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2001/05/31 第151回国会 参議院 参議院会議録情報 第151回国会 農林水産委員会 第13号
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2001/05/31 第151回国会 参議院

参議院会議録情報 第151回国会 農林水産委員会 第13号

#1
第151回国会 農林水産委員会 第13号
平成十三年五月三十一日(木曜日)
   午前十時七分開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月二十九日
    辞任         補欠選任
     阿南 一成君     金田 勝年君
 五月三十日
    辞任         補欠選任
     佐々木知子君     三浦 一水君
     森山  裕君     大野つや子君
     木俣 佳丈君     小川 勝也君
     佐藤 雄平君     羽田雄一郎君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         太田 豊秋君
    理 事
                岸  宏一君
                森下 博之君
                郡司  彰君
                谷林 正昭君
    委 員
                井上 吉夫君
                岩永 浩美君
                大野つや子君
                金田 勝年君
                国井 正幸君
                田中 直紀君
                山下 栄一君
                笠井  亮君
                須藤美也子君
                谷本  巍君
                岩本 荘太君
   国務大臣
       農林水産大臣   武部  勤君
   副大臣
       農林水産副大臣  田中 直紀君
   大臣政務官
       農林水産大臣政
       務官       国井 正幸君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        山田 榮司君
   政府参考人
       農林水産省農村
       振興局長     木下 寛之君
       環境省総合環境
       政策局長     中川 雅治君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○政府参考人の出席要求に関する件
○土地改良法の一部を改正する法律案(内閣提出
 )
○農業協同組合法等の一部を改正する法律案(内
 閣提出)
○農林中央金庫法案(内閣提出)

    ─────────────
#2
○委員長(太田豊秋君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告申し上げます。
 去る二十九日、阿南一成君が委員を辞任され、その補欠として金田勝年君が選任されました。
 また、昨三十日、木俣佳丈君、佐藤雄平君、佐々木知子さん及び森山裕君が委員を辞任され、その補欠として小川勝也君、羽田雄一郎君、三浦一水君及び大野つや子さんが選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(太田豊秋君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(太田豊秋君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に三浦一水君を指名いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(太田豊秋君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 土地改良法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に農林水産省農村振興局長木下寛之君及び環境省総合環境政策局長中川雅治君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(太田豊秋君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#7
○委員長(太田豊秋君) 土地改良法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案につきましては既に趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#8
○岩永浩美君 おはようございます。自由民主党の岩永浩美です。
 土地改良法の一部を改正する法律案について数点御質問をしたいと思います。
 まず、土地改良法並びに土地改良制度が果たしてきた役割について大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
 土地改良法の前身に当たる耕地整理法ができて百年、また土地改良法が二十四年に制定されて既に五十年の歳月が過ぎてきました。今まで、土地改良の果たすべき役割、内容も時代の変遷とともに、それぞれの農政の展開方向に即して変わってまいりました。これまで土地改良法、土地改良制度が我が国の農業政策、そしてまた農政において果たしてきた役割をどういうふうに認識しておられるのかという点が一点。
 また、平成十一年度には新たな農業基本法が制定をされました。そして、農村の生活空間である自然は農村によってつくられております。農村環境の整備は、生産基盤の整備とともに、土地改良事業の大きな柱になっています。特に、今後、土地改良事業の施行に当たっては農村の環境整備に力点を置いてやっていかなければいけないと私は思っております。
 そこで、新たな基本法の制定を踏まえ、今後の土地改良事業を、今までの面の工事、それから脱皮した環境整備に向けて、先ほど申し上げたように環境整備に重点を置いた土地改良事業を果たしていかなければいけないと思いますが、その件について大臣の所見をまずお伺いしたいと思います。
#9
○国務大臣(武部勤君) 土地改良事業につきましては、私、先般、諫早の干拓事業も見てまいりましたし、また隣の佐賀県の空港周辺の、あの平らな整備された圃場ではちょうど麦の収穫期でありまして、この後、二毛作、三毛作までつくれるんだというようなことを地元の方に伺ってまいりましたけれども、今にして思えば隔世の感があるなという感じを強くするのでございます。
 戦後の食糧難時代の食糧増産、また昭和三十六年制定の農業基本法に基づく農業生産性の向上や農業生産の選択的拡大、さらには構造政策の推進などによりまして、時代のニーズに的確に対応して事業を今日まで実施してきたと。周辺、さまざまな環境変化がございましたけれども、土地改良事業の果たしてきた今日までの役割というものは本当に大変大きな成果を得てきたと、このように感じているところでございます。
 また、今後の展開方向についてでございますが、今先生御指摘のとおり、食料・農業・農村基本法の四つの基本理念の実現や基本計画に基づきます食料自給率目標の達成に向けまして事業の重点化を図ることにしているのでございますけれども、地域の特性に応じまして、麦、大豆等の生産振興に資する水田の汎用化、畑作地域の産地形成に資する畑地かんがい施設等の整備、食料供給の基盤であります基幹的水利施設の整備、更新などについても環境と調和する、そういう配慮をしつつ推進していくべきだと、かように考えている所存でございますが、とりわけ最後のお話にありましたように、私は農村の果たすべき役割というものは非常に大きく変わってきていると、こう思います。
 これまでにも考えの一端を申し述べてまいりましたけれども、都市と農村というのは対立するものではありませんで、日本の国土はカリフォルニア州よりも小さいというところでありますので、都市と農山漁村というものは相対立するものではなく、融合し共生するという、そういう関係にあると、こう思います。今までは生産第一だったかもしれませんが、その生産環境というものを、都市住民の皆さん方のあこがれというものにも十二分にこたえていく、そして新しい農村コミュニティーというものを創造していくというような観点からも、今後の土地改良事業のあり方というものを真剣に考えていくべきだと、かように考えている次第でございます。
#10
○岩永浩美君 先ほど大臣から御答弁いただきました先週の土、日を利用して有明海を御視察いただいたこと、心からお礼を申し上げたいと思います。
 さて、その折に佐賀平野も十分に御視察をいただいた由、今御答弁をいただきましたが、御案内のとおりに、私自身、出身が佐賀県であります。その実施中の二地区の国営の広域の用排水事業、県内の約六〇%の市町村がその受益地域になっています。それと同時に、圃場整備事業や畑地総合整備事業もあわせてその土地改良事業をやっております。とりわけ平たん地域にあっては、圃場整備の進捗率はもう既に一〇〇%近く、完全に一〇〇%とは申しませんが、一〇〇%近くもう行われているのは御案内のとおりであります。
 そこで、こういう状況の中にあって、土地改良連合会並びに関係者は今回の法の改正に大変大きな期待を持っています。今回の改正を契機として、現場が抱える課題、要望に対しても政府の積極的な対応を強く求めています。
 そこで、私はまず初めに、土地改良施設の維持管理と土地改良区について伺いたい。国営の基幹の用排水の改良事業と県営の末端の用排水事業、それと同時に圃場整備事業も一緒にそれぞれやっております。これに既存の水利施設の維持管理が加わって、農家が複数の土地改良区のメンバーになっていて、その農家の土地改良区の負担金が大変高くなっています。農家の負担軽減をどうしても図っていかなければいけない現状にあることは御承知のとおりだと私は思う。
 まずそこで、事業ごとに設立された土地改良区、それぞれの地域に事業ごとに土地改良区ができております。完了と同時に土地改良区がそのままに残っていて、維持管理をそのまま引き継いでいくということは大変難しい。事業が終わったものについては整理統合をして負担軽減を図っていくべきだと私は思いますが、そういう行政指導というのは今後おやりになっていくのかどうかということが一点。
 それから、平成十年の十二月に政府が取りまとめた農政改革大綱の中で、土地改良区については、水系単位または市町村単位を基本として、その目標を、整理統合を一層進めていくというふうに示されています。それを今後どういうふうに具体的に推し進めていこうとされるのか、これはもう事務方、局長でいいですから、局長にお答え願いたいと思います。
#11
○政府参考人(木下寛之君) 岩永先生から御質問のありました、まず第一点の土地改良事業が終了した後の土地改良区の取り扱いでございます。私ども、委員御指摘のとおり、土地改良事業が終了いたしました、そういう場合には基本的にはそういう土地改良区につきまして整理統合をしていくべきものというふうに考えているところでございます。
 第二点目の土地改良区の統合についての考え方でございます。私ども、土地改良区が公益的機能を果たすという意味で、その運営基盤を強化する必要があるというふうに考えております。その中で、やはり一番大きなポイントになりますのは、小さな土地改良区につきまして統合を推進していくということでございます。
 そういう観点から、私ども従来から、土地改良区の統合整備に対する助成、また土地改良区が管理いたします施設の整備、補修に対する助成等を行っているところでございます。平成十三年度、本年度からでございますけれども、土地改良区の合併を一層促進する観点から、広域合併に対する助成、また土地改良区が管理いたします水路等の管理作業への地域住民の参画を促進するための必要な経費の助成等々を行っているところでございます。
 私ども、今後とも土地改良区につきましては統合を推進し、しっかりとした基盤をつくる必要があるだろうというふうに考えております。
#12
○岩永浩美君 今、局長はそういうものについて助成をされるということですが、末端では具体的にそこまでの助成措置についての認識はまだありません。私は、土地改良施設の公益的な効果というのは、土地改良区の適切な維持管理がなされて初めてその効果が発揮できると思います。
 そういう点で、現行の助成制度では、国が国営関連の基幹の部分については助成措置が可能であっても、県営事業等々についてはその助成の措置の対象になっていないと私は聞いていますが、県営事業であっても土地改良区の管理者に対しては助成すべきだと私は思っているんです。
 だから、国関連の基幹用水路、そういうものについては助成されても、末端の県営事業の区域におけるものについては助成の対象をもっとやっぱり強くしていくべきだと。そうしないと、末端の農家の人たちの負担の軽減にはつながっていかない。そういうものについての助成措置をもっと強く講じていくべきだと思うんですが、その件についてはどうですか。
#13
○政府参考人(木下寛之君) 委員御指摘のとおり、私ども、平成十二年度から地域の基幹的な施設でございます国営造成施設、あるいはこれと一体不可分な県営の造成施設の管理体制を強化するという観点から、必要な諸活動に対して支援を行っているところでございます。
 県営単独施設等々につきまして、私ども、維持管理費そのものにつきまして助成対象とするというのは非常に困難だというふうに考えておりますけれども、最近におきます農村地域の都市化、それから混住化の進展等に伴いまして、農業水利施設の公共、公益性がますます高まってきているというふうに認識をいたしております。このような管理の対象になります土地改良区の体質強化のための方策につきまして、引き続き検討していきたいというふうに考えております。
#14
○岩永浩美君 具体的に、大きいところの土地改良区についてそういうことはある程度可能になっていくけれども、末端の事業ごとに設立された土地改良区の一つの基幹用排水路というのは、どうしてももう管理が非常におろそかになったりして十分な管理がなされていない部分があります。そういうきめの細かいところが、どちらかというと、過疎地域じゃなくても、都市化現象が著しくてその一つの改良を促進していかなければいけないところがあるので、今局長の御答弁いただいたような形の中でさらなる一つの行政指導を進めていただくことを、この件については要望いたしておきたいと思います。
 次に、農業生産基盤の整備について伺います。
 国営の土地改良事業の中には、二十年以上の歳月が経過していてもまだ工事が完了していない地域があります。事業実施に当たって、その事業を推進していく上において、農家の同意が必要になり、親の代で判こを押し、孫の代で支払いをしていくという、長い年月がかかる、かかるというよりもかかっている事業があります。
 その間に、社会情勢の変化や農業情勢の変化、そういうものが非常にやっぱり変わってきて、土地改良区に参加した時点と、今、孫の代になっていったその一つの土地改良区の組合員としての認識にずれがあります。そういう認識のずれが土地改良組合として事業を推進していく上においてそごが生じて、うまく土地改良事業を運営していくことが困難になっている地域が私の住まいする佐賀県の中にもあります。
 そこで、二十年以上もその事業着手から事業完工までの間にかかっているような土地改良事業は、その時代の変遷に合ったような形の中で事業を見直していくということが必要だと私は思います。
 そういう事業の見直し等について、政府はどういうお考えでその事業の見直しをしていくのか。事業の見直しを土地改良区が求めてきた場合には、瞬時にその対応というものをなさるのか。いろいろこれはもう事前着手をしていく過程の中で同意を得ているんだから、計画どおりに推し進めていくということで突っぱねてしまわれるのか。その地域の要請にこたえた形の変化、地域の要請にこたえた対応、そのことを柔軟におやりいただけるのかどうか、それもお聞きしておきたいと思います。
#15
○政府参考人(木下寛之君) 私ども、土地改良事業、特に大規模なかんがい排水事業等々の場合におきまして、委員御指摘のとおり、二十年を超えるような事例はあるというふうに承知をいたしております。私ども、一つの土地改良につきましてそのような長い期間にわたりますと、この間の農業事情が大きく変化をするというふうに思っておりまして、できるだけ早期の完工を図っていきたいというふうに思っているところでございます。
 また、平成十年からでございますけれども、五年ごとに事業の再評価制度の、見直しということで現在やっております。五年ごとにその事業につきまして見直しを実施し、必要に応じて、委員御指摘のような事業の変更等々もやはり柔軟にやっていく必要があるだろうというふうに思っているところでございます。
#16
○岩永浩美君 柔軟に対応していくべきだろうというふうに御答弁なさいますが、最初の事業計画を変更していく過程の中でいろいろな問題に直面して、計画どおりにやらないとこの事業というのはだめなんだということで、やっぱりハードルが高くなっていて、土地改良組合としてはそれを変更することに大変エネルギーを使っているわけですよ。ただ、御答弁としては柔軟に対応していくということをおっしゃるけれども、具体的に現場としては柔軟な対応がなされていないからそういう一つの苦情が出ているわけです。
 だから、やっぱり二十年以上も一つの事業そのものが竣工できないということ自体がそこは問題があるのであって、その間に、この二十年の間に農業の情勢自体が変わってきている。それに対する対応の仕方というのは、やっぱり今までは役所主導でやってきた土地改良事業だったかもしれない。今回は政治主導でできる。武部大臣は、大変御熱意を持って政治主導で事に当たっていく、農林省の中そのものについて、事業そのものについても構造改革をやっていくという力強い御発言をいただいておりますが、今まで私自身は、体験した中で感じるのは、やっぱり一回決まったものを変更するということに対するハードルが高い。そのことを早くもう少しやっぱりハードルを低くして、まさしく御答弁いただいたように、柔軟な対応という御答弁は、柔軟にそのことができる一つの指導をしてもらわないと、やっぱり土地改良組合としては問題として非常に多くの課題を抱えたままで推移せざるを得ない、そういう現状にあることを大臣はどうお考えか。
#17
○国務大臣(武部勤君) 私どももいろんな経験を目の当たりにしておりまして、先生の御指摘の問題は全国各地に事例があるんだろうと、かように思います。
 一つは、自助自立の精神できちっと最初から一つの契約関係で事業に入るわけですから、その意味では生産者の方々も当事者の方々も、先行きのことも真剣に考えていただかなければなりませんが、しかし、二十年もたって社会の変遷、変化というのは、必ずしも当事者の事情には関係なく大きく変わってきているというようなことを踏まえますと、第一義的にはやっぱり地方分権ということで、地域の市町村とか県とかそういったところが対応すべきだと、こう思うんです。
 何でもかんでもダイレクトに国が対応するということが適切かどうかということについては、いささか私も疑問を感じているわけでありますけれども、しかし、今先生御指摘のように、ともするとボールの投げっこをして時間ばかりたってしまうというような、そういう誠意のないやり方は今後許されない。ここのところは政治主導でケース・バイ・ケースだと、かように思いますので、県や市町村との連携のもとに柔軟に時代の要請に合った対応というものができるように、そういう努力はしていかなくちゃいけないんじゃないか、かように思います。
#18
○岩永浩美君 ぜひ、そういうひとつ柔軟な対応をお願いしておきたいと思います。
 また、土地改良区並びに土地改良区が存在し得ない中山間地域、耕作放棄地をなくしていかない限り、農村の環境の整備ということはできないと私は思う。その中山間地域においては、そういうやっぱりまとまった一つの集落として土地改良区のメンバーがそろっていない現状の中にあって、中山間地域は農業後継者も少なく、耕作放棄地がだんだん出てきております。そのことは環境を整備していく上において大変ゆゆしい問題だと私は思います。
   〔委員長退席、理事岸宏一君着席〕
 また、中山間地域のみならず平たん地域の中にあっても、土地改良区の職員並びに組合員の人たちが高齢化をしてきています。それぞれの小さな集落の中における土地改良区の組合員が高齢化して、先ほど来申し上げているように、だんだん老朽化をしていき維持管理にお金がかかり、維持管理に非常に人手もたくさん要るという形の中で、高齢化のために耕作放棄地が数多く出てきていることもこれまた事実であります。
 私は、そういう土地改良区を整理し、かつまた土地改良区にかわって、それぞれの県には土改連、県土連という、それぞれの県によって呼称は違ってくると思いますが、そういう土改連を中心とした整備、土改連の組織整備をして、ある程度やっぱりそれぞれの地域の維持管理についてのスタッフを養成したりということをしていかないと、組合員だけに任せてやっていくということは非常に不可能に近くなってくるのではないのかなと。
 土改連の組織整備をしていくということは、言いかえれば、ある程度国の補助政策をそれぞれの県ごとに与えていくことによって、維持管理については徹底した一つの行政指導というものが出てこなければいけないのではないかなという思いが一方でいたしておりますが、それについてどういうお考えをお持ちか、お聞きをしておきたいと思います。
#19
○政府参考人(木下寛之君) 私ども今後、土地改良施設の適正な維持管理を図っていくことは非常に重要だというふうに思っております。そういう意味で、土地改良区あるいは県の土地改良連合会がそれぞれの体制整備を行っていくということと、それぞれ土地改良区と土地改良区連合会の一層の連携強化が重要だというふうに考えております。
 まず、土地改良区でございますけれども、今後とも土地改良施設の維持管理をしたいというふうに考えておりまして、先ほど申し上げましたように、合併等を通じた運営基盤の強化を図っていきたいというふうに考えております。
 また一方で、県の土地改良連合会でございますけれども、土地改良区の役割が十分発揮されますよう、技術的な指導援助を行えるよう、その基盤についてもしっかりとしたものにする必要があるだろうというふうに考えております。
 土地改良区あるいは土地改良連合会自体が今後どういうふうな役割分担をしていくかという問題についても、みずから検討していくということで、今その途上でございますけれども、私ども農林水産省といたしましても、土地改良関係組織のあり方につきまして検討していきたいというふうに考えております。
#20
○岩永浩美君 私どもは、農業政策を推進していく上において国の助成ばかりをお願いするということは、一面においていろいろな御批判をいただくことになる面も考慮しなければならない。そこで、土地改良事業によって多面的機能が保たれていることは言うまでもないし、農家だけがその受益を受けるのではなく、地域全体がその受益を受けていることはこれまた事実であります。
 そこで、農業用水のダムとして建設をされた、それぞれの地域の中に農業用のダムが私はあると思います。それぞれの県に何カ所あるかは定かに私はまだ調べておりませんが、ただ二十年前あるいは三十年前ぐらいに竣工したダムは、その当時の農業の受益面積等々を考えると、現在では、当時計画をされた受益面積よりも二分の一あるいは三分の一ぐらいその受益面積が少なくなっていると私は思う。そうすると、そこにためてあった農業用水のダムは、今その容量は不必要になっているわけで、余剰水をもっとほかに売水することによって、そういう土地改良事業や農村の環境整備の負担にやっぱり転換をしていく、農業用水用の水を上水や工業用水等に売水することによって土地改良事業の費用の一部分に充てるとか、そういう工夫をすることによって農家の人たちの負担軽減を図っていくその一つの役割を果たしてもらえばいいのではないかという思いがあります。
