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2001/03/21 第151回国会 参議院 参議院会議録情報 第151回国会 予算委員会 第11号
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2001/03/21 第151回国会 参議院

参議院会議録情報 第151回国会 予算委員会 第11号

#1
第151回国会 予算委員会 第11号
平成十三年三月二十一日(水曜日)
   午前十時一分開会
    ─────────────
   委員の異動
 三月十九日
    辞任         補欠選任
     鶴保 庸介君     入澤  肇君
     今井  澄君     柳田  稔君
     千葉 景子君     江田 五月君
     浜田卓二郎君     沢 たまき君
     阿部 幸代君     池田 幹幸君
     笠井  亮君     吉川 春子君
     大門実紀史君     宮本 岳志君
     照屋 寛徳君     三重野栄子君
     福島 瑞穂君     清水 澄子君
     高橋 令則君     平野 貞夫君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         岡野  裕君
    理 事
                岩城 光英君
                木村  仁君
                須藤良太郎君
                吉村剛太郎君
                高嶋 良充君
                円 より子君
                弘友 和夫君
                小池  晃君
                清水 澄子君
    委 員
                有馬 朗人君
                石渡 清元君
                入澤  肇君
                鎌田 要人君
                亀井 郁夫君
                岸  宏一君
                佐々木知子君
                佐藤 昭郎君
                斉藤 滋宣君
                陣内 孝雄君
                野沢 太三君
                南野知惠子君
                日出 英輔君
                松谷蒼一郎君
                松村 龍二君
                江田 五月君
                小川 敏夫君
                木俣 佳丈君
                櫻井  充君
                内藤 正光君
                堀  利和君
                峰崎 直樹君
                簗瀬  進君
                柳田  稔君
                大森 礼子君
                沢 たまき君
                益田 洋介君
                池田 幹幸君
                宮本 岳志君
                吉川 春子君
                三重野栄子君
                松岡滿壽男君
                平野 貞夫君
                島袋 宗康君
   国務大臣
       総務大臣     片山虎之助君
       法務大臣
       国務大臣
       (経済財政政策
       担当大臣事務代
       理)       高村 正彦君
       外務大臣     河野 洋平君
       財務大臣     宮澤 喜一君
       文部科学大臣   町村 信孝君
       厚生労働大臣   坂口  力君
       農林水産大臣   谷津 義男君
       経済産業大臣   平沼 赳夫君
       国土交通大臣   扇  千景君
       環境大臣     川口 順子君
       国務大臣
       (内閣官房長官) 福田 康夫君
       国務大臣
       (防衛庁長官)  斉藤斗志二君
       国務大臣
       (金融担当大臣) 柳澤 伯夫君
       国務大臣     橋本龍太郎君
   副大臣
       内閣府副大臣   村井  仁君
       総務副大臣    遠藤 和良君
       外務副大臣    荒木 清寛君
       財務副大臣    若林 正俊君
       厚生労働副大臣  増田 敏男君
       厚生労働副大臣  桝屋 敬悟君
       農林水産副大臣  田中 直紀君
       経済産業副大臣  松田 岩夫君
       国土交通副大臣  高橋 一郎君
       国土交通副大臣  泉  信也君
   大臣政務官
       防衛庁長官政務
       官        岩屋  毅君
       環境大臣政務官  熊谷 市雄君
   政府特別補佐人
       公正取引委員会
       委員長      根來 泰周君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局民事局長   千葉 勝美君
       最高裁判所事務
       総局家庭局長   安倍 嘉人君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        吉田 成宣君
   政府参考人
       警察庁長官    田中 節夫君
       防衛庁防衛参事
       官        西川 徹矢君
       防衛庁人事教育
       局長       柳澤 協二君
       総務大臣官房審
       議官       衞藤 英達君
       総務省行政評価
       局長       塚本 壽雄君
       総務省自治行政
       局選挙部長    大竹 邦実君
       総務省統計局長  久山 慎一君
       法務省人権擁護
       局長       吉戒 修一君
       外務大臣官房審
       議官       天野 万利君
       財務省主計局長  林  正和君
       厚生労働省労働
       基準局長     日比  徹君
       厚生労働省職業
       安定局長     澤田陽太郎君
       厚生労働省雇用
       均等・児童家庭
       局長       岩田喜美枝君
       厚生労働省社会
       ・援護局長    真野  章君
       厚生労働省老健
       局長       堤  修三君
       厚生労働省保険
       局長       大塚 義治君
       厚生労働省年金
       局長       辻  哲夫君
       厚生労働省政策
       統括官      坂本 哲也君
       経済産業大臣官
       房長       林  良造君
       経済産業省商務
       情報政策局長   太田信一郎君
       資源エネルギー
       庁長官      河野 博文君
       国土交通省道路
       局長       大石 久和君
       国土交通省住宅
       局長       三沢  真君
   参考人
       日本銀行総裁   速水  優君
       財団法人日本情
       報処理開発協会
       会長       井川  博君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○参考人の出席要求に関する件
○平成十三年度一般会計予算(内閣提出、衆議院
 送付)
○平成十三年度特別会計予算(内閣提出、衆議院
 送付)
○平成十三年度政府関係機関予算(内閣提出、衆
 議院送付)

    ─────────────
#2
○委員長(岡野裕君) ただいまから予算委員会を開会いたします。
 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事一名が欠員となっております。その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任については、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じます。御異議はありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(岡野裕君) 御異議ないと、かように認めます。
 それでは、理事に清水澄子君を指名いたします。
    ─────────────
#4
○委員長(岡野裕君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りします。
 平成十三年度総予算三案審査のため、本日の委員会に財団法人日本情報処理開発協会会長井川博さんを参考人として出席を求めたいと存じます。御異議はございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(岡野裕君) 異議なしと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#6
○委員長(岡野裕君) 平成十三年度総予算三案についての理事会決定事項について報告いたします。
 本日の質疑の割り当て時間は百三十八分とし、各会派への割り当て時間は、自由民主党・保守党三十五分、民主党・新緑風会四十三分、公明党十七分、日本共産党十九分、社会民主党・護憲連合十二分、無所属の会四分、自由党四分、二院クラブ・自由連合四分とすること、質疑の順位につきましてはお手元配付したとおりでございます。
    ─────────────
#7
○委員長(岡野裕君) 平成十三年度一般会計予算、平成十三年度特別会計予算、平成十三年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、質疑を行います。まず、日出英輔君、どうぞ。
#8
○日出英輔君 おはようございます。
 十九日には日本銀行の政策委員会・金融決定会合がありまして量的緩和を進めるという話がありましたので、それを伺おうと最初は思ったのでございますが、ちょっと私は時間がなかったものでございますから、きょうは短時間でございますけれども、今全国で非常に問題になっておりますセーフガードの発動問題につきまして関係大臣の御意見を伺いたいわけでございます。
 今、地方自治法の九十九条の意見書が市町村で千四百、都道府県で三十五というふうに聞いていますが、これはまたふえるようであります。したがいまして、全国的に、これは今農林水産物の関係で申し上げたわけでありますが、一方で、御案内のように、工業品、タオルの問題とか繊維の問題もございます。
 ちょっと私きょうは、規定の方が、タオルと繊維と一般の工業品では規定ぶりが全然違っておりますので、実は一般セーフガード、つまり農林水産物を含めた鉱工業品、全体のセーフガードの規定の話を伺いたいのでございます。
 実は昨年の春からもう既に外国の農産物の輸入によりまして国内の産地がやられているという話はずっと頻々と聞こえたわけでありますが、去年の秋からこれが非常に激しくなりました。経緯を見ますと、十一月二十四日にネギ、トマト等の六品目につきまして農林水産大臣から大蔵大臣なり通産大臣へこの発動の要請がありました。今、実はもう三月の中旬でございますから、このときからでも随分時間がかかっているわけでありますが、思いますと、一年近く現場で問題になりましてから時間がかかっておるわけであります。
 なぜこんなにかかっているのかというのを私なりに考えてみますと、一つは、このセーフガードというのがどうやらなかなか厄介なもので、我が日本国としてこれに対して一体対処するかということについても初めての経験でもあるので、なかなかに腰を据えて考えるというのは難しいということが一つありますが、もう一つ、私ちょっときょう申し上げたいのは、国内法なりなんなりの整備がちょっとこれはひど過ぎるのではないかという気がいたします。この二つがあるような気がします。
 そこで、一番初めに財務大臣と経済産業大臣に伺いたいのでございますが、このセーフガードの発動問題につきまして、これは規定があるから、パネルで出して、負けてももともとなのでどんどんやっちゃおうというのもひど過ぎますが、これは自由主義貿易を標榜しているのであるから一切発動しない、これもちょっとひどい感じがいたしますが、いずれにしましても財務大臣あるいは経済産業大臣の基本的な見解を伺いたいと思っております。
#9
○国務大臣(平沼赳夫君) いわゆる一般セーフガードについては、委員御承知のように、ガット第十九条及びWTOセーフガード協定において、予想されなかった事情の変化による輸入の増加及びそれによって国内産業に重大な損害等を与えた場合に、自由貿易体制を維持強化するため、緊急時の安全弁として、具体的には、国内産業が構造調整を行う猶予を与えるための一時的措置として関税の賦課または輸入制限を行うことが認められているわけであります。
 経済産業省といたしましては、WTOセーフガード協定等に定められた国際ルール及び国内法令等に基づき、透明かつ公平厳正に対応してまいる、これが基本的な姿勢でございます。
 我が国として、他の国の一般セーフガード措置発動に対して意見表明を余りしてこなかったんではないか、こういう御指摘もあるわけでありますけれども、我が国としては、WTOの場においてWTOルールに沿わないと考えられる事例について問題を提起してきております。具体的に申しますと、米国の鉄鋼の問題でありますとか、ブラジルのおもちゃのケース、インドの化学品などのケースはやはりこのWTOのルールに沿わないと、こういう観点から問題提起をした、そういう実績はございます。
 また、一般セーフガードを発動しないとの方針をとってきたとの報道に関する委員の御指摘がございますけれども、WTO発足後は先進国の発動実績が少なかったこと等から、一般セーフガードの発動に関し、我が国は先進国の一員でございますから、慎重に考えてきたことは御指摘のとおり事実でございます。発動しないとの方針をとってきたわけではない、こういうことでございまして、近年、他国の発動事例、パネルの判断等も蓄積されてきたことから、これらも踏まえつつ、個別案件について調査要請があった場合にはWTOのルール及び国内規則に従って対応をしていきたいと考えております。
 なお、従来、一般セーフガードの発動に関しては、客観的なデータに基づく要望を踏まえて調査開始の検討を行ったものはそもそも少なく、結果として一般セーフガードの発動の手続を進めるに至ったものがなかったこともございまして、御指摘のように随分時間がかかっているじゃないか、こういうことでございますけれども、決してそういう形で経済産業省といたしましてはやらないと、こういうことじゃなくて、今回、具体的に今御指摘のように野菜、それから我が省関係ではタオル業界からございますから、このルールに従って今鋭意調査を開始するかどうか検討しておりますし、その決定がございましたら速やかにその発動に向かっての作業を進めていきたい、このように思っております。
#10
○国務大臣(宮澤喜一君) 基本的なことは今お聞き取りいただいたとおりのことでございますが、恐らくこの問題の背景を少し話せというお尋ねと思いますので、日出委員御自身、長い行政の経験をお持ちでございますが、もう少しさらにさかのぼりまして、我が国が国際貿易界に入ろうといたしました一九六〇年ごろ、私は政府代表として何度かジュネーブに行っておりましたが、そのころの我が国は、いわば世界から、いわゆるダラーブラウスとかいろんなことを御記憶でございますが、みんなからいわば警戒された国でございました。
 したがいまして、ガットになかなか入れてくれないわけでございます。ガットに入りますと、そう簡単な対日輸入制限をすることができませんので、ガットに入りたい我が国に対して、入るに際して対日輸入制限品目を多くの国が設けました。ドイツを除きましてヨーロッパの多くの国が何十品目という品目を挙げて、これは日本からの輸入を制限すると、対日輸入制限というものをいたしまして、その上で日本をガットに入れる。ガット違反の条件を日本にのませた上でガットに日本を入れたわけでございますから、いわばそれは屈辱の歴史であって、この対日輸入制限品目をゼロに落とすまでその後何十年、我が国の外交は苦労をいたした歴史がございます。しかも、この輸入制限を受けなければ、今度は自主規制ということで来られた。これも我が国としては非常につらかった歴史がございます。
 ガットに入りました後はもうそういうことを新たに受ける心配はございませんでしたが、しかし入るに際して結んだいわばそういう約束は何十年も我が国を拘束した歴史がございますので、それで我が国は自由貿易を主張いたしまして、セーフガードなんかにつきましても、自分が悩んだものですから、できるだけやっぱり公正にガットの精神に沿っていくべきだ、できれば発動しないで済めばといったような、長いそういう背景があったということを一度だけ申し上げておきたいと思いました。
 ただし、このことは決して今回起こっておりますいろんな問題について消極的で政府があるという意味ではございませんで、むしろこういう立場に今度逆になってしまったわけでございますから、できるだけガットなりWTOの精神に沿いながら、しかしこういうことは認められておることでございますので、日出委員は時間がかかるじゃないかとおっしゃる、その点もございますが、そういうことはきちんとした上でやはりとるべき策をとっていくということが大事なことではないかと。
 余計なことを申しましたようですが、そういう背景がございました。
#11
○日出英輔君 今、財務大臣のお話にもございましたように、時代は変わりまして、日本が今や集中豪雨的な輸出の攻勢を受ける立場、かつてはそういうこととして非難をされたのかもしれませんが、今は受ける立場になってきたわけであります。これは規定上はどうも公正な貿易の中には一応入るように読めるんでありますが、しかし私は、やっぱり集中豪雨的な輸出は抑制しなければ、国と国との間のきちんとした貿易というのは進まないだろうというふうに実は思うわけであります。
 そこで、今、両大臣からお話は伺いましたが、この問題が出ましてから、私もおおよそこの一般セーフガードに関する規定はどうなんだろうかと一度読み直してみたわけでございます。読み直してみますと、まあ気も狂わんばかりでありまして、協定とかあるいは関税定率法あるいは輸入貿易管理令に基づきます告示等々、一体どこに何が書いてあるのか、所在がわかるまでにしばらくかかるといった、何かパズルをさせられているようなこともあります。
 一般に現場では、このセーフガードの発動を、即輸入をとめるんだというような意識すらありますので、きちんとしたセーフガードの発動がどういう意味を持つのかということについて、あるいは手続がどうなるんだろうかということについて十分に周知されていないような感じが実はいたしております。
 そこで、ちょっと伺いたいんでございますが、まず入り口のところの政府調査というのがあるわけでありますが、セーフガードの発動に至るまで四段階の判断があるように思います。
 今は物資所管庁がまず経済産業省なり財務省に政府調査を要請するかどうかというところで一回判断があります。政府調査をするかどうかという判断があります。それから、暫定的な措置をとるかどうかという判断があります。さらに、確定的な本措置をとるかどうかという判断と、実は四段階あるという、しかもこの各段階の判断が少しずつ違うらしいんでありますが、言葉としてはわかりますけれども、およそよくわからない。こういう何か魑魅魍魎がばっこする、昔の言い方で言えば。そういうような感じもしないではありません。
 一番最初のまず入り口でありますが、今は職権の調査要請といいますか、こういうこと、物資所管庁の職権の要請ですが、私は、これは今申し上げましたように、このセーフガードなるものが日本にとってどういう意味があるかどうか、あるいはこの間のラウンドの妥結のときどうであったかということはおいておきまして、今現在どうなっているかということを団体の方や現場の方にわかってもらうためにも、やっぱり政府による要請、物資所管庁に要請だけじゃなくて、やっぱり団体の申請という道も、そちらも開いておくべきだというふうに思いますが、まず入り口論でございますけれども、これは財務副大臣に伺いたいんでございますが、いかがでございましょう。
#12
○副大臣(若林正俊君) 日出委員が御指摘のように、我が国の政府として調査に入るかどうかというのは職権によって決めるといういわゆる職権主義をとっております。
 その趣旨は、輸出者や輸入業者等団体の方々、利害関係者が独自に調査の開始要請をできるというふうにいたしますと、かなりそれらの皆さん方が安易にといいますか、そういう要請を出すようなことになることが予想されますが、そうしますと輸出業者や輸入をする人たちに証拠提出などの負担をかなり頻繁に出すようになりかねないというようなことから、政府が十分な証拠があると認める場合に政府調査を開始するということを決めているわけであります。いわゆる職権主義でございますが、その中で生産者の意向をやはり的確に把握して反映していく、そういうことを明らかにしておかなければいけないかなというふうに思います。
 そういう観点から、実は関係省庁間で、ただいまそういう手続関係を明確にする意味で政令の改正を準備中でありまして、近々合意を得て政令改正をする予定でおります。その政令の中で、関係者側からの要請を受けて、そして産業所管省庁がそれを受けとめた上で関係省と協議をして決めていくというような手続関係をそこで明らかにすることによって、今の日出委員が言われるような関係者からの要請によって調査を開始していくという手続を明確にしておきたい。
 具体的には、産業所管大臣は、利害関係者の求めその他の事情を勘案して、必要があると認めるときは、必要な資料を提供した上で財務大臣及び経済産業大臣に協議を行う必要があるという旨を通知するといったことを政令上明らかにしたい、こんなふうに考えております。
 なお、ECにおいても我が国と同じように職権による調査を開始する方式をとっておりますが、米国は利害関係者からの申請によって調査開始をし得るように決めておりますけれども、いろいろ聞いてみますと、調べてみますと、その場合の申請の要件というのはかなり綿密、詳しくて、これを利害関係者が全部整えるということももう容易じゃないなと。また、それらがいっぱい出てきたときに、それを調整して必要があるかどうか判断するにもなかなか時間も要するというようなふうに思います。
 そんな意味で、職権主義をとりますけれども、今言ったように、手続を明らかにすることによって利害関係者が申し出るという立場をはっきりさせておきたい、こんなふうに思っております。
#13
○日出英輔君 繊維の方は団体申請ということだけの手法をとっているとか、どうも手続的にも少しばらばらな感じがして、今伺ったわけであります。
 もう一つは、今度は出口の方でありますが、このセーフガード措置の発動の中身として、これは本格的な方でありますが、暫定の方じゃありませんが、数量制限と関税の引き上げと両方実は規定されておって、どの条文を見ましてもどういうふうに使い分けるのかよくわからないのでありますが、これは一体どっちがセーフガードとして本筋なのか、あるいはどういうふうにやるのかということについて、今の時点でなかなかお答えしにくいかもしれませんが、基本的な考え方だけ財務副大臣と経済産業副大臣に簡潔に御答弁いただきたいと思います。
#14
○副大臣(若林正俊君) 発動の要件として数量制限と関税の引き上げと両方の道があるわけですが、どのように使い分けていくかというお尋ねでございます。
 WTOのセーフガード協定上は、「重大な損害を防止し又は救済し、かつ、調整を容易にするために必要な限度においてのみセーフガード措置をとる。」、「加盟国は、これらの目的の達成のために最も適した措置を選択すべきである。」とされているだけでありまして、数量制限と関税の引き上げのどちらを優位に取り扱うかということは決められておりません。その選択は、国内産業の損害、また構造調整の内容に応じて、貿易制限の程度が低く、同時に、効果的に目的が達成できるものをとるということにされているものと考えております。
 しかし、このWTO、ガットの協定の交渉過程におきまして、いろいろな各国からの意見が出ておりまして、そういう中で考えてみますと、そのことが、先ほどちょっとお話がございました、暫定措置の部分にあらわれているのではないかなという気がいたします。この暫定措置につきましては、協定上関税措置のみをもって対応するというふうにされているところでございます。
#15
○副大臣(松田岩夫君) お答えをいたします。
 ただいまの財務副大臣から御答弁のとおりでございますが、簡単に申しますと、制度上は優劣をつけていないということでございます。その実態に合わせて適切に判断しろというのが今の制度の考え方でございます。
 多少追加いたしますと、今一般セーフガードの制度について御質疑があるわけでございますが、繊維のセーフガードの方は今度は数量制限だけという制度になっておりまして、考え方としては一般セーフガードでは優劣をつけていない、その時々に合わせて一番いい方策をとりなさい、こういうことだと存じます。
 それから、立たさせていただいたついでに、先ほど財務副大臣が既に御答弁されたことでございますが、職権主義か申請主義かという点につきまして若干補足させていただきますと、結局、輸入急増に直面した業界が実際どのような形で構造調整を行っていくかという観点も踏まえてこのセーフガード措置というのは適用の是非を判断するわけでございますが、そういたしますと、当然その事業を所管いたします産業所管庁というところが重要な判断をいたすわけでございます。
 そういう意味で、産業所管庁から現在のところは調査開始の要請をすることになっておるというふうに私どもは理解しておるわけでございますが、この点については、先ほど財務副大臣御答弁のように、関係各省で今、関係業界からも現に実際上要望があればお話を聞いているわけでございますので、手続を明確化すべく関係業界からもその御要請を聞くことができるようにということで、明確にしたいということで我々思っております。
#16
○日出英輔君 今、両副大臣からそつのない御答弁をいただいたわけでありますが、伺っただけでは、具体的に数量制限をするのか、あるいは関税の引き上げをするのか、関税の引き上げもどういうやり方でやるのか、極めて実践的な話を出さないと、もし発動するとすれば出さなければいけないんでありますが、この辺が前人未踏といいますか、およそやってみなきゃわからないというか、出てきてみなきゃわからないという、こういう話なわけであります。
 私は、今、農林水産物についてのセーフガード発動の問題について、関係省庁でどこまで議論しているのかよくわかりませんが、多分ここまで行っていないんでしょう。やっぱりこの議論をしておりますと、調査だけでも一年以内にすることなんて言っておりますと、これは農林水産物の関係でいえば、それぞれの産地が一年じゅうつくっているわけではありません。個々の産地ごとにみんな、冬野菜でやられ、夏野菜でやられ、秋野菜でやられという、野菜一つとりましても季節があります。
 私は、こういう話、おいておきますと、行政に対する信頼性が非常に損なわれるだけじゃなくて、やっぱり行政の目付役であります立法府といいますか国会の役割も十分果たしていないんじゃないかという議論すらされるんではないかという心配があります。
 そういう意味で、ぜひとも、入り口と今出口を伺ったのでございますが、やはり一つ一つ事前にガイドライン的なもので固められるものは固めて、これはそれにしても日本国がえいっと決めなければならないわけで、パネルでどういう判断をされるかわかりませんから、決めただけでいいかどうかというのはありますけれども、そういうのを少し決めておきませんと、まことに伏魔殿のような話に一歩一歩入っていくんではないかという感じがいたすわけであります。
 そこで、実はきょう一つ聞きたかったのは、国内法制の整備の問題でありますが、通常でありますと、外国産の製品の輸入が急増する、国内産業に影響が及ぶ、それを客観的に立証するというあたりでこのセーフガードの発動が決まるかと思いますと、要件として、例えば国民経済上緊急に必要があると認められる場合などというのが出てまいります。私もこれを読んでみましたら、これはどこに、このガットの十九条あるいはこのセーフガード協定に何か根拠があるのかと思っておりましたら、どうも明文ではないようである。突然、国民経済上緊急に必要があるということが出ております。
 これも何かコンメンタールをちょっと見てみましたら、この公正な取引という、貿易という中に一応この話は入るので、やはり生産者、被害を受ける生産者だけじゃなくて、反対側の方の消費者でありますとか流通業者でありますとか、そういう方たちのことも考えるんだという趣旨だろうと思いますが、国民経済的視野に立ち、その産業の保護が今後我が国の産業政策上真に必要なものであるかどうか、また緊急措置の発動がその時点において行う必要があるかどうかというのを慎重に検討する必要があるためだと書いてあります。
 しかし、これを拡大解釈というか、解釈をどんどんしていきますと、被害を受けているその産業が我が国の製造業とか農業全体の中でどのくらいの位置を占めるかとか、あるいは国民経済上というので、例えば相手国とどういう関係があるからこれをやるとかやらぬとか、拡大解釈していけば切りがないような感じがするわけです。
 私は、この国民経済上緊急に必要があるというのは、生産者、被害を受けた生産者だけじゃなくて、消費者でありますとか流通業者のそういう、逆に言えば、セーフガードを発動したことのマイナスとのバランスを比較考量するんだという趣旨で考えたんですが、これについて財務副大臣はいかがお考えでございますか。
#17
○副大臣(若林正俊君) 国民経済上緊急の必要性という、国民経済上という表現を使っているために、委員が御指摘、御懸念のように、例えばごくマイナーな産品について国民経済の上では大したことないじゃないかと、こういったような判断が加わるんじゃないかという御懸念があるように思います。
 しかし、解釈といたしまして、この要件があるために経済全体に占めるウエートが小さいとかそういった量的な概念を入れるという趣旨のものではございませんで、この要件を課していますのは、このセーフガードが、アンチダンピング関税などと違って、貿易そのものは公正に行われているにもかかわらず輸入制限を課するという性質のものでありますから、その発動に当たって、輸入によって損害を受ける国内生産者の保護だけを考えるのではなくて、需要者、消費者といった視点も配慮しながら、そういう意味での国民経済視点に立って判断をするという趣旨のものでございます。
 そういう意味で、御懸念のような、経済的なウエートが小さい産業であるとか、あるいは他の貿易諸国との国際関係とか、そんなことを念頭に置いて判断をするという性質のものではない、こう理解をいたしております。
#18
○日出英輔君 今はっきりお話を伺ったわけでありますが、こういう話は一切現場には伝わっておりません。言葉面だけであります。
 そういたしますと、一体これは何だと。我々がセーフガードの発動を要請するときに、これは外交関係までみんな考えなきゃいけないのか、この規定にそういうことが凝縮しているのかとまで言われるような規定であります。
 私は、そういう拡大解釈が何ぼでもできるようなことではいけないんでありまして、運用基準を明確にしておかないとやっぱり行政に対する信頼性を欠くのではないかということを申し上げたいわけであります。
 それから、実は調べてまいりましたらまた気も狂わんばかりのことがございまして、ガット十九条に「事情の予見されなかつた発展の結果」という頭がございます。これは輸入の急増が予想されていたらだめだろう、こういうふうに読むのかもしれません。
 あるいは、セーフガード協定の方では、「輸入の増加以外の要因が同時に国内産業に損害を与えている場合には、その要因による損害の責めを輸入の増加に帰してはならない。」というのがございます。
 これもまた実は摩訶不思議な話でありまして、輸入の増加だけではなくて、例えば日本でいいますと、今の消費の冷え込みとか、幾つかの実は要因が通常ですと重なるわけでありまして、この事情の予見されなかったとか、あるいはこの輸入の増加以外の要因があるかどうかとか、こういうことについて判断というのは、これもある意味では輸出国の方がひっかけて抗弁をすれば何ぼでも言えそうな気がいたします。
 私は、輸入急増が国内産業に影響を及ぼしているということを数値的に定量的にちゃんと立証しろと言っているのであれば、この予見されなかったこととか、輸入増加以外の要因で損害が及ぶだとか、こういうことを逆に言えば定量的に説明しない限りは、ただのひっかけの、これは予想されたはずだとか、あるいはこれは輸入増加以外に何か消費は最近日本は落ちているんじゃないかと、こういったことではやっぱりいけないんじゃないかというふうに思います。これはちょっと時間がありませんので意見だけ申し上げておきます。
 こういったガットの十九条とかセーフガードの協定とか、これも現場へ行きますと、私も実は聞かれてびっくりしたのでありますが、まことに我が不明を恥じるわけでありますけれども、調べてみるとよくわからないという規定がございます。
 さらに、協定の方で、この発動するかどうかということを評価するのに九項目、これは第四条の第二項(a)項というところでしょうか、輸入の増加率、増加量、市場占拠率、販売、生産、生産性、操業度、損益、雇用、こういうのが出てまいりますが、国内でこの九項目について評価をするというのはどこにも出てこないんですよ。国内の法には出てきません。
 したがいまして、これも判断をいたしますときには、セーフガード協定ぐらい勉強しろよと言われればそれまででありますが、これは現場の人は、あるところではガット十九条、昔々からの十九条にいってみたり、あるときはこの間の九四年のセーフガード協定にいってみたり、あるときは関税定率法にいってみたり、あるときはいや告示に言ってみたりという、これでは何か断られるために、あるいは行政の方が断るためにこういう複雑な制度を残したのではないかとさえ曲解しかねない私は状況だと思うんですね。そういう意味でいいますと、非常に私はこういう協定というのはいかがなものかというふうに思います。
 したがって、何度も申し上げますけれども、国内法の整備というのを、これはガイドラインというものを含めてでありますが、ぜひお願いをしたいというふうに思いますが、財務大臣と経済産業大臣にこの点についての御見解を伺いたいと思います。
#19
○国務大臣(宮澤喜一君) 今、日出委員のおっしゃいましたことは、ガットの場では本当に何度も何度も長年にわたって議論されてきたところでございますけれども、本来のガットの人々からいえばなるべくこういう規定は置きたくない、しかし現実には特定の産業に大きな被害が起こって、これは国としてもどうかしなければならない、客観的にそれはそうであると。それが傘の骨であっても何か小さなものであっても、その業界そのものには致命的な問題で、国民経済なんていうことは幾ら言ってみても、それはガットとしてはどうしても言いたいわけです。言いたいわけですから、そういう十九条に大きなことがいろいろ書いてございます。
 国内法もしたがってそれを受けて書いてございますけれども、現実の行政として過去を見てみますと、そういうことがあってそのパネルでこれはだめだなんて言われた、パネルというのは国際的なパネルですが、そういうことはそんなにあるわけではございませんので、私は、我が国の今の法制は結構母法に忠実に書いてあるとは思いますけれども、先ほどからの御指摘もございますので、さあ一遍見直してみるかどうか。大抵このままで私は、殊に今回ケースがございますと、皆さん御心配なるようなこともないんだなということでわかっていただけるんではないかと思いますが、よく検討はいたさせてみます。
#20
○国務大臣(平沼赳夫君) お答えをさせていただきます。
 委員御指摘のように、WTO協定上の九項目、これに関しましては、個々について定率的な基準はWTOのルール、また国内ルールにも御指摘のとおりありません。このように根拠規定が国内法令と国際協定に分かれてわかりにくい、したがってガイドラインに規定しておくべきじゃないか、こういう御指摘でございますけれども、今、財務大臣がおっしゃいましたように、確かに御指摘の点があると思いますので、今後必要に応じて我々としては検討してまいりたいと、このように思っております。
#21
○日出英輔君 外務大臣に伺いたいと思います。
 今申し上げましたように、このセーフガード関係の規定といいますか、これは不透明だと思います。セーフガード協定ができましたときに余りこの議論をされていなかったような私は印象があります。今、これから次期交渉が始まるわけでありますが、この点につきまして、関係省庁に及びますので外務大臣だけに伺うわけでございますが、こういった集中豪雨的な輸出の規制というのは自由貿易主義にやっぱり反するんだというふうに私は思いますが、ぜひともこの透明化の主張をちゅうちょしてはならないだろうというふうに思っておりますが、これにつきましての外務大臣のお考えを伺いたいと思っております。
#22
○国務大臣(河野洋平君) もう財務大臣あるいは平沼大臣から繰り返し御答弁があったところでございますが、私どもとしては、引き続き関係省庁の意見もよく伺わなければならないと思いますし、また新ラウンドにおきまして、WTOの既存のルールについても必要があれば検討を行っていかなければならぬというふうに考えております。
#23
○日出英輔君 私は、きょうは農産物と工業品についての差でという話は余り申し上げませんでしたが、農林水産大臣に伺いたいと思いますが、次期交渉で、こういった工業品と違う農産物だということでの日本提案をしたというふうに伺っておるわけでありますが、交渉に臨みます農林大臣の決意と、それからセーフガードを発動するという前提として、もし発動するとすれば構造改革を一歩進めなきゃいけないという議論がありますが、これについての取り組みについて伺いたいと思います。
#24
○国務大臣(谷津義男君) WTOのセーフガードの協定に基づく一般セーフガードにつきましては、輸入の増加と国内産業への重大な損害の間に因果関係が存在することについて、先ほどからお話があります九項目にわたる項目について客観的なデータに基づく評価を求めている等から、その調査に相当の期間がかかるのではないかというふうに思っておるところであります。また、農産物につきましては、季節性がある、あるいは腐敗しやすい等の特性を有するというものについては、その敏速な発動についての問題があるというふうに考えているところであります。
 このような特性を持った農産物につきましては、輸入の急増等の事態に機動的あるいは効果的に発動できるような運用の透明性を高めたセーフガードの措置が必要であるというふうに考えておりまして、この主張をWTO農業交渉における日本提案に盛り込んだところであります。
 我が国といたしましては、昨年末の日本提案提出以降、私を初め両副大臣あるいは両政務官が各国に直接出向きまして日本提案の説明を行ったのを初めといたしまして、各国要人が来日した際にもあらゆる機会等を通じまして積極的に働きかけを行っているところでございます。さらに、二月末から五月にかけまして、省内各局の部長あるいは審議官をリーダーといたしますチームを編成いたしまして、開発途上国を中心に約三十カ国に派遣をいたしまして、相手国の農業、貿易、外交の各部局の担当者に対しまして日本提案への理解を働きかけているところであります。
 いずれにしましても、今後、EUあるいは韓国等フレンズ国との連携をさらに深めていきまして、日本提案に対する各国の発言内容や各国から提出された提案内容をも分析をしながら、関係省庁とも十分連携を図りながら粘り強い交渉を行っていきたいというふうに思っているところであります。
 また、構造改革の点でございますけれども、ネギあるいは生シイタケ及び畳表の三品目についてセーフガードにかかわる政府調査を昨年十二月の二十二日から実施しているところでございますけれども、また木材、ウナギ及びワカメの三品目についてセーフガードにかかわる政府調査を行うよう関係各省に要請をしたところでもございます。
 これらの品目については、従来より国内産地の体質強化に向けた支援対策を実施しているところではございますけれども、今後ともこれらの品目の生産をめぐる状況を踏まえまして、食糧の安定供給の確保あるいは農林水産業の持続的発展という新たな基本法、これは食料・農業・農村基本法、それから今国会に提出をしております森林・林業基本法及び水産基本法等に従いまして、生産・流通段階における低コスト化あるいは高品質化、需要等の拡大等の国内対策に万全を期していきたいというふうに考えているところであります。
#25
○日出英輔君 今、後段の方の構造改善という問題は、やっぱりセーフガードを発動するしないにかかわらず、日本は外国の農産物にねらわれている市場でもありますから、足腰の強い産地をつくるためにもこれはぜひとも進めていただきたいというふうに思います。
 私は、ここで亀井さんに関連で譲るわけでありますが、最後に、今申し上げましたような発動に至る四つの段階の判断だとか、それから先ほど申し上げました予見されるされないとか、輸入増加の要因以外の何とかとか、九項目だとか、そのほかに相手国に補償措置を認めなきゃいけないとか、まあ実にさまざまな、要するに目に見えないといいますか、現場の人には見えなかったものが今回急に全部問題になっております。
 ですから、私は、これはやはり手続等が十分に明示されていないということが話を余計こじらせているという、あるいは政治問題化しているということがあると思います。知らしむべからずよらしむべしではやっぱりいけないわけでありまして、ルールの明確化をぜひともお願いして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
#26
○委員長(岡野裕君) 関連質疑を許します。亀井郁夫君。
#27
○亀井郁夫君 それでは、引き続いて質問させていただきたいと思います。
