければ長崎の地裁ではもうほとんど控訴しないというような状況だったやに聞いておりますが、そういう行動をとったことで控訴され、結果的には執行猶予が外れて実刑判決が下ったというようなことで、この方のかなり精神的なショックは現在は薄らいできているというふうに伺っております。
#28
○竹村泰子君 ありがとうございました。
 オーバーしました。申しわけありません。
#29
○白浜一良君 公明党の白浜一良と申します。
 きょうは、四人の参考人の皆さん、大変貴重な御意見を賜りましてありがとうございました。心から御礼申し上げたいと思います。
 限られた時間でございますので、何点か確認したいと思いますが、山上先生、犯罪被害者基本法のことをこの書面に書いてございますが、いわゆる「犯罪被害者の権利宣言」を基本理念として盛り込まれたということが書いてございまして、見せていただきますと七つの権利が書いてございますが、どうでしょう、この基本法は大事だと思うんですが、この基本法を制定するに当たってのいわゆる基本的な理念というんですか、七つの権利は書いてございますが、最もコアになる理念というのは何なんでしょうか。
#30
○参考人(山上皓君) 犯罪の被害というのが同じ国の社会の一員によって不法にされた行為であり、一種その社会が裏切った面があるわけですけれども、そこを、社会の責任でもう一度信頼していい社会だということを被害者の方に伝える、そういうメッセージを込めて、できる限りの回復への努力をするということにあるだろうというふうに思います。
#31
○白浜一良君 それから、山上先生に続いて伺いたいんですが、この民間援助団体、これが今回の法改正で指定、項目に入ったけれども、これは大事な第一歩なんですが、実際は物すごく御苦労だと思うんですね、立ち上げて維持されるのには。ですから、今、現状でも十八団体しかないと。しかし、犯罪被害に遭われている方は全国にいらっしゃるわけで、ボランティアがベースになってはおりますが、犯罪被害者の皆さんの立場に立ちますと、やっぱり有効な機能をされておりますし、あちこちにできていくことが大事だと思うんですが、いろんなネックがあると思うんですね。
 御苦労されてつくってこられた立場から見て、一番どういうところがネックなんでしょうか。また、どういう手を打てば全国的な支援団体が出るようになるでしょうか。
#32
○参考人(山上皓君) 先ほども申しましたが、やっぱり資金とそれから人であります。
 人は、私たち、こういうふうに活動をどんどん広げていって、そして被害者の実情が見えてくると、それに呼応できる人は探せるものなんです。各地域にそういう心を持った専門家あるいはボランティアの可能性のある人がたくさんおられますので、それを少しずつ広報して広げていくんですが、ただ同時に、財政的なものとか、集まる場所だとか、そういうところがなければそういう志がある方でもそこにつくることができないわけです。
 大抵の場合には、警察の犯罪被害者対策室の方でしっかりした人がいたときに、その人が私たちが探していった専門家の方と連携しながらその可能性を探る。そのときに、財政的な基盤がどこにあるか、あるいは設置する場所をどこにつくれるか、建物を借りるだけでも大変お金が要るものですから、その苦労を随分されて、その条件が整ったときに初めて立ち上がるということがあります。
 しかし、各地域にボランティア、それぞれのいのちの電話とか、あるいはいろんな形でのボランティア組織があって、そういうところに人材がありますので、そういう周囲からの援助があれば全国に広げていくチャンスは十分にあるというふうに私は感じています。
#33
○白浜一良君 私は新聞で見たんですが、今度、神奈川ができるらしいんですが、神奈川の場合は県が基金をつくってやろうと、そういうきっかけづくりをされたと報道で知ったわけですけれども、いわゆる国とか地方自治体のその場合のかみ方、これは余り一律的にやったってできるわけじゃないでしょうから、国とか地方自治体のそういう民間援助団体を育成していく場合の関与の仕方というのはどうなんでしょうか。
#34
○参考人(山上皓君) 基本的には、資金と場所を提供して、ボランティア組織については主体はそちらに任せるようにしていただくのがいいと思います。
 そして、そういう民間援助組織は、その組織で、当然、被害者支援というのはそういう質的に高い活動、あるいは秘密の厳守とかいろんなものを要求されるわけですから、それを内部で私たちがきちっと引き締めてやっていくつもりですけれども、そういう財政的なものとか場所の問題とか、そういうもので応援してくれれば、ちゃんとそういうしっかりした組織をつくっていける可能性は十分今ある状況だというふうに考えます。
#35
○白浜一良君 もう一点、山上先生にお伺いしたいんですが、先ほども出ていましたが、PTSDです。
 今回、この法改正で、いわゆる犯罪被害者の等級が一から四までが十四に拡大されますね。このPTSDというのは、今後、社会も複雑になりますし、だんだん大事なウエートになっていくと思うんですが、先ほども客観的な評価は大変難しいとお述べになっておりましたが、そういう等級にできるような内容なんでしょうか。
#36
○参考人(山上皓君) 既に何年も、あるいは十年以上もずっと重い症状を持ち続けている方がおります。そういう方を診断すれば、だれが診てもそういう診断はつけられますし、それによって社会生活が大きく障害されていることがわかりますので、そういう意味で、症状の重さと、それがその機能にどれだけ影響を与えているかというのを評価することは決して難しいことではありません。
 ただし、補償の金額とか補償の判定の時期とか、そういうことが関連してきますと、やはり精神的な症状というのはそういうものにも無意識的にでも影響を受けやすいところがあるものですから、当面は、そういう症状をできるだけ軽くする、あるいは発生させない、あるいは発症したものをできるだけ軽減するということに全力を尽くすのがよいのではないだろうかというふうに感じております。
#37
○白浜一良君 どうもありがとうございました。
 それから、川本先生にお伺いしたいんですが、レジュメを見まして、「今後の課題」というところの、これは一般的によく議論されておりますが、日本に住所を有しない外国人への適用の問題です。
 私も非常に思ったことがございまして、ずっとワイドショーなんかで取り上げてきたルーシー・ブラックマンさん、こんなことになったわけでございますが、家族がイギリスからも来られて、いろいろ報道されておりましたが、経費は全部イギリス大使館が持ったわけですね。実際、そういう犯罪被害者としては適用されていないということなんですが、本国イギリスでも大変な大きな問題に取り上げられたということなんですが、日本でそういう犯罪に遭われた、亡くなられたことは間違いないわけで、これはやっぱりこれでいいのかなという率直な感想を持っております。
 これは、法律は法律ですからいろんな考え方があるんでしょうが、今後の課題というふうに取り上げていらっしゃいますので、ちょっと所見を伺いたいと思います。
#38
○参考人(川本哲郎君) 確かに、今先生が言われた例なんかを見ますと補償は必要だろうと、基本的にそう思います。ただ、発展の段階で、先ほども御質問がありましたけれども、犯罪学の世界というのは、従来、犯罪者だけ考えておりました。犯罪者というのはどんな人なのか、素質と環境だということを言っていたんですが、そこから被害者学というのが出てきたのが今から五十年ぐらい前ですか、そこで被害者の方に目が向いた。ただ、そうしますと、被害者の何か責任みたいなものになってくる感じがありましたので、今現在では被害者支援という方向へ移っております。
 さらに、それと今のを結びつけますと、国の責任とかそういうものをダイレクトに問うというところまではちょっと難しいのかなという気がするわけです。つまり、日本の中で被害に遭われた方がいらっしゃる、それはどうしてかといえば、警察、検察、ちゃんと犯罪を予防できなかったからなんだというふうになって、それの補償だというふうには、そういう側面があるのは確かなんですけれども、やはり犯罪被害者給付法なんかはそれを前面に打ち出しているわけではないわけですね。それを考えると、難しいけれども可能性はあるというあたりなんでしょうか。
 つまり、外国人の方が日本に来られて被害に遭われた、そのときに日本の国は何もしないのかということでは、見舞金とか、何か被害者ないしは被害者遺族の方の支援をさせていただくという方向はあるだろうと。ただ、そこが、外国人の方が来られて日本で被害に遭われたから、日本の治安が悪いからだというところまでは行かないだろうというふうに思っております。
#39
○白浜一良君 検討会の報告を見ますと、いわゆる相互主義に基づいて、今後の検討課題と、こう書いてございますが、相互主義ということは、イギリスならイギリスにもこのたぐいの制度が二十年進んだ形で、日本は二十年おくれているらしいので、これは外交関係として、お互いのそういう犯罪被害者に対する補償措置として外交関係で結んでしまえばできますよね。そういう意味での努力というのは当然するべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
#40
○参考人(川本哲郎君) そのように考えております。つまり、被害者支援については、欧米中心にかなり日本より積極的にされているところがあるわけですから、日本人がイギリスに行って被害に遭った、その場合に支援を受けられるとすれば、イギリスの方が日本に来られたときに当然支援は提供すべきだろう、そういう話し合いはできるだろうと思っております。
#41
○白浜一良君 どうもありがとうございました。
 それでは、白井先生に一つだけお伺いしたいんですが、いわゆる過失犯は適用外と、こういうふうになっておりますが、過失犯といえども際どいのはいっぱいございますよね。衆議院でもいろいろ議論されていたんですが、例えば屋上から自殺をされた方がいらっしゃる、たまたま下を通行された方が被害をこうむられた、この場合なんか具体的にあり得るケースなんですが、一応、法の形としては過失犯は適用外ということなんでしょうが、現実的に言うと過失犯であってもそういう犯罪被害者に該当することがあると思うんですね。この辺はどういうお考えでしょうか。
#42
○参考人(白井孝一君) 私どもの意見書では、やはり過失犯も含めて本来補償制度というものを定めるべきだというふうに意見書を出しておりますが、しかし、この補償制度の根拠ということが、国の方で国民の安全というものを図るために警察制度とかいろいろな制度を設けておる、それにもかかわらず犯罪が起きてしまって、被害が起きてしまったということから、やはりその被害者に対して社会の連帯共助ということから補償をしていくんだというような考えに立った場合に、本当に軽い過失といいますか、本当にそういう軽い過失のものまで国に責務があるのかという、そういう議論は弁護士会内でもございます。すべての過失犯について補償しなければならないのかどうか、その辺はやはりまだ検討をしていかなければならない、過失犯の中でもいろいろ種類を区切って補償をしていくのか、その辺のところはやはりまだ検討する余地があると思います。
#43
○白浜一良君 井上参考人、本当に悲しくて残酷な体験をお聞きいたしまして、もうお聞きすることはございません。我々そういう貴重な御体験をお話ししていただいたわけでございますから、しっかり戒めとして頑張ってまいりたいと御意見だけ申し上げまして、質問を終わります。
#44
○大沢辰美君 日本共産党の大沢辰美でございます。
 四名の参考人の皆さん、御苦労さまです。
 最初に山上先生にお尋ねをしたいんですけれども、本当に被害者の多くの相談をお受けになられて長い間頑張ってこられたんですが、特に私、性犯罪の被害者、そして心的外傷ストレス障害を受けられた方が、今回、法律改正になったわけですけれども、なかなかこういう人たちへの支給要件というんですか、それが外れてしまっているのか漏れてしまうような状態になっていると思うんですが、はかり知れない被害を受けているということを今御意見も述べられたわけですけれども、そういう犯罪被害者の心的外傷障害の実態と、支援の必要性というんですか、その点をまずお聞かせください。
#45
○参考人(山上皓君) 資料の中でも表にして示しましたけれども、実際の被害者の方で相談に来られる方の中には、性犯罪の被害者、強姦の被害者の方が数多くおられます。先ほども触れましたけれども、被害者を亡くされた御遺族の方と、それから性犯罪の被害者と、この二つの類型は非常に高い比率で重い心理的な後遺症を持っていて、PTSDと診断される率が高くございます。
 しかし、特に性犯罪の被害者の場合には、それを外部に訴えられない、自分だけで隠してしまう、あるいは警察に届けたとしても職場とか家族には言えないとか、そういう人たちもたくさんおりまして、そこで、援助を受ける、あるいは治療的な介入を受ける機会を失して、非常に重い心の傷を持ったまま人生が変わってしまうような経験をお持ちの方もまたたくさんおられます。
 この人たちを救済するには、何か直ちに基金でというよりは、むしろきめ細かな支援サービスができるようになる、あるいは被害者が安心して訪ねることのできる、あるいは電話をかけてすぐサポートされるようなしっかりした援助体制をつくっていくことの方が大事で、その入り口、それからまた被害者自身が自分からそういうものを求めていること、とても困難なことがあるものですから、先ほど言いました事件直後のより早期の支援ができるように警察と連携して、本人が求める場合には速やかに援助できるような、そういう連携をつくっていくということが大事だろうというふうに思います。
#46
○大沢辰美君 次に、川本先生にお願いしたいんですけれども、「今後の課題」ということで最後に提案をしていただいた中で、四番目の親族間犯罪の支給制限という点について、これはケース・バイ・ケースであって、やはりしゃくし定規で制限をしてはいけないという指摘をされたわけです。私もそのとおりだと思うんですが、この点について、今社会的問題になっていますドメスティック・バイオレンスの被害者の実態は深刻なんですが、そういう実態からこの支給制限はどのように、今課題として出していただいたんですが、具体的にちょっとお尋ねしたいと思います。
#47
○参考人(川本哲郎君) まず、支給されるときに、全く支給されないわけじゃないんですけれども、支給されるときに三分の一という制限がついております。どうしてこれは三分の一になっているのかというのは、そんな明確な根拠があるわけではないわけでして、もしそれが認められるのであれば、その三分の一に減額する必要はないのではないかと。全額認めればいいわけですから、ケース・バイ・ケースで認める場合と認めない場合というふうに決めるんであれば、その認めたのが三分の一というのはおかしいのではないかというのがまず第一点ですね。
 それと、あと、今先生が御指摘のように、ドメスティック・バイオレンスとかそういうものがだんだん明るみに出てくる。性犯罪なんかでも、従来もう本当に国の方でも全然支援していなかった、民間でも支援されていなかった。それがだんだんそういう動きが拡大してきましたから、被害に遭われた方も声を上げられるような雰囲気になってきているという状態ですから、今後はやはりそういう方たちに対する支援はふえていくと思いますね、数として。
 非常に重要な課題であるわけですが、そこでこの犯給法との関係で申しますと、いろんな事例があるわけでして、今の問題でいうと、親子間であるから支給ができないんだとか、あるいは支給しても三分の一だとか、そういうような決め方というのはやっぱりかなり無理があるんじゃないかと。その制度によって、その制度があるがために、本来支給されるべき方が支給されないというケースは出ていると思うんですね。そこを考えればもっと柔軟な制度というのが考えられるんじゃないのかというのが私の言いたいことでございます。
#48
○大沢辰美君 ありがとうございました。
 次に、白井先生にお聞きしたいんですけれども、支援団体の問題で、警察と支援組織の関係について、今回の法案では早期支援団体を公安委員会が指定することになっています。でも、指定要件については今後検討するということになっているわけですけれども、その要件に対しての御要望がございましたら、また支援組織に対する公的支援のあり方ということで、先ほど具体的に金額も算出されておりましたけれども、その他どのような支援が必要かという点で、まずお聞かせください。
#49
○参考人(白井孝一君) 先ほど申しましたように、警察とか検察庁とお互いに連携をとりながら早期に支援をするということは、これ大変必要なことだろうと思います。それについて、一定の要件のもとにこのような制度を設けるということは必要だろうとは思いますけれども、その支援組織というものも、犯罪の種類に応じまして、また被害者の状況に応じましていろいろな組織が現にありますし、またあっていいと思います。
 自助努力のようなそういう組織もまた非常に大きな役割を果たしていると思いますので、この指定に当たりましては、やはりできる限りそうしたいろいろな多様性のある組織について認める、そういうこともぜひとも配慮していただきたいと。それによって被害者の方が一人でも多く利用しやすいようにしていただく、そういうことが必要なのではないかということと、それから、先ほど山上先生の方でおっしゃっていただきましたが、資金と場所は提供していただいて、自主性は尊重していただきたいと、このことは非常に大切なことだろうと思いますので、実際の施行令をつくる場合、あるいは運用に当たりましては、その点をぜひともお願いしたいと。
 できれば、そのような施行令をつくる、あるいは指定の基準をつくるような場合に、やはりこのような関係者をぜひともお招きいただいて、そうした意見も聞いていただきながらつくっていただくということが一番いいんじゃないかというふうに思います。
#50
○大沢辰美君 ありがとうございました。
 もう一点、先ほど述べられましたけれども、給付金の水準ですね、被害者の。最低の医療費とか生活の保障とか、一定のことをお話しいただいたんですけれども、すべて時間がなかったので述べられなかったのではないかと思うんですけれども、そういう内容について、今後のあり方というんですか、その点について具体的に。
#51
○参考人(白井孝一君) 済みません、ちょっと聞き取れなかったので。
#52
○大沢辰美君 被害者の給付金の水準について、最低限の医療費だとか、それから生活の保障なども含めてるる述べられたと思うんですけれども、時間がないので全部述べられなかったということをおっしゃいましたので、具体的にございましたら教えていただきたいと思います。
#53
○参考人(白井孝一君) 先ほど山本さんの例でおわかりいただけたと思いますが、私どもが考えておりますのは、やはり医療関係費として、現在のこの改正案では自己負担分の治療費ということだけですけれども、医療関係費でも、リハビリの費用とか衛生用品とかあるいは補助具とか栄養などの費用、あるいは場合によっては個室入院の費用等いろいろありますので、そういった費用を考えていただく。また、カウンセリングの費用というものも考えていただく。それから、通院交通費、また介護費、それから葬儀費用、死体処理、運搬費用、家屋などの清掃、修理費用、それから休業補償、それから将来の生活保障、それから症状固定と診断された後、入院施設等の充実。それからまた、ドメスティック・バイオレンスなどのように避難が必要な場合の避難施設などのそうした点について総合的にお考えいただきたい。
