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2001/02/06 第151回国会 参議院 参議院会議録情報 第151回国会 本会議 第2号
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2001/02/06 第151回国会 参議院

参議院会議録情報 第151回国会 本会議 第2号

#1
第151回国会 本会議 第2号
平成十三年二月六日(火曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第二号
  平成十三年二月六日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(井上裕君) これより会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
 去る一月三十一日の国務大臣の演説に対し、これより順次質疑を許します。久保亘君。
   〔久保亘君登壇、拍手〕
#4
○久保亘君 私は、民主党・新緑風会を代表して、総理の施政方針を初め政府演説について質問いたします。
 質問に先立ち、去る一月二十六日に起きた二つの出来事について謹んで哀悼の意をあらわしたいと思います。
 インド西部大地震は、多数の犠牲者と被災者を出し、医療を初め生活支援と国際的な災害復旧援助が求められています。阪神・淡路大震災を経験した我が国にとって人ごとではありません。国民の間に善意の支援活動が広がっていますが、政府の一層の支援活動を要請するものであります。
 もう一つは、新大久保駅におけるホーム転落事故であります。転落した人を助けようとしてともに犠牲となられた李さん、関根さんの正義感と勇気ある行動に深い感動を覚え、心から哀悼の誠をささげるものであります。李さんに寄せられた、李さんが命がけで助けようとしてくださったのは、たった一人の人間ではなく日本人全部のような気がしますという言葉は私たちの共感を呼び、李さん、関根さんの勇気ある行動は感動を持って長く語り継がれると思います。御冥福をお祈り申し上げます。
 去る一月三十一日に発生した日航機ニアミス事故は、管制ミスと結論づけられたようですが、その責任はどこにあるのか、空路の安全確保と再発防止策はどのように講ぜられたのですか、総理に伺います。
 日本の危機についての質問の第一は、経済の危機についてであります。
 ダボスでの世界経済フォーラム全体会議において、総理は、日本経済の構造変化は予想以上に進行しており、間もなく本格的再生を終え、再び世界経済の最先端に立って貢献できる状況になると演説し、日本経済は潜在的成長率にあと一歩のところまで本年度に到達すると自信に満ちて述べられておりますが、参加者の中には日本の首相はグラフを逆さまに見ているのでないかとの評価もあったようですが、日本国民の実感とはほど遠く、市場にも反応せず株価は低迷を続けています。昨年の八月を景気の山と見るエコノミストもいる中で、このような強気で楽観的経済見通しを演説された根拠について、総理のダボス演説の自己評価を含めてお伺いしたいのであります。
 FRBのグリーンスパン議長は、アメリカ上院において証言し、アメリカの景気は劇的に急減速しており、現時点では恐らくゼロ成長に近づいていると述べており、FRBは一カ月で一%の利下げを行ったのであります。政府、日銀の月例報告も輸出の減少を主因に下方修正され、日銀総裁は景気の下振れに注意を促しているのであります。
 国民生活に視点を移せば、失業率の昨年平均は史上最悪の四・七%、三百二十万人に達し、リストラ、倒産の続く中で雇用不安は増大し、年金繰り延べによって継続雇用を求める国民の声は高くなっており、社会保障改革の先送りは将来不安を解消できず、消費の伸び悩みを続けており、日本経済は決して楽観を許さない状況と思われます。戦後政治の生き証人であり、財政経済のオーソリティーをもって任ずる宮澤財務大臣にも日本経済の現状認識と先行き観をお伺いいたします。
 次は、政治の危機となっているKSD疑惑についてお尋ねいたします。
 まずはっきりと申し上げておきたいことは、KSD疑惑は、疑惑の中心人物である村上正邦議員や、既に受託収賄で逮捕され議員辞職した小山孝雄前参議院議員、経済財政政策担当大臣を辞任した額賀福志郎衆議院議員らの個人的なスキャンダルにとどまるものではありません。まさに自民党全体の政官業癒着体質、金権腐敗体質を象徴するものにほかなりません。このような自民党の構造的政官業癒着体質、金権腐敗体質が政策をゆがめてきたことこそが、この国から社会正義を喪失させた最大の理由であります。森総理には中小企業経営者や個人事業主の憤りの声が聞こえているのでしょうか。
 以下、総理にお伺いいたします。
 総理は、額賀議員がKSDから千五百万円の資金提供を受けていたことを事前に知りながら額賀議員を経済財政政策担当大臣に任命したと報道されています。これは事実ですか。事実でないとすれば、いつの時点でそれを知ったのですか。任命権者としての責任についてお答えください。
 さらに、森内閣のもとでの不祥事による閣僚辞任が、一年も経過しない内閣で、久世元金融再生委員長、中川前内閣官房長官に続く三人目となることについて、森総理は御自身の責任をどうお考えになっているのでしょうか。
 額賀議員のケースに限らず、こうした不祥事が発生するたびに閣僚辞任で一件落着とばかりに強引に疑惑にふたをするのがこれまでのやり口であります。久世議員の党費肩がわり疑惑についても、証人喚問を求める野党の声は無視されました。しかし、額賀元内閣官房副長官にかけられた疑惑は、事もあろうに、政権の中枢である総理官邸が、KSDから資金提供を受ける見返りにものつくり大学の設置を推進したのではないかという疑惑であります。額賀議員の証人喚問を実現すべきだと考えるかどうか、総理御自身のお考えをお聞かせください。それは国会のことと言わないで、総理・総裁としての決意を語ってください。
 また、公明党を代表して入閣されている坂口厚生労働大臣にもお答えいただきたいのであります。
 KSD疑惑の核心は、KSDが村上議員や小山孝雄前議員を中心とする自民党の選挙マシンとして働いていたという問題です。我々の調査では、KSDは、会員名簿を利用して多数の自民党幽霊党員を集め、十七億円以上に上る党費を肩がわりしています。また、自民党支部に対し二億五千万円の献金を行っているほか、自民党機関紙への広告掲載料として別途二億円を支払っているとも言われています。つまり、会費の二十億円を超える巨額の資金が中小企業経営者や個人事業主の上前をはねた中から自民党に流れているのです。新たに秘書給与を負担させていた疑惑も報ぜられています。久世議員がマンション業者から党費肩がわりの資金提供を受けていたように、金で議席を手に入れる自民党参議院比例区の、これが実態であります。
 自民党総裁である森総理にお尋ねいたしますが、この夏の参議院選挙でこのような政官業癒着型選挙と決別する覚悟はあるのですか。架空党員、立てかえ党費に対する自民党の責任もあわせてお伺いいたします。
 KSD疑惑について、このほか、ものつくり大学の設置認可をめぐる不透明な経緯や、亀井政調会長が関与した異例とも言えるKSDの肩がわり負担ともいうべき二十億の補助金予算増額、複数の自民党政治家に渡ったとされる二千五百万円の使途不明金、総理サイドも受け取ったという歌謡ショー無料招待券などの疑惑があり、まさに疑惑のオンパレードと言うほかありません。
 村上議員、小山孝雄前議員はもちろんのこと、野党の求める証人喚問を実現し、疑惑の全容解明をしないことには、政治に対する国民の信頼は永遠に取り戻すことはできません。総理にそのようなお考えがあるのか、お答え願います。公明党の坂口厚生労働大臣にも同じ質問をさせていただきます。
 施政方針で述べられた、「残念のきわみ」、全力で信頼を回復したいという言葉に責任を持てば、証人喚問は不可欠と考えます。自民党に喚問に応ずる覚悟があれば、喚問を衆議院における予算通過後とする理由は全くありません。速やかに証人喚問を行うべきではありませんか。総理はいかがお考えですか。
 第三は、外交の危機についてであります。
 アメリカのブッシュ新大統領との新たなる日米関係の構築という喫緊の課題や停滞している日ロ、日朝交渉の行方等の外交課題を真っ先に挙げるべきところ、その直接の担当である外交官のありように触れざるを得ないことは、日本外交の汚点であることを指摘したいと思います。
 そこでまず、外交機密費の流用問題についてお尋ねいたします。
 去る一月二十五日、外務省は、元外務省要人外国訪問支援室長が外交機密費を競走馬やゴルフ会員権等の購入に流用した疑惑に対する報告書を発表しました。しかしながら、報告書には、官邸の内閣官房報償費との関係や官邸及び外務省上層部の組織的、人的関与に関する検証が欠落しており、今回の事件が一個人の犯罪なのか、外務省上層部を含めた組織的な問題なのか、全くわかりません。これでは、与党すら了承せず調査継続となったことからしても、国民が到底納得できるものではありません。継続調査の結果はいつ報告されるのでしょうか。
 私は、外務大臣が、かつてロッキード事件のさなかに自民党を離党し、新自由クラブを結成された、あの若き日の河野洋平の愚直な正義感を思い起こしていただきたいと思うのであります。
 不正が長期に及んだことは、同職員の倫理観の欠如とともに、外務省の体質や管理体制の欠陥を示すものであり、さらに組織的な関与の疑念さえ抱かせるものです。一片の報告書の提出をもって事足れりとすべき問題ではなく、外務大臣を初めとした外務省幹部の責任はもとより、場合によっては内閣の責任も厳しく問われなければなりません。
 問題は、官房機密費の流用問題や外務省職員の日常の金銭感覚にまで及んで疑惑がささやかれていることであります。これでは、秘密を要するとする説明自体に疑念が生じてまいります。外交機密費や官房機密費の使途や目的等について明らかにするつもりはあるのか、また、会計検査院の会計検査体制の改善等についてどのような見解をお持ちか、総理、外務大臣の職員を監督する立場を含めて御所見を伺いたいのであります。
 最後に、要人外国訪問支援室の要人とは首相に限定されているのか、支援室の本来の任務は何だったのか、外務大臣にお尋ねいたします。
 総理、官房長官及び外務大臣の足元がこのようにずさんでは、日本外交の将来に暗い影を落とすものであり、外交交渉の相手国に軽くあしらわれることになると言わざるを得ません。このような事態は、ひとり政権与党の失態では済まされず、国益に反し、日本国民全体の安全を脅かすことになりかねない重大な問題であります。
 先日、外務大臣はワシントンでアメリカのパウエル国務長官、ライス安全保障担当補佐官らと会談を行って帰国されましたが、新政権では多数の知日派の政権への復活で対日関係の改善が期待される中、事情を知っているからこそ厳しい要求が突きつけられ、予断を許さないとの分析もあります。事実、PKOに対する協力や日米同盟のあり方などで再検討を迫ることが予想されています。
 また、去る一月十六日に公表されたアメリカ国防報告では、米軍の十万人体制という言葉が抜け落ちたと言われながら、現状維持という言葉も聞こえてまいります。我が国は多くの米軍基地を抱え、日米安保体制の維持に多大の貢献をしているわけですが、一方、基地を抱える沖縄では、これまでの綱紀粛正の声もむなしくさまざまな不祥事が続発し、一月十九日には沖縄県議会が米兵の不祥事に対して抗議決議を全会一致で可決しているほどであります。
 懸案の普天間基地移転の問題も、いまだにはっきりした方針が示されているとは言えないのが現状であります。沖縄の普天間にかわる新基地使用期限十五年の要請も、沖縄県の声として伝えられるだけで、日本政府の提案として交渉していないのではありませんか。このような状況を受け、日本の総理として在日米軍基地の問題を今後どのように取り組んでいかれるのか、総理、外務大臣及び沖縄担当大臣から具体的な方針を伺います。
 また、アメリカ側は、さきの国防報告でも、昨年の南北対話やこの一月の金総書記の中国訪問、各国との外交関係の樹立等を受けてもなお朝鮮民主主義人民共和国に対してミサイルの脅威を指摘するなど、厳しい見方をしています。中国に対しては、クリントン大統領がなした戦略的パートナーという位置づけから戦略的競争相手と言いかえるなど、前政権と異なったアプローチをとろうとしているとの指摘もあります。外務大臣、パウエル長官、ライス補佐官との会談でいかなる変化を感じておられますか。
 このような中、日米同盟を外交・安全保障の基軸としている我が国は、一方で、今挙げた両国の隣国に当たり、リーダーシップをとるべき地理的関係にあります。ブッシュ新政権の発足及びその基本姿勢を受けて、我が国は対アメリカ外交及び対中国、北朝鮮を含めた東アジア諸国との外交をどのように展開されようとしておられるのですか。総理、施政方針では総理御自身のお考えが全く伝わってきません。総理は、朝鮮半島を含む東アジアの平和と安定に向けての日本の役割をどのようにお考えなのか、具体的にお示しいただきたい。
