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2001/02/21 第151回国会 参議院 参議院会議録情報 第151回国会 国民生活・経済に関する調査会 第2号
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2001/02/21 第151回国会 参議院

参議院会議録情報 第151回国会 国民生活・経済に関する調査会 第2号

#1
第151回国会 国民生活・経済に関する調査会 第2号
平成十三年二月二十一日(水曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
   委員の異動
 二月十九日
    辞任         補欠選任
     沢 たまき君     松 あきら君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    会 長         久保  亘君
    理 事
                久世 公堯君
                中原  爽君
                内藤 正光君
                但馬 久美君
                畑野 君枝君
               日下部禧代子君
    委 員
                加納 時男君
                岸  宏一君
                久野 恒一君
                佐藤 昭郎君
                斉藤 滋宣君
                日出 英輔君
                吉村剛太郎君
                勝木 健司君
                佐藤 泰介君
                竹村 泰子君
                藁科 滿治君
                山本  保君
                西山登紀子君
                大渕 絹子君
                松岡滿壽男君
   事務局側
       第二特別調査室
       長        白石 勝美君
   参考人
       セイコーエプソ
       ン株式会社人事
       部長       中條 利治君
       男も女も育児時
       間を!連絡会世
       話人       田尻 研治君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○国民生活・経済に関する調査
 (「少子化への対応と生涯能力発揮社会の形成
 に関する件」のうち、育児と仕事の両立支援に
 関する企業の取組について)

    ─────────────
#2
○会長(久保亘君) ただいまから国民生活・経済に関する調査会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る二月十九日、沢たまき君が委員を辞任され、その補欠として松あきら君が選任されました。
    ─────────────
#3
○会長(久保亘君) 国民生活・経済に関する調査を議題とし、少子化への対応と生涯能力発揮社会の形成に関する件のうち、育児と仕事の両立支援に関する企業の取組について参考人から意見を聴取いたします。
 本日は、お手元に配付の参考人名簿のとおり、セイコーエプソン株式会社人事部長中條利治君及び男も女も育児時間を!連絡会世話人田尻研治君に御出席いただき、御意見を承ることといたします。
 この際、中條参考人及び田尻参考人に一言ごあいさつを申し上げます。
 両参考人におかれましては、御多忙のところ本調査会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。
 本日は、本調査会が現在調査を進めております少子化への対応と生涯能力発揮社会の形成に関する件のうち、育児と仕事の両立支援に関する企業の取組について忌憚のない御意見をお聞かせいただき、調査の参考にさせていただきたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。
 議事の進め方でございますが、まず中條参考人、田尻参考人の順にお一人三十分程度で御意見をお述べいただきました後、二時間程度各委員からの質疑にお答えいただく方法で進めてまいりたいと存じます。
 質疑につきましては、あらかじめ質疑者を定めず、自由に質疑を行っていただきたいと存じます。質疑を希望される方は、挙手の上、会長の指名を待って質疑を行うようお願いいたします。
 また、時間が限られておりますので、質疑、答弁とも簡潔に行っていただくようよろしくお願いいたします。
 なお、参考人からの意見陳述、各委員からの質疑及びこれに対する答弁とも着席のままで結構でございます。
 それでは、中條参考人からお願いいたします。
#4
○参考人(中條利治君) ただいま御紹介いただきましたセイコーエプソン人事部の中條でございます。本調査会にお招きいただきましてまことに光栄に存じます。
 本日は、企業としての育児それから介護も含めて仕事の両立支援ということにつきまして、弊社の例を参考に御説明をさせていただきたいと存じます。その意味では弊社が必ずしも民間企業を代表する事例とは言えないかと存じますが、少しでも先生方の御参考になれば幸いに存じます。
 それから、本日、お手元の資料に沿いまして、最初にまず簡単な当社の概要を、それから育児、介護の取り組みに当たりましても、そのベースとなります当社の人事制度の考え方を御説明させていただきまして、その上で、本日の本題となります育児、介護について御説明させていただければと存じます。よろしくお願いをいたします。
 私ども、セイコーエプソンという会社になりますが、セイコーとエプソンという二つのブランドを社名にしております。セイコーはもちろん時計のセイコーでございまして、当社もセイコーグループの一員ということになります。
 また、エプソンと申しますのは、セイコーグループが東京オリンピックの際に公式計時を担当しまして、その際、当社が開発しましたプリンティングタイマーをベースに事業化した、そこにございますエレクトリックプリンターというものに起源を発し、その後、いろんなエレクトリックプリンターの子供たちを産み育てていきたいという願いを込めてEPの子供たち、EPのサンということでのエプソンというブランドをつけております。
 お手元の資料の二枚目の上に参りまして、簡単な会社概要になります。
 現在、当社は長野県の諏訪市に本社を置いてございまして、セイコーエプソン単体で従業員が一万一千名、国内子会社に二千名、合計国内では一万三千名ということになります。海外に三万四千名ほどおりまして、圧倒的に海外の方が従業員が多くなっているという状況にございます。売上高は、昨年度実績で約九千億円、連結で一兆一千八百億円、今年度何とか単体で一兆円に届くかどうか、そんな今状況にございます。
 それからその下に参りまして、事業別の売上高構成比になりますが、事業分野で申しますと、六〇年代までのウオッチ専業時代がございまして、現在では、その二〇〇〇年でごらんいただけますようにプリンターを中心、主体とします情報機器関係が約六〇%弱、それから半導体ですとか液晶表示体といったような部品、電子デバイスが三〇%強、それから創業以来の時計は五%という状況になります。
 当社の飛躍は、先ほど申し上げた一九六四年の東京オリンピックにさかのぼります。電子時計で百分の一秒まで正確に計測し、同時に紙にプリントアウトさせてしまおうというプリンティングタイマーへのチャレンジが結果としまして現在のプリンターにつながり、そして電子時計、いわゆるクオーツウオッチと称しておりますが、クオーツウオッチ開発に際して自社開発せざるを得なかった省エネタイプの液晶、LDですとか半導体、ICが現在の携帯電話ですとかモバイル端末需要で急拡大をしているといった状況にございます。携帯電話の部品によりましては、世界の携帯電話の約七割が当社の部品をお使いいただいているといった状況にございます。
 それでは簡単に、総合人事施策と言うのはおこがましいんですが、当社の育児支援も含めまして人事施策の基本となります考え方を御説明させていただきたいと思います。この基本の上に育児・介護支援も成り立っておりまして、両立支援へのベースと考えていただければと存じます。
 内容的には三ページの下に書いてございますが、当社の人事制度の基本的な考え方といたしまして、まず創造と挑戦の企業風土、それからより高い目標にチャレンジしていくんだということ、それからだれもが納得をする公正な制度、昇格を心がける。それから最後にございますように、年功序列イメージそれから性差、男女差ですとか学歴を排除いたしまして、能力、実力ある者を厳選していこうということで、当社は信州の諏訪、田舎に本社があるわけですが、人事制度につきましても先人、先達のおかげをもちましてかなり先進的な制度をとってまいりました。
 性差、男女差でありますとか学歴排除を目的としての昇格試験制度導入が一九六五年、それから年齢給、一歳ごとに給料が上がっていくという年齢給を廃止しましたのが一九八七年、それから賃金上での男女差、性差の完全廃止が同じく八七年、それから業績連動賞与が九七年。そのベースが今御説明させていただいたこの基本的な考え方になります。
 続きまして、四枚目に上、下ということで賃金体系の変遷等が載ってございますが、四枚目の上は、先ほど御説明しましたとおり一九八七年に年齢給を廃止いたしました。それから、その下にございますように、この八七年の賃金改革では、学歴ですとか男女差、年功的色彩解消を目的に改革をしたということがこの改革の第一義でございました。こういった人事の基本的な考え方をベースに育児支援、介護支援につきましても取り組んでまいりました。
 それでは、五枚目に移りまして、本題であります育児、介護と仕事との両立支援ということで、当社の育児・介護制度の内容、取り組みについて御説明させていただきたいと存じます。
 まず初めに、取り組むに当たっての当社としての育児支援、介護支援への基本的な考え方について述べさせていただきます。
 まず第一に、働く意思があって仕事と育児、介護を何とか両立しようとしている人たちをあくまで対象とするということ、働く意思のない人までを必ずしも救おうとしているということではございません。
 続きまして、自助、公助といいますか、まず家族を含めた自助努力と、介護保険や各自治体等の公的制度があって、企業の制度はあくまでそれを補完するんだということであること。それから、制度の拡充は、今とれている人たちをさらによくしてあげるというよりも、むしろ現行制度では救えない人たちを最優先して行ってきたこと。また、公平性という意味では、勤務形態ですとか資格、勤務地等にかかわらず、すべての人が制度の前に公平であるということを心がけること。最後、五番目としまして、利用する人たちが結果的に権利意識で制度を取得することのないよう、また取得する人がいる一方で必ず職場に残る人たちの負担感が増していくといったこともきちんと踏まえて、バランスをとった制度設計を心がけようということ、こうした以上五つを基本的な考え方、ポイントとしまして、育児支援、介護支援の制度設計、構築を進めてまいりました。
 続きまして、六枚目に移らせていただきます。
 育児制度ですが、こうしてつくってまいりました制度の内容になりますけれども、お手元の資料に、育児それから介護を含めまして、最後から二ページ目になろうかと思いますが、制度の概要をまとめておりますので、詳細につきましては後でごらんいただくとしまして、お手元の資料をもとに概要を述べさせていただきます。
 まず、育児支援の中での最初に育児休職制度になります。法的には先生方御存じのように育児休業となっておりますが、社内では育児休職としておりますので、この場は育児休職として御説明をさせていただきますので御容赦いただければと存じます。
 まず、当社の育児休職制度につきましては、休職期間につきましては原則は一歳の誕生日までとなっておりますが、私どもの地元の自治体によっては未満児保育が四月一日からでないと認められないというところもございます。そういう意味で、最長、一歳の誕生日後の最長は、三月末までの延長を可能としてございます。
 それから、原則元職場復帰としておりまして、まず取得時にきちんと職制それから本人が確認し合いまして、必ずやめる、やめるといいますか休職をとる前の元職場に復帰することを条件としております。その際に、例えば復帰に際して、どこの保育園に入るとか、それからだれが面倒を見るとかいったことも含めてきちんと職制と本人に確認をしてもらって、最終、人事部が確認をする、決裁をするということで認めております。そういう意味で、二番目は必ず原則として元職場復帰ということを条件にしておるということです。
 それから、当社も育児休業給付制度を利用させていただいておりますが、会社としての負担範囲につきましては法律どおりということになります。したがいまして、一歳以降の育児休業給付及び社会保険料の免除はございません。
 それから、次に七枚目に参りまして、育児の短時間勤務という制度がございます。育児休職とあわせまして満三歳到達後の三月末まで短時間勤務を取得することが可能という制度になります。
 この短時間ですが、当社は一日八時間の労働になりますけれども、そのうち二時間を限度としております。それから、全社的にフレックスタイムという制度を設けておりまして、これと短時間勤務との併用をすることが可能になります。
 それから、その下に参りまして、医療休暇制度その他ということになります。
 医療休暇という余りなじみがない言葉かもしれませんが、これは当社が年休の、年次有給休暇ですね、年休の取得率が恥ずかしながら付与日数の大体三割程度と非常に低うございまして、翌年への繰り越しは認めておりますが、翌々年になりますとその繰り越したものを捨てていたという実態がございました。そのために、その捨てていた分を積み立てて、本人が病気になったときですとか家族の介護目的に使えるようにということで、当初は二十日からスタートをいたしまして、現在では合計六十日まで積み立て可能としております。
 したがいまして、六十日ですと、月間約二十日間の労働ということになりますので、三カ月間有給休暇、有給扱いで、例えば自分の病気ですと、入院加療することも可能といった制度です。この医療休暇を介護目的としまして、子供の通院ですとか予防接種等で取得することを可能としております。
 ほかでは、現在、法律案が厚生労働省で検討されておられますけれども、労基法改正に伴う激変緩和措置としての現行改正法の小学校入学までを当社の場合は三年生までとしておりまして、次の改正内容がクリアになったときに再検討をするという予定でおります。
 また、最後にございます、旧厚生省の外郭団体こども未来財団でやっていらっしゃいます在宅保育サービス割引を当社としても試行導入をしてございます。ただ、私どもの拠点がございます信州ではインフラが多少未整備な部分がございまして、残念ながらほとんど利用がないという実態にございます。
 また、せっかくこうしたいい制度がありながら、インフラ未整備もございますけれども、それ以上に、知らない企業が非常に多いということも非常にもったいない気がしております。そういう意味で、使われてこその制度ですので、ぜひ厚生労働省としてももっと企業にPRされたらいかがかと思っております。
 続きまして、今回、育児が中心になりますが、あわせて介護制度につきましても簡単に御説明をさせていただきたいと存じます。
 まず、介護休職制度です。
 育児・介護休業法では、同居・扶養要件が介護休職、介護休業についてついておりますが、当社の介護休職では、二親等以内については同居・扶養要件をつけておりません。また、三親等以上につきましても、同居家族であれば、最長一年六カ月までの休職、休業を認めております。また、介護につきましても、育児休業同様、休職明けについては必ず休職前の元職場へ復帰をするということを条件にしてございます。また、被介護者については一回適用なんですが、後で出てまいります短時間を含めて期間内であれば三年間は利用可能と、分割での利用が可能ということにしてございます。
 続きまして、九ページになりますが、介護の短時間勤務です。
 これも育児の短時間勤務と内容的には全く同様になります。先ほどの介護休職が最長一年六カ月ですが、これと合わせまして合計三年間、一日二時間を限度としまして、育児同様、フレックスタイムとの併用を可能としてございます。
 それから、先ほど育児のところで御説明させていただいたとおり、医療休暇ですが、これは本来介護目的で医療休暇を認めておりまして、その中で子供の通院ですとか予防接種も育児の範疇ということになりますが、制度上は介護目的ということで認めているということになります。