 それから、ちょっと申しわけないんですが、先ほど使い勝手のいいということをおっしゃられたんですけれども、また私どもで考えているのは、例えば犯罪被害者証明書みたいなものをつくっていただいて、これを病院なりどこだかに差し出せば、この方についてはこういう保護が受けられますよというような、そういうできる限り使い勝手のいい工夫をもし施行令なり今後運用を考える場合にお考えいただきたいというふうに思います。
#54
○大沢辰美君 ありがとうございました。
 最後に、井上さん、きのうも交通事故の会議に参加いただいて、きょうもまた来ていただいて、本当にありがとうございます。語るたびにつらい思いをしておられるのにお聞きするのはとてもつらいんですけれども、一点だけ。
 事故後の警察等の対応とかいろいろあったと思うんですが、その点で、今後警察とか司法に対して望まれることというんですか、先ほどもちょっとお話しをいただいたんですけれども、ここだけはちゃんとやってほしいという点を教えていただけたらと思います。
#55
○参考人(井上保孝君) 私の場合は非常にそういう面でいえば恵まれていたと思います。事故の処理に当たってくれた警視庁の高速警察隊の方も非常に親切で、その後も、つい最近も私たちの事故車を見てきたんですけれども、その手配にしても随分フォローをよくしていただけたということで、少なくとも私どもの事故に対して、警察に対して今不満とかいうものは持っておりません。
 ただ、検察官に対しては、これは私どもの記者会見なんかでもちょっと話をさせていただきましたけれども、東京地裁の一審の求刑のときに、業務上過失致死傷罪の最高刑は五年ですと、あなた方今回求刑できる最高刑は五年ですという話をずっとされていたんですね。私どもが入っている任意保険の弁護士さんに相談したら、少なくとも道路交通法の方があるので併科できるはずだと。併合罪を使えば、処断刑としては七年あるはずだという話をされていたんですが、幾ら話をしても、業過罪それから道路交通法違反を併合しても五年が最高だということだったんですね。
 実は、警察の方とそれを争うほど我々プロじゃございませんし、けんかしても、我々はどちらかというと警察にお願いしているというか、検察官に頼らなきゃいけない部分ですので、けんかできなかったんですけれども。
 結果的に、控訴審の判決文の中で、最高刑が七年であるにもかかわらず五年を求刑した検察にも問題があるんじゃないかというような趣旨の判決文が出まして、やはり七年だったのかというようなことを感じたわけで、そういう意味では後味の悪い対応があったなと思っております。
#56
○大沢辰美君 ありがとうございました。
#57
○照屋寛徳君 社会民主党の照屋寛徳です。
 きょうは、御四名の参考人の皆様には貴重な御意見をいただきまして、心から感謝を申し上げたいというふうに思っております。
 私は沖縄の出身であります。この犯給法というのは、現在のところ故意犯による被害が対象でありますが、犯罪主体は限定をされていないわけです。
 御承知のように、沖縄にはたくさんの米軍人軍属並びにその家族が駐留をしておりまして、米軍人軍属、その家族による特に性暴力、性犯罪その他の一般刑法犯による被害が続発をいたしているわけであります。参考人御案内のように、九五年には小学六年生の少女が海兵隊員ら四名に暴行されるという事件がございました。ことしになって、特に立て続けに中学生の少女が襲われるという性犯罪が起こっておりまして、非常に私ども県民心を痛めておるわけです。
 これら性犯罪、性暴力というのは、なかなか被害感情もありまして、それから沖縄のような非常に濃い共同体というか地域社会の中で事件として立件されないという部分も一つございます。
 それから、そういう事件等が明るみになって報道されることによる、白井参考人がおっしゃっておりました二次被害の問題も現実にあるわけです。恐らく、性暴力、性犯罪による被害者並びにその家族の受けた精神的な被害というのは私どもが想像を絶するような甚大なものがあるだろうというふうに思っております。いつもこの種事件が起こると政治的、社会的に大きな問題になるわけでありますが、一方で、私どもが気を配らなければいけないのは、この被害者や被害者の家族に対する精神的なケアというんでしょうか、それが一体十分になされているんだろうか、そういう意味での支援がどれほどなされているのかということをいつも気に病んでいるわけです。
 そこで、山上参考人の論文も私あらかじめ読ませていただきました。精神犯罪医学の御専門の立場で、それから同時に民間の被害者支援センターを立ち上げるなど、本当に御苦労をいただいていることに敬意を表したいと思いますが、この性暴力、性犯罪による被害者の精神的なケアのあり方、支援のあり方、そのことについて、先生の長年の御体験等を踏まえて御提言いただければ大変ありがたいなと思っております。
#58
○参考人(山上皓君) 先ほどもちょっと触れましたけれども、被害者支援都民センターでも性犯罪の被害者の方から電話で相談を受けたり、あるいはカウンセリングを継続的にしたりしております。
 性犯罪の被害者が御自身からこういうところに援助を求めてくるという率は恐らく百分の一もない程度で、実際の被害者の多くは一人で苦しんでおられる、あるいは周囲には知られず、どこにも助けを求められない状況でおられるんだろうというふうに感じます。
 大事なのは、やはり受けた傷についてちゃんと話すことができて、そしてそこから回復するきっかけを持てるようなカウンセリングが受けられることが、恐らく強姦のケースなどですとほとんどのケースが必要です。早い時期からされることが、本人が望めばですけれども、大切であります。それを、多くの場合は一人で苦しんでおられる。あるいは家族の方も、そういう精神的ないろんな症状が起きてきますけれども、それに対する対応を知らなかったり、あるいはそういう目に遭ったのは子供、被害者も不注意だからだとかそういうふうなことを言われて、かえって家族の間でも非常に悪い関係になってしまったりというようなこともあります。ですから、早い時期に専門家の援助を受けられるようにするということが一番大事だと思います。
 そのためには、こういう援助、先ほども言いましたけれども、信頼できる援助組織がきちんと用意されていて安心してそこに行けるという、そしてまた、どこでそういうことが気づかれても、私たちのところにもクラスメートが教えてくれたからとかそういうことで被害者が来られることがありますけれども、そういうようにいろんなところから、そういう支援組織がある、責任を持って見てくれるところがあるというところを伝えていく必要があると思います。そういう支援組織の充実あるいはカウンセリング体制の充実が一番大事であろうというふうに思います。
#59
○照屋寛徳君 川本参考人にもお伺いをしたいのでありますが、参考人のレジュメの中でも、「今後の課題」ということで、先ほども他の委員から質問がありました過失犯による犯罪被害への本制度の適用の問題ですが、故意犯、過失犯、どの程度の過失犯に適用を広げるかという問題はありましょうけれども、被害を受けた被害者の側からすると、故意犯による被害も過失犯による被害も同じものじゃないかというような気がするんですけれども、刑事政策的に、諸外国の制度を含めて、今後どう検討をしていくべきか、御意見をお聞かせください。
#60
○参考人(川本哲郎君) まず、故意犯と過失犯の違いですが、これもイギリスとは若干制度が違うので日本の故意犯と過失犯との区別とは違いますけれども、大まかに言って似たようなものがございます。
 イギリスでも、先ほど井上さんが紹介されたような悪質な交通事犯ですね、軽微じゃなくて、飲酒でスピード違反で無免許でというような形の無謀運転での場合には懲役、向こうは拘禁刑ですが、十年まで上げるという改正をしております。
 ところが、それを日本と同じように未必の故意であったらどうかと。つまり、無謀運転というのはこういう状態で事故が起きたらだれかが死ぬ、それでも構わないと思っているようなものじゃないかと、そうすればそれは過失ではなくて故意ではないかという議論はあるわけですが、実際イギリスでもそれはほとんど適用されておりません。日本でもそうでございます。本当に無謀な、故意に近いようなものであったとしても、やはり故意の認定というのは、今までの歴史がございますし、またその理論的な経過もございますので、それを故意犯と同様にしようというのはかなり難しいのではないかというのが第一点でございます。
 次に、過失犯に対する犯給法の適用については、先ほど申し上げたとおり、これはケース・バイ・ケースで、やはり対象になる方があるのではないか。結局どうして対象になっていないかというのは、先ほど申し上げたように、保険とか、ひき逃げなんかの場合でも国家が補償しておりますので、交通事故で被害に遭われた方で全く賠償を受けられない方というのはほとんどおられないというのがその理由になっているわけですが、それはほとんどということでして、全部ということではないのではなかろうかと。そうしましたら、やはり対象にする余地はあるのではないかと。
 つまり、全員対象にしましたらこれはもう莫大な数ですから到底無理ですけれども、ほかで救済を受けられている方は置いておいて、どこにも救済が及んでいないという方とか、あるいは救済を受けても不十分である、形式的に一応損害保険の対象になったけれども実際に遭われた被害の何分の一しか補償されないというような場合は、この犯給法の対象にされていいのではないかというのが私の意見でございます。
#61
○照屋寛徳君 白井参考人にもお伺いいたします。
 参考人が書かれた論文や日弁連の提案もあらかじめ読ませていただきましたが、私も三十年近く弁護士をやっておりまして、加害者の、いわゆる刑事被告人の弁護を担当したことももちろんございますし、あるいは犯罪被害者の方から頼まれて民事の事件を担当するというようなケースもあります。確かに参考人がおっしゃるように、司法関係者による二次的な被害、弁護士だけではなくして、捜査に当たった警察、検察庁、あるいはマスコミ等を含めて、いろんな形での二次被害の問題があると思いますが、それをどう私たちが努力をして二次被害をなくすような具体的な手だてを講じていったらいいかということが一点。
 それから、参考人の「自由と正義」二〇〇〇年八月号に書かれた論文の中で、押収物とされていた被害者の遺留品の返還問題で、いろいろ関係者に提言をしたり、あるいは法改正の必要があるんではないかというふうなことを書いておられまして、その後の結果がどうなったのかを含めてお教えいただければありがたいなと思っています。
#62
○参考人(白井孝一君) まず二次被害の点でございますけれども、やはり司法関係者による二次被害というのは現実にかなりあると思います。現に私どもの被害者の委員会が担当いたしました同じ静岡県弁護士会の中で、こんなひどい例があるのかというようなケースもございます。
 加害者に対する刑事弁護の中で、これだけの示談金を支払いますので刑を軽くしてくださいと言って弁論をして、裁判所も、親がこれだけ努力しているんだからということで判決文にそれを情状の資料として引用したにもかかわらず、民事裁判の中では、もうあれは服役したんだから払いませんと、そういうようなことが現実に行われ、刑務所に服役してきたのに民事裁判を起こされるのはむしろこちらの方が被害者だみたいなそういうことを書面に書いて出すというような事件が起きまして、私どもは、これはやはり全弁護士にこの問題についてしっかりと意識してもらわなければならないということで、至急にパンフレットを、簡単なものですけれどもつくりまして全会員に配りましたが、なかなかそれが徹底されるというところまでは行っておりません。しかし、今後も引き続きそれはやっていきたいと思っておりますし、この四月にもやはり犯罪被害者の援助をしておられる精神科の先生に弁護士会に来ていただきまして研修を受ける、そういうようなことをやっております。
 それから、先ほどの押収物に関するものにつきましては、当時、臼井法務大臣の時代でございましたけれども、直接大臣に会っていただきまして私どもの意見書を提出いたしました。法務省の方で、検察庁とそれから矯正局を通じまして各拘置所の方に文書でこういう点を注意するように出していただきまして、それから最高裁判所の方も、総務局とお会いいたしまして、これも書簡という形で各地方裁判所に出していただきましたが、法改正をどうしても、被害者の権利としてやはり刑事訴訟法の中できちっと還付を受けるということについて明記すべきだという意見につきましては、その後全く検討がなされないまま現在に至っている、こういうことでございます。
#63
○照屋寛徳君 最後に、井上参考人にお伺いいたしますが、大変つらかっただろうというふうに思います。
 そこで、簡潔に一点だけ、井上さんの場合に加害者の弁護人の側からどういうふうな対応があったのか、これは簡潔にお教えいただければありがたいなと思います。
#64
○参考人(井上保孝君) 弁護人からは何もございません。直接コンタクトもありませんでした。
 ただ、加害者に対して謝罪文を書くようにというような話をされたやに聞いておりますが、それ以外はありません。
#65
○委員長(江本孟紀君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の方々には、本日は大変御多忙な中、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼申し上げます。
 午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時五十一分休憩
     ─────・─────
   午後一時一分開会
#66
○委員長(江本孟紀君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 犯罪被害者等給付金支給法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に政府参考人として、警察庁長官官房長石川重明君及び法務省刑事局長古田佑紀君の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#67
○委員長(江本孟紀君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#68
○委員長(江本孟紀君) 休憩前に引き続き、犯罪被害者等給付金支給法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#69
○円より子君 民主党の円より子でございます。
 今回の、省略いたしまして犯給法と言わせていただきますが、犯給法ができましたのはもう二十年ほど前のことでございますが、そのころは、まだ国民の間にはこの犯罪被害者に対する理解というものがなかなか進んでいなかった時代かと思います。そういったころにこの法律ができたこと、大変私は評価しております。また、今回の改正でさまざまな点で拡充されたことも本当によかったと思っているのでございますが、いろいろまだ問題が残っておりまして、その点についてきょうは質疑をさせていただきたいと思います。
 私は、二十年以上、国会議員になる前からさまざまな家族の問題を抱える人たちの支援団体として、団体といっても小さなものですが、支援のための講座やまたホットラインをずっと開いてまいりました。それは、家族の問題なんですが、中には夫婦間の強姦、なかなか夫婦間の強姦というのは強姦罪が適用されない部分なんですが、そういった問題、それからいたいけな幼児に対する親の虐待、また逆に高齢の親に対する大人の子供からの虐待等、そういった問題もたくさん含んでおります。そういった相談を二十年間に三万件近く受けてきたわけです。
 そうした中で、被害者になった方たちの思いというのは本当に大変な、それがどういうふうに精神的に回復されていくのかというそのプロセスにずっとかかわってまいりまして、こういったことがきちんと国や地方公共団体等の責務として支援をするという状況にこれからもなっていけばいいなと考えている一人なんですが、そうした中で私たち国民一人一人も、その犯罪被害を受けた方たちの被害回復と社会復帰の支援に一層の理解と協力をしなければならない、そういう自覚をしなければならないと思っているんですが、国民の自覚という点では、犯罪被害者を興味本位で見ること、そういったことがまだあったり、マスコミ等によっての取材攻勢で二次被害を受けるというようなそういう状況もまだまだございます。
 そういったことをぜひともこれからまた避けていかなければいけないと思うんですが、残念ながら松本サリン事件の被害者を、警察、検察、マスコミ、私たち国民も、それぞれもうこぞって犯人に仕立て上げた、そういったことも記憶に新しいことですし、また、私ども親である身にとっては、また母親であり同性の女性という意味では、あの新潟の少女監禁事件などは本当にもう心痛む事件であったと思うんですね。
 この少女や、また河野さんといった松本サリン事件で被害者に、犯人に仕立て上げられたという形の被害を受けた方に対しては、この犯給法はどういった形で適用ができるのか教えていただきたいんですが、少女の場合は児童生徒の期間に起きた犯罪被害ということで、日本体育・学校健康センター法に基づく災害給付がなされたと、また今なされている途中と聞いておりますが、もし仮にこういったような事件が大人であった場合はこの犯給法が適用されるのか、そのことについて警察にお伺いしたいと思います。
#70
○政府参考人(石川重明君) 今の新潟の事件でございますが、これは委員御指摘のように、被害者が下校途中において発生をしたということで、日本体育・学校健康センター法に基づく災害給付が適用されるというふうに承知をいたしております。もしこれが、仮に大人の女性が長いこと監禁をされて身体あるいは精神に大変多大な被害をこうむったということで、その症状というものが固定をしたという形で判定をされるという場合には、当然現行の犯罪被害給付金支給法の適用になる場合もあるというふうに思います。
#71
○円より子君 今言いましたサリン事件の河野さんのような場合はどうですか。
#72
○政府参考人(石川重明君) これも受けられた被害というもの、現在は犯給法は故意による身体犯、これによって受けられた被害、そこで精神的な被害というものも理論上、現行法上一級から四級までのものに障害が固定をしたという判定がなった場合には当然理論上その対象になるわけでございますが、個々具体的にこの事案について今はどうかということについてはちょっと私承知をしておりませんので、理論的な問題だけでとどめさせていただきたいと思います。
#73
○円より子君 犯給法の施行令で、これは平成九年の改正で心的外傷が第四級の精神障害として対象になったと聞いておりますけれども、心的外傷、心の傷とかそれから心的外傷後ストレス障害とか、PTSDと言われておりますが、こういったものの適用の判断は大変困難であり、また解釈の仕方にも限界があるということはよくわかるのでございますが、今まで、平成九年の改正で入ったこの第四級の心的外傷に関して、この犯給法を受けた方はいらっしゃいますか。
#74
○政府参考人(石川重明君) 先ほど申しましたように、犯罪行為によって被害者の方に障害が残った場合に、その精神的な障害というものが第一級から四級までの障害事由に該当する犯罪被害であるというふうに固定をして認定されたという場合には、障害給付金の対象となり得るわけでございますが、制度発足から現在までのところ、精神的な障害ということで認定をして給付金を支給したという事例はございません。
