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2001/04/02 第151回国会 参議院 参議院会議録情報 第151回国会 共生社会に関する調査会 第5号
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2001/04/02 第151回国会 参議院

参議院会議録情報 第151回国会 共生社会に関する調査会 第5号

#1
第151回国会 共生社会に関する調査会 第5号
平成十三年四月二日(月曜日)
   午後一時五分開会
    ─────────────
   委員の異動
 二月二十一日
    辞任         補欠選任   
     木俣 佳丈君     高橋 千秋君
 三月七日
    辞任         補欠選任   
     堂本 暁子君     高橋紀世子君
 三月三十日
    辞任         補欠選任   
     高橋 千秋君     木俣 佳丈君
     千葉 景子君     円 より子君
 四月二日
    辞任         補欠選任   
     阿部 正俊君     木村  仁君
     岩崎 純三君     中川 義雄君
     円 より子君     千葉 景子君
     大森 礼子君     木庭健太郎君
     渡辺 孝男君     弘友 和夫君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    会 長         石井 道子君
    理 事
                南野知惠子君
                橋本 聖子君
                小宮山洋子君
                林  紀子君
                清水 澄子君
    委 員
                有馬 朗人君
                大島 慶久君
                木村  仁君
                竹山  裕君
                鶴保 庸介君
                中川 義雄君
                仲道 俊哉君
                森下 博之君
                岡崎トミ子君
                木俣 佳丈君
                郡司  彰君
                谷林 正昭君
                千葉 景子君
                円 より子君
                木庭健太郎君
                弘友 和夫君
                渡辺 孝男君
                小池  晃君
                八田ひろ子君
                高橋紀世子君
   国務大臣
       厚生労働大臣   坂口  力君
       国務大臣
       (内閣官房長官)
       (男女共同参画
       担当大臣)    福田 康夫君
   副大臣
       法務副大臣    長勢 甚遠君
   事務局側
       第三特別調査室
       長        岩波 成行君
   政府参考人
       内閣府男女共同
       参画局長     坂東眞理子君
       警察庁生活安全
       局長       黒澤 正和君
       法務省民事局長  山崎  潮君
       厚生労働省雇用
       均等・児童家庭
       局長       岩田喜美枝君
   参考人
       株式会社ライフ
       デザイン研究所
       研究開発部主任
       研究員      前田 正子君
       保育園を考える
       親の会代表    普光院亜紀君
       渕野辺保育園園
       長        松岡 俊彦君
       イエルネット株
       式会社取締役ア
       ドミニストレー
       ショングループ
       ジェネラルマネ
       ージャー     松井  香君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○共生社会に関する調査
 (男女等共生社会の構築に向けてのうち配偶者
 からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法
 律案に関する件)
 (男女等共生社会の構築に向けてのうち女性の
 自立のための環境整備に関する件)

    ─────────────
#2
○会長(石井道子君) ただいまから共生社会に関する調査会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る三月七日、堂本暁子君が委員を辞任され、その補欠として高橋紀世子君が選任されました。
 また、去る三月三十日、千葉景子君が委員を辞任され、その補欠として円より子君が選任されました。
 また、本日、阿部正俊君、岩崎純三君及び大森礼子君が委員を辞任され、その補欠として木村仁君、中川義雄君及び木庭健太郎君が選任されました。
    ─────────────
#3
○会長(石井道子君) 共生社会に関する調査のうち、「男女等共生社会の構築に向けて」を議題といたします。
 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律案に関する件につきましては、女性に対する暴力に関するプロジェクトチーム座長の南野知惠子君から会長の手元に配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律案の草案が提出されております。内容はお手元に配付のとおりでございます。
 この際、まず提案者から草案の趣旨について説明を聴取いたします。南野知惠子君。
#4
○南野知惠子君 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律案草案につきまして、その趣旨及び主な内容を御説明申し上げます。
 本草案は、三年間にわたりまして本調査会が調査を進めてきました「男女等共生社会の構築に向けて」のテーマのうち、「女性に対する暴力」について、各会派の調査会メンバーを主たる構成員とするプロジェクトチームで法律化に向けての協議を重ね、まとめてきたものでございます。
 今日、国民の価値観の多様化、女性の社会参画、社会の国際化、さらには少子高齢社会の到来等、我が国を取り巻く社会的環境は大きく変化しておりますが、とりわけ男女が互いにその存在を認め合い、共生していく男女共同参画社会の構築はまさに二十一世紀の最重要課題でございます。
 日本国憲法には個人の尊重と法のもとの平等が規定されておりますが、社会においてはなお男性優位の社会構造を背景とした性差別により女性の人権が軽視されるという実態が存在しております。その一つが女性に対する暴力だと思います。
 我が国におきましては、男女共同参画二〇〇〇年プランで、女性に対する暴力は人権問題として位置づけられましたが、諸外国に比べ、意識啓発、調査研究、体制整備、さらには法的措置などのあらゆる面において取り組みがおくれております。平成十二年十二月に策定されました男女共同参画基本計画におきましても、新たな法制度や方策を含め、幅広い検討が求められております。
 また、昨年六月にニューヨークで行われました女性二〇〇〇年会議では、各国がとるべき行動として、夫やパートナーからの暴力であるドメスティック・バイオレンスに対処するための法的措置が求められております。
 特に、女性に対する暴力のうち、ドメスティック・バイオレンスは犯罪となる行為であるにもかかわらず、外部から発見しにくく、被害者である多くの女性が暴力を忍受せざるを得ない状況にあります。
 本草案は、このようなドメスティック・バイオレンスの状況を改善し、人権の擁護と男女平等の実現を図るため、配偶者からの暴力に係る通報、相談、保護、自立支援等の体制を整備し、配偶者からの暴力の防止及び被害者を保護するための施策を講じようとするものであります。
 次に、本草案の主な内容について御説明申し上げます。
 第一は、前文についてであります。
 配偶者からの暴力は、犯罪となる行為であるにもかかわらず、これまで被害者の救済が必ずしも十分に行われてきませんでした。また、被害者の多くは女性であり、配偶者からの暴力は個人の尊厳を害し、男女平等の実現の妨げとなっており、配偶者からの暴力を防止し、被害者の保護を図ることは、人権の擁護と男女平等の実現のみならず、女性に対する暴力の根絶という国際社会の要請にも沿うものであります。そのため、特に前文を設け、この法律の趣旨及び目的を明らかにしております。
 第二は、国及び地方公共団体の責務であります。
 国及び地方公共団体は、配偶者からの暴力を防止し、被害者を保護する責務を有するものとしております。
 第三は、配偶者暴力相談支援センターについてであります。
 都道府県は、婦人相談所その他の適切な施設において、当該各施設が配偶者暴力相談支援センターとしての機能を果たすようにするものとしております。同センターでは、被害者に対し、相談、カウンセリング、一時保護、自立して生活することを促進するための情報提供、シェルターの利用についての情報提供などを行うとともに、一時保護につきましては婦人相談所がみずから行い、または一定の者に委託して行うものとしております。
 第四は、被害者の保護についてであります。
 配偶者からの暴力を受けている者を発見した者は、配偶者暴力相談支援センターまたは警察官に通報するよう努めるものとし、医師その他の医療関係者につきましては別途守秘義務が課せられておりますことから、配偶者からの暴力による傷病者を発見した場合には、被害者本人の意思を尊重しつつ、通報できるものとしております。また警察官は、通報等により配偶者からの暴力が行われていると認めるときは、法令の定めるところにより、暴力の制止等被害の発生防止のために必要な措置を講ずるよう努めるものとしております。
 第五は、保護命令についてであります。
 被害者がさらなる配偶者からの暴力により、その生命または身体に重大な危害を受ける恐れが大きいときは、裁判所は、被害者の申し立てにより、当該配偶者に対し六カ月間の被害者への接近禁止または二週間の住居からの退去の一方または両方を命ずるものとしております。
 その申し立ては、一定の事項を記載した申立書を被害者または配偶者の住所等を管轄する地方裁判所に提出して行い、裁判所は、被害者が配偶者暴力相談支援センターの職員または警察職員に保護等を求めた事実があるときは、それらに対し、保護等を求めた際の状況及びこれに対してとられた措置の内容を記載した書面の提出、説明を求めるものとし、また、保護等を求めた事実がないときは、被害者は申立書に公証人の認証を受けた宣誓供述書を添付するものとしております。
 また、裁判所は申し立てがあった場合には速やかに裁判をするものとし、保護命令に違反した者には一年以下の懲役または百万円以下の罰金に処するものとしております。
 この他、保護命令の取り消し及び再度の申し立て等についても規定いたしております。
 第六は、その他でありますが、まず、国及び地方公共団体は、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護を図るための活動を行う民間の団体に対し、必要な援助を行うよう努めるものとしております。
 また、国及び地方公共団体は、職務関係者に対し、被害者の人権、配偶者からの暴力の特性等に関する理解を深めるために必要な研修及び啓発を行うとともに、加害者に対する更生指導の方法、被害者の心身の健康回復の方法等に関しての調査研究の推進等に努めるものとしております。
 なお、本法律につきましては、法施行後三年を目途にその施行状況等を勘案し、検討する旨の規定を設けております。
 以上がこの法律案の草案の趣旨及び主な内容でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#5
○会長(石井道子君) 本草案に対し、質疑、御意見がございましたら御発言願います。──別に御発言もなければ、本草案は予算を伴うものでありますので、国会法第五十四条の四において準用する第五十七条の三の規定により、内閣から本草案に対する意見を聴取いたします。坂口厚生労働大臣。
#6
○国務大臣(坂口力君) 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律案については、政府としては異議はありません。
#7
○会長(石井道子君) それでは、本草案を配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律案として本調査会から提出することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○会長(石井道子君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 なお、本会議における趣旨説明の内容につきましては会長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○会長(石井道子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 この際、福田内閣官房長官から発言を求められておりますので、これを許します。福田内閣官房長官。
#10
○国務大臣(福田康夫君) ただいま提出されました法律案の策定に取り組んでこられました委員各位のこれまでの御努力に心より敬意を表します。
 本法律が成立した後には、政府一体となってこの法律の効果的な運用に最善の努力をいたしてまいる所存でございます。
#11
○会長(石井道子君) 速記をとめてください。
   〔速記中止〕
#12
○会長(石井道子君) 速記を起こしてください。
    ─────────────
#13
○会長(石井道子君) 女性の自立のための環境整備に関する件のうち、女性の経済・社会的自立支援について参考人から意見を聴取いたします。
 本日は、株式会社ライフデザイン研究所研究開発部主任研究員前田正子君、保育園を考える親の会代表普光院亜紀君、渕野辺保育園園長松岡俊彦君及びイエルネット株式会社取締役アドミニストレーショングループジェネラルマネージャー松井香君に参考人として御出席をいただいております。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつ申し上げます。
 本日は、御多忙中のところ本調査会に御出席をいただきましてまことにありがとうございます。
 参考人の方々から、女性の自立のための環境整備に関する件のうち、女性の経済・社会的自立支援に関して忌憚のない御意見をお述べいただき、調査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 議事の進め方でございますが、まず、参考人からそれぞれ十分から十五分程度御意見をお述べいただきまして、その後、各委員からの質疑にお答えいただく方法で進めたいと存じます。
 なお、御発言は、意見、質疑及び答弁とも着席のままで結構でございます。
 それでは、前田参考人からお願いいたします。前田参考人。
#14
○参考人(前田正子君) 皆様こんにちは。ただいま御紹介にあずかりましたライフデザイン研究所の前田正子と申します。
 本日はこのような貴重な調査会に意見表明の機会をいただき、まことにありがとうございます。
 それでは、本日ただいま十五分ほど時間をいただきましたので、「両立のために 保育と働き方の改革と両輪で」ということで、今女性の仕事と家庭の両立の困難さが話題になっておりますけれども、それを解決するには当面の保育改革だけではなく、働き方の改革、特に女性の経済的自立が難しい働き方が両立をさらに難しくしているということで、論点を定めてお話しさせていただきたいと思います。
 まず最初に保育の現状についてなんですけれども、お手元に幾つかのポイントをまとめさせていただきましたので、その資料を追ってお話しさせていただきたいと思います。
 まず一番には、保育の供給増を上回るニーズの増大ということで、エンゼルプランが九五年、エンゼルプランプレリュードが九四年に始まって以来、認可保育園の定員増はかなり図られておりまして、ここ数年、毎年三万人から四万人の入園児童がふえておりますけれども、それを上回る勢いで保育ニーズがふえておりまして、認可保育園の定員拡大にもかかわらず、待機児童の問題が少しも解決しないという状態になっております。
 これは一つには、育児休業制度がある程度普及いたしまして、子供を産んでも仕事をやめずに働いてみようと思う母親が増大していることが一つあります。それと、育児休業制度は一年間ありますけれども、保育園が新年度に入らないと非常に難しいということで、一年間休みますとなかなか入ることができない。育児休業をとる人はフルタイムの正規の職員が多いので、続けるだけの意味がある仕事についておりますので、そういう人たちが待機になっても仕事を続けるということで待機児童の問題が解決しない。
 しかも、このように女性が仕事をやめなくなりましたのは、育児休業制度の普及だけではなく、男性の雇用がすごく不安定化しておりますので、子供がいるからこそ仕事をやめて家に入ろうという女の人と、子供がいるからこそ家計の安定のために今ある仕事を手放したくないという女の人がおりますので、そのためもありまして不況によって女性の求職意欲はかえって増大しておりますので、保育園が難しくなっているということがあると思います。
 それと、日本の認可保育園、さまざまな問題点が指摘されておりますが、日本の認可保育園というのは世界的に見ましてもかなりレベルの高い就学前保育の現場となっておりますので、保育園が子育ての場として非常にいい場であると評価が上がっているからこそ、家庭でもしくは地域で孤立した育児をするのではなく、保育園という場を利用して豊かな子育てをしたいということで、保育園への偏見もなくなってきたことから保育園に子供を入れたいという人がふえているという形になっております。
 こういう保育の現状なんですが、私、先日、第三特別調査室の方から御依頼を受けまして特殊案件調査報告で保育の地方自治体別の実態についてレポートを出させていただきましたが、自治体間格差が非常に大きいんですね。
 例えば、私が参議院に提出させていただきましたレポートでは、人口十万人以上の二百四十一自治体、人口十万人以上の自治体というのは日本で、東京二十三区も含めまして二百四十一自治体ございまして、これを合わせますと大体日本の人口の六割をカバーすることになるんですが、この自治体の保育の整備の格差が余りにも大きいわけです。
 例えば、就学前児童百人に対して何人の子供が認可保育園に入れるかという試算をいたしますと、小松市とか高岡市、高知市のようにもともと女性が働くので有名な自治体では、百人のうち大体四割以上の子供が認可保育園に入れます。しかし一方では、入れない町といたしましては川西市、日立市、大和市。大和市は、御存じだと思いますけれども、先般スマイルマムで児童虐待死亡事件を起こした自治体ですけれども、大和市に至りましては百人のうちわずか八・一人しか認可保育園に子供が入れません。
 大和市のスマイルマム、無認可保育所におきます児童虐待死亡事件におきましては、県の児童相談所の体制なり県の監査の体制が不備だということで非常に問題となりましたけれども、一番の責任は大和市にございます。なぜかといいますと、大和市が認可保育園をもう少しふやせばああいう劣悪な無認可保育園に子供を預ける必要はなかったわけです。かなり保育問題は複雑ですので、そういうことを御存じないマスコミの方が神奈川県を責める報道ばかりなさったのが非常に残念なんですけれども、本来の責任は大和市にあると。自治体が整備をしないがゆえに、劣悪だとわかっている無認可に子供を預けざるを得ないという事情があるわけです。実際に、先週でしたか、ちびっこ園で赤ちゃんが亡くなりましたけれども、死亡事故が起こった保育園にも親は預け続けているわけですね。ほかに預ける場所がないわけです。
 このように自治体のやる気は非常に大きく差がありまして、これは一つには、自治体の議会や首長が年輩の方が多くて、やっぱり女は家で子育てすべきだとか、共働きの若い夫婦の実態をおわかりになっておられなくて、やる気がない。女なんか家にいればいいのに、保育園なんかわがままな女が子供を預けるところだという意識が非常にありますので、保育園や保育園制度の必要性、もしくはエンゼルプランの意義さえ理解していない方が多くて、そういう自治体の議会や首長がいるところでは保育園整備が進まないということで、非常に行政のトップの理解が大きいと思います。
 ですから、いろいろ今の状態は難しいと言いながらも、実際にやる気のある行政や議会、首長がいるところは保育園整備が進んでいるわけですから、ぜひ自治体そのもののやる気が必要だと思います。