 また、介護のみという制度につきましては、例えば一日は必要ない、仕事を続けながら半日だけ介護目的で休暇をとりたいという声がございまして、そういった声にこたえまして、とりあえず二十日間、合計四十回ということになりますが、連続での半日取得を介護につきましてはできるようにいたしました。
 最後に、やはり介護クーポン運営協議会と提携をいたしまして、介護クーポン割引制度を今年度試行導入しておりますが、育児同様、インフラがなかなか整っておりませんで、余り利用がないという実態にございます。
 それでは、今まで御説明してまいりました育児・介護支援制度も、これも一日ででき上がったというわけではなくて、当社の場合も試行錯誤を繰り返して、労使、労働組合と検討してきた結果でございます。そういう意味では、これまでの取り組み経過をまとめてみたいと存じます。
 十ページの下になりますが、まず「育児介護制度の変遷」ということでまとめてございますが、九〇年に労使で労働時間短縮を検討いたしました中で、先ほどのフレックスタイムですとか医療休暇制度とあわせて介護休職制度を導入いたしました。これは、前年の一九八九年に介護を目的としまして、当時は介護休業、介護休職制度がございませんでしたので、自己都合休職、これは勤続年数により異なるわけですが、最長、自己都合休職ですと六カ月の間休むことができるという制度になります。この介護を目的に自己都合休職をとられた方が八九年に四名出たということが背景にございました。
 また、九一年には、同じくもっと長期的に労働時間短縮に取り組もうじゃないかということで、労使で中期時短計画といたしまして取り組んだわけですが、この検討の中でフレックス休日という制度をつくりまして、このときにあわせて育児休職制度を導入しております。これも、確かに九二年に育児休業法が法制化されるということももちろんございましたが、それ以上に、前年九〇年に産休後に復帰をせず自己都合扱いで休職をとった従業員が出たということが理由としてございまして、九一年に育児休職を導入したということになります。
 また、直接育児介護とは関係ございませんが、従業員の多様性ですとか企業としての社会性を踏まえまして、九二年に身障者リハビリ休職ですとかボランティア休職を制度化しております。
 それから、続きまして十一ページの上の方に変遷を二番目としてまとめてございますが、少しずつ改善を図りまして、九九年には、既に当社としては法律、法定を上回っておりましたが、もう一度現行制度を従業員の声を踏まえて見直してみようということで労使で労使委員会を設置いたしまして、約半年間かけて検討をいたしました。その答申案どおりに労使とも確認を行いまして、現在の制度改定に結びつけております。
 それでは、こうして約十年をかけてつくってまいりました制度が実際どういう利用実態にあるかを見てみたいと存じます。さらには、それを踏まえて当社としての課題、それから今後への方向について述べさせていただきたいと存じます。
 十二ページの上の表になりますが、実態を御説明する前に、人事制度を説明させていただいた中で、制度の公平性ですとか透明性という意味で機会均等については十分当社として図っている、図られていると認識しておりますが、では結果の平等はどうかという意味で、育児介護はどうしても女性が中心になりますけれども、女性従業員の実態を簡単に御説明をいたします。
 まず、従業員数は一万一千名に対して女性が二一%、二千六百名。既婚者数がその半数以上の一千四百名となっておりまして、有子数と申しますか、既婚者でのお子さんを持っていらっしゃる割合が七割を超えて千名と。それから勤続年数は、男性が十五・八年に対しまして女性が十七年ちょうどということになります。資格等級、管理職の数字を見ていただければおわかりのとおり、特に結果の平等ということについては甚だお恥ずかしい限りでございますが、主任、世間で言います係長以上の比率につきましては、全体を合わせましての二%にすぎません。主任以上が百十二名。管理職扱いになります主査以上が四名という数字です。それから、主任、主査といったような資格と、それから課長、部長というような職分、管理職とは分けておりますが、そういった職分についております女性は合計でも九名しかおりません。全体で約七百名がおりますので、一・三%程度ということになります。内訳として部長が一名、課長が八名ということになります。
 育児休職の利用者推移、実態になりますが、九一年に導入いたしまして、過去十年間で合計八百四十一名、復帰率は九三%ということになりますので、年平均では八十名以上の方が取得をしております。男性取得はこれまでに三名ということになります。この三名ですが、実際昨年度まではわずか一名しかおりませんでした。これも、しかも奥さんのぐあいが悪くて育児休職扱いで奥さんの介護とそれからお子さんの面倒を見るという、ある意味では消極的な育児休職の取得ということでございました。
 それが、今回、ファミリー・フレンドリー企業として労働大臣表彰をいただきまして、一番の表彰効果だと私ども思っておりますのですが、ここで二人も男性の育児休業を取得する従業員が出てまいりました。このうち一名は、夫婦そろいまして当社の開発エンジニアと開発エンジニアというカップルになります。多分、女性一人がずっと育児休職をとるよりも、二人が分担をして分けてとった方が例えば職場である開発本部としても望ましいんだという職制の理解があったからだと思っております。こうした事例が出てきたことで、今後何年かかるか、女性も定着までには何年もかかっておりますので、男性が育児休職をとるということの定着に何年かかるかわかりませんが、少なくとも育児休職を男性がとるということが必ずしも当たり前と言えないまでも、多分違和感のない時代が何年かすれば必ず来るんだろうという気がしております。
 それから十三枚目に入りますが、育児休職の期間別の利用者数と内訳になります。十年前にスタートしましたときは、当初から制度上は一年間取得できるという制度でございましたが、やはり最初はフル取得というのが難しゅうございまして、半年間とかいうケースが多かったようですが、最近ではほとんどが育児休職一年間ということになっておりまして、冒頭、制度で御説明しましたように、保育園の未満児保育の受け入れ状況によっては誕生日後の三月末までというケースも出てきておりますので、期間的に見れば今後は一年を超えてくると思われます。
 それから十三枚目、その下に移りまして、介護休職の利用者推移になりますが、これは過去十一年間で四十四名、復帰率が七〇%。取得者で見ますと女性が多うございますけれども、男性が四名おります。さすがに復帰率で見ますと、育児休職が九三%に比べまして、介護については復帰率が非常に大きくダウンしているのが実態です。
 先生方御存じのとおり、長野県は高齢化が非常に進んでおりまして、平均寿命で男性が全国一位、女性がたしか全国四位だったかと存じます。加えて、老人医療費が全国最低ということになっております。当然いい面もいろいろあるかと存じますが、一面では、老人ホームですとか病院に入れずに自宅で男性を女性が介護する、みとるという構図が浮かんでくるような気がいたします。そういう意味で、また突然という点からも介護は企業にとっては非常に頭の痛い問題になります。長野県に拠点があるということからも、当社にとって今後大きな課題になってくるだろうと予測をしております。
 それでは、現状を今後踏まえまして、育児介護につきましての課題を十四枚目に移りましてまとめてみたいと存じます。
 現在の一番の課題は、やはり休職期間中の代替要員確保ということになります。人事部としましては、必ずローテーションで人を充足する、させるといったルール、制度は設けておりません。一応、職種、職場によりましては人材派遣等の対応が一年という短期間であれば可能になりますので、そういった場合は制度として認めておりますが、あとは職場としての自助努力ですとか工夫ということになります。そういう意味では、一年間、例えば職場のメンバーで分担をして、負荷をみんなで分け合って一年間頑張ろうという職場も当然ございます。
 それから、介護休職の期間の問題になります。先ほど介護休職の際に、今後は介護が大きな問題になるだろうと申し上げたわけですが、今回の育児介護労使委員会の中でも議論のあった点としましては、介護の休職期間がございました。突然介護というのは起こっていつまで続くかわからないという中で、じゃ会社としていつまで休職を認めてあげたらいいのかどうか。当社では私傷病休職という制度がございまして、従業員本人が病気になった場合、一年六カ月、一年半というのが期間になります。したがいまして、家族の介護ということになった場合にこれを超えるのはやはりまずかろう、おかしいだろうという意見がございまして、結果として最長、介護休職につきましても一年半とせざるを得ませんでした。
 それから最後に、海外の方が従業員が多くなっておりますので、日本だけではなく、今後はそれぞれの国の法制度の下でいわゆるファミリーフレンドリー的な取り組みが必要になるだろうと思っております。
 続きまして、今後への対応として、企業の立場から私見ということで述べさせていただきたいと思います。
 法律があるからですとか、均等室が例えばうるさいですとかという押しつけ意識ではファミリーフレンドリーみたいな取り組みはうまくいかないだろうと思います。少子高齢化を踏まえたときにファミリーフレンドリーであることが労働力確保といいますか、少なくとも今いる優秀人材、従業員を維持するために有効であるというところからスタートをすべきではないかと思います。そして将来は、将来といいますか、近い将来、そうした制度があることが結果として企業にプラス効果になるということを信じていたい気持ちでおります。
 それから、十五ページの上に参りますが、今後の対応課題として、企業としては当然法制化ということをもちろん意識しなければいけないわけですが、法を上回る部分、優位性については必ずしも公平、平等ということを意識しなければいけないのかどうか。場合によっては優位性部分については例えば専門職だけしか認めませんとか、会社として選別、区別するということも場合によっては出てこざるを得ない、あるいは選択せざるを得ないということも必要かと存じます。
 そして、そうならないように、従業員の側、制度を利用する側でも単に権利主張ではなく、そこにはエンプロイアビリティーと書いたんですが、専門性を高め、スキルを高め、やめてもらっては困る、休職したら必ず元職場へ復帰してほしいというふうに、自分の能力、スキルをアップしていくということが必ず必要になるだろうという気がしております。
 それから最後に、支援制度構築への基本スタンスとそれから先生方への御要望ということで簡単にまとめさせていただきたいと存じます。
 まず、企業としては、前提としまして自助、公助、共助と書きましたが、自助、共助があって、民間企業としてどこまで補完すべきか、その中で企業としてはいろんな柔軟性を高めながら、一律ではなく多様性のある制度設計をしていくしかないんだろうと思っております。
 そうした中で、ぜひ多様性、柔軟性を高めていただきたいということでの先生方への御要望ということで最後にまとめさせていただいて終わらさせていただきたいと存じますが、社会保険の適用ということで一点要望させていただきます。
 現在、四分の三ルールというのがございまして、社会保険の適用が四分の三を超える勤務時間でなければ対応できないという制度になっております、認められないということになっております。例えば、労使委員会の中で女性からアンケートをとった際に、半日の短時間勤務があってもいいんではないかという希望がございました。例えば、会社としては、じゃ半日ずつ一日で一人分という勤め方があっていいような気がしまして、社会保険事務所等に問い合わせました結果、当社の場合は八時間労働ということになりますので六時間未満の時間短縮、短時間勤務ということになりますと、社会保険、特に厚生年金、厚生年金基金の継続が不可能という扱いになります。そうしますと、厚生年金、将来の老後の保障を切ってまで短時間勤務をしようという当然従業員は出てまいりません。
 そういう意味で、ぜひそうした短時間といいますか、育児なり介護なりといった特定期間だけの扱い、特認、特例で結構ですので、例えば八時間労働であれば四時間ずつの短時間を認める、かつそれを社会保険上も認めていただく。場合によっては、本人それから会社の拠出も時間比当たり、時間比例にダウンしまして、かつ本人がもし老後保障を従来どおり望むのであれば本人拠出はそのまま認めるですとか、そういったぜひ多様性を持っていただければ、企業としての運用、扱いも非常に柔軟性、フレキシビリティーが出てくるような気がしております。
 それからもう一つは、先生方も御存じのように、例えば今パートタイマーの時間給の問題等が出ております。そうした際に、民間としても最終的にはいろんな契約形態、雇用形態を持ちまして、時給は同一職種同一賃金、同一労働同一賃金ということを前提に認めていきたい、制度をつくっていきたいと考えております。結果として、オランダモデル、オランダ方式へどう近づけていくかということになろうかと思うんですが、その際に、ぜひ法定福利費につきましても時間比例といいますか、ということが考えられないかどうか。
 以前、これはオランダではなくイギリスのケースでございました。ある大学教授の方が半日ずつの従業員を自分の秘書として雇っている、二人合わせてちょうど一人分の賃金ですというお話がございました。日本では、残念ながら半日ずつ雇いましても多分一・七とか二近く、二まではまいりませんが、法定福利費等を合わせますと必ずしも〇・五にはなりません、一に近づいていく、二人雇えば一・七とか、そういうふうになってまいります。
 そういう意味で、短時間の契約を認めるということではなく、例えば育児を継続する、それから介護を続けながら勤務を継続する、そういった際にはそういった働き方があれば、先ほどの四分の三ルールも含めてですが、非常に企業としての柔軟性、それから働く側での多様性もできてくるんではないかなという気がしております。
 以上、長くなりましたが、最後に当社としまして民間企業としての要望を申し述べさせていただきまして、当社としての説明を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#5
○会長(久保亘君) ありがとうございました。
 次に、田尻参考人にお願いいたします。
#6
○参考人(田尻研治君) 田尻研治と申します。よろしくお願いいたします。
 こういう場所は余りなれていないので多少緊張しておりますから、うまくしゃべれるかどうか自信ありませんけれども、男も女も育児時間を!連絡会ということで、これは市民団体ですけれども、文字どおり会社とか社会に男性も女性も育児時間をということを求めている緩やかな市民団体です。一九八〇年にできまして、歴史は二十年近くあるわけですけれども、私自身の会社はエッソ石油という外資系の石油会社で、今現在は合併をしましてエクソンモービルという、そういう会社に所属しております。
 きょうは、男性の育児ということも含めまして、私の個人の生活体験を交えてお話しさせていただきたいと思いますので、その点御了承ください。そしてまた、それに基づいて、今、中條さんからいろいろ御説明ありましたけれども、会社に対してどういう制度とか、会社がどういう会社であればそのような両立した働き方が従業員としてしやすいか、できるかというような、そういうことを体験の中からお話しさせていただきたいな、また事会社だけでなく、きょうお集まりの皆さんの国の単位とか地方自治体の単位を含めて、どういう施策が望まれるかというようなことも考えたことをちょっと述べてみたいなというふうに思います。
 まず、私自身、今二人娘がおりまして、上は高校一年です。茶髪のお姉ちゃんでありまして、下は小学校五年、これも娘です。ですから、私が語る育児の風景というのは大体一九八五年から今までの十五年ぐらいの期間の話であります。御承知のように、この十五年は非常に少子化ということも含めて語られまして、育児休業法が施行になりまして、大分世の中が急激に変わってきた時代であります。
 体験してとにかく痛切に思うことは、いかに育児のための時間をつくり出すかというか、端的に言ってしまえば、会社の仕事、企業からいかに生活の方に時間を取り戻すというか引っ張ってくるかという、それにもう尽きるように思います。ですから、お金とかいろいろなこともあるでしょうけれども、私の話の要点は時間ということだと思います。ある程度それが社会的にも保障されれば、無理なく両立した生活が営めて、多くの若者が子供を持ってなおかつ仕事をするということが男性も女性もできるようになるだろう。そういう点では、やはり企業、働き方、そこら辺が非常に重要なウエートを占めると思います。
 私の場合、特に小さい子供を育てていたころは、夕方五時前に帰宅することが多くて、とにかくさっさと帰宅する、もう余りその日の仕事は残さないでさっと帰宅するというように非常に心がけていて、職場の同僚や何かは、五時前ぐらいに私が帰り支度をしますと、田尻さんはこれからが大変ですねというようなことを私に言ったりしておりましたけれども。それは半分嫌みもあるでしょうけれども、仕事をしてなおかつそこでぼろぼろにならないで体力も時間も残して家に帰る、そういうことで私のかみさんと二人で育児と仕事を両立させてきたということです。
