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2001/03/29 第151回国会 参議院 参議院会議録情報 第151回国会 法務委員会 第5号
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2001/03/29 第151回国会 参議院

参議院会議録情報 第151回国会 法務委員会 第5号

#1
第151回国会 法務委員会 第5号
平成十三年三月二十九日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 三月二十八日
    辞任         補欠選任   
     海老原義彦君     尾辻 秀久君
     木庭健太郎君     魚住裕一郎君
 三月二十九日
    辞任         補欠選任   
     吉川 芳男君     加納 時男君
     竹村 泰子君     直嶋 正行君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         日笠 勝之君
    理 事
                石渡 清元君
                久野 恒一君
                江田 五月君
                魚住裕一郎君
                福島 瑞穂君
    委 員
                青木 幹雄君
                岩崎 純三君
                大野つや子君
                岡野  裕君
                加納 時男君
                竹山  裕君
                小川 敏夫君
                千葉 景子君
                角田 義一君
                直嶋 正行君
                橋本  敦君
                林  紀子君
                平野 貞夫君
                斎藤 十朗君
   衆議院議員
       発議者      大原 一三君
       発議者      杉浦 正健君
       発議者      佐藤 剛男君
   国務大臣
       法務大臣     高村 正彦君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局民事局長
       兼最高裁判所事
       務総局行政局長  千葉 勝美君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        加藤 一宇君
   政府参考人
       金融庁総務企画
       局東京証券取引
       所監理官     三國谷勝範君
       金融庁総務企画
       局参事官     浦西 友義君
       法務省民事局長  山崎  潮君
   参考人
       預金保険機構理
       事長       松田  昇君
       預金保険機構理
       事        花野 昭男君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○政府参考人の出席要求に関する件
○参考人の出席要求に関する件
〇土地の再評価に関する法律の一部を改正する法
 律案(衆議院提出)
〇金融機関等が有する根抵当権により担保される
 債権の譲渡の円滑化のための臨時措置に関する
 法律の一部を改正する法律案(衆議院提出)

    ─────────────
#2
○委員長(日笠勝之君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨二十八日、木庭健太郎君及び海老原義彦君が委員を辞任され、その補欠として魚住裕一郎君及び尾辻秀久君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(日笠勝之君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(日笠勝之君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に魚住裕一郎君を指名いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(日笠勝之君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 土地の再評価に関する法律の一部を改正する法律案及び金融機関等が有する根抵当権により担保される債権の譲渡の円滑化のための臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に金融庁総務企画局東京証券取引所監理官三國谷勝範君、金融庁総務企画局参事官浦西友義君及び法務省民事局長山崎潮君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(日笠勝之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#7
○委員長(日笠勝之君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 土地の再評価に関する法律の一部を改正する法律案及び金融機関等が有する根抵当権により担保される債権の譲渡の円滑化のための臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に預金保険機構理事長松田昇君及び預金保険機構理事花野昭男君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○委員長(日笠勝之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#9
○委員長(日笠勝之君) 土地の再評価に関する法律の一部を改正する法律案及び金融機関等が有する根抵当権により担保される債権の譲渡の円滑化のための臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。
 両案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#10
○石渡清元君 自民党の石渡清元でございます。
 議員立法、土地再評価法そして根抵当権でございますけれども、提案者の佐藤先生あるいは杉浦先生、大原先生、御苦労さまでございます。
 土地再評価法についても五種類の評価の仕方でやると、そういうことで、しかも三月三十日までの期限ですので、一年一日と、こういうことでございますけれども、これが本当に体質強化につながるかどうか期待をするものでございまして、そして根抵当権、やはり債権回収のためにはこれが大事なことはよくわかるわけでございまして、ただペイオフのために体質強化と、こういうことでございますけれども、長年にわたる不良債権でありますので、なかなか延長だけで大丈夫かどうかというのは疑問の残るところでありますけれども、やはりこの際妥当であろうと考えておるところでございます。
 債権の回収の流れをずっと見ておりますと、感じますのは、競売制度が少し流れとしては詰まりぎみの制度になっておらぬかなということ。そういう意味で、抵当権にも関係をいたしますので少しくお伺いをするわけでございますけれども、今の競売手続では裁判所が最低売却価格を決める、こういう制度になっておりますけれども、これはどなたがどのような基準で最低売却価格を決めるのか、御説明を願います。
#11
○最高裁判所長官代理者(千葉勝美君) 最低売却価格は、執行裁判所が選任した評価人が競売物件について行った評価に基づきまして執行裁判所が定めるということになっております。
#12
○石渡清元君 執行裁判人が決めるんですが、なかなか最低価格というのを参加者がここのところ余り当てにしていない傾向があるんじゃないか。したがって、一つ最低売却価格が示されても、まず第一回みんなパスしちゃうんです。一回待ったり二回待ったりしてようやく応札するというような実態がありますので、したがってもう少し、アメリカなんかではオークションといってどんどんどんどん上がっていくのに、日本の競売、実際は値が下がらなければ成立しないということなんですけれども、その辺についてはどういうふうにお考えですか。
#13
○最高裁判所長官代理者(千葉勝美君) 評価の問題でございますけれども、評価人は競売市場の実情に見合う評価額を算出できるように取引事例比較法とか収益還元法とか原価法とかいろんな評価方法を事案に応じて適切に使い分けて、競売の方法による不動産の売却であるという実情を踏まえた評価をしておる。そういう意味では、適正価格の評価ということをねらって評価をし、それに基づいて最低売却価格が決められるということでございます。
 ただ、実情といたしましては、確かに一度で売れないというようなこともございますし、三回売りに出して売れないということになりますと、平成十年の法改正では民事執行法六十八条の三項によりますと、三回実施されても買い受けの申し出がなかった場合においては手続の停止や取り消しができるという制度になっております。
 ただ、この制度の運用に当たりましては、各所において単に三回売却実施して買い受けの申し出がなかったということだけではなくて、やはり物件の市場性を低くするような客観的な事情の存在が認められるかどうかを十分見きわめる、それから執行裁判所としては売却に向けた真摯な努力をする、さらに停止に当たって差し押さえ債権者の意見を聴取するなどしておりまして、三度売却してもすぐ執行手続が停止、取り消しになるというようなことは、できるだけそういう扱いについては慎重な取り扱いをしているというのが実情でございます。
#14
○石渡清元君 ちょっと別な角度からお伺いをいたしますけれども、価額については少し疑問を持っておるんですけれども、例えば物件報告書が出ますけれども、その報告書だけしか見られない。その物件自体がどういうものかということが見られない。これではなかなか競売に参加をする者も少ししり込みになってしまうんじゃないか。あるいは、例えば建物なんかの場合に、不法占有者なんかがいた場合にどうするのかとか、あるいは引っ越し費用は全然見てもらえないとか、だんだん細かい話になってしまいますけれども、そういったような競売のマイナス要因というのを何とか取り除く考え方、そういうものはありますか。
#15
○政府参考人(山崎潮君) ただいまの御指摘の点でございますけれども、不動産の競売に係る物件に関しまして、まだその中に債務者が住んでいるとかそういう状況も当然考えられるわけでございまして、そういう債務者のプライバシーという問題にもかかわってくることもございます。
 どのような場合に実際そういう物件が見ることができるのかどうか、これはいろいろなパターンで考えざるを得ないというふうに思いますけれども、私どもは今、担保執行法制の見直し作業をしているところでございまして、その抵当権の効力自体もそうでございますけれども、その実行手続としての、執行手続でございますが、この点につきましても社会経済の変化への対応の観点から所要の見直しを進めてまいりたいというふうに思っております。
 ただいま御指摘の点も含めまして、いろいろ検討はしてみたいと思います。
#16
○石渡清元君 債務者のプライバシー、それも大事なんです。ところが、債務者の方でも早く債務をなしたいと、こういう気持ちがあるんですけれども、そういう方と、なるべく手放したくないという債務者もおります。そういう債務者に競売にかからない方法を伝授するような業者がいるというんだな。そういうところにファクスでこれこれこういうような手があるんだとか、そういったような実態もあるということもぜひ、今の競売制度の実態をよく理解してもらってマイナス面というのはどんどんどんどん取り除いていかないと、せっかくここまで来て現金化しようとしたところがそこで詰まっているということがないようにお願いをしたいのでございます。