#75
○円より子君 支給件数ゼロということですね。
 今後これが、本来は、もう御存じのことだと思いますが、例えば強姦や強制わいせつ等で被害を受けた方というのは、外傷的には大変軽いかもしれないけれども、心に受けた傷というのはもう本当に重くて、例えば精神科医、これは参考人でいらした小西さんが何度も言っていらっしゃるんですが、そういった専門家の方々によりますと、さまざまな暴力被害の中でPTSDを発症させる率というのは強姦が最も高いそうです。次いで殺人被害者の遺族に高いと言われているんですね。こういった外からは見えない被害の大きさ、その苦痛の大きさを考えますと、この四級に当たった心的外傷の方々は、今までも支給ゼロではなくて、本来は潜在的に大変多いんじゃないかと私は推測するんです。
 といいますのは、先ほども申しましたように、私どもの相談のところにもそういったケースはたくさん来るんですが、電話相談だから話ができるという方も多いんですね。警察や、それから勇気を出して告訴して裁判になったようなケースでも、警察でレイプの二次被害を受け、裁判所でまた三次被害を受け、もちろんその途中で弁護士からも受け、それだけでもう人の目にさらされるのは嫌だと、そういう方が多くて、その苦しい思いを電話でとにかく聞いてほしいという方々が多い。そうしますと、またその犯給法の申請のときに嫌な思いをするんじゃないかと思われるかもしれないし、先ほどの認定が難しいということであれば、条件的に申請をしても無理かもしれないということもあるかと思います。
 こういったケースが多い場合に、もちろんこれは私たちが性被害を受けた方々に対する見る目というものを社会全体が変えていかなきゃいけない、そういった教育、啓発の問題もございますけれども、何とか申請件数が、多くするというと税金を使わなきゃいけないから皆さんは嫌かもしれませんが、でも本来の被害者を救うためにはふえるべきだと思うんですね。
 このあたり、今後どのように考えていらっしゃるか、具体策をお聞かせいただければと思います。大臣、お願いいたします。
#76
○国務大臣(伊吹文明君) 税金を使うから嫌だということはございません。これは税金を納められる方が御判断なさるべきことでございまして、私たちは税金をお預かりしているだけでございますから。
 私も長く厚生関係の仕事をしておりましたので、精神障害の方の認定というのは率直に言って非常に先生御指摘のように難しゅうございます。同じ症状の方でも時と場合によってみんな違いますね。ですから、金銭的なものにつきましてはできるだけそういう申請がしやすいような形をとらなければいけないと思いますし、また御本人と直接やりとりをするんではなくて、今度の法律でいろいろな援助団体等をつくって、NPOだとか何かをもって、ただし守秘義務を持っていただいて御相談に乗り、活動していくということが盛り込まれているのを御承知だと思いますので、できるだけそういう方々を通じて御申請等いただいた場合に、画一的にやらずに、幾つか、何日か、いろいろな状態等を判断しながら、判定は余り機械的にやらないようにするべくまた公安委員会としても警察の諸君にお話をしたいと思っております。
#77
○円より子君 判定は機械的にやらないようにしたいとおっしゃってくださって本当によかったと思いますが、ぜひ柔軟な運用をお願いしたいと思います。
 それで、午前中に参考人からの御意見を聞いた中に、本当に悪質な交通事故でお嬢さんお二人を亡くされた井上さんが、自分で起こした事故でもないのに、その後の書類を整えたりいろんな申請用紙をもらったりとかのいろんな作業が、時間と労力が多大にかかる手続があって、そういう中で亡くなった娘さんたちを思い起こす大変つらい作業だったとおっしゃっていまして、この井上さんの話だけじゃなくて、それぞれ犯罪被害を受けた方々は、本当に手続やそういったことでまた煩わされて仕事もできなかったり、ますます精神的な被害を受けるという方も多いようでございますので、ぜひ、大臣も申請しやすい形にしたいとおっしゃっていましたが、犯給法の手続を簡潔にしてほしいという要望が参考人からあったわけですが、どのように申請しやすい形になるのか、今はどういった形なのか、ちょっと教えていただけますでしょうか。官房長の方でも結構でございます。
#78
○政府参考人(石川重明君) 結局、もう一度その体験をお話しにならなければならないということは非常につらいことだろうと思います。
 したがいまして、今私どもがいろいろ講じておる手だては、例えば御相談に見えたときに女性警察官が対応をするとか、あるいは場所も、警察でございますとどうしても取り調べ室みたいなところに、あいているということでそこで事情を聴取するといったことがありがちでございますけれども、やはりプライバシーが保ててしかも雰囲気も取り調べの現場といったような形でないような、そういう事情をお聞きするような場所を警察署に整備していくとか、あるいは場合によりましては現場でお話を聞かなければならないということもあるわけでございますが、そういうときには自動車にそういうような事情聴取がほかから見えない形でできるような、そういう被害者に配慮をしたような構造を持ったものを充てるとか、そういうことをやっておるわけでございます。また、今回お願いをしております法案で、民間の早期援助団体の方々にいろいろそういう面できめ細かい御配慮をいただいて支援していただくといったようなことを通じて、なるべくそういう申請がしやすいような形に持っていきたいと、こういうふうに考えているところでございます。
#79
○円より子君 先ほどの大臣の御答弁の中には、民間被害者援助団体に対してその拡充をしていく、そこへ支援していくということも今回盛り込んだというお話がございましたが、私の相談機関も、本当に私の原稿料とちょっとした講演料を全部入れて細々とそれだけで、二年間のカウンセリングの訓練、研修、その後ボランティアでしていただくというような形でやってまいりまして、ボランティアでというのは大変現実には場所も要れば電話も要るしという形でお金のかかるものなんですね。
 ボランティアでやっていただきたいと言われても、現実には大変な予算を伴うわけでございまして、私のところとは違いますが、東京・強姦救援センターというのがあります。私も一応支援の一人として入っているんですけれども、ここが本当に細々とずっと強姦された女性たちの支援を行ってまいりましたが、常駐のカウンセラーを置けるような状況ではまずなくて、皆さん働いて自分の食いぶちは稼ぎながらそのほかの時間帯で相談をしたりという形でやっていらっしゃるわけです。
 そうしますと、民間被害者援助団体、今回の犯罪被害者に対してのいろいろな援助団体が幾つか、今は十七、民間の方々で全国にあるということですけれども、やはりそこに人材とそれから施設、相談をする場所、そういった形のときに、どうしても訓練、研修を受けてもらうための費用、講師を呼んだり、それから相談を受ける場所等必要になってくるわけで、予算が伴わなければどうにもならない部分があると思うんですが、その予算についてはどうなっておりますでしょうか。
#80
○政府参考人(石川重明君) 今回お願いしております法案は、被害者の方々あるいは御遺族の方々に対する犯罪被害発生直後からの援助が効果的に行われるようにということに主眼を置いておりますので、民間の早期援助団体等の皆様に対する財政支援というような形のものは置いてございません。ただ、地方自治体におきましてこれらの団体に対して補助金を支出しているというところがあるというふうに伺っております。
 私どもも、昨年の十一月に、これは委託調査でございますけれども、民間の被害者援助団体がどういう形で活動しておられるかということを調べましたんですが、そのときにやはりそれぞれ多くの団体が厳しい財政の状況にあるということはその調査によって明らかになっております。適切な財政支援のあり方について、これは警察だけでできることでもないわけでございますけれども、関係機関と必要な連携を図って、今後ともいろいろな支援を考えていきたいというふうに考えております。
#81
○円より子君 伊吹大臣は政治家でいらっしゃるわけですから、法律だけをつくっても財政的措置がなければ絵にかいたもちになることは多分重々御存じのことだと思いますので、このあたりきちんと、本当に善意から、またやむにやまれぬ気持ちから支援をしていらっしゃる民間の団体に、また、今十七ありますが、もっといろんなところがあると思うんです、そこに財政的支援ができるような措置をぜひこれから、今後、今回の改正じゃなくてもいいんですが、やっていただきたいと思うんですが、いかがでございましょうか。
#82
○国務大臣(伊吹文明君) 私も実はボランティアで障害者の方の御相談に乗っておりますので、また私の家内も点字のボランティアをしておりますから、そのあたりのことはよくわかっております。ボランティアという本来の言葉の意味も先生、しかしよく御存じだろうと思いますね。財政援助というのは、やっていけば最終的にこれは公務員になってしまうわけで、そこの間のどこかのいいバランス、つまり民間の善意の……(発言する者あり)いやいや、すべてを財政でやってしまえばこれは公務員になってしまうわけですから、実質的には、財源的に言えば。ですから、民間の方の善意がどこまでであって、そしてその善意を動かしていくために国というか、公的機関というよりもむしろ国民皆さんが納められた税金をどこまで投入し、どこまでをNPOのように寄附の税金控除という善意にゆだねるのかという、結局これはバランスの話なんですよ。
 だから、今のお話からすると、基礎的な素養をつけていただくための訓練だとか、そういうところのものにつきまして、こういうものがどんどん国民の中に認知をされていく、つまり認知をされていくということは、納税者がいずれ自分もそういう立場になるから自分の税金がそちらに使われてもいいよという社会的な認知ですね、これを前提にしながら、地方自治体それから私どもの方、みんな力を合わせてそういうものを少しずつつくり上げていく努力をお誓いいたします。
#83
○円より子君 先ほど、支援団体にかわって申請をしてもらうとか、いろんなお話がありましたが、ではその数が多い場合に、そのボランティアの人たちがどこまで申請にかかわれるのかということもありますし、今の大臣の話でいきますと、ボランティアは何か有償ボランティア、無償ボランティア、この話をするとちょっと長くなりますのでおきますが、私が申し上げているのは、何も自分自身の、ボランティアをしている人たちの食いぶちまで補助金から何かしようなんということではないんです。
 ただ、そういったことを支援するときには、例えば電話一つ引くのでも、それから相談室も要るでしょうし、研修も必要でしょうと、その辺の財政的措置は必要なんじゃないかということを申し上げましたので、その辺はぜひ御理解いただいて、早急に具体的措置をとっていただきたいと思います。
 さて、もう一つは支援団体への支援の拡充ですね、支援しやすいように、団体をふやしていったり。午前中の質疑でも、長崎から、収入は大変少ないんだけれども、毎月飛行機代を何とか工面して、そして支援団体へ本当に苦しい被害者としての思いを話に来る方も多いとか、それはたまたま長崎の方のお話を聞いたんですが、そういった方が、もし地元にこういう支援団体があったらどんなにいいだろうとおっしゃっているということもありまして、多分十七だけでは足りなくて、どんどん今後も出てくると思うんですね。
 そういったときに、やはりそういった財政的な支援があれば、そういった被害者の方々もある程度救済されるのではないかと思いますのでお願いしたいんですが、それだけではなくて、その御本人に、私は、カウンセリングを受けてようやく心的な外傷から立ち直れるとか、PTSDから立ち直れるというようなこともありますので、カウンセリング代というのは犯給法から出てもいいのではないかと思っているんですが、それからまたそういった交通費等はどうなるのか、その辺についてお伺いしたいと思います。
#84
○政府参考人(石川重明君) これは犯罪被害給付制度の基本と申しますか、基本的な考え方にかかわることでございますけれども、これはそのまま放置をしておきますと国の法制度全般に対する国民の信頼が失われるような重大な被害というものを対象とするということを前提といたしまして、それで財源も一般財源から給付金の支給を行うという、こういう制度でございます。したがいまして、そうした観点から、犯罪被害態様の重大性から見て決して看過できない、こういう重大な被害に限定をしているわけでございます。
 つまり、この制度は、犯罪被害等の被害の軽減を図るという趣旨でございますけれども、損害の完全な補てんというものを目的としているものではございません。そういう観点から、給付金の種類も限られておりまして、遺族給付金、重傷病給付金、それから障害給付金という形で限定された制度を考えているわけでございます。
 したがいまして、精神的な打撃を受けた被害者は大変苦しんでおられるわけでございますけれども、その回復のための費用のすべてをその本給付金で支給をするということはこの制度の本来の考え方からしてとっていないと、こういうことでございます。
#85
○円より子君 国の法制度への信頼が失われるようなとおっしゃっていますが、ほとんど強姦被害、性的被害を受けている女性たちは、警察へもそれから法律にももうとっくに信頼を失っている方たちが多いんですね。
 その辺はやはり、公共事業でも何でもそうですけれども、国のいろいろな施策というのは形あるものに対してだけ割合予算措置がつくようなところが多くて、日本では、医者でもそうなんですが、心理的なカウンセリングを受けることに対しての医者へのあれが、薬とか注射とか、そういうものに対しては健康保険等からかなりのお金が出るんですけれども、本当にその心の問題とかソフトの部分に今まで予算措置が余りなされてこなかったということ、これはこの犯給法の問題だけじゃないんですが、そういった傾向がずっと強かったと思うんです。
 そういったことに関して、私たちは、心の傷を受けた方たちにどうしていくかということで、せっかく平成九年に改正された部分の拡充を図っていきたい、それからそんな国の法制度や警察への信頼を失わないで済むような形にしていきたいと思っているんです。
 もちろん、私は、神奈川県警等から発して、全国の女性警官の方たちがさまざまな性的被害を受けた方たちにいろんな対処をしてらっしゃることを十分存じておりますし、講師で来ていただいたこともあるので、その辺わかっているんですが、ぜひともその辺を酌んで、また被害者の方々に、ああ、よかった、こんなふうに国が、本当にもう復讐したいほどの気持ちだけれども、復讐権がなくなって、国で一応法律やそういったところでその自分のつらい思いを何とか救済されていくということが、何とかなるんだわと思ってもらえるような、そういった形に犯給法をやっていただきたいなと思うものですから、今申し上げた次第なんですが。
#86
○政府参考人(石川重明君) 給付金の制度については今申し上げたとおりでございますが、その精神的な打撃を受けられた被害者がいわゆるケアを必要としている、そのことが大変重要であるということは私どもも認識をしているわけでございまして、これはそのお金の問題ではございませんが、直接的な支援といたしまして、警察の部内におきましても、例えばカウンセリング技術を持った職員を養成してそういうところで活動する、あるいは先ほど来申し上げております民間の被害者援助団体と連携をいたしまして、そしてこういう金銭的な支援以外の支援というものを増す、今後とも充実をさせていく必要があるんだと、そういう方向に努力をしたいと、こういうふうに考えているところでございます。
#87
○円より子君 では次に、故意犯と過失犯における格差といいますか、これについて伺いたいと思うんです。
 交通事故の被害者の方々、その遺族の方々、これも伊吹大臣はあちらこちらで質問を受けて御答弁いただいているところかもしれませんけれども、すべての交通事故の被害者にこの犯給法を適用すべきだというふうに私申し上げるつもりはないんですが、本当に悪質な交通事犯に対してどうすべきかという問題は、今国民の間にも広く関心が高まっていると思うんです。
 その量刑の見直し等は警察庁、法務省で検討がされていると承知しておりますけれども、私のもとにもたくさんの手紙が来ております。朝いらした井上さんの方からもそうですし、それから母一人子一人の一人親家庭で、ようやく息子が早稲田大学に入った、その入学した途端に、友人と歩道を歩いていたときに、飲酒運転で百キロの暴走をしてきた車によって即死してしまったという息子さんを持たれる鈴木共子さんという方からもお手紙をいただいたり、お電話で話したりしております。
 私も、一人親家庭で娘を一人育ててまいりまして、やっと今大学に入りましたが、本当にそういうときにもし子供がそんな交通事故で奪われたらと思うと、もう人ごとではありませんで、その若い人の命、これからどんな人生を歩んだであろうかというその本人の無念さもさることながら、親御さんたちのお気持ち察するに余りあるんですが、量刑がこのときは交通事故では最も最高刑の五年半ですか、そういうのが出ましたけれども、けさ、いらした井上さんの方は、とても二人の娘の命の値段にしては量刑が低過ぎるというふうにおっしゃっていました。
 こういったことを受けて、今後、どんどん犯罪被害者といいますか、その過失犯の方でも、相当悪質な場合は、実際にはほかで、例えば井上さんの場合は、加害者の勤める会社が三千万ほどかかった費用を保険とその会社で負担してもらえたから経済的にそれほど大変ではなかったとはおっしゃっていました。でも、中にはそういったことがない方もいらっしゃるわけですね。そうすると、そうした他の保険やさまざまなことで適用を受けなかった方たちに対してはこの犯給法が適用されてもいいのではないかということが一つあるんですが、そのことについてはいかがでしょうか。
#88
○国務大臣(伊吹文明君) 先生の、何というのか、困った方に対する優しいお気持ちは私全く共感を覚えます。しかし、同時に、法律というものはかわいそうだとかいうことで適用すべきものではないということもまた御理解いただきたいんですね。これは基本的なことに関することですから、我が国の基本的な社会のルールというのは自己責任原則によって成り立っているんです。したがって、基本的にはやはり事故を起こした者が事故の被害者に対して賠償するというルールによって社会は動いているわけですね。
 しかし、そのルールだけを適用した場合には、必ずしも被害を受けた人が加害者からお金を取れないとか、いろいろなことができないようなそういう場合に、社会がみんな一緒に共生をしているという意味合いでつくったのがこの法律なんですよ。したがって、交通事故のようなものについては、本来自賠責保険でやはりカバーするというのが基本なんですね。しかし、それだけではカバーできないところがあるという御指摘も、私そのとおりだと思います。それは犯給法というジャンルではなくて、国民みんながお互いにそういう立場になるから共済的なものをもう一つつくろうとか、そういう議論でやっていかないと、国の法秩序だとか社会の基本的な理念というものがそのときそのときの感情によって動いていくというのは、私は法治国家としては余り適当な姿じゃないと思っております。
#89
○円より子君 私もかわいそうだからといって法律が適用されるものではないことは十分承知しております。自己責任によって加害者に賠償してもらうということも大事なことだと、もちろんそうだと、当然だと思っております。
