くにさくロゴ
2001/05/11 第151回国会 参議院 参議院会議録情報 第151回国会 本会議 第23号
姉妹サイト
 
2001/05/11 第151回国会 参議院

参議院会議録情報 第151回国会 本会議 第23号

#1
第151回国会 本会議 第23号
平成十三年五月十一日(金曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第二十三号
  平成十三年五月十一日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、請暇の件
 一、裁判官訴追委員辞任の件
 一、裁判官訴追委員等各種委員の選挙
 以下 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(井上裕君) これより会議を開きます。
 この際、お諮りいたします。
 水野誠一君から海外渡航のため来る十四日から九日間の請暇の申し出がございました。
 これを許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(井上裕君) 御異議ないと認めます。
 よって、許可することに決しました。
     ─────・─────
#5
○議長(井上裕君) この際、お諮りいたします。
 南野知惠子君から裁判官訴追委員を辞任いたしたいとの申し出がございました。
 これを許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○議長(井上裕君) 御異議ないと認めます。
 よって、許可することに決しました。
     ─────・─────
#7
○議長(井上裕君) この際、欠員となりました
 裁判官訴追委員一名、またあわせて
 国土審議会委員一名の選挙
を行います。
 つきましては、これら各種委員の選挙は、いずれもその手続を省略し、議長において指名することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○議長(井上裕君) 御異議ないと認めます。
 よって、議長は、
 裁判官訴追委員に佐々木知子君を、
 国土審議会委員に山下栄一君を、
それぞれ指名いたします。
     ─────・─────
#9
○議長(井上裕君) 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
 昨日に引き続き、これより順次質疑を許します。浜四津敏子君。
   〔浜四津敏子君登壇、拍手〕
#10
○浜四津敏子君 私は、公明党を代表して、小泉総理の所信表明演説につき、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 まず初めに、第八十七代内閣総理大臣に就任された小泉総理に改めてお祝い申し上げます。
 内閣発足直後の新聞各社の世論調査によれば、小泉内閣の支持率は八割をはるかに超え、過去最高を記録しました。この国民各層からの圧倒的な支持は何を意味するのか、私どもは真剣に考え、今後の政治に生かしていかなければならないと思います。
 私は、今回の小泉コールの背景には二つの要因があったと考えます。その一つは、日本社会全体を覆う先行きへの大きな不安と危機感であり、もう一つは、政治は国民の思いを少しもわかっていないではないかという政治全体に対する強い憤りでありましょう。そうした中で、総理の改革断行、聖域なき改革との明快な言葉に多くの国民がやみに光を見る思いがしたのではないでしょうか。
 私は、総理がこうした国民の思いにこたえて、あらゆる改革へ大胆かつ果敢に取り組まれることと確信しています。私ども公明党も、生命、生活、生存を最大限に尊重する人間主義を掲げる中道政治の党として、国民のための改革断行であれば、どんな苦労も惜しまない覚悟であります。
 ここで、改革に立ち向かう際に欠かせない二つの視点について伺います。
 一つは、改革の方向、つまり目指すべき日本の姿です。
 それは、物の豊かさだけでなく、人間が人間らしく暮らせる心豊かな社会であり、そのためのキーワードは、ともに生きる、共生であると公明党は考えております。
 二点目は、改革の目線であります。
 公明党は、結党以来、現場第一主義を基本とし、一貫して現場の庶民の目線に立った政策実現を実践してまいりました。物事は、上から見ると三割しか見えない、下から見ると七割見えるといいます。改革もこの七割の現場の目線を欠いたのでは成功しないと思うのです。総理は、どういう日本を目指し、どのような目線で改革を進めようとされるのか、お伺いします。
 公明党は、一昨年十月に三つの目標を掲げて連立政権に参画いたしました。それは、一つは経済危機を回避し経済再生を図ること、二つはクリーンな政治の実現、三つは庶民の目線に立った政策実現でした。以来一年七カ月、その実現に挑戦し、多くの結果を積み重ねてまいりました。
 第一の目標については、金融再生策に加え、中小企業融資拡充などによる貸し渋りの解消、住宅ローン減税の拡充など、景気対策に万全を期すことにより危機を回避しました。今後も、引き続き与党三党の緊急経済対策の実施などで経済再生と雇用創出に総力を挙げてまいります。
 なお、本日、内閣のもとに総理みずからを本部長とする産業構造改革・雇用対策本部が設置されました。万全の雇用のセーフティーネットを構築する対策をとっていただきたいと思います。
 第二の目標であるクリーンな政治の実現については、いわゆる政官業の癒着を断ち切るために一つ一つ手を打ってきました。あっせん利得処罰法、政治家個人への企業・団体献金の禁止、情報公開法、公共工事の談合を阻止する公共工事適正化法、公共工事の見直し、税のむだ遣いをチェックする行政評価システムなど、改革を着実に進めてきたと自負しております。今後も、特殊法人の原則廃止、天下り禁止、公益法人の見直し、公務員制度改革などに取り組みます。