 特に、それぞれのダムの水というのは、水利権等々があってそれを変更することはかなり難しいと言われますが、あくまでもその地域の水利権と河川の維持流量は確保しつつも、それぞれの農家の負担によってつくり上げてきた農業用水のダムはそういう形に転換していっていい時期に来たのではないのかなと、そう私は思いますが、大臣の御見解はどうか、ちょっとお尋ねをいたします。
#21
○政府参考人(木下寛之君) 私ども、そういうように委員御指摘のような需要があるところはあるだろうというふうに思っております。ただ、御案内のとおり、河川の流水というのは、農業用水を初め各種利水の用に供されるという点でございます。現在の河川法の体系の中では、河川の流水というのは私権の目的となることができず、したがいまして、その売買は行えないというふうにされているところでございます。
 ただ、農業用ダムの施設を管理している土地改良区と、それから当該施設を上水道等の用途に活用しようとする者の間で当該施設の使用につき合意がなされた場合には、その本来の用途を妨げない範囲内で施設の使用をさせる。そうした上で、施設の使用料等を徴収し、結果として当該土地改良区などにおいて維持管理費等に充てることができるというふうに考えております。現に、国営土地改良事業で造成されました施設におきましても、このような制度を活用している土地改良区等が十六地区あるというふうに承知をいたしております。
#22
○岩永浩美君 国営の事業で部分的にそのことを採用しておられるところはありますけれども、県営の圃場整備区域や県営の畑総地域の中においてそういうことをなされているところはないんですよ。
 仮に二十年前につくられたダムの場合には、やっぱり三十年ぐらい前に受益面積等々をはかって、それに合った用水確保でダムをつくられている。しかし、その面積が三分の一や二分の一に減ったら、その水は余剰水としてあるわけだから、その地域の土地改良区の合意があれば、土地改良区の人たちは、そういう水を何とかして売水することによって維持管理の費用に充てられたら楽なんだという、そういう強い要望を持っておられるのにそれができないということで、高いハードルがまたそこにある。それは政治的に解決をしていくべきではないのかという一つの思いで、私は、農業用水用のダムの転換、少ないというんじゃなくて、余っている水をその地域に還元することですから、地域の農家の皆さん方がそのことによって恩恵を受ける、そのことによって環境整備ができる、農村の集落を活性化させていくことができるとするなら、そのことはやっていくべきだと思いますが、大臣の御見解をお示しいただきたいと思います。
#23
○国務大臣(武部勤君) 今、先生のお話のとおり、二十年も経過しているとか一定の期間目的を達しているというような、そういう要件というものも必要だと思いますが、同時に、このことについては市町村とか自治体あたりが一つの責任ある支援をしていくという、そういうような前提があるならば、私は政治的に思い切った対応をしていいんじゃないかと。
 今、先生御指摘のような硬直的なやり方では、かえって地域も、一般市民とも混住しているわけでありますし、地域の人々もそういうものを望んでいるというようなことであるならば、やはり自治体あたりが中に入らなければならないんだろうと、そんな感じがいたしますけれども、勉強させてもらいたいと思います。
#24
○岩永浩美君 この件については、現在、国土交通省との意見の調整があろうかと思いますが、国土交通省との意見の調整をぜひ図っていただいて、そういう一つの地域の実態、農家の負担軽減を図っていく上において、土地改良事業、土地改良組合を活性化させていく上においても、そういう問題をぜひやっぱり推し進めていただきたいことをお願いしておきたいと思います。
 次に、地域の意向を踏まえた事業実施手続の整備について伺います。
 今回の法の改正の中で、市町村長の意見聴取を市町村長との協議に改めるというふうに今度変えられました。この改正案に言う協議ですね、今までは意見聴取だったやつを今度は協議をするということは、意見聴取と協議はどういうふうに違うのか。そして、仮に市町村長との間に意見の食い違いがあった場合にはどっちを優先するのか。市町村長の意見を優先するのか、市町村長の意見がもしその計画に対してだめだと言った場合にはそれは取りやめるのか、そこはどういうふうになるんですか。
#25
○政府参考人(木下寛之君) これまで土地改良事業の開始に当たりましては、主として市町村の定める農業振興計画と土地改良事業の整合性を図るという観点から、当該事業の計画の概要につきまして市町村の意見を聞くというような対応をしてきたところでございます。
 今回の改正は、地域の意向をより一層踏まえるという観点から、市町村長の位置づけを意見聴取の対象から協議の対象に高めるという点でございます。
 具体的には、意見の聴取という場合には意見を聞くだけにとどまっていたという点でございますけれども、協議の場合には、実質的に申請者とそれから市町村長が両者協力して事業計画を作成していくことになるというふうに考えております。
 ただ、御指摘のとおり、市町村長と土地改良区の意見が異なり、どうしても協議が調わないという場合も想定されるわけでございます。このような場合には、そういうような協議の経過を添えて、協議未了ということで都道府県知事に認可申請をし、都道府県知事の判断を求めるということになろうかというふうに考えております。
#26
○岩永浩美君 都道府県知事の最終的な認可、しかし市町村長がそれはノーという返事を出したときには、県は恐らく市町村の意見を尊重すると思いますが、それはそれでいいんですね。
#27
○政府参考人(木下寛之君) 先ほど申し上げましたように、協議でございますから、都道府県知事への申請に際しまして調わない場合、これは極めてレアケースであるというふうに考えておりますけれども、そのように協議が調わない場合には、協議未了というふうなことで認可申請が上がってくるというふうに思っております。
 そのような協議全体をとらえて都道府県知事が所要の判断をするというふうになるんじゃないかなというように考えております。
#28
○岩永浩美君 意見聴取と協議ということになると、意見聴取よりは協議の方が私はかなり重いと思うんですよね。意見をただ単に聞くというよりも、協議の場合にはそれぞれの地域の実態を踏まえた中で一つの計画変更を求めたりというようなこともあり得るわけですから、そういうやっぱり地元の意向というものは十分に踏まえられたような形の中で推進されることを望んでおきたいと思います。
 また、今度の改正で、地域住民を初め広く意見を聞くことというふうに記されていますね。それで、私は、なぜこの地域を限定して意見を聞くというふうになされなかったのか。全国どこからでも意見を聞くというようなことになったら、反対のための意見なんかが出てきた場合に非常にやっぱり困ると思うんだけれども、それぞれの土地改良区の中における意見を、区域を限定してその意見を求めるべきだと私は思いますが、それはどういうお考えですか。
#29
○政府参考人(木下寛之君) 今回の法改正の中で考えておりますのは、土地改良事業の計画の概要につきましてその段階で広く意見を募り、よりよい事業計画の策定を目指すというものでございます。
 この制度でございますけれども、事業の実施に関して、例えば権利を有する者に事業計画について賛成あるいは反対ということを問うものではございません。あくまでも、意見聴取を行うことによりましてよりよい事業をつくっていくという観点から実施をしたいということでございます。
 また、私ども、このように広く関係者の、住民の意向を十分踏まえた、そういうようなよりよい計画ができるというふうに考えております。
#30
○岩永浩美君 これは、事業の認可について左右されることではないんですね。
#31
○政府参考人(木下寛之君) 御指摘のとおり、あくまでも計画の概要につきまして意見を募り、よりよい事業計画を策定しようという趣旨でございますから、委員御指摘のとおりでございます。
#32
○岩永浩美君 ややもすれば反対のための意見が余計出てきて、それぞれの地域の実態をよく把握しないで、そういうものに左右されることがあって事業進捗が損なわれることがないようにしたい。そういうものでなければ私はいけないと思う。
 だから、あえて私はここで繰り返し御質問をいたしているわけでありますから、そういうことに左右されない、地域の実情に即した、地域の皆さん方の意見が十分反映された意見聴取、私は、ここでは地域を限定することの方が混乱に拍車をかけないでよかったのではないかという一つの思いがあってあえてここで力説をしていることを御理解いただき、そのことを踏まえた行政の推進をお願いしたいと思います。
 それから、土地改良区の組合員と員以外の受益者、両方から費用を徴収することができると今回しておられますね。それは、組合員と員以外との負担金の割合はどういう形で選別をするんですか。
#33
○政府参考人(木下寛之君) ちょっと御説明させていただきますけれども、従来から土地改良区が、その組合員以外の者で土地改良区の行う事業によりまして著しい利益を受ける者から、その事業に要する経費の一部につきまして徴収できるという規定がございました。ただ、従来の場合には、今回提案をいたしておりますように、そのような徴収の規定を設ける前に、例えば費用負担を行う者の意見を聞くだとか、あるいは市町村長の意見も聞くというような規定がございませんでした。
 今回は、このように、この事業を利用して組合員以外の者が著しい利益を受ける場合には経費を徴収できるという規定をよりよく、あるいはより円滑に設けるという趣旨で、先ほど申し上げたようなそのような方の意見を聞くだとか、あるいは市町村長の意見を聞くというような手続を追加したという点でございます。
 また、御質問の組合員と組合員以外の者が具体的にどのような割合で費用負担を行うのかという点でございますけれども、やはり受益の態様等々が個々の地区で相当異なってくるだろうというふうに思っておりますので、そのような個別の地区に応じまして決まっていくものだというふうに理解をいたしております。
#34
○岩永浩美君 それぞれの地域の土地改良区によって趣が違ってくると思いますから、それは自主的に決定されるものだと、私はそれはそれとして理解いたします。
 ただ、そこでやっぱり大方の理解が得られるように、ややもすると組合員の負担が多くて、員外の人たちでも多くの受益を受けていて、それは員外だからというようなことで少な過ぎるようなことがないように、これはやっぱりその地域のバランスの問題だと思いますから、そこはよく見て、不当にならないようにお願いをしておきたいと思います。
 次に、土地改良法と土地改良区の名称について、私は大臣にちょっとお伺いをいたします。
 私は、去年の三月、当時の玉沢大臣に二回ほど質問をいたしました。私はそのときに、新たな基本法の制定、多面的機能の発揮という観点から、土地改良区という名称を、維持管理していく、シフトを少しそちらに移した名称に変えて、農家の人たちだけが負担するという形ではない、自然循環型国土の保全という役割を担っているという土地改良組合のその意味を含めて、名称を含めて、とにかく土地改良法という名前を変えるべきではないかと大臣にお聞きをいたしております。
 そのとき、玉沢大臣は、土地改良区の役割の問題については、農村の都市化、混住化の進展等に伴い、土地改良事業の実施主体としての役割のほか、地域における農地や土地改良施設の公益的機能の維持に関する役割が重要になっていることを踏まえ、名称の問題を含め、そのあり方を検討しておるところであると、大変立派な御答弁をいただきました。
 今回提案されている土地改良法の一部改正の法律案の中で名称を変更するような提案はなされておりませんが、なぜ変更されないのか。
   〔理事岸宏一君退席、委員長着席〕
また、変更の必要性について、前の大臣はそういう御答弁をなさっておりますが、政府部内あるいは役所の中で、改正案を今回提案される前の検討の過程の中でどのような議論をされたのか。そして、なぜこういう提案の仕方になったのか。それをまず事務方にお聞きをしてから、大臣の御答弁をいただきたい。
#35
○政府参考人(木下寛之君) 委員御承知のとおり、昨年、玉沢大臣から御答弁をしたことは私も承知をいたしております。
 御指摘の点でございますけれども、法律の題名あるいは土地改良区の名称の問題でございます。
 今回の改正案の中で、最終的には土地改良事業の内容につきまして全面的な見直しが行われない、あるいは土地改良区につきまして組織原理の大幅な変更は行われないというような改正内容でございます。また一方で、土地改良区につきましては、五十年という間使用され、関係者の間で定着をしているという事情もございます。
 このように、一つは土地改良事業の内容についての大幅な見直しがない、また土地改良区という名称が定着をしているという事情にかんがみまして、今回の改正案の中に織り込まなかったというような事情でございます。
#36
○岩永浩美君 今、局長は、土地改良法が五十年の間にそれぞれなじんでいるからその必要はなかったという御答弁、もちろんその一面もあるでしょう。それなら、去年の答弁のときにそういうことをはっきり書いておいてくださいよ。去年そういうふうに答弁を二回ほどしておられるのに、今になってそういう答弁の仕方ということはないでしょう。
 去年、玉沢大臣がそういうことを言われたから、私は今回の法の改正のときになぜそれを出さなかったかと言っているんですよ。それを何もしてなくて、今ここになって、それはもうなじんだやつでその必要はなかったと。なぜ大臣にそういう答弁をさせたのか、それをお聞きしたい。
#37
○政府参考人(木下寛之君) 先ほど申し上げましたように、今回の改正案の中で、土地改良事業の内容自体、全面的な見直しあるいは大きな見直しがなかったという点が一つでございます。また、土地改良組織につきましても、土地改良区あるいは土地改良連合会といったような組織原理につきましても大幅な変更がなされなかったという点が一つ。それから、先ほど御指摘ございましたけれども、この間、五十年間使用されている、あるいは定着をしているという実績もあるというような、二点から今回の法律案の中に盛り込まなかったというところでございます。
#38
○岩永浩美君 私は先ほど来、土地改良区の今のありようが、ある小さな土地改良区においてはだんだんだんだん組合員も高齢化して土地改良組合としての維持が非常に難しくなってきた。農村の集落が二十年、三十年前と違って、だんだん混住化を迎えてきた。
 その農村の集落を農家の人たちだけで守っていくということはできなくなってきた中で、混住化社会に合った一つの土地改良という、その地域の基盤整備と環境整備のために今回の法の改正をするというなら、土地改良が五十年間の間になじんだ名称であったとしても、その時代に合ったような形の中で変えていかない限り、その混住化社会の中における組合員外の人たちの理解が得られないのではないのか。組合員外の人たちも地域を守っていくというその責務の一翼を担ってもらう、そういう一つの形の中である一定の割合の負担をお願いする。そのことが農村集落を今後も活性化させ、皆さん方と一緒につくり上げてきた食料の自給率四五%を達成していく大きな一つの基盤をつくっていくことになると私は思います。
 だから、そういう意味で変えていくべきだと私は今まで言ってきて、大臣からの答弁もそういうふうになって、法の改正に合わせて何らかの形が、文言の一つでもそういう形の中で変わるのかなと淡い期待を抱いていたけれども、変わってなかったんで私はそう言っているんです。大臣の御見解をお示しください。
#39
○国務大臣(武部勤君) 私も党の会合では委員と同じ考えを主張いたしました。日進月歩というよりも猛烈なスピードで世の中が変わっております。そういう意味では、ここは恐らく土地改良区の中にも両論あったんだろうと、かように思うんですね。
 今後、どういうふうなイメージで新たなる土地改良区というもののあり方を考えていくべきかということは、先生御指摘のようなお考えに沿って研究していかなくちゃいけませんし、また積極的に変わっていくというイメージを国民に訴えていく、また地域にも理解を求めていく、それから地域の合意も求めていくということをやっていく必要があると、かように思っておりまして、先生のお考えに全く私は同感でございます。
#40
○岩永浩美君 バイタリティーのある大臣の今後のそういう一つの方向づけに対する政治誘導をぜひお願いしたい。
 最後に一点だけ、ちょっと時間がないので簡単に申し上げますが、きのうの新聞に、一昨日の大臣の記者会見で、諫早湾干拓事業のことについて、ことしの八月の末、来年の予算概算要求時までに諫早湾の干拓事業の再評価をするという新聞の報道があります。
 これは、諫早湾に対する再評価というのは、干拓事業を推進してきたことについての再評価なのか、あるいは有明海の今回の問題について関連づけられた一つの意見なのか。もう諫早湾干拓事業は着手してから十五年の歳月が過ぎて、この問題については議論が二分されていることは言うまでもありません。
 私たち有明海沿岸四県、特に私は当時、佐賀県議会に所属しておりましたが、当時、長崎県が行う今回の干拓事業を防災事業として規模を縮小したことで佐賀県側が同意したことは事実であります。しかし、今回の有明海のノリ不作の問題は、諫早湾干拓が原因の一つであろうことをおおよそ私は推察できます。絶対に諫早湾干拓だけがノリ不作のすべての原因だと私は申す気持ちはありません。その一つの要因になっているだろうなというふうに私は思っています。
 まだ調査結果が完全に出ておりませんので、予断を持っていろいろなことを言うことは差し控えたいと思いますが、一昨日の大臣の記者会見で八月までに諫早湾干拓の再評価を出すというお話、その再評価というのは何を再評価されるのか、それをちょっと伺っておきたいと思います。
#41
○国務大臣(武部勤君) 国営土地改良事業につきましては、平成十年度から、事業の効率的な執行及び透明性の確保を図る観点から、事業採択後五年ごとに事業の再評価を実施しているわけでございます。その結果を踏まえて、毎年八月末の予算の概算要求までに事業の実施方針を決定し、公表することにしているわけでございます。
 この再評価のルールによれば、諫早湾干拓事業については事業着手後十五年経過した今年度が再評価の実施年度に当たると、かようなことでございまして、他の国営事業地区と同様に、八月末の概算要求までに再評価を行いその結果を公表すること、すなわち私の先日の発言はこのような諫早湾干拓事業の再評価の手続について述べたものでございます。
 また、今委員の御指摘ございましたようなことにつきましては、現時点で予断を持って私が今あれこれ言うべきときではないと、かように思いますが、現地を見てまいりまして思うこと多々ございます。さまざまな問題を解明した上でどのような解決方法に当たるべきかというようなことを今真剣に検討中であるということも申し上げておきたいと思います。
#42
○岩永浩美君 今の大臣の御答弁で理解いたしましたが、干拓事業の十五年で見直す、再評価をするという、その一連の作業の中だと私は理解できますが、すべて何か今、そういう一つの再評価をするということ、特に諫早湾のことに関して、諫早湾の再評価というそれだけがクローズアップされてきているような記事の取り扱いになっていたので、大変私は心配をいたしました。
 今後ともなお一層農政の推進に、大臣、先頭に立ってやっていただくことをお願い申し上げて、私の質問を終わります。
#43
○郡司彰君 民主党・新緑風会の郡司彰でございます。
 大臣に、土地改良にかかわる質問と、直接の関係になりますかどうか、きょうの新聞で、大臣が所信の中でも述べられておりました構造改革について私案をどうもまとめつつあるというようなことがございましたけれども、それについて可能であればちょっとお話をいただきたいなというふうに思っております。
 私、この問題も、構造改革ということにつきまして、若干、自分の考えなりも述べさせていただきたいと思いますけれども、そもそも農業がいつも構造改革という場合には、低位に置かれているものを、その格差を是正しようと、そういうところがこれまでの農業における構造改革というような使われ方の中でもあったかと思うんですね。その後、いわゆる中層のといいますか、平準化した農家に育ってきたような形になってきた。しかし、それがまた、近代化というようなことの中で、補助金を使うという事業が大幅になされてくる。
 そして、この補助金を使うということ、結局、農村というものが保護の対象というような形でもって見られるような形にもなってきた。保護の対象というのは、裏返して言いますと、中央との深いパイプ、これをどうつかむか、どういうような指導者がそれを持っているかということが農村のリーダーになってきたというようなこともあろうかと思います。そこの延長で、もしかすると、きのう報告がなされました土地改良区における政党への党費の立てかえということが起こってきたのかもしれませんが、そういうようなことがあったんだと思います。
 今、農村が、先ほど岩永委員からもありましたように、混住化でありますとか、それからまた中農と言われていた方が、上層といいますか下層といいますか、分化、分離というものが始まってきている。今後は、環境でありますとか消費者とのネットワーク、そういうものを含んだ形のものに変えていかなければならないんではないかというような、簡単に、大ざっぱな見方でありますけれども、そういう見方をしております。
 その上に立って、改めて大臣の私案の中身をお知らせいただければありがたいと思います。
#44
○国務大臣(武部勤君) 今までいろいろ議論してきたことを集約したものでございますが、私ども農林水産省といたしまして、小泉内閣のもとで改革断行内閣というような旗のもとに、農林水産業の世界でどういう構造改革を目指していくのかというときに、まず第一に、新しい食料・農業・農村基本法が示すように、食料の自給率向上といいますか、食料の安定供給ということが産業政策としては非常に重要になってくると、かように思います。このことを大きく打ち出していく。つまり、この担い手については、農業を担う大部分が四五%の基本計画で示す自給率達成に向けてこの十年間努力していくんだという、そういうことが一つ大きな柱になるわけです。
 それからもう一点は、しかし、農業というのは多面的機能を有すると、こういうふうに示されておりますように、いろんな農業があり得る。先日来御議論がありますように、環境保全型の農業もありますし、谷本先生でございましたか、ホビーという話がありました。生きがい・健康型の農業もあります。さらには、集落営農というような生産システムもあれば、今申し上げましたようないわば産業政策としての農業。
 あるいは、食料生産としてではなく、生きがいだとか健康だとか、あるいは環境保全とか、こういった分野においても、一人ではできない。高齢化の問題だとか労力の問題だとか、さまざま考えた場合に、一人では一から十までできない。しかし、これを支援する法人などがあれば、そういった方々も十二分に資源を管理し守っていくという、そういう立場で農業の担い手としてやっていけるであろうし、あるいは新たに農村に憩いを求めて、あるいは自然界の一員として、帰りなん、いざ田園にと、そういう思いで家族で休みを利用して作物をつくる。
 そういうようなことにもこたえる道は、そういう法人化などであり得ると、こういうふうに考えているわけでございまして、私の目指している農林水産業の構造改革というのは、どちらかというと今まで総花的に整理されていないものを、産業政策としてはということと、あるいは循環型社会を目指すそういう形での新しい農山漁村コミュニティーをつくりつつ、そういった要請にこたえていくというふうなものを少し整理したものでございまして、まだちょっと一部手直しするかもしれませんので、きょうここで御披瀝、全面的にできないことは申しわけなく思うのでありますけれども、あくまでも私案として、私の私案として出させていただく。今後、御議論の材料にしていただければと、かように思います。
#45
