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2001/05/21 第151回国会 参議院 参議院会議録情報 第151回国会 予算委員会 第14号
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2001/05/21 第151回国会 参議院

参議院会議録情報 第151回国会 予算委員会 第14号

#1
第151回国会 予算委員会 第14号
平成十三年五月二十一日(月曜日)
   午前九時開会
    ─────────────
   委員の異動
 三月二十六日
    辞任         補欠選任
     亀井 郁夫君     常田 享詳君
     千葉 景子君     柳田  稔君
    日下部禧代子君     清水 澄子君
     戸田 邦司君     高橋 令則君
 三月三十日
    辞任         補欠選任
     小川 敏夫君     小宮山洋子君
     内藤 正光君     郡司  彰君
     益田 洋介君     魚住裕一郎君
 四月二日
    辞任         補欠選任
     岩城 光英君     吉川 芳男君
     木村  仁君     竹山  裕君
     郡司  彰君     内藤 正光君
     小宮山洋子君     小川 敏夫君
     魚住裕一郎君     益田 洋介君
 四月三日
    辞任         補欠選任
     竹山  裕君     木村  仁君
     南野知惠子君     三浦 一水君
     吉川 芳男君     岩城 光英君
 四月四日
    辞任         補欠選任
     岸  宏一君     金田 勝年君
     三浦 一水君     南野知惠子君
 四月五日
    辞任         補欠選任
     金田 勝年君     岸  宏一君
     佐藤 昭郎君     片山虎之助君
 四月六日
    辞任         補欠選任
     片山虎之助君     佐藤 昭郎君
     小川 敏夫君     小宮山洋子君
     益田 洋介君     荒木 清寛君
 四月九日
    辞任         補欠選任
     小宮山洋子君     小川 敏夫君
     荒木 清寛君     益田 洋介君
 四月十日
    辞任         補欠選任
     岸  宏一君     水島  裕君
     益田 洋介君     但馬 久美君
 四月十一日
    辞任         補欠選任
     水島  裕君     岸  宏一君
 四月十二日
    辞任         補欠選任
     木村  仁君     沓掛 哲男君
     岸  宏一君     片山虎之助君
 四月十三日
    辞任         補欠選任
     片山虎之助君     岸  宏一君
     沓掛 哲男君     木村  仁君
     但馬 久美君     益田 洋介君
 五月十一日
    辞任         補欠選任
     佐藤 道夫君     石井 一二君
 五月十七日
    辞任         補欠選任
     木村  仁君     真鍋 賢二君
     南野知惠子君     佐藤 泰三君
 五月十八日
    辞任         補欠選任
     柳田  稔君     今井  澄君
     大森 礼子君     沢 たまき君
     弘友 和夫君     荒木 清寛君
     西山登紀子君     池田 幹幸君
     高橋 令則君     戸田 邦司君
 五月二十一日
    辞任         補欠選任
     池田 幹幸君     西山登紀子君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         岡野  裕君
    理 事
                佐々木知子君
                須藤良太郎君
                常田 享詳君
                吉村剛太郎君
                高嶋 良充君
                円 より子君
                益田 洋介君
                小池  晃君
                照屋 寛徳君
    委 員
                有馬 朗人君
                入澤  肇君
                岩城 光英君
                鎌田 要人君
                岸  宏一君
                佐藤 泰三君
                斉藤 滋宣君
                陣内 孝雄君
                野沢 太三君
                日出 英輔君
                保坂 三蔵君
                真鍋 賢二君
                松谷蒼一郎君
                松村 龍二君
                今井  澄君
                江田 五月君
                小川 敏夫君
                木俣 佳丈君
                櫻井  充君
                内藤 正光君
                堀  利和君
                峰崎 直樹君
                簗瀬  進君
                荒木 清寛君
                沢 たまき君
                浜田卓二郎君
                池田 幹幸君
                大沢 辰美君
                西山登紀子君
                宮本 岳志君
                清水 澄子君
                松岡滿壽男君
                戸田 邦司君
                石井 一二君
   国務大臣
       内閣総理大臣   小泉純一郎君
       総務大臣     片山虎之助君
       法務大臣     森山 眞弓君
       外務大臣     田中眞紀子君
       財務大臣     塩川正十郎君
       文部科学大臣   遠山 敦子君
       厚生労働大臣   坂口  力君
       農林水産大臣   武部  勤君
       経済産業大臣   平沼 赳夫君
       国土交通大臣   扇  千景君
       環境大臣     川口 順子君
       国務大臣
       (内閣官房長官)
       (男女共同参画
       担当大臣)    福田 康夫君
       国務大臣
       (国家公安委員
       会委員長)
       (防災担当大臣) 村井  仁君
       国務大臣
       (防衛庁長官)  中谷  元君
       国務大臣
       (沖縄及び北方
       対策担当大臣)
       (科学技術政策
       担当大臣)    尾身 幸次君
       国務大臣
       (金融担当大臣) 柳澤 伯夫君
       国務大臣
       (経済財政政策
       担当大臣)    竹中 平蔵君
       国務大臣
       (規制改革担当
       大臣)      石原 伸晃君
   内閣官房副長官
       内閣官房副長官  上野 公成君
   副大臣
       内閣府副大臣   松下 忠洋君
       内閣府副大臣   村田 吉隆君
       防衛庁副長官   萩山 教嚴君
       総務副大臣    遠藤 和良君
       総務副大臣    小坂 憲次君
       外務副大臣    植竹 繁雄君
       財務副大臣    若林 正俊君
       文部科学副大臣  青山  丘君
       文部科学副大臣  岸田 文雄君
       厚生労働副大臣  桝屋 敬悟君
       厚生労働副大臣  南野知惠子君
       経済産業副大臣  松田 岩夫君
       国土交通副大臣  佐藤 静雄君
       国土交通副大臣  泉  信也君
       環境副大臣    風間  昶君
   大臣政務官
       内閣府大臣政務
       官        仲道 俊哉君
   政府特別補佐人
       内閣法制局長官  津野  修君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        吉田 成宣君
   参考人
       日本銀行総裁   速水  優君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○政府参考人の出席要求に関する件
○参考人の出席要求に関する件
○予算の執行状況に関する調査

    ─────────────
#2
○委員長(岡野裕君) ただいまから予算委員会を開会いたします。
 理事の補欠選任についてお諮りをいたします。
 委員の異動に伴い現在理事三名が欠員となっております。その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名にこれを御一任願いたいと存じます。御異議はありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(岡野裕君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に常田享詳君、佐々木知子君及び益田洋介君、以上、指名いたします。
    ─────────────
#4
○委員長(岡野裕君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りをいたします。
 予算の執行状況に関する調査のため、必要に応じ政府参考人の出席を求めることとし、その手続については、これを委員長に御一任願いたい、かように存じますが、異議はありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(岡野裕君) 御異議ない、かように認め、取り計らいます。
    ─────────────
#6
○委員長(岡野裕君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りをいたします。
 予算の執行状況に関する調査のため、本日の委員会に日本銀行総裁速水優君を参考人として出席を求めたいと存じます。御異議はありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○委員長(岡野裕君) 異議なしと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#8
○委員長(岡野裕君) 予算の執行状況に関する調査についての理事会決定事項について報告いたします。
 本日及びあすの質疑は総括質疑方式とし、質疑の割り当て時間は二百七十九分とすること、各会派へのこれが割り当て時間は、自由民主党・保守党百一分、民主党・新緑風会八十一分、公明党三十分、日本共産党三十分、社会民主党・護憲連合十六分、無所属の会七分、自由党七分、二院クラブ・自由連合七分とすること、質疑の順位につきましてはお手元に配付いたしてあります。
 以上であります。
    ─────────────
#9
○委員長(岡野裕君) 予算の執行状況に関する調査を議題といたします。
 これより質疑を行います。まず、峰崎直樹君、どうぞ。
#10
○峰崎直樹君 民主党・新緑風会の峰崎でございます。
 小泉総理とは初めてこうして質疑をさせていただくわけでありますが、まず最初に、本当に高い支持率、まだ一カ月足らずだと思いますが、大変高い支持率を誇っておられます。そのことについていろいろ言われているわけでありますが、総理自身はこの背景はどのように考えていらっしゃいますか。
#11
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 高い支持率をいただいていることはありがたいことですが、もうこれ以上上がることはない、後はもう下がるだけですが、何とか実績を積んで五〇%以上の支持率が確保できるように努力していきたいなと、願望でありますが、そう思っております。
#12
○峰崎直樹君 実はこの高い支持率の背景に、国民の皆さんが大変、恐らく新しく改革をしてくれるだろう、自民党を変えるだろう、派閥を変えるだろう、こういう高い期待もあったんだろうと思います。私どもはそれが本当かどうかということを追及しているわけでありますが、実はそういう質疑をしていると、その質疑をしている最中から私どもの事務所とかあるいは党本部とかそういったところに、メールだとかファクスだとか電話だとか大変な抗議が出てくるんですね。
 私は、これは大変奇妙なことだと思いますし、こういうやはり、ある意味では民主主義国家として堂々と大いに論戦をすることについて、国民の側からそういう声が出ていることについて、小泉総理、どう思われますか。
#13
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 我々閣僚はいつも批判されている立場でありますが、批判する側がたまには批判を受けるのもいいのではないかなと思っております。
#14
○峰崎直樹君 しかし、中には識者の中から、今の状況というのはちょうど一九三〇年代にヒトラーが出てきたときとか、あるいは大政翼賛会だとか、そういう時代によく雰囲気が似ているんではないか。そういう意味で私どもは、大変議会制民主主義という観点から非常に問題があるんではないかなというふうに思っているわけでありますが、その際、五月一日のメーデーに出られて、いや今度の私の内閣成立は実は政権交代なんだと、こうおっしゃったんですが、これ本当に政権交代と言えるんですか。
#15
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) ある意味では政権交代だと国民は思っているし、私もそういうふうに思っております。
 なぜならば、私が総裁・総理になったということは大方の予想を裏切った結果出てきたと。そして、本当に派閥にとらわれないで組閣ができるんだろうかと思ったのをやった。批判する方々は何も具体策はないと言っていますけれども、かなり具体策を出している、方針を出している。そういう点に対して私は、今までにない形で総理・総裁が誕生したなと、そして改革に非常に意欲的だなということから、ある意味においては政権交代というように受けとめているからこそかなりの期待が出ているんではないかなというふうに私は感じております。
#16
○峰崎直樹君 私は、政権交代というのは、やはり選挙を通じて国民がやはり全員が投票して、そして公約に基づいてどちらの政策が正しいのか、過去の自民党を中心とした与党の側の政策が正しいのか、あるいは野党の言っていることがいいのか、そこを問われて初めて実は私は政権交代だと思うので、これはえせ政権交代だと思います。
 そこで、今、総理もくしくも派閥という言葉を使われました。衆議院の予算委員会で我が党の岡田克也議員がこういう表を、お手元にもございますが、(図表掲示)大臣あるいは党三役までは自分はやったけれども、副大臣あるいは政務官あるいはその他幹事長代理と言われている者、あるいは副幹事長ですか、こういったところは、まあそれはもう任せたんだと、こうおっしゃいました。
 そのときに、大事と細事と、こう言われました。この副大臣、(「些事だ」と呼ぶ者あり)些事とおっしゃいましたけれども、副大臣、政務官はやはり些事なんでしょうかね。
#17
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) たしか衆議院でもそういう御質問が出て、大事と些事という言葉を使いました。些事かと言われると、これは言葉じりとか揚げ足取りだというふうに答えた記憶がございます。
 峰崎議員も見識がありますから、揚げ足取りとか言葉じりをとられるようなことはないと思いますけれども、大事に比べれば、私は、任すべきところ、自分がやるべきところを分けて考えているつもりであります。
 政党の党首として一つの方向に向けて、その目標に向かってどうやってみんなが協力できる体制をとるかというのも大事であります。そういう点から考えて、余り事をせいてはし損じる、せいては事をし損じるという言葉がありますが、余りせくこと、急ぐことをせずにじっくりと取り組んで、いずれ、派閥があっても無意味な存在にしたいというのが私の意図であります。
 二人三人集まれば仲よしクラブ、これを派閥という定義なら派閥はなくならないと思います。しかし、派閥があったとしても、今までのように派閥から人事を左右するとか、あるいは派閥が幅をきかせて、派閥あって党なし、派閥あって国なしというような印象を持たれないような自重が必要ではないかという意味において、私は党改革をしていきたいというふうに思っております。
#18
○峰崎直樹君 実は、今度の一月から新しい体制に変わりました。これはやはり政治の側が、副大臣制度あるいは政務官を入れて、そして政治のリーダーシップを発揮して、官との側、政と官でいえば官僚機構に対峙していこうと。
 私ども民主党は、これは大臣、副大臣、政務官が一つの対に、一チームになって、そしてそれで対峙していかなきゃいけないんではないのか、改革していかなきゃいけないんじゃないのか、こういう観点で私は導入されたものだと思っております。その意味で、そういう観点が私は忘れられているんじゃないのかと思えてならないんですが、そういう改革の視点から見たらどう思われますか。
#19
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 各大臣が役所の最高責任者であると。副大臣初め部下とよく協力して、みずからの掲げる方針について全省一丸となって取り組む体制をとるのも重要かと思っております。
 そういう中で、お互いの意思疎通を図り、小泉内閣としてのいろんな改革に取り組んでいくという意味において、私は、各大臣とそれぞれの与党と相談して副大臣なり政務官なりを決めていくという結果がそうなっているんではないかというふうに認識しております。
#20
○峰崎直樹君 実は、組閣に入る前に党三役を決められた。この党三役を、閣僚の中にとにかく入ってもらったらどうだ。つまり、政調会長、あるいは国対委員長もどういうポストかは別、総務会長あるいは幹事長、こういうある意味では今までは与党、党といわゆる内閣というものが分離されております。これを分離しているがゆえに、実は本当に総理大臣のリーダーシップを発揮しようとしたときにそれができなくなっているんじゃないかという指摘があるんです。この点はどのようにお考えですか。
#21
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 内閣と与党が連携をとって役割分担をしながら協力していくというのが政党政治の基本でありますから、内閣と与党がお互い協力体制をとるという意味においてはそれぞれのやり方があると思います、習慣もあると思います。その時々の状況を見ながら、お互いが協力しながら一つの方向に向かって努力していくのが筋ではないかと思います。
#22
○峰崎直樹君 きょうも後で、政務調査会長がどういう発言をされているか、あるいは幹事長がどういう発言をされているか、それがどうも内閣と違うんではないか。我々は政府、与党一体だと聞いているわけです。しかし、そのことを質問しようがないんです、私たちは、この場で。あるいは本当の真意がどこにあるのかわからないんです。
 その意味で、小泉総理が首相公選制を打ち出しておられるんですが、まず議院内閣制のそういう改革をして、これイギリスで見られているというんですが、そういう形で政府の側が政府、与党一体になって野党と対峙する、これがある意味では議院内閣制の本来の姿ではないんだろうかと思いますが、こういうことを考えられるということはないんでしょうか、もう一度お聞きします。
#23
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 首相公選制と今の政府、与党が協力していくこととは直接関係ありません。私は、首相公選というものについて、より具体的な提案をしたいために懇談会をこれから立ち上げて議論をしていくと。そういう際に、首相公選制と議院内閣制の問題も出てくると思います。これは将来の問題であります。今、議員が指摘されたような問題は現在の与党と政府の問題でありまして、これから政府、与党がお互い協力しながらどういう方向に進むかというのは、まさに今の政府と与党の問題ではないかというふうに認識しております。
#24
○峰崎直樹君 私は、どうもそこが二元的になって、使い分けて、そして我々が本当にスピーディーに物事を決めなきゃいけないと思われるこの時代に、そこのところで絶えず狂ってきたんじゃないでしょうか。
 私はそのことについては後でまた具体的に触れていきたいと思いますが、その前にちょっとどうしても聞いておきたいことがあるわけですが、選挙制度の問題です。
 小泉総理は、かつて選挙制度をある意味では小選挙区比例代表並立制に直したときに反対をされた。今、与党の中で選挙制度を中選挙区制に戻そうという動きがあるようですが、この点はどのように考えておられるんでしょうか。
#25
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私は、中選挙区から小選挙区制度にする場合に、今のような小選挙区比例代表制度にするということには確かに反対しました。その反対した最大の理由は、選挙制度というのは有権者の意思を尊重すべきだと、民主主義において。その中で、小選挙区で落選した候補が比例代表で救われてくる、これは有権者の意思よりも政党の幹部の判断を尊重する、優先する、これはおかしいのではないかという点が私が小選挙区比例代表制、現在の制度にするという最大の論拠でした。
 そこで、あの中選挙区時代は、選挙制度改革よりも定数是正をすべきだと私は言っていました。しかしながら、結果的に現在の選挙制度になりました。なったからには、しばらくこの制度、まだ欠陥があると思いますので、それぞれの欠陥は是正すべきだと思っております。
 そこで、もう一度選挙制度を改革するんだったらば、私は首相公選制がいいと言っているんです。それだけのエネルギーを使うんだったらば、もう一度選挙制度を改革するんだったらば、首相公選制を考えたらどうじゃないかと、それだけのエネルギーがあるんだったらということで、今回の選挙制度改革については各党の議論を見守っていきたいと思います。
#26
○峰崎直樹君 これは公明党の神崎代表がNHKのテレビジョンで、もうお互いに与党の中では中選挙区制ということで合意をしている、しかも一年以内にもうこれはそういう方向に出すんだと、こういう発言があるんですが、これはお聞きになりました。
#27
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 合意しているとは聞いておりません。
#28
○峰崎直樹君 これはどこかで確かめなきゃいけないし、本来であれば、本来の議会制民主主義、あるいは機能させようと思えば、そういう与党の、しかも最高責任者は閣内に入っていくというのがこれは私は筋だと思うんですね。そうやれば私はすぐに聞けるんです。そういう意味で、私は今のありようというのは変えていかなきゃいけない点ではないかと思っております。
 さてそこで、先急ぎますが、参議院候補者を派閥から離脱を求める、こういう報道がなされました。これは、そういう発言をされましたか。
#29
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 確かにいたしました。
 私は、これは我が党内のことですから、こういう場でそのような我が党内のことについて御質問が出るとは思っていなかったんですが、私は、自民党公認候補者自身が考えるべきことだと思うんです。
 というのは、私がなぜ自民党の総裁になったか。派閥を離脱しました。党内の議員の多くは、今まで派閥の会長をしていた私が派閥を離脱するのはおかしいというのが議員の中での批判でありました、その方が多かった。しかし、なぜ私を党員は圧倒的に支持をして、議員までが過半数を与えたのか、そこをよくわかってほしいと。これからの選挙は自民党に甘くないぞと、各与党の議員が派閥は当たり前じゃないかと言って本当に当選できるのかと、それほど余裕のある人だったらいいと。自分が有権者にどういう考えを持っているかメッセージを与えないと参議院選挙でも当選するのは容易じゃない、厳しいぞということから、もしこれからの自民党公認候補が自分はどういうふうに自民党を変えていくのか、どういう意見を持っているかということで、私は派閥を離脱する方が有権者に理解されるんではないかということを言っているんです。
 そういう中で、候補者自身が、いや、私は派閥を離脱しません、派閥があって何が悪いんだという形で当選できると思うならば、自民党の公認候補はそう言えばいいんだし、これじゃ危ないなと、小泉は自民党を変えたいと言っていると、日本の政治も変えたいと言っていると、派閥の論理じゃなくて国民の論理なんだと言っていると、おれはそれに反対だというんだったらば派閥を出なくてもいい、私に理解を示すんだったら派閥を出た方が戦いやすいのではないかと言っているわけであります。あとは、自民党公認候補が有権者にどうやって理解と支持を求めるのか、候補者の判断がそれを決めていくんだと私は思います。
#30
○峰崎直樹君 今度の参議院選挙を勝っていくために。
 そこで、今の閣僚の中で一人だけ参議院の候補者になられている、公認候補者が一人おられますね。片山総務大臣、今、閣内の一員として総理大臣の今の御見解、どのように考えておりますか。
#31
○国務大臣(片山虎之助君) 御指名を賜りまして、大変恐縮でございます。
 私は、せんだって、二、三週間前でございますが、地方分権推進委員会その他のことで総理とお会いしましていろいろお話ししましたときに、総理から御見解を賜りました。私は、候補者各人が自分で考えることだと、こういうふうにお答え申し上げました。
#32
○峰崎直樹君 どうも総理のおっしゃっていることにそうだとか、賛成だとか反対だとかということは答えられませんでしたけれども、これは御本人の判断だということで小泉総理がそうおっしゃっているんでしょう、もう一度申し上げると。
#33
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私は、派閥に入っても、それは将来大した意味のないものにしていきたい。それが党改革の道だと思っております。
 そこで、これからの問題でありますから、それをこれから自民党公認候補がどういうふうに考えるか、期待を持って見守っていきたいと思います。それぞれが自民党公認候補として自民党を変えたい、日本の政治を変えたい、私の主張にどういう意向を示すか。それをまた有権者が判断するでしょうから、そういう中で私は見守っていきたいと思います。
#34
○峰崎直樹君 それではまたさらに、自民党の改革をおっしゃっておられるわけですが、かつて久世元金融再生委員長と当時の森総理の間で、自分が一億円いただいた金、これの性格をめぐって実はあいまいなままずっと続いているんです。やがてそれははっきりさせて答弁してくださいますねと。これはいまだに出ておりません。
 さらに、KSDの架空党員、かつて村上正邦さんはもみ殻党員とおっしゃいましたけれども、こういうものについて再調査をするとおっしゃっていました。いつまでにその種のものは調査報告をされるんでしょうか。
#35
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 今、自民党幹事長のもとに関係者から事情を聞いて、架空党員とか幽霊党員があるかないか、あった場合には、今後そのようなことはなくしていかなきゃならないという方向で調査を進めていると聞いております。
 調査の結果については、最終的に取りまとめた後、明らかにしていきたいと思います。
#36
○峰崎直樹君 その話はいつも聞いているんです。前の森総理のときからも聞いているんです。だから、いつまでにやりますという期限を明示していただけませんか。
#37
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 調査ですから、いつまでにと、できるだけ早くと言っておりまして、私はどういう調査をしているか、その辺は……(発言する者あり)
#38
○委員長(岡野裕君) 総理答弁中であります。
#39
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 幹事長が今鋭意調査を進めているところでありますので、その調査結果を待つべきだ、またできるだけ早くというふうには言っておりますので、まだいつまでにということは今この段階でははっきり申し述べることはできません。
#40
○峰崎直樹君 調査の動向を見て、いつごろまでにはやってくれよと総理の方から指示を出せないですか。例えば参議院選挙、国会は六月いっぱいですから、そういうことをお約束できませんか、ここで。
#41
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) できるだけ早く結果をまとめてくれと指示しております。
#42
○峰崎直樹君 どうも歯切れが悪いですね、具体的になっていくと。
 さて、そこで、若築建設に対するいわゆる政治献金問題というのがございました。ちょっと法務大臣にお聞きしますが、どうも司法、裁判の過程に入って、その中で亀井静香元政調会長への献金が証言、そういう証言をされた方があるやに聞いていますが、そのあたりはどういうふうになっておりますか。
#43
○国務大臣(森山眞弓君) 中尾元建設大臣に係る受託収賄事件につきましては、現在、東京地方裁判所において公判審理中でございます。
 お尋ねの点につきましては、平成十三年二月六日の第二回公判期日におきまして、弁護側、検察側双方申請により採用されました若築建設関係者である証人が弁護側の尋問に対して、亀井元政調会長にお金をお渡しした旨証言したものと承知しております。
#44
○峰崎直樹君 総理は、たしかホームページでだったでしょうか、こういう疑惑を持たれた議員は、もし証人喚問を受ければ率先してその証人喚問に出るべきだと、こういう発言をされているのを私は記憶しておるんですが、その点はお考えは変わりませんね。
#45
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 変わりありません。
#46
○峰崎直樹君 その意味で、この問題で、亀井さんにももちろん言い分はあるでしょう。まだ決まったわけじゃないです。さらに、この証言をなさった林雅三さんという方だそうでございますが、このお二人の方を、私は、やはり疑惑を晴らすためにもこの国会の場で証人喚問をすべきだと思います。
 委員長、私、お二人の方の証人喚問を求めたいと思います。
#47
○委員長(岡野裕君) ただいま峰崎君から発言がありました証人喚問の件につきましては、後刻理事会協議のことといたします。
#48
○峰崎直樹君 こういった疑惑の問題は、本当に改革してこそ私はやはり自民党を変えるということになるんだろうというふうに思います。
 さて、もう一点、今度は政権の問題について移らせていただきたいと思うわけであります。
 実は、公明党の皆さん方と、それから保守党の皆さん方と三党協議をなさったわけであります。実は私どもずっと公明党の動向を注目していたわけですが、自民党の総裁選挙中に、小泉総裁になったら閣内協力をしない、こういう発言をなさった方もおられるわけですね。この点は、公明党を代表してと言ったらまたあれですが、坂口厚生労働大臣、どのように考えておられるのか。
#49
○国務大臣(坂口力君) 全く聞いておりません。しっかりと小泉総理を支えるようにということで、私、一生懸命やらせていただいております。
#50
○峰崎直樹君 どうも政治家の言葉が何だか信じられなくなってくるという感じがいたしますが、さて、総理、永住外国人の地方参政権問題、総理自身はどう考えておりますか。
#51
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私は、極めてその問題については慎重であります。
#52
○峰崎直樹君 坂口大臣にまたお聞きしたいと思うんですが、この問題はまさに自自公という、自民、自由の時代の、公明党が連立されたときからもうずっと続いている問題ですね。今、発言聞いてどのように思いますか。
#53
○国務大臣(坂口力君) いろいろの御意見があることはよく存じております。
 外国人への地方参政権の付与というのは、特にヨーロッパが中心になって広がっておりますし、二十四カ国に既に及んでおります。
 我が国で永住権を持つ外国人は六十二万人に達しております。その中で、在日韓国・朝鮮人の方々など、特別な歴史的な背景を持った皆さん方がお見えになるわけでございまして、その人たちが望むならば日本国民に近い扱いがなされるべきであるというのが我が党の実は考え方でございまして、そして三党協議に提出をさせていただいたという経緯でございます。
 しかし、いろいろのお考え方があることはよく存じておりますし、国会でそこの扱いにつきましては、今、審議と申しますか、協議されているところでございまして、お任せをしているところでございます。
#54
○峰崎直樹君 総理にまたちょっと、今度お聞きしたいんですが、かつて創価学会について発言をなさっておりますね。どのような発言をなさっておりますか。
#55
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私は、どのような発言をしたかちょっとわかりませんが、何か私の発言で調べているところがあったら教えていただきたいと思います。
#56
○峰崎直樹君 私、しゃべると時間がこちら側がなくなりますので、そちらの方にと思ったんですが、九五年十二月号、月刊「宝石」というところにこう書いておられます。小選挙区は一度実施して、しかしその後はすぐ廃止すべきだ、一対一の対決だから、構造上創価学会のような特定勢力に当落を握られるおそれが大きい、何百万票と言われる創価学会の存在は脅威だ、それは自民党側だけでなく、その支持を受けている側にとっても決して喜んでばかりいられない現実であると、こうおっしゃっている。思い出されましたか。
#57
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 選挙に関して言えば、私は、強力な支持団体というのは、味方してくれれば強力な援軍である、敵になれば脅威になる、どこでも。問題は、候補者自身の考え方ですね。一部の票を恐れると思うか、恐れないと思うか、ここが違いだと。
 だから、候補者自身の問題でありますが、特定団体に私は常に恐れるなと言うんです。今、恐れるな、ひるむな、とらわれるなと言っていますけれども、選挙でも、候補者は一部の団体にとらわれるな、無党派層が圧倒的に多いということを常に忘れちゃいかぬと。だから、候補者自身の問題だと思います。
 一部の何千票、何万票の票があるからそっちばかり向くか、そんなものは十万票の中ではごく一部だと考えるか、それは候補者自身の問題だと思っております。
#58
○峰崎直樹君 あなたは脅威だと、こうおっしゃっているんですよね、総理大臣。そういうふうに思っていらっしゃるかどうかということなんです。
#59
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 多くの候補者が脅威と感じてその団体の言うことに黙っちゃう、その団体、一部の団体に左右されちゃうというんだったら脅威だと思います。しかし、多くの候補者はそうは思わないと思います。
 私は脅威とは思っていません。
#60
○峰崎直樹君 ということは、自分が「宝石」で書かれたことは、今はそう思っていないと、こういうことなんですね。随分変わられたものだろうと思いますが。
 さて、石原大臣にちょっとお聞きします。
 石原大臣、大臣になられる前、ホームページその他で随分お話しなさっています。あるいは、文芸春秋から出た「論点二〇〇一」ですか、そこで何というふうにおっしゃっておられるか。石原大臣はこの自公保、公明党と連立を組んだことについてはどのように思っておられますか。
#61
○国務大臣(石原伸晃君) 峰崎委員に御答弁申し上げます。