 そして、先ほど最高裁からお話しのとおりに、去年の法改正で六十八条の三項で三回やると競売の停止、取り消し、この意味がちょっとよくわからないんで、それだったらそれにかわる物件をどうするかという国が代替案をお持ちなのかどうか。競売停止になっちゃうんでその辺のところが若干問題になっておりますけれども、改正後、法改正をしてどういったような見通しをお持ちなのか。
#17
○最高裁判所長官代理者(千葉勝美君) この民事執行法六十八条の三につきましては、この競売物件の状況等をよく見てみますと、がけ地であるとかあるいは、何といいましょうか、法律的な規制があるとかいうことでなかなか買い受け申し出人の範囲が限られていると。そういうものにつきましては、何度競売を実施しても限られた範囲内の者が申し出をしない限り競売という形にならないわけでございますので、それで停止、取り消しという制度がつくられたというふうに承知しております。
 ただ、この制度の運用につきましては、やはりできるだけ裁判所といたしましても売却に向けたいろんな努力をすると、それから債権者の方も担保をとった物件を売れるように債権者の方も自助努力をしていただくという前提でこの制度の運用がされているということでございます。
 改正後の状況につきましては、この制度を使って手続が取り消しによって終了したという事件は、これは全国で既済になった不動産執行事件のうちの一、二%にとどまっている。今後とも、このような法の趣旨にのっとった運用がされるようにいろいろ情報提供をしていきたいと考えておりますけれども、停止、取り消しというのは非常に少ないというのが実情でございます。
#18
○石渡清元君 いろいろ細かいことまでお伺いをしましたけれども、結局、私は、この民事執行法の第六十条を改正して手続の透明性を確保しながら最低売却価額制度というのをなくして、いわゆるアメリカみたいなオークションのような形とか、あるいは、全部が全部と言いませんけれども、不動産業者とか、そういうある民間参加、取引参加者に競売というのを、もちろん裁判所も何もタッチしないというわけにもまいりませんけれども、それを促した方がいろいろ事務処理を含めて非常に迅速になるんじゃないか、そんなふうに考えますけれども、その辺についてはどうでしょうか。
#19
○政府参考人(山崎潮君) ただいまいろいろな点の御指摘ございました。アメリカの制度等、私どももよく調査して、日本に取り入れられるものかどうか、この辺を検討していかざるを得ないとは思いますけれども、ただ最低売却価格のその制度でございますが、これ自体はやはりある意味ではブローカー排除のためにつくられているものでございますし、不当に低い価格での不動産の売却を禁止することによりまして、不動産の所有者やあるいは抵当権者等の正当な利益を確保しようとするものでございます。ある意味では、財産権の保障の観点から大変重要な機能も果たしているという点がございます。
 物すごくわかりやすく言えば、非常に低くなれば債務者の支払い額が減ってしまうと。債務が幾らたっても減らないという問題もある。それから、抵当権者の方の支払いも減ると。それから、高順位の抵当権者もおるわけでございまして、低い場合にはその高順位の抵当権者にも支払われないという形にもなるわけでして、非常に債権債務のバランスを微妙にとっているところでございます。そういう点で、非常に重要な役割を果たしているというふうに私ども理解をしているところでございます。
 したがいまして、これを廃止できるかどうかというのは大変難しい問題がございますけれども、ただ、なおいろんな工夫でもう少しその競売がスムーズに移行していくという方法を考えてみたいというふうに思います。
#20
○石渡清元君 今、ブローカーの横行するという、前はほとんどブローカーみたいな人が来てやっていましたが、最近は割合、新聞にも出ますし、比較的一般参加もふえてきているのが現状じゃないかと思いますけれども、要はその事務処理をいかに迅速にしてどんどん流すかということだと思いまして、先ほど不動産業者など、例えば活用したらどうかとか、さらにまた債権者の代理人とか執行官の一部職務を行政書士とか司法書士とか、あるいは事実関係の認定者として土地家屋調査士とか、そういったような関係業界の方を活用するのも一つの事務処理迅速の方向になるのではないかと思いまして以上の質問をしたわけでございまして、その点について十分ひとつ、いろいろ総合勘案をしてこの競売制度というのが流れがいいようにさらに望みまして、質問を以上で終わります。
#21
○小川敏夫君 土地再評価法ですけれども、三年前ですか、金融国会のときに審議した際に、どうしても金融機関、自己資本比率を高めなければ貸し出しの力がそがれてしまって、貸し渋りがますます高じてしまうというようないわば非常事態の中でそれに対処するために成立させた法律だという思いでいるんですけれども、こうしたいろんな対策を講じても、法律をつくっても、しかし実際に不良債権問題を抱えて銀行の経営体質が安定しない。あるいは今日でもまだ貸し渋りという状況が改善していないというこれまでの政府の政策、私はもう間違いのない失政だと思うんですが、今ここでこの法案をさらに延長しなくてはいけないというのはまさにその政府の失政がもたらした状況ではないかというふうに私は認識しております。
 この法案について、私ども結論的に今ここで延長にあえて反対するわけではありませんが、まさにそうした緊急事態ということを考えて成立に賛成したというような状況もございます。そうした意味も踏まえて、この法が持っている問題点というのも私、それなりに指摘をさせていただきたいという観点から質問させていただきます。
 まず、不動産の評価ということですけれども、戦後あるいは終戦後も含めてもそうかもしれませんが、バブル経済が来るまでは土地の価格は上がるもの、少なくとも下がるということの認識はだれもが持っていなかった。土地は腐るものじゃないんだから、持っていれば持っているほど得だというような国民共通の認識のようなものがあったと思うんです。そのように、土地の価格が常に右肩上がりというときには、ある時点で再評価益を出してもそれがまた覆るようなことがないということではいいのかもしれないけれども、しかし実際に土地の価格は下がるんだという現実的な事実と接したときに、この土地の再評価、再評価して評価益を出したはいいんだけれども、出した後に土地の価格が下落してしまうということもこれは十分あるわけでございます。
 それで、下落の程度も、例えば戦前から持っておるような本当に安い土地が今の時価に評価がえして何十倍も百倍もあって物すごく評価益が大きいという場合もあるのかもしれませんが、数年前に買って、評価益を出そうと思って、二割ぐらい上がっているからその二割だけ評価益を出そうというような、非常に小さい幅の評価差益ということもあるわけでございます。
 まず、法案の解釈ですけれども、評価益、どの程度の評価益があるのかという限定はなくて、ただ評価益が出ていれば、多い少ないにかかわらず、この法律を適用して再評価をしても構わないということになっておるわけですね。私、条文を見ましてもそういうことを宣言する規定というものがないものですから、その点ちょっと確認したいんですが。
#22
○衆議院議員(佐藤剛男君) 佐藤剛男でございます。提案者を代表しまして本日お答えさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 ただいま小川敏夫先生の御質問でございます。御指摘のとおり、土地というものは従来常に右肩上がりでやってきました。言うならば、私は土地本位制が日本資本主義社会の一つの原点なんじゃないかと思うわけでありますが、これが今回のバブル後、九年間土地は下がっておりますし、日本経済の大変化の根底に土地価額の低下というのがある。そして、当時、一九九〇年ころの評価というのが二千四百兆円ぐらいあったわけでありますが、現時点で千六百兆円ぐらいになっております。ですから、八百兆円ぐらい実質的にはいわば資産がなくなっているわけでございまして、おっしゃる問題意識は全く私は共通いたすわけでございます。
 そして、当時から貸し渋りのものと同時に、貸し渋りを極力防止しようという形でこの法律が立案されたわけでございまして、御承知のように、山一証券の破綻とか拓銀の移行、金融機関の自己資本比率が減る、そしていわゆるバーゼル基準という形でデフレスパイラルのおそれがあった。そんなことで、公的資本注入の実現に向けた検討が片一方で行われている。
 しかし、それだけじゃなくて、企業もみずから努力して、いわば臨時的な緊急措置として自己資本比率の回復を目指すべきであると、そんなことで、御指摘のとおり臨時限時的にでき上がりました。先ほど触れましたが、大原先生を中心に議員提案されまして、平成十年の三月三十一日に成立いたしたところでございます。即日施行されまして、翌年には、事業法人からの強い要請もございましてこれが加わって、自己株式の消却というような形で行われたわけでございます。
 御指摘がありました貸し渋りの問題でございますが、私は相当貸し渋りの防止に役立ったものと見ております。
 それで、参考までにお配りさせていただいたんですが、金融機関のいわゆる根底にありますのが、この貸すか貸さないのがBIS基準でございます。(図表掲示)
 これは非常に重要な、これから、株が今下がっておりますから持つわけでございますが、御承知のように、一九八八年にバーゼルというところの国際決済銀行で、海外にある金融機関、海外取引がある金融機関は自己資本比率が八%以上なきゃいかぬというこういう規定、お手元にお配りいたしておりますが、あります。
 それで、我々がやってきました対策、政府がやってきました対策は、この自己資本比率の分子を大きくする対策をやってきた。分母を小さくする対策です。ですから、例えば中小企業に五千万円の無担保保証をやったのは分母の対策であります。それから、株式に公的資金を注入したのは分母の中のこの補完的項目という、お配りしておりますが、ティア2というのがありますが、それは株式の……(「分子」と呼ぶ者あり)分子です、ごめんなさい、分子ですね、分子のところに優先株で注入するというとこの基本的項目というのが入ってくる。
 それから、有価証券の、これが非常に困っておるわけなんです。有価証券的に補完的項目のティア2の中に入ってしまったわけでございまして、これが含み益掛ける四五%というのがあるから、現在、株が例えば二万円で買ったのが今一万三千円でなっている。そうすると、それが分子を小さくするわけであります。そういうことで、これが小さくなると、八%を維持しようと思って銀行は貸し渋りに出るわけであります。
 そういう現象をいかに防ぐかということがやってきました対策でありまして、御承知のように、中小企業については三十兆円の予算をあれしまして、二十六兆円ぐらい今使っているわけでありますし、それから公的資金の注入を図っている。
 今回やろうとしているのが、お手元にお配りしていますが、補完的項目の中の、これは土地についての資産の再評価をしますと、有価証券と同時に四五%がこの分子にふえるんです。ですから、自己資本がふえるわけであります。ふえるということは、それをもって、それが直ちに貸し付けに行くかどうかは別として、言うならば銀行としてゆとりが出てくる、こういうことでございまして、今御質問のありました状況については、私はもろもろの形で出ていると。
 また、数字的に言いますと、約二兆円の資金が金融機関で出ておりまして、それで八%でございますから、八分の一〇〇ということで割っていただきますと、一二・五%になる。ですから、一ポイントふえますと十二・五兆円の効果をなすわけであります。
 したがいまして、二兆円の部分がこれまでの経緯で約、アバウトですが、なりましたということは、二掛ける十二・五掛ける四五%が少なくとも金融機関から、これが全部が行ったかどうかは別として、貸し付けに行っている、このように理解をいたすわけであります。
#23
○小川敏夫君 私の発言の趣旨は、そうした手だてを講じても、しかしなおかつ不良債権問題、貸し渋り問題を解消できなかった政府の失政が、責任が大きいのではないかということの意見を述べたのでございます。
