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2001/05/29 第151回国会 参議院 参議院会議録情報 第151回国会 農林水産委員会 第12号
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2001/05/29 第151回国会 参議院

参議院会議録情報 第151回国会 農林水産委員会 第12号

#1
第151回国会 農林水産委員会 第12号
平成十三年五月二十九日(火曜日)
   午前九時開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月二十四日
    辞任         補欠選任
     広中和歌子君     羽田雄一郎君
 五月二十八日
    辞任         補欠選任
     金田 勝年君     阿南 一成君
 五月二十九日
    辞任         補欠選任
     大野つや子君     森山  裕君
     三浦 一水君     佐々木知子君
     小川 勝也君     木俣 佳丈君
     羽田雄一郎君     佐藤 雄平君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         太田 豊秋君
    理 事
                岸  宏一君
                森下 博之君
                郡司  彰君
                谷林 正昭君
    委 員
                阿南 一成君
                井上 吉夫君
                岩永 浩美君
                国井 正幸君
                佐々木知子君
                田中 直紀君
                森山  裕君
                木俣 佳丈君
                佐藤 雄平君
                和田 洋子君
                山下 栄一君
                渡辺 孝男君
                笠井  亮君
                須藤美也子君
                谷本  巍君
                岩本 荘太君
   国務大臣
       農林水産大臣   武部  勤君
   副大臣
       農林水産副大臣  田中 直紀君
   大臣政務官
       農林水産大臣政
       務官       国井 正幸君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        山田 榮司君
   政府参考人
       農林水産省経営
       局長       須賀田菊仁君
       農林水産省農村
       振興局次長    佐藤  準君
   参考人
       全国農業会議所
       専務理事     中村  裕君
       長野県農業者年
       金推進協議会会
       長        上條 守人君
       北海道農民連盟
       書記長      北  準一君
       農民運動全国連
       合会会長     佐々木健三君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○農業者年金基金法の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
○政府参考人の出席要求に関する件
○土地改良法の一部を改正する法律案(内閣提出
 )

    ─────────────
#2
○委員長(太田豊秋君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る二十四日、広中和歌子さんが委員を辞任され、その補欠として羽田雄一郎君が選任されました。
 また、昨二十八日、金田勝年君が委員を辞任され、その補欠として阿南一成君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(太田豊秋君) 農業者年金基金法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本日は、参考人として全国農業会議所専務理事中村裕君、長野県農業者年金推進協議会会長上條守人君、北海道農民連盟書記長北準一君及び農民運動全国連合会会長佐々木健三君に御出席いただいております。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。ただいま議題となっております法律案につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見を賜りたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。
 本日の議事の進め方について御説明いたします。まず、お一人十五分程度で順次御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと思います。
 それでは、中村参考人からお願いいたします。中村参考人。
#4
○参考人(中村裕君) ただいま御紹介いただきました全国農業会議所の中村でございます。きょうは、こういう機会をいただきましてありがとうございます。
 御審議をいただいております農業者年金基金法の一部を改正する法律案につきまして、私は賛成の立場から意見を申し述べたいと思います。なお、時間に制限がございますので要点になると思いますが、御了承いただきたいと存じます。
 まず、制度改革の必要性に触れたいと存じます。
 現行の農業者年金制度は、御案内のように昭和四十六年に、農業者の老後生活の安定に加えまして、農業経営の若返りあるいは規模拡大を促進するという、前の農業基本法の政策目的を達成するということで創設をされたのであります。これは先生方御存じのとおりでございます。
 私どもは、このとき、農民にもサラリーマン並みの恩給あるいは年金をということで農業者の要望をまとめまして、当時で三百六十五万人の署名を集めて請願を行ったわけでありまして、その結果、政策年金として実現をしていただいたというものであります。そういう経過がございますので、私どもはこの年金制度の推進につきましては積極的にかつ真剣にこれまで取り組んでまいったところであります。
 制度が発足いたしましてちょうど三十年を経過をいたしますが、この間に九十八万人の農業者が総額で三兆八千億円の年金を受給しております。昭和五十年に給付が開始されたわけでありますが、私も当時現場に参りますと、当時の農村でございますので高齢者が市民権を得たというような感じをしたことを覚えておりますが、直接、老後に金が入るということで非常に生活に張りが出てきたという覚えがございます。そういうことで、大変老後の生活に寄与してまいったというふうに評価をしているところであります。
 また、これだけじゃなくて、この間に三十代前半の後継者に八十六万六千件の経営移譲が行われておりまして、当時ですと、若い後継者が新しい部門を開始したいということがあってもなかなか農村の慣習の中では後継者が思うようにできないということがありました。そういう中で、一定の年齢での経営移譲というのが農村に定着をしてまいりまして、これは農業経営の改善あるいは改革だけでなくて、生活の面でも歴史的にも大きな意味を持ったというふうに理解をしております。
 さらに、経営基盤でございます農地の規模拡大、特に生前一括贈与による贈与税の特例を使いまして、農地の細分化防止に大きな寄与をしてきたというふうにも思っておるところであります。
 しかしながら、担い手の不足だとか、あるいは高齢化、新規就農者の減少、また耕作放棄地の増大など農業構造が大きく変化をいたしまして、現状では経営移譲をしたくてもできないという状況が急速に広まってきておるのも先生方御承知のとおりでございます。
 一方、年金の財政につきましても、加入者が一人で二・七人の受給者を支えるという状況が出てまいりましたし、保険料の収納率も低下をしてきているという状況にございます。そのために年金の財政が非常に逼迫をしてきておりまして、このままでは近々に基金が底をついてしまうという事態に立ち至っているのも事実でございます。
 加えまして、昨今の農産物の価格の低迷等によりまして農家経済が悪化をしております。農業者の保険料の負担能力も限界に達しているというふうに見ておるわけでございまして、例えば、世帯主が農業者年金に入り、奥さんが国民年金に入っているということになりますと月々で四万七千円の保険料が必要になりますし、夫婦で農業者年金に入っておりますと六万八千円、後継者まで加わりますと十万を超すという保険料になってきておりまして、限界に達しておる。こんなことで、若い世代からは、保険料払っても本当に戻ってくるのかなとか、あるいは魅力がどうなんだといった不安の声もぼちぼち聞かれるというような事態になっております。
 これまでも五年ごとに財政の再計算をして、その都度国庫助成の増額だとか、あるいは保険料の引き上げだとか給付体系を見直しいたしまして対応してまいりましたが、現在のようになったということは我々としましても非常に残念と言わざるを得ないものであります。
 そういう事態を踏まえまして、制度の検討が始まりました。その中で、平成七年の改正の見通しが甘かったのではないかという御指摘がよくあります。結論的に言えば否定はできないわけでありますが、私ども、当初申しましたように、農業委員会あるいはJAグループ両方、加入促進あるいは保険料の収納につきましては全力を挙げて努力をしてまいったわけでありますが、先ほど申し上げましたように、農村の構造の状況に加えまして、日本経済の低迷、農家経済が非常に厳しくなってきているということも大きく影響しているんではなかろうかというふうに考えておるところであります。
 次に、組織検討と意見の集約についてでございますが、このような大変厳しい情勢を踏まえまして、私どもは平成十一年四月以降、二年有余にわたりまして組織を挙げた制度見直しに取り組んでまいったところであります。
 その過程におきまして、これは平成十一年の十二月でございますが、農林水産省が明らかにしました年金の三割カット、あるいは掛け損も生ずるという制度改革大綱案が出てまいりまして、大変なショックを受けました。また、加入者、受給者を初めといたしまして、農村現場から強い反対が起こったというのも事実でございます。
 そこで、農業委員会系統組織あるいはJAグループ、そして加入者、受給者の組織でありますのうねん倶楽部の三組織はそれぞれ連携をいたしまして、改めて農村現場の声を聞くために、平成十二年の正月早々から組織を挙げた意見集約に取り組んでまいりました。
 意見集約では、大変厳しい指摘がなされたところであります。ここですべてを御紹介するというわけにはまいりませんけれども、例えば加入者、受給者の方からは、国の制度を信じて加入し、苦しい中、保険料を納めてきたのに裏切られた思いだとか、あるいはこうした事態はもっと早くわかっていたはずで、設計者たる国の責任は重い、加入者や受給者には責任はないということだとか、あるいは配偶者加入の方からは、希望を持って加入したのにわずか数年でこういうことになるとは我慢できないというような御意見もございました。
 また、農業委員会あるいは農業委員さん、あるいはJAの役職員の方々からは、国の政策年金だから安心で有利だと言って加入促進をしてきたのに、農業者からだまされたと言われて全く立場がないといったような、実にさまざまな、そして切実な意見が寄せられました。
 こういう意見を我々は十二分に踏まえまして、昨年の四月、三組織で全国的な意見集約を行いました。少なくとも我々の経験では、かつてこれだけ現場の意見を積み上げたということは記憶にはないところであります。
 特に、年金のカットにつきましては大きな反響があったのも事実でありますし、また当然のことと思います。しかし一方では、受給者も加入者も制度の再構築と継続ということを強く望んでおりました。これは、若い農業者にも長期的に安定する政策年金が必要だとの認識が強くあるということでもあります。
 したがいまして、若い農業者の過重負担を軽減して安心して加入できる仕組みに切りかえるためには、現行制度の年金の支払いにつきましては、老齢年金を含めて、仕組みが変わりますと全額を国に負担していただくという必要が出てまいりますので、国民の広いまた御理解も得なければいけないということでございます。したがって、新制度の実現のためには受給者の負担はやむを得ないという意見集約が行われたのであります。
 受給者自身は、年金がもう既に生活に組み込まれておりますので、負担を受けることは大変なことだということでありますが、我々、話を直接聞きますと、若い後継ぎに自分たちが、受給者が迷惑をかけている点もあるのではないかというような、まさに相互扶助の観点からもある一定の負担はやむを得ないということに集約されたのではないかと思いますし、先ほど申し上げましたように、広く国民の御理解もいただくという観点も入ってきただろうと思います。
 これらの意見を踏まえまして、私どもは農林水産省に申し入れを行いまして、昨年五月から真剣な協議をさらに三カ月続けてまいりました。その結果、加入者、受給者等の信頼を回復するということを前提にいたしまして、一つは、新しい基本法のもとで積立方式に切りかえて政策年金として再構築し、制度を継続することというのが第一点であります。第二点は、加入者等の掛け損が絶対ないということ。それから三番目は、受給者の負担はぎりぎり最小限に圧縮するといった大筋の意見の集約を行ったわけであります。
 そこで、ただいま出されております政府案でございますけれども、今御審議をいただいておりますのは、我々の意見を踏まえておるというふうに我々は理解しておりまして、政策目的、それから財政方式、政策支援、現行加入者への支援措置、死亡一時金など、時間をかけて行ってまいりました意見の集約が反映をされているというふうに理解しているところでありますし、また農村現場にも受け入れられるものというふうに信じておるところであります。
 また、現行加入者への措置につきましては、いかなる世代でも掛け損が生じないように措置をされておりますし、特に若い世代ほど年金受給開始までの期間が長いことを考慮されて、受給までの年数を一・五%の複利で計算した年金単価が設定されているということでありますし、また、特例配偶者につきましては、特別の期間が加算をされて遜色のない年金が受給できるというふうにもなっております。
 さらに、受給者の負担につきましては、ぎりぎり最小限という意見集約に基づきまして、さらに給付と負担のバランスにも配慮していただいて、平均で九・八%ということになっております。また、老齢年金のみの受給者は年金のカット対象にはしないということでございますので、これも先ほど来申し上げていますように、現場に受け入れられるのではないかというふうに考えておるところであります。
 このような経過を踏まえますと、同法案は農家に安心と希望が持てる政策年金として農村の現場で理解されるものと確信をしているところでございます。
 最後にお願いでございますが、新制度への円滑な移行あるいは普及、定着を実現しますには、現行加入者に対しまして説明会等を開催しながら、今まで掛けてきました保険料総額だとかあるいは受給できる年金額だとか、あるいは特例脱退一時金などを一人一人に説明いたしまして、十分に理解をしてもらう必要があると考えております。そのためには、法案の早期成立とあわせまして、政省令等も早くお示しをいただきたいというふうに考えているところであります。
 また、継続加入等を行います場合に期間が限られるというふうに聞いておりますが、北海道を初め多くの加入者を抱える農業地帯では、こうしたきめの細かい対応が必要となってきますので、かなりの時間を要するということにつきましても御配慮いただき、また加入、再加入についても御配慮をいただきたいというふうに考えております。
 と同時に、新制度と旧制度がかなり長期にわたって併存するということになりますので、事務の簡素化につきましても特段の御配慮をお願いしたいということでございます。
 これで私の意見を終わりますが、よろしくどうぞ御審議をお願いしたいと思います。
 以上でございます。
#5
○委員長(太田豊秋君) ありがとうございました。
 次に、上條参考人にお願いいたします。上條参考人。
#6
○参考人(上條守人君) ただいま委員長より御紹介をいただきました長野県農業者年金推進協議会の上條でございます。
 本日は、このような機会をいただきましてありがとうございます。私は、御審議をいただいております農業者年金基本法の一部を改正する法律案について、賛成の立場から御意見を申し述べたいと存じます。
 私は、年金受給者であり、かつ受給者、加入者組織の代表でもありますので、その両方の立場から御意見を申し上げたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
 私は、昭和五十四年に農業委員になりまして、昭和六十三年から松本市の農業委員会長として頑張ってまいりました。また、平成九年には長野県農業者年金推進協議会の会長として選任されました。
 農業者年金制度ができたときは、私は非常によい制度だと思い、みずから進んで加入いたしました。また、周りの農家にも積極的に加入を勧めてまいりました。現行制度によって確かに農業者の老後生活は安定し、豊かになりました。受給者からは非常に喜ばれております。
 また、当時の農村では、経営を若い後継者に譲るというのは大変なことでした。しかし、この制度によって六十歳で後継者に経営を譲るということが定着し、経営の改善が図られてきたことは事実であります。私の松本市にも、父親が六十歳になるのを契機に、息子から経営移譲をしてくれと持ちかけ、経営移譲をしました。その結果、農業経営の合理化、また近代化がされ、農業法人まで立ち上げた事例がございます。
 このようなことから、農業者年金制度はいろいろな意味で幅広い政策効果をもたらしたと思っております。
 しかし、これまで経営をなかなか譲られなくて困ったという時代から、経営を譲りたくても譲り受ける人がいないというように、農村は大きな変化をしたのが事実であります。農業者年金制度に加入するということは、経営移譲年金をもらえるためであります。最初から老齢年金しかもらえない人は、幾ら強制加入だと言っても加入してくれません。
 最近、農家の生活は非常に苦しくなっており、保険料を払いたくても払えない農家が多くなってきました。また、未加入者からは、近所を見ると農業者年金加入者が少なく、受給者だらけで将来大丈夫かと聞かれたことがありましたが、このとき、国が政策的にやっているから大丈夫だと言って説得してまいりました。
 特に、平成七年改正の際には配偶者加入ができるようになりましたので、積極的に加入促進に取り組んでまいりました。長野県は全国で一番最初に配偶者加入をするなど、女性加入数でも全国上位であると思います。
 しかし、それから数年とたたないうちに制度の見直しが必要となり、その過程で、平成十一年十二月には農水省から三割カット、掛け損という制度改革大綱案が出されたわけです。
 正直言って、私もだまされたという気持ちでした。地元からの反発は大変なもので、おまえに言われたから加入した、おまえが責任をとれとか、今まで掛けた保険料を返せといった声が殺到しました。特に配偶者加入者からは、うまいことを言ってだましたなとか、こうなることがわかっていて加入を勧めたのではないかと言われまして、一生懸命加入促進を勧めた市町村や加入を勧めた人ほどやるせなさや、当時の職員に恨みの電話が来たりしました。
 このため、平成十二年一月から農業委員会系統組織、JAグループ、それぞれ改めて加入者、受給者の声を聞くという取り組みを始めました。そこで、加入者、受給者の組織であるのうねん倶楽部としても、組織を挙げて意見集約に取り組んでまいったところであります。
 意見集約にはさまざまな意見がありましたが、農業者年金の財政を悪化させたのは受給者ではないかという見方がされ、非常につらい思いをいたしました。既裁定年金をカットするということは前代未聞で、大変な問題だと思っています。しかし、受給者も加入者も制度の再構築を強く望んでおります。これからの若い農業者も政策年金が必要であるという強い認識を持っております。この負担によって再構築できるという気持ちもあり、苦渋の選択で、受給者の負担をぎりぎり最小限度にすべきと意見集約を行ったのであります。
 受給者の負担はぎりぎり最小限にすべきという真の意味は、受給者は国の政策に従っただけで何の責任もない、国は今回のことで政策責任ということについてどれだけ真剣に受けとめているか、受給者に対しどんな姿勢で説明し、対応するのかということです。
 このことについては、これまで国会審議の中でも農林水産大臣から再三謝罪があり、加入者、受給者の意見が受けとめていただけたのではないかと理解しております。
 新制度については、一生懸命農業を営んでいるときに保険料の助成があり、経営継承のときに特例付加年金として農業者老齢年金に上乗せされる仕組みとなっています。このようなときに、年齢制限がなく、本当に農業をやめようとするときに経営継承ができる仕組みです。現行制度は、同じ保険料を払いながら条件によってもらう年金額に差がありましたが、我々農業者は定年退職の年齢はありませんので、新制度については農業者の現状に合った画期的な手法だと思っております。
 老後を楽しく過ごすためには、一つに健康、二にお金、三に友達、四に趣味が大切であります。元気で農業をやれるうちは農業をやり、引退後には国からの政策支援分の年金を受給でき、また、年金で友達と旅行に行くこともできます。
 集落でも老人会の旅行がありますが、行く人と行かない人がいます。行かない人は、旅行が嫌ということではなく、大体年金をもらっていないということが理由であります。みんなで喜んで旅行に行きたいものだと思っており、若いうちは年金なんて必要ないと思っていても、いざ受給するときになって初めて、年金に入っていてよかったと思うのです。私も、年金をもらってから強く思っております。
 我々のうねん倶楽部は、将来豊かな老後生活が送れるよう、加入者は引き続き新制度に継続してもらうことを前提に、強く働きかけを行っていきたいと考えております。
 しかし、地元の加入者からは、新制度は積立方式で保険料助成もあり魅力あると思うが、しかし、これまでも五年ごとの財政再計算が行われ、その都度、制度が悪くなってきた。今度の制度は本当に大丈夫なのか、五年後には見直すというではないかという言葉を耳にします。それは長野県に限ったことでなく、農村現場の声だと思っております。
 したがって、農業者年金基金、行政、農業団体一体となり、新制度の周知徹底を図り、こうした不安感を取り除く取り組みがぜひとも必要であります。
 最後になりますが、農村現場では一日も早い成立を望んでおりますので、その期待にこたえてもらうようお願いを申し上げ、私の意見を終わります。
 ありがとうございました。
#7
○委員長(太田豊秋君) ありがとうございました。
 次に、北参考人にお願いいたします。北参考人。
#8
○参考人(北準一君) おはようございます。
 北海道農民連盟の北でございます。
 農民連盟の書記長をしておりますけれども、私自身は農民の一人でありまして、ごらんのように、つい先日まで田植え、まきつけ、びっちり一週間ほどやっておりまして、非常に天候がよかったものでありますから色の方も真っ黒になりまして、ということは非常にことしの作付が順調に進んだと、非常にこの秋を期待している一人であります。
 きょうは委員会にお招きをいただいて、こういう機会を得ましたこと、御礼を申し上げて、私から今回の案件に対する考え方について意見を述べさせていただきたいと思います。
 今回の農業者年金基金法の一部を改正する法律案の政府案につきましては、賛成、反対ということになれば、私は反対の立場で意見を申し上げなければならないと、こういうことでございます。
 私たちの北海道農民連盟、北海道は約七万戸の農家がありますけれども、そのうち六万戸程度で組織いたしておりまして、いわゆる七五%以上が北海道の盟友の中で専業農家という形になっておりまして、この年金の改正については、非常に高い関心と改善されなければならないという期待感を持って政策提言もしてきましたし、いろんな提言をさせていただいたということであります。
 しかし、今回の政府案は、問題の第一点として、加入者の減少あるいは財政上の理由、それらによって確定年金、いわゆる年金額の削減をするという、率は別といたしまして、こういう方向になったわけでありまして、この農業者年金というのは、御存じのように当然加入という形で進めてきたと。我々も、老後の生活問題も含めて、当然このことに加入して自分の生涯の設計をする、こういう考え方で対処してきた。ここに至って既裁定の年金額を削減するということには、非常に不満を持っているところでございます。こういう削減という政府案については反対せざるを得ない、確定年金の給付額については絶対削減すべきでない、またあってはならない、このようにとらえているところでございます。
 その反対理由といたしましては、加入者の減少あるいは財政の破綻などというものについては、これは国が農政上政策を遂行してきた結果生じてきた。農民もその政策に同じながら営農努力をしてきた。しかし、財政破綻あるいは情勢の変化による担い手不足というものが、これは農民の責任としてとられるべき問題ではない、基本的にこのように思っているところでございます。
 それと、平成七年の財政再計算のときに、加入者の減少あるいは財政上の設計ミス、これらと構造改革あるいはUR合意、これらの中で、御存じのように日本の農業は今存亡の危機に至っている。農家の所得も減少して、地域経済あるいは地域から離農して町の方に移り住んでしまう、非常に農村社会も崩壊の危機に立っている。市町村長も、私のところの町長もそうでありますけれども、非常に将来を危惧している状況にございます。
 今回の国会審議に当たりまして、この既裁定年金額の削減については、憲法が保障する国民の基本的人権あるいは生存権、第二十九条の財産権、これらの侵害に当たるのではないか、生産者の一人としてもこのようなとらえ方をしておりますし、また、公的年金として初めて年金支給額を削減するという、これは日本の国内では初めてであります。なぜ農業者年金からこのことが始まらなければならないのか。それだけ農業者年金が比較優位性にあるというのであれば、まあある程度はやむを得ないということも考えられますけれども、しかしその中身たるや非常に格差の大きい年金であるということも事実であります。
 例えば、農業者年金と一般的な厚生年金を比較した場合、夫婦単位で一定の期間、というのは三十八年間、夫婦単位で農民の場合は国民年金、農業者年金を掛けて、そして、例えば平均的な受給、十八年間年金を受給しましたと、こういう計算をすると、掛金で約一千万近く、あるいは受給額で六百万近く、約一千六百万に近いいわゆる格差があるということです。これは経営移譲年金に該当した方でこれだけの格差でありますから、もし、今非常に問題になっております経営移譲したくてもできない、老齢年金だけで終わる方については二千万に上る格差が出る。実際はこういう格差があるということであります、現状の中で。多くを掛けて、年金としては非常に少ない。加えて、農業者年金には遺族年金というものはございません。
 こういうような情勢から、いかなる理由であっても年金額の削減はすべきでない、このように考えておりますし、将来にわたっても最低現行の水準は維持されなければならないだろう、これは基本的な人権問題にかかわることではないか、このように思っているところでございます。
 問題の二点目につきましては、政府案の新たな政策支援でありますけれども、主に担い手確保対策にシフトすると、こういう内容であります。多くの要件をつけておりますが、この選別的な策というものが本当にいいのかどうか。いわゆる公平、公正、平等、年金としてこれでいいのかと、こういう点でございます。政策誘導と年金というものをこの段に来て、こんなに日本の農業の存亡が問われているときにこの選択がいいのかどうか、ここに非常に問題点を感じている一人でございます。
 新しい農業基本法、御存じのように、食料・農業・農村のあり方、それは消費者、農業者、それと地域、この三者一体となって国民の命と環境政策を築く、こういう方向性を出したのであります。いわゆる食料の安定供給、多面的な機能の発揮、農業の持続、それから農村の振興と、いずれも農業者が安心して、そして営農がされなければこれらの目的は達成されない、これは基本的な条件にあると考えております。
 二十一世紀の地球環境、地域社会、文化、伝統などを未来に存続させまして、日本の都市のみならず地方、地域の均衡ある発展のため、本連盟、私たちはただこのことに反対だというだけではなくて、政策提言をしてきたところでございます。
 その提言、三点について申し上げて対策をお願いしたい、このように思うわけでございます。
 この制度改正に当たって、その一つにつきましては、この年金政策の中に定住年金政策を一つ組み入れていただきたい。農業者年金への加算方式として、いわゆる定住年金政策を入れるということであります。これは、農業の現況は今申し上げる状況にございませんけれども、地域で農業を営み、あるいは農業に従事した者、同じ行政区の中で定住するという者に対して、これは国ではなくて市町村がこの加算制度を持つ、そしてそのことについて国が政策支援をしていく、これはWTO協定の緑の政策として非常に位置づけが明確にされておる、抵触しない問題である。
 二つ目には、先ほど申し上げましたけれども、農業者年金の配偶者について、平成二年あるいは平成七年の同法改正時の衆参の委員会での附帯決議に基づいて、遺族年金制度、農業者年金にも遺族年金制度を創設する、これを強く求めたいと、このように思うところでございます。
 もう一点は、年金とは直接関係ございませんが、農民が農業者年金を信頼し、そして安心して加入できる制度はもちろんでありますけれども、十分この保険料を払っていけるような農業基本法の理念、基本法三条、公益、多面的な機能の発揮、それから四条、循環機能を発揮することによって農業を持続させ、そして地域を発展させる、この理念に基づいて、国際化で既に取り入れられております直接所得補償政策を確立して農業の維持、存続を図る、このことを強く求めたいと、このように思うところでございます。
 北海道は専業農家がほとんどでございまして、申し上げましたように農業者年金に対する期待は非常に高い、加入率も非常に高いわけであります。九〇%以上が加入して、老後の安定と安心に何とか役立たせたい、こういうとらえ方をして、今まで強力に団体も含めて推進してきたところでございます。しかし、今の中身については、これは承服できないということでございます。
 特にWTO協定後、我が国の農政、制度の転換によって農業が存亡の危機にあることは、これは御承知のとおりであります。で、その象徴として、極端な担い手不足にあらわれている、大きな課題としてあるわけであります。担い手がいない、非常にせっぱ詰まった問題であります。
 今現在、主業農家と勤労世帯との生涯所得の問題が論議されておりますが、御存じのように、およそ四千万から一億一千万の生涯所得の格差がある、これはきちっと政府の調査で出ているわけであります。この生涯所得の中で年金が占めるウエート、およそ三分の一か四分の一かになるかもしれませんが、非常に大きなウエートを占める年金であります、生涯所得という観点から。そういう意味で私たち、特に北海道の専業的な地帯では、この改正案に注目しているところでありますし、後退は絶対すべきでない、このようにとらえているところでございます。
 以上、新たな政策提言も含めて、農業者年金制度の改正、改悪反対、反対といいますより、実際に現場にいる一農民として、実態と乖離する政策あるいは論議というものが、食料・農業・農村基本法の目標が非常に立派に立てられても、この目標が崩壊していく、現場にいてこのことを強く感じておりますから、このことを一つ警告というような表現になりますけれども、そういう意見を申し上げて、若い農業、農村の担い手がきちっと育つ制度に再構築を求めて、私の意見の陳述を終わるところでございます。
 ありがとうございました。
#9
○委員長(太田豊秋君) ありがとうございました。
 次に、佐々木参考人にお願いいたします。佐々木参考人。
#10
○参考人(佐々木健三君) 私は、農民運動全国連合会の会長の佐々木でございます。福島市で、四世代家族十名、酪農をやっております。そういう立場から報告したいと思います。
 私は、この提案されています法案の改正に対しては反対の立場でございます。
 私もかつて農業委員の経験がございます。この年金は国の制度だから安心して加入してほしい、そう言って農家の方々に勧めてきた経過があります。老後をこの年金で安心して暮らそうと思ってきた多くの皆さんの心を裏切る、そういう状況になったということを率直に指摘せざるを得ません。私はむしろ今、年金を削るのではなくて、もっと拡充して安心して老後を暮らすことができるようにする、これこそが大事なんだというふうに考えております。
 少し私の具体的な最近の活動についてお話をしたいと思います。
 実は私、昭和三十四年に地元の農学校を終わりまして、それ以来農業に従事しております。昭和三十五年に農業基本法が制定されましたから、私の農業人生はこの昭和三十五年以降の農業基本法と一緒に歩んできたというふうに言ってもいいと思います。そして、この間の農業人生というのは、ちょうど高度経済成長にも寄与しましたし、また農業生産に対して一生懸命やってきた、つまり新農基法に至るまでの間を文字どおり農業に打ち込んできた、そういう人生であります。そして、ようやく今、農業者年金を受けようと思いまして窓口に行ったらば、いざとなったらばカットだというふうになったわけであります。
 そして、同級生の中で集まりまして、これはどういう状況なんだということで勉強会をやりました。みんながそれぞれ地域の中で頑張っている、議員さんもおりますし、教育委員もおりますし、それぞれもう私たちの年齢ですから地域の中の中堅でございます。しかし、いざ窓口に行っていろいろ聞いてみると、全然わからなかったことが今進行しているというふうになりまして、みんなで集まって勉強会をやりました。
 その中で仲間はこう言っております。我々の苦労に対するこの仕打ちは決して容認することはできない。政府を信頼して掛金を払い続けてきたのに、これは国家的詐欺ではないか、そういうふうに言っている人もおります。何回も集まって勉強会をして、どうも農業団体からの説明は何が何だかさっぱりわからない、ここに来て初めてその実態がわかったというふうに言っております。
 そこで、こういう状況はやっぱり自分たちで勉強しただけではだめだということで、近隣の農協、それから農業委員会にも行きました。議会にも行きました。それぞれのところに行って、私たちはこういう今進められているような状況については反対なんだというふうなことを伝えました。