 自自公政権ができたときは、自自公政権に反対の立場をとらせていただきました。
#62
○峰崎直樹君 それで今は自公保連立政権に入っておられる。では、今はどうなんでしょうか。
#63
○国務大臣(石原伸晃君) 峰崎委員にお答え申し上げます。
 峰崎委員とは、自社さ政権時代、税制改革をめぐりまして二年半にわたりまして議論をさせていただきまして、議論、いろいろな相違点がございましたけれども、それを克服して税調大綱を二回にわたってまとめ、信頼関係を築いたと思います。
 現在の自公保政権は、小泉総理が自公保政権の信頼を重視すると言っている以上、閣内で国務大臣を務めている石原は内閣の方針に従わさせていただいております。
#64
○峰崎直樹君 何かエールを送っていただいたようで、また大変答弁として、ああ、やっぱり大臣になるとなかなかすごいうまく答弁されるものだなと感じております。また頑張っていただきたいと思いますが。
 さて、いろいろ話を聞いてみると、どうもやはり公明党とそれから自民党の、今の総理のお話なんかも聞いていても、どうも何か自公保連立政権というのはしっくり私は来ていないのじゃないかなというふうに思っていますが、これはもうちょっと時間もありませんので、先に、前へ具体的なものについて進めたいと思います。
 早速外交問題に移らせていただきたいというふうに思います。
 そこで、まず田中外務大臣にお聞きしたいと思いますが、大臣に正式に就任されたのはいつですか。
#65
○国務大臣(田中眞紀子君) 四月二十六日です。
#66
○峰崎直樹君 外務省で最初に記者会見をなさったのはいつだったでしょうか。
#67
○国務大臣(田中眞紀子君) 外務省の、当日の夜でございます。
#68
○峰崎直樹君 その記者会見で、李登輝氏の入国問題についてはどのような発言をなさいましたか。
#69
○国務大臣(田中眞紀子君) 李登輝さん、李登輝前総統へのビザの発給についてだと思いますけれども、そのことに関するお尋ねがたしかあったと思います。
 そのときに、この選挙戦ですね、総裁選挙がかなり激しくて全国飛び歩いていたので、ほとんど新聞は見ていなかったので、どういう原因で李登輝前総統が岡山県に行かれるのかもわかってはいなかったと。ですから、率直なところ、いろいろな見方はあると思うが、人道的な面で入国を認めたということであるということをお答えしております。
#70
○峰崎直樹君 ちょっと正確でないような気がするんですが、外務省にはその種発言の正確な議事録というのは残っていないんですか。速記録でいいんです。
#71
○国務大臣(田中眞紀子君) 議事録とは言っておりませんで、会見のメモでございます。
#72
○峰崎直樹君 そのメモは、今のしゃべられたのはメモの要旨ですか、それともメモそのものですか。
#73
○国務大臣(田中眞紀子君) 要旨をかなり正確にまとめてございます。
#74
○峰崎直樹君 今の内容をちょっと正確に、ちょっと大切なのできちんと読んでいただけませんか。
#75
○国務大臣(田中眞紀子君) 先ほどからの続きを申します。
 率直なところ、いろいろな見方はあると思うが、人道的な面で入国を認めたということである。ただ、中国・台湾問題というのは極めてデリケートな問題で、日本にとっては大変重要な問題ではあるが、やはり日中平和条約の原点というものはあるわけだから、もう少しグローバルに、今の時点では選挙直後でミスリードしてはいけないので、もう少し時間をいただいて頭がクリアなときにお話をした方がよいと思うというふうに発言しております。
#76
○峰崎直樹君 私どもが聞いているところとちょっとニュアンスが違うのかなと思うんですが、朝日新聞ですけれども、台湾の李登輝氏のビザ発給について、今回は人道目的の判断だったが、二度三度となると政治問題化する、李氏は政治的な発言をしなくても政治的な影響を与えるということをねらっているかもしれないわけだから、私だったら病状も含めもっと時間をかけて考えた、李氏が米国に行くとかシンガポールに行くとかの方法もあるんじゃないのかと。
 あるいはその前に、何か記者会見の場で、何度かゴルフにも行っていたというようなうわさもあると、これはこちらに来られる前にですね、その議論の前に。そういう発言もなさっていたというふうに聞いているんですが、それは間違いでしょうか。
#77
○国務大臣(田中眞紀子君) その後に各社に個別で記者会見をやっておりまして、今回の訪日を前提としてまた自動的に二度三度訪日される場合はどう思うかというようなお尋ねがありまして、そのときに、二度三度と今後行うのであれば、しかも結果としては政治的発言を行わなくても政治的な影響を与えるということをねらっているのかもしれないということであれば、今回、自分は大臣だったらもっと時間をかけたい、かけて考えたいということを発言しております。
#78
○峰崎直樹君 ゴルフに行っていたといううわさも聞いているというような発言もされているんですか。
#79
○国務大臣(田中眞紀子君) 中国側が、李前総統が訪日する前に、中国外交部のスポークスマンの発言ですけれども、前総統はゴルフをやっていたと発言していたが、そういうことを考えてみても、病状も含めて、事実がどうであったか考えてみなければならないと思うという旨の発言をいたしております。
#80
○峰崎直樹君 いろいろ本当に、何か正確にきちっと答えていただきたいなと思うんですが。
 そこで、総理、私どもは──もう一つ、じゃ田中外相に確認しておかなきゃいけない。
 今月七日に新聞の、私が質問通告した後に出てきたんですが、中国の唐家セン外相との電話会談で、台湾の李登輝前総統への査証、ビザ発給は今後は認めないと、こういうふうに方針を伝えたとおっしゃっているんですが、それは事実ですか。
#81
○国務大臣(田中眞紀子君) 外務大臣就任直後の、先方の外務大臣との話し合い、電話会談というのは極めて短時間での表敬でございます、お互いに。その中で私が申し上げていることは、日中共同声明を踏まえてすべてを慎重に対応していきたいという趣旨のことを申し上げております。そして、総理がいつもおっしゃっていますように、その時々のさまざまな要因を勘案して、そして関連の情報を収集して適切な判断を行いたいということを発言いたしております。
#82
○峰崎直樹君 そうすると、今お話しなさったことと、報道は間違いだということですか。この一連の、新聞すべて報道しておりますが、これは電話で唐家セン外相にそういう話はしたことないと、こうおっしゃるんですか。
#83
○国務大臣(田中眞紀子君) 逐一のやりとりにつきましては発言を差し控えます。(発言する者あり)
#84
○峰崎直樹君 この質問は重要な質問なんですよ。前内閣で、内閣で機関で決めてきたことが一大臣によって簡単に変えられたかもしれない。外交の基本にかかわる問題なんですよ。その点について答弁をされないというのは、私はもうこれ以降は質問できませんよ。(「そうだ」「だめだ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
#85
○委員長(岡野裕君) 速記をとめてください。
   〔速記中止〕
#86
○委員長(岡野裕君) 速記を起こしてください。
#87
○峰崎直樹君 改めて外務大臣にお聞きします。
 本当に七日の唐家セン外相との電話の会談、李登輝ビザ問題について、これをもう認めないんだということをおっしゃったのか、おっしゃらなかったのか、そのことを。
#88
○国務大臣(田中眞紀子君) 外交は先方、お立場が、相手の方のお立場というものもございますから、すべてやりとりを逐一説明して明らかにするということは差し控えなければならないと思います。
 ただ、私が申し上げていますことは、日中共同声明を踏まえて慎重に考えていく、対応していくということです。そして、何かがありましたときには、それぞれその時々の情勢をよく見きわめて勘案して、そして冷静に適切な判断を行うということでございます。
#89
○峰崎直樹君 じゃ、改めて聞きますが、この報道は間違いなんですか。
#90
○国務大臣(田中眞紀子君) 報道の一つ一つについて国務大臣としてコメントはいたしません。
#91
○峰崎直樹君 今の答えでは、これはもう外交上極めて重要な問題だと思うので、私は今の答弁なってないと思いますから、再答弁求めます。
#92
○委員長(岡野裕君) 速記をとめてください。
   〔速記中止〕
#93
○委員長(岡野裕君) 速記を起こしてください。
 田中外務大臣より再度の御発言があります。
#94
○国務大臣(田中眞紀子君) 何度も繰り返しますけれども、外交というものは、先方の立場がありますので、中身について逐一明らかにすることはできませんが、せっかくのお尋ねでございますので、私の所見として申し上げさせていただきたいと思いますが、小泉総理大臣も、国会におきまして、先般の李登輝氏の訪日については、あくまでも我が国の国益に立って自主的に判断が行われたとして、今後の同氏の訪日に関しては、その時々のさまざまな要因を勘案しつつ関連の情報を収集して適切な判断をしていきたいと述べておられますので、内閣の私も一員として、私自身の認識は全然異なっておりませんということを申し述べさせていただきます。
 これで御満足でしょうか。
#95
○峰崎直樹君 私は今の、これは公開の質疑……(発言する者あり)
#96
○委員長(岡野裕君) 皆さん、委員長に、指揮に従ってください。不規則発言は勘弁願います。峰崎委員、発言中であります。
#97
○峰崎直樹君 私は、田中大臣に、本当に改革を進めていただきたいと思っている一人でございますから、今のその満足でしょうかというのは、ちょっとどういう意味か、ちょっと発言をもう一度お聞きします。
#98
○国務大臣(田中眞紀子君) それでは、最後の一言は撤回いたします。
#99
○峰崎直樹君 それじゃ、改めてこれは総理に確認した方がいいんでしょうか。
 総理に、私は、今お話しなさっていることはもう私も知っていますよ。それとは違う発言をなさったんじゃないのかということを、しかもそれは七日の日にそういう発言をなさったんじゃないのかということが今疑問になっているわけですよ。その解明には全然今なっていないんじゃないですか。
 総理、どうでしょうか、今の発言、私そういう疑問を持っているんですが、総理の見解を、公式見解でも結構でございますから。
#100
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 外務大臣の発言、何ら問題ない。
#101
○峰崎直樹君 外務大臣の今の発言はあなたのおっしゃっていることをオウム返しにしゃべったから問題ないと、当たり前のことなんですよ。そういうことを聞いているんじゃなくて、外務大臣が唐家セン外相と電話会談をした、これは公式会談でしょう、電話でも。その中身が漏れ伝わってきています。このことについて、私は国民に対して、相手方もあるからと言うけれども、相手方というのは、実は私ども、国民にもそうだし、あるいはもしかすると台湾の、あの李登輝さんたちの台湾の住民かもしれませんよね。そういう人たちにとってもみんな影響があるわけですよ。日中関係についてももちろんそうでしょう。そういうときに、今のあなたの答弁では、私どもは納得できないんです。
 改めて、私は本当に改革者としての田中さん、大変期待していた一人ですけれども、今の発言を聞いている限り、どうも外務大臣としての資質に私は問題があるんではないかなというふうに思えてならないんですが、総理、そう思われませんか。
#102
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) そういういろいろな報道があったから、しっかりと今外務大臣の見解を述べられたのであって、私は何ら問題ないと思っております。
#103
○峰崎直樹君 もう本当に今のお話を聞いていても情けなくなりますね。そういう報道があったからしっかりやるようにと。そうじゃない。やはりやったこの結果というのは、もし、これはもしというよりも事実なんでしょう、そうであるとしたら、これは大変な内閣にとって大きい問題になるんじゃないんでしょうか。私は、やはりそのことを厳しくこの場合は指摘せざるを得ないと思います。
 田中外務大臣に、では引き続き外交問題についてもう一点お聞きしたいと思います。日ロの問題でございます。
 ロシアの、今まで日米関係とかそういった点について随分いろいろとお話をなされましたけれども、今度日ロ外交を、特に北方領土問題がございます、今後どのように進めていくおつもりなのかお聞きしたいと思います。
#104
○国務大臣(田中眞紀子君) ロシアとの問題は、御案内のとおり北方四島の帰属の問題がございますけれども、まずこの四島の帰属の問題を解決して、それから平和条約を締結するという我が国政府の立場はずっと一貫してこれを堅持してまいります。
#105
○峰崎直樹君 そこで、森前首相がテレビに出られまして、二島返還まずやって、そして残る二島の協議にも実はイルクーツクの会談でできたんだと、こういうテレビで報道がなされましたですね。ちょっと正確であったかどうかわかりませんが、そういう中身については一体どのように理解をされているんでしょうか。
#106
○国務大臣(田中眞紀子君) 首脳間の信頼関係に基づいて行われた議論であるということを考えまして具体的なコメントは差し控えたいと思いますけれども、いずれにいたしましても北方問題につきましては、先ほど申しましたとおり、四島の帰属の問題をまず解決して、それから平和条約を締結するという政府の立場はずっと一貫いたしております。
#107
○峰崎直樹君 そのイルクーツク会談の内容というのはお話を聞いていらっしゃるんですか。
#108
○国務大臣(田中眞紀子君) 聞いております。
#109
○峰崎直樹君 そうすると、その中身は、先日の森発言とやっぱり間違いないということなんですか、それとも、それはいや間違いだということなんでしょうか。
#110
○国務大臣(田中眞紀子君) これまでの平和条約の締結に向けた努力の結果をまず総括していると、この会談でですね、総括をし、そして今後の平和条約交渉の新たな基礎を築くということができたという成果、そうしたことを聞いております。しっかりと報告として聞いております。
#111
○峰崎直樹君 どういう総括をイルクーツクの会談ではやられたんですか。
#112
○国務大臣(田中眞紀子君) 政府は、その成果を引き継いで、北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するという一貫した方針であるというふうに聞いております。
#113
○峰崎直樹君 過去の成果とおっしゃるんですけれども、その成果というのは具体的に何なんですか。
#114
○国務大臣(田中眞紀子君) 五六年の日ソ共同宣言から七三年の宣言まででございます。
#115
○峰崎直樹君 そうすると、七三年以降、たくさんいろいろありましたですね。エリツィンさん、あるいはその前のゴルバチョフさんもやってまいりました。東京宣言だとかいろんなものがございました。あるいは川奈の提案もあったやに聞いています。そういう問題については過去の成果に入っていないんですか。
#116
○国務大臣(田中眞紀子君) 時系列的に申し上げますけれども、一九五六年が日ソの共同宣言、そして一九六〇年が対日覚書というのがございまして、七三年が田中・ブレジネフ会談、九一年がゴルバチョフ大統領が訪日なさり、九三年にエリツィン大統領の訪日、それから九七年にクラスノヤルスクの合意がございまして、二〇〇一年が御指摘のイルクーツクの声明でございます。
#117
○峰崎直樹君 今、時系列を追って事実をおっしゃいましたけれども、成果とかを継承するというときには、その中でどういうことが合意をされて、そしてどういう成果があったのか。特に今おっしゃった七三年までというのは、すべて米ソの冷戦時代のですね。冷戦体制が崩壊して以降、日ロの間でどのような今新しい提案が日本からなされ、それがどのような成果として今日来てイルクーツクの会談になったのか。そこを私どもは聞きたいわけですよ。もう一回どうぞ。
#118
○国務大臣(田中眞紀子君) 基本は全然変わっておりませんで、北方四島の帰属の問題をまず解決して、それから平和条約を締結すると。これはもう我が国政府の姿勢として一貫しております。
#119
○峰崎直樹君 それでは、ちょっと具体的にお聞きしたいと思うんです。
 この間、私、冷戦以降、日本の側から提案なさった点で、ああ、これはやっぱり自民党の中では新しい提案だなと思ったことがございます。ユーラシア外交って御存じですか。これは橋本元総理が提案をされました。
#120
○国務大臣(田中眞紀子君) 存じております。
#121
○峰崎直樹君 そのユーラシア外交で橋本元総理は三原則を言っておられますね。その過程で対ロシアとの関係ではどのような新しい提案をなさったんでしょうかね。あるいは、基本的な考え方を打ち出したんでしょうか。
#122
○国務大臣(田中眞紀子君) 通告と大分発展の仕方が違っておりますのでちょっと用意が足りないかと思いますけれども、ユーラシアに向けた新しい外交を発展させていきたいというふうなことというふうに理解いたしております。
#123
○峰崎直樹君 日ロ外交をどうこれから展開されるかという質問をしております。そのとき、これは自由民主党のかつての総裁が提案されて大変評価をされたというふうにも聞いているわけです。私は当然その三原則を御存じだろうと思ったんですが、一つは相互の信頼、第二点目は相互の利益になるように、そして三番目が長期的な視点でやりましょうと。
 お隣の韓国が北朝鮮に対して太陽政策というふうに提起したものを、ある意味ではユーラシア版、対ロシア版に私は変えたものだというふうに思っているわけです。そういう意味で私は、この延長線上にさまざまなクラスノヤルスク合意だとかあるいは川奈の提案があります。私どもはそこが実は知りたいわけです。
 ところが、中身が、イルクーツクもようやく森前首相がお話しなさってわかってきたんですが、本当に冷戦時代から脱冷戦にかけての対ロ外交というのはどうあるべきかということが問われていると思うんですね。その意味で私は、田中外務大臣の対ロシア政策、一九七三年の田中・ブレジネフ会談に同席されていたというふうに聞いております、私はそのときの会談をきちんとその冷戦の中で生かすべきだというふうに思っておりますが、そういう意味で私は外務大臣の見解をお聞きしたいわけです。もう一度どうぞ。
#124
○国務大臣(田中眞紀子君) 七三年もそうでございますけれども、北方四島の帰属の問題をまず解決し、それから平和条約を締結するということで、ずっと今日まで政府の見解は一貫してきております。
#125
○峰崎直樹君 総理、今のお話を聞いて、確かに一貫して四島返還が我々の見解だと、それはもちろん私たちもそう考えております。
 改めて、日米中ロとこの四つの外交関係だけで、日本とロシアの関係、一番私はうまくいっていないと思うんですね、この間。その意味で、日ロ外交に対する総理のもし新しい、あるいはユーラシア外交とかつて提案されたことに対する見解も含めて、あればお聞きしたいと思います。
#126
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 日ロ外交については、北方四島の帰属を解決して平和条約を締結したいと、その姿勢に一貫して変わりありませんし、お互いの立場を尊重し、お互いの利益を図っていく。そして、日ロ関係におきましては、経済分野においても文化分野においても国際舞台における協力においてもいろいろありますから、そういう点についても今後友好関係を促進していきたいというふうに考えております。
#127
○峰崎直樹君 まだ、外務省の改革問題を初めたくさんお聞きしたいことがあるわけでありますが、時間の関係で次に経済の方に移らせていただきたいと思います。
 それでは、最初に不良債権の問題について移りたいと思うわけですが、実は私どもの民主党の予算委員会での質問の中で、同僚の櫻井委員がいわゆる、一九九八年三月に佐々波委員会、略称でございますけれども、その佐々波委員会の議事録を出していただきたいという要請をいたしました。その議事録が出てまいりました。私はその議事録を見てびっくりしたわけでありますが、佐々波委員長がこのように発言されているんですね。
 国会論議には問題意識も緊迫感も何もなかった、さらに、今井敬さん、経団連の会長だったでしょうか、国会で二カ月もたなざらしになれば破綻とは縁のない銀行がおかしくなるのは当然だ、こういう総括的な御意見でした。
 私は、これはぜひ、我々が国会で九八年に審議したことに対していろいろ御批判をなさっているわけですから、私は委員長にお願いします、当委員会にこのお二人の、佐々波委員長、そして今井敬委員を参考人としてお呼びしたいと、ぜひ理事会で取り計らっていただきたいと思います。
#128
○委員長(岡野裕君) ただいま峰崎君から要請がありました参考人問題につきましては、後刻理事会協議のことといたします。
#129
○峰崎直樹君 総理にお聞きしますが、後でちょっと数字もお示ししようと思いますが、最近、私ども民主党が資料要求したら結構出てくるようになりました。金融庁さんにお願いをして、担保がついているけれども、不稼働な資本も含めて入れたらどのぐらいあるかということで、百五十一兆円という数字が出てまいりました。これです。お手元に資料がございますので、それもまたごらんになっていただきたいと思うんですが、百五十一兆円です。
 なかなかこの不良債権の問題は、衆議院の予算委員会でも整理されましたけれども、総理にお伺いしたいんですけれども、実はどうしてこんなに今日まで、これは全部が不良債権であるとは私も言っておりませんが、こういう不稼働資本が含めて依然として残ってしまったんだろうかね。不良債権問題について、国際的にもこれを解決すべきだというふうな提案も受けているわけですが、総理自身はどのように考えておられるのか、まず基本的な考え方を総理からお聞きしたい。
#130
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) これからの経済再生、また景気回復を考えますと、不良債権処理というのは大きな問題であります。でありますから、小泉内閣としても、まずこの不良債権、二、三年で最終処理を目指すという方針を掲げていくわけであります。その際には、担当大臣初め関係閣僚、この方針に従って今鋭意努力をしているところでございます。
#131
○峰崎直樹君 担当の金融担当大臣はどのようにお考えでしょうか。
#132
○国務大臣(柳澤伯夫君) 今、峰崎委員もおっしゃられたとおり、配付の資料については、私どももこれがすべて不良債権ではないと考えているというお話で、表題も「問題債権」ということにされておりますことについては、私どももそういう御配慮をいただいているということは当然のことながらありがたいと、このように考えます。
 そこで、百五十兆円を基礎にお話をするのがいいかと思うんですが、これの第T分類というのはほとんど優良な保全がなされているということでもありますし、ある意味でいうと、個別の貸倒引当金そのものが入っている、現金と同じものが入っているというようなことで、この非分類を問題債権と言われたのはどうか、問題先に対する債権ということであれば、根っこから言っているんだということで私も理解しないわけでもないですが、そういう感想を私ちょっと申させていただきます。後で御議論をいただければ結構でございます。
 そこで、現状をどう考えるかということでございますが、こういう次元の話でなく、私どもが国際基準で公表させていただいておる、いわゆるリスク管理債権についても横ばいないし微増の状況にある。これは各金融機関とも一生懸命この処理をしておるけれども、オフバランス化のための処理でございますが、いまだにそういう状況にあるということで、これを何とか圧縮していくということが金融機関の収益力の確保のためにも、また貸出先の産業としての再生というような見地からも必要だろうと、こういうようなことを今考えるに至りまして、これについての考え方を整理し、そしてそういうことをできるだけ促進してもらいたいということを呼びかけさせていただいておるということでございます。
#133
○峰崎直樹君 そこで柳澤大臣にお聞きします。
 九九年五月二十六日の報道によりますと、閣議後の記者会見で、大手行の九九年三月期決算について、滞っていた不良債権処理は終了したと見てよい、こう発言をされたようですが、これは間違いございませんか。
#134
○国務大臣(柳澤伯夫君) 今、先生御指摘になられた私の発言について、つまびらかにちょっと記憶を呼び起こしての答弁というわけにはまいりませんけれども、不良債権の処理という、この処理という言葉には非常にあいまいさというか多義性というものが含まれていることはかねて議論の中で御案内のとおりでございます。
 私どもは、要するに不良債権を、英語の言葉ではレコグニションと言うそうですけれども、何というか認識するということですね。それから、それに対して必要な保全をし、あるいは引き当てをする、こういうことが不良債権の処理と当初は言われたわけですが、こういう問題については私どもはもう日本の金融機関は終わっておる、完了しているという認識に立っているわけであります。
 そして、現在問題になっているのは、そういう健全性の見地から不良債権を認識し、これに対してしっかりした保全をするということだけではなかなか日本経済に対する影響等を総合的に考えるとそれでは十分でないということから、処理という言葉の中ではありますけれども、オフバランス化というか、総理のお言葉によりますと最終処理をしよう、こういうところに一歩進めているということで御理解を賜りたいと思います。
#135
○峰崎直樹君 当時はほぼ手当ても終わっているだろうということでそう理解をされたんですが、依然としてそれは終わっていない。OECDの対日の情勢分析でもかなり厳しく指摘されたというふうに聞いております。
 そこで、ちょっとお願いがあるんです。
 この要注意先の非分類、先ほど、いやこれは手当てがついているから、現金も置いたり国債を持っていたり地方債を持ったりいろいろするからこれは問題ないんだよと、こうかなりおっしゃいましたね。そこで、その内訳をぜひ教えていただきたいんです。
 きょうは事前通告しておりませんから、例えば正常運転資金、優良担保、優良保証など、これは具体的にどういうところにどういうふうについてくるのか。
 例えば、難しいなと思うのは、シーガイアの破綻なんというもの、これが出てまいりますね。そうすると、それは地方自治体が保証していたから大丈夫だということで適債権だ、問題ないと言っていたけれども、実際に破綻してみるとそうではなかったとか、そういう事例は出てくると思いますね。
 そういう意味で、その点、ぜひ数字を明らかにしていただく必要があるんじゃないかなと思いますので、要請をしていないが、どうぞ。
#136
○国務大臣(柳澤伯夫君) まず、要するに私、この今度の一連の資料要求にも、私のところへ持ってきたときは、先生にこれを申し上げるのは初めてなんですが、すぐ一も二もなく私、開示しなさいと、こう言いました。基本的に、私は情報を開示すべきだという考え方に立っているんです。
 しかし、この自己査定という事の性質、本質にさかのぼってちょっと申し上げたいんですけれども、この自己査定というものを、アメリカというような非常に開示の進んだ国においても開示を義務づけておりません。これはなぜかといいますと、この債務者区分はアメリカはやっていませんけれども、債権の分類ということは、まさに金融機関の経営の判断というか戦略そのものだという考え方をしているようであります。
 そこで、それにもかかわらず日本の場合、私も、ここまで日本の債権の健全性、金融機関の健全性について問題があるとしたら、それはもうアグリゲーテッドな数字は出そうと、こういうことで出したんですが、今、先生、さらに踏み込まれて、どういうものがそういうふうに分類されているんだ、その根拠は何かということについてトータルな形で出せと言われることについて、私はそこまで日本の金融機関の、今言ったような性格のものなんです、この自己査定。言葉からいっても、自己査定の状況という言葉は私ども使わせていただいているんですけれども、まさに自己の経営判断として行っていることについて、これをすべて開示するというところまでは私は踏み切るべきではないと、このように考えます。
 ところで、今、先生が言われたシーガイアのことについて、地方団体がバックアップした第三セクターなんだからこれは要注意先程度だろうと、これは全く事実に反します。シーガイアの破綻の直前の金融機関の認定は、これは破綻懸念先以下でございます。
#137
○峰崎直樹君 そういった実態を、これは個別に聞かなくていいと思います。要するに、これはこういう優良債権である、これは優良担保がある、こういう形でもいいですから、そこはやはり明らかにしていただきたいなというふうに思っております。
 さてそこで、いろいろ言われるんですが、この不良債権処理の処理の方法は、基本的には三つあると言われていますね。いわゆる債権放棄、法的処理、それから売買、このうちどういうことを基本にしてなさろうとしているのかということが、どうも、ある人は債権放棄が中心じゃないか、ある人は、いや法的処理じゃないかと。それは、柳澤大臣はどのように考えておられますか。
#138
○国務大臣(柳澤伯夫君) 不良債権の最終処理に三つの方法があるというのは、先生御指摘のとおりでございます。
 じゃ、政府が何か働きかけてやるということは何であったかというと、私どもは、要するに私的な整理というものをもうちょっと進めたらどうですかということ。というのは、法的整理については、我々に別に何か法的整理をしろとかというようなことを言われなくても、金融機関はむしろ受け身の形で法的整理がどんどん進んでいるということになるんです。したがって、定量的に言えば、公、法的整理、場合によっては清算型の法的整理が大宗を占めているというような見方もできるわけでございます。
 じゃ、政府がこれから政策として働きかけて何をすべきかということになったら、それは私的整理ですよということなのでありまして、そこのところはいわば主体の、どの主体に着目しておっしゃる御質問であるかということによって異なってくると言わざるを得ないというのが私のお答えでございます。
#139
○峰崎直樹君 不良債権の問題、まだまだたくさんあるんですけれども、時間の関係がありますので先にちょっと進ませていただきます。繰り返しまた出るかもしれませんので、よろしく。
 そこで、一番のきょうの論点であります与党の緊急経済対策を中心にした今後の経済対策に移りたいと思うんですが、先日、竹中大臣が景気対策と構造改革は両方合わせて一兎だと、こうおっしゃられました。非常に言い得て妙なのかもしれません。私たち昔、我が党首、鳩山党首は、二兎を追う者は一兎を得ずという批判に対して、いや二兎は同じ方向を向いている一兎なんだという言い方をして、考え方によるとやはり私たちの考え方をある意味で代弁してくださったのかなと思うんですが、その関係についてちょっと、もう一度詳しく。
#140
○国務大臣(竹中平蔵君) 基本的には構造改革と景気回復ですから、その景気という言葉をどのようにとらえるかという問題なのだと思います。景気回復というのはやはり経済の持続的な回復だと。一時的にちょっと消費が上向くとかそういうことじゃなくて、持続的に経済がよくなってくることを景気回復というふうに呼ぶのならば、やはりその根底にある私たちのまず不良債権をなくして、その構造そのものを強くしていかなければいけない。
 その意味で私は、構造改革なくして景気回復はないというふうに総理がおっしゃっているわけですけれども、まさに景気回復というのを経済の持続的な発展であるというふうに考えれば、ごくごく自然にウサギは一匹であるという結果は出てくるのではないかというふうに思います。
#141
○峰崎直樹君 何かわかったようなわからないような感じがしますが、そこで、総理、財務大臣の方がいいかな、これは。麻生政調会長が、財政再建よりも景気浮揚が先決だ、プラス成長を達成するための財政出動は必要だということで景気対策を優先するというお話をなさいました。これについてどのようにお考えでしょうか。
#142
○国務大臣(塩川正十郎君) 私も経済対策あるいは景気対策は非常に重要だと思っております。
#143
○峰崎直樹君 景気対策を不要だと言う人はいないんです、必要でないと言う人はないんです。
 そこで、また竹中大臣にお聞きしますが、どうも私は麻生政調会長の御発言を聞いているとそのように、景気対策を優先しているように思えてならないんですが、そういう受けとめ方をしておられませんか。
#144
○国務大臣(竹中平蔵君) その前に、景気という言葉は非常にあいまいであるというふうなことを私、記者会見で申し上げたことがあるんですけれども、景気回復というのを、景気というのを当面の需要の追加である、例えば政府が公共投資を行ったり減税を行ったり、需要の追加であるというふうに解釈して、当面の景気対策が必要だと、そういう議論は一方であるのだと思います。
 これはもう麻生政調会長にぜひ直接お伺いするしかないと思いますが、私の解釈では、やはり重要なのは持続的な回復力をつけることであって、しかし、その過程でやっぱり一時的に需要ががたっと落ち込むということはこれはあり得るわけで、それに対しては、政府は当然のことながら何らかのいわゆる景気対策というのはしなきゃいけない場合もあるだろうと。今はそういうことをまだ見きわめる段階としてはちょっと早いのであって、今当面予定されている経済対策をしっかりやっていくことによって、まさに持続的な回復軌道に持っていきたいんだと、そういう段階ではないかというふうに思っています。
#145
○峰崎直樹君 総理、私冒頭に、閣内に政調会長やあるいは党の実力者という人を入れなければ二元的になっちゃいますよということはもうあらわれているんじゃないんですか、ここへ。麻生政調会長が景気対策優先と、それも今、竹中大臣も、いや麻生さんに聞いてみなきゃわからないけれどもとおっしゃっていますが、そこはある意味では与党一体になって進めなければ、私どもは質問しようがない、あるいはどこに責任があるか非常にはっきりしないわけです。かつて竹中大臣も、大臣になられる前に、どうも当時の政調会長、亀井静香さんがやはり私たちの言うことを聞かないでそちらで進んでしまう、こういう批判をなさっていました。
 改めて、そういうふうになっていることについて、やはりこれは直さなきゃいかぬなというふうに思われませんか。
#146
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 政府、与党一体となって政策を推進していくという方針でありまして、私は、構造改革なくして景気回復ないと、一緒にやっていくんだと。鶏が先か卵が先かという議論にもなろうかと思いますが、これは持続的な経済の成長というものが大事であるという点においては変わりないと思っております。
#147
○峰崎直樹君 要するに、内閣の意思決定あるいは政府、与党の意思決定がどうもやはりばらばらになっていやしませんかということを聞いているんです。どうですか、もう一度。
#148
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) その時々の発言では若干違うととられる場合があると思いますが、最終的には政府の方針、これに党も協力しながらやっていくというのに変わりはありません。
#149
○峰崎直樹君 もう時間の関係でもしかしたら質問できないかもしれませんが、財務大臣、あなたはいわゆる特定財源の問題について参議院選挙前に結論をつけたいとおっしゃっている、政調会長は参議院選挙前にこれを論議するのやめたとおっしゃっていますね。それはどうされますか。
#150
○国務大臣(塩川正十郎君) 政調会長は総務会の席でそういうことをおっしゃったと私も聞いております。しかし、私たちは、やはり概算要求は八月の末にございますので、それに間に合うように、できるだけ党と話し合いを進めて御理解をしていただくように努力していかなきゃいけないと思っております。
#151
○峰崎直樹君 だから、その違いをどうされるんですか。矛盾を残していますね。それをどうされるんですか。どう調整されるんですか。
#152
○国務大臣(塩川正十郎君) 政調会長はそれはだめだとは言っておられないので、まだ我々は議論する段階ではないとおっしゃっておられる。ですから、私の方からもちゃんと資料も整えて、道筋を立て、またいろんな世間の、あるいは納税者の意見等も聞いて、その上で党と御協議いたしたいと、こう思っております。
#153
○峰崎直樹君 竹中大臣にお聞きしますが、六月末に予定している、骨太の政策とよく聞くんです。きのうもテレビを見ておりましたら随分おっしゃっていましたけれども、この中身は入るんですか入らないんですか、特定財源のいわゆる聖域なき見直しという問題について。
#154
○国務大臣(竹中平蔵君) 当然のことながら、入れる方向で議論を進めていきたいと思います。
#155
