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2001/06/25 第151回国会 参議院 参議院会議録情報 第151回国会 決算委員会 第5号
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2001/06/25 第151回国会 参議院

参議院会議録情報 第151回国会 決算委員会 第5号

#1
第151回国会 決算委員会 第5号
平成十三年六月二十五日(月曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
   委員の異動
 六月十八日
    辞任         補欠選任   
     岸  宏一君     大野つや子君
     佐々木知子君     林  芳正君
     斉藤 滋宣君     清水嘉与子君
     櫻井  充君     朝日 俊弘君
     堀  利和君     小林  元君
     益田 洋介君     魚住裕一郎君
     福島 瑞穂君     渕上 貞雄君
 六月十九日
    辞任         補欠選任   
     笠井  亮君     緒方 靖夫君
 六月二十二日
    辞任         補欠選任   
     清水嘉与子君     岩城 光英君
     月原 茂皓君     金石 清禅君
     林  芳正君     森田 次夫君
     山崎  力君     斉藤 滋宣君
     依田 智治君     佐々木知子君
     朝日 俊弘君     櫻井  充君
     小林  元君     谷林 正昭君
     魚住裕一郎君     大森 礼子君
     阿部 幸代君     笠井  亮君
     渕上 貞雄君     大脇 雅子君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         谷川 秀善君
    理 事
                大島 慶久君
                加納 時男君
                狩野  安君
                鹿熊 安正君
                川橋 幸子君
    委 員
                岩城 光英君
                大野つや子君
                金石 清禅君
                久野 恒一君
                鴻池 祥肇君
                佐々木知子君
                斉藤 滋宣君
                成瀬 守重君
                森田 次夫君
                今井  澄君
                佐藤 泰介君
                佐藤 雄平君
                櫻井  充君
                谷林 正昭君
                海野 義孝君
                大森 礼子君
                福本 潤一君
                緒方 靖夫君
                笠井  亮君
                八田ひろ子君
                大脇 雅子君
                岩本 荘太君
                平野 貞夫君
   国務大臣
       内閣総理大臣   小泉純一郎君
       外務大臣     田中眞紀子君
       財務大臣     塩川正十郎君
       文部科学大臣   遠山 敦子君
       厚生労働大臣   坂口  力君
       国務大臣
       (内閣官房長官) 福田 康夫君
       国務大臣
       (経済財政政策
       担当大臣)    竹中 平蔵君
   内閣官房副長官
       内閣官房副長官  安倍 晋三君
   副大臣
       外務副大臣    杉浦 正健君
       財務副大臣    若林 正俊君
        ─────
       会計検査院長   金子  晃君
        ─────
   事務局側
       常任委員会専門
       員        島原  勉君
   政府参考人
       外務省経済協力
       局長       西田 恒夫君
   説明員
       会計検査院事務
       総局次長     諸田 敏朗君
       会計検査院事務
       総局第一局長   石野 秀世君
       会計検査院事務
       総局第二局長   関本 匡邦君
       会計検査院事務
       総局第三局長   白石 博之君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○平成十年度一般会計歳入歳出決算、平成十年度
 特別会計歳入歳出決算、平成十年度国税収納金
 整理資金受払計算書、平成十年度政府関係機関
 決算書(第百四十七回国会内閣提出)(継続案
 件)
○平成十年度国有財産増減及び現在額総計算書(
 第百四十七回国会内閣提出)(継続案件)
○平成十年度国有財産無償貸付状況総計算書(第
 百四十七回国会内閣提出)(継続案件)
○平成十年度一般会計予備費使用総調書及び各省
 各庁所管使用調書(第百五十回国会内閣提出、
 第百五十一回国会衆議院送付)
○平成十年度特別会計予備費使用総調書及び各省
 各庁所管使用調書(第百五十回国会内閣提出、
 第百五十一回国会衆議院送付)
○平成十年度特別会計予算総則第十三条に基づく
 経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書
 (第百五十回国会内閣提出、第百五十一回国会
 衆議院送付)
○平成十一年度一般会計予備費使用総調書及び各
 省各庁所管使用調書(第百五十回国会内閣提出
 、第百五十一回国会衆議院送付)
○平成十一年度特別会計予備費使用総調書及び各
 省各庁所管使用調書(第百五十回国会内閣提出
 、第百五十一回国会衆議院送付)
○平成十一年度特別会計予算総則第十三条に基づ
 く経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調
 書(第百五十回国会内閣提出、第百五十一回国
 会衆議院送付)
○平成十一年度一般会計公共事業等予備費使用総
 調書及び各省各庁所管使用調書(第百五十回国
 会内閣提出、第百五十一回国会衆議院送付)

    ─────────────
#2
○委員長(谷川秀善君) ただいまから決算委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る十八日、岸宏一君、斉藤滋宣君、佐々木知子君、堀利和君、益田洋介君及び福島瑞穂君が委員を辞任され、その補欠として大野つや子君、清水嘉与子君、林芳正君、小林元君、魚住裕一郎君及び渕上貞雄君が選任されました。
 また、去る十九日、笠井亮君が委員を辞任され、その補欠として緒方靖夫君が選任されました。
 また、去る二十二日、魚住裕一郎君、清水嘉与子君、林芳正君、山崎力君、依田智治君、月原茂皓君、阿部幸代君、渕上貞雄君及び小林元君が委員を辞任され、その補欠として大森礼子君、岩城光英君、森田次夫君、斉藤滋宣君、佐々木知子君、金石清禅君、笠井亮君、大脇雅子君及び谷林正昭君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(谷川秀善君) 平成十年度決算外二件並びに平成十年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書、平成十年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書、平成十年度特別会計予算総則第十三条に基づく経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書、平成十一年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書、平成十一年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書、平成十一年度特別会計予算総則第十三条に基づく経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書、平成十一年度一般会計公共事業等予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書を一括して議題といたします。
 本日は、平成十年度決算外二件の総括的質疑第二回及び予備費関係七件の質疑を便宜一括して行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○加納時男君 自由民主党の加納時男でございます。
 田中大臣、先週は日米外相会談、お疲れさまでした。ちょうど一週間前の十八日、アメリカのパウエル国務長官に対して、田中大臣は、アメリカのミサイル防衛構想を理解すると発言されたと伝えられておりますが、事実でしょうか。
#5
○国務大臣(田中眞紀子君) 加納委員にお答え申し上げます。
 今現在、世界の中には四十一カ国が核兵器を保有いたしております。そういう現実を踏まえまして、核軍縮、そうした国際安全保障という環境を向上させていくためにも、こうしたBMDに関する共同の研究ですけれども、研究段階がこれは始まっているというところでございますけれども、基礎作業は数年前から始まっておりますけれども、そういうことをするという、実施をするということは私はこれは歓迎すべきことではないかというふうに考えております。
 そして、これを実施するに当たりまして、アメリカは我が国を含む、日本を含む同盟国及びロシア、それから中国にも十二分に相談をしながら検討をしつつ進めていくということを言っておられますので、私はこの研究実施は引き続き続けていってよろしいというふうに考えておりまして、その旨を理解したという言葉で表現いたしました。
#6
○加納時男君 関係国との協力、理解をしながら考えていくというのはおっしゃるとおり私も賛成でございます。
 質問でございますけれども、理解したと今おっしゃったんですけれども、これはいわゆるTMD、シアター・ミサイル・ディフェンス、それから今までアメリカでクリントンのときに出てまいりましたナショナル・ミサイル・ディフェンス、いろんなものがございますが、こういったミサイル防衛構想を統括したナショナル・ミサイル・ディフェンスだと、こういうふうに理解してよろしいでしょうか。
#7
○国務大臣(田中眞紀子君) お答えいたします。
 アメリカは、今までのNMDとそれからTMD、これを分けないで一つにしてMDとしてやっていこうとしているわけでございます。ですから、その御理解でよろしいというふうに思います。
#8
○加納時男君 確かに、TMDであってもNMDでありましても、発射した段階、ブースト段階で察知して撃ち落とすということが大事だということはわかるわけでございますが、問題は、MDに対して日本がこれから協力していくんだということになりますと、集団的自衛権の発動を意味するのかどうかということを危惧する人もいますけれども、このあたりについては大臣はどのようにお考えでしょうか。
#9
○国務大臣(田中眞紀子君) この問題につきましては、昨日帰国なさった中谷防衛庁長官もラムズフェルド長官との話し合いの中で明言なさっているというふうに思いますけれども、ミサイル防衛と集団的自衛権との関係につきましては研究の余地があるというふうな趣旨の発言を総理が行っているというふうなことも言われておりますが、ミサイル防衛につきましてはいまだ検討中の段階でありまして、今後これから日米間で緊密に協議をしていきたいという段階でございます。
 そして、このような段階において予断を持って議論をするということは差し控えなければならないというふうに思いますし、我が国が米国と共同研究を行っているBMDは、純粋に日本の防衛のためのシステムであるということを御認識いただければというふうに考えます。
#10
○加納時男君 私も、中谷長官の御発言は、新聞、テレビで伺ったところでございます。ミサイル防衛システムを日本が持つとすると、国土防衛のため日本が主体的に運用するものだということで、これ自体は、この論理は私は一つ完結していると思います。しかし、このお話を伺っている限りでは、多分にTMDを、戦域ミサイル防衛を意識していらっしゃるのかなという気もいたしますけれども、これもまた時間をとって十分議論いたしたいと思いますので、きょうはこの辺にさせていただきます。
 最後に、若干の時間で一つだけ伺いたいと思いますのは、アメリカのその政権でございますけれども、今まで中国をいわば戦略的パートナーというふうに言ってきたかと思います。最近では戦略的ライバルという言葉で呼ぶ方もおられますが、これについては何か御感想ありましたら、あるいはこのたびのワシントン訪米で所感がございましたら伺いたいと思います。
#11
○国務大臣(田中眞紀子君) このたびパウエル長官等の会談の中で、具体的に中国の問題についてお話をするというふうなことはございませんでした。日本を取り巻く近隣諸国という中で朝鮮半島とか中国という言葉はございましたけれども、中国問題に絞り込んでというふうなことはございませんでしたけれども、確かに今委員がおっしゃいますように、クリントン政権に比べてブッシュさんはこの戦略的なライバル、パートナーよりもライバルという言い方をなさっているのは事実だというふうに思いますけれども、しかし基本にあるのは一つの中国という政策を維持する、そしてこのアジアの安定というものに貢献していくというふうな対中政策の基本は何ら変わっていないというふうに認識をいたしております。
 したがって、良好な米中関係はアジア太平洋地域の平和と安定に貢献するということでございますから、私たちもそれに貢献をさらにしながら進展を見守っていきたい、かように考えております。
#12
○加納時男君 ありがとうございました。
 終わります。
#13
○櫻井充君 民主党・新緑風会の櫻井充です。
 まず最初に、田中大臣にお伺いさせていただきます。
 私は、田中大臣が進めてこようとしていらっしゃる外務省の改革に関して支持している立場の人間でございます。ただし、是は是、非は非で当たらなければいけない部分が私はあると思っておりまして、二十二日、マスコミの方々に対して委員長とのやりとりを半ば違った形でお伝えされていること、そしてもう一つは、今回の委員会の質問に対して、委員長を初め、議運の委員長でしょうか、そういう方々に対して何らかの形で、圧力という言葉が正しいかどうかはわかりませんけれども、そういうことをされている。立法府に対しての介入ではないかというような話がございました。
 ただ、これはこれとして私はまず田中大臣にお伺いさせていただきたいのは、確かに質疑の中でいろいろな問題点があったんだろうと思います。そこの中で、あのようなやり方でしかあの状況を打開する方法はなかったのかどうか。今改めて落ちついて考えてみたときに、どのような行動をとられればよかったとお考えなのか、その点についてまずお話しいただきたいと思います。
#14
○国務大臣(田中眞紀子君) 最初の日にちは先週の木曜日であったと思いますが、その日のことをおっしゃっておられますのでしょうか。そうであれば、最大限私は誠実に正面から私なりにお答えを申し上げたというふうに思いますけれども、やはり行き届かなかったのかということを思っております。
 それから、金曜日のこの間の外務委員会が流会になりましたけれども、これはもうとにかく外務大臣としての私が反省すべき点だろうというふうに考えておりますので、今後重々注意もしていかなければなりませんし、また二十二日に官邸で福田官房長官から厳重な御注意がございましたので、心していきたいというふうに思っております。
#15
○櫻井充君 もう一度改めてお伺いさせていただきたいんですが、そうすると反省されているということなんですが、その時点でもし可能であったとすればどういう対応をされればよかったと、つまりは、そのまま質疑、委員会に臨まれればよかったとお考えなのか、もしくは委員長等に電話をするということではなくて、例えば与党の中できちんとした話し合いの場を設けるとか、何らかほかの手だてをとるべきだったとお考えなのか、その辺についてはいかがでございましょうか。
#16
○国務大臣(田中眞紀子君) 今いろいろ申し上げても時間が、時計の針が前に戻るわけでもございませんので、自分の立場をわきまえまして、そしてできるだけ慎重に皆様に御迷惑をかけたことを反省しながら今後進んでまいりたい、かように考えております。
#17
○櫻井充君 それで、きょうは官房長官が来られないので副長官にお伺いさせていただきたいと思いますが、九五年に田沢法務大臣が国会質疑の裏取引疑惑で辞任されたという経緯がございます。あの当時の新進党の石井一議員の質問に対して、とにかく質問しないでくれというような疑惑で法務大臣がおやめになったという経緯がございますけれども、今回の件も私は、見る限りにおいては、報道されている限りにおいては、ある意味でいうと国会質疑における裏取引ではないかというふうに考えております。
 内閣として、今回の一件に関してどのように受けとめられているのか。そしてもう一つは、田沢法務大臣と考えたときに、その整合性というのは、今回の発言等に関して整合性というんでしょうか、どのようにお考えなのか、その点について御説明願いたいと思います。
#18
○内閣官房副長官(安倍晋三君) ただいま田中大臣が述べられたように、二十二日の夕刻に福田官房長官が官邸に田中外務大臣をお呼びいたしまして事実関係についてお伺いをいたしましたところ、田中大臣は外務委員会において建設的な議論を行っていきたいという意図のもとにああした行動をとられたという御説明をされたわけでございますが、しかし結果として、委員長を初め委員の皆様に議員に対して質問の制限を働きかけているというふうに受け取られたという点については、まことに遺憾であり、今後こういう疑いを持たれる行動は二度ととらないようにという厳重な注意を官房長官の方から行ったわけでございますが、ただいままた大臣が答弁で述べられておられましたが、今後こうしたことのないように厳重に注意をしていきたいということでございました。
 田沢前大臣との比較でございますが、先ほど私からも申し上げましたように田中大臣の意図は別のところにあったということでございますので、その件とは別ではないかというふうに考えております。
#19
○櫻井充君 こういうことを申しますと、もしこれがテレビで報道されると、私の事務所のところには恐らく非難の電話が来るんだろう、メールがたくさん来るんだろうということを覚悟の上で話をさせていただきますけれども、今回のこの件に関していえば、恐らく森内閣であれば辞任問題に私は発展していたのではないかと思うぐらい大きな問題ではないかというふうに思っております。
 その点について、安倍官房副長官、どのようにお考えでございましょうか。
#20
○内閣官房副長官(安倍晋三君) これが森内閣であったとしても、要は中身の問題でございますので、ただいま申し上げましたように田中大臣の意図が鈴木議員の質問を制限をしようということではなくて、なるべく委員会においては建設的な意見を述べ合う場にしたいという意図のもとにそうしたお願いをしたということでございますから、それは森内閣であったとしてもそういう結果には至ってはいないというふうに私は認識をしております。
#21
○櫻井充君 しかし、立法府への介入という点では、これは許されることでは私はないと思っています。
 そして、もう一つあえて申させていただければ、是は是、非は非で、今意見が言えなくなっているこの現状というのも非常におかしなことが私はあると思っています。先ほども申しましたが、もしこういう場面がマスコミで報道されれば、その一部分だけをとらえた方々は恐らく、あれだけ頑張っている田中大臣に何ということを言うんだというふうな発言をされるでしょうけれども、しかしながら、やはり三権分立の立場からいえば、立法府に対して行政側が介入してくるというのは私はおかしな事態だというふうに思っておりますが、再度お伺いさせていただきたいと思います。政府としてどのようにお考えでしょうか。
#22
○内閣官房副長官(安倍晋三君) ただいま委員が御指摘されたように、立法府と行政府は三権分立の分を踏まえながら、お互いに緊張関係を持っていかなければいけない。もちろん越えてはいけない一線があるわけでございまして、私ども行政府にある者はそうしたことをしっかりと踏まえながら自制して行動をとっていかなければいけないと、このように考えております。
 その観点から、官房長官から外務大臣には既に注意を促しまして、外務大臣も先ほど御答弁されたように、十分に反省し、そのことを踏まえながら今後仕事をしていかれるということでございます。
#23
○櫻井充君 それでは、田中大臣にあえてお伺いさせていただきたいと思いますが、田沢法務大臣はこういう質疑の裏取引の中でおやめになりました。
 田中大臣、今回の件というのは、私はその進退問題に当たるぐらいかなり重大な問題だというふうに思っておりますが、田中大臣はその点についていかが認識されているんでしょうか。
#24
○国務大臣(田中眞紀子君) 以前の大臣のケースについては、私はコメントをさせていただく立場にはございません。
 自分のことにつきましては、先ほど来申し上げておりますように、御注意も受けておりますし、皆様からこのような質問やら疑問も呈されておりますので、それを重く受けとめまして、今後十二分に自重してまいります。
#25
○櫻井充君 これから引き続き大臣の任に当たられるとすれば、ぜひ外務省の改革に一生懸命取り組んでいただきたいということをお願いしておきます。
 それでは、竹中大臣にお伺いさせていただきますが、先週の木曜日のニュースステーションで竹中大臣は、自民党の反対勢力とこれから戦いながら構造改革を行っていくという、そういうお話をされて、最後に何と締めくくられたのかといいますと、実は壮大なる実験の始まりであるというふうに発言されています。この壮大なる実験、特に実験という言葉を使われているわけですけれども、この意図はどこにおありなんですか。
#26
○国務大臣(竹中平蔵君) 櫻井議員にお答え申し上げます。
 自民党の族議員の反対と戦ってというのは、私が申し上げたことではなくて、キャスターがそういうふうな振りをして、それに対して私は別の答えをさせていただいたと認識しております。
 その中で、御指摘のように壮大なる実験という言葉を使わせていただきましたけれども、それは申し上げたいことは、平時においてゼロベースから大きな組織がえを行うという趣旨で使わせていただきました。その意味は、例えば国と地方の制度のあり方を根本的に見直すんだ、決して交付税の金額をどうこうということではなくて、今のような形で中央と地方の間の税の配分をどのように見直していったらいいのかということも含めて、ゼロベースから非常に大きな見直しを行うんだ、これは道路財源についても同じであります。
 そういうことを平時においてゼロベースから見直すということと、それともう一つの趣旨は、これは第二点の趣旨で、むしろこちらの方が重要だというふうに私は申し上げたいわけでありますけれども、総理のリーダーシップのもとで内閣府ができて、経済財政諮問会議という新たな仕組みができて、まさに総理のリーダーシップのもとで新しい政策を行っていく。これは一月六日にできた組織でありますから、その意味ではまさに最初にこれを活用して基本方針ができて今度の予算も組まれるということであります。
 その二点の意味におきまして、これは壮大な実験、新しい試みであるという意味で使わせていただきました。
#27
○櫻井充君 試みと実験というのは僕は大分違うんだろうと思うんです。つまり、本来であれば社会において実験ということは許されることではないわけです。ましてや痛みを伴う、これから何十万人という失業者が出て、そして何十万社という企業が倒産するかもしれないという状況の中で、担当大臣が私は実験という言葉を使われたというのは、これは非常に不適切ではなかったかというふうに思います。そして、大臣は痛みは恐らく失業者やそして企業倒産だとおっしゃるでしょうけれども、大臣は基本的には痛みを伴わない方なんだろうと私は思うんです。
 そういう方から見たときに、そういう方が割と気軽にと言ったらそれは今度は語弊があるかもしれませんが、やはり実験という言葉はいかがなものかと思いますが、いかがでございますか。