 質問は、再評価したその後に土地の、地価が著しく下落したというような場合にどのように対処するのか、特に再評価益をもって株式を消却するわけですが、その再評価益相当分が仮に全部飛んでしまうような地価の下落があった場合にどのような処理をするのか、それについてお聞かせください。
#24
○衆議院議員(佐藤剛男君) 今の小川先生の問題は、値下がりした特に販売用不動産について含み損が評価されないのは何なのかという御批判の話であると思うんですが、これの対象としているのは事業用資産でございます。販売用資産は、販売用の土地は入れておらないわけでございます。
#25
○小川敏夫君 再評価した後の下落したらどうするかというこの四番目のことを今聞いています。
#26
○衆議院議員(佐藤剛男君) これは御承知のように政策的に一回限りであります。ですから、一回限りの簿価の修正を行いますので、継続して行うわけではございません。
 したがいまして、商法あるいは企業会計原則に従いまして修正された簿価によります原価評価というようなものが行われるわけでございまして、土地の評価額が下落した場合にはどういう処理をするかというと、再評価の帳簿価額の中に注記をいたしまして、脚注を置きまして、これは法律からそうなっておるのでありますが、する形で処理していくと。そして、それを七年間、二重管理をしていくという法律形態でございます。
#27
○小川敏夫君 例えば、株式の消却の場合ですけれども、評価の益があったから、その益のある部分をもって株式の消却をしたということになるわけです。ところが、今度は株式の消却をしてしまった後、本来評価益があったものが全部なくなってしまったら、結果的には何にもないのに株式の消却をしてしまったような現象になってしまうわけです。
 ですから、株式の消却をしてしまった、それに見合う土地の評価益が地価の下落で吹っ飛んでしまったような場合、この消却してしまった株式に対するその手当てはどうするのかお尋ねしているんですが。
#28
○衆議院議員(佐藤剛男君) ちょっとそこら辺を複式簿記の点で御説明させていただきますと、現在、例えば土地が百億円していた。これを五百億円で四百億円の資産評価差額が出るわけであります。ここに御承知のように再評価差額金というのが出ます。それから、法律的にこの四割は未払い税金債務としてこちら側の負債に置かなきゃいけない。そうすると、六割がこっちに来る。しかし、六割の中、全部使っていいというわけではございませんで、株式消化の場合には三分の二でございます。ですから、四百の六〇%、二百四十の三分の一はここに置くわけであります。
 これが一つの原則でございまして、取り崩すべき再評価金がなくなっちゃったとき、これは当然損失として計上されまして、剰余金が、この資本の部のところが減少するというふうに解釈するのが会計原則であると思います。
#29
○小川敏夫君 だから、剰余金がなくなっちゃったのはいいんだけれども、株式を消却しちゃった部分の手当てはどうなるんでしょうか。
#30
○衆議院議員(佐藤剛男君) 答弁がダブると思いますけれども、商法三十四条の二号の特例になるわけなんですが、これは固定資産に予測することができない減損が、毀損ですね、例えば神戸大地震が起き上がって土地の価値が下がったというような場合には、これは「相当ノ減額ヲ為ス」との規定があります。そしてまた、この規定によって帳簿価額の減額をした場合には、再評価差金ですね、これを取り崩すことができるというのがこの法律の八条に規定されているわけでございます。
 そして、自己株を消却いたしまして、これは消却しますから、お金を借りるか自分のところの資産から、資金からやるわけでありますが、この借り入れ、これをやったときにこれがなくなっちゃったと、取り崩すべき価額が。これは、当然のことながら複式簿記上では損失として計上されまして剰余金がなくなると、こういう解釈になると思いますが、御了解いただけますでしょうか。
#31
○小川敏夫君 再評価そのものが、先ほども言いましたように、土地が、何倍にも何十倍にもなっている土地についてだけやれるのではなくて、例えば評価益の率が非常に少ない、例えば原価が一〇〇で時価が一二〇といった程度のものでも土地の再評価ができるわけですよね。そうすると、率としてわずかな率の値上がった分の再評価で出した益は、逆に言えば、わずかに下落しただけで吹っ飛んでしまうわけですね。だから、現実に起こり得る問題だと私は思うので、特に資本を、株式を消却してしまった場合に、消却原資がないまま消却してしまったような状態になるので、そこのところの問題を指摘したわけでございます。もう答弁は結構でございます。
 あと、次の問題に行きます。
 先ほど提案者の方がお答えに取りかかっていただきましたけれども、会社全体から見まして、事業用資産というものは、古くから持っているから、特にバブル以前から持っていれば含み益が出ているということは十分あると思うんです。しかし、一方、例えば企業が販売用不動産というものをバブルのときに高いまま買って、今持っていれば多大な含み損が出ていると思うんです。そうすると、一つの会社の中で、事業用資産は、事業用の土地については含み益が多大に出ているけれども、販売用の土地については含み損が非常に多く出ていると、こんな場合でも事業用の土地だけについての含み益を利益に組み入れて再評価して、しかしその他の販売用の含み損については全く考慮しないというと、どうもそこら辺に問題があるんじゃないか。例えば、企業全体が保有している土地の中で、事業用土地と販売用土地を全部ひっくるめてみれば、含み損が多い場合でも、たまたま事業用土地についてだけ見れば含み益があるというようなケースだってこれはあり得るわけです。それでも、事業用土地についてだけ含み益があればそれで評価差益を出せるというのは少し甘過ぎるんじゃないかと私は思うんですが、いかがでしょうか。
#32
○衆議院議員(佐藤剛男君) 小川先生の御指摘は非常に考えてみれば私は当然の御質問だと思いますし、そういう点を指摘されている方々がたくさんおられます。
 この問題は企業会計をどうするかという問題でございまして、今、企業会計審議会で減損会計という形の、これも非常に難しいものでございますが、御指摘の営業用資産、営業用の土地、あるいはそういうようなものがぽんと下がってやったものについてもきちんと出せと、それをやるのが内外の投資者の信頼感を確保するんだと、こういう理論があり、それを今研究している段階でありますが、まだ実施されていないというのが現状でございます。
 それで、現在、じゃ、どういう形になっているのかといいますと、販売用不動産このものについては、著しく価額が下落した場合には回復すると認められる場合を除いて時価評価をすることとされておりまして、これは商法二百八十五条、それから金融商品会計についての基準というのが、公認会計士の関係のガイドラインができ上がっておりまして、そして時価評価するという形になりました。また、株式については、御承知のように、これは金融資産でございますが、これについては時価評価を行う会計基準が導入されまして、これが今年度から実施され、一定の場合を除きまして実施されているというのが現状でございます。この商法二百八十五条、また金融商品の会計基準というのが具体的に今、先生の御指摘の点に該当するんじゃないかと思います。
 ちなみに、私は用意いたしておりますので、金融商品の時価評価と、これは金融商品ではございませんが、土地については。これは客観的な時価が把握でき、当該価額によって換金、決算できる金融商品は時価評価し、財務諸表にあると。それから、それと同時にガイドラインとして、半分以上ぽんと下がっちゃったというようなものについては、これは企業会計のガイドラインでやりなさい、クロス取引はだめというようなものと同時になされているところは御高承のとおりであります。
#33
○小川敏夫君 あと、これは土地の時価を評価してそれを決算に反映させるということですから、その評価のやり方を仮に恣意的に行うということになれば、これは粉飾決算の一つの材料になってしまうのではないかという不安も持っております。
 まず、土地の再評価を行う場合の評価方法は具体的にどのようなことになっているんでしょうか。
#34
○衆議院議員(佐藤剛男君) 先生の御指摘が実質的な実務では一番難しい点でございます。
 それで、これは土地の再評価に関する法律施行令というのがございまして、その第二条で、再評価する場合の方法、時価でございますが、時価は何なのかと。時価というのは定義がないわけでありまして、現状は、御承知のように、一つの形としましては、この間発表がありました国土交通省のいわゆる公示法に基づくもの、それから国土利用計画法の基準地価に合理的な調整を行うもの、それから固定資産税の評価に関係するもの、あるいは地価税法に関係する評価額に行うもの、四つありまして、その政令ではもう一つつけていまして、不動産鑑定士による鑑定評価ということで、不動産鑑定士の実際的な経験と知見によりましていろいろな合理的な調整を行うと。
 だから、隣の家が百万円で、こっち側は袋小路で百二十万円だというような場合も、これは最後はこの不動産鑑定士の評価になるというところが、土地という株式と違う土地の市場というのがないわけでございまして、袋小路と角地というようなものの違いがあるわけでございます。しかし、それはそういう形をもって実勢の取引を行っているというのが現状であると思います。
#35
○小川敏夫君 不動産鑑定士さんを基本的にはもちろん信頼しておるんですけれども、しかしまた一方ではなかなか融通がきくような分野でもありまして、鑑定士さんの判断によっては多少高く評価してもらえることもあるし、安い評価がいい場合には多少安いような評価を誘導していただけるようなケースもあるのではないかと思います。
 先ほど言いましたように、例えば再評価が、原価に比べて時価が一割、二割でも高ければその評価益を計上していいということですと、どうもその評価方法、不動産鑑定士さんの好意的な評価によって本来出ないものまで再評価益が出せるようなことになってしまうのではないかというような不安は私、非常に感じております。この評価法そのものは、会社の資産としては全く変化がないのに評価方法を変えてそれで利益を出すということですから、どうも経営の苦しい企業のいわば決算の非常手段じゃないかと思うんです。
 そうすると、苦しい会社だからやるんだとすると、苦しいところほどよく見せたいという意識が働くとすれば、これは粉飾決算という悪意がある場合は論外としましても、そこまでの悪意がなくてもどうもそういう方向にやってしまいたいように経営者としてはなるのではないか。ですから、粉飾決算が悪意か悪意じゃなくても、どうも企業の実態を的確にあらわすということについての阻害の一つの要因になるのではないかと私は感じております。
 土地の評価方法が今お伺いしましたように五種類あって、それをすべてということでなくて、不動産鑑定士さんの鑑定だけでいいというところで、私はどうも、評価方法が確定するというか、絶対的に間違いがないということはないと断言できる状態ではないというふうに感じております。
 簡単に御答弁いただきたいんですが、実際にこの法を適用になって、これを利用した金融機関なり企業というもの、これは把握できる範囲で結構ですけれども、どの程度になるのか教えてください。
#36
○衆議院議員(佐藤剛男君) 三回にわたって、平成十年、十一年、それから十二年という形で使われているわけでございます。
 大まかに、アバウトでちょっと申し上げますが、これは資本金が五億円以上で負債が二百億円以上というのを対象にしているわけでございますが、その中には金融機関と金融機関以外があると。金融機関については百十ですね。ほとんどの地方の銀行もやっております。もちろん、さくら銀行から第一勧銀から興銀から、こういうのはもちろんやっております。