 例えばスウェーデンでは、育児休業制度が十八カ月ありますので、一九八五年には国会の決議で、すべての自治体は一歳半以上の子供の保育の希望者に対して保育園を設置しなければならないという国会決議をいたしました。日本においても、認可保育園の整備は個々の自治体に責任がありますので、達成の義務化なり、自治体にかなり自覚を求めないと保育園の整備が進まないと思われます。
 これが今の私の保育に対する問題意識なんですが、一方では、働く女性の実態がどうなっているかということで申し上げたいと思うんですが、今起こっておりますことは、問題を少し簡単に申し上げますと、働く女性の二極分化ということです。恵まれた女性と恵まれない女性に働く女性も大きく二つに分かれてきているということでして、例えば恵まれた女性、大手の企業とか両立支援で有名な企業などに勤めますと充実した育児休業制度を利用しながら働き続けることが可能なわけです。こういう方たちは経済的にも安定しておりますし、いざというときに、保育園が六時に終わりましても二重保育のシッターを雇う財力もありますし社会的な地位もありますので、現在の普通の認可保育園を使いながらさまざまな社会的な支援を自分のお金で買ったり、いろいろ職場の制度を利用しながら両立が可能なわけです。
 この人たちが非常に恵まれた女性たちだと思うんですけれども、一方で、現在ふえつつある女性は、きょうの新聞でも、日本の全雇用者の四割を女性が占めたけれども、その女性の多くは非正規雇用であるということで、雇用の非正規化、雇用条件の悪化が危惧されているわけなんですが、このように日本の企業は今人件費削減に非常に走っておりますので、女性を安く上げる非正規労働者として使うという実態が非常に進んでおります。こういうところで働く女性は、しばしば多くの場合御主人も余り経済的に恵まれた仕事ではありませんので、どうしても自分の収入が必要なので、そういう悪い条件でも働かざるを得ない。そして、十分な収入を得るためには労働時間も長くならざるを得ない。しかも、多くの雇用主が社会保険料の負担を下げるために一人一人の労働者の労働時間を下げておりますので、経済的に自立するためにこの女性たちは、複合就労というんですけれども、二つも三つもパートをかけ持ちしながら働くということが起こっております。
 こういう方たちはしばしばサービス業で働く人が多く、サービス業はおわかりのとおり、スーパーでもデパートでも専門店でも閉店時間が非常に遅くなっておりますので、夜九時、十時までの就労が当然のようになっているわけです。ですから、通常の認可保育園ではやっていけないし、経済力もありませんので普通の認可保育園プラス二重保育のベビーシッターなどを買う財力もありません。結局は、話題になりましたようなちびっこ園のようなベビーホテルに預けざるを得ないということで、働き方の条件、母親の経済力によって子供たちが行く保育の場も違って、経済的にも大変で長時間保育が必要で、むしろ良質な保育が必要な子ほど、余り親の労働条件が厳しいがゆえに認可保育園でやっていけず無認可に流れているという状況があるわけです。
 本日来られました松岡先生は、認可保育園の中で数少なく夜十時までの保育をやっていらっしゃる保育園ですので、先生の方が実態を御存じだと思うんですけれども、現在夜遅くまでの長時間保育の利用者というのは、皆さん、お医者さんとか弁護士さんとかエリートの女性とお考えかと思うんですが、エリートの女性の方が少数派で、むしろサービス業の低賃金の長時間労働に従事する母親の方が多いということになっておりますので、夜間保育の利用者は母子家庭比率が三三%、父子家庭の比率が二%で、合わせて三五%が一人親、つまりいざというときに頼めるパートナーすら家庭の中にいないという人たちが長時間保育の利用者になっていることを申し上げたいと思います。
 これは、一見すると、なぜ認可保育園で長時間保育ができないのかというような保育園の問題に見えがちですが、そこにあります問題は女性と仕事の問題なんですね。まさにここにあります女性の経済的自立というテーマにふさわしく、いざというときに、一度家庭に入った女性は再就職が非常に難しい、正規雇用がほとんどない、条件が悪い低賃金のパートが多く、どうしても経済的にやっていこうと思うと長時間働かざるを得ない。女性が経済的に自立できる質のいい仕事が少ないということが一番の問題で、それがゆえに子供たちの状況を悪化させているということで、特に母子家庭のような家庭に深刻な問題がありますので、短期的には保育園の保育サービスの拡大というようなことが必要ですけれども、長期的には女性がいかに経済的に自立できる良質な雇用を確保するかということが一番の問題の解決であります。
 というわけで、あともう四分ぐらいしかないのでちょっと次のページに行って申し上げたいんですけれども、今ちょっと母子家庭の問題を申し上げたわけなんですが、五番目に申し上げたいのは、繰り返しになるんですけれども、日本の認可保育園、さまざまな問題がありますけれども、私も諸外国の保育、特にアメリカの保育園に自分の子供を預けましたのでどういう保育かということを知っているわけなんですが、日本の保育園制度は諸外国と比べてかなり充実しておりますし、保育の質も高いんです。しかし、どうしてそれでありながらこれだけ問題があるかというと、一つは供給が足りないということなんですが、もう一つは、日本の子供を持つ親の労働時間が長過ぎるということなんです。
 基本的には、おわかりのとおり、フランスなどではフルタイム三十五時間労働制が始まっておりますし、オランダでもフルタイムの平均労働時間は三十六時間ですので、公務員、大手の民間企業では週休三日制というのが普及し出しております。欧米ではこのように労働時間短縮がすごい勢いで進んでおりまして、子供がいるいない、ライフスタイルにかかわらず、多くの労働者が家庭生活や自分の趣味と両立できる健全な労働時間で労働生活を送っているわけです。
 ですけれども、日本の場合はそれにはかかわりなく、世帯主賃金とか男性の働き方に合わせた専業主婦が家庭のことをすべてして、家庭のことは顧みなくていい男性の働き方が標準になっておりまして、それに合わせる形で女の人の雇用も進んでおりますので、すべての人が労働時間が長い。そこに、小さい子供を持つ親というのは二十代後半から三十代前半で最も体力があって働き盛りということですので、長時間労働の波に親も巻き込まれている、そのひずみが保育と子供に行っているということになるわけです。
 さまざまな案があるわけなんですが、現実の親の考え方や諸外国の例を見ますと、育児休業の延長よりもむしろ復帰後の短縮勤務という選択肢がある方が重要だと思います。つまり、一〇〇%育児をして、仕事に復帰したら一〇〇%仕事ではなく、両方五〇%ずつバランスよく継続できる選択肢が必要だと思います。
 例えば、ドイツでは育児休業が三年間あるんですけれども、はっきり言えば三年の育児休業をとる人は雇用主は雇うインセンティブもありませんし、これだけいろんな技術の変化が激しい中で三年の育児休業をとるのは職業人として大きなハンディですので、長過ぎる育児休業はかえって両立の妨げになると。アメリカの場合などは、育児休業制度そのものがないということもあるんですが、所得の高い女の人ほど長く休めて、所得の低い女の人は早く復帰するということで、世帯年収一万ドル以下の女性というのは二割の人が出産後六週間で仕事に復帰しております。休む経済的な余力もないということなんです。
 こういう形で短縮勤務制度の選択肢をつくることが重要だということ。それから、現在、育児休業法の改正で子供看護休暇というのが話題になっていたと思うんですが、労働組合を通じまして現役の働くお母さんたちのアンケートをとりますと、いろいろ分析をしたんですけれども、家族や子供が病気のときに休みやすい職場だと働く母親の精神的ゆとりが大きく増します。この精神的ゆとりが非常に、仕事を続けながら育児をしたい、育児をしながら仕事を続けたいという就業継続意欲を左右しております。ですので、まず精神的ゆとりがある働き方をするためにも子供看護休暇は非常に重要だということがわかりました。
 さらに、働く母親の精神的ゆとりにさらにプラスを与えるものは、夫の家事育児参加なんですね。夫が家事育児に参加しますと、働く母親の精神的ゆとりがやはり大きく増しまして、豊かな職業生活を送れることがわかります。しかし、夫が家事育児に参加するには夜九時までに帰宅することが必要ですので、子育ての問題は母親だけの問題でなく、父親もかかわった家庭内でどういうふうに育児ができるかという問題であるということをわかっていただきたいと思います。
 もう時間がありませんので申し上げますけれども、緊急課題としては保育内容の量の拡大、長期的課題といたしましては、もう既に申し述べましたが、男女両方含めての働き方の改革ということで、正規労働に短時間就労の選択肢をつくることが求められている解決策の一つじゃないかと思っております。
 以上です。
#15
○会長(石井道子君) ありがとうございました。
 次に、普光院参考人にお願いいたします。普光院参考人。
#16
○参考人(普光院亜紀君) 保育園を考える親の会の代表をしております普光院と申します。きょうはこういう場で発表をさせていただきまして、どうもありがとうございます。
 私の方からは、今ほどの前田さんからのお話とダブるとは思うんですが、より近く働きながら子供を育てている親たちの実態ということで、会員のアンケート等を資料にしながら御報告したいと思います。
 レジュメと資料を用意いたしましたが、資料の方は非常に大部になっておりますのでまたゆっくり見ていただくとして、ポイントだけを御説明させていただきたいと思います。
 まずレジュメの方で、一番最初に「実態から見た「仕事と子育て両立成功」の要件」ということで、これは子供を育てながら働く生活をずっと見てきました私の方で三つの要素というものを挙げたものです。一つは保育。地域に安心して子供を預けられる保育園があるかどうか。二つ目は家庭。男女の役割分担にこだわらず夫婦で家事育児を分担できるかどうか。三つ目は仕事。職場で産休や育休、また育児時間等がとりやすく、上司や周囲の理解が得られるかどうか。この三つの要素が全部そろえば本当に順風満帆で、だれもがゆとりを持って子育てができると思うんですが、大抵はこのうちの幾つかが欠けていたり、またゼロだったりするような状況の中で、厳しい状況に直面いたします。社会的にはこの三つの要素がなるべくすべての人に整うようにサポートしていくことが必要かと思っております。
 そして、レジュメの次の項目、「両立生活の実態(会員アンケートより)」というふうに書いておりますが、ここからもう一冊用意いたしましたアンケート調査の御説明をさせていただきたいと思います。
 このアンケートというのは、私どもの会員が今六百三十人ぐらいおりますけれども、その中の二百数十人が答えたもので、非常に母数としては少ないんですけれども、どちらかというと正規雇用者が多く、ある意味では恵まれていて、両立の第一歩には成功しているけれども、今の社会の矛盾に非常に直面しておりまして、両立の困難もいろいろ抱えているという人々に単刀直入に聞いたものですので、御参考になるのではないかというふうに思います。
 そして、まず一番目の「回答者の勤務業界・職種」ということで、ざっとどういう職域で皆さんが働いているかということを掲げておりますが、大体全体として大手企業、官公庁、小規模でも専門職系の方が多く、そういうところではやはり育児休業制度が普及しておりまして、また前例者も多くいるということで継続しやすいということがわかります。一方で、流通業界ですとか中小企業に勤務している女性は非常に少なく、こういった分野の方々が両立が困難で仕事をやめたりしているのではないかということが想像されます。
 次の資料に参りまして、「A勤務時間・保育時間」という資料がございますけれども、こちらの方で平均的な生活像が見ていただけます。平均値ですのでいろいろなものを含んでしまいますが、まず平均値では、朝八時十一分に保育園に預け、九時に出社し、夕方は午後五時二十一分に会社を出て、午後六時までに大体保育園のお迎えに行っているということなんですが、これはもちろんパートタイマーですとか育児時間を取得中の方の時間も含んでおりますので、若干短目に出ております。
 ただし、これがさらに次のページをめくっていただきますと、二重保育ということでその数が挙がっておりますけれども、二百四十四人の回答者のうちの約八十人ぐらいが二重保育をしている。そして、その二重保育者は多くが祖父母、そしてまたベビーシッター等を利用しているという状況です。こういった状況から、やはり延長保育等の保育時間の問題というのは非常に深刻で、うまく補完する保育サービスを見つけられなかったり、また、おじいちゃん、おばあちゃんのサポートのない親の方はかなり仕事を断念しているのではないかということが想像されます。
 それから、「回答者の預け先」ということで、次の紙に参りますけれども、私どもの会では認可園の利用者が非常に多いです。実は、やはり今の状況ですので、ゼロ歳児のときなどは待機児になりまして認可外保育所に入る方はとても多いんですが、その方の多くが二歳、三歳で認可園に転園しております。これは、やはり認可園の信頼度が非常に厚く、認可園に何とかみんな入りたいということで申請しているということがあります。
 認可園のメリットとしては、親の側から見ますと、とにかく基準があって安心であるということ。それから、有資格者が一定数以上で子供の保育に当たっているということ。それから、園庭などの設備も整っているということ。園庭に関しましては、比較的良質な駅型保育所に通っておりました親の方も、小児科のかかりつけのお医者さんに、三歳になったら園庭のある保育園に移りなさいねということでアドバイスをもらったという例もありまして、非常に二歳以上の子供の戸外遊びの確保ということは重要なんですが、そういったことも認可保育園では比較的整備されていると。それから最後に、所得に応じて負担が軽減されるという点が非常に認可園の大きなメリットとなっておりまして、特に質の部分が確保されているということで、長時間毎日預ける家庭にとっては、保育環境は子供の育ちにそのまま影響いたしますので、そういった保育園の質の確保という部分が強く求められているということが言えると思います。
 それから、次の資料に参りまして、「父親・母親の分担状況」というアンケートがございますけれども、どちらかというとやはり母親に偏っているということで示したものなんですが、特に御注目いただきたいのは、夫が子育てのために勤務形態を変えたことがありますかという右側の項目なんですけれども、四分の三の家庭で変えていないという答えですけれども、変えたという四分の一の世帯の回答に御注目いただければと思います。内容は、育児休業をとった、転職をした、残業時間を少なくした、フレックスタイムを利用した、保育園の送りのために出勤時間を変更したなどなど、男性の方がこのように勤務形態を変更している例が見られます。
 女性の場合は、これはほとんどの方がこういうふうにするわけですけれども、男性の場合は非常にそれが少ない。こういうことができる男性がもっともっとふえていくことで、仕事と子育ての両立がもっとしやすくなっていくということが言えると思います。そして、そういうことが広く行われることによって、延長保育ですとか病児保育、これはもちろん必要なんですが、その利用をほどほどにすることができて、子供への負担も少なくなる。そして、男性がそういった勤務形態を変えることで、企業の中での子育てに対する理解も進み、労働時間の短縮も進むという効果が考えられます。
 それから、その次に、「緊急に改善を求めること」ということで六枚目のアンケートがありますけれども、これもざっと見ていただければおわかりのように、保育園の受け皿をふやして入りやすくするという第一の項目、また第二番目に社会全体で男女とも労働時間を短くする、三番目に病児保育を広く実施する、四番目に認可保育園の保育時間を長くする、五番目に勤務時間の短縮制度を充実するというように、保育制度と労働制度が交互に出てまいりまして、非常に両方から板挟みになって苦労している親たちの姿がかいま見られると思います。
 その次に、七枚目には「働き方緊急アンケート」ということで、やはり働き方について親たちが緊急に求めていることというのを選択肢から選んでもらっておりますが、一番目がやはり育児のための勤務時間の短縮ができるようにする。二番目が全体の労働時間の短縮のための対策を講じる。三番目が子供の看護休暇の導入、これは先ほどの病児保育と表裏一体なんですが、選択肢が違っていたためにこのような結果になっております。それから四番目に、転勤命令は家庭の事情への配慮を求める。五番目が男性の育児休業を促進する制度を設けるというふうになっております。
 労働時間の短縮ということで日本の総労働時間は徐々に減っておりまして、政府の目標の千八百時間に近づいているかのような統計になっておりますが、実はそれはパートタイマーの方の労働時間も含まれておりまして、パートタイマーの労働者がふえていることによって漸減しているようには見えますが、正規雇用者だけで見ると二千時間あたりでずっと減ってはいないということで、非常に厳しい状況。
 また、私も会員の方の話を聞きますと、リストラで人員が減っている分、企業の中では一人一人の仕事の量、責任が非常に大きくなっていまして、育児休業をとること、勤務短縮をすること、残業をしないこと、子供の病気のために仕事を休むことに対する周囲の目は非常に厳しくなっておりまして、ますます母親社員は肩身が狭い思いになっております。
 それで、先ほどの「働き方アンケート」で自由記述のところに目立った意見としては、職場風土をもっと子育てを尊重するものにしてほしい、育児休業等の制度利用者を不利益に扱うということをやめてほしい、そういうことに対して罰則を設けてほしい、フレックスやワークシェアリング、再雇用など自在の働き方を可能にしてほしいといったような意見が目立っております。
 こういったことが、この資料の七枚目から十枚目までにわたって会員が綿々と書いております自由記述がございますので、そのあたりを見ていただきますと親たちの苦労がしのばれるのではないかというふうに思います。
 その次に、学童保育について少し説明させていただきたいと思います。
 先ほど通り過ぎましたアンケートの中に、実は勤務短縮のところで、いつまで勤務短縮制度がほしいかという部分で、三歳ぐらいまでという意見と、あと小学校の低学年までという意見があったわけなんですが、この小学校の特に入学当初については非常に強い要望があります。と申しますのは、幾ら保育園で延長保育等長時間保育を保障してもらっても、入学と同時に学童保育は保育時間が非常に短くなる。そしておうちで子供はお留守番をしなくてはいけない。しかも、入学当初で子供はお留守番になれ、学童保育生活になれ、小学校生活になれという大変な局面になりまして、子供も親も非常に緊張いたしましてストレスが高まります。こういった期間にぜひとも勤務短縮等ができるようなシステムにしてほしいという強い要望が会員の中からございます。
 それから、学童保育については十一枚目の資料に親たちが子供に必要だと考えていることが出ておりますけれども、こちらの方も、今学童保育というのは九八年に児童福祉法が改正されまして法制化されまして、まだ何も基準もございませんし、助成金も非常に少ない中で各自治体任せで行われております。
 その中で、ここに挙げられております一番から五番までの項目というのは、例えば子供が帰ってきたらお帰りなさいと指導員が迎えてくれる。そして登録されている子供がちゃんと来たかどうかチェックしてくれるとか、低学年というと体が一番動かなきゃいけないんですけれども、そういったスペースが保障されているとか、そういった基本的なことが全然保障されていない施設もございますし、また、数が全然足りていない自治体もございますので、こういったものをぜひとも充実させて、これから保育園から学童に上がっていく子供が多数出てまいりまして、また保育園問題と同じようなことが学童保育の世界で起こると思うんですけれども、ここの部分をこれから先手を打って、もう先手ではないんですが、今すぐにでも充実させていく必要があると思います。
 それから、もう時間がございませんので、次の資料なんですが、ちょっとこれは訂正がございまして、二人目の出産をためらわせるものと書いてございますが、実は既に二人子供がいる回答者もおりましたので、次の出産をためらわせるものというものが正しい表題でございます。
 このように非常に次の出産は困難であるという答えが二百四十四人中百三十七人に及んでおりまして、それがどういう要素だったのかが分析されておりますが、職場の環境が八十人、保育の問題が四十一人ということで、それぞれ詳しく内容が出ておりますので、ぜひ見ていただければというふうに思います。
 それで、最後にまとめたいと思いますが、やはり共生社会ということを目指すのであれば、子供にとって育ちやすい社会でなければ親も安心して働けませんので、子供の視点から見た望ましい共生社会ということを考えなくてはならないというふうに思います。親が仕事と子育てのバランスを考えられる社会にしていただきたい。それはつまり、必要な人には長時間保育を保障しつつ、同時に家庭での時間を尊重する施策や子育て観が特に、とりわけ企業等の場で必要なのではないかということです。