 それぞれの団体、農業委員会も農協も、いわゆる中央では三者合意によって賛成の立場をとっておりますが、地元の末端に行きますと、不安や不満を口々に出しておられます。担当者は、農家の皆さんに何と言って説明していいかわからない、新しい加入などとても勧めることはできない、このように口々に言っておられました。
 つまり現場では、この状況では遠からずもっと悪い内容になってしまうんではないかという不安があります。そしてまた、後継者はこれでますます離れてしまうだろう、そういうふうにも言っております。
 私もこの現場の活動を通じまして、こうした不安の声には全く同感でございます。同時に、今度の年金の問題は、公的年金の削減という、ほかの年金にも悪い影響を与えるのではないかという心配も私はしております。私どもは、そういうことを踏まえて、今後とも地域での具体的な活動を進めていきたいというふうに思っております。
 同窓会の会長さんにお会いしましたら、これは大変いい活動だから同窓会の役員会でも話をしよう、たまたま県内の同窓会の事務局になっているので、じゃこの話を大いに宣伝しようというふうに言っておられました。
 さて、今度提案されました法案は、新しい状況の変化、つまり年金受給者七十五万人、加入者二十九万人となって、年金制度が維持できないという理由で改善するんだというふうに言われております。
 しかし、この議論は肝心な基本的な点が欠落しているというふうに私は指摘しておきたいと思います。その第一は、今日の農業と農村の現実です。第二は、今日の農業の現状をつくってきた責任が全く論じられていない、結果責任を加入者である農民にしわ寄せしているという点であります。
 戦後、私たち農民は、食糧難を打開するとともに増産に貢献をしてまいりました。まさに農民の苦労や奮闘なくして今日の経済はなかったというふうにも自負しております。しかし一方で、政府は工業の発展を軸に置いた政策を遂行して、食料を外国から輸入して賄うという政策を選択し、農産物の輸入自由化政策を一貫して進めてきました。
 その結果、どうでしょう。古い農基法が制定された一九六〇年時には約八百万の農家戸数がありました。今日、三百二十万に減少し、食料自給率はカロリーベース四〇%を割るという、そういうところまで低下しております。
 とりわけWTO協定以降の六年間は、今日四割にも至る米の減反、さらにはミニマムアクセス米やSBS協定米の輸入などで、米価は五千円とも六千円とも言われる下落を続けて、政府が今育成しようとしている大規模農家ほど大変苦しい状況に置かれております。野菜や畜産も輸入の急増によって価格が低迷して、農家経営は大変な状況でございます。
 今日、農業者年金をめぐる問題の中心は、こうした農政によってもたらされているということが明らかであります。その責任を明らかにしないで、農政を転換する方向を示さないままで結果責任を農民にもたらすということでは、多くの農家の方々から怒りを訴えられるのは当然であります。
 次に、法案の問題点について触れてみたいと思います。
 まず、受給額の平均九・八%カットについて。加入者は長年にわたって苦しい経営の中から掛金を払い、受給を心待ちにしております。これまで議論があった三割カットに比べて九・八%、これは仕方ないというふうな議論があります。しかし、私はこれは容認することはできません。先ほど指摘しましたように、農産物の価格の暴落による経営の実態、さらには長引く不況によって農村経済は非常に疲弊し、その中での受給額の削減でありますから、農家の暮らしと営農、農村経済は大きな影響を受けることは必至でございます。
 新しい加入者に対する政策支援の選別、限定についても重大であります。法案によりますと、政策の集中を認定農業者及び青色申告者に限定するとしています。政府統計によっても認定農業者数は十六万弱、青色申告は七万三千、認定農業者と青色申告はダブりますから、この数は単純に足すわけにいきませんが、この数でいきますと、大多数の農家の方々をこの支援の外に置いてしまうという心配があります。
 昨年制定されました新農基法は、その基本計画で自給目標を四五%としています。圧倒的多数の農家を事実上農業者年金から締め出して、将来の暮らしの展望を奪ってしまう。どうしてこの自給率の目標を達成することができるのでしょうか。甚だ疑問であります。農業に意欲を持つ人、これはすべてが対象であるというふうに強く求めたいと思います。
 今回の農業者年金の改正をめぐって問われているのは、実は農業の基本にかかわる内容であります。今、小泉内閣が誕生して高い支持率だというふうに言われております。農政ではどんな影響が生まれるかと期待する向きもありますが、しかし、今回の受給者への削減などを見ますと、この改定の内容は実は弱い者いじめの政治そのものであるというふうに断言したいと思います。
 本日、参考人質疑を行っているわけでありますが、重大な内容を含む、この内容については早々に採決するのではなくて、じっくりと農業のあるべき方向を見て審議を行うべきであります。
 最後になりましたが、私ども農民運動全国連合会は、農村と農業の復権を目指し全国で活動しております。農業者年金が本当に役立つ年金となるよう、今後とも全力を挙げて取り組んでいくことを述べまして、私の意見といたします。
#11
○委員長(太田豊秋君) ありがとうございました。
 以上で参考人の方々からの御意見の聴取は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#12
○岸宏一君 自民党の岸でございます。
 本日は、大変遠いところから真剣な御論議をちょうだいいたしまして、本当にありがとうございました。
 お聞きいたしますというと、それぞれの立場で現在の日本農業のあり方、これらについて大きな憂いと心配をされて、さまざまなまじめな真剣な御提案、我々の心に大きく響くものがございます。私も非常に多くの点で、きょう御発言なすった皆さんの意見を十分理解ができますし、また提案については、できればそうありたいものだなと、こういう思いがするわけでございます。
 しかしながら、現在の日本の財政状況や経済状況あるいはまた農業情勢その他によって、さまざまな方面から検討した結果としてこの原案が出されたわけでございます。
 我々自民党も、決してすべて満足している、そういう状況ではありませんけれども、どなたかがおっしゃいましたように、受給者が七十数万人、保険を納めている方が二十数万人、こういうギャップを埋めるには制度を改正しなければどうしてもやっていけない、それとまた農家でない国民の皆さんの御理解もちょうだいしなければいけない、そういう状況の中で進めてまいらなきゃならないという事情もございますので、こういう結果になったんだろう、こういうふうに思っておる次第でございます。
 また、政府の責任という問題も皆様から御発言ございましたけれども、我々もこの委員会で、我が与党の方の質問でもこの問題は申し上げました。武部農林大臣からも、いろいろ皆さんに御迷惑をかけて申しわけないと思っているという、そういうお言葉がございました。政府も我々政治家もこういう問題をしっかりと考えていかにゃならぬ、こういう姿勢を示したものとして評価をしております。
 さて、今回のこの改正案につきまして、皆様から御意見をお聞きしたいと思いますが、まず今回の改正につきまして、中村参考人、今後の問題としてさまざま御心配な点を御指摘されました。この御指摘、例えば政省令の問題でありますとか、あるいは北海道等では皆さんに浸透させるのに時間がかかるのではないか、こういうお話、それから事務の簡素化を図らないと新制度と旧制度のこれらの問題で困るのではないか、こういう意見が出されましたが、これはお聞きいたしますと、そうだろうなという感じがいたします。どうぞひとつこの問題をもう少し具体的にお話をお聞きしたいと思います。
 それから、上條参考人には、本当に最前線で、農業委員会の会長として、農家の皆さんから約束が違うんじゃないかとかいろんな非難をされた、こういうお話をお聞きいたしました。私も山形県の農業会議の会長をしておりますから、あなたのお気持ちはよくわかっておるつもりでございます。本当に御苦労さまでございました。
 ひとつ上條参考人からは、今までの失敗というんでしょうか、これを一番痛く感じておられる方の一人だと思いますので、そういうものを参考にして、今後、年金基金としてどういう点に、この制度で持っていく場合、気をつけて努力していくべきかということについて御意見があればお伺いをしたい、こういうふうに思っております。
 それから、北参考人には、具体的に定住年金制度、配偶者の遺族制度、所得政策等々お述べになられまして、一々なるほどと思われる点も多いわけでございますけれども、今、原案が出されて、原案について検討しておるというところもございますので、この問題についていろいろ議論をするという時間はなかなかないわけでございますが、担い手政策に関しまして特に気をつけるべきと、御心配なさっているようでございますから、この問題についてお考えをひとつお聞きしたい。
 それから、佐々木参考人も、この政策支援の問題について、認定農家の数も青申の数もかなり心配であると。実は私もこの委員会で、これらの問題についてもう少し農林省で真剣に考えなきゃいかぬ、こういうことも申し上げたばかりでございます。
 そういう意味で、これはたしか三年間の猶予期間のような形で、なろうとする者も入れるというふうになっておりますけれども、そういうカバーもしたつもりでございますが、北参考人と同じように心配な点があるということでありますれば、これらについて御意見があればお伺いしておきたいと思います。
 もう時間が十分間しかないんで、皆さん適当に時間を分けてひとつお答え願いたいと、こういうふうに思っております。
#13
○参考人(中村裕君) 私が一番最後にお願いを申し上げた点だと思います。
 実は、何か農業団体、既にパンフレットをつくってなんというおしかりを受けたようなこともありますが、意見集約をし、新しい姿が見えてきた中で、我々はそういう責任もあって、今こんなことになっておりますというふうなことまでやっておりますが、それは一つは国会の審議がおくれているということもございますが、我々が心配していますのは一月一日で何とか施行してもらいたいということで、いろんな事務的な会議等も開きながらやってきております。
 したがいまして、先ほども申し上げましたけれども、これが通りますと、これから一人一人にあなたはこうなりますということで当たらないと、今いろんな御意見がございましたけれども、ああいう信頼の回復も含めて、こういう制度でこういうふうになります、将来これで安全ですということを一人一人に当たらにゃいかぬと思っております。これは百万近くの人に当たらにゃいかぬということになりますので、大変時間がかかるということで、今その算段を我々も、具体的にどういう格好でやるかということも話し合いをしている最中でございますので、したがって、できるだけ早く通していただくということと、政省令を含めましてこういうことになりますという相談ができるようにスピードを上げていただきたいということが一点ございます。
 我々もとにかくこれまでの積み上げに対する結果報告と、新しい安全、安心だということを含めて、本当にかみ含めるように言わないと御理解いただけないと思いますので、そういう頑張りをしていきたいと思いますし、それは意見集約が、いずれにしても新しい制度にして継続してくれという、これが切なるあれでありますから、若干痛みが伴いながらも、そういうことをお願いしていくために、これからのスケジュールは大変だということを申し上げたのでございます。
#14
○参考人(上條守人君) ただいま、我々農業団体、のうねん倶楽部を含めて、今後の取り組みをどうしていくかと、こういう御質問でございます。
 新制度は積立方式であり、先ほど申したとおり保険料助成もあり、魅力があるという声もあるわけでございます。これまで五年ごとに財政再計算が行われ、その都度制度が悪くなっており、今度の制度は本当に大丈夫かなという言葉を耳にしております。
 農業者年金基金、行政、農業団体一体となり、新制度の周知徹底を図り、こうした不安感を除く取り組みがぜひとも必要であり、我々のうねん倶楽部としても、新制度の多数を占める現行加入者に対して、引き続き新制度に移行してもらうことを前提に強く働きかけを行っていきたいと考えております。
 以上です。
#15
○参考人(北準一君) 御質問ありました政策提言についてでありますけれども、私の地域といいますか、昔流で言えば部落、私は昭和四十年に農業を始めまして、当時は農家が私の部落では十八戸ありまして、今現在は九戸です。これはもう全国的に半減したと同じ状況です。その九戸の離農者の中で、私の町に住んでいる方が六戸で、札幌に出た方が三戸です。
 それで、非常に残念なといいますか、情けないことは、奈井江会だとかなんとかといって、同郷の人が奈井江によく来ることがあるんですが、おまえら、いつまでこんなものにぶら下がってやっておるんだと、百姓やる気で町に出たらこんな生活から脱することができるんだぞと言うことです。私自身もそれを聞いて本当に何といいますか、情けない思いを常に感じておったわけですけれども、そういう状況がずっと続いてきたということですね。それが、ひいては人口の一極集中あるいは過疎、こういう現象がどんどん進行した。
 新しい政策論議のときに、私らの仲間でも、おれのことはいいと。おれのことはいいから、息子のためあるいは隣の後継者のために何とかしてくれと、運動論の中でも出てきます。六十前後の役員をしている私らの先輩連中も涙で訴えてくるんです、私自身にも。私も同じ農民ですから、そのことはよくわかります。そこまで追い詰められた状態になっても、何とかして次の担い手をどうかしたいという意識は持っておりますから。先ほど意見がありましたように、おれのことはもう仕方ないなという、そういう空気も実はあります。ありますが、これはこのままでそうですかとやってしまったら、日本の農業というものはどうなる。今、年金はその状態に来ていると、私はこのようにとらえております。
 それで、定住年金あるいは遺族年金というものはその夫婦、その農家、家族がやはり安心してその地で農業をし、そしてそこに定住して、基本法が言う食料、農業、特に農村、環境、ここにしっかり寄与することができる、維持することができる、この視点がぜひ必要。政策的にはそういうものを組み入れて、生涯所得なんということは、これは何といいますか、一つの判断としてありますけれども、そういうものも含めて農業というものをガードといいますか存続させるべきだと。
 今まで、先ほどの御意見の中にもありました切り捨てという状態、あるいは、差別とは言いませんが非常に日の当たらない、農民というのはこういう程度でいいんだという、代々認識として続いてきたと、私は農村現場にいて非常にそういうことを思いながらおるところでありますけれども、それを政策的にどうするかということだと思っています。
 担い手について、北海道では約六万九千戸の農家の中で、実際に自分のうちにいて、十五歳以上の予定者もいるという農家が一万九千戸です。北海道の専業地帯といえども、六万九千戸の農家の中の今現在、平成十二年で一万九千戸です。ということは、一戸が五十ヘクタール以上の耕作をしないと北海道の農業は維持できないという、こんな実態に来ているんです、実は。
 もちろん担い手は大事です。だけれども、担い手対策だけでこのことを論ずるということは非常に判断としては誤りだ、このように思っています。担い手策というものは、もっとほかの政策、先ほど提言もしましたけれども、農政全般にわたってやらないと、年金でこんな担い手を招致するというのは私は間違いだと、このようにとらえております。
 以上です。
#16
○参考人(佐々木健三君) 先ほどの私の話の中でも、つまり、この制度の中では、青色申告とそれから認定農業者については政策的な支援をするというふうになっているんですが、私たちの考えとしては、農業をやりたいという人はすべてが農業後継者なんだというふうに考えたいと思っています。
 実は、身近な例なんですけれども、ことしの春先の農作業でお父さんが腰痛を起こしてしまったと。町に勤めている息子が、じゃ、急遽おれ農業をやるよというふうになったというんですね。つまり、今農村の状況は大変厳しいわけなんですが、あらかじめ差別、選別というふうな方向はやっぱり間違いだというふうに思っています。ですから、やりたいという青年は全部後継者なんだという立場から支援をすべきだというふうに思っております。
 それからもう一つ、農村の状況の中でいいますと、認定農業者の数は政府の統計でもなかなかふえないんですよね。しかも、そこに参加している認定農業者の考え方も、スーパーL資金が借りられるから入るとか、借金するときに便利だから入るとか、そういうのもあります。
 それから、青色申告につきましても、私たち運動として税金申告の運動を全国的に展開しておりますからよく状況がわかるわけなんですが、農業経営が非常に大変になっているものですから、青色申告をやめるという人もいっぱいいるんです。一方で政策的に進めておりますが、一方ではやめようと。記帳も大変だし、いろんな制限があって大変だから白色でやろうという仲間も非常に多くなっています。ですから、農業経営が厳しいので青色申告をやめようという動きが一方である中で、一方で政策的にはそちらに比重を置いていくというふうになりますと、現場では政策的な矛盾が出てまいりますので、私は、もっと弾力的に、やりたいという人はすべてが後継者だと、むしろすべてを支援の対象にするというぐらいにしないと、後継者確保、新しい加入者確保は難しいだろうというふうに思っております。これは単に今度の農業者年金にかかわらず、私は農政全般に通ずる考え方ではないかというふうにも思っています。
 以上です。
#17
○谷林正昭君 民主党・新緑風会の谷林正昭でございます。
 きょうは、本当にお忙しい中、全国から御出席を賜りまして、ありがとうございます。
 今、非常に皆さん方のお話を聞いておりまして、御苦労なさっているなというふうに思いますし、真剣に日本の農業の先行きを御心配されている、このように強く心に受けとめさせていただきました。
 皆さん方の話を聞いておりまして、自分は一番だめな農業従事者だったかなというふうに思いました。というのは、私の家はほんの千坪ぐらい実は田んぼがありました。小学校のころに、それこそ肥おけを担いで人ぷんを田んぼにまいて、そういう農業をやりました。嫌で嫌でわかりませんでした。恥ずかしくて恥ずかしくてわかりませんでした。というのは、私の家の周りは何も田んぼがなかったんです。私の家だけが田んぼがあって、クラスの中で農業をしていたのは私の家だけでした。じいちゃんがやっていました。父親はトラック運転手でした。余り家へ帰らぬものですから、農繁期になりますと私も田んぼに人ぷんを肥おけでまきました。それが正直言いまして嫌で嫌でわかりませんでした。大火があって、その周辺が全部燃えました。小学校四年のときでしたが、都市計画で田んぼがほとんどなくなりました。ほっとしました、子供心に。これで田んぼせぬでもいいがかなと。
 でも、今、話を聞きまして、本当にやっぱり日本の農業というものを真剣に考え、そして日本の食料というものを本当に真剣に考える皆さん方のお話を聞いて、本当に自分は情けなかったな。子供のころに戻れたら、もう少し一生懸命田んぼをすればよかったな、死んだじいちゃんにもっと褒めてもらえばよかったな、そういうふうに思いながら実はお話を聞かせていただきました。
 現実に戻りますが、一つの政策として、日本の農業のために後継者を育てようという意味もありましたかもわかりませんが、この年金制度が始まったときに、佐藤元総理が農民にも恩給をという言葉を公約されました。私はそのときの佐藤元総理の気持ちは、今となったらよくわかるような気がいたします。恩給というのは、国のために一生懸命頑張った人に何とかして報いたいという気持ちがあったと思います。
 私は自民党ではありません、今、民主党でありますけれども、佐藤さんの気持ちは、国民のために一生懸命食料をつくり米をつくり、そして苦労して頑張っている。それは今始まったことではなくて先祖代々続いてきた。山を開墾し棚田をつくり、あるいは森林を伐採し田んぼをつくり畑をつくり、そういう人たちが日本の将来を考えて苦労している、こういう人たちに何とかしたいという思いが年金制度ということに、みんなの努力でなったというふうに思いますし、それを信じて皆さん方がリーダーになり、地域で頑張っておいでになってこられた、そのように思います。
 ところが、残念ながら、その年金制度が破綻をしてしまう、こういう状況になりました。そこで、私も地元に帰っていろんな方々にこの年金制度の破綻について、そして将来どうしたらいいかということを聞いて回りました。そしたら、一番率直に出てきた意見は、初めからわかっておったんやないがか、初めから破綻するのはわかっておったんやないがか、済みません、これは富山弁です。そういう話を全部の方が言われました。
 そこで、お尋ねいたします。初めからわかっておったということはないと思います。いつごろから破綻するんではないか、そういう心配をされていたか、もしそういう心配をされていたとしたらいつごろか、お聞かせいただきたいと思います。全員の方に。
#18
○参考人(中村裕君) 今度、我々が抜本的にこの制度を変えていただきたいということになりましたのは幾つかの理由があると思います。
 一つは、先ほど申し上げましたけれども、現行制度の目的が実態に合わなくなってきたということが一点ございます。特に、今、経営移譲したくてもできない。これは上條参考人が言われましたように、経営移譲年金がやはり魅力でございますから、そういう事態が一つは起こってきているということであります。
 それから、そもそも制度そのものが発足当時は積立方式で始まったわけでありますから、今度はもとに返ってくるというふうになりますが、それが途中で、物価の上昇によりまして、物価だとか所得スライドをやってきまして、積立方式でもたなくなってしまって賦課方式に変えていった。こういうことで、その間、いろいろ国庫情勢やあるいは保険料の引き上げもやりましたし、改悪というあれもございましたが、給付の改正等もやりながら対応はしてきておりましたけれども、それがいよいよここで財政基金の財政が底をつくという状況になってまいった。
 これも先ほども申し上げましたけれども、平成七年の制度改正のときにそういうことがわからなかったのかということでありますが、当時としまして、我々は後継者、担い手がやはりこのぐらいないと日本農業はもたないということを前提にやっておりましたので、それに向けて加入促進の努力をしてまいったわけであります。これは農業事情だけではないと思います、経済事情もあると思いますが、そういうことで現状に来てしまったというふうに理解を今度の改正についてはしておりまして、破綻がいつからわかったかという話は、我々いろいろそういう意味でのあれはありませんでして、とにかく再計算に基づく努力をし、それが日本農業を支えるということで農業委員会も農協組織も努力をしてまいったと。しかし、結果的にこういうふうになって新しい制度に仕組みがえをしてほしいということでございます。
#19
○参考人(上條守人君) ただいま中村専務さんからもお話しのとおりでございまして、我々今日まで加入促進をしておったわけでございまして、年金協議会等においてもそれぞれ会員の皆さん方から年金が破綻をするんじゃないかという危惧の声も会員の中にはずっと前から出ておったわけでございますが、政府の政策年金だから絶対安心だと、そういうことで、そういう方向の中でいわゆる年金というものは、あくまでも約束した年金だけは国が責任を持つから大丈夫だと、こういう言葉を信じながら我々は今日まで加入促進をしながら、それぞれ農家の皆さんの老後の幸せ、また豊かな老後のために今までも国を信じながら頑張ってきたところでございます。
 以上です。
#20
○参考人(北準一君) 私、年金制度あるいは扱い等に実質は携わったことはございません。しかし、時期的にどの時点であなたはそういう状況を招くと予測されましたかと言われれば、五年前の再計算のときあたりにそのことが本当に確実になったのかなと。
 しかし、振り返りますと、例えば全国三百万の農家がすべてこの後、未来永劫ということにならないかもしれませんが、仮に三百万の農家を維持するとなると年間およそ十万人の新規就農が要ると、農業人生三十年と考えれば。そういう状況ですから、御存じのように全国で実質二千人とかいう就農ベースですから、当然これはもう最終的には一人か二人にしかならないということは予測できたんだろうと。いろいろ農林統計あるいはセンサス、そういうところではどんどんそういう情報がもう過去十数年にわたって出ているわけですから、これはそういうものをしっかり分析すれば、この結果は招くということは行政としては当然早い段階にわかっていたと、私はそのようにとらえています。
 以上です。
#21
○参考人(佐々木健三君) 議員さんの質問にちょっと斜めに答えたいと思うんですが、私、そういう数字上の問題を取り上げて、いつ危なくなったかという議論は、これは事務方がやる話でありまして、私たち現場にいる、あるいは農業者として考えるのは、先ほども申し上げましたように、これは国がやるもので、絶対皆さんに心配かけませんというふうに政府がおっしゃったわけですから、それを信頼しないというのは政府を信頼しないということになりますから、それはちょっと質問の方向が違うかなというふうにも思っているわけなんです。
 ですから、私は、今の時点でも農業者が安心して老後が暮らせるような農業者年金にしていくというのが基本的な方向ではないかと思いますので、いつだめになるかという予測について私ちょっと答えかねるので、私の意見はそういう意見であります。
#22
○谷林正昭君 どうも失礼いたしました。私が帰ったところでは、わかっておったんやないがかというふうに言う人たちの方が多かったものですから、ちょっとお聞きしたということでございます。
 政府がやるんだから、国がやるんだから非常に安心してみんながついてきた、これが事実だというふうに私は思います。そういう意味では、一定の目的も達成されたんではないかというふうに私は思いますし、ここで破綻してでも、ずっとこの後、公的資金を注入しながら、こんな言い方したら失礼かもわかりませんが、破綻したしりぬぐいをしていくという約束は制度的にはされております。しかし、一方では、国の税金を投入するんだから、農民の皆さんは、これまで掛けてきたものは保障できません、カットさせていただきますよと言われて九・八%平均カットがされる、こういうような状況だというふうに理解をしております。
 そういったときに、本当に受給者の皆さんがそれで納得できるのか、もう一遍聞かせていただきたいと思いますが、これは北参考人、佐々木参考人にお尋ねをいたします。
#23
○参考人(北準一君) 削減については、先ほど申し上げたとおり、私は一農民としても削減はすべきでない、私自身としては許せないという考え方です。
 私も間もなく、あと四年で年金の受給資格といいますか、掛ける期間が終わります。六十になります。間近になったものですから、実は、もらうときまでそんなことは余り考えないと思うんですが、ちょうどこの年金問題があって、自分の年金はどうなるんだということでいろいろ情報を集めて計算しましたら、年額で何ぼですかな、現行制度でいきますと農業者年金、経営移譲しますと、私も幸い息子が今農業をしておりますから、六十三万一千円の年金額になるということです。これが、改正案でまだ定かなところはわかりませんが、一定のこのぐらいになりそうだぞというものを計算しますと、五十八万円ということで、およそ年額五万円強の減になる、仮に十八年平均的な受給期間を設けると、約九十一万の減という、私の年齢でそうなるという予測をしております。
 これは後世代、いわゆる今の加入者等になればまだまだこの率は高くなるんだろうと、こんな予測はいたしておりますけれども、このことは、先ほど申し上げたような観点から、一部親の、間近に死ぬんだから自分のことはいいやということで、息子のことを頼むぞという、本当に今世を過ぎたような話も実はないわけではございませんが、しかし、親の背中を見て育つような今の時代ではございません。そういうことではなくて、財政の問題もあったにしても、これはもっともっと国民にオープンにすべきだと。
 私は、そういう観点から、農民、農家、国民年金、農業者年金というのは、自営業、国民年金ベースでありますけれども、年金制度で、特に一次産業あるいは農民の年金の実態というものをもっと明確に、オープンに議論していただく、そのことで国民がどう判断されるのか。財政の問題、当然それはそこまで国民負担で持ってもらうというのは我々も忍びないわけでありますけれども、しかし、そのことが将来日本の農業の存亡にかかわる大きな問題だととらえれば、これはどのように国民は判断していけばいいのかなと。
 小泉さんが聖域なき改革というようなことで、国民の期待は非常に大きい。私は、大きな意味で行財政改革は農政改革だと、常にそのようにとらえておりますから、本当の意味で効果が上がる、実態にぴったり合った国民的な論議をした上でこの決定をすべきだと、このようにとらえております。
 以上です。
#24
○参考人(佐々木健三君) 受給額の削減については、私もやるべきでないというふうに考えております。
 今、農村の中で年金を受給されている方々の状況を見ますと、今も北さんがおっしゃいましたぐらいの金額でございます。月額かなんという人がいるんですが、年額なんです。さらにこれから約一〇%カットになりますし、最近の状況でいきますと、介護保険も年金から天引きされます。十月からは全額になります。そういう生活にかかわる年金として考える場合に、これ以上カットされるのは大変だというのが現状なんです。ですから、私は先ほども言いましたように、三割でなくて約一割だからいいだろうという議論はやっぱり正確でないというふうに思っています。
 先ほども言いましたように、農学校の同級生で集まった組織があるんですが、そこでの議論は、いや、もっと将来増額するように運動しようというふうに、むしろそういう方向なんですね。このままでいいなんというふうにはだれも言っていません。ましてや削減されることは、これはだめだというのが、多分こちらの参考人の方々も地域に帰ればみんなそういうふうな話を受けるだろうというふうに思っています。
 しかし、やっぱりこれは国民世論で運動を進めるわけですから、ぜひとも私たちは、逆に拡充をするという方向でやっていきたいというのが私の率直な気持ちでございます。
#25
○谷林正昭君 時間が一分しかありません。最後に中村参考人にお尋ねいたしますが、先ほど北参考人の方から、今後の農業政策を考えるためには、特に担い手を考えるときには年金だけではだめだと、もっとほかの政策が必要じゃないかという話がございました。中村参考人の見解があればお聞かせいただきたいと思います。
#26
○参考人(中村裕君) 私も担い手は年金だけではないと思っております。今検討いただいております所得政策もそうだと思いますし、すべて金融もやっぱり後継者問題、担い手問題だと思います。
 ただ年金は、やはり職業として選択するときの一つの生涯所得という観点から見れば非常に大きな役割を果たすし、決断をする判断になるというふうには考えておりまして、そういう意味で大きな役割を持っているんではないか。いわゆるサラリーマンと同じような年金があるということ、それが生涯続くということ、そういう意味では非常に大きいのではなかろうかと考えております。
#27
○谷林正昭君 終わります。ありがとうございました。
#28
○渡辺孝男君 公明党の渡辺孝男でございます。
 きょうは、四参考人の方々からいろいろ御意見を聞きました。私の方からこれから御意見をお聞きしたいと思うんですけれども、最初に、農業者年金、大変受給者が多くて保険料を支払う方、加入者が少なくなっているということで、年金制度、普通で考えますと破綻するのは、もうこれはやむを得ないというようなものであります。しかし、これは破綻させてはいけないということで、政策年金としてきちんと持続できるようにしていこうと、そういう中でさまざまな御議論、御討議があったんだと思います。
 最初の政府の方の案では三割カットと、これじゃ余りにもひど過ぎるんじゃないかということで、大変現場サイドで皆さんが御協議をされて、何とか苦渋の選択ではありますけれども、今、最初の中村様、それから上條様の方からは、本当に苦渋の選択だけれども、三割削減が九・八%カットというところでやむを得ず本当にこれで皆さんの了解を得たと。しかし、またその中でも承諾をされない方も当然、少数ではありますけれども、いらっしゃったということであると思います。そういう意味で、大変苦渋の選択であるということはよくわかりますけれども、私としては、この農業者年金が将来にわたって持続していくという、その方がやはり得るべきものが大きいんじゃないかと、そのように考えるわけであります。
 そこで、まず最初に、賛成の立場であられます上條参考人、それから中村参考人にお伺いしたいんですが、この農業者年金というものに加入者が、ほとんど若い人も加入しなくなってきたというのは、やはり年金制度そのものに対して期待が薄くなってきたということがあるんじゃないかと思います。それから、なかなか農業経営が大変であって、こういう保険料を支払うのが大変厳しい状況だと。そういういろいろな条件が重なってきて、現年金制度に対して信頼が薄くなってしまって、結果的に破綻の方向に行ってしまっているということだと思うんです。
 今度の法案で新しい制度ができる、いろいろ条件が変わってきまして、当然加入じゃなくて任意加入になってきた、また賦課方式ではなくて積立方式になってきたとかいろいろ改善はされておりますが、それでもまだ、現場サイドでは加入者を獲得し、また維持していくためには、新しい制度が発足するということになった場合でも、やはりそういう信頼性を確保するためのいろいろな活動というのが必要になってくると思うんですが、国及び農業者、あるいは農業団体の方が、そういう制度の信頼を得るためにどのような活動をしていったらいいのか、その点をお伺いしたいと思います。
#29
○参考人(中村裕君) 今、先生おっしゃるとおりでございまして、我々も意見集約で何とか政策年金として安心できるものをつくって継続すべきであるというこの一点に的を絞りまして、いろんな条件、泣くところは泣いてまいりました。そういうお話し合いをしてまいりました。
 そういうことでございますから、まだまだ全員一〇〇%が胸に落ちているというわけでもないわけでございまして、九割を上回る者はそういうふうに理解しておりますけれども、したがいまして、先ほどの意見のときに最後にお願いで申し上げましたけれども、我々はこれから一人一人に当たらなければいけないと思っています。これは我々の責任だと思います。つくってき、またそれを推進してまいり、こういう結果になってこういうことでつないでいくということを一つずつ丁寧にやはり御説明を申し上げて信頼を回復し、新しい制度に乗っていただく、こういうことでございまして、これは一人一人に当たるというところから始めたいというふうに考えております。
 したがいまして、先ほど岸先生からもありましたけれども、大変時間がなくなってきておりまして、特に北海道等では農作業時期とぶつかるので、早くしてもらわないと間に合わないという御意見も強く上がってきておりますし、多くの加入者を抱えている市町村、県ではそういう実態でございますので、できるだけ早い機会に中身のわかるものにしていただきたい、こういうことでございまして、とにかく一人一人に当たりたいと、こういうことでございます。
