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2001/06/22 第151回国会 参議院 参議院会議録情報 第151回国会 農林水産委員会 第22号
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2001/06/22 第151回国会 参議院

参議院会議録情報 第151回国会 農林水産委員会 第22号

#1
第151回国会 農林水産委員会 第22号
平成十三年六月二十二日(金曜日)
   午後零時二分開会
    ─────────────
   委員の異動
 六月二十一日
    辞任         補欠選任
     井上 吉夫君     久野 恒一君
     森田 次夫君     大野つや子君
 六月二十二日
    辞任         補欠選任
     成瀬 守重君     斉藤 滋宣君
     広中和歌子君     木俣 佳丈君
     堀  利和君     峰崎 直樹君
     益田 洋介君     渡辺 孝男君
     笠井  亮君     富樫 練三君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         太田 豊秋君
    理 事
                岸  宏一君
                森下 博之君
                郡司  彰君
                谷林 正昭君
    委 員
                岩永 浩美君
                大野つや子君
                久野 恒一君
                国井 正幸君
                斉藤 滋宣君
                田中 直紀君
                木俣 佳丈君
                峰崎 直樹君
                山下 栄一君
                須藤美也子君
                富樫 練三君
                谷本  巍君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        山田 榮司君
   参考人
       日本林業経営者
       協会副会長    速水  亨君
       高知県檮原町長  中越 武義君
       明海大学不動産
       学部教授     森  巖夫君
       宇都宮大学農学
       部教授      笠原 義人君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○林業基本法の一部を改正する法律案(内閣提出
 、衆議院送付)
○林業経営基盤の強化等の促進のための資金の融
 通に関する暫定措置法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○森林法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆
 議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(太田豊秋君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨二十一日、森田次夫君及び井上吉夫君が委員を辞任され、その補欠として大野つや子さん及び久野恒一君が選任されました。
 また、本日、広中和歌子さん、堀利和君、益田洋介君及び笠井亮君が委員を辞任され、その補欠として木俣佳丈君、峰崎直樹君、渡辺孝男君及び富樫練三君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(太田豊秋君) 林業基本法の一部を改正する法律案、林業経営基盤の強化等の促進のための資金の融通に関する暫定措置法の一部を改正する法律案、森林法の一部を改正する法律案、以上三案を一括して議題といたします。
 本日は、参考人として日本林業経営者協会副会長速水亨君、高知県檮原町長中越武義君、明海大学不動産学部教授森巖夫君及び宇都宮大学農学部教授笠原義人君に御出席いただいております。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多忙中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。ただいま議題となっております法律案につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見を賜りたいと存じますので、何分よろしくお願いを申し上げるものであります。
 本日の議事の進め方について御説明いたします。まず、お一人十五分程度で順次御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
 それでは、速水参考人からお願いいたします。速水参考人。
#4
○参考人(速水亨君) お手元に四枚の資料を配付させていただいておりますが、それを参考にしていただければ結構かと思います。
 日本林業経営者協会副会長をやっております速水でございます。三重県で林業経営をやっております。
 本日の基本法の一部改正に関しまして、お手元の資料の二ページ目をごらんになっていただきたいと思います。
 まず、私がつくってまいったわけでございますが、日本林業が戦後どのように変化していったかというのを、十年ごと追いかけましてつくった資料でございます。全部を説明しておりますと時間がございませんので、それに関して三枚目には少し細かい説明等を書かせていただいてありますので、後ほど御参考にしていただければと思います。
 特に、一行目の一、GNPに占める林業の生産のウエートでございますが、これは、昭和二十五年の欄は、実は戦前の数字しかなかったので戦前が五%、それから三十五年二・四、四十五年〇・八、五十五年〇・四、平成二年〇・一七、平成十二年〇・〇七五と、急激にGNPの中に占める木材、林業生産のウエートが落ちてきているということがございまして、産業としての林業という意味合いは国家経済の中からすると極めて小さいものになってしまったなということを思っております。
 また次のところに、杉の全国の平均造林投資の利回りが書いてございます。これは林野庁で調べていただいた数字ですが、昭和四十年からの数字しかございませんが、六・三、五・六、昭和五十五年の三・四%ぐらいまではまだよかったなという感じでございます。その後急激に衰えまして、平成十年からでしょうかマイナスになりまして、平成十一年の数字なんですがマイナス一・五%の利回りということで、杉の林業というのは投資的にはお金をなくす投資になってしまったという状況がはっきり出ております。
 六番の賃金でございますが、昭和三十五年を一〇〇といたしますと、平成十二年、下に指数を書いてございますが、一九五三と約二十倍になっております。これは伐採、搬出をする山の労働者の賃金でございます。
 それと比べますと、七の欄の杉の立木価格でございますが、昭和三十五年を一〇〇としますと、平成十二年が一〇八ということで、既に昭和三十年代の木の値段でございます。その価格を今の労働賃金で割りまして、一立方当たり何人の労働者が雇えるかという計算をしますと、一番よかった昭和三十五年は十一人なんですが、実は木材の丸太が自由化されたのがその直後でございまして、その後から、木の値段は上がりながらも労働賃金の上昇には追いつかないということで、実際は昭和四十五年から既に林業というのは次第次第に厳しいところに追いやられていったという数字が一番下の数字でおわかりになっていただけるかと思っております。
 さて、そういう状況で、四ページ目に、五十年生の杉一ヘクタールを伐採したときの市場価格というものを少しシミュレーションして計算をしてみますと、立木が山に約四百立方ありますと、現在市場で一万三千円で売買されております。それをいろんな手数料だとか伐採・搬出費を引いてきますと、山での木の値段というのは千九百六十円。これは先ほどの数字と少し違うよという話なんですが、先ほどの表にある数字は日本不動産研究所で出しております杉の立木価格で、こちらは我々が実態として考えておる価格ということで御理解いただければ結構かと思います。
 山に生えている木すべてが販売できるわけではございませんので、利用率の七五%を掛けますと、五十年生で約五十八万八千円の収入になります。そこに木を植えまして、一年手入れをするという状況が起きますと八十五万五千円必要になってくる。結果的には、今五十年生の杉一ヘクタールを伐採しても、お金を払って一年生に変えてしまったのと同じ状況に陥っているという状況がここにはっきり出ていると思っております。そのような状況から、今回、林業基本法が改正されることになるんだろうと、そのように考えております。
 そこで、何点かの意見を書かせていただいております。一ページに戻っていただきます。
 今回の基本法の改正によって環境管理が非常に重視されてくるわけでございますが、その中では、木材輸入大国の日本として国際的な視点からすればやはり木材生産を重視せざるを得ないだろう、そうするのが日本の重要な役割だというふうに理解をしております。世界の木材貿易の約二〇%の量を輸入している日本としましては、資源の有効利用を図ることが重要な意味を持つというふうに思っております。私がFSCという認証を取ったんですが、これは環境管理に厳しい認証でございますが、そこにおきましてもはっきりと木材生産を要求しております。
 次に、私ども林業経営者が日ごろいつも問題にしております森林に対する路網整備でございます。
 これは、単に路網というふうに考えるのではなくて、森林に対するアクセス、森林にどう近づいていくかという考え方をとるべきだと思います。今後、環境管理が深まれば深まるほど、森林の管理のための路網というものが非常に重要になっていく。下に書いてございますように、日本と同じような地形のオーストリアでは、作業道を含めて約一ヘクタールに九十メーターの道が入っております。日本では十数メーターしかございません。オーストリアの山というのは環境管理もすべてスムーズにいっているという状況が見られます。そういう点では、今後、国民は、森林に構造物をつくるような治山工事よりは、このような路網整備あるいは適切な森林管理に対する事業というものを期待しているのではないか、そのようなことを日ごろ考えております。
 また、里山の管理に関しましても同じように、里山に人々が入れる、それが里山を機能させる最大のことだというふうに思っておりますので、森林に対するアクセスという考え方をもっとはっきり出さなければいけないだろう。アクセスの確保でございます。
 次に、三番に書いてございます森林所有者の森林管理の責務が明記されることになったわけですが、それに対応した国民負担の仕組みというものが明記されなければ、我々は先ほどのような状況で森林の管理がどうやってやれるんだろうという心配はございます。
 次に、少し専門的な話なんですが、森林計画は今まで私ども個人あるいは共同で人がつくってきたわけですが、今回は土地のまとまりで、属地というんですけれども、土地に対して森林計画をつくっていくことになるわけです。例えば、隣にいらっしゃる檮原町であれば檮原町のある地域の山をまとめて森林計画を立てていく。そこに三重県の私が森林を持っていても、それは私が立てるんではなくて、そちらにお願いをして立てるということになります。
 そういうことになってきますと、本来、意欲ある林家を育成するとか、あるいは事業体を育成するとかという、林業の中核を担う者を育てるというのが大きな方針でありながら、経営の一体化というものがそがれる。つまり、計画によって細分化されてしまうおそれがあるということがございますので、今後、運用あるいは細かい部分で経営の一体化がそがれないやり方を確保しておきませんと、最終的には林業経営というものの意味づけがなくなっていく可能性があるということが十分考えられることでございますので、注意をしていただきたいと思っております。
 そして、森林の公益面がこれほど重視されている割には、まだ森林税制というものが非常に厳しい状態でございます。特に、ゾーニングが行われ、森林計画が地域計画というふうになってきた中で、森林の意味が個人の資産から多くの国民のための森林という意味づけが深くなってきた段階で、森林の所有者に対する税の負担の軽減というものは十分配慮していただきたい、そのように思っておりますし、林地の評価あるいは立木の評価等は林地の実情に合った適正な評価が必要だというふうに思っております。
 特に、林業税制というものが極めて軽い状態になれば、都市の余った資金というものがどんどん山村に投入されることになりまして、山村の活発化、活性化というものが図られる可能性もある。その仕組みをどのようにつくっていくかということが、税と計画の絡みで非常に重要ではないかと思っております。