 第三の目標である庶民の目線に立った政策実現については、ごみゼロ社会への転換を図る循環型社会形成推進基本法及び関連法、ダイオキシン規制法、PCB適正処理、交通バリアフリー法、マンション管理適正化法、アレルギー対策、臍帯血移植の推進、薬物乱用防止、食の安全推進、高齢者が終身安心して住める優良民間賃貸住宅制度の創設、介護保険の改善、児童手当拡充、多様な保育サービスの拡充、育児・介護休業補償を四〇%に、奨学金の拡充、スクールカウンセラーの大幅増員など、多彩な実績を積み重ねてきました。さらに、人権関連も、ストーカー規制法、児童虐待防止法、ドメスティックバイオレンス法、犯罪被害者給付金制度拡充などに全力で取り組んでまいりました。しかし、それでも日本の改革はまだ道半ばであり、いよいよ正念場に差しかかっております。
 以下、具体的な政策課題について順次お尋ねします。
 なお、景気・経済、財政再建、行政改革、政治倫理、憲法問題などについては、一昨日、我が党の神崎代表の質問にお答えいただきましたので、ここではその他の課題につき質問をいたします。
 まず、教育改革について伺います。
 公明党は、二十一世紀の新しい国づくりは教育からとの思いで取り組んでまいりました。国といい社会といっても、それを構成するのは一人一人の人間であり、政治や経済、行政、マスコミといっても、あるいはあらゆる制度やシステムも、動かしているのは人間です。その人間が何を大事に思い、どちらを向いているのかによって、その国の姿、形が決まってくるからです。
 その人間を育てる教育の現場が、今、いじめ、不登校、引きこもり、学級崩壊、自殺、凶悪犯罪など、深刻な危機に立ち至っています。子供は社会の鏡であれば、この危機は、社会のゆがみや無慈悲さの反映であり、大人社会への重大な警鐘でしょう。私たちはもう一度、人間を育てることの重大さに思いをいたし、社会全体の教育力回復に真剣に取り組まねばなりません。
 そこで、公明党は昨年十一月、教育改革推進本部を設置し、この一月から三月まで全国十二カ所で教育対話を展開しました。中学生、高校生、大学生、学校の先生、父母の皆さんなど現場の声を聞き、また精力的に教育現場の視察を行ってきました。
 公明党は、よりよき未来を担う青少年の育成を願い、教育を手段視しない、教育を目的とした社会の構築を目指し、現場の声を踏まえて、以下の提案をいたします。
 第一に、現在の画一的な学校から、コミュニティースクール、フリースクール、チャータースクール、チャレンジスクール、単位制高校など、子供たちの個性や能力を十分に引き出せる多様なタイプの学校の設置を可能にし、推進することです。
 第二に、子供を持つ親へのサポートです。子育て中の親たちはさまざまな悩みや疑問にぶつかります。健康や病気の問題、児童虐待、不登校、引きこもり、家庭内暴力、問題行動など、すべての相談に対応できる総合的な教育相談センターを設置して、全力で相談に応じる体制をつくることです。
 第三は、学校サポート体制です。閉ざされた学校から地域全体で支える開かれた学校への転換です。特に、小中学校の校区ごとに児童相談所、警察、保護司、病院、保健所などの代表で構成する常設の地域サポート機関を設置し、地域で学校を支える体制が必要です。
 第四は、子供をめぐるさまざまな問題の専門家の養成です。
 児童相談所や児童養護諸施設などにおける心理療法士や子供の福祉専門官の育成と増員も必要です。また、警察では少年捜査や少年補導の専門家の育成、整備が急務です。広範に及ぶ子供の問題にそれぞれ的確に対応できる専門家を育成し、子供のために真剣に解決できる人的体制を整えることです。
 もう一点、視察及び関係者との意見交換を通して痛感したことがあります。それは、子供に関する施策についての行政の縦割りは問題解決の大きな障害になるということでした。教育は文部科学省、医療、福祉は厚生労働省、少年非行・犯罪については年齢や事案によって児童相談所、警察、法務省、裁判所などが扱うことになっており、その子供の立場に立っての一貫した対応が極めて困難となっていると言わざるを得ません。
 課題ごとに各省の縦割りで対応するのではなく、子供の立場に立ち、すべての機関がしっかり連携をとりつつ、総力を挙げる体制にしなければなりません。
 総理は教育改革にどのように取り組まれるのか、右の四つの提案についての御意見もあわせてお伺いいたします。
 次に、教科書問題についてお尋ねいたします。
 さきの教科書検定では、中国、韓国などから厳しい指摘がありました。
 総理、戦後五十年以上経て、なおこうした状況を放置するのでなく、アジア各国、殊に、少なくとも日本、韓国、中国が連携して、歴史学者を中心に共通の歴史事実の確認作業を開始すべきではないでしょうか。それは責任追及や糾弾や批判のためではなく、あらゆる資料や証拠を集め、それらを厳密な客観性を持った視点で整理していく作業により、正しい歴史を残すためです。今ならまだ映像なども残っていますが、急がなければいずれそれも不可能となってしまいます。
 こうした作業をして、共通の認識に至ったことについては、その後それを共同でテレビ番組やビデオや本をつくるなどして、各国民に共通の認識を広めていくことです。こうした誠実な前向きの取り組みこそが、日本への信頼をはぐくみ、かつ各国における国家主義的な動きに歯どめをかけるとともに、アジアの平和確立の大きな一歩になると思うからです。総理の御見解を伺います。
 次に、文化芸術振興政策について質問します。
 文化芸術には、人の心をいやし、豊かにし、人を感動させ、人と人を結ぶ力、すなわち共生の心をはぐくむ力があります。ところが、我が国では、芸術家が育ちにくく、さらに存分に活躍することが困難な状況にあります。芸術家及び観客のレベルも一流と言われながら、国や社会全体としての支援の仕組みが極めて乏しいことにその原因があります。
 公明党は、二十一世紀の我が国のあるべき姿の一つが文化芸術大国であると考え、その実現に向けて以下の文化芸術振興政策を提案いたします。
 第一に、芸術文化振興基本法を制定することです。そこで基本理念及び国、地方自治体のとるべき具体的な施策や責務を明記します。
 第二に、企業や個人の寄附を促進するため、文化芸術活動への寄附金優遇税制の大幅な見直しを行うことです。
 第三に、新進・若手芸術家の育成を図ることです。そのために、文化芸術奨学金の創設や芸術フェローシップ制度拡充、高校生を対象とする芸術留学制度の創設、新進芸術家のために公立文化会館を活用して発表の場を提供するなどを進めます。