 前回の予算委員会におきまして、経済産業省のOBでありこの夏の参議院選挙に民主党から出馬されます鈴木寛氏の事前運動の疑いの濃い新聞報道についていろいろとお尋ねいたしましたけれども、これにつきましてお話を聞きたいと思います。
 特に、この新聞はあちこちで反響を呼びまして、この間の三月十九日の日刊ゲンダイにも取り上げられまして、これを見ますと、第一点が、「旧通産省の役人。その鈴木氏が、同省所管の財団法人と二人三脚で派手な事前運動を展開した」ということが第一点。それから二点目は、「官僚たちの自民党離れの表れで、民主党にも身内を送り込んでおこうという計算から」だということで、三点が、「政府が約一億円の委託契約をしている財団法人が、特定政党の候補者を組織的にバックアップするのは問題だ。」と。こういった形で、経済産業省がバックでこれを出したというようなことが推測で書かれておりますけれども、しかし、この見出しも「通産OB候補者が堂々と登場 経済産業省所管の財団法人のPR広告に」ということが出ておりますけれども、非常に反響を呼んでおるわけであります。しかし、私はこれをよくよく調べてみますと、鈴木さんがやっている宣伝というのはこれだけじゃなくて、この一月からどんどんマスコミ等に出ておるわけであります。
 御案内のように、十二月三十一日の「朝まで生テレビ」、これをきっかけにいたしまして、週刊朝日は一月五日から「スズカンの出張講座」、ABC放送の「ワイドABCDEーす」、これが一月十二日からということですね。それから、テレビ東京の「ITビジネスフロンティア」というのが一月十三日から、それから「NIKKEI NET ITニュース」というのは去年の十二月四日からということでありまして、そういう意味ではこうした一連の動きの中でとらえていかなければならないわけでありまして、この背景をしっかり確かめる必要があると思いますので、きょうこれからいろいろと御質問させていただきたいと思うわけでございます。(「前からやっているもの」と呼ぶ者あり)前やっていないんですよ、これね。
 まず、鈴木氏の国家公務員法違反の問題についてお尋ねしたいと思いますけれども、鈴木さんは平成十一年六月一日付で経済産業省を休職いたしまして慶応大学助教授に就任されたわけであります。退職されたのはことしの一月十五日でございますから、これまではれっきとした国家公務員であったわけでありますけれども、その間にこうした新聞、マスコミ等にも出ておられるわけでございますので、この点についてまずお尋ねしたいわけでございます。
 まず最初にお尋ねしたいのは、鈴木さんが一昨年の六月一日付で慶応大学の情報学部の助教授に出向されたわけでございますけれども、本省の課長補佐が助教授として出るということはよほどのことがあったろうと思うのでございますけれども、これはどういう理由によるのか、本人の希望によったのか等お教え願いたいと思います。官房長、お願いします。
#28
○政府参考人(林良造君) お答えいたします。
 鈴木氏の研究休職につきましては、人事当局として、当人の経験に照らしまして情報分野での研究活動に従事することが適切だという判断をいたしまして、本人の同意を得た上で決定されたものでございます。
 なお、鈴木氏も情報関連の分野での業務に引き続き従事していきたいという一般的な希望を有しておったものと承知しております。
#29
○亀井郁夫君 鈴木さんが、出向中ですけれども、出向中の給与条件はどういう条件で役所からもらったのかということと、それから出向中も公務員としての義務は免除されないものだと私は思いますけれども、その点についてお尋ねしたいと思います。
#30
○政府参考人(林良造君) 出向中の給与条件その他につきましては、人事院規則に従いまして、俸給、調整手当、住居手当、期末手当のそれぞれ百分の七十を支給してございます。その間、公務員としての身分は維持しておるものでございます。
#31
○亀井郁夫君 そうしますと、鈴木さんは当然国家公務員法の百四条に従わなきゃならないわけでありますけれども、所管庁の長の許可を得なければいろいろな仕事等に出ることができないわけでありますけれども、そうした場合の許可の基準は、一般的にどういう場合に許可を得なきゃいけないのかという基準の問題と、それから許可を得ないで出演したりした場合の処罰はどういうものが予定されているのか、お教え願いたいと思います。
#32
○政府参考人(林良造君) 職員が報酬を得て反復、継続してマスコミ等に出演する場合には、当然国家公務員法の規定に従いまして兼業の許可を受けることが必要となっております。
 それの許可を受けないでそういう活動をした場合の処分でございますけれども、これは事案の内容によりますけれども、同法に、国家公務員法に基づく懲戒処分を受ける場合もございますし、あるいは厳重注意等の内規に基づく処分を受ける場合もございます。
#33
○亀井郁夫君 それでは、鈴木さんは、今申し上げましたように、在職中にテレビ朝日から週刊朝日、ABC放送、テレビ東京等ずっと出ておるわけでありますが、これなんかもずっと続けて、連続して週刊朝日、既にきょうまで十一回連載されておりますけれども、既に今はやめておられますけれどもね。それからABC放送、これは毎週金曜日の二時間にわたる番組のコメンテーター。それからテレビ東京につきましても、そういうことで毎週土曜日に三十分番組にずっと出ておられるということでございますけれども、こうした場合、これは許可が必要なのかどうなのかということと、鈴木さんは許可を得たかどうかをお尋ねしたいと思います。
#34
○政府参考人(林良造君) 今お話でございましたような掲載記事、あるいはテレビ出演を仮に反復、継続して行うという約束が国家公務員の在職中に行われたものでございますれば、国家公務員法に基づく兼業の許可が必要であったものと思われます。
 なお、鈴木氏からは兼業に係る許可の申請は行われておりません。
#35
○亀井郁夫君 ということは、鈴木さんはちゃんとした手続をとらないで出ておったわけでございますけれども、国家公務員として、百四条の他の事業または事務の関与制限規定に違反しておりますし、同時にまた、参議院選挙出馬のために売名をねらってこういうことをやったとすれば同百二条の政治的行為の制限規定にも違反するということで、二つの条項に違反したことを在職時やっていたということでございますから厳罰に処されなきゃならないわけでありますが、現在もう既に退職しておられますからそれはできないと思いますけれども、退職金の返還ぐらいは請求してもいいんじゃないかぐらいに思うわけでございますが、いずれにいたしましても、鈴木さんはあえて違反を犯しながらこういうことをやったわけでございまして、これはひとえに売名行為をねらったことにしかないわけでございます。
 そういう意味では、ことしの一月早々から、今申し上げましたように、どんどん次々と出てきているということは、まことにそういう意味では不思議にしか思えないわけでございます。テレビもございますけれども、見ました。皆さん見ておられないかもしれませんが、「朝まで生テレビ」、それからこれが、「ワイドABCDEーす」というのを見ましたけれども、これは全然ITには関係ないところがほとんどでございまして、そういう意味では、これだけ見ますと本当に売名そのものとしか思えないわけでもございます。
 そういう意味では、この事前運動の問題についてちょっと疑問を持ちますので、お尋ねしたいと思います。
 まず、退職の問題ですけれども、鈴木さんが一月十五日にやめておりますけれども、それ以前に当然申し出があったと思いますけれども、いつごろ鈴木さんから経済産業省の方に退職したいという申し出があったのか、そしてそのときに、当然、参議院選挙に出馬するという話があったのではないかと思いますけれども、そのことについてもあったのかどうなのか、そのときの状況と、それから一月十五日に退職しておられますけれども、一月十五日になったのはどういうことか、この三点について、官房長、お願いしたいと思います。
#36
○政府参考人(林良造君) 鈴木氏からは、十二月二十日ごろに当省の人事担当者に対しまして、辞職することを考えているという旨の申し出がございました。その際に、辞職したい理由の一つとして、次の参議院議員選挙に立候補する可能性があるという旨の話がございました。その後、人事担当者の方からは、本人に対しまして、研究休職で得られた知見でございますから、それらを公務に生かすべきではないか等の観点から慰留を行いましたが、本人の意思がかたく、一月十五日に辞職願の提出があり、辞職いたしております。
#37
○亀井郁夫君 そうしますと、十二月二十日以前に既に鈴木さんの民主党公認候補としての立候補というのはほぼ内定しておったということが推察されるわけでありますけれども、鈴木さんは経済産業省在職中に、十二月以前にテレビやラジオに出演したことがあるでしょうか。
 それからまた、鈴木さんは、特に朝日新聞関係が多いんですけれども、こうしたテレビ朝日だとかABC放送等いろいろ出ておられますから、朝日新聞と関係が深いんじゃないかと思いますけれども、在職中、特に朝日新聞と深い関係があったことを御存じですか。
#38
○委員長(岡野裕君) 官、姓名をお名乗りください。
#39
○政府参考人(太田信一郎君) 経済産業省商務情報政策局長の太田でございます。
 お答えします。
 鈴木氏が十二月以前にテレビやラジオに出演したという事実は私どもとしては承知しておりません。また、鈴木氏と朝日新聞との関係は存じておりません。
#40
○亀井郁夫君 タレントでもなくて、それから今お話がありましたように、それまでテレビに一度も出たことがない人が突然生まれ変わったように一月からどんどんテレビに出られたというのは、非常に私は不思議に思うわけでございますけれども、それもしかも役所の許可も得ずに出られたということでございますから、常識で考えますと売名行為にしか考えられないわけでございます。
 昨年の二月十七日の衆議院の予算委員会で、当時の深谷通産大臣が中小企業対策のPRの新聞広告に出られたことがございまして、そのことについて予算委員会で共産党の春名委員から質問がありました。これに対しまして当時の青木官房長官は、今後いろいろな広報活動の中では政府がやるものについては国民に誤解を与えないような形でやるべきであるという趣旨の回答をしておられるわけでございますけれども、このように鈴木氏の売名のために経済産業省が一緒になってこられたんじゃないかと思われるような、誤解を生むような広告が出たことに対して、経済産業大臣はどのようにお考えでしょうか。
#41
○国務大臣(平沼赳夫君) 非常に極めて遺憾なことだと思っております。その因果関係については、今の亀井委員の御指摘の中から、私どもとしてはそういう疑惑を持たれてもいたし方がないんじゃないかと思っております。
 やっぱり公務員の中立性ということがございますから、私どもはこれを契機として周知徹底をして、当省の中に二度と再びこのようなことが起こらないように私どもとしては努力をしてまいりたいと思いますし、繰り返しになりますけれども、極めて遺憾なことだと、このように思っております。
#42
○亀井郁夫君 事前運動については、いろいろと選挙になりますとやるわけでございますけれども、事前運動の問題について選挙部長にお尋ねしたいと思いますけれども、事前運動で禁じられている売名行為、特にテレビやマスコミを利用した事前運動というものはどのようなものが規制されるのか、お尋ねしたいと思います。
#43
○政府参考人(大竹邦実君) 事前運動についてのお尋ねでございますけれども、公職選挙法の第百二十九条におきましては、選挙運動、これは特定の選挙につき特定の候補者の当選を目的として投票を得るため直接または間接に働きかけることというふうに定義されておるわけでございますけれども、この選挙運動につきましては、選挙期日の公示または告示の日から選挙期日の前日までに限られているところでございまして、公示あるいは告示の前にこれを行いますことはいわゆる事前運動として禁止されているところでございます。
 一般論として申し上げますれば、当選を得る目的で立候補予定者の氏名等が掲載されております文書図画を広範に頒布するなどの売名行為もこの事前運動に該当すると解されるところでございます。また、この事前運動につきましては、手段のいかんを問わず、テレビあるいは新聞等によって行われるものにつきましても禁止されているところでございます。
 いずれにいたしましても、具体の事案が公職選挙法に違反しますかどうかにつきましては行為の実態に即して判断されるべきものである、このように考えております。
#44
○亀井郁夫君 なかなか判断が難しいようでございますけれども、実態に合わせて判断ということですけれども、もう一つお尋ねしたいのは、売名行為が事前運動として仮に認定された場合には、その番組のスポンサーとなった企業やあるいはまた当該放送会社、新聞社、出版社も同じように選挙違反に問われることになるんですか、それとも本人だけなんでしょうか。
#45
○政府参考人(大竹邦実君) 罰則の適用につきましては個別の事案に即して判断されるべきものでございますけれども、一般論として申し上げますれば、公職選挙法第百二十九条に規定いたします事前運動違反に係る罰則の適用につきましては、当選目的を有し、具体的な違反行為を行った自然人が処罰の対象になるものと、このように考えております。
#46
○亀井郁夫君 自然人ということになりますと、それを一緒に企画した人間ということになるんだろうと思うんですけれども、そういう意味では、事前運動についてはいろんな形でいろいろやられるわけでございますけれども、このようにテレビ等を通じてやられる事前運動が手放しで許されるということは私はあってはならないことだと思うわけでありまして、そういう意味では、公職選挙法そのものの不備ではないかと私は思うわけであります。
 そういう意味では、特定の候補者が特定のスポンサーと手を握りまして番組をつくって、その番組に連続して出るということによって自分の名を売ることはできるわけでございますから、そういうことがあってはならないこと、そのことが現実にこの一月から行われているということを私は強く指摘したいわけでございます。
 そういう意味では、タレントであっても、やはり選挙の前のそういった運動については当然自粛し規制されなきゃならないと思うわけでございますけれども、そういう意味では公職選挙法の改正も必要ではないかと。やはり許すのなら許すということでやり方を決め、許さないなら許さないという形でちゃんとしていただきたいと思うのでございますけれども、こういう点について総務大臣の見解はいかがでしょうか。
#47
○国務大臣(片山虎之助君) 今回の件は、今、経済産業大臣が極めて遺憾だと。私も、疑いを持たれるということは大変遺憾だと、こういうふうに思います。ただ、個々の事案の認定につきましては、先ほども私どもの方の選挙部長が言いましたように、ケース・バイ・ケースによりますから、一律にどうこうということは言えませんけれども、この事案についてはとにかく疑いを持たれるようなことは慎んでいただきたい、関係者は、本人を含めまして、そういうふうに強く思っております。
 公職選挙法改正云々のお話がございましたが、こういう関係は、今まで御承知のように各党各会派で御協議をいただいて今日のいろんな選挙運動についてのルールも決まっておりますから、大いに国会の中でも各党各会派での御議論を期待いたしたい。我々は我々として検討いたしますけれども、そういうふうに考えております。
#48
○亀井郁夫君 テレビ、ラジオの社会的影響は大変大きいものですから、これに対しましても放送業界は放送倫理基準綱領などをつくりまして公平公正の維持に努めておられるわけでありますけれども、しかし現実にこういうことが起こってきますと非常に困るわけでございますので、放送事業に対する国民の信頼を著しく失うことになっても困りますので、これに対して、こういった脱法行為を十分取り締まっていただきたいと思うわけでございますけれども、指導していただきたいと思うわけでございますけれども、これについて総務大臣のお考えを聞きたいと思います。
#49
○国務大臣(片山虎之助君) 放送法におきましては、憲法に規定する表現の自由を尊重する観点から、放送法の第三条において放送番組編集の自由というものを規定いたしておりますが、同時に、第三条の二によりまして、放送事業者が守るべきものとして政治的公平ということをうたっているわけであります。
 我々は、基本的にはやっぱり自律、自粛ということを放送事業者に強く期待いたしたいと思いますし、何度も先ほどから御議論が出ておりますように、疑わしいことはやめていただく、こういうことをさらに徹底いたしたい、こう思っております。
#50
○亀井郁夫君 次に、日本情報処理開発協会がスポンサーをやったわけでございますけれども、このことについてお尋ねしたいと思うわけでありますが、これは日経広告を使って朝日新聞の広告をとったということでございますけれども、いつごろどういう形で朝日新聞の広告の方と折衝したのかということと、それから三分の二ページにわたる広いスペースを出しておりますので、これについての値段等についてお答え願いたいと思います。協会の会長にお願いしたいと思います。
#51
○参考人(井川博君) 私どもの協会の電子署名・認証センターの担当者が、当時代理店を務めておりました日経広告を通じて、朝日新聞の広告は千二百万円ということなんだけれども、それで可能かどうかということを尋ね合わせましたのが一月三十一日でございます。それに対しまして、二日後の二月二日に、日経広告から朝日の回答が来たということで我が方の担当者に連絡がございました。
 それによりますと、千二百万の範囲内でPRを引き受ける、その場合に、一般的な広告のほか、東京本社版については記事広告としてインタビュー記事にしたい、それも千二百万円の範囲内でいたしたい、こういう返事が参ったわけでございます。これが二月二日でございます。
#52
○亀井郁夫君 三分の二ページのところについての値段は私はただだったと聞いているんですけれども、ただであんな広いスペースを提供することを言ったんですか。
#53
○参考人(井川博君) その前に、上段、下段という話ではなしに、全体的に千二百万円という予算の範囲内でやらせてもらいます、こういう返事でございました。
#54
○亀井郁夫君 下段のところは定価だと千二百万、それから上の三分の二が定価だと千六百六十万もするわけでございますから、そういう意味では千六百六十万を無償で寄附したような形に事実上なっておりますので非常に不思議に思うわけでございますけれども、この辺が非常に問題だと思うんですが、特にこの原稿のゲラでございますけれども、いつごろ見られましたか。
#55
○参考人(井川博君) 原稿のゲラが担当の方に参りましたのが二月の二十日でございます。
#56
○亀井郁夫君 二月二十四日に出す広告のゲラを二月二十日にスポンサーのところに持ってくるなんということはおおよそ考えられないことでございますけれども、そのようにおくらせたということはなぜだろうかと思うんですけれども、この鈴木さんが公認を受けておったということを会長は御存じでしたか。
#57
○参考人(井川博君) 当時の担当者はゲラを送ったときそういう位置は全然承知をしていなかったということでございます。私自身はそういう点は承知をしておりました。
#58
○亀井郁夫君 ゲラの修正について自由にある程度直せるということだったですか。
#59
○参考人(井川博君) 代理店である日経広告の話によりますと、記事広告については当該新聞が責任を持って編集をする、したがってよっぽどいろいろなミスがあるということ以外はこちらからは注文しないのが通常であるというふうなことを担当者が聞かされていたようでございます。
#60
○亀井郁夫君 これまでのお話の中から考えられることは、そういう意味では担当者も知らなかったことを奇貨として、最後まで実態のことを見せないで、そしてこうした広告をつくってしまった。(資料を示す)
 だから、この前もお見せしたとおりの広告でございますけれども、これは上の方が大体千六百万するわけですから、それもただにして、そしてチェックは余りできないような形で出してしまっちゃったというのが実態ではないかと思いますけれども、こうしたことに対して経済産業大臣はどのようにお考えでしょうか。
#61
○国務大臣(平沼赳夫君) 非常に私どもとしては遺憾なことだと思っておりまして、協会の方でも法的ないろいろな措置をとると、こういうことでございます。その推移を見守っていきたいと思っておりますし、私どもとしては、繰り返しになりますけれども、こういった公務員が中立性を保たなければならない、そういう前提があるにもかかわらずこういった事態が出来したということは全く許せないことだと、こういうふうに思っておりまして、これから厳重に対応をしてまいりたいと、このように思っています。
#62
○亀井郁夫君 今、大臣がおっしゃったように、大きな問題でございますので、政府関係の広告の掲載停止だとか、あるいは代金の返還請求あるいは名誉毀損による損害賠償請求等、厳しい対応をぜひやっていただきたいと思いますけれども、よろしくお願いしたいと思います。
 次に、話題を変えまして、交通問題についてお尋ねしたいと思うわけであります。
 公共事業の予算に対する風当たりは大変厳しいものがございますけれども、交通ネットワークの形成は地域の活性化にとって欠くことのできないものであり、大変重要な政治課題でもあると思いますので、これについてまずお尋ねしたいのは道路網の整備についてでございます。
 私自身、広島の山の中で生まれ、山の中で育った者でございますけれども、かつては二時間も三時間もかけて歩いていった駅が、車で今は十五分ぐらいで行けるということでございますから、そういう意味では地域の活性化は道路からという思いで一生懸命やっておるわけでございますし、特に地方におきましては、人や物の移動を支えるのは、移動手段としては道路しかないわけでございます。そういう意味では、人と物の移動を活性化させるためにはどうしても道路を整備してほしいというのが第一点で、また扇大臣がいつもおっしゃるように、ウイークデーは都心部のマンションで、週末は緑豊かな自然へという生活スタイルを実現するためにもやはり道路網の整備が必要だと思います。
 さらには、今、地方分権の推進ということで、地方公共団体の体制強化のために合併が大きな課題になっておるわけでございますけれども、しかしお互いに近い関係でなければなかなか合併もうまくいきません。そういう意味での道路網の整備が必要だと私は思うわけでございますけれども、そういう意味では、道路網の整備に対する批判的な声が強うございますけれども、幹線道路あるいは地方道路の整備についてぜひとも頑張っていただきたいと思うんですけれども、これに対する大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
#63
○国務大臣(扇千景君) 今、亀井先生がお話しになりましたように、高速道路を初めといたしますいわゆる幹線道路のネットワークというものが国土の構造あるいはその骨格を形成する上に、また地域ブロックの自立性というものを考えましても、私はその地域の発展等々を考えて、これがいかに重要であるかということは今、亀井先生おっしゃったとおりでございますけれども、国土交通省としましても最重点課題として私どもは取り組んでおります。
 また、我が国におきましても、御存じのとおり鉄道がお客様の二九%、そして貨物の五%を分担しているのに対しまして、自動車がお客様の六六%を占めております。また、貨物は五二%を分担しておりますので、いかに鉄道に比べて人や物の移動ということに関しましては自動車への依存度が高くなっているかというのも私は如実に示しているところだろうと思っております。
 その上でも、自動車への道路整備がもたらす経済効果、あるいは今おっしゃいました地域の社会に与える効果というものは極めて大きいということが数字をもって言えるところでございますけれども、特に地方部におきましてはお客様の九二%を自動車が分担しているなど、車が生活に不可欠なものになっているというのはおっしゃるとおりでございます。
 特に、先生がおっしゃいましたけれども、広島市内におきまして、広島の市場で取り扱われております市場の野菜に、特に八四%は県外から広島に入っているという事情もございますので、少なくとも県外産におきましては九六%が自動車で輸送して入ってくるということで、その重要性というものは今おっしゃったとおりでございますけれども、私どもは、この道路の整備に当たりましては、地方づくりまたは地域の競争条件の確保に寄与するということからも、さらには過疎地域の活性化等々、特に昨年来の災害時における道路の重要性ということを考えましても、私たちはその整備に、またあるいは幹線道路から地域の生活を支える地方道まで体系的な道路整備を積極的に進めていくことがより住みやすい、そして皆さん方に安心を与える上で重要な役割を占めているということで、その推進に努力しているところでございます。
#64
○亀井郁夫君 自動車の普及によりまして、一方では地方ローカル線が大変厳しい状況に置かれているわけでございまして、廃線の危機に直面しているローカル線がたくさんあるわけでございます。
 そういう意味では、国鉄の民営化によりまして赤字路線の廃止がかなり容易になったわけでございまして、非常におびえている地方はたくさんあるわけでございます。もちろん、利用者が少ないんだから廃止したいというJRの考え方は非常によくわかるわけでございますけれども、しかし一方で、残してほしいという強い声もたくさんあるわけでございます。そういう意味で、今回、JR東日本、東海、西日本の三社については、国有の株式を全部放出して、三社に対するいろいろな規制事項を廃止するということになるわけでございますけれども、これに関連いたしまして新制度が設けられることになりました。
 そういう意味ではほっとしておるわけでもございますけれども、実は私どもの地元にも可部線というのがございまして、可部線が今大きな課題になっておるわけでございますけれども、昨年の十一月、無理を言いまして三カ月間の試行期間を設けてもらいました。大変そういう意味では難しかったんですけれども、約百四日間の間、地域、沿線挙げて使おうじゃないかということで努力いたしまして、隣の駅までわざわざ車で行って、そこから乗って役場に来るというような涙ぐましい努力もあったわけでございますけれども、JRとしては、当初民営化したときの利用者が八百人だったですから、今四百名に減っているんですけれども、八百名へということでやりましたけれども、しかし結果としては努力によって七百五十九名までなったわけでございます。
 さらに、今回、一年間試行期間を延ばしてやろうじゃないか、一緒になってJRと一緒にやろうじゃないかということに昨日決めたんで、そういう意味ではJR西日本の英断に感謝するわけでございますけれども、そういう意味でもやはりローカル線についても大事に考えていただかなきゃいけませんので、これに対する御見解をお尋ねしたいと思います。
#65
○国務大臣(扇千景君) 今、昨日の生々しいお話も亀井先生から直接出てまいりましたけれども、逆に申しますと、昨日の再度の四カ月から一年間増便、これに対応して試行運行を利用者の動向を見きわめるということは、私は皆さん方に大変お喜びいただいたことだと、これは結論として申し上げますけれども、全般的に申し上げますと、JRに関しましては、路線の廃止に当たりましても、国鉄改革時の当時の不採算路線を含めた事業全体で採算が確保できるようにという事業用資産の継続等を、承継等を行ってまいりましたけれども、私は、先日もJR三社の社長の皆さん方にお集まりいただきました。この完全民営化ということに関しましても、国鉄改革後の輸送需要の動向に関しましては私は説明責任を果たさなければならないというふうに考えておりますので、JR会社法の一部を改正する法律案におきましては、国土交通大臣が国鉄改革の経緯を踏まえまして事業経営を確保すると、こういうことでその指針を定めてございます。
 そのために、これに基づきまして指導、助言等を行うことができるという仕組みを設けたところでございますので、完全民営化におきましても、この法律に基づく指針によりまして、路線の廃止の際には国鉄改革後の輸送需要の動向等、これを勘案して十分に地元への説明責任を果たすように私は努めてまいりたいと思いますし、とりあえずは今、亀井先生がおっしゃいました可部線の一年間の猶予期間ということで動向を見るということを含めまして、私は、地方自治体路線がむやみに私は経営一本やりで切られることのないように、地元の御意向をよく拝聴し、また動向を見守るという姿勢は今後も各路線とも貫いていくべきだと思っております。
#66
○亀井郁夫君 ありがとうございます。
 そういう意味では、鉄道と道路、両方とも大事にしなきゃいけないんですが、特に両方を組み合わせた交通ネットワークの形成が大事だと思います。
 この可部線につきましても、途中まで電化をしておりますけれども、ちょっと延ばしてその先に大きなモータープールをつくって、そこで置換、広島市に入ってくる車を全部受けとめてそこから乗ってもらうという形にすれば可部線全体の採算性も上がってくるんじゃないかということで、この問題についても両者が真剣に検討するということになったわけでございますけれども、そういう意味ではパーク・アンド・ライドだとか、あるいはキス・アンド・ライドと言うんだそうですね、送ってきてそこでキスして別れるから言うんだそうですが、そういった形でぜひとも地方道とそれからローカル線を結びつけた形での地域の活性化という観点から大臣にいろいろと御指導いただくように心からお願いしたいと思いますけれども、これについての御見解をお願いしたいと思います。
#67
○国務大臣(扇千景君) 亀井先生から道路と鉄道とのその交差機関の連携を確保して強化することが重要であるというお話、そのとおりでございまして、特にパーク・アンド・ライド、私は、都市の交通ということを考えますと、都市の外縁部におきましては自動車から鉄道等への公共交通機関に対する乗りかえ、この促進に対しては大事な施策であろうと考えておりますし、また都心部の渋滞緩和にも私は大変効果のある事業であると考えております。
 例えば、札幌市におきましてもパーク・アンド・ライドの駐車場、二十六カ所を札幌市でつくっております。これは約三千三百台分の駐車スペースが確保されておりまして、そのほとんどが利用されているというふうに私も報告を受けております。
 このような認識のもとに、国土交通省としましては、駅前広場やパーク・アンド・ライド駐車場等の整備を総合的に実現いたします交通結節点改善事業というものを積極的に推進しておりまして、平成十三年度の予算におきましては、道路整備全体の事業費の対年度比が一・〇〇である中、交通結節点の改善事業につきましては一・六八と高い伸びを出していただいております。
 特に、先生がおっしゃいました広島県の場合では、熊野のパーク・アンド・バスライドの駐車場におきましては九十四台分、私の報告を受けましたところではこの収容台数が九十四台、そしてバイクが六十七台、自転車が二十八台と、ほとんど満杯状態である、しかもこれが無料であるということで大変地域の皆さん方に有効に活用させていただいているということの報告も受けまして、私は、本年度予算の中にこれだけ伸びを示して、予算を皆さん方に御審議いただいていることによってより有効活用ができるということで期待しておりますので、ぜひ御賛成を早く賜りますれば私はありがたいことだと思っております。
#68
○亀井郁夫君 ありがとうございました。
 赤字路線で廃止に直面し悩んでいるローカル線、数あるローカル線ございますけれども、それの再生策として、そのモデルケースとしてこの可部線がなるようにということで挙げていろいろ努力をこれからしてまいりますので、大臣、ひとつ温かい御指導をよろしくお願いしたいと思います。
 これをもって質問を終わります。
 ありがとうございました。
#69
○委員長(岡野裕君) 以上で日出英輔君及びその関連質疑は終了いたしました。(拍手)
 午後一時に再開することとし、休憩をいたします。
   午前十一時二十六分休憩
     ─────・─────
   午後一時二分開会
#70
○委員長(岡野裕君) ただいまから予算委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、平成十三年度総予算三案を一括して議題とし、質疑を行います。まず、円より子君。
#71
○円より子君 民主党の円より子でございます。
 本日の私の質問の大半は、現下の不況と我が国の経済の活性化についてさせていただきたいと思っております。
 中小企業、零細企業も銀行の信用収縮によって日夜資金繰りに苦しんでおりますし、今回の株安でさらに状況が悪化しております。また、倒産、失業がふえているのも皆様御存じのとおりでございます。
 さて、今回、森総理が訪米なさってブッシュ大統領と会談なさいましたが、そこでブッシュ大統領から不良債権の早急な処理を強く要請されたということが記事に載っておりました。また、そのことを受けて、構造改革、規制緩和を進め早急に不良債権を処理すると森総理は答えられたそうですが、今まで我が民主党は、不良債権の先送りをやめて早急に処理してほしいこと、また処理すべきであること、規制緩和や構造改革を強く進めるよう要求してまいりました。ところが、こうした国内での、国会での議論には余り耳を傾けられずに、アメリカからまた言われたらすぐにその要請を受けて初めて腰をお上げになるなど、相変わらずの姿勢とはいえ、国民は情けないと感じているのではないでしょうか。
 そもそも政府は、バブル以降の不良債権問題をずっと先送りし、そしてこの危機的な不況の根本原因をまじめに分析し速やかに手を打たなかったのではないか、そういったふうに私には思われるんですが、一体この不況の原因をどう分析しておられるのか、なぜ不良債権処理を先延ばしなさったのか、宮澤元総理、橋本元総理、そして日銀総裁にお伺いしたいと存じます。
#72
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいまの不況の一番の問題は、設備投資はようやく回復してまいりましたが、それが家計に移っていかない。その理由は前から申し上げましたので繰り返しませんが、それがおくれておる。
 ただ、これが通例どおり家計に移っていきますれば、これが全体のGDPの六〇%以上ございますから、これで景気は正常化するということは間違いないことだと思っておりますのですが、現実にここのところの成長を見ましても、九年度はプラス〇・二、十年度だけがマイナス〇・六でございます。十一年度は一・四、それから十二年度はまだ終わっておりませんが、七―九がマイナスになりましただけで、十―十二がプラス〇・八でございますから、政府の目標の一・二というのは恐らくもう問題なく達成されると思いますので、これで見ますとそんなに悪い状況にあるわけではない。ただ、いかにも家計に移っていないということでございます。
 それから、今お尋ねになりましたこと、私どもも不良債務の処理ということをいろいろもとより大事に考えておりまして、民主党でも、御主張は、おっしゃっていらっしゃることはよく存じ上げておりますが、いわゆる引き当てをやっておけばまずそれで万全だということは、人によりましては、それはノンパフォーミングローンをバランスシートに載っけておいてはだめではないかという批判もございました。
 ただ、この二年、三年近くの経緯の中で、委員も御承知のように、やはり全体のリストラをしますときに、銀行がいろいろ、まあ破綻したところもございますが、しかし、優良な貸付先、お得意は何とかしてやっぱり保護してやらなきゃならないという思いを私どもずっとしてまいりました。それは経済の問題でもあるし失業の問題でもございますから、したがって、全部のことを一時にがたっとやれたか、やることがよかったのかということは、民主党の御主張をよく存じ上げておるし、私どもも思ったけれども、一時にそれをやっていいのかな、国民生活が耐えられるのかと、そういうこともあったということも事実であると思います。
 したがいまして、不良債権を長くバランスシートに置くことの問題点は私どもももとより気づいておりましたし、外国でもしばしば指摘をされてきたところでございまして、ここに来ましてやっぱり銀行が利益を出す機関でないと結局活発に貸し出しができないということが如実になってまいりまして、しかも、経済もまあここまで参りましたから、やっぱりこれに手をつけざるを得ないということに私どもも思っておりますし、海外からもそれを言われておる。せんだってのG7でもそうでございましたけれども、そういう段階になってきた。
 あえてアメリカ大統領が初めて気づかれたわけではもちろんありませんで、ただ、日本の問題として指摘をされたのは私はまさに正鵠を得た御指摘だと思っていますが、私どももそのことはもとより前から気づいておりましたし、先般の政府・与党の会合でもそのための施策を展開していこうということを合意したところでございます。
#73
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、宮澤先生からありました御答弁に多少つけ加えさせていただくとするならば、やはり八〇年代の後半、土地価格を中心にした資産価格が急激に上昇し、その後、これもまた急激に下落をした。その結果として資産分配の不平等あるいは資源配分にゆがみというものが生まれ、これが経済的に大きなコストをもたらした。そして、今御指摘の不良債権の処理に伴う金融機関の貸し出し態度の、あえて慎重化という言葉を使わせていただきたいと思いますが、慎重化というもの、あるいは企業のバランスシートの調整などを通じて経済活動が停滞する、こうした一つの原因は私はここにあったと思います。そして、それに伴う設備、雇用、債務、三つの過剰とよく表現をされておりますけれども、これが経済回復をおくらせる要因になった、私どもはそのように考えております。
 いろいろな対応策を講じてはまいりましたし、総じて少しずつ解消の方向に向かっていると言え、その速度が遅いという点についてはなお一層の努力を必要とするものだと思います。
#74
○参考人(速水優君) 御質問の不況の根本原因は何かと、それから不良債権をなぜここまでほっておいたのかと、こういう御質問だと思います。
 簡単に答えさせていただきますが、現在のところこの景気が悪いのは、簡単に言えば足踏み状態と言っていいかと思うんですが、短期的には米国を中心とした海外経済が予想以上のスピードで減速、スピードダウンしてきたということが主因だと言っていいと思います。しかし、より根本的な問題としては、やはり日本の場合のさまざまな構造改革が依然未解決のままになっていると、余り進んでいないということがあると思います。
 実際、過去十年、日本経済は景気循環という観点から見れば何度か回復の動きがあったんですけれども、結局力強い回復を迎えることなく景気後退にじわじわと進んでいってしまったというのは、事態を繰り返したというのは、やはり基本的に民間主導の経済構造の改革、海外は皆グローバリゼーションで一つの市場で戦い合っているときに、日本の方がどうしてもおくれてしまっているというところに問題があったというふうに思います。
 二つ目のこの不良債権をどうしてもっと早く整理できなかったのかという問題について、私が感じますことは、やはり日本経済の回復を確実にしていくためには、この金融システム面の構造改革、それから経済産業面での構造改革というものが不可欠だと思います。
 不良債権問題の早期克服というのは、金融システムを強化していくだけでなくて、産業構造改革を進めていくためにも極めて重要な課題だというふうに認識しております。金融機関におきましても、一段の取り組みが進められつつあることは確かだと思います。
 御承知のように、UFJ、三和、東海、東洋信託ですか、つい先般、この三月末の決算に赤字を出しても一兆何千億かの償却をやって赤字決算にすると。結局、そう急いでやらなければだめだということを確認されてああいう決断をなされたんだと思うんです。私はそれは結構なことだと思いますし、そういうものが早く、そういう空気が広まっていくことは望ましいことだと思って期待しております。私どもも、金融面からそういうものを、どういうことが起こってくるかわかりませんけれども、なるたけ支えていきたいということで、今回の十九日の措置を決めた次第でございます。
#75
○円より子君 総理経験者、それから大蔵大臣経験者、日銀総裁にいろいろ今お話をいただきました。
 私は全く経済については素人でございますが、その大変専門家のお三人の向こうを張って私なりの素人としての分析の一端をぜひこれから話させていただきたいと思うんですが、まず、東証の株価と時価総額についてお聞きしたいと思います。
 一九八九年十二月二十九日に株価が最高値となっておりますが、このときの株価と時価総額を円換算とドル換算で教えていただきたいのですが。政府参考人の方で結構でございます。通告をしておりますが、資料もいただいておりますし。──柳澤さん、恐れ入ります。
#76
○国務大臣(柳澤伯夫君) 一九八九年に株価がもうほとんど四万円に近い三万八千九百何がしかだったと思いますけれども、そういうピークを記録したこと、その後、バブルの崩壊ということで昨今の株価に至るまでこれが低落していること、それぞれ株価、時価総額というものが算出できますけれども、今にわかの御質問でございますので担当官が参っておりません。大変恐縮ですが、また必要でしたら手続をとっていただいて御答弁させていただきます。
#77
○円より子君 では、ちょっと質疑通告の行き違いがあったかもしれませんので、私の方から申し上げさせていただきます。これは私がちゃんと資料を、通告をしていただいておりますものをまとめましたので。
 まず、一九八九年十二月二十九日に最高値になっておりますが、このときのドルで換算しますと二百七十ドルです。そして、時価総額は五百九十一兆円で四・一兆ドルになっているんですね。
 それで次に、そうしますと多分後のもおわかりにならないでしょうから、一ドル八十円を切った年、この年はもちろんドルは一年の平均ではこんな高くございませんけれども、一九九五年四月十九日に一ドル八十円を切ったんですけれども、為替が。このときの価格は一万六千三百七十六円、そしてドルベースでは二百四ドル、そして時価総額は二百八十七兆円の三・六兆ドルなんですね。
 ちょっと二度手間になってしまって時間がもったいないので、済みません、資料を配っていただけますか。
   〔資料配付〕
#78
○円より子君 今お配りいたしましたのは、横軸が年数です、年度です。そして、縦軸は株価また時価総額、そして地価の下落率をあらわしております。