 以上で意見を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。
#5
○委員長(太田豊秋君) ありがとうございました。
 次に、中越参考人にお願いいたします。中越参考人。
#6
○参考人(中越武義君) 私は、四万十川の源流地、高知県檮原町長の中越と申します。きょうは、山村地域の実情を訴えさせていただく機会を与えていただきまして、まことにありがとうございました。
 それでは私は、重要な今までの反省も含めて三点を申し上げ、それに対する対応をどうしたらよいかという意見で述べさせていただきたいと思います。
 現在の山村の状況というのは大変厳しいものがございます。特に林業に対しては、皆さんがこれからどうしたらよいかという大きな期待と不安とを抱いております。
 そもそもこの林業の発端となりましたのは、戦後の厳しい時代から今日に至るまで、皆さん方が将来的にきっとよい方向が見出せるんだという希望のもとに、国土緑化と水源涵養を主体とし、さらに財産として木材の生産をするということを大きな目標に掲げて今日を迎えました。けれども、木材の価格は非常に低迷をし、林業に対する考え方といったものも大変薄くなりつつあります。そういった中で、都市部に人口が集中をし、山村が人口減になってきたということから非常に厳しい状況に置かれております。
 そういったことを踏まえました今日、これからの林業の役割といったものはどんなことがあるかと考えたときに、私は、これからはきっといやしや安らぎや安全や安心を求める人々が増加をしてくる、そしてさらに、都市部に人口が集中をいたしますと、水不足あるいは食料不足といったようなことが起きてくるんではないかというふうに思ったときに、これからの林業というのは非常に重要な役割を担うことになるんだと。
 それは、京都議定書でも話にありましたように、地球温暖化の防止、CO2の削減あるいは酸素供給量の増大といったようなこと、さらには、日本の森林が二酸化炭素吸収量三・七%もするんだという話を世界に大きく公言をしていること等を考えたときに、山村の持つ多面的な機能を有した森林を生かす、あるいは持続可能な森林経営を行うといったことが最も重要になってくると思いますし、さらには国内で生産をされる木材を国内消費するといったようなこと、それがひいては林業の、今言ったように財産あるいは収入源とするといったことになってくるんではないかというふうに思われます。
 二点目として、山村の活性化の点ですけれども、山村の活性化ということにつきましては、健全な森林の維持あるいは公益的機能の高度発揮を図る上で、山村に最低限の人が住まないと山は守れないと私は思っております。山村が無人化すれば、きめ細かい森林の管理は不可能となり、荒廃をする。山村はだれが守るのかといったことを考えたときに、やはり山村に人々が住んで、その山村を守るということにまさしく通ずるんではないかと思います。
 山村に住民を定住させるためには、農林業を通じた第一次産業の振興による就業機会の増大、集落排水等の生活環境の整備及び住宅の確保が重要な課題となってきます。また、健康的でゆとりのある生活に資するための森林の保健休養施設としての利用など、都市にはない山村の魅力を最大限に発揮し、山村と都市との交流が最も重要であると考えております。
 最近、よく皆さんがボランティアで山を守ると言われますけれども、私はボランティアでは山は守れないと思っています。ボランティアで対応していただくには、私は、ゾーニングをすることによって、それを利用区分・形態に分けて対応するということが必要だろうと思っておりますけれども、厳しい山村を守るあるいは林業を守るといったことはボランティアでは守れないというふうに思っておりまして、そういった面では、やはりこれからの対策として山村地域に人が住むということが必要ではないかというふうに思います。
 もう一点は、この活性化を図る上で、私は教育の場にやはりこれを取り入れるべきだというふうに考えておりまして、幼少のころから山あるいは農業に対する考え方をしっかりと教育をしていくということが最も必要ではないかということから、やはり教育の場から山村の持つ効用といったことに対応していくということが必要になろうかと思います。
 三点目の交流関係ですけれども、これからの交流というのは、都市部に人口が集中をいたします。先ほども申し上げましたけれども、そうなりますと、皆さん方の日々の生活飲料水が不足をする、あるいは大気汚染が大変多くなる、さらには食料の供給が厳しくなるといったことから、人々は心身ともに私はむしばまれていくのではないか、そういったときに山村の貴重な役割が果たせるのではないかというふうに思いますし、最近の事件等を見ましても、コンクリートの中で生活をされていた方々に非常にこういった殺傷事件等が多いということを考えると、やはり山の持つ効用というものは大変重要なものがあるのではないかというふうに思います。
 さらに、その交流を促進するためには、教育の面から考える。自然や森林浴を求め、先ほども言いましたけれども、いやしやゆとりや安らぎや安全や安心を求める方々が多くなるといったようなことを考えて、こういった面からの交流を図る。
 それから三点目として、循環型社会といいますか、ストレスや心のいやしを求め、自然環境の中で生活する人が増加をするということになるのではないか。
 また、この交流を図るためにも、あるいは定住をしていただくためにも、生活するにはある程度の収入が必要になってまいります。けれども、その中では心にゆとりのある中で、その収入を得られるということについては、やはり山間地域できれいな空気と水と、そして人情豊かな人々が生活をする中で対応することで十分その効用があるのではないかと思います。
 けれども、これからの時代は多分二極分化していくと思います。それは、都市部と山村地域というように分かれるのではないか。けれども、都市部の方々がきっとこの山村地域のよさを求めて訪れる機会が多くなるというふうに確信をいたしております。
 昔から、杜の都と言われます。もりは、きへんに土と書いた杜もありますし、木を三つ並べた森もございますけれども、今言ったように、都市部と山間部が対峙をすることなしに、お互いが協力をし合って供給されるものを有効に、あるいは共存しながら、共生をしながらその対応を図っていくということが必要になってくるのではないかと思います。そういった中で、これから対応すべき項目はどうあるのかということであります。
 第一点目は、森林所有者等の責務と市町村の責務ということであります。
 先ほども速水さんの意見の中にもありましたけれども、森林の有する多様な機能が持続的に発揮されることは国民が生活していく上で欠かすことができないことから、これらの機能を発揮させるために必要な森林の管理、整備については森林所有者に責任があることを明確にする、まさしく権利と義務ということだろうかと思います。このため、森林の手入れをしない所有者、特に、不在村地主が所有する森林への対策をどのようにするかが重要になってくると思います。
 こういったことを考えたとき、今後、森林所有者が手入れをしない森林に対しては、施業をする権限を市町村長に委任できることとし、市町村長はその森林の施業方針を立て、維持管理できるようにするなど、市町村の権限を拡大することが必要ではないかと考えております。
 また、本町では、森林の有する多様な機能を発揮させるための支援策として、本年度から林業版のデカップリングともいうべき水源地域森林整備交付金事業を実施いたしております。これは、所有する森林の間伐を実施した森林所有者に対し、ヘクタール当たり十万円の交付金を交付する事業でございまして、この事業が森林に手を入れようとする森林所有者の意欲を引き出す起爆剤になるのではないかというふうに期待をいたしております。これが第一点目であります。
 第二点目は、国が実施する事業に対して総合補助制度の充実であります。
 山間地域の重要な役割の一つでもある森林の有する多様な機能を持続的に発揮させるためには、効率的な林業経営と適切な森林管理が必要不可欠であります。そのためには、私も路網の整備はやはり必要ではないかというふうに考えておりまして、林業の生産の向上及び適切な森林整備を推進するためには、何といっても基盤の整備が必要不可欠であります。特に、森林を健全な状態に育成し、森林資源の循環利用を行い、意欲的に質的充実を図ろうとする地域に対して重点的に投資をすべきではないかと思います。
 また、森林の多面的機能を高度に発揮させるため、大規模幹線林道や広域基幹林道は別枠としても、林道や作業道の開設、間伐等の造林事業、治山事業等関連した事業を一つの事業として、計画に基づき総合事業として実施することが重要であるというふうに考えております。
 そこで、今申し上げましたように、私はそういった重要な役割を担っておるということから考えると、国土保全や環境保全といったことは国策でやるべきではないかというふうに思っておりまして、そういった面ではぜひ考えてもいただきたいと思っております。
 次に三点目は、林産物の利用促進であります。
 森林資源が有効に活用されるとともに、林業が循環可能な産業として持続し、森林の有する多様な機能を高度に発揮させるためには、地域で生産された木材が地域で消費されるという、今よく言われておりますけれども、地産地消のシステムが構築されることが重要であると考えます。
 このため、本町では、体育館、温水プール、幼稚園等の公共施設、あるいは公営住宅等につきましてはできる限り町産材を使用するとともに、一定の使用をした方々に対して町単独でも補助制度を設けております。また、国や県においても、こういった公共事業に使う木材は有効に活用していくべきではないかというふうに思います。
 また、昨年は、自然に優しく持続可能な林業経営と町産材のブランド化を目指して、FSCの森林認証を本町の森林組合が団体としては全国で初めて取得いたしました。このFSCのラベリングを通じて環境保全に協力したいという消費者の意識にこたえることができれば、町産材あるいは国産材の消費拡大につながるのではないかというふうに考えております。ぜひこういったことも考えてほしいと思います。
 さらに、こういった事業を行うためには、何といっても財源対策が必要であります。このことは今の法改正の中でも少し述べられておりますけれども、政府が講じなければならない項目の中にも入れられております。ぜひ、先ほど言いましたように、地球温暖化防止や、自然の持っておる共生あるいは循環の思想、そういったものを踏まえたときに、ぜひこの財源についてどうすべきかを考えてほしい。
 私も森林交付税促進連盟の会員となっておりまして、全国では九百一団体が現在加入しておられます。最近、交付税に対する考え方をいろいろな形から述べられております。交付税の名前がよいか悪いかは別にいたしまして、山村地域を守っていくためには何といっても財源が必要でありまして、財源の確保についてどうするかといったこと、それをさらに有効に活用するためにはしっかりとした計画を立てた中で物事を推進していかなければならないのではないかというふうに思っております。今回、この林野三法の改正がなされるということは大変期待をいたしておりまして、そういった面で、一日も早い成立をしていただくようにお願いを申し上げ、私の発表とさせていただきます。
 ありがとうございました。
#7
○委員長(太田豊秋君) ありがとうございました。
 次に、森参考人にお願いいたします。森参考人。
#8
○参考人(森巖夫君) 森巖夫でございます。
 私は、一昨年林野庁に設置されました森林・林業・木材産業基本政策検討会の座長を務めた者として、今国会におきまして、我が国林政の新たな展開方向を明示しております森林・林業基本法を初めとして関連する法律案や政策につきまして、慎重にかつ鋭意精力的に審議されておりますことに心から敬意を表するとともに、上程されております三つの法律案の速やかなる成立を強く期待している者でございます。その立場から、若干の私見を述べさせていただきます。
 今日ほど森林をめぐる問題が世間の関心を呼んでいるときはかつてなかったと言っていいのではないでしょうか。ある意味では、今、森林は現代のキーワード、森林ブームが沸いていると言っていいかもしれません。
 無論、森林問題の取り上げ方は多岐にわたっています。主な局面を列挙してみますと、一つは、グローバルな立場から地球環境問題と関連づけて森林の重要性を論ずる論調であります。具体的には、熱帯林を中心とする森林の大量かつ急速な減少、それに伴う砂漠化の進行、さらに酸性雨による森林被害、生態系の破壊、それらの結果としての地球温暖化などが指摘できます。
 二つ目には、もっと身近な緑資源としての森林へのラブコールであります。森林は緑のダムであり、見えない水がめです。腐らないくい、生きた蛇かご、天然のエアコンと言うこともできます。森は海の恋人です。保健や休養や人間教育の場でもあります。森は水と空気と心のろ過装置と言ってもいいでしょう。ことしの林業白書には、これらの公益的機能の評価額として、年間七十四兆九千九百億円に及ぶという試算結果が公表されております。