 第四に、子供たちが本物の文化芸術に触れる教育を提供すること。
 第五に、舞台芸術に加え、美術工芸品も対象とする新アーツプラン21を創設すること。
 第六に、文化芸術に触れる機会が限られている障害者や子育て中の人たちにその機会を促進する支援策を講じること。
 以上、六点を提案いたします。
 文化芸術に大変造詣が深い小泉総理の強力なリーダーシップで、こうした具体策の推進により、ぜひとも文化芸術大国への突破口を開いてくださる英断を期待して、御見解を伺います。
 次に、地球温暖化に大きな影響を及ぼすフロン対策について伺います。
 公明党は、昨年十一月に独自のフロン回収・破壊法案を提案し、その早期成立を強く主張してまいりました。現在、与党においてフロン回収・破壊法案の今国会成立を目指した協議が進められております。フロンガスの回収と破壊がおくれればおくれるほど、オゾン層を破壊し、地球温暖化を進ませ、取り返しのつかない事態を招きます。この一、二年がリミットとも言われます。フロン回収・破壊法の早期成立についての総理の御決意をお伺いします。
 次に、子供の環境基準の導入について伺います。
 環境ホルモンなどの化学物質に汚染されると、その健全な発育を阻害したり、いわゆる切れる子供など、問題行動を引き起こすなどの指摘及び警告が続いています。
 環境問題については、疑わしきは罰するとの予防原則が一九九二年、リオ・サミットで宣言され、またマイアミ・サミットの環境大臣会議では、子供の環境基準の必要性が宣言されました。
 せめて、環境弱者である胎児、乳幼児については、予防原則の視点から、成人の環境基準の十分の一を基準とする子供の環境基準を日本も試行的に導入すべきと考えますが、総理のお考えを伺います。
 次に、アレルギー対策について伺います。
 ぜんそく、アトピー性皮膚炎、花粉症、化学物質過敏症などのアレルギー性疾患に今や国民の三人に一人が悩まされており、環境汚染による健康不安も高まっております。
 公明党は、昨年のアレルギーセンター等の設置の実現などに引き続き、アレルギー制圧十カ年戦略を打ち出し、原因究明や治療法の確立などにさらに一層の国としての具体的な取り組みを提唱しております。アレルギー対策についての総理の御見解を伺います。
 次に、男女共同参画社会についてお聞きします。
 総理は、男女共同参画を真に実のあるものにするため五人の女性閣僚を起用したとのことで、大変心強く思っております。さらに、総理は、仕事と子育ての両立支援のため、保育所の待機児童ゼロ作戦の推進と放課後児童の受け入れ体制の整備を図ることを明言しておられます。公明党がかねてより提案してきたもので、こうした生活者重視の政策に積極的に取り組まれる姿勢を高く評価するものです。
 さらに、男女共同参画を進めるためには、介護や子供が病気になったときの看護のために月一日、年十二日は休暇がとれる介護・子供看護特別休暇制度の導入やパート労働の待遇改善、同一価値労働同一賃金の実現、選択的夫婦別姓導入などが必要と考えますが、これらの点について総理のお考えをお聞かせください。
 出産・子育て支援について、坂口厚生労働大臣に三点伺います。
 第一に、乳幼児医療費助成制度は現在ほとんどの自治体で何らかの形で実施はされていますが、地域によってかなりの格差があります。自治体任せでなく、国レベルの乳幼児医療費助成制度の創設を具体化すべきときが来ているのではないでしょうか。
 第二に、全国百三十万組にも上ると言われる不妊症に悩む夫婦のために、不妊治療に公的助成をすべきだと考えます。さらに、妊娠後の出産前健診への公的助成についても、その回数をせめて四、五回まで拡充すべきであります。
 第三に、小児科病院の不足が深刻化している地域も見受けられ、小児科専門医の養成など小児医療体制の整備、特に小児科救急医療体制の整備拡充が急務であります。
 以上三点につき御答弁を願います。
 次に、音楽療法士について伺います。
 音楽療法は痴呆の防止や痛みを和らげたり、自閉症の改善など、幅広く医療、福祉、教育などにおいて効果があることが明らかとされ、諸外国においては既に有効な治療手段として活用されています。音楽療法の普及は介護費や医療費を抑制して、結果として社会保障費の削減につながる一石二鳥の効果が期待され、さらなる活用、充実が望まれております。
 質の高い音楽療法を広めるためには、音楽療法の定義を明確にし、音楽療法士に国家資格を認め、社会的な認知を与える必要があり、私どもは、このような趣旨のもと、音楽療法士法の制定を目指しております。総理の御見解をお伺いします。
 次に、日本版ADA法、障害者権利法についてであります。
 「障害者をチャレンジド(神から挑戦という課題を与えられた人)と呼ぼう」、「チャレンジドを納税者に」を合い言葉に、パソコンとインターネットを活用して、障害者や高齢者の自立と就労を支援するNPOが神戸市にあります。一九九二年に設立されたプロップ・ステーションで、これまで延べ五百人近くの障害者や高齢者がパソコンセミナーを受講して卒業し、うち約五十人がパソコン関係の仕事についています。
 働きたいのに働く機会が得られない人、例えば障害者や高齢者、女性、そしてみずから望んだわけではない失業者などに働く機会をきちんと提供すること、そのための教育、職業訓練、職業技術習得の機会を十分に提供することは、すべての人が誇りを持って生きられる社会実現のために政治が取り組むべき大事な課題です。
 公明党が主張している日本版ADA法は、その基本理念を明らかにし、教育、就労支援の具体的施策及び公共施設のバリアフリーや情報バリアフリーなどの実現により、障害者の社会参加の機会均等を保障するものです。二十一世紀型福祉の共生の理念への転換を目指す日本版ADA法の制定について、総理のお考えを伺います。
 続いて、農業について質問いたします。
 我が国の農林水産業は、輸入拡大、高齢化、後継者不足など、極めて厳しい状況が続いています。農林水産業は気象条件や需給に左右されやすく、鉱工業と同一視することはできません。改革の名のもとに、生産性が低い農林水産業の切り捨てや、過疎地、条件不利地域農業の活力が低下することがあってはならないと思います。総理は、この現状をどう認識され、改革、振興をどのように図っていくのか、お尋ねします。