 先ほど久保先生の方から忌憚のない意見ということなので、余り表面的な話じゃなくて本音の話をしますと、例えばおむつや何か、赤ちゃんはおむつをあれして、あのころちょうど布のおむつと紙のおむつのかわり目ぐらいだったんですけれども、家で、おしっこの場合はいいんですけれども、子供のうんちの場合、洗うのに大変手間がかかるわけですね、すぐ洗濯機にぶち込めるわけじゃないですから。手でかなりきれいに洗って洗濯する。その時間が結構、一枚、二枚、三枚と何枚も洗っていくとすごい時間がかかるわけですよね。
 家の中の時間というのは、洗濯も含めて食事をしたり、彼女と一緒にですけれども、非常に男の僕でもすごく大変で、たまたま彼女がちょっとぐあい悪かったりしますと、もうきちんと最後までうんちのおむつを洗い切れなくて、ざっとお便所で流して、それをしっかりビニール袋にくるんで会社に持っていって、会社の昼間のあいた時間におむつを洗って、そして干して、夕方帰るときに取り込んで帰るというような、うそのような本当の話なんですけれども。
 そういうような生活も続いて、我々の仲間でも多分に両立してやっている人たちはそうしたような話といいますか、ちょっと余り大きな声では言えないけれども、こんなような苦労でもないけれども何かあるんだよという話を必ず一つや二つ持ってみんな生活しているという、そういう状態です。
 それで、私の場合、ちょうど長女が生まれまして、育児休業法施行の前だったということもあるんですけれども、一歳までは近所の保育ママさんに預けていましたから、多少お迎えの時間、朝連れていく時間とか夕方の時間とか融通してくださって、七時半ぐらいに連れていったりしたんですけれども、一歳を境にちょうど希望していた保育園に入れました。ただ、保育園というのが当時川崎だったんですが、朝、普通だったら八時半ですけれども、早目にお願いしても八時が限度なんですね。それは保母さんが出てこられる時間、八時が限度なんです。八時に子供を預けて、飛んで会社に行きましても、やはり一時間ぐらいかかるわけです。当時会社は八時半始まりでしたので、これはこうした生活は続いていけるのかね、要するに毎日会社を遅刻していくということになりまして。
 私と彼女は同じ会社に勤めていましたので、どうしたものかということで、会社にこういった事情なので、二人とも望んで会社に入って、子供が生まれて、それと仕事と両立したい、だけれども入れた保育園はこういう事情なので、毎日三十分か一時間の朝のおくれた時間というのは育児時間みたいなそういう制度で何とかならないかということを当時求めました。
 ただ、会社は理解は示したんですけれども、まだ時期尚早ということで認めてくれなかったので、労働組合の支援のもとに、その三十分か一時間をそういう育児時間制度を認めてくださいという会社への要求、制度の要求としてスト権を立てまして、毎日毎日三十分か一時間、ずっとストライキという形で賃金カットされながら保育園に送り迎えをしてやってきました。二年たちまして、大分世の中の風向きも変わりまして、ようやく二人目が生まれたあたりで会社は、この育児時間を認めましょうということで制度化してくれました。
 そのとき思ったのは、現実的に男性の僕がそういった育児時間をとっていくときにそれに踏み切ったものというのは、やはり保育園が間に合わない、僕がやらなきゃいけない、彼女も含めてですけれども、そういったどうしてもやらなきゃいけないという必要事項があるということ。それと、先ほどの育児時間のストライキの話ですけれども、シェル労組という石油関係のたまたま兄弟の組合のところでそういったことをやっていた方が男性でも女性でもいて、私が子供が生まれる前から知っていたということで、やはり男性の育児、育児ストは別にして、男性が育児をする場合というのは、家でだれにも知られないでやるということは、それはその範疇ではできるでしょうけれども、例えば会社の制度をとるとか、育児休業をとるとか、そういった場合、何で男の君がという、あえてという部分があるわけですね。女性、産んだかみさんがいるわけですから。だけれども、僕がとるんだというところで踏み切れる一歩というのがやはりあるわけです。
 現実的にヨーロッパのように八割近くの男性がとっていれば別ですけれども、一割にも満たない数%の日本で、やはりそういったことがあるわけです。そういったときに、そばにやはりモデルがいる、非常に大事だと思います。ですから、例えばNHKでも、そういった家庭とか男性の育児のそういったドラマをやるとか、何かそういうものが身近に手にとるように若い方たちにあれば非常に発想しやすいと思うんです。
 それと、あと連れ合いの彼女の意思ですね、やはりずっと働き続けたいという。どうしようかしら、私がもう家庭に入ろうかしら、そういうふうに自然に考えられるのは別にいいんですけれども、やはりずっと働きたいと思えば、連れ合い、男性の方も巻き込んで一緒にやっていくというふうに立てなければ、自分だけでしょってしまえば必ずつぶれます。
 それとあと、私の場合もそうなんですけれども、会社の中で男性が育児をしますということを宣言すると言うとオーバーですけれども、やはり包み隠さずこういう生き方をするんだということを表明するということは非常に大事だと思います。それは必ず多くの同僚の理解を生みます。一人二人にちょっと話しておいて何とか余り知られないでやろうという発想をしないで、自分はこういう生き方をするんだということを宣言というか、はっきり社内で述べていくということは非常に共感を呼ぶことであります。まして、お連れ合いが身ごもられて何カ月かあるわけですから、心の準備を男性はして、多少前に上司も含めてそういった意思があれば会社に伝えていくということは非常にいいことだと思います。
 あと、先ほど紹介しました私の略して育時連という会なんですが、これは女性もおりますけれども、男性、今企業の中で育児休職をとった男性が数多く参加して、緩やかですけれども一緒に情報交換したり、時としては企業の中では非常にマイナーですから勇気づけ合ったりしてやっております。
 ただ、見ますと、ソニーだとか、今おっしゃったセイコーだとかパイオニアだとかIBMだとか、あと地方公務員ですか、これは本当に絵にかいたように、ごく限られた企業です。非常にやはり恵まれたという表現は余りよくないので訂正したいんですが、まだ本当にごく一部の企業の男性です。それが実情だと思います。
 それで、今インターネットが非常に盛んですから、私がやり始めたころは月に一回都心に集まって会をやっていましたけれども、今は本当に全国、例えば広島の商社の方で育児休業をとった方がアクセスしてきて一緒にパソコンの中で話し合うというそういうようなことが、きょうは余り時間がなくなったのでちょっと読めないんですけれども、例えばインターネットの中で電子会議みたいなのをやるわけです。毎日二十通ぐらいいろいろな話が流れてきます。先ほど言ったように、例えば、僕はあと何日か後に男性だけれども育児休業をとるようになっているけれども、何か心の準備も含めてしておくことがありますかというようなことで尋ねてくるわけですね。それに対して我々の方で、特に何を用意するという必要はないよというようなことを言ったり、育児休業に入ればあれもやろう、これもやろうというふうに割と男性は考えがちなんですよね。だけれども、そんなふうに思わないで、赤ん坊の顔を見てずっと育てていればもうそれだけで十分だよという、そういうような話を、やりとりをしたりしております。これを読めば割と本当におもしろいんでしょうけれども、余り時間が。
 それで、「企業に求めるもの」というのがありますけれども、これは私自身の感覚としては、すごい痛切ですけれども、企業はこうやってくださいと言ってもなかなか変わらない、やはり企業は変えていくという発想に立たないとなかなか変わらないという、そういう思いを非常に強くしております。
 会社、企業に対してどうやって変えていくそういうプロセスを組むかというところでは、まずやはり一番大事なのは理解してもらうということですね、トップを含めて。少子化の中で男女共同参画社会を日本はつくっていこうとしているんだ、こういうプログラムを持っているんだ、ついてはやはり企業にはこういう点について前進してもらいたいんだと。なぜそれをしなきゃいけないんだというところも含めてやはり理解してもらうことが非常に大事だと思います。ですから、経団連を含めていろんな話される機会のときにそうした国の意思を企業にやはり伝える、もうこれは決定的に大事です。全然理解していないですね、言葉はきついですけれども。ちょっとエプソンさんとか本当に前向きに取り組まれているところは本当にいいわけですけれども、なぜみんなそうならないかというところを含めてですね。
 あと、やはり努力義務ぐらいの程度では今本当にもうリストラの中でほとんど動かないです、もう現実的に。やはりきちんとして両立の道で欠かせない部分、義務化することですね。これはもう不可欠ですね。
 例えば、幾ら保育園ができても、一歳で育児は終わらないわけですから、私のように少なくとも小学校に上がるまで子供を親は見ていかなきゃいけないわけですね。その場合、保育園にどうしても預ける送迎ということがあるわけで、これにはやはり短時間勤務、一日一時間か二時間ぐらいの短時間勤務を、今度三歳までとなりましたけれども、これはもう本当に小学校へ上がるまで含めて、育児休業法はゼロ歳、ゼロ歳未満も大事ですけれども、その後の道を開いてあげないと若者は見えないです、この道は。
 要するに、子供を育てながら私も仕事が続けられる、しかもそれほど無理なくやっていけるんだという道を開くにはきちんとしたそういう道筋をつけてやる。要するに、一日一時間か二時間ぐらい程度のそういった保育園の送迎を含めて五、六歳までやって、保育園をきちんと完備してやると。とにかく髪振り乱して、子供が全然病気じゃなくて親もたまたまそばにいてとか、何かもうそういうような状態ばかり見ていたらこれは子供を産まないですよ、絶対。そういうことでやっていくということですね。
 それともう一点は、企業を評価するという視点が非常に大事だと思うんです。というのは、このファミリー・フレンドリー企業表彰というのをもっと広げていって、地方自治体や何かで、いろいろこういった男女共同参画についての視点、環境についての視点、いろんなことで社会に貢献しているポイントをオンブズマンみたいに何か評価をして、そうした企業に対して例えば税制に対して配慮する、地方自治体でしたらそこの仕事に関して優遇していくとか、それはやはり国としての意思を企業が取り入れているわけですから、それをやはり国が率先してそういったところに仕事を回すとか。そういう発想ですか、ポジティブアクション的なちょっと踏み込んだことというのをやらないと動かないです、これは。
 大分時間もたってきましたけれども、あと、とにかく育児というのは百人がやれば百人いろいろ多様です。私が休む、いや僕が休む、僕の休む期間は一歳間際だとか、いろいろもうとにかく百人いて百通り違うわけで、そういう育児休業とその後の短時間勤務みたいなものをうまくすごく弾力的にとりやすいように多様的に組み合わせるということが非常に大事だと思います。これはやはりいい例は、私も仲間と一緒に行ったノルウェーとかスウェーデンですか、百通り近く育児休業と短時間勤務と取り合わせがありましてやっています。
 ですから、やはりその部分は企業の都合に合わせるという発想よりも、それは使う側の労働者の方のといいますか、両立しているところに合わせていくという、そういった発想が非常に重要ではないでしょうか。
 私はかなり厳し目に企業に言っているのは、自分自身がエッソ石油から非常なリストラを含めて石油業界も今合併合併を繰り返してやっている中で労働しておりまして、はっきり言って十年前よりはもっと厳しくなっています、労働の状況の中では。心の余裕もないです。だから、家に帰れても、ああ、責任、こういうあれがあるなという、非常に何というか物理的な残業を持ってくるというよりも非常にいろいろなものを引っ張ってきてやっている中で、多分女性労働者も男性労働者も何かその荒波の中にもまれて気がついたらもう四十になっていたという、そういう社会を今、日本はつくっているんだということを皆さんわかっていただきたいと思います。
 あと、この間、森総理の招集がありまして、少子化の有識者会議があったわけですけれども、男女共同参画基本法案を一緒につくってきた岩男さんですか、かなりこういった事情、状況に業を煮やされて、例えば男性が強制的に十五日ぐらい育児休業をとるようにもう義務化というか一律にとるようにしたらどうでしょうかという、過激ですけれどもとおっしゃっていましたけれども、仮にもうとにかく生まれれば十五日間男性はやらなきゃいけないということをしたとしたら、あと五分ぐらいで僕は終わりますから、これはまず効果の面からいったら多大に効果はあります。
 というのは、一番僕らが欲しいのは、上司の理解なんですね。会社の理解なんです。一番身近にいる上司が、もし今十五日ぐらい育児休業を男性もやらなきゃいけないとしたら、それは今やるわけですよね。次の世代の人というのは必ず育児を少なからず経験した男性が会社の上司になったりつくっていくわけです。
 これは本当に僕自身の経験ですけれども、男性というのは本当に一般的に赤ちゃんから隔離されて育ったというか、もう赤ん坊が生まれたら宇宙人みたいな感じなんです。もう全く想像がつかない生き物なんです。もう本当に右往左往するばかりなんですね。これじゃやっぱり、そういう場面に遭遇していなかった男性が組む会社とかそういうところでは、これは幾ら人がいい人でもわからないと思うんですよ、経験しないと。
 だから、そういった意味で、岩男さんがおっしゃった、十五日ぐらいはもう義務づけてやったらどうだと、そういうことは非常に世の中を変える効果ではもう抜群だとは思いますが、これは北欧のパパクオータとかいう割り当て制やなんかを見ても歴史があることですから、突然は、義務化は私自身は今の日本の現実ではもちろんできないし、するべきではないと思っています。少なくとも育児休業の補てんが六割か八割近くまで行くような、それぐらいのやっぱり成熟度を示す、ようやく二五%から四〇%になりましたけれども、せめて六割ですね、早く。ここに金を使うぐらいはもう幾らでもないと思うんですけれどもね、僕から言わせると。
 それと、あと、中條さんもおっしゃったんですけれども、中間的働き方を確立するということです。仕事か育児かというオール・オア・ナッシングのように組まれているのが今の日本だというふうに痛感しているんですね。
 オランダ形式ですね、やっぱりなかなかいいモデルを示してくれていると思います。二人働いて一・五倍の収入という、そういう感じですね。僕もかみさんと働いてダブルインカムですけれども、二倍は要らないです。一・五倍でいいです。そのかわり時間です。時間が欲しいですね。そのモデルは、やっぱりオランダ形式ですか、僕も詳しくは知らないですけれども、非常にやっぱり経済の活性化を生んで、育児と仕事の両立の道をかなり開いているようには思います。
 やはりパート、現在我々がいろいろ話している育児休業法が二千万の女性労働者の中の半分の一千万のパート労働者には適用されていないという、今の日本で幾ら育児休業法をつくった、あれしたとしたって、適用されていない女性が半分いるわけですから、これでやっぱり少子化を語ったってだめだと思います。そういった意味では、やっぱりパートの方の処遇ですね、中條さんさっき具体的にいろいろおっしゃって、大変いいポイントをつかれていると思いました。
 それと、国の機関の中に総理府に男女共同参画局をつくったように、小さいながらも企業という単位の中に男女推進部署とか、そういうふうなものを曲がりなりにもつくられるようにやっぱり進めていく、指導していったらいいんじゃないかと思うんですね。
 例えば、僕はスウェーデンに行ったときに、ある電機会社を見させていただいたら、説明に来られた方はそういった部署の方であったんですけれども、やっぱり企業の中でそういったことを推し進めるというような、そういう部署みたいなものがつくられると非常にいいのではないかと思いました。
 あと、私自身今大田区に住んでいるんですが、シルバーセンターの女性の方に、高齢者なんですけれども、来ていただいて、もう直接的な育児はないんですけれども、やはりお掃除していただいたり御飯をつくっていただいたりしていて、高齢者というと介護という観点ばかりですけれども、そうじゃなくて、お元気な高齢者の方の居場所とか地域の結びつきという点では非常に有効だと思いましたね。
 そういう方がうちに来て、例えば今うちに来ている方は、夫に死なれて、息子ももう巣立っていって、六十五歳ぐらいでひとりだけれども、何かお役に立ちたいというので、シルバーセンターを通じてうちに来て、子供と、小学校ですから早く帰ってきて子供と遊びながら掃除してくれたり、今八十八歳のかみさんの方のおじいちゃんもいるんですけれども、昼飯をつくってあげたりとか、そういうことを通じて、まるで娘みたいとか言ったりして、うちの娘も日曜日に、おばあちゃんのところに遊びに行くって近所ですから行ったりとか、そういうのを見ていると、何かそこら辺をもっと行政とかが橋渡しをしてやっていけば非常にいいのではないか、そういうふうに思いました。