 また、木材は炭素の貯蔵庫でもあります。循環型社会、環境共生型社会において木材の持つ物理的、化学的、生理的、心理的特性に高い評価が与えられております。この意味で、木材産業の振興は、単に苦況に陥っている関連業界の救済といった視点からのみではなしに、換言すれば、中小零細企業の不況対策ないし構造改革といった視点のみならず、二十一世紀の望ましい経済社会構築のための主要課題の一つとして取り上げるべきであると考えます。そして、この観点から木材の消費拡大が図られるべきであると思います。
 三つ目には、より広い視野に立って、文化・文明論と関連づけて森林の意義を説く論調があります。それは例えば、文明の前に森林があり、文明の後に砂漠が残るという名句や、古来、国家の盛衰は森林の消長とともにするといった表現に集約されています。我々は古代史を通じてその具体的事実を学んでまいりました。現代社会は、石油文明、鉄の文明に引き回され、自然を征服しようとしたその結果、自然環境のシンボルである森林を荒廃させています。このままでは人類の文明は破局を迎えるという指摘であります。
 以上、三つの主要な局面にくくりましたが、こういう認識は、程度に差はあれ、どなたもお認めになることです。ですから、現在、全国各地におきまして、森林、林業、木材産業の活性化を求めるさまざまな運動がいわゆる超党派で展開されていることは御存じのとおりであります。
 このように見てまいりますと、森林問題は、今追い風を受けていると言うことができます。しかしながら、森林や林業や木材産業の実態はどうか。現状は、一口で言えば、さまざまな向かい風に打ちのめされて瀕死の重傷、崩壊の寸前にあると言わなくてはなりません。追い風と向かい風の乱気流にもまれて墜落、解体状況にあると言ってもいいでしょう。
 私は、仕事柄、比較的多くの森林や林業、山村に出かける機会に恵まれております。今、全国ほとんどのところで目にするのは、荒れた森林、開店休業の木材加工業、沈滞している山村の姿です。そして耳にするのは、ないない尽くしばかりであります。木は売れない、間伐は進まない、山に道がない、後継者はいない、林業はもうからない、あげくの果てには日本の林業に未来はないというわけであります。これらの実態を公的な資料や統計等で示すことはさして困難ではありません。毎年毎年の林業白書にも基本的なデータはそろっております。
 ここで向かい風というのは、外材輸入の増大、木材に代替する工業製品の進出といった外在的要因とともに、山村の過疎化に伴う林業従事者の減少や高齢化、さらに林業者自身の意欲の喪失といった内在的要因を指しております。つまり、日本の林業、木材産業、山村は中からも外からも攻め立てられ、崩壊の危機に陥っているわけであります。このような危機的状況にあるからこそ、森林の持つ重要な役割について国民的関心が高まっているわけです。ですから、森林ブームとは言っても、それはおめでたいお祝い気分で展開されているわけでないことは言うまでもありません。
 振り返ってみますと、現行の林業基本法が制定されました昭和三十九年は、文字どおり高度経済成長の真っただ中にありました。木材需要は猛烈な勢いで増加しつつあり、国産材の供給は追いつかず、木材価格は上昇し、外材輸入に大きな期待がかけられました。一方、少しずつではありますが、山村の過疎化は進みましたけれども、それほど極端ではなく、依然として山村には大量の労働力が滞留しておりました。それらに支えられて林業生産活動も極めて活発に展開していました。当時、産業としての林業の振興を推進するには、これまでの資源政策中心であった森林法林政では対応できず、経済政策としての林業基本法が必要であったわけであります。
 もちろん、現行の基本法におきましても森林の持つ公益的機能を無視しているわけではありません。第三条二項に考慮すべき事項として特記されているのでありますが、それは、産業としての林業の振興のために健全な森林を造成すれば、その必然的結果として、あるいは間接的な効果として森林の公益的機能が発揮されるという考え方に立っていました。いわゆる予定調和論であります。
 ところが、現在は、産業としての林業は事実上成立し得ない状況に追い込まれていますし、同時に、公益的機能の内容も多様化し、高度化してまいりました。従来は、森林所有者は通常いわば当然のこととして、所有する森林は効率的に、具体的には林業的に利用されるものと考えていました。ところが現在では、林業の収益性は限りなくゼロに、いやマイナスに転落しておりますし、林業経営は経済的には成り立たない状況になっております。現に、伐採した跡地の造林を放棄するといった悲しむべき現象さえ見られます。
 他方、公益的機能の内容について言えば、従来は専ら国土保全や水資源涵養を重視していたのですが、これらの水土の保全ならば木材生産とある程度両立し得るかもしれませんが、今日では、それのみならず、生物多様性の保全とか地球温暖化防止とか、保健休養、レクリエーション、さらに教育の場の提供といった側面が強調されており、必ずしも産業活動としての林業と両立し得ない分野が注目されているわけであります。近年の世論調査の結果からもこのことは十分うかがえるところであります。
 したがって、従来の基本法では、国民の森林や林業に対する今日的要請に対応し得なくなっています。軸足を産業活動から公益的機能の確保に移す必要があります。今国会に上程されております森林・林業基本法は、このような社会的要請の変化に対応しているものと理解しております。また、森林法の改正において、森林計画に当たって森林を、水土保全林、森林と人との共生林及び資源の循環利用林、ちょっと長たらしいネーミングのような気がいたしますが、ともかく三種に区分することは極めて適切な対応であると考えます。
 さて、新しい基本法案、正しくは現行基本法の改正案では、森林の多面的機能と林業の健全な発展を図ることを基本理念に掲げ、そのために講ずべき施策の方向や内容を包括的、体系的に列挙しています。それらについて個別にコメントする時間はありませんが、若干の希望を述べて参考人としての責めを果たしたいと思います。
 その一つは、森林の公益的機能を確保するには、意欲と能力のある民間の事業体への森林の管理や経営の集約化を図るとともに、公的な管理体制を整備することが必要です。
 前者については、森林所有者の責務をきちんと定めるとともに、管理や施業や経営の集約化を促進するために具体的にどのような対策を講ずるのかをはっきりさせることが必要です。集約化方策としては、形式的には借地とか分収とか受委託とか請負とか信託といった方式が考えられますが、現状を見る限り、それらの方式が必ずしも順調に進展するとは考えられないのが実情ではないでしょうか。もっと具体的に言えば、その主要な担い手として差し当たり全国的には森林組合が想定されているわけでしょうが、現状の森林組合は、残念ながら甚だ弱体であると言わざるを得ません。森林組合改革は緊急課題であると考えます。
 また、確かに森林法に基づく認定森林所有者に対する期待も大きなものがありますが、我が国の森林の成熟度から見て、単に森林の所有者のみならず、伐出部門を担当する素材業者の役割を軽視することはできません。恐らくそういう観点から、今次の森林法改正において認定林業者等となっているのではなかろうかと推察しております。
 また、経営基盤強化法の改正もそれに対応するものと考えますが、とにかくこれからの林業の発展にとって、いわば企業マインドの強い素材業者への施策を従来以上に強化すべきであると考えます。
 他方、後者の問題、つまり公益的機能に関してでありますが、具体的には、保安林や治山事業のほかに、国有林野事業、緑資源公団、林業公社、地方自治体、さらに第三セクターなどが担い手として考えられます。しかし、そのいずれもが現在それぞれ多くの問題を抱えております。言葉としては公的関与、関与という言葉には私は若干不満ではありますが、ともかく関与による森林整備とはいっても、その受け皿がしっかりしていないことには実効が上がりません。これでは公的管理は空念仏に終わってしまう懸念があります。
 さらに、地方分権の今日、森林整備のための林政の推進に当たって、特に市町村の林業行政を強化することが必要です。森林計画制度においてもそれに対応する措置が講じられておるわけでありますが、残念ながら我が国の市町村の林務体制は極めて弱体であります。
 例えば、地域森林計画対象森林を有する市町村のうち、林務関係職員を全く持っていない市町村が四二%あります。押しなべてそれらの市町村の林業関係予算も小さいのが現状です。これでは森林は守れないというわけで、全国の九百を超える山村の市町村長たちは、いわば手弁当で数年前から森林交付税なるものの創設を求める運動を展開しております。
 現在、地方交付税問題が大きな政治問題になっているようでありますが、森林・林業基本法体制下における市町村林業財政についての新たな仕組みを検討していただきたいと思うわけであります。
 さらにもう一点、森林の大部分が所在する山村についてであります。
 周知のように、現行の林業基本法が制定された翌年に山村振興法が制定されました。それ以来三十六年間、十年ごとに期間延長や法律制定の目的の改正も行われて今日に至っているわけで、その成果は決して小さくはありませんけれども、しかし、それにもかかわらず山村の過疎化はとまっていませんし、高齢化は一層激化しております。それが林業不振の原因であるとともに結果でもあります。このような状況が続けば、山村住民のみならず、森林の恩恵を受けている国民生活全体、国土利用全体、そして、今日のみならず、将来にわたってゆゆしき事態が起きることが懸念されるわけであります。
 そこで、強調したいことは、従来の山村対策は所得や社会資本などの格差是正を基本としたいわば条件不利地域対策的視点に立っていました。その限りにおいて山村対策は、消極的、事後的、びほう的であったと言わざるを得ません。しかし、山村は、森林、林業の立場からすれば、その成立基盤であります。ですから、直接的な政策対象として、林政が山村対策に積極的、先取り的に取り組む必要があると考えるわけであります。
 なお、現在提出されております基本法には、山村や木材産業については表に出ておりませんけれども、現行の山村振興法との関連もおありなのでしょうけれども、心構えとしては、今申しましたように、山村対策は林政が主体を担うべきであると考えます。
 最後になりますが、森林は国民及び人類共通の財産でありますし、林業は国土の形をつくる基本的な営みであると考えます。今回の法律案を基礎にして、林政のさらなる発展と林業、山村の活性化を祈念してやまない次第であります。
#9
○委員長(太田豊秋君) ありがとうございました。
 次に、笠原参考人にお願いいたします。笠原参考人。
#10
○参考人(笠原義人君) 参考人として登壇いたしました笠原と申します。
 私は、大学の農学部森林科学科というところに籍を置きまして、森林政策あるいは森林経済等の研究に責任を持ってまいりました。そういう中で、きょうこの参議院農林水産委員会の場で私が日ごろ考えておりますことを述べさせていただく機会を与えていただきましたことを、厚くお礼を申し上げたいと思います。
 それで、私の見解等につきましては、きょうお手元に三枚の意見陳述というメモを用意させていただきました。そこにまとめてありますので、そのメモに沿って意見を述べさせていただきたいと思います。
 まず第一は、今国会に提起されております森林・林業基本法の基本的な考え方、理念に大きな問題があるというふうに日ごろから考えております。
 その一つは、ここにありますように森林の多様な機能を持続的に発揮する、そのためには木材生産というものを同時並行的に追求する、これを明記しなければいけないというふうに思っています。
 ところが、この基本法については、農林省、林野庁の方は、これまでの政策というのが、あるいは基本法林政というのが木材生産重視にやってきたけれども、それは転換せざるを得ない、したがって木材生産よりは森林の公益的機能を重視していきたいというふうに転換を明示している。それは実は、それがいいかどうかということについては非常に問題があるというふうに考えております。
 したがいまして、二つの側面を、ですから木材生産を同時並行的に追求する、これをやっぱり明記するような形で検討しなければいけないというふうに思っています。
 それで、ここにありますように、これまでは木材生産と一緒にやってきたわけですけれども、それができなくなった。それはなぜできなくなったかということ、なぜ経済活動が不活発になってきたかということを、その断ち切れた状況を当然のように見るんじゃなくてちゃんと回復するということを考える、それが一番最良の対応策であるというふうに考えております。
 それで、二つ目のパラグラフになりますけれども、林業の採算性が非常に悪化してきた、やれる人はいるけれども大半がやれなくなってきている。そのために結局、やれるものは育てるけれども、やれないところについては公的関与あるいは社会的コスト負担をこれから考えなきゃいけないというふうに言っています。これは、これまで林業を振興するという形でやってきた農林省なりあるいは林野庁の政策そのものが十分でなかった、あるいは政策がそこをフォローし切れなかったというところに問題があるわけで、それをただ採算がとれなくなったので社会的コスト負担が必要だという形で簡単に政策提起するということについては、極めて無責任な政策提起ではないかというふうに考えております。