 あわせて、基本計画では、近年の農産物価格下落による農家収入の減少に対し、所得をカバーする新たな仕組みを検討するとされておりますが、いつまでにどのような形で新たな仕組みを導入するのか、総理にお伺いします。
 最後に、新しい時代をつくりいく政治のあり方及び政治家の基本姿勢についてお伺いします。
 先日、沖縄を訪ねた際、沖縄の高校生の話を聞きました。彼らは半年前から基地問題の調査を始めたそうです。基地で働いている人たちや地主、労働組合、周辺住民や各政党などを訪ね、基地賛成、反対などの激しい意見やあきらめの声など、聞けば聞くほど沖縄の将来に全く光が見えないと暗い絶望的な思いに沈んでいたとのことです。
 そうしたときに、国連アジア本部を沖縄につくろうという取り組みをしてきた関係者にインタビューすることになったそうです。それは、沖縄からこそ平和のメッセージを世界にとの思いで始まった構想で、一大平和センターとして、国連アジア事務局を初め紛争予防外交センター、アジア青年リーダー研修所、NGO支援事務所、女性人権研究センターなどをつくり、世界各国から多くの人たちが沖縄に集まって、基地の現実を直視しつつ、前向きの平和戦略を進めようというものです。
 この構想は、公明党の提唱により、この連立政権で今年度予算に調査費もつき、実現に向けて一歩踏み出したところです。この話を聞いた高校生たちは口々に、鳥肌が立つほど感動した、沖縄の未来に初めて夢と希望を持つことができたとの感想を述べ、目を輝かせ、それまでの暗かった表情が一変したというのです。
 不毛なイデオロギー対決や権力の交代劇を繰り返すのでなく、対話と建設的な議論で一つ一つ真に国民のための前向きで具体的な課題解決をしていく。そして、政治は国民のことを真剣に考えている、希望が見えてきたと将来への希望をつくり出し、広げいくことこそがこれからの政治でなければならないということをこの沖縄の一例は示していると思います。
 また、小泉内閣に圧倒的な支持を寄せている多くの国民の皆様の思いもそこにあるのではないでしょうか。改革への国民的機運が盛り上がっている今こそ、政治は党利党略のためでも私利私欲のためでもない、政治は国民のためにこそあるという当たり前の政治への大転換のチャンスを迎えていると思います。
 そのために、例えば我が党は、議員は国民のために尽くす公僕であることを自覚し、互いに議員を先生とは呼ばないことにしておりますが、こうした国民の感覚とずれた慣行の見直しを初め、足元の政治倫理確立や国会改革から日本の大きな構造改革まで、真剣な議論を闘わせ、着実に一歩一歩改革を進めて国民の思いにこたえていこうではありませんか。
 総理のこれからの政治のあり方及び政治家の基本姿勢についてのお考えを伺い、質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
#11
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 浜四津議員にお答えいたします。
 初めに、どういう日本を目指し、どのような視点で改革を進めるかというお尋ねですが、突き詰めて一言で言えば、生きがいを持って、安心して暮らすことのできる社会、これだと思います。構造改革、聖域なき構造改革もそのためにあるという気持ちで一生懸命頑張っていきたいと思います。
 また、改革を断行するに当たっては、国会議員の皆さんの御支援はもとよりでありますが、国民の理解と協力を得ること、これが同時に大事でありまして、そういう姿勢を忘れず改革を進めていきたいと思いますので、よろしく御協力をお願いしたいと思います。
 教育改革の決意及び公明党の提案に対する見解についてでございますが、日本人としての誇りと自覚を持ち、新たなる国づくりを担う人材を育てるための改革に取り組むというのが基本姿勢でございます。そのため、今国会において、学校がよくなる、教育が変わるということを目指した教育改革関連法案の成立に当面は全力を尽くす。
 そして、公明党の教育改革についての御提案は大変示唆に富んでおりまして、特色ある学校づくりや、学校、家庭、地域が一体となって子供を育てていくための体制整備など、こういう点、私どもも同感でありますので、この御提案を参考に、今後、国民各界各層の御意見を十分いただきながら改革に向けて取り組んでいきたいと思います。
 歴史事実の確認作業についてですが、このことに関連する事業としては、平成七年より開始された平和友好交流計画の一環として、日中、日韓の間でそれぞれ歴史関連資料の収集、研究者の相互交流等が既に行われています。歴史の共通認識をつくるというのは容易な作業ではございませんが、御提案は一つの意見として今後参考にさせていただきたいと思います。
 もとより、我が国にとっては、中国、韓国等近隣諸国との相互理解の促進と友好協力関係の発展に努めることが大事でありまして、その観点からも、まずは平和友好交流計画の諸活動を精力的に進めていきたいと思います。
 文化芸術振興についてのお尋ねでありますが、人間の生活にとって文化芸術というのは大変重要なものであると私も思っております。公明党の御提案の趣旨は我が国の文化芸術の振興にとって意義のあるものと私も考えております。これを踏まえて、引き続きその振興に大いに努力していきたいと思います。
 フロン回収・破壊法案についてですが、同法案については、既に現在、与党において最終的な調整の段階まで来ていると聞いておりまして、政府としても、今国会での同法の成立に向け精いっぱい努力をしていきたいと思います。
 子供の健康保護のための環境基準についてのお尋ねであります。
 御指摘の点は、環境基準を設定する上で重要な考え方であると認識しており、これまでも子供や乳幼児への影響を考慮して環境基準を設定してきております。今後とも、そうした観点を考慮して、対応に万全を期していきたいと思います。