○峰崎直樹君 そうすると、党は、参議院選挙前までは一切議論しない、内閣は、そうして骨太の方針を決める。これ、どうされるんですか、総理。
#156
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 党と議論をしていきますが、参議院選挙前に特定財源見直しという方向ははっきり打ち出します。
#157
○峰崎直樹君 ということは、あなたが任命された政調会長に、もう一回これは参議院選挙前に議論をするんだということですね。
#158
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 当然そういうことになっていくと思います。
#159
○峰崎直樹君 わかりました。ぜひそういう形で改革を進めていただきたいと思います。
 そこで、もう時間もありませんので、お手元の資料を見ていただきたいと思っているわけでございますが、次の三枚目でございます。銀行の資産内容について左側に書いておりまして、これは先日も金融担当大臣と我が、衆議院で池田委員の間で議論された点でございまして、自己資本が非常に弱くなっているねということでございます。
 そこで、緊急経済対策の中にいわゆる株式保有制限というものが入れられているわけですね。そして、株式買い取り機構となっております。株式保有制限というのは、これは何のために入れていくのかなということでございますが、まず金融行政の哲学についてお聞きしたいわけであります。
 銀行だとかあるいは金融機関含めて自己責任でやるべきだ、これは一貫して主張しているわけでありますけれども、それは、株を持とうが国債を持とうがあるいは金塊を持とうがリスクの大きな資産を持とうが、その分自己資本のやっぱり厚みをきちっと持ちなさいよと。それが原則であって、それができないなら、やはりリスクに対応して資産を処分して自己資本を安全水準に維持する、これが本来あるべき姿だと思うんですが、これは金融監督行政の根本意識として、大臣、その点でよろしゅうございますでしょうか。
#160
○国務大臣(柳澤伯夫君) 基本的にちょっと今、先生のお話を全部逐語的に私把握できたかどうか必ずしもおぼつかないものですから、大筋ということで御理解を、そういう前提での話ということで御理解を賜りたいのでございますけれども、基本的に私は、第一線は担保等の保全あるいは保証であるし、それから第二線は引当金であるし、第三線というか最後のラストリゾートは自己資本である、こういう考え方を持って、できるだけ自己資本を強くして、そしてある程度のリスクをとっても金融仲介機能を果たしていく、それが金融機関の務めである、このように考えています。
#161
○峰崎直樹君 そこで、金融機関の国債の保有状況を見て、これはちょっと数字はここには出ておりません、出しておりませんが、二〇〇一年の二月末において全国銀行の国債保有残高は約七十兆、六十九・八。前年度末比で一・五倍、過去最大だそうですね。それから、特に都市銀行の保有残高は三十九・四兆、この二年で四倍ということになっております。
 これちょっとこのページの右の方と合いませんけれども、どうもこれは過剰じゃないかなというふうに思うんですが、大臣、どのようにお考えですか。
#162
○国務大臣(柳澤伯夫君) 素朴な意味では、先生が今おっしゃられたように、やや増嵩のテンポも高いなという感じがいたしているわけでございますけれども、ただ金融機関も非常に注意深いわけでございまして、これだけの国債を持つに当たっては、例えば金利リスクについてはヘッジをしているというようなことで、金利上昇の影響、皆無とは言わないけれども、これを極小化している、そういう努力が同時に伴ってこのような保有状況になっていると、このように承知をいたしているわけです。
#163
○峰崎直樹君 ヘッジをなさっておるということなんですが、大丈夫だということなんですが、本当に債券、これは市場で、通常は恐らく金利スワップだと思うんですが、これ全部本当にできていますか。
#164
○国務大臣(柳澤伯夫君) 今も私、最初の答弁で申し上げましたけれども、影響がないとは言わないということでございます。しかし、金融機関はこれだけの債券の保有高をふやすに当たっては注意深いリスクの管理を行っていると、このように承知をしているということでございます。
#165
○峰崎直樹君 私は、もし債券をそういうふうにヘッジするんだったら、株式だって、保有制限をかけていますけれども、これもヘッジできるじゃないですか。あるいは、逆に言えば、このいわゆるリスクヘッジというのは、恐らく国内銀行同士だとこれは意味がありませんよね。私ども、ずっと聞いている限り、市場関係者に聞いても、これはリスクヘッジできているというふうには到底聞いていないんですけれども、その点、もう一度御意見を伺いたいと思います。
#166
○国務大臣(柳澤伯夫君) 私ども、さらに前言、前答弁に加えて申しますと、金融機関の監督に当たってはモニタリング、先生も御案内でございますけれども、モニタリングというものを随時、少なくとも三カ月に一回はやっておるということも行政側としてしているわけでございまして、そういう大きなリスクが放置されているというふうには認識しておりません。
#167
○峰崎直樹君 もう六百六十六兆まで国債、地方債を合わせて出ていますよね。これは全然リスクとして認識されていないということですか。
#168
○国務大臣(柳澤伯夫君) いや、リスクとして認識しているから管理しているということだと思います。
#169
○峰崎直樹君 本当にそれは管理できているんでしょうか。だから、今おっしゃったのは、スワップだと、いわゆるヘッジしていると。恐らくスワップだと思うんですが、そのスワップは相手方があって初めてスワップは成立するんですね。国内行同士でやったのでは、これは恐らく意味ないと思うんですね。
 私は、そういう意味で、そういう形でモニタリングしているけれども、実は、ちょっとまた表を見ていただきたいんですが、この次のページに金利上昇による国債価格の下落のインパクトということで、市場金利が五%上がりますと、国債価格の下落は二一・二%下がる、十四・八兆円も実は自己資本からこれ毀損しなきゃいけない。正確に言えば、減損会計ですから六割ですか、こういう実は危険性を持っているわけですよね。そういう危険性というものを絶えず見なきゃいけない。
 しかも、最近、国債の保有、国債を外国人の方が結構持っていらっしゃるんですね、売買していらっしゃる。その意味で、私は、国内で持ち合っていれば大丈夫だとか、そういうふうにならないのではないかと思うんですが、改めて大臣の見解を。
#170
○国務大臣(柳澤伯夫君) 国債の残高というのが非常に多くなっているということで、これに五%の金利上昇ありせばということを前提にされたわけですが、私もできれば金利がもうちょっと高い方がいいと、金融機関の収益力についてもむしろいい影響があるというように思っていろいろ考えたりしているわけでございますけれども、しかしここまで、今の一・二ですか、プライムレート一・幾つだというような、そういう状況で大変運用に苦労をしている中で、五%の金利上昇がありせばというようなことでの議論というのは若干飛躍があるんではないか、こういう感じがいたします。
#171
○峰崎直樹君 五%というのは仮に数字を申し上げたんです。そういう危険性を絶えず持っていますねということなんですが、その点は認められますか。
#172
○国務大臣(柳澤伯夫君) 私は、実は国債の残高の増嵩の中で最も危険な要素は、金利上昇局面での各経済主体に対する影響ということは一般論として私、考えています。
#173
○峰崎直樹君 そうすると、やはり株もそうでございますが、株式もそうだけれども、これはやはり国債、地方債、社債含めた債券全体の実はリスクだから、保有を持ち過ぎているとすれば、私はそこの制限をしなきゃいかぬというふうに思うんですが、そう思われませんか。
#174
○国務大臣(柳澤伯夫君) 今ちょっと先生の論点が私、外したんじゃないかと思うんですが、株式の保有について制限するくらいだったら債券についても制限すべきじゃないかというふうにちょっとお聞きしたんですが、そうではない。
 再質問をお願い申し上げます。
#175
○峰崎直樹君 確かに、株式の保有リスクというのは私もそうだと思いますね、保有制限したいという気持ちはよくわかるんです。
 しかし、同じようにリスクである、先ほど言った国債、社債、地方債、こういったものにも進めなければ、株式だけをやったってここがどんどん今、この図ごらんになってもわかるように、国債の保有残高はどんどんこれふえていっていますよね。銀行に与信が減って、そしてふえているのは国債がふえていっているわけです。こういう状態に対して、それはそのこと自体も問題ですよ、後で申し上げますが、しかしそれはリスクが非常にそこにもあるんではないかということを私言っているわけです、あわせて。
 だから、あわせて、これは株だけではなくて、証券保有全体にいわゆる制限を加えなければ、金融担当大臣として金融機関が持っているものについてやはり目を光らせるというのはあなたのやっぱり私は義務だと思うんですが、どうでしょうか。
#176
○国務大臣(柳澤伯夫君) 金融機関のポートフォリオ、これ貸出債権を含めて申し上げますが、これにどの程度の自由度を認めるのかということ、それ自体が私はかなり難しい、なかなか結論が生み出しがたいテーマだというふうに思っています。
 もう先生御案内のように、ユニバーサルバンキングだとかあるいはコマーシャルバンクとかというのは、相手方の資金調達に対して、じゃ、株でどのぐらい資金を出そうか、供給しようか、あるいは債権でどうか、貸し出しの形でどうかというのをいわば総体としてとらえて、それでサービスをしていこうというタイプの銀行もあるわけでございます。
 アメリカの銀行は、言うまでもなくグラス・スティーガル法でそうしたことは分離すべきであるということでやっているんですが、私は、アメリカ、今度子会社を通じて株式保有も認めるというような動きにあるわけでして、これを私は基本的に一刀両断で、いろいろそう、巷間こう割と安易な議論があるように私は見ているわけですけれども、これはなかなか難しいなと、率直に言って思っているわけであります。
 なお、今、先生がおっしゃられたことであえて触れさせていただきますと、株式の価格変動の幅あるいはその急速性と債券の変動、価格変動の幅及び速度というのはかなり差があるという認識に立っております。
#177
○峰崎直樹君 私もそう思っています、株式の価格変動よりもそんなには変動はしないだろうと。だけど、それと同時に株式と債券というのはきっとお互いに、株式が上がれば下がるとかそういう関係もあることも知っているんです。
 ただし、それは通常の場合でしてね、きょうも日銀総裁がお見えになっていますが、ゼロ金利で量的緩和しているときに果たしてそうなるだろうか。その意味で、今も恐らく大臣認められたように量的に大変な金額を持っていますね、もう先ほど申し上げたとおりですよ。で、そういう意味で言うと、量的にこれだけたまってきた問題は、これは明らかにリスク要因ですねと、だからそのことも含めて検討しなきゃいけないんじゃないかということの提案も含めて拒否をされますか。
#178
○国務大臣(柳澤伯夫君) まあ拒否するかと言われても、今現在我々が問題の俎上にのせたのは株式というもの、これは最近の株価の変動、あるいはこれは巷間言われていることでありますが、金融機関による持ち合い解消による株式の放出の株式市場の需給関係への影響、こういったようなものがあるわけでございまして、私どもはどんな問題であっても金融機関のさらされているリスクというものについては常に考えて視野の中には入れておりますが、現在政策の課題として俎上にのっているのは先生御案内のように株式であると、こういうことでございます。
#179
○峰崎直樹君 総理、今、私、こういう危険性を指摘して、また恐らく来年も三十兆以下と言いながらどんどんふえていくわけですね。地方債あるいは財投債まで出てくるわけです。そうすると、このいわゆる債券をずっと持って、これ、ごらんになったらわかりますですか、これ。銀行は貸し出しがずっと減っているんですよ。そして何がふえているかというと、国債、地方債といった債券をずっと買っているんです。
 そうすると、私は、何か国が国債を発行して、そして金融機関、銀行がそれを買い取る、これ持ち合いみたいになっちゃっているんじゃないですか、国債の。こういういびつな構造になっていること自身も大きな問題だと思いますので、どうでしょう、この問題もいわゆる緊急経済対策の中で証券全体にその保有のあり方について、価格ではなくて量的に肥大化をして、しかも、地雷原のようになっている長期金利がいつ上昇するかもしれないというやさきにあるわけですから、そのことの検討をしないというのはいかがなものかと思うんですが、いかがでしょうか。
#180
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) そういう心配があるからこそ国債発行なりを抑制していく、景気対策も今までのように国債を増発すればすぐ景気回復につながるかというと、そうでもないという大きな方針を示すことが大事だと思いまして、基本的な方針を示しているわけです。その中で、具体策は金融担当大臣なり経済財政諮問会議で今後、そういう心配も含めて、骨太の方針を出していかなきゃならないなと思っております。
#181
○峰崎直樹君 今、総理は非常にいいことをおっしゃっています。やっぱりそういう心配があるということですよね。ですから、金融担当大臣、ぜひこの点について、今、総理もおっしゃったように、これはリスク要因として相当やはり我々も注意しなきゃいかぬと、こういうことを再度確認したいと思いますが、それでよろしゅうございますか。
#182
○国務大臣(柳澤伯夫君) 一般論としては、先ほど私申し上げましたように、まず第一に国債のこの巨額な残高というものがある場合にはその金利変動というものに対して私どもやっぱり注意深くなきゃいけないと、こういうことは私も一般論として申し上げたところでございます。
 ところで、金融機関の保有の国債についてどう考えるかということについては、我々は常にリスクの管理という観点から注意は怠りませんけれども、現在政策的な課題となっているのは当面株式に限られるという状況だということを御説明させていただいている次第です。
#183
○峰崎直樹君 改めて、私は先ほどの総理の本当に心配だとおっしゃっていることを受けて、ぜひそれを含めて検討していただきたいというふうに思います。
 そこで、もう時間もありません、財政問題について。
 昨日テレビ討論を聞いていまして、塩川大臣、三十兆に抑えますよと。この中身、本当は、きょうは詳しく聞きませんが、ぜひ、聞いていらっしゃると、どうも、いや、PFIを使って減らすとか、事業量は減らさないと。そして、PFIを使ったりして、そのときに三十兆に国債を制限するけれども、それで景気の関係はどうですかと聞かれたときに、量は確保しますとおっしゃいました。そのときに足りなきゃ借金すると。そのことについて、もう一度この場で。
#184
○国務大臣(塩川正十郎君) 先生も御存じだと思うんですけれども、今あらゆる部分において物価が下落してきておりますね。ところが、長年にわたりまして国の予算あるいは地方の予算というものは、物価の動向に対して行政のそれぞれの単価というものを本当に見直しておるだろうかということが言えますね。私は、そこをきつく見直していくべきだと思うんです。そういたしますと、例えば百億かかった公共事業も単価の見直しで九十五億で済むかもわからぬ。そういうことはあり得ると思いますし、またもっと安くなるかもわからぬ。そうすると、その安くなった分は事業量で伸ばせるだろうと、こういうことを申し上げているんです。
 そこで、事業量は確保するが、もし足らない場合はどうするのか。一般公共事業等ではなかなかそういうことはできませんけれども、公社公団等のそういう政府の外郭団体等におきましてはそのことは十分可能であろうと思っておりますし、またそういう借入金に対しまして返済の条件等を考慮することによって可能であると。
 国債によって、国債を発行することによってそれで埋めると、そんな考え方は全然ございませんので、御安心いただきたい。
#185
○峰崎直樹君 実は、国債を発行しないといっても、過去、要するにいろんな抜け道をつくってきているんですよ。一つは補正予算。あるいは、今度はもしかしたら公共事業のいわゆる予備費の問題がありますよね。それから、私ちょっと調べてみると、特別会計は独自に自分のところで予算が組めるような仕組みになっています。これについて、ひょっとしたら一般会計はだめだけれども特別会計入れるかもしれない。あるいは財政投融資も財政の補完に使われているような例がありますね。そういうことを考えておられるんですか、借り入れをするとおっしゃっていますが。
#186
○国務大臣(塩川正十郎君) そういう融通によって穴埋めをするというようなことは考えておりません。
#187
○峰崎直樹君 もう本当に時間が参りまして、もう次に今井委員にかわらなきゃいけないんですが、きょうは本当は金融の問題、金利の問題を、日銀総裁お見えになっていてちょっと質問できなくて本当に大変申しわけないことをしたわけでございますが、引き続きまた財政金融委員会等、特に竹中大臣にお願いしたいんですが、財政金融委員会にも来ていただいて、ぜひ財政と金融とマクロ経済の全体を議論させていただきたいということもお願いをいたしまして私の質問を終わり、そして同僚の今井委員の質問に移らせていただきたいと思います。
#188
○委員長(岡野裕君) 関連質疑を許します。今井澄君。
#189
○今井澄君 民主党・新緑風会の今井澄でございます。
 これからの質疑、うちの菅幹事長も言っておりますように、私どもはあれこれ揚げ足とったり足を引っ張るつもりはないんですよ。むしろ、民主党は改革のためにつくった党なんですよね。いろいろ内部で不一致があるじゃないかなんか言われながら、改革のためにつくった。そしてその改革は、自民党政治を終わらせなければだめだということでやっているんですよね。そういう視点から私は、菅幹事長の言葉をかりれば、足を引っ張るんじゃなくて頭を引っ張るという形で、できることであれば一緒に改革をやりたいという立場から質疑をします。
 特に、党の立場だけではなく、私は懐かしく思い出すんですが、一九九七年、医療改革がまさにテーマに上がっており、しかもそのとき橋本内閣で六つの構造改革ということが問題になっていたときに、この予算委員会で橋本総理、そして当時の小泉厚生大臣と質疑をさせていただきました。その他、国民福祉委員会の場でも一九九七年、八年と質疑をさせていただいて、私は、こちらの一方的な思い込みかもしれませんが、小泉大臣とは全く医療改革で意気投合したと思っております。
 そのためかもしれませんけれども、翌年、選挙の前の私のパーティーには党派を超えて大臣としておいでいただいたり、それから地域医療研究会という地域で頑張っている人たちの会にも大臣として激励に、シンポジストとしておいでいただいた。私はそういう意味では、社会保障改革については意気投合したというふうに思っておりますから、そういう方向で改革が進めばいいなと思うんですが、しかし、これは別に揚げ足取りとか意地悪じゃないんですが、私は幾つかの危惧を感じざるを得ません、改革と総理が言われてもですね。
 それで、まず最初に幾つかのことをお聞きしたいのです。
 まず、ちょっとつまらないことかもしれませんけれども、私は、一九九七年の予算委員会での質疑やその他のところでの質疑以来、小泉総理を改革派と思っていたわけですが、昨年、非常にがっかりしたことが起こったわけです。それは、我が党が森内閣の不信任案を出したときに、小泉総理は森派の会長として森さんを全力を挙げて支えたわけですよね。しかも、盟友であるYKの皆さん方を裏切ってまで支えたわけです。
 私は、改革を考えるなら、あのときやっぱりあれだと思うんですよね、不信任案が出されたときに、あれだけもう国民からも見放された内閣、やっぱりあそこで総辞職すべきであったと思うんです。そのとき何で支えたのか。
 これは、例えば野中さんも、かつて著書の中で小沢一郎さんのことを悪魔と書いておきながら、しかしやっぱり、政権を維持するためにひれ伏してでもということで小沢一郎さんの自由党と結んだわけです。君子豹変と申します。目的が正しければ手段はどうでもいいのかもしれません。
 その辺、小泉総理大臣は、別につい最近改革派になったはずじゃないはずなんですが、どうして昨年ああいう、改革にさおを差すような行動をとられたのかをお尋ねします。
#190
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 今井議員とは、社会保障を初め医療関係、ほとんど目指す方向は、私が厚生大臣をしていたときからも何度か質問を受けまして、ほとんど違いないと言ってもいいぐらい目指す方向は共鳴できるところが多いと思います。
 そこで、昨年の政局ですが、私はあの場合に、もし森政権を倒した場合、野党連合政権ができた場合、基本的な方針では一致できないところがたくさんありました。安全保障の面においてもしかりでありますが、野党の提出した不信任案に与党の自民党が同調するというのは、これはよほどのことがない限り無理だなという点から、与党の議員としてこれは否決側に回りました。多くの方は、小泉さん、自民党にいたらあなたは絶対総裁・総理になれないよと言っていました。自民党は変わりましたね。自民党にいて総裁になって総理になっているんですよ。変わり得るんですよ。
 私は、これからも、改革を進める側に立っておりますが、その際にも自民党は私を応援してくれると信じております。
#191
○今井澄君 私は、小泉総理のその認識は甘いのではないかと思うんです。というのは、やっぱり自民党的なものというのは、結局官僚依存とそれから既得権益を持つ団体依存で、そこからの圧力に最後は負けてしまうというところなんですよ。それで改革ができないんですよね、どんな立派なことを言っても。
 私も、村山内閣で、自社さ政権で一緒に与党をやらせていただきました。個人的には立派な方大勢おられます。さっきの石原さん、与党税調では一緒に議論をさせていただいて、私どもも消費税を値上げすることで頑張ったわけですよ。そういうこともできるわけですね。しかし、最後はやっぱり利権にとらわれる、官僚の圧力に屈する、官僚の圧力とあえて言いますけれども。そこをどう突破するかということが日本の改革の根幹ですよね。
 そういう意味では、私は、こんなことを言うと我が党の委員に怒られるかもしれませんけれども、先ほどの峰崎議員の質問に対して道路特定財源を見直すとはっきり言われた。私はあそこまで言い切るってすごいことだと思いますよ。それができたら自民党的なものは壊れますよ。自民党的なものは壊れます。
 一言お尋ねしたいんですが、見直すというのは、見直した結果従来どおりということはないんでしょうね。変革は、変えるんでしょうね、変える。
#192
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 昨年も見直し論が出ていましたけれども、これは強烈な抵抗、反対が出てつぶれました。ことしはそうはいきません。必ず見直します。
#193
○今井澄君 変えるという、これは大変重大な発言だし、それだったら私も個人的に全く全面的な支持をしたいと思うぐらいでありますが。
 さて、一つ情報公開、情報公開法がことしから施行されました。一カ月たったところで、五月初めに新聞に幾つも出ました。情報開示わずか一六%とか目立つ消極姿勢、省庁間にばらつき、外務省は件数すら公表せず。
 情報公開の実が上がっていないと思いますが、総理は所信表明の中でも情報公開を徹底的に進めると言われましたが、その点についてのお考え、こういう新聞評論などを見ましてのお考えをお聞きしたいと思います。
#194
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 基本的に情報公開は徹底的に進めなきゃいかぬと思っています。公開する場合には、大事なのは、何を秘密にしなきゃならないか、これも大事だと思います、個人のプライバシーを初め。その見きわめが大事だと思います。しかし基本的に情報開示、この方針は進めていきたいと思っています。
#195
○今井澄君 そこで、ある医薬品被害に遭った方がその救済を求めまして、その結果が満足できないものですから、医薬品被害に遭った方の救済機構というものがありまして、そこの委員会の情報開示を求めたんですよね。
 きょう皆さんにお配りの資料、一枚目、二枚目、右肩に一と書いてない方、これが情報公開なんですよ。一年間に四回開かれた委員会について、合計して二百ページですよ。今フロッピー渡しですから墨塗りじゃないんですよね。白抜きになるんですよ。そうすると、この白のパーセントを計算したら七〇%を超えているんです、七十数%。残った二五%を、もう一方を見てくださいよ。名前なしの、委員という字だと。(発言する者あり)
#196
○委員長(岡野裕君) 今井君の発言中であります。
#197
○今井澄君 それとか、全くこれ読んでもわからない字ばっかり。その意味のない字を勘定してその字が二五%、これ情報開示と言えますか。厚生労働大臣、どうですか。どうしてこうなるんですか。
#198
○国務大臣(坂口力君) いや、申しわけありません。これは中央薬事審議会副作用被害判定部会の議事録だそうでございます。私もこれ見まして、これはどこのものかと思ってこう見ておりましたらうちのものだというのでびっくりしたわけでございますが、できる限り公開、情報公開していかなきゃならないというふうに私も思っています。
 しかし、中には行政文書に含まれる個人情報、法人情報、個人情報のところは除くということだそうでございますので、多分ここは個人情報が多かったんだろうというふうに思いますけれども、どんなところが除かれているのか、私も精査をいたします。余分、必要な以外のところがこういうふうに白抜きになっているというんだったら、これは今後全部改めていきます。
#199
○今井澄君 総理、どうですか。ちょっと詳しく調べて。
#200
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) いや、私も今初めて見まして、なぜそういうふうに隠さなきゃならない部分もあるかというのは、今の厚生労働大臣の答弁のとおりだと思っております。
#201
○今井澄君 やっぱり改革をするというのは非常に大変なことでありまして、一方で重視されるのが行政の継続性とか外交の継続性とか、いわゆる継続性。継続性というのは、従前のやり方を踏襲する、基本的に枠を外れないということですよね。必要があったら、その枠を突破しなければ改革はできないですよね、総理。
 そこで、ハンセン病についてお尋ねいたします。
 私どもは、このハンセン病に関する熊本地裁の五月十一日の判決は画期的な判決であり、我々自身大いに反省すべきことだと思っております。控訴すべきでないと思っておりますが、総理はいかがでしょうか。
#202
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) この判決については、重く受けとめなきゃならないと思っていますし、行政府、立法府両方にかかわる問題が指摘されていると思います。
 そういう点から、今まで患者さんあるいは元患者さんに対する痛みというものを真剣に考えながら、適切な判断を行っていきたいと思っております。
#203
○今井澄君 この問題をめぐる動きは、五月十一日あるいはそれ以前からずっと克明にマスコミでも報道されております。
 政府は、最初、あるいは坂口厚生大臣は控訴断念の方向を出されたと思います。ところが、法務省の巻き返しで、まさに法務官僚の巻き返しですよ、これが日本の政治の最悪の最大のガンですよ。これまでにないからと、これまでにないから慎重に判断する、これまでにないからとりあえず控訴をして、こんなことはおかしいんじゃないですか。
 法務大臣、どうですか。厚生大臣にも、厚生大臣にも一言。
#204
○国務大臣(坂口力君) 今回の判決というものが非常に厳しい判決であったことは、先ほど総理が御指摘になりましたとおりでございます。
 私も、政治家として、そしてまたこの省の責任者として、そしてまた先生と同じく医学の道を歩んでまいりました一人としまして、非常に心を痛めながら毎日いるわけでございます。
 この決断につきましては、諸般の事情を十分に踏まえながら、総理とも法務大臣ともよく相談をさせていただきまして、最終判断をさせていただきたい。私は私の意見をそのときに率直に申し述べたいというふうに思っている次第でございます。
 したがいまして、先ほどおっしゃいましたように、私のことが何かおもしろおかしく新聞でいろいろと書かれるものでございますから、私も非常に憂慮いたしておりますが、そうしたことではなくて、真剣に悩んでいるということを御理解いただきたいと存じます。
#205
○委員長(岡野裕君) 法務大臣の答弁はどうしますか、今井君。
#206
○今井澄君 お願いします。
#207
○国務大臣(森山眞弓君) おっしゃいますとおり、私も大変、この判決は非常に深刻な重大な問題を提起しているというふうに思います。患者の代表の方にも私はお目にかかりまして、その大変つらかった状況を具体的に承りまして、非常に心痛みました。
 今、厚生労働大臣がおっしゃいましたように、具体的な措置についてどのようにするかということは、厚生労働大臣のお考えもあり、また総理の御判断もあると思います。それぞれ慎重に相談をして決定していきたいというふうに考えます。
#208
○今井澄君 新聞の論説、社説などでもこういうことを書いてあるのをもう御存じだと思いますけれども、一般に官僚は権益拡大に結びつく新法の制定には熱心だが、一たんつくった法律や制度の改変には関心を払わない。一方、国会はその官僚に依存し、みずからの発案で法律を立案したり改廃する意欲や能力に乏しかった。判決はそうした我が国の統治機構の体質を断罪したものだと言える。
 まさに私たちはざんきの念を持って、特に私などは医者として、もう怖い病気じゃないというのをわかっていながら、こういう法律が残っていたということに気がつきすらせず被害を与えてしまったこと、これはまさに歴史的な犯罪であろうと思います。
 こういうことに対して、今までにそういう判例がないからなんということをもって控訴するとしたら、まさにこれは人非人のやることだということを私は強く申し上げておきたいと思います。
 きょうも午前中、もうこの時間、新たに、さらに九百二十名ぐらいの方が新たな提訴をしております。幾ら控訴をしたって、もうこのことそうなんだ、裁判所もわかってくれるんだということのわかった人々は今立ち上がり始めているんですね。もうとめられないんですよ、控訴を今さらしてみたところで。
 ところで、厚生労働大臣も法務大臣も原告の方にお会いいただきました。総理、きょう原告の方たちが三時半ごろ官邸にも面会を求めて行かれるそうです。官房長官の方もできるだけ前向きに考えると言ってくださっているそうです。どうか総理、必ず原告の方に、ハンセン病で差別をされ苦しめられた方にお会いいただきたいと思います。そのことをお約束いただきたい。
#209
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 慎重に検討してみたいと思います。
#210
○今井澄君 その御答弁は納得できません。慎重に検討する上でもぜひ原告の方にお会いいただきたい。会ってください。
#211
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 時期も含めて検討させていただきたいと思います。
#212
○今井澄君 たしか控訴期限が二十四日か二十五日でしょう。私はきょう三時半に会ってくれと言っているんじゃないんです。三時半に官邸に行きますから、その御返事はきょう予算委員会が終わった後でもぜひお願いしたいと思います。
#213
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 時期も含めて検討したいと思います。
#214
○今井澄君 そこで、私はやっぱり医療の問題をちょっとさせていただきたいと思います。
 余り細かいことは、今は総理ですから、場合によってもう厚生労働大臣にお答えいただいて結構なんですが、本当に医療は変わらないなということをつくづく感じました。
 実は、私的なことで申しわけないんですが、昨日私は、ある小さな社会医療関係の学会の特別講演に招かれまして安田講堂で講演をしてきました。感無量でした。三十二年前私が逮捕され、その後一年半以上拘置所、刑務所にとらわれた、その逮捕された場所でまさに講演をさせていただいたわけです。
 そして、そのときに、私を紹介してくださった学会の人から大変おもしろいことをお聞きしました。それは何かといいますと、健康をめぐる問題については四つの課題があるんだと。それで、一人一人の生物・身体的な体の問題、それからライフスタイルの問題、環境の問題、それから医療・保健制度の問題と、こういう四つの課題で人間の健康を今考えなきゃならないと。先の三つについては日本でも世界でも、これは何かカナダの有名なレポートをもとに今世界でそういう考え方をしているらしいんですが、前向きにも、あるいは環境なんかはマイナス面が多いわけですが、大きな変革が起こっている。医療制度だけが変革が起こっていないということを言われまして、そうだなと思いました。
 三十二年前、私どもが全学ストライキをやり、そしてバリケード封鎖をやって、そして最後逮捕されても頑張ったのは何かというと、医局講座制を変えたかったからなんです。医師の研修システムや何かを変えたかったんです。ところが、この三十何年たって変わっていないじゃないですか、全然。
 読売新聞でこの一週間連載がありました、研修医の連載が。研修医哀歌とも言うべきものです。私の同級生も、卒業後一年目に、朝病院に出てこないから行ってみたら死んでいた、そういう大変なことがあるんですね。私なども五十二時間当直なんというのをやったことがあります。もちろんそれは先輩がいるから安心してできたんですが。
 大変な悲惨な中でやっているんですけれども、その研修制度の改革が全然できない。若手の医師が無給に近い形でこき使われて医者になるものですから、今度は医者になったら取り返さなきゃ損だとばかりになるわけです。この悪循環を断ち切らなきゃならないんですよ。ところが全然変わっていないんですね。
 そこで、なぜ変わらないかということについてお尋ねしたいんです。
 一九九七年、先ほども申し上げましたこの予算委員会で、ちょうどそこには橋本総理、やっぱり厚生部門お得意な総理がお座りになり、小泉総理は厚生大臣としてお座りになった中でやったときに、全く意気投合したと私は思っているわけですが、改革はやらなきゃならないと。ちょうどあの年は、患者さんに自己負担を強いるかわりに、そのかわり、二〇〇〇年までには抜本改革をすると、こういう約束をしたわけですね。当時の小泉厚生大臣の意気込みも私は大きかったというふうに思っています。
 ところが、この二〇〇〇年度抜本改革は失敗したわけですね。そして、先送りして来年ということになっているわけです。どうしてそうなったとお考えですか、総理は。
#215
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 現状を改革する場合に、現状の悪い点をいろいろ指摘いただいて変えようとする、そうすると、いい方向のものについても、改革した場合のはっきりいい方向が出るのかというのは時間がかかる。
 例えて言えば、医療の問題で出来高払い制度と定額制度があります。出来高というのは、もう治療した行為については全部診療報酬等費用は見ますよと。だから最善の治療ができる。ところがそれも、何でもかんでも薬をたくさん上げる場合があるんじゃないか。本当は注射も要らない、点滴も要らないのに、点滴をやったりビタミン注射を打ったり、むだな治療があるんじゃないか。
 だから、出来高払い制度にしても、本当にいい医者がこれは必要な治療だけやってくれれば、この出来高払い制度というのは私は非常にいい制度だと思います。ところが、長い慣行のうちにむだな治療が行われているんじゃないか。いろんな治療をやれば出来高はどんどんふえていきますからいいわけです。
 患者さんの方も、ああこれは胃が痛いよという場合に、寝ていれば治るよと言ったお医者さんに対しては、何も薬もくれない、注射も打ってくれない、何だこの医者は不親切だと思うけれども、結果的に寝ていれば治っちゃうといえば、その方は名医ですよね、見立てで。ところが、ちょっとした痛い痛いと、おお、これは大変だ、いい薬も上げますよ、いい注射も打ってあげますよ、で治ったら、ああ、あのお医者さんはいい医者だと。どっちがいいのかというのはなかなかわかりにくい。
