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2001/06/21 第151回国会 参議院 参議院会議録情報 第151回国会 農林水産委員会 第21号
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2001/06/21 第151回国会 参議院

参議院会議録情報 第151回国会 農林水産委員会 第21号

#1
第151回国会 農林水産委員会 第21号
平成十三年六月二十一日(木曜日)
   午後二時開会
    ─────────────
   委員の異動
 六月二十日
    辞任         補欠選任
     大野つや子君     森田 次夫君
 六月二十一日
    辞任         補欠選任
     金田 勝年君     成瀬 守重君
     櫻井  充君     広中和歌子君
     羽田雄一郎君     堀  利和君
     渡辺 孝男君     益田 洋介君
     林  紀子君     笠井  亮君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         太田 豊秋君
    理 事
                岸  宏一君
                森下 博之君
                郡司  彰君
                谷林 正昭君
    委 員
                井上 吉夫君
                岩永 浩美君
                国井 正幸君
                田中 直紀君
                成瀬 守重君
                森田 次夫君
                広中和歌子君
                堀  利和君
                益田 洋介君
                山下 栄一君
                笠井  亮君
                須藤美也子君
                谷本  巍君
   衆議院議員
       農林水産委員長  堀込 征雄君
   国務大臣
       農林水産大臣   武部  勤君
   副大臣
       農林水産副大臣  田中 直紀君
   大臣政務官
       農林水産大臣政
       務官       国井 正幸君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        山田 榮司君
   政府参考人
       農林水産省生産
       局長       小林 芳雄君
       林野庁長官    中須 勇雄君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○水産基本法案(内閣提出、衆議院送付)
○海洋生物資源の保存及び管理に関する法律の一
 部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○漁業法等の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
○漁港法の一部を改正する法律案(衆議院提出)
○政府参考人の出席要求に関する件
○林業基本法の一部を改正する法律案(内閣提出
 、衆議院送付)
○林業経営基盤の強化等の促進のための資金の融
 通に関する暫定措置法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○森林法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆
 議院送付)

    ─────────────
#2
○委員長(太田豊秋君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨二十日、大野つや子さんが委員を辞任され、その補欠として森田次夫君が選任されました。
 また、本日、櫻井充君、林紀子さん、金田勝年君、羽田雄一郎君及び渡辺孝男君が委員を辞任され、その補欠として広中和歌子さん、笠井亮君、成瀬守重君、堀利和君及び益田洋介君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(太田豊秋君) 水産基本法案、海洋生物資源の保存及び管理に関する法律の一部を改正する法律案、漁業法等の一部を改正する法律案、以上三案を一括して議題といたします。
 三案に対する質疑は前回終局いたしておりますので、これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#4
○須藤美也子君 私は、日本共産党を代表して、三案のうち漁業法等の一部を改正する法律案に対して反対討論を行います。
 反対の理由の第一は、指定漁業の承継に関する規制緩和には大きな問題があるからです。これは、条件次第では大規模な漁業会社による漁業の再編、支配につながるものであり、また、資源管理より利益優先になりがちな外部企業の参入を排除できず、漁業者にとって利益になる方向とは言えません。承継自由化を盛り込むより、現在の漁業経営への支援策こそ強化すべきであります。
 第二の理由は、定置網漁業権免許の見直しに関する問題であります。
 一人一議決を要件とする団体経営の上位優先を変更し株式会社まで上位に加えることは、前浜の資源を公平に分配するという民主的立場の後退にほかなりません。また、機械的にみなし法人規程を削除し、いわゆる人格なき社団の優先順位を引き下げることは、関係漁村に混乱をもたらすことが明らかです。企業化、株式会社化の方向は、利益の上がる漁場において外部資本の支配力を強め、零細な漁業者への切り捨てにつながりかねません。
 本法案には、賛成できる当然の措置もありますが、ただいま申し上げました理由で反対するものです。
 最後に、水産基本法等の制定に当たって重要なことは、開発優先、市場原理優先の政治を転換し、基本法の積極的な条項を豊かな施策にしていくことを強く申し添えて、漁業法等の一部を改正する法律案に対する反対討論といたします。
#5
○委員長(太田豊秋君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 まず、水産基本法案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#6
○委員長(太田豊秋君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、海洋生物資源の保存及び管理に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#7
○委員長(太田豊秋君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、漁業法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#8
○委員長(太田豊秋君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、三案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○委員長(太田豊秋君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#10
○委員長(太田豊秋君) 漁港法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 提出者衆議院農林水産委員長堀込征雄君から趣旨説明を聴取いたします。堀込征雄君。
#11
○衆議院議員(堀込征雄君) ただいま議題となりました漁港法の一部を改正する法律案につきまして、提案の趣旨及び主な内容を御説明申し上げます。
 我が国水産業の基盤である漁港及び漁場につきましては、これまで別々の制度に基づき、計画的に整備を進めてまいりました。
 しかしながら、水産業の健全な発展や水産物の供給の安定を図るといった課題に的確に対応するとともに、漁村の振興に資するため、漁港及び漁場を水産資源の増殖から漁獲、陸揚げ、加工流通までの一貫した水産物供給システムとしてとらえ、総合的、統一的に整備を進めることができる制度とすることが必要となっております。
 また、地方分権の推進を図る観点から、地方公共団体が主体的に事業を展開し、地域のニーズに迅速かつ的確にこたえられる制度へ転換するとともに、近年の公共事業に対する批判や環境問題への関心の高まりにこたえるため、事業の透明性と客観性の確保、効率的な事業の実施、環境との調和の確保を図る必要があります。
 このような状況に対処し、漁港及び漁場を総合的かつ計画的に整備するため、本案を提案する次第であります。
 次に、本案の主な内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、題名を「漁港漁場整備法」に改めるとともに、「環境との調和に配慮」、「水産物の供給の安定」及び「豊かで住みよい漁村の振興に資すること」を目的規定に明記することとしております。
 第二に、漁港及び漁場の整備に係る事業を一体として漁港漁場整備事業と位置づけることとし、農林水産大臣は、漁港漁場整備事業の推進に関する基本方針を定めるとともに、漁港漁場整備事業に関する長期計画の案を作成し閣議決定することとしております。その際、水産政策審議会の意見を聞くこととしておりますが、審議会の審議は公開で行うものとし、審議に用いられた資料は公表することとしております。
 第三に、地方公共団体等が特定漁港漁場整備事業を施行しようとする場合には、基本方針に基づいて事業計画を定め、公表することとし、その際には、関係地方公共団体及び関係漁港管理者と協議するとともに、事業計画の案を二十日間公衆の縦覧に供し、広く住民からも意見を聞くこととしております。
 第四に、特定漁港漁場整備事業を廃止し、または停止しようとするときは、関係地方公共団体及び関係漁港管理者と協議するとともに、廃止または停止の理由等を公表することとしております。
 以上が本案の提案の趣旨及び内容であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに可決くださいますようお願い申し上げます。
#12
○委員長(太田豊秋君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。──別に御発言もないようですから、これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 漁港法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#13
○委員長(太田豊秋君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#14
○委員長(太田豊秋君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#15
○委員長(太田豊秋君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 林業基本法の一部を改正する法律案、林業経営基盤の強化等の促進のための資金の融通に関する暫定措置法の一部を改正する法律案、森林法の一部を改正する法律案、以上三案の審査のため、本日の委員会に農林水産省生産局長小林芳雄君及び林野庁長官中須勇雄君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#16
○委員長(太田豊秋君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#17
○委員長(太田豊秋君) 林業基本法の一部を改正する法律案、林業経営基盤の強化等の促進のための資金の融通に関する暫定措置法の一部を改正する法律案、森林法の一部を改正する法律案、以上三案を一括して議題といたします。
 三案につきましては既に趣旨説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#18
○井上吉夫君 ちょっと体の調子が悪いので、座ったまま質問することを許していただきたいと思います。
 今回の林野三法、この厳しい林業情勢の中にありますから、このままではどうにもならぬよというのが林業関係者の一致した意見だと思います。したがって、できるだけ早くみんなが安心して、国民全部が山を育てることの大事さを強調していかなければならないというぐあいに考えておりますので、これまでにいろいろ御検討いただきました経過も含めて、従来の林業基本法の一部を改正する基本法について、従来の林業基本法、その成果をどういうぐあいに評価されて、そして特にこの機会にこういう点を改正しなければならないというぐあいに考えたか、その点をかいつまんで説明してください。
#19
○国務大臣(武部勤君) まず最初に、私どもの大先輩であり、森林・林業の問題につきましては最も造詣が深く、またこれまで大変な御功績を尽くされた井上先生に改めて深く敬意を表します。私も政治家になりましてからこの方十五年間、先生のそばで党の部会等を通じて御指導いただいたことを感謝申し上げたいと思います。
 ただいま井上先生から御指摘ございましたが、現行林業基本法というものは、当時の旺盛な木材需要に対応した国産材の供給を図ることができるように、林業総生産の増大を図るとともに、林業従事者の経済的、社会的地位の向上を図ることを目標としてまいりました。振り返ってみますと、あの敗戦のどん底から立ち上がって経済復興を遂げられ、今日このような発展を遂げてきた我が国でございますが、それこそ森林・林業の存在というものは非常に大きいものがありましたし、現行林業基本法なくして今日の発展を考えることはできなかったのではないかと、かように考える次第でございます。
 こうした林業基本法に基づく施策を通じまして、我が国の森林の四割を占める一千万ヘクタールに及ぶ人工林が造成されたわけでございまして、森林資源の計画的な整備が進められてきたバックボーンとして林業基本法があったと、かように認識している次第でございます。
 しかし、材価の低迷等によりまして、林業の採算性の悪化という、そういう問題に直面いたしました。森林所有者の経営意欲が減退し、人工林を中心とする手入れの行き届かない森林が増加するという、そういう問題が生じてきているわけでございます。
 他方、私どもは、森と海は命のふるさと、こう申し上げておりますけれども、ようやくにしてといいますか、森林に対する国民の要請は、木材生産を中心としたものから、森林の有する水資源の涵養あるいは国土や環境の保全などの多面的な機能の発揮ということへの要請がふえてまいりました。そういう変化をもとに、このため、林業基本法を改正し、森林の有する多面的機能の持続的発揮と林業の持続的かつ健全な発展と林産物の供給、利用の促進をポイントとして政策の再構築を図るということで今回の新しい基本法提出ということに相なった次第でございます。
#20
○井上吉夫君 昭和二十年代といえば、戦い敗れた日本、どうやって昔のような暮らしになることができるかと、みんな一生懸命頑張ったころでした。そのころは、林業というのは余り暮らしの足しになるわけじゃありませんから、まずは食べるものの方が優先するのは当然のことだったと思うんです。
 しかし、それが今の一千万町歩に及ぶ人工林ができ上がったというのは、ある意味では私は日本における林政、その当時はやっぱりいいことをいろいろやってくれたなと。その中でも人工造林についての補助、大体、計算された金額の四割程度という計算に立っていましたけれども、実際上は四割にはちょっと、実勢価格には足りないなという程度ではありましたが、少なくとも苗木代はほとんど補助金で賄えるという状態でした。そのことが非常に幸いして、ほかに余り金になる仕事もないものだから、山に熱心な人たちは一生懸命造林をしたんです。なぜかといえば、外材の輸入というのはほとんどありませんでしたから、ほとんど国産材で賄うという時代。したがって、若干ながら戦時中の育った木として残った部分は割といい値段で売れていた、そうしてその程度がちょうど需給が見合っているという関係もありまして、価格はいい、そして先々はまた楽しみだということなどがありまして、林業というのはかなり熱心に林家の取り組む対象になったと私は思っています。
 そこで、私がどういうかかわりで林業に熱心に取り組むようになったかといいますと、実は昭和三十年の三月六日に私は父を亡くしました。そのときに、父と一緒に農業をやりあるいは林業をやっているさなかは余り山には熱心でありませんでしたけれども、父が亡くなった後、山を全部調べてみると、たまたま二町歩余り、二ヘクタール余りのヒノキの四十二、三年生の美林を残してくれました。それは今の国道三百二十八号線沿いの非常に出し場のいいところでしたので、いい値段でみんな欲しがったわけです。もちろん、一遍に切るようなことはいたしません。何本かずつ切れば、大概、林業につぎ込むだけの経費は出るなというときでした。したがって、この山がある間に、ほかにもう一つ十ヘクタールぐらいの雑竹林がありましたので、その雑竹林をきれいに人工林に切りかえる、これがおやじが残してくれた山に対する恩返しだと思って、実はその年から一年に二町ずつ五年間、人工造林への切りかえをやろうというのが私の造林との取り組みの第一番目でありました。
 五年と決めたのは、五年間は下刈りをずっと続けます。一年目は二町歩ですけれども、二年目は四町歩、三年目は六町歩というぐあいになりますので、やっと五年間で下刈りの手間が一応抜けるということを第一段階の私の植林との取り組みとして、それは予定どおりやりました。
 そのことが私を、その後、昭和三十六年に、いずみ森林組合というのが、町村ごとにありました大川内、出水、米ノ津、三つの森林組合が合併した初代組合長にみんなが決めてくれたきっかけだと思うんです。あいつは熱心な、少し、若い者がなかなか関心を持たない山の仕事にようまあそんな気になったなということが、経済的な計算が余り強くなかったことかもしれませんが、熱心に取り組んだんです。自来、今日まで、実は私はいずみ森林組合の組合長をそのまま続けております。そして、昭和五十年からは県の連合会長も続けているというのは、それは私が議員になったからというのではなくて、自分でずっと山を育てることにもう本当に、山気違いと言われるほど熱心に取り組んだから自然にやっぱりそうなったのかなと今思うんです。
 ちょうどそのころは人夫賃が四百円でした。四百円の人夫賃。そして立木は、立木価格で処分をしたときに、一立方の杉、ヒノキを処分いたしますと大体十人か十一人、人夫賃が支払いができたんです。ところが、今、その同じ一立方の立木で何人雇えるかといえば〇・七人ぐらい、一人も雇えません。倍率でいえば、そのころの十五分の一というのが今の材価の現況かということがおわかりいただけたと思います。
 話の中に数字を入れましたので正確には受け取りにくい点があったかもしれませんが、事ほどさように林業というのが、言葉にずっと書き並べてあるのを一読するよりも、実際上の林業というのはほとんど計算に乗らない、これをやれといったってやる人間がおるものかというのが今の現状であります。
 ということの理由の一つは、途中で、昭和三十八年から外材が自由化されて、たまたまそのころに林業基本法もでき上がったわけですけれども、だんだん外材が材として港に着くものですから、買い手はそれを利用しながらどんどん林産活動を、製材その他の活動をやる、その方が便利だと。私どもの近くの山で伐出して製材所に持っていくだけの経費よりも割安で、アメリカやカナダや、あるいはちょうどそのころは南方材が主流でしたけれども、どんどん入ってきたという歴史をたどっております。
 そして、そのことは何を言われるかといえば、日本という国は、ほかの仕事でどんどん稼いで、金さえ出せばどこの木もどんどん切って世界じゅうの山を荒らす元凶だと、ろくなことは言われぬ。そして、そのことが林家のために若干でもプラスになるかといえば、逆に材価をどんどん低落させるということで、林家も悪口を言われる。そして、日本全体として、日本人というのはもう金さえ出せばどんどん世界じゅうに罪をばらまくと言われる。その原因であることを、お互い絶えずそのことに関係のある立場の人はしょっちゅう悪口を言われている。おれたちは悪いことはしていないはずなのにということは多かったと思うんです。
