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2001/02/07 第151回国会 参議院 参議院会議録情報 第151回国会 本会議 第3号
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2001/02/07 第151回国会 参議院

参議院会議録情報 第151回国会 本会議 第3号

#1
第151回国会 本会議 第3号
平成十三年二月七日(水曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第三号
  平成十三年二月七日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、新議員の紹介
 一、裁判官弾劾裁判所裁判員、同予備員、裁判
  官訴追委員及び同予備員辞任の件
 一、裁判官弾劾裁判所裁判員等各種委員の選挙
 以下 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(井上裕君) これより会議を開きます。
 この際、新たに議席に着かれました議員を御紹介いたします。
 議席第百十三番、比例代表選出議員、柳川覺治君。
   〔柳川覺治君起立、拍手〕
#4
○議長(井上裕君) 議長は、本院規則第三十条の規定により、柳川覺治君を財政金融委員に指名いたします。
     ─────・─────
#5
○議長(井上裕君) この際、お諮りいたします。
 上杉光弘君、竹山裕君及び橋本敦君から裁判官弾劾裁判所裁判員を、大脇雅子君から同予備員を、吉川春子君及び照屋寛徳君から裁判官訴追委員を、鈴木政二君、山崎力君及び阿部幸代君から同予備員を、それぞれ辞任いたしたいとの申し出がございました。
 いずれも許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○議長(井上裕君) 御異議ないと認めます。
 よって、いずれも許可することに決しました。
     ─────・─────
#7
○議長(井上裕君) この際、欠員となりました
 裁判官弾劾裁判所裁判員三名、同予備員一名、
 裁判官訴追委員二名、同予備員三名、またあわせて
 皇室会議予備議員、
 皇室経済会議予備議員各一名、
 検察官適格審査会委員、同予備委員各二名、
 日本ユネスコ国内委員会委員一名、
 国土審議会委員、
 国土開発幹線自動車道建設会議委員各四名の選挙
を行います。
 つきましては、これら各種委員の選挙は、いずれもその手続を省略し、議長において指名することとし、また、裁判官弾劾裁判所裁判員予備員、裁判官訴追委員予備員、皇室会議予備議員、皇室経済会議予備議員の職務を行う順序は、これを議長に一任せられたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○議長(井上裕君) 御異議ないと認めます。
 よって、議長は、
 裁判官弾劾裁判所裁判員に清水嘉与子君、陣内孝雄君及び池田幹幸君を、
 同予備員に林紀子君を、
 裁判官訴追委員に畑野君枝君及び山本正和君を、
 同予備員に小泉親司君、大沢辰美君及び大脇雅子君を、
 皇室会議予備議員に竹山裕君を、
 皇室経済会議予備議員に谷本巍君を、
 検察官適格審査会委員に吉村剛太郎君及び藁科滿治君を、
 同予備委員に吉村剛太郎君の予備委員として山下善彦君を、藁科滿治君の予備委員として宮本岳志君を、
 日本ユネスコ国内委員会委員に狩野安君を、
 国土審議会委員に大島慶久君、陣内孝雄君、小山峰男君及び風間昶君を、
 国土開発幹線自動車道建設会議委員に鴻池祥肇君、吉村剛太郎君、佐藤雄平君及び木庭健太郎君を、
それぞれ指名いたします。
 なお、裁判官弾劾裁判所裁判員予備員の職務を行う順序は、林紀子君を第四順位といたします。
 また、裁判官訴追委員予備員の職務を行う順序は、第三順位の月原茂皓君を第一順位に、第四順位の大森礼子君を第二順位に、小泉親司君を第三順位、大沢辰美君を第四順位に、大脇雅子君を第五順位といたします。
 また、皇室会議予備議員の職務を行う順序は、竹山裕君を第一順位といたします。
 また、皇室経済会議予備議員の職務を行う順序は、谷本巍君を第二順位といたします。
     ─────・─────
#9
○議長(井上裕君) 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
 昨日に引き続き、これより順次質疑を許します。木庭健太郎君。
   〔木庭健太郎君登壇、拍手〕
#10
○木庭健太郎君 私は、参議院公明党を代表し、森総理の施政方針演説及び政府演説に対し、質問をいたします。
 まず、未曾有の災害となったインド西部大地震の被災者の皆様に心よりお見舞い申し上げるとともに、政府に対し全面的な支援を強く要請いたします。
 さて、二十一世紀という新しい世紀を出発するに当たり、私たちは、中国のことわざに言う「前事忘れざるは後事の師とす」との教訓をかみしめ、過ぎた二十世紀の歴史の反省に立ち、新世紀に何をし何をなさざるべきかを考えることが重要であります。振り返れば、人類にとって、二十世紀は、科学技術の進歩により物質文明が飛躍的に進み繁栄をもたらす一方、二度にわたる大戦を初め、戦争の悲劇を繰り返した戦争の世紀、経済至上主義の世紀でありました。
 私たち公明党は、結党以来、国家や経済的価値を優先するのでなく、何よりも人間自身にこそ最大価値を置くべきだと主張し、生命、生活、生存を最大に尊重する人間主義を掲げてまいりました。今、それが新世紀の理念として、日本のみならず世界に求められていると確信します。
 総理がアフリカで実感されたとおり、今なお世界各地に緊張と紛争、飢餓と貧困に苦しむ多くの人々がおります。一方、国内の改革も待ったなしの状況であります。
 私たちは、平和のため、社会のため、人のために果敢に挑む決意でありますが、冒頭、総理に新世紀における政治の基本について改めて御所見を伺いたいと存じます。
 政策課題に入る前に、総理も演説の冒頭で触れられたKSD事件と外務省幹部の公金横領事件について伺います。
 KSD事件は、旧態依然とした政官業の癒着構造、利益誘導型政治が露呈したものであり、外務官僚の横領事件は国民から預かった公金という感覚を全く欠いたあきれ返った体質をさらけ出したものであり、国民の怒り、不信は頂点に達していると言わざるを得ません。政治、行政への信頼なしには何の改革も実現できるはずはなく、日本新生のためにはどうしても疑惑解明は不可欠であります。
 KSD事件では、再逮捕された本院議員が辞職をいたしましたが、事件は何ら解明されておりません。国民の怒りは、KSDからさまざまな形で巨額の金が政界へ流れたと指摘されている点にあります。捜査当局だけに任せるのでなく、まず自民党は自浄能力を発揮してみずから調査をし、その結果を国民に公表すべきであります。自民党総裁である総理の決意をしかと伺いたい。
 さらに、疑惑を受けた政治家は、みずから進んで国会において事実関係を明らかにし、疑惑を晴らし、釈明するべきであります。総理に、国会における疑惑解明にどう臨まれるのか、あわせて伺います。
 一方、外務省幹部の横領事件は、外務省の調査報告書が出たものの、一体横領額がどれほどであるのか、関係者がほかにいないのか、なぜチェックできなかったのか、いずれもはっきりせず、国民の疑問は膨らむばかりであります。外務省は、官邸とも協力し、徹底した調査をやり直し、国民の前に明らかにすべきであります。
 機密費については、現在、民主党を初め野党にいらっしゃる事件発生当時の閣僚経験者にも協力をしていただき、徹底的にその使い方の洗い直しを行い、最低限の内部チェック体制の確立など、抜本的な見直しを行うのは当然と考えますが、総理並びに外務大臣の答弁を求めます。
 森内閣の最重要政策課題は、言うまでもなく景気の回復であります。
 我が国経済は、平成九年、相次ぐ金融機関の破綻と厳しい景気低迷に襲われましたが、日本発の世界恐慌だけは断じて起こしてはならないという強い決意のもと、小渕、森内閣で財政及び金融政策の総力を挙げてこの難局に立ち向かい、危機を脱しました。その結果、今日では金融システムが落ちつくとともに、不振にあえいでいた企業の設備投資も回復するなど、緩やかながらも回復の動きを広げてまいりました。この動きを着実なものにするためには、何より来年度予算の早期成立が不可欠であります。
 一方、我が国経済がますますグローバル化の様相を強める中で、約十年にわたって好況を続けてきたアメリカ経済が昨年十二月以降急速に減速し始めるとともに、アジア諸国や欧州経済までもが減速傾向を示し始めたことは大きな懸念材料であります。
 アメリカ経済の今後の見通しと、それが我が国経済にどのような影響を及ぼすのか。また、昨年末以降、株価低迷等に見られるように我が国経済は一時的ないわば踊り場局面を迎えておりますが、今後の景気の見通しについて総理の見解を伺います。
 現場を歩いて気になるのが貸し渋りの問題であります。いまだに中小企業の経営者には貸し渋りは改善されていないとの声があります。実際に、我が国金融機関の企業への貸出残高は、平成九年以降減少の一途をたどっております。健全な中小企業などに円滑な資金提供ができなければ、本格的な景気回復は望めません。この貸出残高減少について、総理の見解とともに、対応策を伺いたいと存じます。
 雇用対策についても伺っておきたい。
 昨年は、緩やかな景気回復に伴って求人は伸びたにもかかわらず、失業率は四・七%と依然厳しい状況であります。国民が将来へ明るい展望を持ち、安定した暮らしを送ることができるようになるには、雇用の安定が不可欠であることは言うまでもありません。
 私たちは、IT、環境、介護などの新事業分野の振興に力を注ぎ、職業能力開発を積極的に支援することで、二年以内に新たな雇用百万人を創出できると考えます。総理も雇用システム改革を具体的に明言されておりますが、雇用の改善への基本姿勢を伺います。
 さて、一月から一府十二省庁へと中央省庁の再編が行われました。今回の省庁再編は、明治維新、GHQに次ぐ第三の改革であり、その眼目は、従来の縦割りで慣習、惰性の官僚行政から、行政が柔軟に対応する政治主導の政策決定への転換を行うことであります。新体制のもとで総理はどのようにリーダーシップを発揮していかれるのか、決意を伺います。
 新体制のもとで、これまで問題点が指摘されながら手つかずだった特殊法人改革や公務員改革についてスケジュールが示され、具体的に着手する段階に入りましたが、あわせて解決すべきは天下りの問題であります。行政は、ともすれば行政の効率性を阻害する縦割り行政やむだな財政支出を継続したり、権限の維持を図りがちでありますが、それは究極的には官僚自身の退職後の生活を担保する天下り先の特殊法人等を維持拡充するためのものであります。
 これらを解決するためには、現在、実質的には各省ごとの都合にゆだねられている天下り人事を総理直属の機関に一元化し、厳しい評価に基づき決定するとともに、公務員の定年・登用制度を改革し、公務員が天下りせずとも安心して行政に従事できる体制の整備も考えるべきであると思います。総理の見解を伺います。
 次は、二十一世紀の日本外交についてであります。
 総理は、日本外交の理念として人間の安全保障を掲げられました。この地球に住む人間一人一人の生命、生活を守ることを最優先する社会の構築はまさに時代の要請であり、総理の言われるとおり、貧困、紛争などの脅威からすべての人を解放するため、地球的規模の取り組みが必要であります。その際、忘れてならないのは、開発、援助を受ける途上国や人々を受け手とするのでなく、参加者として位置づけることであります。昨年の九州・沖縄サミットでは、初めて先進国と途上国との首脳レベルの対話が実現しました。こうした対話を恒常的に行うシステムづくりを総理として取り組むことも極めて重要と考えますが、ともかく人間の安全保障確立のためどうリーダーシップをとられるのか、見解を求めます。
 アメリカにブッシュ政権が誕生しました。ブッシュ新政権は、日米同盟をアジア太平洋地域の土台と位置づけて強化する意向を表明しており、今後、集団的自衛権行使の容認や有事立法の整備など具体的問題について我が国に一層踏み込んだ対応を求める一方、米軍兵力配置の見直しなど新たな状況が生まれる可能性もあります。
 我が国として、一層強固な日米パートナーシップの構築へ向け努力すべきは当然でありますが、同時に我が国の安全保障政策の基本原則をしっかり踏まえ、言うべきは言い、けじめをつけるべきはつけるという明確な姿勢で、新世紀の日米関係のあり方につき徹底的な戦略対話を行う必要があります。また、沖縄の願いでもある駐留米軍削減へのチャンスでもあります。どう日米協議を進めるのか、総理の率直な御意見を伺います。
 また、ブッシュ政権は、北朝鮮政策では対話と抑止を基本としながらも、ミサイルや大量破壊兵器問題で一層警戒を強め、米朝関係改善も慎重に進めると見られています。こうした状況の中で、今後、日朝国交正常化交渉をいかに進め、日朝間の諸問題を解決していくのか、外務大臣の見解を求めます。
 次に、教育改革について伺います。
 戦前の富国強兵も、戦後の経済大国も、欧米先進国を目標に追いつけ追い越せを至上命題にひた走ってきた我が国は、常に目標達成のための教育、すなわち手段としての教育という視点から教育を考えてきました。しかし、今日の学級崩壊や不登校という現象は、文字どおり近代学校制度の根幹が揺らいでいることを示しています。明治以来の社会や国家のための教育、言いかえれば政治主導、官主導の教育は今日明らかに行き詰まっております。二十一世紀という新しい時代に入った私たちは、人間は教育により人間になるという原点に戻り、社会や国家のための教育から、子供を幸せにするための教育、すなわち教育のための社会という教育観の転換を迫られていると考えますが、総理の御所見を伺います。
 第二に、読書運動への支援について伺います。
 子供の読書離れ、活字離れが指摘される今日、テレビゲームによるバーチャルリアリティーの悪影響から子供を守るために、子供の心の内面を耕し、豊かな人間性をはぐくむ読み聞かせや読書が大変に重要だと指摘されています。授業で読解力を養うために教材として古典や名作が使われるだけでなく、常に古典や名作に親しむ習慣を身につけることははかり知れない財産にもなります。
 地域で本の読み聞かせ運動をされている民間団体等に国としても何らかの支援を講ずるべきと考えます。
 あわせて、偉大な文学作品と親しむ時間を学校教育の中に導入することを検討してはどうかと考えますが、総理の見解を伺います。
 第三に、自殺者までが続出しているいじめ問題についてであります。
 解決策は、制度的な環境整備とともに、いじめられる方にも原因があるという考え方を一掃することであります。どのような理由があろうとも、いじめや暴力は絶対に許さないとの気風を勇気を持って教育関係者を初めとする社会全体に確立していく以外にありません。いじめや暴力対策について総理の見解を伺います。
 二十一世紀の最重要課題の一つは環境問題であります。
 我が国は、大量生産、大量消費、大量廃棄という経済社会のあり方から脱却し、ごみゼロへ向けた循環型社会への第一歩を踏み出しました。これからがエコタウンを初め具体的な取り組みへの正念場であります。
 また、地球温暖化問題については、二〇〇二年までの京都議定書発効を目指して本年開催が予定されているCOP6再開会合へ我が国がリーダーシップをとるとともに、温室効果ガス削減目標の達成へ全力を挙げなければなりません。総理から具体的取り組みと決意をお伺いします。
 温暖化問題で避けて通れないのは新たなエネルギー政策への転換であります。我が党は、二〇二五年を目指し、化石燃料や原子力にかわるクリーンエネルギーを二〇%にまで大幅に拡大すべきと考えます。しかし、現実には我が国の新エネルギーの全体に占める率はわずか一%であり、二〇一〇年でも三%の見通しであります。だからこそ、今、議員間で取り組んでいる自然エネルギー発電促進法を早期に制定し、太陽光、風力、バイオマスなどを積極的に活用するとともに、新たに太陽光発電衛星や燃料電池など自然再生、水素系エネルギー体系の開発に全力で取り組む必要があります。総理の見解を求めます。
 次に、三宅島噴火災害の長期化への対応について伺います。
 噴火による火山活動は依然活発で、全島避難という前例のない事態は長期化の様相を見せております。
 政府は、親元を離れて集団生活を送っている子供たちへの支援策や、島を離れたことによって収入の道が断たれている人たちへの就労対策、被災者の方への心のケアや健康管理を初めとするきめ細やかな対策、災害終息後の三宅島復興へ向けた特別立法措置や長期化災害に対応した新法制定など、被災者の生活支援に万全を期すべきであります。総理の見解をお伺いいたします。
 最後に、有明海のノリ等の不作問題をお尋ねします。
 宝の海と呼ばれる有明海で、近年、タイラギ、アサリといった貝類が激減しているのに加え、昨年来、我が国生産量の四割を占める有明海のノリが深刻な不作に陥り、沿岸漁民の死活問題となっております。
 我が党も対策本部を設置し、冬柴幹事長を先頭に、福岡、熊本、佐賀の現地で三回にわたって視察、調査を行い、漁業関係者から幅広く意見を聞いてまいりました。
 政府も緊急対策を打ち出しましたが、よりきめ細やかなノリ業者等への金融・生活支援が必要であり、徹底した原因究明が不可欠であります。何より大切なことは、公平性、透明性のある調査を行い、十月に始まる来期のノリの網入れができるよう全力を挙げるべきだと考えます。総理の御見解をお伺いします。
 いずれにせよ、我が国は大変革期の真っただ中にあります。二十一世紀のスタートに当たり、安定した政治の上で果敢に改革に取り組むことこそが何より大切であると申し上げ、総理の強いリーダーシップに期待し、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣森喜朗君登壇、拍手〕
#11
○内閣総理大臣(森喜朗君) 新世紀における政治の基本についてのお尋ねがございました。
 二十世紀は世界にとって栄光と悔恨の百年であったと申し上げてまいりました。科学技術の発展による経済的繁栄の陰で、戦争によって払われた大きな犠牲や、美しい自然や環境の破壊という高い代償を忘れてはならず、私はこうした反省の上に立って二十一世紀の日本を切り開いていかなければならないと考えております。
 先般、アフリカ諸国を訪問した際、私は、二十一世紀には彼らが直面する貧困、紛争、感染症といった人間の存在それ自体に対する脅威からすべての人々を解放する人間の安全保障を確立しなければならないとの思いを強くいたしました。こうした課題も含めて、日本が国際社会における責任とリーダーシップを果たし、国際的にも信頼されるような国家を目指す必要があります。
 また、二十一世紀の日本の活力を創出していく原動力は人であります。個性と創造性にあふれ、かつ、心の豊かさを持つ人を育成するとともに、こうした人が十分力を発揮できるような国や社会をつくっていかなければなりません。
 さらに、経済のグローバル化、IT革命、少子高齢化などの激しい変化の中で、我が国の経済社会システムは早急な改革が求められております。
 そのような思いから、私はかねてから日本の経済社会全体の抜本的改革を通じた日本新生を提唱してまいりました。そして、政治の強力なリーダーシップのもと、こうした諸改革を断行し、二十一世紀を「希望の世紀」、「人間の世紀」、「信頼の世紀」、そして「地球の世紀」とするべく、力強い第一歩を踏み出してまいる所存であります。
 KSD問題に関連して、自民党としての調査及び結果の公表についてのお尋ねがありました。
 これまでも申し上げているとおり、今回の事件は国民の政治への信頼を損なうものであり、私としても大変遺憾であり、極めて深刻に受けとめております。党の所属議員から逮捕者を出したことについても、公党として国民に心からおわびを申し上げますとともに、連立与党である公明党や保守党の皆さんに対しても御迷惑をおかけし、大変申しわけなく思っております。
 私としては、今回のような事件が再び起こらないよう、政治の信頼回復に全力を尽くす決意を新たにしたところであります。
 今後、司法当局の捜査により徹底的に真相究明が行われ、国民の前に真相が明らかにされていくべきものと考えておりますが、自民党としても調査すべき点は調査し、真相究明に全面的に協力してまいる所存であります。また、真相究明を待つことなく、今回の事件を教訓として、自民党の仕組みについても見直すべきものは率先して見直してまいります。
 例えば、参議院比例代表名簿への登載基準のあり方について、党員、党友二万人以上という要件が党員獲得をいたずらにあおるのではないかとの誤解を持たれたこともあり、今回、思い切って撤廃をいたしたところであります。
 また、入党手続は適正に行われてきておりますが、党員集めが適正に行われているか党内でしっかりチェックするシステムをつくるべく具体的検討に着手したところであります。
 さらに、今回の事件はKSDという財団法人をめぐる事件であり、今後、公益法人の運営のあり方やその指導監督のあり方など、解決すべき多くの課題があると考えます。
 昨年十二月に閣議決定いたしました行政改革大綱に基づいて公益法人改革を行うことといたしておりますが、これについても、連立与党で連携しつつ、改革のスピードを速め、一段と厳正な指導監督に努めてまいりたいと考えております。
 KSD問題に関し、今国会における疑惑解明への取り組みについてあわせお尋ねがございました。
 ただいまお答えを申し上げましたとおり、本件については、今後、司法当局の捜査により徹底的に真相究明が行われ、国民の前に真相が明らかにされていくべきものと考えておりますが、自民党としても真相究明に全面的に協力してまいる所存であります。
 また、御指摘のとおり、疑惑を受けた政治家は、みずからその疑惑について釈明していく努力を払うべきものであると考えます。国会における疑惑解明のあり方については、議院の運営に関することであり、証人喚問の問題も含めて、今まさに与野党間で協議が行われていると承知しております。私としても、速やかに適切な結論が出されることを期待いたしております。
 報償費に関するお尋ねでありますが、歴代内閣総理大臣の外国出張経費に関する外務省職員による事件につきましては、国民の信頼を裏切る不祥事が起きたことは極めて遺憾であり、この事態を厳粛に受けとめ、国民の皆様に深くおわびを申し上げます。また、連立与党としてともに政権を担っていただいている公明党、保守党両党にも御迷惑をおかけしたこともおわびを申し上げる次第です。
 政府といたしましては、今後の捜査当局による真相解明の進展も見ながら、原因の解明と再発防止に万全を期してまいります。
 内閣官房の報償費の運用については、この際、点検を行った上で、より厳正かつ効果的な運用に十分意を用いてまいります。
 外務省に対しては、引き続き十分な調査を指示しているところであります。
 アメリカ経済の今後の見通し及び我が国経済に及ぼす影響、さらに、我が国の景気見通しについてのお尋ねがございました。
 米国では景気の拡大テンポが低下してきておりますが、アメリカの経済動向は、一般的には対米輸出の減少や米国経済への依存度が高いアジアの経済の成長鈍化を通じ、我が国経済にも影響を与えるものであります。ただし、具体的にどのような影響が生ずるかについては、金融市場における反応等さまざまな不確定要因があることから、これを的確に見通すことは困難であります。
 いずれにせよ、ブッシュ政権のもとでのソフトランディングに向けた経済政策などを十分注視していくことが重要と考えております。
 我が国経済は、現在、緩やかな改善を続けておりますが、依然として厳しい状況にあり、また、今申し上げましたアメリカ経済の減速など懸念すべき点も見られております。こうした中で、引き続き景気回復に軸足を置き、公需から民需への円滑なバトンタッチを図ることによって経済を本格的な回復軌道に乗せることが最重要課題だと考えております。平成十三年度の国内総生産の実質成長率につきましては、こうした政府の経済運営を通じて一・七%程度になるものと見込んでおります。