#30
○参考人(上條守人君) 制度の信頼性を高めるためにいわゆる農業団体、農業者がどのような活動を展開すべきかというお話ですが、この新制度については、積立方式で保険料助成もあり、魅力あると思うという声があります。これまで五年ごとの財政再計算が行われ、その都度制度が悪くなっており、今度は本当に大丈夫かという、いろいろな意見も耳にしておるわけでございます。
 農業者年金基金、行政、また農業団体一体となり、新制度の周知徹底を図りながら、そうした不安感を除きながら取り組んでいくことがぜひ必要であります。我々それぞれ、のうねん倶楽部を初めとして、多数を占める現行加入者に対して、引き続き新制度に移行してもらうことを前提に、強く働きかけながら事業を推進してまいりたいと思います。
#31
○渡辺孝男君 今お答えいただきましたけれども、政府に対してはこういうふうにしてほしいというこの制度の、どういう制度になるか今から決まってくるわけでありますけれども、もしこういう新しい制度になった場合に、それを周知徹底、皆さんに知っていただくために、政府としてあるいは国会としてどういうことを望んでおられるか、その点ございましたら、おっしゃっていただければと思うんですが。
#32
○参考人(中村裕君) いずれにしましても、これは農業団体も役割として対応してまいりますけれども、政府並びに農業者年金基金におかれましても、そういう意味の積極的な対応をしていただきたいというふうに考えておりますし、それから細かい点で言いますと、いろんな問題が出てきています中に、制度といたしまして、今の加入者がまた新しい制度にさらに加入していくという時期的な問題もございます。非常に時間がないものですから、そういう運用についても考えてほしいというような意見もございますので、具体的になってまいりましたら、そういうことについてもまたお願いをしなきゃいかぬのかなというふうに考えております。
#33
○参考人(上條守人君) この年金制度改正を契機にしながら、より一層、また認定農業者制度、青色申告者、家族経営協定の普及、定着に努力していきたいと考えております。
#34
○渡辺孝男君 今度の新しい制度では、農業に従事する者ということで今まで以上に少し加入者の条件が広がっているわけでありますけれども、その点に関しまして中村参考人、上條参考人にお伺いしたいんですが、そういう意味では酪農に従事されているような方、あるいは施設園芸等に従事されているような方、そういう方々にも窓口が広がってくるんではないかというふうに思いますけれども、そういう方々が今度の新制度に対してどのように考えておられるか、こういう制度が新しい制度で広がれば私たちも入りたいというような御意見なのかどうか、その現場の声をお聞きしたいと思います。
#35
○参考人(中村裕君) 御指摘のように、今度は強制加入でなくなりまして任意加入でありますが、農地の権利名義だけではございませんので、非常に幅広く、施設型農業についても窓口が広がりますので、我々といたしましては、やはり年金でありますからすそ野を広げておくということは大事でございますので、広くPRをして加入していただくようにしたいというふうに考えておりますし、できるだけ、政策支援の対象になりませんと、保険料の問題もございますから、政策対象になるような努力もしながら、間口を広げてまいりたいというふうに考えております。
#36
○参考人(上條守人君) 新制度で新たな加入ができるように、農地等を持たない畜産・施設園芸農家に対して、それぞれの形態のニーズに応じながらPRを行い、加入を働きかける必要があると思います。特に、現行制度の未加入者に対しましても十分な説明を行い、新制度への加入を促進していく必要があると思います。
#37
○渡辺孝男君 今、新制度になった場合にきちんと制度が維持できるようにということで御質問しましたんですが、やはり未納者問題というのも大きな問題でありまして、現制度が破綻に向かってしまったのは保険料の未納者ということも影響を与えているわけであります。
 この点に関しまして、もし新制度になった場合にどういう未納者対策、任意加入となったのでその点では大分減ってくると予測されるんですけれども、途中から、やはりこの制度では年金額が低いとか、何かいろんな条件があって脱退してしまうというような方もあるかもしれませんので、そういう未納者というようなことを抑制するためにどういうことが望ましいのか、今までの現制度の経験を生かしながらお聞きしたいと思うんですが、この新しい制度に御賛成の立場の中村参考人、上條参考人に、そういう未納者対策について、新制度になった場合にどういう対応をしていったらいいのか、その点をお聞きしたいと思います。
#38
○参考人(中村裕君) 現在未納者があることも事実でありまして、ただ、これは中を精査いたしますと、いろんな事情があってやむを得ないというようなこともあろうかと思います。
 今度新しくなりますのは任意加入でありますから、とにかく制度を理解をいただかなきゃいかぬということだろうと思います。こういうふうにして、こういうふうにもらえますよ、こういうメリットがありますよ、こういうことですということをしっかり申し上げて入ってもらいませんと、強制加入とは違いますので、その辺をよく我々としてもわきまえて加入促進をしてまいりたいというふうに考えております。
   〔委員長退席、理事岸宏一君着席〕
 入った以上は未納がないように、これは収納をやっております農協グループとも一緒になってやっていく問題だろうというふうに考えております。
#39
○参考人(上條守人君) 特段ございません。
#40
○渡辺孝男君 参考人の御四方の皆さんにお伺いしたいんですけれども、農業者は経営が大変であると、そういう意味では老後の不安も大きいので、きちんと年金制度をサラリーマン並みにまずは確保したいということは皆さんの、本当の農業者の立場の方の切なる願いであろう、そのように思っております。
 そういう意味で、他産業と同じように、生涯の所得を大体二億五千万程度確保できるように、現役時代の所得とプラス老後の老齢年金としての所得を確保していきたい、それが今回の農業者年金の制度の維持存続が大切だということにもなるわけでありますけれども、どの程度現役時代の所得として確保し、また老齢期の年金の所得としてどの程度を確保していくのがよろしいか、その点のお考えを御四方の参考人にお聞きしたいと思います。
 中村参考人から順によろしくお願いします。
#41
○参考人(中村裕君) 生涯所得は、今先生おっしゃいましたように大体二億五千万ぐらいにサラリーマンはなっていると理解をしております、私も。
   〔理事岸宏一君退席、委員長着席〕
 それで、これは確実かどうかわかりませんが、私の理解では、大体給与で二億、それから年金と退職金で三千万、二千万か二千五百万、二千五百万かと、このぐらいの見当ではなかろうかというふうに、これは平成四年ごろの統計で私そういうふうに理解をしておりますが、割合は。
 多分、そうしますと、今度の新しい年金での試算、これも今ちょっと資料がございませんので定かでございませんが、大体国民年金と新しい農業者年金で約三千万ぐらいになるんじゃなかろうかという試算を見たことがございます。そういたしますと、大体普通の水準になるんじゃなかろうかというふうな理解でございます。
#42
○参考人(上條守人君) 具体的には、私は農業者でございますので、その辺のことはちょっとわからないわけでございます。
#43
○参考人(北準一君) 幾らであればいいのかというのは非常に難しい問題だと思いますけれども、基本的には私どもも勤労者と均衡するという判断をしております。
 例えば、厚生年金の今平均年金額はどのぐらいかという、これは定かではございませんが、年額で二百二十万程度でないのかという、私どももそんな情報程度しか持っておりませんから、やはり農民としてもそれと拮抗するぐらいの年金というものが必要であろうと、こういう受けとめ方です。
 ちょっと参考にしていただきたいんですが、今、基本計画で農業での生涯所得、これを均衡させようと、そのためには規模拡大して云々という、いろんな論議がされております。私もずっと青色申告を続けておりますから、それに基づいた状態で、私自身、所得的にどういう経過をたどっているかと。平成七年まで、私は私の町で中規模的な約六・五ヘクタールの経営でありまして、平均的でありますけれども、五十九、六十、六十一年、いわゆる価格もある程度ピークの状態、この状態のときに水稲を中心に六・五ヘクタールの経営で所得というものが四百七十万前後でした。私の経営の中で。
 それで、平成七年以降、平成七年、それから平成十一年に、これは周りの者に、私は今の時期に農地を拡大するということは非常に危険だぞということをいろいろ皆さんと話して、そうだそうだと言っておったんですが、いざ私の隣がどうしようもならなくなって農業をやめないかぬと。そうなったときに、隣がやめるのにその農地もおらはつくらぬぞということは、やはり同じ農民として私もできなかったですね。そのときに五ヘクタール。それから、隣のうちももう足腰立たなくなって四ヘクタール。今、先ほど言ったように計十五なんです。
 この状態でどういう数字になっているかといいますと、平成七年に五、平成十一年に四とふやしたんですが、平成七年は四百九十七万、約五百万ですね。八年が六百七十万、九年が四百万です。十一年、十二年が五百二十万と六百三十万と。このからくりは、ここにこの農地を取得した償還金があるものですから、償還後所得というのが、例えば平成九年の米価の暴落のときには百六十万、十年が三百八十万、平成十二年が五百五十九万、五百六十万。
 十年から、私は、何とか息子が百姓やるわということでおりますけれども、親子三人、そして今メロンも入れて、うちのお母ちゃんなんかももう足腰だめだという状態になってきているんですが、そうやって三人でやっても四百万から五百万、償還後。こんな状態で、例えばそれを二十ヘクタールしたら何ぼになるか推測すれば、ここにプラス約二百万ぐらいのものであります。
 ですから、先ほど佐々木さんも言われましたように、拡大経営の方が非常に困難をきわめるといいますか、もう破綻しているんだというこの状態をどうやって論議として、論議だけではだめです。この現実問題をどうするか。それと生涯所得ですから。二億五千万が目標だ、八千万が目標だという、それと実際というものは相当開いているということですね。
 こんな状態で、基本計画だとか目標だけはどんどん立てて、そして三割増収して二割費用を削減せい、簡単な方向だけを出して、年金も削減やむなしと。これで、それじゃ日本の農業、それは専業だ云々だということでもつんですか。
 私は現場にいて仲間が、おまえこんなことでどうするんだと。いや、いいんだと。私もそれは言いますよ。いや、おまえちょっと我慢してやるべと。十年前まではそういう状態でよしと言ってた。だけれども、今は違うんですよ。おれはだめだったら、すぐやめるぞというのがもうほとんどの若手ですよ。ですから、そこをやはりもう少し認識をしっかり持って対策をお願いしたい。
 以上です。
#44
○参考人(佐々木健三君) 議員さんからは幾らあればいいんだという話だったんですが、多いにこしたことはないんですよね。
 ただ、やっぱり農村の中で我々生きていく上では、年金ももちろん大事なんですが、社会保障の問題とかもちろん介護保険や医療の問題も含めて、全体として農村で生活することができるという施策がないと、年金部分だけでもう議論が片手落ちになるものですから、広い範囲で、農村の中で生きていけるような、そういう仕組みの構築が必要だというふうに思っております。
 そういう点では、年金も大事な部分でありますから、生活できる年金というふうに要求をしていきたいというふうに思っています。
#45
○渡辺孝男君 どうもありがとうございました。
 北参考人が御指摘しました配偶者に対する遺族年金というものも非常に大事でございますので、これから私どももぜひそういう面でも検討していきたいと思っております。
 ありがとうございました。
#46
○笠井亮君 日本共産党の笠井亮です。
 きょうは、本当に四人の参考人の皆さん、貴重な御意見ありがとうございました。こもごもお話しいただきましたけれども、この農業者年金をめぐっての歴史的な経過の中でさまざまな影響を受けて、そして現在、加入者一人がほぼ三人を支えるという深刻な事態にあるということで、国の政策のもとでの苦悩を伺ったような気がいたしました。そしてその中で、制度の信頼性自身が揺らぐような事態が現場であるということ、それぞれお話があったと思いますので、それだけに今度の法律案をめぐっては慎重な検討が必要だろうという気持ちであります。
 そこで私が伺いたいのは、今回の改正案ですね、農業の現状や農家の実態にこれが合っているのか、あるいは、今もありましたが、医療、福祉の後退が進む中で多くの方々が抱いている将来不安を解消することにつながるのかということが大事なポイントだろうというふうに思います。
 この見地から伺いたいと思うんですが、既に議論もありましたが、給付額の九・八%平均カットについてであります。
 まず、中村参考人に伺いたいんですが、この間、三割カットという案に対して相当反対もあるという事態の中で意見集約をされてきて今日に来ているということでお話ありましたけれども、私、先ほどからのやりとりを伺っておりまして、ここまで長い間せっかく意見集約されてきたのであれば、これから百万人近くの方に当たるというお話でしたけれども、法律で決めてから説得というふうになりますと、これは仕方がないからのんでくれということになってしまうんではないかと。そうではなくて、せっかくここまで努力されたんであれば、みんなが納得できるまできちっと議論を尽くすということがあって決めるという方がいいのではないかという気がするんです。
 先ほど、農村現場でも受け入れられるものと信じているというふうにおっしゃっておりました。既に九・八%ということは案としては現場にも伝わっているというふうに思うんですけれども、この問題について、これでいいのかということについて改めて意見をとられていらっしゃるのか。
 それから、問い合わせがあると思うんですけれども、そういう問い合わせに対して説明されて、理解、納得をしていただいているのか。全体として、農家の皆さんの総意というふうに受けとめていらっしゃるのか。その辺の認識について、いかがでしょうか。
#47
○参考人(中村裕君) 私ども、先ほど申し上げましたように、昨年の一月から四月にかけまして徹底的にこれをやってまいりました。農業委員会でも六万人の農業委員さんも動員し、一〇〇%に近い農業委員会での意見の集約をやったわけでございます。また、農協、JAグループもしかり、それからのうねん倶楽部でも同じように、同時に意見の集約をしてきたという経過がございまして、既に、このカットも含めまして昨年の八月、それぞれが組織決定をいたしております。
 したがって、昨年の八月に至る中で、意見集約したものをその都度その都度組織等に諮りながら積み上げてきたという経過がございまして、そういう意味では既に農村現場では理解をされているというふうに思っております。
 したがいまして、先ほど申しましたが、既に意見の集約もございましたので、今どういうふうな法案として国会にかけられているかということについてのパンフレットも既につくり、そこでも、これは一つは確かめるということもありましょうが、農家の手に届いておりまして、それらからも我々が推測する点で見れば、現場に受け入れられる政府案になっているんではなかろうかというふうに考えております。
#48
○笠井亮君 上條参考人に伺いたいんですが、先ほど農家の苦しい現状も紹介されまして、国がやっているから大丈夫ということで説得してきた立場から大変な反発も受けていると。そして、今回の制度については大丈夫なのかという言葉を耳にされているとおっしゃいましたが、先ほど北参考人、佐々木参考人から、カットされるのは納得できないという実際の現場だというお話もあったんですが、その納得できないという形での強い御意見というのは、長野県などで実際に携わっていらっしゃって上がっていないんでしょうか。
#49
○参考人(上條守人君) ただいま削減について納得できないということで、随分意見集約のときには厳しい意見は出されたわけでございますが、年金の財政上の中で、いろいろ苦渋の選択をしながら、この問題について、我々役員の立場からも、加入促進した立場からも、加入者、受給者の方から相当な非難も受けたわけでございます。
 しかし、農村現場では受給者も加入者も制度の再構築を望んでおり、これからだんだん若者も少なくなり、地元においてそれぞれ地域を守っている後継者の人たちに政策年金を残しながら何とか再構築したいというようなことでございます。
 長野県では大体百十九の市町村に受給者・加入者協議会があるわけでございまして、そのうち八五%に当たる百十の市町村が今後とも政策年金は必要であるというような最終的意見集約をし、それぞれそのような方向でお互いにこの負担によりながら、制度を信頼回復しながら、苦渋の選択で、受給者の負担を最小限度にすべきだというようなことで、やむなくそういうような方向で意見集約をしたわけでございます。
#50
○笠井亮君 北参考人、佐々木参考人に共通したことで伺いたいんですけれども、両参考人が御指摘になったように、政府の言う、削減幅については大したことないという議論はとんでもないと私も思うんです。本当に実際農村で生活されている方々の痛みがわかっているのかというのが率直な気持ちなんですが、今意見集約の話がありましたが、この意見集約についてどのような御感想をお持ちか。
 それから、納得できないという方が実際いらっしゃるというのがお二人から出たと思うんですが、そういう方々がいるまま、このまま政府案が通った場合、現場ではどういう事態が起こるということが危惧されるのか。そして、憲法の財産権を含めて強い反対意見が国会内外にある、現場でもあるのに、改正を急ぐということになりましたら、国がやっていることだからというふうに進めてきて、その結果いろいろ信頼を損なうという事態が共通して言われたわけですが、一層政治への信頼性といいますか、損なうことにならないだろうか。
 この辺についてどのような御意見をお持ちでしょうか、伺いたいと思います。北参考人からお願いします。
#51
○参考人(北準一君) 私も現場の一人として、そういう集約の立場には、この年金改正案ではありませんけれども、やはり立場立場で、例えば農業会議の皆さん、委員会、うちの町でもそうです。農業委員さんはいろいろ何回も会合を持って論議をされた。その経過では、これはもうこんなものどうもならぬ、しかし、いろいろ状況を考えると、この決定はおれらではできないぞと、どこかゆだねにゃいかぬなというのが意見の集約だと、こんなように私は聞いています。
 だから、皆さんが納得してそうなったのかどうかというところは定かではありませんが、やむを得ないなという考えも中にはあるでしょう。しかし、私が申し上げているのは、それでいいのですかと、仕方ないからこうしかならないぞという論議で終わったら、農業というものの将来は大変な問題を抱えていますよというのが率直な現場の認識だと、このように思っております。
 この後、それじゃ現場はどんなような対応になるのかということは、農民としてこれにかわる年金というのは今のところない、それは国民年金のみでありますから。あとは何らかの別の年金と。だから、そういう選択をする人も出てくるんじゃないか、このように思っています。既に私どもに脱退金の扱いはどうなるんだ、こんな問い合わせも実は来ております。
 それから、今後の信頼云々ということは、これは年金で象徴されるように、やはりもっとオープンにし、農業、農民の生活所得というのがこれでいいのか、こういう観点での論議が必要だ、このように思っています。
#52
○参考人(佐々木健三君) 私、先ほどの発言で、現場で実際活動をやっていることをお話ししましたが、確かに中央では三者の合意で九・八%やむなしというふうになっているわけなんですが、現場に行きますと、このことに対する不満というのは非常に強いんです。特に窓口にいる人は本当にこれをどう説明していいかわからないというのが現状なんです。そういう意味では、これを説得するというふうな話もありましたけれども、しかし、非常に大きな問題が残るだろうというふうに思っております。
 それともう一つは、意見集約の過程を見てみますと、私、言葉はちょっと悪いんですが、やや誘導的な設問が多いんですね。そうせざるを得ないような設問があって、それを書くのには欄外に書くしかないというふうな設問だったんです。ですから、それをずっと全国的に集約しますと、ある一定の方向に出るような設問がありはしないかというふうに私は疑問を持っております。
 もう一つは、農村の現場へ行きますと、やっぱり農業経営が大変ですから、先ほどもおっしゃいましたように、掛金が大変だとかいろいろな問題もありますが、一方で、どうせ農業者年金は不安材料が多いので、もっと単純明快に、例えば民間の積立型の年金をやったらどうだとか、そういう話も随分出ているんです。
 ですから、私は本当に今のこういう状況が農業者年金にとって危機的な状況だというふうに言わざるを得ないわけなんです。そういうことを含めて考えますと、やはり政治に対する信頼感を揺るがす大変な内容を含んでいるというふうに心配をしております。
 以上です。
#53
○笠井亮君 既に受給している人の年金額は削減しないというのが公的年金の大原則でありますし、これを破る給付カットというのは公的な年金制度では初めてのことで、政府が言う痛みを伴う構造改革がまさにこの分野でも行われようとしているということだと思うんです。
 先ほど公的年金制度全体への信頼性ということについての言及もありました。伺いましたけれども、そこで、時間の関係で佐々木参考人にあるべき打開の方向、先ほど北参考人からは最後に提言という形で言われたんですが、先ほど佐々木参考人は、年金を削るのではなくて、むしろ拡充して安心した老後を送れるようにすること、そして後継者が希望を持って農業を続けることができるようにすべきだというふうに主張されました。
 そこで、今回の改正案の方向でなければ、果たしてどういう方向が必要かということなんですけれども、農業者年金がこういう状態に立ち至ったことに農家は責任ないわけですから、農家にこれ以上負担がないように国が責任を持って将来展望を示すということが今必要だと思うんですが、その二つの点で、一つは財源といいますか、どういう形で展望を見出していく必要があるのか。それから二つ目には、根本的な展望として、先ほどもお触れになりましたが、国の大もとにかかわる農業の基本的今後の方向性ですね。
 小泉内閣の聖域なき構造改革というのを私もいろいろ伺っていますと、あらゆる分野で聖域なく採算性という問題とか、あるいは効率性が優先されるということになるわけですが、こうしたやり方が本来農業分野になじむのか。そうではなくて、本当に今、じゃ将来にも展望を持てるようにするためには農民の立場、国民の立場から見てどういう形での農業の改革が必要かということについて、財源と今後の展望についてどのようなお考えをお持ちか伺いたいと思うんですが、いかがでしょうか。
#54
○参考人(佐々木健三君) 実は、今度の九・八%の削減というのは、これは随分苦渋の選択だというふうにこちらからもお話がありました。私は、九・八%の金額がどれぐらいかとちょっと考えてみたんですが、私の計算が間違いでなければ百数十億かというふうに思っております。そうしますと、だったらこのお金を政府が出して農家の方々に喜んでもらった方が、どれほどか農業者年金に対する信頼や農業に対する信頼が出てくるのではないかというふうにさえ思っております。
 この財源の問題について言いますと、私はどうしてもむだな公共事業に触れざるを得ません。全国的な展開は別にしましても、私は福島でございますから、ざっと見ましたら福島関係の人が、和田先生もいるし、太田委員長もいるし、谷本さんも福島出身だといいますから、福島出身がいっぱいいるので福島の実情を挙げてちょっと説明したいと思うんですが、私の身の回りにいっぱいむだな公共事業があります。
 私の福島市には農道空港、これは大変なお荷物です。東京にたかだか三百キロの果物を運ぶのに、途中、川越のヘリポートにおりて、そこから東京の市場にやおらトラックで運ぶ。福島の果物を軽トラックで五百キロ積んで前の日の夜、福島を立ちますと、次の日の二時にちゃんと東京の市場に着くんです。これを麗々しくやっています。これなんかはむだ遣いの典型ですね。それから、福島県でいいますと、例えば小名浜沖に巨大な人工の島をつくるとか、飛行場の二千メーター滑走路をつくって間もなく二千五百メーターにするとか、さまざまな問題がいっぱいあるんです。
 ですから、そういう問題を目の前にして、政府の予算がないとか、あるいは公共事業にお金を使っているとかという話になりますと、私たちは、何だ、そっちに随分使っているじゃないかというふうに言わざるを得ないんです。ですから、基本的にはそういったむだ遣いをやめれば農業者年金に回すお金は十分あるはずだというふうに思っております。
 むだ遣いのきわめつけは福島駅前につくっている地下の駐車場、これは大変な代物ですね。でき上がった途端に県民からさまざまな批判を受けております。これは私たちも大いに問題にしているわけなんですが、そのようにして本当にむだなお金がよそに使われていないかという見直しをやらないで、農業の受給者が多くて加入者が少ないという、ここのところだけ取り上げますと、私はこの議論の展開が逆さまになるのではないかというふうに考えているわけです。
 それからもう一つは、農業の振興や農業の発展がなくていきますと、加入者が少なくて受給者が多くなるというこの数字のバランスは近いうちに必ず崩れるというふうに思います。したがいまして、農業者年金をしっかりしたものにするという点でも、農業をしっかりと位置づける、農業をしっかりと発展させるということなしにはこの農業者年金の維持は難しいというふうに考えております。
 先ごろ、暫定的ではありますけれども、セーフガードが発動されまして、私たちは、今もっと発動の枠を広げる、そして本セーフガードを発動するというふうに求めていきたいというふうに思うんですが、やっぱり最終的には農家の経営がしっかりしたものにならないとこの農業者年金の基本はつくれないというふうに思っております。
 そういう意味では、今の輸入自由化、市場原理に任せるという農業政策そのものに大きなメスを入れないと基本的な解決はできないというふうにも思っております。
 以上です。
#55
○笠井亮君 ありがとうございました。終わります。
#56
○谷本巍君 初めに、中村参考人に伺います。
 加入者の確保についてであります。
 これまでいろいろ話が出ておりましたけれども、私が申し上げたいのは、当然加入の時代にも入らない人がいた。ところが、今度は任意加入になります。しかも、給付額はマイナス一〇%であります。以前は価格が上昇する時代であった。価格低迷の時代であります。そういう状況の中で、政府自身の見方は、加入者確保については、現在の加入者はほとんど横滑りで入ってくれるのではないかという判断らしきことを言っておられます。これは少々無理なのじゃないのかというぐあいに私は思うのです。
 そこで伺いたいのは、農業会議所や農業委員会はこれから先どういう働きかけをされるのか、そして加入者の確保の見込みについてどんなふうに判断されておるのか、その点伺います。
#57
○参考人(中村裕君) 先生おっしゃいますように、当然加入ですら未加入者がいるという実態はございます。精査しますと、いろんな形態があろうかと思います、事情もあって、確かにそうだな、入らなくてもやむを得ないというようなこともあろうかと思いますが、いずれにしましても、今度は任意加入でありますから、制度をきちっとやはり正確に伝えなきゃいかぬということがまずあると思います。それで選択をしていただくということがあると思います。
 ただ、今の制度では、これは後代負担でありますから、いろいろ意見が出ますように、後継者が減ってきます。これは農業者年金だけではなくて全体の年金がそうでありますが、保険料で支えるのは非常に無理になってきたというのが農業者年金で典型にあらわれてきたんだと思います。したがって、今度は自分の積立金で自分がもらうという制度に切りかえるということでありますから、そこに今、政策を入れるということで政策年金としていただくと、こういうことでありますので、今度は自分の掛けた保険料をいかに管理していただくかということが透明性の中でこれから確保されるということであれば、後代負担とは違ってやはり安心できるということになろうかと思いますので、我々はそこが一つのセールスポイントではなかろうかと。ほかにも年金はございますけれども、いわゆる政策が入っている、保険料に政策補助分がつくというのはこの年金だけでありますから、そこを大事にしながらPRをしていかにゃいかぬなと。
 ただ、目安でありますけれども、確かに役所の方から目安はこのぐらいではなかろうかと、今、このぐらい移ってこのぐらいではなかろうかという目安はあります。非常に難しい問題ではありますが、我々もつくっていただく以上はやっぱりすそ野を広げていかなきゃいかぬと思っておりますので、それこそ一人一人と話し合いをしながら入っていただく、加入促進をしてまいりたいというふうに考えております。
 一定の目標は持たざるを得ないだろうと思いますが、どの辺に置くか、これから精査をしてまいりたいということで今いろんな調査もしております。政策支援対象がどのぐらいになるのかということもいって調査もしている段階でございますので、いずれまたそういう目標を持ってやりたいというふうに思っております。
#58
○谷本巍君 もう一つ伺いたいのでありますが、これは中村参考人と上條参考人、同じ問題でお答えをいただきたいのです。それは、女性加入の問題であります。
 平成七年の農業者年金基金法の改正のときの大きな目玉となったのは、女性の加入に道を開いたということであります。ところが、加入の道を開いたが、平成十一年で見ますというと、三千五百人余りにしかすぎなかった、占める比重は五・三%でありました。これが年金財政の悪化に拍車をかけるという皮肉な結果を招いてしまいました。制度改正でさらに加入者が減っていきはしないかと思うのだが、この点どんなふうな見通しを持っておられますか。
#59
○参考人(中村裕君) 配偶者加入ができるということで、これは非常に評価もされましたし、喜ばれたわけでありますが、結果的には今先生がおっしゃるようなことになっております。
 一つは、これ先ほど申し上げましたけれども、保険料がかなり高くなって二人入りますと六万円を超すという保険料になってまいりますので、そういう保険料負担。一方、農家経済は下下がりでございますから、負担に耐えられないということがあるわけでありますが、今度は新しい制度になりまして、政策支援の幅を広げていただいて、保険料負担を軽減しながら幅広く入っていただくというようなことができないかということで我々は加入促進をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#60
○参考人(上條守人君) 農業者年金全体は、農業者が安心して農業に取り組み、また安定した収入が得られ、また後継者を確保していかなければ、この年金制度というものは永続できないような方向であるわけでございます。
 現状の農業者年金の加入という中でも、それぞれ国民年金への上乗せということでありますので、今、国民年金が一万三千何ぼ、農業者年金が二万四百四十円、一人大体一年に四十一万円、二人家族、女性まで入れると八十二万円というようなことで、今の農家経済の中で大変な負担で、加入促進はしておりますけれども、そういう方向の中で、なかなか女性の加入というのも難しい面もあるわけでございますが、それぞれ年金制度また老後というものを意識しながら、皆さん方から理解していただきながら加入促進を進めておるわけでございます。
 今後、そういうような方向で、政策支援というような形で、また配偶者加入ということで特例も設けて、これから制度の再構築というようなことで、相当我々、家族経営協定を含めて政策的な側面から加入促進を進めていきたい、こう思っておるところでございます。
#61
○谷本巍君 北参考人に伺います。
 先ほど北さんのお話の中で、定住年金制導入の話がございました。私は、年金制度というのは、ある意味じゃ農政よりももっと大きな影響力を農業、農民に持っているように思います。
 私自身がかつて嫁取り運動に取り組んだ時代、若い人たちと話をしてみると、最後に出てくるのは年金問題なんですね。役場に勤めていた人だって退職金何ぼもらいました、だれだれさんは今、年金これこれもらっていますよと、この話が出てくるんですね。最近は、似たような経験をしていますのは、大都市の生活者で農業をやりたいという皆さんとの話の中で出てくるのはやっぱり年金問題なんです。厚生年金と国民年金との違いが出てくるんですよ。
 つまり、年金問題を解決しないと日本の農業問題は解決できぬのかなという実感が私には長いことあります。嫁が来なきゃ子供ができないんです。それに、最近は都市からどんどん来てもらいましょうということでやっているが、決まって出てくるのが住宅問題、それから年金問題です。だから、ここのところをどう解決するかということが大事になってきたように思うんです。
 そういう意味で、先ほど北さんが言われた定住年金制ですね、これは非常に大きな意味を持つと思うんです。問題は、これは私自身の判断ですが、市町村を主体にしてやるんじゃなくて、国そのものがこれをやらなきゃしようがないんじゃないのかというふうに思うんです。
 省庁再編成で国土庁がなくなりましたが、国土庁の最後の遺言は何であったか。二十一世紀というのは都市の時代ではない、都市の空間から農山村の空間の時代にしていかなきゃならぬということを国土庁が言っておりましたが、まさしく今そういう時代なんですね。そのためには、あなたが言われた年金というのは自治体を主体としたものじゃなくて、もっと国、政府レベルのものとして考えていくべきじゃないかと思うのだが、その点どんな御意見をお持ちでしょうか。
#62
○参考人(北準一君) 今、私どもの後継者といいますか、私らの年代、戦中戦後、私は二十年ですからもうちょうどど真ん中ですが、我々の年代というのは、長男であるがゆえ、あるいは息子であるがゆえに農業、家業を継ぐのが当然と、将来がどうであろうと、これはそのまま来たということです。今は、私らの子供あるいは参入しようとする人は、すべて、年金の中身、将来どうなるんだという、そういう人生設計を描きながら選択するわけですね。とてもこういうひもじい年金で、それじゃ農業をやるか。
 ですから、離職者が農業参入という論議で、今そのことも女性も含めて基本法の中で論議されました。だけれども、これじゃ農業政策は解決できません。それは、ある程度年金が確立していて、余暇を使ってといいますか、離職後に農業というのは理想的なイメージとしてはある。それは年金があるからです。やはり農民における年金もそういう形が必要と。