 経過が長くなりましたけれども、事ほどさような状況の中で今日を迎えておりますから、今何をもって私どもはこのことをもとに戻す、若干でももとに戻していけるかという方策として物を考えなければならないなというぐあいに考えるわけであります。
 少し話が長くなりましたが、そこで、今度の改正のポイントを一体どこに置くのかということについては、林野庁長官から細部の説明を一通り聞かせていただければありがたいなと思うんです。
 その前にもう一つ加えるならば、現在日本じゅうで使う年間の木材使用量の八割は外材です。二割しか国内材は使っていない。ところが、材はないのかといえば、今の木材の成長は、年間の成長量だけ切れば、自給率は五割ぐらいになるはずです。したがって、そのたまる部分というのが、蓄積がどんどんふえるかといえば、木がうまく売れないものだから、手入れ不足のために間伐が進まないという悪循環の中にあるという、そういう相関関係を含めながら、林野庁長官も水産庁長官から移られたばかりですけれども、この前来お話をしてみますと、極めて的確にこれらの状況は承知しておられましたので、このことについて長官からお答えをいただきたい。
#21
○政府参考人(中須勇雄君) ただいまのお話に関連いたしまして、林業基本法の……
#22
○委員長(太田豊秋君) 長官、どうぞお座りのままで結構でございます。
#23
○政府参考人(中須勇雄君) 今回の林業基本法の改正のポイントにつきましては、大臣から御説明を基本的な点について申し上げたわけでございますが、何よりもまず森林・林業行政の最大の重点というものを、森林の有する多面的機能を持続的に発揮していく、この点にやはり置くべきであると。そして、それと同時に、その森林の有する多面的機能を発揮していく上で林業というものが大変重要な役割を果たしている、この林業の健全な発展を図る、そのためにはまた、林産物の供給とか利用の促進を図らなければならない、これを政策の最大のポイントにして組み立てていくべきだと、こういうふうに宣言をするというか、その点が一番のポイントだろうと思います。
 そして、この考え方に立った上で、新しい基本法におきましては、森林・林業基本計画という制度を設けまして、ある程度長期にわたって、ただいま申しましたような基本的な考え方のもとに、我が国の森林あるいは林業の姿をどう考えていくか、そして、そのためにはそれぞれ関係者がどういう課題を持っているかということを明らかにした上で、具体的な施策の方向を明らかにする、それを検証しながら、大変厳しい状況にある我が国の森林・林業の将来を切り開いていこうと、こういうことであります。
 その際、施策につきましてはこの新しい基本法においても大きく三つに分けているわけでありますが、多面的機能を発揮するための森林の整備保全ということと、それから林業の健全な発展、そして林産物の供給、利用の促進と、こういうことを柱にして、それぞれ主要な施策を掲げると、こういうような形をとっているわけであります。
 先生からお話ございましたように、今我が国は大体一年間で木材の利用量というのは一億立方メートルをやや切る状態であります。そのうち八千万立方メートルが外国からの輸入材、二千万を今若干切っておりますが、千八百万から千九百万というものが国産の木材と、こういうことで、自給率でいえば二〇%を切っていると、こういう状態にあります。
 一方、戦後大変な今先生のお話にございました御努力の中で、大きな人工林というものが今育ってきているわけであります。ただ、まだ林齢でいえばいわゆる九齢級というんでしょうか、四十五年生以下のものがまだ八割を占めるというふうな状況でありまして、毎年約八千万立米の森林蓄積が増大しているというふうに言われておりますが、これはまだ蓄積途上でございまして、これを一挙に切るということにはなかなかできない、そういう状況にございまして、私ども、今の段階では間伐に力を入れていかなければならない。良好で多面的な機能を果たす森林を育成する上で間伐は欠かすことができないわけでありまして、そこに今政策の力点を置いてこれから進めてまいりたいと、こんなふうに思っているという状況でございます。
#24
○井上吉夫君 今の御説明のような問題の把握の仕方でよろしいと思いますが、問題は、そのことについて幾つかの問題がありますが、余り枝葉には入りません。
 ただ、従来から、戦後の造林では適正伐期齢級というのを大体杉が四十年から四十五年、ヒノキがそれにプラス五年ぐらいの四十五年ぐらいを適伐期というぐあいに言い続けてきて、大体、分収林とかなんとかいうものの契約年限も大体四十五年とか五十年、そこまででした。ところが、今そういう山を主伐しても、幾らか伐採費を出しても金は残りますが、後、山を造林して五、六年手入れをすればもう全部資金はなくなってしまうんですよ。だから、四十年生の山が五、六年たってみたら、ちょうど五年生の金にも全くならぬ山と入れかわるだけのことである、それほど厳しいという相対関係をお互いしっかりつかんでいれば、対策もそれに見合った形になっていく。
 その前に、適正伐期齢級等の樹齢をどういうぐあいに置きかえるかということについても、早急に私は、これから先、目標年次等を決めていく場合の基本になりますから、私なりの感覚でいえば、少なくとも十年ぐらい延ばした年限、五十年とかできれば六十年ぐらいを適当な主伐の伐期齢級とした方が、いろんな計画が全部整合性がとれるというぐあいに考えますので、これは検討してください。すぐの答えは要りませんから、しっかりと検討していただきたいと思うんです。
 それと同時に、基本法の検討の過程でいろいろ御議論になりました対策の中の、私は、一番林業そのものとかかわりのある、今これがそのまま完全に実行することが第一の、幾つかの項目の中で、必要だなと思うのは緊急間伐です。
 間伐の緊急対策を、これから、平成十二年から五年間で百五十万ヘクタール緊急間伐対策をやろうと計画を立てておられます。林野の計画を受けて、各県も各市町村もそれに向けて一生懸命頑張っているというのが私は実情だと思います。成績のいいところもあれば、余り芳しくないところもある。その中で、やっぱり成績の上がっているところは、国や県の補助に上乗せの補助金を当該市町村が見ているところは成績がかなり上がっています。そのことをどういうぐあいに、国、県の経費のほかに市町村にもお願いするかということは、かなり大きな政治的課題として、これは長官だけでなくて武部大臣も、いい事例を全国調べ上げて、そしていろんなところへ知らせることによって、みんな、やっぱりこれはいいな、上乗せが必要だなということが相当大きく波及して成績が、この百五十万ヘクタールの緊急間伐が間違いなく成功すれば後の仕事にもずっと影響していくと思いますので、このことについて御所見もいただきたいんです。
 ちなみに、私の町の出水市は、ヘクタール四万円、何か補助の上乗せをやっているものですから、山主の持ち出し分というのがほとんどなしで間伐ができるという状況になっているものですから、間伐がある程度進んでいるという事例の一つとして参考にしていただきたいと思いますが、そういう取り組みについてどういうぐあいにやったらいいかなという構想があれば、長官からこれもお答えいただきたい。
#25
○政府参考人(中須勇雄君) ただいま御指摘ございましたとおり、間伐対策がおくれているということで、緊急にこれに取り組まなければならないということで、昨年度から五カ年計画で緊急間伐五カ年計画を進めているところであります。
 この中におきましては、具体的に市町村と森林所有者の間で協定を結んでいただいて、できるだけ団地化して、団地的な施業によって間伐を進めていく。そういう場合には、先ほどもお話も若干出ましたが、九齢級の木まで間伐をするのをその助成対象にしましょうと、こういうようなことで、その場合に高い助成水準を適用する、実質的な補助水準を七二%まで引き上げる、そういうようなことを通じてこれに取り組んでいる、こういうことが第一点目でございます。
 それから、この緊急間伐というのは、単に木を切るということにとどまらずに、その切った木をどういうふうに利用をしていくのか、あるいは間伐実施に必要な林道とか作業道をどう計画的に整備を進めていくのか、あるいは機械を導入していくのか、そういう総合的な対策として取り組まなければならないということで、それらを総合対策として組み上げて今年度の予算で申し上げまして、五百億円の予算を計上して総合対策として取り組んでいる、こういうことでございます。十二年度の実績は約三十万ヘクタール、これは百五十万ヘクタールの五分の一ということで達成ができたというふうに考えております。今年度、今、各県と今年度の目標について話し合いというか協議を進めているところであります。
 ところで、そういう一環として、今お話が出ましたように、県とか市町村がそれぞれ独自の立場で、ただいま申しました国、県の助成という基本に上乗せの助成をする、あるいは間伐材を利用していくという面で独自の助成措置を講ずる、こういうような例が幾つかございます。
 私どもの大臣の地元の北海道でいえば、間伐に際して市町村が一定額を補助する場合に、道がさらにその二分の一を補助するということで、実質補助率をさらに上げていくというふうなことに取り組んでおられますし、鹿児島県でいいますと、ちょっと今私の持っている資料に出水のお話は出ておりませんが、財部等でもやっぱり反当たり四万円、五万円というような形で上乗せの助成を行う、こういう市町村が、そのほか広島とか福岡、岡山、高知等でも取り組まれている。そういうふうな形で、やっぱり各地域の実情に応じて、そういう県、市町村の上乗せ助成等が行われることが全体をスムーズに動かす上で大変大きな力になっている、こういうふうに思っております。
 なお、これに関しましては、林野庁と総務省、国土交通省との連携によります、御承知の森林・山村対策ということで、間伐の推進等について地方財源措置が講じられているわけでありまして、そういうものの活用を図るということを含めて、こういった各地域での取り組みを私どももできる限り集めて、またそれを各地方に発信をしていく。そしてまた、先ほど申しました地方財源措置の活用を図る、そういうことを含めて努力をしていきたい、こういうふうに考えております。
#26
○井上吉夫君 それと同時に、うまくそれが使われるということが非常に大事です。
 私の県でもそうですが、幾つかの県でよくやってくれると思うんですが、県の土木あたりが非常に力を入れて、河川ののり面の工事だとか、あるいは道路ののりだとかにどんどん使ってくれているのが、私のところでは、周辺の森林組合と一緒になって間伐材を全部私のところで集めてリースでやっているんですが、鹿児島県では三カ所それをリース事業を通じてやらせています。これは丸棒加工工場という、丸棒をつくって、それでいろんな使い方もやっています。
 だから、どんどん心配なく処理ができますと、この事業というのは林家にとってもプラスならば、県の土木行政の点でも非常にプラス、森林組合もこれで事業が安定するということで、これまた林家自体が力を入れてやってもらっているものの一環ですが、ぜひ今申し上げましたようなことをさらに拡張しながらやってください。
 同時に、林業全体に言えることでありますが、間伐材だけでなくて小径木であれ何であれ、木材産業の振興というのに非常に大きな項目を置いて推進しようとしておられる。これは、木が売れれば山も潤う、全く相互の連携関係にありますから、売り手と買い手というわけじゃないので、このことに大きく項目を立てておられることを評価したいと思います。さらに、そういうものも組み合わせてぜひやってください。
 あとは、今度は仕事をやる労務体制であります。
 残念ながら、全国の森林組合というのはほとんど大部分が弱小森林組合でありますから、年金を含める雇用体制というものがまだなかなかに整っておりません。この後心配なのは、やっぱりこの仕事を続けてくれる人間を確保するという、人間の問題というのが極めて大きな項目になっていきますので、そのことについては雇用体制を年金その他を含めてしっかりと打ち立てていただきたい。
 同時に、現代で山の管理等をやる能力のある、意欲のあるところは何かといえば公社公団です。もう個人ではほとんど手をつける人はおりません。したがって、公社公団が計画している事業というものの実際上の引受手は森林組合であり、森林組合と協調関係をとっている素材のグループ、そういうものが全部賄ってくれているというのが現況でありますから、この機会に私は、公社公団がやっている事業というものについてはそういう位置づけをしっかりと把握しながら、緑資源公団や林業公社の役割というのを正当に評価しながらやっていただきたいし、林業労働者の確保についても今申し上げましたようなことでぜひお願いをしたいと思います。
 最後に、大臣に特にお願いを申し上げますが、私はこの国会開会中に、ちょっとの時間でしたけれども神奈川県に参りました。そして、神奈川県が、必ずしも林業県の先進県ではありませんけれども、水源林の造成等について非常に県を挙げて県費を、あるいは横浜にありますいろんな企業あたりから募金を求めたりしながら、できるだけ多くの人たちが山の評価を高めて、そしてこのことで山の大事さというのをさらに伸ばしていこうではないかということと取り組んでおられました。
 必ずしも神奈川だけではないかとも思いますが、今申し上げましたような事例は、途中で私が意見として申し上げたように、できるだけいい事例はこれから先、全国に広げてこれを推進するということをぜひお願いしたい。したがって、国民の理解と協力を得るということについての大臣の所信を、神奈川には行かれたかどうかわかりませんけれども、今申し上げましたようなことで、このことは税制その他これから先検討しなければならぬことがたくさんありますが、そういうものと結んでいきます。
 御意見をお伺いして、質問を終わります。
#27
○国務大臣(武部勤君) 井上先生からさまざまな観点から御指導をいただきまして、拳々服膺しながら今後しっかり対応してまいりたいと思います。
 また、今先生から森林の公益的機能の発揮に向けて森林の整備、保全の事業を推進するとともに、ボランティア活動や水源の森づくり等の取り組みを国民の理解のもとに強力に推進すべきだ、こういうようなお話がございました。
 林政改革大綱におきましても、先生御案内のとおり、環境税や地方公共団体における法定外目的税に関する検討状況や過去の経緯を踏まえた森林の公益的機能について国民の理解を得つつ、その発揮のための社会的コスト、この負担のあり方等について検討を行うということになっているわけでございます。このようなことから、昨年の十一月に森林整備に関する新たな国民支援の推進手法に関する研究会というものを林野庁に立ち上げまして、幅広い観点から森林整備のための新たな推進方策や社会的コストの負担のあり方について研究、検討を行っているところでございます。
 森林というものは、これはもう国民のかけがえのない資産であります。さような意味で、国民の合意のもとに今後森林・林業基本法の制定に基づきまして、この推進に財源の問題も含めて真剣に取り組んでまいりたい、かように存じます。
#28
○井上吉夫君 ありがとうございました。
#29
○森下博之君 自由民主党の森下博之でございます。
 今国会は大きな法律案がメジロ押しでございましたし、総仕上げの林業基本法までやっとたどり着いた感があるわけであります。私は、この議席をいただきまして三年になるわけでありますが、ずっと農林水産委員会に籍を置かせていただきました。一年目には食料・農業・農村基本法について、また先日は水産基本法について質問をさせていただきました。そして、きょうは基本法のフィナーレを飾るにふさわしい森林・林業基本法について質問をさせていただくわけであります。
 我が国は、御案内のように、国土の七割が森林で占められておりますし、世界有数の森林国と言ってもいいと思うわけであります。私の地元高知県も森林率が八四%という全国屈指の森林県であるわけであります。そこで私は、このような世界に誇る森林資源をいかに保全していくか、またそのために林業をいかに振興させていくか、そういった観点から質問をさせていただきたいと思います。
 まず、林業の基本政策の見直しについてであります。
 現行基本法は三十九年に制定をされたわけであります。制定時には七割あった木材の自給率というものが二割を切ってしまうという状況の中で、林業あるいは林業経営をめぐる情勢は悪化の一途をたどっておるわけであります。
 私は、林業がこのような厳しい現実に立ち至った最大の要因は何かということになりますと、やはり安い外材がどんどん輸入された、それに国産材が太刀打ちをすることができなかった、このことを挙げざるを得ないと思うわけであります。外材の輸入は、木材の需要が拡大をしている時期に不足分を補うということで自由化がされたと聞いておるわけであります。しかし、この木材の需要は、四十年代後半まで拡大を続けましたものの、それ以降は減少傾向になりまして、国産材の供給量は減少を続けておるわけであります。
 こうして見ますと、木材の完全自由化については私は見通しが甘かったのではないか、あるいは政策判断の時点で油断があったのではないかと考えざるを得ないわけであります。木材の自給率が二割を割り込むに至った現状において、今さら入ってきたものを突っ返すわけにもまいりませんし、日本の林業を壊滅させることは断じてできないわけであります。
 私は、政策の誤りを率直に認めて、済んだことはともかくとしまして、今後は我が国の森林・林業の再生の道を大胆かつ強力に推進していかなくてはならないと思うわけであります。
 まず、大臣の御見解を承ります。
#30
○国務大臣(武部勤君) 先ほども井上先生の御質問でお答えいたしましたが、戦後の社会の復興の過程で旺盛な木材需要というものがあったがゆえに、それとともに日本の林業は発展してきた、かように思います。しかし、国内需要にこたえるためにはどうしても木材貿易の自由化というものが、同時に為替相場というものも影響いたしまして、日本における厳しい林業の現状という要因になっている、かように理解しております。
 このような森林・林業の状況を打破して森林・林業の再生を図っていくためにはどうしていくかということについては、木材生産を主体としてきた政策から、森林の多面的機能の持続的発揮を図ることを目的とした政策転換が迫られるということで、今回の新法におきましても、森林の多面的機能の発揮と同時に、林業の持続的かつ健全な発展と林産物の利用の促進ということを基本理念として政策の再構築を図ることにした次第でございます。
 同時に、井上先生の御指摘のように、一千万ヘクタールの人工林という蓄積もございます。当面はそういう形で国民の理解と協力を求めつつ、次なる時代に向けてまた展望を開いていきたい、かように存じます。
#31
○森下博之君 今、大臣の御答弁の中にもございましたように、この新たな基本法におきましては、森林の有する多面的機能の発揮を最も重要な理念として位置づけておられます。また、その機能を発揮するためには、森林の適正な整備及び保全が当然のことながら図られなくてはならないわけであります。しかし、林業、木材産業の停滞の中で、森林所有者自体の自助努力だけではもう管理が難しいという森林もふえておるわけであります。
 こうした森林につきましては、国民の理解を得ることによりましてやっぱり公的に整備をしていかなくてはならないと思いますし、こうした森林の整備というのは、当然のことながら財源を確保する必要があるわけであります。とりわけ、地域の事情を理解いたしております市町村がこうした役割を当然のことながら果たしていただきたいわけでありますが、地方も御案内のとおり財政が非常に逼迫をいたしております。国もまた決して財政事情、よくないわけであります。
 私の地元の話で恐縮でございますが、高知県におきましては水源税というものを導入してはどうかとか、あるいは森林交付税、あるいは環境税構想、いろいろあるわけでありますが、この名称はともかくといたしまして、やっぱり財源確保なしには森林の整備はできないわけでありますので、私は、この際、国民の理解を得る方法を模索しながら、新しい森林整備のための新税の創設がどうしても必要ではないかというふうに思うわけでありますが、この点についてお伺いをいたします。
#32
○国務大臣(武部勤君) このたびの経済財政諮問会議における骨太の方針の中でも私ども苦労しましたのは、いわゆるヒューマンセキュリティーということをしっかり明記すべきだ、こういうことで努力いたしました。これはもう先生御案内のとおり、防災あるいは水資源の涵養、食料の確保、環境、こういったことでありまして、こういったことを内閣においてきちっと明確にその重要性というものを重点項目の中に位置づけるかどうかということがまず第一に必要だろう、かように思います。
