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2001/03/14 第151回国会 参議院 参議院会議録情報 第151回国会 本会議 第9号
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2001/03/14 第151回国会 参議院

参議院会議録情報 第151回国会 本会議 第9号

#1
第151回国会 本会議 第9号
平成十三年三月十四日(水曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第九号
    ─────────────
  平成十三年三月十四日
   午前十時 本会議
    ─────────────
 第一 内閣総理大臣森喜朗君問責決議案(久保
  亘君外七名発議)(委員会審査省略要求事件
  )
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(井上裕君) これより会議を開きます。
 日程第一 内閣総理大臣森喜朗君問責決議案(久保亘君外七名発議)(委員会審査省略要求事件)
 本決議案は、発議者要求のとおり委員会審査を省略し、これを議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(井上裕君) 御異議ないと認めます。
 よって、本決議案を議題といたします。
 まず、発議者の趣旨説明を求めます。直嶋正行君。
    ─────────────
   〔議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔直嶋正行君登壇、拍手〕
#5
○直嶋正行君 民主党の直嶋正行でございます。
 私は、民主党・新緑風会、日本共産党、社会民主党・護憲連合、無所属の会、自由党の五会派を代表して、ただいま議題となりました内閣総理大臣森喜朗君に対する問責決議案について、提案の趣旨を御説明いたします。
 まず、決議案の案文を朗読いたします。
  本院は、内閣総理大臣森喜朗君を問責する。
   右決議する。
 以下、具体的に提案の趣旨を説明いたします。
 去る三月五日、衆議院において、国民の大多数の声を背景に提出された森内閣不信任決議案は否決されました。しかし、与党内では、不信任案の否決は森総理の信任を意味しないなどという奇妙な論理がまかり通り、不信任案否決の裏で総理退陣への動きが続けられました。
 国権の最高機関で議決されたことが、それを議決した議員によって無視されるという状況は、甚だしい国会軽視と言うよりも、むしろ国会議員として自己を否定するものであります。また同時に、議会制民主主義の根本ルールをゆがめるものでもあります。国民及び国会をないがしろにする与党の姿勢に、私たちだけではなく、多くの国民が強い怒りを覚えています。
 その後、総理は、本院予算委員会で、辞意の考えは今持っていない、やめるという意思を持って審議に臨むことは参議院の皆様方に大変御無礼だと述べられました。にもかかわらず、十日の夜、あなたは党大会を乗り切るためという極めて内向きで低次元の思惑を優先する自民党幹部に促され、総裁選の前倒し実施を表明することにされ、昨日の自民党大会では、そのとおりに発言されました。これで、党内や与党向けには辞意と理解させ、その一方で、外に対しては辞意表明ではないと強弁することにされたのではありませんか。
 案の定、総理は、国民が注目していた十二日の本院予算委員会でも、マスコミが勝手に書いたことで辞意表明ではないと言い張られました。しかし、連立相手の公明党の神崎代表ですら、事実上の辞意表明と受けとめたと発言しているではありませんか。
 確かに、総理はやめるとは明言されていません。しかし、任期を残して総裁選挙を前倒し実施するということは、すなわちやめるということであります。ですから、与党の諸君も納得したのではありませんか。また、海外でも事実上の退陣表明と大きく報道され、各国政府の関心は既にだれが次期総理になるかに移っているそうであります。
 英語にモリバンドという単語があるそうです。その意味は、死にかけたということだそうです。まさに今の森内閣はモリバンド内閣であります。
 総理、これ以上二枚舌を使うことはやめていただきたい。見え透いた強弁を繰り返すことが、まさに総理のおっしゃったとおり、本院に対する無礼なことでありますし、参議院を軽視するものであります。私たちは、そんな死に体総理のもとで予算審議を続けることはできません。近々おやめになることが決まっている総理では、いかなる発言も空虚に聞こえるだけです。
 また、死に体の総理では、ブッシュ大統領やプーチン大統領も相手にしてくれず、日米、日ロ首脳会談は、かえって我が国の国益を損ねることになります。米、ロ両国訪問も中止し、即刻退陣されるべきであります。
 また、与党の諸君にも言いたい。事ここに至っても、表向きは森総理を支えると言うのですか。そうだとしたら、その欺瞞的姿勢そのものも厳しく問われることを肝に銘じるべきであります。
 今や国会は、政権そのものを既得権益とし、その維持のための党利党略しか頭にない森総理や与党の諸君によって、国権の最高機関としての権威をことごとく失墜させられ、まさに私物のように扱われています。