 ロシアとの関係についてお伺いいたします。
 昨年四月、サンクトペテルスブルクでの総理とプーチン大統領との会談以来、七月の九州・沖縄サミット、九月のプーチン大統領の来日、十一月のAPECなどで総理はプーチン大統領と会談をたび重ねてこられました。総理は、御自身のロシア訪問も視野に入れて、引き続き平和条約締結に全力を尽くすと表明されました。
 これだけ一年間で直接会談を重ねながら、最近の日ロ交渉の状況を見ると、先行きが全く不透明になっています。九七年十一月のクラスノヤルスク合意はなし崩しの空証文に終わり、今後の交渉の道筋についても、二島先行返還論や四島一括論などさまざまな方針が出され、動揺を来しています。
 外務大臣も、昨年十一月に続き、わずか二カ月後モスクワを訪れ、総理の訪ロ日程について合意されたと一たん発表されました。それがロシア側からの一方的な通告で破棄され、延期後の日程も不確定と聞きます。外相のプーチン大統領との会談もできなかったと伺っております。
 こういったロシア側の外交慣例を破るような冷ややかな対応は一体どういうことでしょう。プーチン大統領との信頼関係に自信を示す総理が会えば会うほど状況が後戻りしているのではありませんか。
 また、交渉に当たって自民党議員が総理の意向を受けて訪ロしたとのことですが、外相及び外務省の交渉とはどういう関連になるのでしょうか。
 橋本・エリツィン・プランの発展という経済分野の協力プログラムの実行ばかり迫られるなど、ロシア側に一方的に扱われているという印象がぬぐえません。このようなことでは、先ほど述べた以上にますます日本外交の足元を見られていると言えるのではないでしょうか。
 領土問題という国益が、単なる政治家の先陣争いに用いられることほど国益を危うくするものはありません。総理の訪ロや日ロ交渉も今の内閣に任せていいのか疑念を持たざるを得ません。今後の日ロ交渉についてどのような展望、方針をお持ちなのか、総理、外務大臣、この問題に関しては強い関心をお持ちの沖縄北方担当大臣にも、それぞれのお考えを伺います。
 第四は、教育の危機についての質問であります。
 昨年末に出された教育改革国民会議最終報告に基づいて、一月二十五日に文部科学省は二十一世紀教育新生プランを発表しました。このうち、幾つかの関連法案が今国会に提出される予定と伺っております。法案については提出を待って論議することになりますが、ここではまず教育改革国民会議の位置づけについて伺います。
 教育改革国民会議は首相の私的諮問機関であり、何ら法的な根拠がありません。臨時教育審議会は臨教審設置法という法律に基づいた審議会であり、その設置の目的、位置づけについて国会での審議を経て発足したものです。これと比べて、教育改革国民会議は国会の審議を経ない何ら法的裏づけのない会議です。このような会議がいかなる権限を持って教育改革を提言し、これに基づき文部科学省が教育改革を行うのか、総理に御説明を願います。
 教育改革国民会議は、最終答申を行った後どうなったのですか、解散したのですか。
 次に、教育基本法の改正についてお伺いいたします。
 総理は、基本法の抜本的改正を教育改革の柱に据えてこられました。初めて教育改革国民会議であいさつされたときから、新しい時代の基本法制定を訴えておられました。教育改革国民会議で改正反対の意見が出たと聞くと、反対の人は反対の理由を明らかにすべきとまで発言しておられます。どう考えても、改正すべきと考える側が理由を説明すべきで、改正不要との立場にその理由を聞くのはおかしな話です。
 この教育改革国民会議には与党三会派から各一名ずつ国会議員がオブザーバーとして出席しており、会議の冒頭には教育基本法改正を誘導する発言がなされておりました。これでは、国民会議の名をかりて教育基本法の改正を打ち出すために利用したのではないかと疑われても仕方がないと言えます。私的諮問機関が国会審議の迂回バイパスの役割を果たしているのではないか。
 総理は、教育基本法改正の理由を五十年たったからと発言しておられるようですが、法律は時間がたてば自動的に改正しなければならないものでしょうか。
 教育改革国民会議の委員の一人は、初めて基本法を読んですばらしいと思った、なぜ変える必要があるのだ、むしろ基本法の目的が実現していないことを問題とすべきだと言われていますが、このように感じる方は多いと思います。
 問われるべきは、これほどすぐれた内容の教育基本法を持ちながら、なぜその理念が生かされず、今のような教育の荒廃を招いたのか、その理由です。政府の努力が足りなかったからなのか、財政的な問題なのか、総理の御見解をお聞かせください。
 臨教審の提案者であった総理として、臨教審による改革が成果を上げなかった理由についてどう考えておられますか。
 また、国民会議は、教育基本法について新しい時代にふさわしい基本法の制定を答申していますが、その場合、国家至上主義や全体主義的なものとならないよう特につけ加えています。
 そこでお尋ねしたいのは、首相の発言で問題になった天皇を中心とする神の国は、憲法の定める国民主権の民主主義の国が日本の国家像であることに照らして、発言は撤回されているのですか、明確にしていただきたいと思います。
 また、十七年前、中曽根首相の意を受けて臨教審による教育改革を文部大臣としてリードされた森さんにぜひ伺っておきたいことがあります。
 中曽根元首相は、ことしの初めに行われたテレビの報道番組に出演し、政治家は純粋性と愛国心を持つ必要がある、理想とかロマンとか純粋性を持たなくちゃいかぬ、浅沼稲次郎とかあるいは徳田球一とか、あるいは日本の右翼連中でも山口二矢とか、ああいう人たちはそういう純粋性を持っていたでしょう、今の政治家に足りないものは愛国的純粋性ですよ、これを我々が若い人にも教え、我々も実践しなくてはいかぬという重大な段階に来たと思いますよと主張されていました。
 中曽根さんが政治家としてどのような信念を持たれようと構いませんが、昭和三十五年十月十二日、日比谷公会堂での党首立会演説会で演説中の浅沼さんを池田自民党総裁の目前で刺殺した山口二矢を愛国的純粋性の持ち主として若い人に教え、みずからも実践しなくてはならないときが来たと言われていることは日本国憲法の理念と精神に全く反するものであって、このような考えを教育改革の目標に置くとすれば重大であります。
 池田首相はみずから浅沼委員長の追悼演説に立ち、浅沼さんは暴漢の凶刃に倒れた、浅沼さんのあいた席から、暴力は民主政治家にとって共通の敵という声が聞こえるようだと述べて、哀悼の言葉を贈られたことはきのうのことのようであります。
 森さん、あなたは臨教審のコンビであった中曽根さんのこのような考えを支持されますか。憲法、教育基本法の根本に触れることでありますから、はっきりと答えてください。
 民主党は、子供一人一人を大切にします。子供たちの多様なニーズに対応できる柔軟な教育システムを目指しています。
 そのためには、まず教育の徹底的な地方分権が不可欠だと考えております。地域、学校、保護者が自立と責任を持って教育に主体的にかかわる環境をつくり、教育はお上が与えるものではなく、地域と学校と家庭が連携してつくり上げていくものだという積極的な意識がはぐくまれるよう、制度とともに改革していきます。
 地域の特色を生かし、学校や保護者のやる気を形にする草の根の教育改革を民主党は推進したいと思います。したがって、教科書採択制度についても、学校単位の採択の実現に向けて検討していくため、当面の措置として、教科書採択の調査研究により多くの教員の意向が反映されるよう採択地区の小規模化、採択方法の工夫を促している九七年の閣議決定及び行政改革委員会の最終意見は尊重されていると考えてもよいでしょうか、お伺いいたします。
 第十六期中教審は、「新しい時代を拓く心を育てるために」と題する答申を行っています。その副題は「次世代を育てる心を失う危機」とされています。教育改革は大人社会のモラル低下を問うことから始めねばならぬと提言しているのです。
 また、学校を強制と競争の場から、共生と共同によって生涯の友を得る場と考えるところから出発し、奉仕活動の義務化より農業の体験、自然との親しみを重視すべきであります。特に、文部科学大臣の発言として伝えられる、奉仕活動を昔の軍隊や自衛隊体験入隊に結びつけて青少年を鍛える場として発想し、奉仕活動を終えた者に十八歳選挙権を与えるという発言は、憲法四十四条に反する民主主義を理解しない教育の冒涜であって、奉仕の衣の下に改憲徴兵のよろいを見るのであります。総理も同じ認識をお持ちなのでしょうか。総理、このようなものを奉仕活動と言えるのでしょうか。
 第十八期中教審鳥居会長の就任あいさつの中で、基本法の改正は憲法問題でもあるとの認識を示し、慎重に取り扱う、基本法改正先にありきという発想はとらないと述べられていることは重要であります。総理の見解を求めます。
 政府は新しい基本法をいつ中教審に諮問されるおつもりですか。中教審の答申を経た後、国会に提出されるのでしょうか。
 最後の質問は、財政の危機についてであります。
 財務省の資料によれば、二〇〇一年度末の国債残高は三百八十九兆円に達し、利払い費は一日当たり二百八十五億円、一時間当たり十二億円にもなり、利払いのために十兆円を超す国債を発行しなければなりません。地方の債務を含めて長期債務残高は六百六十六兆円に及び、我が国の財政は借金王として歴史に残るなどと自虐的なことを言っている場合ではないのではありませんか。
 財政構造改革推進法を凍結していることによって、小渕内閣以来今日まで景気対策が優先し、九八年度末から二〇〇一年度末までの三年間で債務残高は五百五十三兆円から六百六十六兆円まで百兆円以上増加することになります。我が国の財政赤字や債務残高の対GDP比はいずれも先進国中最悪の水準に達していますが、他の先進諸国が財政の健全化を着実に進める中で日本の財政悪化が急速に進行したのはなぜか、総理、財務大臣、お答えいただきたい。
 先日報道された財務省の我が国の財政中期展望は、二〇〇四年度末の国債残高を四百八十三兆円としているが、財務大臣、この数字を下方修正もしくは二〇〇一年度末より残高減少できると考えているのですか。お答えをいただきたい。
 政府は、来年度予算案において公債発行額を今年度よりも約四・三兆円縮減したと宣伝しておりますが、これは今年度予算で四・五兆円計上されていた金融安定化のための交付国債の償還分がなくなったことによるものにすぎず、何ら政府の自助努力によるものではないと考えますが、いかがでしょうか。
 さて、政府・与党は、景気対策優先の財政運営と称して、これだけの財政赤字を垂れ流しておきながら、その結果はどうだったのでありましょうか。例えば、平均株価は今から三年前あるいはバブル前の一九八六年ごろと同じ一万三千円台を低迷しております。株価対策をどう考えていますか。一体何のための景気対策、何のための百兆円だったのでしょうか。
 自民党を中心とする連立与党、そして政府がとってきた景気対策は効果を期待できたのでしょうか。景気対策とは名ばかりの選挙対策あるいは連立与党対策などでつかみ金をばらまいてきたに等しいのではありませんか。結果的にゼネコンなどの業界の救済に回っているだけで、経済対策としての効果は何ら発揮していないのではありませんか。地方団体の単独事業も二年続きで大幅に減少しており、むしろ公共事業が景気の足を引っ張っていると言わざるを得ません。
 効果のない経済対策であるにもかかわらず、これを政策転換できず、景気低迷と財政赤字累増の中で全く身動きがとれなくなっている財政の現状について、総理はどのように受けとめておられるのでしょうか。
 財政制度審議会は、昨年末の建議の中で、「将来にわたり持続可能な財政の仕組みを作り上げるための議論をこれ以上先送りするわけにはいかない。」と警告しております。政府の審議会でさえこのように警告せざるを得ない事態であることを、総理並びに財務大臣は一体どのような重みを持ってとらえておられるのでしょうか。また、この建議の趣旨を一体来年度予算編成に当たってどのように生かされたのでしょうか。施政方針に、先送りは許されないと述べられている総理の言葉はむなしい言葉ではありませんか。
 言うまでもなく、財政構造改革は、その取り組みがおくれればおくれるほど実行可能性が希薄になってまいります。私たちは、あなた方にかわって政権を担当することになると確信しており、次の政権の第一の仕事は、経済状況に留意することはもちろんですが、取り組み開始から五年後には、基礎的収支、プライマリーバランスの均衡を達成することを目標にすべきだと考えております。このためには、まず徹底した歳出の見直しが必要であります。橋本内閣時代の財政構造改革における一律カット方式の失敗を教訓としながら、公共事業の大幅な削減、ODAや防衛力整備、エネルギー政策等の抜本的見直しなど、あらゆる分野にわたりめり張りのある歳出削減策を検討、断行しなければなりません。
 財政破綻を放置すれば、一層大きな痛みが国民全体、特に社会的弱者に襲いかかることは明らかであります。