 ところが、自賠責保険にも入ってなかったような、先ほど言いました鈴木さんの息子さんが亡くなられたケースなどはそうですし、二度ももう既に免許を取り上げられてしまうとか、そういった何度か前科という形であるわけです、交通事故に関して。そういったときに、警察の、何度も交通事故を起こしてしまうような人に対して、免許取り上げとかそういったことのさまざまな措置が甘過ぎるのではないかとか。
 それからもう一つは、交通事故の被害者の場合、もしこれが即死とか殺されてしまったような、殺されるという言い方はおかしいかもしれませんが、亡くなられたような場合には、被害者の側に事情を聞くわけにいきませんので、どうしても遺族の場合は、被害者の事情を聞くわけにいかないので加害者の側だけの話で済まされてしまってという、そういう悔しい思いが残っている方が多いものですから、この辺は警察の対応がかなり被害者の側に配慮して対応しなければいけないということもあると思うんですね。その辺はどのように配慮なさっているのか。
 それから、大臣がおっしゃったように、確かに交通事故の場合はこの犯給法の範囲ではないかもしれません。ならば別個やっぱり考えていかなきゃいけなくて、民主党では一応これは危険運転致死傷処罰法というのを用意したんですけれども、行政としては、何もこれが民主党のということではなくて、ぜひとも交通事故の被害者をある程度救済できるような法案、考えていらっしゃるかどうか、これは法務省の関係になるのかもしれませんが、その二つをお伺いしたいと思います。
#90
○国務大臣(伊吹文明君) 別途のことを国民的な合意の上で考えていくということは私も賛成です。
 それから、今、先生がおっしゃった警察の対応が甘い、あるいは事故を起こした人に一定の期間置くとまた免許を与える、重大な事故を起こした人の処罰が甘い、実はそういうことを盛り込んで、いずれお願いする道交法の改正を実はお願いしようとして準備をしているわけですね。ところが、その中で、今おっしゃった罰則、特に重大な事故を起こした者の罰則について、刑法全体との間のバランスが御承知のようにございますので、法制審議会にかけねばなりません。それを待っていると、間違ったことをした人たちに免許を出さない期間を長くとるとかということはなかなか間に合いませんので、とりあえず今回そのところだけを除いて、いずれ御審議をいただく道交法を提出したわけです。
 その罰則で、変な運転をしないということ、抑えるということ以外に、事故を実際受けてしまった人をどうするかというお話を今なさっているんだと思いますから、先ほどの性的被害をも含めて、御相談に応ずるとか、こういうやり方もあるよとか、こういうことをできるだけ警察の方でも充実してやらせていただきたいと思います。
 それから、お出しになっている法律については法務省の方で御意見があると思いますから、聞いていただいたらいいと思います。
#91
○政府参考人(古田佑紀君) 悪質な交通事故につきまして、さまざまな御意見があることは私どもも重々承知しております。そのような問題にどういうふうに対応すべきか、これは率直に申し上げまして、今大変免許を保有している方がふえております。車というのは御存じのとおり非常に高速で走ったりするもので、言ってみればそもそもある程度の危険があるわけでございますけれども、その中でやはりもうこれは過失というのはちょっと感覚に合わないのではないかというふうな危険な運転行為、これについてどう対応すべきかということで現在真剣に検討しているところでございます。
 先ほど申し上げましたとおり、言ってみれば車を運転する場合にいろんな方が恐らく一度ぐらい危なかったかなというような感じを持たれることもあると思うんですね。そういうふうなことがすべてこれが重罰化の対象になるというのもまたいかがか、そういうような観点から、本当に悪質なものだけきちっと重く処罰できるような、そういう罰則を今鋭意検討中ということでございます。
#92
○円より子君 今は交通事故の話をしましたが、例えば九九年の九月にJRの下関駅構内で通り魔事件がございました、これも皆さん御記憶にあると思うんですが。犯人は、駅前の歩道やコンコースに乗用車で入り込んで七人をはねて、さらに駅の階段やホームにいた八人の頭や胸、背中などに包丁で切りつけたり刺したりという、そういう事件でございました。この事件では、直後に三人の方が死亡され、またその後も二人が亡くなられて、そして十人が重軽傷を負っていらっしゃるんです。
 この事件では、車ではねられた被害者には自賠責保険の適用があって、その支給額はかなり高額でした。一方、包丁で刺された側の被害者には犯給法の適用ということになったわけですが、参考人質疑の中で、弁護士さんでしたかどなたかが、犯給法と自賠責とはもちろん違うものですし、先ほどから大臣が趣旨が違うということも言っていらしてそれはよく承知しているんですが、自賠責並みの額を補償できないだろうかという御提案があったんです。
 この件については、このように同じ犯人から被害を受けて亡くなった方の受ける金額が全く違うわけですから、この部分、これがとても代表的な例だったので申し上げたんですが、この件についてはいかがでしょうか。
#93
○政府参考人(石川重明君) 今の委員御指摘のとおり、犯給法と自賠責との関係、制度がそもそもよって立つところが違うというところでそういうことになっておるわけでございます。
 私どもも、有識者から成る犯罪被害者の問題についての検討会におきましても、どこまで給付金として救済の手を差し伸べるのが適当かというときに、自賠責の三千万というのを一つの指標として、そういうところも考えながらとにかく今の状況というものは改善をする必要があると、そういうことで、今回新たな重傷病給付金という制度も創設をする、それから基礎額を、最低額につきましても最高額につきましても上げるということで、それぞれ給付金といたしまして最高額については約一・五倍ぐらいになるというところまで来ておるわけでございまして、これはその制度のよって立つところからくるところのぎりぎりの努力を今して法案をお願いしていると、こういうふうに御理解をいただきたいというふうに思います。
#94
○円より子君 では次に、親族間犯罪への支給制限についてお伺いしたいんですけれども、一九八五年の国連被害者人権宣言の邦訳、日本語訳は犯罪及びパワー濫用の被害者のための司法の基本原則宣言ということ、大臣も御存じだと思いますが、このパワー濫用というのは何かといいますと、アビューズ・オブ・パワーの訳で、ドメスティック・バイオレンス、つまり配偶者間の暴力や家庭内暴力を指しているわけですね。
 国連被害者人権宣言と言ってしまいますとちょっと中身がわかりにくいんですが、この国際公約とも言える同宣言から十五年以上たっているわけですが、我が国の取り組みというのは十分だったと言えないように私は思うんですが、例えば親族間でこうした、きのうは我が参議院の本会議でドメスティック・バイオレンス防止法が可決されまして、あす、多分衆議院で採決され成立すると思うんですが、ようやく配偶者間の暴力もきちんとこれは犯罪ですよというような形の認識ができてきた。
 今まで私がさまざま、さっき言いました三万件に近い相談を受けている中で相談にいらっしゃる方々は、家裁等に相談に行ったけれども、夫に殴られる、そんなことは当たり前じゃないかみたいな、そういったことを言われてとても傷ついたと言ってうちに相談に来る方も多かったんですね。犬も食わない夫婦げんかの延長の暴力程度はというような。
 でも、私は知りませんでしたが、円さんて無知なのねと相談に来た方に何度も言われましたが、耳の鼓膜を何度も破られたりと、耳の鼓膜ってそんな何度も破れるものなのかとか、ばかなことを言ってしまった若い時代があったんですが、背中の背骨を折った方、鼻の骨を折った方、もうさまざまな方がいらっしゃいました、それは全部夫からの暴力だったんです。
 二十年前からそういった家庭内の配偶者の暴力というのは大変多かったんですが、なかなか外に出なかった。それが、ようやく法律になり、行政でもいろいろ、警察でもどこでもこういったことにも対処していくような理解が広がってきて大変よかったと思っているんですが、実はこういったときにも、なぜ妻がそんな暴力を受けていながら通報しないのかという問題が、二十年間、私いろいろ見てきて思ったのは、もちろん皆さんから話を聞きましたら、とにかく、離婚したくても夫が応じない、別居も生活費がないからできないというような中で、我慢するしかしようがない。医者に行っても、実は階段から落ちた傷ですと、夫から殴られたというのはおっしゃらないんですね。それは、逆にそういうことでまた暴力がひどくなるかもしれない、現実に離婚もできないときに言ってしまったらますます大変だということで、今回のドメスティック・バイオレンスも、実際的な女性の生活力、自活力が広がらない限りは、これもまた下手をすると絵にかいたもちにならないかと、私は大変そこのところをきちんとしていきたいと思っているんです。
 例えばこの親族間の犯罪について、これは支給制限があって犯給法は適用されないということなんですが、親族、家族といいましても、今、残念ながら大人の子供が高齢者の親を殴るとか、それから児童虐待はたくさんありますし、夫婦間での暴力も多いという、家族とは言えない状況になっているときに、法的に家族、親族だからといってこれを制限していいのか、これは合理的なのかと思うわけです。
 そこで、もちろんそういったものに全部支給していたら大変だということもわかりますが、例えば、実質的には破綻していると見られる夫婦のようなケースでの暴力被害において、その治療等にこの犯給法が適用されないのかどうか、その辺をお伺いしたい。
 というのは、ビルから自殺者が落ちて下に歩行者がいるときに、それは故意犯ではないので犯給法が支給されないのか、その方が、もし歩行者が亡くなられた場合にという衆議院での質問に大臣が、未必の故意とかそんな形に法的に刑法ではできなくても犯給法では柔軟な対処ができるというふうにお答えになったことを読みまして、親族間の犯罪について、実質的な破綻、破綻している夫婦間ではどうなのかお聞きしたいと思うんです。
#95
○国務大臣(伊吹文明君) 非常にたくさんの実は御質問が詰まっていたと思いますので、まず、デパートから飛びおりた云々というのは、私がお答えをしたのは、過失でございますから本来はこの法律の対象にやはり原則としてはならないと、しかし飛びおりるときに明らかに下に人がたくさんいて、そして何らかの被害を及ぼすということが客観的に見て認定をされるというような場合には、これはもう余り形式的なことを言っているのはいかがなのかということを申し上げたわけです。
 それで、実は民主党さんや社民党さんから基本法を衆議院にお出しになって、それと我々の法律と少しやっぱり考え方が違うところがあるんですね。このお出しになった法律案、私は衆議院でも申し上げたように、民主党、社民党という党の性格からいってこの法案をお出しになっているのは非常に筋が通っているから、私はその点は評価しますと、しかし連立与党の持っている基本的な理念とは基本的に違いますということを申し上げたわけです。
 それは、一つは、つまり被害者が権利としてこの犯給法のようなものを受けられるというルールでは我が社会は成り立っていませんというところが一つなんですね。それからもう一つは、家族というものはやはり相互に扶助義務があると私たちはまだ考えております。それは、個人の権利ということがだんだん進んでいって家族だとか地域社会というものはばらんばらんになっていくのかもわかりませんが、今の日本ではまだそういうところへ来ていないし、民法や何かの体系もそういう形で実は成り立っていると。
 ですから、国連の宣言のこともおっしゃいましたけれども、あれは別に条約じゃありませんから、ラティフィケーションを国会にお願いしているわけではないから、加盟各国は別にそれに縛られるわけでもないし、この条文を読んでみると、ア・パーソン・メイ・ビー・コンシダー・ザ・ビクティムと書いてあるんですね。シャル・ビーとは書いてないんですよ。ですから、やはりその国その国の慣習、その国その国の法体系の中で最大限この宣言に合ったようなものをやっぱり出していくというのが国連に加盟している国の義務だろうと思って今回これをお出ししたんです。
 ただ、非常に先生の御質問に関していえば、運がいいことには、運がよかったというか我々にとってもラッキーであったのは、本院で、先ほど来お話しになっている、妻が夫に殴られてというお話がありましたが、妻に殴られたようなケースもあるんだと思いますが、配偶者の暴力の法律がともかく衆議院へ送っていただきましたね。衆議院でこれが可決されると、ある意味でのこれは犯罪としてとらえられることが出てくるんですよ。そういうことをあわせながら、いずれ将来、この法律の運用としてどういうふうになっていくかというふうに考えていくためには、非常にいいタイミングでいい法律が出たのかなと私は思っております。
#96
○円より子君 平成十一年の統計によりますと、殺人罪のうちの四一・七%、傷害致死罪のうちの四〇・三%が親族間で発生しているわけです。それで、この親族間での犯罪にもちろん今までは適用されておりませんが、協議離婚した妻を殺害した事例で元妻との間の子供に対して遺族給付金が一件、この犯給法からあったと聞いております。
 そうした柔軟な対応が今までもなされているわけで、今大臣がおっしゃったように、ドメスティック・バイオレンス防止法がこれがきちんと本当に人々の間に犯罪として認識されていけばこの犯給法も変わっていくかもしれないとおっしゃってくださって、本当にこれは国民の間の意識とか理解というものが犯給法をこれからも育てていかなきゃいけないものだと思っておりまして、ぜひそのあたり、今後の検討課題としてお考えいただけるということを、いい御答弁いただいてありがとうございます。
 それで、これはもう御存じのことですが、大変英語にもお詳しいようでいらっしゃいますが、米国では親族関係も原則支給になっておりますし、英国でも同居家族への支給制限が緩和されるなど、家庭内暴力が支給対象になっております。もちろんそれぞれ法律が違いますから、一概に外国でこうだからということは言えませんが、ぜひ御検討いただきたいと思っております。
 それから、また事例で申しわけないんですが、今、離婚した元妻を殺害した事例でその妻との間にできた子に対しての給付があったということなんですが、うちに相談で、祖父母の、それも祖母からだったんですが、自分の娘夫婦が子供を育てないと。どちらも離婚に際して養育したくない、引き取りたくないというような、それで、その祖母はとても孫をかわいがっておりまして自分が引き取って育てると。自分の娘も、別れようとする夫に対しても、とても子供を預けるようなことが、そんな無責任な人間にはできない。ただし、自分はほとんど年金もスズメの涙ほどしかなくて、外で働いて収入を得るような体力というか、そういう力もない。それで、養育費を娘夫婦から取りたいという、そういう相談だったんですね。
 もう本当にさまざまなケースがあるんですけれども、もちろんこれは自己責任の原則からすれば当然養育費をその夫婦が払わなきゃいけないわけですし、本当は引き取らなきゃいけないというところなんですが、こういったケースがあります。今度は児童虐待をしている夫婦、自分たちの息子または娘夫婦に子供を引き取らせることができないから孫を引き取る。その孫は虐待を受けて大変な治療を必要とする傷害を受けていた場合に、そのおばあちゃんなりおじいちゃんなりが治療費が払えないというようなときに、当然親族ですけれども、それが親族じゃない場合とかいろんなケースもあったときに、これ親族間の話をまた二度お聞きするつもりではないんです、国がその治療費を一部立てかえて後から自己責任で加害者に払わせるというような、そういった施策があってもいいのではないかと。
 今たまたま事例で言いましたが、それはちょっと頭から抜いていただいても結構なんですが、そういったことはお考えになっていませんでしょうか。これは税金を財源とするということで財源論にもまた行くかもしれませんが、まず立てかえて、そして加害者から追徴として払わせるという形の、そういったことがあってもいいケースが結構出てくるのかなという意味で事例を引かせていただいたんです。
#97
○国務大臣(伊吹文明君) 具体的な事例、一つ一つで違うと思います。
 今のおばあさん、おじいさんが子供を扶養しない息子、娘夫婦にかわって云々という場合に年金しかなくて生活費というようなことについては、やはり生活保護だとかいろいろなその手だてで考えていくべきことなんだと思うんです。とりあえず払っておいて立てかえてというところが、先ほど申し上げたように、やっぱりこの法律をつくった私たちの政党が持っている基本的な理念と今先生がおっしゃっている理念とはここがぶつかるところだと思いますね。やはり基本的には自己責任を果たすことによって社会秩序を形成していくんだという形で日本国家を考えているわけですから、代位弁済的に払って後でそれを取り返すというのは本来、私はちょっとなじまないのではないかと思います。
 しかし、個々具体的なケースで何かそれ以外の手だてがあるのか、どういうことをすれば苦境を救ってあげられるのかというようなことについては、いろんな行政手段について親切に相談に乗るという仕組みは今回つくったということです。
#98
○円より子君 私は、今のような当然親が見なきゃいけないような問題は別にしまして、犯罪被害を受けた方で、受けた直後というのは本当にパニックに陥って仕事も手につかなくなる、中には失業してしまう方もいるでしょうから、そういったときの治療費を加害者が即支払えれば別ですけれども、そうじゃないケースがかなり多いと思いますので、今の犯給法のできた性格とは違うんですけれども、そういった直後の費用をどうするか、今後ぜひ考えていかなきゃいけない問題だと思います。
 そこで、もう時間も差し迫ってまいりましたので、あと一つ、外国人に対しても私は、国際社会という中で生きる日本としても、日本社会の構成員として日本に住所のある外国人は給付の対象と聞きますが、旅行者など住所を有しない人にもまた犯罪被害に遭われたらこれも考えていかなきゃいけないのかなということや、いろいろあるんですが、犯給法というものができた経緯、大臣がおっしゃっているように恩恵的な見舞金という形でできておりますから、私が質問の最初から幾つか申し上げたような事例が全部そこから排除されてしまうという、そういうものをわざと質問させていただいたんですが。
 そういった問題点があるということで、この犯給法の中でどうするということではないんですが、ぜひとも昨年できました保護二法とかそういったものとあわせて、また今回のドメスティック・バイオレンスの法律とあわせて、犯罪被害者の方々の救済というものを本当に私たち国会、そして行政が一体となって取り組んでいかなきゃいけなくて、最後に、この見舞金という前提を犯給法もちょっと変えてもいいんじゃないかなという、見直す必要があるんじゃないかという私は意見なんです。
 そのあたりと、それから今後、別途、犯罪被害者基本法に対しては先ほど御意見いろいろおありだったようですが、でも犯罪被害者の方々を支援する法律というものなり実質的な施策というものをぜひ広げていくということについてのコメントを大臣から最後にお聞きして、終わりたいと思います。お願いいたします。
#99