 さきの国会で、参議院選挙制度改悪において、相次ぐ強行採決によって選挙制度という民主主義の土俵を一方的に自分たちが有利な制度に変えたことに見られるように、森総理と与党は、議会制民主主義も崩壊させました。
 森総理、国民も、総理の座に居座り続けるあなたの厚顔ぶりに、怒りを通り越してあきれ返っております。たとえ内閣支持率がゼロになっても居座るのではないかという恐怖心すら生まれています。
 森総理、振り返りますと、昨年十一月の内閣不信任決議案否決から百十日余りたちますが、この間、あなたの言動には国政への真剣な取り組み姿勢はみじんも感じられませんでした。むしろ、KSD汚職を初めとした数々の事件、事故への対応を見ても、指導力なし、緊張感なし、責任感なしのあなたの体質がより一層鮮明になっただけであります。
 ないない尽くしの森内閣は、結局、数々の最低、最悪の記録を塗りかえただけの最低・最悪内閣ではありませんか。その最低、最悪ぶりを一つ一つ申し述べます。
 第一に、KSD疑惑に見られる最低、最悪ぶりです。
 これは、村上、小山前議員の逮捕で終わるものではありません。額賀前経済財政担当大臣が施政方針演説にものつくり大学の設置を後押しする文言を挿入し、その見返りとして金を受け取った疑いは依然として払拭されておりません。
 また、マンション業者に党費を肩がわりさせていた久世元金融再生委員長の場合も、その構図はKSDの場合と同じであります。
 公益法人や業界団体から不正な金をもらったり、党費立てかえや幽霊党員集めをさせたりし、それらと引きかえにあるべき政策や制度をねじ曲げるという、自民党全体を覆う構造的な問題が問われているのです。この構造的な問題にふたをして真相解明に真剣に取り組もうとしない森総理の責任は重大であります。
 第二に、国民生活を破綻させている森政権の最低、最悪の経済政策を指摘せねばなりません。
 完全失業率は、改善の兆しも見せず、再び過去最悪の四・九%に達し、新卒者から中高年に至るまで雇用不安が高まっています。
 総理就任時に二万円以上あった株価も、わずか一年で四割以上も下落し、十六年ぶりの一万二千円割れという最悪の事態になっています。また、九日に与党三党が発表した緊急経済対策に対しても市場の反応は鈍く、市場も森総理と自公保政権に不信任を出し続けています。
 政官業のもたれ合いの中でしか生きられない自民党は、公共事業と補助金による金のばらまきや既得権益を守るための規制の温存といった誤った経済政策しか打てないのであります。
 森総理は申すまでもなく、自民党政治、自公保政権そのものが最低、最悪として国内外から不信任されているのであります。
 第三は、機密費の疑惑解明に対する最低、最悪の消極姿勢と無責任さです。
 国民にしてみれば、自分たちが納めた税金が競走馬やマンション、身内の飲み食い代などに使われていたという事実は、到底許せないことであります。しかし、この事件は、松尾元室長の個人的犯罪にとどまるものではなく、その奥には、官邸や外務省も関与した組織ぐるみの犯罪が隠ぺいされている可能性が極めて高いと断ぜざるを得ません。
 森内閣は、本気で調査しようともせず、報償費の減額や証人喚問も拒否するなど、一貫して真相解明を求める国民の声を無視し続けています。本来であれば、政府側から報償費の減額の提案があってしかるべきであります。真相解明を進めようとしないのは、官僚たちが傷つき、政権政党の暗部もさらけ出されるからではありませんか。そこには政と官の癒着構造があることは明白であります。
 第四に、えひめ丸事故に対する森総理の最低、最悪の対応です。
 北朝鮮拉致疑惑第三国発見方式発言で既に総理のお粗末な外交資質は露呈していましたが、さらに、えひめ丸事故で、国民の命と安全を守ることに対して総理御自身がいかに鈍感であるかも白日のもとにさらしてしまいました。こんな総理では、日本は対外的に相手にされず、まともな外交交渉は望むべくもありません。さらに、おやめになることがはっきりした今は、ますます相手にはされないでしょう。
 これ以上この国の将来をあなたに任せるわけにはいきません。森政権が続けば続くほど国益が損なわれます。
 以上、森総理が問責に値する最低、最悪の総理であることをるる申し述べました。
 こうして見ると、あなたは、見識の高さやこれまでの実績が評価されて総理に選ばれたのではなく、何となく総理の座に座らされただけで、御自身に政権を担当する覚悟もまたその能力もなかったようであります。このような総理であるから、過去の自民党政権の失政をそのまま継承しただけであり、時を経ても失言癖はおさまらず、軽率な行動も繰り返されました。
 森総理在任のこの一年間は、閣僚と自民党議員によるスキャンダル、不祥事、逮捕の連続でした。久世金融再生委員長、中川秀直官房長官、額賀福志郎経済財政担当大臣の三人もの閣僚が辞任し、一方、森総裁の率いる自民党からは、KSD汚職に関連して、小山、村上の二人の参議院議員が逮捕されるに至りました。とりわけ、同じ参議院議員として、本院の本会議や委員会が犯罪の舞台に悪用され、その信頼と権威が著しく傷つけられたことはまことに遺憾であります。
 総理のために、どれほど内政、外交が混乱したか、どれほど国益が損なわれたかということを考えると背筋が寒くなります。あなたはしょせん総理になる器ではなかったのです。
 そして、本院の与党の議員諸君に申し上げます。