 ですから、定住年金制度はもう一段、日本の農業あるいは今の観点での地域というもの、これは国がやるのが一番いいんですが、私は地方がそういうことにも足を踏み込んで、地方の動きとしてこうやって自分たちの町を維持、繁栄させるんだという一つの動きが全部国、国というんじゃなくて、そういう進めが必要でないかと。財源は、もちろんこれは国は責任持ちませんよということじゃなくて、やっぱりそういう手当てもして、地方がそういう振興策あるいは定住策を出していく。こういう一つの分権といいますか、そういう考えに基づいております。
 最終的にこれはどういう決定をされるかということは先生方や政治の判断でないかと思っています。
#63
○谷本巍君 先ほど北参考人は、年金の実態問題についての国民的論議を行うべきではないかという御発言をなさいました。そこで、北参考人と佐々木参考人の考え方を伺いたいと思います。
 今、農業者年金というのをどう受け取るべきなのかということでありますけれども、その一つは、老後保障とリタイア、これはもう制度それ自体の目的なんですから、これが一つありますね。それと、最近はもう一つ新たな問題が出てきているのではないかと思うのです。
 先ほどもちょっと触れましたけれども、農産物価格上昇の時代から低迷、下落の時代に入ってまいりました。そういう中で、地方回りしてみますというと、おれのところの村の米作収入と年金収入はバランスが崩れましたよという話が割と多いんです。米作地帯で米作収入と農業年金のバランスが大体今まで維持できていた、それが崩れ始めてきたという話が出ることがよくあります。つまり、そういうふうな話が出てくるということはどういうことなのかというと、米価が下がっていく、そういう状況の中で地域を辛うじて支えているのは何なのかというと年金ですよ、一番大きいのは。それからもう一つは公共事業です。ところが、今や年金と公共事業が引っ張られる時代に入りつつあるんです。こうなったら、農村経済はもちませんよ。
 そういう点等々を考えてみますと、年金がまさしく地域経済と地域社会を支える大きな柱になってきていると。言いかえるならば、年金あって家族農業があり、そしてそれがあって国土と環境と景観等々農業の多面的役割が果たせるような条件が確保されてきたというふうに私は見ることができると思うんです。
 ですから、所得政策と年金政策というのを並列的にとらえた角度で国民的な論議というのを起こしていかないとしようがないのじゃないかと。今、一番大事になっているのは、私はその点だろうと思うのですが、お二方、いかがお考えでしょうか。
#64
○参考人(北準一君) 先生の御指摘のとおりだと、私もそのように思っております。
 昨年から中山間支払い制度ができまして、北海道もおよそ十二年で三分の二ぐらいの市町村が取り組みましたけれども、三分の一は取り組んでいないと。農業農村地域をどんなように維持発展させるかということで、先生もいろいろ議論されてきたと、私、基本法の中でそのように思っておりますけれども。
 所得、所得といいますか、農業を維持させる、これはそこで生計が成り立たないかぬわけでありますから、おっしゃられたように、もう価格政策ではなくなった。所得政策をどう組むかと。まさに今WTOの交渉といいますか、次期協議をどうするかという問題ですけれども、そことの整合もある。そこは所得の仕組みというものをもっと明確にして、農業の部分ではこの程度であると。
 あとは、協定上認められ、国民がきちっと理解できる方法は何かという、この論議をもっともっと詰めれば、今先生がおっしゃられるように年金というものは非常に大きなウエートを持っていると、このように思っております。それを、国、地方と。これ保険制度もそうですよね、共済制度も。これと同類にはなりませんが、そういうシステムをつくって地域の農業を維持していく、維持ということですよね。農業で甘えるとか、そういう問題ではございません。
#65
○参考人(佐々木健三君) 今、農協の総会の資料なんかを見ますと、農業者年金だけではございませんが、ほかの農産物の売り上げよりも年金取扱高が一番多いというのが、もう例外なく農協の決算書に出ている状況であります。したがいまして、今、農村の中で年金がどれほど経済を潤し、地域社会に役立っているかというのは、もう言うまでもないというふうに思っています。
 そして、年金にお金をつぎ込むことがややもしますとむだなんではないかというふうな議論もありますが、それは大きな間違いだというふうに思っています。大体、年金をもらっているお年寄りは、このお金を大変大事に使って、孫の入学祝いや、あるいは病院に行くときのいろいろな費用にするとか、これは全部地域経済に反映しているわけでありますから、私は何か年金にお金を出すことが大変後ろ暗いような話はやめてほしいというふうにさえ思っております。
 ですから、今この農業者年金の存在というのは、単に農業者だけの問題ではないということは先ほど来話しているとおり、地域にとっても大変大事な内容だというふうに思っております。
 以上です。
#66
○谷本巍君 終わります。時間があと一分半しかありませんから。
#67
○岩本荘太君 無所属の会の岩本荘太でございます。
 きょうは、参考人の皆さん、大変御苦労さまでございます。私、最後でございますので、ひとつよろしくお願いをいたしたいと思います。
 今までいろいろお話を聞いておりまして、大変勉強になりまして、実はきょう恐らく採決になるんでしょうけれども、私の気持ちはまだ揺らいでおりまして、きょうお聞きしたこと、あるいはこの先の議論を踏まえて私なりに判断をしていきたいなと、こう思っておるんであります。
 この問題につきましては、私もかつて農林業の担当をしておりましたんで、今でもこういう問題になりますというと、県サイドからとかいろんな陳情ばかり受けまして、それが中央会の指令ではないかなということは申し上げませんが、どうしてもそういう中で、先ほど谷林さんが言われましたように、もうしようがないんじゃないかなというようなことで象徴されているような、何か本当のところがなかなか見えづらいというのが今現状でございまして、そういう意味で、私は非常に揺らいでおるのが現実でございます。
 それともう一つ、先ほどもちょっと出ましたけれども、私、この問題の基本的なところは、いわゆる少子高齢化社会を迎えるこれからの社会で、当然改革をすれば痛みは生じるわけですけれども、その痛みをどうやって平等にみんなが分かち合うかと、その辺、国民の皆さんが納得するようにいかに持っていけるかということがその基本だと思いまして、そういう枠組みの中であれば、その中で議論をすると。
 したがって、今の議論というのは、どうしても何かその枠組みについて、これは実は私、去年、おととしですか、公的年金の改正案が出たときに、代表質問で、この問題は、こういうもう枠組みの問題は総理だから、総理がどう思っているかということで質問をしたことがあります。それで、そのときの論拠は、要するに財政改革をすると言っていながら凍結したと。そのときに財政改革の一つとしてこれが入っていた。入ったにもかかわらず凍結したんだから、それは当然これもほかのものと一緒に議論すべきではないか。にもかかわらず、年金の問題だけ取り上げて議論をするというのは弱い者いじめではないかというようなところで申し上げたんですが、当然ながら、時の総理大臣からは明確な答弁はなかったわけでございます。
 しかし、現実は動いているわけですから、一つの枠組みの中でどうしたらいいのかという御議論、これは公的年金、国民年金の方につきましても、厚生省はその枠組みの中で一生懸命頑張られたと思いますし、今回もその枠組みの中でということでは私は評価しないわけでもない。ただ、基本的には、今申しましたように、大きなところでしっかりとつかまえて、そのときに改正すべきであればすぐに、即座に改正するというような、そういうやり方でないといけないんじゃないかなと。こういうことを午後でも、私、質問、少なくとも閣僚である大臣にはそういう覚悟を持ってもらいたいということで御提案申し上げようと思っているんですけれども、そういう認識でおります。
 したがって、そういう大枠は別としまして、今いろいろお話お伺いしまして、いろいろ私も勉強させていただきましたけれども、レクチャーなんかでおいでになるときによく申し上げるんですが、どうもこれが本当に年金と呼べるのかなというような気がしてならないわけでして、年金であれば、先ほどもどなたか申しておられたと思いますけれども、老後の安定した生活を保障する、そのために働いているときに将来はこうなるんだということで選択して、自分のいい年金を選んで、それに入って努力をするという代物だろうと思うんですが、これは一つには政策支援というのが入っているわけですね。
 この政策支援というのが、これは担い手を育成するためにいろんな手段があって、これの是非というのは、マイナスではないでしょうけれども、ある程度のプラスはあるんでしょうけれども、そういう意味では全く否定するわけではないんですけれども、政策支援となりますと、時代とともに変わるんじゃないか。同じようにずっと今のこのやり方で、例えば担い手にしても今は少ないから多くしようと、じゃ多くなったらどうなるのか、政策支援は要らないんじゃないのかというようなことで、非常に動くんじゃないかなという、そういう動く要素のあるものをこういう年金というものに入れるということが、本当に安定した将来の老後の生活を期待できるというものに合致するのかどうか、その辺の非常に疑問がございまして、その辺、どんなふうな期待を持っておられるのか。また、こういう政策支援に対してどのようなとらえ方をされているのか。四人の方からぜひ、中村参考人からお話を伺いたいと思っております。
#68
○参考人(中村裕君) 先生のおっしゃいますのは、あるいはこの年金の目的がどうなのかということなのかもわかりません。
 今度の年金は、担い手の問題に集中をしておりますが、この担い手の問題は、過去もそうですが、将来も動かない問題ではなかろうかというふうに理解しております。といいますのは、法人問題もありますけれども、先進国を見ましても大体農業は家族経営が中心であります。したがって、これが続くと思いますし、これがやっぱり背骨になってくるんだろうというふうに考えております。
 そういたしますと、生涯所得の問題もありますが、選択肢として農業を選択するときに、やはり年金、しかもこれは事業主負担がありませんので、そういう意味では今度の政策支援は、サラリーマンと比べてみれば事業主負担の分というふうに考えておりますし、そういうふうに加入者も受けとめるだろうと思います。したがって、そこでは、経済状況も踏まえて、事業主負担というような考え方でとらえるべきであろうというふうに思っております。したがって、そういう評価ができます。
 また、そういうふうにしなきゃいかぬ、考えなきゃいかぬと思っておりますので、政策がその都度変わるという、担い手では、これだけが担い手対策ではありませんけれども、年金はやはり担い手対策が根底に流れているんだろうと、過去も将来もそういうふうに私は理解しています。
#69
○参考人(上條守人君) それぞれ、将来、不透明な中で、確実にまた自分の積み立てたものが自分の将来の年金になるということで、よい制度だと考えておるわけでございます。
 また、この新制度では、一生懸命農業を営んでいるときに保険料による助成があり、また助成額を年金化するときに経営継承が必要となりますが、これまでのような年齢制限がありません。言いかえると、本当に農業をやめるときに経営継承ができるということです。我々農業者は定年退職の年齢がありませんので、元気なうちは現役であるという気持ちが強く、自分の都合によって引退が決められ、引退後には政策支援分の年金がもらえるということで、新制度についても農業者の現状に合った画期的な手法だと考えておるところでございます。
#70
○参考人(北準一君) この政策支援についてなんですが、北海道の状況を申し上げますと、今四万五千の年金受給、あるいは受給権者ですね、そういう中で、移譲型を受けられる権利を有している人が三万五千ということですが、実際移譲年金としてどれだけいただいているかということは私も数字はつかんでおりません。
 実質、この政策支援としての年金といわゆる人格、人権、老後保障としての年金というものがここで混同していいのかというのが現場に今起きていると。それは実態的に、例えば今改正案で就農者あるいは若い人への政策支援、これが経営継承、移譲した場合に有効になる。そうできない場合はそれは効果を持ちませんと、いわゆる年金として成らないという、不確定型といいますか、海のものとも山のものともわからぬということですから非常にこれは不安定、先生ありましたように、本当にこれは政策がいつどうなるかということなんですね。ですから、ここは非常に危惧している。あるいは、これだけ北海道でも耕作放棄地が三万ヘクタール出ている。こんな状況ですから、非常にそこら辺の実態がどうなるか危惧いたしております。
 それから、政策とした場合には、私どもはもう政策支援であろうと移譲年金であろうと生涯の年金として受けとめていますから、ですからそこにギャップがあるわけですね、現場と。ですから、私ども年金として受けとめて、これだけもらえるという確証と、何といいますか、契約といいますか、そういう約束の中で受けとめていますから、当然これはそういう権利、財産権だとかそういう法的な部分にも抵触するんではないかと、こうとらえているところです。
#71
○参考人(佐々木健三君) 政策支援という点では、私はやっぱり大いに必要だというふうに思っております。
 今度の提案の中での問題は、認定農業者や青色申告という選別をするという点に非常に問題がありますし、農業をやりたい者は全部対象なんだというふうにするのが原則だというふうに思います。
 それともう一つは、問題は、農業者年金が、いろんな改善をしながら、結果的にこのことによって農村が元気になって、後継者が育って、そして新農基法でも言っていますように自給率が上がるという、そういう実効がなければ意味がないわけであります。そういう点では、私、世界の農業支援や年金、あるいは後継者育成、そういうものも含めてもう一回根本的に検討し直す必要があるというふうに思っております。
 諸外国では非常に手厚い後継者支援もやっておりますし、そして農業問題についても非常にしっかりとした方針を持ってやっている。その点で、先ほど来私申し上げておりますように、非常に我が国の場合は手薄い、不十分だというふうに思っておりますから、支援についてはむしろ大いに工夫しながらやっていくことが大事だというふうに思います。
#72
○岩本荘太君 私も支援が必要ないという意味ではございませんで、流動的な要素のあるもので本当に年金として皆さんなじんでいかれるのかというような疑問を持ったわけでございます。
 先ほど中村参考人、大変結構な御答弁で、事業主負担であると。これがもしレクチャーのときに、そんな話でもあれば、また僕はもう一つ突っ込んでやりたかったんですけれども。
 要するに、ただ、事業主負担ですと、これに該当しなかった人というのは、会社で言えばアルバイトだという理解になっちゃうわけですね。そうすると、結局この年金制度というのは、本当に条件の合った、政策支援できる人だけのものかなというような感じがちょっとしてくるんですが、これは午後のいろんな質疑の時間がありますので、いろいろその場でお聞きしたいと思うんですけれども。
 ただ、当然、支援を受けない非対象者もおると思うんですが、それともう一つ、そういう人を対象とした国民年金基金ですか、みどり年金というのがありますね。あれとの競合といいますか、あれとの比較がこれから出てくると思うんですね。そういう場合、向こうは厚生省ですか、担当が。こちらは農林省というようなことで、縦割りの弊害がなければいいなと思うんですけれども、そういうみどり年金との関係はどんなふうにとらえておられるか。
 これは、中村参考人、実際担当だと思いますし、あと、加入される側として北参考人、もし代表としてお答え願えればと思うんですが。
#73
○参考人(中村裕君) 今、みどり年金との関係はどうかということでございますが、まず違う点は、政策年金、農業者年金は政策年金として政策支援がある、向こうにはないということですね。
 それと、向こうは確定給付型でございますから、そういう意味で、我々が今までたどってきたようなことで、我々は確定拠出に変えていくということなものですから、その辺で将来的にどうなのかなと。必ずしも安定はしているかどうかと。これは後代負担でありますから、やはり利率が下がれば保険料に負担をということになろうかと思いますので、そこでつっかえて、こういうふうに我々は制度を変えてもらいたいというふうなことをやっていますので、その二点ですね、政策支援の問題とそれから確定給付、拠出の違い。問題は、将来どう見るかという問題ではなかろうかと思っておりまして、我々はむしろ新しい農業者年金制度の方が有利ではないかというふうに考えております。
#74
○岩本荘太君 今はつくられた側だと思うんですけれども、加入される側から見て、みどり年金との関係、もし何かおわかりになりましたら。
#75
○参考人(北準一君) 私どもの近隣ではみどり年金に加入しているというのは余り事例、事例といいますか、積極的でありません。ありませんが、この機会といいますか、それでどうなんだという判断はいろいろされてくるんだろうと思っております。
 いずれにしても、農業者年金もみどり年金も含めて、いわゆる老後保障、社会保障の仕組みとしてきちっと制度的に位置づけているわけでありますから、どちらが有利でどちらが不利だとかという、そこはこの後、委員会も努力されていろいろ推進していく中で、いろんな当事者としての判断のところにみどり年金というものも出てくるのかなと、こんなようにとらえています。
#76
○岩本荘太君 中村参考人が言われた政策支援ですか、それと確定型だというようなお話を伺ったんですけれども、どうもいろいろ説明をお伺いしてもはっきりしないんですね、どっちが有利なのか。要するに、今回の改正では三%の利回りで考える、みどり年金は四%で確定しているというようなお話なんですが、それは四%も変わるんでしょうけれども。要するに、比較のしようで、仮定のしようで幾らでも変わってくると。そうした場合に、現実にどちらも対象者になっている、例えば農家の御婦人を初めとして、そういう人たちは、今後こういうものができてもどちらに入っていいかの判断というのが非常につきづらい。
 年金というのは、大体私の認識では、おまえ今幾ら払ったら将来、何歳からこう来るんだよという明確なあれがあって選択しますよね。そういう面で非常に何か不安を感じるものですから、その辺の対応、今お話しいただければ結構ですけれども、その辺の対応をよろしくお願いしたいと思います。
#77
○参考人(中村裕君) 先ほど一点落としていましたのは、農業者年金はさらにこれ事務費負担もあるものですから、みどり年金は全部自賄いということがありまして、その辺の有利さはあろうと思いますし、それから政策支援につきましては、我々も今どのくらいが対象になるか調査をしておりますし、できるだけ、青色申告も税制から見ましてもこれから必須になってまいりますので、認定農業者になるような、この政策支援に全員がなれるような算段を農業団体としてもやっていかにゃいかぬというふうに考えております。
#78
○岩本荘太君 どうもありがとうございました。
 終わります。
#79
○委員長(太田豊秋君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の方々に一言御礼を申し上げます。
 本日は、御多忙のところ当委員会に御出席をいただきまして、貴重な御意見を拝聴させていただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げるものであります。ありがとうございました。
 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
   午前十一時五十二分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
#80
○委員長(太田豊秋君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。
 この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、羽田雄一郎君が委員を辞任され、その補欠として佐藤雄平君が選任されました。
    ─────────────
#81
○委員長(太田豊秋君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 農業者年金基金法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に農林水産省経営局長須賀田菊仁君及び同農村振興局次長佐藤準君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#82
○委員長(太田豊秋君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#83
○委員長(太田豊秋君) 休憩前に引き続き、農業者年金基金法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#84
○谷林正昭君 民主党・新緑風会の谷林正昭でございます。
 百分の割り当て時間がございます。私の方で四十分間先にやらさせていただきまして、あと筆頭理事の郡司先生の方からやらせていただきますので、大臣そして副大臣、ぜひ、私初めてでございますので、少しお手やわらかにお願いしたいなというふうに思います。
 実は、午前中、参考人質疑がございまして、そのときに、私、国会に出てきまして初めて私の素性を明かしました。
 私、国会に出てくる前まではトラック運転手をしていたということで、その話しかしておりませんでした。ところが、午前中、参考人の皆さん方の、まさにもう政治家以上に将来の農業を心配したり、あるいは本当にこれで大丈夫か、こういう思いを切々と述べられました。思わず私は反省し、実は私はということを言わせていただきました。
 それは、町中にあって、周りが全部住宅地でありました。そこに私のところの田んぼだけが実は千坪ほど周りの家の中にぽつんとありました。その千坪の田んぼをじいちゃんが一生懸命馬を使って起こして、そして、もちろん手で田植えをしながらやっておりました。父親はトラック運転手でしたので、なかなか家に帰ってこない。私はその手伝いを実はやりました。
 ところが、午前中も言ったんですが、そのときはまさにその手伝いがもう嫌で嫌でたまらない。それは、小さい体で一方で肥おけを担いで、そしてひしゃくで人ぷんを、肥を田んぼにまいて、そしてそこへはだしで、素足で入っていろいろ作業をする、こういうことを実は小さいときにやりまして、田んぼ、農業というのはもう本当に嫌で嫌でたまらない思いを実はしたわけでございます。
 大火でその地域全体が火事で燃えまして、私の家も燃えました。そのときに、もちろん田んぼも燃えたんですが、都市計画でその田んぼが公園に変わりました。私はほっとしたと言ったら、これはうそじゃありません。田んぼをこれでしなくてもいいなと、実はこう思ったわけでありますが、そのときの思いを、先ほど午前中、何てことを思ったんだろうなと思って反省をしました。
 やっぱりこれからの日本農業、食料、そこに携わる人たちをもっともっと大切にしていかなければならないのではないか、それが日本を支える一つの大きな柱になるのではないか、こういう思いで実は午前中質問させていただきました。
 そういうときに、大臣が二十四日の日に述べられましたけれども、この年金改正法に当たりまして、これまでの政府の考え方、国の考え方を大事にしながらも、もう一つしっかり反省をすることが大事だと、こうおっしゃいまして、おわびの言葉も述べられました。私は非常に真摯な態度だなというふうに思いました。
 そこで、ひとつ大臣に質問といいますか、思いを聞かせていただきたいんですが、この年金制度がなぜできたかということを少し勉強させていただきましたところ、佐藤元総理が、まさに農業者の皆さんにも恩給を出さなくてはならないのではないか、あるいは農業者の方に恩給をというその公約がきっかけでこの制度が考えられたというふうに聞きまして、思いは違うのかもわかりませんが、私のその話を聞いたときの思いは、恩給というのは、国のためにまさに命をささげ国のために頑張った、そのまさに御恩に報いるという意味でそういう制度が必要だというのも、恐らく佐藤元総理のお気持ちだったのではないかなというふうに勝手に私は判断をいたしました。
 そういうときにあって、その年金制度が佐藤総理の思いのようなことでこれまで進められてきたか。私は、一方では進められてきたというふうに思いますし、午前中の参考人の皆さんのお話を聞きましたら、老後の安定、そして老後の不安を少しでも取り除くということのためには役に立っているのだなというふうに一方では思いました。
 ところが、今、これから話をされようとしている政策的な問題、課題、こういうことを考えたときには、この佐藤総理の気持ちは十分果たした、そしてこれからのことを考えたときには、もっと別の意味で新しい大臣がおっしゃる農業の構造改革、こういうものをやっていくときには、これまでの年金という考え方と新しい制度の考え方、これは逆に言えば二十一世紀にはもっともっと新しい考え方で農業を担う担い手、若い人たちのやる気を引き起こすというものが大事ではないかというふうに思いますので、ちょっとくどくなりましたけれども、この農民に恩給をという佐藤元総理のお気持ちと、今大臣が思っておいでになる二十一世紀に向けてのそういう制度、年金というものの考えをお尋ねしたいなというふうに思います。
#85
○国務大臣(武部勤君) 佐藤総理が農業者の皆さん方に、国家国民のために働いている、そういうような明確な認識のもとで恩給というようなことを語ったかどうかは定かではありませんけれども、しかしながら、農業の持つ重要性という考え方からいたしますと、特別な思いというものを持って、農業の重要性というものをさらに広め、また、農業の担い手というものに対して国を挙げて国民的にみんなでこれを評価していこう、そういう仕組みが必要なんだという考えがあったであろうということは私は想像できるといいますか、そういう思いを感ずることができると、かように思います。
 このことにつきましては、私も先般来申し上げておりますように、農業というのは他の産業とは違うという、そういう認識が国民の合意の上でなければならないなということと同時に、やはり新しい基本法で示すところの食料の自給率を将来的には五〇%に、基本計画で示す四五%に、何とかそこに向けて努力していこうということになりますと、一面、やはり産業政策として四五%達成に向けた構造改革ということがこれは避けて通れない、かように思います。
 同時に、農業を生きがいやあるいは健康という目的でこれからやりたいという人もありましょうし、また、太陽の光をさんさんと受けながら、老いてますます盛んといいますか、老夫婦仲よく畑に出て野菜をつくり、そして米をつくって、私の知る親戚の者も自慢げに米を送ってきたり、あるいは野菜を送ってきたりしてくれます。
 そういうことは、やはり人間が自然界の一員であるんだ、農業あるいは農山漁村と人間社会というのは、今にして人と自然との共生というようなことをうたっていますけれども、もともと、それは今にして言うべきことじゃなくて、そこに原点があるんだというふうに私ども認識しているわけでございます。
 しかし現実問題、見てみますと、特に農家の奥様方の過重労働とか、それから農村における少子高齢化という問題で、足腰の強い後継者がなかなか定着しないという問題などを考えましたときに、やはり一方において生産性の高い農業を実現していかなきゃならないし、また一方において、他の産業に負けない、むしろこれを超えるシステムというものをつくり出していかなきゃならないし、なおかつ農山漁村に対して多少このごろは見方が変わってきていると。これは私は決していいことではないと、都市と農山漁村との間の対立関係。何か過保護論が台頭してきているということは、これを打開していかなきゃならないなと。
 国民の合意によって農業の多面的機能というものが理解される、そういう運動を展開していかなきゃならないなという、そういったことを総合的に考えますと、農業者年金のあり方ということもこれはさらに積極的に取り組んでいく必要がある、こんな考え方でこの農業者年金制度の改正ということに我々は取り組んでいる所存でございます。
#86
○谷林正昭君 大臣の考えをお聞かせいただきまして、農業者年金をこの後、新しい制度を導入していく、こういうことでございますし、それを今検討している、審議している最中だというふうに思いますし、新しい制度を審議するに当たって、やはり過去の反省あるいは現実の反省、あるいは現実の掌握、こういうものが大切になっているというふうに思いますので、端的にお尋ねいたします。
 現行制度、昭和四十六年以降、導入した後、まさに国費投入が一兆九千億に上っております。この一兆九千億の国費投入に対して、まさに政策的にその費用対効果があったとお思いになるのかどうか。これは、これまでそういう明確な資料だとか数字だとかというのはなかなか難しいかと思いますが、大臣のそのすばらしい直観でお答えいただけたらなというふうに思います。
#87
○国務大臣(武部勤君) 今、先生御指摘のように、費用対効果を定量的にとらえるということはなかなか難しいんじゃないか、かように思います。
 しかし、非常に社会経済変動が著しい中で、経営移譲により維持された多面的機能の評価額ということを推計すれば、約一兆三千億円ぐらいではないかと、事務方はそのようにそろばんをはじいております。また、高齢農家と経営移譲を受けた農家の米の単収の差に着目いたしまして、経営移譲による生産増大効果を試算すれば、これは約八千億円であって、二つの合計だけでも二兆円となるというふうな、これも事務方のはじき出した数字でございます。
 しかし、私は、それ以前に、これだけのいわばお金を使ったということで、農家の老後の生活の安定という直接的な効果も、これは非常に定量的に測定するのは難しいとしても、相当大きなものがあったということは間違いなく言えるんだろう、かように考えまして、費用に照らして遜色のない効果があったということは断言できるんではないかと、かように思います。
#88
○谷林正昭君 費用対効果の話は、二・一兆円に上るというような話でございまして、そうすれば一兆九千億投入してもよかったなということになろうかというふうに思いますが、果たしてそうだろうかというふうな話をこれからさせていただきます。
 それじゃ、大臣にまた単刀直入にお聞かせいただきますが、この三十年間にまさにその政策効果があったかどうか、お尋ねいたします。
#89
○国務大臣(武部勤君) 本制度は今日までに、いつも申し上げておりますように、九十八万人に対して三兆八千億円の年金を支給するという意味では農業者の老後の生活の安定に随分寄与したということが言えるかと思いますし、三十歳代前半の後継者を中心に八十七万件の経営移譲が行われるという意味では農業経営の若返りという面で非常に評価されるべきだと、かように思います。
 しかも、百五十七万ヘクタールの農地が細分化されずに後継者に継承された、また十五万ヘクタールの農地が第三者に移譲されるなど、農地の細分化の防止、規模拡大にも寄与してきた、かように言えるのではないかと存じます。
#90
○谷林正昭君 一つは、経営移譲がスムーズにいったその原因は、農地が分散しないで済んだ、こういうようなことになりますが、私も昭和二十一年生まれでございまして、兄弟は少なかったものですから県外へ行く人はいませんでしたけれども、高校を卒業した同級生、これはほとんど県外へ行きました。元気で頑張れよ、帰ってくるなよといって送り出されたんですね。
 ほとんどが農家の次男坊、三男坊でございまして、長男が農業を継ぐという構図がそのときできたような気がいたしますが、もしそこでこの年金制度がなかったとしたら、今のような農業形態になっていたと思いますか、それとももう少しよくなっていたか悪くなっていたか、これも直観でひとつお答えいただきたいと思います。
#91
○国務大臣(武部勤君) やはりこの制度がなかったならば、私は、かなり農村は荒廃していたんではないかと、このように思います。
 私は北海道でありますから、特に食料供給基地という、そういう使命感を持って今も頑張っております。もしこの制度がなかったならどうだったのかなということになりますと、北海道における単純な離農というものは相当続いて、そして耕作放棄地なども続出して、かなり荒れ果てた姿に変わっていったんではないのかな、そんな感じを持っております。直観でということでなくて、むしろ現実問題、実際を見て私はそのように感じます。
#92
○谷林正昭君 これ以上荒廃していたんではないかと。私もそう思いたいです。思いたいですが、今もすごく荒廃しているというふうに私は思います。
 それは、単なる農地の荒廃だけではなくて、あるいは農地の放棄だけではなくて、やはり先ほど大臣が一番心配されました都市と農村との意識の変化。国民はなぜ農業だけを、農村だけを優遇するのかという、これも一つの大きな荒廃につながっているんではないかなというふうに思いますし、現実の農地、森林、こういうところについても非常に離れていくというものは、それは現実に作業が離れていくということではなくて、心も離れていっている。非常に憂慮すべき今事態になっている、そういうふうに指摘をさせていただきたいというふうに思います。
 一方では、後継という問題がございましたが、残念ながらこの制度が、現行制度ができましても、経営移譲の相手が、サラリーマンが六十数%に実はなっております。せっかく移譲して、年金制度を活用して、農業を目指してもらいたい、もっと専業化してもらいたいという、政策としてはわかるのでありますが、現実に経営移譲をされた方は厚生年金に入っていて、そして将来も厚生年金で頑張られる、そういうような方々に六十数%が移っている、この現実をどうとらえておいでになるか。
 一つ気になったのは、二十四日の同僚議員の郡司理事の、女性の働き手に対しての質問の中に、大臣のお答えの中に、将来はいろんな意味でほとんどは厚生年金に変わっていくだろう、こういうことをおっしゃいました。えっと思いました。
 そういうこともありましてこの質問をさせていただきますが、サラリーマンに経営移譲していく、土地が移っていく、その人たちはサラリーマンをしながら日曜と土曜に、連休に農業をしながら頑張られる、そういう農業の将来像を目指しているのか、政策として。一方では、そうではない、もっと大規模な農業で、そういう片手間と言ったら失礼かもわかりませんが、それじゃなかなか農業は発展しない、国民の理解も得られないというふうに思っておいでになるのか。
 そことあわせて、政策年金ということと厚生年金とのかかわりを少しお聞かせいただきたいと思います。
#93
○国務大臣(武部勤君) 先生の質問をお聞きしておりますと、私どもも党内ではさまざま議論がありまして、今、大臣という立場と一政治家という立場と多少、というよりもかなり考え方にそごがあるということを率直に申し上げなければなりません。
 ただ、私は、サラリーマンが休みを利用して田植えなどができるようになったというのは、これは本当にすばらしいことだと思うんです。それは、道路ができ、さまざまな公共事業が行われて都市と農村との距離が縮められたということが一つ言えると思いますし、農業の機械化を初めとする近代化によりまして、本当に田植えなども一日か二日やれば自分の田んぼぐらいできると、そういうふうな状況になってきたと。それから、草取りもそんなにしなくてもいいような農薬が開発されたとか、そういうことは私は非常にいいことだと思います、一面。