 安心の社会、そして活力ある経済の実現のためにも、財政構造改革に早急に着手すべきであるし、それを先送りして今日の財政危機を招いた政府の責任は重いと考えますが、総理、いかがですか。
 この際、財政再建に関連して、公共事業並びに社会保障の将来像についてお伺いをするつもりでありましたが、時間の関係で省略いたします。
 日本は今、私が述べてまいりましたように、危機の真っただ中にあります。国の基本法である憲法も、憲法の理念に向けて現実を変える改革ではなく、憲法の理念から遠ざかっている現実に合わせて憲法を変えようとする動きが強まっています。新しい時代にふさわしい教育基本法をという教育改革の論議も、結局憲法改正の道に通ずるのではないかという懸念が大きくなっています。
 危機の解消は国民の信頼と協力を得て初めて可能となります。支持率一〇%台、不支持率七〇%を超える内閣によって我が国の危機を解消することはもはや不可能と言わなければなりません。
 石原東京都知事はダボスで、私が今、森さんなら首相を辞任すると言ったそうですが、森内閣が国民に政治への信頼を回復する道はただ一つ、野に下って政権交代のある議会制民主主義が我が国にも息づいていることを示すことのみであります。
 総理の決断を促して、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣森喜朗君登壇、拍手〕
#5
○内閣総理大臣(森喜朗君) 冒頭、久保議員から、インドの大地震についての御意見を踏まえてのお尋ねでございました。
 この地震による多大な被害は大変痛ましいものでありまして、我が国のNGOを初めとする民間の方々の支援活動も活発に行われております。
 日本政府といたしましても、一億円強の無償資金及び物資援助、国際緊急援助隊医療チーム及び自衛隊部隊の派遣といったこれまでに行った支援に加えまして、本日、新たに二億四千百五十万円の追加的な無償資金援助を行うことを決定いたしました。
 今後とも、被害の状況を踏まえつつ、当面の緊急援助とともに、将来のあり得べき復興支援を視野に入れまして、さらに必要な支援を積極的に行っていく考えでございます。
 また、新大久保におきます韓国の李留学生、またカメラマンの我が国の関根さん、とうとい犠牲によって命を失われました。久保議員のお話のとおりでございまして、私も御遺族に対しまして心からの弔意を表してまいったところでございます。
 なお、お二人のこの崇高な行為に対しまして、JR東日本に対しまして、何らかのこうしたお気持ちを残すことができないだろうかということもJR東日本社に今お話を申し上げているところでございます。
 日本航空の事故についてのお尋ねがありました。
 まずもって、衝突回避をした航空機内で負傷された方々に対しまして心からお見舞いを申し上げる次第です。
 この事故は、一つ間違えれば大惨事となるところでありまして、重大な事故であるという認識をいたしておりまして、事故原因の速やかな究明のため、国土交通省航空事故調査委員会は、事故発生後、直ちに調査官を現地に派遣し、関係者から口述聴取を行う等、調査に着手をいたしております。あわせて、関係都県警察におきましても所要の捜査が行われているものと承知をいたしております。
 また、これと並行して、再発防止のため、国土交通省において、管制業務の実施状況を緊急に総点検し報告するよう二月三日に全国の管制機関に指示するとともに、昨日の全国地方機関の長を招集した会議に際しては、管制業務がどうあるべきかを真剣に議論するよう指示をいたしました。今後、さらに訓練体制の強化、管制空域、航空路再編等必要な安全対策を検討し、結論を得たものから速やかに実施に移してまいることといたしております。
 いずれにいたしましても、本件事故の重大性にかんがみ、全力で原因究明と安全対策に取り組んでまいる所存であります。
 ダボス会議での私の演説についてのお尋ねがございました。
 バブルの崩壊に伴いまして長期的に景気が低迷し、日本経済は設備、雇用、債務のいわゆる三つの過剰という問題を抱えるに至りました。
 旧経済企画庁が行った試算によりますと、過剰設備額は、まだ九七年初めの水準までには戻っていないものの、全産業で九九年の約五十六兆円から昨年半ばには約三十五兆円と低下をいたしております。また、過剰雇用感につきましても、同様に依然として高い水準でありますが、まだ九七年初めの水準までは戻っていないものの、減少をいたしております。最後に、過剰債務をはかる目安として長期債務、キャッシュフロー比率を見ますと、業種によって進捗状況が異なるものの、改善をいたしております。
 以上のように、政策効果などにより景気は最悪期を脱し、三つの過剰につきましても総じて見れば解消の方向に向かいつつあると考えておりまして、ダボス会議ではこうしたことを踏まえて発言したところであります。
 額賀氏に関する事実関係を私が承知した時期やこれまでの閣僚辞任に関する私の任命責任についてお尋ねがございました。
 私自身は額賀大臣任命時には事実関係を承知しておりませんでしたが、昨年末の段階で額賀氏に確認したところによれば、額賀氏の秘書が古関前理事長から一千五百万円のお金を預かり、額賀氏本人は秘書から平成十二年の五月に報告を受けて初めて知ったので即座に返却するよう命じたとのことでございました。
 本件につきましては、額賀氏は、秘書に対するみずからの監督責任の問題として厳しく受けとめて、けじめをつけたいとのお考えから辞任をされたところでありまして、私としてもそうした御判断を重く受けとめております。
 閣僚の任命責任は、すべからく内閣総理大臣である私にあると考えております。額賀前大臣も含め、これまでの閣僚の辞任はいずれも国政の遂行に迷惑をかけたくないとの理由でみずから辞任されたものでありますが、結果としてそのようなことになったことについては、私としても大変遺憾であり、国民の皆様に対して申しわけなく思っております。
 私といたしましては、今後とも、内閣を挙げて国民が今まさに求めている施策を推進していくことで内閣をお預かりする責任を果たしてまいりたいと考えております。
 額賀議員の証人喚問についてのお尋ねがございました。
 額賀氏は、古関前理事長から法案や行政など特定のことで依頼を受けたことはないと説明しているものと承知をいたしておりますが、今後もみずからの疑惑を晴らすための努力をされるものと考えます。
 いずれにせよ、証人喚問につきましては、議院の運営に関することでございますから、今後の国会審議の状況を踏まえつつ国会において御判断をいただくべきことであろうと思います。
 政官業癒着型選挙との決別や架空党員、立てかえ党費に関する責任などについて御質問がございました。
 今回の事件をもって、これまで自民党自体が政官業癒着型選挙を行ってきたかのごときの御指摘は甚だ不当であると考えます。選挙を戦う以上、さまざまな団体や個人からの支持をいただき、応援をしていただけるよう努力することは当然であり、そのことと今回のような事件とは区別して考えるべきものであります。
 また、御指摘の架空党員、立てかえ党費の問題につきましては、党からの報告によれば、党員の申込書及び党費は、党則に従い、支部で申し込みを受け付けた後、所定の手続を経て、都道府県支部連合会から党本部に届けられるシステムになっておりまして、今回のケースもこうした入党の手続においては問題がなかったと聞いております。
 私としては、今後、司法当局の捜査により徹底的に真相究明が行われ、国民の前に真相が明らかにされるべきものと考えておりますが、真相究明を待つことなく、今回の事件を教訓として、自民党内の仕組みについても見直すべきものは率先して見直してまいります。
 例えば、参議院比例代表名簿への登載基準のあり方について、党員、党友二万人以上という要件が党員獲得をいたずらにあおるのではないかとの誤解を持たれたこともあり、今回、思い切って撤廃したところであります。
 また、入党手続は適正に行われてきておりますが、さまざまな指摘も踏まえ、党員集めが適正に行われているか党内でしっかりチェックするシステムをつくるべく具体的検討に着手したところであります。
 証人喚問の実現による疑惑解明についてのお尋ねでありました。
 疑惑の全容解明なしに国民の政治への信頼を取り戻すのは難しいという点については私も意見を同じくいたしております。現在、司法当局による捜査が進められておりますが、私としても一日も早く国民の前に真相が明らかにされることを期待しており、自民党としても真相究明のため捜査に全面的に協力してまいる所存であります。
 他方、先ほど申し上げましたとおり、国会での証人喚問については、議院の運営に関することでありますから、国会での審議状況を踏まえまして国会において御判断をいただくべきものであろうと考えております。
 報償費に関するお尋ねでありますが、歴代内閣総理大臣の外国出張経費に関し、外務省職員による国民の信頼を裏切る不祥事が起きたことは極めて遺憾であり、この事態を厳しく厳粛に受けとめて、国民の皆様に深くおわびを申し上げる次第です。
 政府として、今後の捜査当局による真相解明の進展も見ながら、原因の解明と再発防止に万全を期してまいります。
 報償費の使途等を明らかにすることは、機動的な運用や内政、外交の円滑な遂行に重大な支障を来すので困難と考えておりますが、報償費の運用について、この際、点検を行った上で、より厳正かつ効果的な運用に十分意を用いてまいる所存であります。
 報償費にかかわる会計検査院の検査についてのお尋ねがありました。
 内閣官房、外務省の報償費については、従来から会計検査院による厳正な検査を受けていると承知しているところであり、今後とも会計検査院の検査には的確に対応してまいりたいと考えております。
 また、政府といたしましては、会計検査院の検査機能の重要性については十分認識しているところでありまして、今後とも、会計検査院の検査活動が円滑かつ厳正に行われ、その機能が十分発揮できますよう、検査要員の確保など、検査機能の充実強化に十分配慮してまいりたいと考えております。
 普天間飛行場の移設を含む沖縄の米軍施設・区域に関する問題についてのお尋ねがありました。
 普天間飛行場代替施設に係る使用期限の問題につきましては、政府としては、平成十一年末の閣議決定にあるとおり、国際情勢もあり厳しい問題があるとの認識を有しておりますが、稲嶺沖縄県知事及び岸本名護市長から要請がなされたことを重く受けとめ、これを昨年七月の日米首脳会談で私より取り上げたほか、先般の日米外相会談においても河野外務大臣から取り上げたところであります。
 政府といたしましては、今後とも、国際情勢の変化に対応して、本代替施設を含め、在沖縄米軍の兵力構成等の軍事態勢につき米国政府と協議していく考えであり、あわせて国際情勢が肯定的に変化していくよう外交努力を積み重ねてまいるとともに、これらの問題について引き続き米国政府と相談してまいる考えでございます。
 また、我が国の平和と安全のため沖縄県民の方々が背負われております御負担の軽減につきましては、今後ともSACO最終報告の着実な実施に最大限努力してまいります。
 東アジアの平和と安定に向けての我が国の役割についてお尋ねがありました。
 我が国としては、日米関係を基軸としつつ、朝鮮半島を含む東アジアの平和と繁栄のための外交努力を重ねてきておりまして、今後とも、APEC、ARF、ASEANプラス3などの重層的な地域の対話と協力を推進するとともに、アジアの近隣諸国との関係強化に全力で取り組んでいく所存であります。
 ロシアの我が国への対応ぶりについてのお尋ねがありました。
 首脳会談の日程調整をめぐるやりとりにつきましては、私としても残念に思っておりますが、ロシア側からも一定の遺憾の意を表してきております。また、河野外務大臣訪ロ時にプーチン大統領への表敬が実現しなかったのは、日程調整上の理由によるものと説明を受けております。現時点でロシア側の真意はこれ以上憶測することは差し控えたいと考えております。
 自民党議員の訪ロについてのお尋ねがありましたが、これは二〇〇〇年末までに行おうとしておりました首脳会談が越年する状況の中で、幅広い日ロ間の政治対話の一環として行われたものでありまして、同議員は政府間で行われている交渉を支援するとの観点でロシア側と話されたものと承知をいたしております。これは私及び外務大臣とも相談の上行われたものでありまして、何ら問題はないと考えます。
 今後の日ロ交渉の展望、方針についてお尋ねがありましたが、戦略的・地政学的提携、幅広い経済的な協力、平和条約の締結という三つの課題を同時に前進させることが必要であることについては日ロ双方で共通の認識があります。領土問題の解決が難しい課題であることは事実でありますが、私とプーチン大統領との信頼関係に立ちつつ、できるだけ早期に北方四島の帰属の問題を解決し、平和条約を締結するとの一貫した目標に向けて交渉に取り組んでいく考えであります。
 教育改革国民会議についてのお尋ねがありました。