 これは私がちょっと作成したものなんですが、一番左の上が八九年十二月二十九日、この日に株価と時価総額が最高値を記録しておりまして、それと同じように九一年なんですが、もちろん公示価格ですから、このときは一瞬の一日のドル、為替ではなくて一年間の平均の為替、一ドル幾らということで計算しておりますが、この下落率を見ますと、公示価格についても──地価の方、地価は公示価格でお願いしてあったんですが、まず株価と時価総額について見ていただきたいと思うんですが、九五年の四月十九日、為替が最も円高になっていたときですね。このときの株価は、円換算でいきますと下落率は五八%なんですが、この上の二番目の丸のところ、ドルベースですと下落率は二四・五%なんですね。そして、時価総額の方は、九五年の上の星印ですね、時価総額二百八十七兆。これは、八九年十二月二十九日の最高額のときよりも下落率が五一・四%なんですが、何とこれは、時価総額、ドルベースで見ますとたったの一二・二%しか落ちておりません。このように、円ベースとドルベースで見ますと全く下落率が違うんですね。これについてお聞きしたいんですけれども。
 もう一つ、ここをちょっと見ておいていただいて、国土交通省でしょうか、公示価格についてお聞きしたいんですが、よろしいですか。八九年ではなくて九一年の最高額のときと、それからそれの九五年、またことしの三月十四日ですが、去年のしか出ていませんでしょうから、二〇〇〇年の公示価格を円換算とドル換算でお願いしたいと思います。
#79
○国務大臣(扇千景君) 今、円先生のこの「株価と地価の下落状況」というカラフルな表を拝見しておりますけれども、私どもは、この住宅地、その当時も最高価格地におきましては調査を始めました平成八年時点の一平方メートル当たりが二百六十八万円でございました。ですから、平成十二年にはこれが二百十四万円で、約二〇%の下落というのは現実的にございます。
 なお、住宅地におきましては、バブル期から継続して調査している地点の最高価格地は、これは東京の千代田区の四番町でございますけれども、最も高かった昭和六十三年時点の一平方メートル当たりの六百九十一万円に対しまして、平成十二年の百十七万円という約八三%のこれはもう膨大な下落ということは、今、先生の表で見てもおわかりのとおり、同じく数字としては出ております。
 そして、商業地の最高価格につきましては、最も高かった平成二年、先ほど住宅で申しましたけれども、これは商業地におきましては一平方メートル当たりが三千二百八十万円でございますけれども、今同じように平成十二年では一千二百八十万円で約六一%の下落と。
 これが株価と土地の下落と相対性がいかにあるかということは、これはもうそれぞれ御判断のされるところでございますけれども、少なくとも、バブル期に比べまして大幅に下落はいたしましたけれども、ここしばらくはわずかな下落で済んでおりまして、また横ばいになってきているところ、それから一部の商業地には既に上がりぎみのところもあることは、これは一部ではございますけれどもございますので、このいただいた表と果たして、まあ大体同じような動きをしているなというのが感想でございますし、現実でございます。
#80
○円より子君 今私は国土交通省からいただいた、扇先生がおっしゃった商業地における最高価格地の地価でこれを見てみたわけですが、そうしますと九〇年、九一年、同じ価格なんですが、一応九一年で下落率をやりました。いろいろ少し誤差はあるかもしれませんが、おおよそこの図のとおり、株価も時価総額もまた地価もこういうふうに下落しているんですね。
 そこで、お聞きしたいんですが、東証の株価はもともと土地の公示価格と互換性を持っていたと思います。また、対ドルレートとも互換性を持っておりまして、この三者というのは互いにリンクしていたんじゃないかと思うんですが、なぜこのように、まずこの九五年時点のところで見たいんですが、九五年時点のところでこのように株と土地の下落率にアンバランスが生じたのか、このことについてぜひ宮澤元総理、橋本元総理に教えていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
#81
○国務大臣(宮澤喜一君) 今、わかりました。結局、八九年に二百七十とされたのは百四十四円で割られて、そうすると二百七十ドルだと、こういうあれですね。それが赤丸でいうと落ちてきているということを言っておられるんだと思いますですね。
 それで、九五年のときは、これは大変に異常な七十九円という、この九五年の四月にございました、四月十九日、書いてございます。それがやっぱりかなり影響したと思います。株が下がってきたことについては、この一万六千円ぐらいですと特にこのときの説明は難しいのではないかと思います。
#82
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私もこれ拝見いたしてふっと気になりましたのは、実はその円、ドルの換算に使われている数値そのものがもう一つここにはっきりしておりません点も含めて、換算が非常に難しいな、そうしてこの表の中から相関率を見出すというのは結構難しいなという感じが率直にいたしました。
#83
○円より子君 これは金融庁の方からいただいた為替レートでございまして、一応それを参考にして私の方でつくらせていただいたんですけれども。
 何をお話ししたいかと申しますと、この九五年の時点では、個人資産というものの本当に土地と不動産が大暴落しまして、それがもう急激に減ったことに対しては何ら政府は手を打たずに、そして、一応この国際的なグローバリズムの中で株価というもの、そして時価総額というもの、こういった形で企業には体力を残したんじゃないか、そういうふうに私には思えるんですね。そして、ある意味では、こういうふうに今まで私たち日本人はみんなもう何もかも一千兆円以上の資産をなくして個人も企業も日本全体が大変なことになったと思っていたんですけれども、上手に円高誘導という形で円高政策をおとりになって、これは極端な円高政策をとって、ある意味では見事にバブルの崩壊をここの株の方では吸収なさったのかなというふうに思ったんですが、いかがでしょうか。宮澤先生、いかがでしょうか。
#84
○国務大臣(宮澤喜一君) それは非常にお答えにくい難しい問題だと思いますけれども、一般的に申しまして、土地等々が下落をしたという中で日本の企業の価値そのものは、やはり企業は物をつくっております、あるいはサービスをしておりますし、国際的な競争の中にもございますから、例えば土地が下落するというように企業の価値そのものがそのとおり下落するということはないという問題と、それからもう一つは、それを株価で見ようとしますと、恐らく東京の株価というのは世界各国で売られておりますし、アメリカのドルだって株を買っているということもございますので、簡単には言えないかもしれないと思います。
 ただ、それでもおっしゃっていることは、企業や家計が落ち込んでいるときに物を生産したりサービスをしている企業というものの力はそれほどには落ちていないということはおっしゃられることだろうと思います。
#85
○円より子君 そのことは、全部が落ちてしまったわけではなくて、私はある程度評価したいと思っているんですが、ただ、土地、不動産の下落に対しては何らやはりずっと、八九年十二月二十九日のこのあたりで三重野日銀総裁が九〇年初頭から強引に日本の資産インフレつぶしをお始めになって土地、不動産の価格が大暴落したわけですけれども、そこを円高誘導でまあ何とか、半分のところは何とかなったという、そういうことは評価するんですが、ただ、ずっと延々と土地、不動産の下落に対して何ら手を打たなかったと同時に、最近はずっと円安政策に向かっておりますね。そうしますと、ついこの間の三月十四日に至りましては、東証株価はドル換算でも円換算と同じように、図を見ていただければわかりますけれども、円換算ですと六九・六%の下落、またドル換算でも六三・八%も下落してしまったということで、土地は割合、時価総額がちょっと見かけ上上がっておりますし、地価もそれほど、先ほど扇大臣がおっしゃったように余り変わっていないんですが、急激にこのところドルベースでも円ベースでも株価が下がってしまったという、この最悪の状況になったと思うんですね。
 このことについて、土地の下落に何の歯どめもおかけになれなかったということ、土地政策をおとりにならなかったということ、個人のストックをふやす、このあたりは確かにやってこなかったと、以前私本会議かどこかで宮澤元総理にお尋ねしたことがあったときにそういうふうに宮澤総理も御答弁なさったと思いますが、このことについていかがお思いでしょうか。
#86
○国務大臣(宮澤喜一君) これは本来は扇大臣がお答えになられることかと思いますけれども、そういう面でなく、一種の経済現象としてお尋ねがあったというふうに伺って申し上げますけれども、大観いたしまして、バブル崩壊後の土地価格の動きについては政府として意識的に下落をてこ入れするようなことはいたしてこなかったように思います。
 一種の周辺的な改善対策は、これは価格の問題として当然いたしますけれども、それでもかつて高騰した土地というものは用途にかかわらずずっと下落してまいりまして、それを価格の上で政府が何か支えるということは私はいたしてこなかったのではないか、今日もいたしていないのではないか。自然に落着することをいろんな意味で期待はしておりますけれども、土地はそういうことではなかったかと思いますので、その点はむしろ、表現は悪いかもしれませんが、政府の意識的な政策としててこ入れをしなかったというふうに私は思っております。
#87
○円より子君 土地を資産として持ってただ値上がりするのを待つというのが、例えば銀行などが不良債権の処理がおくれた一つの原因かもしれないと私思っておりますが、資産としてではなくて、付加価値をつけることによって資源として活用していく、そして個人のストックをふやして日本の国民の生活を豊かにしていく、そういった政策をやはりもっと早くおとりになるべきだったと私はずっと思っているんですが、ちょっと遅きに失したかもしれませんが、今ようやく与党の方で都市再生ですとか不動産の、土地の容積率の緩和ですとかいろいろやっていらっしゃいますが、扇先生、どうぞそのあたりについてお話しくださいませ。
#88
○国務大臣(扇千景君) きのうも先生、理事でお座りでしたから、私が申し上げたいろんなことをお聞きいただいたと思うんですけれども、私は少なくとも、我々としてはでき得る限りのことをしようと、そしてまた限られた国土をいかに有効に使うかと、これが我々に課せられた大きな役目だと思っておりますので、昨日も申しましたけれども、都市基盤整備公団によります土地の有効利用ということで、少なくとも民間の都市開発推進機構によります土地取得の推進、これを私どもは都市部の、御存じのとおり、虫食い状態という言い方が正しいかどうかわかりませんけれども、現実にそういう状態になっております低未利用地というのを私たちはなるべくまとめて、そして一カ所に集めてそれを有効活用しようと、そういうふうに私どもは考えておりまして、約千四百兆円と言われます個人金融資産を不動産市場に振り向けたいと、そう思っておりまして、先生も御承知のように、少なくとも不動産の取引を活発化さそうということで、不動産の証券化、これも先日申し上げましたけれども、それをして、よりこの未利用地を活発に動かしていこう、そういうふうに考えております。
 また、不動産の鑑定評価制度の充実。これは評価によって全然値段が違うということもありますし、評価によってはまだまだ安くなりそうだから買い控えようなんという方もこれはいらっしゃるわけでございますので、それを、少なくともその制度を充実していこうと。
 そして、収益を重視した土地取引の前提となります土地市場の整備を進めていきたいということで、私ども、この間も申し上げましたように、少なくとも予算規模では用地取得枠三千五百五十億円、これ平成十二年度の末の累計でございますけれども、少なくともその取得件数としては件数で百六十六件、そして面積にしましたら三十七・六ヘクタールというものが十三年度二月末。しかも、用地費は二月末の現在で二千五十七億円ということで、私は、今申しましたような東京都及び周辺における未利用地を活発化さそうということで努力しているところでございますので、それも予算に組み入れさせていただいたというのが現状でございます。
#89
○円より子君 もうお出にならなきゃいけませんか、橋本大臣。──どうぞ、では。ちょっと一つ質問があったんですが。
 よろしいですか。じゃ一問だけ。
 バーミンガム・サミットのときに、不良債権の処理を早急になさるという公約をたしかサミットでなさったように思うんですが、そのときはどういった手法でおやりになろうと思っていらしたんでしょうか。
#90
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、確かにあのとき、バランスシートから完全に消してしまうことが大事だと考えておりましたからそのようなことを申し上げ、その後の参議院選においても国民に対して訴えました。ただし、メディアも関心を当時示されませんでしたし、国民からも御評価をいただけず、参議院選に敗北をいたしました。
 私が申し上げたいことは以上です。
#91
○円より子君 ちょっと順番が橋本元総理がお出になるということで変わってしまいましたが、今、扇大臣からも土地の対策をお話しいただきましたけれども、私は、先ほどのちょっと図に戻りますと、二〇〇一年の三月時点において、今、円が大変円安になっておりますし、アメリカも円安是認とまではいきませんけれども、円安の進行やむなしということを言っておりますが、もし今一ドル八十円の円高だったらどうなるかというふうに考えますと、一万一千八百四十三円の株の最安値も百四十八ドルになりますし、ピーク時からの下落率は四五・二%にとどまります。また、時価総額は四兆ドルとなってたった三%の下落になるわけで、最高額のときとほぼ同じになるんですね。また、地価も千二百八十万円は十六万ドルで、下落率は今ですと五七・四%ですが、三九・二%となるんです。
 というようなときに、日本の資産から見れば円高の方がいいのにと、もちろん今の日本の経済やいろいろ考えますと円高にはなり得ないことはわかりますけれども、なぜ今円安誘導なのかと思うんですが、これについてお答えいただきたいと思います。
#92
○国務大臣(宮澤喜一君) 円安というのは、最近で申しますと大体ことしに入りましてからのことでございます。昨年じゅうはそういうことはございませんでした。
 それについて円安誘導というふうに今お尋ねになりましたが、私ども、正直言って、円安に誘導するというようなことは一切いたしておりません。これは後日資料をごらんになることができればおわかりいただけるのですが、そういうことは意識的にいたしておりませんで、ここのところ百二十円がらみまでなってまいりましたけれども、これは政府の意識的な努力によるものではございません。
#93
○円より子君 プラザ合意のときもそうですが、常にアメリカの意図が割合私は働いているというふうに思っております。それで為替が変わるんじゃないかということも一つの要因だと思っているんですが、確かに、円安になれば車や精密機械等で輸出が伸びますし、経済は伸びるかもしれませんが、しかし、アメリカは貿易収支がますます今赤字になっておりますし、きのうなどは再利下げもなさったのに株価は落ちて、多分アメリカの株は相当ひどくなるんじゃないかと思いますが、そういったときに、日本に対しては輸出は伸ばすなよとくぎも刺していらっしゃいます。
 こうして円安と、そして円安でありながら輸出も伸ばせなければ日本は袋小路に入るしかないというふうに思うんですが、外に出られないのであれば内需振興で経済を活性化するしかないと思うんですが、どういう対策を打たれるのか。これは平沼大臣にも、また宮澤大臣にもお聞きしたいと思います。
#94
○国務大臣(宮澤喜一君) お答え申し上げる前に、このごろはワイヤサービスがもう常時周辺にいまして、円の話をしますとすぐにそれが世界を飛び回るというような状況でございますので、特定の相場について申し上げないということを御了解いただきたいんですが、ただ、円安誘導してきているということは一切ございません。
 それから、そういう説が時々ございますけれども、日本のこの現状を、円安誘導をやったらば楽になるのではないか、そういったような考え方は政府もいたしておりませんし、日銀にもそういう考え方はないと思いますので、この点だけは申し上げておきます。
#95
○国務大臣(平沼赳夫君) 今、委員が御指摘になられましたように、日本はある意味では貿易立国、輸出立国でございますから、そういう観点からいくと円安というものがプラスに作用する、そういうことは言えると思います。しかし、今、財務大臣がおっしゃったように、国として全体を円安誘導にする、こういうことは政策的には一切とっていなくて、あくまでもそのときのいわゆるバランスでそういうふうになってくると思っています。
 そういう中で、円安の中で、私どもは中小企業、ここを非常に、中小企業庁をつくって、そして一生懸命対策を講じております。そういう中でそういった円安が進んだ場合に、中小企業に対して悪影響が出ないような形でいろいろな対策はきめ細かく講じていかなければならない、このように思っています。
#96
○円より子君 先ほど不良債権処理について、橋本元総理が、あの時点でバランスシートから消しておけばというふうなお話をしていらっしゃいましたが、私も国会議員になった一九九三年の十二月ごろに兵庫銀行がつぶれるかもしれないというような情報を得まして、いろいろ大蔵省やまた総理、そのとき細川さんでしたので問い合わせたりしたのですが、そのとき不良債権は全く公にはされておりませんでしたが、十二、三兆円あるんじゃないかと。そのときに早く処理をしておけばこんな状況にはならなかったんじゃないかと、一国会議員としてじくじたる思いがあるのですが。
 本当に不良債権の処理が遅過ぎたとは思うんですが、今この不良債権処理について柳澤大臣は直接償却で処理なさるというおつもりらしいのですが、もっとこれは早くおやりになるべきだったものではなかったのかという気がします。今からでは遅過ぎないのか、今これからどういう対策をおとりになるのか、教えてください。
#97
○国務大臣(柳澤伯夫君) 不良債権の処理、これはもうここでたびたび申し上げておりますように、金融機関が金融機関だけで債権を評価して、まさかのときに備える引当金を充てることによって処理をしている、こういう処理の仕方と、それからバランスシートからそれを外すということの方式、この方式の中には売却をしてしまうという方式、それからもう一つは相手方との間で、つまり貸出先との間で何らかの交渉、話し合いを持って、かくかくしかじかということにしましょう、そういう将来計画が確実に必要になるだろうと思うんですけれども、そういうことでこれを、それじゃ債権は私どもとしてもうあなたに対してこの部分持たないようにしましょう、そういうやり方、それから裁判所から言われて、もうあなたのところのその割り当てというか配当はこれだけですよと言われて、これはやむを得ないということで、その割り当て以外の部分を切り落としてしまう方、いろいろあるわけでございます。
 このオフバランスというか不良債権の処理を怠ってきたのではないか、こういうように言われますものですから、私がこの仕事を担当して以後どういうことをやったかと申しますと、実は平成十一年の例えば三月、私、十年の十月二十三日に就任して、再生委員会が発足したのは十年の十二月二十三日だったと思うんですけれども、それでいろいろ健全化法と再生法を動かしていったわけです。
 そのときに、経営健全化計画というものを提出させて資本注入をしたわけでございますが、そのとき私は特に命じまして、この不良債権のオフバランス化というものをやったところに対してはこれを評価するというような仕組みでの資本注入をしなさいということを、特にこの問題の企画に当たった職員に実は私、指示を出してございます。それに基づきまして、健全化計画の中にはこの直接償却の関係の計画というものが項目として掲げられるようになっているわけでございまして、これあたりの問題について、何ら認識もなくうかうかと時を過ごしたというのはちょっと当たらない、そういう事実に徴してもそういうことで言い切られてしまうというのはちょっと事実に反しているではないか、こういうように思うんです。
 そこで、事実はどうだったかというと、実は、たびたびここでも申しましたように、六十八兆円の直接償却等のオフバランス化を実はしておるわけでございまして、これはこれなりにかなり評価をすべきことではないかと私は思っております。
 それにもかかわらず、不良債権の残高が減っていない。これは金融機関に言わせますといろんな言い方をして、どんどんこれを不良債権ですよという認定の基準というのが拡大していったものですから、それに該当する債権が多くなってしまったというような面もあるんですよというようなことも、例えばの話ですけれども申すわけでありまして、それはそれなりに実は当たっているわけでございます。
 それやこれやいろいろあるんですけれども、今度私が何がゆえにこの不良債権のオフバランス化というものをもっと重視して、そういう方法での不良債権の処理というものに力を入れるべきではないかと言ったのは、一つは、金融機関の収益力というものが不良債権を抱えているとどうしてもこれは低下してしまうということ。そうすると、株価が少々下落したからといって、株式をそんなに持っていること自体も問題なんですが、持っているということを前提にした場合、株式相場が少々低落したことによって、配当がどうだとか、あるいは自己資本比率がどうだとかと言われるようなことは一体何なんだと、そんな脆弱な体質でいつまでやっているんだということが一つです。
 それからもう一つは、やっぱり先ほど冒頭、円委員が御指摘になられたように、日本の経済というものがここしばらく低迷しているわけですが、どうもいろいろなものをねらい撃ちして、その要因とされるものに対して政策を打っているにもかかわらず、どうもそれがはかばかしい成果を上げていない。一体どこに原因があるんだということの中で、やはり私が担当している金融機関の不良債権というものが、そのすべてとは言わないまでも、かなりというか一部そういう日本経済全体の不振の要因になっているとしたら、これは放置できない問題ではないか。
 これは実は経済白書でも言っているんです。言っているし、最近では通産省の、平沼大臣いらっしゃるんですけれども、経済産業研究所の若手の職員が書物を出されたようです。私は、そのレジュメとしての雑誌の論文を見ているわけですけれども、しかし、これにおいて、やっぱり金融機関の持っている不良債権というのが日本経済の足を引っ張っているということを、これはかなり、データまで私まだ見ていないんですが、実証的に自分たちとしては研究した結果そういう結論に達したということを雑誌の論文にお書きになっておりまして、私もそれを見せていただいたりしております。
 それは、私がここで、私はそう思いますとまで私言うつもりはありませんけれども、それやこれや、やはり不良債権の問題というのが日本経済全体の今日の低迷の要因に一部なっているとしたら、私はこれに対してきちっとした対応をするのが自分の使命を果たすゆえんだと、このように考えたということでございます。
#98
○円より子君 私は、直接償却というのはもっと本当に不良債権が少なかったときにやっておくべきだったかなとも思いますし、大体不良債権が毎年毎年ふえて情報公開がきちんとされなかったことも問題だと思うんですが、十九日に柳澤大臣は、日本の金融システムは、株価の急激な低落も銀行の自己資本比率には余り響かないとか、三月危機はしのげるというふうにおっしゃっていらしたと思うんですけれども、不良債権の直接償却をしても響かないというふうにおっしゃっているんですが、私は今、銀行はただ不良債権を抱えているから、もちろんそうですし、それから自己資本比率がなかなか、八%という厳しいものをもっと、国内銀行でも四%で済むところが八%を達成しようとしたりということで、大変経営者もみんな萎縮しておりまして、やはり経済の方の回るようにはなっていない。
 日銀が幾ら金融を量的緩和なさっても、川の上の方だけしか水がたまっていなくて全く下にはおりてこないという、じゃぶじゃぶ量的緩和はしているのに何の効果も上げていないという、そういう状況だと思うんですが、そういう中で中小企業等がどんな状況になっているか、平沼大臣からちょっとお伺いしたいんですが。
#99
○国務大臣(平沼赳夫君) お答えをさせていただきます。
 最近の中小企業をめぐる金融環境については、平成十年に未曾有のいわゆる信用収縮が起こりました。そこで、貸し渋りという問題が大変大きな問題に相なりました。その中で、経済産業省といたしましては、当時は通産省でありましたけれども、いわゆる特別保証制度、そういうものをつくって、そしてこれに一生懸命対応してきたところであります。
 この貸し渋りというのは、その十年のころから比べますと大分改善されてきたことは事実でございまして、中小企業庁が毎月実施している貸し渋りの度合いというもののデータによりますと、平成十年には非常に貸し渋りが厳しい、こういう回答が三五%ございましたけれども、これが本年の二月には一九・七まで下がってきているわけです。
 さらに、経済産業省では、ことしに入りまして中小企業庁幹部を各地域に派遣いたしまして、そしてみずから各地域の金融機関へのヒアリングを行って金融情勢の実態把握に努めてまいりました。実施した期間は本年の一月十九日から三月二日まで、そして全国二十八府県に対して行いまして、相当詳細に調査をいたしました。
 これによりますと、現状、中小企業の資金需要は今の景気の実勢を反映しておりまして概して弱いわけでございます。設備投資に関して言いますと、企業は自己の資金の範囲内で行われている、こういう実情が浮かび上がってまいりました。また、金融機関というのは、これはある意味じゃ当然ということかもしれませんけれども、業績の比較的よい中小企業には積極的に融資をしている、しかし業績の芳しくない企業に対してはより条件が厳しくなっているという、こういうことで、二極化が行われているという実態が明らかになってまいりました。
 こういった実態を踏まえまして、当省といたしましては、期限到来まで特別保証制度の適切な運用に努める。これは、本年の三月末で御承知のように異例、特例の措置ですから期限が来るわけですけれども、既に百五十万件以上対応させていただいて、そして保証した実績も二十七兆円以上にそういう形で保証をさせていただいたところであります。
 一つは、こういった特別保証の期限到来を踏まえまして、昨年十二月に講じた信用保証に係る制度の運用の改正の趣旨を今そういう中小零細企業の皆さん方に周知の徹底をしておりますとともに、年度末になりますので、円滑な中小企業への金融、これは今、上の段階ではじゃぶじゃぶあるけれども下におりていないじゃないかと、確かにそういう御指摘でございますので、円滑な中小企業金融への配慮を求むるべく、政府系中小企業金融機関、信用保証協会、その関係機関に対して私から指示をきめ細かく出させていただきました。
 それからもう一つは、各財務局、各都道府県との共催で地域融資動向に関する情報交換会を都道府県別に三月中に開催しまして、各地域ごとの異なる実態把握に努めて、そして、やはり各地域でいろいろあれがございますから、きめ細かく対応させていただこうと。
 そういう形で、私は機会あるたびに、例えば経済財政諮問会議においても、そういう中小企業の今申し上げたような実情がございますから、やはり一部分だけの金融緩和じゃなくて、そして本当にお金が必要な、そしてその融資によってさらに新規の産業が創設されるかとか、あるいはいい部門がどんどん伸びるような、そういうことを機動的に行っていく、そういうことで私も今まで積極的に発言をし、これからも一生懸命取り組んでまいりたいと、このように思っています。
#100
○円より子君 今、量的緩和についてお話を少しさせていただきましたけれども、日銀総裁にお伺いしたいんですが、再びゼロ金利に近い形になりまして、このゼロ金利のことについては予算委員会で宮澤大臣から、そんなシーラカンスのような話はなんというふうにお答えいただいたことが何年か前あったのを思い出しますけれども、実際にシーラカンスのようなと言われたゼロ金利に近い状況が長期にわたって続いているわけですが、またさらに昨日ですか、量的緩和を決定なさったというようなことで、私は、量的にはもう十分この何年間か緩和されていると思っているんですね。それが全くダムの下の方には行かない、そのことが一番の問題であって、今さら量的緩和をなさっても土地も株も大暴落して一千兆以上も失ったこの今の状況の中では余り効果がないんじゃないか、それをもっと流動化させるにはどうすればいいのか、そのあたりをぜひお聞かせいただきたいと思うんですが。
#101
○参考人(速水優君) お答えいたします。
 昨年の八月にゼロ金利解除をいたしました。それ以降の景気動向を見ておりますと、解除後ずっと株はもう上がっていったんです。生産、GDPの動きなどから見ましても、昨年内は我が国経済の緩やかな回復基調は続いていたと思います。しかし、昨年の末以降、内外の予想を上回る米国経済の急落、急激な落ち込みが起こって、それを背景にして景気回復テンポが鈍化し始めたと思います。このところそれがずっと足踏み状態で続いているというのが現状だと思います。また、先行きにつきましても、ここしばらくの間は停滞色の強い展開が続くんじゃないかというふうに予想されます。
 今週月曜日、三月十九日の政策決定会合におきましても、こうした情勢判断に基づいて今どういう政策を打ち出すのが一番適当であるかということを一日がかりで議論いたしまして、四つ項目だけ申し上げますけれども、四つのことを決めたわけでございます。
 一つは、金融市場調節の今まで主たる操作目標を、無担保コールレート、翌日物の、オーバーナイト物コールレートを〇・一五にするということを目標にして調節していたわけですね。それを日銀の当座預金残高に変更したと。これによって、〇・一五をゼロにしてもそんなに金融が緩んだという感じにはならないんですね。ところが、日銀の当座預金を四兆から五兆円にふやすということは、それだけの金を出してそれを使ってくれよと、こういうことになっていきますから、ゼロ以下になるような場合にも資金の量だけは供給できるわけですね。
 それと同時に、市場というものは信頼のあるところへは安い金利で貸すし危ないところへは少し金利を高くするというのは、これは当たり前のことだと思うんですけれども、それが資本主義経済だと思うんですけれども、そういう市場機能というものを残したままで量的に十分なものを出していこうということで、目標を、翌日物のコールレート〇・一五というのを変える。これは、もう金利は市場にお任せする、しかし必要と思われるときに量は出しますよということに切りかえたわけです。
 それから二つ目は、新しい金融市場調節方式を、消費者物価が前年比上昇率がゼロになるまで、物価が前年よりマイナスだという今の現状が安定的にゼロ以上になるまで続けますと、そんなすぐにはやめませんよということをそれで市場や内外に知らせたわけです。
 それから三つ目は、日銀の当座預金残高を、先ほど申しましたように、今まで四兆円ぐらいが大体の平残なんですが、それを一兆ふやして五兆円にふえるようにいたします。きょうは国債決済の日ですから五兆五千億ぐらいまで行っております。金利の方は〇・一五から〇・〇六ですか、〇五とか〇六、その辺まで来ております。
 これが三つ目で、四つ目は日銀当座預金、そういう資金はどうやって供給するのかということにつきましては、長期国債の買いオペ、これ今、毎月四千億ずつやっていたわけですね。それで、考え方としては、銀行券がふえるのに見合って国債を買っていこうじゃないかということでずっと続けてきて、それが大体月四千億ということだったんですが、今のところを見ますと、日銀券の発行高が五十五兆円ぐらいですけれども、長期国債の保有残高はそれよりも十兆円近く少ないわけですから、銀行券の残高ぐらいまでは必要なときに長期国債買いオペをやっていくというようなことを公表いたしまして、内部でそれを決めまして、内外に報道したわけでございます。
 これは少し技術的なことになりますけれども、こういう措置は、日本銀行としましては、物価が継続的に下落することを防止して、そして持続的な経済成長のために基盤を整備していくことが必要だと。特に構造改革がこれから民間主導で始まっていけるように、そのときに今の金融、不良債権の問題にしてもそうですが、いろいろ痛みも出てくるわけで、そういうものをうまく金融サイドで支えていけるように断固たる決意を持ってこれだけのことをやりますということを決定いたした次第でございます。
 ですから、私どもとしては、金融が先に立っていろいろやることはできませんけれども、やるだけのことはこれまでもやってきたわけですけれども、今必要なことに若干政策の変更をさせていただきまして、そしてこれから起こるであろう構造改革の前進を期待したいということでございます。
#102
○円より子君 宮澤大臣にお伺いしたいんですが、やはり私には、幾ら五兆五千億円というお金が銀行の方にあれしても市中に出回るという形になっていないような気がして、それはじゃどのようにすればよろしいんでしょうか、流動をさせていくということは。
   〔委員長退席、理事須藤良太郎君着席〕
#103
○国務大臣(宮澤喜一君) これはむしろ日本銀行総裁の方がお答えになられる問題だと思いますが、従来、どれだけ金を積んでも資金需要がなければどういう意味があるんだということは、日本銀行の内部でもいろいろ議論せられたところであったと思います。
 しかし、今回のように、総裁が金利を目的とせずに、その当座の額を今五兆五千億円とおっしゃいましたでしょうか、従来が四兆であるとすればかなり大きな増し積みになります。しかも金利がゼロでも積めるはずだと、そうおっしゃっていますから、それだけのことを積み増すと、やはりそこは十分外部者にわかりにくいんですが、市中銀行としてはそれだけのものをただ置いておくということは、これはいかにも、何と申しますか、貸し出せば金利は取れるわけでございますし、いろいろな方法があるだろうと。実際にそういうインセンティブとなって働く、しかも足りなければ日本銀行は積むと言うのでございますから、それが枯渇することはないと。そういう状況の中で、どちらかといえば下がりぎみであった物価を支えるという効果があるのではないだろうかと。
 基本的に、委員のおっしゃいますように、資金需要がないときに、つまり馬が水を飲みたくないときに飲ませられるかみたいな話の一部であるのかもしれませんが、しかしここまでやれば確かに銀行としては仕事をしなければそれだけのチャンスを失うというところになってくるんじゃないかなと。これはしかし、日本銀行総裁の方がもっと機微なところを御説明になれるのではないかと思います。
#104
○円より子君 それでは、今のところをもう少し、どうすれば流動化するのか、日銀総裁、お伺いできますでしょうか。
#105
○参考人(速水優君) 今回の措置がどういう格好でどういう効果を持っていくのかという、これはよく言われます量的緩和の一つのやり方、一つの種類だというふうに申していいと思います。今回の措置のもとでコールレートがゼロ近辺になる日が多分多いだろうと思います。明確なコミットメントで強力な時間軸という、いつまでこの出し方を続けていくかということもはっきり決めたわけでございます。そういうことで、長いものも短いものもそれぞれ金利は下がっていくと思います。長期の国債や中期の国債なども下がっていくと思います。
 また、日本銀行の物価下落の防止に対する断固たる決意を示すことによりまして、内外に、家計にもそうでございますけれども、これはしばらくこれが続くぞということを不安感なしに持っていただきたいと。金利が少し下がることは家計には本当にお気の毒なことだと思います。しかし、物価を安定させるということも大事なことですし、そのことによって経済が前進していく、企業が動き出すわけですから、そこのところはもうしばらく我慢していただいて、金利は安いけれども物価は安定させるようにしますよということをこれで実現していきたいというふうに思っております。
 中央銀行の当座預金の量をふやすということは、通常はほかの資産へシフトしていくことを通じまして長短の金利水準とか株価ですとかあるいは為替レートに何らかの影響を与えていくと思います。きょうのところは株価も少し上がっておるようでございますけれども、実体経済活動に働きかけていくことを私どもは期待しておるわけです。ただ、金利を通じるルートにつきましては、既に長短の金利水準が非常に低くなっておりますために、この面からの追加的な影響というのはかなり限られていく可能性はあると思っております。
 また、金融機関の信用仲介機能、これが低下しているもとでは日銀当座預金をさらに増加させることの効果についても必ずしも確実とは言えない面もあると思います。しかも、この金利低下余地をほぼ使い尽くしてしまった中で、景気を強化していこうということになりますと、先ほど申し上げたような効果に期待しながら今回の措置に踏み切ることが必要な局面ではなかったかというふうな決断をしたわけでございます。
 これで御説明になっていたかどうかわかりませんけれども、もうしばらく市場の動きをよく見ていていただきたいと思います。
#106
○円より子君 先ほど宮澤大臣は資金需要がないというような、水を飲みたくない馬に飲ませられないというようなことをおっしゃいましたが、私は銀行は、銀行はというか産業界では資金需要があると思うんですが、銀行が本当に自己資本比率のことや、また株価がまた下がれば当然、今ちょっときょうは上がったかもしれませんが、円安とかを受けてどんどん自己資本比率が下がりますし、そうした中で本当の意味でこれから起業をしようという人や、それから今までメーンバンクとしてつき合ってきた人たちに対して引き揚げてそのまま貸さないというような状況が続いておりまして、そうしますと国債ばかり、つまりリスクテークをとらないで済むように国債だけを買っている。国債が、今銀行が買っているのはどんどんふえておりますけれども、そういった銀行が萎縮しているような状況だと思うんですね。
 そういうときに、また体力もなくなっている銀行や生保に直接償却をするともう体力の限界でハードクラッシュになるんじゃないかと思いますが、宮澤さんとそれから柳澤大臣、こういったハードクラッシュにならないようにするために、また銀行が今どういう状況にあるのか、金融庁の方はその辺をきちんととらえられて、萎縮しているかどうかのあたりも見て、金融庁の調査でますます萎縮していらっしゃるところも多いようにも聞いておりますが、どのように直接償却を、本当にお進めになっていいのか、お話を聞きたいと思います。
#107
○国務大臣(柳澤伯夫君) 貸し出しは、これは日本銀行の統計を見ましても縮小幅が減少したという、ちょっと頭が混乱するような表現なんですけれども、縮小はしているけれどもその縮小のスピードが鈍化している、こういうような状況で貸出残高が縮小している、減少しているということはまだ続いておる、こういうことなんです。
 これが貸し渋りによって縮小しているのか減少しているのか、あるいは本当に資金需要がなくて減少しているのか。
 これは、今度は経済産業大臣の方の統計を見ますと、金融機関の貸し出し態度は変わっておりませんよ、あるいは厳しくなっておりませんよというふうな人たちが平成十年のころに比べてはるかに、いや、厳しくなっていますよというような人たちが少なくなっているわけですね。
 そういうことからいうと、この貸出残高の減少というのは、どちらかといえば、それはもう欲しい資金の需要があるところにお金が行っていないということが、ゼロとは言いませんけれども、しかし大宗のところではそのお金が、融資を受けたいというその意欲が今弱くなっているということのために貸出残高が減ってきている、こういうふうにその二面からいってとらえられる、こういうわけでございます。
 しかし、今、円委員が言われるように、間接償却をやっていますと貸すに貸せられないという面も率直に言ってあるわけでございまして、これをむしろ貸し出すような方向に誘導していくにはどうしたらいいかというと、やっぱり前から申しますように、稼働して収益を上げようとしている、また上がるであろう部分、部門と、そうでない、これはまあちょっと将来の展望をしてみても余り有望な部分ではないなと、こういうような部分の切り分けをして、そしてこちらをもう思い切って切り捨ててしまって、そしていい部分だけ、有望な部分だけにして、そしてそれに対する融資残高というものがあれば、これについてはある一定の条件のもとで、むしろいい債権という区分にして金融機関としても貸し出し得るような、そういう条件を整えることによって両方が、もっと貸し出しもふやしてもらって仕事もしたいというものに対してはいいですよと言えるような、そういう環境をつくっていくということが必要なのではないか。
 こういう考え方から今度のオフバランス化ということを進めるということでありまして、オフバランス化をすると倒産がふえる、あるいは失業者がふえるというようなことを一概に言うんですが、私は、既にもうそういう不稼働部分というのに人がそんなに雇われているんだろうか、そういうようなことを考えますときに、これをやることによって新たに失業が大量に発生してくるということについては、私自身、本当なんだろうかと思っていますよということをかねて申し上げてまいったわけです。
 そうしましたところ、今月の文芸春秋に載っている「日本経済の罠」という、経済産業省の若手研究員がまさに同じことを言っていまして、そういうイメージをここではっきり捨てさせないといけない、修正させなきゃいけないとまで彼らの論文では言っているわけでございます。私、先ほども申したように、彼らの論文がすべて正しいなどとは申しませんけれども、もうオフバランス化イコール弱い企業の切り捨てだ、失業者が大量に発生するというようなマイナスイメージじゃなくて、先ほど言ったようなプラスイメージでこの問題をとらえていただける面もあるんではないか、このことを申し上げたい次第です。
#108
○円より子君 私もその小林さんの論文を読んでもいますし、お呼びしてお話も聞いておりますけれども、どうも私は、皆さんそれぞれにもちろんこの国のことを考え、そして人々の生活のために働いていらっしゃることはよく存じておりますし、こういった不況のときにあっては与野党関係なく本当に力をお互いに出し合わなきゃいけないことも重々承知しているんですが、どうも核心に触れたような形になっていなかったり、おくれていたりとか、いろいろもう問題が出てきているということがあると思うんですね。
 そういった中で、私は、今のこの不況というのは、先ほどから下落率の表をお見せしてお話ししておりますが、土地問題に真正面から取り組んでこなかったことに最大の原因があるんではないかというふうに思っておりまして、日本経済の活性化というのはもちろん不良債権の処理に尽きるんですけれども、法的な処理ではきつい部分もあったりして、その辺、民主党などとちょっと私違うかもしれませんけれども、民主党にいながら、経済産業省の平沼さんが法的処理じゃなく不良債権の処理について言及なさっていたように思うんですが、ここ一両日、どこか、違いましたでしょうか。ちょっとその件についてお話しいただけますか。