#28
○国務大臣(竹中平蔵君) まさに私は新しい試み、壮大な試みであるという言葉でその言葉を使わせていただいたんですが、実験といいますと何か試験管の中で試しにやっているという、そういう気楽にやっているというニュアンスを与えたのでありますならば、これはおわびを申し上げたいと思います。
 ただ、私が痛みを伴わない立場にあるというのは、これはぜひ違うということを申し上げたいと思います。私自身、経済学者の立場を捨てて、このような立場でぜひ日本のために参画させていただこう。雑誌にも書かれておりますけれども、私は収入が大幅に減っておりますし、今までの自由がなくなっておりますし、私自身、正直言ってこれはやはりやらなきゃいけないことだと思ってお引き受けした仕事の一つであります。その意味で、私が何か気楽な立場で、それで例えば痛みが別の方に行っているというようなニュアンスのことはぜひお考えにならないようにしていただきたいと思います。
#29
○櫻井充君 それでは訂正させていただきます。ただし、そういう発言からどうしても受け取られてしまうということがあるということだけは逆に言えば御承知おき願いたいと思います。
 そこの中で、小泉内閣で痛みを伴うんだという話は随分出てまいりますけれども、今回のその失業者の数が十万人から二十万人程度であろうと大臣はおっしゃっておられます。しかし、十万人から二十万人ぐらいというと失業率に直すと恐らく〇・三から〇・四まで行くか行かないかぐらいの間だと。そうなってくると、今でも毎月毎月の失業率というものが発表されたときにはその手の変動はあるわけです。しかも雇用が五百三十万人ということになれば、大きな痛みというふうには私からするとなかなかとらえがたいところがあるんじゃないかと思いますが、いかがですか。
#30
○国務大臣(竹中平蔵君) 痛みが大きいか小さいかというのはまさしく判断の基準だと思います。マクロ的に見るとその数字そのものは今の失業率の母数から比べるとそんなに物すごく大きいものではないというふうに思いますが、当事者にとっては職を失うということは一〇〇%の痛みでありますから、その痛みという場合に、先ほどの私自身の言葉の不適切さも踏まえまして、大きな痛み、小さな痛みという議論はやはり注意しなければいけないのではないかなと思います。
 ただ、数字そのものに関する議員の御質問に関しては、まず大前提として、これはこういう構造改革の中で労働市場にどのような影響が及ぶかということの正確な判断は非常に困難であるということの前提で、その上であえて幾つかのめどを出した場合に、例えばこれだけの不良債権を処理して、その場合にかかわっている従業員の数はこのぐらいであろう。これまでの例で言うならば、そのうち何割の方が再就職して、何割の方が労働市場から退出して、何割の方が結果的に失業しているか、そういう前提を組み合わせてみるとそのぐらいのめどが出てくる、そういう数字として申し上げている、あくまでも客観的な一つのめどとして申し上げているわけであります。
#31
○櫻井充君 私は十万人から二十万人という数字が小さ過ぎるんだと思っています。本来、もっと大きな数字でして、実際これは経済財政諮問会議第六回の議事次第の中に、過剰雇用というものについて議論されています。その過剰雇用の中で、全産業で百九万人過剰であるというふうな議論がされているわけです。
 実際、そういう議論がされていて、今三つの過剰があるという中でその過剰雇用を一たん整理しなければいけないということになれば、十万から二十万という数字にはおさまらないはずなんです。この議論の中では全産業で百九万人、特に建設、不動産、卸・小売を合わせて五十六万人というふうに言われている。それがなぜ十万から二十万と発表されているのか、そこについて教えていただけますか。
#32
○国務大臣(竹中平蔵君) その前提は明確に書かれていると思いますけれども、今議論されている、不良債権のオフバランス化によって直接生じるもの、こういうのをインパクトエフェクトといいますけれども、それが十万人から二十万人であります。さらに、しかし御指摘のように構造的な問題は日本のほかに幅広くあります。そもそも収益性の低い部分に過剰な雇用が抱えられているということも事実でありますし、その他の要因によっても、先ほどまさに御指摘のあったように失業の数そのものは物すごく多様な要因で変動しておりますから、そういうものも含めるという議論は、別途これはしなければいけないものだと思っています。
 繰り返し申し上げますが、そこに書かれているのは、今議論されている主要行の不良債権のオフバランス化によって直接生じるものがこの程度のめどであるということをそこに書いております。
#33
○櫻井充君 しかし、それはまやかしではないですか。なぜならば、痛みは、痛みといいますか、本来は中小企業とか中小の金融機関にも影響が来るわけでして、実際の失業者の数というのはもっと多いはずですし、倒産件数ももっと多いわけです。
 それから、もう一点申し上げておきますが、大手行の不良債権の直接償却だけをやれば終わるという代物ではないわけです。中小の金融機関の不良債権の直接償却もまた必要です。
 それと、もう一点、これはゴールドマン・サックスから出ているレポートですけれども、その中では、このまま不良債権の直接償却をやって二年や三年では終わらない、これは銀行の利益率から計算して大体八年ぐらい、大手行だけで八年ぐらいかかるんじゃないか。非常に根の深い問題であって、それをまた相も変わらぬ大本営発表のように十万人から二十万人という発表をされるということ自体が私はおかしな話ではないかと思いますが、いかがですか。
#34
○国務大臣(竹中平蔵君) 先ほど申し上げましたように、このような構造改革の中で派生需要である労働需要にどのような影響が出るかというのはこれは大変難しい問題だと思います。だからこそ、そこで明確に不良債権のオフバランス化によって生じるものとしての所期の効果、インパクトエフェクトがどれだけかということを申し上げています。
 さらに、経済全体がどのようになっていくかということは、これはまた別の次元で、これはもちろん皆さん方とともに責任を持って議論していかなければいけない問題だというふうに認識しております。それについての試算も、例えばマクロモデル等々による試算も今行っているところでありますけれども、そこでの議論というのは、その意味で、だからこそ限定的に議論をさせていただいているということを申し上げております。まやかしにならないようにするために、前提をつけて限定的に議論させていただいているわけです。
 二点目のお尋ねでありますけれども、不良債権の処理の進捗そのものは、やはり金融庁が、担当大臣である柳澤大臣が責任を持って行っていらっしゃいますので、私の立場からは細かい議論はとてもできませんけれども、その基本方針に書かれた意図といいますのは、主要行のオフバランス化がまず重要である。なぜならば、それ以外のところの例えば問題のある企業についても、本当に問題のある企業に関しては大手行がメーンバンクになっている例が非常に多くて、そこが重要な取っかかりである、問題解決の取っかかりであるというふうに認識しているわけであります。
 その意味で、この不良債権の問題というのは大変重要な問題というふうに認識しておりますけれども、だからこそ基本方針の一番最初の部門にその問題を掲げて重要な取っかかりとなるような政策の方向を示したというふうに考えています。
#35
○櫻井充君 最後に、田中大臣に一つだけお願いがございます。
 ソンドゥ・ミリウの発電所の件でございますけれども、現地の大使が何と言っているのか。国会の中では見直しますと言っている程度の発言なのに対して、もう向こうでは全面中止だというような形で報道されております。むしろ大使が発言しております。この件に関して、大臣としてどうお考えでございましょう。
 これで質問を終わらせていただきます。
#36
○国務大臣(田中眞紀子君) お答えいたします。
 ただいま担当局長及び、この委員会が始まる前に、ケニアにこのソンドゥ・ミリウの水力発電についてヒアリングをしに行きました担当課長も部屋に呼びまして、一番最新の情報を聞きました。
 その結果を正確にお伝え申し上げたいと思いますけれども、六月十六日から二十日まで、担当課長、今、私が大臣室でじかに会いましたけれども、彼をケニアに派遣いたしました。そして、現地サイトの視察、地域住民、NGO及び青年海外協力隊隊員からヒアリングをいたしまして、ケニア政府関係者などと意見の交換を行いました。
 そして、今回の調査結果の概要でございますけれども、現地住民及びNGOからの聞き取り調査の結果、本計画を中止すべしとする意見は皆無であり、全員が継続を強く求めております。それから、事業を実施すべしとの回答は、約三分の二が環境、社会面等に問題があるということは指摘しておりまして、これに対処しつつ事業を実施すべしであるという回答でございました。最も批判的な問題提起を行っていたNGOの一部の関係者でも、自分たちは本件計画の熱烈な支持者であると言明し、環境、社会面の問題に対処しつつ事業を実施してほしいということを表明しているそうでございます。
 したがいまして、本計画に対する追加の円借の供与につきましては今後も検討していくというのが一番最新の情報でございます。
 以上です。
#37
○櫻井充君 終わります。
#38
○海野義孝君 公明党の海野でございます。田中外務大臣に御質問させていただきたいと思います。
 近年、我が国の財政状況が大変タイトでございまして、そうした中でODAの問題につきましても大変大きな問題としてクローズアップされているわけでございますけれども、そうした中でも特に中国に対しましては、これまでも最近五年間で見ますと毎年約二千億円ぐらいずつ供与しているということでございまして、これまでに一九八〇年以降、約二兆四千五百億円ぐらいのODAを行っているわけでございますけれども、特に中国に対するODAの問題が大変大きな問題になっているわけでございます。これからの我が国のODAについての取り組みを考える場合に、物とか金というようなことが前面に出ますけれども、私はこの対中国ODAの嚆矢であった大平先生のころの北京につくった大平学校の問題をこの際改めて国民また我々政治家は考える必要があるんではないか、かように思う次第でございまして、あえてこの問題を大臣に御質問するわけでございます。
 改めて申し上げるまでもないわけでございますけれども、一九八〇年八月に日中間の文化面での交流の一環として北京語言学院内に日本語研修センター、これが設置されたわけでございます。そして、日本語研修のプロジェクトが始まったということでございますけれども、ここには一九八〇年から五年間で五期生まで五百九十四名の方、これはオール中国の百六十校以上の大学から日本語教師五百九十四人が日本語研修を受けにこの北京の日本語学の研修センターに集まってきたということでございます。
 それで、これがどれほどの大きな効果があったかということにつきましては、この語学研修センターを卒業された中には、現在、中国の大学の学長であるとか専門分野のリーダー等として中国の日本語教育分野において活躍をされておる。このように、この大平学校というのは日中文化交流事業において極めて重要な役割を果たしたということで、これは教える側にあった日本の教授陣、これは約九十一名の日本人の教授が派遣されておりますけれども、こういった方々、また教えを受けられて、現在、中国のトップの立場で闘っていらっしゃる方々にとっても、お互いに大変感謝と大変な思いが今日まであるということでございます。
 二兆四千五百億円の我が国の対中国ODAの中で、五年間でわずか十億円でありましたけれども、このことは、まさに物、金の援助以上に大平学校のようなプロジェクトというものが、人と人とが触れ合い交流できるような形での援助、これが私は今後ますます重要になってくるんではないか、このように思う次第でございますけれども、やはり人と人との交流ということが真の友好関係を築くことができるという意味で大変重要だと思いますけれども、こうした人の面での援助に関して外務大臣はどのようにお考えか、御所見をお聞きしたいと思います。
#39
○委員長(谷川秀善君) 杉浦外務副大臣、どっちが答えますか。
#40
○海野義孝君 大臣、お願いします。
#41
○国務大臣(田中眞紀子君) 委員がおっしゃっておられる人と人の触れ合いということは、要するに顔の見える援助ということであると思いますし、それが心の面で、人間として目に見えない形のものが心の中にしっかりお互いの中に培われて、それが結果としてはお互いの国の平和とか安定とか協力に役立つということをおっしゃっていると思います。
 私も、今、第二次のODA改革懇談会というのがありまして、それに実際に出席もしたこともございますけれども、やっぱりODAというのは最終的には人間の安全保障といいますか、そういう物とかお金とかというのももちろん必要なわけですけれども、それを超えて最終的には人間の心の中に、お互いに共生とか連帯感、そういう意識を植え込む、そういうことがお互いのためになるというふうに思っておりますので、今おっしゃっている中国のケースにつきましては、またほかのケースもいろいろあろうかと思いますけれども、やっぱり顔の見える援助、そしてこれが結果的に世界の平和とか安定に役立っていく、共生と連帯の礎になる援助という意味で大変貴重なものであると思いますし、そういう志を持ったものをそのほかのODAでもしっかりと根づかせていきたいというふうに考えております。
#42
○海野義孝君 大変ありがとうございました。
 もう一点、その点について大臣にお答えいただきたいと思います。
 実は、今申し上げた北京にある日本語研修センター、これは五年間で終わりを告げましたけれども、それ以後の中国の日本語研修の取り組みについては大変なものがあるわけでございまして、この質問に際して外務省の方々からも大変私に対して応援の資料等をいただいておりますので、せっかくですからそれを申し上げますと、八五年でいわゆる大平学校は終わりましたけれども、その年に、八五年に設立された教育研究機関である北京日本学研究センター、ここでは三つのコースがございまして、大学院修士・博士課程、在職修士コース、現代日本研究コース、この三つのコースで構成されておりまして、この運営につきましては北京外語大学及び北京大学に委託されて、今日に至るまで日中双方の研究者が率直な意見交換、共同作業を行って、教育研究、情報等の面でさまざまな実績を重ね、中国における日本語・日本研究及び日本との交流に携わる人材育成を目的とする機関として中国における中心的な役割を今日まで担い続けてきている、こういうことでございます。
 このように、大平先生が残された日中国交回復のその橋渡しとしての人づくりという問題が今日まで営々として中国においてなされているし、相互にこれにかかわっている人たちがまさに教育の、双方の国のまさにトップクラスにおいてもそういう交流があるということは私は大変すばらしいことだと思いますけれども、こうしたことを大臣は今後の世界各地に対するODAの面においてどのように発展させていくかについての御決意をお聞きしたいと思います。
#43
○国務大臣(田中眞紀子君) 今、委員御指摘のことは、ODAが本来持っているべき理念といいますか、そういうものを言い当てていらっしゃるというふうに思います。
 すなわち、今すぐ右から左へ役立って花が開かなくても必ず、教育のようなことに関しましては特にそうですけれども、時間の経過とともにそれが確実に芽生えて、そして花が咲いて実が結ぶというものだというふうに思いますので、そうした長いうちに、そして一生、次の世代から次の世代へと引き継がれていく。その引き継ぐチェーン、鎖のつなぎによって本当の平和と安定と共生と連帯感というものが国境を越えて芽生えていく、それが私たちは納税者の皆様、国民の皆様が本当によかったなと納得することだろうというふうに思いますので、そうしたことをやはり基本に、もう一度再確認しながらODAの問題にも取り組んでまいりたいと思います。
 よい御指導をいただきましてありがとうございました。
#44
○海野義孝君 もう少々時間がありますので、もう一問簡単にこれも田中大臣にお聞きしたいと思いますけれども、去る六日の日に外務省から外務省改革要綱が発表になったわけでございます。真ん中のあたりは飛ばしますけれども、省外から第三者の監察査察官を任命するとか大変前向きに取り組んで、これまでの外務省の、あるいは外務行政等につきまして大きくこれを脱皮していこうというようなそういう御決意が大臣の行動にも受け取れるわけでございます。
 そこで御質問でございますけれども、外務省改革要綱の具体的な運用方法の策定、これはもうこれから詰めていかれると思いますけれども、これに対しての担当大臣としての御所見ないし御決意を伺いたいと思います。
#45
○国務大臣(田中眞紀子君) 御指摘の外務省改革要綱はまだ完璧なものではございませんけれども、それでも今いらしておられます杉浦副大臣を中心として、多くの方たちが時間とエネルギーと知恵を絞ってくださった集大成であるというふうに思っております。
 そして、その基本は、私はやっぱり国民の皆様の目線で外交も政治も行われなければ結局は不信だけが渦巻いてしまう、そして幾ら善意でやってもそれが徒労に終わったり誤解を生むことになると思いますので、やはり国民の皆様の納得してもらえるような、ベストはありませんけれども最大公約数理解を得られるような、国民の、納税者の目線というものがもとになろうというふうに思います。
 そして、今回、残念ながらああいう不正やら疑惑が出ましたので、ああいうことを契機といたしまして、根絶するためにどのような対策、どのような体制、どのような人事が必要であるかということが主眼でございます。すなわち、効率的かつ効果的な外交体制を実現し、そして人事体制も改革をしていく、適材適所でありながら、多くの方たちが納得してくださって、そして明るい外務省、そしてわかりやすく、やっぱり外交というのはこれだけわかりやすくて明るくて、そしてはっきりと目に見えるものなんだという透明性を持ちながら理解を得つつ進んでいきたい、これが根本の精神でございます。
 また、これにつきましても今後御指導を仰ぎたいというふうに考えております。
#46
○海野義孝君 どうもありがとうございました。
 終わります。
#47
○八田ひろ子君 日本共産党の八田ひろ子でございます。
 まず、外務大臣に二つのことを伺いたいと思います。
 それは外務省の報償費についてなんですけれども、外務省の松尾元室長の機密費横領・詐欺事件について犯罪対象とされた宿泊費の差額である九億六千五百万円、これは内閣官房の報償費であり外務省の報償費は全く使われていなかった、全く関係がないというふうに大臣は御見解をお持ちなのかどうか。
 それからもう一つなんですけれども、外務省におきましては、チェック体制の不備などを改革するための熱意、今も一部おっしゃいましたけれども、そういうものが見えるんですが、内閣官房にあっては、今回の問題というのは両方の問題が非常に大きいと私は思うんですが、みずから厳正に管理執行すべき自分のところの報償費が横領・詐欺に遭ったとしても、原因の分析、再発防止の取り組みというのが国民から見ますと十分見えてきません。
 きょうは、残念なことに官房長官は出席をされておりませんのでお二方から聞くことができないわけなんですけれども、外務大臣も内閣の一員でいらっしゃいますので、内閣官房においても原因の分析と再発防止の取り組みを一層進めるべきだ、こういう意見をお述べになって、御一緒にこの解明に取り組まれることが大事だと思いますが、いかがでしょうか。
#48
○国務大臣(田中眞紀子君) 事の初めから時系列的にお話を申し上げてお答えにしたいと思いますけれども、松尾室長の事件というものは、内閣官房の報償費を扱ってはおりましたけれども、この松尾という人は、しかし外務省の報償費を扱うという立場にはございませんでした。したがって、外務省報償費への横領という事実ではないということを私は承知いたしております。そこのところははっきりしなければならないと思います。
 ただし、外務省の職員であったということには間違いございませんので、外務省に対する非難もございますし、綱紀粛正といいますか、外務省内ももう一度きちんとしなければならないというような認識を私は持っております。
 そして、事実関係は警察当局の調査に今ゆだねておりますので、司直の結果を待つということでございます。
 それからあと、官邸との関係でございますけれども、外務省が一番まじめに真摯に取り上げなければいけないことは、当省の職員がこのような不祥事を起こしたということ、このことは本当に全員が深く反省をしなければならないことでございまして、それがどれだけ深く今後のために建設的に役立つかということを私たちは常に考えていかなければならないというふうに思っています。
 それはなぜかといいますと、国民の皆様から外務省に対して冷たい目、不信の目が向けられているということ。このことは、ただ一人の犯罪であるからおしまいではなくて、外務省員みんな、私も含めてですが、みんながやっぱり綱紀粛正をして、しっかりと国民の信頼を取り戻せるように、そういう体制、心組み、あらゆるものを再構築していかなければならないというふうに受けとめております。そして、基本はこの再発防止ということのために外務省改革に取り組んでおりまして、先ほど前委員のお尋ねにもありましたような改革要綱も発表いたしております。
 それから、内閣官房のことをおっしゃいましたけれども、これはまたしかるべく報償費の見直しに取り組んでいらっしゃることというふうに私は承知いたしております。
#49
○八田ひろ子君 自分のところとは関係ないからというふうな御答弁なんですけれども、今この機密費の横領事件というのは御承知のように国民的な大きな怒りを呼んでいます。
 なぜ国民が怒っているのか。税金を横領して私するということは非常に許せないというので怒るのは当然だと思うんですけれども、そればかりでなくて、先ほどあれは官房の話だとおっしゃいましたが、宿泊費の差額のようなものがなぜ機密費なのか。また、ほかにもいろいろと出ているわけなんですけれども、そういうものがなぜ機密費というふうに言うのか。また、そういうものがなぜ簡単に、馬などだと随分大きなもので後に残りますね、そういうものになったのか。一体機密費とは何なんだと、そういった不信だと思います。それは、たまたま松尾元室長が外務省の官僚だから外務省に疑惑の目が向けられているのではなく、長らく続いてきたこの体制の内閣そのものが不信感を私は持たれているんだというふうに思うんです。
 ですから、実際には総理の外国訪問というのは官房と外務省の二人三脚で行われるものですし、大臣として官房長官に物を言わない、官房のことはあちらでと、こういうことでは原因の究明と再発防止ということでの真剣な姿勢というふうに私は思えないんです。
 そこで、私はきょう皆さんに資料をお配りいたしました。「報償費について」という資料であります。会計検査院長は、三月二日の衆議院予算委員会の第一分科会におきまして、この我が党の提示した文書も含めて、資料として事実の把握をしていきたい、こういうふうに答弁をされました。この文書は、皆さんにもお配りしておりますのでごらんいただければわかると思いますが、一枚目の「報償費の額」というところを御注目いただきますと、「官房長官が取り扱う報償費は、予算上、内閣官房と外務省に計上されており、形式的には外務省計上分を内閣官房に交付する形をとっている。」とされています。
 国会が議決をいたしました予算を交付という形、上納と一般的に言われておりますけれども、どんな形であろうと政府が勝手に流用することは、これは法違反だと私は思います。
 そこで、会計検査院に、この報償費についてのお示ししました文書はその後どのように事実を把握し確認されているのか、お示しをください。
#50
○説明員(石野秀世君) お答えいたします。
 会計検査院が検査を実施するに際しましては、さまざまな資料や情報がございまして、それらを十分見きわめながら事実関係の把握に努め、現在、本件につきまして検査を行っているというところでございます。委員お示しの文書につきましても、その検査院が検査を行う際のさまざまな資料というふうに認識しております。
#51
○八田ひろ子君 会計検査院長にきょうはお出ましいただいておりますので、検査の過程でもあり個別の事項だからというような前提があるというふうに思いますけれども、会計検査院長には事の重大性から見ても厳重な調査を進めるべきだと私は思いますが、今の御決意をお述べください。
#52
○会計検査院長(金子晃君) 委員御指摘のとおり、報償費の執行が適正に行われるということは極めて重要なことであり、検査報告に向けまして現在厳正な検査を行っていますし、また今後も報償費については厳正な検査をしていきたいというふうに考えております。