 アレルギー対策についてですが、アレルギー疾患を有する国民は年々増加傾向にありまして、政府としては、関係省庁が連絡会議を設置して連携をとりながら対策に取り組んでいるところであります。今後とも、原因や治療法についての研究の推進、その成果の全国的普及、国民への正しい情報の提供や相談体制の充実など、各般にわたる対策の一層の推進に努めてまいります。
 男女共同参画を進めるための施策についてでありますが、雇用の分野において性別による差別をなくすことや、仕事や育児の両立を図るためのもろもろの施策、これは小泉内閣におきましても重要課題として既に私は所信表明の中でも述べているとおりでございます。
 このような観点から、子の看護のための休暇制度について、その導入の努力義務の創設を盛り込んだ育児・介護休業法の改正案を今国会に提出しているところです。また、パートタイム労働者の処遇の改善、男女の賃金格差の解消についても今後努力をしてまいります。
 さらに、選択的夫婦別姓導入については、これはいろいろさまざまな議論が今、国民の中でございます。また、率直に言って、意見が分かれるところもかなりあります。こういう国民各層の御意見を幅広く聞き、各方面にわたる議論の推移を踏まえながら私は対処していく必要があるものと考えております。
 いずれにしても、男女共同参画を真に実のあるものにするため、一生懸命努力をしたいと思います。
 音楽療法についてでありますが、この音楽療法、私も音楽はかなり好きな方ですからよくわかります。
 この音楽療法士を法律によって資格化することについては、科学的な有用性、規制の必要性などといった課題をさらに詰めるとともに、国がやるのがいいのかどうか、あるいは民間団体による資格として普及を図る方向も含めまして、幅広い検討が必要であると考えております。
 日本版ADA法の制定についてのお尋ねであります。
 検討を要する課題は多いものの、障害者の社会経済活動への参画機会を一層拡大するため、アメリカのADA法なども参考にしながら、社会のあらゆる分野において関連する制度や施策の充実に最大限努めていきたいと思います。
 農林水産業の改革、振興についてでありますが、御指摘のように、我が国農林水産業を取り巻く情勢は大変厳しいものがございます。多面的機能を有する農林水産業を将来にわたり発展させていくことが重要でありまして、このため、担い手の確保、育成を図るとともに、意欲と能力のある担い手が創意工夫を生かした経営を展開できるよう、経営規模の拡大や法人化を推進するなど、食料自給率の向上に向け農林水産業の構造改革を進め、農山漁村の新たなる可能性を切り開いていきたいと思います。
 また、農家収入の減少に対する新たな仕組みについてですが、将来にわたり農業が発展し続けるためには、効率的で安定した農業経営が農業生産の相当部分を担うよう、農業の構造改革を進めることが必要であります。このため、このような経営を目指す意欲ある者が創意工夫を生かして消費者のさまざまな要望に即した生産を行うこと等により、経営全体の改善に取り組んでいけるよう、価格の変動に伴う農業収入または所得の変動を緩和する仕組みについて、国民的理解を得られることを基本に検討を進めてまいります。
 これからの政治及び政治家の基本姿勢についてでありますが、これは浜四津議員のお考えに私も全面的に賛成でございます。私も自民党の総裁でありますが、政党というのは国民のためにあるという視点、当然小泉内閣も、自民党、公明党、保守党の連立政権でございますけれども、これも国民のためにあるんだという視点をしっかりと胸に刻んで、できるだけ多くの方々から協力と理解を得られるような施策と姿勢を保ち、諸改革に取り組んでいきたいと思いますので、よろしく御協力をお願いしたいと思います。
 ありがとうございました。
 残余の質問は、関係閣僚より答弁いたさせます。(拍手)
   〔国務大臣坂口力君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(坂口力君) 浜四津議員から三点についての御質問をいただきました。
 まず最初は、乳幼児医療助成制度の創設についてでございます。
 昨年四月の時点で、全国すべての市区町村で何らかの形の乳幼児医療費の助成は実施されておりまして、さらに、国としては、難病の子供あるいは未熟児、障害児といった手厚い援護が必要な児童の疾病について、医療費の公費負担を実施しているところでございます。
 厚生労働省としては、我が国を家庭や子育てに夢や希望を持つことができる社会としていくために、乳幼児の医療費を含め、少子化対策推進基本方針や新エンゼルプランなどを踏まえました総合的な子育て支援対策を推進しておるところでございます。
 国におきましては、本年中に医療制度の見直しを行うわけでございますし、そして、来年の通常国会には改正法案を提出する予定になっているわけでございます。この医療制度改革の中心は高齢者医療の問題ではございますけれども、しかし、やはり少子化対策も決して忘れてはならないと私は思っているわけでございます。
 この乳幼児医療に対する助成制度を現在のように都道府県や市区町村にすべてゆだねていくべきか、あるいはゆだねておくのではなくて、国もやはり手を差し伸べるべきか、ここは大きな議論になるところだろうというふうに思っておりまして、ここが一番これからの議論の中心になるだろうというふうに思っているところでございます。こうした問題を今後検討しながら、今御提案いただきました問題は、今年中に煮詰めていかなければならないと決意をいたしているところでございます。
 次に、不妊治療、それから妊娠後出産前健診、この公費助成の問題が今御提案になられたわけでございますが、不妊治療への公費助成についてのお尋ねにつきましてまずお答えをしたいと思いますけれども、ホルモンの異常でありますとか、子宮、卵管の機能障害など母体の異常に起因する不妊治療などにつきましては、現在も既に保険給付の対象としているところでございます。
 しかし、この不妊治療も非常に幅広いわけでございまして、現在、成功率はまだそんなに高くないものも中にはございますし、それから倫理上検討をしなければならない問題も含まれているわけでございますが、これからも、保険給付の対象をどう拡大していくかということをこれからさらに検討していかなければならないというふうに思っております。