 企業への貸出残高の減少とそれへの対応策についてのお尋ねでありますが、最近の民間金融の融資動向を見ますと、全国銀行の総貸出残高は減少しているものの、その減少幅は縮小してきております。健全な中小企業への資金供給については、資本増強を行った大手行の中小企業向け貸し出しは十二年度の増加目標の達成に向けてこれまでおおむね順調に推移してきております。政府としては、今後ともその達成を強く促してまいりたいと考えております。
 また、これまで信用保証協会等の信用補完制度の拡充や金融機関への円滑な資金供給の要請なども行っており、今後とも金融機関の融資動向については注視してまいりたいと考えております。
 雇用の改善への基本姿勢についてのお尋ねがありました。
 現下の雇用情勢は、完全失業率が高水準で推移するなど依然として厳しい状況にあるものの、求人は主要な産業では広く増加を続けております。この求人の増加傾向を雇用の確実な回復につなげるため、IT化に対応した職業能力開発を推進するとともに、中小企業が創業に当たって必要な人材を雇い入れる際の助成等を通じて良好な雇用機会の創出を図るなど、ミスマッチの解消対策を引き続き進めてまいります。
 さらに、中長期的な産業構造の変化等、経済社会の変化に対応するため、円滑な労働移動を実現し、個人の主体的な能力開発を促進するなど、雇用システム改革のための関係法案を今国会に提出することといたしております。
 新しい中央省庁体制のもとでどのようにリーダーシップを発揮していくのかというお尋ねでありました。
 今回の中央省庁等改革においては、議員御指摘のように、行政における政治主導の確立をその柱の一つとしているところであります。具体的には、内閣総理大臣の発議権の明確化や、経済財政、総合科学技術、防災、男女共同参画について、縦割りではなくて、政府内外の人材の英知を結集した会議を設置するなど、内閣総理大臣が国政の運営上指導性をより一層発揮できる体制の整備を行っております。さらに、各府省において政治主導の政策判断が迅速に行われるよう、大臣の政治的な政策判断を補佐する機能を強化するために副大臣や大臣政務官を設置いたしております。
 こうした新しい中央省庁体制のもとで政治のリーダーシップを発揮しつつ、景気の本格的な回復を初め、IT革命の推進、教育改革、社会保障改革など、今まさに国民が求めている政策課題に私みずからが陣頭に立って取り組み、日本新生の実現に全力を尽くしてまいる所存であります。
 天下り問題の解決に関するお尋ねがございました。
 この問題への対応につきましては、昨年十二月の行政改革大綱におきまして、押しつけ型天下りとの疑いを持たれる再就職に関して合理的かつ厳格な規制を導入する、省庁の関与により再就職する場合は主任大臣の直接の承認を必要とする、公務員退職後に行われる再就職の際の新たな行為規制を導入することなどを閣議決定したところであります。
 この問題を含め、公務員制度全般につきましては、公務員に対する国民の厳しい批判に正面からこたえる一方、公務員が持てる能力を最大限に発揮し、強い使命感を持って内外の諸課題に挑戦していけるよう、行政改革大綱の実施はもちろんのこと、抜本的な改革に取り組んでまいりたいと考えております。
 人間の安全保障についてのお尋ねでありますが、我が国外交政策の基本理念として、紛争、難民の防止、貧困問題、環境の保護等グローバルな課題に対応していくに当たり、人間一人一人を大切にするという視点を重視していく考えであります。
 特に、貧困問題は人間の安全保障の根幹をなすものと考えており、この観点から、九州・沖縄サミット、国連ミレニアム・サミットにおける途上国首脳との対話、先月のアフリカ諸国訪問等、途上国との首脳レベルの対話を私自身のイニシアチブで推進してきております。このようなさまざまな形で先進国と途上国との対話を一層緊密化していくことができれば望ましいと考えております。
 また、緒方前国連難民高等弁務官が共同議長を務められる人間の安全保障委員会の活動を支援するとともに、国連人間の安全保障基金等を通じ国際社会の取り組みを支援する等、鋭意リーダーシップを発揮してまいります。
 ブッシュ政権との間での戦略対話及び駐留米軍に関する日米協議についてのお尋ねがありました。
 私は、ブッシュ大統領と同盟関係の強化に向けて協力していくことで意見の一致を見ておりまして、今後、日米両国が同盟国として率直かつ忌憚のない戦略対話を深めることにより、国際社会が直面する問題への対応におけるおのおのの適切な役割のあり方を含む政策協調を緊密に行い、日米間のパートナーシップをより強固なものとしていきたいと考えております。
 その中で、我が国としては、米国との間でアジア太平洋情勢に関する対話を強化し、この地域の平和と繁栄を支える努力を米国とともに継続していきます。また、地域の平和と安定を確保すべく日米安保体制の信頼性の向上に引き続き努めます。
 在日米軍の兵力構成等の軍事態勢については、日米安保共同宣言を踏まえ、国際情勢の変化に対応して米側と協議を行ってまいります。
 さらに、経済分野における日米間の協力についても、摩擦ではなく、協調の精神に基づく日米経済関係を探求していく考えであります。
 二十一世紀の我が国の力強い発展は、豊かな個性と創造性を持ち、さまざまな可能性に果敢に挑戦していく人が存分にその力を発揮できるかどうかにかかっていると言っても過言ではございません。
 我が国の教育は、我が国経済の発展を支える人材の育成という観点からはすばらしい成果を上げてきた一方で、思いやりの心や奉仕の精神、日本の文化や伝統の尊重など、日本人として持つべき豊かな心や倫理観、道徳心をはぐくむという観点からは必ずしも十分ではなかったと考えております。
 二十一世紀の日本を支える子供たちを幸せにし、人間性豊かで創造性に富む立派な人間として育てるためには、学校、家庭、地域が一体となって社会全体で教育の改革に当たらなければならないと考えております。このため、今国会において、子供一人一人、国民一人一人が、学校がよくなる、教育が変わるという実感が持てるように学校教育法の改正など一連の教育改革関連法案を提出し、本格的な教育改革に取り組んでまいる所存であります。
 読書活動の推進についてお尋ねがありました。
 御指摘のように、読書は子供にとって豊かな感性や情操、そして思いやりの心をはぐくむ大切な営みであります。このため、地域全体として、子供の読書活動を推進するという観点から、読み聞かせに関する研修の実施や子供の読書活動を推進する市民グループへの支援を行っているところであります。また、学校教育においては、教育活動全体を通じて読書活動を充実しているところであり、多くの学校において朝の読書の時間や読み聞かせなどの読書活動が行われております。今後とも、こうした読書活動の推進に努めてまいりたいと考えております。
 しかし、私は基本的には家庭の場で短時間でも本の読み聞かせを親と子の間で読書に親しむことが非常に重要であると、このように考えているわけであります。
 いじめや暴力対策についてお尋ねがありましたが、議員御指摘のとおり、いじめや暴力行為に対応するためには、いじめや暴力は絶対に許さないとの認識のもと、各学校において全教職員が一致協力して指導に当たるとともに、社会全体として取り組むことが重要であると考えております。
 現在、子供たちにいじめや暴力の防止の意識を啓発するため、学校関係者や地域の関係機関などによる市町村を挙げてのキャンペーン活動など、地域の実情に応じたさまざまな取り組みが進められているところであり、今後とも、これらの家庭、学校、地域、すべての関係者が一体となった取り組みを推進してまいります。
 地球温暖化問題に対する具体的取り組みと決意に関するお尋ねでありますが、一九九七年に京都で開催されましたCOP3の議長国である我が国としては、京都議定書の二〇〇二年までの発効に向けた国際的熱意が失われないように、COP6再開会合に向けた外交努力を行うとともに、我が国を含む関係国による京都議定書締結を可能なものとすべく、国際交渉に積極的に臨む方針であります。
 また、国際交渉の進捗状況も踏まえつつ、国民の理解と協力を得て、二酸化炭素等の温室効果ガスを二〇〇八年から二〇一二年において、対一九九〇年比で六%削減するという京都議定書の目標を達成するための国内制度の構築に総力を挙げて取り組んでまいります。
 新たなエネルギー政策についてのお尋ねでありますが、太陽光発電や燃料電池などの新エネルギーについては、エネルギー安定供給の確保や地球環境問題への対応の観点から、その開発、導入を積極的に推進することが重要と考えております。
 新エネルギーについては、二〇一〇年度において一次エネルギー総供給の約三%にするという目標を設定いたしておりますが、これは現在の導入量の約三倍となるものであります。現時点では経済性、安定性などの難しい課題を伴っておりますが、今後とも引き続き技術開発の強化や導入支援策の拡充を通じ、新エネルギーの開発と導入に向けて最大限の努力を行ってまいります。
 三宅島噴火災害についてお尋ねがありました。
 昨年九月の全島避難以来五カ月がたちますが、依然として火山活動が続き、大量の有毒ガスが放出されている状況であります。長期にわたり不安を抱え不自由な生活を余儀なくされている方々に心からお見舞いを申し上げます。
 被災者の方々への生活支援につきましては、集団生活を送っている子供たちなどへの対策として秋川高校での健康相談の実施や臨床心理士やボランティアによるカウンセリングの実施、被災者の方々への就労対策として雇用相談窓口における就職先の紹介や事業者に対する低利融資の実施、被災者生活再建支援金を一月末までに千百四十五世帯に対して支給などの対策を講じてまいりました。
 また、現在は、火山ガスの噴出が終息した後にできるだけ速やかに島民の方々が帰島できるように、現地において、東京都などと一体となって観測体制の整備や道路、電力などの確保のための努力を続けているところでもあります。
 今後とも、東京都や三宅村と緊密な連絡をとりながら、被災者の方々が今何を必要としているかをよく把握し、政府としてもできる限りの対策を講じてまいりたいと思います。
 有明海のノリ等の不作に関するお尋ねでありました。
 被害者に対する支援につきましては、農林漁業金融公庫の漁業災害向け資金について、地元自治体との協力による貸付利率の無利子化、貸付限度額の引き上げ等の措置を講ずることを決定いたしました。
 また、原因究明のため、まず緊急調査を行い、その結果を三月末をめどに暫定的に取りまとめることといたしております。さらに、学識経験者等から成る第三者委員会を設けるとともに、十三年度からは有明海の海域環境やノリの不作原因の究明を目的とした総合的な調査を実施し、御指摘ございましたように、遅くとも来期のノリの網入れ前である九月末をめどに可能な限り早く中間取りまとめを行い、それらの結果を公表いたしたいと存じます。
 このように、徹底した原因究明を行い、漁業者の皆さんが将来に展望を持てるように万全を期することといたしております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣河野洋平君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(河野洋平君) 公金横領疑惑についてのお尋ねでございます。
 国民からいただいた貴重な税金の使途について疑念を持たれ、外交に対する信用を低下させたこと、外交を預かる者としてまことに申しわけなく、改めておわびを申し上げます。
 外務省は、先般、少なくとも五千四百万円の業務上横領があったとして、松尾元室長を告発いたしましたが、そのことは、外務省として松尾元室長の横領金額の総額が五千四百万円であると考えているというわけではなくて、これにより本件の全貌を明らかにし得たと考えているわけでもございません。
 外務省としては、何が最も速やかに本件疑惑の全貌を解明するために最善かを真剣に考えて、横領を明らかにするためには公金を私的目的に使ったことを特定する必要がありますが、松尾元室長自身が公金横領を否定する中で、強制的な捜査権のない外務省調査委員会が本件疑惑の全貌を明らかにすることには限界がございます。外務省としてはむしろ、調査委員会においても明らかにできる松尾元室長の公金横領の事実を特定して、できるだけ早く告発をし、これを受けた捜査当局の捜査にゆだねることが最善との結論に至ったわけでございます。
 このような判断に基づきまして、松尾元室長が現金携行分を除く公金を入金していたと述べていたA銀行の二口座を集中的に調査をし、少なくとも五千四百万円の業務上横領の事実を特定し得たと判断をし、告発に至った次第でございます。
 現在、本件は捜査当局の手にゆだねられておりまして、外務省としては一刻も早い本件疑惑の全容解明のために捜査当局に積極的に協力をいたしております。また、外務省も調査委員会を存続させ、必要な調査を継続いたしております。
 本件を未然に防げなかったことは、外務省としてのチェック体制に不備があったことによるものでございまして、この点については深く反省をいたしております。事件の再発防止を念頭に置きまして、副大臣の参加のもとに、外部の有識者による委員会を今週にも立ち上げ、外務省の経理処理体制、人事運営、組織体制、監査体制等について検討を行い、抜本的な改善策を講じていきたいと考えております。
 北朝鮮政策についてのお尋ねでございます。
 総理から御答弁がございましたけれども、政府といたしましては、北朝鮮政策の遂行に当たっては、ブッシュ政権と緊密に協議をしていくことが重要と考え、先日、私、訪米をしパウエル国務長官と会談をして、日韓米の連携の重要性について意見の一致を見たところでございます。
 政府としては、こうした考え方に基づきまして、アメリカや韓国と緊密に連携しつつ日朝国交正常化交渉に臨む考えでありますが、同時に、昨年来、朝鮮半島をめぐって前向きな流れが見られる中、このようなモメンタムを逃さずに国交正常化交渉に粘り強く取り組んでいく考えであります。そのような対話の中で、日朝間に存在するさまざまな人道問題や安全保障問題についても解決に向け進展が見られるよう全力を傾ける考えでございます。(拍手)
    ─────────────
#13
○議長(井上裕君) 市田忠義君。
   〔市田忠義君登壇、拍手〕
#14
○市田忠義君 私は、日本共産党を代表して、総理並びに関係大臣に質問いたします。
 私たちは今、新しい世紀の初頭に立っています。そしてこの世紀こそ、憲法が目指す恒久平和と国民が主人公の新しい政治の実現をと多くの国民が望んでいます。しかし、自民党政治とこれを支える自公保政権はこの期待にこたえているでしょうか。ことし初めの世論調査では、今の政治に満足している人はわずか一%、不満だと答えた人は全体で八八%、自民党支持者でも不満と答えた人は七四%でありました。内閣支持率も一〇%に落ち込んだままです。
 総理、あなたは森内閣と自民党政治がここまで国民に見放されたことをどう認識し、またその原因は一体どこにあるとお考えですか。
 今度の国会は、新しい世紀にふさわしく、自民党政治の問題点を徹底的に究明するとともに、それにかわるべき新しい政治のありようを国民とともに明らかにしていく場にしなければなりません。
 そこでまず、KSD汚職問題についてお聞きします。
 あなたは施政方針演説で「残念のきわみ」と言われただけで、あなたの党の議員が、いや自民党全体が丸ごとKSDに汚染されていたこと、あなたの閣僚がそのために辞任したことについて何の反省も、そして国民に対する何の陳謝も行いませんでした。それに対する世論の厳しい批判の前に慌てておわびすると述べましたが、驚くべき無責任さと言わなければなりません。
 総理、あなたはKSD汚職事件についてどういう認識をお持ちなのですか。個々の議員の問題であって、自民党そのものについては関係がないと思っておられるのですか。
 この事件は、まず第一に、辞職した小山氏や議員会長をやめた村上氏、閣僚を辞任した額賀氏を初め、あなたの党の国会議員、あなたの任命した閣僚が中小業者のなけなしのお金、共済のための掛金をピンはねして政治や行政を動かしたという重大な疑惑のかかった汚職事件であります。
 あなたが閣僚として任命した額賀氏は辞任されました。あれだけ国民の批判を浴び、疑惑が深まっているのに、なぜあなたは直接事情も聞かず、罷免もしなかったのですか。あなたは、任命時には事実関係を承知していなかったと述べました。しかし、事件発覚後も事情も聞かず、何一つ究明のための措置をとらないで、事実上かばい続けてきたではありませんか。明確な答弁を求めるものであります。
 小山議員は、KSDの古関前理事長から二千万円を受け取り、それにこたえて国会質問したことで受託収賄の容疑で逮捕されました。
 総理にお尋ねいたします。村上正邦参議院議員は、小山氏と同様に国会、しかもこの壇上からKSDの立場に立って質問し、五千万円を受け取った疑いが持たれています。村上氏と小山氏は豊明議連の会長と事務局長、ものつくり大学を推進した国際技能工芸大学設立推進議員連盟の会長と事務局長、参議院比例名簿の幽霊党員と立てかえ党費については東京豊明支部だけでも小山氏の十万人、四億円に対して、村上氏は十六万五千人、六億六千万円と、小山氏以上に果たした役割も大きく、疑惑も深いと言わなければなりません。
 あなたは、村上氏に対してどのような措置を講ずるおつもりですか。
 さらに、今度の事件の重大な特徴は、一部の不届きな自民党議員の汚職にとどまらず、自民党が丸ごと汚染されていたというところにあります。これは不当な指摘どころか極めて正当な国民の声であり、怒りであります。すなわち、中小業者が自分の労働災害に備えて共済制度に入ったのに、知らない間に自民党員にされ、共済の掛金の一部が党費として自民党に十数億円も入っていたのであります。自民党機関紙へのKSDの広告費やトンネル団体を通じての自民党豊明支部への献金を合わせると二十億円を超えるお金が自民党本部に入った疑いがあります。あなた方自民党は、国民から与えられたこの参議院の二百五十の議席のうち、少なくともその二つをKSDのKSDによるKSDのための議席として提供していたのであります。その悪質さは前代未聞と言わなければなりません。
 総理、この仕組みの頂点に立っていたのがあなたではありませんか。あなた及びあなたの党は、まともな景気対策をやらず、この不況のもとで苦しむ中小業者のなけなしの掛金を党員でもない人から党費として取り立てるという行為を恥じないのですか。どう国民に釈明するのですか。はっきりと答えてください。
 金権腐敗事件が後を絶たないのは政党に対する企業・団体献金が野放しにされているからであります。大体、見返りを期待しないで献金する企業や団体はありません。企業の献金は企業の利潤追求に役立つための献金という性質を持つものであり、本質的にわいろ性を持っているのであります。
 日本共産党は、企業や団体から一円の献金も受け取ったことのない政党として、パーティー券という形も含め企業・団体の献金の禁止を主張するとともに、すべての政党が受け取るべきでないと考えます。総理の答弁を求めます。
 次に、機密費問題についてであります。
 外務省職員が流用したとされるお金は内閣官房から支出されたことになっています。しかし、外務省の調査報告では、いつ、どれだけの額が、どういう費目、どこから外務省職員に渡されたかは一切明らかにされていません。資金の流用があったというのであれば、まず、入りの総額を明らかにすることが最低限必要なことではありませんか。外務大臣の答弁を求めます。
 政府は、松尾元室長が流用したお金は、総理外遊に伴うホテル代や土産代などの経費として支出されたという説明をしています。総理、あなたは官房機密費について、国が国の事務または事業を円滑かつ効果的に遂行するため、最も適当と認められる方法により機動的に使用する経費と言い、その使い方について、経費の性質上、行政の円滑な遂行に重大な支障を生ずることとなるため、その具体的な使途等は公にしないと述べています。
 そこでお聞きしますが、あなた方の外遊に伴うホテル代や土産代を公表するとどうして行政の円滑な遂行に重大な支障を生ずることになるのか、機密とは全く関係のない旅費やホテル代まで機密扱いにするのはなぜか、あわせてお答えいただきたい。
 村山内閣の官房長官を務めていた野坂浩賢氏は、日本共産党以外の与野党議員が外遊する際に機密費からせんべつを渡していたこと、国会対策費として使っていたことを告白しています。塩川正十郎元官房長官も国会対策に使ったことを認めておられます。どこから出そうとこんなお金は許されませんが、国民の税金から出すのはもってのほかだとは思いませんか。明確な答弁を求めます。
 憲法九十条は、国の収入支出の決算は、例外なくすべて会計検査院の検査の対象とすると明記しています。戦前の帝国憲法とそれに基づく会計検査院法は、機密費を検査対象から明確に除外していました。その結果、機密費の規模が増大し、その使われ方も乱脈をきわめた反省の上に立って、財政民主主義の主要な内容をなすものとしてこの条項が日本国憲法に取り入れられたものであります。しかし、領収書がなければ検査のしようがありません。国民の税金を使うのに領収書も要らない、使途も明らかにしなくていい、機密でもないものを機密にするなどというのは憲法の精神からいっても重大な問題が含まれていると言わなければなりません。総理の答弁を求めます。
 この事件にはもう一つ、外務省に計上された外交機密費が内閣官房に渡された疑いが指摘をされています。これがもし事実なら、これは財政法第三十三条によって国会の議決なしには禁じられている行為であります。きのうあなたはこの疑惑を否定しましたが、それなら、外務省報償費並びに官房報償費の支出明細を国会に報告すべきでありますが、いかがですか。総理並びに外務大臣の明確な答弁を求めます。
 次に、暮らしと経済の問題です。
 総理、あなたは施政方針演説で、「二十世紀の終わりにかけて、我が国は、経済活動が停滞し、社会全体が将来に対する不安の中で自信を喪失し、国民の間には閉塞感が充満していました。」と、まるで人ごとのように述べました。みずからの政治・経済政策の責任を省みない、本当にあなたらしい発言と言うべきであります。
 経済活動が停滞し、国民の間に閉塞感が充満しているのは決して自然現象ではありません。あなた方の経済政策の失敗がもたらしたものではありませんか。そうでないというなら、経済活動がなぜ停滞し、閉塞感がなぜ充満しているのか、その原因はどこにあると考えておられるのか、お示しください。
 大企業と大銀行応援の自民党政治は、国民生活に苦難をもたらすだけではなく、日本経済のまともな発展にとっても深刻な障害となっていることがいよいよ明らかになりました。あなた方はこれまで、民間企業の設備投資が景気をよくするためのエンジンだとみなしてきました。しかし今では、経済への波及効果という点でも経済活動の全体に占める比重でも個人消費の方が大きな役割を担うようになってきています。
 個人消費はGDPの六一%を占めている文字どおり日本経済の主役であります。この個人消費、国民の暮らしを直接応援する政治を行ってこそ、日本経済のまともな発展も可能になるのであります。
 ところが、自民党政治は、こうした経済構造の変化に対応できず、相変わらずゼネコンと大銀行に国民の税金を湯水のようにつぎ込む政策をとってまいりました。年間の公共投資は五十兆円という空前の規模に膨れ上がり、大銀行応援のための七十兆円の枠組みがつくられました。そしてリストラを支援してきました。その結果、果たして景気はよくなったでしょうか。ふえたのは大企業のもうけと国、地方の借金だけではありませんか。来年度末には六百六十六兆円にもなるのであります。