 同時に、その上に立って、やはり今お話しありましたように、この森林の整備ということについては、今お話し申し上げましたように、森林の公益的な機能の発揮ということがこれはすべての国民にとって重要なんだ、自分の命を守るにも等しい大事な問題なんだと、そういう理解と協力というものが得られなければならない、かように思います。
 その上に立って、環境税の問題でありますとか、先ほど井上先生のお話もございましたように、神奈川県の例などにもありますように、公益的機能の発揮のための社会的コスト負担のあり方ということについて、我々は、森林整備に必要な財源確保という観点からも真剣に検討していく必要がある、かように考えております。
 ただ、まだ小泉内閣においては増税ということについては否定的というふうに聞いておりますが、今後、特に山元ですね、つまり、地方自治体などが非常に重要な役割を担っていくことになるんだろうと思うんです。そういう意味では、今議論があります地方財源の問題をどうするかということも含めまして、私ども、山を守る、緑を豊かにしていくというような観点から、森林整備に必要な財源の確保ということについては極めて重要な問題として取り組んでまいりたいと存じます。
#33
○森下博之君 大臣から御答弁をいただいたわけでありますが、こだわるようでございますが、やはり私は、今の時点で国からの財源の手当てなくして山は守れないと思うわけであります。せっかくこの立派な基本法ができたといたしましても、きちっとした財源の裏づけがない限り、私は仏つくって魂入れずという結果になったら大変だと思うわけであります。どうか大臣、ひとつよろしくお願いを申し上げる次第でございます。
 次に、国有林の役割についてお伺いをいたします。
 我が国の森林面積の約三割を国有林は有しておると聞いておるわけでありますが、国有林の地域は特に水源地域に非常に多く分布をしておるというふうにも聞くわけであります。したがいまして、この国有林の公益的な機能が十分発揮されるということが当然求められるわけであります。しかし、近年におきましては、公益的な機能の維持確保が果たして十分であろうか、また民有林との連携というのはうまくいっているだろうかということも私も一つの疑問点として思うわけであります。
 御案内のように、国有林野事業につきましては、多額の債務処理のために平成十年に抜本的な改革が行われたところであります。それに沿って効率的な運営をされておろうと思うわけであります。新しい基本法におきましては、第五条において国有林野の管理などについての規定もあるわけであります。
 こうした状況の中で、多面的な機能を発揮するための十分な管理をいかにしていくか、また民有林との連携をどう保っていくかということが大切な論点であろうと思うわけでありますが、ひとつお答えを賜りたいと思います。
#34
○政府参考人(中須勇雄君) ただいまお話しのとおり、国有林野事業につきましては、平成十年の抜本改革におきまして、いわゆる管理経営方針を公益的機能の維持増進を旨とするということに大きく転換をいたしました。
 具体的な施業の内容ということにつきましても、いわゆる公益林を五割から八割に拡大をする、こういうことにいたしましたし、公益的機能の維持増進を図るために、複層林の施業あるいは長伐期施業あるいは間伐の適切な実施等、森林の多面的機能の発揮のための森林整備に努めているところであります。
 国有林は、ただいま御指摘のとおりに、山奥というか脊梁山脈を中心とした、やっぱり我が国にとって水資源の涵養あるいは国土の保全等にとって大変重要な地域であります。そういった意味において、確かに多額の債務を抱えるという中でいろいろ制約はあるわけでありますが、その公益的機能を十全に発揮できるように引き続き努力をしていきたいというふうに考えております。
 それと同時に、もう一点御指摘がございました民有林との連携の問題につきましては、特に平成三年からいわゆる森林の流域管理システムということで、流域ごとに国有林、民有林一体として林業振興、地域全体として林業、木材産業の振興を図っていく、こういう考え方を導入したわけであります。もちろん、各地域ごとにいろいろ差はございまして、進んでいるところ、まだ十分でないところございます。そういう点におきまして、我々また引き続き努力を重ねていきたいというふうに思っております。
 例えば、高知につきましては、いわゆる安芸の流域におきまして、ここでは全国でも割に先進的な試みとして民有林、国有林をあわせた協同施業団地をつくる、そのために県、森林管理局、それから活性化センターとの間で覚書を締結いたしまして、この覚書に基づいて、入り組んだ民有林、国有林を一体として間伐等の作業を行う、あるいは林道、作業道等の路網を整備する、そういうことに現在取り組んでいるわけであります。
 こういった事例も、さらに普及をしていくということを含めまして、国有林、民有林一体として、そこでつくられる森林の整備と木材の国内での活用ということに取り組んでまいりたいというふうに考えております。
#35
○森下博之君 次に、木材の自給率の設定ということについてお伺いいたしますが、昭和三十年代の前半には自給率は九割を超えたと言われておるわけでありまして、非常に短期間で二割を割り込む状況にもなったとも承っております。井上先生のお話にもございましたように、我が国の森林の蓄積というものは木材需要の七割程度を十分供給できる状態にあると聞いておるわけであります。現実は世界有数の木材の輸入国の立場もあるわけであります。
 私は、この新しい基本法に基づきまして、森林・林業基本計画の中で木材自給率というのを定めるということは意義あることではないかと思うわけでありますが、その点についてのお考えを承りたいと思います。
#36
○政府参考人(中須勇雄君) 新しい森林・林業基本法の中におきましては、ただいま御指摘のとおり、森林・林業基本計画というものを定めることとしております。
 この中で、私どもとしては、先ほど来お話が出ておりますように、森林が多面的な機能を十全に発揮する、そういう体制をつくることが重要だという観点に立ちつつ、それを実現する上でも、当然林業ということが不可欠なわけでありまして、一定の林業活動に伴って木材が生産をされてくる、これを国内でしっかりと使っていくという方途を立てる、これがまず基本的な考え方として重要ではないか、こういうふうに思っているわけでございます。
 そういう意味におきまして、新しい森林・林業基本計画の中におきましては、関係者が取り組むべき課題を明らかにした上で、林業等の事業活動の、あるいは木材の消費の指針として国産材利用の数値そのものを基本的な数値として掲げて、林産物の利用、供給の目標として掲げたいというふうに思っているわけであります。
 ただ、その場合、ただいま先生御指摘がございました自給率という話につきましては、これは昨年十月の林政審議会の報告にも触れられているわけでありますが、いわゆる食料のような場合と異なりまして、木材の場合には景気動向等によって国内での消費量がかなり大きく変動いたします。そうすると、国産材供給量の動向にかかわらず、いわゆる率でいえばかなりの変動がある、上下をするということがあるわけであります。
 いわゆる目標として掲げる数値としては、やはり絶対量として国内でどういう木材が、どれだけの木材が供給されるかということを明らかにするということにして、しかし他方で、木材の総需要量等についても見通しを行うわけでありますので、これはその絶対量とあわせて、当然自給率についても数字でこういう基本計画の中で示していく。そのことによって、全体の需給の中において国産材が将来の一定の時期においてどのような位置を占めることになるのか、そういう姿もあわせて明らかにしていく、こういうような方向で取り組んでいきたいというふうに考えております。
#37
○森下博之君 長官、よろしくお願いを申し上げます。
 次に、木材の輸入の制限の問題についてお伺いしたいわけでありますが、安い輸入材の中には違法な伐採が少なくないと承っておるところであります。この違法伐採という問題は、井上先生もお話しございましたが、輸出国のみならず、我が国、輸入国双方に当然のことながら悪い影響を与えるわけであります。昨年の七月の九州・沖縄サミットにおきまして、この問題も取り上げられて、違法伐採の問題について最善の方法を検討すべきだということが合意されたと承っております。
 適法に伐採をされたものについては、その輸出国から一定の証明といいますか、そういうものを出さすことによりまして、反対にこの証明のないものについては輸入をしない、そういうきちっとした私は方針をとることも一つの道ではないかと思うわけであります。
 今後、本問題につきましては、WTOの交渉の場等において、私は、最大の輸入国である日本の立場というのを積極的に主張する必要があろうかと思うわけであります。その点の大臣の御所見を承りたいと思います。
#38
○国務大臣(武部勤君) 違法伐採問題への対応につきましては、昨年の沖縄で開催されましたG8首脳会合におきまして、違法伐採に対処する最善の方法についても検討する旨合意され、コミュニケが公表されたところでございます。
 木材輸入国である我が国としては、違法に伐採された木材は使用すべきでないとの考え方に基づきまして、違法伐採を撲滅する方策について関係省庁と共同して現在検討しているところでございます。特に、地球温暖化あるいは砂漠化という問題からいたしましても、今後立ち上げの予想されるWTO交渉におきましても、違法伐採された木材の輸入について、これを抑制するための貿易ルールの重要性ということを我が国として主張するとともに、現在のWTOのルールのもとで許容される違法伐採木材の貿易上の制限の可能性ということについても検討してまいりたいと思います。
#39
○森下博之君 最後に、大臣に森林整備に対する決意をお伺いして終わりたいと思うわけであります。
 私は今、林業基本法について何点か質問をさせていただきました。我々の先人は森林、山でいろんな多くの恵みを享受しながら今日まで生き、森とまさに共生をしてきたわけであろうと思うわけであります。森林の保全整備ということは、まさに国づくりの基礎であろうと思うわけであります。大臣の森林整備に対する決意を最後にお伺いいたしまして、質問を終わります。
#40
○国務大臣(武部勤君) 私ども、論議を呼びました農林水産業の構造改革に係る私案の中にも、食料の安定供給と美しい国づくりという表題にいたしまして、人と自然の共生社会の実現の担い手として農林水産省は力を発揮していくんだと、こういう目標を示したわけでございます。
 ただいまも申し上げましたように、本当に深刻に現在の地球環境の悪化ということを考えていかなければならないと思います。ちょうど日本の耕地面積にも匹敵する五百万ヘクタールという広大な砂漠化が毎年毎年続いているわけです。二十一世紀は水の世紀とも言われておりまして、そのことを思うと、水資源の涵養、大気の浄化、さまざまな公益的な機能を持つ森林の整備ということは、まさに私は国づくりのみならず人づくり、かように思います。そして、人づくり、国づくりという基礎は、農業でいえば土づくりだと、かように思います。
 したがいまして、森林整備ということで考えれば、森づくり、人づくり、国づくり、こういうことを一貫して我々の重要な課題としてとらえて、これを国民の皆さん方の理解と協力、合意のもとに進めていくということが非常に大事だと、かように考えておりまして、おいしい水、きれいな空気、美しい自然の姿を提供するなど、国民生活の安定、さらには循環型社会の形成に欠くことのできない森づくりは国づくりだという、そういう考え方に基づいて、今般、林業基本法を改正し、林政を抜本的に見直して、森林の有する多面的機能の持続的発揮を重点とした森林整備を推進していくことといたしたいと存じます。
 今後は、新しい基本法のもとで、森林の有する多面的機能が高度に発揮されますように各般の施策を展開してまいりたい、かように存じておりますので、ぜひ御協力のほどをお願いいたしたいと存じます。
#41
○森下博之君 終わります。
#42
○郡司彰君 民主党・新緑風会の郡司でございます。
 まず大臣に、昨日明らかになりました諮問会議の内容、その中で、大臣がこれまで口にされておりました都市と地方の対流でありますとか、いろんな思いが大臣の努力によって随分盛り込まれたというようなことを聞いておりまして、敬意を表したいというふうに思っております。
 それから、本日、法案の審議に先立ちまして、競馬産業を取り巻く状況についてまず冒頭質問をさせていただきたいというふうに思っております。
 御存じのように、昨今、中央競馬の方の関係につきましては、馬もそうでありますし、騎手の皆さんも大変スター的なものが出てまいりまして、一般のスポーツ紙などでも相当紙面を割いている。昔から、ハイセイコーのように、亡くなった後、歌に歌われるようなところもあったわけでありますから、非常に国民の間に競馬産業が定着をしてきているんだなというような感じを受けておりました。
 しかし、これは御存じのように競馬そのものが中央と地方の二本立てになっているわけでありまして、特に地方の競馬に関する現状というものはなかなか厳しいものがある、そういう認識をしておりますけれども、まず、地方競馬を中心とした産業の育成あるいはその振興についてどのようなお考えをお持ちなのか、お聞きをしたいと思います。
#43
○政府参考人(小林芳雄君) 今御指摘ございましたように、地方競馬の状況はなかなか厳しい状況でございます。公営競技全体に通ずる問題でございますけれども、最近の景気低迷等がございまして、売り上げが平成三年をピークにしましてずっと下がってきているという状況でございます。そういった中で、地方競馬、これは地方自治体のいろいろな財政にも資するものでございまして、そういう意味から、これをどうやって活動を活発化させるかということで幾つかの工夫はしてきておるわけでございます。
 例えば、地方競馬の開催者同士の工夫といたしまして、ブロック化していろいろな開催を進めていくとか、それから馬券の相互発売、こういったことがございますし、また中央競馬と地方競馬との間でも、競争の交流等を通じまして、そしてトータルとして振興といいますか売り上げ増なんかに結びつけていきたいと、こういった工夫は重ねてきておるところでございます。
 ただ、引き続き非常に、レジャー全体についての多様化等もございまして、各主催者ごとの状況は厳しい状況が続いているというふうに認識しておるところでございます。
#44
○郡司彰君 今、局長の方から、いろんな意味でのネットワーク化が図られてきていると、そういうようなことがございましたけれども、具体的にどのような地域で、幾つぐらいの事例で、効果のほどは上がっておりましたでしょうか。
#45
○政府参考人(小林芳雄君) 例えば、今申し上げましたブロック化ということでいきますと、南関東の各主体がレースをやっていくとか、それから九州の方でも九州競馬という形で、昨年でございますけれども、三つの主体が一緒になってやっていくというようなことで、そのときに、例えて言いますれば、売り上げなんかはその日ごとに見ていくと伸びるとか、そういった効果は出ておるわけでございます。
 ただ、全体としての傾向といいますれば、総額ベースといいますか、全体の収益というのはどうしても低減傾向にございまして、厳しい状況が続いている、そういった状況でございます。
#46
○郡司彰君 今、南関東あるいは九州ということの話がありましたが、具体的に赤字経営が続く中で廃場というようなことが取りざたをされてきております。九州のネットワークの中にもかかっていたかと思いますが、大分県の中津という競馬場が廃場というような動きをしているということになっておりますが、これまで地元の市長さんとの話し合い等含めましてつかんでいる経過について、おわかりになるところをお話しいただけますか。
#47
○政府参考人(小林芳雄君) 中津競馬を含めましての北九州の方の三つの競馬がございますけれども、昨年、一体となって、今のブロック化というようなことを通じて、全体として売り上げ増というような努力をされてきておりますが、ことしの二月だったと思いますけれども、その中で中津競馬につきましては、非常に財政収支が悪化しているというようなこともございまして、それで今年度、具体的には六月からでございますけれども廃場すると、そういった方針が施行主体から、施行主体の責任者は市長さんですけれども、そういった方針が出されました。その後、競馬施行上のいろんな課題があって自主的に四月以降施行がされておらず、また六月からは廃場になったと、そういった経過でございます。
#48
○郡司彰君 廃場ということがなくて本来はその振興という形でもって売り上げがふえるというようなことがあればまたよろしいのかもしれませんが、現下の状況の中でなかなかそうもいかないという事情もあるんだろうと思います。
 これまで幾つかのやむなく廃場に立ち至ったというケースがあるかと思いますが、そのようなケースの場合には、どのぐらいの時間をかけて話し合いが行われて、あるいはそこに関係する人たちの補償という問題についてどういう結果になったか、お知らせいただけますか。
#49
○政府参考人(小林芳雄君) 私ども承知しているちょっと概略で申し上げますと、近年といいますか、地方競馬が廃止されましたのは、昭和四十九年、大阪府の春木競馬場がございました。また、昭和六十三年に和歌山の紀三井寺競馬場。こういった二つのケースがございますが、いずれも調整といいますか、関係者の皆さんとの調整がされ、その結果、補償というよりも見舞金というような形だと思いますけれども、そういった形でのいろいろな調整がなされて撤退がされていると。具体的にどのくらいの時間をかけてというのはちょっと承知しておりませんけれども、そういった経過を踏んで撤退がされていると、それが今までの状況でございます。
#50
○郡司彰君 私どもがお聞きをしているところでは、おおよそ約二年ぐらいかけているというようなことがございましたし、見舞金という名目ということになるのかもしれませんが、補償の問題についても一定程度相互での理解が得られるような形をとってきたというふうにも聞いております。
 今回の場合は、二月のたしか九日だったでしょうか、農水省の方に市長さんがおいでになった。それで、そういうようなことも考えているというような話がなされ、農水省さんの方では今後いろいろ関係者の間で話をされるのかなというふうに理解をしていたかと思うんですが、現実問題は、当日、市長さんの方から廃場というような記者会見がなされた。現地のそれぞれの関係者の方々は寝耳に水というような形の中で現在まで推移をしておりまして、例えば六月三日の開催についてもというような話があったのでありますけれども、映像関係その他のところからこれはもう難しいというような話の中で、レースそのものも取りやめになった。これは主催者の関係ももちろんあるわけでありますし、そこに働く人たちの問題もありますが、このレジャー産業はいわばファンがあってということもあるわけであります。
 こういうような形でもって一方的に中止に立ち至ったということについて、農水省としてのお考えがあればお聞かせをいただきたいと思います。
#51
○政府参考人(小林芳雄君) 個別のケースにつきましての評価ということにつきましては、ちょっと私ども差し控えさせていただきたいと思いますけれども、ただ、先ほど申しましたように、今までの二つの例というようなことを考えることと、それから、いずれにしましてもその地域のいろいろなレジャーあるいは馬を含めた畜産振興さらにはその地方の財政収入、いろいろな効果をねらっている事業でございますから、そういうものが円滑に行われ、またそれをこういうふうに廃止とかそういった一つの展開をされるときには、やはり関係の皆さんとの間でうまく調整されながら進められていくことが望ましいのではないか、これは一般論でございますけれども、そういった認識を持っております。
#52
○郡司彰君 一般論として今のような形をされることが望ましいというようなことでございますが、もう少し詳しく申し上げますと、この中津の場合には相当程度無理があるような進め方がされているのではないかという感じがしております。
 三十一年に開催者が市の方に実質的に移管をされたわけであります。以降、四十五、六年の間に市の方に納入されたのが約四十九億円、今現在赤字の累積が二十一億円ぐらいという数字で言われております。いろいろ土地やその他を売却するとおおよそ二十一億円になるのではないかというような数字のもとで廃場ということになっているわけでありますが、もともと、先ほど言いましたように、中央と地方の競馬というもののあり方というものが、例えば中央が日の当たるような形で行われている、そこで若干力の弱いといいますか、けがをしたりということになった場合の馬の行き先というものはいろいろあるわけでありますけれども、地方の方でそういったものをやってきたような経過ももちろんあったろうと思うんです。もともと二本立てというような中でのひずみというものが根底にはあるのではないかというような感じもしております。