#53
○八田ひろ子君 この問題は、私はもう時間が余りございませんのであれですが、先日の決算委員会で、この場でも取り上げられまして、塩川大臣は報償費につきまして、「私もやっぱり中身はちょっと触れることは勘弁していただきたいと。三十年たったらちゃんと申し上げますから。」と、驚くような答弁をされました。
 私は、この答弁を聞きながら、忘れたとか錯覚とか、そういうような問題ではなく、三十年たってもきちんと覚えておいでになるような重大な問題だというふうに再認識しました。本当に真相解明が必要だということを痛感しました。
 外務大臣に一言私は要望しておきたいんですけれども、私はさっき熱意が見えるというふうに言ったんですけれども、ここに外務省のワイン購入の決裁文書を持ってきました。(資料を示す)きょうは時間がないのでもう質問しませんが、フランス産の赤ワインが六万五千八百円とか、いろいろ書いてあります。
 前任の外務大臣は、三月二十三日の外務委員会で、一本数万円、十万円もするようなワインを外務省は買ったことがないというふうにおっしゃいました。事実あるわけないと。だけれども、実際にこういうふうに外務省の資料にも載っているわけです。
 だから、人から聞いて、ないということだからなかったとか、上納の問題ですけれども、そういうことで終わりにせずに、国民にわかりやすい言葉で事実を解明して、その上に立って再発防止をきちんとこうするんだというふうに国民に公表していただくように強くお願いを申し上げ、私の質問を終わります。
#54
○大脇雅子君 社会民主党の大脇でございます。
 外務大臣にお尋ねをいたします。
 外務大臣は、日米外相会談におきまして、ミサイル防衛に理解を示したと伝えられております。ブッシュ政権になりましてから、いわゆるTMD、戦域ミサイル防衛と、それからNMD、米本土ミサイル防衛と、これを一体化するというふうに言われていたわけですが、この理解を示された対象というのは、一体化したいわゆる弾道ミサイル防衛全体を指すのか、あるいは今までは集団自衛権でNMDは除外して、主としてTMD研究について協力をしてきたという立場があったわけですが、この理解を示された対象について、もう少し詳しくお話しいただけたらと思います。
#55
○国務大臣(田中眞紀子君) 弾道ミサイル防衛でございますけれども、BMDに関する日米共同の研究というものにつきましては、引き続き推進していくという立場でございます。
#56
○大脇雅子君 そういたしますと、確認的にお尋ねしますが、この理解というのは、BMDについてどういう内容に理解を示したと、こういうふうに理解してよいのでしょうか。
#57
○国務大臣(田中眞紀子君) ブッシュ大統領がおっしゃっているこの構想の基本にありますのは、核不拡散という考えが基本にございます。それは何人も反対するものではないというふうに思いますが、現実の社会には、世界の四十一カ国が核兵器を保有しておりますので、したがって大量破壊兵器でございますとか弾道ミサイル、こういうものがこれから世界でもっと拡散することは危険でありますので、そういうものを防止するという重要性、それは私どもも理解をして認識をともにするということでございますし、またその先々、日本を含む同盟国及びロシア、中国とも説明をし協議しながら進めていくというお立場を理解できるというふうに申し上げております。
#58
○大脇雅子君 外相会談では、費用についてとそれから研究の期間について質問をしたというふうに言われておりますが、どのような返事であったのでしょうか。
 それから、このBMD構想全体に対して外相は効果があるというふうに認識しておられるのでしょうか。
#59
○国務大臣(田中眞紀子君) まず、これは研究、構想の段階でございます、今現在。ですから、その中でもって私がパウエル長官との話の中でも申し上げたことは、科学技術庁長官をさせていただいているときに大変勉強になったことですけれども、このような技術を研究していく段階においていろいろな派生的な民生に役立つようないい研究というものも出てきます。ですから、そういうふうなこともプラスになるのではないかということを思って、それも私は発言いたしました。そうしましたら、それは極めてあり得ることだしプラスのことであるということをおっしゃっておられました。
 それからあと、最初のお尋ねに関しましては、ここにちょうどでき上がってきた会談記録というのがございますので申し上げますけれども、その費用等につきまして、それから期間につきましても、結論的にはパウエル長官からはこれからであるということで、これがまさしく会議録なんですけれども、タイムスケジュールとかですね、については、いつ完成するかについては正確なことは今現在わかっておらず申し上げることはできない、しかし近い将来、一年以内には、実験を行うに当たりABM条約が制約となる事態が生じ研究が進められなくなるかもしれない、これらについてすべてトータルでまたラムズフェルド長官とも相談をして、まだしなければならない、したがってその意味でもお答えは知らないと言わざるを、できないということでしょうかね、と言わざるを得ないというようなおっしゃり方、極めて誠実なお答えぶりがございましたことを御報告いたします。
#60
○大脇雅子君 しかし、このBMD、とりわけTMDとNMDが一体化した防衛構想については、核の拡散をより一層増進する、軍備拡大競争を招くということで、ドイツ、フランス、あるいは中国、ロシアなど、疑念を示しているのであります。
 以前、オーストラリアの外務大臣に対して疑問を呈せられたということですが、私はもっと率直に日本もこの構想に疑問を発信すべきであると思います。壁をつくるのではなく、壁の向こう側の人たちに信頼醸成と平和の対話を進める外交政策というものが必要だと思うのですが、いかがでしょうか。
#61
○国務大臣(田中眞紀子君) ダウナー外務大臣、オーストラリア外務大臣のことを触れられましたけれども、そのような会話がなかったということをあちらの外務大臣が訂正の、抗議を含めたメッセージを発出なさっていたという過去の経緯がありますことをもう一度確認させていただきます。
 それから、先ほど私が申しました四十一カ国と申しますのは、弾道ミサイルを有する国が四十一でございますので、誤解があるといけませんので訂正をさせていただきたいというふうに思います。
#62
○大脇雅子君 要するに……
#63
○委員長(谷川秀善君) もう時間が来ております。
#64
○大脇雅子君 もっと率直に疑問を発信すべきであるという外交政策の姿勢についての御答弁をいただきたいと思います。
#65
○委員長(谷川秀善君) 時間が来ていますので。
#66
○大脇雅子君 お答えがないのなら、ないということで結構です。
#67
○岩本荘太君 無所属の会の岩本荘太でございます。
 外務大臣に御質問させていただきます。
 というのは、この決算委員会で、四月二日に、河野洋平前外務大臣それから福田康夫内閣官房長官にこの点について質問をさせていただきまして、そのときにちょっと時間がなくなりましてしり切れトンボになっておりますので、その点についてきょう改めて質問をさせていただきたいと思っております。
 私は、そのとき、報償費ですか、それについて二つお願いといいますか私の考え方を申し上げたんですが、一つは、金の使い方といいますか、こういうものを使うということは決して私はいけないとは言わぬ、国民もそうは思っていないだろう。ただ、この機密性といいますか、いわゆる一般の予算とは違ったような使い方で使うという、見えない格好で使う、その使う金を一般公務員が使うというのはおかしいんじゃないか。いわゆる省の一番上の政治的な判断をする人がやっぱり決めるべきではないかということを一つ申し上げまして、この点についてはたしか改革案で大臣決裁にするということで私が申し上げたとおりになったのかなということで、そのときの答弁もたしかそういう方向で前向きでお考えになっておられましたので、私はその点については評価をさせていただいております。
 それともう一つ、やはりこの金は、国のためによかれと、ただ機密にしなくちゃいけないことはあるけれども、国がよくなるために使うお金であるということで考えたら、恐らく使われる方も国をよくするために使うんだと思うんです。とすれば、ある一定の年限が来たら、そういうものをあのときはこう使ったんだ、それで日本の国がよくなったんだという同じ喜びを国民とともに分かち合う、そういう気持ちというのが必要じゃないか、そういう公開性というものが必要ではないかということを質問したんですが、この辺についてしり切れトンボになりまして、はっきりとまだ御答弁をそのときはいただいていないんです。
 その後、先週、塩川大臣は、同僚議員の平野議員の質問で、三十年ぐらいかなというようなお話もあったんですが、外務大臣、公開といいますか、その辺についてどうお考えか、お答え願います。
#68
○国務大臣(田中眞紀子君) 機密費は諸外国でもございまして、シークレットファンドという名前を使われているわけでございまして、これは本来公開する性格のものではないというふうに思います。
 ただ、我が国の今のようないろいろな事件が起こっている実態にかんがみまして、納税者の皆様からこれだけの不信感を持たれている。しかも、今一番私が感じておりまして、今のこの改革案の中にも盛り込んだことですけれども、何も機密費の項目にしなくていいような種類のものまで、先ほどほかの委員もおっしゃっていましたけれども、すべて機密費の中に入っているということがなおさら私たち国民の目線から見て不可解なことでございます。
 したがって、そういうふうなものをよく見て、こういう項、こういう目をほかに立てて計上すれば納得していただけるというものまで全部ごった煮で報償費の中に入れるのではなくて、それらをちゃんと抽出して、本来の目的の機密費はどのぐらいであるかということをしっかり整理する、そして今そうあるような機密費については透明性をもって整理をしていくという作業をいたします。
 そして、本来である機密費については、先ほど来申し上げておりますけれども、公開をするという方向ではなくて、むしろ国民の皆様から信頼していただけるということを前提として、しっかりと正しく使っていくという方向に持っていきたいというふうに考えております。
#69
○岩本荘太君 何も外国にシークレットファンドがあるからそれをまねて日本でやる必要もないと思いますので、日本は日本なりにやればいいんだと私は思っております。
 ただ、大臣が今言われた、本当に隠さなきゃ、隠すというのはおかしいですけれども、公表できないものはあるかもしれません。ただ、さっき言われましたように、そうでないものもたくさんあるわけです。この際、そういうものをしっかりと分けて、秘密にするものについても、これは本当にこういう理由でこうだから公表できないんだということをやっぱり納得してもらうという、そういうものが前提になければいけないんだと思うんですが、そういう物の考え方で私はやっていただけると理解してよろしいかどうか。
#70
○国務大臣(田中眞紀子君) 繰り返しになりますけれども、本来の目的のものをどこまできちっと整理して絞り込めるかという作業をいたしますけれども、そのものについては公表すべき性格のものではないというふうに私は考えます。
#71
○岩本荘太君 その辺は食い違うんでしょうけれども、私はあくまでも、公表しないとしても、それは国民がそういう納得のもとにしないという考え方でないとやっぱりいけないというふうに思いまして、その点を要望して、時間が参りましたので私の質問を終わります。
 どうもありがとうございました。
#72
○平野貞夫君 外務大臣にお尋ねしますが、六月六日に外務省改革要綱というのが決定されております。この中の報償費の改革という中で、「報償費の支出は、外務大臣の責任で行う。(大臣決裁)」と、こうなっておるんですが、きょうの時点でもう大臣決裁されているんですか。あるいはいつからされるんですか。
#73
○国務大臣(田中眞紀子君) 今現在では、まだできておりません。と申しますのは、委員会等もございますし、これは落ちついて、チームをつくるなりしてきちっとやらなけりゃいけないと思っておりますので、今現在の時点ではまだそこまでいっておりません。
#74
○平野貞夫君 いつごろ実行するつもりですか。
#75
○国務大臣(田中眞紀子君) 国会が閉会いたしまして、直ちにかかれるようにというふうに考えております。
#76
○平野貞夫君 外務省の松尾元室長の事件は、私も先週申し上げたように、その問題の本質は、やっぱり外務省の報償費が内閣へ上納されていたんじゃないかという問題だと思います。外務省のいろいろな規律の問題もあると思いますが、この問題の本質がうやむやになっている。これについては、国会の公式の席とかあるいはさまざまなところで外務大臣は強い関心を示したというふうに私は理解しております、これの問題の本質、真相を究明するために。
 現時点で田中外務大臣は、この上納の疑いというのはもうないと思っておるんですか、それとも今後まだ真相を究明しなきゃだめな問題だと思っていますか。
#77
○国務大臣(田中眞紀子君) 私の答えには御不満かと思いますけれども、やはりこれは、今この松尾問題が起こったからではなくて、過去からずっとこういう報償費の問題というのはあったと思いますけれども、その中で関係者皆様が上納ということはなかったということをおっしゃっておられますので、私はそれを信ずる以外にないというふうに思っております。
#78
○平野貞夫君 率直に言いますと、ひところの外務大臣の意気込み、強い関心からすれば大分薄くなったというふうな印象を受けるんですが、実は私は、この問題の解明が日本の政治構造の解明の、改革の一つだと思っておるんです。
 実は、先ほど八田先生から出された内閣のけい紙のある資料、「報償費について」。これが、このコピーが本物ならば、これは内閣でつくられたと思うんですが、「報償費の額」の中で、官房長官が取り扱う報償費は、予算上、内閣官房と外務省に計上されており、形式的には外務省計上分を内閣官房に交付する形をとっている、官房長官の取り扱う報償費の額は、次のとおりであるというふうに、昭和五十八年度から平成元年度までの決算もしくは予算のものを載せておりまして、昭和六十三年、平成元年と、外務省分として十九億七千七百万という数字が出ておりますが、現在いろいろ言われております二十億ぐらいが上納されているという話とこれは符合するわけですね。ですから、私は相当強い疑惑が、これが上納の証拠じゃないかと思うんですが、大臣、どのようなお考えでしょうか。
#79
○国務大臣(田中眞紀子君) まことに恐縮でございますけれども、出所不明のものにつきましてはコメントを差し控えさせていただきたいと思います。
#80
○平野貞夫君 この場でそういう問い方をして大変失礼しました。出所不明か不明ではないかというのはこちらでも調べる用向きだと思いますので、改めてまた問題にしたいと思います。
 そこで、先週の週刊ポストには、外務省幹部のコメントとして、小泉内閣でもこのような上納が行われているということを明確に書いておるんです。それで、大臣が自分はないものと信じているというお話なんですが、この週刊ポストに書いていることが本当ならば、これは内閣及び外務省の権威にかかわることでございますので、ひとつこれは告訴するなり法的措置で明快にしていただきたいということを要望して、質問を終わります。
#81
○委員長(谷川秀善君) これより、内閣総理大臣に対する質疑を行います。
 まず、私が決算委員長として若干の質疑をさせていただきます。
 平成十年度決算を見ますと、歳出総額に占める公債金の依存度は四〇・三%と最悪の率になっており、税収も十一年ぶりに五十兆円を割るなど財政的には深刻な状況となっています。このように決算によって予算執行の全貌が明らかになるわけで、決算審査というのは予算執行が適正かどうかを判断し、批判する点は批判し、評価する点は評価し、次年度の予算編成に反映させることに重要な意義があると思います。総理は、決算とその審査や評価についてどのようにお考えでしょうか。
 また、昨年十月に国のバランスシートが公表されました。このように財政の情報を公開することは大変大事なことであります。国民に対して正確に財務情報を説明し公開することは重要だと思いますが、総理は、国のバランスシートを含め、公会計の積極的な情報開示についてどうお考えでございましょうか。
 第二点は、報償費の問題でございます。
 国民の外交に関する信頼を大きく損ねた外務省職員の内閣官房報償費詐取問題についてお伺いいたします。
 今回の不祥事は言語道断であり、総理外国訪問を含めた外交に関する報償費につきましては、国民から強い不信と疑惑の目が向けられております。確かに、外交に関する問題は国益に支障があることもあり公表できない面も多々あると思いますが、支障のない項目もあると思います。できるだけ公表することによって透明性を担保することも必要であります。特に、報償費のあり方について抜本的に見直しをして国民の信頼を回復すべきと考えますが、総理のお考えをお伺いいたします。
 次に、今回の不祥事は、内閣官房及び外務省の報償費に関する執行体制の不備などによって起こされたと言ってもいいものであります。会計検査院はかかる会計処理を指摘できなかったことはまことに遺憾であり、国民の会計検査院に対する信頼を回復するよう努力方を強く求めます。
 今回の事件を教訓に報償費の検査のあり方について検査の検討をしていると聞いておりますが、どのように検査の手法を変えようとしているのか。また、現在の内閣官房及び外務省の報償費についての検査を行っているようでありますが、いつ、どのような形で検査結果を示すつもりなのか。これは会計検査院長にお伺いをいたします。
 以上でございます。
#82
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 三点ですが、まず、国会における決算の審査は、予算の執行が所期の政策目的を果たしているかどうか等について審査、検討するものであり、極めて重要なものと考えております。
 政府としても従来から予算の適正かつ効率的な執行に留意してきており、予算編成等に当たっても国会における議決や予算執行の実態等を十分反映させるよう努めておりますが、今後とも決算審査の重要性を十分認識し、なお一層の努力をしていきたいと思います。
 また、国のバランスシートの問題でございますが、私が所信表明演説で申し上げましたように、国の財政を含め行政の透明性を向上し、説明責任を果たし、国民の信頼を高めていくことは重要なことであると考えております。そうした観点から、公会計の見直し、改善を積極的に進めていく必要があると思います。
 具体的には、一つ、一般会計と特別会計を連結させた国の貸借対照表について昨年初めて公表しましたが、さらに検討を進め、改善を重ねてまいります。
 二つ、特別会計の財務諸表については、所管省庁において公表を進めておりますが、引き続き評価、改善を行ってまいります。
 三つ、特殊法人等の会計処理については、企業会計原則にのっとった財務諸表及び国民負担に帰すべきコストを開示する行政コスト計算書の作成指針を取りまとめたところであり、九月末までにこの作成指針に基づき各法人ごとに具体的な開示を行うこととしております。
 報償費の問題でありますが、現在、報償費の適正な執行に対する国民の信頼が損なわれていることを重く受けとめております。所信表明演説でも述べたとおり、内政、外交の円滑な遂行に役立てるという報償費の原点に立って抜本的に見直し、減額も含め平成十三年度予算を厳正に執行し、国民の御理解を得てまいりたいと考えております。
 こうした私の考えに従って、今年度の報償費の執行に当たっては、報償費の目的に照らして、これまでの経緯にとらわれることなく、その都度厳正に吟味を行った上で執行するなど、厳正かつ効率的な執行の徹底が図られているところであります。
 さらに、こうした執行の状況を踏まえながら、今年度の具体的な減額や平成十四年度予算のあり方について内閣官房において検討させているところであります。
 以上でございます。
#83
○会計検査院長(金子晃君) 今回の事態に関しまして、委員長御発言の趣旨を会計検査院としても強く受けとめているところでございます。
 今後の検査のあり方、検査の手法についてでございますが、従来の検査は、個別の支出がその目的に沿って適切に行われているか否かに重点を置いて実施してまいりましたが、今後は、執行体制、内部監査等のチェック体制が整備されているか、それらが十分機能しているかなどの会計処理のシステム面の検査も重視したいと考えております。そして、従来より検査の浸透を深めるため、検査日数、人数、在外公館の検査箇所をふやし、検査の拡充を図ってまいりたいと考えております。
 また、計算証明における承認につきましては、本年四月に行った見直しに引き続き、内閣官房及び外務省につきましても、現在行っております検査の結果を踏まえて見直しを行う予定にしております。
 現在、本件について、内閣官房、外務省に対する検査を鋭意進めており、その中で今回の松尾事件の事実関係や報償費の執行体制及びチェック体制に係る問題点の解明に努めているところであります。
 これらの検査の結果につきましては、国会へ報告する決算検査報告の取りまとめ時期より前倒しし、早期に、九月中を目途に検査結果をまとめたいと考えております。
 今後は、より一層、厳格かつ公正な検査に努め、国民の期待と信頼にこたえていくことにしたいと考えております。
#84
○委員長(谷川秀善君) 以上で私の質疑は終わらせていただきます。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#85
○鹿熊安正君 自由民主党の鹿熊安正でございます。小泉内閣総理大臣の改革について、短時間ではありますが簡潔にお伺いいたしたいと存じます。
 私は富山県出身であり、中央と地方の格差については、私の政治信念としてそれを是正しなければならないと取り組んでまいりました。小泉総理が所信表明演説で示された聖域なき構造改革を断行されるに当たり、人口が集中する都市中心の政策になるのではないかと、地方は今大きな不安と危機感を持っております。
 そこで、総理に次の三点について質問し、これからの都市と地方についての所見をお伺いいたします。
 まず第一点は、公共事業と地方の関係についてであります。
 私は、公共事業そのものの補助金と権限を持つ国と地方自治のあり方に問題があるのを感じております。しかし、御承知のとおり、いまだに地方は社会全体が公共事業に依存する比率が高く、都市とは格段の差があります。今後、公共事業が減り、地方交付税が見直されたら地方はどのような痛みを伴うのかのお考えをお聞きいたしたいのと同時に、公共事業と地方の関係について所見をお伺いいたしたいと思います。
 第二点目は、所信表明ではほとんど触れられなかったが、農業問題についてであります。
 今後の日本社会を考えるとき、食料自給率の低下、農業を担う若年層の減少といった農業の構造自体の問題でありますが、食糧安全保障の観点からも自然環境面からも、農業から目をそらすことは当然できないと思います。総理の農業問題への取り組みと所見をお伺いしたいと思います。
 第三点目は、都市と地方を結ぶ高速交通体系の整備、とりわけ新幹線の整備についてであります。
 盛岡、仙台、新潟、長野といった地方都市は、新幹線なくしては現在の発展はなかったと思いますし、各地域の個性が生かされていると思います。総理は、国土の均衡ある発展という観点から、現在建設が進められている東北、北陸、九州新幹線にどのような所見をお持ちなのか、お伺いいたします。
 私は、富山県議会を三十年、参議院を十二年間務めてまいりました。四十二年間、常にふるさと富山を大切に、ふるさと富山の発展を念頭に置いて、地方のあるべき姿を確立するために全力で取り組んでまいりました。
 しかし、真の地方の時代、地方の自立は権限と財源なくしてはあり得ないと思っております。また、国においても、首都機能移転、地方分権、市町村合併が何年も前から叫ばれながら、まだまだ中央に権限は集中し、日本国民の約四割が集中する関東圏で日本のほとんどの経済活動が展開されているのも事実であります。このような状況で、多極分散型国土の形成や国土の均衡ある発展はいまだになされておらず、自立できる地方は数少ないと痛感いたしております。
 以上、三点について所見をお伺いし、特に総理の考えておられるこれからの地方の形をお伺いして、私の議員生活最後の質問とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
#86