 そういう点で、この出来高払い制度にも、ある場合によったらもう要らない薬まで上げているんじゃないかと。ほとんど三日しか必要ないのに、一週間とか十日分上げて、むしろ分けている状況がある。こういうむだな部分をなくしましょうといって、じゃ出来高払い制度から定額払い制度にしましょうというとなると、今度はまた別の医者が出てきたわけですよ。これは本当は、全体が抑えられているから、必要な治療も行い、悪い医者が出てきたらどうするんだと。なるほどな、一長一短、どんな制度をやっても一長一短あるんだなということで、なかなか進んでいかない面がある、これは本当に改革というのは難しいなと。
 しかし、これは利害関係者が医療関係は多いですから、その間の調整もしなきゃいかぬと。本来はしているべきのところを、そこがなかなか進んでいないというのには私もじくじたるものがありますし、反省すべき点は反省しなきゃいかぬと。
 今後、そういう今までの制度を続けていたらば結局むだな部分もなくならないだろうということで、これはやはり聖域なき改革の対象にしなきゃいかぬな、お互い理解を求めながら、制度においても一長一短ありますが、やっぱり今のままではいけないという方が思っているんですから、ある程度前向きの違う方法を、逆に、もう完全なものはありませんけれども、一歩一歩今の弊害を直していくような改革に進んでいかなきゃいかぬと思っております。
#216
○今井澄君 第百四十国会、一九九七年の三月十九日、たびたび申し上げているこの予算委員会で、その辺でもうとにかくメニューは出そろっている、あとはどれをとるか決断だけだと。そのときも、今難しいと言われましたけれども、小泉総理はできれば包括払いを基本とする方向に抜本改革すべきだと、そういう御意見だったと思うし、今も同じだと思うんです。
 それからもう一つ、やっぱり審議会方式ももう終わっている、もうそろそろこういう利害関係の調整じゃなくて、やっぱり政治主導でやろう、そのことでも小泉総理と意気投合したと思うんですよ。実は、年金改革について去年スウェーデンに行ってきました。政治主導の見事な姿を私は見せていただきました。そのことは後で時間があったらやります。
 ところが、なぜ抜本改革ができなかったのか。まさに、これが自民党なんですよ。小泉総理、自民党にいる限りできないんですよ。
 「医療保険がつぶれる」という本が出ています。つい最近、毎日新聞の論説委員が出しました。それで、この人は、二〇〇〇年四月からスタートするはずだった医療の抜本改革が政府与党によって二年先送りされた、その理由は日本医師会など医療を提供する診療側と、保険料を集め、医療費を支払う健保連など保険者との利害が調整できなかったということになろうが、この三年間の論議、現実の動きを見ると、医療関係者は余りにも世間の常識からかけ離れた論議に終始し、これが残念なことにまかり通ってきたと。
 総理、実感としてどうですか。医師会が一番の大きな障害だったと書いてあるんです。いかがですか。
#217
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) これは三年前の改革でも、改革の方向として公平に痛みを分かち合おうということで三方一両損という考え方が出てきたのは委員も御承知だと思います。三方一両損というのはどういう考え方かというと、診療側も、もういつも毎年毎年診療報酬を値上げすればいいという状況じゃないだろうと。支払い側も、ある程度高齢少子社会で負担を軽くということも考えてもらわなきゃいかぬと。それから患者さんも、安ければいいというものじゃないと。だから、診療側も支払い側も患者さんも、それぞれお互いが痛みを分かち合う形でこの医療保険制度を持続可能な方向に持っていきたいというのが一つの方向だったと思います。
 そういう点において、確かに医師会側の要求も強かったことは事実であります。この点については、これから改革の一つの方向として三年前に出した方向というのは私は間違っていないと思います。お互い公平に痛みを分かち合って、そしてよりよき医療改革はどうしていったらいいんだと。医師会の問題もあると思いますが、一つのいわゆる特定の団体の言い分というものを聞くことは大事でありますけれども、その一つの団体に左右されることのないような公平な納得できるような改革を目指していきたいと思います。
#218
○今井澄君 総理、具体的なこの三年間の中で、例のお薬の種類がふえればふえるほど自己負担がふえるという変な制度、私はあれは個人的にやめるべきだと思うし、最初から反対だったんです。でも、そういう制度が総理が大臣のときに導入された。それを七十歳以上の老人だけやめさせるということを強引に医師会と自民党の話し合いでやっちゃったんですね、法律も改正しないで。その経過についてちょっとお尋ねしたいんですが、よく覚えておられると思いますが。資料の中にありますが、この念書を御承知でしょうか、お配りした資料の。(資料を示す)
#219
○国務大臣(坂口力君) 今井先生とそして総理とその当時いろいろ御議論をされましたことを、私はその当時は横から冷ややかに見させていただいていたわけでございます。しかし、そのときにいろいろな御議論をされた、そのことは現在非常に生きているというふうに思いますし、この次と申しますか、ことしじゅうに骨格をまとめて来年は法律を出させていただかなければなりませんが、そのときには大きく役立つというふうに私は思っております。
 あの当時、いろいろと御議論はございましたけれども、やはりまだ関係者の間の意見の詰まっていないところがあるからあるいはうまくいかないのではないかという、私は率直に言って、立場は違いましたけれども、危惧をしながら私もおりました一人でございました。
 そのようなことでございましたが、その当時、私も今お示しになりましたような医師会の会長さんとそして党との間での何かお話し合いがあったということもお聞きをいたしておりました。しかし、これらのことは今後の方向性もいい方向性をつくっていこうという一つの試みではなかったかというふうに思っております。
 だから、それらのことを踏まえながら、この次の改革に向けてひとつしっかりと今度は鉄かぶともかぶって、雨あられが降りましてもそれを突進していくという覚悟でやりたいと思っております。
#220
○今井澄君 今お示ししましたものと、もう一つこの覚書、第四項に「薬剤一部負担については、早急に再検討する」。これ、池田政調会長と坪井日医会長の覚書、その前にお示ししましたのが、小泉総理の親分筋に当たる当時の森幹事長と坪井日医会長との念書ですね。これをごらんになったことがありますか。それから、これがどれほど抜本改革に悪い影響を及ぼしたかということについての御感想をお尋ねします。
#221
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) たしか見たことがあります。大分あるべき改革からゆがめられたなという印象は持っております。
#222
○今井澄君 なぜ八月二十七日にこの念書が結ばれたか。そのことは、総理、どうお考えですか。その前後の政治情勢を思い出してください。
#223
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) たしか、これは選挙前だったんですかね。何年でしたっけ。
#224
○今井澄君 一九九八年。
#225
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 九八年。選挙前になると票をちらつかせられて鈍る傾向がありますから、そういう点はやっぱり政党として、政治家として反省しなきゃならない面があると思います。
#226
○今井澄君 実は、この念書が結ばれた二十七日の前ですね、八月二十三日が石川と富山の補選でした。森元総理のおひざ元の石川県では自民党は候補者を立てられなかった、いなかったんですよね。そこで、病院長で県会議員である方を自民党として推薦して医師会の力をかりたわけですね。結果的には負けましたけれども。そして、この念書の結ばれた二十七日の前の日が、沖縄県知事選で稲嶺氏が出馬表明をした日です。自民党は、幹部が大量に沖縄に乗り込んで選挙できなかったんですよ、あのとき。主要な方たちは行けなかったんです、あのとき。そのときに医師会の方たちに大変な御協力をいただいた。
 翌年三月四日に、私はこの記事を見てびっくりしたんですけれども、医師会の医師連盟、政治組織ですね、それから小選挙区担当責任者合同会議が自民党本部で開かれているんですよ。びっくりしましたね。そして、そこで自民党議員は多数出席されましたが、当時の森幹事長は、いろいろお世話になっている、特にありがたかったのは沖縄県知事選であると、こういうことだったんですが、思い出されますか。
#227
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) その会合にはたしか私は出ていなかったものですから、今ちょっと思い出すことはできません。
#228
○今井澄君 そもそもこういう念書や覚書というのは、昔はいろいろあったようですけれども、最近はそういう一特定団体と結ばないものなんですよね。それを結んでまでやったということは、これが生きてくるのがあるんですね。
 年末になって、とにかく七十歳以上だけでも薬の種類による別途負担はやめちゃいたいという医師会の強い要望に対して、自民党あるいは大蔵省は随分抵抗したんですよね。そのときに、最後にこの念書が物を言って、この念書を掲げて自民党のいわゆるボス会議という厚生関係の皆さんの会議、これは十二月十五日に開かれているのは、小泉総理も出ておられるから御承知だと思いますが、ある議員が、この念書の約束を破ったら大変なことになると言って叫んだ議員は、衆議院の予算委員会でも石井紘基議員が言っておりますが、その二年前の献金が二百万、その次の前の年が四百万、そしてその年八百万もらっているんですよね。
 そういう事実はちゃんともう衆議院の予算委員会でも出ておりますが、そのボス会議で唯一反対されたのが小泉総理だったと聞いているんですよ。覚えておられませんか、どういう理由で反対されたか。
#229
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) どう言ったのかは覚えていませんが、そういうのを今初めて聞きましたね。
#230
○今井澄君 この薬剤の別途負担を廃止するということは、私もあんなものはおかしいと思うんですよ。だって、病気が多ければ薬も多くなるんです。その人から自己負担を余分に取るというのは、これは科学的には理屈に合わないから私は反対しました。日本医師会も反対しましたね。
 だけども、あのときやむにやまれずやられたわけでしょう。理屈に合わなくても、非科学的でも、薬の種類を減らさせようとやった。それは、法律でそうしたわけですから、それは改正しない限りだめなのに、審議会にも諮らず、十二月十五日から二十日の間にボス会議とか何か開きながら折衝で決めちゃったわけですよ。これが抜本改革にどれだけ悪影響を及ぼしたか。あの当時の厚生大臣だったら、厚生大臣経験者、よく覚えておられるんですが、ちょっとそういうことがあっていいのかどうか。
#231
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) いろいろ意見といいますか、圧力とかいうのはかかってきた覚えはありますけれども、たしかもう三、四年前のことでして具体的なことは覚えていませんが、かなり無理なことをやったなという印象はあります。
#232
○今井澄君 無理なことをやったためにその後審議会が白けちゃって、審議会を開くたびにもう非難の応酬ぐらいになっちゃって、もう審議ストップですよね、ほとんど。それもおくれた原因の大きな一つ、私はそれだけだとは思いませんけれども、そういうふうに思います。
 それで、もう時間がなくなってきてしまったので、この雇用の問題ができなくなって非常に残念なんですけれども、一つだけ、配付した資料に関連して総理の認識をお聞きしておきたいと思います。
 総理の本会議での代表質問に対する答弁の中でこういうことが言われているんですね。もうこれまでのように保険料は安く、そしてもらうものはたくさんというわけにはいかないよと言うんですが、総理は今までの日本の社会保障給付というのは十分だったと、少ない負担で随分たくさんの給付を受けていたという御認識なんでしょうか。そうだとすると、私、間違うと思うんですよね。
 きょう、資料を配りました、全部使い切れなくなりましたが、とじたもので一と書いたものですけれども、これは有識者会議が去年総理に報告をしたものにあるんですね。これを見ますと、これは給付費、国民が受けているサービスの国民所得比と国民が負担している負担率を見ると、日本は一番左の下ですよね。現状、世界の先進国の中で一番給付も少ないし、負担も少ないんですよ。このままほっときますと右上に行って真ん中になりますよと、二〇二五年。それでも現在のドイツやフランスよりも負担も少ない、給付も少ないんですよね。この現状を認識していただかないと、ただ削るだけじゃ困るんですよ。
 ぜひ、これは安心できる社会をつくるためには日本のこの乏しい、先進国におくれた給付の内容についても注目していただきたいんですが、ちょっと御感想をお願いします。
#233
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) これは各国事情が違うと思いますが、給付と負担というのは常に裏表だということを考えていかなきゃいかぬと。給付が多ければいいというのは、これはだれも思うわけであります。しかし、その給付の裏には必ず負担する人がいるということを忘れちゃいかぬと。これは保険料負担とか税負担という問題が必ず出てきます。
 今、日本の社会保障制度も、かつてはイギリスの揺りかごから墓場までという制度を見習ってやってきましたけれども、今やもうスウェーデンやデンマークとかいう世界の最高水準の福祉に見習いながらその水準に合わせようと努力しています。一方では、スウェーデンとかデンマークは消費税が二五%という状況である。日本は五%だ。給付はスウェーデン、デンマーク並みで、負担は今の五%程度というのは大変無理なことであるし、その点はよく国民で議論していかなきゃならない。
 こういう点も絡めて給付と負担の均衡を図って、あるべき社会保障水準はどういう方向に向かって進むべきかというのはよく皆さんとも議論していかなきゃならないなと思っております。
#234
○今井澄君 済みません。時間がなくなりましたが、再度確認しますが、日本は決して給付がそんな厚いわけじゃないんだと。負担も少ないけれども給付も少ないんだよと。今のままじゃいけない、もっともっと手厚い社会保障にしなきゃいけないという認識を持っていただきたいということが一点と、先ほど大分、医師会のことを文句言いましたけれども、これは政治的な動きに対して私は文句言ったので。やっぱり医療現場に働く、先ほど研修医のことを言いましたけれども、看護婦も含めて本当に安い医療費の中で苦労しているんですよね。こういうこともぜひ見ていただかないといけないと思います。
#235
○委員長(岡野裕君) 今井君にかわり、関連質疑を許します。円より子君。
#236
○円より子君 円より子です。
 私の質問は午後からかと思っていたんですが、午前と午後の二つに分かれることになりましたので、質疑の順番をちょっと変えさせていただきたいと思います。御了解いただけますでしょうか。
 それで、今、税についても、また社会保障制度についても、新聞等に躍っている行政の言葉として標準家庭というのがございます。夫と妻と子供二人というのが標準家庭なんですが、子供二人ということじゃなくても、夫と妻と子供という世帯が一体何%ぐらいあるか、総理、御存じでしょうか。御存じかどうかだけでもお願いいたします。
#237
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) どのぐらいあるか具体的な数字はわかりません。
#238
○円より子君 この数字、ほとんどの人が御存じありません。でも、今三二%なんですね。
 普通という言葉がよく使われて、そして普通の家族は普通の世帯はというようなことでこの夫と妻と子供のいる世帯がさまざまな制度の基準になっていると思うんですが、家族というもの、家庭というものが大変さま変わりしてまいりまして、今たった三二%になっている。ここに焦点を当てているとさまざまな生き方をしている人たちに大変不公正感が私は生じると思っております。戦後五十年の政治はこれでよかったかもしれませんが、今こうした多様な生き方、多様な価値観の人たちの、皆さんが不公平を余り持たないで済むような政治に変えていかなきゃいけない、その基準としての三二%という数字をぜひきちんとわかっておいていただきたいということで御質問させていただきました。
 ところで、そうなりますと子供を産むのが当たり前とか、子供を産んで一人前というようなこともよく言われてしまうんですが、そういったことから女の人が子供を産めないということが大変つらくて不妊治療に励まれるということもあると思います。もちろん、私も子供がおりますから子供がいる生活というのは大変幸せだとは思っておりますので、お子さんがいない方が大変不妊治療に励まれるのもわかるんですが。
 ところで、今回、代理母出産の事件といいますかニュースが流れました。これについては総理はどのような、個人的なお考えでいいんですが、思われるでしょうか、お聞かせください。
#239
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) もう科学の進歩というのはまさに日進月歩、我々の想像を超えるなという感じがあります。どういう技術でああいうことが可能になるかよくわかりませんが、もうそこまで来ているのかなと。ある面においてはこのまま行っちゃったらどうなるのかというちょっとおそれもありますね。
#240
○円より子君 もうこれは私は神の領域だと思うんですが、人が欲望のままに生きることを医療が、また科学や医学が援助することと、子供の人権や複雑な家族関係に生きる、またおなかに十カ月子供を置いた身から言えば、遺伝子が違ってもやはりその間大変慈しんで育てるわけです、おなかの中で。そうすると、母親としての情も出てくるだろう。いろんなことを考えますと、これは即座にこういったものが許されていいことではないと思うんですが、厚生労働省ではこれは禁止されていたと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
#241
○国務大臣(坂口力君) 昨年の十二月だったというふうに思いますが、審議会の先生方、専門の先生方にいろいろと御議論をいただきまして、そして一つの結論を出していただいております。
 それによりますと、そういういわゆる代理母というんでしょうか、こういう生殖補助医療というんですかね、最近そういうたくさんありますのは。そういうふうなことは、そういうふうな中で、代理母というのはこれは決して好ましいことではないし、これは禁止すべき項目の中に入れるべきだという結論を出していただいておりまして、そして早くこれを法律化したいというふうに思っておりまして、いろいろこれは今研究をしていただいているやさきでございました。
 そのやさきに赤ちゃんの方が先に生まれてしまったということでございまして、これは生まれましたら、もとへ戻ってほしいといいましても、それはそんなわけにまいりませんから、これは早く法律の方を整備しなければならないというふうに思っております。
#242
○円より子君 先ほども申しましたように、人々の生き方が大変多様になっておりますから、そういった生き方を支援したいというのが民主党や私たちの考えなんですが、その一つに例えば選択的夫婦別姓がございます。
 この間、今いらっしゃいませんが、官房長官のところと法務大臣のところにぜひとも今国会で上げていただきたいということをお話しに行ったんですが、その際、小泉総理はどういうお考えでしょうねと申しましたら、官房長官が、そうだね、彼は独身だからねとおっしゃったんですが、小泉総理のお考えはいかがでしょうか。
#243
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私個人としては選択別姓、それも一つの考えかなと思っているんですが、この問題については議論が分かれています。ですから、その議論はもっと国民的議論の状況を見ながら判断した方がいいのではないかな、そういう考えであります。
#244
○円より子君 個人的には賛成だという力強いお言葉をいただいて、ありがとうございます。
 世論調査のことなんですが、九六年六月が最新の調査で、二十代、三十代の男女は半数近くが別姓に賛成しております。反対というのは五十代が半数以上で、六十代では何と六〇%から七〇%が反対ということになっているんです。
 ところが、これはやはり若いこれから結婚する人たち、もちろん総理だってこれから再婚なさるかもしれませんけれども、ほとんど初婚で、若い人たちがこの夫婦別姓については大変関心がおありですから、この若い世代の世論調査の結果というものを私はぜひ尊重してほしいと思うんですが、森山大臣、ぜひ今国会でこれを成立させたいと思うんですが、いかがでしょうか。
#245
○国務大臣(森山眞弓君) たびたび申し上げておりますとおり、価値観が多様化してきた今日でございますので、それぞれの生き方、それぞれの家族の持ち方ということをみんなが自分の考えで進めていくということを私も応援したいというふうに思っております。
 この選択的夫婦別姓の話は何年も前から、数年前から既にいろいろなところで議論してまいりまして、基本的には私は円先生と同じ気持ちなんでございますが、やはり法律を成立させる、法律を提案したり成立させるということになりますと、私どもあるいは私だけが賛成というのでは十分ではございません。やっぱり国民の世論というものがどこにあるかということをちゃんと見きわめなければいけませんので、世論調査も一つの方法でありますし、先生方が御提案なさった法案もございますし、それらに基づくいろいろな議論がもう少し続けられた上で結論を得たいというふうに考えております。
#246
○円より子君 調査はいつごろなさって、いつごろその結論が出ると考えればよろしいでしょうか。
#247
○国務大臣(森山眞弓君) 調査の具体的な仕事は内閣府の方でやってくださると聞いておりますので、ただ、なさる時期は九月というふうに聞いております。その後どのように進んで、いつごろ結論が出るかということはまだ承知しておりません。
#248
○円より子君 では、総務省にお聞きいたします。
 できるだけ早くやっていただきたいと思うのですが、どのぐらいの期間と考えていらっしゃいますか。──ごめんなさい、副本部長から。
#249
○国務大臣(福田康夫君) 総理府のことでございますので、私から御答弁申し上げます。
 何だったかな、質問は。
#250
○円より子君 どのくらいで結論をお出しになりますか。
#251
○国務大臣(福田康夫君) これはでき得る限り早く実施をしたいと、こう考えております。明確に申し上げられませんけれども、公表するまでに数カ月はかかるだろう、こう思っております。
#252
○円より子君 官房長官は先週、旧姓を通称として使用する場合の問題点を解消するよう検討するようにと指示を出されたと新聞記事で読みましたが、これは夫婦別姓を後退させるものだと心配する方もいらっしゃるんですが、前進させるものなんでしょうか、後退させるものなんでしょうか。
#253
○国務大臣(福田康夫君) 私が先般申しましたのは、もう現状実質的な夫婦別姓というようなことで夫婦生活を始めていらっしゃる方がおられるわけですから、そういうような方々に、現状においてどういう不便を解消する方法があるかどうか、こういうことを素朴に考えましてそういう指示をしたところでございます。どういうことになるかわかりませんけれども、でき得る限り御便宜を図りたいというように考えております。
 決して後退させるとか、私はそんなこと全然考えたことはありませんから、申し添えておきます。
#254
○円より子君 では次に、非嫡出子差別の撤廃についてお伺いいたします。
 民法改正の中には、夫婦別姓だけではなくて、嫡出子と非嫡出子の撤廃も盛り込まれているんですが、これは先ほどの多様な生き方にも関連しますが、親の条件で子供が差別されることがあってはならないと思うんですが、これについて総理はどう思われますでしょうか。
#255
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) これもやはり慎重を要する問題だと思っています。現在の婚姻制度とか変わってまいりますから、社会の今までの国民的な感情も無視できないと思います。その点を見きわめて、慎重に議論する時間があってもいいのではないかと思っております。
#256
○円より子君 それでは次に、これも大変残念な事件なんですが、東京高裁の判事が児童買春をしたということで逮捕されました。
 実は、私どもは、国会議員の女性たちを中心にいたしまして、森山法務大臣もそうですが、私も児童買春、児童ポルノの禁止法の発議者となって成立に努力したんですが、この十四歳の少女を買春した容疑で逮捕されたということについて法務大臣はどう思われますでしょうか。
#257
○国務大臣(森山眞弓君) 私もけさの新聞の報道でその事件を知りまして、本当にびっくりいたしました。何と言ったらいいか、言葉もないという気持ちでした。
 ただ、今、東京地検に送検されておりまして、捜査中なそうでございます。ですから、よく調査してもらいまして、法律に基づいてきちんと処分をしてもらいたいというふうに考えております。
#258
○円より子君 福岡高裁でしたか、もう本当に今司法の権威が落ちている、信用が落ちているというところで、ぜひきちんとしていただきたいと思いますが、裁判官の問題だけじゃなくて、これは世の中に、まだまだ男の人の中に、お金で女の人を買うとか、小さな子供たちに対するそういったことが犯罪行為であるということを理解していらっしゃらない方が多いのではないかと思うんですが、男性として官房長官と総理の見解を伺いたいと思います。
#259
○国務大臣(福田康夫君) 何かそういうことをするんではないかという、そういう御心配をされて私を御指名されたのではないかと思っていますけれども、本当にとんでもないことを考えること、そういう方がいまだにいるということ、そしてまた立場をわきまえないということ、これはもう本当に残念なことであり、そういうことは決してあってはならないことと、こう思っております。
#260
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) きょうの朝刊を見て一様に、これは何だと、唖然というか、した方も多いと思います。私は、今の状況は子供より大人が悪いと思っております。
#261
○円より子君 それでは次に、女性の就業促進についてお伺いしたいのですが、総理は、育児の点で待機児童の解消ですとか学童保育のことに触れられておりますが、今現在、六歳未満の子供を持つ女性の労働力率で、上位一位というのは山形の六二・八%、二位が福井の五五・六%なんですね。下位が神奈川の二一・三%、二位が大阪、二二・一%ということで、やはり三世代同居のところとか、それから共働きだけれども保育所の待機児童の大変少ないところ、ほとんど定員割れしていて入れるところ、そういったところはしっかり六歳未満の子供を持つ女性も働いていらっしゃるわけです。都市部が働いていない。
 こういう状況などを見ていますと、日本の潜在成長率が一・八%、少し変わったかもしれませんが、米国は三・五%という中で、やはりこれは女性の労働力をしっかり使うというか、それが上がっているからこそ潜在成長力も上がっているという試算がございまして、女性の就業促進をぜひ進めていただきたいんですが、今回、構造改革を断行なされば当然失業者が出ます。そういった人たちの受け皿として、私は、例えばワークシェアリングを進めるとか、女性が子育てをしながらそういったワークシェアリングで、条件は正社員と同じだけれどもそれぞれは収入が下がるという痛みを受け持つ、そして失業者は減らす、そういったことを考えるべきかと思うんですが、いかがでしょうか、総理。
#262
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) お互い仕事を分担しながら役割を生かしていこうということで、その考え方は今後の一つのあり方だなと思っています。
 それと、今回、保育所待機児童ゼロ作戦、それから学童保育、必要な地域、全地域に整備するということを所信表明で掲げたのも、実は仕事と子育てを両立させること、これが男女共同参画時代のあるべき姿だと、そのため一番必要なことはこの保育所待機児童ゼロ作戦と学童保育の問題ですよということをこの男女共同参画会議の事務局長の坂東さんから伺いまして、じゃこれをやろうということで、はっきりと所信表明演説に入れたんですよ。それに向かって、実現に向かって、これから明確な時期と目標を出しますから、お互い協力していただければありがたいと思います。
#263
○円より子君 保育所の問題も大変大事で、ぜひ頑張っていただきたいと思いますが、もう一つ、年齢制限の問題がございます。
 女の人たちは、長い間、妊娠や出産、子育て等で仕事を中断せざるを得ず、そして再就職しようというときにこの年齢制限の禁止があってなかなか再就職できませんでした。この問題については総理はどうお考えでしょうか。
#264
○国務大臣(坂口力君) 御指摘のように、確かに年齢制限がございまして、なかなかうまく再就職できない人たちが多うございます。
 現在、ミスマッチというふうに言われておりますが、その中で、中高年の皆さんのミスマッチというのは、一番多いのはこの入り口のところの年齢制限でございます。中身の職業能力がどうかということよりも、入り口の年齢制限が非常に大きくなっております。もちろん女性に対しましてもそうでございます。
 そこで、我々も法案を今提出させていただいておりますが、できる限りこれをなくしていきたい。本当は禁止というふうに一度に持っていきたいわけでございますが、一度にもなかなかいかないというところもございまして、努力義務、これを課して、そして企業の中のやはり意識改革というものを進めていかないといけない。そうした意識改革を進めながら、ぜひとも年齢制限というものをなくしていきたいと思っているところでございます。
#265
○円より子君 地方公務員で、教員の場合は例えば三十歳から四十歳で試験も受けられない、また保育所の保母さんの場合でしたら二十三歳未満、二十五歳未満でもう試験が受けられないという状況で、せっかく自分の子育てが経験に生かせればと思っていらっしゃる方の最初の入り口のところで今禁止されてしまっているわけですね。制限されてしまっているわけです。
 私たち、二十年以上この問題をずっと取り組んできたんですが、なかなかこれが改善されない。ぜひ地方公務員のところでこれを撤廃していただきたいんですが、総務大臣、いかがでしょうか。
#266
○国務大臣(片山虎之助君) 御指摘のように、そういう合理的な年齢制限は今認めているんです。例えば、一遍に同じ年齢の人をたくさん採りますと後で困っちゃうんです。職員構成をなだらかにしていく、専門家をずっと同じように確保していくためには、私は合理的な年齢制限はそれは必要だと思いますけれども、今御指摘のように、地方団体の仕事も多様化している、いろいろ変わってきておりますから、そういう子育ての大変な専門家をこういう地方にあるいは入れるとか、あるいは学校その他にも活用するとか、そういうことを含めて少し私は自由化、弾力化を考えたらいいと思います。それは地方団体によく考えてもらいます。そういうふうな指導をいたします。
#267
○円より子君 厚生労働省は企業にこの年齢差別を緩和するようにと努力義務を課していらっしゃると思うんですが、厚生労働大臣、公務員については率先して私はおやりになるべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
#268
○国務大臣(坂口力君) 先ほど私、若干言い間違えました。既に法律は通っておりまして、今提出しているというふうに申しましたが、失礼いたしました。
 この募集・採用時の年齢制限緩和に向けました取り組みといたしまして、先ほど申しましたように、できる限りそういうことを排除していくように今やっておりますが、どれほどやはり言いましても、そういう意識がやっぱり改革されていかないといけないものでございますから、意識改革を今やっているところでございます。また、在職中からの計画的な再就職の支援の実施でございますとか、そうしたこともやっているところでございますが、一歩一歩積み重ねていかないといけないというふうに思います。
 なかなか一足飛びにやろうと思いましても、ついていけないところがあるものでございますから、一歩一歩ひとつ踏み締めて、積み重ねて、おくれをとらないようにやっていきたいというふうに思います。
#269
○円より子君 私は、地方公務員法十九条二項を変えていただきたいと思っておりますが、もう一つ、女性の就業を促進するために、アメリカなどでは、例えば国や地方が出している公共事業、そういったものを請け負っている会社に、マイノリティーの人たちのクオータを採用しまして、何%採るとか、そういうことを女性の方でもやっているんですが、こういったこともおやりになるべきじゃないかと思うんですが、年齢制限とこれを含めて、総理は女性の就業促進についてどう思われるか、お聞かせください。
#270
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 今、いろいろ関係大臣から答弁ありましたように、具体的な実情、私も詳しくは知りませんが、これは法的な努力義務と同時に、社会環境、意識の問題がありますね。こういう点もお互いが一つの新しい時代の生き方として理解を深める努力が必要ではないかなと思っております。
#271
○委員長(岡野裕君) 円より子君の質疑はまだ途中でありますが、残余の質疑は午後に譲ることといたします。
 午後一時ちょうどに再開することとし、休憩をいたします。
   午前十一時五十二分休憩
     ─────・─────
   午後一時一分開会
#272
○委員長(岡野裕君) ただいまから予算委員会を再開いたします。
 予算の執行状況に関する調査を議題とし、休憩前に引き続いて質疑を行います。円より子君。
#273
○円より子君 午前中に引き続いて質問をいたします。
 総理は、自信と誇りを持てる国にしたいとおっしゃっておりますけれども、改革の後にどういう国を考えていらっしゃるのか。ぜひ、簡潔な御答弁、大変魅力的ですが、国民にわかるようにゆっくりお話ししていただければと思います。
#274
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 何のために改革するのかと。これは、わかりやすく端的に言えば、生きがいを持って安心して生活できる国にしようということに尽きると思います。その際には、お互いが支え合って協力できるような社会をつくっていこうと。
 いろいろ変えなければならないことはたくさんありますけれども、どんな時代になっても、どんな人間にも通ずる変わらない哲理というものは、みずから助ける精神とみずからを律する精神、これを持っている国民が多ければ多いほど、その国は希望と生きがいを持って発展できる国ではないかなと。みずからを助けることができる人間が多ければ多いほど、自分だけの力ではどうしても助けることのできない人たちも助けることができると。欲望は無限、財源は有限ですから、それはみずからを律するとする、みずからの欲望を抑制する、そういう心構えもそれぞれ必要ではないかと。
 そういう自助と自律の精神を持ってお互い支え合うことができる社会をつくっていきたい、これが改革の目標だと思っております。
#275
○円より子君 ことし二月に発表されました財政の中期展望によりますと、来年の歳出は八十七・三兆円、国債は三十三・三兆円の見込みと言われておりますが、総理は三十兆円以下に国債を抑えるとおっしゃっている。ということは、三・三兆円削減しなければならない。これは大変なことだと思いますが、どこを削減なさるんでしょうか。
#276
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) どこを削減するかというのは、これから財務大臣を中心にして一番難しい点だと思います。今までの前提で考えれば、約三兆円の歳出削減をしなきゃならないだろうと。その際には、ふやすところが必要な予算もありますから、そうなりますと必然的に減らすところも必要だと。これを政治家同士で考えてもらうと。
 今まで、どちらかといえば、ふやす方は政治家はやる、減らすところは役人やれという、そういう無責任な態度を政治家はとっちゃいかぬと。ふやすところだけでなく、減らすところも政治家は一緒に考えようということで、今後、具体的にどの項目をふやすか、どの項目を減らすかというのが現下の一番大きな課題ではないかと思っております。
#277