 それから、この中津に限って言いますと、ほかのところと違って、かなり県の方も関知をしていないというようなことの言い方をしておりました。しかし、よく調べてみると、県の方にも毎年五千万納入をしているというようなこともありまして、これは県の姿勢もいただけないなということでありますから、この辺のところについてもまた話し合いをしていかなければいけないなというような感じもしておりますが、いずれにしましても、直接かかわりのある方と管理責任者であります市長がなかなか意見を交わすような機会がないままに来ている。しかも、流れからいきますと、あす六月二十二日に最終的な決定を下そうかというような時期にもなっているそうでありまして、これまで数少ないそうした機会の中で、市長の方の発言がどうも関係者にとって神経を逆なでするようなことが続いてきたんじゃないかというふうに思っております。
 例えば、局長の方でお耳にしているかどうかわかりませんが、私の方は農水省からもうつぶすということで言われているんだとか、あるいは生活の保障がもう打ち切られているわけでありますから、その者の面倒を何とかしてくれという話をした場合に、再就職の話をした場合に、市役所の一階には生活保護の窓口があるんだからそこへ行ってやれ、あなたたちのような人たちはこれは建設作業場かそういうところに行くのがいいんじゃないかとか、そういうような発言までしているということなんですね。
 これは、行政が、どこが認可をするとか何かという責任の問題だけではなくて、ここに働く人たちというのは、ややもすると親の代から、あるいは自分たちもほかの職業ということを余り考えずにそこだけでやってきた人が本当に多い。年金の問題も含めて、社会保険の問題も非常に不安定なままで来ているし、雇用関係も、御存じのことでありますけれども、騎手の方と例えば厩務員の方が雇用関係を結んでいる、それから馬主の方と騎手の方が結ぶとか、いろいろ複雑な中での関係が成り立ってきているわけであります。そういう中で、関連、すそ野の方々を入れますと、この中津の人口の中に占める割合というものも一概に小さいとは言い切れないような部分がある。
 こういう問題が起こっているということを農水省の方も把握をしているわけでありますから、何がしか、先ほど局長が言われた、一般的にはやっぱりこういうふうな形が望ましい、あるべきであろうというようなことについて、もう少し助言なり指導なり、地元の方々がこれまで頭の中では、やっぱり農水省の競馬監督課、私たちはその中で仕事をしているんだという認識がありましたけれども、何かしら農水省として助言なり指導なりということをお考えいただけませんでしょうか。
#53
○政府参考人(小林芳雄君) まず、今先生の方からお話しありました中で、最初の中央、地方のいわば二本立ての仕組みがどうかと、そういう御指摘もございました。それぞれ、国がいわば収益等について管理しながらやっていく、あるいは地方がやっていくという、そういった仕組み上の差もございますし、またいろんなその淵源的な経緯もございます。かつてはむしろ地方の方が非常に収益が上がったというようなこともございまして、そういう中で私ども、先ほどもちょっと申し上げました中央と地方の交流とか、そういったいろいろな面での工夫は重ねていきたいというふうに考えております。
 それから、今お話しございました中津についての今のいろんな状況、私どももまさに関係の皆さんが非常に厳しい環境の中で苦労されているということについての認識は十分持っておりますが、行政同士、国と地方公共団体という意味で、そういった行政機関同士のいろいろな調整といいますか指導監督という形になりますと、これは制度的な整理として言えば農林水産省としてのやはり限界があるわけでございまして、そういった意味では、やはりまずその地域の主体である市長さんが十分いろいろな判断でやっていく世界でありますからそういうことにならざるを得ないんですが、ただ、そういった制度的な整理は整理といたしまして、個別の具体的なお話として、例えば施行主体の方から何らかの具体的なお話があり、またそれが私どもの方の行政上そういうことに取り組んでいけるというような事柄でありますれば、またいろいろ御相談を受けていく、そういうことはやぶさかでないというふうに考えているところでございます。
#54
○郡司彰君 実は、個別のこの中津の問題も喫緊の課題でございますけれども、全体が、やはり競馬だけではなくて競輪も含めて、公益法人そのものが相当厳しい環境にあって、いろんなネットワークが今あるわけでありますから、全国の同じような立場の人たちがこの中津の問題がどのような形になるかというのを非常に注目をしているんですね。
 今後、同じような形のものが、例えば九州のネットワークの中で一つそこが抜けるということになれば、これまでやってきたネットワークそのものもどうなるかということもございましょうし、全国的にそのような問題を抱えている。例えば高知の廃場の問題も含めて、いろんなところ、札幌や何かも全部出てきているわけでありますから、そういうような形の中でこの中津というのを全国の方が注視をしている。そういう意味で改めてお願いをしたいと思います。
 大臣、一言ちょっとお尋ねをしたいと思いますが、北海道も例えば馬の産地として大変北海道の地場の産業の中でも一定の役割を示していると思うのであります。全国のこうした地方競馬そのものが衰退をし、ひいては北海道の特殊な産業といいますか、馬を育てるというような、そんなことにまで影響が及ぶような懸念があるということでございますので、大臣の方で今回のことについて何か一言いただければと思います。
#55
○国務大臣(武部勤君) 馬産振興という見地から競馬事業というものが始まったというふうに承知しておりますけれども、地方競馬におきましては地方公共団体が主催者として競馬事業を行うことになっているわけでありまして、その収益を地方財政に充てるため行われているものでございます。今後とも公営競技全般が極めて厳しい状況下にあるということは、さまざまなデータから否定できません。したがいまして、各主催者がまずみずからの競馬事業をどのようにしていくかということについて真剣に検討する時期に来ているのではないかと、かように思います。
 農林水産省といたしましても、主催者がこのような検討を行うための一助となるような地方競馬のあり方ということについて、主催者も含め関係者と一緒になって検討を深めてまいりたいと、かように考えます。
#56
○郡司彰君 最後に、生産局長、お願いでございますが、指導監督の権限の問題からいうと大変難しいことがあるのは承知しておりますが、例えばもうおおよそ赤字が続いてきているということは残念ながらはっきりしているわけですね。いつ幾日か突然に廃場ということになる前に、例えば、どこの企業でもそうでありますけれども、興行ということもそういう経済活動だということを考えれば、いざというときのために例えば何とか引当金みたいなものを考えていくということもそれはあるだろうし、開催者の方も、いいときは全部もらうけれども、悪くなったら、はいさようならというような形にならないように、そういうような企業的な感覚を逆な意味で、いざというときにそういうものに役立てるような基金なりそういうものを今後検討していただければなということでございます。どうもありがとうございました。
   〔委員長退席、理事岸宏一君着席〕
 続きまして、法案の方の審議に入らせていただきたいと思いますが、まず、森林あるいは林業という形で言いあらわされておりまして、この森林という守備範囲でございますけれども、国土利用計画によります森林地域という概念がございます、それから昨今は流域管理でありますとか緑の回廊でありますとかいろんな言い方をされておりますが、この新しい基本法で言う森林という地域の守備範囲、どのようなことに考えておけばよろしいでしょうか。
#57
○政府参考人(中須勇雄君) 新しい森林・林業基本法は、いわば基本法ということから詳しく定義規定は設けておりませんが、この法律で、基本法で申します森林というのは、いわゆる森林法二条で定義される森林と同じものというふうに私ども考えております。
 したがいまして、国土利用計画法ということのお話ございましたが、国土利用計画法では森林地域というのが五つの地域区分の中に出ておりますが、この森林地域と基本法で言う森林はおおむね同じ概念だと、こういうふうに考えております。
#58
○郡司彰君 そうしますと、国土利用計画法で言うところの五つの大枠の地域分けがありますが、全部足すと国土面積の一・五七倍ぐらいになるわけですね。そういうところの細かい重複部分は、いずれにしても最大の面積のところを一応守備範囲というようなことでよろしいということですね。
#59
○政府参考人(中須勇雄君) そのとおりでございます。
#60
○郡司彰君 そうしますと、さきの特措法の関係のときに、先ほどもちょっと出ておりましたが、これからは公益的機能が八割ですよ、それで林業、林産材その他の関係が二割ですよというような言い方がされておりました。この八割・二割ということでおおよそ理解をしてよろしゅうございますか。
#61
○政府参考人(中須勇雄君) 先ほどの八割・二割というのは、いわゆる国有林の地域について主要な機能を三つにいたしまして区分した場合に、水土保全林、それから森林と人との共生林、この二つが八割を占めるということでありまして、これから私ども、この新しい法律が成立をした場合には、これに基づいて、森林法に基づく全国森林計画その他の中で、それぞれの、基本的には今申しました水土保全林とか森林と人との共生林という形で分けていこうと思っておりますが、そういったものがどの程度になるかという作業をこれからしてまいるということでありまして、そこについては八割・二割というふうに固定的に考えているわけではございません。
#62
○郡司彰君 私、ちょっと心配をしていることがありまして、この八割・二割という言い方、人によっていろいろ、長官の方は厳密な意味で使っているんだと思いますが、範囲の問題なのか、ややもすると予算配分が八割・二割かなんということも考えるわけでありますが、どういう意味で八割・二割ということを理解すればよろしいでしょうか。
#63
○政府参考人(中須勇雄君) いわゆるゾーニングというか地域区分をするということは、あくまでも森林が果たすべき主要な機能が何かという観点から大きく三つに分けてはどうかと、こういうことを考えているわけでありまして、それは例えば水土保全林に指定されればそこでは林業はなくなるということでは決してございません。水土保全という機能を十全に発揮しつつ一定の林業が行われるということは当然でありまして、そういう意味での森林の場合のゾーニングというのはある程度濃淡を伴ったものと、こういうことだろうと思います。
 そういう意味におきまして、また予算面におきましても、いろいろこれから進めていかなければならない森林整備という事業は、三区分した場合でも三区分のそれぞれに必要なわけでありまして、どこかだけで森林整備事業を行いどこかではやらないとか、そういうものとはまた別の概念、やっぱりどういう機能を果たすべきかということに着目してゾーニングをすると、こういう考え方でございます。
#64
○郡司彰君 その守備範囲、大変広い面積になるわけでありますが、そこには今、時々マスコミ等にも話題を提供していますが、クマが例えば人家の方に来たとか、あるいは鳥獣保護の法律が改正をされましたときのように、シカでありますとかいろんな害を及ぼすものもあったりする。こういうような動物の調査といいますか動態を調べる、そこの管理ということではないんでしょうけれども、そのような役割というのは林野庁の方でお持ちでしょうか。
#65
○政府参考人(中須勇雄君) 私ども、森林・林業行政の立場から、野生生物についても大変強い関心は持っております。ただ、全国的に見て、特に希少生物等がどういう場所にどのように分布をしているか、そういうことについては主として環境省が御担当になっているということで、私ども、やっぱり環境省からいろいろそういうデータをいただいたり、そういう意味での連携を図っているということでございます。
 ただ、私どもも、例えば野生生物が、今先生まさしくおっしゃったように、クマが人家にたびたび出てくるとか、あるいは野生生物が、小鳥が少なくなったのではないかとか、そういう話には必ず、例えば広葉樹が少なくなったからそういうことが起きるんだ、もっと実のなる木を植えて野生生物を保護しないとそういう問題が出ますよといえば、やはり私どもの森林整備という面でも野生生物のことを考慮して行政をしなければならない、そういう面があると。そういう意味において、野生生物の保護管理という意味では環境省が主管省ということだと思いますけれども、私ども、十分密接な連携を保ちながら施策に当たりたいと思っております。
#66
○郡司彰君 先ほど井上大先輩の話をお聞きして感銘を受けたんですけれども、人工林は世界の中で飛び抜けて日本の場合には多いわけでありまして、世界全体からいっても一割ぐらいは該当すると言われているわけですね。そのような先人のたゆまぬ努力の結果とクマが人里にまで出てくるという問題は非常に微妙な関係がありまして、例えばこれからのそういう政策、施策、施業を行うときに、環境省と一定の協議機関なりを設けて行うということが必要になってくるんではないかなという話がございます。
 私もそう思いますし、一歩踏み込んだ話をさせていただきますと、この際、林野庁ではなくて環境省の中で一緒でいいんではないかというような、乱暴かもしれませんが、議論もあるわけでございますが、その辺含めて、これは大臣でも結構でございますが、よろしくお答え願います。
#67
○国務大臣(武部勤君) ちょっと乱暴な言い方をしますと、借金を棒引きしてくれるなら林野庁は環境省と一緒になってもいいという議論があったことは事実であります。私どもの党の中にもそういう議論がございましたし、これは職員の中にもそのことを望む職員がいないわけではないというふうに仄聞しております。
 ただ、今長官からもお話しいたしましたように、私、知床の町、斜里町出身でありますので、さまざまな問題が喚起されていると思います。例えば、シカが出てきて農作物がやられるというのは当たり前の話になっていますけれども、今や木の皮を食べるということから山が荒れていく、自然生態系が狂っていく、そういう現実の問題があります。かつては、農業者から国有林に対してシカが山から出てこないように管理しろと、こういう話があったんですけれども、今やそれこそ森林そのものが直接やられるというふうなことで、私どもそういう地元の現実的な問題に直面して考えることは、やはり今後、森林行政のみならず、農林水産省と環境省というのは、これは夫婦別姓と言っても過言でないような考え方のもとにしっかり協力してやっていかなきゃいけないなと、こう思っておりまして、そういうような考え方もありますので、先般、農林水産省に川口環境大臣をお招きして講演を願ったりしているわけでございまして、今後はさらに、今のこの野生動物の問題を含めまして、森林はかけがえのない我々の財産ですから、そういう意味でもしっかり連携をとってまいりたい、かように存じます。
#68
○郡司彰君 今の答弁で私も何となくわかったような気がいたしました。
 ただ、シカとかクマに言わせると、自給率が何割ぐらいか知りませんが、人間の場合には四割でもほかから買ってくる、シカやクマの場合には四割になったら皮を食べるしかない、そういうようなことかもしれませんので、環境省との連携というものは今後ともやっぱり必要なんだろうというふうに考えております。
 それから、同じような形で、私、言葉は余りよく知りませんでしたが、地籍というんだそうでありますけれども、要するに山を細かく、土地がどうなっているかということを調べるのがどのぐらいかと思いましたら、大体三、四割ぐらいまで進んでいるけれども、これは国土地理院の方でやっていらっしゃるそうでありますけれども、これについても、私は前々からやっぱり日本の国全体をきちんとするというためには行うべきだろうというふうなつもりでおりました。
 そのようなことも含めてでありますけれども、平地林というのがバブルのときに相当開発をされたんではないか、そういうようなことが言われておりました。これは区切り方はどこからでも結構でございますが、一定の年月以降、どの程度の平地林あるいは都市緑地と言われているものが失われてきたのか、おわかりでしたらばお答えいただけますでしょうか。
#69
○政府参考人(中須勇雄君) 先生のおっしゃった平地林あるいは里山林ということに着目して、実は平地林とか里山林というものも明確な定義が必ずしもあるわけではございません。そういう意味で、具体的な数値でもって平地林のうちどれだけがというような数値はないわけでございますが、今、少なくとも林地につきましては森林法に基づいて林地開発許可制度がございます。
 一ヘクタール以上の林地について開発行為を行う場合には都道府県知事の許可を受けなければならない、こういう制度があるわけでございまして、それに基づく開発許可を受けていわば転用された面積がどのくらいかという統計で申しますと、いわゆるバブルの時期と申しましょうか、昭和の末から平成にかけてのころは各年約一万一千から二千ヘクタール程度の開発許可が行われていたと。それに対して現時点で、一番新しい十一年度で申しますと三千五百ヘクタール程度ということで、いわゆる開発許可を受けて転換をしていくというものについてはかなり数量的には減少している、現状ではそのような数字に相なっております。
#70
○郡司彰君 現在では三千五百ヘクタールということですが、その前年あたりまではずっと四千台で来ているわけです。私は、その辺の数字が多かったのか少なかったのか、よかったのか悪かったのかという議論はこれは非常に時間のかかることになるわけでありますが、きょうのところはそこまで踏み込みませんが、いずれにしても、これまでのバブル期を経たそのような形のあり方が、今振り返ってみて、許可も含めて、よかったのか。これから、もしそういうような経済の動向ということを考えると、なかなかバブルのようなことということは考えられませんが、今後はどのような考えで対処していくおつもりなのか。
 それから、場合によっては、平地林と言われる中で、畑があって、田んぼがあって、樹木が植えてあって、そこは葉っぱが堆肥になって農業にも使う、いわば大臣がよくおっしゃる循環型の形をつくっていたようなところで、木が生えているところだけとりあえず開発行為に充てる、そういうのが多いと思うんですね。これには多分に相続税の関係等もありますから、その辺の問題についても言及いただければありがたいわけでありますけれども、先ほどのようなことについて、今後こういうような開発のあり方はどうあるべきなのか、また相続税についても言及いただければと思います。
#71
○政府参考人(中須勇雄君) 数値的には必ずしも明らかではないわけでありますが、非常にマクロに申し上げますと、我が国全体での森林面積というのは、この間、五十年という程度のタームで見てもほとんど変化をしていない、わずかに今減っているという状況でありまして、そういう意味において我が国の林地というものが基本的にはマクロな意味では守られていると。これは農用地が非常に減少してきたのとはある意味では対照的でありまして、そういうふうに基本的には評価ができると思います。
 ただ、ただいま申しました例えば林地の開発許可というものでも、用途がどういうものが多いかというので見ると、いわゆるバブル期には圧倒的にトップを占めていたのがゴルフ場の建設であります。そういうのはまさに先生のおっしゃる多分里山とか平地林というものがかなり対象になっていたと。それはもう今や見る影もないごくわずかの数字に落ち込んでいる、こういうような状況であります。
 ただ、そういう意味で、やはりそれぞれの地域にとってみれば貴重な里山が失われるとか、そういうことが起きているということもあり得るわけでありまして、そういう点では私ども、特に森林の持っている公益的機能、多面的な機能を持続的に発揮するという議論の中でよく言われる話でございますが、里山とか平地林のよさ、地域の住民なり都市の住民にとって持っている価値というものを見直すべきではないかという議論が盛んに行われるわけでありまして、そういう点を我々これから先、重視をしていかなければならない。