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 長年にわたり、真摯な議員活動に精を出されてこられました鹿熊議員に最後の御質問をいただきまして、恐縮しております。
 四点ありますが、まず公共事業あるいは地方交付税等を見直されたら地方はどのような痛みを負うことになるかという御質問でございますが、私は、現在の予算状況、ただいま谷川決算委員長からも御質問がありましたように、借金ばかりふえてしまって、多くの国民の税金までが借金の利払い、返還に回さなきゃならなくて、新規の政策、事業に使えないという状況、このままでいいとは思っておりません。
 そういうことから、平成十四年度予算編成においてはあらゆる歳出項目を見直さなきゃならない。借金をふやせば事業は拡充するという議論もありますが、同時に借金の利払いがふえて別の副作用を起こす面もあります。そういう点から、まず国債発行を三十兆円以下に抑えることを目標として、公共事業についてもあるいは地方に行くお金についても聖域なく見直しを行うこととしております。
 わけても、地方にできることは地方にゆだねるということを所信表明でも申し上げましたし、ほとんどの議員がこの議論に対しては異論がないと思っております。そういう点からいえば、見直さなくていいということは現状維持につながります。地方交付税一つとっても、補助金一つとっても、これではいけないというのが大方の議員だと思います。
 こういう観点から、私は、公共事業についても、地方交付税を含めて、補助金も含めて、今、中央から地方に行く仕組みをそのままにしていいとは思いませんので、皆さんの意見を聞いて見直していきたいということを述べたわけであります。
 先日、タウンミーティング、青森でしたか、ある女性が、これからは一流の田舎を目指したいと。これは非常にいい言葉だと思いますね。田舎が都市に比べて別に劣っているとかおくれているとかいう一方的な見方は当たらないと思います。田舎のよさ、都市のよさ、こういうものを見直しながら、まず一流の田舎を目指したいというその発想自体をこれから大切にしていきたいと思っております。
 農業問題についてでありますが、これは、もう農業は、今でこそ食べ物に困りません。しかし、将来、今は地球人口六十億ですか、百億になるという。人口問題と食料問題を考えますと、食料をおろそかにしていいということはとんでもない、天からのしっぺ返しを食うんじゃないか。
 ともかく、政治の要諦を昔から見ていると、飢えをなくすということ。一国にとりましても、どの国においても、まず国民に飢えさせない、食物を与えるということが政治の中で一番大事だったということを考えてみれば、今でこそ食料が余っているからといって食料問題、これをおろそかにしていいとは思いません。大事にしながら、そして日本の食料、ある程度の自給率を確保するということは、日本国民のみならず世界の国民に対しても私は一つの責任だと思います。
 金さえ出せば買えるという状況にはならない。食料というのは時間がかかります。すぐつくるというわけにはいきません。天候とか水とか太陽とか、自然の恵みに感謝しながら、今の我々は生かされているという食料の重要性をこれからも大いに認識しながら、食料問題の重要性を考える必要があると思っております。
 新幹線の問題でありますが、これは国土をどのように交通機関等で整備するか。空港の問題、鉄道の問題、また道路の問題、自動車の問題、それぞれ総合的に考える必要があると思います。限られた予算の中で、空港も鉄道も道路もあればそれにこしたことはないんですけれども、それはやはり国民の税金等あるいは採算性等も考えなきゃいけない。新幹線等の整備についても、昨年十二月に新しい政府・与党申し合わせが取りまとめられまして、収支採算性や投資効果等を十分吟味の上その整備を図ることとしておりますので、この意見を尊重していきたいと思います。
 また、地方の形あるいは地方の自立ということについてのお尋ねですが、これは最初にお話し申し上げましたことと関連しますが、江戸時代までは藩別に地方はすごい特色がありました、それぞれ。明治以降、中央集権という形で中央が地方を統制といいますか、一国、地方ごと分散しているよりも国家の力を中央に集中しようという体制が必要だったと思うのであります、今日まで来ましたけれども。やはり古きをたずねて新しきを知るという温故知新という言葉もございます。当時の地方独自の努力によって、特色ある地方都市を築いてきた江戸時代からのよさというものを歴史的にも学ぶ点も多いと思います。
 その際には、地方に対する権限、地方と中央との仕事のあり方、それから財源、税源、こういう点を含めて、地方が自律的にみずからの判断で財源も仕事も個性ある地方としての発展も考え得るようなことが私は地方分権への一つの大きな趣旨だと思います。それに向けてこれからも英知を結集していく。中央集権から真の地方自治へと、特色ある地方の発展が国全体の発展につながるんだという視点から改革に取り組むべきだと思っております。
#87
○鹿熊安正君 ありがとうございました。
#88
○金石清禅君 私は、去る人もまた来る人もおる中にあって、先週初めて十三日の登院を許されました金石でございます。きょう、九日目にして総理に質問ができますことを大変うれしく思っております。
 まず、総理が圧倒的な国民的人気の絶頂にある中、私は総理の本当の魅力は、総理が雌伏の時代に福田邸にいて故横手征夫君とともに修行をなさっておった、あの本当に苦労された努力が今実っているんじゃないかと思います。そして、総理が掲げるいわゆる現在の構造改革というのは、私がかつて関係いたしました海部内閣のときに日米構造協議というのがございました。このときに端を発して、私は本当に十年たってようやっと機が熟しているんだ、この時を逸さずに何とか日本社会を再建できる大きな力として私は小泉内閣がしっかりとこの時代を超えていただきたいと存じます。
 かつて塩川大臣にもお伺いいたしたんですが、今この構造改革という中にあって余りにもテーマが広過ぎますので、私はこの中で財政再建とか、いわゆる景気につながる本当の構造改革というのはどういう形で位置づけているのか、まずお伺いをさせていただきたいと存じます。
 そして第二点目は、今、空港関係が、近隣国際空港が極めて充実しておりますけれども、日本の空港事情はどの空港においても非常に限界的症状にあります。その中にあって、交通の問題あるいは飛行機のいわゆる故障等々の問題で地方空港に着陸する場合が多いわけでございますが、そのCIQに対する考え方が極めてプアでございます。そういう中にあって、今後、日本の空港の充実ということを十分考えなければいけませんけれども、いわゆる警察犬も含めた麻薬問題あるいは病気の輸入、そういった問題がたくさんある中にあって、今後CIQというものを全国的に地方空港もどのように考えておられるかもお伺いさせていただきます。
 最後に、いわゆる政治の形が、腐敗の中に政治が動いております。そして今回、選挙法も変わりました。しかし、この改革の中で、政治家が起訴されたらこれは直ちにやめるような新しい選挙法に変えていかなければ、私は本当の……
#89
○委員長(谷川秀善君) ちょっと答弁の時間も考えて時間割りを考えてください。もうずっと過ぎています、あなたの持ち時間は。
#90
○金石清禅君 恐れ入ります。ゼロから始まりましたので、お許しをいただきます。
 以上、お聞きします。
#91
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) もうかなり古くから金石さんとは御交誼をいただいておりますし、海部内閣の総理秘書官をしていた時代もちょくちょくお話をする機会がございまして、今回ようやく国会議員といいますか、間際にこういう形で国会議員になられたということは非常に残念な思いも持っておられると思います。
 しかし、こういう機会に質問をしていただきまして、いろいろお話しいただきましたけれども、財政構造改革の重要性については、これは申すまでもなく、できるだけ国民の税金をむだなく有効に使うというのが構造改革の本旨でございます。そういう点から、聖域なき改革に取り組むという点を御理解いただきたいと思います。
 また、金石議員は航空関係のお仕事をされておりますからお詳しいと思いますが、CIQ、税関、出入国管理、検疫、この問題については、最近、地方と外国との交流が推進される中にありまして、地方空港における国際航空業務の動向を見きわめながら地域の国際化に積極的に取り組んでいくということは大変重要なことだと考えております。
 このため、地方空港等における税関、出入国管理、検疫の体制整備についても引き続き必要な、適切な整備に取り組んでいきたいと思っております。
 また、議員の、逮捕されても議員の座に座り続けるという問題がございますが、議員辞職勧告決議案が決議されても辞職しないんですから、私は最終的にはこれはそれだけに有権者の選挙の一票というのは重いと思うんです。この有権者が最後は判断するんだと。そして、その有権者の判断に基づいて国会議員自身が判断しなきゃならない、出処進退。最終的には、私は道義といいますか、国会議員自身の出処進退というのは、まずみずからが適切に判断すべきものではないかというふうに考えております。
#92
○金石清禅君 ありがとうございました。
#93
○川橋幸子君 民主党・新緑風会の川橋幸子でございます。
 まず、報償費問題についてお尋ねしたいと思います。
 既に、先ほど谷川決算委員長から総理に対しても質問があったわけでございますが、この報償費問題といいますのは、二十一世紀の日本の政治の幕あけにKSD問題と並んで大変国民に不信感、国民の信頼、政治に対する信頼を根底から覆した、こういう大きな問題であったわけでございます。
 最近の報道によりますと、警視庁の立件額、元松尾室長の官邸からだまし取った、詐取されたとされる金額の合計額は何と四億七千八百万円という金額に上っております。こうした問題は、松尾容疑者個人の問題として以上に報償費のあり方全体に対して問題を抱えている、このように言わざるを得ないと思います。
 当委員会では、先ほどもお話がありましたが、会計検査院の検査の責任にも委員長から言及されたところでございます。
 民主党は、私どもは機密費改革法案というものを提案しておりまして、総理の耳にも届いているかと思います。現行の報償費を機密費と一般経費に峻別すること。機密費の必要性は、これはどこの国でもといいますか、外交上の必要性があるわけです。ただ、一般経費と厳しく峻別した上で、機密費については国会がチェックする、一般経費については会計検査院が検査の目を行き届かせる、このようなことを提案し、法案を提出して報償費の予算を大幅に減額することを訴えたわけでございます。
 まず、総理から、先ほども総理としての取り組みの姿勢をお話しされたわけでございますけれども、報償費の情報開示、再発防止に向けた対応策、また来年の予算に対する見解を明確に御答弁いただきたいと思います。
#94
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 報償費の適正な執行に対する国民の信頼が損なわれているということは御指摘のとおりだと思います。今回の事件を契機にいたしまして、内政、外交の円滑な遂行に役立てるという報償費本来の原点に立って抜本的に見直し、小泉内閣としても平成十三年度予算においては減額も含めて厳正に執行したいと思っております。
 さらに、こうした執行の状況を踏まえながら、内閣官房報償費については、十四年度予算のあり方について内閣官房において今検討させているところでございます。外務省報償費についても、先般決定されました外務省改革要綱で示している考え方に即して、今、同様の検討が進められているところであります。
 また、外務省改革要綱、主要な点は、まず報償費の支出は外務大臣の責任で行うということにする。それから、平成十三年度予算については一層の効率的使用と節約に努める。平成十四年度予算については、使用の実績を踏まえながら、他の予算科目への振りかえも視野に入れつつ極力減額に努める。これが去る六月六日決められました外務省改革の要綱でございます。
#95
○川橋幸子君 来年度予算については減額を含めて検討なさるということでございまして、これから官房機密費についても、また外務省機密費についても、そのあり方について抜本的に考えていただけるということでございます。
 去る二十日のクエスチョンタイム、党首討論におきまして、我が党の鳩山代表の方から、報償費の調査については我が党の若手議員を手伝わせるからやらせてほしいという、このような申し出をさせていただきましたところ、総理は、我々が責任を持ってやるからという、こういう御答弁をされております。総理の言葉に二言はないと思います。
 今後の対応ということ以前に、今回どこにどのような問題があったか、やはり内閣官房として明らかにすべきだと思いますが、そちらの方の調査、公表はいつまでにやっていただけますでしょうか。
 特に質問の項目には挙げておきませんでしたが、ついせんだってのことでした。ちょっとお時間がかかるようでしたら、記録をとめていただけませんか。
#96
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 官房費については、官房長官が今までのいろんな御指摘を踏まえて一つ一つ吟味しながら厳正に執行するということにしております。
 今までの外務省の問題、一人の人がこういうふうに自由に金を使うことができるという点も含めていいのかどうか、いろいろ御指摘もございました。そういう御指摘を踏まえて、官房長官が厳正に執行したいということで、今その厳正な執行に努めているところでございます。
#97
○川橋幸子君 何か、総理の御答弁が後退したように私には感じられました。
 やはりこの官房報償費の問題と外務省報償費の問題は、大変相互に、表裏一体の関係にあるものでございまして、先ほど総理がお見えになる前、外務大臣がおられるところでも、この場で議論があったわけでございます。
 やはり何が問題であったのか調査をして、国民の疑念に対して責任を持ってそこの問題点を明らかにしていただきたい。官房長官がとおっしゃいましたので、総理から重ねてその御指示、指揮をしっかりお願いしたいと存じます。
 それでは、経済財政諮問会議の基本方針に質問を移らせていただきます。
 去る二十二日、経済財政諮問会議の基本方針が決定されました。総理は、聖域なき構造改革に取り組む姿がわかってきたのではないか、改革なくして成長なしだと明言されたと、このように私ども伺っております。
 中身を拝見いたしますと、国債の発行を三十兆以下に抑制する、かねての総理の持論というものがみずから退路を断たれて国民に公約されたものと存じます。しかし、きっと実感していらっしゃると存じますが、前途は多難ではないかと思います。我が民主党の方といたしましては、道路特定財源の一般化が見送られたことなどから、鳩山代表は骨太が骨抜きになったのではないかと落胆の意を表させていただいております。
 さまざま政府・与党内の抵抗、あるいは国民自身も我慢の哲学というものをどこまで小泉総理に対して理解を示すのか、ここが大変小泉内閣の改革の成否のかぎを握るというように私には考えられます。
 今後、この基本方針を肉づけしていかれるわけでございますが、今のところ八〇%を超える大変高い人気、支持率と、昨日はまた都議選の勝利という追い風も受けていらっしゃると思いますが、いつ、どのような形でこの基本方針の肉づけ、改革を実施に移していかれるのか、総理の見解、今後の方針をお伺いしたいと思います。
#98
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 民主党も国債発行を三十兆円以下にすると法案を出されたくらいですから、私と似たような痛みを伴う改革は必要だと思っておられるのだと思います。
 そういう中にあって、道路特定財源の見直し等、一般財源化しないから骨抜きだと言われましたけれども、私はいろいろな見方があると思います。公共事業についても道路財源についても、あるいはその他のもろもろの改革をしなきゃならないんですが、今後どういうふうに公共事業を見直していくか、あるいは道路特定財源を見直していくかということは、ある人は一般財源にするべきだという議論もあるでしょう。ただ、ある人は一般財源にするんだったら揮発油税とか自動車重量税を減税しろという意見もあるでしょう。あるいは道路特定だけでなくて環境にも使うべきだという議論もあるでしょう。
 そういう意見がありますから、まず今までの道路特定財源を見直す必要ないという考え方を改めるべきだ。見直すということで、具体的な中身は参議院選挙が終わってから、いろいろな意見を聞きながら、ではどういうふうに具体的に見直すかということを今後検討していきたいということでありまして、決して骨抜きという批判は私は当たらないと思っております。
 いわば道路財源の見直しというのはそれぞれの方のそれぞれの考え方で具体論として出てきている傾向がございますけれども、私はまだ白紙の状態であります。多くの方の意見を聞いて、この貴重な道路財源を有効に、新しい時代に適応できるようなものに振り向けていきたいという考えであるということを御理解いただきたいと思います。
#99
○川橋幸子君 道路特定財源の一般化が見送られたから骨抜きだと、こういう短絡の意見を代表が言っているわけではございません。シンボリックに申し上げただけでございます。
 それから、小泉内閣が掲げておられる改革のさまざまな点は、既に民主党から提案させていただいたことが大部分であることは総理も御理解いただけると思います。
 ですが、やっぱりこれは実現されなければ意味がない。もし参議院選挙後とおっしゃるのなら、参議院選挙後に本当に小泉総理がここで言明なさったようなことを実行に移されるのかどうか、そこが真価を問われることになると思いますし、私は個人的にはむしろ参議院選挙というこの機会をとらえて国民に、このように細部にディテール案、これは皆さんの御意見を聞いてというのはよくわかるわけでございますけれども、ポイントだけははっきりお示しいただきたいというのが私の気持ちでございます。
 そこで改めて、十四年度予算の編成が間もなくでございます。国債発行の抑制につきまして三十兆円という数字を掲げられて退路をふさがれたというこの姿勢は私どもも評価しているところでございます。しかし、この目標を達成するためには三兆円以上もの歳出削減が必要になってくるわけでございます。どの分野のどの予算をどの程度、それこそ骨太の方針で結構でございますので明快な答弁を伺いたいと思います。
#100
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 三十兆円以下に国債発行を抑制するという方針については、自民党と民主党と一致しているわけですね。それで、これについてきつ過ぎるという意見が我が党内にもあります。逆に、こんなの甘いんじゃないか、三十兆円自体もう多過ぎるという議論もあります。
 私は、今までの状況で予算編成を繰ると大体三十三兆円を超える、だから三十兆円というのは今までの行き方を見直さないと、三兆円以上削減しないと税収が大体同じならば予算が組めないということになります。そういう点から、三兆円を今までの方法でない形でどういうふうに削減するかというのは、今後、各省庁から十四年度予算編成に向けていわゆる概算要求というものが出てきます。これについても、むだなものはないかあらゆる歳出について見直してもらいたい。削減の方向で見直してもらいたい。
 ただし、これからは一律削減の方法はとらない。必要なところを伸ばしていかなきゃならない。福祉問題を一つとってみても、これは常識に考えれば予算額ふえていきます。あるいは環境の問題等考えてみても、こういう予算についてはむしろ増額しなきゃならない点もあります。教育の予算とて一つでもそうだと思います。そういう点におきましてふやさなきゃならない項目と、一律に減らさなきゃならないんだけれども、一律だけでは足りない、もっと減らさなきゃならない部分も出てくると思います。
 そういう点も含めまして、これからはふやすべき点、減らすべき点を、概算要求の段階から多くの議員も参加してもらって、各省庁の意見も聞きながらめり張りのついた予算編成を十四年度予算はしていかなきゃならないなと。わけても、今までとやり方が違いますから、当然抵抗や反発が出ると思いますが、時代が変わったんだと、また変えていかなきゃならないという認識を共有しながら必要な改革をしていかなきゃならないと覚悟を決めております。
#101
○川橋幸子君 いただいている時間が四十分でございます。たくさん総理に伺いたいということで質問を立てましたけれども、少しスピードアップをさせていただきたいと思いますので、よろしく総理も御協力賜ればと思います。
 さて、当委員会では現在十、十一年度公共事業等予備費について審査をしております。この二年度に限って言えば、五千億円もの巨額な予備費が計上されているわけでございます。この審査に当たりまして、民主党といたしましては、予備費といいますのは本来予見しがたい予算の不足に充てるものであるから、このように政府に白紙委任することは財政民主主義の原則に反するということで、私たちは反対の立場でございます。
 さて、これからあらゆるところを洗い出して見直してめり張りつけてというお話でございますが、それではこの公共事業等予備費について、基本方針でも公共事業予算の縮減をうたっているわけでございますから、来年度は計上しないというような、そのような御態度を明確にしていただくことはいかがでございましょうか。
#102
○国務大臣(塩川正十郎君) この件については私の方でずっと答弁の責任を持ってまいりましたのでお答えいたしますが、これは大体しないのが原則だと思います。けれども、こういう時代でございますので、公共事業費が相当コスト的にも動いておりますので、調整弁がどうしても必要になってまいりますことが一つと、それから不時、災害の分が臨時に起こってこようと思っておりますから、極力組まないようにいたしたいと思っておりますけれども、やむを得ないときはやはり計上しなきゃならぬかなと。
 その状況を見定めておりまして、今これを計上するとも計上しないともお答えすることはちょっと困難だと思っておりますが、私の考えとしては、若干でございましょうけれども、少しは組み込んでおかないと調整弁としての必要があるだろうという考えを持っております。
#103
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私も、この予備費というのは、費用を決めないから予備費なんですね。だから、改めて公共事業のためにあえて予備費を設ける必要があるかどうか、これは問題があると思っております。そういう問題認識の上に予算編成に臨みたいと思っております。
#104
○川橋幸子君 総理の御決意を民主党としても応援したいと思います。
 さて次は、いわゆるマクロモデルというものについて伺いたいと思います。
 宮澤前財務大臣は、本委員会においてもあるいは本会議におきましても、中長期の財政を考えるならば経済と財政の整合的な姿を描くためにマクロモデルが必要だということをおっしゃいました。
 この件について、基本方針にも、マクロモデルを活用してこれからの財政経済運営を行うというふうに述べているわけでございますが、竹中大臣は、今回、この基本方針の発表にこのマクロモデルは間に合わなかったけれども、秋以降公表したいと、このように言っておられるわけでございます。
 そのようにしていただきたいと思いますが、さて総理は、このマクロモデルによって何を明らかにして、どのような点について国民の選択を求めたいとお考えになっていらっしゃるか、マクロモデルの目的そのものに対する総理の御見解を伺いたいと思います。
#105
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) このマクロ経済モデルについては、分析手法の一つでありまして、私はいろんな専門家の意見を参考にしたいと思っております。
 特に、経済財政諮問会議においては、来年度予算編成だけでなく、中長期的な財政のあり方、展望を見通して、中長期的な望ましい姿から十四年度予算編成はどうあるべきか、将来望ましい姿を背景にして現在どうあるべきか、今だけのことを考えてはいけないという観点から、私は社会保障にしても財政の問題についても中長期的な視点が大事だと思っております。
 そういうことから、このモデルの作成については、秋以降、経済財政諮問会議の議論に活用できるよう鋭意努力をしていきたいと思います。
#106