 一方、国民生活はどうなったでしょうか。失業率は四・七%、三百二十万人で史上最悪。手取り収入はこの二年半で月に二万円も減り、マイナス四・二%。企業の倒産件数は一年前と比べて二三%もふえ、負債総額は戦後最悪の二十四兆円と激増し、深刻な不況を長期化させました。
 この間、医療、年金、介護など社会保障の負担増も相次ぎました。消費税増税によってこの三年間で十五兆円、極端に低い金利のため九年間で三十兆円、リストラによってこの二年間で六兆五千億円もの所得が国民から奪われました。家計消費は八年連続の落ち込みであります。
 総理、この道を続ければ二十一世紀に国民の暮らしも日本経済も立ち行かなくなることは明らかではありませんか。それでもあなたは従来どおりの経済運営を続けるつもりですか。お答えください。
 景気対策と称してこれまで政府がやってきたことは、日本社会の現実とさまざまな具体的な指標が明確に示しているように、国民の暮らしの底上げ、不況に苦しむ生活と営業の支えには全くなりませんでした。政府のミニ経済白書でも、企業が収益を上げればいずれ家計に及ぶという議論が成り立たないことを認めざるを得ませんでした。あなたはこの事実をお認めになりますか。もし否定されるなら、その根拠を国民の前に示していただきたい。
 日本共産党は、今こそ大企業を応援する政治から国民生活を直接応援する政治へと経済政策を根本的に転換するために、次の三つの改革を提唱しています。
 第一は、大企業の目先の利潤追求のためのリストラの横行や地元商店街を破壊する大型店野放しなど、ルールなき資本主義と言われる状況を正し、経済活動に民主的なルールを確立すること、サービス残業をやめさせ解雇を規制すること、そして中小企業の営業を守る公正なルールをつくるべきであります。
 第二に、財政、税制、社会保障の民主的な改革を図ること。具体的には、年間五十兆円の公共事業を段階的に半分に減らして生活・福祉型に切りかえる、軍事費を半分に減らすなど、むだと浪費の構造にメスを入れるとともに、大企業と高額所得者優遇の不公平税制を改め、国民生活予算を確保しながら計画的、段階的に財政再建に取り組むことであります。
 歳出と歳入の両面の改革を実行しながら単年度赤字を半分にしていき、約十兆円の予算を確保して年金、介護、医療の充実に充てる。そして、将来的には負担能力に応じて負担する応能負担の原則を貫き、税制、社会保険制度の抜本的な改革によって財源を確保することであります。
 第三に、アメリカ経済を支えることを最優先にした超低金利政策や農産物の輸入自由化など、アメリカ追随の金融政策、通貨政策、貿易政策からの脱却を図り、対等、平等の日米経済関係を築くことであります。
 次に、日本の現在と未来にかかわる青年問題についてお尋ねいたします。
 日本の未来を担うのは青年であります。ところが、今多くの若者が中高年齢者とともに失業の不安にさらされています。若い世代の失業は今後の我が国の経済と社会にかかわる重大問題と言わなければなりません。総理、若い世代で失業率が高い原因はどこにあるとお考えですか。
 総務庁の統計では、この十年間に十五歳から二十五歳までの完全失業者は三十六万人から七十万人へ、失業率は四・三%から九・二%へと大幅にふえました。これは決して若者のわがままが原因ではありません。総務庁の調査によると、この十年間に自分の意思で離職した若者の割合は減っています。ふえたのは学校を卒業しても就職先がなかった若者の割合であります。一三・九%から二〇・八%へと大幅なふえようであります。
 文部省の調査によれば、大学卒業者で就職した割合は一九九〇年には八一%だったのに、二〇〇〇年には五五・八%に激減しているのであります。さらに、離職の理由を見ると、労働条件が約束と違うというのがどの年代層と比べても高くなっています。そして、就職の希望を見ると、どの年代層よりもこの若い世代が高くなっています。
 これは何を示しているでしょうか。若者は旺盛な働く意欲を持っている。しかし、リストラによる採用の抑制で職につけない、せっかく職についても賃金が極端に低い、残業代が支払われないなど、ひどい労働条件が押しつけられているために働き続けられないということであります。
 これらの責任は、決して青年にあるのではありません。政治と社会の責任ではありませんか。総理は、こうした実態をどのように認識しておられるのか、答弁を求めます。
 総理、若い世代の新規採用を減らし続けてきたことは、社会のゆがみをも生み出しています。今、中学校では、教員の採用抑制が続いたため若い先生の比率が極端に減り、顧問のなり手がないために野球部がない、サッカー部がないというところが珍しくなくなっています。
 同じように、さまざまな分野で労働者の年齢構成が逆ピラミッド型になり、その結果、若い労働力が不足し、仕事や技術が次の世代に受け継がれていかないなど、産業や企業はもちろん、将来の日本社会のあり方にも深刻な影響をもたらしています。これは一刻も放置できないゆゆしき問題だと思いますが、総理、いかがですか。
 就職難や失業、低賃金、ひどい労働条件は若い人たちの自立を妨げるとともに、若者から夢や希望を奪い、自分は社会で認められていないという不満やいら立ちをあおることにもなります。若者が安心して働ける条件の整備は緊急の課題であります。
 総理、今の日本は本当に働く若い力を必要としています。そして、彼らに真に生きがいある仕事を保障することは政治の責任であります。
 そのために、企業や公的機関での新規採用抑制政策を中止すること、国民生活に不可欠な教育、保育、介護、医療、防災などの分野で抜本的に人手不足の解消を進めること、青年失業者や新卒未就職者に仕事や職業訓練を保障することなどを柱とする緊急の青年雇用対策を確立することが急務だと考えますが、総理の明確な答弁を求めます。
 最後に、外交問題について質問します。
 今、アジアでは、国家間の問題を解決するに当たって、大国の軍事力に結びつくのではなく、自主的な話し合いによって平和的に物事を解決する方向が力強い流れになっています。一つは東南アジア諸国連合の動きであり、もう一つは朝鮮半島における統一問題での自主的解決の動きであります。日本は今こそこうした流れに沿って、アジアの誠実な一員として日本国憲法に基づく平和の外交を展開することが強く求められています。
 ところが、九〇年代に自民党が行ってきたことは、こうした平和の流れとは対照的に、軍事同盟中心、軍事一本やりの対応でした。一昨年制定された戦争法は、米軍とともに自衛隊が地方自治体や民間も動員して軍事干渉を行う体制をつくるものであります。その前提は、アジアの国々が周辺事態なるものをつくり出すというアジアの国々を危険視するものであります。
 しかも、あなたは、軍事干渉体制をさらに強化するために、国内のあらゆるものを動員する有事立法策定の検討を明言しました。施政方針演説であなたが述べたように、ASEANフォーラムなどとの対話と協力を本気で行うというのであれば、有事法制の検討は撤回すべきであります。
 来年度から五年間で二十五兆円という膨大な予算をつぎ込む中期防衛力整備計画は、軍事力の面から軍事干渉体制を支えるものであります。これがアジアの平和にとっていたずらに危険と脅威をつくり出すだけであることは明らかではありませんか。この計画は取りやめるべきであります。あわせて明確な答弁を求めます。
 ことしは安保条約が締結されて五十年目であります。この体制のもとで進行した基地国家日本の異常な実態は、アジアの平和への障害となるだけではなく、日本国民にも耐えがたい犠牲を強いてきました。総理、あなたはこの犠牲を二十一世紀にも強い続けようというのですか。
 アメリカ兵による女子高生に対する強制わいせつ事件を契機にして、去る一月十九日、沖縄県議会が自民党をも含む全会一致でアメリカ海兵隊の削減を要求する決議を行いました。県議会でのこうした決議は初めてのことであります。もはや基地の縮小、撤去以外には解決策がないからこそ、沖縄県民が党派を超えて、まずは海兵隊の兵力削減を正面から求めたのではありませんか。
 ところが、在沖縄米軍の最高責任者は、扇動的で我々に損害を与える決議とののしり、この県民の意思を阻止しなかった県知事らを頭の悪い弱虫だと罵倒したのであります。
 総理、沖縄県民の判断がいかに正しかったか、このことからも明らかではありませんか。海兵隊の削減を直ちに要求すべきだと思いますが、明確な答弁を求めます。
 米軍の空母艦載機などによるNLP、すなわち夜間の離発着訓練の爆音に苦しむ厚木、横田、三沢、岩国の米軍基地周辺の五つの市長が一月二十九日、一堂に会し、訓練中止を訴える共同声明を発表しました。日米安保を容認し、基地との共存を掲げてきた市長さんからも、市民生活を踏みにじる米軍の横暴な訓練に、これではまるでアメリカの植民地、属国と同じではないかとノーの声が上がっているのであります。超低空飛行訓練に苦しむ人々や自治体が立ち上がって、これに反対する全国ネットワークも結成されました。
 今、米軍基地の縮小、兵力削減と横暴勝手な訓練に反対する声は、日米安保体制への是非を超えて広範な要求となっています。
 森自公保政権が国民の安全に多少なりとも責任を持つ政権であるなら、この声にこたえて、アメリカに対し、少なくとも市街地でのNLP訓練を直ちに全面的に中止すること及び低空飛行訓練の即時中止を正面から要求すべきではありませんか。明確な答弁を求めるものであります。
 日本共産党は、自主、自立の外交を貫きつつ、安保条約廃棄の多数世論をつくり出し、二十一世紀こそ、核も基地もない、本当に独立した日本を築くために全力を挙げる決意であります。
 二十世紀に人類は二つの世界大戦を経験いたしました。この不幸な経験を絶対に繰り返すまいと国連が創設されました。国連憲章第二条四項は、「すべての加盟国は、その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない。」、こう述べています。
 我が国は、この精神を最も徹底した日本国憲法、戦争と戦力の放棄をうたった世界に誇るべき第九条を掲げて国際社会に復帰しました。私たち日本共産党は、この誇るべき九条を、明文はもちろんのこと、解釈の上でも改悪することに絶対反対であります。アジアの平和の大きな流れに示される情勢は、今こそこれらの原則と精神に基づいて日本外交を進めることを強く求めています。
 総理の見解をお聞きして、私の質問を終わるものであります。(拍手)
   〔内閣総理大臣森喜朗君登壇、拍手〕
#15
○内閣総理大臣(森喜朗君) 国民の政治への不満や内閣支持率に対する認識についてお尋ねがありました。
 国民の政治への不満は、最近のKSD事件を含め、政治家と金をめぐる不祥事が依然としてなくならないこともその背景にあると考えます。また、内閣支持率に関する最近の厳しい調査結果については謙虚に受けとめておりますが、私としては、厳しい状況にあるときこそ、基本に立ち返って、国家国民のために何が必要かを第一に考えることが大切であると考えております。
 二十一世紀を迎え、あと一押しというところまで参りました景気を自律的な回復軌道に乗せることはもちろんのこと、我が国の経済社会システム全体の構造改革を進め日本新生を実現することが求められている現在、政治にいっときの停滞も許されません。私としては、国民が求めている政策を一つ一つ着実に実行に移していくことが内閣を預かる私の責務であると考えております。
 KSD問題に関する私の認識について御質問がありました。
 今回のKSD事件は、政治に対する国民の信頼を損なうものであり、私としても極めて深刻に受けとめております。党の所属議員から逮捕者を出したことについても、公党として極めて遺憾であります。現在、司法当局により捜査が行われておりますが、徹底的に真相究明がなされ、国民の前に真相が明らかにされるべきであると考えております。また、今回の事件を教訓に、真相究明を待つことなく、自民党内の仕組みについて見直すべきものは率先して見直し、自民党の、そして政治の信頼回復に全力で取り組んでまいる所存であります。
 額賀氏に関する事実究明についてのお尋ねがありました。
 私自身は、額賀大臣任命時には事実関係を承知しておりませんでしたが、昨年末に報道がなされた段階で額賀氏に確認をいたしました。それによれば、額賀氏の秘書が古関前理事長から千五百万円のお金を預かり、額賀氏本人は秘書から平成十二年五月に報告を受けて初めて知ったので即座に返却するよう命じたとのこと、また、古関前理事長からは特定の案件について依頼を受けたことはないとのことでありましたので、私としてもそのように受けとめたところであります。
 本件について額賀氏は、秘書に対するみずからの監督責任の問題として厳しく受けとめ、けじめをつけたいとのお考えから辞任されたところであり、私としてもその御判断を重く受けとめております。
 村上議員にどのような措置をとるかについての御質問がありました。
 村上議員は、御自分の支持団体であるKSDをめぐる状況について、極めて遺憾なことであり申しわけなく思うとの理由で自民党参議院議員会長を辞任されましたが、今後とも、村上議員御自身、みずからの疑惑を晴らすための努力をされていくものと考えております。
 架空党員や立てかえ党費に関連してのお尋ねがありました。
 党からの報告によれば、党員の申込書及び党費は、党則に従い、支部で申し込みを受け付けた後、所定の手続を経て、都道府県支部連合会から党本部に届けられるシステムとなっており、今回のケースもこうした入党の手続においては問題がなかったと報告を受けております。
 いずれにしても、架空党員という指摘を受けているのは残念であり、このようなことはあってはならないと考えます。
 今回の一連の事件については、御指摘の点も含め、現在司法当局において捜査中であり、徹底的に真相究明が行われ、国民の前に真相が明らかにされるべきものと考えております。その過程で問題が明らかになれば、断固としてこれに対処することはもちろんのこと、真相究明を待つことなく、自民党内の仕組みについても見直すべきところは見直していく決意であります。
 政党に対する企業・団体献金の禁止に関してお尋ねがありました。
 企業・団体献金については、政党本位、政策本位の政治を目指す政治改革の理念を踏まえ、既に昨年から政治家個人に対する企業・団体献金が禁止されたところであります。一方で、政党に対する企業・団体献金につきましては、最高裁判例でも、企業は憲法上の政治活動の自由の一環として、政治資金の寄附の自由を持つことは認められており、これをおよそ悪と決めつける論拠は乏しいと考えております。
 いずれにせよ、政治資金のあり方につきましては、透明性を高めつつ、民主主義のコストをどのように国民に負担していただくかという観点から、各党、各会派において御議論をいただくべきものと考えます。
 報償費に関するお尋ねでありますが、歴代内閣総理大臣の外国出張経費に関し、外務省職員による国民の信頼を裏切る不祥事が起きたことは極めて遺憾であり、この事態を厳粛に受けとめ、国民の皆様にも深くおわびを申し上げております。今後の捜査当局による真相解明の進展も見ながら、政府として原因の解明と再発防止に万全を期してまいります。
 報償費の使途に関するお尋ねがありましたが、報償費は、内政、外交を円滑かつ効果的に遂行するため、その都度の判断で機動的に使用するという性格を有しており、その具体的な使途についてのお答えは差し控えさせていただきます。
 報償費の支出に当たっては、会計法令に基づく他の経費の科目と同様に、所定の手続を経て適正に支出しており、毎年度、会計検査院による検査を受けているところであります。したがいまして、報償費について憲法第九十条との関係で問題が生ずるということはないと考えております。
 外務省報償費が官邸に来ているようなことはありません。また、先ほど申し上げたように、報償費の性格から、支出明細の国会への報告はなじまないものと考えております。
 いずれにいたしましても、報償費の運用に当たっては、この際、点検を行った上で、より厳正かつ効果的な運用に十分意を用いてまいりたいと考えます。
 経済活動の停滞と閉塞感の充満の原因についてのお尋ねがありました。
 二十世紀の終わりにかけて、我が国は、バブル経済の崩壊の影響から、設備、雇用、債務、いわゆる三つの過剰の問題等が生じ、経済活動が停滞し、社会全体が将来に対する不安の中で自信を喪失し、国民の間に閉塞感が充満するといった事態に至ったと考えております。
 二十一世紀には、こうした状況からいち早く脱却し、国民一人一人が夢と希望を持って生きられる「希望の世紀」にしなければならないと考えております。
 公共投資と金融機関への公的支援の効果についてのお尋ねがございました。
 政府は、これまで七十兆円の公的資金の枠組みを設け、金融機関の破綻処理、資本増強などの金融システムの安定化策を講ずるとともに、公共投資の追加などによる需要の下支えなどの政策を行ってまいりました。こうした政府の大胆かつ迅速な経済対策によって、景気は最悪期を脱し、緩やかな改善が続いております。
 政府としては、経済を自律的回復軌道に確実に乗せるため、引き続き景気回復に軸足を置きつつ、我が国経済を二十一世紀にふさわしい構造に改革してまいる所存であります。
 我が国経済は、平成十年秋には、デフレスパイラルに陥るのではないかとの懸念がありました。しかしながら、政府がこれまで取り組んできた政策運営の効果もあって、我が国経済は、依然として厳しい状況にあるものの緩やかな改善を続けております。
 こうした中で、引き続き景気に軸足を置いて、経済を一日も早く本格的な回復軌道に乗せることが最重要課題と考えております。中でも、家計消費はGDPの約六割と、我が国経済の中で大きなウエートを占める重要なものと認識しており、所得環境の改善などを通じてその拡大を図ることは我が国経済を自律的回復軌道に乗せるために必要と考えております。
 このため、昨年十月に決定いたしました日本新生のための新発展政策を着実に実行に移し、今年度の補正予算の迅速、的確な執行に努めております。
 また、十三年度予算においては、公需から民需へのバトンタッチを円滑に行うとの観点から、公共事業等に十分な対応を行うとともに、二十一世紀の新たな発展基盤の構築に必要とされる分野に重点的、効率的に資金を配分いたしております。
 さらに政府としては、時代を先取りした経済構造改革を推進し、IT革命の実現等による中長期的な経済成長力の向上を目指すことや、世界経済の持続的発展へ貢献するといった点を重点として、適切かつ機動的な経済運営を行うことといたしております。
 また、今般の省庁再編において、内閣府に経済財政諮問会議を設置いたしました。景気を着実な自律的回復軌道に乗せるための経済財政運営とともに、財政を含む我が国の経済社会全体の構造改革に向けた諸課題について、具体的な政策を主導するとの決意を持って、実質的かつ包括的な検討を行い、国民が安心と希望を持てる処方せんを示していく所存であります。
 企業収益が家計に及ぼす影響についてのお尋ねがありました。
 旧経済企画庁が昨年十二月に公表いたしました「日本経済の現況(二〇〇〇)」においては、今回の景気回復の局面の特徴の一つとして、企業部門と家計部門の回復過程に二極化が生じており、生産が増加し、企業収益も大幅な改善が続いている一方で、企業部門でのリストラが続いているため、常用雇用で見た雇用者数は伸びず、失業率も高く、賃金の回復にもおくれが見られる旨指摘をされております。
 今後においては、景気回復に軸足を置いた政府の経済運営を通じて、緩やかな雇用・所得環境の改善と企業の増益基調が継続することにより企業部門の回復が家計部門にも波及することを期待いたしております。
 若い世代の失業率が高い原因についてのお尋ねがありました。
 一つには、若年者が自分に合った仕事を探す過程にあることや職業意識が不十分であることなどを背景として、自発的な離職や早期の離職による失業が多いことが挙げられます。また、ここ数年の雇用情勢を反映して、新規学卒者の就職環境が厳しいことも影響していると考えられます。
 企業の採用抑制など、青年をめぐる厳しい就職環境についてのお尋ねでありますが、新規学卒者については依然厳しい状況が続いていることから、政府としても、ことし一月に経済団体の首脳に対し求人枠の拡大を要請したところであり、また就職面接会の開催、就職準備のための講習の実施などの就職支援にも努めているところであります。また、青年が適切な職業の選択を行い、職場定着を図る観点から、職業意識の啓発に努めるとともに、労働時間の短縮を進めるなど、労働条件の維持向上を図り、魅力ある職場づくりに努めていくことが必要であると考えております。
 若い労働力の不足が産業や企業、社会に与える影響力についてのお尋ねでありますが、各般の技術やノウハウを担うべき能力ある人材の確保は、個々の企業経営においても、また我が国経済全体の活性化の上でも極めて重要な課題であります。
 このため、政府といたしましては、我が国の貴重な資源としての人材がその能力を向上させ最大限に発揮できるような環境を整備することとしており、特に我が国の将来を支える若年者に関しては能力開発や就職支援等に積極的に取り組むことといたしております。
 若年者の雇用対策についてでありますが、新卒未就職者を含め若年求職者に対しては職業意識の啓発に努めるとともに、就職に関する迅速、的確な情報の提供や職業相談を行っているところであります。また、民間教育訓練機関への委託等を活用し、これらの者に対し就職に当たって必要な職業訓練の機会を積極的に提供しているところでもあります。今後とも、若年者に対する職業能力の向上、就職促進に向けた支援を行ってまいりたいと考えております。
 有事法制の検討は撤回すべきではないかとのお尋ねがありました。
 我が国といたしましては、アジア太平洋地域の平和と安定を確保していくためには、地域における米国の存在と関与を前提としつつ、二国間及びASEAN地域フォーラム等の多国間の対話と協力を通じ、域内の信頼醸成を促進していくことが重要と考えており、今後ともこのような努力を継続してまいります。
 しかしながら、このような対話と協力と同時に万が一に向けた備えも欠かせません。有事法制は、自衛隊が文民統制のもとで国家国民の安全を確保するために必要であり、平時においてこそ備えておくべきものであると考えます。このため、政府としては、昨年の与党の考え方を十分に受けとめ、検討を開始していくこととしたところでありまして、これを撤回する考えはございません。
 新たな中期防衛力整備計画についてのお尋ねがありました。
 この計画は、専守防衛等の基本的防衛政策に基づき、我が国の平和と安全を確保するため、防衛計画の大綱のもと、継続的かつ計画的に防衛力を整備することを旨として策定したものでありまして、経費規模も十分抑制的なものと考えております。政府としては、この計画がアジアの平和にとっていたずらに危険と脅威をつくり出すとの御指摘は当たらず、この計画により節度ある防衛力の整備に努めていくことが適切であると考えております。
 在日米軍基地についてのお尋ねでありますが、我が国に所在する米軍施設・区域は、日米安保条約の目的達成に重要な役割を果たしており、我が国としては、今後とも、米軍のプレゼンスを確保し、その抑止力をもって我が国及びアジア太平洋の平和と安全を確保していくことが極めて重要と考えております。他方、基地周辺住民の方々の御負担の軽減のため、政府としても今後とも十分努力してまいります。
 在沖縄米軍の問題についてお尋ねがありましたが、政府としては、日米安保条約に基づき我が国に駐留する米軍の存在は、我が国の安全のみならずアジア太平洋地域の平和と安定のために不可欠であり、有効に機能してきたものと考えます。
 他方、政府としては、海兵隊を初めとする在日米軍施設・区域の約七五%が集中することにより我が国の平和と安全のため沖縄県民の方々が背負われている御負担について十分認識をいたしております。こうした御負担を軽減するため、先月の日米外相会談でも一致したとおり、今後とも、SACOの最終報告を踏まえ、日米間で緊密に協議をしながらその着実な実施に最大限努力してまいります。
 米軍によるNLP及び低空飛行訓練に関してのお尋ねがございました。