 それから、最近の現象としましては、金融機関じゃない事業用資産、例えば浜松町から羽田に行くモノレールに乗りますと、この前後に倉庫地帯があります。これは明治時代に買ったところは坪五十円ぐらいでございます。これが今十万倍ぐらいしていまして、恐らく五百万円ぐらいになっているわけですね。あそこは超スーパー倉庫基地でございます。それから、町の中でかつて養蚕関係で繊維関係をやっていた地域ですね。明治のしにせの会社などはこれを活用するところが相当出るはずです。
 それから、先生がおっしゃられる、先生は裁判官もおやりになっておられますから、先ほど来そういう粉飾の面がないんじゃないかとかいう御指摘があったんだろうと思うんですが、絶対というものは私はないと思っております、これについては。しかし、これは公認会計士あるいは会計監査人の一応外部審査を受けるということを対象といたしておりまして、私どもとしましては、これは再評価が適正に行われるということを期待したいというか、行われるものだというふうに法律としまして提案させていただきたいということでございます。御理解を賜りたいと思います。
#37
○小川敏夫君 債権譲渡円滑化法案の方でございますけれども、この法律もやはり金融国会のときに、債権回収、一連の金融化対策ということで成立させた法案でございますけれども、これも実際に適用後の今日までの実施例、こういった実績等をわかる範囲で教えていただけますか。
#38
○政府参考人(浦西友義君) 金融機関によります利用例を申し上げます。
 根抵当権付債権譲渡円滑化法の利用件数、業態別に申し上げますと、都銀で二百三十件程度、長信銀、信託で三十件程度、合計二百六十件程度でございます。
#39
○小川敏夫君 今回、整理回収機構のその業務のより円滑な遂行のためにということがこの法案の延期の主たる理由だということですが、整理回収機構にお尋ねしますが、これまでの回収の実績、それから回収の実績のほかにその回収に要したコスト、これも含めて全体的に報告をしていただけますようお願いいたします。
#40
○参考人(松田昇君) まず、回収実績の方でございますけれども、十二年度の回収実績、これは二月末現在でございますけれども、全体で合わせまして約一・一兆円回収をいたしております。これは過去にない最高の水準の回収実績となっております。
 ちなみにと申しますか、旧住専債権とそれから破綻金融機関の債権の回収と二つ債権があるのでございますけれども、それの累計をちょっと申し上げてみますと、住専勘定が二兆二千六百七十億円、RCB勘定が一兆七千三百九十億円になりまして、これまでに合計で約四兆円を回収し上げたと、こういうことでございます。ちなみに、これも譲り受け債権の残高との比較で申しますと、旧住専の勘定では四八・七%、破綻金融機関のRCB勘定では四三・五%と、こういうことになっております。
 全体の回収そのものの経費とそれから損益の関係でございますが、十一年度決算を例にとって御説明いたしますと、経常収益の中にいろいろな債権の取り立て益その他が入っているのでございますけれども、大きく言いまして四千百十二億円が経常収益でございます。それにかかっております費用が、経常費用という中で、これは人件費、物件費、その他営業経費とそれから貸倒引当金あるいは直接償却、二次ロスでございますね、これらを全部ひっくるめますと四千八十二億円でございまして、差し引き経常利益が二十九億、約三十億円、そういう損益の勘定になっております。
#41
○魚住裕一郎君 公明党の魚住裕一郎でございます。
 早速、質問をさせていただきたいと思います。
 まず、再評価法でございますが、今回、再評価を行うことができる法人の拡大ということが盛り込まれておるんですが、先ほど図表等を、「自己資本比率規制の概要」等をお示しいただいて御説明をいただいたんですが、今回この拡大するということとの関連では、どういうような理由から今回の改正になるんでしょうか。
#42
○衆議院議員(佐藤剛男君) 御説明しましたが、再評価法というのは、現状の状況とそれから帳簿価額との非常に差がある、それを乖離しているのをできるだけくっつけようと。それが内外の投資家等に対して影響を、きちんとしたやっぱりトランスペアレンシー、透明性がある、それからコンフィデンス、信認がある、それで日本の証券市場に対する信頼感が出るというようなことでやってきたわけでございまして、現在の場合には、上場会社、店頭登録会社あるいは株式等の公募を行った会社も商法上の大会社と同様に会計検査が義務づけられているものでございます。ほとんどの会社が商法上の大会社に含まれており、ちょうどこの法律のつくったときにおきましては証券取引法により監査を受ける会社を特に対象として規定することはしなかったわけであります。それで、先ほど申し上げましたが、資本金が五億円以上、それから債務が二百億円以上。
 ところが、最近の状況を見ていきますと、マザーズとか大阪証券とか東京証券市場とか、そういうような感じで新たな証券市場の整備が進められまして、大会社以外の会社の上場等が活発に行われる状況になっているわけでありまして、先ほど言いました商法上の大会社には該当しない、しかし証券取引法に基づき監査を受けていると、こういう絞りができる会社が出てきておりまして、そういう会社をあれしている例えばマザーズ、ナスダックであるとか大阪証券とか東京証券とか、約四百ぐらいと私は見ていますが、そういう対象の会社が拡大することによりましてふえていくというような試算をいたしております。
 ちなみに、現在対象になっていないがこれをやることによって対象になるのは上場会社が二十八社、それから店頭登録会社が八十八社、それから過去に上場していたり株式を公募した会社が二百七十社ございます。これは平成十一年四月から昨年の三月までに実施された監査の状況でございますが、そうしますと、四百ぐらいが潜在的に拡大することによって対象に含まれると、このように解しているわけでございます。
#43
○魚住裕一郎君 今、合計しますと三百八十六社ということになるんですが、これは具体的な要望があったというふうに考えていいんですか。
#44
○衆議院議員(佐藤剛男君) 直接の、個別の企業からの要望を受けておりませんが、私どもの、私どもと言ってはいかぬですが、金融庁とか、それからナスダック、マザーズとか、そういうところを通じました情報でふやしてくれという形で来ております。私のところに個別にどこどこを入れてくれという話はございません。
#45
○魚住裕一郎君 先ほども質問に出ておりましたけれども、この評価原則のあり方なんですが、恣意性というか、恣意的であったらやはり評価原則そのものが成り立たないというふうに思うわけでありますが、中小企業とか販売用不動産は対象外でありますし、また、先ほど五種類ですか、時価の話がございました。
 どれをとるのか、いろんな個々別々になってしまうだろうというふうに思いますし、こういう緊急のこういう時限立法でやるというのはどうなのかなというふうには思うんですが、本格的な時価評価会計への道筋となるようなものにしていかないと、日本経済に対する世界の不信感といいますか、それはぬぐえないだろうというふうに思います。
 もう全体的な評価基準の見直しというのは必要だと思うんですが、いかがでしょうか。
#46
○衆議院議員(佐藤剛男君) 魚住弁護士にそういう御指摘を受けますと、私は、個人的には土地についての評価というのはきちんとすべきである。これは商法の特例になっているわけですが、商法のときの三十四条二項の特例をこれを限時的に延ばし延ばしやっていていいのかどうか。
 かつては金が中心の金本位制だったわけでありますし、昭和四十六年にニクソン・ショックでドルと兌換、金が分かれちゃった。それで、今世界はどうなっているかというと、日本は土地本位制でずっと来て、土地がもろもろに今崩れちゃった。先ほど御指摘しましたが、二千四百兆が千六百兆ぐらいになっちゃった、八百兆すっ飛んじゃったんです。
 そういうふうなことで、証券の方の金融資産については証券所がある、土地については今、先生御指摘のように一物五価みたいなものがあってこれは進まないと。これについての進め方は今後必要であるし、評価の仕方についても任意でいいのか、あるいは強制的に全部をやるのか。集中的にこれから産業政策をやらなきゃいけないような企業、例えばしっかりと減資なら減資手続をとってやっていかなければいけないようなものについては企業原則として強制的に出して、そしてやはり信頼を、コンフィデンスを回復すべきだと私は思っております。
 ただし、これには相当の議論をしていただかないと、非常にこの期間の、短期の延長だけでは間に合わないわけでございまして、この面について、例えば中小企業に、今、中小企業を対象にしないというのは、七年間持っていなきゃいかぬわけです、二重管理をしなきゃいかぬ。そうすると、どうしても外部で税理士ですね、会計士でやって監査を通さないとできないというところにあるわけでありまして、じゃ、中小企業が抜けているのはおかしいかという部分については、私も何かいろいろこれから考えなきゃいけない問題があるなと思っておりますが、これからの課題として考えさせていただきたいと思っているのが現状でございます。
 私の認識は、土地本位制が崩れたことが今日の日本経済の根本にあるので、これについてしっかりとした政策の方針を出していくということが我々政治家に課せられている義務ではないかと、かように考える次第であります。
#47
○魚住裕一郎君 次に、債権譲渡円滑化法の方でございますが、これは今回、二年間延長するということでございますが、二年間でかなり根抵当で担保される債権の回収ということでしょうか、その処理が大幅に進むというふうにお考えなんでしょうか。そして、もし期間延長されない場合のマイナスの影響というのはどの程度お考えなんでしょうか。あわせてお願いします。
#48
○衆議院議員(杉浦正健君) 発議者を代表してお答えを申し上げます。
 仮に、延長されなかったらどうかというところから申し上げた方がよろしいかと思うんですが、債権回収は相当渋滞を来すだろうというふうに思います。延長されない場合には、金融機関等が有する回収が困難になった債権、根抵当権つきのものを例えば整理回収機構とかサービサーに譲渡する場合には確定手続をとらなきゃいけませんね、根抵当権の。通常、同意を求めるんですけれども、整理回収機構の話ですと、三割ぐらいは同意してくれない、三割ぐらい利用しているようなんですが。そうしますと、同意を求める訴訟を起こさなきゃいけません。大体半年ぐらいかかるようでありますが、その上で、確定判決を得て登記をする、根抵当権確定登記、普通の抵当権に変わるわけですが、その上で譲渡をするということになりますので、回収手続が渋滞を来すことは十分に予測されるところでございます。
 金融システムの不安定な状況はもう先生方御案内のとおりでございまして、現在、整理回収機構が扱っておる破綻機関だけでも三十幾つある、もう帰ってしまわれましたが、相当数ございます。ことしになってから既に二つの信用組合が破綻いたしております。
 こういうことは望みたくもないのでありますが、これからペイオフが一年延期されましたので、来年三月まで、まだまだ出てくる可能性もなしとしないという状況でございまして、私どもとしては、ちょっと一年では処理し切れないだろうから、行方不明の人もありまして、通知に公示催告しなきゃならぬというようなこともありまして、二年間延長をお願いするのがいいのではないかと。その間に処理し切れてしまうことを期待しておるわけですが、状況いかんによっては、二年間で絶対に全部処理し切れるかとなると何とも申し上げられないのが実情でございますけれども、我々としてはそういう意図を持ってお願いをしておる、こういうことでございます。
#49
○魚住裕一郎君 今、不良債権処理というのが非常に経済対策等でも大きなポイントになっておるんですが、二年間延長する、二年間で全部処理するというふうに考えていいんでしょうか。要するに、期間を決めないとかいろいろな意見もありますけれども、我が党は二年間で半分ぐらいにしろというふうに、目標設定すべきではないかというふうに言っているところでございますが、杉浦先生におかれても、二年間で全部処理しよう、こういうふうな考えというふうに伺っていいですか。
#50