○郡司彰君 楽しみに私案の発表を待っていたいと思いますが、大臣にちょっとお願いがございますけれども、前の基本法というものを議論したときに、私はまだ非常に小さかったものですから、全然その中身についてはわかりませんが、周りで何となく大人の方が何か農業基本法というのがどうのこうのという話をしているのを地域の中やなんかでそういうことを聞いたような気がするんですね。農業に関する法律がどうなるこうなるということが地域の中で相当話し合われていたようなところがあったんじゃないかと思います。そのときと時代が違いますから、今はどのような形になっているかというと、それほど関心を持つことに至っていないということがあるわけですね。
 ひとつその中で、私もいろんなものを読んでおりますと、能力の問題もあるんですが、農水省の言葉は非常に難しくて、よく理解をできないようなところが多々あるのであります。私案の方もそうでありましょうけれども、大臣、小泉総理もそうなのかもしれませんが、非常にわかりやすい言葉でもって政策を述べると、そういうようなことがあるそうでありますけれども、今後そうした字句の問題についても、もう少しみんなが気軽にといいますか、余り肩ひじ張らないで読めるような、そういうような文章に農水省の文章を改めていただければ私ももう少し勉強できるんだがと思いますが、どうでしょうか。
#46
○国務大臣(武部勤君) 全く同感でありまして、私も今、国会対応で答弁書の模範答弁、模範答弁というべきか、あるいは役所がつくった答弁を見ていると、説明しているのに途中で眠くなったりすることが正直言ってあるわけです。なぜ眠くなるかというと、よく理解できないと、簡単に言ってそういうことなんですね。
 そこで、私の我田引水になるかもしれませんが、この私案も表題は食料の安定供給と美しい国づくりに向けてと、こういうふうにしているわけでございます。そのことによっていろんな方々がこの言葉でイメージしていただける、それはもう自由だと思います。それから、人と自然が共生する社会の実現を目指してということを副題にしておりまして、例えば森林、林業と、今、水産基本法についても御審議いただいておりますが、このことも私ども田中副大臣や遠藤副大臣らと話して、一言で言ったらどういうことなんだと、それは森と海は命のふるさとだと、そういうふうにしようと。それから、それらの副題として、有限な地球資源を未来へと、そんなような、一例でございますけれども、そういうような用語を使っているわけでございます。農山漁村の新たなる可能性を切り開くということについても、それは美しい国づくりに向けた自然と共生する農山漁村の創造だと。
 こんなふうにして、できるだけ一般国民の皆さん方、特に農業プロパーで従事して頑張っている人だけじゃなくて、やはり今一番大事なのは、農林水産業というものに対する、これは我々からすれば偏見と思いたくなるぐらい都市居住者や一般国民の理解と協力が得られない、それは那辺にあるんだということを考えましたときに、農林水産省の広報活動一つとりましても、やっぱり国民に向かって我々はこういう努力をしていくんですと。しかも、それは政策はすべて国民のためですから、食料の安定供給も国民のためです。美しい国づくり、森や海の存在価値というものに照らして我々が真剣にこれを守っていかなきゃいけない、育てていかなきゃならないと、これは結果的にはもう公益的機能ですから、国民のためなんですね。
 そういう視点に立って、さらに平易な表現に気を配ると同時に、国民の皆さん方の理解と合意が得られるような、そういう努力を積極果敢にやっていきたいと、かように存じます。
#47
○郡司彰君 まさしく大臣が後段おっしゃっていただいた、生産者あるいは農村という限られた人たちだけのアピールではないんだというふうなことで、大臣の言葉を聞いて意を強くしておりますので、お願いをしたいと思います。
 土地改良について改めてお尋ねをしたいと思いますけれども、これまでの土地改良、幾多の改正が行われてきておりますから、当初の土地改良法の趣旨を少しずつ充足をしてといいますか、そういう形になってきているかと思います。
 簡単な主な変遷の内容、それから性格についても私的側面あるいは公共的側面というものがありますし、また農業農村整備事業との関係が相当強いわけでありますので、その辺のかかわりについて、これは局長の方で結構でございますので、お答えいただきたいと思います。
#48
○政府参考人(木下寛之君) 土地改良事業でございますけれども、昭和二十四年に公布、施行になってございます。
 まず、昭和四十年当時の土地改良法でございますけれども、まさに当時、食料増産対策という点でございまして、土地改良の中身は主として水田の圃場整備が主たるものというふうに理解をいたしております。
 次の段階、例えば昭和三十六年に農業基本法が制定をされたわけでございますけれども、その中で、やはり農業生産性の向上と、それからもう一つは柱としてやはり農業生産の選択的拡大という点がつけ加わってきたというふうに思っております。そうなりますと、やはり圃場整備の中あるいは畑地帯の整備が必要だというふうに思っておりますし、農村整備につきましても、圃場整備、畑地帯の整備に並びまして、農道の整備というのが重点的になってきたのかなというふうに思っております。
 また、昭和四十五年には総合農政ということを打ち出したわけでございますけれども、昭和四十年代、農村地域の環境問題がようやく始まったというふうに考えておりまして、その中で集落排水の問題がやはり昭和四十年代半ばからスタートを始めたという点でございます。
 また、昭和五十年代以降になりますと、水田の生産調整がいよいよ本格化し、なってくるという中で、基本的には構造政策の推進あるいは定住条件の整備というようなものが課題になってきただろうというふうに思っておりますし、一昨年制定を見ました新基本法の中で四つの理念と。一つが食料の安定供給の確保、また二つ目、農業の持続的発展、農村の振興、多面的機能の発揮と、それぞれ四つございますけれども、土地改良事業、農業農村整備事業それぞれにかかわってくるというふうに、それぞれ変わってきたというふうに理解をいたしております。
#49
○郡司彰君 よく、土地改良についてはおおよそ八割ぐらいは終了したんではないかというような話をされる方がございまして、この委員会の中でもそのような話を聞かされたことがございます。今、幾つかの段階によって、圃場整備でありますとか畑地でありますとか農道でありますとかという順を追って整備をしてきた。八割という場合には、例えばなべて八割というような理解なのか、もうこの例えば圃場整備に関してはほぼ終わったんだと、しかしこの部分が終わっているから全体として八割なんだと。先ほど言いました農業農村整備の関係も含めてもう少しお答えをいただけますか。
#50
○政府参考人(木下寛之君) 私ども、土地改良事業につきまして第四次の土地改良長期計画というのを策定しているわけでございます。
 現在の土地改良長期計画、平成五年度から平成十八年度までというような期間でございますけれども、この中で総額四十一兆円の事業計画の実施を予定しておりますけれども、この中で、国が行いまた補助する事業につきましては、大体七二%程度の進捗率だというふうになっているところでございます。
 私ども、もう一方は、例えば水田につきましても三十アール程度の標準区画の整備を十八年度末には七五%まで整備率を上げたいというような目標を掲げているわけでございますけれども、平成十二年度実績が五八%、あるいは農道の整備につきましても七五%というような整備目標を掲げておりますけれども七〇%ということで、私ども、先ほど申し上げましたように、十八年度のそういう目標に対してまだまだこれからしっかりと事業を実施していきたいというふうに考えております。
 また、先ほど事業の変遷について御説明を申し上げましたけれども、この五十年間の間で、当初は圃場整備等々、いわゆる生産関係の予算が大半でございましたけれども、この五十年間の間に年々そのウエートが下がり、基本的にはそういう圃場整備関係が五割程度ぐらいまで下がってくる、また農村の集落排水を含めました環境対策が非常にウエートを大きくしてきているというような状況でございます。
#51
○郡司彰君 第四次の長期計画でいきますと四十一兆円、総事業費ですね。国が行うというものについて見れば三十二兆円。総事業費でいくと、その二十六・五兆円ぐらいが済んで、国のものでいくと二十三兆円ぐらいというような数字だろうと思いますが、よく社会的なストックとして二十二兆円というような話がなされますね。この社会的なストックということについて簡単にお聞かせいただけますか。
#52
○政府参考人(木下寛之君) 私ども、これまで農業水利施設を整備してまいりましたけれども、その総額が二十二兆円というところでございます。
#53
○郡司彰君 先ほど岩永委員からの質問にもございましたが、この趣旨の事業の中で、いわゆる員外の方々にもその受益ということが非常に生じていると。員外の方々の賦課制度によってなされているその地域とか人数とか、どの程度の広がりといいますか、なっているか。もしおわかりになればで結構でございます。
#54
○政府参考人(木下寛之君) 私ども、いわば三条資格者、土地改良区のメンバーでございますけれども、メンバー以外からの者から費用を徴収している実績でございますけれども、いわゆる法律に基づきまして徴収している例が二件ございます。そのほかに、いわば土地改良法によらずに、いわゆる私ども民民ベースというふうに言っておりますけれども、民事上の契約を結ぶということで、土地改良施設を利用する、その対価としていただいているという例はかなり広範に行われているというふうに承知をいたしております。
#55
○郡司彰君 今回の改正の中身にもそのようなところが出てくるわけでありまして、これが一応、集落に対する事業というものがその集落全体に及ぶということではいい面もあるんだろうと思いますので、そういうようなことをお聞きいたしました。
 ここで、素朴な質問を大臣の方にもさせていただきたいと思いますが、例えば中海の干拓等がございまして、第四区については、本庄工区については中止をするということになりましたね。
 これは経過を見させていただきますと、始まった年月から三年ぐらいたって目的の変更があるやもしれない、七年たって、農地造成というほかに防災でありますとかいろんなことの目的が加わってきたところがあるんですね。素朴に、こういうような形でもって始まった農水省の工事で、目的が変わることによってもなおかつなぜ農水省の予算で行わなければいけないのかと。国民の中には、どうも農水省の予算というものが多いのではないかという間違ったような私からすれば見方があるわけであります。
 そして、そのようなときに、あのような工事がという言われ方もする中に、農水省本来の土地改良事業の目的プラスアルファの部分が非常に多い工事が何年も続いているときということがあるかと思いますけれども、なぜそのような形になるんでしょうか。
#56
○国務大臣(武部勤君) 適切にお答えできるかどうかわかりませんが、いろんな事業を推進する過程で、せっかくダムをつくるなら、これは農業用水だけじゃなくて水道として一般市民にも利用できる、受益できる、そういうものにしたらいいではないかとか、さまざまな要望が地域から出てくることは多々ございますね。言ってみるならば、よく理解するならば、縦割り行政の排除を先取りしてやってきたんじゃないのかなと。ある意味では、農林水産省としては人がいいと言えばそうなのかもしれません。
 しかし、これはどうしてそういうことになるのかといいますと、そもそも農業というものは、食料を生産する経済政策上のあるいは産業政策上の職業だとか事業ではないということですね。やはりかなり幅広い公益的な機能を有しながら地域とともに生きている、そこに理想郷をつくっていこうというような夢を追い続けている、そういう分野でないのかなと、私はかように理解しております。
 そういう意味では、場合によっては旧建設省の事業よりも農林水産省の事業の方が非常に受け入れられやすいといいますか、地域の皆さん方に期待されている、それに幅広くこたえてきた結果だろう、かように私は思います。
 今後、したがいまして、そういうことをきちっと明確化して国民の前に明らかにしていかなければならないということから、人と自然との共生社会を実現していく、循環型社会の構築とかあるいは美しい国づくりとか、それは農林水産省の明確な使命でありますよということを国民にきちっと明示していくということが、農林水産業に対する国民の理解や協力あるいは合意というものが得られる私は非常に不可欠な要件になっているんじゃないのかなと、かように思います。
 そういう意味で、新しい農山漁村の可能性を切り開くという意味も、地域政策として、その地域だけではなくて都市住民の願望にもこたえていくと。どうも今までのやり方というのは、問題解決策なんですね。私は、願望実現型、問題解決型から願望実現型というふうに政策の視点を変えていかなきゃならないと。そういう意味では、今まではある意味でお人よしと言われるような一面があった、そのことが逆に、時間がたつとともに、不必要な公共事業というような批判になっているという、そういうことも反省しなきゃならぬのではないのかなと、こんなふうに理解しております。
#57
○郡司彰君 大臣の話の中で、縦割りの弊害を逆に飛び越えて、時代に合ったようにやってきたなんという話がありましたが、私は、必ずしも世間の目は、農水省の予算に対する厳しい批判がある中で、なおかつ建設省が本来やるべき事業に変わってきているのではないか、それをなぜ農水省の予算でやっているんだというような視点の方が大きかったろうと思いますし、私自身は、必要な土地改良というのは今後もまだあると。しかし、場合によっては、そのような形でもって農水省が何もほかの省庁の分まで予算をとってやっている必要はないので、その分はまた、生産者、農業者に所得補償なりそういう形でもってきちんと別なところにシフトすべきではなかったのかなという感じがしております。その辺のところはまた今後も少し議論をする機会があるかと思いますが。
 それから、私は、あるマスコミによりますと、日本の農地を一番つぶしたのは何だというと道路だと、これだけの道路でもって農業の農地というものがもう相当つぶれているじゃないかという話がありました。それが当たっているかもしれませんし、じゃ、その是非はどうかということになると、これはいろんな見方があるんだと思いますね。
 ただ、問題は、国営でありましてもあれですけれども、農地を新たにつくっていこうという事業がもちろんあるわけであります。その暁に、例えば八年後たっていろんな目的があった場合には転用もできるような形にはなっておりますけれども、そういう中で、これまでの土地改良事業、造成をなさった中で、今造成された目的以外に転用されているというのはどのぐらいの面積になっておりますでしょうか。また、わかりましたらで結構でございますが、いかほどの費用をかけてつくった農地になりますでしょうか。
#58
○政府参考人(木下寛之君) 土地改良事業を実施した農地でございますけれども、優良な農用地として確保を図る必要があるということで、農業振興地域整備計画におきまして農用地として利用すべき農地というふうに制定されております。したがいまして、地域の農業に資する施設やあるいは公共施設等を除きまして、原則として農地以外の用途へ転用するということは禁止をいたしておるというところでございます。
 したがいまして、農地開発事業によりまして造成した農地について、農用地として利用すべき土地として取り扱われているというふうに考えておりますけれども、その転用状況につきまして全体を把握しているわけでございませんけれども、農産物の加工施設あるいは公共施設等の用地へ転用された事例を除きまして、原則として農地として利用されているというふうに承知をいたしております。
 それから、昭和三十六年から国営の農地開発を行っているわけでございますけれども、全体で百六十五の地区で実施をしているという点で、その事業費についてはただいま資料を持ち合わせておりません。
#59
○郡司彰君 時間の関係で次に入らさせていただきますが、この公共事業の期間の問題でありますとかコストの問題でこれまでも幾つかの計画がなされておりまして、これ何年前になりましょうか、九七年ですけれども、農業農村整備事業のコスト縮減計画というのが出されておりますね。九九年ごろまでにはそれは一応実施が完了して、それ以降は全体一〇%、民間四、官が六というようなところまで下げていくような話になっていたわけですね。
 そうしますと、少なくとも二〇〇〇年以降は、同じ予算であればこれまでよりも一割多くの工事ができるとか、あるいは全体予算を一割減らして今までと同じような工事ができるというふうに当然なっているのかと思いますが、既に三年を経過し、このコスト縮減計画の概要どおりいっていらっしゃるんでしょうか、どういうふうに。
#60
○政府参考人(木下寛之君) 御承知のとおり、農業農村整備事業でございますけれども、平成九年度から平成十一年度までの三年間、農業農村整備事業のコスト縮減計画というものに基づきまして、工事コストの低減を地方公共団体等にも要請をすると。また、農林水産省が直轄で行っております事業につきまして一〇%のコストの低減を達成したという段階でございます。
 また、このようなコスト縮減の成果を踏まえまして、昨年九月でございますけれども、さらに総合的な新しいコスト縮減計画をつくり、現在その一層のコスト縮減に取り組んでいるという状況でございます。
#61
○郡司彰君 わかったようなわからないような、今後もまたその縮減計画をさらにやっていくということはわかりましたが、現実問題として二〇〇〇年からは新しいその一〇%削減ということになっているんですか。
#62
○政府参考人(木下寛之君) 先ほど申し上げましたように、農林水産省が実施をいたしております直轄事業につきましては一〇%のコスト縮減を達成したというふうに理解をいたしております。
#63
○郡司彰君 昨日、新聞に出ておりましたが、「国土交通省、農林水産省、内閣府など一府六省は二十九日、公共事業の実施に関する連絡会議を開き、公共工事の効率化を図るため、工期などを出来るだけ短縮してコスト削減につなげる「時間管理概念」の導入を検討することを決めた。」ということになっておりまして、今度は公共事業工事の工期の短縮を図るというようなことになっているそうでありますが、これは具体的に農水省の中では既に計画化されているんでしょうか。
#64
○政府参考人(木下寛之君) 関係府省の中でそういうような方向が定まったわけでございますけれども、それを具体的にそれぞれの事業におきまして今後どうしていくかにつきましては、今後検討していきたいというふうに考えております。
#65
○郡司彰君 そういうことで、具体的に条文の方に入らせていただきたいと思いますが、環境省さんの方からもおいでをいただいておりますので、まずそちらの方からお尋ねをしたいと思います。
 土地改良法の改正、今回の法改正に当たりまして、何か農水省との間で環境に関することでの協議というものがございましたでしょうか。ございますれば教えていただきたい。
#66
○政府参考人(中川雅治君) 土地改良法の一部改正法案を閣議決定するに当たりまして、環境省と農林水産省との間で協議を行いました。
 まず、「環境との調和に配慮」という表現がございますけれども、この表現につきましては、食料・農業・農村基本法第二十四条において「環境との調和に配慮しつつ、」「農業生産の基盤の整備に必要な施策を講ずるものとする。」と規定されたのを受けまして、土地改良事業の施行に当たっての留意事項として新たに追加しようとするものであると理解をいたしまして、今回の協議では、この表現を使うこと自体について特段の議論はいたしませんでしたが、環境省といたしましては、法律にきちんと環境との調和に配慮してと、こう書く以上は、実際にどのように環境との調和に配慮していくのかということについて農林水産省と何度かやりとりをいたしまして、要するに、法律の規定に対して実体がきちんと備わるのかどうかというところを私どもとしては大変関心を持ったわけでございます。
 その結果、事業主体への指導や関係団体に対する普及啓発をきちんと行うという、私どもといたしましてもそういう認識を得ましたので、協議を終了させたということでございます。
#67
○郡司彰君 協議が行われて何度かということは、一度ならずのやりとりがあったというふうに理解をさせていただきますが、この相互の協議の内容については、これは私どもにもお示しをいただくということになりますか。
#68
○政府参考人(中川雅治君) 文書で記録が残っておりますので、提出させていただきたいと思います。
#69
○郡司彰君 後で手にして、さらに検討したいと思いますが、新しい「環境との調和」ということが入ったということについては、一応の前進だろうというふうに私どもも思うわけですね。
 ただ、私どもは、基本法の議論のときにも同じようなことを申し上げてきたわけでありますけれども、調和というのと環境の保全ということと、どちらがどうだというような議論をさせていただきました。その際に、基本法の議論のときには、構造改善局長でありましたか、ミティゲーションの一番目の回避というところも含めてだというようなことがございました。
 日本のこの環境省さんの考えの中では、このいわゆるミティゲーションの制度というものを生かすというようなことで各省庁との話し合いというのはなされたことはございますか。
#70
○政府参考人(中川雅治君) 環境省といたしましては、農林水産業を含めまして、あらゆる産業活動自体に環境への配慮が織り込まれることが必要であると考えておりまして、各省庁の施策にそのような趣旨が反映されるよう努力しているところでございます。
 今御指摘ございました今回の土地改良法の一部改正法案では、第一条におきまして「環境との調和に配慮しつつ」と、こういう用語が使われているわけでございますが、環境の保全という言葉を使ってきた法律もございます。環境との調和という言葉を使っている法律もございますが、時系列的に言いますと、この環境との調和というのは平成十一年の食料・農業・農村基本法で使われたということでございます。
 この用語の問題につきましてもいろいろニュアンスの違いとかそういうことがあろうかと思いますが、あえて申し上げれば、環境の保全というのは、環境省は環境庁の時代に大気保全局とか水質保全局というのがございましたが、保全というのは、これは何か一定の環境基準を設けましていろいろな、例えば工場等の排出規制を行うといったようなことによりまして環境を良好な状態に保つというようなニュアンスがあろうかと思いますが、環境との調和ということになりますと、事業等のあり方そのものを環境に調和したものにする、こういうような趣旨を込めたものというふうに理解をいたしております。
 環境省といたしましては、持続可能な社会の形成に向けまして、社会経済活動が営まれる各段階、各局面におきまして環境への配慮が織り込まれますように今後とも努力をしてまいりたいと考えているところでございます。
#71
○郡司彰君 ちょっと時間の関係で土地改良法はあれだったんですが、水産基本法案についての環境省さんとのやりとり、八十三点にも及ぶ質問を含めて五次にわたるやりとりを読ませていただきましたが、この中でもやっぱり調和と保全ということに関しての余り議論はなかったようにも思いますので、また私どもの方で農水省とこれから話をしたいと思います。
 それで、一つ環境省さんの方に確認でありますけれども、基本的には、生物多様性国家戦略あるいは環境影響評価法その他がございますけれども、それらの法に基づいてそれぞれ農水省と環境省のかかわりのあるものについては常にこういうやりとりをなさってきた、これからもなさるというようなことで理解してよろしいでしょうか。
#72
○政府参考人(中川雅治君) 環境省といたしましては、ただいま申し上げましたように、いろいろな活動、事態について今後は環境配慮を盛り込んでいただくことが必要と考えておりますので、また環境省の場合には、環境影響評価、アセスにおきまして法律的にも環境大臣の意見を申し上げる機会もいただいております。また、設置法等におきましても、いろいろな面で意見を申し上げられるというような権能もいただいておりますので、環境省といたしましては、法律の制定だけではなくていろいろな局面において環境の面からの意見を申し上げ、またお願いもしていきたいというように考えているところでございます。