 政権にしがみついていたい一念から、トカゲのしっぽを切るように総理の首をすげかえて、連立政権の延命を図ろうとする姿勢は決して許されるものではありません。
 参議院の公明党の議員諸君は、いずれも反自民を掲げて当選された方ばかりであります。扇党首を初めとする保守党の諸君も同様であります。しかしながら、連立政権ができてからの諸君の行動は、まさに国民に対する裏切り行為の繰り返しではありませんか。これ以上詭弁を弄することをやめ、今こそ言葉と行動を一致させるべきであります。
 事実上の辞意表明をされた総理が率いる死に体内閣は、存続すること自体が究極の政治空白であります。もうこれ以上この国を破滅に向かわせないでいただきたい。即刻、内閣総辞職されるか、解散・総選挙で国民の信を問うことが総理に残された最後のリーダーシップであることを強く申し上げます。
 良識ある議員の方々、あすの日本のために、それぞれの立場を乗り越え、勇気を持って本決議案に賛同賜りますよう訴えて、趣旨説明を終わります。(拍手)
    ─────────────
#6
○議長(井上裕君) 本決議案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。須藤良太郎君。
   〔須藤良太郎君登壇、拍手〕
#7
○須藤良太郎君 私は、自由民主党・保守党、公明党を代表して、ただいま議題となりました森内閣総理大臣に対する問責決議案に対し、断固反対の立場から討論をいたします。(拍手)
 景気を初め、内外の重大な課題に真剣に取り組む中、しかも予算審議の真っ最中に、野党は総理が実質上の辞任を表明したなどと一方的に決めつけて問責決議案を提出したことは、党利党略としか言いようがなく、まことに遺憾であることをまず冒頭申し上げねばなりません。
 総理は、昨日の自由民主党の党大会において、十三年度予算案、予算関連法案を初め、改革のための重要法案を成立させることに全力を挙げる決意を表明されたところであり、野党の言う総理の退陣表明という決めつけなどは、いたずらに政治不信をあおり、政局流動化をねらう見え見えの策動でしかありません。
 振り返ってみますと、昨年四月の内閣発足以来、内閣改造を経て、総理は、景気回復、IT革命、教育改革、行政改革の四つの重点課題の陣頭指揮に立って、二十一世紀、我が国の新たな展望を切り開くため懸命に取り組んできているのであります。
 特に、経済再生では、変転きわまりない内外の経済実態を的確にとらえ、補正予算を初めとして、二十一世紀の発展を期してこれに必要な分野に重点的な配分を行った平成十三年度予算案を提出するなど、迅速かつ的確な手を次々と打ってこられたのであります。
 また、森内閣は、これにとどまらず、中央省庁再編のスタート、教育改革への具体的な着手など、国政全般にわたる諸課題に真摯に対応してきたのであります。
 特に、外交面では、沖縄サミットの開催を皮切りに、総理として初のサハラ以南のアフリカ諸国訪問など、多面的な首脳外交を精力的に展開されてきている業績は高く評価されるところであります。まさに、日本新生に向けた実行と責任の内閣としてその責務に取り組んできたのであります。
 平成十三年度予算案につきましては、今日の景気状況から見て、また、国民生活の上でも一日も早く成立されることが強く要請されており、これは現在政治に課せられた最大の課題であると思います。
 野党は、衆議院においても、予算通過後の今月五日、内閣不信任決議案を提出しましたが、これに対し、与党は一致結束して、圧倒的多数の反対により否決いたしました。それにもかかわらず、わずか一週間後に参議院の予算審議の停滞をもたらすこの問責決議案を提出したのであります。
 我が国経済の本格的回復が何よりも急がれるこの時期に問責決議案を提出することは、この夏に参議院選挙を控え、その前に与党への国民の不信をあおりたいという思惑以外の何物でもありません。
 野党は、問責決議案の理由として、村上正邦前参議院議員がKSD疑惑に関連して逮捕されたことを挙げております。確かに、森総理の誕生以来政権を支えてきた自由民主党の元幹部の逮捕はまことに遺憾であり、国民の皆様等に大変御迷惑をおかけしましたことを心からおわび申し上げるところであります。
 しかし、野党が問題にしている森首班誕生の正統性につきましては、昨年四月五日、森総理は自由民主党の両院議員総会において新総裁として選出され、同日、衆参両院の本会議場において指名を受けており、その手続上何ら瑕疵はなく、野党の批判は全く的外れ以外の何物でもありません。
 また、えひめ丸とアメリカの原潜との衝突事故に関しましては、総理がいた場所等に関してさまざまな議論があり、それにつきましては厳しく受けとめつつも、総理として、情報を詳細に把握し、的確な指示を行い、万全な体制をとるよう誠心誠意、最大限努めてきておるところであります。
 今、国民が最も強く求めていることは、景気を一日も早く本格的な回復軌道に乗せることとともに、行財政改革、経済構造改革、教育改革等を本格的に推進することであり、十三年度予算がその重要なスタートになるものであります。
 このような緊急かつ重大な課題に真っ向から取り組んでいる森総理に対し、理不尽な決めつけによって問責することは、まさに国民不在の党略に走る野党の無責任な体質を如実にあらわしていると断ぜざるを得ません。(拍手)