○国務大臣(伊吹文明君) 二点あったと思いますが、見舞金的性格を改めるということは、これは先生も今これになかなか合わないような極端な例を出して御質問になっていると御自分でおっしゃっていましたが、逆の意味から極端なことを言いますと、見舞金的性格を改めてしまいますと、犯罪を起こした人はそれで起こしっきりで、刑法罰は受けるけれども民事損害の責任がなくなっちゃうんですよ。こういう社会はやっぱり本来、私たちはあってはならない社会だと思うんです。
 ただ、その中で、困った方々を総合的にどういうふうに援助していくかという意味で、民主党、社民党さんが衆議院にお出しになった基本法を、私は総合的な施策をまとめていく、例えば厚生労働省が持っている施策、あるいは市町村が持っている施策、法務省が人権的なもので持っているもの、あるいは警察が持っているもの、そういうものを何か犯罪被害者の方々のために大きくまとめていくという方向は将来あるのかなというふうに実は私は衆議院段階では申し上げたんです。ただ、基本的なところはちょっと私は同意はしかねます、残念ですが。
#100
○円より子君 実は、少年法の改正、この四月から施行されましたけれども、少年法を厳罰化すべきだという議論がずっとあったころ、マスコミによってあおられたところもあるんですけれども、数字のマジックがありまして、それほど犯罪が低年齢化しているわけでも、また凶悪犯罪が急激にふえたわけでもなかったにもかかわらず、あのようにもっと厳罰化すべきだという声が大変ふえましたのは、あのときやはり少年から犯罪被害を受けた方々、その遺族の方たちのテレビへの露出とか、そういったものが大変多かったように思うんです。
 もちろん、私が先ほどから申し上げていますように、犯罪被害を受けた方々、その遺族の方々、大変無念の思いを持っていらっしゃることはよくわかるんですが、その一つは、少年法に対しての厳罰化論議がそこで進んでしまったのも、またいろんな思いが出てくるのも、日本の法律や制度の中には犯罪被害者の基本的な権利というものがきちんと位置づけられていなかったんじゃないかということがありまして、それがそういうふうになってきたように思うんです。
 ですから、ぜひとも、犯給法という形の中でするかしないかはともかく、私は、犯罪被害者の権利というものをきちんと明記して具体的施策をとるような方向に、今後与野党関係なく皆様方と頑張ってつくっていかなければいけないと思っておりまして、その意見を申し上げて、質問を終わります。
 ありがとうございました。
#101
○白浜一良君 まず、国家公安委員長にお伺いいたします。
 犯罪被害者の存在というのは大変大きな問題であるというのは今の質疑の中でもおわかりだと思いますが、そういう面では、今回改正をされまして一歩前進しているのは多としたいと思います。そういう犯罪被害者の方々も、そういういたわりのある社会というのがやっぱり成熟した社会だと思うんです。できるだけそういう社会を我々は築いていかなきゃならない、そういう面で一歩前進の改正だということだと思います。
 そこで、まず大臣に、この犯罪被害者の問題をどのようにトータルに御認識されているか、まず基本的な考えと、その中でのいわゆる警察の役割、犯罪被害者の問題は、先ほどちょっとおっしゃっておりましたが、警察だけじゃございません、もっと網羅的な問題があるわけでございますが、その全体の中での警察の役割はいかがなものか、この二つをちょっと大臣から伺いたいと思います。
#102
○国務大臣(伊吹文明君) ただいま円先生も御質問になっておりまして、その中であらわれている弱い立場の方へのいたわりの気持ちといいますか、公明党の皆さんはずっとそういうものを基本に政治を私はしてこられたと思いますから、白浜先生のおっしゃっている最初のお気持ちはよくわかります。ここにいる者は多分犯罪被害者という立場の方に対してはみんな同じ気持ちを持っていると思うんです。その同じ気持ちを現実の法制度やいろいろな仕組みの中でどういうふうに実現していくかという方法論について若干意見が違うんだろうと思うんです。
 そこで、まず警察というものは、基本的には憲法で保障されている国民の諸権利を、社会秩序を守っていくために制約するという公権力を持っているわけですから、犯罪を起こして、そして被害者をつくらないようにやはり全力を挙げる、そして、これは警察だけではなく、先ほど来お話がございましたように、教育の問題をも含めて、社会の慣習、秩序をも含めて考えていかねばならない。そのためには、特に大きな被害を残すような犯罪については警察は全力を挙げて、力は不足し、時におしかりを受けますけれども、まじめにやる、これがまず第一点だと思います。
 しかし、その中で不幸にして被害が起きてしまった際には、実は被害が起こる過程である犯罪に対しては警察がやはり一番深く関与しているわけですから、その方の心の痛み、あるいは社会復帰へのお手伝いその他についてできるだけの御協力をする、そして、自分たちのカバーできない範囲についても、今回法律でお願いしております援助団体等を通じていろいろな御紹介をし、やっていくというのが我々に課された仕事、使命だと思っております。
#103
○白浜一良君 わかりました。
 それで、先ほどからも議論が出ているんですが、ちょっと官房長、確認のために、先ほど円先生もおっしゃっておりましたが、衆議院段階での議論で、朝の参考人質疑でも私はちょっとこれを取り上げていたんですけれども、制度として過失犯は対象外、これは当然、法律の体裁としてそうなっているから、それはもうよく認識しております。
 ただし、いろんな事件、事故というのは、そういう水際でやってきた問題もたくさんあるわけですね。飛びおり自殺された方に遭遇して亡くなられる場合もあるでしょうし、重傷を負われる場合もあるでしょう。そういうのは、先ほど大臣もおっしゃっておりましたが、制度としては違うのはわかりますが、そういうケースとして適用される場合もあると、このように考えていいんでしょうか。
#104
○政府参考人(石川重明君) 今、ビルからの飛びおり自殺でそれに巻き込まれて通行人の方が亡くなったりあるいは大けがをされたと、こういうケースでございますけれども、刑事司法手続上は故意犯として立件されるか否かということが大変微妙であるといったような行為でございましても、その行為の外形を、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、周囲の状況等に照らして客観的に見た場合に、人の生命または身体を害するという蓋然性を加害者が認識し得る、客観的に見た場合に認識し得る、そういう状況があるという場合にはこの法律上は故意による犯罪被害と解釈し得る余地があるのではないかと、こういうことでございまして、今後とも、被害者の救済という観点に立ちまして、法を適正的確に適用してまいりたいというふうに思っております。
 今申し上げました事例は、昭和五十六年に実際に神奈川県の公安委員会で裁定事例としてあったものでございます。
#105
○白浜一良君 わかりました。
 それから、これも先ほど出ました、日本に住所を有しない外国人の問題で、大臣、これは私は午前中の参考人質疑の中で取り上げたんですけれども、あのルーシー・ブラックマンさんがいらっしゃいましたですね。不幸に亡くなられたわけで、真相はまだ、犯人が特定されておりません。犯人は特定されているのか、まだ訴追されていないわけですね。イギリスでも物すごく話題になっているんですよね、日本に滞在した若き女性がそういう殺人に遭遇されたと。
 大きな問題になっているんですが、実際問題、御家族が日本に来られても、イギリスの大使館がちょっと手配したり、それからイギリスの民間会社がちょっと援助したりと、いろいろされたらしいんですが、日本としてはそれは法制度上何もする必要もないのかもわかりませんが、極めてこういう大きな外交問題でも話題になる問題で措置できないという、こういう問題はいかがなものかなということで参考人の御意見を伺ったんですが、当然だというようなお答えが多かったんですけれども、こういう問題に関して、大臣、何かお考えがございますか。
#106
○国務大臣(伊吹文明君) ルーシー・ブラックマンさんという具体的なお話についてのお尋ねですが、まことに先生がおっしゃるとおり、今の制度のもとでは大変日本の国としても申しわけないような結果になったにもかかわらず、特段の御援助ができないという仕組みになっているということは先生がおっしゃるとおりだろうと思います。
 したがって、今お願いしている法律について言えば、これはもともとはやはり日本内に居住をしている人たちに対して犯罪が起きた場合にその被害にということですから、国内に住所を持っている外国の方は当然その対象になっているんですけれども、国内に住所を持っていない方は対象におっしゃるとおりなっておりません。したがって、将来の問題としては、諸外国でこのようなケースがどのようになっているのかということも少し私どもの方で見させていただいて、同時に国民的合意、つまり日本国内の納税者じゃない方についても日本国内で被害に遭われた場合には同じような対応をしていくというコンセンサスを得て考えていかねばならない問題だと思いますし、今御指摘のある具体的な問題は、外務省やなんかで私はちょっと考えるべきじゃないかと個人的には思っております。
#107
○白浜一良君 いや、今の具体的なケースはどうせよこうせよということじゃないんです。やっぱり両国、特にイギリスでは極めて大きなニュースになっているわけで、現に日本で亡くなられたということで、それは外務省のマターかもわかりませんが、何もされていないという事実に関して所感を聞いただけでございました。
 それで、これは検討会の中でも、この住所を有しない外国人の扱いにつきましては、相互主義を前提として、いわゆる注視するですか、そういう今後の検討課題にもなっているのは事実なんですが、相互主義という面からいいますと、これも午前中参考人と議論したんですが、例えば犯罪被害者のそういう給付金の支給制度なんかのある国、それぞれ国によって制度の内容は違うんでしょうけれども、その二国間でこういう交渉することはできますよね。ただ、日本とイギリスが合うか合わないかは知りませんよ。
 そういう問題、日本人もそれはたくさんの方が海外に行っているわけでして、それでいろんな犯罪に遭われている方も実際いらっしゃるわけです。それで、日本にもたくさん外国人の方がいらっしゃって、そういう犯罪に遭われるケースもあると。相互主義というんですから、そういう二国間、三国でもいいですが、話し合いがまとまればお互いにそういう守り合う制度ができるんですよね。
 そういうことに関しまして、これは警察、国家公安委員会が直接やるんじゃないでしょうが、外務省がやるのかどうかわかりませんが、そういう問題提起はされますか。
#108
○国務大臣(伊吹文明君) 制度としてつくるためには、やはり特定の外国を外していくというのは、租税条約とかそういうものは二国間のバイラテラルな形の条約としてありますけれども、大体は制度というのは一般条約なんですね。ですから、そういうことが、外務省とも相談してみますけれども、二国間の話し合いとしてできるかどうか、ちょっと検討させてください。
#109
○白浜一良君 いや、私はそれは、いわゆるそういう条約の形態でもいいんです。外務省にちょっと働きかけられて、お互いが、もうこれだけ国際的な時代ですからそういう制度をつくろうと、国際的に。バイじゃなくてもいいんです、国際条約でもいいんですが、そういう働きかけは、実際現場を持っていらっしゃるのは警察なんで、むしろ外務省なんかに働きかけられたらどうかということを私は言っているわけでございます。
#110
○国務大臣(伊吹文明君) とりあえず今は御意見として承らせてください。
#111
○白浜一良君 それから、これも議論が出ておりましたが、PTSDの問題で、今後ますますこの比重が多分ふえてくる問題だろうと思うんですが、今回、この犯罪被害の給付金支給の対象、四つから十四にふやされましたですね。いわゆるPTSDも十四にそれぞれ分類というか、この程度だったらこの等級ぐらいだと、そういうふうなものなんでしょうか、これ。
#112
○政府参考人(石川重明君) 今、委員御指摘のように、現行制度でも、死にも等しいということで、重障害ということで一級から四級までの障害、重障害に対して給付金が支給される。その場合、理論的にはこういう精神的な障害というものも含まれると、こういうことでございますが、まだその認定事例がないということを申し上げました。
 これが一から十四までふえたということによって、当然その幅が、救済の可能性というものがふえるわけでございますが、現在、医学的に見てPTSDの程度なり症状として固定したときの時期をどう判断するかといったようなことについて大変難しい問題があるというふうに私ども聞いておるわけでございまして、それを具体的に、各級のところにPTSDの症状として個別に記載をするということについてはまだ私ども相当研究をする必要があるんじゃないかと、こういうことでございます。
 したがいまして、今後は、お認めいただければ運用を通じて、よく医学会等とも情報交換をしながら運用面で対応させていただきたいというふうに考えておるところでございます。
#113
○白浜一良君 運用面でいいんです。私、きょうも参考人のお話、午前中聞きましたけれども、なかなか客観的な判断は難しいとはおっしゃいましたが、やっぱり大きなそういう被害であることには違いないわけでございまして、当然、せっかく細かく十四に分けられたわけですから、適切な対応をされると、当然運用面でございますが、それはそれで結構だと思います。
 それから、今回、重傷病給付金という制度を新たに設けられましたが、このPTSDの方ですね、心的外傷がひどい方なんかは当然これに該当すると考えていいんでしょうか。
#114
○政府参考人(石川重明君) PTSD等の精神的打撃につきましても、この重傷病給付金の支給の要件を満たす場合には当然支給の対象となるということでございます。
#115
○白浜一良君 だから、支給の要件のところで、これは専門家の話を聞かないと官房長もよくわからないと思います。
#116
○国務大臣(伊吹文明君) 先ほど円先生の御質問にもお答えしたように、精神的な障害の認定というのは非常に難しいですね。私も、厚生関係の仕事を長くやっておりますので、その辺の難しさはよくわかるんですが、だから、一度でこれは機械的にはねるとかどうだとかはやっぱりなかなかできにくい部分があると思います。
 したがって、先生がおっしゃったように、専門家の意見も聞かねばならないと思いますし、その方々が直接お話しになるのがなりにくいというような場合に、援助団体の人たちに話をしてもらって、その人から話を聞けるような手だてがあるのかとか、そういうことを考えた上で今回の区分の中に当てはまるということになれば、当然それは支給対象にしなければならないと思います。
#117
○白浜一良君 ですから、そういう精神心理学というんですか、そういう専門家の意見をよく聞かれて、適切に対応されるようにお願いしておきたいと思います。
 それから、これも先ほど出ておりましたが、今回、民間の援助団体を指定団体にされたことはこれは一つの大きな前進だと、これはもうそのとおりなんです。
 これは先ほど議論されたように、別に警察がこの予算を持っているわけじゃないので、そういういろいろ援助すること、補助をすることができないんですが、しかし今十八団体で、これふえないんですよね、なかなか。どうしてふやすかということが大事だと思うんですよ。
 実際、きょうも午前中いろいろ御意見を伺いますと、マンパワーはあるというんです。適切な援助をするとわっとネットワークができると担当されている方がおっしゃっておりましたが、これはほっておったって、指定団体にという位置づけされたことはいいことなんですが、それだけではふえていかないので、ここをどうするかということ、もしお知恵がございましたら。
#118
○政府参考人(石川重明君) 私どもとしても、こうした団体の設立あるいは運営についていろいろな形で積極的に支援をしてまいりたいと、こう考えているわけでございます。
 具体的に申しますと、これまでにやりましたのは、そうした団体の設立を支援するために関係機関に御協力を警察から要請するということがございますし、また被害者を援助するボランティアの方々に対する講習に犯罪被害の実態を警察官を派遣していろいろな形でお伝えをするといったようなことをやってまいりました。また、こういう団体が発足をされる、あるいはされようとしているといったようなことについていろいろな形で広報をする。そして、被害者の方々にそういう団体ができつつあるんだな、あるいはできたということについてよく認識をしていただいて、もし何かがあったときにそこへ御相談に行っていただくと。
 こういったようなことで、この設立に当たりまして今後とも積極的にその支援をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#119
○白浜一良君 いろいろ呼びかけたり広報したり、それはもう当然大事なことだと思いますので、やっていただいたらいいと思いますが、なかなかそれだけでは、実際はやっぱり労力とお金がかかることでございますので難しい。
 これ、私も新聞記事で読んだだけの話なんですけれども、神奈川県の住宅供給公社に神奈川県が貸付金があるんですね。それが供給公社から返済されていきますから、それを全部基金でプールして、かながわボランタリー活動推進基金にされて、そういう団体に援助していこうというような動きがあるらしいんです。これ、官房長、御存じですか。
#120
○政府参考人(石川重明君) 私どもも報道で承知をいたしまして、それで神奈川県警察を通じてどういうものかということについて把握をいたしております。
 内容でございますが、これはかながわボランタリー活動推進基金21ということでございまして、公益を目的とする事業に自主的に取り組むボランタリー団体等の活動を推進するために、県が持つ債権を活用した総額約百億の基金を設置して、そして公益を目的とする事業というものに対して助成をしていくと。
 事業の内容といたしましては、一件一千万円以下、期間五年以内ということで貸し付けと申しますか、負担を行うと。あるいは、補助といたしまして、ボランタリー団体等が行う公益を目的とする事業への補助を行う。これは補助額は一件二百万円以下を計画しておる、期間は三年以内と。そのほか、表彰とかあるいは審査会の設置といったような事業を行うというふうに聞いております。
 これが、いわゆるボランティア団体で犯罪被害者に対する支援活動を行っておられるような団体にも、当然公益目的であってそういう事業を組むという団体がボランタリリーにあるということであれば対象になるのではないかというふうに期待をしているところでございます。
#121
○白浜一良君 この問題、大臣おっしゃったように確かに税金を使ってやるものじゃないので、あくまでもボランティアを中心としたそういう民間援助団体、独自の運動を大事にすることが前提でございますが、やっぱり何かきっかけがなければなかなかできないということもございます。
 それで、そういう面では私、今神奈川の例、これは新聞で見たからお聞きしたわけですが、やっぱり自治体がいろいろ工夫されることが大事だと思うんです。それは都道府県なんでしょうね、こういう団体の性格から見て。ですから、できましたら、私、大臣が国家公安委員長というお立場で、総務省ですか、地方自治を担当されている大臣にもお話しされて、できるだけそういう側面的に、せっかく指定団体にするわけですから、それで地元県警クラスがよく連携とれるような、そういう団体にもなるわけですから、そういう財政的な援助、いろいろ知恵を出して協力願いたいと、このようなことを御提案されたらいかがかなという気がするんですが、いかがでしょうか。