#109
○国務大臣(平沼赳夫君) 先ほどのお話に関連いたしますけれども、今、中小企業に対しては、先ほどの調査結果でちょっとお話をしましたけれども、非常にいいところには金融機関は融資をする、こういう状況になっていまして、悪いところには貸さない、こういう状況になっています。
 そういう中で、私は基本的には、ちょっと御質問にお答えする前に申し上げたいことは、非常に不良債権を抱えていても、いい部門があるとか、そういうところにはやっぱりそこに着目をして積極的に融資をするということであれば、私は貸す先はたくさんあると思うんですね。また、それを待っておられる企業の方々もあると思います。
 ですから、私は、政府系金融機関に対しては、土地担保主義ということはそれは大切なことだけれども、そればかりではだめだと。その企業の将来性だとか、あるいはまた経営者の姿勢、そういうことに着目して融資をすべきではないか、こういうことも政府系金融機関には私は督励をいたしました。
 それから、不良債権処理についてのあれでございますけれども、不良債権処理というのはやっぱり私はしていかなければならないことだと思っています。これは柳澤大臣からも、この不良債権処理をちゃんとしない限り経済を安定的軌道に乗せる、こういうことはできないので、やはり国土交通省や我が経済産業省と連携をとりながら、こういう形で今審議官レベルで、御承知かと思いますけれども、四回ほど会合をさせていただいて、いろいろ突き合わせをさせていただきました。
 その中で、今一つの法律で、産業再生法というのがございますが、この産業再生法というものをやはり少しうまく運用をしながら、そしてこのいわゆる不良債権処理をしていこうと。これはDIPファイナンスなんかにも絡むことでございますけれども、そういった形で、実はけさ私は閣議後の記者会見の中でその経緯を説明させていただいて、法改正をしなくてもその運用に関して省令の改正、そういったことで対応できる。ですから、そういう機動的な形で不良債権処理を推進していくために、私どもは経済産業省としてはやるべきことはやっていこうと、こういうことで申し上げました。詳細は、きょう記者会見をさせていただきましたので、もう先生のお手元にあると思いますけれども、そういったことを骨子としてやっていきたいと、このように思っています。
#110
○円より子君 確かに私も、銀行が土地を担保にしてだけ融資してきた、そのことは変えなきゃいけないと思っているんですが、ただ、本当にその土地神話に対するアレルギーがこのバブルのとき以降日本人には大変強くなり過ぎたように思うんですね。
 歴史を振り返りますと、秀吉の太閤検地以来、日本は四百年にわたって土地が我が国の基本担保であったわけです、こんなことは皆さんはよく御存じと思いますが。この土地を担保にして信用創造をしてきた先人の知恵を私たちは余りにもグローバリズムということに反しているということで一挙に捨ててしまったというか、急激に土地神話、土地問題を放置した、そのツケが今噴出しているのが今の厳しい状況になっているのではないかと私は思うんです。
 失われた十年にそれもつながったんだと思うんですが、過ぎたるは及ばざるがごとしという言葉もありますけれども、何事も余りに急激にそういった土地に対する問題を何もかも放置してきたことというのが、土地の付加価値を取り払い過ぎたことがどんなさまざまな政策を皆さん方がお考えになってももう日本の経済がなかなか立ち行かない原因なのではないかというふうに思っておりまして、経済問題については最後に扇先生にお話をお聞きしたいことと、それから宮澤大臣には、一番最初に設備投資は回復しているのになかなか個人の方に行かないと、私もずっとGDPの六〇%を占める個人消費をとにかく刺激することが大事だということはもう重々わかっておりましたが、なぜ今個人消費に向かないのかのあたりをもう一度お話しいただきたいと思います。扇先生からお願いします。
#111
○国務大臣(扇千景君) 先ほども私がお答えしましたように、株価と土地の相関性というものが果たして那辺にあるかという、私は大事なことであろうと思いますけれども、私の担当でございますので国土ということから考えさせていただきますと、先ほど申しましたように、不動産の流動化ということを先生がおっしゃいましたけれども、私はまさにそのとおりだと思いますので、先ほど申しましたような虫食い状態のところを一括しますとか、あるいはまた先ほどSPCの問題は通商産業大臣からもお話がございましたけれども、今回も、先ほど金融担当大臣からお話ございましたように、柳澤先生がおっしゃいましたように、金融再生と産業再生の一体的な連携ということが必ず必要であるということは、私どもとしましては金融庁と国土交通省、審議官同士でこれを流動化に関して話し合おうということで、話し合っている最中でございます、現段階。
 その中で言えますことは、先生も既に御承知おきかもしれませんけれども、少なくとも私ども与党三党の緊急経済対策ということの中でも、私どもはこの金融庁と国土交通省の中でも特に大事であると思いますのは金融機関の不良債権問題、これはやっぱり大きな問題でのしかかっておりまして、その件に関しましては、私は産業再生法の改善の活用がありますとか、あるいは債権放棄の際の税務上の処置をどうするか、そういう明確化にするべきであるということ、または再建途上の企業への融資の充実、これは先ほどおっしゃいましたDIPでございますけれども、そういうことに対して民事再生法でございますとか会社更生法など、いわゆるゼネコンの再建ということも言われまして、ゼネコンの不良債権はどうなるかということも今、先生がおっしゃった土地の問題と、それからゼネコンの不良債権と、株価までは言いませんけれども、その土地再生とゼネコンの問題とのリンクというものが、私ども国土交通省では大変問題になっておりまして、これ先生の御質問の中でもございますけれども、私は民間の都市開発推進機構というものの中で、私は土地の取得あるいは譲渡に対します業務というものをいかにあるべきかと、先ほどからも、きのうからもお話がございましたね。
 ここで譲渡益の緩和とかあるいは容積率の緩和とか、あらゆる手法がございますけれども、私は、今、先生がおっしゃいましたように、あらゆる問題で我々は今この時期には総合的にすべてが知恵を出し合って対処しなければ二十一世紀が大変なことになると思っておりますので、先生が先ほどから御指摘になったあらゆる面と、先ほど先生が党派を超えてとおっしゃった今の状況は、あらゆる知恵を出し合って、私は、この民間の都市開発推進機構というものを利用いたしまして、都市の再開発も含めてあらゆる手を打っていくというのが現段階の取り組みでございますので、いましばらく、総合的な各省庁の連絡をいたしておりますので、少なくとも今月いっぱいと決めておりますので、新たな方策を皆さんの前にもお示しできると思っております。
#112
○国務大臣(宮澤喜一君) お尋ねは、家計の伸びがないのはなぜなんだろうということでございます。
 私もできるだけ統計を見るようにしておりますが、それがなかなか十分でないところがいろいろございますが、しかし押しなべて見れることは、一つは収入がふえていないということでございます。収入がふえていないということはかなり決定的なことでございますが、なぜふえていないか。企業はかなり採算はよくなっておりますから、普通であればこれは働く人の収入にはね返らなければなりませんが、はね返っておらない一つの理由は、企業が多分過去の債務の返済に相当な部分を使っているだろうということでございます。
 それよりもっと根本的なのは、やはりここでIT以来日本の雇用慣行というものが恐らく変わりつつあって、年功序列だとか終身雇用とかいうようなことがいろいろ変わってきている状況の中で、労働側もなかなか、賃金要求よりはやはり雇用が大事でございますから、賃金要求に強く出にくい状況というものが背景にあって、これが私は企業がよくなったら必ず家計がよくなるだろうと思っていました従来のパターンと明らかに違っております。おくれておるということでございます。私は、しかしそれでもそれはいつか来ると思っておりますのですが、それが一つ。それは収入が基本的に思うようにふえていないということ。
 今度、次は、その中で限界消費性向がふえていない、これはまた違う話でございます。限界消費性向がなぜふえていないかということは、よく世の中では将来についての不安があるからである、殊に社会保障、それは私はそのとおりだろうと思いますが、もう一つの不安は、収入がふえていない、先々ふえそうだということがちょっとまだ見えないということからくる不安があるのだろうと思いますので、つまり、そういう意味では収入がふえ始めたら少し限界消費性向も一緒に上がっていくのではないかと思いますことと、もう一つは、消費そのものは同量であったとしても、いわゆるユニクロ効果というものはこれは明らかに楽になることでございますので、これは私はやっぱり大局的に見ていいことだと考える方が本当であろうと思いますものですから、それをどうかしようというのは政策としては誤りだと思いますが、そういう部分があることも事実でありましょう。
 したがって、もう一遍申し上げますと、収入がどうしたらふえ始めるかということ。ことしの春闘、よくわかりませんし、口を突っ込むつもりではございませんが、少しぐらいよかったかもしれないと言われておりますが、収入がふえていくことと限界消費性向がふえていくことと、これは私は時間の問題で、必ず来ると実は思っていながら期待したほど早く来てくれていないというのが現況ですが、現状は今のように分析しております。
#113
○円より子君 専門家の方々がそういうような今までの分析なさっているのはよくわかるんですが、多分今のそういった流れになかなかならないのは政治に対する不信、もちろんそれは私も含めた政治家すべてに対してだと思いますが、そのことや、また年金や生保やそういったものが、保険までだめになっていくというような将来に対する不安感や、さまざまなものが私は影響しているんじゃないかと思うんです。扇大臣がいろいろこれから土地問題やってくださるようですが、ぜひとも、これはバブルのときのようなただ土地神話で上がるあれではなくて、人々がこれから結婚して子供を産んで、子供たちを何人も本当にいい環境の中で育てられるような、そういった住宅政策や都市政策、そういったものをやっていただきたいと思うのです。
 そこで、少子化の方に移りたいと思いますが、坂口厚生労働大臣にお伺いしたいんですが、今、山形県では女性の労働力率は六二・八%、これが一位なんです。二位の福井が五五・六%という形で、一番下が神奈川、二一・三、大阪が二二・一。都道府県で随分差があるんですね。
 これは六歳未満の子供を持つ女性の労働力率なんですが、そうしますと、私は、M字カーブの谷のところがなかなか日本は上に上がって台形にならない。女性の労働力率を高めれば潜在経済成長率も上がるんじゃないかと思っているんですが、女性の働くことについて、またそれが経済に及ぼす影響、そしてどういうふうにすれば働きやすい環境づくりができるかについて御答弁いただきたいと思います。御所見をお伺いいたします。
#114
○国務大臣(坂口力君) また具体的な問題につきましては事務当局から答弁をさせるといたしまして、いずれにいたしましても、今御指摘をいただきますように、女性の生涯における雇用を見てみますとM字カーブを描いていることは間違いございませんし、日本にそれは特有の現象であることも事実でございます。
 そういたしますと、やはりお勤めになっている女性の皆さん方がいわゆる出産ということによって仕事を放棄しなくてもいい環境をつくり上げていかなければならないことだけは紛れのない事実でございまして、そのためのやはり保育の問題をどうするか、現在の保育の問題も、現在の状況だけではなくて、延長保育の問題でありますとか、あるいはまたゼロ歳児、一歳児の保育の問題でありますとか、そうしたことをよりきめ細かくこれからやっていくということがより大事な時代になってきたというふうに思っております。
 それにいたしましても、中には一年間なら一年間休んでいわゆる育児休業をとりたいという、そういう皆さんもお見えになるわけでありますから、そのときに企業あるいはまた社会全体がその人たちの思いというものを受け入れるやはり意識改革というものもあわせてなければならないわけでありまして、それに対する意識改革のあり方というものについてもかなり力を入れていかないといけないというふうに思っているところでございます。
#115
○円より子君 今、育児休業の話が出ましたが、男性の育児休業の取得率はどのくらいになっていますでしょうか。
#116
○政府参考人(岩田喜美枝君) 育児休業法は平成四年に施行されましたけれども、その直後の平成五年は育児休業取得者に占める男性の割合が〇・二%、そして直近の数字は平成十一年でございますが二・四%、若干ふえていると言えるかもしれませんけれども、極めて低い数字でございます。
#117
○円より子君 この男性の育児休業をふやすにはどうすればいいと坂口労働大臣、お思いでしょうか。
#118
○国務大臣(坂口力君) 適当な処方せんを持ち合わせておりませんけれども、しかし、先ほど申しましたように、ここはやはりみんなで意識改革をする以外にないわけでありますから、そこをどういうふうにしていくかということになるんだろうというふうに思います。
 男性もこれだけは育児休業をとってくださいと強引に決めたといたしましても、非常に気まずい思いの中でやらなければならないとか、それからそれをすることによって、その後の昇給だとか、いろいろのことに差しさわるというようなことでは何にもならないわけでありますから、そういう男性が育児休業をとるということになっても、そのことが評価をされるというふうにはしなければならない。そこは整理をしなきゃならないというふうに思いますが、しかし、そこまではしないけれども、何となく冷ややかな目で見られる、冷ややかな視線を浴びながら休んでいなきゃならないというのも、これもなかなか難しい問題でありますから、そういうこともなくしていかなければならない。その辺のところをどうしたらいいかというのは、円先生のひとつ御高説を拝しながら考えていきたいと思います。
#119
○円より子君 女性も冷ややかな目で見られながら子育てと仕事を両立してきたわけでございまして、ちょっと今、高説と言われても、私の考えを述べていると時間がありませんので、また議論をさせていただきたいと思います。
 パパクオータということを何年か前に私がいろんなところでお話ししましたら、結構男の方は何だそれはという反応が多かったんですが、今回、森総理がパパクオータをぜひ推進したいというように新聞に書かれていたと思うんですが、坂口厚生労働大臣はパパクオータについてはどう思われますでしょうか。大臣に。
#120
○政府参考人(岩田喜美枝君) パパクオータにつきましては、北欧諸国にその例があるようでございまして、私どもも勉強させていただいております。また、今般、政府が育児・介護休業法の改正案を提案いたしておりますけれども、民主党の方で対案の中でパパクオータの構想を盛り込むように検討なさっているというふうにも伺っております。
 これは、父親が育児休業をとることを、取得するために何らかのメリットを法制上与えるという仕組みのようでございます。大いに勉強させていただいているところでございますが、私どもとしましては、当面は、先ほど大臣の答弁にもございましたように、男性が育児休業を取得できない理由、大きく分けて二つあると思うんですね。一つは、育児は女性の仕事であるといったような伝統的な役割分担の考え方、そしてもう一つは、これは男性も女性もでございますけれども、育児休業をとりにくいような職場中心の生活あるいは職場の慣行、雰囲気、こういうものが最大の障害であるというふうに思います。
 そこで、これらを改革していくというんでしょうか、変えていくために、今回の育児・介護休業法の改正案の中でも、政府は必要な意識改革に取り組む、そういう責任を負うんだということを盛り込んでおりますので、これに基づきまして職場の意識の変革のための啓発活動を政府としてもやってまいりたいというふうに思っております。
#121
○円より子君 保育園というのが女性も男性も働きながら子育てをきちんとしていくためには大変重要なものだと思うんですが、最近、スマイルマムですとか、それからこの間、ちびっこ園とかで同じベッドで寝ていた四カ月の子が八カ月の子の下になって死んだり、またスマイルマムでは虐待死事件が起きましたが、こうした無認可保育施設で事件が起きたところというのは、例えば大和市ですと、保育される子供たちに対しての保育所の定員比率というのが大変低いんですね。大和市の場合は七・九%という低さなんですが、保育所定員比率が二〇%以下の都道府県というのは幾つぐらいあるんでしょうか。
#122
○政府参考人(岩田喜美枝君) 今の、大変申しわけございません。ちょっと事前にお伺いしておりませんでしたので……
#123
○円より子君 通告してあるんですが。
#124
○政府参考人(岩田喜美枝君) 手元に今その数値がございませんが、保育所に入所をしております児童が認可外の保育所にどのくらい入っているかという、こういうお尋ねでございますでしょうか。
#125
○円より子君 いいえ、違います。
#126
○政府参考人(岩田喜美枝君) そうでございますか。
 ちょっと手元に数値がございませんので、また後ほど調べまして御報告させていただきたいと思います。
#127
○円より子君 保育をされる、だから六歳未満の子供に対して定員が何%かという、そういうことなんです。それも資料をいただいているんですけれども、ベビーホテルのこともじゃちょっとあれなのかもしれませんね。
 そうしますと、私の方では、やはり例えば農村部は今待機児童は少ないんですけれども、それでも実際にはお母さんたちは土日働いていらして、農作業をしていらして、土日、保育所が開いていないというような問題点があって、やはり働く女性のニーズに合った保育所の対応ができていないところに問題があったり、また待機児童が多いところにベビーホテルが多くて、いろいろ虐待死事件が起きるようなことや、チェックして余りよくないときでもそこに入れざるを得ないという、そういった問題があるんですが、こうした夜間保育や、それから休日保育、そういったものをもっと広げるおつもりはあるのか。
 また、ベビーホテルが今全国に、多分これもお答えになれないと思いますが、八百三十八カ所ありまして二万一千人の子供たちが利用しているんですが、こういったところも大変質のいいところもございます。ですから、例えば補助金等を出して行政のある程度のチェックもしていくということが必要かと思うんですが、大臣いかがでしょうか。
#128
○国務大臣(坂口力君) ちょっと数字は後で御報告をするといたしまして、ベビーホテルを含めましていわゆる認可外の保育の問題というのが大きな問題になりつつございます。それはいわゆる認可保育所でできるだけ時間外あるいはまたゼロ歳児、一歳児等の保育をやっていただくように進めておりますが、それには限度があるものでございますから、ややもいたしますと無認可のところにそこが集中をするような傾向もございまして、そうしたところで一生懸命おやりをいただいているというところもあるわけでございます。
 先般、衆議院の方でも出ましたが、沖縄等におきましては半分ぐらいのお子さんが無認可の保育所にお入りになっているというようなケースもあるわけでありますから、この無認可の問題をこれからどうしていくか、届け出すらもしなくていい無認可がこのままでいいかどうかということを少し勉強し、検討しなければならないんだろうというふうに思っております。
 そして、特にベビーホテルなどはいわゆる密室になりがちでございますので、そうしたところで特にゼロ歳児や一歳児のお子さんの育児というものにいろいろなことが起こりやすい、そういう環境であることもこれは事実でございますから、そうしたところに対して一体どうしていくかということにつきましても、これからひとつもう少し検討を重ねたいというふうに思っております。検討といいましても、早急にこれはやらなきゃならないというふうに思っておりますが、そのように思っている次第でございます。
 あと、数字的なことはちょっと局長の方から答弁させていただきます。
#129
○政府参考人(岩田喜美枝君) 議員、先ほどは大変失礼いたしました。
 私ども、保育園につきましては、その保育サービスが安定的であるということ、そして良質なものであるということという観点から一定の基準を設けておりまして、先生言われましたように、子供の年齢に応じまして保育士の数を定めておりますし、また必要な施設の面積と基準を設けております。
 そういった基準に合致する保育所でどのくらい子供が預けられているか、あるいはその基準に合致しないところでどのくらいお子さんたちがいるかということでございますが、認可保育所は全国に二万二千二百カ所程度ございまして、そこで百七十八万人の子供が預けられております。一方、認可外の保育施設は全国に八千八百五十六カ所ございまして、そこで二十一万人のお子さんが預けられております。
 この無認可の保育施設の中にはさまざまでございまして、例えば企業が自分の従業員のために設けておりますような事業所内保育所もございますけれども、ベビーホテルと言われるようなものなど、その質に問題が多いといったようなところもございます。
#130
○円より子君 それでは、法務大臣にお伺いしたいんですけれども、私は、歴代の法務大臣というとあれですが、本当に多くの、前田法務大臣から始まりましてずっとすべての以後の法務大臣に夫婦別姓の件と、それから嫡出子、非嫡出子の問題についてお話を伺ってきたんですけれども、たしか長尾法務大臣のときに法制審議会で五年間かけて調査、報告したものの答申が行われまして、選択制夫婦別姓をやるべし、また嫡出子、非嫡出子の差別の撤廃をすべしというのがあったと思うんですが、閣議で決定されずにそのまま宙に浮いておりますが、その後、法務省ではこれについてどういうふうになさるおつもりなのか、お伺いしたいと思います。
#131
○国務大臣(高村正彦君) 嫡出でない子と嫡出である子の相続分の差異の解消、あるいは選択的夫婦別姓制度の導入等の民法改正につきましては、家族制度のあり方や国民生活とも関連する重要な問題として国民各層の意見が分かれている状況にありますので、その御意見を幅広く聞き、また各方面における議論の推移を踏まえながら適切に対処していく必要があると考えております。
#132
○円より子君 夫婦別姓について。
#133
○国務大臣(高村正彦君) いや、今申し上げましたように選択的……
#134
○円より子君 両方ですか。はい、わかりました。
#135
○国務大臣(高村正彦君) 別姓制度も含めてでございます。
#136
○円より子君 法務大臣の諮問機関である法制審議会の方では、有識者からもまた国民の皆さんからも御意見をかなり伺って、そして法務省も総務省、もとの総理府もアンケートもなさって答申をなさったと思っておりますので、ぜひそのあたり進めていただければと思いますが。
 ちょっとこれは個人的見解としてお伺いしたいんですが、内閣官房長官、法務大臣、文部科学大臣、経済産業大臣、国土交通大臣、総務大臣の皆様に、アメリカの大統領選では、共和党、民主党、いつも中絶や家族の問題が大統領になるときの争点になると思うんですが、ぜひこの選択制夫婦別姓と、嫡出子、非嫡出子の差別の撤廃についてどう思うか、個人的見解で結構でございますので、コメントをいただけませんでしょうか。
 ごめんなさい、委員長、これは皆さん、男女共同参画審議会ですか、そういった閣議の中に、閣議というか内閣の中にある、その中に入っていらっしゃる大臣でもありますので、ぜひお答えいただければと思います。
#137
○国務大臣(高村正彦君) 私の個人的見解は、今、法務大臣として述べたところで……
#138
○円より子君 個人的と同じものでいらっしゃる。
#139
○国務大臣(高村正彦君) 個人的見解も同じでございまして、国民の世論の動向を見ながら決めてまいりたい、こういうふうに思っております。
#140
○円より子君 官房長官からお願いいたします。
#141
○国務大臣(福田康夫君) ただいまお尋ねの嫡出子、非嫡出子の問題とそれから夫婦別姓、これは両方とも、今、国民の中でも意見が分かれているところです。両方とも、全く同じというわけじゃありませんけれども、濃淡ございますけれども、大変議論をこれから一生懸命やらなきゃいかぬ問題だというふうに思っております。
 私自身としては、国民世論の動向とかそういう議論をよく見て、そして判断をしなければいけない問題だと、このように思っております。
#142
○円より子君 委員長、ちょっとよろしいですか。
 皆さん、法務大臣と同じようなお答えに、個人的見解ではないように思うんですが。
 実は、ことし八十六歳になられる後藤田さんは、この問題に関して、自分は夫婦別姓には反対だけれども、それをしたいという人たちがいる限り、それを阻むような僕は器量が狭い人間ではないとお答えをいただいたこともあるんですが、ぜひ個人的な見解をお聞かせいただきたいと思います。
#143
○理事(須藤良太郎君) 高村法務大臣。
#144
○円より子君 高村さんはもういいです。
 個人的に言ってください、ぜひ。ぜひぜひお願いいたします。
#145
○国務大臣(町村信孝君) 嫡出子、非嫡出子の差があるということは、これは当然許されることではないと、私はそう思っております。
 また、選択的夫婦別姓、公式には先ほど法務大臣がおっしゃったとおり世論の動向を見てというのが、これはたしか閣議でも何かそういうような、基本計画について、十二月十二日、昨年ですか、閣議決定でもそのように述べられておりますからそういうことなんだろうと思いますが、あえて個人的な見解を申し上げる、言えと、こうおっしゃるものですから。
 私は、家庭教育の際にやっぱり夫婦が同じ方向を向いているというのが家庭、家族のしつけという際に非常に大切なところなんです。これはもう多くの人がそう言っています。別に別姓だから夫婦が違う方向を向くということでは必ずしもありませんから、直ちにその論拠にはならないかとは思いますが、やっぱりできれば、余りにも夫婦の個というものが強調され過ぎると、そのことが子供にどういう影響を与えるかというあたりも考えた上で夫婦別姓か否か、それが適切かどうかというのはやっぱりよくよく考えるべきテーマではなかろうか。これはたまたま私、つい先般、ある新聞社の社説で、エッセイスト、共立女子大の木村治美先生がそういうことをおっしゃっていたので、私もややこれに近いのかなという感じがしております。
#146
○国務大臣(平沼赳夫君) 最初の非摘出子の問題でありますけれども、これは今国論がある意味じゃ二つに分かれております。そういう意味で、これに関しては私は個人的にもその動向をよく見守っていきたい、こういうふうに思っています。
 それから、別姓の件でありますけれども、これは内閣の一員として、そして男女共同参画型社会の実現、こういう前提の中で私は閣僚としては考えていかなければならないと思っておりますけれども、あえて個人的見解と、こういうことでありますと、例えば江戸時代というのは日本は名前だけだった、姓がなかった。明治三年にすべての国民が姓を持つと、こういう形で導入を図ったわけであります。
 当時は非常に儒教の影響が多かったわけでありまして、韓国やお隣の中国と同じように、政府のある程度方針は別姓という形だったんですけれども、結果的には、やっぱり日本というのは昔から家族が、農耕型社会ですから、一つ緊密に重なっていたと、こういうことで、実は調べてみると、国民の中からやはり夫婦は同姓である、夫婦、子供は同姓であることが望ましいと、こういう形で実は当初の政府の思惑と違って、これが百年間定着してきたと、こういうことがございます。
 それから、例えば中国や韓国は儒教型でございますから、そういう中で別姓をやっておりますと、その子供はすべて父の姓を名乗ると、こういう形で、そういう父権型な状況も一部あると、こういう現象もありまして、やはりこの辺はよく検証をしていかなければ私はいけないんじゃないか。やっぱり日本がこれだけ培ってきた、そういうものはよく検証をしながら。
 もう一つ問題は、子供がどっちに帰属するかということで、子供の意見というものが反映されないというおそれもありますから、そういうことをどういうふうに担保していくのかなという問題も私はあると思いますので、私は、個人的見解ということであれば、そのことはやっぱり慎重にしなければならない、こういうふうに思っています。
#147
○国務大臣(扇千景君) 大変長い間先生がこのことを検討していらっしゃることも存じておりますし、一緒にやってきた経緯もございます。けれども、今この夫婦別姓という問題で数字的に、二十代が賛成が四五・一%、反対は二〇・六%、三十代は四四・五%が賛成、一七・二%が反対、そして四十代は三八・八%が賛成、別姓反対は三二・三%、五十代は二七・四%、反対が四七・九%、六十代は賛成が一六・七%、反対が六三・三%、七十代は賛成が一五・七%、反対が六九・一%と。私は六十代ですから、反対が六三・三%に当たるのではないかと思っておりますけれども。
 ただ、一点、私が申し上げたいことは、私、子供二人持っておりまして、ある家庭の事情で学年の途中で姓が変わったお子さんがいらっしゃいます。これも世間一般で言う本妻さんがお亡くなりになって、後で籍をお入りになったというようなことでございましたけれども、子供が帰ってきて私に、どうして何々ちゃんは名前が変わったの、どうしてなのという素朴な子供の質問というものがあって、私は、子供たちが、少なくともそういう、なぜなのか、そしてなぜあの人だけ変わるんだというようなことが起きないようにしたいと。
 それで、現在では民法によって二十になってお互いがその選択をどっち、母親の姓にするか父親の姓にするかは二十になると民法によって変えられるということはございますけれども、私は少なくとも、それこそ今家庭のきずなというものが大変重要視されて、日々事件が起こっておりますことから考えますと、通称名使用ということも現在可能でございますし、現に私、本名ではなくて扇千景という通称名で国会でも仕事をさせていただいております。先生も円より子という通称名でお仕事をなさっていらっしゃいます。通称名が使用できるんですから、私はそういう意味では、とりたてて変えなければならないとか変えるべきであるとかそういうことで縛ることではなくて、自然体でいいのではないかというふうに考えております。
#148
○円より子君 総務大臣ともう一度官房長官にお願いします。
#149
○理事(須藤良太郎君) 片山総務大臣、御指名ですから。
#150
○国務大臣(片山虎之助君) せっかくの円委員のお尋ねですけれども、私は、大臣というのは公の場では個人の意見を言うべきでないと、こういうふうに思っておりますからね。
 男女共同参画会議の一員のようですから、しっかりとその中で円委員の意見も受けとめながら議論してまいります。
#151
○円より子君 官房長官、もう一度お願いします。
#152
○国務大臣(福田康夫君) 男女共同参画担当といたしまして、担当の範囲でございます別姓ですね、夫婦選択制の、選択的別姓と、このことにつきましてだけ申し上げますけれども、私は、実際問題いって、結婚しても名前を変えないというそういう実質婚ですか、非常に最近ケースが多いし、またそういう方々からそういう希望が多く寄せられていると、これはもう事実でございます。事情を伺っておりますとそれなりの理由はございまして、ああそうかなというようなことで教えられることが多いんです。ですから、そういう方の気持ちを考えればそれはそういうふうにしてあげたほうがいいのかな、こんなふうに思っております。
 ただ、世論調査というものもございまして、近々そういう世論調査をまたするというようなこともありますので、私はその世論の動向というものは大変大事であるというように思っておりますので、その世論調査の結果を大変関心を持って待っておるという、こういう状況でございます。
 ただ、私、身近なことで考えますと、生まれた子供さんがお父さんの名前を使うのかお母さんの名前を使うのかということで迷うというのは、これはちょっと何かかわいそうかなというような感じはしているんですよ。そういうふうな現実的な問題を考えますと、まあ消極的になると。しかし、働く女性という立場を考えますと、やっぱりそれは大事なことだということを考えまして、非常に迷っているということを申し上げたいと。
#153
○円より子君 子供の名前は生まれたときに親が決めますので子供が迷うことはないと思いますし、また、子供がどちらの名前を使っても、また途中で名前が変わっても、それがおかしいというふうに親の世代や周りが言うことが差別につながるのであって、決しておかしいことではなくて、多様な生き方、価値観を認めることも大事かと思いますし、また、先ほど二十代、三十代の世論調査の数字を言っていただけましたが、これから結婚する人たちのそういう思いをぜひ大事にしていただきたいと思います。
 夫婦別姓について話し出すと時間がございませんのでこれで終わりますが、ぜひこれから総理になられるかもしれない皆さんのそうした考え方をきっと、これから首相公選制にでもなれば、女性たちも、またそのパートナーである男性もしっかり見ていると思いますので、よろしく御検討いただきたいと思います。
 さて、ほかにいろいろ、公益法人についても、また奨学金制度や住宅政策、さまざまな年齢制限について、母子世帯についても質問を用意していたんですが、私の時間がなくなりましたので、答弁でおいでになった方々、大変恐縮です、申しわけありませんが、これで終わりまして、関連質問に移りたいと思います。
 ありがとうございました。
#154
○理事(須藤良太郎君) 関連質疑を許します。木俣佳丈君。
#155
○木俣佳丈君 民主党・新緑風会の木俣佳丈でございます。
 本日は二つの項目、介護保険の問題、そしてまたエネルギー、環境問題について御質問をさせていただきます。
 まず、厚生労働大臣に伺いたいんですが、介護保険が始まりこの四月で一年がたちますが、介護保険はうまくいっていますでしょうか。
#156
○国務大臣(坂口力君) 介護保険がやがて一年を迎えるわけでございますが、大枠で見ますとまず順調に滑り出しているというふうに思いますが、しかし個々の部門につきましては、参加をしていただきました皆さん方からもいろいろの御意見があることも承っておりますし、また保険料を支払っていただいております使用者の皆さん方からもいろいろ御意見のあることも伺っているところでございます。
#157
○木俣佳丈君 これは新聞報道ではございますけれども、例えば利用者の半分半分ですね、役に立っている、役に立っていないというのが一対一ぐらい。そしてまた、使う側の、いや保険者である市町村に至っては、かなりの改定をしなければいけないというのが九割ぐらいという結果が出ておりますけれども、これでもうまく進んでいるんでしょうか。もう一度お答えください。
#158
○国務大臣(坂口力君) したがいまして、先ほど申しましたように、大枠ではまず順調にいっているということを申し上げたわけで、ただし具体的な問題につきましては、市町村におきましてもいろいろの御意見がある。とりわけ、市町村で担当していただいている皆さん方の間ではいろいろ御意見がありますことも承っているわけでございまして、そういう具体的な個々の問題につきましては、やはり今後見直しもしていかなければならない問題もあるのであろうというふうに思っているところでございますが、そうしたことが個々にはございますけれども、トータルでこれを見ましたときには、まず滑り出しとしてはまあこんなところかなと、こういうふうに思っているわけでございます。
#159
○木俣佳丈君 ちょっと通告はしておらないのでございますが、厚生大臣、かつて新進党という党があったころに、保険制度ではなく税方式でやった方がいい、このように考えておったんではないかなと思うんですが、いまだにそのようなお考えでしょうか。
#160
○国務大臣(坂口力君) 私も立場をいろいろと変えておるものでございますから、かなりそのときそのときに変わったところもございまして、そういう質問をされますと大変苦しいわけでございますが、確かに当時は介護保険の中で、とりわけ医療保険とかかわりますところにつきましては、これはもう医療保険でおやりいただいた方がいいのではないか、あるいはまた施設の方も、もしも可能ならばそこは今までの措置制度でいけないんだろうかといったようなことを言ったときもございました。
 それが全部、私の心の中からすべて消え去ったわけではございませんけれども、現在は、しかし、保険制度で滑り出しておりますし、私がその当時思っておりましたよりも順調に保険制度はいっているのではないかというふうに思っておりまして、一度始めましたことは途中ではそう変えられるものではございませんので、このまましばらくいって、そしてその推移によってはいろいろの考え方も変えることもあり得るのではないかというふうに思いますが、滑り出した以上はこのままでしばらくいくべきだというのが今の考え方でございます。
#161
○木俣佳丈君 ありがとうございました。
 扇大臣に伺いたいんですが、今、円議員の方から男女共同参画というお話がございました。実は、いわゆる老人ホーム、特養ホームまたは有料老人ホーム、ケアハウス、いろいろございますが、いわゆる老人ホームに女性というのは何割ぐらい、何分の幾つぐらい、何分の何人ぐらいいらっしゃるか御存じですか。
#162
○政府参考人(三沢真君) ちょっと手元に資料がございませんので、また調べてお答えいたします。
#163
○木俣佳丈君 通告したつもりになっておりましたが。
 四分の三が女性だそうです。もちろん平均年齢が、寿命が長いということもございますけれども、大変な、女性がやはり負担をしておる、寂しい最後を送られているという現状が私はあると思うんですが、扇大臣、どのようにお考えでしょうか。
#164
○国務大臣(扇千景君) せっかくの木俣先生の御質問ですけれども、すべてを一括して寂しくというのは私はちょっとかわいそうな気がしまして、おかげさまで男は七十四、申しわけありません七十六、女は八十四でございますから、女の方が長生きするのは当然で、四分の三が女というのも私はさもあらんというのが実感でございますけれども、すべからく寂しいというのでは私はないと思いますし、私が聞きました老人ホームの中で元気なのはどなたと聞いたら、女とみんなおっしゃいます。
 そして、大変これは言っていいかどうかわかりませんけれども、少なくとも私が聞きましたところでは、女性は幾つになっても何か希望に燃えているようでございまして、好きなおじいちゃまの面倒はどうしても私が老人ホームの中でも見るというくらい活力が出るそうでございますので、私はそういう女性の労働力というのは幾つになっても、見てもらうだけではなくて、寂しいのじゃなくて、やっぱりあの人のために尽くそうという気持ち、これも私は生かしていくべきだと思って、そういう意味では女性の活気ある老人ホームの明るい希望に燃えた生活している人もいるということで、全部が寂しいということではないということだけはぜひ御認識賜りたいし、私もやがてその仲間に入ると思っています。
#165
○木俣佳丈君 いや、済みません。画一的に寂しいというふうにしてしまったのは撤回いたしますが、いずれにしても、扇大臣にはそういう老人ホームに入っている方々の味方になっていただきたいというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
#166
○国務大臣(扇千景君) 私、二十一世紀は女性の世紀だと絶えず言い続けております。それは、今、先生がおっしゃいましたように、女性の方が長寿であると、おかげさまで。その長寿を生かして、あるいは介護保険、健康保険等々、老齢年金にもむしろ頼らないで、力強く寿命いっぱい元気で働けるということが私は一番の日本の老齢社会の生きる一つの目標であろうと思っております。
 そういう意味で、私はぜひ皆さんに元気な老人でいていただきたい。そのためには、精神的にも肉体的にも女が元気というのが日本の二十一世紀の平和である根幹だと思っていますので、皆さんに希望の持てる、老人の介護等々も含めた、私は最後まで活力あふれる政策を二十一世紀は実行するようにしていきたいと思っております。
#167
○木俣佳丈君 今挙げました老人ホームで大変な問題が起きているわけでございまして、昨年の、私も四月からずっとこの問題を取り上げてまいりました。有料老人ホームと言われる割と高額なホームでございますけれども、民間のホームでございますが、四月からずっと言い続けてきました問題について、坂口大臣、介護一時金の話でございますが、どのような御認識を持っていらっしゃるか、一度御説明いただけますでしょうか。
#168
○国務大臣(坂口力君) 申しわけありません。
 有料老人ホームの介護サービスについてのお尋ねでございますが、従来、入居者とそれから施設の私的な契約によりましてその内容や費用が決められていたものでありますが、介護サービスの一部が介護保険給付の対象となったことに伴いまして、入居者が入居時に前払いしている介護費用のうち、介護保険給付と重複する分を入居者に返還することが必要となったものでございます。
 このため、平成十二年の二月十四日付の通知で、介護費用の調整について、当事者間の合意を尊重し、行政の関与は最小限とすべきとの観点を踏まえつつ、都道府県から有料老人ホームに対しまして入居者への説明や話し合い記録の保存など手続面での指導を行うようお願いをしてきたと、こういう経緯がございます。
#169
○木俣佳丈君 今のお話がありました有料老人ホームは、介護保険が始まる前は介護一時金といいまして、平均すると、有料老人ホームに入っていらっしゃる方々二万五千人のうち二万人ぐらいに対して平均五百万円、トータルにすると一千億ぐらいのお金を有料老人ホームは預かっていた。これは、介護保険が始まったわけですからこれを返還するべきだということで、この返還の調整問題というものが発生したわけでございますが、この後、十一月十日、公正取引委員会が警告をして、厚生省のこの報告または調整についての紙を出してから調整が始まり、しかしながらうまく調整がいっていないと。
 こういったことに対して調査、警告を発したと言われておりますが、いかがでございましょうか、公正取引委員長。
#170
○政府特別補佐人(根來泰周君) 私ども、有料老人ホームについて関心を持っているのは、先年来委員が御指摘のありました、介護保険の施行に伴いまして前払い保険料、保険料といいますか介護費用ですね、その返還がどのように行われているかということ、二つ目は、やはり老人ホームについて不当な表示が行われているんじゃないかという問題、その二つの問題について関心を持って監視してきたところでございます。