○衆議院議員(杉浦正健君) 私としては、二年間の間に断固として処理しないと日本の経済がおかしくなる、こう思っております。これは政治の決断であって、日米トップ会談でも話が出たようですし、麻生大臣も決意を表明して帰ってこられたとかこられないとか、半年というようなこともおっしゃっておられますが、それぐらいのペースできちっと処理しないと先行き日本経済は大変だ、そういう認識を持っております。
#51
○魚住裕一郎君 終わります。
#52
○橋本敦君 続いて、私からも質問させていただきます。
 まず、提案者に伺いますが、今も問題になっておりました臨時措置法というそのことの延長の問題であります。
 今回、その延長が必要だという具体的状況についてもう一度かいつまんで、この法案の延長の具体的必要性ですね、具体的に簡潔に述べていただけますか。
#53
○衆議院議員(佐藤剛男君) 簡単に申し上げますと、一九九五年にいわゆるコスモの問題、兵庫銀行の倒産、そういう状況が出てまいりまして、そのときに一つの第一次的な状況がありました。九七年、九八年にいわゆる山一証券、それから北海道拓殖銀行、山拓倒産とでも言うんでしょうが、そういうような問題が出て、長銀の問題が出たりして、二回目の心筋梗塞を日本は起こしたんじゃないかと私は思っているわけでございます。
 そういう中で、金融の自己資本を導入しようと、金融機関に、やることによって貸し渋りを直そうという形が、先ほど来申し上げましたが、議員立法として土地の資産の評価法という形で出た。そして、今日まで合わせまして金融機関約百十、その他事業機関が百十というものを使われた。その中に、さらに一年半前には株式の消却ということで、株式消却法について御承知のように資本準備金も使ったり、あるいはやりながら資本をふやしていく。つまり、バランスシートへの大打撃というのは相当大きかったわけでありまして、GDPに比較すれば第二次大戦よりも私は大きかったんだろうと思います。
 そのぐらいの感じの状況の中で出したのがこの法案でありますから、そういう状況の中で見てみまして、これだけのものが利用されたわけでありまして、今度拡大するわけでありますから、これについてはこの二年間、三十一日の今年度の会計と来年度の会計と、そして拡大する、これが目的になっているわけでありますから、この間に終始徹底し、それから企業会計も当時とは大分変わりまして、御承知のように有価証券への時価評価、年金会計の導入、あるいは具体的には親会社と子会社についての実質の基準が入ったり、あるいは税効果会計、四つが動き出している。一つまた減損会計というのが研究中であるというようなことで、私は、着々とそういう意味においての内外からの信頼感、透明性ですね、日本の財務諸表というのはどうも当てにならないなというのがあったわけでありますが、それは直りつつあるわけでありまして、そういう中で、今回、アメリカの株が下がり、日本の同時株になった。あのときには、前のときにはアメリカは株がずっと上がっていたわけであります。そういうことの点で、私は、今の現状というのは前のときの現状と比べまして十分改正する余地がある状況にあると思っているわけであります。
#54
○橋本敦君 当初は二年間という時限立法だったんです。その二年ということで延長しなきゃならぬというのは、ある意味では見通しがやっぱりそれだけ違ってきたということは率直に言っていいわけでしょう。
#55
○衆議院議員(佐藤剛男君) ですから、臨時暫定的だということで最初は二年間でやって、そしてもう一回改正をこの当委員会じゃなくて財務委員会でやったわけです。それは株式消却をふやすときにですね、それで一年延ばした。株式消却は来年、十四年の三月まであるわけであります。ですから、それから比べれば、一年延ばすということはその株式消却との歩調を合わせる意味で十分納得がいく。それに加えて、今、私が申し上げたようなわけでございますから、経済というのはしょっちゅう変わるわけでありますし、それにする対応策というのはあるわけでありますから、そういうことでは私は十分説明がつくものだと思っているわけであります。
#56
○橋本敦君 結論は今おっしゃった経済の実態なんですよ。これは動いていきますよ。ですから、今度の延長についても、それで必ず終わるという保証はこれは具体的にないわけですよね、今度の延長で。いいですか、今度のこの法案、延長しますね。
#57
○衆議院議員(佐藤剛男君) はい。
#58
○橋本敦君 この延長で、必ずそれで終わるという保証は、これは実体経済がどうなるかわかりませんから、法律的にそれで保証があるというわけじゃないでしょう。それは間違いないでしょう。
#59
○衆議院議員(佐藤剛男君) 私は、提案者としましては、この一年ということで終わらせて、PRを徹底的にし、事業用資産にあれしたいということは杉浦提案者と同じであります。
#60
○橋本敦君 そういう説明ではあるけれども、実際に今度延長されたように、また延長しないという保証はない。まさに実体経済なんです。ある意味で言うならば、まさに日本経済に対する政府の失政の結果がいろいろな意味で矛盾を生んでいる中でこういう延長ということも出てくるというふうに私は見ざるを得ないと思っているんです。
 具体的な問題に入りますけれども、金融機関が有する債権の回収が困難になったという。不動産担保とした根抵当権の債権処理を簡便にやるということがまさにこの法の趣旨ですが、回収が困難になった債権だという、そこのところの定義は一体客観的にだれがどうやって決めるんですか。
#61
○衆議院議員(杉浦正健君) これはいろいろなケースがあるわけですが、例えば整理回収機構でございますと、破綻した金融機関が生じた。その金融機関の受け皿ができる。そこと協議してこれは引き取ると、新しい受け皿がですよ、これは引き取れないと。そこで、回収は、受け皿の方は困難でないものしか受け取らないと。困難なものはRCCへ来るという仕分けができるわけでございます。実情によって違うと思います。
#62
○橋本敦君 だから、したがって明確な基準というのは客観的に実はなくて、債権回収するという立場から検討して回収機構その他が判断していくことになるんですよ、結論的には。だから、事業をやっている国民の側、中小企業の側から見ますとどう判断されるかというのは死活問題にかかってくるわけですよ。だから、そういう意味では、このままでは金融機関等が、まさに今言ったように、その意思に反して判断されていくならば、中小企業の経営というのは一層困難にならざるを得ないという状況を持っている、そういう法律構造を持っているんですよね。しかも、根抵当権者からの一方的通知で取引終了とみなすということになりますと、ますます債務者である中小企業等債務者に不利益を与えるということはこれはもう言うまでもないわけですよね。
 そうすると、民法三百九十八条の二十第一項の問題にかかわってくるんですが、そういう面で一つ聞きたいのは、金融機関等が特定債権回収機関に根抵当権を移転させる場合には、まず根抵当権の担保する元本の確定が必要だというのはこれは根本原則ですよ、基本的には。そこのところで、元本の確定ということを具体的に債務者の意向を無視して一方的にできるという、そういうことはなぜ一方的にできるということを当然と考えるんですか。
#63
○衆議院議員(杉浦正健君) 一般論として、根抵当権の取引終了については、取引の一方の者が終了を主張すれば終了するんだという考え方があることは承知しておるんですが、この場合は、一番わかりやすい例で言うと、取引、債権者、金融機関が破綻してしまったわけですね、破綻してしまったと。債務者はいろいろあるんです、破綻している人、しない人、いろいろあるわけですが、貸し手の方は破綻してしまった。もう貸せないと、幾ら頼まれてもという状況になった。これが陸続と、山一、拓殖銀行初めもう百近い金融機関が倒れているんじゃないでしょうか。現実に、今、整理回収機構が処理しているだけでも三十幾つあるというんですから、そういう貸し手が破綻したと。
 したがって、その貸し手の処理をしなきゃいけないと。その貸し手の持っている債権をいろいろ仕分けをして、受け皿の金融機関に引き取ってもらってやると。それから、不良な部分は整理回収機構、まあ住専もつくりまして、それは整理回収機構になりましたが、今はサービサーなんかもつくってそっちでもやれるようになっておるんですけれども、そういうところで極力円滑な回収を促進していくということが必要とされる事態が起こったわけでありまして、むしろ民法の本則が予定していた、債権者が、しかも金融機関がこんなに続々と倒産するようなことを予想されもしなかった時点で民法はつくられておるわけですから、この緊急事態に不良債権を迅速かつ大量に処理するという必要上、こういう措置をとることはまことにやむを得ないと思います。
 また、借り手にとっては、金融機関が倒産しちゃったわけですからもう借りられませんし、借りたことは事実ですから、それでもって取引終了ということを金融機関から通知して、それでもって確定したものとみなすと。みなして確定手続をとるということは、法律上、サービサーにとって不利益をもたらしたものとも言えないと思うんです。
#64
○橋本敦君 わかりましたよ。だから、取引している業者にとったら、取引相手の金融機関がそういう破産状態になったから、本当を言えば根抵当権の極度額の範囲で契約継続、取引の継続ができると考えて期待していたのに、それはもうだめよということで、まさに取引でやっている債務者である中小企業にとっては何の責任もなしに一方的に処理されるということを当然だとおっしゃっているんですよね。これは法律問題であると同時に、私は、今日の経済、日本の社会の現実における社会問題だと見るべきだと思います。
 大臣はどうお考えでしょうか。社会問題じゃありませんか。
#65
○国務大臣(高村正彦君) 今、提案者のお話を聞いておりましたが、まさに債権者側、債権者である金融機関が倒産したこと自体が社会問題なんで、その結果貸せなくなるというのは、これは倒産しちゃったこと自体が社会問題なんですから、それをその先がどうだと言ってもこれはやむを得ないことなのではないかと、こう思います。
 社会問題かどうかという話でありますが、それはそれとして、せっかくの私の立場として法的な話をちょっとさせていただいてよろしいでしょうか。
#66
○橋本敦君 はい。
#67
○国務大臣(高村正彦君) 一般的に、根抵当権の担保すべき元本の確定というのは、確定後に発生する債権が当該根抵当権によって担保されなくなるという効果を有するにすぎないものであります。元本のそれ自体によって根抵当権設定者及び債務者が何らかの不利益をこうむることは法的にはないわけであります。
 本法に基づく根抵当権の担保すべき元本の確定についても、同様に元本の確定それ自体によって債務者である中小企業が法的な不利益をこうむるということはないと、それが私の立場でございます。
#68
○橋本敦君 その見解については私も別の見解を持っていますが、時間がないので次の問題に移っていきます。
 その次の問題として一つもとへ戻る感じになりますが、一九九八年十一月二十五日号の「金融法務事情」という雑誌がございますが、ここのところで論文が出ております。そこに法務省民事局の後藤博参事官と齋藤検事がお書きになっているんですけれども、それによりますと、「すべての取引について、根抵当権者から一方的にその取引を終了させることができるとは限らない。たとえば、製品や原材料、生活に必要な物資等の供給を目的とする継続的契約から生じる債務を担保する根抵当権の場合に、根抵当権者からの一方的な取引の終了が可能であるかについては、疑問があるところである。したがって、根抵当権者の範囲を限定せずに、一般的に根抵当権者から一定内容の通知をしたことをもって元本が確定するとする措置を定めることは、困難であろう。」と、こういう見解も出されていますね。
 民事局長はこの見解をどうお考えになりますか。
#69
○政府参考人(山崎潮君) この取引の終了に関しましてはさまざまな見解がございます。判例もこれといって、これが判例の説であるという考え方もない状況でございます。
 確かに、私の考えといたしましては、この根抵当権の確定云々の問題は、一方の当事者がそこで終了をするということになればこれ以上その抵当権では担保されないということになる、そういう効果を有するものでございまして、それで、ただ実態的に継続的取引契約があって、その上でその義務履行をどうするべきかという問題はまた別途の問題でございまして、確定はしましても契約上その義務があるということになれば、別途その義務を履行しなければならないという義務を負うことになろうかと思います。