 総理におかれては、このような野党の批判に決して動ずることなく、自信を持って、予算案の成立を初め、外交上の問題等、我が国の直面する諸課題に積極的に対処していただくことを強く望むものであります。
 特に、今月十九日に日米首脳会談、二十五日に日ロ首脳会談の開催が決定されました。いずれも日本の国益にかかわる重要な首脳会談であり、その足を引っ張るような言動は厳に慎むべきであり、総理が外交成果を上げられるよう国を挙げて応援すべきものであります。
 今後とも、我が党を初め与党は、一致結束して森内閣を支える覚悟であります。
 以上、問責決議案に反対の理由を申し上げました。
 何とぞ、議員各位の御理解をいただくことを強くお願い申し上げ、反対討論を終わります。(拍手)
#8
○議長(井上裕君) 岡崎トミ子君。
   〔岡崎トミ子君登壇、拍手〕
#9
○岡崎トミ子君 岡崎トミ子でございます。
 私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となりました内閣総理大臣森喜朗君問責決議案に賛成の立場から討論を行います。(拍手)
 総理は、昨年の四月に就任されました。間もなく一年がたとうとしていますが、国民が不安や苦しみを抱えているこの時代の転換期に、ついに総理は、国民と危機感を共有し、内閣総理大臣としての自覚と行動を示すことはされませんでした。総理、あなたがこれ以上内閣総理大臣の職にとどまられても、将来に何も期待することができません。
 衆議院において与党の多数によって信任されたはずのあなたは、まさに信任した身内からの辞任を求める声に押し切られ、事実上の辞意表明をされました。ところが、不可解なことに、あれは辞意表明ではないと国民に言い、また、アメリカやロシアとの首脳会談にも首相として臨まれるそうです。しかし、何よりも、あなたが総裁である自民党の各派閥は、あなたが辞任することを前提として後継選びをめぐる権力争いに動き出しているではありませんか。
 総理、あなたは、無責任な、説明のできないことはやめて、直ちに実際に辞職をしていただきたい。このような詭弁が世界に報道されていることを考えると、心から恥ずかしい。恥ずかしいだけでなく、日本の信頼をさらに失墜させることで、日本の国益を完全に損なうものです。
 今月十九日に日米首脳会談、二十五日に日ロ首脳会談と、二十一世紀の外交を左右すべき重要な首脳会談が予定されていますが、これらの首脳会談は首相退陣の花道だという声が聞こえています。もう、すぐにやめることが決まっている首相が内輪の論理で首脳会談に出席する、これはとんでもない非常識、国の利益を犠牲にする愚であります。
 さらに、ロシアを訪問の際、お父様のお墓参りを兼ねてイルクーツクを訪問なさる日程になっているとのことです。間もなく辞任する総理が、ほとんど成果を期待できないまま、外交機密費を使ってロシアまで出かけ、そればかりか、モスクワから飛行機で十時間のイルクーツクまでわざわざプーチン大統領においでいただくお墓参りは、せっかくの親孝行の意味をも損ねてしまうことになるのではないでしょうか。
 さて、我が国の状況はまさに深刻そのものであります。株価はついに一万二千円を切りました。あなたが総理となった昨年の失業者数は三百二十万人で過去最多、企業倒産負債も二十三兆八千八百五十億円で過去最悪、高卒新卒者就職率も八八・二%で史上最悪。そして、この陰で、多くの人々がみずから命を落としました。直近の調査では、自殺者は三万三千四十八人とふえており、原因を見ると借金苦や失業など経済・生活問題がふえており、中でも経済的なしわ寄せから来るストレスをもろに受ける中高年の男性の伸びが目立ちます。一方で、児童虐待に遭った子供、ドメスティック・バイオレンスで暴力、傷害、殺人の被害者となった女性に関する報告も倍増しています。
 今日、日本全体を不況や暴力に象徴される暗い影が覆い、あきらめに似た重苦しい空気が包んでおり、あなたが就任して以来のおよそ一年間、こうした事態にますます拍車がかかっています。ところが、あなたがこの事態を深刻に受けとめ、リーダーシップを発揮して立ち向かっている姿は全く見えてきませんでした。
 今日の問題に真正面から取り組むのであれば、後回しのきかない問題があります。国と自治体、合わせて六百六十六兆円の長期債務残高という数字に象徴される財政の問題です。ところが、与党は、財政問題の元凶とされるむだで不合理な大規模公共事業改革に真剣に取り組んでいません。昨年の総選挙後、自民党も国民の批判に抗し切れなくなり、形ばかりの見直しを行いましたが、これが真の改革でないことは国民にも、市場にも、世界にも完全に見透かされています。株価の暴落、国債の信用低下、回復しない景気は、すべてそのあらわれです。世界各国はもう日本という国を信用しなくなっています。それどころではありません。当の日本国民ですらあなたを信用しないというのが最近の世論調査の結果なのです。
 あなたは、この国を代表する者として、借金を減らすために先頭に立たなければならないはずなのに、何もしませんでした。そればかりか、あなたの地元にも深いかかわりがあり、何ら真剣な検証の跡が見られない整備新幹線予算に象徴されるばらまきを重ね、借金をふやしております。与党がばらまきの道具として私物化した今日の公共事業のあり方は、財政だけでなく地域に生きる人々の暮らしにも深刻な影を落としております。