 それはそうでなければ、やむを得ず離農して、村を離れて働く場所に移動して、移って、そこに移り住んで仕事に専念しなきゃならないという方々が、やはり農業を忘れずに、農業に親しみつつ、作物をつくることの重要性を認識しつつ、自然とともに生活ができる、そういう環境をつくったということは、私はこれは戦後の政治の上で非常に大きな効果といいますか功績を残した、こう思っております。
 ただ、一面において、国際競争力だとかそういう問題を考えますと、土地の集積がなかなか思うようにいかない、そのうちにだんだん都市化が拡大していきますと農地の値上がりを期待して農地を手放さない、そういうような問題も現実にあるんじゃないかと思うんです。
 ですから、今後は私どもは、そういう今までのような農業に親しみながら自分の別の勤めも果たしていくと、それも可能であり、なおかつ、今までサラリーマンをやっていた人がリタイアして、そして農村に帰ってくる、こういうことも可能にし、さらには家族そろってピクニックやハイキングに行くような感覚で家庭菜園といいますか、ガーデニングをやるというふうなことも可能にする。そういう生きがいだとか健康だとか、あるいは環境保全型農業とか、そういう最近の新たなる農業の価値観というものが私は存在するし、それはますます重要になると思っております。
 しかし、やはり食料の自給率向上といいますか、食料の安定供給という観点からいたしますと、セーフガードなども、これは国際ルールで認められてはおりますけれども、やはりこれだって限界があるわけです。
 そういうことの前提に構造政策ということがあるわけですから、やはりもっと効率のいい、規模の拡大も可能な、しかも単なる一次生産だけじゃなくて、生産から加工、流通、そういうマーケティングまで考えて、田んぼをつくって米をつくってそれを売るだけの利益じゃなくて、そこから派生してくるさまざまな分野での所得の増大といいますか、そういったことも今後視野に入れていかなくちゃいけない。
 そういう過程で、今までのような家族経営に頼りますと、勢い主婦に責任がのしかかってくるというようなことを考えた場合には、そういう家族経営もサポートするような法人があってもいいじゃないか。そして、法人経営ということにおいて、この年金制度も厚生年金等に移行していくということが当然行われてしかるべきでないのかなと。しかしまだ、現時点でどうかというと、そのことは確実に想定して、将来は法人化して厚生年金にみんな移っていくんだというところまで私はなかなか断定するのは難しい。いずれはそういう方向に行ってしかるべきだと思います。
 しかし、現状においては、本制度を今国会に提案させていただいておりますような内容に改正をいたしまして、我々はここで農業の構造改革という面でチャレンジしていこう、こういう考え方で審議をお願いしている次第でございますので、御理解をいただきたいと思います。
#94
○谷林正昭君 実は、午前中に参考人になられた方が北海道から来ておいでになりました。その方が昼食を食べながらぽつりと言われました。サラリーマンで連休だとか土、日に農業をできる人はうらやましい、一町歩か二町歩をつくって農業だと言われる人がうらやましい、今、北海道は規模拡大をして、もう挫折をしながら、あるいは挫折をしそうになりながら頑張っている、谷林さん、そういうこともわかってくださいと。北海道の農業と北海道以外の農業を区別するというわけにはいきませんけれども、北海道はその規模拡大ということに突っ走ってきた、その突っ走ってきた人を今途中でもう殺しそうになっている、その辺も考えてください、こういうふうに言われましたことも物すごく印象に残りましたので、この場で将来の政策のために申し述べさせていただきます。
 済みません、ちょっと具体的な年金の話に入らせていただきますが、過去七回の財政再計算が行われております。ところが、その実績と見通しが全く大きく乖離をした、それが一つあったと思いますし、その時々で将来への破綻の不安といいますか、破綻が予測されたのではないかというふうに指摘せざるを得ません。この点についてどうお考えでしょうか。
#95
○国務大臣(武部勤君) 先日も申し上げましたように、過去の財政再計算における見込みと実績の乖離は、農業構造の大きな変化、低金利情勢等さまざまな背景があったとは思いますが、また農林水産省としても、その都度制度改善を試みてまいりましたけれども、結果的に見れば、もう先生御指摘のとおり、見通しが十分ではなかったという面があったことは間違いない、そういう認識をいたしております。
#96
○谷林正昭君 そうなってきますと、やはり新しい制度に移るときに、こんな言い方したら失礼ですが、もう一方の柱であるしりぬぐい政策といいますか、将来にわたって今受給されている方々を保障するということになるわけですが、それに当たって九・八%の削減を今提案されている、平均ですが、そういうことになるわけでございますが、なぜもっと早く手を打たなかったのかということになります。打てたはずだと、私はそう思います。
 なぜ打たなかったのかという、その理由があればお聞かせいただきたいと思います。
#97
○国務大臣(武部勤君) 農業者年金制度の制度設計と運営については、厳しい財政状況のもと、給付体系の見直し、追加的な定額国庫助成の実施、加入資格の拡大等、その都度最善の努力をしてきたとは思いますけれども、農業構造の大きな変化が進む中で、これまでのような制度改正では年金財政の破綻を免れることは到底なし得ないとの認識に至り、今回抜本見直しをした次第でございます。
 どうしてもっと早く手を打たなかったのかということについては私も全く同感でございまして、これはやはり行政の怠慢であったということを認めざるを得ないと思います。
#98
○谷林正昭君 まさに農政の怠慢、責任の所在をはっきりしなければならないというふうに受けとめさせていただきます。
 財産権の侵害問題については郡司委員の方からやっていただきますので、一つ通告してあるやつを飛ばしまして、それじゃ、原因、要因の方は何回も答弁をされておりますから少し飛ばしますが、責任の明確化について少し御議論させていただきたいと思います。
 実は、農業者年金基金の前理事長が平成七年の七月に退職をされました。このときは、一番大きくこの年金制度が揺らいだときだというふうにお聞きしました。そのときにおやめになった。そのときの退職金が二千百万円余り、給料が年間二千万というふうに聞いておりますが、こういうこと一つとりましても、すんなりその給料が渡って、すんなり退職金が四年間勤めて二千万ということになりますと、一方では、今JAとか国の施策を信頼して掛けておいでになった方々が、え、どうして、というふうなことに九・八%ということになればなるわけでございまして、この責任を私は少なくとも明確にして、信賞必罰というものが今必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#99
○国務大臣(武部勤君) 年金制度については逐次制度改正をやってきたということと、それから、農業者年金基金はできる限りの努力を払ってきたということは認められるんだろうと思うんです。
   〔委員長退席、理事岸宏一君着席〕
 しかし、十全でなかったという意味では怠慢だったというふうに私は認識しておりますが、役職員の給与や退職金云々ということよりも、新制度の定着に努めることがその責務を果たす最も大事なことではないかと、かように考えております。
#100
○谷林正昭君 大臣、それは少し甘いんじゃないでしょうかね。もう破綻してしまった。しかもそれが平成七年度時点から相当心配されていた。そして、新しい理事長になった。その理事長のもとで再建を頑張った。しかし、それがだんだん悪くなってきた。そして、新制度も新理事長のもとで、あるいは同じ機構でやるということになってくると、税金を使うという一方ではそういう話もございますし、この後、それを信頼して加入される方、今度は当然加入ではありませんから、任意加入ということになりますから、よっぽどの信頼がなかったらこの制度はスタートできないんではないかというふうに私は指摘をさせていただきたいというふうに思います。
 そこで、今度の新制度について少し、時間がございませんので端的にお尋ねをしていきますけれども、今後どれぐらい政策支援という形で国費を投入されていくのか、お聞かせください。
#101
○国務大臣(武部勤君) 今、先生、さらに強く追及をされなかったということで私どもも少しほっとしているような気持ちもいたしますけれども、ただ私、あえて申し上げたいと思うのは、責任問題についてはそれなりに努力していたんだろうと思うんです。しかし、トップに立つ者として、そんなことで国民の目から見て許されることかということになれば、私は、怠慢ということは免れないと、こういうことを申し上げた次第でありまして、したがって、新制度が定着した後には、過去の反省に立ちまして体制の一新を断行しなければならない、それ以上の責任は負ってもらわなければならない、こういうような考えであることもつけ加えたいと、このように思っております。
 また、今後どのくらい新制度の政策支援に国費を投入していくのかということでございますが、仮に十三年度予算で見込んだ対象者二十四万人で三十六年を単純に平年度化すれば百四十四億円ということになります。これが年金事業の一サイクルである四十年間、つまり二十歳で加入して六十歳まで掛金を支払うとして四十年間継続するとすれば、総額で約五千八百億円が見込まれる、こういうことでございます。
#102
○谷林正昭君 それでは、四十年間で五千八百億、年間百四十億。このほかに、お聞きしますと、事務経費あるいは作業経費ということで、厚生省と農水省で合わせて五十億がこの基金に投入をされるというふうにお聞きをしております。これを経費として予算から出されるというふうにお聞きしておりますが、その費用対効果、今度はしっかり出していただかなければならないと思いますので、見通しをお願いいたします。
#103
○国務大臣(武部勤君) 新制度の政策支援に国費を投入することに関しての費用対効果ということの見通しでございますが、新制度については、まず経営改善に取り組みながら長期間営農を維持する若い農業者に対しその保険料負担を直接的に軽減すると。かつ、これが老後特例付加年金として給付されるものであり、この点では、投入する国費がそのまま担い手の老後生活の安定に資するということは御理解いただけると思います。
 このほか、政策支援に係る年金を受給する際、経営継承を要件としていることから、例えば農地等の経営資源を適切に継承することにより、その一部が耕作放棄されることを防止する効果や、高齢農家から経営を継承した若い担い手により、より効率的な生産を行える効果等が期待される、かように考えております。
 費用対効果を定率、定量的に分析することはなかなか難しいとは思いますが、大胆な推計を行ってみますと、これも事務局がはじいたものではありますけれども、政策支援対象を二十四万人として、保険料負担を軽減する費用として約五千八百億円。その効果は、経営継承により維持される多面的機能の評価額約一兆七千億円、それから高齢農家等経営継承を受けた農家の米の単収の差に着目した経営継承による生産増大効果は約三千億円のほか、若い農業者に対する保険料負担を直接軽減する効果があると。
 このほかにも、定量化しにくい効果、例えば生活のゆとり、家族のきずなの深まり、人と自然との共生社会の実現に資するというような現代的な目標というものを考えましたときに、費用に照らして遜色のない効果が期待できるのではないかと、かようなことでございます。
#104
○谷林正昭君 大臣、メモを見ながら答弁されますと、ちょっと私、寂しいですね。大臣は大臣らしくしゃべってこそ武部大臣だというふうに私は思います。責任と自信を持ってこの提案をされているというふうに私は思いますので、ちょっと今、費用対効果の面につきまして、これは数字ですからメモを見られていいんですけれども、もう少し心が伝わってきたら私はよかったなというふうに思いました。
 もう時間が来ましたので、あとは郡司理事の方にバトンタッチをするわけでございますが、最後になりますけれども、私はこの年金問題を勉強させていただきまして、果たしてきた役割、それからこれから果たそうという役割、これはわかります。
 しかし、もう一方では、大臣が本当にやりたい構造改革、こういうものがあるはずです。そのためには、年金制度もそうでありますけれども、もっと大事な農業の構造改革、政策の推進、そして世界との競争、こういうものをしっかり、見失っては私はだめだというふうに思いますので、そういう意味で、これまでの過去の流れだとか、この年金制度がそうだとは言いません、しかし、腹の中ではそうだというふうにひょっとしたら大臣思っておいでになるんではないかなというふうに思います、正直言いまして。
   〔理事岸宏一君退席、委員長着席〕
 そういうことを踏まえまして、ぜひ最後に大臣の、農業政策を含めたこの新しい年金制度が本当に大臣の言われる構造改革になじむのかなじまないのか、お聞かせいただきたいと思います。できればメモを見ないでお願いいたします。
#105
○国務大臣(武部勤君) 農業政策で難しいのは、一つは継続性ということも大事だと思うんです。私ども農林水産省に意識改革を求めておりますし、また、農村社会においてもやっぱり一つはグローバライゼーションということも考えてもらわなきゃなりません。しかし、これを強調する余り、先ほど来申し上げましたように、一般の国民の皆さん方が納税者主義という余りに農業に対して正しい理解というものを示してもらえないんではないかというジレンマがございます。
 ですから、一つの古い継続性というものも大事にしながら、しかし、これはむだになるものじゃありません、先ほど説明しましたように費用対効果から考えても、私は、人と自然の共生社会を目指す、食料の安定供給と美しい国づくりを目指すということにおいて、これはかなり私は大きな効果があると思っているんです。
 しかし同時に、過去と決別して新しい挑戦ということに、特にこれからの担い手といいますか、担い手は必ずしもこれは農家の個人経営ばかりじゃありません、法人の問題もそうですし、あるいは私は第三者の参入ということも考えなきゃならないのではないかということについては、場合によっては過去との決別、これは両方あると思うんですね。今までとの継続性を大事にしていくということと同時に、産業政策という観点から考えると、やっぱり思い切った新たな挑戦をしていかなきゃならぬ。そこのところが非常に難しいんだろうと思うんです。
 そういう意味で、絶対遮断してはいけませんから、この制度をきちっと定着させていくということを今後の我々農林水産省を中心としての政策の展開で努力すると同時に、しかしまた、今先生御指摘のような新たなる構造改革にも挑戦していくという両面があろう、こう思いまして、そのことを踏まえて努力していきたいと、かように思いますので、よろしくお願いします。
#106
○谷林正昭君 終わります。
#107
○郡司彰君 民主党・新緑風会の郡司でございます。谷林委員に引き続いて、農業者年金について質問をしたいと思います。
 まず、私ども民主党は、大臣御存じのことと思いますけれども、衆議院におきまして対案を提出し、同様に審議をいただいたところであります。内容について改めて細かく述べることはないと思いますけれども、年金制度という社会保障政策の手段を用いて農業経営の近代化あるいは農地保有の合理化に資するという手法、年金を用いての構造改革政策の推進、これは事実上失敗をしたと私どもは見ているわけであります。
 しかしながら、農村におきます地域の定住化あるいは活性化等を含めまして農村の振興を進める場合には所得政策をもってそれに充てるべきだろうと。その財源がどこにあるかということになれば、減反の補助でありますとかあるいは稲経対策の三千億円を初め、先ほど大臣が申し述べました今後の国庫補助の百四十四億円、あるいはWTOの保護の削減対象になっている、そのような金額もあるわけでありますから、それらを用いて一回この問題は清算をすべきだと、そういう立場でございます。
 そして、対案が否決をされた、参議院に回ってきたという段階でございますので、改めてこの法案について一つ一つお聞きをしていきたいと思います。
 先ほど谷林議員の方からも、これまでの責任という問題が出てくるのではないかということがございました。私は幾つかの問題があるかと思いますが、大臣含めてやはり見通しを含めた誤りが若干あったんだというような話をされましたけれども、先ほど農年基金の問題がございましたが、農水省としての責任というものの所在はどこにあるのでありましょうか、どのような形の内部的な処理を行っているのでありましょうか。
#108
○国務大臣(武部勤君) たびたびの見通しの誤りというようなことは否定し得ないものがあると思いますけれども、しかし一定の、先ほど費用対効果のお話がございました。これは、後継者の若返りでありますとか、それから経営規模の拡大でありますとか、私はこれまでの制度というものはそれなりに大きな意味を果たしてきた、こう思いまして、その責任はと問われましても、責任をどのようにというような意味では、もっと早く手を打つべきであったという認識はありますけれども、間違ったことをしてきたというほど批判をされる、そういうものではなかったのではないか、かように思っております。
#109
○郡司彰君 見込み違いではなくて、初めから設計ミスがあったのではないかという議論がございます。それに対してどのように反論なされるのかお聞きをしたいと思います。
 今、ハンセン氏病の関係で、総理が控訴をしないという決断をなさいました。その際、国会でも決議をという話が今出ているわけでありまして、なかなか与野党の間で煮詰まらない。その煮詰まらない原因の一つには、立法府には免責特権があるんだというような考え方があるのだろうと思うんですね。私は、この場合、そのような形で考えているかどうかは別にいたしましても、免責特権がよしんばあるにしても、しかしながら、責任があるとすればそれをきちんと正していくということがかえって信頼を取り戻すということにつながるのではないかというふうに考えております。
 その意味で、二つになりますけれども、初めからの設計ミスではなかったのかということ、それから、今言いましたような免責特権というような考え方があるとすれば、余りにも短絡的にいろんなところに使い過ぎる、そのようなことを直していくことが必要だと思いますが、どうでしょうか。
#110
○国務大臣(武部勤君) 設計ミスというよりも、想像以上に農業を取り巻く諸情勢の変化というものが激しかったということになるのではないでしょうか。
 私ども北海道に住む者にとって、北海道拓殖銀行が破綻するなどとはゆめゆめ想像もできませんでした。あの拓銀が破綻するということを予想できなかったことについて責任をとれとだれが言えましょう。事ほどさように世界は目まぐるしく変動を遂げてまいりましたし、その中でバブル期という時期も一時期ありましたし、それによって農村にはもう甚大な影響を与えたということもございます。例えば、恐らく私どもの知っている友人の農地などは、百万円で買ったものが今は十万円にも満たない、そういう状況に置かれているんじゃないでしょうか。そういうことを考えますと、余りにも大きな変化ということが、五年ごとに見直すということよりもスピーディーに動いていったということは、今後の制度運用を考えていく場合には大きな教訓にしなければならない、かように思います。
 また、立法府の免責特権などという、そういうようなことは本件とは直接関係のないことではないのかなと、かように思いますが、いずれにいたしましても、立法府の責任として、世の中の動きに追従するんじゃなくて、やはり五年、十年先を展望して一つの戦略を持って立法措置もしていくというようなことが非常に大事だろうと思うんです。
 あるいはまた、私は、立法府に対してこんなことを言うのはいかがかなと思うんですけれども、法律万能ということもやっぱり考えていかなきゃならないのではないかと。いろんな計画もローリングシステムということもあるわけでございまして、したがって、基本的な問題についてはきちっと法制化することと同時に、もう少し行政側に幅広い権限を与えていただくということの方がいい場合もある。そして、そのことについても、立法府をないがしろにするんではなくて、絶えず立法府に報告をしたり御協議をお願いするというようなことでやっていくということなども、個人的に考えとして感ずる次第でございます。
#111
○郡司彰君 大臣からの今の答弁、率直に受けておきたいと思います。
 一方で、農年基金については、一定の時期を区切ってしかるべき形に改めたいというような話がございまして、その意味で若干均衡を欠くのではないかというような思いがありましたので、先ほどのような質問をさせていただきました。
 改めまして、農年基金の関係についてお尋ねをさせていただきたいと思いますけれども、一定の時期というのは具体的にどの程度の年月ということでお考えがあるのかどうか。それから、その際、新たな人事ということになりますと、これまでと同様な形で常任の役員の方が選ばれるという形になるんでしょうか。その辺についてお聞かせいただきたいと思います。
#112
○国務大臣(武部勤君) そのことについて現時点でお答えできる材料というものは持ち合わせておりませんが、先日来の議論を踏まえて、私どもも委員会の議論というものは大事にしなければいけませんし、私自身、やっぱりきちっとした、毅然とした対応というものが必要だと、そういう認識を申し上げた次第です。
#113
○郡司彰君 この件に関して、農業者、生産者の方からは、私たち自身にも責任があったのかどうかという声がいろんなところで出されてまいりましたけれども、大臣は、農業者に対しては責任があったとお思いでしょうか。
#114
○国務大臣(武部勤君) 農業者というのは、なかなかだれをどのように指すかということは難しい問題だと思います。
 しかし、主権在民というこの民主主義のルールに基づけば、やはり一番の当事者は農業者ですから、こういった方々が本来の姿というものを考えたときに、実際にいわゆる保険料の未納割合が二五%に達している、四人に一人は保険料を納めていないというようなことも破綻につながった大きな要因になっているということなどを踏まえますと、全く農業者に責任はないとも言えないんじゃないのかと。しかし、これは農業者の責任なのか。ということは、先ほども言いましたように、一概に規定するというのは難しい問題でありますけれども、こういう事実、実態を踏まえて考えるならば、みんなに責任があったのじゃないでしょうか。農業者には全く責任がないとは言えない、かように思います。
#115
○郡司彰君 今回、担い手の確保ということが主な目的の中に出てまいるわけでありますけれども、これまでと同様に政策的な年金の手法でもって構造改革が本当に推進をされるかということ、これはこれまでも相当議論をされていると思うのでありますけれども、その点の見通しと、それから、この清算の時期をかえって先送りをまたしてしまうことになりはしないかというような危惧を私どもは常々抱いているわけでありますけれども、これについて先ほども御答弁ございましたけれども、改めてその点について大臣からお聞かせをいただきたいと思います。
#116
○国務大臣(武部勤君) 先ほども申し上げましたが、現行制度は旧農業基本法の目標達成のための施策として、農業者の老後生活の安定、農業経営の若返り、農地の細分化の防止、規模拡大に寄与してきている、他の施策だけではでき得なかった効果を発揮している、かように思います。
 一方、担い手の確保が喫緊の課題となっていることから、担い手確保のための政策支援ということに本制度は改めた次第でございます。
 答えが合っているかどうかわかりませんが、かように思います。
#117
○郡司彰君 過去の反省が今回の改正案には生かされているというふうに思うのでありますけれども、そこの生かされたという点が幾つか出されておりますが、この方式、本当に大臣、担い手の確保に実効性が上がるというふうに今お考えでしょうか。
#118
○国務大臣(武部勤君) 担い手の確保ということになりますと、この制度だけで万能だとは思っておりません。
 先ほど来申し上げておりますように、私どもが考えている農業構造改革というのは、法人化の問題でありますとか、その担い手は必ずしも個人ばかりではないというふうに、こう思います。しかし、間接的に言えば、法人化を精力的に進めることによって新しい就業者が、若い就業者が入社してくるというようなことは当然予想できるわけです。この人たちがある程度、農村の実態を踏まえて、今度はある特定の農場の支配人になる場合もあるでしょうし、その経営を移譲して引き継いでやる場合もあるだろう、かように思います。
 しかし、この制度を生かさなくちゃいけない、成功させなくちゃいけない。そういう意味で、これからどういう対応をしていくか、具体的に行政の上で。そのことの方が非常に重要になってくるのじゃないか、かように認識しております。
#119
○郡司彰君 保険方式について伺いたいと思いますが、五十六年以降、賦課方式に改めた、そのことが財政破綻の要因になったというような分析をしていらっしゃると思いますが、改めた方式がなぜ破綻の要因に至ったのか、その点についてお聞かせをいただきたいと思います。
#120
○副大臣(田中直紀君) 私からお答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、賦課方式への変更がその後の情勢に大変ミスマッチであったというような印象もありますし、私もそういうふうに認識をいたしております。
 当時、昭和五十六年は大変経済環境がよくなってきたということもありまして、物価スライドあるいは緩和された経営移譲要件への対応ということがなされたわけであります。しかし、農業関係につきましては、そのバランスをとるまでに保険料を一気に上げるということはなかなか忍びがたい、こういうことだったと思うんですけれども、徐々に保険料を上げていこうと、こういうことで対策が打たれたわけであります。
 平成元年にこれを見ますと、加入者が受給者を下回る、加入者の方が下回ってくる、こういう状況から、大変そういう面では加入者の負担がふえてきたということもございまして、その後の平成に入ってからは、委員御存じのとおり大変な財政困難に陥ってしまった、こういうことでありますから、どちらにしても、五年ごとの見直しにおいて的確に、やはり経営者感覚をある程度、いわゆる政策年金でありますけれども、その辺は持っていかなければ、今日のような状況になってしまった。非常に残念な思いでございます。
#121
○郡司彰君 今、副大臣からミスマッチという話がございましたし、経営感覚をというふうな話がございまして、先ほどの農年の今後の人事についても、私は、ただ単にこれまでのということだけではなくて、経営感覚をやっぱり持ったようなそういう方が必要だという意味も含めて申し述べたつもりでございます。
 それから、再計算の見通しと実績の乖離、これはもうたびたび指摘をされているわけでありまして、相当な乖離が生じているわけでありますね。この生じたときにどのような、その間、中間において努力というものをなされたのでありましょうか。その努力をなさったことについてお聞かせをいただきたい。
#122
○副大臣(田中直紀君) 確かに予測、推計と実績というものが、これを見ますと五十七年に乖離が始まった、こういう状況でありまして、六十三年には大変心配される状況である、そしてまた平成十一年度では引き続きこの制度が維持できない、こういう予測と実績が大変乖離をしてきたということでありまして、五年ごとにいわゆる基本には加入者をふやしていこうと、こういうことでこの対策は努力を果たし、そしてまた皆さん方にも御協力をいただいたという経過が見受けられるわけでありますが、残念ながら加入者が増大をしなかったということが大きな原因でありますし、これからの新制度につきましては、任意の制度でありますけれども、ポイントは、やはり加入者をいかにふやしていける制度であるかということが反省の材料ではないかというふうに思っております。
#123
○郡司彰君 この間、二年、三年前から、例えば自民党の方の農水部会の案も出ましたし、三割カットという話も一時出たわけであります。そういうときには全国でかなりの頻度でもって、どうするかという議論のために多くの人が汗をかいて、集まって討議をしたんです。ところが、これまでのその見込みと実績に乖離が生ずる間には、なかなかそういうような努力、汗をかくということがなされなかったんではないかなというちょっと危惧をしております。
 しかし、この間の農業会議所の報告その他を読ませていただくと、現場で昔から農年の方にかかわってきた人たちは相当努力をしていたという話をされております。私は、つくったときからもうこういうことがあって、みんなにも声をかけて、未納の分も払ってくれという話もしたしという方が相当いらっしゃるんですね。そういうものを、結果として末端の方々の努力というのを無にしてしまったんではないかなと。それはやはり農水省、その指導する部分がかなり、安直にということではないのかもしれませんが、今回ほど、改正のときほど汗をかいていなかったんじゃないかな、そんな感じがいたします。
 ちょっと例えが別なところであれですけれども、農水省のやっている事業そのものに対してもかなり不信感がいろんなところで出てきているんではないかと思います。
 一つは分収育林、いわゆる緑のオーナー制度の関係がございましたが、これも、国がやっている、営林署がやっている、募集をして何十年かたつとこういうような形でもって膨らんでくるんだよというのが、実際に終わってみたら元本割れだというようなところが出てきているわけです。
 それから、林野会計の一兆円を自分のところで、自助で減らしていきますよ、五十年かけてなくしますよということになりましたですね。私ども、これ本当にできるんですか、五十年後、本当に信用できるんですかという話をした中で、きちんとやりますよということになっているわけです。どういう見通しかということで見させていただきますと、収入が、例えば百億円ちょっと減らして、収入の方でふやすのは、林産物の収入が例えば二十一年から二十五年ですと二百二十億円ぐらいふやすわけですね。そして、借入金はこれまでの三百億円あったものをゼロにして、トータルでは何か合ってくるわけですよ、数字の上では。しかし、これは本当に可能なんですかと。だれが見ても、そんな急に、一年、二年で、これまで売れなかった木材が何百億も急に売れ出したりというふうなことになるのかというと、こういう数字そのもの、本当にまじめにつくっているんですかと言いたくなるんですね。
 こういう意味からいって、今後三十万人という見込みを出しています。一万人減るけれども四万人ふえるんだと。この見込み、三十万人の細かい数値、ちょっと出していただけますか。
#124
○政府参考人(須賀田菊仁君) 新しい制度への加入見込みの数でございます。
 現行制度に加入している方々が約二十七万人ございます。このうち、高齢の方々、六十歳以上の方々が一万六千人おられまして、恐らくこれらの方々は新しい制度へ移行しないんではないかと。それから、長期に未納されている方々が約一万人おられまして、これらの方々も新しい制度には入らないんではないかということで、今入っている方々が新制度へ移る、員数といたしまして約二十五万人を見込んでいるわけでございます。それから、新たに加入をされる方ということで、今の制度に未加入の方で認定農業者の方、そしてその配偶者の方、それから認定農業者を目指す方の一定割合が入るのではないかということで約四万人ということでございまして、合わせまして三十万人の加入者を見込んでおります。
 これは、おっしゃるように、相当の努力を払わねばなかなか入っていただけないというふうに私どもも認識をしておりまして、新しい制度の特徴、今度は農地に権利名義がなくても農業に従事する方であればだれでも入れますよ、それから認定農業者の方々には保険料負担の軽減措置がありますよ、財政方式も積立方式ということで、従来と違いまして安定した財政制度ということで将来に不安はございません等々のことを十分にPRして、この見込みどおり加入をしていただくというふうに最大限の努力をしたいというふうに考えている次第でございます。
#125
○郡司彰君 最大限努力をして、今後は加入要件等についても考えるという話でございました。私は、説明をする場合に一番肝心なことは、これまでは確定的な給付でしたが、今度は拠出の方は確定していますが給付についてはわかりませんよということをきちんと説明しなければいけないと思うんです。しかも、そういうことが話の中で出てくる中で、私自身が聞いている中では逆に、これからどうしようかな、この際やめてしまおうかなという声が相当聞かれます。
 三十万人という見込み、これが発足して、思うようにいかなかった、どの程度まで割り込んだらこれをもう一回考えることになりますか。
#126
○政府参考人(須賀田菊仁君) 私ども、三十万人という目標を持って取り組んでおりまして、ただいまのどの程度割り込んだらどうなるかという御質問にはなかなか答えがたいものがあるわけでございますけれども、先生言われましたように、今度の新しい年金制度の財政方式、これは積立方式ではございますけれども拠出型ということで、将来の年金額が確定はしていない、運用実績によって決まるものであるということにつきましては十分PR資料で納得をいただいて、かつ我々としてはできるだけ安全で効率的な運用を確保いたしまして、できるだけ多額の年金給付ができるようにしたいということもあわせて説明をして、そしてその年金制度そのものにつきましては、給付が決まっているもので積立方式というのは、これは運用がうまくいきませんと新たな年金債務が生じまして、だれかがまた負担しないといけないような年金方式でございます。それとは違って、年金制度としては安定したものであるということも十分農家の方々に説明をして理解を得べく努力をするつもりでございます。
#127
○郡司彰君 安全で効率的な運用ということでございますが、今そういうところがあればどこでもそれを使ってみたいということになるわけであります。これは具体的にどういう形でどういう運用をするのか、お話し願えますか。
#128
○政府参考人(須賀田菊仁君) 新しい制度に係る法律におきましても、安全かつ効率的な運用に努めよということになっているわけでございます。
 具体的には、運用等の対象となります資産の構成につきまして、一つは預貯金、そのほかに一般的に元本保証がありまして安全確実な資産でございます国債等の債券、それから長期的な観点からの運用も必要でございますので、長期的にはこの債券以上の収益が期待されます金銭信託というようなものの組み合わせを最適にいたしまして、先ほど申しました、できるだけ低いリスクで高い収益が上げられるような資産の組み合わせで運用に努めていきたい、そういう指導をしていきたいというふうに考えている次第でございます。
#129
○郡司彰君 端的にお尋ねしますが、それは三%を上回るということですか。
#130