 そして、もう一つの妊産婦の健診についての公的助成の問題でございますが、これは御承知のとおり、妊産婦健診につきましては、現在、市町村事業として定着している状態でございます。平成十年に一般財源化をいたしまして、現在、各自治体の判断によりまして妊産婦健診への助成がなされているところでございます。いわゆる地方交付税の中にもそういう面で盛り込まれているところでございますが、大変重要な問題であるというふうに私も認識をいたしております。
 妊産婦に対する保険適用がなされなかった背景には、妊娠とか出産というのはこれは正常な体の営みであって、決して病気ではないという考え方が出発点にあるわけでございます。しかし、確かに妊娠や出産は正常な体の営みであるかもしれませんけれども、妊娠、出産は女性の体にとって危険な状態であることは間違いがないと私は思います。そうした意味で、こういう割り切り方でいいかどうかということをこれからもう少し検討しなければならないというふうに思っている次第でございます。
 小児科専門医の養成など小児医療体制の整備についての御質問もございました。
 これは、政府の方といたしましても、平成十三年度予算におきましても、小児・周産期医療のナショナルセンターとして国立成育医療センターを整備することでありますとか、あるいはまた、十二年度の診療報酬改定におきましては、小児医療に関する評価の充実を図るとか、あるいは地域の拠点となりますような小児医療施設の整備に対する補助を行ってきているところでございます。
 しかし、なかなかこれでもなおかつだんだんと小児科の先生が少なくなっているという現状を聞くにつけまして、小児科の先生方をどう確保していくかということは非常に大きな問題になってまいりました。
 小児救急医療体制の整備につきましては、当番制やあるいは休日、夜間の診療も含めまして、救急医療支援事業を現在行っているところでございますが、それらの支援体制につきましても、現在もう少しこれを強化していこうというので、関係者の皆さん方にもお集まりをいただきまして、そして、今その体制の強化に努めているところでございます。
 これらの点につきまして、今後さらにこの強化を進めていきたいと考えておりますので、御理解をいただきたいと存じます。(拍手)
    ─────────────
#13
○議長(井上裕君) 市田忠義君。
   〔市田忠義君登壇、拍手〕
#14
○市田忠義君 私は、日本共産党を代表して、小泉総理に質問いたします。
 あなたは、自民党を変えることを最大のスローガンに掲げて自民党総裁に選ばれ、総理となられました。自民党を変えると言う以上、これまで自民党政治の中枢にいたあなたは、自民党政治のどこを反省し、どう変えるかを国民に具体的に示す責任があります。しかし、あなたの所信表明を聞く限り、そのいずれも明確ではありません。
 それは、経済政策において最も顕著であります。
 今、国民の暮らしと日本経済にとって一番大きな問題は、日本経済の六割を占める個人消費が冷え込んでいることであります。あなたが処方せんと言う政府の緊急経済対策も、「企業部門のこのような復調は、本来ならば家計部門の回復をもたらし、自律的景気回復に向けた好循環の端緒となるはずであった。しかし、企業部門の復調にもかかわらず、所得・雇用環境の改善は遅れ、個人消費の回復は見られていない。」と、これまでの経済政策の破綻を事実上認めています。この消費を冷え込ませた原因についての反省がない限り、幾ら改革を口にしても、暮らしと経済を立て直す新しい政治を築くことはできません。
 そこで、具体的にお尋ねします。
 第一は、橋本内閣のもとで構造改革の名で進められた消費税五%への引き上げと、健康保険改悪などによる九兆円の負担増と国民生活の破壊についてであります。
 税と社会保険料を差し引いた可処分所得、いわゆる手取りの収入は、九七年と比べて実に一カ月二万四千円も少なくなったのであります。その結果、家計消費は大幅に冷え込み、消費不況の泥沼に陥りました。これでどうして将来にとって重要な改革であったと言えるのですか。当時、厚生大臣として橋本内閣を支え、健康保険や老人医療費などの負担増の先頭に立たれた総理は、これらが消費を冷え込ませた大きな原因だったとは思わないのですか。
 あなたは、社会保障について、これからは、給付を厚く負担は軽くというわけにはいきませんと述べられました。一体、今の社会保障のどこがそれほど厚い給付で、国民負担のどこが軽いと言うのですか。医療費の値上げで病院に行く回数を減らさざるを得なくなったり、なけなしの年金から介護保険料の全額徴収の通知を受けて途方に暮れるお年寄りも、まだ痛みが足りないと言うのですか。今後、どれだけ給付を減らし、国民の負担をふやすのですか。それがさらに消費を冷やし、景気を悪くすることにあなたは思いが及ばないのですか。明確にお答えください。
 第二は、大企業の収益改善のためのリストラ促進が政府の手によって進められてきたことについてであります。
 小渕内閣のもとでつくられた産業活力再生法の認定を受けた上位十社だけで、二万四千三百八十人の人員削減が行われ、二百八十六億円もの税金が減免されています。一人減らせば百十七万円の減税であります。この五年間に一部上場企業では実に九十三万八千人もの従業員が減らされました。
 その結果、完全失業率は四・七%、三百四十三万人というかつてない深刻な状況が続いています。何とか失業を逃れた人も、低賃金と長時間労働を押しつけられ、残業をしても残業代が払われないというサービス残業がほぼ常態化しています。そしてそのだれもが、いつ解雇されるかわからないという失業の不安におびえたり、派遣かパート労働を余儀なくされています。こうして雇用者報酬は、家計調査報告によっても、九七年以来一世帯当たり一カ月三万四千円も減少してしまいました。
 このことが、橋本内閣以来の負担増と並んで消費を萎縮させた原因であることを総理はお認めになりますか。
 あなたは、所信表明の中で、財政構造改革を実施する中で雇用について痛みを伴う事態が生じるので雇用不安を解消すると言われました。しかし、一昨年の夏に決めた新規・成長分野雇用創出特別奨励金による十五万人の目標は、一年半たってわずか二万人の到達にすぎません。九七年に閣議決定した経済構造の変革と創造のための行動計画では、新規・成長分野で一千万人が一千八百万人にふえると予測していましたが、今、何人まで達成されたのですか。
