くにさくロゴ
2001/05/24 第151回国会 参議院 参議院会議録情報 第151回国会 農林水産委員会 第11号
姉妹サイト
 
2001/05/24 第151回国会 参議院

参議院会議録情報 第151回国会 農林水産委員会 第11号

#1
第151回国会 農林水産委員会 第11号
平成十三年五月二十四日(木曜日)
   午前十時一分開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月十七日
    辞任         補欠選任
     佐藤 雄平君     和田 洋子君
     直嶋 正行君     小川 勝也君
 五月二十三日
    辞任         補欠選任
     羽田雄一郎君     広中和歌子君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         太田 豊秋君
    理 事
                岸  宏一君
                三浦 一水君
                森下 博之君
                郡司  彰君
                谷林 正昭君
    委 員
                岩永 浩美君
                大野つや子君
                金田 勝年君
                国井 正幸君
                田中 直紀君
                広中和歌子君
                山下 栄一君
                須藤美也子君
                岩本 荘太君
   国務大臣
       農林水産大臣   武部  勤君
   副大臣
       農林水産副大臣  田中 直紀君
   大臣政務官
       農林水産大臣政
       務官       国井 正幸君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        山田 榮司君
   政府参考人
       厚生労働省医薬
       局食品保健部長  尾嵜 新平君
       農林水産省総合
       食料局長     西藤 久三君
       農林水産省生産
       局長       小林 芳雄君
       農林水産省経営
       局長       須賀田菊仁君
       農林水産省農村
       振興局長     木下 寛之君
       農林水産省農村
       振興局次長    佐藤  準君
       林野庁長官    中須 勇雄君
       水産庁長官    渡辺 好明君
   説明員
       会計検査院事務
       総局第二局長   関本 匡邦君
   参考人
       農業者年金基金
       理事長      鎭西 迪雄君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○農林水産に関する調査
 (農林水産業の構造改革に関する件)
 (輸入農産物に対するセーフガードに関する件
 )
 (森林文化の再生と里山林の保全・利用に関す
 る件)
 (北洋漁業問題に関する件)
 (食料自給率の向上対策に関する件)
○参考人の出席要求に関する件
○農業者年金基金法の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)

    ─────────────
#2
○委員長(太田豊秋君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る十七日、佐藤雄平君及び直嶋正行君が委員を辞任され、その補欠として和田洋子さん及び小川勝也君が選任されました。
 また、昨二十三日、羽田雄一郎君が委員を辞任され、その補欠として広中和歌子さんが選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(太田豊秋君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 農林水産に関する調査のため、本日の委員会に農林水産省総合食料局長西藤久三君、同生産局長小林芳雄君、同農村振興局長木下寛之君、同農村振興局次長佐藤準君、林野庁長官中須勇雄君、水産庁長官渡辺好明君及び厚生労働省医薬局食品保健部長尾嵜新平君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(太田豊秋君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(太田豊秋君) 農林水産に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○岩永浩美君 おはようございます。自民党の岩永浩美です。
 先週の十七日に武部新大臣から所信を伺いました。先月、農林水産大臣就任に当たっての記者会見をテレビで私は拝見いたしました。武部新大臣から農政の推進に対して大変意欲的な力強い御意見が示されたことに、深い私は感銘を受けました。折に触れて、自民党の部会の中で北海道農政を中心として大変活発な御議論をしていただいている姿をいつも私は知っていただけに、今回、農林大臣になられて、まさに改革断行内閣における武部カラーを遺憾なく発揮していただけるものと私は思っております。そういう中にあって、大変私自身、九州と北海道の農業の違いが非常に強く記者会見の中で浮き彫りにされたのかなという一つの思いを、正直に私は思いました。
 そんな中で、大臣自身が農林水産業の構造改革ということを具体的にどういうふうに進めていこうとされるのか。総理の所信表明演説は、農林水産業の健全な発展という文案になっていたということを漏れ聞いておりますが、それに加えて、農業の構造改革をぜひこの際はやらなければいけないという、まさしく私自身、先ほど申し上げたように、大臣としては大変カラーを打ち出されたその一つの所信の表明になったのではないかと思っております。
 そんな中で、改革断行内閣の一員として、食料の自給率を向上させ、そして農山漁村を都市と共生すべき関係にあるものと考えて、循環型社会の実現を目指していくということをお示しになっております。
 そこで、私は一番初めに、大臣が農林水産業の構造改革、また「農山漁村の新たなる可能性」ということを力強く言っておられますが、その「新たなる可能性」とは具体的に何を意味しているのか、それをまずお伺いしたいと思います。
#7
○国務大臣(武部勤君) 岩永先生の激励の弁、ありがたく拝聴させていただきました。
 私が農林水産業の構造改革と、こういうふうに申し上げておりますのは、農業について申し上げますと、新たなる基本法において将来的に五〇%の食料自給率を目指すと。また具体的には、基本計画においてこの十年間に四五%の自給率にしようという、そういうもくろみを持ってこれから諸般の政策を推進していかなければならないわけでございます。実際に四五%の自給率に向上させるというのは容易ではないと思いますね。
 したがいまして、私どもといたしましては、四五%の自給率にするための担い手、いわば農業経営者でありますとか経営体でありますとか、そういったものをどのように育てていくかということがまず第一に大事だと思っているわけでございます。これは、片手間な農業ではとてもやり得ないという認識でありまして、まず第一義的に、四五%の自給率を目指すその担い手として、専業的な個人経営者あるいは法人ということを想定しているわけでございます。
 しかし、農村には農村の資源を守る、いわゆる農業は多面的な機能というものを有しているということは御案内のとおりでありますが、老夫婦が野菜や米をつくってそして副収入を得て子供たちや孫たちや友人にこれを送ると、これを楽しみにしているそういう方々や、あるいはサラリーマンをリタイアして農村に戻って、そして余生は農業を営むということで努力している人たちもおります。この範疇は、ある意味では生きがいとか健康とか、そういうことの方が主じゃないのかと。農業を経営することによって収入を得て生活の糧にするというよりも、むしろ収入面は副収入ということとしてとらえる人たちではないのかなと、かように思います。
 さらには、都市の皆さん方が最終的には自然に帰りたいという願望があると思うんです。したがって、休みを利用して農村に行きたいな、そこで畑づくりや菜園づくりや園芸をやりたいという人たちもいると思うんですね。この人たちの願望にこたえるためにも、かなり幅広い目的を持った法人というものの存在があり得ると、このように思うんです。
 また、農村を見ていまして、畑でつくってそれを売るということが主でありまして、それ以外に、これをつくって加工や流通に乗せて収入を得るというようなことは余り、それは人任せにしているんじゃないか、こんな感じがありまして、私が申し上げている構造改革というのは、一つは強力な生産の担い手をいかにつくっていくか。もう一つは、農村社会の自然と共生する、あるいは環境重視型のそういう、あるいは都市との共生という意味におけるいわゆる循環型社会を形成していくための担い手といいますか、存在価値のあるそういう人々もいると思うんです。
 そういったことを今までは、どちらかというと一緒にしてしまっていたんじゃないのかなと。それをもう少し目的によって、自給率貢献派ということになりますか、あるいは生きがい健康派というふうに分けますか、分け方はいろいろあると思うんですけれども、これを分けて考えて、重点的に、集中的に投資をしていく、支援をしていくと、こんなような整理をしている次第でございます。
#8
○岩永浩美君 過日の記者会見の中で、私自身がそう感じたのかわかりませんが、大臣自身の一つお考えの中に、農業が国際社会の中で競争に打ちかつ農業をしていかなければと、そういう一つの農政を推進していくというのが一方で力強く力説をされた嫌いがあったと私は思う。
 きょう、大臣から、そういう二種兼業農家等々も含め、家族労働を中心として農業を営んでおられる、生きがい対策としての農業も一方にはあり得るんだというお話をお聞きして安心しましたが、たまたま記者会見の中で力説しておられたその一つの姿を見ると、規模の大きいもの、担い手を中心とした農政が中心であって、切り捨てられる心配があるのかなという思いを私自身は正直にいたしました。また、このことについては後ほど少し触れさせていただきたいと思いますが、先に進ませていただきたいと思います。
 そこで、改革断行内閣の中におけるまさに改革の時期をつかむ農政の推進をしていく上において、農林省内部の構造改革も必要だと私は思っております。そこで、大臣御自身が新たな一つの四五%の自給率を目標に農政を推進していくためには、今までの既存の農林省の組織のあり方では十分にそれにかなわない部分が出てくると思う。かなわない部分があるとすればどの部分を改造するのか、農林省の中におけるどういう組織改革をお考えになっているのか、それをお示し願えればありがたい。
#9
○国務大臣(武部勤君) お話しのとおり、事業事務というものをゼロベースでという言葉が適当かどうかわかりませんけれども、今までの歴史的な経過の中で何をどのように変えるということではなくて、これから目指すべき農業、農政というものに照らして、この部門にはどのぐらいの要員、どういうセクションが必要なのかと、そういうような考え方でやっぱり徹底的な見直しが必要だと、こう思っておりますが、まだ具体的にこうすべきだああすべきだというところまで行っておりません。
 例えば農林水産公共事業についても、私はこれからかなり変わってくると思います。一つは、先生のお地元でもございますが、有明海が宝の海であると言われながら、富栄養化の問題でありますとか、非常にさまざまな問題を呼んでおります。したがいまして、環境を修復するという、そういうタイプの公共事業というものがこれから重要になってくるであろうと、このように思います。
 それから、農山漁村の新しい可能性を切り開いていくということを私申し上げているわけでありますが、これは従来の地域政策として農村の集落の再編だけじゃなくて、やはり都市の人々も自分の住んでいる都市と農山漁村とを行ったり来たりできる。そのためには、林間学校でよく子供が便秘になってみんな困るという話を聞いたことがありますけれども、これからはやっぱり農村にあってもこのIT時代にインターネットをリアルタイムで駆使できるというような、そういう環境整備をしなきゃならぬと思うんです。ですから、そういった新しい集落の再編といいますか、新しい農村コミュニティーというものをつくっていく、こういうようなこともこれからの公共事業の一つのタイプになるんじゃないかと思うわけです。
 ですから、一次産業における公共事業一つとりましても、従来型といいますか、今までとはかなり違った現代的な要請あるいは将来的な展望というものに備えた見直しが必要になってくるんじゃないか、このように思っております。
 就任したばかりでございますので、まだ行政組織のあり方そのものまで検討しておりませんけれども、一例を申し上げて少しイメージしていただければありがたいと思います。
#10
○岩永浩美君 ただいま大臣からお話しいただいた、今までのハードを中心とした農業土木、農林省のその機構から、少しやっぱり地域に住む住民の人たちに配慮をした機構組織に変えていく、そういうソフトの部門に重点的な一つの組織機構改革を行っていくというふうに理解をすればいいんでしょうか。
#11
○国務大臣(武部勤君) それは両面あると思います。
 ですから、産業政策としての農林水産業というのと、もう一つは環境政策でありますとか住民福祉政策でありますとか、そういった考え方に立った、それはかなりソフトな面になると思いますけれども、ハードなものは思いっ切りハード的な色彩を強くしますし、ソフトの面をさらにもっと拡大していく、そういうような両面があろうかと思います。
#12
○岩永浩美君 農林省とは関係ございませんが、今、都市再生基盤のために都市に対する重点配分をせよという世論や内閣の中にお考えがあることが漏れ聞かれます。
 私自身は、田舎に住まいする者として、まだまだ農村地域の中においてやらなければいけないハード面の仕事も数多く残されています。
 特に、土地改良事業等々については、ある一定の基盤整備は終わったと思いますが、住環境をよくしていくための農村の集落排水事業や下水事業等々についてはまだまだやらなければいけない、今、緒についただけだと言っても言い過ぎではない。そんな点についての産業基盤の整備というのは農林省が中心になって、建設省にかわってやるべき一つの時代が今来たんだと私は思いますし、ややもすると構造改革は、そういうハード面を切ることが構造改革を断行したというような風潮が出てこないように、まだまだやらなければいけない課題が数多く農村には残されていることを十分に御理解をいただきたいと思っております。
 そこで、地方提案推進室の設置を過日行われました。特に大臣は、従来型の陳情行政は廃止し、地方分権という視点から、多様な自治体の抱える数多くの問題をそれぞれ地方提案室で受け入れるというお話で、その一つの設置を決定されました。
 私自身、地方提案室を設置されることに異議を唱えるものではありませんが、大臣も、恐らく副大臣も政務官も、それぞれの地域から御要望を受け、農林当局に対して陳情をおやりになってきたことは事実だと私は思います。ただ私たちも、農林省にお伺いをし、それぞれ御多忙な中に時間の御割愛をいただいて対応していただくことによる仕事のロスがあることも一面において認めます。ただ陳情をしてすべてのことが終わるということじゃなくて、地方提案推進室というのがただ単に地域から政策提言をされる要望の受け入れの一つの窓口になってしまったのでは、私は本来の役割を十分に機能させていくことは難しいと思っております。
 旅費を使い、時間をかけ、お見えいただく皆さん方は、ただ単に陳情書を手渡すために役所に来るわけではなく、顔の見える行政を推進していくために、本来の地元の意見、率直な御意見を伝えたいという熱い思いでお見えいただいている方も数多くおられます。そういうものを受け入れていただくことによって、血の通った行政が推進していく政策提案でなければ私はいけないと思います。
 今回、地方提案推進室を設置された趣旨を大臣に伺うと同時に、その設置の推進の御発議は大臣のお考えでそうされたのか、そしてまた、大臣が進めようとしておられる行政の改革にこの地方提案推進室というのが一助になるというふうにお考えになっているのか、それをお伺いしたいと思います。
#13
○国務大臣(武部勤君) これは私が発議したものでございまして、私も先生と同様に地方議会議員出身でございます。陳情にぐるぐる回って、役所の人たちがさあここでいい知恵が出そうだというときにぞろぞろ出かけていって邪魔になってしまったこともあります。また、そんなときに大変いわゆる官僚的というような対応を受けておもしろくない思いをして帰ったこともございます。これは、三千二百の全市町村からぞろぞろ陳情に来られたら、受ける方も大変だと思うんですね。それからもう一点は、陳情書、要請書というでき上がったものを持っていくということによって、これは制度にありません、これはことしは予算がありませんというようなことで、せっかくいい提案もその一言で終わってしまわざるを得ないようなこともございます。
 そこで、そういう従来型の陳情行政ということを廃止しまして、事前に、ワンストップサービスで、この地方提案推進室に出かけて相談することによって、そこで、これは何局のどこどこへつなぎましょうとその場で電話して、担当部局の課長なり担当者のところへ行ってもらうと。まずはそこへ行っていろいろ相談をしてみて、効率のいいといいますか、中身のある提案、相談をするというようなことがよりベターじゃないのかなと。
 しかも、私ども、いろんな事例を各県でやっているのを見て、後で気がついて、いいことをやっているな、いい方式で努力しているなということを知ることがあるんです。ですから、この地方提案推進室にはビデオも置きますし、いろんな資料、データも置きますし、そこへ行けば各県の同じ悩みや問題を抱えている人たちとの交流もそこで起こるんじゃないかというようなことで、かなり広いスペースをとってやるようにということを今検討させております。
 むしろ、今先生が御指摘のような問題を解決するための一つの方策と、このように考えて私から提案させていただいた次第でございます。
 また、どうあるべきかということについてはさまざま御意見があると思いますので、そういったことも聞いてしっかりしたものにまとめていきたいと、このように思っております。
#14
○岩永浩美君 そうすると、今大臣からお答えいただいた地方提案推進室というのは、事業が決定し、そして遂行している問題の要望をそこに持ってくるということではなくて、今後計画を立てていく具体的な新規事業に対する相談をその場で一括して受けるということによって、どの部署でどういう予算を執行するか、地方提案推進室に行けばすべて手厚い御指導をいただけるという組織なんでしょうか。
#15
○国務大臣(武部勤君) おおむねそのようなことだろうと思います。また、実際に計画、実施している段階でも、迷っていること多々あるんですね、計画変更したいとかほかの事業に転換したいとか。だけれども、結局それがなされないままに、やむなく従来の制度、政策に従ってやらざるを得ないというような不満も我々よく聞くわけでございますので、まあ診療所みたいなものだと考えていいんじゃないでしょうかね。それで、そこへ行って今度専門医に診てもらうとか、あるいはそこで指導を受けて、これは栄養のバランスが悪いからということを知るだけでもいいんじゃないのかなと。
 農林水産省というのは三万三千の人員を抱えた大きな役所でございますので、ワンストップサービスだからといってそこですべて解決できるわけじゃありませんで、そのことによって行政もかなり円滑に、スムーズにできるようになるでしょうし、陳情者もそこでまずは相談することによって有効な、効率的な相談、要請もできるんじゃないか、こういうふうに考えている次第でございます。
#16
○岩永浩美君 今まですべてのそういう事業予算等々につき、事業そのものの見直しについて役所に非常にやっぱりかたい壁があったことは事実であります。今、大臣の御答弁をお聞きして安心をいたしますが、それぞれの時代に沿う事業を計画したとき、着手したとき、それを推進していく過程の中における見直しも十分に柔軟に対応していく地方提案推進室だとすれば、多くの皆さん方が、率直な御意見として、そのことの御相談にお見えいただくことが可能になると思うので、そこにはそれぞれのエキスパートを十分に配置していただいて、三万三千人の職員を十分に駆使できる、窓口の業務に徹底した組織として強化していただくことを心から期待をしたいと思います。
 次に、二、三ほかの案件を御質問したいのでありますが、限られた時間であります。有明海のノリ不作の問題について、二、三問質疑をさせていただきたいと思います。
 まず、大臣が先日の所信表明において有明のノリ不作問題に言及されたこと、福岡、佐賀、熊本、長崎の関係四県の関係者は、新たに大臣がノリ漁民の不満を代弁していただき、かつ、そしてその問題解決のために御努力いただく御決意をお示しいただいたことに大変心強く思っております。
 ただ、今回、水産庁において、有明海の未曾有の不作を受けて来年度の漁業共済制度の改善を臨時特例的な措置として実施していただくことを決定していただきました。このことは大変ありがたい思いでいっぱいでありますが、忘れてならないのは、ノリ漁民の皆さん方は、農業共済制度が拡充することによってその所得が保障されることを望んでいるわけではなく、あくまでもノリ漁業による所得の増大を望んでいるのであって、今、二、三年続いているノリ不漁のその原因が、どういう形でこういう状態になったのか原因を早く究明してほしいというのがノリ漁民の皆さん方の率直な御意見であります。
 それについて、水産庁並びに農林省の方では今まであらゆる施策を講じていただきました。そして、排水門を一年間閉じて徹底的な調査をするというその報告がしてございます。
 また、第三者委員会において、ノリ漁民が第三者委員会の中間報告はいつ出るのかということを大変首を長くして待っております。第三者委員会に原因の調査をお願いしたのはノリ漁民ではなくて、行政側が第三者委員会を設置して、その中の中間報告を求める。
 それは、ノリ漁民の皆さんも入り、学者も入り、行政当局も入って第三者委員会が開かれているわけでありますが、来年の種つけ時期に合わせて、九月までにその中間報告をまとめるというお話でありますけれども、ノリの種つけの時期は九月であり、少なくとも六月には中間報告をやっぱりお示しいただくことがノリ漁民の皆さん方の不安を解消することになると思いますが、まだその決定をいつするということは発表されておりません。
 できるだけ早く、速やかに発表するとは言われておりますが、九月をめどにというお話で今まで我々はお聞きしておりますけれども、九月では遅過ぎる、六月にはどうしても発表してもらいたいというノリ漁民の感情をどう受けとめ、どういう形で発表なさろうとしているのか。まず、そのことをお伺いしておきたいと思います。
#17
○国務大臣(武部勤君) まずは、早急かつ徹底した原因究明調査が重要だと思います。今、先生から九月では遅いという、そういう御指摘がございましたが、地元の皆さん方の気持ちからすると、そのことはよく理解できるのでありますが、やはり夏季の水温、塩分等の状況や、赤潮、貧酸素水の発生状況等の把握が必要不可欠であるということでございまして、やはり九月末を目途に可能な限り早く中間報告をするということ以上のお答えは現時点ではできかねるというのが私の答えに相なります。
 調査によって得られたデータ、解明された知見等は可能な限り速やかに公表させていただきたいと、かように思いますし、ノリ養殖の安定生産に向けた適切な取り組みについてもさらに強化していきたいと、このように思っております。
 そして、私は二十六日に現地に参りまして、さらにどんな問題があるのか、どのような解決策があるのか、そんなことをしっかり現地を確かめた上で対応をしてまいりたいと、かように考えておりますことも申し添えたいと思います。
#18
○岩永浩美君 二十六日に現地を踏査していただくこと、これは随分漁民の皆さん方も心待ちにしておられるし、その折にも、今大臣から御答弁いただいた九月ではどうしても遅いので、もっと早くしてほしいという強い要請が出てくると私は思いますし、速やかに漁民の皆さん方の不安を解消していく、そういう趣旨に沿って、一日も早くその発表ができることを期待しておきたいと思います。
 また、二点質問をしておきたいと思いますが、もしことしもまたノリ不作に陥った場合、閉めたままでノリ不作になった場合、その責任はだれがとるというふうになるのか。
 それから、諫早湾干拓事業というのは、あくまでも防災機能の維持という一つの形の中で諫早湾干拓事業を推進してきました。有明海の干潟を再生してほしいというのは、地元関係四県の漁民の皆さん方は、干潟を再生することが有明海を再生することだという意見を強くお持ちです。農林当局は、今までの干拓事業はそのまま推進をしていく、干拓事業を推進していくということは干潟の再生はさせないということになりますが、どちらをとろうとして今後事業を進めていこうとされるのか。
 ぜひ、関係四県の漁民、並びに有明海が宝の海として皆さん方に高い評価を受け、あの自然を十分によみがえらせることが環境問題を解決していくという大方の意見の一致を見ている現状を考えるとき、この問題について農林当局は具体的にどっちの方向を今後はとっていこうとしてお進めになるのか、お尋ねをしておきたいと思います。
#19
○国務大臣(武部勤君) 私は二者択一だとは思っておりませんで、まずは有明の宝の海をもとの海に取り戻すための対応をこれは政府挙げてやらなければならないことだと、かように認識しております。
 今の時点で私自身が予見を持ってどうすべきだ、こうすべきだということを申し上げることはできませんが、次期ノリ漁期対策といたしましては、共済制度の改善措置や覆砂、干潟の造成等の漁場環境の改善策を実施し、また、適正な養殖技術の指導等を通じたノリ養殖の安定生産に向けた取り組みをしっかり実施させたいと、かように思います。こうした対策を通じて万全を期してまいりたいと、かように考えている次第でございます。