 もう時間ですからあれですけれども、あと一つだけどうしても言っておきたいのは、育時連の仲間で横浜に勤めている、さっき言ったソニーとかIBMでない、中小の企業に勤めている男性なんですけれども、育児休職をとったと、九八年から九九年にかけて、それは三つ子が生まれて四人子供がいるということもあるんですけれども。そうしたら評価を含めて最低になったと。会社に聞いたらば、それは、育児休職で三カ月も休んで、解雇はしないけれども、それは働いていないわけだから最低の評価になりますよということで、それは法律で不利益扱いじゃないかといって仲間が裁判にしようかと思ったと言いますけれども、今度法律の改正でそういった不利益扱いはできないというふうになりそうだというので、裁判はやめていますけれども。
 要するに、男性が育児休業をとろうとした場合、法律によっては前もって処遇みたいのを明言しなきゃいけないとなっているわけですね。その場合、その男性に、君は三カ月とったらば最低評価になるよというふうに言い渡すわけですね。そういうふうに言い渡されてとる男性なんていないと思いますよ、この世の中に。ここで言葉を強く言ってもしようがないのかもしれないけれども、それは現実なんですね。
 そういったことです。多少後半感情的になって失礼しましたけれども、よろしくお願いいたします。
#7
○会長(久保亘君) ありがとうございました。
 以上で参考人の意見陳述は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑は午後四時ごろをめどとさせていただきます。質疑を希望される方は、挙手の上、会長の指名を待って質疑を行うようお願いいたします。
 それでは、質疑のある方は挙手をお願いいたします。
#8
○加納時男君 ありがとうございます。
 中條さん、田尻さん、大変いいお話、感銘を持って伺いました。
 中條さんのお話の中で、最後のページだったと思いますけれども、これまでにセイコーエプソンさんで八百四十一名ですか育児休業の休暇をとられたというんですけれども、その中で男性の方が三名だけですよね、先ほど伺うと。非常に先進的な企業だと思うんですけれども、セイコーエプソンさんは、それでもなおかつ男性三名というのは、今、田尻さんがおっしゃったようないろんな社会的なプレッシャーがあるのかなという感じもします。
 それはなぜなのかということが一つと、それから先ほどの御説明で、十二ページだったですか、表彰制度、FF表彰かと思いますけれども、表彰制度をやってから男性の方が二名とったと。表彰制度というのは、ちょっとわからなかったんですけれども、企業の表彰なんでしょうか、社会的な表彰なのか、これを教えてください。
 それから、田尻さんにそれとの関係で一つだけ短い質問ですけれども、田尻さんのレジュメに「踏み切らせたもの」というのがあって、何だろうと思って私もずっとこれ気になっていたんですけれども、最初の一歩を踏み出されたのは大変勇気のある行動だったと思います。そのときに田尻さんの背中を押したものは何だったんだろうかというのが私の質問です。
 質問を終わります。
#9
○参考人(中條利治君) 今の加納先生の御質問、まず私ども、確かに十年間八百四十名、うち男性取得者が三名、それも、ここでちょうど今二名が取得中でございまして、昨年までで見れば一名しかおらなかったという状況です。世間的には約千名中男性の育児休業取得者が、多分田尻さんの方がお詳しいのかもしれませんが、四名というふうにお聞きしたことがございますので、そういう意味では決して私ども多い数字でもございませんし、むしろ少ないんだろうと思っております。
 それから、ファミリーフレンドリーにつきましては、現在の厚生労働省、当時は労働省がやっていらっしゃいまして、平成十一年度が第一回、平成十二年度が第二回ということになりまして、ファミリーフレンドリーへの取り組みに対する労働大臣表彰ということで当社が二回目の優良賞表彰をいただきました。その結果、きょうも多分その結果だとは存じますが、いろんなマスコミ等も含めてお取り上げをいただきまして、対外的なPRもあったんですが、むしろ対内的に、ああ、男性もとっていいんだろうと、うちはそういうふうに評価される企業なんじゃないかということで多分男性が手を挙げてくれたんだと思います。実際、この二名は第二子の出産について奥さんと交互に育児休業をとるということですので、第一子、初めのお子さんのときはこの男性二名は育児休業はとっておりません。そんな事例がございました。
 以上でございます。
#10
○加納時男君 ありがとうございました。
#11
○参考人(田尻研治君) 今、加納先生の方から御質問がありました。題で「踏み切らせたもの」と銘打ったんですが、何かきちっとしたものがなかなか思いつかなくて恐縮なんですけれども、やはり僕が今思っていると、連れ合いが決して強制したわけじゃないんだけれども、彼女が赤ん坊を本当に育てている。例えば、夜、本人はもう風邪でがたがた震えていても赤ん坊に乳を飲ませてやったりなんかしているのを見て、ああ、こうしてかみさんがずっと働き続けるというんだったら、おれができることがあったら何でもやろうというふうに、そういうふうに思いましたね。保育園に連れていくというのは僕はできるし、掃除とか洗濯とか、料理はあのころはまだ第一歩だったんですけれども、やれることは何でもやろうというふうに思いました。
 だけれども、やっぱり会社も理解を求めて続けていこうという、ですから多くの男性よりかなり比重が生活の方へに移っていたのかもしれません。余り、大してあれですけれども。それで、バックアップしてくれる組合というのがあったという、何かそういうぎらっとした何かものがやっぱりあったんだと思います。
 それと、御質問でない、中條さんの方にあった質問に答えて恐縮なんですが、やはり僕は表彰も企業の中では非常に大事だと思うんです。例えば、各企業の社長さんが、男性も育児しよう、そうやって世の中つくっていこう、私はそれを応援するよという例えばポスターみたいなものを、社長と赤ん坊のポスターみたいなものをその会社に一枚張ってあるだけでもう大分雰囲気が違いますよね。そういったことだと思います、会社が宣言するということは。会社が変わるということは、やっぱりトップが宣言するということだと思います。
 以上です。
#12
○加納時男君 どうもありがとうございます。
#13
○内藤正光君 民主党の内藤正光でございます。
 きょうは大変すばらしい話をありがとうございました。
 そこで、私の方からは中條部長に三点ほど質問させていただきたいんですが、まず第一点目は、大変御社はすばらしい制度、魅力的な制度をつくっているなと思ったんですが、ただ、実際そうはいってもなかなか当初は利用者もあらわれなかったんじゃないかなと思うんです。これは私自身の会社経験を通じても言えることなんですが、例えば週一回超過勤務自粛日というものを設けても、なかなか皆帰ろうとしないというのが実態でした。そこで、例えば、あるとき部長がかわったわけなんですが、部長が、もう時間が来ると、帰るぞと言って部長みずから早く帰るのは当然のことながら、電気を消してまで帰って、実際ばっとみんな帰っていたと。つまり、やっぱり管理職の意識もしっかりしていないとなかなかこういう制度というのは実践されないんじゃないかなと思うんです。
 そこで、一つ目の質問は、制度はつくって、それにプラスアルファとして、それを実際に実のあるものとするための企業としての取り組みはどんなものがあったのか、管理職に対する教育はどういうものがあったのか、これを教えていただきたいと思います。
 そして二つ目は、最後、十六ページの方で「行政への要望」ということで二点ほどおっしゃったわけでございますが、四分の三ルールの拡大だとか、法定福利費を勤務時間比例にということ、そのほかにもあれば具体的に教えていただきたいと思います。
 そして、最後でございますが、育児休職期間、最長で一年とあと数カ月ですか、ということでございますが、私、聞くところによりますと、会社の独自の施策で希望によっては三年まで与えているところがあるというふうに聞いております。実際に取得者を見てみますと、取得者のうち半数以上が一年を超えて育児休職をとっていると。三歳児神話の是非はともかくとして、実際にできるだけ長く子供の面倒を見てあげたいという親もいようかと思うんですが、実際、御社ではもっと長く育児休職をもらえないかとか、そんな希望は出ていないんでしょうか。
 以上三点でございます。
#14
○参考人(中條利治君) それでは、内藤先生御指摘の三点ですが、御質問三点ですが、まず、当初から利用者が少なかったんではないか、それから労使が、例えば会社が取り組んできた結果が現在の利用者数につながっているんではないかという御質問だと存じますが、私ども、当然育児休職に入る前は産前産後の休職をとられてから職場に復帰をするというケースだったと思います。それまでは、確かに私が入ったころは結婚それから出産でやめる女性従業員が非常に多かった。それが、社会環境が変わる中で、それからバブル等の後にやはりいろんなそういった環境の中でできるだけ継続して勤めようという女性がふえてきたということが背景にあると思います。
 そういう意味で、結果として見れば、十年間の利用者推移を載せてございますが、それで見ていただいても多少ふえておりますけれども、たしか最初から六十名程度からスタートしておりまして、最初から非常に少ない、取得率が上がってきたという結果ではないという気がしております。
 それから、会社それから労働組合が例えば管理職に指導をする、教育をするですとか、とれないという声に対して、会社ないしは組合が仲介に入って説得をするというようなことは過去に例がございません。信州といいますか諏訪、私どもの拠点を置く諏訪の特殊性とかいったこともあるのかもしれませんが、結果として見ると、割とすんなりと育児休職をとるメンバーが多かった。ただ、期間については、御説明させていただいたとおり、最初から一年間ということではなくて、最初は例えば半年間しかなかなか気を使ってとれなかったですとか、中には育児休職明けで短時間もとりたかったんだけれども、短時間勤務はできなかったとか、そういう例は聞いております。
 それから、二番目の行政等につきましてということで二点お願いをさせていただきました。あとはむしろ国というよりは地方公共団体で保育所への補助といいますか、それから例えば未満児保育を預かっていただける時間等についてもかなりばらつきがございます。当然、地方自治体としての自主性、主体性の中ですべて一律でということは必要なかろうかとは思いますが、ぜひいい方に当然プラスしていただければ使う側としては非常にありがたいと思います。
 それと、最後、育児休業をもっと長くということなんですが、労使委員会をやるに当たりまして私ども組合が全女性従業員にアンケートをとりました。当然、声としては長いにこしたことはない。例えば、先ほど内藤先生からございましたように、企業によっては小学校入学まで例えば認めようとか、保育園入園まで認めようというような企業さんもございますが、当社としてはむしろ育児よりは介護に重きを置きましたので、育児については一年、誕生日、一歳までの誕生日というのを、保育園の入園によっては一歳後の三月末までというところである程度大方の理解は得られたのかなという気がしております。介護について一年六カ月を最長というのが今後むしろ問題になってくるのかなと。復帰率を見れば、もっとそちらを見てあげなければいけないんじゃないのかなという気がしておる、そんな実態にございます。
 以上です。
#15
○内藤正光君 ありがとうございます。
#16
○中原爽君 自民党の中原でございます。
 基本的には加納委員と同じ御質問の中身になるかと思いますけれども、中條参考人にお尋ねをいたします。
 育児休職についてでありますが、お出しいただいた資料では、従業員、女性の既婚者数、大体従業員数の五五%ということであります。それで、十年間に八百四十一名という女性の従業員が育児休職をおとりになった、こういうことでありますが、それにかかわりまして男性についての御質問がありました。
 このことで、既婚者の中には御夫婦がともにエプソンの社員であるという事例もあろうかと思いますが、それも数は少ないのかもしれませんけれども、こういった場合の育児休職について、特にデータから見ますと女性が一年間休職をおとりになる例が非常に多い、六九%になっております。その場合に、夫婦という単位で考えたときに、このFFの制度も含めて、会社側としてはこの御夫婦に対して休職問題についてどのような考えを持っていた方がよろしいのかどうか、こういう事例はそうめったにあるものではないかと思いますけれども、その点についてお尋ねをしたいと思います。
#17
○参考人(中條利治君) 今の中原先生の御質問、社内結婚につきましては、私も含めて非常に多うございまして、多分仕事が忙し過ぎて外で見つけられないんだろうと人事では好意的に理解をしておりますけれども、ただ、社内結婚であってもやはり結果三名しか男性取得者が出てこなかったという実態にあります。
 会社側としてみれば、例えば極端な例で申し上げますと、過去に社内カップルなんですが、女性の方が開発のエンジニアでございまして、大学院卒の本当にもうばりばりのエンジニア、彼女が出産ではなく結婚で退社してしまったんですね。人事としては、冗談まじりに、じゃ女性がやめるんじゃなくて男性にやめてもらった方がいいよねというような話をしたことがあるんです。
 そういう意味で、どちらがやめるんではなくて、今回のカップルのように同じ期間を例えば分担してとるということも、一つの職場で見ればじゃ相手がとってくれた方が自分のところは楽だということになるのかもしれませんが、会社側から見れば、お互いが分担してその不在の期間をできるだけ少なくしていくということは、もし社内結婚ということであれば非常に会社から見ても職場から見てもメリットはあるんだろうと思っております。
 そういう意味で、もし仮にうまく、うまくといいますか、結果として、社内のカップルであればお互いがお互いを尊重し、むしろ趣旨は、会社側の意向よりは、先ほど田尻さんがおっしゃったように男性も育児に参加をするんだということで、育児能力があればという私は個人的に前提があろうかと思っておりますけれども、そうした方はぜひ男性でも育児休職をとって女性が職場復帰しやすくする、もしくは職場、またリセットをかけるんではなくて継続をしていくということのサポートを夫婦お互いがし合うということは非常にいいことなんだろうと思っております。
 ただし、会社が強制をしてだとか、男性に必ず取得をせよということまでは、法制化は別にしまして、個人的にはそこまでやる必要があるのかなという気はしておりますので、夫婦の中の選択肢にゆだねたいというのが実態です。
 以上になります。
#18
○中原爽君 ありがとうございます。
#19
○但馬久美君 公明党の但馬久美でございます。
 きょうは中條参考人、田尻参考人、大変意義深い、また有意義なお話を聞かせていただきましてありがとうございました。
 私は、田尻参考人にお伺いいたします。
 大変もうお話を伺っていて、勇敢であるし、またもう本当にこういう二十一世紀、新しい形のそういう企業が逆に生まれつつあるんではないかなというふうに思いました。
 私はお聞きしたいのは、育時連というような運動をなされていらっしゃると先ほど伺いまして、日本の男性にももっと育児休暇をとらせるためにはどういうふうにしたらいいのか。先ほどもちょっとお話ありましたけれども、その辺もう少しちょっと詳しくお教えいただけますでしょうか。
 また、ノルウェーではパパクオータ制をしいておりますと言っていらっしゃいましたね、その辺をもう少し詳しく。
 そして、オランダでは、二人の、奥さんと御主人が働いていて、一・五倍ぐらいの給料でいいからもっと時間があった方がいいという、その辺のくだりをもう少しちょっと詳しくお聞かせ願えますでしょうか。
 よろしくお願いいたします。
#20
○参考人(田尻研治君) 一番最初の御質問はかなり難しい御質問で、ちょっと二番目のパパクオータという、主に北欧で、ノルウェー、スウェーデンなんかでやっている制度ですけれども、僕自身も専門家ではないのでそんなに詳しくはわからないですけれども、ノルウェーの場合、要するに男女平等政策を進めていく上で、日本の、二十年近く前ですか、男女平等法というのができていろいろなところで進めていったけれども、なかなか進展しない部分がある。それは何かといったらば、男性の育児の部分、あと民間企業に女性が登用されて職が上がっていくというような、そういうことがなかなかないという、そういう部分にポジティブアクションといいますか、ある種優遇政策みたいなそういうようなものを入れて強力に推し進めていこうという、先ほど私が言った国の意思のあらわれなんですけれども。
 現実的にノルウェーの場合八割近く休業の補てんがあります、育児休業の。それはかなり労働者としては、随分補てんがありますし、とりたいという意思がすごくありまして、それに対して男性は特に四週間の期間延長といいますか、そういう枠を設けて、それをいわゆるパパクオータと名づけて推し進めようとしているわけですね。