 できもしない羊頭を掲げてリストラと失業という狗肉を売るのは許されません。今後はどんな確実な手だてがあるのか、明確な根拠を示してください。
 総理、今、雇用にとって必要なことは、勝手な解雇を規制する法的措置を講じること、パートだからというだけで最低賃金すれすれの低い賃金と、労働者ならだれでもあるはずの当たり前の権利を奪われている劣悪な労働条件を改善すること、そして政府自身が出したサービス残業をやめさせる通達を全企業に周知徹底させ、その解消に努めることであります。
 特に、ただ働きのサービス残業は、残業代が正しく支払われればサラリーマンの所得は大幅に改善するし、これが雇用に振り向けられれば九十万人の新たな雇用を生み出すのです。これらの措置に取り組むかどうか、総理の決意を伺います。
 日本共産党は、サービス残業をなくす経営計画を企業に立てさせるなどの大運動を呼びかけていますが、政府こそその先頭に立つべきだと考えますが、あわせて答弁を求めます。
 第三に、国民生活には厳しい痛みを強いながら、大銀行、ゼネコンにはかつて見られないほどの優遇措置を講じ、財政を破局的な状況に導いてきたことについてであります。
 この間、大銀行には七十兆円もの銀行支援の枠組みがつくられ、既に二十七兆六千億円がつぎ込まれました。さらに、景気対策のためと称して、この四年間で四次にわたる補正予算が組まれ、合計六十八兆円が公共事業を中心に大盤振る舞いされました。
 その結果何が残ったか。景気は少しもよくならず、今年度末で国と地方を合わせて六百六十六兆円、国民一人当たり五百二十四万円の借金をつくり出しました。そして、そのツケが消費税の大増税と年金の改悪や社会保障の切り捨てという形で国民に回されるかもしれないという、将来に対する絶望的な不安感を生み出しました。これもまた消費を冷え込ませた大きな原因だったことを総理は認めますか。
 あなたは、財政構造改革のために、国債発行額を減らし、歳出の徹底した見直しに努めると言われました。それなら、まず、国と地方で年間五十兆円もの公共事業を減らすために、ゼネコン本位の大型公共事業にメスを入れるべきではありませんか。むだと環境破壊の象徴であるダム建設計画や飛行機の飛ばない空港建設などの中止こそやるべきではありませんか。
 私は、先日、五木の子守歌のふるさと、熊本県五木村の大半を水没させてしまう川辺川ダム建設予定地の調査に行ってまいりました。総理は、おいしい水、きれいな空気、美しい自然との共生と言いながら、治水や農業用水という目的自身が既に破綻したのに、あくまでそれにしがみついて、おいしいアユと日本一と言われる清流、そして球磨川下りを台なしにするのですか。こんな計画こそ中止すべきではありませんか。(拍手)
 総理は、構造改革なくして景気回復なしなどと称して、不良債権の処理を最優先の課題として取り組むこととしていますが、その結果、国民生活と景気はどうなるのでしょうか。不良債権があるから景気が悪くなったのではありません。景気が悪いから不良債権が生まれたのです。
 一九九二年以降、六十八兆円の不良債権が処理されました。ところが、当時十三兆円だった不良債権が三十二兆円にふえている。表面的な処理を幾らやっても、実体経済をよくしなければ新しい不良債権が次々に膨らむのです。実体経済がよくなり、売り上げが回復すれば、不良債権は逆に正常債権に生まれ変わります。この道をとらない総理の方針は、さらに新しい巨額の不良債権を生み出し、景気を悪化させることになるのではありませんか。
 現在の不良債権の大部分は、政府の経済失政による不況のもとで売り上げが減り、計画的な返済が困難になっている中小企業の債務です。政府の調査でも、不良債権の八割は中小企業と言われます。あなたの政策は、この人たちの血の出るような努力を不良債権の一言で切って捨てる、融資をストップして、つぶれてもいいから借金を取り立てるということにほかならないではありませんか。二、三年の間に不良債権を処理すると言いますが、それで一体どれだけの中小企業が倒産し、何人の失業者が出ると考えていますか。
 あなたは、昨日、我が党の志位委員長の質問に、失業者は何人出るかわからない、雇用対策は与党三党の合意に基づいてこれから検討すると答弁されましたが、こんな無責任な政治がありますか。
 総理、日本経済の再生を本当に願うなら、萎縮し切った国民生活を直接応援すること、国民の所得と生活の改善に直ちに着手すること、そして雇用と将来への不安を解消すること、この方向にかじを切りかえるしかないのではありませんか。
 日本共産党は、そのために緊急に行うべき三つの課題を提起するものであります。
 第一に、消費税率を三%に引き下げることで五兆円の減税を行うこと。第二に、社会保障の負担・給付切り下げの計画を凍結し、将来に安心の持てる体系をつくること。第三に、八割の雇用者を抱える中小企業の経営を安定させ、雇用不安に歯どめをかけること、サービス残業根絶の政府通達も活用して、サービス残業をなくし、所得の改善と雇用拡大を図ることであります。
 この方向に進んでこそ、暮らしと日本経済立て直しの展望が切り開けるのではありませんか。総理の答弁を求めます。
 次に、農業・食料問題についてお尋ねします。
 日本の食料自給率は四〇%まで低下し、七千六百万人分の食料を海外に依存せざるを得なくなっています。穀物の自給率に至ってはわずか二五%、世界百七十八カ国中百三十番目という異常な状況です。こんなことになったのは、自民党政治が、日本国民の食料は国内でつくるという自給の考え方を初めから持っていなかったためであります。今も日本は、年間六十八万トンもの外国産の米を輸入しています。その一方で、水田の減反を強行し、今や減反は水田面積の約四割にまでなっています。
 総理は、食料自給率の向上に向け農政を改めると言いますが、これまでの自民党農政の何が問題で、どこを改めようと考えておられるのか、具体的に示していただきたい。
 日本共産党は、自民党農政の枠組みを二つの点で根本的に改めるべきだと考えています。