 それで、公的負担等についても、これをいきなり公的関与という形になってきますと、日本の国土の七割が森林、その森林を、現在でも森林は荒廃が各地で進行しているわけですけれども、それをそのままの状態で続けていくと将来の日本の国民にとっても、あるいは日本の国民経済にとっても多大なマイナスを残していくだろうというふうに思います。
 それから、二つ目ですけれども、ほぼ関連していますが、これまでの木材生産一辺倒、すなわち産業活動が森林の公益的機能を軽視あるいは後退させてきたというふうに理解することは誤りであるというふうに思っております。したがいまして、産業活動をむしろ安定的にあるいは持続的にやれるようにすること、これが今求められているというふうに思います。
 繰り返し書いておりますように、現在の森林荒廃なりあるいは整備不良森林が増加し、森林の公益的機能が低下している。なぜ低下しているかというと、それは森林所有者なりあるいは林業関係者が木材生産を重視した考え方に問題があったんじゃなくて、林業生産活動をやってきたんだけれども、それが成り立たなくなってきたという、すなわち、木材価格が下がって林業の採算性が悪化してきたところに問題があるわけで、森林所有者なり林業経営者の対応の仕方がまずかったということでは決してない。そういう点では木材生産を否定してしまうんじゃなくて、それをどう回復するかという形での政策をつくっていかなきゃいけないというふうに思っているのが第二点目であります。
 それから、第三点目ですけれども、実は国有林を最初にして森林の機能区分をやってきました。経済林、非経済林あるいは木材生産林あるいは共生林という形で森林の機能区分をしながら、木材生産をやれるところを非常に縮小してきております。国有林についていいますと、いわゆる純粋の木材生産林は国有林面積の二割ぐらいにとどめるというような形にしているわけですけれども、そういう点で木材の生産機能を区分しながら縮小をしている。むしろこれが、実は山村なり流域の活性化に逆行しているというふうに思います。
 それで、林業、木材産業を振興する、そして地域で森林資源を循環的に利用すること、これがすなわち森林の多様な機能を持続的に発揮させることになりますし、これまでも言われていますように、地球温暖化防止等に貢献する形になるわけです。
 そういうことを考えますと、林業、木材産業を振興するという場合に当然重要な問題になってくるのが我が国の木材自給率をどう考えるかであります。我が国が政策の中で、基本法の中で、木材自給率を今の一八%を何%ぐらいにするのかという、そういう目標を設定し、それを広く国民に公表する必要がある。それは林業なり木材産業を活性化する一つの目安になるだろうというふうに思っています。そういうことで、まず手始めに国有林野事業みずからが、日本の木材自給率にどれだけ貢献できるのかということ、当然目標値を設定して公表する必要はあるだろうと思います。
 そういう木材自給率を国有林みずからが設定して経営に取り組むのが国民に対する責任だというふうに思うわけですけれども、現実には国有林自身が、今日でもなおかつ一兆円の債務を五十年かけて返還するという足かせのもとで、木材生産量を大幅に縮小、後退させております。そして、国有林みずからが木材生産活動はいわば主なものから従に落としていくという形で、具体的に言いますと、林野庁自身が例えば地方にある営林局、それから地元市町村にある営林署というものをすべて営林という言葉を取り去って、森林管理局、森林管理署、森林事務所という形で、木材生産をやや軽視、後退させた形で役所の名前も変えてきているというところにも問題があらわれているだろうと思います。それは、実は国有林のこういう対応の問題が、私有林なり公有林、それから木材関連産業界に当然大きなマイナスの影響を与えているというふうに思います。
 国有林の木材販売あるいは造林事業の推移は三ページ目の表一に数字を挙げさせていただきましたので、ごらんいただきたいと思います。これは林業白書で林野庁が公表してきている数字だけを見てきますとこういう数字になっております。
 そこで、ですからそういう意味では個別具体的な政策ということよりは、今回、森林・林業基本法として基本的な理念を転換するということで法律が用意されておりますので、そこでは今言ったようなことを踏まえながらいろいろ審議していただければと思います。
 その上で、少し具体的な対応策をということで、三ページ目の四のところで「当面の対応策」ということを少し私なりに述べさせていただきたいと思います。
 まず一つは、国産材への需要拡大を図る。これは、とりもなおさず木材の価格を上げる。ですから、森林所有者、林業関係者からすれば木材の販売収入を増大させる。そのためには、もちろん一方ではコスト削減ということも必要なわけですけれども、そういう需要を拡大し、森林所有者に対して木材価格が前に戻るような、少しでも上がるような形で需要拡大をする必要がある、それが第一であります。
 それから第二点目は、これまでの参考人の方からもいろいろ意見がありましたように、木材生産を努力しながらやっていくんだけれども、現実的に採算が合わない状況になっている。したがって、国民にとって必要な環境保全効果というものが現実にあるわけですので、それを森林交付税あるいは新しい基金、新しい税制を含めて何らかの形で新しいシステムをつくる方法を盛り込んでいただきたいというのが二つ目になります。
 それから三つ目は、地域に定住できる条件、これも既に参考人の方々が提起されていますけれども、定住できるための条件をつくる。ここでは多様、多面的な事業をつくるということを挙げましたけれども、これはやっぱり山村の地域資源を使って雇用ができるような状態をたくさんつくっていく。それは、これまでの林野関係、あるいはほかの政府予算もそうですけれども、やや箱物的な公共事業あるいは治山的な事業にとどまっているものがあります。そういう事業も見直しながら、地元で雇用が拡大できるような事業に変えていく、あるいは林業労働者を養成、育成していけるようなやわらかい事業に変えていく、そういう形で地域に定住条件をつくることが山村を守り、日本の森林環境を守るということになるだろうというふうに思います。そういう点で、その辺のことも見据えながら、新しい森林・林業基本法を考えていただければと思います。
 「おわりに」というところはここに書いてあるとおりですが、これまでの林政審議会なりほかの検討会を含めて極めて議論が不十分だというふうに思っています。
 それは、私が最初に提起したような基本的な理念等についての十分な議論がされないままに来ている。そういう点で、この法律ができて十年、二十年たって農山村あるいは林業、木材業界が活性化しているかということになると、非常にその辺はまだこの法律では難しいだろうというふうに思っています。
 したがって、いずれまた近いときにこういうような基本的な論議をしながら手直しをする必要に迫られてくるとは思いますけれども、そのときにはまた十分な議論ができればと思います。
 そういう点で、今回はもう既に法案が提起されておりますけれども、その中でも積極的な議論をしていただければと、私のこの提案が少しでもお役に立てば幸いだというふうに思います。
 以上で終わります。
#11
○委員長(太田豊秋君) ありがとうございました。
 以上で参考人の方々からの御意見の聴取は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#12
○森下博之君 自由民主党の森下博之でございます。
 参考人の諸先生におかれましては、大変御多用のところこうして当委員会に御出席をいただき、貴重な御意見を賜りましたことを心からお礼申し上げる次第でございます。
 まず、森参考人にお伺いをさせていただきたいわけでありますが、私の隣におられます岸理事、この金山町の地元で、森参考人は森づくりあるいは村づくりについてのお師匠さんだったと承っておるところでございます。岸理事にかわりまして、一点御質問をさせていただきます。
 もう申し上げるまでもないことでありますが、森林の多面的な機能ということについて国民の関心あるいは期待というものが大変高まっておる状況にあるわけであります。しかしその一方で、段々のお話にもございましたが、林業が産業として成り立ちにくい非常に厳しい状況下にありまして、山村地域が壊滅的な状態にあるところもあるということであります。
 森参考人におかれましては、このことを緑ブームと林業不況のギャップというふうに呼んでおられるようであります。こうしたギャップをどうやって埋めていくかということは大変大切な問題であろうかと思います。今後、森林、林業の政策をどのように展開していった方がいいのか、この点についての御見解を承りたいと思います。
#13
○参考人(森巖夫君) ただいまは、森下先生から過分なお言葉をいただきまして大変恐縮に存じております。岸委員にもお礼申し上げたいと思います。
 ただいまの御質問についてでございますが、先ほども申しましたように、今日、森林に対する要請は国民的な要請として広がってきている。言いかえますと、単なる林業関係者という狭い分野の中での森林問題ではなくなってきているということであります。したがって、当然のことながら、森林を健全な形で継続的に保つためには、国民総参加による森林整備が必要であると考えます。
 具体的に申しますと、例えば税制面での森林に対する対策の変更ですとか、あるいは国家財政による森林整備負担の大幅なアップ、それは単なるGNPの中の非常に少ない林業に対する産業振興施策じゃありませんから、環境全体の問題でありますから、そういう立場から、もう基本的な抜本的な行財政措置が不可欠だろうと思います。
 と同時に、林業者自身の自助努力ももちろん必要であります。それは言うまでもないことでございますが、後ほどまた御質問があればお答えしたいと思っております。
#14
○森下博之君 次に、中越参考人に承りたいと思います。
 私ごとで恐縮でございますが、中越参考人、檮原町町長さんとは同じ高知県の高岡郡に、町は違いますが、住まいをいたしておりますので非常に聞きづらい点もあるわけでありますが、率直にいろいろとお聞かせいただきたいと思います。
 檮原町は、私もよく存じ上げておりますが、町の総面積の九一%が森林ということでありまして、大変早くから林業の振興ということについては町を挙げて取り組んでこられましたし、中越参考人が助役の時代からずっと、町長さんになられて大変力を入れておられることを私も十分承知いたしております。町におきましては、町でつくられます材木のブランド化やあるいは山村地域の振興に大変な努力をされておられるわけであります。私、この林野時報でございますか、ちょっと拝見をいたしましたところ、四国カルストに風力発電の設備をつくられたということであります。漏れ聞くところによりますと、大変利益も上がっておるやに承っておるわけであります。非常に厳しい町の財政の中で貴重な財源になっておると思うわけであります。
 ひとつこの点、どういうふうに使っておられるかという聞き方もかえって失礼かもわかりませんが、非常に興味を持ちましたので承りたいと思います。
#15
○参考人(中越武義君) 森下先生には、同じ選挙区でもございますし、県議のときから大変お世話にもなっておりますし、お帰りになったときにはそれぞれの地域をくまなく調査もしていただいて、十分承知をしていただいておると思います。
 さて、ただいまの質問ですけれども、檮原町は平成十一年十一月に風力発電所、六百キロ二基を設置いただきました。これは、愛媛県境に接するということから大変風況がよい、北海道の苫前町に次ぐ風況だということもございまして、二基設置をしていただいて、それで四国電力に購入をしていただいております。年間約四千四百万程度の売り上げがございまして、その一〇%がメンテナンスにかかります。ということは、四千万程度の収入があるわけでございまして、これをいかに活用するかという問題が出てまいりました。
   〔委員長退席、理事岸宏一君着席〕
 最近の状況から、循環型社会ということを考えて檮原町環境基金条例を制定いたしました。それから出る財源を森づくりに生かそうということでございまして、今年、デカップリングを始めました予算の中に二千万円を投入いたしました。
 さらに、四万十川の源流域ということもございまして、これは下水道を行っておりますけれども、下水道の二次処理を行う。そして、大体今の処理状況では八ppm程度に処理されますけれども、それを二から三に対応するということで、その面。
 それからもう一つは太陽光発電に対する助成ということを考えておりますが、多くの、半分の二千万円を今言いましたように森づくり、デカップリングに使うということで対応させていただいております。
#16
○森下博之君 今、中越参考人に森林整備にそういった貴重な財源を使われまして、自主的な取り組みをされておるというお話を聞きまして大変感銘をいたしたところであります。