 ですから、私自身の考えからいうと、育児休業をとるということの補てんの率が余り低ければ大して、ありていに言えばおいしい話ではないわけですね。かなり補てんが高ければ、例えば一〇〇%の国もありますけれども、そういうようなところで、女性でしたらば一年何カ月かのところを男性はさらに四週間上積みされるわけですから、非常に男性としてはとろうという意欲がわいてくるわけです。
 これが、パパクオータができたのが、ちょっと僕も詳しく資料を見ないとあれですけれども、三年前か何年か前で、当初ノルウェーでも男性の育児休業の率が一〇%に満たないぐらいが、そのパパクオータ制を入れてから二年ぐらいでかなり急速に伸びてきて、今は八〇%近く男性が育児休職をとるという、そういう現実があるところを見ますと、大変有効な政策です。政策の中に国としてやはり強い意思が込められているというのをやはり労働者側は見るわけですね。特に男性に四週間とるということを、優遇策を打ち出すわけですから、職場でも非常にとりやすいんだと思います。
 私の皆さんにお配りしたこういう中に、パパクオータに関しての事例研究というので、クオータというのは割り当てるという意味で、決して、先ほど言った岩男さんがおっしゃっているような必ずとりなさいというがちがちの義務というよりも、そういった男性にとっては四週間延びているというそういう例なんですけれども、ここにパパクオータの経緯みたいなものを書いてございますので、ちょっとお読みくださればいいのではないかなというふうに思います。
 それとあとオランダの例ですけれども、これもそんなに中身は詳しくはわからないんですけれども、アメリカとかで、ダブルインカムでとにかく二倍働くというんじゃなくて、二人働いて一・五倍ぐらいの所得で、時間的にそんなに多く働いていくということじゃないような、そういう組み方ですね。オランダの場合、少子化も絡めて、経済政策も含めてそういうことをやっていったというふうに聞いています。いわゆる日本で言うパート労働者に正規労働者と同じような社会福祉とかいろんな権利をきちんと付与させて、そして時間も正規労働者と同じ時間割りの単位のお金を払ってやっていくということです。
#21
○西山登紀子君 日本共産党の西山登紀子でございます。
 きょうは非常に具体的な興味のあるテーマで参考人の皆さんのお話を聞きまして、大変うれしく思っております。
 お二人にお伺いしたいわけですけれども、私たちはこの調査会で少子化の問題をテーマにしながらずっと調査を続けておりまして、いよいよ二十一世紀を迎えるということになったわけですけれども、私たちは、二十一世紀はやっぱり少子化の問題について言えば、日本も早く男性も女性も、仕事も子育ても両立できるような社会をつくる、それが一つの少子化の対策としてはキーワードだと思っているわけです。中でも、仕事の働き方あるいは働かせ方、これがやっぱり最大の問題じゃないかなというふうに思っています。
 そこで、企業の方からこのように具体的な、私も三人の子供を産休明けから悪戦苦闘しながら共働きで育ててまいりましたので、企業側がこういういろんなメニューを工夫していらっしゃるということについては、ここまで非常に具体的な制度を持っている企業が日本の中にもあるんだということで大変興味深く思ったんですけれども。
 そこで、ちょっとお聞きしたいんですが、FF制度、ファミリーフレンドリーということで表彰を受けたという、この中條さんのところの会社が。表彰を受けたときにびっくりしたと書いていらっしゃいますよね、思いもかけない受賞であって大変光栄に存じておりますというふうに書いてあるんですけれども。だから、これは中條さんのところの企業がこういういろんな制度を工夫していらっしゃったというのは、何もファミリー・フレンドリー企業の表彰だとか、あるいはそういう国の、日本の、政府のリードがあってやってこられたことじゃなくて、それよりももっと前からやっていらっしゃったと。
 そこで、大変私は思いますのは、企業というのは利潤を上げるのが目的でございます。それがこういう具体的な女性の育児や介護、あるいは男性も含めてですけれども、時間的ないろんな施策だとか働き続けられるような施策をずっととってきたということのモチベーションといいますか動機というか、それが私は非常に知りたいなと思うんですね。それがまたずっと継続しているし、制度がずっと拡充していますよね。そこが非常に私は一つはすごいことじゃないかなというように思っておりまして、その中條さんの会社の、こういうことをやろうとしたこと、そしてやっていること、続けていられる動機と、それからやっぱりメリットがあるんだと思うんです。そのメリットというのは何なのかということ。それから、まだこのFF社、ファミリー・フレンドリー企業というのは日本ではまだ七十数社ということなんですけれども、これをうんと広げていくために、先達といいますか、そういう中條さんのところの会社が何かプレーというか行動、アクションを起こしていらっしゃればそれもお聞きしたいなというふうに思うんですね。
 それから、具体的に労使委員会というのをつくっていらっしゃるんですけれども、これは構成がどういうふうになっているのか。労使の比率だとか男女比ですね、最終的な結論を出す方法というのはどんなふうにやっていらっしゃるのか、運営だとかですね、そういうようなことも教えていただきたいなというふうに思います。
 なおかつ、こういう具体的な制度をとっていらっしゃるんだけれども、女性の管理職の比率というのはまだまだうんと低いということがありましたよね。その辺は何が原因で、どうやって克服しようとしていらっしゃるのかお聞きしたいなと。
 いろんなことをお聞きしたいんですけれども、そういう具体的なお尋ねと、最後的には企業の独自の努力ではなかなかこういうことが難しいという場合に、国が例えば制度としてもっとこんなことをやってほしいという、先ほど御提案もありましたけれども、国の制度としてもっとこういうのがあるべきじゃないか、あるいはあったらもっと広がるのになというような御意見があれば、ぜひお聞かせいただきたいなと思うわけです。
 それから、田尻参考人につきましては、私は、こういう場所に出てきていただいてこういうお話をしてくださったということはとても感激をしております。
 というのは、私の夫もそういう共働きで赤ちゃんを抱いて保育所に最初送り迎えをしておりますと、大変奇異な目で見られたものです。だっこバンドで男の人が歩いているというのは大変奇異な目で見られたものなんですけれども、そういう男性がやっぱりふえるということが男性の側の復権じゃないかなというふうにも思いますし、ぜひ頑張っていただきたいなと思うんですが、今具体的に会社の中で田尻さんが早く出てきたり奥さんが後から出てきたりといって、こういうふうに工夫をしていらっしゃいますね。そういう工夫の実情をもう少しお話しいただきたいというのと、田尻さん以降、後に続く男性が職場の中でうんとふえていっているんでしょうか、その辺もぜひ聞かせていただきたいと思います。
 以上です。
#22
○参考人(中條利治君) 今、西山先生から何点かいただきましたが、まず企業の目的というのは当然利潤を上げること、そうした中で、例えばファミリーフレンドリーの取り組みが場合によったら相反するのではないか、企業としてその取り組みに当たったモチベーションなりメリットは何があったのかというまず第一点目の御質問につきましては、今回のファミリーフレンドリー表彰をいただきました結果、労働省からもPRにエプソンを使いたいということでいろんな、例えば新聞等のインタビューがございました。
 その際に、社長にも同席をいただきまして答えていただいた中で、例えば当社も非常に、九二年だったと思うんですが、もう本当に赤字転落に近い時期がありまして、このときは労務費を含めてかなり我慢、努力をした時期があります。そのときを思い出して社長が言っておりましたのは、企業として利潤を目的にいろいろやっても結果としてうまくいかなかった、むしろ人を中心に、いかに人を中心に伸ばしていくかという結果が、今たまたまかもしれませんが、企業としての拡大につながってきた。したがって、人を財産とし、その人のアウトプットによって企業全体を伸ばしていくということを回り道でもやらざるを得ないんだろうと。
 社長は、育児、介護等の取り組みの中身を細かく御存じではないんですが、そういう話をしておりまして、そういうことを踏まえた人事としてメリット、それからむしろそのメリットがあるからモチベーションにつながったと理解をしておりますけれども、申し上げたいのは、例えばバブル期以降、当社も御多分に漏れず人の投入がかなりできなかった時期が実際何年もありました。退職が出ても人が投入できない、今いるメンバーの中で工夫をし、効率化をしてやらざるを得ない。
 そういう中では、経験を持っている、男性であれ女性であれ、やめてもらうよりは一年間だったら一年間我慢をしてもまた戻ってきてもらった方が会社にとっては当然メリットがある。かつ、仮に人が採用できるようになっても、全くゼロから教え込むよりはむしろ経験があって戻ってくれば、確かにブランクはあるにせよ、やはりなじみやすいと思うんですね、早くもとに戻れると思う。そういったメンバーが多少のタイムラグはあってもすぐに一年前と変わらず働けるということについては、職場としては非常にメリットがあるんだろうと思っています。
 そういうことがあるからこそ、結果として、先ほどの御質問にも、職制を含めて指導をしたんじゃないかとか、教育をしたんじゃないかとかいう御質問があったんですが、決してそういうことではなく、職場として必要だから結果として十年間で八百名ぐらいまでの積み重ねになったということで考えておりまして、したがって女性も、男性もですけれども、育児休職をとれば必ず戻ってきてほしい、戻ってきてくれないと困るぐらいのやはりスキルを身につけてほしいというのが人事からの要望であり、それがあるからこそ同じ職場へ戻すんだという前提になります。
 それから、労働大臣優良賞ということで、昨年度、十一年度がベネッセコーポレーションさんがとられまして、私どもが二社目ということで、当社が例えば中心になって何かファミリーフレンドリーという理念なり制度なり、取り組みを広げるための何かアクションをしているかという二つ目の御質問だったんですが、残念ながら私どもが先頭に立って何かこういった取り組みを広げるというような具体的なアクションはしてございません。
 ただ、長野県等を中心に、まだまだインフラ等で未整備の中で、じゃ具体的に何を始めたらいいのかというような、雇用均等室等からお声がけをいただいて、いろんなセミナー等で発表させていただく機会がございますんで、その中で取り組みをお話しさせていただくと。
 ただ、一番大切なのは、じゃ大企業だから、先ほど田尻さんからも、例えばソニーさんですとかというお話があったんですが、大企業だからできるんだというんじゃなくて、やっぱり必要だからやっていくということがまずスタートであるべきだと思うんですね。必要なところからやっていくというのがやっぱり大事だと思うんです。
 そういう意味で、ちょっと少子化とは外れるんですが、例えば中小企業、長野県内の中小企業の団体の方々とお話をすると、六十歳雇用延長なんていうのは中小企業はもうどこもやっているんだと。若い人が入ってきてくれないから、気がついてみたらもう七十歳という労働者はいっぱいいるよと。彼だけが持っている技術、技能、スキルというのが物づくりのためには必要だからやめてもらっちゃ困るんだというお話があるわけです。
 そうなれば、大企業がむしろ六十歳定年で雇用延長できていないのかもしれませんので、そういう実態なり必要があれば、多分どこが旗を振らなくても進んでいく部分もあると思いますし、それを水平展開、横に広げるということでは、やはり先生方を含めた、中心になられての行政なり国のお取り組みというのが当然必要になってこようかと思います。
 三番目の労使委員会ですが、今回の育児、介護につきましての労使委員会ということではなくて、私ども、いろんな労使のテーマがありますと労使委員会をつくって活動をしております。これには労働組合から、それから会社側からほぼ同数を出させまして、その中で意見交換をし、そこで答申案をつくり、経営側からすれば経営確認をとりということになりますし、労働組合の方は機関確認を経て、両方確認がとれればそれで労使合意ということで制度施行という形で移ってまいります。
 今回の育児、介護の労使委員会につきましては、会社側は女性が二名、これは総務課長を中心としましたが、うち女性の課長さんが一名で、あとはそれぞれ大きな事業部でそういった具体的な事例を抱えておりますところの総務部長を中心に五名集めまして、あとは人事の事務局が三名という構成です。組合の方は、ある支部の支部長を委員長に、同じくそれぞれの支部の書記長ですとか支部長クラス、それから女性のメンバーもたしか三名ほど入りまして、合計七名プラス組合側の事務局二名ということで検討してまいりました。
 それをベースにしましたのは、組合の方が機動力がありましたので組合にお願いをして、先ほど申し上げた、女性二千六百名を対象にアンケートをとりまして、組合がまとめてくれたアンケートをもとに、じゃどういう課題があり、それをどういうふうに改定、改善していこうかという取り組みを約半年間行ったということになります。
 それから、四番目。御指摘のとおり、ファミリーフレンドリーでありながら、なぜこんなに管理職数が少ないのかということなんですが、これはもうおっしゃるとおりでして、ただ私自身の気持ちとしては、機会均等、それから制度の公平性なり納得性はつくったと。あと、教育をするとかキャリアを積むということは当然努めていきたいと思いますが、いたずらに例えば管理職数を女性に何名割り当てようとか、昇格数をじゃ女性に何割割り当てようとすると、昇格ならまだいいのかもしれませんが、管理職ですと、せっかく能力がありながら、伸びる人は伸びるんですが、もしかするとつぶれる人も出てくるかもしれない。
 そういう意味で、ポジティブアクションについて決して否定的ではないんですが、ぜひ今、主任、係長クラスというのがだんだんやめなくて継続をするという、育児でも結婚でもやめずに継続をするという女性がふえてきましたので、彼らが母数になって、母体になって、その中から次への昇格、次への例えば課長職なり部長職なりという昇進も含めてこれから出てくるでしょうし、結果として出てくるようにするための企業としての取り組みがまだおろそかな部分があれば、それはポジティブアクション的には取り組んでいきたいとは思っております。ただ、御指摘のとおりですが、非常に恥ずかしい数字になります。
 それから、企業への国としての何かサポートがあればということですが、これはやはりいろんな柔軟性、法律ですので余り特例とか特認を認めるということは難しいでしょうし、ある一つなり、ある対象だけをねらっての法律ということではなく、それがカバーされる全員が公平であるべきというのは当然あるかと思うんですが、その中である程度現場の声といいますか、例えば田尻さんにせよ、それから経営側、会社側の声にせよ、いろんな現場の声を拾っていただいて、現行法制下でも例えば扱いによっては運用でいける部分、特例として対応できる部分、そんなことがあればぜひお願いをしたいと思うんですけれども。
 ただ、やはりこういう場がありますので、私どもは先生方にお願いもでき、お話もさせていただけますけれども、ほかの民間企業の立場ですと、直接お話できるのは保険事務所がせいぜいでありまして、先ほどお話ししたように、回答を求めても、それは四分の三以下ですからだめですねという一言でだめだったんですね。それでも私ども食い下がりまして、じゃしようがない、上に聞いてみましょうということで、一カ月後にいただいた回答もだめでした。
 ですから、それをいかに吸い上げていただけるかという、いろんな場があるのかもしれませんが、そういったことをぜひお心がけいただければ、私ども以外のそういった方々、立場の方々も含めてありがたいのかなという気がしております。
#23
○参考人(田尻研治君) 西山先生の方からお話がありまして、私が十五年前ぐらいに男性の育児ということで、例えば山手線に赤ん坊をおぶいひもで僕自身がしょって乗ったりすると、やっぱりちょっと何となく、奇異な目で見られるのは今でもそうですけれども、あのころというのはちょっと何かうら寂しいような感じの、何か女房に逃げられたというようなニュアンスが多少あったんですけれども、これは十年たちまして男性の育児というものに対する周りの目というのが大分変わってきていますね。
 非常に、女性が求める像でもないですけれども、とにかく強く引っ張られる男性というよりも、女性の側から言わせると、ともに歩んでくれるという、そういう感じの男性というような。ですから、今は同じ男性が山手線で赤ん坊をしょっていても比較的、格好いいとまではいかなくても、時代の先端を行っているというぐらいに意識は大分変わってきているのではないかというふうに思います。