 総理、あなたはどのような生活をしたいとお考えですか。多くの市民は、よい環境のもとで家族や友人たちと一緒に生きていきたい、できればそんなに苦しむことなく家族に見守られて安心して生を全うしたいと願っています。
 ところが、総理、あなたのふるさとを思い出してください。山は元気ですか。川には魚が泳いでいますか。海の砂浜は今も白く輝いているでしょうか。あなたの目には、花粉症の原因となっている杉だらけの林、コンクリート三面張りの真っすぐなどぶ川、テトラポッドに埋め尽くされた海岸ばかりが映ります。失った山河の豊かさと引きかえに、私たちが得たものは何か。それが、財政を破綻させようかという膨大な債務であり、日本の信頼喪失であることを思うとき、さらにやりきれなさが募ります。
 あなたは、豊かさを生まない今日の公共事業のあり方、財政の危機に対して、人任せにせず、あなた自身の最優先課題として取り組まなくてはならないことを知るべきでした。そして、総理、あなたは、私たちの子孫に美しい山河を残すため、環境回復の先頭に立つべきでした。この荒れ放題の山河のもとでは、私たちに穏やかな生活や安心した死などあり得ないのです。
 総理、あなたは、今諫早湾で起きていることの現実を知っているでしょうか。宝の海だった諫早湾に埋め立ての話が持ち上がって以来、漁民は補償金と引きかえに漁業権を放棄し、地域は分裂し始めました。そして四年前、ゲートの完成はこの地を一変させてしまいました。海を失った漁民は、埋め立て工事によって生計を立てるようになりました。それでも、周辺ではまだ多くの漁民が漁業をなりわいとし続け、頑張ってきました。
 今日の有明海のノリの被害は、これらの地域の悲劇と苦悩を一挙に明らかにしています。周辺の漁師は、この被害によって今や倒産寸前となっています。その怒りが工事の実力阻止となってあらわれました。他方、干拓事業に携わってきた元漁師は、工事中止によって仕事を奪われるとして抗議の大集会を開いております。
 ゲートをあけなければ海は確実に死にます。しかし、あければ、外部へヘドロが流出して海をこれまで以上に汚すだけでなく、内部への海水の浸入によって干拓工事そのものを水泡に帰してしまうと心配されています。そうなれば、今までに投じた巨額な事業費はどぶに捨てることになります。進むも地獄引くも地獄とはこのことであり、この状況をつくり出したのは政府なのです。
 そして、ただ一つ確実なことがあります。それは、このような現実を見れば、この土地に育った子供たちが親の後を継ごうという希望を失わせるだろうということです。
 総理、これは諫早湾だけで起こっている問題ではありません。全国の大規模なむだな公共事業が行われているすべての地域を見てください。日本じゅう至るところに高齢化、少子化、そして過疎という三重苦がのしかかっています。これは二十一世紀日本の最も解決困難な問題になっています。内閣総理大臣であるあなたにとっても全身全霊をささげて取り組むべき課題であるにもかかわらず、あなたはこの問題を顧みていると言うことすらできません。あなたは、今日の総理に求められている職責を果たしているとは言えないのです。
 さて、総理、あなたが在任中に政策として掲げた数少ないテーマの一つとして教育改革があります。しかし、この点についても、残念ながらあなたは失格です。
 総理、教育にとって一番大切なのは何だとお考えですか。教育理念、教育環境、教科書など大切なものはたくさんあります。あなたは教育勅語にもよいところがあるなどと発言されました。しかし、何といっても決定的なのは、大人がどのような姿を子供たちに見せるかということです。その姿によって子供たちの信頼を得ることができなければ教育は成り立ちません。
 総理、あなたは日本を神の国と発言しました。これは今の学問水準とはかけ離れた低水準のものです。
 あなたが最も信頼した中川前官房長官には、右翼と結びつき、交際していた女性の覚せい剤疑惑と警察情報漏えいの疑いが発生しました。これは明らかに権力を乱用したものです。
 今回のKSD疑惑では、金で幽霊党員をつくったり、大学というそれこそ教育の最高機関が金まみれでつくられていたことがわかりました。うそと欲で大学が汚されたのです。
 今回の外交機密費問題では、国民の血税が機密費などというわけのわからない名目で馬やマンションに化けていました。これははっきりした犯罪です。この金で飲み食いした官僚の話も毎日報道されています。
 自民党的政治の世界では、教育の根底にある、うそをつかない、間違ったら謝る、困っている人がいたら助けるといった教育以前の、それこそ人間としての最低限のモラルが崩壊しているのです。
 もう一度総理にお尋ねします。あなたはふるさとの小学校で先生として子供たちに教えることができますか。あなたは生徒に対して人間の愛、友情、そして信じるということを教えることができますか。私は、はっきりと断言します。さまざまなスキャンダルをみずから引き起こしたり真相究明から逃げているあなたがどんなに立派なことを言っても、子供たちは絶対にあなたの話を聞かないでしょう。あなたには教育をする資格がないのです。そして、そのような資格のないあなたには、総理として教育改革をすることなどできません。
 宇和島高校実習船の原潜衝突沈没事故が起きたとき、ゴルフ場でクラブを振り続けた神経には怒りを通り越しました。総理としての危機管理のなさもさることながら、教育を語るあなたが子供たちを心配する想像力を持たなかったことに絶望しました。そのようなあなたにはやはり教育改革を語る資格はありません。あなたにできる唯一の教育は、静かにこの壇上から立ち去ることなのです。(拍手)