 そうなりますと、この根抵当権、この当該の根抵当権の中では担保はされないことになるけれども義務はあると、こういう状況になるというふうに私は理解しております。
#70
○橋本敦君 いろいろおっしゃいましたけれども、私が聞きたいのは、今、私が指摘した「金融法務事情」で後藤参事官が述べていらっしゃる見解というのは全く間違った見解だと断定されるんですか。そうは言えないでしょう。
#71
○政府参考人(山崎潮君) 私も先ほど申し上げました、さまざまな考え方があるということで、それが間違いだというふうに申し上げているわけではございません。
#72
○橋本敦君 具体的な実態の問題に入っていきますが、預金保険機構から出していただいた、「RCC譲受債務者のうち本法を利用した債務者の状況について」という資料をいただきました。これによりますと、衆議院でもこの問題が議論されておるんですが、債務者の規模別状況を見ますと、大企業が一%、中小企業が五七%、個人が四二%。さらに、債務者の分類区分別の状況を見ますと、要注意先六%、破綻懸念先二九%、実質破綻先五二%、破綻先一三%と、こういう数字があるんですね。この数字が何を示しているかということですが、本法を利用して行われた債権の処理のうちで五七%が実は中小企業であるということ、債務者の状況としては、明確に破綻はしていないものが要注意先あるいは破綻懸念先、こういうことで三五%にも上っているという、こういう実態がある。
 預金保険機構、この実態はこれは調査の結果間違いないわけですね。
#73
○参考人(花野昭男君) お答え申し上げます。
 先生が今おっしゃいました数字について、本法を利用した債務者の状況でございますが、間違いございません。
#74
○橋本敦君 ですから、民事局長、説はいろいろあると。私が紹介した人も間違っている説じゃないということもお認めですが、あなたの考えもあるでしょう。
 こういう実態から見ると、経営状態は決してよくないとはいうものの、誠実に取引の継続を願い努力している中小企業はたくさんありますから、本法によって金融機関の破綻ということのあおりを受けて取引が打ち切られるということで、その犠牲を受けざるを得ないという状況が広まるという状況については、これは民事局長も認めざるを得ないんじゃありませんか。どうですか。
#75
○政府参考人(山崎潮君) この問題につきまして、私どもどういう実態にあるかということについてちょっとフォローする立場にございませんので詳しくは存じておりませんけれども、あるいはそういう実態があるということかもしれません。私はちょっと認識をしておりません。
#76
○橋本敦君 次に、法務省は一九七一年十月四日付民事局長通達をお出しになりまして、民法の一部改正に伴う登記事務の取り扱い、これです。これによりますと、担保すべき元本の確定登記、これは根抵当権者と根抵当権設定者の共同申請、これが必要だということになっていますが、もともと共同申請が必要だという趣旨はどういうところにあったんですか。
#77
○政府参考人(山崎潮君) 登記では、その登記によって利益を受ける者を登記権利者と申しております。それから、不利を受けるというんですか、義務を負う者を登記義務者というふうに申しておりますけれども、これを共同申請で行うということは、やはりその申請が正しいという担保のために行うわけでございまして、単独でできる場合というのは、それがかなり客観的に明らかであるという場合に例外を設けているということでございます。
#78
○橋本敦君 まさに、本法はあなたがおっしゃった例外に当たるのかどうかが問われる。
 この場合に、本法の場合では、取引終了ということを一方的に行って、それをみなされますと、それは単独で金融機関等が抵当権について登記ができることになりますから、今の通達とは反することになるわけですね。明確に私はこの通達に反すると言っていいと思うんですが、民事局長、どうお考えですか。
#79
○政府参考人(山崎潮君) この場合の根抵当権の確定の登記でございますけれども、これは根抵当権がそこで確定いたしますと、これ以上担保されないということになるわけでございますので、この場合には根抵当権設定者に有利なものであるということでございますので、根抵当権の設定者が登記権利者になるという構造になります。逆に、根抵当権者が不利益になる、これ以上担保されないという意味では不利益になるということで、登記義務者になるわけでございます。
 そういう意味において、この登記構造では、不利益を受ける方は根抵当権の設定者である。それが単独で行うわけでございます。ですから、実質的に登記手続上は不利益になる者が単独で行うという構造でございます。
 それともう一つは、通知をいたします。通知をいたしますと、これは配達証明つきの内容証明郵便ということになりまして、これが添付資料として提出されるわけでございまして、これをもって確実に通知がなされたということが登記官に明らかになるという点から単独で行ってもいいと、こういう例外を設けたわけでございます。
#80
○橋本敦君 そうすると、今、私が指摘した通達を出したそのときには、今日のような状態については予想は全くしていなかったということになるんですか。
#81
○政府参考人(山崎潮君) このような事態を予想してこの通達をつくったわけではないということでございます。
#82
○橋本敦君 だから、いろんな理屈をつけても、結局大事な原則が変わっていっているわけですよ。
 例えば、もう一つの問題で、譲渡の問題を考えましょう。元本確定以前の根抵当権について、譲渡には根抵当権設定者の承諾が必要だというのは民法の大原則でしょう。違いますか、民事局長。
#83
○政府参考人(山崎潮君) そのとおりでございます。
#84
○橋本敦君 それもまた変えようというわけですよ。つまり債権回収、不良債権回収ということに大きく法の大原則が変えられているという重大な問題があるんですよね。
 それで、この問題は、そういう意味で、本来は法制審議会の審議を経て慎重に検討すべき筋合いのものだと思うんですが、法制審議会にもかけられていない。
 私は、大臣に、こういう重要法案、商法、民法の原則を変える、実体経済に合わせるとおっしゃるんでしょうけれども、法制審議会にかけるのは当然だと。議員立法でやる、時限立法でやった、しかもそれもまた今度は時限立法でやったということであるのにまた延長をするという、こういうことを繰り返していいんだろうかと。
 我が国の法的安定性や、商法、民法の大事な原則を大事にしていくという観点から見て、法制審議会にかけて検討するのは当然だったと私は思うんですが、大臣はいかがお考えですか。
#85
○国務大臣(高村正彦君) 今回の法案は、いずれも既に時限の臨時措置法として議員提案により成立した法律について、現在の社会経済情勢等にかんがみ、その期限を延長すること等を主な内容とするものであると承知しております。
 議員提案により法案を提出するに際しても、既存の法律との整合性、法的安定性等について十分な検討がなされているものと考えられますし、また国会審議においてもその点についての審議がされているものと考えております。
 内容におきましても、私、先ほど申しましたように、法的に債務者が何ら不利益をこうむるものでございませんし、唯一の立法機関である国会が慎重に審議をして法律を制定することに何の問題もないと考えております。
#86
○橋本敦君 慎重審議するといったって、この二法案、大事な問題を、私に与えられた質問時間は何分だと思いますか。こんな重要な法案を審議するのに、私に与えられた質問時間はたった三十分ですよ。これから土地再評価法についても私は聞きたい質問を随分用意していますよ。
 今、大臣はそういうことをおっしゃいますけれども、国会でさえ慎重審議するいとまさえ十分与えられていないので、与党はいいかもしれませんよ、反対する野党は十分質疑時間を確保して十分に質問するのは国会の責任であり責務であり、野党の当然の権利であると同時に、今、大臣がおっしゃった法制審議会にも本来はかけるべきをかけないで慎重に審議するならそういう体制を国会はとるべきですよ。私は、その点厳しく抗議しておきたいと思います。
 もう時間がありませんから次の質問に移らざるを得ないんですが、土地の再評価に関する法律について一、二問聞いておきます。
 この問題では、一つ私は大事だと思いますのは貸し渋り対策の問題ですが、これによって実際に貸し渋り対策として貸し渋りがなくなったかどうかということについて、どう認識しているかという問題であります。
 日本銀行から出された資料によりますと、これは二〇〇〇年十二月末の預貸金調査結果、これが出ておりますが、業種別貸し出しを見ますと、中小企業は、九九年三月から二〇〇〇年十二月にかけてですが、マイナス六%、マイナス七%、マイナス七%、マイナス八%と、九九年は全部マイナス。大企業についての貸し出しを見ますと、同じ九九年度、大企業向けには二・六%、一・五%、三・九%、十二月は四%、貸し出しはふえていますよ。中小企業に対する貸し渋りはなくなっていませんよ。
 この問題について、土地再評価法との関係で貸し渋り対策にも役立つという、そういう理由説明がありましたが、その点について提案者はどうお考えですか。
#87
○衆議院議員(佐藤剛男君) 貸し渋りの実態、それからこの法律がしたことによってどのような効果を出すかというその因果関係、これは非常に委員御承知のように難しい問題であります。それで、特に貸し渋りについては、先ほど御説明いたしましたが……
#88
○橋本敦君 短くやってください。もう一問だけ聞きたいことがあるから。
#89
○衆議院議員(佐藤剛男君) そうですか。じゃ簡単に。
 ですから、この問題についてはいろいろな評価はあると思うんですが、中小企業庁の借り手の意識に関する調査というのがあるんです。これによりますと、時点が違いますが、平成十年三月の非常にあのよくない状況のときと比較いたしまして、中小企業の割合は当時三二・五%あったんですが、それが本年二月には一九・七%ということで、融資条件が厳しくなりましたかと聞くわけですが、いや、厳しくなくなっているという表が今ございます。そんなようなことで、いろいろなとり方があると思いますが、御理解賜りたいと思います。
#90
○橋本敦君 いろいろなとり方がある、そのとり方で私は日銀の資料を権威あるものとして指摘したんですから、否定されるわけはないと思いますよ。
 最後に聞きますけれども、この再評価差額金による自己株式消却はこれは本当に資本充実の原則に反すると思うんです。例えば、九九年三月九日付の朝日新聞でも明確にこう言っていますよ。「土地そのものは売却するわけではなく、」、そうですよ、再評価だから、「帳簿上の操作で、あたかも利益を得たかのように扱うという」、そういうことになるんです、社会的には。だから「企業会計原則からすれば、粉飾決算に近い。」、ここまで朝日新聞は論説でこう言っていますが、そういう実態がないと言えないじゃありませんか。
 こういう見解は、経済の実態を踏まえてみてどうだということになりますと、この問題については、例えば法務大臣も取得原価主義にもそれなりの理由がある、持っている土地の価格が急に上がり下がりしても経営に関係がない、原価主義でいけば。ところが、こういう評価主義をすれば、上がって評価したら、今度は下がったりするんですからかえって不安定になる。
 こういう意味で、法務大臣も答弁されている部分があるんですが、この再評価というのはまさに粉飾決算に近いと社会的に評価されてもしようがない、そういうおそれがないとは言えないということを私は言うべきだと思いますが、提案者はどうですか。簡単で結構です。
#91
○衆議院議員(佐藤剛男君) 粉飾決算というお言葉をお聞きすると非常に不愉快と言うと申しわけないんですけれども、そういうことではございませんで、これは国際的な一つの評価というのがあるわけでございます。これは、御承知のように、イギリスもフランスもドイツもそれからEU指令もこれを認めているわけなんです。認めているわけです。