 米空母艦載機の夜間着陸訓練については、パイロットの練度維持及び向上のために重要なものであり、政府としてその中止を求める考えはありませんが、飛行場周辺の住民に対する騒音の影響をできるだけ軽減するため、可能な限り多くのNLPが硫黄島で実施されるよう米側に申し入れをいたしております。
 また、米軍による低空飛行訓練は、日米安保条約の目的達成のため、訓練の重要な一環であると認識いたしております。他方、米軍は訓練に際し我が国の公共の安全に妥当な配慮を払って活動すべきものであるということは言うまでもなく、政府としても従来より、閣僚レベルを含め、累次の機会に米側に対し安全確保に万全を期するよう申し入れを行ってきており、米側もこの点につき留意している旨をあらゆる機会に表明をいたしているところであります。日米両国政府は、平成十一年一月に、日米合同委員会を通じて六項目の具体的措置を取りまとめているところ、米側はこの措置を誠実に遵守している旨、再確認をいたしております。
 憲法第九条の精神に基づいて日本外交を進めるべきとの御指摘でありますが、我が国は従来から、日本国憲法のもと専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国にならないとの基本理念を掲げ、世界の平和と安定のために積極的に努力をしてまいりました。私としても、かかる方針のもと、世界の平和と繁栄を確保するための努力に責任感とリーダーシップを持って積極的に参画してまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁いたさせます。(拍手)
   〔国務大臣河野洋平君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(河野洋平君) 公金横領疑惑にかかわる内閣官房からの受領総額についてのお尋ねでございますが、松尾元室長は現金で携行していた公金について十分な説明を行っておらず、また記録も保持していないこともあって、同人が受領した公金の総額については外務省の調査では確認できておりません。
 外務省の調査した範囲で申し上げれば、外務省の調査により判明した金額は、同人が内閣官房から受領して口座に入金したと述べているものの累計でございますが、その金額は約五億六千万円でございます。
 外務省報償費についてお尋ねがございました。
 総理からも御答弁がございましたが、外務省報償費が官邸に上納されている事実はございません。
 外務省報償費は、情報収集及び諸外国との外交交渉あるいは外交関係を有利に展開するために使用されておるのでございます。したがって、具体的使途を公表することは行政の円滑な遂行に重大な支障が生じることを考え、具体的使途に関する説明は差し控えさせていただいております。(拍手)
#17
○議長(井上裕君) これにて午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時四十七分休憩
     ─────・─────
   午後一時一分開議
#18
○議長(井上裕君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 午前の会議における市田忠義君の発言につきましては、速記録を調査の上、発言中に不穏当な言辞がありますれば、議長において適切に措置いたしたいと存じます。
    ─────────────
#19
○議長(井上裕君) 国務大臣の演説に対する質疑を続けます。梶原敬義君。
   〔梶原敬義君登壇、拍手〕
#20
○梶原敬義君 二十一世紀になりました。私は、二十一世紀が日本国民にとって、世界の人々にとって明るく平和で豊かな社会になることを祈りつつ、社会民主党・護憲連合を代表して、質問をいたします。
 森総理の施政方針演説を聞いて私は大変失望いたしました。その第一は、KSD疑惑や外交機密費に関する事件については、自分とかかわりのないことだと言わんばかりであり、自由民主党総裁として、また内閣総理大臣として責任を感じているようにはとれなかったのであります。第二は、政策が総花的で、響きのよい言葉の羅列であり、一体何が大事なのか一向にわからなかったのであります。
 さて、森総理が我が国のかじ取りをするようになった途端、株価の低落傾向が始まり、金融機関の不良債権も増加し、また金融危機が叫ばれるようになりました。景気は緩やかな回復過程にあると言いながら、企業倒産は多発し、失業者の続出、農村の疲弊、年金を初めとする将来不安は募るばかりであります。これでは個人消費に火がつくはずはありません。
 今、ちまたでは、大きな銀行が行き詰まっても公的資金を投入して国が面倒を見てくれる、しかし中小企業の場合は切り捨て御免だ、銀行の責任者は責任をとらず、国や日銀は監督責任をだれもとっていない、こんな不公平な世の中が許されていいのかという激しい憤りの声があふれております。
 総理も十分承知のことだと思いますが、こうした国民の声にどのようにこたえようとしておられるのか。中小企業対策費の総額は対前年比〇・二%増という微増にとどまっております。もう少し中小企業に配慮した予算案は組めなかったのか、お尋ねします。
 次に、憲法と外交問題について総理の御所見をお尋ねいたします。
 私は、最近、中国、韓国を初め東南アジア諸国を訪問し、各国首脳や知識人の方々と話し合う機会に恵まれました。それぞれの国の指導者は、平和と安定が何よりも大事であり、平和と安定が続けば日本のように経済が発展し豊かになれると共通して述べておられます。
 また、日本の防衛力に対する評価と脅威の有無についての私の質問に対しては、ストックホルム国際平和研究所の統計によれば世界第二位の防衛予算額になっているにもかかわらず、各国とも日本の防衛力をそれほど脅威とは感じていないのであります。日本の防衛力については、今日の日本国民が国際紛争を解決する手段としては武力による威嚇または武力の行使を絶対に行わないという日本国憲法の理念に基づいて行動をしているからと言うのであります。このことを総理はどのように評価をされますか、お尋ねいたします。
 しかるに、今日の我が国の現状を見ると、戦後も五十五年を過ぎ、世代もかわり、太平洋戦争も風化し、戦前への回帰というような風潮が高まり、またいつか来た道を歩み始めるのではないかと心配になるのであります。
 憲法改正の動きが国会の内外で現実に始まり、ガイドライン関連法の制定によって自衛隊による後方支援が可能となり、今般提出されている平成十三年度予算案の中には、専守防衛の範囲を超えている空中給油機の導入にかかわる予算が含まれております。また、集団的自衛権を認めようとする動き、すなわち日米の関係でいうならば、安保条約国であるアメリカがどこかで攻撃をされた場合には日本の自衛隊が出動することを可能にしようとする動きも強まってきました。
 私は、二十一世紀こそ平和憲法の理念を国民の間にしっかりと位置づけ、我が国は専守防衛に徹し、また悲惨な被爆の体験を持つ国として世界の人々に平和憲法の精神と非核三原則の理念を自信を持って広めていくべきだと思うのであります。
 今こそ総理のリーダーシップを発揮される時期だと思いますが、総理のお考えを伺います。
 次に、二十一世紀において予想される四つの危機について順次お伺いをいたします。
 森総理はこの新しい世紀を展望して、「希望の世紀」、「人間の世紀」、「信頼の世紀」、「地球の世紀」と掲げて所信を述べられましたが、内容については抽象的であり、よくわかりませんでした。
 それよりも、私は、二十一世紀の日本を展望した場合に、次の四つの難関が日本人の前に立ちはだかっていることを指摘したいと思うのであります。すなわち、一つは石油資源の枯渇の危機、二つは食料の危機、三つは環境破壊の危機であり、さらに四つには少子化社会の危機であると思うのであります。この四つの危機を政治の力で突破しない限り、日本の将来はないのではないでしょうか。これこそ政治の課題であります。
 まず、石油の危機の問題でありますが、全世界の石油の可採埋蔵量は既に四十年を切っていると言われております。開発途上国も猛烈な車社会に突入することを考えれば、予測よりも早く石油危機が到来することを察知しなければなりません。石油資源のない我が国こそ、石油にかわる代替エネルギーの開発に思い切った予算を投入すること、新エネルギーの開発と導入促進のための大幅な予算措置をとること、石油資源を有効に使うために省エネを徹底することに今すぐ取りかかるべきであります。
 二十一世紀初頭に当たり、石油危機に備えて着実に取り組んでいくことこそが急務だと思いますが、いかがですか。御所見をお伺いいたします。
 次は、食料の問題であります。
 世界の人口は爆発的に増加をしており、二十一世紀の世界の食料危機は目に見えていると思います。また、日本の農村における農業の担い手は平均七十一歳と高齢化しており、あと十年もすると、特に中山間地域の農業は一斉に続けられなくなります。農地は荒れ、農林業の果たす水源や環境といった多面的機能も失われかねないし、食料供給力も急速に低下すると見なければならないでしょう。
 世界の先進国と言われる国の食料自給率に比べて、我が国は四〇%という最低水準にあります。ちなみに、低いと言われていたイギリスでも現在は七七%であります。今後も引き続き我が国だけが自国で消費する食料の六〇%を世界の食料市場から買いあさることは、将来にわたって許されることではないと見るべきではありませんか。
 平成十三年度予算案は、これらに対処した国民的合意を求める予算案とはなっておりません。
 総理は食料危機にどのように対処するおつもりか、また危機的状況にある林業の再建を目指し、どのような基本法をつくられようとしておるのか、あわせてお尋ねをいたします。
 次に、環境問題の克服であります。
 前世紀において人類は地球環境を犠牲にして今日の繁栄を築いてきたのでありますが、その結果、人類の生存を危うくするほどに地球環境の破壊が進んだのであります。
 国連環境計画では、温暖化が進むと、熱帯性低気圧の多発による被害、海水面の上昇による土地の水没などによる農業や漁業への悪影響などによって、各国の受ける被害が二十一世紀半ばには年間三千億ドル、日本円にして約三十四兆五千億円に達する可能性があると発表いたしました。
 環境を保護し、あるいは改善をしていくことが急務であり、これまでの政府の取り組みには緊張感が感じられないのであります。国民一人一人が今日の豊かさを犠牲にしてでも取り組まなければならないと思います。さしずめ、COP3京都会議で、我が国は二〇一〇年度に炭酸ガスの排出量を一九九〇年に比べて六%削減することに合意しましたが、その実現は可能ですか、見通しを含めてお答えください。
 次に、少子化問題についてお尋ねいたします。
 今日、我が国は驚異的なスピードで少子高齢化社会へと突き進んでいます。このままでは日本の社会保障制度も崩れ、国の根幹が揺らぎます。現在の少子化の原因になっているものは何か、安心して子供を産み育てられる男女共生の社会をどのように構築していくのか。国、地方自治体、それぞれの果たすべき役割が問われていると思います。
 就労と育児との両立の問題を女性だけの問題としてとらえることなく、男女がともに家事、育児等の家族的責任を担えるように、保育所の整備等に加え、サービス残業の廃止、育児休業期間の延長やとりわけ男性の育児休業の取得促進など、実効性のある施策を積極的に進める必要があります。政府にはその用意がおありか、総理の認識と決意をお伺いいたします。
 教育改革についてお尋ねします。
 森総理はこの百五十一通常国会を教育改革国会にすると構えておられますが、そのあかしとなるべき文教関係予算は微増にとどまり、国民が望む教育改革にふさわしい実体が備わっているとは言いがたいのであります。
 私は、環境のよい教育現場と三十人以下学級の早期実現はもとより、欧米並みの二十人学級編制の達成へ歩みを大きく進めることを提案いたします。だれの目にも明らかなばらまき予算を行う余裕があるのならば、無利子奨学金制度などの飛躍的な拡充に予算をつけるべきと思います。
 日本の教育予算はGDPの三・五%程度にとどまっております。世界標準とも言える学校教育費のGDPの五%水準達成へ明確な達成計画を策定することを強く求めるのであります。その用意がおありか、総理の答弁を求めます。
 次に、総理の私的諮問機関の教育改革国民会議の最終報告の最大の問題点である奉仕の義務化についてお聞きいたします。
 私は、このような時代錯誤も甚だしい前代未聞の提案に遭遇しようとは思いませんでした。奉仕活動の主な目的が他者への思いやり等をはぐくむことにあるならば、子供たちの自主性こそが尊重されなくてはならないのではないでしょうか。にもかかわらず、強制力を伴う枠組みとして提示されようとしていることは、国家主義的な危険性をさえ感じるのであります。
 総理の教育改革は教育改革国民会議の最終報告をよりどころにしているようでありますが、これは私的諮問機関の意見であり、あくまで参考にすべきものであると思います。私的諮問機関の多用は好ましいものではありませんが、何よりも人選について総理好みの人に集まってもらい、あらかじめ意図した方向に意見が集約され、それがあたかも国民の世論であるかのような結論に導いていくやり方は民主主義の否定であり、認めることができないのであります。正規の機関である中央教育審議会や国会の審議をもないがしろにするものであると言わなければなりません。
 私も、教育改革の必要性は認めるものでありますが、正規の機関であります中央教育審議会で十分時間をかけ、あらゆる角度から検討して、間違いのない改革方針を提示していただきたいのであります。それを受けて、国会において真剣な審議を尽くすべきと思いますが、総理の見解をお尋ねいたします。
 ケーエスデー中小企業経営者福祉事業団は、中小企業の経営者が仕事中にけがをしたり、死亡した場合に備えて共済事業を行う立派な目的を持った旧労働省認可の財団法人であります。
 ところが、今、問題になっているKSD事件は、事業の目的から逸脱して自民党の党費立てかえや関連事業を有利に展開するために自民党の国会議員に請託をし、わいろとして大きな金が動いている事件であります。
 そこでお尋ねしますが、古関前理事長を中心とする会費の目的外使用、不正流用等の運営の監督責任については、どのように考え、どのように責任をとろうとしているのか、また、その事件の真相解明のためにどのような努力をなされているのか、厚生労働大臣にお伺いをいたします。
 次に、森総理は施政方針演説の中で、「まことに残念のきわみ」、改めて気を引き締め、信頼回復に全力を尽くすと他人事のように述べられましたが、総理が自民党幹事長時代の平成七年六月二十七日発行の自由新報において、古関前理事長と長々と対談をされています。これがこの自由新報です。古関前理事長と対談を終わるに当たって、古関理事長は、「これからも幹事長のご協力をぜひお願いしたいと思います。われわれも自民党のために全力をつくしますので。」と述べ、それに対して森総理は、「こんどは参議院選挙もありますし、また総選挙もいずれあるはずです。何かとご支援のほどよろしくお願いいたします。」と頭を下げ、協力を要請しているではありませんか。これは何事でございますか。間違いはありませんか。
 さらに、KSDは、自民党機関紙の自由新報や自由民主の広告費として二億円以上納めていると言われております。これでは、森さんを先頭に、自民党が丸ごとKSDのお金にたかっていたと言っても過言ではないのではないでしょうか。
 そこでお聞きしますが、党費立てかえや広告費として自由民主党に渡ったお金の額は二十億円とも言われていますが、一体全体本当は幾らなのですか。これらのお金は、中小零細企業の経営者が厳しい経営環境の中から掛け続けた大切なお金であります。もしも、もしもですよ、KSDの運営に余裕が生じた場合には会費を引き下げるか給付条件を改善するかに回すべきものであり、自民党が吸い取るとは何事でありますか。
 総理であり自民党の総裁である森さんは、ケーエスデー中小企業経営者福祉事業団の会員の皆さんと国民に陳謝すべきであると思いますが、いかがですか。そして、党に納められた党費の立てかえ分と広告費等はKSDに即刻返還すべきだと思いますが、いかがでございますか。あわせてお答えください。
 私も、全容解明のため、古関前理事長、額賀前経済財政担当大臣、小山孝雄前参議院議員、そして最もKSDと関係の深い本院の村上正邦議員の証人喚問を要求いたします。
 次に、外務省の機密費の横領について伺います。
 長引く不況のもと、多くの国民が苦しんでいる中、何億、いや何十億という国民の血税を、あたかも個人のポケットマネーのようにして私財の購入に流用したと言われる今回の事件は、国民の一般常識からは全く理解できないのであります。
 そもそも、なぜ国民の税金である国家の予算を個人の銀行預金の口座に入れて使うことができるのですか。また、なぜ六年間もの長い間不正なことが行われてわからなかったのでしょうか。納税者である国民にわかるように説明をしていただきたい。政府には、この際、徹底的に横領の実態解明を行い、国民に明らかにする責任があります。
 外務省の元要人外国訪問支援室長の横領容疑は、これまでの政府の答弁では官房機密費を受け取った際に横領したものでありますが、外交機密費の本省分についても松尾前室長が関与していたことはないのか、正常に処理されていたと言えるのか。外交機密費の本省分が、官房機密費に繰り込まれたことがあったのかなかったのか。
 以上、外務大臣にお尋ねいたします。(発言する者あり)
#21
○議長(井上裕君) 梶原君、時間が超過いたしております。簡単に願います。
#22
○梶原敬義君(続) さらに、会計検査院では今までに外務省及び内閣官房の機密費の検査を毎年実施していたと聞いているが、このような事件が発生したことにかんがみ、会計検査院により再度検査する必要があると考えます。その際、政府としては積極的に検査に協力すべきと思いますが、総理、その用意はありますか。(発言する者あり)
 最後に、麻生国務大臣は……
#23
○議長(井上裕君) 梶原君、簡単に願います。
#24
○梶原敬義君(続) 経済演説の結びに当たって、「絶望は愚者の結論」と言われ、国民の前に強い決意を表明されました。適切な表現であったのでしょうか。
 今、国民の森内閣への支持率は一〇%台であり、国民に大いなる失望を与えているのは政府・与党ではありませんか。この低い支持率で内閣が続く、まさに日本の政治と民主主義の危機であります。森総理は、民意に耳を傾け、即刻退陣すべきであります。
 総理の御決断を促し、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣森喜朗君登壇、拍手〕
#25
○内閣総理大臣(森喜朗君) 景気の現状についてお尋ねがございました。
 景気は、企業部門を中心に自律的な回復に向けた動きが継続し、全体としては緩やかな改善が続いておりますが、雇用情勢は改善がおくれておりまして、個人消費もおおむね横ばいで推移するなど、厳しい状況を今なお脱しておりません。また、米国経済の減速など、懸念すべき点も見られます。こうした中で、引き続き景気に軸足を置いて、経済を一日も早く本格的な回復軌道に乗せることが最重要課題だと考えております。
 このため、昨年十月に決定いたしました日本新生のための新発展政策を着実に実行に移し、今年度の補正予算の迅速、的確な執行に努めてまいります。
 また、十三年度予算におきましては、公需から民需へのバトンタッチを円滑に行うとの観点から、公共事業等に十分な対応を行うとともに、二十一世紀の新たな発展基盤の構築に必要とされる分野に重点的、効率的に資金を配分いたしております。景気を自律的回復軌道に確実に乗せ、我が国経済を新たなる発展へと飛躍させるためには、この十三年度予算の早期成立が必要不可欠であります。
 中小企業対策についてお尋ねがありましたが、中小企業は日本経済の基盤であり、経済の新生を実現するためには中小企業の成長と発展を図ることが不可欠であると認識いたしております。こうした観点から、御指摘の十三年度予算においては、IT革命への対応、創業や経営革新の促進、円滑な資金供給のための金融対策など、中小企業のニーズと中小企業を取り巻く状況に的確に対応するために必要なものとして千九百四十八億円の中小企業対策費を計上いたしております。これらの事業を速やかに実施するため、予算の一日も早い成立をお願いしたいと考えます。
 憲法の理念との関連で、周辺諸国の我が国の防衛力に対する認識、いわゆる空中給油・輸送機の導入及び非核三原則についてのお尋ねがございました。
 これまで我が国は、日本国憲法のもと、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国にならないとの基本理念に従い、日米安保体制を堅持するとともに、文民統制を確保し、非核三原則を守りつつ、節度ある防衛力を自主的に整備してきており、今後ともかかる方針を堅持してまいります。このことは累次の機会に内外に明らかにいたしており、とりわけ我が国周辺諸国に対しましてはさまざまな機会をとらえて説明してきたところでありまして、我が国の防衛政策に対する理解は得られているものと考えております。今後とも、我が国の防衛政策の透明性の確保に努めてまいる所存であります。
 また、いわゆる空中給油・輸送機については、戦闘機訓練の効率化、事故防止、基地周辺の騒音軽減及び人道支援等の国際協力活動の迅速な実施と多目的な輸送に資するとともに、我が国の防空能力の向上を図るためのものであり、本航空機を導入しても他国に侵略的、攻撃的脅威を与えるものではなく、憲法上問題は生じないと考えております。
 さらに、我が国が核兵器を持たず、つくらず、持ち込ませずという非核三原則を堅持してきていることについては、私を含め歴代総理もこれまで累次の機会に繰り返し表明いたしておりまして、既に内外に十分理解されていると考えます。政府としては今後ともこれを堅持する方針であり、同時に、核兵器のない世界を目指して核軍縮・不拡散のための現実的な措置を着実に積み重ねていくことが重要であると考えております。
 有限な資源である石油の安定供給に向けた取り組みについてのお尋ねでありますが、途上国における石油消費が今後増大することが見込まれる中で、我が国は一次エネルギー供給の過半を石油に依存いたしております。かかる状況のもと、我が国としては省エネルギーの推進に加え、新エネルギー等の開発、導入、原子力の推進により石油依存度の低減に取り組んでおります。さらに、百六十日分の石油備蓄の保有を初めとして、産油国との関係強化、自主開発原油の確保等の石油に係る多様な安定供給策を講じているところであります。
 石油代替エネルギーについてのお尋ねでありますが、石油のほぼ全量を輸入に依存するなどエネルギー資源に乏しい我が国におきましては、エネルギー安定供給の確保を図ることが極めて重要な課題となっております。このため、我が国としては石油代替エネルギーの開発、導入に必要な予算措置を講ずるなど全力で取り組んできております。
 例えば、新エネルギーの開発、導入のために平成七年度から平成十二年度の五年間に予算額を約二倍に拡大いたしており、さらに平成十三年度予算案においても思い切った拡充を図ることといたしております。こうした取り組みの結果、我が国の石油依存度は、第一次オイルショック時である昭和四十八年度の七七%から昨年度には五二%に低下しております。
 今後ともこうした取り組みを通じてエネルギーの安定供給の実現に努めてまいる所存であります。
 省エネルギーを徹底すべきとの御指摘でありますが、政府としても省エネルギーの推進は、エネルギーの安定供給確保や地球環境問題への対応の観点から、非常に重要な課題であると考えております。
 このため、一昨年四月に施行された改正省エネルギー法の運用により、自動車や家電製品等の機器効率の改善や工場におけるエネルギー管理の強化などに取り組んでいるほか、省エネルギー技術の開発、導入の促進等、産業、民生、運輸、各部門において最大限の省エネルギー対策を強力に推進しているところであります。