 まず、端的に言いますと、第二番目の問題につきましては、昨年の十一月に数社に対しまして警告を発しました。これは詳しいことは申し上げませんが、要するに表示とその提供している内容が違うということでございます。
 それで、第一番目の問題でございますが、これは一般的な調査をいたしましたところ、なお返還する金額は必ずしも同一ではないということでございまして、独占禁止法による談合といいますか、不当な取引制限に当たるような事実の疑いというのは現在のところ見つかっていないというのが実情でございます。
 いずれにせよ、この問題については私どもも十分な深い関心を持っておりますので、引き続き厳重に監視を続けていくつもりでございます。また、そういう事実があれば一般の方々からも申告いただきたいということを申し上げているところでございます。
#171
○木俣佳丈君 今、委員長がお話しになりましたように、十一月十日に警告文が流れております。しかし、四月の初めから七カ月というのはいかにも遅いという気がいたします。そしてまた、今最後にありましたカルテル、談合についてですが、これは厚生省主導の非常にカルテルの疑いが強いということを結論づけたいと思うんです。
 と申しますのは、これは国土交通省、扇大臣の監督部署でございますが、東京都または神奈川県住宅供給公社、この一時金がどのように払われているか、ちょっと答えていただけますか、推移も含めて。
#172
○政府参考人(三沢真君) 地方住宅供給公社で介護一時金を受けてケアつき高齢者住宅をやっているのは五公社九団地でございます。
 それで、それぞれ管理開始を始めました年は、平成五、六年、あるいは七、八年、あるいは十年といろいろございますけれども、一時金を受領した額といたしましては、一番少ないところで四百万円、一番多いところで六百万円と、こういう金額を一時金として受領してケアつき住宅をやっていたという状況でございます。
#173
○木俣佳丈君 いや、返還の額。
#174
○政府参考人(三沢真君) はい。
 それで、返還の額はそれぞれ公社と入居者との話し合いに基づきまして決定をしているところでございますけれども、例えば東京都の住宅供給公社であれば、これは東京都の場合は入居年数に応じて返還額が違うというやり方をとっておりますけれども、百九十七万から二百五十八万円という額でございます。それから神奈川県の場合は、四つの施設がございますけれども、いずれも百二十八万円という形で返還しているということでございます。
#175
○木俣佳丈君 推移を申しますと、二月の先ほどの調整の依頼の文書が厚生省から出、そして私どもが四月、五月と調査、そしてまた質問をし、六月にまた再度厚生省がその同じ文書にプラスアルファされたものを出し、私が七月十三日に直接ホームの方に、供給公社の明日見らいふの方に参りました。その後、何と返還額はほぼ倍額になっております。
 そしてまた、神奈川においてはヴィンテージ・ヴィラ四つ、以下四つございますが、すべてが百二十八万円の返還、四百五十万円一時金として取って、百二十八万円返還している。しかも、管理年月日、つまりできた年月日が平成二年から十年まで多岐にわたっているのにもかかわらず返還額が一緒、これについて扇大臣どのようにお考えですか。
#176
○国務大臣(扇千景君) 今、木俣先生がおっしゃいましたように、私もこの一覧表を見ておりますけれども、今、三沢住宅局長が答えましたように、その地域によって値段の差があるというのは先生が今おっしゃったとおりでございます。けれども、少なくとも私は、この一時金の返還の問題につきましては、一義的には私は厚生労働大臣の先ほどの御判断を私は尊重すべきだと思っておりますし、またもちろんこれは、地方住宅供給公社の行うものにつきましては公社法を所管する立場としての責任はありますけれども、公社の具体的な業務運営に関しましては、これは地方住宅供給公社法におきましては、事業計画の承認等については設立団体の長である知事が行うものとこれされております。まずは知事が対応するものと明記されておるわけでございます。
 では、地方住宅供給公社の介護一時金の返還につきましては、先ほどの厚生労働大臣の通知を踏まえまして、当事者間の話し合いによりまして既に五公社九団体千六百九十八人のうち十人を、合意成立いたしております。それによりまして、御存じのとおり、今、先生のお手元にもあろうかと思いますけれども、今回の場合は五公社九団地千六百九十八人のうち合意を得ていない方が十人でございます。そして、木俣先生が今お口にされました東京都の住宅供給公社で七人、そして神奈川の住宅供給公社で三人という今十人がまだ決まらなかったということでございますけれども、そのあとにつきましては千六百八十八人が既に返還済みということでございまして、先ほどの先生が数字を挙げられました神奈川県でございますけれども、平成二年から十年の建築の幅があるにもかかわらず金額が同じなのはどうだというお話でございますけれども、私はこれらすべてが、残っておりますところは十カ所だけで、しかも神奈川におきましては今私が申しましたように三人だけでございまして、あとはすべてもう支払い済みであるということが現実でございます。
#177
○木俣佳丈君 私が申し上げたいことは、多くの入居されている方々が措置から契約へということで個人契約、言ってみると優越者からの強制的なという、半強制的な契約になってくるわけなんですね。
 私は扇大臣にぜひこれはお願いしなければいけないと思っておりまして、たとえ三人、七人という人数かもしれませんが、直接私のところにもう何回も何回も電話それから手紙、こういったものを書いてくださっております。これはやはり強者と弱者というのははっきりしておるものですから、やはりこの、公社法を挙げられましたが、たしか四十条だと思いますが、時の建設省のこれは所管になりますので、しっかりこれは監督をしていただきたいと思いますが、いかがでございますか。
#178
○国務大臣(扇千景君) 先ほども申しましたように、少なくとも一義的には厚生労働大臣の所管であるということが一つと、そして、今の法律によっては、都道府県の長というものがきちんと対処なさるというのが今の法律のもとでは書かれておりますけれども、私は今残り十人と申しましたけれども、少なくとも私はそれらを見守りながら、なるべく皆さん方の、残り十人の皆さん方の御納得がいくようにということを見守りながら、お互いに協力していって、その調整を私もできる限りは助言してまいりたいと思っております。
#179
○木俣佳丈君 いずれにいたしましても、この介護一時金というのは、先ほど申しましたように一千億のうち要は二割ぐらいしか戻ってこない。知らないうちに要はとられてしまって、泣き寝入りというのが現状だと私は思うんです。
   〔理事須藤良太郎君退席、委員長着席〕
 そして、私が行く、またはそこの公社に説明を求める、そしてまた民間の業者に求めたら二割ぐらい返還率がアップする、こういった事態をどう見るかということでございまして、最後に厚生労働大臣から一言、このあたりやはり大きな問題があると私は思うんでございますが、いかがお考えか伺いたいと思います。
#180
○国務大臣(坂口力君) 厚生省として指導監督すべきところ、そして都道府県に対しまして言うべきところ、そうしたところはちゃんとやらなければいけないというふうに思っておりますし、今までもやってまいりましたけれども、もし足らないところがあるとするならば、我々、それに対してもう少しまた丁寧に指導監督もしなければならないと思っております。
#181
○木俣佳丈君 続きまして、エネルギー・環境問題について御質問をさせていただきます。
 まず、平沼大臣に伺いたいんですが、三月十五日の報道によれば、ブッシュ大統領がCO2の規制というのは発電所は除外すると、この記事がございましたが、これについては御感想どのようにお考えでしょうか。
#182
○国務大臣(平沼赳夫君) お答えを申し上げさせていただきます。
 ブッシュ大統領からヘーゲル上院議員らに対しまして、今御指摘の点を含む書簡が出されたことは事実でございます。
 経済産業省といたしましては、地球温暖化問題の取り組みに当たっては、全世界の約四分の一の二酸化炭素排出量を占める米国を初めとする幅広い国々の積極的な取り組みが、地球規模での対策の実効性を確保する上で極めて重要と考えております。このため、当省としては、本年七月に予定されておりますCOP6再開会合に当たりまして、米国を初めとする関係国との間で京都メカニズムのあり方など国際的な枠組みの具体化に向けて積極的な交渉を行ってまいりたいと思っています。
 また、委員御承知のように、我が国においては電力分野も含め、産業、民生、運輸等幅広い分野において平成十年に策定された地球温暖化対策推進大綱に基づき各般の取り組みを進めてきているところであります。その中で、電力分野での取り組みといたしましては、安全性の確保を大前提とした原子力立地の推進や、新エネルギーの加速的導入等に既に取り組んでいるところであります。
 このような取り組みを踏まえまして、今後の対策のあり方につきましては産業構造審議会、地球環境小委員会や総合資源エネルギー調査会等において検討を進めているところでもございまして、経済産業省といたしましては、電力分野における対応も含めて地球温暖化問題への積極的な取り組みと、活力ある経済及び国民生活が両立し得るような施策のあり方について国際交渉の動向を踏まえつつ引き続き検討していきたい、こういうふうに思っておりますけれども、ブッシュ大統領のその書簡ということは、多分に一つは私はカリフォルニアの電力危機、こういった問題が一つ背景にあるということと、それからもう少し積極的な対応でこういう問題を克服していこう、そういうお考えがあると、こういうふうに私は思っております。
#183
○木俣佳丈君 先般もエネルギーの問題で大臣に御答弁いただきましたけれども、やはり我が国のエネルギーの安定供給とかいったものを、または戦略というのをどう考えるかというのが如実にやはり米国の場合あらわれているのではないか。いや、これがいいということではないと思うんです。いいということではないんですが、やはり世界を揺さぶるぐらいの大きな動きになるというのと、日本でやられている今の調査会のものがちっとも相手にされていないどころか、川口大臣、COP6の場に行かれましたけれども、何と言うんでしょうか、相手にされていないというのか、ちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、こういう状況と比較すると非常に甚だ情けないのではないかと私は思うわけでございます。
 ところで、三月の九日そしてまた十五日、九日には一応三月八日の総合エネルギー調の総合部会、これを受けた方針が新聞報道されており、そしてまた十五日のこの記事では環境省の検討会のCO2の推計値が出ております。両方とも残念なことに、二〇一〇年の例えばエネルギーから出てくるCO2の温暖化ガスの削減目標であるゼロ%は達成できない、このような記事になっておりますけれども、両大臣から御意見をいただきたいと思います。
#184
○国務大臣(川口順子君) 今の御質問にお答えを申し上げます前に、多分先ほど私、委員の御質問を聞き間違えたんだろうと思いますけれども、昨年の十一月、ハーグにおけるCOP6で私が出席をしたことについてほとんど相手にされなかったというふうにおっしゃられたように私にはちょっと聞こえましたけれども……
#185
○木俣佳丈君 そのとおりです。
#186
○国務大臣(川口順子君) 私は、その中でブラジルの環境大臣と共同議長も務めさせていただきましたし、それから日本全体として途上国問題をどうするか、途上国への支援をどうするかという提案をアンブレラグループの中で日本として取りまとめさせていただきましたし、相手にされなかったということとはほど遠かったと私自身は認識をさせていただいておりますので、一言申し上げさせていただきます。
 それで、御質問のお答えの方でございますけれども、エネルギー起源の二酸化炭素の排出量というのは、地球温暖化対策推進大綱におきましてはプラス・マイナス・ゼロというふうになっております。
 それで、先般の中央環境審議会の検討会では二〇一〇年の排出量が九〇年度比で九・四%増加をするという推計結果になっております。これはエネルギー起源の二酸化炭素の排出量でございますが、京都議定書全体では、エネルギー起源でない二酸化炭素の排出量、あるいはその他の削減対象である五つのガスがございますけれども、メタン等がございますが、そういったガスも含めまして現在の対策では十分ではない、今後一層の対策の拡充強化が必要であろうというふうに認識をいたしております。
#187
○国務大臣(平沼赳夫君) お答えをさせていただきます。
 我が国のエネルギー政策においては、環境保全や効率化の要請に対応しつつ安定的なエネルギーの供給を実現することが求められています。特に環境面では、COP3の合意を踏まえて、エネルギー起源の二酸化炭素排出量を、今環境大臣がおっしゃいましたけれども、二〇一〇年度に九〇年度と同水準に抑制することを目標にいたしております。
 このため、近時のエネルギー需給両面における各種情勢の変化を踏まえまして、昨年四月より、総合資源エネルギー調査会において、需給両面における現行施策の評価や施策全般にわたる今後のあり方、さらには長期エネルギー需給見通しについて検討を行ってまいってきております。
 こういったことで、実際の数字というのは、今環境大臣が言われた形でございまして超過をしてしまうと、こういう見通しがあるわけでありまして、今後はこの基準ケースを踏まえて、総合資源エネルギー調査会において、エネルギー起源の二酸化炭素排出抑制等を実現するため、需給両面における対策について幅広く検討を進めていただくこととしております。あわせて、今後目指すべきエネルギー需給の姿を目標ケースとして策定していただくことにしております。本検討はこの夏ごろまでに取りまとめていただき、こうした取り組みを通じて適切なエネルギー政策を構築していきたい、このように思っています。
#188
○木俣佳丈君 川口大臣には耳ざわりな言葉だったかもしれませんが、私は、例えば吸収源の問題とか、これは棚上げで次にやるよということかもしれません。しかしながら、やはり日本がマイナス六%をどのようにやったらいいのか、そしてまた私は、先般も申し上げたかわかりませんが、一九九〇年基準ということがどれだけ日本に厳しい水準なのか、こういったことをもっと、何というんですか、アピールしていないんじゃないか、私はこういう思いで申し上げたんですが、いまだに、でもしっかりやってきたという御返事でございますか。
#189
○国務大臣(川口順子君) 吸収源につきましては、確かに十一月のハーグの会合で大きな問題となった。これは各国間の、日本だけではございませんで、ほかの国、アメリカ、カナダ、オーストラリアを含めたアンブレラグループとそれからEUとの間で大きな争点となった問題でございます。
 それで、このときも会議の場では何度も申し上げて国際的には理解をいただいたと私は認識をいたしておりますけれども、日本が六%削減をするということは、ビジネス・アズ・ユージュアルといいますか、このままでいったときのシナリオ、これは大綱によりますと、エネルギー起源だけで二一%近く伸びるということで、その分を丸々二一%程度、二〇%程度を削減いたして、その上さらに六%の削減ということでございますので、全体として二七%の削減が必要で、その中で吸収源の占める比率は大綱によりますと三・七%ということでございますので、二十七分の三・七が吸収源だというふうに御理解をいただければというふうに思います。
 それから、九〇年起源の話は、前回委員が御質問になられたときに大分出ましたので繰り返しませんけれども、そもそも京都議定書の母体となりました気候変動枠組み条約での決め方が九〇年と比べて二〇〇〇年に九〇年のときとほぼ同じような水準に持っていくということが気候変動枠組み条約の決め方、これは努力目標としてということでございますが、でございましたので、京都議定書の議論は、そもそも京都議定書というのは九七年に定まったという話でございますし、その気候変動枠組み条約の決め方の話もございまして九〇年ということになったのだと私は理解をいたしております。
#190
○木俣佳丈君 いえいえ、九〇年基準が難しいというのはもちろん、いや決めたからそうするというんだったらそれはそのままなんですよ。そうではなくて、例えばアメリカにしたってイギリスにしたって石炭の電源を要はガスに変えるだけで全部達成できるんですよね。それから、ドイツだって、ドイツの統合は九〇年十月三日じゃないですか。だから東ドイツ分を、それを転換すれば簡単にできるということなんですよ。仕掛けられたわなにはまっているんじゃないですかと私は言いたい。それを言っているんです。それはそれとして。
 九八年の六月から二〇〇一年、つい最近まで、検討会が出すまで使われていた資料で、このCO2の排出抑制計画の概要というのがございます。これについてちょっと伺いたいんですが、運輸部門で、例えば自動車燃費の二〇から一五%超の改善で三百五十万トン、六千万トンの分の、という計画になっておりますが、これはよく見なくてもずらずらっと見るだけでも、民生部門で二千七百三十万トン、そのうち省エネが九百七十万トン、そしてライフスタイルの変革五百万トン分で、その他で三百六十万トン。それから、物流の効率化で二百五十万トン。そのほか交通対策で公共交通を利用することで三百十万トン、これは一向にモーダルシフトが、つまり公共交通に移行していないのにもう三百十万トンどうするんだろうかとか、テレワークの推進で百十万トン。
 このようなちょっと不可解な数字がばっこして、これが結局国際公約になっている、そのもとになっているというのは、大臣はどのようにお考えですか。
#191
○委員長(岡野裕君) 官、姓名をお名乗りください。
#192
○政府参考人(河野博文君) 資源エネルギー庁長官、河野博文です。
 私でもよろしいでしょうか。
#193
○木俣佳丈君 どうぞ。
#194
○政府参考人(河野博文君) 九八年につくりました長期エネルギー需給見通しが、エネルギー分野におきます二〇一〇年に向かって九〇年度比ゼロ成長にCO2排出量をおさめるということの裏づけとなっております。その中には、現在、先生御指摘のような交通対策あるいはライフスタイルの変革等も一つの根拠として考えられてきたわけでございます。
 ただ、今私どもが申し上げておりますことは、昨年の四月以来、このエネルギーの起源のCO2の排出量を九〇年比横ばいにするという当時の目標を念頭に置きまして、現在時点においてエネルギー需給環境その他は変化しておりますので、これを改めて見直しているという状況でございまして、先ほど先生御紹介ございました、先ほど大臣からも御答弁申し上げました基準計数におきましては、現在のところそのライフスタイルの変更などのようななかなか測定が難しいというものは積算の中に入れないでどこまでできるかということを現在検討しているという状況でございます。
#195
○木俣佳丈君 環境省はよろしいんですか、この件については。特に大臣からは。
#196
○国務大臣(川口順子君) 今の状況でいろいろそれぞれのセクターでどれぐらいの排出の削減が可能かということの勉強は中央環境審議会のもとでさせていただいております。
 それで、さまざまなかなり政策的に確実である、実現可能であるということを前提に今の政策を考えますと、削減は大綱当時考えられていた削減の約半分ぐらいになるかなということでございます。これはさまざまな理由がございまして、例えばその産業セクターということでございますと、エネルギーの原単位の減り方が当初考えられていたよりは大きくないということもございますし、それから交通ということでいいますと、交通対策、モーダルシフト等が当初想定されていたほどは進んでいないということもございます。そういったさまざまの原因がございまして、大体削減量は半分ぐらいということかなというふうに考えております。
 以上です。
#197
○木俣佳丈君 今の大臣を伺って、扇大臣に伺いたいんですが、これは自動車業界挙げて削減をして、一五から二〇%の自動車燃費を上げて、これは大変なことなんですよね。私、プリウスに乗っておりますけれども、リッター三十五キロぐらい走るんですね。これをさらに一五から二〇上げていく。それで三百五十万トンですよ。モーダルシフト、全然、全く公共交通機関を使う人がどんどん今減っている。にもかかわらず三百十万トンというのを出したりしている。こういう現状をどういうふうにお考えでしょうか。
#198
○国務大臣(扇千景君) 木俣先生が今おっしゃいましたように、運輸部門に関しますCO2の削減につきましては、本当に私、難しい状況に陥っているというのは認めざるを得ません。ただ、少なくともその中で、我々の現段階でできることと、またしていること等々も御認識賜りたいと思いますし、ぜひ御協力も、皆さんにも理解していただく意味で、私どもの政策の一環というものを私は申し上げなければならないと思います。
 我々は、今、先生がおっしゃいましたように単体対策というものを、自動車の燃費の向上等を考えますとこれはまだまだ考える余地があると。それから、交通システムの対策としては、私はまだまだ物流効果等、これを図っていかなければならない。三つ目には、高度交通システムを、私はITSを使ったり、情報通信を活用した在宅勤務等々を進めて、少なくとも千三百トン削減に向けて取り組んでいかなければならないということは事実でございます。
 私はそのうちに単体対策、最初に申し上げましたけれども、これは京都の議定書の当時にございませんでしたけれども、この自動車のグリーン化の税制の創設、まだ議定書当時にはなかったことですけれども、これも私は新しい我々の努力だというふうにぜひ御理解賜りたいし、御協力を賜りたいんですけれども、二年間で百六十万台の環境自動車を普及するということでございまして、先生は率先してやっていらっしゃるというので私たちもまねしたいなと思っていますけれども、これ大体百六十万台でございます。
 そして、その次、性能による三段階の軽減率を自動車で、自動車税で行っていこうということで、少なくとも一三%の減税、二五%の減税、五〇%の減税というものを私はグリーン税制の中で実行していくと。そしてこれは、一三%は二から三万円、二五%になりますと三から五万円、五〇%でしたら五から八万円というふうに、でき得る限り私は多くの皆さん方にこれを実行していただくことによって、先生もこの減税の仲間に入っていらっしゃいますので、私どもも促進していきたいと思っております。
 また、交通システムの対策につきましては、環境に資するためのTDM、これも、時間が長くなるからやめますけれども、あらゆる方法をとっております。また、あかずの踏切を解消するというのも先日私、お答えしたとおりでございまして、あかずの踏切を解消することによってこのボトルネックの解消ということがCO2の削減の大きな要因になると、しかも全国の一万三千のうち一千カ所については十年目標で私どもはそれを達成していくと。
 そして、CO2の削減をより私たちは少なくし、目標はなかなか大変ですし容易ではありませんけれども、あらゆる努力を今後もしていきたいと思っております。
#199
○木俣佳丈君 最後に。
 本当に頑張れ、頑張れと言われますと、何か母親を見ているようなつもりになってしまいますが、とにかく私が申し上げたいのは、九八年の六月から二〇〇一年まで三年間、要はこの抑制計画の概要ということで、要するにこれをもとにだから議論してきたという、これ、うそがあるということを私は申し上げたいと思うんです。
 ですから、やはり数字をそのほかにもまた挙げたいと思いますけれども、前回の経済計画の話もこれあり、やはりもう少し精緻なものを使って議論していただきたい、戦略を練っていただきたい、このように申し添えて、質問を終わります。
#200
○委員長(岡野裕君) 以上で円より子君及びその関連質疑はこれを終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#201
○委員長(岡野裕君) 次に、大森礼子君の質疑を行います。大森礼子君。
#202
○大森礼子君 公明党の大森礼子です。
 一昨日の予算委員会では外交機密費について質問することができませんでしたので、きょう引き続き質問させていただきます。
 前回、一昨日のときに、警察庁の方から松尾元室長の逮捕事実について伺いました。要するに、三つ事実がありまして、場所は首相官邸、そして被欺罔者、だまされた人は首席内閣参事官という方でございます。それで、この機密費疑惑についてはわかっているようでよくわからないので、きょうは本当に素朴な質問をさせていただこうと思います。
 外務大臣、この犯罪にかかわるものはすべて外交機密費ではなく官房機密費の問題である、松尾氏は外交機密費については手をつけていないと、このように理解してよろしいのでしょうか。
#203
○国務大臣(河野洋平君) そのとおりでございます。要人外国訪問支援室はそもそも首相の外国出張についてお世話をするセクションでございまして、官邸の報償費以外は、基本的に官邸の報償費をお預かりするということであったわけでございます。
#204
○大森礼子君 それで、被害者は内閣官房なのですが、告発は外務省の方がされておられるということです。これは何か特に理由があったのでしょうか。
#205
○国務大臣(河野洋平君) 昨年の十二月の半ばごろだったと思いますが、警視庁の方から事情聴取を受けたということがございまして、捜査当局が動いていた、警視庁が動いていたということもございまして、警視庁に告発をしたということでございます。
#206
○大森礼子君 告発は被害者以外でもできるんですけれども、そのときにどちらがするかという問題にはならなかったのでしょうか。つまり、官房の方が被害届を出すか、それとも外務省の方が告発をするかという点についてです。
#207
○国務大臣(河野洋平君) 外務省としてそういう事実を承知いたしたものですから、外務省として当然の義務として私どもが告発をいたしました。
#208
○大森礼子君 本件につきましては、一応詐欺で起訴されましたけれども、外務大臣は松尾氏個人の犯罪という言い方を強調しておられます。それでは、この個人の犯罪と表現するその真意というのはどこにあるのかお尋ねします。
#209
○国務大臣(河野洋平君) 御承知のとおり、一月の二十五日に、一月の四日から外務省の省内で調査委員会をつくりまして松尾氏本人から任意で事情を聞いてきたところでございますが、そうした中で、松尾氏本人による公金の横領であろうということを私どもとしては判断をいたしまして松尾元室長を告発したということで、私どもとして松尾氏の犯罪、松尾氏に係る犯罪の容疑ということで告発をいたしました。そのときの判断は、これは松尾個人の行ったものであるという判断をしたわけでございます。
#210
○大森礼子君 これは刑法上の罪名という観点からすると、とりあえず逮捕されたのは松尾氏ですから個人の犯罪でいいんです。その意味では、共犯者がいないという趣旨も含むのか、それともこういう犯罪ということに、刑法上の罪名を離れて、やっぱり外務省、組織ぐるみなんと言われるから、いや、組織ぐるみじゃありませんよ、組織的な犯罪じゃありませんというそこを強調されたいのか、それはいずれなんでしょうか。
#211
○国務大臣(河野洋平君) 先ほど申し上げましたように、私どもの調査では、松尾個人が公金を松尾氏の私的な目的で消費をしたということから松尾氏個人のものと、しかも、それに協力をするといいますか、それにかかわる人間は我々の調査では見出せなかったということでございます。
#212
○大森礼子君 そうすると、厳密な意味で刑法上の犯罪で共犯者、幇助も含みますけれども、こういう者もいなかったという認定を既に外務省としてはしておられるということでしょうか。
#213
○国務大臣(河野洋平君) 私どもは、先ほど申し上げましたように、任意で松尾氏から話を聞き、任意で提出を求めた口座について私どもとして調査をいたしました結果、松尾個人が公金を私的な目的で消費をしたということから、公金の横領というふうに考えまして、横領の容疑で告発、個人の横領ということで告発をいたしました。
#214
○大森礼子君 そうしますと、これから中身について聞いていくんですけれども、この犯罪よくわからないんですね。官房と外務省と両方にかかわっていると。そして、役職としては、要人外国訪問支援室長というのは外務省の中の役職であります。出向いていったのが官房であるということ。
 この構図がよくわからないんですが、例えば外務省の人間が外の官房へ行って悪さをしたという事案ととらえておられるのか、それとも、総理の外遊のお世話をするわけですから、これ支援室というとやっぱり旅行代理店みたいな考え方で、お世話をしたその旅行代理店の職員がクライアントである官房に対して悪さをしたというのか、それとも、いやいやお互い別のように見えますけれども別じゃないんですよと、しょせん内輪の中で、その中で何か変なことが起きたということなのか。これ、大体パターンでいいましてどのような事案だというふうに外務大臣はとらえておられるのでしょうか。
#215
○国務大臣(河野洋平君) どうも私は、議員のようにこの道のプロではございませんので、どういう仕分けをすることがいいのかよくわかりませんが、私が知り得ております、承知をしておりますことを申し上げれば、官邸から総理の外国出張についての指示が要人外国訪問支援室に参りまして、それを受けて、行く先の在外公館に協力を求めて、ホテルであるとかアクセスであるとかについて見積もりをとると。その見積もりをとったのは支援室であったと。そこで、支援室はその見積もりを持って官邸に行って、その見積もりを見せて官邸からそれに必要な金額を、何といいますか、受領するというんでしょうかお預かりするというんでしょうか、渡してもらって戻ってきていたというふうには私どもは承知をしております。
#216
○大森礼子君 ここの部分はプロとして質問しているわけではありませんで、冒頭申しました素朴な疑問ということで、要するに、官房と外務省が入り乱れて、結局我々が知りたいのはどこに責任の所在があるのかと、これを知りたいわけなんです。ここがなかなかわからないと。
 そこで、なぜこういう質問をするかというと、反省しています、これから直していきますと言うんですが、どこがいけなかったのかというそこの責任の所在が明らかにならないと改善策もないと思います。
 外務省の責任とは一体何であるとこの事案について考えておられるのか、できれば具体的に外務大臣のお答えをいただきたいと思います。
#217
○国務大臣(河野洋平君) 私は、外務省に大変な責任があると認識をしております。それは、松尾という支援室長でございますが、個人が六年間もそのポストにいてこうしたことを繰り返していた、それが六年間も見抜けなかったといいますか、それをチェックできなかったということは、私はやはり外務省の組織の責任ではないかというふうに思っております。
 それからまた、本来、外務省の組織としては一人の人間が、今捜査当局が捜査をしておられますが、多額な金額を個人の判断で見積もりを出し、金を預かり、支払いをし、精算をしてきた、その間に何のチェックもすることができなかったということについては、やはり組織上非常に問題があったというふうには認識をしているわけでございます。
#218
○大森礼子君 今、後半の方で一人の人間が一人の人間がということを非常に強調されるわけですね。しかし、本当にそうなのかということが我々の知りたいところなんです。
 これまで外務省で内部調査をされてきましたけれども、こういう事案、じゃどの程度明らかになったのでしょうか。
#219
○国務大臣(河野洋平君) 松尾元室長がその室長在任中の、何といいますか、上司といいますか、組織上の上司でございますが、官房長及び官房総務課長、こういった人たち多数の人間からその間の事情を私ども聞いておりまして、いずれもがそうした事実、つまり松尾一人がそうしたことをやっていたということ、そうしたことを承知できずに来ていたということでございまして、私は、そうした上司がそうしたことがわからなかったということから、これは個人の問題であろうというふうに判断をしたわけでございます。
#220
○大森礼子君 チェックすべきところをチェックしていなかったとしたら、その上司個人の問題でもあると私は思います。
 少し具体的にお聞きするんですけれども、調査をどこまでされたということで、平成二年にこの支援室ができまして、平成五年に松尾元室長が室長となっております。そこからいろんな決済についてクレジットカード方式になったというふうな報道があるんですが、これは事実でしょうか。
#221
○国務大臣(河野洋平君) 松尾元室長が室長在任中にクレジットカードが使われ始めたと。しかし、そのクレジットカードの使用についても、それを上司に了解を求めるとか、あるいはこういう支払い方法をやるからというようなことを上司に対して了承をとるというようなことはなかったと。そういう決裁をした上司はおりませんで、そうしたことはなかったというふうに私ども承知をしております。
#222
○大森礼子君 そうしますと、クレジットカード方式になる以前の決済の方法はどのようにされておりましたか。
#223
○国務大臣(河野洋平君) クレジット方式を採用する以前はキャッシュで支払っていたということだと思います。
#224
○大森礼子君 これは、在外、外の方から請求が来ていた、外国為替で支払っていたという、こういう説明もあるところでされています。それはないと。では、常にかばんの中に現金を入れておいて、それを持ち歩いてその場で支払っていたということなんでしょうか。
#225
○国務大臣(河野洋平君) これはいろいろなケースがあるんだと思いますが、大部分は現金で持ち歩いて、現金で、主としてホテル代の支払いでございますから、ホテル代をそれで支払っていたということだと承知しております。
#226
○大森礼子君 これは役所ですし、お金を使うところですから、いろんなやり方というものが、これまでやったやり方があると思います。このやり方が変わるということは、松尾室長当時、これ、個人の考え方でできることなのか。当然上司が、今度からこういうやり方をしますという、これぐらいのことは当然説明をするはずですし、また、やり方が変わって気づかないなんて、こんなばかな話はないんじゃございませんか。
#227
○国務大臣(河野洋平君) それを先ほどから私は、そうしたことに気づかなかった大きな責任があるということを申し上げているわけでございます。
 ちょっと、若干説明をさせていただければ、それより以前、つまり支援室ができる以前の仕組みというものは、総理大臣が外国出張される、例えばアメリカ・ワシントンへ総理大臣が行かれるというときには、北米局が当然そのサポートをするわけです。もちろんそのサブスタンス、その会談の中身については現在でももちろん北米局がしているわけですけれども、その当時は、総理がアメリカに出張されるといえば、ホテルの予約、支払いその他を北米局が全部やる。総理がフランスへ行かれるということになれば、今度は欧亜局西欧一課がそのホテルその他のお世話、支払いも行う、こういうことになっていたわけですが、それは余りに各課にロジスティックの担当者を置かなきゃいけないということは合理的でないということで支援室という室をつくった。これは恐らく役所としては相当合理化をするという目的でつくったというふうに私は思います。
 問題は、その支援室をつくりましたときに、先ほど私は組織上の上司ということを申しましたけれども、それまでロジスティック、ホテルの支払いを初めとしてもろもろやりますときには、それの上司は北米局長が上司であったわけですね、あるいは一課長なり北米局長が上司としてそのチェックをしていたわけです。それが支援室をつくったときから、上司は北米局長でもない、一課長でもない、支援室は官房の一組織になったわけです。
 その官房の一組織となった結果、組織的には、組織図からいえば官房の下にあるわけですけれども、仕事はアメリカに行ってやる仕事ですから、官房はアメリカまでついていくわけでもありませんし、直接指揮をするわけではありません。アメリカへ行くときには北米局が指揮をとる、世話をするということでございますから、組織図では官房の下に位置づけられながら、仕事はアメリカ出張のときには北米局のもとで仕事をする、ヨーロッパへ行くときには欧亜局のもとで仕事をする、そういうことになってしまって、少なくとも私が見るところ、いわゆる上司、ずっと責任を持ってそれをにらむ、指揮をずっとするという組織上の、そしてまた実態上の上司というものがもう一つはっきりしていないというふうに私には見えるわけでございます。
 そうしたところがやはり、今、議員がおっしゃったように、例えばクレジットカードに支払いの方法が変わるときに上司の了承をとる、上司が決裁をする、当たり前のことだと思いますけれども、それがなされずに、しかも周りの人間からすれば、それは恐らくとったに違いない、了承をとっているに違いないとみんなが思って見合ってしまって、お互いに見合っている真ん中でだれの了承もとらずにそうした事実が起こってしまう、そしてそれが二年たち三年たちすると、それがごく当たり前のようになってきてしまっていたというふうに、私は状況をずっと説明をしフォローして感じているわけでございます。
#228
○大森礼子君 みんな知らなかった、知らなかったって、国の役所がこんなものなのかと本当に驚いてしまいます。
 そして、私はいわゆる機密費というものの領域は必要なんだろうと思います。しかし、そこの機密費が設けられるというのは、あくまで国民が政府に信頼するから、ちゃんと使ってくれるような、その信頼のもとに場合によったら了承がなくてもいいですよとあるわけで、そういう機密費を扱うということはこういうことなんだ、わかっていたならば、とてもこんなやり方はできないと思うんですね。これだったら果たして本当に機密費を預けていいのかどうかという問題になると思います。
 それから、支払い方法が変わってもわからないのでしたら、この総務課長さんというのは課長として資格がないんじゃありませんか。例えば官房の方から金を出したけれども、あれ何かどうなったんだといって、じゃ官房はどこに一体問い合わせをするわけですか。
#229
○国務大臣(河野洋平君) したがって、今、議員が恐らく考えておられる金というのは、外務省の金ではなくて官房の金ですから、官房の金を室長が、それまでは二人でその金も受け取りに行っていたというわけですが、途中からそれは一人でその金を受け取りに行っているんです。そして、受け取ってきて支払いをして、清算をしてこれで終わりというふうに一回ずつなっていたということですから、そこの疑問が、まあ少し綿密にやれば見つかって不思議はないというふうに私も思いますけれども、結局こういう状況になってきたということでございます。
#230
○大森礼子君 これは日付が三月十日の読売新聞ですけれども、九〇年九月のニューヨークの国連本部で開かれた子供のための世界サミット、海部総理が出席したと。このときに国連局に機密費一千万円を渡したと。ところが、精算書類が一年たっても提出されなかったから、問い合わせをして初めてわからなくなったと気づいたと。こういうこと、これは官房の方にも聞かなきゃいけないんですけれども、当然こういう行為があると思うんですよ。例えばクレジットカードを使いますと、クレジットカード、サインすると明細、控えをくれますよね。こんなことも、どこかへ提出するようなことをやっていなかったんでしょうか。
#231
○国務大臣(河野洋平君) これは、実は一月に私はクレジットカードの使用を全部禁止いたしました。したがって、現在クレジットカードは全く外務省では使われておりませんが、しかし私は禁止はいたしましたけれども、そのときに実は、いろいろ法律上の問題もあるそうですけれども、クレジットカードを使うということは一つの合理的な使い方ではないかというふうに私は思ったわけです。
 それだけの巨額な金をかばんに入れて持ち歩くということ自体も大変危険も伴いますし、おっしゃるようにクレジットカードで支払いさえすれば、その後ステートメントも残るわけでございますから、今回の松尾の問題も、彼がクレジットカードを使っていたために我々はそれをチェックすることが実はできたわけでございまして、クレジットカードを使うということは、それ自体、何といいますか、レコードが残る、記録が残るという意味で一つの方法なんだと思いますが、しかし決定的にこれがだめだったのは、松尾のつくりました、使いましたクレジットカードのもとになる口座には、公金と彼自身のプライベートな金、私金と一緒にそれが入っていたというところが、これはもう決定的にどうにもならない間違いだというふうに言わざるを得ないと思います。
 したがって、クレジットカードで支払いをしておりますけれども、その支払った金のどの部分が公金の部分なのか、どの部分が私的な金の部分なのかがわからない部分が多いわけでございまして、そこはきちっと公金だけの口座をつくり、公金だけの支払いをしていれば、それ自体、上司の了承をとっていないというところに問題はありますし、それからクレジットカードを使用するということについては法的な問題があるようですけれども、まだそれは私どもとしては救いがあったというふうに思っているわけでございます。
#232
○大森礼子君 私は、あのカードというのは大臣がおっしゃるように合理的だと思いますよ、きちっと扱えばということです。だからこそ、松尾室長がクレジットカード方式にするときには、当然、こうした方が合理的だからこれでやりましょうと話して、ああそれはいいねと、こういう了承があるのが普通だと思うんですね。もし言わなかったとするなら、松尾室長は最初からこんなことをやろうと思ってこんなカード方式にしたという、こういう答えでないと絶対この部分はおかしいと思うんですよ。
 それから、松尾元室長は平成十一年八月に異動しました。沖縄サミットの事務局次長になりましたね。後任者はカード決済ということをしておりますね。
#233
○国務大臣(河野洋平君) 聞こえませんでした。
#234
○大森礼子君 後任者です。支援室の後任者ですね、松尾室長が出ていった後。これはやっぱりクレジットカードの決済を引き継いでおりますか。
#235
○国務大臣(河野洋平君) 後任者も実はしばらくの間クレジットカードで決済をしておりました。
#236
○大森礼子君 じゃ、それも上司はわからなかったんでしょうか。あるいは後任者がこれまで自分の知らないやり方で決済するんだったら、何でこんな決済方法になったんですかと当然聞きますし、それから松尾室長から当然引き継ぎというものがあるはずなんですね。
 これは、次の後任の方がまたゼロから、最初は千円ぐらい入れるんですか、また口座をつくって、またカードをつくって、ここからやったとしたらこれ自体おかしいと思うんです。なぜ引き継ぎができなかったのか。引き継ぎ自体の問題は起きませんでしたか。ここはちょっと大臣、細かいことでおわかりにならないかもしれませんけれども。
#237