 それと、あと企業の中で時間のやりくりのことですけれども、先ほど三十分の陳述のときにお話しさせていただいたように、保育園に預けるために時間が間に合わないということで、一時間ぐらい結局賃金カットされながら、毎日一時間ぐらい引かれていましたけれども、それを二年か三年やって、その後フレックスタイムというのが入りました。ただ、そのフレックスタイムでまた送り迎えみたいのを三、四年やりまして、合計十年近く二児まで含めて保育園の送り迎えを経験しまして痛切に感じたのは、フレックスタイムというのは総労働時間は変わらないわけですから、朝一時間おくれていくと、夕方ありていに言えば一時間多く働かなきゃいけないわけですよね。
 短時間勤務というのは、朝一時間賃金カットはされるにしろ定刻に帰れると。その一時間というものが及ぼす生活の余裕感というのはもう相当なものなんですね。先ほどおむつの例を恥ずかしながら話しましたけれども、本当に転げるように家に帰ってやっていくという、その一時間のもたらす余裕というのはお金にかえられないなと痛切に思いました。ですから、今の育児休業法、短時間勤務のところにフレックスタイムでも可とありますけれども、やはり育児時間の短時間制度というのはやはり独立させて義務化していただきたいなというふうにすごく痛切に感じております。
 例えば、先ほどソニーだとかIBM、NEC、いろんな連中で男性の育児をとっている、よく聞きますと、やはりすごく仕事が忙しいけれどもやりくりやっているというので、きょうは僕が迎えに行くというときは彼女側はもう思いっ切り残業したり、逆の場合はすごく彼が残業したりということで、子供にとってみると母子家庭と父子家庭が繰り返されるような感じなんですね、現実的に。それで、多くの女性というのは、女性だけがずっと育児やっていて男性はもう毎日企業戦士で遅くなっているという例だけれども、一歩進んでやるにしても、そういう感じで夕方の団らんなんというのは、きょうはお父ちゃんがいて子供に食わせる、お母ちゃんはずっと残業していると、そういう繰り返しみたいな感じで、やはりそれよりは私なんか経験したように短時間勤務をあわせて、やはり夫婦でいて子供がいてという団らんを組めるような、じゃないともう本当に綱渡りなんですよね。
 私、本当に思うんですけれども、三歳ぐらいまでにいかにそこに、何というか、ちょっとした時間的な余裕だけでもあると、三歳までの子供のかわいさで親孝行を済ましているということわざもあるみたいに、三歳までのかわいさに本当に接していられるという喜びみたいのがやっぱりその時間の余裕ということと結びつくと思うんですよね。
 あともう一つ御質問ありました、私の会社で後、続く人がいるかということを含めてですね。
 当初、私がやったときに二人仲間がいて一緒にやったのですけれども、それ以降、残念ながらなかなか出ない、千名ぐらいの企業ですけれども。このことに関して、余りエプソンさんのようにきちんとした設定みたいなのがないということもあるんですけれども。
 私、企業の中におりまして、例えば新入社員が一年前に入ってきまして、有名大学出て、一緒に僕仕事を教えるんですけれども、もう本当に丁寧にゆっくりやる、僕なんか考える三倍ぐらい時間かけていろいろ丁寧にやっているんですよね。そういうのを見ていて、ああ、こいつは本当にそうやって丁寧にやるということを学んできてというふうに思って、その彼の一年後を本社で見て、見るともう走っているんですよね、もう忙しくて、時間がなくてね。それぐらい何かリストラの中で非常に時間的余裕がない。それは若者ですよ、二十代、新入社員ですけれども、見るともう夜の十時、十一時ぐらい、ずっと働いていると。
 多くの企業の風景というのは、今どんどん若者に責任を割と多く与えるようにしていますから、非常に責任を持った中でそれをこなそうと一生懸命、時間も能力もフルに使っているという、そういう光景を私の会社でも見ますし、多くの会社、リストラの中で。こういう中で、育児の前に結婚すらなかなかできないんじゃないかと思わせるような。やはりある意味、そういった企業風景と、今国が求めている、さっきの繰り返しになりますけれども、男女共同社会と乖離していくというか、やはり何かそこら辺の声を企業に届けさせる必要性というのを、どうしても話はそこに行っちゃうんですけれども、痛切に思っているところです。
 以上です。
#24
○西山登紀子君 どうもありがとうございました。頑張ってください。
#25
○松岡滿壽男君 無所属の会の松岡です。
 お二人の参考人、大変御苦労さまでございました。
 まず、中條さんにお伺いするんですけれども、先ほどの御説明は国内の従業員に対する対応でございますか、海外が三万四千人おられるわけですけれども、その問題が一つ。それから、せんだっての参考人のお話を聞きますと、やっぱり我が国の賃金水準が時間給で二千二百円ですか、アメリカ、ドイツあたりで千七百円から千九百円と、かなり高水準になってきたと。それが今の中国や韓国からの野菜の問題とか、あるいはソーイングですね、ユニクロに代表されておりますように、かなり厳しい状況になってきていまして、中国でやると単価が一万円ぐらいだけれども、日本でやると十三万円ぐらいだと。数少ない田舎にあるソーイングも大変厳しい状況になってきているんですね。
 そういう中で、おたくの場合は海外展開しておられるわけですけれども、海外との賃金の状況ですね、国内の。おっしゃられる範囲で結構ですけれども、その辺をちょっとお教えいただきたいということと、今までの国内と海外とのウエートというのはどんどん海外にシフトしていっているんじゃないかと思うんですね。国内のやつについては恐らく、昔は年齢給で右肩上がりに上がっていったわけだけれども、だんだんフラット化していると思いますよ、恐らく。能力給に切りかえていくと。そういうものに対する不満とか、それに対する対応とか、やっておられるのかどうかということですね。
 それと田尻参考人、本当に私も昔十四年ほどサラリーマンをやったんですけれども、想像を絶するようなお話を伺って、なるほどこういう時代になっているんだなという思いを非常に深くしましたし、大変な御苦労があっただろうと思います。
 それで、後に続く人がおられないというお話ですけれども、やっぱり会社の中で昇進とか、大変失礼な話ですけれども、昇給とか、そういう部分に対する会社の対応ですね、そういうものがやっぱり何らかあったのかということと、国の意思ということをおっしゃいますが、参考人の場合は非常に自由で確固たる意思を持って生活し働いていくというような立場の方ですから、国の意思というのは、あくまでもパパクオータとか、あるいは育児休業に対する指導とかいう面に限定されるのか。
 あるいは、やはりこのまま行きますと百年先に六千万人になるわけですから、これは日本にとっては大変な事態になるわけですね。そういう全体的なものに対して、私どもはいろいろこの三年近く研究してきまして、少子化対策基本法とか、いろいろまだ意見調整ができておりませんけれども、何らかの国としての意思表示が必要だろうという感じもあるわけですが、そういう部分についてもやはり国の意思というものについて田尻参考人は限定的に考えておられるのか、あるいはやっぱりそういうことをきちっとやっている、国全体で、企業もそういう方向にきちっと目が向くようにしっかりしろという意味でおっしゃっておられるのか、その辺をお伺いしてみたいと思います。
 最後に、さっきの賃金の問題ですが、ダブルインカムだけれども、一・五倍で何とか育児頑張れるんだというまことに勇気のある御発言をいただいたわけですね。我が国の場合、なかなか本音の議論がなくて肝心なところをよけてやっているものだから、なかなか企業も国も対応が難しいんですけれども、そういうことについて、実際に御体験なさってそういう御発言があったわけですが、それだったらもっとほかの対応の仕方がいろいろとあり得ると思うんですけれども、もう一回この辺についての御見解を賜ってみたいなと思うんです。
 以上です。
#26
○参考人(中條利治君) 今の松岡先生の御質問、当社の場合、確かに海外の方が非常に多うございまして、国内の従業員で見ますと、ここ十年ほとんど従業員数が変わっておらないという状況にございます。に比較して、海外の方は毎年毎年ふえていくという状況にあります。
 賃金比は、私どもちょっとデータが古くて九八年の数字になるんですが、現在では、先ほどございましたように、例えば中国と日本と、特に製造業ワーカーといいますか、製造業技能職での比較ですと大体三十分の一ぐらいということになります。
 当時私どもがとりました九八年の当社、当グループの製造業比較におきますと、当社が出ております例えば中国ですと、深センですとかそれから蘇州、この辺と比べますと五十対一、それからジャカルタも五十対一というような状況にございました。日本よりも当然経済的には同等もしくはそれ以上の、例えばアメリカ、ヨーロッパに比べましても、職種によっては日本を製造業ワーカーについてはやはり下回る。先ほどの御指摘の、例えば百対八十という状況です。職種によっては当然日本の方が下回る職種もございました。ですから、今多分直近で見れば、中国とそれからジャカルタ、インドネシア等の比較でも多分三十対一ぐらいの比較だろうと思っております。
 ここで問題になりますのは、当社も確かにバブル以降非常に為替が高騰しましたときをピークに、特に低価格帯、低コスト製品についてはやはり海外シフトせざるを得なかったという状況にございました。行き先は、やはり労務費ということで、中国から東南アジアが中心でございました。その中で、最近、例えばジャカルタには今三千名、四千名近い従業員がおりまして、低価格帯のインクジェットプリンターをそこで製造し、世界へ輸出をいたします。定着率が九六%だというふうに聞いております。
 当然インドネシアそのものの経済状況もあるんですが、よく海外の場合は非常に転職率が高い等の指摘、それから日本の方が手先が器用でまじめだという指摘、これがどうも最近は当たっていない。むしろ定着率も日本より海外の方が高くて、かつ中国人は御存じのように日本人並みもしくはそれ以上に器用なところもありますし、イメージ的には、マレー系であるインドネシア人というのはちゃらんぽらんで余り働かないんじゃないのか。例えば、回教徒で、ラマダンといいますか断食のときは、ハジの時期はどうするんだみたいな御指摘は確かにあるんですが、彼らは非常にまじめです。かつ、先ほど申し上げたように定着率も高い。
 となりますと、日本でどこまで雇用を確保し、物をつくり続けるというメリットがだんだん薄れてきているような気がしないでもありません。そういう中で、やはり日本は高付加価値のものをつくり、それから物づくりということで、できるだけ日本に残すべき技術、技能を見きわめて、今の一万人を二万人、三万人は無理かもしれませんが、少なくとも今雇用している人員を何とか確保していきたいというのが当社といいますか私どもの希望、期待ですし、それに向けて何とかしたいと思っておる。
 ただし、海外の能力は賃金格差以上に非常に若い人たち含めて力をつけてきているんじゃないのかなというのが海外現法を見たときの私ども経営陣含めた印象だというふうに聞いておりますし、実際見てみますと、目を輝かせて一心不乱に物をつくるという、もしかしたら日本人が昔持っていた美徳が今本当に残っているのか、日本だけだったのかというところでクエスチョンを感じざるを得ないというのが実態になります。
 それから、そういった海外シフトが加速しているのとは別に、私ども職務職能給、当時日本が能力給にすべてかわっていきましたときに、職務給要素を残しながら、職務が上がれば賃金を払おうということを三十年来やってまいりまして、年齢給、年齢が一歳上がりますと例えば二千円ぐらいずつ資格、仕事が変わらなくても上がっていくという、今は、若いときはそう思いませんでしたが、年をとって考えますとなかなかいい制度だなという気もしないでもないんですが、これはもう十数年前に私どもは廃止をいたしました。
 したがって、定昇制度は当然ございますが、それも査定によって定昇額が変わってまいりますので、十数年前から、仕事で評価が上がらないと賃金は上がっていきませんよ、それから年齢で自動的に上がっていくわけではなくて、上の資格に上がるためには上の仕事ができるようにならないと上がっていきませんよという制度を、古くから見れば三十年来、それから今の体系では八七年に年齢給を廃止しということでやってまいりましたので、そういう意味で確かにファミリーフレンドリーとは言えない厳しさもあるかと思うんです。
 したがって、男性だから、女性だからということではなく、次へ上がるために、例えば職制はその部下を伸ばすために要するんだということを、やはり育成ということで心がけてくださいということを言っていますが、全員が上がるわけではありませんので、やっている職務に見合った賃金を当然払っていきますということが今当社の人事制度ということになります。
 そういう意味で、全員が満足しているわけではありませんし、当然それに対する不満、反発等もあろうかと思いますが、現在、じゃ次の五年十年を見てどういう賃金体系にあるべきかということを、ちょうど今また賃金の労使委員会を組合とつくりまして検討しているところでありまして、その中では、全従業員ではないんですが、先ほど言いましたある主任といいますか、世間的には係長層でよろしいかと思いますけれども、その層から上はもうはるかに標準生計費を超えているので、非ファミリーフレンドリー的な発想ですが、もう家族手当はやめようよという提案を会社側から組合にしております。かなり反対もありますし、組合内部でも本当にそれでいいのかという議論、波紋を呼んでおりますので、一年ぐらい検討には時間がかかろうかと思いますが、能力に対して、やっている仕事、アウトプットに対して払うんだと。したがって、家族を持っている男性と、例えば社内カップルで女性の場合には家族手当が仮についていないとしますと、同じ仕事なのにもらう賃金が違うということの疑問なり不満なりというのがまた一方であることも事実なんですね。
 したがって、若い人たちが結婚すればお金がかかる、子供が生まれれば当然お金がかかるという、そこまで全部家族手当を廃止しようとはしておりませんが、ある意味そんなことも、ファミリーフレンドリー表彰をいただきながら逆行するような提案かもしれませんが、そんなことも今賃金の検討の中では進めているというのが当社の実態でございます。
 以上です。
#27
○参考人(田尻研治君) 今、松岡先生の方から御質問ありまして、僕自身の企業の中での昇進とかそういう問題を含めて、御質問の趣旨は、男性でそういった育児休業とかとった場合の企業の処遇ですかね。
 私の企業の場合、面と向かってそのためにとは言わないですけれども、やはり非常に余りよくない評価の中でずっと来ておることに関しては不満です。やはりその考え方の中には、結局、何カ月か例えば育児休業をとった、先ほどの横浜の方の中小企業で勤めた方の例を挙げたように、何カ月間休んだんだから、その間働いている人と比べた場合どうしても、どんな働き方にしろ出てきて働いたんだから、君は休んだんだからそれはやっぱり最下位、一番下の評価にならざるを得ないというような、そういう考え方というのが物すごく会社の方は強いですね。ですから、そこをどうにかしないと。
 先ほど言ったNECとかソニーとか、だからといって必ずしもなっているというわけではないですが、課長、部長になっておられる方も、男性の育児休業を経験してね。ただ、やっぱり見ているとかなりハードに、さっき言った母子家庭、父子家庭を繰り返すような感じで、本当にハードに働かれてというようなことで、私自身も含めてそういった働き方を選択しなかったということも僕ら側にもありますけれども、企業側もある。
 これは制度的に言えば、今度改正される育児・介護休業法の育児休業をとった場合の不利益扱いを禁止するというふうにはっきり決めれば、これは一歩前進するのではないかと思うんですね。要するに、一年間男性が育児休業をとった場合、そのときの査定はその前の、通常時働いていた査定をそのまま採用する、そういうふうにすれば。というのは、やはり若者、三十代ぐらい、ちょうど育児のときに、一年間だけの評価にとどまらないんですね。企業の一年間のそういう最低の評価というのは、ずっと後を引いていく。やっぱりそれは踏み切らせない大きな要因だと思います。
 先ほど言ったリストラや何かの中で、本当に育児や何か、個人の都合みたいな感じでかなり押しつぶされて、会社の都合が前面に出てきている今の感じの中で、第二番目の御質問にあった国の意思ということですけれども、私自身はさっき言ったパパクオータとか、何か企業のそれだけに限定するわけではなくて、僕の私見ですけれども、少子化というのは僕は病気だと思っているんですね。
 これは処方せんもあるわけですから、なかなかオランダモデル、ノルウェーのと詳しく論じられなくてまことに申しわけないんですけれども、やはりそこら辺に処方せんはあるわけですから、それを男女共同参画基本法といって国としてつくって、ありていに言えば、我々みたいにかみさんと二人で、子供二人いて働き続けて、そういう生活がしんどくなくて送れるような社会をつくればもうそれでけりなんですから、そう思うんですね。だから、そういったところが僕の言う国の意思なんですね。