 今後におきましては、この森林整備あるいは保全というものについての自治体の役割というのはますます大事になってくると思うわけであります。こうした自治体の自助努力といいますか、これももちろん大変で、また大切でありますが、しかし同時に、中越参考人の最後にお話がございましたように、財源をいかに確保するかという問題に私は尽きると思うわけであります。昨日の当委員会、政府質問におきましても私はその点をいろいろと申し上げたところであります。
 その中で、森林交付税制度の創設をすべし、こういう主張を申し上げたところであるわけでありますが、自治体の首長であります中越参考人はどのようにお考えになっておられるのか。それからまた、速水参考人、森参考人、笠原参考人におかれましても、どういった御見解をお持ちになっておるのか。また、特に社会的コスト負担といいますか、このあり方も含めまして、御意見がございましたらひとつ順次御発言をいただきたいと思います。
#17
○参考人(中越武義君) 山村を維持していくためには何といっても財源が必要であります。最近、地方交付税の見直し、あるいは道路特定財源の見直し等、厳しい意見がなされておりまして、そういった中では町村がいかにそういった財源を求めるかということが重要な任務になっていこうかと思います。その一環として設置をいただいたのが風力発電でございまして、そういう意味では、私のところは地形的にあるいは地理的に条件がよいためにそういったことができたということでございまして、これができない町村もたくさんあられます。
 そういった中で、今から九年前に森林交付税創設促進連盟というものを設立いたしまして、先ほども申し上げましたように、現在九百一の団体が加入をしていただいております。ところが、この交付税と名がつきますと皆さん方が大変最近では厳しい意見を述べられる。この名前がどうかは抜きにして、私は、山間を守るためにはこういった何らかの税財源が必要である。高知県では、水源税を目的税として対応すべく検討を重ねておる。その中に本町の職員も派遣をいたしましてともに考えさせていただいております。
 その水源税という項目がよいか悪いかは別にして、やはり皆さんがひとしく負担をしていただいて、この多面的な機能を有するあるいは持続可能な森林を守っていくためには、こういった何らかの税措置が必要だというふうに考えておりまして、町村のこれからの努力、あるいは考え方も十分吟味をして進まなければならないというふうに考えております。
#18
○参考人(速水亨君) 森林交付税に関しましては、私ども林業経営者におきましても非常に重要な点だと思っておりまして大変期待をしておりますし、皆様の市町村等の運動に関しましても協力をしていきたいというふうに常々思っております。
 もう本日のすべての参考人の方々がお話しされましたように、非常に林業の経営自体が産業として成り立ちにくくなりながらも、環境的な要素に重きを置かれ始めたということがございまして、それを国民のために発揮させるために我々は日常的に森林管理に励むわけでございますが、どうしてもそこの資金が出てこないというのがもう正直なところでございます。
 当然、林業経営者におきましては、市町村等にあるいは県等に助成をお願いするわけでございますが、もう御存じのようにそれぞれの自治体が非常に厳しい状態だということになっておりまして、ましてや現在、地方交付税の問題がいろいろ取りざたされておりますので、大変心配をしております。
 そういう中で、森林というものを国民的な財産としてお認めいただくことによりまして、確実に森林を維持するための財源というものが何かしら出てこないと、国土の六五%を覆っているという森林の管理というものに対して、我々山村に住む者、そして経営者として責任を持ち切れないというのが正直なところではないかと思っております。
 それとともに、先ほど少し申し上げましたように、税の問題、つまり、行政に対してお金が入るというだけではなくて、森林自体に直接資金が流れ込むような仕組み、これは民間の資金が森林にもう一度流れ込む仕組みというものを何らかの形で考え出していただければと、そのように思っております。
 現在、大変厳しい経済状態とはいえ、新聞等を拝見しておりますと確実に利益を上げている企業もございますし、あるいは林業のように非常に厳しい状態もある。それをなるべくならすような、それが誘導策としてできれば、皆さんが森林に投資する、あるいは山村に投資することに何らかのメリットを民間の経営者がお持ちになっていただける税の仕組み、あるいは投資の仕組みというものを今後つくっていく必要があるのではないかなと、そのようにも考えております。
 以上でございます。
#19
○参考人(森巖夫君) この委員会におきまして森林交付税問題を直接的にお取り上げいただきまして、ありがたく思っております。と申しますのは、私、個人的なことにもなりますけれども、森林交付税運動の創設以来、直接的にかかわりを持ってまいりまして、現在、九百人を数えるこの連盟の顧問を任じられております。
 若干時間をいただきまして御説明申し上げますが、平成の初めごろに、和歌山県の本宮町の、当時、中山さんという方が町長さんでしたが、この方がある新聞に山村の、市町村の財政難の投書をなさったことがきっかけになりまして、これに共鳴する人たちが徐々に出てまいりまして、平成五年、最初わずか三十六人、そのときには檮原町の前町長さんもメンバーとして入っていただきまして旗上げをしたわけでございます。ちょっと表現は正しくないかもしれませんが、先ほども申しましたように手弁当で、言いかえますと、どこの役所あるいはどこの政党からも直接的な支援なりを受けることなしに手弁当で始めてまいったわけですが、毎年シンポジウムを開いたり、あるいは会員同士の情報誌を流したりして運動を続けたところ、もう数年にして実に山村地域のほとんどと言っていい九百人の人たちがそれに加盟して現在に至っているわけであります。
 その考え方は、もう既にお話が出たとおりでありますけれども、御存じのように、現在の林業の地方交付税の積算の基礎はその他産業経済費という中で一括されておりまして、それは林業従事者数を基礎にして積算することが基本になっております。言いかえますと、森林面積は直接的には入っていないわけであります。ですから、山村地域の過疎化が進めば進むほど、そして林業従事者が減れば減るほど、直接的には林業にかかわる交付税、その他産業経済費の額が小さくなってまいるわけであります。このことに疑問を抱いたことが一つ。
 他方、先ほども申しましたように、林政の流れが従来は、従来というのは、二、三十年ぐらい前までは市町村は林政の流れの中に入っておらなかった。例えば、造林の補助金が林政の非常に重要な政策手段であったわけですが、造林補助金は国から県、県から森林組合という流れであって、市町村は全くトンネルにもなっておらなかったわけですから、林政にそれは対応していないと。ところが、中核林業振興地域の事業あたりから、つまり二十四年ぐらい前から、これではいけないというわけで市町村が林政の場にどんどんと出てきましたけれども、それに対応する財政的な措置も、あるいは市町村の林務体制も弱いと。
 ですから、市町村に林務の重要な役割を与えるなら、当然それに見合う財政的な支援というか負担もすべきであるという主張から運動を始めましたところ、先ほどのような形になっておるわけですが、今、地方交付税問題が俎上に上っているわけですが、それとはちょっと違った切り口で森林交付税というものを考える必要があるのではないかと私は思っております。
#20
○理事(岸宏一君) 笠原参考人に申し上げます。時間の関係がございますので、一分半程度でひとつお願いいたします。
#21
○参考人(笠原義人君) わかりました。
 森林交付税そのものについては既に参考人が出しておりますので、私はそれは支持したいということを前提にした上で、少し別な側面からそういうものが必要だということを述べていきたいと思います。
 現在、日本の森林を守り育てるというか、そういう林業労働者あるいは林業技術者が必要なわけです。ところが、林業労働力そのものは現在もう少しで各地からゼロに近い状況になっていくということになっておりますので、そういう点で、それぞれの市町村なり現場に林業労働者、林業技術者が必要なわけですが、それを当然その各市町村では負担し切れないということになっております。そういう点で、何らかの形でそういう財源を市町村レベルに確保できなきゃいけないというふうに思っています。
 たまたま私は群馬県の中里村に住んでいたんですけれども、隣の上野村に黒澤丈夫という村長がおりまして、村長と話し合ったときも、やっぱりそういうものがあれば、上野村なら上野村、中里村なら中里村にそういう人たちが雇用できるんだと、そんなようなことを言っておりましたし、ぜひそれが必要だろうというふうに思っています。
 もう一つ、外国の例ですけれども、ドイツの場合、営林署が中心ですけれども、国家公務員の現業労働者を確保して私有林の作業までやって山を守っているという例がある。ところが、日本の場合は国有林自体がそういうことができなくなりつつありますので、せめて市町村なり地方レベルでそういう財源を確保しながら、やっぱり二十一世紀を見通した森林管理、木材生産をやるような体制が必要だと、そのためにはそういう新しい仕組みが必要だというふうに思っています。
 以上です。
#22
○森下博之君 ありがとうございました。
 速水参考人におかれましては、私は環境管理型の林業の推進ということにつきましてもお聞きしたかったわけでありますし、笠原参考人におかれましても、あるべき森林林業政策の姿、この点についてもお聞きをしたかったわけであります。次の機会に譲らせていただきます。
 大変ありがとうございました。
#23
○谷林正昭君 民主党・新緑風会の谷林正昭でございます。
 きょうは本当にお忙しい中御出席いただきまして、心からお礼を申し上げたいと思います。
 実は、民主党の鳩山代表は、率先して緑のダム構想を打ち上げまして、これからは環境の時代、ましてや森林、山村、こういうところを大切にしていこうというようなことを大きく打ち上げておるわけでございますが、きょうはその議論は横へ置いておきまして、まず時間の都合もございますので、森参考人にお尋ねをいたします。
 事前にいただきました資料の中に、森林は国民の共通の財産である、こういうふうに主張されておいでになります。私もそうだとは思いますけれども、今の政策だとか財産権だとか、そういうことを考えますと、やはり個人の持ち物、国の持ち物、いろんなことで、土地ということを考えればそういうふうになっていきます。この国民共通の財産ということをもう少し国民に理解していただくための理論づけなども私は必要じゃないかというふうに思いますが、日ごろお考えになっておいでになることをお聞かせいただきたいと思います。
#24
○参考人(森巖夫君) 国民共通の財産と、大変文学的な表現のようになってしまうわけでございますけれども、森林がもたらしておりますさまざまな機能は、特定の人が独占するという経済的な側面もありますけれども、それ以上に特定の者が独占し得ない公益的な機能があるわけでございます。そういう機能が国民全体に利益を与えるという意味で国民共通の財産と、こう考えるわけですから、もう少し言いかえますと、単なる所有の問題ではなくて、それらがもたらす効果、利用の面で国民に開かれていなければならない。ですから、森林所有者も国民共通の財産を預かっているという立場から対応しなければいけない、それが森林所有者の責務であると考えるわけです。
 もう少し具体的に申しますと、所有と利用あるいは恩恵を受けることとの分離の方向を考えなければいけないわけでありますけれども、それがどういう形で分離できるか。先ほどもちょっと最初の意見陳述の際申し上げましたけれども、分収とかあるいは信託とか受委託とかいう方式が考えられますが、しかしそれが本当にどういう形なら森林所有者も納得し、国民全体もその費用を負担するという形になるかという点についてはまだまだ詰め方が足りないのではないかなという気がしております。今後の課題ではないでしょうか。
#25
○谷林正昭君 そういう意味では、私は社会資本というふうに森林は位置づけるべきだとかねがね考えておりました。
 きのう、経済財政再生の骨太の指針が出ましたけれども、森林という言葉が全然入っておりません、残念でしたけれども。斜め読みしたものですから、全部まだ読んでいませんが入っていなかった。ちょっと残念かな。しかし、これからはやはり社会資本という位置づけで私は森林、山、山村というものも含めて整備するべきだというふうに考えております。
 そこらあたりを非常に今、森参考人の提起を含めながら、先取りしているといいますかアイデアを出し合っているといいますか、そういう中越参考人にお聞かせいただきたいんですが、FSC認証を受けるに当たり、またその受けた後、山中八策という行動指針をつくって頑張っておいでになる、こういうことも事前にいただいた資料で読ませていただきました。この山中八策行動指針、そして都市との交流、こういうことをもう少し詳しくお聞かせいただきたいと思います。
#26