 総理が誕生した際、総理選びが密室で行われたことはだれもが知っています。そして今、幕引きも密室で行われています。これでは、自民党が政治を私物化していると言われても返す言葉がないでしょう。誕生から幕引きまで終始一貫、国民に説明のつかない、納得のいかない状況をつくり出したのは自民党です。その総裁として、そして一国を代表する総理大臣として、本当に最後の最後ぐらいは真実の言葉で国民に向かって語っておやめになるべきです。
 民主党は、自民党的政治が約五十年かけて培った中央集権、利権構造というよどみを解消して、ゆとりと豊かさの中で、市民が安心して働き、安心して食べ、安心して年を重ねる、平和に暮らせる社会を目指して全力を傾けていくことを宣言し、森内閣が即刻総辞職することを要求して、問責決議案に賛成の討論といたします。
 良識の府参議院の議員として、お一人お一人の意思で御賛同いただきますように心からお願いを申し上げます。(拍手)
#10
○議長(井上裕君) 笠井亮君。
   〔笠井亮君登壇、拍手〕
#11
○笠井亮君 私は、日本共産党を代表して、内閣総理大臣森喜朗君問責決議案に対し、断固賛成の立場から討論を行います。(拍手)
 森総理、あなたは即刻退陣すべきです。どの世論調査を見ても、あなたがどう言おうと、今、国民の圧倒的大多数は森内閣が直ちに総辞職するよう求めています。
 しかるに、森総理は、一国の総理の出処進退という重大問題について九月の総裁選を繰り上げて実施したいなどと言うだけで、国民に対しては続投ポーズをとりながら、それでは与党・自民党がもたないから、内向けには退陣をにおわす二枚舌を使っているのであります。
 幾らごまかそうと、あなたから直接電話で報告を受けた連立与党・公明党の神崎代表は、事実上の辞意表明と受けとめており、首相の決断を重く受けとめたいと、その真意を明快に述べているではありませんか。
 こんな党利党略的な思惑で当座をしのごうなどというのは、国権の最高機関である国会と国民を愚弄する以外の何物でもありません。国民の支持を失った総理に国政を担う資格のないことは余りにも明白であり、一刻も早い退陣こそあなたに残された唯一の選択肢であることをまず指摘するものであります。
 以下、森総理問責決議案に賛成する三つの理由を申し述べます。
 賛成の第一の理由は、KSD疑獄、機密費問題などに対し、みずからの責任を完全にほおかむりする森総理には、国民が求める真相を徹底解明する意思も資格もないことが明々白々になったからであります。
 自民党内で森総理を生んだいわゆる五人組の一人である村上正邦前参議院議員会長らが逮捕されたKSD汚職は、中小企業経営者の汗の結晶である掛金を自民党ぐるみで食い物にしたという前代未聞の疑獄事件であります。
 KSDにつくらせた幽霊党員は約五十四万人、立てかえさせた党費は二十一億円にも上るとされ、ついにKSD新理事長までがKSDが組織として自民党費を払ったことを認め、返還請求を検討していると述べました。自民党丸ごと汚染という問題の核心はいよいよ明瞭であります。
 森総理が自民党の出直しを言うなら、この実態を即刻調べ、国民の前に真相を明らかにし、政治的、道義的責任をとることが何よりも必要なはずであります。ところが総理は、昨年十一月の当院予算委員会での私の質問に対し、幽霊党員の実態を調査すると明言して以来、実に四カ月近くもたつのに、我が党などが幾ら証拠を突きつけても、幽霊というのはなかなか探すのは難しいと、まともに調査すらしていないではありませんか。こうしてあなたは、政治をゆがめた事件の解明と清潔な政治を願う国民の期待に真っ向から背いているのであります。
 毎年七十億円もの国民の税金を国会議員へのせんべつや国会対策、選挙など、党利党略的に流用していた機密費問題でも、森内閣の知らぬ存ぜぬぶりに国民は怒り心頭です。折しも確定申告の期限が迫っていますが、こんな税金の使い方を国民は絶対に認めません。
 しかも重大なのは、我が党が明らかにした「報償費について」という文書で、外務省から内閣官房への上納という財政法が禁じる予算の流用が行われてきたこと、また、一九八八、八九年に五億円も増額され、庶民を痛めつけている消費税の導入のために党略的に流用されたことなどが判明したことであります。その文書が古川現官房副長官によるものであることが、我が党の筆跡鑑定の提出によって余すところなく証明されました。それでもなお隠し通そうとする森内閣の態度は、およそ改革とも刷新とも無縁の無責任さであると断ぜざるを得ません。
 問責決議案に賛成する第二の理由は、経済の大失政であります。
 あなたが総理になってから、過去最悪の失業率、家計所得と個人消費の落ち込み、そして株価の大暴落など、経済の指標は軒並み下がりっ放しであり、確実にふえているのは国、地方の借金だけであります。こんなことになるのも当然です。あなた方がやってきたことといえば、首切りをすれば税金をまけてやるリストラ応援であり、大銀行、ゼネコンへの野放図な税金投入だけではありませんか。だからこそ、あなたは、高い失業率について聞かれたとき、仕方がないと平然と言ってのけたのであります。そこには、国民の苦難に心を痛める姿勢などみじんもうかがい知ることはできません。