 そういう意味におきましては、先ほど申しました三つのゾーニングという中でも、森林と人との共生林という中で里山というものをどう位置づけて、どのように保全し、あるいは地域住民の利用に供していくのか、こういうことを重視して当たっていきたいなと、こういうふうに思っております。
#72
○郡司彰君 次に、個別、細かいことについてお尋ねをしたいと思いますが、これまでの反省をすべきところがあれば反省をして新しいものに向かおうということで、きょうは反省すべきところがあるかということについてお尋ねをしたいと思います。
 まず、分収育林でありますけれども、平成九年からですか、一応の期間を終えたということになっているかと思いますが、今現在、五十万円元本で平均四十四万三千円ぐらいという数字で聞いておりますが、この償還についてはどの程度行われているんでしょうか。
#73
○政府参考人(中須勇雄君) 国有林におきます分収育林につきましては、開始されたのが昭和五十九年度からでございます。各年実施をいたしまして、事実上、平成十一年度以降は法人に限るという取り扱いで、個人の方には新規の取り扱いはしていないと、こういうことでございます。
 全体での契約者数は八万六千人、契約口数で十万四千口、対象地域の面積といたしましては二万五千七百ヘクタールと、こういうような形になっているわけであります。
 今、先生お話しのとおり、一部分収木の販売を開始いたしました。平成十一年度から実施をしております。十一年度に三カ所、十二年度には十六カ所、合計十九カ所の販売を行っておりまして、それが先ほど先生御指摘のとおり、分収額が平均四十四万三千円と、残念ながらこういう数字に相なっているということであります。
 したがいまして、全体の分収育林の規模からいたしますと、現在販売の行われたのはごく一部、始まったところだと、こういうような位置づけでございます。
   〔理事岸宏一君退席、委員長着席〕
#74
○郡司彰君 これは始まったときにもいろいろな意見がございまして、このような手法はいかがなものかなというような声もお聞きをしておりました。
 結果、私も随分前から、インターネットを使う前からいろんな資料で読ませていただきましたが、当初のころは、元本が割れることもありますよなんというのは余り書いていませんでしたよね。それで、今になってみると、確かにそういうことも書いてあります。
 私は、木材の価格の状況から見て、そんなにもうかるものだというようなことを皆さんが思っていたかどうかということを別にして、一定程度期待をされている方ももちろんあったと。国のそうした行政にみずからかかわることによって、みずからの生きざまをそういうものに託そうとする人もあったと思いますし、しかしながら、結果として五十万が四十四万三千円というふうなことになって、対象の林地も相当減っておりますから、これから個人のことについてはということでありますが、長官の方からそういう答弁は当然いただけないんだと思いますが、少し間違っていたかなというような気持ちはございますか。
#75
○政府参考人(中須勇雄君) 本来、この分収育林については、国民参加の森林づくりを促進したい、あわせて森林への触れ合いの機会を、森林と遠いところにというか都会におられる方々に持っていただきたいということで、一定のお金を出して、自分の森林があそこにある、行って木の成長を見るとか、あるいは国有林で催しますさまざまなイベントにそういうオーナーの方々に参加をしていただいて森林との触れ合いの機会を持っていただく、うまくいけばそれが一種の利殖にもなるかもしれないと、こういうようなお話はあったわけでありますが、ただ、こういう事柄の性格上、私ども一貫して、決して元本が保証されるものだということは申しておりませんし、途中段階から、先生御指摘のとおりでありますが、特に、決して元本の保証はありませんということを積極的にこちらからも言っていくという形で、誤解のないように対処をしたところであります。
 そういう意味で、それは先生からいえば強がりの発言ではないかということかもしれませんが、我々から見ても、こういう参加された方々にとっても、森林と親しむあるいは国民参加で森林をつくっていく、そういうことに御参加をいただいたことの意義は大変大きいものがあったというふうに思っているわけであります。
 したがいまして、今、なかなか木材価格がこういう低迷した状況の中でいい売価が得られないという中でも、担当の職員が懸命になって少しでも高く売れないかということでの努力もしているわけでありますが、それは自由経済でございますので限界もございます。そういった努力もしているということを含めまして、我々としてはそういう考え方でこの問題については対応してきたという御説明にかえさせていただきたいと思います。
#76
○郡司彰君 次に、林野特会のことについてお尋ねをいたします。
 先ほど、大臣から借金がなくなるならという話がございました。その借金が三・八兆円、膨らんだ時点で一般会計へ繰り入れをしてはどうだということでやりましたところ、一兆円を残したわけですね。一兆円を残して五十年間で払っていこうと、これはそういう責任があるんだということを当時の中川大臣もおっしゃっておりましたし、そういう姿勢が大事なんだということもおっしゃっておりました。
 現実問題として、十一年から始まるということになっているわけでありますけれども、この収支試算というものを私ども目にするわけでありますが、これは出入りの関係でありますから、入ってくるのが多くなり、あるいは出るものが少なくなればということで、その差額が一兆円のところがゼロになっていくと、そういうことになるんだろうと思うんですね。
 この入る方でありますけれども、林野等売り払いというのがありましたですね。この売り払いの予測を見ますと、現在まで年間四百億あるいは三百億、最終的には十億程度ですからほとんどなくなるということになるわけでありますね。売り払いの関係は現在どのような数字で推移しておりますか。
#77
○政府参考人(中須勇雄君) 国有林抜本改革のときの基本的な計画によりますれば、平成十一年から十五年度まで、これがいわゆる集中改革期間ということでありまして、この間はなお若干の借入金の増加を図りながら収支の均衡を目指して努力をすると。平成十六年以降、新たな借入金の増加ということはなしにして、その後はしばらく収支均衡を保った上で、平成二十六年度以降生じる収支差によって一兆円の返済を図っていく、六十年までかけて図っていくと、こういうのが基本的な仕組みになっているわけであります。
 その間、平成十一年から十五年の期間におきます林産物の売り払い収入につきましては、平均で各年四百億円というふうに計画では見込んでおります。これは、各年振れはあるわけでありますが、現状ではさまざまな努力を続けておりまして、ただ、材価が思ったより若干低迷しているということがございますので、まだ途中でございますので何とも申し上げられませんが、状況としては当初見込んだよりやや低い状況で推移をしている、こういう状況であります。
#78
○郡司彰君 済みません。私のなまりがあったのかもしれませんが、私が今とりあえずお聞きしたのは林野等の売り払い、それで今、林産物の収入の方は二十六年から急激に材価が上がるという予測になっていますね。そういうことが現実的にあり得るのかということもちょっとお聞きをしたいと思いますし、それから、一般会計からの受け入れというのが毎年多額、五百二十億から五百六十億、七十億とあるわけでありますが、この一般会計の受け入れの額というのはどういう性質のものでしょうか。
 今ありましたように、林産物は二十六年からどうしてこのように高い設定ができるのか、林野等の売り払いについて簡単に現状を教えてください。
#79
○政府参考人(中須勇雄君) 申しわけございませんでした。
 林野等の売り払い収入につきましては、平成十一年から十五年まで平均して各年二百九十億円の売り払いを行うと、こういう計画を立てているわけであります。それに対しまして、平成十一年度でいいますと、林野等の売り払い収入は三百四十一億円、その前の平成十年度が二百七十四億円ということでございまして、これは各年平均値とたまたま単年度の数字ということでございますので一致をいたしませんが、そういうような推移をしていると。それから、御指摘のとおり、だんだんこれは減らしていって、最終的には年間十億円ということでごくわずかなものになっていくと、御指摘のとおりであります。
 それから、一般会計から国有林野特会への受け入れというものは、大きく分けて二つございます。一つは、先ほど申しましたように国有林野事業自体が公益林中心に変わったということに伴いまして、いわゆる公益事業を行っているそのために、一定の人員なりあるいは作業というものについて一般会計で負担をするという意味において一般会計から繰り入れる分と、それからもう一点は、一兆円を含めた借入金が利子を生んでいるわけでありまして、その利子が利子を生む事態を防ぐために、利子については全額一般会計からの繰り入れによってこれを賄うと、この二つが一般会計からの受け入れの基本的な要素になっているということでありまして、その金額が現在でいえば計画では平均で約五百六十億円、そういう形になっております。
#80
○郡司彰君 それから、支出の方で事業管理費というのが千五百九十億円、平成十年ですね、以降ずっと下がっておりまして、最後七百億円、約半分になるわけですが、この事業管理費の主たる支出はどういうことですか。
#81
○政府参考人(中須勇雄君) これは、基本的に人件費が大部分を占めております。これは、御承知のとおり、現在大変厳しい状況の中でありますが要員の縮減合理化ということを進めているわけでありまして、それに伴う減ということでございます。
 それから、先ほどちょっとお答えを私落としてしまいましたが、林産物等の売り払い収入が急速にふえていくと、こういう御指摘がございましたが、これはいわゆる国有林の伐期齢が、現在は率直に言って余り切る木がなくなっているという一番ボトムの状況にございます。それがこれから次第に伐期を迎えて売り払い量がふえていくということでありまして、そのことに伴って林産物の収入が増加をしていく、こういうふうに試算では見込んでいるということでございます。
#82
○郡司彰君 私はここのところが一番おかしいだろうと思うんですよね、この事業管理費。
 結局、今までもそうですけれども、山は大事ですよ、これからはもうきちんと公益的機能もやっていきますよと。実際には、この返済の中身を見ると、常に要員、人員を減らすことによってやってきたわけですね。この数字を見ると、どれだけ減らすということなんですか、これ。今の人員も、定員内外聞きましたけれども、おおよそ九千何名ですか、一万を切るような数字になっておりますけれども、要員削減ということで借金を返すというようなことをやるのなら、一般会計からの受け入れも含めてこれは一兆円超えちゃうわけでしょう、こういうことをやるのなら初めからもう一兆円戻しちゃった方がよかったんじゃないですか。このために人が削られるなんという予算を組むということは、これは大変国の森林行政に対しておかしなことになりませんか。
#83
○政府参考人(中須勇雄君) 国有林野事業における人員、要員の問題につきましては、当時もさまざまな議論があったわけでありますが、基本的にこれから先、国有林野事業がそういった形で、先ほど来申しておりますように、公益的側面ということを中心としてやっていく、もちろん各種の具体的な森林施業、作業ということはあるわけでありますが、これについては基本的に全面的に外部に委嘱をする、委託をする、こういう形で進めていく。要員自体は国有林の管理なりそういう作業の管理をしていく、そして公益的機能の十全な発揮ということに仕事を切りかえていくんだ、こういう考え方に基づいて行われているわけでありまして、決して要員の減少ということをイコール仕事をしないと言うとおかしゅうございますが、ということではなくて、それは基本的に外注によって処理をしていく、そういう考え方で大きく転換をしたということでございます。
 もちろん、平成十年、国有林野改革二法成立、その立案段階から成立に当たりましてもさまざまな議論があったわけでありますが、一応そういう整理が行われまして、それに基づいて現在、集中期間を続けている、集中期間に取り組んでいるというのが現状でございます。
#84
○郡司彰君 昨年の三月末では一万八百人がことしの三月末では九千七百人ということですから、千百人くらい減るわけですね。
 単純な話をお聞きいたしますが、本庁の人間というのはどの程度減っているんですか。
#85
○政府参考人(中須勇雄君) いわゆる本庁におりますのは、国有林ということでいえば百人程度だろうと思います。ちょっと私、今正確に数字を持っておりませんが。
#86
○郡司彰君 私も地元で、今で言う森林管理事務所にお勤めの方やなんかとよく話をいたします。大変に人が減っております。それから、勤める場所も相当広域になって大変な中で仕事をしているわけでありますけれども、相当昔から見ると減ってきているけれども、本庁の人たちは減っているのかどうか私どもはわからないと言うんですね。どこでもそうでありますけれども、山を見る、やっぱり話を聞くと、少なくとも自分が管理するところ、山全体をよく知っているということになると十五年でも短い、やっぱり二十年ぐらいかかると言うんですね。こういうような人たちは、員外のような方も大変多いわけでありますけれども、そういう年月をかけて山を熟知している人たちがどんどん減っている。現場の人が減っていて、本庁の方は減らす計画だけつくっているのかどうかわかりませんが、減らないということになると、これはどうも私どもからすると納得が余りいかないなという感じがいたしております。
 とりあえずそこは置いておきまして、三年前でしょうか二年前でしょうか、林業労働者の確保法ができておりますけれども、とりあえず全国で、国有林、民有林、そういうものを問わずに、林家の方を含めて結構ですけれども、このぐらいの人間がやっぱり必要だろう、このぐらいの人間がいてこの基本法に基づくようなことが十分に行われるんだろう、そのような人数というものは局長の頭の中におありでしょうか。
#87
○政府参考人(中須勇雄君) 御承知のとおり、林業就業者という数でいいますと、現在、最新のデータで全国で七万人という数字でございます。ただ、非常に老齢化が進んでおりまして、六十五歳以上が三割というふうな数字になっております。
 現場の実感というか、お話を伺いますと、やっぱり今率直に言って、材価が非常に低迷をして林業生産活動自体が停滞をしているという状況の中でございますので、人がいないので森林に手がつかない、こういうような意味での人手不足という状況にはなっていない。ただ、それは決して今の七万人という数で十分だということではないわけでありまして、活動が停滞しているからそれで表向きある種の均衡状態になっている、こういうことだろうと思っております。
 そして、先ほども言いましたように、非常に老齢化が進んでいるという状況がございます。そういう意味におきまして、私ども、若い林業労働力、林業就業者というものをこれから先どう確保していくかということが極めて重要な課題だろうというふうに考えているわけであります。
 具体的な数字ということにつきましては、まだ率直に言って今ここでお答えできるだけの力は私どもございません。今回の新しい基本法に基づいて基本計画をつくっていく中で、将来の十年、二十年先を見通した森林の整備の姿、そのためにはどういうような作業が行われるべきか、それを行うために実際に林業労働力という面では機械化がどのくらい進むかということと、それから通年労働と申しましょうか、季節労務というのをできるだけ減らして通年雇用というものに変えていく、それがどの程度進展できるか、そういうような数値を総合的に勘案いたしまして、将来の必要な林業従事者というか労働力というものを検討いたしまして目標として掲げていきたいな、こういうふうに思っておりまして、現時点ではまだその作業の途中にあるということでございます。
#88
○郡司彰君 今、長官からありましたように、通年あるいは季節雇用ということがありまして、非常に難しい側面を抱えているわけでありますが、その確保法以降あるいはその前からでも結構でございますが、社会保険あるいは先ほど井上議員の方からありました年金、これはどのような変化を起こしているといいますか、変化が起きているでしょうか。
#89
○政府参考人(中須勇雄君) 現在、林業労働者の社会保険の加入状況ということで概括して申し上げますと、労災保険の加入というものはほぼ全員加入ということで、かなり大きな成果が上がっていると、こういうことであります。
 ただ、残念ながら、そのほかの制度については、これは物によって違いますし、年金等でいえば、国民年金に加入するのか厚生年金に加入するのかあるいは農林年金に加入するのかとか、いろいろ道があるわけでありまして言いにくい面もあるわけでありますが、総じて言えば四割から七割程度の加入率にとどまっていると、こういうような状況であります。
 幾つかの主要なことで申しますと、年金制度で申しますと、森林組合に雇用されている就業者という場合には、いわゆる農林年金に三六%が加入をされていると、そういうような数字でございます。それから、通常の民間の素材生産事業者等の会社に勤めている場合、これは厚生年金だと思いますが、六〇%が加入をされている、こういうような数字になっていると、こういうことでございます。
 いずれも、なぜそのような状況なのかということに関しては、やはり就業日数等の加入要件というものが必ずしも十分に満たされていないという点が一つ。それから、既に相当お年を召しておられまして、現時点で加入のメリットがなくなっているという方が率直に言ってかなりあるのも事実でございます。そのほか、雇用主自体が事業主負担分というのが大変重荷になるという意味で、制度の周知徹底が図られていないということにも関連するのかもしれませんが、十分な加入状況が見られていないということでありまして、いわゆる制度の周知徹底に伴う加入促進と同時に、やはり周年雇用化というか、就労時間、就労日数の増加というような基礎的なところで対策をしっかり講じていく必要もあるというのが私どもの認識でございます。
#90
○郡司彰君 最後に、大臣に二つほどまとめてちょっとお尋ねをしたいと思いますが、今言いましたように、担い手確保、大変な状況でございまして、地域あるいは国土の保全ということも含めても、何かしら今までと違った形の施策というものも考えられてよいのではないか。例えば、直接所得補償なり、あるいは個人か団体か地域かということもありましょうけれども、考えていくことも必要ではないかというふうに考えております。そのことについて。
 それから、WTOの関係、先ほどもありましたけれども、物のときには鉱工業製品の中にも木材、林産材が入っておりましたけれども、その当時のガットのときの枠組みからいえば、本来、農産物そのものが物という範疇に入っていなかった。その中で、木材が範疇としてその鉱工業製品に入っていたんだろうと思います。
 今後の日本側の立場を含めて、WTOにおける考え等をお聞かせいただければと思います。
#91
○国務大臣(武部勤君) まず最初に、林業をめぐる労働力、担い手の問題でありますけれども、私が今度の法律を国民の理解と協力、合意のもとに成立を期してまいりたいということを申し上げておりますのは、この基本法が示すように、森林の多面的機能の発揮ということは、一にかかってこれは国民みんなの財産を育てていくということでありますから、そういう意味では、山を守る人、育てる人、こういった方々に対して国民が支援していくという、そういう思想があってしかるべきだと、こう思います。
 なかなか、直接補償というようなことになりますといろんな問題があろうかと思いますが、今後、政策展開の過程でどういったことができるか、森林を、緑を守っていく、森を育てていくというその過程でいろんな調査だとかそういった活動があろうかと思います。そういった関係で検討してまいりたいと、かように思いますし、山を守るということについては、山元の人の手によって守られるべきでありませんで、都市に住む人々も積極的に参加していくということが大事だと思います。
 そういう意味から、私は、都市と農山漁村の共生とか対流というようなことで、みんなで美しい国づくり、森づくりをしていきましょうという位置づけをしているわけでございます。
 また、WTOの関係につきましても考え方は同じでございます。