 農業の担い手についてのお尋ねでありました。
 農業従業者の高齢化が進行する中で、国民に対する食料の安定供給の確保や農業、農村に有する多面的機能の発揮を図るためには、意欲ある農業の担い手の確保、育成が重要な課題となっております。このため、担い手に対し、農地の利用集積、経営支援のための各種金融措置、経営管理能力と技術の向上を図るための支援など総合的な施策を講じてまいります。
 食料自給率の向上対策についてのお尋ねでありますが、御指摘のとおり、現在の我が国の食料自給率は先進国中最も低い水準であり、その向上を図ることは極めて重要であると考えております。
 このため、生産面では、優良農地や担い手の確保、生産基盤の整備、技術の開発、普及等の施策を進めるとともに、消費面では、望ましい食生活の実現について国民の皆様の理解が得られるよう努めるなど、生産から消費にわたる施策を推進してまいります。
 平成十三年度予算案の食料危機への対処についてのお尋ねですが、昨年定めた食料・農業・農村基本計画においては、平成二十二年度には食料自給率を四五%に高めることを目標といたしておりまして、これに向けて平成十三年度予算案では、麦、大豆等の生産拡大や望ましい食料消費の実現など、生産、消費両面からの取り組みの強化に思い切った予算配分を行っているところであります。今後とも、食料の安定供給に向けて、国民の御理解を得ながらこれらの対策を着実に推進してまいる所存であります。
 林業の基本法に関してのお尋ねがございましたが、森林の多様な機能の持続的発揮を図ることを基本理念とするように、林業基本法の改正を行い、森林に対し公益的機能の発揮を求める国民のニーズにこたえることといたしております。
 地球環境問題への取り組みについてのお尋ねですが、「地球の世紀」である二十一世紀において、恵み豊かな環境を守り我々の子孫に引き継いでいくことは、最も重要な課題の一つであると考えております。このため、COP6再開会合の成功と温室効果ガスの排出の削減のための国内制度の構築に総力を挙げて取り組むとともに、循環型社会形成推進基本法を基礎として廃棄物リサイクル対策関連法に基づく各般の施策を着実に実施すること等により、大量生産、大量消費、大量廃棄という経済社会のあり方から脱却した循環型社会の構築を具体的に進めてまいる所存であります。
 COP3京都会議における合意の実現に関するお尋ねでありますが、先ほどもお答え申し上げましたとおり、一九九七年に京都で開催されたCOP3の議長国である我が国といたしましては、京都議定書の二〇〇二年までの発効に向けた国際的熱意が失われないよう、COP6再開会合に向けた外交努力を行うとともに、我が国を含む関係国による京都議定書締結を可能なものとすべく国際交渉に積極的に臨む方針であります。
 また、国際交渉の進捗状況も踏まえつつ、国民の理解と協力を得て、二酸化炭素等の温室効果ガスを二〇〇八年から二〇一二年において対一九九〇年比で六%削減するという京都議定書の目標を達成するための国内制度の構築に総力を挙げて取り組んでおります。
 少子化対策についてのお尋ねがありました。
 二十一世紀の我が国が家庭や子育てに夢や希望が持てる社会となるよう、国においては少子化対策推進基本方針や新エンゼルプランを策定し、また地方公共団体においては地域の特性に応じた計画策定を行うなど、国と地方公共団体が一体となった取り組みを進めているところであります。
 具体的には、これらの計画に基づき、保育所の整備を初めとする保育サービスの充実、労働時間の短縮、仕事と子育ての両立のための雇用環境の整備などを推進しているところであり、また、育児・介護休業法の改正法案を今国会に提出するなど、男女がともに働きながら子供を産み育てやすい環境づくりを総合的に推進してまいります。
 少人数学級についてお尋ねがありました。
 一律に三十人学級等の少人数学級を実施することについては、学級規模と教育効果の関連が必ずしも明確でないこと及び個々の児童生徒にとって多数の教員がかかわることの方が効果的であること等から総合的に判断して、必ずしも望ましい方法であるとは言えないと考えております。
 したがって、今後の教職員定数の改善については、学級編制の標準を一律に引き下げるのではなく、子供たちの基礎学力の向上ときめ細かな指導のため、教科等に応じて二十人程度の少人数指導を行うなど、学校の主体的な取り組みを支援する観点に立って進めてまいりたいと考えております。
 無利子奨学金制度の飛躍的拡充に予算をつけるべきではないかとの御指摘がありました。
 日本育英会の奨学金については、学生が自立し安心して学べるようにするため、近年、無利子奨学金の充実を図るとともに、有利子奨学金について貸与人員の大幅な増員を図るなど、希望する学生が貸与を受けられるよう充実を図っているところであります。今後とも、無利子、有利子あわせて奨学金の充実に努めてまいります。
 日本の教育予算のGDP比についてのお尋ねがありました。
 GDPと教育予算の比較については、国によりさまざまな条件が異なるので単純な比較は困難であります。いずれにしても、教育予算については、他の歳出分野同様、不断の見直しを行いつつ、必要な施策に要する予算を着実に確保してまいりたいと考えております。
 奉仕活動についてのお尋ねがありました。
 子供の社会性をはぐくみ、自立を促し、人間性豊かな日本人を育成する教育を実現するためには、青少年が教育現場や広く社会においてさまざまな体験的な活動を行うことを通じて、思いやりの心や社会の構成員として奉仕の心を養うことができるような仕組みを整えていくことが重要であると考えます。その際、子供の発達段階や自発性に配慮したり、地域の実情に応じて多様な形で行われるようにすることが大切であると考えます。
 このため、教育改革国民会議の最終報告を踏まえつつ、学校教育法及び社会教育法の改正や必要な予算措置など各般の取り組みを行い、社会奉仕体験を含めたさまざまな分野での青少年の体験活動を促進することといたしております。また、将来的に満十八歳後の青年が一定期間奉仕活動を行える社会的な仕組みづくりについては、中央教育審議会等においてさまざまな角度から専門的な検討を行ってまいります。
 教育改革国民会議についてのお尋ねがございました。
 教育改革国民会議は、広く各分野の有識者の方々の御参集を求め、今後の教育のあり方について制約を設けず基本にさかのぼって幅広く検討し御意見をいただくとの趣旨から、故小渕総理のもと、昨年三月に発足し、私も引き続き審議をお願いしていたものであります。一方、中央教育審議会は、文部科学大臣の諮問に応じて、教育の振興、生涯学習の推進、スポーツの振興等に関する重要事項を調査審議するため文部科学省に設置された機関であります。
 昨年十二月に取りまとめられました教育改革国民会議の最終報告では、人間性豊かな日本人の育成、創造性に富む人間の育成、新しい学校づくり、教育振興基本計画の策定、新しい時代にふさわしい教育基本法の見直しなど、教育各般にわたる御提言をいただきました。
 私としては、今回の提言を踏まえ、国民一人一人が、学校がよくなる、教育が変わるという実感が持てるような本格的な教育改革に取り組んでまいる所存であります。特に、直ちに取り組むべき課題については、この国会に学校教育法や公立学校の学級編制、教職員定数の標準などに関する法律の改正など一連の教育改革関連法案を提出することといたしております。また、教育基本法の見直しなど、さらなる検討が必要な事項につきましては、中央教育審議会等で幅広く国民的な議論を深め、しっかりと取り組んで成果を得てまいりたいと考えております。
 自由新報で私と古関氏との対談において、私がKSDに協力を要請したのではないかとの御指摘がございました。
 平成七年の対談であり、対談内容を詳細に記憶しているわけではありませんが、当時私は自民党の幹事長職にあり、広く自民党への支持拡大を図ることが職務でございましたので、一般的な意味で自民党への御支援をお願いしたことはあったのではないかと考えますが、それを超えて特定の依頼はいたしておりません。
 KSDから自民党に渡った立てかえ党費や広告費などに関連しての御質問がありました。
 党費の立てかえの問題については、先ほども御答弁申し上げてきましたように、党からの報告によれば、党則に従い、所定の手続を経て党本部に届けられるシステムとなっておりまして、今回のケースもこうした入党の手続においては問題はなかったと聞いております。
 また、広告費についての御指摘ですが、自民党では健全な財政基盤づくりの一環として党機関紙への広告掲載を広告代理店を通じて各方面にお願いをいたしております。他方、KSDはかねてからテレビ、新聞などに広告を載せ、事業活動のPRを行っており、党機関紙への広告掲載も同趣旨のものと承知をいたしております。
 現在、KSDをめぐる資金の流れについては司法当局による捜査が行われておりますが、徹底的に真相究明がなされ、国民の前に真相が明らかにされるべきであると考えております。また、真相究明を待つことなく、自民党内の仕組みについて見直すべきものは率先して見直し、自民党の、そして政治の信頼回復に全力で取り組んでまいる所存であります。
 公金横領疑惑に関するお尋ねでありますが、歴代内閣総理大臣の外国出張経費に関し、外務省職員による国民の信頼を裏切る不祥事が起きたことは極めて遺憾であり、この事態を厳粛に受けとめ、国民の皆様に深くおわびを申し上げます。
 今回の事件に対する厳しい反省に立ち、外務省に対して引き続き十分な調査を指示したところでありまして、政府といたしましては、捜査当局による真相の解明の進展も見ながら、原因の解明と再発防止に万全を期してまいりたいと考えております。
 報償費の運用に当たりましては、この際点検を行った上で、より厳正かつ効果的な運用に十分意を用いてまいる所存であり、御指摘の会計検査への協力についても適切に対応してまいりたいと考えております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣坂口力君登壇、拍手〕
#26
○国務大臣(坂口力君) 梶原議員からの御質問にお答えを申し上げたいと思います。
 KSDの監督責任についての御質問でございました。
 KSDに対しましては、平成八年から、KSDから豊明会への補助金の使途についての明確化、豊明会における補助金と他の経費との区分経理の実施、KSDにおける評議員会の設置等について指導を行ってきたところでございます。しかし、これらの指導が十分徹底しなかったことを深く反省をいたしまして、旧労働省内の、そして新しくは厚生労働省の公益法人に対する指導監督体制を思い切って強化したところでございます。
 私の就任する以前の問題ではありますが、もし仮に旧労働省に問題があったとすれば、その責任を避けることなく、私の責任において解決してまいりたいと考えております。
 KSDに対しましては、現在、東京地検特捜部の捜査が行われているところであり、捜査の推移を見守る必要がありますが、旧労働省内におきましても独自の調査も進めているところでございます。
 いずれにしても、過去の責任を明確にし、これからの責任を自覚して、公益法人KSDが新規に設立するぐらいの出直しを行うよう指導監督していく決意であることを申し述べまして、答弁とさせていただきます。(拍手)
   〔国務大臣河野洋平君登壇、拍手〕
#27
○国務大臣(河野洋平君) 公金横領疑惑についてのお尋ねでございますが、総理の外国訪問に際しまして、宿泊費についての見積もり作成から精算までを松尾元室長が一人で行っていたこと、及び公金を出し入れする口座に松尾元室長が私金をも混交して出し入れしていたことなどについて、遺憾ながらだれもチェックする体制になっておりませんでした。
 このような体制上の不備のため今回の事件が生じてしまったわけでありまして、外務省として、また外交を預かる人間として心から反省をいたしますと同時に、おわびを申し上げる次第でございます。
 現在は、本件は警察の手にゆだねられておりまして、外務省としても、その全容解明のため、捜査当局に積極的に協力をしております。また、みずからも必要な内部調査を継続しております。
 外務省報償費についてもお尋ねがありましたが、要人外国訪問支援室長の業務は、内閣総理大臣の外国訪問に際しての交通手段、宿泊施設などに関する支援業務でありまして、当職にある間、松尾元室長は外務省報償費を扱う立場にはございませんでした。
 なお、外務省報償費の支出に当たりましては、会計法令に基づき、他の科目と同様に、所要の省内手続を経て支出をいたしておりまして、その手続の過程において、当該支出が報償費の使用目的に合致しているかなどをチェックしております。
 また、外務省所管の報償費は、本省分であると在外分であるとを問わず、内閣官房報償費に組み込まれていることはございません。(拍手)
    ─────────────
#28
○議長(井上裕君) 石田美栄君。
   〔石田美栄君登壇、拍手〕
#29
○石田美栄君 民主党の石田美栄でございます。
 私は、民主党・新緑風会を代表いたしまして、森総理及び各閣僚に、新世紀、日本の国のかじ取りについて質問させていただきます。
 いよいよ二十一世紀を迎えました。今、確かに二十世紀と二十一世紀の二つの世紀にわたって生きることができるという幸運なめぐり合わせを私たちは喜びたいと思います。しかし、輝かしい世紀を迎えたと実感している人が今の日本にどれだけいるでしょうか。総理御自身、いかがでしょう。
 二十世紀は戦争と対立の世紀と言われ、また、開発と発展の世紀でありました。
 今、私たちは、この新世紀を、国民が平和に暮らし、自立と共生、ゆとりと豊かさの中で、一人一人の個性と活力が生かされる社会を築き上げる創造の世紀としなければなりません。特に私たち国会議員には、自分たちの世代、親たちの世代、中でも子や孫の世代の営みを確かなものとするよう、日本の国のかたちをよりよい姿に変えていかなければならない責務があります。
 しかし、政治の現状はどうでしょう。二十世紀後半、官僚と癒着した自民党政治が、中央集権的なシステムを操り、公共事業を中心に国の経済を極限まで拡大してきました。その結果、我が国経済は高い成長を達成し、物質的には非常に豊かな社会を築きましたが、政官業の癒着構造は固定化し、環境、教育、人心など、経済以外の分野では事態の悪化が続き、今や極限に達しています。
 特に、二十世紀最後の十年は失われた十年と言われ、自民党政治の利権最優先、問題先送りの、ひたすら国民、有権者をないがしろにした政治が国のすべての活力を失わせる原因となりました。そして、今や我が国は完全な袋小路に入った状態にあります。
 重ねて申し上げますが、自民党の利権最優先、問題先送りの政権が築き上げてきたこの中央集権的システムは、政官業の強固な癒着構造とむだな公共事業のばらまきによって、国、地方合わせて六百六十兆円を上回る膨大な借金の山をつくり上げています。まだこんなことを続けるのでしょうか。
 今や政治に対する国民の不信感、失望感が蔓延し、最新の世論調査では森内閣の支持率は一四%という、余りにも情けない状況であると言わざるを得ません。
 この現実を総理はどう受けとめますか。御感想をお聞かせいただきたい。
 本院同僚である久世議員、村上議員、小山前議員が関係した名簿順位を上げるための自民党党費の立てかえ問題、KSD関連の疑惑、そして外務省官僚による機密費の流用疑惑など、自民党政権が得意とするこの中央集権的システムが、いかに政官業の癒着と利権構造を生みやすいかを端的に物語っています。
 今、我が国が陥ってしまった袋小路から抜け出すためには、国の現在の機構を全く新しいシステムへ移行するしかありません。私たち民主党は、そのために、国の権限と財源を大幅に地方へ移譲し、地方自治体と住民が権限と責任を持って、地域のことは地域が主体性を持ってみずから決定できる真の意味での地方分権システムを大胆に進めることが必要だと考えています。
 また、低迷する我が国経済を再生するために、なお一層の規制緩和とセーフティーネットを組み合わせながら、民主導で市場経済を再生させなければなりません。さらに、経済以外の分野も重視し、環境保全、社会保障制度、教育再生、人の心、雇用などの分野でセーフティーネットの構築を優先させることが必要であると考えます。
 私たち民主党は、二十一世紀を担う未来の世代のために、現状を正しく認識し、変革を決してあきらめず、自民党の前世紀的古い政治が五十年余りかけて培ってきた中央集権的政治、利権最優先の政治が生み出した弊害を解消して、透明、公正、公平なルールに基づいて、市民、市場、地方の三つの視点をしっかりと踏まえた市場経済とセーフティーネット、自由主義と社会民主主義の融合である新しい理想主義、新しい政策路線を確立して、我が国の国のかたちをよりよいものに変革してまいる決意であります。
   〔議長退席、副議長着席〕
 さて、これから質問に入ります。
 総理は、みずからの内閣を日本新生内閣と銘打っていますが、過去に政治判断を誤って失われた十年を演出し、我が国を袋小路に迷い込ませた張本人の方たちを配した内閣に、本当に我が国を新生することができるとお思いでしょうか。お考えをお聞かせください。
 次に、総理は、新たな国づくり、日本新生、第三の改革を唱え、既存の施策の発想を超え、過去との決別による改革を避けて通ることはできないとおっしゃっておられましたが、その大きな柱となる地方分権については、さきの施政方針演説の中でほんのわずかに触れただけではありませんか。
 私たち民主党は、大胆な地方分権を進め、住民に身近なサービスは基本的にすべて市町村が担い、対応できない大きな課題については広域行政主体が担い、中央政府は外交、防衛、通貨制度、教育や福祉の基本水準など、国家としての共通性が求められる役割のみを担うこととして、地域のニーズと時代の変化に即応できる効率的でスリムな政府を目指すべきだと考えています。
 そこで私たちは、初めに現在の補助金の大部分を使途の限定されない一括交付金に改革し、さらには現行の地方交付税を改め、所得税の一定割合を自治体の自主財源として移譲して、自治体のやる気と自助努力を反映できるシステムに改め、そこに暮らす住民が自治体から受けるサービスと税負担の関係を明確にしたいと考えています。その上で、役割の重要になった基礎自治体である市町村が必要な規模や体制を確保するために、市町村合併を適切な情報公開のもと、住民参加で進めていく考えであります。
 一方、政府が現在進めている市町村合併の仕方は、権限や財源については相変わらずの中央集権的システムのままであり、真の地方分権とは言えません。
 私たちは、真の地方分権が進み、それぞれの地方がそれぞれの個性を発揮し活性化していく中で、新しい仕事と労働環境が創出され、さらに豊かな住環境も整備されて、みんなが生きがいの持てる地域となればきっと子育てのしやすいところへ若者が戻ってくるはずだと考えております。
 子供を産むというとうとい役割を果たす女性が仕事をやめずに生き生きと働き続け、能力を発揮し、社会で活躍できる可能性を広げ、しかも男性も女性とともに仕事と家庭を両立し、安心して子育てのできる環境を社会全体で整えることが未来のために重要です。
 私は、これには職住接近、すなわち働く場所と住まいが近いという生活環境をつくることが、仕事をしながら子育てを実践してきた自分の体験上からも非常に重要な課題であると考えております。だからこそ、そのためにも地域の主体性の生きる大胆な地方分権が必要だと考えています。働きながら子供を産み育てやすい雇用環境の整備として、働く親の要望の強い子供看護休暇制度や短時間勤務制度の充実、ベビールーム、保育所、学童保育を含めた総合的な保育事業制度などの個別の施策を整備することも重要だと考えます。
 以上、地方分権に対しての考え方を少子化対策、仕事と家庭の両立支援、男女共同参画社会の実現という観点も含めて、森総理にお尋ねいたします。
 次に、分権社会の実現に向けて新たな役割を担う市民セクター、NPOへの育成支援策について伺います。
 価値観が多様化し複雑化した現代社会では、政府や企業とは別の、市民ニーズに合致した多様できめ細かな社会的サービスや雇用を生み出し、市民による自由な社会活動を拡大する民間非営利セクターの役割が増大してきます。
 NPO法人、特定非営利活動法人に対しては、世界各国が法人格の付与と積極的な税制支援策でその活動を育成支援しています。しかし、我が国では、一昨年施行されたNPO法でようやく法人格付与が認められ、この二月現在で三千三百五十二団体が認証を受けるにとどまっています。
 民主党は、非営利の市民セクターを育成するために、寄附税制を初め積極的なNPO支援税制が必要不可欠と考えていますが、今回政府が出される税制案は、圧倒的多数のNPOがその制度を利用することができないものになっています。今回提出された政府のNPO税制案の目的、そして、その効果としてどれくらいのNPOがこの制度を利用できると考えておられるのか、森総理の御認識をお聞かせください。
 続いて、KSD疑惑の究明について、政府の姿勢をお尋ねいたします。
 KSD元理事長の横領事件に端を発した一連の疑惑は、残念なことに本院元自民党の小山孝雄前議員の逮捕にまで発展し、さらに拡大する可能性があります。
 次々に明らかにされる事実の中で、参議院比例代表選挙において名簿順位を上げるために自民党党費の立てかえが明らかにされました。名簿順位にかかわる党費立てかえ問題は、自民党の久世議員に続いて二人目、三人目であり、自民党が一部特定団体と癒着している体質を示しているものであり、自民党の比例順位は金次第ということを如実にあらわしています。そして、巨額の党費立てかえ自体、わいろと同じではありませんか。
 また、昨年、久世議員の党費立てかえ問題が発覚してから、自民党は参議院比例代表選挙の方法を余りにも性急に、そして余りにも強引に法改正した背景には、今回の疑惑を糊塗するため、さらには自民党の一部特定団体との癒着構造を国民の目からそらすためだったんだとの疑惑を持たざるを得ません。
 さらに、ものつくり大学の設立に関する疑惑では旧労働省と旧文部省、外国人研修生の滞在期間延長に関する疑惑では旧労働省、そしてKSD会員の募集に関して一部の金融機関が組織的に関与していた疑いでは旧大蔵省の関与もうわさされるに至っております。
 まさにKSD疑惑は政治と行政の広範囲に及ぶ構造的な疑惑に発展しつつあり、中でも小山孝雄前議員と村上議員の疑惑については、その舞台に本院本会議と委員会の場が使われ、参議院全体の責任も厳しく問われる事態となっております。
 参議院としても、証人喚問はもちろんのこと、疑惑の追及を徹底的に行い、その真実を国民に明らかにしなければならない責任があると考えます。
 今回の疑惑について、内閣として、また自民党総裁としてどのような態度で臨む方針か、森総理に聞かせていただきたい。
 あわせて、政治腐敗に対して常に断固とした姿勢を示されてきた公明党から入閣されている坂口大臣、そして参議院から入閣されている扇大臣に、特にお考えがあればお聞かせいただきたいと思います。
 続いて、国会議員として一貫して教育改革に取り組んできた者として、森総理の教育改革に取り組む姿勢についてお尋ねしたいと思います。
 教育は国家百年の計、国づくりは人づくりと言います。今まさに二十一世紀の我が国に求められていることであります。森総理も今国会を教育改革国会と位置づけておられますが、総理御自身の教育観を、そして、それによってどのような国にしていきたいと考えておられるのか、総理の国家観をお聞きいたします。
 次に、最近の教育改革に関して、文部科学省、中央教育審議会、そして教育改革国民会議の発表や提言、担当者の発言などに混乱や矛盾が多々見られますが、総理は、総理の諮問機関である教育改革国民会議の報告をどのように評価し、どう扱われるおつもりでしょうか。また、中央教育審議会との関係では、その間の総理の決断、リーダーシップをどう働かせるのか、お聞かせいただきたい。