#122
○国務大臣(伊吹文明君) ごもっともなことだと思います。
 それで、実は警察改革の話がございまして、都道府県の公安委員会以外に警察署単位で協議会をつくるという動きが別途あります。これもなかなかボランティアとか地元の方の熱意だけで私できるものじゃないなと思っておりますので、自治体警察というのはある意味じゃ戦前への反省から出てきた部分があるんだと思うんですが、同時に、こういうことについて警察庁が予算をとって直接やれないというまだるっこしさが逆にあるんですね。
 ですから、今おっしゃったように、近々全国の都道府県の公安委員会の会議がございます。そこでも、あるいはまた総務大臣にも、また全国知事会のような場を使ってこのことも、それから警察の協議会のこともちょっとお話をしてみたいと思っております。
#123
○白浜一良君 よろしくお願い申し上げたいと思います。
 それから、これも新聞で見たんですが、警視庁で犯罪被害者支援へのガイドブックを作成されたというふうに報道されておりましたが、これは官房長、いかがなものなんでしょうか。
#124
○政府参考人(石川重明君) これは、ことしの三月に東京都の犯罪被害者支援連絡会というところの作成という形で犯罪被害者支援ガイドブックというものができ上がっております。これはもちろん警視庁とも関連をしておる団体でございまして、ここの中におきまして犯罪被害者の実態あるいは被害者の心理、被害者の声、それから東京における犯罪の発生状況、それから被害者の支援の今までの潮流、流れ、あるいは被害者へどういう形で対応が行われるかといったようなことにつきましてハンドブックに記載をしてあるわけでございます。
 それから、この東京都犯罪被害者支援連絡会の概要、それから各種窓口がこういうところにありますよといった窓口の紹介、そのような参考資料がついておる、そういう性格のものでございまして、こういうものが活用されるということは大変意義のあるものだというふうに承知をいたしております。
#125
○白浜一良君 この警視庁でつくられたものは、具体的に東京都ではどこにまいて、どういう形で使われているんですか。
#126
○政府参考人(石川重明君) 東京都の犯罪被害者支援連絡会というものに参加団体がいろいろございます。こういうところがいろいろな活動をされておるわけでございます。それから、この連絡会の構成と申しますのが、検察庁を初めいろいろな関係機関、団体でございます。そういうところに配る。それから、警察の中でもこれを十分活用させていただくということで警察もいただいているというふうに承知をいたしております。そういう法人、団体に配られているというふうに思います。
#127
○白浜一良君 最後に、大臣、今これ東京都の話を聞きましたが、これは新しい制度になりまして、やっぱり国民に周知徹底すると。それで、特に関係されている団体とかに徹底することが大変大事だと思うわけでございますが、その辺の取り組みも含めまして、最後に大臣の御決意を伺って、終わりたいと思います。
#128
○国務大臣(伊吹文明君) 先ほど来先生から幾つかの御提案もいただきましたし、円先生のお話の中にもありましたようなこともございますので、そういうことも踏まえまして、この制度、法律を成立させていただいた暁には、ともかくうまく動くように、そして多くの人たちがそういうものがあるんだということを御存じになるように、警察の組織でやってもらうように私からもお願いをしたいと思っています。
#129
○白浜一良君 終わります。
#130
○大沢辰美君 日本共産党の大沢辰美でございます。
 犯罪被害者の給付金の支給法についてお尋ねしたいと思います。
 ずっと質問があったわけですが、今回の改正については、支給金額の引き上げも出ましたし、重傷病給付金の創設も出ました。ですけれども、犯罪被害者の実態に沿った制度としての改善は、一部されたと思います、その点については評価をしたいと思うんですけれども、やはり今、ずっときょうは午前中参考人の先生方からもお話を聞きましたけれども、日本の犯罪被害者の対策は欧米に比べたら二十数年おくれているということを指摘されました。そのとおりだと思います。ですから、本当に被害者は置き去りにされてきたと言っても言い過ぎではないと思います。早急に打開する必要がありますので、その立場から質問をさせていただきたいと思います。
 最初に法案の内容についてお伺いしたいと思いますが、犯罪被害者対策が進んでいる欧米の例を挙げてみますと、やはり犯罪被害に対する援助組織ですね、非常に重要な役割を担っているということ。我が国でもボランティアで犯罪被害、きょうも参考人で来ていただいておりましたけれども、少年犯罪、また性の暴力、ドメスティック・バイオレンスの被害支援などを多くの方がしてくださっています。交通事故などさまざまな被害支援のための団体も活動しています。だから、犯罪被害は一様でないと思いますけれども、この多様な支援組織を発展させていくことが今大事だということをまず最初に申し上げたいと思います。
 そこで、早期援助団体としてまず全国被害者支援ネットという組織を想定されていると思うんですけれども、その他の支援組織についても申請があれば、その要件があると思いますが、指定をされるのですか。その点についてまず最初にお聞きしたいと思います。
#131
○政府参考人(石川重明君) もちろん今の御指摘のとおり、被害者の方々に対する民間の援助団体が数多く指定をされて活発に活動されるということは好ましい、望ましいことであるわけでございまして、指定の申請がなされて、それが今法定要件が満たされているということであれば積極的にそれを指定していく、こういうことだろうと思います。そういう意味で、過度に厳格な要件というものを今後考えるということはない、しないようにしたいというふうに考えております。
#132
○大沢辰美君 先ほども午前中の参考人の意見の中で、公的援助の問題も指摘されました。情報提供をきちっとやってほしいという意見もございました。
 今、厳格な、そんなに厳しい基準というんですか、それは避けたいという答弁があったわけですけれども、そういう支援団体を今希望して申請しようとする団体、その人たちの意見をよく聞いてこの基準というのをつくってもらいたいと思うんですが、きょう参考人の方も、ぜひそういう意見を聞く場をつくってほしいという御要望もありましたが、その点はいかがですか。
#133
○政府参考人(石川重明君) 今、過度に厳格な要件を定めるということではないと、こう申し上げたわけでございますが、同時にこの団体がしっかりした活動をしていただかなければならない。そういう意味で、被害者に関する情報の提供を受けて被害者の方々を直接援助する、そしてそういう業務を適正かつ確実に行い得るというような内容を備えた活動をしていただくに足る組織であるかどうかということについては私どもも意見をよく聞かせていただきたい、こういうふうに考えておるところでございます。
 したがいまして、営利を目的としない法人であるといった法定の要件に加えて、必要な体制等を備えているか否かということについては私どもも聞かせていただきますし、また御要望等も承りたい、こういうふうに考えております。
#134
○大沢辰美君 もちろん要件は大事だと思います。でも、きょう希望を出された弁護士さん、そして大学の先生方、本当に真剣にというんですか、誠実に、まじめにこの活動を負って続けてこられた方がこれから申請するための意見を聞いていただきたい、そして指定を受けるための基準のあり方も含めて意見を聞いていただきたいということですから、その辺は本当にぜひ実現をしていただきたいと思います。
 次に、重傷病給付金の支給要件についてお尋ねしたいと思います。
 重傷病の要件については、負傷または疾病の療養の期間が一カ月以上であることのほか、政令において、十四日以上の入院期間を必要とすると、こういうふうになっていますね。だから、給付の内容も保険診療による自己負担相当額と。これは性犯罪被害者を全く私は視野に入れてない基準になるのではないかと指摘したいと思うんです。
 これはこの前の本会議質問の中にもありましたけれども、大臣の答弁の中でそういう内容を何か認めたような御答弁だったように思うんですね。ですから、性犯罪被害は極めて重大な被害には含まれないから支給対象にならないということになってしまうと思うんです。
 ある性犯罪被害者の十八歳の少女の例なんですが、この人は失語症になってしまったわけですね。自殺も図ったと。だけれども、三日間何も食べずに毛布をかぶって、これは入院じゃなくて自宅のベッドでうずくまっていたと。だから、これが入院をしていなければ基準にならない、要件にならないということになれば、本当に対象から外れてしまうわけですね。こういうことがあるのに、極めて重大な被害ではないと、こういう状況を言えるのかどうか。
 だから、入院日数のみで重大か否かを判断することは、私は性犯罪被害者の実態を無視した内容になっていると思うんですが、まずその点についてお聞きします。
#135
○政府参考人(石川重明君) 性的な被害というものが大変被害者にとって重大なものであるということについては私どもも異論はないわけでございます。そして、そうしたものに対して警察としてできること、または民間援助団体にしていただくのが適当なこと、あるいは関係行政機関が協力をしていろいろ対応すること、そういうような手当てが大事だということはもちろん当然のことでございます。
 そのために今回の改正で被害者に対する援助の措置等に関する規定を盛り込んだと、こういうことでございますが、この重傷病給付金というものを制度的に設計をする場合に、やはりこの犯罪被害給付法というものが何らの救済も得られないまま放置しておくと国の法制度全般に対する国民の信頼が失われるような重大な被害の救済を目的とするものということでございますから、加療一カ月とかあるいは入院十四日以上といったような一定の、重大な被害として認定するに足るところの指標というものは必要とするのではないか、そういうことで限定をしているということでございます。
#136
○大沢辰美君 性的犯罪を重大な被害だということは認識をしていらっしゃると。だけれども、一定の基準を設けないといけないから、十四日以上入院していなければこの重傷病給付金というのは支給できないという内容だと思うんですけれども、でもそれだったらやっぱり矛盾していると思うんですよね。重大な被害であるというこの性的犯罪被害者の皆さんは、入院することができないという状態に追い込まれている犯罪なわけですから、そこをやっぱり、実態を無視するんじゃなくて、実態から出発した基準をつくっていただきたいと思うんです。
 先ほども質問がございましたが、強姦事件の被害者も今心的な外傷ストレスの障害がひどくて、通学できなくなったり、子供さんの場合は本当に専門家のカウンセリングが必要です。それを受けて自己負担になっているという実態もあります。だから、やはり専門家の支援も受けられない子供たちもいる、この心的外傷障害が長期化することも多いと。これは本当に人間の尊厳を否定する行為でありますから、どれだけ屈辱的で自己否定になるか。
 私は、専門家の助けをかりるための財政的な支援、重傷病給付金に入れるのは当然であると思うんですが、この支給要件の見直し、重大な被害ということを認識して、そして性的被害の人たちは入院できなくて困っているという、本当に苦しいはざまに置かれているこの犯罪被害者の人たちをどう救済していくかという点での見直しを私はぜひやっていただきたいと思うんですが、いかがですか。
#137
○政府参考人(石川重明君) 給付金という形で、先ほど申し上げたとおり、そういう法案をお願いしておるわけでございますが、この経緯につきまして若干御説明をさせていただきますと、有識者によります検討会から提言を私ども受けました。そのときに、犯罪被害給付制度の支給対象とすべき重傷病というものは一体どういうものかと。それは全治一カ月以上の傷病であることに加えて、例えば検査入院といったような短期の入院で終わるといったようなものは含まずに、外傷の場合に相当程度の手術が必要となるような被害を対象にすべきではないか、そういう考え方からおおむね二週間程度の入院を要件とすべきである、こういう御意見をいただいたわけであります。
 また、医療関係の方々からお話を伺いますと、加療一カ月以上の傷病の中にもさまざまな態様のものがあるわけでございまして、脊髄損傷あるいは開放骨折といった極めて重大な傷病については通常十四日以上病院に入院するものというふうに見込まれるということでございまして、そうした重大な傷病に限定するためには入院十四日以上の要件を加えるということが適当であるというふうに考えてこういう制度設計になった、こういうことでございます。
 この性犯罪の被害者の方が大変精神的に悩まれておる、苦しんでおられるということは、先ほど申したとおり私どもも十分承知をしておるわけでございまして、そしてこの場合、十四日以上の入院、一カ月以上の加療ということであれば当然この重傷病給付金が支給をされるわけであります。あるいはそうでない方々につきましては、別の方法によっていろいろな手当てをすることによって対応していくのが適切ではないか、こういうことに今考えているところでございます。
#138
○大沢辰美君 大臣、いかがでしょうか。一般的には、私、重傷病という数字、位置づけ、十四日以上の入院、一カ月以上の治療というのは当てはまるかもしれないけれども、心的外傷ストレス障害というのはそこに当てはまらない重大な被害だという認識をぜひ持っていただいて、これからの政令の見直しでいけるわけですから検討課題の大きな一つにしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
#139
○国務大臣(伊吹文明君) 参考人がお答えをしたことで尽きていると思いますが、先ほど来申し上げているように、性的被害に起因するかどうかということも含めて精神的な疾病、障害の認定というのは非常に難しい問題です。そのときによっても違いますし、聞く相手によっても違いますし、大変状況が違います。したがって、この要件に当たる方々についてはきちっとこの法律で措置させていただきますし、そうじゃないものについてはやはりこの基準でやらせていただくということだと思います。
#140
○大沢辰美君 一つ提案をしたいと思うんですけれども、確かに精神的な基準というのは決めにくい、これは等級の問題では言えると思うんです。だけれども、この十四日の入院というのは性的な被害の方たちの場合は、何かやはり自宅で動けなくなったとかそういう非常に深刻な状態が把握できた場合は適用できるというような、一定の枠を決めるような方向づけも考えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#141
○政府参考人(石川重明君) 今御審議をいただいている法案の枠組みについて今ここで変えるとかあるいは検討するということは申し上げられないわけでございますが、この性犯罪被害者の受けておられるいろいろな心の痛みといったようなものを十分に考えながら今後の被害者対策の充実に努めてまいりたいというふうに思っております。
#142
○大沢辰美君 ぜひ、性的犯罪被害者は体だけじゃなくて心も殺されてしまっているという実態をきちっと受けとめて今後の大きな課題にしていただきたいということを強く要請を重ねてしておきたいと思います。
 次に、先ほどからも質問がございましたけれども、親族間の犯罪に対する支給制限についてですが、私も同じ思いで質問をしたいと思いますが、特に法案の内容からお聞きしたいと思います。
 法第六条には、「給付金を支給しないことができる場合」として、「被害者と加害者との間に親族関係があるとき。」との規定があります。現行法では、生命、身体に対する犯罪被害を受けた者であっても、被害者が加害者や加害行為について一定の関係を有する場合、広く支給が制限されています。この規定によって、ドメスティック・バイオレンスの被害者は、たとえ命を奪われても後遺障害を負っても犯給法の対象にならないわけですね。
 ですから、今回の法改正に当たり設置された犯罪被害者支援に関する検討会の報告では、親族間犯罪の支給制限の見直しについては今後慎重に検討していく必要を認めつつ、中長期的な検討をすべき課題として今回改正には至らなかったとその理由を述べていますが、それはどういうことだったんでしょうか。
#143
○政府参考人(石川重明君) 現行制度におきましては、不慮の犯罪被害を対象としておるわけでございますけれども、家族には相互扶助の義務があるということ、それから親族間の犯罪について給付金を支給するということにつきましては、結果として加害者を利するおそれもあるというようなことから、親族間の犯罪につきましては原則として給付金を支給しないという旨の規定を置いているということでございます。これは、この制度が連帯共助の精神に基づいて一般財源から賄われるというものである以上、現時点においても存置されるべきものと考えられる、こういう検討会からの御提言でございます。ただ、一方では、深刻化する、今お話しのドメスティック・バイオレンス等の現状、あるいはこれに対する世論の動向を踏まえつつ、支給制限のあり方については今後慎重に検討していく必要も認められる、こういうことでございます。
 これは原則不支給と、こういうことでございますが、極めて例外的な場合には三分の一支給ということがあるということは先ほど来の御議論のとおりでございます。
#144
○大沢辰美君 これは検討会で中長期的な検討をすべき課題として提案されております。このDVの法案が昨日参議院を通過したわけですが、恐らくあすには衆議院で検討がされると思うんですけれども、そういう時期と並行した審議になってきたわけですけれども、この問題については今答弁がありましたように、本当に相乗作用を起こしながらそういう被害者を救済する方向づけを見出せるのではないかという大臣の答弁があったと思うんですが、私はそういう方向づけこそ今求められていると思います。
 中長期的な検討課題だという方向づけなんですが、どういう見通しでこの方向づけを今検討しなければならないと思っていらっしゃいますか。
#145
○政府参考人(石川重明君) やはり夫婦の間あるいは親子の間でどういうような家庭内での暴力というものがあるのか、そういう実態、現状というものをしっかり把握する必要がまずございます。それについて、さらに今、国会でも御議論がございますけれども、世論がどういうふうにこの問題について対応しようとしておるのか、そういうコンセンサスのようなものをきちっと図る必要があろうかと思います。そして、その上に立ってこの支給制限のあり方について検討をしていく、こういう順番になるんではないかと、こういうふうに思っております。
#146
○大沢辰美君 継続的に検討を始めていくというように理解してよろしいでしょうか。
#147
○政府参考人(石川重明君) まず、この法律案を今御審議いただいているところでございますから、この法律案を運用する過程においてもいろいろな、この法律案の中ででも対応できることがあるわけでございます。例えば、民間援助団体がいろいろな形でこの問題について支援をしてくということもございましょうし、そういうこともあるわけでございまして、ただ、支給制限のあり方というものについては、そういう運用の中において、そして先ほど申しましたような順番で検討していくことではないか、こういうふうに考えているところでございます。