 教育改革国民会議は、教育界のみならず、経済界、マスコミ・文化関係者など広く各分野の有識者の方々の御参集を求め、今後の教育のあり方について制約を設けずに基本にさかのぼって幅広く検討をいただくため、故小渕総理のもと、昨年三月に発足し、私も引き続き審議をお願いしたものであります。
 昨年十二月に取りまとめられました最終報告では、人間性豊かな日本人の育成、創造性に富む人間の育成、新しい学校づくり、教育振興基本計画の策定、新しい時代にふさわしい教育基本法の見直しなど、教育各般にわたる御提言をいただきました。
 私としましては、今回の提言を最大限尊重しつつ、教育改革関連法案の提出など、国民一人一人が、学校がよくなる、教育が変わるという実感が持てるような本格的な教育改革に取り組んでまいる所存であります。
 なお、教育改革国民会議には、引き続き存続し、今後の政府の教育改革の実行を見守っていただいているところであります。
 教育の荒廃についてお尋ねがありました。
 日本の教育は戦後五十年以上にわたって教育基本法のもとで進められてまいりました。この間、我が国の教育は、我が国経済の発展を支える人材の育成という観点からはすばらしい成果を上げてきた一方で、思いやりの心や奉仕の精神、日本の文化、伝統の尊重など、日本人として持つべき豊かな心や倫理観、道徳心をはぐくむという観点からは必ずしも十分ではなかったと考えております。
 また、今日、教育基本法制定時と社会状況は大きく変化し、教育のあり方そのものが問われていることも事実であります。
 このようなことから、先般の教育改革国民会議の最終報告におきまして、新しい時代を生きる日本人の育成、伝統、文化など次代に継承すべきものの尊重、教育振興基本計画の策定等を規定することの三点が新しい時代の教育基本法を考える際の観点として示されたところであります。
 私としては、教育改革国民会議の最終報告を踏まえ、教育基本法の見直しについて中央教育審議会等で幅広く国民的な議論を深め、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
 臨教審による改革についてのお尋ねがありました。
 昭和五十九年に設置されました臨時教育審議会は、昭和六十二年までの三年間に四次にわたる答申を行いまして、個性重視の原則、生涯学習体系への移行、国際化、情報化等変化への対応を基本的な視点といたしまして、教育全般にわたる改革を提言したところであり、これまでその答申の趣旨に沿って教育改革の実現に取り組み、成果を上げてきたところであります。
 しかしながら、臨教審の議論を見ると、教育基本法の精神にのっとり審議を行うこととされるなど、議論に一定の制約が課せられていたことも事実であります。さらに、現在の教育を見ると、社会の病理現象のあらわれとして、いじめや学級崩壊など青少年をめぐる深刻な問題が生じており、子供たちに社会規範意識や命を大切にし他人を思いやる心をはぐくんでいくことが一層重要な教育上の課題となっております。
 こうした状況にかんがみ、これまでの教育改革の成果を踏まえつつ、思い切って制約を外し、改めて教育の根本までさかのぼった議論を行うため、昨年三月に教育改革国民会議が設置され、昨年十二月二十二日に最終報告をいただいたところであります。
 今後、この最終報告を踏まえ、思い切った教育改革を積極的に推進してまいる所存であります。
 私のいわゆる神の国発言についてのお尋ねがありました。
 この発言については、当時、厳しい御批判をいただき、私としても十分に意を尽くさない表現により多くの方々に誤解を与えたことに深く反省し、おわびを申し上げたところであります。同時に、発言の真意をさまざまな機会で御説明させていただいたことは御承知のとおりであり、多くを繰り返すことは避けさせていただきますが、私の真意は、天皇が神であるということではありませんでした。内閣総理大臣としても、また、私の個人的な心情としても、議員御指摘のように、主権在民の民主主義国家としての我が国のあり方に反するようなことは全く考えたこともないということを改めて申し上げておきたいと存じます。
 中曽根元総理の御発言に関してのお尋ねがありました。
 私は、御指摘のテレビの報道番組を見ておらず、中曽根元総理の御発言の真意やその詳細について承知いたしておりませんので、発言についてのコメントは差し控えさせていただきます。
 いずれにせよ、教育の主眼は全人教育でなければならず、自分で考える力を身につけ、善悪をわきまえる心や人の命の大切さなどを学ぶことが極めて大切であると考えております。
 教科書採択についてのお尋ねでありますが、御指摘の平成九年の閣議決定は、行政改革委員会の最終意見を踏まえ平成十年に改定され、学校単位の採択について将来的には検討していくとの観点に立ち、採択地区の小規模化や採択方法の工夫改善について都道府県の取り組みを引き続き促すこととされております。
 政府としては、教育委員会がその責任において教科書を適切に採択していくよう指導するとともに、これらの取り組みを引き続き促してまいる所存であります。
 奉仕活動についてお尋ねがありました。
 子供の社会性をはぐくみ、自立を促し、人間性豊かな日本人を育成する教育を実現するためには、青少年が、教育現場や広く社会において、さまざまな体験的な活動を行うことを通じて、思いやりの心や社会の構成員として奉仕の心を養うことができるような仕組みを整えていくことが重要であります。
 このため、教育改革国民会議の最終報告を踏まえ、青少年がその成長段階に応じて農業体験や社会奉仕体験を含めさまざまな分野での体験活動を行えるよう、学校教育法及び社会教育法の改正や必要な予算措置など各般の取り組みを行うとともに、将来的に満十八歳後の青年が一定期間奉仕活動を行える社会的な仕組みについて、中央教育審議会等において専門的な検討を行ってまいります。
 なお、御指摘の文部科学大臣の御発言についても、青少年が心と体を鍛えることができるような多様な活動が必要という認識に立ってのものと理解をいたしております。
 教育基本法の諮問時期についてのお尋ねがありましたが、私としては、教育基本法の見直しについては、教育改革国民会議の最終報告を踏まえ、中央教育審議会等で幅広く国民的な議論を深め、しっかりと取り組んで成果を得てまいります。
 なお、教育基本法の見直しに関する中央教育審議会への諮問時期については、文部科学省において総合的に判断をし、検討がなされるものと承知をいたしております。
 財政運営の効果と財政の現状についてお尋ねがありました。
 我が国経済は、平成十年秋にはデフレスパイラルに陥るのではないかとの懸念がありましたが、政府がこれまで取り組んでまいりました大胆かつ迅速な政策運営の効果もあって、我が国経済は、依然として厳しい状況にあるものの、緩やかな改善を続けております。
 他方、この間、我が国財政は、財政収支、債務残高ともに主要先進国の中でとりわけ厳しい状況になっておりまして、財政構造改革は必ずなし遂げなければならない課題であるということは認識をいたしております。
 財政制度審議会の建議を踏まえた平成十三年度予算編成に当たっての考え方についてのお尋ねがありました。
 平成十三年度予算においては、御指摘の建議の趣旨も踏まえ、将来にわたって持続可能な財政の仕組みをつくり上げる準備として、公共事業の抜本的見直しや中央省庁再編による施策の融合化と効率化を図る等、財政の効率化と質的改善を図りつつ、国債の新規発行額を減少させたところであります。
 財政構造改革への早急な着手及び今日の財政危機についての政府の責任についてのお尋ねがありました。
 先ほど申し上げましたとおり、我が国の財政は厳しい状況にあり、財政構造改革については、我が国経済を自律的回復軌道に乗せつつ、その実現に向けて議論を進める責任があると考えております。その際には、新世紀における我が国の経済・社会のあり方を展望し、望ましい税制の構築や社会保障制度改革、中央と地方との関係まで幅広く視野に入れてまいる考えであります。
 今般の中央省庁再編において、内閣府に経済財政諮問会議を設置いたしました。景気を着実な自律的回復軌道に乗せるための経済財政運営とともに、財政を含む我が国の経済社会全体の構造改革に向けた諸課題について、具体的な政策を主導するとの決意を持って、実質的かつ包括的な検討を行って、国民が安心と希望の持てる処方せんを示していく方針であります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁いたさせます。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#6
○国務大臣(宮澤喜一君) 財政経済につきまして御造詣の深い久保議員から、我が国経済の現状認識と先行きについてのお尋ねがございました。
 御記憶のとおり、このたびの不況打開につきましての最初の政府の処置は小渕内閣が誕生いたしました平成十年の七月からでございますが、そのとき、私どもといたしましては大体四つのことを考えておりました。
 第一は、この際、財政再建というものは二つの道を歩くことはできないので一応棚上げをしよう、そして不況打開に専心しようということでございますが、まず公共事業中心の財政による景気刺激政策、それから減税、それから金融危機が迫っておりますのでそれに対する対応、なお雇用対策、こういう四つを中心に施策を進めてまいりました。
 結果といたしましては、幸いにして経済がスパイラル的に悪化することは防ぐことができました。また、金融不安につきましても、いっときは海外でジャパン・プレミアムが生じたような状況でございましたが、これもまずまず鎮静をいたしまして、ちょうど前年に東南アジアで為替危機もございましたことから生じた国際的な経済危機にもまずまず我が国が元凶にならずに対処ができたということであったと思います。
 当時、私といたしましては、そのような財政的な努力、これはもうおっしゃいますように非常に金のかかることでございますから、できるだけ早く民間の経済活動にバトンタッチをいたしたいと考えておりましたが、自分の何となく腹づもりでは、二年たちましたら民間の経済活動にバトンタッチをできるのではないか、平成十二年の秋ごろ、昨年の秋ごろかと思いながら財政の努力を続けてまいりましたが、いわゆる民間経済活動のうちで企業の設備投資、企業の活動は大中小いろいろございますけれども、しかし予想以上に早く立ち直っておりまして、昨年の正月ぐらいから立ち直りが始まったように思いますが、今日におきまして収益も回復いたしまして、もとよりちょっとここで弱含みになっておるかもしれませんが、それから大中小、製造業、非製造業の間のばらつきはございますけれども、民間経済活動としての企業はまずまず期待にこたえてくれているというふうにただいまの段階で考えております。
 予想どおりにいきませんでしたのは、私はそのような企業活動が普通であれば家計の上昇につながるであろうというふうに考えておったわけでございます。しかるところ、今日までの状況は、雇用、家計につきまして、雇用につきましては有効求人倍率は少しずつ回復をいたしておりますけれども、完全失業率は大きな改善を見せておりません。いわんや家計におきましてはどうも収入がふえているというふうに見えませんし、また限界消費性向もそれならば上がっているかというとそうでもありませんので、家計は不振と申し上げるしかございません。
 したがいまして、GDPから見ますと、御承知のように五十何%を占める個人消費というものが動きませんと、財政がよほど頑張りましてもなかなかそのかわりをするわけにはいかないというのが私は今日の状況ではないかと考えております。
 アメリカの場合、グリーンスパンの話によりますと、いわゆるIT革命というもので経済社会が変わった。その変わった一つの原因は無論企業でございますけれども、大きな理由は労働側のレイオフであったということを言っておるわけでございます。もちろんグリーンスパン自身は、そういうことは我が国日本やヨーロッパの国ではもちろん行いがたいことだが、アメリカの場合にはそれが可能であったということを言おうとしているわけでございますけれども。
 あるいは、IT革命によって社会が変わるといたしますと、我が国の労働における長い間の慣行、習慣等々も時間をかけながら変わっていくということが二十一世紀へ向かっての我が国の変貌であるのかもしれない。それはわかりませんのですけれども、そこのところは少しやはり時間がかかるということは考えておかなければならないというふうに思っておりまして、ただいま御審議中の平成十三年度予算の中で私が公共事業等予備費三千億円をお願いいたしておりますのも、多少この点について時間がかかるかもしれない、これがなければこれはもう要らなかったであろうがという思いでございます。
 したがいまして、ただいまの問題といたしましては、これだけ大きなリストラクチャリングが行われているとしますれば、それがやがて家計に、あるいは雇用の増でございますが、順調に反映するまでの時間、現にやっております補正予算あるいは御審議中の十三年度予算につきまして、施策を進めて経済の自律的な回復軌道に乗るということを推進しなければならないのではないかというふうに考えております。