 なおまた、干拓事業の問題につきましても、これは長年歴史的な経緯があるもとで、地元の強い要望で着実に実施しているというところでございますが、私も先ほど申し上げましたように二十六日に現地に入る予定でございますので、どのような問題があるのか、どういう対策、方法があるのかということをしっかり検討して、環境に十分配慮した対応をしてまいりたいと、かように存じます。
 いずれにいたしましても、ノリ不作の原因究明のための調査の中で、有明海の再生のために、先ほど申し上げましたように、政府を挙げて、また地元の皆さん方、県も含めて、これは国民的な非常に大きな注目すべき課題だということに相なっておりますので、そういう姿勢で努力をしていかなければならないと、かように存じます。
#20
○岩永浩美君 有明海の再生のために大臣の特段の、特別な御英断をもって再生のために、環境の保全を含め十分な配慮をしていただくことを心から期待を申し上げて、質問を終わります。
#21
○郡司彰君 民主党・新緑風会の郡司彰でございます。
 きょうから武部大臣と論戦を交わさせていただいて、法案審議、それぞれ慎重にやっていきたいというふうに思っております。
 私は三年前に初当選をいたしましたので、この間、五人の大臣と話をするような機会に恵まれております。それがどうのこうのということは私の方から別に申し上げませんけれども、この五人の所信の中で、大臣の所信はこれまでと相当変わってきているというような感じを率直に言って持っております。
 それは、構造改革を進めなくてはいけない、改革をきちんとやるんだと、そういうような決意になっているわけでありまして、先ほどこの辺は岩永委員の方からも若干の質問がございましたので、余り重複しない程度にお聞きをしたいと思いますが、改革に値する施策の具体的なものというものがあればお示しをいただきたいと思いますし、それから、農水省の記者クラブで行った発言の中で、農水省も努力はしているけれども、まだ我々から見れば意識の変革に遠く及ばないと、そういうような発言がございました。どのようなところがそのように大臣の目には映っているのか、お聞きをしたいと思いますし、大臣のホームページ等も見させていただきますと、「愛と熱意と信念のあるところ、必ず道は開かれる」と、そういうような言葉が大臣のキャッチフレーズだそうでございますので、決意のほどをまずお聞かせいただきたいと思います。
#22
○国務大臣(武部勤君) ありがとうございます。
 私どもも、これまでの大臣と基本的に考え方が違うわけではないというふうに私は思っております。これまでの継続性の上に改革断行内閣を宣明いたしました小泉総理のもとで、農林水産業の世界でどういう構造改革があるのかということを私も自問自答しているわけでありますけれども、やはり国民の皆さん方に、あるいは対外的にもその辺のメッセージを明確に明示する必要があるというふうに私は考えて仕事をしていかなくちゃいけないなと、このように思っているわけでございます。どちらかというと農山漁村を仕事の対象にしております農林水産省というのは、その態様が非常に幅広いものがありますので、一見しますと非常に総花的だなという、そういう印象は否めないんじゃないかと、私はこのように思います。
 したがいまして、農政の分野では、まずこの十年間の間に四五%の食料自給率を達成するんだと、それには生産サイドでどういう政策展開が必要なのか、その担い手はだれがどのように請け負っていくのか、あるいは食品産業でありますとか消費者サイドの問題もあるわけでございます。ここのところにやはり我々の執行の最重点を置いていかなければならないんだろうと、このように思っております。
 これは、食料・農業・農村基本法にそのことが明確にうたわれているわけでありますし、また、今御審議いただいております水産基本法、さらにこれからお願いをしなければなりません林業基本法、それぞれ、水産物の安定供給ということと水産業の健全な発展、あるいは林産業にありましては、今までのいわゆる木材生産という、そういう観点から、森林の多面的な機能を発揮する、いわば自然と共生する時代にふさわしい農林水産業のあり方というものを真剣に考えて努力していこうということでありますし、そのことについて農林水産省は、職員は意識が薄いといいますか、それは政治家の責任だと思います。やっぱり明確に最高指揮官が方向づけをしていけば、農林水産省の職員というのは非常に純情ですから、今、私のことでお話しいただきました「愛と熱意と信念のあるところ、必ず道は開かれる」、そういう考え方を持っているのが農林水産省だと、こう思っておりますので、ちょっと長くなりましたけれども、そういう考えでございます。
#23
○郡司彰君 初めて農水省の方々が素直な方だということがわかりました。
 それから、これはまた岩永委員の方からありましたけれども、先ほど兼業あるいは専業というような形が、どうも一、二回の発言を聞いておりますと、大臣のやっぱり頭の中の農業というのは出身の北海道というところがベースにあって、そこにおける規模なり経営形態なりというものがどうしても先行しているのかなという感じがいたしております。
 これは、先ほどお聞きをしましたからあえてあれですけれども、私は、全体的に見るとやはりこの集約化が進まなかった原因の一つというのは、土地政策といいますか価格といいますか、これは農業にかかわらない部分のところの要因というのが非常に大きかったと思うんです。でありますから、例えば農水省だけではなくて国土そのものをどのような利用をしていくか、そういう観点からも考えていかなければいけないのではないかなというふうに思っております。
 それからさらに、日本の農業そのものが、古来そうでありますけれども、米偏重という形をとってきたのではないかと思っておりまして、例えば減反という政策をこれまでも随分とってまいりましたけれども、なかなか思うに任せない、いろいろと意見が出ているということもこれまた事実なのでありまして、だとすると、それをいろんな形に誘導するということも一方では必要だと思います。
 これからのことを考えますと、特に大臣が言っております循環型という観点を考えれば、米というのは非常にすぐれたものでありますから、それが日本人の、日本人というより人間の主食によらなくても、しかしながら穀物自給率の面から考えても、耕すというのと飼うというふうな、その二つの農業をきちんと結びつけるという意味からも、飼料米等、えさ米等のそういう研究開発、そういうものをもっと十分にやっていってもいいのではないかなという感じがしております。
 その辺について、御意見がいただければと思います。
#24
○国務大臣(武部勤君) お説全くごもっともだと、私はこのように思います。
 私は、これは他省庁にかかわる話かもしれませんけれども、今必要なのは、国土再編基本法みたいなものが必要なんじゃないかと思います。日本の国土の利用ですね、どこをどのように守っていくのか、どこをどのように利活用していくのかですね。そして、農林水産業についても同様だと思います。やっぱり資源というものをしっかり守り、資源を育て、その資源をいかに持続的に活用していくかということが基本にならなければならない、かように思うわけでございます。
 したがいまして、今先生もおっしゃっていただきましたけれども、循環型社会の構築というのは、これは農林水産省の非常に大事な役割ではないか、このように思います。
 それから、今、飼料米のことのお話がございました。
 確かに、自給率を上げるためには、えさでありますとか、あるいは小麦、大豆とか、こういったところの自給率が低いわけでありますし、米は、主食は一〇〇%、加工米を入れても九五%になっております。いつでもすぐ一〇〇%以上になるというようなことでありますから、その辺のところは、やっぱり将来の需給状況というものをしっかり展望しながら飼料米についても真剣に取り組んでいく必要があるんだろう、かように思っております。
 お答えになったかどうかわかりませんけれども。
#25
○郡司彰君 大臣のお話を聞いて、これまで法案の際もそうでありますけれども、とにかくもう出したものは一句一字修正というのは応じないんだというような姿勢が初めにあったような感じがいたしますが、これからはお互いやっぱり政治家同士の話の中で、よりよいものがあればそういう形でもって与野党超えて、いい内容の法案にしていけるように私どもも努力をしていきたいというふうに思っております。
 それから、女性の労働力、これが非常に農業の場合には大きいわけでありますけれども、それに応じたような地位といいますか評価といいますか、そういう形がとれているかというと、これは非常に少ないわけであります。これは日本だけではなくて世界じゅうそうでありまして、しかしながら近年、ほかの国においては女性が自身の力でもって新たな組織をつくって、それはもちろん農業に関連をする人たちだけではない人たちまで含んだ形でもって行われてきているということがあります。
 日本の場合には、系統の取り組みもあるかと思いますが、そこまでなかなか行っておりませんが、少なくとも政府の方で決めて推進をしております例えば家族経営協定のような形がもう少し実効性を伴って出てきてもいいのではないか。大臣がおっしゃっている法人化ということの前に、家族の中で、それぞれの家族農業の中でも女性の力というものを評価し、休みを与えるとか、応分な賃金をその中身においてきちんと契約して払っていく、そういう形が必要だと思いますが、この点について現状と、これからの決意をお述べいただきたいと思います。
#26
○国務大臣(武部勤君) 前段お話がありました、我々立法府は、私は、議院内閣制ですから今政府の立場でありますけれども、十二分に審議を踏まえて、みんなの声、国民の声というものを政治に反映すべしということでありますから、我々はかたくなに出したものは一切修正も認めないとか、そんなことじゃありませんで、その点は小泉総理もいわく、協力してくれる人には民主党であろうがどなたであろうが御協力願いたいというのは私も全く同じ考えです。
 それから、女性のことにつきましては田中副大臣が専門でございますのでお答えいただきたいと思っておりますが、だからといって私は女性に関心がないわけじゃありません。
 私が法人化と言うことは、法人化を唱えている一つの背景はここにあるんです。法人にしますと、経営移譲の問題も解決しますし、いわゆる年金、医療、福祉その他、それは農業者年金、今審議願っていますけれども、いずれ将来はみんな厚生年金になっていくんだろうと思います。そういう形で、そういう年金や福祉の面でもきちっとした対応ができる、それにはやっぱり法人ということが一つの大きな突破口になっていくんじゃないか、こう考えております。
 あとは田中副大臣に答弁させます。
#27
○副大臣(田中直紀君) 郡司先生の御質問にお答えいたしますが、私が専門というよりは、共稼ぎをしておる家庭でございますのでわかるのではないかと、こういう御指摘じゃないかと思います。
 当然、共稼ぎにはいいところもあれば、ちょっとぐあいが悪いかな、こういう側面もあるわけでありますが、時代が既に、女性の皆さん方の能力を社会が認めて、そして大いに貢献していただこうと、平成十一年の六月には男女共同参画の法律も通っておりますから、そしてまた小泉内閣の大きな柱であります。農林水産省につきましても、組織を確立いたしたところでございます。
 若干触れさせていただきますが、やはり農業の女性の比率は六割を超えておる労働力でございますが、そういう社会になっております。恐らく御主人さんは役場だとか農協だとかあるいは誘致した企業に勤めに出る、しかしお年寄りの方とそしてまた主婦が子育てをしながら農業を営んでいる、こういう姿が非常に多く見られるわけでございます。その中で、委員が御指摘のございました家族経営協定を平成七年から農林省が独自に、やはり家庭の中で農業に従事していただいて、朝早くから夜遅くまで仕事をやっていただいている主婦の方々に、しっかりと家族で協定をして、そして応分にその収入を得る、こういうことをきっちり決めていこうということであります。
 この制度は私は非常にいい制度であるんですけれども、何も農林水産省だけでやっていてはこれはどうも先に進まないんじゃないか。私は、時代は既にジョブシェアリングの時代になっております。諸外国でも、そういういわゆる手分けして仕事についてもきっちりした社会保障が得られる、こういう状況でありますから、私は、農家においても家族の協定ができ上がったら、税金を払うところはしっかり払うと。しかし、その払った所得はやはり独自のものであると。後で、そういう協定があったけれども、いざとなったら、いやそこまで渡していないんだとか、相続はそこまで決めていないとか、そういうことではやはり紛争の種をつくるわけでありますから、私は、もっともっと時代に合った制度にして、そしてまたその範囲内で、税金を払わないで済むときには当然経費として落としていくというようなもっと明確な制度にしていくことによって、しっかりとした農村にも女性の役割が、あるいは企業参画が進められるように、当然武部大臣もそういう力強い経営主体をつくっていくんだということでありますから、兼業においてもそういう形がとれるようにということで努力をしていきたいと思いますし、委員の御協力を心からお願い申し上げます。
#28
○郡司彰君 田中副大臣には前回の谷津大臣のときの質問のときにもお尋ねをしたことがございましたけれども、これまでと何が変わったんだという中で、副大臣・大臣政務官会議ができましたよということが、この谷津大臣のもとでは非常にほかと違うんだという話がありました。これは、武部大臣になって同様に、そういう機能としてといいますか、政治家がきちんと力を発揮できるようなシステムをつくっていこう、そういう考えは同じだろうと思いますけれども、この副大臣・大臣政務官会議というのはそのままなされるのかどうか、なされていらっしゃるのか、お聞きをしたいと思います。
#29
○副大臣(田中直紀君) お答えいたします。
 武部大臣に御就任いただいた後、御相談を申し上げまして、引き続き、副大臣、大臣政務官の会議を継続させていただくことにいたしまして、既に二回開催をいたしております。
 で、前谷津大臣のもとにおきまして、省庁再編ということで制度が変わりましたものですから、設立をいたしまして、十八回この五カ月の間に開催をした実績がございます。
 基本は、やはりその省庁の重要な課題を我々がしっかりと把握をすると。農林水産省も一官房、四局、外庁が三庁ございます。技術会議もございますので、やはり各局の、農林水産省本省に四千人弱職員の方々がいらっしゃるわけでありますから、そういう面では情報を的確に我々に上げていただいて、そして政治的な判断というのは、手続がしっかりとられているか、あるいはその状況に対してタイミングよく判断をするかどうかということがやはり我々に求められるわけでありますし、機敏にその政策を遂行する、そしてまた、役所の皆さん方にはなお一層いろいろその分析をしていただく、あるいは判断材料を出していただくということでございまして、そういう面では大変農林水産省においては機能をいたしておるということを聞いております。
 実際に役所の方に聞きましたら、やはり非常に大きな農林水産省の組織でありますので、それぞれほかの局の皆さん方の情報というのがなかなか入りにくいと、同じビルにいても。そういう面では、この会議においていろいろ情報交換をすることがお互いにやはり今何が問題になっておるかということが非常に多くの方々に広く伝わるということでありますし、また大臣の指示も受けやすい、こういうことで、引き続き実施をしていくことで今進めておることを御理解いただきたいと思います。
#30
○郡司彰君 次に、土地改良区の党費立てかえ問題というのがございました。このことについて若干お聞きをしたいと思いますが、まず事務的に、最終報告、大臣の答弁で六月のどうのこうのという話がございましたが、いつごろになるのか、今までわかっている総額、五年間で幾らかをお知らせいただきたい。
#31
○政府参考人(木下寛之君) 先週、三十三県分について御報告したところでございますけれども、残りの県につきまして、私ども、出していない県に対しまして今督促をいたしておりまして、来週中には全体を取りまとめて発表したいというふうに考えております。
#32
○郡司彰君 金額。
#33
○政府参考人(木下寛之君) 三十三県分の金額でございますけれども、合計いたしまして四千五百万円程度ということでございます。
#34
○郡司彰君 五月中にはおおよそ出るということで理解をさせていただきたいと思います。
 それで、大臣の方にお尋ねをしたいと思いますが、本来、土地改良区における性格その他からいうとあり得ないことが起こっているわけでありますけれども、私どもの方の感覚からしますと、体質的に補助金による行政そのもののシステムの中でこのようなことを生み出すようなものがあったのかどうか、大臣としてはどのように認識をしていらっしゃいますか。
#35
○国務大臣(武部勤君) 土地改良区というのが公共性の極めて強い団体として認識に欠ける点があったことは極めて遺憾だと、かように思います。
 土地改良区全体においてこのような支出があるわけではありませんが、土地改良区の体質自体に問題があったのではないかと言われれば、私はなかったとは言えない。しかし、これは弁明するわけじゃありませんけれども、多くはそうじゃない。ごくわずかな事例しかこれまでの調査で出てきておりませんが、一人二人の悪党がいれば、みんなが悪者にされるというのが世の常であります。そういうことをしっかり土地改良区も認識して、今後、この問題に対応をしていただかなきゃなりませんし、私どもも厳しく指導してまいりたいと、かように存じます。
#36
○郡司彰君 今、大臣の答弁の中で、問題があったのではないかと言われると、なかったとは言えないという発言がございました。これは非常に大事な答弁だろうと思うんですね。
 私どもも、本来、いろんなところでもってこういう問題が起こり得る可能性があるかということになりますと、それはあるわけでありますけれども、しかしながら、現実に起こっているのは、KSDの問題も含めて、やはり国の行政とその税金の使われ方の中でのことが主になってくるわけでありまして、だとすると、この土地改良そのものの見直しそのものも今後は慎重に行っていかなければいけないんではないかなという感じがしております。
 そこで、お聞きをしますのは、大臣の認識の中で、数少ないようなという話もございましたが、実はこの十六日に発表をいたしました、報告をいたしました。次の日に、これは私、非常に自分で言いづらいんですが、私の選挙区の茨城が十六日に、農水省が発表した同じ日に、農水省の分とはかけ離れた形でもって発表しています。これが、栃木県が非常に多いんだという話を報告の中でされましたが、栃木県を圧倒的に抜いておりまして、茨城県が全国で一番多い。一県で、さっき全国三十三県で四千五百万、これ茨城だけで今のところ一千七百万というような数字が出ております。そうしますと、これ三十三県で四千五百万、数的にはそうそうという話がありましたが、一つの県がふえて、これ一千七百万ふえる。そういうような可能性があるとすると、またこれは大きな問題にもなる。
 しかも私は、自分の選挙区でありますけれども、発表を、報告を農水省がした日にできるような形のものが整っていれば、もうこれは当然農水省に報告があってしかるべきなんではないか。いかにも作為的なような感じがしまして、これは農水省の問題ではありませんけれども、不明朗なものをできるだけ覆い隠そうとするような体質がこの土地改良区そのものにあるんだとすれば、その辺も変えていかなければいけない。
 もう一つお尋ねをしたいと思いますが、この党費の問題、政治団体への会費として払ったということが出ておりますが、これは自民党だけでございましょうか、自民党以外の政党にもあったんですか。
#37
○政府参考人(木下寛之君) 先日公表いたしました三十三県分の報告の内容ですけれども、該当になるところはすべて自由民主党の党費でございます。
#38
○郡司彰君 この後、土地改良法の審議等もございますが、その中でもまた改めて質問をさせていただきたいなというふうに思っております。
 大臣に、最後にこの問題についてお尋ねをしたいと思いますが、栃木県が大変大きくクローズアップされておりまして、そこの役員の方々が、五年間さかのぼって党費として支出をしたものについては個人が返還をする、返却をすると。そういうような形で落ちついたという報道がなされておりました。
 だとすると、私自身は、これはKSDの問題のときもそうでありましたけれども、まず何よりも、自民党がこの額をそれぞれの土地改良区に返すということが一つ大事な観点になってくるのではないかと思っております。そうでないと、不正な支出をそのまま自民党という党が受け取るということに何の呵責も覚えていないというようなことになってしまうんではないかと思いますが、どうでしょうか。
#39
○国務大臣(武部勤君) 立てかえられた党費につきましては、本来、党員である個人が支払うべきものであるというふうに、かように思います。したがいまして、これらの者から土地改良区に対し返還されることが妥当だろうと、かように考えている次第でございます。
 先ほどの発言で誤解のないようにつけ加えておきますけれども、その党費立てかえの調査の数字は、十二年度では政党費の支出があった土地改良区が報告全体の五・三%、政治団体会費支出があった土地改良区が報告地区全体の八・五%、こういうことでございますので、言ってみれば、この数字が大きいか小さいかということは、これはあれこれ言うべきではないと私は思います。
 しかし、こういうことが土地改良区全体に対して、すべて悪といいますか、許されないというような評価になりますと、まじめにやっている人たちはこれはもう立場がありませんね。そういう意味で、問題があるかといえばないとは言えないけれども、それだけに今後厳正に土地改良区全体の名誉回復のためにも、返還についてもきちっとやってもらうべきだろうと、こういう認識にあるということでございます。
#40
○郡司彰君 この問題はまた別な機会にでもさせていただきたいと思いまして、次に移りたいと思いますが、十一月、カタールでWTOの次期交渉立ち上げの閣僚会議が予定をされていると思いますが、このカタールの開催の見通し、例えばその場所の問題等も含めまして、さきのシアトルの閣僚会議のときには世界じゅうから相当な数の方がお集まりになったと。結果として余り芳しくないような行動もあったようでありますけれども、今回も相当な方々がお集まりになるような感じがしておりますが、そういう会議が無事開かれるということの見通しがあるのか、それに対して日本側の働きかけというものは現在どうなっているか、お聞かせをいただきたいと思います。
#41
○国務大臣(武部勤君) 先日のOECD閣僚会議におきますコミュニケを見ましても、日本側の提案というものと比較いたしまして、非常に包括的に幅広く考えていただいていると、そういう感じを受けまして、ほっとしたといいますか、心強く感じた次第でございます。これは成功させなきゃいけません。そういう考え方でこれからさらに逐一準備を怠りなく進めてまいりたいと、かように存じます。
 したがいまして、十一月、カタールで行われるWTOの総会におきましては、そのことを一つの目安にして、我々全省庁を挙げて努力していきたいと、かように考えております。
#42
○郡司彰君 これまでも、農水省だけではなくて、各省庁と連携をとりながら、日本側の思いといいますか主張を広げて、フレンズ国をふやしてきているという努力をされているんだと思いますので、それはそれで一生懸命やっていただきたいなというふうに思います。
 それから、日本の主張の中で多面的機能というのが日本の中においても相当市民権を得てまいりました。私自身はもともと、多面的機能ということもよくわかるけれども、非貿易的関心事項と言う方がより広い範囲につながっているわけでありまして、なぜそこではいけないのかということをこれまでも聞いてまいりました。もう時間がありませんので、私の方からひとつお話をさせていただきたいと思いますが、幾つか、この非貿易的関心事項と多面的機能の場合には、材料となるといいますか、エリアが違うわけでありますね。
 一つの問題として動物に関するところがございます。例えば捕鯨の問題も入るかもしれませんし、あるいは動物愛護の関係もあるかもしれません。日本の食文化の中で焼き鳥を食べているというのがほかの国から見ると非常にどうのこうのということもあるのかもしれません。
 しかし、こういう形の話題が国際的な場の中でされるときに、日本は多面的機能ということを主にしてやっているので、例えば動物の話は、それは私どもは今のところちょっとタッチをしませんよというようなスタンスになっているんではないかと思うんですね。だとすると、ほかの国から見ると、日本という国は自分の主張のときにはきちんと範囲を狭めて、そこのところの主張はするけれども、世界の中でといいますか、動物の関係はEUその他が中心になるかと思いますが、そこのところの議論には入ってこないじゃないか、これはあんた、ずるいよというような、もう少し全体の議論にも参加をすべきだというような意見というものが当然出てくるんだろうと思うんですが、この辺のところについてどのようにお考えですか。
#43
○国務大臣(武部勤君) 先生御案内のとおり、多面的な機能という場合には農業生産活動と密接不可分な機能をあらわす概念だと、こういうふうに理解しておりまして、非貿易的関心事項ということにつきましては、今お話がありましたように、動物愛護の枠組みもこれに加えられた概念だろうと、こう思っております。
 したがいまして、今後とも、多面的な機能を含む非貿易的関心事項の重要性ということを踏まえつつ、EUを初め各国と議論を深めてまいりたいと、かような考えでございます。
#44
○郡司彰君 私も不勉強でよくわからないんですが、例えば動物愛護ということがかかわった場合に、日本の現在の省庁の中でいうと、どこがこれは管轄をすることになるんですか。
#45
○国務大臣(武部勤君) 間違ったことを言うかもしれませんが、生産局だろうと思います。
#46
○郡司彰君 つまり、農水省でよろしいということですか。
#47
○国務大臣(武部勤君) 農水省でいえば生産局ということでございます。
#48
○郡司彰君 どうもその辺も含めて、この議論に日本がまじめにといいますか、きちんとかかわっていないんじゃないかという気がするんですね。