 それが最も届いていない部分が企業だというのが私の意見なんですけれども、そこを何とかしない限り、多くの場合はやっぱり勤労サラリーマン、労働者なわけですから、企業に対して意識的にそれを届けていくためには、先ほど言ったように、トップに対して理解をきちんと求めていくということを含めて、これはかなり早急にやらないとだめな話でありまして、やっていくということですね。
 男女共同参画基本法というのは、例えば保育園だけをつくったって、それに送り迎えできる企業の時間帯みたいなのを保障するような制度をつくらないとだめなわけで、またそういうものをつくるためには、本当にそういうことに理解ある、御経験のある議員さんとか多くの、女性の議員さんはすごく経験あるとすれば、そういった議員さんがある程度やっぱり国の中で何割か占めなきゃいけないという問題もあるでしょうし、いろんな問題というのは、一つだけはやっぱり突出しないんですね、させてはいけないと思うんです。ですから、そういった意味でいろんなあんばいの中から、僕は保育園はかなり順調にここ三年ぐらい待機児解消で進んでいると思っているんです、まだまだ少ないですけれども。
 育児休業法も、基本法ができてからとる人もふえてきて進んではいますけれども、先ほど言った、なかなかやっぱりまだちょっと届いていないという、全般的にかなり基本法ができてからいろんな意味で進んではきているので、だけれども、やはり届いていない部分、おくれている部分に目配りしていただいて、総合的に国全体の形を、余りアメリカ型の自由競争で強い者勝ちという社会じゃないような処方をやはりきちんと切っていただきたいし、それを男女共同参画基本法というのは示しているわけだからというのが僕の、多少頭でっかちですけれども、そういう思いが非常に強い。松岡さんの意見。
 あと、オランダモデルのパート一・五倍、二人働いて二倍じゃなくて一・五倍というのは、なかなかこれも僕もきちんとしたいろんな方策が話せないんですけれども、例えば女性にしてみれば、これだけ高等教育を受けて、男性に伍してほとんど熾烈な受験勉強も経てやってきて、二十歳過ぎて最初五年ぐらい勤めて、子供を産んだらそれで例えば退職して、その後仮に、これは職業の是非じゃないですけれども、例えば後勤められるといったら本当にスーパーでレジを打つとか、すごくオール・オア・ナッシングの極端なんですね。
 だから、そういった方たちがずっと働き続けられる道というのはやっぱりパート、時間はある程度少なくても責任持ったキャリアが積んでいけるような、例えば僕なんか聞くのは、オランダなんか、局長クラスの女性なんかでも育児休業をとった後も責任も継続するし、多少早く帰っても家の中のパソコンだとかいろんなので通じながら非常に仕事もできて継続していくというか。そこら辺、ちょっと具体的に僕申し上げられなくて歯がゆいんですけれども、何かやっぱりそういったことを国単位でやっていく。
 そのためには、先ほど言ったパートの方にも育児休業法を含めてこういったことをきちんととれるようにするとか、中條さんが一番最後におっしゃった、オランダ方式への前進で書いてございましたけれども、いろんな税制面も含めて、お二人で半日程度働いていって一人前というような、何かそういう考え方を含めて、やはりここにはある種の哲学でもないですけれども、何かそういった枠組みみたいなものをきちんと国が示すべきだと思うんですね。
 以上です。
#28
○松岡滿壽男君 大変失礼なことを伺いまして、お答えいただきましてありがとうございました。
#29
○久野恒一君 自民党の久野恒一でございます。
 本当にきょうは中條参考人、田尻参考人、お忙しいところおいでくださいまして、また本当に参考になる意見をちょうだいいたしまして、感謝申し上げている次第でございます。
 まだ少し時間がありますので、違った立場でもって私、質問させていただきたいと思います。
 と申しますのは、私、実は病院、それから介護保険提供施設である療養型病床群あるいは老人保健施設、そういうものを経営しているものでございまして、ただ、先ほどから介護保険休暇とか託児所の育児休業とかいう問題、いろんな委員の先生方から御質問なされまして、既にもう質問は出切っていると思います。
 そういう中で、あえて私は反対側の休まれちゃ困るなという立場でもって発言させていただくのは非常に残念なんですけれども、そういう施設ですと定数というのは決まっておりますから、看護婦にしろホームヘルパーにしろ、割となれている人が急に休まれたり、先ほど田尻参考人が、女性は子供さんを産むと物すごく変化するとおっしゃったのは、私は本当にそのとおりだなと思って聞いておったんですけれども、確かに子供さんを産むと休む率が多いんですね。
 一番困るのは、そういう現場で働いている看護婦なりホームヘルパーが夜勤やらなくなっちゃうんですね。これが非常に困りまして、本当に、その夜勤やらなくなった看護婦やホームヘルパーや何かも、子供さんが熱が出たから、あしたは学校の父兄会があるからとか、いろんな理由でもって休まれます。そうすると、代行する人が物すごく混乱するわけですね。夜なんか、当直なんかやっている場合に、きょう子供が急に熱が出たから今晩お願いというぐあいにはなかなかいかないわけでございまして、そうなりますと、これはやはり各企業ベースでもってトップの考え方いかんだという発言もございましたけれども、やはりそればかりではうまくいかないんじゃないかなというふうに考えております。
 そこで、質問に入らせていただきますけれども、中條参考人の方はハイテク産業でございますから、本当に手に持った職というのが大事でしょうから、外部からはシルバー人材センターとかなんとか、いわゆる人材派遣業ですね、そういうところから人材派遣を受けて、それがメリットがあるのかどうか。一年、それ以上休まれるとだれかしら補てんしなければならないだろうと。そういう中で人材派遣業を使っておられるかどうか、それにメリットがあるかどうか。
 それと、先ほど、やっぱり手に職のある人は給料がだんだん下がっていっても長く雇用してもらいたい、そういう雇用のときに、年金まで連結して六十五歳年金受給、そういうものまで考えての発言であったかどうかというのを教えていただきたいと思います。
 あと、田尻参考人にお願いしたいんですけれども、先ほどオランダ方式でもって二人でもって一・五人、これは年金まで含んだ上での発言だったのかどうか。二人でもって共働きだから年金も一・五人でいいよという意味なのかどうか。非常にきつい発言かもわかりませんけれども、ぜひその辺を、サービス提供者側としてどうしたらいいのか。これはやっぱり私が言う発言ではないかもわかりません、国で決めていく法律かもわかりませんけれども、そういうところを踏まえてどう考えておられるのか、その辺を教えていただければありがたいと思っております。
#30
○参考人(中條利治君) 済みません、久野先生の一点目の、例えば人材派遣、外部の活用のメリットというのは、例えば育児休職対応としてのということでよろしいのでしょうか。
#31
○久野恒一君 休まれるとやはりマンパワーが不足するわけですから、かなりの数が休まれているようでございますので、それを補てんしなくても間に合っているかどうか。
#32
○参考人(中條利治君) はい、わかりました。
 全体の人材派遣でまいりますと、育児休職だからということではなくて、例えば事務補助ですとかファイリングですとか、正規従業員でどこまで抱えるかということと、それから、ある程度雇用の柔軟性を持って対応していきたいという当然雇用側の、会社側のニーズがございますので、当社、昔に比べればはるかに人材派遣がふえているという、これは間違いない事実、実態でございます。各社とも多分そうだと思います。
 そういう中で、育児休職をとったり介護休職をとられた。例えば一年間であれば、仮に正規従業員に余裕があって、どこかで穴があけばそこから持っていくということができればよろしいんですが、今どの会社さんも多分、先ほど田尻さんの方からも、非常にゆとりがない、例えばみんな走り回っているというのも当社も同様でございまして、それほど潤沢に人員投入をしてきておりませんので、そうなると、やはり短期的な対応ということでは、正規従業員がどこかから回ってくるのを待つのではなくて人材派遣等で対応せざるを得ないという実態にございます。
 ただ、職種によって、職場によっては人材派遣対応が難しいところもありますので、ここはできるだけほかの職場から可能であればローテーションをするなり、もしそれが無理であれば、悪いけど一年間みんなで分担してくれということも考えざるを得ないという職場も実際ございます。
 それから、年金受給と休職につきましては、私どもが、会社といいますか労使で、じゃ半日の短時間勤務を認めようといったときに、先ほど説明の中で申し上げさせていただいた、特に社会保険が非適用になる、これは、継続をしたいという希望は、場合によったら退職金というのもあるのかもしれませんが、やはり長期に勤続をしていくという中の一つの要因としては当然老後保障ということにもつながっていくんだと思います。
 ただ、それだけではなく、自分の持っているスキルを伸ばしながら、やりがいということで、やりたい仕事を続けていきたいというモラールの面も当然あるかと思うんです。ただ、結果として、やっぱりそこに長期でいることのメリットを会社としても結びつけていきたいということになりますと、最終的な結論としては年金受給ができない、一たん御破算にせざるを得ないということだと本人たちにとってもやはりメリットはないだろうし、それを越えてまで手を挙げるという短時間勤務取得というのは多分ないだろうということでこれは断念いたしましたので、もちろん第一かどうかは別としまして、大きな要因の一つとして年金受給とは当然関係しているでしょうし、させていかないとそのメリットがないだろうなという気がしております。
 以上でございます。
#33
○参考人(田尻研治君) 久野先生の方から御質問、最初に、正直言って年金とか余り私よく詳しくそこまで考えを及ばせたということはないので、ただ、お話を聞いて、今、中條さんがおっしゃったような点というのは多くあるだろうなと。年金も、やはりそういう働き方、今すぐじゃないんですけれども、例えば今の働き方で、僕とかみさんと、ありていに言えば二倍年金ももらえるとすれば、当然年金も一・五倍、少なくなっていくというのは、それはそういうことでいいんだろうなと。より少なく働きよりよく生きる、そういうことからいえばそういうのでいいのではないかと思っています。
 それと、病児保育、それは私自身も、ゼロ歳、一歳ぐらいまでは本当に普通の子供でも風邪引いた、熱出した、どんどん休むわけですね。それはだれが見るか。ほっぽらかすわけにいかないわけですから、親が病児の休暇を認めて見るのか、今、何軒かに一つある病児保育を含んだ医療設備のある保育所にするのか等を含めて、ただその企業だけに甘えてはいけない部分も確かにありますけれども、それはやはり育児と病気というのはセットですから、そこに対して何らかの手を打っていかないと、かなり多くの僕らの仲間がそのために両立の道をあきらめています。家庭に入る、仕事をやめると。そうさせないように、私のつたない頭ですからなかなかこういう手と言い切れないですけれども、どちらの都合から物事を見るかによって大分違ってきますけれども、久野先生もぜひそういう側の考えもあるんだということで、頭の片隅でも入れておいていただけると助かります。
#34
○久野恒一君 済みません。言いにくいことをお聞きしちゃって申しわけございません。
#35
○山本保君 公明党の山本保です。
 まず、中條参考人にお聞きしたいんですが、先ほどの報告の中で在宅保育サービス割引、ちょっとこの辺について少し簡単で結構です。これはいわゆるベビーシッターの割引のことだったでしょうか。それで、それが余り利用できていないということについて制度的欠陥が何かあるんじゃないかなというような御示唆だったように思いました。できましたら少し補足していただければと思います。
 それから二番目に、これはきょうお答えはなくても結構です、先ほどのお答えの中で私も非常に興味を持っていたところがありましたので、ちょっときょうは準備がなければ結構でございます。家族手当の廃止についてでございます。本来、こういうものが児童手当という形で公的なものに振りかわっていったんではないかなと思っていたわけですね。しかしこれが現実にはあると。私の一つの案は、これをどのように公的なものに変えていくのかというのが一つこの手当制度の課題だというふうに考えているんですけれども、何かそれについての参考になるような議論がされておられればちょっとお聞かせいただきたいと思っております。
 それから、田尻参考人には、これはもし御存じであったらで結構です。きょうヨーロッパの事例についてもお触れになりまして、大変興味があります。私も十年ほど前に行きましたときに同じようなことを向こうの担当者から聞いた覚えがありました。
 それで、有給部分というか、有給の支払いがふえることによって男性がふえてきたということを同じような認識をやはり向こうで聞きました。そうしたとき、私がそのとき聞いた質問は、実はそうなりますと、子供を持っていない人と持っている人との間に格差ができてしまって昇給等について問題になるんじゃないか、この辺はどうなんだと、こういうふうに向こうの大臣に聞いたところ、つまり、持っていない人は社会的なボランティア活動とか、まさにそういう社会貢献活動で何十年、三十年なり四十年の労働時間の中でそういうものに参加していくということを持っていくのだからいいのだというようなことを言われたんです。本当にそうなのかどうか私もまだ詳しく調べていないんですけれども、何かその辺について御存じのことがあったら、もしくはそれについてどのようにお考えなのか、お答えいただければと思います。
 以上です。
#36
○参考人(中條利治君) 在宅保育サービスなんですが、これは旧厚生省の外郭団体、財団法人こども未来財団というのがございまして、ここがベビーシッター協会との委託契約をし、そこへ助成をしていくということになります。事業主、例えば当社の場合はベビーシッター協会と協定を締結いたしまして、年間それほど多額のたしか料金ではなかったと思うんですが、会社負担をしますと割引券が発行されてまいります。その割引券を当社の従業員がベビーシッター協会の下に登録されておりますベビーシッター事業者へコンタクトをし、ベビーシッターを派遣してもらう中で、例えば一時間千五百円のところを一割ディスカウントいただけるというような制度でございました。
 この登録されておりますベビーシッター事業者というのが、私ども長野県の中心部といいますか、松本から諏訪地区にかけてなんですが、非常に少のうございまして、利用がなくて登録をやめてしまった業者さんとかおられたんですが、一つはそういった業者さんが少ないということが多分利用が促進できなかった一番の原因だと思っております。
 ただ、その業者さんとうちの担当メンバーが話をする中では、どうも信州の女性の方々はベビーシッターになれていらっしゃらないのか、自分の家に赤のといいますか他人の方が入ってこられるのに多少違和感があるんじゃないでしょうかというようなお話もあったようですので、多少その利用する側のもしかしたら理屈もあるのかもしれません。
 当社のアンケートをとったときには、そういった介護も含めてこういった制度をクーポン化ということには組合員、女性を中心にした組合員の非常にポジティブな声が多かったものですから、試行導入を一年間してみたわけなんですが、単純に事業者が少ないということだけで片づけられない利用率の低さかなという気がしております。
 それから、二番目の家族手当につきましては、これは確かに山本先生おっしゃるように、欧米についてはファミリーアローアンスという概念は賃金上はございませんで、むしろおっしゃられた国としての児童手当、子供さんを産めば、例えば保育園については非常に安い負担額で入れると。これは当然児童手当なりそういった保育所への公的な、国としての公共的な負担サービスの中で税金で賄っていただいているということだと思うんですね。そこまで当社は考えているわけではございませんで、同じ仕事をしているのに同じ賃金が払われない、同じ成果を上げたのに結果として同じ高さが払われないということの不公平さというのがあるのかないのか。それが、例えば同じ仕事をしているのに年齢で金額が違うということはおかしいじゃないかということで、年齢給をもう十数年前に廃止しました。学歴だとか男女という差も、それもおかしいだろうということで何年かかけて廃止をしてまいりました。今、唯一残っておりますのが、属人的部分ということで残っておりますのが家族手当になります。
 家族手当の必要性なりを国が児童手当といいますか、先ほどの欧米各国のような形でもっと補助をし、韓国、日本ぐらいが持っています企業が従業員の子弟についてある程度補助をするという制度が必要なければまた別だと思いますが、それはおいておきまして、会社としてはそういった家族手当を全く否定するわけではなくて、ある程度生活が標準生計費レベルに達するまではそれは残そうと。ただ、それを超えた段階では、そこはやっぱり成果、やっている仕事、能力が同じであれば同じ賃金、高さが払われてもいいんじゃないのかというのが検討、議論のスタートになります。これがまとまるかどうかはまだ何ともわかりませんが、そこはもう企業側の論理、理屈だけで、欧米のような児童手当まで私どもが、例えば組合も一緒に連合を通じて国に働きかけてということまで考えてやっているわけでは決してございません。