 ただいまのところ、アメリカの経済に多少のスローダウンが見えることはそのとおりでございますけれども、それは我が国の経済に影響があることはもちろんですが、しかしアメリカの経済は十年間上り続けてきた後のことでございますし、我が国は何年間か下がり続けてきた後のことでございますから同じ軌跡をたどるというふうに考える必要はない。むしろ、我が国の雇用なり家計なりが順調に回復するならば、それはGDPに非常に大きな影響を与えますので、そのための努力を続けることが必要ではないかというふうに考えておるわけでございます。
 次に、財政改革の問題でございますが、先ほど久保議員の言われました平成十三年度末の国債残高、これは三百八十九兆円と予想しておりますが、おっしゃいましたのはいわゆる中期展望に申します政策努力を反映していないプロジェクションでございますことを申し上げておきたいと思います。
 それで、こういう状況でございますから、財政構造改革というのは一刻もゆるがせにできない問題でありますことは久保議員のおっしゃるとおりでございますが、ただ、その前提といたしまして国の税収入がどのぐらい確保できるかということが、これが多少の確信が持てませんと税制改革のプランというものが立ちません。それは、すなわち経済が自律的な成長過程に入るということを意味するわけでございますが、ここ何年か国が最初にいたしました税収見積もりは途中で減額補正をいたしておりまして、つまり予定ほど取れなかったわけでございます。十二年度になりまして初めて幾らか見積もりをふやすことができました。ただ、それも勢いどうも法人筋ということになってまいりますが、初めて税収見積もりが予想よりもふえたという状況がございまして、これはある意味で自律的な成長過程が始まる一つの証左であろうかというふうに考えております。
 そういう自律的な成長が多少自信が持てますと、そこで財政構造改革を始めることができると思っておりますが、ただ、財政構造改革と申しましても、御承知のとおり、もはやここまで参りますと財政だけの問題ではございません。税制もございますし、社会保障もございますし、中央、地方の行財政をどうするか、いろんな問題が一緒に入ってまいりますので、これらのお互いに対立するいろんな要素を一義的に決定するとすれば、やはりそういうシミュレーションができなければ厳格な意味でのプランは立ちません。
 したがいまして、先般、政府の経済財政諮問会議でこの問題を取り上げまして、やはりシミュレーションのためのマクロモデルをつくることが必要であるということで、ただいま内閣府の経済社会総合研究所においてマクロモデルをつくることの検討を始めてもらったところでございます。
 もとより、その作業の結果、これは非常に大きな作業になり、しかも将来に向かって非常に深刻な問題であることはもう変わりがございません。久保議員のおっしゃるとおりでございますが、しかしそういう確固たるプランの上に立って、もちろん国民各位にもいろいろ、いろんな御苦心を願わなければならない、しかも長い仕事になるとは思いますが、しかしやはり基本は成長というエネルギーの中からそういう力を生み出さなければならない、またそういうふうに経済が運営されなければならないというふうに考えておるところでございます。
 次に、先ほど公債減額があったことについて、それは前の年に比べていわゆる金融関係の負担が減ったからではないかと。そのとおりでございます。確かに、十二年度予算におきましては四兆五千億円を国債整理基金特別会計に入れましたのは主としてあの二つの長期銀行の破綻の結果であったわけでございますが、この費用が十三年度には必要がなくなりました。その分だけ財政の負担があいたわけでございますが、他方で地方制度の改正に伴いまして特別会計へ一兆四千億円の繰入額を設定いたしましたので、これが負担増の原因になったわけでございます。
 他方でいろいろな歳入、なるべく歳出を削ります努力もいたしました。それはいろいろな努力をいたしておりますが、しかし税収が、先ほども申しました二兆円ほどふえておりますので、これらの歳入歳出の両方の努力によりまして公債減額が可能になったと、こう申し上げるべきかと思います。
 長くなりますので短くいたしますが、財政制度審議会の建議につきましては、公共事業について個々の事業の見直し、あるいは地方財政につきまして、ただいま申しました対策、それから中央省庁改編によりますところの取り組み等々、また国債の減額をいたしまして、建議の精神にできるだけ沿った努力をいたしたいと考えておるところでございます。(拍手)
   〔国務大臣坂口力君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(坂口力君) 久保議員からは二カ所で御質問をちょうだいをいたしましたが、同趣旨でございますので、まとめてお答えをさせていただきたいと存じます。
 KSD問題に関連しての証人喚問についてのお尋ねでございますが、この問題につきましては総理が真相究明に向けての御決意を表明されたとおりでございます。
 総理からも御指摘がございましたが、証人喚問要求につきましては、議院の運営に関することであり、今後の国会審議の状況を踏まえつつ国会において真剣に議論をされ御判断いただくべきものであると考えております。
 公明党を代表して答弁する立場にはありませんが、私個人の意見を求められているのであれば、公明党は一貫して政治の浄化を訴えてきた党であり、説明を求められた政治家はみずから釈明の努力を払うべきであり、さらに真相解明のためにはあらゆる手段を講じていくことが国会に期待されている役割であると考えているところでございます。
 さらに加えるならば、李下に冠を正さず、このことを制度としてどのように構築するかが政治家にあわせて問われているものと考えているところでございます。
 以上、お答えを申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣河野洋平君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(河野洋平君) 今回の事件によりまして、国民の貴重な税金の使途に対する問題、そしてまた外交に対する信頼の低下、こういったことを惹起いたしましたことを、まず心からおわびを申し上げたいと存じます。
 議員が御指摘になりましたように、私は今回の問題を一片の報告書の提出をもって事足れりというふうには考えておりません。強制的な捜査権のない外務省の調査委員会として、本件の疑惑の全貌を明らかにするだけの調査を行うには限界があり、むしろ調査委員会においても明らかにできる松尾元室長の公金横領の事実を特定し、できるだけ早く告発をし捜査当局の捜査にゆだねることが、最も速やかに本件疑惑の全貌を解明するために最善と考えたわけでございます。
 もとより、外務省といたしましても、全容解明のために捜査当局に全面的に協力をしていくことは当然と考えております。と同時に、外務省自身も必要な内部調査を継続してまいるつもりでございます。
 本件を未然に防げなかったことにつきましては、外務省としてのチェック体制に不備があったことによるものであり、この点につき深く反省をいたしております。
 私としては、今回の事件に対する厳しい反省に立ち、襟を正して真相究明と抜本的な再発防止に取り組むことが私の責任と考えておりまして、これによって外交に対する我が国国民の信頼を回復するよう全力を尽くす考えでございます。
 要人外国訪問支援室についてお尋ねがございましたが、同室は総理大臣の外国訪問に際して交通手段、宿泊施設に関する支援業務を担当しておりました。
 なお、本支援室は一月末をもって廃止し、同室が行ってまいりました業務を官房総務課長の直接の責任のもとに置くことにしたことを申し添えます。
 沖縄の施設・区域に関する問題についてお尋ねがありました。
 アメリカ軍の兵などによる遺憾な事件の再発防止につきましては、今後とも米側に対し、厳正に規律を保持し、よき隣人としての責任を全うするよう強く促していく考えであります。
 先月の日米外相会談におきましても、私から県民の気持ちをよく酌む必要がある、よき隣人関係を強化してほしい旨をパウエル長官に伝えましたところ、同長官よりは、米軍による沖縄の人々の生活への妨げが最小限となるよう確保していきたい旨の発言があったところであります。
 また、普天間飛行場の代替施設に係る使用期限の問題につきましては、同外相会談におきまして、私より、平成十一年末の閣議決定を踏まえ、使用期限の問題について取り上げるとともに、移設、返還については引き続き両国でよく相談していきたい旨述べまして、パウエル長官よりもこれに同意する旨の回答があったところであります。
 こうした日米外相会談の結果を踏まえながら、今後とも、沖縄県民の方々が背負われている御負担の軽減のため、SACO最終報告の着実な実施に最大限努力をしてまいる考えであります。
 アメリカ新政権の対外政策についてのお尋ねでありますが、パウエル国務長官及びライス大統領補佐官と先般会談をいたしました際、先方より、中国を世界経済システムに関与させていくことが重要であるなどの指摘がありました。また、同盟国との関係を重視していること、中国、北朝鮮などとの関係についても、これまでの合意は尊重しつつ、慎重に今後の政策を検討していきたいとの姿勢が見てとれました。
 アメリカ新政権は発足間もないこともありまして、今後の政策については、その動向を引き続き注視していく必要があると考えます。
 いずれにせよ、中国、朝鮮半島情勢を含む国際情勢につきましては、日米両国が対話を行い、密接に協力をしていくことで意見が一致いたしております。
 日ロ関係についてお尋ねがございましたが、本件につきましては、総理から詳細御答弁のあったとおりでございます。
 若干の補足をさせていただけば、自民党議員の訪ロの件につきましては、領土交渉は総理及び外交チャネルで行うのが基本であることは当然でありますが、同議員は与党の立場からロシア側と話をされたものと承知をいたしております。同議員に対しましては、事前に政府の政策及びロシア側とのやりとりの現状も十分に説明をいたしておりまして、何ら問題はないものと考えております。
 今後の日ロ交渉の展望、方針につきましては、日ロ首脳会談の日程についてロシア側と引き続き調整を行っているところでありますが、できるだけ早期に北方四島の帰属の問題を解決し、平和条約を締結するとの一貫した方針のもとで交渉に取り組んでいく考えであります。(拍手)
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(橋本龍太郎君) 久保議員にお答えを申し上げます。
 既に総理、外務大臣から、在日米軍基地の問題についての取り組み、基本的なことはお答えがございました。
 全国にあります米軍の施設・区域の七五%が沖縄に集中している、その状況がいかに県民に御負担をかけているかということは、私自身十分認識しているつもりであります。その上で、SACOの最終報告の着実な実施がその負担を少しでも軽減することに役立つことを期待し、これについて全力を尽くしてまいりたいと思いますが、特に普天間飛行場の代替施設につきましては、平成十一年末の閣議決定に基づきまして、代替施設協議会を設置して基本計画の策定に向けて鋭意協議を進めているさなかであります。本協議会におきまして、できるだけ早く成案が得られるよう着実な検討を積み重ねてまいります。
 また、使用期限の問題につきましても、ただいま外務大臣からもお触れがありましたが、平成十一年末の閣議決定に従って適切に対応していく所存であります。
 次に、総理の訪ロ日程の延期といった問題から幾つかの点の御指摘をいただきました。
 首脳会談の日程調整をめぐるやりとりにつきましては、私も大変残念でありますが、ロシア側からも一定の遺憾の意を表してきていると承知をいたしております。私の立場からは、現時点でロシア側の真意をこれ以上憶測することは控えさせていただくべきだと思いますので、この点はお許しをいただきたいと思います。
 また、自民党議員の訪ロについてというお話がございました。
 領土交渉は総理及び外交チャネルで行う、それが基本であることは当然であります。その上で、あらゆるレベルで日本側の意思を伝えていくということも当然必要であり、こうした意見交換は有意義なものだと考えております。
 そして、ロシアとの平和条約交渉、その性質上極めて難しい問題でありますけれども、できる限り早期に北方四島の帰属の問題を解決し、平和条約を締結し、日ロが本当の意味でのパートナーになり得るような状態に少しでも早く到達することを私も願い、内閣の一員としてこうした方針を踏まえながらみずからの役割があるなら果たしていきたいと考えております。(拍手)
#10
○議長(井上裕君) 答弁の補足があります。森内閣総理大臣。
   〔内閣総理大臣森喜朗君登壇、拍手〕
#11