 ですから、これは環境の問題もあるやもしれませんし、その他の省庁の関係も出てくるのではないかなというような感じがいたしまして、この日本という国が、自分のところの主張だけはきちんと道筋をつくるけれども、世界の議論のときには、私はどうもその議論はというふうな形になっては、これはなかなか最後のところでの合意形成ということになるのかどうかという危惧をしておりますので、この辺のところについても今後は十分検討を農水省の中でするといいますか、他省庁との連携を含めてやっていただきたいなというふうに思っております。
 それから、セーフガードについてお尋ねをしたいと思いますが、所信を読ませていただきました。いただいた大臣の発言の六ページのところに、「本措置への移行を検討するとともに、主な輸入先国である中国との協議を継続してまいりたいと考えております。」と、こういうような文言になっているわけですね。
 私は、本来の暫定という期間のとらえ方にもよるかと思うんですけれども、この二百日の間に、当面、相手先の国と十分に協議を行う。そして、本措置に移行するということが既定路線という形でもってなっているのかどうかも含めて話し合いをして、でき得れば円満な解決をする方がよろしいんではないか、でき得ればその間に国内の体制整備というものが行われなければいけない、そんなふうに思うわけです。
 この文面を見ますと、あらかじめ本措置への移行ということがあるのかどうか、その辺についてお聞かせをいただきたい。
#49
○国務大臣(武部勤君) 中国とも、私が就任してからも何度も交渉を呼びかけておりますし、外交ルートで交渉もしております。しかし、残念ながら、中国から問題解決のための具体的な提案は今のところございません。
 したがいまして、確定措置に係る政府調査ということを粛々と進めつつ、同時に中国との協議も粘り強く誠意を持って継続してまいりたいと、かようなことでございます。
#50
○郡司彰君 ガットの時代を通じて、これまでセーフガードを発動したのはたしか二十四、五件ぐらいなんじゃないかと思います、二十八件ぐらいですか。それから、本措置に移行したというのは、これまで三つぐらいしか多分ないんだろうと思うんです。日本という国においてはこれまで暫定も含めて発動というものはなかったわけでありまして、今回発動をしたときにそういうような形で、これ農水省を含めて、これまでと随分態度が変わったのかなというような感じをこの文言からだけは受けてしまうわけであります。
 私は、やはりこの二百日の間に話をきちんとする。それから、なかなか土俵にのらない、協議が進まないというふうなことで今言われましたけれども、日本側からももう少しこの現状、現実を把握するような努力というものがあってもしかるべきかなという感じがしておりますが、前に質問をしたときにも、例えば交渉のベースになるような情報とか資料とか、あるいは開発輸入の実態などについてどうもはっきりした答弁がなかったことがございました。
 それから、有機農産物、JAS法の関係について、四月一日からを前にしてどのぐらいのオファーが来ているんだという話についてもよく把握をしておらなかった。
 そういうことでは、相手方がどうのこうのということももちろんでございますけれども、こちら側の対応策の一環として十分なそうした調査等を行ってきているのかという危惧がございますけれども、どうでしょうか。
#51
○国務大臣(武部勤君) ただいまお答え申し上げましたように、政府間で何度も協議を申し上げておりますし、呼びかけてもおりますし、中国は御案内のとおりWTOに加盟していないというようなこともございますが、それでもなおかつ日本国政府としてはWTOのルールに基づいて丁寧にやっていこうと、こういう考えでございます。
 いろいろ御指摘の点もございます。さまざまなデータについても、中国側のデータと我が方のデータとかなりな乖離があるとかということもございますが、いずれにいたしましても、今先生御指摘の点を踏まえまして、さらにいろいろなレベルで中国側に呼びかけてまいりたいと、かように思います。ただ、向こうから何ら今提案がないときに、例えば私や副大臣が出かけていってこちらから協議を求めるという段階ではないのかなと。
 それから、農業の事情からいたしますと、一遍に構造調整というのはいかないものでございます。他の産業であれば、生産、流通、さまざまな手だてをすぐ打って、また効果もさらに出てくるということになるんでしょうけれども、農業の場合にはこれはなかなか、省力技術を導入するとか、流通面でもコストを安くしていくとか、食品産業その他にも協力願うとか、さらには消費者の皆さん方に、国民の理解と協力というのは非常に大事なことでございますし、その辺にも我々は意を尽くして理解を求めていかなきゃならない。
 最後はこれは消費者や国民に返ってくる問題であると、こう考えておりますので、表向き、先生からすれば遅々として進まないようにお考えかと思いますけれども、私どもは、今鋭意、農林水産省挙げてさまざまな角度から構造政策というものに取り組んでいこうという努力をしている次第でございますので、御理解をいただきたいと思います。
#52
○郡司彰君 今、大臣から発言ありましたように、問題は国内の体制、体質をどのように強化するかということだろうと思いますので、その辺については十分に、留飲は下がったけれども産業はつぶれたということではこれはどうしようもないわけでありますので、これこそ田中副大臣の方の関係で、これはもう外交と一体のものでございますから、補佐をしていただければというふうに思っております。
 それから、ちょっと時間の関係で、諫早湾の干拓工事その他については、先ほど岩永委員の方で質問されておりましたので、若干、時間が最後にあれば質問をさせていただきたいと思います。
 大臣、環境保全型農業について相当言及をされておりまして、記者クラブの発表では環境保全型農業という、私どもからするとありがたいような言葉を使っていただいておりまして、しかしながら、このJAS法が四月一日に施行されました。コーデックス委員会の基準からいうと、日本ではなかなか難しいということになるわけでありまして、だとすると、これまでガイドラインに示されてきた、JAS法には、なかなかそこまでは行き切らないけれども、減農薬だとかあるいは減化学肥料だとか、そういうことをやってきた方々が非常に今萎縮をしているようなところがございます。法の制定によってこれまで取り組んできた方が萎縮をするような形にならないように何らかの整備が必要ではないかと思いますが、どうでしょうか。
#53
○国務大臣(武部勤君) 改正JAS法は、有機表示に対する消費者の信頼の確保と有機農産物の生産者の努力の正当な評価を目的とするものでございまして、私どもは、順調に普及、定着している、かような認識はいたしておりますけれども、今後とも、認定を受けようとする生産者への研修等を通じ生産者を支援してまいりたいと思いますし、これはやっぱり国民的な理解とか合意というものも大変必要でございますので、今お話がございました表示ガイドラインによる表示の適正化ということにもさらに努めてまいりたいと思います。
   〔委員長退席、理事岸宏一君着席〕
 生産者、消費者の双方から一層信頼が得られる表示となるように、そのあり方についてはさらに今後検討してまいりたいと、かように存じます。
 これから時代の寵児になっていくんじゃないかと、そういうふうに考えておりまして、さらなる御支援をお願いしたいと思います。
#54
○郡司彰君 今、大臣の方も随分このことには留意をされているようでありますので、今後ともよりよい形をつくっていければなというふうに思っております。
 私どもは、本来、JAS法の議論のときにもう少し慎重にやるべきであったと。工業製品の規格を決める法律で農産物を縛るということがやはり今になって相当禍根を残してきているんじゃないかなという感じがしております。WTOの場で木材が鉱工業という部門に入っているのと同様に、私自身は、やっぱりこのものを日本における有機農業あるいは循環型、環境保全型と言われる農業をつくる法律に改める必要が出てくるのではないかと思いますけれども、もし感想がございましたらば。
#55
○国務大臣(武部勤君) これは、環境保全型農業ということだけではありませんで、先般予算委員会で御質問をいただいたときに、私は、輪作体系の中に緑肥を入れていくというようなことについても政府が支援するという形で、ドイツやフランス型のデカップリングということを研究、検討し、この導入に努力すべきでないかということを申し上げました。
 やはりこれは、環境保全型農業というよりも、農林水産業全体が、我々は自然と共生するという、そういう使命の中で生かされているわけですよ。農林水産業というのはその最たるものなんです。
   〔理事岸宏一君退席、委員長着席〕
 そういう意味では、今までの農業経営そのものも、もっと環境を重視したそういう体系に変えていくというようなことが必要じゃないかなと、こういう認識でございます。
#56
○郡司彰君 それから、都市と農村の交流を含めて大臣の方からいろんなところで発言をされております。これも少子あるいは高齢化という時代の流れがそうそう変わるということにもなりませんし、予測からいきますと、急激な人口の減少ということも予測をされているわけであります。
 私ども心配をしておりますのは、今でも国土のかなり限られた狭い地域に、都市という形の空間の中で本当に多くの方々が生活をしているわけですね。それに対して、本当に広い面積のところではどんなことが起きているかというと、これは数は正確ではございませんけれども、ここ二十年ぐらいで二千五、六百ぐらいの集落が消滅をしたんじゃないかというような数字を見させていただきましたし、あるいは九以下といいますから、もう消滅寸前のそういう集落が非常にふえているというようなことも聞いております。
 今後、人口が減少していくという中で、例えば東京の人口が一千二百万から六百万になるという変わり方と、地方においてそういう現象が起こった場合には、これは人口の数だけではなくて集落そのもの、地域そのものが崩壊をするというようなことにかなりインパクトがあるような動きが出てくるんじゃないかと思うんですね。こういうときに、これまでと同様に、都市と農村がうまく交流とか結びつくとかというふうなことだけで本当に国土の均衡ある発展ということになるのかどうか、その辺について大臣のお考えをお聞かせいただきたい。
#57
○国務大臣(武部勤君) 私は少し欲張った考えを持っていまして、もともと人類というのは狩猟民族か農耕民族かだったわけですね。みんな自然とともに生きてきたわけです。ですから、自然の恵みに感謝する気持ちとか自然の脅威を恐れる謙虚な気持ちというものがすべての生活の中に私は非常に大事だと、こう思っているわけです。
 都市と農山漁村といいますか、その関係というのは相対立するものじゃない。一緒に役割分担して共生していくということが可能な時代じゃないかと。航空運賃を半分にしたら、もっと人が移動できますね。私ども北海道ですけれども、網走番外地のあたりに住んでいるんですけれども、土曜日に帰って日曜日に戻ってくると。これがあるから、皆さん方は大変ですねと言うけれども、一週間に一回帰れるから、私はこれだけの活力、エネルギーがあるわけなんですね。これ、みんな知らないだけなんです。これをどんどん助長する政策を私はつくっていきたいなということで、そのために集落も、今お話しのとおり集落そのものが崩壊しかけているんです。
 もう、おれの先祖代々の土地だから動きたくないと、動かなくても結構です。しかし、若者もいなくなった、都市から人を求めるといったって、先ほども申し上げましたけれども、やっぱりもうインターネットを自由自在に駆使できるような、そういう生活環境基盤というものをつくらなかったら、これはそこに住むことを、田舎の人すらそこから離れますよね。そういうものを整備すれば、逆にどんどんどんどん都市から週末なり休みをとってそこに来る。あるいは、そこに住んで職場に通うと。何も毎日、国会と違うんですから、会社へ通わなくたっていいわけですからね。そういうようなことを時代を先取りして展望して、人と自然の共生ということが、そういう社会を、時代をつくるのが農林水産省の役目でないのかなと、このように考えている次第でございまして、御協力をお願いしたいと思います。
#58
○郡司彰君 もう少し大臣とその話もしたいんですが、時間がありませんので。
 最後に、昨年、雪印牛乳の問題が出されまして、大変多くの方が食中毒にかかった。結果として、現在、工場閉鎖等が続いておるというふうなことで、国民の間にも相当逆な意味での関心も高まったわけでありますが、そのときに問題になりましたのは、一つは、成分表示というものが非常に牛乳の場合には、その他のジュースや何かと比べてもまだ不明確なところが多いということでございました。
 自主ルールの制定が大詰めに来ているという話を伺っておりますが、現状、どのような形でしょうか。
#59
○国務大臣(武部勤君) 農水省の表示検討会の提言に沿った飲用牛乳等の表示に関する公正競争規約改正案が五月十八日の全国飲用牛乳公正取引協議会で承認されました。今後、公正取引委員会による所要の手続を経て早急に認定・施行されることを期待したいと、かように思っております。
 改正案の内容は、生乳使用割合の表示をきちっと行うこと、生乳一〇〇%を原料とするもの以外の商品名には牛乳表示は認めないことなどでございまして、農林水産省の表示検討会の提言に沿ったものであると、かように承知している次第でございます。
 今後は、公正取引委員会において、同規約の認定・施行に向けて所要の手続が行われると承知しておりますが、できるだけ早い施行を期待している次第でございます。
#60
○郡司彰君 乳飲料の部分がもう少し明確になってはどうかというふうな意見があると思いますので、その辺を含めて消費者にわかりやすい形にできるだけしていただきたいなというふうに思っております。
 北海道の方では、工場に合わせて牧場をその周辺につくるというふうな形が続いてきたわけでありますから、工場そのものが閉鎖することによって、また畜産農家の方にも影響が出ておりますし、せっかくの牛乳を消費が拡大になるようにこれからも努力をしていかなければならないのかなというふうに感じております。
 提案でございますけれども、例えば委員会をするときも、牛乳を飲みたい人は牛乳でいいですよというような注文のとり方をしていただくなりして、牛乳の消費拡大を委員会等の中でも図っていければなというふうに思っております。
 そして、大臣の方から決意を含めてお伺いをいたしました。今、各都道府県の県民性ということをあらわす本が出ておりまして、読んでおりましたら、北海道のところに、いいんでないかいという言葉が北海道の場合には非常に使われると。決意はお聞きをしましたけれども、結果の方はいいんでないかいということにならないようにお願いをいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
   〔委員長退席、理事岸宏一君着席〕
#61
○山下栄一君 大臣の方から、人と自然の共生という観点から非常に熱っぽいお話がございました。私もそういう観点から、きょうは二十分間質問させていただきたいと思います。
 この所信表明、ごあいさつの中に、「農山漁村と都市は共生すべき関係にある」という、そういう言葉がございますし、「農山漁村の新たなる可能性」と、農業、林業の新たなる可能性という言葉じゃなく、「農山漁村の新たなる可能性」という表現をされておりますけれども、私もこういう観点、非常に大事だというふうに思っております。
 最初に、この林業の話、ちょっと御質問させていただきますけれども、第一次産業としての林業は停滞、後退、担い手がもう成り立たないと。第一次産業的経済的価値はどんどんずれておるという状況の中で、森林そのものの保全が問われていると。これは私は山村と、森林だから山村と言うんでしょうけれども、山村と都市の共生というよりも、森林ないし森林文化は国民全部で支えるんだと。共生というよりも国民全部で支えないかぬ緊迫した状況になってきているぞということじゃないかと思います。
 先ほどからも大臣も熱っぽく語られましたように、これは環境保全という観点もあるでしょうし、国土保全という観点、水、空気を守る、さまざまなことが人類的に問われているという状況の中で、森林という地域、そして森林文化が廃れているんじゃなくて、森林文化をもう一度よみがえらせるというふうな観点からの産業的とらえ直しも必要だろうというふうに思います。
 そういう意味では、都市に住んでいる方々、森林から離れているところに住んでいる方々が森林地域に参加できるようなそういう政策が非常に大事だというふうに思います。そういう観点から、今回、林業基本法の見直しがあると思うんですけれども。
 具体例として里山林ですか、里山林の保全、利用、これはそういう一つの試みだと思うんですね。都市の市民が森林地域で森林の整備をしたりという体験活動もあるでしょう、それを一歩進めるような里山オーナー制度とか、そういうような試みがあると思うんです。この辺ちょっと教えてください。
#62
○国務大臣(武部勤君) 林野庁長官に細かいことは答弁させますが、私は、今、山下先生御指摘のことを痛切に感じております。
 そこで、私どもの党の部会でもう何年も前から、PKOならぬGKOですね、グリーン・キーピング・オペレーションなるものをつくって、政府専用機もそんなに頻繁に使っていないんだから、この専用機を使って都市の人たちを里山に派遣して、下草刈りや枝落としやさまざま植林も含めて、老いも若きも一緒になってやることをやったらどうだというようなことを提案した経過がございます。
 先生の今の御発言にさらに意を強くした次第でございまして、あと、里山林のことにつきましては林野庁長官に答えさせたいと思います。
#63
○政府参考人(中須勇雄君) 先生御指摘のございました里山林、かつては薪炭利用あるいは落ち葉の堆肥利用というふうなことで地域住民の方々の管理という中にあったわけでありますが、こういった用途が大幅に激減をすると、こういう中で、これからは里山林ということについても、私どもの健康とか潤いとか安らぎの場、そういう意味で人と森林とのかかわりを深めていく場、そういうものとしての期待が高まっていると、こういうふうに認識しております。
 このため、私ども今進めておりますいわゆる国民参加による森づくりということの一環といたしまして、都市住民とか地域住民の方々が自発的に行う里山林の整備など、森林ボランティア活動の支援を行うということに努めております。もちろん、こういったボランティア活動のネットワークづくりであるとか、あるいは現実に整備を行うときの資材等の助成であるとか、そういうことを行っているわけであります。
 特に、十三年度からは新しい試みとして、単なる森としての整備だけではなくて利用していく、これは例えばシイタケをつくるとか、カブトムシを放って子供たちが後ほどカブトムシをとるとか、あるいは小さな小屋をつくって一定の時間そこで遊べるとか、そういった形での利用とつなぎ合わせた形で里山林の整備ということに都市住民、地域住民がかかわっていく、こういう活動を支援していくという事業も始めたところでございまして、今後ともこういった活動の促進に向けて努力をしていきたいというふうに思っております。
#64
○山下栄一君 私は、今おっしゃったことも大変大事だというふうに思うんですけれども、だから、先ほど森林文化という言葉を使いましたが、要するに山村に住んでおられる方々が高齢化しておると、その方々は森林文化を支える意味では貴重な人材であると、それがどんどん今、日本から消えていくという、そんなことから、都市の市民も山林でのさまざまな文化を学んだり体験するという、そういうことが今大事だと思うんですね。
 だから、そういう、ずっと伝統文化を維持されてきた、産業的な観点から取り組まれてきたんでしょうけれども、山のこと、今おっしゃった昆虫のこと、そんなことをもう体全身でよくわかっている、成長の発達段階とかさまざま含めて。また、木というのを育てるには大変な労力が要るんだというふうなこと、そういう育てる技術、そういう担い手がどんどんなくなっていくのは極めて憂うべき状況だと思うんですね。
 私は、非営利的な、ボランティア的な観点からの都市市民の参加ということじゃなくて、第一次産業じゃない産業的な新産業、ここにも大臣おっしゃっております「農山漁村の新たなる可能性」という中に産業的可能性ということも、単に非営利的な活動としての市民参加じゃなくて、そういう仕組みの第一歩が里山オーナー、例えば十年間そこを貸してあげる。そういう経済的価値もあるからこういうことになるんでしょうけれども。
 そういうことは都市の市民、物すごく飢えているわけですから、交流ということよりも育てることにも参加する。それは、ずっと日常的に参加できないかもわからないけれども、ある一定期間、考えながら参加していく。会社にも山村活動休暇制度みたいなことも含めて、年間何日間参加する。それは産業的という観点までいかないかもわからぬけれども、担い手の観点からも都市の人が、ボランティア的とかそういう体験活動的観点だけじゃなくて、産業的な芽生えみたいなことが里山オーナー制度にはあるんかいなと思ったんですけれどもね。
 そういうふうな新しい産業的可能性、第一次じゃなくて、第三次でも第四次的可能性かもわからぬけれども、そういうふうなとらえ方は林野庁にないんですか。
#65
○国務大臣(武部勤君) おっしゃるとおりだと思うんですよ。
 今、先生は交流とお話しされましたけれども、私は対流という言葉を使っております。それはなぜかといいますと、交流というのは、都市の居住者と山元の人たちが交わるというのが交流だと思うんですね。しかし、対流というのは都市の人が田舎に行く、田舎の人が都市にアクセスすると。
 そういうふうに、最近はお湯と水を一緒に出しますからわからないかもしれませんけれども、おふろのお湯を沸かしますと、冷たいものが温まったら上に上がってくる、冷たいものが下におりてくる、最後は一つになってくるということで、住まいは山村でオフィスは大阪と、そういうことも可能なんですね、今の時代は。で、都市の人たちにも二重生活を享受してもらおうと。私ども、二重生活ですよ。そういうような意味では、生活形態、ライフスタイルそのものもそういう可能性が開けてくるだろうと。
 こういうことと同時に、今お話にありました農山漁村にはビジネスの種はいっぱいあるんです。ただ、いろいろな面の能力でありますとか人材でありますとか、そういったものがないだけでありまして、そういったものを行政の場で支援していくと、政治が誘導していくという可能性は私は非常に大きいものがあると、かように考えています。
#66
○山下栄一君 次に農業の方に移りますけれども。
 私は、今、森林地域は国民全体で支えるという、農村もそうじゃないかと思います。農村そのものへの物すごい魅力というか、メダカがすむ田んぼ、そういう生態系保全型農業のいろんなモデル事業もやっておられるそうですけれども。
 私は、今度は農業の方はもっと深刻な問題があると。これは単に農村地域を守っていくという観点だけじゃなくて、これは食、食料自給率とか食料安全保障にかかわる第一次産業そのものが消えてはいけないという、そういう場所だと思うんですね。また産業であると思う。今度は、農業そのものを国民全部で支えるという、そういうことが問われているというふうに考えるんですね。
 担い手の話があるんですけれども、今現在やられている方が高齢化していると、息子にそれをということ。もちろんそういう政策だけじゃないとは思いますけれども、そういう観点からであれば、僕は、もうじり貧、何ぼいろんなお金をつぎ込んでも知れているというふうに思います。
 次に控えておる農業年金も、僕はもう非常に限界を感じておりますけれども。そんなことをやっていても、今度新しい農業年金制度は担い手の育成いうことやそうですけれども。
 私は今の農業を全く知らない人たちに視点を当てた、農村でもそんなことをやったことがない、ベンチャー産業としてのバイオ的とらえ方としての第一次産業、農業の担い手。農協がかかわるということじゃない。全く新しい方々が参加したいという意欲がふつふつ沸いてくるような、そういう新しい観点からの担い手づくりを、僕は若い方々はそういうことを欲しているというふうに思います。コンクリートに囲まれたそんなところで仕事するのはもうたまらぬと。農村に、第一次産業、古いイメージの農業じゃない、新しいそういう食文化の創造というか、食は物すごくこれから重要な、食へのこだわりは、今もうテレビの番組でもわかるように物すごいこだわりがあると。そういう意味では非常に重要な分野だと思いますし、食産業は物すごい大事だと。
 したがって、生産と流通と加工を含めたそういう一体的な、それは第一次産業じゃないかもわからぬけれども、食産業の担い手という観点からの政策が、そこに思い切り焦点を当てた政策が今問われているんじゃないか。古い型のやつを必死で守るために大量のお金を投入するような施策じゃなくて、そういう新しい担い手づくりの、若い人たちが肉躍るような施策が問われている。
 私はよくわかりませんけれども、棚田オーナー制度というのがあるそうですけれども、これは高知県とかいろんなところで中山間地域の棚田をもうやる人がおらぬようになってきている。そういう方々にオーナーになってもろうて、貸し付けしてというふうなことだそうですけれども、それをしようと思ったら、体験的にやっていても育ちませんからね、稲は。そういうことにどういうふうにして都市の方々が参加して農業の担い手として活用できるかみたいな、そういうことが大事なんではないかと思います。この棚田オーナー制度も一つの試みかなというふうなことを感じているので、ほかにもあったら教えてほしいですけれども。
 これも含めて、棚田オーナー制度は余り農水省はかかわっておらないそうで、地域的な取り組みだそうですけれども、高知県その他。そういう私が申し上げた観点からの新しい担い手ということに焦点を当てた政策、それをどのように農水省はお考えかということを。
#67
○政府参考人(木下寛之君) 私ども、棚田オーナー制度、都市住民などが会費を払って棚田を借り受け、地元の農民の技術指導のもとで農業体験を行うということでございます。全国各地でいろいろな取り組みが行われているというふうに承知いたしておりますし、私どもが把握している限りでも三十程度の地区で行われているというふうに思っております。このような棚田オーナー制度のもとで、都市住民の方々が現場の農家に実際に赴いて農作業を体験する中で、新たな農業を始める契機になっていくというふうに思っているところでございます。
 このような意味からも、私ども棚田制度を含めて都市住民にいろいろな観点からPRしているところでございまして、パンフの作成等を通じて一層こういうような取り組みを国民の皆様方に広く知っていただき、都市住民の方々が新しく農業を始める端緒の一つになっていただければというふうに考えているところでございます。