#37
○参考人(田尻研治君) 山本先生の方からお話のあった格差という話、正直言って私その部分について思いを及ばしたことは余りないので明確には答えられないんですけれども、企業の中で、例えば育児休職、育児時間をとる、子供がない御家庭の方はそういうことをしない、そこら辺の特に有給になってきた場合の彼らへの思いみたいなのがあると思うんですけれども、やはり僕自身、最初、部長ですか、お話ししたときに、君、そういう個人的なことはというふうに話されたんですね、私の育児時間。
 一昔前までは、会社をまたげば晴れの世界で、家のことはけの世界で、それはもう個人のあれでやっていくということだったんですけれども、子供を育てるというのはやはり、例えば子供が将来親だけに見返るわけではないわけですね。社会のやっぱりいろいろ働いて税金を納めたり世の中活性化していって、たとえお子さんのない方にとってもその子が有形無形に影響してくるわけですし、まして国がこういう状態の中ですから、子供を育てるということにもうちょっと、何といいますか社会で育てるという観点のそういう理解を求めていく方向でやっていただけると非常にいいのではないか。ちょっと余りつたない話ですが。
 それともう一つ、ちょっと僕に直接聞かれた話ではないんですが、ベビーシッターの券の話で一つ話させていただきたいんですが、私たちの市民団体の女性なんですが、先ほど申されたベビーシッターの券をとりたいと会社に言って、申請して、会社はだめだと言ったんですね。その理由はというのは、ここにちょっと書いてあるんですが、今会社はちょうど苫小牧と大阪の二工場の閉鎖が決まり、管理職と従業員と合わせて百名の希望退職を募って、同時に春闘ゼロベアという交渉の最中でした。だから、たとえ一円でも会社が費用を出すわけにはいかないといって、これはたしか千五百円のベビーシッターの券をやるのに会社は百五十円のあれを払わなきゃいけないんですね。
 こういう厳しい、たまたまそこは彼女が一人、利用者が一人だったんで立場は弱かったんですけれども、これに対して、彼女の側は非常にやっぱり問題ではないかといって、会社を通さないで個人で先ほどおっしゃった財団に申し込んで、受けられないかと。子供を出す親御さんは、そういう理解のある中條さんみたいな会社ばかりとは限らないわけですから、会社の理解によってだめな人は利用券が得られない、いいのは利用券が得られるというのは甚だ不公平じゃないかと。
 そしてまた考えを及ぼせば、国はやはり働いているという一札がとりたいために会社を通せといっているんだと思うんですね。そうなってきた場合、専業主婦の人はたまたまいろんな事情で、専業主婦だったらもうないのかといったら、違うんですね。今はもう本当にちょっとした時間、例えば三人ぐらい子供がいる方でも、一人病気になれば三人病院に連れていかなきゃいけない。それはもう大変なことだとかを含めて、必ずしも遊びばかりじゃなくて、そういった場合にベビーシッターにちょっと見ていただくということですね。
 そういうこともあるわけですから、何か、この彼女は、国とか自治体は制度だけつくればそれでもう後は丸投げで、その実態についてもっときめ細かく配慮して、本当に利用できて行き届いているのかということをつぶさに見ていただきたいという、ちょっとそういった例で挙げさせていただいたんですが、以上であります。
#38
○山本保君 それは今までも、財政的にベビーシッターのお金が会社からの拠出金で賄われたという制度的な意味があったんですね。それをだからこれから変えなくちゃいかぬなと思っております。
#39
○参考人(田尻研治君) わかりました。
#40
○畑野君枝君 きょうは本当にありがとうございました。日本共産党の畑野君枝でございます。
 簡単に伺いたいと思います。
 少子化の問題を当調査会でずっと論議もしてまいりまして、仕事と育児の両立あるいは仕事と家庭の両立ということでいろんな論議をしてまいりました。きょうは、直接育児にもかかわっていらっしゃる男性の参考人の方、あるいは企業の努力をされている参考人の方に来ていただいたんですが、特に育児休業あるいは育児時間をとる上で、やはり経済的な不利益をこうむるとなかなかとりづらいということがあると思うんですね。それは先ほどもお話がありました。
 例えば、育休をとろうと思ったときに、日本では男女の賃金格差がございまして、男性の六割程度という女性の状況もあるわけです。ですから、夫婦でとる場合に男性がとりますと経済的には損をする、こういうような事情もある。あるいは将来的に昇進に不利益をこうむって差がついてくるということもあると思うんですね。そうした状況をどのように変えていくかということが一つは必要だと思っているんです。その点についてのお考えを中條参考人と田尻参考人からそれぞれ伺いたいと思います。
 なおその際に、中條参考人には、今とっていらっしゃる男性の方、大体何カ月から何カ月とかそんなような具体的なとり方の状況と、既に御家庭の事情もあってとられた方はいらっしゃるんですが、とってこんなふうによかったという男性の社員の方の生の声がありましたら教えていただきたいのがつけ加えでございます。
 それから田尻参考人には、育児時間などを含めて育児に男性としてかかわってきてよかったと、家庭にとってもお子さんにとっても、あるいは企業や職場にとってもよかったという点がございましたら、つけ加えて伺いたいと思います。
 以上です。
#41
○参考人(中條利治君) まず、経済的不利益、先ほど田尻さんの方からも、例えば不利益をこうむることの云々というお話がございました。
 当社の場合は、例えば賃金への不利益というのは考えてみると二つあると思うんです。一つは、例えば休職をするということは、当然賃金は労働の対価になります、その間不在ということをどう見るかということが一点と、それから、賃金というのは顕在能力に対してというのが本来かもしれませんが、能力に対して払っていくという長期的な要素の二面があります。
 当社の場合で申しますと、まず一点目の、例えば半期半期で見たときに、目標管理的にテーマを決め、それに対する達成度ということで見ていった場合には、当然その間いない、それから、例えば短時間勤務でも八時間分の六時間しか働いていないということがあれば、本来はその分はアウトプットがなかったわけですから、そのアウトプットがなかった分は評価に反映されてしかるべきというのが前提になります。ただし、能力がここまで伸びてきて、それから一年後には例えばこう行く予定だったものが、この間ブランクであるがためにこれをここで見るというのはこれは決してあってはいけないと。したがって、同じ職種という、同じ職場へ戻るというのはそういう前提なんですが、この能力は一年後であれここにあるはずだと、それを前提にし、格付、昇格を見ていくというのが二点目になります。
 したがって、当社の場合は昇格と呼び、それから下の等級については格付というような言い方をしておるんですが、その間について短期的な能力反映、アウトプット、成果反映である賞与については基本的には昇格、格付には反映させないというのが原則は原則です。ただし、何も見ないということではなくて、それを総合的には見ていくんですが、ウエートとしては、四月に能力評価と申しましょうか、一年間の月次の賃金を評価する部分では不在ということは能力評価としては考慮に入れないというのを一応の原則にしております。ただし、必ず職場職場の評価まで一万人全部を人事がチェックしておりませんので、原則はそういうことを職制には伝えているという状況になります。
 それから、取得者、二番目の畑野先生の御質問の男性の取得状況で生の声があればという御質問がございました。
 一人目の取得者につきましては、先ほど申しましたように、介護休業、介護休職もとれたんですが、奥様のぐあいが悪くてお子さんの育児をするために育児休職で結果とられた。ただし、期間はたしか一カ月半ぐらい、二カ月弱だったと思います。
 今回の二例に関しまして言いますと、一名は奥様も当社従業員ということで、産前産後休暇をまず奥様がとられまして、二カ月程度奥さんがとられた後、男性が約四カ月間の休職に今入っております。多分、三月いっぱいだったかなという気がしております。それから、もう一名は、この方は奥様は社外の方でして、従業員が当社の従業員なんですが、彼はやはり四カ月間の取得中ということで、一応本人たちとは面識もあり話をしたことがあるんです。
 ただ、やはり聞きますと、開発のメンバーは、本人が希望し、当然、第一子はとらずに第二子でとったということは、そういう環境が整ってきたし、うちの会社も表彰されたのできっととってもいいんだろうということでとったんだと思うんですが、やはり会社に来ていないと仕事どうかなという不安感を感じているようです。
 たまたま取材がありまして、両名ともビデオ撮影がされているんですが、見ていましたら、片方はかなり大分育児能力はあるようでしたが、開発のメンバーは私の方がはるかにうまいなという気がしましたので、ちょっと大丈夫かなという気がいたしました。
 それから、違うところで聞きましたのは、女性従業員に対するヒアリングの中で、彼女の場合は社内カップルなんですが、男性の方から自分も交代で育児休職をとろうかという申し出があったんだそうです。これについては奥様が、いや、あなたがやると家の中がめちゃくちゃになっちゃうんで私がとります、あなたは逆に仕事をしてください、その方がうちの家庭にとってはいいですよということで、たまたまそのカップルは男性がとらなかったということを聞きました。
 それと、先ほどの昇格、昇進はそうなんですが、賃金につきましてはこれは確かに会社が休職期間中すべて補助をするわけではなくて、これは当社も法定どおり社会保険料の休業給付のみになりますので、やはり育児休職をとる間の経済的な問題で、仮に両方がとれる状況であっても経済状況を考えて、もし奥様の方が少なければとるということは当然出てこようかと思います。
 ただし、当社の場合は男女差ということを制度上は持っておりませんので、両方が頑張って同じ資格にいれば、お子さんをどっちが扶養にするかで家族手当はつくかつかないかが出てくるんですが、それを除けば全く同じ。同期に入って同じ資格に昇格をしていれば全く同一賃金ということで、どちらがとってもそういう不利益はございません。
 以上です。
#42
○参考人(田尻研治君) 今、畑野先生の方から御質問のあった最初の男女の賃金格差が大ざっぱに見て六割ぐらい、男性の方が高いわけですから、それで男性が育児休を、子供が生まれて選択するときになかなかとりづらい、どうしても彼女の方が休んでしまうというお話。それは二つありまして、まず、そもそも男女の賃金格差をもっと埋めていくというそういう方法、方策ですよね。それは男女共同参画基本法なんかにもあるように、民間企業を含めて女性をもっともっと登用というんですか、どんどんしていくと、それにはやっぱりプログラムが必要ですよね。今、全然もう男性ばかりの部署にはとにかく一人入れなさい、入れるようにするとか、そういう導きやすいような企業に対してそういうプログラムをどんどんやっていって。
 私の会社はアメリカ系のエクソンのあれですけれども、アメリカ系でもなかなか女性のセールスマンなんというのは大変いづらいのが日本のあれで、女性が男性の部下を使うというのはもうなかなかいかないという。そこら辺というのに、やっぱりどこから変わっていくかという点では、そういうのを含めて。さっきから盛んに話に出ている欧米型のオランダ方式みたいに中間的な働き方をもっと確立してやっていけば、男女の賃金格差そのものが、やはりもっと縮めていかないと、これはこのままではだめなわけですから。
 それと、あともう一方からしてみた今の現状からいった場合、六割ぐらいあるんですけれども、男性が何も一年間とる必要はないんですよね。たとえ二週間でも一カ月でも仮にもし男性が勇気を持って選択、育児休業した場合、その効果は物すごくあると思うんですね、本人にとって。最初の一日、二日というのはもうしっちゃかめっちゃかで何が何だかわからないけれども、多分二、三週間やれば一通りの家の中のことというのがわかると思うんですよ、男性が。どこにパンツがあって何がどうで、家の飯はどうやってできて、子供のあれはどうしているんだと。要するに、女性がわかると思うんですよ、女性の生き方がわかると思うんですよ。やっぱり理解した男性というのは、その後忘れるにしたってその部分は決して忘れないと思いますよ。だから、そういった意味で格差はあってもとっていく、期間は短くてもやっていくというそういったような方向ですか、求めていく。
 あと、お金的には多分そんなにダブルインカムだと、今の日本だと、むしろ、おっしゃった将来的な評価、企業の中の、これはかなり決定的だと思います。くどいですけれども、先ほどの横浜の方の中小でとった場合、彼は九八年から九九年とったんですが、会社から欠勤と同様の取り扱いとして評価を行いますのでマイナス評価として反映されますというふうに言われて、本人は不満に思って横浜の労働省女性局女性少年室に苦情を訴えたわけです。だけれども、女性室はオーケーだと言ったんです。
 やっぱり男女共同参画の中の一番大事な苦情処理の部分が全く機能していない。ただ、法律的には弱いですから、これはとにかく不利益扱いしないというふうに今度改正になりますので、こういうものが生きている限りだれもとらないですよ。それはそう思います、そういうことで。
 やはり上司の理解、例えば妻が身ごもったと、ああ僕もとりたいなと思って上司にちょっと顔色をうかがう。男の育児みたいなのを言って上司がちょっとまゆをひそめただけで彼はとらないですよ。もうそういう企業の体質があるわけですから。上司の理解を得るというところに、どうやって会社だけの論理じゃなくてそこに国としてのものを、やっぱり企業の前に立ったら個人は弱いですから、そこに国の意思を入れていくという必要性ですね。だから、先ほど来の繰り返しになりますけれども、社長が例えばポスターを一枚でも僕は男の育児を応援するよと張ってあるだけでもうどれだけ違うかということを、やっぱり企業の中にいる者としては、ちょっと強調し過ぎて。
 それと、最後になりますけれども、そうやって男の育児をやってみてよかった点というのは、これはさっき、今述べたような部分、とにかく僕にとって人生で一番大事な大切な人、かみさんですけれども、彼女がわかったということなんですね。だから、そういうふうにやってみて、彼女と共同作業をやって、押したり引いたりしながら曲がりなりにも子供を育ててきたということで、僕とかみさんと、何かの縁で結ばれた者がそういった共同作業をやってきたという、そういう軌跡みたいなものというのはかえがたいです。
 現実的に子供というのは、例えば三歳ぐらいになったらば、それぐらいになったら父親が出てきて一緒に遊ぼうというような話もありますけれども、これはもうゼロ歳の最初からやっていって、やっていけば懐きますし、懐けば僕としてもうれしいしという繰り返しでどんどん深くなっていって、育児というのは、今僕の高校一年の娘ですけれども、これは一生続く娘との関係なわけですから、それをゼロ歳からきちんとつくっていく。最初はかみさんに任せていると子供は懐かない、じゃ自分もやらない、その繰り返しでどんどんどんどん離れていくんですね、育児というのは。だから、最初にやっていくというのは育時連という僕らの仲間の中の共通した、とにかくゼロ歳から最初からかかわっていく、そういったものです。
 僕は、今、子供たちとかみさんとで夕食を大体九割近く、ほとんど残業しないから食べるわけですけれども、そういうようなのが僕にとってはもうかけがえのない時間というのがようやくつくれたということですね、いろいろ話すとあれですけれども。
 とにかく、育児を経験するまでは世の中の見方とかいろんなものがすごく頭でっかちで薄っぺらかったんですけれども、経験してみて本当に自分が育ったというか、人間として持っていなきゃいけない、だけれども今の教育に非常に欠けている部分というのが男の育児の中にあるような気がしてならないです。
 以上です。
#43
○畑野君枝君 ありがとうございました。
#44
○会長(久保亘君) 以上で参考人に対する質疑は終了しました。
 中條参考人及び田尻参考人には、お忙しい中、本調査会に御出席いただき、まことにありがとうございました。
 本日お述べいただきました貴重な御意見は今後の調査の参考にさせていただきます。本調査会を代表して厚く御礼を申し上げます。
 ありがとうございました。(拍手)
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時五十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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