○内閣総理大臣(森喜朗君) 先ほどの久保議員御指摘の町村文部科学大臣の発言については、もとより憲法第四十四条に反するようなことを意図したものではなく、青少年が心と体を鍛えることができるような多様な活動が必要という認識に立ってのものと理解をいたしております。(拍手)
    ─────────────
#12
○議長(井上裕君) 竹山裕君。
   〔竹山裕君登壇、拍手〕
#13
○竹山裕君 私は、自由民主党・保守党を代表して、さきの内閣総理大臣の施政方針演説など政府四演説に対して、総理並びに関係大臣に質問いたします。
 質問に先立ちまして、最近起こった事故等について申し上げます。
 先月三十一日、静岡県焼津市上空で日本航空機同士が異常接近し、四十二人が重軽傷を負うという事故が発生しました。幸い、間一髪で空中衝突という大惨事は免れましたけれども、今後このような事態が絶対に起こらないよう、管制ミスが重なった原因などを徹底的に調査究明し、早急に再発防止対策に取り組まなければなりません。
 また、この一月にエルサルバドルとインド西部に大地震が発生し、多数の犠牲者が出ましたことに深くお見舞いを申し上げるとともに、救援への対応が強く望まれます。
 さらに、三宅島噴火を初め大災害で長期にわたる避難生活を余儀なくされている方々に対し、我々与党は生活の支援等に全力で取り組んでまいります。
 二十一世紀最初の国会で、党を代表して質問するに当たり、我が国の命運を左右する緊要な課題が山積する中、政治が果たす役割と責任の重さを改めて身の引き締まる思いであります。
 このような重大なとき、小山孝雄前参議院議員がKSDにかかわる受託収賄の容疑で逮捕されました。まことに遺憾であり、国民の皆様方に、また友党の公明党、保守党に御迷惑をかけましたことを心からおわび申し上げます。
 我々参議院自由民主党は、国民の強い批判を厳しく受けとめ、深く反省するとともに、今後いささかも疑惑を受けることのないようみずからを厳しく律し、政治倫理の実践に全力を挙げて努めてまいります。
 明けて一月六日、戦後初の省庁再編成により一府十二省庁が新発足し、政治主導による新たな時代の要請に対応する体制が整備されたところであります。この改革をてこに、日本新生に向け経済社会の構造改革に全力で取り組むことが強く望まれます。
 先般、額賀経済財政担当大臣が辞任するという遺憾な事態となりましたが、決意を新たに、総理の指導力を強く発揮して、宮澤、橋本両大臣を初め各大臣が高い見識と豊富な経験を存分に生かされることを切に願います。
 総理は、年頭に攻めの再構築を強調され、施政方針で今国会を日本新生のための改革国会と位置づけ、改革の実行に向けて全力で取り組む覚悟を示されました。
 自由民主党は、これを受けて、誠心誠意、党改革、自浄努力、信頼回復に徹するとともに、連立与党の中心として、政権基盤を強化し、国家の発展と国民の暮らしの向上のため、連立政権・森内閣とともに改革に取り組んでいく所存であります。
 これから景気の本格回復と暮らしの安定、向上のため、十三年度予算の早期成立や教育改革を初め国民の切実な要請にこたえ、一つ一つ成果を積み上げ、半年後に迫った今世紀初の国政選挙たる参議院選挙において国民の厚い支持を得るよう最大限の努力をする決意であります。
 改革国会の幕あけ、新たな省庁体制の中で、総理はどのようにして政治の信頼回復、指導力の発揮に努め、時代の要請、国民の期待にこたえていかれるのか、国民に向けて決意をお示し願います。
 次に、二十一世紀の我が国のあり方を考えるに当たり、今から百年前の二十世紀当初の日本はどのような状況に置かれているかを振り返ってみたいと思います。
 当時、明治維新によって、工業化と近代化に向けて国家と国民とが一体となり邁進している時期でありました。そのときはちょうど日清・日露戦争のはざまにあり、アジアにおいては植民地争奪が熾烈をきわめるなど、内外で大きな不安を抱いていたことも事実であろうと思います。
 その後、第一次大戦、関東大震災、金融恐慌あるいは第二次大戦など多くの苦難に遭遇しましたが、これを克服し、今日のような高度な近代国家へ発展するとはだれが予想してきたでありましょうか。これは、国難や難局に対して国民が萎縮せずに立ち向かい、そのエネルギーを政治の力強いリーダーシップによって結集してきたからではないでしょうか。
 いつの時代も予測しがたい多様な危機が起こり得ますが、個人の尊厳をたっとび、民族のアイデンティティーが醸し出され、はぐくまれる社会であるべきと考えるのであります。
 こうした社会を築くための基本は憲法にあると思います。我が国の憲法を我が民族にふさわしい品格あるものとし、同時に、世界的かつ地球的観点を踏まえて全人類のために貢献するという崇高な精神を具現し得るものに改めていけるかどうかが今後の我が国の国家百年を左右することになると思うのであります。
 衆参両院にはそれぞれ憲法調査会が既に発足し、これまでタブー視されてきた憲法論議が活発化しており、大変喜ばしいことであります。
 そこで、まず、我が国のあり方、国家と国民との関係、さらには日本国憲法の改正について総理はどのようにお考えか、伺います。
 次に、人づくり、教育問題について質問します。
 青少年の凶悪犯罪、いじめ、不登校、学級崩壊等、教育の荒廃、家庭の不和など反省すべき多くの問題が山積しております。
 しかし、一方では、昨年のシドニー・オリンピックでの若者たちが活躍する姿、特に女子マラソンでの高橋尚子選手の感動的な金メダル、さらには白川博士のノーベル化学賞の受賞など、そのチャレンジ精神、創造力に多くの国民が励まされました。
 先月二十六日夜、線路に転落した男性を我が身を顧みず救出しようとした韓国籍の李秀賢さんや関根史郎さんの二人の行動に対し、国境を越えて悼む声や勇気をたたえる声が高まりました。
 子供たちはこのようにすばらしい方々から夢や元気をもらい、真剣に生きる大人たちの姿を見て育っていきます。よきにつけあしきにつけ、子供たちは大人の社会をそのまま映す鏡であることは昔も今も変わりません。
 失われつつある誇りや恥の精神、責任感や倫理性を取り戻すときであります。
 このことを我々政治家を初め国民一人一人がそれらの立場でしっかりわきまえて、教育問題をみずからのこととして真剣に受けとめて、子供たちに正面から対すべきであります。
 教育改革は今や社会改革そのものであり、二十一世紀の今日、人間のルネサンスが強く求められております。
 教育改革国民会議の最終答申では、人間性豊かな日本人、創造性に富む人間の育成を目指し、教育の原点としての家庭のしつけ、社会奉仕活動の充実、一律主義から個性を伸ばす教育システムへの転換等が強調されており、これにより戦後教育の徹底的な見直し、心の教育の重視が大いに期待されるところであります。さらに、新しい時代にふさわしい教育基本法の見直しが織り込まれており、教育の基本に立ち返るに時宜を得た適切な提言と高く評価したいと思います。
 今国会では、学校教育法の改正を初め六本の教育改革関連法を提出準備中であり、審議を深め、国民の期待にこたえていく務めがあります。このため、大もとの教育基本法の見直しについても、歴史と伝統文化の学習、家庭のしつけ、生涯教育などをどのように位置づけ盛り込むか論議し、早急に具体化すべきであります。
 総理は、「人間の世紀」において、人づくりは国づくりの観点から、人間性豊かな日本人、創造性に富む人間を目指し、教育基本法の改正を初め教育の改革にどのように取り組まれるか、基本的なお考えをお聞かせ願います。
 次に、行財政改革等について伺います。
 我が国は、少子高齢化により二〇〇七年ごろをピークに総人口が減少していくという歴史上かつて経験したことのない大転換期を迎え、それまでに行財政を初め経済社会システム全体の大改革を断行していく必要があります。改革の進展に伴いいろいろな痛みが一時的には生じてきますが、それが働けないお年寄りや体の弱い人たちにしわ寄せされないように血の通った支援が大切であります。
 このような時代の変化や国民の要望にこたえるのが行政改革、地方分権の推進であり、その大きな第一歩が今回の中央省庁の再編であります。今回の改革が単に器だけの改革にならないよう、新しい革袋には新しいうま酒をという言葉のとおり、組織を形成する人、すなわち公務員制度自体の見直しにも取り組んでいくことが急がれます。
 これからは、国民本位の行政サービスに徹するため、信賞必罰、能力主義の導入を図り、公務員の士気を高めていくことが不可欠であります。
 橋本行革担当大臣には、公務員制度の改革を初め特殊法人の改革等についても大なたを振るっていただきたく、御決意のほどをお伺いいたします。
 さらに、高齢化の進展等に伴い、身近な行政サービスの充実、地方分権の受け皿づくりが急がれますが、片山総務大臣は地方財政基盤の強化、市町村合併の促進等にどのように取り組んでいかれるのか、見解をお聞かせください。
 我が国は歴史的に見て戦略性に乏しいことがかねてから指摘されてきましたが、変化の激しい情報化社会においては、明確な国家戦略に沿った改革のシナリオが不可欠となります。このためにも、今回の行政改革で内閣府を各省の上に位置づけ、総理大臣の権限を強化したことは大きな前進であります。
 内閣府には、基本重要政策に関し、有識者の参加を得た四つの会議が新たに設けられ、中でも経済財政諮問会議がその重要な役割をいかにタイムリーに発揮するか、例えばマクロ経済との関連では、国民の将来不安を少なくし、個人消費の回復をいかに図るかが目下の最重要課題であります。このため、財政再建や社会保障問題への対応を含めた中長期的な財政運営の基本方針の策定が大きな試金石となります。
 また、新世紀は、ITや生命科学を初め、原子、分子を操作するナノテクノロジー、いわゆる超微小技術等が大きく進展し、文明の大転換期を迎えると言われています。特に、情報通信技術は経済構造を初め社会生活にも重大な影響を与えます。このように経済社会の全般に大きな影響を及ぼす科学技術を総合的、計画的に検討する場として総合科学技術会議がスタートしたことは、大きな推進力になると期待しております。
 総理が言われる今後百年の大計を律する十年の出発であることしの取り組みが肝心であります。総理は、経済財政諮問会議を中心として、財政構造改革や社会保障改革を初め、国づくりの基本課題にどのようにリーダーシップを発揮され、改革のシナリオづくりに取り組まれるか、大方針を承ります。
 次に、景気・経済問題について伺います。
 我が国の経済は緩やかな回復基調にあるものの、このところ、株価の低落、輸出の減速等により踊り場に差しかかったかの感があります。アメリカの景気の後退や我が国の個人消費の動向等から、かなり厳しい見方も出始めていますが、我が国の経済の基礎体力から見て、株価や円相場の変動に余り一喜一憂すべきではないのではないかと思います。
 当面の対応としては、まず十二年度補正予算の効果を早急に浸透させ、特に、中小企業への貸し渋り、連鎖倒産の防止や雇用のミスマッチの解消を図っていくことが急務であります。
 追加の金利の引き下げ等により、アメリカの景気が果たして軟着陸できるのかどうか、また、三月決算期を迎え、株の持ち合い解消圧力が強まるなど、金融・為替市場の動向にも十分目配りし、機動的な株価、金融対応が不可欠であります。
 特に、株価対策については、市場介入を最小限にとどめるよう慎重に対処すべき面もありますが、少なくとも自社株の保有目的での取得の自由化、いわゆる金庫株制度の解禁等、海外の市場でも実施されているものについては実現に向け鋭意検討していくべきであります。
 もう一押しのところに来た景気が腰折れすることのないよう、スピーディーな取り組みをお願いしたく、経済運営の対処方針を総理に伺います。
 十三年度予算は本格的な景気回復への後押しを行うとともに、日本新生特別枠を中心に時代を先取りした経済構造改革により、我が国の持つ本来の成長力を高めていこうとするものであります。具体的には、規制緩和による新規産業の育成、ベンチャー支援、競争の促進、さらに科学技術振興、教育改革など人的資源の確保等の多角的な政策は、総理の言われる攻めの再構築の重要な第一歩になると思います。
 特に、「希望の世紀」のかぎとなるIT革命については、五年以内に世界の最先端のIT国家となることを目指すとともに、百万人の職業能力開発を初め、都市基盤や生活基盤の整備について、渋滞解消、防災対策等、緊急性の高いものに思い切った重点予算配分がなされております。
 また、公共事業の大幅な見直しで二百七十二事業が中止されたことは画期的であります。
 さらに、財源確保のための国債の新規発行額が二十八兆三千億と三年ぶりに三十兆円を割り込み、国債発行を抑制できたことは財政健全化の足がかりとして評価されるものであります。
 この予算の早期成立こそが最大の株価対策であり、景気回復を図るメッセージを内外へ強く発信することになります。
 また、来年度税制改正において、国民から継続要望が強かった住宅ローン減税や懸案であったNPO税制の創設、さらには自動車税のグリーン化が盛り込まれました。特に、グリーン税制は地球温暖化ガス削減に日本を挙げて取り組む大きな一歩と評価します。