#73
○郡司彰君 農水省の方に確認も含めてお尋ねをいたしますが、先ほど言いましたように、新基本法のときに渡辺構造改善局長からの答弁をいただいております。読ませていただきますと、「環境に一定の負荷を与える可能性がある事業を実施する中で、その影響をできる限り抑えて環境に適合するように配慮しつつ事業を実施することを求めるものでございます。 このことは、実はミティゲーションの五原則というのがございますけれども、そのうちの第一番目でございますがアボイダンス、つまり回避、事業を行わないということも当然含まれるものでございまして、」という答弁がありました。
 これは、時の構造改善局長の答弁ですから、そのまま現在も同じだと思いますが、これに基づく、影響をできる限り抑えた上でというような、実際に保障するような具体的なシステムをこの法律の中にどのように読んでいけばいいのか、そこのところを教えていただきたいと思います。
#74
○政府参考人(木下寛之君) 私ども、今回の法律案の改正の中で事業実施の原則として「環境との調和」というのを盛り込んでいるところでございます。このように事業の原則として「環境との調和」というふうに盛り込んでいるわけでございますから、今後、新しい事業計画をする際には、それぞれの事業計画が、まずはこういうような点に合致をしているかどうかという点につきまして審査をし、そうしたものでないと土地改良事業として実施ができないというふうになろうかと思っております。
#75
○郡司彰君 これまで衆議院のいろいろな大臣の答弁をお聞きしている中で、調和と保全というと、調和の方が強いぞというような発言があったように記憶をしております。私的に、個人的にこれまで土地改良の問題について役所の方ともお話をさせていただく中で、開発行為である土地改良事業については保全を原則とするのは困難ではないかというような考えが示されておりました。
 先ほど言いましたように、ミティゲーションの制度というものを農水省の中に生かしていこうという考えはございますか。
#76
○政府参考人(木下寛之君) 私ども、今後、新しいこういうような環境との調和というのが土地改良事業の中の一つの大きな原則となるわけでございます、個々の事業計画を審査する際に。そういう意味で、環境との調和、委員御指摘の点も含めまして審査が行われるというふうに考えております。
#77
○郡司彰君 制度について私の方から改めて説明する必要もないと思いますが、一応五原則の中で最大三点ぐらいを使って行っているところが多いようでありまして、まず開発計画があり、環境アセスメントの結果、環境影響があると判断された場合には、まず回避が検討される。次に最小化、低減という訳をされているところも多いわけでありますけれども、次に最小化あるいは低減。なお不十分なときにのみ代償という形でもって検討される。代償は、回避も最小化もできない場合の最後の手段として位置づけられると。
 結果として影響がすべて解消できると判断されれば開発が許可されるが、影響が解消できない場合には開発不許可もやむを得ないというような形がいわゆるミティゲーション制度と言われるものだと思っておりますが、そのような形の中で、もし本当に今回の土地改良と調和という問題がそのようなことも含めるんだとすると、この保障するシステムとして、例えばこれからのそういう事業の際に、事業計画の内容を吟味するような専門家というものが必要ではないかどうか、お考えをお聞きしたいと思います。
#78
○政府参考人(木下寛之君) 一つは、今後、先ほどから申し上げたとおり、事業を審査する際に、環境との調和が図られているのかどうかという点につきまして審査をするというふうになろうかと思います。私ども、その際の具体的な、どういう場合にそれが当たるのか当たらないのかというような具体的なガイドラインと申しますか、基準づくりと申しますか、手引き、そういうものについて、まずできるだけ早く作成をしたいというふうに考えておりまして、その中でどういう場合に必要なのかという点も含めまして今後の検討課題とさせていただきたいというふうに思っております。
#79
○郡司彰君 どういう場合か、必要な場合ということです。もし必要な場合が生じた場合には、専門家というのは必要だとお考えですか。
#80
○政府参考人(木下寛之君) 具体的にさらに検討したいというふうに思いますけれども、やはり先ほど来申し上げているとおり、環境との調和が図られているかどうかということにつきまして、やはり専門の方々にそういうような調査方針につきましてお諮りをして検討していく方向が必要だろうというふうに思っています。
#81
○郡司彰君 私、余り能力がないものですからよくわからないんですが、専門家というものを特別に必要としない、これまでのそれぞれの立場の中で判断をできるということになるということなんでしょうか。
#82
○政府参考人(木下寛之君) 具体的には、第三者委員会による専門家の皆さん方にそういうことにつきましてお諮りをするということは必要だろうというふうに思っております。具体的にそのメンバー等々につきましては、さらに今後検討していきたいというふうに思っております。
#83
○郡司彰君 提案ということになるかもしれませんが、私は、その都度専門家を呼んでというよりも、例えば環境省になるのかもしれません、いろんな形があるかもしれませんが、専門家はきちんと養成をしておいて、それぞれの省庁で環境に係るような問題があったときといいますか、その事業の開始に当たっては、そこに養成をされた専門家が必ずアセスメントその他についての判断を行う、そういう形をとるべきだと思っております。
 実は、既にヨーロッパの一部等では行われておりますが、公共工事の中、土地改良の事業と同じような中身の中で、既にこのミティゲーションにもありますけれども、復元ということを事業として相当なされてきておるところがあるわけですね。予算の一割あるいは二割という中で、復元というものを行っていくということが当然日本の場合にもこれから出てくるんだろうと思うんです。
 その際にも、私どもの、もう少しちょっと細かい議論も本当はさせていただければいいんですけれども、いただいた調査室の資料の中で、農林水産省の資料という中で、工種、事例として、圃場整備、水路工、ため池整備等の中の事例というものがございます。私どもも、いろんなところでいろんな方からお話をする中で、実は先ほどから保全というのと調和というのは調和の方が強いとか、いろんな話がされておりますが、これは多分農水省の中の検討された資料ではないかと思いますけれども、環境の保全というのと環境生産性の調和というのはかなり明確に分けて、工法も含めて示されているようなところがあるわけですね。
 それを読むと、私は必ずしも調和の方が強いという大臣の発言をなかなか納得できない。保全というものと相当違うなという認識をしておりますが、そういう検討を内部でされておりますか。
#84
○国務大臣(武部勤君) 農村局長に答弁させる前に、私の方からちょっと考えを申し上げたいと思うんです。
 いつも地元の事例を出してちょっと恐縮なんですけれども、最近、牛のふん尿などの環境対策というものが非常に大きな問題になっているわけです。そのことが酪農家の離農につながるという本当に社会問題にもなっています。
 それはどういうことかというと、下流に漁業者がいるんですね。例えば東藻琴などの山の方には酪農家と、そして川があって藻琴湖という湖があって、そして河口からオホーツク海に抜けていくわけですよ。私は、今までの河川改修であるならば、真っすぐ河川改修をそのままやっていくというようなことなんですけれども、これは上流に遊水地をつくるべきだと。そのことによって牛のふん尿の問題も解決すると、そして下流の問題も解決すると。つまり、そこに遊水地をつくるということは、まさに環境との調和に配慮した工法なわけですね。
 これは、河川改修ということからすればそういう必要はないのかもしれません。しかし、環境問題ということが非常に大きな問題になっておりまして、同じ第一次産業です。酪農家も、あるいは湖でシジミなどをとる、ワカサギをとる、そういった漁師も、さらにまた外海でホタテや他の漁船漁業をやっている皆さん方も、皆がハッピーになるといいますか、お互いに納得できる方法というのは、私は土地改良事業でもあり得ると。
 保全というのは手をかけないことなんです。手をかけなかったらどうなるかといったら、河川改修をやらないと、これはもう洪水の問題もあれば、さまざまな問題が生ずるわけです。じゃ、手をつけられないのかといえば、今までのやり方だとそのことが他の漁業者などに影響を与える。そこに遊水地をつくるというそういう行為、そういう開発行為といいますか、環境に配慮する事業がなされれば、すべて問題は解決なんです。
 ですから、私どもが環境に配慮すると、環境との調和に配慮するというのはそういう意味でありまして、これは環境保全も含んでいる概念であります。環境保全というだけであれば手をつけないという、手をつけないということになれば、手をつけないで良好な環境に保つというのは、その良好な環境も、単なる良好な自然環境を維持するということもあれば、あるいはみんながお互いに問題を解決されて、良好な環境のもとで漁業もできるし、農業もできるし、河川環境も維持されるしと。そういうような考え方で私どもは、環境との調和ということの方が広い意味でもあり、積極的な環境重視の意味だということを申し上げているわけでございます。
#85
○郡司彰君 大臣の前段のお話、私も中標津だったと思いますが行ってまいりました、ふん尿の法律の関係のときに。
 確かにあそこで見ましたらば、ここで何か土に埋めちゃってもそんな海まで行くのかいなというようなところだけれども、結局川の方まで流れ出るんだとか、じゃもう完全にフリーストールにした場合には七千万以上かかるんだとか、いろんな話を聞かされてまいりまして、これは大変だなというような思いはございます。
 ただ、その後の話の、保全というのはまるっきり何もしないというようなお考えのようなところがございましたが、私は必ずしもそうではないだろうというふうに思いますし、私の方でいろいろ見させていただいている中にも、これは保全だから何もしないというようなことの工法ではないような形でもって、他の法律の規制の問題、土地改良での配慮とか、いろんな形でもって書いてございます。
 それで、例えば、もっと大きな自然破壊ということになれば言えるのかもしれません。ダム建設事業などに使われている環境影響評価、これについては環境の保全への適正な配慮をしなければいけないということになっておりますね。それより小規模になるような事業が多い土地改良の中で、保全ということが概念として使えないということになると、これは環境影響評価法そのものがおかしなことの立場のことになってくるんではないかな、そういう危惧をしております。
 私は、保全というのは、大臣が言うように何もしないということではなくて、例えば堤をつくった場合でも、今景観的には、コンクリートの上に土を載せて、これで自然にも優しい環境、景観をとったような工法になっていますよというのがある。しかし、そこにコンクリートの中を通って、魚道でありますとか、微生物や何かも含めて行き来ができるような形になっているかどうかということが保全だろうというふうに思っていますので、それは必ずしもそのままにするというようなことだけではないんだろうというふうに思っています。
 しかも、先ほど言いましたように、これから少なくとも土地改良事業の中の一割以上あるいは二割近くのものが復元という形の中でそういうような工法を日本の農業土木の中でも相当取り入れるといいますか、新しい技術としてやっていかなくちゃならない。現に、これまでと違って、各県におきます土地改良事業、私は前から見ればもう相当変わってきているというのがもともとの認識なんです。調和という言葉が入ったことも、それ自体が今までよりも相当前進だという意味なのでありますけれども、しかしながら、景観を優先することだけにとらわれて本来の生態系が壊れるような形になっては困る。その生態系を守るような工法は、調和というだけではなくて、保全という意識の中でより強くなるんではないか、そういう意識でございます。
 いずれにしましても、そのような形でもって、私どもは保全ということの方がより環境に優しくなるんではないかということでこれからも主張していきたいと。
 最後になりましたけれども、その景観の問題でありますが、ともすれば、これまでの事業もそうでありますし、これからもそうかもしれませんが、この前、大臣とちょっとお話をさせていただきました魚の関係でありましたけれども、例えば外来種の問題、こういうようなところにもいろいろな意味での影響が出てくるわけでありまして、外来種に対する大臣のお考え、この前、魚についてお伺いをいたしましたけれども、全般的に、もしありましたらお話をいただければと思います。
#86
○国務大臣(武部勤君) ブラックバスなどの件ですか。
 私は、これは基本的には自然生態系を守るという、そういう考え方からすれば適当ではない、かように思います。ただ、やはりこれも国民的合意とか地域の人々との合意ということが当然重要でありまして、地域によっては、むしろ外来種を入れてそして遊漁者に対する便宜を図るとか、あるいは地域振興に充てるとか、そういうようなことも現実にございます。しかし、その辺のところは、非常に難しい問題だとは思いますけれども、いずれにしても国民の理解と協力ということが大前提だろうと思います。
 地域振興といいましても、やっぱり一定の基準といいますか、守られるべきルールというものは当然なくてはならない。しかも、それは地域の皆さん方も、当面する事業だけではなくて、一番大事なのは、いつも申し上げますように、自然の恵みに感謝する気持ち、自然の脅威を恐れる謙虚な気持ちという原点というものに立って考えていく必要があるわけでありますし、農林水産省としてもそこのところを第一義に考えて今後対応、具体的な事例があればそのことを原点にして考えていかなきゃならない、かように考えております。
#87
○郡司彰君 環境省さん、済みませんでした。ありがとうございました。
 あと、それから、法案の中で、先ほど岩永委員からもありましたように、市町村との関係におきましては協議ということが出てきているわけであります。今まで、例えばそれぞれ受益者の方の、初めにやりましょうねというときに、おおよそ資料によりますと九五%ぐらいが大体賛成をしている、そういうような数字がございました。
 先ほど岩永委員の話の中にもありましたけれども、地元の市町村が同意をしないで始まったという事業はこれまでに幾つか例がございますか。
#88
○政府参考人(木下寛之君) 私ども承知をいたしておりません。
#89
○郡司彰君 私どもは、地方分権の立場でこれからいろんなことを変えていかなければいけない、変えられるところは変えていこうというようなつもりでございます。
 きょうの新聞を読ませていただきましたらば、経済財政諮問会議が公共事業のあり方を国主導から地方に変えていくようにしましょうよというようなことを話し合っているということがございまして、その新聞には、その会議にどうして農水大臣が入っていないんだ、これはやっぱりおかしいんじゃないかという意見がございました。大臣、私もそう思いますので、大臣としてもしお考えがございましたらば。
#90
○国務大臣(武部勤君) 私も経済閣僚の一人だと、かように思っております。メンバーを見ますと、国土交通大臣も入っていませんし、行革担当大臣も入っていませんし、科学技術担当大臣も入っておりませんし、入っている閣僚は経済産業大臣、財務大臣、それから総務大臣、そういうメンバーなんですね。ただ、我々は臨時議員ということで入ることができるときもある。ちなみに、今夕、経済財政諮問会議が開かれるわけでありますけれども、私の立場からすれば入れてもらった方がありがたいと思いますよ。
 しかし、そこに入っていないからといって我々の考えや主張が入れられないこともございませんで、きょう私が先ほど申し上げました私案を資料として提出して説明もしようと思っておりますし、もう一つは、私ども、経済閣僚の一員であるということと同時に、人と自然との共生社会の実現を目指して取り組む主要大臣、そういう一面もございます。大変気にしていただいてありがたいとは思いますけれども、私の声は結構大きい声でございますので、至るところで物申すことができると、こう思っております。
 しかも、経済財政諮問会議のような政府のそういったたぐいの会議、きょうも実はIT戦略会議というのがありました。感想を申し上げますと、メンバーは、全閣僚もおりますし、専門家の方々は十人以上いるでしょう。それで、一時間の会議でございまして、言ってみれば専門家の皆さん方の話を聞くというような会議の内容になっているようですね。ですから、あのようなところで二、三分考えを述べるよりは、閣僚として閣議もありますし、閣僚懇もありますし、私の場合には総理に直接話をできる立場でもありますし、むしろそういった会議に入っているとか入っていないとかということにこだわらず意見を述べる。そういうところへ入りますと、大勢いると、はっきり申し上げて地方議会議員出身の閣僚は私一人ですから、それで地方の立場になって物申すことのできる閣僚というと総務大臣と農林水産大臣かなと。そこでもし仮に多数決で決めるといったら多勢に無勢になっちゃいますね。
 ですから、私は農林省の幹部にも言っているんですけれども、特命チームが構成されたというけれども、そこは実際には特命チームじゃないんです。総理大臣の答弁書を書く役だけなんですよね。そんなところにのこのこ出かけていって、そして大勢の中で荷物をしょってくるようなことはしない方がいいんだと。とにかく、あらゆる、予算委員会等では農林水産大臣にと総理はみんな私に振りますから、私が責任持って答弁するわけでありますし、そういうことでは御心配いただいておりますことには感謝申し上げますけれども、至るところで声を大にして頑張りますので、また御支援をいただきたいと思います。
#91
○郡司彰君 私は、特に農業、水産もそうなのでありましょう、林業もそうでありますけれども、国土の保全と一体となった産業でありますから、これは私は、アメリカを除いてほかの国は輸出で勝てるような国というのはもうないわけでありますから、しかも持続的に世界の飢餓の問題を考えれば、必ずその国において保護的な側面を持つというのはこれは当然の産業だと思うんですね。ですから、そういう声が余りに経済的な論理だけで抹殺されないように頑張っていただきたいなという気持ちでございます。
 また先ほどの話に戻りますけれども、市町村長の合意が得られずに行った事業はないと、そういうようなことでございます。
   〔委員長退席、理事岸宏一君着席〕
 だとすると、地方の時代でもしこれからそのような場合が出てくることも想定をされるんではないか。レアケースだという話がありましたが、その場合には、あえて国が知事との判断で工事を行うということよりは、それは一たん中止なり延期をするということが、私は地方からの声というものが主になってしかるべきではないかという感じがありますけれども、その辺についてはいかがですか。
#92
○政府参考人(木下寛之君) 今回の法律案の中で、地域の意向をより反映させていくという観点から、従来の市町村長の意見の聴取から市町村長との協議というふうに改めているような案を提出しているわけでございます。
 私ども、これをさらに実態上を踏まえて同意というふうにすべきではないかという点につきましては、やはり私有財産でございます農地を対象として、農家がみずからの費用負担も一部行いながら行います土地改良事業につきまして、やはり市町村長に包括的な一種の拒否権を与えることとなる、制度論としてですね。そういう意味で、法律上、土地改良法の中でそういう意味での私有財産に対する過度の関与になりはしないかなというふうに思っております。
 したがいまして、法律上、同意を要するというような協議とすることは非常に困難というふうに考えておりますけれども、やはり事業実施に当たりましては、地域に開かれ、あるいは地域から支えられるというような土地改良事業にぜひ改革していくんだという観点からいたしますと、従来以上に地域の合意形成が重要だというような認識を持っております。
#93
○郡司彰君 前提とすれば、前のことよりも協議という中身になったということについては評価をもちろんしているわけであります。実態も含めて、これまでもそういうケースがなかったということを含めて、市町村との合意ということの方がこれからの分権というものが、先ほどの経済諮問会議にもあったようでありますけれども、その視点を明確に出す形の法律の方が私は好ましいのではないかと。今、三分の二で決まれば強制部分が当然これまでもあったわけでありまして、その強制部分と今の財産の問題というのは、これは一定のところで話し合いといいますか、法理的に決着がつくようなことも私の方ではちょっと考えております。
 いずれにしましても、市町村との協議というところまで踏み込んだのである、そして、これまでの中身が一件も合意に至らずに国が勝手に行ったという、勝手という言い方はおかしいですけれども、強権でもって行ったということがないということを踏まえれば、私は同意ということにかえってしていた方がよろしいのではないかなと。これは先ほど岩永委員が言いましたように、だから知事に預けられたって、知事の方の判断だってそれは市町村の判断と違うということはあり得ないわけでありますから、その辺を検討いただければなというふうに思っております。
 それから、意見に対する扱いについても先ほどございました。岩永委員の話を聞いていて、なるほどな、そういうようなこともあり得るのかなと。ためにする反対の意見が全国から同じような文言でもって来るというようなことを言われていたんだと思いますが、余り私はそういうようなことを想定していなかったのでございますが、しかしながら、それぞれ国のこういう事業そのものは、やっぱり国土ということを考えれば、環境ということを考えれば、全体の財産の問題であるというようなところから、いろんなところからの視点をいただくのはそれはそれで結構じゃないかなと。
 しかし、いただいたときに、パターンA、パターンBというような形になるかもしれません、おおよそのところが先ほど言ったような形のものになるかもしれませんが、それをつるしておくから見てくださいというだけではなくて、やはり国の事業に対して行ったことに対してそれぞれお返しをする。これは大変煩瑣な事業に、事務になるのかもしれません。それほど意見というものが来ないのかもしれません。
 これまで、このような形の中で意見を寄せることがあったとすれば、どのぐらいの件数が来ていたのでありましょうか。事務的にどの程度煩瑣になっていたのでありましょうか。
#94
○政府参考人(木下寛之君) 現在は、三条資格者以外の人たちから事前にそういうような意見を求めるという制度はございませんので、そういう意味でのどの程度の煩雑さかというのは、現在のところ、まだないという状況でございます。
 私ども、今回の仕組みは、土地改良事業の計画をより一層よいものにするという観点から、意見がある人にはだれでも意見を出してもらう、そういうような仕組みをつくりたいというふうに考えておりますけれども、ただ、そういう意味で、だれでも意見を出し得るという点でございますので、そのような意見について農家から成る申請人に対してすべて回答義務を課すというのはやはり過重な負担になるというふうに考えております。
   〔理事岸宏一君退席、委員長着席〕
 ただ、委員御指摘のとおり、どのような意見があったのかという点につきまして、やはり周知をしていくという点は大事な点だろうというふうに私ども認識をいたしております。今後、どういうやり方でやればいいのかという点について工夫をしていきたいというふうに考えております。
#95
○郡司彰君 これまでは確かになかったんですよ。
 ただ、私、農水省の姿勢は非常に結構まめであって、それぞれの意見に対して事細かに今まで答えてきたんじゃないかと思っているんです。ホームページ等を見ましても、だれだれさんがこんなことを言ったけれども、そんなことはありませんよとか、テレビの番組でこういうことが言われているけれども、農水省として事実関係はこうですよとか、結構細かく全部反論していますよね。私も暇で読んでいるんですが、結構いろんな形でもって反論していますね。これは逆に、意見を出したから答えを下さいという問題じゃないところに、報道番組その他に相当細かく回答しています。