#148
○大沢辰美君 もちろん運用で行っていただくことは当然のことだと思いますけれども、ぜひ継続的に、今検討会の提案が出ているわけですから、こういう審議もされている中で、問題点も明らかになっている中で、私は継続的にこの検討をしていただきたいということを強く申し上げたいと思います。
 実態に沿ってという今御答弁だったわけですけれども、DVの被害の実態はもう本当に、先ほども申し上げられましたし、繰り返しはやめたいと思うんですけれども、ちょっと実態の数字を述べたいと思うんです。
 昨年の二月、総理府が行っておりますが、男女間における暴力に関する調査では、夫婦間の暴力で命の危険を感じるほどの暴行を受けた女性は四・六%、医師の治療が必要となる暴力を受けた経験があると回答した女性は四・〇%。警察庁の犯罪統計書では、九八年の年間の配偶者間の殺人では百二十九人の女性が犠牲になっているという実態が出ているわけですね。
 その実態の、たくさんありますけれども、深刻な状態になっている一例を述べたいと思うんですが、本当にひどい暴力を継続的に受けた場合、手とかそれから脊髄とか耳を殴られて、鼓膜が破れただとか、二十センチぐらいの角ばったタイルで殴られたとか、それで目が見えなくなったとか、働けなくなったとか、本当にそういう数々の実態が明らかになっています。これは単なる調査でなくて、暴力の質、内容がどういう影響を及ぼしたかという調査がされています。
 私は、このような状況の中から、夫の暴力から女性が命がけで食住を捨てて逃げ出して、また身を隠さなければならない。心身ともに傷ついて、そこからDV被害者は生活再建を図らなければならない。被害者は、離婚手続にこぎつけても、相手との時間のかかる接見を避けるために、慰謝料なんかは、金銭的要求はあきらめる場合が多いんですよ。被害者のこのような状況に配慮する手続もないし、これでも家族は支え合うべきだという最初のちょっと答弁がありましたけれども、私は、加害者に利するから支給をしないという硬直的な支給制限をやられるんじゃなくて、本当に今の実態から、今も、検討をするけれどもやっぱり運用面でそれをやってからというようなことをおっしゃっていましたけれども、やはりこの内容に沿った形で、私は実態に即して検討していただきたいと思いますが、大臣、答弁いただけますか。
#149
○政府参考人(石川重明君) 今申し上げたことに尽きるわけでございますけれども、今法律を御審議いただいている立場で、この法律が運用になった段階で、その運用を通じてまず適切に対応していくということが一つございます。
 それから、この提言で受けておる事柄については、先ほど申しましたような手順でいろいろな検討をしてみたいと、こういうふうに考えているところでございます。
#150
○大沢辰美君 では、大臣にお聞きしたいと思うんですが、日本政府も賛成した国連宣言、国連被害者人権宣言、ここには加害者と被害者の間の親族関係の有無に関係なく被害者とみなすことができると、こういうふうにうたわれているわけですね。これは御存じだと思うんですが。ですから、諸外国の例を、制度を見ましても、親族関係を制限理由としている国はもう西欧ではむしろ少数になってきて、緩和される方向になっているわけですね。アメリカは親族関係でも原則支給をしていますから、九六年の支給人員しかわかないんですが、七・三%、八千六十六人が家庭内暴力の被害者でしたけれども支給がされていると。
 今回、法改正は見送られましたけれども、私は当面の措置として、やはり最低夫婦間の場合には、社会通念上実態的な破綻した状態があれば、一律に支給制限するこの施行規則にうたわれている内容については直すべきじゃないかと思いますが、大臣にお尋ねしたいと思います。
#151
○国務大臣(伊吹文明君) それは先生のお考えとして、私は決してそのことを非難するつもりはありません。しかし、私たちが考えている日本の国のあり方としては、そのお考えには私は賛成ではございません。家族というものはやはり基本的には一体となって社会の構成の一つのユニットとして助け合ってやっていくというのが原則であって、その原則を崩すようなことはあってはならない。
 国連のこの宣言というのは、これはもう先ほど円先生にお答えしたように、言うまでもなくこれは条約として各国が参加をしているものではなくて、一つの宣言なんですね。ですから、当然国連の加盟国としてはこの宣言は尊重をすると。そして尊重をしていく中で、今先生がおっしゃったのは、ア・パーソン・メイ・ビー・コンシダー・ザ・ビクティムと書いてあるという意味は、先ほど申し上げたようにシャル・ビー・コンシダー・ザ・ビクティムと書いてあるのであればそうしなければならないになるんですよ。しかしメイ・ビーですから、これは被害者ととらえることもできるという意味なんですね。ですから、そういうことを尊重しながら、その国の置かれている慣習、歴史、社会の成り立ち、その中でバランスをとりながら国連の宣言に最大限沿った方向をやっていくと、これが政府というものに課された私は義務だと思います。
#152
○大沢辰美君 それは、だれだって家族は支え合って生きていきたいという形で生きているわけですよ。だけれども、今の状況の中で、夫からまた恋人から、女性の多くの人たちが暴力で心身ともに傷ついて、命がけで脱出して、この被害女性の人たちは今悲痛な声を上げているわけです。そこで法律をつくろうということで、きのう参議院を通過したわけですけれども、あなた方はこういう夫に支えてもらえと言われるんですか。
 本当に今の実態でそれが言えないから悲痛な声を上げて法に結びつけていった運動の経過があるわけです。ですから私は、一概にそういう形で決めつけていくんじゃなくて、やっぱり一歩でも被害者の人たちのその回復のための経済支援の道を開くべきだと。その対策の一つとして、今回の法律で当面の措置としてでも夫婦間の場合は、私は、この施行規則を見直せばいいわけですから、そのことをやっていただきたいということを今指摘したわけです。
 ですから、本当にもう助け合うべきだということでけってしまうような、私は、それはそうありたいけれどもそうでない実態から出発をしていただきたいと思うんですよ。もう一度。
#153
○国務大臣(伊吹文明君) 少なくとも、こうあるべきだという社会の実態を崩していく、法律や制度によって崩していくような方向があっては私はならないと思っております。
 日本社会の大きな流れの中で、それがいいか悪いかはともかく、現実として、そういう現実を受けて、参議院の皆さん方を中心に参議院先議で家庭内暴力の法案が本院を通って衆議院に付託をされたわけですから、衆議院の審議の中でそのことが衆議院において認められ、そしてその法律が施行をされ、そしてその法律が動いていけば、家庭内暴力というものを一種の犯罪としてとらえるという社会的な風潮ができ上がる、でき上がった段階でこの法律への適用をどうするかということは、それは考えなければならないというのは先ほど民主党からの御質問に私はお答えしたとおりです。
#154
○大沢辰美君 その部分は一致しないわけですけれども、でもやっぱり検討会で中長期的に検討するということが結論づけなければいけないわけですから、その方向を正していただきたいと思うんです。
 この件についてはもう既に、警察大学校が編集しています「警察学論集」というのがありますね、これを見せていただいて、十年前、犯給法の十周年シンポジウムが開かれていますね。その中でも、十年前にもう既に、加害者にお金が回らないという状況であってもこれは一律に支給しないという、被害者に対してどう考えても余りにも理不尽だという指摘もされています。こういう点からして本当に世論として今この親族間の問題についてはやっぱり解決していかなければならないところに来ていると思うんです。そのことを強く申し上げて、最後にもう一点質問させていただきたいと思います。
 今回の改正で給付金額の引き上げは行われるが、やはりこれでは経済的な救済は立ちおくれているということをもう午前中の参考人の皆さんが口をそろえておっしゃっていました。
 やはりこれも事件で、先ほどありましたけれども、松本サリン事件でも河野さんは家族四人が病院に運ばれて初めの一週間で医療費は三百万円かかった、妻は今も意識が戻らないと。犯罪被害者給付金は四百万円もらったけれどもじゅうっと、じゅうっという表現、蒸発するように消えてしまったと。結局、被害者はお気の毒で終わりなんです。今後の治療費が一体幾らかかるのか。河野さんは、私にとって被害者の人権を守るということは生活が守られ、生存権が、命が守られるということなんだと、それほど切迫した問題だということを言われています。
 ですから、最低医療費と生活の保障、さまざまな費用がかかるわけですが、それが求められているのは、この一例ですけれども、すべての人が犯罪被害者になる可能性のある現代社会において、たまたま被害者となった一部の人たちだけが泣き寝入りをするようなことをするんじゃなくて、市民生活における安全の根幹にかかわる問題として私はこの給付金の問題、今回引き上げられましたけれども、やはり一層見直す必要があると思いますが、その点についていかがですか。
#155
○政府参考人(石川重明君) 給付水準の問題についてのお尋ねだろうと思いますけれども、繰り返し答弁をさせていただくわけでございますが、この給付制度のもともとの性格というものが一つございます。被害者が受けた損害のすべてを賠償するとかあるいは補償をするとか、そういうような位置づけではございませんで、社会連帯共助の精神に基づいて、どこからも救済をされない方、被害者に対してお見舞いをする、そういう一時金である、そういう性格の法律上の位置づけであるわけでございます。
 今回の制度の拡充によりまして、今御指摘のように重傷病給付金を創設する、あるいは障害給付金の支給範囲を拡大する、賃金水準等に基づいた給付金額の引き上げを行うということをやっておるわけでございまして、今その法律をお願いしているところでございまして、私どもといたしましては今時点においては被害者救済のために私どもできる限りの努力をしていると、こういうことでございます。そういう意味で国民の御期待というものにも沿うものではないか、こういうふうに考えているところでございます。
 今後の経済社会情勢の変化というものは、またそのときに十分に反映をするようなことになるんではないか、こういうふうに思っております。
#156
○大沢辰美君 最後に一言。
 引き上げはされたけれども、今の実態を、一例を述べましたけれども、実態に合わないということを私は今示させていただいたわけです。
 だから、被害者に対して、本当に速やかな被害からの回復というのを被害者に対する私は権利として認めていくような制度にしていただきたい。生活の保障、医療の保障、そして、それからかかるさまざまな問題についてもそういう観点からとらえ直していただいて、被害者の立ち直りを今言われたように経済的側面から支援する制度として再構築していただきたい、そのことを強く申し上げたいと思いますが、一言最後に大臣にお聞きして、終わりたいと思います。
#157
○国務大臣(伊吹文明君) 先ほど来いろいろな御質問に私はお答えをしておりますが、今先生がおっしゃった権利という観点からこれをとらえるということは、私たちの社会の成り立ちのルールからは相入れないものだと思っております。
 基本的にはこれは、犯罪を犯した者は刑によって罰せられ、民事においてその責任を負うと。しかし、それがどうしてもカバーできないところを国民の税金で共生という理念のもとで補てんをしていくということでございますから、もちろん多ければ多い方がいいわけですが、そういう社会のルールと、それからその財源を賄っていく納税者の理解と、両方が変わってきた場合には先生がおっしゃるようなことも可能かと思いますが、現時点では私はそのような状態にあるとは思いません。
#158
○大沢辰美君 一言だけ。
 今、私は権利というのは、被害者の皆さんは本当に突然にそういう状況に追い込まれるわけですから、やはり憲法に保障された、十三条、二十五条から立っても、その人たちの被害者の皆さんの生活、そして健康、心、それらのすべての回復を行うことが私は私たちの仕事であり、皆さんの仕事であり、この法律であると思います。その法律を充実するための支援を一層再構築していただきたいということを強く申し上げて、質問を終わります。
#159
○照屋寛徳君 社会民主党・護憲連合の照屋寛徳です。
 私は、この犯罪被害者等給付金支給法の一部を改正する法律案の質問に先立って、きょうは大臣と、それから警察庁の皆さん、沖縄県警の皆さんに御礼というか、御苦労さんを申し上げたいと思います。
 それは、私は、予算委員会と、それから予算の委嘱審査、それから大臣の所信表明に対する質疑の中で、沖縄で発生をした米軍人の家族少年による窃盗事件、器物損壊、放火事件の主犯がアメリカへ帰ってしまって、県警がせっかく令状を確保して令状を執行しようとしたら主犯がいなくなっておった、このことをしつこくただして警察の適切な対応をお願いしてまいりましたが、過日、沖縄県警の熱心な捜査、そして関係者の説得で嘉手納基地に戻ってきたところを身柄を確保したということが報道されまして、県民がほっとしております。
 それは、実は全くこの法律とも関係ないわけじゃなくて、先ほどから大臣がお話しをしておりますように、犯罪が惹起をされて、そして我が国が主権国家として警察権を行使する、しかしそれが妨げられるというんでしょうか、適切な警察権の執行が妨げられるということになりますと、これは犯罪被害者の支援以前の問題なわけですね。
 実は、今度の少年による放火事件でも、いまだに被害者の方々は生活再建ができなくて途方に暮れているわけです。こういう実態もありましたので、再三再四、とにかく逃げ得は許さないということで警察庁は頑張ってほしいということをお願いもし、大臣にも要請を申し上げましたが、今お話しいたしましたように身柄が確保されたと、こういうことでありますから、これまでの捜査に御苦労さんと、心から県民にかわって御礼を申し上げたいというふうに思っております。
 さて、県警の話が出たついでに、これは質問通告しておりませんが、レクの皆さんにはお話ししたんですが、実は昨日の地元紙に県警が臨床心理士らに委嘱状を交付したという記事が出ておりまして、これによりますと、沖縄県警は二日、四月二日のことですが、被害者への適切な精神ケアを進めるため、カウンセリングアドバイザーとして田中琉球大学助教授と臨床心理士の崎原さんに県警本部で委嘱状を交付したと、こういうニュースであります。沖縄県警では、カウンセリングの専門家を採用していないために警察職員が事件の被害者の精神的な支援をしている、被害者対策の担当職員が専門家の助言を受けると、こういうニュースでございまして、私も大変本法案の審議とも関連して喜んだところであります。
 喜びと同時に、臨床心理士などカウンセリングの専門家をこれまで警察職員として採用されておらなかったということはこれまたある面で驚きでございますけれども、官房長、もしおわかりでございましたら、全国的に、警察職員としてカウンセラーというんでしょうか臨床心理士というんでしょうか、そういった者を採用しているような都道府県警察の実態、おわかりでしたらお教えいただきたいと思います。そして同時に、正規の警察職員じゃないけれども、沖縄県警のように委嘱をしているというふうなケース等、今の段階でおわかりでしたらお教えいただきたいと思います。
#160
○政府参考人(石川重明君) 警察における被害者カウンセリング体制の整備状況についてのお尋ねでございますけれども、部内において被害者相談専門員といったような形で、臨床心理士の資格を持っておられる方、これは四十二人全国で採用をいたしております。その他のカウンセラー、これは心理学を修められた方とかそういうことでございますけれども、そういう方が八十二人でございまして、合計百二十四人、そういう体制をとっていると。
 それから、部外者への委嘱の状況でございますが、これは精神科医の方とかあるいは今申し上げました部外の臨床心理士の方、こういう方々に相当数の委嘱を行っている、各都道府県警察において委嘱を行っておると、こういう状態にございます。
#161
○照屋寛徳君 私は、精神科医あるいはまた臨床心理士等をアドバイザーとして委嘱するというのはこれはとてもいいことですし、同時に警察職員としてそのような専門家をふやしていくということをぜひ今後政策的に強力に推進をしていただきたいと思います。
 私は、警察にも必要でしょうけれども、個人的には学校現場なんかにももっと臨床心理士を各学校に配置をした方がいいんじゃないかと。栄養士も必要かもしれませんけれども、同時に食生活の面だけじゃなくして精神的に、子供たちが教師や親に発信しているシグナルを臨床心理士などの専門的な立場で早目に探知をして子供の教育に資するということはとても大事なことだと思いますので、そのことを含めて、通告はしておりませんが、カウンセリングアドバイザーなどの採用の件について、大臣の御決意をお聞かせいただければありがたいなと思っております。
#162
○国務大臣(伊吹文明君) ただいま参考人が申し上げましたような実績でございますけれども、この法律において警察がいろいろな面での、被害者の金銭的な給付はこの法律でお許しをいただいて行うわけですが、それ以外の部分についての援助その他の規定を今回の法律にも盛り込んでおりますので、そういうところの人たちとも連携がとれるためにも、そういう方々を、すぐに定員化するというのはなかなかこれ難しいと思いますけれども、いろんな形で活用できるように努力をさせていただきたいと思います。
 それから、沖縄の米軍の子弟について、一番最初に警察の努力をねぎらっていただいて本当にありがとうございました。実は、先生から御叱咤、御質問があります前から、警察当局としては米国の司法当局といろいろなやりとりをしておりました。ただ、私も個別の捜査に立ち入れる立場ではございませんのですけれども、何分その捜査の途中段階でございますので、また逃亡その他になると困りますので、申し上げられずに大変失礼をいたしましたが、どうぞ御了解いただきたいと思います。
#163
○照屋寛徳君 ぜひ大臣からも県警の皆さんに労をねぎらっていただきたいと思います。
 それで、このいわゆる犯給法ですが、故意犯に限定をして適用されるというのが現行の法制度でございます。若干、質問通告の順序とは違いますけれども、先に質問された委員の先生方と論点が重なる部分は省略したいと思いますので。
 一つお伺いをしたいのは、故意犯に限定をされるけれども、犯罪主体、要するに加害の側の特に限定はないわけですね。私は、米軍人軍属あるいはその家族らによる犯罪被害についての本法の適用の問題をお聞きしたいのでありますが、沖縄では県民が百三十二万人、それにプラスをして軍人軍属並びにその家族が約五万人ぐらいおるわけです。そういう中で、ことしに入ってもそうですけれども、軍人軍属による犯罪が多発をしているという状況にございますが、まず、この犯給法、いわゆる犯給法は米軍人軍属による犯罪被害者にも適用されると、こういう理解でよろしいでしょうか。
#164
○政府参考人(石川重明君) 今、委員御指摘の犯罪被害給付制度でございますけれども、これは日本国内におきます故意の犯罪行為により死亡した遺族または、現行法でございますが、重障害を受けた本人に対して給付金を支給する制度でございまして、加害者が米軍人等の外国人でございましても、こうした要件を満たすという場合には犯罪被害者等給付金は支給をされるわけでございます。
 現実に、これまでに米軍人による犯罪の被害者に対して犯罪被害給付制度が適用された事案は一件あったというふうに承知をいたしております。
#165
○照屋寛徳君 一件だけというのは意外に少ないなという思いが率直にあるんですが、沖縄だけじゃなくして、本土の他の都道府県にも米軍が駐留をしているわけで、恐らく、私は米軍人軍属あるいはその家族らによる犯罪被害についてこの犯給法が適用されるんだという啓蒙というんでしょうか、なかなか知らないところがあるんじゃないかと思うんです。だから、そういう点ではぜひもっと啓蒙していただきたいということと、この一件というのはどこでのケースなんでしょうか。
#166
○政府参考人(石川重明君) これは平成五年に沖縄県公安委員会が裁定をした事例でございまして、平成三年六月に沖縄市内の公園の展望台で、沖縄市内に居住する三十四歳の男性が公園に立ち寄ったわけでございますけれども、その際、仲間数人と飲酒したり音楽を聞いていた米軍人、当時二十だったようでございますが、にナイフで首などを突き刺されるなどして、失血によって亡くなった、こういうものでございます。
 この被害者の第一順位の遺族の子供さん二名に対して遺族給付金が支給をされていると、こういうことでございます。
#167
○照屋寛徳君 米軍人軍属による犯罪被害というのは、私ども沖縄に住んでいる者からすると、復帰前後を挟んで被害者に対する給付金の支給というか、そういう面での被害者支援というのは皆無でございました。それどころか、警察権、裁判権が及ばないというふうなことを二十七年間私どもは経験をしてきたわけであります。
 午前中、参考人で出てこられました山上参考人、犯罪精神医学の御専門の方で、御意見をいただいたのでありますが、そのときにも申し上げました。一九九五年の小学六年生の少女に対する海兵隊員四名による暴行事件、そしてことしに入ってから多発をしております女子中学生に対する米兵による強制わいせつ、それから自衛隊の幹部による暴行事件、何とも痛ましいというか、これは被害者本人や被害者の家族の受けた衝撃というのは私ははかり知れないものがあるだろうというふうに思うんです。もちろん、私どもも大変ショックを受けておるわけでありますが、そういう米軍人軍属、その家族による犯罪の中でも、とりわけ性暴力や性犯罪というのはなかなか被害者が声が上げられないというところがあるわけですね、実態として。私も沖縄に住んでおって、終戦直後、復帰するまでの間、とてもひどい状況だったということを身近におる方々からたくさんその事例を聞かされて育ってまいりました。
 そうすると、何というんでしょうか、犯罪主体が米軍人軍属とその家族によるということも被害者の側からすれば特異な事案ですね。同時に、捜査をする警察の側もさまざま難しい問題を抱えるんでしょうけれども、要は性暴力や性犯罪の被害者の受ける精神的な深刻な打撃について、金銭的な経済的な支援にとどまらず、私はやっぱり捜査の段階から警察としても可能な精神的ケアを視野に入れた取り扱いというのがとても大事ではないかなと、こういうふうに思っておりまして、いつも米軍人軍属の犯罪が発生をすると、身柄の引き渡しの問題とかそういうことで大きな議論が起こるんですけれども、一体私たちはどれだけ被害者の身になって、被害者の受けた精神的な被害に対して手を差し伸べることができたかということをいつも心を痛めるわけです。
 それで、どうなんでしょうか、一般論で結構でございますけれども、そういう性犯罪、性暴力における特に犯罪被害者の精神的なケアの問題と、一方では捜査に当たるという立場が警察にはある、捜査を尽くすという立場にある。もう一方は、やっぱり警察としての犯罪被害者あての支援という立場でどのような立場をとっておられるのか、お考えを持ってこれからやっていこうとしているのか、そこらあたりをお聞かせいただきたいと思います。
#168
○政府参考人(石川重明君) 犯罪被害給付制度とは別に、私ども大きく犯罪被害者に対する支援と申しますか、犯罪被害者対策というものを講じておるわけでございますが、その中の一つの分野として、いわゆる性犯罪の問題がございます。
 これにつきましては、やはりそれぞれの被害態様に応じたケアというものが必要でございまして、性犯罪の場合にはなかなか警察に届けにくいと。そういうことで、先ほど来申しましたようないろいろな施設面での手当てを行うといったようなことを行っておるわけでございますが、そのほか、被害者支援要員、これは警察官、女性警察官でございますけれども、が犯罪発生直後に被害者のところに付き添って、そしていろいろな相談に応じるというような活動、それから先ほど来、委員から御指摘ございましたような部内のカウンセラーによるカウンセリング、それから部外の精神科医の方あるいは臨床心理士による専門的なカウンセリング、こういうものがあるわけでございますし、また、今、改正法でもお願いをしておりますけれども、民間援助団体がいろいろな活動をされておるわけでございまして、そこにおきましてもボランティアの方が性犯罪被害者に付き添われる、いろいろな相談を受けられる、あるいはカウンセリングについていろいろな支援をされる、こういうことがございます。
 また、医療機関とかそういうところとの連携も必要でございまして、こういう関係医療機関が最初の段階、あるいはその後の精神的な被害からの立ち直りに十分な機能を果たすという意味で、警察がそれらと連携をして対応していくといったようなことを主として行っておる、こういう状況でございます。
#169
○照屋寛徳君 では、次に、大臣に一点お伺いをいたします。
 私、円委員と大臣の質疑のやりとりを大変興味深く聞かせていただきました。確かに、犯罪被害者に対して国家がどういう支援を、どの程度の支援を制度的な仕組みとしてやるかということは、これはいわば詰めていきますと国家論みたいなことになるんだろうというふうに私は思うんです。
 犯給法はいわば、重大な犯罪被害者に対して社会全体の連帯共助の精神に基づいて給付金を支給する、こういう精神だろうというふうに思いますし、一方で、日弁連もそうですが、もう少し犯罪被害者の権利性を高めようという意見もあることは大臣も承知しておられることだろうと思うんですね。
 それで、きょう午前中来られた山上参考人が書いた論文の中で、病に襲われた病人への医療サービスは国と社会の当然の責務として行われている、そうであれば、犯罪者に襲われ傷ついて助けを求めている被害者への支援も社会の当然の責務であるはずだと、こういう意見が論文に書いてある。また、同じくきょう参考人で来られた白井孝一弁護士が論文の中で、犯罪被害者が本当に求めているのは、人間らしく生きる権利の回復ということにあると思う、もっと端的に言えば、自分たちの人生を返せ、自分たちの生活を返せということではないかと思うと、こういうことを言っているわけですね。
 大臣が円委員に答えておりました、要するに第一義的には加害者というか被害を与えたその者が刑事上の責任も民事上の責任も負うべきだということ、それは当然でしょうね、近代法治国家における、何というんでしょうか、不法行為の理論からすれば。しかし、犯給法がつくられ、そして今回、支給対象範囲が拡大をされる、支給額が増額をされるという背景の中には、一方では国家が、そもそも国家が果たすべき犯罪を防止し治安を確保するという、国家としての責務というんでしょうか、そのことと、同時に社会政策的に、国家の社会政策として、犯罪被害者に対して給付金だけじゃなくして、もっともっと多様な支援等を含めてどうするかという問題があるだろうと思うんです。
 私は、円委員がおっしゃっておりましたように、私どもも民主党がつくりました犯罪被害者基本法に社民党も共鳴をして、共同提案者に名前をたしか連ねているだろうと思うんです。大臣がおっしゃりたいこともわかりますけれども、今後これから、法律の精神というのは、今言う国家の責務として、一方では被害者の権利性、権利としての犯給法というのが私は目指すべきものではないかなと、こういうふうに思っておりまして、そこら辺についての御意見をもう一度お聞かせください。
#170
○国務大臣(伊吹文明君) 先生は法律家でいらっしゃいますから、円委員と私とのお話を法律的に非常に整理して聞いていただいていたと、今の御質問で私よくわかります。
 私は、御党や民主党さんがお出しになりました基本法というものは、民主党さんや社民党さんがお出しになった法律だなという意味で非常に私は評価しております。しかし、それはつまり、まさに先生がおっしゃったことだと思うんですね。個人の権利というものをどこまで認めていくのか、そして同時に、国の秩序というものと個人の権利のバランスというものはどういう形でかかわり合いながら国の秩序が守られていくのかと。
 私たちは、やはりちょうどアメリカでの民主党と共和党がよくそういうところで理念的な違いをはっきり出す法律を出して、そしてお互いにそれについて国民の審判を仰ぐと。だから、そういう意味では私は、今回、民主党のお出しになった、社民党さんのお出しになった基本法と我々の出している法律との違いというものが国民の前にはっきりあらわれて、そしてお互いにその理念について評価をしてもらうというのが本来、政党のあり方だと思います。ところが、その理念がぐるぐるお互いの党とも揺れるということがあってはならないので、私はこれは非常に結構なことだなということを申し上げたわけです。
 したがって、私たちは、基本的にはお互いの国民が義務を果たすことによって権利を主張できる社会秩序をつくり上げていくんだというふうに考えております。だから、権利というものがまず先に来るわけではない。そういう国家でありたいと思いますから、被害者が常に被害を受けたことについての権利という形でこの法律をつくり上げていくと、刑事的な責任は国家は訴追できますけれども、民事的な責任については加害者は野放しになる危険があるわけですね。
 ですから、私、きょう午前中の参考人の発言ポイントもいろいろ読ませていただきましたが、白井先生が、加害者に対する損害賠償請求への支援をもっと積極的にやるべきだと。つまり、被害者が加害者に対して損害賠償責任を追及しようとしても現実には非常に難しいいろんな制約がある。それに対して国がどういうふうに加害者への責任を追及していくかということの援助をしていくべきだとか、そういうやり方は私たちの理念にむしろ非常に近いんだと思うんです。
 ですから、先生の御主張を私は間違っているとは言いません。先生の御主張は立派です。しかし、我々には我々の主張がある、理念がある、物を判断する哲学がある、そこの違いだということだと思います。
#171
○照屋寛徳君 まさに、国家論というか社会政策の問題等を含めて、これはやっぱり政権が変わらぬとだめかなというふうに思ったりしますが、大臣の考えは考えとして承っておきたいと思います。
 それで、具体的な問題ですが、仮給付金制度、このことについてお伺いいたします。
 現行法の第十二条でしょうか、いわゆる犯給法による仮給付金制度というのがありますけれども、いろんな統計資料を見させていただきますと、この仮給付金制度というのはうまく機能しているのかなということを率直に思ったりするわけでありますが、そのことについては警察の方としてはどういうふうに考えておられるのか、改善の必要があるのかないのか、現在どういうふうに機能しているのか、そこらあたりをお教えください。
#172
○政府参考人(石川重明君) 仮給付金の支給実績を申し上げますと、平均いたしまして年間被害者数で十四件程度の支給がなされているわけでございます。資料にゼロという数字がずっとつながっておるということにつきましては、これは本支給になったときに本支給の方に繰り入れられてしまうものですからそこにその数字が残らない、仮給付金のところに、ということでございますが、今申し上げましたように、年間被害者数で十四件程度と、こういうことでございます。
 この制度は、犯罪行為の加害者が不明である場合、あるいは障害の程度が明らかでないといった当該犯罪被害に係る事実関係に関して、給付金の裁定のためにいろいろな諸条件が整わないということで相当時間がかかることがあり得ると。そうした事案についても給付金の支給が見込まれるわけでありますから、迅速な救済を図るために仮給付金という形で支給をしようと、こういうものでございます。
 これまでもこの制度の活用によりまして迅速な被害者の救済というものが行われてきたわけでございますが、いずれにいたしましても、この給付金が裁定になるならば、なるべく早く裁定という結果になって被害者のお手元に給付金が支給をされるということが望ましいわけでありますから、そういう意味で、この仮給付金制度の適切な運用というものは今後とも大切なものだろうというふうに思っております。
 この存在というものを広く国民の方々に周知をする広報活動などについてはまだまだ私どもとしてなすべき努力があるのではないかと、こういうふうに考えているわけでございまして、改善すべき点はきちっと改善をしてまいりたいというふうに思っております。
#173
○照屋寛徳君 それでは、最後に、裁定機関のあり方についてお伺いをいたします。
 いわゆる犯給法によりますと、犯罪被害者の方で支給を受けようとする者は、その者の住所地を管轄する都道府県公安委員会に対して申請をして裁定を受けなければならないと、こういうふうな規定になっております。
 恐らく、今度の法改正によって支給対象の範囲が拡大をされるということになりますと、おのずから申請件数がふえてくるだろうというふうに思うんです。そうすると、従来どおり都道府県公安委員会で対応は十分なのかどうか、それと裁定機関について諸外国ではどういうふうな制度、仕組みになっているのか、そこらあたりをお教えいただきたいと思います。
#174
○政府参考人(石川重明君) まず、裁定機関が諸外国でどうなっているかということからお答え申し上げますが、イギリスにおきましては犯罪被害補償審査会という行政機関から独立した公益法人が行っておるようでございます。また、ドイツにおきましては労働社会秩序省、それから各州の援護局という行政機関が行っているようでございます。また、アメリカにおきましては、これは連邦犯罪だと思いますが、司法省、それから各州についてはまたそれぞれの機関と、こういうことでございまして、それぞれの国におきまして制度の制定の沿革等が違いますので、国によってさまざまなものがございます。
 そこで、我が国の場合、犯給制度におきましては、給付金の受給権の裁定がまずこの犯罪被害に該当するかどうかと、こういう確認のみならず、加害者と被害者との関係がいかなるものであったか、あるいは被害者の責任がありやなしやと、こういったような総合的な判断というものが必要なわけでございまして、そういう判断を的確に行うことができるのは、被害者にとって最も身近で公平中立な機関である都道府県公安委員会が裁定機関として適当なのではないかと、こういうことで、都道府県公安委員会が裁定機関になっておるわけでございます。立法当時にいろいろな御議論があったということは私どもも承知しておるわけでございますが、今、都道府県公安委員会が裁定事務をやってうまく機能していると思います。
 これからこの法案を通していただいて実際に運用するということになりますと、今御指摘のように、かなりの裁定を要する申請というものが増加をすることが見込まれます。それにつきましては、公安委員会の管理を受けて補佐を行う立場にあります都道府県警察において体制を充実して、そして遺漏がないようにしていく必要があるというふうに今準備をしておるところでございます。
#175
○照屋寛徳君 終わります。
    ─────────────
#176
○委員長(江本孟紀君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、中原爽君が委員を辞任され、その補欠として加納時男君が選任されました。
    ─────────────
#177
○委員長(江本孟紀君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 犯罪被害者等給付金支給法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#178
○委員長(江本孟紀君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 簗瀬進君から発言を求められておりますので、これを許します。簗瀬進君。
#179
○簗瀬進君 私は、ただいま可決されました犯罪被害者等給付金支給法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・保守党、民主党・新緑風会、公明党、日本共産党、社会民主党・護憲連合及び無所属の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    犯罪被害者等給付金支給法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法律の施行に当たり、次の事項に配慮すべきである。
 一、重傷病給付金の創設等を始めとする今回の改正内容を踏まえた犯罪被害給付制度等全般について、国民への周知徹底を図ること。
 二、外国における邦人間の犯罪被害等に係る犯罪被害給付制度の適用については、今後引き続き注視していくこと。
 三、親族間の犯罪に係る支給制限については、深刻化するDV(ドメスティック・バイオレンス)等の現状及びこれに対する世論の動向を踏まえつつ、今後その在り方について検討を行うこと。
 四、精神的な障害、特にPTSD(心的外傷後ストレス障害)については、その症状の重大さにかんがみ、他の災害補償制度との均衡及び医療実務の動向に配意しつつ、障害等級への適用を適切に行うよう努めること。
 五、犯罪被害者等早期援助団体への被害者等に係る情報の提供に当たっては、被害者等のプライバシーの保護に十分留意すること。
 六、犯罪被害者等の福祉の増進を図る観点から、諸外国における例も参考にしつつ、犯罪被害者等に対するさらなる施策の充実について検討を行うとともに、警察を始め、関係行政機関、民間援助団体等による総合的支援体制の推進に努めること。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#180
○委員長(江本孟紀君) ただいま簗瀬君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#181
○委員長(江本孟紀君) 全会一致と認めます。よって、簗瀬君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、伊吹国家公安委員会委員長から発言を求められておりますので、この際、これを許します。伊吹国家公安委員会委員長。
#182
○国務大臣(伊吹文明君) ただいまの附帯決議の御趣旨を尊重いたしまして、また委員会での御審議の内容を参考にして、本法律案の実施を初めとする犯罪被害者対策を円滑に推進するよう警察を管理してまいりたいと思います。
#183
○委員長(江本孟紀君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#184
○委員長(江本孟紀君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時四十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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