 それから第二番目に、一定以上の保育水準を備えた保育園がどの子供にも保障される社会でなくてはならないのではないだろうかということです。その保育水準ということに関しましては、最後の資料のところで、保育園の選び方という形で書いております私の記事がありますので、見ていただければと思います。
 どうも長くなりました。ありがとうございました。
#17
○会長(石井道子君) どうもありがとうございました。
    ─────────────
#18
○会長(石井道子君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、円より子君が委員を辞任され、その補欠として千葉景子君が選任されました。
    ─────────────
#19
○会長(石井道子君) 次に、松岡参考人にお願いいたします。松岡参考人。
#20
○参考人(松岡俊彦君) 首都圏のベッドタウンの相模原市の民間保育園から参りました松岡でございます。
 本日は、お招きいただきましてありがとうございました。今お二人の参考人さんと視点を変えまして、保育の現場から共生社会について少し題材を提供させていただければと思います。
 まず、保育園は子供の育ちを保障するところであるとともに、働いている女性あるいは働いていない専業主婦の女性がいやされる場であり、しかもエンパワーメントする、そんなようなところをイメージしていただくといいかなと思います。
 ちなみに、本日は当園では「であいの日」、入園式なんですが、大きな川を渡し船がお客さんをいっぱい乗せて向こう岸に送り届けて、またこちらの岸に戻ってきまして、きょうは一番最初に出航する日でございます。全国の保育園がそういう情景になっていると思います。
 今保育問題は、お二人の参考人からのお話がありましたとおり、まず保育所の定数が足りないんですね。定員増を図るべく、特に国は量的確保といいましょうか、非常に柔軟な、大胆な改革をどんどん進めております。いろんな改革については譲りますけれども、とりわけ現場から見て一番有効なのは分園システムでしょうかね。これは詳しいことは省略させていただきますが、つまりイニシャルコストをランニングコストにかえているという意味があるんです。大変意味があると思います。
 そして、この量の視点というのは種類の拡大で検証する必要があります。種類の拡大というのは、多様な保育サービス、つまり基本保育に対して特別保育事業という領域になるんですけれども、これは今まで、保育や福祉の領域だけじゃないのかもしれませんけれども、マジョリティーがマイノリティーを支配してきた時代、今それが見直されまして、マジョリティーそのものが価値観が多様化してきている。つまり、お一人お一人の生き方、働き方を支え合う社会というんでしょうか、そんな意味で、延長保育、休日保育、夜間保育、一時保育、そういうさまざまな保育サービスが今問われているところであります。
 でも、量と種類だけじゃないんです。今お二人の参考人さんからもお話がありましたように、保育の質をいかに保障していくか、これが一番ポイントでございます。まず、今そのために民間参入が推進されておりまするが、これも最低基準をきちっと保障していかなければいけないという指導が行われておるんですけれども、とりわけ今までの保育園が保育の質を怠ってきたわけじゃなくて、保育制度ができましてから五十年以上になるんですけれども、実は一生懸命質を高めるための内部研修をやってまいりました。でも、これは考え方によったら、自己内研修、手前勝手だったわけですね。これが今利用者主権時代ということで、利用者評価あるいは第三者評価、そのために苦情解決だの第三者評価だののシステムがどんどん推進されようとしております。
 ただ、問題となって出てきますのは、利用者というのは一体だれかなといったときに、やはり主権者であるのは子供であるわけです。その父母は代弁者という立場に多分なると思うんです。この両者が同じかというと、必ずしもそうでない場面も考えておく必要があるんだろうなと。
 ちょっと極端な例ですけれども、わかりやすいために、フロイトという心理学者がおりました。人間には無意識の世界と意識の世界がある。例えば、自分の母親から虐待された子供は現実を無意識の世界に閉じ込めてしまうなんということが子供の心の中で行われようとするわけですね。したがって、利用しようとする子供たち、そしてその父母と保育園が、保育の現場を十分に開放しながらいかにコミュニケーションを確保するかというのがすごく大事になってくる時代。それは保育の原点ということになるんでしょうか。そういうことを意識させていただいております。
 少し各論に入ります。
 今問題となっておりますニーズとして非常に高まりがありますのが、前田参考人からもお話がありましたように夜間保育所があります。夜間や休日に働いている人がいらっしゃるから私たちは安心して生活ができる。その人たちにも子供を産んで育てる権利を法的に保障しなければいけない。
 ところが、世間からはやはり非社会的な子育て観といいましょうか、水面下にどうしても潜在しがちなわけです。かつてはどうかといいますと、少なかったという意味もありますけれども、大家族制がそれを補ってきたんだろうなと思います。そういう意味では、防波堤のような役割、そしてその保育者や園長たちは、その弱いお立場の女性のソーシャルエージェントといいましょうか、そういう役割も保育とともに行っていくような仕掛けになっておるわけです。とにかく、そういう非社会的な子育て観を社会的に認知される子育て観にしなければいけない。私たちの目標で、そのために三歳児神話と言われるものを払拭する、そういう運動を起こさなければいけないと思います。神話というのは、もう御説明するまでもありませんけれども、理念と実態がありまして、こうあるべきという理念が実は真実と思われてしまっているけれども、全然違うわけです。
 具体的に言いますと、かつての物理的な保育条件、そこからくる子供たちに満たされない欲求というものが、今はどんどん保育制度が改善されまして、母親を代行して保育所がそれを行える、そういう条件になってきておりますので、愛着の基地になっておるわけです。ある心理学者によりますと、在宅している御家庭よりも保育園児の方が愛着の基地が複数あるからむしろ有利な条件がある、そんなことまで言われる時代になっております。
 ただ、そういう中で、やはり自治体の構造といいましょうか、財政事情も確かにあるんでしょうけれども、非常に国が一生懸命推進しようとしている施策に対して受動的な、地方分権化と言いながらまだそういうような姿勢にとどまっているような感をぬぐえません。地方版エンゼルプランというのが推進されておりますけれども、形式的になっておって、水面下のニーズを十分に把握していないんじゃないか。あるいはバランス感覚が、やはり今までの継続がありますから多分そうなるんでしょうけれども、それがあるからこそ談合的体質といいましょうか、そういうのもぬぐえないような印象さえするわけです。思い切った大胆な改革を今自治体はしなければいけないかもしれない。
 また、保母さんを養成する、保育士を養成するカリキュラムなんですが、多様な保育サービスについては、今のところ具体的に踏み込んでいないんですよね。だから、夜間保育所だとかあるいは特別保育サービスを勧める保母さん養成校の先生はいないんです。ここから改革しなければいけないかなと思います。私たち公的保育所の体質も多分あると思います。親方日の丸で長い間来ましたので、言われたことを言われたとおりにするという、そういうような課題を克服していない、そういう我々の反省ももちろんあります。
 夜間保育の問題ともう一つ並んで、学童保育の問題。これは普光院参考人からお話がありましたとおり、改正児童福祉法によって放課後児童クラブがきちんと保障されてきたわけです。ただ、実態は、末端の自治体に行きますと、縦割り構造になっております。つまり基本的な価値観がまだ整合化していないということになります。
 どういうことかといいますと、子供センター、児童館、そこで学童保育を行おうとしますので、不特定多数をターゲットにする健全育成事業なんです。ところが、学童保育というのは暮らしの領域、一人一人を大切にする領域、そして担当の保育者がきちんと決まっていなければいけないわけです。そういうのが十分にまだでき上がっていないという縦割り構造がずっと末端まで来ているのかなと思いますので、この部分を克服しなければいけないだろうと思っております。
 その上で、先ほども話がありました乳幼児健康支援一時預かり事業というんですが、これが病後児保育であります。これからの課題になってくるんだろうなと思いますけれども、かつての日本式大家族とはもう異なる核家族の中で、病児の対応、つまり保育園では集団型保育の限界がございます。保育園の中で行うこともさることながら、分園方式で地域の中で、在園児あるいは他園児そして在宅児、すべてを含む子供たちの病児対応、病後児対応、これを訪問型一時保育事業というんですが、そういうものも含めまして地域社会を面としてとらえていく時代になってきたように思います。保育と看護を一体化させる領域というのがとても大切になってきたなと思っています。
 そして、虐待問題があります。
 ちょうど私の園とすぐそばのところで三歳の女児が聾唖者の父親から虐待されて死んでしまった、そういう事件がありましたので、とても人ごととは思えません。
 児童虐待防止法は昨年十一月に施行されております。その中で児童福祉司の権限が強化されておりますけれども、果たして児童福祉司の専門性、つまり役人がそのまま児童福祉司におなりになっていらっしゃる条件はないんだろうか。なぜかといったら、踏み込みが非常に弱いんです、この問題は。
 保育園は、じゃ、どうかといいますと、子供を受け入れる際あるいは着がえの際、子供の体を点検しますので、発見する場所であります。もし異常を感じたら、一人で抱え込まない、それから守秘義務をきちんと保障してくれる制度になっていますので、保育園では通報するという力があると思います。それから、それを発見した場合の事後フォローの場として、心の傷をいやす、あるいは安定感を与える、あるいは罪障感というんですか、自分が悪いから虐待されたと子供は思いがちですので、そういうものを取り除いていく。それから、予防の場ですね。子供には対処の仕方を教えると同時に、もう一つは親の不安定な心情をしっかりと受けとめていく。これは、例えば一時保育なんという保育を活用しまして、そして子供を離してあげながら親の気持ちに寄り添っていくような相談を継続していくケースがたくさんあります。非常にいい方向になっているのが特徴です。
 虐待ゼロのキャンペーンとして、例えばうちでは虐待SOS相談を新規事業で立ち上げております。いろんなことをやりましたけれども、やり過ぎると親が自立しないんではないか、そういう危惧をお持ちになる方もいらっしゃるんじゃないかなと思いますけれども、保育園も自覚しております。子供の発育上の通過点であるんだから、保育者がやはり子供をケアすると同時に、親が保育を通じて育児主体性をお持ちになっていただく、親子の相互作用が生き生き活性化するように支援する役割、これは保育園にそんな力はないんじゃないかと言われたら、おっしゃるとおりであります。そのために保育園がステーションになって、AさんとBさんをつないでお互いに力を高め合っていくということが一番大事じゃないかな。つまり、拠点としてのステーションだろうなと思います。
 以上、幾つかの事例を申し上げました。保育園の果たす役割はちょっと申し上げただけでも大変大きいんです。どうか私たちにたくさん力を与えてほしいなと思います。保育者が専門性を持ってそれにこたえてくれる、これからは一園の保育者じゃなくて、地域社会の保育者として、地域の財産として、コンピタンスとしてきっと期待にこたえてくれる存在じゃないかなと思います。
 終わります。
#21
○会長(石井道子君) ありがとうございました。
 次に、松井参考人にお願いいたします。松井参考人。
#22
○参考人(松井香君) きょうは、お招きいただいてありがとうございます。先生方を前にしてちょっと上がっていますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。
 私は、実際に子育てをしながら、一時的に家庭に入った上で再就職をし、パートという立場から現在は取締役という立場まで経てきたその経緯をお話しすることによって、私のすごく個人的な話になりますけれども、現場ではこういうことを感じているというのを感じ取っていただければいいなと思ってきょうはお話しさせていただきたいと思います。
 それで、現在までお話を伺っている中では、保育園だとかそういうところへすっと預けられるとか、預けるのにすごく大変だけれども預けようという意思のある方のお話が比較的多かったんですが、私の周りは正直申し上げて、キャリアプランをそんなにちゃんと持つことなく、働きたいんだけれども保育園に預けるのは難しいし、幼稚園に預けてその後どうしようかなと思っている女性たちが非常に多くて、私も実はその中の一員だったんですけれども、そういう人たちのことをちょっとお話しさせていただこうと思います。
 私が就職した年は昭和六十一年、バブルのころでして、比較的女性が就職するのはしやすくて、総合職ともてはやされた時代でした。その時代に、私は自分の実家に近い、地方の東海テレビというところのアナウンサーになりました。それはなぜかというと、大企業に余り魅力を感じていなかったことと、家族というものを非常に大事に考えていましたので、家族の希望を取り入れたいということ、あと、将来ずっと地方で働き続けるためには自分の力が必要なんですね。自分の責任において、自分がちゃんとした力をつければ恐らく働き続けられるであろうと、組織に頼ることなく。組織に頼るとどうしても就業時間にとらわれてしまいますので、そうではなくて、自分のスケジュールで働くには自分が力を持つしかないと思ってアナウンサーという道を選びました。
 ただ、実際仕事についてみると非常に厳しい世界であると同時に、二十五歳の結婚の壁というのがありまして、親も、親元にいるよりは早く結婚してくれと、二十五で結婚してくれるのが私たちの幸せだから、東京へ行くなり何でもいいからとにかく結婚してくれと言われて、たまたま相手もいましたので二十五歳で結婚をして東京に出てまいりました。
 東京でフリーのアナウンサーをやりながら、でも、これはちょっと生活の基盤としては余り安定していないなと思いましたので、経理、簿記の勉強をして簿記の免許を取って、あと、通信制の短大に通って経営の勉強などをしながら、自分の力がどうしたら生かせるのかというのをずっと考えながら生活していく中で、もう一つ次の壁は、三十五歳の再就職の壁というのがあるんですね、よく言われることなんですけれども。新聞記事を見てみますと三十五歳までとよく書いてあるんです。この壁を乗り切るためには、三十くらいまでに子供を産みまして、三十五歳くらいには復職しなければ復職は難しいんではないかと思って、三十歳までに子供を産みました。
 現在、その子供は七歳と九歳になっていますが、その子供たちをどのように育てたかというと、先ほどお話が松岡参考人の方からありましたが、私もやはり三歳児神話にとらわれていました。三歳までは自分で育てる方がいいのではないか、もしかしたら子供に責任を持つことが仕事に責任を持つことで、ある程度自分の手で育てることで子供に責任をとれたところから働き始める方が、生き方として私としては素直に受け入れられたので、まずは三歳までは自分で育てようと思いました。
 その間ももちろん勉強は続けていましたし、何らかの形で復職できればと思ってインターネットを始めたりですとか経理の勉強を続けたりですとかしましたけれども、正直言って、二人目を産んだあたりから預けることが非常に難しくて、一人でしたら、私的な保育園ですとか、何か勉強会に行ってもちょっと保育がついているような勉強会がたくさんありますので、青山にあるウィメンズプラザのようなところを利用して、自分を啓蒙しながら働くにはどうしたらいいかというのを常に考えていましたけれども、二人目が生まれたくらいから非常にそこら辺難しくなりまして、どうしようかなと思っていたところに、たまたまインターネットを通じて友達から、週一回から二回、一日三時間でいいからちょっとアルバイトをしてみないかという話がありました。そのときに、私は実家も遠いですし、夫も非常に忙しい勤務でしたので迷いましたけれども、これはボランティアかなと、収入はいいや、とにかく現場で勉強してみようというつもりで、現在就職しておりますイエルネット株式会社というインターネット系のベンチャー会社に就職しました。
 その中で実は二年ほど私はパートという立場に甘んじたんです。その理由はなぜかというと、幾つかあるんですが、まず一つは、三歳児神話にとらわれていたこと。できるだけ手元で育てたかったので、余り早く子供を手放したくなかった。あとは、一人目の子供を、本当にこれは私的なことですが、私立の学校に入れていましたので、周りのお母さんで働いているお母さんはほとんどいらっしゃらないんですね。働くことは認められないというか、働いて幼稚園の行事を飛ばすということはあり得ないという環境にありましたので、それを冒すことはできないと、私自身もとらわれていて、そこまで働くことに積極的になれなかった。
 そして最後は、これは本当に現実働き出すとよくあるんですが、百三万円の扶養控除の枠の中で働くしかない。働くしかないというのは、たくさん働いても、その間むだならその間は勉強した方がいいじゃない、そんな損なことをするよりは得な働き方をしたいと思って、あえてもう勉強の場と割り切ってパートという場所を選びました。
 ただ、その間にイエルネットという会社は、たまたまなんですけれども、インターネットの会社なものですから伸びが速くて、今までの社会経験だとか私の態度とかを認めてもらって、ぜひ取締役にということで、社員という経歴を経ることなく取締役という立場に就任しました。現在は総務、経理、人事、採用、あらゆることを取りまとめるアドミニストレーショングループというグループのリーダーをやりつつ、取締役としては、勉強をしながらですけれども、経営企画という立場で会社の全体を見ているところにいます。そうなりますと、きれいごとは言っていられません。
 私の現在の状況をお話しさせていただくと、朝六時半に娘のお弁当をつくって、八時半には下の子を学校に、学校は会社の近くでないとちょっと危ないので、一緒に電車に乗って学校に送りまして、その後八時半から会社に出て、大体六時くらいまでは学童がありますので六時まで仕事をして、子供と一緒に家に帰って、御飯を食べさせて、勉強をさせて、それでおふろに入れて、運がよければ夫が九時か十時に帰ってまいりますので、そこからもう一度会社に出て仕事をして、終電に乗りおくれれば朝の始電まで仕事をして、戻ってお弁当をつくるというような、大体睡眠時間は三、四時間の生活をしております。
 ただ、でも私はそれは充実していますし、社会問題とか勤務上それはというのは確かにそうなんですけれども、自分がやりがいがあって、自分が生きているという実感があれば、その勤務状態には特に問題意識はなく、そういう時期だと私は割り切っているので、ここで力がつけられればという気持ちもあります。
 ただ、私の場合は、結局保育に関しては公的なものには頼れなかった。上の子が私立に行っていますと、世田谷区ですと保育園には入れないんですね。全くそれは頼れなかった。今たまたま学童には入れていただけているので助かっていますけれども、それに頼らずに働いていくのは本当に厳しくて、夫の協力なしには来られなかったとともに、夫の協力も正直言うと得られなかったので、そこは自分のところでどう吸収して、いかに時間をうまく使っていくか考えるしかなかったというような現状もございました。
 それで、一番初めのころ、大学卒業したころなりたかった自分は何なんだろうと考えたとき、自分の力を十分に生かして、かつ家庭という基盤も大事にしつつ社会で自立して生きていくこと、経済的にも社会的にも生きていきたいと思っていました。それが現状できているかというと、これだけ時間を惜しんでやっても、まだ何か足りないんですね。
 それは何かなと思ったときに、レジュメの二つ目のところに挙げてあります社会の含み資産という言葉がありますが、女性は社会の含み資産だと言われています。それは、教育を受けて、本来であれば活用されるべき能力をきちんと活用されずに生きている人たちが多いということだと思うんですね。今、私がその視点で見ると、女性は四つのレイヤーに分かれていて、一つは専業主婦、それも好きで、それが幸せだと思ってクッキーをつくったりパンを焼いたり、そして子供といるのが幸せな人たち、これも現状にいるわけで、私はその人たちは社会の一つの資産として生かされていると思っています。そして四番目は、保育園に預けることもできて、大企業で自分の力を生かしている人たち、それも社会でちゃんと資産として生かされています。
 では、二番目と三番目は何かというと、二番目は、何かができるはず、私なら力があるはずと思うのに働きに出られない人、まだ環境が整っていないなり、何らかのものにとらわれて働きに行けていない人。そして三番目は、私のように働きに行ってはいるけれども、何かにとらわれて自分の時間を削るしか働くことができない人というのが結構いると思うんです。この二番目と三番目の人たちが今苦しんでいる、でもたくさんいる女性たちじゃないかというのが私の視点です。