#68
○山下栄一君 今私が申し上げたような観点からの新しい農業の担い手づくりの構想を、大臣からも一言お願いできればと思います。
#69
○国務大臣(武部勤君) 先生の御提案は、私、全く意を強くする次第でございまして、私はもっと欲張っていまして、担い手とおっしゃいましたけれども、一千四百兆円の個人金融資産を農山漁村に導入しよう、投資しようと。国が金を出してそして農山漁村に行ってもらうなんて、そんな、けちな考えだと私は思うんです。もし銀行に金を預けたって利息もないんですからね。
 例えば、僕の田舎に行ったら、芋二十キロ、ニンジン二十キロ、タマネギ二十キロ、おまけにアキアジ一本つけてというような、そういう方式できるんですよ。そういうところに、やっぱり夢に投資をする、そして夢の配当をもらうと。そういう時代になっているんじゃないでしょうかね。
 そういう意味では、先生の今の御発言のその奥底に非常に幅広いすばらしい構想があるように思いまして、今後の御指導をお願いしたいと思います。
#70
○山下栄一君 終わります。
#71
○須藤美也子君 先ほど郡司議員は三年間で大臣が五回かわったと言われましたけれども、私は武部大臣で九人目でございます。北海道から大臣が二度目ですよね、中川大臣と。
 ということで、全国的に北海道は大変、生産高も第一位ですし、その分非常に矛盾も多くなっていると思います。そういう中で、所信で水産問題にも触れて、これまでも岩永さんからお話ありましたが、有明海のノリについて言及されました。同時に、北洋漁業問題も重大な事態になっております。
 昨年の日ロ地先沖合漁業交渉で日本漁船へのマダラの漁獲割り当てが八割も激減し、一月から三月ほとんど出漁できませんでした。根室市はこの経済的影響を六十数億円、こう試算しています。業界はやむなく減船を決め、多くの失業者が出ました。減船や失業者に対する援助が定められている国際漁業再編対策、この適用を受けることを関係者は今強く望んでいるわけです。ところが、もう五カ月にもなっているのに、いつまでたってもこの適用がいまだにされていない。一体いつまでにこの適用を行うのでしょうか、この問題が一つ。
 それからもう一つは、あわせて、知床半島に位置する漁業の町、羅臼、この数十年、前浜にロシア大型トロール船の操業に悩まされてきました。これは大臣御存じのとおりだと思います。スケソウダラの水揚げも十分の一に激減し、深刻な状況になっています。トロール船は最高で一年間千二百隻も操業し、根こそぎ資源を取り尽くす漁法のロシア船の影響を受けて、町では漁業者の廃業が相次ぎ、町自体の存続も危ぶまれているのが現状です。
 言うまでもなく、根室海峡は領土問題を抱える地域であります。国際問題であるために、町や漁業者、関係者の努力で解決できる問題ではありません。国としてロシア側への交渉や、資源の調査、管理、漁業者への支援措置など、どんな対策を考えているのか。この二つについて、初めにお聞きしたいと思います。
   〔理事岸宏一君退席、委員長着席〕
#72
○国務大臣(武部勤君) 日ロ首脳会談等によりまして、マダラ漁獲枠の増枠を要請してまいりましたが、お説のとおり、ロシア側は資源の悪化から増枠は困難という姿勢に終始しております。
 引き続き増枠の努力を続けたいと思いますが、マダラ漁獲割り当て削減に伴う国内対策は、関係業者への具体的な影響を考慮いたしまして、特に北海道庁とも協力しつつ適切に対処してまいりたいというのが第一点でございます。
 根室海峡におけるロシア大型トロール船の問題に対しましては、先生、私の出身地が網走でありますし、生まれ故郷は斜里町でございまして、まさに今お話ありました知床は私のふるさとでございます。ロシアの大型トロール、あるいは古くは韓国のトロール、もうそれこそ随分悩まされまして、これはちょっと言葉ではあらわせないほどの、もう軍艦みたいに大きい船でございまして、その影響によりまして資源が随分影響を受けているということは今お説のとおりでございます。
 羅臼町のスケソウダラにつきましては、これは北海道知事の管理下にございまして、まず北海道庁で対策の検討が必要だろうと、かように思います。
 農林水産省としては、北海道庁と連携を図りながら適切に対応してまいりたいと、かように考えている次第でございます。
#73
○須藤美也子君 国際漁業再編対策の適用を早急にという漁業者、それから自治体の、あるいは道のこの要請についてはいかがですか。
#74
○国務大臣(武部勤君) これはなかなか難しい問題がございますが、まず漁業経営高度化促進支援資金というものも設けておりまして、今やり得る施策で適切に対処していきたい、この点につきましても北海道庁と協力して進めてまいりたいと、かように存じます。
#75
○須藤美也子君 そうすると、国際漁業再編対策の適用に向けて、今農水省の方では手だてをとっているという解釈でいいでしょうか。
#76
○国務大臣(武部勤君) 努力中でございます。
#77
○須藤美也子君 ぜひ早急に、五カ月以上たっていますので、早急にこの問題の解決を図っていただきたいということを申し上げて、次に進みたいと思います。
 先ほど来、いろいろ質問出ていましたけれども、構造改革の問題です。
 大臣は、改革断行内閣の一員として農林水産における構造改革を進めてまいると所信でおっしゃいました。その内容についてなんですけれども、それは望ましい農業構造という効率的かつ安定的な農業経営、これまで農水省が提起してきました三十三万から三十七万の家族経営、三万から四万の法人生産組織、合計四十万の担い手を育成すること、そこに政策を集中すると、こういうことなんでしょうか。
#78
○国務大臣(武部勤君) 重点的に考えてまいりたいと、こう思っておりまして、そういうことになろうかと思います。
#79
○須藤美也子君 そうしますと、育成すべき農業経営に絞るという構造改革は、現在二百三十三万七千人の販売農家、この多くの農家の施策を切り捨てる選別的なやり方である、こういうふうに考えるわけです。
 さらに、基本法の基本理念である食料の安定確保と農業の持つ多面的機能の発揮に反するものだ、こういうふうに言わざるを得ません。また、育成すべき対象となった農家にとっても、集落の中で孤立したり、農地集積の合意形成にとってもプラスにはならない、現状の日本農業の土壌のもとで私は矛盾があると、こういうふうに言わざるを得ないんですが、大臣はどうお考えでしょうか。
#80
○国務大臣(武部勤君) 選別するというのは、役所側が農家を選別するというふうに聞こえるのでございますけれども、私どもは選択していただくというような考えが基本だろうと思っているんですね。つまり、食料自給率四五%の担い手として、みずからがその力を発揮していこうという方々は、個人経営であれ、法人経営の構成員としてそれに参画しようとする場合であれ、私は望ましい農業経営体の一員だと、このように思っております。
 ただ、販売農家もいろいろありますね。あれは五〇以上、六十日以上働いているのが主業農家と、こういう規定になっております。これは世間では副業という、そういう見方なんだろうと思うんです。この人たちに四五%の自給率の担い手になってもらおうというようなことは、なかなか事実上困難だろうと思うんです。それは、法人化など、あるいは協同・協業化などで一緒にやろうという場合は別ですよ。しかし、昼間、役所に働いていて、そして有給休暇を利用して作付するとか、そういう人たちも現にいるわけです。ですから、それは私は否定していません。
 ですから、生きがいだとか健康型の農業、環境保全型の農業、いろいろあるわけです。都市に住んでいる人たちが農村に出向いて家庭菜園を家族一緒にやろうという、そういう人たちにも農林水産省としては温かく手を差し伸べていこうというその考えには変わりありません。
 人と自然との共生社会を目指す担い手が農林水産省だと、こう思っているわけでありますが、食料の自給率、食料供給ということの主体はだれかということになれば、やはりもっと思い切った選択、御本人の御意思で選択していただいて、その意思のある方々にやっぱり重点化されていくんだろうというふうに私は考えている次第でございます。
#81
○須藤美也子君 今現在農業を担っている方々、こういう人方を四十万なら四十万に絞って国の施策をそこに集中する、こうなりますと、多くの人たちの農家の意欲、これをそぐことになりますね。それと同時に、今現在農業を担っている方々、この方々の農業経営を充実させていく、発展させていく、ここに軸足を置いて農政をやっていかないと、日本農業は成り立たなくなるんじゃないですか。私は、育成すべき農家も今ある農家、今ある農業を担っている方々の頑張り、そういう中でこそ育成すべき農家も生まれてくると思うんですよ。
 ですから、そういう点では大臣がおっしゃっていること、非常に私はまだ納得いきませんが、ちょっとその問題について、例えば基本法三十条、特に大臣は従来の施策にとらわれないと、こういうことを所信でおっしゃいました。この三十条は、「農産物の価格の著しい変動が育成すべき農業経営に及ぼす影響を緩和するために必要な施策を講ずる」、こういうふうにあります。現行の経営安定対策や共済制度は全農家を対象にしているわけです。そういう点では、農産物の価格変動も全農家にこれは平等に来るわけです。そういうもとで、一定の育成すべき農家に対してそういう施策を集中するということは、再び申し上げますけれども、これはなじまない、矛盾がすごく大きくなるというふうに言わざるを得ません。
 それともう一つは、今の農政は法人化あるいは規模拡大を図ろうとする人に大きな打撃を与えているんじゃありませんか。そこに集中する、コスト低減のために規模拡大しなさい、認定農家を育成し、そういうことをやってきた。しかし、今一番苦しんでいるのはこういう人方でしょう。
 北海道は米価の暴落で昨年、きららは一万三千円台、六年前から見ると六千円も暴落しています。貯金を取り崩してやりくりしていたが、今ではそれも底をついた。大規模農家の悲鳴がいろいろ聞こえてきます。さらに、新潟の米どころでは二万四千円から、稲作経営安定対策を入れた手取りでも昨年は一万八千円、規模拡大して農地を買ったが返済できず、その農地を余力のある兼業農家が分け合って買うしかない、こういう話もいろいろ報道されているわけです。
 家族経営も法人経営も、意欲ある農業者が今痛めつけられ、日々意欲を減少している、削られている。これが今の現状だと思うんです。
 ですから、従来のそういう枠組みにとらわれないのだとすれば、今までの米対策、経営安定対策、こういうことも含めて再検討、見直しをする必要があると思いますが、どうですか。
#82
○国務大臣(武部勤君) 今、先生おっしゃっている実情、実態は、私は農村出身でありますから十二分に承知しているつもりでございます。農業に意欲を持って、また能力もあって真剣に食料供給を使命として頑張っている人たちが苦労しているというのはおっしゃるとおりなんですよ。
 それが、こんなことを言えば語弊があるかもしれませんけれども、農業を生きがいとしてあるいは副業としてやっている人たち、こういう人たちと私は一緒にはならぬと思うんです。どちらかというと、そういうことが総花的にちりばめられているということにあるんじゃないかという認識にありまして、意欲もある、能力もある、そして投資もしている、そして食料供給の使命を持ってやっていこうという人たちが立ち行かなくて日本の農業は成り立つはずがないんですね。
 同時に、もう一つ考えなきゃならないのは、国民の皆さん方の理解と協力、合意というものはどうしても農業政策の上では必要でございます。先ほど来申し上げておりますように、私は切り捨てることなど考えておりませんで、都会に住んでいる人たちにもどうぞ農村に来ていただいて、家族一緒に土いじりをしてくださいと。私は、土づくり、人づくり、国づくりというのを一つの政治家としての理念として持っているつもりでございます。そういう意味で、いい国をつくっていこうとするならば、むしろ都会に住んでいる人たちに農山漁村の存在意義というものを知ってもらう、食料生産の重要性を認識してもらうと。
 したがって、そういう過程で環境保全型農業も成り立っていく、あるいは生きがい健康農業として人の幸せを創出していくというような考え方で、それは分けて考えていきましょうということでありまして、先生御指摘のとおり、重点的に集中的に本当に農業一本でやっていくんだという人たちを支えずして農林水産大臣としての使命は果たし得ない、こういう考えでございますので、だれも切り捨てるわけじゃありませんで、それは生産者みずからが選択してくださいということを言っているんです。
 小さい農家だからといって食料供給の使命を果たせないということじゃありません。それは法人化すれば、その中の一員になって農業をやることができるじゃないですかと。もう七十を過ぎた老夫婦がトラクターを動かして、一緒になって若い人たちとやっていけるというような状態じゃないでしょうということで、中途半端にならないような重点化ということを申し上げているわけでありまして、ぜひ御理解いただきたいと思います。
#83
○須藤美也子君 だとすれば、一生懸命やって規模を拡大した、認定農家にもなった、こういう農家が今一番深刻な打撃を受けているということを申し上げました。価格の暴落なんです。この価格の暴落を助ける、支援する、これが国のやり方だと思うんですよ。
 そういう点では、米の問題で言えば、これまで稲経とかその時々の安定対策、制度をとってきました。しかし、これが成功したでしょうか。そういう対策をとるたびに米価が下がった。もう農村ではやる気がなくなってくるわけですよ。ですから、先ほど申し上げましたように価格を、特に米なんかは暴落前の下限価格、これを下支えするそういう価格制度をきちんとやるのがまず育成すべき農家を支援する最大の政策だ、こういうふうに私どもは考えております。
 そういう点では私は武部大臣に、今度の内閣に期待しているんですけれども、それは従来の枠にとらわれないと。ですから、見直しもやる、いろいろな問題も国民の視点に立って変えていく、そういう立場に立っていると思うので期待をしているんですが、ぜひこの価格制度も、何だかんだ言わないできちんと農家のためにこれを確立していただきたい、それが打撃を緩和する最大の施策だと思いますが、いかがでしょうか。
#84
○国務大臣(武部勤君) 米価の安定を図るためにやはり大事なことは、需給均衡を図ることが基本になると思うんですね。そういうふうなことをしっかり踏まえて、稲作経営に与える打撃を回避する対策はどうあるべきかということは真剣に考えていかなければならない、かように思います。
#85
○須藤美也子君 何か今の答弁はちょっと歯切れが悪いように聞こえますが、やっぱり大臣のこの構造改革の今お話しあったような内容ではなかなか、私、今まで期待していたんですが、期待薄と、こう言わざるを得ないですね。これから農政のいろいろな施策を見守っていきたいと思います。
 次に、その価格補償をやるにもお金をどうするのか。これは、むだな公共事業を価格の方に回す、そういう問題があると思います。
 そこで、小泉内閣は聖域なき構造改革と申されております。公共事業の見直しもおっしゃっております。これは武部農林大臣も同じだと思います。むだを徹底して見直す、念のため確認したいと思いますが、どういう立場でしょうか。
#86
○国務大臣(武部勤君) むだを徹底的になくしていく、全くそのとおりでございます。
 ただ、農業経営というのは価格を維持すれば生活が安定するというものじゃないんですね。やっぱりより低いコストで安全でおいしいものを供給するということでなければ、これは競争は容易にできません。
 ですから、我々はセーフガードというルールに基づいたことの発動までして構造調整を急いで、そして競争力のある足腰の強い日本の農業ということを目指しているわけでありまして、そのために、ただ価格を守るとか維持する、何でもかんでも補償するというような考え方が構造改革だとは思っておりません。そのことはぜひ御協力をいただきたいと思います。
 コストを下げていくというようなことのためには、農業の公共事業というのは私はむだだと思っていませんで、むだは徹底して排除しなきゃなりませんし、効率のいい農業経営にしていかなきゃならない、そのための施策は公共事業の一部を割いてでもやらなきゃならぬこともあるかもしれません。
 例えば、先ほども言いましたように、化学肥料や金肥を使わなくても収量の多い安全な農業生産ということが可能であるとするならば、緑肥作物の導入に財政支出をするということがあってもいいし、現に中山間地域に対する直接支払いということもそういうような目的で、さまざまな目的に対しての対応策であるということを御理解いただきたいと思います。
#87
○須藤美也子君 むだではないと。先ほどはむだは見直すと言った。しかし……
#88
○国務大臣(武部勤君) むだは見直します。むだでないものはまたやります。
#89
○須藤美也子君 農業公共事業はむだでない、これはちょっと矛盾しているので、ちょっと整理しましょうね。
 むだな最たるもの、これは農道空港だと思います。これは平成九年に廃止されました。この廃止された理由についてお聞きしたいと思ったんですが、時間が少しこの問題で長引いていますので、中身のところから入りたいと思います。
 その農道空港が、全国八カ所のうち北海道が四カ所ですね。大臣はこの建設に一定の尽力をされた、こう報道されております。そういう点で、これもむだではない、こう今も思っているんですか。
#90
○国務大臣(武部勤君) 北海道の農業で一番困っているのは物流なんですよ。そういう意味では高規格道路だとか高速道路の必要性を、むしろ今農家の皆さん方から強い要請があるわけです。
 しかし、この農道空港については確かに中途半端に終わってしまったなと。四つもつくらなきゃよかったんですね、必要なところにつくればよかった。そういうことが機能しないものですから、私は、新女満別空港でありますとか新紋別空港でありますとか、きちっと物流対策として貢献できるそういう飛行場をつくろうと。これは、飛行場というのは我々のような日本の外れにいる者にとっては生活を向上さす、産業を振興さす夢なんですね。
 そういう意味では、中途半端に終わったということは、これはやっぱりむだだったな、やるならきちっとしたものをつくればよかったんじゃないのかという、そういうことについては反省しております。
#91
○須藤美也子君 それは反省されたと。
 北海道ではこの農道空港のために赤字がふえ、五十六億二千八百万円を道で出している、管理のために。ですから、今大臣が反省しているとおっしゃっていますので、対談の問題は触れないでおきましょう。二カ所を四カ所にふやしたという、こういうのでお話ししている対談の内容なんですが。
 大臣は、もう一度念を押しますが、この農道空港については反省をした、そんなに要らなかった、役に立たなかったと、こういうことでいいですか。
#92
○国務大臣(武部勤君) 反省をしております。
 もう少し政府の方も中途半端でないものを構想した方がよかったなと。それは政治家でないときの話ではございますが、私自身も深く反省しております。
#93
○須藤美也子君 また、この北海道の今度は斜里郡の、本当の地元のことを申し上げますが、土地改良事業の負担にたえられない。今やっていますよね、大規模な国営畑地帯総合土地改良事業、これを行われています。私どもに相当な方々から、関係者から訴えが来ております。ここでも事業への不同意を表明する農家が本当にふえている。それもそのはずだと思うんです。畑作産品の価格は、八六年当時を最高に二〇%以上も下がり続けています。価格を引き下げておいて、一方で公共事業は押しつけられる。事業費の償還が始まれば農家は離農せざるを得ない。こう斜里郡三町の方々がおっしゃっております。
 大臣は、先ほど農道空港の問題でいたく反省をすると、こういうことをおっしゃいましたが、この土地改良事業でも公共事業優先からの転換、それから、地元の方々の利益になるようなそういう立場での事業を進めるべきだと思うんですが、重点は何なのか。それから、今、その関係農民がどういう現状に置かれているのか。その辺を深く分析した上でこの問題を解決すべきだと思いますが、この計画の変更、地元での話し合いが行われていると聞いておりますが、その点について大臣はどのようにお考えでしょうか。
#94
○国務大臣(武部勤君) 本地区のことにつきましては、私の地元でございまして、よく承知している次第でございますし、いろいろ相談も受けております。
 まず、やはり北海道は御案内のとおり拓銀までがつぶれてしまったんですね。農業においても、一番大きい問題は農家の負債ですよ。それはどうしてその負債が生じたかというと、一反百万もするような土地を買った人たちが今十万にも満たないと、いわゆるバブルがはじけたと同じような状況にあるわけです。そういう状況の中で、若い人たちがこれじゃ将来やっていけないなと言って農業を離れていくというようなことから、この事業も計画変更を余儀なくされているということが一つ言えます。
 しかし、これは失敗じゃありませんで、今残っている人たちは、過去のことを考えたら想像を絶するようなメリットを受けているわけです。あの辺は先生も御案内と思いますけれども、今どきは風害でもう畑が全滅になるんですよ、火山灰地ですからね。ですから、麦なんか植えるのも、風害防止のために麦を作付したんです。そこまで農家の方々はみずから防衛をしてきたのでございます。麦でもうけようと思っているんじゃない、麦で風害を少しでも防ごうというようなことでやってきたわけです。
 ところが、やはり畑かん事業が進むに従いましてそういう問題はなくなってきた。その後、気象も変わってきたような感じが実際いたしますので、さまざまなことを考えますと、計画も縮小していかざるを得ないという状況にあることは否めないと思いますが、できるだけ受益者の皆さん方の負担がなくなるような努力はしていかなきゃならない、かように思います。
#95
○委員長(太田豊秋君) 須藤美也子さん、簡潔にお願いします。
#96
○須藤美也子君 最後に、具体的な問題ですけれども、自給率向上と生産調整の拡大が相まって、麦、大豆の作付が全国的にふえていると思います。我が山形県でも湿田を転作して大豆をつくっています。この転作作物で大豆の生産や麦の生産がふえている。国内大豆は消費者に受け入れられて大変歓迎されているわけです。
 そういう状況の中で、生産者が、麦もそうなんですけれども、今の手取りが削減されないようにしてほしいと、そういう強い要望ですよね。転作奨励金がどうなるのか、あるいは手取りがどうなるのか、安心して大豆や麦が、国の勧めで転作をやっているわけですから、これが生産拡大できるようなそういう条件をつくっていく必要があるのではないか。
 そのためには、農政の転換と予算の転換、これも含めた農業の構造改革が必要だと思うんですが、この麦と大豆のこういう今の現状、それから、それを国がどう支えていくのか、この点について最後にお尋ねをしたいと思います。
#97
○委員長(太田豊秋君) 武部大臣、御答弁は簡潔にお願いいたします。
#98
○国務大臣(武部勤君) まさに麦、大豆は自給率の低い作物でございますので、この経営拡大・安定対策にはさらに努力をしていかなきゃならない、かように考えております。
#99
○須藤美也子君 終わります。
#100
○岩本荘太君 無所属の会の岩本荘太でございます。
 本日、大臣の所信に対します質疑の最後でございますが、大分予定の時間も回っておりますし、お昼も大分過ぎておりますけれども、最後でございますのでひとつよろしくお願いをいたしたいと思います。
 先ほど来、大臣の御答弁を聞かせていただいておりまして、大変意欲的であるなというような私も印象を持っております。今後に対しまして御期待をさせていただきますので、そういう面から質問させていただきますので、御答弁もよろしくお願いいたしたいと思います。
 ただ、そう言っていてなんですけれども、今までの農業問題というのは、農業をどうするかというのはだれも否定したことがない、しっかりやらなきゃいけない、これは戦後と言わずその前からずっとそうなんですが、そう言っていながら現実はどんどん状況が悪化していくと。だから、その辺を何かの拍子で何かの時期にきちっと分析してやらなきゃいけない問題ではないのかなというような認識を私はしているわけでございます。
 それと、これは質問にはないんですけれども、先ほど来お聞きしていましてちょっと気になったといいますか、今後の農政で食料自給率の向上等を目的として重点的にやっていかれるというのはわかります。私もそれが道だろうと思いますけれども、ただ、その重点というのがいわゆる外見上、大規模農家とかあるいは法人化とか、そういうものに特化していいのかというような気がいたしまして、先ほど大臣、趣味農業といいますか、そういう方もおられると。確かにおられると思います。これは高齢者に限らず、例えば地方の公務員の人なんかもあるいはそういう分類に入るかもしれません。ただ、そういう人たちも結局つくっているものは一緒なんですね。つくっているものは一緒ですし、場合によってはあるいは先進的なものを取り入れやすいと言う方もおられますし、その辺が非常に難しい問題だと思います。
 それと、農業基本法、前の時代からもそうでしょうけれども、いわゆる専業というものを重点的にやってきた。ところが、それはもうそういう方向に行かなかったというような反省も踏まえて、難しいんですけれども何かやらなきゃいけない。この辺を、だから何か一つの枠といいますか、みんなに理解されやすい枠というようなもので、それであとは地方に任せるというようなことがこれからの方向じゃないかなと。これは質問でございませんので、こういうことをまた追って議論させていただきたい、こう思っている次第でございます。
 私の質問ですけれども、これは所信の中に、大臣は、「夏ごろを目途に国際競争力のある産地を育成していくための対策を取りまとめ、生産から流通、消費に至る各段階における構造改革を進めてまいります。」と、こうありますね。これは大変僕は立派な、これこそ自給率向上の決め手の発言かと思ったんですが、よくお聞きしましたら、これは文面、文章の流れからいってセーフガードの関係で、ネギ等三品目についてのことだというようなことをレクでお聞きしたんですけれども、それでも結構なんですけれども、まずその辺で、こういう非常に前向きなことを夏までにおやりになると。
 もう少し、どのような取り組みをされるのか、具体的にちょっとお話を伺えたらと思います。
#101