 地球環境に対する問題意識というものをしっかり持った上で、林産物は公益的機能を有する森林から供給されるんだ、そして再生可能な有限天然資源であるというようなことから、次期WTO交渉におきましても、地球規模の環境問題、資源の持続的利用、輸出入国間の権利義務のバランスといった観点を踏まえた枠組みを確保しつつ交渉を行う必要があると考えておりまして、このため、今後の交渉におきましては、シアトル閣僚会議で連携を図ったEU、韓国等への働きかけを行いつつ、持続可能な森林経営の推進に資する貿易ルールが確立されるように取り組んでまいりたいと存じます。
#92
○山下栄一君 初めに、林業基本法一部改正という形で、中身は森林・林業基本法という名前に変えるというこの法律の提案の仕方ですけれども、名前も理念も目的も新しく見直す、新しい理念ということでやらないと、先ほどもお話がありましたように、就業者ももうほとんどいらっしゃらない、七万人ですか、高齢者だというお話を聞きました。林業基本法の一部改正という、そういうわかりにくいことを言うから、国民が協力しようとか理解しようということになっていかない。もっとわかりやすい、新しい観点に立った、森林をどう育てていくか、その中にはもちろん木材生産という役割もあるけれどもという、そういうとらえ方をしないと非常にわかりにくい法律の提案の仕方だというふうに感じるんですけれども、この点いかがでしょうか。
#93
○政府参考人(中須勇雄君) 余り役人的な答弁をするとよろしくないなと思いつつも申し上げますのは、御指摘のとおり、今回の改正は、林政の基本方針というものを、林産物の供給に主眼を置いたものから、森林の有する多面的機能の発揮というところに転換をするという意味において大変大きな改正である、転換であるということはもう御指摘のとおりであります。
 ただ、法改正形式として、いわゆる林業の健全な発展というか、そういう部分については一つの主要な課題として引き続き掲げられるということと、その他いろいろ審議会の話等も含めまして、従前を引き継いで規定される事項もあるということから、新法の制定ではなく一部改正方式というものをとったということでございまして、これは、ただ淡々とそういうことであったということで、それ以上理由を申し上げる余地もございませんが、そういう単なる法技術的な形で一部改正ということでお願いをしておるということでございます。
#94
○山下栄一君 淡々と技術的にやるという、そういう発想そのものがもう根本的におかしいなというふうに私は思いますけれども。
 ちょっとこれは通告していませんけれども、基本的な話なんだけれども、持続可能な森林経営という言い方、読んでいましていろいろ出てくるんですけれども、森林経営というのは一体何なんだ、林産業というか、そういう木材を生産し供給するというなりわいということじゃないのじゃないのかなと。持続可能な森林経営という言葉が、ちょっと新しい発想でそういう言い方をされているんでしょうけれども、森林経営というのは一体何なんだということなんです。
 例えば林業就業人口、平成十一年七万人という数字をいただいているんですけれども、総就業人口に占める林業割合〇・一一%と。日本国土は六割か七割ですか、木に覆われておる。そこで働いている人は七万人だと。持続可能な森林経営というようなことは、だれが経営しているんだというふうなことを考えましたら、林業というのはもうほとんどないに等しいというようなことになっていくのではないか。七万人で全国土の半分以上を経営しているという。
 この森林経営という考え方は、今までの林業というあり方とちょっと根本的に発想を変えないといかぬのではないかという感覚的なものがあるんですけれども、こういうことはいろいろ議論されているんでしょうけれども、ちょっと教えていただきたいと思います。
#95
○政府参考人(中須勇雄君) 確かに、持続的な森林経営というような言い方をする場合の森林経営というのは、ちょっと私も正確に覚えておりませんが、多分英語で言えばフォレストマネジメントという意味での経営でございまして、いわゆる林業経営というふうに使うような経営体をあらわす経営ではなくて、森林というものをどう管理し扱っていくかという、もっと広い概念として持続的森林経営という言葉をある種の訳語として使っている、こういうことでありまして、そこは先生御指摘のとおり、旧来の意味での、普通我々はそういう場合には林業経営というように呼んでいるわけでありますが、それとは違う概念で用いている、御指摘のとおりでございます。
#96
○山下栄一君 今おっしゃったような考え方で、そこで働く人、林業でない部分で働く人もおるんだと。それは今マネジメントとおっしゃったけれども、森林経営でも森林管理、だから森林管理署という名前に変えたのかと思うんですけれども、そういうことが非常に基本的な問題としてあるのではないかと思うんです。
 先ほどから、国民全体で支えるとか、みんなで育てていくというふうなことをおっしゃっているわけですし、そういう考え方は何となくわかるんですけれども、国民全体で支えるということは、もちろんボランティア的にも森林を守っていこうという、森林整備も森林ボランティアの方にもかかわってということもあるんでしょうけれども、国民で支えるということは、国民の税金を使って森林を守っていくんだという考え方になっていくと思うんです。
 具体的に、これは例えば税の集め方、使い方、先ほども目的税の話も出ておりましたが、それも含めて、森林の役割が、大きく機能が見直されている、林業生産という役割が極めて小さくなっている状況の中で税をどう使っていくか、どう集めてどうそれを投入していくのかということについて、今まではどういう基本方針だったのか。今度の新しい基本法ではそれがどう変わっていくのかということが本当に見えにくいなと。何となく旧来のやり方でやりながら、言っていることは非常に新しいことを言っているんだけれども、税金の使い方は余り変わっていないように感じるんですが、その点いかがでしょうか。
#97
○政府参考人(中須勇雄君) 森林整備のためのコストというか、必要な経費をどのように負担していくかということに関しましては、昭和六十一年、六十二年に、御承知のとおり、水源税、名前はいろいろございましたけれども、あのときにさまざまな議論がございました。そういう中で、あの当時の整理としては、森林がさまざまな機能、そのときは水源涵養という意味で大変大きな機能を果たしている。それを税金で支えるとすれば、一体だれがどういう税金で支えればいいかという議論が行われたわけでございますが、幅広く一般的に国民から徴収されている税金を森林整備に充てるべきであるというのがその当時における基本的な答えだったというふうに私どもは承知をしております。
 ただ、今その状況が続いているかどうかというのはまた別でありまして、さまざまな議論がまた現在起きている、こういうことだろうと思います。現在におきましても、森林なり林業から得られる税というのはごくわずかでありまして、やはりかなり多くの部分が国民の税金から森林整備という形で投入されている、こういう基本的な構図はあるわけであります。ただ、今、日本の森林が置かれている状況なりから見て、今の投入で十分なのかどうか、さらにもっと森林整備のために行うべきことがあるのではないか。もしそうだとすれば、それにはどういうような財源を充てるべきなのか、こういうような議論がこれから行われていく、我々もそういう議論に参加をしていかなければならない、そういうふうな気持ちでいるということであります。
 それからもう一つ、先生からお話しございましたのでつけ加えますが、ボランティア等の活動によって森林の整備をしていく、これも大変有効なやり方だろうと思っております。というのは、もちろんボランティアというのはさまざまな制約がございますから、いつもいつも働けるわけではありません。一年に数回ボランティアで働くとかいうことが通例だと思います。ただ、そういう活動を通じて、実際に森林整備に役立つことをしていただけるということと同時に、森林整備の重要さなりあるいはその困難さというんでしょうか、そういうものを体験していただくことを通じて、先ほど申しました国民全体として森林の整備をどう負担して進めていくのか、そういう議論の一助にもなる、そういうような意味でも大変重要なことだと思っておりまして、ボランティアによる森林整備ということについても、私ども、これから先の重要な課題として取り組んでいきたいと思っております。
#98
○山下栄一君 税を集めるお話として、だれから集めるんだ、広く国民からと。国民全部で支えていこうというのだったら、国民全部で支え、出し合ってというふうな発想になっていくと思うんですけれども、そういう目的税のあり方もなかなか盛り上がってこない。それは仕事にしては少な過ぎるからなのかなと思いますけれども。森林が果たす役割というのは高まる一方なのに、みんなで支えるという、すなわち税のあり方をもう少し深めていくというのがなかなか進んでいかないというのは非常に歯ぎしりする思いでございます。
 今度は、税金の使われ方、森林を守っていく、また従事者を育てていくとかいう観点で何か大きく変わることがあるんでしょうか。
#99
○政府参考人(中須勇雄君) 現在も御承知のとおり、森林整備という形で植林、保育、間伐、そういったものに対して助成を行うという形で税金を使わせていただいている、こういう現状にございます。
 私ども、今回の改正というものをお認めいただいた場合には、再三申し上げておりますように、森林が有する多面的な機能というものを持続的に発揮していく。そのために、それぞれの森林というものを主としてどういうような機能を最大限発揮すべき森林として位置づけるかというふうな形で一定のゾーニングをして、そのゾーニングに応じた施業の方向、例えば水土保全林であれば、皆伐をして一斉植林をするのではなくて複層林の形成を目指す、あるいは伐期の長期化、長伐期化を図る。あるいは皆伐をする場合でも、皆伐する面積をできるだけ小さくしてそういうものを繰り返していく。そういうような、例えば施業の方向というものを明らかにして、各森林所有者等の皆さんがそういう方向に向けて努力をしていただくように誘導していきたい、こういうふうに思っているわけであります。
 そういう意味におきまして、森林の整備に対して国が助成をしていく、こういう仕組みについても、森林の果たすべき機能なり、そこで行われる施業というものに着目をして、めり張りをつけていくというか、そういうものへの誘導効果を持つように再構成していく、そういうふうなことが、例えば典型的に今回改正に伴って私ども見直しをしていきたい大きな部分になるわけでございます。
#100
○山下栄一君 私は余り森林の中で生活したことがありませんので、本当にぴんとこない言葉が乱発されているんですけれども、何でこんな難しい言葉ばかり使うのかなと。それは理科系の人が、林業というのはそういう人がつくるからますますわかりにくいなというふうなことを感じるんです。
 ちょっとわかりやすい話で、公共事業ですけれども、これは税金を使ってやっているわけです。例えば、林業分野でしたら治山ですか。治山事業というのは昭和二十年代から、第九次ですかね、今。治山なんというような言葉は時代おくれになっている。何で今ごろまだ治山と言っているのかなと。山を治めるということ自身は共生とかじゃないわけですからね。そういうことで、なおいまだに昭和二十年代から延々と治山事業と言ってお金を使ってきているというその辺の姿勢が根本的におかしいんじゃないのかなと。何が山を治めるだ、山なんて治められるはずがないじゃないかと。
 ちょっと言い過ぎかもわかりませんけれども、公共事業の考え方自身がそういう言葉にもあらわれている。古い古い考え方で今もやっている。理念を変えると言いながら、何で治山事業と言って第九次という形で延々とやっているのかなと。ちょっと非常に大ざっぱな話ですけれども、大臣、どうでしょうか。
#101
○国務大臣(武部勤君) 確かに、公益的機能とか多面的機能とか、そういったことはわかりづらいと思うんです。これは法律用語あるいは行政用語なんだろうと思います。簡単に言えば、山づくりとか森づくりとか、そういうことだとわかりいいんだろうと、こう思います。
 ただ、治山事業ということについて、これは森づくりの上で、山づくりの上で極めて大事な、日本は急峻な山ですから、それで今も九州で大雨が降って大分被害が出ていますよ。だから、我々のように自然の中で育った者は、自然の恵みに感謝する気持ちというものはもうみんなひとしく持つんです。同時に、自然の脅威を恐れる謙虚な気持ちというものもあるんですね。大都市の人にはわからぬかもしれない。蛇口をひねれば水が出てきていると思っているのかもしれませんよ。余りそういうふうな気持ちにしかなれないんだったら、大阪湾の海水を淡水化して飲んでくださいよと、こう言いたくなる。牛、豚を銀座で飼えますかと、こう言いたくなるんですね、我々田舎にいる者はですよ。
 だからといって、それはひとりよがりで、我々だけが守っているというような意識でやっているから今日のように国民の理解が深まらないままになっているんだろうと、このように思うんです。もう少し平易に、地球の温暖化がどうなっているのか、それが環境をどのように破壊しているのかと。具体的に、今北海道で沖縄の魚がとれるんですからね。私は有明海に行って、あそこでいろんなことを知らされてきましたけれども。
 そういう意味で、これから公共事業のあり方ということも、環境に配慮した環境修復、改良、創造、そういった考え方でやっていかなくちゃいけないと思いますし、当然、治山事業もあるいは林道整備も、今までのように道さえつければいい、力ずくで洪水を抑えればいい、そういうようなことではだめだと思うんです。それは人間のおごりでして、やはり人と自然の共生という観点に立った山づくり、森づくり、海づくりということを考えていかなきゃならぬわけでありまして、そのことについては、結果的に、水資源の涵養あるいは大気の浄化あるいは防災あるいは環境というようなことを考えたならば、私は広く、受益者という考え方じゃないと思います、これは当然国民のあるべき姿だと思うんですね。
 先ほど、例の分収育林の問題もありました。私も一区画持っていますよ。だけれども、それは五十万円で、これは利殖で六十万なり八十万なんて思っていません。これは五十万円ぐらい出すのが国民の務めじゃないか、そういう力がある者は。
 だから、そういうような基本的な考え方で今度の立法措置を求めているわけでありまして、したがいまして魂を入れなければならないわけでありまして、我々の責務というものは非常に重いものがある。先生にも理解いただき、御協力いただけるような努力をしていかなきゃならぬ、かように存じております。
#102
○山下栄一君 済みません、治山事業の重要性は私、別に否定しているわけじゃなくて、ネーミングの話をしただけの話なんですけれども。
#103
○国務大臣(武部勤君) それは同感です。
#104
○山下栄一君 今、梅雨前線が非常に活動が活発で、きのうでしたか、四国の松山でも一人山崩れで亡くなったという話もございました。そういうまだまだ災害防止の観点からしっかり手を打つべきことはたくさんあると思うんです。
 また、森林整備事業の中にも林道と、林道もよくいろいろ公共工事で問題を指摘されますけれども、こういう治山事業、また林道の整備、だれがそれをするのか。もちろん、それは業者がするわけですけれども、実際、そういう林道をつくったり治山事業をされる、公共事業としてやられる方々が、それこそ森を愛し木を愛しというふうな方々がやっているのか、だれがそういう工事はやったらいいのか。山のことを愛し、そして山の中のことを知り尽くしている方々がどんどん減っているということは、もう物すごい財産が失われている。七万人の中身も私はよくわかっていませんけれども、林業就業人口が七万人ですか、これは昭和三十五年と比べたら物すごい減りようなわけですけれども、どんどん減っている。宝物がどんどんなくなって、その方々が高齢化していって新しい後継者もおらなかったらどうなるんだと。
 所有権の移転もしやすいようにしようという、それはいいけれども、そこでずっと生まれ育ってきた方々がどんどん少なくなってくる。宝物がどんどん消えていく中で、例えば林道をつくる工事、また治山の工事、そういう工事のところに山を愛してやまない方々がかかわれるような、意見を言えるような、そういうふうなこととか、また、そういう場所で公共事業をする方々を平地で公共事業をするのと同じ会社がやっていていいのかなというふうなことも含めまして、素朴な疑問ですけれども、そんなことも一つ一つ考えていかないと、みんなで育てるとか公益的機能といいながら、一方ではそういうところに同じような形で公共事業がやられていていいのかなというふうなことを感じるんですけれども、この点いかがでしょうか。
#105
○政府参考人(中須勇雄君) 御指摘のとおり、いわゆる森林の所有者がみずから山を手入れする、こういうものが非常に減ってきているというのは、もう御指摘のとおりであります。また、一人一人で見ると非常に零細な森林所有でございますから、そういう方々にみんなそういうことをやれといってもそれはまた無理だというのも一面で事実だろうと思います。
 そういう意味におきまして、今、私ども、やはり地域において森林組合あるいは市町村というものがもっと地域の森林の整備ということの主体になっていかなければいけないんじゃないかと。それはもちろん、個々の森林所有者の方々の意見をくみ上げながらやっていくということが大前提になるわけでありますが、そういうところが森林整備の主体になっていくような方向をぜひ目指したいというのが基本的な気持ちとしてあるわけでございます。
 そういう意味で、例えば林道というお話が出ました。林道の開設者というのは、基本的に大部分は市町村ということに相なります。市町村が各林道を開設する場合というのは、結局そこで間伐をする、あるいは主伐をする、森林の作業を行うという、どこかの一定の山で、そういう前提に立って、林道をどこまで通し、その先、作業道をどういうふうに張りめぐらせて作業をしていくかという意味におきまして、やはり森林施業ということと作業ということと不可分の関係があるわけであります。
 そういう意味において、やはり市町村あるいは森林組合というのが一種のコーディネーターになって森林所有者の意向をまとめ、ここで例えば間伐をやろう、計画的に間伐を百ヘクタールぐらいの山でやる場合に、どこに林道を通し、どこに作業道を通しというのを提案して一つの計画につくり、それをやっぱり林道の予算、林道の事業、あるいはその作業道の事業、あるいは間伐の事業ということで、これは一つの事業でまとめるように今やっておりますので、そういうのでまとめて申請をしていただいて公共事業として実施していく、こんなふうな姿で実施をしていきたいというのが基本的な考え方でございます。
#106
○山下栄一君 ちょっと残された時間で、その宝物の話ですけれどもね。
 山で生きてこられた方々を自然体験活動の指導者として認定しようという、そういう動きが今あるわけですけれども、ちょっとこれも質問通告しておりません。申しわけありません、今ふと思いついたんですけれども。
 これは、自然体験活動推進協議会というのが、農水省も入っていると思いますけれども、文部科学省とか国土交通省とかいろんな省庁を超えたさまざまな指導者養成のカリキュラムを共通化して、そういう自然体験がどんどん少なくなる今の世の中で、自然体験活動とあえて言わなくても人生そのものが自然体験活動であったという、そういう方々が漁村にもいらっしゃるし、農村にもいらっしゃるし、山村にもいらっしゃる。そういう方々はすぐれた偉大なる自然体験活動のリーダーであるという、そういうことから市町村が認定して、元気が出てくる、そして都市に住む方々を、きちっと木の育て方、育てる苦労、そしてもちろん草花の名前とか鳥とかいろんな動植物のことももう知り尽くした方々、それはもう日本列島からどんどん減っていく中で偉大なるリーダーなんだという、そういう認定運動みたいなことが今、自然体験活動推進協議会で行われております。
 こういう試みもすばらしい試みであると思いますし、もちろん農水省もかかわっておられて力を入れておられると思うんですけれども、そういうようなことをやはりどんどん宣伝することが国民の皆さんに理解を深めていく一つの道ではないかなと思うんです。もう時間がございませんけれども、大臣にちょっとその辺のお考えをお聞きしたいと思います。
#107
○国務大臣(武部勤君) 森林ボランティアは、平成九年が二百七十七団体あったのが十二年で五百八十一と、二一〇%ふえているんですね。私は、今後は問題解決型の視点で対症療法的な対策に終始するのじゃなくて、そろそろ国民の願望実現型の視点で本格的な政策というものをひとつつくっていく必要があると思うんです。
 その中では、我々、ヒューマンセキュリティーということで経済諮問会議でも強く主張したんですけれども、森づくりでありますとかあるいは海づくりでありますとか、あるいは防災、食料の確保、環境、こういったことについて積極的な努力をしていかなきゃならないと思うんですけれども、どうも正直言って、今まで林野庁は自分たちの世界だけで一生懸命やっているというような、そういう傾向があったんじゃないか、こう思います。
 これは農林水産省に限らず、政府挙げて、国民挙げてそういう運動をしていきたいと思っておりますし、今先生の御指摘のあったことは非常にいいアイデアだというふうに、かように存じまして、早速我々検討させてもらいたい、かように思うんです。
 しかし、緑の十字軍というのを山下先生御存じですか。これは数十年前から大変な活躍をしているんです。私はあえてもう何年来主張してきたことを言いますと、グリーン・キーピング・オペレーション、GKOをつくるべきだというようなことも言ってきたわけでございますが、先生の御発言に啓発されてさらにしっかりやりたいと思います。
#108
○山下栄一君 これで終わります。
#109
○須藤美也子君 まず、大臣にお尋ねしたいと思います。
 農業も漁業も林業も大事な生命産業であり環境産業であると思います。森林は緑と水の源泉である、こういうふうに思います。
 先ほど来いろいろお話ありましたが、先祖代々の田畑、山を守ってきたことが日本の国土を守ってきた、何千年になりましょうか、そういう歴史がある、第一次産業は。ところが、この第一次産業が低迷し、山村や集落が喪失していると。このことは二十一世紀の日本民族の存立にとって極めて重大な問題である、こういうふうに私は受けとめています。
 大臣は、この第一次産業の担当大臣として、この問題を、今憂うべくこの第一次産業に直面していると思うんですが、大臣はどのように認識しているのか、その点をまず最初お聞きします。
#110
○国務大臣(武部勤君) 食料の自給率を見ましても、OECD加盟三十カ国のうち日本は二十九番目です。三十番目がアイスランド。ここはもう火山の上に国があるというようなところでありますから、実際には一番食料の自給率が低い状態になっているわけでございます。
 しかし、中には、安い農産物は外国から買えばいいじゃないか、中国を初めとする食料輸出国がたくさんある、こういうことを言う人もおりますけれども、今、食料輸出国であっても、将来食生活が生活水準の向上に伴って変わってくるということになんかなりますと、私はそう簡単にはいかないんじゃないか、かように思いまして、やっぱりできるだけの食料の自給率というものを確保していかなくちゃいけないというようなことで、食料の安定供給ということは国の基本政策としてしっかり考えていかなきゃならない。
 同時に、先ほども申し上げましたけれども、森と海は命のふるさとだと、私どももこう思っておりますし、美しい国づくりということが我々農林水産業の一つの大きな使命だ、かように自覚している次第でございまして、先生のお話しされましたように、私は第一次産業というのは他の産業とはちょっと違うという、そういう認識を持っておりますし、そのことをやっぱり国民の皆さん方によく理解し協力していただくという努力が必要であろう。同時に、それに携わる人々も消費者の視点や国民の視点で自分たちの産業ということも考えていかなきゃならぬ。両々相まって新しい視点で考えていく必要があるのではないのかなと、こういう認識でございます。
#111
○須藤美也子君 そういうお考えを持っているということは、私とその点は一致していますね。そういう立場でこれから林業・森林問題についても積極的に取り組んでいただきたい。
 ところで、法案に入りたいと思います。
 大臣は趣旨説明の中でこういうことを言っております。「森林に対する国民の要請は、木材生産機能から、国土や自然環境の保全、地球温暖化の防止等の多面にわたる機能の発揮へと多様化している」、こういうふうにおっしゃっております。
 しかし、国民の森林に対する多様化、考え方というのは今始まったことではないでしょう。一九八〇年代から大型開発、ダムをつくる、大規模林道をつくる、そういう時代から国民は山の乱開発あるいは環境問題で非常に関心を高めてきたわけです。そういう時代から国民が、山の持つ多面的機能あるいは公益的機能に対して、これが壊されていくのでないか、開発によって。ですから、そういう関心がどんどん高まってきたと思いますが、そういう国民の森林に対する関心の背景にそういった大型開発とか乱開発とかそういうものがあるということに対する政治の責任、これはどのようにお考えでしょうか。
#112
○国務大臣(武部勤君) 先生は大規模林道を走ったことございますか。
#113
○須藤美也子君 あります。
#114
○国務大臣(武部勤君) そうですか、それならわかると思いますけれども。
 私は、森林に対する、あるいは林業に対する国民の要請というのは、敗戦の後の経済復興を余儀なくされている時代には、やはり山から木を切り出して家をつくる、何をつくるというような要請があったんですよ。それは先ほど井上先生のお話もありましたけれども、容易に、道路のすぐそば、人の住んでいるすぐそばに森も山もあったんですね。そういうものを切り出してやってきたという、そういう状況にあったと思うんです。
 私どもは地元ですからよくわかっていますけれども、それは木を切り過ぎたということはあるかもしれませんよ、また、それに対してきちっとした後のフォローをしていないということもあるかもしれませんが、奥地の方は手つかずだったんですよ、昔は。手つかずであったがゆえに、奥地における択伐でありますとか森林の整備でありますとか、そういったことをやっていかなきゃならぬ、また木材の搬出もしなきゃならぬということになれば、やっぱり林道整備ということは不可欠ですよ。特に、奥地になればなるほど、やっぱりアスファルトの道路というふうになってくるんじゃないでしょうか。
 しかし、大規模林道も、私行ってみましたけれども、何でこんなに整備の進捗率が遅いんだということになれば、一つは、本当に自然に配慮した、環境に配慮したやり方をやっているんですよ。もう一気にブルドーザーで山を切り開いていくというやり方はしておりません。だから手間暇がかかっているんだなと。私は、もう少し早くできないのかと。早くつくって、早く開削して、そして経済効果のあるような、国民に利用してもらえるようなことをしたらいいじゃないかと。なかなかそれができないんだというので、私としてはそれで不満なんですけれども、何年もちんたらちんたらやっているのは。ちんたらという言葉は適当でなければ、これは削除してください。何といいますか、進捗力が極めて遅い。
 だから、これは土建屋さんのためにこういった事業が行われているのではないかというような批判が出てくるわけでしょう。なぜかというと、使われていないんですから、つくっているだけですから。これ以上申し上げると先生の質問の時間がなくなりますから申し上げませんが。
 ちょっと誤解があると思います、いろんな意味で、林道についてもダムについても。しかし、ダムについても、私はもう一つ言わせてもらうと、人間のおごりもあったと思うんです。あるいはそんな余裕がなかったのかもしれません。ただ治山治水というその一点で考えるから、また土石がたまってつくり変えなきゃならぬというか、その上へ積み上げなきゃならぬというんです。
 それから、有明へ行っても言われましたよ。ダムをつくって、やっぱり水をためるだけじゃだめなんですね。水を流すだけじゃない、やっぱり砂れきが海に流れていって、そしてそこに藻場だとか魚や魚介類の生息の漁場ができるという話を聞いてきました。ははあ、なるほど、もっともっと考えて、自然環境というものを甘く見ないで、自然環境と調和するやり方でそういったダムの建設もやっていかなきゃならぬなと。
 そういう意味では、むしろ林道あたりの方が自然環境に配慮しながらやっているから遅いんだなということと同時に、まだまだ先生が主張されるようなことも考えてやらなきゃならぬと、私はそれは同感ですよ。
#115
○須藤美也子君 大変長い答弁、ありがとうございました。
 林道については、私は林業のための林道はつくるべきだと思います。しかし、山形の小国―朝日間は中止しました。なぜかといいますと、ブナ林を伐採してそこに杉を植えました。二十メートルもの高いそういうところに杉を植えれば、杉の先はみんなこういうふうになっています。杉は高いところでは成長いたしません。そういうような乱開発をしながら、どうして大規模な林道が必要なのか、地域住民にとっては必要でない、こういうことでこれは中止になりました。ですから、林道のことについては、大臣も御存じのようですが、私もよく知っております。
 さらに、岩手県の早池峰山には猛禽類が生息しているにもかかわらず、そこに四十メートルぐらいの大規模林道をつくる、こういうようなことが果たして環境にいいのかどうか、これが今、国民的な関心になっているわけですよ。ですから、今回こういう問題を重視して、山、森林の持つ多面的機能、公益的機能を掲げたんだと思うんですよ。でありませんか。これは後でまとめて結構ですけれども。
 それで、その後に、「林業の採算性の悪化、林業収入への依存度の低下等による森林所有者の経営意欲の減退により管理不十分な森林が増加しつつある状況にあります。」と、こう言っているわけですよ。これが森林所有者の責任なんですか。管理不十分な森林が増加していると、こういうことを大臣がおっしゃったわけですけれども、これまで国内産の材木の価格が下がる、外材に依存する、そういう中でどんどん経営が成り立たなくなっているわけですから、これは林業の経営に対して意欲を失うのは当然だと思うんです。それが森林所有者の責任なのかどうか、この辺はどうですか。後で時間があれば長いお話をお聞きしてもいいんですけれども、限られておりますので、その点、どうですか。
#116
○政府参考人(中須勇雄君) そのくだりにつきましては、別に森林所有者の責任を追及したりとか、そういう意味で大臣は申し上げたわけではございません。確かに客観情勢としてそういう状況が現出しているということを申し上げたということが真意であります。
   〔委員長退席、理事岸宏一君着席〕
 ただ、同時に、例えば在村だった森林所有者の方が都会に出ていってしまう、そういうときに何も言わずに、森林組合に何のあれもしないでもう出ていってしまって、後、連絡がとれない、そういうような意味でのもっとやっぱりきめ細やかな、きめ細やかと言うと大げさかもしれませんが、森林というものが持っているその意味というか、自分のだからどうやってもいいんだということではなくて、やっぱりみんなのための森林なんだという意味での配慮は、私、個人的な意味でも欲しいと思いますけれども、ただ、大きく見れば、客観的に厳しい状況に置かれている中でなかなかそういうことにまで手が届かなくなっている、それが現実だという意味だと思います。
#117
○須藤美也子君 森林の健全な育成を支えるのが林業だと思うんです。この林業と森林の持つ多面的機能とは一体のものだと思うんですよ、別々のものではない、森林を支えるのは林業であると思うんです。ですから、林業が活力を失えば、森林も多面的機能あるいは公益的機能を発揮する、こういうふうにはならない、矛盾するものではなくて一体のものだというふうに私は認識しているんですが、その点はどうなんですか。
#118
○国務大臣(武部勤君) それは一体だと思いますよ。山元などは、山火事があってもみんな駆り出されて大変なんです。山を守り、何かあったら駆り出され、といっても大した給付もない。そういうようなことなどを見てまいりまして、私は森林整備と林業経営というのは一体だとは思います。
 しかし、忘れてはならない原点は、我々は生かされているということだと思うんですね。自然の恵みに感謝しながら、森の恵みをいただきながら、林業という産業に従事し、そして生活や所得やそういった恩恵を受けているという考え方、そこを忘れたところにやはり今日的な問題も出ているんじゃないか。
 それと同時に、先生もおっしゃいましたけれども、材価が下がったというのは輸入したからだという、そういうお話だったように思いますけれども、しかし当時は、国民が家を求めているというときに、国産材だけで追っつかなかったわけですよね。それで必然的に外材を輸入すると。ましてや、その上に為替相場があるんですね。そういうことも加わって大打撃を受けているというようなことは一つあると思いますし、そのために農林水産省も相当な支援をしてきた。しかし、それも意欲を減退している原因であるということには間違いない、かように思います。
#119
○須藤美也子君 そうしますと、その原因は、その外貨の問題も含めて経営が成り立たないような状況にあるということはお認めになった。とすれば、今回の林業基本法の改正案は、これを今度は正して、そして林業経営が成り立つような、そういう展望を持てるような、価格も含めてそういう保障がある、こういう内容になっているのでしょうか。少し短目にお願いします、答弁。
#120
○国務大臣(武部勤君) 日本の国は計画経済の世界じゃありませんで、自由貿易というものを建前にして市場原理の世界で経済活動が行われているわけでありますから、そういうことを忘れてはならないと。その上に立って、これは林業者自身、林業経営者自身も努力をしていかなきゃならぬと思いますけれども、お話しのとおり、森林整備と林業経営というのは一体不可分の関係にありますので、我々も今度の基本法に基づいて、林業経営をどのようにして今後発展させることができるかという努力はしていかなきゃならぬと思っております。
   〔理事岸宏一君退席、委員長着席〕
#121
○須藤美也子君 少し時間が長引いているようですけれども、通告した……
#122
○国務大臣(武部勤君) 長官が答弁しますから。
#123
○須藤美也子君 いや、いいです、次のを次回に回しますから。ゆっくり大臣の哲学的な考えをお聞きする、こういう点でどうぞお話ししていただいて結構なんですけれども。
 ただ、どこも市場原理に基づいてやっています、アメリカでもEUでも。しかし、地球サミットで確認したことは、これは日本は日本で守らなくちゃならないと思うんです。やっていかなくちゃならないと思うんです。そういう立場で、日本が世界全体の輸入量の二三%を輸入しているわけです。ですから、世界からどういうことを言われているか、日本は森食い虫、こういうふうに非難されているわけです。
 これは大臣もおっしゃったと思うんですけれども、一九九二年の国連環境開発会議、つまり地球サミットで森林原則声明を採択したわけです、日本も一緒に採択したわけです。ところが、実際は、ほかの国々が自分の国の持っている森林・林業を大事にしているにもかかわらず、日本は外材に依存しながら進めてきた。その結果、世界の輸入量の二三%も入れなくちゃならない、こういう状況にあるという現実をやっぱりしっかりつかんでいかないと、今度の基本法案も生きていかないと思うんです。
 そこで、自給率の問題を質問したいと思うんですが、我が国の年間の木材消費量は一体どのくらいなんでしょうか。長官にお願いします。
#124
○政府参考人(中須勇雄君) 年間の木材需要量は、ここ数年、一億一千万立方メートル前後で推移しておりましたが、平成十年以降、住宅需要の低迷等から九千万立方メートル台で推移している、こういう状況にございます。
#125
○須藤美也子君 それでは、森林の現在の蓄積と、人工林を中心にして毎年どれくらい増加しているのでしょうか。
#126
○政府参考人(中須勇雄君) 現在、我が国の森林の蓄積は、推計でございますが、三十八億立方メートルというふうに私ども推定をしております。毎年およそ、もちろん人工林が中心になるわけでありますが、八千万立方メートルずつ増加をしている、こういうふうに推計をしております。
#127
○須藤美也子君 とすれば、八千万立方が毎年毎年増加している、成長している。少なくとも五千万立方は国産材として利用して国内消費量に回す、これはできるわけですよ。そうすれば、消費量が一億立方ですから、五千万立方であれば、単純に計算しても半分は国産材で消費を賄うことができるという、数字的にそういう計算になりませんか。
#128
○政府参考人(中須勇雄君) 御承知のとおり、現在の我が国の森林の現況というのは、戦後の拡大造林等による造林された杉、ヒノキ等を中心とした木材が大体、かなりの齢級に達したもので九齢級、その辺まで達している。ただ、九齢級以下が、四十五年生以下が八割を占めている、こういう状況にあります。ですから、昔でいえば、井上先生がおっしゃいましたように四十五年が適齢伐期だ、そういう概念でいえばそろそろ切り始めることが可能でありますが、現在の状況は必ずしもそういうことを許さない状況であります。さらに伐期を延ばしていくというのが現実的だというのが大方の見方でありまして、そういう意味からすると、現在八千万立方メートルずつ増加をしているかなりの部分をここで一挙に切る方に転ずるというのは、我が国の森林自体をしっかりした蓄積のある森林として維持していくという意味では決してとるべき方策ではないと思います。
 ただ、確かに、今かなり林業生産活動が停滞していることによって切り出される木材の量というのが減っているのも事実であります。この辺につきましては、私ども、新しい基本法に基づく森林・林業基本計画の中において、例えば十年先、二十年先においてあるべき森林の姿を明らかにした上で、どの程度国内で毎年蓄積しているものを伐採して木材として利用していくことが適当であるか、そういう数値をお示しして、それが国内で利用される体制をつくっていく、こういうふうな形で全体としての組み立てを考えていきたい、こういうふうに思っているわけであります。
#129
○須藤美也子君 成長しても利用されないということは問題があると思うんです。政府が国産材を利用する積極的な姿勢をとるかとらないか、これによって国産材の普及というのは図られると思うんです。林業白書でも、資源的には五〇%に引き上げることが可能だ、こう書いてあるわけです。数字的な自給計画をその計画の中に今後立てるつもりなんですか。一言でいいです。
#130
○政府参考人(中須勇雄君) 立てるつもりでございます。
#131
○須藤美也子君 はい、わかりました。
 そうすると、例えば三十八億立方蓄積がある、それから八千万立方が毎年毎年成長していく、こういう宝があるということです。これはやっぱり国民的には喜ばしいことだと思うんです、日本の山にこれだけの宝があるということですから。ですから、そういう点からいえば、やっぱり林業をやっている方あるいは山村に住んでいる方々が非常に今展望を失っている、ここが今一つの問題だと思うんです。
 そこで、今、自治体で林業振興策をつくったり、国産材の利用を図っています。例えば、私は山形県です。金山町もいろいろな施策をやっていますね、岸さんも山形県ですからよくわかります。山形県は間伐材利用推進流通安定化総合対策事業、こういうものをつくっています。県が間伐材に助成をしています。公共施設や県の土木事業に間伐材を使う。山形県の温海町では、家を建てる人に地場産の杉に奨励補助金を出しています。これは材料費百万に対して一五%、限度額三十万円までということで地場産の木材を使う、こういうふうに努力しているわけです、地方自治体が。これは山形県だけ、私がそこに住んでいるからわかるんですけれども、ほかの皆さんのところでも一覧表を見ますとさまざまな施策を持っております。地方自治体が努力している。ここで問われていることはやっぱり国の施策なんです。
 そこで、このような地方の努力を国はどのように評価しているのか、これが一つ。二つ目は、法案の二十五条、国は林産物の適切な利用促進、これを今回の法案に明記しております。国は具体的な計画を持っているのか。この二点についてお答えいただきたいと思うんです。
#132
○政府参考人(中須勇雄君) 初めの、国産材の利用の促進ということに関しまして各県でさまざまな試みがなされている、私どもも承知しております。また同時に、国自体も、私ども自体も大変な努力をしているつもりであります。特に、間伐材をどういうふうに利用していくかということに関しましては、緊急間伐五カ年対策、現在取り組んでおりますが、これは年間約三十万ヘクタールの間伐を行う。従来、年間二十万ヘクタールでございますから、常識的に考えて一・五倍の間伐材が出てくる。これをどう利用するかという体制をつくることが不可欠であります。
 そういう意味におきまして、私ども、もちろん治山事業だとか林道事業その他含めて間伐材をさまざまな形で利用する、鉄やコンクリートにかえて木を利用するという形でみずから実施しておりますし、関係省庁にお願いをして木材の公共事業における利用、特に間伐材について積極的な利用を図るようにお願いをしている。それからもう一つ、大きな話としては、地域のシンボルとなるような大きな施設でぜひ国産材を使っていただきたい、こういう気持ちを持っておりまして、平成十二年度の補正予算では約九十五億円をお願い申し上げまして、各地域におけるシンボルとなり得るような各種の公共施設を木材で建設する、こういう事業に取り組んでいただいたということであります。
 今、それに加えて、それぞれ各都道府県、市町村が創意工夫を凝らして間伐材を初めとする木材利用の促進に努力をされているわけでありまして、私どもそれについては、そういう事例集等をいろいろ集めて各地方公共団体にお示しするというようなことのほかに、いわゆる地方財政措置の中で、そういった地域材利用の取り組みに対して地方財政措置としていろいろ支援をしていただくということを関係省庁の間で話し合って、例えば県営住宅等を地域材でつくる場合に利子補給をするとか、そういうさまざまな取り組みをやっているということでありまして、今後とも、この点が大変大きな課題であるという認識のもとに、今やっている努力にさらに力を入れていきたい、こういうふうに考えております。
#133
○須藤美也子君 通告を随分いっぱいしたんですけれども、この次に回しますから。次は私の方からばんばんばんばん言わせていただきますけれども。
 最後に、傍聴席の方々は恐らく林業とか森林組合に関係している方々だと思うんですが、皆さんから出されている要望の中に、例えば十年前の一九九一年九月に、和歌山県本宮町の町議会で森林交付税の創設を求める意見書を全会一致で採択しました。現在、それが広がって九百一の市町村が加盟し、森林交付税創設の促進運動が非常に広がっているわけです。
 こういった森林交付税の創設に対して多くの自治体がそういう運動を広げているわけですが、そういう問題について大臣はどう受けとめられているのか。その点をひとつ、あと一分ぐらいありますから、どうぞその問題についてお話ししてください。
#134
○国務大臣(武部勤君) 森林交付税の問題については、私も積極的に運動した一人ですよ。北海道で私は講師に呼ばれて私の持論を述べたことがあります。私は先駆者です。しかし、これは具体的に森林交付税というような、そういう形としてはいきませんでしたが、実際、豊かな森林づくりの推進とか地域材の利用促進、水源維持のための上下流協力の促進等に係る特別財政需要に対して特別交付税が交付されるというような、そういう形で拡充し強化されてきたんです。遠藤副大臣なんかも、私たちは貧乏県の地方議会議員出身で、傾斜配分促進議員連盟というのをつくっている。そこで一生懸命やった一つの成果だと思っているんです。
 しかし、今後、森林整備に必要な財源については、今、経済財政諮問会議における地方財政の見直しの議論がなされておりますから、それを見きわめる必要があると思いますが、そういったものを見きわめながら、森林整備に必要な財源についての施策の重点化、効率化を行いながらその財源確保に努力してまいりたい、かように存じます。
#135
○須藤美也子君 時間ですのでやめますが、きょうは大臣の顔を大変立てたような質問になりましたけれども、この次は我が方の提案も話させていただきたいと思います。
 以上で終わります。
#136
○谷本巍君 事前に通告しておきました質問項目、既にもう前の人が質問をやっておられるものが結構ありまして、重複するところが出てまいりますが、その点はお許しをいただきたいと存じます。
 初めに大臣に伺いたいのです。自給率問題であります。
 森林問題の持つ性格というのは私は変わってきたと思います。昔は、それぞれの地域、それから国単位で考えればよかった。最近は、環境問題との絡みで地球的規模で考えなきゃならぬというような性格が出てまいりました。そういう点で、新しい基本法を見てみますと、これまで議論がありましたように、公益的機能増進への林政の転換ということがうたわれておるんですが、なぜか自給率引き上げということが林政の基本に据えられていない、私にはそう読めるんです。
 八割もの異常な外材依存を続けるということは、地球環境問題からしてもこれは許されることじゃありません。ということは、国内では環境型林業、対外的には山荒らしといったような状況にまたなっていくのではないか。これはやっぱり許されません。ですから、公共的機能とか環境ということをうたうのであれば、自給引き上げということを言いませんとつじつまが合いません。この点は大臣、どうお考えでしょうか。
#137
○国務大臣(武部勤君) 新たな基本法におきましては、森林・林業基本計画の中で国産材の供給・利用量を目標として示すことになっています。目標達成に向けた総合的かつ計画的な取り組みを実施してまいりたい、かように思っております。
 今、先生御指摘の自給率でありますが、これは木材の総需要量について見通しを持つということと同時に、参考指標として示すことを検討したいと思います。これは、先ほど来長官も答弁しておりますように、なかなか分母、分子の関係がございますので、考え方として私は大事だと思っておりまして、そういったことを念頭に置いて参考指標として示すというようなことを検討する必要があるのではないか、かように思っております。
#138
○谷本巍君 先ほど長官は、共産党の質問に答えて自給引き上げということを言っておられるんです。ですから、今の大臣の答弁は、木材総需要の見通しを示しながら自給率を参考指標として示す、そういうふうにして自給引き上げの努力をするという考え方と受け取っておいてよろしいですね。
#139
○国務大臣(武部勤君) そのとおりです。
#140
○谷本巍君 それで、もう一度伺いますが、自給引き上げということを新しい基本法、林政のもとでその基本に据えていく、考え方としては、こう理解してよろしいですか。
#141
○国務大臣(武部勤君) そのことを基本の一つに置いていると言って過言ではないと思います。
#142
○谷本巍君 基本の一つじゃなくて、基本に据えてもらわなきゃ困るんですけれどもね。
 そこで、続いて大臣にもう一つ伺いたいのは、ITTOの活動支援の問題です。何でしたら長官からお答えいただいても結構です。
 今も申し上げましたように、八割の外材依存というのは異常な状態だ、ここを脱出するためには自給率を引き上げなきゃどうにもしようがないだろうという問題と、もう一つの問題があるように思います。それは、国際的課題になっております熱帯林の減少、これをどう食いとめるかという問題があるのではないでしょうか。
 熱帯木材機関であるITTOは、横浜に国際機関としてあります。木材貿易は、熱帯林が減少しない範囲にとどめることを目標に取り組んでおりますが、その目標は達成されておりません。いろいろな事情があってのことのようでありますが、特に大きな事情は、熱帯林所有国は輸出が困難になると経済的に大きな問題になってしまう、そのために限度を超えた木材輸出になってしまうという場合が多いようであります。そういう事情を見てみれば、日本にとっては、過剰伐採が食いとめられていくとすれば、輸入を減らしていくことができる道が出てくる、つまり国産材利用の拡大のチャンスをつくるという意味合いを持つことができる、こう思うんです。
 でありますから、ITTOに対して国として私は大いに支援すべきじゃないかと思うんです。熱帯林所有国の経済問題が絡むなら、別途、熱帯林諸国への経済支援を推進してよいのではないかと思うのだが、大臣いかがお考えでしょうか。
#143
○国務大臣(武部勤君) 熱帯林の利用と保全を図るため、熱帯木材貿易のモニタリング、熱帯林産物の付加価値の向上等の各種事業に対し拠出しているところでございます。
 今後とも、本部機関が所在するホスト国として、引き続きITTOへの貢献を継続、強化してまいりたい、かように存じます。
#144
○谷本巍君 この問題は、時間もありませんから、また後で詳しいことを伺うようにしたいと思いまして、次へ移らせていただきます。
 長官に、流通機構の問題について伺いたいと存じます。
 輸入外材は安いから日本の木材市場を制覇したというふうに信じられておりますが、現実はそうではないと私は思います。物にもよりますが、外材が丸太、製材品とも国産材を上回っておる状況がしばしば見られます。にもかかわらず、外材の優位というのが依然今なお続いているというのは一体何なのか。
 結局、これは外材の輸入機構問題、これがあってのことではないかと思います。つまり、外材向きに大量化、単純化、短縮化されてきた、そして商社や住宅産業によってつくられてきた流通のあり方、これが依然として外材優位を支えている実態ではないのか、こう申し上げてよいのではないかと思います。
 でありますから、この流通のあり方をどう改革していくか、つまり国産材向きにどう改革をしていくか、この点についての所見を承りたいんです。
#145
○政府参考人(中須勇雄君) その点はまさに御指摘のとおりだろうと思います。単に、我が国の国産材が外材に大きな市場を奪われているというのは価格だけではない、やっぱり流通あるいはその中身、供給されるものの品質を含めた総合的な競争において負けているというのが率直な状況じゃないか、こういうふうに思います。
 やっぱり輸入物というのは、商社等を通じて同一の品質、規格というものがかなり大量に輸入され、それが大手の住宅メーカーなど大口の需要者にじかにつながっていく、こういうルートがきれいにできている。それに対しまして国産材の流通は、零細かつ多数の森林所有者と製材業者あるいは大工、工務店の間に多段階で小さな流通がふくそうしている。そのことと、もう一つは、特に現在では消費者が性能とか品質ということを非常に重視するのに対して、乾燥という面でのおくれを持っているということもございまして、そういう品質とか性能を表示して、それを優位なものとして売っていくということでもおくれている、こういう状況だろうと思います。
 今、八割・二割というお話が出ましたが、いわゆる製材の分野で言うと、今、国産材は大体三五%ぐらいの比率を持っている、外材が六五%ぐらいの比率、こういうことでありまして、これ以上本当に縮小すると、もう流通ルートとしても勝てない、こういう状況だと思います。
 そういう意味におきまして、ここでやっぱり本当に関係者が本腰を入れて、特に今いわゆる流域管理システムというふうなこともございます。かなりの広範な地域を単位として原木生産とか流通、木材加工、各関係者の連携を強化して、一カ所に地域の木材を集め、それを消費というものに大きな単位でつなげていく、しかも乾燥ということをその過程でしっかりやっていく、そういう体制をつくるために最善の努力を今費やさなければならない、そういう時期に来ている、こういうふうに思っております。
#146
○谷本巍君 それで、長官にもう一つ伺いたいのは、国産材による住宅づくりの問題であります。
 国産材の流通の簡略化に向けて、例えば国と業界とが基金をつくって本格的な取り組みをやってほしいといったような声もありますし、また地域で自治体の公営住宅あるいは公共施設等々をつくる場合、国産材でひとつつくるようにしようといったような動き等々も出ております。
 そういう中で私が一番注目したいと思うのは、最近、北海道の「木の城たいせつ」という住宅メーカー、これが行っている仕事のことであります。この住宅メーカーは百年もつ住宅づくりを目指しております。したがって、くぎを使うようなやり方じゃない工法でやっていきましょうということでありますが、最も特徴的なのは、使用すべき材木はすべて北海道産材である、そしてまた建築地も北海道の中に限定をする、そしてこれらの社員は北海道に住んでいる地域の皆さんでもって構成をしていくというやり方の中で搬送コストを非常に下げておりまして、坪当たり四十五万円程度からのところでひとつ百年もつ住宅づくりをやろうというようなことでやっておりまして、北海道の住宅メーカーでは北海道一成長が高い、こんなふうに評価されているところであります。
 こうしたあり方というのをこれからやっぱりバックアップしていかなきゃならない。これは消費者の利益にも見合いますし、それから山村の地域経済、これをよくしていく上でも重大なことでありますし、山を守る上でも大きな貢献度が高いという点で、この種の地場材を使った地場での住宅建築、これを積極的に進めるようバックアップしてほしいと思うんだが、いかがでしょうか。
#147
○政府参考人(中須勇雄君) 先ほどの御答弁に続いてのお話でありますが、そういう意味で、確かに住宅への国産材利用ということが、やはり全体の需給関係を見ましても一つのキーポイントになるということは、私どもも同様に考えております。
 そういう意味で、やはり品質、性能の明確な乾燥材の供給体制を整備するというマクロの形での対策にあわせまして、私ども、木材関連業者と大工、工務店との連携による地域材利用の家づくりの推進、あるいは消費者への普及、あるいは本年度から、家ということだけではなくて、リフォームの際に、国産材による内装材、加工、施工の容易な、これを提供して、リフォームの際に国産材を利用して、地域材を利用していただく、そういうことについての取り組みを現在開始しているところであります。
 今、先生のおっしゃったような話に関連すると、これはいわゆるNPOの例なんですけれども、地域材利用を推進して家を建てようということに取り組んでいるNPO、ちょっと調べただけでも全国で七十六団体、そういうことに積極的に皆さん取り組んでやっておられる、こういうことでありまして、私ども、ぜひこういう動きというものをさまざまな形で支援をして、一種の草の根運動みたいなことも含めて、ぜひ国産材に、地域材による家づくりということに、そういう機運が高まってくる、醸成されるということに向けて努力をしたいと思います。
 なお、具体的に先生御指摘がありましたように、都道府県等が地域材を利用した住宅建設に対して利子補給事業を行う、こういう場合に、地方財政措置で必要経費額について都道府県の財政需要額に算定をする、こういう措置も講じておりますので、その一層の活用の促進ということにも取り組んでいきたいというふうに思っております。
#148
○谷本巍君 それで、長官もちょっと聞いてほしいんだが、大臣にも聞いてほしいんですけれども、今長官からお話のあった全国で七十六団体の取り組みのお話が出ておりましたけれども、それからまた、今私が申し上げた北海道の「木の城たいせつ」というこの住宅メーカーの場合もそうなんですけれども、持続可能な社会を考える上で重要な哲学を持っているということですね。私はこの点を学んでいくべきだろうと思うんです。
 「木の城たいせつ」の場合で申し上げますというと、四年前、八つの地域本社に分割をいたしました。それは、地域の地域による地域のための企業にしていくんだ、これを徹底させていくんだという考え方です。でありますから、営業、施工、アフターサービスとも完全一体化させたものであります。つまり、地域社会の要望にこたえ得る体制をとっているということであります。ですから、社員は、その地域で生活している人、これを積極的に採用していくというやり方になっているんですね。
 地域循環型社会また持続可能な社会というのをだれがつくっていくのかということになってきますというと、私は、地域の現実を知らないシンクタンクだとか広告代理店ではないと思います。やっぱり地域に定住している人がやっていくべきことではないのかと思うんです。そういう当たり前のことをこの皆さんが忠実に実践している。この哲学が私は非常に大事だろうと思うんですよ。日本の林業再建についても、それから国産材活用についても、こういう哲学というのを私は大事にしていくべきではないかと思うのです。
 もし御所見がありましたら、長官なり大臣なりにいただきたいと思います。
#149
○国務大臣(武部勤君) 全く同感でございまして、昨今、地産地消という考え方がまた復活してきているのではないかと思います。私どもが、都市と農山漁村の共生、対流というようなことを申し上げているのもそういう考え方が背景にありまして、先生が今お話しされましたようなことは非常に重要なことだと、かように思います。
 ただ、「木の城たいせつ」は、私も北海道ですのでよく知っていますけれども、テレビのあの宣伝はすごいですね。だから、やっぱりマネジメント、マーケティングというようなこともしっかりやっているんだろう、かように思いますね。
#150
○谷本巍君 問題は、どこに基本を据えているか、ここだろうと思いますね。
 最後に、時間もなくなってきておりますので、山村の崩壊問題について、どう歯どめをかけるかということについて伺いたいと存じます。
 山村の活性化なしに森林・林業の再建はありません。だが、現実は、残念なことに山村社会は一挙にもう崩壊の過程に入るというところが多くなっております。どう歯どめをかけていくか。何といっても、就業機会を確保していく、つくっていくということが大事になっております。そういう意味では、林業の世界では、木材産業の振興ということもあるでしょうし、それからまた森林資源の地域的活用ということを通して雇用を確保するといったような問題等々もあろうと存じます。
 この点についてはまた別な機会にいろいろと問題提起もさせていただきたいと思いますが、特にきょうここで強調させていただきたいのは、もう一つの柱である農業生産問題、ここのところについてやはり一定の方針をびしっと出してほしいなと思うことであります。
 例えば、私ども山村を歩いてみますと、過疎化しないで残っているところは、中山間地域であるというマイナスの条件をプラスに転換しているところ、これが割と多いということですね。
 例えば果物、イチゴの生産なんかでいいますというと、平場のところでもうイチゴ生産が終わっちゃって、かなりたってから出してくるんですね、外国から高いイチゴが入ってくる時期に。そういうやり方をやっているところもありますし、それからまた、花や木などの生産にしましても、ササの場合だったら一千メーターと言われているわけでありますけれども、高度差によって、つくり方、つくるものが違う、これを上手に生かしていくやり方というのがある。つまり、平場にできないことは中山間地域でできるという条件があるわけです。
 さらにまた、ビニールハウス一つの問題をとってみましても、工夫しているところは、高度の高いところと低いところで同じものを二つつくっているんです。片方のは収穫期がちょっと早い。ですから、一人の人でもってずっと作業を継続的にやることができるといったようなことをやっている例も見られます。それからまた、豪雪地域なら、最近は豪雪を活用した農産物の貯蔵庫づくり、この研究、検討も進むようになってきました。
 それからまた、もう一つの問題は、地場の加工と流通問題があります。特に、これは中国山脈を私は歩いて痛感したのでありますが、生き残ったところは押しなべて加工をやっております。そしてまた、消費者団体なんかと結んで流通もやっております。加工をやりますと、専業と兼業の分離関係というのがなくなっていって、全体がぐるみになってやれるという状況が生まれてきます。そしてまた、売り方なんかについても、中国の私の知っている過疎地というか山村では、この食べ物には山を守る経費が入っておりますと断りがついて売られている例があります。結構いい値段で売れているんです。
 でありますから、中山間地域でそういうふうにしていろいろ工夫をしながら生き残っているところ、例が結構あるのでありますから、そういう例をきちっと集めながら、農業問題でも林業と両面で生き残っていくことができるようなやり方、そしてまた、それへの助成を積極的にやってもらいたいと思うんですが、いかがでしょうか。
#151
○委員長(太田豊秋君) 簡潔にお願い申し上げます。時間が過ぎております。
#152
○国務大臣(武部勤君) はい、わかりました。
 先日、青森におけるタウンミーティングで、青森市に来るのに三時間かかる大間というところのお嬢さんが、私は一流の田舎をつくるんだと頑張っていました。いや、頼もしいなと思いました。
 やはりこれから、先生今いろいろ御指摘いただきましたことをしっかり私どもも受けとめさせていただきます。世の中大分変わってきたと思います。そういう意味で、人と自然の共生、農業の分野におきましても、生産だけじゃなくて、生産、加工、流通、一つの大きなアグリカルチャーからアグリビジネスぐらいまでのことを支援するような努力をしていきたい、かように思います。
#153
○谷本巍君 ありがとうございました。
#154
○委員長(太田豊秋君) 三案に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後五時三十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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