 よくマスコミでは、再就職したくても三十五歳の壁がと言いますが、私がそうであったように、三十五歳の壁って実はそんなに難しくないんです。本当に能力があって勉強を続けていて、もちろんそれは教育を受けていないという方々とはまた別の視点の人たちですけれども、ちゃんと教育を受けて、やる気があって、積極的に動けるのであれば三十五歳の壁は比較的簡単にすり抜ける方法があるはずです。
 ただ、百三万の壁、これは非常に引きずられるものが大きくて、何らかの形で誘導されて、その枠の中で働くことを余儀なくされるといいますか、その方が得なんだからそっちの方がいいに決まっているじゃないですか。頭を使えば、その時間勉強に当てた方がいいわけで、ついつい安い賃金で短い時間働いて、社会にうまく、会社にうまく利用されている人たちが多いと思うんですね。ぜひ、制度上のそういう問題は、先生方に何とかしていただきたいと思っている最大の点です。いろいろ問題はあるとは思うんですけれども、やはり現状生きている私たちってそんな強い存在ではないですから、枠でそれを縛られてしまうと楽な方に行ってしまうというのは事実ですので、ぜひそこら辺は何とかしていただきたいなと思っています、まさに私自身がそれに引きずられましたので。
 次に私がぶち当たったのは同性の目なんです。今もぶち当たっているんですが、小学校に入りますとPTAだとかお母さんのかかわりがあります。大企業に働いているお母さんですと比較的それを割り切っていらっしゃるかと思うんですけれども、再就職した私たちのような立場の人は、好きで働いているんでしょう、あなたが勝手でやっているんだわという同性の目が非常に強くて、共生という意味では、男性だとか社会だとかというよりも同性の目、同性の働いていない人たちとうまく共生していくためにはどうしたらいいかなとよく思います。
 そういう意味では、先ほど渕野辺保育園の先生がおっしゃったように、働いていないお母さんたちが保育園などの場で交流することによってお互いに理解し合える場を促進できる環境、それをぜひ促進していけるようなものに国会の先生方のお力が少しでも生かされれば私たちももうちょっと現状の場として仕事がしやすい、再就職しやすい気持ちになれるところがつくれるんじゃないかと思っています。
 そして三番目ですけれども、これはマスコミ等では実は余り報道されていないし、あえて皆さん目をつぶるんですが、私が仕事を始めて何がぶち当たったかというと、やはり子供なんです。それは無言の圧力で、あなたが働いているから、目が届かないから子供が悪くなるのよ、何をし出すかわからないわよ、その無言の圧力ってすごく大きくて、私自身それにどうしてもとらわれてしまうんです。
 私の場合はこんな勤務形態ですから自分を納得させるために、きっと子供にとってもこの苦しみはいい経験のはずだとか、母親が生き生きと働いている姿、後ろ姿を見れば子供はもっと生き生きするはずだと自分に言い聞かせていますけれども、本当にそうなのという気持ちは必ずあって、やはり家で子供を見ているお母さんの方が十分に子供の一挙手一投足を見られるわけです。愛情も、たくさん時間がかけられるわけです。それは動物である子供たちにとっては恐らく必要でも、でもできない現状があって、そこを自分を納得させることしか、自分がそっちでいいという覚悟を決めるしか走れない現状というのがあります。それは個人の問題だと言われれば個人の問題なんですが、非常に高いハードルで、そういうハードルがあるというのもぜひ御理解いただければなと思います。
 ばあっとお話しさせていただきましたが、あともう一点、私、今取締役という立場で人を採用するところにありますが、私のような人間を今採用するかというと、正直言うと採用できません。子供が一番、仕事は二番、いや、できて両立、同じだという人は採用できないんですね。会社としては生かせない。それは大企業であれば生かせるかもしれない、生かせるべきとおっしゃるかもしれない、でもやっぱり企業は生きているものですから、まず自分たちが食べていかなければいけないので、それができない状況にあります。それは悲しいなと思うと同時に、もうちょっと自分たちが成長して、そういう人たちを私が成長して引っ張れればなと自分個人では思っています。
 それと、最後に、私は八年間ほど家庭に入って子育てをしましたが、それはそれでとてもいい経験でした。社会に出てもそれはとても生かせていると思いますので、そういうことが両立できる社会であればなと、あえて最後に申し上げたいと思います。
 ありがとうございました。
#23
○会長(石井道子君) どうもありがとうございました。
 以上で参考人からの意見聴取を終わります。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言をお願いいたします。
#24
○仲道俊哉君 自由民主党の仲道であります。
 きょうは、四人の参考人の皆さんには大変御苦労でございました。子育てと仕事を立派に両立された方々ばかりでございますので、大変感心してお聞きしましたし、貴重なそれぞれの体験の上に立った御意見だということで本当に参考になりました。
 女性の自立のための支援としては、やはり何よりも私は子育てに対する企業の意識改革、それと保育施設の充実、それから子育てを終えた女性の再雇用促進策ですかね、いろいろ意見が出ましたが、そういうようなことがあると思うんですが、せっかくの御意見を参考にさせていただいたわけでございますので、何点かちょっと質問をさせていただきたいと思います。
 まず最初に、前田参考人と普光院参考人にお聞きいたしたいんですが、日本人の働き方が子供や母親、そして父親へも非常に悪い影響を与えていることを痛感するという御意見もございました。また、小さい子供を持つ親がこれほど長時間労働をする国はないというような御意見もございました。そういう発言は、私たち、自分自身の問題としてもやはり受けとめなくてはならないというふうに思うわけです。
 参議院の委託調査で、女性の就労環境に関する調査をしたことがあるんですが、その結果では、女性が職場で働きづらい原因の第一は、やはり長時間労働や休暇がとりにくいことであるというような結果が実は出ております。結局、働き方の改革はここをターゲットにしなければならないと思うんです。行政に対するいろいろな意見も出てまいりましたが、行政として具体的に皆さん方のお考えからどのような点を改革すればよいのか、多少意見も出てまいりましたけれども、そういうことから、再度詳しく御意見をお聞かせいただければというふうに思います。
#25
○参考人(前田正子君) それでは、お答えさせていただきます。
 大変難しい問題で、私が即答できるようなことではないんですが、まず一つ、今子供を育てている母親、父親に育児短縮勤務制度や特別に配慮することに関しては反対意見があることも確かなんですね。それは、子育て中の男女を特別に扱うことは、ひいては企業が女性を雇わなくなるという議論がございます。それはもう当然ですね。特別に配慮しなきゃいけない人間と好きなように働かすことができる人間がおれば、最後の松井さんもおっしゃっているとおり、会社は仕事を一番に選んでくれる人を雇うのが当たり前です。
 しかし、申し上げたいのは、むしろ諸外国は子育て中の人を特別扱いする、育児休業制度とかありますけれども、ではなくて、労働者全体の短時間就労の状況を整えているということです。それは、繰り返しになりますが、フランスでは賛否両論ありましたが週三十五時間労働制になりましたし、オランダでもフルタイムの平均労働時間がもう週三十六時間になっておりますので、公務員や大企業では週休三日の人たちがふえてきております。
 どの社会でも一握りのエリートはすごく働きますけれども、ごく普通の人はどの人も、子供がいようがいまいが、結婚していようがいまいが、皆さん個人生活というのがあるわけです。個人生活と就労が両立する労働時間というのはすべての労働者に対して保障されているわけです。その上で、子供がいる人なら特別子供看護休暇があって育児休業があるということです。
 今の状況では理想論に聞こえますけれども、子育て中の人だけを特別扱いすることはかえって職場で結婚したり子育てをすることがハンディになりがちで、ますます子供を産まない社会をつくる可能性がありますので、余りにも荒唐無稽に聞こえるかもしれませんが、すべての労働者の全体の労働時間短縮を進めない限り、企業にとっては結婚をしない人、子供を産まない人の方が得な社員になりますので、そういう社会をつくっていかなければならないと思います。
 それから、やはり民間企業のやることですので、企業がやることに行政はどこまで口出しできるかということがありますけれども、オランダの場合は、短時間就労というのは子育て支援のためにやっているわけではなくて、失業率を下げるワークシェアリング、一人でも多くの人に仕事を、雇用の道を確保するということで徹底して短時間就労でワークシェアリングを行っていますので、週当たりの残業時間規制も厳しいですし、罰則規定もあります。それぐらいのことをしないと労働時間の短縮は進まないんじゃないかというふうに思っております。
 以上です。
#26
○参考人(普光院亜紀君) 私も全く前田さんと同じ意見なんですけれども、アメリカのような社会においても、大体男女ともに七時ぐらいまでには家に帰って夕御飯を家族で食べるというのが標準的なライフスタイルであるということを聞いております。もちろんアメリカにもエリート、あるいはすごく長時間労働する方はいらっしゃると思うんですけれども、社会全体としてそれくらいが普通だよというラインがそこにあるということは非常に大きいなというふうに感じております。日本の場合ですとその辺は全く意識がない、十時、十一時まで働いて当たり前という形になっているのが大きな違いだと思います。
 先ほど私が会員のアンケートの中から平均で夕方五時二十一分に皆さん会社を出ていますということを申し上げましたけれども、それを聞いた多くの方は、そんな早くに帰ってしまうのかというふうに思ってしまうと思うんですが、この全体の意識がやはり、ああ、そういうことは当たり前だというふうに思うようになれなければこれからの両立社会というものの実現は難しいのではないかなと。
 なかなか難しい課題ではありますが、全体としてこの意識改革にどうやって取り組むかということは非常に重要で、政府としても何かしらの意識に働きかける、特に経営者あるいは管理職、職場の人たちの意識に働きかけるということも私は必要ではないかなというふうに思います。
 今、民間企業では成果主義が広く取り入れられようとしておりますけれども、ポリシーのない社会に成果主義が取り入れられたときに、それはひょっとしたら際限のないサービス残業社会になってしまうんではないかということも不安に思っておりまして、やはり我々が望んでいるライフスタイルはこういうものなんだというそれぞれのポリシーがあって初めて成果主義が入ったときに望ましく機能するのではないかなというふうに私は感じております。
 そしてあと、子育て家庭に対する救済を多くするとそういう人たちを企業が雇わなくなるのではないかという危惧は確かにございますが、ただ、そういうことができる大企業等においては積極的に例えば子供の看護休暇制度であるとか、あるいは男性にも育児休業をとってもらえるような促進策とかをやっていくことによって全体の意識が変わっていくということもあると思いますので、そういう制度がしかれることで初めて、ああ、そういうことを認める社会になったんだなというふうに皆さんが感じていくということが大切なのではないかというふうに思っております。
 以上でございます。
#27
○仲道俊哉君 今、働き方の改革の内容ということでお聞きして、どうすればそれなりの改革ができるかということでお伺いをしたんですが、次に、多少今のまた御意見なりとダブりますけれども、働き方の多様化を実現するということから、またお二人の参考人とあわせて松井参考人にもこのことについてお聞きしたいと思うんです。
 女性の働き方というのは随分多様な形があるなといろいろ意見を聞いて感じたんですが、今以上に多様な働き方ができる社会にしていくことが求められていることはもう同感でありますが、女性ばかりでなく男性もそのような多様性を持った働き方ができる社会になれば私はより住みやすい社会になるのではないかということを思います。三人の参考人の方は一足早く働き方の多様性を実現したと今お話をお聞きしながら思ったんですが、その際、何が支えになり、そして何がマイナスに働いたのか、そういう体験を通しての御意見をお聞かせいただければというふうに思います。
#28
○参考人(前田正子君) 個人的な体験でよろしいんですか。
 私も、実は男女雇用機会均等法ができる前に大学を出まして就職いたしましたけれども、子供ができましたら当然のごとく上司に、猿でも子供は母親が育てるのに人間の母親が子供を育てないのはとんでもないと言われまして、妊娠しましたと言ったら、予定日はいつだと、退社日はいつだというふうに言われまして、私もそのころは松井さんと同じように明確に働き続けるというビジョンがありませんでしたし、もう保育園に預けるのも難しかったですし、いろいろ考えまして仕事をやめました。その後、アメリカに夫婦で行きまして、ビジネススクールに行って学歴を身につけたわけなんですが、役に立ったのはやはり教育です。
 それと、やはりハンディなのは三十四歳でしたし、子供がいたということですね。ほとんどの職場では、多分私の感じでは、履歴書をあけて、女、三十四、子供がいるという時点で履歴書はそのまますぐ却下という箱に入っていたんじゃないかなと思います。年齢の壁は非常に大きいです。
 ですから、本当にそれだけ意欲があって勉強をするチャンスがあったり道を開ける気力のある人は何とかチャンスをつかむことができるんですが、普通の多くの人にとってはやはり大きい壁があるということと、今雇用の多様化と言いながら、実は女の人で進んでいるのは雇用の非正規化なんですよね、パートとか短時間就労ということで。結局、その人たちは育児休業制度の適用も受けませんし、逆に言いますと社会保障制度を支えてくれる税や社会保障料を支える人手にはならないわけです。
 ですから、雇用の多様化の検証が必要だということと、やはり思い切った考え方の転換。またオランダの話ばかりで申しわけないんですけれども、オランダの場合は余りに経済状況が八〇年代の最初に悪くなって、失業率が最悪でオランダ病と言われるぐらい悪くなった時点で初めてこれではいけないと、ワークシェアリングで短時間就労をしながら世帯主賃金も放棄するけれども、かわりに夫婦二人で働いて短時間就労で家庭と両立できればちゃんとした十分な所得が入るという働き方の選択肢を用意したわけです。現在では労働時間調整法という法律が通りまして、従業員が、数年に一回しか申し立てることはできないんですが、申し立てればパートからフルタイム、フルタイムからパートの転換ができます。この場合のパートは日本で言う非正規のパートではなくて、要するに正規雇用に短時間就労の選択肢があるということなんですね。
 こういう形での多様化が必要ではないかということで、諸外国の例から学んでみるのもいいのではないかなと思っております。
#29
○参考人(普光院亜紀君) 私の場合は、今はフリーランスでおりますけれども、もともと出版社に勤めておりまして、育児休業をとりましたときはまだ育児休業法が施行されておりませんでした。ただ、そのときの助けになりましたのは、実は男女雇用均等法の中の後ろの方に、企業はなるべく育児休業制度を設けるように努めることという一文がございまして、それを見た社長が、何を思ったか、急に育児休業制度を設けようというふうに言ってくれたという経緯がございます。ですから、私にとってはあの一文が大変助けになりました。それで、そういった法律のバックアップというのは大変力が大きいなというふうに思っております。
 それから、まだ法律がありませんでしたので育児休業をとりました結果、有給休暇がゼロになったりとかいろいろなものが削られたりして、会社の側からは大きなバッシングがありました。これは私にとっては大変つらい経験でした。残業ができないとか短縮勤務をして多く働けなくても、その限られた時間の中で精いっぱい働いた分は評価して、その分のペイはしていただきたいなというふうに思いましたけれども、その辺はやはり制度上いろいろバッシングが許されていたという点でつらい部分でした。
 ただ、それでもその後育児と仕事の両立をしてこられたのは、身近に非常に理解のある上司がいたという環境がございました。私が育児休業から復職したその年の忘年会の席で、あなたの来年の目標は二人目をつくることだねというふうに言ってくれるような上司でした。身近な上司などにこういった理解者がおりますと非常に励まされて、たとえ会社から厳しい処置を受けても心の支えになる。逆に、上司が非常に悪い場合は、私の知人の例ですと、会社がしっかりしておりまして、その人は人事に直接訴えることでサポートしてもらったということで、上司かあるいは会社の根本の人事などのどちらかがしっかり子育てに理解を示してくれれば、生きる道があるなというのは実感しております。それは会社の中にいたときの経験なんです。
 多様な働き方ということで今私が全体を見ておりまして強く感じておりますのは、やはり正規とパートタイマーの方の格差が大き過ぎるという、前田正子さんがおっしゃったとおりのことなんです。もちろん給与が非常に違って、それだけお金が保育にもかけられないということもございます。また、保育園も今現在満員で待機児が多いですので、優先順位が低くてまず保育園に非常に入りにくいという現状。それから、所得格差が家庭の中でも非常に大きいので、夫との間に均衡がとりにくいんですね。子供が病気のときどちらが休むかというと、当然パートである奥さんが休む、いろいろな子供の負担はやはり当然パートである奥さんの方で行うという結果、結局はパートである女性がそれ以上のキャリアに進んでいくということが非常に難しい。夫に迷惑をかけない程度での働き方というふうに拘束されがちですので、その部分でなかなか男女の均等が進んでいかないという形になりまして、やはり所得格差は家庭の中まで大きな影響を及ぼしていると思います。
 以上でございます。
#30
○参考人(松井香君) 先ほど私がお話しさせていただいた点と随分かぶってしまうと思うんですけれども、何が支えになったかというと、教育環境。それは、私、当時放送大学でちょっと勉強したりだとか、あと少しずつ通信制の短期大学ができたりして自分の知的意欲をかき立てると同時に、そこでいろんな先輩の女性方と出会えて、こういう働き方があるよだとか、会社としてももうちょっと違う方向で雇用していくことも考えているというようなことが聞かれましたので、それが励ましになったというところはありました。
 ただ、現実に仕事を探してみるとやはり企業の壁というのは大きくて、もともとそれは私が就職する時点でもうあきらめてしまっているというか、自分で力をつけないと、企業に頼るわけにはいかないよなと、私はそこがスタート点ですので皆さんとは働き方というか、仕事に対するスタンスがちょっと違うかもしれませんが、企業で働くということが大前提になっているのであれば、非常にその壁は高くて乗り越えにくいものであったと思います。それは、夫の会社の理解だとか夫の会社の周りの方々の状況だとかというのも確かに、ちょっと休みにくいよなというような話が出てきたりだとか、そういう現実問題はありました。
 では、今私が会社で多様な働き方についてどう思っているかというと、私の会社は基本的には裁量労働制を取り入れております。これ、取り入れるのには本当に大変で、何度も何度も労働基準監督署に通って許可を得たんですけれども、すると決めた仕事がなされていれば何時に来てもいい、何時に帰ってもいい、自宅で仕事をしてもいいというのが基本的方針で、私どもの会社はそれを取り入れています。ただ、ベンチャーですから、先ほど申し上げたように昼夜なく勤務しているという状況は変わりませんが、男性社員も奥さんが妊娠すればそれに合わせてちょっと長期の休みをとるだとか、土日に出勤してきていればその分の振りかえ休日として平日に五日間なり十日間全く関係なく休みがとれたりですとか、制度にのっとった上で少しずつそういう状況も生まれてきているということ。
 雇用する側がそういうことを取り入れようと思えば少しずつ、先生方のお力のおかげか、いい方向に動いてきているのは確かですが、この裁量労働制を取り入れるのは非常に大変だったのと、それともうちょっと柔軟にそれが活用できる方向に、実際やってみるといろいろ問題が起こってきました。労働基準監督署に聞いても、それはわからないと、やってみてください、ただ、やってみて裁判が起こって負けたらおたくの責任ですよと。できればこちらは責任をとりたくないと、そちらで判断してくれというようなことが多くて、明確ではないので、もう雇用する側とされる側の気持ちの問題で一つになるしかなくて、非常に運用が難しいというのも現実問題としてあります。
 以上です。
#31
○仲道俊哉君 なるほどね、大変参考になりました、御三人のお話。特に、子育てに対する企業の意識の問題とか、夫の理解もありましょうし、それから今最後の方にも、また最初にも出ましたが、結局法律ですね、それで随分助かったということ。