○国務大臣(武部勤君) 今、手元にこういう私案をまとめたものがあるんです。人と自然が共生する社会の実現を目指してという私案ですが、副題は食料の安定供給と美しい国づくりということで、食料自給率の向上や循環型社会の形成ということに向けての農業の分野での構造改革、あるいは農山漁村の新たな可能性を切り開くというテーマを整理して、どういうふうな組み合わせでどういうふうに整理して実際の執行方針を明らかにしていくかというようなことを、私は夏までというふうに言っておりましたけれども、それは経営政策大綱のことだと思いますが、私自身の構造改革に対する考え方は、来週中にもこれをひとつまとめて、そして農林省幹部にきちっと私の方からレクチャーして考え方を徹底させたい、こう思っておりますので、どなたのお話を聞いたかわかりませんけれども、セーフガードのことではございません。
 それから、夏までと申し上げたのは、経営政策研究会をやっております。これが六月をめどと、こうしておりますので、私の方からは、それができ上がってから意見を申し述べるんじゃなくて、その前に私の方から構想といいますか、私自身の考え方を提示して、むしろそれもたたき台の一つにしていただくのがいいのではないかと、このように思って今検討中でございます。
#102
○岩本荘太君 人にお聞きしたんじゃなくて、大臣が先日お話しになったことを僕は申し上げたのでございまして、そのままなんでございます。
 先ほど僕が引用した文をそのままお聞きすると、これは大改革だなというふうにお聞きしたんですが、文面の中から見たらセーフガードの中に入っていたから、その部分に限られたのかなと思うんですが、今のお話では、構造改革をされるという意味では、こういうものも含めて、夏かどうか時期はわかりませんが、新しい生産から流通、消費に至る構造改革をするということ、これは全体についての話だというふうに理解していいんだと思います。
 それで、そうなると、やはり一番農業の問題、大きなのは先ほど来出ております自給率の問題だと思います。これは、自給率、私も前の大臣のときでもいろいろお話をさせていただいたんですけれども、これを取り上げますといろんな問題が出てくると思います。
 簡単に言って、自給率、これは食料安全保障という観点から考えるとどんな状況を想定したものにするのか。今の時代なんというのは相当な飽食の時代ですから、こういうものの自給率を維持するのが本当にいいのかというような問題もございますし、きょうはあえてそこまで御議論、もしお答えがあれば結構ですけれども、そういう問題がございます。
 それから、本当に自給率を上げるというのは、口先だけの話じゃなくて、簡単に言えば外国産品に勝つ、勝たなきゃいけない、もう今現実に食品は流通しているわけですから。勝つというのは何かと言えば、価格で優位性を持つか、それとも品質で優位性を持つかということになるんだと思います。
 簡単に言って、価格で優位性を持つというのはそう簡単なことではない。アメリカみたいな規模が大きなところ、あるいは中国みたいな労賃の安いところ、そういうものと戦っていくというのはそう簡単に勝てる問題じゃないと私は思うんですが、できるものはそうしなきゃいけない。そういう意味で、先ほど大臣の所信を引用させてもらったのは、そういう点に着目されているのかなと思うんですが。
 そこで、価格の問題でいきますと、これも前に、これは私、小渕総理大臣に対する農業基本法のときの代表質問でもお話しさせてもらったんですけれども、農産物の産業連関表で分析してみますと、いわゆる農業の国内生産額に対する営業余剰、これは必要経費を除いて農業者が取得できる部分というふうにお話を伺ったんですが、これが大体平成七年度時点で三七%、四割弱ですね。したがって、残りの六割強というのは二次産業、三次産業がとるわけですね。そうしますと、幾ら頑張っても、例えば農業者が極端に言って所得をゼロにしたって三七%しか減額できない。これも相当な額ですけれども、今の農産物の国際価格と日本の価格を比べるとそんなどころじゃないのかもしれませんので。したがって、そんな簡単なことでない。したがって、本当に価格をもっと安く、本当に価格を下げるということを考えたら、二次産業、三次産業の人の協力も得なきゃいけない。
 したがって、これは総理大臣に対する質問だろうと思ってやりましたら、ごく当たり前の、そのとおりだというようなあれしか、答弁はいただいたんですけれども、これはやるとなると大変なんでしょうけれども。
 この辺について、大臣も閣僚でございますので、農林省という枠を超えてのこの辺の御見解をひとつお聞かせ願いたいと思います。
#103
○国務大臣(武部勤君) 農林省の枠を超えなくても、私は北海道だから、専業農家を育てよう、あるいは大きな法人をつくって農業をやろう、そういう思想を持っているんだろうというふうに皆さん方お考えになるかと思うんですけれども、私は専業農家の皆さん方にも、兼業家志向がいいんじゃないですかと、こういうことを言っているんです。
 第一次生産者、つまり農家の方が自分で畑で物をつくって売る金額は農業関連のうちの四分の一程度だと思いますね。あとは外食産業だとか加工・流通業者、さまざまな方々に、持っていかれていると言ったらおかしいですけれども、お願いしているという言い方が適当かもしれません。みんなお任せしているということなんです。これが法人化をすれば、生産から流通、加工、あるいは外食産業にもチャレンジしていいんじゃないでしょうか。そういうことをもっともっと幅広くできるんじゃないのかと。
 例えば、外食産業なんかの売り上げは十兆円以上ですね。農業全体の売り上げは九兆円ぐらいですよ。しかも、それで国産の食材を使ってくれているのは、それでも結構いろいろ御努力いただいて半分ぐらい使っていただいているんじゃないかというふうに想像いたしますけれども、今先生御指摘のように、農業といったら、種をまいて物をつくって収穫するまでが農業じゃありません。これをやっぱり消費者のもとにお届けする、そして食べていただく、喜んでいただくというところまでが私は農業だと思います。もともと昔はそうしていたんですね。
 そういうような考え方で私どもは農林水産業の構造改革ということを考え、なおかつ農山漁村と都市との共生というものをねらいとした政策展開というものをしていくべきだと、このように考えている次第です。
#104
○岩本荘太君 大臣のお話、よくわかります。単純に言えば、私が言ったような産業連関からいえば、要するに二次産業、三次産業も一次産業の分野に持ち込めと、こういうことだと思うんです。
 確かに、日本のGDPですか、これを見ましても農業はずっと下がる一方で、それで国民としてはやはり同じ、対等の所得を得なきゃいかぬということであれば、だれが考えてもほかの分野に入らない限り対等にならぬと、これはもう客観的に見ても事実だと思うんです。
 だから、そういうことで、法人化等でやっていくのはいいと思うんですけれども、私もそういう面で随分そういう話を行政の立場におるときにやらせていただきました。
 ただ、法人であれば、法人でないとわかりませんけれども、いわゆる二次産業等と比べまして、いい品物をつくるための試験研究あるいは流通に入り込むと、こういうものがやっぱり今までの個人経営ではそういう勉強の機会もないし、あるいは入るだけの能力もないと。
 じゃ、これをどうするかというので、これは従来からある組織としてはやっぱり農協じゃないかなというような気持ちを持ったんですが、その辺がなかなか農協というのもそういう面で動かない。したがって、そういう組織的な素地というのは私はあると思うんですね。その辺をしっかりと、そういうふうないわゆる二次産業、三次産業の分野まで含めるような、そういう方にぜひとも農林省としても御指導をいただきたいなと、こういうふうに思っている次第でございます。
 それともう一つ、品質の面でございますけれども、これも言い出したらいろいろありまして、やっぱり品質の面であれば、できてから時間の経過とともに栄養価も変わりますし、そういうものもしっかり消費者に明示することによって、あるいは近辺のものがよく買われると。これは国内自給率の向上につながるというようなこともございましょうし、あるいは先般の遺伝子組みかえの表示ですか、ああいうことをやることによってやっぱり国内産に消費者の目が行ったと。あれも一つの品質の問題ではないかと思うんですけれども。
 そこで、最近、私のところに生協関係の人からいろいろ陳情を受けまして、いわゆる食品の安全性を確保するために食品衛生法を改正してくれないかというような話がございまして、私もこれ、請願を受けたんです。その点で、これも一つの、こういうことをしっかりやることによって、あるいは日本の国でそういうことを、日本の国内生産についてきちっとやれば国内の生産物を消費するというようなことにつながるんではないのかなというような感じがいたしまして、これも一つの品質の問題と関連するのかなというような気がいたしまして、これをちょっとお聞きしたいんです。
 どうも、担当をお聞きしましたら、これは厚生労働省の方だというようなことで、きょうは来ていただいておりますので、この辺について、今、食品衛生法の改正、これ、生協等の請願御存じだと思うんですけれども、その辺を踏まえてどういう受けとめ方でどういうふうな対応をされるか、お話を伺わせていただきます。
#105
○政府参考人(尾嵜新平君) 食生活は国民の生活の基礎をなすものでございまして、厚生労働省としましては、食をめぐるさまざまな状況の変化を踏まえまして、消費者の御意見を伺いながら、国民に安心を与えることができるよう着実に食品衛生行政を進めたいというふうに基本的には考えておるわけでございます。
 それで、今御指摘のございました生協連からの六項目の御要請の内容がございます。基本的には、食の安全性の確保が極めて重要だという認識に立っているところにつきまして、私どもも共通の認識を持っているというふうに考えているわけでございます。
 御要請の六項目、個々について細かく御議論するということではございませんが、内容には法改正を伴うもの、御要請をなさるもの、あるいは運用の問題、そういった中身がございます。
 私どもは、これまでも取り組んでおりますし、これからも運用と申しますか、あるいは現行の食品衛生法に沿った形での方向性を充実していきたいというふうに考えているわけでございますが、御要請の中の法改正について、その必要性についてはやはり検討する必要があるんではないかというふうには思っているわけでございますが、御指摘の趣旨も踏まえて、私どもとしては今後とも食品の安全性の確保については充実強化を図っていくという考えは同様の趣旨を持っております。
#106
○岩本荘太君 よろしく前向きな取り組みを願いたいと思います。
 それと、事食品でございますので、最近、農林省も消費者の動向をしっかりとつかまえるというようなお話を伺っておりますので、こういう法改正、こういうものをおつかみになっているかどうかわかりませんが、こういう改正について農林省としての御見解か何かございましたら、ひとつお願いします。
#107
○政府参考人(西藤久三君) 昨年来、加工乳に起因する事故等、あるいは異物混入問題、あるいはヨーロッパにおける口蹄疫の問題、狂牛病の問題等々で食品の品質、安全に関する関心というのが非常に高まっているというふうに思っております。
 私ども、食料安定供給に主に携わる立場からしましても、食品を通じた健康危害の防止の観点、また、今先生御指摘のように国産品を中心とした健全な食料消費を推進するという観点からも、御指摘の問題は非常に重要な問題だというふうに思っております。
 食品衛生法、そのもの自体は厚生労働省の方で所管されておりますが、私どももそういう厚生労働省の方と連携させていただきながら、供給者でございますので、生産者に対する農薬等の適正使用の指導、あるいは先ほど来御論議がありますように、一次農産品は加工、流通を経て消費者に渡っていくわけですけれども、その加工過程でHACCP手法といいますか、品質管理の徹底した手法を普及していくことによってトータルとしての品質管理を図っていくと。
 あるいは、今、品質ということで、時間の経過が物の品質、安全ということに非常に影響すると、先生御指摘のとおりでございまして、私ども、食品の生産から消費までの各段階の情報を消費者が知ろうとすれば、消費者に提示できるような情報システムを構築していけないだろうかと。そのことによって原産地表示の問題、あるいは先ほどあった遺伝子の表示の問題等ありますけれども、そういうものとあわせて消費者の選択に資するような情報提供、そういうことを通じて食品の安全性、品質確保に努めていきたいというふうに思っております。
#108
○岩本荘太君 よろしくお願いいたします。
 通告いたしました質問はまだ大分あるんですが、残り時間が余りないものですから、一つだけ、中山間地問題といいますか、対策につきまして、これはたびたび、どの大臣にもいろいろお聞きしておりまして、農林大臣以外にもお聞きいたしておりますし、あるいは田中副大臣にはつい先日お聞きいたしたんですけれども、基本的な認識として、まあ大臣と私はそんなに変わらないと思うんですけれども。
 中山間地対策を考える場合、農林省がいろんな施策をされている、これはいいんですけれども、どうもやはりこの中山間地というものをとらまえるといいますか、基本的な認識は国民的な認識に立たなきゃいけない。要するに、そこに住んでいる人の対策という、当然そういう面もあるでしょうけれども、それがもう全部じゃない。要するに、今の日本で、経済至上主義といいますか効率主義で考えたら、中山間地に投資するなんという理屈は出てこないんですね。それが結局過疎化につながっているんだろうと思うんですけれども。だけど、そのままでいいのかというときに、酸素の供給源とか水資源の源とか、それだけとっても、その効用というのは川下である都会の人のものなんですね。当然山手の人もありますけれども。
 したがって、これに対する対応というのは、いわゆる先ほど言いましたここにいる人、そこに住んでいる人だけでない、その人以上に都会全体、言うなれば日本国全体の問題であるという認識を持たなきゃ僕は解決しないんじゃないか。そういう面で、そのもろもろの施策について取り組まなきゃいけないんじゃないのかなと私は思っております。
 さらには、これは私は決算委員会等で各省の大臣の方々に質問する機会がございますので、例えば教育についても、中山間地というと、ある意味じゃ教育環境がいいわけですね。自動的に人が少なくなっていますし、自然環境は豊富ですし、だからそういうところに魅力ある教育機関をつくったらいいじゃないか。そういうことによってそういうところが保たれる、コミュニティーが保たれる。あるいは、福祉厚生の面からでも、中山間地におるとなかなか病院に行けない、病院に行こうと思っても遠いと。そういうものを直すというのは、これは厚生省の問題ではないかというような御指摘をさせていただきまして、そういう問題意識は提示させていただいております。大体、おおむね御同意いただいているんですけれども、そういう意味で、ひとつここで大臣、私が申し上げましたような認識の仕方について大臣の御見解をお聞かせ願えたら、それで質問を終わりにいたします。
#109
○国務大臣(武部勤君) 棚田を初め中山間地域の果たす役割というのは、水資源涵養とかあるいは環境保全とか空気浄化作用とかいろいろありますけれども、文化的な遺産という意味合いも非常に大きいと、かように思っておりまして、かなり幅広い国民的な私は教育的な意味もあるし、遺産だと、このように思っております。
 しかし、これを具体的に守っていくためには、やはり先ほど来申し上げておりますように、望ましい新しいコミュニティーというものを農山村にいかにつくっていくかということだと思うんですね。やっぱり幾ら中山間地域でも、水洗トイレでないとだめでしょう。それから、インターネットなども駆使できなきゃだめじゃないでしょうか。
 そういう意味で、農山漁村の新しい可能性を切り開くというのは、そういうところを目指しているということであることも御承知おきいただければありがたいと思います。
#110
○岩本荘太君 時間がありませんけれども、今大臣が言われた水洗トイレの話ですけれども、これは私、行政の立場でやっているときに、下水道であればこれは効率的でいいかもしらぬけれども、いわゆる集落排水は過疎化防止にもなるんで、一つの町の中で不便な方からやれ、そっちから採用しようじゃないかということで現実にやっておりますので、これは地方行政の面でしょうけれども、その辺のことも農林省としてはよくお考えいただけたらと。
 今の大臣はそういうようにお考えいただいていると思いますけれども、ひとつよろしくお願いいたしまして、質問を終わります。
 どうもありがとうございました。
#111
○委員長(太田豊秋君) 本日の調査はこの程度にとどめます。
 午後一時四十分に再開することとし、休憩いたします。
   午後零時四十二分休憩
     ─────・─────
   午後一時四十分開会
#112
○委員長(太田豊秋君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 農業者年金基金法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に農林水産省経営局長須賀田菊仁君及び同農村振興局長木下寛之君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#113
○委員長(太田豊秋君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#114
○委員長(太田豊秋君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 農業者年金基金法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に農業者年金基金理事長鎭西迪雄君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#115
○委員長(太田豊秋君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#116
○委員長(太田豊秋君) 農業者年金基金法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案につきましては既に趣旨説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#117
○森下博之君 自由民主党の森下博之でございます。
 本日、当委員会におきましては農業者年金基金法の一部を改正する法律案の質疑でありますが、若干お許しをいただきまして、中山間地域等の直接支払いについてお伺いを数点させていただきたいと思います。
 申しおくれましたが、武部大臣、御就任まことにおめでとうございます。武部大臣は、北海の荒法師という異名をとっておられるやに承っておるところであります。私もいつも畏敬の念を持って接しさせていただいておるつもりであります。どうかひとつよろしくお願いを申し上げます。どうかひとつ、その先生の、大臣の馬力で農業者が再び元気を取り戻し、また国民も納得する形の農政が、パンチある農政が展開されますことをお願い申し上げる次第でございます。
 御案内のように、直接支払い制度というのは、農業生産の維持を通じて中山間地域等の持つ多面的な機能を確保するということを目的とした制度であることは申し上げるまでもないところであります。平成十二年、昨年実施をされたところであります。この取り組みの状況というのが公表をされたところであります。全国の対象市町村の八割、支払いを受けた面積は当初見込みの七割にすぎないという結果が出ておるところであります。確かに、初めての制度であることから予測がつかない部分もあったかと思いますが、やはり机上でのプランというところにも問題があったのではないかというふうにも私自身思うわけであります。
 私の地元を例に出して恐縮でございますが、高知県では制度対象要件に合った実施集落は四〇%にとどまっております。全国平均における実施率の約六割強であります。また、交付金の対象面積も当初見込みの面積の半分であるところであります。私は、この制度の一番大きな問題点といたしますと、対象農地の面積基準が一ヘクタール以上の一団の農地とされておることが一番問題ではないか、そういう認識を持っておるところであります。
 私の国には四万十川を初め大小の河川があるわけでありますが、それに沿った形で急傾斜地に狭隘な田んぼ、畑が点在をいたしております。この集落協定締結の要件である一ヘクタールの一団の農地という、それを確保することはまことに至難であります。やはり私は対象農用地の面積基準の緩和をすべきだと思いますが、御所見を承りたいと存じます。
#118
○政府参考人(木下寛之君) 委員御指摘のとおり、中山間直接支払い制度の対象となっている面積でございますけれども、一定の面積的な取りまとめということで一ヘクタール以上というふうにしているところでございます。
 ただ、委員御指摘のとおり、このような一定の面積の要件につきましては、中山間地域の農用地の実情も十分考慮いたしまして、狭くて分散した農用地が多々あるという実情を踏まえまして、水路なり農道等の施設が構成員全員で管理されているなど、いわば営農上の一体性がある場合には、複数の団地の合計が一ヘクタール以上でありましたら対象となるよう工夫をしたところでございます。
 今後とも実情に即しまして、きめ細かな対応ができるよう指導していきたいというふうに考えております。
#119
○森下博之君 御答弁を了としたいと思いますが、申すまでもないわけでありますが、政府の実施要綱については基準等について不断の見直しをするということも言われておるわけでありますし、三月三十日の閣議決定、規制改革推進三カ年計画でもこの中山間地域の支払い制度について見直しをするということでありますので、くどくは申し上げませんが、それぞれの、特に田舎、地方の実情を踏まえてひとつこの見直しについて御検討を賜りたい、これは要請をいたしておきます。
 次に、直接支払い制度と米の生産調整の整合性についてお伺いをいたします。
 政府からは、直接支払い制度の実施に当たっては、農政全体としての整合性を図るという考え方が示されておるところであります。たびたび恐縮でございますが、例えば高知県のような場合、非常に厳しい自然条件のもとでは、もはや米の生産調整というのは限界を迎えておると私は思うわけであります。集落協定につきましても、米の生産数量、作付面積等に関するガイドラインの整合性を図って設定すると言われておるわけでありますが、このガイドラインとの整合性を図るには、当該市町村、集落等の単位での転作率というものが全国平均の転作率を上回れば私は整合性ありと、こうみなすべきだと思いますが、政府の御見解を承りたいと思います。
#120
○政府参考人(木下寛之君) 委員御指摘のとおり、今回の中山間直接支払い制度と米の生産調整の関係でございます。
 一昨年、制度創設に向けました検討に当たりまして、最終段階でやはり我が国農政上の一番課題が米の需給均衡であるという観点から、先ほど委員御指摘のような措置がとられているところでございます。
 私ども、現在の米の需給状況からいたしますと、米の生産調整はやはり達成する必要があるだろうというふうに思っておりますけれども、ただ、私どもの直接支払いの対象の水田をどういうふうに見ていくかという点がございます。
 私ども、米の生産調整の目標面積を、対象水田の水田と、それから協定の対象外の水田にどのように配分していくのかというような点で、委員御指摘のような問題も十分念頭に置きながら、地域できめ細かな対応をしていく必要があるだろうというふうに思っております。
#121
○森下博之君 それでは、本題に入らせていただきますが、この農業者年金基金法改正案につきまして、年金を取り巻く状況が大きくさま変わりをしたこと、あるいは政策、財政両面で問題が生じてこの改正の必要性が生まれてきたと思うわけであります。このために、制度の抜本的な改正を行って、国民が納得し得る、農業基本法の理念に即した政策年金の再構築が求められ、今回の改正案の提出になったと理解をいたしているところであります。
 具体的な法案の中身について質問をする前に、私は、現行制度というものも十分政策的な効果を果たしてきたと私自身考えておりますが、この点についてお伺いをいたします。
#122
○副大臣(田中直紀君) お答えをいたします。
 現行の農業者年金制度の政策効果についての評価についてのお尋ねだと思います。
 委員御存じのとおり、昭和四十六年にこの制度が発足をいたしまして既に三十年の月日がたっておりますが、当時の年金制度の中では、農業者におきましては国民年金に加入するしかない、こういう状況でありましたので、厚生年金並みの老後を農業者も保障していくということが大きな柱であったわけであります。
 また、若い担い手の皆さん方に引き継いでいこう、こういう政策的な誘導もございまして、経営移譲をした場合にはインセンティブを持ちまして通常の給付よりも高い給付が得られる、こういう政策を打ち出したわけでありますし、また若返りを図っていくという中にあって、農地が分散をしていくということは今後のそういう面では農業の競争力を弱体化させるわけでありますから、そういう意味で、しっかりと経営移譲をしていただこう、農地においてもある程度の規模の範囲内でしっかりと受け継いでもらう、こういう政策であります。
 具体的にその効果を申し上げますと、九十八万人に対して三兆八千億の年金を支給いたしたわけでありますから、農業者の皆さん方の老後の保障になったということが第一でございます。それから、三十歳代前半の後継者を中心にして八十七万件の経営移譲が行われたということでありますから、農業経営においても大変若返りを図ってきたということであります。また、百五十七万ヘクタールの農地が細分化されずに後継者に継承され、また十五万ヘクタールの農地が第三者に移譲される等、農地の細分化の防止、規模拡大に寄与したということでございます。
 したがいまして、それぞれの地域におきましては大変評価が高いわけでありますが、しかし、新しい時代にはまた若い方々に意欲を持って農業に参画をしていただく、こういうことで新しい制度に移行していくという意義もあろうかと思います。
#123
○森下博之君 確かに、農業構造の変化が制度設計時と大きく異なったという事情もあろうかと思うわけでありますが、やはり年金制度というものは、国の法律に基づく公的な年金であるわけでありまして、そして終身支給される年金であって、物価の上昇に応じて年金額も増加をする、将来も不安はないと言って農業者の方々を加入させたわけであります。農業者の方々には何の責任もないわけであります。