○政府参考人(須賀田菊仁君) 私どもの今の腹づもりでは約三%程度を確保していきたいというふうに、腹づもりとしては思っているわけでございます。これは先生も御存じのように、今三%を切るような運用利回りになっているわけでございまして、ちょっとやそっとの努力ではなかなかこの見込みを確保するということは難しいというふうに思います。ということで、投資の資金運用の専門家を含みます資産の運用委員会というようなものも設置をいたしまして、資金運用担当部門というものを基金において充実させていきたいというふうに考えている次第でございます。
#131
○郡司彰君 話を聞けば聞くほど本当に大丈夫かなというふうに思ってしまうわけです。もう資産の運用の専門家の銀行や何かがどんどんつぶれてきているわけですから、本当にそれで大丈夫ですかというふうなことになりますし、人数の方も三十万人が本当に集まるのかどうかよくわからない。何か野球のチームが百四十試合中百二十試合以上は必ず勝つような宣言をしたような、そんな見通しでもって始まっているような気がしてならないのでありますけれども。それはいずれ早晩、私どもが言ってきたこととどちらが結果として正しくなるのかということ。しかし、その場合において一番負担をこうむるといいますか、大変な目に遭うのはこれは農業者でありますので、余り過度な期待の数字をおつくりになって、先ほどの林野特会のように、もう何か一〇〇%できて、一〇〇%できて、そんな数字で説明をされてはかえって大変だなという思いがありますので、その辺はちょっと強く申しておきたいと思います。
 それから、財産権の問題でありますけれども、憲法二十九条第一項、第二項、第三項がございまして、これは第一項は原則規定、それから第三項については例外関係ということになるんだと思いますし、この九・八%減額は二十九条第三項に基づくというふうなことの理解でよろしいですか。
#132
○政府参考人(須賀田菊仁君) 憲法第二十九条の第三項はたしか公用収用の規定だと思いますので、憲法第二十九条の第二項が、財産権の内容は公共の福祉に適合するようにこれを定めるというふうに、たしかそのような条文だと思いました。年金額の引き下げの問題は、この憲法の第二十九条第二項の適合性の問題だというふうに考えております。
#133
○郡司彰君 さすが、第二項の方になるんだと思いますね。
 それで、議論の流れの中で三割という話がございました。それは私どもの信用する場の数字ではございませんけれども、一応そういうふうな数字があって、それを三者という中で議論をした際に、これはとてものめませんよというようなことがあったんだろうと思います。
 九・八%というような数字になりました。これは、公共の福祉に適合するようにというような解釈ができるというふうに理解をしているわけですね。
#134
○政府参考人(須賀田菊仁君) 年金額の平均九・八%の引き下げと憲法財産権の補償規定との適合性の問題でございます。
 ただいま申し上げましたように、憲法第二十九条第二項の規定は、「財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。」ということでございました。必要な場合には、法律により合理的な範囲内で制約を加えることが許容されるというふうな最高裁の累次にわたる判例が示されておるところでございます。
 これの考え方のもとになったのが、ちょうど昭和五十三年七月十二日の最高裁判決でございます。農地法に基づきます不用地認定された農地の旧地主に対する売り戻しに関する判決でございました。これは財産権を事後的に制約することができるかどうかという観点からの判決でございます。三つ提示をされておりまして、一つが、一たん定められた法律に基づく財産権の性質というものをどう考えるか、それから二つ目に、その内容を変更する程度をどう考えるか、そして三つ目に、これを変更することによって保護される公益の性質というものをどう考えるかということで、全体として判断するんだということでございます。
 この判決に照らしまして今回の措置を検討いたしますと、一つは年金額引き下げの対象となる経営移譲年金でございますけれども、これはその財源が専ら国庫によって賄われております年金であるという財産権の性質があるわけでございます。
 そして、年金額の引き下げの水準が月額二千円から四千円ということでございまして、高齢夫婦世帯の消費支出の約一%ということで、農業者の老後の生活の安定が直ちに脅かされるものではないのではないかということが二つ目でございます。
 そして三つ目に、この引き下げ措置を講じることによりまして、加入者の皆様方の保険料の大幅な引き上げでございますとか、あるいは国民一般の負担の増大でございますとかが避けられるということでございまして、今回の引き下げ措置は、以上三点を考慮いたしまして、合理的な制約として憲法上許容されるのではないかというふうに解釈をしている次第でございます。
#135
○郡司彰君 農地法八十条の存在、特殊性ということがありましたということでありますけれども、私ども、これをそのまま適用するのはどうかという思いがあります。
 それから、自己負担の拠出制であれば年金の減額は難しいと思いますけれども、国庫補助があれば可能だというようなお話が今あったと思うんです。例えば、今後年金が税方式やその他に変わった場合には、これは国庫補助の場合には国の裁量でもって下げるということも可能だと、こういうような解釈になりますか。
#136
○政府参考人(須賀田菊仁君) 仮定の御議論に基づきまして憲法判断することはなかなか難しゅうございますので、そういう判断につきまして御答弁申し上げることはできないわけでございますけれども、少なくとも今回の年金の引き下げ措置につきましては、一つが先ほど言いましたような国庫助成で賄っている年金の引き下げであるという財産権の性質、それから引き上げの度合い、それからそれによって守られる公益と、本件に即して判断をした場合にこうなるということ以上に私どもはなかなか憲法判断について御答弁ができないわけでございます。
#137
○郡司彰君 それでは、憲法判断ではなくて、厚生労働省の答弁などは、今後そのようなことは考えていないというようなことがございました。それはそれとして、憲法判断でなくて、この年金の場合にはそのような判断を下したということになるわけですね。
 じゃ、この年金の場合というのと、ほかの年金の場合は何が違うんですか。例えば、政策年金というものがこの国にそうほかにありませんよというようなこと、それから国民の目が農業に対して、誤解もあるかもしれないけれども、かなり保護的なものが強いんじゃないかというような意識があるかもしれない。あるいは、いろんなところの中で、この年金はいいんだという判断をされたその根拠は何ですか。
#138
○政府参考人(須賀田菊仁君) 先ほど来申し上げております、先生、今まさしく言われましたとおり、他の二階建て部分の公的年金と比べますと、国庫助成がありますのはこの農業者年金基金の経営移譲年金だけであるということ、それからこの農業者年金基金は財政的に破綻をしておりまして、その処理を図らなければならない状況になっておりますけれども、他の公的年金につきましては、成熟度が農業者年金ほどひどくなっていなくて、まだ年金として存続の可能性があるということ等々、置かれている状況が違いますので、今回の措置を他の公的年金に類推して解釈するというようなことはできないのではないかというふうに考えている次第でございます。
#139
○郡司彰君 この年金にかかわる方々が今いらっしゃるわけでありまして、受給をされている方もそうでありますけれども、二十七万幾人かの方々が、この年金だからこういうふうに九・八%下げましたよということについてどの程度理解をされていると思いますか。
#140
○政府参考人(須賀田菊仁君) この制度をつくり上げる、抜本的改革をするに当たりまして、一つは、旧厚生省と農林水産省の双方で受給者とか加入者の代表の方を含みます研究会を開催した、それからJAでございますとか農業委員会系統の意見を積み上げてきた等々、あるいはインターネット等でパブリックコメントもいただいた、そういうような一連の手続を経て抜本改革に至ったわけでございます。
 正直申し上げまして、午前中の参考人の方々の説明を聞かせていただきますと、まだまだ農村の現場においては納得をされていない方々もおられるというような御説明がございましたので、私どもは、この制度とその背景と内容と、こういうことをせざるを得なくなったその経緯等をこれからも十分農村の現場で説明をして理解していただくように最大限の努力をしたいというふうに考えておる次第でございます。
   〔委員長退席、理事岸宏一君着席〕
#141
○郡司彰君 この年金と、公的年金の一元化の議論というのが一方でありますけれども、かかわりというのはございますでしょうか。
#142
○政府参考人(須賀田菊仁君) 公的年金制度の一元化でございます。これは平成八年三月の閣議決定でその基本方針が示されておりまして、今回国会に提案させていただいております農協等の職員の農林年金と厚生年金の統合というのはその一環でございますけれども、これは被用者を被保険者とする年金制度のことでございまして、自営業者たる農業者を被保険者といたします農業者年金は公的年金制度の一元化の対象とはされていないわけでございます。
 特に、先ほど先生おっしゃっておられました農業者年金というのは、農業の担い手の確保ということで農政上の特別の位置づけの我が国で唯一の政策年金ということになっておりますので、他の公的年金と統合するというのは実態的にも難しいのではないかというふうに考えております。
#143
○郡司彰君 厚生年金その他の公的年金の一元化の議論とこの年金の議論というのは基本的には別なものだというようなことになるわけですね。
 大臣、ちょっとお尋ねをいたしますが、先ほどありましたように、前の二十四日の質問の答えの中で、大臣のお言葉ですけれども、法人にしますと経営移譲の問題も解決をしますし、いわゆる年金、医療、福祉その他、これは農業者年金、今審議願っていますけれども、いずれ将来はみんな厚生年金になっていくだろうと思いますという発言がございました。
 これは、今の公的年金一元化の議論と必ずしも大臣がおっしゃったことは、そういう厳密な意味でのことではなかったかと思いますけれども、改めてお聞きをいたしますが、公的年金一元化の問題とこの農業者年金、その他の関連について大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
#144
○国務大臣(武部勤君) 法人化した場合、農業法人の雇用従事者は被用者となることから、仮に農業法人が農業経営の大宗を占めるようになれば、農業従事者の大宗に厚生年金が適用されることになると、かように思います。しかしながら、今後とも家族経営が我が国農業経営の大宗を占めるものと、かように考えております。
 それで、私は、法人については、いろいろな法人があるわけでありますけれども、家族経営では成り立ち得ない状況を法人がサポートすると。例えば酪農ヘルパーなどもそうです。コントラクターなどもそうです。第一段階で、そういう形で家族経営を支援する法人化ということが主になってくると思います。
 しかし、これからの経済変動その他を考えますと、私はそう現時点では思っておりますけれども、相当なスピードで社会構造、経済構造が変わってくるということなども想定できますし、これはやっぱり一番大事なのは、生産者、農業者がどう望むかということによって、私は、ちょっと今の局長の答弁とは違うことも考え得るのではないかというふうに正直申し上げなきゃならないと思っております。
 いずれにいたしましても、家族経営に従事する農業者の確保を目的としているわけでありますから、これはやっぱり第一義的に重要だと思います。担い手をいかに農村に定着させ確保していくかという、そういう使命にこたえるための新たな農業者年金でありますから、この新たな農業者年金を確固たる存在意義のあるものにしていくというのが私どもの使命だと、かように思っております。しかし、信念はかたく、頭はやわらかく、こういうことで、行政の責任者は幅広く考えていかなきゃならないことは言うまでもないことだと、このように思っております。
#145
○郡司彰君 私は、大臣の話の方が非常にわかりやすいんです。法人化の是非ということの議論もありましたけれども、これは法人化というものが結構市民権を得てくるという形もあるだろうと思うんです。そこのところで、一方でそのような形の年金に入る人が今後ふえてくる可能性がある。局長の方は、頑張って努力して三十万人というふうな数字。私は大臣の方が素直なような感じがしております。
 ちょっとまた別な問題に時間の関係で入らせていただきますけれども、政策支援という形が打ち出されておりまして、私は細かい数字は余り時間がなくて自分で調べておりません。お知らせをいただきたいと思いますが、例えば収入で九百万以下でありますとか、その中の認定農家であって青色申告をしていて現在加入をしている人を除くとどのぐらいの方がいらっしゃるのか、それから、認定、青色、家族協定を結んでいる方がいらっしゃるとすれば、これはどのぐらいの数がいらっしゃるのか、ちょっとお答えをいただきたいと思います。
#146
○政府参考人(須賀田菊仁君) まことに申しわけないんですけれども、ちょっと青色申告と認定農業者の関係、クロスで私ども把握しておりません。
 認定農業者の方は私ども把握をしておりまして、認定農業者で未加入の方々というのが現在七万三千人おられます。そして、認定農業者候補ということで、認定農業者になろうとしている方々でまだ入っていない方々というのが十一万八千人、約十二万人おられまして、家族経営協定──ちょっと済みません、失礼しました。ちょっと数字、間違っておりまして、もう一回言い直します。
 農業者年金基金に未加入の認定農業者の方々が二万六千人でございます。それから、未加入で認定農業者候補の方々が一万四千人おられます。家族経営協定締結をされておられるであろうという配偶者の方々が三千人おられるというふうに私どもは承知をしております。
#147
○郡司彰君 私、自分で質問をしたやつを何か自分の資料で探そうと思ったら、よくわからなかったんです。わからなかったというのは、要するに農水省の方もよくつかんでいないということなんですね。いいですよ、そういう大ざっぱな数字でやっているというのがよくわかりましたので。そういうことで、少しきめ細かくちょっとやっていただきたいなと。私も、幾ら探しても、どういうからくりで数字が出てこないのかと思いましたら、局長と同じ認識だというので、よくわかりました。
 それからもう一つ、この青色申告でありますとか家族経営協定、これそれぞれ目的が本来あるはずですね。この目的について簡単で結構ですから、述べていただけますか。
#148
○副大臣(田中直紀君) いわゆる経営意欲のある担い手を、これから担う人を発掘しなけりゃいけない、こういう状況であるわけでありますが、青色申告を行うということにつきましては、農業者の皆さん方が経営管理に認識を持っていただくということが第一でありますし、青色申告をするということは簿記等の経理事務をしていかれるわけであります。ある程度の収入が家族でも得られるようになれば、申告をしていただければそれ相応の特典がある、経費で落とせるというようなことになるわけでありますので、将来その後継者として引き継いでいただくということでは必須条件ではないかというのが現在の情勢でございます。
   〔理事岸宏一君退席、委員長着席〕
 それから、御存じのとおり認定農業者につきましては相当浸透してきましたけれども、それぞれ農地を取得するだとか農業関係の諸資料、情報というものを得やすくしながら、そしてまた経営改善をやりながら、そしてまた将来継続的な農業を営めるような、そういう体質を持っていただけるようにということで認定農業者になっていただいているわけでございます。
#149
○郡司彰君 認定農業者の数がなかなか思うようにふえないということも事実だと思うんです。なって何だというような話がよくいろいろ出されるわけでありまして、いろんなところで言われますように、スーパーL以外に何かその特典があるのかとか、いろんなことがあるわけであります。青色申告についても、白でどうのこうのという話もいろいろありまして、なかなかふえてこない。
 この農業者年金、大変な時期にこれをまた変えていこう、理解をしていただいて政策支援もしていこう。その際、これまでいろいろやってきたけれども、余り実効が上がっていないのをまとめて、やっている人についてはプレゼントしますよと、そういうような感覚に私どもは陥ってしまうんです。一つ一つ大事だということで政策を決定してきてやってきたけれども、この際、そういうものをみんなひっくるめて農業者年金の際にもう一回出して、これでもって一つ一つふやしていこうかと。何かちょっと安直なような感じがいたしますけれども、間違っていたらばちょっと教えていただきたい。
#150
○政府参考人(須賀田菊仁君) 私ども、この農業者年金の新しい制度で青色申告でございますとか家族経営協定でございますとかを要件といたしましたのは、確かに先生言われるように、青色申告というのは税法上の特典を得るための簿記記帳等をきちっとしなさいよと、こういうものでございますけれども、一方、今後の担い手というものを考えます場合に、やはり自分の経営をきちっと管理する、経営管理を常に行って、経営を点検、分析しながらきちっと改善に取り組むと、そういうことが非常に、負債問題等を見ておりますと、大事になってくるというふうに思われるわけでございます。
 それじゃ、そのきちっと経営管理をするということをどういうことで担保したらいいんだろうかというふうにいろいろ討議をしておりましたけれども、やはり外形基準として用いられるのは税法上用いられている青色申告ではないかということでございます。そして、認定農業者の方々にアンケートをとりますと、やっぱり九割ぐらいの方々はもう青色申告をしたいというふうにしておりますので、そういうきちっと経営を管理するという手段として使わせていただいたということでございます。
 それからまた、家族経営協定の方も、本当は家庭内の例えば配偶者の地位、そういうものをきちっとするという手法で、普及等を通じて進めておるわけでございますけれども、この場合は、配偶者の方々とか後継者の方々がちゃんと意欲のある担い手として位置づけられているんだよということを示すために、家族経営協定の中で収益は自分らに帰属する、それから経営をやめるときは同意のもとにやめる、それから経営の主宰はみんなで行うと、三点ばかりの内容の協定を結んでいただいて、ちゃんとした農業の担い手でありますよということを見るための手段としてこれを用いさせていただいておるということでございます。
#151
○郡司彰君 先ほど、参考人の話の中にもありましたけれども、余り選別的な方式では好ましくないのではないか、公正公平というのが保たれないのではないかという話がありました。今の局長の話の中にありました認定でありますとか青色申告をしているとか、こういう方というのはおおよそダブるんです、重複をする方が多いわけです。だから、こうでこうでというものをやっていって、それを足し算、引き算していくと、そんなに実態としてはそのもともとの数字と変わらないんです。だから、これから本当にふやすという場合には、選別方式じゃなくて、もう少し公平性が出るような、そういう方式に改めていかなければおかしいんじゃないですかというようなことで、今そのような話をさせていただきました。
 もう時間がありませんので最後になるかもしれませんが、これまで二年、七年と附帯決議をなされてきたわけでありまして、その附帯決議の中で、遺族年金について検討をするというような字句がございました。これは、どのような検討がどのようなところでなされてきたんでしょうか。
#152
○副大臣(田中直紀君) 私の方からお答え申し上げます。
 過去の附帯決議で遺族年金、大変検討していただいたことは伺っております。今回の新しい制度では積立方式と、こういうことでございますので、そういう面では、先ほど谷林先生が言われたように、いわゆる恩給のような性格ではないと。
 今回は、積み立てをして、それを本人あるいは遺族の方々にその成果を、当然、八十歳を限度として支給以前に亡くなられた方々には積み立て以上のものを死亡一時金として還付するということになりますし、また支給が始まってから亡くなられた家族の方々には当然遺族の方々にそれ相応の死亡一時金を支給する、こういう形になっておりますから、従来のような三割程度では終わるわけではありません。
 そういう面で、今までの御検討は大変いろいろと議論があったと思いますが、今回の制度では一時金ということで支給をする、継続して遺族の皆さん方にお支払いをするというような形にはならないということを御理解いただきたいと思います。
#153
○郡司彰君 私、制度が変わりまして、今、副大臣のおっしゃったような答弁の中身は理解をするつもりなんです。ただ、そういう中でも遺族年金というものが当てはめられるかどうかという議論はまたあると思いますが、私は副大臣の答弁は理解をするんです。
 私が問題にしておりますのは、この前、二回も続けてそういう附帯決議をして、本当に検討してきたんですかということなんです。委員会の中で、何かあるたびに附帯決議をやった。それは附帯決議をやったというときのことだけで、後、振り返ってみると何にもされていないというのが結構あるわけです。今度、制度が変わってもうそれが生かされないとすれば、これは大変に国会、参議院の附帯決議の重要性といいますか、余りにも軽んじられているんじゃないかなと。
 私は本当に、こういう形でもって検討したけれども今回までに間に合わなかった、今度は制度が変わるからこれはできないかもしれない、そういう答弁ならそれは結構なんですよ。しかし、附帯決議はもう附帯決議でそれは終わったものだから、うちの方は全然その後は検討もしていませんよと、こんなことになると今後の審議そのものに私どもは非常に慎重にならざるを得ないわけでありまして、そういうことを申し述べたかったのでございまして、大臣から最後にちょっと感想をお聞かせいただいて、終わりたいと思います。
#154
○国務大臣(武部勤君) 先ほど、局長の答弁と私の考えが食い違っていたような印象を与えてしまったかと思うんですけれども、先ほど来申し上げておりますように、やはり政策年金として現時点ではこれをしっかり定着させていくということは不可欠だと、こう思っております。
 それでなくても農業を取り巻く環境というのは非常に厳しいと、とりわけ担い手といいますか後継者が先行き不安視しているというときに、私どもはあらゆる手を尽くしてそういった不安を解消し、先行きに展望を開くという努力が必要だと、このように思っております。
 同時に、これは今後はやはり自己責任原則といいますか、生産者の方々も行政に何もかもゆだねるということではなしに、やっぱり自分の経営というものについてみずからが責任を持って担っていくというようなことが大事だと、このように思っております。特に、農業団体等についてはそういう意識改革を私はしっかり持ってもらわなくちゃいけない。政治家として私どもは頭をやわらかくして、その状況に応じた、またそれを先取りした政策展開をしていかなければならないと、かように思います。
 そういう意味におきましては、今先生御指摘の問題についても我々は絶えず努力をしていかなくちゃいけない、絶えず注意を喚起していかなきゃいけない、そういう姿勢で今後農林水産行政を責任持って担っていこうと、こう思っておりますので、今後ともの御鞭撻をお願いしたいと思います。
#155
○須藤美也子君 今回の農業者年金改正の最大の問題点は、受給者を含む年金給付の約一割カットの問題だと思います。
 年金受給権は、先ほど来問題になっておりましたが、憲法で明記されている財産権に当たります。農水省はただいまの答弁でも、全額国庫負担している経営移譲年金のカットだから財産権といっても特別だ、こう答弁されております。受給者は経営権も所有権も渡しているんです。そのかわりに、代償として支給されているのが農業者の経営移譲年金なわけです。原資が国庫負担であろうとなかろうと関係なく、経営移譲年金の水準は守るべきだと思いますが、どうでしょうか。
#156
○政府参考人(須賀田菊仁君) 先生も御承知のとおり、農業者年金制度、加入者一人で受給者三人を支えるという財政状況のもとで、このまま推移をいたしますと、恐らく今年中に年金財政が払底するというふうに見込まれている状況になっているわけでございます。
 それで、制度の破綻を防ぐことができるかという観点から検討をいたしまして、現役世代に保険料の大幅な引き上げということを求めることができるかというようなことも検討いたしましたけれども、現下の農業情勢のもとではそういうことはできないということでございまして、そういうことでございましたら、やむを得ず現行制度を処理しないといけないということで、処理する場合に、国庫負担によって現在まで発生しているすべての年金債務を支払おうと。
 ただ、それだけではなかなか国民の理解を得ることができないということで、既裁定年金額の引き下げという、受給者等の方々にも応分の負担を願おうというふうにしたわけでございます。
 ただ、その際に、老後の生活の安定ということも考えまして、老後の生活に支障のないような額に限りまして、かつ、これまで全額国庫助成で賄われている経営移譲年金に限りまして引き下げを行うということで、大変心苦しい結果になったわけでございますけれども、全額国庫処理ということでやむを得ないということで御理解を願いたいというふうに考えている次第でございます。
#157
○須藤美也子君 私は、財産権について今その認識を、考え方について質問しているんです。
 さらに、先ほど経営局長さんですか、一割カットは月二千円から四千円ぐらい、老齢世帯の消費支出の一%から二%、そのくらいだから生活を脅かさない、この根拠は何ですか。
#158
○政府参考人(須賀田菊仁君) 私どもが把握しております家計調査によりますと、平成十二年の高齢夫婦世帯、すなわち夫が六十五歳以上、妻が六十歳以上の夫婦一組の世帯の一カ月間の消費支出が全国平均で二十四万三千円でございます。
 そして、今回の年金額引き下げ措置を見ますと、これは、いつ加入され、いつ受給を開始されたかで違うわけでございますけれども、少ない人で千八百円足らずの減額、多い人で三千六百円ぐらいの月額の減額ということでございまして、二千円から四千円ということで、二十四万三千円の約一%程度という、平均的に見た場合、そういうことであるということで、こういうことでございますれば、老後の生活の安定が直ちに脅かされるような水準ではないのではないかということで判断をさせていただいたわけでございます。
#159
○須藤美也子君 私の質問に簡潔に適切に答弁していただきたいと思うんですけれども、一%や二%はそういうデータによって、そういうふうに出ていると。しかし、実際そうですか。農業所得は急激に落ち込んでいる、しかも去年からですか、介護保険料は大体平均して月二千五百円、取られます。医療制度の改悪、そういう中で全体を通してよく分析をした上で、現実のそういう経営も含めてはじき出したのかどうか。一%、二%というのは老齢家庭にとってはそんなに大した支障がない、こういう考え方は余りにも官僚的な答弁だと思います。そういう点で、この現場の加入者一人一人の実態とか了解も得ていない、これも重要な問題だと思います。
 さらに、三兆六千億円、先ほどいろいろ財産権の問題で公益が守られる、守られないというお話ありましたけれども、なぜ一割カットしないと公益が守られないのか、政府が全額負担してこれまで守ってきたわけですよ。これまで全額負担でやってきたものが、国民が理解できないから、あるいはそういう点では理解していただくためにも一割カットをしなければならない、こういう根拠がわからないんです。恐らく農家の皆さんもこういう説明では納得いかないと思うんです。どうですか。
#160
○政府参考人(須賀田菊仁君) 今回、農業者年金制度、現行制度が財政的に破綻をした、そこでその処理をしないといけないということで、現時点で発生をしている将来にわたる年金債務をどのように処理するかということとなりまして、もう年金資産がないわけでございますので、これまで自賄いとされておりました老齢年金を含みまして、すべて国庫負担で処理せざるを得ないということとなりました。
 そういうこととなりますと、その負担をしていただく納税者の方々、国民の方々はこの農業者年金制度の破綻については直接責任もないわけでございますので、それらの方々の理解を得るためにはやはり国民負担をできるだけ少なくするという要請が一方にあり、また他方では、農業者の方々の、カットを受ける方々の生活を脅かさない程度のものにできるだけとどめられないか、そういうようなことをもろもろ考えまして、平均的に九・八%カットであるならば何とか双方の理解が得られるのではないかということで措置をさせていただいたわけでございます。
 これから農家の方々にも、先ほど申し上げましたけれども、必ずしも現場の方々すべてにこの考え方が行き渡っているわけではございません。これから現場の方々の御理解も得ていきたいというふうに考えている次第でございます。
#161
○須藤美也子君 国の運営している公的年金制度の信頼にかかわる問題でもあるわけですね。
 年金受給者の一割カット、これは公的年金制度では初めてのことですよね。そういう点で、既に受けている人たちの年金額をカットするということは、農業者年金以外の公的年金をもらっている方々にもあしき慣例を残す、こういうふうに懸念をしているわけです。そういう点で、国民全体の立場に立っても、受給者がいつでもそういう理由で削減される、こういうようなあしき慣例を残してはならないという点からいえば、国民全体の立場に立っても、今回の受給水準の維持は非常に重要だと思うんです。
 農業者だけでなく、今、年金をもらっている方々にとっても私は非常に重要な問題だ、こういうふうに思うんですが、一言でどうですか、こういう考え方は。
#162
○政府参考人(須賀田菊仁君) 農業者年金制度も国民年金の二階建ての中の農業者向けの公的年金でございまして、ほかの公的年金と同列な扱いなわけでございますけれども、他の公的年金との違いは、農業者年金の場合は、二階建て部分で唯一国庫助成のある政策年金であるということ。そうして、ほかの公的年金と比べますと、加入者一人が受給者三人を支えるという、成熟度三〇〇%近い状況になっているということ。今回、処理をせざるを得なくなって、自賄いとされてきた老齢年金を含めまして国庫負担で処理をせざるを得なかったという状況でございまして、国庫助成がある、ない、それから成熟度が全然違うということで、今回の農業者年金に係ります措置が他の公的年金に波及ということは考えられない、前例にはしないというふうに考えているところでございます。
#163
○須藤美也子君 それでは、公共の福祉に適合する、こういう言い分でカットするならば、また何かの理由が起きればカットされる、こういう可能性もあるわけですね。そういう一人で受給者三人を負担しなくちゃならないと今おっしゃいましたよね。加入者がどんどん減っていった場合、またカットされる可能性も大きいわけですね。
 もうこれ以上、二度とこういうようなカットをしない、こういう保証はあるんですか。
#164
○政府参考人(須賀田菊仁君) 将来、同じようなことが起こるのではないかという御懸念でございます。
 私どもとしては、現行制度が破綻をいたしましたその反省に立ちまして、新しい制度につきましては、まず財政方式については積立方式といたしまして、自分が支払った保険料と一定の運用分が、将来、年金として返ってくるという安定した仕組みとしておりまして、加入者と受給者の関係の率でございますとかそういうものに左右されないような仕組みにしているということ。
 それから、そのほかもろもろ農家の方々の批判がございました。例えば、保険料が割高であるというような批判に対しましては、認定農業者でございますとかその配偶者の方々について保険料負担の軽減を図るようにしたと。そして、死亡一時金が低過ぎるのではないかという声に対しては、死亡一時金の水準を大幅に改善したということでございまして、現行制度に比べますとはるかに安定をし、かつ農家の方々にも安心して利用していただける制度にしたつもりでございまして、将来その年金額を削減するというようなことは考えていないところでございます。
#165
○須藤美也子君 それは積立方式にしたからと、こういうことですね。しかし、これから積立方式の問題についても伺いますけれども、積立方式にしたから削減しない、こういう保証にはならないでしょう。ですから、将来絶対に削らない、カットしない、こういうことは言えない、これが私は逆に明らかになったと思います。さらなる削減は進むんでないか、改悪につながっていくんでないか、こう言わざるを得ないんです、今の答弁を聞いてですよ。
 そこで、大臣に伺います。
 私は、農業者の生活、老後の保障、ここを大事にする農政を進めていくのか、それとも国民がこう言うから、国民がこうだからと、そこに理由をつけて農業を片隅に追い込むような農政を進めるのか、ここが農業者年金のこの制度の改正のところでも問われていると思うんです。
 そこで、受給者の負担は、カット分二千億円ですよ。平均すれば一年間三十億です。だとすれば、先ほど参考人の方々が、この間、大臣にも申し上げましたけれども、むだな公共事業、農道空港のお話もきょう出ました。これは廃止になりました。こういうむだな公共事業というのは、農業土木の中にもたくさんあります。こういうむだな公共事業を見直して、農業予算の中でこの農業者年金の足りない分、一年間三十億、これを捻出することができるんじゃないですか。
 農業者の立場に立った老後の保障を本当に考えるならば、私はこういう方法で、農業予算の中から支援、所得補償とか価格補償とか、農業予算で出しているわけですから、ここで捻出すべきだと思いますが、この点について、大臣いかがでしょうか。
#166
○国務大臣(武部勤君) 要するに、一番大事なことは、農業者年金の受給者も国民です。言うまでもないことです。しかし、主権在民のもと、国民の理解と協力が得られる範囲、限界というものはどこなのかということをやはり基本に考えなければならないんじゃないかと私は思いますね。
 もう釈迦に説法ですけれども、昭和六十年改正前に加入した人は保険料の累計は二十三万円、これはモデルですが、個々にあるでしょうけれども、これは二十七・七倍の六百二十八万円の年金給付額、現在八十歳の方です。それから、平成二年改正前の昭和二年一月生まれの現在七十四歳の人は、六十五万円に対して十三・八倍の八百九十五万円の受給ということになるわけです。平成二年改正後、昭和二十一年一月生まれ、現在五十五歳の方は二・七倍の八百五十万円ということは、これは国民の皆さん方の中に知る人ぞ知るであって、我々は、これは当然国民の皆さん方に政策年金として理解が得られるものとしてこのことを推し進めてきたわけでございますが、御案内のとおり、年金加入者の中でも四分の一ぐらいの方々は保険料も納めていないという、そういった実態などもありまして、非常に国民の皆さん方の見る目というのは厳しくなっているというのが実情じゃないでしょうか。