○川橋幸子君 特に、やはり社会保障、とりわけ年金については空洞化の問題があり、国民の信頼が大分薄らいでいる昨今におきまして、国民の協力を求めるとすると、このところに負担や給付のあり方、どのような選択を国民が望ましいと思うかという、マクロモデルといいますのは非常にテクニカルな言葉でございますが、それによって総理が打ち出したいことをしっかりと打ち出していただきたいということを申し上げさせていただいて、次の質問に移らせていただきます。
 たくさんありますので、もう少々飛ばさせていただきます。痛みとは何かとか真の弱者とは何かとかということを伺うと、さまざまなお話があるんだろうと思いますが飛ばしまして、やはり今回の基本方針の中で一番国民が心配しておりますのが失業の予測でございました。そして、竹中大臣の方から十万から二十万程度ということが言われているわけで、試算されているわけでございますが、塩川財務大臣の方の、数字は書かない方がよろしいというような、会議録を拝見いたしましたが、そのようなサジェストもあって、この表現は「ある程度の影響があることは否定できない。」。
 私は、非常にこの表現を見て落胆いたしました。国民に痛みを我慢してもらう、我慢の経済を何年かやってもらうということでしたら、別におどすわけではなくて、どの程度の影響が出てくるか、それを政府の責任において予測した上で、その予測に対してはどういうセーフティーネットの政策手段を持っているかを明らかにするのが小泉内閣の断行の姿勢ではないかと思います。
 この予測というのはどのような意味を持とうとするのか、予測の範囲を超えようとするときにはどのような手段をとられるのか。不良債権処理のテンポをおくらすということではなくて、セーフティーネットをさらに充実なさるという、こういう答えを伺いたい、ここが私ども民主党の立場でございます。
 基本方針の中でも、「さらに、雇用情勢によっては、」「セーフティーネットの一層の充実を図る。」と書かれているわけでございますけれども、そのあたりについての総理の御見解を伺いたいと思います。
#107
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) これは、時代の変化に対応できないような企業が出てきた場合、倒産するということも予想されます。そして、職を失ったり離れたりしなきゃならない人たちに対して、次の職に立ち向かうための施策というのは大変重要だと思っておりますし、そういう点についてもしっかりとした対応をすべきである。と同時に、暗い面ばかり見るんじゃなくて、時代の変化に伴って、我々では想像できないような新たな産業が出てきます。そういう産業に対して、規制緩和等の策も重要だと思います。また、新しい産業に向けての教育というんですか、訓練活動、研修活動、そういう点も必要だと思います。
 単に後ろ向きの対策だけでなく、必ずこれから新しい産業が出てまいりますから、その産業につけるような対策もあわせて行っていくことが大事ではないかなと思っております。
#108
○川橋幸子君 さて、それでは、この基本方針では五百三十万人の雇用創出を五年間で行うと書かれているわけでございます。この点については、塩川財務大臣も削除を訴えられてもこの数字は残っている。これは新しいグローバリゼーションの中の光と影の光の部分なんでしょうか。
 私は、これを拝見しましたときに、ニュービジネスとかあるいはITとかさまざまな新技術の話よりも、むしろ身近な教育、ケア、保育といった、そこの国民生活部門でもってサービス業を中心に雇用創出ができるんだと、そういう姿勢ではないかととりました。こういう分野については、厚生大臣の経験がお長い総理でいらっしゃいますので、むしろこれは供給増をすれば需要がふえる、雇用機会がふえるという分野なわけですね。しかも、そうしたケアの部分、保育の部分といいますのは地方の公共部門でもって雇用創出が可能な部分でございます。
 大分以前の新聞でございますが、おいでにならない竹中大臣のお言葉を引いて恐縮でございますけれども、資本主義国家では公共部門で失業対策をする国はないというような、このような御発言がありましたが、私はここは誤解がある。むしろ、公共部門で、しかも運営は民に任せてよいわけでございます。そういう部分で公共サービスの担い手の中に雇用創出をしていける、この可能性が大きいことを私はきょうは提言させていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
#109
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 前向きの雇用創出といいますか、これは福祉においても教育においても必ず出てくると思います。また、出てこなきゃならない。
 特に、私は所信表明でも申し上げましたように、保育所の充実と待機児童ゼロ作戦にするという場合には、公共のものをいかに民間の方々に活用してもらうか、そういう点を考えれば今の人数じゃとても足りないわけです。そっちの方に振り向けるといいますか、そういう施策に必要な人材をどのように育てていくかということも大事ですし、教育一つとっても、今の教育環境を考えますと、生徒のみならず先生の負担も大変ですね。四十人学級から最近は三十人学級になっておりますけれども、それでも小学校、中学校において一人の先生が三十人の方々に対して全部目配りできるのかというと、これは考えなければならない点も多々あると思います。
 そういう点の教育投資といいますか教育環境を充実させるための人材をどのようにしていくかという点を考えると、私は必ずしも失業者があふれるということではなくて、新しい二十一世紀の時代に即したような仕事に多くの人がついてもらわないとこれから立ち行かない。しかも、高齢少子社会であります。今までこのような不況がないときには日本はもう労働者が足りないんじゃないかという意見がたくさんあって、このままだと外国人からたくさん来てもらわないと日本の産業は立ち行かないぞといった声があふれていたぐらい、雇用を考えると失業者があふれるということだけでなく、足りなくなるんじゃないかと言う人が今でもいるぐらいですから、余り暗い面ばかり見ないで、新しい時代には、今まではちょっと想像できないような産業が起こって、そっちの方に人が必要だというような観点から施策も必要ではないかと考えております。
#110
○川橋幸子君 総理が本部長を務められておられますものに産業構造改革・雇用対策本部というのがございます。経済財政諮問会議が内閣だといたしますと、こちらの本部は内閣官房にあるということでございまして、最近のお話ですと、竹中大臣の言葉をかりれば、今度の基本方針はアンブレラである、傘である、その傘の下に本部あるいはさまざまな諸会議が置かれまして、それぞれの大臣のイニシアチブでもって骨太方針の実現に競い合ってほしいというようなことが言われておりますが、ここで一言苦言を呈させていただきたいと思います。
 産業構造改革・雇用対策本部、この中間報告が出されましたけれども、その中身を見ますと、大学発ベンチャー千社と。明るい話は結構でございます。それをやっちゃいかぬということを申し上げるつもりはないのでございますけれども、むしろ先ほど基本方針の方で掲げられました五百三十万人の雇用創出、一体これをどうするんだと。これだって非常に楽観的過ぎるではないかという批判もあるわけでございまして、そのあたりの具体の策をむしろこうした本部の中で検討すべきだと考えております。
 このような意見をせんだって、六月四日の本委員会で平沼大臣に御質問いたしました。そうしましたら、今回の基本方針の中には二行書き加えられております。上記に加えというのは基本方針の雇用対策でございますが、上記に加えて新たな市場と雇用を創出する構造改革、それと雇用対策、一体的な施策を検討していくというようなことが二行つけ加えられたんですが、どうも私は、今回の内閣機能の強化と官房機能との連携を考えますと、内閣機能のアンブレラの中にぴったりおさまるのは特殊法人改革、これはわかるんです。でも、ほかのは、他大臣のイニシアチブで競い合うという割には、特にこの雇用の分野については真剣さが足りないと考えている一人でございます。これは苦言で、もうお答えは結構でございます。
 先ほど総理は、これからの明るい面を考えると、雇用のミスマッチの解消は人への投資が必要だ、このようにおっしゃいました。さまざまなこの国の形がありますけれども、自律自助のライフスタイルを言われますけれども、それなら私は、個人をエンパワーメント、男女共同参画会議でこういう言葉はよく聞かれると思いますが、個人が自立できるようにエンパワーメントする、こういう教育投資が必要なのではないかと思っております。
 そこで、二点伺わせていただきます。
 イギリスは、この間トニー・ブレア氏が大勝なさったわけでございますが、そこで評価されたのはやっぱり第三の道であったわけでございます。中身は何かといいますと、政府の雇用促進策としてのニューディールが実施されたということです。その手法は、失業者への教育に公費を投入したというものでございました。
 いつも、失業給付のときにモラルハザード、モラルハザードという言葉が出ますけれども、モラルハザードという言葉以前に、単に失業したからといってお金を上げるという趣旨ではなくて、もう一回やり直しのきく人生ができる、そういう教育投資が必要ではないかと考える。それが強い社会をつくる、強い二十一世紀の日本をつくっていくもとではないかと思います。
 ただ、ここでちょっと申し上げたいのは、例えば建設業の方が失業なさったとして、その方がすぐ、即サービス産業につけるとお思いになるでしょうか。やっぱり期間が要るということが一つです。それから、その期間が要る上に生活費がかかるということです。訓練の受講費用だけではなくて、訓練を受けている間の生活費がかかる。ここまで考えていただきたいと思います。
 これがイギリスの第三の道であったわけでございますが、こういう失業対策としての教育が必要ではないかという点については、どのようにお考えになるでしょうか。
 余り難しいことを伺ったつもりはないのですけれども、きょうは総理に全部伺いたい、教育には一家言おありの総理でありますので。
#111
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 失業者が職業訓練を受講する期間の生活保障として、雇用保険法に基づく基本手当が設けられております。また、訓練受講中の者に対しては、一定の要件のもとに所定給付日数を超えて基本手当を支給する訓練延長給付制度などを設け、きめ細かな支援を行っております。
 これらの制度の効果的な運用を図りつつ、失業者に対し無料の職業訓練を実施することにより、できる限り早期の再就職が可能となるような支援を今進めているところでございます。
 また、雇用保険受給修了者等であっても、解雇等による非自発的離職者については、再就職に必要な訓練を受講する際の生活費の支給も行っているところでございます。
 また、自営業の廃業した者については、直接生活費を支給する仕組みとはなっていないものの、就職指導を行いつつ無料の公共職業訓練を実施しているところでありまして、失業した場合にも新しい職に立ち向かっていけるような施策の充実というのは必要なことではないかと思っております。
#112
○川橋幸子君 大きなことを伺ったつもりだったのですけれども、お答えが小さかった。総理がお答えするのにふさわしくないことだったのでしょうか。この点は、またいつか機会がありましたら伺わせていただきたいと思います。
 それでは、一つ伺わせていただきます。
 現に、雇用保険の方で自己啓発指導としまして上限三十万までの費用が出ているようになっております。今まで二十万から三十万に上がったのでございます。これがどんなふうに使われているかといいますと、例えば駅前入学のNOVAの受講生が非常にふえるとか、主として職業訓練、再就職に結びつくようなそういう講座ではないところに保険の加入者だけでお金を配る発想がおかしいではないかということを、これは八代尚宏さんとおっしゃる経済学者が言っておりまして、私もかねてこのようなことは厚生労働委員会のところで言っているわけでございます。
 何でこんなことを申し上げるかといいますと、教育は大事です、再投資は大事です、再就職のための訓練は必要ですと言いながら、なかなかそういう訓練機関がないから、教育バウチャーのようなお金をいただいても、そちらの方に流れてしまう。NOVAの場合は、新英会話コースは九万円高くしたと。上限が十万円上がったから受講料を九万円高くして、そのままNOVAのといいますか、NOVAだけ挙げておくと失礼かもわかりませんけれども、そのように記事があるものですから、たまたまそれをわかりやすい例として使うわけでございますけれども、そういうことがあるわけです。
 一言、これから総理の方でも基本方針の中の肉づけ、実施面で考えていただきたいことは、再教育訓練、この機会、これを例えば大学改革の中で考えていただく、文部省の学校改革の中で考えていただく。もちろん厚生労働省の職業訓練の中でも考えなけりゃいけませんが、成人するまでの教育じゃなくて成人してからの教育のサービスを提供するところがないからなかなかやり直しができるようなチャレンジができないという、こういう状況であることも私は訴えさせていただきたいんです。
 こういう質問でしたらお答えいただけますでしょうか。
#113
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 厚生労働大臣、文部科学大臣等に今の御質問を伝えて、しかるべき措置を研究してくれと指示したいと思います。
#114
○川橋幸子君 官邸主導というのは、今のような総理のお答えでは私は少し、少しというよりか大変がっかりする人間でございます。
 官邸の中、総理はもちろんお忙しいとは思いますが、周りのブレーンの中でこうした明るい話でこの経済再生を図る、我慢の経済運営に国民に耐えてもらうということですと、そうした何がしかのアイデアを各省庁にむしろお示しにならないと、雇用保険の中ではこれもやっています、あれもやっていますというような答弁、先ほどの総理の答弁、そのように伺いましたけれども、そのようなことになるのではないかと私は思います。
 民主党は、小泉改革の断行に大変期待をし、かつ政党を超えまして、できるものは協力したい。ですけれども、繰り返し述べますように、やっぱり国民へのアカウンタビリティーがなければならないこと、そしてアカウンタビリティーに対してそれを裏づけするような施策の受け皿を持つこと、それによって恐れず断行することということを私どもは小泉内閣に期待しているところでございます。
 大変お疲れだとは存じますけれども、エールを送らせていただきまして、受け皿の整備、ここが今の骨太方針の中には欠けているのではないかということを少しといいますか、私が申し上げるのは大変口幅ったいことかもわかりませんが、なおその整備にお力を注いでいただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。
#115
○海野義孝君 公明党の海野でございます。
 総理には大変連日お疲れのことと思いますが、少しの間おつき合いをお願いしたいと思います。
 まず、国立の墓地の問題につきまして私の平素考えていることについてお伺いし、総理の御見解をお聞きしたいと思います。
 今回質問するに当たりまして、G8諸国の国立の墓地とかあるいは戦没者の慰霊施設、こういう状況についていろいろ調査してみました。アメリカとかフランスを初めとしまして、多くの国において国立墓地であるとか無名戦士の墓、そういったものが多数あるということがわかりました、詳細はもう言いませんけれども。
 そういったところで、我が国もそうでありますけれども、外国におきましても戦没者の慰霊式典、これが国家的な行事として行われている、そこには国家元首が参加する、こういった国があるわけでございます。アメリカでは、五月の最終月曜日、戦没将兵追悼記念日、メモリアルデーを決めて、この日に国立アーリントン墓地で行われる戦没者追悼式で大統領が花輪を奉献する。ドイツ、クリスマスの六週間前の日曜日の国民追悼日に、ベルリンの戦没者追悼記念碑、ノイエ・ヴァッヘで行われる式典に大統領が参加、追悼の辞を述べる、こういうことがわかっております。我が国は、八月十五日、日本武道館、戦没者慰霊と平和、反戦を誓うそういった会に天皇、皇后両陛下を初め、総理初め首脳が出席される、こういうことでございます。
 そこで、総理、御多忙の中をいよいよ六月二十九日には改革のメニューを持ってアメリカに行かれる、首脳会談を開かれるということでございますが、それからイギリス、フランス、こういった国を短時日で回ってこられるというハードなスケジュールがあるということでございますけれども、そうした三カ国歴訪におきまして、各国において国立墓地あるいは無名戦士の墓を訪ねて献花される計画はただいま現在入っていらっしゃるかどうか、その点をまずお聞きしたいと思います。
#116
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) それぞれの国に事情もあると思います。そういう事情を勘案しながら、また先方の意向等も伺いながら、どういう日程がいいか、現在調整をしているところでございます。
#117
○海野義孝君 これまで歴代の総理あるいは閣僚におかれましても、そういった主要、主要というか外国を訪問されたときに花を奉献されるとか、そういったことはよく私ども新聞等でも承知しております。これは私がとやかく言うことではございません。総理の御判断で、我が国ともとりわけG8の中でも関係の深い諸国でございますから、そうした点でそういった行事を持たれるということができれば私はいいかなと思います。前向きにひとつ大変な厳しい日程の中をお考えいただければと思います。答弁は求めません。
 次に、我が国も、総理ないし閣僚が諸外国訪問の際には、今申し上げたように国立墓地とか無名戦士の墓で献花をされることが多いわけですけれども、諸外国の要人が来日した際に靖国神社を訪問していない。私が調べた段階では、近年においてはそういう例は全くない。この理由は一体、具体的に何かあると思うんですけれども、総理として何かこの点についてお考えになっているか、あるいは承知されていることがございましたら教えていただきたいと思います。
#118
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 外国の首脳が日本を訪問される場合には、やはり日本の事情を調べられると思います。そうしたその国々の国民感情に配慮しながら、どういう日程を入れたらいいか、どういうところに行ったらいいかというところを独自に判断されると思いますので、どの国がどこに行ったか行かないかという点について私からとやかく言うべきものではないのではないかと思っております。
#119
○海野義孝君 よくわかりました。
 そうしたお考えをお持ちの総理でいらっしゃいますが、今回の常会におきましても、いろいろな機会に、例えば本会議とかいろいろな委員会等におきまして、総理は、私が靖国神社に参拝することが日本国民が平和を希求しない国民であるとはとられないように相互理解を深めていきたいというようなことをおっしゃっているということを承知しております。
 そういうような相互理解を深めるということは、つまり国内ということではなくして、諸外国との間での相互理解を深めるということは当然でございまして、靖国神社にA級の戦犯が合祀されている、この理由等については時間がありませんから言いませんが、ことに対する総理の見解をやはり明確にお述べになるということが大事なことであります。そんなに長々と論を要することではないと思います。本来であるならば、参拝をする前に、懸念を示されているような国民とか近隣諸国と機会があれば語り合うべきではないか、このように私は思うわけであります。
 そのことを明確にしないままで総理が参拝されるのであれば、総理の言われる、二度と戦争を起こしてはいけない、今日の平和と繁栄はとうとい命を犠牲にされた方々の上に成り立っているという思いを込めて心から敬意と感謝をささげたいという気持ちは、恐らく伝わらない、理解されない、かえって無用な混乱を起こすことを私は危惧するわけでありますけれども、その点について、総理の明快なひとつ御答弁をお願いしたいと思います。
#120
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 人にはそれぞれ考えもあると思います。また、外国の方々にとっても、特に戦火を交えた国々なら特別の感情もあると思います。
 先週の土曜日、六月二十三日に沖縄全戦没者追悼式に参列いたしましたけれども、そこには米兵の戦没者も祭ってあられます。当時の敵も味方もともに追悼しようという意義ある式典だったと思います。
 私は、靖国神社、参拝するつもりでございますが、その靖国神社に参拝する点につきましてもいろいろな意見があるということは承知しております。
 しかし、日本人として、靖国神社が戦没者に対する追悼の中心的な施設の一つであるということも事実でございます。私はそういう点も考えまして、今日の平和と繁栄というのはそういう先人のとうとい犠牲の上に成り立っているんだと、戦争ほど悲惨なものはない、二度と戦争をしてはならないという気持ちを込めて靖国神社に参拝するつもりでございます。
 その点について、一方では批判する方もあると思いますが、そういう点をあえて承知して靖国神社に参拝するつもりであります。
#121
○海野義孝君 大変な御決意であります。
 総理は、改革のリーダーとして、まさに今、捨て身の戦いをしていらっしゃる。すべて自分の改革に対する考えと行動に対して賛成するものであれば、それはすべての政治家であれ、国民であれ、そうした人たちのそういった応援を背に受けてとにかく頑張ると。まさにこれは、三、四年前の橋本総理のときとはまた比較にならない新しい踏み込んだそういった総理の御決意であります。命がけのそういう戦いをされているということであります。
 であるならば、この機会に、国民のために、人々のために命を賭して尽くされた、とうとい生命を失われた方々のために、国民や来日される要人や外国人が訪れ献花できる国立墓地を速やかに設置するということを改革の一つとして、だれにも今までできなかった問題を、総理、この際取り組んでいかれることを私はぜひとも総理にお願いしたいと思いますけれども、総理の御決意をお聞きしたいと思います。
 実は、私はきのう早朝、千鳥ケ淵の戦没者墓苑に行ってまいりましたけれども、まさに靖国神社と比較してももう微々たるところで、一人のおばあさんが献花した花輪なんかの片づけを雨の中でやっておりましたけれども、まさに千鳥ケ淵の桜を見に行く人は万と十万といるけれども、そういうところが片隅にあるということを知っている人は少ないと思います。
 これが国立墓地ではないし、戦没者の無名戦士の墓でもないしということから考えたときに、私はやはり日本にも、アーリントン墓地とか、あるいはさきのノイエ・ヴァッヘとか、そういったものをやはりこの二十一世紀の初頭において、ぜひとも総理の時代に設置、建設されることをお願い申し上げますけれども、総理の御意見あるいは御所見をお聞きしたいと思います。
#122
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 貴重な御意見だと思います。検討してみたいと思います。
#123
○海野義孝君 どうも大変ありがとうございました。
 終わります。
#124
○笠井亮君 日本共産党の笠井亮です。
 総理は、この間の党首討論の中で、ブッシュ米大統領のミサイル防衛構想に関して、大きな意味を持った研究だからアメリカの研究を理解すると繰り返し答弁されております。しかし、ブッシュ大統領自身がヨーロッパなどを回られて幾ら説得しても、ほとんどの国は賛成も理解も示さずにむしろ反発をしているというのが状況だと思います。
 そこで、まず伺いますが、総理が研究、検討する価値があると言う構想がなぜ世界ではこんなに評判が悪いというふうに認識されていますか。
#125
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) それぞれの国は、安全保障をいかに図るかということについて大変真剣に、また深刻に考えていると思います。そういう観点から考えますと、今、米国の考えておりますミサイル防衛網システム、これがもし実現しますと今までの軍備管理、安全保障に対して大きな影響力を持ってくると思います。
 あの計画、ちょっと考えてみても、ある国から発射された弾道ミサイルを目的の地に着く前に撃ち落としてしまうというんですから、これができればいわゆる弾道ミサイルが無意味になってしまう可能性もある。となると、それぞれの国について、ある面においては攻撃兵器を持っているから防御に役立つんだという考えを多くの国は持っているわけですから、攻撃兵器が無意味になるということは自国の安全保障にとって全く意味をなさなくなってしまう。米国だけが完全な防御システムを持たれたらば、これはますます米国が世界に対して大きな影響を持ち過ぎる。