 こうした新しい改正をせざるを得なかった責任と申しますか、あるいは政府の反省もまた必要かと私は思うわけでありますが、新大臣に反省とか責任とかというのをお聞かせいただきたいと言うのもどうかとは思いましたが、その点、大事な問題だと思いますので、お答えを賜りたいと思います。
#124
○国務大臣(武部勤君) 農業者年金制度は、昭和四十五年に積立方式で発足いたしましたが、農業の担い手の減少、高齢化の進展という構造的な要因に加えまして、今先生お話しのとおり、物価スライド措置を昭和四十九年改正で導入いたしました。そして、昭和五十一年から実施したところでございます。
 昭和五十一年改正では後継者への経営移譲要件を緩和したこともございまして、この結果、年金給付が増大して積立方式を維持できなくなったというようなことで、昭和五十六年には賦課方式に改めたところでございます。その後、極めて厳しい財政状況が続いてまいりました。このため、五年ごとの財政再計算時の制度改正において、例えば昭和六十年改正では、経営移譲年金の支給額を抑制するため、加算つきと基本額の二本立てにしたのでございます。平成二年改正では、年金財政の長期的安定を図るために給付体系の大幅な変更と追加的な定額国庫助成を措置いたしましたし、さらに平成七年改正では、農地の権利名義を有さない配偶者にも加入資格を拡大するということなど、できる限りの改善努力を行ってきたところでございます。
 しかしながら、結果的に見れば農業構造の変化や年金加入者等の見通しが十分でなかった面もございまして、さらには平成七年改正以降、新規加入者の激減、保険収納率の低下等が続きましたことから年金財政が破綻するに至った、かような次第でございます。
 このため、国民の皆様や加入者、受給者の方々に負担をおかけし、その御協力を得る形で抜本的改革を進めることとなった次第でありますが、このような事態に至ったことについては、率直に申し上げて申しわけなく思っている次第でございます。
#125
○森下博之君 私は、新たな制度が所期の目的を達することができるためには、何といいましても農業者の信頼と国民の理解が欠かせない要件であると思うわけであります。農業者の信頼にこたえるためにはやはり安定的に制度運営がなされる必要があると思いますし、新たな制度に移行したのはいいが、運営が不安定であるとか財政基盤が危ないとかということになりますと、なかなか加入を促進することはできないと思うわけであります。
 私は、新たな農業者年金制度は国が責任を持ってしっかり運営していくので心配はないという、この点について大臣の明確な御答弁を求めます。
#126
○国務大臣(武部勤君) 今回の農業者年金制度の改正に当たりましては、現行制度加入者、新たに加入対象者となる配偶者、後継者、施設型経営者等の方々に新制度に関する理解を深めていくことが重要でございます。そのためには、農家や現場で加入促進を進めてきた方々の農業者年金制度に対する信頼を確保することがお話のとおり大前提でございます。
 このため、新制度においては、農村部における高齢化の著しい進展のもとで長期的に安定した年金制度とするために、加入者数、受給者数に影響を受けにくい年金財政の仕組みとして積立方式を採用するなど、農業者が安心して加入できる信頼性の高い制度となるよう措置した次第でございます。
 また、今後、新制度加入対象者や農村現場の担当者に対し、農業者年金基金、関係団体と連携を図りつつ、わかりやすいパンフレット等により関係者の声を幅広く反映した新制度のメリットについて十分なPRを行い、御理解いただけるよう取り組んでまいりたいと存じます。
#127
○森下博之君 今回、やむを得ない措置とはいえ、経営移譲年金の受給者については、既に受け取っている年金額の引き下げを行わざるを得ないわけであります。また、加入者あるいは待期者につきましても給付の適正化を行うということになるわけでありますが、今後の措置が農業者の老後の生活にどのような影響があるのか、受給者の方々は不安に思われる方も多いと私は思うわけであります。
 そこで、今回の措置によって受給者がどのような影響を受けようとしているのか、私は決して軽いものとは思わないわけでありますが、その点、政府の見解をお伺いします。
#128
○政府参考人(須賀田菊仁君) 先生御指摘のとおり、今回、既裁定年金額、平均で九・八%引き下げを行わざるを得なかったわけでございます。
 まず、この経緯から申し上げますと、今回、現行制度の処理といたしまして、従来自賄いということとされておりました老齢年金を含みまして全額国庫で処理をするということでございますので、国民一般の理解を得るためにはできる限りその負担をなくする、すなわち年金額を引き下げるということが求められたわけでございます。一方で、農業団体の方からは、受給権者にぎりぎりで受け入れられる限度といたしまして一〇%未満の引き下げということが要望されまして、この双方の要請をぎりぎり調整いたしまして平均で九・八%の引き下げということになったわけでございます。
 この引き下げが老齢の方々の生活にどのような影響を与えるかということでございます。
 平成十二年の家計調査によりますと、高齢夫婦世帯の一カ月の消費支出が全国平均で二十四万三千円ということになっているわけでございます。この中で、今回の既裁定年金額の引き下げ、これは受給される年によって額が違うわけでございますけれども、今回による削減額が月額二千円から四千円の範囲内でございまして、高齢夫婦世帯の消費支出二十四万三千円の一%程度ということでございますので、何とかこれにより、老後生活の安定が直ちに脅かされるものでないということで、受け入れていただけるのではないかというふうに考えた次第でございます。
#129
○森下博之君 今、大臣からも触れていただいたわけでありますが、今回、財政方式を確定拠出型の積立方式に移行するということでありますが、この方式をとりますと年金受給額は基本的に積立金の運用によって決まるということになろうかと思うわけであります。要するに、みずから将来受給する年金額がわからない、老後の生活設計が立てづらいという面もあるのではないかと思うわけであります。
 この点についてお伺いいたします。
#130
○政府参考人(須賀田菊仁君) 御指摘のごとく、今回、財政方式を、受給者数でございますとか加入者数でございますとかに左右されない積立方式に変えたわけでございます。すなわち、将来の自分の年金の給付は自分で積み立てた保険料を運用して賄っていくという方式に変えたわけでございます。
 こういう方式を採用いたしますと、将来の年金額はあらかじめ確定していないわけでございまして、その分、人生設計の見通しに不安があるということではございますが、逆に言いますと、あらかじめ約束した確定給付型の設計をいたしますと、必要な運用収入が確保されない場合に、またどこかから年金債務というものが発生せざるを得ないということになりまして、なかなか年金方式としては安定したものにならないということで、確定拠出型の積立方式ということを採用させていただいたわけでございます。
 私どもとしては、こういう方式のもとでも人生設計の見通しが立つようにできる限り運用収入を確保していきたいというふうに考えている次第でございます。
#131
○森下博之君 年金の受給額というのが積立金の運用益によって決まるということでありますと、農業者年金基金に求められる役割がまことに重要になってこようと思うわけであります。
 そこで、どのような方針で運用を行っていくのか、運用責任と体制の問題についてお伺いをいたします。
#132
○政府参考人(須賀田菊仁君) 先生御指摘のように、この確定拠出型の積立方式になりますと、運用ということが大変大事になってまいります。今回の法律におきましても、安全かつ効率的な運用が可能となるように農業者年金基金は努めよという規定がございまして、この運用方式というものが今後の最重要課題になろうかというふうに思っておりまして、私どもとしてもこの点に関して十分指導監督を行っていきたいというふうに考えている次第でございます。
 具体的に申し上げますと、運用の対象となります資産につきましては、安全でかつ効率的という観点から、預貯金のほかには、一般的には元本保証がございまして、安全確実と言われております国債等の国内債券に加えまして、長期的な運用という面からは、長期的に見ますと国内債券以上に収益が期待されるという金銭信託等をうまく組み合わせをいたしまして、できるだけリスクが低い方式で収益をできるだけ多く確保するという最適な資産の組み合わせが図れるようにしていきたいというふうに考えている次第でございます。
 法律上基金は毎事業年度、資金計画というものを策定いたしますし、その事業運営の結果については決算報告書というものを出すわけでございます。資金計画によりまして予定した利率ということが明らかになりますし、決算報告書によりまして、実績といいますか、その運用結果たる利率というものが明らかになると考えておりまして、これによりまして運用責任の明確化というものが図れるものというふうに考えている次第でございます。
 運用体制といたしましても、投資の専門家等を体制の中に組み込みまして、できるだけの体制整備を行っていくということにしている次第でございます。
#133
○森下博之君 一つ念押しをさせていただきたいんですが、政府は新制度においては掛け損は生じないと言っておられるようでありますが、このことは元本を保証するというふうに理解をしてよいのか、お答えいただきたいと思います。
#134
○政府参考人(須賀田菊仁君) 先ほど来御答弁申し上げておりますけれども、今回の財政方式、確定拠出型の積立方式ということでございまして、将来の年金額はその積立金の運用実績に応じて変化するということでございまして、制度的に申し上げますと、元本を保証するという仕組みではございません。
 しかしながら、先ほど来申し上げておりますとおり、農業者年金基金の方で安全かつ効率的な運用というものに努める、私どももそれをきちんと監督するということによりまして、実態的に万が一にも掛け損といったようなことが生じないようなことで万全を期してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
#135
○森下博之君 じゃ、次に進ませていただきます。
 新制度におきましては、財政再計算による国民の生活水準の変動に応じて年金額を改定する措置あるいは物価スライド制が廃止をされたわけであります。今後急激な物価上昇等があった場合に、年金額の実質的な価値が維持されないのではないかとも心配するわけであります。こうした著しい経済変動があった場合の年金額の実質的な価値の維持についてはどうお考えになるのか、承ります。
#136
○政府参考人(須賀田菊仁君) 物価スライドにつきまして、この物価スライドに対応できる仕組みといいますのは、やはり受給世代を現役世代が扶養する賦課方式でないとなかなか物価スライドというものには対応できないわけでございまして、私どもが今回採用をいたしました積立方式では、仕組み的に物価スライドには対応できないということになっております。
 しかしながら、考えてみますと、長期的に今後インフレが生じたという場合には、実質経済成長率にインフレ率を足したものが名目の経済成長率ということになるわけでございますけれども、インフレが進行いたしますれば金利も上昇するということでございまして、資産の運用収入というものの増加ということが見込めるわけでございまして、ある程度インフレの影響をそれで吸収することが可能ではないかというふうに考えておりますし、農業者年金基金の一階部分でございます国民年金におきましては物価スライドというものが措置をされておりまして、総体的に見まして、これによりましてもある程度インフレに対応できるのではないかということで、できるだけインフレの影響が生じないようなこととされているというふうに考えている次第でございます。
#137
○森下博之君 次に、加入者の確保についてお伺いをいたしますが、現行の制度は御案内のように、当然加入と任意加入の併用方式をとっておるわけであります。新たな制度につきましては、当然加入というのを廃止いたしまして、農業者からの申し出によって任意加入のみといたしておるわけであります。また、間口を広げると申しますか、農業に従事をする者が被保険者の対象ともなっているところであります。ただ、私、考えまするに、当然加入制がとられている現状においても十分な加入者が確保できないのが現実であります。任意加入のみとした場合にどの程度の方が加入をされるのか問題があろうかと思うわけであります。
 今回の改正による制度の対象者はどの程度なのか、また保険設計上必要な加入者はどうなっておるのか、実際にどの程度加入の見通しが立つのか、加入者の確保について政府は今後どのように取り組んでいくのか、承りたいと思います。
#138
○政府参考人(須賀田菊仁君) 今回創設いたします新制度は、望ましい経営体となり得るものについてはできるだけ幅広く確保するという観点から、加入資格を大幅に緩和いたしまして、従来のように農地の権利名義、農地を持っている方でなくても農業に従事する方であれば加入できるということになっている次第でございます。
 したがいまして、現行制度のもとで加入資格のない配偶者、後継者、それから施設型の農業経営者等々の方々が新たに加入資格を有することとなるというふうに見込まれておりまして、我々の見込みでは六十歳未満のこれらの方々が約八十万人おられるわけでございますので、こういう方々をターゲットに今後加入を促進していきたいと考えております。
 当面は、私どもが現実の数値として考えておりますのは、今、現行制度の加入者が二十七万人強おられるわけでございます、このうち六十歳以上の高齢者の方が一万六千人、それから長期に保険料を滞納されている方が約一万人おりまして、これらの方を除きます二十五万人程度が新たな制度に移行するのではないかと思います。それから、今まで入っておられませんでした方の中で政策支援の対象となる方々等、新たに四万ちょっと新規に加入をしていただけるということで、合わせて約三十万人が新制度に加入するというふうに見込んでいる次第でございます。
#139
○森下博之君 いずれにいたしましても、制度の安定的な運営を維持していくためには、制度の維持に必要な加入者を確保することが一番大切でありましょう。そのためには、制度の信頼はもとより、農政全般の信頼が不可欠だと思うわけであります。
 冒頭にお尋ねをいたしました中山間地域直接支払い、あるいは現在検討されております経営安定対策などを含めて、農家が安心して農業をすることができ、あるいは若い人が魅力を持って農業に従事することができるような今後の農政に万全を期する必要があろうと思うわけであります。
 最後に大臣の決意を承りまして、質問を終わります。
#140
○国務大臣(武部勤君) ただいま新制度の基本的な仕組みについて、メリット等を農業者の方々に御理解いただけるよう徹底してPRを通じて制度の普及に努めるように私の立場からも徹底させたい、かようにお答えさせていただきます。
 さらにまた、今先生から、農家が安心して農業にいそしめるような、あるいは若い方々が魅力を持って農業に従事することができるような今後の農政というお尋ねでございますが、例えば新規就農者が離農した後に入るというのは、これは北極探検に近い私は大変なことだと思います。ですから、そういった問題を解決するためにも、私は、一つは農業経営そのものの法人化と、それからもう一つは、これは半官半民がいいのかわかりませんが、農協などが中心に考えていただいたら結構だと思うんですけれども、農地も保有する、そしていろいろな指導的なこともやる、さらにはかなり試験研究的なこともやる、そういう公益的な農産公社みたいなものがあっていいんじゃないかと思うんです。
 そういったところに若い方々が就職して、そして地域のさまざまな農家の農場経営を直接経験してみると。そのことによって、その地域の実情についても習得できるでしょうし、農業経営についても自信も得られるでしょうし、さらには流通や加工やいろんな分野についても経験したり勉強したりする機会が与えられるということによって、また経営者側からすれば、数年間のそういった法人での就職といいますか、そこで頑張ってみることによって、この男性なら、あるいは女性でも結構です、やれるんじゃないのかなという一つの本来的な認定ということが可能なんだろう、こう思うんです。
 そういう意味の法人化ということも、私の法人化という考え方の中にはあるわけです。そして、安心して、自信を持って、さまざまな習得すべき知識も勉強した上で、新しい農場に入って経営者として農家経営に従事していくという、そういう方法なども私どもが考えている農業構造改革の一環なんです。
 さらには、先ほど来申し上げておりますように、どうも農村の実態を見ますと、一番大変なところを農家が請け負っている。そして、農家経営そのものも高齢化したり規模の拡大によって十二分にできなくなっている。したがって、酪農家などはヘルパーを求める。なかなかヘルパーを求めるにしても、日当が高いですし、欲しいときに来てもらえないという問題もありますし、またヘルパーの皆さん方も、ヘルパーだけの仕事でずっと何年もやるというようなことなどがあって途中からリタイアしていくという問題もございます。あるいはコントラクターというものも先生御案内のようにあるわけですね。だから、総合的に個人経営をサポートするそういう法人があれば、少々規模を大きくしようとか、あるいは経営を拡大しようとかということでもサポーターがいればできる、そういう可能性が担保されると思うんですね。
 そういうようなことで、私ども、今後の農政を通じて、農家というよりも各個人が、農業をやりたいというような人が安心して、まず小学校程度から、次は中学校、高校、大学というふうに段階を経て確信を持って農業に従事していくというような体制づくりが大事なんじゃないのかな、こう思っております。
 それから、今後もう一つ問題は、後継者は、単に農業労働に従事する後継者という問題よりも、農業経営を引き継ぐ経営者というものの確保が非常に難しくなっていると私は思うんです。生産、流通、加工、さまざまな難しい市場原理の中で競争していかなきゃならないということになりますと、農村では、特にある程度高齢化した方々などは、だれかいい経営者はいないかと。私も頼まれたことがありますが、拓銀が破綻した、拓銀に勤めていた若い人でうちの農場を手伝ってくれる人はいないかな、経営能力のある人ならば我々はそれをすべて任せて、我々は我々のできる仕事に全力を尽くしてもいいんだと、そういうようなことを率直に我々に相談に来る人もおりました。
 少し長くなりましたけれども、そういう意味では、農業の構造改革というものは、従来のラインの上で考えるんじゃなくて、やはり現場で何が求められているかということを、さまざまな態様があると思います。そういったものにすべてこたえられるシステムはどうつくっていくのかということを念頭に置いて、施策全体の見直し、再編を考えてまいりたい、こう思っておりますし、さような意味で新たな可能性というものを農山漁村に切り開いてまいりたい、こういう決意を新たにしている次第でございまして、この委員会におきましてもそういった視点で御議論を今後賜ればありがたい、かように思う次第でございます。
#141
○岸宏一君 自民党の岸でございます。
 大臣、御就任おめでとうございます。
 ただいま私の同僚の森下議員からは何か北海の荒法師という話を聞いたわけですけれども、私の印象では、自民党の本部で農林関係の朝の集会にいつも武部先生がいらっしゃって、いらっしゃいますというと一言なかるべからずと。いつも何か斬新な、新しい意見を持っていらっしゃって、しかも非常に情熱的に大声を出して議論することもしばしば拝見をいたしました。今、小泉内閣ができまして、小泉さんも断固とした姿勢で改革に臨まれる、そういう内閣の一員としては武部先生はまことにふさわしい大臣ではないかというふうに心から期待を申し上げる次第でございます。農林省の皆さんもきっと、武部大臣ならばいささかも心配ない、こういう気持ちで迎えられたというふうに思います。
 そこで大臣に、一つだけ、まず年金以外の問題で抱負という形でお伺いしたいんですが、先ほど岩本先生から質問のありました際に、大臣は大臣なりに、何か美しい日本と食料安保ですか、食料自給ですか、そういうおもしろい構想を持っているんだ、こういうお話をちらっとされたわけですけれども、こういう話こそ武部大臣が話すにふさわしい話だと思いますので、ひとつ皆さんに御紹介をしていただけませんか。
#142
○国務大臣(武部勤君) 穴があったら入りたいという言葉があるんですけれども、岸先生からそのような激励をちょうだいいたしますと、ふだん農林部会で大声を出している北海道のクマみたいなそういう男でございますので、大変恐縮する次第でございますけれども。
 私ども、子供のころから大自然の中で育ってまいりまして、農業や漁業や林業の重要性、これは産業としてというよりも、これはもう人間の本当に基本、原点だ、人間社会の原点だとも、私はこう思っているわけでございます。したがいまして、自然の恵みに感謝する気持ちや自然の脅威を恐れる謙虚な気持ちというものが我々人間社会の出発点でなければならないと。この気持ちを忘れるからこそ海が汚れたり山が荒れたり、あるいは川が荒れたりというようなことで、さまざまな人災と言われるような災害を引き起こしているんじゃないのかなと、このように思うんです。
 日本は瑞穂の国と、こう言われて久しいのでありますけれども、私は、これからの二十一世紀をどういう国や社会にしていくべきなのかというときに、一言で言えば美しい日本ということを描きたいなと、こう思っているわけでございます。真善美の美というのがキーワードになってくるんじゃないかと。美しいふるさと、美しい町並み、美しい山々、それから美しい心、美しい言葉、言葉も大分乱れておりますね。そういうようなことが、一言で言えば、それぞれの人々が何となくそれなりのイメージとして描ける。
 小泉内閣の一員として、私、先般も閣議の後、総理に言ったんですが、あなたは、これをやるあれをやる、こうするああすると、こう言っておられるけれども、その結果どういう姿形がイメージできるのか、そのイメージをやっぱり国民にメッセージとして送るべきでないのかというようなことを私は申し上げました。
 そこで、私の申し上げる農林水産業の構造改革とか農山漁村の新たなる可能性を切り開くということはどういうことなんだという、そのことをやっぱり一言であらわす試みが私自身なけりゃだめだと、こう思いまして、今ここに案をつくっているのは、人と自然が共生する社会の実現を目指すというのが一つの大きな方向であり、具体的には食料の安定供給と美しい国づくりというようなことがサブタイトルとして考えられるのかなと、こう思いまして、具体的には食料自給率の向上、結果として循環型社会の形成と構築ということに集約されるんじゃないのかと、かように考えて、今まとめつつある次第でございます。
 したがいまして、農山漁村の新しい可能性というのは、何も新しい話じゃなくて、原点に逆に戻らなきゃならないということでありまして、人間の生まれながらにしてあるべき姿というのは自然界の一員であるということなんですね。都会の人だから自然が欲しいんじゃない、田舎の人間だから自然を満喫しているわけじゃない。これは、人間は自然界の一員であるというところが原点でありまして、そういう意味では、産業政策としての農林水産業ということは、これは農林水産省としてのまことに重大な務めであり仕事だと、こう思っておりますが、同時に、それに匹敵するぐらいの大事なことがやはり多面的な機能の発揮といいますか、自然と共生する社会を現実化していくんだということにあると、こう思っている次第でございまして、せっかく岸先生から少しその考えの一端を述べよというお話でございましたので、少し長くお話をさせていただきましたが、そういうような一つの考え方を基礎にして思い切った見直しも試みていきたいと、こう思っておりますので、今後の御鞭撻をお願いしたいと思います。
#143
○岸宏一君 ただいまは大臣の哲学というんでしょうか、そういうものを聞いた思いがするわけでございます。
 これは小泉総理がおっしゃったのかどうかちょっと記憶が定かでないんですが、この地球上で自然界に返っていかないものをつくっているのは人間だけだ、ほかの動物はすべて循環するように地球に返っていくんだと。ですから、我々人類は循環型社会ということを大事にしなきゃいかぬということを、非常に説得力のある話でございまして、今大臣のお話を聞いて、全くごもっともだと思います。
 それから、美しい国ということでございますけれども、これは私も実は我が意を得たりという気持ちでおるわけでございまして、私も三十年ほど前から田舎で町長をやっていまして、美しい町をつくる、美しい農村をつくるということにかなり努力をしてまいりました。
 昔は農林省に陳情に行きましても、建設省に陳情に行きましても、美しいという言葉は行政用語にはありません、こういうことを言われたものであります。しかし、いつの間にか、我々が主張し、また農林省にもすぐれた方々がおられて、美しいむらづくりコンクールだとか、あるいは国土庁のアメニティーでありますとか、建設省も同じようなことをやり出すようになりまして、国民の中にそういった考え、思想が定着しつつあるということはすばらしいことだと思います。
 どうぞひとつ大臣、特に農山村のこれから生きていく道の重要な柱の一つに、やっぱり美しい景観を維持していく、国民すべてがそれを享受してそれを楽しむ、自分の大事なものとして扱っていく、そういう心を持っていただくような考え方、これをやっぱり農林省が率先してやっていくことが非常に大切なのではないか、こういうふうに思いますので、剛腕をもって鳴る大臣でございますから、ひとつ堂々とやっていただきたい、こういうふうにお願いを申し上げます。
 さて、年金の関係でございますが、実はきょう大臣の御答弁の中に、いわば申しわけなかった、おわびを申し上げなきゃならぬという話がございました。非常に率直なお答えでございまして、私は非常にこれはいいことを言ってくださったなと、こう思っております。
 というのは、私は平成十年に参議院に参りました。参議院に参りまして農林水産委員会の委員にさせていただきました。それで、この年金の話が出たのが大体十一年じゃなかったですか、十一年の六月ごろからこの問題の研究というんでしょうか、自民党内で始まりました。私も小委員会の委員にさせていただいていろいろと勉強いたしました。