○円より子君 減らすところも政治家が主導してやると。そういうときに、総理の基準になる物差しを示さないと、政治家としてもどこを削るべきかわからないと思います。ぜひその物差しをしっかりとお示しいただきたい。
#278
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) まず、増税は考えておりませんので、むだな事業がかなりあるんじゃないかと。役所がやらなくてもいい仕事をしている面も随分あるんじゃないかと。
 そういうことを一口で言えば、民間にできることは民間にゆだねる、地方にできることは地方に任せると。国がやらなきゃならない必要性、合理性は徹底的に検証していかなきゃならないという視点が大事だと思います。
 当面、来年度の予算で考えてみますと、今予算でどこが一番使っているかというと、社会保障関係と地方に行く金と公共事業なんですね。この三つが一番多いと。となると、社会保障はちょっと考えても、これを減らすことはできません、ふえていきます。となると、地方に行くところと公共事業、これは必然的に削減の対象になると。と同時に、行財政改革を徹底的にしていくと。こういう点において、むだな部分も将来随分節約できる部面も出てくるのではないかと。必然的に、国がやっていることを民間に任せますと、企業も設備投資も始めますし、活発になってくる。税収も上がってくる。そういう状況を見て、第二段階の財政再建に取り組む必要があるのではないかと。
 当面は、この地方に行く金と社会保障関係のふやすべき点と効率的な改革をしなきゃならぬ部分もあります。さらに公共事業、この点もやっぱり今までのような状況ではいかない、これも削減の対象になる。この三つをどうやって効率的に改革していくかというのは予算編成を考えると大きな課題だと思っております。
#279
○円より子君 例えば、地方へは来年度はことしよりも十九・五兆円、地方交付税等ですね、一五・六%もふえる予定になっておりますけれども、これを減らしていくということは、補助金や地方への交付金を減らして、結局、地方分権にしていく、財源も向こうに回す、そうすれば地方の借金もふえない、そういったことで考えてよろしいですか。
#280
○国務大臣(片山虎之助君) 地方の歳出はいわば国と一体なんですね。今、地方の歳出が八十九兆円なんですよ、八十九兆三千億ぐらいある。国の予算は八十二兆ですからね。だから実際は、皆さん御承知のとおりだと思いますけれども、公の仕事の約三分の二は地方がやっているんですよ。国は三分の一なんです。
 ところが、税は国が六割で地方が四割で、交付税が、国税の一定割合が地方に移りますから、これをやると大体五五対四五で地方が五五になるんです。我々は、できれば地方税をふやして地方交付税や国庫支出金を減らしたいと、こういうふうに思っているんです。それが地方分権なんですよ。
 ただ、地方の歳出も、今、総理が言われるように見直さにゃいけません。それは国の歳出とあわせて見直していきます。それは、地方の単独事業もちょっと肥大化してきましたからね、私に似ていますから、これはスリムにせにゃいけません。こういうことを総合的に考えて努力いたします。
#281
○円より子君 総理のおっしゃった三つ、それは大変大きな歳出になっておりますから、ここを減らすのは当然なんですが、聖域を設けずとおっしゃっておりました。例えば、思いやり予算とかODAとか、そういったのはどういうふうに考えていらっしゃいますか。
#282
○国務大臣(塩川正十郎君) 当然検討の対象に私はしております。
#283
○円より子君 それでは、米百俵の精神論をお出しになった総理としては、教育費はふやしたいと思っていらっしゃるんでしょうか。
#284
○国務大臣(塩川正十郎君) 教育費につきましても、実際、児童の育成につきましては、私は削減のことよりもむしろ使途の効率的な配分に重点を置きたいと思っておりますが、国立学校特別会計等においてはもう少し厳しく査定していく必要があるのではないかと思っております。
#285
○円より子君 今はエンゲル係数ではなくてエンジェル係数と言うように、人々は子供にお金がかかって、それも少子化の一つの原因と言われておりますけれども、GDPに占める教育費の負担、公教育というのは三・七%で、日本はアメリカ、イギリス、フランス、ドイツなどに比べますと大変低いということですが、総理も塩川財務大臣もその部分はふやしていきたいというふうなお考えでよろしいんでしょうか。
#286
○国務大臣(塩川正十郎君) 私は、教育費は政府、自治体並びに家庭とも一応よく相談してみる必要があるだろうと、国民的なベースでですよ、必要があるだろうと思っております。公的教育費の負担というものは、それほど家計においては大きくウエートを占めておりません。確かに、それは以前に比べまして所得が伸び悩んでおるから多少は上がっておるかもわかりませんけれども、大体義務教育関係においてはそんなに負担は大きくなっておらないのでありますけれども、しかし学校外における家庭が行います塾並びに家庭教師の費用あるいはけいこごと、こういうものがもう膨大な金額に達しておりまして、このことが家計を大きく圧迫しております。
 私は、少子化対策の中の一環としてこういう面についても見直していかなければならないだろうと。このことは、母親が子供を産むのに積極的にならない一つの原因もこういうところにあるんではないかなと思っておりまして、したがいまして教育の問題をただお金の問題だけで考えるんじゃなくして、教育トータルの問題として考えていただきたいと、こう思っております。
#287
○円より子君 もちろん、家庭の人たちが子供の教育費をどう考えるかということは大事なことだと思いますけれども、私が申し上げたのは、GDPに占める公教育費が少ないということをどう考えられるかというふうに申し上げたんです。
#288
○国務大臣(塩川正十郎君) それはよく検討してまいります。
#289
○円より子君 ぜひとも、塾等にお金をかけないでも、大学の費用等が安くなれば随分違ってくるんです。そこはもう絶対に検討していただきたいと思いますし、できれば文部大臣にもお聞きしたいんですが、科学論文は質、量ともに米国が今圧倒的にレベルが高くて世界一です。ただ、論文のシェアに占める日本の割合も世界三位なんですが、他の世界の人たちの論文に引用される度合いになりますと、日本は世界十八位と大変低いんですね。
 科学技術立国ということで予算も大きくつけていらっしゃるようですけれども、日本の科学研究をどのようにレベルアップしていくか、どこへどう使うのか、そこが大事になってくると思うんですが、もしよろしければお答えいただけますでしょうか。
#290
○国務大臣(遠山敦子君) 御指摘のとおり、日本の研究者の提出する研究論文の世界のシェアは非常に高いものでございますけれども、その質的な内容について余り高くないというお話がございます。
 ただ、米国のISI、これは科学技術関係のデータベースの会社の発表によりますと、日本の自然科学系の研究論文のシェアは少ないわけでございますけれども、米国に次いで世界第二位の水準にあって、日本の研究者が執筆した論文が引用される回数のシェアについては、一九九九年におきまして約八・五%、世界第四位でございます。主要各国に比べてこれを低いというのか高いというのか難しいわけでございますが、しかしながらノーベル賞受賞者については必ずしも多くない。ただ、先般、白川博士がノーベル賞を受賞されましたように、私は日本の研究者の質は次第に高くなってきていると思います。
 では、どのようにしてこの研究の質を高めるかというのはこれからの大変重要な点であろうかと思います。
 その点につきましては、政府が研究開発を担っていくということは大変重要だと思います。その際に、独創的な基礎研究を推進するということは大変大事であります。それと同時に、ライフサイエンスでありますとか情報通信、環境、ナノテクノロジー、材料といったようなこれから大変重点的になるような分野について研究開発を推進する。その場合に、すぐれた研究成果を生み出すために科学研究費補助金を初めとする競争的資金を拡充すること、それから研究者の流動性を促進すること、同時に大学などの研究教育施設の重点的整備というようなことを行いまして、日本の科学技術システムの改革を推進するということが大変大事ではないかと思います。
#291
○円より子君 歴史に造詣の深い総理なら御存じだと思うんですけれども、かつて我が国には稼ぎと務めという二つの労働観念がございました。例えば、稼ぎがどんなにありましても、務めのできない人は大人とは認めてもらえなかった。その務めとは、例えば堤防が決壊した、火事があった、それから干害だ、それから凶作で死人が出たとかというときに、みんなもう飛んでいって働く、それが務めというものだと言われていたわけですけれども、今のこの世の中を見ておりますと、例えば公的資金を投入された銀行にしても大変もうモラルが低下してしまって、人々のためには全く機能していないんじゃないかと。失業や倒産やそういったもので皆さんもう銀行を恨んでいるような、そんな状況です。
 こういった中で、総理の自信と誇りを持てる国、生きがいを持って安心して生きられる国というのは、やはりその務めを忘れて稼ぎ優先だったことが原因になっていて、なかなかそこの部分をわかってもらえなければ、自助努力だけ、自律自助、自律だけでは私は総理のおっしゃる国はつくれないんじゃないかと思うんですね。
 そのために、じゃ務めをどういうふうにしていくか。この部分を忘れないようにしたいんですけれども、例えば総理は待機児童を解消するとかいろいろ保育所のこと、先ほどもお話ししてくださいましたけれども、育児についてどうもそういう務めというものを女性だけに任せてきた、こういったことも少子化の原因ではないかと私は考えているんですが、二十一世紀は超少子高齢社会だと思います。男女共同参画なんという余り角張った物言いをしなくても、江戸時代には奉行所の役人が子連れで出勤して、障子に穴をあけて、お父さんが白州で犯罪者を今から裁くから見ておいでというような、そんな父親の子育て日記が柏崎日記とか桑名日記として残っております。そういった風潮がもう全く今はなくなって、子育てに優しくない社会になっております。
 まず、総理は、男性の育児休業取得率の低さ、これをどう思われますでしょうか。
#292
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) これは、権利と義務、自由と責任、相反するような言葉ですが、これはコインの裏表、同じだという考えから来ているんだと思いますが、今、男女の考え方についても法律では規定し切れない社会的な考え方に影響される部分も結構多いですね。
 今言ったように、男の社会、男の仲間内では仕事だから休むという場合はまあ当たり前だなというか、そんな批判を受けないんですが、育児のためとかあるいは妻が、親が病気だから介護するから休むというと、ちょっと仕事のために無理するということとは違う観念がありますね、社会常識。そういう点から考えを変えていかなきゃならないんじゃないかなと。男だからこうだ、女だからこうだというんじゃなくて、今ではもう家事も育児も男女分担し合うというのが若い人の間では常識になっていますし、我々の親の世代では女の仕事は家事、育児というのは当たり前だった。そういう状況で変わっていきますね。だから、社会的な、法律的な努力義務だけじゃなくて、社会の観念も変えていかなきゃならないのではないかと思います。
 有給休暇をとる場合も、むしろ全部有給休暇を使い切る人の方が変人と言われたりして、とらない人の方がまじめで働き者だと評価される。休み、我々も、政治家なんか特にそうでしたね。土日休むと選挙に落ちるぞと、土日こそ働けという有権者は依然として多いですね。
 だから、そういう観念というものを変えるのはなかなか難しいんですが、そういう点はお互い新しい時代に即した考え方をむしろ尊重するという意識の改革も必要ではないかなと思っております。
#293
○円より子君 英国のブレアさんのように、率先して、例えば産休をとる男の大臣とか、男の議員が出ることは、当然、変人である総理は推奨なさいますか。
#294
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 推奨するわけじゃありませんけれども、そういうこともいいのではないかな、新しい生き方の一つではないかなと思っております。
#295
○円より子君 政府は、政府といいますか、内閣府の男女共同参画会議の方が、男性の産休をパパクオータと名づけまして、それを五日間義務づける方針を打ち出しておりますが、民主党は、五日間ではなくて育児休業期間中一カ月とれる、でどうかと言っているんですが、企業風土を変えるためにも率先してこういった法案を出していただきたいと思うんですが、これを成立させるということについて総理はいかがお考えでしょうか。
#296
○国務大臣(坂口力君) クオータ制につきましては私たちも一生懸命今研究しているところでございます。しかし、そういう男女共同参画社会で同じようにやっていこうという、そういう目標を立てるところまではいいんですが、ここまで行かないとだめですよという禁止規定みたいなものをつくってやっていくというところまで今やるのが適当かどうか。それは、私たちもちょっとそこまでは行っていないんです、正直申しまして。
 目標を立てて極力そういうふうな、男女が同じようにやっていく、あるいはまた女性が産休をとれないときには男性がそれにかわってやっていく、そうしたことをできるだけやっていける、それが自然にできていくような社会をつくっていくということがまず大事ではないかというので今進めているのが現状でございます。
#297
○円より子君 子供の病気やけがのための看護休暇が請求権として制度化されていないのは日本だけなんですが、公明党はこれをぜひ制度化すべきだとおっしゃっていると思うんですけれども、政府の仕事と家庭の両立支援策にはこれは入っておりません。ぜひともこのあたり、きちんと修正して成立させたいと思うんですが、坂口厚生労働大臣と総理の、女性たちを元気づけるための熱意をお伺いしたいと思います。
#298
○国務大臣(坂口力君) 育児休業のお話でございますね。育児休業じゃなかったかな。
#299
○円より子君 看護休暇。
#300
○国務大臣(坂口力君) 看護休暇。
#301
○円より子君 はい。
#302
○国務大臣(坂口力君) 済みません。
 子供のその看護休暇につきましても、今まではなかなかそういうのはとりにくい環境にあったわけでございますが、お子さんが御病気になったときにその看護のためにお休みがとれるというような状況が徐々にできつつございます。まことにいいことだというふうに思っておりますが、徐々に私たちこれも進めていかなければならないので、まあこれも義務づけるというところまではなかなか至っておりません。
 とにかく、そういう方向性で、できる限りそういう社会をつくり上げていくという方向に今第一歩を歩み出したというところでございまして、大体その辺が、まだ現在の状況のところでは無理のないところではないかというふうに思っております。
 将来は御指摘のような方向に行けるのかなというふうに思いますが、今すぐというわけにはいかないのではないかというふうに思っています。
#303
○国務大臣(福田康夫君) 男女共同参画担当としてお答えいたします。
 今、厚生労働大臣からもお話がございましたけれども、いろいろ仕事と子育て両立支援という立場でもって検討いたしておりますけれども、具体的になりますと難しい問題もあります。そういうこと、難しいとはいいながらも、なお厚生労働省ともよく相談しながら検討してまいりたいと思います。
#304
○円より子君 御存じのように、合計特殊出生率は今一・三四になっておりますが、東京は一・〇三なんですね。もちろん若い人が多いということもございますけれども、特に都市が子育てに不向きであるということがありまして、職場と住居が遠過ぎるということや交通渋滞、また本当に東京の居住といいますと、日本の平均持ち家率は六割なんですが、東京はその逆で六割が借家住まいなんですね。このあたりを変えていかないとなかなかゆったりとした子育てというものはできないんじゃないか。
 総理は、自分の子供のころは缶けりやべいごま遊びをしてよかったとおっしゃっていますが、そういった子供たちは時間のゆとりもないけれども空間のゆとりもなくなっているのが現状で、家から飛び出したら当然車が走ってきて、そんなべいごまをするような場所がないんですね。生活道路というものもなくて、高速道路ばかりがつくられてきたというのが今までの日本の現状だったと思います。
 そうした中で、賃貸住宅にちょうど子育て真っ最中の人たちが一番住んでいる率が高い。また、ライフサイクルがすっかり変わりまして、独身時代、それから結婚して二人子供が生まれて、また今度その子たちが巣立っていって夫婦二人になって、今度六十五歳以上になりますと女性のひとり暮らしというのは大変多くなっています。
 そういった状況を考えると、住宅政策もそれに合わせた政策が必要で、都市再生というのは大変熱意を込めて今度おやりになるようですけれども、そのような子育てしやすい、人々が暮らしやすい社会、そういう都市をおつくりになるつもりかどうか、総理の都市に対する思い、どういう都市のデザインを、グランドデザインを描いていらっしゃるのか、お聞きしたいと思います。総理じゃだめですか。
#305
○国務大臣(扇千景君) 円先生が先ほどおっしゃいましたように、少なくとも子供を持っている割合がどれくらいかといったら、一人で子供を持っているという生活者が三二%であるというふうに円先生おっしゃいました。
 私たちは、そういうことで小泉内閣で少なくとも都市再生本部というのを五月の六日に第一回をやりまして、そして総理みずからが本部長になって、二十一世紀型の都市再生をしようということで、私たちは、少なくとも担当の国土交通大臣でございますので、少なくとも国土交通省としましても、今、先生がおっしゃいました賃貸住宅、そういう中で子供たちが遊べるようなことをしなければならないということと、新たな公共工事の中の団地というものに対しては、保育所、それからデイサービス、そして老人たちに対する在宅介護、そういうものが設備が整ったものでなければならないというふうにもう義務づけまして、私、そういうエコ住宅というのがどういうエリアで見るのか、子供たちがそのエリアでは車が入らないでシャットアウトできて遊べるというのを土曜日も見てまいりましたけれども。
 それが二十一世紀型であって、特に私たちは、私ももうその仲間ですけれども、二十一世紀の日本の高齢社会のためには何としても高齢者に優しい、住みやすい、高齢になってよかったなと、長生きしてよかったなと言える社会のためのまず近いところというのは、今、先生おっしゃいましたけれども、都市再生本部ではそれをぜひ実行して、私たちはただ、二十一世紀に国際都市としてそういう諸外国のレベルに果たしてどこまで追いつけるのかと、ただ物を建てればいいという時代は終わったというふうに考えていますので、そういう目標を立ててやっていきたいと思っています。
#306
○円より子君 済みません。総理、御答弁を。
#307
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 都市という大事な快適な町づくり、これは時代が移るに従って人々の考えも変わってくると思います。
 先ほど私の発言に関していろいろ例を出されましたけれども、確かに我々のときは車がなかったから、原っぱで鬼ごっこや隠れんぼうやべいごまやたこ揚げとかいろんなことをやっていました。しかし、そのころは楽しかったんですが、今、子供に対して、私の子供のころ楽しいから、おい、めんこを教えてあげる、ビー玉やろう、べいごまやろうといったって見向きもしないですよ。もうそれより家にこもって、ファミコンとかパソコンとか、もう実に機械を使うのがうまい。
 そういうので、やっぱり時代が変わるにつれて子供の楽しみ方も違ってきますし、都市を考えるにしても、かつては持ち家がよかった。最近は違いますね、若い人の考え方は。一生同じ家に住みたくないと。若いときには、給料の少ないときには小さなところでいい、ふえるに従って大きいところ、あるいはまた週末は田舎に行きたいとか、いろいろ変わっています。そういう時代の変化に合わせた都市の再生といいますか、都市づくりが必要ではないかなと思っております。
#308
○円より子君 子供の遊びも変わりましたけれども、でも小さいときはやっぱり外で遊ぶということ、親と、みんな大好きなんですね。ところが、だれに当たっても痛くないような小さなビーチボールで子供たちと公園で遊んでいても、ボール投げはやめてくださいなんて言われるような、どこで遊べばいいのかと腹が立つようなことばかりです。また、子供をバギーに乗せて歩いていても全然まともに歩けるような道はありません。どっちが鶏か卵かわからないというのはよく小泉さんのおっしゃることですが、ぜひとも子供たちが遊べるような、箱物ばかりつくらない、そういう都市であってほしいと思うんですね。
 さて、都市再生本部がスタートしました。これはどういったことをおやりになるのか、少し詳しく、またどんな手順でおやりになるのか、お聞かせ願えませんでしょうか。
#309
○国務大臣(扇千景君) 都市再生本部は、私は緊急経済対策の中の大きな柱の一つであろうと思っております。と申しますのは、日本はもともと二十世紀、今、円先生がおっしゃいましたように、多くのものをつくり過ぎまして、それが横の連携がとれていない。私の省庁で言わせていただきますと、建設省と運輸省、縦割りになっておりましたために、港、国際空港、道路、鉄道、全部ばらばらで一体感がない。
 ですから、その一体感がないために物流コストが世界的に日本はとてもたえ切れない。世界に伍しては、本当に哀れなくらい物流が高くなっていると。その物流コストの中で都市と言えるものの条件は何か。国際的に国際都市と、国際という看板がついたら、国際都市というものは、十分以内に港から、あるいは国際空港から荷を揚げたものが十分以内に高速道路に連結し、一時間以内に主要都市に行ける、そういうものをつくらないと、欧米先進国ではそれが九九%、日本は四四%。それでは世界に伍していく都市がない。
 しかも、今はIT社会になりまして、今東京都内で建てているビルもすべて光通信が、光ファイバーがあるとか、そういうITの設備が整っていないところは国際的に皆さんがお入りにならない、借り手がなくなる。そういうことが現実的になっていますので、あらゆる都市というもののあり方、それを変えていこうということで、すべて今つくるだけつくったのではなくて、つくったものはより効率的にしなければいけませんけれども、新しいものに対しても、国際都市という看板にふさわしい都市。御存じのとおり、東京都内、まるで渋滞して物が運べません。あらゆる面で物流コストを下げるためにも、そして快適な都市生活をするためにも変えていこうというのが都市再生本部の大きな役割だと思っております。
#310
○円より子君 皆さんのお手元にこのパネルと同じ資料をお配りしてあると思うんです。(図表掲示)
 これは、一九八九年十二月二十九日から今まで、公示地価ですね、商業地の最高の公示地価と、それは九一年ですが、そしてこのとき、日経平均株価が三万八千九百十五円、時価総額が五百九十一兆円と、最高になったときから今までの下落率をあらわしたものなんですけれども、九五年は円高だったものですから、ドルベースで見れば時価総額も株価もほとんど下がっておりません。それに比べて地価は大変下がっている。また今回、ことしの三月十四日、本当に株価が一万一千八百四十三円になったときですが、このときは地価も株価もドルベースでもどちらも下がってしまっているということなんですね。
 なぜこれをお見せしたかといいますと、宮澤大臣にも以前、質問して聞いたことがあるんですが、大臣はそのとき、日本の政府は全く個人の資産を守るというようなストックの政策を打ってこなかったとおっしゃったんです。この失われた十年といいますけれども、まだ円高を誘導したことによって株価時価総額、こちらは国際的な競争力を九五年時点までは持てていたのに、今はもうどちらもひどい状況になっていると。
 治にいて乱を忘れずと小泉さんはおっしゃいましたけれども、今は私、この地価と株価が下がった状況というのはもうまさに大乱のとき、有事のときだと思うんですね。こういった状況で結構すっとぼけたことをおっしゃるなと思ってしまったんですけれども、本当にこの大乱のときに大改革をしていくためには、先ほどの都市再生で道路特定財源をそちらに回すと財務大臣はおっしゃいましたが、これはもうぜひやっていただきたいんですが、いかがでしょうか。
#311
○国務大臣(塩川正十郎君) しばしば申しておりますように、今はもう垂れ流しの国債発行は許されませんし、そういたしますと、ここで財政のけじめをつけるために、とりあえずはここ数年の間、国債発行額を三十兆に抑えなきゃならぬ。そういたしますと、来年度を展望いたしましても、恐らくことしと来年度の予定を上下合算いたしますと、約五兆円の圧縮をしなきゃならぬということになってまいります。そうしますと、現在ある財源の中でこれを有効に使いたいというのはもう為政者としては当然のことだと思っておりまして、その一環といたしまして聖域なき見直しを行いたい、その一環は道路特定財源にもある、こういうことでございますので、これは見直しをやっていきたいと思っております。
#312
○委員長(岡野裕君) 時間であります。
#313
○円より子君 では、まとめますので。
 この今の株価、地価の下落状況から見まして、また不良債権の多さを考えますと、今、資産として土地を持つのではなくて資源として利用する、そこに付加価値をつけることによって地価を適正価格まで上げていくことも大変重要ではないかと私は思っておりまして、ぜひともこの都市再生にかけて力を入れていただきたいと思うのです。そして、その道路特定財源のことはもうぜひとも頑張っていただきたいのですが、参議院選が終わったら忘れてしまいましたとおっしゃらないようにぜひお願いをしたいと思います。
 それでは終わります。
#314
○委員長(岡野裕君) 以上で峰崎直樹君及びその関連質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#315
○委員長(岡野裕君) 次に、真鍋賢二君の質疑を行います。真鍋賢二君。
#316
○真鍋賢二君 自民党の真鍋賢二であります。
 総理、四月二十六日に小泉内閣が誕生して以来、二十五日の日が過ぎ去りました。総理大臣になろうという意欲で燃えておったときと、今、二十五日間を現職総理として過ごした違いというものが私はあるのじゃないかと思っております。総理の心境を聞いてみましても、こんなに忙しい仕事とは思わなかったとか、重責に耐えかねるようなところも多いというようなことを申されておったわけであります。
 かつて私がお仕えした政治家の中で、元総理の池田勇人先生、そして大平正芳先生がおられました。池田総理は、総理大臣官邸に参りまして総理大臣室に入りますと、いつも東の空に向かってかしわ手を打っておった。儒教、仏教精神の強い総理でありましたから、きょう一日が平和であってほしい、日本の国が世界に貢献できるような立場に早く立ちたいというような念願を込めて、別に神様がどうだというわけではないわけですけれども、その精神を込めてかしわ手を打っておった。
 それから、大平さんにしてみれば、私がそばで仕えたわけでありますけれども、よくその癖を承知いたしておるわけでありますけれども、いつも手を組んでおった、合掌しておった。その合掌のゆえんはと聞きましたら、やはりクリスチャンでございますので、これも祈りの精神を忘れてはならない、この生かされておる現在というものに感謝しながらも、しっかりとした政治をやっていかなきゃならない、そんな心境であったと伺っておるわけであります。
 そこで、そういう人と比較して、まだまだその比較の日にちはたっておりませんけれども、現在の心境をお聞かせいただけたらと思うわけであります。
#317
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 毎日、総理大臣という重責の圧力と緊張の中におりますが、私にとりましては、これといって特別の習慣はないんですが、ともかくあらゆることを犠牲にしても総理大臣の職責は立派に果たさなければならないというその決意と覚悟だけであります。
#318
○真鍋賢二君 まさに命がけで仕事をやろうという気概がほとばしっておったと思うわけであります。その精神でもって仕事をやっていこうということで、かつてどの内閣でもチャレンジしながら実行ができなかったその改革、変革を遂げようということで構造改革を打ち出しておるところであります。このことは、私は非常にいい課題だと思うわけであります。
 政治家というのは、最初に言葉ありき、後は実行あるのみと、こう言われておるわけであります。まず最初にその改革の精神を述べたということは、私は非常にいいことじゃないかと思っております。それをどれだけ実行していくかということが、これから国民から得られる大きな支持じゃないだろうかと、こう思うのであります。
 翻ってみますると、小泉内閣誕生に際しましては総裁予備選挙があったわけであります。この忙しい国会の中で予備選挙をやるというのは至難のわざであったわけでありますけれども、やはり内閣を変えなければ日本の国はよくならない、変革しないぞ、改革しないぞというその精神が最優先されたわけであります。
 そんなことによりましてこの小泉内閣が誕生いたしたわけでありますけれども、私は、この内閣で一番よかったのは、開かれた政治が行われたんじゃないかと。今までは閉塞感に満ちておったわけでありますけれども、そういう状態でなく、党員、党友による、限られた人ではありますけれども、多くの皆さん方の意見を聞いてみようというその意欲がほとばしっておったのが総裁予備選挙ではなかったかと、こう思うわけであります。
 それがためにということで、総理がミニ首相公選論と、公選論をよく唱えるわけでありますけれども、ミニ公選論をもう地でいったんじゃないだろうかと、こんな気がしてならないわけであります。このことについて、無党派層まで取り入れたような状態になったと思っておるわけであります。
 この無党派層を取り入れるのなら、やっぱりそういう改革、変革の精神を大きく打ち出していくということが大事なことじゃないだろうかと思うわけでありますけれども、その点についてどういうお考えを持っておるかお聞かせ願いたいと存じます。
#319
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 最初、私も含めて、私を応援してくれる議員、国会議員、自民党の国会議員は、負けても小泉を応援するという気持ちで応援してくれました。だんだんやっているうちに、ひょっとすると勝つかもしれない。それは、多くの国民が非常にこの総裁選挙に関心を持ってくれた、そして自民党員も日本国民なんだからこの期待を受けとめてくれるだろう、これが本物だったら予備選挙で勝つな、勝てば国会議員も党員の声を反映しなきゃならないと言っている限りこたえてくれるだろうということで、ひょっとするとということが現実のものとなったわけで、私が総裁になり総理に就任したんだと思います。私は、これは非常に大きかったと思います。
 党員でなくても、自民党の支持者でなくても、国民が動けば自民党員も動くな、自民党国会議員も動くなということを今回の自民党総裁選挙は如実にあらわしたのではないか。
 ですから、私は、今後、党内の派閥の問題におきましても、自民党公認候補である限り、一人一人が有権者に何を訴えたいのか、何のために自民党に投票してくれと言えるのかということを考えていただきたいと。だからこそ、派閥の論理でなく私は政治をやるつもりなんだから、派閥なんか出ればいいじゃないかと。派閥が何が悪いと思って当選できるんだったらそういう候補もいてもいいかもしれないけれども、そんな世の中甘くないと私は思っております。
 何を変えたいのか。小泉とともに改革をしたいというんだったらば、私の方針に従っていただきたい。しかしながら、そうじゃない、小泉の方法は間違っているというんだったらそれなりにとっていただいていいんですけれども、私は、私のやり方で何とか自民党を変えていきたい、日本の政治を変えていきたい、改革に向かって抵抗を排して頑張っていきたいという気持ちでおります。
 ですから、できっこないだろうと思われた派閥無視の組閣もやってのけました。低公害車、全部低公害車に切りかえろ、これも実施に移しております。特定財源見直し、とんでもないという声がいまだにあります。必ず見直します。
 徐々に具体策を示して、やっぱり小泉内閣というのは今までと違うなということを徐々に見せていって、いずれ、やはり小泉が総理になったから自民党も変わった、政治も変わったという形に時間をかけてやっていきたいと思います。御協力お願いしたいと思います。
#320
○真鍋賢二君 まさに二十一世紀を迎えた日本の政治であります。改革を加えていかなければ日本の将来はないと言っても私は過言でないと思う。ただ、二十世紀にやっておかなければならなかった仕事があったのじゃないだろうかと。例えば憲法問題、そして靖国神社の問題、総理が今いろいろと言われておりますけれども、この問題についても、私は避けて通ることはできない、こう思うわけであります。
 少しではありますけれども私の持論を申し上げますと、やはり憲法問題というのは、昭和三十二年以降、いろんな形で我が自民党としても党則として改正をしていこうということで俎上に上げたわけであります。ですから、各立候補予定者の政策を見てみましても、自民党の各議員はほとんどが憲法改正をうたっておるわけであります。また、党則にもそういうことが織り込まれておるわけであります。今日までずっと内閣が続いてまいったわけでありますけれども、四十数年たってもまだこの憲法問題について断が下されておらない、こう思うわけであります。
 決して憲法が悪いから変えろと言うわけではないわけでありまして、戦後の五十有余年というのはこの憲法で通用してまいったんですけれども、もう二十世紀型の憲法になってしまっておる、こう思うわけであります。世界の憲法を総じて見ましても、約十三番目に古いそうでございますね。ですから、もうもはや待ったなしの憲法見直しというものをやってみなきゃならないということであろう、こう思うわけであります。
 憲法の精神というのは、やはり平和憲法に徹していかなきゃならないわけでありまして、その精神は生かしていかなければならないけれども、ただ拡大解釈なんかをして、これをある意味ではうやむやに過ごしてきた点も多々あるのじゃないかと思うわけでありまして、その点について、総理の御見解を聞かせていただければと思うわけであります。
#321
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 自主憲法制定というのは自民党の党是であります。今の憲法の基本的理念、平和主義、民主主義、基本的人権を守るという今後も維持したい理念と、それと時代に合わせて憲法も変えていきたいということから衆参両院に憲法調査会が設けられて、今活発な議論が行われております。
 これからも、憲法改正を言うと右翼だとかタカ派だというとり方が今まであった。そうではない。あらゆる問題について、よきものに改革していこう、いわゆる改正していこうということは、自由に偏見なくその議論を見守る姿勢が大事ではないかという意味において、憲法改正を言うとすぐ偏見の目で見るのは私は好ましいものではないと。
 これからも、これからこの憲法調査会でいろいろ議論が深められ、報告が出てくると思います。各条項、それこそ聖域なく見直すべき点は見直すという議論は、進められることあっても、一つの偏見でその改正論議すらいかぬという議論は決してしてはならないと思っております。
#322
○真鍋賢二君 今、憲法調査会、衆参両院でいろいろと憲法問題について議論をいたしておるわけであります。決して拙速を選ぶわけではございませんけれども、いつの時代かということで、やはり少しの目標を立ててやっていかなきゃならない、こう思うわけであります。
 その問題について、いつごろというお考えがあるのでしたらお聞かせをいただきたい、こう思うわけであります。
#323
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 憲法は国の基幹的な法律問題でありますから、これは改正する際には国民の世論も見きわめ、慎重な配慮が必要だと思っております。
 いつまでという期限はありませんが、今、憲法調査会が設置されて、五年をめどに報告を出すというようなことでこの憲法調査会の議論が始まったと思います。その報告を見て、そして国会等国民の世論の動向を見きわめて、憲法改正議論がオープンに自由濶達に行われて多くの国民の関心を集めた中で賛同を得られるような形で憲法改正がされるならば一番望ましいなと思います。
#324