 それに対して、やっぱり牽制しておきたいという国もあると思います。今までの歴史を見ても、核軍縮においてもあるいは軍備縮減計画にしても、兵器を削減するという場合には同じ量削減しようという交渉が多いですね。
 ということを考えますと、今、安全保障を考えますと、ミサイルにおいてもある面においては盾と矛両方の面を持っているわけですから、矛が無意味になってしまうような体制を一国だけが完成されてしまうとこれはどうなってしまうという危惧の念があるからこそよくこれは協議する、よく話し合うという点から、この開発に向けて能力のある、資金もある、技術もあるアメリカが持ちかけた話について私はある面においては危惧の念あるいは不安の念を持つのも一理あるかなと思っております。
 また、日本においてもそういう技術研究、今においてはこれは本当に実現可能なのかどうかという、現実性から考えてみてちょっと無理じゃないかという意見があるのもわかりますけれども、これは今技術がすごく進歩していますから、まさか衛星からの写真が人間の大きさ、あるいは手の指までわかってしまうような衛星が開発されるというのは何十年前には考えられないことですから、やっぱりこの衛星の技術が最近ではカーナビなんという、我々の生活なんかにも、軍事技術が我々の生活の暮らしまでにも及んでいる。あるいはレーダー一つとってみても、かつては兵器をいかに防ぐかというレーダーが、今は魚の探知に使うぐらい、もう生活に欠かせない面がありますものですから、一方の技術というものについて、やっぱり私はそういう研究について関心を向けていくのも必要ではないか。日本についても、あるいはアメリカについても、ヨーロッパについても、そういう安全保障上に関する技術研究についても無関心ではいられないなと。
 そういう点も含めて、我々はアメリカがどういう考えを持っているのか、それからどういう技術を今研究して開発しようとしているかについては、私は注意深い関心が必要ではないかなと思っております。
#126
○笠井亮君 総理、無関心でいられないとおっしゃいましたけれども、総理は理解すると言われたわけです。そして、今言われたみたいに各国ではこの問題について危惧があると。そんなに危惧がある問題で、しかも無理ではないかというふうに言われている問題で、早々と理解するというのを表明されたというのは日本以外にそんなにないわけです。それほどやっぱり突出しているということを私は言いたいんです。
 NATO諸国でも、シラク大統領が、ミサイルに対する盾をつくることは、それに対する矛をつくろうとする努力に拍車をかけるようなものだと。ドイツの首脳も危惧、懸念を表明している。アジアの諸国を見ても、太平洋でも軒並みこの問題は強い反対や懸念があります。ニュージーランドの外相も、核兵器廃絶に向けた多国間交渉の前進を阻んで後戻りさせるという危険を冒すものだということで、圧倒的に世界は厳しい意見なんです。アメリカの国内でも、上院の軍事委員長が核拡散の危険性が高まる可能性を招くとまで警鐘している。
 それなのに総理は、この構想で核兵器が無意味になるとか、あるいは弾道ミサイルが無意味になるということでバラ色に描いて、そして理解すると。では、これで一体、要するに世界から核兵器なくなるとでも言うんですか、これを進めていけば。
#127
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私は、何もバラ色になるとか、そんなことは一言も言っていませんよ。勝手に解釈してもらっちゃ困るんですけれども。
#128
○笠井亮君 いやいや、無意味だと、核兵器は無意味だとおっしゃった。
#129
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) それは、完成されれば核兵器削減に結びつける体制をつくりたいと、もし完成すれば無意味になる可能性があるということを言っているわけです。
 それはそうですね。核兵器を削減しなきゃいかぬので、今、核兵器削減交渉に臨んでいると。こういう防衛網ができれば、弾道ミサイルが役に立たなくなれば、核兵器削減につながるわけであります。
 しかも、日本の事情と各国の事情と違います。日本についてはそういう弾道ミサイルの危険が皆無かというと、そうじゃない、現実に。ある国によっては日本に向けて弾道ミサイルを準備している国があるかもしれない、あるいは将来テロ国家等、そういう不安もあるということで備えている国もあるかもしれない。安全保障上の準備をするというのは、国によって、また周りの、隣国の情勢によってそれぞれ違います。そういう点について、日本にとりましては専守防衛であります。防衛のためのミサイル網というのは、むしろ研究するのに理解して当然ではないかと私は考えます。
#130
○笠井亮君 各国と事情が違うと言われましたけれども、それはヨーロッパだって、世界の国々それぞれ安全保障でいろんな不安定、不確実というふうに政府が言われるようなことを言っている国もあるわけです。
 しかし、大事なことは、アメリカは核兵器をなくすためでも軍縮のためでもないと。ブッシュ大統領は、この構想をぶち上げた五月一日の演説で改めて核兵器の死活的役割ということを述べて、そして新しい使える小型兵器を開発するということを推進しているというのが米政府です。あくまで核兵器を持ち続けて、多過ぎるものを減らしても、もっと効果的に使えるものにするというだけであります。ほかの国の核兵器や弾道ミサイルは無意味にしたいけれども、自分たちは手放すつもりがないと。こんな構想を進めれば、相手の側はそれを上回る構想、攻撃力を持とうとして、新たな軍拡、それから核拡散につながると。だからこそ、世界は危惧をしているわけであります。
 私は、被爆国の責務は重大だと思うんです。私自身被爆二世でありますけれども、二十一世紀に広島・長崎の悲劇を二度と繰り返させてはいけない、核兵器廃絶は日本の国民の悲願だと思います。
 総理が核兵器を本当になくすというお気持ちがあるのだったら、とるべき態度は、こんな構想を理解して、そして注意深く見ていく、今後さらに協議していくというのではなくて、一年前のNPTの再検討会議では、特定の国だけが自衛のためとして核兵器を持つことは新たな拡散につながる、それを抜け出す道は核兵器廃絶以外にないと言って、そして核保有国が自国の核兵器の完全な廃絶を達成するとの明確な約束ということでアメリカと日本も賛成せざるを得なかったわけでありますから、今こそ私は、被爆国の首相として今度の首脳会談でアメリカに行かれたら、ブッシュ大統領に対して、一年前のその約束をきちっと守って核兵器廃絶に踏み切れということをきちっと提起すべきじゃないですか。
#131
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 我が国としては、ブッシュ大統領が表明した核兵器の一層の削減を既に歓迎しております。同時に、ミサイル防衛問題が、軍備管理・軍縮努力を含む国際安全保障環境の向上に資する形で扱われていることを望んでおりまして、アメリカが同盟国やロシア、中国等と十分協議すると表明しておりますので、それを歓迎していきたいと……
#132
○笠井亮君 廃絶を聞いているんです、廃絶を。
#133
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) そして、廃絶の問題につきましても、日本は唯一の被爆国として、一日も早く核兵器のない世界を実現することを目指して、いろいろな努力を国際社会においても積み重ねております。
 昨年秋の国連総会に、核廃絶決議案「核兵器の全面的廃絶への道程」を提出し、圧倒的多数をもって採択されました。今後とも、CTBT早期発効、ジュネーブの軍縮会議におけるカットオフ条約交渉の即時開始等、現実的な措置を実現するため、各国に働きかける等の外交努力を一層強化していきたいと考えております。
#134
○笠井亮君 私は、今度の首脳会談で提起するかどうかを伺っているんです。
 そして、日本の政府の立場といえば、これまで究極的と言ってきたことを最終段階と言いかえて先送りする立場だということが問題になっているわけでありますが、ミサイル防衛構想などにむだな金と力を注ぐよりも核兵器廃絶の方がはるかにコストが安い、新たな軍拡も心配ないと、今こそ首脳会談でこれを提起するという気はないんですか。一言だけ、端的に答えてください。
#135
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 首脳会談について、何を協議するかというのは今調整中でございます。
#136
○笠井亮君 終わります。
#137
○緒方靖夫君 日本共産党の緒方靖夫です。介護保険について質問させていただきます。
 お年寄りからも、それからまた介護が必要な親を抱えている世代からも、保険料と利用料が高過ぎる、何とかしてほしい、大変強い要望が寄せられております。この間行われた幾つかの自治体の介護保険の利用料の実態アンケート、これを見ましても、例えば世田谷区がことしの二月にまとめたアンケートによりますと、介護保険の利用料と保険料が高い、負担だと感じると答えた方が年収層の三百万円以下の四十数%で起こっている、こういう実態があります。そして、保険料の収納率を調べてみますと、所得の第一、第二段階で大体七、八割という調査もあります。つまり、払いたくても払えない、これが実情だということが浮かび上がってまいります。
   〔委員長退席、理事鹿熊安正君着席〕
 そこで、この十月から介護保険の保険料の満額の徴収が始まります。これに対して非常に大きな脅威が寄せられていると思います。六十五歳以上の七割が平均所得二百万円未満、これが平成十二年の厚生白書にある統計であります。こうした満額の徴収の開始、これについて四月からその連絡が、通知が行っているわけですけれども、例えば足立区では、わずか二週間の間に二千件以上の問い合わせ、苦情、これが寄せられるという状況があるんです。
 ですから、私は、総理のイニシアチブで介護保険の六十五歳以上の保険料の満額徴収、これについてやはり控える、そういうことについて検討をされる、そうしたことが必要になっていると思いますけれども、それについての御見解をお伺いいたします。
#138
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 介護保険というのは、お互い介護保険の世話にならない方も負担をしながら支え合っていこうという制度であります。ですから、この保険の費用というのは、保険料で半分、公費で半分を賄い、保険料のうち約三分の二は四十歳から六十四歳までの現役世代に負担していただいております。
 高齢者の保険料は全体の費用の約一七%程度ですから、全国平均で月々約二千九百円程度だと思います。この基準額は、年金収入であれば約二百六十六万円以下の方が対象となりますが、さらに低所得者の方の負担が大きくならないよう、世帯の状況などにより基準額を四分の三あるいは二分の一とする二段階の軽減を設けております。保険料を所得に応じて五段階で設定することにより、きめ細やかな配慮を行っているつもりでございます。
 この負担により、要介護状態になった場合には、在宅の最重度の方々で月々三十六万円までの介護サービスが受けられるものでありまして、私は、多くの方々に支えられているこの介護保険制度であるということならば、給付の見返りとしてある程度の負担をしてもらうということがこの制度を多くの国民から持続可能な支え合う制度にしていくものである。できるだけ多くの方に御理解と御協力をいただきたいと思っております。
#139
○緒方靖夫君 総理、協力したいと思っている国民の皆さんも、払いたくても払えない、どうしようと、それが脅威になっているんです。
 総理は、この六月に開催されました全国市長会、そこで決議が上げられているのを御存じでしょうか。生活保護を除いた第一段階や第二段階の方々の保険料の軽減を要望しているわけですけれども、それを御存じでしょうか。
#140
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) そういう特に保険料が高いという方々に対して、その負担が大きくならないような措置も考えております。この介護保険制度については、全体の費用の九割を保険で払って、残りの一割を利用する方に負担していただくことになっておりますが、低所得者の負担が大きくならないよう、月々の上限額や施設に入所した際の食費を一般の方より引き下げるということや、制度施行前からホームヘルプサービスを利用していた方の負担を当面は三%にするとか、あるいは社会福祉法人における利用者負担の軽減措置を講じるなど、かなり細かい配慮を行っているつもりでございます。
 この利用時の負担は、サービスを利用する方とそれからしない方との公平を図るという観点から求めているものでありまして、低所得者の方にきめ細かな配慮を行いつつ、原則一割、一〇%という御負担をいただくのは、私はほかの制度を考えると妥当なものではないかなと思っております。
#141
○緒方靖夫君 十月からの満額徴収については、なかなかお答えになりません。
 私はもう一つ、先ほど言われた利用料の問題、この問題でも、介護保険を利用したい人が大勢いるにもかかわらず介護給付費が使われずにいるという矛盾がある、この問題も提起したいと思うんです。
 東京都の自治体で二〇〇〇年度の当初予算で給付見込み額が利用されないで余ってしまう、その額を私は調査してみましたけれども、板橋区で三十二億円、江戸川区で三十三億円、世田谷区で四十億円、足立区で四十二億円、中野区で七十二億円等々、七区で二百七十五億円に上るわけです。これだけに当たるサービスが利用されないでそのままになっている、そういう現状があるわけです。
 それに加えて、国民健康保険中央会の六月の発表によりますと、介護保険費の二〇〇〇年度の予算が全国で六千億円も使われないでいる、こういうことがあるわけです。つまり、そうなるのは在宅介護の利用料が高い、このことに原因があるわけです。利用料が高いから利用料を抑制している、そして介護給付費が余る、そして介護保険が利用されないという、そういう悪循環が起こってくるわけです。私はここにメスを入れることが大事だと思うんです。
 総理、これは東京都議会議員で総理が応援された自民党の都議候補がまいたリーフレットなんですが、そこに「介護保険の一割自己負担分を解消。」と書いてある。それは地元のいろんな住民の要望を聞いたよく知っている方がだれもが思うことです。今、一割の負担をぜひともと言われたけれども、それが困難で使えない、そういう実態があって、そして介護保険が十分に使い切れない、そこに大きな問題点がある。
 したがって、私はそこでもう一つ述べたいのは、やはり保険料と利用料について減額免除措置、これについて国として真剣に考える必要があると思うんです。これについては全国で二割の自治体がやっています。それから、東京都内では六割の自治体がやっております。国としても、やはりこういう問題についてきちっと真剣に検討すべきだと思います。
   〔理事鹿熊安正君退席、委員長着席〕
 それからまた、それとあわせて先ほど御答弁がなかった六十五歳以上の方々の保険料の満額徴収について、この十月から見合わせるという検討をすべきじゃないか、その二点について明確に答弁いただきたいと思います。
#142
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 介護保険のみならず社会保障制度というのは、給付の陰には負担があるということを考えないと成り立たない制度であります。十月からの費用徴収はやはり規定どおりにしていただきたいと思っておりますし、今自治体でそれぞれ主体性を持ってこの介護保険制度は理解され、定着し得るように努力しておられると思います。自治体の裁量というものもありますから、そういうのは尊重していかなきゃならない。
 まだ制度施行後一年でございますが、今後それぞれ利用しているうちに、多くの方々が今利用していただいております、そういう点のいろいろな意見を聞きながら少しずつ改善、整備していく問題であると思っております。
#143
○委員長(谷川秀善君) 緒方さん、時間ですからそろそろ。
#144
○緒方靖夫君 最後の一問です。国としてきちっとした形で検討するという御答弁をなさいませんでした。
 私は、もう一つ、この介護保険の中で深刻な大きな問題、生まれている問題として、特養ホームの整備がおくれておって、そして例えば都内で特養ホームの待機者が今や二万人を超える、そういう状況になっているわけです。在宅の高い利用料が払えない、やむを得ず施設に申し込む、そういう中で在宅から施設へという政府の予想に反する流れが起きていると思います。
 その点で一つお願いしたいのは、大変驚いたことに、特養ホームの待機者の実態について政府で調査されていない、厚生労働省できちっとした実態調査をつかまれていない、そうしたことがわかりました。私は、現時点の調査について総理のイニシアチブで、責任で特養ホームの待機者の実態を緊急に調査すべきだ、このことも要求したいと思いますが、いかがですか。
#145
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 厚生労働省では平成十年度時点で既に調査を行って、全国の特別養護老人ホームの入所待機者は約四万七千人であったという報告が出ております。
#146
○委員長(谷川秀善君) どうぞ約束を守ってください。もうそろそろ時間です。
#147
○緒方靖夫君 介護保険が始まってからどうなっているかという現時点での調査を求めているんです。ですから、それについて平成十年の調査があるといっても事情は全く違っているわけですから、そのことによってやっているという話は全く成り立たない、このことを指摘して質問を終わります。
#148
○大脇雅子君 総理は、六月二十三日、太平洋戦争最後の激戦地であります糸満市摩文仁の丘にある平和の礎を訪問されました。
 訪問されまして、まずその感想についてお尋ねしたいと思います。
#149
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 第二次世界大戦後五十年以上経過しても、なおかつ戦争の傷跡は深いなと感じました。戦争ほど悲惨なものはない、二度と戦争を起こしてはならないという気持ちで追悼式に参列いたしました。
#150
○大脇雅子君 総理は、八月十五日、靖国神社に参拝されるということですが、これは公式参拝ですか、それとも私的な参拝でしょうか。
#151
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 公式とか非公式とか問われる気持ちがわかりません。あえて言う必要はないと思います。
#152
○大脇雅子君 それでは細かくお尋ねします。
 まず、内閣総理大臣と記名されますか、本殿で神道儀礼にのっとり二拝二拍手一拝で行われますか、玉ぐし料はささげられますか、公費で出されますか、他の閣僚を同行されますか、みずから独自に行かれますか、遺族会主催の会に参加されるのでしょうか。
#153
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 内閣総理大臣である小泉純一郎が参拝するものであります。それだけであります。
#154
○大脇雅子君 これは、公式参拝が憲法の二十条三項に禁止している国の宗教活動に当たるのか、あるいは政教分離の原則を決めた憲法八十九条に違反してその財政を出動する行為なのか、これは首相として答えられずに済む問題ではございません。中曽根首相が公式参拝をされ、その後さまざまな経過の中でそれを取りやめられましたが、やはりこのことはしっかりとお答えいただかないといけないと思います。
 もう一度お尋ねいたします。総理大臣として記名されますか、本殿で神道儀礼にのっとり二拝二拍手一礼で行われますか、玉ぐし料はささげられますか、公費で出されますか、他の閣僚を同行されますか、みずから行かれますか、遺族会主催の会に参加されるのでしょうか。これは、法的な公式参拝がこれまでの政府見解とどう違うのかという問題点でありますから、きっちりとお答えいただきたいと思います。
#155
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) いろいろ御指摘がありますが、総理大臣である小泉純一郎が独自に参拝するつもりでございます。
 それ以上とやかく言われる筋合いはないと思います。
#156
○大脇雅子君 宗教的行為というのは、宗教的な活動にわたらないさまざまな儀礼とか儀式、祝典、強制されなければ違憲でないという論理もございますが、国家の宗教的な中立性というのは非常に重要なものでありますから、総理の靖国神社の参拝が公式参拝なのか私的な参拝なのか、それはしっかりとお答えいただかないといけないと思います。
 もう一度お答えいただきたいと思います。
#157
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 公式だの非公式だの、厚生大臣のときに参拝したときもいろいろ質問されました。一切答えなかったわけであります。今も答えるつもりはございません。
#158
○大脇雅子君 それでは質問を変えまして、これは憲法二十条三項に禁止している国の宗教活動に当たりますか、当たりませんか。
#159
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 戦没者の霊に対して哀悼の誠をささげる、二度と戦争を起こしてはならないという気持ちで靖国神社に参拝することが憲法違反であるとは毛頭思っておりません。
#160
○大脇雅子君 慰霊の意味あるいは追悼の意味で故人をしのぶということは、我が国の伝統的な祖先を敬うという感覚から、私は何ら問題にはならない、私的な参拝なら問題にはならないと思います。
 しかし、内閣総理大臣として公的な参拝、公式参拝をなさるということに関しましては、これまで、昭和六十年八月十五日、当時の中曽根総理大臣のころ、あるいは一九八〇年の鈴木内閣の政府の社会党稲葉誠一議員への答弁書と、それからまた衆議院議院運営委員会理事会の答弁書に対しまして、公式参拝と憲法上の問題はさまざまな議論を呼んできたのでございます。したがって、公式参拝の場所、そして形、これは憲法の二十条三項に違反するかどうかということについては大変大きな問題でございます。
 もう少しきっちりとした答弁を私は首相からいただきたかったということを申し上げまして、次の質問に移ります。
 摩文仁の丘の平和公園の礎と靖国神社は、首相にとって同じですか、違いますか。その歴史的意味をどう認識しておられるのでしょうか。
#161
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 沖縄と靖国神社という、地域的には違いますが、二度と戦争を起こしてはいけない、戦没者に哀悼の誠をささげるという気持ちにおいては共通のものがございます。
#162
○大脇雅子君 違うところはどこだと認識しておられますか。
#163
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 沖縄という地域と東京という地域は違いますね。それと、沖縄に参列しても皆さんから非難されないけれども、靖国神社に参拝すると毎回毎回こういうふうな批判をいただきますね。こういう点が違いますね。
#164
○大脇雅子君 なぜ違うのかということについて、もう少し御質問したいと思います。
 摩文仁の丘は戦争の敗者も勝者も外国人も含むという意味で、それを貫くのは不戦、反戦の意思であります。しかし、靖国神社はA級戦犯が合祀され、そしてほかの方たちは軍人として祭るということであります。このことから、そしてまた靖国神社の沿革から見ても、国家神道の象徴的な存在で、戦争中は陸海軍両省所管の別格の官幣社であり、国費で支出され、神官の任命は国の機関が行っていて、戦争推進の精神的な支柱でありました。だからこそ、アジアの人たちの警戒心を呼び起こし、そして戦争の被害を受けた国民の、人民の感情に差別と選別を持ち込むのだということで、靖国神社に対する公式参拝は慎重に行われてきたのだと思います。
 そこで、最後にお尋ねいたしますが、村山総理が戦後五十年目の節目に、アジアの諸国の人たちに対して多大の損害と苦痛を与えたことをおわびし、痛切な反省の意をあらわし、歴史がもたらした内外すべての犠牲者に深い哀悼の念をささげました。この首相談話と靖国神社の公式参拝というのは、首相にとってどのように心の中で統一するのか離反するのか、あるいはどんな考えを持たれるのでしょうか。