 宮澤財務大臣は、十三年度予算編成において、政治主導によりどのように省庁再編のメリットを具体化することができるのか、経済の構造改革や財政効率化等、いろいろ知恵を出された点を含めて御説明願います。
 近年、消費の停滞に加えて海外からの安い輸入品が増加し、特に農林水産業が大きな打撃をこうむっております。今後、経営の安定化策、セーフガードの発動、次期WTO交渉への対応が強く要請されています。
 また、有明海のノリ不作等の問題について、地域経済に与える影響も大きく、党の対策本部で目下真剣に取り組んでおりますが、政府も十分な原因究明と当面の支援に万全を期されたく、総理大臣に以上二点お答え願います。
 次に、国際問題について質問します。
 総理は、二十一世紀を真に平和の百年とするため、最も重要なものとして、あらゆるレベルでの国境を越えた対話、人間一人一人を大切にする人間の安全保障を強く提唱されています。
 また、就任以来、創造的外交、グローバル外交を目指し、多くの国々の首脳との信頼関係の構築に努めてこられ、新年早々には我が国の現職総理として初めてサハラ以南のアフリカ諸国を訪問され、先日はスイスのダボス会議に出席されました。
 新たな「地球の世紀」を迎え、このような多面的な首脳外交の成果を踏まえつつ、世界やアジアをどのように展望し、我が国が世界から信頼される国家となるためにいかなる役割を果たしていくべきか、抱負をお聞かせ願います。
 これら外交の中心を担う外務省職員による公金横領疑惑は、我が国外交への国民の信頼を損なう極めて遺憾な事件であります。チェック体制の整備が急務と思われますが、信頼を一日も早く回復するために、総理大臣としてどのように対処していくか、お伺いをします。
 先月二十日に発足したアメリカのブッシュ新政権において、外交、安全保障や通商政策がどのように展開されるのか、世界が大いに注目しております。
 アジアにおいては、アメリカは、日米同盟関係をより重視しつつも、日本への要求が強まるのではないか、さらに北朝鮮政策の包括的な見直しがなされて、慎重な対応へ転換するのではないか等、さまざまな見方が出ております。
 国際情勢の変化が速い中、日米の信頼関係の強化は、両国間のみならず、朝鮮半島問題を初めアジアそして世界の平和と繁栄にとって重要であり、一日も早い首脳会談の開催が望まれます。
 その中で、特に緊要な課題である北朝鮮との交渉、ミサイル問題を初めとする日米韓三国の連携、中国との関係、さらに日米の経済の動向、課題について十分な意見交換が望まれます。
 このように日米両国が力を合わせて取り組む重要な課題が山積する中、ブッシュ大統領との首脳会談にどのような方針で取り組んでいかれるのか、基本的な考えをお伺いいたします。
 また、総理が目指す強靱なアジア太平洋圏の創出等の基本戦略についてもあわせお伺いいたします。
 次に、ロシアとの交渉についてであります。
 首脳会談開催がロシア側の一方的な申し出で延期となったことについて、我が国は何も焦ることはありません。
 あくまでも北方四島の返還問題の解決が平和条約締結の大前提であります。ロシア側が領土問題をできるだけ先送りしようとし、我が国の経済支援を引き出す思惑があるとすれば、両国の経済関係の発展に限界があることを明確に相手に理解してもらうことが何よりも大切であります。
 このために、交渉の目標期限を設定し、強く主張しつつ、交渉再開に粘り強く取り組んでいただくことが、総理からロシアへの交渉方針を含んでお聞かせ願います。
 施政方針演説で有事法制の検討に触れられましたが、我が国は専守防衛に徹しつつ、つけ入るすきを見せないよう万全な備えが必要であり、有事法制への早急な取り組みが強く望まれます。総理の方針を伺います。
 残すところ半年に迫った参議院選挙は、今世紀最初の国政選挙であり、国づくりに向けた基本課題の取り組みについて、長期的、幅広い視野に立って、参議院が高い見識を発揮するにふさわしい選挙となることが肝要であります。このための比例代表選挙制度として新たに非拘束名簿式の導入を図ることとしたものであります。
 このような参議院選挙の意義を踏まえ、特に望まれるのは、新しい国づくりについて、各党の考え方を明確に打ち出し、国民が判断する際の重要な選択肢として提示することであります。
 国家の命運を左右する重要課題が山積する大変革期では、国家像や憲法観、教育の基本に同じ考えを持った政党が安定した政治基盤を確保し、改革に果敢に取り組むことが何よりも大切であります。
 しかし、野党の中には、国家の一番大事な自衛権問題で大きな意見の対立が見られる政党があるかと思えば、自衛隊は憲法違反としつつも、廃止されるまでの間は必要に迫られた場合には国民の安全のために活用するとの方針に転換したかに見える政党があるなど、多種多様な考え方を持った党が混在しています。このように憲法観や基本政策の異なる野党同士が政権構想を打ち出しても、国民からは信頼されないのではないでしょうか。
 これらの問題を国民に判断してもらうために、憲法改正を争点に選挙戦を展開すべきであり、それに加えて、今国会の論戦を踏まえつつ、教育のあり方、行政改革等についても選挙の大きな争点として改革の方向性を国民に選択してもらうべきと考えます。
 総理は、この参議院選挙の意義をどのように受けとめ、何を選挙の争点として打ち出していかれるおつもりか、御所見を伺います。
 この改革国会においては、予算案を初め、教育改革、IT関連など、新世紀の礎ともなる重要法案がメジロ押しであります。予算や法案の審議を推進するべく、与党一致結束して森内閣を支えてまいりますので、総理の強力な指導力の発揮を切にお願いして、質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣森喜朗君登壇、拍手〕
#14
○内閣総理大臣(森喜朗君) 政治への信頼回復や国民の期待にこたえる決意などについて関連した御質問がございました。
 今回のKSDをめぐる事件により損なわれました国民の政治に対する信頼を回復するため、私は、改めて政治倫理を確立し、国家国民のことを第一に考えて仕事をするという政治家としての原点に立ち返るべきことを痛感いたしました。
 今後は、国民が今求めている政策に一つ一つ着実に取り組み、答えを出していくことでみずからの責任を果たしていきたいと考えております。
 改めて申すまでもなく、我が国の発展を支えてきた経済社会システムは、経済のグローバル化、IT革命、少子高齢化などの激しい変化の中で、従来のような役割を果たせなくなっております。
 しかしながら、こうした時代の変化を、日本のシステムに対する危機ではなく、むしろ新たなチャンスととらえ、積極的に改革を行うことにより日本の新たな発展の道筋をつくらなければなりません。そうした思いで私はかねてから日本の経済社会全体の構造改革を通じた日本新生を提唱してまいりました。
 景気の本格的な回復を初め、IT革命の推進、教育改革、社会保障改革など、どれをとりましても今まさに国民が求めている政策課題が山積している状況にあります。
 私としては、一月六日に発足いたしました新生中央省庁の機能を最大限活用し、また、政治のリーダーシップを発揮しつつ、このような諸改革に陣頭に立って取り組む所存であります。そして、明治維新、戦後改革にも匹敵するような第三の抜本的改革を実行し、日本新生の実現に全力を尽くしてまいる所存であります。
 我が国のあり方、国家と国民の関係に関連したお尋ねがございました。
 私は、二十一世紀の日本の活力を創出していく原動力は人であると考えております。個性と創造性にあふれ、かつ、心の豊かさを持つ人を育成するとともに、こうした人が十分に尊重され、自由濶達に活動できるような国づくりをしなければなりません。また、平和をとうとび、国際社会における責任とリーダーシップを果たすことにより、国際的にも信頼されるような国家を目指す必要があります。
 今述べましたことを前提とした上で、国家と国民の関係につきましては、国家は国民の安全と幸福を守り増進することを最大の任務とし、国民はその国の国民であることに誇りを持ち、みずからその国を支えていく気概を示すことができる、私はそのような国家と国民を理想と考えております。
 また、憲法改正についてお尋ねをいただきました。
 議員御指摘のとおり、国家の基本理念は憲法によって表されるものと考えます。そして、我が国の憲法の基本理念である民主主義、平和主義及び基本的人権の尊重は、憲法が制定されてから今日に至るまでの間、一貫して国民から広く支持されてきたものであり、将来においてもこれを堅持すべきものであると考えております。
 一方、憲法第九十六条は憲法の改正手続を規定しており、憲法をめぐる議論が行われること自体は何ら制約をされるべきものではないということは言うまでもありません。しかしながら、国の基本法である憲法の改正については、世論の成熟を見定めるなど慎重な配慮を要するものであると考えております。
 憲法に関する問題については、広範かつ総合的に調査を行うため、第百四十七国会から衆参両議院に憲法調査会が設置され、将来の我が国の基本的あり方を見据えて幅広く熱心な議論が行われているところでありまして、これを十分見守ってまいりたいと考えております。
 教育改革についてお尋ねがありました。
 教育は、心の豊かな美しい国家を築くための礎となるものであり、国政の最重要課題であります。
 教育全般についてさまざまな問題が生じている今日、議員御指摘のように、人間性豊かな日本人、創造性に富む人間を育てるためには、知識に偏重した教育でなく、体育、徳育、知育のバランスのとれた全人教育を推進するとともに、制定以来半世紀を経た教育基本法の抜本的な見直しなど、教育の根本にさかのぼった改革を進めていく必要があると考えております。
 このため、この国会において、子供一人一人、国民一人一人が、学校がよくなる、教育が変わるという実感が持てるように、学校教育法の改正など一連の教育改革関連法案を提出し、本格的な教育改革に取り組んでまいります。
 また、教育基本法の見直しにつきましては、教育改革国民会議の最終報告を踏まえ、中央教育審議会等で幅広く国民的な議論を深め、しっかりと取り組んで成果を得てまいります。ただいまの竹山議員の教育改革に対する高邁な御見識こそ、二十一世紀を開き、世界から信頼される日本新生の礎となるものと存じ、ありがたく拝聴いたしておりました。
 二十一世紀の国づくりにどのような大方針で取り組んでいくのかというお尋ねがありました。
 議員御指摘のように、新しい世紀を希望に満ちあふれたものにするためには最初の十年が極めて重要であります。そのためには、個人も企業も多様な選択肢のもとで自由濶達に活動できる社会を実現するとともに、先導的、創造的な研究開発を推進することによって輝かしい未来を切り開いていかなければなりません。また、経済のグローバル化、IT革命、少子高齢化などへの激しい変化の中、我が国の経済社会システムが新たなる発展の扉を開けるようその改革を進めていく必要があります。私は、今こそ政治の強力なリーダーシップのもと、こうした日本の経済社会全体の構造改革に全力で取り組むとともに、物質的な豊かさのみを追求するのではなく、日本の文化、伝統を大切にし、創造性と人間性にあふれた人々が互いに協力し合うような社会や国家を目指すべきであると考えております。
 今般の中央省庁再編において、内閣府に経済財政諮問会議を設置いたしました。景気を着実な自律的回復軌道に乗せるための経済財政運営とともに、財政や社会保障制度を含む我が国の経済社会全体の構造改革に向けた諸課題について、具体的な政策を主導するとの決意を持って、実質的かつ包括的な検討を行い、国民が安心して希望を持てる処方せんを示していく所存であります。
 我が国経済は、現在、緩やかな改善を続けておりますが、依然として厳しい状況にあり、また、米国経済の減速など懸念すべき点も見られております。こうした中で、引き続き、景気に軸足を置いて、経済を一日も早く本格的な回復軌道に乗せることが最重要課題と考えております。
 このため、昨年十月に決定いたしました日本新生のための新発展政策を着実に実行に移し、今年度の補正予算の迅速、的確な執行に努めてまいります。また、十三年度予算におきましては、公需から民需へのバトンタッチを円滑に行うとの観点から、公共事業等に十分な対応を行うとともに、二十一世紀の新たな発展基盤の構築に必要とされる分野に重点的、効率的に資金を配分いたしております。景気を自律的回復軌道に確実に乗せ、我が国経済を新たなる発展へと飛躍させるためには、この十三年度予算の早期成立が必要不可欠であります。
 さらに、政府としては、時代を先取りした経済構造改革を推進し、金融システムの安定化、金融市場の活性化を初めとした事業環境整備等による中長期的な経済成長力の向上を目指すことや、世界経済の持続的発展へ貢献するといった点を重点として、適切かつ機動的な経済運営を行うことといたしております。
 特に、証券市場をより一層活性化していくための対策につきましては、市場インフラ等のあり方を不断に検討していくことも重要と考えております。