 勉強いたしまして何を思ったかといいますと、全く驚きました。何でこういうふうになるまで政府、農林省でしょうか、あるいは年金の基金でありましょうか、わかりませんけれども、何でこんなにひどくなるまでほっておいたのかということが一番の驚きでございました。例えば、簡単な数字を挙げれば、七十四万人の人が年金を受給されておる、それで保険料を納めているのは二十七万人しかおらぬ、このような実態を見れば、どんな人が考えてもこれはおかしい、こういうふうに思うのが当たり前であります。しかし、年金課長さんにも聞きました。責任はだれにあるのかと言っても、いろいろ都合が悪いんでしょうか、なかなか答えられないわけですね。
 私はそこで考えましたが、悪いのはやっぱり政府と政治家ではなかったかと。ハンセン氏病じゃありませんけれども、この年金の問題に関しては政治家の皆様方が、今、私も政治家になっておるわけですけれども、農家の皆さんによかれと思っていろんな制度を改善、改正した。それがまたどうも年金会計を非常に難しいものにしたということは、これはどうも事実のようでございます。これを役所あるいは年金基金が、これをやったら大変ですよということでとめられなかったことも責任があるのではないか。
 そんな意味で、私は、昨年のこの委員会でも、この年金の改正に当たっては、農家の皆さんに大きな負担が及ばないように、我々に責任があるわけですから、政府にも責任があるわけですから、善処していただきたいということを申し上げたわけでございます。
 そういう経過があって、たまたま自民党の朝の集まりでも武部大臣もさまざまな新しい提案をなさって原案をつくるに至ったわけでございます。その過程において、三割だとかなんとかさまざまございましたが、最終的にはここにいらっしゃる太田委員長、太田、松下、松岡メモですか、これが改革の基本となったわけでございまして、改めて委員長の御努力にも敬意を表さなきゃいかぬ、こういうふうに思います。
 そういうことで、まず一つは、今までの農業者年金のあり方を私たち関係者は、なぜこうなったかということをよく反省する必要がある。反省をして、今度こそこういうことにはなりませんよと、しませんよというやっぱり決意を国民の皆さんに、農民の皆さんにお誓いする必要があるんじゃないか、こういうふうに思うわけですけれども、大臣、いかがですか。
#144
○政府参考人(須賀田菊仁君) 先生おっしゃるとおり、今から振り返りますと、なぜあのときにもっと早くという気持ちになるわけでございますけれども、これまでの経緯をつぶさに見ていきますと、五年ごとに財政再計算をいたしまして、その財政再計算を契機にして、できるだけ保険料は上げていく、加入者はふやしていく、それから保険料の収納率は上げていく、運用は高く運用していく、そういうふうな制度改正なり運営改善努力をするんだということで、何とか財政を立て直したいというふうに努力してきたわけでございますけれども、平成十二年の財政再計算の内容からいたしますと、そういう努力にもかかわらず、見込みと実績がえらい乖離をしている。例えば平成十一年では、一万四千人ぐらい入るんじゃないかといった加入者が千六百人しか入らない、こういうことがございまして、これではもう将来やっていけないということで抜本的改革に踏み切ったわけでございます。その過程におきまして、農業委員会系統の方々を初めとして、いろいろな方々に大変な御努力をいただいたわけでございます。
 そういう反省に立ちまして、今回新しい制度を創設するに当たりましては、まず財政方式については破綻をしないような積立方式というものを採用する、それから、できるだけ多くの方に入っていただくよう加入資格というものを大幅に緩め、配偶者、後継者、施設型の農業経営者の方々にも大きく門戸を開くというようなことを初めといたしまして、安心して入っていただける年金づくりということとしているわけでございます。
 まだまだ現場にはそれが浸透していない面がございますので、今後、私どもとしても安心して入れる年金であるということを、あらゆる機会をとらえまして、わかりやすいパンフレット等により現場に浸透させていきたいというふうに思っている次第でございます。
#145
○岸宏一君 安心していい、こういうことを国民の皆さんにもはっきりとひとつ言って、これからかなりこれは大変だろうというふうに思いますけれども、頑張っていただきたいと思います。
 実は、私は山形県の農業会議の会長をやっておりまして、年金の問題にはさまざまな関係がございます。そこできょうは、包括的なことにつきましては森下先生が的確な質問をなさいましたので、私は少し細かくなるかと思うんですけれども、時間の許す限りお聞きをしたいと思うんです。
 今度の年金というのは、当然加入じゃなくて任意加入になるわけですね。それで局長さん、どうですか、加入者の見込みであるとか、あるいは二十七万人の中で脱退される方、こういう方がどれぐらいいると考えていますか。この辺からまずひとつお伺いします。
#146
○政府参考人(須賀田菊仁君) 先生今御指摘のように、今回の加入は従来の強制加入から任意加入に変えたわけでございます。
 従来の制度の目的が若返りと経営規模の拡大という、要するに構造を変えていくんだ、構造を改善するんだということで、ある程度農地をお持ちの方を強制的に入れて構造を改善していくという考え方に立っていたわけでございますけれども、現下の農業情勢のもとでは、ほっておけばもう担い手がいなくなるという状況でございますので、担い手を何とか確保していきたいと、そのために、意欲と能力のある担い手の方々の保険料の軽減措置をとっていくという、そういうふうなねらいと仕組みに変えるわけでございますので、担い手によりましては、人生設計上あそこを利用しなくてもという方もおられると思いますので、任意の加入制度というふうに今回したわけでございます。
 その中で、先ほど来申し上げておりますように、加入要件を緩和もいたしました。農地を持っていない方も広く入れる、それから、担い手には今申し上げました保険料の軽減措置を講ずる、そして積立方式ということで安定した財政方式に変える、それから死亡一時金は大幅に改善をする等々、安心して加入できる制度というふうにしたところでございます。
 そして、じゃどのぐらい加入を見込んでおるのかということでございました。
 現在の加入者は二十七万人ございます。このうち六十歳以上の高齢の方々が一万六千人ございまして、こういう方々は恐らく新しい制度に移行しないであろう。それから、長期に保険料を滞納している方々がおられます。これは約一万人ございます。こういう方々も恐らく新しい制度には移行しないであろう。合わせて二万六千人程度は外れていくであろう。残りの方、二十五万人程度は新しい制度に移行するであろう。それから、現在制度には入っていないけれども認定農業者である方、あるいはその配偶者の方、あるいは予備軍といいますか、認定農業者を目指す方の一部が新たに入るであろう。これの見込みを約四万三千人というふうに見込みまして、合わせまして約三十万人が新制度に加入するのではないかというふうに見通しているところでございます。
#147
○岸宏一君 三十万人が新しい制度へ加入するとなると、これは大変いいことだと思いますが、しかし、なかなかこれは安心はできないんじゃないかというふうに思いますので、ひとつ二、三この点についてお話をしたいと思います。
 この年金はいわば政策支援という形で、今局長さんがおっしゃったような認定農業者でありますとかそれから青申の申告をやっている方とか、さまざまな方々に対して政策支援をすることで持っていく、こういうことでございますけれども、まず一つ、財政措置です。
 三十万人と見込んで十四年度はどういうふうに計算上なるのかということ、もし予定しておるならちょっとお聞きをしたい。それから、今後の傾向として、例えばそういうことをやったと仮定したら、これから例えば五年間ぐらいは同じような数字でいくものかどうか。この辺のことをちょっとお聞きしたいんです。
#148
○政府参考人(須賀田菊仁君) 先生の御質問は、新しい制度のことですか。
#149
○岸宏一君 はい。
#150
○政府参考人(須賀田菊仁君) 私ども、先ほど、当面新規加入を約三十万人見込んでいると申し上げました。そしてこの中で、新しい制度は認定農業者で青色申告をしている方々を初めとするそういう担い手の方々に対しまして保険料の軽減措置を講ずるという形で国庫助成をするという仕組みにしておるわけでございます。
 当面のところ、三十万人のうち、どのぐらいが政策支援の対象となるかという見込みにつきましては、私どもは約二十四万人が政策支援の対象になるのではないかというふうに見込んでおります。この中には、現行制度から新しい制度に移行される方は経過的に三年間は無条件で政策支援するという経過措置が含まれておりますけれども、それを含めまして二十四万人程度が政策支援の対象になるのではないかと見込んでおります。
 そして、これにかかる財政でございますけれども、国費にいたしまして、平年度化をいたしまして年間約百四十四億円かかるものというふうに見込んでおりまして、この状態がしばらくは続くのではないかというふうに考えておる次第でございます。
#151
○岸宏一君 よくわかりました。
 そこで、新しい制度に加入される方、これらを的確に、言ってみれば拾っていくという言い方は失礼ですけれども、加入していただくような手だてというのをこれからきめ細かくやっていく必要があると思うんですけれども、この点、専門であります年金の農業委員会関係の方々の意見をいろいろ聞いてみますと、いろいろな問題があるというふうに言われております。
 そこで、まず政策支援の要件として、認定農業者であるということが一つの要件となっておりますね。ところが、認定農業者はどうも各県で、一生懸命にやろうとしている県と、そうでない県の差があるというんです。しかも、人数が大体十五万人弱ぐらいですか、これ以上ふえる傾向にどうもないのではないかと。本当はこういう認定農家を三十万とか四十万とかに農林省としては考えていると思うんですけれども、認定農業者の制度をもうちょっと定着するような、そういうような体制づくりをする必要があるのではないかということを強く関係者から要望されているんです。今は経営改善支援センターというのを各県でつくりまして、ここで支援をしているということでございますけれども、これらについてもう少し強化する必要があるという声が強いということに対してどういうふうに思っておられるか。
 次は、青色申告というものを要件としているわけですね、政策支援に。これに関して、どうもこの青申の方も余り数がふえない。今、七万人ぐらいですか。何か聞くところによりますと、七万三千戸で、申告者がふえておらないというふうな状況なようですよ。そうすると、これも青申をやる人をふやすということが新しく制度に加入する人をふやすということとつながるのではないか、だからこの仕組みをもう少し強化したらどうかという意見があるんですよ。それで、中小企業対策なんかではもう少し商工会あたりできめ細かくやっている、どうも農業者の場合は農業委員会が細々とやっているという感じではないかという、そういう意見が強いんですね。これらを強化する方法を考える必要があるのではないか。
 それから、配偶者や後継者の問題では、家族経営協定を結ぶ必要があるんですよね、この制度によると。これは農村の暮らしと比べるとどうもなじみにくいのではないかという意見が強い。その証拠には、この数は余り多くないんじゃないですか。ふえていないんじゃないですか、余り。これらについても、そういうふうに条件として書いている以上はそれを進めるさまざまな仕組みをやっぱりつくっていくことが必要であると思うんですね。
 そういうことがやっぱり年金に対する新規加入をふやすことになるのではないか、こういうことをよく言われますものですから、これに対してちょっと局長さんからお考えと決意をお聞きしたいものだなと、こういうふうに思うんですが、いかがですか。
#152
○政府参考人(須賀田菊仁君) 多項目にわたりましてお尋ねございました。
 まず、認定農業者制度でございます。これも先生御存じのように、上から選別的に担い手を選ぶのではなくて、地域の実情に応じて、地域の中から意欲と能力のある担い手を選定していこうという仕組みでこれは始まっておるわけでございまして、あくまでも農業者の自発的な意思というものを前提とした制度でございます。
 仕組みとしては、都道府県が基本方針、市町村が構想をつくって、その構想は他産業並みの所得を上げ得るような構想がありまして、農家が経営改善を五年間ぐらいいたしましてそこへ到達をするというような改善計画を出しました場合に認定をして、いろいろな政策で育成をしていくという仕組みなんです。おっしゃるように、一部におきましてちょっと首をかしげたくなるような農家も選ばれておりましたり、地域によって数に差があったり、確かにそういう状況がございます。この新しい年金制度等をてこにいたしまして、この制度のさらなる改善というものに取り組んでいきたいというふうに考えております。
 そして、その支えをするものとして先ほど申されました経営改善センターの機能も、今後、経営の分析、経営の改善ということがますます重要になりますので、税理士だとか公認会計士だとかも含めまして、この経営改善センターの機能を強化していきたいというふうに考えているところでございます。
 そして、青色申告の問題でございます。やはり自己の経営をちゃんと把握できるという意味で、簿記記帳をいたしまして、自己の経営を管理している方という者を今回政策支援の対象にしているわけでございます。先生おっしゃるように、この青色申告、なかなか実際にはふえていかない状況にはございます。
 認定農家の方にアンケート調査を実施いたしました。約九割の方は簿記記帳を行う必要があるというふうに答えてはいるわけでございますけれども、一方におきまして、簿記記帳を行わない理由として、やっぱり手間がかかる割には必要性が感じられないだとか、農業所得が少ないだとか、こういう答えが過半を占めておるという状況でございますので、簿記記帳とか青色申告の効果的な活用ということを、先ほどの経営改善センターの強化とあわせまして努めていきたいというふうに考えている次第でございます。
 それから、家族経営協定でございます。配偶者でございますとか後継者の政策支援の要件といたしまして、家族経営協定というものを義務づけておるわけでございます。これは、やはり自発的意思を持って農業経営に参画されるという形で農業を担う方でないとなかなか政策支援の対象とするのが難しいということで、家族経営協定を結ぶということを要件にしているわけでございまして、例えば女性の地位や役割の明確化というためにも家族経営協定、大変重要であるというふうに考えております。
 現在、その数というのは着実にふえてはおりますけれども、一万七千程度ということで、絶対的には低位の水準にあることは間違いございません。この年金制度の家族経営協定は、難しいところを省略いたしまして、収益の問題、それから事業廃止や縮小のときにみんなで合意してやろう、それから経営の基本的な事項については合意で決定しよう、この三点を内容に含んでおればいいということになっておりますので、農業委員会等々と協力をいたしまして、ぜひともこの家族経営協定が飛躍的に伸びるように努力したいというふうに考えております。
#153
○岸宏一君 局長さん、大変丁寧な御答弁ですけれども、例えば認定農業者については、もう少しそちらの方で積極的に認定農業者になりたいという、制度そのものを変えるくらいの気持ちで、今なぜふえないかといえば、今局長がおっしゃったとおり、余り認定農業者になったからといってプラスがないからだと思うんですよ。しかし、新しい制度ではそういうものを条件にしているわけだから、それは局長として、認定農業者の制度をもっといい制度に変えようという、そういう取り組みが必要ではないか。
 それからもう一つは、その青申の問題なんかでも、青申をすることが条件と言っているわけですから、青申をすればこれだけいいことがあるんだということを強く言っていくとかいう、そういう姿勢をやっぱり必要とするのではないでしょうかと思いますね。
 そこで、時間がないようですから、せっかく年金基金の理事長がいらっしゃっていますが、理事長さん、今大臣も、今までの年金の問題いろいろあったし、今回九・八%ですか、カットということの事態になるということで、農家の皆さんには御迷惑をかけたね、こういう趣旨の発言を大臣はなさったわけです。
 そこで、農家の皆さんも間もなく、これはいつになるんですか、通知書みたいなものが行って、説明は各市町村段階で農業委員会あたりが一生懸命やるかと思うんですけれども、やっぱり理事長さんのお名前で、いや、実は申しわけないことにこういうふうになりました、こういうわけでございましたと、こういうふうなことを農家の皆さんにお知らせをして、おわびを申し上げるというか、経過の説明をいたしますというんでしょうか、こういうことをなさる気持ちはないか。
 それからもう一つ、ぜひこれからお願いしたいことは、農業委員会関係を含めて、これらの制度を農家の皆さんにお知らせするために大変な労力が必要でございます。そういう費用もかかるわけでございます。そういう問題も年金基金としても十分対応する、こういう気持ちをひとつ表明していただければありがたいと思いますが、いかがですか。
#154
○参考人(鎭西迪雄君) ただいまの御質問の点についてお答えいたします。
 今回、大変な抜本的改革ということになるわけでございますが、私どもといたしましても、加入者、受給者が加入された当時と年金の仕組みも大きく変わりますし、ただいま御指摘のとおり、受給者におきましては前例のない給付額のカットということが盛り込まれるというところでございますので、全加入者、受給者からこういう点についての理解を得るということがぜひ必要だろう、こういう認識をまず持っているところでございます。
 それで、法案の中身が確定して国会に出される前後、昨年の暮れからでございますけれども、例えば私ども百八十万部のリーフレットをつくりまして全員に行き渡るように受託機関を通じて配付をしているとか、それから制度改正の概要につきましても、これは最近でございますが、百十万部ぐらいのリーフレットをつくってお示ししていると。こういうようなことの努力はしておりますし、つい先日、十五日に農業者年金の加入者、受給者の全国組織の総会がございまして、その場に出席させていただきまして、率直に今までの経緯、背景、それから大変厳しい立場に立たされている皆様方に対する私の気持ちも含めまして説明をさせていただいたところでございます。
 それから、法律が成立いたしました段階におきましては、私ども、大変内容が抜本的なものでございますので、この改正制度の概要、それから現在の加入者に対しまして、先ほど局長の方からも御答弁がございましたが、できますれば現在の加入者のほとんど全員の方が新制度に移行していただきたい、それが新基本法の理念でもあるということから意向調査というものを全員についてやるように考えておりまして、そういうことの説明を含めまして、法律成立後早々に全国七つぐらいのブロックでブロック会をまずやりたいと。それから、それを受けまして、県内説明会をやっていただいて市町村の受託機関の担当者に浸透していただく。並行して、御要請がございますれば、我々役職員が県レベル、市町村レベルまで出向いていって、直接説明会にも参加し質疑応答にも対応する、こういう体制をとらせていただきたい。
 それから、その他、農業関係新聞、あるいは我々の機関誌でございます「のうねん」というのを発行しておりますが、そういうものへの掲載とか、あるいはビデオも新しくつくろうというようなことを考えていまして、そういう形での周知徹底というのは徹底的にやっていきたい。
 それと、ただいま委員の御指摘のように、十四年の一月からいよいよ施行になるのでございますけれども、年金額が削減されるということでございますので、これは当然のことでございますが、全関係受給者あてに農業者年金の年金額の改定通知書というものを私の名前で送付することになりますが、特別のこういう制度改正の背景、経緯というのがございますので、この通知書と同時に同封いたしまして、年金額カットについての説明資料を添付いたしまして、個別の受給者の理解を得るように努力をいたしたい、このように考えているところでございます。
 それと、委員御指摘のとおり、かなりの期間、現行制度の経過措置と新制度が併走するという形になりまして、市町村段階の受託機関の担当者に大変御苦労をおかけすることになると思います。したがいまして、なるべくオーバーワークにならない、あるいは過重な負担感を持って大変な御心痛、御苦労をかけないように事務の簡素化というのも十分考えていきたいと。今までもカード化だとかいろんな形で我々なりに努力をしておりますけれども、これは農業団体、受託機関の意向も踏まえまして、農水省の御指導も得ながらそういう形での事務簡素化の努力というのを十分やっていきたい、このように考えているところでございます。
#155
○岸宏一君 大変適切な御答弁でありがとうございます。
 どうぞひとつ大臣を初め皆様、この大事な制度がしっかりと農家の皆さんの中に根を張って、皆さんから安心されるような、そういう制度につくり上げていただきますことを心からお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
#156
○山下栄一君 農業者年金事業、この事業存続が不可能な状態になって抜本的な改革を行って出直すという、そういう法改正の内容になっているわけですが、出直しが中途半端になると、完全に失敗した事業がまた失敗したと。農業者にもちろん特殊な事情があるわけですけれども、国が全力を挙げて支援するための制度、年金財政はほとんど破綻している、どの年金の仕組みも、そんな状況の中で特別の扱いをしてきたと、この三十年間、それが失敗したと。再度出直すに当たって、私は中途半端な出直しは許されないと。
 今まで、農水省所管の特殊法人、農業者年金基金、どんな監督をしてきたんだというようなことも問われると思いますし、問われた事実もあるわけであります。私は詳しくはよくわかっておりませんけれども、会計検査院の過去に指摘されたこと、その教訓が生かされたのか、また今後生かしていかにゃいかぬというふうに思いまして、過去の会計検査院の指摘についてまず最初に質問させていただきたいと思います。
 昭和五十九年度の決算検査報告以来、平成五年、六年、七年度、平成九年度と過去五回指摘され、そして平成九年に至っては立法府の警告決議を受けている。警告決議に対して、農水省が改善措置を行い、また改善の努力を行いますということを約束しているわけで、こういうことが実際どうだったんだということを検証せにゃいかぬと思うわけでございます。
 それで、二階建て部分に税金を投入するという制度はこの制度しかないわけでございまして、その業務が適正に執行されてきたのかということを、しておるのかということを検査院は指摘したわけでございますので、指摘内容を簡潔におっしゃっていただくと同時に、指摘してその後どうなったのかということについての会計検査院のお考えをお聞きしたいと思います。
#157
○説明員(関本匡邦君) お答え申し上げます。
 農業者年金事業につきましては、過去五回にわたりまして決算検査報告で指摘しておるところでございますが、指摘の中心となっておりますのは経営移譲年金の不適正な支給という事態でございます。経営移譲年金は、農業者が所定の要件を満たす後継者あるいは第三者に農地の所有権を移転するなどして、農業経営を廃止または縮小ということによりまして適格な経営移譲を行った場合に支給されるものでございますが、検査いたしましたところ、経営移譲者が引き続き農業経営を行っていたり、経営移譲者が農業を再開していたり、あるいは経営移譲の相手方となり得ない者に経営移譲を行っていたりなどしておりまして、これに対しまして、業務受託機関であります市町村の農業委員会におきまして、受給権者から提出された裁定請求書の審査・確認及び受給権者の現況の確認が十分でなかったなどのため、不適正な支給となっていたものでございます。
   〔委員長退席、理事岸宏一君着席〕
こうした不当事項で指摘した事態の不適正支給額につきましては、すべて返還の措置がとられておりますとともに、農業者年金基金では再発防止対策として、業務受託機関に対して資格要件の審査・確認等を十分行うよう指導を強化していること、あるいは関係者に対しては注意処分を行っているということなどについては承知しておるところでございます。
#158
○山下栄一君 それで、要するに、これ受給権者の裁定事務といいますか、それから確認事務、これがきちっと行われていないと。行われていないということは、故意に行われていなかったのか、それとも過失でそうなったのか、そんなことすらわからぬわけで、そういうことも含めて、これが故意で行われたとしたら大変なこれは国民に対する裏切り行為になってくるということになっていくと思うんです。
 それで、特に平成五年、六年、七年、立て続けに指摘を受けて、この不当な支払いについては、例えば平成六年でしたら、調べて五十二人わかったと、県は幾つか分かれていますけれども、それで六千万円返還させた。これは税金、返したらいいのかということだと思うんです。
 それで、要するに平成五年、六年、七年、三年連続指摘を受けて、警告決議が行われたと。それに対して、これは実際、警告決議に対して答弁したのは大蔵大臣なわけですけれども、これは農水省は責任を持ってこういう内容にいたしましたと、また、いたしますということを報告しているわけですね、平成九年十二月十六日。
 その中身は幾つか、四点ほどありますけれども、一つ一つ確認させていただきます。
 まず一つは、再発防止ですけれども、再発防止、二度とこういうことが起こらないようにと、二度とこういうことが起こらないというようなことが何遍も続いているわけですが、再発防止策は何をやったのかということをまずお答えください。
#159
○国務大臣(武部勤君) 平成九年度の決算委員会警告決議は、会計検査院から農業者年金制度の経営移譲年金の不適正受給について指摘があったことに関するものでありますが、これを受け、「その再発を防止するため、業務受託機関」、農業委員会、JAでございます、「に対し、文書及び会議等を通じ年金事業の適正な実施に努めるよう強く指導を行ったところ」であるというふうに聞いております。
 この文書指導等のほか、受託機関である農業委員会等に対し、農林水産大臣の権限を都道府県知事に委任して行う監査、指導を実施するとともに、農業者年金基金の考査担当職員を市町村に派遣し、業務受託機関が適正に事務処理を行っているか否かを現場で直接確認、指導する措置を強化したところであると、こう聞いております。