 御承知と思いますが、男女共生の調査会は参議院だけにありまして、衆議院にこれ実はないんですよ。参議院というのは、こういう政策というものをどのようにするかということで特にこの男女共生の調査会をつくっておりまして、今皆様方がおっしゃったようなことについてはこの調査会でいろいろな意味で男女の問題、特に女性の自立の問題、これにつきましては随分研究しながら、またきょうもDVの法律が何時間か前に参議院では通過しましたけれども、そういうことでしっかり頑張っているということもまた御理解をいただきまして、何かありましたら会長のところにぜひ言っていただければ、我々でともに研究しながら前向きに検討いたしたいというふうに思っております。
 何か最後みたいになりましたけれども、まだ時間がございますので、ちょっと今お聞きして、感想でそういうふうに思ったものですから発言させていただきました。
 次に、保育所のことについて随分いろいろとお話が出ましたので、保育所の拡充と保育時間の長期化は何をもたらすのかということで、松岡参考人と、あと前田参考人、普光院参考人、続けてで悪いですが、お聞きいたしたいと思うんです。
 保育園の価値というのは私、十分認めておりますし、私自身も教育者の出身ですから就学前教育というのをそれなりに理解しておるつもりでございますけれども、しかしやはり、保育所はあくまでも私は子育ての補完的な存在であるというように思っております。
 小さい子供を朝早くから遅くまで預かったり、待機児童解消ということで既存の施設に定員以上に子供を詰め込んだりすることは、短期的な女性の就労を支援するという形からは有効かもしれませんけれども、子供の将来にとってはよい結果を与えるはずはないと思います。同じ理由で、保育に対する過度の規制緩和は、保育の質の低下を私は招く結果となるのじゃないかなということも実は心配をいたしております。
 待機児童解消は必要ではありますが、子供の将来を考えますと、もっと抜本的な施策が必要ではないかなと。それについては、自治体に随分いろいろと御意見もお聞きし、また要望等もお聞きしたんですが、ただ自治体だけに任せるのではなくて、こういう点で何かそれなりの御感想があればお聞きいたしたいと思いますし、あわせて保育園、保育所というものに対して、私が今あくまでも補完的な存在であるという、こういう私の考えに対して何か御意見があったらそれもお聞きができればというふうに思います。
 まず松岡参考人の方から、ひとつ。
#32
○参考人(松岡俊彦君) 大変難しい質問を今いただきました。
 今の政策的な課題と、それから本当の意味での子供の福祉をどう増進していくかという部分とどう整合させていくのか、大変我々もそこのジレンマに実は陥っているところなんです。
 今、補完というお言葉を御指摘いただきました。かつての保育制度は、働く家庭の代行的な機能という言い方をしたんです。保育所保育指針が平成二年に改定されましたけれども、家庭養育の補完という用語がそこで定着したんです。また、改定保育所指針でも補完という用語を使ってくださっています。補完という用語は代行とどう違うのかなと考えてみましたけれども、つまり家庭で足りない分を保育所という保育の専門機関が十分に満たしていくんだという意味なんだよというふうに策定委員さんに教えていただきましたけれども、非常にあいまいなんですね、ここの部分は。
 私は、ここで感想なんでございますけれども、さっきもちらっと触れましたけれども、保育園が代行を行っていく、あるいは補完を行っていくということによって親が安心できる、そして子供も仮に満たされたとします。それはとてもいいことかなと思うんですけれども、保育園は発育上の通過点で、やがて卒園していくという状況もあります。それから、そのことによって親自身が保育園に依存体質を仮にお持ちになってそのままいってしまいますと、保育園を卒園した後にもう学童保育の問題なんかで大変混乱していらっしゃる、そういう現実もあるんです。
 学童保育の問題は、さっきも課題としてひとつぜひ政策の上にのせてくださいよというお願いを御提案させていただきましたのですが、その問題を置いておきながら、保育園が子供を十分に満たしていくとともに、親自身が保育場面を実際にみんなで共有し合いながら力をつけていっていただく。さっき言いましたとおり全部保育園がやってしまうというよりも、それをつないであげる拠点としての役割というんでしょうか、そういう役割というのがすごく大きな意味があって、比較的そういう意味ではいろんなところで家庭の問題、仕事の問題、あるいは地域社会の中でお疲れになってきた女性たちが、さっきの渡し船と同じように元気になって社会に巣立っていくものかなというふうに思っております。
 これは、私、助育なんて偉そうなことを言っておりますけれども、助ける、育てるという言葉で、親子の相互作用が生き生き活性化することを目標にする。そのためには、子供を世話するケアの領域に加えてソーシャルワークの領域というんでしょうか、これはだれがやるのかといったら、保育者の二重構造だと思うんです。そのために保育者に力をつけていくためのぜひお力を先生方からちょうだいしたいなと思っております。
 保育園の年中の子供の例なんですけれども、お迎えに来たお母さんに担当の保育者が思い切ってお話をするんです。お母さん、かばんの中も見てあげてください、かばんの中が汚れていて、四歳の女の子が恥ずかしくてみんなの前にかばんの中のものを出したがらないんだと。おうちに帰ったお母さんが、子供と約束をして、お母さんも忙しいの、でも先生に言われたとおりお母さんもちゃんとあなたのことを見てあげなければいけなかったわね、汚れたナプキンは洗濯かごに入れてちょうだいね、お母さんが洗濯してアイロンをかけたら引き出しに入れておくから、次の日、朝保育園に行くときにその洗濯したナプキンを自分でかばんの中に入れて保育園に一緒に行こうね。次の日からその子供はきれいなナプキンを持ってきたから幸せだったんですけれども、あるとき、きのうと同じナプキンをその女の子が出して、しきりにみんなに謝るんですね。みんな、ごめんね、お母さんが悪いんじゃないの、私が間違えただけなの。その子はしきりに言うんです。それはどういうことかといったら、そんな幼い子供も親をおんぶしているんです。
 だから、そういう意味では、保育園が例えば力が足りない家庭に取ってかわるなんというのはとんでもない話で、お母さんのためにやはり力になってあげて、つまり子育てをしながら母性を磨いていくというんでしょうか、そこの領域を自覚しながら仕事をしていく、そのための専門性を私たちに与えていただければありがたいなと思っております。
#33
○参考人(前田正子君) それでは幾つかお話をさせていただきたいと思いますが、先生もおっしゃいますとおり、子育ては親が主人公ですね。子育てすることは義務じゃなくて楽しみなんです。やっぱり親自身も子育てが楽しいですし、子供と過ごすのはすごく楽しいです。だからこそ働き方をもう少し縮めていただいて、余裕を持って働きながら、そして家庭生活を楽しませるような状況を整えることが一番大切じゃないかと思っているんです。
 実は、保育園というのは、今も松岡先生が御専門ですので御説明がありましたけれども、専業主婦のお母さんにも保育園に子供を預けたいという人が多いんです。これは働いているお母さんのように月から金曜日まで毎日というわけじゃなくて、松井参考人のようにまずお勉強をしたいとかいろいろありますし、それから今少子化が進んでおりまして、地域で子育て仲間や子育てを支える状況がありませんので、同い年のお友達を見つけたり、ちょっと愚痴を言い合う仲間を見つけるのもかなり積極的なお母さんでないと難しいところがあります。
 そういう意味で、もう今保育園で子育て支援センター事業というのが始まっておりまして、専業主婦のお母さんの子育て相談とか育児サークル支援が始まっているんです。つまり、松岡先生もおっしゃたように、保育が親に成りかわって子育ての主人公になるのではなく、親がいい子育てをするための手助けをする、それが保育園であるべきだと私は思っております。そのためにも、働き方の改革をということを申し上げているんです。
 それと、先生が保育園をどんどん拡大するのはどうかとおっしゃったんですけれども、いつもそういう議論があるんですけれども、遅くまで保育園が子供を預かるのはかわいそうだから待機が出てもいいじゃないか、そうしたら家で育てるんだからという状態じゃ今ないんですね。結局、今の認可保育園では労働時間が足りない人、待機になっている人は、ちびっこ園とかスマイルマムとか、もう預けたら事故が起こりそうだとわかっていても、しかも実際に死亡事件が起こった保育園でさえみんな預けているわけです。
 なぜかといいますと、女性男性にかかわらず、まず学校に行って、仕事について、それから結婚するか子育てするかという選択が始まるわけです。まず学校に入って、仕事をする前に結婚して妊娠するわけではありません。卒業して職業生活を確立してから結婚し、子育てを選択していくわけですから、お母さんたちが仕事をしたがっているというわけではなくて、逆に考えますと、働く男女が結婚して豊かな家庭生活を営み子供を産む権利を保障するためにどうするかという論点から考えれば、女の人たちはまず仕事につくわけですから保育の整備は欠かせない。
 結局、子供がかわいそうだからといって待機をこのままにし、短い保育時間で終わりますと、現実的に就労条件は今も悪化していますし変わらないわけですから、繰り返しになりますけれども、さらに子供たちは質の悪い保育を押しつけられることになるということで、ですから、私は緊急課題と長期的課題と分けましたが、緊急課題としては、今の働き方をすぐ変えることはできませんから、今の親の働き方に合わせた保育内容の改革、量の拡大は急務であると。
 しかし、先生がおっしゃるとおり、私も危惧していますとおり、親が働いて子育てを完全に外注化するような世の中はおかしいわけですよね。親は子育てを楽しむ権利もありますし、子供も親と一緒に過ごす時間を持つ権利もあります。だから、そのためにも長期的な課題には早く働き方の改革が必要だと申し上げているんです。
 それで、実際に三歳児神話が非常に強い国にはドイツという国がありまして、先ほど育児休業が三年だということを申し上げました。ドイツは統合以来、東ドイツ側にありました低年齢児保育の保育園をどんどんつぶしておりますし、現在の保育園制度も三歳以上が中心なんです。ですから、育児休業は三年ですけれども、先ほど言いましたように、育児休業を三年とるのは職業人として大きいハンディですし、企業側も実際は女を雇いたがらない。実際には保育園がないということなので、今仕事を続けながら子供を産めるのは一握りのエリートの女の人だけなんです。仕事を続けたい人は子供を産む選択権がないんです、事実上。育児休業はありますけれども、保育園がないですから。
 そして、ドイツは余りにも三歳神話が強く、母親が家庭で子供を育てるべきだという意識が強いがゆえに働く母親は悪い母親という意識もありますし、逆に職場においても女性が子供を産むと職業人としては二流としてみなされるという二重のハンディを働く女性は負うわけです。母親としても二流、職業人としても二流という概念になりますので、結局何が起こっているかというと、事実上、仕事と家庭は二者択一なんですね、子供をとるか仕事をとるかという選択肢しかございませんで。現在、四十代前半の一九五五年から六〇年生まれの西ドイツ側の女性は四人に一人が子供を産んでおりません。ドイツ側は、あくまでも子供は母親が育てるべきということで保育の充実は考えておりませんので、このままいくとドイツの女性の無子割合は三割、三人に一人の女の人は子供を産まなくなるというふうに言われておりますので、現実を踏まえない、子育ては母親がすべきという政策が何をもたらすかということは明らかなわけです。
 自治体もやっぱり今財政難ですごく大変なんですけれども、例えばスウェーデンでは、事実上専業主婦にはもうなれない社会になっているわけです。高齢化も進んでおりますし、労働力が少ないし、その数少ない労働力が税や社会保障を支えるべきですから。日本も将来そうなると思うんですけれども。
 ですから、スウェーデンの場合は、先ほど言いましたように八五年に国会の議決で育児休業明けの保育、働く親のための保育はすべて保障するということで、待機児童を出さないのが自治体の義務です。保育を整備するのは自治体の義務になっておりまして、スウェーデンの保育園では専業主婦の育児支援もしており、保育園というのは親が働くから仕方なく行く場ではなく、就学前児童の発達を保障する場、今の地域や核家族で保障できない多様な出会いや発達の場を保障する場であるとなっています。
 それから、フランスなんかは週三十五時間労働制でもともとの労働時間が短いんですけれども、フランスも北欧と並んで乳幼児を持つ母親が働いている国なんです。出生率も比較的高いんですね。この国は、保育学校といいまして三歳児以上が一〇〇%就学しています。週三十五時間で九時から五時まで水曜日以外は毎日みんな保育学校に行きまして、二歳児も四割ぐらい保育学校に行っておりまして、その後保育園、それからベビーシッターの補助費なんかも国が出しておりますので、働く親はベビーシッターも利用するし専業主婦のお母さんも保育学校を利用して、三歳児からはもう義務教育化しておりますのでそういう形で行っているということですので、保育園の質か量かとありますけれども、質を保ちつつ量をふやしているところもあるというふうに申し上げたいと思います。
#34
○会長(石井道子君) 時間になりましたけれども、よろしいですか。もう一人。
#35
○仲道俊哉君 時間が余りないのでもう質問はしませんから、答弁だけ。
#36
○参考人(普光院亜紀君) 今、保育時間がどんどん延びていくことはどうなんだろうかというお話が最初にあったかというふうに思いますが、前田さんもおっしゃったとおり、本当に必要とされている保育時間を保障しない限りは子供をもっと劣悪な環境に追い込みかねないということでは、働く時間プラス通勤時間という必要時間をきちんと保障していくことがまず第一だとは思うんです。
 一方で、やはり仕事の責任、あるいは会社での一人前の働き方をしようという方向にどんどんなびくことでずるずると労働時間ばかりが延びて子供にしわ寄せが行くということもあり得ることですので、やはりそのときに女性にも男性にも必要なのは、家庭の時間というのが子供の育ちにとってどれだけ大切かということをしっかり認識することだと思います。
 ですから、私が描いておりますイメージは、しっかり必要な保育は保障した上で、そこでどうやってライフスタイルのモラルというか子供に対する考え方というのを各家庭で、共働き家庭で形づくっていくかということが一方でとても大切なことだというふうに考えております。
 それから、待機児対策についても本当に深刻で、ここ数年さらに厳しくなったように私は感じておりますけれども、前田さんのおっしゃったとおり自治体の温度差は激しいですので、先日、厚生省の方で待機児の多い自治体を呼んでヒアリングをしたというようなことをしておられましたが、国の方でも自治体に対して、今、地方分権の時代ですけれども、事保育というのは国民的に子供の育ちを支える大切な部分ですので、国がある程度そういったヒアリングみたいな形で指導を行うとか待機児対策の甘い自治体に対するある程度の指導も必要かと思います。
 また、非常に財政難で、自治体で保育環境をよくするために上乗せしている部分が出しにくくなっているという部分もあると思いますので、できればもう少し国の方の、保育の、今大変だとは思うんですけれども、もう少しお金というか基準をアップしてあげれば、自治体の設けている基準との格差が縮まって自治体がもう少し保育を拡充しやすくなるんではないかなというふうに思います。
 それから最後に、質の確保という部分で、待機児対策だからといってどんどん詰め込んでしまうのはいかがなものかというのは、全く本当に私もその点は非常に心配しておりまして、定員を上回る受け入れということで、それでもある程度余裕のあったところは適正に受け入れるという形になっていますけれども、既にある程度適正だったところに受け入れると、それこそせっかく認可保育園なのにまるでベビーホテルのように過密になっているということも聞きますので、やはり子供にとって過密なスペースというのは例えばストレスになって育ちに影響するんだとか、また園庭についても、できればいつでも外に出られる園庭があって、戸外遊びができた方が二歳以上の子供にとっては心身の成長にとってプラスなんだということはしっかり押さえて、一時的に多少受け入れを緩くすることはあっても、長期的には子供にとっていい環境というのをきちんと押さえて整えていただきたいなというふうに思っております。
#37
○仲道俊哉君 どうもありがとうございました。
    ─────────────
#38
○会長(石井道子君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、渡辺孝男君が委員を辞任され、その補欠として弘友和夫君が選任されました。
    ─────────────
#39
○郡司彰君 先ほど、四名の方のお話を聞かせていただきまして、正直なところ女性の視点というものを十分に理解していないなということがありましたけれども、それと同時に、大変な調査会に配属になったなというような感じがいたしました。
 といいますのは、きょうのこのメーンテーマであります保育ということに関しましても、これはもう社会全体の問題に連なっているということが非常に多いわけでありまして、そういう意味で大変だなというような意識でございます。
 それから、私個人のことでちょっと恐縮でございますけれども、私自身は母子家庭で、母が保育士ということでずっとその中で育てられましたので、率直な意見から言うと、男性の方というのはこういうことに対して余り理解をしていない人が多いんじゃないかと思いましたところが、松岡さんの方から偏見を少なくしていただくようなお話もいただきまして、恐縮しております。
 最初にお尋ねをしたいと思います。
 前田さんの資料の中に偏見が減少していますよというような言葉がございました。私は自身の感覚としてもともとそういう偏見というものを感じなかったのでありますけれども、この偏見が減少した、どんなようなことがそもそもあったというふうに思っていらっしゃるのかということをお聞きしたいと思います。
 それから松井さんのお話の中で、私立の小学校に上の方が入っていらっしゃって下の方がということもありましたけれども、その小学校に行っている間はまるでそれが当然のような雰囲気でなかなかという話がありました。そのこととも関連があるのかどうか、お二方からお話をお聞きしたいと思います。
#40
○参考人(前田正子君) それでは、先生、保育の偏見についてお答えすればよろしいのでしょうか。
 日本の戦後は専業主婦の時代だと言われるぐらい、御存じのとおり日本は戦前は物すごく女性の労働力率が高かったんですね。雇用労働者として働く人は少なかったですけれども、ほとんど農業従事者とか自営業という形でお給料はもらっていませんでしたけれども、もうお母さんの労働力というのは貴重な労働力でしたので、女性が先進諸国と比べても最も働いていた国の一つです。それが戦後の高度成長期で世帯主賃金を得られるだけのサラリーマンがふえたことと、団塊の世代を中心として若年労働力が豊富になりました。女性をわざわざ雇う必要がなくなりました。戦後は一貫して女性の就業率が下がりまして、七五年は最も日本の専業主婦が高い時代でした。
 その後、女性の高学歴化や団塊の世代の人たちが子育てが終わって再就職し出すということで、一貫して女性の就業率は上がり続けているわけなんですが、専業主婦の時代に形成された考え方がありまして、やっぱり男は仕事、女は家庭、それが日本のノーマルな家庭だということと、それから当時は今のように保育園の基準が高くありませんでしたので、先生の方がお母様が保育士だということでよく御存じだと思うんですけれども、保母配置率も低くてすし詰め状態の保育園もあったと聞き及んでおりますので、そういうところでやはり働く母親への偏見、働いている人は貧乏人だという意見と、貧乏人の子が行く保育園ということで偏見が強かったと思います。
 最近では、一つにはやはり保育園の質が上がり出してきたということと、働くお母さんが身近になってきたということと、働くお母さんの中には、例えば松井さんのように取締役、格好よくて美人で経済力もあるお母さんも出てきたということとか、そういうお母さんたちの中には保育園に預けていらっしゃる方がふえてきているということ。
 それからもう一つは、地域の子育て状況がやっぱりすごく厳しくなってきていて、散歩なんかすると、私もアメリカから帰国してきた後、公園デビューに失敗して、再就職するまでの期間、子供と公園をうろついていたんですけれども、保育園の前を通ると子供たちが楽しそうに遊んでいますんで、こんないい場所があるのかということもありますし、それから繰り返しになりますが、働くお母さんがふえてきて、保育園関連の報道もふえてきたということで、身近に保育園に預ける人がいて、保育園は結構いいわよと聞くと、みんなそれなら預けたいとお思いになるという形で、保育園に預ける人がふえることがさらに保育園の偏見を減少させると思います。
 しかし、保育園への偏見があったのは、私もちょっと調べてわかったんですけれども、関係があるのは専業主婦が多い都市圏ですね、神奈川とか東京とか埼玉とか。高知とか長野に行きますと、働く働かないにかかわらず保育園に行っている人が多くて、三歳以上の子供の七割ぐらいはもう保育園に行っていて幼稚園児の方が少ないですので、何人かの地方の人に聞くと幼稚園なんかなかったと言うんですよね。ですから、幼稚園、保育園のこだわりというのは都会の一部の人たちの考え方だったのかなというのを今は痛感しております。
#41
○参考人(松井香君) 私のお話をさせていただくと、まず保育園というところは、教育できるのであれば自分の家でお金を払ってしなさいという風潮が何となく強くて、上の子を預けなくても済んだのであれば下の子も預けなくていいでしょう、預けるのは自分でやりなさいというような風潮があるんです。
 ただ、私が行っていた保育園は、とてもいい保育園でしたので、どんどん環境が整ってきて、一時的にショートで預かっていただくとかという制度もできましたが、正直、下の子が今行っています学童でも、おけいこをすると点数が低くなりますと。学童保育は六時まで預かれるんですけれども、三時くらいに自分でおけいこに行ける子は来年度点数が低くなりますから、学童で来年は預かれないかもしれませんと言われたんですね。私、ちょっとずるい手で、ことしも四月、おけいこをさせようかなと思いながら、いや、おけいこをしてこの子が行けなくなると困るから、ちょっとおけいこは控えておこうと思って控えたんです。やはり教育にそうやって積極的になるのは何となくマイナスという偏見、偏見というのかな、点数制ですので、そこがマイナスになるのはどうも事実のようですので、そういう風潮はあるんだと思います。
 ただ、偏見はあるけれども、私立の学校でも、私、やむを得ず夫に保育参観だとかバザーだとか全く男の人のいない出番に、お願いだから行ってちょうだいと言って行ってもらうんですけれども、それを繰り返していくうちに、最近はお父様方が実は僕も行きたかったんだ、楽しいよねと言っていただいて、自営業のお父様方にちょっと抜け出して来ていただくだとか、ちょっとずつ風潮は変わりつつあるな。私が電車に乗っていても、若いお父さんがおんぶのあれを背負っているだとか、ちょっとずつ空気としては変わりつつあるんじゃないかな、そうやってみんなが少しずつ変えていけば変わっていくんじゃないかなという希望もすごく持っています。
#42
○郡司彰君 それから、反論を大いに期待をして質問をしたいと思うんですが、私、前にいた職場などでも、例えばパートの方が非常に多くいらっしゃって、それをできるだけ正社員にしようというようなことの取り組みをする中で、女性自身にアンケートをとりました。今のままでいいんだという方の回答が非常に多いんですね。
 それはこういうことが原因だろう、労働意欲の薄さ、弱さだけじゃなくて、こういう外的なものがあるからだろうというふうなことを多分お考えだと思いますので、前田さん、それから普光院さんの方でお答えをいただきたいと思います。
#43
○参考人(前田正子君) それでは、私の印象を、先生の前の御職業がどういう御職業か、職場状況も存じ上げませんので、ただの推測ですけれども、一つにやはりあの百三万円の壁があると思うんですね。百三万円を超えますと、ある程度本当に働かないと手取りはふえませんし、ましてや夫の給料の方に家族手当がありますと難しいですね。
 それから、例えば某大企業などは、妻が正規で働き出して百三万円を超えますと社宅を出ていってくれという企業もありますので、そういう場合は妻が働いて、社宅ですと結構いいところにありますので、東京の通勤に便利なところにありますので、同じような家を借りようとすると妻の給与ぐらいの家賃を払わなきゃいけなくなると、扶養家族にしておけばいいとか、あとは会社によっては妻が扶養控除を超えますと、働かせているのかと人事から来たり、その夫に対する遠慮もあるということもあると思います。
 それからもう一つは、正規就労になった場合の選択肢がどれぐらいあるかということで、つまり正規就労になることが、残業もいとわない、それから休日出勤とか、正規就労の引きかえに労働時間の自由がきかないということを引き受けるのであれば、非常にたじろぐ女性がいてもしようがないと思うんですね。
 ですから、普光院さんも何回もおっしゃっていますし、私も申し上げていますけれども、今は正規になれば歯どめのない労働時間に巻き込まれるわけですね、会社によって違いますけれども。パートになれば労働時間をコントロールできるけれども百三万円以下ということで、格差が大き過ぎるということで、そういう意味でもパートと正規就労の壁の高さが転換への希望をしぼませる点になっていたんじゃないかなというふうに思います。
#44
○参考人(普光院亜紀君) 本当に全く同じなんですけれども、やはり百三万円の壁の引力はすごく強いと思います。それと、やはり同じなんですが、私たちの会の中でも再就職の方が仕事を探すときに、正規で採用されて残業をしなさいと言われたらどうしたらいいのかと。やはり子供を抱えている身としては、時間というのはどうしても融通がききませんので、そのあたりで非常に悩まれる方が多くて、残業をしなければならないと言われるのであればパートにしておいた方がいいのかというふうに考える方もいらっしゃいます。
 でも、最近はパートタイマーであっても残業を命じられる、正社員並みの責任を負わさせるというケースもありまして、非常にそういう意味でも子育てがしにくくなってきているなというふうに実感しているところです。
#45
○郡司彰君 先ほど、松岡さんの話の中で地域社会ということがございました。少子の問題は高齢の問題であって、その逆もまた同じような関係になるわけでありますけれども、地域的にとらえた場合、一方で独居といいますか、おひとり身のお年寄りの方が多数存在するようにもなってきた。そういう関係で、社会的に、保育の問題、それから子育ての問題といいますか、お年寄りの問題と、地域的に何か接点をつくってもよろしいのかなという思いがありますけれども、そのような事例も含めて、こういう形が望ましいというものが頭の中にございましたらお願いしたいと思います。
#46
○参考人(松岡俊彦君) 今、委員さんからの御質問はすごく核心を射ているなと思っております。
 高齢者の皆さんとそれから子供たちあるいは若者、今ちょうど輪切り状態のような社会になっているのが一番問題かなと思うんですね。それを地域の拠点として、あるいは地域を面として、日常生活の場面で一緒にお互いにかかわり合う場面をつくっていく、そしてそれが自然発生的にどんどん根広がっていけば一番いいわけで、そういう取り組みをやっておるんですが、どちらかといいましたら、さまざまの今までの経緯というのがイベント交流になっているかなと思うんですね。イベント交流もそれなりに、例えば高齢者にとってみても、子供と会えてすごく感激して涙をおこぼしになって、元気がわいてきたとおっしゃってくださるんですけれども、終わってしまったらそれっ放しだし、子供にとってみたら、おじいさん、おばあさんという一般の名詞なんですね。つまり、青木さんとか井上さんとか固有名詞の関係には実はならないんです。
 そこで、今度は保育園の子供たちを調査しますと、おじいさんやおばあさんが近くにいらっしゃってかかわりのある子供と全く核家族でそういう親子関係の単層化した関係だけの子供と比較しますと、表情が違うとか発想が違うとか、やっぱり優しいなという感じが明らかに違ってきているんですね。
 そこで、例えば私の園では具体的にデイサービスを保育園にくっつけた形でつくりまして、日常交流を目指しておるんです。月曜日、火曜日、高齢者の皆さんがデイサービスに登録してくださっていますので、決まっていますので、お見えになるときに、クラスの子供を、クラス全体じゃなくて四、五人ずつ交流をしますると、非常に個別関係になって温かい関係が生まれてきている。
 例えば、お母さんが我が子をお迎えに来て、帰り急ぎ足でスーパーに買い物に行ったとします。そうしたら、そこで見かけたおばあさんに向かって我が子が急に走っていって親しそうに話をしている。だれと話しているのか、お母さんは待たされておった。あなた一体だれと話していたのと言ったら、ああ、お母さん知らないんだよね、あの人は井上さんだよなんて得意になってその子が話している。
 これはいわゆる保育園や施設の中での世界じゃなくて、地域社会に広がっていくノーマライゼーションに多分なっていく。そういうのがこれからもっともっと広がっていくということがすごく大事で、多分その拠点となるのが子育てステーションである保育園みたいなところが一番理想的かなと思っております。
#47
○郡司彰君 今の話を聞いて意を強く増しました。逆な立場で、お年寄りの方々に結構立派な施設ができていて、デイケアとかいろんな形でですけれども、私なんかはそれよりも、あいている部屋を自治体が借り上げて、町内会単位ぐらいにそこをお任せして、子供たちも寄れるような、そういう場所をこまめにつくった方がかえっていいのかなというちょっと感じがしていたものですからお聞きしました。
 続けて松岡さんの方にお聞きしたいと思いますが、先ほど前田さんの方からも、戦前、日本の女性、特に農村部において仕事につく人がと。日本は実は今でも農村だけでいうと男百人に対して女九十七人が働いておりますけれども、統計上は収入とか保険の関係でいうと出てこない。しかし、実際には百人のうち九十七人が働いていらっしゃいまして、今まではどうしても都市に遍在した問題を話されることが多いわけでありますけれども、農村のそういう保育の現状というものはどんなふうになっているか、もしおわかりになれば。
#48
○参考人(松岡俊彦君) 今、御指摘のとおり、少子時代に入っていまして、大都市圏は爆発的な保育需要があって待機児解消策で今はあっぷあっぷしているというのが現実なんですが、確かに地方に行きますと非常に子供が少ないんです。そういう中で、保育園が一体どういうような役割をとらなければいけないかと。
 確かに子供が少なくなっていくと、コスト論からいきますると縮小していかなければいけない、そういういわゆる政策課題ももちろんあるんですけれども、ただ、子供が一人もいなくなってしまうようなことをイメージして統廃合してなくなってしまうということは、町全体が非常に寂しいなという情景になっていくかなと思うんです。やっぱり子供たちが元気が出るような拠点としての町づくり、村づくり、それがすごく大事なことになってくるんじゃないかな。
 また、保育園の問題でいきますると、今までの就学前の子供の保育を十分にすると同時に、学童保育をやったりショートステイやったり、あるいは高齢者の領域と一緒にノーマライゼーションの施設をつくったり障害者を取り込んだり、そういう広がりをつくっていくという思い切った改革といいましょうか、それも忘れてはならないことだなと思っております。
#49
○参考人(前田正子君) 補足、よろしいですか。
 私も農村部の保育園をちょっと調査したことがあるんですが、松岡先生もおっしゃった、保育園が最後の拠点ですので、保育園がなくなりますと、若い世帯は町を出ていくんです。ですから、数人の子供でも、子育て環境として保育園を維持したいというのが農村部の町の意思です。
 それと、私も驚いたんですけれども、地方の子供の方が家の中でゲームをしたりして外で遊ぶことが少ないです。それは、近所に全く子供がいないんです。学校もバスで何十分もかけて行きますし、帰ってくると、隣の子のおうちは何キロ先ですので、そういうところだからこそ、逆に保育園がないと子供は同い年の子供と遊ぶチャンスがないんです。ですから、過疎地の保育園には過疎地の保育園のさらに子供の発達保障という意味での存在意義があると思います。
#50
○郡司彰君 実際、本当にそのとおりでございまして、待機児童が数が多いというのはこれはもうきちんとしなければいけない。ところが、待機する子供が少ないところがもっと深刻な子供さんの精神的な発育に問題が起きているようなところもありますので、その辺もちょっとやっていかなくてはいけないのかなという感じがしています。
 それから、大きく言うと労働時間が長いんだというふうなことになるわけです。ところが、労働時間の短縮というのはもう方法は五つしかなくて、その五つのうち四つはほとんど役に立たない。いわゆる所定外の労働時間、残業をなくすかどうかということがこの問題に限っては一番のところになってくるわけです。
 ところが、実際にお話をお聞きすると、残業をやらないで帰ることはできるんだと、ところが、その仕事はほかの人には行かないで結局自分のところにたまりたまってきて、どうしようも処理ができなくなって、やっぱり自分で残らざるを得ないんだというふうな循環になっているということで、仕事量というものが、先ほどの話にもありましたように相当密度が濃くなってきておりますから、なかなかその辺のところが難しいんだと思うんですけれども、私はその問題はやっぱり意識的に労使も含めてやっていかなければいけないと思うんですが。
 もう一つ、日本の労働法政令というのは、いろんな概念が入ってきたときに、ほかの国に概念がなかったものについては余り法律がないんですね。例えば出向などという日本独自のシステムについては法律的なものがないし、それから単身赴任に対するものもほとんどないわけです。この日本独自の労働慣行が起こってきた原因その他についての時間はありませんから、今問題となっているとすれば、どういう形で是正すべきか、社会的にどういうことが必要かということをそれぞれちょっと四名の方に簡単にお聞かせいただきたいと思います。
#51
○参考人(前田正子君) 私、労働法については全然素人で詳しくないので、先生の御質問ちょっと難しくてあれなんですが、少なくとも転勤や単身赴任は物すごく大きいです。
 転勤は、やはり家族の基盤というのがありますし、おわかりのとおり、今待機児童が多いですから、保育園に入れるとその場所をもう移れないわけです。しかも、子供がいる世帯で三世帯同居している人たちは十数%しかいませんので、ほとんどは核家族でしている。ということは、少ないながらもいざというときの夫の手助けがないとやっていけませんので、それが転勤によって家族がばらばらになるとか単身赴任になる、夫が一人出ていくということは非常に大変なんです。
 しかも、もう一つの問題は、今はみんな働いていますので結婚と子供を産むのが遅くなっています。そうすると、子供が育ち上がらない四十代の前半で今度は親の介護が始まるんです。ですから、みんな、人口の高齢化が進んで若い労働力が減っていると同時に、結局人口が少ないので兄弟数も少なくて、その少ない人が親の介護もしないといけないという時代になっていますので、これは子育てだけの問題でなくて、世代を含めて、親の介護をだれがするか、子育てをどうするかというサンドイッチの世代をどう社会で支えるかという問題だと思います。
 そういう意味では、労働組合なんかの勉強会も少し行かせていただいておりますけれども、労働組合の幹部のおじ様方も子育ての問題や介護の問題に対して理解が余りよくなくて、要するに奥さんがやるんだからそれは女の問題だと思いがちだと思うんですけれども、介護休業などは男の人がすごくとっています。それは、今独身で結婚しない長男の男というのがふえているからです。
 ですから、そういう意味でも、もうこれは子育ても介護も女の問題でなくて男女を含めた社会全体、しかも社会を最も支える働き盛りに重くかかる問題だということで、考え方の変更が必要だと思います。
#52
○参考人(普光院亜紀君) 転勤については、一応今度の労働法の改正では子育て世代については配慮をするということが案として上がっていると思いますけれども、それをどれだけ実効性のあるものにするのか、配慮しないような措置が行われたときにその社員がどういうふうに異議申し立てができてどういうふうに救済されるのかというところが大変重要だと思いますので、実効性があって本当に家族を配慮したある程度企業政策が行われるように、指導のシステムといいますかあるいはちゃんとした罰則が要るのか、その辺、きちんとした制度づくりをしていただけるといいなというふうに思っております。
 それから、労働時間の短縮については、もう本当に私もどういう方法があるのかよくわからないんですが、非常に原則的に考えますと、まず何といってもサービス残業というのはやはりまだ随分多いのではないかというふうに思われます。ですから、サービス残業をきちんと取り締まるというか、しないという原則を徹底した上で、しかもその残業の割り増し率というのを高めるというのは一つの方法だろうなというふうに思います。
 結局、企業が残業させるということは、それだけ子育てとか介護といった社会の活動に対してコストをかけるということでありますので、企業がそのコストを適正に負担するためには、やはりそうやって割り増し手当をきちんと払う、それもそれなりの応分の負担になっているというような形にしないといけないというふうに思います。
 そうすると、企業の側は人件費が上がって国際競争力が落ちるとおっしゃるかもしれませんが、国際競争力が最終的な目的ではなくて、みんなが幸せにどうやって個人生活も確立していくかというところが最終目的なわけですから、そのあたりを見誤ってはいけないんではないかなというふうに思います。
#53
○参考人(松井香君) 非常に難しい問題だと思います。
 もちろん、出向や単身赴任や転勤というのがなくなればいいにこしたことはないですし、親の介護だとか皆さんおっしゃっていることは本当にそのままだと思うんですけれども、もう一歩ちょっと視点を変えてみて、こういう年配の方の多いお席でこういうことを言うのはちょっと僣越なんですけれども、家庭だとか家族だとかという単位自体、実は見直されるときに来ているかもしれないなと思うときもあって、家庭第一、家族第一、それを支えるために、引き裂かないためにというのではなくて、ともに産んだ子供であれば、男の人が引き取ってそちらに連れていって育てる、その環境があってもいいと思うんです。
 それには労働時間の問題だとかもちろんいろいろあると思うんですけれども、一歩先を行けば、社会全部で子供を育てるだとかそういうふうになる方が、家族、家庭がまず第一、絶対だよというのではこれから若い世代の人たちとちょっと食い違ってくるんじゃないかなというのもあえてここで提言させていただきたいと思います。
#54
○郡司彰君 時間がありませんので、最後に松岡さんの方にもう一度お聞きしたいと思います。
 子育てというか、お子さんを将来の労働力というふうにだけ見るのは寂しいものがありますし、また一面、夫婦がともに働くということも、ある意味での豊かさだけを求めるのもちょっと寂しいような気がするわけです。例えば、今、桜が咲いておりますけれども、気軽にげた履きで桜を見に行ける地域に住んでいる人と、それから立派なお弁当を買って桜を電車で見に行く人とどちらが豊かかということになると、これは大変難しい問題だろうと思うんですね。
 私自身は、民主党全体もそうなんですけれども、もう百万人、二百万人、地方にみんな戻って豊かな生活をするようなことを考えましょうよというふうなことを今言っているんですけれども、そういう中で、女性の働くというような条件は地方に行くたびに弱まるというふうなこともあるし、子育ての条件が整わないということもあるんでしょうけれども、いろんな意味での豊かさをもっと地方の方に見つけて、そういうところにみんなで暮らして楽しく過ごしましょうよと、そういう発想について御意見をお聞かせいただいて、質問を終わらさせていただきます。
#55
○参考人(松岡俊彦君) 地域を活性化する課題というのはすごく大事になってくる、これからますます二十一世紀は、私もそう思います。
 その中で保育園がどういう役割をとっていくかということになっていくんでしょうけれども、一つは、今の保育制度が利用者主権で選択される保育園という時代になってきましたけれども、それだけじゃなくて、保育園の役割としてこれから、さっきもいろいろお話し申し上げましたとおり、多機能型の保育センターといいましょうか、あるいは子育てセンターといいましょうか、それがすごく大事になってくるかなと。
 すべての保育園が夜間保育所をやって休日保育園をやって、あるいは病後児やってショートステイやってというのは逆立ちしても無理なものですから、例えば、地域保育マップといいましょうか、小圏域、中圏域、大圏域みたいなものをつくった上で、そこで核となる保育園と核となる保育センターと子育てセンターと、あとサテライト方式のいろんな個性を発揮した小さい保育園がたくさんあって、地域全体でみんなで役割をとり合っていく。例えば、虐待ケースについても、あるいは子育ての悩みの問題についても、あるいは保育、子育ての情報一切合財もそこでお手伝いできるなというふうに思うんです。
 それをつくっていくための役割としてだれがやるか。さっき申し上げましたとおり、保育士の専門性のレベルアップというのがすごく大事な課題になってくるかなと。これは、子供に対して保育者がいろんなことを教えてあげたり、あるいは導き出してあげたりする役割が今までの保育園だったわけですけれども、今度は親をどう元気になっていくように支援してあげられるか、これはすごく大事なところでして、いろんなスタンスを持った、いろんな問題意識をお持ちになったお母さんがそこにいらっしゃるわけですから、そのお母さんたちがそれぞれの立場で元気になっていただくためのサポート体制をつくっていく、そのための研修あるいは資格それから権限、その大幅な見直しをお願いしたいなと思うんです。
 その中に、当然保健婦さんだとか、あるいは心理相談の職員さんであるとか、あるいは栄養士さんだとか、そういう人たちもそこで役割をとることによって、あのスマイルマムのような事件、虐待のような事件、児童相談所が幾らきりきり舞いしても保育園には私はかなわないんじゃないかなと思うんです。そんなことを考えています。
 それから、公立保育所がちらっと話が出ましたけれども、公立保育所の体質改善がこれからどんどん必要になってくるんだろうなと思うんです。もしできなければ、しかるべき方法で、少しずつでいいから民営化していかなければいけない。なぜかといったら、さっき言いましたような役割は地域社会に広がっていかなければいけないわけで、どうしても構造的に公立保育所の場合には、そこからコストの問題というよりも、私はそこで機動性があるかどうかの問題としてとらえた場合に、思い切った体質改善ができなければ民営化していかなければいけない将来展望かなと思っております。
 それから、大きな問題で言えば、保育に欠ける子供が保育園の対象児でございましたけれども、さっきから御議論があるとおり、保育に欠けない子供も保育園の役割、幼稚園との関係は確かにあるんです。幼保一元化はなかなか平行線のまま進んでいないんですけれども、やっぱり利用者の立場で考えていきますと、一方が幼稚園、一方が保育園の区分というのは非常におかしいわけですね。将来展望で保育園と幼稚園が子育ての拠点としてのチームを組んで仕事をしていく時代がもう目の前に来なければいけないかなと思っております。その中に当然、縦割り構造に陥らないような学童保育、一貫性があるわけですから、そこも押さえてくださればいいななんて思っております。そういうことによって地域社会を活性化させていく。
 御質問のお答えになったかどうかわかりませんけれども、そんなふうに考えております。
#56
○林紀子君 日本共産党の林紀子でございます。
 きょうは、四人の皆様方から、お忙しい中来ていただきまして、有益なお話、本当にありがとうございました。
 私も、三十年以上前になりますが、三人の子供を全部保育園でお世話になりながら子育てをしてやってまいりましたので、今お話を聞きながら、みずからの体験と重ね合わせまして、あのときはつらかったなと思うようなことをいろいろ思い出しておりました。
 その一番つらかった保育園にかかわる思い出といいますのは、何といっても預けられる保育園がなかなか決まらないということだったんです。私が働いておりましたときにはまだ育児休業制度というのはありませんでしたから、産休が明けましたらすぐに子供をゼロ歳児で預けて、そして仕事に出なければいけないという状況だったんですけれども、産休に入りましたらすぐに、その前からいろいろ保育園を見つけていたんですけれども、仕事が一日じゅうあるとなかなかできないので、産休が始まったらすぐに大きいおなかを抱えながら保育所探しをして、そして子供が生まれて退院をいたしまして、産休明けになる前に保育所の近くに、三人子供がおりますので三度引っ越しをしたということなんです。
 今までもお話がありましたけれども、待機児童数というのが依然として減らない。保育所に預けたいという、特にゼロ歳児から二歳児ぐらいまでの低年齢の子供さんたちはなかなか待機児童数が減らないということで、大変これは深刻な問題だと思うわけです。
 定員枠を拡大するというのは、当面の対処にはなるけれども、やはり水増し対策なんじゃないかなと。先ほど過密保育というのはどうかというお話もありましたけれども、やはり待機児童の解消という意味では、子供にとってどういう保育が一番いいのかということを中心に据えながらこれを解決していくということが必要だというふうに思うわけです。
 今までもお話を伺いましたが、提案や御意見というのがありましたら、四人の参考人の方々にそれぞれお伺いしたいと思います。
#57
○参考人(普光院亜紀君) 今、本当にすぐにでも認可保育園を新設してほしい地域というのが都市部にはたくさんあるわけですけれども、結局自治体の財政難ということで取り組めないのか、あるいは先ほど前田さんがおっしゃったように、結局行政の方々はやはり母親が育てるべきだというふうに考えておられるのか、その辺、利用者として読みかねているところはあるんですが、とにかく財政難であっても進めてほしい。
 そのためには例えば、公立幼稚園なんかで廃園になっていっているような公共施設もありますよね。そういう余剰の公共施設などを何とか中を整備して認可保育園に変えていく。世田谷区なんかでは中学校の空き教室を保育園にしてしまったという話もありましたけれども、そういう形で、今即効性のある形でやはり新設なり増設なりをしていくことが大切なんではないかなというふうに思っております。
#58
○参考人(前田正子君) もう大体普光院参考人がおっしゃったんですけれども、やはり認可保育園の基準が余りに高いからつくりにくい、だから規制緩和をしてもっとつくりやすくすべきだという意見もありますし、基準を下げてでもふえれば、少なくとも劣悪なベビーホテルなどへ行かなくて済むからと、賛否両論あると思うんですけれども、やはり緊急避難的には、一時的には規制緩和をして基準を下げても、劣悪な施設に行かなくて済むような状況まで量をふやすのが先決かなと思います。しかし、緊急避難的に下げられた基準が永久的に保育の最低基準になって、安くて質の悪い保育でいいじゃないかとなるのは非常に危険だと思いますので、やはりそこら辺のめり張りをつけることが必要だと思います。
 私なんかがちょっと思いますのは、新しく土地を買って建物を建てたりすることはすごく難しいんですけれども、最近は世帯数が減っていますし、子供の数が減っていますので、親が亡くなった後、子供が継がずに売りに出される庭つき一軒家って結構あるんですよね。結構大きいおうちでも、今は不動産の値段が下がっていますので一億円ぐらい出せば立派な庭つき一軒家が都内でも買えますので、そういうところを買い取って小規模保育室などにしていくといいんじゃないか。
 私は、先般、少子化特例交付金というのが二千億円出ましたけれども、あれで一億の家を買えば二千軒で、子供を二十人集めればそれで四万人子供が入れるって思ったりもしていたんですけれども、そのお金はどこに行ったのかよくわからないんですけれども、そういうふうにめり張りのあるお金の使い方をすることが必要だと思います。
 以上です。
#59
○参考人(松岡俊彦君) 今、いろんな選択肢を国が量を確保するためにお使いになっていらっしゃるわけですけれども、いろいろあれこれやってみまして、私が一番これから必要になって実際にこれを生かしていきたいなと思うのは分園制度かなと思っております、分園。
 といいますのは、本園がありまして、本園は多分駅の近くには大部分の保育園はないと思うんですね。駅の周辺のそれにふさわしいような保育室をつくるという格好なんです。実は私の園でもやっておるんですが、駅からさほど遠くないんですけれども、駅のすぐ近くのシアター淵野辺という映画館がありまして、それは健全な映画をやっているところなんですが、その中の会議室を改造しまして分園をつくりました。大してお金がかからなくて、多分立派な保育環境を用意できたなと人は評価してくれる施設になったと思っております。そうしたら、保育園が来たということで、小児科クリニックが今度は上に入ったりしまして複合関係ができるんです。
 それはゼロ歳と一歳の保育室。なぜかといいましたら園庭がございませんでしたから。だけれども、今度規制緩和で、近くに公有地、公共の広場、公園等がありますれば、それを園庭に準じて認めましょうというふうにどんどん改革が行われて、私は公園があれば十分じゃないかなと思っております。公園でこそ、いろんな子供たち、いろんな皆さんとの触れ合い交流ができるわけですから。
 それで、分園政策を、これはさっきも言いましたとおり、施設整備をしなくて中の一部改造費で済みますので、あとは家賃だけの問題ですから。わかりやすく言いますと、施設整備に国、県、市の補助金で、例えば自治体でいきますと、六千万、七千万ぐらいの補助金が多分かかるんですよ。ところが、家賃補助で、うちの場合でいいますと、月額五十万とすれば年間で六百万です。十年で六千万なんですよ。即効性があって、六千万用意しないですぐにでも使える、そういう意味では効果的かなということが一つあるのと、それからさっきお話がありましたとおり、今は過密なんですが、子供が少なくなってきたら、職員の手当てだけすれば撤退が十分に可能なんですね。だから、分園は有効かなと思っております。
 ただ分園が、今の条件では本園が行っている機能しかそこではできないんです。私は、そうじゃなくて社会福祉法人が、本園が普通型保育園であっても、夜間保育園の分室であったり病後児の分室であったり一時保育の分室であったり、そういうニーズに合った役割をおつくりになっていただける条件が満たされるならば、一番理想的で合理的かなと思っております。
 終わります。
#60
○参考人(松井香君) あくまでも私の場合は自分個人の話をさせていただくしかないんですが、私も小さい子を預けようと思ったときに、世田谷なんですけれども、スナックのカウンターの上にベビーベッドが置いてあるような保育室が結構あるんですね。真っ暗の中で、恐らく散歩もさせてもらえない、そういう保育室にも預けざるを得ない状況というのは確かにあって、そういう民間のところでも、それでその人たちは食べていけるので恐らく需要があると思うんですけれども、私はそこに預けたくなかったので、いろいろ調べたところ、保育ママという保育制度がありますよね。あれは非常に有効で、地域のお母さんがきちんと行政で管理された規定のもとに預かって、時々散歩にも出していただいて、愛情を持って、触れ合いを持ってくださる。たしか、免許とかも余り厳格な取り決めもなくできる、一番身近にできるそういうことをぜひもっとふやしていただきたいのと、そういう存在を知らない人も多いですし、そういうことをすることによって、ある意味ではしている人たちも、子供好きの人たちが生活が潤ったりだとか、そうやって社会に出ていく人たちもいると思うので、そういう保育ママというやり方も、ぜひもっと進めていただきたいなと思います。
 あと、保育ママまでいかなくても、民間で助け合っている人たちというのもいて、それはお金を取らないと責任も持てないしというので、一時間三百円とか五百円でお互いに助け合うというサークルといいますか団体もあるんですね。私もそういうところに預けたことがあるんですけれども、でもやはり保育ママには劣るんです。規定が明確ではありませんし、ずっと泣き続けてほっておかれることもあります。できればそういうところを黙殺といいますか、見て見ぬふりするのではなくて、やはりそういう抜け目のところ、スナックの一室だとか、三百円、五百円で預かっているんだけれども、もしかしたらそこでたくさんの子供を預かってしまっているだとか、見えないところが絶対あると思うので、そこら辺にもぜひ目を向けていただいて、保育ママのような、ちょっと民間の力をかりつつ、行政の力が入って健全に子供が育っていければなと思います。
#61
○林紀子君 今、規制緩和というお話が出てまいりましたけれども、その規制緩和の中でいろいろな規制緩和があると思うんですけれども、やっぱり私が一番今心配しているのは、その規制緩和ということで株式会社へ委託をする。今までは、認可の保育所というのは市町村とか社会福祉法人というところが担っていたのに、株式会社もそれは参入していいよという話になっていくんじゃないかというふうに伺っているんですけれども、保育所というのは人件費が八〇%ぐらいを占めるということです。そうしますと、どうしてもそこで利益を上げようというふうに考えましたら、その人件費のところを何とか安くしていくというふうになってしまうのではないか。
 ですから、きちんとした保育士さんというより、パートとかアルバイトでもいいよと、神奈川県の大和市でしたっけ、あそこなんかはそういうことだったというふうにも聞いておりますし、その辺についての規制緩和の心配といいますか、そういう辺はどういうふうにお考えになっているか、保育関係の三人の方々にちょっと伺えたらと思います。
#62
○参考人(前田正子君) スマイルマムは無認可保育園ですよね。今の規制緩和というのは認可保育園の運営主体の規制緩和ですので、親の立場からいえば、どんな運営主体だろうが認可保育園ならばふえる方が絶対いいです。それはだれがやっていようが、ネズミをとる猫はいい猫ですから同じことですね。しかも、もしふえれば本当に親が選択できます。認可保育園ですから一定の基準を満たしていて、そして数があれば初めて認可保育園の中で選ぶことができますから、私としてはやっぱり数がふえれば……。
 もちろん、先生が危惧なさるのはわかります。今まで株式会社というのは参入の形態がありませんけれども、数がふえることはいいことだと思います。なぜかといいますと、じゃ、公立保育園がすごくいい認可保育園でいい保育しているかというと、そうじゃないんですよね。同じ認可保育園でも、公立保育園でも民間保育園でも、質にはすごくばらつきがあるんです。
 全国を見て回りますと、認可保育園の中にはさすがこんなにすばらしいという保育園もあれば、これのどこが認可保育園なのかというような保育園があるんです。地方の公立保育園なんかですと、実際にあったお話ですけれども、六時の閉園時間なんですけれども、掃除に二時間かかるから四時には迎えに来いとか、土曜日の保育はしんどいから預けるなとか、そういうことが平気で行われている認可保育園も一部にはあるんです。それは極端な例ですけれども、何にせよ、数がふえて認可保育園のレベルになれば一番いいと。
 しかし、先生が危惧なさるように、株式会社になれば、じゃ運営費をどこに回すのかということになりますね。危惧はありますけれども、そこは何かの規制を入れていただきたい。
 それから、もちろんわかりますように、人件費を下げてパートの方にさせれば当然保育の質は下がります。しかし、認可の場合はパート保母を入れる一定の歯どめがありますよね。ですから、そういう意味で私は、いずれにせよ認可保育園が、今財政難でいろいろありますけれども、何とかふえるのは評価したいと思います。
 以上です。
#63
○参考人(普光院亜紀君) 利用者の立場から見れば、本当にどういう運営主体であろうと、ちゃんとした保育をしていただければ運営主体の種別は問わないというのはまさにそのとおりだと思います。ただ、実態として考えましたときに、株式会社が参入するというと大手の企業ががんがん認可保育園をつくるというようなことをマスコミ等世間の方が想像されることがあるようなんですが、そういうことが多分保育という事業では無理なんではないかということは感じております。
 つまり、先ほどおっしゃったように人件費が主体の事業ですので、そこから利益を上げるということは、人件費等すべての経費を払った後に純粋な利益が計上されなきゃいけないわけで、通常、企業というのはそういう純粋な利益を右肩上がりに上げていこうというのが普通ですので、そういう利益を上げていきたいという動機で企業が参入してくるとすれば、それは恐らくその企業は目的を達成できないので撤退するというようなことになるんではないか。つまり、どのぐらいの企業に保育事業にどんどん参入する適性があるのかなということは、私は疑問に思っております。
 そのときに、私が一番恐れておりますのは、別に種別は何でもいいんですが、企業が参入しやすいような最低基準に変えていこうというふうになっていくということを私は心配しております。やはり今まで認可保育園の制度が非常にうまくいい保育を保障してきたというのは、あくまでも子供の視点でつくられて、最低基準を徹底してきたからであって、それを、事業者をふやすためにその基準を変えようというのは逆転しているのではないかなというふうに思います。
 でも、そう言っていますと、一体じゃどうやって認可保育園をふやすのだということになってしまうと思いますけれども、私は大手企業ではなくても、それほどの右肩上がりの利益を求めずに保育という事業をやっていこうという事業者はいるんではないかというふうに思いますし、また現在、認可外保育施設で自治体の助成金などを受けている施設の中には、非常に志の高い家庭的な保育とか手厚い保育をやって、献身的にやっておられる事業者の方もいらっしゃいますので、そういう事業者の方にもっと施設援助なりをして広く認可保育園等をやっていただけるとなおいいのではないかなというふうに思っております。
#64
○参考人(松岡俊彦君) 今、今日的な問題で、これは大変マスコミ等をにぎわしている問題でございます。厚生労働省、これは思い切ってもう既に民間参入を進めております。これについて、私から申し上げますのは私見ということでお許しください。保育団体は、当然守るために反対と、多分やるでしょうからね。
 今までの我々の保育園の体質というのが、どうしてもやっぱり親方日の丸、さっき申し上げました。その中で、ハードな条件をやらなくても仕事ができていて、行政から保障されていたという経緯が多分あるんだろうなと思います。行政自身も多分、自治体自身がそれを受けてバランス感覚の中で一緒に仕事をして、とりあえず今まで、ここまで乗り切ってきたわけですから、だから非常に消極的な体質からなかなか抜けてこないという意味があるでしょうね。絶対数を確保するために、待機児解消策としてのプログラムがいろいろあるんですけれども、もう一つは、そこに活力を与える、刺激を与えるという意味が国の方針では多分あるんだろうな、そんなふうに実は考えられるわけです。
 実際に、今参入してくださっている株式会社、本当はNPO、学校法人も含めてなんですが、株式会社で、さっきちょっとお二人の参考人さんからも話がありましたけれども、なかなかやっぱり参入できないんですよ。なぜかといったら、そこに保育園をつくるということは一定の設備投資をしなければいけないわけですね。それだけのペイができるかといったら、企業のお立場から考えたらちょっと難しいだろうなと多分お考えになるでしょうから。
 高齢者の介護の方も実は同じで、訪問の方はやるんですけれども、実際にデイをつくったり特養施設をやるところはやっぱりコムスンさんのように失敗してしまうということがあるんだろうなと思うんです。
 この間もちょっと大騒ぎになったのは、公立保育所を民営化するところに同じ条件で競争していただこうじゃないかと、そういう中で株式会社さんがおとりになった地域も実はございます。一定の条件をもちろん課しまして、最低基準を満たしていただくことが条件です、これは。そして、一定の役割をおとりになっていただいて、その役割が終わったら当然のことながら撤退していただくということを条件に据えるならば、私見ですけれども、私は、一定レベルに達しているところは活性化するために必要な時代になってきたかなと思っております。絶対反対と言って我田引水の世界に閉じこもってはいけないんだろうなと思っております。
 例えば、東京あたりは御承知のとおり認可保育所に対して認可制度、最低基準に対して東京都の認証保育所制度というのをもう既につくっているんです。最低基準を下げて、待機児解消をおとりになって、それは都が責任を持って保育を保障しますよという仕掛けになっているわけです。横浜も横浜保育室をやはり同じように持っております。
 さっきのいろいろな御質問の中にありました待機児解消策の一つの自治体のお考えですから、そういうのも出てくる時代だということを我々は認識しております。一定の条件にして、子供たちが少なくとも差別、区別を受けないように、そこだけはきっちりやっぱり保障しなければいけないなと思っております。
#65
○清水澄子君 社民党の清水澄子です。
 いろいろ今までに御意見伺っていながら、ほとんど問題提起はされていらっしゃるので、あえてお伺いするという点が、時間も少ないんですけれども、ただ、私は、さっきからおっしゃっているように、仕事と家庭生活の両立というのは、やっぱり労働時間の短縮というのが非常に大きな要素だと思いますし、それから、これまでの日本の政策社会の中では、家族とか育児、介護とか、そういう問題は私的な領域の問題として、社会政策でそれをフォローするという価値観が今まで余りなかったですから非常におくれていると思います。
 ですから、いろんな制度が、保育所一つにしても非常に何かちょっと違った目的でつくられてきましたから、今日のような状況の中に、もっとより本当に男性も女性も自立しながら働く、そして、そのための家族生活というのをどのように両立させるかということは、非常に根本的にいろんな施設のあり方も、それから、現在あるいろんな制度とか施設を垣根を取り払ってもっと使いやすいものにしなければならない時代に来ているんだろうと思っているんです。
 そういう中で、女性の働き方はすごい多様化していますね、今は。二千二百万人働いていても半数以上が非常に短期のさまざまな雇用形態ですけれども、それに合わせた育児ならば育児、介護なら介護をケアする、フォローする社会的な制度が非常におくれていますから、その辺で私はこうしていっぱい問題があるんだと思うんです。
 その場合に気をつけなければいけないのは、最近すぐ、少子化で子供の数が減った、そうすると施設が定員割れになるというような話が先に出てしまうわけですね。そしてその上に地方財政の悪化、そして財政負担はそれは困るんだというようなところからこの問題を解決しようとすると非常に難しいと思うんですけれども、そういう中でやはり私たちはともすればそういう現象にとらわれるんですが、本来、子供そのものの人権というんですか、子供がどういう育ちを、私たちが、大人社会がつくっていくかということとあわせて、今後の働くということと家庭を支える新しい政策というのは今現在あるものでもどういうふうに使ったらいいかなと。
 さっき、保育所が地域の子育て支援のセンターになるでしょうとおっしゃってはいるんですが、もう少しいろんな使えるものというのがあると思うんですね。そういう点で、皆さんがイメージされていることについて、こういうふうにあったらいいということについてお一人ずつお話しいただきたい。
 それから、一つ私は松岡参考人にお伺いしたいんですが、非常に幼保一元化というのが盛んに言われます。ここでは参考人の方は幼保という言葉は一つも出ていない、逆に保育と看護領域の一体化とか、私はこちらの方がいいと思いますけれども、しかし幼保一元化ということの方が国会ではいつも言われます。そういう場合に、幼保一元化問題というのは施設の一元化のようになっているんですけれども、そうじゃなくて、地域の子育て支援の一元化というのはどのようにお考えになっていらっしゃるか、私は時間が短いので、それだけお伺いをして終わりたいと思います。
 どうぞ、最初の問題ずっと言ってください。
#66
○参考人(松岡俊彦君) 今、大変難しい質問が出てきました。御指摘の幼保一元化の問題ということなんですけれども、今、保育園を利用している立場から言わせていただきますると、保育園を利用する保育に欠ける子供の保育、これは非常に多様な保育サービスということでますます期待されているのは先ほどお話し申し上げましたとおりです。
 それからもう一つは、保育に欠けていないんだけれども、今子供が育っている環境の中で、友達関係、あるいは専業主婦の家庭で父親が子育てに参加してくれない、あるいは地域で近隣関係がかつての時代と比べてうまくでき上がっていない、非常に孤立化している社会。その中で、保育園にどうぞ遊びに来てください、保育園に来てお友達をいっぱいつくってあげてください、これは開放なんですが、開放してさしあげると、今、例えば私の園には毎週毎週金曜日なんですが、いきいき子育てフライディといいますが、百組以上の人たちが集まってきて、そして保育園が何かを教えてさしあげるんじゃなくて、AさんとBさん、あるいはCさんとDさんがお互いに友達関係をつくっていく。それからまた、みんなで何かやろうよと親たちの中で自主的に出てくるのをバックアップするというんでしょうか、そういうどちらかといったらソーシャルワークの領域みたいなことを意識しながらやっておるんです。そのことによって、お見えになったときとお帰りになるときと表情は子供もお母さんもすごく変わってくるということ。
 それは子育て支援の事業というのがますます問われてきているなということなんですが、もちろん個別には相談の問題、虐待の問題、いろいろあるんですけれども、つまり保育に欠けない子供たち、だけれども保育を要する子供とでも言いましょうかね、こうなってくると実は幼稚園さんとの関係がありまして、先ほども言いましたけれども、利用者の立場から考えますと、保育園と幼稚園は制度的には所轄が違って、法律が違ってということになるんですけれども、何で違うんだと、同じでいいじゃないかという議論になる。
 そこで、これは今までさんざん議論してきたんだけれども、お互いに施設をくっつけてもいいよとか、物を両方共用化してもいいよのレベルしか行かないんですが、二十一世紀の近い将来には、一緒に地域の子育てをしていく資源としてお互いに役割をとっていく時代はもう目の前に来ているかなと思っております。そういう意味で、思い切った大胆なパラダイムチェンジが必要な時代になってきたことを私どもは自覚しているというところなのでございます。
#67
○参考人(前田正子君) 清水先生の御質問、大変難しくて私の能力を超えているんですけれども、少し視点を変えて先生方にお伝えしたいのは、二〇一五年には日本の高齢化率は二五%になるわけですね。あともう十四年で四人に一人は高齢者ですので、生産年齢人口が二・五人に、年少人口が〇・五人です。大学進学率も上がっておりますし、事実上二十ぐらいまで子供たちは学校に行って働かないわけですから、四人に一人が六十五歳以上で年金をもらう高齢者、残り一人が学生、子供ですよね。日本の人口の四人に二人がこの社会の経済活動を支える生産年齢人口であり、子供を産み育てる世代であり、しかも高齢者の介護もする世代なんです。もうすごく少ないわけです。団塊の世代までは兄弟四人、五人が当たり前でしたから、長男だけ田舎へ残って親の介護を任せて、次男、三男はこちらで働けましたけれども、もう四十代前半から以下は、男の四人に三人は長男、女の四人に三人は長女なんです。という形で、結局、人口構成や労働力のあり方で社会の制度のあり方、価値観も決まるんですね。
 これだけ急激に高齢化が進んで人口構成が変わるということは、少ない若年生産年齢人口が、経済的な社会活動もして、子供を産み育てて、親も介護するという社会の再生産活動の両方を担わなきゃいけないことです。それを支える制度が必要なんですね、ありとあらゆる場面で。若くて元気な労働力は家庭でも少なくなるし、社会でも減るわけです。ですから、この急激な人口構成に合わせてやはり社会の制度も急激に変わる必要がある。
 社会の制度が変わるためには、非常に難しいことなんですけれども、今までゆっくり戦後五十年かけて培われてきた私たちの価値観を将来に向けて変えていかなきゃいけない難しい時代に来ているんですね。ですから、今までの家庭や子育てや介護のあり方を一度ゼロにして、本当にこの社会が希望が持てる、人口高齢化を前提にしてどういう社会が維持可能かというのを考えて制度全般を組み立てていかないと難しい時代が来るということをちょっと大きい話としてお伝えしたいと思います。
#68
○参考人(普光院亜紀君) 私も、ちょっと非常にマクロな御視点からの御質問だったので、非常にお答えするのが難しいなと思っているところなんですけれども。
 やはり今、前田さんがおっしゃったように、これからもちろん保育に欠ける家庭の増大というのはもう確かなことだと思うんですね。そのときに、働きながら子育てをする人が必要とする保育サービスというのは非常にヘビーなもので、介護とまた少し違って、しかも求められているものは非常に似通っているというか、各家庭による違いというのが少ないといいますか、つまり例えばフルタイマーといいますか、フルパートタイマーでもある程度働こうと思いますと毎日十時間、十一時間、最低週五日という分量が必要になるわけで、この量というのは並大抵のものではなかなか得られないものです。
 例えば、いろんな民間サービスがあるではないかと言われますけれども、ベビーシッターであるとか、もちろん負担が大き過ぎて無理ですし、ファミリーサポートセンターといいますと、やはり互助活動の世界ですので、そんな毎日十時間も預かれるという預かり手は少ないというように、非常に提供が難しいサービスなんですね。しかも子供にとって非常に影響力の大きい部分だということで、私は保育サービスについて申し上げたいのは、もうベーシックな、恐らくだれしもが必要とする部分というのはしっかりと行政責任で提供する。それ以上のもの、オプション的なものというのはある程度応益負担で利用者なりが買ったり、あるいは互助活動の中から見つけていくということは可能かと思うんですが、この基本的な、ベーシックな保育部分というのを何とかあらゆる所得階層の人が利用できるように提供していくということが大切ではないかなと思います。
 ある程度長時間労働みたいなことを考えましたときに、企業側が、サービス残業ではなくてきちんと残業手当も出す、そして、余りにも安過ぎるパート賃金ではなくて相応のパート賃金を払うということをすることで、また親の側もそれで保育のコストをある程度応分に負担していけるということもあると思いますので、そのような社会的な循環といいますか、そういうものをある程度見据えて保育制度も労働制度も考えていかなくてはならないんではないかなというふうに思います。
#69
○参考人(松井香君) 先ほどから伺っていますと、ある程度お話が出尽くしてしまっていて、介護の問題と、あと男性も女性も仕事の時間を分けるべきというところにどうもフォーカスしていっているように私には聞こえるんです。
 あえてここでもう一つ視点を大きくして、ともに生きるということであれば、もう一度申し上げますが、家庭だとか夫と妻がという視点でなくて、もうちょっと大きい視野で、本当にこれから結婚しない人もふえますし、結婚しないで親を介護しなければいけない人もふえるわけですから、もうちょっと大きい視点で、社会で何とかならないか、それを具体的に落とし込むとどうなるかなと考えたときに、例えば、先ほどから保育園の問題に集中しているけれども、その先、小学校ではどうなのというところもぜひ考えなければいけないし、小学校って結構学区ですごく分かれているんですね。それって、この地域の子たちはこの線から出ないという発想だと思うんですけれども、そうではなくてもっと大きいところで、そこで交流というのがあってもいいと思うし、もうちょっと視点を変えたところで考えていただけないかなというのをあえて申し上げておきます。
#70
○高橋紀世子君 私は、三人の子供を保育園ではなく幼稚園に出しました。三人でしたから、送り迎えのことでも本当に、三年保育でしたから、そのときは幼稚園の送り迎えで始終しているような感じでしたけれども。車で送っていらっしゃる方があったりいろいろでしたけれども、ほとんど母親が送ってきているんですね。それで行って、そして迎えに来るんです。
 私が思ったのは、幼稚園、保育園でその場所がもう少し開放されて、地域の結びつきやら活性化に何か使えるようになったらお母さんたちの時間も有効に使えるし、それから地域の結びつきにもなるし、どうかしらと思うんです。
 このごろいろんな嫌な殺人事件とか小ちゃな子供が殺人したりして、しかも、それが案外少人数の地域だったりするんですけれども。本当に昔だったらコミュニケーションが行き届いていて、その子供たちが悪いことをする前にうわさが立ったりやめさせたり何かあったと思うのですけれども、大都会じゃないところで一年も二年もそのお子さんが変な行動をしていてもちっともわからずに、ああ、やっぱりそうだったのかというような事件があるのを思いますと、保育園なんかでいい交流の場ができたらいいんではないかと私は思います。
 それで、例えば、このごろ少し部屋が余ってる幼稚園もありますし、そこでお母さん方がボランティア活動のために何かつくってもいいし、そこが父親、母親の町の一つの交流場面になっていったらどうかしらと思うんです。例えばフォークダンスの集いというとにぎやか過ぎるかもしれませんが、保育園を何かそういう夢のある、そこに住んでいる人たちのいい出会いの場所にするというアイデアで先生方、何か楽しい夢のあるアイデアがあったら、きょう、お話しいただきたいと思います。
#71
○参考人(普光院亜紀君) アイデアというわけではないんですけれども、私は、ちょっとそれに関連して危惧しておりますことがあります。
 と申しますのは、今都市部の会員が通っております保育園でのいろいろな話を聞きますと、やはり今働き方が非常にハードになっているために、保育園でもなるべく親の負担を減らそうということで行事などももうやめる方向であったりとか、親も、私たちのような会ですと親同士の結びつきを大切だと思っているので保育園を考える親の会の中でネットワークをわざわざつくっているわけですけれども、でも、保育園の父母会、保護者会のようなものも父母の負担になるからやめてしまおうとか、プライバシーの問題があるから親同士の電話番号ももう教えないでおこうとか、そういう形で、子育てには一番地域のネットワークが必要なのに、そのネットワークをなくしていこうという、ネットワークはかえって親の負担だという思いやりだったり、あるいは個人のプライバシーのためにネットワークは要らないというようなことになったりとかしがちな傾向がどうしても見えてしまう。
 私は、もちろん割とハードに働いている親たちの会をやっておりますので、行事等が平日に行われて子供の病気で休まなきゃいけないのにほかのときに親が休みをとらなきゃいけない状況というのは非常に悲惨だし、できればそういう負担をなるべく減らしてほしいというのは確かにあるんですが、一方で、何とかうまく工夫して親が保育園で地域のネットワークを獲得できるように保護者会なんかも盛り立ててほしいし、日程を自由に選べる保育園のイベント、例えば、私の行っていた保育園ですと、保育園に親がお手伝いに行く日というのがありまして、それが数日間設けられていて、好きなときの好きな時間に来ればいいよということで、そこにお手伝いに行った日は、自分の子供がいつものとおり遊ぶのを横目で見ながら親は保育園のいすを洗ったりとか、そういう奉仕活動ができて大変私にとっても貴重な体験だったんですが、忙しいからこれもこれも切り捨ててしまおうというと、せっかくの保育園がどんどん貧しいものになっていく。
 ですから、そういうのではなくて、やはりおっしゃったような、もちろん地域活動も含めて、もっと地域に親が入れるような場に意識的にしていく必要があるんではないかなというふうに思っております。
#72
○参考人(松井香君) そういう意味では私、地域に余り根差している生活をしていないんですけれども、地域の小学校でおもちつきだとか夏祭りだとか、あと回覧板で防災訓練だとか、結構、世田谷ですけれども、昔ながらのものを活用して、その小学校でのおもちつきも、別にその学区ではなくていろんなところから来てできる。そこでお年寄りの方と本当にお話しすることもできますし、それがあるとなると、前のおばあさんがうちの子供たちに、今度は隣の小学校でおもちつきがある、お菓子がもらえるからいらっしゃいと言っていただいて、行くとそのおばあさんがいてお話をする。
 本当にわずかなことですけれども、そういうことで現実にやっているところもありますし、そういうものがどんどん広がっていくといいなと、現実やっている立場としてはそういうことをとてもありがたく思っています。
 以上です。
#73
○高橋紀世子君 今おっしゃったように、本当にそういうぬくもりのある交流が母親や父親とありますと、さっき申し上げたように、子供たちが殺人を犯すまでにいろんな危険な行動をしているときに周囲がわかっておかしいじゃないかととめることもできると思うんですけれども、このごろ事件がもう最終段階になってからわかったりする事件があるので、案外、地域で保育園や小学校で温かいぬくもりのある交流をするのは大切かしらと思います。
#74
○参考人(松岡俊彦君) 保育園が果たす役割は、保育に欠ける子供をすっぽり受け入れて、そして親にかわって保育をする。その役割がもちろん中心なんですけれども、その保育園の機能は、長年蓄積したノウハウといいましょうか、それを地域社会に、保育園は特別事業をやるんじゃなくて、自然体で開放するということなんでしょうかね。それが、地域社会が余り気兼ねしないで専業主婦の御家庭を含めて保育の中にお入りになって、そしていろんな刺激を受けたり友達をつくったり、あるいは我が子を少し客観的に見て、我が子とのかかわり方をそれなりに学んでいく機会になったり、そういう意味ではすごく大きな役割を発揮しているんですけれども、今の御質問にありました相談事例はすごくふえてきました。
 例えば、自分が産んだ子供なのにどうしても好きになれないとか、あるいは無意識のうちに手を上げている自分が恐ろしいから話を聞いてください、あるいはふろに入れているんだけれども頭をつかんで水の中につけてしまいたくなるような衝動に駆られるとか、そういうケースは匿名の電話相談でかかってくるんです。
 そういう相談を丁寧に我々は受けております。とんでもないという建前論でやらないで、お母さんの気持ちよくわかるよというつながり方でお受けしますとしょっちゅう電話がかかってくるようになるんです。気持ちに寄り添いながら、お母さん自身の気持ちを、ストレスを取ってさしあげるという役割に多分なるんでしょうけれども。あわせて、お母さんどうですか、そのお子さんを一時保育で保育園でお預かりするから少しお母さん自分の時間をお持ちなさいよもやるんですね。そういうお母さんが何人か出るんですけれども、そのお母さんが、オアシスといいまして、地域活動の中で中心的な役割を発揮しまして、同じようなタイプの悩んでいる親たちに、そういう電話をかけてきたお母さんがもうリーダーシップをおとりになってお声をかけてくださったりするようになるんです。
 一つの事例なんですが、お母さんがうつ病で保育園に入ってきたお子さんです。お兄ちゃんが五歳児で情緒障害児でした。それで、三歳のお子さんがいて、三歳のお子さんがおたふく風邪になったんです。お母さんがもう子供を見れないんだということで、保育園に相談しない、自分の主人にも相談しない、おじいちゃんにも相談しない。そのうつ病のお母さんが児童相談所に子供を殺したくなるんだという電話をかけたんですよ。児童福祉司が飛んできて、それは大変だ、とにかくあの事件が起きた直後だったから、すぐに一時保護しますということで、中央児童相談所というところにあした連れていくということになったんです。
 その話を聞いた父親から私のところに電話があって、園長さんはどう思うかと、私に何も相談しないでそんな勝手に決めてどう思うかと言うから、お父さんできるかな、一緒にやろうかということで、そして、まず保育園に来ていた子供を複合する夜間保育所の方に変更しまして、それから休日保育もやります。それから、ショートステイ事業というのをやっていまして、これは、施設の中で泊まるよりも、子育てが終わったベテランの保育者たちが登録している里親制度なんですが、これも併用しまして、そして子供を一週間ほど預かったんですね。そうしましたら御主人から電話が入って、僕は今まで子育てで何もやらなかったことを反省している、やっぱり子供がいないとすごく寂しいんだと。だから、子供を引き取りたいので帰してもらいたい。実は私の家で預かったんですけれども、私の家に子供を迎えに来ました。そして、もうここで卒園したんですけれども、今までとは大分展開が変わって、お父さんが子供の遊び相手になり、あるいは力になるよという関係が成立してすごくよかったなと思うんです。
 いろんなケースがございますけれども、個別にいろんな場面で保育園が役割をとっていかなければいけないんだけれども、今おっしゃったようなケースはもちろん保育園の中心となる活動なんだけれども、その背景一つ一つはいろんな問題を抱えているというふうに御理解いただければと思います。
#75
○参考人(前田正子君) 今も御三方からお話があったんですけれども、特に松岡参考人がおっしゃられたとおり、今地域にある認可保育園が果たしている役割というのは、直接的に保育に欠けた子供たちだけではなくてその親ですね、それからその地域に住む子供たちや親を支える機能を果たし出しているんです、一部の優良な認可保育園ですけれども。それが認可保育園の役割であって、いわゆる時間預かりで幾らか地域と離れた場所でただ預かる託児とは違うんですね。それほどやっぱり認可保育園の役割は重要だということをわかっていただきたいということと、それから認可保育園ですから、今、休日保育だ、延長保育だ、一時保育だ、それからこのように虐待の問題とか、地域に孤立している母親が多くて育児相談もしろとか、現場はやっぱりすごく大変だと思うんです。
 ですから、先生たちが余裕を持って、難しい子育ての問題がさらに難しくなっているだけに、対応できるだけの人員などをもう少し認可保育園に配置をしていただきたいということと、確かに認可保育園をもう少し効率的に運営することは必要ですけれども、そんなに高くないんですよね。小学校に比べれば全然少ない予算ですし、国の保育予算も七千六百億円ぐらいでGDPの〇・〇二%ぐらいですので、もう少し子供に手厚く、子育てを守るという観点で予算配分なんかもしていただきたいと思います。
#76
○高橋紀世子君 そうですね、本当にそう思います。
#77
○会長(石井道子君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の方々におかれましては、長時間にわたり大変有益な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。ただいまお伺いいたしました御発言につきましては、今後の調査の参考にさせていただきたいと存じます。本調査会を代表いたしまして心から厚く御礼を申し上げる次第でございます。
 まことにありがとうございました。(拍手)
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時三十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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