 このように、政府といたしましては、経済運営に万全を期することとしており、改めて平成十三年度予算、税制改正法案、その他の予算関連法案の一日も早い成立をお願いする次第であります。
 輸入増大等に対応した農林水産業に関するお尋ねがありました。
 まず、農業経営の安定化に関しましては、意欲ある農業者が効率的で安定した農業経営を確立できるよう、引き続き諸施策の集中的な実施に努めてまいります。
 また、セーフガードの問題につきましては、現在、ネギ、生シイタケ、畳表の三品目について政府調査を行っているところであります。
 さらに、WTO農業交渉につきましては、農業が国の基として重要であることにかんがみ、多様な農業の共存を基本的目標として、昨年末に取りまとめた日本提案に対する関係国の理解を得るべく、最大限の努力を傾注しているところであります。
 有明海ノリ不作等に関するお尋ねがございました。
 有明海のノリの被害に関し、自由民主党では、早々に被害調査対策本部を立ち上げられ、一月二十六日には与党三党幹事長等が現地の視察に出向かれたということをお聞きいたしております。
 政府としても、原因究明のため、まず緊急調査を行い、その結果を三月末をめどに暫定的に取りまとめますとともに、十三年度からは有明海の海域環境やノリの不作原因の究明を目的とした総合的な調査を実施し、遅くとも九月末をめどに可能な限り早く中間取りまとめを行い、それらの結果を公表いたしたいと考えております。
 また、被害者に対する支援につきましては、貸付金の償還猶予等を関係機関に指導するとともに、農林漁業金融公庫の漁業災害向け資金について、地元自治体との協力による貸付利率の無利子化、貸付限度額の引き上げ等の措置を講ずることを決定したところでありまして、これらにより漁業者が将来に展望を持てるように万全を期すことといたしております。
 「地球の世紀」を迎えた世界とアジアの展望及び我が国の役割についてお尋ねがありました。
 二十一世紀のアジアそして世界においては、あらゆる活動のボーダーレス化が進み、相互依存関係がますます進展する一方、政治、経済等の不安定要因が引き続き存在すると考えられます。
 このような「地球の世紀」に我が国が世界から信頼される国家となるためには、世界の安定と繁栄を実現するための努力に責任感とリーダーシップを持って積極的に参画していかなければなりません。また、人間一人一人を大切にする人間の安全保障の考え方に立って、グローバルに日本外交を展開することが極めて重要と考えております。
 公金横領疑惑に関するお尋ねでありますが、このたび、外務省職員により国民の信頼を裏切る不祥事が起きたことは極めて遺憾であり、この事態を厳粛に受けとめ、国民の皆様に深くおわびを申し上げます。
 今回の事件に対する厳しい反省に立ち、外務省に対して引き続き十分な調査を指示したところであり、政府として、捜査当局による真相解明の進展も見ながら、原因の解明と再発防止に万全を期してまいります。
 外務省からは、二重三重の監視体制を設置するなど、組織体制の抜本的な改善策を講じていきたいとの報告を受けており、今後の調査結果も踏まえ、適切な対応を求めてまいります。
 ブッシュ大統領との首脳会議に臨む方針についてのお尋ねでありました。
 私は、ブッシュ大統領と二回の電話会談を行い、日米同盟関係の重要性を再確認し、同盟関係の強化に向けて協力していくことで意見が一致をいたしております。今後は、日米両国のみならず、アジア太平洋、ひいては世界の平和と繁栄に向けて、日米間の緊密な対話を深めることにより、日米関係を強化するとともに、国際社会が直面する問題への取り組みにつき協議、協力していく考えであります。
 先般行われました日米外相会談におきましても、河野外務大臣から、安全保障問題や中国、朝鮮半島情勢等の国際問題についての我が国の認識を説明し、意見交換を行うとともに、日米間でアジア太平洋に関する対話を強化し、日米安保共同宣言やSACO最終報告を踏まえ、日米間で緊密に協議していくこと、また摩擦ではなく協調の精神に基づく日米経済関係を探求していくことを確認いたしたところでございます。
 ブッシュ大統領との首脳会談につきましては、双方の都合のよい、なるべく早い機会に行うことで意見が一致いたしておりまして、ただいま日程の調整を行っているところでありますが、以上のような基本的な考えに基づいて幅広い協議を行ってまいりたいと考えております。
 強靱なアジア太平洋圏の創出等の基本戦略についてのお尋ねがありました。
 我が国のアジア太平洋外交の基本戦略は、私の施政方針演説でも述べましたとおり、日米同盟関係を基軸とし、韓国、中国及びロシアという近隣諸国との友好と協調関係を強化することによって、アジア太平洋地域における安定の枠組みを堅持することにあります。その中で、韓米両国と密接に協調して北朝鮮政策に取り組んでいかなければなりません。また、APEC、ARF、ASEANプラス3など、重層的な地域の対話と協力を推進していく必要がございます。このような全体的な基本戦略の上に立って、自由で、民主的で、安定し、繁栄する強靱なアジア太平洋圏の創出を目指してまいります。
 日ロ関係につきましては、戦略的・地政学的提携、幅広い経済的協力、平和条約の締結という三つの課題を同時に前進させることが重要と考えております。
 日ロ首脳会談の日程につきましては、ロシア側と引き続き調整を行っているところでありますが、プーチン大統領との信頼関係に立ちつつ、できるだけ早期に北方四島の帰属の問題を解決し、平和条約を締結するとの一貫した方針のもと、交渉に取り組んでまいる考えであります。
 有事法制への早急な取り組みについてお尋ねがございました。
 国民の生命、財産を守ることは政治の崇高な使命であり、政府としては、我が国の危機管理体制を一層強固なものとし、遺漏なきを期すため、これまで種々の対応を行ってまいりました。かかる観点から、有事法制は、自衛隊が文民統制のもとで国家国民の安全を確保するために必要であり、平時においてこそ備えておくべきものであると考えております。
 このため、政府としては、昨年の与党の考え方を十分に受けとめ、検討を開始していくことといたしました。今後、国家国民の安全を確保していくため、どのような法制が必要か、また、どのような枠組みで取り組むべきか等について所要の検討を進めてまいる所存であります。
 参議院選挙の意義及び争点についてのお尋ねがありました。
 参議院選挙は、三党連立政権の枠組みのもとでのこれまでの一連の取り組みを国民に評価していただく場であると考えております。
 私としては、先ほど申し上げましたような景気の本格的な回復に向けた取り組みやIT革命への対応、教育改革、社会保障改革など、経済社会全体の構造改革といった国家国民のためにまさに今必要とされている政策に全力で取り組むとともに、その成果を国民の皆様に御判断をいただきたいと思っております。
 選挙に臨むに当たっての具体的な政策は、竹山議員御指摘のような点も含め、三党それぞれ独自性を尊重しつつ、お互いの信頼と互助の精神で今後詰めていくこととなりますが、いずれにせよ、国民が求める諸改革を実行していくためには何よりも政治の安定が大切であります。現在の連立政権は改革のための政権であり、一致協力して政治の安定を図り、責任ある立場で政権を担うというのが与党三党共通の信念であります。こうした点についても、参議院選挙に当たり、ぜひ国民の皆様に御理解をいただきますようにお願いを申し上げる次第でございます。(拍手)
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(橋本龍太郎君) 竹山議員から、公務員制度改革及び特殊法人改革について御質問をいただきました。
 中央省庁の再編というハードウエアの改革が一たん実現をいたしました今、行政改革の次なる課題、それはまさに行政の仕事の仕方を、行政のシステムというソフトウエアを全般に見直していくことだと思っております。そういう意味で、公務員制度改革は公務員の行動原理そのものに直接影響を持つものでありますし、中核と考えてまいりました。
 現在、公務員に対しては国民から大変厳しい御批判もございます。そうした声を受けて、正すべきものは正しながら、同時に、公務員が時代の要請に対し積極的に対応し、伸び伸びと誇りを持って働けるような公務員制度を何としても実現をしなければなりません。
 昨年十二月に策定されました行政改革大綱の完全実施は当然のこととして、国家公務員法、地方公務員法の見直しまで含めまして、白紙から再設計を行いたいと考えております。三月末までにその大枠は皆さんにお示しをいたしたい。当然、その中には相矛盾するものもありましょうが、その上でこれを六月末には大綱の形にまとめ上げたい、成案を得たい、そうしたスピードで検討を行いたいと考えております。
 また、特殊法人などの改革につきましては、昨年十二月閣議決定をいたしました行政改革大綱にのっとって、すべての特殊法人等の事務事業について、これをゼロベースから見直していくという方針を立てました。過去の反省に立ちまして、従来はややもすると忘れられがちでありましたそれぞれの特殊法人の子会社、孫会社までを視野に入れて見直していくとともに、組織形態についても抜本的に見直すことにいたしております。
 大綱におきまして、平成十三年度中に各特殊法人などの事業及び組織形態について講ずべき措置を定める特殊法人等整理合理化計画を策定することになっており、この計画を実施するためには、遅くとも平成十七年度末までに必要な措置を講ずるとされておりまして、現在、各特殊法人などの見直しの作業を鋭意進めておるところであります。
 院の御協力をも心からお願いを申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣片山虎之助君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(片山虎之助君) 竹山議員から、地方財政基盤の強化、市町村合併の促進等への取り組みについてのお尋ねがありました。
 地方分権の進展に応じまして、地方公共団体がより自主的、自立的な行財政運営を行うようにするためには、地方財政基盤を充実強化していくことが極めて重要であります。
 そのため、今後とも、地方分権一括法や地方分権推進計画に沿って、景気の回復を待たなければなりませんけれども、国と地方の税財源配分の見直しなど、地方財政充実について幅広くしっかりとした検討を行ってまいる所存であります。
 また、市町村合併につきましては、平成十二年度予算において創設しました合併準備補助金、あるいは合併する市町村への補助金等の予算化をいたしましたけれども、平成十三年度予算案におきましても、新たに都道府県体制整備費補助金を盛り込むなど、幅広い支援措置を講ずることとしております。
 各都道府県におきましても、それぞれの県の市町村合併の推進についての要綱、パターンごとにそういうものの作成が進んでおりまして、私は、市町村合併の機運は、徐々にではありますけれども全国的に大変高まってきたものと認識いたしております。
 今後、昨年の十二月に閣議決定いたしました行政改革大綱にのっとり、市町村合併特例法の期限であります平成十七年三月までに十分な成果が上げられますよう、国、都道府県、市町村が一体となりまして、自主的な市町村の合併をより一層強力に推進してまいる所存でございます。
 御指導、御協力をよろしくお願いいたします。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(宮澤喜一君) 省庁再編のメリットが平成十三年度予算編成においてどのように発揮されたかということでございますが、例えば文部科学省において、文部省と科学技術庁のそれぞれに従来計上されておりました類似の基礎研究推進事業などの整理合理化、厚生労働省において、ファミリー・サポート・センター事業を総合的に展開し、厚生省の子育て支援と労働省の雇用労働者の育児支援の統合を進め、地域の育児機能を抜本的に強化する、国土交通省においては、建設省の道路事業、市街地整備事業と運輸省の鉄道整備事業を一体的に推進することにより、鉄道駅等交通結節点の機能を強化し、事業の効率性の向上、事業効果の早期発現を図っております。
 まだまだたくさんございますが、なおメリット発揮のため努力をいたします。(拍手)
#18
○議長(井上裕君) 質疑はなおございますが、これを次会に譲りたいと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#19
○議長(井上裕君) 御異議ないと認めます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時三十四分散会
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ソース: 国立国会図書館
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