 続いて、私たち民主党は、中高一貫教育推進法を提出して、公立の中高一貫学校の設置を促してまいりました。私も、橋本総理当時に、予算委員会において中高一貫教育の是非について議論させていただきました。その後、学校教育法が改正されて、高校入試のない中高一貫公立学校の設置が可能になりました。また、去年の通常国会の施政方針演説で小渕前総理は、五年間で全国に五百校、すべての子供が通える範囲に少なくとも一校設置するとおっしゃっておりました。その実態は、平成十三年度設置予定を含めても、公立でわずかに二十九校だけであります。
 森総理もさきの所信表明で中高一貫教育の推進を主張しておられますが、今後この政府公約をどう実現していくおつもりなのでしょうか。あるいはまた、言いっ放しにしておくつもりなのでしょうか。お尋ねいたします。
 次に、私たち民主党は、いわゆる三十人以下学級推進法案、すなわち小学校、中学校、高等学校の一学級当たりの児童生徒数を三十人以下を標準にして、地域の事情や学校の事情に応じた独自の判断によって、弾力的に学級編制の運用ができるようにするための法案を繰り返し提案してまいりました。
 アメリカでは、クリントン前大統領が年度教書において、富の配分のために全米の小学校での十八人学級の実現を公約して、実行に移していったことはまだ耳に新しいことと思います。
 学校は本来学ぶところであって、一人一人の子供たちがそれぞれに授業がわかって、学ぶことが楽しい場でなければなりません。そのためのあらゆる手だてを尽くす責任が国の未来のためにあると考えますが、いかがでしょうか。
 少人数学級の必要性は政府も認めていて、次々と小出しのこそくな提案を出してきているようであります。例えば、これまでは全国一律に四十人を標準に学級編制が行われてきたのを、一部で国の標準より小さな学級編制をすることを特例的に認めるが、ふえる教員の人件費は都道府県の負担とする。こんな小手先の法改正をやってみても、今の財政状況の悪い地方自治体が、みずからの負担で少人数学級を実現すると本当にお考えですか。国は逃げているだけではありませんか。
 また、少子化による児童生徒数減で浮く人件費で、非常勤講師の雇用や教師を定年退職後再雇用することによって二十人の授業を実現すると打ち上げていますが、私はこんなごまかしがあっていいんだろうかと思います。
 細かいことですが、五年間で小中学校の教員を二万六千九百人ふやすことにして、来年度については四千五百人分の二百二十億円の予算が組まれております。
 このことは、私の地元、岡山に当てはめてみると、県全体の小学校、中学校で来年度四十五人の先生がふえるという計算になります。県全体で四十五人の先生がふえるだけです。一体どのようにして二十人授業が実現するというのですか。恐らく一カ月に一度だけ、ある教科で二十人による授業ができた、そんな程度であるのではありませんか。
 こんなことで、総理がおっしゃっている、学校がよくなる、教育が変わるという実感を持てるような本格的な教育改革、具体的には基礎学力の向上ときめ細かな指導のための少人数指導を実現するための教育改革国会とは、お笑い事じゃありませんか。(発言する者あり)
#30
○副議長(菅野久光君) 石田君、時間が超過しております。まとめてください。
#31
○石田美栄君(続) 総理と文部科学大臣の御答弁をお願いいたします。
 質問の最後に、二十一世紀の日本の行方に責任を持たなければならない立場にある者の一人として、本院において活発で真摯な本音の議論が行われることを期待して、質問を終わりたいと思います。(拍手)
   〔内閣総理大臣森喜朗君登壇、拍手〕
#32
○内閣総理大臣(森喜朗君) 内閣支持率に対する認識についてお尋ねがありました。
 最近の厳しい調査結果につきましては、世論の動きを示す一つの指標として謙虚に受けとめております。
 先ほども申し上げましたとおり、私としては、厳しい状況にあるときこそ基本に立ち返って、国家国民のために何が必要かを常に第一に考えることが大切であると考えております。国民の政治に対する信頼回復に全力を尽くすとともに、景気の本格的な回復を図り、IT革命の推進、行政改革や教育改革を初めとする諸改革への取り組みなど、今まさに国民が求めている政策を一つ一つ着実に実行に移していくことによって、内閣を預かる私の職責を全うしてまいる所存であります。
 今の内閣で日本新生が可能であるかとのお尋ねがございました。
 二十世紀の最後の十年は我が国の経済運営が非常に難しい時期でもありました。グローバル化、情報技術革命、少子化、高齢化、環境問題の高まりなどの変化の中で、これまでの物の考え方やシステムには時代に適合しなくなっているものが多く見られるようになりました。
 こうした中、自民党は、一時期を除き責任ある政権政党として常に構造改革に取り組み、大胆な政策をとってまいりました。そして、こうした過程を経てようやく日本新生に向けての道筋が明確となり、現在、経済社会全体の構造改革に全力で取り組んでいるところであります。
 また、現内閣の閣僚は、いずれも景気の本格的回復、IT革命の推進、行政改革、教育改革といった内閣が直面する重要課題に取り組み、日本新生を担うにふさわしい経験と実行力を備えた人材であり、御指摘のような批判は当たらないものと考えます。
 少子化対策、家庭と仕事の両立支援、男女共同参画社会の観点も含めた地方分権についてのお尋ねがありました。
 地方分権は、国、地方を通ずる行政の組織、制度のあり方を見直し、行政改革を進める上からも極めて重要な課題であり、明治以来形成されてきた中央集権型行政システムを変革し、二十一世紀の我が国にふさわしい行政を構築するものであります。
 この地方分権の推進により、議員御指摘のような効果が生ずることは否定いたしませんが、御指摘の少子化対策などの課題は、我が国の社会経済情勢に広く影響を与え、そのあり方を決定する極めて重要な課題であり、政府においても一体となって総合的な対策を講ずる必要があると考えております。
 具体的には、御指摘の少子化対策につきましては、政府としては、少子化対策推進基本方針や新エンゼルプラン等を踏まえ、保育サービスの整備を進めるとともに、育児・介護休業法の改正法案を今国会に提出するなど、働きながら子供を産み育てやすい環境づくりを総合的に推進してまいります。
 さらに、家庭と仕事の両立支援につきましては、私は、少子高齢化の進展等、我が国の社会経済情勢が急速に進展していく状況にかんがみ、女性も男性も家庭生活における活動とその他の活動を両立させ、安心して子育てができる社会を築くことが二十一世紀の日本の新生を可能ならしめる緊急の課題であると考えております。
 このため、私は男女共同参画会議において、この問題について早急に検討するよう指示をいたしました。同会議では、これを受けて、この問題に関する処方せんを作成すべく、仕事と子育ての両立支援策に関する専門調査会を設置し、鋭意検討を行っているところであります。
 いずれにいたしましても、こうした分野の取り組みも踏まえつつ、国と地方の関係を見直し、地方公共団体の自主性、自立性を高める観点から、住民に身近な行政は住民に身近な地方公共団体が担っていくことを基本として、さらなる権限移譲や、国と地方の役割分担に応じた地方税財源の充実確保など、政府を挙げて地方分権の一層の推進に強い決意で取り組んでまいります。
 NPO税制についてのお尋ねがありました。
 NPO法人は、二十一世紀における活力ある経済社会を構築していく上で今後その役割を果たしていくことが期待されております。
 NPO法人については、公の関与からなるべく自由を確保するという制度になっており、さまざまなNPOが法人としての認証を受けておりますが、寄附金の優遇措置は公的サービスの財源となる租税を減免するものであり、優遇措置の対象となる法人はそれにふさわしい公益性を有するものである必要があります。
 こうした点を踏まえ、NPO法人が事業活動について一定の情報公開を行っていること、資金につき広く一般からの支援を受けていること等の認定要件を満たすときは寄附金控除等の税制上の特別措置の対象とすることといたしており、できるだけ多くのNPO法人に積極的に活用していただくことを期待いたしております。
 このように、今回の税制上の措置は、認定NPO法人について、活動に必要な資金を外部から受け入れやすくするものでありまして、NPO法人の活動の支援に資するものであると考えております。
 KSD疑惑の解明に臨む姿勢などについてお尋ねがありましたが、国民の政治への信頼を一刻も早く取り戻すには、本件について徹底的な真相究明が行われるべきであると考えます。
 現在、司法当局による捜査が進められておりますが、私としても、一日も早く国民の前に真相が明らかにされることを期待いたしておりまして、自民党としても、真相究明のため捜査に全面的に協力してまいる所存であります。
 他方、国会での証人喚問につきましては、議院の運営に関することであり、今まさに与野党間で協議が行われていると承知をいたしております。私としても、速やかに適切な結論が出されることを期待いたしております。
 教育観と国家観についてのお尋ねがございました。
 私は、人は、教育によって人になって、それぞれの役割を果たしていくものだと考えております。すなわち、自分で判断をして、善悪をわきまえて、お父さんやお母さんを大事にしたり、兄弟仲よくしたり、地域社会と連携をしたりするなど、人として極めて当たり前のことができるようにして社会に送り出すことが教育の原点であると考えております。
 二十一世紀の日本の活力を創出していく原動力は、そうした教育によってはぐくまれた人であります。私は、我が国が物質的豊かさを達成する過程で、心の豊かさを見失いがちであったのではないかと思っております。二十一世紀には、物質一辺倒ではなく、他人を思いやる心、家族愛、文化や歴史、伝統を大切にする心などを持った創造性と人間性にあふれた人を育てていくことが重要であり、こうした人々が互いに尊重し合い、協力し合えるような社会や国家を目指すべきであると考えております。
 それと同時に、人々が自由濶達に活動でき、また、安心して暮らせるような経済社会システムを持った国づくりを目指していく必要があると考えております。
 教育改革国民会議報告についてのお尋ねがありました。
 教育改革国民会議の最終報告では、人間性豊かな日本人の育成、一人一人の才能を伸ばし、創造性に富む人間の育成、新しい学校づくり、教育施策の総合的な推進のための教育振興基本計画の策定、新しい時代にふさわしい教育基本法の見直しなど、教育各般にわたり、具体的で思い切った御提言をいただきました。
 これらは、制約なしに自由濶達に行われた議論のたまものであり、今後の教育改革の指針となる貴重な提言と受けとめております。これまでの教育改革の方向性に照らして、特段の混乱や矛盾があるとは考えておりません。
 提言のうち、特に、直ちに取り組むべき課題については、この国会に、学校教育法や公立学校の学級編制、教職員定数の標準などに関する法律の改正など、一連の教育改革関連法案を提出し、子供一人一人、国民一人一人が、学校がよくなる、教育が変わるという実感が持てるような本格的な教育改革に取り組んでまいりたいと考えております。
 中央教育審議会との関係についてのお尋ねもございました。
 教育改革国民会議の最終報告を踏まえ、教育基本法の見直しなど、さらなる検討が必要な事項については、中央教育審議会等で幅広く国民的な議論を深め、私自身も内閣総理大臣としてのリーダーシップを発揮しつつ、しっかりと取り組んで成果を上げてまいります。
 中高一貫教育の推進についてのお尋ねがありました。
 中高一貫教育は、ゆとりある安定的な学校生活の中で個性や創造性を伸ばすため、特色ある教育を行うことを趣旨として、平成十一年度より制度化を図ったものであります。
 政府としては、希望する生徒が中高一貫教育を実質的に選択できるようにするため、当面、高等学校の通学区域に一校程度、全国で五百校整備されることを目標といたしており、その設置が促進されるよう、新たに公立高等学校定数改善計画の中で中高一貫校についての教職員定数がより充実するように措置するなど、一層積極的に支援をいたしてまいりたいと考えております。
 これからの教育改革の重要な課題の一つは、学校においてわかる授業で基礎学力の向上を図ることであると考えております。
 こうした観点に立って、今後の教職員定数の改善については、学級編制の標準を一律に引き下げるのではなく、子供たちの基礎学力の向上ときめ細かな指導のため教科等に応じて少人数指導を行うなど、学校の主体的な取り組みを支援する観点に立って進めてまいりたいと考えております。このため、来年度から五年間で義務教育について二万六千九百人の定数改善を行い、結果として五年後には教員一人当たり児童生徒数が欧米並みの水準となるように最大限の努力をしてまいりたいと考えております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣坂口力君登壇、拍手〕
#33
○国務大臣(坂口力君) 石田先生の御質問にお答えをさせていただきたいと存じます。
 KSD疑惑に関しましてどう思うかという御質問でございますが、担当大臣として責任の重大さを痛感しているところでございます。政治腐敗に対しましては断固とした姿勢を示す決意でございます。
 先ほども申しましたとおり、労働行政にかかわりますところにつきましては省内でも独自調査を進めているところでございますし、また、何よりも二度とこのようなことが起こらないようにするためにはどうしたらいいかという観点からも、今いろいろの対策を考えているところでございます。
 証人喚問につきましては、もちろん議院運営で決定されるべき問題でございますし、私は党を代表して語る立場にもありません。しかし、あえて申し上げれば、証人喚問は疑惑解明のための選択肢の一つではあるというふうに思いますが、証人喚問だけしかないというのは議会制民主主義が閉塞してしまうと考える一人でございます。そこに至る努力こそが重要であると考えている次第でございます。
 平たい言葉で言わせていただいてまことに恐縮でございますが、伝家の宝刀は最初から抜くのではなくて、最後の段階まで抜かないところに意味がある、価値があるというのが私の考え方でございます。(拍手)
   〔国務大臣扇千景君登壇、拍手〕
#34
○国務大臣(扇千景君) 石田議員からお考えがあればということでございましたので、考えがございますので少しそれを申し上げさせていただきたいと思います。
 議員が御指摘のように、本院を舞台としたKSD疑惑が発生したということは、良識の府として、その参議院に対する国民の信頼を失うものであるということに対しては本当に残念なことだと思いますし、私は、疑惑の対象議員であるという皆さん方は、参議院議員としての誇りと尊厳を持って国民の前に明快な自分の説明をなさるべきであるというふうに信じていますし、またそうあるべきだと思っております。
 また、御存じのとおり個人だけではなくて、私は民主党の菅幹事長がパーティー券を買ってもらったということをみずから発表されたということも、私は大変勇気のあることだと、またそれを高く評価するものであります。けれども、それも、いつ、だれに、幾らお返しになったかということも、やはり国民の前にはっきりさせるべきであろうと思います。
 それから、お考えがあればということでございましたので、皆さん、参議院のそこの席を見ていただきたいと思います。友部達夫の札があります。けれども、このKSDとオレンジ共済とは似て非なるものではありません。根幹は同じものであります。
 そして、これは参議院の権威にかけて申し上げることですけれども、御存じのとおり、平成九年一月の二十九日に逮捕され、そして平成九年四月の四日、辞職勧告決議を本会議場でしました。にもかかわらず、彼は、辞職するだけではなくて、本会議で決議したにもかかわらず、今日まで少なくとも友部さんの歳費というものは一億四千六百二十四万八千八百十四円、そして秘書の経費は十二年まで六千二百五十万円、これだけ公費のむだが行われているわけでございます。
 けれども、私どもが申し上げたいのは、一審でも二審でも有罪を言われた人にもかかわらず、参議院全部で決議したものが今日の公金のむだ遣いになっているということも、参議院の権威に関しても、私どもはその対処方がどうあるべきかという根本に対して、我々は参議院の権威を持続するためにも、全員が襟を正していきたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣町村信孝君登壇、拍手〕
#35
○国務大臣(町村信孝君) 石田議員から中高一貫教育の推進の具体策についてお尋ねでございました。
 文部科学省といたしましては、中高一貫教育導入のための実践研究の推進でありますとか、施設整備のための補助などの事業をこれまでも始めてきたところでありますけれども、さらに、平成十三年度から新たに第六次公立高等学校教職員定数改善計画の中で中高一貫教育校の教職員定数を措置することとしておりまして、こうした取り組みを通じまして各都道府県における取り組みを支援して中高一貫教育の積極的な推進を図り、五百校という目標に一日も早く到達するように努力をしていきたいと考えております。
 それから、少人数学級のことについていろいろお尋ねがございました。
 まず、地方自治体がみずからの負担で少人数学級を実施しようとするのかというお尋ねでございましたけれども、学級編制の基準につきましては、今回、地方分権の趣旨にのっとりまして、都道府県が児童生徒の実態に応じて、特に必要があると判断する学年や学校などについて、義務標準法で定める学級編制の標準を下回る学級編制基準を定めることができるように、その弾力化を図ることといたしております。これは、この点について地方自治体からの強い御要望にこたえる形で行う措置であります。
 なお、既に県がチームティーチングの導入などの指導の充実のために単独で予算措置をしている例も見られるところでありますし、またさらに、この制度改正がなされた場合には、地域のさまざまな教育課題に対応するため、こうした独自の特例措置を実施するべく検討している県もあると承知をいたしております。
 それから、どのようにして二十人授業が実現できるのか、絵にかいたもちではないかというお話もございましたが、先ほど総理がお答えをいたしましたように、平成十三年度から十七年度までの五カ年計画の中で改善総数二万六千九百人の第七次の定数改善計画をスタートさせることにしておりまして、十三年度はその初年度分として、少人数指導分四千五百人を含む五千三百八十人の教職員を増員するということにしております。これは初年度でございますから、今後、五年掛ける五という数が出てくるわけでございます。
 そして、お尋ねの少人数指導につきましては、これまで推進してまいりました第六次の改善計画による分もあるわけでございまして、この改善分を含めて現行の教職員定数に今回の改善を加えた定数を活用することによりまして、都道府県の判断で、例えば習熟度に差がつきやすいような教科について二十人程度の少人数による指導が可能になると私どもは考えております。
 以上であります。(拍手)
    ─────────────
#36
○副議長(菅野久光君) 星野朋市君。
   〔星野朋市君登壇、拍手〕
#37
○星野朋市君 私は、自由民主党・保守党を代表して、森内閣総理大臣の施政方針演説に対し、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 質問に先立ち、この一月にエルサルバドルとインド西部に大地震が発生し、多数の犠牲者と甚大な被害が出ましたことに対し、心よりお見舞い申し上げ、速やかな復興をお祈りする次第であります。政府におかれても、可能な限りの支援措置を講じていただきたいと思います。
 さて、二十一世紀を迎えましたが、我が国を取り巻く状況は依然として厳しいものがあります。いまだ自律回復の軌道に乗るに至らず一進一退を繰り返す経済、社会保障制度の将来に対する不安、一連の不祥事の続発に見られる社会のモラルの低下、青少年の心の荒廃などに加え、グローバル化、IT革命といった社会の急激な変化の流れへの対応なども急務となっております。政治には、これらの課題の迅速かつ着実な処理が求められています。政局の安定と政治の信頼回復が今日ほど必要なときはありません。
 その意味において、今回のKSDをめぐる問題、外交機密費流用疑惑など、数々の不祥事の発生は政治への信頼を失わせるものであり、まことに遺憾であり残念であります。第百四十九回国会の代表質問で中尾元建設大臣の受託収賄事件を指摘したばかりなのに、今国会の冒頭で再び同種の問題を取り上げざるを得ないのは、実に悲しいことであります。
 これに関連して、一部に外交機密費の減額調整をするという報道がなされておりますが、これは事実でございましょうか。外務大臣にお尋ねをいたします。
 我々は、国会の責任において事件の真相を解明し、国民への責任を果たすとともに、事件の再発防止に全力を尽くし、政治への信頼を一日も早く取り戻さなければなりません。
 しかし、政治への信頼を取り戻す上でより大事なことは、お互いが国家国民の立場に立って、山積する諸課題を解決していくという政治本来の役割を着実に果たしていくことであります。必要なのは真剣な政策論議であります。大切なことは、国や国民を思う心であり、国の将来を見据え解決策を真剣に模索するその姿勢であります。
 政治本来の役割と責任を果たすためには政局の安定が不可欠であるという考えに立てば、当然、政治理念や政策が近い政党同士が互いに協力し合うことが必要となり、自民・公明・保守与党三党は、一層協力してこれまで以上の成果を上げ、国民の負託にこたえていくつもりであります。
 さきの施政方針演説において総理は、最初の十年は今後の百年の大計を律する十年と指摘されましたが、この十年の間に前世紀から積み残した課題を集中的に処理すると同時に、二十一世紀の新しい時代に対応した改革を徹底的に進めなければならないと思います。
 我々は、二十一世紀の日本を、家族のきずなを大切にし、心の通い合う社会、文化と歴史を重んずる国づくり、危機管理に強い政府をつくることを目指しております。これを三党連立政権の中で各党間の信頼と結束のもとに着実に実現し、政党としての責任を果たしていく決意であります。我々のこの考えについて、総理の御所見を伺います。
 次に、経済と財政の問題であります。
 前小渕内閣以来、我々は、経済再建なくして財政再建なしの方針のもと、積極的財政政策を推進してまいりました。その結果、我が国経済は、ようやく危機を脱し、自律回復まであと一歩という状態にまで改善するに至りました。しかし、ここに至って再び財政再建路線への急激な転換を求める声が台頭しております。私はこのことを深く危惧いたします。
 我々は、今日の長期不況がバブルの崩壊により、土地など約千三百兆円もの資産が一瞬にして露と消えたことに伴う資産デフレであるということを改めて認識する必要があります。資産が減少する中でバブル時代の負債が重くのしかかり、企業も個人も過重な借金の返済に追われ、それが需要の不足とさらなる資産の低下を招くという悪循環に陥ったのであります。そのため、財政の投入でやっと崩壊を食いとどめてきたのであります。この十年で官民とも体力を消耗しており、ここで財政再建にかじを切れば、我が国経済に九七、九八年を上回る打撃を与えることは確実であり、我々のこれまでの努力は水泡に帰します。
 総理はこの路線を堅持し、我が国経済を自律回復の軌道に一日も早く乗せるべきであると思いますが、総理の御見解をお聞かせください。
 これに関連し、政府は財政支出だけで構造改革を怠っているとの批判がございます。しかしながら、企業は、この厳しい状況の中で生き残りをかけたリストラ努力を行う一方、日本型から欧米型へのコーポレートガバナンスの転換、時価会計の導入、金融機関における自己資本比率の導入など、国際化に対応して構造改革を進め、みずからの体力強化を必死に努めてきているのであります。また、政府としても、公共事業の見直し、将来の産業の発展の土台を築く研究開発投資の飛躍的拡大、IT革命の推進などの構造改革を着実に進めております。構造改革を進めながら景気が改善しつつあるというのが真実であります。政府はこのことを国民にわかりやすく説明すべきであります。