#165
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 当時の村山首相の談話と私が靖国神社に参拝する気持ちと矛盾するものではありません。
#166
○大脇雅子君 時間が来ましたので、終わらせていただきます。
#167
○岩本荘太君 無所属の会の岩本荘太でございます。
 先日の予算委員会でもちょっと申し上げましたが、小泉総理とはかつて財政赤字を憂える会で一緒に勉強させていただいた者の一人でございますので、そちらの財政問題についてきょうはちょっとお聞きをさせていただきたいと思っております。
 六月四日に、実はこれからの財政問題といいますか赤字財政をどう解消していくかという問題に関連いたしまして、日本の国はこれから人口が減っていくのに本当にGDPが上がるのか、経済成長するのかということで竹中大臣に質問させていただいたわけですが、そのときに、その問題に対する直接の回答ではないんですけれども、大臣は、「これもあえて言えば、国債を返した国なんてほとんどないと思います。国債なんか返せないんです。」、こういう発言をされているわけです。もっと長くこの問題について言っているんですけれども、これは私は実は驚いたんです。
 したがいまして、先週、財務大臣にお聞きしましたら、財務大臣は弁護をされておられました。僕は一大臣がほかの大臣に弁護されるなんていかがなものかなという感じもいたしましたし、ましてや竹中大臣といえば小泉内閣の経済担当の重鎮であろうと私は思っているんですけれども、いわゆるたまっている国債を将来お返しになるおつもりなのかどうなのか、その辺、小泉総理のお考えをお聞かせください。
#168
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 国債を返すのは短期では無理だと思います。長期間かかるということを、国債を返せないと言ったかどうかはわかりませんが、じかに聞いていませんから。すぐには返せないという意味で言ったんじゃないでしょうか。
 これだけ国債を発行し続けますと、短期では当然返せない。なおかつ、来年度予算でも三十兆円国債を発行するのが多過ぎるという声じゃなくて、少な過ぎるという声が出るくらいでしょう。そういう状況を考えると、国債を返すというのはよほど長期間かかるという意味で言われたんではないかと私は考えます。
#169
○岩本荘太君 ということは、総理はお返しになると、こう理解してよろしいわけですね。
 全く先週の財務大臣と同じような弁護のされ方で、しかし、私はこの質問をするために議事録も質問をとりにおいでの方にお見せしているんです。だから明らかに言っている話でございまして、お返しになるのは当然だと思いますし、それはそれでわかるんです。
 先週、財務大臣にはもう少し具体的にお話しいただきました。二、三年後にプライマリーバランスに入る、五、六年後にはどうにかなるんじゃないかなと、これは将来の見通しなんですが。私自身は、ことし三十兆で抑えるということ自身がもう既にプライマリーバランスの方向に行ったんじゃないのかなという気を持ったものですから、実は二、三年後にプライマリーバランスになるというふうな錯覚をいたしたわけですが、よく議事録を見ますと、財務大臣はもっと後だということの答弁で、これはわかるんですけれども。
 では、いわゆるプライマリーバランスというのは、そのときに国債がどのぐらい発行されるものかということを調べようと思いまして、実は財務省は財政の中期展望ですか、そういうものを出されております。しかし、これは三年後の十六年までしか出ていないんですね。したがって、その後にプライマリーバランスになる。では、それはそのときの国債費が幾らかということがわからない、財務省に幾ら聞いても教えてくれないんです、これは。だから、大臣はそうやってめどをつけられたんですから、大体そのときの国債費。
 実は、国債費もことしは十七兆だったですか、ことしもちょっと国債費を抑えられたようですが、これは公債発行を抑えられたようですけれども、これも国債費が実は少なかったからだろうと思うんですけれども、それが十六年になりますと、たしか二十兆ぐらいになるわけですね。その後、最近の国債の発行状況を見ていますと、かなり返済額が大きくなるんじゃないかというような予想、推定ができないわけじゃないんですね。
 その辺、財務大臣に、将来五、六年と言われたのは大体どのぐらいの国債費を、いわゆる歳出としての国債費ですね、それをどのぐらい想定されているのか。それに見合ったプライマリーバランスになるということは、それに見合った公債発行になるということだろうと思うんですけれども、その辺のお見通し、もし財務大臣、御存じなら教えていただきたいと思います。
#170
○国務大臣(塩川正十郎君) 私は、この前答弁いたしました中で、プライマリーバランスの開始時期等につきまして御理解していただきましたことを感謝いたします。
 要するに、平成十四年度、十五年度は、歳出の削減をすることによってその基礎固めをいたしまして、十六年以降は、一つは公共事業の減額を図っていきたい、そして十年以内に公共事業の投資額をヨーロッパ並みにしたい、こう申し上げましたが、それによりますところの歳出削減はかなり進むであろうと思いますが、一方で当然増といいますか高齢化が進みますので、高齢化によるところの社会保障負担というものが次第にふえていきますので、その分がどの程度になるかということが実際のところつかみにくいような状況でございます。
 特に、来年度から医療の抜本改正をいたしますことによって負担が違ってまいります。負担と給付の関係をどこでバランスをとるかということはまだ定かに決まっておりませんので、その点について私は国債の発行の限度額の見通しはしにくいということを申し上げたわけでございますが、早急にこれは詰めていかなきゃならぬと思っております。
 したがいまして、この秋ごろにグローバルな考え方が、経済財政諮問会議等でいろいろ議論があろうと思いますけれども、この議論の中においてもすぐには結論が出ないと思っておりますけれども、極力努力いたしたい。ただ、私たちが非常に気にしておりますのは、御承知のように最近発行いたします国債というものがみんな短期でございますね、御存じだと思います。二年とか五年とかいうその切りかえがどんどんやってまいりますので、直ちに国債を減額するということはなかなか難しいだろうけれども、プライマリーバランスに入ってこれ以上の増額はないということだけは、これは約束できるように思っております。
#171
○岩本荘太君 どうも財務大臣が言われるプライマリーバランスに入ってというのが何か微妙な発言でございまして、そういう方向に向かうということと私は理解しているんですけれども、それでいて、この間の御答弁と合わせますと、要するに五、六年後にはどうにかなるんじゃないかなと、これは希望的なものがあるかもしれませんが。
 では、そのときの歳出としての国債費ですね、それは幾らか、どのぐらいになるか今もお答えございませんでしたけれども、例えば平成十六年の国債費、これは中期展望で見ますと二十兆八千億なんです。といいますと、今の公債費、来年抑えられるという公債費は三十兆円ですね。十兆円の差があるわけです。その十兆円を切り詰めない限りプライマリーバランスにはならない。それだけのものを切り詰めるおつもりがあるのかどうか、それはどういうような方法で道筋を考えておられるのか、財務大臣に御答弁をお願いいたします。
#172
○国務大臣(塩川正十郎君) それは、先ほど申しましたように経費の切り詰めということもございましょうが、そればかりじゃできないと思っております。その間に、やはり給付と負担の見直しというのも必要になってまいろうと思っております。
 それからもう一つは、先ほど申しました公共投資の負担というものが非常に過大になってきておりますので、この負担も下げていきたいということ等総合いたしますが、しかしここで御存じのとおりだと思うのでございますが、かねて財務省が出しました中期展望計画でございますが、私は、あれはちょっと国債に関しては余りにも計画が増大に見積もり過ぎているような感じがしてならぬのであります。したがいまして、あのとおりに国債がふえていくということはちょっと私も何か疑問に思っておるものでございますが、しかしあれを一つの指針として考えます場合に、国債の抑制を深刻にやらなきゃならぬということはもう当然でございます。
#173
○岩本荘太君 中期展望、あれはいわゆる事務的にやっているわけですね。だから、一番事務的な当たり前の数字だと思うんです。そういう意味で、私は前からこれは同じ議論をやっておりましたけれども、なかなかそれは食い違っております。
 また、最後に時間がありませんので総理に、この十兆円という現実のプライマリーバランスに入るには、総理は三十兆だけでそれ以外のことは言っておられないかもしれませんが、おいおいそっちの方向に先ほどのお話で減額される、長期かもしらぬけれども減額されると言っておられるわけですが、現実にプライマリーバランスへ入るだけでもこの先十兆円の努力をしなきゃいけない、そういう状況の中で今後どんなふうな道筋をお考えになっているのか、最後に御答弁をお願いいたします。
#174
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) これは今の予算編成を前提にして計算している面があると思いますが、小泉内閣になってから大胆な特殊法人等の見直しを進めております。また、民間にできることはできるだけ民間に任せる、地方にできることはできるだけ地方に任せる、となりますと税収も変わってくると思いますね。景気の情勢も違ってくると思います。それによって状況は変わってきますから、むだ遣い構造を徹底的に直すということによって今の財政の中期展望も違ってくると思います。
 だからこそ、今具体的に何年までとは言えない。徹底的な行政改革に努める、そういうことによってこの姿も私は変わってくると思います。その時点で判断しても遅くはない問題だと思っております。
#175
○岩本荘太君 時間がありませんが、健全財政に向かうことがやっぱり国民の意識を一番安心させて景気の回復になると思っております。
 冒頭に申し上げましたとおり、総理とは財政赤字を憂える会で勉強した身ですので、そういう方向でできるだけ努力されるのであれば、私も陰ながら応援させていただきたいと思います。
 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
#176
○平野貞夫君 十分間の時間ですが、二つの重要な問題についてお尋ねしたいと思います。一つは聖域なき改革についての決意、一つはハンセン病判決の控訴断念に伴う民主主義の根本問題でございます。
 最初の問題でございますが、率直に言いまして、私は小泉総理にお礼を申し上げなきゃいけないことがございます。と申しますのは、昨年の総選挙がちょうど六月二十五日、きょうでございました。一年たちました。二十三日、二日前、TBSで各党討論会に出たときに、私は当時の野中自民党幹事長から、失われた十年をつくったのは小沢一郎やおまえらだと、改革改革と言って政治を混乱させてとんでもない日本の国にしたということで大変おしかりを受けまして罵倒されたわけでございます。私も反論しましたが、その反論の部分についてはテレビは放映してくれなかったんです。あれから一年、総理は総裁選挙で勝って聖域なき改革ということをおっしゃって、そして一年間、結構、旧体制の世間に属する人たちから私は白い目で見られたんですが、最近、五月から一切そういうことがない、非常に堂々と胸を張って生活できるようになっておる。その点については、私は礼を言わなきゃいかぬと思っています。
 率直に言いまして、聖域なき改革をやるために、総理の政党基盤というのは、政治基盤というのはどうかということを考えたときに、問題によっては自民党の三分の一は抵抗、あるいは問題によっては半分は抵抗という非常に苦難の道だと僕は思うんですが、総理は聖域なき改革、これを断行するに当たって、自由民主党という党を超えて、私たちも自由民主党でやっていたんです、はっきり言って。十年間しかしそれが実現できなかった、だまされ続けた、だましてください最後までとは私たちは言いませんが、党を超えて、自民党を割ってでも聖域なき改革をやる決意かどうかということを聞かせてください。
#177
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私は自民党の総裁ですから、何で総裁が自民党を割らなきゃいけないのかなと不思議に思いますが、自由民主党というのは国民のためにある政党だと私は思っていますから、その総裁が率先して進める改革に、途中経過ではいろいろ反発やら議論、抵抗があったとしても、最終的には支えてくれるのが自由民主党だと思っております。
 どの政党におきましても、政党というのは国民の利益の増進を図るためにあるということを念頭に置けば、党のためよりも国のため、国民のためという点を考えてくれば、責任ある自覚ある行動をとってくれるものと期待しております。
#178
○平野貞夫君 そもそも、基本的な政策や理念について意見が対立している人たちが一つの党をつくっているところに日本人の政治文化のおかしさがあるわけでございます。私の意見は、話せばわかるのが自民党という感覚では改革は絶対できないということを申し上げて、次に移ります。
 ハンセン病判決の控訴断念と同時に総理談話を出されて、その総理談話の中で、「国政の基本的な在り方にかかわるいくつかの重大な法律上の問題点があり、本来であれば、政府としては、控訴の手続を採り、これらの問題点について上級審の判断を仰ぐこととせざるを得ないところです。」という内容があります。
 控訴断念という行為とこの論理は矛盾するものだと思います。控訴断念の法的正当性を否定するもの、あるいは疑っている内容だと思いますが、この部分の総理談話を取り消すおつもりはございませんか。
#179
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私が出したこの談話を取り消す考えはないかということでございますが、取り消す考えはございません。
#180
○平野貞夫君 私は、控訴断念はもう取り消せませんから、この談話をせめて取り消してほしいという思いです。
 といいますのは、控訴断念は総理、政治判断でやったんですか、行政判断でやったんですか。
#181
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 厚生労働省、法務省等関係者の意見を聞きながら、最終的に私の責任で判断いたしました。
#182
○平野貞夫君 私の責任というのは、行政府の長としての立場で判断したんですね。したがって、行政判断ですね。
#183
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 内閣総理大臣として判断いたしました。
#184
○平野貞夫君 ですから、行政判断ですね。行政府としての判断ですね。
#185
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 行政府の長であると同時に政治家であります。
#186
○平野貞夫君 私は、行政府の判断だったら取り消すべきだと思うんです、それは行政の一貫性というのがないといけませんから。
 しかし、政治家としての判断、すなわち政治判断でもあったということを今おっしゃったわけですね。これは政治判断であったということですか。
#187
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 学問的にとられると困るんですが、内閣総理大臣として、また政治家として、また人間小泉純一郎として判断したわけでございます。
#188
○平野貞夫君 そこが根本的に民主主義の原理にちょっとたがうところなんです。
 このハンセン病の問題に私がなぜこだわるかといいますと、参議院の法務委員会でも森山法務大臣と随分やったんですが、私は高知県の生まれで、私の生まれたところは昔からハンセン病の多発地帯で、私の先祖もそういう経験がありますし、私も子供のころ、その強制収容は実際知っているんです、見ているんです。私は自分のことのようにこの問題を考えていますが、この問題は、強制収容をそのまま放置したということは、紛れもない人間の尊厳を侵した基本的人権以上の問題なんです。基本的人権以上の人間の尊厳の問題を権力者の政治的判断で、政治的英断という言葉を使った議員もいたんですが、あるいは新聞は超法規的行為で判断したなんて、とんでもないことです。近代国家は人間の尊厳というのは制度で守らなければなりません。政治判断でやるべきじゃないです。そんなのは中世か古代の話です。
 私は、小泉総理自身がそういうことをたくらんだわけではないと思いますが、私が申し上げたいのは、この問題ははっきり言って当然のこととして淡々と判断されるべき問題なんです。これを、一部の政治家と一部の官僚そしてマスメディアが結託したといいますか結果的にそうなったといいますか、そうしていかにも小泉総理の英断でもって問題を処理したような、政治的な一つのデモンストレーションといいますかイベントをつくった、それが今日のあなたの人気の高い一つの原因だと思います。ただし、そのことについてやきもちをやくわけじゃございません。しかし、これははっきり言って憲法なり法律が保障してやるべきことなんです。英断とか超法規でそういう報道をする、これは有識者がおかしい、報道の。
 私の意見と同じことを言った人は、中坊さんと藤本義一さんと、それから日経新聞の論説委員の藤川さんというのがちょっと書いていました。あと、いたと思いますが、橋本龍太郎さんもこれは当然のこととして処理すべきだったと。
 私は、日本人の民主主義に対する一つの基本的認識がこれ一つ見ても狂っているということを申し上げて、正常なやっぱり近代国家というのはこういう人間の尊厳にかかわることは制度が保障、法的に処理されるべきものであることを申し上げて、終わります。失礼しました。
#189
○委員長(谷川秀善君) 他に御発言もなければ、平成十年度決算外二件及び予備費関係七件に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#190
○委員長(谷川秀善君) 御異議ないと認めます。
 小泉総理、どうぞ御退席ください。
 これより予備費関係七件を一括して討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#191
○川橋幸子君 私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となりました平成十年度一般会計予備費外六件に対し、承諾を与えることに反対する旨の討論を行います。
 以下、理由を申し述べます。
 まず、平成十一年度公共事業等予備費五千億円の使用は適切とは認められません。
 憲法第八十七条及び財政法第二十四条は、予備費の目的を「予見し難い予算の不足に充てるため」と規定しております。予備費は、使途が定められておらず、その配分に当たっては、国会の議決を経ることなく閣議決定、財務大臣決定のみで行われるものであり、それゆえに、その計上及び使用については例外的、制限的に考えるのが財政法の趣旨であります。
 しかしながら、十一年度公共事業等予備費の支出内容を見ると、高規格幹線道路六百七十二億円や整備新幹線四百二十億円など予見しがたい予算の不足とは到底認められないものへの支出が目立っております。
 このように、公共事業等予備費は予算のばらまきを助長するものにほかならず、このことを我が党が再三指摘したにもかかわらず、政府は、十二、十三年度予算においても続けて多額の予備費を計上しております。このように、予備費の制度の趣旨を逸脱し、安易に公共事業等予備費の使用を繰り返す政府の財政運営は、財政民主主義の根幹を否定するものであり、憲法違反であると言っても決して過言ではありません。
 また、十一年度特別会計予算総則第十三条に基づく経費増額については、公共事業等予備費の支出に伴う経費の増額を含んでいるため、承諾できません。
 次に、十年度・十一年度一般会計予備費を見ると、矯正収容費の不足を補うための経費が使用されています。これは、予想外の矯正施設被収容者の増加等による食糧費等の不足を賄うものであり、支出目的自体に異議はないものの、問題は五年連続の使用となっている点にあります。政府は、このような経費についても可能な限り正確な見積もりを行った上で予算に計上すべきであり、同一事項での予備費使用が続くという状態が予見しがたい予算の不足と言えるかどうか、甚だ疑問であります。
 さらに、十一年度一般会計予備費等には、九州・沖縄サミット関連の支出が含まれております。同サミットに際しましては、総額で八百億円以上と、諸外国の例とは比較にならないほどの巨額の経費が支出されたわけであります。しかし、会議は形骸化し、議長である総理のリーダーシップが発揮される場面はついぞ認められませんでした。サミットに協力された九州、沖縄の方々の御努力を否定するつもりは毛頭ございませんが、このサミットで支出に見合った成果が得られたとはとても言えない結果に終わったのであります。
 以上申し上げた点について、政府の猛省を促す意味において、今回の予備費関係七件の承諾に反対いたします。
 政府においては、予備費について、制度の趣旨にのっとった予算計上と厳正な使用を行うことを強く要請して、私の反対討論を終わります。
#192
○鹿熊安正君 私は、自由民主党・保守党及び公明党を代表いたしまして、ただいま議題となりました平成十年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書外六件に対して承諾を与えるべきものと議決することに賛成の意を表明し、以下、討論を行います。
 予備費は、憲法第八十七条及び財政法の規定に基づいて、予見しがたい予算の不足に充てるために、国会の議決に基づいて設けることを認められた予算であり、内閣の責任において支出された後、国会の事後承諾を求めるものであります。
 まず、一般会計の予備費使用の内容を見ますと、我が国における金融システムの危機を回避すべく成立いたしました金融再生委員会設置法の施行に伴う同委員会の運営等の経費、また豪雨、暴風雨等の災害により被害を受けた地域の方々に対する災害援護貸付金の実施や、災害廃棄物処理事業に必要となった経費などの義務的経費や災害関連経費のほか、主要国首脳会議の開催準備経費、また国民の健康に深刻な悪影響を及ぼすダイオキシン類対策特別措置法の施行に必要となった経費など、緊急に支出する必要が生じた経費であります。
 また、ゴラン高原、ボスニア・ヘルツェゴビナ、東ティモール等における国際平和協力業務の実施に伴い必要となった経費への使用は、今日の国際社会の一員としての我が国が国際的責務を果たし、国際貢献を緊急に行うために必要不可欠なものであります。
 なお、十一年度におきましては、未曾有の平成不況からの脱却に万全を期し、年度当初には予見しがたい経済情勢の変化に迅速に対応すべく、公共事業等予備費が二十年度ぶりに計上されましたが、これは景気の調整弁として機動的かつ適切に使用され、景気の下支えに貢献したものとして大いに評価できましょう。
 これらの予備費使用は、憲法及び財政法の規定に照らし、いずれも適正かつ妥当なものであり、国民各位の納得を十分いただけるものと確信いたしております。
 以上をもちまして、予備費関係に関する私の賛成討論を終わります。
 以上であります。どうもありがとうございました。
#193
○八田ひろ子君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました平成十年度、十一年度の予備費等承諾案件七件のうち、平成十年度一般会計予備費使用総調書、平成十年度特別会計予算総則第十三条に基づく経費増額総調書、平成十一年度一般会計予備費使用総調書、平成十一年度特別会計予算総則第十三条に基づく経費増額総調書、平成十一年度一般会計公共事業等予備費使用総調書の五件については不承諾の意を、平成十年度特別会計予備費使用総調書、平成十一年度特別会計予備費使用総調書の二件については承諾の意を表明いたします。
 不承諾の意を表明しました平成十年度及び十一年度の一般会計予備費使用総調書には、イスラエルとシリア両軍の兵力引き離しと停戦監視、巡回という明白な軍事行動を主任務とする国連兵力引き離し軍に自衛隊を司令部要員として派遣する経費等が含まれています。これは、憲法の平和原則に背くことはもとより、PKFへの参加を凍結したPKO協力法にも明白に違反するものであり、断じて容認できません。