 ですから、認めているものであるわけで、これは任意制でありますが、それについて……
#92
○橋本敦君 アメリカは認めていますか。
#93
○衆議院議員(佐藤剛男君) アメリカは認めていないです。
#94
○橋本敦君 そうでしょう。
#95
○衆議院議員(佐藤剛男君) いや、いろいろあるわけです。国によってもいろいろあるわけです。
 ですから、そういう面で、あの部分は私どもはEUの指令に従って、そして行っているところでございます。
#96
○橋本敦君 時間が足りませんが、終わります。
#97
○福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。
 土地の再評価法改正と根抵当法の改正、いずれも民法及び商法の重大原則の例外というふうになる面があるので、まずそのことについてお聞きします。
 土地の再評価法改正のことですが、商法三十四条二号は御存じのとおり原価主義を高らかにうたっております。この商法の原則との関係について、大臣、いかがお考えでしょうか。
#98
○国務大臣(高村正彦君) 今、私が衆議院で述べたことを橋本委員が紹介してくださいましたが、まさに企業が継続して営業活動を行うということを前提として、企業の収益力を正確に把握し、かつこれを表示するという観点から、資産の評価方法として取得原価主義を採用しているということでございます。
#99
○福島瑞穂君 原価主義にきちっとなったのは昭和四十九年だと思いますが、いかがですか。
#100
○政府参考人(山崎潮君) 記憶ではたしか四十九年だと思います。
#101
○福島瑞穂君 なぜわざわざ昭和四十九年にこの商法の原則を確立したんですか。
#102
○政府参考人(山崎潮君) ここの考え方はいろいろあるわけでございますが、先ほど大臣からお答え申し上げましたけれども、やはり企業が継続して営業活動を行うことを前提として、ですからその取得のときの原価を基準にして、それから企業がどのぐらい収益力が伸びたかと、こういうことを把握することによって、これもまた表示をすることによって正確性が担保されるという考え方から導入されたということでございます。
#103
○福島瑞穂君 というように、昭和四十九年に、安定性ということ、それから原価主義ですと一律で変動のしようがありませんから、きちっとやったわけです。私は、商法の態度は極めて賢明だったと思います。もしここで、実際の変動に合わせてもしやっていれば、バブル華やかなりしころ、企業の収益は突然上がって、その後急乱降下をしたわけですから、それで会社の資産をやっていたら今物すごい大混乱を生じていただろうというふうに思います。
 とすると、今回、再評価法の改正をするわけですけれども、大臣、商法の大原則、昭和四十九年の改正は非常に賢明だったわけですけれども、その大幅な例外となることについて大臣としてどう思われますか。
#104
○国務大臣(高村正彦君) 私も昭和四十九年の改正は賢明だったと思いますし、同時に今度のこの土地再評価法改正法、これも賢明である、こういうふうに考えております。
 事業用土地について時価による再評価を認めるというものでありますけれども、その再評価というのは一回限りということでありまして、再評価後はその時点における時価を新たな取得原価として扱う、こういうことになるにすぎないわけで、これからまだ高くなったり低くなったり、ずっと時価主義に移るというわけではありません。
 したがって、土地再評価法による再評価は時価主義を採用したものではなくて、政策的な観点から時限的に取得原価基準を修正したにすぎない、こういうものであるというふうに認識をしております。
#105
○福島瑞穂君 時価主義を政策的に採用するという御答弁なんですが、じゃ、これで会計帳簿をつくった後に実際の価額が、時価が急激に低下したときはどうするんでしょうか。
#106
○衆議院議員(佐藤剛男君) 再評価しまして、それが急激に下がった場合にどうするかというのはこの法律にあるのでありますが、わかりやすい例で言いますと、例えば神戸大震災で土地ががたがたとなったというような場合にはちゃんと評価して注記することができる、かような形で出ております。
#107
○福島瑞穂君 ところで、今回の再評価法は会社の任意にゆだねられている、つまり会計帳簿を子細に検討すればわかるとは思いますが、会社の中には原価主義によっているところと時価主義によっているところとばらばらなわけですから、ぱっと数字だけ見ただけではなかなか会社の本当の業績というものが、本当の資産ですよね、それがわからないという面があると思いますが、この点についてはいかがですか。
#108
○衆議院議員(佐藤剛男君) 会社の有形固定資産をどのように評価するかということは個別の、それぞれのステートの、国の建前になっておりまして、先ほど申し上げましたが、ヨーロッパ関係は原価の形であって、そして任意の場合の選択という国際会計基準というのはヨーロッパの全体の、EU指令の場合にはそれはできるという形もあります。ありますが、どっちを選ぶか、これは任意でやるか強制するかというのはそれは議論のあるところであります。しかし、任意を選ぶか強制するかということは、日本の場合には過去に強制した例というのがあるんです。これは昭和二十五年、二十六年、二十八年、二十九年と四回、資本充実法をやっておりまして、二十九年の場合には六%の評価税を取りまして強制をやっているんです。
 それで、そのぐらいのことでありまして、時々に応じてやっていくというケースが私はあり、それが経営者がみずからの経営状況を見て任意でやるという形で現時点において強制するということを考えていないというのが提案者一同の考えでございます。
#109
○福島瑞穂君 私の質問は強制か任意かという問題ではなく、任意にやるわけで、会社によっては時価主義、会社によっては原価主義になっているわけですから、非常にばらばらで、株主、消費者、第三者から見て判断が非常につきにくいんじゃないかという質問なんですが、じゃ、大臣、お願いします。
#110
○国務大臣(高村正彦君) 原価主義でやる会社と時価主義でやる会社があるわけではないんです。商法は取得原価主義でやるんですが、一回限り時価を取得原価とするということにすると、そういうふうにしたので、時価主義にしたわけでは決してないということを御理解いただきたいと思います。
#111
○福島瑞穂君 ちょっと言い方が乱暴だったかもしれないんですが、結局そうだとしても、ある会社は任意で土地の再評価の方法を変えるわけですよね、一回限り。そうしますと、商法の三十四条二号にのっとっている会社と、それから土地の再評価法に基づいてやっている会社と両方出てくるということは事実じゃないですか。その点についてはどうですか。
#112
○衆議院議員(佐藤剛男君) ですから、任意制をとる以上それは当然のことなんです。だから、三十四条二号のところというのは、原価主義というか取得主義をやっていて、それは簿価が今坪五十円になっているのを五十円でいいというならそのままやっておるわけです。しかし、この場合に十万倍しているなら、五百万円しているなら、先ほど私は浜松町から羽田までの間はそのぐらいになっていますよと、あるいは町中で繊維産業をやっているのは直しましょうと。これはなぜ直すのかといえば、これは資本が減っているからなんですね。
 それから、特に年金会計というのが入ったんです。年金会計が実施されまして入りますと、巨額な資金が資本に必要とするんです。例えば、今まで労働協約によりまして、その資本、働いた分でやめた後のものは事後払いだという話になったんですが、今度の企業会計原則によりますと、それを積み立てなさいと、そうすると不足金を積み立てなさいと、これは相当なものが出るわけですね。相当なものを十五年間ということで案分して、例えば千五百億出ましたと。そうすると、百億ずつ積んでいくと、これは一年でもできるんですが、そういうふうなことは、これは企業のそれぞれの社長の形態の私は判断によるものであって、そういう意味において私は、企業会計原則が導入されたことによって、例えば有価証券の時価評価とかあるいは税効果評価とか、そういうようなものが入ったことによってこの法律は相当使われるだろうというふうに考えているわけであります。
#113
○福島瑞穂君 先ほど大臣の方から三十四条二号の意味ということの説明がありましたが、時価評価でやった場合には、例えば何を時価とやるのかということについては五つぐらいありますよね。ですから、その点でどういう時価を使うか、時価をどう評価するかについて評価がばらばらになってしまうという欠点があると思いますが、いかがですか。
#114
○衆議院議員(佐藤剛男君) 福島瑞穂先生、弁護士でおられますし、その点は御理解賜れると思うんですけれども、時価というのはないんですよ、定義に。今あります法律が幾つかあります。固定資産税関係の、固定資産税を取ろうとする観点からやるのもあるし、それからこの間三月にやったのは、国土交通省が出しましたものがやりましたのは公示価格であります。それから、国土利用計画法の施行令でやっているものがあります。それから、地価税法ですね、これもあるんです。
 ですから、一物四価とよく言われるわけでありますが、じゃ、どれを選ぶのかということは任せていないんです、決めていないんです。それで、最後に不動産鑑定士による鑑定評価ということで、不動産の鑑定士というのはそれぞれの専門家があるんだから、あの百メーター先の街角のところは百万円だったら、こっちの方は水道が敷いてあって、これは袋小路じゃなくて角地であるとか、いろいろな土地の形状を見て決めるというふうになっていることは御理解賜りたいと思います。
#115
○福島瑞穂君 私が申し上げたいのは、まさにそのことで裁判になって時価を幾らと評価するかということについて、何を根拠に時価を判断するかということが大変論争になることがあります。ですから、先ほど大臣が商法三十四条二号の立法趣旨を述べられました。それは一律に決まるから、当時、昭和四十九年、三十四条二号を決めたわけです。
 ところで、今回の改正案はそれの大幅な変更、例外になるわけで、時価というふうにしたときに何をもって時価とするかによってもかなりばらばらになってしまう。そのことによって、資本との関係でいいますと、恣意的になるかもしれませんし、人によっても評価が違うかもしれない。その点について、大臣、いかがですか。
#116
○衆議院議員(佐藤剛男君) 提案者として御説明申し上げますと、これはまず再評価の対象となる会社の場合にはこれは計算書類を出さなきゃならぬ、計算書類を。それで、計算書類はいわば会計検査人による外部監査が前提になっているわけであります。これによって書いたものはちゃんと書くんです、幾らで時価評価したかと。評価して、売るときに税金がかかるわけでありますから、そういう形をやって、その時価評価を行う場合に合理的な調整を、リーズナブルアジャストメントをやるということになっておりまして、じゃ、どんな合理的な調整をやるのかというと、それはそのときの時点もあるでしょうし、それから土地の形状で奥行きがあるのか三角なのか四角なのか角地なのかという問題もありますし、あるいは基準になる公示価格と路線価格との差の問題もあるでしょうし、あるいは隣のところの近隣地域で、隣でも値段が違いますから、そういうふうなことではないでしょうかと。
 ですから、はっきりと担保されているわけであります。
#117
○福島瑞穂君 済みません、質問したことにずばっと答えてもらっていない感じがするので。
 大臣、私の質問は、要するに三十四条二号は一律に決まると。しかし、この法律によると、例えば時価という評価について外部監査はやるにしても、評価を第三者が客観的に把握するのに若干動く可能性があるので、資本の充実という点で問題があるのではないかという点についてお答えください。
#118
○国務大臣(高村正彦君) 再評価の方法でありますが、これは公的に認められている方法が五つあるわけですが、これは貸借対照表に注記しなければならない、こういうことになっているので問題はないのではないかと、こういうふうに思います。
 また、土地の再評価による再評価差額金、貸借対照表の資本の部に明示され、指定、記載され、かつ配当可能利益から控除されるということで、商法における資本充実の原則に反するものではないと認識をしております。