○真鍋賢二君 次に、靖国神社の問題でありますけれども、私も遺児の一人で、地元の遺族会の会長を長年させていただいておるわけであります。大平内閣は、できたときに、おまえの終生の仕事ということでこの靖国遺族会問題は取り組んでいかなきゃならぬぞと、こんな言もいただいたわけであります。私も真摯にこの問題に取り組んでまいったところであります。
 日本と中国とか韓国とのこの文化の違いというものが大きくあるわけであります。日本人ならば死人にむち打たずということで、これはもうどういう犯罪を犯そうが、死者になった場合には、霊になった場合には、それを恭しく祭っていくんだという精神であります。中国の方に参りますと、それが孔子、孟子の廟に対してでも、文化大革命のときにはむち打った状態も出たわけであります。韓国に行っても、私はこの問題について香川県の日韓議連の会長をしながら問題提起しまして、いろいろと話し合いをしたところであります。個々に話をすれば十分それに対する理解ができるんだ、国と国とということになってくるとなかなかその辺の理解がしにくいと思うわけでありまして、その理解を深めるための懸命の努力をしていかなきゃならぬと、こう思うわけであります。
 私も中国に参りまして、日中国交正常化のために長い間この中国との友好関係を深めてきたわけでありまして、ある意味では、私のひとりよがりかもわかりませんけれども、中国との信頼関係は日本の中では厚い方じゃないかと、こう思っておるわけでありますけれども、私が話せばそれに対する余り抵抗がないわけです。
 おれのおやじは中国で戦死したんだよと、そういうことを思うと、中国へ来て、中国のこの英霊に感謝の気持ちをあらわすのは当たり前だと。中国の方が来たら、日本の靖国神社でその精神を訴えてくれと、こういうようなことも言うわけでありますけれども、なかなか両国の違いがありまして、一遍に理解ができない。
 第二次世界大戦の生き残った人たちも今まだたくさんおるわけでありまして、その人たちを逆なでするような行為はやっぱりやめてほしいなというのが中国側それから韓国側の考えであります。日本の考えは、私が先ほど申したような考えに立ってのことでありまして、両国間でこれはもう本当に信頼関係を積み重ねていって、長い話し合いの中にこの問題の処理がなされなけりゃならない、こう思っておるわけであります。
 私は、この靖国神社という社について考えるところでありますけれども、これは、戦後この法人格を取るために、何の法人でもよかったんです。極論すれば農協法人でもよかったんです。それはやはり英霊慰霊の場であるからということで宗教法人にしたわけでありますけれども、それが信教の自由で、そして政教分離をしなきゃならぬというような言になってくると、これまた考えが違ってくるのじゃないかと思うわけであります。
 ですから、宗教問題、宗教と政治、そしてA級戦犯が合祀されているのがよくないということならば、先ほどのような考えでもって処理していくとかいうようなことを考えて、これはもう本当に両国間で話をして、感謝の気持ちでもって英霊に参拝するんだという素直な精神でもって私はやればいいのじゃないだろうか、こう思っておるわけであります。
 歴代の総理大臣をひもといてみましたら、戦後、東久邇宮内閣から始まりまして昭和六十年の中曽根内閣まで、全大臣はもう公式や非公式なんか言わずに堂々と靖国参拝をいたしておるわけですね。それが、六十年の憲法問題につきまして若干の抵触があるかというようなことの議論が出たわけでありましたが、当時の藤波官房長官の諮問機関で議論したところ、そういうことはないということにも相なったわけであります。
 だから、両国、中国や韓国に対する思いはしていかなければなりませんけれども、日本は日本の立場を主張しながらこれを私は実行に移していくべきじゃないだろうかと、こう思うわけでありますが、この点についての御見解を伺いたいと存じます。
#325
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私が靖国神社に参拝することについていろいろ批判の声が出ております。いまだに、なぜそんなに批判されなきゃならないのか、理解に苦しんでおります。
 私は、素直な気持ちで、戦没者に対して敬意と感謝の誠をささげたいという気持ちで参拝するつもりでおります。なぜならば、今日の平和と繁栄というのは、ああいう戦没者の方々のとうとい命を犠牲にした上に成り立っていると。そして、それぞれ国によって、文化の違い、習慣の違い、死者に対する思いも違っていると思いますが、私は、戦場に行って命を捨てるということは大変なことだと思います。恐らく第二次世界大戦におきましても、家族と離れ、戦場に行った方々の気持ちはどんなだったかと思うと、本当に胸を打たれる思いが今でもあるわけでありますが、そういう方々に対する素直な感謝と敬意の気持ちをあらわしたいという気持ちで総理大臣として参拝するつもりなんです。
 いまだに私は、嫌なことがあると、あの特攻隊員の気持ちになってみろと自分に言い聞かしてみます。特攻隊員として出撃するより、どんな嫌なことがあってもそれに立ち向かう方がいいだろうという気持ちで、いろいろな嫌なことがあると、あの「ああ同期の桜」の本を思い起こしたときの感動を忘れずに、その嫌なことに立ち向かってきた経験がございます。
 今回、総理大臣を拝命した現在も、何かきついこと、つらいことがあればそういう気持ちを思い起こして、あの方々の、特攻隊に乗り組んでいった青年たちの気持ちに比べれば、こんな苦労は何でもないという気持ちで立ち向かっているつもりでございます。
#326
○真鍋賢二君 少し長たらしいようでございますけれども、私が中国へ行って感ずることでありますけれども、日中国交、航空協定等々でいろんなお手伝いをさせていただいたわけでありますけれども、そのお礼と申しましょうか、そんな感謝の気持ちも持って中国の地に来てくれということで、私も喜んで参ったわけであります。そのときに、自分の訪問する希望するところがあったら申し出てくれと言うから、私はそっと自分の父親の戦死した場所も書き込んで自分の希望を申し出ておったわけです。
 そうしましたところが、私の希望したところだけが残されて、その他は一般的に訪問させていただいたわけであります。遠隔の地だったから少々無理かなと思っておったわけでありますけれども、後ほど政府要人に聞きましたら、あんたの父親の戦死したところへは連れていけないと。それはどうしてかといえば、やっぱり戦場に行ってその当時のことを思い出して中国に対する憎しみなんかがわいてきてはだめだと、そういうことの深慮遠謀の結果そういう判断を下しておるということでありました。
 中国に参りましたら、水を飲むときに井戸を掘った人の苦労を忘れるなというのはよく言われますけれども、やはりそういう気持ちを持って事の処理に当たるということが私は大切なことじゃないだろうかと思っております。ただ残念なことに、日本人に対する中国やその他の外国から見て好戦国、好戦的な国であったということは逃げようのない事実であったと、こう言うんですね。ですから、もし戦争の芽生えが少しでも出たら、それを摘み取っておかなきゃならぬと。そうすることが両国関係の友好関係を増進することにもなるわけでありますから、靖国神社がそういう形で見られておるということにも思いをいたしておかなきゃならないんじゃないかと思います。
 いずれにいたしましても、この問題は一刀両断に解決できるという問題ではないと思いますけれども、今私のお話ししたような問題につきまして、粘り強く両国間の信頼を構築するように努力してまいることが私は何よりも大切だと思うわけでありますけれども、その点についてもう一度総理の見解をお聞かせいただきたいと存じます。
#327
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私は、靖国神社に参拝するときも、二度と戦争を起こしてはならないという気持ちを込めて参拝するつもりであります。同時に、中国にしても韓国にしても、隣国としてこれから友好関係を増進していく、何か問題があったらばお互い立場を尊重しながら理解に努める、改善策を講じる、粘り強い努力が必要だと思っております。
#328
○真鍋賢二君 次に、環境、エネルギー問題についてお話をさせていただきたいと存じます。
 総理は、先般の所信表明演説の中で、二十一世紀は環境の時代である、まさに自然との共生が大事である、また循環型社会を構築していかなきゃならない、男女共同参画関係の仕事もやっていきたいということで、三つの政策を掲げたわけであります。その最初のところに自然との共生というのがありました。
 私もこの年になりまして、自分は自然の中に生かされておるんだという気持ちがしてならないわけです。かつて、大平さんが田園都市国家構想なんというのを打ち上げまして、都市の活力を田園に、田園のゆとりを都市へというようなことでこの構想を打ち上げたわけであります。それが十分意味が通じなかったわけでありますけれども、ようやくにして、おれもこの世の中に生かされておる、いつまで生きるかわからないけれども、そういう自然の恩恵を受けておるんだというようなことを常日ごろ思うわけであります。
 一方、人間以外の動植物、考えてみましたら、私は、藤前干潟とか三番瀬とか谷津干潟とか、いろんな干潟がありますけれども、その干潟の中に生息しておる動物がたくさんおるわけです。私も現場を見まして、シギ、チドリなんかが採餌場にしたり、そしてまた休息場にして、そこを根拠に飛び回っておるわけです。その生涯をそこで羽ばたいておるわけであります。その姿を見て、こういう人たちと、共生していかなきゃならぬじゃないかというような気持ちがしてならないわけであります。
 自然との共生を訴えた小泉総理であります。時宜を得た政策だと私は感心をいたしておるわけでありますけれども、この訴えた根拠をひとつお示しいただきたいと思います。
#329
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私、テレビの番組で一番好きなのは動物の記録映画、「生きもの地球紀行」とか、映画でも植物でも自然の姿を描いた記録映画、大好きなんです。それを見ていると、植物にしても動物にしても、ごみというのは一切ないんですよ。すべて自然に返ってくる。土に返ったり、自分の死骸は他の生命をはぐくむ糧となったりね。ところが、人間だけ、人間のつくり出したものだけが逆に地球に、人間に害を与えている。これをこれからの社会においては科学技術によって、今まではごみとなったものが有効に再生利用されるような科学技術も研究開発されるべきじゃないか。むしろ、人間こそが異星人じゃないかと思われるぐらい地球に害を及ぼしているんじゃないかと。
 だから、自然に返るというよりも、自然と一緒に協調するのは植物、動物に見習わなきゃならない、人間こそが。そういうことで私は自然と共生というのが大事だと。これからの科学技術も、ごみゼロ社会と言っているのも、動物、植物に見習おうと。人間が自分たちでつくり出した害ある生産物に対しては、これが有効に、害にならないような科学技術を開発することによって人間の英知というものがあるんじゃないかという考えから、ごみゼロ作戦にしても自然との共生という言葉を使ったわけであります。むしろ、人間こそが動物、植物の世界を学ぶべきではないかという気持ちからあの言葉を使ったということを御理解いただきたいと思います。
#330
○真鍋賢二君 私は、環境の面につきまして、やっぱり自然との共生を実現するためには自然環境保全をしっかりと図らなきゃならないわけでありまして、ある意味ではトータルプランというものをつくって、これを示すことによってお互いに協力し合ってやっていこうということじゃないだろうかと思っておるわけであります。
 その何かプランニングがありましたらお聞かせをいただきたいと存じますが、これは川口環境大臣でしょうか。
#331
○国務大臣(川口順子君) ただいま総理から自然との共生が非常に重要であるというお話をいただきましたけれども、環の国日本という考え方を環境省は、環境庁から環境省になりましたときに打ち出しておりまして、これは自然との共生も含む、それから日本と他の国々との環も含む考え方でございます。
 こういった考え方に沿いまして、百年間を見通した構造改革を進めつつ、総理のお考えに従うように環境省として一生懸命仕事をさせていただきたいと思っております。
#332
○真鍋賢二君 かつての宇宙飛行士、毛利さんとか向井さんが宇宙から地球を見たその印象記が載っておりましたけれども、やはり地球は青くてきれいだ、しかし小さかった、その小さな地球の中に六十二億の人が住んでおるのかと思うと何か恐ろしさも感じるということであったわけであります。私が思うのに、その感想記は、地球は砂漠化されておる、随分砂漠化が進んでおる、そしてまた焼き畑農業なんかによって森林が燃やされておる、壊されておる、そういうのを早く修正しなきゃならないというようなことを申しておったわけでありまして、むべなるかなという感じがいたしたわけであります。
 地球を大切にしていくという精神がこれから私は何よりも大切だと思うわけでありまして、まずもって地球を大切にしなきゃならぬという精神についての御意見をもう一度お伺いしたいわけであります。
#333
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 後ほど川口環境大臣にも御答弁をいただきたいと思いますが、今、温暖化問題につきましても、今まで我々が理解できなかった、想像を超えるような破壊が起こっているようであります。文明の利器として、文明生活を快適に送れると思っていろいろ生活のいい機器が発明されておりますけれども、知らず知らずのうちに地球全体に思いも寄らない害を与えているんだなということからあの京都議定書の温暖化問題に対する世界的協議が行われている。それぞれ、生活の改善、経済開発と地球環境の保全、この問題はこれからの社会で本当に大事な問題でありますが、難しい問題でもあります。
 我々、環境の問題というものを大変重要な問題と考えて、人間と共生できるような施策をそれぞれの国が協力しながら打っていかなきゃいかぬと思います。そういう点において、川口環境大臣には、世界的にも国際的にもいろいろな会議に出て日本の立場、環の国づくりの考え方も説明していただきまして、日本がいかに環境問題に真剣に取り組んでいるかということを訴えていただいておりますし、日本としてもむしろ世界の中で環境問題に一番熱心な国だという評価も得られるように、これからもいろいろな施策を進めていかなきゃならないと思います。
 後ほどまた川口環境大臣の方からお答えします。
#334
○真鍋賢二君 地球温暖化の問題については、今から御質問をしようと思っておったわけであります。
 その前に、私は、自然との共生という中に、トキということについて、一遍、皆さん考えてみていただいたらと思うわけであります。今、佐渡島に住んでおるトキであります。
 全羽数が十五羽と聞いておるわけでありますけれども、それはまだ、けさ生まれたとか生まれないとかいうようなこともあって、これは川口大臣からお聞きをいたしたいわけでありますけれども、トキが生息するのは今、佐渡島だけということになっておるわけであります。日本古来の動物であったわけでありまして、江戸時代には大空を雄飛しておったわけです、トキ色になっておったという。今、トキ色といったって何色かわからないというような人も多いわけでありますけれども、桃色と申しますか、ピンク色と申しましょうか、時によって変わっていくわけでありますけれども、そのトキというものは、ニッポニア・ニッポンという学名までつけていただいて、日本固有の鳥であると、こう言われておったわけでありますけれども、私が環境庁長官になった一九九八年には、もう日本で一羽になってしまった、キンさん一羽ということで、これは何とかしなきゃならぬということで、私がちょうど一九九八年の十月に中国に参りまして、環境大臣会合にも出させていただきましたし、また、日中平和友好条約の二十周年記念にも参加させていただいた、日本の国を代表して出していただいた。
 そのときに、中国の江沢民主席が十一月に日本を訪問したい、一九九八年の十一月に。しかし、何かお土産を持っていきたいと。お土産でいい知恵ないでしょうかというのが今の唐家セン外務大臣の意見であったわけです。私も唐家セン外務大臣とは国交正常化以来、あの人は毛沢東さんの秘書と通訳をしておった、そんな関係で私も三十年近いおつき合いをいたしておるわけでありまして、あうんの呼吸でいろんなことが話し合いできるわけでありまして、何か真鍋さん、いい品物を想定できぬかということであったわけです。
 私は、キン、トキ一羽になっておるので、中国は野生のトキが随分ふえておるということだったから、おい、トキを一つがいもらえぬかと、そういうことを冗談まじりに言ったわけでありますけれども、ああ、それはいいアイデアだということで、翌年の九九年の一月にトキを一つがい贈呈してもらったわけであります。
 そのトキというものが、このところ非常に大切にされて増殖しておるわけでありますけれども、野生のトキではないわけであります。ですから、まだ野生に放つほどの力を持っていないわけでありますけれども、将来はこのトキが佐渡島、否、東北地方の空を染めるぐらいのやっぱり雄飛を、飛躍をしてもらいたいと、こう思っておるわけでありまして、それがためにということで、これは、トキが生息するには何が必要かといえば、トキが少なくなった原因は日本の農薬や化学肥料であるわけでありまして、化学肥料や農薬を使うことによってトキの生息、採餌場を奪ってしまう。
 ですから、今もう、ドジョウやカエルやタニシなんというのはトキの常食でございますけれども、いないじゃないですか。今はメダカでさえいない。小泉総理も子供のとき、よくお遊びになったというときには、メダカなんて幾らでもおったじゃないですか。メダカはもう希少品種になってしまって、高知県でメダカの希少のために大会をやるぞと言ったら、そこの会長さんが記者会見して皆さんに誇示できるような状態になってしまっておるわけでありまして、もう日本にすむ動植物が少なくなっている。
 ですから、トキを大切にしなきゃならぬということを訴えると同時に、トキによっても、私は、日中友好関係によって田中大臣のお父様、角栄先生が、最初、一九七二年に国交正常化していただいたおかげをもって今日こういうような状態になってきたんですから、その先輩の培った大きな遺産というものを大切にして、これからもトキの保護とか、そしてまた動植物の保護に当たっていきたいと思うわけでありまして、この点について、川口大臣と小泉総理からお伺いしたいと思います。
#335
○国務大臣(川口順子君) まず、トキの数でございますけれども、けさ最後の卵がふ化をいたしまして、ひなの数が十二羽、それから大人のトキが七羽ございまして、合計十九羽ということでございます。
 先ほど、真鍋委員が、トキが一羽からここまでふえることに至った経緯をお話しいただきましたけれども、実は非常に控え目にお話しになられたんではないかと思いますが、トキが十九羽になるということの陰には、当時の環境庁長官でいらした真鍋委員の一方ならぬ御尽力があったと私は理解をいたしております。
 トキがトキ色の羽を見せて佐渡の空を舞うということは、二十一世紀に私どもが持っている夢でございまして、そのために環境省は平成十二年度から三年間の計画をつくりまして、環境再生ビジョンを策定する共生と循環の地域社会づくりモデル事業というのに取りかかっております。
 今後とも、中国との連携を行いつつ、トキがトキ算的に日本でふえるということを楽しみにして仕事をしていきたいと思っております。
#336
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 今、トキのお話を伺っても、トキだけではだめだと。トキが何を食べて生きているのか、その環境全体を考えなきゃいかぬ。蛍でもそうですね。結局、一つの動物を大事にするためにはより広い大きな全体のことを考えないと絶滅に行ってしまう、そういう御指摘をいただいたんだと思います。非常に大事な、これから環境問題を考えるにおいても重要な御指摘だと思っております。
#337
○真鍋賢二君 このトキの贈呈に関して大変中国側の御好意をいただいたわけでありまして、今、環境大臣が十九羽と言いますけれども、その中で中国にお返ししなきゃならない分もあるわけでありまして、まあ十四、五羽ぐらいになるのかなという感じも持っておるわけであります。この陰には、やっぱり新潟県選出の国会議員で大臣で活躍しております田中外務大臣なんかのお力添えをちょうだいいたしたわけであります。
 私は、外務大臣にこの機会にちょっとお願いしておきたいんですけれども、環境大使というのがありますね。それで、環境会議に率先して出ていただいておるわけであります。しかし、大使の任期が今までの大使と同じように一年以内なんですね。それで、早くかわるものですから、環境行政なんというのはもう少し時間をかけて長くやってもらわないと不都合が非常に多いんじゃないかと、こう思うわけであります。
 そしてまた、環境省はイニシアチブをとらなきゃならないわけでありますけれども、どうしても外交関係に携わっておると、対外的なことになると外務省がやっぱり表に先に出ていくような形になるわけであります。ですから、出るだけでいかないわけでありますから、その内容を伴った大使の役目を持ってもらわなきゃならないと思うわけでありまして、私は環境大使なんというのはそう粗末に扱うのではなくて、もっともっと慎重に扱っていただいて、その任命をしていただきたいと思います。
 大臣、大使の任命権者は大臣でありますから、どうぞよろしくお願いいたします。
#338
○国務大臣(田中眞紀子君) 先ほど来、真鍋先生から日中国交、それからそれにまつわるあらゆる熱い思いを述べていただきまして、私もかつての父の苦労やら大平先生の温容とかいろいろしのびながら伺っておりました。
 環境大使の重要性につきましては大変よく肝に銘じましたし、また関連してちょっとお話をさせていただきたいと思いますけれども、中国と日本は本当に長い歴史の関係があって、そして一衣帯水の関係もございます。その中で、今も、そして多分将来もそうでしょうけれども、個別の問題がたくさん生じてくるということは考えられるわけですけれども、そうであってもやはり一番大切なことは、お互いがまず目と目を見て、そして胸襟を開いて、そして信頼と理解、そうしたスタンスに立って率直に意見交換をする、そのことによっていろいろな個別の問題も乗り越えていけるのだというふうに考えております。
 それはお互い違った国家でございますから、それぞれが冷静かつ客観的に国益というものをお互いに考え、なおかつこれは私、外務大臣としての信条でございますけれども、世界の平和と安定のためにお互いにどれだけいいエネルギーを出し合えるか、いかに前向きなことをするかということが基本であると思いますので、その視点に立てば、中国だけではございませんけれども、あらゆる国と最善の努力をしていい関係が結べると思います。
 さらに一言、お尋ねの前によろしゅうございますか、トキのことでございますけれども。
 トキは、本当に中国との関係で民間外交といいますか、市民外交という感じで、とてもいい関係に行っていることは関係者の皆様に感謝をしたいというふうに思います。ですが、現実にテレビなんかでふ化している状況を見ますとちょっと不自然でちょっと弱々しい印象も受けますので、先ほど来、前大臣として先生や、それから環境大臣、総理がおっしゃっていらっしゃるように、基本はやっぱり自然環境の生命サイクル、生態系をもう一度戻すということなんですね。そのことによって、先ほど来諸先輩が言っていらっしゃる、白いトキが翼を広げると淡紅色、それがトキ色なわけですけれども、そうした鳥がたくさん佐渡の空を、特に夕方舞っていて美しかったということを土地の古老から聞いたことがございまして、それの再現をすること、それが中国と日本の一般の努力をしている人たちの夢だと思います。
 最後に、ビオトープという言葉、御存じでいらっしゃると思うんですけれども、これは生命をはぐくむ場所というドイツ語でして、これは私の娘がこれにかかわっているもので一番毎日毎日言われているんですが、いわゆる湖沼ですとか雑木林とか沼地とかそういうところが生命のサイクルを、生態系をつくる。
 人間も、先ほど総理がおっしゃったように、生物の、生きるものの一つ、一部なわけです。地球環境によって生かされているわけですから、そうした謙虚さを持ちながら、そして同時に夢を持ちながら力強く日本外交を進めていきたい、かように思っております。
#339
○真鍋賢二君 次に、気候変動枠組み条約の問題についてお伺いをいたしたいと存じます。
 御案内のように、一九九七年に京都議定書というのが取り交わされたわけであります。世界的にすばらしい温室効果ガス排出量の削減をうたったものであります。日本も六%、アメリカ七%、EU八%というその目標値をつくりまして、それがために頑張っていこうということに相なって今日を迎えたわけであります。
 私も、一九九八年にCOP4に出席をいたしたわけであります。前大臣から申し送りもいただきまして、この問題への取り組み方について大臣としてどういう計らいをせなきゃならないかいろいろ苦慮いたしたわけでありますけれども、このパーセンテージというのは先進国だけによって決められておる、後進国や途上国に対する配意がなされていないということで、私は、それがためにということで第一番目に人口の最も多い、またこれからの発展途上国であります中国を訪問させていただきまして、その交渉に当たったところであります。
 中国といたしましても、なかなかアメリカなんかの決めたパーセンテージで処理されては困ると、おれたちも先進国の皆さん方と一緒のような生活を味わいたいんだ、それがために頑張っていくのにかかわらず、もうこのピークの点に達したような国々が、おれたちのところはもう温室効果ガスについてはこの程度規制するんだというようなことを勝手に決められたら困ると、こう言うわけですね。
 それで、私は、中国の環境大臣や温家宝さんという副首相なんかと腹つき合わせて話しました。そうしたら、やっぱりその協力はするけれども、アメリカのような考えでもって一方的に押しつけられたのでは困るというようなことをよく言うわけです。
 それというのは、やはり日本が環境面において、中国では日中友好環境センターというのをつくりまして、これは竹下内閣時代につくったセンターでありますけれども、それを有効活用したり、また環境にまつわるいろんな人的交流もあり、また意見の交換もあるわけでありまして、中国に対する環境協力というのは非常に大きい。しかし、今中国はいろんな環境問題で困っておると。例えば酸性雨の問題や黄砂の問題やいろんな問題があるわけでありますけれども、日本にも大きなかかわり合いがある、隣の韓国にもかかわり合いがありますよというようなことで、もう少し、先進国の横暴さでなくして、後進国の気持ちに立って一緒になってやっていけるような努力をしてほしいというのが中国側の意見であったわけです。
 私は、その意見を踏まえまして、すぐ二、三日してアメリカへ飛びました。アメリカでCOP4に出席する道すがら、アメリカのブラウナーという環境保護庁長官とお目にかかりましていろいろ話しましたら、中国側に対する働きかけに感謝してくれました。
 だけれども、私は考えたんですけれども、幾ら日本が声高にその問題で六%削減しようというようなことを言っても、世界全体のことを見て考えていかなければこの問題の達成はできないと思うわけでありますけれども、その国々というのは、例えば日本だったら中国とかそしてまた韓国であるとか、ひいてはモンゴルとかロシアとかいうようなところに働きかけていく、そしてアメリカだったらラテンアメリカの国々に働きかけることによってその効果をあらしめていく、そしてインドだったらイギリス関係、英国関係との友好関係が深いわけでありますから、そういうところから働きかけていくということで、ベストプラクティスということをぜひやってほしいということを唱えたわけです。
 そうして、アメリカに行って説得しましたら、アメリカは、ブエノスアイレスのCOP4の期間中に、それじゃ署名しましょうということで署名してくれた。だけれども、署名したけれども、アメリカは上院の中に物すごい反対がおると。その前の六月にアメリカで議論して投票した結果、九十五対ゼロでこの温室効果ガス排出量の削減計画を立てるのは反対だというようなことになってしまっておったんです。ですから、アメリカというのはやっぱり弁護国家ですから言わなきゃいけないわけで、日本から発信することによってその意が理解できてくると思うわけであります。
 そして、私はこの間も、ゴア大統領候補の副大統領候補になったリーバーマンさんという上院議員がおりますけれども、リーバーマンさんというのはもう環境問題に非常に熱心な方で、そうしたら、真鍋さん、日本の国会議員の中でアメリカの上院に知った人がおったら上院に来て説得してくれぬかというようなことだった。よっしゃということで私も行こうと思って、国対と随分何回も打ち合わせして間違いないぞという日を設定しておったんだけれども、国会が次々延びて、二回も延びたものですから、全部キャンセルされて、もう八月に入ったらサマーバケーションでしょうか、それからまた今度の大統領選挙が始まるということで全部だめになってしまった。
 私は、やっぱりそういうアメリカでも不得手なところはたくさんあるわけでありますから、それを補強して、そしてリードしてあげるようなもう環境行政に日本はなっておるんじゃないかと。そうしたら、ブラウナー環境庁長官は、日本の環境問題というのはすばらしい、大活躍をされている、世界一ですよと、こういうことを言われていた。それで、バイ会談をやりましたら、ブラウナーさんというのは、もうぜひ日本の指導にあずかりたいんで、こうしたらいい、ああしたらいいということを指導してくれと言うんです。
 だから私は、さっき環境のもう大国になっておるということだったんだけれども、ナンバーワンですから、これは総理、認識を新たにしてもらって、日本がリードせにゃいかぬ、指導せにゃいかぬと、そういう立場に立っておりますので、これは思い切ってやっていくと。だから私は、川口大臣が三回の内閣改造によってもなお大臣になっておるというのは、その継続性をもって理解してくれたと思って感謝しておるわけでありますけれども、ぜひひとつ思い切ってその仕事をやっていくように私はしてもらいたいと思っておるわけであります。
 ですから、温室効果ガスの問題について日本が、他の諸国から来て一緒になって、EU関係からアメリカに抗議を申し込んでくださいと。日本も、環境庁も外務省も通産省も、経済産業省ですか、一緒になってこの間もアメリカへ行ったけれども、アメリカへ行ったら悪いというわけではないけれども、もっと事前の打ち合わせをして、そして日本の環境の一元化を図って日本はこうすべきだということをアメリカに訴えていく。アメリカも、日本がパートナーとなって説得をしていくというふうにしないと、アメリカだけが悪いから、これはもうのけてでもCOP6のボンでの会議をやりなさいなんというのは、私はちょっと行き過ぎた考えじゃないかと思っておるわけでありまして、この点でいかが、私は力説しておかなきゃならぬと思ってあえて申し上げたわけであります。
 これらのことについて御見解を伺いたいと存じます。
    ─────────────
#340
○委員長(岡野裕君) ちょうど真鍋君質疑の途中でありますが、この際、大臣答弁をいただく前に御紹介を申し上げたい、かように存じます。
 ただいまスウェーデン王国国会議員御一行が本委員会の傍聴にお見えになりました。どうぞ拍手をもって歓迎をいただきたいと存じます。
   〔拍手〕
#341
○委員長(岡野裕君) どうぞお座りください。ありがとうございました。ようこそお越しをいただきました。
    ─────────────
#342
○委員長(岡野裕君) 引き続きまして、真鍋賢二君。
#343
○真鍋賢二君 せっかくお見えになっておりますので。
 スウェーデンのラーションという環境大臣が先般日本にお見えになったわけであります。日本との環境外交で大変な御尽力をいただいておるので、一言感謝を申し上げておきたいと思います。
#344
○委員長(岡野裕君) それでは、川口環境大臣。
#345
○国務大臣(川口順子君) 気候変動問題は非常に重要な、重大な問題であるというふうに認識をしております。ただいま真鍋委員から、この交渉の過程で日本がリーダーシップをとる重要性について御指摘をいただきました。そのお言葉を肝に銘じて仕事をしていきたいと思っております。
 その際、二点について、一つは中国等を含むアジアの国々との関係、それからもう一つ、米国との働きかけの二点についての重要性についての御指摘をいただきました。私も全くおっしゃるとおりだと思っております。
 真鍋委員が環境庁長官でいらしたときにお始めいただきました日中韓三カ国の環境大臣会合というのがございます。先般東京で開かれまして、ここの場でも三カ国一緒になりまして温暖化問題に対応することの重要性について議論をさせていただきました。中国もみずから自主的に取り組みを始めているというお話もございました。
 それから、アメリカにつきましても働きかけ、ただいまアメリカは京都議定書不支持で、支持しないというお話がございますけれども、これにつきましては、国会からの決議もいただきましたし、それから政府、国会の与党の代表団を働きかけのために送っていただいたわけでございまして、私どもも他の関係国と連携をいたしまして粘り強くアメリカに働きかけていきたいと思っておりますし、その際、委員がおっしゃられましたように上院が重要であるということもおっしゃるとおりだと思っております。
#346
○真鍋賢二君 次に、循環型社会の問題についてお尋ねをいたしたいと存じます。
 日本の廃棄物処理というのは、一般ごみで五千万トン、産業廃棄物で四億トンと、こう言われておるわけでありますけれども、このごみの処理ということは大変重要になってくるわけであります。私も、藤前干潟を環境の面からもぜひ残してほしいということで、環境庁がノーの答えを出して、多くの皆様方のひんしゅくを買ったところであります。
 しかしながら、この結果というものは、二、三十年たって歴史が証明してくれると、こう思っておるわけでありまして、そのことに関しては悔いのない行政処理だったというふうに思っておるわけでありますけれども、しかし、この循環型社会の構築ということになりますと、藤前の干潟は名古屋市としてはあそこをごみの廃棄物処理場にしてしまうということであったわけです。燃えるごみと燃えないごみにしか分別できていないのが当時の名古屋の環境衛生処理であったわけです。
 私の方は、そうあってはならぬと。六大都市の中の名古屋がこんな状態ではだめだと。それも隣県の岐阜県の方に廃棄物の投棄場をゆだねるようなことをしておったと。これではいけないということで、盛んに警鐘を乱打しまして、環境の町宣言をしてくれと。ましてや、博覧会を開催するわけでありますけれども、やはり自然との共生をうたった博覧会じゃないかと。そういう意味合いにおいても、ぜひ協力してほしいということを申し上げたわけであります。
 そこで、産業廃棄物にいたしましても、燃えるごみと燃えないごみだけでなくして、それをエネルギーに使ったり、また鋼材に使ったり、肥料に使ったりするような循環型の社会を構築していかなきゃならぬぞというようなことを盛んに言っておるわけであります。これはもう小泉総理が唱えた政策の大きな柱であるわけでありますから、ぜひ私はそれは実現させていただきたいと思っておるところであります。
 四月一日から家電リサイクル法が施行されることにもなったわけでありますし、グリーンの機材の購入方法についても法案化して協力をいただいておるわけであります。
 この循環型社会構築につきましての環境省のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
#347
○国務大臣(川口順子君) 循環型社会形成といいますのは、今までの生活スタイルが大量に生産をし、大量に消費をし、大量に廃棄をするということでございましたのを、質が高く、簡素で、できるだけその資源を使わずリサイクルをし、あるいはリユースをし、そして出るごみの量をできるだけ少なくし、どうしてもごみとして捨てなければいけないものについては適正に処分をしてダイオキシンが出ないようにするといった一連の考え方でございまして、昨年国会では循環型社会形成推進基本法というものも成立させていただいたほかにさまざまなリサイクルの法案も出していただきまして、環境省といたしましては、こういった法律の適正な運用と、それから不法投棄等の問題ができるだけ少なくなるように、IT技術もございますので、そういった配慮もしながら、総理のおっしゃっていただいたごみゼロ作戦、それから先般設置されました都市再生本部においてエコタウン構想というのもございますので、そういった施策を進めていきたいと考えております。
#348
○真鍋賢二君 雇用不安や、また新しい産業に取り組まなきゃならないという政府の大きな方針があるわけであります。今までの重厚長大やその他の関連産業で事の処理ができる状態ではなくなってきたわけです。