○国務大臣(河野洋平君) ちょっと詳細が、十分正確にお答えできるかどうかわかりませんが、松尾元室長の後任者としては、同元室長からの引き継ぎを受けて同様の決済方法を踏襲したということである、直属の上司である官房総務課長はこうした引き継ぎが行われたということは認識していなかったと。これはまさに、先ほどから申し上げておりますように、組織としてのチェック体制にまことに不備があったと言う以外に申し上げようがございません。
#238
○大森礼子君 当然引き継ぎのところでちゃんとチェックすれば何かおかしいことがわかったと思います。そして、沖縄サミット事務局次長でその準備をしたと。今いろんな報道で、まだ事実は明らかでありませんが、そこでも何か不正行為をやったという、こういうことが疑惑として起きております。もし少なくともこの引き継ぎ行為のときにきちっとしていれば、後の犯罪、もしやっていたとするならば起きなかったと思うんですね。そういった意味では、全くのやりたい放題で、放任していたと、その責任は非常に重いと思います。
 それから、これから外務省でも調査を、調査委員会ですか、つくってするそうですが、どういう部分を、何を目的とした調査をするのか、その点を教えていただけますでしょうか。
#239
○国務大臣(河野洋平君) 松尾事件に付随して起こっているさまざまな問題、内部の体制内の問題について調査をするように私、指示をいたしております。
 本来の捜査それ自体は、捜査当局にお願いをして全面的に協力をしておりますけれども、体制内におきます松尾事件を踏まえた問題、例えば今お話しの沖縄におきます問題など、メディアの報道などで具体的にこれは調査可能である、つまり雲をつかむような報道を一つずつ調査、なかなかできませんが、具体性のあるものについては一つずつ調査をして、それが本当かどうかということについてはチェックをしようということで、先ほど来からお話がありましたような国連での話あるいは沖縄におきます幾つかの問題については今調査委員会が調査中でございまして、これは近日中にその調査の結果は私のところに報告があるというふうに思っております。
#240
○大森礼子君 では、その報告書ができましたら公表していただきたいと思います。
 それから、これは二月四日の朝日新聞なんですけれども、これまでの官房機密費、外交機密費、本省分、在外公館分とで予算額、それから使わなかった不用額、この一覧表が出ております。ごらんになった方もいらっしゃると思います。
 まず、この数字について、外務省分につきましてこの記事の記載されている数字は正しいかどうか。いかがでしょうか。
#241
○国務大臣(河野洋平君) 議員お尋ねの前段の部分、目下調査中の部分につきましては、そう遠からず私のところに報告があるというふうに思っておりますので、それが調査書とか報告書という形になるかどうかわかりませんが、いずれにしても、その結果については報告が私のところにございますので、何らかの形で国会に御報告は申し上げたいというふうに思っております。
 後段の外務省報償費、ここ五年といいましょうか十年といいましょうか、報償費の予算そして決算等報道されているものについて正しい数字だというふうに承知をしております。
#242
○大森礼子君 これは外務省の方、お手元に数字がございましたら、ちょっと過去五年さかのぼってで結構ですから読み上げていただけますか。私が読んでいると時間をとっちゃうものですから。大臣に読んでいただくほどのことでもありませんので、そちらで。
#243
○委員長(岡野裕君) 大臣、なさいますか。
#244
○国務大臣(河野洋平君) 外務省おりませんので私が。私も外務省でございまして。
 外務省の本省分についてまず申し上げますと、当初予算、平成七年が十九億一千六百万、八年度も十九億一千六百万、九年度、十年度、十一年度も十九億一千六百万、若干の端数はございますが。そして、それに対しまして決算額でございますが、七年度は十八億三千六百万……
#245
○大森礼子君 不用額だけで結構です。
#246
○国務大臣(河野洋平君) 不用額だけ。不用額は、これ、引き算がなかなか、けたが多いものですから。それでは……
#247
○大森礼子君 ちょっと時間の関係があるんですが。手を挙げていますよ、委員長。
#248
○政府参考人(天野万利君) 不用額についてのお尋ねでございますので、申し上げます。
 外務省の所管の部分ということでございまして、昭和五十六年度……
#249
○大森礼子君 いや、過去五年間でいいです。時間ないですから。
#250
○政府参考人(天野万利君) 五年間でございますか。
 数字が出ておりますのが、平成七年度からで五年間になります。三十二万四百六十六円、平成八年度二十一万八千二百八十五円、平成九年度五万八千七百九十八円、十年度四万四千六百八十七円、十一年度七十八万六千九百四十七円、十二、十三年度はまだ出ておりません。
 以上でございます。
#251
○大森礼子君 本省分と在外公館分に分けるといいんですが。
 では、本省分について、九四年二十二円、九五年が五円の余り、九六年は六百二十九円、九七年八百三円、九八年七百六十七円、九九年二十一円となっております。
 機密費の性格からして、予算を計上するときには何に使うかわからないのに、こんなに不確定要素がもとで予算をつくるのに、このように余り、不用額だけは確定的にほとんどすれすれという、これはいかなる理由によるものなんでしょうか。
#252
○政府参考人(天野万利君) 申し上げます。
 アジア太平洋地域における流動的な情勢、世界各地で依然として多発している民族紛争、グローバル化の進展等の国際情勢の変化を踏まえまして、情報収集活動の強化を初め外交活動のより一層の質的、量的増大が必要不可欠になっている。そういう中で認めていただいている予算を、その時々の優先的な外交課題に沿って最大有効に活用させているということで、為替レートの変動の影響を一概に除くことは困難でございますが、報償費のこれまでの収支実績はこのような必要性を反映したものである、こういうことでございます。
#253
○大森礼子君 それはわざとそらした答えをしているんですか。何でこんなに毎年毎年不用額が二けたとか三けたとか、こうなるんですか。これは帳じりをそろえるために、あろうがなかろうが適当に数字を合わせておけと、こうしか考えようがないじゃありませんか。
 これは決算委員会の責任でもあるんですけれども、これを見ただけで役所の人間、大蔵省もそうです、これを見ただけでもおかしいなというふうに本当は思うのが普通なんですよね。なぜこんなにきれいに帳じりが合うんですか。
#254
○国務大臣(河野洋平君) まことに疑問に思われる数字であるというふうに私も思いますが、報償費の使い方等につきましては、情報収集でございますとか対外的な交渉事などで必要額は相当多いわけです。必要額は相当多うございますが、もちろん限られた予算の中でその優先順位を決めて使わせるということになっておりまして、最後まで情報収集に努力をした結果がこういう数字になったというふうに御理解をいただきたいと思います。
#255
○大森礼子君 大臣もちょっとぶすっと、何かまずいな、こんな答えをしてというお顔をして答えているじゃありませんか。
 だってね、何が起こるかわからない、どういう世界情勢の変化が起こるかわからない、だからある程度これぐらい要るということでやっているのに、神のごとき目を持っているかのようにきれいに合っていると。これを見ただけで、いかにこの機密費にいろんな人がたかって好き勝手な使い方をしているかと、数字を見ただけでわかるんです。一方で、私は決算委員やったことがある、これ気づかなかったこと、本当に責任感じております、国会として。
 しかし、外務大臣とか、それから大蔵省にしても、これ何ですか、予算使い切らないと大蔵省が次の予算つけないからこうだという、こういうことなんでしょうか。
#256
○国務大臣(河野洋平君) いや、決してそんなことを考えているわけではございませんで、確かに議員がおっしゃるように、三月になってもまだ心配な問題がたくさん残っているというときには報償費についても一定の額をキープするということも必要であろうかと思いますし、また非常に重要な国際会議その他があれば、それはもう思い切ってできるだけぎりぎりまで使ってでも情報を収集する、会議の成功のために努力をするということは、これもまた我々にとって極めて重要な仕事でございます。
#257
○大森礼子君 ぎりぎりまで調査をするというんですが、じゃ九八年、本省分ですけれども、残りが七百六十七円、九九年が二十一円なんです。ここまでぎりぎり残そうとした、あとキャラメル一個も買えないぐらい、そこまで努力しておられるんですか。それから、在外公館につきまして、これ世界全部でしょう。こんなに、七十万とかありますけれども、これ自体私はおかしいと思います。
 それから、宮澤大臣、これ機密費については、予算使い切らないとつけない、こういうシステムじゃございませんでしょう。大蔵省が何か締めつけとかしていたんですか。
#258
○国務大臣(宮澤喜一君) 何ですか。
#259
○大森礼子君 機密費はきちっと使い切らないと次の予算は認めませんよなんということをこれまで大蔵省やっておられましたか。
#260
○国務大臣(宮澤喜一君) いえ、そういうことはないと思います。
#261
○大森礼子君 じゃ、これで質問時間終わりますけれども、こういう答弁自体、これまで外務省がどういう態度なのか、これから本当に改革できるのか、極めて疑問でございます。報告書の公表を私は待ちます。
 以上です。
#262
○委員長(岡野裕君) 関連質疑を許します。沢たまき君。
#263
○沢たまき君 私は、大森礼子議員に続いて、同じことができませんので、人権と報道についてお伺いをいたします。
 近ごろ、ワイドショーとか週刊誌などによる個人のプライバシーの侵害はまことに目に余るものがあります。マスメディアは、国民の知る権利あるいは報道の自由を振りかざして興味本位に個人のプライバシーを食い物にしているという実態があります。松本のサリン事件では、無実の人が汚名を着せられました。また、私個人も全く捏造の事実無根のデマ記事で名誉を毀損されました。
 法務大臣とそれから総務大臣に伺います。このマスメディアによる人権侵害の実態をどう認識していらっしゃいますでしょうか。
#264
○国務大臣(高村正彦君) 近年、報道による犯罪被害者のプライバシー侵害を初め、マスメディアによる人権侵害の問題が顕在化していることは、人権擁護の観点からまことに憂うべき問題だと、こういうふうに認識をしております。
#265
○国務大臣(片山虎之助君) 沢委員御指摘のように、放送、テレビというのは、それ自身が電波、公共性がありますし、社会的影響力は大変ありますから、御指摘のように、人権やプライバシーについては私はもう大変細かい神経、配慮を持って対すべきだと、こう思っております。
 それから、今の放送法では、基本的には憲法で表現の自由がありますから、報道番組は自主的、自由につくれると、こういうことになっておりますけれども、それはやっぱりプライバシーや人権を守るという前提があるわけでございまして、それは基本的には自律でやっていただくと、放送事業者の。
 ただ、今、放送法の中には訂正放送制度というのがありまして、申し立てによって事実と違うことがあったら訂正放送をするという制度がありますけれども、それだけで十分でないので、恐らくこれから御質問になるでしょうけれども、自主的な組織としてBROという制度をつくって、一応放送事業者みずからが、これはNHKと民放でございますけれども、対応することにいたしておりますが、認識は沢委員と私も同じであります。
#266
○沢たまき君 BROに関しては、昨年の質問のときにも郵政大臣にお答えいただきました。
 しかし、人権擁護推進審議会が昨年の十一月に「人権救済制度の在り方に関する中間取りまとめ」というのを公表いたしましたね。この中でマスメディアによる人権侵害が取り上げられていますが、その概要及びそれに対する国民の意見について御説明をいただきたいと思います。
#267
○政府参考人(吉戒修一君) お答え申し上げます。
 今、委員御指摘のとおり、人権擁護推進審議会におきましては、昨年の十一月に「人権救済制度の在り方に関する中間取りまとめ」を確定いたしまして、公表したところでございます。
 その中間取りまとめ、これは相当大部なものでございますけれども、その中で、マスメディアによる人権侵害につきましては、表現の自由の保障の観点から、まずはメディア自身の自主規制による対応の強化が図られるべきであるが、自主規制の現状等に照らすと、特に救済の必要性の高い犯罪被害者等に対する報道によるプライバシー侵害や過剰な取材等については、いわゆる積極的な救済の対象とすべきであるとされております。
 そこで、この中間取りまとめに対するパブリックコメントをいたしたわけでございますけれども、その中では、マスメディアによる人権侵害に関しまして、自主規制を原則とすべき、あるいは報道評議会など独立した第三者機関を設置し、マスコミ自身が報道被害の救済実現に努めることが必要、あるいはマスメディアによる人権侵害は積極的救済の対象にすべきではないとの意見が多く寄せられましたけれども、他方で、マスメディアによる人権侵害も積極的救済の対象とすべき、あるいはマスメディアによる人権侵害については罰則を科すなど新たな法規制を行う必要がある、あるいはマスメディアによる人権侵害に厳しい対応を考えてほしいなどの意見も寄せられたところでございます。
#268
○沢たまき君 ありがとうございました。
 そうですね、国民から寄せられた意見の中では、マスメディアによる人権侵害には目に余るものがある、言論、出版の自由といっても限度をわきまえてほしい、あるいは表現の自由、報道の自由は本来国家権力などに対する自由権を保障するものであり、個人や集団を差別する自由は含まない、日本のマスメディアは私人のプライバシーなどを興味本位で食い物にし、商売にしている、規制すべきである等々も出ていることは確かでございます。
 報道の自由の重要性を主張している日弁連さえも、一九八七年、一九九七年の人権擁護大会において、報道被害の防止等に関する決議を行って、興味本位、営利目的のマスメディアによる名誉、プライバシーなどの人権侵害が多発しており、深刻だとしています。そして、新聞、雑誌などのプレスは、報道評議会などの独立した第三者機関を自主的に設置し、報道の自由を守りつつ、報道被害の救済実現に努めることを宣言しています。
 しかし、いまだ活字のメディアは横断的な第三者機関を設立していませんが、その横断的な第三者機関の設立に関する高村法務大臣の御見解を伺いたいと思います。
#269
○国務大臣(高村正彦君) 人権擁護推進審議会が昨年十一月二十八日に公表した「人権救済制度の在り方に関する中間取りまとめ」におきまして、新聞、雑誌等の活字メディアについて、まず、「第三者を活用した苦情処理制度の新設等の取組も含め、一定の努力はなされているが、なお十分な信頼を得るためには、苦情処理の過程に第三者を活用する取組を更に進めるとともに、結果の公表も含めて苦情処理制度全般の透明度を高める取組が期待される。」とされております。その上で、今、委員が御指摘になったように、「自主規制の充実に関しては、諸外国において、メディアが苦情処理のために自主的に設置した共通の第三者機関による取組が評価されていることも参考にされるべきである。」との指摘がされていると承知しております。
 法務省といたしましても、人権擁護推進審議会から答申をいただきました際には、その内容を最大限に尊重して、人権の世紀と言われる二十一世紀にふさわしい人権救済制度の確立を目指して努力してまいりたいと考えております。
#270
○沢たまき君 それに関して、本年の一月、日本新聞協会は、人権擁護推進審議会が打ち出した強制調査権を持つ人権救済機関の構想に対して、審議会で検討されている人権救済機関が救済を名目に取材にまで関与するようになれば表現の自由は大きな制約を負わされることになる、報道にかかわる問題はメディア自身による自主解決を基本とすべきだとする意見書を公表いたしました。
 表現の自由の保障とマスメディアによる人権侵害に対する救済のあり方について、大臣の御見解を伺いたいと思います。
#271
○国務大臣(高村正彦君) 日本新聞協会から人権擁護推進審議会に対して「人権救済制度の在り方に関する中間取りまとめに対する意見書」が提出されていることは私もよく承知しております。そして、現在、日本新聞協会からのものも含めて中間取りまとめに対して寄せられた数々の御意見を踏まえつつ、人権救済制度のあり方に関する調査審議が進められているところでありますので、私から今意見を申し上げることは差し控えさせていただきたいと、こういうふうに思います。
 ただ、先ほどから申しましていますように、巨大なマスコミと個人の人権、非常に巨大なものと、国家権力という巨大なものとマスコミの話ではなくて、巨大なマスコミと小さい個人、その間で人権侵害があったということについては私は何らかのことはしていかなければいけない、そのことについては審議会の答申を最大限尊重していきたいと、こう考えております。
#272
○沢たまき君 お答えの一番最後のところだけは大変ありがたく評価をしながら、全くそのとおりでございます。
 国民は、報道の自由は大切、しかしメディアによる人権侵害は放置できない、もはやメディアの自主的な努力は期待できないと、このように国民の多くは思っております。
 新聞各社は個別の苦情処理機関を第三者的な機関に衣がえして、オンブズマン的などといって公的な人権救済機関による調査から逃れようとしているとしか思えません。もう十四年も前に日弁連から指摘されていますように、改善をしないまま人権侵害を続けているということは報道の自由にあぐらをかいて国民を犠牲にしていると言えます。これはどういうことかというと、今、大臣もちょっとおっしゃってくださいました巨大なメディアに対する小さな個人、この国民を犠牲にしている、こういうことには早急な救済措置が必要なんです。
 そこで、人権救済機関の設立構想の具体的な内容についてお伺いをいたします。
 特に、マスメディアを対象から外してはならないと、私はこのように強く思っておりますが、大臣の御見解はいかがでございますか。
#273
○国務大臣(高村正彦君) 人権救済機関のあり方については、調査審議を行っている人権擁護推進審議会におきましては昨年十一月中に中間取りまとめを公表し、その中で差別や虐待のほか、マスメディアによる一定の人権侵害についても積極的な救済を行うものとして、政府から一定の独立性を有する人権救済機関の設立を提言しているものと承知をいたしております。
 法務省といたしましては、人権擁護推進審議会の審議結果を最大限に尊重して、人権の世紀と言われる二十一世紀にふさわしい被害者救済制度の確立に努めてまいりたいと考えております。
 マスメディア自身の自己規制というのは期待できないとおっしゃいましたが、私はまだまだ最後の最後まで期待したいとは思っておりますが、それと同時にやはり何らかの政府から一定の独立性を有する人権救済機関の設立を提言されておりますので、この審議会の結果を最大限に尊重してまいりたい、こう考えております。
#274
○沢たまき君 審議会に私のように書かれた者が一人でも入っていればそれは随分違うと思いますが、入っていなければ何の役にも立たないなという気がしております。
 そこで、言論の暴力によって名誉毀損、プライバシー侵害に対する損害賠償額の実態は通常百万円が限度となっています。事実無根の捏造記事を掲載して名誉を毀損し何千万ももうけておきながら、その損害賠償額が百万円というのでは、営利目的のメディアにとっては本当に安い必要経費ということになってしまうんですね。言論の暴力によってはかり知れない苦しみを精神的に受け、家族も巻き込まれ、職場や長年暮らした地域にもいづらくなる、さらには自殺に追い込まれる可能性もある、こういう目に見えない中でもう傷だらけになって血を流しているにもかかわらず、長く闘っても精神的な損害だからといって百万円程度というのでは、被害者感情としてはもちろん、一般国民の正義感からも納得できません。まさに書き得、書かれ損というのが現状であります。
 損害賠償においては現実の損害が金銭的に評価されるわけですけれども、名誉、プライバシーに関する裁判所の金銭評価はまことに低過ぎます。司法は国民の被害感情から離れてしまっており、国民の期待にこたえておらず、今日の国民の司法不信の一因となっていると私は考えております。日本人は、名こそ惜しけれ、こういう言葉に象徴されるように昔から名誉を本当にたっとぶ国民でありました。
 名誉侵害に対する損害賠償額を引き上げるべきだと声を大にして申し上げたいんですが、最高裁の御見解をお伺いいたします。引き上げができないというならば、その理由もぜひ御説明ください。
#275
○最高裁判所長官代理者(千葉勝美君) 名誉毀損に対する救済方法といたしましては、謝罪広告などの処分が民法上規定されておりますけれども、それ以外にも被害者の精神的損害に対する慰謝料の支払い、これが重要な救済方法として予定されているわけでございます。
 この慰謝料の額は個々の裁判体が事案に応じて判断しておりまして、この算定につきまして事務当局として意見を申し述べるということはできないということは御理解をいただきたいと思います。
 しかしながら、委員御指摘のとおり、名誉毀損による損害額が低いのではないか、こういう意見があるということも承知しておりますし、マスメディアによる名誉毀損に対する被害回復を図るための慰謝料額の算定のあり方について我々としても十分問題意識を持っているところでございます。下級裁に対しましては、機会をとらえてこのような問題意識に立った情報提供をしているところでございます。
 最近の判例でございますけれども、メディアによる名誉毀損の慰謝料として、私生活上の話題を提供することで一般読者の購買意欲をあおり雑誌の販売部数を上げようとの商業目的で公表されたものであることや、発行部数が約七十二万部に上り店頭で目につきやすく影響の大きいことなどの諸事情を勘案した上で、被告側からは百万円単位の慰謝料請求は過大だという主張を排斥して五百万円の支払いを命じたという判決もございます。
 委員御指摘の問題意識につきましては、徐々にでございますけれども裁判官の間にも浸透してきていると言ってもよいかというふうに思っております。我々もこの問題意識につきましては重く受けとめまして、今後とも下級裁に対して機会をとらえて情報提供していきたいと考えております。
#276
○沢たまき君 前向きなお答えありがとうございました。
 昔ですが、昭和六十一年の北方ジャーナル事件に関する最高裁大法廷の判決の中で、大橋進裁判官は次のように補足意見を述べていらっしゃいます。生命、身体とともに極めて重大な法益である名誉を侵害された者に対する救済は十分なものでなければならない、我が国において名誉毀損に対する損害賠償は低額に失するとの非難を受けているのが実情であるが、これが表現の自由の保障の範囲外ともいうべき言論の横行を許す結果となっていると、このように補足なさっていますね。最高裁の裁判官が十五年も前にこのような認識を示しているのに、損害賠償額の引き上げはいまだに行われていません。
 大臣が先ほどおっしゃいましたように、二十一世紀は人権の世紀と言われており、人権、とりわけ名誉の金銭的な評価はますます重くなっていくんだろうと思っております。司法の中にも国民主権の原理を入れていただきたい、社会の常識から遊離しないでもらいたいと、このように思っております。
 そこで、民法七百九条、七百十条という現状の条文を前提とする限り、裁判官が名誉に関する十分な損害額を認めることができないということであるとすると、次は立法的手当てが必要になりますが、最高裁の御見解をぜひよろしくお願いします。
#277
○最高裁判所長官代理者(千葉勝美君) 昭和六十一年六月十一日の最高裁の北方ジャーナルに関する大法廷判決、その補足意見において名誉毀損における賠償額について言及されているということは委員御指摘のとおりでございまして、我々もその意見は十分承知をしております。
 この問題につきましては、委員の問題意識も踏まえまして、下級裁の裁判官に十分同じような問題意識を持ってもらいたいと、名誉毀損による損害の回復に寄与するような解決が実現されるように、先ほど述べましたもろもろの手当てを検討していきたいと考えております。
 なお、この種の事件は一般国民の良識的な判断になじむ事件類型であることから、国民の司法参加の一つのテーマになり得るところでございます。我々もそういう観点から、この問題につきましては、この問題に関する議論の材料を司法制度改革審議会に提供させていただいておるというところでございます。
 裁判所といたしましては、今後ともこの問題に関する議論の推移を見守っていきたいと思っております。
#278
○沢たまき君 ちょっと時間がもう来てしまいました。
 ここで、昨年、臼井法務大臣のときにも、制裁的要素を加味した懲罰的損害賠償の制度の採用は、刑事責任、民事責任が混同するなどの重要な問題を含んでおり、制度の導入については慎重な検討が必要であると御答弁いただきました。
 しかし、労働基準法第百十四条は、賃金の未払いに対して、使用者が労働者に対して未払い賃金のほかに同一額の付加金の支払いを命ずることを可能としています。これは刑罰とは別の制裁とも考えておって、損害の回復は民事、加害者への制裁は刑事責任と、区別は必ずしも徹底していないことを示していると思っております。
 そこで、最後に法務大臣にお願いしておきます。報道機関などによる極めて悪質な人権侵害に対する損害賠償訴訟に懲罰的損害賠償制度をぜひ導入すべきであると訴えて、質問を終わらせていただきます。
#279
○委員長(岡野裕君) 以上で大森礼子君及びその関連質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#280
○委員長(岡野裕君) 次に、吉川春子君の質疑を行います。吉川春子君。
#281
○吉川春子君 私は共産党の吉川春子です。
 パート労働者の賃金問題について質問をいたします。
 春闘の最中ですが、賃上げ率は大変低い水準にあります。日本の賃金水準を低くしている一因は、急増する不安定雇用労働者の低賃金にあります。中でも、女性労働者の四割以上がパート、派遣等、不安定雇用労働者で占められています。賃金が大変安い現状では女性の経済的自立もままなりません。
 きょうはパート労働者の問題について聞きますが、厚生労働大臣、ちょっとこの表を見ていただきたいと思います。(図表掲示)これは、男性を一〇〇にした場合、女性の一般労働者、そして女性のパート労働者の賃金ですけれども、この一〇〇に対する三五%という格差をどうごらんになりますか。
#282
○国務大臣(坂口力君) 計算方法、いろいろあるんだろうというふうに思いますが、その表を見せていただきますと、かなり低いことだけは間違いがないわけでありまして……
#283
○吉川春子君 労働省の数字です。
#284
○国務大臣(坂口力君) 労働省の数字ですか。これは職種やあるいは勤続年数の違いによりましても若干の違いはあるんだろうというふうに思います。
 しかし、その表を拝見する限り、女性パートの賃金が安いことだけは間違いがないわけでありまして、問題意識を持たなければならないというふうに思っております。
#285
○吉川春子君 女性の労働者同士の格差で伺いますけれども、パートと正規の労働者の格差、十年間どうなっていますか。
#286
○政府参考人(岩田喜美枝君) 女性労働者のパートタイム労働者と一般労働者の賃金の比較をいたしますと、一九九〇年では、時間当たりに換算した額でございますが、パートタイム労働者が七百十二円、そして一般労働者が九百八十九円ということになっておりまして、一般労働者を一〇〇といたしましたパートタイマーの賃金水準は七二ということでございました。
 直近の数字で、一九九九年でございますけれども、同じように一時間当たりの賃金で見ますと、パートタイム労働者は八百八十七円、一般労働者は千三百十八円ということでございまして、一般労働者一〇〇に対しましてパートタイム労働者は六七ということで、その格差が拡大しております。
#287
○吉川春子君 特別給与額等を含めて計算すると、どうなりますか。
#288
○政府参考人(岩田喜美枝君) 定期給与に賞与その他の特別給与額を含めまして同じように換算いたしますと、一九九〇年の一般労働者とパートタイム労働者、女性についてでございますが、格差は一〇〇対六一、そして一九九九年につきましては格差が一〇〇対五六ということでございまして、賞与等特別給与額を含めますと格差が拡大いたしておりますことと、この間の推移を見ますと、特別給与を含めた場合も含めない場合もいずれも五ポイントほど格差が拡大いたしております。
#289
○吉川春子君 厚生労働大臣、問題意識を持ってごらんになったと伺いましたけれども、女性労働者同士の中でも一〇〇対五六という、こういう格差についてどういう問題意識をお持ちでしょうか。
#290
○国務大臣(坂口力君) 女性の中におきましても、一般の労働者とそしてパート労働者の間におきましては今、局長が述べましたように差がありますし、さらにまたその他の賃金等を含めますとその差が大きくなることも事実でございます。
 そうした中で、このパートタイムの問題を一体どうしていくかというのは、日本にとりまして大きな問題を私ははらんでいるというふうに思います。やはりパートタイムの皆さんの人数が非常に多くなってきておりますし、しかもここが賃金が非常に低くて不安定であるということになりますと、日本の社会全体に与える影響というのも非常に大きいということを考えなければならないというふうに思います。
 一方、日本の経済あるいは日本の企業というものを考えましたときに、このグローバルな中でどう経営が成り立つのかというような観点からもこの問題を考えていかなければならないのではないか。双方から見てこの問題は解決をしていかなければならない問題ではないかというふうに思います。
#291
○吉川春子君 経営が成り立つかどうかという側面からも見なくてはならないと労働大臣はおっしゃいましたけれども、パート労働法には均等待遇の原則というのが書かれている、そして、そのパート労働法ができて以来さらに格差が五ポイントも開いている、こういう状態は非常にゆゆしいことではありませんか。どうですか。
#292
○政府参考人(岩田喜美枝君) 先生が御指摘の点は、一般労働者とパートタイム労働者の平均賃金を比較した話でございますから、先ほどの労働大臣の答弁にもございましたように、その賃金をパートタイム労働者、パートタイム労働法の趣旨に沿いまして、一般労働者、通常労働者の均衡が考慮されているかどうかということを判断する場合には、比較する対象といいましょうか、すべてのパートタイム労働者とすべての一般労働者をマクロで比較するというのは必ずしも適当ではないというふうに思います。
 職務の内容も違いますし、勤続年数も違う、そういう中でマクロの比較というのはいかがかというふうに思いますけれども、同じような職務をして同じような就業実態にあるにもかかわらず余りにもその格差が大きいということがあるとすれば、それはパートタイム労働法の規定からいって問題になるということもあろうかというふうに思います。
 そして、もう一つは、パートタイマーが、税制、社会保障制度あるいは企業の賃金制度の影響もあるわけでございますが、一定の年収を超えないようにみずから就業調整をするという傾向が長らく続いております。こういうこともパートタイマーの賃金を上げない、抑えているというような間接的な影響も出ているように思っております。
#293
○吉川春子君 余りにもパート労働者の賃金が低いという実態は、今お示しした労働省の数字を表にしたとおりでございます。
 それで、なぜこんなにパート労働者の賃金が低いのかという点で、私は最賃法の問題を指摘したいと思います。
 日本には地域最低賃金を決めるという制度があるんですけれども、大臣、ごらんいただきたいんですが、(図表掲示)パートタイム労働者の時間給の実態、これは全国生協労連の調査によってグラフをつくっていますが、最賃というのは赤いところ、七百三から六百円、この辺が最賃、地域最賃のレベルなんですけれども、これをごらんいただいても、パートの労働者の賃金というのは最賃ぎりぎりのところに張りついているということが非常に多いということがわかっていただけると思うんですけれども、こういう最賃ぎりぎりの労働者というのがたくさんいると。
 それで、伺いますけれども、こういう最賃ぎりぎりのところにパート労働者の時間給が張りついているという点について、大臣、いかがお考えですか。
#294
○国務大臣(坂口力君) 今、その数字は初めて私拝見をいたしましたが、個々の企業におきます賃金は、それぞれの企業とそしてそこに働く人たちとの間、パートで働く人たちとの間の契約によって成り立つわけでございますので、個々につきましてはそれはその契約にゆだねる以外にないというふうに思いますが、しかし、そうしてそれをトータルで見ましたときに、統計的に処理をしましたときに、それが最低賃金に非常に近いところに存在をするということの問題は、これはやはり今後いろいろと考えていかなければならない問題の一つであるというふうに私も思います。
#295
○吉川春子君 労働省が最低賃金の履行確保の監督指導を行っていますけれども、その結果について、十年前と直近で監督実施事業数、労働者数、法違反の状況、最賃未満労働者比はどうなっていますか。
#296
○政府参考人(日比徹君) 最低賃金の履行確保を主眼として行っておる監督指導の実施状況でございますが、平成二年と平成十一年を比べて御説明申し上げたいと思います。
 監督実施事業場数でございますが、平成二年二万五千九百三十一件、平成十一年一万五千八百六十九件。
 そうしまして、最低賃金法に係る違反率でございますが、平成二年一〇・九%、平成十一年一〇・〇%となっております。
 また、最低賃金法違反事業場におきます事業主の最低賃金に対する認識という点でございますが、平成二年は、最低賃金額を知っているが二〇%、これは知っているが違反したという意味でございます。また、金額は知らないが最低賃金額が適用されていることは知っていたというのが七〇・三%、また最低賃金額が適用されることは知らなかったとするものが九・七%となっております。同じことを平成十一年について見ますと、賃金額を知っている二六・四%、賃金額は知らないが賃金額が適用されることは知っていた六一・五%、それから最低賃金額が適用されることを知らなかったとするもの一二・一%でございます。
 なお、最後のお尋ねの最低賃金未満で働いていた労働者の状況でございますが、この監督実施事業場の労働者数に対する比率で見ますと、平成二年には一・八%、平成十一年には二・二%となっておりまして、それらの割合の者が最低賃金未満で働いていたという状況になっております。
#297
○吉川春子君 最賃以下で働かされているパート労働者というのも結構いまして、那覇商工会議所で、平成十二年賃金実態調査報告に書かれておりますけれども、女性の事務系の最低賃金平均は四百円、こういう実態を労働省、つかんでおりますか。
#298
○政府参考人(日比徹君) ただいま御指摘の調査報告は、恐らく沖縄県の那覇市ほか二市の商工会議所が行った調査だと思います。
 それで、その調査によりますと、これはパートとアルバイトの一時間当たりの賃金ということで報告されておりますが、従業員規模の少ないところ、あるいは特に女性の事務系のところで最低賃金額を下回る例が報告されております。
 なお、御指摘の、例えば女性事務系四百円というのはこれは一番低い額で、平均はそれより上回っておりますが、とにかく最低賃金を下回る賃金のケースがあることは報告されております。
#299
○吉川春子君 そういうものを放置しておいてはいけないと思います。
 厚生労働大臣、この十年間の数字、さっき報告していただいたんですけれども、調査事業場数とか調査労働者数を大幅に減らしております、労働省は。それで、違反率は下がっていないし、最賃未満の労働者比というのは逆にふえているんですね。この違反状況をやっぱり直ちに改善するように徹底して調査して指導していただきたいと思います。大臣、いかがですか。
#300
○国務大臣(坂口力君) ただいま御指摘になりました沖縄県那覇市ほか二市の商工会議所が行いました賃金実態調査報告書を私も拝見いたしました。最低賃金法違反がここで報告をされております。
 最低賃金法は労働者の生活の根幹にかかわる重要な法律でありますし、この報告が事実だとすれば、これは各都道府県の労働局監督署が指導をしているわけでございますから、指導をもっと正確にしなければならないことだというふうに思います。
#301
○吉川春子君 その最低賃金法が、昭和三十三年、一九五八年に制定されて四十年以上たつんですけれども、この最低賃金制を制定した意義はどこにあるんでしょうか。
#302
○政府参考人(日比徹君) 最低賃金法、これは法律でもうたわれておりますが、憲法二十五条の趣旨を受けまして、賃金の低廉な労働者の労働条件の改善を図る、もって労働者の生活の安定、事業の公正な競争の確保等に資することを目的として制定されたものと承知いたしております。
#303
○吉川春子君 労働大臣、憲法二十五条との関係でお答えいただきたいと思います。
#304
○国務大臣(坂口力君) 最低賃金法は、憲法第二十五条の趣旨を受けまして、賃金の低い労働者の労働条件の改善を図り、もって労働者の生活の安定、事業の公正な競争の確保等に資することを目的としたものでございます。
#305
○吉川春子君 健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を保障するために設けられたんですけれども、最低賃金で計算しますと月額は幾らになるんでしょうか。
#306
○政府参考人(日比徹君) 御案内のように、最低賃金は、これは日額、時間額等で決まっておりますが、あえてこれを月額にするということで、月に二十三日の労働日数の場合、二十三倍してみるとということでございますが、東京都の数字で計算いたしますと、二十三日の月では十二万七千八百五十七円、仮に二十二日の月ということで計算しますと十二万二千二百九十八円となります。
#307
○吉川春子君 勤労者は、当然のことながら、実収入の金額を全額消費するわけではありません。非消費支出は単身世帯で何%ぐらいになるんでしょうか、総務省にお伺いします。
#308
○政府参考人(久山慎一君) お答え申し上げます。
 総務省が実施しております単身世帯収支調査の平成十二年平均の結果によりますと、単身勤労者世帯の実収入は一カ月当たり三十三万六千九百二十八円、非消費支出は五万六百四十八円であり、実収入に占める非消費支出の割合は一五・〇%となっておるところでございます。
#309
○吉川春子君 そういたしますと、さっきの最賃の月額からその一五%を差し引きますと、十万三千九百五十三円になります。これが実際に生活費に使える額と考えてよろしいですか、労働省。
#310
○政府参考人(日比徹君) 最低賃金につきましては、その使い方について、非消費的支出に何%充てるかというような点を厳密な意味で計算しておるわけではございません。
 御案内のとおりでございますが、最低賃金の決定に当たりましては、労働者の生計費、類似の労働者の賃金及び通常の事業の賃金支払い能力、このような三つの要素を総合的に勘案するということで、具体的にも、年々さまざまな経済指標等を幅広く参考としまして最低賃金額の改定を行ってきているところでございます。
#311
○吉川春子君 最賃から税金や社会保険料を払わなくてもいいとでも労働省おっしゃるの、どうです。
#312
○政府参考人(日比徹君) 税金あるいは社会保険料負担、これは受け取り賃金から払うことになりますが、最低賃金、先ほど申し上げましたように、日額、時間額、そういうことで定めておりまして、結果として税制、社会保険料負担がどうなるかということは個別ケースで違うと思います。
#313
○吉川春子君 それが一五%だということを総務省がおっしゃいました。
 厚生労働大臣、生活保護制度がありますけれども、これはどういうことで設けられている制度でしょうか。
#314
○政府参考人(真野章君) 生活保護、いろんな状況で生活困窮されるという方々に対しまして、憲法二十五条の規定によりまして、国民に健康で文化的な最低生活の保障を行うということで生活保護を行っているものでございます。
#315
○吉川春子君 十八歳単身の人が一級地の一、東京で生活保護を受けるとなると、その生活扶助と住宅扶助の支給額は合わせて幾らになりますか。
#316
○政府参考人(真野章君) 東京区部など一級地の一で十八歳単身者の生活扶助の額でございますが、これは一カ月八万七千六百八十四円でございます。住宅扶助の場合には、上限ということでございますが、東京では五万三千五百円ということでございまして、上限を足し合わせますと十四万一千百八十四円ということでございます。
#317
○吉川春子君 労働大臣、四十年以上前に生活保護基準を引き上げよということで結核患者が裁判を起こしました朝日訴訟は余りにも有名です。
 現在のその生活保護基準はどうかといいますと、私のところにももっと引き上げてほしいという要望が多数参っております。徳島の女性は、生きるだけの金額でほかには何も支出できない保護費ですと訴えています。下着や服は買ったことがない、もらい物で済ませていると言います。生活保護は各地域の一般生活実態との均衡を可能な限り確保するとしていますが、こういう立場からも保護基準はもっと引き上げるべきと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
#318
○国務大臣(坂口力君) 先ほどパートで働く皆さんのお話も出たところでございます。そのパートで働く皆さん方がお一人で働いておみえになるのか、あるいは御夫婦で働いておみえになるのか、それはわかりませんし、お一人の場合がどれだけという数字は出ているだろうというふうに思いますが、そうしたことと、そしてこの生活保護を受けられる皆さん方の値をどうするかといったようなこと、働く皆さん方の賃金との関係等を考慮に入れてこれは決定をしていかなければならないことでありまして、しかし最低限生活のできる額でなければならないことは間違いないというふうに思います。
#319
○吉川春子君 最低限生活ができる、健康で文化的な生活が営める、そういう生活保護水準に今後とも引き上げていくという、そういうお考えをお持ちですね。
#320
○国務大臣(坂口力君) 今後の経済の動きでありますとかまた全体のことを考えてこれから決定をしていかなければならないわけでありまして、現在の生活保護を受けておみえになりますその額を早急にこういうふうに改めます、こういうふうにしますということを今申し上げているわけではなくて、トータルで物事を考えていかなければならないということを今申し上げたわけでございます。
#321