○参考人(中越武義君) 檮原町では昨年、国際認証機関でございますFSCの認証取得をすることができました。これは団体取得でございまして、非常に森林の所有形態が零細な方が多い。特に三ヘクタールから五ヘクタールの森林所有者が全体の七〇%を占めるという地域でございまして、そういった中では、地域の皆さん方がこれからの林業経営をしていくのにどうすべきかということを考えたときに、やはり四万十川の源流域であるということ、あるいはこれからの水保全や環境保全を考えた中でどう生き残っていくかといったようなことを考えたときに、適正な管理をし、これからの時代に即応した対応を図るためには、こういったラベリングをするあるいは地域特性を生かすということで生き残らなければならないんではないかという考えのもとに、森林組合が認証申請をしていただいて、そして認証取得をすることができました。
 その中では大変厳しい意見もございましたし、この山村地域で、現在植栽された植林が果たして適正な管理がされておる山林なのかどうなのかという現地調査もしていただいた中で、全体的には今で言うゾーニングといいますか、そういった面での林層ができておる。このことを考えると、やはりこれに適しているのではないかということから認証制度を受けることになりました。
 そこで、受けた中で、今後この山をどういうふうに生かすかということになりました。ちょうど檮原町は坂本龍馬の脱藩した地でございまして、坂本龍馬が船中八策を立てられ、その中で、山から脱藩をしていったので、山の山中八策はやはりこの檮原町からということで、せんだって少しお回しをした資料の中にそういったことが載っておろうかと思います。
 これは、それぞれ参考人から話が出ましたように、私は所有者の責任、市町村の責任、あるいは国、県の責任といったものを明確化する、あるいは事業主体も明確にして、その山の持つ多面的な機能を発揮させるために努力をしていく努力目標でございまして、こういった面に邁進をしていきたいと思っております。
 そしてさらに、この認証を受けたことによりまして、皆さん方が非常に木材あるいは山に対する関心が高くなってまいりました。その中で、ラベリングをした品物が欲しい、あるいはモデル住宅も建てて、さらにそれを拡大していきたいという話も入ってきておりまして、ことしはモデル住宅を一棟、高知市で建築いただくことになりました。さらに、その大黒柱はこの認証を受けた柱を町として皆さんに寄附をする。さらに、来年度は八棟ほどの申し入れがございまして、そういったものに対しても主となる大黒柱については町として認証木材を寄附して、そして、それでさらに皆さんに知らしめていただけるという方策をとっていきたい、こう考えております。
 今後、このFSC認証の個人や団体の方々がふえて、さらにそれがグループ化をされて皆さんの要求にこたえられるような方策を考えていかなければならないといったことがこれからの大きな問題になってくるのではないかというふうに考えております。
#27
○谷林正昭君 ありがとうございました。
 非常に日ごろから地道にそういうアイデアと行動、そして町民の地域の方々の協力、すごい町長さんのリーダーシップだなというふうに思います。
 次に、速水参考人にお尋ねをいたします。
 日ごろから大変林業経営ということに心を砕いておいでになるというふうに思いますが、私は、林業経営といいますか、林業生産というものと森林を守るというのはこれは表裏一体のものだというふうに思います。森林を守るというその一番大きな裏づけは、林業に携わる人たちがしっかりとした生活とやる気を備えることだというふうに思います。
 ところが、残念ながら、その停滞が今物すごく言われておりますし、停滞したから森林の機能を見直さなければならないというような論調でこの法案改正も出ているような気もします。これは私は間違っていると思います。
   〔理事岸宏一君退席、委員長着席〕
 そういう意味では、この林業生産活動の停滞の原因をしっかり見きわめて、そして法案審議に生かさなければならないというふうに思いますので、実際に非常に御苦労なさっている速水参考人にその停滞の原因をずばりお聞かせいただきたいと思います。
#28
○参考人(速水亨君) 林業の停滞の原因というものをずばりと質問されて、それに答えるというのは非常に困難だというのが正直なところでございます。
 非常に複雑な要因が幾つかあろうというふうに思っておりますが、それは解決できるできないという話はともかくといたしまして、やはり材価の問題、これの急激な下落というのが非常に大きいんだろうと、そのように思っております。それは、最初にお配りさせていただいた資料の中に、杉の材価が既に昭和三十年代の値段で販売せざるを得ない、そのような状態になっているということを説明させていただきました。これは、やはり世界の木材価格というものの影響を、日本の輸入が今八割でございますので、非常に大きな影響を受けているということだと思っております。
 世界の木材価格というのが果たして、日本のように再生産を前提とした木材あるいは森林管理というものからすべての木材が産出されて、そして世界の木材価格が森林を再生産するに足りるための値段で取引されているのかというところを私は非常に今疑問に思いながら日常の林業経営をやっております。
 確かに、日本の森林管理というのは非常に手間をかける管理でございます。ある意味では、地形上、気候上いたし方ないところもありながらも、もっと合理化できる可能性もあるだろうと。これは我々の勉強不足であり、努力不足だろう、そのように思っておりますので、今後もっとコストを下げる努力というのを既存の概念から離れたような形で森林管理というものに挑戦をしなければいけないと思っております。
 もう一つは、これはかなり個人的な経験からなんですが、森林管理というのは非常に長期間を要します。その間に台風だとか雪害だとかあるいは動物の害とかという被害を常に受け続けるわけです。本来、林業というのはそれを十分吸収し切るだけの経営的な余力というものが世代世代に残されながら続いてきた、そういう産業だったのではないかと最近特に思います。材価の低下ですらある意味では十年、二十年のスパンを乗り越えられるような一つ一つのストックというものを持たないと林業というものはできないのではないか、そんな感じがする昨今です。
 そういう意味では、最初に申し上げたような林業の継承の税金というものは、林業がストック産業という性格上、多分今のままの形では、ひょっとしたら林業というもの自体がそういう自然とともに歩んでいく産業としての条件を人為的に阻害されている可能性があるのではないか、そんなことも一つ思う次第でございます。
 あともう一つ、ともかく世界の急傾斜地帯の先進国の林業に比べて、日本は路網整備が圧倒的におくれました。そういう意味では、ヨーロッパ諸国なども同じような状況が三十年ほど前に起きているんですが、そこでは急速な路網整備、これは林道だけではなくて作業道も含めて森林へのアクセスの整備というものを思い切ってやって克服した、そんな状況もございますので、今後はそのような点を考えるべきだと、それが原因と解決ということになるのではないかと思っております。
 長くなりましたけれども、以上でございます。
#29
○谷林正昭君 ありがとうございました。
 特に自然害の問題をこれから重要視していかなきゃならぬと思います。
 相続税という問題、これは一代のものではない、やはりずっと代を通して山を管理し木を管理する、そうなれば代を超えた税制が必要ではないかなというふうに私も今感じていたところでございます。
 次に、笠原参考人にお尋ねをいたします。
 先ほどから、森参考人、中越参考人、そして速水参考人と聞いてきました。関連をしながら実は聞いたつもりでおります。そうなってきますと、今度は所得政策それから担い手確保というものが非常に大事になってくるというふうに思いますし、そのための施策というものが必要になってくるというふうに思います。
 そこで、先ほど、将来必ずこの法案はほころびが出てくるだろうというようなこともおっしゃいました。そこらあたり非常に気がかりになります。担い手確保、所得政策、このあたりから出てくるのではないかなというふうに思いますので、少し所得政策と担い手確保について御意見があればお聞かせいただきたいと思います。
#30
○参考人(笠原義人君) それではどういう森林・林業政策をとればいいのかということともかかわると思うんですが、私は、まず最初に言いましたように、木材生産、要するに林業という産業をどういう形で採算がとれるようにするかという、これを最優先する必要があると。そうしますと、木材価格の問題等にかかってくるわけですけれども、木材価格ということになれば、今度は需要拡大の問題も含めて、要するに採算がとれるような林業を成立させる、そのことが一番日本の森林を守る上で国民に負担がかからない、ある意味では安上がりの環境保全政策ができる。
 そういう点で、最大限努力すべきことは、木材生産あるいは木材産業をどう振興するかということを重点に置く、それが森林・林業基本法等に一番重要な柱として当然盛られるべきだというふうに思っています。それができますと、森林所有者あるいは林業従事者、それから木材関係者も地域でそれぞれ活性化してきますので、それを基本にする。
 ただ、そのときに、木材価格そのものは国際的に価格が形成されて、これだけ世界的に商品が流通していますので、どうしても世界的な水準で木材価格が決まります。その辺のところを所得政策というのか、木材価格が採算が合わない、それをカバーするためには交付税を含めて何らかの形で支えながら、しかし国民から見れば最大限木材産業を合理的にやってもらう、だから低コストの林業をやってもらうということが当然ですので、そういう関係者の努力を得、また国民的に合意が得られるところで社会的な負担あるいは国民的な負担も考えながらやっていくことを基本にするというふうにしたいと思っております。
 それから、ついでになりますけれども、日本の場合には国有林が厳然としてあるわけですので、そういう点で、国有林の政策そのものもやっぱりちゃんと立て直して、国有林みずからが自分たちの経営をやっていけるし、木材生産をやっていける、そういう仕組みをつくりながら、それに準ずる形で民有林も、準ずるというのか、要するに国有林も頑張ってやるし、民有林も頑張って日本の林業全体がやれるような状況にしていくということが絶対必要じゃないかというふうに思っております。
 以上です。
#31
○谷林正昭君 私、非常に林業の再生というのは難しいというふうに思っておりますが、多くの方々あるいは国民全体の理解があれば再生はできるというふうに思いますし、その期待がこの法案審議だというふうに思っております。
 きょうはどうもありがとうございました。参考になりました。
 終わります。
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#32
○委員長(太田豊秋君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、成瀬守重君が委員を辞任され、その補欠として斉藤滋宣君が選任されました。
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#33
○山下栄一君 きょうはありがとうございます。それぞれのお立場で、短い時間で発言いただいたわけですけれども、非常に啓発されるところが多くて、きょうは有意義な参考人質疑だと思っております。
 まず第一点、日本国土に占める森林面積は大変大きい、ところがそこに人がいなくなっているという、これがもう一番深刻な課題であるというふうに思うわけですけれども、そういう意味で、山村における人の確保、定住者の確保、これはもう極めて大事だと思うんですけれども、定住者といっても、木材生産にかかわらない人も定住できるような、そういう条件をつくっていく必要があると。
 林業経営と森林経営、僕はちょっと違うように思うんですけれども、森林経営というのは公益的機能という観点から経営していくんだというふうな、そしてそれを雇用に結びつけていくような、就業機会が確保できるような形の森林経営、それは木材生産に携わらない人もそこで就業できるというふうな、そんな仕組みはできぬことはないのではないかなというふうに思います。
 山村の活性化は人がふえないと活性化しない、したがって定住者の確保は極めて重要な課題だと。このことについてもそれぞれの方から御意見があったわけですけれども、そういう木材生産以外の就業機会というふうな観点から、中越参考人、森参考人にお聞きしたいと思います。
#34
○参考人(中越武義君) 私は、先ほども申し上げましたように、山村、林業を守っていくにはそれぞれの地域に人が定住してこそ守られると申し上げました。現在、我が町でそれぞれ取り組んでおることを少し申し上げましたけれども、年間に今大体十人ぐらいの方々がIターンで本町に入ってきていただいております。
 そこで皆さんが押しなべて言われるのが、安定的な収入がある程度確保されたい。それは年間で三百万あるいは三百五十万ぐらいでもいいということをよく言われます。そこで、現在山間地域の山を守るためには機械化が非常に難しいということを考えると、私は雇用の場になるのではないか、今質問にございましたように、就業機会というものがこれから生まれてくると思います。