#119
○福島瑞穂君 この土地の再評価法の経済的なメリットというのはあるのでしょうか。
#120
○衆議院議員(佐藤剛男君) 経済的メリットというのはどういう意味でございますか。
 つまり、経済的メリットというのは、資本が足りないから、例えば一つの例をもってやりますと、退職会計というのが入ったんです。そうすると、ある会社でたくさんの人がやめた、千人やめた。そうすると、やめた瞬間に退職交付金というのを出すんです、引当金で。ところが、退職後に毎年、企業年金というのを出さなきゃいかぬ。ところが、この企業年金を払うというのはそのたびごとあったんですが、企業会計審議会が意見を出しまして、やめた後のものについては働いているときの労働提供の評価だと、後払いだと。それならそれを積まなきゃいかぬという話になっちゃったから、積むのに結構大変な額が、積立不足というのが起きるわけです。これが今年度の三十一日から相当来年度にかけまして起きるはずです。
 ですから、そういうふうな問題を考えれば、それが大きな今、瑞穂先生がおっしゃる部分での私は経済的効果だと。資本を大きくする、そしてそれが複式簿記の中において、外国の人たちが見てそれについて信認があって、透明性があって、粉飾決算していないなというところで、株も、株市場もよくなる、こういうことじゃないでしょうか。
#121
○福島瑞穂君 資本が足りないのでという御説明はよくわかったんですが、そこでやはりちょっと不安になるのは、実際、資本そのもの、何も変わっていないんですが、要するに計数が変わるわけですよね。実際は何も変わっていない。だけれども、土地の再評価をすることによって計数だけ変わると。これでいいのかという素朴な疑問があるんですが、どうですか。
#122
○衆議院議員(佐藤剛男君) これでいいんですよ。そして、投資する人はそれを見るわけですよ。それで、日本の会社に対して株式を買う人は、ああそうなっているんだなと。それで、しかも注記しておくわけですから、一律に直したというのは。それは今、大臣がお答えになったように、貸借対照表に注記して、幾らだかというのは時価計算するわけですから、それで今度時価で土地を売ったときに、売ったときの時価との差を見てそれで課税するわけでありますから、この点については問題はないし、またやることによって株式消却というのができるわけでありますから、株式消却をやれるケースというのは、これは株式消却法の特別法を議員立法でできたと同じように、これは来年の四月まで株式消却の効果というのがあると、かように思います。
#123
○福島瑞穂君 株式消却をしている会社はどれぐらいありますか。
#124
○衆議院議員(佐藤剛男君) 三社あります。事業会社ですから、事業会社が百十、それから金融機関が百十あるわけですが、約十一億円の株式消却を三社でやっております。これがふえるかどうかは、私はふえると思っております。
#125
○福島瑞穂君 今まで株式消却をするメリットがあるという説明もあったと思うんですが、実際は三社しか株式消却をしていないということもあると思うんです。
 それからもう一つ、株価は上昇したんでしょうか。つまり、土地の再評価をし株式消却をすると。そうしますと、株式消却をするわけですから、株価は上がったんでしょうか。
#126
○衆議院議員(佐藤剛男君) 株の問題はこれはなかなか難しいものでございますが、いろいろな考え方があるわけですね。株式消却すると、ROEの問題で株が下がるというものもありますが、これは株式消却をすることによって資本が充実するわけでありますから、そして自己株を消却するわけでありますから、市場に供給される株式数が減るわけでありますから、減るために消却するわけでありますから、私は通常はプラスに影響するのではないかと思うわけでありますが、こればかりは天のみ知るわけであります。
#127
○福島瑞穂君 この土地の再評価に関しては、株式の消却をすることによって株価が上昇するということが経済的メリットとして言われたんですが、実際今まで株式の消却をした会社は三社にしかすぎない。しかも、株価が上昇したという話はついぞ聞いたことがないという点で、実はメリットの点についてどうなのかというふうに思います。
 次に、根抵当法の改正についてお聞きをいたします。
 これもさっきの商法三十四条二号と一緒で、民法三百九十八条ノ二十の例外として、確定する場合の例外を認めるわけです。
 大臣にお聞きします。
 三百九十八条ノ二十の意義、そして今回、根抵当法を改正することによって、それを例えば恒久法にするのではないかというおそれもあるんですが、その点はいかがでしょうか。
#128
○国務大臣(高村正彦君) 民法第三百九十八条ノ二十第一項第一号は、担保すべき債権の範囲の変更、取引の終了その他の事由により担保すべき元本が生じないことになったときは、根抵当権の担保すべき元本が確定する旨を規定しているわけであります。
 このように規定した趣旨でありますが、取引の終了等の事由により担保すべき元本が生じないこととなったときは、もはや継続して発生する不特定の債権を担保するという根抵当権の特性を保持せしめる必要がなくなったものと考えられることから、これを根抵当権の担保すべき元本の確定事由としたものであります。
 今度の法律が恒久法になるかならないかという話は、これは法務大臣がお答えすべきことじゃなくて、国会でお決めになることだと思っています。
#129
○福島瑞穂君 では、発議者、いかがでしょうか。
#130
○衆議院議員(杉浦正健君) 国会でお決めいただくことでありますが、恒久法となるような、こういう悪い事態が継続しないことを切に願っております。
#131
○福島瑞穂君 先ほども橋本委員からもありましたが、三百九十八条ノ二十の例外として根抵当法の改正をするわけで、例えば取引をしていた中小企業の人たちが銀行から一方的に取引を打ち切られてしまうというそういう事態もあるので、恒久法にはしないというふうに、ぜひ発議者、答弁をお願いします。
#132
○衆議院議員(杉浦正健君) お言葉を返すようですが、例外ではなくて、通知することが取引の終了とみなす旨を確認的に規定しただけだということでございます。
 これは、社会経済の実態については先ほど御説明したとおり、金融機関が続々、陸続として破綻してまいったわけであります。現実にまだとまっていない状況がございます。そういう金融機関と取引されている企業、個人の方々は、破綻したことによってもう融資を受けられなくなるわけですね。
 したがって、民法を制定したときもこんな事態は想定していなかったんです。つまり、債権者が破綻するというような事態は想定していなかったと思うんです。ですから、設定行為、大体、根抵当権は設定契約書で交わすんですが、債務者の破綻、取引停止処分になったときには確定するというのは大抵入っておるんですが、債権者が破綻したときなんというのは絶対入らないですよ、貸す方ですから。
 だから、そういう社会経済上の今大変激動期にあると思うんですけれども、金融システムの浮動的な状態が解消しないと、これが要らないというふうにはならないわけであります。
 二年以内に不良債権処理をきちっと終えて、もう二度とこの法律を延長しなくて済むように、なるように期待していますし、私はそうなるものと確信いたしております。
#133
○福島瑞穂君 根抵当法の改正によってどういう事態が生ずるのかというのもありますし、また恒久法にならないように要望して、私の質問を終わります。
 どうもありがとうございました。
#134
○委員長(日笠勝之君) 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。
    ─────────────
#135
○委員長(日笠勝之君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、竹村泰子さん及び吉川芳男君が委員を辞任され、その補欠として直嶋正行君及び加納時男君が選任されました。
    ─────────────
#136
○委員長(日笠勝之君) これより両案について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#137
○林紀子君 私は、日本共産党を代表して、両法案に対し反対討論を行います。
 我が党が反対する根本的理由は、バブル期に金融機関等が生み出した不良債権の処理を、民法や商法などの本来の諸原則を崩し、不良債権処理の実情に照らしても効果はほとんどないのに、まじめな債務者や株主の利益を損なうおそれがある法律をさらに適用を拡大し、延長しようとしていることです。
 第一に、土地再評価法は、法人所有の事業用土地の評価を、固定資産については取得価額を会計帳簿に記載するという資産評価の原則に反して時価で計上できるものとし、その再評価差益を資本に組み入れることができるようにし、さらにこれを自社株の消却に使えるようにしたものです。
 この法律による土地再評価措置は、十三兆円もの公的資金の投入や資本準備金を取り崩しての自社株取得・消却措置とセットで、銀行等が名目上の自己資本増強を図り、自社株消却で株価対策もできるという極めて御都合主義的なものです。しかも、含み益の計上を認めながら非課税にするなど、大企業優遇策と言わなければなりません。このような法律をさらに対象企業を拡大し、期間を延長することは反対です。
 第二に、根抵当権付債権譲渡円滑化臨時措置法改正案についてです。
 本法も三年前の金融再生トータルプラン関連法案の一つとして立法されましたが、これも民法、商法の原則にかかわる重大な立法であるにもかかわらず、法制審議会の議を経ることもなく議員立法で成立せられたものです。
 現行民法の規定では、根抵当権の確定期日到来前もしくは当該取引終了前の元本の確定または債権の譲渡をするときは債務者の承諾を必要としています。しかし、本法は、金融機関等が根抵当権の被担保債権を特定債権回収機構、すなわちRCC、サービサー等に売却する場合には、債務者に対し一方的に取引終了通知をし、債務者の承諾がなくとも元本の確定があったとみなすことができるとした上、その場合の登記も根抵当権者のみで申請することができるというものです。
 本法に対し、百四十三国会で我が党は、金融機関等がサービサー等に不良債権回収をやらせるため、その手続を迅速に進めることを目的とし、そのため債務者に対する通知のみで元本確定も登記も一方的にできるとすることは、まじめな借り手を窮地に追い込むことになりかねないとして反対しました。本改正案は、この法律の適用期間をさらに二年間延長するものであります。
 以上述べてきたように、二法案は、債務を負っているまじめな中小業者や国民の利益を損ない、銀行や大企業の便宜に奉仕する法律の延長であり、その必要性も極めて希薄なものと言わねばなりません。二法案は、まさにそうした不良債権の処理をさらに容易にさせるものであり、到底賛成することはできません。
 以上が反対理由です。
#138
○委員長(日笠勝之君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 まず、土地の再評価に関する法律の一部を改正する法律案の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#139
○委員長(日笠勝之君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、金融機関等が有する根抵当権により担保される債権の譲渡の円滑化のための臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#140
○委員長(日笠勝之君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#141
○委員長(日笠勝之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時八分散会
ソース: 国立国会図書館
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