 しかも、こんなに国民が困っているのに、来年度予算案は、社会保障の分野では医療、介護、年金、失業保険合わせて三兆円もの負担増と給付のカットを国民に強いようとしているではありませんか。その上、宮澤財務大臣は、財政再建のためには消費税引き上げの公算が強いとか、給付と負担の面において国民に厳しい選択を迫らざるを得なくなると発言するなど、借金をふやしたことへの反省は全くないまま、大失政のツケを消費税の大増税で国民に押しつけようとしているのであります。もうこれ以上あなた方に国民の暮らしを任せるわけにはいきません。(拍手)
 第三の賛成理由は、森総理には、国益を守り、二十一世紀の日本外交のかじ取りをする資格などもはやないということであります。
 あなたは一体、事実上の辞任が世界じゅうの常識になっているもとで、日本の将来にどんな責任を持って十九日の日米首脳会談、二十五日の日ロ首脳会談に臨むというのですか。
 総理が訪問しようとしているアメリカでは、退陣する首相との会談はむだではないのか、このような疑問が広がっており、ホワイトハウスは会談日程を発表した翌日、変更なしと異例の表明を迫られたのであります。ロシアでもイズベスチヤ紙が、腹切りをちゅうちょ、退陣目前の首相がプーチン大統領のところにやってくるとし、今回の日本の騒動は、ロシアに外交上の一時休憩を与え、南クリル、千島列島をめぐる協議の再延期を可能にしたと述べているのであります。
 それだけではありません。米原潜衝突事故の問題でも、あなたは、高校生の安否よりゴルフを優先させたと行方不明家族や日本国民の強い憤激を買っただけでなく、世界に向かって日本外交のお粗末さを露呈させました。
 また、米空母艦載機のNLP、夜間離着陸訓練が周辺住民に騒音被害をまき散らし、五自治体市長が訓練ノーの声を上げ、沖縄で相次ぐ事件事故に、米海兵隊削減、撤退、日米地位協定改定を求める地方議会決議が次々上がり、ジュゴンのすむ宝の海に基地は要らないの声が高まっています。
 こうしたとき、日米安保のしがらみからアメリカに物も言えなかった総理が、今アメリカに行って何ができるというのですか。
 まさに、森総理のこれ以上の居座りは、日本国民の不幸であり、日本経済停滞の元凶であり、日本外交の恥であります。まして誕生も密室談合、幕引きも国民だまし。森自公保政権のでたらめさも、ここにきわまれりと言わなければなりません。
 自公保三党は、内閣不信任案に反対しておいて、なぜ今ごろ二枚舌の辞意表明をさせるのですか。そこにあるのは、このままでは参議院選挙が戦えないという党利党略だけではありませんか。国民の大多数から見放され、相次ぐ失政、失言を繰り返している総理の責任をそれでも問わないとするなら、そうした政党と政治家は国民の厳しい断罪を浴びざるを得ないでしょう。
 最後に、一連の経過は、森総理だけでなく、自公保政権、自民党政治そのものがもはや統治能力なしを示しているのであります。
#12
○議長(井上裕君) 笠井君、時間が超過いたしております。簡単に願います。
#13
○笠井亮君(続) 我が党は、二十一世紀に国民こそ主役の新しい政治を築くため全力を尽くす決意を申し述べ、森内閣総理大臣問責決議案に対する賛成討論を終わります。(拍手)
#14
○議長(井上裕君) 谷本巍君。
   〔谷本巍君登壇、拍手〕
#15
○谷本巍君 私は、社会民主党・護憲連合を代表し、ただいま議題となりました内閣総理大臣森喜朗君問責決議案に対し、賛成の立場から討論を行います。
 森内閣退陣を求める圧倒的な国民の怒りはもはやとどまりようがなく、密室で始まった森政権は密室で終わろうとしているかのようであります。
 森総理は、自民党総裁選の前倒しに言及することによって辞任を示唆したとのことであります。しかし、総理は本院の予算委員会では相も変わらず辞任を否定し続けておられます。ここまで国民を愚弄したダブルスタンダードが許されてよいのでありましょうか。現下の情勢は政治空白そのものなのであります。森総理は即刻退陣すべきであります。
 さて、賛成の理由でありますが、その第一は、森内閣はスキャンダルと腐敗にまみれた政権だからであります。
 昨年の総選挙以来、中尾元建設大臣の受託収賄罪容疑による逮捕、KSD疑獄による小山孝雄前議員、村上正邦前議員という本院に籍を置いた前議員の相次ぐ逮捕という政治家による犯罪は、ロッキード、リクルートなどなど、過去の疑獄事件の教訓に自民党が何ら学んでいないばかりか、その腐敗構造が全く変わっていないことを示しているのであります。特に、森内閣の生みの親の一人である村上前自民党参議院議員会長が逮捕されたことは、本院こそが森総理を問責しなければならない最大の理由の一つなのであります。
 また、森総理の任命した久世前金融再生委員長、中川秀直前官房長官、額賀福志郎前経済財政担当大臣の三人もの閣僚がわずか十カ月の間に辞任したことは、森内閣が国民の信に足る内閣ではないことを如実に事実をもって示しているのであります。
 さらに、KSD疑惑に続き、逮捕された外務省の元要人外国訪問支援室長の流用疑惑に端を発し、首相官邸、外務省全体の構造的不正が発覚した機密費問題など、自民党政治の金権体質、腐敗の構造は、これでもかこれでもかと明るみに出てくるのであります。米国原子力潜水艦と衝突して沈没したえひめ丸の事故への対応などにしましても、国民との一体感の欠如を端的に示したものでありまして、森内閣に対する国民の失望と不信を極限にまで高めているのであります。こうした政治不信、腐敗の温床である森内閣には国民の信託はないのであります。