 例えば、このリサイクル問題で、車社会等大きくなってまいったわけでありますけれども、その車は一つ一つ解体することによって部品を取ったり、また再生可能なものはどんどんと利用していくという方法をとっていくということが大切なことじゃないかと思っておるわけであります。そこにこの静脈産業というのが私は生まれてくるんじゃないだろうかと思っております。
 新規産業の創出というのは、やっぱり環境の面からも大きく出てくると思うわけでありまして、それらの点についてのお考えをお聞かせいただけたらと思うわけであります。
#349
○国務大臣(川口順子君) 循環型社会に社会がなっていくに従いまして必要なのは、そういった資源をリサイクルするあるいは再生をするといった仕事に携わる方々、あるいはそういった仕事でございますし、それからその技術開発も非常に重要になっておりますので、そういう意味からも技術開発、あるいはそれを資本財にする過程でさらに産業が興ってくるということでございます。
 循環型社会をつくるといいますと、えてして、それによって今まで生産をされていたものが生産されなくなって失業がふえるのではないかというような懸念があるわけでございますけれども、私どもが予測をいたしましたところではそういうことではございませんで、そういった新しい産業に伴いまして雇用もふえるということでございますので、そういった産業の育成あるいは振興、あるいはそういった産業が育つようなグリーン購入法等による需要の喚起といったことに努めていきたいと考えております。
#350
○真鍋賢二君 大いに活用して、そして環境の中から新規産業が創出して雇用が増大しておるというのを示していただければありがたいと思っておるわけでありまして、毎年その仕事はふえていくものと思うわけです。ですから、それをちゃんと実績を踏まえた公表制をとっていくことによって私は環境面に対する理解が生まれてくるんじゃないだろうかと思います。
 次に、低公害車の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。
 総理の乗っておる車は何か私は十分知りませんけれども、私が大臣になりまして、天然ガス自動車を環境大臣の車に導入いたしました。平成七年から、閣議決定をいたしまして、五年間で一〇%を低公害車に切りかえていくぞということにいたしておったわけでありますけれども、私が大臣になったときにはまだ二%ぐらいですね。それで、これではいかぬということで、皆さんに呼びかけましてようやくにして三%ぐらいになった。郵政大臣なんかは、乗りかえてみたけれどもどうも乗り心地が悪いし小さいのでまた別の前の車にいたしましたなんというようなことも言っておりましたけれども、やっぱり自動車メーカーに開発を催促しまして、そして天然ガスなんかが、ハイブリッドカーやなんかがよりスムーズに実効あらしめるような体制をつくってもらいたいと、私はこう思っておるんです。
 私は、天然ガス自動車を使おうということになったら、その充てん場所がない、充てん場所が遠いところにあるから急ぐときに間に合わないと、こういうことがあったんです。これはもう田中外務大臣の言われることでありますけれども、やっぱり大臣の命というものはもう絶対のものがあるわけでありますから、私、それだったら、充てん場所がないというんだったら、それじゃ周辺を探して、皆公務員宿舎があるんだからその一番近いところを充てん場所につくりますから調べてくれといったら、いや、ありましたといって出てきたのが合同庁舎の中の一角に充てん場所をつくったんです。だから、やっぱりやるぞという意気込みを大臣が示すことによって事の処理ができるわけなんです。
 それで今、充てん場所、下手な字で私が天然ガス自動車充てん場所いうて書きましたけれども、そんなところを私はもっともっと活用していくべきじゃないだろうかと思っておるわけでありまして、この低公害車の自動車開発につきまして総理の一声というのがどれほど大きかったかと。これはもう予算面でもちゃんとフォローしますというようなことだったから、各省とも皆さん集まって、次官やその他部課長さんが集まって検討を急いでくれておるわけでありまして、私はありがたいなと思っておるわけでありまして、まず隗から始めよということで、日本がこの環境問題については一番の権威国であるという自負を持ってこの問題に取り組んでいかなきゃならぬと、私はこう思うわけであります。
 ですから、低公害車の問題についてどういうようなお考えを持っておるのか、お聞かせをいただければと思うわけであります。
#351
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 各官庁が低公害車を利用するというのは今まで例外的でした。今回、小泉内閣においては原則すべて、すべて低公害車を利用するように督促を始めまして、そういう方向で進んでおります。
 これは、今言ったように、単なる車だけの問題じゃありません。例えば、ガソリンの消費量が二分の一で済む車を開発すれば石油戦略にも影響してきますね。同時に、今言ったような低公害車を促進しますと企業の研究開発努力も違ってまいります。低公害車をつくれば役所は購入してくれる。いろんな影響が出てきますから、私は原則全部、中央官庁だけじゃない、全国の地方、これから、これはできたら国会も取り組んでいただきたいと思っているんです。国会で使っている車も全部低公害車にするというような形で進んでいただきたいと思っている。
 ただ、私の、総理大臣の乗っている車はどうなんだと聞いたんですよ。そうしたら、特別の防弾ガラスとかやっているからこれは無理だというんだけれども、いや五千万でも一億でも、そういう特別車でも低公害車をつくってくれたら私はすぐ購入するよといって督促しているんですよ。
 だから、そういう意味において、まずは隗より始めよといいますか、率先して低公害車、車だけでなくて、できるだけ環境に悪影響を与えないようなものを利用していく姿勢が大事だと思っております。
#352
○真鍋賢二君 低公害車の導入ということは地球温暖化防止のためにも大切なことでありまして、今化石燃料を使った車が二酸化炭素を一番多く排出しておるわけであります。二酸化炭素の排出量を削減するためにまず自動車関係から始めていこうということで、私、大臣時代に環境関係の議員の方にも衆参の自動車課の方に申し入れをしてもらったんです。なかなか進まない。一〇%削減いうてもう平成十二年で終わっておるわけなんですから、本当はもう一〇%の達成ができましたと言わなきゃならぬのにまだ三%程度ということでありまして、これはもう率先してやっていく、その努力が必要だと思っておるわけであります。
 総理が日経連の奥田会長に、早く燃料電池車でもいいしハイブリッドカーをつくってくれよということで試算してもらったら、エンジンが三億ぐらいかかって車体が二百万ぐらいで、三億二百万ぐらいの金を出さないと一台ができないというようなことも言われたということでありますけれども、しかし技術進歩というのは大きなものがあるわけでありますから、日本のハイブリッドカーというのがもう世界各国から注目を浴びて、これの活用も期待されておるわけであります。
 また、燃料電池車、これ私もドイツのベンツ社へ参りまして、日本のハイブリッドカーが非常に今好調に売れておるわけでありますけれども、ベンツは負けたぞと、ベンツも元気を出して世界に範たる車をつくってもらいたいというふうなことをお願いしましたら、いや、二〇〇四年には燃料電池車を開発して市場に出しますよというような話までしていただいたわけであります。
 いずれにいたしましても、化石燃料を使わない車、二酸化炭素を排出しない車をつくり上げていくということが大事なことだと思うわけでありまして、その総理の意気込みをもう一度聞かせていただいて、そして、その進捗状況を見守っていきたいと思います。
#353
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) これは経済産業省とも協力しなきゃならない問題だと思うんですが、確かに奥田会長は燃料電池、三億ぐらいかければ今でもできるというようなことを言っていましたけれども、それは試作品ならできるでしょうけれども、実用化を始めれば、しかもそれが市場があるというんだったらもっと安くできると思うんです。今、世界はしのぎを削っている。ですから、燃料電池等の開発研究を促進できるような措置を政府もとっていく、また激励する、これが大事だと思っております。
 経済産業省もその方向でどしどし環境にもエネルギーにもいい影響を及ぼすような技術開発は進めていきたいと言っておりますので、今、真鍋議員が言われたような指摘も十分参考にさせていただきまして、日本が環境先進国、しかも地球環境保全のためにも科学技術をこれだけ有効に、研究投資に努力しているんだという姿を実際の現実のものとして見せていきたいと思います。
#354
○真鍋賢二君 経済産業大臣。
#355
○国務大臣(平沼赳夫君) おかげさまで四時間四十分待っておりましてようやく発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。
 一つは、環境省の川口大臣と私とで自動車メーカーの最高幹部をお呼びいたしまして、そしてこの促進方を強力に依頼させていただきました。
 また、今お話がございました燃料電池に関しましては委員御承知のように大変進んでまいってきておりまして、せんだっても八十社を超える海外からの参画もございましたけれども、この燃料電池の実用化を促進する協議会が発足をしまして、そしてこれが将来、二十一世紀はいかに環境を克服するか、それが人類の課題だ、その中でこの燃料電池の実用化を促進していこう、こういうことで立ち上がってまいりました。
 経済産業省といたしましても、そのことは一生懸命に応援をさせていただいて、早く実用化できるように最大限の努力をしていきたいと思っています。
 また、公用車に関しましても、いろいろハイブリッドカーとかそういうのがございますし、また、日本の自動車産業というものも非常にある面では優秀でございまして、従来のガソリンを燃料としている車種によっては従来のもう本当に半分ぐらいのCO2の排出量と、これはある意味では非常に自然に優しい、そういうガソリン自動車というのも開発されています。ですから、そういうことを総合的に我々はバックアップをしながら、今、委員が御指摘の、本当に地球にとって必要なことでございますから、全力を挙げてやってまいりたい、このように思っています。
#356
○真鍋賢二君 国土交通相。
#357
○国務大臣(扇千景君) 真鍋先生のおっしゃるとおりだと思います。
 国土交通省は四台、電気自動車を持っております。先日、私も試乗しました。私が乗ったのは小さいんですけれども、四百万でございました。四時間充電して百キロ走ります。
 そのように私どもはしなきゃいけないことは大変わかっていますし、また、今、とまっているときには電気を使い、走っているときにはガソリンを使うという両用の自動車も既に実用化されております。
 問題はディーゼルカーでございます。トラックが電気ではそれだけの馬力が出ないというところで、一番問題はトラックになるわけですけれども、私もこの間、国土交通省の表に全部並べまして試乗もしましたし、その研究をしてほしいと。ただ、トラックの場合はCO2の排気を抑えるものが今大変高いわけでございますので、これがまだ時代的には難しいと思っておりますけれども、国土交通省、今、先生がおっしゃいましたように、二十一世紀型の自動車をつくり、また我々もそれに率先して乗ると。ただ、役所と国会は私は自転車に乗れと言っていますので、自転車で行くのは当然だと思いますけれども。
 私の乗りましたその四百万の小さいのは、私が乗ってきても、こことそこであれば特にいいと思います。これは都内版でございまして、高速道路には余り適さないというか、スピードは出るんですけれども消費が大き過ぎるということで、四時間で百キロだとなかなか行けないなと、成田へ行ったら帰れなくなるなと思っておりますけれども、そういう意味では今、先生おっしゃった充電式、充電方法等々を考えるべきだと思います。
 私の乗りましたのは、二百ボルト、四時間充電するということで百キロでございます。なるべく二十一世紀型にしていきたいと思っています。
#358
○真鍋賢二君 もう最後のあれですが、電気自動車というのを日本が開発しまして、今イタリアの方で試乗運転をしておるわけなんですね。日本のこのハイブリッドカーとか電気自動車、低公害車の自動車というのはもう世界各国にその名をなさしめておるわけなんです。だから、ちょっと皆さん方が認識を新たにしてもらって、大いにこれから活用していくようにしていただきたいと存じます。
 各閣僚の皆さん方に一人一人答弁いただいて、あなたの省は何台使っておりますかということをお伺いしたいんですけれども、ひょっとしたら恥ずかしい思いをしてもいかぬと思うので、きょうは各大臣にお聞きするのは御遠慮させていただきたいと存じます。
 次に、原子力エネルギーの問題についてでありますけれども、このところ、アメリカのカリフォルニア州でも電気が足らなくなったと、ドイツにおきましてもクリーンなエネルギーを求めておるけれども、なかなかそれが確保できないというようなことで悩みを吐露されておるわけであります。
 私も、G8の環境大臣会合がドイツのシュベリンでありましたものですから、シュベリンに参りましたら、イギリスのこの間有名にもなりましたが、プレスコットさんという副首相がドイツを非難するわけでありますね。どういうことかといえば、ドイツが、緑の党が政権に参画したと、原子力は廃止するぞと、廃止の方向に持っていくぞと言っておったがために、トリッティンという大臣が就任した途端にそれを打ち上げた。打ち上げたけれども、今イギリスで原子力発電の、ウランの使用済みの再生依頼をしておると。もうとっくにでき上がっておるんだけれども、引き取れと言っても引き取らないというんですね。まあイギリスへ置いておいてくれと。自分の庭先のことだけを考えて、そしてヨーロッパや世界各国のことについての思いがないということで大変なお怒りを出しておりました。私も、ああやっぱり裏を見てみればいろんなことがあるのかなと、こう思ったわけであります。
 日本の原子力発電がどの程度あるか、皆さん方も御存じだと思います。私も通産大臣の秘書官をやったり政務次官やりまして、この立地問題につきましていろんな努力をしてまいったところでありまして、四国の伊方の原子力発電所というのはもう四〇%に近い稼働率を発揮しておるわけです。ですから、四国電力というのは四〇%が原子力エネルギーで賄っておると、こう言っても過言でないわけであります。
 そういうことでありますから、私は絶対にこの原子力エネルギーに頼らなきゃならぬということではいかないと、日本は被爆国であるわけでありますから、やはり忌避反応が強いわけでありますから、その点の考慮もしながら、過渡期的には今二酸化炭素排出量の少ない、温暖化防止のためにも協力できる、その原子力発電というのが望まれるんじゃないだろうかと、こんな気持ちを持っておるわけでありまして、私、大臣に就任した当初、この原子力発電問題について触れましたところが、大臣としてそんな不見識なことじゃいけませんよと言われたけれども、自分の考えで正しいと思うことは正しいということで言っていかなきゃならぬと、こう思っておったわけであります。
 それで、このところ、このウランの回収、いろんな問題があってプルサーマル問題というのがいろいろ問題になっておるわけであります。このことについては平沼大臣が一番詳しいので、私が詳しく皆さんに説明する必要はないと思いますので、プルサーマルの問題について五月二十七日に刈羽村で住民投票が行われるというようなことも聞いておるわけでありますけれども、その辺の見解についてお聞かせを願いたいと存じます。
#359
○国務大臣(平沼赳夫君) お答えをさせていただきます。
 原子力発電に関しましては、今、真鍋先生御指摘のように、やはり二十一世紀の世界のエネルギー、その需給を見てもこれはどうしても必要である、こういうことは確実に言えると思います。
 ですから、いわゆるエネルギー資源を持っているアメリカも最近ブッシュ政権になりまして新たなエネルギー政策を打ち出しました。その中で、エイブラハム・エネルギー庁長官が、やはりアメリカも原子力発電、これに着目せざるを得ない。それは、一つはもちろん安全性を担保するということが第一義でありますけれども、一つは安定的にエネルギーの供給が受けられる。これは今、四国の例をおっしゃられましたけれども、私はそのとおりだと思います。しかも、この発電の過程において二酸化炭素、CO2、これの排出量はゼロでございます。さらには、コスト的にも非常に安定をしている。
 こういう観点から、我が国のいわゆるエネルギーの基本計画の中にも、やはり二十一世紀はエネルギーの中で原子力発電というものを基軸に置かざるを得ない。しかし同時に、やはりやっていかなければならないのは、徹底した省エネルギーであり、あるいは新エネルギー、こういったことも伸ばしていかなければならない。
 そういう中で、今大変御協力をいただいておりますけれども、柏崎市そして刈羽村、ここには世界一の集積の原子力発電が行われておりまして、我が国のエネルギーにとりまして大変なそういう意味では御協力をいただいている。私は、いわゆるエネルギーを所管する担当大臣として心から感謝をしているところでございますけれども、今、原子力エネルギーに関しましてはいろいろなそういう動きがございまして、そういう中で、今、真鍋議員御指摘のように、二十七日にいわゆる住民投票にかける、こういうことでプルサーマル計画、こういうことに相なっています。
 私も、やはり住民の皆様方に基本的な認識をしていただかなければならない、こういう思いで、決して上から押しつけるという形じゃなくて、正しい、国の基幹的なエネルギー政策の一環でありますプルサーマル計画についてのいわゆるメッセージも全村民に出させていただきました。
 そういう中で、私どもも住民の皆様方の御協力をいただいて、そして二十一世紀もこの国が安全をしっかりと担保しつつ、しっかりとしたエネルギーを国民に安定的に供給する、そういう観点から私どもはその成り行きは注目をしておりますけれども、ぜひ住民の皆様方の御理解をいただいて、そしてこの国の、経済大国、経済立国の日本のエネルギーに対しての皆様方の御判断、これを今期待をいたしているところでございます。
#360
○真鍋賢二君 文部科学大臣にお伺いいたしたいわけでありますけれども、一昨日、「もんじゅ」の視察をなされたということであります。再開についての御意見等もあるかと思うわけでありますけれども、見通しについてお伺いをさせていただきたいと存じます。
#361
○国務大臣(遠山敦子君) 敦賀にございます高速増殖炉「もんじゅ」が事故を起こしましたのは平成七年十二月八日でございましたが、それ以来随分長い時間がたちましたけれども、まだ再開のめどが立っておりません。しかし、高速増殖炉の研究開発というのは日本の原子力政策の中でも大変重要なものでございます。
 そのような観点から、土曜日、福井に飛びまして、「もんじゅ」を視察し、かつまた地元の理解が得られないとこれは前に進むことができませんので、敦賀市長それから県知事、そして県議会の方々にもお願いをいたしまして、国として、核燃料サイクル開発機構としても背水の陣で安全の確保を図るので、この安全審査についての第一歩を踏み出させていただきたいということで、念を入れてお願いをしてまいりました。
 恐らく今、御検討をいただいておりまして、今週早い時期に御決断をいただければ大変ありがたいと今、首を長くして朗報を待っているところでございます。
#362
○真鍋賢二君 もう時間が迫ってまいりましたので、せっかく御質問をさせていただこうと思っておった大臣には時間がなくて申しわけないわけでありますけれども、貸し渋りの中小企業対策についてちょっとお伺いさせていただきたいと存じます。
 貸し渋りに遭っておる中小企業というのは非常に多いわけでありまして、私は地方回りいたしましても、何とかこれらの問題について対応してほしいと、大手企業になったら公的資金の導入がどんどんなされるわけでありますけれども、我々に対してはもう何の恩恵もないということで、三十兆円のあの対策費もいろいろと恩恵には浴したところもあるわけです。この点について産業大臣からお答えいただきたいと思います。
   〔委員長退席、理事須藤良太郎君着席〕
#363
○国務大臣(平沼赳夫君) 平成十年の未曾有の貸し渋りがございました。その中で、日本のいわゆる経済の基盤を支えていただいている、数でいえば九九・七%を占める中小企業の皆様方が大変な御苦労を強いられたわけであります。
 そこで、今、真鍋先生御指摘のように、特別保証制度というものを設けまして、当初は二十兆円の枠でスタートをいたしまして、さらにニーズが高いということで十兆円上乗せをして三十兆の規模でやらせていただきまして、この三月末日で締め切らせていただきました。そして、約百四十万社を超える方々に御利用いただいて、その意味では非常に大きな倒産を防ぐことができましたし、また雇用の確保もこれで確保ができたと思っております。そして、三十兆の中で、三月三十一日、そこで締め切ったところ、御利用いただいたのは二十八兆五千億を超える、そういう利用をしていただいて、これは非常に大きな効果があったと思っています。
 最近、調査をいたしますと、その効果もございまして、中小企業の皆様方は貸し渋りに対しては改善をされた、こういう形で当初はこの貸し渋りというのが非常に解消されて今楽になったという、そういうデータが下がってきたわけでございますけれども、また最近そこが、一三・五が二〇%台に、またちょっと先行き貸し渋りが厳しいぞ、こういう形になってまいりました。
 私どもといたしましては、ことし初頭から中小企業庁のいわゆる幹部職員を全国に派遣いたしまして、三十七都道府県で実態調査をさせていただきました。そういう中でまだ依然として中小企業の資金需要は厳しいものがある、そういうことでこの四月一日から新たな一般保証制度というものを充実いたしまして、従来五千万円でございましたものを八千万円に拡大するとか、あるいは土地の担保とかそういうことでなくて、やはりこれが将来企業として伸びるような、そういう可能性ですとか、事業の態様ですとか、悪い部分じゃなくていい部分に着目するような、そういう形で少なくとも政府系金融機関は対応すべきだ、こういう指導をしてまいりました。
 しかし、依然として一般の金融機関の今の対応というのは、業態のいいところにはどんどんお金を借りてくださいと言ってきていますけれども、悪いところには非常に厳しい、こういう実態がございますので、私どもとしては、そういう本当にまじめに第一線でやっておられる中小企業の皆様方には政府系金融機関を中心にきめ細かく対応させていただき、また民間の金融機関についても、私どもも側面的にそういう形で中小企業の皆様方のお役に立つような、そういう政策を展開していかなければならない、そういうことで鋭意取り組んでいるところでございます。
#364
○真鍋賢二君 今、特別保証制度についていろんな貢献があったというお話を伺ったわけであります。五千万を八千万にしたということであります。いろんな試算をしてみると、八千万の金額程度は出せるようになっておったかなとも思うわけでありますけれども、やっぱり八千万以上の金額にはね上げていくぐらいの度量がなかったらいけないと、こう思うわけであります。その点についてお考えをもう一遍お聞かせいただければと思うわけでありますし、また金融関連で金融機関の方にも御援助いただければと思います。回答をいただきます。
#365
○国務大臣(平沼赳夫君) 確かに今その八千万円ではと、こういうことでございまして、今、一方におきましては、やはり構造改革なき景気回復はない、こういうスローガンで、改革断行内閣ということで小泉総理を中心に一生懸命頑張っております。
 その中で、いわゆる金融サイドの不良債権と産業サイドの不良資産を処理していく。こういう中で、その処理が進むに当たって不当に非常に不利益をこうむる中小企業の方が出てきている。そういう方々に対しては八千万円を倍の一億六千万円まで拡大をして対応させていただく。こういうこともやっておりますし、またその他きめの細かいいろいろな対応もさせていただいているわけでありますけれども、いずれにいたしましても、中小企業が活力を持っていただかないと日本のいわゆる経済の再生ができませんので、私ども監督をしております経済産業省といたしましては、中小企業庁全力を挙げて取り組んでいきたいと思っております。
#366
○真鍋賢二君 財務大臣、政府系金融機関の問題について。
#367
○国務大臣(塩川正十郎君) 中小公庫は直接経済産業省が担当してやっております。中小企業庁でやっております。私の方は国民生活公庫でございまして、この方につきましては、需要と供給とにちょっとバランス、差がございまして、一例を言いましても、ことしの貸出枠は三兆八千億円予定いたしております。ところで、平成十二年、十一年、十年とそれぞれ相当額の貸し残りが実はございまして、これは需要がなかったということになってくる。
 私は思いますのに、国民金融公庫の貸し付けを公庫が中心となって貸し付けしております。これをできるだけ代理業務に移したらもっとはけるのではないかなと思ったりしております。しかし、中小企業金融の中心はやっぱり中小企業金融公庫の資金と商工中金の資金であって、こちらの方は大体生活関係、なりわいの金融が多いのではないかと、こう思っておりまして、この実績についてもう少し積極的に取り計らうように指示しておるところであります。
#368
○真鍋賢二君 それでは、中小企業問題はもうこの程度にいたしまして、最後に外務大臣にお尋ねをいたしたいと存じます。
 総理の所信表明演説の中にも日中関係の大切さをうたっておったわけであります。私も長年にわたって日中関係の協力をさせていただいておるわけでありますけれども、やはりよく言われる近くて近い国にしていかなきゃならない。ちょいちょい遠い国になっていったりいろんなことがあるわけでありまして、儒教、仏教ともどもに共有する文化を持って、または宗教を持っておるわけでありますから、強力な友好増進を図っていくという対応をしていかなきゃならない、こう思っておるわけであります。
 しかし、このところちょっと冷え込む材料が間々見られるわけであります。李登輝前総統の問題もございましたし、また、このところ教科書問題その他にまつわる問題がいろいろと出ておるわけでありますけれども、日中関係はこれからどういうふうな方向性をとって友好増進を図っていくのか、その決意をお聞きすると同時に、総理についても、今問題になっておる事柄を含めて、中国関係に対する認識をお伺いいたせたらと思うところであります。
#369
○国務大臣(田中眞紀子君) 先ほどもお答え申し上げましたけれども、やはり私は今一番感じておりますことは、歴史というもの、時は動いているということだと思います。
 そして、過去をしっかり踏まえながら、将来に向かって、特に世代間のギャップというものはいずこの国にもあると思うんです。国内にもあり、そして国際間でもそうしたことがあるためにいろいろな個別の問題が生じてそうしたぶつかり合いがあると思いますけれども、そうした意見をよく聞いてそしゃくをして、そして冷静に、いかに将来いいことに、希望につなげるかということを基軸といたしまして、その物差しにいつも合わせながら事を進めていきたいというふうに、どこまでも冷静に、客観的にいたしますので、御指導を仰ぎたいと思います。皆様よろしくお願いいたします。
#370
○真鍋賢二君 冷静な判断を求めるという自戒の答弁をいただいたと思っておるわけでありますが、外務大臣になってから海外に出向く機会が多々あるわけでありますけれども、第一番の訪問地を中国にとかいうようなうわさも聞いたわけでありますけれども、何かその日程がございますれば聞かせていただけたらと思うわけであります。
#371
○国務大臣(田中眞紀子君) たまたまでございますけれども、本当に偶然なんですが、外務省が一番直近の日程として抱えております、外務大臣がオブリゲーションとして出席をする会議がASEMでございまして、これが北京で今週開催をされます。そこで、中国はもちろんでございますけれども、いろいろな国から外務大臣がお見えになりますので、バイでの話し合いをさせていただく機会がありますことを楽しみにいたしております。
#372
○真鍋賢二君 総理は総理大臣になってからは、なかなか国内の各地を回るということは難しいようであります。しかしながら、タウンミーティング等をやって所々方々で対話集会もやりたいというような御意見も伺ったわけであります。
 私が大平元総理大臣に伺った印象では、総理になった途端に、来るお客様がみんないいことを言う、嫌なことを言うのはおまえ一人だと、こんなことを言われたことを思い出すわけであります。ですから、おれはそういう気持ちでいないぞと言っても、周辺がそういうような取り囲みになってしまう、環境になってしまうんですね。ですから、そこを十分留意してやっていかなきゃならないんじゃないかと。もう永田町というのは雲の上の存在だというような意識を皆さんが持っておられるわけでありますから、いや、おれは雲の上には乗っていないぞ、地についたところでやっているぞというのは、やっぱりタウンミーティングなんかをやって総理のフィロソフィーなんかを大いに語って国民に訴えていくという姿が私は大事なことじゃないだろうか、こういう気がするわけでありますが、その点について一言。
#373
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私については、むしろ身近に反発する方も結構いまして、必ずしも私の言っていることについて、よいしょする人ばかりじゃなくて、むしろ抵抗したり、ちょっと考えを変えてもらわなきゃ困ると言う方がたくさん与党内にもおりますので、そういう心配はないのではないかと。
 タウンミーティングは、これは、小泉内閣の目指している政策は何かということで各閣僚に各地域に出ていっていただく、また有識者にも出ていっていただく、地元の方とも懇談するということで、私自身が出ていくということではないのでありますが、できるだけ幅広く意見を聞いて、永田町だけの論理とかあるいは一部だけの考え方にとらわれないで、独断専行を排して、多くの方々の意見を聞いて誤りなきを期していきたいと思っております。
#374
○真鍋賢二君 総理は新世紀維新という言葉を使われておるわけであります。総理は、改革の先に何があるか、確かな未来を示しておると、そう思うわけでありますけれども、やはりそこには不信と対立を克服して理解と信頼が生まれてこなければならないと。そうしなければ、維新という国の中核は私はないんじゃないだろうかと、こういう気持ちがしてならないわけであります。
 どうぞひとつ元気を出して、日本の二十一世紀が未来に向かって大きく飛躍していくことを心から期待をいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
#375
○理事(須藤良太郎君) 関連質疑を許します。佐藤泰三君。
#376
○佐藤泰三君 自由民主党の佐藤泰三でございます。
 ハンセン病につきまして緊急の質問をしたいと思います。かねて用意をいたしました質問に先立ちまして、ハンセン病訴訟に関しましてお伺いいたします。
 御存じのように、五月十一日、熊本地裁におきまして、国に賠償を命ずる原告全面勝訴の判決が言い渡されました。ハンセン病患者の隔離政策の見直しを怠ったとして、政府と国会の責任を認めたわけであります。
 坂口厚生労働大臣には、判決後直ちに原告の元患者さんにお会いなさるなど、行政責任者として機敏に対応されております。元患者は、隔離政策によって精神的、肉体的な苦難を経験しており、また社会復帰するのにも非常な困難が伴うことは言うまでもありません。こうした状況を招いたことは、我々政治家は重く受けとめなければならないと思います。
 さて、熊本地裁判決を受けまして、政府としては今後控訴する方向と伝えられておりますが、そこで、政府として、今後、控訴を含めてどのように対応なさるお考えなのか、総理に御意見を伺いたいと思います。
 また、元患者への政策的な配慮などに関しましても、坂口大臣の御認識をお伺いいたします。
#377
○国務大臣(坂口力君) ただいま御指摘をいただきましたとおり、熊本地裁におきますところのこの判決におきましては、国に対しまして厳しい判決であったというふうに思っております。人道的に見ました場合に、このハンセン病の皆さん方に対しまして、肉体的、精神的に非常に過酷なと申しますか苦しい思いをさせたことは間違いのない事実であり、そしてこのことに対しましては深くおわびを申し上げなければならないというふうに思っております。先般も、お会いをさせていただきまして、心からそういう意味を込めておわびを申し上げたところでございます。
 そして、今後の問題につきましては、今朝来申し上げておりますように、関係大臣ともよくお話し合いをさせていただきまして、そうして、皆さん方におわびの気持ちをどう伝えることができるか、真剣に考えていきたいというふうに思っているところでございます。
#378
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) この判決につきましては、患者さんや元患者の皆さん方に対する今までの苦労、苦痛を思いながら、どのようにこの判決を生かしていくかということを検討しております。
 厚生労働省、法務省ともよく協議の上、適切な判断をしていきたいと思います。
#379
○佐藤泰三君 ただいま総理並びに厚生労働大臣から承りました。どうぞ前向きに検討して、患者の思いを和らげていただきたいと思います。
 次に、小泉内閣の高支持率につきましてお伺いいたしたいと思います。
 本来の質問に入りますが、小泉総理には、総理に御就任、まことにおめでとうございます。二十一世紀の初年に当たりまして、改革の年に当たり、小泉内閣は発足以来一カ月、非常に高い支持率を上げておりまして、一カ月たちましてなおかつ支持率は上がっております。この国民の小泉内閣に対します大きな支持率は、いかなる期待があってこのように高いのか。
 また、そのことは、考えますと、二十世紀は、前半は追いつけ追い越せ、戦乱、後半は復興と経済成長、やっと二十一世紀になって世界も平和になってきつつあると。当然、国の形態も変わらざるを得ぬということも背景にあるかと思いますが、その点のお考えをまた承りたいと思っております。
 そこで、きょうは教育問題、社会保障改革などにつきまして小泉内閣のお考えを伺いたいと思いますが、小泉内閣の支持率が高いのは、中でも小泉総理だから支持をする、団体、組織に対してはそれとはまた別だというような意見もあって寂しく感じますけれども、この国民の期待した支持率は何だとお考えでございましょうか。また、国民の期待にどのような回答を与えられますか、お尋ねしたいと思います。
#380
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 社会保障とか教育については厚生労働大臣また文部科学大臣に御答弁をいただきますが、私も正直に言って、なぜこんなに高い支持率をいただいているのか、びっくりしている状況でございます。
 しかし、これだけの評価を与えていただいていることはありがたく受けとめなきゃいかぬなと。後だんだん下がっていくとは思いますけれども、できるだけ、小泉内閣になってやはり自民党も変わってきたなと、日本の政治も改革へ向かって動き出したなという実績を積んで、何とか五〇%程度の支持率が確保できるように懸命の努力をしていきたいと思っております。
#381
○国務大臣(坂口力君) 社会保障等の問題につきましては、小泉総理の御指導をいただきながらひとつ真剣に取り組んでいきたいというふうに思っております。
 とりわけ社会保障の問題はもう待ったなしでございます。医療にいたしましても年金にいたしましても、そしてまた介護にいたしましても、もうそういう状況にございますので、まあ介護の方はもうスタートをいたしておりまして一年を経過したところでございますが、とりわけ医療の問題につきましてはいよいよ待ったなしで、そして来年に向けて煮詰めをしなければならない段階に至っておりますので、ひとつ気持ちを引き締めて、そして多くの皆さん方の御意見をお伺いしながらまとめていきたいと思っているところでございます。
#382
○国務大臣(遠山敦子君) 佐藤委員仰せのように、教育というのは一国の将来を決める大変重要な基盤でございます。
 教育は百年の大計と言われますけれども、この二十一世紀の扉に立ったときに、これまで抱えております問題を解決するのと同時に、新たな世紀に対応できる人材の育成ということに力を尽くしてまいりたいと思います。
 そのあり方の要諦は、自信と誇りを持つ日本国民、そしてみずからを律する心を持つ日本人という総理の大きな目指すべき方向性が出ております。私どもとしましても、その方向性を見ながら、これまで培ってきたいろいろな方策を加味しながらこの問題の解決に当たりたいと思います。よろしくお願いします。
#383
○佐藤泰三君 教育改革への基本姿勢につきまして総理にお尋ねいたします。