 そういったことで、今言ったように、少し体を使っていただければ私は仕事は確保できる、今の雇用対策にもなるのではないかというふうに考えておりまして、それぞれの町村の取り組みによるところが大であるというふうに思います。
 そして、山村で暮らすためにはどんな形で暮らしたいかとお聞きいたしますと、せっかく山で暮らすから木造建築の家に住みたいと言われます。けれども、ある程度の年齢になって我々の地域に入ってきますと、安定的な収入とあわせて、お金を借りて家を建てなきゃならぬ、そうなったときに将来的にそれを償還できるかどうかという不安がある。そのことを考えたときに、家の条件整備が何かできないかと言われます。
 また、最近非常に厳しい社会情勢となっておりますけれども、私はもともと、家は木造の家に住む、そして家族制度が守られるということ、その中でやっぱり地域の方々が将来にわたってそれぞれの地域を守る。家から家族を守り山村を守るということになってくるのではないかということから考えて、先ほど教育が大事になってくると申し上げました。
 そして、今言いましたように、それぞれの地域で起こっておる犯罪というのは、失礼かもわかりませんけれども、比較的都市部の方に多いということは、何らかの形で心身ともにやっぱりむしばまれているのではないかというふうに考えております。
 そういったことから、山間地域で住むという方々が押しなべて言われるのは、収入が安定的にあること、そして木の家に住みたい、そしてさらには学校が複式でない方がよい、一次医療の病院がある、そして基幹となる道路の整備ができておる、この条件を満たしておれば決して山間地域に人が定住をしないということはないとおっしゃられておりまして、そういった意味から考えると、今言ったように、ある程度の収入が得られるということを基本として物事を進めることが必要ではないかというふうに考えております。
 以上です。
#35
○参考人(森巖夫君) ただいまの御質問にありました山村地域に人々が定住する条件を整備するということは、森林、林業活性化の前提として極めて大事な課題であると考えます。
 そこで、山村地域に、特に若者定住にはどういう条件が必要かといえば、私は差し当たり三つのことが大事だと考えます。
 その一つは、経済的な豊かさを確保することであります。所得といっても、就労機会を確保することであります。つまり、産業振興の課題であります。そして二つ目には、山村地域が住みよい社会であるということであります。さまざまな社会資本の整備とともに、近隣関係を含めたコミュニティーの活性化が大事であると考えております。そして三つ目には、その地域が楽しい地域であるということ。
 言いかえますと、一番目は経済的な豊かさ、二番目は住みよさ、そして若者にとってはそこで住んでいることが楽しいという、この三つの要件が大事なのではないかと思っています。
 現実にそういう成功事例がないわけではありませんけれども、その場合、抽象的な話になりますけれども、第一番目の産業振興に当たっては、単に森林だけではなくて、御指摘のようにさまざまな資源が山村地域にはあります。私は、それを天の幸、山の幸、川の幸、地下の幸、海の幸、文化の幸、歴史の幸などと呼んでいるわけですけれども、そういった資源を多面的に利用することが必要であるにもかかわらず、これまでの行政はいわば縦割り的であり、相互の交流というか結びつきがうまくいっていないところに、いずれも弱体な産業に終わっているような気がします。
 最近よく六次産業という言葉が使われますが、それは、一次産業と二次産業と三次産業をミックスした、結合させた、一足す二足す三という人と一掛ける二掛ける三という人がいますが、そういうミックスした地域資源活用型産業を興すことが必要ですし、二番目は、従来はハードの面で道路の整備とかあるいは学校とか建物とかいうことに偏っておりましたけれども、それのみならず、地域にあるコミュニティー、お互いの相互扶助とかそこの住みやすさということを強化していくことが必要ですし、三つ目の楽しさは、イベントだとか地域間交流が重要な活性化手段になると思っております。具体的な事例を御紹介できないのが残念です。
#36
○山下栄一君 笠原参考人がおっしゃっていた観点は僕も物すごく大事だと思います。新しい基本法では、林業従事者の地位の向上はもう見捨てたようなこととか、林産業の充実ということも何か影が薄くなったような面を私は非常に強く感じております。そういう意味で、笠原参考人の指摘は非常に新鮮だったわけです。
 私はこれを産業として成立させるためには所得政策も大変大事だと思いますし、もう一つコスト削減の観点で、速水参考人もおっしゃっておりましたが、やはり木を育てていくのは非常に手間がかかると。それを所有者とかに任せて、それだけでもう大変な労力を、それがコスト負担につながっていると。
 そういう意味で、森林整備というんですか、木を育てるという、それは所有者だけじゃなくてボランティアとか都市の方々にもニーズは高まっているように思うんですよね。それを上手に活用しながら、所有者と国民、市民というか、都市と農村とをつないでいく、そういう役割が市町村にあるのかなとも思います。そうすることによって、そういう木を育てていくさまざまな労力というか、それが軽減されていくのではないかなというようなことをお話を聞きながら感じたんです。
 それから、採算性という問題も、広い意味で国民、市民が参加することによって、それが行く行くはコスト削減に生かすみたいな、そんな視点もあるのかなというふうなことを感じました。
 今申し上げたような観点で、笠原参考人はどのようにお考えか、また速水参考人もどういうふうにお考えかということをちょっとお聞きしたいと思います。
#37
○参考人(笠原義人君) 森林なり林業の施業なり管理、これをだれが担っていくのかということともかかわってくると思うんですけれども、基本的には私は、作業の中心を担う基幹的な技術者なり労働者、これは何らかの形で、どこかで月給制に近いような形では押さえておく必要があるだろうというふうに思っています。
 そうしますと、かなり人件費等を含めて高くつく面がありますけれども、基幹的なものを必ず押さえながら、その上でその周辺はいろいろな組み合わせができるだろうということで、例えば都市との交流を進めながら都市のボランティア的な人に参加してもらう。ただ、単なるボランティアでは山の作業そのものがうまくいきませんし、先ほど中越参考人からもありましたように、定住させることの方が重要だということで、そのとおりなんです。
 ただ、ボランティア的な作業についても、これは鍛え方というか訓練の仕方によって、ボランティアについても本当の一時的なボランティアではなくて、ある一定の講習を受けながら継続してそういう人たちに参加してもらうということも十分あり得ますので、そういう意味では、いろんな人の参加を得ながら、しかしそれだけでは山は育ちませんので、基幹的なものを押さえて、都市からの参加を含めて、ボランティアを継続的に組織できるようなものをつくっていく。それができれば、それなりにコストを、コストというのか、みんなで支えながら余りお金がかからないような形で作業をしていくということはできるんじゃないかというふうに思っています。
 以上です。
#38
○参考人(速水亨君) ボランティアや都市の住民が森林に対して作業をしていただくということに関しましては、私としては、森林に対する理解を深めていただく、そのようなチャンスとしてとらえております。
 事実、私、NPOの森づくりフォーラムというボランティアの比較的規模の大きな組織の理事をやらせていただいておりまして、そこでいろんな提言まで含めて議論をしております。その過程の中で、やはりボランティア自身が日本の森林の実際的な作業を担っていくというのは、多分ボランティアにとって荷が重いというのは彼ら自身も十分承知をしている。
 しかし、彼らが森林への理解を深める最大の通訳であると、都市の住民あるいは一般の方と森林関係者との最大の通訳であるということは間違いないことでございますので、彼らといかに連携を深めながら国民の方に森林の重要性、そして林業の本質というものを御理解いただくかという形を私は大変期待しておる次第でございます。
 もう一つ、ボランティアというのは、多分幾つかのレベルがあると思います。日曜日に子供とともに森林に遊びに行ってちょっとした草刈りをするボランティアもあれば、かなり技術を持ったボランティアという方も最近育ってきております。そういう意味では、例えば国有林等を使いまして、単に森で遊ばせるというのではなくて、技術を深めたボランティアが、例えば作業道をつくる、あるいは非常に貴重な森林にみんながアクセスする、近寄るための道をきっちり開設する、そういう考え方をボランティアの育成に使っていくということは重要だと思っております。
 以上です。
#39
○山下栄一君 あともう一問だけですけれども、路網の整備というお話も速水参考人やその他の方からもございましたんですけれども、林道という言葉だけでは物すごく都市住民にとってはイメージの悪い面があるわけですけれども、私は、山間地域における道というんですか、これはもうちょっとちゃんと研究して、広く国民が応援してくれるようなことをやっぱりアピールしたり宣伝したりする必要があるのではないかと。
 スーパー林道とかいろいろ、私、詳しいことはわかっておりませんけれども、公共事業のもう悪の典型みたいなことになっておりますので、ただいまおっしゃるように、都市と山村の交流といってもコンピューターで交流するんじゃなくて、やっぱり直接、じかに触れるということにもう物すごく都市住民は飢えているわけですから、そういう意味では直接的なアクセスというのが物すごく大事だと。だから、そういう路網の整備をもうちょっと本格的に考える時代が来ていると思うんです。広く国民に理解していただくようなことが必要だと。
 きのうも私、政府質疑でも申し上げましたですけれども、そういう道をつくる、公共工事をする業者が、森のことをわかっていない人がそこに住んでいる人の意見を聞かないで、とにかく道をつくればいいんだというようなことでやっていくと、これは全然理解が得られない。したがって、その辺の仕組みをきちっとつくったり、国民に広くアピールするような路網の整備ということをもっともっとやっぱり強調していくことが物すごく大事だなと。そうすれば山はよみがえるという面もあるのではないかというようなことをお聞きしながら感じたんですけれども、これ、ちょっともう時間がございませんので、書面に書いていただきました速水参考人にちょっとお聞きしたいと思います。
#40
○参考人(速水亨君) 路網に関しましては、確かにスーパー林道だとか大規模林道だとか、批判される部分が今までかなりあったというふうに理解をしております。そのような規模の大きな道というのは、基本的に林業をサポートする部分プラス地域の山村をサポートする部分という意味が非常に強かったというふうに理解をしておりまして、それはそれなりに意味があるんだろうというふうに私は考えております。ただ、それが一〇〇%森林のために使われていたかということになれば、また俗に言う我々が思っている林道とは非常に違うものができているというのも事実だと思います。
 私ども林業経営者が、今後、森林管理、これは環境管理も含めて早急に充実しなければいけないというのは、やはりより一層細かく森林にアクセスする道、これは林道という言葉であらわしてしまっては語弊があるのかもしれません、日本的に言えば作業道と言うべきなのかもしれません。そういうものがたくさんできることによって、例えば林業生産に使っていないときは一般の方々がそこを散策されるという使い方をヨーロッパなどではたくさん見受けます。そこの道に関してはかなり安いコストでつくっていく、自然に適応した道のつくり方、そんな考え方を取り入れることによって森林というものを活性化していく可能性があるのではないかということを思っております。
 以上でございます。
#41
○須藤美也子君 参考人の皆さん、きょうは本当に御苦労さまです。日本共産党の須藤美也子でございます。
 まず最初に、速水参考人の方からお尋ねしたいと思うんですが、今度の森林法の中にゾーニングが導入されますね。公益の方が民有地の場合は七割、レクリエーションとか休養林ですか、これが七割。生産部門が三割ですよね。そうすると、生産部門がだんだん切り捨てられていく、縮小される、そういう心配があると思うんです。
 そういう点で、ゾーニングのあり方について、実際現場でお仕事をされている速水参考人にお尋ねしたいと思います。
#42
○参考人(速水亨君) ゾーニングに関しましては、森林というのはすべて多様な機能を持っているということで、それぞれの機能でゾーンを分けていくというのは、我々日常的に森林を管理している者にとっては幾分か抵抗はありました。ただし、一般の国民の方からすれば、やはり森林の機能というのはかなりはっきりお示しするのが今後重要だろうというふうに私は今理解をしております。