 賛成の理由の第二は、森内閣の相次ぐ失政についてであります。
 森内閣の発足以来、日経平均株価は七千円も下落しております。この記録は歴代内閣のワーストワンであります。最大の株価対策と言われた森総理の辞任表明も時既に遅く、株価はバブル崩壊後の最安値を更新しているのであります。こうした中、巨額な公債を投入しても一向に景気効果があらわれないのは、森内閣が特定の業種や階層のみに利益誘導型のばらまきを行い、必要な産業構造の転換を怠ってきたからであります。
 森内閣は、こうした政官業の癒着がもたらす弊害に加え、喫緊の課題である医療、年金、介護、雇用などの社会保障政策に対しては、はっきりとした切り捨て路線をとり、不公正、不公平を助長しつつ、国民生活をさらに窮地へと追い込んでいるのであります。
 経済・雇用情勢における政治の責任を一向に果たそうともせず、何の展望も示せぬ首相の存在は、経済のみか国民の沈滞気分をも一段と強めているのであります。もはや森内閣には国政を担当する資格はないということであります。
 賛成の理由の第三は、森内閣が国際社会の侮りを受け、国益を損ねる内閣だからであります。
 もはや死に体と言われている森総理に、これ以上外交日程を任せることはできません。国内でさえ通用しないダブルスタンダードを海外に持ち込み、みずからの花道としようと考える総理の外国訪問は非礼そのものであり、また何らの成果も期待できないのであります。国益をかけた真剣勝負の場には花道などという情緒論が通用する余地が全くないからであります。
 言うまでもなく、米国、ロシアとの外交は、我が国外交にとって極めて重要な地位を占めております。解決しなければならない課題も山積しております。新世紀になって初めてアメリカ、ロシアを訪問する日本の総理が森総理であるならば、二十一世紀の国際社会における日本の地位は、その出発点から失墜することになるでありましょう。日ごろ愛国心を説いておられる自民党の皆さんも、さぞや心を痛めておるのではないでしょうか。
 さらに、神の国発言や朝鮮民主主義人民共和国に対する第三国発見方式の提案、有事法制の立法化の検討、教科書検定問題におけるアジア諸国に対する不誠実な対応などによって、森総理は世界からひんしゅくと失笑を買い、日本外交の権威を失墜させております。時代錯誤や誤った情勢認識を続ける森総理には、過去への反省も現状に対する的確な判断力もなく、これ以上その任にあることは許されません。
 国益に反する森総理は、一刻も早く退陣すべきであります。
 密室談合で生まれた森内閣を、本院の良識をもって白日のもとで終わらせようではありませんか。国民の怒りと不信に背を向け、議会内では数の力で森内閣を信任しつつ、与党内にあっては辞任を求めるという奇々怪々な議会軽視の行動は、議会政治の名において断固糾弾されなければなりません。
 圧倒的多数の諸君の賛成をもって本案が可決されることを強く要望し、内閣総理大臣森喜朗君問責決議案に対する私の賛成討論を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
#16
○議長(井上裕君) これにて討論は終局いたしました。
    ─────────────
#17
○議長(井上裕君) これより採決をいたします。
 足立良平君外九十名より、表決は記名投票をもって行われたいとの要求が提出されております。
 現在の出席議員の五分の一以上に達しているものと認めます。
 よって、表決は記名投票をもって行います。本決議案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。
 議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
#18
○議長(井上裕君) 投票漏れはございませんか。──投票漏れはないと認めます。投票箱閉鎖。
   〔投票箱閉鎖〕
#19
○議長(井上裕君) これより開票をいたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
#20
○議長(井上裕君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数        二百四十三票
  白色票            百五票
  青色票          百三十八票
 よって、本決議案は否決されました。(拍手)
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   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
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#21
○議長(井上裕君) 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時十七分散会
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ソース: 国立国会図書館
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