 これらの結果、不正受給の指摘事例は減少してきたというふうに聞いております。
#160
○山下栄一君 それで、私、これ実際上、指摘を受けたから、指摘を受けたことは、それは会計検査院も体制的に限界あるから、全部、すべての農業委員会をチェックしたわけではないと思うんですよね、市町村ですから。農業基金がそういう農業委員会または農協に業務を委託しているわけですな。そういうところをきちっと指導できるのかと私は思うわけです。手足がないから任しているのに、きちっとできていないからもうその契約は破棄だというようなことは言えないわけで、そういう間柄なわけですね。
 だから、僕は基金の中におけるこういうチェック体制がきちっと行われることは普通考えられないというふうに思います。もし、その審査、チェックで受給権者であるかどうかをいいかげんにすると、税金のむだ遣いになるかどうかが問われるわけですから、それがもし故意に行われたとしたら大変だと。また、少なくともこういう指摘を受けたところについては、それが故意に行われたのか、過失なのかということぐらいは、基金でできなかったら農水省が行って、全部はできないけれども、それぐらいの迫力でやらないと、とにかく指導を受けたから集めて指導しましたと、監査体制するように言いましたとか、内部監査なんて機能しようがないと僕は思います。
 故意なんかでやったら、これはもう犯罪になるわけですからね。受給権者が適正なのか不適正なのかということは大変な問題になる。その事務を農業委員会や農協に任せているわけですから、仕組みそのものがもう欠陥の仕組みだなというように思うぐらいでございます。
 僕は実態をよくわかっていないですけれども、一国民の立場として、こういう制度がずっと続いているわけで、指摘はこれ立て続けに受けたけれども、再発防止、減ってきたというふうに大臣おっしゃったけれども、そんなのどないして証明するんだと、そんなのは。故意なのか過失なのかすら検証しようがないと、会計検査院もそういうことを指摘できないわけで、告発されたらそれはできるかもわからぬけれども、告発する人は一人もおらない。そういう国費を投入してこういう制度をやっているわけですから、僕は、この辺の再発防止というのは物すごく難しいなと、また出てくるとしてもどうしようもないと、これは。
 外部の会計検査院に指摘されて初めて、指摘されないと絶対にわからないと、これは。農水省がそんなのどうして調べるんだと、基金そのものは手足がないから任しているわけですから。そんな仕組みで成り立っているのがこの農業基金制度であるというふうに思うんですね。
 これは、だから、物すごくこれ、それでこの指摘を受けて四年後に破綻しているわけですからね。再度出直しすると。また、同じようなチェックの仕組みはこれからも行われるわけです。できるだけ担い手を確保したいという、それが甘く行われるのか、甘く行われる可能性はあっても厳しく行われる可能性は極めて少ない業務であると私は思うわけでございます。
 だれに向かってしゃべっているのかよくわからないような話でございますけれどもね。僕はこれは、こういう制度、特殊法人が今大きな問題になっておりますけれども、それは監督責任があるのは農水省であり、大臣が最高責任者、その基金を監督する責任は農水大臣にあるわけですから、こういう受託機関の見直しは、どこかほかのものにせいと言ってできへんから、もう一般金融機関にさせようとか、できないかもわからぬけれども、こういうことについての責任、責任の問い方とか、僕はこの指摘されたことについても、今何か注意処分やったとかいう話されていましたけれども、注意処分されたそうですということだと思うけど、どんな責任の問い方したのかというふうに私は思います。
 そして、これ今後、これ破綻したわけですよね。破綻する寸前ですよね。だけど、この仕事は続いていくわけです。そして、仕事をする機関も特殊法人たる農業者年金基金ですか、それは独立行政法人になるのか民間委託するのか、それはどうなっていくか私はわかりませんけれども、少なくとも、さっき理事長来られていたけれども、その理事長の今の体制のままいくということは、これは国民の皆さんは納得しないのではないか。全部総入れかえしろというぐらいの迫力で大臣臨まないと、これは私は、また後から確認しますけれども、どれだけの税金を投入するか知らぬけれども、これは許されない。今、年金財政はどこも破綻に追い込まれているわけです。二階建て部分に国費を投入するわけですから、これは僕はいいかげんな形で再スタートはできないと。
 大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
   〔理事岸宏一君退席、委員長着席〕
#161
○国務大臣(武部勤君) 私も、党内の論議ではかなり厳しく追及した立場でもございますし、事務方は余り私に答弁させたくないんではないかと思うほど、新しい農業者年金法案についても、本当にこれでたえられるのかどうかというような疑問まで呈した立場でございまして、今理事長の話を聞いていましても、岸先生は適切な答弁と、こう申されましたけれども、農林水産大臣としては、理事長としての責任をどのように考えているのかと率直に感じていた次第でございまして、しかし、農林水産省としては私が最も重い責任を負っている次第でございまして、まずは、これまで会計検査院からたびたび経営移譲年金の不適正な支給の例を指摘されることはまことに残念なことであり、申しわけなかったことだと、このように思っておりますし、今後こういうことのないように緊張感を持って取り組んでいかなければならないと肝に銘じて、今そのような心境でございます。
 農業者年金基金の役員を一新すべきではないかということまではおっしゃっていないのかもしれませんが、現在、現行制度の処理と新制度の立ち上げが喫緊でありますことから、現役員はこの業務に専念し新制度の定着を図っていくことがいずれにしても必要に迫られていると、かように存じます。
 他方、新制度の定着した後には体制を一新する、体制一新を断行すると、そういう考えで臨みたいと、かように存じますので、御理解をいただきたいと思います。
#162
○山下栄一君 私、今、大臣、一掃しなきゃいかぬと言ったんですよ。一掃する必要があるといってさっき質問しました。
#163
○国務大臣(武部勤君) 体制一新を断行する考えだと申し上げました。
#164
○山下栄一君 いやいや、そうおっしゃったんですけれども、僕はそれをやるべきだと言ったわけで、やったかどうか……
#165
○国務大臣(武部勤君) やるべきだとおっしゃったんですか。
#166
○山下栄一君 やりなさいと言うたんです。
#167
○国務大臣(武部勤君) 先生はもう少し御遠慮されたんじゃないかと、こう思って、それは私の聞き間違いでございます。全く同感でございます。
#168
○山下栄一君 一新すると言うんやけど、何かしばらく仕事させるという話だったけれども、いつまで仕事させるのか。だから、僕はそれは再スタートするに当たって、またこれ五年後の見直し、僕は毎年見直すべきやと思うけれども、どれだけ担い手がふえたのかというようなこと、後からまた確認しますけれども、少なくとも再スタート、これ法律通って再スタートするのは一月一日からでしょう。それはそのときにやっぱりちゃんとやらないと、これは今もどの面下げてとおっしゃった、そのとおりだと僕は思います。僕もよくあんな、少なくとも申しわけありませんの一言ぐらい、こんな事態になりましてということから答弁始めないとだめだと思うぐらい、それでも全然そんな感覚ないわけですから、だから元旦から、これ法律通るか、通るか知りませんけれども、通るとして、一日からちゃんとやっぱり一新すると、こういうことをおっしゃらないと、これは改革断行内閣じゃないというふうに言われると思いますけれども、いかがですか。
#169
○国務大臣(武部勤君) 現在、現行制度の処理と新制度の立ち上げが喫緊の課題であるというふうに認識しております。したがいまして、当面はこのような業務に専念をしていただく、そして新制度の定着を図っていくことが何よりも喫緊の課題だろうと、かように考えているわけでございます。しかし、ただいま申し上げましたように、新制度が定着した後には体制一新を断行すると、こういう考えでございまして、御理解をいただきたいと思います。
#170
○山下栄一君 もうちょっと聞きたいんですけれども、要するに、定着、いつごろとお考えなんですか。いつになったら、僕は体制変えてもどうかなと思うけれども、少なくともそういう意思を国民に示さないと、またこれ続けるんですかと、ちゃんと担い手ふえるんですか、そしてという、先ほども質問ありましたけれども、というふうになっていくと思うんですね。
 これパブリックコメントですか、平成十二年にいろいろ意見を聞かれています。意見聞かれたもの、これもいただきましたけれども、意見聞かれた中にも厳しい意見が書いてあるんですよ、これ。一般国民の意見ですよ。「国庫負担(税投入)について」と。農水省が赤字を放置してきた責任は当然ある、各年金が削減の方向にある中で税金を使って削減幅を抑えるのはいかがなものかと、また、戦後、米生産を担った農家には感謝するけれども、加入低迷のしりぬぐいを税金でするのは納得できないと、こういうような意見。これは皆農水省が集めた意見だと思いますけれども、農家だけ税金を使って年金を受けるのは反対だと、自営業は国民年金一人分だけで不況の中頑張っているんだと、こういうふうに寄せられているわけです。
 ほかにもありますが、こういう声が、それは限られた意見、これはもう皆さんの意見だと思いますので、定着するまで五年もかかるいうたらいかぬわけで、だからそれは大臣のお気持ちはわかりますけれども、この時点ではっきりやるというふうなことぐらいは言ってください。
#171
○国務大臣(武部勤君) やはり信賞必罰が原則だと思っておりまして、今、いつの時点でばさっとやるというようなことはここで申し上げることは困難だと思いますが、先生の御議論はもとより、私自身も、許されざることが多々あったということで、いいかげんには済まさないぞという、そういう強い決意を持って臨むということを御理解いただきたいと思います。
#172
○山下栄一君 先ほどから自民党の方々が武部大臣に対する御期待、また荒法師というお話もありましたけれども、その姿勢は大臣になられて衰えたということになったら、それは国民に対して申しわけないと思いますし、小泉内閣が今大変期待されている中でこれは問われていると私は思いますので、断固たる処置を示していただきたいというふうに思います。
 それから、これ少なくとも指摘を受けたことについて関係者の何か、先ほども言いましたように、返還したらいいというものじゃないと思うんですね、不適正な業務が行われたわけですから。その責任はどういうふうにして問われたのか。僕は、現場もあるけれども、基金の人にどういう処分をしたのか、また本省はどうなのかということを、これ確認させてください。
#173
○政府参考人(須賀田菊仁君) 現在、農業者年金基金からの年金の受給者が全国で七十五万人いるわけでございまして、この七十五万人の農家をフォローするのはやはり農村の現場に手足を持っている農業委員会と農協というところに業務を委託せざるを得ない状況ではございます。
 それで、過去どういうことをしたのかということでございまして、実はこの会計検査院から指摘されました大半は、農業委員会側の調査確認のミスというよりも受給者側の責めに負うべきものが過半、一部に農業委員会の調査確認が不十分だったというものがございました。
 そこで、受給者からは返還を受けたわけでございますけれども、農業委員会に対しては、現場に出向きまして現場で確認、指導をして再発のないようにという指導を徹底したということでございます。
#174
○山下栄一君 さっき検査院の方は注意処分があったという話をされたんですよね。今、おっしゃっている話、だから処分というようなことは行われたのかということを聞いているわけですよ。その現場の事務の方というよりも、委託した基金の方の人はだれも責任を問われていないのかと。それで、これは警告決議をされているんです、立法府によって、立て続けに三年も続いたから。それでもだれもこれ責任を問われないまま、とにかくお金を返しましただけですか。それやったらもう存続できませんよ、これ今後。どうして証明するんですか、そんなの。処分しないでやってきた。僕は、それは国民の皆さんが納得できないと思いますから。
 内部ではできないわけでしょう、外から指摘を受けて。少なくともそれぐらいはきちっと示さないと、もう規律も何にもない運営をされておると。これ、兆を超えるお金が投入されてきたわけでしょう。いかがですか。
#175
○政府参考人(須賀田菊仁君) 先ほど、会計検査院の方から関係者に対する注意処分を行ったということでございます。これは、不適切な調査確認事務の担当者に対しまして、その職場におきまして、この警告決議の趣旨を踏まえて口頭で注意を行ったということでございます。
 やはり、この担当者に対する注意よりも、組織としてきちっとした体制を整えるという方が大事であるということで、その組織としての体制を責任を持って整えよという指導を徹底していったところでございます。
#176
○山下栄一君 永田町の論理と世間の論理いうて、ずれがあるいうけれども、もうむちゃくちゃずれた答弁をされているから、もう信じられないような今の御答弁ですけれども。
 これは年金制度研究会ですか、平成十一年十二月に、今村さんでしたか、座長として農業者年金制度研究会が「今後のあり方について」という、これは皆さんも、もちろん僕も読みましたけれども、これは、ここに書いてあるのは、実施体制の構築や十分な指導監督に努めることが重要、緊要だと、運用の責任体制の明確化を図るため、受託者責任を徹底するとともに、十分な情報公開が行われる必要があると、こう書いてあるわけですよ。こんなことも外部の人に、それから研究会の人にも言われているわけで、それに対する反省も何にもない。
 僕は、これを今後続けられるんでしたら、こういう運用責任はどないするんだ、今後はと。場合によったら、これは基金法の法改正をして責任を問えるような、また、現場がきちっとされているような、何といいますか、チェックをするために立入検査をするとか、不定期に。また、万が一こういう不適正な受給手続が行われたような場合には責任はこういうふうに問いますというようなことを法律の中に明記するとかいうふうなことをしないと、今のままで、会計検査院に三年連続指摘を受けて、立法府から警告決議を受けて、きちっとやりますいうて当時の大臣が言って、そして責任の問い方は何にもされておらぬと。それでは私は存続これはできないと思いますから、責任の問い方をきちっと考えるということを、大臣、お約束してください。
#177
○国務大臣(武部勤君) 御指摘の点を踏まえて、積極的に勉強、検討してみたいと思います。
#178
○山下栄一君 これ結局、冒頭言いましたように、制度ができて三十年たつと。三十年たって再度出直しを強いられているという状況の中で、先ほども御質問があったかもわかりませんけれども、これは農水省としては、この制度は一体当初の政策目的、これ政策年金だそうですけれども、この目的は達成されたのか、どのように評価されているんでしょうか。
 きょうから実は行政評価法が審議が始まっているわけで、これまた政策年金、形を、目的を変えて始まろうとしているわけで、三十年間をどういうふうに総括するのか、政策の目的は達成されたのかということをきちっと少なくとも農水省はそれを示して、国民の皆さんに、そして今後こういうふうにしますというふうに言わないと、それは私は通らないと思うんですけれども、どのようにこの政策評価されているんでしょうか。
#179
○国務大臣(武部勤君) 現行制度は、今日までに九十八万人に対して三兆八千億円の年金を支給し、農業者の老後生活の安定に重要な役割を果たしてきたという認識でありまして、農業経営の近代化と農地保有の合理化の観点からは、三十歳代前半の後継者を中心に八十七万件の経営移譲が行われるなど農業経営の若返りや、百五十七万ヘクタールの農地が細分化されずに後継者に継承され、また十五万ヘクタールの農地が第三者に移譲されるなど、農地の細分化の防止や規模拡大に寄与してきたという点につきましては評価されるべきだと、かように思います。
 これらの成果につきましては、また、規模拡大につきましては、一件当たりの農地の移動面積が、農業者年金の第三者移譲の場合には、一般と比べて都府県で四・一倍、北海道で二・六倍となっていることなどからも、他の政策だけではでき得なかった効果を発揮したと、かように評価されるものと考えております。
 しかし、やはり新たな制度につきましては国民の理解を得るということが不可欠でございます。
 先生、今さまざま御指摘のほどでございまして、政策年金として政策効果については十二分に検証に努めてまいりたいと、かように存じている次第でございます。
 改正法案の附則においては、施行から五年経過後の新制度の検討に関する規定を置いているところでございますが、五年経過する以前においても行政庁の責務として政策効果の追跡検証ということに努めてまいりたいと、かように考えている次第でございます。
#180
○山下栄一君 現在の加入者に対する手当てその他も含めまして、新制度発足になるわけですけれども、今までの分の手当て、これからいろいろお金が必要になってくると思うんですけれども、清算に伴う公的資金の投入額、何年もかかるとは思いますけれども、総額どれぐらいになるのか、示していただきたいと思います。
#181
○政府参考人(須賀田菊仁君) 今回措置をいたしました現行制度の処理に伴いまして、そこから発生する年金債務の処理、大体今後約八十年間にわたりまして、受給のカットということを含めまして、私どもの見通しでは約三兆六千億負担する見通しでございます。
#182
○山下栄一君 三兆六千億もの公的資金を投入して清算手続を行う必要があると、八十年間。こういうこともほとんど国民の皆さんは御存じないままにこの新しい制度をスタートするということは、私はこれはとても理解が得られないというふうに思うんですけれども。
 このことについてきちっとした説明を、やはりわかりやすく、先ほども申し上げました政策評価も含めて、そして今後はこういたしますというようなものを、どういう形がいいのかわかりませんけれども、きちっと国民の理解が得られる努力をわかりやすい形でやる必要があると思いますけれども。三・六兆という話もきちっと国民の皆さんに知らされていないというふうに思いますし、説明責任が問われていると思いますけれども、いかがでしょうか。
#183
○政府参考人(須賀田菊仁君) 御指摘のとおり、今後、行政の行います行為については政策評価ということをする必要があろうかというふうに思っております。
 今まで農業者年金につきましては、内容がなかなか数量であらわすことが難しい部分が多いということで政策評価の対象から外していたわけでございますけれども、今後、今回の改正によりまして、先生お話しのように、三兆六千億の国費を投入して処理する、新しい制度は担い手の確保のためにこういう制度になるというふうになるわけでございまして、きちっと国民の御批判をいただけるように、政策評価、そしてその公表というものを考えていきたいというふうに考えております。
#184
○山下栄一君 ちょっと、次に大臣にお答えいただきたいんですけれども、今後のこの業務の執行のあり方ですけれども、先ほどちょっと触れましたが、これは基金に運営させるわけですね、この事業は、特殊法人たる基金。この特殊法人の基金をどうするのかと。これは今年度中に答えを出す必要があると思うんですけれども、どのようにお考えなのか。
 それと、具体的な、業務委託機関ですけれども、業務委託機関は、私はきちっとした適正な業務が運営されるということについては疑問があるわけですけれども、この受託機関は今のままでいいのか、今のままでいくとしたらこういうふうな改善をするとか、その辺のお考えをお聞きしたいと思います。
#185
○国務大臣(武部勤君) 財政破綻の原因は基本的には、担い手の減少と農業構造の変化、保険料収納率の低下、未加入者の存在等にあると考えられますが、これまでできる限り運営改善を図るための制度改正について国会での審議をお願いしてきたのでありますけれども、このような農業構造の変化や年金加入者の動向について、制度設計を担当した農林水産省、制度の運営を担当した農業者年金基金、加入促進や保険料収納対策等の業務を受託したJAや農業委員会系統、それぞれに見通しが十全でなかったり努力が不足していたという面はこれは否めません。
 今般、国民の皆様や加入者、受給者の方々に負担をおかけし、その御協力を得る形で現行制度の処理と新制度の発足という抜本改革を行うということにしておりますことから、農業者年金基金の業務運営についても、当面、質量とも増大する業務に対応する必要はあると考えておりますけれども、新制度が定着した後には、これまでの反省に立ち、基金のスリム化を断行する考えであります。毅然として対応してまいりたいと存じます。
#186
○山下栄一君 法律の見直しは五年後というふうに聞いておりますけれども、先ほどもちょっと触れましたけれども、新しい政策目的、担い手の確保ということについて、五年間、どうなったのかということでは余りにものんびりした話だと思いますので、これは毎年きちっとチェックして公開すると。そして、達成度ですね、政策目的の。場合によっては、これは五年見直しやけれども、前倒しで見直さないかぬようになるかもわからぬような気がするんですけれども、そのことも含めて、目的の達成状況についてのチェックについてのお考えをお聞きしたいと思います。
#187
○国務大臣(武部勤君) 先ほども申し上げましたが、食料・農業・農村基本法第二十一条は、農業の持続的発展を図るため、効率的かつ安定的な農業経営の育成を通じ、こうした農業経営が農業生産の相当部分を担う農業構造の確立に向けた施策を講ずるべき旨規定しております。
 新制度においては、このような農業経営を目指して努力する意欲ある担い手に対し保険料負担を軽減する政策支援を講じ、もって農業経営の改善に専念できるようにすることにより農業の担い手の確保に資することを目的としているわけでありまして、これらの国民の税金を投入する政策支援ということでございますので、不断に点検、分析しながら検証を加えていく必要があると、かように認識しております。
 施行から五年経過後の新制度の検討に関する規定がございますけれども、五年経過する以前においても行政庁の責務として政策効果の検証に逐次努力してまいりたい、かように考えている次第です。
#188
○山下栄一君 最後の質問ですけれども、第一次産業というのは農業だけじゃなくて、漁業従事者も林業従事者もいらっしゃる。規模はもちろん同じじゃないとは思いますけれども、公平を欠くという問題は私はないことはないと思うんですね。
 そういう意味で、林業従事者、漁業従事者について同じような制度を求められた場合、これは拒否しにくいのではないかと思うんですけれども、こういうことは今までどうなっていたのか、またどういうお考えなのかということ、私、基本的なことに不案内でございますけれども、素朴な疑問としてございますので、お答え願いたいと思います。
#189
○国務大臣(武部勤君) 林業に生計を依存する林家はわずかでございまして、林業者に対する政策年金を措置するということは実態的には意義に乏しいと、かように考えております。森林施業を担う労働者については既存の年金制度への加入を促進するということが適当かと、かように存じまして、既存の年金制度への加入を促進してまいりたい、かように存じます。
 また、漁業の分野では、公有水面で漁業が営まれるということゆえに農業と異なる特性を有していると。したがって、農業と同様の政策年金の創設はなかなか困難ではないか、そういう事情があると思います。このために、漁業者については、昭和五十六年以降、漁協系統団体の自主的年金制度である漁業者老齢福祉共済が実施されておりまして、水産庁としてもこれに対し助成措置を講じているところでございます。
 今後とも現行の枠組みの適切な実施に努めてまいるのが妥当かと、このように考えておりますが、先生のただいまの御発言に対しまして、私どもも頭の中を少しやわらかくして勉強してみたいなというふうに思います。
#190
○山下栄一君 例えば林業従事者は、それは少ないかもわかりませんけれども、少ないけれども、今度は全部任意加入になるわけですよね。今回の法律ではそれは無理やとは思いますけれども、制度そのものに林業の方々が入りたいんだというふうなことを言われた場合、なぜだめなんですかと言われたら、これは物すごく難しいと思うんですね。僕は、それはきちっと検討され、今、頭をやわらかくして検討したいとおっしゃいましたけれども、もともとこれは農業の特別な事情からこういう制度を設けようということで始まったと思いますので、それであるならば林業についても同じような観点があるのではないかと思いますから、ぜひ、今回の制度の枠では難しいとは思いますけれども、また新しい漁業従事者に対する政策年金と別の制度をつくることも難しいと思いますから、今回の新しい制度を見直すときに見直して、加入ができるようなことも御検討いただきたいと思います。
#191
○国務大臣(武部勤君) 私、頭をやわらかくして勉強してみたいと申し上げましたのは、農業そのものがこれから変わってくると思いますね。今までの既成概念で考えられない、私どもも農林水産業の構造改革ということを訴えているわけでございますし、農山漁村というものはある意味では一体的に今後考えていかなきゃならないテーマだと、かように思うわけでございまして、少し欲張った考えではありますけれども、農業者といいますか、農業にかかわる人々というものも、あるいは林業、漁業ということも、これはかなり変わってくるんじゃないのかと。もうかなり多くの国民に参入してもらおう、参画してもらおうと、こういう意欲を持っている次第でございますので、頭をやわらかくして勉強したい、こういう表現で申し上げた次第でございます。
 いずれにいたしましても、御指摘いただきましたことに対しましては厳正に対処してまいりたい、かように存じますので、御理解をお願いしたいと思います。
#192
○委員長(太田豊秋君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後三時五十二分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト