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2001/06/21 第151回国会 参議院 参議院会議録情報 第151回国会 法務委員会 第15号
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2001/06/21 第151回国会 参議院

参議院会議録情報 第151回国会 法務委員会 第15号

#1
第151回国会 法務委員会 第15号
平成十三年六月二十一日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 六月二十日
    辞任         補欠選任   
     尾辻 秀久君     矢野 哲朗君
     藁科 滿治君     竹村 泰子君
     林  紀子君     笠井  亮君
 六月二十一日
    辞任         補欠選任   
     青木 幹雄君     日出 英輔君
     竹山  裕君     須藤良太郎君
     矢野 哲朗君     久世 公堯君
     竹村 泰子君     直嶋 正行君
     角田 義一君     峰崎 直樹君
     笠井  亮君     林  紀子君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         日笠 勝之君
    理 事
                久野 恒一君
                江田 五月君
                魚住裕一郎君
                福島 瑞穂君
    委 員
                青木 幹雄君
                岩崎 純三君
                岡野  裕君
                久世 公堯君
                佐々木知子君
                斎藤 十朗君
                須藤良太郎君
                中川 義雄君
                日出 英輔君
                吉川 芳男君
                小川 敏夫君
                千葉 景子君
                直嶋 正行君
                峰崎 直樹君
                橋本  敦君
                林  紀子君
                平野 貞夫君
   衆議院議員
       発議者      相沢 英之君
       発議者      金子 一義君
       発議者      長勢 甚遠君
       発議者      根本  匠君
       発議者      谷口 隆義君
       発議者      漆原 良夫君
       発議者      小池百合子君
       修正案提出者   長勢 甚遠君
   国務大臣
       法務大臣     森山 眞弓君
   副大臣
       法務副大臣    横内 正明君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  中川 義雄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        加藤 一宇君
   政府参考人
       金融庁総務企画
       局長       乾  文男君
       金融庁証券取引
       等監視委員会事
       務局長      五味 廣文君
       法務省民事局長  山崎  潮君
   参考人
       東京大学大学院
       法学政治学研究
       科教授      神田 秀樹君
       大阪大学大学院
       法学研究科教授  末永 敏和君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
〇商法等の一部を改正する等の法律案(衆議院提
 出)
〇商法等の一部を改正する等の法律の施行に伴う
 関係法律の整備に関する法律案(衆議院提出)
○政府参考人の出席要求に関する件
〇民事訴訟法の一部を改正する法律案(内閣提出
 、衆議院送付)

    ─────────────
#2
○委員長(日笠勝之君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨二十日、藁科滿治君及び尾辻秀久君が委員を辞任され、その補欠として竹村泰子さん及び矢野哲朗君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(日笠勝之君) 商法等の一部を改正する等の法律案及び商法等の一部を改正する等の法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案を一括して議題といたします。
 本日は、両案審査のため、お手元に配付の名簿のとおり、二名の参考人から御意見を伺います。
 御出席いただいております参考人は、東京大学大学院法学政治学研究科教授神田秀樹君及び大阪大学大学院法学研究科教授末永敏和君でございます。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。
 参考人の皆様方から忌憚のない御意見をお聞かせいただきまして、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 議事の進め方でございますが、まず神田参考人、次いで末永参考人の順に、お一人二十分程度で御意見をお述べいただきまして、その後、各委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
 なお、念のため申し添えますが、御発言の際は、その都度、委員長の許可を得ることとなっております。また、各委員の質疑時間が限られておりますので、御答弁は簡潔にお願いしたいと存じます。
 なお、参考人の方の意見陳述及び答弁とも、着席のままで結構でございます。
 それでは、神田参考人からお願いいたします。神田参考人。
#4
○参考人(神田秀樹君) 東京大学の神田と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 大変恐縮でございますが、着席してお話をさせていただきたいと思います。
 本日は、本委員会におきまして意見を述べさせていただく機会をいただきまして、まことにありがとうございます。
 早速、私の意見を述べさせていただきます。
 今回の二つの法案、すなわち衆法第二六号というのでしょうか、商法等の一部を改正する等の法律案と、そのいわゆる整備法であります衆法第二七号の法律案、いずれにつきましても、私はその内容は妥当なものと考えております。したがいまして、二つの法案の速やかな成立を望みます。
 今回の二つの法案の内容は多岐に及んでいますので、そのすべてについてここで深く私の意見を申し述べることは残念ながらできません。そこで、以下では、私がポイントと考えます点につきまして、私の意見を述べさせていただきます。
 衆法第二六号であります商法等の一部を改正する等の法律案でありますが、これは大別して二つの柱から成っております。第一の柱は、いわゆる金庫株の解禁という内容であります。第二の柱は、いわゆる株式の単位についての改正を中心とする内容であります。
 お手元に一枚紙のレジュメを配付させていただきましたので、その項目に沿ってお話をさせていただきます。
 まず、第一の柱であります金庫株の解禁でありますが、これは法律上の言葉で申しますと、自己株式の取得及び保有の制限の見直しということになります。
 自己株式の取得及び保有についての現在の商法の規制は大変に複雑であります。それは、考え方としましては、自己株式の取得を原則禁止とし、一定の場合に一定の条件のもとで例外を認めるという考え方に立った上で、平成六年の商法改正以降、平成九年のストックオプション制度を導入した商法改正、さらには平成九年に制定され、その後改正もされてきておりますが、株式の消却の手続に関する商法の特例に関する法律、以下、株式消却特例法と呼ばせていただきます。こういった法律なども加わりまして、例外的に自己株式を取得できる場合についての規定が極めて複雑に整備されてきた結果であります。
 平成六年改正以降、例外的に自己株式の取得が認められる場合につきましては、六つの面で規制が設けられてきました。そこに書かせていただきましたように、第一に取得の目的の規制、第二に取得の手続の規制、第三に取得の方法の規制、第四に取得の財源の規制、第五に取得の数量の規制が設けられています。そして、第六に、取得した自己株式については保有期間の制限があります。なお、消却目的で取得する場合には数量の制限はないなどの例外も設けられてきました。
 今回の法案ですが、こういった複雑な規制を整理して、商法の観点から一貫した考え方に立った上で、今申しましたうちで第一の取得の目的の規制と第五の取得の数量の規制、それから第六の取得した自己株式の保有期間の制限、これを撤廃するものであります。すなわち、自己株式の取得は、取得の手続、取得の方法、取得の財源という三つの規制のみで統一的に行うこととするわけであります。他方、取得して保有する自己株式の処分につきましては、原則として新株発行の手続によるものとすることを提案しています。
 従来、自己株式の取得を原則として事前に予防的に禁止することとしてきた趣旨は、おおむね四つの政策的理由からであると言われてきました。すなわち、第一に会社資本の充実・維持を害するおそれがあること、第二に株主平等原則を害するおそれがあること、第三に会社支配の公正を害するおそれがあること、第四に不公正な取引が行われるおそれがあることであります。
 しかしながら、これらの理由は、現行商法のような強い事前の規制を正当化するものではありません。第一の会社資本の充実・維持を害するおそれは財源の規制で対処できますし、第二の株主平等原則を害するおそれは手続と方法の規制で対処できます。第三の会社支配の公正を害するおそれ、これにつきましても手続と方法の規制で対処できます。第四の不公正な取引が行われるおそれについてでありますが、これにつきましても商法としては手続と方法の規制で対処でき、また不公正な取引は特に公開会社の場合に問題になるわけでありますが、それに対しては証券取引法の規制の整備で対応できるわけであります。
 会社が発行済み株式が多過ぎると判断するような場合には、その自己株式の取得を行うということは経済合理性のあることであります。弊害のおそれということだけで一律に事前にこれを禁止することは、今日の企業を取り巻く環境の変化を背景といたしますと行き過ぎであります。株式市場の活性化という観点からも、会社のファイナンスにつきましては、財源、手続、方法の規制という必要な規制を施した上であれば、自己株式を取得するかどうかといった判断も会社の判断にゆだねるということが妥当な政策的な判断であると言うべきであります。
 他方、現在の商法は、自己株式の取得が例外的な場合に限られるということを前提といたしまして、取得して保有する自己株式について保有期間を規制する一方で、処分する手続については特に規定を設けておりません。しかし、一方で保有期間を規制する必要はなく、必要に応じてその利用、すなわち保有する自己株式の処分を認めた方が、例えば株式を消却してその後にまた新株を発行するといったことをするよりも事務的な負担が少ないなどのメリットがあります。したがいまして、そのようないわゆる金庫株を認める、すなわち自己株式をいわば金庫に入れておいて出し入れ自由とする。そうする一方で、むしろアメリカにおける取り扱いのように、会計上は保有する自己株式の資産性を否定するということが妥当であります。
 そして、他方におきまして、自己株式の処分につきましては、その経済実態は新株発行と同様の面がありますため、既存株主の保護等の見地から、原則として新株発行と同様の手続にすべきであります。
 今回の法案は、以上申し上げましたことのすべてを実現しようとするものでありまして、商法の見地から申しますと、繰り返しになりますが、自己株式の取得を、取得の手続、取得の方法、取得の財源という三つの規制で横断的、統一的に取り扱うこととするという極めて妥当な内容のものであります。その結果、株式消却特例法は廃止するということになります。
 なお、二点つけ加えさせていただきたいと思います。
 第一に、自己株式の取得の財源の規制でありますが、これは資本維持、すなわち会社債権者保護の見地から、原則として配当可能利益からの取得ということになります。しかし、法定準備金を取り崩すことによってそれを財源とする方法も認めることとしております。より一般に法定準備金の減少というこれまで商法が認めてこなかった手続を今回認めようとしております。この点につきましては、現在の商法が資本の減少ということは認めながら、法定準備金の減少ということについて何ら規定を置いてこなかったことの方がバランスを欠いており問題でありまして、今回の法案が、法定準備金の減少について、その限度を資本の四分の一までとするという制限を設けるとともに、現在の商法の資本の減少の手続と同じ会社債権者保護の手続を要求した上でこれを認めようと提案していることは、妥当な改正案であると私は考えます。
 第二に、証券取引法の方の手当てでありますが、これは特にインサイダー取引規制と相場操縦規制の強化が求められます。これらにつきましては衆法第二七号の整備法案の方で必要な手当てがなされております。
 インサイダー取引規制につきましては、既に平成六年の商法改正で自己株式取得規制が緩和された際に手当ての枠組みが用意されておりまして、今回はその枠組みに必要な追加を施しております。相場操縦規制の方でありますが、これは今回きちんとした規制の導入が予定されております。これは、具体的には整備法案の十一条による証券取引法百六十二条の二という新しい条文の新設であります。
 以上が金庫株の解禁に関する部分でありますが、次に、株式の単位の改正を中心とする部分について、私の意見を申し述べさせていただきます。
 現在の商法は、昭和五十六年の改正によりまして、株式の単位といいますか、株式の大きさといいますか、こういうものについてこれを五万円とするというぐあいに一律に法が規制しております。これはなぜそうかといいますと、昭和五十六年改正当時、一律に法でこれを強制しないと対応できないという事情があったからだと言われています。しかし、今日では環境は変化いたしました。法で一律に単位を規制する必要がなくなったばかりか、そのような一律の規制があると、株価が高騰したベンチャー企業などが株式分割を行うことができないという不都合までが現実の問題として出てまいりました。
 そこで、今回の法案は、株式の単位を一律に法で規制してきたことをやめにいたしまして、そのかわりに、議決権との関係では個々の会社が原則として自由に単位を決められることにしようとするものであります。株式の単位を廃止いたしますので、単位株制度もその存在意義を失い、終結すべきことになります。かわりに、単元株制度と法案では呼んでいますけれども、議決権との関係で個々の会社が自由に定款で単位を設定、単元ですが、設定できる制度を提案しております。いずれも妥当な内容であると私は考えます。
 そのほかにも、関連して重要な改正が幾つか含まれております。
 例えば、第一に、額面株式制度の廃止ということがあります。額面株式の額面というものは、今日では商法の観点から申しますと意味を有しておりません。したがいまして、今回の改正は妥当なものであると考えます。
 第二に、単元株制度を導入することとの関係もありまして、現在の商法が発行済み株式総数としているもののうち支配に着目すべきものは端的に議決権と規定することにしています。ちょっと抽象的でわかりにくいんですが、具体的に申しますと、例えば親会社、子会社の定義というものが例として挙げられます。現在の商法では、発行済み株式総数の過半数の保有ということを基準として親会社、子会社を定義しております。今回の改正案では、議決権の過半数が基準ということになります。これも妥当な改正であると考えます。
 第三に、多少系統が違いますが、新株発行の際に市場価格のある株式を公正な発行価額で発行するときは、発行価額そのものではなく、これにかえて発行価額の決定の方法を取締役会決議で定めてこれを公告すればよいことにしています。法案による改正後の商法二百八十条ノ二第五項という規定でございます。これは、従来から実務上ネックになっておりました公募増資手続をスムーズに行えるようにするための改正でありまして、極めて妥当な改正であります。
 以上、今回の二つの法案につきまして、ポイントと私が考えます点についての意見を述べさせていただきました。最初に申し述べましたように、私は二つの法案の内容はいずれも妥当なものと考えておりまして、その速やかな成立を望みます。
 なお、私は、今回の改正ではまだ物足りないと考えている点が若干ございますので、それらの点について最後に簡単に申し述べさせていただきます。今後の検討課題としていただけましたらまことに幸いでございます。三点ございます。
 第一点は、子会社による親会社株式の取得の規制であります。
 これは、今回の法案では変更ありません。すなわち、現行商法どおり原則禁止のままということになります。その理由は、うまく財源規制がつくれない等の点にあるものと推察いたします。しかしながら、これは自己株式の取得が原則自由になることと比較いたしますと余りに厳しい結果となるわけでありまして、バランスが悪いということがあります。また、実際にも、子会社を利用した株式と株式の交換による企業買収など、子会社が親会社株式を取得する合理的なニーズがある場合が多々存在いたします。したがいまして、将来的には、何とか知恵を出していただいて、子会社による親会社株式の取得についても自己株式の取得と同じ程度までは事前規制の緩和を御検討いただきたいと思います。
 第二点は、公開会社が自己株式を取得する方法の規制についてであります。
 今回の法案は、相対での取得、すなわち特定の株主からの自己株式の取得を認めることにしていますが、他の株主にも売却の機会を与えることとしています。これは、非公開会社の場合についての現在の商法の規定に倣って株主平等原則を確保しようとする趣旨であると推察いたします。それはそれで筋は通っているわけでありますけれども、しかしながら他の株主に売却の機会を与えるのではいわゆる持ち合い株式を消すことができません。これは、株式持ち合いの解消を進め、株式市場を活性化することを妨げることになります。
 公開会社の株式の場合には市場価格があるわけでありますから、市場価格での自己株式の取得であれば他の株主に売却の機会を与えなくてもよいことにすべきであると私は考えております。他の株主に売却の機会を与えるというような規制はどこの国にもありません。また、新株発行の場合には、市場価格であれば特定の第三者に発行することが認められていることとのバランスからいいましても、市場価格での自己株式の取得であれば他の株主に売却の機会を与えなくてもよいこととすべきではないかと私は考えます。
 第三点は、今申し上げました第二点と関係いたしますが、株式市場の活性化という観点から申しますと、アメリカで最近よく利用されております自社株プットオプションというものが日本でも利用可能にすべきであると私は考えております。自社株プットオプションといいますのは、一定期間経過後のオプション行使期間に、ある会社、例えばA会社といたしますが、そのA社の株をそのA社に売るという権利であります。A社の経営者は、自社の株価が割安に放置されていると考えれば、時価より高いプット行使価格を設定したオプションを投資家に販売し、対価を得ることができます。株価が行使価格を超えて上昇すればオプションは行使されませんので、会社はいわばもうかることになるわけです。このA会社の株主にとりましては保有株のヘッジ手段にもなります。すなわち、プットオプションの行使価格が株価の下支えになるわけであります。
 このような自社株プットオプションも、オプションが行使された際には会社は相対で自己株式を取得することになります。したがいまして、先ほど述べましたように、他の株主に売却の機会を与えていたのではこのような自社株プットオプションは使うことができません。したがいまして、将来的には、こういった点につきましてもぜひ前向きの御検討をお願いいたしたいと思います。
 以上で、私の意見の陳述を終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。
#5
○委員長(日笠勝之君) ありがとうございました。
 次に、末永参考人にお願いいたします。末永参考人。
#6
○参考人(末永敏和君) 座ったままでお話しさせていただきます。
 商法、特に会社法を研究する者として、今回の商法改正の審議に際しまして、意見を述べる機会を与えていただきましたことにお礼を申し上げます。
 私は、改正法案に反対の立場から、同法案の問題点について幾つか私見を述べてみたいと存じます。大きく分けて、自己株式取得及び保有制限の見直しについてと、単元株制度の創設についてお話し申し上げます。
 まず第一の、自己株式取得及び保有制限の見直しについてでございますが、問題点が五つほど指摘できるかと思います。
 第一は、自己株式取得の原則禁止から原則容認への大転換ということでございます。現在は、商法二百十条によりまして自己株式の取得は原則的に禁止されております。改正法はこの商法二百十条を変更しまして、定時総会による決議があれば自己株式を取得できるとし、原則許容の態度をとっております。これ自体、商法の自己株式取得規制の大転換になるのではないかと考えます。
 確かに、アメリカの各州法では金庫株というものが認められております。この金庫株は、差し当たり次のように定義しておきます。金庫株というのは、取得目的が特定されておらず、かつ保有期間制限のないものというように一応定義しておきますが、そのような金庫株が認められておるわけでございます。しかし、アメリカの各州は会社誘致のために経営者に甘い会社法に傾きがちであり、いわばレース・ツー・ザ・ボトムの状況にあり、必ずしもこれを見習う必要はないかと存じます。それに対しまして、ヨーロッパ諸国におきましては自己株式の取得に一般に慎重でありまして、特にイギリスでは金庫株は完全に禁止されておりますし、ドイツでも例外的に認めているのみでございます。中国でも完全禁止に近い立法態度をとっております。
 こういうわけで、各国の事情は異なるわけでございまして、日本でこのようないわば原則禁止から原則許容あるいは容認への大転換を前にして、もう少し慎重な議論が望まれるのではないかというのが第一点でございます。
 第二に、今のは総論でございますが、具体的な内容に入ってまいりたいと思います。自己株式取得容認の要件が甘過ぎるという点でございます。
 確かに、日本でも自己株式の取得は最初、全面禁止に近いところから最近は規制緩和、つまり例外を認めるという方向へと急速に移行しております。具体的には、定時総会による株式消却のため二百十二条ノ二、ストックオプションのため二百十条ノ二、株主の相続人からの自己株式の取得二百十条ノ三、それから臨時の特例としての株式消却特例法による消却のためなどであります。
 この中で、自己株式の取得に関し、改正法案の内容に最も近いものは株式消却特例法による消却であろうかと思いますが、両者を比べますと、特例法は時限立法でございますが、それに対して改正法は商法という基本法によってこれを恒久化するものであります。また、それとともに、自己株式の取得要件をさらに緩和するものであります。すなわち、特例法では、「経済情勢、当該会社の業務又は財産の状況その他の事情を勘案して特に必要があると認めるとき」に株式を買い受けて消却できると定款で定め得るとされております。それに対して改正法では、株主総会の決議による授権があればよいとされ、かつ買い受けの条件、すなわち目的や理由が何ら付加されていないということがあります。また、ヨーロッパの法制で見られますように、発行済み株式総数の十分の一までといったような自己株式取得の量の制限もないわけでございます。
 以上の点、自己株式取得要件を認めるにしてもかなり甘過ぎるのではないかというのが私の考えでございます。金庫株だから当たり前と言われればそうかもしれませんが、後の問題に関連してまいります。
 第三に、自己株式取得制限の理由がクリアされているかという問題でございます。
 先ほど神田先生の御指摘にもございましたように、自己株式の取得には次の四つの弊害があるとされております。第一は、株主への出資の払い戻しとなって債権者を害し、株主間の機会の不均等を招く。第三に、支配の固定化、独裁の危険につながる。第四に、相場操縦や内部者取引といった投機の弊害を助長するといったものがあります。その結果、政策的に自己株式の取得は原則禁止とされていたわけでございます。
 今回の改正法案を見ますと、確かに一番、二番、四番の弊害につきましては弊害防止の措置がとられてはおりますが、三番につきましては依然としてその懸念が払拭されていないかと思います。すなわち、例えば敵対的買収が行われているときに、その防衛策として、自己株式を買い集めることによって株価が上昇し、浮動株は払底し、買収側が会社支配に必要な数の株式を集めることが困難になって、支配の固定化、経営者独裁を助長するということになる弊害に対し、改正法は何ら防止策を講じておりません。改正法では、前述のように自己株式取得の目的について何ら制限を置いていないからであります。
 乗っ取り防止策としての自己株式取得は、むしろ改正法案の一つの立法趣旨とも言われているわけでございますが、我が商法の立場は従来このようなことを認めていなかったのでありまして、大した議論もなくこれを認めるのは疑問があろうかと思います。また、経営が悪くて株価が下がって経営者の地位が危ないというようなときに、金庫株を利用することによって株式を取得して、株価が上昇して自分の責任を免れるといったようなことにも利用されかねないわけでございます。
 次に、第四番目に、金庫株は自己株式の消却及び新株発行とどう違うのかという点でございますが、それと金庫株のメリットがどこにあるかという点でございます。
 改正法案による金庫株は、会社が保有している間はその資産性が否定されております。商法二百九十条一項五号の削除などでそれが明らかにされております。また、貸借対照表にも資産としては計上されません。そして、売却処分するときには新株発行の手続が準用されます。そうしますと、従来行われてきた自己株式の消却プラス新株発行とどう違うのか、実質的には変わりがないのではないかという疑問が生じます。会社が自己株式を売買することによって柔軟に会社の余剰資金を株主に返還したり、会社資金を調達することを容易にするという、いわば財務計画の自由度を高めたいという経営者の希望は、自己株式の消却、新株発行でほとんどかなえられるのではないかと思います。また、持ち合い株式の解消の受け皿としましては、金庫株でなくてもいわゆる自己株式の消却で足りるのではないかと。
 以上、要するに、金庫株導入の理由に乏しいと存じます。
 五番目に、金庫株は実質的な相場操縦ではないのかという疑問でございます。
 改正法案の金庫株の真の目的は株価対策にあるとされております。そうとも言われております。これに関して、金庫株を認めると相場操縦のおそれが出てくるわけでございますが、もちろん改正法案でも相場操縦に関する新たな規定を設けております。証券取引法百六十二条の二でございます。また、政令でアメリカのセーフ・ハーバー・ルールのような規定を設けることも予定されております。しかし、たとえこのような細かな規定を設けて相場操縦をも抑え込んだとしても、そもそも自己株式を取得することによって市場に出回る株式を減らし、それによって株価の上昇を図るという手法そのものが、そしてまた処分すれば株価が下がったりあるいは維持されるということも含めまして、全体として相場操縦と言えるのではないかという疑念を持たざるを得ないわけでございます。
 このように金庫株による相場操縦が行われますと、ただでさえいびつな我が国証券市場の構造がますます変になるのではないかということでございます。そうしますと、個人投資家は、証券市場は怖いということで参入しなくなるおそれがございます。結局、金庫株は個人株主を減らす方向で働くと言わざるを得ないのではないかということでございます。
 したがいまして、こういうようなものは株式消却特例法のような緊急の時限立法としてやむを得ず行われるべきものでありまして、商法のような基本法によって行われるべきものではないと考えます。また、金庫株はいわば小手先の株価対策でございます。また、株価対策としてもかなり疑問があると思われます。金庫株を得るだけの余裕のある企業が日本にはそうないからでございます。そういう意味で、真の日本経済の回復にはつながらないのではないかということでございます。経営者は、株価を上げたいのであれば企業業績を上げるしかないと考えるべきであります。株価下落の原因は、企業のファンダメンタルズ、つまり投資価値に問題があるからではないかと思います。
 次に、第二番目の論点、単元株制度の創設でございますが、まず第一に株式単位の引き上げは放棄されたのかという問題でございます。
 昭和五十六年改正によりまして、一株の金額は原則五万円に引き上げられました。商法百六十六条二項、百六十八条ノ三などであります。株主の権利行使の単位として、あるいは会社の株主管理費用との比較において、そして零細な資金による不健全な投機を防止することを可能とするような金額として五万円という金額が設定されたわけでございます。既存の会社につきましても、これに合わせるために、いわゆる単位株制度が採用されました。昭和五十六年の改正附則でございます。これによって、単位未満株式は徐々に整理して、将来、一定の日に一単位の株式をすべて強制的に一株に併合することを予定していたわけでございます。
 ところが、改正法案はすべてこれらを御破算にするものでございます。それならば、株式単位の引き上げをねらった昭和五十六年改正は誤りだったのかという疑問が生じてまいります。これを総括することなく、いきなり改正というのは少し不謹慎ではないかというように私は思います。
 私は、株式単位の最低限をやはり法律で確保することが必要ではないかと思います。会社の自由に任せるというのではなく、先ほど申しました、法律で確保するということが必要と思われます。
 第二に、単元未満株式は、合理的理由もなく不利益に扱われていると思います。
 改正法案は、単位株制度を廃止し、単元株制度というものを創設しようとしております。そして、単元未満株式につきましては、従来の単位未満株式と同様、議決権がないものとされております。改正商法の二百四十一条ただし書きでございます。しかし、単位未満株式についてそのような措置がとられましたのは、単位株が将来一株に併合されるまでの暫定的、過渡的なものとして合理化されたものであります。過渡的なものだから、あるいは暫定的なものだから、議決権を一時棚上げするのはやむを得ないという考え方であったわけでございます。
 それに対して、単元未満株主は、そのようないわば公益的な理由がないのに不利益に扱われるものであり、不当であると考えます。単元未満株式も株式でありまして、株式、すなわち社員権は、自益権、共益権を一体不可分のものとして内包するものでございます。そういうことからしますと、共益権がない、共益権の代表である議決権がない株式などというものは考えられないものであります。そうしますと、そういう株主は債権者以下の地位になってしまいます。しかも、この措置は商法という基本法に定められ、永久化するものでありまして、この点でも問題があろうかと思います。
 要するに、単元株制度は、これを認めるにしても、会社に対する権利行使の単位としてではなく、証券取引所における株式の取引単位として認めれば足りるのではないかというように考えるわけでございます。
 以上をまとめますと、金庫株の導入理由がはっきりしないということが第一です。第二に、弊害予防が完全でない。特に、現体制維持のために使われたり、株価操作のおそれがあるという点でございます。三番目に、株式単位はやはり最低限は法律で定めておくべきであるということ。四番目に、単元未満株主の切り捨てということが生じ、これは問題である。この四点が私の要点でございます。
 以上で意見を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
#7
○委員長(日笠勝之君) ありがとうございました。
 以上で参考人の意見陳述は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#8
○佐々木知子君 自民党の佐々木知子でございます。
 きょうは、両参考人におかれましては、非常に御多忙なところ、私たちに貴重な御意見を賜りまして本当にありがとうございました。先日の審議ではもう一つよくわからなかったことも、きょうは非常にここがクリアになったような感じがいたしまして、また大学で学びたいなというような気も今ちょっとしたわけですけれども。
 それはさておき、ちょっと神田参考人にお伺いしたいんですけれども、レジュメの一のところで、現行商法がこういう原則禁止しているのを、今度の改正法案は手続と方法と財源のみで統一的な規制をしたということで、これはもう賛成であるというふうにおっしゃっていただきました。
 アメリカではデラウエア州など有名な州もございますけれども、大体の州において金庫株は解禁されていると。アメリカではこういう規制の仕方とか、それから処分の方法というようなものはどのようになっておりますでしょうか。
#9
○参考人(神田秀樹君) アメリカでは今御指摘のようにデラウエア州、これは上場会社の多数の会社が設立しておりますけれども、そのほかの幾つかの州でいわゆる金庫株が認められております。その場合には、取得する方法、それから手続というのは、日本よりも、今回提案されております法案よりももう少し緩やかであります。
 その理由は、日本とアメリカでは利益処分、日本で申しますと財源規制になりますが、利益処分の権限が日本では株主総会にありますために、日本の今回の法案は定時総会での授権を要求しているのに対して、アメリカでは利益処分の権限そのものが取締役会にありますために、それが要求されていないという違いがあります。
 それ以外の点につきましては、例えば処分する場合に新株発行の手続に従うという点も含めて今回の改正法案と同じでございます。
#10
○佐々木知子君 ありがとうございました。
 続きまして末永参考人にお伺いしたいんですけれども、末永参考人はちょっと疑義が何点かあって慎重論だとおっしゃるんです。レジュメの大きな一の1ですけれども、ヨーロッパ諸国では自己株式の取得に一般に慎重であるということなんです。イギリスは禁止というふうにおっしゃいましたけれども、それは日本の現行法で認められているような例外規定も全くなしに絶対禁止ということですか。それから、ドイツは大体禁止というような感じでおっしゃったと思うんですけれども、それはどうなっているかということと、それから金庫株解禁というような動きなどはヨーロッパでは一切ないのでございましょうか。教えていただければ幸いです。
#11
○参考人(末永敏和君) ヨーロッパ諸国における金庫株につきましては、この法務委員会の調査室から出ております参考資料というのがございまして、その中で弥永真生筑波大学助教授が詳しく説明されております。
 その中にも指摘されておりまして、それの十ページのところで、イギリスにおきましては自己株式償還のための取得については厳格な規制のもとで自己株式の取得が認められているわけでございますが、その取得した株式はすべて無効にする、日本でいえば消却に当たるわけでございますが、したがって金庫株の余地がないということでございます。自己株式を取得すること自体は禁止されていないんですけれども、それをずっと持ち続けるということはないわけでございます。そういう意味での金庫株はございません。
 それから、ドイツにつきましては、弥永さんの十ページの下の方にございますように、株式法七十一条一項におきまして、会社は自己株式を同項各号に定める場合を除いて取得してはならないとして、幾つかの例外規定を設けております。金庫株に相当するところは八号のところの「取得価額の最低限度と最高限度および株式資本の一〇%を超えない株式数を定めてなされる、株主総会による最長一八カ月の授権に基づく取得」についてはこれは認めておると。そのほかいろいろな例外的な場合が定められておりますが、原則的には自己株式をそれ以外は取得してはならないという意味で原則禁止になっているということでございます。
#12
○佐々木知子君 ありがとうございます。
 末永参考人が、自己株式の取得の弊害と四つ挙げられていて、@、A、Cについては弊害防止の措置がとられているけれども、B支配の固定化、経営者独裁の危険についてはその懸念が払拭されていないとおっしゃっています。
 これはどういうふうな形で、もし規制をするとすれば払拭されるというふうにお考えなのか、どういうふうにしてもだめだというふうに思われているのか、その点お願いいたします。
#13
○参考人(末永敏和君) 自己株式の目的を規制すべきではないかと思います。
 例えば、現在ございます株式消却特例法のように、「経済情勢、当該会社の業務又は財産の状況その他の事情を勘案して特に必要があると認めるときは」取得できるというような目的をある程度定めておきますと、そういう乗っ取り防止に使われるということはなくなるのではないかと存じます。
 以上でございます。
#14
○佐々木知子君 ありがとうございました。
 その点、神田参考人は、弊害は大丈夫だとおっしゃったんですけれども、いかがでございましょうか。
#15
○参考人(神田秀樹君) 二点申し上げたいと思います。
 第一点は、末永先生と多少見解が違うかもしれませんが、私は目的の規制ではそういう点はちょっと難しいのではないかと思います。
 新株発行、増資の場合がございまして、これも会社の支配権を強化するためだけの目的で増資をする、そういう増資は違法であるという判例があります。ただ、会社は、いや、資金需要がある、つまり資金調達目的である、こう言えば、その実質は支配を維持する目的で第三者割り当て増資を行ってもそれは適法であるという判例がありまして、ここはなかなか難しいところですけれども、理屈の上ではその目的がきちんと動けばいいのではありますけれども、その目的だけではなかなか難しいのではないかという、これは私の感想です。
 それから第二点は、今回の法案はどうかということですけれども、今回の法案も原則自由というのがちょっと誤解がありまして、私も申しましたように、これは手続、方法そして財源で規制しているわけでして、今の御懸念につきましては、商法の立場からは事前的には手続と方法でチェックされるわけです。すなわち、定時総会の決議で授権された範囲でなければ取締役は、経営者と言ってもいいんですけれども、自己株式が取得できません。それから、その取得が専ら自分の地位を守るためにだけ取得するというそういう支配の公正を害するような、そういう取得の場合には、これは当然のことですが、取締役の善管注意義務、これは商法二百五十四条三項でございますけれども、それに違反するという形になります。
 したがいまして、事前的には手続規制と方法の規制、そしていわば事後的にと申しますか、取締役の善管注意義務違反というか、それによるチェックという形で対応ができているというふうに私は考えます。
#16
○佐々木知子君 ありがとうございました。
 続きまして、末永参考人は、金庫株と自己株式の消却、新株発行とどう違うか、メリットは余りないのではないかということをレジュメの一の4でおっしゃっておられますけれども、確かに過去四年間で株式の消却の額を見ますと、約二兆円程度ということで、これはちょっと少ないのではないかという感じがしないでもないのです。
 ですから、この法律の施行後、自己株式の取得は増加していくというふうにお考えなのかどうか、これについてちょっと神田参考人にお伺いいたします。
#17
○参考人(神田秀樹君) なかなか難しい御指摘ですけれども、やはり二点お答えさせていただきます。
 第一点は、これまで二兆円の消却額が多いか少ないかという点ですが、私の推測では、財源がないとこれは消却できませんので、財源を中心としていろいろな事情があったのではないかと思います。
 それから第二点、今後どうかということは、裏を返しますと、今御指摘のありました金庫株と、消却プラス新株発行、これは末永先生のお言葉ですが、どう違うかということにも関係すると思います。
 これは、私は、金庫株の方は事務的な面でもメリットが大きいと思います。すなわち、株式を消却する場合には株券を失効しなければいけませんので、そういう手続を踏まなければいけません。そしてまた、新株を発行するとまた株券を出さなければいけないというそういう手続がありますし、新株を発行する場合にはまたその分、資本が増加するとか、そして株券を新たに発行したり資本増加したりしますと、それに関係して税金もかかるとか、そういった手続面でのコストということは、細かいようですけれども、金庫株の方が消却プラス新株発行に比べますとメリットがあるというふうに言っていいかと思います。
 それに応じて今後その点がどの程度影響してくるか、これは財源がなければ話になりませんけれども、今後にゆだねられるということではないかと思います。
#18
○佐々木知子君 ありがとうございました。
 それからまた、末永参考人が、これは一の5ですけれども、実質的な相場操縦ではないのかということを言われております。
 これはよく言われていることですけれども、非常に今回の金庫株解禁で懸念されることの筆頭に上がるようなものだと思いますけれども、今回の改正法案は、政令でアメリカのセーフ・ハーバー・ルールのような規定を定めるということを予定されております。けれども、それについてもまだ疑念を持っておられるということなのですが、神田参考人はこの点についてはどのようにお考えでしょうか。
#19
○参考人(神田秀樹君) 幾つかの点を区別すべきだと思うんですけれども、まず第一に、相場操縦、これはよくないことでありまして、厳禁されるべきことであります。
 これにつきましては、今回、証券取引法で、先ほど申しましたような規定を置きまして、それに基づいて諸外国、アメリカを含めてですけれども、この規制を十分参考にした内閣府令、これは厳しいものをつくっていただきたいと私は強く希望しておりますし、今回の法案の趣旨はそういうものであると思います。
 それからもう一点、そもそも自己株式を取得することが相場操縦的ではないかというふうな末永先生の御指摘があったように思うんですけれども、これは、会社が自己株式を取得すること自体は、私はそれだけでは相場操縦とは言えないと思います。これは、現在でももしそうだとすれば、消却することも相場操縦になるわけであります。
 これは財務経済学の方の理論が幾つかございますけれども、当該会社の株価がその会社の真の価値を正しく反映していない、何らかの理由で割安になっているということになりますけれども、そういう状況のときには、その会社は自己株式を取得し、これは消却する場合であっても金庫株であっても結構ですけれども、することによってその株価を、会社の価値を正しく反映するような状態にする。そういう手法でありまして、そのこと自体は合理的であるし、また株価操縦とかいうこととは別に正当化されることでありまして、が、ゆえにアメリカあたりでは非常に大規模な自己株式の取得ということが行われたりしているわけであります。
 したがいまして、取得すること自体が問題であるということは言えない。しかし、他方におきまして、取得することによって株価を操作する、操縦するということは証券取引法で厳しく禁止しなければいけないというふうに思います。
#20
○佐々木知子君 ありがとうございます。
 時間が参りましたので、終わらせていただきます。
#21
○江田五月君 両先生、きょうはお忙しいところありがとうございます。
 佐々木さんも言われましたが、何か大学へ戻ったような感じで。
 今回の金庫株、それから単元株、これは緊急経済対策の一環だということで出されているんですが、今の不況、これを打開して景気をよくする、そのことに一体どういうふうにこの意味があるのかというのがよくわからないんですが、お二人ともそこのところはちょっとお触れになっておられないようなので、これは商法学者としてはそんなことは中立的だと言われるのか、あるいは何かお考えがあるか、まず神田さんからお答えください。
#22
○参考人(神田秀樹君) 非常に難しい御質問だと思います。
 緊急経済対策というのはやはりいろんな対策を打つということかと思いますけれども、その中の一つに株式市場を活性化するという重要なテーマがあると思います。そのためにはどうしたらいいかというその手段の一つとして、今回の法改正案は位置づけられると私は考えております。
 それはなぜかということなんですけれども、私の理解では、現在、日本では株式が出過ぎているというふうに思っております。これは、一九八〇年代に、大量のエクイティーファイナンスというふうに呼んでおりますけれども、大量の増資ラッシュがございまして、その結果、株が出過ぎたわけであります。一般に、これは理論だけ申しますと、別に株の量が多くても、株価というのは需給で決まるわけですから特に問題はないはずですけれども、先ほどもちょっと申し上げたことにも関連いたしますけれども、私は、その結果、出過ぎているために、株価が企業の真の価値をちょっと反映していない、下回っているのではないかと思います。
 したがいまして、一九八〇年代に大量のエクイティー増資があったので、今大量のいわばエクイティー何というんでしょうか、返却というか消却というか自己株式取得というか、そういうものが行われてしかるべきものと思います。
 ただ、実際にどの会社の株式を消却ないし金庫株にするかというのは個々の会社がやはり判断すべき事柄でありまして、したがいまして今回の法案は、従来から認められております消却という手段に加えまして、金庫株の取得という手段も用意することによって個々の会社の経営判断によってそこの株式を引き揚げてくるというんでしょうか、出過ぎている株式を引き揚げてくる、そういう道を用意するというものでありまして、すぐ即効性があるかと言われますと、これは何とも言えませんけれども、そういう意味で緊急経済対策の中に位置づけ得るものでありますし、またそういう意味でも基本法としての商法の改正で対応するという点につきましては、こういう形での改正は私は望ましいものと考えております。
#23
○江田五月君 末永参考人、いかがですか。
#24
○参考人(末永敏和君) 今回の商法改正案が緊急経済対策の一環として出されてきたということは周知の事実であろうかと思います。果たして、それが本当に緊急経済対策になっているかどうかということにつきましては、私は法律学者でありますので必ずしも適任ではないと思いますが、私の意見を述べさせていただきますと、自己株式を取得するのは、あるいは金庫株を取得するのは企業自身でありますから、企業にその余裕があるかないかという点が問題であろうかと思います。
 しかし、附属資料にあります、ことしの一月十六日の日経新聞の社説にもございますように、「収益力や財務内容に比べて株式の供給が過剰な企業が、自社株を購入する十分な資金を持っているケースはまれ」であるというように述べておりますように、自社株を購入する可能性が果たしてどれだけの企業にあるのかという点で私は根本的に疑問を持っておりますので、経済対策として有効かどうかと問われれば、否定的に解さざるを得ないところでございます。
 以上でございます。
#25
○江田五月君 確かに、神田参考人のおっしゃる株式が出過ぎていると、それを整理して活性化させるというのは一つの、それだけ聞けば、うん、なるほどと思うんですけれども、しかし緊急経済対策という、今のこの大変な景気の悪化の状況に緊急に何かしなきゃならぬということで、何かそんなあっと驚くような効果があるのかなという気がします。
 そして、株価が実際のそれぞれの企業の力と比べて下回り過ぎているとおっしゃるんですが、無額面株式に全部してしまうという、それをやったらそこら辺のつながりというのはむしろ消えるんですか。
 ですから、どうも何か一切の手続をパスして、しかもこれはまだ税や会計処理の扱いもこれから検討するとか、そのために金庫株処分は平成十四年三月三十一日まで停止されたままで、そんなに急いで何をやろうとするのかどうもよくわからぬという気もしますが。まあ、それはおいておいて。
 私ども、大学で商法を勉強したときには、資本充実の原則というのはもうこれは株式会社にとっては一番重要ないわば命綱みたいなものだと教わったような気がするんですけれども、今回はその資本充実の原則についての哲学というのをもう変えてしまうということになるんですか、ならないんですか。これもお二人にお伺いしたいんですが、まず神田参考人に。
#26
○参考人(神田秀樹君) 私は、資本充実についての考え方は、今回、原則として変更はないと考えております。
 自己株式を取得できる場合については財源規制がかかっているわけでして、原則として配当可能利益から取得するということになりますし、ちょっと余計なことかもしれませんが、平成六年改正前に、例外的に自己株式を取得することができる場合、現在、二百十条という条文に上がっているんですが、こういう場合は財源規制がなかったんです。その意味では、今回、すべての自己株式取得について財源規制を横断的に設けるという意味ではかえって商法がしっかりすると、これが資本充実・維持の観点からはしっかりするという面がございます。
 もう一点、ただ、今回新しく導入されますのは、利益からだけではなくて法定準備金を使ってもこの自己株式を取得することができるというふうに変える部分であります。この部分は消却特例法では既に穴があいている部分ですけれども、それは時限措置になっているわけでありまして、これを商法本体に入れていいかどうかという問題であります。
 ただ、これは昔から恐らく教科書等にも書いてあることでございますけれども、資本そのものも商法は減少することを認めているわけです。それは非常に厳格な会社債権者保護手続を踏んだ上でということではあります。
 したがって、ある先生に言わせますと、資本を俗にダム、資本準備金を補助ダムと、こういうふうにおっしゃる先生がおられましたけれども、ダムそのものの高さを下げることも厳格な手続を踏めばできるわけですから、補助ダムの高さを下げることも認められてしかるべきでありまして、これは資本の減少と同じ会社債権者保護手続を踏んでのみ下げることができると今回しているわけです。
 さらに、その補助ダムの高さをどこに設定するかという難しい問題があるんですけれども、それは会社債権者と株主の利害調整という見地から、今回はダムの四分の一の高さを限度として、そこまでは補助ダムを下げてもよろしいということにしよう、こういう仕組みになっているわけでありまして、その意味におきまして、後の方で申し上げましたことは現行法の変更を意味しておりますけれども、しかし資本充実・維持という考え方は今回むしろ横断的、統一的に一貫して整備されたというふうに私は考えております。
#27
○江田五月君 末永参考人にお願いします。
#28
○参考人(末永敏和君) 今の御質問の件でございますが、二百十条の例外の場合には特に取得財源についての規制はないということでございましたが、確かにそれはそのとおりでございまして、反対株主の買い取り請求については財源の規制はないわけで、そういうものについては、不可避的な自己株式取得として、ないわけでございます。これは将来もそのとおりでございまして、これについては私は変わりないのではなかろうかと思います。
 むしろ、問題なのは、今までは自己株式の取得、保有についてはなかったものを今度は規制するわけでございまして、確かに利益から取得するということについては問題はなかろうかと思いますけれども、配当可能利益以外の法定準備金や資本から取得する場合にはやはり資本の充実の原則に反することになるわけでございますが、それについては株主総会の決議や債権者保護手続も一応用意されておりますので、その点ではある程度の手当てはなされておるとは言えますけれども、資本を減らすことには違いないわけで、そういう点では問題はないとは言えないと私は思います。
 以上でございます。
#29
○江田五月君 資本充実の原則というのは、ある種の、株式会社というものの存立の基本の考え方、一番の柱と教わったんですがね。それを、それでも多少はフレキシブルにしていく必要がある、そのときにいろんな手だてを十分加えておく、だからいいんだというのか。資本充実の原則ということ自体、もうそんな考えはちょっと頭から外して、もっと自由自在に会社の資本なんというのは融通無碍にやっちゃった方がむしろいいんだということになるのか。
 今、末永先生の方は、ちょっと大原則が維持できるかどうか危惧があるよという批判的な目で見ておられると思うんですが、神田先生の方は、資本充実の原則自体はそれは大切な原則だと、そこを変えるということはないんだという、これはそれでよろしいんですね。イエス、ノーだけで、ちょっと。
#30
○参考人(神田秀樹君) はい、そうでございます。
#31
○江田五月君 そこで、どうもよくわからないのが、アメリカの場合は、それでもこれだけいろいろ自由にやれるようにしてある、日本もと、こういう立場と、いやいや、そうじゃないんだと、アメリカの場合はレース・ツー・ザ・ボトムということで、これはむしろヨーロッパのしっかりした原則を守っていこうということの方が健全なんだという考えと、お二人、ちょっとそこが違うんでしょうね。それは、もう時間が余りないので簡単にしかお答えいただけないので恐縮ですが、末永先生のアメリカはレース・ツー・ザ・ボトムだというのに対して、神田さんはどうお考えになるか。神田さんのアメリカはもっと自由にやっているのでということについて、末永さんはどうお考えになるか。
#32
○参考人(神田秀樹君) 簡単に申し上げます。
 私の理解では、金庫株の取得等を認めているというのはレース・ツー・ザ・ボトムとは関係のないことであり、ほかの事項でレース・ツー・ザ・ボトムという批判を受けていると思います。
 それから、ヨーロッパにつきましては、ヨーロッパ委員会が現在、自己株式取得の指令というものを緩和する方向での見直しを検討しておりますので、将来的にはこれは緩和されていく方向が明らかになっております。
#33
○参考人(末永敏和君) お答え申し上げます。
 やはり、アメリカの場合は、経営の自由度を高めたいという希望に沿った形での金庫株の解禁といいますか、金庫株の保障だと思いますので、そういう点では、やはり規制緩和といいますか、それの一環に乗っているのではないかと思います。
#34
○江田五月君 最後に、神田先生に、末永先生の一番最後のところの、単元株制度というのは会社に対する権利の行使の単位じゃなく株式の取引単位としてだけ認めればいいんで、会社に対する権利行使については単元株というのはむしろ有害ではないかという、これはどうお考えになりますか。
#35
○参考人(神田秀樹君) そのようなお考えも十分成り立ち得ると思いますけれども、私は別の考え方でございまして、株主管理費用という、これは昭和五十六年のときにそういう観点から単位株制度が導入されたんですけれども、それとの関係で考えておりますので、それぞれの会社が、うちの会社は株主管理にお金がかかると考えれば単位を自由に設定するというのが今回の考え方でありまして、株主管理費用というのは何かといいますと、議決権のある株主に株主総会の招集通知を送ったりするのに一番費用がかかるわけです。したがいまして、それが三千円かかるのであれば三千円ぐらいを単位にしましょう。五千円、うちの会社はかかります。そういう会社は五千円を単位にしましょう。これは余り高い単位にしますと問題ですので、今回の法案は上限を設けているわけですけれども、そういう形で単元という単位を設定するわけですから、これは議決権と結びつかなければ意味がない。そういう意味において、私は今回の法案のような考え方が正しいと思っております。
#36
○江田五月君 終わります。
 ありがとうございました。
#37
○魚住裕一郎君 公明党の魚住裕一郎でございます。
 今、江田先生からもお話ございましたけれども、確かに商法を昔学んだころには、この資本充実原則とか株主平等原則とか、その辺を答案用紙に書いておけば商法の答案も何とか通していただけたのかなというようなことを思いますと、随分さま変わりになってきたなというのが実感であります。
 緊急経済対策の一環として、やれることはしっかりやっていこうということで提案をされているものと思いますが、ただ近年の商法改正、これは企業の国際化ということに対応して、やはりできる限り国際的に整合性あるものにしていこうと、そういうようなものを目指してきているのかなというふうに考える次第であります。
 今回の法案については、神田先生は妥当、末永先生は反対というふうにおっしゃったわけでございますが、今回、この自己株式の取得、保有の規制の見直しということの結果、我が国の商法は要するにグローバルなスタンダードに近づいたと、そういうふうに言えるのだろうかという点なんですね。特に、目的規制のない自己株式を許容する、あるいは取得した自己株式の資産計上を認めない、さらにはこの処分についての手続規制をかける、そういうことでございますが、諸外国の制度と相当程度共通したものになったのではないかと思いますが、神田先生、この点はいかがでしょうか。グローバルスタンダードになっているのかどうか。
#38
○参考人(神田秀樹君) 御指摘のように、グローバルな方向により近づいたと言ってよろしいかと思います。
 具体的には、アメリカのデラウエア州を初めとして、金庫株を認めている州の会社法と同じレベルに近づき、また証券取引法の厳しさの方につきましては、これはまたアメリカの連邦の証券取引法と同じレベルに近づいたということかと思います。ヨーロッパ諸国は、これは末永先生からも詳しく御紹介ございましたように、現在は消却を除きますと、認めている国では大体一〇%という数量制限がかかっております。すなわち、日本で申しますと現行の商法と同じような感じでございます、非常にラフに申しますと。
 ただ、これも先ほど私、申しましたけれども、現在、EU指令というものの改正がヨーロッパ委員会で検討されておりまして、それは一言で言えば規制緩和の方向での検討が行われております。したがいまして、その面では日本の方が先へ進んだというか、ヨーロッパ諸国は恐らく将来、アメリカ、日本の方向へより近づいてくることが予想されると思います。
#39
○魚住裕一郎君 今回のこの改正案ですが、商法のほかの原則、債権者の保護あるいは株式の利益の保護、こういう点に関して十分な配慮をしていると、そういうふうに評価できるかどうかという点なんですが、特に法定準備金を取り崩して自己株式を取得するというその手続については相当厳しくなっていると思いますが、両参考人、御意見をよろしくお願いいたします。
 じゃ、神田先生から。
#40
○参考人(神田秀樹君) これは先ほど江田先生から御指摘を受けた点とも共通しますけれども、私は、今回は資本充実・維持の原則についてはむしろ強化しているぐらいだと思います。これは先ほど申し上げたことでございます。
 それから、もともとなぜこういう原則があるかというのは、会社債権者保護ということですが、言葉をかえて言いますと、会社債権者を保護し過ぎますと、これは会社の中にお金がたまるということですから株主の利益が害されますから、結局、会社債権者と株主との利害調整の線をどこで引くかという問題であります。今回は、法定準備金は資本の四分の一まで下げることができるというところに線を引きまして、下げる場合には厳格な会社債権者保護手続を踏みなさい、これは消却特例法よりも厳格な手続を要求しております。したがいまして、そういう意味では、資本充実・維持の原則というのは非常に厳しいことになります。
 ついでに申し上げさせていただきますと、例えば銀行なんという業種の場合には、会社債権者というのは預金者ですので、資本準備金の線引きも四分の一では低過ぎるのではないかという政策判断が当然あるわけでありまして、今回の整備法の方で、銀行などにつきましては、私の先ほどの言葉で言いますと、補助ダムである法定準備金というのは資本と同額、ですから一〇〇%ですね、同額まで下げることができるので、それより下げることはできないというその線の引き方の基準を、バーを高く設定しておるわけでございます。
 その意味でも、一貫して今回の改正は資本充実・維持をきちんとしたというふうに前向きにむしろ評価していただける方が私は正しい理解だと思います。
#41
○参考人(末永敏和君) 私の御意見を申し上げます。
 株主や債権者保護との関係で今度の改正はどうかという御質問でございますが、先ほども申しましたように、利益から金庫株を取得するという場合には確かに債権者・株主保護という点でも問題はなかろうかと思いますが、準備金及び資本から取り崩して株式を取得するということについてはやはり問題があろうかと思います。
 準備金は、従来は資本に組み入れるということは認められておりましたけれども、そのほかはほとんど準備金の使用は欠損のてん補に限られていたわけで、非常に法定準備金についても厳しい規制があったわけでございます。これは株主から集めたお金の一部でありますから、そういう規制があったわけでございます。ところが、株式消却特例法で法定準備金の一部を財源に使うことができるようになりまして、これ自体、私は株主の、資本の取り崩しとして問題があろうかと思います。特に、債権者保護という点で問題があろうかと思います。
 確かに、株主総会の決議を経ているからそれでいいではないかという議論もできようかと思いますけれども、やはり債権者のことを考えますと、資本ないし株主資本の取り崩しになるわけですから問題であるというように私は思います。むしろ、厳格の規制ではなくて緩和だと私はとらえております。
#42
○魚住裕一郎君 今度は神田先生に。
 証券取引法の話が先ほどから出てきております。金融審議会の委員もお務めでございますが、証券市場の公正性という観点から種々議論されてきたと承知しております。
 今回、自己株式の取得につきまして、これまで証券市場の公正性という観点からどういうような問題が指摘されてきたのか。また、今回、証券取引法の改正によって対応するわけですが、どのような意義を持つというふうに考えたらいいんでしょうか。
#43
○参考人(神田秀樹君) 大変重要な御指摘だと思います。
 私の感想では、日本の証券市場、特に株式市場の最大の問題の一つは、国民からの信頼がないということではないかと思います。これはちょっと言い過ぎかとは思いますけれども、それにはやはりいろんな事情があり、いろんな不祥事ですとか不公正な取引ですとか、いろいろなことが過去、不幸にして起きてきたということの積み重なりがあるのではないかと思います。
 そういうことで、まさに今御指摘いただきましたように、どうしたら証券市場に国民の信頼というものを獲得ないし回復することができるかといいますと、それは証券市場の公正さを守り抜くという必要があろうかと思います。そのためには、ルールを確立すると同時に、そのルールを実行するというんでしょうか、実際に適用しなければ意味がないわけでございます。これを今回の法案に則して申しますと、特に不公正取引のおそれと考えられますインサイダー取引、それから相場操縦、これは株価操縦と言っても結構でございますけれども、これらにつきまして今回、手を打っているわけであります。
 したがいまして、この厳格なルールをつくって、ただつくっただけではいけないので、実際にそういうことが行われた場合、あるいは行われようとしている場合に、それを確実に摘発というんでしょうか、法を適用する、そういう意味で法の執行体制というものもぜひ強化していただきたいと思いますし、そういう形で不公正な取引を厳しく監視し禁止するということを積み重ねていきませんと、日本の株式市場というのはいつまでたっても国民から遠い存在だということになるのではないかと思います。
 その意味では、私も今回の法案に賛成でございますけれども、その結果つくられます証券取引法のルールというのは、厳格かつ確実に運用、適用していただきたいというふうに思っております。
#44
○魚住裕一郎君 株式の大きさの問題でございますけれども、会社の便宜を考えて資金調達とか株主管理費用、本来自由に定めてもいいのではないかというような、私も同じ意見でありますが、末永先生の方から昭和五十六年の改正についての厳しい御指摘があったわけです。誤りだったのか、これを総括することなく、いきなり改正するとは少し不謹慎ではないかという御指摘があるわけでありますが、この五十六年改正に対する神田先生の評価はどういうふうにお考えでしょうか。
#45
○参考人(神田秀樹君) 昭和五十六年改正、大分昔のことでございますけれども、私の評価は昭和五十六年改正はその当時の事情を前提といたしますと誤っていたとは思っておりません。すなわち、その当時は例えば株主管理コストがかなりかかるといたしましても、法で一斉に、一律にと言ってもいいんでしょうか、株式単位を設定しませんと、個々の企業が自由にというか独自に単位を設定すると、ある企業が設定すると、当時の企業の間にありました横並び意識というんでしょうか、というものから、結局どの企業もできないということが指摘されました。したがいまして、法律で一斉にやりましょう、そういう判断をしたわけであります。
 したがいまして、今日は環境が変わったということでありまして、今日はそれを個々の企業の判断にゆだねてもいいということと、それから逆に単位を法で強制することによる弊害が出てきた。現に、一株二億円になるというベンチャー企業がありまして、これでは取引のしようがありませんので、分割して単位を下げたいというわけですけれども、法の規制があるために分割ができないという、そういう不都合も出てきたという両面から、環境が変わったということだと私は理解しております。
#46
○魚住裕一郎君 商法に関する改正というのが種々議論されております。また、全面的な改正も予定されると思いますが、今回、金庫株、私どももコーポレートガバナンスの問題とかいろいろ議論をしてきたわけでありますが、全面的な商法改正との関係でどういうふうに考えていったらいいのかな、緊急性はどういうふうに図っていったらいいのかな。
 両先生にお聞きしたいのですが、会社法制の見直しが急速に進んでいるわけでございますけれども、改正のあり方一般について簡潔に両先生の御意見をいただければありがたいんですが。
#47
○参考人(神田秀樹君) 私は、よい改正はどんどん速やかに行っていただきたいと思います。ただ、改正というのは一つのやはり大きな方向観があって、それに沿った形で必要でよい改正はどんどん行っていただきたいと思います。
 そういうことで、待って一遍に何年か後に一度にやるというよりも、一つの大きな流れの中に沿った改正であれば、いわば次々とであっても、よい改正であれば行っていただきたいと思います。
#48
○参考人(末永敏和君) 私の意見は神田先生の御意見とは多少違いまして、これらの問題は緊急改正でのせるべき事項ではないというように考えます。
 金庫株につきましても、これによって株価が上がるという保証は何らないということでございますし、また会社法の根本にかかわる問題が幾つか含まれております。自己株式取得規制につきましても、単元株制度につきましても、また無額面株式化、すなわち額面株式の廃止にしても、非常に商法の基本にかかわる問題でございますので、今、緊急改正ということではなくて、もう少しじっくり議論をしてゆっくりと、ゆっくりとというか、全面的な検討のもとで改正をすべき事項ではないかと存じております。
 以上でございます。
#49
○魚住裕一郎君 ありがとうございました。
#50
○橋本敦君 きょうは両先生、御多忙の中、国会までお越しいただいて、御意見ありがとうございました。
 両先生に、御意見の違い、お立場の違いもありますが、まず最初に私、伺いたいことは、今回の改正は、基本的に何といっても商法のこれまで言われてきた大原則の変更にかかわる重要な問題でございます。資本充実の原則もその一つ。そういう点を考えますと、今回の改正というのは大変大きな意味を持ち、内容を持つものですから、慎重にやらなきゃならぬというのは当然ですが、九七年の改正のときにも、全国の商法学者の先生方の二百名を超える皆さんから、法制審にしっかりかけて議論すべきではなかったか、議員立法それ自体が全面的にいけないというわけじゃないけれども、慎重な手続を要するのではないかという厳しい批判の声明的意見が出されておりました。
 私も全くその点には同感なんですが、今回も私は、そういう意味では法制審にしっかりかけて、時間をかけて、商法学者の先生や各界の意見を聞いた上で提案をしていくという、そういう手続にのっとるのが当然の法案ではないかという気がいたしております。それを緊急経済対策の一環として議員立法で出されてきたわけですが、法制審の審議との関係で両先生、どうお考えか、まず最初に御意見をお聞かせください。
#51
○参考人(神田秀樹君) 御指摘の点につきましては、私も一般論といたしましては、法制審議会できちんと審議をした上で法案をつくるということができれば、それがより望ましかったというふうに考えております。
 ただ、今回は緊急だから急いで拙速につくったかといいますと、確かに時間的には短かったと思います。しかし、これは慎重な検討を経た上でつくったものというふうに私は伺っておりますし、またその法制審議会のメンバーのうちの主要なメンバーの方々の御意見も、非公式な形だとは思いますけれども、聴取した上でつくられたものと理解しております。
 現に、与党のプロジェクトチームでありましたか、それから自由民主党の特命委員会におきましては法制審議会のメンバーの方も意見を陳述しておられますし、私自身も特命委員会では一度意見を陳述させていただきましたけれども、それらの意見を反映した形で今回の法案ができておりますので、そういう意味では、時間的には急いだというか短かったかもしれませんけれども、それなりの慎重な検討は経ている。
 しかし、理想を言えば、先生御指摘のように、法制審議会のようなところできちんと審議できていればそれはなおよかったということかと思います。
#52
○参考人(末永敏和君) 私の見解は橋本先生のおっしゃるとおりでございまして、こういう基本的な、商法の基本にかかわる改正につきましては、やはり法制審議会を通し、かつ意見照会をして後に成案をまとめるべきであると思います。
 そういう点で、今回の議員立法は、議員立法全部が悪いとは私は申しませんが、学者に意見を聞くという機会がほとんどありませんで、一部の学者にだけ聞かれたわけで全体の学者にはほとんど聞かれておりません。私がここで初めて意見を述べるぐらいでございまして、そういう意味では相当問題があるのではないかというように思います。
 また、商法学者の意見は、今回の金庫株に関しましては大多数が反対であるということをここで言わせていただければと思います。
 以上でございます。
#53
○橋本敦君 次の問題に移りますが、今の経済状況の中で金庫株を解禁しても、こういう不況の中では会社自身が自己株式を買い取る、そういう資金それ自体が十分ではない。それからさらに、自己株式を買い取っても、実体経済が上向きでありませんから、株価が上がるという保証はなくて、逆に下がる場合もある。そうすると、会社としては、一定の配当利益か資本準備金かを出してせっかく買い取っても、その株自体が保有している間に下がるというそういう経済事情に直面をすれば、まさに二重の損失を会社自身がこうむるというリスクを持っているんじゃないか。
 そういう問題について、一体この法案としてはどう考えたらいいのか。そのリスクがある限り、それ自体が資本充実の原則に反する状況をつくり出すじゃないかというように私は思うんですが、この点、神田先生はいかがお考えでしょうか。
#54
○参考人(神田秀樹君) 非常に重要な御質問だと思います。
 一般的なお答えと、ちょっと具体的例を挙げたいと思うんですけれども、一般的には、効果が期待できるかどうかというのは、御指摘のとおり財源がなければ取得できません。そういう会社があることは確かですし、ひょっとすると、先ほどからちょっと出ておりますように、そういう会社が相当あるのかもしれません。しかし、それは全体として見ますと効果が期待できないと言い切ることはできませんし、またその効果が期待できない会社は多いかもしれませんけれども、かといって現行法のように事前に禁止するというこの理由もやはり私はないと思うわけでありまして、これは、自己株式を取得できない会社があるということは財源の不足とかいろいろな事情があると思いますけれども、それは個々の会社の判断に任せる。
 商法として必要なことは、手続、方法、財源、この規制をきちんとする、また処分についても手続の規制をきちんとするということでして、基本法として押さえるべきところは押さえているわけでありますので、私は今回の改正はそういう意味では望ましいものと思います。
 それから、後の方でおっしゃった点、これは非常に重要な御指摘かと思います。
 例えば、株価が千円の場合に千円の株を取得した。その後、何らかの事情で会社の調子が悪くなって株価が五百円に下がりますと、何か五百円損したように思いまして、それはおかしいのではないかというのはそれはそのとおりなんですけれども、これは例えば株価が千円のときに株式を消却、現行法ですることができます。その後、また資金需要が出て資金を調達しようと思って新株を発行しようと思ったところには、何らかの調子が悪くなっていて株価が五百円になっていますと、五百でしか新株は発行できません。したがいまして、千円で取得したものがその後五百円に、何らかの別の理由で株価が下がった場合の五百円は損失というふうに考えるのは正しくないんです。
 これはなかなか難しいんですけれども、うまく御説明できないんですけれども、消却の場合でいいますと、千円で消却したけれども、その後株価が五百円になって、そのときに増資したい場合に、さらに千円資金調達したい場合にはいわば二株発行しなければいけないということで、一株五百円で二株発行すればまた千円の資金調達ができるわけですね。
 したがいまして、これは損得という問題ではなくて、むしろ私ども、これは資本取引か損益取引かという区分でよく言いますけれども、自己株式の取得、あるいは消却、あるいは新株の発行、自己株式の処分、こういったものはいわば資本取引でありまして、したがって貸借対照表上も資産の部に計上しては本来ならないものでありまして、今回その点も改めることによりまして、それは会計的にも損益を認識しないということですけれども、これは経済実態からいいましても、それは損というのは、そういうおっしゃったような形で、千円で取得したものが五百円に下がったから損という、そういう意味での損ではないということでございます。
 ちょっとうまく言えなかったかと思いますが。
#55
○橋本敦君 実態的には、そういう意味では、会社資産の充実という点からいくと、株価変動というのは非常にシビアに会社に反映してこざるを得ない問題ですから、私は今質問したんですけれども。
 そういう点からいきますと、商法二百十条ノ二の関係ですけれども、その営業年度の終わりにおいて資本の損失が生じるおそれがあるときは自己株式を買い受けることができないという、そういう規定があるわけですね。そこで、取締役の責任が出てくるんですが、取締役は会社に対して連帯してその欠損額について賠償責任を負うと、こうなっているんですよね。こういう規定があるということは、会社の営業年度の終わりにおいて資本の欠損が生じるおそれがあるときは買っちゃならないよ、自己株はだめよというのが、やっぱり資本充実の原則から見て現実に動いていく経済取引の中での会社経営者の責任ということを、モラルハザードを起こさないようにしていくという大事な規制だと思うんです。
 ただ、問題は、その場合、ただし取締役がそのおそれがないものと認めるにつき注意を怠らなかったことを証明したときはこの限りでないということで免責しているわけですよ。こういう規定を置きますとせっかくの規定の意味がなくなっちゃって、実際、取締役が問題を提起されたときに、あるいは株主代表訴訟を提起されることもあるかもしれません。しかし、動いていく経済というのは容易に先行きが判断できませんから、そういう会社の営業年度の終わりに資本欠損が生ずるというようなことはとても見通せなかった、十分注意したんだということを抗弁すればこの規定は働かないことになっちゃうんですね。実際、今までの裁判例でもそういうことがいっぱいあるんですよ。
 ですから、そういう意味でこの規定というのは積極的に意味を持つかどうか私は疑問を持っているんですが、神田先生、この点についてはいかがお考えでしょうか。
#56
○参考人(神田秀樹君) 今の点の御指摘につきましては、改正法案の考え方は次のようなものだと私は理解しており、それで妥当なものと理解しております。
 それは、自己株式を取得することによって欠損が生ずるようなことが、期末にですけれども、あってはならないというのは、先ほどから御指摘のとおり、資本維持の原則をここできちんと守らせようということでございます。しかし、期末というのは将来のことですので、資本の欠損というのはいろんな理由で生じるわけですね、業績の悪化ですとか。
 したがいまして、そういう場合にも取締役に無過失責任を負わせるのが適切かどうかということが問題になるわけですけれども、今回の改正法案はそこは過失責任とし、しかし過失がなかったということを取締役に立証させる、すなわち取締役は何か別の理由で欠損が生じたということを立証できて初めて責任を負わないということになるわけでありますので、それでも甘いという御指摘かと思いますけれども、そこを無過失責任にするのはちょっと行き過ぎではないかと私は考えております。
#57
○橋本敦君 もう時間がなくなりましたので、末永先生にお聞きしたいと思います。
 いわゆる自己株式取得の問題について、この制限の理由がクリアされていないというお話がございまして、私も実際そういう点は大事だと思っておりますが、例えば株主への出資の払い戻しに実態的にはなるということで債権者の利益を害するし、それから資本充実の原則にもかかわってくる。それからもう一つは、株主間の機会の不平等を招くという問題についても慎重にされなきゃならないということ、それから一番大きいのは相場操縦やインサイダー取引の問題ですね。この問題で十分な私は今度チェックができているかというと十分でないというふうに考えているんです。
 とりわけ、インサイダー取引あるいは相場操縦の禁止の場合に、内閣府令で定める、こうなりますね。その内閣府令を執行するのはどこかといえば、これは証券取引法に基づいて証券取引等監視委員会だと、こう思うんですが、そこでどういう内閣府令ができるか、しかしそれの執行の過程で証券取引委員会が十分な機能を持つか、こういうことになりますと、アメリカのSECなんというのは、私もアメリカへ行って訪問したことがあるんですけれども、巨大なビルに三千人からの職員がいて全面的にやっているわけですが、日本の証券取引等監視委員会というのは極めて人数も少ないでしょう。
 だから、先生が指摘された多くの問題について本当にチェック機能が持てるのかどうかということになりますと、先ほど神田先生も、これから法の執行過程では十分やってもらいたいというお話がありましたけれども、とてもじゃないが、今そういう体制の整備なしにこの法案を今すぐ出すということは問題が多いなという感じがしてならないんですが、最後に御意見を伺って、終わりたいと思います。
#58
○参考人(末永敏和君) 御懸念はもっともだと私も思っております。
 確かに、証券取引法の改正によりましてインサイダー取引や相場操縦については細かな規制が設けられる予定でございますが、これを実施する体制が日本では十分整っていないということはそのとおりだと私も思います。そういう意味で、しり抜けになるおそれが十分あるというように思います。
 それとともに、私が申し上げたいことは、たとえ規定に従って規制を全部したとしても、やっぱりこれは株価対策ということにもあらわれておりますように、全体として見ればこれは法律違反ではないかもしれないけれども、株価を操縦することには間違いないわけでございまして、そういうことを商法で大っぴらに認めるということに問題があると思います。
 以上でございます。
#59
○橋本敦君 終わります。
#60
○福島瑞穂君 どうも、きょうは御両人、ありがとうございます。社民党の福島瑞穂です。
 私も、法務委員会で金庫株の議論をしておりまして、どんな効果が果たしてあるのか、目的は何なのか、現行法ではだめなのかというようなことなどをちょっと思っております。
 それで、まず末永参考人にお聞きをいたします。
 金庫株は実は効果が余りないのではないか、むしろ持ち合い解消の改革をすべきではないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
#61
○参考人(末永敏和君) そのとおりで、私もそのとおりに思っております。
 持ち合い解消を金庫株でやらなくても消却の方法で十分できる、従来のやり方でできるというように思います。また、個人株主をふやして持ち合い解消の受け皿にするという方がむしろ証券市場の活性化を達成する意味でもいいかと思いますので、先生の御意見に賛成でございます。
#62
○福島瑞穂君 なぜ金庫株の導入をするのかというふうに発議者の方などに聞きますと、流通している株式の数を減らすと株価が上がるというふうにおっしゃるんですね。ただ、もし聖域なき構造改革と言うのであれば、流通する株式は自己株式、それを金庫株と言うかどうかは別にして、会社が持っているよりは一般の個人の投資家が加わるような市場に流通している方がずっと透明性が高くていいはずだ、長期的に見ればというふうに考えておりますが、末永参考人、いかがでしょうか。
#63
○参考人(末永敏和君) 先生がおっしゃるとおりでございまして、現在の証券市場、特に株式市場の状況は非常にいびつでございまして、個人株主が非常に少ない、法人株主が多いということでございますので、それを正常な形に戻して本当の証券市場が機能するためには、むしろ証券を引き揚げる方向に働く金庫株を採用するということには非常な問題があると存じております。
 以上です。
#64
○福島瑞穂君 じゃ、なぜ金庫株の導入をするのかということに関して、競争に備えるとか競争力をつけるという言われ方もあるんですけれども、私は、果たして長期的に見て株価が上昇するのかどうかもよくわからないんです。
 この点については、御両人、いかがでしょうか。
#65
○参考人(神田秀樹君) 私は、株価は上昇する場合が十分あり得るというふうに考えております、先のことはわからないんですけれども。
 その理由は、前におっしゃったこととちょっと関係するんですけれども、株が多過ぎる、それを減らすだけで株価が上がることには本来はなりません。株価は需給で決まっていることですし、株価を決めているものは何かというと、今言いました需給、それから、これは末永先生もおっしゃったことで、企業が業績を上げることが一番大事なことであって、それは言うまでもないことです。
 しかし、実際にアメリカ等では出過ぎている場合に株式の数を減らすと株価は上がるんです。そういう実証研究が山のようにあります。これは財務経済学、ファイナンシャルエコノミックスと呼ばれている分野での実証研究が山のようにある。
 なぜそうかですけれども、幾つか説明がありますけれども、一つだけ最も有力な説明は、これはその株価が何らかの理由で企業の正しい価値を反映していない、割り負けしているというか、より低くなっている。そういう場合に、その株式数を減らすことによって株価が企業の正しい価値をより反映するようになって株価が上がるという理論があって、それが現に実証されています。ただし、日本ではまだ実証されておりませんので、そういう同じようなことが起きるかどうかということについては何とも言えませんけれども、少なくとも期待としてはそちらを期待することができるという、逆に言うとその程度なのかもしれませんけれども、そういうことでございます。
#66
○参考人(末永敏和君) 金庫株を導入することによって株価が上昇するのかどうかという点につきましては、先ほどの私の意見で申し上げましたように、これを実施するのは各会社でございますので、その会社の財務状態によって違ってくるわけでございまして、それだけの余裕のある会社が果たしてどれだけあるのかという点で、非常に問題ではなかろうかという点で、緊急の経済対策とおっしゃいますけれども、これを認めてすぐにこれを実施する企業がどれだけあるかということについては疑問でございまして、当然、株価にもそんなに影響しないのではないかと思います。
 一般論として申しますと、確かに自己株式を取得して吸収いたしますと供給が減りますので上がる可能性はあるかもしれませんけれども、実際にどうかと言われますと、私は日本の状況においては否定的に解さざるを得ないし、また日本の市場構造から申しましても個人株主をふやすという点に逆行しているという点で問題もあるということでございます。
#67
○福島瑞穂君 末永参考人のレジュメに、「自己株式取得制限の理由がクリアされているか。」という記述があります。私自身は、やはり一番大きな懸念は、@の株主への出資の払い戻しとなり、債権者を害さないかということです。
 発議者の方たちに質問をして、資本充実の原則に反しないかと聞くと、株主総会の決議がありますというような答えが出てくるのですが、それは答えとしてやはりおかしいのではないか。つまり、リンゴは大体赤いけれども、緑色のリンゴでも大丈夫かと聞いたときに、いやミカンはダイダイ色なので大丈夫ですと答えられているように、手続的に大丈夫ですと言われても、問題の本質の、理念の部分は担保していないんじゃないかという気がいたしますが、末永参考人、ちょっとくどくて済みませんが、資本充実の原則は、やはりこれは端的に満たしていないんじゃないでしょうか。
#68
○参考人(末永敏和君) 配当可能利益を財源とする場合は、資本充実の原則には反しないと思います。しかし、配当可能利益あるいは資本からこれを取り崩してやる場合には、形式的にはそれに反することになると思います。
 それを商法は手続規制でもって株主総会あるいは債権者の承諾があるからいいじゃないかということでございますけれども、やはり取得によって会社からお金が出ていくわけでございますから、それだけ債権者等にとって不利になることは間違いないということは言えると思います。
#69
○福島瑞穂君 先ほど橋本委員の方からインサイダー取引のことについての質問がありました。金庫株という形になりますと、会社は自分のところの情報は最もよく、当たり前ですが、知っているわけなので、インサイダー取引の問題がやはり非常に出てくるのではないかというふうに思います。
 先ほど末永参考人も少しお話しになったんですが、このインサイダー取引についての懸念の問題に関して、インサイダー取引や株価操縦を防止する対策が万全なのかという観点から、両参考人にもう一度御意見をお聞きしたいと思います。
#70
○参考人(神田秀樹君) その点につきましては、私は、今回の法案は万全を期していると思います。
 インサイダー取引の方につきましては、平成六年の商法改正で自己株式取得規制が緩和されたときに既に証券取引法上必要な枠組みをつくっておりまして、今回の法案はそれにさらに必要な手当てをするということでございます。ちょっと条文のつくり方は複雑なんですが、それはちょっと省略させていただきまして、証券取引法上、手が打たれています。
 株価操作といいますか、相場操縦の方につきましては、先ほど来出ておりますように、今回、新しい法律の規定を設け、そのもとで具体的な厳しいルールを内閣府令でつくることが予定されております。問題は、ルールはつくったけれども適用されないというのは困りますので、私は、繰り返しになりますけれども、あるルールをきちんと厳しく適用していただきたいというふうに思います。
#71
○参考人(末永敏和君) インサイダー取引につきましては、確かに今度の同じ改正案におきまして自己株式の取得、処分につきましては重要な内部情報に挙げられておりまして、規制は用意されていると思います。しかしながら、金庫株を認めることによって会社役員等がインサイダー取引をする機会がふえることは確かでございまして、そういう意味では、インサイダー取引の危険は従来よりは大きくなるというように思います。
 それから、株価操作につきましても、やはり証券取引法で改正が用意されておりまして、その詳細については内閣府令で定めることになっております。したがいまして、アメリカのセーフ・ハーバー・ルールのような規制が行われますので、株価操作を行わないような手だては法律上は整えられていると思います。
 しかしながら、先ほど来申しておりますように、法律には違反しないがやはり全体として見ればこれは株価操作そのものであると。緊急経済対策を言っているわけですから、これは株価を上げるためにやるわけです。それ自体問題ではないかと、人為的に株を上げるという意味で問題だという意見が私の意見でございます。
 以上でございます。
#72
○福島瑞穂君 じゃ、末永参考人にお聞きをいたします。
 株主や債権者保護のための手続が潜脱されるという問題が生じないよう法的手当ては十分になされているとお考えでしょうか。
#73
○参考人(末永敏和君) 何に、自己株式の取得についてでしょうか。
#74
○福島瑞穂君 はい。
#75
○参考人(末永敏和君) その点については、先ほど四つの弊害を挙げましたけれども、一番目、二番目、四番目の理由については一応用意はされております。しかし、三番目の乗っ取り防止のために自己株式を使うということについては何らの規制を設けておりません。
 この点については、防戦買いを会社のお金で認めるということ自体非常に大きな問題だと思います。これは、やはり経営者がやるべきことではなくて、市場の競争に任せるべきことではないか。主導権をどちらがとるかは、市場の競争によってそれに勝った者に支配権を与えるべきだということでございまして、それを会社の費用で人為的につり上げて会社側に有利な結果を導くということ自体問題だと思います。
 また、経営に失敗した経営者がその下がった株価を上げて、そして経営の失敗を繕うということにも利用されかねないわけでありまして、その点についての手だては、手続規制はあるかもしれないけれども、全然ほかは用意されていないということで問題だと思います。
 以上でございます。
#76
○福島瑞穂君 緊急経済対策ということで、基本法だと思いますが、基本法である商法そのものを抜本的に改正することが妥当かどうかと実は私は思っているのですが、神田参考人、その点はいかがでしょうか。
#77
○参考人(神田秀樹君) 御指摘のように、商法は基本法でございます。したがいまして、基本法を変えるには基本法なりのロジックが必要でありまして、私は、今回の改正は基本法なりのロジックを満たしていると考えるわけです。
 ただ、基本法を使って何かをやるというのは、それは手段を提供することでありまして、その基本法の改正イコール緊急経済対策というよりは、緊急経済対策に沿った行動を個々の企業が起こせるようにその手段を提供する、その際に基本法は基本法としての考え方をきちんと貫いているかというそういう問題だと思いまして、今回の改正はむしろ、従来のいわばごちゃごちゃしていたと言うとちょっと表現が悪いんですけれども、自己株式取得の規制についてきちんとした考え方で整理し直して、横断的、統一的にルールを整備するという意味において私は望ましい改正だというふうに考えております。
#78
○福島瑞穂君 じゃ、時間が来ましたので、お二人ともどうもありがとうございました。
#79
○委員長(日笠勝之君) 以上で両参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、お忙しいところ大変貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。当委員会を代表いたしまして心から厚く御礼申し上げます。(拍手)
 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
   午前十一時五十七分休憩
     ─────・─────
   午後一時二分開会
#80
○委員長(日笠勝之君) ただいまから法務委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、竹村泰子さん及び角田義一君が委員を辞任され、その補欠として直嶋正行君及び峰崎直樹君が選任されました。
    ─────────────
#81
○委員長(日笠勝之君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 商法等の一部を改正する等の法律案及び商法等の一部を改正する等の法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案の審査のため、本日の委員会に金融庁総務企画局長乾文男君、金融庁証券取引等監視委員会事務局長五味廣文君及び法務省民事局長山崎潮君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#82
○委員長(日笠勝之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#83
○委員長(日笠勝之君) 休憩前に引き続き、商法等の一部を改正する等の法律案及び商法等の一部を改正する等の法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#84
○佐々木知子君 自民党の佐々木知子でございます。火曜日の審議に引き続きまして、商法等の一部を改正する等の法律案等について質問させていただきます。
 先日の審議ではこの法律案の基本的な概要をお尋ねいたしました。そして、自己株式の取得財源を配当可能利益の範囲内に限定し、取得に当たっては、原則として市場買い付けまたは公開買い付けによるなど、資本維持の原則や株主平等の原則など、商法の基本原則は害されないような諸手当てがされていることは理解いたしました。また、会社の自己株式売買によって相場操縦やインサイダー取引が行われないよう、証券取引法においても適切な手当てがされていることも理解いたしました。
 そこで、本日は、この法律の施行時期、先進諸外国の状況、証券取引法の改正などについて何点かお尋ねしたいと存じます。
 先日の質疑にも出ましたけれども、この法律案は緊急経済対策関連の法案でもあり、成立後は速やかな施行が望ましいと考えております。新聞報道等によりますと十月一日がめどということでございますが、一般的な自己株式の処分に関しては来年の四月一日からしかできないとしているようです。その理由は何でしょうか。
#85
○衆議院議員(金子一義君) 自己株式の売却処分が行われます場合には、どうしても取得したときとの差損益が出てまいります。その差額について会計処理、どの勘定から引いていくのか、プラスしていくのか、それに対する税務上、課税上の問題をどうするのか、この部分だけはもう少し時間をいただきたい。次期国会までにそれを検討して、四月一日までにはそれを決めさせていただくという手順が、どうしても公認会計士協会等々一般的な会計慣行というものもございますものですから、これに照らして議論をしていただく。そういう意味で、四月一日までは一般的な売却処分ということについては見合わせていただく。
 ただし、先回の御議論でも御答弁させていただきましたように、会社再編等々の動きは既に始まっております。当然に、従来同様、自己株式の消却もしくは代用自己株というものにも早急に必要なところは使っていただきたいという意味で今回提案をさせていただいた。しかし、一般的な売却ということに関しては四月一日以降にさせていただいたというのが趣旨でございます。
#86
○佐々木知子君 つまり、合併等の際の代用自己株は施行後直ちに実施することができるということですが、一般的な処分の場合とそれは何か異なる点があるのでしょうか。御説明をお願いいたします。
#87
○衆議院議員(長勢甚遠君) 代用自己株式として利用される場合には、現行商法のもとにおきましてもこういう場合には差損益が生じないような処理をする、こういう規定になっておりますので、直ちに施行ができるということになるわけでございますが、一般的な自己株式の売却処分につきましては、その際に生ずる差損益についての会計処理あるいはこれに対する税務処理等について検討を行う必要があるということを今、金子先生から御答弁申し上げたところでございます。
 この処分をどういうふうにしてとらえるかということについていろいろ議論もあるわけでございますが、資本取引としてとらえることとなった場合には会社が作成すべき貸借対照表の記載方法も変わるということになりますので、法務省令を初めとして会社の貸借対照表等の計算書類の作成方法を定めた省令の整備が必要となりますし、また売却処分により生ずる差損益に対する税務処理についても税法等を整備する、こういうことが違いとして出てくるわけでございます。
#88
○佐々木知子君 ところで、自己株式の取得につきましては、現在の法制度におきましても株式の消却やストックオプションのためであれば取得できることとされております。また、衆議院での審議や先日の審議におきましても、目的を限定せずに自己株式を取得させるのではなく、株式の消却をさせた方が経済対策として効果的ではないかという意見もあったかと思います。
 そこで、改めて確認しておきたいのですが、ここ数年の間に企業は株式の消却をどれぐらい行っておりますでしょうか。
#89
○衆議院議員(長勢甚遠君) 年度別の自己株式消却の実施状況を申し上げさせていただきますと、九六年度におきましては十三社、総額におきまして二千六百二十八億円、九七年度は六十九社、三千九百五十二億円、九八年度は三百九十七社、九千四百四十二億円、九九年度においては二百七十八社、五千五百十二億円、合計しますと延べ七百五十七社、総額で二兆千五百三十四億円ということでございまして、九八年度以降の自己株式の消却総額というものは増加をしているという傾向にあると考えております。
#90
○佐々木知子君 九八年度以降の自己株式の消却総額は増加しているということなんですけれども、過去四年間を足してみますと約二兆円ということになります。これは企業が上げている利益、あるいは約五十兆円とも言われている資本準備金の額などと比較いたしますと、株式の消却のために取得された自己株式というのは非常に少ないのではないかという感じがするわけでございます。だからこそ金庫株を解禁しても余り効果がないのではないかという指摘もなされている。これは午前中の参考人の話にもあったわけですけれども、株式消却のための自己株式の取得が少ない理由と、この法律の施行後、自己株式の取得は増加していくのかどうか、こういう見通しは難しいかもわかりませんけれども、それについて見解をお聞かせください。
#91
○衆議院議員(長勢甚遠君) 株式消却の実績が多いか少ないかということにつきましてはいろいろ議論も意見も分かれるところかと思いますけれども、御案内のとおり、企業が配当可能利益をどういうふうに処分するかということはいろんな経営判断で行うわけでございまして、自己株取得に充てるということもありますし、また内部留保をするということもありますし、配当に充てる、いろんな選択をしておるわけでございますので、これをどういうふうに考えるか。多いか少ないかということについては意見の分かれるところであろうかと思います。
 ただ、今回の改正法の施行によりまして、消却目的に限って取得をするということだけではなくて、その目的を制限するというのを撤廃いたしまして、企業の組織変更なりあるいはストックオプションなり、いろんな多様な利用形態を認めるということになるわけでございますので、この利用というものは増加をしていく、これが企業再編にも役立っていく、このように考えております。
#92
○佐々木知子君 考えてみますと、我が国はこれまで自己株式の取得は原則禁止されてまいりましたし、その目的は極めて限定されていたということでございまして、企業が自己株式を取得することで財務政策の機動性、柔軟性を高めるとか、合併等の組織の再編等に戦略的に利用していくとかいった、自己株式を有効に利用していくというマインドが企業に根づいていなかったのではないかとも私は考えているわけです。
 ですが、先日も述べましたように、経済のグローバル化が進展し、我が国企業も国内のみならず国際的な競争にさらされる状況になりつつございます。商法などの企業法制につきましても、国際的に見て諸外国と整合性のとれた制度を模索していく必要があるのではないかと考えております。
 そこで、午前中の参考人の御説明にもあったことではございますけれども、先進諸外国における金庫株に関する法制度はどのようになっているのか、これは法務当局にお伺いいたします。
#93
○政府参考人(山崎潮君) アメリカ合衆国における例でございますが、会社法をそれぞれ各州で持っておりまして、そこで基本的には目的のいかんを問わず自社株を取得することが広く認められております。ただ、州によっては扱いが自己株式を当然消却するものとするところと、そのまま保有を認めるところと、これは分かれるところでございます。
 一方、EUの関係でございますが、EU会社法第二指令というものがございますが、これでは取得目的による制限をすることなく、株主総会の授権決議があることを要件として自己株式を取得し、それを保有することを認める、こういう法制を採用することを加盟国に認めるということでございます。これを受けまして、ドイツにおきましては原則として自己株式の取得を禁止する旨の規定を設けておりますけれども、株主総会の授権決議に基づく自己株式の取得を許容しております。また、フランスにおきましても株主総会は取締役会に自己株式の取得を授権することができる旨の規定を設けておる、こういう状況でございます。
#94
○佐々木知子君 ありがとうございました。
 今回の法律案が施行されることによって解禁される金庫株の制度と、先進諸外国において認められている自己株式の制度ではどのような差異があるのでしょうか。これも法務当局にお伺いいたします。
#95
○政府参考人(山崎潮君) 今回におきます改正案でございますけれども、自己株式の取得につきましては、株主総会の授権を得て配当可能利益等の範囲内で目的の限定なく株式を取得することができるということになるわけでございます。
 諸外国との比較でございますけれども、目的の限定がないという点においてはアメリカやドイツ等のEU諸国と同じ内容のものになっております。また、株主総会の授権を得て取得するという点も、これはEU諸国と同様の内容になっているというふうに考えております。
 したがいまして、今回の改正法案につきまして、自己株式の取得及び保有につきましては先進諸外国とほぼ同様の法制度となるというふうに考えております。
#96
○佐々木知子君 ありがとうございました。
 つまり、今回の改正によりまして自己株式に関する制度は先進諸外国とほぼ同じような制度になるということですが、そうした法制のもとで先進諸外国の企業による自己株式取得の実施状況はどのようになっているでしょうか。これは提案者の方にお伺いします。
#97
○衆議院議員(長勢甚遠君) 自社株取得の実施状況のお尋ねでございます。
 アメリカでは、金額ベースでいいますと、一九九六年約千七百五十九億ドル、一九九七年約千八百五十億ドル、一九九八年約二千二百七十一億ドル、一九九九年千五百四十億ドル、二〇〇〇年約九百五十二億ドルというふうに聞いております。
 また、EUでは、金額ベースで申し上げますと、一九九六年約百十四億ドル、一九九七年百四十六億ドル、一九九八年千五百七十九億ドル、一九九九年約七百三十六億ドルということでございまして、我が国と比べて大変多額に上っておるというふうに承知をしております。
#98
○佐々木知子君 EUでも随分ふえてまいりまして、アメリカではもう従来から自己株式の取得が解禁されていたわけでございまして、毎年かなりの金額の自己株式の取得によって株主に会社の利益を還元し、また取得した自己株式を利用して積極的な組織変更等を行い、企業の競争力を高めていくことが行われているのではないかというふうに思っております。
 先ほどの御説明によりますと、我が国の企業はこれまで自己株式を取得していないようですけれども、この法律が施行され自己株式の取得に関する規制が欧米並みになった場合、提案者としては我が国の企業がどのようにこの制度を利用していくのか、どういう期待をされているのか、お伺いしたいと存じます。
#99
○衆議院議員(金子一義君) 海外とほぼ同じ状況というのがいよいよ出てきた、そういう中で、企業というのがもう国際的なグローバルな競争をしております。そういう中で、私たちが一番期待しておりますのは、この制度を使って全体としての資産、我が国の場合には過剰資産というふうに言われておりますけれども、そういうものをいかに効率的に使っていけるのか。企業の再編にこれを使っていただいて、そして国際的な競争力をつけていただく。最終的にはそれが株主の利益に還元されてくるという使い方をしていただけるのを私たちとしては一番期待しているところであります。
#100
○佐々木知子君 では、同じ質問を、長勢先生。
#101
○衆議院議員(長勢甚遠君) 今、金子先生からおっしゃられたのと同様でございます。国際化の中で企業競争力を高めていく中で、財務の弾力性を持たせて企業が大きく発展していくことに大きく寄与する、このように期待をしております。
#102
○佐々木知子君 では、提案者の皆さんに伺っていると時間がなくなりますので、失礼ながら次に進めさせていただきます。
 続きまして、金庫株の解禁に関する証券取引法の改正について質問させていただきたいと思います。
 前回の御答弁の中で、自己株式の取引に伴う相場操縦を防止するために一定の要件を遵守させることとするとの御説明がございました。このルールの策定に当たっては、現在、アメリカで整備されているセーフ・ハーバー・ルールを参考にされるとのことでしたけれども、我が国においてもそれと遜色のない規制が行われると考えてよいのかどうか。これは非常に問題だと思いますので、この点について提案者に御説明をお願いいたします。
#103
○衆議院議員(小池百合子君) 今御指摘のございました相場操縦防止策といたしまして、これまで自己株式の取得または処分の際に一定の要件を遵守すべき旨を定める規定を新設すること、百六十二条の二でございますが、そしてその要件の具体的内容は内閣府令で定めることといたしております。そして、その際は、今御指摘ございましたアメリカのセーフ・ハーバー・ルールを十分参考といたしまして、相場操縦とされるおそれの少ない取引態様を類型化いたしまして、適切な要件が定められると考えております。
 このアメリカのセーフ・ハーバー・ルールの場合でございますと、定められた要件を満たさない場合であっても、相場操縦禁止規定に違反したという推定を行われないという旨の規定が置かれておりまして、すなわちセーフ・ハーバー・ルールの要件を満たさなくとも直ちに違法となるものではございません。
 一方、今回新設をいたします規定でございますが、内閣府令で定めます要件に違反した場合は直ちに違法となるということで、罰則の対象となるわけでございます。すなわち、既に法律上、アメリカのセーフ・ハーバー・ルールよりも厳格な規制の枠組みを用意しているところでございます。
#104
○佐々木知子君 相場操縦やインサイダー取引といった不公正取引の防止措置についての御説明は、午前中の参考人の御説明にもございましたけれども、いろいろな場面でるる議論されているところでございますが、少々違う角度から証券市場の公正性の確保についてお伺いしたいと思います。
 証券市場への投資家の信頼を高めるためには、不公正取引の規制に加えて透明な情報開示がますます重要となっております。金庫株につきましても、その取得や保有に関する情報を白日のもとにさらすことによって、それが適切になされているか否かを投資家一人一人がチェックすることが可能となり、またそうした投資家の目を意識することによって企業の自己規律も向上していくものと考えております。
 こうした観点から、自己株式の取得や保有についての投資家へのディスクロージャーこそが重要と考えるわけですが、この点につきまして、現在どのような制度があって、また今回の法改正でどのような対応がなされているのか、この点についてお伺いいたします。
#105
○衆議院議員(小池百合子君) まず、現在の状況でございますけれども、自己株式に関しますディスクロージャーにつきましては、自己株式取得の透明性を高めて、今御指摘がございました投資者の保護を図るために自己株式取得の総数、価額総額、取得の進捗状況などについて発行会社から自己株券買付状況報告書が提出されているところでございます。
 今回でございますけれども、この金庫株の解禁によりまして、取得目的を問わず定時総会決議によりまして自己株式取得を行うということでございますので、先ほど申し上げました証券取引法二十四の六でございますが、こちらを改正いたしまして、現在、自己株式の取得に関する決議ごとにそれぞれ三カ月ごとの提出、自己株式の取得の報告書を定時総会決議後、次期定時総会まで一カ月ごとに提出をすることということで所要のディスクロージャー規定の整備を図っているところでございます。
#106
○佐々木知子君 今回、金庫株の解禁に当たりまして、証券取引法においても適切な対応をされているというふうにお伺いいたしました。
 市場の公正性を確保するためには、法制面の整備もさることではございますけれども、その執行機関である証券取引等監視委員会の役割が極めて重要ではないかと考えておるものでございます。
 聞くところによりますと、アメリカのSECは三千人以上のスタッフを有するのに対しまして、我が国の証券取引等監視委員会はその十分の一にも満たない定員で業務を行っているとのことでございます。もちろん、行政改革の必要性は言うまでもないところでございますが、社会の正義を実現するために必要な部署に必要な人員をきちんと確保するということは我々政治家の責務であり、国民の皆様にも御理解いただけるものと考えておるものでございます。
 最後に、提案者から同委員会の体制強化について御所見をいただきたいと思います。
#107
○衆議院議員(小池百合子君) 今、佐々木委員が御指摘になりましたことはまことにそのとおりでございます。
 今回の金庫株の解禁に伴いまして、またこの証券取引等監視委員会の体制は、この金庫株解禁のみならず、市場の透明性そして信頼を得るために大変重要な機関だと思います。
 また、今御指摘のございましたアメリカのSECとの規模等の比較でございますが、若干担当の内容、所管の内容も違うということで、その規模の比較はそのままできるものではないとは思っております。しかしながら、今申し上げましたように、この証券取引等監視委員会の体制、これを強化していくのは当然必要なことと思いますが、不公正取引に対処するために、今回の法案におきまして金庫株に係りますインサイダー取引、そして相場操縦の防止等の措置を講じているだけでなく、この証券取引等監視委員会による監視、取り締まりを一層強化していく必要があると考えております。
 また、この監視委員会でございますけれども、組織というものは人、物、金、情報というふうにいろいろと要素があるわけですが、まず人員といたしましては、必要な人員の確保を含みます体制の整備と充実、それから監視にかかわりますノウハウでございますね、そしてまた情報を蓄積する、さらにこれらを有効に活用するといった監視手法を向上させていく、そして最後に電算システムの開発など、IT化ということでございますけれども、その活用によりまして事務の効率化、これらはこれまでも図ってきたところでございますけれども、今後さらにそれを拡大、拡充していく必要があると考えております。
 今回は議員提案でございます。そしてまた、それぞれの総定員の問題などはなかなかこれまでですと非常に硬直化していたところがございますけれども、これまでの事前規制から事後チェック型へと行政が変わっていくということを踏まえて、ぜひとも証券等監視委員会の体制強化、提案者側としてもしっかりと応援をしていきたいと思っております。
#108
○佐々木知子君 ありがとうございました。
 終わります。
#109
○小川敏夫君 小川敏夫です。
 まず、単元株制度のことについてお尋ねをするんですが、これは、株の価格に関係なく会社が千株までの範囲で単元株を定めることができると、こうなっておりますね。
#110
○衆議院議員(根本匠君) 先生のおっしゃるとおりです。
#111
○小川敏夫君 そうしますと、今は一株二、三十円の株もあるけれども、わかりやすいのはNTTドコモのように一株二百万円の株があるわけです。すると、これ千株といいますと、小渕元総理のお兄さんぐらいしか千株持っている個人はいないんじゃないかと。ほとんどの個人株主は一株、二株の株主だと思うんですけれども、法律上、千株二十億円を持っている人だけが議決権を行使するということが限定できると、こういう法律解釈になるわけですね。
#112
○衆議院議員(根本匠君) 今回の改正は、今まで株式についていろんな規制が、発行についていろんな規制があったわけですが、これは基本的には会社の株式の水準あるいは管理費用、コスト、これを考えて自由にしよう、規制をなくそうという考え方の中で株式併合にかわるものとして単元株式制度というものを設けましょうと、こういうことでありますから、実はこれは株式をもっと十分に流通するようにしたいということも考えての対応ですので、先生のおっしゃるようなそういう株の値段で、千株で単元株ということは私は想定されないと思います。
#113
○小川敏夫君 想定されるかどうかという現実論じゃなくて、法律の解釈としてできるということですね。
#114
○衆議院議員(根本匠君) 制度的には私はできると思います、制度的にはですよ。
#115
○小川敏夫君 だから、制度的にできるということは、これは大変なことじゃないですか。
 つまり、NTTドコモでもNTTでもJR東日本でも、ほとんど個人株主、これは一株、二株だと思うんですよ。しかし、一万人も二万人もいれば二万株ぐらいになる。しかし、そうした一株、二株といった少数株主には議決権はないと。千株二十億円というと、そんなのは非現実的だとおっしゃるかもしれない。ならば十株でいいですよ。NTTドコモでもJR東日本でも十株以上持っていないと議決権行使はできないと、こういう規定ができることになる、これは非常に現実的ですね。しかしできるわけですね、これは。
#116
○衆議院議員(根本匠君) 制度的にはあり得ますね。
 ただ、そういうものを、単元株を設定しようとするときには当然、定款事項でありますし、単元株を導入しようという場合には特別決議という手続を経ますので、株主の保護等を含めて手続的には、私はそこのところは担保されていると思います。
#117
○小川敏夫君 こういう委員会で私が質問をするだけで小川敏夫は多分うるさいやつだと思って嫌われているんでしょうけれども、株主総会へ行って、私が一株でいろいろ言って、あいつうるさいなと、小川敏夫、あいつ何株持っているんだ、七株か、じゃ八株以上にしてしまえなんて、そういう、まあ冗談は別にしまして、冗談というか例え話は別にしまして。
 やはり、法律のあり方として、基本的に少数株主、そうしたいわゆる国民一般の、一般投資家の議決権を奪うようなことができるというふうになっている法律そのものが欠陥法じゃないですか、これは。
#118
○衆議院議員(根本匠君) 単位株制度は株式併合にかわる制度として設けようということでありまして、趣旨はそういうこと。
 それから、単元株制度を設けようとするときにはきちんと特別決議も要して、株主の意見も聞いた上で決議をするわけでありますから、私はそこのところの制度上の担保はできていると思います。
#119
○小川敏夫君 例えば、今の株主総会の実態を見てくださいよ。会社の、企業の持ち合いとかいって、個人株主は議決行使権で、白紙委任状ということで会社側が提案した特別決議が否定されることなんかほとんどないですよ。株主総会に個人株主はほとんど出席しないけれども、しかし出席したいといって実際に意見を述べ、あるいは議決に参加する人もいるわけであります。今度はそういう人の株主権の行使、議決権の行使を封鎖することができる。これは特別決議でやったからいいという問題じゃなくて、本来、会社の、法のあり方として許されないんじゃないか。少なくともそういった手当てはきちんとしておかなくちゃいけないんだろうけれども。
 少なくとも法律上、先ほどのNTTドコモが千株未満の者については株主権、議決権を行使できないということは現実にはなされないだろうという意見じゃなくて、法律上それがなされない、少数株主が保護されるということについて、この法律案は何の手だてもしていませんね。
#120
○衆議院議員(根本匠君) 私はそうではないと思います。実態が、ビジネスですからどういう形になるか、それは私は多様な形があり得ると思います。ですから、先生が想定しているような例もあるかもしれない。しかし、大事なのは、制度上どういう手続、担保をしているかということが大事であると思います。
 繰り返しになりますが、単元株制度というのは株式併合にかわり得る制度で、当然、先生のおっしゃるように、少数の株式しか有していない株主が不利益を受けるおそれがある、こういうものがありますから、定款に定め、定款事項として株主総会の特別決議が必要としております。さらに、議案の要領を各株主に通知して、しかも単元株制度を採用することを必要とする理由も開示しなければならない、これだけの担保措置をとっておりますので、私はそのようなことはないと思います。
#121
○小川敏夫君 この国会で一人会派は議決権を行使できないなんということは多数決で決められないと思うんですけれども、私はこの商法の株主総会でも発想は同じだと思うんですよ。特別決議を多数決でやったからいいんだ、もう小口の株主は議決権がないと、そういうことができる、これは法律として私は明らかに欠陥だと思うんです。
 それで、私が聞いているのは、特別決議云々がありましたけれども、もう少しきめ細かく、そういったことがなされないように、小口の株主がきちんと議決権が行使できる方法で何らかの手だてがこの法律の中に必要だったんじゃないかと思うんですが、どうですか、そこら辺のところは。
#122
○衆議院議員(根本匠君) その意味で株式併合の場合と同様の手続をしているということであります。
#123
○小川敏夫君 株式が併合されたって株主の議決権はなくならないですね。今度は株主の議決権がなくなっちゃうんです。どうなんですか。
#124
○衆議院議員(根本匠君) ですから、株式を併合すれば株主の議決権はそこの併合された株式に移転するわけですよね。それから、単元株制度というものを導入すれば、これは株式併合にかわる制度ですから、そこのところの議決権はありますから、そこは株式併合と私は同様の問題だと思います。
 それで、繰り返しになりますが、これは今回の商法改正によって会社が株主、株価水準、あるいは管理費用、管理コストとの見合いで多様な選択肢を提示しましょうということで単元株制度というものを採用したわけでありまして、その単元株制度を採用するについては適正なきちんとした手続で、株主の権利も勘案しながらきちんとした手続を用意しておりますので、私はそこは先生とは見解を異にします。
#125
○小川敏夫君 併合と同じだと言いますけれども、併合したって議決権はあるわけですよ。全然別の問題じゃないですか。この問題は、一株、二株の小口の株主について議決権を認めない、ある一定以上の株を持っている人間にしか議決権を認めないということですよね。これは併合とは全然別の問題じゃないですか。併合だからどうのと言われても何か全然およそ筋違いな話だと思いますけれども。
#126
○衆議院議員(根本匠君) 僕は、例えば株式併合ということをやっても現行法でも同じことは起こるわけですね、併合した場合には。端株というのが出ますから。そこは変わっていない、変わらないと思いますよ。
#127
○小川敏夫君 そうすると、私の意見と提案者の意見、言っておりますけれども、じゃ、NTTドコモを十株以上持っていなきゃ議決権が行使できないとなってもいいというのが提案者の考えですね。
 もともとこの単位株という制度、昔、チッソの株主総会なんかで一株株主というようなことがあって、五十円額面の、五十円の株主の人が株主総会へ出てきて大衆団交みたいになったというようなこともあったんでしょう。いろんな歴史があるわけですけれども。
 やはり、物には限度というものがあるわけですよ。ですから、余りに一株一株の株主の権利の乱用ということを認める必要はないけれども、しかし物には限度があるので、やはり会社の株主の議決権というのは会社のあり方の最も根本ですから、そこは実際じゃないだろうということじゃなくて、法律の規定としてその議決権がしっかり守られるという規定でなくちゃいけないと思うので、私はこれは明らかな欠陥だと思っております。答弁は要りません。
 次に、二百八十九条の改正の点について触れさせていただきますが、これは何か緊急経済対策の一環ということだけれども、緊急性はあるんでしょうか。
#128
○衆議院議員(谷口隆義君) 先生おっしゃった二百八十九条は、これは準備金の減少の手続のことでございますね。二百八十九条でその差益を配当するということでございますか、その準備金の取り崩しのことをおっしゃっておるんでしょうか。
#129
○小川敏夫君 そうです。
#130
○衆議院議員(谷口隆義君) 今回、準備金の取り崩し、前回申し上げさせていただきましたように、一九八〇年代、本日の午前中の参考人のお話にもございましたように、エクイティーファイナンスが非常に活発に行われてかなり積み上がっていると。資本金は減少手続があるにもかかわらず、準備金の減少手続が今までなかったわけで、準備金の減少をさせようと思えば資本の組み入れまたは欠損のてん補という場合しかなかったわけでございますが、今回、実態的に問題があるということで、この準備金の取り崩しを決めたところでございます。
 市中にかなり出回っておる株は、やはり供給過剰な状況に今なっておるわけでございますので、その吸収も含めまして、株価に影響があるということもあり、今回このような規定になったわけでございます。
 それとつけ加えまして、前回の小川先生の質問に対する答弁でちょっと若干、私は補足してお話をさせていただきたいことがあるわけでございますが……
#131
○小川敏夫君 全然関係ないから結構ですよ。
#132
○衆議院議員(谷口隆義君) いいですか。
#133
○小川敏夫君 私の質問は、利益準備金、資本準備金を取り崩していいというふうに改正されているわけですね、そのことについて緊急性があるかと聞いているわけです。自己株式の取得のために利益準備金や法定準備金を使っていいという趣旨の答弁が後半部分にありましたけれども、そんなことは聞いていないですよ。
 この二百八十九条は金庫株とはまた全然別の問題なんですよ。すなわち、この法案は金庫株、単元株の法案だと言われていますね。確かに、金庫株の中で、つまり自己株式を取得する際には利益準備金の範囲ということで、自己株式取得のために利益準備金を取り崩すことができるという規定はあるけれども、それはそれの規定であって、この二百八十九条は自己株式の取得に限定されていないんですよ。会社の独自の判断で自己株式とは全く無関係、会社の判断で利益準備金と資本準備金を取り崩すことができるという規定ですよ。だから、金庫株と単元株の問題じゃないわけで、それで私は聞いているわけで、なぜその緊急経済対策の緊急性があるのかと聞いているわけです。
#134
○衆議院議員(谷口隆義君) 先ほども申し上げましたように、かなりの公開会社におきましては準備金が積み上がっておる状況があるわけでございます。このような多額の留保をされた準備金を処分する方法が今までなかったわけでございますから、それに対しましてこの取り崩しの手続を加えたわけでございます。
 このようなことにつきましては、平成十年三月に株式の消却の手続に関する商法の特例に関する法律の一部改正によって、時限措置として資本準備金を原資とする自己株式の消却が認められたわけでございますが、平成十二年の百四十七国会におきまして、平成十四年の三月三十一日までこの措置を延長する際に、資本準備金による自己株式の消却につきましては今後二年間を目途に具体策を検討し、必要な措置をとるという附帯決議がなされたわけでございます。
 以上の経過を踏まえまして、自己株式の取得に関する見直しを行う今回の商法の改正の検討に合わせまして、特例法において認められた資本準備金を原資とする自己株式の取得のあり方についても検討を行うことになったわけでございます。
#135
○小川敏夫君 私の質問に何にも答えていないじゃないですか。いいですよ、平成十年で、株式消却のために資本準備金を使う、それによって資本準備金を崩して株式消却して実質的な取得株の価値を上げる、体質を上げるならそれはそれで結構ですよ。この二百八十九条は違うでしょう。利益準備金、資本準備金を取り崩して、それを配当しちゃったって構わないわけでしょう。
#136
○衆議院議員(谷口隆義君) 配当することが可能になるわけでございます。
#137
○小川敏夫君 だから、自己株式の問題とは全く関係ないんですよ、この規定は。何かこの法案は金庫株の法案だ、法案だと言うけれども、金庫株の法案だと言う前に、法律案の趣旨説明の中にも全く触れていないんだけれども、金庫株の問題じゃないんで、利益準備金、法定準備金という、いわゆる資本に準ずるものを会社が取り崩して株主に配当しちゃっていいという規定ですよね。
 それで、私が聞いているのは、その緊急経済対策の緊急性は何ですかと、今ここでこの緊急経済対策の一環として利益準備金、資本準備金を取り崩して利益配当をしちゃっていいということを法改正するその緊急性は何ですかと聞いているわけです。
#138
○衆議院議員(谷口隆義君) ですから、企業が積み上がったこの準備金を、社内留保しておるこの準備金を取り崩す手続がなかったわけでございまして、そういう状況の中で、小川先生おっしゃるように、これは直接この金庫株とは関係がないわけでございますが、今回、それとともにこの手続をつくらせていただいたわけでございます。(「答弁になっていないじゃないですか。何で緊急経済対策にこれが必要なのかということについて全然何の答えにもなっていない」と呼ぶ者あり)
#139
○委員長(日笠勝之君) じゃ、もう一度、正確に。
#140
○小川敏夫君 正確にって、もう四回ぐらい聞いているんですけれどもね。
#141
○委員長(日笠勝之君) ちょっと谷口君、ちょっと待って。答弁しますか。
#142
○衆議院議員(谷口隆義君) よろしいですか。
 今回のこの法案は、我が国の企業の経営におきます機動性であるとか柔軟性、また企業の経営の選択肢をふやすと、こういう意味合いにおいてこの金庫株の解禁が行われたわけでございますが、これによって企業の競争力の強化を行う、また個人の投資家の株式市場への参入を促すということで今回のこの法案が行われたわけでございます。
 このような観点で今回のこの準備金の取り崩しも行われたわけでございますが、これらは冒頭お話をさせていただいたことの整合性の中でやられたものでございます。
#143
○小川敏夫君 だから、金庫株の改正、単元株の改正をやるから、ついでにやったということですか。だから、二百八十九条改正、条文の解説はいいですよ、取り崩すことができましたって。
 私が聞いているのは、なぜ取り崩すことが今緊急に必要なんだと。何にも答えていないじゃないですか。十分間の時間を返してほしいですよ。なぜ今この法律、金庫株にも関係ない、単元株にも関係ない、自己株式の取得には全然関係ない規定でしょう、これは。それがこの緊急経済対策の中に入っている、これは重要なことなんですよ。
 法定準備金、資本準備金、利益準備金、これは会社の財務体質あるいは資本というものをしっかりと築いて会社の体質を強化するために、わざわざ資本充実の原則を現実化させるために設けられているものなんですよ。それを会社の判断で勝手に取り崩して利益配当をしちゃったら会社の体力は落ちるじゃないですか。なぜこの規定が、趣旨説明の中にも何の説明もないものを、自己株式の取得にも入っていない、こういう資本充実の商法の根本にかかわるような規定がぽんと入っているのか、私はだから聞いているんですよ。この資本準備金と利益準備金、いわゆる法定準備金を取り崩していいという規定がこの緊急対策の中に入っている、その緊急性は何かと聞いているんです。何にも答えていないじゃないですか。
#144
○衆議院議員(谷口隆義君) 今、私が申し上げた我が国の企業が抱える問題があるわけでございまして、それは今申し上げました多額に積み上げられた準備金をどのように取り崩そうかと、こういう方法がなかったわけでございます。
 そういう状況の中で、今回この金庫株の法案の中にこれを盛り込んで、企業戦略と申しますか、企業の経営の選択肢をふやす、こういう意味合いも込めて今回させていただいたわけでございます。
#145
○小川敏夫君 要するに、緊急性については、緊急性がないから説明できないということですね。
 その準備金がたくさんあり過ぎたから、それに対して取り崩す方法がないと言うけれども、取り崩す必要もないじゃないですか。会社の体質を強化するために積ませた準備金なんだから。しかも、自己株式で消却するためにそれを使っていいという形で、まさに会社の資本充実の原則を損なわないで、株主に利益がある形で実質的に取り崩すことができるわけですよ。そういう道が平成十年からあるわけですよ。今度は会社の体質を壊しますよ、これ。だって、準備金を取り崩して株主に配当しちゃったらそれだけの金が出ていっちゃうじゃないですか、会社の外へ。会社の体質が弱くなるんですよ。どうなんですか、そこは。
#146
○衆議院議員(谷口隆義君) 資本充実の原則は、これは極めて重要な原則でございます。今回、そういう意味もありまして、資本の減少手続は極めて厳格な手続が行われるわけでございます。資本準備金と利益準備金の四分の一まで現行は積み立てていかなければならないわけでございますが、今回は法定準備金の四分の一までにし、いわばその資本金、また資本に準ずるところは厳格な手続をやらなきゃいけませんが、一方で、多額に積み上がったところの留保金をどのように減少させていくかということに対して、経営の多角化と申しますか、戦略性の中でこの法案を立てたと申しますか、認めたわけでございます。
#147
○小川敏夫君 非常に抽象論で、この二百八十九条の改正が資本充実の原則には反することだと、逆行することだということはお認めになっているわけですね。
#148
○衆議院議員(谷口隆義君) いやいや、だから反することであるとは全く私は思っておりません。先ほども申し上げたように、会社で留保すべきものは資本及び資本に準ずるものでありますから、この減少手続については厳格に行われなければならないわけでございます。
 しかし一方で、現在のように、例えばトヨタ自動車またソニーと言われるような国際企業は資本を超える資本準備金があるわけでございますから、資本を超える資本準備金をどのように取り崩すかといった場合に、これを資本に組み入れるのか、また欠損のてん補の場合にしか取り崩しの方法がないというのは経営の多角化の中で一つの障害になるわけでございますから、そういう多様な対応ぶりを考えた場合に今回の対応になったわけでございます。
#149
○小川敏夫君 今言いました、資本準備金が多かったら資本に組み入れればいいじゃないですか。つまり、資本準備金というのは、資本を厚くして会社の体力をしっかり築く、そのために商法が特に義務づけた制度ですよね。何でこれが資本充実の原則に反しないんですか。資本充実の原則にマイナス方向であることは明らかじゃないですか。資本充実のために積み上げた資本を取り崩して配当して、そのお金を株主に配っちゃうんだから。方向性が資本充実の原則にマイナスであることは間違いないですよ。
 もういいですよ、私の質問に全然答えられていないんだから。私が思うのは、すなわち多過ぎたから取り崩すんじゃなくて、実は会社の利益、配当可能利益、これが小さい、配当原資が出せないというときに、こっちの準備金を取り崩して配当したい、そういう非常に苦しい会社の、しかし立場上利益配当をしなければならない、そういう会社あるいは銀行を救済するためにこういう規定を急遽設けたんじゃないんですか。
#150
○衆議院議員(相沢英之君) この措置は株式市場の活性化対策と何も関係ないじゃないかということを先ほど来、委員がおっしゃっているわけでありますけれども、我々はそのようには考えていないのでありまして、やはり配当を維持するということは当然これは株価にも影響する、またそういう配当が可能になる、配当をふやすことができる会社が多くなるということは、当然これはまた株式市場の活性化対策になるわけであります。
 そこで、どのようにして配当を維持するか、あるいはふやすかということを考えた場合に、今、委員がおっしゃるように、無理をして配当の原資をひねり出しているじゃないかというようにお考えになるということもあるかもしれませんけれども、そういう気持ちじゃないので、先ほど来、谷口委員から答弁を申し上げておりますように、非常に資本準備金として過剰、過剰という表現がどうかは知りませんが、多く積み上げているところにおいて、今の制度のままではそれを取り崩して配当に回すことができないということで、その辺のところがひとつ弾力的に運用することが可能になるように配慮することが、これは今の状態からいうと望ましいことではないか。
 つまり、株式市場の活性化対策の一環としてこのことが検討項目に上がって、それをこの条文の改正として取り上げたというふうに私は解釈をしているのであります。
#151
○小川敏夫君 今の答弁の中にちらほらと本音が見えたようにも思うんですけれども、要するに、利益準備金を株主の配当に回してもいいじゃないかということが御趣旨だとおっしゃいました。まさに、この規定がその本音だと思うんです。
 だけれども、よく考えてみてください。経営が順調な会社だったら準備金を崩さなくたって利益から配当すればいいわけですよ。準備金を崩さなくたって、配当可能利益があればそれで配当すればいいわけだから。そうすると、実際にこの規定の恩恵を受けるのは、準備金を取り崩さなければ配当できない、それだけの利益がない会社がまさにこの法律の恩恵を受ける、そういうことになりますね。
#152
○衆議院議員(相沢英之君) そういうふうな見方をされればそういう表現になるかも知れませんけれども、先ほど来御返事申し上げているとおりに、例えば資本に対しまして相当額以上の資本準備金を積んでいるようなそういう会社ですね、それもそのままではそれを取り崩して配当に回すことができないといった場合に、こういうような規定を置けばそれが可能になるということでありますから、そのこと自体が、言うなれば、非常に苦しい状態なもので無理して配当をひねり出したというふうなことではないというふうに考えております。
#153
○小川敏夫君 そういうふうに言えば言えるということで、私の指摘を肯定していただいたわけですけれども。
 そうしますと、非常に不自然に思うわけですよ。配当する利益がないのだったら配当しなければいいので、それを無理に準備金を取り崩して配当してしまうと、これは会社の財務体質が悪くなって会社の基盤を損ないますよ。そして、資本充実の原則にマイナスであることは明らかですよね。先ほどの委員の方は資本充実の原則に反しないと言ったけれども、こんな答弁で議論するつもりはないですよ。明らかに資本充実の原則に反しますし、配当するだけの利益が上がっていないのに準備金を取り崩して利益相当分を配当してしまえば、会社の財産も減っちゃうから会社の財務体質も弱まりますよ。
 そんなのを認めることは、しかもそれを緊急経済対策の中に盛り込ませて認めるということは、非常にこの規定そのものも問題だし、根本にかかわる問題を、何か特段、趣旨説明の中にも入っていないようなところでちょろっと入っているこの法案の出し方も問題だし、さまざまな問題点があるんですがね。
 そうすると、私は勘ぐっちゃうわけですよ。では、現実に配当しなきゃいけない会社があって、しかし配当する原資がないから何とか緊急に準備金を取り崩せるような方法をつけて、いわば厚化粧をさせてやろうかと、こんなことで焦っているんじゃないんですか。
#154
○衆議院議員(相沢英之君) 物事はいろんな見方があろうかと思いますけれども、委員のおっしゃるような見方もありましょうし、同時に、資本充実の原則といってもむやみに積み上げればいいというものじゃないので、やっぱり会社がしかるべき配当をすることが可能になるようにするということも当然考えていかなければならない。これは私は、会社の経営者としても当然考えることだと思うんです。
 ですから、その場合に、無理やりに何でもかんでもやる、タコ配をしろというような話じゃないので、資本準備金が積み上がっているそれを何とか配当に回すことが考えられるという場合に、法制的にそれが制限されているとするならば、その辺のところの隘路を何とか通ずるようにしてやるということも私は当然考えていくことじゃないかというふうに思っているんです。
#155
○小川敏夫君 先日、何か新聞を見ていましたら、政府・与党の方でこういう対策を決めたというようなことが記事になっていまして、銀行に資本注入を国がしておるわけです、優先株ですけれども。この優先株は配当がないと議決権を持った普通株に転換してしまうと。そうすると、その場合、議決権をどういうふうに行使するかどうか。その指針を定めるのか、定めることを検討するというふうなことが記事になっておりました。
 私、それを見まして、資本注入を受けた銀行は配当しないとそんな問題が起きるんだと、じゃ、無理にでもこれは配当しなくちゃいけないんじゃないか、そのための緊急性があるんじゃないかと私は思うんですが、そこにあるんじゃないですか。しかも、金庫株の中に隠れてその本質をまるですり抜けるような形で法案が出てくるというのは、私は非常に不純なものを感じるんですが。
#156
○衆議院議員(相沢英之君) 一昨々年になりますか、金融二法を審議するときに私は特別委員会の委員長をやらせていただきましたんですけれども、その際に、おっしゃるようなことで資本注入した会社につきまして、ちょっと正確には覚えていないかもしれませんけれども、利益を出せないような状態になった場合その優先株というのが配当や普通株の方に切りかえられる、その場合に議決権を生ずることになるとそういうことが問題だということは、これちょっと私も離れておりましたから詳しくは存じておりませんけれども、問題として取り上げられていることは承知をいたしております。
 ただし、そのことと今回の資本準備金を取り崩してそれを配当に回すということが可能になるような制度改正とは、関連がないとは申しませんけれども、直接のそれが動機というふうには思っておりません。
#157
○小川敏夫君 どうもこの自己株式の問題、まだ損益の税務の取り扱いもこれから決める、何かそんなので急いでこの法律をつくるというのは、一体何でそんなにというとなかなかいろいろ考えたくなってしまうんですけれども、少なくともそういった根本的な問題があるということが明らかになったと思いますので、次の点に行きます。
 先回の質疑の中でも議論が出ていたんですけれども、今回、自己株式を持って、それを短期に処分してもいいけれども、ずっと持っていてもいいと。こういうふうに非常に緩やかな規定になったわけですけれども、私は考えまして、自己株式を大量に持っていると、そうすると会社の業績がいいときは株も上がるから非常に二段ばね効果でいいんだけれども、逆に会社の経営が思わしくなくなったとき当然株価は下がります。そうすると、業績が悪くなれば持っている株式の評価は下がるということで、二段ばねが逆に働いて会社の経営のあり方を必要以上に苦しめることになるんじゃないでしょうか。どうなんでしょう、その点は。
#158
○衆議院議員(漆原良夫君) 本改正では、そもそもこの自己株に資産性を全く認めないこととしております。したがって、自己株について株価の低下によって会社の資産が減少するのではないかというふうにおっしゃいますが、そういう事態はそもそも起こらないというふうに考えております。
#159
○小川敏夫君 そんな手品みたいな話をしてもらったって困るわけですよ。現実に、じゃ、百億円で買った株があれば、百億円の株の価値のものが持っていて、会計処理上それを資本勘定に入れようが何しようが、五十億円に下がれば五十億円なんですよ。言っている意味は何となくわかりますよ。要するに、百億円の自己株を買った、そうしたら資本項目にマイナス百億円を計上すると、株が上がろうが下がろうがマイナス百億円という数字はいじくらないから、会計処理上損も得もないんだということでしょう。ただそれだけじゃないですか。
 でも、その持っている株が、百億円で買ったのが五十億円に下がれば五十億円ですよ、売りに出せば五十億円なんですから、それは。すなわち、現実に売ればそこで五十億円の損が出る。売らないで持っていれば、それは五十億円の含み損ですよ。明らかじゃないですか。持っているんですから、持っている株が半分になればその評価損が出るのは当たり前の話で、会計処理上いじくらないから損が出ないなんという、そんな子供だましの手品みたいな答弁しないでくださいよ。持っている株が下がれば下がるでしょう。
#160
○衆議院議員(漆原良夫君) 資産性を認めないということは、自己株を消却したのと同じような状態だというふうに考えております。
#161
○小川敏夫君 だから、会計処理の問題じゃないんですよ。
 じゃ、百億円で自己株を買いますよね。資本勘定にマイナス百億円をつけると。だけれども、それを売りました、五十億円ですと。五十億円損したんじゃないですか。一銭も損していないんですか。
#162
○衆議院議員(相沢英之君) 世の中そう悪いふうに悪いふうにというお考えになればそうなんですが、やっぱりこういうふうに自己株を取得することによって、おっしゃるように株価の下落によって打撃を受けるということはそのとおりだと思うんです。ですから、経営者としてはそういう状態になればなるほど損失の出ないように責任を持って努力をするということにならざるを得ないわけでして、そういうことで対処をするということだろうと思っています。それは下がっちゃったときにダブっちゃうじゃないかといえば計算的にはそうなりますけれども、やはり私はそこら辺にその経営者としての努力、精進を当然これは期待していいんじゃないかというふうに思っています。
#163
○小川敏夫君 経営者の経営努力のあり方としては今の御答弁で結構でございますけれども、そうじゃないんで、今、法律の解釈ですから、この自己株式取得を認めることの弊害について。私どもは反対ですから、この法案に。それで、まるでさまざまな問題についてもう全部手当てしたからいいんだみたいな話だから、そうじゃないということで私は皆さんから嫌がられる目つきで見られても問題点を指摘しておるわけですよ。
 だから、相沢先生もおっしゃられたとおり、やっぱり会社の経営が下がれば持っている株が下がると、その分の当然含み損は会社が抱えるわけです。だから、そのことがまさに、いいときはいいですよ、二段ばね効果でいいんだから、経営はいいわ株は上がるわ。だから、いいときはいい。だけれども……(発言する者あり)
#164
○委員長(日笠勝之君) 委員長の指示を得て答弁してください。
#165
○小川敏夫君 悪いときに一気に会社が足を引っ張れば一気にだめになっちゃうじゃないですか。そういう問題点があるということを理解していただいてということで結構です。
 きょうは証券取引等監視委員会の方にお越しいただいて、申しわけございません、もう時間もないんですけれども。
 さまざまな、インサイダーがないような、相場操縦がないような規定を内閣府令でこれから定めるということで、それを評価する御意見もある。だけれども、大事なのはそうした決まりは決めても実際に今度はそれが実行されなきゃいけない。道路交通法で車は左、人は右と言っていますけれども、そういう規則はあるけれども、それをしっかり守る人もいないし、それで捕まった人もいないと。
 ですから、やっぱり規定も大事だけれども、それを今度はしっかりと実行するそうした実行機関がなくちゃいけない。そういう意味できょうは監視委員会にお越しいただきましたけれども、設立してまだ日が浅いんですけれども、どのくらいのこれまでにおいてそうした相場操縦、インサイダーについて摘発の例があるんでしょうか。
#166
○政府参考人(五味廣文君) 平成四年七月に設立をされておりますが、それ以降、刑事告発を行いました総件数は三十六件、うちお尋ねのありましたインサイダー取引の告発は十三件、相場操縦が四件でございます。
#167
○小川敏夫君 これは私は、私だけでなくて国民感情も恐らく同じだと思うんですが、非常に少ない。実際の事例に比べてそんな少ないわけはないだろうと、まさに氷山の一角だけを摘発しているんじゃないかと。これは組織そのものが、別に皆さんがサボっているというのじゃなくて、組織そのものがやはりしっかりと対応できる体制がないんじゃないかというふうに思うんですが、どうですか。今実際に担当されていて、これから起こるさまざまな状況に今の体制で十分やっていけますか。
#168
○政府参考人(五味廣文君) 先ほどの、前の質疑のときに提案者の方から御答弁ございましたそのとおりでございまして、ビッグバンが進展をいたしまして、事前規制から事後監視という方に特に平成十年十二月の金融システム改革法の施行以来移っております。
 したがいまして、平成十年度以降は、監視委員会につきましても事後監視機能が重要になったということで年々事務局定員の大幅な増員を認めていただいておりますけれども、これはまだまだ増員する必要があるという理解でおります。
 特に、最近におきましては、インターネット取引でございますとか、あるいはEBを初めとする個人を相手にした新商品というものが続々とこの自由化の影響で出てきておりますので、こうしたことを踏まえまして、その個人投資家を守るということになりますと大幅な人員の増が必要である。また、今回、金庫株の解禁という御提案がなされておりますが、これが実現をいたしますと、新たなまた事前規制の解除ということが起こるわけでございます。あわせて、その解除に合わせて取引形態などを内閣府令で規制するということも検討されているということでございますと、今度はその規制が守られているかどうかもウオッチする必要が出てくるということで、人員の増強というのが喫緊の課題であると考えております。あわせて、能力面あるいは効率面という面でも引き続き努力が必要だと考えております。
#169
○小川敏夫君 民主党の方は、この法案があるからという意味ではなくて、やはり日本版のSEC設置法案というものを議員提案させていただいて、そうした不正な証券取引の防止、摘発に万全を期すべきだという具体的な提案をしておりますが、やはりそういう手当てをきちんとしてからこういう法律を出す、最低限同時に、やはりそういう手当てをするのと法案が同時に本来あるべきであって、何か税務の会計処理も先だ、どうのこうの、何かえらい見切り発車で、しかしこの市場活性化の効果は認めてもそれは長期的に見てくださいなんという話ですから、何かひどく不自然に思うわけです。
 少なくとも法案の出し方として、そこら辺のところはきちんと万全な体制をつくった上で、また法制審議会のような、あるいはそれにかかわらないにしても、さまざまな議論を踏まえた上で、十分な議論ができるような状態にして私はこの法案を提出していただきたい。少なくとも私の質問でさまざまな欠陥が明らかになったということを指摘させていただきまして、私の質問を終わります。
#170
○魚住裕一郎君 公明党の魚住裕一郎でございます。提案者の皆様、大変に御苦労さまでございます。
 今回の商法の改正、経済構造改革の一環といたしまして、企業法制を取り巻く現下の情勢にかんがみまして、過剰な規制を撤廃する。今、ずっと金科玉条のごとく言っておられた資本充実原則もちょっと変えていくのではないかというふうな私は理解をしておるんですが、企業がその責任において競争力を向上させる、そのための支援措置を講じるものであると、そういうふうに評価するものでございます。
 我が公明党も、与党の証券市場等活性化対策の策定に関与させていただいたところでございまして、今回の商法改正案の早期の成立を望むものでございますが、若干、商法の基本原則にもかかわることでございますので、質問をさせていただきたいと存じます。
 前回、質問をすることがちょっとできなかったものですから、基本的なことから質問をさせていただきたいと思いますが、新聞等の報道機関あるいはこの質疑の中でも金庫株という言葉が使われておりますが、もちろん法案を読んでも金庫株という言葉は出てこないわけであります。一般に金庫株というその使われ方、どういうものであり、また今回の改正はそこで言われている金庫株の制度を導入したものかどうかについて、お教えいただきたいと思います。
#171
○衆議院議員(金子一義君) 今度の商法の改正では金庫株という言葉はもとより全く使っておりません。ただ、目的を限定せずに自己株式を取得して、期間、数量制限なく保有を認めているアメリカでこれをトレジャリーストック、それが翻訳をされて金庫株と呼称されておるんだと思います。
 今回の改正案では、原則として禁止されていました自己株式の取得を取得目的を限定せずに取得できるようにする、期間、数量等の制限も撤廃するということでありますので、まさにアメリカで言うトレジャリーストック、この金庫株の制度を商法に導入するという考え方であります。
#172
○魚住裕一郎君 いわゆる金庫株の解禁そのものであるというふうに理解をするところでありますが、そこで今回の改正をより正確に理解させていただきたいために、現行法と改正法案を比較して、どこがどのように変わったのか、簡略に御説明をいただけますでしょうか。
#173
○衆議院議員(漆原良夫君) 今回の法案では三点について変わっておりまして、一つは自己株式の取得についてでございますが、現行法のもとでは、原則として取得を禁止した上で、消却目的やストックオプション目的等、目的を限定して取得を認めておりますが、改正法案では、取得に当たってはその目的を問わないということにしております。
 二点目の自己株式の保有についてでございますが、現行法では、ストックオプションの場合を除いては保有を認めない、合併その他の事情により取得した自己株式は相当の時期に処分することとされておりましたが、改正法案では、期間や数量等の制限はなく、保有を認めることにしております。
 三点目、自己株式の処分についてでございますが、現行法では、基本的に取得目的に従って処分をされ、その他の場合には自己株式の取得は極めて例外的である点を勘案して特段の規制を置いておりませんが、改正法案のもとでは、原則として新株発行の手続に準じて処分をするということにしているところでございます。
#174
○魚住裕一郎君 今回、全部自由ということではないですが、目的規制を外すという、この外した理由は何でしょうか。
#175
○衆議院議員(金子一義君) 基本的には、企業が、先ほど来出ておりますように、持っているいろいろな資産、土地、設備、資本、そういうようなものを、その中での自己株式といったようなものもなるべく効率的に、過剰になっているところはそれを効率的に使ってもらう、そういうために原則目的を外す。ただ、特に企業再編ということになりますと、株式の交換ですとか合併ですとか、こういうものが行いやすくする、そのために新株を発行、従来ですと求められていたわけですけれども、その新株を発行せずに、将来の株式配当負担も増加させずに使わせるといったような、そういう多様な目的にも使わせていきたい、それによって企業の競争力をつけ、強化してもらいたい、そういう目的でございます。
#176
○魚住裕一郎君 企業の財務戦略も柔軟にできる、機動性を持たせる、要するに企業経営、自分の責任でしっかりやれよというその選択肢をふやすと、そういうことなんだろうというふうに思いますけれども、今度は、先ほど漆原議員からも説明がございましたが、相当期間に今までは処分をすべきだというふうにされてきたわけですが、自由な保有を認めるというふうに今回するわけですが、ちょっと重複の部分もあるかもしれませんが、この自由な保有を認めるこの理由をお示しください。
#177
○委員長(日笠勝之君) どなた。
#178
○魚住裕一郎君 提案者のどなたでも結構です。
#179
○委員長(日笠勝之君) どなたが答弁されますか。
#180
○衆議院議員(金子一義君) 保有を自由に認めるようにした理由は何かということでありますので、ちょっと先ほど私が答弁したことと重なってしまいますけれども、企業への選択肢をふやすというこういう観点から、取得しました自己株式を、組織再編の場合の代用自己株であれ、ストックオプションの権利行使であれ、円滑に利用することができるようにする、こういう観点から自由な保有を認めたものでございます。
#181
○魚住裕一郎君 先ほど小川委員からも質問ございましたけれども、問題点の一つといいますか指摘されている部分は、金庫株の解禁というのは一方的に規制を緩和しただけであって、私たちも商法を勉強したときに、商法の基本原則というのは資本充実・維持の大原則、これは商法の勉強をして答案用紙にこの原則を書けば何か合格点をもらったような、そのぐらいの強い印象を持っているわけでありますけれども、その資本充実原則というものを損なうのではないか、そういうふうに指摘がされているわけであります。
 ただ、法案をちょっと注意深く読んでみますと、相当きめ細かな配慮もされているなというふうに思うわけであります。例えば、これまで全く規制のなかった自己株式の処分につきまして、取締役会の決議を要することとした上で新株発行の手続によるべきこととしているわけでありますが、これはある意味では規制の強化になるのではないかというふうに危惧をするわけであります。
 本来、企業経営の選択肢をふやすという観点からすれば、この部分については規制強化というふうに感じるわけでありますけれども、この規制を設けた理由はどこにあるんでしょうか。
#182
○衆議院議員(長勢甚遠君) おっしゃる趣旨でありますけれども、今保有している自己株式を自由に処分できるということにした場合には、例えば特定の者に低価で譲渡するといったような場合のように、株主平等あるいは会社支配の公平性という観点から問題となるというおそれがありますので、これを適切に規制するということが必要である、このように思っております。
 そしてまた、会社が保有する自己株式を処分するという場合における会社と株主との関係というのは、今言いましたような株主平等やあるいは会社支配の公平性という観点から考えますと、会社が新株を発行する場合における会社と株主との関係と同じような関係にあると考えられますので、自己株式の処分につきまして新株発行の手続によるということにしたものでございます。
#183
○魚住裕一郎君 今までは、入り口の規制といいますか、自己株式を取得する側の規制だけであって出口は規制されなかったために、自己株式取得規制によって防止しようとした会社財産の不当な流出でありますとか、あるいは株主の不平等な取り扱いとか、支配の不公正とか、種々防止できていなかったというような反省に立って自己株式の処分に関する規制を設けた。そういうような意味で、ある意味では規制の合理化が図られているというふうに私も理解をするところであります。
 先ほどもお話に出ましたが、自己株式を今までは資産に計上する、今度は認めないというふうになるわけでありますけれども、例えば合併などによって自己株式を取得した会社は、これまで自己株式を資産に計上し、これを配当可能利益に積み上げる。今回それができなくなるわけでございますが、この会計処理上の取り扱いを変更した理由というものをもう一度御説明いただきたいと思います。
#184
○衆議院議員(谷口隆義君) 自己株式に関しましては、自己株式を資産として認めるのか、また認めないのか、こういう二つの考え方があろうかと思いますが、従来から自己株式は会社財産の実質的に払い戻しと同じものだと、こういう考え方があったわけでございまして、今回、そういう状況の中で資本の控除科目としたわけでございます。これは、有償で市場から買い取る場合も、合併により取得する場合も、取得事由のいかんにかかわらず、同様の処理を行うということになったわけでございます。
#185
○魚住裕一郎君 さらに、今回の改正では、いわゆる消却特例法というものが廃止されます。その結果、消却特例法が採用しておりました定款の授権を得て取締役会決議によって自己資本株式を取得するということができなくなってくるわけでありますが、これはある意味じゃ、取締役会決議で取得できると非常に機動的だというふうに判断するんですが、それが機動的じゃなくなるわけですね。方向性が逆じゃないかと思いますが、この点はどうでしょうか。
#186
○衆議院議員(長勢甚遠君) 自己株式の取得ということは、実質的には株主への会社財産の払い戻しであるということでございますので、株主への利益配当と同様、会社の利益処分的な性格を有するということで、現行法では配当の決定を含めた利益処分の決定権を株主総会の権限としておりますので、改正法案におきましても、こういう趣旨から自己株式の取得の授権決議は株主総会の権限としたところでございます。
 消却特例法では、自己株式の取得を原則として禁止するという現行法のもとで、政策的に株式の消却を促進するという観点から、定款の授権に基づき取締役会決議で自己株式を消却できるものとしておったわけでございますが、現行法を改めまして、取得目的を問わず、自己株式の取得を認めるに当たっては自己株式の取得の本来の性質、すなわち利益処分的な性格に着目して株主総会での授権を必要とするということにしたわけであります。
 ただ、消却特例法におきましても、今おっしゃるように、弾力的に何でもできるというわけではございませんで、取締役は授権の範囲内でしか自己株式を取得することができませんし、また、かつ期末に欠損が生ずるおそれがある場合には自己株式を取得することができないということになっておったわけでございますので、やり方は若干違いますけれども、自己株式の取得の機動性が大きく違うということにはならないものと、このように思っております。
#187
○魚住裕一郎君 また、今回の改正では、先ほども話が出ました法定準備金の減少手続でございますけれども、資本維持の原則に反するのではないかというような指摘がなされたところでございますが、この点につきましても、消却特例法は資本準備金による自己株式の取得を認めているわけでございますが、それと比較すると、今度は債権者への個別催告というものを省略できないというふうになっているわけですね。そうすると、債権者保護という観点からすると厚くなっているのではないかというふうにも思われるところでございますが、債権者への個別催告を省略できないというふうにしたのはなぜでしょうか。
#188
○衆議院議員(谷口隆義君) 法定準備金の減少というのは、会社債権者の引き当てとなるべき財産が減少するという意味合いにおいて、先生がおっしゃるように、資本充実の原則を守らなければいけないわけでございますから、資本の減少と同じ意味合いを持つわけでございます。そういうこともございまして、今回、官報に公告をし、また知れたる債権者に個別の通告を行うといったような債権者保護手続が適切であるというように考えたところでございます。
 なお、今おっしゃいましたような、今回のこの法案によって廃止される消却特例法におきましては、資本準備金を原資とした自己株式の消却に伴い資本準備金を減少する場合には、その債権者保護手続において個別催告を省略できるものといたしておるわけでございますが、この制度は時限措置として例外的に設けられたものであるという意味合いにおいて、今般、この法改正におきましては、商法本則に位置づける場合には他の制度との整合性も踏まえて個別催告を必要といたしたものでございます。
#189
○魚住裕一郎君 ありがとうございました。
 ただいまの説明によって、今回の改正が単に過剰な規制を緩和する、そういうだけではなくして、不十分な規制というものを見直し、そして自己株式取得制度というものをより合理性のある、また先ほど午前中の参考人の御意見もございましたが、国際的に見ても、諸外国の制度との整合性のとれた制度につくり変えていこうと、そういう努力の跡がうかがわれるところであると思います。
 非常によく検討されているなというふうに敬意を表するものでございますが、やはり最後に残された問題は、インサイダー取引でありますとか相場操縦という、そういった不公正取引をどう防止するのか、そういうことではないかなというふうに思うところであります。
 先ほど申し上げましたけれども、今回の金庫株の解禁は与党の証券市場等活性化対策の一環として議論を進められたものでございますけれども、これらの対策の大きなテーマというのは、株式市場へ個人投資家をどんどん参入をしていただく、そして証券市場を活性化させる、そして我が国の経済の活力をよみがえらせる、そういうふうに私自身認識をしているわけでありますが、それには何よりも証券市場の公正さ、これを確保する必要がありますし、それによって個人投資家が安心して参加できるマーケットというものが一番大事ではないかというふうに思うところであります。
 今回の金庫株の解禁というのは、企業経営を向上させることによって株式投資の魅力というものを高めることにつながるというふうに思うわけでありますが、これに伴って不公正取引が横行してしまう、それによってマーケットへの信頼を損なう、そういうことになりましたら、この経済対策の目的も達せられないところになるわけでございます。
 そこで、今回、金庫株解禁に伴いまして、不公正取引を防止するためにどのような措置がとられているのか。まず、自己株式の売買は、会社の内部情報を知る会社自身が行うものでございますので、内部情報に基づく不正な取引が問題となるわけでありますが、こうした自己株式の売買に伴うインサイダー取引はどのように防止されるというふうに考えたらいいでしょうか。
#190
○衆議院議員(小池百合子君) まず、インサイダー取引規制でございますけれども、これまでは証券取引法によりまして、会社関係者などが会社の業務に関しましての重要事実、これを知った場合には、それは公表された後でないとアクションを起こせないということでございまして、それに対しての取引規制を定めてきたところでございます。それから、今度は法人、会社自身でございますけれども、両罰規定によりまして、インサイダー取引規制の対象となっておりました。
 今回の金庫株の解禁、これに際しまして、この自己株式の取得、処分、それにかかわる決定を重要事実として加えるということにいたしておりまして、発行会社、そして会社関係者、まさにインサイダーでございますが、この決定が公表された後でなければその会社の株式の売買ができないことといたしております。
 そしてまた、発行会社でございますが、自己株式の取得や処分にかかわる決定だけではなくて、この会社の重要事実をすべて公表した後でなければ自己株式の売買を行うことができないということで、一方で自由にすると同時に、こちらの方は、先ほどからおっしゃっておられます不公正を防止するということで規制を強くしたというところでございます。
#191
○魚住裕一郎君 また、自己株式の取引が自由というふうになりますと、会社みずからがそれを利用いたしまして価格を操作する、いわゆる相場操縦のおそれがあるのではないかというふうに思うわけであります。
 アメリカでは、相場操縦を防止するために、SECがセーフ・ハーバー・ルールというものを定めているということでございますけれども、今回の法改正、証券取引法の一部改正で、どういうような相場操縦の防止について措置が講じられているのか。必要であり、かつ適当な事項を内閣府令に委任するというような規定ぶりだったと思いますけれども、何か全部内閣府令にお任せするというのも何かなと思っていますが、その概要というものをお示しいただきたいと思います。
#192
○衆議院議員(小池百合子君) 相場操縦の防止に関連いたしまして、アメリカのセーフ・ハーバー・ルール、どれほど参考にしているのかという御質問だったと思います。
 その前に、相場操縦の禁止規定、これまでは証券取引全般を対象といたしましたけれども、今回のこの金庫株の解禁、つまり自己株式の取得、処分の際の相場操縦を防止するということで、一定の要件を遵守すべき旨を定める規定の新設ということが、これが今御指摘のセーフ・ハーバー・ルールの方につながっていくわけでございます。
 中身がどんなものなのかということでございますが、要約いたしますと大体五点ございまして、まず一番目に、一日に一社のみの証券会社を通じて自己株券の買い付けを行うということで、証券会社の数の規制です。二番目、証券取引所の取引終了時刻の直前三十分以外の時間に自己株券の買い付けを行うものとすることということで、時間。三番目、この自己株券の直近の売買価格を上回らない価格において自己株券の買い付けを行うものとする、価格。四番、一日のうちにこの自己株券の一カ月間の一日平均売買高の百分の二十五、または適切な単位として別に定める数量のいずれか大きい方を超えない範囲で自己株券の買い付けを行うものとする、量です。それから、五番目が店頭銘柄の件でございますけれども、それぞれの特徴に応じて修正を加えた上で、今申し上げましたようなルールを定めていくということでございます。
 アメリカのセーフ・ハーバー・ルールは参考に当然いたしているわけでございますが、アメリカの市場、マーケットの事情、そしてまた日本の市場環境、それぞれ違った点もございますので、現在その市場関係者とすり合わせた上でこの内閣府令を定めるということでお願いをしております。
 ただ、これは市場の透明性であるとか公正性を確保するためのものであり、またこの金庫株の解禁によって市場がどうも怪しいぞなどということになりましたら株式市場全体のマイナスになるわけでございますから、そういったことがないように内閣府令の中身についてもしっかりと見ていきたいと思っております。
#193
○魚住裕一郎君 かなり踏み込んで御説明をいただきましてありがとうございます。しっかりしたルールをぜひ定めていただきたいと思います。
 今まで、インサイダー取引やあるいは相場操縦の防止についてお聞きをしたわけでございますが、やはりマーケットの投資家の信頼をかち得るという場合には、やはり投資家へのディスクロージャー、情報開示の充実というものが不可欠であると考えておりますが、今回のこの自己株式の取得や保有について、このディスクロージャーという観点からどのような対応がなされているんでしょうか。
#194
○衆議院議員(小池百合子君) ディスクロージャーに関しましては、これまで三カ月ごとに自己株式取得の総数、価格、総額、取得の進捗状況など、発行会社から報告、提出がされていたところでございます。自己株券買付状況報告書でございます。これまでは三カ月でありましたこの報告を、証取法二十四条の六を改正いたしまして、自己株式の取得の定時総会の決議後、そして次期定時総会まで一カ月ごとに提出をするということでその期間を区切る、そしてその中身をより広く公開するということと定めさせていただきました。
#195
○魚住裕一郎君 不公正な取引を防止するためにさまざまなルールの整備が行われているということでございますが、最後にこのルールの運用の側面、監視体制ということでございます。
 先ほども質問がございましたが、平成四年の証券取引等監視委員会の活動ぶりが紹介されたわけでございますが、アメリカのSECと単純比較をするわけにはまいりませんけれども、かなり規模も違うというような思いがございます。これからもっとこの体制というものをしっかりさせていかなきゃいけないと思いますが、それには人員の確保ということも大事な要素になるというふうに思っております。
 ただ、行政当局の側から定員や予算の増加を求めるというのはかなり現状の時世の中では難しいかなというふうに思うわけでありますが、この機会にぜひ与党の提案者の皆様から監視体制の整備というものにつきまして決意をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
#196
○衆議院議員(小池百合子君) まさに、おっしゃるとおりでございまして、現在二百六十五人の定員ということでございますが、今年度において画期的な十二人を増員したと大変胸を張っておられました。
 やはり、これまでの事前規制から事後監視ということでパラダイムを変えていくわけですから、これから必要な部分、部署に必要な人員を、一人二人といったような単位ではなくて、むしろもっと大胆に動かしていく必要があるんじゃないかというふうに思います。省庁のそれぞれ縦割りの中で、あっちに一人こっちに二人と貸し借りの状態でやっていると、そういったパラダイム変更には追いつかないのではないか、そこは政治力が必要ではないかということを認識いたしておりますので、その時期が参りましたらしっかり応援団になって頑張ってまいりたいと思っております。
#197
○魚住裕一郎君 ありがとうございました。
#198
○橋本敦君 前回は、資本充実等の原則の関係から商法の基本原則の大きな転換であるということから私は質問をいたしまして、本法案がその大事な資本充実の原則にももとるという問題点を幾つか指摘しました。
 続きまして、それに関連をしてきょうは質問させていただきたいんですが、私が見ましたところ、日経ビジネスの二〇〇一年一月二十九日号に非常に重要な指摘があります。
 どう指摘しているかといいますと、「今回の金庫株解禁が経営不振企業の株価対策だとすれば、動機が不純と言わざるを得ない。」。こうした上で、「余剰の資本がない企業が自社株買いを行う場合、原資は取引銀行からの追加融資などになる。その場合、株価は一時的に上昇しても、借金依存体質は一段と強まる。」、こう指摘しています。そうだとすれば、まさに健全な会社の体質を守るということになるどころか、逆になるわけですね。
 また、一方、ことしの一月十六日の日経新聞の社説ですが、次のように言っています。
 「日本の現状での金庫株は株価対策の意味をなさない可能性が強い。収益力や財務内容に比べて株式の供給が過剰な企業が、自社株を購入する十分な資金を持っているケースはまれだからだ。」。今日の経済事情のもとで実態はそうだというわけですね。そこで、借入金などで調達した資金を充てれば、財務体質が悪化して格付が下がる、そのために社債などで調達をしようとすれば調達コストが上がるおそれがある、これも当然の指摘ですね。
 だから、こうして今の現状の中での自社株買い全面解禁、金庫株の全面解禁ということは、提案者がおっしゃるような方向ではなくて、逆にこういった会社の財務体質の悪化あるいは資本充実の原則にもとるということを一つは誘発して、そういう状況から、健全な会社の発展に資するとは逆の方向になるのではないかという指摘がなされている。こういう指摘に対して提案者はどうお答えになりますか。
#199
○衆議院議員(金子一義君) 今の先生の御指摘は、必ずしも健全でない会社というのをちょっと前提に置かれたというふうに認識しておるのでありますけれども、自己株取得ができるというのはあくまでも配当可能利益の範囲と。したがいまして、それがないところは残念ながらこれはなかなか使えない。
 同時に、新聞で御指摘ありましたような株価対策で余り意味がないだろうと、これは私たちも一時的にそういう需給対策として使われるというのは必ずしも本意ではありません。何遍も申し上げているとおり、企業がいろいろな形で産業再編成をやる、そういうものを通じて、何のためにやるかといったら、競争力をつけてもらうために、つけるために経営者はやるわけですから、そのことを通じて競争力が上がって収益が上がって、そしてその結果、株価が上昇してくるという、そういうむしろコンテンツで我々はとらえておりますものですから、あくまでも冒頭のお答え、配当可能利益でありますものですから、それもない、キャッシュフローベースで金を借りてきてやればそれでできるかという話とはちょっと御指摘が違うのではないんだろうかと思いますが、いかがでしょうか。
#200
○橋本敦君 まず第一点は、提案者がおっしゃるような期待される方向だけに進む会社がすべての会社であるわけではないんですよ、現状の厳しい状況はね。だから、問題を指摘しているわけです。
 それから、もう一つの問題は、この自社株買いを会社が、その資金の借り入れ、こういったことが金融機関からの融資などを受けてやるという、そういうことは絶対にないということをおっしゃるのかどうか。そうおっしゃるというのであれば、この日経ビジネスなり日経新聞の社説が言っている借入金などで調達するというそのこと自体が法律上絶対にできないというなら、まさにこの経済専門誌の指摘は法律を理解しないで間違った指摘をしていることになるでしょう。そこをはっきりしてもらいたいと思うんです。
#201
○衆議院議員(金子一義君) 私が申し上げたのは、配当可能利益がない、場合によっては利益がないところが金を借りて、そして自己株取得をされるということは、我々が期待している話ではない。
 一言申し上げれば、現実には配当可能利益でやろうというところは、自己の預金を取り崩して現物、自己株を買ってくるか、もしくはそれは温存しておいて企業から金を借りてくるか、それを制限するものでは全くありません。それは経営の判断だと思います。
#202
○橋本敦君 だから、借入金が一切ないというわけではないと、こういうことでしょう。
#203
○衆議院議員(金子一義君) そのとおりです。
#204
○橋本敦君 だから、そのところに問題があるわけですよね。
 そこで、そういったことが会社の財務体質を非常に弱くするということにならないという保証はないし、さらに経営不振の会社ほど経営体質を改善しているように見せかけるためにも、借入金を無理にして、そしてそれを原資に回して、自己株を取得して株価の引き上げをやるといういろんなことを行われるという、そういう可能性がないとは言えないという心配があるんですよね。
 その次の問題に移りますけれども、この金庫株には議決権はないわけですね。これは確認です。
#205
○衆議院議員(金子一義君) 議決権はございません。
#206
○橋本敦君 そうですね。
 そのことから、経営者の会社支配を容易にし、それを維持、固定化させるために会社資金が使われて自社株取得が行われるという危険性を指摘している学者の意見もあるし、私もそういう問題は確かにあるというように思うんです。
 だから、自己株式の取得によって議決権の総数が減るわけですから、そうなりますと、株主総会で多数を占める必要な株式数というのはそれだけ少なくて済みます。だから、自己株式の取得によって会社が、経営者が、経営者に反対する人たちの株式取得、それを困難にならしめ、あるいはそれを少なくすれば、経営安定ということで経営者の支配の固定化ということが行われていることに使われないという保証はないんじゃないですか。そういう心配は一切ないと言えますか。
#207
○衆議院議員(金子一義君) おっしゃる御趣旨はよくわかります。現行の自己株消却の場合も同じ現象が起こり得るという現状ですよ。同じ状況であると思っております。
 ただ、これを取得いたしますときに、御存じのとおり特定の人からの売却ではありませんから、そういう意味では、特定の人の口を封ずるかという、公募いたしますから、そういう意味ではその点はちょっと指摘をあえてさせていただきたいということと、もう一つ基本的に、これは株主総会で授権をされていく、その段階で何に使われるのか目的を定めずにやりますので、しかしその次の株主総会でそういう状況、事態というものをこういう株主総会で、情報公開の時代でありますから、今、先生が御指摘をされたような状況というのがもし出てくれば、経営者に対しては非常に厳しい指摘が出てくると思っておりまして、そういう意味で、おのずからそこの制御というのは働くんじゃないだろうかと思っております。
#208
○橋本敦君 今おっしゃった問題の一つは、市場価格がある株式については原則として市場取引ですから、それはよろしいんですよ。しかし、市場取引ばかりじゃなくて、市場価格のある株式であっても、売り主について、株主総会の特別決議をやれば他の株主にも売り主になる機会を与えるという条件ではありますけれども、市場価格のない株式と同様に特定の買い付けができるということでしょう、仕組みは。
 そうなりますと、会社経営者がこの特別決議を会社で行って、特定の株主からそういう株式を取得するという方法で自分に有利な株式を集めるということが絶対にないという保証はないじゃありませんか。全部が市場価格の買い付けじゃないんですから、会社の特別決議をやれば特定株主から買い受けられるんですから。そこのところの問題は残りますよ。どうですか。今の先生の御答弁にもかかわらず残りますよ。
#209
○衆議院議員(漆原良夫君) 今おっしゃったようなことは一〇〇%ないのかとおっしゃれば、理論上はあるかもしれない。だけれども、今回、相対取引でやる場合にも特別決議という、商法において特別決議を要するというのは物すごく重大な決議方法でございますから、特別決議を要するというふうにした点で私は公平性は担保されているんじゃないのかなというふうに考えております。
#210
○橋本敦君 理論的に私が指摘した問題がないわけじゃないということをお認めの上で、特別決議の重大性から今の御答弁があったわけですね。
 もう一つ問題でありますのは、特定株主への自社株買い取り価格の問題なんですよ。市場価格は、これはいいですよ。ところが、特別決議で特定株主に対する買い付けをやった場合にそれが適正価格か否かということの担保、保証はどうなりますか。
#211
○衆議院議員(漆原良夫君) これは先ほど金子提案者の方から申し上げたように、最終的には株主総会に対する説明責任ということになろうかと思っております。
#212
○橋本敦君 そこで、株主総会特別決議というのがなかなか容易なものじゃない、それなりに株主の利益、債権者の利益、会社の利益を考えて、かなり重い要件だということからおっしゃっているんでしょうが、理論的には会社支配ということが可能である状況というのは現実の会社であるんですよ。例えば、小川議員が指摘をされた一株二百万というのは、こういう高価な株についてそんなにたくさんの人が持っておるわけじゃありませんから、特別決議ということで特に単位株制度が行われるということになれば、なおのこと特別決議が本当に株主全体の平等を保障する上で行使されるかどうか、重大な問題を今回の問題ははらんでいると思いますよ。
 次に、相場操縦の問題について、時間がありませんから、話を移してまいります。
 この問題は極めて大事な問題ですから、多くの委員からも指摘されました。先ほどは内閣府令でこの問題について一定のガイドラインをアメリカのセーフ・ハーバー・ルールに基づいてつくるというお話もございました。
 そこでお伺いしますが、今考えられているのは、アメリカのセーフ・ハーバー・ルール、それを超えるようなものは何か考えられていらっしゃるのか、大体それが基本だということなのか。先ほどの小池議員の御説明を聞いていますと、大体アメリカのセーフ・ハーバー・ルールそのものかなという感じがしますが、そういうものなんですか。
#213
○衆議院議員(小池百合子君) 先ほど、魚住議員のときに要件五点ほど御説明をさせていただきました。そしてまた、セーフ・ハーバー・ルールを参考にしているのは申し上げたとおりでございますけれども、日本の市場の環境とアメリカの環境と取引の状況なども若干違っておりますので、そのあたりで今、日本にとって最も効果のある、そしてまた取引を妨げない、そういったところを検討しているところでございます。
#214
○橋本敦君 では、その一点で伺いますが、今お話を伺った、先ほどの御答弁の中にありますが、当該自己株券の直近の売買価格を上回らない価格において自己株券の買い付けを行うものとするということがございました。この問題ですけれども、直近の売買価格を上回ってはならないということですが、これは株主総会の特別決議によって、今、私が聞いたように、特定売買取引をやる場合は、これは市場価格との関係で株主総会の特別決議で価格を決めることになるわけでしょう。
 そうしますと、この直近の売買価格を上回らない価格においてやるというのは、これは特別決議を株主総会一々その都度開いているのはとてもできるわけじゃありませんから、実際可能になるんですか、どうですか、これ。私は不可能な規定だと思いますよ。市場に出ている株価ならよろしい、そうでなければこの規定は生きないんじゃないですか。現実に運用できないんじゃないですか。
#215
○政府参考人(乾文男君) 今御指摘になりました特定の株主から自己株式を買い取る場合の特別決議でございますけれども、この場合、売り主となるべき株主や買い受ける株式の数、価格等につきまして、この特別決議によりまさに承認を要するものでございますし、またその売り主以外の株主にも売り主に自己を追加することを請求する権利を与えることとされているわけでございます。
 このように、相対取引による自己株式取得につきましては、提案されておりますこの商法の中で厳格な規制が置かれまして、恣意的な価格で株式を買い受けることは困難となっておりますことから、相場操縦が行われるおそれも小さいと考えられます。
 したがいまして、今後、制定を予定しております内閣府令でございますけれども、当面、その内閣府令の要件は市場で買い付ける場合について定め、相対取引につきましては対象としないことで十分ではないかというふうに現時点で考えているところでございます。
#216
○橋本敦君 私は、それは問題だと思いますね。市場取引だけ決めていいのだろうか、相対取引は決めなくていいのだろうか。私は問題があると思いますよ。
 それから、もう一つ伺いたいのは、この内閣府令で定める省令に違反した場合の効果はどうなるんですか。これは金融庁で結構です。
#217
○政府参考人(乾文男君) 今回の制定しようとしております内閣府令に違反した場合には、三十万円以下の過料が科されるということになっておるわけでございます。
#218
○橋本敦君 三十万円以下の過料というのは、それはどこで決まっているんですか。どこで決まっているの、三十万以下というのは。
#219
○委員長(日笠勝之君) 橋本君、もう一度御質問できますか。
#220
○橋本敦君 今お話しいただいた三十万円以下というのはどこで決まっていますか。
#221
○政府参考人(乾文男君) 今回提案されております商法改正の整備法の中での証取法の罰則等を定めるところで規定が置かれていると承知しております。
#222
○橋本敦君 それは前からある規定ですか、今回特につくった規定ですか。
#223
○政府参考人(乾文男君) この内閣府令の根拠となります証取法百六十二条を新設することに伴いまして、その百六十二条に違反した場合にそのような過料を科するという規定が提案されているところでございます。
#224
○橋本敦君 それ以外に、この省令に違反する、内閣府令に違反した場合、会社の経営責任なり会社の責任を問うという手続はあるんですか。
 これは提案者でも結構ですが、金融庁でも結構です。罰金以外に経営責任を問うということ、例えば行った買い付け行為を無効にするとか、そういった処分ができるのかどうかということ、会社に対して。罰金だけでいいですか。
#225
○政府参考人(乾文男君) これは、証取法は市場のルールに違反した場合に一定のペナルティーを科していくというものでございまして、そうした経営責任のことについて定める法令ではないというふうに承知をしております。それは、会社自身ないしは株主総会で追及されるべき問題だと考えております。
#226
○橋本敦君 そこに一つの大きな問題が残るんですよね。株主総会で追及してもらう、あるいはその他の会社の経営責任をその他のところで追及してもらう。じゃ、それは一体どこで追及できるか。株主代表訴訟ということもあるかもしれません。あるいは株主総会ということがあるかもしれない。株主総会なんてしょっちゅう行われないんですから。そうでしょう。
 ですから、それを追及するという、平素からまさに内閣府令に違反するインサイダー取引あるいは株価操縦など金庫株解禁に伴ってやっているという事態が起こったときに、会社の健全性をきちっとチェックをしていくという、そういう意味での経営責任あるいは会社の責任を担保していくという、そういう法機構といいますか、法制度は基本的にないんですよ。専ら金融庁のそういう調査ということが重要なことになってくるわけですね。
 そこで、金融庁の調査ということについて話を移していきますが、現在、証券取引等監視委員会の体制として、委員長以下総人数は何人いらっしゃるということでしたか。
#227
○政府参考人(五味廣文君) 監視委員会事務局並びに地方財務局におきまして監視業務に携わる者、合わせまして二百六十五名、これに委員長及び委員二名の三名が加わることになります。
#228
○橋本敦君 その二百六十五名全員が監視業務に携わるという意味ですか。
#229
○政府参考人(五味廣文君) 監視委員会の業務は大きく三つの柱からできておりまして、一つは今話題になっております株価操縦などの取引公正を害する悪質な違法行為に対する犯罪捜査、犯則調査を強制捜査権限も必要に応じて使いながら行うという機能。
 それからもう一つは、証券会社に対して公正取引ルールを守っておるかどうかということを検査に入ります。これは、犯罪捜査の目的ではない目的で入りまして、そうしたルールの遵守状況を確認し、必要があれば行政処分の勧告につなげていく、こうした検査の機能、取引検査と呼んでおります。
 それから三つ目は、日々の市場におきます値動き、あるいは例えばインサイダー取引関連でございますれば、証取法百六十六条に規定されております重要事実の公表がありました都度、会社関係者等の取引が行われていないかどうかということを日常的に市場監視を行っていくという、こういった市場監視、取引審査部門と呼んでおりますが、日常的な市場監視。
 こういった三つの機能を果たしておるわけでございます。二百六十五名と申しますのはこの総体の人数でございます。
#230
○橋本敦君 だから、現実に監視機能を今おっしゃった三つの部門で担当する人数ということになりますと、何人になるんですか。
#231
○政府参考人(五味廣文君) 監視機能とおっしゃいますのは、犯則調査のところという理解をさせていただいてお答えさせていただきますと、約七十名がこの犯則調査に携わっております。
#232
○橋本敦君 極めて少ないということがわかりますね。
 アメリカと事情は違うけれども、先ほど議論の中にありましたが、アメリカのSECは、職員数は二〇〇一年度で定員は全体で三千二百八十五名という資料を金融庁からいただいておりますが、この資料は数字は間違いございませんね。
#233
○政府参考人(五味廣文君) そのとおりでございます。
#234
○橋本敦君 そこで、アメリカとは簡単に比較はできないと思いますが、今の人数で日本で証券取引等監視委員会が正確にまた適正にルールを守っているかどうか、インサイダーあるいは株価操縦の違反があるかないかといったことで目を光らせなきゃならぬ対象会社数というのはこれはもうとんでもない数だと思いますが、どのくらいの数だということになるんですか。
#235
○政府参考人(五味廣文君) 私どもの、これは東京証券取引所上場企業で二〇〇〇年度末、二千七十二社でございます。
#236
○橋本敦君 東京証券取引所だけでそれだけです。だから、全国的なベースでいけば大変な数になるわけでしょう。
 したがって、例えば日経の二月九日付の「不公正取引の防止」、「規制と監視両面に課題」という記事を私は読んで、まさに重要な指摘だと思いました。
 それは、相場操縦にしても、インサイダー取引規制の明確化にしても、どんなルールをつくるかは今後の作業ということになっているんですが、インサイダー取引のセーフ・ハーバー・ルールのような具体的な規定が必要という議論もあるけれども、重要事実を知ったか知らないかを外形的標準で判断する、証拠をつかむというのはこれは至難のわざであるという指摘が大和総研から出されているというのは僕は当たり前だと思うんですよ。監視委員会も大変な御苦労をなさっていますよね。
 したがって、これまでの告発件数を監視委員会から伺ったところによりますと、先ほどもお話がありましたから数字は出ていますが、この五年の間で三十数件という状況にとどまっているわけですね。件数はどうですか。
#237
○政府参考人(五味廣文君) 先ほどお答え申し上げましたのは平成四年度以降の告発件数でございます。最近のというお話になりますと……
#238
○橋本敦君 五年間でいいです。
#239
○政府参考人(五味廣文君) 最近五年間での告発件数は、インサイダー取引で十一件、相場操縦で三件の告発を行っております。それ以外の案件も多少ございますけれども。
#240
○橋本敦君 今、私が指摘した、事実の解明、追及、資料の収集が困難な相場操縦、インサイダー取引というのは極めて少ない、一年間に三件程度しかないということもあるんですよね。
 したがって、立派な規制を内閣府令でつくったとしても、こういったことをチェックする執行体制がしっかりしていなければまさにぐあいが悪いということはもう言うまでもないわけですから、日本での証券監視委員会が市場を監視していらっしゃるのは、少ない人数で大変な苦労をなさっていますから、この法案をつくるというそういうことを緊急に急ぐ前提として、そういった規制と監視、この両面でしっかりした体制をつくるということはともに進んでいなきゃ、これは本当に健全な会社関係の原則を守って発展させるということをやっていけませんよ。緊急経済対策だということで、商法の基本原理を大転換させて、しかも多くの課題とマイナスを残すということになったら大変じゃありませんか。
 そういう意味で、私は法務大臣に来ていただいたのは、提案者の皆さんも、この体制の整備は大事だから人員の獲得その他予算についても提案者の側として努力するということは先ほどから御答弁なさっていますから、それは当然として、この法案に私のところは反対ですけれども、これはでき上がった以上は、証券監視等委員会の体制整備に人員の拡充も含めて思い切った予算をつけて、我が国の会社関係の健全な発達のためにも努力していただく体制をつくらなきゃならぬ。
 そういう面で、法務大臣にもその点の努力はお話を聞いていただいてぜひやっていただきたいということを私はお願いをしておかなきゃならぬという気持ちなんですが、大臣、いかがでしょうか。
#241
○国務大臣(森山眞弓君) 今回の改正法案で実現されることになります多くの事項の中にいろいろと心配なこともたくさんあるという御指摘でございまして、しかし商法を所管します法務省といたしまして、この改正に協力するという政府の方針に基づきまして、いろいろな問題点を含め、会社法制全体の整合性を図るための立場から、検討段階において必要な協力を行ってまいったところでございます。
 議員の先生方が提案された法案の内容の当否について申し上げるという立場ではございませんので、それは差し控えたいと思いますけれども、法案の内容によれば、自己株式の取得及び保有等に伴い生じかねないさまざまな弊害について適切な措置が講じられているのではないかと考えております。
 法務省といたしましても、この法案が成立いたしました暁には、その効果を十分に発揮していただけるように協力させていただきたいと思っております。
#242
○橋本敦君 時間が来ましたので、終わります。
#243
○福島瑞穂君 社会民主党の福島瑞穂です。
 セーフ・ハーバー・ルール、内閣府令に何を盛り込むかということの議論がありますが、なぜこの法案に盛り込んでいないんですか。
#244
○衆議院議員(小池百合子君) セーフ・ハーバー・ルール、内閣府令とさせていただいているところでございまして、今回、金庫株の解禁ということで、新たな取引手法にも適切に対応し得るものにしていかなければならないということでございますし、また規制が健全な取引を過度に阻害することのないように、取引の実態を踏まえて規制を機動的、弾力的に見直していく必要があるわけでございます。
 ということで、先ほどから出ておりますアメリカのセーフ・ハーバー・ルール、これを実態に合わせたものにしていくために、行政の側、内閣府の方にこのルールの設定をお願いしているところでございます。
#245
○福島瑞穂君 それは問題だと考えるんです。つまり、国会の審議を経ていない。株価操作やインサイダー取引や、私たちの中では質問がたくさん出ているわけです。それをどうクリアするかということに関して国会の法律の中ではやらないわけですから、内閣府令についてのこうなりますという説明はあったとしても、国会の審議、条文でチェックをすることを私たちはできないという点でざる法ではないでしょうか。
#246
○衆議院議員(小池百合子君) 衆議院での審議の際にも社民党の先生から同じような御指摘をいただいたのでございますが、この金庫株、海外の例を見てみましても、アメリカでもこれはSECの規則においてセーフ・ハーバー・ルールが設けられている。さらには、フランスではCOB、これがアメリカのSECに当たるものでございますけれども、こちらの方で自己株式取引の要件が規定されておりまして、金庫株は世界じゅうどこでもやっているわけではございませんが、今申し上げましたような金庫株を解禁している国々の例を見ましても、これはむしろ行政の要件とさせているということがございます。
#247
○福島瑞穂君 今、アメリカのSECの例がありましたが、先ほどからの答弁でも明らかなように、日本の制度とアメリカのSECのシステムは格段の違いがあります。それを前提に説明をしていただいても納得ができません。むしろ逆に、こういう法律をつくるのであれば監視組織をきちっとつくってからやるべきではないでしょうか。
#248
○衆議院議員(小池百合子君) 監視組織につきましても、これまでも御説明が行政の側からもございました。いろいろともっと人手が欲しいという点もございますけれども、それもこの進展に伴いましてしっかりと担保していきたいと思っております。
#249
○福島瑞穂君 順序が逆じゃないでしょうか。監視組織をきちっとつくり、どのような中身をやるかをやった上で、金庫株をもし導入するのであればやるべきだと考えますが、いかがですか。
#250
○衆議院議員(小池百合子君) しかるべき法律、そして規則、さらにはそれを今後監視していく、そういった必要なものは既にそろっていると考えております。
#251
○福島瑞穂君 先ほど他の委員からの質問もありました。例えば、株価操作に関しての摘発例が四件だということでした。それで十分対応できるのでしょうか。
#252
○政府参考人(五味廣文君) 現在の体制で、もちろん新しい行政需要が出てまいりますれば、それにこたえるべく最大限の努力を当然するわけでございます。
 四件が多いか少ないかというお話でありますが、証券犯罪というのは、御承知のように、通常の殺人や窃盗と違いまして、摘発があって初めてそこに犯罪があったことが判明する、こういう性格のものでございます。したがいまして、四件が本当に多いのか少ないのか、それだけだったのかというお話があってもこれはお答えのしようがないわけでありまして、日々厳重な監視を行い、現在の体制ででき得る限りのことをやっているということでありますし、私どもの使命は、公正な市場を確保するということによって投資家を保護することでございますから、それに必要な範囲で昼夜兼行ベストを尽くすということでございます。
#253
○福島瑞穂君 ベストを尽くして仕事をしていらっしゃることは大変よくわかります。しかし、これだけ株価の取引が大量になされている中で株価操作の摘発が四件というのは、やはり分母に対して分子が少ないというふうに考えます。
 責めているのではなく応援、新しく日本の中でもきちっと組織をつくるべきではないかという観点からの質問です。むしろ、摘発が困難であるということはないのでしょうか。
#254
○政府参考人(五味廣文君) インサイダー取引の場合も似たようなケースがございますけれども、相場操縦規定、証取法百五十九条は、御承知のように、相場を動かすということによって誤解を市場参加者にもたらす、あるいは相場を操縦するという意図で株価を動かしていく、こういう構成要件になっておりますから、意図を立証するというのはなかなか大変でございます。
 それから、インサイダー取引の場合は第一情報受領者に対してどういう情報伝達ルートで情報がもたらされたのか、こういうものは通常、物証が残っておりませんし、自分で白状する間抜けもおりませんから、大変にこれは摘発が難しい犯罪でございまして、そのために日夜、情報収集に努め、また研さんも積んでおるわけでございます。
#255
○福島瑞穂君 意図が非常に難しいということなんですが、緊急経済対策として株価を上げるわけではないにしても、この間の御答弁にありますように、株価が上昇することを考えているという旨の答弁がありました。これこそが、これは株価操縦ではないかという学者の意見もありますが、いかがですか。
#256
○衆議院議員(小池百合子君) このものが株価操縦に当たるのではないか、そういうふうには私どもは全く考えておりませんで、やはり株式市場というのがこれからも活発になっていく、今は日本の経済、それを反映する株式市場が大変困難な状態にあって、それが全体に響いているということはかなり共通した認識ではないかと思います。
 これによって、株式市場にございますさまざまな規制を取り除くことによって、またいろいろな新しい方法を取り入れることによって、経営判断、そしてそれの選択肢をよりふやしていくということをシステムとして考えていくのはこれは政治の力でもあろうというふうに思っております。よって、これは株価操縦ということではなくて、日本の経済全体のことを考えたその結果であるというふうに考えております。
#257
○福島瑞穂君 金庫株によりまして市場に流通する株式の数は減っていくと、むしろ市場が狭まるということも考えられます。先ほどから、一つの立法理由が競争力をつける、競争力を上げるということが言われております。どうしてこれをやれば競争力がつくんですか。
#258
○衆議院議員(金子一義君) 企業が合併をする、もしくは分社化をして自分の不得意なところを捨てて得意なところに資源を集中していくというお互いの再編というのが今いろいろな分野で行われております。そういうものにこれが代用株として使われる、その結果としてその企業のより得意性のある分野に資源を集中していくわけでありますから、結果としてそれが競争力をつけていく。その結果として株式の価格が上がっていくということを申し上げているわけであります。
#259
○福島瑞穂君 済みません、ちょっとよくわからないんですが、合併をしたりするときに得意な分野に集中する、金庫株をやることとその関係についてもうちょっと説明してください。
#260
○衆議院議員(金子一義君) 通常ですと、A社、B社二社が合併をするという場合に、被合併会社をB社としましょう、A社が合併会社。その場合に、被合併会社であるB社の株主に対してA社が、合併するんですから、A社の株式を新たに、これまでであればA社の新株を発行してB社の株主に与えるということが合併の場合は必要になってきますよ、被合併会社のB社では。そうすると、A社は、自分の会社が新たに新株を発行しなければいけないという、こういう行動が出てきますものですから、そういう意味では、さなきだに株式過剰というような状況のときにまた株を発行するのか。発行すれば、当然でありますけれども、配当負担も将来的に負担するのかということが出てまいりますけれども、現物株を金庫株としてそれに活用すれば、持っている株、市場からA社が自社の株を買ってきて、それをB社の、被合併会社の株主に代用株として交付するということができるようになることによって、今申し上げたことが防げるという意味であります。
#261
○福島瑞穂君 株式の自己消却ではだめなんですか。金庫株ではなくても、株式、自己消却をすればいいわけじゃないですか。自己株式の消却をすればよいのではないんですか。
#262
○衆議院議員(金子一義君) ちょっと御趣旨がよくわかりません、御質問が。
 消却しちゃったらもうそれでおしまいですから、合併のときに使いようがありませんよね。
#263
○福島瑞穂君 では、今、合併の件で競争力をつけるという説明をされました。合併は起こり得るけれども、常に起きるわけではありません。合併以外の例で、なぜ金庫株をやることが競争力をつけることになるのか、説明をしてください。
#264
○衆議院議員(金子一義君) 先生の御指摘は、自己株を消却すればそれでそれなりの意味があるではないかという御指摘はそのとおりだと思っております。
 ただ、今は合併だけ申し上げましたけれども、そのほかに株式の交換ですとか、それから分社化とか、いろいろな形態が世の中で起ころうとしております。それに対応する方法というのは今ありません。すべて新株を発行するということにつながってまいります。そういう意味で、消却をしてしまったらば、今申し上げたような企業再編、いろいろな形態がございますけれども、これに対応できません。そういう意味で、あえて企業再編にこの代用株、代用株として使うんです。自己株の消却だけではありません。
#265
○福島瑞穂君 申しわけないんですが、ちょっとよくわからないんですが、つまり金庫株の導入のこと、なぜ導入するかということのお聞きをしていて、きょうは、再編に役立つからという説明があるわけですね。
 ところが、ずっと一貫してこの委員会で質問しているように、資本充実の原則から問題があるのではないかということが実は最大の論点になっています。むしろ、企業の再編をやっていくときに資本充実の原則の問題が起こり得るということは逆に危険ではないかと考えますが、いかがですか。
#266
○衆議院議員(金子一義君) ちょっと御質問の趣旨が、資本充実の原則の話と企業再編の話とは少し議論の切り口が違うんだと思います。
 既に、これも前回の御答弁でもさせていただいたように、資本充実を私たちも大事だと、そういう意味で、配当原資の中に、配当可能利益の中でこれが可能だということをまず手当てしているわけです。ですから、資本充実の原則というのはそこで一応クリアしている。
 二番目の防波堤として、資本準備金勘定に組み入れる場合には、債権者保護という点で株主総会の手続をとってください、つまり資本減少の手続をとってくださいということも第二の防波堤として組み込まれているわけです。
 私たちが想定しておりますのは、第一段階の企業再編の場合には、配当可能利益の範囲という大きな枠組みの中で行われるものと思っております。
#267
○福島瑞穂君 例えば、その資本充実の原則は、一貫してこの委員会でかなり平行線ですけれども、きちっとそれに見合うお金があるかどうかという点が問題なんですが、自己株式の取得を禁止する理由から、本当にこれがクリアできるのか、ちょっとお聞きをいたします。
 例えば、今まで自己株式の取得が禁止をされてきていたのは、原則として、原則、例外どちらかは別として、問題とされてきたのは、特定の株主を不当に優遇することとなり、株主平等の原則に反するのではないかと言われてきました。この点はどうクリアをされていらっしゃるのでしょうか。
#268
○衆議院議員(漆原良夫君) その点については、先ほど来申し上げているように、取得の際に規制を設ける、それから処分の際にもいろんな規制を設けておりまして、そういう、今回、新たに取得をする際、新たに処分をする際の商法の手当てをしておることから株主平等の原則には反しない、手当てされているというふうに考えております。
#269
○福島瑞穂君 会社の業績が悪くなると株価は下落をいたします。自己株式を保有していると経済的損失は倍加をいたしますが、この点はどうですか。
#270
○衆議院議員(漆原良夫君) この点も、先ほど来話がありましたように、私どもは取得した自己株については資産性を認めておりませんので、その株が上がる下がるということはその会社の資産に影響ないというふうに考えております。
#271
○福島瑞穂君 現経営者の会社支配権を強めるのではないかという点は先ほど小川委員もたしか聞かれましたが、いかがですか。
#272
○衆議院議員(漆原良夫君) 現経営者の会社支配権を強めるかどうかということについても、それは例えば、自己株を取得する際に、その取締役の自由な方法で取得できるわけじゃないわけでございまして、一定のルールを今回規定してありますが、そのルール、規制のもとにおいて取得されるということで、株主の権利は保護されておると考えております。
#273
○福島瑞穂君 一定のルールがあるにしろ、会社に自己株式が集中することは、それだけほかの人が入りにくい領域を広げるわけですから、その点では会社の現経営者の維持につながるというふうに考えます。
 ところで、金庫株の取得は、定時総会の決議があれば取締役会にかけることなく自由に行うことができます。会社経営者が会社の株価が低過ぎると思えば買い取ることが可能となりますが、いかがですか。
#274
○衆議院議員(金子一義君) 定時株主総会で決定をして、その範囲内で取締役会が決議で執行できます。
#275
○福島瑞穂君 前回の質問にもしたんですけれども、なぜこれが緊急経済対策なのかという点について。
 もし、緊急経済対策として立法するのであれば、時限立法としてやるべきではなかったのでしょうか。商法は基本法ですから、緊急経済対策として基本法をいじってしまえば、基本法は恒久化していくわけですから、その点で問題だと考えますが、いかがでしょうか。特例法という形の法案はなかったのでしょうか。
#276
○衆議院議員(相沢英之君) 商法の改正の一つの重要な項目として、自社株の取得を現在の消却及びストックオプションに充当する以外には認めていないという制度を改めるということは、これは法務省もかねて一つの大きな課題としておりまして、これは今秋と一応お考えのようでありましたが、その他のストックオプション制度の拡充の問題等とあわせて商法改正として提案をすることをかねて用意をされておりました項目であります。
 今回このことを取り上げましたのは、やっぱり株式市場の活性化ということを、今の株価水準ということを考えますと、何とか早急に対策を考えなければならない。その方法としていろいろなことが考えられたわけでありまして、現在検討中の、これは多少目的も違いますけれども、金融機関の持ち株を自己資本の範囲内に制限する、そしてそのための対策の一環としてその株の取得機構の創設等々、幾多の項目の一環としてこのことを考えておったのでございます。
 しかし、現下の情勢にかんがみますと、お話のございました、もう既に答弁がございましたが、やはり会社の分割、合併その他、もう少しその自社株の取得というものを容易ならしめることが現下のいろいろなそういう要請に、機動的な運営に役に立つ、こういうようなことから、この金庫株の解禁ということについての法律の改正を提案するということにいたした次第でございます。
#277
○福島瑞穂君 私の質問の趣旨は、この金庫株が緊急経済対策として提案をされている、商法は基本法なわけですから、商法が根本的に変わるような、恒久化するような改正ではなく、例えば近い制度でしたら株式消却特例法によるものというふうに、あるいは時限立法という形で立法すべきではなかったかという質問です。
#278
○衆議院議員(相沢英之君) おっしゃるように、自社株の取得につきましては、現行の消却及びストックオプションのために取得をすることになっておりますが、その対象をふやして、言うなれば特例を追加するということも一つの案として検討されましたが、しかし、先ほどちょっと触れましたが、かねてこの自社株の取得に関しては、よりその範囲を広げて、言うなれば原則として自由に取得をするということが必要であるというふうに、かねてこれは法務省においても制度の改正を検討されておったわけでございます。
 そういうことでありましたので、やはりそのことも考えまして、ただし現下のその諸要請にこたえるためには、その幾つかの商法改正の項目の中の一部を今回の市場の活性化対策の一部として取り上げることにしたわけであります。その一部を繰り上げると、こういう措置をしたわけであります。
 したがいまして、おっしゃるように特例措置をさらにふやして、もう一度さらに、自由にその自社株を取得するというようなことに再度改正を考えるという方法もあったんだろうと思いますけれども、法務省としては、やはり改正をそうたびたびするよりも、むしろ原則として自由化するというその措置を繰り上げる形の方がいいのではないかと、こういう御意見もありました。そういうことで今回の改正をしたわけであります。
#279
○福島瑞穂君 緊急経済対策というのは、今非常に不況なわけですから、緊急に経済対策をすべきであるという立法だと思うんです。私の質問の趣旨は、商法というのは基本法なので、私たちがしつこく質問しているように、資本充実の原則やさまざまな原則があるわけです。緊急経済対策で現下のもとにおいて必要であるというのであれば、商法の根本原則そのものに手をつけるのではなく、限時法なり限定的にやるべきではなかったかという質問です。
#280
○衆議院議員(相沢英之君) これは繰り返しになりますけれども、もともとそういう自社株の取得についてこれをもっとフリーにするということについては、かねて法務省がこれを早急に実現するということを検討中であったわけであります。そのこともあわせ考えまして、またその証券市場の活性化対策ということとも兼ね合わせまして、その部分について今回の改正案として繰り上げたということなのであります。
#281
○福島瑞穂君 緊急経済対策なのか、今まで自己株式の取得の緩和をしたかったのでそれをやったのか、ちょっとよくわからない。一体何なのかという感じがしますけれども、最後に、先ほどから監視機構、アメリカのようなSECの問題、もう少しこれから株価操作やインサイダー取引についての監視機構が必要ではないかという議論が出てきております。発議者としてはその監視機構についてはどうお考えか、最後に御意見をお聞かせください。
#282
○衆議院議員(小池百合子君) 先ほど来申し上げておりますように、これまでの事前規制から事後監視へとパラダイムが変わる、それに従ってというお話と、それからやはりもう一つ、間接金融から直接金融へということで、この証券取引等監視委員会の内容の充実というのは喫緊の課題であるというふうに考えております。よって、人、物、金、情報というような幾つもの要素、それから最近ではやはりITを駆使したそういった取引なども行われておりますので、それに伴っての必要な人材、そしてそれのノウハウ、そしてコンピューターなどのハード、そういった総合的な形での強化は必要だと考えておりますので、その時期にはしっかりと提案者としてそういったことを支援していくつもりでございます。
#283
○福島瑞穂君 ぜひその強化を今後も一緒にやっていきたいと思います。
 以上で質問を終わります。
#284
○委員長(日笠勝之君) 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。
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#285
○委員長(日笠勝之君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、竹山裕君、青木幹雄君及び矢野哲朗君が委員を辞任され、その補欠として須藤良太郎君、日出英輔君及び久世公堯君が選任されました。
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#286
○委員長(日笠勝之君) これより両案について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#287
○小川敏夫君 私は、民主党・新緑風会を代表し、本案に反対の立場で討論を行います。
 まず第一に、本案が会社の自己株式の取得について、その目的を問わず、すべてを許容していることから、会社が自己株式を投資運用のために購入売却することや会社の資金で会社買収の防衛策を講じることを許容している点に問題があり、これでは証券市場の公正さが大きく損なわれ、一般投資家を市場から離散させる要因となるでしょう。
 また、会社の自己株式取得に当たり、インサイダー取引を防止する方策が確立されていないまま自己株式の取得を認めることは、インサイダー取引による不正取引を助長することになるでしょう。
 インサイダー取引防止に十分な法規制を整備し、あわせてアメリカ合衆国におけるSECのように、組織機能においてインサイダー取引の防止に十分な効果が発揮できる機関を設置することが先に行われるべきであります。
 自己株式の取得を広範囲に認めることは、資本の充実を妨げ、あるいは会社経営者による地位の保身のために悪用されることも考えられます。
 さらに、自己株式を多く保有する会社の場合、企業収益の悪化が保有株式の含み損を招き、結果として会社財務の悪化を二段ばねのように加速させ、会社の立て直しを妨げることになる弊害が生じます。
 次に、単元株制度において、議決権の行使株数を千株を上限として会社が定めることとできる点は到底容認できません。これでは、高価格の株式については、単元株を高い株式数に定められた場合、大多数の小口一般投資家の議決権が奪われてしまうからであります。明らかに不当な規定であります。
 最後に、利益配当資金に充てるために法定準備金等の取り崩しを認めることも認めることができません。利益配当をする力がなければ利益配当をしなければよいのであります。これを、準備金を取り崩して配当することにより会社資金が流出することは、資本充実の原則に著しく反するとともに、一時しのぎの利益配当のために会社の財務体質をも悪化させるもので、不適切きわまりないものであります。
 よって、本案は否決されるべきであります。
#288
○久野恒一君 私は、自由民主党・保守党、公明党及び自由党を代表いたしまして、ただいま議題となっております商法等の一部を改正する等の法律案及び商法等の一部を改正する等の法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案に賛成する立場から、賛成討論を行うものでございます。
 この法律案は、自己株式の取得、保有規制を見直すとともに株式の大きさに関する規制を廃止する等の措置を講ずるものであり、我が国企業の競争力の向上を図り、経済構造改革を実現する上で有益な施策であると思うわけであります。
 すなわち、これらの施策により、合併等の際に代用自己株式の利用が可能となり、企業の機動的な組織再編が促進され、企業の競争力の向上が図られるほか、株式の投資単位の引き下げが実現し、証券市場に個人投資家を呼び戻すことが可能になり、証券市場の活性化につながるものと考えられるものであります。
 民主党及び共産党からは、この法律案は資本維持の原則を危うくし、相場操縦やインサイダー取引を誘発するものではないかとの指摘がございましたけれども、しかしながら今回の改正法案におきましては、これらの点につきましても十分な配慮が払われているものと思われます。
 すなわち、資本の維持については、自己株式の取得財源について配当可能利益の範囲内とする財源規制を設ける等の措置を講じております。また、相場操縦の防止については、米国で整備されているセーフ・ハーバー・ルールの考え方や内容を参考にして、内閣府令で所要の手当てをすべきものとするほか、インサイダー取引の防止についても、自己株式の取得や処分に係る決定をインサイダー取引規制の重要事実に追加し、この決定が公表された後でなければ、会社関係者がその会社の株式を売買することができないとする等の措置を講じております。
 このほか、この法律案では、自己株式の処分の手続を定め、その貸借対照表上の取り扱いを国際的な会計処理の基準に合わせる等、現行制度を合理化するための手当てもされております。
 以上が本案に対する賛成意見でございます。
#289
○林紀子君 私は、日本共産党を代表して、金庫株を解禁する商法等改正案及び関連整備法案に対し、反対討論を行います。
 金庫株を解禁する今回の商法等改正は、政府の緊急経済対策の一つとして、財界の長年の要望に基づく持ち合い株式解消の受け皿や株価対策に活用できるとの理由で、資本充実や債権者・株主保護などを目的とした金庫株禁止の商法の基本原則を完全に葬り去る重大な改正です。
 そもそも商法は、原則として自己株式の取得、保有を厳しく禁止していました。
 その理由は、資本充実に反し、債権者の利益を害し、株主平等の原則に反すること、また経営者の会社支配の目的に利用され、インサイダー取引で一般投資家を害するおそれがあるからです。だからこそ、これまでの商法等改正の際にも、従業員持ち株会に株式を譲渡する場合など正当な目的に限り、しかも配当可能利益の範囲内で、発行済み株式総数の百分の三を限度とするなど、厳しい限定のもとでの解禁でした。
 今回は、曲がりなりにも設けていた自己株取得制限をさらに緩和するとともに、無制限な保有を認める金庫株解禁を図るものであり、商法の基本原則を根本的に改変するもので、到底容認できません。
 また、金庫株解禁は、一定の歯どめ措置や制限を設けるにしても、企業による相場操縦やインサイダー取引に利用されやすくなることは否定できません。この危険性が指摘されているインサイダー取引や株価操縦の防止については、内閣府令の内容もチェック体制の確立も明確になっていないままに本改正が行われることは到底認められません。
 監視体制の現状を見ると、アメリカのSECの職員定員は三千二百八十五名、これに対し、我が国の証券監視委員会はわずか二百六十五名という余りにも貧弱な体制であり、これで不正取引行為がチェックできるなどとは到底言えないものです。
 不良債権処理の強行など、一連の緊急経済対策とともに、財界、大企業の要求に応じて、この重要法案について商法学者の大多数も反対と言われているのに、またしても法制審で正式に各界の意見を聞くという重要なルールにも背いて議員立法により強行されることも容認できないところです。
 以上で私の反対討論を終わります。
#290
○福島瑞穂君 私は、社会民主党・護憲連合を代表して、商法等の一部を改正する等の法律案、商法等の一部を改正する等の法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案に反対の立場で討論をいたします。
 まず第一に、そもそも緊急経済対策として基本法たる商法を改正することが妥当なのかという疑問です。
 第二に、持ち合い株式の解消の受け皿としては、金庫株ではなくても自己株式の消却で足りると考えます。したがって、金庫株導入の理由に乏しいのです。
 そもそも自己株式を取得することによって市場に出回る株式を減らし、それによって株価の上昇を図るという手続そのものが全体として相場操縦と言えるのではないでしょうか。
 第三に、このような立法が資本充実の原則に反することです。このような重要な原則に反する改正は許されません。
 第四に、インサイダー取引の危険性が増加するという問題があります。
 第五に、金庫株は株式市場を狭めるものであり、市場における株式の不透明性を高めるものです。これは一般投資家にとっても打撃であり、むしろ真の経済対策に反するというふうに考えます。
 よって、このような改正に反対いたします。
#291
○委員長(日笠勝之君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 まず、商法等の一部を改正する等の法律案の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#292
○委員長(日笠勝之君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、商法等の一部を改正する等の法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#293
○委員長(日笠勝之君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#294
○委員長(日笠勝之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 ちょっと速記をとめて。
   〔速記中止〕
#295
○委員長(日笠勝之君) 速記を起こして。
    ─────────────
#296
○委員長(日笠勝之君) 民事訴訟法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 政府から趣旨説明を聴取いたします。森山法務大臣。
#297
○国務大臣(森山眞弓君) 民事訴訟法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
 この法律案は、民事訴訟における証拠収集手続の一層の充実を図るため、公務員または公務員であった者がその職務に関し保管し、または所持する文書に係る文書提出命令について、文書提出義務を一般義務とするとともに、文書提出義務の存否を判断するための手続を整備する等の措置を講ずるものでありまして、その要点は次のとおりであります。
 第一に、公務員がその職務に関し保管し、または所持する文書についても、私文書の場合に提出義務が除外されている文書のほか、その提出により公共の利益を害し、または公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがある文書等を除いて、文書提出義務があるものとしております。
 第二に、除外された文書に該当するかどうかは、裁判所が判断するものとしております。
 第三に、除外された文書に該当するかどうかを判断するための手続として、いわゆるインカメラ手続を設けるものとしております。
 以上がこの法律案の趣旨であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
#298
○委員長(日笠勝之君) この際、本案の衆議院における修正部分について、修正案提出者衆議院議員長勢甚遠君から説明を聴取いたします。衆議院議員長勢甚遠君。
#299
○衆議院議員(長勢甚遠君) 民事訴訟法の一部を改正する法律案に対する衆議院における修正部分について、その趣旨を御説明いたします。
 政府提出の法律案は、刑事事件関係書類等については他の制度による利用を予定するなど、その効果については実際の運用等の実施状況を見ていかなければならないものであります。
 そこで、衆議院においては、「政府は、この法律の施行後三年を目途として、この法律による改正後の規定の実施状況並びに刑事事件に係る訴訟に関する書類及び少年の保護事件の記録並びにこれらの事件において押収されている文書(以下「刑事事件関係書類等」という。)の民事訴訟における利用状況等を勘案し、刑事事件関係書類等その他の公務員又は公務員であった者がその職務に関し保管し、又は所持する文書を対象とする文書提出命令の制度について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」との文言を附則に加えて修正を行ったものであります。
 以上が政府提出の法律案に対する衆議院における修正部分の趣旨であります。
 何とぞ御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
#300
○委員長(日笠勝之君) 以上で趣旨説明及び衆議院における修正部分の説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後三時五十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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