 そういうことを考えましたときに、国民一般の理解と納得が得られるためには、受給者、加入者に対しても年金給付額の引き下げ等応分の負担を求めざるを得ない、そうでなければこういったことは続かないという認識に立っているわけでありまして、農林水産予算で年金額引き下げ分を捻出できるかという観点ではありませんで、やはり一般国民の理解を得られるか、その限界点はどこなんだということを考えて今回の改正案を提出させていただいた、こういうことでございまして、公共事業、削れるところはたくさんあるじゃないかとおっしゃいますけれども、これはまた大事なことはたくさんあるわけでございまして、三十億を単年度で削るということはとんでもない、またいろいろなあつれきを生ずるものではないかと、かように思いますので、御理解をいただきたいと思います。
#167
○須藤美也子君 大臣、農業者も主権者なんですよ。
#168
○国務大臣(武部勤君) そうですよ、今私も言っている。
#169
○須藤美也子君 これまでいろいろ論議されましたように、何百年も先祖代々の田畑を守って、所得のないところで頑張ってきたんですよ。それが国民の食料を守り、環境を守ってきたんですよ。その農業者のために老後の保障、老後の保障といっても大した保障ではないでしょう。先ほど来、参考人の方々がおっしゃっていましたけれども、農業者年金というのは数万ぐらいでしょう。経営移譲年金、いろいろこれまでありましたけれども、それに国民年金を加えると。厚生年金から見れば大変低い額ですよ。
 この間、八十三歳の農業者年金をもらっている方のお話を聞きました。先祖代々のあの中山間地で開墾をやって農業をやってきた、そして自分の息子に農業を継がせた、そのときピストル型のいわゆる経営移譲年金をもらったと。今現在もらっているのは年間でたったの十一万ですよ。ところが、息子は、こんな中山間地で農業をやっても採算がとれない、もう農業をやめて企業に働きに出た、哀れなものだ、もうこれではあとはあの世に行った方がいい、こうおっしゃっているんですよ。
 あなたが、大臣が日本農業をどうするか、こう考えているところの農村が今こういう深刻な状況になっているということは大臣が一番よくおわかりだと思うんです。その老後の保障も確かなものになっていない、この現実をしっかりと私たちはつかむ必要があると思うんです。
 そこで、平成七年の財政再計算でこのような事態を予想していなかったと、こういろいろ御答弁これまでされました。新規加入者数、保険料収納率、経営移譲率、運用利回り、ともに大幅に実績と見通しは乖離した。さきの本会議で当時の農水大臣は、その見通しの誤りを申しわけないと、こう陳謝いたしました。しかし、謝ってもこれはしようがないことなので、謝るならば、なぜ見通しが狂ったのか、これをきちんと分析をし、反省しなければ次の政策に届かないわけですよね。
 ですから、そういう点で、特に新規就農加入者はふえているんですよ、最近、農水省の資料を見ても。ところが、年金加入者は逆に減っているんです。このまま農業を続けられるのか、そうした不安が加入を控えさせているんです。つまり、加入者が少ないのは農政の側にあるんです。こういう期待の持てない、希望の持てないような農政をやってきた、ここに大きな原因があると私は思います。
 さらに、保険収納率の低下、これは農業所得の低下を見ますと、農業所得はこの間四割減少しました。保険料は四人に一人が未納です。払っていません。まさに農業所得と保険料の収納率というのは符合していると思いませんか。所得が下がれば保険料の収納率も低くなる。経営移譲の低下は後継者や農地引受手の減少によるものです。経営移譲年金の支給停止者がふえています。
 この原因等々について、平成七年の財政再計算で、見通しと現状とまさにこのように乖離した。この原因を私は今少し申し上げましたけれども、大臣は、その根本的な原因がどこにあるのか、どうお感じになっているんでしょうか。
#170
○政府参考人(須賀田菊仁君) 平成七年の財政再計算の見通しと実績、先生の言われるように大分乖離をしております。新規加入者の見通し、平成十二年度以降、一万六千人と見込んでおりますし、先生言われたように、新規就農青年の動向は徐々にふえておりますけれども、年金への新規加入者は千六百人ということでおよそ十分の一ということになっております。それから、保険収納率につきましても、やはり実績と比べて低い割合になっているということでございますし、先ほどの経営移譲年金の支給停止の割合につきましても、九万四千人と増加傾向にございまして、これは特例農地等の返還、農地を譲った方がもう一回返還を受けたという事由によるものでございまして、恐らく後継者が他産業へ流出したか転用のために返還したかだろうと思います。
 いずれにいたしましても、原因につきましては、農業構造の大きな変化ということもございますけれども、やはり所得との関係で保険料が割高に感じている、あるいは制度の将来について不安がある、こういったことが原因ではないかというふうに私どもも承知をしておりまして、このような不安を払拭するような制度改正その他に努めていかないといけないなというふうに感じているところでございます。
#171
○須藤美也子君 大臣、こんなに乖離しているんですよ、平成七年の見通しと現状が。これは単なる見通しの過ちで済むものでしょうか。そして、農業者に約一割のカットを押しつける、これでいいものでしょうか。これが大臣の言う改革なんでしょうか。これじゃ本当に農業者に痛みを伴う、そういうものだと思うんですよ。
 そういう点で、カットは農業者の責任なのか、それともそういう農政の過ちなのか、そこをはっきりしてくださいよ。
#172
○国務大臣(武部勤君) はっきりしてくださいよと、こう言われましたが、なかなかはっきりできないところが農業情勢をめぐる非常に複雑かつ厳しい状況だ、こう認識せざるを得ないと、私は正直そのように思います。
 でありますから、現行の農業者年金制度の破綻という現実を踏まえて、オール・オア・ナッシングというわけにはいかないと。より国民の理解のもとに意欲を持って担い手が農業に従事できるような、そういう制度改正をと考えて今回の法案を提出させていただいたわけでございます。
 また、今、須藤先生御指摘の問題は、これは農業者年金制度だけで解決できるものではないと、私はこのように思っております。
 ですから、我々大事なことは確たる方向を明示すること、ここで揺らいじゃいけません。同時に、今後の動向、動静というものについては頭をやわらかくして対応していくということが必要でありますし、加えて、私ども、農林水産業の構造改革ということをあえて強く打ち出していかなければならない、そういう現実に直面している、このように思っているわけでございます。
 今、先生からさまざま御指摘ありましたけれども、私どももこれまでの見通しの甘さに対しましては責任を感じておりますし、同時にまた、今後の対応についても、加入者も政府もすべて一体となって国民の理解を得られるような努力をしていかなくちゃいけない、今度同じようなことを繰り返したら国民が許さないだろう、そういうような非常にせっぱ詰まった気持ちで挑戦していこうという次第でございますので、ぜひ御理解をお願いしたいと思います。
#173
○須藤美也子君 ということは、私どもは給付のカットはやるべきでない、こういうふうに考えております。むしろ、農業者年金をもっと充実させないと、今の置かれている農業者の実態からすれば農業を続けていく人がいなくなるだろう、こういう心配を持っておりますから、給付のカットはやるべきでない。
 そして今、大臣がおっしゃいました。この問題については、問題は政府の責任である、そういうふうにおっしゃいましたね。じゃ、その立場に立って全面的な解決を図っていただきたい。私どもはカットはやめるべきだ、こういう立場でありますが、そういう立場で農民も納得できる、そして農業者年金がもっと充実できる、そういう体制をつくるための責任を持っていただきたい。
 次に進みたいと思います。
#174
○国務大臣(武部勤君) 政府の責任というふうにお決めつけいただいては困るわけです。政府も責任を感じていると後段申し上げましたように、加入者もすべてが一体となってここを乗り切っていかなきゃいけないと。これは国民の協力を得られなかったらできないわけですしね。その九・八%カットもぎりぎり国民の皆さん方に理解がいただける範囲かなということで申し上げているわけでございまして、政府が全部責任を負っているということではありませんので、今後に向けて政府も責任を感じて真剣に取り組んでまいりたいということでございますので、そのことをあえて申し上げさせていただきます。
#175
○須藤美也子君 あえて申し上げなければよかったですね。
 大臣の今の答弁は後退していますよ。政策も予算も全部国が出しているんです。農民は政府の言うなりに農政の制度に基づいてやってきたんですよ。規模を拡大すれば、はい、価格がだめといえばそれにも我慢して踏ん張ってきたんですよ。政府の農政の結果なんですよ。ですから、先ほど大臣はいい答弁をしたと思ったんですけれども、何か今の答弁は随分後退している。これは撤回していただきたいと思います。
 次に、農業者年金だけが全体の農業者を支援するものでないと、どなたか発言されました。支援策の問題で、今回の農業者年金の改正で、目的が農業者の確保のための年金、こういうふうに改正されるわけですね。だとすると、加入者の対象をいろいろ広げたり、あるいは積立方式にしたり、こういういろいろなことをおやりになると。
 ところが、基本的にはみどり年金と同じ仕組みになるわけですね。みどり年金も三万人の加入者しか入っておりません。加入の対象を広げ間口を広げても、実際この年金で農業者の確保につながる、こういうふうに自信を持って言えますか。これはどなたでしょうか。
#176
○政府参考人(須賀田菊仁君) 国民年金基金の中のみどり年金、加入要件が六十日以上農業に従事をした方ということで、まさに今回の新制度と、我々の制度と同じ要件なわけでございます。今までは農業者年金基金に入れなかった方々を中心に、みどり年金に入っていただいているというのが実態ではないかというふうに考えているわけでございます。
 今後、じゃ農業者年金加入者がそんなに見込めるのかというお尋ねでございまして、これまで農業者年金に対しましてさまざまな御批判が農村現場からございました。そういう御批判にこたえるような今回制度にしたわけでございまして、財政方式を改めたことは先ほど申し上げましたけれども、例えば保険料が割高であるというような批判にこたえまして、一定の要件を満たします認定農業者あるいはその配偶者、後継者、こういう方々に保険料負担の軽減を図ったと。
 それから、掛金が戻ってこないのではないか、掛け損が生ずるのではないかというような御批判に対しては、掛けた分と一定の運用部分は着実に戻ってくる仕組みとしたということ、そして死亡一時金が低過ぎるという御批判に対しては格段にこれを改善したということでございまして、現行制度に比べてはるかに安定をし、安心して加入できる制度にしたということで、我々としては今まで以上に加入される方々がおられるのではないかということで、当面三十万人程度の加入者を見込んでいるところでございます。
#177
○須藤美也子君 私はそういうことを聞いているんでないですよ。今回の農業者年金制度の改正は、その目的、これが農業者の確保となっている。こういう形で確保ができるのかということを聞いているんです。何ですか、その三十万人が加入できるとかなんとか、そんなの聞いていないです。もういいです。
 じゃ、副大臣にちょっと聞きます。
 先ほど来お話がありましたけれども、農業者の確保というならば、この年金は少しおかしいと思いませんか。認定農家と青色申告、先ほど来質問もありました。この人たちに政策支援をするということですよね。そうすると、政策支援から外れる人たちは一体何人ぐらいいるんですか。
#178
○副大臣(田中直紀君) 具体的な数字はすぐ出てきませんが、今回の制度におきましては、先生も御存じのとおり、加入者の皆さん方に担い手の確保ということで認識を持って入っていただくという形になるわけでありまして、その中で、農業に就農する方々、あるいは経営の改善を図っていく、あるいは農業を継続していく、こういう方々が対象になっておりますが、一生農業に従事するということになりましたら、この農業者年金に入っていただくことによって生涯の年収といいますか、そういうものの確保をしていただくということの一つの農業者の中での充実を図っていくということになるわけであります。
 当面その対象者は、農業に従事しておる方々あるいは配偶者、後継者、施設型の農業経営者という方々に新たに入っていただくということでありますから、その対象者が数字からいいますと八十万人ということでありますから、三十万人の皆さん方に加入していただくとなれば、まだまだ潜在的な方々もいらっしゃるということでありまして、直接、農業者年金と担い手の関係というものが従来のような制度上のつながりがございませんけれども、やはり農業に従事していただく方々には、農業者年金のみならず、その経過の中で充実した制度をまた引き続き確立していくということが期待にこたえることではないかというふうに思います。
#179
○須藤美也子君 そうしますと、改正で目的が農業者の確保ですね。そうすると、今答弁されたことと非常に矛盾するんじゃないですか。つまり、担い手とそれから青色申告、こういう人たちが農業者の確保、こうなるわけではないでしょう。さらに、今回の政策支援を受けた人たちについても、保険料支援分の特例付加年金の支給は、所有権移転で農業を営む者でなくなったとき、離農、リタイアを条件としているわけですね。わずかな年金額を条件に農業からのリタイアを迫る、こういうやり方が農業者の確保と言えるでしょうか。今、六十歳でも六十五歳でも、みんな元気で農業をやっているんです。そういう点からいうと、今回の改正、本当に目的が農業者の確保、こういう精神が生かされるような内容にしていくべきだ、こういうふうに思います。
 そこで、担い手確保について、私は、青年の就農を促進する、ここが非常に今重要になっていると思います。少ない年金では魅力がない、それよりも青年就農助成制度の充実を図ってほしい。現行制度は三十五歳以下は七分の二に割り引かれています、保険料ですね。これまでは保険料が安くとも給付額に影響はなかったんです。今後は積立方式になるわけですから、保険料を三十四歳、三十五歳以下、こういう人たちが七分の二に割り引かれた分、安くした分だけ給付も下がるわけですね、積み立てですから。青年加入者にとって将来年金支給の期待を裏切られる。信頼していたのに、積立方式ですから給付が安くなるわけですよ。ですから、青年加入者にとっては改悪につながるのではないか。
 これも長いですか、答弁。
#180
○政府参考人(須賀田菊仁君) 政策支援の対象者といたしまして、認定農業者のほかに、今先生言われた認定就農者であって青色申告をしている方も対象にしているところでございます。新規就農される方も決して例外にしているわけではございません。
#181
○須藤美也子君 私は、実際資料を見ますとそういうふうになっている。ここでいろいろ細かいことは言えませんけれども、そういうふうになっていますね。このあなたの方で出しているあれを見ますと、そういうふうになるんですよ。うんうんと言っているわけですから、そういうかみ合った答弁をしていただきたい、こういうふうに思います。
 最後の、まだ時間が何分かありますが、その問題について、私は、こういう年金の青年農業者に対するこういう制度というのは、青年の意欲を持ってやろうとするそういう人たちの気持ちを逆なでするものだ、こう言わざるを得ません。農業者の確保に本気になって取り組む、そういう姿勢があるならば、年金制度だけでなく、支援制度が緊急の課題だと思います。
 日本は六十五歳以上が農業就農者の半分を超えています。EUは五十五歳以下が八〇%なんです。六十五歳以上は七%にすぎません。EUは青年就農助成制度があります。フランスでは離農が進み老齢化したために助成制度をつくったんですね。三年間合計で百六十五万円から四百五十一万円まで助成があります。農業者の確保なら、こうした助成制度を積極的に取り入れるべきだと私は思います。
 農水省で出した就農者アンケートでは、経営的なめどが立つ年数は就農後三年から五年、こういうふうになっております。農業所得でやっていける状況ではありません。この間の所得保障が本当に必要なわけです。
 助成制度の検討を要求したいと思います、提案をしたいと思いますが、これは政策的な問題ですので、大臣はこの問題にどのようにお考えなのか。検討するのか、それとも後退してもうだめと言うのか、その辺で改革の姿勢が問われる、こういうふうに思いますが、いかがですか。
#182
○国務大臣(武部勤君) フランスのことは非常に参考になる施策だと思います。しかし、これは、よく若い就農者あるいは就農希望者の考えを聞いてみなきゃいけないんじゃないでしょうかね。また、地域によってそれぞれ違うと思います。同じ北海道でも、畑作地帯と酪農地帯とあるいは野菜、米地帯とかは大分違いますね。
 ですから、大事なことは、どういう農業をやろうとしているのかという、その若い担い手が何を望んでいるかということについては、その望んでいるメニューといいますか施策というものを提供するということが基本的に大事なんじゃないかなと、かように思います。
 また同時に、いろいろな経営形態がありますから、国の基本政策である農業ではありますけれども、やはり地方分権という観点からも、県とか道とかそういったところに、財源の裏づけということは一つあるでしょうが、最近は統合補助金という制度も拡充しつつございます。そういうことでやらないと、一律にいわゆる就農支援資金というような形で補助金を交付するというようなことは、私はいかがかなという感じがするわけでございます。
 いずれにいたしましても、先生御指摘の本当に意欲のある前向きな若い農業者というものを農村にどんどん定着してもらうというようなことは非常に大事なことでありますし、特に若い農業者の間でこういう声もあるんです。
 拓銀が破綻した際に、武部代議士、拓銀に勤めていたいい元銀行員はいないかと、我々は農業をやりたいのであって、自分が経営者として社長になってやろうなどという、そういうことばかり考えているんじゃないんだと、本当に経営能力のある人がいるならば、そういう人たちをマネジャーに招聘して、そして一緒にやりたいというようなことも聞いているわけでございます。
 非常に大事な視点で先生は御発言いただいていると思いますが、またきっと後退した発言というふうにおしかりを受けるかもしれませんけれども、私どもは本当に農村に若い経営者というものをどんどん輩出できるような政策展開を今後やっていきたいと思っております。
#183
○須藤美也子君 さすが北海道出身ですね。私、これで拓銀の話を何度か聞きましたので、拓銀の問題は随分例に引かれるようですけれども、北海道の農業というのは、私方にとっては本当に農政の見本として、北海道の農政はこうなっているというようなことを大分例に引いてまいりましたけれども、北海道も非常に農業は深刻な事態になっていると思います。
 そこで、各地域の問題が出されました。十八県が就農資金の返済免除をやっているんです。これは全国に今広がっています。県でやっているんですよ。これは、簡単に返せないと免除しているんです。これを県内の施策でなくて全国的に国が主導的に行う事業にしていくべきではないか。県がこういうふうに努力しているわけですから、国がそれを支援し、あるいは主導的に行うこと。そして、何回も繰り返すようですが、青年の農業者を育成するための助成制度を、私は、EUに学んで日本でもこれを積極的に取り入れるべきだ、こういうふうに二つの点を提案したいと思うんですが、ひとつ前向きに御発言をお願いいたします。
#184
○国務大臣(武部勤君) 前向きにお答えさせていただいていると思いますけれども、私はEUに学ぶところということはたくさんあると思います。一つは、ドイツとかフランス型のデカップリング、つまり農薬だとか金肥を余り使わなくても、土づくりを完璧にやりながら環境に配慮した農業がやれると。それは、その環境はいわゆる自然環境だけじゃありません。安全性の高い、食味の面でもおいしい新鮮な農産物というものを消費者に供給するという観点からも学ぶべきところがあると思います。昨今、少し耕作放棄地も出てまいりました。そういう意味では、そういう緑肥作物を入れて輪作体系にひとつ加えていくというようなやり方は学ぶべきだと。そのことについて助成するということは結構なことじゃないかと思います。
 それから、各県がやっていることについて国が支援せいということについては、これはやっぱり各県がおやりになるということが一番だと思います、それは各県が一番事情を知っているわけでありますので。まさにこれは地方分権、地方主導型の農政というものを展開するという意味でも、そのことは大事じゃないかなと思います。
#185
○須藤美也子君 終わります。
    ─────────────
#186
○委員長(太田豊秋君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、小川勝也君が委員を辞任され、その補欠として木俣佳丈君が選任されました。
    ─────────────
#187
○谷本巍君 質問通告をいたしたもの、かなりの部分もう政府側がお答えになっておりますので、そちこち飛ばしながら質問させてもらいたいと存じます。
 まず初めに伺いたいのは、先ほど須藤委員の方から、今度の農業者年金制度の再編問題と関連し、それは農政の責任があったのではないかということ、この点を明確にしなさいという質問がございました。私もその辺のところをきちっと確かめておきたいと思います。
 大臣も御存じのように、昔の基本法が描いたものは何であったか、その後の農林水産省が示した基本政策というのはどういうものであったか。専業農家を育てていきましょう、そして兼業農家、これは両極分解な格好になっていくことを当初の基本法は想定しながら、そういう状況のもとで農政が進められてきた。そして、そういう情勢のもとで農業者年金制度というのも登場してきたということでありました。
 その結果、どういうことになったかというと、これまで指摘がありましたように、担い手が減少してしまう、そして高齢化の進展という状況が生まれてきた。つまり、描いたものと現実は異なったものとなってしまった。その原因は一体どこにあるのか。やっぱりより直接的には農政にあったのではないかと思うのですが、いかがですか。
#188
○国務大臣(武部勤君) 農政の責任の否定はいたしませんが、やはり日本の社会経済構造というものが想像をはるかに超えて大きく変化したということが背景にあると思います。同時に、国際化ということがこんなに急激に進むということは想定していなかったのではないか、かように思います。市場経済原理というものを背景にして、農業が相当努力して農政の中での計画は消化してきましたけれども、しかし、次から次と規模拡大を迫られる、しかも労働力が一時物すごく不足しまして外国人労働者に頼らざるを得ないというようなバブル期もございました。
 そういうような社会経済構造の変化に、一年に多くても二毛作か三毛作しかない農業、しかも日本の場合には耕地面積が少ないということで、なかなか容易に規模拡大も進まないというような背景等があったと思います。一概に農政だけの責任だとは思いませんが、農政の責任も否定いたしません。
#189
○谷本巍君 私も、農政がすべてであるとは申し上げてはいないんです。大臣も言われるように、日本経済における構造上の問題、そういう問題があったのは紛れもない事実であります。しかし、より直接的には農政の責任であったと。見通しを誤ったこと自体がそうですよ。そう思いませんか。
#190
○国務大臣(武部勤君) 農政というものをどのようにとらえておられるか。先生は農民組織のリーダーでもあったかと、かように思います。ここでの議論も農政に影響を与えております。それから、農業団体も相当影響を与えている、かように思います。そういう上で、立法府、国会の責任も当然あったんだろうと思います。そういう意味では、そういったさまざまな声を背景にして農林水産省の行政が展開されてきたわけでございますので、農政の見通しの誤りとか農政の責任ということを農林水産省の責任ということであるならば、それはそうではないと。
 これは甘んじて私ども政治家の一人として責任を感じますが、弁明するわけじゃありませんけれども、私どもが早くから主張していたことに踏み切っていればなという、そういう悔いも残らないわけではない。したがって、この機会に思い切った構造改革を打ち出していかなくちゃいけないという、そういう認識でございます。
#191
○谷本巍君 大臣が言われる思い切った構造改革というのは、今度また時間を改めて意見交換といいましょうか、させてほしいと思います。
 次に伺いたいのは、今度の改正で政府責任というのがどうも後退している感じを受けるなというのが私の強い印象であります。といいますのは、二階建て部分に国費が投入されておりますのに任意加入とされてしまっておるからであります。
 これからの世界の食料問題というのは、もう既に世界的に水不足の時代に入っていくであろう、そして、そういう状況の中で食料不足というのは世界的に出てくるであろうということが多くの人たちに語られるようになってまいりました。世界から、外国から食料が輸入できる、結構でありますという時代ではなくなっていくであろうということが見通されます。
 食料生産という重要な使命を持つ担い手を確保するためにということで、これまでの年金制度をやってきているわけでありますから、そうであったなら、強制加入として、特別な目的を持つ年金として国の助成を明確にすべきではなかったかと思うのだが、いかがでしょうか。
#192
○政府参考人(須賀田菊仁君) 先生も御存じのように、今の農業者年金制度が発足しました昭和四十五年のときは、零細多数の農地所有構造というものを規模の大きな経営を主体とした農地所有構造に変えていくということを目的としておりましたので、一定面積以上の農地所有者の方は強制的に入れて、経営移譲を通じて農地所有構造を変えていくというふうなことを企図したものでございまして、一定面積以上の方々には強制加入ということにしていたわけでございます。
 ところが、昨今の農業情勢を見ますと、その肝心の担い手そのものが非常に脆弱化をしていなくなったということで、その担い手を何とか確保しないといけないという、この属人性に着目した制度に変える、要するに農地構造の変革ではなくて、担い手の確保という属人性に着目したものに変えるということで、制度上は、年金の加入の有無については、担い手の方々それぞれ人生設計がおありでございましょうから、担い手の自由な選択に加入の有無をゆだねるという任意加入にしているところでございますけれども、私どもとしては、生涯所得の確保の重要性にかんがみ、すべての担い手の方々に利用してもらいたいという意図を持っているものでございます。
   〔委員長退席、理事森下博之君着席〕
#193
○谷本巍君 そこで伺いたいのは、農業経営の近代化ということをまずテーマにしたと、それからもう一つ、事の経過からいきますというと、当時の佐藤総理が言われたのは、農民にも恩給をという言葉でしたね。つまり、所得格差が開いていく、そういう状況の中でやっぱり年金制度をつくらなきゃならぬなと、老後保障ということであります。
   〔理事森下博之君退席、理事岸宏一君着席〕
 そうしますと、農業の近代化と農業者の老後保障、どっちに重点を、つまり軸足を置いているのか、そこはどうなんですか。簡単に答えてください。
#194
○政府参考人(須賀田菊仁君) 二つの側面、農業政策上の目的は、農業経営の若返り、規模の拡大でございます。そこに着目して経営移譲に国費を投入しておったわけでございまして、農業政策上は、農業経営の近代化、農地保有の合理化の方に軸足を置いた制度というふうに私どもは認識しております。
#195
○谷本巍君 そうしますと、今のお話ですと、老後保障ということもあるけれども、より政策的なものとして近代化の方に軸足を置いてきたという話になってまいります。
 そうしますと、なぜ今回の改革で経営移譲年金だけ給付額の引き下げとなるんですか。そこはどうなんですか。重点をお聞きしているわけです。
#196
○政府参考人(須賀田菊仁君) 農業者年金制度がこのままいけば破綻する、何とか現行制度を処理しないといけないというときに、年金債務としては全額国庫負担で行おう、しかしながら受給者の方々にも応分の協力ということで年金の引き下げを願おうと。
 その際、どういうような考え方で引き下げをしていただいたらいいかということにつきましては、全額国庫助成で見られております経営移譲年金、これは国庫助成でその中身を見ておりましたので、そこについて、引き下げで老後生活に影響を与えないような規模の引き下げを願おうと、これが年金制度上の筋ではないかということで経営移譲年金の方の引き下げということにしたわけでございます。
#197
○谷本巍君 どうもやっぱりそこのところの方針がしっかりしませんね。先に行きましょう。
 次に伺いたいのは、先ほど一割カットの問題で論議がございました。この場合、国民の理解を得るのにはということで一割カットした、詰めて申し上げますというとそういう答弁でありました。といいますというと、この場合、国民の理解が得られないという、そのことの意味、根拠というのは一体どういうことなんでしょうか。
 さらに、もう一つ、この際伺っておきたいのは、一割カットとすれば理解が得られるのかどうなのか。何で一割という数字が出てきたのか。そこの根拠をお示し願いたい。
#198
○政府参考人(須賀田菊仁君) 今般、国民負担、全額国庫助成で年金債務を処理するということにしたわけでございます。ただ、この負担を願う納税者、すなわち国民の方々は制度の破綻に直接的な責任はないわけでございまして、そういう意味で、そういう国民の方々の理解を求める、税金を使わせていただくためには、こちらも何か応分の負担をしたんですということでないとなかなか国費の投入について理解が得られないだろうというふうに種々の意見を聞いて我々が認識したわけでございます。
 それがなぜ九・八%、一割かということでございますけれども、国民の理解という面では、できるだけこちらの負担が大きい方がいいわけで、引き下げ額が大きい方がいいわけでございますけれども、他方で農業団体の方々とずっと議論をしてきて、農業団体からは、最終的に一〇%未満の引き下げならば何とかお願いをしたいということの要望が来まして、それやこれや総合的に勘案して、平均的に九・八%カットということに落ちついたのが事実の経緯でございます。
#199
○谷本巍君 はっきりした根拠を示すことができるような事実経過ではなかったというお話はわかります。
 それはそれなりにわかるのでありますが、局長、国民の理解を得るという点でもう一つはっきりすべきだったと私は思いますのは、農業の果たす多面的役割、国土の保全から環境問題から、さらには景観の維持等々たくさんあるわけですね。そういう問題をもっと大胆にきちっと問題提起しながら、そしてそこで国民的論議をしていただくというふうに私だったらいたしました。どうしてそれをしなかったのか。そこはどうなんですか。
#200
○政府参考人(須賀田菊仁君) 一連の今回の抜本的改革の中で、年金財政上も現行制度は破綻をして、これは処理しないといけない、そこまでは議論が集約されたわけでございます。
 それじゃ、新しい制度はどうするか。もうやめてしまうのか、それとも新しい制度で継続するのかといった議論になりました場合に、現下の農業情勢上、担い手が非常に少なくなっておる、このままでは先生言われたような農業の持続的発展を通ずる多面的機能の発揮も将来ままならぬようになるであろうというような議論がございまして、そういうことならば、目的を担い手の確保に変えて新しい農業者年金制度を発足させよう、その際には財政上も安定したようなものでいこう、それから農村現場の批判にもこたえられるようなものにしよう、こういう議論の経過を経たものでございます。
#201
○谷本巍君 どうも、農業者年金制度というのを積極的に世間に訴えながら、この制度の持つ重要な意味についての国民的合意をつくる、そういう努力というのが私は欠けていたと思いますね。非常にその点については不満を感ずるということを申し上げて、先に入ります。
 次に伺いたいのは、加入者の確保の問題であります。
 政府は、現行制度の加入者のほとんどが新しい制度に横滑りしてくれるというふうに想定しているように思われます。本当のところ、そこはどう見ておるんでしょうか。給付は下がるんです。当然加入は任意加入になるんです。私は、今の加入者が全面的に新しい制度に入っていくとは到底思えないんですよ。
 ですから、そこで結論として伺いたいのは、制度を維持するのに必要な加入者を確保して、政府は責任を持って新制度を維持していくことができるかどうか。ここのところについての考え方、決意といいましょうか、それをひとつ伺いたいのです。
#202
○政府参考人(須賀田菊仁君) 確かに、先生申されますとおり、新しい制度の運営というものについて我々も万全の自信があるわけではございませんけれども、新しい制度、先ほどから言っておりますように、農業者年金制度に対する現場の批判というものにできるだけこたえる。保険料が割高であるという批判に対しては負担軽減をする。それから、加入要件を農業に従事する者というふうに緩めまして、広く施設型、その他の配偶者、後継者にも門戸を開放する等々の措置。そして、財政方式は積立方式ということにしておりますので、こういう内容についてしっかり御理解をいただければ利用していただけるものではないかというふうに私どもは思っております。
   〔理事岸宏一君退席、委員長着席〕
 したがいまして、こういうような内容について農家の方々の御理解を一層深めていただけるよう、これからの普及なり理解を得る努力が大切ではないかというふうに考えております。
#203
○谷本巍君 理解がいただければというお話でありますけれども、そういう話になってきますと、この制度が維持できるかできないかは農業会議所や農業委員会の努力次第ですよというぐあいになってくる可能性があるんです。そこはどうなんですか。
#204
○政府参考人(須賀田菊仁君) 農村の現場におきまして、私どもは、農業委員会系統それからJA系統に加入促進あるいは内容のPR等をお願いしているわけでございます。やはり集落に足のある機関というのは農業委員会であり農協であるわけでございますので、ひとつこれらの方々の一層の御努力をいただきたいというふうに正直思っている次第でございます。
#205
○谷本巍君 この際、大臣に要望しておきますけれども、結局、加入者の確保問題というのは団体責任みたいなことになっていく可能性がありますね、今の局長の答弁を伺いますと。それだけじゃしようがないんでして、制度問題について問題点があれば積極的にまた検討していくなり、その種の対応が私は必要だろうと思うんです。大臣、いかがでしょうか。
#206
○国務大臣(武部勤君) 局長からすれば、ただいま申し上げましたことがベストだと私は理解いたしますが、先ほど来、先生お話しのとおり、今後の農業とか農村というものをどのように位置づけていくか、新しい存在価値というものをどのように国民に理解を求め、共感を求めていくかということだろうと思います。