 財政再建論者の中には、公共事業さえ削減すれば再建ができるという幻想があります。もちろん、公共事業のむだを省き、効率を高めることは必要であります。しかし、財政赤字の本当の原因は、膨大な国庫負担の投入を招いている社会保障制度や地方交付税などの地方税財政制度にあります。したがって、財政再建のためには、消費税の使途を基礎年金、高齢者医療、介護に限定し、地方への税財源の移譲、市町村の合併などの構造改革が不可欠であり、経済再建を果たした後に速やかにこれらの諸問題に本格的に取り組まなければなりません。
 また、昨今の株価の問題に関して一言申し上げます。
 株価が低落傾向を続ける基本的原因は、八〇年代後半の過剰な公募増資で発行済み株式数が過剰であり、企業の資本効率が低いこと、時価会計の導入により企業の株式持ち合いが難しくなっていることなど、構造上の問題にあります。したがって、市場のことは市場に聞けというような傍観者的態度で済む問題ではございません。PKOなど、市場に直接介入して株価操作を行うやり方は適切ではありません。持ち合い株の解消や自社株の買い入れ消却などを促進するなど、構造上の問題にメスを入れた対策を考えるべきであり、さらに、証券市場も深い反省のもとに投資家の市場参加を促進することが大切であります。
 これらの諸点について総理の御見解を伺います。
 次に、危機管理の視点から質問をいたします。
 言うまでもなく、国民の生命と財産を守ることは国家の基本的責任であり、我々はこのため危機管理に強い政府を目指しております。阪神・淡路大震災の教訓もあり、震災など大規模な自然災害や原子力施設事故等の一定の分野においては危機管理体制の整備が進みつつあります。しかし、有事法制はいまだ整備されていないなど、国防と治安の分野における整備がおくれております。また、サイバーテロやバイオ、化学物質によるテロなど、高度に発達した社会において当然発生が予想される危機に対する本格的な検討もこれからの課題であります。
 昨年、与党三党の政策責任者が森総理に対し、有事法制について政府として検討に着手するよう求めましたが、検討は進んでおりますか。御見解を伺います。
 また、危機に際し適切に行動するためには、日ごろからの訓練の積み重ねが極めて重要であります。人間は、災害などの危機に際し、とっさに物事を正確に判断することは不可能であり、危機に対応した行動をマニュアル化し、定期的な訓練を積み重ね、いざというとき的確に行動できるようにしておく必要があります。法整備とあわせ、国、地方自治体、自衛隊及び地域住民の大規模災害に備えた定期的な訓練を行う体制を構築すべきであります。総理の御見解を伺います。
 国民の日常生活における危機管理の問題も重要な課題であります。このことにつき、三点指摘したいと思います。
 第一は、警察は国民の安全を守る責任者として、民事不介入の原則にとらわれることなく、どんな小さな事件でも見逃さずに対応し、保護などの必要な措置をとることであります。これが大事件発生の未然防止につながります。
 第二は、精神障害者から国民の生命を守る体制を整えることであります。
 凶悪犯罪を起こした者は精神鑑定が行われ、精神に異常があったとして罪一等が減じられるのが通例であります。しかし、これらの者が釈放後再び犯罪を犯す例が多々見られます。責任能力なしと判断され、犯罪を起こすおそれのある者を再び社会にそのまま放置することはまことに危険であり、国民は安心して生活できません。これらの者を野放しすることなく、社会的な保護、監督のもとに置く体制を整えるべきであります。
 第三は、交通事故から国民の生命と生活を守る体制を強化することであります。特に飲酒運転は厳しく規制する必要があります。
 次は、教育基本法の問題であります。
 社会を動かすのは結局人類であり、国づくりの基本は教育にあります。教育基本法には欧米流の自由、人権、平等、民主主義などの原則が導入されたものの、日本の歴史、文化、伝統は無視され、家族、社会、国といった人間が生きていく上で不可欠な共同体への帰属という要素が軽視されてまいりました。その結果、国民の権利や自由などが飛躍的に拡大する反面、家族、地域、国といった共同体への帰属観念や仁義礼智信といったかつての日本の社会、文化を支えた日本固有のものが軽視ないし抑えられたため、利己主義、個人主義の風潮を助長し、日本人としてのアイデンティティーを失うという結果を招いております。社会のモラルの低下、青少年の心の荒廃、犯罪の激増、汚職の蔓延などはその結果と考えます。
 教育は国家百年の大計であり、二十一世紀の日本を物心ともに豊かな国とするためにも、教育基本法の改正に取り組まなければなりません。国の将来を見据えて、国民的な論議を通じ、教育基本法を根本的に見直す作業に直ちに着手すべきであります。総理の御見解を伺います。
 最後に、国歌・国旗についてお尋ねをいたします。
 さきの百四十五国会において国旗・国歌法案が成立し、学校では直ちにその適用が進められておるのでありますが、国民の代表が集う国会の開会式においては、その動きが全くないのはどう考えたらよいのでしょうか。この乖離は不思議としか言いようがありません。文部科学大臣の見解を伺います。
 我々は、さきの施政方針演説に示された森総理の熱い情熱と力強い決意を期待し、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣森喜朗君登壇、拍手〕
#38
○内閣総理大臣(森喜朗君) 二十一世紀の日本の国づくりの方向などについてのお尋ねがございました。
 私は、我が国が物質的豊かさを達成する過程で、心の豊かさを見失いがちであったのではないかと考えます。
 二十一世紀には、物質一辺倒ではなく、他人を思いやる心、家族愛、文化や歴史、伝統を大切にする心などを持った創造性と人間性あふれた人を育てていくことが重要であり、こうした人々が互いに尊重し合い、協力し合えるような社会や国家を目指すべきであると考えます。それと同時に、今申し上げたような人々が自由濶達に活動でき、また安心して暮らせるような経済社会のシステムを持った国づくりを目指していく必要があると考えます。
 そうした思いから、私はかねてから、安心して夢を持って暮らせる国家、心豊かな美しい国家、世界から信頼される国家という国家像をお示ししてきたところであります。星野議員が御指摘の国づくりの方向もまさにこれと軌を一にするものと考えておりまして、私としては、連立与党結束のもと、一致協力してこうした国家を目指してまいる所存であります。
 今後の経済運営についてお尋ねがありました。
 我が国経済は、現在緩やかな改善を続けておりますが、依然として厳しい状況にあり、また、米国経済の減速など懸念すべき点も見られております。こうした中で、引き続き、景気に軸足を置いて、経済を一日も早く本格的な回復軌道に乗せることが最重要課題と考えております。
 このため、昨年十月に決定いたしました日本新生のための新発展政策を着実に実行に移し、今年度の補正予算の迅速、的確な執行に努めてまいります。
 また、十三年度予算におきましては、公需から民需へのバトンタッチを円滑に行うとの観点から、公共事業等に十分な対応を行うとともに、二十一世紀の新たな発展基盤の構築に必要とされる分野に重点的、効率的に資金を配分しております。景気を自律的回復軌道に確実に乗せ、我が国経済を新たなる発展へと飛躍させるためには、この十三年度予算の早期成立が必要不可欠であります。
 さらに、政府といたしましては、時代を先取りしました経済構造改革を推進し、IT革命の実現等による中長期的な経済成長力の向上を目指すことや、世界経済の持続的発展へ貢献するといった点を重点として、適切かつ機動的な経済運営を行ってまいりたいと考えております。
 他方で、我が国の財政状況は、主要先進国の中でとりわけ厳しい状況にございます。財政構造改革については、我が国経済を自律的回復軌道に乗せつつ、その実現に向けて議論を進めてまいります。
 今般の中央省庁再編において、御承知のように、内閣府に経済財政諮問会議を設置いたしました。景気を着実な自律的回復軌道に乗せるための経済財政運営とともに、財政を含む我が国の経済社会全体の構造改革に向けた諸課題について、具体的な政策を指導するとの決意を持って、実質的かつ包括的な検討を行い、国民の皆さんが安心と希望を持てる処方せんを示していく所存であります。
 証券市場活性化対策についてのお尋ねでありますが、今最も必要なことは、予算の早期成立を図ること等により我が国経済を自律的回復軌道に確実に乗せるとともに、経済社会の構造改革を進めていくことにあります。
 また、証券市場をより一層活性化していくとの観点から、市場インフラ等のあり方を不断に検討することも重要と考えております。政府として、特定の株価を維持するような株価対策をとることは考えておりませんが、与党においても、法制の見直しや投資家の市場参加の促進も含め、証券市場等活性化策についての検討が行われているところであり、これらを踏まえまして、政府としても、市場インフラ整備等について適切に対応してまいりたいと思います。
 有事法制の検討についてお尋ねがありました。
 国民の生命、財産を守ることは政治の崇高な使命であり、政府としては、我が国の危機管理体制を一層強固なものとして、遺漏なきを期すために、これまで種々の対応を行ってまいりました。かかる観点から、有事法制は、自衛隊が文民統制のもとで国家国民の安全を確保するために必要であり、平時においてこそ備えておくべきものであります。
 このため、政府として、昨年の与党の考え方を十分に受けとめ、検討を開始していくことといたしました。今後、国家国民の安全を確保していくためどのような法制が必要か、またどのような枠組みで取り組むべきか等について所要の検討を進めてまいる所存であります。
 関係行政機関と地域住民による定期的な防災訓練の実施についてお尋ねがありました。
 災害発生時には防災基本計画等に基づいて防災関係機関が迅速に対応することとされておりますが、被害を最小にするためには、日ごろから関係行政機関のみならず地域住民も参加する防災訓練を定期的に実施し、個々の災害対応能力の向上を図っていくことが重要であることは議員の御指摘のとおりであります。
 防災訓練につきましては、毎年九月一日の防災の日において、中央防災会議主催により各省庁初め関係地方公共団体や関係公共機関等を含めた総合的な防災訓練を実施しているところであります。また、各地域におきましても、地方公共団体等の主催により、自衛隊を含む防災関係機関、自主防災組織と連携し、企業、住民等の参加を得た訓練を実施しているところであります。
 今後、さらに訓練内容の充実を図るとともに、訓練を積み重ねて国民の防災意識の高揚及び関係機関の災害対応能力の向上を図ってまいる所存であります。
 大事件発生を未然防止するためには、民事不介入といった誤った考え方を払拭して、小さな事件でも捜査を行うべきであるとの御指摘をいただきました。
 国民の生命、身体、財産の保護に任ずる警察としては、御指摘のとおり、民事にかかわるか否か、また事実の大小にかかわらず、国民の身近に発生する事件については的確に対処することが責務と考えます。
 このため、警察においては、事件の解決はもとより、相談受理体制の強化、いわゆる暴対法やストーカー規制法等に基づく行政措置の積極的な運営についても努めているところでありまして、これらのことを積み重ねることによって我が国の治安が維持されていくものと認識をいたしております。
 精神障害等を原因とする犯罪への対策についての御質問をいただきました。
 責任の程度に応じて刑事上の処分が行われるべきであるのは当然なことでありますが、このような犯罪の発生は、その被害者にとっても、また精神障害によって加害者になった者にとっても極めて不幸な事態であります。重大な犯罪を犯した精神障害者の処遇のあり方につきましては、現在、法務省と厚生労働省の合同検討会などにおきまして幅広い観点から今検討を進めているところであります。
 教育基本法についてのお尋ねでありました。
 教育全般についてさまざまな問題が生じている今日、人間としてのルールを身につけた創造性豊かな立派な人間を育てるためには、制定以来半世紀を経た教育基本法の抜本的見直しなど、教育の根本にさかのぼった改革を進めていく必要があると考えております。
 先般の教育改革国民会議の最終報告におきましては、新しい時代の教育基本法を考える際の観点として、新しい時代を生きる日本人の育成、伝統、文化など次代に継承すべきものの尊重、教育振興基本計画の策定等を規定することの三点が示されたところであります。
 私といたしましては、教育基本法の見直しについては、教育改革国民会議の最終報告を踏まえ、中央教育審議会等で幅広く国民的な議論を深め、しっかりと取り組んで成果を得てまいりたいと思います。
 なお、星野議員が声をからしてまで悲痛の思いで述べられたことについて、大変感銘深く私は拝聴いたしました。(拍手)
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣河野洋平君登壇、拍手〕
#39
○国務大臣(河野洋平君) 星野議員から、外務省報償費の予算に関する報道についてのお尋ねがございました。
 日々変化する国際情勢の中で情報収集活動をより一層充実させ、我が国外交をよりきめ細かく展開し、より一層強化していくことは極めて重要なことでございます。外務省報償費は、そうした情報収集及び諸外国との外交交渉ないし外交関係を有利に展開するために使用されており、重要な役割を果たしております。外務省としては、外務省報償費を減額の方向で調整するといった考えはございません。
 他方、今日、報償費の使い方について種々御批判があるのは十分承知をいたしておりまして、今後はより厳正かつ効果的な運用に十分意を用いてまいることを申し添えます。(拍手)
   〔国務大臣町村信孝君登壇、拍手〕
#40
○国務大臣(町村信孝君) 国会の開会式における国旗・国歌の取り扱いについてのお尋ねでございますが、まず、学校における国旗・国歌の指導につきましては、児童生徒に我が国の国旗と国歌の意義を理解させ、これを尊重する態度を育てるとともに、諸外国の国旗と国歌も同様に尊重するという態度を育てるために行っているものでございます。
 国会の開会式におきます国旗・国歌の取り扱いにつきましては、国会でお決めをいただくことでありまして、私としては、平成十一年八月に国旗・国歌法が成立したことを踏まえまして、各党、各会派が引き続き協議されるべきものと考えております。
 なお、国会がお決めになることにつきまして、内閣の一員である私があれこれ言うことは大変僣越であるということはよく承知をしておりますが、その上でなおかつお尋ねでございますから申し上げさせていただきますと、一国会議員といたしましては、ぜひ国旗掲揚、国歌斉唱の実現に向けて御協議を進めていただき、そして各学校の模範になることを国会みずから示していただきたいと心から念願をいたしております。(拍手)
    ─────────────
#41
○副議長(菅野久光君) 堂本暁子君。
   〔堂本暁子君登壇、拍手〕
#42
○堂本暁子君 無所属の会を代表して、森総理大臣の施政方針演説に対して質問いたします。
 総理は、二十世紀は栄光と悔恨の百年であったと述べられました。世紀前半の戦争による被害は悔恨であり、戦後の高度経済成長はまさに栄光でありましょう。しかし、その成長の余りの速さゆえに、自然や文化、生活習慣など有形無形の多くのものを私たちは失いました。今やそれが疎外感、閉塞感となってすべての国民の上に覆いかぶさっています。戦争被害とは違う、もう一つの残念な事実です。
 こうした認識に立って、まず財政問題について伺います。
 一九六〇年以降、四十年の長きにわたって我が国は国債を発行し続け、完全に赤字依存症の国家になってしまいました。これは財政法第四条が健全財政をうたっているにもかかわらず、それを守る遵法精神と財政規律をおろそかにしてきた結果です。森政権は政策規模を大きくして財政を再建するという方針を立てておられますが、成果が上がっているとは言えません。
 私も自社さ連立の一員として参加した九六年からの橋本政権は、時期の是非はとにかくとして、唯一財政再建に取り組んだ政権です。私は、今でもそれが正しかったと思っております。
 今や財政危機は深刻です。総理は財政再建のビジョンを国民に示し、どんなに苦しくても国民が耐える必要のあることをはっきりとおっしゃるべきだと思います。もはや待ったなしの状況です。総理の御見解と財務大臣の御覚悟のほどを伺いたいと存じます。
 次に、年金や介護保険、医療保険制度といった社会保障制度にも同じことが言えると思います。この間、制度が行き詰まるたびに場当たり的な改正を積み重ねてきた結果、複雑怪奇な制度と化してしまい、国民にはわかりにくく、国民は不信や不安を抱いています。負担を後の世に先送りし、給付のみを膨らませてきたことも問題です。
 今こそ四十年、五十年の長期的展望を示し、勇気を持って大なたを振るう決断のときだと思います。総理の強い決意を伺いたい。
 次に経済政策ですが、私は、これからの時代は医療、福祉、環境、教育などの分野、あるいはそれをてこにした地域づくりこそ新しい経済がはぐくまれていく芽があると考えています。今や物はあふれています。人間は物ではなく、時間をいかに豊かに、そして快適に消費するかという生き方を選んでいます。それにこたえていく新しい経済システムの提供や、そうした社会投資に重点配分していくことが経済政策の重要な役割だと考えています。総理の御見解を伺います。
 地球環境の悪化は人類の未来に影を落としています。私は、地球環境議員連盟とIUCN、世界自然保護連合という二つの国際機関に参加する機会に恵まれ、地球規模の視点からこの国の政治のありようを体で感じ、見てくることができました。なぜこの島国の美しい海岸を守り、生物の多様性豊かな湿地を保全し、森林の破壊や化学物質による汚染を防ぐことができないのでしょうか。それは、国として環境の視点からすべての政策とシステムを見直すという強い政治的な決断を行っていないからです。
 例えば、地球温暖化問題に積極的に取り組んでいくためには、より効率のよい生産が行われるために産業界の技術開発を後押しする必要があります。既存の税制をグリーン化していくことも大事です。確固として環境重視の国の意思を示すことによって、大量消費型の生活パターンから省エネ、環境保全型の生活に市民は切りかえていくと考えています。その仕組みをつくるために、総理の強力なリーダーシップが必要です。
 一昨日、私は東京湾に残された自然である三番瀬を見てきました。何十年も前に決められた公共事業の都合ではなく、次の世代にどのようにして海を残すかという観点から、地域住民が参加して二十一世紀の里海を再生すべきだと思いました。
 欧米の先進国では、今や湿地や干潟を開発しないだけではなく、それを復元する方向に進んでおります。諫早湾でも干拓の是非が問われていますが、国家的見地から三番瀬を初めとする湿地や干潟を保全すべきです。総理と環境大臣の見解を求めます。
 最後に、地方分権について伺います。
 二十世紀から二十一世紀へと大きく時代が移り、世界規模で価値の大胆な転換が進む中で、残念なことに日本は立ちおくれていると言わざるを得ません。相変わらず過労死や児童虐待、ドメスティック・バイオレンスなどが大きな問題になっています。女性の基本的な人権である女性の健康と権利、リプロダクティブヘルス・ライツの政策も実現はしていません。これからの公共政策は、個人の尊重、精神的な豊かさ、多様な選択肢の実現を目指すべきです。
 地方自治体が公共サービスの大半を担っているにもかかわらず、十分な分権、住民参加が行われていません。県といわず市町村といわず、地域の住民が主体的に参加し、自治体の子育て、教育、介護、健康づくり、廃棄物処理といった公共サービスや政策の内容を決めていくべきではないでしょうか。
 そのためには、地方自治体において徹底した情報公開と住民参画のシステムをつくるべきです。国においては、国庫補助金の見直し、交付税制の抜本的な改革、税財源の地方への思い切った移譲といった施策が必要です。この点について、総理大臣に伺います。
 総理、グローバライゼーションが進む二十一世紀は、人権、地球環境、そして市民の時代です。国連は、二十一世紀のグローバルガバナンス、新しい世紀の世界の統治と管理は、政府だけではなく、市民を初めとした多くのセクターが参画するシステムをつくるべきだと提言しています。経済だけを優先する時代はもう去ったと思います。国としての個性、そして品格が問われております。市民が主役の時代に市民が主役の政治が実現したとき、日本は国際的に認められる国になるのだと私は確信しております。
 きょう、総理は、大変整理された答弁を朗々とお読みになりました。しかし、それは総理の心と体からほとばしり出るような政治的な信条であったでしょうか。議場にいる私だけではなく、テレビを見ている多くの日本じゅうの国民はもっと総理の政治的信条を知りたいと思っているのだと思います。これでは、国民と国会が乖離し、政治への不信はますます募ると思います。国の重要な決定が秘密裏に決まると受け取られても仕方ありません。
 特に、良識の府である参議院は徒党を組むところではありません。政治家一人一人が自立し、みずからの政治信条と信念を活発に議論する場であるべきです。そこに二院制の意味があると私は思っております。
 そして、総理、この最後の質問と申しますか、今まさに二十一世紀が市民の時代になった、国連もその方向で進んでいるということについては質問の予告をしておりませんので、もし御感想があればお述べいただきたいと思います。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣森喜朗君登壇、拍手〕
#43
○内閣総理大臣(森喜朗君) 財政再建のビジョンを示すべきだというお尋ねがございました。
 財政構造改革につきましては、しばしばこの本会議場でも申し上げておりますように、我が国経済を自律的回復軌道に乗せつつ、その実現に向けて議論を進めてまいります。その際には、新世紀における我が国の経済・社会のあり方を展望して、望ましい税制の構築、さらに社会保障制度の改革、そして中央や地方との関係まで幅広く視野に入れる必要があると、このように考えております。
 今般の中央省庁再編におきまして、内閣府に経済財政諮問会議を設置いたしました。景気を着実な自律的回復軌道に乗せるための経済財政運営とともに、財政を含む我が国の経済社会全体の構造改革に向けた諸課題について、具体的な政策を主導するとの決意を持って、今実質的かつ包括的な検討を行っているところでございまして、国民が安心して希望が持てる処方せんを示していきたいと、このように考えております。
 社会保障制度改革についてのお尋ねでありました。
 社会保障制度は、国民の安心や社会経済の安定に欠かせないものでありまして、急速に少子高齢化が進行する中で、生涯を安心して暮らせる社会を築くため、持続的、安定的で効率的な制度を構築していくことが必要であります。
 このような中で、先般、関連する諸制度の検討を含め、総合的、包括的な社会保障制度改革に取り組むため、政府と与党の間で社会保障改革協議会を発足させたところであります。三月の末をめどに改革の理念や基本的な考え方を明らかにする大綱を取りまとめたいと考えております。これに基づく具体的推進方策を協議して、国民的な議論のもとで着実な改革を進めてまいりたいと、このように考えております。
 経済政策や財政政策の新たなる役割についての御指摘がございました。