 これだけ回答しているのならば、もうなれたものでできるのではないかな、それから、どの程度の数かよくわからないということであれば、試行的にそういうこともやってみるということもあり得るのかなという感じがいたしますが、こういう反論といいますのは、これは部局が決まっているんですか、それともそれぞれの部局の方が今は書いていらっしゃるんですか。
#96
○政府参考人(木下寛之君) 恐らくは、特定の部局というよりは、それぞれ事業なり制度を所管している担当の方からお出しをしているんだろうというふうに推察をいたしておりますけれども、先ほど申し上げましたように、制度、法律の中にこういうような申請人に対して義務づけするというのは非常に困難だろうというふうに思っておりますけれども、まさにどういうような意見があったのかということにつきまして、やはり広く周知をするということは非常に重要な点だろうというふうに認識をしておりますので、どういうやり方があるか今後検討していきたいというふうに考えております。
#97
○郡司彰君 先ほどの大臣のいわゆるITの関係もありまして、いろんな技術的なこともあるかもしれませんし、多分に岩永委員がおっしゃったようにためにするような、同じ文面でもってあちらこちらから送られてくる、そういうものを除けば、おおよそ、心配するよりも割と真剣な意見としてそう数が多くなるということにはならないんじゃないかな、そういうふうな気もしております。いずれにしても、技術的な問題も含めてもう少し検討をいただければなというふうに思っております。
 それから、廃止ということが新たにこの法案の中で出されてまいりまして、これが一番目を引く項目であろうと思うんですね。この廃止の発意につきましては、この法案の中でどのような形になっていらっしゃいますでしょうか。
#98
○政府参考人(木下寛之君) 今回の提案している法律案の中で、私ども、国県営事業の廃止手続について定めているわけでございますけれども、事業主体である国あるいは都道府県の発意というふうにしております。
#99
○郡司彰君 内容について、例えば費用対効果の関係で一・幾つ以上とか、そういうようなことはございますか。
#100
○政府参考人(木下寛之君) 今回、私どもが事業を廃止するというふうに考えておりますのは、事業を実施するに際して効果が発現をしていない、そういう場合にはやはり事業を廃止するというふうな仕組みにしたいというふうに考えております。
#101
○郡司彰君 費用対効果が一以上、使った分以上は出るということが最低限ということになるのかどうか。例えば有明海なんかは一・〇一とかというような数字が出されておりましたが、これまでの公共的なものというのはすべて一を上回る、そういうような理解でよろしいでしょうか。
#102
○政府参考人(木下寛之君) 私ども、農業農村整備事業の場合には、事業を実施する場合には費用対効果というふうに計算をしているわけでございまして、御指摘のとおり費用対効果が一を上回っているというような事業のみ事業を実施するということでございます。
#103
○郡司彰君 事前と中間と事後ということで、もちろんそうなってくるわけでありまして、今後の費用対効果の場合に、これまでこういう形の中でそういう費用対効果のものを出してくるという分類がなされておりますね。多面的機能ということがこれから大きな要素として加わってくるんではないかと思いますが、この多面的機能という評価のあり方によっては、これはすべて一は超しますよというようなことになる可能性があるんではないかと思っています。例えば、森林の公益的、多面的機能というのが何年か前には七兆円をちょっと下回るぐらいの数字で出されておりましたが、ここのところ、いろんな数字を見ると約十倍以上の評価になってきて、七十兆だか八十兆だかというような数字を見たことがございます。
 これは、多面的な機能に対する評価というのは、これは時代によっても相当違ってくるわけでありまして、どういう見方をするかというカウントの仕方によって相当違うわけでありますが、例えばそういうふうに十倍にもカウントできるということになりますと、一面そういうものがなければ、例えば山林、森林の機能というものがこれまで低く見積もられていたのがこれまでに評価をされるようになったのはよいことだなというふうなことになる反面、今の公共事業の費用対効果でいくと、その部分が膨らんでくればすべて全部事前の評価は一を大幅に上回ってしまうんではないか、そんな心配がございますが、その辺についてどういうお考えでしょうか。
#104
○政府参考人(木下寛之君) 私ども、費用対効果を計算する際には、その費用なり効果でございますけれども、やはりきっちりと貨幣の単位で計算できる、あるいはそういうような貨幣で計算することについて大方の合意が得られている、そういうようなものでないとなかなか費用対効果に導入するのは難しいというふうに考えております。
 先ほどの多面的機能の話でございますけれども、私ども、新しい食料・農業・農村基本法の中で多面的機能の発揮というのが四つの基本理念の一つとされたわけでございまして、そういう意味で、昨年の十二月でございますけれども、多面的機能をどういうふうに評価したらいいのかという点につきまして、日本学術会議の方に諮問をし、ことしの十一月に答申をいただくべく作業をしているというような段階であるというふうに承知をいたしております。
#105
○郡司彰君 諮問委員会の方でやっていらっしゃって秋口にはということでございますから、それらも見守りたいというふうには思っております。
 その中で、この廃止に至る手続等についてこの法案の中では定められておるわけでありますけれども、これもしくは第三条の資格者とか、そういうことも含めて、法案に書かれている以外の受益者その他が発意をする、それから、この法案についてはこれまでの公共事業についてもさかのぼって適用ということになりますかどうか、お答えをいただきたいと思います。
#106
○政府参考人(木下寛之君) 今回の国営あるいは県営事業の廃止につきまして、先ほど申し上げましたように、事業主体である国または都道府県の発意というふうに御提案申し上げているところでございますけれども、申請者である第三条資格者、農家の発意というふうにしておらないわけでございますけれども、私ども今回の廃止は、一つは事業主体である国または都道府県が発意をする、かつ申請者である農家の負担については不要にするというふうな仕組みにしているわけですが、いわば農家の都合により事業を廃止する、そういうような仕組みを設けます場合には、やはりその反面として農家の負担ということについても考えざるを得ないというふうに考えております。
 また、そういたしますと、かえって実態として廃止すべきというような事業について廃止が困難になるおそれがあるというふうに考えているところでございまして、事業主体、国または県でございますけれども、事業の公益性それから効率性、あるいは農家の意向等を総合的に勘案しながら事業の廃止を発意する仕組みがより現実的であるというふうに考えております。
 それから、第二点目のお尋ねでございますけれども、既に過去の事業についてこの規定を適用するかどうかという点でございますけれども、私ども、この法律案が可決、成立し施行されましたら、施行された後の事業について適用していきたいというふうに考えております。
#107
○郡司彰君 遡及しないということですか。
#108
○政府参考人(木下寛之君) 先ほど申し上げましたように、既に過去の事業で事業を終了しているというような場合には適用しませんけれども、現在既に事業を実施中の事業につきましてはその対象となり得るというふうに考えております。
#109
○郡司彰君 今継続しているものについては適用の対象になるということですね。
 大臣にちょっとお尋ねをしたいと思いますが、中海の本庄工区の関係は、例えば中止ということになったというふうに聞いておりますけれども、これは法律ができる前のことでありますから、政治的な判断でもちろんなされたということに対して私どもどうのこうのはないんですが、中海の工事というのは、ほかの三つのところも含めてこれは全部終了しているということになりますか、それともまだこの法律ができ上がった場合には関係をする工事になりますか。
#110
○国務大臣(武部勤君) 私、現地のことをよく詳しくはないんですけれども、党政調時代に私も公共事業見直しのプロジェクトの一員で、少しおぼろげながらわかっていることを申し上げますと、本庄工区の中止ということだけが明確になっている、このように理解しております。
 詳しくは局長に答弁させます。
#111
○政府参考人(木下寛之君) 中海干拓でございますけれども、国営の土地改良事業、干拓事業五つの工区、それから附帯の農業用排水事業の二つで構成されているというのは御案内のとおりでございます。
 仮に淡水化を中止する、これは現在まさに検討中の案件でございますけれども、既に一部について受益が発生をいたしておりますという点でございまして、計画変更で対応するため、現在まさに審議している改正案において新設している廃止手続の対象にはならないと。それは、先ほど申し上げましたように、一部に受益が発生をしているものですから、対象としては廃止ではなく計画変更になるというふうに考えております。
#112
○郡司彰君 局長の答弁、わかりました。
 廃止ということではなくて計画変更になる、しかし、もし廃止ということの可能性といいますか、そういうことがあればこの法案の適用にはなるということなんですね。期間として、法案の適用にはなるけれども、廃止ではなくて変更だということなんですか。
#113
○政府参考人(木下寛之君) 御説明申し上げます。
 先ほど申し上げましたように、事業を廃止する場合には、当該事業によります受益が発生をしていないという場合には廃止をするというふうに申し上げたところでございます。
 今回の中海の土地改良事業でございますけれども、五つの工区と二つの用排水事業でございますけれども、既に一部受益が発生をしているという点でございまして、そういう意味から計画変更で対応すべきというふうに考えております。
#114
○郡司彰君 大体わかりました。
 最後、時間がちょっとなくなりましたので、大臣、新潟県で住民投票が行われまして、プルサーマルの関係だったわけでありますが、私は、住民投票という制度の是非と、そこにかけるべき問題というものと、また別々にあるんだろうと思います。エネルギー政策その他が、あるいは外交とか防衛に関する問題がどこまで住民投票になじむかということが一つあります。
 それはとりあえずわきに置いておきまして、いろんなことに関しまして住民投票という制度をもしこれから大臣としてはどのようにお考えですかという場合には、どのようなお考えをお話しになられますでしょうか。
#115
○国務大臣(武部勤君) 今、委員お話しのとおり、安全保障の問題でありますとかエネルギー政策の問題でありますとかと同様に、食料安全保障ということも私は重要な国の基本政策だ、かように思います。
 したがいまして、そういった基本にかかわることについて住民投票ということが適当かどうかということについては疑問を率直に持たざるを得ないのでありますが、これはやっぱりケース・バイ・ケースではないかと思います。やっぱり我々の農林水産省の仕事も国民の理解と協力ということが大前提になります。しかも、これから我々が目指すべき農林水産業の構造改革、こう申し上げておりますのは、美しい国づくりということが大前提でありまして、環境というものを非常に重視した上で、我々の生活そのものも自然生態系の一員として存在しているということになりますと、住民投票なども、あるいは市町村議会、県議会の決議なども重要な我々の指針の一つになるのだろう、かように思います。
#116
○郡司彰君 ちょっとまだ質問したいことはございましたが、時間でございますので、終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#117
○委員長(太田豊秋君) 午後三時に再開することとし、休憩いたします。
   午後零時三十一分休憩
     ─────・─────
   午後三時二分開会
#118
○委員長(太田豊秋君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、土地改良法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#119
○山下栄一君 最初に、農地確保政策。
 自給率の向上、これは非常に重要なテーマになっております、食料安全保障の観点から。また、二十一世紀はますます食生活の充実に非常に関心が高まっておるという、健康志向もあると思いますけれども、そんな中で自給率の確保は大事だと。そのためには農地をきちっと確保できるかということ、これも大事な国の基本政策にかかわる話であると。
 食料・農業・農村基本法の中で基本計画、平成二十二年、自給率四五%を目標にして、現在四〇%、それを引き上げて四五%にするために四百七十万ヘクタールを確保するんだ、こういうことが示されておるわけでございますけれども、この目標はやはり死守すべきだと思いますが、平成十二年度、現在よりもこれは下がった目標になっておると。この減りぐあいといいますか、農地の減少の傾向性でいくと、本当は四百七十万よりももっと低いけれども四百七十万を死守したいということだと思うんですけれども、それを死守するためにどのような政策をお考えか、お聞きしたいと思います。
#120
○政府参考人(木下寛之君) 委員御指摘のとおり、昨年三月に決定いたしました食料・農業・農村基本計画におきましては、食料自給率四五%ということで、平成二十二年には四百七十万ヘクタールの農地面積の確保が必要というふうに見込んでおります。このように、国民に対する食料の安定的供給を確保するために優良な農地を良好な状態で確保していくということは極めて重要であるというふうに考えております。
 このような観点から、昨年三月には農業振興地域の整備に関する法律に基づきます基本指針を策定し、その中で優良農地を確保する方向を示しているところでございます。
 このような基本指針に基づきまして、一つは農業振興地域制度の適切な運用、また圃場整備事業などの農業生産基盤整備の推進、また担い手への農地の利用集積等の推進のほか、十二年度から新たに耕作放棄地の有効利用方策等に関する市町村計画の策定、また直接支払いを通じました中山間地域等におきます農業の生産条件の不利を補正するための支援等々の施策を講じているところでございます。今後とも、農地の確保、有効利用を図ってまいりたいというふうに考えております。
#121
○山下栄一君 土地改良事業の長期計画、昭和四十年度から、前年度法律改正されて、始まったと認識しております。今、第四次の途中であると。
 四十年近くたって、公共事業としての土地改良事業、これは後からまた申しますけれども、このままでよいのかという基本的な私は意識を持っておるわけですけれども、昭和四十年以降、長期計画のもとに進んでまいりまして、どれだけの事業費が投入された結果、農地はどうなったのか、昭和四十年の状況と現在と。また、農業総生産、農業総生産といっても米を含んでいろんな栽培品目があるとは思うわけでございますけれども、これはどういうふうになったのかということをやはりきちっと検証しておく必要があるというふうに思うわけで、この状況がどうなったのかということを教えていただきたいというふうに思います。
#122
○政府参考人(木下寛之君) 土地改良事業の計画的な実施に資するために、昭和四十年に第一次の土地改良長期計画が策定されました。現行の第四次土地改良長期計画が現在進行中でございますけれども、平成十三年度までの予算を考慮に入れますと、約六十兆円が投資をされているというふうになっております。
 また、農地面積でございますけれども、昭和四十年時点では六百万ヘクタール、農業総生産額二兆四千億でありましたが、平成十一年におきましては、それぞれ、四百八十七万ヘクタール、また総生産額につきましては六兆八千億円というふうに推移をいたしております。
#123
○山下栄一君 推移をされておるわけでございますけれども、何のための土地改良事業なのかということでございます。農業の生産基盤を整備する、農業の生産性向上、農業総生産の増大ということが目的にうたわれている。そして、六十兆を超えるお金が投入された。土地は減っておる。そして、米を初めとして各生産量そのものも思わしくないという、そういう結果だろうと思うわけでございますけれども、この土地改良事業はこのままでいいのかという問題意識のもとにさらに質問を続けたいというふうに思います。
 中山間地域における土地改良事業のあり方、これもそろそろ行き詰まっているのではないかというふうに思うんですけれども、今後何をやるのかということをお聞きしたいと思います。
#124
○政府参考人(木下寛之君) 中山間地域でありますけれども、我が国の全体の位置づけを見てみますと、例えば耕地面積等々を見ますと約四割が中山間地域にある、あるいは農家戸数を見ましても大体四割強を占めておりまして、非常に我が国の農業の中で重要な位置を占めているというふうに認識をいたしております。
 このように、中山間地域でございますけれども、一つは食料供給の場ということでありますけれども、もう一つは国土の保全あるいは水源の涵養等のいわゆる多面的機能を発揮するということで重要な役割を果たしているというふうに思っております。
 ただ、中山間地域、多くがまさに中山間地帯にあるということでございまして、地形条件の制約もございます。また、そういう点で平場地帯に比べまして基盤整備がおくれているという点もございます。また一方で、定住条件等々を見ますと、過疎化あるいは高齢化が進んでいるという点で、また担い手の脆弱化あるいは耕作放棄が進んでいるというふうに理解をいたしております。
 このような状況を考えますと、今後とも中山間地域、一つは農業生産性の向上というのと、もう一点あわせて定住の促進を図る、都市と農村の交流を図っていくというような観点から、私ども、農業生産基盤の整備と一体的に生活環境整備を行うような事業をこれまでも進めてきたところでございます。今後とも、このような事業につきまして、地元の負担にも配慮しながら進めていきたいというふうに考えております。
#125
○山下栄一君 極めて費用対効果が期待しにくい地域における土地改良事業のあり方、高齢化が進み、そして過疎化というか担い手がなかなか確保しにくい、改良事業をやっても事業コストは非常に高くつく、耕作放棄は食いとめることができないという、そんな状況の中で土地改良事業としてどれだけの金を投入していくんだということでございますけれども、この土地改良法手続による土地改良事業の方式そのものがもう限界に来ているのではないかというふうな問題意識を持っております。
 ある村がある、それはお年寄りが多いと。そして典型的な例で、今も申し上げましたけれども、過疎化が進んでおる、担い手が極めて確保しにくい。そういう状況の中でこの四十年間、その村は農家がどれだけふえたのか、そして耕作放棄地はどれぐらいふえておるのかという、この四十年間ですよ、担い手はふえたのか、農地はどうなっているんだ、そしてそこにどれだけのお金が投入されたのかという、ある一つの行政区ですけれども、そういうふうな政策評価の仕方が私は大事なのではないかと。この四十年間どうだったのかという、そういう観点の検証を農水省としては、私は、こういうことを常に念頭に置きながら、こういう公共事業のあり方を見直す観点を模索していく必要があると、今までいいのかということも含めて。
 そういう僕が今申し上げましたような、ある一つの行政区の例をとって実態がどうなっているのかという、長期的な総括というか、そういうことをぜひやるべきだと思いますけれども、どんな状況になっているんでしょうか。これは大臣、どうでしょうか。
#126
○国務大臣(武部勤君) 先生、御指摘の問題につきましては、最も大事な、また我々が当面している問題であり課題だ、かように認識しております。
 農林水産省におきましても、平成十二年度から政策評価を導入いたしまして、政策分野ごとに全国ベースで定量的目標を定めて、その達成度により客観的に実績を評価することとしております。土地改良事業については、基盤整備を契機とした担い手への農地利用の集積、麦、大豆等の生産振興に資する圃場の汎用化率、野菜等の生産振興を図る畑地のおおむね三分の一以上で畑地かんがい用水を確保といった指標で評価することとしております。しかし、政策評価につきましてはまだ緒についたばかりでありまして、政策評価に係る指標等に関する考え方は今後ともさまざまな皆さん方の意見を聞いて充実してまいらなければならない、かように考えている次第でございます。
 なお、個別事業の実施状況については、事業着手後五年を経過した事業についての再評価、完了地域についての事後評価を実施するなどにより、事業の効率的実施に努めている次第でございます。
 いずれにいたしましても、今先生が問題提起がありましたようなことについて、しっかりした答えを出していかなければ、国民の皆さん方の信頼も得られませんし、これから生産現場で頑張ろうという意欲を持って取り組む生産者の皆さん方の希望というものもわいてこないんじゃないか、こう思っておりまして、非常に大事な時期に直面している、かように考えております。
#127
○山下栄一君 平成十一年に基本法が新たに制定されまして、また新たな理念が提示されておると。食料の安定供給の確保、多面的機能の発揮、農村の振興、農業の持続的発展、これらは理念として私は正しいというふうに思いますし、先ほど大臣もわかりやすい言葉でビジョンを示されるということで、食料の安定供給と美しい国づくりという、人と自然の共生、命のふるさとという言葉もございました。
 こういう観点に立って抜本的な基本法の理念の見直しが行われた。その上に立って土地改良法、土地改良事業のあり方、目的規定の部分も含めて、今回、目的規定の見直しそのものはなかったように思いますけれども、そういうことをやはり考えないといかぬのではないかというふうに私は思うんですけれども、今回の改正もそういう観点の改正じゃないと私は思うんです。
 基本法の理念の新たな提案に基づく土地改良法、土地改良事業のあり方は今回の改正の程度なのか、いや、もっとほかのことも考えたいんだというのか、その辺のところをお聞きしたいと思います。
#128
○国務大臣(武部勤君) 食料・農業・農村基本法の理念は御案内のとおりでございまして、土地改良事業の実施に当たりましても基本理念の実現に向けて事業を重点化していこう、また水田の汎用化でありますとか、畑地かんがい施設の整備、基幹的水利施設の整備、工種などについて環境との調和に配慮しつつ推進する、こういうことになっているのでございますけれども、私はもう少し、けさほどの岩永委員との議論もございましたけれども、法律の名称はこのままになりましたけれども、しかし、中身と目指すべき方向というものは大きくハンドルを変えていかなければならないのではないかと。やはり現代的な対応ということが必要であろう、こう思いますし、そのために私ども、けさほど申し上げましたように、農林水産業の構造改革ということを示しまして、その辺のところをきちっと整理してお示ししよう、場合によりましては新たな立法措置も必要になってくるのではないか、かように考えている次第でございます。
#129
○山下栄一君 例えば第四次は四十一兆投入するわけですな、土地改良事業。それで、それだけ一生懸命投入し生産基盤を強化しているから何とかもっているんだというふうになっていくんだと思うんですけれども、土地改良区の方式そのものも私はもう限界に来ているような、中山間地域なんかは特にそう言えるのかもわかりません。だから、視点をもうちょっと基本的に変える必要があるのではないかと思うんです。