 なお、同調書の中には、豪雨及び暴風雨等によって災害を受けた地域における災害廃棄物処理事業や、農林水産業共同施設の災害復旧事業についての予備費使用が含まれており、これらの予備費使用には反対するものではありませんが、ゴラン高原への司令部要員派遣の重大性にかんがみ、全体としては承諾に反対いたします。
 次に、平成十年度及び十一年度の特別会計経費増額総調書には、関西空港第二期工事のための出資金及び貸付金など、大手ゼネコン奉仕型や、採算の見込みがない大型公共建設事業等の経費が含まれており、承諾できません。
 次に、平成十一年度一般会計公共事業等予備費使用総調書は、関西空港第二期工事、整備新幹線、高規格幹線道路など大型公共事業に重点が置かれ、大手ゼネコンだけが潤い、中小企業には仕事が回らず、地方財政をも圧迫するものであります。本予備費使用総調書には、山林施設、漁港施設、河川等の豪雨災害復旧、歩行空間のバリアフリー化など承諾できる事業も含まれておりますが、全体としてはさきに述べた理由により承諾には反対であります。
 本来、予備費使用は、予見しがたい予算の不足に充てるものであり、公共事業等予備費として景気対策を理由に、大型公共事業のつなぎ、上乗せとして予備費を使用することには問題があることを指摘しておきたい。
 最後に、平成十年度及び十一年度特別会計予備費使用総調書は、台風などによる農業共済の保険事故による再保険、風力発電施設整備、ため池の改修などに係る予算不足を補うための予備費使用であり、いずれも承諾するものであります。
 以上、各案件に対する態度とその理由を申し述べ、私の討論を終わります。
#194
○大脇雅子君 私は、社会民主党・護憲連合を代表いたしまして、ただいま議題となりました平成十年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書外六件に対して承諾を与えることに対し反対の意を表明し、以下、その理由について討論を行います。
 そもそも予備費は、憲法第八十三条における財政民主主義及び第八十五条における財政の国会議決主義など、憲法が要請する国会の事前議決の原則の例外として、憲法第八十七条及び財政法第二十四条において設けられている制度であります。条文にもありますとおり、予備費は予見しがたい予算の不足に対応するために緊急的に措置されるべき支出であり、かつその使途に関しては事前に国会の承認を受けないことから、その使用についてはより厳格な対応が求められているものと考えます。
 平成十一年度一般会計公共事業等予備費に関しましては、予算額五千億円に対し、災害復旧事業や再度災害防止対策事業などの緊急課題対応事業に対する支出千九百八十二億円のほかに三千十七億円が使用されております。
 この三千十七億円の内訳を見ますと、関西国際空港二期事業や整備新幹線事業、またITS、高度道路交通システム及び情報ハイウエーの整備事業などが含まれております。これらの事業に対する支出は、およそ予見しがたい予算の不足に対応するためのものとは思えないものであり、本来ならば当初予算もしくは補正予算に計上して事前に国会での審議を必要とするものであります。このような予備費の使用は、憲法及び財政法が要請している予備費の趣旨に相反するものであり、ひいては国会の事前議決の原則をないがしろにし、もって国会の軽視にもつながるものであります。
 以上、内閣に対し、安易な予備費使用への反省を促すとともに、予備費本来の趣旨にのっとった厳正なる執行を強く求め、私の反対の討論を終わります。
#195
○委員長(谷川秀善君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#196
○委員長(谷川秀善君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 平成十年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書、平成十年度特別会計予算総則第十三条に基づく経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書、以上二件を一括して採決を行います。
 これら二件について承諾を与えるべきものと議決することに賛成の方の起立を願います。
   〔賛成者起立〕
#197
○委員長(谷川秀善君) 多数と認めます。よって、これら二件は多数をもって承諾を与えるべきものと議決されました。
 次に、平成十年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書について採決を行います。
 本件について承諾を与えるべきものと議決することに賛成の方の起立を願います。
   〔賛成者起立〕
#198
○委員長(谷川秀善君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承諾を与えるべきものと議決されました。
 次に、平成十一年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書、平成十一年度特別会計予算総則第十三条に基づく経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書、平成十一年度一般会計公共事業等予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書、以上三件を一括して採決を行います。
 これら三件について承諾を与えるべきものと議決することに賛成の方の起立を願います。
   〔賛成者起立〕
#199
○委員長(谷川秀善君) 多数と認めます。よって、これら三件は多数をもって承諾を与えるべきものと議決されました。
 次に、平成十一年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書について採決を行います。
 本件について承諾を与えるべきものと議決することに賛成の方の起立を願います。
   〔賛成者起立〕
#200
○委員長(谷川秀善君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承諾を与えるべきものと議決されました。
 なお、これらの案件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#201
○委員長(谷川秀善君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 これより平成十年度決算外二件について討論に入ります。
 平成十年度決算の議決案はお手元に配付のとおりでございます。
 なお、内閣に対する警告案文につきましては、理事会において協議の結果、意見が一致したものでございます。
 それでは、警告の案文を朗読いたします。
    内閣に対し、次のとおり警告する。
    内閣は、適切な措置を講じ、その結果を本院に報告すべきである。
 一 内閣総理大臣の外国訪問に際して使用された内閣官房報償費について、内閣官房及び外務省における執行体制の不備によって、その一部が要人外国訪問支援室長の任にあった外務省職員により私的に流用され、当該職員が詐欺容疑で逮捕・起訴されるに至ったことは言語道断であり、国民の信頼を著しく損なう事態を招いたことは、極めて遺憾である。
   政府は、執行体制の見直しを図るなど不祥事の再発防止に万全を期し、内閣官房報償費の適正かつ厳正な執行に努めるとともに、報償費の在り方について抜本的な見直しを検討すべきである。
 二 日本体育・学校健康センターによるスポーツ振興基金助成金及び財団法人日本オリンピック委員会による民間スポーツ振興費等補助金の事業において、実施されていない事業への支出、同一事業に対する助成金と補助金の二重払いなどの不当支出が連年にわたり行われていたことが、平成十年度決算検査報告で指摘されたことは、遺憾である。
   政府は、補助金等の経理の適正化を図るよう、両法人の審査体制に対し改善の指導を行い、この種事案の再発防止に万全を期すべきである。
 三 財団法人ケーエスデー中小企業経営者福祉事業団において、事業目的を逸脱した運営がなされ、同事業団の前理事長等が背任容疑で逮捕・起訴されるなど、同事業団に対する旧労働省の指導監督が十分徹底していなかったことは、遺憾である。
   政府は、同事業団を始めとする公益法人に対して、検査体制の見直し、外部監査の導入等の措置を講じるなど、指導監督を徹底するとともに、今後の公益法人制度の抜本的改革の必要性が指摘されていることをも踏まえ、その適正な運営の確保に努めるべきである。
 以上であります。
 それでは、御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#202
○櫻井充君 私は、民主党・新緑風会を代表いたしまして、ただいま議題となりました平成十年度一般会計歳入歳出決算、同特別会計歳入歳出決算、同国税収納金整理資金受払計算書及び同政府関係機関決算書について是認せず、同国有財産増減及び現在額総計算書及び同国有財産無償貸付状況総計算書について是認、内閣に対する警告決議案について賛成する旨の討論を行います。
 以下、平成十年度決算について是認できない理由を申し述べます。
 第一に、この決算書には不備があるからです。本来であれば、平成十年度に外務省要人訪問支援室長を務めた松尾克俊が不正に使用した巨額の官房報償費は、仮払いあるいは仮勘定として計上されるべきものです。この事件に関して全容解明が求められておりますが、本決算は、こうした詐取そのものにほおかむりをしているということになります。
 第二に、小渕内閣当時の平成十年度予算は、前年秋の金融システム不安等により景気が後退しているにもかかわらず、橋本内閣当時の財政構造改革法に基づく当初予算を成立させ、その後に行われた経済対策もすべてばらまき的な利益誘導に終始したため、結局、経済成長率は当初見通しの一・九%を大幅に下回るマイナス一・九%となりました。また、このばらまき的経済対策の結果、公債依存度は当初予算の二〇%から決算では四〇・三%にも悪化しました。このように、金融システム不安の直後の重要な時期に経済財政運営を誤り、しかも公債残高の急増により財政破綻に向けてかじを切った政府の責任は極めて重大と言わなければなりません。
 第三に、十一年三月には、自民党主導で成立した金融早期健全化法に基づき、不良債権の厳格な査定も経営者責任も求めないまま、個別銀行救済のための公的資金七兆五千億円を注入しました。こうしたあいまいな銀行救済策の結果、不良債権問題は収束するどころか、今日一層深刻化し、我が国経済の足を引っ張る最大の要因となるに至っております。
 第四に、KSD問題で本院から小山孝雄、村上正邦両元議員が受託収賄容疑で逮捕、起訴され、自民党、当時の労働省、KSDというまさに政官業癒着、金権腐敗体質が暴露され、政治、行政に対する国民の信頼を大きく裏切ることとなりました。
 以上が本決算を是認できない理由であります。なお、国有財産関係二案には特段の問題を見出しませんので賛成であります。委員長提出の警告決議案については適切な内容と考えますので賛成いたします。
 以上で私の討論を終わります。
#203
○鹿熊安正君 私は、自由民主党・保守党及び公明党を代表いたしまして、平成十年度決算外二件に対し是認することに賛成するとともに、委員長提案の警告案に賛成の意を表明するものであります。
 是認に賛成する第一の理由は、十年度の経済、景気の大きな変動に対応して、機動的、弾力的な財政運営を行ったことであります。
 十年度当初予算は、九年十一月に成立した財政構造改革法を踏まえて編成されました。しかし、九年秋の金融機関の相次ぐ経営破綻、アジア通貨危機等もあって景気は厳しさを増していたため、政府は、当初予算の成立後、間髪を入れず総事業費十六兆円超の総合経済対策を決定し、六月には二兆円の特別減税の追加実施等を前提とした第一次補正予算が成立いたしました。十月には、金融システム不安に対処するため第二次補正予算が成立し、さらに十一月、総事業規模十七兆円超、減税全体の規模を含めれば二十七兆円規模の緊急経済対策を策定いたしました。そして、十二月には、財政構造改革法の停止を行うとともに、十一年度当初予算と一体の十五カ月予算として編成された第三次補正予算の成立を見たのであります。
 こうした大規模な経済対策の策定、三次にわたる補正予算の執行、財政構造改革法の停止など、時宜に応じた財政運営にもかかわらず、十年度のGDP成長率は実質でマイナス〇・六%となりましたが、こうした措置を講じなければ、経済、景気の状況はさらに悪化したと見て間違いありません。
 是認に賛成する第二の理由は、金融機関への公的資金投入の枠組みを用意することにより、一連の金融システム安定化策を講じたことであります。
 金融機関の不良債権の状況や金融機関の健全化に向けた資本増強について、国の財政状況等を勘案し、総額六十兆円の政府保証枠等の確保を行ったことにより、金融システミックリスクが回避され、金融システムの安定化が図られたのであります。
 是認に賛成する第三の理由は、二十一世紀を見据えた社会資本整備を推進したことであります。
 総額三・六兆円を投入し、情報通信の高度化、科学技術振興、環境、新エネルギー、福祉、医療、教育など、新しい考え方で社会資本を整備いたしました。二十一世紀型社会の構築に資する景気対策として適切な措置が講じられたと評価され得るのであります。
 このような形で経済財政運営が行われましたが、国の一般会計の決算としては約一兆円の純剰余金が発生いたしました。しかし、税収実績は十一年度ぶりに五十兆円を割り込み、また公債発行額は三十四兆円に至り、公債依存度は初めて四〇%を突破いたしました。
 小泉内閣は、構造改革なくして景気回復なしを標榜しておりますが、こうした決算の実績を顧みながら、現下の財政状況を的確に把握して今後の財政運営に取り組まれることを望むものであります。
 また、委員長提案の警告案については、いずれも賛成するものであります。
 とりわけ、第一項目の報償費については、不祥事を契機に失われた国民の信頼を回復すべく、内政、外交の円滑な遂行に役立てるという報償費の性格を踏まえ、抜本的な見直しを行うとともに、現在執行中の十三年度予算については、厳正かつ効率的に執行されることを強く望むものであります。
 以上、決算の是認に賛成する理由及び委員長提案の警告案に賛成する旨の意見を述べましたが、財政執行上の個々の問題については、会計検査院から指摘された事項のほか、本委員会の審査の中で多くの指摘がなされました。政府においては、これらの指摘を真摯に受けとめ、今後の行財政運営において適切に対応されることを求めます。
 最後に、決算審査の充実に関し一言申し述べたいと思います。
 本日、谷川委員長を初め委員各位の御努力により委員会の審査を終えることとなり、今常会中に決算を議了するという決算委員会の決意は実現いたしました。しかし、既に十一年度決算は今国会に提出されております。決算重視の参議院として、今後ともできるだけ早期に、かつ充実した審査を行うことが本委員会の使命であると考えます。
 政府においても、本院決算審査に対して積極的な協力を行うとともに、今回の決算審査の結果を次年度の予算編成及び政策遂行に確実に反映するよう強く要請いたしまして、私の討論を終わります。
 以上であります。どうもありがとうございました。
#204
○八田ひろ子君 私は、日本共産党を代表して、平成十年度一般会計歳入歳出決算、同特別会計歳入歳出決算、同国税収納金整理資金受払計算書、同政府関係機関決算書及び同国有財産増減及び現在額総計算書は是認せず、平成十年度国有財産無償貸付状況総計算書は是認、内閣に対する警告案には賛成する立場から討論をいたします。
 平成十年、一九九八年度当初予算は、前年度に強行した九兆円の国民負担増により日本経済を深刻な不況に追い込んだのに続き、大銀行への三十兆円の血税投入など手厚い大企業支援、社会保障の連続改悪、教育、中小企業など国民生活関連予算の大幅切り捨て、公共投資、軍事費、大企業優遇税制の浪費構造の温存、拡大という、消費不況の一層の拡大をもたらす最悪の予算でありました。
 その特徴は、第一に、不況の最大の原因である個人消費を直接温める政策が皆無であり、消費不況の一層の拡大をもたらすものでありました。
 第二に、社会保障の連続改悪を初め、教育や中小企業など国民生活予算の大幅切り捨てでありました。
 第三に、国民には財政危機を言いながら、公共投資、軍事費、大企業優遇税制という三つの聖域にメスを入れることなく、財政の浪費構造を温存し、拡大するものでありました。
 第四に、国会と国民に対する公約違反の三十兆円の銀行支援と、その裏に隠れて進行していた大銀行、大蔵省高級官僚との接待癒着でありました。
 第一次補正予算は、大手ゼネコン向けの浪費的公共事業の積み増しと大銀行支援のための不良債権対策であり、ゆがんだ財政構造を温存し、拡大するものでありました。第二次補正予算は、銀行の不始末の処理と体力増強のためとして、これまでの三十兆円スキームを倍増し六十兆円のスキームをつくり、税金投入の仕組みを一層拡大するものでありました。第三次補正予算は、ゼネコン奉仕の公共投資を景気対策の中心に据え、むだと浪費を拡大するものであり、さらに乱脈経営で破綻した銀行救済のために公的資金投入の経費を初めて計上したものでありました。
 こうした九八年度予算の執行は、国民生活には耐えがたい苦しみを押しつけ、この不況を何とかしてくれの声が日本列島にみなぎっている今日の事態の要因となっており、到底是認できるものではありません。
 国有財産増減及び現在額総計算書は、我が党が反対した九八年度予算の執行結果を国有財産の増減として集約したものであり、特に軍事費関係物品の増加は著しく、また政府出資は本四連絡橋公団などむだ遣いと指摘されてきた公共事業の推進を含むものであり、是認することはできません。
 国有財産無償貸付状況総計算書につきましては、無償で貸し付けた国有地に過去の侵略戦争を賛美する碑が建立されているとか、米軍の臨時ヘリポートとなり地元からの返還要求にもかかわらず居座り続けるとか、管理運用面の一部には問題がありますが、国有財産を公園、緑地等に使用する目的で地方自治体に無償で貸し付けるという制度の意義を考慮し、是認いたします。
 以上で私の討論を終わります。
#205
○大脇雅子君 私は、社会民主党・護憲連合を代表いたしまして、ただいま議題となりました平成十年度決算外二件については是認に反対し、また委員長提案の警告決議には賛成する立場から討論を行います。
 反対の理由は次のとおりです。
 平成十年度当初予算の編成に際し、政府は、九年秋における経済見通しと、同時期に成立、施行を見た財政構造改革法に基づき、経済の長期停滞、金融不安等への対処、財政構造改革の推進を目標に掲げ、私たち社会民主党も与党の一員として、歳出全般に対して聖域を設けない、徹底した見直しに取り組むとの厳しい基本方針のもと、社会的に弱い立場の方々や国民生活への配慮に取り組んでまいりました。
 しかし、その後、景気情勢が当初の見通しから乖離した展開に進む中、当初予算成立後間もなく、総額十六兆五千億円にも及ぶ未曾有の事業規模の総合経済対策の策定、特例公債の発行枠の弾力化等を内容とした財政構造改革法の改正など、政府の財政経済運営方針は大幅に転換されるに至りました。
 我が社会民主党は、この後、政府・与党への協力関係の解消を決定し、政府の財政経済運営の動向を注目してまいりましたが、景気は一向に回復せず、さらに十一月には事業総額二十三兆九千億円にも及ぶ緊急経済対策が策定され、翌十二月には施行後一年間もない財政構造改革法が凍結されるに至るなど、政府の財政経済運営は適切な見通しを欠き、著しく不安定なものであったものと断じ得ましょう。
 のみならず、平成十年度は、経済成長率が年度当初における名目二・四%の予測に対し実績値ではマイナス〇・六%にまで落ち込み、税収実績についても、当初予算での約五十八兆円という見積もりに対し、決算額は四十九兆円余と十一年度ぶりで五十兆円を割った一方、特例公債を含む公債発行の決算額が当初予算の二倍を超える三十四兆円にも及び、政府予算の国債依存体質と財政悪化がますます歯どめを失っている事実を真摯に受けとめ、大いに反省するよう政府に対し求めざるを得ません。
 なお、このような厳しい現下の経済情勢にあって、補助金の交付等に係る不当事例や公共事業の丸投げ発注、また内閣官房報償費の不正使用等といった政官の腐敗、国民の政府に対する信頼への裏切りを示す事例は後を絶ちません。委員長提案の警告決議には賛成いたしますが、政府においては、ただいま述べましたような事例の解消に向けても全力を尽くされますことを強く要望し、私の反対討論を終わります。
#206
○委員長(谷川秀善君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#207
○委員長(谷川秀善君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 まず、平成十年度一般会計歳入歳出決算、平成十年度特別会計歳入歳出決算、平成十年度国税収納金整理資金受払計算書、平成十年度政府関係機関決算書の採決を行います。
 第一に、本件決算は、これを是認することに賛成の方の起立を願います。
   〔賛成者起立〕
#208
○委員長(谷川秀善君) 多数と認めます。
 第二に、内閣に対し、先刻朗読のとおり警告することに賛成の方の起立を願います。
   〔賛成者起立〕
#209
○委員長(谷川秀善君) 全会一致と認めます。よって、平成十年度決算につきましては、多数をもってこれを是認することとし、内閣に対し、先刻朗読いたしましたとおり警告すべきものと議決いたしました。
 次に、平成十年度国有財産増減及び現在額総計算書の採決を行います。
 本件につきましては、これを是認することに賛成の方の起立を願います。
   〔賛成者起立〕
#210
○委員長(谷川秀善君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって是認すべきものと決定いたしました。
 次に、平成十年度国有財産無償貸付状況総計算書の採決を行います。
 本件につきましては、これを是認することに賛成の方の起立を願います。
   〔賛成者起立〕
#211
○委員長(谷川秀善君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって是認すべきものと決定いたしました。
 なお、これらの案件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#212
○委員長(谷川秀善君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 この際、内閣に対する警告について関係国務大臣から発言を求められておりますので、順次これを許します。まず、福田内閣官房長官。
#213
○国務大臣(福田康夫君) ただいま御決議のありました内閣官房報償費についての不祥事の再発防止と、適正かつ厳正な執行による国民の信頼回復につきましては、御決議の趣旨を踏まえ、内政、外交の円滑な遂行に役立てるという報償費の原点に立って抜本的に見直し、不祥事の再発防止及び国民の信頼回復に努めてまいる所存であります。
#214
○委員長(谷川秀善君) 次に、遠山文部科学大臣。
#215
○国務大臣(遠山敦子君) ただいま御決議のありましたスポーツ振興基金助成金及び民間スポーツ振興費等補助金に係る事項につきましては、御決議の趣旨に沿い、日本体育・学校健康センター及び財団法人日本オリンピック委員会に対し十分指導等を行い、再発防止に努めてまいる所存でございます。
#216
○委員長(谷川秀善君) 次に、坂口厚生労働大臣。
#217
○国務大臣(坂口力君) 厚生労働省といたしましては、ただいまの御決議の趣旨を踏まえ、今回のKSDのような事態が再び起こることのないよう、所管するすべての公益法人に対する指導監督の徹底及びその適正な運営の確保に努めてまいる所存でございます。
#218
○委員長(谷川秀善君) 以上をもちまして関係国務大臣の発言は終了いたしました。
 この際、審査の終了に際しまして一言ごあいさつを申し上げます。
 平成十年度決算は、昨年の五月に着手し、一年余りを経て、本日ここに審査を終了することができました。この間、委員の皆様方には熱心に審査を進めていただき、また、政府、会計検査院、政府関係機関等の皆様には格段の御協力をいただきましたことに改めて感謝申し上げる次第であります。本当にありがとうございました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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