 総理は、所信表明で、日本人としての誇りと自覚を持ち、新たな国づくりを担う人材を育てるための教育改革に取り組むことを明言していらっしゃいます。また、明治初期に長岡藩にあった米百俵の逸話は、構造改革の視点からも非常にすばらしい逸話だなと思っております。御案内のように、教育、人づくりは五年、十年、二十年と長い年月を要します。それを、米百俵と共通した点があると思うのでございますが、今後、総理におきましては教育改革の基本姿勢はどのようなものか、お伺いいたします。
#384
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 人間というのは、人によって評価はまちまちであります。歴史上の人物を見ても、一方の視点から見れば悪逆非道の人物がすごい尊敬すべき英雄として描かれる場合がある。逆に、みんなが偉人と思っているのを別の角度から見るとひどいことをしたなととられて書かれる場合もある。人間を見る目というのは人によってさまざまだなと、思いがあります。
 そういう点で、我々もこれからの人材育成の面においては全人教育というものが大事ではないかと。学校の成績に優秀であるということにこしたことはありませんが、今までどちらかというと学校の成績の評価の方に偏重していたんじゃないか。
 それぞれ人間には得手不得手があります。ある人は机に向かって勉強することが好きな人もいるし、それが苦手で外で遊ぶのが、スポーツが得意な人もいる。あるいは、スポーツの面を見ても、野球がうまい人もいれば水泳がうまい人もいるというふうにそれぞれ違いますから、それぞれ多様性を尊重しながらみずからの能力が発揮できるような温かい目を大人の社会が持つことも必要ではないか。
 また、子供にとってもいろいろ歴史を勉強する際にもいい面悪い面あると思います。やはり励みとなるのは、過去の歴史上においての立派な業績を持った人の本を読めば、ああすごいなと、自分もああいう生き方を見習っていきたいなという気持ちも起こるでしょうし、人のふり見て我がふり直せという言葉がありますように、恥ずべき行為をした人を見れば、ああ自分はああいうことはしたくないという気持ちも思うでしょう。
 そういう面において、いろいろ教育の方法はたくさんあると思いますが、日本の生まれた国に対して、あるいはこれから自分の住んでいく社会に対しても、先人の努力に対して素直な敬意と感謝を持てるような教育というのはどういうものがふさわしいか、あるいはまたみずからの能力を生かして、生きがいを持ってそれぞれの立場でみずからの役割を発揮できる社会というのはどうあるべきかということを、子供のうちからそういうやる気を持てるような社会がこれからの時代にふさわしいのではないか。
 自助と自律という言葉を私は使いましたけれども、わかりやすく言えばそれぞれがやる気と我慢、両方大事ではないかと。あるときは我慢しなければならない、また同時に、やる気を持って、一度や二度の失敗にくじけずに立ち上がる気力も持って、失敗は成功のもとであるというような気持ちを持ってそれぞれの役割を見出していくような社会がいいのではないか、そこに教育の重要性があると思っております。
#385
○佐藤泰三君 教育現場の荒廃、また戦後教育の総括という点で文部科学大臣にお尋ねいたしますが、国土も狭く四つの島で一億二千数百万の国民がひしめいておる。しかも地下資源もないこの国が、明治維新以来、半世紀足らずで追いつけ追い越せ、欧米に追いつき、つまり成長しました。しかし、昭和二十年の敗戦により国土も荒廃したと。その後半世紀、国民の勤勉と政府主導のよろしきを得まして世界第二位の経済大国になった。また、平均寿命も世界の断トツになりました。人生五十年が八十年を越してまいりました。世界の青史にない記録でございます。
 このように成長した根本は何かと思うときに、やはり教育立国、科学技術立国という旗印を掲げ、優秀な人材の育成に当たってきたその成果だと思いますが、いかがでございましょうか。
 我が国の盛衰はまさに教育にかかっていると言っても過言ではないと思うわけでございます。ところが、最近の教育現場では荒廃が目に余るものがございます。小学校の卒業式、あるいは成人式の問題、また大学生の学力低下、国際的に見た生徒の学習達成度の低迷、特に数学、理科系科目への学習意欲の低下など、マスコミでも報道されておるところでございますが、総理も文部大臣もよく御承知のことと思います。
 また、犯罪者の低年齢化、さきに少年法の改正もございました、凶悪化、相次ぐ宇宙ロケットの打ち上げ失敗なども教育のこうした現状と無関係ではないとも言われております。
 戦後五十年たって教育体制、システム化のゆがみが表面化したわけでございますが、制度疲労だなどとも言われております。どのように教育改革を進めていくのか、文部科学大臣にお伺いいたします。
#386
○国務大臣(遠山敦子君) 日本の教育は、第二次大戦後、教育の機会均等を達成し、そして国民の高い教育水準を得ることによりまして社会発展の原動力になったことは佐藤委員御指摘のとおりでございます。
   〔理事須藤良太郎君退席、委員長着席〕
 しかし、その一方で、都市化の進展あるいは少子化というようなさまざまな要因が起因となりまして、学校でもいじめ、不登校、校内暴力、学級崩壊など深刻な問題が出ております。また、個人の尊重ということを強調する余り、公を軽視する傾向が広まり、あるいは権利を主張するときに、必ずそれに伴う義務ないし責任があるはずでございますけれども、その面もうまく伝えることができなかった面もありましょう。また、行き過ぎた平等主義による画一的な詰め込み教育などのいろんな弊害も指摘されております。同時に、今日いろいろ科学技術の進展もあります中で、時代にマッチした教育が行われているかというとどうもそうでもない面もございます。
 そのようなことから、今日の状況を大変危機的な状況というふうにとらえるということがまず第一であろうかと思います。
 ただ、一方で、大変伸び伸びと今日の国際化社会にも十分対応できるようないい子供たちも育っているということも事実でございます。しかしながら、教育行政といたしましては、やはり問題をきちんと正面からとらえてこれに対応策をとっていかなくてはならないのではないかと考えております。
 教育にはもちろん不易と流行というのがございまして、時代がどのように変わっても伝えていくべきものがございましょうし、また基礎、基本というものはいつの時代でもしっかり教えていかなくてはならないと思います。そういう不易の部分を十分に達成させると同時に、新たな社会、新たな変化にも対応できる力を身につけさせる必要があろうかと思います。
 幸い、昨年末に教育改革国民会議から出ました提言をもとにしまして二十一世紀教育新生プランというものができ上がっておりまして、大枠の道筋はでき上がっております。それによって、今の大きな課題を解決するために教員はどうあるべきか、教育委員会はどうあるべきか、校長のリーダーシップはどうあるべきか、家庭や学校それから地域の連携はどうあるべきかといったいろんな問題について、きちんとした施策の方途も出ております。
 私といたしましては、それらを現実に移していく、そして教育システムをきちんと今日の国民の期待にこたえられる形に改革をしていく、このことが大変重要であろうかと思います。現在提案をいたしております教育改革法案をぜひお通しいただきまして、この改革に向けての前進をさせていただきたいと思っております。
#387
○佐藤泰三君 次に、道徳教育の重要性につきまして総理にお伺いしたいと思っております。
 最近の報道を見ますと、子供が親を殺したり、親が子供を虐待したり、あるいは尊属殺人事件、今まで常識で考えられない事件が多発して、毎日ニュースに事欠かない現状でございます。こんな国じゃなかった、こんな民族じゃなかったはずなんでございますが、これを考えますときに、やはり戦後の物質文明、唯物文明に偏り、道徳の点が欠けた影響じゃないかなと思うんでございます。
 教育は知徳体と申しますが、知と体育中心で、徳育が欠けたためのあらわれじゃないかなと思うんでございますが、このような形でいきますと、物で栄えて心で滅びると、将来が不安になるわけでございます。まして、今年度の卒業式あるいは成人式、いろいろなものもございます。
 私、現在も小学校の校医と高校の校医と二つ欲張ってやって、たまには顔を出してよく見ております。大分よくなってきましたけれども、十年前に比べますと、まだまだ、多少、何といいますか、子弟の関係の礼儀作法もないと感じます。
 これらの道徳教育に関しましていつも思うんでございますけれども、やはり人間の基本でございますので、その点、総理、国家の指導としましてどのようにお考えか、ひとつお伺いいたします。
#388
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 道徳教育というのは実に難しいと思うんです。まず、道徳教育の重要さを教える大人が子供から信頼を受けなきゃならない。いかにいいことを言っても、その言っている本人が、教育者自身が信頼されないと子供からは聞く耳を持たれない、そういう面において、私はまず、生徒に道徳教育の重要性を説くんだったらば、それを教える人を選ばなきゃいかぬ、その大人の教育が大事じゃないかと思っております。
 しかし、戦国時代からのいろいろ歴史書を読んでみますと、外国から来た人は、日本の道徳観念に対して非常にすぐれているという、褒めている書物が多いですね。そういう点、武士道精神とか見ていますと、今の社会では想像できない大きな責任感を持った方々が多いなということを感ずることがたくさんあります。
 これからお互いがこの道徳教育の重要性を考えながらも、どうやって多くの若い人に道徳教育の重要性をわかってもらうような方法があるか、むしろ政治家も大人も学校の先生も考えていかなきゃならない問題だと思います。
#389
○佐藤泰三君 次に、小中高生の奉仕活動につきましてお尋ねしたいと思っております。これは文部科学大臣にお願いします。
 小渕元総理の私的諮問機関でありました教育改革国民会議が、小中学校で二週間、高校生が一カ月、それぞれ共同生活をもとにして奉仕活動を行うことを提案していらっしゃいました。
 今、家庭が核家族で一人っ子が多く、塾通いで友達とのつき合いもない、孤独感が多うございます。このようなときこそ集団で奉仕活動を学ぶということは、非常な意義あることではないかなと感ずるところでございます。
 人間は、おぎゃあと生まれて三歳から九歳までに大脳の八割が大体埋まると言っております。道徳、人格は九歳までに完成すると。それ以後は単なるもう知識の進歩だけでございますので、ですから九歳までに人間としての、犯罪とか、あるいは親に対する敬愛の気持ち、いたわる気持ちを教えないと、後は大きくなって親を殴ったり人を殺したりすると言われていますので、三つ子の魂百までと申しますので、やはり幼児教育と小学校教育、もちろん家庭にも責任がございますが、一番大事じゃないかなと。私、精神科の学会で聞きましたけれども、けだしそうだろうと思います。我々の小学校時代覚えたこと、いまだに覚えております。小学校の恩師の名前から姿まで浮かんでまいります。中学以上ほとんど出てきませんから、やはり小学校が一番大事だなと思うんでございます。
 その奉仕活動につきまして、また一部においては強制するものではないという消極的な御意見もあるようではございますが、社会に奉仕する喜びと共同でもって汗をかく喜びを今の子供たちに与えたらよろしいと思うんでございますので、前の国民会議の提案に対しまして大臣は実行される意思がございますかどうか、お伺いいたします。
#390
○国務大臣(遠山敦子君) 道徳心を養って豊かな心を身につけるには、座学で教えられるよりはやはり実地に体験をして、自分の奉仕活動を通じて人が喜んでくれる、思いやりを持つことがどんなに大事かということを実感を持って身につけるということが大変大事であろうかと思います。その意味で、先般御提案のありました社会奉仕なり社会体験活動、自然体験ももちろん含まれますけれども、そういったことは非常に大事であろうかと思います。
 仰せのように、私は、本当の道徳の心というのは親が子供にしっかりとした愛情を注ぎながら、かつ本当にだめなときはだめと言う勇気を持って、教え導くということが一番大事だと思いますが、学校としてもできるだけのことをすべきということで、幾つか考えております。
 今の御質問とちょっと離れますので申しませんけれども、子供たちの一人一人に心のノートのようなものを持たせましたり、あるいはこれからはいろんな学習活動の場面を通じて、人間として生きる道、ないし善悪の判断の基準といったものを、先生仰せのようにできるだけその低学年の段階で身につけさせるように総力を挙げたいと思っております。
 学校を中心としながら、家庭と社会の協力を得て、この問題はぜひとも私は新しい世紀の初めに当たって全力を持って推進してまいりたいと思っております。
#391
○佐藤泰三君 次に、教育基本法の見直しにつきまして総理にお伺いいたします。
 総理は所信表明で、日本人としての誇りと自覚を持つ人材を育てると、小泉内閣の教育改革の目的を端的に明確に示されました。さきに国旗・国歌法が戦後五十年余たちまして成立いたしましたが、日本人ほど自分の国に誇りを持たない国民は少ないのではないかなと嘆いているところでございます。教育によって日本国民としての自覚、アイデンティティーを高め、愛国心や道徳心を養うことが必要であります。また、学校教育だけでなく、地域も広く包括した教育も必要であろうと思います。
 時代は変わるから、教育基本法に欠けている点も見直さざるを得ないだろうと思います。戦後教育を論議するときは、教育基本法の見直しは避けては通れない問題ではなかろうかと存じます。総理も所信表明で触れましたように、基本法の見直しが想定されているのかどうか、どのような見直しを必要と考えておられるのか、お伺いいたしたいと思います。
#392
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 教育基本法を読んでみますと、これは短い文章でありますが、非常にいいことを述べておられます。しかし、いろいろ教育の専門家から話を聞きますと、これでは不十分だと、もっと日本の歴史とか伝統とか、欠けているものがあるじゃないかという議論がありまして、今、教育改革国民会議等でその論議を深めております。その最終結果を見ながら、教育基本法というのはいわゆる戦後の教育に対する文字どおり基本的な考え方でありますので、成果が得られるような改正をすべき点があれば改正すればいいと、じっくりと議論を見きわめてやっていきたいなと思っております。
#393
○佐藤泰三君 次に、社会保障改革につきまして、一、二点お尋ねいたします。
 今、日本が世界一の長寿国となったわけでございます。御案内のように、女性が八十三・九、八十四歳、男性が七十七歳とほぼ八十になりました。この短期間に大きくなった理由は何だろうと考えますとき、社会資本が整備され、上下水道が完備された、環境も浄化された、これがまず第一点と思いますが、いま一つは、国民皆保険、世界に冠たる保険ができました。また医療技術、医薬品の進歩、いろいろございますけれども、このうちどの点が一番大きなテーマをなすか、総理の御意見を承りたいと思うわけでございます。
#394
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 長生きできる社会というのは戦後の日本の大きな目標でした。そういうことを考えますと、世界で一番長生きできたということは、日本として誇りに思っていい成果だと思います。
 今、佐藤委員御指摘のように、いろいろな理由があると思います。なぜ長生きできる国を目標にしたかと言えば、長生きできる国はいい国だと思ったから目標にしたわけですね、日本国民は。長生きするためには食べ物がなくちゃいかぬと。当時は食べ物がなくて、栄養失調とかで病気になったり、亡くなった方がいました。今は逆に栄養過多で病気になる人が多いぐらいですけれども。同時に、病院がなきゃ、お医者さんがなければ、これは病気になったときに治らない、だから病院を建てよう、お医者さんを養成しよう。これを最近はお医者さんを減らす方向です。で、病気にならぬには衛生環境もよくしなきゃならない、水もおいしいきれいな水を全国津々浦々に供給しなきゃならない。すべて当初の目標を達成したんです。
 しかし、政治の難しさはここだと思いますね。目標をすべて達したけれども、目標を達してしまったときには、当時から想像できない新たな問題が起こってきた。今、長生きすればいいというものじゃないという問題が出てきたでしょう。ここが私は政治の難しさだと思います。
 だから、日本国民というのは、一つの目標を立てると全部達成しちゃうぐらいに優秀な能力を持っている。今後も、長生きできる国を目標を達成したんですから、当時では考えられない、長生きすればいいというものじゃない、どうせ長生きできるんだったらば元気で長生きできる社会をつくろうというのがこれからの目標でありますから、それに向かって国民の英知を結集して、社会保障改革にも教育改革にも取り組んでいかなきゃならないと思います。
#395
○佐藤泰三君 ただいま総理の考えを承りまして、けだしそう思うわけでございますけれども、高齢社会における社会保障改革のあり方につきまして論議されておりますが、社会保障制度は国民生活に大きく貢献したわけでありますが、この制度も四十年たち、制度の見直しが各方面で論議されておるわけでございます。
 社会保障構造の在り方を考える有識者会議からは、現役世代の負担増を抑制し、負担増は保険料と公費で賄うが、高齢者にも十分の負担を求める、高額所得者への年金給付のあり方等についても再検討するという報告書が提出されております。政府・与党社会保障改革協議会がまとめた社会保障改革大綱でも、高齢者には資産や所得に応じた応分負担の原則が打ち出されております。
 また、経済財政諮問会議の論議では、実質的に高齢者の負担を増加させる意見が強いと聞いております。同会議で構造改革の原案がつくられているといいますが、論議が財源的な視点に偏向するおそれがあるのではないか、社会保障制度に関する根本論議を行うためには医療や年金の専門家をメンバーに加えるべきだという意見もあります。これについてはいかがか、御意見を承りたいと思います。
 また、いわゆる高齢者を一律弱者としてきた考え方も転換しようということでございますが、これに対しては、高齢者の負担増を強調し過ぎている、社会保障の理念が忘れられ、いたずらに国民に負担を求める方向に流れていくのではないかというような懸念の声も聞かれているのが現状でございます。
 とかくお年寄りは社会のお荷物のように見られておりますが、今日の我が国のこの経済的大きな発展、これはひたすらこの年代のお年寄りの方が青春時代を体を張って頑張ってきたおかげであるということは忘れてならないと思います。将来にわたる高齢者観の変化をどう認識するかによって高齢者医療制度と社会保障制度への処方せんが異なってくるわけでございますので、総理御自身の高齢者観、どのようなお考えか、改革の方向を認識されているのか、総理のお考え、またグランドデザイン、スケジュール等を含めて御説明いただければ幸せと思います。
#396
○委員長(岡野裕君) まず、坂口厚生労働大臣、御答弁願います。
#397
○国務大臣(坂口力君) 非常に長生きできる社会になったわけですが、これから先一体どうなっていくのか。現在、六十五歳以上の人が総人口に占めます割合は一七%でございます。これが二〇二五年になりますと、推計でございますが、七十五歳以上の人が一七%になるということになっておりまして、そういたしますと、まだまだ、我々長生きするようになりましたけれども、まだ寿命は延びるのかなという気もするわけでございます。
 そこで、これから先、この我々の社会に対してどういうそれじゃ枠組みをつくり、そして先ほどから御議論に出ておりますように、どのようにして皆さんがそこで生活をしていただける、納得していただけるような社会をつくり上げていくのかということになってくるんだろうというふうに思います。
 まず、枠組みの方でございますけれども、そういうふうになってまいりますと、やはり女性でありますとか高齢者の皆さん方にでき得る限り働く意欲のある人には働いていただけるようなやはり社会をつくり上げていかなければならないんだろうというふうに思います。
 幾つまででもそれは結構でございますけれども、七十五歳以上を後期高齢者というふうに呼んでおりますから、少なくともその辺ぐらいなところまで、よし、元気だから働くぞというふうに言っていただく方があれば、それは働いていただくような社会をつくり上げていくということになれば、今六十五歳以上の人が一七%でございますが、二十五年先に今度は七十五歳以上の人が一七%で十年ずれるわけでございますから、ずれましてもその皆さん方、働く人たちがふえてくればいわゆる担い手がふえるわけでありますから、そんなに問題はなくなってくるということでございますから、その辺のところもこれからつくり上げていきます社会としては注意をしていかなきゃならないことだろうというふうに思いますのと、もう一つは、少子化が非常に進んでまいりましたから、総理も御指摘になっておりますように、少子化対策を随所にいろいろなところにちりばめていくということが大事になってくるんだろうというふうに思っています。
 そして、先ほど負担の話が出ましたけれども、後期高齢者のところの皆さん方というのは、いかに長生きするとはいいましても、そのころになりましたら、やっぱり手を差し伸べて皆さん方にゆとりある毎日を送っていただけるようにしなければなりませんから、その後期高齢者の皆さん方のところにはやはり手を差し伸べるようにしなきゃならない。すなわち、負担の軽減を図っていかなきゃならぬのだろうというふうに思います。先生が今御指摘になりましたように、高齢者に対して全体に負担をかけるというのではなくて、高齢者の皆さん方には全体の負担は少なくするんだけれども、しかしその中で、高額所得者の人があれば、それは特別で、その皆さんにはまたお願いをしなければならないということではないかというふうに思います。
 そして、第二の人生、第三の人生を歩んでいただきながら、いわゆる今までの知識、経験を生かしていただいて、達人社会というふうに言われておりますが、本当に達人の社会をつくり上げていく。そこにお役立ちいただけるのを私たちが歓迎できる、そういう社会をつくり上げていくのがやはり高齢化社会にとって一番大事なことだというふうに思っている次第でございます。
#398
○国務大臣(竹中平蔵君) 高齢社会の話、中身につきましては今の坂口大臣の話で尽きていると思うんですが、経済財政諮問会議の話がありましたので、その点だけちょっと補足させていただきます。
 財源の話に偏っているのではないか、そうなってはいけないということは私たち十分認識しています。先週の金曜日も、小泉内閣発足して最初の経済財政諮問会議がありましたけれども、二つのことを確認しています。
 一つは、まさに構造改革の中身というのがどういうものであるのかということの一つのビジョンを描いてメッセージを明確に国民に送ろうということ、それを受けて実は予算の枠組みを決めよう、議論しようということでありますので、そういうふうな財源に偏るというような議論にはなっていないというふうに認識します。
 お尋ねの、だからこそ専門家をもっと入れたらどうかという御指摘ですけれども、実は、経済財政諮問会議には臨時議員の制度というのが御承知のようにありまして、この間の会議も坂口大臣に、まさに担当大臣であり御専門家である坂口大臣に出席していただいておりますので、そういった専門的な議論もぜひ反映しながら、御指摘のような議論を積み重ねていきたいというふうに思っています。
#399
○佐藤泰三君 介護保険が始まってちょうど一年になりますけれども、それについて二、三お尋ねしたいと思います。
 介護保険は、核家族になって、お年を召した親たちの面倒を見る人がいない、国家で面倒を見ようということから始まったのがスタートだったと思います。たしか予算が四兆八千億ぐらいと思ったのでございますが、昨年一年間やりまして、喜びもある反面、また不満もあるかと思うのでございますが、今後もさらに介護保険は拡大されていかざるを得ぬと思うのでございますが、その点につきまして何か利用者等の不満あるいは喜びもあると思うのでございますが、どうぞ厚生労働大臣におきまして、今までわかった範囲がありましたら御教示願いたいと思います。
#400
○国務大臣(坂口力君) ちょうど一年が経過をいたしました。そうした中で、総論で申しますと、大きく船出をさせていただいて、まずまず順調な船出ではないかというふうに思っているところでございますが、しかし具体的な問題では、市町村にお邪魔をいたしましても、それぞれの施設にお邪魔いたしましても、具体的な問題ではいろいろの御指摘があることも事実でございます。
 例えば、ショートステイの問題等につきましても、これはもっとうまく運用できないかというようなことで、これはことしの一月から若干使い方も変えてまいりましたけれども、ショートステイの問題等も出たところでございますし、それからケアマネジャーの問題につきましても、これも今五十人、六十人という、そういうたくさんの人のことをやらなければやっていけないようなことでもぐあいが悪いと。もう少しやはり、少なくとも三十人から四十人ぐらいの皆さん方の計画をつくる、そのぐらいな程度でやっていけるようにならないかというようなお話もございますし、それから利用料、あるいは皆さん方から出していただきます保険料等につきましても、低所得者の問題をどうするかといったような問題もございます。
 こうした問題は、どこに参りましても出てくる問題でございまして、私たちもそれは、逐一皆さん方の御意見を十分に拝聴しながら、直すべきところはやはり率直に直していかなければならないと考えているところでございます。
#401
○佐藤泰三君 次に、少子化問題でございますが、高齢少子化問題でございます。
 昭和四十八年にはお年寄り一人を十二人で養った計算でございますが、現在は四人で一人、二十五年後は二人で一人ということでございますので、昭和二十二年は出生が二百六十七万八千人、昨年は百十一万七千人と半分以下でございます。
 この問題も非常に難しい問題でございますが、やはり考えましたところは、出産はともかく、育児等の問題があると思うのでございますが、それにつきまして、就園児への支援です。ちょっと見ますと、フランスでは、三歳以上で九五%就園料が無料、四歳以上になりますと一〇〇%就園料が無料になっているそうでございます。
 そのようなことが、これはフランスの例でございますが、今後とも若いお母さんが、少子化でなく、少なくとも二人、三人はひとつ出生をしていただきたい、国家の財産でございますから。就園の費用等もお考えいただきたいなと思うわけでございますが、その点につきまして、厚生労働大臣の御意見もまたお伺いしたいと思います。
#402
○国務大臣(坂口力君) 大変すばらしいお話をしていただいて、少子化対策をやっております私としましてはのどから手の出るような話でございますけれども、しかし三歳で九五%、四歳児で一〇〇%無料という。しかし、そこまで行きますとかなりな財源が必要であることも事実でございまして、現実問題として、財政もまことに厳しい中でのことでございますから、そこまで行ければ本当にありがたいんですけれども、まあまあしかしそこまではちょっとなかなか、私がそんなことを言ってはいけませんけれども、難しいんではないかなというふうに思いながら、しかしそうなったら本当にいいなというふうにも一方で思っているわけでございます。
 保育に要する費用を基礎として、家計に与える影響をも十分に配慮しながら今やらせていただいているところでございますが、現在のところ、十三年度予算で見ますと、保育費用に対するいわゆる保育料の割合は四六・二%でございます。半分近くというところでございます。何とか、できるだけ我々も御指摘いただきましたようなことになればという願いを込めながらこれから頑張っていきたいと思っております。
#403
○佐藤泰三君 税制面の優遇と申しますか、子育てに金がかかることは少子化の原因にもなっているわけでございますが、現在ほとんど分娩費は、見舞金で大体分娩は無料に近くなってきておりますので、問題は子育ての費用だろうと思うんでございます。
 昔は親子三代同居ですから、子供はほとんどおじいちゃん、おばあちゃんが育てて、よく家庭教育できたんでございます。今核家族でかぎっ子が多うございますから、その点でどうしても保育園等が大事になってくると思うわけでございます。税制面ですと、支援税制、公的な融資制度等の拡充についても財務大臣のお考えを承りたいと思っているわけでございます。
 また、いま一点、これは文部大臣でございますが、学校に入って、教育費でございますが、現在私立大学の下宿にかかる費用が年間平均二百五十一万円ですか、大学の学費が百二十三万円と。これはなかなか補助というわけにはまいりませんから、育英資金が非常に少ないと思うんです。少なくとも、育英と名がつくからには十五万か二十万、これは返すお金ですから、面倒を見ないと育英にならないと思いますので、ぜひどうぞ育英資金の大幅な増額をして、余り親の世話にならなくて勉強できるようにしていただければ少子化の予防になるかと思うんでございますので、育英資金の問題と長期の融資制度の問題、支援体制、これは財務大臣、また文部科学大臣にお尋ね申し上げます。
#404
○委員長(岡野裕君) 文部大臣からにしますか。遠山文部科学大臣。
#405
○国務大臣(遠山敦子君) 私の方からは育英奨学の関係でお答え申し上げます。
 高等教育に関します経済的負担を軽減することは大変重要なことでございまして、これまでも育英奨学事業や私学助成の充実など、さまざまな措置を講じてまいっております。
 特に、日本育英会の奨学金につきましては、近年、希望する学生ができるだけ、可能な限り貸与を受けられるように充実を図ってまいっておりまして、平成十三年度予算におきましても、前年度と比べまして貸与人員で六・二万人増の、今七十五万三千人の方が対象となっております。また、事業費で平成十三年度にはトータルで四千七百三十二億円を計上いたしております。これも平成十三年度予算で急激に増加させていただきました。
 また、私学助成につきましても最近、力を入れてまいっておりまして、平成十三年度予算では、私立大学等経常費補助金につきまして前年度に比べ七十二億円増の三千百四十三億円を計上いたしております。
 お話のように、少子化対策も含めます大学、高等教育での勉学の経費の軽減ということは大変大事なことでございまして、引き続き育英会奨学事業及び私学助成について力を入れてまいりたいと思います。
#406
○国務大臣(塩川正十郎君) 奨学資金は、問題はやっぱり私は低額だと思うんです、支給額が。無利子貸し付けで月六万円でしょう。大学で、最高で十万円ですね。この程度じゃちょっとやっぱり少ないなと思いますけれどもね。まあ銭がないものだから、しようがないからこうしていますけれども、私はもう少し基金をふやしていってもいいんじゃないかなと思うております。
 聞くところによりますと、育英奨学資金の返済は皆まじめによく返してくれているそうですから、これは非常に有効だと思うております。ですから、二十年という間に返してくれる額も見ましたら、もう少し貸し出ししてもいいんじゃないかなという感じ。
 それともう一つ、大事なのは、日本の社会で学生、優秀な人材を育てようと思うておっても、税法上そういうのは出せない仕組みになっているんですね。ですから、無償のそういう奨学資金が、無償返済の奨学資金が、そういうようなものができたらいいんじゃないかなと思うておりまして、小泉内閣の一つの目玉にこれ考えてみたいなと思うたりしております。
#407
○佐藤泰三君 ただいま聞いて意を強くしましたけれども、月六万円ではとてもこれはもう少額でございますから。返ってくるお金でございますから、奨学資金はぜひひとつもっとふやしていただければなと思うわけでございます。
 次に、救急救命センターについてちょっと、これは厚生労働大臣でございますか、お尋ねしたいと思います。
 昭和五十一年、救急救命センターができまして、一次医療、二次医療、三次医療と。たしか昭和五十一年は全国で四カ所でございました。その後、昭和六十年ごろの死亡順位を見ますと、一番が脳出血で二十六万人ぐらい、二番が心臓疾患で二十二万ぐらい、三番ががんで十六万という死亡順位だったと思います。
 それで、厚生省の方でも救急救命センターに力を入れまして、どうも五十歳前後の働き盛りの方が心臓疾患で大勢亡くなるということで、あのころはたしか設備資金で四億五千万ですか、それから施設につき専門医を常勤八名とするための八千万という形で、昭和六十二年ですか、全国一斉にやりまして、私の埼玉県で五カ所ほどつくりまして、現在を見ますとどうでしょう、十五万人だった死亡のがんが大体三十万にふえて、脳出血、心臓疾患で四十何万亡くなった方が、二十何万という形で、五十歳前後、働き盛りの心臓疾患の死亡がぐっと減りましたし脳出血も減りました。
 これは、この救急救命センターが非常な威力を発揮したわけでございますので、今後ともこの運営につきましてさらに一つまた御支援等を賜り、小児救急も始まってきますから、どうしてもこれから医療はだんだん細分化してまいりますから、専門専門となってきますから非常に人件費はかかりますけれども、そんな形でひとつこの点を、救急救命センターの状況につきまして厚生労働大臣の将来のまたこれからの、現在は全国で百五十八カ所ですか、数からいいますと百万人に一カ所ですから十分なのでございますが、問題は、中には名前だけで余り急患を受けない施設もあるようでございますので、その点をひとつ精査しまして、救急業務を受けないところはこれは廃止の方向へ持っていくと。私は一カ所存じておりますが、いつも満床にして受けないというところがございますので、その点もひとつお調べになりましてやっていただきたいと思います。いかがでございましょうか。
#408
○国務大臣(坂口力君) 今御指摘を受けましたように、大体人口百万人に一カ所の割で整備をいたしておりまして、百五十八カ所できたわけでございますが、ですからこの数は大体、これで大体でき上がったのではないかというふうに思っておりますが、しかしそうはいいましても地理的なものもございますから、地域によりましてはかなり便、不便のところもございますし、そうすべてがヘリコプターでというわけにもいかない地域もございますし、いたしますから、そういうことも加味していかなければなりません。
 そしてまた、中身をどう充実させていくかということだろうというふうに思います。中身の充実につきましてひとつこれから積極的に取り組んでいきまして、各疾病にこたえられる体制にしたいというふうに思っております。
#409
○佐藤泰三君 救急救命センターはよくわかりました。
 それから、国公立病院についてちょっとお尋ねしたいんですが、戦後、陸海軍の病院・療養所がすべて国公立病院として存続しております。非常に軍の病院ですから不便な場所もございますし、いろいろございます。これも統廃合するという形で聞いておりましたが、いまだに統廃合もそう進んでいないんじゃないかなと思うのでございます。なかなかある病院は、廃合しちゃうと地元の方の反対もございます。
 しかし、この国公立病院の補整の赤字も相当なものだと思います。そういうふうに考えますと、現在、国公立病院の私、数はよく調べていませんが、たしか二百八、九十あって統廃合すると言ったんですが、実際まだ三十ぐらいしかしていないんじゃないかなと思うのでございますし、今、医療機関もあれしましたから、どうぞこれも統廃合して、何といいますか、有効にしていただきたい。
 今は交通機関が発達していますから、昔は病人をリヤカーで運んだ時代ですから、今は車ございますから、多少辺陬でも十分間に合いますので、その点のひとつ画期的な国公立病院の事業につきましていかがお考えか、お伺いします。
#410
○国務大臣(坂口力君) 済みません。私、準備が悪くて統廃合の現在のところの正確な数字を持ち合わせておりませんで申しわけございませんが、今年に入りましてからも統廃合の問題、鋭意やらせていただいているところでございます。
 やっぱりこれは地域の信頼にかかわる問題でございますし、地域の皆様方の御理解をいただかないとなかなかできないものでございますから、十分な御理解をいただきながら、そして進めさせていただきたいと思います。
#411
○佐藤泰三君 以上で終わります。
 ありがとうございました。
#412
○委員長(岡野裕君) 佐藤泰三君の質疑は以上で終わりました。(拍手)
 残余の質疑は明日に譲ることといたします。
 あすは午前九時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後四時十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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