 例えば、土地改良事業というのと、公共事業にはもう一つ農業農村整備事業というのがありますよね。僕は、今の農業農村整備事業をもうちょっと新しい視点に立って、例えば新しい多面的機能の観点も入れて、特に農村の整備はそうかもわかりませんけれども、農業農村整備事業、長期計画の観点からの法律の仕組みはどうなんだとか、そういうことを考える必要があるのではないかと。この農業農村整備計画というのは長期計画はないんですよね、これは。だから、こちらの観点で、一つの視点ですけれども。土地改良区方式というのはもう限界に来ているんじゃないのかな、それは私の認識なんですけれども。
 例えば、実際はそうなっているのかわかりませんけれども、都市の市民がというよりも農業そのものが、私は前回のときにもお話し申し上げました、農業という産業を国民全部で支えるんだという観点から農業農村の整備をとらえ直すと。すなわち、土地改良区の参加する方々という、それだけじゃなくて、国民全部が農業を支える、その観点から農業の基本的整備、農村の振興、農村の振興には単に生産第一主義じゃない、ドジョウとかメダカとか蛍ですか、そういう生態系保全型の農業というふうなことも、生態系保全型の農業というのは生産性第一主義じゃないはずなんですよね。
 だから、それでまた今、政府では自然再生型の公共事業も考えましょうかというようなことも議論が出ているわけだから、この土地改良事業という、こういう観点ではない、例えば農業農村整備事業の長期計画、本当に農村整備というのは多面的機能発揮型のもので、そして土地改良区方式じゃない、都市の市民も参加するような形の農業の振興、農業生産のあり方も、もちろんこれはウルグアイ・ラウンドにもかかわる話かもわからぬけれども、そうしないと二十一世紀の日本の農業、農村を守る以前に農業そのものが成り立ち行かなくなるというふうな状況の中では、相変わらずの方式で土地改良事業といって土地改良区方式で物すごい大量のお金を投入してという、もうそんな時代じゃないんじゃないのかというふうな抜本的見直しを基本法の新たな理念が求めているんじゃないのかと。
 そういう観点から土地改良法を今回見直すのかなと思ったらそうではないと。相変わらず本流部分はほとんど変わっていないというやり方でちょっと手直しみたいな、そういうのはちょっとおかしいなと私は思うんですけれども、この辺は骨太の話で申しわけないけれども、ちょっと大臣にお願いしたいと思います。
#130
○国務大臣(武部勤君) 農業農村整備事業についての御指摘がありましたけれども、これは土地改良、つまり生産基盤の整備という、そういう役割は私はまだまだ必要だ、かように思っております。先生も今お話がありましたように、これまでの趨勢を見て、土地の面積は減っているのに生産額はぐんと伸びているという、土地生産性というのは非常に高くなったわけでありますから、これはまだまだ土地改良といいますか生産基盤の整備ということは必要だ、こう思っております。
 ただ、生産システムということは、これはさまざま変えていかなきゃならないと思っております。とりわけその際に、私は担い手と土地の問題ということはやっぱり検討課題として避けて通れないと思っております。だれに土地を集約するのか、何で土地が減っていくのか。ですから、中には農地転用を期待している兼業農家もいるかもしれませんね。また、土地投機を目当てにして農村が荒廃しては困るというようなことから、民間企業の参入に対して抵抗感があるのかもしれません。しかし、一方において、食料自給率四五%達成という大目標に向かっては、そのところはもう少し緻密に検討し、大胆に私は検討する必要があるんじゃないのか、このように思っております。
 それから、生産システムについては、単なる生産だけじゃなくて、加工、流通まで、マーケティングの分野まで含めて、所得をどういうふうに上げていくかというようなことも一つありますし、また、高齢化している農村の実態あるいは担い手の問題を考えたならば、その辺のところは、生産施設の団地化でありますとか、あるいは集落営農の問題でありますとか、大胆な株式会社化でありますとか、そういったことも当然考えていかなければならないと思いますし、また環境保全型農業もありましょうし、都市、自然と共生する環境創造というような事業に転換するということも課題としてありましょうし、IT戦略会議がきょうあったわけでありますけれども、どうもあそこの会議は私から見るに市場原理で競争政策中心だと思いますけれども、やっぱり公共の原理というようなことも考えて、都市の人々にとっても農村社会というものが自分たちの幸せを享受できる、そういう場として提供し得るような美しいふるさと、農村集落コミュニティーの整備というふうなことも考えていかなきゃなりませんし、こういった分野に農業農村整備事業というものの期待がかかってくるのではないか、かように思います。
 土地改良事業についても、当然従来型とは違って、そういった新しい時代のニーズというものを視野に入れて私は考えていかなきゃならないのではないのかな、そういう考えを持っているものでございますが、こういったことをこれから整理して、法律は法律といたしまして、今後、農林水産省の行政の中で今申し上げましたようなことを整理して対応していきたい、このように考えているところでございます。
#131
○山下栄一君 ただ、農村が果たす役割が変化してきている、多面的な役割ということも期待されてきていると。
 大臣もきょうの午前中におっしゃっていましたように、都市との共生という観点、生産第一方式ではない観点、新しい農村コミュニティーという観点、そういうふうな観点からまた土地改良事業の役割も変化してきている、そういうふうなことも考えにゃいかぬと今もおっしゃったんですけれどもね。
 土地改良法の方式というのは、この法の目的にあるようにやっぱり生産第一主義だと思うんですよ。だから、もちろん生産基盤の強化は重要なテーマなんですけれども、農村とか農業に視点を置いた公共事業の長期計画で確かにやらにゃいかぬ。その方式を土地改良区、そして土地改良事業方式では、ちょっと大臣がおっしゃるような方向では両立しないんじゃないのかなと。
 だから、これは私よくわかっていないので教えていただきたいと思いますけれども、例えば農業農村整備事業の観点からの新しい視点も入れてそういう事業を考えて、そういう観点から長期計画をちょっと見直してみようかとかいうふうな、そんな議論は余り農水省ではないんですか。
#132
○政府参考人(木下寛之君) 今回の土地改良法改正案の中で御提案申し上げている一つに、今後の土地改良事業を進めていくに際しての基本的な考え方として、環境との調和というのを取り入れたいということで今御提案申し上げているわけでございます。
 したがいまして、私どもは、今回の法律案が成立した暁には、我々の実施いたしております土地改良事業、農業農村整備事業でございますけれども、農業生産性の向上とあわせて環境との調和を図るというのが基本的な原則の一つになるというふうに考えておりまして、そういうことを踏まえまして、私どもの事業につきましても大幅に転換を図っていきたいというふうに考えております。
#133
○山下栄一君 だから、もちろん環境に配慮する、今回も入っているんですけれども、目的そのものに環境保全というふうなこと、環境との調和、配慮はするけれども目的そのものにはならぬというふうな、景観を保全するとか、また生態系を大事にするということは、それは国民全体にとっては非常に大事なことなんですけれども、土地改良区の方々にとって、そういう観点も大事なのかもわからぬけれども、それはもう二の次、三の次の話になってくるんじゃないかなと思うから、土地改良区方式と環境配慮というようなことは、なかなか、それはちょっと違うんじゃないかなと思うんですよね。
 だから、そういう気持ちはわかりますよ、もちろん。今までの公共事業、環境にちょっと配慮しましょうかみたいなことはね。だけれども、それは根幹にかかわるような国民が求めているものとはちょっと違うように思うんですね。だから、何遍も言いますけれども、土地改良区方式がどんどんどんどん行き詰まりつつあるというふうに感じるんですけれども、その議論もありましたけれども、そういう方式ではない農業農村の整備、そこに焦点を当てた公共事業のあり方を追求していかないと、今までのやり方を手直しするぐらいでは国民のニーズに合わないのではないか。それこそ、私たちの関係ないところで公共事業にお金が投入されているみたいな意識が払拭できないのではないかというふうに思うんですけれども。
 同じ質問になっているのかもわかりませんけれども、どうでしょうか。
#134
○国務大臣(武部勤君) 環境保全型公共事業といいますか、環境修復型公共事業とか自然と共生型の施設づくり公共事業というような考え方の背景に、具体的には私はかなり多くの案件があるんではないか、かように思います。例えて言うならば、ため池等、こういったものは私どもの地元でも、もう思い切って米をやめてかんがい用に利用していく、つまり目的が変わってくるわけですね。別な形で表現すれば、新たな目的に向かって修復といいますか、変えていかなきゃならないというのはかなり今後出てくるような気がいたします。
 それから、環境に優しいといいますか、環境重視の土地改良ということを考えますと、午前中も郡司先生との議論にありましたけれども、今現在どうなんだと、土地改良を今までのような進め方をやっていることによって湖沼が汚れる、あるいはまた底に土砂が堆積していく、すっかり形が、土地改良としての意味は持つけれども、ほかの方に影響を与えているということになれば、そういったこともやっぱり修復していくというようなことも必要に迫られてくるであろうと思いますし、現に農地災害などはそういったことも先取りして既に土地改良事業の新たな事業として今行われているわけでございます。
 そういうようなことを考えますと、ある種過渡期だろう、私はこう思います。今回、土地改良法の改正として名称も変更せずにこのまま出されたということについては、これから果てしなくこの事業が続くという考え方よりも、新たなる事業展開への私は一つの大きな過渡期に立たされた最終的な意味を持つのではないか、このように思います。
 したがって、従来の生産基盤の整備そのものについてはやはりだんだん縮小されていくのかな、そんな感じを持っておりますが、しかしそれにしても相当な金額を私は事業費として要するんではないか、まだ当分はそういった従来型の土地改良事業というものの生産基盤の整備ということはかなりまだ残っているような気がいたします。
#135
○山下栄一君 土地改良区の参加資格なんですけれども、これはその地域に住んでいない方でも参加できるという仕組みだろうと思うんですけれども、都市の市民が参加できるような誘導策というか、国民全部で、土地改良区もそういうあり方、自己負担しながらやるというやり方で市民も参加すると。棚田オーナーという話をこの前ちょっと、あれは勝手に地域がやっているのかもわかりませんけれども、そういう方々も参加資格に入れるんだというふうな、そういう誘導策みたいなものは余りお考えじゃないんでしょうか。
#136
○政府参考人(木下寛之君) 土地改良区自体は、まさに土地改良事業を推進するという観点から設けられたものでございます。したがいまして、土地改良区のメンバーはまさに農地の耕作者が基本でございます。
 ただ、先生御指摘のように、これからの土地改良事業は、まさに農業者のみならず地域の皆さん方から支えられ、そういう地域に開かれた土地改良事業にしていく必要があるだろうというふうに思っております。したがいまして、私ども、土地改良事業全体を見直す中で、地域全体にまさに支えられるような土地改良事業に運動として展開していきたいというふうに考えております。
#137
○山下栄一君 あと残った時間で党費立てかえ問題をちょっと質問させていただきます。
 きのう御報告していただきました。それで、ちょっともう時間ないのでまとめて答えていただきますけれども、これは法律違反だ、土地改良法違反だと。これは違反してしもうたけど立てかえた、立てかえということ自身も僕はおかしなことやな、本当に立てかえかと思うんですけれども。組織としてこれはちゃんとやっていたのを立てかえというふうに言っているだけなんじゃないかなという気もするんですけれどもね。この法律違反について、立てかえた分を返してもらったらいいというのでいいのかな、そういう疑問があります。それについてのお答えをいただきたい。
 再発防止。再発防止はこれは県がやることだ、国が再発防止策を全く考えぬでいいということにはならないと思いますけれども、県の知事は必死になっているのかなと。そういうことが国会でも問題になり、報道もされ、農水省は仕方なくというか、報告させたと。それで報告が出てきたと。報告が出てきたけれども、それはこの五年間だけだと。それまではどうなっていたんだということもわからない。その報告の真実性もよくわからない。そんな状況の中で、報告を信じるしかないという農水省の立場だと思いますけれども。再発防止といっても、これは防止策が非常に考えにくいという実態ではないかと。これは県の知事が認可するわけだから、そこが必死にならないとだめなんでしょうけれども、そんなメッセージは全然伝わってこない。私は勝手にそう思っております。これについてどう考えるかということが二つ目。
 三つ目は政治活動。これは、土地改良区は一切政治活動をやってはならないということにはならぬと思いますけれども、ただ、特定の政治団体、特定の政党を支援したり寄附したり、これはおかしいだろうということはわかるんですけれども、それ以外に何がいかぬのかというようなこと。
 三つまとめて、よろしくお願いします。
#138
○政府参考人(木下寛之君) まず、土地改良区でございますけれども、土地改良法に基づきまして土地改良事業の施行を目的として設立された、いわば土地改良事業それからこれに附帯する事業以外を行うことはできないというような公共的な法人でございます。
 したがいまして、このような土地改良区は公益性が非常に強いということでございますので、例えば党費等の支出を行うこと、あるいは政治団体への加入を行うこと、あるいは特定の候補者等に事務所を無償貸与することなどの物的支援を行うこと等につきましては、いわば政治活動として行うことは認められていないというふうに考えております。
 それから、私ども、今回の事案に対しまして、既に都道府県を通じて指導をしているところでございますけれども、やはり今回のような事案が起こった背景として土地改良区の役職員の意識が非常に低いという点も問題だろうというふうに思っておりますので、今後そういうような点につきまして、研修等を通じてしっかりとした意識改革を図っていきたいというふうに思っております。
 また、土地改良区の検査について、都道府県が行っておりますけれども、このような検査に際しての重点項目なり、あるいは検査職員そのものの研修等についても、今後指導の徹底を図っていきたいというふうに考えております。
 また、今回の事案でございますけれども、各県それぞれ、かなりの県で県議会等でも問題になっているというふうに思っております。私ども、このようなまさに土地改良法違反の事態は非常に遺憾だというふうに考えておりまして、再発防止のために今後とも努力していきたいというふうに考えております。
#139
○山下栄一君 政治活動。
#140
○政府参考人(木下寛之君) 土地改良区は、先ほど申し上げましたように極めて公益性の強い団体でございますし、一定の地域の農地に係る農業者全員が強制加入するという団体でございます。したがいまして、基本的にこのような土地改良区は政治活動を行うことができないというふうに解しております。
#141
○山下栄一君 もうあと時間がございませんので、この土地改良区、今局長がおっしゃったように、やはり意識が、特に責任者の方々に意識が低かったのではないか、私もそう思います。
 昭和二十二年からこれはずっとある事業の中で、もう慣習的にこういうことが行われたとしか言いようがないような報告がされているわけですから、よくわからないままにそうなっていたのではないのかなというような疑問を抱くぐらいでございますので、先ほど局長がおっしゃったこと、これはやはり役所として、農水省としてできることではないかというふうに思いました。
 以上で質問を終わります。
#142
○須藤美也子君 私も最初に党費立てかえの問題から質問したいと思います。
 きのう、農村振興局長名で報告書が届きました。五年間合計で九千三百六十一万円、三十一道府県がこういう党費立てかえをやっていた、こういう報告書をいただいてびっくりいたしました。単なる一部の人の不正な、不法な行為で済まされる問題ではない。党費、政治団体会費の肩がわりは偶然な問題ではなくて、もう体質化している、構造的問題だと言わざるを得ません。
 せんだっての衆議院本会議で小泉総理はこう答弁しております。かなりの数の土地改良区で政治団体の会費や自民党費などの支出があったことは極めて遺憾、党としても都道府県連支部に対して、立てかえ党費の返還と再発防止の徹底について指導を行ったところだ、こう答弁をしております。
 大臣、まずどんな見解でしょうか、小泉総理の答弁に対して。
#143
○国務大臣(武部勤君) さきに最終的な取りまとめを行った結果、一部の土地改良区とはいいながら、かなりの数の土地改良区において政党の党費や政治団体の会費の支出があったことは極めて遺憾であると考えておりまして、小泉総理の御見解と私は考えを一にしております。
 農林水産省としては、本年三月十九日付で指導文書を発出し、かかる事態が二度と繰り返されることのないように都道府県を通じて土地改良区の指導をお願いしているところであります。引き続き指導の徹底を図ってまいりたい、かように存じます。
#144
○須藤美也子君 この問題については我が党もたびたび国会で取り上げてまいりました。九一年、我が党の参議院議員である林議員が、自民党が土地改良区に面積に比例して党員獲得目標を指示していたこと、こういう問題を取り上げました。当時の構造改善局長は、法令の範囲で政治活動ができる、節度と良識を持って行動すべきだと容認する態度さえとってきました。そういう農水省のあいまいな態度が今日の事態を生み出す背景となったのではないでしょうか。
 農水省の責任についてどう考えておられるのでしょうか、ここをまずお願いします。
#145
○政府参考人(木下寛之君) 土地改良区でございますけれども、土地改良法に基づいて設立された法人でございますし、まさに土地改良事業、それから土地改良に附帯する事業しか行うことができない、あるいは一定の区域のメンバーは全員強制加入になるというような極めて公共性の強い団体であるというふうに考えております。したがいまして、このような土地改良区におきまして党費等の支出があったという事実は極めて遺憾であるというふうに考えておりますし、先ほど大臣が申し上げましたように、こういう行為が二度と繰り返されないよう、私どもとしても指導の徹底に努めてまいりたいというふうに考えております。
#146
○須藤美也子君 さらに、調査の方法が、今私のところにも各県から問い合わせが来ております、この調査の方法に問題があるのではないかと。
 例えば、虚偽報告に罰則のある法百三十二条に基づく調査と任意調査であるアンケート調査の二通りで行われているようです。我が党も独自でこれを調査しておりますけれども、これを見てもはっきりしております。アンケート、自己申告制では、つまりわざわざ法違反を申告する人はいないと思うんですよ。こういう調査の結果についてどう考えているのか、こういう調査のやり方で問題はないと考えているのかどうか、その点どうでしょうか。
#147
○政府参考人(木下寛之君) 農林水産省といたしましては、土地改良区の指導監督権限を有する都道府県に対しまして調査を依頼したところでございます。都道府県は、この依頼に基づきまして的確な調査をしていただいたものというふうに考えております。
#148
○須藤美也子君 そうすると、全部、団体お任せ、県お任せということになるわけですね、その調査については。だとすれば、国としては、これでもう間違いはない、もうこういう問題は起きないという確信、そういう保証はどこにあるんですか。
#149
○政府参考人(木下寛之君) 私ども、先ほど来申し上げているとおり、今後とも土地改良区の役職員に対する研修の実施等による意識改革の徹底、また今後実施をいたします土地改良区の検査におきまして重点項目に取り上げる、あるいは土地改良区の検査をしていただく検査員に対する研修等をやっていきたいというふうに思っておりまして、今後ともこういうことのないように引き続き指導を強化していきたいというふうに考えております。
#150
○須藤美也子君 そういう検査をしたり指導をしたり、それは当然のことだと思うんですよ、補助金を出しているわけですから。しかし、それでは不十分ではないか。
 例えば、選挙になると自民党は土地改良団体をバックに必ず一人の農水省出身の国会議員を出しています。今回でも、候補者は全国土地改良事業団体連合会顧問を名乗り、全国各地で土地改良区に後援会加入やあるいは支持者の名簿を出させるなど、公共的団体である土地改良区を選挙に動員しております。これは問題になりました新潟の、会員を書きなさいという、強制的に出している問題ですね。こういう問題が全国で起きている。そのような農水省と自民党、土地改良団体の癒着、そこを改善しないと、今回のような不正なことが起きないという保証はないと思うんです。
 私は、土地改良区というのは、先ほど来問題がいろいろ答弁でも出されましたが、本当に農民自身の自主的な組織であって公共法人的性格を持っている、そういう改良区だと思っています。農家の土地と農業用水を守る重要な組織だと思うんです。さまざまな困難を抱えております。特に今、厳しい農業情勢の中で土地改良区も大変厳しい局面を迎えております。そこで組合員はまじめに国民の食料を守り、農業を守るために働いているんです。その組合員の負担金を党費立てかえとか、あるいはそういう政治団体に会費を出す、そういう実態がわかったら組合員はどう思うでしょうか。まじめに働いて、自分の負担金がいつの間にか党費立てかえになっていた。
 今の土地改良区の抱えている困難なそういう状況の中で、私は、この問題も含めて、こういう選挙利用と自民党の私物化は許せない、こういうふうに思うんです。その点について局長はどう思いますか。
#151
○政府参考人(木下寛之君) 今回の事案でございますけれども、立てかえられた党費等につきましては、既に、党員である個人が支払うべきものということで、私どもも都道府県を通じて要請をしているところでございます。私ども、あくまでも土地改良区は、先ほど来申し上げたとおり、公益性の強い団体であるというふうに思っております。したがいまして、かりそめにも今回判明したような事案が二度と起きないよう指導を強化していきたいというふうに考えております。
#152
○須藤美也子君 癒着構造はどのように考えているんですか。
#153
○国務大臣(武部勤君) 須藤先生は、何かにつけ、自民党と土地改良区の癒着構造と、こうおっしゃいますけれども、まず今後はこういうことはもう起こり得ませんと私は確信します。
 なぜならば、こういうような問題を背景に選挙制度が変わったわけです。それからもう一つは、二度とこういうふうなことがあったらすべては無に帰していく、むしろ大きなマイナスを背負うという状況に今あると思います。それは、小泉内閣がなぜ今日のような支持率を得ているかということでも御推察いただけると思います。
 それから、政治活動のことですけれども、先生も御案内と思いますけれども、当事者といいますか生産農家からすれば、本当に打ち続く災害等があって、何とか水につからない農地が欲しいものだという思いを持つ地域の農家の皆さん方にすれば、わらをもつかむような気持ちで先生のところにも陳情に行くんじゃないでしょうか。もちろん我々のところにもそういう要請がございます。それは、そういう土地改良区挙げて、何とかその地域の問題を解決しようというようなことで要請活動などをやるということは当然のことであろうと、私はこう思います。
 問題は、組合員の意思に反して、特定の許されざる、法に反する、そういうふうなことは断じて許されないということでございまして、二言目には癒着癒着と、こういうふうにおっしゃいますけれども、もう少し今日までの長い歴史を振り返って、私どものような、北海道のような地域の農民がどれほど苦労して今日を築いてきたかということを考えますと、私は今おっしゃるおっしゃり方は少し酷な、現実を温かく理解できない、そういうお考えのように思えてならないわけです。