○吉川春子君 生活保護基準をもっと引き上げるということは強い要求であるということを申し上げたいと思います。
 それで労働省、最低賃金制度と生活保護基準について比較をして、やっぱり最低賃金の方が高くなければならないということを何回か答弁されていますが、その根拠は何でしょうか。
#322
○政府参考人(日比徹君) 最低賃金の水準と生活保護水準との関係でございますが、先ほども申し上げましたように、最低賃金額につきましては生計費その他三要素を入れております。
 ところで、生活保護水準との関係でございますが、私ども、その生計費等を考える際に、社会保障の給付その他の状況というものは加味すべき要因だと考えておりますが、先ほど申し上げましたように総合的勘案ということで具体的には決めております。
 それから生活保護水準につきましては、先ほど担当局長からの数字の御紹介がございましたが、住宅扶助というものを入れるとかなり上がると。その際、最低賃金を決める際には賃金自体で、これは全体の労働者を想定いたしておりますので、住宅に要する経費というものは個々ばらばらであろうと思いますので、十分考慮するといたしましても、住宅費の上限額をもって考慮する要因にはならないものと思っております。
 なお、最低賃金は、現実の労働者の受け取っている賃金の状況等に基づきまして、低廉な賃金労働者の労働条件を引き上げるという観点でやっていることを申し添えたいと存じます。
#323
○吉川春子君 生活保護基準は、私は生活扶助と住宅費だけ伺いましたけれども、教育費、医療費、介護費、出産費、生業費、葬祭費、こういうたくさんの制度があって、そのうち私は衣食住だけを聞いたんですよね。だから、生活水準トータルで比較したらもっともっと多額になるんですよ。しかし、その衣食住で比較した場合に、少ない比較ですけれども、それでも最低賃金はこれは下回らないんだ、生活保護基準よりは上なんだという答弁を何遍か国会でしています、議事録を見れば明らかですが。その答弁を、じゃ、修正されますか。
#324
○政府参考人(日比徹君) もうこれは私から申し上げるまでもございませんが、生活保護における最低賃金生計費といいますか、その場合には世帯を単位に考えておりますし、世帯人数によって異なる、そういうことがございます。したがいまして、私どもは、最低賃金額というものをどのように対比するか、直接的な比較というのはモデル等を描かないと比較困難な点があろうかと思います。
 したがいまして、私ども従来から申し上げておりますのは、最低賃金の決定に際しまして生活保護の動向についても十分検討を加えてやっておると。したがいまして、モデルのとり方になる点はあろうかと思いますが、私どもは生活保護水準というものを下回っていいというつもりで考えてはおりません。
#325
○吉川春子君 当然ですね。
 それで、さっき、大臣、私は数字を明らかにしましたけれども、最賃は、十八歳、単身、東京で比べた場合、最賃は十万三千円、生活保護費は十四万と、これは明らかに逆転しているんですね。こういう現状についていいと思われますか。
#326
○国務大臣(坂口力君) その二つの数字だけを並べてどちらがいいかというふうに言われれば、それは数字が大きい方がいいに決まっておりますしいたしますから、そこをどうだと言われましてもなかなか答えにくい話でございますが、先ほど局長が申しましたように、その辺のところはこれは科学的にひとつモデルをつくって、そして対比をしてどうなのか。地域によっても随分生活費も違うというふうに思いますし、東京と私の田舎とでは全く違いますし、そうしたことを考慮に入れてやはり科学的な分析の上に対比をして、それでどうかということを一度見ないといけないというふうに思います。
#327
○吉川春子君 ですから、私は先ほど面倒くさいくらいな手順を踏んで、十八歳で東京で、そして単身者でという形で数字を答弁していただいた結果じゃないですか。生活保護費も衣食住だけしか含めない数字じゃないですか。それでも最賃で生計費は十万三千円しかない、生活保護費は低い水準だけれども最賃よりも上回って十四万あると。しかし、さっきもお答えがあったように、少なくとも生活保護費を最賃が下回っていいということは労働省は一度も答弁されてこないわけですよね。こういう今の現状についてどう思うかという質問をしたんです。
 続けて質問しますけれども、実は最賃の制度を設けた当初は最賃の方が高かったんですよ、生活保護が低かった。それが何年ぐらいで逆転したか、労働省、御存じですか。大臣、御存じですか。
#328
○政府参考人(日比徹君) 正直なところ存じ上げませんでしたが、本日お配りの資料によりますと、七八年までは上の方に出ておりますので、これが恐らく差額、上だったという意味での資料であろうかと思います。
#329
○吉川春子君 憲法二十五条に基づいて「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を保障する厚生労働省がいつ二つの、二十五条から来た二つの制度がいつ逆転したのか知らなかったというのは、本当に私は職務怠慢ではないかと思います。
 大臣、このグラフを見ていただきたいと思います。(図表掲示)
 これは、ゼロのところはこれは生活保護基準をゼロにしております。そして、当初から七八年までは最賃の方が上回っていた。ところが、七九年、わずかに下回って、八〇年からぐっと逆転をしちゃったんですね。ここがターニングポイントというか、ノーリターンになっているわけですけれども。
 八八年と八七年はこれは四十時間実施の年です。四十時間の恩恵もほとんど最賃の労働者には行っていないということが明らかなんですけれども、大臣、こんなに最賃と生活保護基準が逆転していると。同じ憲法二十五条から出ている制度ですよ。これはまずいんじゃないでしょうか、いかがですか。
#330
○国務大臣(坂口力君) 生活保護の場合と最低賃金額の比較でございますが、おっしゃる御趣旨はよく理解できました。
 それで、最低賃金額というのはそれぞれの都道府県におきましてそれぞれ御審議をいただいて決定をしていただいているわけでございますから、その一番の基準とするのをどうするかという問題になってくるんだろうというふうに思います。
 その最低賃金額の決定ということと生活保護とを比較してどうかということをおっしゃいますけれども、私は先ほど申しましたように、生活保護の基準をとります場所あるいは地域、そうしたものと、それから最低賃金額の推移というものとをもう少し検討しなければいけないというふうに思いますが、しかし、トータルで見てこういう状況になるということにつきましては、御指摘の状況はよくわかりますので、私たちも検討したいと思います。
#331
○吉川春子君 国際的に比較して日本の最賃のレベルについて、労働省、御存じでしょうか。
#332
○政府参考人(日比徹君) 若干の国際比較ということで、今わかる限りでお答え申し上げたいと思います。
 最近時点ですと一九九九年でございますが、アメリカ、フランス、イギリスにつきまして為替レートだけで比べた場合と、いわゆる購買力平価、これはOECD等で用いている、そういうものを用いた場合とでお答えしたいと思います。
 一九九九年、日本のこれは全国の最低賃金の加重平均でございますが、六百五十四円でございました。それに対しまして、最初に為替レートで換算したもの、その次に購買力平価で換算したものを申し上げますが、アメリカは五百八十七円と七百六円、それからフランスが七百五十三円、購買力平価で千十四円、それからイギリスは六百六十三円、それが七百四十二円となります。
 以上でございます。
#333
○吉川春子君 日本はどういう水準にあるんですか、それとの比較で。
#334
○政府参考人(日比徹君) 為替レートをもって換算いたしますと、アメリカよりは高く、フランスより低く、イギリスとほぼ同じところと。それに対しまして、購買力平価というものを加味いたしますと、アメリカ、イギリスよりやや低く、フランスに比べますとかなり低いという状況でございます。
#335
○吉川春子君 国際的に購買力平価で比較しますと日本は第八位ということで、サミット諸国の中の最低だというOECDのデータもありまして、大臣、やっぱり最賃がなぜこんなに低くなったかというと、春闘の相場、市場原理に支配された最賃額の決定ということが最大の原因であると思うんです。憲法の二十七条は最賃の根拠にもなっていますけれども、こういう市場原理に任せちゃならないわけですね。二十五条の最低の基準を守らなきゃならない。そういうことを考えますと、やっぱり日本の、先進資本主義国の中でもかなり低いこの最賃を飛躍的に引き上げていただきたい、そういう努力を政府としてはしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#336
○国務大臣(坂口力君) きょうもいろいろのことをお聞きいたしましたが、諸般の事情を勘案して、そして決定をしなければならないというふうに思いますから、いろいろの諸般の事情をひとつよく勉強いたしまして、そしてこの新しい事態にどう対応するかということを考えたいというふうに思います。
#337
○吉川春子君 憲法二十五条は諸外国の憲法に比べても非常にすぐれた優位性を示すものですが、ここの生存権が具体的な制度において保障されていないということはゆゆしいことです。このことを、憲法二十五条を遵守して実施するように強く要求をいたしまして、関連質問をお許しいただきたいと思います。
#338
○委員長(岡野裕君) 関連質疑を許します。池田幹幸君。
#339
○池田幹幸君 日本共産党の池田幹幸でございます。
 最初に、日米首脳会談での対米約束について一点だけ確認しておきたいと思います。
 けさの報道によりますと、不良債権処理や財政再建などの構造改革について、森首相が半年ぐらいで結論を出したいと明言したと、これは朝日の報道でございますけれども、ございます。これについてなんですが、これが事実かどうかということと、財務大臣並びに金融担当大臣に伺いたいんですが、それぞれこれについては了解した上での森総理の発言だったのか、そのことについてお答えいただきたいと思います。
#340
○国務大臣(宮澤喜一君) 直接話を聞いておりませんのですけれども、いろんな情報を総合いたしまして、一つ問題になりましたのは財政再建の話であったようでありまして、これは森総理は、かねて政府の経済財政諮問会議に既に財政再建に資するためにマクロモデルの構築を経済研究所長に命じておりまして、多分それが半年ぐらいで構築されるんではないかという報告でございますので、したがいまして、これができてまいりますとシミュレーションが可能になる、そういうことを恐らく総理は頭に置かれたと思いますが、半年ぐらいの間にということを言われたように承知しております。
 それから、金融機関の不良債権の問題は、これはもとより池田委員も御承知のように、既に三与党と政府との間で過日会議をいたしまして、緊急本部を立ち上げたわけでございます。既に、柳澤大臣等々のもとで進んでおりますので、これにつきましては特に総理は日時は言われなかったようでございますけれども、専ら政治の中心の課題としてただいま取り組んでおるということを言われたと承知しております。
#341
○池田幹幸君 半年ぐらいで結論を出したいと、そういったふうに発言なさったんですか。
#342
○国務大臣(宮澤喜一君) それは正確に使われた言葉は存じませんけれども、大きな話として半年ぐらいということの中で検討をしたいという意味は、多分そのマクロモデルが完成するしと、そういう意味を、表に出しませんでしたが一つのめどとして言われたものと思います。したがって、何か半年以内に家が建つようなそういう種類の話ではない半年でございます。
#343
○池田幹幸君 構造改革についてのマクロモデルについてはそういうことだということで、これは報道ではそうありませんからそこまで森総理が言われたのかどうか不確かなんですけれども、それにしても不良債権の処理を半年ぐらいで解決する、もう恐ろしいことを言われたわけですね。
 これについては後で触れたいと思いますが、私はこれは、帰ってこられたら一カ月以内ぐらいで退陣するだろうということがはっきりしておる総理が半年先のことを対外公約する、余りにも不見識じゃないですか。そのことについての財務大臣並びに金融担当大臣の感想を伺いたい。
#344
○国務大臣(宮澤喜一君) 念のため、先ほど不良債権の処理について半年云々ということは総理は言っておられません。それは財政再建のことというふうに申し上げました。
#345
○国務大臣(柳澤伯夫君) 宮澤財務大臣のおっしゃられるとおりと私も理解しておりまして、けさの閣議後の記者会見でも記者からそのことを問われましたが、同様の趣旨で私は、それは財政再建にかかわる一つのことだろう、こういうふうに申して、不良債権問題とは別個の問題、こういうようにお答えしたところであります。
#346
○池田幹幸君 誤報だということですか。何紙かが同じようなことを書いておるんですが、これは間違いだと。財政再建問題で、財政再建モデルを半年以内につくるとは言っておられないんですけれども、そういったことについて余りこれしてもあれなんで、内容については後で触れたいと思います。
 ただ、こういった、はっきり言いまして一カ月でやめる総理が半年先のことを約束する、余りにも不見識だし、こんなことをやっておったのでは本当に国際的な信頼は得られないということを申し上げておきたいというふうに思います。
 それでは、景気対策について伺いたいと思います。
 先ほど円委員の質疑がありましたので、そのことを踏まえて質問したいと思いますが、まずその前に一つ、今の景気情勢の特徴なんですけれども、これは宮澤財務大臣も時々言っておられるんですが、個人消費が景気の足を引っ張っていると。要するに、企業利益や設備投資は復活してきたけれども、個人消費が低迷して個人消費が景気回復の足を引っ張っておって、しかもこの状態が長期にわたっている、これは非常に異常な状態で、それが一つの特徴をなしているということもあったと思うんですけれども、この点について確認していただきたいと思います。
#347
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほどお答え申し上げましたことをお聞きいただいたと思いますので、手短に申し上げますけれども、普通でありますと、企業の活動が盛んになりますとそれはやがて家計に響くはずのものでございますが、このたびは予想のとおりまだ響いてこない、リストラ等々いろいろ理由はあるであろうが。これが響きますと、GDPの六〇%でございますから、そもそも我が国のGDPは今年度に一・二%のプラスの成長がほとんど間違いないと考えられておるわけでございますから、全体がそう悪いわけではないこの家計が正常に動き出すということ。もうそろそろと思いながら、まだそういう状況になっておりませんがということを申し上げております。
#348
○池田幹幸君 個人消費低迷の原因について、さっき円委員に対する御答弁では二つ挙げられました。収入がふえないということと、限界消費性向が伸びてこないということの二つだということでした。
 この内容についてはまた後で触れますけれども、今の御答弁なんですが、要するに、企業利益が伸びれば家計消費の伸びに結びつくというふうに考えてきたけれども、その考え方が間違っていたというふうに受け取っていいんですか、それとも時間的な問題だということなんでしょうか。
#349
○国務大臣(宮澤喜一君) それは先ほど時間としては申し上げませんでしたが、私は大体昨年の秋ごろに両方バトンタッチできるんではないかと思いましたが、企業の方はそれよりやや早く、家計の方はまだ今日それに至っていないと、こういうふうに申し上げたわけでございます。理由は、おっしゃいましたようなことを申し上げました。
#350
○池田幹幸君 原則としては、企業利益が伸びれば家計消費に結びつくという考え方そのものは間違っていないんだということなんですね、時間的な問題だと。しかし、その時間的な問題も昨年の秋から既に半年たっているとなりますと、これはもう時間の問題としては片づけられない問題が生じているんだというふうに思うんです。
 まず、もし時間の問題だとしても、今の危機的な状況からすれば大変なことなんですね。ともかく、経済がもうだめになって、死んでしまってから薬を調合してもこれは間に合わないわけですから、今やらなければならぬことは何かということを、原因がはっきりしているのであれば、それに対する対処が必要だと思うんです。
 私は、この問題は時間の問題をもう通り越して構造の問題になっているんだと思うんです。つまり、企業収益が伸びて賃金が上がって、そして家計消費の伸びを期待する、こういった、これを期待して対策を立てられた。極めて迂回した対策です、迂回、回り道。こういった対策はもう通用しないと、だめになっているんだということを認識する必要があるんじゃないですか。
#351
○国務大臣(宮澤喜一君) 我が国のような大きな市場経済で企業が前年対比で三十何%も利益が上がってきたというような段階において、それは必ず雇用に影響し、家計に影響すると。それが市場経済というものの私は特質だと思っております。
#352
○池田幹幸君 そうはいっても、現実にそういった結果があらわれていないわけです。
 そうしますと、その原因が、個人消費が伸びない、しかもそれが収入がふえないということと限界消費性向、これはもう社会保障不安の問題ですよね、そこにあるんだとすれば、もう今は待ってられない、直接そこに手をつける。まさに直接個人消費を拡大する対策というものを打たなければならないんだと思うんですが、そのことについてはいかがでしょうか。
#353
○国務大臣(宮澤喜一君) それは、補正予算でもただいま御審査いただいております予算でも、雇用対策であるとかその他一般の対策を、政府としていわばその経済活動を支援する意味での刺激的な対策をあれこれとっておるわけでございまして、それが市場経済の民間活動を政府活動、政府予算がそれを刺激すると。これが一番効果的な、しかも満遍ない対策であるというふうに考えます。
#354
○池田幹幸君 補正予算と本予算とおっしゃったけれども、公共事業の予備費が三千億、これ、依然としてやっぱり公共事業頼み、公共事業でともかく景気をよくすれば個人消費も伸びるだろうという、全くその考え方が変わっていない迂回したやり方なんですね。
 それでは私はだめだと思うんです。やっぱり今はもう直接消費をふやす対策を立てる。そうなりますと、減税とか社会保障負担の軽減とか、そういったことを直接やらなければいかぬと思うんですね。私は、今ではもう思い切ったことをやると。消費税の減税、せめて三%に戻す、そういうことぐらいやらなきゃいかぬと。そういうところに来ていると思うんです。
 そのことについては後で述べるとして、まず先ほどの限界消費性向、社会保障不安問題、このことについて伺いたいんですけれども、どうも今度の予算では、それは家計消費をむしろ冷え込ませる内容が社会保障関係では出るんじゃないかというふうに思います。
 具体的に伺うんですけれども、年金についてなんですけれども、年金改正を昨年やられました。
 厚生労働省に伺いたいんですけれども、賃金スライド停止による影響ですけれども、物価の伸びで改定した二〇〇〇年度と、仮に可処分所得の伸びで基礎年金や厚生年金を改定した場合と比べますとその差はどれぐらいになるでしょう。
#355
○政府参考人(辻哲夫君) 御指摘の、仮に基礎年金、厚生年金額を平成六年度から十一年度にかけての可処分所得の伸び、これは六・九%でございますが、それで改定した場合に必要となる平成十二年度の給付額と平成十二年度の予算におけるものとを比較いたしますと、その差は基礎年金で五千億円程度、それから厚生年金、これは報酬比例部分でございますけれども、四千億円程度ということでございます。
 なお、この額につきましては、基礎年金は、これまでも可処分所得の伸びによる改定ということではなくて消費支出の実態等を総合的に勘案して改定してきておりまして、十二年度改正におきましては、全世帯の消費支出の伸び、これは〇・六%でございましたが、これを上回る物価上昇三・一%がございましたので、物価の伸びに応じて基礎年金を改定しております。
 また、厚生年金につきましても、平成六年改正時における従前額を物価スライドした額、これを保障しておりまして、平成十二年改正においては年金額の実質的な価値を維持すると、こういうことで改定が行われております。
#356
○池田幹幸君 要するに、そうはいっても可処分所得との差を見れば五千億、四千億の差が出てきているということですね。
 それから、年金の支給開始年齢繰り延べ、これがありました。その影響ですけれども、二〇〇一年度予算ではどうなりますか。
#357
○政府参考人(辻哲夫君) 平成六年の年金改正によりまして、厚生年金の定額部分の支給開始年齢の引き上げが本年四月から開始されることになっております。したがいまして、こうした引き上げがない場合と比べた年金支給額は平成十三年度予算ベースで約八百億円の減少となっております。
#358
○池田幹幸君 今の計算には共済年金分が入っていません。共済年金、大体厚生年金で一割程度ということですから、それで考えますと、賃金停止、スライド等によって、支給されるはずであった年金が大体一兆一千億円余り減らされるということになるわけで、これは年金受給者の痛みというのは大変なものですね。
 さらに、介護保険も大変なんです。介護保険料の負担増はどれぐらいになりますか。
#359
○政府参考人(堤修三君) 高齢者の介護保険料でございますけれども、基本的には市町村で三年間のサービス状況を見て三年間同額でセットするわけでございますけれども、十二年度と十三年度は介護保険を円滑に実施するための特別措置、半年間凍結それから一年間半額というふうな措置が講じられておりまして、ことしの十月から本来保険料の水準になりますので、平成十二年度に比べまして高齢者の保険料が約三千九百億円程度の増加になります。
 それから、四十歳から六十四歳の現役の保険料も三三%相当分を負担いたしておりますが、これも増加をいたします。ただ、保険でございますから給付の方もふえまして、給付費は四千二百億円程度の給付増ということになります。
#360
○池田幹幸君 それから医療なんですね。これ、昨年、健康保険法改正がありました。これによる実質的な患者負担増、これは幾らになりますか。
#361
○政府参考人(大塚義治君) 昨年の臨時国会で成立をいたしまして、ことしの一月から施行されております健康保険法等の改正による患者負担の影響でございますけれども、従来、高齢者に対しましては薬剤臨時特例措置が講じられておりました。これが講じられておった場合と比較をし、なおかつ平成十二年度予算におきます基礎計数、これをもとに推計した数字でございますけれども、満年度に置き直しまして約二千百十億円と推計をいたしております。
#362
○池田幹幸君 さらに、雇用保険がまた昨年改定されたんですけれども、この四月からそれが実施されます。その影響はどうなるでしょう。
#363
○政府参考人(澤田陽太郎君) 昨年の通常国会で御審議いただき成立しました雇用保険法改正法案の審議時点におきます雇用保険制度の見直しに伴う失業等給付の収入、支出の見通しでございますが、保険料収入を六千億円の増、支出の方は休職者給付の重点化等によりまして五千億強の縮減ということをいたしまして、それによりましてほぼ収支均衡、全体のバランスが二兆四千億円程度ということで見通しをしておりました。
#364
○池田幹幸君 これ、国の方から見るのと国民の方から見るのと逆になりますから、今の説明を翻訳しますと、国民の側から見ればトータル一兆一千億円、これ以上の打撃を受けるということになるわけですね。
 結局、今見てきましたように、年金、医療、介護、雇用保険、これで大体トータルしますと二兆六千億を超えるんですね。これだけやっぱり国民が痛みを、高齢者や患者が、それから失業される方々、こういった方々は痛みを受けるわけです。これが、これだけ大きな額が個人消費にマイナスの影響を与えるのは明らかだと思うんです。先ほどの宮澤財務大臣の話にありましたように、まさに社会保障不安、これを大きくしていくわけですし、現実にまた負担もふえるわけですから、これではマイナス影響、明らかに景気にマイナス影響になるんじゃありませんか。
#365
○国務大臣(宮澤喜一君) そういう議論はむろん可能であると思いますけれども、先ほど政府参考人が申し上げましたように、例えば医療及び介護につきまして、医療は二千億円、介護は七千億円の社会保険料の増が見込まれますけれども、給付で申しますと、医療が一兆三千億円、介護は四千億円でございますので、したがいまして、給付との関連で申しますとそれだけ給付の増が見込まれまして、GDPで申しますと、政府消費の増としてこれはGDPを押し上げるはずであります。年金につきましても、五千億円の社会保険料の増が見込まれますけれども、一兆三千億円の給付の増が見込まれます。これは、家計で申しますと所得移転になりますので、この点が消費を押し上げる要因となるはずであります。
 全体といたしまして、社会保障給付が社会保険負担を上回って伸びておるということは申し上げられると思います。
#366
○池田幹幸君 ちょっと違う議論をなさったんですよね。それは、予算で見れば、確かに年金受給者にしてもふえるわけですから、トータル額当然、給付ふえます、保険料収入もふえます。そういうことを私は言っているんではなしに、制度改定による影響はどうなのかということを今論じたんで、確かにマクロで見ますと国民負担率が〇・四%減ると、大体その数字とこの二兆六千億、似ているものですからそういうことをおっしゃるわけですけれども、全然論じていることは違うんだということを申し上げておきたいというふうに思います。
 時間がもうなくなってまいりましたので、先ほど言いました不良債権ローンについては後へ、また次回に回したいと思うんですけれども、私、結局、景気の問題について言いますと、小渕・森内閣のもとで三年連続で大型公共事業予算が組まれました。銀行支援には七十兆円の枠をつくってこられました。結局、銀行、ゼネコン支援の景気対策を続けてきたわけです。
 まとめます。
 しかし、景気は回復しませんでした。結局、今や企業利益がふえれば雇用も賃金もふえるといったいわゆるダム論、こういったものはもう通用しなくなったんだということが言えるんじゃないかと思うんです。
 私は、直接個人消費拡大を図るためにはもう今や大規模な対策が必要だと思います。三兆円に近い国民負担増の押しつけ、これがあるわけですからこれをやめる、まずこのことに加えて私は消費税を三%に戻すと、こういった思い切った政策転換が今必要だと考えるんです。
 それじゃ何をやればいいんだということなんですけれども、昨日、アメリカの先ほどの話もありましたように、外国に、銀行支援の株価対策、これはどうだったのかな、リストラ促進策、こういったことを満載した緊急経済対策の実行を約するというふうなことじゃこれはだめだと思います。要するに、政策転換も待ったなしのところに来ているわけですが、どうやったらこれができるのかということについては、既に国民が私は解答を出していると思うんです。
 最近の朝日新聞の社説にもありました。森内閣の即時退陣こそ最善策だというそういう主張がありました。これはやっぱり国民の声を代弁したものだというふうに受けとめるべきだと私は考えます。要するに、国民の支持率がもう一けた台になっている内閣ですから、的確な政策転換の能力も意思も持っていない。逆のことばかりやっているというふうに私は考えるんです。やはり今、森内閣、自公保政権の即時退陣こそ日本再生の最善策だということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。
#367
○委員長(岡野裕君) 以上で吉川春子君及びその関連質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#368
○委員長(岡野裕君) 次に、清水澄子君の質疑を行います。清水澄子君。
#369
○清水澄子君 社民党の清水澄子です。
 宮澤財務大臣、最近あなたの発言には非常に無責任な点が多過ぎると思います。先々週は財政が破局に近いと言われて、皆さんから指摘をされて、その後修正をされてはおられますけれども、先々週八日の日ですけれども、このときも同僚議員の質問に対しまして、デフレと呼ぶかどうかは私は興味がないと言われました。十年以上も国の財政を預かってこられた方として、他人事のような発言であると思います。しかも、ものの一週間後には経済財政担当大臣がデフレ宣言をしておられるわけですね。ですから、非常に無責任きわまりないと、こういう私どもは印象を持っております。
 ある新聞の社説では、森さんよりも宮澤さんの長い在任期間の経済失政を問うべきだ、こういうことも書かれておるわけですけれども、大臣御自身はこういう指摘についてどのように受けとめておられますでしょうか。
#370
○国務大臣(宮澤喜一君) 最初の問題はもう御説明しましたけれども、この委員会で起こりましたことなのでもう一遍言わせていただきますが、たしか松村委員の御質問に対して、日本の財政状況を論じておりまして、大変なことだと。お互いその点は皆さんもお聞きになっておられまして、何も論争がございませんでした。たまたまワイヤサービスがそこのところだけ取り上げまして海外へ流しました。それは非常に意外でございました。が、その結果そういうことが言われたので、それはちょっとよくないなと、真意でないということで訂正をいたしました。それだけのことでございます。
 デフレのことは、そういうお尋ねがありまして私がああいうお答えをいたしましたのは、政府の見解と日本銀行の物の見方が必ずしも一緒ではないということがいろいろ取りざたされていた時期で、しかも日本銀行はそれに対して新しい処理をしようとしていたときでございましたから、私として、あえてその点はちょっとイシューにしていただきたくないということで、そういうお答えを他の委員会で申し上げたことがございます。
 私自身のことにつきましては、これはもう承っておきます。
#371
○清水澄子君 ところで、森総理はブッシュ大統領に、半年後には財政再建や構造改革について結論を出したいなどと約束をされたようですけれども、現時点での財政構造改革はどうなっているんでしょうか。公共事業の見直しをしたと言われておりますけれども、その実態が伴っていないと思います。
 その実例として、国から特殊法人への財政支出について伺いたいと思います。
 今回の予算で、特殊法人に対する国の支出額ですね、一般会計と特別会計を合わせて合計幾らになりますか。
#372
○国務大臣(宮澤喜一君) 十一年度決算におきまして、法人の累積赤字の総額は十二兆四千億円でございます。
 それから、今年度の予算、わかりますか──委員長、主計局長からお答えさせていただきます。
#373
○政府参考人(林正和君) 委員、十三年度予算の概要ということでございますが、一般会計、特別会計合わせまして、特殊法人に対します出資金が一兆四千三百九十億、貸付金が三千二百六十六億、補助金等で三兆五千八十九億、合計五兆二千七百四十六億円でございます。
 これは総額でございますが、対前年で一・一%の伸びとなっておりまして、一般歳出の伸び率一・二%を下回る結果となっておるところでございます。
#374
○清水澄子君 今回の財政改革は、融資方法の手直しはされたわけですけれども、赤字の特殊法人の改革には触れていないと思います。政府出資法人の多くが赤字を続けておるわけです。
 累積欠損額について、上位六団体はどこどこで、それぞれ累積欠損額は幾らになっておるでしょうか、また累積赤字のある二十五団体の合計では幾らになっているでしょうか、お答えください。
#375
○政府参考人(林正和君) 予算審議の御参考ということで国会にお出ししております財政法二十八条に基づく予算参考書類に掲載しております特殊法人でございますが、このうち十一年度決算において累積赤字となっております法人の累積赤字の総額は十二兆四千億円でございます。
 そのうち累積赤字の多い六法人でございますが、宇宙開発事業団が二兆三千億円、それから二番目が核燃料サイクル開発機構の二兆一千億、それから三番目が年金福祉事業団が一兆六千億円程度、それから四番目が日本私立学校振興・共済事業団の一兆五千億円、それから五番目が日本原子力研究所の一兆四千億、それから六番目が本州四国連絡橋公団の約九千億でございます。
#376
○清水澄子君 合計幾らですか。
#377
○政府参考人(林正和君) その六法人のでございますか。──二十八条書類におきます特殊法人のうち累積赤字のあります法人の累積赤字の総額は、先ほど申しましたように十二兆四千億円でございます。
#378
○清水澄子君 累積欠損額だけで、ことしの政府が特殊法人に予算から支出している金額の二年分にもなるわけですね。
 では、こうした巨額の累積赤字の原因は一体何なのか、その具体例として本州四国連絡橋公団について伺いたいと思います。
 まず、この本州四国連絡橋公団の建設費が基本計画と実施計画の額はどのように変わったかということについて説明をしてください。
#379
○政府参考人(大石久和君) 本四連絡橋公団の昭和四十八年度に認可いたしました工事実施計画では、本四架橋三ルートの道路分の建設費を七千五百億円と予定しておりました。その後、昭和四十八年から平成十一年度までの物価上昇、これは建設工事の総合デフレーターで見ますると二・〇四倍でございますが、のほか、神戸側陸上部の追加、船舶の航行安全対策、環境対策などのための計画変更及び長大橋建設に必要な技術課題の克服などにより、平成十一年に認可いたしました現在の工事実施計画は二兆八千四百億円でございます。
#380
○清水澄子君 三倍以上ですね、基本計画から実施計画での支出は。ですから、計画の三倍に支出が膨らんでいる。
 次に、この橋の収入の根幹となるはずの自動車利用台数の予測と実績はどう変わったんでしょうか。例として、この三ルートのうち瀬戸大橋について説明してください。
#381
○政府参考人(大石久和君) 瀬戸大橋の交通量についてお尋ねでございますが、昭和四十七年におきます推計では、昭和六十五年、これは平成二年に当たりますが、の交通量を二万五千五百台、一日当たりと推計いたしておりました。
   〔委員長退席、理事須藤良太郎君着席〕
 その後、料金認可の際に交通量推計のやり直しを行っておりまして、平成十一年度の交通量は、昭和六十三年の推計で二万六千七百五十台、一日当たり、平成九年推計、これは現行の料金認可でございますが、一万六千六百五十台、一日当たりと推計いたしておるところでございます。平成十一年度の実績交通量は一万五千三百十六台、一日当たりとなっておりまして、最新の推計に対しまして九二%となってございます。
#382
○清水澄子君 利用する自動車の数、それも基本計画策定のときから大幅に減っている、ですからこの実施計画から見ても約半分しか利用していないと、こういうことで、つまり予測にやっぱり非常に大きな違いがあったんだと思います。
 そこで、十三年度予算案で提案されている、この本四公団に無利子融資する八百億円が支出されるわけですが、これは何のために支出される金額ですか。
#383
○政府参考人(大石久和君) 本四公団の収支状況は、管理費約二百三十九億かかってございますが、大幅に上回る八百七十一億の収入がございますが、利払いが一千四百八十六億円と収入を超えているため、有利子負債の圧縮が必要でございます。
 従来から国と地方が出資金を措置したところでございますが、早期に有利子資金を圧縮し、償還確実性を高めるため、地方の厳しい財政状況を踏まえ、出資金に比べ償還期間の短い無利子貸し付けを国が実施することとしたものであります。
#384
○清水澄子君 ですから、これは非常に多くの負債を圧縮するために、銀行からの利子よりも国から無利子の負債に切りかえるために八百億円を支出しているということですね。
 それで、これはことしの八百億円だけでめどがつくことではないと思うんですが、今後これを毎年幾らで何年間くらい続けられるつもりでしょうか。そしてまた、財源はどこに求めておられるか。
 それからもう一つ、まだ前、平成十年度にも毎年八百億円の投資の追加を決めているわけですけれども、これをあわせてお答えいただきたいと思います。
#385
○政府参考人(大石久和君) 今回措置することといたしました無利子貸し付け八百億円は、十年間継続する予定といたしております。
 また、本四公団の償還状況は常に見直しておく必要があり、その都度見直してきたところでございますが、過去に出資金の増額、平成十年度からでございますが、八百億円の定額融資を続けております。これにあわせて、十年間の無利子融資を八百億円毎年続けていく計画でございます。
#386
○清水澄子君 ですから、これからまだ十六兆円もここに財政から支出することになるわけですね。
 これは道路特別会計なんですか。どこから出すわけですか。
#387
○政府参考人(大石久和君) 道路整備特別会計からでございます。
#388
○清水澄子君 こういう非常に財政の再建が言われているときに、非常に無計画な、そして道路特別会計はこれは道路のみに使う予算になっているために、非常に財布の使い方が甘いと思うんですね。そして、本四公団の経済委員会では、この償還期限を最初三十三年であったものを五十年に延ばして、こういうことが行われていると思います。
 こうした構造的な赤字というのは、やはり三本の橋をあのときかけるということに非常に皆問題があるということを指摘したと思いますけれども、やはりこの公団の事業計画そのものに問題があったんじゃないか、ずさんな計画であったのではないか。これは非常にむだな公共事業の典型ではないかと思います。これは、もとはといえば自民党と霞が関の役所の皆さんで決めた三つのルートであって、これは必ずしも国民の支持を得ているとか国会はそれに同意したということではないわけです。
 今、この公金を注入して黒字になるといっても、これはやはり最後はこれを返済しないで結局国民の税金で面倒を見ることになるんではないかと思いますが、ちょうど国土大臣がいらっしゃいませんので、これについてどなたかお答えください。
#389
○副大臣(高橋一郎君) 大臣がちょっと不在でございますので、私から御答弁させていただきます。
 本四公団の債務の償還についてのお尋ねでございますが、本四道路事業の平成十一年度の財務状況は、管理費が二百三十九億円でございまして、これを大幅に上回る料金収入八百七十一億円がありますものの、利払いが千四百八十六億円と収入を超えておりますために、当期損失金八百五十四億円が発生しております。このために、平成十三年度政府予算案におきまして、これまでの出資金八百億円に加え、新たに無利子貸し付け八百億円を措置することによりまして、有利子負債が圧縮され、償還が可能になることと思っております。
#390
○清水澄子君 全然反省の声がないんですけれども、何かもう平気でお金をどんどんつぎ込めば何とかなるとおっしゃっているんですが、ならないと思います。
 宮崎県は財政破綻した第三セクターのシーガイアを倒産させることに決めました。ほかにも東京臨海部開発など、破綻、つまり債務超過した団体はたくさん出てきております。国の公団であっても例外ではないと思います。この本州四国公団も、やはり解散するとか、民間移転までも含めた見直しが必要だと思うわけですけれども、これについて財務大臣、そして国土大臣、それぞれお答えいただきたいと思います。
#391
○国務大臣(宮澤喜一君) 少なくとも財務大臣の立場から申しますと、今のような状況で今後さらに利子負担を無限に加えていくということはどう考えましても進められることではございませんので、思い切っていろいろな改革を行っていって、最終的にはどういうことにいたしますか、これは主管大臣においてお考えになることでございますけれども、私どもとしては利子が無限に増大するということは、この際こういうような形をしてでも改めていきたいと考えたわけでございます。
#392
○副大臣(高橋一郎君) 償還の見通しの御質問でございますけれども、試算の前提条件がございまして、一つには料金、現行の料金体系を一定期間の特別料金の後に基本料金に戻すと、こういうことがございます。二番目には金利条件でございまして、将来の調達金利は四%。三番目に交通量の伸び率でございますが、今後五年間は一・四%程度と思われますけれども、平成十七年度以降十年間は三・三%、こういうふうに試算しております。また、管理費等は現行償還計画の管理費から約一割を削減する、これが試算の前提条件でございまして、その結果は、有利子負債は五十年以内、出資金を含め七十年以内で償還可能と、こういう試算をしております。
#393
○清水澄子君 今回の予算から財政投融資それから特殊法人への資金の流れを変えるというわけですけれども、結局、弱体な機関に対しては国が財投債で肩がわりをしていくことになっているわけですね。ですから、今後やはり各機関の求める財投債の必要額が果たして妥当かどうかということを判断するには、やはり各機関の歳入歳出、財務状況などをもっとやっぱりオープンにする。明らかでなくては判断のしようがないと思うんです。
 したがって、今後はすべての財政投融資対象機関の予算について国会の議決が必要だと思いますが、この点について財務大臣、いかがでございますか。
#394
○国務大臣(宮澤喜一君) 財投債につきましては国会の議決を受けております。これからも私ども、財投機関債を発行するという精神はさらにおっしゃいますように、いわば世の中の信任を得るような経営をしてもらいたいと、厳しくやってまいるつもりであります。
#395
○清水澄子君 それじゃ、一つ残りましたが、これはぜひ、私は今回の予算案というのは非常に問題の多い予算案ですから賛成できないことを明らかにして、終わります。
 関連質問を三重野さんに。
#396
○理事(須藤良太郎君) 関連質疑を許します。三重野栄子君。
#397
○三重野栄子君 三重野栄子でございます。
 去る三月十二日の予算委員会でお尋ねいたしましたけれども、時間が短くて十分御答弁いただけませんでしたので、同じく教科書問題に関連をいたしまして、少し視点を変えてお尋ねしたいと思います。
 最近、書店の店頭には、歴史観、憲法、戦後、そして教科書に関する書籍がたくさん並べられています。そして今、教科書は、中国や韓国など近隣諸国への波紋を投げかけていることも報じられているところでございます。その教科書とは、新しい教科書をつくる会、西尾幹二通信大学教授が執筆されました文部科学省へ検定を申請されている中学校の歴史教科書でございます。
 二月十九日、大阪府藤井寺市で、つくる会の西尾幹二会長による講演会が開催されまして、他社の中学校歴史教科書の挿絵や写真などを加えて誹謗中傷した資料を配付し、これは前回一部お配りしましたけれども、他の中学校教科書を誹謗中傷する講演でございました。
 そこで伺います。公正取引委員会告示第五号三並びに公正取引委員会編、教科書業における特殊指定の解任につきまして説明をお願いいたします。