 そういう意味では政府全体の責任は非常に重いと思っておりまして、この新制度の政策支援の対象というものは、先ほど来申し上げておりますように、効率的かつ安定的な農業経営を目指す意欲ある農業者ということを対象にしているわけでございまして、今後、構造政策の中で、専業的な農業者等に総合的、集中的に施策を集中してまいりたいというふうに考えていることと同時に、まだまだやりたい、やり得るという人々がいるんですけれども、農業という労働の性格上、もうとても自分一人ではやり切れないという人々もたくさんいるんですね。そういう姿を見て、農家の奥さんなどは自分の息子に農業の後を継がすということに抵抗を感ずるんです。
 ですから、生きがいや健康のために農業を行うという方々も含めまして、こういった方々をサポートする、そういう集落農業ということも一つでありましょうし、生産法人等、あるいは株式会社も含めた法人化ということも大事だと思っておりますし、とにかく農村と都市との共生の関係も含めまして、生き生きと農業生産に従事できる環境づくりと、そのための政策展開ということがこの制度を実効ならしめる非常に大事な要素だと思うんです。
   〔委員長退席、理事森下博之君着席〕
 一言で言えば、農業をやろうとする者が誇りを持って、意欲を持って、希望を持って取り組んでいく。同時に、国民の合意によって、国民の皆さん方が農村を見直す。自分たちが、都市の人たちも自分たちとは共生の関係に、融合すべき関係にあるんだという、そういう気持ちというものを醸成していかないと、従来の流れを脱皮していく、脱出していくというのはなかなか難しいんじゃないかと、私どもはそういう責任を感じております。
#207
○谷本巍君 そこで、重ねて大臣に伺いたいんであります。
 基本計画の言う担い手確保というのは、今大臣も言われましたけれども、効率的かつ安定的な農家ということでありまして、今言われておるところの四十万戸の農家というのがそういうことなのかなというような気がいたします。私は、大臣が今言われたことと後の部分では一致するんですけれども、ちょっと一致しないのは、このような選別政策で果たして自給率の引き上げというのが可能なのであろうかということと、それからもう一つは、持続可能な環境型家族経営、これがやっぱり大宗を占めるという形でもっていけるのかどうかということについて問題点があるような気がいたします。
 具体的な例を申し上げます。
 例えば、新潟県で私の知り合いが三世帯夫婦六人で七十ヘクタールの水田経営をやっております。これは大部分借りておるんです。この皆さんが今悩んでいるのは何なのかというと、農家が少なくなって困ったということです。水路整備にしましても、あるいはまた村落社会の世話役というのは大体専業農家がやっておりますから。ですから、代かきは、あんたのやつはやってやるから、ひとつ残ってくれというようなことで働きかけをやっているということであります。
 北海道と内地の場合、若干違いがありますけれども、農村というところは、専業農家がいないと兼業農家も困る、専業農家の方は兼業農家がいないと困るというような関係があるんですね。つまり、大きいところと小さいところが相補う関係というのがありませんと、うまくやっていけないという状況があるわけですよ。
 さらにもう一つ、中山間地域の場合で見てみますというと、中山間地域で生き残ったところというのは大体農業生産だけじゃなくて加工も流通もやる、産直も含めて。そして、より多くの付加価値を地元に落としていくようなシステムをつくっていくということはやってきておりますが、これがやってみますと意外と村の活性化が出てくるんです。といいますのは、専業どころと兼業どころが一緒になって仕事をやるような関係ができ上がってきますから、村自体がやっぱり活性化してくるというような状況が生まれてくるんですね。
 そういうことからいえば、これからの食料自給率引き上げというのは、それぞれの地域社会における専業、兼業、ホビー農家、あるいは事と次第によっては市民農園だってベランダ農家だっていいんですよ、全部を含めて、地域全体としてトータル的にどれだけの農業生産を上げていくか、こういう発想に立たなければいけない時代に私は来たような気がするんです。そんな意味では、やっぱりこれからの時代というのは集落営農システム、そっちこっちで今研究を始めるようになってきましたね、そういうふうな状況に向かっていくのかなというような気がいたします。
 話は少々また別になりますけれども、国土庁の遺言というのは何だったか。国土庁の遺言というのは、都市空間の時代から二十一世紀は農村空間の時代に入るだろう、これが国土庁が最後に言ったことですよ。そういう状況を現実のものにするには、これから先の問題としては、日本列島の過疎と過密の同時解決、そして自然と共生し得る、そういう暮らしをどうつくっていくか。そういう意味で申し上げますと、私は、農村定住化に向けた年金制度などをこれから検討していかなきゃならぬ時代が来るのかなというような気がするんです。
 大臣、御所見がありましたらひとつ聞かせていただきたい。
#208
○理事(森下博之君) 簡潔に御答弁をお願いします。
#209
○国務大臣(武部勤君) 簡潔と言われましたから、また別の機会に私どもの構想を申し上げたいと思いますけれども、先生のお話にありました専業と兼業が混在するということに加えて、そこに法人というのが仲人役をしていくんじゃないか、このように思います。そして、集落の再編ということも避けて通れませんし、その集落というものはナショナルミニマム的にいつでもどこでもだれでもが同一条件下で生活し仕事ができるという、そういう環境を整備することだろう、かように思っております。
 そういう意味では、農村だけじゃなくて、都市の人々が行ったり来たりすると。定住ということが適切かどうかわかりませんけれども、かなり現状とは変わった新たなる農村社会の可能性というものは展望できるんではないかと。当然、そういうことに備えたさまざまな制度改革でありますとか政策づくりということは考えていかなきゃならない、かように思います。
#210
○谷本巍君 まだ残り時間がありますから。
 それから、大臣、もう一つ大臣の頭の中に入れていただきたいなと思いますのは、昔は人生六十年だったんですね。今は八十年です。ところが、二十ぐらいまで学校で勉強する、それから今度は就職をして、退職をする、あるいは農業者年金をもらう年代になってくる。その先があるんですね。人生は、昔は二毛作時代だった、今度は三毛作の時代になってきたんですね。ですから、三毛作の時代をどういうぐあいに生きていくか。ここのところが問われる時代になってきた。
 そういう条件整備というのは、都市よりも私は農村の方がやれる、そういう条件を持っていると思うんですね。そういう農村が持つ優位性を生かしていく意味でも、こうした先ほど申し上げた集落営農システムのようなもの、これはひとつ考えていくべきだろうと。株式会社はいけません、これは。年寄り、年がいった人が終生現役で働いてくれるような場はつくってくれませんよ。
 ですから、やっぱりそういう意味では集落営農システム、そういう状況の中で終生現役でやれて、そして健康で生活ができる条件を整備する、その上に農業者年金制度というのを考える、こういうぐあいにしていくべきだろうと思うんですが、いかがですか。
#211
○国務大臣(武部勤君) これから、私は、二重生活時代を享受できる時代になるんだと。都市と農村を行ったり来たりできる、農村の人々が都市の魅力にすぐアクセスできる、都市の住民が自然をすぐ求められると。先生のお話によれば、三重生活時代を享受できる時代と。私は、そこに我々の目指すべきところはあると。しかし同時に、やっぱり産業政策として農業というものを近代化していかなきゃならないと。これは国際競争力の面もございますので、そのことはしっかりやっていかなくちゃいけない、かように存じます。
 私ども、食料の安定供給と美しい国づくりということに向けて頑張ってまいりたい、かように思っておりますので、今後ともよろしくお願いします。
#212
○谷本巍君 時間が来ましたので、終わります。
#213
○岩本荘太君 無所属の会の岩本荘太でございます。最後でございますので、よろしくお願いいたします。
 きょうは農業者年金の改正の審議でございますが、私、実は先日、前回のときに、大臣所信に対しまして質問を一部残しておりますので、それをまず片づけさせてもらいたいと思うんですが、中山間地対策の問題でございまして、先般は大臣に中山間地対策に対する御認識ということで質問させていただきまして、私の考えでは、いわゆる中山間地域の問題というのはそこに住んでいる人だけの問題でない、むしろ日本の国土をどう健全に保つか、むしろ都会の人のために役に立つという認識だということでお話をさせていただきまして、大臣も大体そのような御認識だというふうに伺いました。
 そこで、そうはいえ農林省がいろんな対策を講じておられる。特に、直接支払い方式というのを昨年度からお始めになりましたので、その辺の実績についてひとつお話を伺おうかなと思っておりますので、きょう、前回の質問の関係もございますので、農村振興局次長に来ていただきましたので、ひとつよろしくお願いします。
#214
○政府参考人(佐藤準君) 中山間地域等の直接支払い制度、これは平成十二年度から始めておりますが、平成十二年度の実績につきましては、実施要領に十三年の六月に一応取りまとめるということになっております。したがいまして、現在、その最終的な実績につきまして都道府県なり、それから農政局の段階で取りまとめている最中でございます。
 一方、一月三十日に、昨年の十一月段階での実施見込みというような形でそれまでの、その時点での実績等を踏まえまして公表した結果をお知らせいたしますと、まず集落協定の数は二万六千二十二でございます。また、ほかに個別協定という形で五百八十八の協定が結ばれております。協定の締結面積といたしましては五十六万七千ヘクタールということで、実施見込み面積、これは都道府県が当初見込んだ面積がございますが、その面積に対しますと約七割程度というようなことになっております。
 この理由といたしましては、我が国の農政史上初めての制度であるということで、市町村の担当者それから農業者、そういうような段階までの制度の普及が若干不足したのかなというふうに思っております。また、この制度そのものの運用が地域の裁量にかなりゆだねるようなところもございます。そういう意味で、早くからその体制を整備して取り組んだ道なり県なりというようなところでは非常に取り組みが早いわけでございますけれども、その他の都府県のところでは取り組み状況が若干おくれているというような理由かと思っております。
 十三年度におきましては、本省なりそれから農政局、さらには都道府県、この各段階におきまして推進会議というようなものを積極的に開催いたしまして、制度の趣旨それから内容につきましての浸透を図っていきたいというふうに思っておりますし、また特に取り組みがおくれている市町村、こういうようなものがはっきりしてまいりますので、そういうようなところに対します重点的な指導とか、それから農協系統組織なり市町村が一体となってその取り組みを進めるというような農業団体との連携の強化、こういうようなものを進めていきたいと思っております。
 十三年度におきましては、対象市町村の九割程度でしっかりと実施ができるようにというふうに、我々も積極的に取り組んでいきたいというふうに思っております。
#215
○岩本荘太君 七〇%、これは十一月の実績で、七〇%が非常にいい率かどうかはさておきまして、私、こういう質問をするに当たって自分の出身県の実態を聞いてみましたら、大体これも七〇%なんです。ほとんどが集落協定を結んでやっているということなんですが、やっていないところはどういうところなんだと聞きましたら、やっぱりさらに条件の悪い、条件不利地のさらに条件の悪い本当に山奥の方で、そこで、じゃ何でそういう取り組みをしないのかというと、自信がないという話が非常に多い。要するに、将来に対して本当にやっていけるか、農業としてやっていけるかという自信がないという方が非常に多い。そういうことが多くてやれない。そういう状況の中で、今回の制度はいいとしても、ちょっと手おくれでなかったのか、そういうところは、というような話も聞くわけでございます。
 したがって、この中山間地対策、冒頭申し上げましたように、これは率がいいからいいとか、どこがやったらいいかということではなくて、今の状況を見ますと山奥に近いほどやっていないということは、むしろ大切なところでやっていないというような感じがいたすんですが、その辺、これは実績が六月に出てくるんでしょうけれども、やっぱりしっかりその辺を見直して新しい取り組みの方に向かっていただきたいと思うんですけれども、この辺について大臣、通告していなかったんですけれども、山奥の方が今残っている、中山間地対策についてまだちょっと今までの制度に手を加えないといかぬというような感じもするんですが、今後その辺についてのお取り組みなり、何か御感想がございましたらお願いいたします。
#216
○国務大臣(武部勤君) 熱心に農業生産活動に取り組もうとしている、そういうところについては、やはり最大限いろいろなことを考えて前向きな対応をすべきだと、このように思いますが、今、私自身、具体的に先生の問題意識に対してどう答えるべきかということは持ち合わせておりませんが、今後少し検討させていただきたいと思います。
#217
○岩本荘太君 通告していないで申しわけないんですが、要するに、国土を守るという意味から取り残されていくようなところがありそうなので、その辺をしっかりつかんでいただいて対策を講じていただきたい。
 それで、次の農業者年金の方に移らせていただきますが、私が通告した質問に対する答弁に近い答弁を随分聞きましたので、どういう質問をしたらいいかというのをちょっと迷っているんですけれども、要は、やはり農林省としては、農民の皆さんの老後の生活が安定するというためのことはすべて考えなきゃいかぬ。その中で、農業者年金がそれをすべてカバーできるとは思いません。いろんなものがあるでしょうけれども、少なくともそういう視点で眺めていかなきゃいけないのじゃないかなと思うんです。
   〔理事森下博之君退席、委員長着席〕
 そういう点で、先ほどもちょっとこういう質問が出たと思うんですけれども、いわゆる今度の新制度で政策支援の対象者とその対象でない人というのはこれは全然違うわけですから、両方とも年金の対象になると思うんですけれども、この辺をどんな比率といいますか、どんな数として想定されておるのか、その辺をちょっとお願いいたしたいと思います。
#218
○政府参考人(須賀田菊仁君) 新しい制度の対象となります員数を約三十万人というふうに私ども見込んでおるわけでございます。
 この三十万人のうち、五十五歳以上の高齢の方々あるいは所得が非常に多い方々等を除きました約二十四万人、全体の六分の五が政策支援の対象になるというふうに見込んでおるところでございます。
#219
○岩本荘太君 そうしますと、いわゆる三十万人の六分の一が非対象ということは、幾らになるんですか。これは五万人ですね。
 五万人というのは、そんなに無視できない数だと思うんですけれども、そういう人たちと加入した人たちの、何といいますか、不公平感というのが生じないかというような心配を一つするわけですけれども、これは先ほどからいろいろ出ておりました。どの人だっていわゆる担い手として立派にこれからの日本の農業を背負っていく人だというような御意見もございました。それはそれ、施策としてはいろんな考え方があるんでしょうから、それはそれ以上追及いたしませんけれども。
 いわゆる政策支援という意味では、政策ですから、これはある一定の時期が来たら見直しといいますか、状況が変わったらやっぱり政策は変わってくるんだろうと思うんです。ところが年金というのは、恐らくこれは何十年も先。これからの移行に当たって何年かかるか表を見せていただいたら、六、七十年かかるんですよね、今度移行するに当たっても。そのぐらいのスパンのものでありますので、要するに、政策が変わったらどうなるのかという不安というのもあると思うんですが、それは、社会環境が変わって農業環境も変わっても政策は変わるでしょうし、時の政府が変わっても変わるでしょうし、非常にある意味では危なっかしいといいますか、そういう状況をどうも感じてならないのでございます。
 その辺を先ほど参考人の方にお聞きしたら、政策支援というのは、考え方を変えれば、事業主負担だというようなお話がございまして、それはそれ以上お話は聞かなかったんですが、農林省の方も大体そんなふうな認識でお考えになっているのかどうか、御説明を願います。
#220
○政府参考人(須賀田菊仁君) 新しい制度におきます目的を担い手の確保というところに置いているわけでございます。
 この担い手の確保、すなわち政策支援の対象となる者につきましては、基本法の二十一条に言います効率的かつ安定的な経営を目指す経営ということで、すなわち主たる従事者が他産業従事者並みの生涯所得を上げ得る経営を目指す経営、これは将来におきます地域農業あるいは先ほどお話に出ました集落営農の中の核となる経営でございまして、そういう核となる経営はやはり長期的視点に立って育成していく必要があるだろうということで、年金的手法であります長期で負担先行で属人的であるという政策手法にマッチするものとして、そういう経営を目指す経営に対しまして政策支援をしていくということにしたところでございます。
 もちろん、これは政策の即効性だとか担い手確保のメーンの政策ではないわけでございますけれども、長期にわたる保険料負担の軽減あるいは老後におけるしかるべき所得の確保という面では、長きにわたって相当の効き目がある政策ではないかというふうに私どもは思っております。
#221
○岩本荘太君 政策に効き目があるかどうかということをお聞きしているのではなくて、政策ですから変わるんじゃないですか、年金というものの考え方のスパンと政策というものの考え方のスパンでは全然違うんじゃないですか、その辺をどう考えているのかということをお聞きしたんですが、もしありましたら。
#222
○政府参考人(須賀田菊仁君) 将来にわたります効率的かつ安定的な農業経営の育成というのは、これは農政にとりましても長期的視点で取り組まないといけない政策ではないかと思っております。したがいまして、長期の政策と年金的手法とマッチした考え方ではないかというふうに考えておりまして、育成すべき経営が途中で変わるとかそういうことがありましても、考え方といたしましては、将来の農業経営の核となる経営を育成していくという考え方は今後とも維持していきたいというふうに考えている次第でございます。
#223
○岩本荘太君 どうもかみ合わないんで、これ以上余り申し上げませんけれども、政策ですから、政府の決める方針以外に社会状況によって幾らでも変わるでしょうから。要するに、担い手を育成するという以外の農業政策が重要になってくることもあるんだろうと思うんですね、長期スパンで見れば。そういうことに対して、こういうものを使われるということに対して私は非常に理解がしがたいという点がありますので、これはいろんなことをお考えになった上でのことでしょうから、このことが年金の可否について直接関係するかどうかわかりませんが、その辺は十分御認識をいただきたいと。
 それと、先ほどからちょっと出ておりますいわゆる非対象者ですね。政策支援を受けていない方というのは、賦課方式か積立方式かの差はあるんでしょうけれども、非常にみどり年金と似ているわけですね。その辺がみどり年金と非対象者、先ほど五万人おると言われた方々との関係、みどり年金は何万人かおられるわけですね、そんなに変わらないんだろうと思うんですけれども、同じようなのが二つあるということについて担当部局はどういうふうにお考えになっているか。
#224
○政府参考人(須賀田菊仁君) みどり年金、新しい農業者年金制度と同じく、加入対象者は六十日以上農業に従事する者ということで加入要件は同じでございます。
 そして、違いといいますのは、一つは、新しい農業者年金制度には担い手に対する政策支援があるということと、もう一つは、積立方式で確定拠出型ということで加入時に年金額が決まっていない、運用いかんによって将来の年金額が決まるという、そういう入る人にとってはちょっと先のことが読めないような制度なんですけれども、年金制度としては安定をしているという制度である一方、みどり年金の方は確定給付型でございますので、入るときに年金額は決まっておりますので見通しは立てやすいんですけれども、その運用が狂った場合に新たな年金債務が発生をいたしまして、だれかがまたその分を負担しないといけないという問題が生ずるということで、年金制度の安定性としては確定拠出型よりはやや不安があるということでございまして、いろいろ申し上げましたけれども、究極には農家の方々の選択でございます。
 我々としては、やっぱり政策支援の対象となる方々を中心にした方々が農業者年金制度を利用していただいて、リスクはありますけれども確定給付型に入りたいという方を選択される方々がみどり年金を今後とも利用されるのではないかというふうに推定をしているところでございます。
#225
○岩本荘太君 その辺はこれからPRされる場合にしっかりと比較を示していただかないと農業者の方は困ると思いますので、よろしくお願いをいたします。
 ただ、今までお聞きしていて、先ほどの質問でも、いわゆる担い手をどのぐらいにするか、担い手政策との具体的な関連というものも出ていなかったような記憶がございますし、今のお話でも、みどり年金との関係がしっかりとつかまえられた上でのものかなというような気がしてならないんですが、失礼ながら。ただ、限られた枠の中での御努力はされたのではないかなという気はいたします。いたしますけれども、今のような担い手との連動があるのであれば、こっちは年金だ、だから担い手政策とは余り関係ないと。つくれば恐らく担い手もこれでふえるんじゃないかというようなあいまいなことでなくて、しっかりとしたつかまえ方をしていただきたいと思うんです。
 それと、私は、この年金問題、基本的にはやはりこれから迎える少子高齢化社会に対して、今までの考え方では財政的に破綻を来す、どうしたらよいか、社会福祉をどうしたらいいかという全体の問題だと思うんですね。これはひいては、いわゆる数年前、四年前ですか、財政再建法の中でもう検討しなければいけない問題であったはずでございますが、それは景気対策優先ということで凍結されておる。
 しかし、それがどういうわけか、おととしの十二月でしたか、たしか参議院でも公的年金法の改正が提出された記憶がございますが、そのときに私も代表質問で指摘させていただいたんですけれども、凍結しているにもかかわらず何でこれを上げてくるのかと。要するに、見方によっては弱い者いじめを最初にしているんじゃないかというような質問をさせていただきまして、そのときには明確なお話はございませんでした。
 あの当時を振り返れば、赤字国債を増発しても景気だ景気だというようなことでございましたから、そういう答弁だったと思うんですけれども、今や総理大臣もかわりまして構造改革をやろうかというときになれば、当然こういうような全体としての見直しが出てくると思うんですね。そうしますと、当然この分野もそれに基づいていろんな見直しが出てくる。
 こういう問題は基本的には総理大臣にしなきゃいけないと思うんですが、農林大臣も閣僚のお一人ですので、将来に向かってのそういう話の出たときに適切に対応してやっていただきたい。そういう御覚悟があるかどうか。
 それと、先ほど来出ていたもろもろの、まだ不確かな面、これは委員会の指摘として十分当局もしっかりと対応していただいているかどうか。その辺を私はこの法律の判断の一つの根拠にしたいと思いますので、大臣、ちょっとその辺についてお話しいただきたいと思います。
#226
○国務大臣(武部勤君) この年金はいわゆる政策年金でございます。同時に、この年金制度を変えなければならないという背景は、現行制度の破綻というまことに残念な結果によるものでございまして、そのことにつきましては私どもも深い反省点に立っているわけでございます。
 その上で、新たな制度が軌道に乗っていくためには、何といっても国民本位といいますか、国民の理解、協力ということが大前提になるわけでございます。その国民の理解を求める一つの方策は、やはり国民の皆さん方にも農業農村あるいは食料という問題について認識を新たにしていただかなければならない、かように考える次第でございまして、さような意味で私どもは、先ほども申し上げましたように確たる決意と、しかしさまざま、これから構造改革に伴いましていろいろと状況変化もあり得ると思うわけでございます。そのことについても頭をやわらかくして諸般の施策の充実強化に当たっていかなければならない。
 いずれにしても、これを軌道に乗せ、定着させていくということに万全を期してまいりたいと思います。
#227
○岩本荘太君 農林大臣として、農林省の立場としてのお話は今十分わかりますけれども、私申し上げましたのは、もっとこの問題というのは国民全体が痛みを分かち合うという中で解決しなきゃいけない問題だろうと。しかし、それは今できていない、正直言って。しかし、これから構造改革等によってできるんじゃないか。
 そうしたときに、今はいろんなお話が出て、いろんな質問も出ましたけれども、場合によったら、そういうものが出ればもっとしっかりと農林省としても根拠を持って御答弁できるということも考えられると思うんですが、したがって、そういう方向に閣僚の一人として大臣も御努力いただきたい。また、そういうことによって国民みんなが分かち合うということになったときは、これも適切に見直しを行うと。そういうような御覚悟をぜひ持ってもらいたい、こういうつもりなんですが、よろしかったらひとつ。
#228
○国務大臣(武部勤君) 先生の御指摘を拳々服膺して、しっかり対応してまいりたいと思います。
#229
○岩本荘太君 基本的なことをお聞きしましたので、時間が余りましたけれども、これで私の質問を終わりにいたします。
#230
○委員長(太田豊秋君) 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終局したものと認めます。
    ─────────────
#231
○委員長(太田豊秋君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、三浦一水君及び大野つや子さんが委員を辞任され、その補欠として佐々木知子さん及び森山裕君が選任されました。
    ─────────────
#232
○委員長(太田豊秋君) これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#233
○郡司彰君 私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となっております農業者年金基金法の一部を改正する法律案に反対の立場から討論を行います。
 これまでの農政は、情勢の変化の中で幾多の変更や転換を余儀なくされ、その都度農業者の失望が続く中、率直に反省をするという真摯な態度を示すことなく、逆に糊塗することにより、不信を招いてきました。
 今回の改正案は、現行制度が財政上の破綻を招いたことから、実質的にこれを清算し、その上で、財政方式を積立方式に改めて新たな制度に移行させるとともに、年金受給者等については受給額を平均で九・八%引き下げるものであります。これは、政府が制度の見直しを先送りしてきた結果であり、そのツケを何ら責任のない農業者に負わせようとするものであり、断じて容認することはできません。
 すなわち、農業者年金の財政状況は、加入者の減少と受給者の増加が続き、現在、一人で二・七人を支えなければならない状況にありますが、もっと早期に年金財政の破綻は不可避と判断できたはずであります。また、そもそも離農者すなわち年金受給者がふえていくことを前提にした構造政策を推進する手段として社会保険方式による政策年金を導入すること自体に無理があり、年金財政がこのような状態に陥ることは十分に予測し得たはずであります。十分な財政的手当てを行うことなく問題の解決を先送りしてきた政府の責任は、極めて重いと断じざるを得ません。
 しかも、社会保険は被保険者すなわち農業者と保険者すなわち国との間の契約によって成り立つものでありますが、今回の措置は、国が農業者との約束を履行せず受給額の引き下げを行うことであり、まさに憲法二十九条に保障する財産権を侵害するものと言えます。
 また、いわゆる政策年金制度としての限界が明らかになっている現状を直視せず、改正後においても政策年金を保険方式として継続しようとすることは、過去の失敗に対する何の反省もないと言わざるを得ません。
 政府は、加入者は確保できる、積立金の運用は適切に行うとしておりますが、極めて疑わしいと言わざるを得ません。しかも、政策年金として継続するのであれば、なぜ任意加入のみとするのか、甚だ疑問であります。早晩、年金財政が再び破綻するのは明らかであります。年金手法を活用した農政の推進は、この際やめるべきではないでしょうか。
 さらに、世代間扶養が限界に来ているとする見方もある中で、我が国の公的年金制度全体に及ぶことが懸念されます。しかも、国民年金基金等が創設をされている今日においては、あえて農林水産省が農業者年金制度を政策年金として仕組む必要はなく、公的年金制度全体の中で農業者の老後保障のあり方を考えるべきであります。
 以上が本法律案に反対する主な理由でありますが、担い手を確保するためには、別途、国を挙げての思い切った施策を講ずることが求められていることを申し添え、反対の討論といたします。
#234
○笠井亮君 私は、日本共産党を代表して、農業者年金基金法の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行います。
 反対する第一の理由は、年金額を平均九・八%削減するなど、農家に痛みを押しつけるものだからです。
 農家は、農産物価格の暴落に苦しみ、医療や年金の改悪に苦しんでいます。その上さらに、年間二万四千円から五万円もの年金額が削減されれば、高齢者の生活が大きな打撃を受けるのは明らかであり、到底認めるわけにはいきません。年金加入者が激減し、年金財政を破綻させた責任が政府にある以上、農家経営を苦しめている農政の失敗を認め、年金額の削減など、農家への負担の押しつけはやめるべきです。
 反対する第二の理由は、既に受給している人の年金額は削減しないという公的年金の原則を破るものになっているからです。
 受給している年金額を削減するのは公的年金では初めてのことであり、国会の内外で多くの不安が渦巻き、反対意見が相次いでいます。事は国民の生存権、財産権にかかわることで、農業者年金のみならず、国民年金や厚生年金の改悪に波及しかねない問題です。こうした不安を払拭することもなく強行することがあってはなりません。
 反対する第三の理由は、国庫補助による保険料負担の政策支援措置が新たな選別政策になるからです。
 保険料を軽減する対象を認定農業者でかつ青色申告者に限るとしていますが、農家の老後を保障する社会保障制度の中に税制上の青色申告など全く異なる仕組みを持ち込んで、選別政策を導入すべきではありません。農業を続けたい人は、みんな大事な農業の担い手です。担い手を区別せずに、現に生産を担っている農家が安定的に経営ができ、安心して老後生活を送れる施策を農政の基本に据えるべきことを強調して、反対討論を終わります。
#235
○委員長(太田豊秋君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 農業者年金基金法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#236
○委員長(太田豊秋君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#237
○委員長(太田豊秋君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#238
○委員長(太田豊秋君) 土地改良法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。武部農林水産大臣。
#239
○国務大臣(武部勤君) 土地改良法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
 土地改良事業につきましては、農業の生産基盤の整備を通じて、農業の生産性の向上、農業構造の改善等に大きく寄与してきたところであります。
 このような中、食料・農業・農村基本法の目的とされた農業の持続的発展、農業の多面的機能の発揮等を図っていく上で、農業生産の基盤の整備に当たって、環境との調和に配慮して事業を実施すべきである旨規定されたところでありますが、この理念を具体的な農業の生産基盤の整備を行う事業の実施手続を定める法律である土地改良法にも反映する必要があります。
 また、近年、農村地域の混住化が進む中、特に非農家を含めた地域住民の理解なくしては土地改良事業の円滑な実施に困難な状況が生じることが少なからず見られるようになってきております。
 さらに、事業を効果的かつ効率的に実施していく上で、事業の再評価の結果、廃止すべきと判断される事業も出てくると考えられる中、その廃止に当たっての手続を明確にする必要があります。これらの内容を実施するため、本法律案を提出した次第であります。
 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、環境との調和に配慮すべきことを土地改良事業の施行に当たっての原則に位置づけることであります。
 食料・農業・農村基本法におきまして、農業生産の基盤の整備に当たっては環境との調和に配慮することが定められましたので、これを踏まえ、土地改良事業の施行に当たっての原則に環境との調和への配慮を位置づけることとしております。
 第二に、地域の意向を踏まえた土地改良事業の実施のための手続の整備であります。
 土地改良事業計画の概要を策定する段階における市町村の位置づけを高めるとともに、国営または都道府県営の土地改良事業につきましては、あらかじめ計画の概要を公告縦覧し、これに意見がある者は意見書を提出できる仕組みを設けることとしております。
 第三に、土地改良施設の適切な維持保全のための手続の整備であります。
 土地改良区が国または都道府県に対して更新の事業を行うべきことを申請できる土地改良施設に市町村が管理するものを追加するとともに、土地改良区の特別議決により行うことができる土地改良施設の更新の事業の範囲を拡充し、土地改良施設の適時適切な更新を容易にすることとしております。
 第四に、国営または都道府県営の土地改良事業の廃止のための手続の整備であります。
 これまで廃止に係る手続を定めていなかった国営または都道府県営の土地改良事業について、今回、廃止に係る手続を規定することとしております。
 このほか、土地改良区の組合員以外の受益者からの経費の徴収に関する手続の整備等を行うこととしております。
 以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
#240
○委員長(太田豊秋君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後四時三十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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