 一言申し上げます。
#154
○須藤美也子君 それは答弁ちょっとすりかえていますよ。
 この九千三百六十一万円、三十一道府県が立てかえているんですよ、組合員の負担金から。こういう問題と、要請したりあるいは選挙のときに後援会をつくって選挙を応援する、これは個人の自由ですよ。私方だってやっていますから。それを団体ぐるみでこういうことをやっているのが癒着でしょう。しかも何とかしてほしいと、これは利益誘導型でしょうが。これを断ち切るためにこういう枠組みをやめよう、こういうことで小泉総理は頑張ると言っているんでしょう。
 何ですか、大臣は。今までと選挙も癒着構造のままでやっていくと、そんな……
#155
○国務大臣(武部勤君) 委員長。
#156
○須藤美也子君 私、今質問中です。後でゆっくり答弁をお願いします。
 そういう状況の中で、私は、この問題は今の答弁を聞くとなおさら解決はしていない、しかもどうして返還したのか、あるいは再発防止のためにどうするのか。この問題については具体的に何の答弁もされていなかったではありませんか。
 ですから、委員長、この問題については、私はこの前も言ったんですけれども、この委員会できちんと集中審議をしてほしい、こういうことを申し上げたいと思うんです。こんな答弁ではだめですよ。申し上げます。答弁はいいです。
#157
○委員長(太田豊秋君) まず、お答え申し上げます。
 ただいまの須藤君の要求につきましては、後刻その取り扱いを理事会で協議いたします。
#158
○国務大臣(武部勤君) 私どもも小泉総理の見解と考えを一つにいたしまして、まことに遺憾なことだ、二度とこういうことがあってはいけないということを再三申し上げてきているわけでございますし、今後二度とこういうことが繰り返されないように都道府県を通じて土地改良区に対して徹底した指導を行ってまいりたい、こういうふうに申し上げているわけでございます。このことをまず素直に御了解いただいた上でお話をしていただきたいと思うんです。
 私どもは深く反省して、そういうようなことの起こらないように、これは直接指導する権限がありませんけれども、直接指導する権限はないからといって我関せずというような、そんなことではありません。やっぱり政治責任というものはあります。
 ですから、そのことだけは御理解いただきたいと思いますし、同時に、それはそれとして、土地改良区のこれまでの経緯、なぜそこまで行ってしまったのかということについては、役職員にある者の意識がなっていないということに尽きますけれども、私どもが実際、末端、現場で感じているのは、この土地改良区の会員の皆さん方が必死になって自分たちの農地を少しでもよくしていきたい、生産性の高いものにつくりかえていきたいと。それは、そういう形で自民党のみならず、いろんなところに運動を働きかけるというふうなことは私は当然あってしかるべきだと。
 これは、あなたたちは悪い人たちだから、私はあなたたちの話は聞けませんなどというような、そんな冷たいことはできるわけないじゃないですか。そういうことを言っているのであって、ちょっと問題をすりかえてほしくないです。逆にあなたの方がすりかえているんじゃないかと思いますので、私も素直なんですから、先生の方も素直に受けとめていただきたいと思うんです。
#159
○須藤美也子君 この問題をやりとりしていると、どっちがすりかえて、どこが今度は中心になって論議になるのか全然わからないですよ。あなたが悪い人だかいい人だか、そんなのは問題ではないんですよ。
 そういうまじめに働いている組合員、土地改良区の職員の皆さんに、こういう不祥事を起こして、しかも五年間にわたって九千何百万円もの党費の立てかえをしていたと。このことによって土地改良区の皆さんは、自分が悪いことをしていない人方も含めて肩身の狭い思いをしている、このことについて私は責任あると思うんですよ。
 ですから、集中審議で、この問題については再発防止も含めてどういう指導方針を出すのか、具体的な問題もこれから見守っていかなくちゃならないし、どういう方向を出していくかもこれは聞かなくちゃならないので、今要請しましたから、この問題はこれで。
 大臣のおっしゃることを素直に私も受けとめておりますので、それは素直に大臣も取り組んでいただきたい、こういうふうに思います。
 次に、土地改良法の問題に移りたいと思います。
 土地改良法は受益農家による申請と同意を基本にしているわけですけれども、このことはほかの公共事業にない特徴として、土地改良法の民主的側面として位置づけられてきたと思います。ところが、公共事業の予算消化のためか、農村活性化、農業振興に結びつかない農家不在の事業がふえています。先ほど来問題になりました島根県の中海干拓事業、徳島県の吉野川農業水利事業、長崎県の諫早干拓事業、これはむだな公共事業として全国的な批判を浴びた事業です。いずれもこれは土地改良法を根拠としております。
 今回の改正案がこうした農業農村振興に役立つかどうかの視点で見直し、農家不在のむだで無理な事業は中止する、この立場で改正されているのかどうか、基本的な考えを示していただきたいと思います。
#160
○政府参考人(木下寛之君) 今回、私ども農林水産省といたしまして、土地改良事業の効率的な執行それから透明性の確保を図る観点から、平成十年度に再評価の制度を導入したところでございます。
 この中で、事業採択後五年ごとに事業を取り巻く諸情勢の変化を踏まえた事業の評価を行い、必要に応じ事業の見直しなどの検討を行ってきた経緯がございます。既に十二年までの三カ年で九十七地区を対象に評価を実施し、事業中止やダム建設中止を行うこととした八地区を初め、適切な事業の見直し等を行ってきたところでございます。
 今後とも、この再評価制度を活用する中で、評価の結果、事業を廃止すべきと判断される場合には、今回の法改正の趣旨を踏まえ、事業実施主体が所要の手続を進めることになるというふうに考えております。
#161
○須藤美也子君 そうすると、そういうむだな、例えば無理なそういう公共事業は見直していく、こういうことでいいんですね。そういう立場で基本的には改正されていると。
#162
○政府参考人(木下寛之君) 先ほど来御説明いたしましたけれども、私ども、土地改良事業の効率的な執行あるいは透明性の確保を図る観点から、五年ごとに再評価を実施している。その再評価の結果、例えば事業変更が必要となれば事業変更をやるし、あるいは事業効果が出ていないというような場合には事業の廃止ということについても対応していきたいというふうに考えておるところでございます。
#163
○須藤美也子君 それでは、改正案の内容に入っていきたいと思うんですが、第一条、先ほど環境の問題が出されました。
 環境との調和に配慮する、改正案です。特に自然環境に恵まれた地域で事業を実施する土地改良事業が環境との調和に配慮する、これは当たり前のことだと思うんですね。ところが、これまで実施された土地改良事業は、農業が行われることによって守られてきた自然をあるがままに守るのではなくて、自然木を切り、ブナ林を伐採し、自然のため池をつぶし、土を掘り返し、石とコンクリートで固める土木的手法が主流になってきました。環境に配慮したとされる事例を見ても、穴あきコンクリートブロックを使う程度の限られた配慮にすぎません。
 これまでの土木的手法を転換するのか、この点どうですか。
#164
○政府参考人(木下寛之君) 環境との調和の配慮でございますけれども、従来から私ども、個別の地区におきまして個々に取り組まれたというようなところがあろうかと思います。
 今回の改正案の中で、環境との調和に配慮するということが事業実施の原則になるというふうに考えております。具体的には、環境に与える影響を軽減あるいは回避したりする措置をすべての事業で一般化するということでございます。個々の事業計画の中で環境との調和への適切な配慮がなされているかどうかということについて審査を行い、そのような計画は認められないというふうになるというふうに考えております。
#165
○須藤美也子君 今までの土木工事のような、コンクリートと石で固めたような用水路をつくるとか、そういう設計あるいは技術、そういうものは改めなければ環境は守れない、こういうふうに思いますので、その点も含めて、環境との調和をうたうのであれば、きちんとその工事の内容もそれに合わせて設計をすべきだと重ねて申し上げたいと思います。
 次に、今度、計画概要の公表と意見の受け付け、これが創設されました。市町村や関係住民から幅広く意見を聞くということは、土地改良法の制定当初からの考えであって当たり前のことだと思うんですね。そこで、意見は聞きっ放し、住民の意見が棚上げにならないようにしなければならない、こういうふうに思います。
 具体的な例で、大臣の地元のことをたびたび申し上げていますが、この前の所信で少し中途半端になりましたので、この土地改良法との関連で質問したいと思います。
 この前の所信で申し上げました国営畑地帯総合土地改良パイロット事業、小清水地区及び斜里地区、国営かんがい排水事業、斜里二期の三つなんですが、大臣は、この事業への疑問や不同意が広がっているとの私のこの前の指摘に対して、農家の負債がふえている、計画は縮小せざるを得ない、負担にならないように努力をしなければならない、こう答弁されました。現地では事業の中止を求める人も多くなっています。そのとき心配なのは、農家とこの自治体、町の負担がどうなるのか、これを大変心配しています。
 法案では、国営事業が中止になった場合、国と都道府県が協議して費用負担をする、こういうふうになっております。つまり、町と農家の負担はあり得ない、こういうことになるわけです。当地の事業はかんがい排水、農地造成、区画整理がセットにされている国営畑地帯総合パイロット事業であります。ですから、それぞれの負担区分も違います。そして、仮にかんがい事業が廃止になった場合、既に実施された区画整理や農地造成、用水路などの農家、自治体負担はどうなるのか、これも国営事業の全体の一部なので町と農家の負担は一切なくなるということなのかどうか、その点はどうですか。
#166
○政府参考人(木下寛之君) 現在、委員御指摘の国営かんがい排水事業、斜里二期地区、それから国営畑地帯総合パイロット事業の斜里地区それから小清水地区の三地区でございます。現在、計画変更するということで地元への説明がなされている段階でございますので、先ほどの御質問でございますけれども、廃止になった場合のということについて答弁は差し控えたいというふうに思っております。
 一般論で申し上げたいと思いますけれども、国営土地改良事業が、一般論として、廃止になったという場合に、関連事業につきましても効果が発揮しないことが明らかな場合には、いわば受益が発生しないということでございますので、道営の事業でございますけれども、地方自治法の規定に基づきまして徴収をしないというふうなことになろうかと思います。
#167
○須藤美也子君 そういうことで確認させていただきます、今局長さんがおっしゃった答弁で。よろしいですね。大臣の地元でございますので。
 続けて、もう一つ質問あります。
 三十ヘクタールとか、大規模な農家なわけですね、今区画整理やっているところは。事業完成後は農地開発だけで一戸三千万円もの負担を抱える。十七年間で返すといっても、これでは離農しなければならない、こういうふうにおっしゃっています。大臣は負担にならないようにと言うのですから、その軽減策を考えていらっしゃるのでしょうね。
#168
○政府参考人(木下寛之君) 私の方からひとつ確認のために申し上げたいと思いますけれども、三地区につきましては、先ほど御説明いたしましたように、現在計画変更を実施しているという段階でございますので、私が一般論と申し上げたことと三地区のことについてはまさに違う状況にあるというふうに考えております。
 それから、二番目の御質問でございます、総償還額が相当多額に上ってくるというふうな御指摘でございます。
 私ども把握をいたしておりますけれども、通常の償還方式によります三千万円以上というような多額の農家がございますけれども、大体十三戸程度というふうに承知をいたしております。このように負担が高額となる農家につきましては、私ども、利息相当額の一部を助成するいわゆる担い手育成支援事業、あるいは償還額の一部を後年度に繰り延べる平準化事業を活用すること等によりまして、できるだけ負担の軽減を図ることとしているところでございます。
 なお、こういうような点につきまして、さらに具体的な措置について検討していきたいというふうに考えております。
#169
○須藤美也子君 先ほどの国営事業が仮に中止になった場合、これは局長さんがおっしゃったように、今は具体的な問題は答弁差し控えるということなんですけれども、法案の立場でいけば、費用効果、投資効果、セットになっているわけですよね。そのセットの一つが中止になれば効果は全然ないわけですよ、なくなるわけですよ。ですから、今、計画変更の問題等々も出ているわけですけれども、この問題も含めて法案に基づいて検討する、こういうふうに理解していいんですか。
#170
○政府参考人(木下寛之君) 現行法上のまさに計画変更で対応できるというふうに思っております。
 先ほど来申し上げておりますように、国営の土地改良事業を廃止する、廃止に伴いまして、関連事業でございますけれども、効果が発揮をしていない、そういう場合にはまさに受益が発生しないということになりますので、そのような場合には、道営の事業でございますけれども、負担金は徴収をしないということになろうかと思っております。
#171
○須藤美也子君 それでは、先ほど、三十ヘクタール、三千万円というのが十三戸ぐらいあるということなんですが、この場合も軽減策を考える、こういうことで確認していいんですね。
#172
○政府参考人(木下寛之君) 先ほど来申し上げましたように、通常の償還方式によりますと三千万円以上になろうかと思います。
 それにつきましての軽減措置でございますけれども、一つが利息相当額の一部を助成する担い手育成支援事業、それから、償還額の一部を後年度繰り延べる平準化事業を活用することによりまして負担の軽減を図っていきたいというふうに考えております。
#173
○須藤美也子君 はい、わかりました。
 次に、計画の中止や見直しを求める声がここでも高まっているわけです。本案は、国や都道府県による事業の廃止、または変更の手続を定めているわけですね。住民の意向を反映するというのであれば、関係農家の発意によってもこの手続ができるようにすべきではないでしょうか。
 国や県がやめたい、廃止したい、そういう場合は三分の二条項があるわけですけれども、これはできるというようになっていますよね、今度の改正案の中で。ところが、組合員とかそういう下から、もう中止してほしい、これ以上事業を続けてもらっては困る、あるいは規模縮小の意見が出た場合、農家のより利益になる方向で法律の修正があってもいいのではないか。下からの意見も発意として取り上げるべきではないかというふうに思うんですが、その点はどうなんでしょうか。
#174
○政府参考人(木下寛之君) 国県営事業につきまして、事業主たる国あるいは都道府県の発意により、かつ申請者であります農家の負担を不要といたしておりますのは、農家の都合により事業を廃止する、そういうような仕組みを設けますと、やはり農家の負担があり得ることを前提とせざるを得ない仕組みにならざるを得ないのじゃないかなというふうに思っておりますし、そうなりますと、かえって実質的に廃止が困難となるおそれがあるということでございます。したがいまして、事業主体がまさに事業の公益性、効率性、農家の意向などを総合的に判断して事業の廃止を発意する仕組みの方がより効果的であるというふうに考えております。
 ただ、私どもは、常に現場の農業者の目線に立って事業の円滑な推進を図るということが非常に重要だろうというふうに思っております。したがいまして、常時、事業実施地区の意向を十分に調査をし、その把握に努める。また、事業実施地区の意向を踏まえながら、先ほど来申し上げたとおり、事業の評価は原則五年でありますけれども、必要に応じ適時再評価を行う。事業の再評価の結果、廃止相当とされた地区につきましては適切に廃止に向けた手続を、また計画変更すべきとされた地区につきましては計画変更に向けた手続を講ずる、このような対策で臨みたいというふうに考えております。
#175
○須藤美也子君 それじゃ、国や県の事業で廃止する、廃止しなければならない、この事業は、そういう場合のを今度設けたわけですね。規定は何ですか、廃止する規定というのは。
#176
○政府参考人(木下寛之君) 国営あるいは県営事業につきましては、土地改良法の中にいわば計画変更の手続の規定がございましたけれども、廃止の規定の手続はなかったわけでございます。そういう意味で、事業評価の結果、事業の効果が発現をしていないという意味で事業の廃止をしようとする場合に、従来でございますと手続はなかったわけでございまして、今回御提案申し上げております手続によりまして廃止を行いたいというふうに考えております。
#177
○須藤美也子君 ですから、どのような状況になったときに廃止の手続を行うのかということなんです。
#178
○政府参考人(木下寛之君) 私どもが事業の評価を行い、この事業によりまして効果が発現をしていないというような場合にはまさに事業廃止をする。幾ばくか受益者に効果が発生をしているという場合もございます。その場合には事業の計画変更をというふうに考えております。
#179
○須藤美也子君 廃止のために必要な条項というのは、三分の二条項がありますね。三分の二の合意が得られれば、その事業は廃止するということなんでしょう。事業を開始する場合も三分の二の合意が必要なわけですね。そうすると、事業を始める場合も廃止する場合も同じ条件、三分の二条項で決めようというのが今回の改正案ですね。
 これは私はちょっとおかしいと思うんですよ。事業を始めるものと、先ほどおっしゃった費用対効果あるいは採算性の問題とか五年の再評価とか、そういう中でこの事業はもう続けられない、こうなった場合、廃止をする、その場合も三分の二と。これは私は矛盾していると思うんです。事業を開始するための三分の二条項と、事業をやめたい、やめなくちゃならない、この場合は合意の数が二分の一ぐらい、半分ぐらいでも私はいいのではないか、こういうふうに思うんですけれども、それはどういうふうに考えていますか。
#180
○政府参考人(木下寛之君) 土地改良事業でございますけれども、地区内の耕作者、いわば私ども三条資格者というふうに呼んでいるわけでございますけれども、三分の二以上の同意がございますと、事業実施に反対する農業者も強制的に事業に参加させる、そういうような事業の仕組みでございます。このため、当初、事業の実施に反対した人たちも含めましてすべての三条資格者、いわば事業実施を前提として営農に向け将来計画を練っている、いわゆる期待権があるというふうに考えております。
 したがいまして、今回、御指摘のように、土地改良事業を廃止するという場合には、このような将来に向かって事業実施を前提にいろいろな営農計画を練っておられる、そういう人たちの期待権を奪うことになるというふうに考えておりまして、本来でございますと、受益となるべき人たち全員の同意が必要だというふうに考えておりますけれども、事業開始の場合と同様、三分の二の同意をもって全員の同意にかえるというふうにしているところでございます。
#181
○須藤美也子君 廃止による逸失利益よりも継続実施による不経済が大きいことから事業を廃止するものであると思うんですよ。ですから、事業の開始とそれを廃止する、これを同列にするということは私は矛盾していると思います。
 時間がありませんので、最後、大臣どう思いますか。こういうのは矛盾していませんか。改正するんですよ、これ。
#182
○国務大臣(武部勤君) 須藤先生は民主的ということを先ほど来申しております。これは、当初はやはりみんなが受益を期待して、さあやろうと言って始めた事業が大半だと思うんですね。したがいまして、最初はみんなが一致、全員が同意してやったわけでありますから、計画を変更する場合でも廃止する場合でも、本来ならば全員と言うべきではないのかなという感じがします。
 しかし、斜里地区の事業の場合も小清水地区の事業の場合も、私どもよく最初から今日までのことを知っております。最初は本当に大きな期待を持って、本当にもう波状攻撃でと言っても過言でないような状況で、この事業の推進に皆結束して努力したという、そういう背景があるんです。だけれども、やっぱりさまざまな状況変化があるということは言うまでもないことでございまして、この法律に言うところの民主的ということであれば、三分の二を全員と、こう同一視するわけですから、これはやっぱり相当大きなといいますか、限りないところでの配慮だろうと、私はこのように理解しております。
 ただ、今後さまざまな負担軽減というようなことは、また別の問題として考えていかなければならないのではないかという、そういう考えは当然のことだと思っております。それは別の話として、本人たちの責任だけでないさまざまな激変が伴ってきているわけでありますから。でありますだけに、この事業だけの、あるいは今、農林水産省の中でさまざまな担い手の事業だとかもろもろありますけれども、そういったもの以外にありとあらゆる政策なり方法というものを考えながら、少しでも地元の皆さん方の声にこたえられないかというのが我々が今直面している問題だと、このように思っております。
#183
○岩本荘太君 最後の順番でございます。
 先ほど来、土地改良事業あるいは土地改良区、いろいろ議論がございました。私も長年土地改良事業と関係してきた身としまして、大変興味のあるお話、あるいはこうあらなきゃいけないというようなお話もいろいろ伺いまして大変参考になったわけです。大臣も大変前向きにお考えになっているようですけれども、私、どうも自分の経験からいきましても、土地改良事業あるいは土地改良区というのは物すごく昔と比べて変化してきた、事業の内容もそうですし、改良区そのものも物すごく変化してきているという気がいたします。
 したがって、今回、土地改良法の改正ということになったんでしょうけれども、本当にこれで十分なのかなというような私、気もいたしまして、ただ、そうは思いながら、私自身、じゃ対案は何かということまでは思いが至らないものですから、今回はその辺まではやらないつもりでございますが、そういう認識はぜひ農林省の方もお持ちいただきたい、こう思っている次第でございます。
 したがいまして、今回、私は環境との調和を図るという点を中心にして質問をさせていただきたいと思っております。
 先般の食料・農業・農村基本法の中でも、農業生産基盤の整備に当たっては、「環境との調和に配慮しつつ、」となっているわけでございますけれども、一つ、当然ながらここでお断りしておきたいのは、これは環境というのは自然環境ですね。環境という言葉ですと社会環境もあるわけで、生活環境もあるわけで、生活環境なんというとあるいは自然環境を破壊する方に進むかもしらぬ話でございますので、ここはひとつ自然環境ということで理解をさせていただきたいと思っております。
 こういううたい文句をされて、土地改良法の中でもそういう文面を入れる、これは大変結構なことですが、見方を変えますと、何を今さらというような感じがなきにしもあらずでございます。ということは、農業そのものが、生産基盤に限らず、環境と最も近い位置にあった、最も密接な関係にあったわけですから、当然環境との調和というのはもう暗黙のうちに考えておかなければいけない、暗黙のうちに考えておったことだろうと思っております。
 農業生産基盤に限らず、農業について考えましても、これは自然環境を守ってきたという意味も大変多いわけでございますし、これは都市化と自然環境との間の緩衝地帯といいますか、いわゆる開発から守ってきたということもございます。同時に、今、多面的機能を発揮するというようなことをうたわれておりますけれども、それはまさにそのことを言っているんだと思っております。