 かねてから我が国が物質的豊かさを達成する過程で心の豊かさを見失いがちであったのではないかと申し上げてまいりましたが、心の豊かさを保つということは、議員の言葉で言いかえれば豊かな時間を過ごすということにもなるのではないかと思います。
 私は、二十一世紀には、物質一辺倒ではなく、他人を思いやる心、家族愛、文化や歴史、伝統を大切にする心などを持った創造性と人間性にあふれた心豊かな人を育てていくことが重要であり、こうした人々が互いに尊重し合い、協力し合えるような社会や国家を目指すべきであると考えております。政策運営に当たりましても、そうした基本的な考え方を踏まえ、国民一人一人が夢と希望を持って生きられるような経済社会を実現したいと考えております。
 環境の視点からすべての政策を見直すべきではないかとのお尋ねでありますが、昨年閣議決定をいたしました環境基本計画でも述べているとおり、持続可能な社会を構築していくためには、環境問題の根本にある社会のあり方そのものを転換していくことが不可欠であります。このため、経済的側面、社会的側面、環境の側面という社会経済活動の各側面を統合的にとらえて、環境政策を展開していく所存でございます。
 住民参加や地方税財源についてお尋ねがありました。
 地方公共団体の自主性、自立性を高め、より住民の意向を踏まえた行政を進めることができるよう、さらなる地方分権を推進するとともに、住民の行政への参加機会の拡大や行政運営の透明性の向上等を図るため、住民参加の手法や情報公開について情報提供や助言を行うなど、地方公共団体の取り組みを積極的に支援してまいります。
 また、地方分権の進展に応じ、地方公共団体がより自主的、自立的な行財政運営が行えるようにするためには、地方公共団体の財政基盤を充実強化していくことが極めて重要であると考えております。
 そのため、地方分権一括法や地方分権推進計画に沿って、国と地方の役割分担を踏まえつつ、国庫補助負担金の整理合理化、国と地方の税源配分のあり方、地方交付税のあり方等、地方財政の諸課題について幅広くしっかりとした検討を行ってまいりたいと思います。
 長い御経験と、環境について御見識深い堂本先生でありますので、そのまま御満足のいける答弁をいたすことはできませんが、また改めて機会を得ていろいろと議論をさせていただきたい、このように思う次第であります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#44
○国務大臣(宮澤喜一君) 財政改革が焦眉の急であるということは、ただいま総理大臣がお答えになられましたところでございますが、昨日もこの議場で申し上げましたが、実はごく最近まで政府の年間の税収見積もりが不足になって減額補正をお願いしていたようなことでございました。ようやくここへ来まして幾らかそれ以上の歳入が出るような、多少経済が軌道に乗ってきたかと思っておりますが、他方で、御承知のように、先般、政府に経済財政諮問会議ができまして、この問題は既にその主な課題になりつつございます。
 財政改革と申しましても、ここへ参りますと、それは即税制の問題であり、社会保障の問題であり、中央、地方の行財政の再編成ということになりますので、どうしてもこれらのいろいろ衝突する問題を一義的に、これは二十一世紀最初の十年ぐらいの我が国の経済社会のあり方を決定いたしますから、一義的に答えを出さなければならない。ごろ合わせでは済まない話になりますので、やっぱりシミュレーションが必要になると考えました。したがいまして、経済社会総合研究所にそのためのマクロモデルをつくってもらって、その上でシミュレーションをして一義的に真剣に答えを出そうということを考えておりまして、マクロモデルの作成を既に相談を始めたところでございます。どうぞ御理解をお願いいたします。(拍手)
   〔国務大臣川口順子君登壇、拍手〕
#45
○国務大臣(川口順子君) 環境の視点からすべての政策を見直すべきではないかとのお尋ねでございましたけれども、ただいま総理もおっしゃられましたように、持続可能な社会は良好な環境が基盤にあって初めて可能になるというふうに考えます。その意味で、すべての政策は環境の配慮を一体不可分のものとして持っているべきだと思います。
 二十一世紀の百年を見通しまして、私は、干潟の保全、湿地の保全、あるいは技術開発等の環境の政策を初めといたしまして、全般的に環境政策に取り組んでいきたいと思っております。あわせまして、政府の施策全般につきまして環境の視点が配慮されますように働きかけていきたいと考えております。(拍手)
    ─────────────
#46
○副議長(菅野久光君) 田村秀昭君。
   〔田村秀昭君登壇、拍手〕
#47
○田村秀昭君 自由党の田村秀昭でございます。
 自由党を代表して、我が国が直面する数多くの課題について、森総理及び関係大臣に対して質問いたします。
 先日、森総理は今国会の開会に当たり所信を表明されました。その内容はむなしい響きを与えるのみであって、国民の心を揺さぶるものは何もないというのが私の率直な所見であります。
 総理が言及された会議、審議会は十三にも及び、いわく、会議で貴重な御提言をいただき、これを受けて関連諸制度の検討を行い、具体的推進方策を協議してまいります、これでは政治のリーダーシップ、総理のリーダーシップはどこにあるのでしょうか。
 森総理の言われる改革の断行についても、その中身は各省庁の所管事項の羅列にすぎず、この国のかたちが全く見えてこないのであります。これでは国民の信頼を得ることはできず、改革できるはずがありません。改革改革と言いながら、内容は旧来のシステムに安住して既得権の擁護に奔走する森内閣及び自民党に改革はできないと国民は感じ取っているのであります。
 国民の政治に対する信頼を失ったその元凶は、成立経緯からして不透明な森総理を初めとする既得権の擁護のためのみに野合に走った自民、公明、保守の連立政権にあると言わざるを得ないのであります。総理の御答弁を求めます。
 次に、今回の財団法人KSDによる政界工作事件であります。
 この事件の主な舞台は本参議院であるということに注目する必要があり、良識の府と言われる参議院が国民の政治不信を拡大する政治犯罪の場となったことは極めて遺憾であり、私ども参議院議員は、与党、野党を問わず疑惑解明に全力を尽くす必要があります。
 さらに、この事件の根本的問題は、単なる一議員の受託収賄容疑ということではなくて、不況にあえぎ、日夜まじめに額に汗して働いている中小企業経営者が共済掛金として納め、積み立てたとらの子のお金を勝手に自民党員に仕立て上げるために使われたとする疑いであります。
 さきの久世元金融再生委員長の党費肩がわりの疑惑を初め、今回の村上議員、小山前議員の疑惑は氷山の一角で、自民党の官界、業界との癒着構造そのものを示すものであります。
 額賀元副長官が小渕元総理の国会演説にものつくり大学の必要性を書き込むなど、自民党の旧態依然たる癒着体質そのものが問われている問題でありまして、自民党総裁としての森総理の責任は極めて重大であります。総理の所見を求めます。
 次に、外務省及び内閣官房の機密費汚職事件であります。
 対象となったのは内閣官房報償費の一部であるとされておりますが、総理の外国訪問時の宿泊費や飲食費がなぜ外国旅費でなくて報償費から支出されるのか疑問に思うところであります。重大な国家戦略に係る情報提供に対する報償以外のものは少なくとも国民に対して公開する必要があるのではないかと考える次第であります。
 外務省の調査報告によると、本件は松尾前室長個人の公金横領事件であるとされておりますが、本当に外務省は被害者なのか、組織としてのあり方に問題はなかったのか、明らかにする責任が政府及び外務省にあると考えられます。
 このような官僚によるでたらめな行為は官僚システムの制度疲労が生じているからでありまして、極めて遺憾でありますとか心からおわび申し上げますで済む問題ではありませんし、外務大臣が六カ月の俸給を自主的に返納したからといって済む問題でもありません。
 また、要人外国訪問支援室を廃止するなど、小手先の対策で済むとはとても思えません。このような外務省の組織構造を容認している河野外務大臣の責任は重大であり、即刻辞任すべきであります。総理及び外務大臣の答弁を求めます。
 次に、森内閣の経済財政政策と平成十三年度予算案について質問いたします。
 平成十三年度予算案は、景気対策、経済構造改革、財政健全化のいずれの観点からしても不十分きわまりないものであり、日本経済を取り巻く環境が厳しい中で、政府見通しの一・七%の経済成長を達成し得るとはとても思えないのであります。
 平成十三年度予算案を景気対策の側面から見ますと、パソコン減税を廃止することは、IT投資を阻害し、設備投資の減少要因となりますし、介護保険料の徴収は国民に二兆円強の負担を強いることとなり、消費マインドが冷え込むことは必定であります。経済構造改革の側面では規制撤廃や地方分権が全く推進されておりませんし、財政健全化の側面でもプライマリーバランスは十二年度より五千二十八億円悪化しているのであります。
 私ども自由党は、過去の延長線上で予算編成することはやめにして、消費税を福祉目的税化し、IT型の経済社会基盤を構築するとともに、大幅減税により経済、産業の活性化を図り、行政改革による財政健全化基盤を構築すべきであると主張しております。過去の延長線以外の何物でもない森内閣の経済財政政策では景気が回復することはありません。総理及び宮澤大臣の答弁を求めます。
 次に、森内閣の外交政策について質問いたします。
 日米同盟については、ブッシュ新政権の誕生に伴い米国の日本に対する基本的姿勢は成熟したパートナーシップを求めて極めて厳しいものとなると考えられます。日米安全保障条約に基づいて周辺事態安全確保法等が成立しましたが、安全が確認された領域における自衛隊の後方支援などで真の同盟関係が維持できると総理はお考えなのでしょうか。総理の答弁を求めます。
 次に、対北朝鮮政策について、日朝国交正常化交渉を進められるとのことでありますが、日本人拉致問題を初め弾道ミサイル問題等、我が国の主権にかかわる問題が未解決のままでなぜ国交正常化を急がれるのですか。総理及び河野外務大臣の答弁を求めます。
 最後に、中央省庁再編と防衛に関する基本的問題について質問いたします。
 本年一月六日、中央省庁等の再編が行われましたが、防衛庁は内閣府に置かれる外局としての位置づけのままであります。最終報告では「わが国の防衛基本問題については、政治の場で議論すべき課題である。」とされておりますが、防衛基本問題について政治の場で議論されたことがあったでしょうか。私は、国家の主要な機能の第一は国家の存続であり、そのための業務を担う防衛庁は、その任務からしてもその業務量からしても国防省に改めて当然であると考えるものであります。
 以上、総理の見解を伺います。
 次に、自衛隊の位置づけと自衛隊員の処遇についてお尋ねします。
 自衛隊は発足以来五十年を迎えようとしておりますが、この間、政権を担当してきた自民党政権は、自衛隊のため、自衛隊員のために何をしてきたでしょうか。私は、国民が安心して武器を預け、国の命運を任せることができるようにするためには、自衛隊をあいまいな立場ではなく、自衛のための国防組織として明確で名誉ある位置づけをせよと言っているのであります。また、自衛隊員は、国家のため、国民のため、そして人間としての名誉のために、みずからの命にかえて国民の生命、財産を守ろうとしているのであります。国家の防衛に任ずる者としての誇りと名誉を与えよと主張しているのであります。自衛隊の最高指揮官としての内閣総理大臣の答弁を求めます。
 私は、我が国が直面する数多くの課題について特に重要なものに絞って質問をいたしましたが、KSDによる政界工作事件や外務省の内閣官房報償費横領事件に象徴されるように、政官業の癒着構造のもとで既得権益の擁護に狂奔する今日の自民党政権では日本の新生などはとてもおぼつかないのであります。自民党の使命は二十世紀をもって終えんを迎えております。今、政権交代をしなければ日本の二十一世紀はとても「希望の世紀」とはなりません。
 ハーバード大学のラインホールド・ニーバー教授は、改革について次のように述べています。「変えることのできるものについては、それを変えるだけの勇気が必要である。変えることのできないものについては、それを受け入れるだけの冷静さが必要である。変えることのできるものと変えることのできないものとを峻別する知恵が必要である。」。
 改革なきところに日本の新生はあり得ないこと、既得権益の擁護に奔走する腐敗し切った自民党ではとても改革はできないことを強く申し上げて、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣森喜朗君登壇、拍手〕
#48
○内閣総理大臣(森喜朗君) 審議会等の活用と私のリーダーシップとの関係についてお尋ねがございました。
 私が提唱する日本新生は、我が国経済社会全体の抜本的構造改革を目指したものであり、政策課題が複雑で難度の高いものも多く含まれております。こうした課題を検討していくためには、会議や審議会の形で官民の幅広い英知を結集し、その議論を踏まえて適切な御提言をいただくことが不可欠であると考えます。
 他方、政治のリーダーシップは、そうした会議や審議会で出された提言を踏まえて政策の選択肢の中から望ましいものを選択し、その必要性を国民にわかりやすく訴え、これを果敢に実行していくところにあると考えております。
 このような考え方のもと、私としては、日本新生に向けて諸改革の陣頭に立って取り組んでまいる所存であります。
 今の三党連立政権が国民の政治に対する信頼を失わせたとの御指摘がありました。
 私は、国民が求めている政策を実行し、さまざまな改革を断行していくためには政治の安定が不可欠だと考えます。
 現在の連立与党は、こうした政策の基本的考え方や改革への決意において一致いたしており、三党で責任を持って政権を担ってこそ、現下の喫緊の課題である景気の本格的回復、IT革命の推進、行政改革や教育改革など諸改革を実行することができるものと考えております。議員が、成立経緯からして不透明だと言われたのはいかなる点を指して言われたのか承知しておりませんが、甚だ不当なものであります。
 今後とも、我々連立与党三党は、今まさに国民が求める改革に全力で取り組み、国民の信頼を得られるよう努力してまいります。
 KSDによる党費肩がわりの疑惑や自民党の体質などに対する私の責任について御質問がありました。
 何度も申し上げているとおり、今回の事件は極めて遺憾なものであり、私としても深刻に受けとめております。
 御指摘の党費肩がわり疑惑については、既にお答えしたとおり、党からの報告によれば、所定の手続を経て党本部に届けられるシステムになっており、今回のケースもこうした入党の手続においては問題がなかったと聞いております。
 KSDをめぐる事件については、現在、司法当局において捜査中であり、徹底的に真相究明が行われ、国民の前に真相が明らかにされるべきであると考えます。
 また、田村議員が御指摘の疑惑の寄せられた議員の方々においては、今後、みずからその疑惑を払うべく釈明の努力をされていくものと考えます。
 自民党としても、真相究明のため司法当局の捜査に全面的に協力するとともに、その結果を待つことなく、自民党内の仕組みについて見直すべきは見直していく決意であります。
 公金横領疑惑に関するお尋ねでありますが、歴代内閣総理大臣の外国出張経費に関し外務省職員による国民の信頼を裏切る不祥事が起きたことは極めて遺憾であり、この事態を厳粛に受けとめ、国民の皆様に深くおわびを申し上げます。
 今回の事件に対する厳しい反省に立ち、外務省に対して引き続き十分な調査を指示したところであり、政府として、捜査当局による真相解明の進展も見ながら、原因の解明と再発防止に万全を期してまいりたいと考えております。
 外務省からは、二重三重の監視体制を設置するなど、組織体制の抜本的な改善策を講じていきたいとの報告を受けており、今後の調査結果も踏まえ、適切な対応を求めてまいります。
 なお、私としては、外務大臣みずからが述べられているとおり、原因の解明と再発防止に全力を挙げて取り組み、もって外交に対する国民の信頼を回復するよう全力を尽くすことが外務大臣の責任であると考えております。
 経済財政政策についてお尋ねがありました。
 我が国経済は、平成十年秋にはデフレスパイラルに陥るのではないかとの懸念がありました。しかしながら、政府がこれまで取り組んできた大胆かつ迅速な政策運営の効果もあって、我が国経済は、依然として厳しい状況にあるものの、緩やかな改善を続けております。こうした中で、引き続き景気に軸足を置いて、経済を一日も早く本格的な回復軌道に乗せることが最重要課題と考えております。
 このため、昨年十月に決定した日本新生のための新発展政策を着実に実行に移し、今年度の補正予算の迅速、的確な執行に努めてまいります。
 また、十三年度予算においては、公需から民需へのバトンタッチを円滑に行うとの観点から、公共事業等に十分な対応を行うとともに、二十一世紀の新たな発展基盤の構築に必要とされる分野に重点的、効率的に資金を配分いたしております。
 さらに、政府としては、時代を先取りした経済構造改革を推進し、超高速ネットワークインフラ整備を初めとしたIT革命の実現等により、中長期的な経済成長力の向上を目指すことや世界経済の持続的発展へ貢献するといった点を重点として、適切かつ機動的に経済運営を行うこととしております。
 こうした諸施策により、公需から民需へのバトンタッチが行われ、民需を中心とした経済成長を実現していきたいと考えております。
 また、今般の中央省庁再編において、内閣府に経済財政諮問会議を設置いたしました。景気を着実な自律的回復軌道に乗せるための経済財政運営とともに、財政を含む我が国の経済社会全体の構造改革に向けた諸課題について、具体的な政策を主導するとの決意を持って実質的かつ包括的な検討を行い、国民が安心と希望を持てる処方せんを示していく所存であります。
 周辺事態安全確保法等に基づく後方地域支援等で真の同盟関係が維持できるのかとのお尋ねがありました。
 これらの法律に基づく対米協力は、日米安保体制のもと、我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態である周辺事態の拡大の抑制あるいは収拾を図るための活動を行っている同盟国たる米国の軍隊を支援し、もって我が国の平和と安全の確保に資するために行われるものであり、極めて重要な意義を有するものと考えます。米側も、この周辺事態安全確保法を初めとする日米防衛協力のための指針関連法等の成立、承認を歓迎し、その実施は日米同盟を強化するとの立場と承知しております。
 いずれにせよ、我が国としては、日米防衛協力のための指針の実効性確保等を通じ、引き続き日米安保体制の信頼性の向上に努めてまいります。
 対北朝鮮政策についてお尋ねがありました。
 議員御指摘のように、日朝間には重要な諸懸案がありますが、これらの問題については、日朝国交正常化交渉その他の日朝間の対話の中でその解決に向け全力を傾けていく考えであります。
 政府としては、やみくもに国交正常化交渉を急いでいるわけではなく、諸懸案解決のためにも正常化交渉を進める必要があると考えており、主張すべきは主張するとの姿勢で粘り強く交渉に取り組む考えであります。
 防衛庁を国防省に改めることについてお尋ねがありました。
 国民が自分の国は自分で守るという気概を持ち、国として適切な防衛の体制をとることは国家存立の基本であると認識しております。
 防衛庁の省移行については、国会等の政治の場で議論されてきていると承知しておりますが、私としては、主要な諸外国の中で国防を担当する組織がエージェンシーという形をとっている国はないことを十分に承知しております。したがって、この問題については引き続き、このような点も踏まえ、国民の十分な理解が得られる形で議論が尽くされることが重要であると考えております。
 自衛隊の位置づけと自衛隊員の処遇についてのお尋ねがありました。
 政府としては、自衛隊が国民の生命、財産の保護という重大な任務を帯びており、各隊員が日夜厳しい任務に精励していることにかんがみ、隊員の福利厚生を含む処遇改善等の人事教育施策を幅広く進めるほか、国民の理解を一層深めるよう努めるなど必要な施策を実施するとともに、私自身も、自衛隊の最高指揮官として隊員と接する機会をとらえて激励するなど、隊員の士気高揚に努めてきたところであります。今後とも各隊員が名誉と誇りを持って任に当たることができるように努力してまいる所存であります。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣河野洋平君登壇、拍手〕
#49
○国務大臣(河野洋平君) 報償費の使途の公表につき御質問がありました。
 外務省報償費は、情報収集及び諸外国との外交交渉ないし外交関係を有利に展開するために使用されておりまして、具体的使途を公表すれば、円滑な外交の遂行にも支障が生じ得ると判断しております。
 一方、外務省報償費の支出に当たっては、会計法令に基づき、他の科目と同様に、所要の省内手続を経て支出しており、その手続の過程において当該支出が報償費の使用目的に合致しているか等をチェックしております。さらに、報償費の支出につきましては、毎年度、会計検査院の検査を受けており、適正な支出がなされていると考えております。
 また、外務省の組織のあり方について御質問がありました。
 本件は、個人の犯罪ではあれ、総理大臣一行の外国訪問に際して、宿泊費見積もりの作成、精算などの事務を松尾元室長一人が行っていたことに対し、組織としてのチェックがなされていなかったことは体制の不備であり、今後、外務省の経理処理体制などについて二重三重の監査体制を設置するなど、組織体制の抜本的な改善策を講じていくつもりでございます。
 外務大臣としての責任につきましては、今回の事件に対する厳しい反省に立ち、真相究明と抜本的な再発防止に取り組むことが私の責任と考えており、これにより外交に対する国民の信頼を回復するよう全力を尽くす考えでございます。
 北朝鮮政策についてのお尋ねでございますが、既に総理が御答弁いたしておりますが、政府としては、昨年来、朝鮮半島をめぐって前向きな流れが見られる中、このようなモメンタムを逃さず、韓米両国と緊密に連携しつつ、国交正常化交渉に粘り強く取り組んでいく考えであります。議員御指摘の日朝間の諸懸案につきましては、このような対話の中で、その解決に向け全力を傾ける考えでございます。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#50
○国務大臣(宮澤喜一君) 平成十三年度予算におきまして、公共事業等に十分な対応を行いますとともに、IT革命の推進など二十一世紀の新たな発展基盤の構築に必要とされます分野に重点的に資金を配分いたしております。これらの施策は、人々の生活基盤の安定化につながりますとともに、IT革命の推進などによりまして二十一世紀の新たな発展基盤の構築に資するものと考えております。
 昨日も申し上げましたが、ただいまの我が国の経済の問題は個人消費の回復ということでございますので、補正予算並びに十三年度予算が成立いたしましたらば、その執行をいたしますことによりまして、経済が自律的景気回復軌道に乗ることを政府も支援をいたさなければならないと考えております。
 なお、福祉目的税についてお話がございましたが、先ほど堂本議員に申し上げましたような財政改革をめぐる広範なシミュレーションの中で国民的な議論が起こりまして、その中でいろいろに論議をされるべき問題だろうというふうに考えております。(拍手)
#51
○副議長(菅野久光君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時四十九分散会
     ─────・─────
ソース: 国立国会図書館
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