#398
○政府特別補佐人(根來泰周君) ただいまお尋ねの中にありましたように、独占禁止法の第十九条には不公正取引の禁止、「不公正な取引方法の禁止」という条項がございます。その内容は独占禁止法の二条の第九項に詳細書いてあるのでございますが、その九項の中に公正取引委員会の指定する不公正な取引方法というのがございまして、その指定する中に「教科書業における特定の不公正な取引方法」、昭和三十一年の十二月に公正取引委員会の告示というのがございます。
 その内容は多岐にわたるわけでございますが、小学校、中学校、高等学校及びこれらに準ずる学校において使用する教科書の発行または発売を業とする者が、直接であると間接であるとを問わず、いろいろなことをした場合に不公正な取引方法に当たると、こういうことでございます。例えば、供応とかそれらに類似する経済上の利益を供与した場合。あるいは、教科書発行を業とする者が、直接であると間接であるとを問わず、他の教科書の発行を業とする者あるいはその発行する教科書を中傷し、誹謗し、その他不正な手段をもって、他の者の発行する教科書の使用または選択を妨害することというようなことをるる書いてあるわけでございます。
#399
○三重野栄子君 もう一点。もう一つ落ちていますけれども、公正取引委員会編の方。
#400
○政府特別補佐人(根來泰周君) 失礼しました。
 これは、「教科書業における特殊指定の解説」という本が、古い本でございますが、ございまして、これが当時の公正取引委員会事務局経済部調整課編著というのがございまして、今の申し上げました告示の内容を解説しているわけでございます。これはあくまでも事務当局がこういうことだという解説になっているわけであります。
#401
○三重野栄子君 そこで、この講演会の主催者は社団法人藤井寺青年会議所。後援は、市広報の告知には、藤井寺市や市教育委員会、それからつくる会、扶桑社、産経新聞とありましたけれども、当日までに市教育委員会と扶桑社は外れておりまして、市教委は教育行政、教科書採択の公正、中立を保てないおそれがあったために見合わせたという記事が報じられているところであります。
 また、文部科学省の教科書図書検定審議会では、このつくる会の教科書は百三十七カ所に検定意見がつけられて、つくる会はその修正意見を受け入れるとの報道がありますが、最終的な合意は三月下旬の審議会によって文部省の検定に合格する見通しということであります。識者の中には、この教科書は明らかにアジア諸国への侵略行為を正当化している、意図的に歴史を改ざんし、歪曲しているとの厳しい批判があります。
 また、最近、野呂田衆議院予算委員長の、大東亜戦争でアジアの植民地はなくなった発言があり、あるいは森総理は一月三十一日の所信演説の中で有事立法の準備に入ることも明らかにされておりまして、韓国の動き、報道なども教科書をめぐるさまざまな関心が寄せられているところであります。特に、河野外務大臣は韓国朴最高委員とお話をされたときに、外務省としては九五年の村山談話どおり変化はないという御説明もあって、韓国の理解を求められたということも報道されております。
 そこで、平成十一年、文部省通知、「教科書の採択に関する宣伝行為等について」を確認いたしたいのですけれども、御報告をお願いします。
#402
○国務大臣(町村信孝君) 文部科学省では、毎年、教科書発行者に対しまして、御指摘の「教科書の採択に関する宣伝行為等について」、これは初等中等教育局長の通知でございますけれども、これを発出しております。
 その内容は、いわゆる独占禁止法に基づく公正取引委員会の特殊指定による規制、先ほど委員長から御説明のあった点でございますが、この規制や、これを受けての文部科学省の指導等の厳守を要請するという内容でございます。
#403
○三重野栄子君 あわせまして、アジアの国々が懸念しております今のつくる会の教科書につきまして、文部省の方で把握されている状況がございましたらばお願いいたします。
#404
○国務大臣(町村信孝君) 委員御承知のとおり、平成十四年度から使用されます中学校の歴史教科書につきまして、文部科学省におきまして現在検定作業中でございます。今後、教科用図書検定調査審議会の審議を経まして、本年の三月末を目途に検定を終了いたしたい、かように考えているところでございます。
 学校教育の中で日本と近隣アジア諸国との間の歴史について認識を深めていくということは大変重要なことである、かように考えておりまして、学習指導要領の中でも、例えば中学校の社会科、歴史的分野におきましては、「大戦が人類全体に惨禍を及ぼしたことを理解させる。」ことということが明記をされております。
 歴史教科書につきましては、学習指導要領の範囲内で具体的にどのような歴史的事象を取り上げてそれをどのように記述するか、これにつきましては執筆者の判断にゆだねられているところでございますが、検定におきましては、いわゆる近隣諸国条項をも含めました検定基準に基づいて適切に実施をし、現在専門家の中で、この審議会の御審議をいただいているという状況でございます。
#405
○三重野栄子君 教科書は、言うまでもありませんけれども、子供たちの健全な成長を促すための重要な糧でございます。記録によりますと、平成八年十二月、将来的な学校単位の採択を目指して当面採択方法の改善を提言、平成九年三月に教科書採択の調査研究に当たり閣議決定、これに基づきまして、同年九月、採択制度及び採択方法の改善を進めるように各都道府県委員会に対して通知を行ったなどの経緯がございます。
 今回の歴史・公民教科書の検定申請図書について、憲法、教育基本法に基づきまして、平和国家として日本があり続ける決意のあかしといたしまして、過去の侵略行為等に対する正確な記述を求めた平成九年用の歴史・公民教科書の内容が最低限度堅持されるべきだというふうに思うわけでございますけれども、大臣の御見解をお伺いいたします。
#406
○国務大臣(町村信孝君) 先ほど申し上げましたように、歴史の内容につきましてどういう内容を取り上げるかということについては、これはもう執筆者の判断ということを大原則にしておりまして、それに基づいて学習指導要領で定めておりますこと、あるいは検定基準にのっとりましてこれが検定に合格し得る範囲のものであるか否かということを現在審議会において判断をしていただいているということでございまして、現在の状況でこれが合格であるか不合格であるか、適切であるか否かということを私の立場で今申し上げることができない状況にあることは委員御理解いただきたいと思います。
#407
○三重野栄子君 私は今、合格であるかどうか、そのことを言っているわけではありませんで、本来教科書というのはどうあるべきかというお考え、大臣としての御所見を伺っているところです。
#408
○国務大臣(町村信孝君) 教科書の検定のあり方でございますか、お問い合わせの趣旨は。教科書のあり方ですね。
#409
○三重野栄子君 そうです。
#410
○国務大臣(町村信孝君) 教科書のあり方はいかにあるべきかということにつきましては、これはいろいろな考え方が確かにあろうかと思います。
 私は、現在の教科書の検定の姿というのは、いろいろな紆余曲折を経て今日の姿になっているわけでございますが、私は、その教科書を書く執筆者の思想、信条をチェックするということになりますと、これはまさに検閲そのものになってしまいますから、日本国憲法上それはやるべきでないし、またやってはならないことだと、こう思っております。あくまでもその執筆者が教科書として例えば過ちがないかどうか、正確かどうか、バランスがとれているかどうか、あるいは先ほど申し上げました近隣諸国との協調、友好関係に配慮されたものになっているかどうか、そうしたものが書かれたものとして中学生という一定の発展段階にある者たちに、児童生徒にとって適切であるかどうかということをかなり学問的、専門的にチェックをするという機能が今の教科書検定でございますから、私は、日本の現在の状況の中では、こういう観点で教科書として一定の検定をするということは適切であろうと思います。
 もちろん、国によって全くそれぞれ歴史も違いましょうし社会環境も違いましょうし、全くそういう国がかかわりを持たないという国もありますし、中国、韓国のように、国が事実上一つのものを定めて国定教科書にするというような国もございます。そこはまた国々のお国柄というのがありますので、私は今の日本の国情からすると現在のやり方で一つの、どう言うんでしょうか、自己完結的に成り立っているのではないのかなと、こんなふうに理解をしております。
#411
○三重野栄子君 そうあるべきということは理解できましたけれども、私としては、現在の憲法並びに教育基本法のもとにおいて教科書が定められていくわけでありますけれども、定められるというとちょっと違うと思いますけれども、そういうもとでの文部大臣として教育を進められていく、このことについての御見解を伺っているんですけれども、もう一回お願いいたします。
#412
○国務大臣(町村信孝君) ちょっと質問の趣旨をもし取り違えていたらおわびをいたしますけれども、私は文部大臣という立場で、教科書が児童生徒にとって日本の歴史、歴史なら歴史ということで、日本の歴史が、もちろん光の部分もありましょうし影の部分もあると思います。それらがバランスよく児童生徒に学ぶ対象として教科書が適切であるかどうかということで教科書というものをつくっていくべきではないんだろうかな、こう思っております。
#413
○三重野栄子君 それでは最後に、教科書の……(「時間」と呼ぶ者あり)まだちょっと、もうちょっとです。
 最後に、教科書の作成、採択につきまして。
 先ほど一分の方もおられましたから、マイナス一分もおられました、きょう。
 採択によりよい教科書づくりの制度につきまして、大臣の所見をお願いいたします、今後の問題につきまして。
#414
○国務大臣(町村信孝君) 採択についてですか。
#415
○三重野栄子君 はい。
#416
○国務大臣(町村信孝君) 採択につきましては、先ほど委員から御指摘があったような、平成二年に各都道府県教育委員会に対して通知を行い、採択方法の工夫、改善について取り組みを促してきたところでございまして、文部科学省といたしましては、教育委員会の責任において一層適切な採択が行われますように専門的な教科書研究の充実を図りますとともに、適正かつ公正な採択が確保され開かれた採択が推進されるように引き続いて指導してまいりたいと考えております。
#417
○三重野栄子君 終わります。
#418
○理事(須藤良太郎君) 以上で清水澄子君及びその関連質疑は終了いたしました。
    ─────────────
#419
○理事(須藤良太郎君) 次に、松岡滿壽男君の質疑を行います。松岡滿壽男君。
#420
○松岡滿壽男君 先週、警察官の増員の問題で伊吹大臣に質疑をいたしたんですけれども、その関連で、現在、警察が約二十五万人、事務も入れて、それから自衛隊が約二十五万、それから消防が約十五万いるんですよね。そのほかに消防団員、これはまた別ですけれども、九十五万いるわけです。それぞれやはり国民の財産と生命の安全を守るという共通の目標ですから、せっかく省庁再編もしているわけですから、相互にこの危機管理に対して横の連携をきちっととれるような、そういうシステム構築ができないかなという思いが実はいたしているんです。
 そういう点について官房の方がもう少しリーダーシップをとって何らかの対応ができないかなと思いますので、そういう点についての官房長官の御所見を伺いたいと思います。
#421
○国務大臣(福田康夫君) 緊急事態に際しまして被害を最小限度にとどめるということ、また拡大を防ぐために早期に行政の総合力が発揮できる体制を整える、また現地において関係機関が緊密に連携し対応する必要がある、これはもう委員のおっしゃるとおりでございまして、警察、自衛隊、消防などがうまく連携してもらえるということは必要なことでありますけれども、と同時にそれをまとめていくリーダーシップというものも必要なんだろう、こういうふうに思っております。
 そのために、緊急事態発生の初期段階から、警察、消防などの関係機関の情報を官邸の内閣情報集約センターに集中しまして、総理とか、また官房長官などに迅速に連絡がなされる体制を整備してまいりました。また、平素から関係省庁による連絡会議を開催しまして意思疎通を行う一方で、緊急事態発生時には、状況に応じ初期段階から関係閣僚による会議や事務方の局長などから成る会議を開催しまして、関係機関の連携のもとに対処できるように対応してまいったところでございます。このような体制のもとに、東海村の臨界事故、それから有珠山の噴火、三宅島の噴火などにおいては、関係機関が緊密に連携しまして、住民避難、また現場の対処活動などに全力で当たってまいりました。
 国民の生命、財産を守ることは政府の最も重要な責務であるということは十分認識しておりまして、今後ともこの対応の体制などについての不断の点検、関係機関が協力した訓練、これなどを実施してまいりたいと思っております。
 また、万が一の事態が発生した場合には、これまで整備してまいりました危機管理体制を適切に運用するとともに、委員御指摘のように、総理、危機管理担当大臣、また官房長官などがリーダーシップを十分に発揮して、事態の状況に応じ、私ども責任を負う者が責任を持って判断し、対応していくということが大事だというふうに思っております。
#422
○松岡滿壽男君 総務大臣と吉村議員がなぜ笑われたのか、非常に不思議なんですけれどもね。
 やっぱり、人口がどんどん減っていく、それから借金が七百兆ある、さらに経済構造が大きく変わっていく、そういう中で最終的には、例えば道州制の導入とか、三百ぐらいの市町村にせにゃいかぬとか。当たり前じゃないですか、今までの発想を変えなきゃいかぬから私はあえて申し上げているのに、なぜ笑われたんですか。答えてください。
#423
○国務大臣(片山虎之助君) いやいや、何を委員が言われておるか知りませんが、私と吉村さんは昔の国対時代からの仲間ですから、合図をして、今来られましたねというから私は答えただけで、あなたの質問と何の関係もない話であります。
#424
○松岡滿壽男君 それは、だって私が質問している最中にあなたは笑ったんですよ。
#425
○国務大臣(片山虎之助君) いやいや、笑うって、吉村さんが合図をしたから私は答えただけで、あなたの質問を笑ったわけじゃありませんよ。そんな失礼なことをするわけがない、私はもう予算委員会の理事を何年もやって、国対委員長をやった者が。わかっていますよ、そんなことは。
#426
○松岡滿壽男君 それなら、私の今の考え方に対してあなたの所見を言ってくださいよ。
#427
○国務大臣(片山虎之助君) 道州制ですか。
#428
○松岡滿壽男君 いやいや、そうじゃなくて、消防と警察とそれから……(「けんか腰でやるの」と呼ぶ者あり)
#429
○国務大臣(片山虎之助君) けんか腰じゃありませんよ、何を言っていますか。
#430
○理事(須藤良太郎君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#431
○理事(須藤良太郎君) 速記を起こして。
#432
○松岡滿壽男君 だから、私が官房長官に今聞いたわけですけれども、そういう仕組みを先々やっぱりつくっていかなきゃいかぬ時代が来るんじゃないかと、今からそういう用意をしたらどうですかということを私は申し上げている。
 ほかにも、海上保安庁も一万二千人いるわけですよ。だから、そういうものをやっぱりある程度考えていかなきゃいかぬときに来ていると思って私は申し上げているんです。
#433
○国務大臣(片山虎之助君) 私どもの方は消防を所管しておりまして、今、委員言われるように、私も、警察や消防や自衛隊や危機管理における連携というものは、今内閣が中心にやるようになりまして、伊吹大臣がその危機管理担当になりましたけれども、しっかりそれはさらに組織的な情報の集約と指揮命令系統の一元化というのは今後とも努力していくべきだと、こう考えておりますし、消防は全面的に協力しようと思っております。
#434
○松岡滿壽男君 昨日、地下鉄サリン、ちょうど六年目を迎えたわけですね。だからきょうあたりも、テレビでいろいろ世田谷のマンションに、要するにマンションの所有者が百人ぐらいあれして六千万家賃が入るという話でありました。それで、非常にこの信者と住民との間、いろいろ不安感が出てきておるわけでありまして、住民が一体になって監視体制をつくるとかいろいろやっているわけですよ。
 それで、仮にその場所から出ても、また次の場所に厄介払いしても行ってしまうというような形になっているわけですね。これは抜本的な解決がなかなかできないわけですよ。国ではどういうふうにこの問題を考えておられるのか、官房長官の御意見を。
#435
○国務大臣(福田康夫君) オウム真理教をめぐりましては、教団施設周辺の住民に多大な不安感を与える、また、さまざまな問題が生じております。
   〔理事須藤良太郎君退席、委員長着席〕
 これらの問題につきまして関係省庁の密接な連携を確保し、政府として必要な対応を検討するため、平成十一年五月に内閣にオウム真理教対策関係省庁連絡会議を設置いたしました。省庁再編に伴いまして同連絡会議の構成を新体制のものに改めたところでございまして、政府としても、今後ともこの連絡会議の場を中心に関係省庁相互の連携を緊密にし、現状を把握するとともに、いろいろな問題の検討も行いながら必要な対策に取り組んでまいる、こういうような考え方をいたしております。
 委員が御指摘の世田谷区の問題、これも大変深刻な状況になっておるということは十分承知いたしております。公安調査庁におきまして立入検査に際して施設内を徹底的に検査しているところでございまして、今後も、団体規制法の諸規定を活用して教団の活動状況を詳細に調査し、関係地方公共団体の長からその調査結果の提供の請求があったときには、地方公共団体の権限を踏まえ、その適切な行使に資する情報を的確に提供するよう努めるという報告を受けております。また、各捜査機関にありましても、教団関係の犯罪防止のため厳正な取り締まりに努めていくものと承知をいたしております。
 政府といたしましては、教団の活動実態等を明らかにするための調査を積極的に推進しつつ、信徒の社会復帰を含め、望ましい解決について引き続き検討してまいりたい、このように思っているところでございます。
#436
○松岡滿壽男君 総務大臣、十六日に東京都の特別区の区長、議長連中が官房長官のところにお願いに来ているんですよね。例の転入届の不受理、それから施設の使用不許可などで、いろんな形で対決して困っているわけですね、彼らも。
 それで、全然今のところ状況の進展が見られないわけでして、そういう自治体の長の連中が大変苦慮しているということに対して、政府としてやはり適切な対応を考えていかぬといかぬと思うんですけれども、これについての御所見を大臣から伺いたいと思います。
#437
○国務大臣(片山虎之助君) 実は、私のところにも茨城県の関係の市町村長さんが大勢お見えになりまして、実情を聞きました。
 それで、釈迦に説法ですが、松岡委員御承知のように、住民基本台帳法では、転入届があった場合には、市町村がこれを審査して、本当の住所であるかどうかの客観的な事実を認定して、その結果に基づいて受理、不受理と、こういうことをやるわけですね。現在、なるほど、我々がつかんでいるところだけでは、不受理を決めているところが三十三市町村、係争中が二十三市ありますね、異議の申し立てだとか審査請求だとか。
 それで、私も市町村長さんと会って話してみて立場はわかるんですよ。大変来てもらって地域の平穏が害されるとか、住民の生命、身体が何となく危険なような感じがするとか、そういう一方ではいっぱい要請があるわけですからね。市町村長さんも大変私は苦渋の選択をしていると思いますよ、不受理というのも。法律の建前からいっていかがかなということを考えながら不受理の決定をしているので、私はその気持ちはわかるんです。
 そこで、御承知のように、無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律ができましたよね、国会で。それに基づく公安調査庁長官の観察に対する処分に基づく定期報告だとか、公安調査官による立入検査とか今行われておりますから、そういうことの結果が出れば、市町村長さんが安心すれば、私はまた事態の展開が変わってくると思う。こういうふうに思っておりますから、その辺の推移を見ながら市町村長に適切な指導をいたしたい、こういうように思っております。
 会っていろいろ話を聞くと、私もよくわかるんですよ。ただ、法律の筋だけでいくのかいかないのかというところが大変つらいところですから、両方のそれぞれの立場をしっかり考えながら対応していきたい、こういうふうに思っております。
#438
○松岡滿壽男君 向こうの弁護団の方がやっぱり憲法問題を表に出すわけですよね。そうなると、どうしてもやっぱり市町村レベルでは対応できない部分があるわけですよ。だからここで国の意思というものをあるところできちっとしないと、たしか東京都の場合でも去年の十一月ごろ届け出をしているんじゃないですか。そうすると、もう既に四、五カ月そのままの宙ぶらりんの状態になっているわけですよ。住民は非常に不安になっている。
 だから、そこに対してやはり適切な、よく事情はわかっておられるようですからそれはお任せしますけれども、対応をお願いしたいということを要望して、時間が参りましたので、私の質問は終わります。
#439
○委員長(岡野裕君) 以上で松岡滿壽男君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#440
○委員長(岡野裕君) 次に、平野貞夫君の質疑を行います。平野貞夫君。
#441
○平野貞夫君 宮澤財務大臣、お疲れのところ恐縮でございますが、大事なことでございますので、一つ最初に確認をしておきたいと思います。
 先日の日米首脳会談で森首相が、不良債権問題の解決は半年ぐらいで結論を出したいということをおっしゃったと。米側もそう理解していると。福田官房長官は、それは財政問題について半年ぐらいの方向性を示したいと言ったということだと記者会見で説明されております。宮澤大臣はどちらとも言えないと述べられて、政府部内で解釈が割れているという報道がきょうの朝日新聞の夕刊に出ておりますが、これについての御所見をお聞きしたいと思います。
#442
○国務大臣(宮澤喜一君) それは、けさほど会見がございましたときにそういうことを申したかもしれません。と申しますのは、会談の記録が全然なかったものでございますから、そういうことを申しました。
 その後に会談の要旨を記録した電報が参りまして、それによりますと、まず財政再建について、総理大臣は、何とかその緒につけたいという話をされたときに半年ということを言われたようでございます。それは政府の経済財政諮問会議でマクロモデルをかねて御説明しておりますが、つくることを既に経済研究所に指示いたしまして、それがほぼ半年かかると構築できる、こういうことが総理大臣の頭にあったものと思われます。したがって、それはそのときから具体的な検討を始めることができる、そう言われたと思います。
 それから他方で、その後に債務の処理問題も出ましたが、これについては総理大臣は、先般、政府・与党と政府との間で対策本部を立ち上げました、最近でございますが。そのことを頭に置いて、これも既に検討に入っておると。それは柳澤大臣がしばしば国会で御説明しておられますとおり、既に検討に入っておりますので、それを言われたと。そういう別々の出来事のようであります。
#443
○平野貞夫君 経過はわかりました。
 しかし、宮澤大臣のお考えの中には、不良債権も可及的速やかに処理すべきだというお考えがあったので、一たんはどちらとも言えるというお話をしたんじゃないかと、私はそういうふうに理解いたします。
 そこで、柳澤大臣にお尋ねしたいんですが、柳澤大臣は不良債権の直接償却というものについて大変積極的に触れられている。私たちも新進党以来現在に至るまで、法的処理でやるべきだというのを一貫して主張してきました。
 そこで、時間の関係で非常にストレートな質問になるかもわかりませんが、たしか銀行の不良債権には四つの分類があって、柳澤大臣が考えられている場合、その四つの分類のうち直接償却の対象になるのはどの部分でございますか。
#444
○国務大臣(柳澤伯夫君) 先生御承知のとおり、債務者区分というのがございます。一つは正常先、それからその次が要注意先というんでしょうか、その要注意先の中に二つ細かく言うと分かれて、要管理先というのと要注意先のままの破綻懸念先、実質破綻先、破綻先と、このことをおっしゃっているかとも思われます。
 そういう債務者区分がある場合に、今度オフバランス化と申しますか、そこへの債権についてオフバランス化するのはどの先までであろうかと、こういう御質問であろうかと思います。
 まことにもっともな御質問であるというふうに言わざるを得ないんですけれども、今率直に言って、そうしたことを含めてスキームづくりというか、スキームという言葉を使うのはあるいは不適切かとも思うんですけれども、我々としては、今までもうちょっと進めるべきオフバランス化が進んでいないとしたらどの辺に障害があったんだと。じゃ、この障害は取り除いて、もうちょっと環境を整備してやったらそれが進むんじゃないかという環境整備面のことと、環境整備してやっても仮にもうちょっと踏ん切っていけない、見きわめをつけていけないというようなことがあるとしたら、その見きわめをつける、何かそういう、難しい言葉でございますけれども、ガイドラインというか、そういうものができるのかできないのか、非常に事務当局は苦吟して、私にはもう難しい難しいということしか中間報告で上げてきておりません。しかし、私は督励しているわけです。
 そういうものができるかどうかということを今検討しているんですが、その中の話として、先生の御指摘もそれらを含めて検討させていただきたいということを申し上げるのみでございます。
#445
○平野貞夫君 大変私にとっても重い難しい問題を四分で質問するというのは非常に難事業なんですが、二つだけ私、指摘をしたいと思います。
 一つは、不良債権の仕分け方でございます。
 例えば、引当金不足というのが、現に金融庁が把握している情報より実態と違うという場合があると思います。それから、そういう本当の不良性の実態というものをどれだけ金融庁が客観的に把握して、それに適切なガイドライン、対応できるかどうかということが非常に難しい作業ですし、これはやっぱり大臣に判断してもらわなきゃならぬ問題だと思っています。
 それからもう一つは、直接償却といいますと、ちょっと私、素人ですからよくわかりませんが、債権放棄か民事再生法か会社更生法か破産法というような法的処理をやるわけですが、それをどの種類をどういうふうにやるかという基準、仕分け、これが今、大臣の言われた問題だと思いますが、私は、環境の整備という言葉を大臣言われたけれども、ここが問題なんですよ。要するに、情実とか政官業の癒着がそこにあっちゃならぬというように思うんですが、その辺の決意を。
#446
○国務大臣(柳澤伯夫君) まず第一に、その資産の査定というものについて、これを厳しくやるということが大前提じゃないか、これはもう全くおっしゃるとおりでございます。金融庁は少しそこがたるいのではないか、こういうような含意での御指摘もいただいたわけでございますけれども、それを私ども、先生御指摘のとおりとはなかなかこれは申されないわけでございまして、金融庁は、検査マニュアルを手にしての検査というのは最近はむしろ厳し過ぎるじゃないかというような声の方が多くなっているように私、感じていますけれども、私は、まず自己査定を彼らがやると。そして、それは監査法人というものが、大きな法人の場合、金融機関は大きな法人ですから当然それも見ると。それも、さらに検査に行くといって、もしさっき先生がちょっと引用されたような引き当て不足があるじゃないかというときは、これは引き当て不足じゃないか、そういうことを言って引き当てをしますと、金融機関の債権と債務の相対関係が変わってきて、いろいろ問題が起こるというようなことを現にやっているわけでございますから、私はそこは、私どもよく検査というものについてはしっかりやらせるという方向でやっています。
 これは非常に行政組織的にも難しいところで、検査局の独立性というものを尊重すべきだ。特に検査局の個別判断については、監督だとかあるいは企画立案をやっている総務企画局だとか、あるいは長官だとかあるいは大臣だとかがそこで個別の検査結果について云々するということはもう厳にこれは慎まなきゃいけない、こういうことで、私はそこのところをかなりきつく指揮しておるということでございます。
 あわせて申したわけでございますが、そういったことでございますので、それらについて情実だとか政治的なあんばいだとかというようなものが入るということは全く御懸念無用と私は申し上げさせていただきたい、このように思います。
 それから、法的処理との関連で申しますと、今、先生が御指摘になられたような法的処理によって、それで司法の方からかくかくしかじかの結果でございますよというような話と、もう一つは、今度は任意で私ごととして私の債権者と、債権者たる金融機関と債務者の間の話し合いで、あなたのところも、こういつまでもやっているわけにいかないんじゃないですかというようなことでもうちょっと整理をして、あなたのここのところいいところだから、これを残してもっと利益を上げるような体質の企業にしたらどうですか、じゃ私の方もこの債権については一応切り捨て、カットしましょうというような話での直接処理と申しますか、そういうものもあり得るわけでございまして、むしろ私どもとしては後者の方、前者だったらもうそれは司法に任せておけばいいわけでございますけれども、後者の方について、これをもうちょっとうまく円滑に進めることによって不良債権のオフバランス化というのを進めたい、そのためにはどういうことを我々としてやったらいいかということを今考えている、こういうことでございまして、その状況だけちょっと申させていただきました。
#447
○平野貞夫君 政治的不良債権というのがございまして、これはもう直接償却が始まっておるんですよ。ですから、ひとつしっかりとした償却をやってもらわなきゃならぬ。
 最後に、宮澤大臣にお尋ねしますが、構造改革の、私はこれが構造改革できたということが世界じゅうあるいは国民レベルでも明確にわかるのは、何といっても郵貯と簡保の完全民営化だと思います。これができないから日本の経済構造の成果が問われるわけでして、大臣の立場でこのことについてどのような御所見でございましょうか。
#448
○国務大臣(宮澤喜一君) これはお尋ねまでもなく御存じのことでございますけれども、既に中央省庁改革のときに、法律によりまして企画部門と実施部門を分離いたしまして、実施部門は郵政事業庁として、さらにこれを弾力的な経営を可能とする新たな公社に移行するということが既にそういうプロセスで始まっております。これが政府の方針でございます。
#449
○平野貞夫君 きょうは時間守りますので、終わります。
#450
○委員長(岡野裕君) 以上で平野貞夫君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#451
○委員長(岡野裕君) 次に、島袋宗康君の質疑を行います。島袋宗康君。
#452
○島袋宗康君 去る十六日、沖縄県で幹部自衛官が少女暴行事件を起こし、逮捕されるという不祥事が発生いたしました。
 そこで、防衛庁長官、まずその事件の概要を報告いただきたいと思います。
#453
○国務大臣(斉藤斗志二君) まずもって、被害者並びにその御家族に対しまして心よりおわびを申し上げたいと思います。
 お尋ねの件は、航空自衛隊第五高射群第十九高射隊、これは国頭郡の恩納村に所在してございますが、そこに所属する二等空尉目黒博光、年齢は三十四歳でございますが、平成十三年三月十二日月曜日夕刻、十八時ごろでございますが、沖縄県内において女子学生を脅迫し、その抵抗を抑圧した上、強いて婦女暴行した疑いで、三月十六日金曜日でございます、沖縄県警に逮捕されたものでございます。
#454
○島袋宗康君 御承知のとおり、我が沖縄県は、さきの大戦の際に県内、で唯一の地上戦の戦場となり、敵の米軍や味方の日本軍からもスパイ扱いされるなど痛めつけられ、多数の県民が犠牲になる悲惨な体験をしております。その上、戦後五十六年この方、復帰の前も復帰の後も変わることなく広大な米軍基地が居座り続けております。それは在日米軍の七五%にも及んでいるということは御存じのとおりであり、多数の県民の願いである基地の整理、縮小も遅々として進まず、九五年の米兵による少女暴行事件に端を発し、SACOの合意に基づく米軍基地の整理、統合策も、その実態は基地の県内移設が条件で、それこそ基地の県内たらい回しであり、真の基地の整理、縮小につながりません。その代表例が、普天間飛行場返還をする代償としてジュゴンの住む豊かな辺野古の海に新しい軍事基地を建設しようとすることであります。
 沖縄県民は、戦中戦後の過酷な体験から、沖縄が基地の島ではなく平和の島になることを心から望んでおります。それに反して現実は、米軍基地、自衛隊基地の重圧にあえぐ島となっております。米軍兵士や幹部自衛官の破廉恥な犯罪によって前途ある十代の少女たちの人権が侵され、身体と心にいやしがたい深い傷を負わされています。沖縄県民の誇りも深く傷ついております。
 そこで、防衛庁長官、沖縄の自衛隊の配備状況についてお伺いいたします。
 陸海空三自衛隊について、沖縄県における基地の数と面積及び人員を、復帰直後と現在がどのようになっているのか、数字でお示しいただきたいと思います。
#455
○政府参考人(西川徹矢君) 先生お尋ねの沖縄におきます自衛隊の返還時及び現在の状況について、まず一点の基地等の箇所数及び面積についてでございますが、沖縄の返還時、昭和四十七年の五月十五日でございますが、この段階で三施設、面積で約百五十八ヘクタールございました。これが平成十二年三月三十一日現在、平成十一年度末でございますが、これにおきまして三十五施設、約六百四十二ヘクタールと、こういうふうになっております。
 続きまして、人員の関係についてのお尋ねでございます。
 沖縄に現在所属いたします自衛隊の部隊等の定員というものでございますが、これも平成十二年の三月末現在で、陸上自衛隊及び沖縄地方連絡部、これで約一千九百四十名おります。海上自衛隊が約一千四百二十名、航空自衛隊及び自衛隊那覇地区病院、これで約三千二百六十名、合計で約六千六百十名が平成十二年三月末現在でございます。
 復帰のときの昭和四十七年五月という、これは先生今のお尋ね、これ切り方で大分ございまして、この五月の瞬間といいますと、ちょうど部隊の新編、新しく編成するという準備作業で、行っておりました数が非常に少なくて、ちょっと正確な数字はわかりませんが、百ないし二百ぐらいの中であろうと、こういうふうにいっております。
 それで、ちなみに手元には昭和四十七年度末、すなわち四十七年に返還されましたので、その年度末の数字で申し上げますと、陸上自衛隊及び地方連絡部の方では一千八百三十名、それから海上自衛隊で約五百三十名、それから航空自衛隊で約一千八百三十名と、こういう数字になっております。
 なお、いいでしょうか。
#456
○島袋宗康君 どうぞ。
#457
○政府参考人(西川徹矢君) それで、先生、実は部隊で、これはちょうど四十七年の年度末と申しますと、部隊の編成の過程でございますので、一応返還に伴った主要な部隊返還が終わったのは実は四十八年の秋でございますので、この主要な部隊の編成が終わったという、すなわち昭和四十八年度末で見ますと、陸上自衛隊及び地方連絡部が一千八百三十で、海上自衛隊が約六百七十名、それから航空自衛隊が約三千百五十名、合わせまして約五千六百四十名と、このようになっております。
 以上でございます。
#458
○島袋宗康君 今回逮捕された幹部自衛官は、少女の写真を撮ったりビデオを撮ったりしていたということであります。自衛官は暇をもてあましているのではありませんか。小人閑居して不善をなすといいますが、自衛官は人員過剰で暇な時間が多過ぎるのではありませんか。もしそうだとしたら、自衛官の定員を大幅に削減すべきであります。国家財政が逼迫している折に、暇をもてあます自衛官の人件費を賄う余裕はないはずであります。
 現在の三自衛隊の定員数及び定足率と、その削減の可能性についてお尋ねいたします。
#459
○政府参考人(西川徹矢君) 今、人数等の縮小等についてのお尋ねでございましたが、これにつきまして、充足数、ちょっと今数字を持ち合わせておりませんが、規模の縮小等につきましては、今のところ自衛隊の任務そのものがいわゆる我が国の平和と独立を守る、そして国の安全を保つために直接侵略あるいは間接侵略に対して防衛するということを主たる任務としておりますので、現在、沖縄におります部隊は、沖縄地区という一つの地理的なものをベースとしまして、主として沖縄及びその周辺の海空域においてこれらの任務を果たすということでございまして、当方といたしましては、いわゆる大綱の基盤整備ということにつきましては、その地域の地形とかそういうものをおもんぱかりまして、今のところ国防の必要性においてはこの数が必要であるということで、現在のところは縮小するとかいう形のものは、計画は持っておらないところでございます。
#460
○島袋宗康君 これは現在、縮小するという考えはないということですか。
#461
○政府参考人(西川徹矢君) 今のところは直ちにそういう形での計画は聞いておりません。
#462
○島袋宗康君 在沖米軍の犯罪が多発して軍規の乱れが非常に感じられます。自衛官については日ごろどのような教育訓練と研修を行っているのか。アメリカでも綱紀粛正とかあるいは二度と起こらないようにマニュアルをつくって徹底するというふうな話を聞いておりますけれども、今後、自衛官による刑法犯の発生のないように、長官はどのように指導をされるのか。
#463
○国務大臣(斉藤斗志二君) 先生お尋ねの教育の件につきましては、担当がきょう来ておりますのでそちらから答弁させたいと思いますが、先ほどの暇ではないかという御質問に対しまして、御案内のように、今回、当該自衛官は高射部隊において機動展開、対空戦闘等に関する業務を行っておりましたけれども、当該隊員はそのシフト勤務の対象者でございまして、事件発生当時は当該シフトから外れておったということで、勤務時間外の行為であったということで御説明申し上げたいと思います。したがいまして、主勤務のときはしっかり仕事をしているということだと思いますし、決してサボっているということではないというふうに思います。
 なお、全体の話でございますが、防衛計画の大綱というのが定められてございまして、前回より今回、新たなものにつきましては陸上自衛隊におきましても二万人程度削減をするということで、大所高所からの対応をさせていただいているところでございます。
#464
○政府参考人(柳澤協二君) お尋ねの犯罪の発生状況とそれから教育訓練について私の方から御説明させていただきますけれども、過去五年間の、まず犯罪件数でございますが、沖縄におきますところの過去五年間で自衛官の犯罪件数を申し上げますと、交通事犯を除いた数字で申しますと、七年度に七件、八年度五件、九年度四件、十年度三件、十一年度六件という数字でございます。交通違反等を加えますともうちょっと多くなっておりまして、例えば十一年度は十九件という数字になってございます。
 それから、幹部自衛官等に対する教育の問題でございますが、当然私ども国防の任務を背負っておるわけでございまして、自衛隊法の五十二条におきましても、「隊員は、わが国の平和と独立を守る自衛隊の使命を自覚し、一致団結、厳正な規律を保持し、常に徳操を養い、人格を尊重し、心身をきたえ、技能をみがき、強い責任感をもつて専心その職務の遂行にあたり、事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に努め、もつて国民の負託にこたえる」ということが書かれてございます。この線に従いまして、私ども自衛官、いろいろ学校で課程教育をいたしましたり、部隊で勤務をするときにもこういう服務の本旨に基づく教育をしてきているところでございます。
 ただ、私行上のといいましょうか、プライベートな関係の指導というのは、今までどちらかというと若い隊員がたくさんございまして、特に飲酒の関係ですとかサラ金の関係ですとか覚せい剤の関係ですとか、若い隊員の指導は十分心を砕いてきております。幹部自衛官については、今申し上げたような幹部としての責任と自覚を持った形で立派に任務を遂行するという観点の服務教育を重点的に行ってきたところでございます。
 今回の事案を受けまして、特にこういった層についても、現在現地でそれぞれ階級ごとに自己啓発のための集団討議とか、団司令が直接幹部とひざ詰めでいろいろ問題点を指摘し合うというような作業を今やらせていただいているところでございます。
#465
○島袋宗康君 いずれにしても、先ほど申し上げましたように、在日米軍の七五%が沖縄にある、その上に今六千六百名という自衛隊が存在する、それこそ本当に基地の島であります。そういう意味において、私たちは復帰の時点で平和憲法のもとに帰るということで喜んで復帰をしたわけでありますけれども、こういう実態が五十六年も続いておるということは異常であります。その異常を何とか是正していただくように、どういうふうに是正してもらうのか、県民の立場でお尋ねいたしますので、御返事をいただきたいと思います。
#466
○国務大臣(斉藤斗志二君) 委員お尋ねのように、在日米軍の七五%が沖縄の地にあるということ、沖縄県民の皆さん、地域に大変な御負担をかけているというそういう認識は私どもも同様に持っておるところでございます。
 さきの橋本総理並びにクリントン大統領との間でSACOの最終報告合意がなされまして、その負担を軽減すべく着実にその最終報告を実施していくということが私どもがとるべき道の一つだというふうに考えておるところでございます。
#467
○島袋宗康君 いわゆる橋本・クリントンの合意というものは県内移設を条件としておりますので、この県内移設ということは、基地のたらい回し、先ほど申し上げたように、基地の機能強化であって、決して縮小じゃないということを県民はよくわかっていますから、その辺をもっと国民に、沖縄県にわかりやすいことでやってもらわないと、基地のたらい回しでいかないということは県民の大きな要求でありますから、その辺のことについてしっかりした政策を打ち出していただきたいというふうに要望して、終わります。
 ありがとうございました。
#468
○委員長(岡野裕君) 以上で島袋宗康君の質疑は終了いたしました。(拍手)
 本日はこれにて散会いたします。
   午後七時四分散会
ソース: 国立国会図書館
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