 公益林というふうに分かれた森林、ゾーニングされた七割の森林というものの中で木材生産が不可能になっていくというものではないというふうに私は理解をしております。ただし、木材生産の中で、かなり環境への配慮だとか持続性を配慮した形の施業を要求されていくんだろう、そのように思っております。
 そういう点では、公益林の中での新しい森林の作業の仕組み、これは当然負担がふえてくる可能性があります。あるいは長い間森林を森林として維持するならば、収入が途切れる場合がございます。それに対する何らかの手当あるいは技術支援というものがしっかりできてくれば、これは国民の皆様にとっては広い面積で公益林というものがふえることは決してマイナスではないだろうし、国民にそれを理解していただければ、そこでの木材生産に対する何らかの手当なり作業が充実してできるような条件整備というものも許されるのではないかと、そんな期待を持っております。
#43
○須藤美也子君 ゾーニングもあったり、さらには公益的機能、こういうものがどんどんふえていく。そうなりますと、現状の問題では、大体市町村とか森林組合がこれを負担するというふうになってくるのではないかと。
 これからどういうような計画が出されるかわかりませんけれども、そうなった場合、中越参考人にお尋ねしたいんですけれども、先ほど来のお話を聞いて、やっぱり私は檮原町に行ってみたいなという感じがしました。五千人に満たない人口で、国に先駆けて、一ヘクタール当たり十万円ですか、そして年間五千万円もの補助金を出している、いわゆる檮原式デカップリングというのでしょうか、そういう管理をなさっている。そういう点で、非常に自治体の果たしている役割というのは先駆的だと思うんです。
 今度、公益的機能の山がどんどん拡大されていくというふうになりますと、町の持ち出しとかそれに対応する考え方といいますか、そういうものがどんどん負担になっていくのではないかなというふうに思うんです。
 先ほど来、交付税創設の問題等々もありましたけれども、今、国の施策の中でお金の問題もありましょうけれども、それだけでなく、どういう支援を国がやるべきなのか、その点の問題がありましたらお聞きしたいと思います。
#44
○参考人(中越武義君) ゾーニングの関係の質問とあわせて財源対策の質問がございました。
 私は、ゾーニングは、一町村だけでというより流域で考えるべきだというふうに考えております。
 檮原町でも、学術参考保護林がございますし、植林が一万三千ヘクタールもある、そして天然林がわずかといったようなことから考えると、公益林といっても、やはり財産としての価値、さらには自然環境保全のための施業といったことを考えたら、今後十年も十五年もかかってまいります。
 そういったことを考えたときに、公益林が七〇%ぐらい、あるいは生産林として三〇%とおっしゃられますけれども、押しなべて、植林をされた地域においては今言ったようにゾーニングは必要でありますけれども、それに至るまでの施業というものが大変大事になってまいりまして、それができた段階で初めて、これを公益的に利用するのか、生産として利用するのかということになっていこうかと思います。
 今後そういったことを行う場合に、財源として町村の負担がふえてくるではないかというお話でございました。最近の交付税を取り巻く環境、それぞれの中で論議をされております。私は、今まで山村地域を守ってくる中で、山に対する市町村の投入ということも比較的していかにゃならぬのじゃないかということからそういった投入をしてまいりましたけれども、余りこれが厳しくなりますと、先ほど質問にございましたように、私はやっぱり国土保全や環境保全というのは国策でやるべきではないかということを最初申し上げました。そういった形に変わってこないと、国民の総体で地域を守る、全国民がそれぞれの地域を守るということにつながってこないのではないかと考えておりまして、そういった意味では、やっぱり厳しくなればそういったものを考慮してもらいたい。
 けれども、やはり市町村の役割あるいは山林所有者の役割といったものも当然出てまいります。そういったことから、今後、これを財産としてあるいは公益的機能として活用していく方法を考えていかにゃいかぬと。
 そうなったときに、私は、手入れをしない山がありますから、町としての独自の政策で風力発電を利用して、今言ったように山に投入しておりますけれども、こういった何らかの方向づけをそれぞれの町村が見出していただいて対応するのは、今より多くの負担がかかってくるというわけではないのではないかなというふうには思っております。これは、たまたま檮原町が風力等がある関係でそういったことが言えるのではないかというふうに思っております。
#45
○須藤美也子君 確かに、公益的な問題については国全体で考えていく政策だというふうに思うんです。しかし、檮原町のこの経験、体験というのは、国がそれに学んで、国全体としてもそういう施策を具体化していくべきだなというふうに思うんです。
 森参考人にお尋ねしますが、今回の森林基本法改正案に対していろいろ基本的なお考えを述べられたようですけれども、この中で、今までの林業基本法にありました生産の増大とか価格の安定とかそういうものを全部なくしましたよね。そして、目的はやっぱり森林の持つ多面的機能、これが優先的になるというふうになりますと、環境省に林野庁をやった方がいいというふうな、乱暴な言い方をすればそういうような目的になってしまうんではないかなというように感ずるんです。やはり、森林を育成していく、そういうのは、林業、産業の活力によって森林というのは成り立っていくんじゃないかと思うんです。
 決して公益的機能とそれから林業の生産性というのは矛盾しない問題だと思うんですけれども、この点についてどのようにお考えなのでしょうか。
#46
○参考人(森巖夫君) 大変重要な問題の御指摘をいただいたと思っております。
 先ほど来問題に出ております、森林を三つの種類に区分すると。それは、今先生がおっしゃったように森林の多面的機能という言葉を使っているわけで、必ずしもそこですぐ公益とは言っていないところにちょっとみそがあるというような気がします。
 というのは、どういうことかといいますと、経済的機能については、それに対する所有者の利益というか反対給付が当然ある。従来、公益的機能という場合、そういう反対給付を見ないからこれを公益と呼んでいたわけですけれども、今度の法律で出てきておりますような水土の保全とかあるいは森林と人との共生ということ、そういう保全なりあるいは共生に対する利用者の負担を当然前提としている点において、単なるただではないという考え方ではないかと思うわけであります。
 そして、その共生林なり保全林なりの機能を発揮するためには、御指摘のように人のかかわりが不可欠であります。そのかかわりは、従来は予定調和論と申しましたけれども、林業生産活動を活発にやれば、結果的として、間接的にそれは充実あるいは充足できるという前提だったわけですが、必ずしもそうではなくなったというのは公益的機能の中身が変わってきた。例えば、先ほど言ったように、保健休養だとかレクリエーションの場となれば杉やヒノキだけでいいとは言えなくなってきているわけです。
 そこで、そういった森林を区分けして管理するのに要する費用の負担のあり方について、税制の面あるいは補助金の面など従来とは違う政策対応が必要なのではないかと私は考えております。その辺が必ずしも十分に詰められていないのではないかという点ではこれからの課題だと思っております。
#47
○須藤美也子君 時間があればもう少しお聞きしたいんですけれども、まず皆さんに一通りお聞きしたいと思いますので、笠原参考人にお尋ねします。
 きのうの質疑の中で、木材の自給率の問題なんですけれども、この問題で、国民の年間の消費量というのは約一億立方と。ところが、毎年の日本の国内で生育する、増加する木材が八千万立方と。そうすると、少なくともそのうち五千万立方は国内消費に利用できるのではないかと。林業白書では自給率を五〇%にできるというふうに書いてあるんです。そうしますと、今、最低の二〇%を自給率は切っているわけです。それを少なくとも五〇%に引き上げれば、もっと林業も、それから森林の維持についても活力が出てくるんではないか。
 ですから、基本的には自給率向上の目標を今回の基本法の中にきちんと入れるべきではないか、こういうふうに私は考えているんですけれども、まず笠原参考人の御意見を聞いて、時間がありましたら森参考人の御意見もお聞きしたいと思うんです。
#48
○参考人(笠原義人君) 私も、先ほどの意見の中で、自給率を設定していないのはおかしいということで、ぜひ自給率の目標を入れる方向で検討していただきたいということで提案をいたしました。
 木材の自給率を設定するということは、これは、例えばある県なりある市町村をとってみれば、そこで自給率を議論するということになれば、必ず所有者から中間の伐出業者、さらに木材流通加工業者、さらには一般の町民の住宅建設まで結びついていくわけです。そういう点で、自給率を問題にしないでただ頑張れ頑張れと言っても、そこに従事する林業関係者、木材加工業者も全然浮かばれない状況で過ぎてしまいます。そういう点で自給率を地域から問題にする。
 そのときに、よく外材輸入ということになりますと、それを規制することについてはいろいろな問題が議論されてしまいますけれども、これはやっぱり地域で独自に自給率を議論していけば、国が貿易問題を含めていろいろな問題を抱えますけれども、地域の中で自給率を設定して関係者がいろいろ計画をし努力することが、これはとりもなおさず地域の森林環境を守る形になりますので、ぜひそういう形で、市町村レベルでもあるいは県レベルでもこの問題を議論する、それを国のレベルでもちゃんと酌み取っていけばいいんじゃないかというふうに思っています。
 以上です。
#49
○須藤美也子君 どうもありがとうございました。
 それでは、まだ時間がありますので森参考人にお尋ねしたいと思うんですが、今、日本の外材の輸入量というのは世界全体の中で二三%を占めているんです。そして、自給率が二〇%を切っている。こういう状況で、このまま自給率を続けていくならば、国際的にも日本は非常に自立していない、しかも森林に対する見方も、非常に国際的な状況から見れば依存している、そういうような形で見られると思います。
 そういう点で、自給率の問題と輸入の問題なんですが、その点は基本法をつくる時点で、経過の中でどういう論点がなったのか。その点をお聞かせいただきたいと思うんです。
#50
○参考人(森巖夫君) 御存じのように、農業の基本法の論議の過程で、結局のところ農業の自給率が設定されました。それは、日本の農業の食料の自給率が異常に高過ぎるからではなく、言うまでもなく低過ぎる。やはりこれを農業活動の活発化のために目標値を示すということで、妥当な措置であると思います。
 それに比して言えば、林業の場合は二〇%すら切っているというわけでありますから、もっと国内の林業を盛んにしなければならない。つまり、供給力を伸ばさなければいけない。ただ、その場合、極めて単純に総需要量分の外材輸入量という数値だけでもって日本の林業振興の、あるいは森林の健全なあり方を求める目標になり得るかといえば、不十分であると思います。
 と申しますのは、もう既に先生が御指摘のように、外材の輸入率が圧倒的に多いわけであると同時に、森林というのは単なる木材生産だけではない、もっと他の多面的な機能を、そしてそちらの方にウエートがかかっているわけでありますから、自給率だけで日本の森林活性化あるいは林業活性化という目標値にはなり得ないという点で不十分だと思います。
 しかし、いずれにせよ、外材にこれほど依存しているという状況は地球環境問題として見ても、あるいは日本の林業の活性化という観点から見ても、決して望ましい状況でないことはどなたも認めていることだろうと思います。やはり、日本の林業の供給力をもっと高めていって、そして地球全体としての森林資源を守る方向に国を挙げて取り組むのが経済大国としての日本の責務であると私は考えておりますし、そういう意見が大半の御意見ではないかと推察しております。
#51
○須藤美也子君 大変参考になりました。
 これからこの問題について論戦がまた続くわけですけれども、この機会に森林、林業に対して国民的な光が当たるような議論を私たちも国会でさせていただきたいと思います。
 きょうは本当にありがとうございました。
#52
○委員長(太田豊秋君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の方々に一言御礼を申し上げます。
 本日は、御多忙のところ当委員会に御出席をいただき、貴重な御意見を拝聴させていただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げる次第であります。
 本日の審査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後二時二十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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