 また一方で、これは随分破壊もしてきているんですね、環境に近いわけですから。例えば、これはとっぴな話かもしれませんけれども、農業そのものが、要するに単作といいますか単品を植えますね。これは環境破壊、破壊とは言いますけれども、自然環境とは違うことをやっているんだという見方があるんです。自然の状態であれば、植物が生えている状態であれば、これはいろんな植物が生えている。それを、そのうちに要らないものは外して必要なものだけやるということは、これは自然環境とはほど遠いんだというような見方もございます。ただ、これは人間が生きていく上で、それを否定してしまえば何も生活できないわけですから、それを強く言うつもりはございませんが。
 それ以外に、農薬というのがいろんな生物の生活を脅かして、あるいは絶滅させてきたというような面もございます。これは後ほど関連して述べますけれども、いわゆるメダカがレッドブックに載ったというような、こういうことがそれを象徴していると思いますし、化成肥料を使ったら非常に国土の大事な土壌を劣化させているというようなこともございます。
 さらにはもっと、そういう化成肥料を使わなくても、肥料そのものを多量に使うということは、御存じのとおり、作物が育つのは肥料の三要素、窒素、燐、カリですね、このうちの窒素、燐というのは物すごい富栄養化の原因になっているんです。そういう意味で、環境に対しての破壊する犯人になっているということも言えないわけでない。
 しかし、かといって農家に、じゃ、そうでないものでやれ、守るようにやれといっても、逆に今度はそれは割高になってとても農家の生活が守れないという面がございまして、環境というのは非常に難しい問題だと思うんです。そういう環境と調和のとれた農業、言葉では簡単なんですけれども、大変難しい。
 農家の人たち、私も随分つき合ってまいりましたけれども、大体が自然を愛し環境を大事にする人たち。だから、できればそういうことをやりたいと思っているんですが、なかなか実態としてそういうことができないという面もございます。
 そんな中で農林省としても施策をやっていかなきゃいけないというのは大変御苦労があると思うんですが、これからもいろんな施策を講じられると思うんですけれども、まず大臣に、農業と環境との関係についてどんなふうに御認識されているか、ひとつ御所見を聞かせてください。
#184
○国務大臣(武部勤君) 自然と共生する農業構造というものを我々想定して環境重視の農業をどのように展開していくかということについては、やはり生産者みずからもそこのところを真剣に考えてもらわなきゃならないということ、これは生産、流通、消費、それぞれの分野で意識改革が大前提になるんじゃないか、このように思っております。
 そのことについては、最近は、世論を背景にしていることもありましょうし、余りにも金肥、農薬などの負荷が畑をやせさせてしまっている、そして川を汚して海を汚しているというようなことなどが認識されまして、北海道あたりでもこのところは耕作放棄地もふえてまいりました。当初、今先生お話しのとおり、背に腹はかえられない、もう換金作物を連作障害も何も考慮に入れずにやらざるを得ないという状況下にあったのが、最近は農地については幸か不幸か耕作放棄地も出るぐらいのゆとりも出てきている状況の中で、緑肥作物を導入して、そして三年輪作のものを四年輪作にしようというような動きも出てきております。私は、農林水産省としては、このことを積極的に助長する必要がある、このように思っております。
 中山間地域における直接補償というのはオーストリア型と、こういうふうに言われておりますけれども、ドイツ、フランスについては、もう既に環境対応のデカップリングということもやっているわけでありますので、農林水産省といたしましては、そういう政策展開というものを場合によっては財政支出によってやる必要があるのではないか、このように思っています。
 私どものところの例を言いますと、ビートなんかはもう反当たり二万五千円助成するというようなことも実際にやっております。こういったことをこれから拡大していくことが必要ではないのかなと、このように思っております。
 同時に、アメリカへ行って私は驚いたんですけれども、醜いリンゴとぴかぴかのリンゴが一緒に並んで売っているんです。どっちが高いかといったら醜いリンゴの方が高いんですね。そういう意味では、産地表示を義務づけることなども昨今農林水産省もやっております。
 ですから、そういった消費者に対する啓発、これは生産者のみならず、自然と共生する農業でありますとか農産物というものについての国民的な理解と協力というものに向けて啓発運動もやっていかなくちゃいけないのではないのかなと、こんな認識を持っている次第でございます。
#185
○岩本荘太君 いろいろと例を引いてお話しいただきましたが、今お話しになった、例えば醜いリンゴと光っているリンゴにしましても、醜いリンゴの方が価値があると認められないと、なかなかそういう方に消費者は目が行かないんだろうと思います。それと同時に、生産者そのものの意識が大事だと。確かにそうかもしれませんけれども、農業生産者自身にしても、昔は、大臣御存じのとおり大変な重労働だと思っているんですが、それが戦後、ほかの産業の人とやはり同じように、同じ国民として同じような利便性を確保したいということから農薬を使ったり農業機械を使ったりしたわけですから、その辺を生産者だけに負わすのも非常に酷かなという感じがいたしまして、したがって、先ほどの醜いリンゴの例で私は前から言っていることを思いついたんですけれども、いわゆるそっちがいいということを宣伝するというか、そういうことが必要だと思うんですね。
 農業者というのは、ほかの大きな企業とは違って試験研究するだけの余裕はなかなかないんですね、時間的にも金の面からでもですね。国とか地方自治体とかがそういうのは行政ベースで支援してあげなきゃいけないんじゃないのかな、あるいは農協なんかもそのためにあるんじゃないのかなというような感じを持っている次第でございます。その辺よろしく、御答弁は同じだと思いますから結構です。
 次に移らさせていただきます。
 それで、具体的な面で、先ほど言いましたように、基本法はほぼ二年前に成立したわけで、もう二年たっているわけですが、今回の法改正でこれを土地改良法にのせたというのも一つの具体例かもしれませんけれども、大体二年たっているこの間に、こういう基本法にのっとった取り組みというのはどんなことをされてこられたか、ちょっと教えていただきたいと思います。
#186
○政府参考人(木下寛之君) 私ども、今回、食料・農業・農村基本法の改正を受けまして、土地改良法の改正案を御提案申し上げているところでございます。
 もとより、私ども、環境に配慮するということは非常に重要なことだというふうに認識をいたしておりまして、これまでも個別地区におきましてこのような環境に配慮した事業が数多く行われてきております。例えば、景観あるいは生態系への配慮、親水空間の整備、あるいは水質浄化等、環境に配慮した事業を実施してきているところでございます。また、私どもも、このような事業を推進するという観点から、地財措置の充実等につきましても取り組んできたところでございます。
 今回、まさに環境との調和への配慮というのがすべての事業の実施の原則となるということでございまして、そういう意味で一層これまでの取り組みが充実されるというふうに認識をいたしております。
#187
○岩本荘太君 したがって、今のお話を聞いていますと、やはり基本法ができたからどうのこうのじゃなくて、前からやっているというふうなことになるのかなというような感じもするんですけれども、それはそれで結構だと思います。
 そこで、もう一つ具体的な質問に入らせていただきたいんですけれども、これ、一昨年の秋ですか、決算委員会の農水省の所管のときに、環境との関連で具体的な事業として、農業基盤整備の中の一つの大きな事業として排水路があるわけでございますけれども、それについて質問したんですが、その質問をする動機というのが、いわゆるメダカがレッドブックに載ったという新聞報道がございまして、これは論説でも取り上げられた。これは、農村地帯の排水路等がいわゆるコンクリートライニングされてしまってメダカがすめる環境でなくなってきているというような、そんな指摘もあったわけでございまして、そのときに取り上げさせていただきました。
 言うまでもなく、水路というのは用水路、排水路あるわけでございますが、用水路は計画的に用水を流さなければいけないということで、これはコンクリートでしっかり固めてやらなきゃいけないということはわかるんですけれども、排水路といいますか、そういう目的のないものは、昔は、三尺流れて水清しですか、水路そのものに浄化機能があったわけです。それが今コンクリートでライニングしているものですから、全くそういう機能なしにずっと海まで行っちゃう、こういうことになっているんではないのかなということで、まず、そのときに、排水路というものをどうとらえているのか、どういうふうに考えておられるのかということを質問いたしましたら、時の局長さんが、三つの要素があって、一つは機能面だと。排水路がスムーズに流下するため、まあ当然のことでございますけれども。それと管理面で、安全で合理的な水管理ができると。それから経済面。当然ながら、コストが経済的であると。どうもこれを見ると、余り環境とは関係ないような感じが、環境面を重視するというところまでは結びつかない。
 それで、これからの事業を、今局長が、環境面の重視を原則とするというお話をされましたので、こういう面の設計基準といいますか、こういう面の見直しもといいますか、環境面を重点的に入れるというふうに解釈してよろしいのかどうか、ひとつ御回答をお願いいたします。
#188
○政府参考人(木下寛之君) 私ども、今回の法律案をお出ししているわけでございますけれども、環境との調和への配慮が土地改良事業実施の原則となるということでございます。したがいまして、事業の計画なり設計において環境配慮を実効性のあるものとするため、事業の本来目的に重大な支障を及ぼさない範囲内で可能な限り環境への負荷の回避やあるいは最小化のための施設配置、あるいは構造物の設計の考え方につきまして検討することとしております。
   〔委員長退席、理事岸宏一君着席〕
 私ども、一般的に魚類等の水生生物の生息に重要な場所として考えておりまして、生態系保全に配慮する方向で、まず本年中を目途でございますけれども、設計等の基本的な考え方を取りまとめた手引書を策定したいというふうに考えております。
 先生お尋ねの設計基準の見直しでございますけれども、生態系のみならず、多岐にわたります環境に配慮した設計の工事あるいは管理の実績をまず積み重ねまして、この中で構造物の安定性等の検証を踏まえ、行うこととなるというふうに考えております。
#189
○岩本荘太君 手順としてはそうなんでしょうけれども、先ほど局長が答弁書を見ずにお話しになったものと、今答弁書をお読みになったものとどうも何か食い違うような、ちょっと弱気になっている。ということは、事業実施部隊が弱気なのかなという大変残念な思いがあるわけですけれども。
 要するに、例えば排水路を土水路にすればこれは水を浄化するわけですけれども、私はしたがって排水路というのはできるだけ土水路にすべきだという持論を持っているわけです。だからといって全部をそうすればいいわけではなくて、例えばその上に鉄道が通ったところなんかは土水路のままで済むわけがないですし、あるいは専門的に言いますと、例えばカーブをするようなところは土水路だと崩れちゃうというようなところがあるわけですけれども、それ以外のところは土水路であるべきだと思っているんですけれども、それが物すごく抵抗が強いんですね、そうすることによって。
 これは私なりに解釈しますと、例えばコンクリートライニングすれば草が生えてこない、生えてこないから管理が非常に楽だというようなことを言われるんですけれども、そういう私の例を言っても質問にならないんですけれども、要するにそういう受益者がそう望むからそれでいいんじゃないかというのは、やっぱり公的な仕事をやる上からはそれでは十分ではない。
 先ほど、ちょっと話が違いますけれども、土地改良法の改正等は三分の二の同意といって、三分の一はこれは公的な要素があるからというお話だと思うんですけれども、土地改良事業というのは大体そういう要素を持っているわけですね。
   〔理事岸宏一君退席、委員長着席〕
 だから、地元だけの話ではなくて、地元を説得してでも環境面というものをしっかりとやっていかなきゃいけないと思うんですが、その辺で、時間がないので順序立てて聞かないで、私はある程度先入観で言っているところもあるんですけれども、農水省、非常にコンクリートライニングのケースが多いですよね。こういうものを今コンクリートライニングしなきゃいけないというのは、私は地元の要望だと言いましたけれども、農林省の方はどんなふうにそれをおとりになっておられますか。
#190
○政府参考人(木下寛之君) 農業排水路をライニングする必要性でございますけれども、水路の侵食あるいは漏水、それから水草等によります通水障害の防止等を目的として行っているところでございます。
 したがいまして、農業排水路でございますけれども、構造物の安全性、それから社会的制約条件、それから建設費及び維持管理等の比較検討を行いまして、コンクリート三面張りからライニングをしない土水路まで、各型式のうちから最も適切なものを選んで整備をしてきているというように理解をいたしております。
 今回の土地改良法の改正を契機といたしまして、私ども、環境に配慮した施設の配置や設計のあり方につきましても検討していきたいというふうに考えております。
#191
○岩本荘太君 ちょっと答弁が前後しちゃったような感じなんですけれども、今のお話では、要するにそういういろんな要素のうちから何を選ぶというときに、環境面を重視するというのであれば、それをかなり強く押し出していただかないとなかなかできないのではないのかなと、こう思っているわけでございます。
 それで、もう一つ、もう今までも随分用水路というのをつくっていると思うんですが、そういうものを今回は環境重視ということであるいは環境重視型につくりかえるとか、そういうようなことはお考えになっているんでしょうか。
#192
○政府参考人(木下寛之君) 私ども、先ほど来申し上げているとおり、環境との調和に配慮した土地改良事業を今後進めていくというふうに考えております。したがいまして、そういうようなことにつきましても今後検討していきたいというふうに考えております。
#193
○岩本荘太君 それは大変結構なことでございまして、お金がかかるかもしれませんけれども、やはり今の時代、経済効率性だけで考えておりますと農村に金が行かないということになっちゃいますので、その辺は環境というこの経済性の評価というのを十分やっていただきたいと思っております。
 それと、先ほど、地元が排水路をコンクリートライニングしてくれという要望の根拠、いわゆる管理の問題だと申し上げたんですが、農林省も恐らくそういう御認識だと思うんですけれども、管理の問題だということは、これはある意味じゃ環境対策費みたいなもので対応できるんだと思うんです。
 従来、土地改良事業というのは物すごい管理に対して管理費というのはとりづらい、今までなかなかとれなかった事業だと思います。しかし、それは農業者の自主的な仕事というようなとらまえ方が強かったからだと思うんですけれども、したがって、農業者が生産する場だから農業者が面倒見ろということになろうかと思うんですけれども。
 今の環境という面から考えたら、農地は日本の国で大体五百万ヘクタールと考えれば、国土の七分の一ですか、日本国土が三千七百万ヘクタールぐらいになると思うんですけれども、七分の一というのは相当な面積を持っているわけです。そこに降った雨は全部排除するわけですし、農業ですからほかから用水路を持ってきたものもそこで排除する。日本の水を扱うという面で非常に重要な機能を持っていると思うんです。
 したがって、そこの環境をどうするかということは、これは単に農業生産者だけの問題じゃないと思っておりまして、その辺で今まではそういうものに対する補助といいますか、なかなかしづらかったと思うんですけれども、今度はぜひ、環境というキーワードといいますか、これでそちらの御努力もしていただきたい、こう思うんですが、この辺については局長でよろしいですが、後で大臣、そういう環境面についてひとつよろしくお願いします。
#194
○政府参考人(木下寛之君) 農業水利施設でございますけれども、基本的には受益者で構成いたします土地改良区などが自主的に行うものだというふうに考えておりまして、その費用の負担は基本的には土地改良区にお願いをしているところでございます。
 ただ、先ほど御指摘のように、環境との調和に配慮した農業水利施設でございます。受益農家のみならず地域全体が利益を享受するということでございますので、今後は、費用負担のあり方等についてあらかじめ市町村と協議するなど、地域の合意を得るというような努力も続けていきたいというふうに考えております。
 いずれにいたしましても、委員御指摘のとおり、維持管理費というのは、なかなか私ども助成対象とするというのは困難だというふうに考えておりますけれども、今後とも、これまで多面的機能を発揮するという観点から助成制度をつくってきたわけでございますけれども、今回の土地改良法の趣旨、改正案の趣旨を体しまして、環境との調和に配意して設置された農業水利施設が適切に管理されるよう努力していきたいというふうに考えております。
#195
○岩本荘太君 大臣、今のああいう前向きなものに、大臣も応援の意味で一言お願いをいたします。
#196
○国務大臣(武部勤君) 自然と共生するということは、もう都市住民も地方に住む人もみんな同じような願望だと思うんです。私は、今までは問題解決型の視点でさまざまな政策展開がなされたと思うんですが、社会保障の問題も、これはハンディキャップをどうするかというような、そういう視点が大宗だと思いますけれども、今後は、願望実現型の視点でというようなことを考えれば、外部経済ということも考えますと、環境にさまざまな投資をする、また政策として支援するということは、結果的にそこで大事な自然という資産が生まれるという意味で、私は、積極的に他の省庁とも連携してやっていかなければならぬことだと、かように思います。
#197
○岩本荘太君 終わります。
#198
○委員長(太田豊秋君) 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終局したものと認めます。
    ─────────────
#199
○委員長(太田豊秋君) 農業協同組合法等の一部を改正する法律案及び農林中央金庫法案、以上両案を一括して議題といたします。
 まず、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。武部農林水産大臣。
#200
○国務大臣(武部勤君) 農業協同組合法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
 農協系統は、農業者の協同組織として、組合員に対して営農及び生活に関するサービスを総合的に提供してきたところでありますが、食料・農業・農村基本法の制定を踏まえて、農業者の協同組織としての原点に立ち返って、地域農業の振興等に従来以上に積極的な役割を果たしていくことが求められております。
 また、平成十四年四月のペイオフの解禁に向けて金融情勢が急激に変化する中で、今後とも農家組合員が安心して貯金することのできる、破綻することのない農協系統信用事業を確立していくことが急務となっております。
 このような状況を踏まえて、農協系統の改革に向けた自主的な努力を支援するため、この法律案を提出した次第であります。
 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、農業協同組合法の改正であります。
 農業協同組合が、担い手のニーズに対応しつつ地域農業の振興に重点を置いた事業展開を図るため、農業を営むすべての法人に正組合員資格を与えるほか、営農指導を農業協同組合が行う事業の第一番目に位置づけることとしております。
 また、農業協同組合の業務執行体制の強化を図るため、信用事業を行う農業協同組合における複数常勤理事の設置、常勤理事等の兼職・兼業規制の強化、信用農業協同組合連合会を初めとする連合会への経営管理委員会の設置の義務づけ等の措置を講じることとしております。
 さらに、農協系統の自己責任体制の確立を図るため、農業協同組合の模範定款例を中央会が定めることができることとするとともに、中央会監査の対象の拡大等を行うこととしております。
 第二に、農林中央金庫と信用農業協同組合連合会との合併等に関する法律の改正であります。
 農家組合員が安心して貯金できる、破綻することのない農協系統信用事業を確立するため、JAグループの総合力を結集し、農業協同組合、信用農業協同組合連合会及び農林中央金庫が全体として一つの金融機関として機能するような、新たな農協金融システムを構築することとしております。
 このため、法律の題名を農林中央金庫及び特定農業協同組合等による信用事業の再編及び強化に関する法律に改めるとともに、農林中央金庫が、会員である信用農業協同組合連合会及び農業協同組合の意向を踏まえて、農協系統信用事業の再編及び強化に関する自主ルールである基本方針を定め、これに即して、信用事業を行う農業協同組合等に対して経営改善や組織統合の指導を行うこととしております。
 また、こうした経営改善や組織統合を農協系統の自主的な積立財源によって支援するため、指定支援法人制度を設けることとしております。
 これに関連して、農水産業協同組合貯金保険機構から指定支援法人に対して資金援助を行うことができるよう、農水産業協同組合貯金保険法の改正を行うこととしております。
 続きまして、農林中央金庫法案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
 農林中央金庫は、大正十二年に特殊法人たる産業組合中央金庫として設立されて以来、昭和六十一年の民間法人化を経て、今日まで農林水産業の発展に寄与し、国民経済の発展に貢献してきたところであります。
 現在、我が国の金融をめぐる情勢は、平成十四年四月のペイオフの解禁に向けて急激に変化しており、農協系統信用事業がこれに十分に対応していくためには、農家組合員が安心して貯金することのできる、破綻することのない信用事業体制を確立していくことが急務であり、特に農林中央金庫が適切な役割を果たしていくことが必要不可欠であります。
 このため、農林中央金庫の業務執行体制の強化、業務範囲の拡大等を行うこととし、この法律案を提出した次第であります。
 次に、この法律案の主要な内容を御説明申し上げます。
 第一に、目的規定を新設し、農林中央金庫は、農業協同組合、森林組合、漁業協同組合その他の農林水産業者の協同組織を基盤とする金融機関であることを明確にすることとしております。
 第二に、農林中央金庫の協同組織性を踏まえて、会員である農業協同組合の代表者等から成る経営管理委員会を設置するとともに、高度な金融業務を的確に行えるよう、金融専門家から成る理事会を設置することとしております。
 第三に、農林中央金庫の貸出先業種については、これまで法律上限定列挙されておりましたが、農協系統信用事業全体の発展に資するよう、主務大臣の認可のもとに業種限定のない貸し出しを認めることとしております。
 その他、現行法の法文は片仮名まじりの文語体の古い文体となっておりますが、法文の表記を口語化して平易化することとし、農林中央金庫法の全部を改正することとしております。
 以上がこれら二法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
#201
○委員長(太田豊秋君) 以上で両案の趣旨説明の聴取は終わりました。
 両案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後四時五十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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