 その一つは、食料自給率の引き上げはその国の生存権にかかわるものであり、特に日本の主食である米の自給は、どんなことがあっても譲ってはならない生命線として貿易自由化の対象から外させるなど、WTO農業協定の改定を国際政治の舞台で強く主張することであります。
 第二は、食料自給率を引き上げるために、家族経営が成り立つようにしていくための手だてを講じることであります。農業予算二兆五千億円のうち、農業土木には一兆円以上も使いながら、価格・所得補償にはわずか四千三百億円、一七%しか回されてきませんでした。この世界でも異常な予算の使い方を改め、価格・所得補償を農政の中心に据え、家族経営が成り立つようにすることであります。
 この二つの改革をおやりになる意思があるかどうか、総理の答弁を求めます。
 本日午前十時、熊本地方裁判所において、ハンセン病患者に対する強制隔離などの国の人権侵害に対し、国に賠償を命じる判決が出されました。(拍手)
 政府は、控訴するのでなく、この判決を重く受けとめ、みずからの責任を認め、速やかに最終解決に向けた努力をすべきであります。答弁を求めます。
 次に、小泉首相の歴史認識の基本について伺いたい。
 戦前に日本が起こした侵略戦争や植民地支配について反省し、その教訓を酌み取ることは、単に過去の歴史をどう認識するかにとどまらず、現在と未来につながる重要な問題であります。
 そこで伺いたい。昨日、我が党の志位委員長の、なぜ日本が国際社会から孤立したと考えているのかという質問に総理は、さまざまな状況が影響したと述べられました。さまざまな状況とは具体的には何ですか。日本の侵略こそ国際的孤立の原因だったとは考えないのですか。
 一九三一年の中国侵略から始まった十五年戦争は、日本国民三百十万人、アジア諸国で二千万人の死者を出すという大変な犠牲を負わせました。他国である中国の領土を、ここは日本の生命線だと勝手に決めて、これを手に入れるために戦争をしかける。だれが考えても道理のない、むき出しの侵略戦争でした。だからこそ世界は、日本が行った戦争を世界征服が目的だったと規定し、日本が受け入れたポツダム宣言の第六項はそのことを明記しているのであります。
 総理は、あの戦争の全体の性格、目的が侵略であり、不正義の戦争、侵略戦争だったことを認めますか。それとも、戦後日本の徹底的民主化を規定したポツダム宣言を否定するのですか。明確な答弁を求めます。
 政府が侵略戦争を美化する新しい教科書をつくる会の教科書を合格させたことに対して、今、国の内外で厳しい批判が起きています。この問題も、歴史認識と深くかかわっています。
 日本政府は、一九八二年の検定で侵略を進出と書きかえて批判を受けた際、教科書の検定に当たっては、侵略戦争がアジアの諸国民に多大の苦痛と損害を与えたことの自覚と、それへの反省を重視することを内外に正式に表明してきました。
 太平洋戦争を大東亜戦争と呼ぶことが、みずから決めた近隣諸国条項に合致するというのですか。政府自身の国際公約にも反するのではありませんか。
 我が党は、今の検定制度そのものに反対ですが、合格にした政府自身の責任で合格を取り消すことを強く求めるものであります。あわせて答弁を求めます。
 総理は所信表明演説で、首相公選制について早急に具体案を提示すると述べました。
 今、自民党と公明党の政治のもとで、国民の声が政治に反映されていない、何とかならないかという怒りが日本じゅうで渦巻いています。どうしてでしょうか。それは第一に、民意をゆがめる選挙制度。例えば、前回総選挙で自民党が得た小選挙区の得票率はわずか四一%でしたが、獲得した議席は六〇%でした。第二に、戦争法、盗聴法、日の丸・君が代、衆議院比例定数の削減、参議院選挙での非拘束名簿式の導入、医療や福祉の改悪、そしてKSD、機密費の疑惑隠し等々、まともな議論もしないで数の横暴によって悪法をごり押ししてきた国会運営であります。こうした国民無視の政治を改めてほしいというのが国民の願いであります。
 今やるべきは、小選挙区制など民意をゆがめる選挙制度を改めることであり、国会を名実ともに国民の代表機関、国権の最高機関にするということではありませんか。総理の見解を求めます。
 首相公選制の導入は、国権の最高機関である国会から首相と政府を事実上独立させ、これまで以上に首相の独走体制に道を開くものであり、国権の最高機関としての国会の地位を脅かすものであります。また、国民に理解されやすい、まずここからと総理が明言されているように、首相公選制が憲法九条を改悪する突破口として位置づけられています。到底許すことはできません。撤回を求めるものであります。
 次に、憲法九条と集団的自衛権、政府の外交姿勢についてお尋ねします。
 総理は、日米が一緒に行動していて米軍が攻撃を受けた場合、日本が何もしないということが果たして本当にできるのかと述べ、日本の集団的自衛権の行使について検討する考えを示しました。
 そもそも集団的自衛権とは何か。あなたも言っているように、日本が外国から侵略や攻撃を受けたときの自衛の話ではなく、アメリカと組んで自衛隊が海外での軍事行動に乗り出すこと、そのとき米軍と共同の戦争行為に参加することであります。
 もともとアメリカは、米国の死活的な利益を守るためには、必要な場合には一方的な軍事力の行使をすることを公式の戦略でうたってきました。つまり、武力侵略に対する自衛反撃ではなく、アメリカの利益のために必要であればみずから戦争をしかけるというのがアメリカの戦略であります。一九八三年のグレナダへの武力侵略、八九年のパナマへの武力侵略のように、国連総会がアメリカの行動を侵略・干渉行為として糾弾する非難決議を上げているものでさえ、アメリカは国防報告で軍事戦略の手本だとしてきました。あのベトナム侵略についてさえ、いまだに正義の戦争だったと公言しています。
 そこでお聞きしますが、戦後、アメリカが行った武力行使に日本政府が一度でも批判的態度を表明したことがありますか。今後、アメリカによる先制攻撃という事態が起こっても、アメリカに協力するのですか。もしこれについてノーと言えないなら、集団的自衛権の行使とは日本が無法なアメリカの侵略と武力干渉に共同して参加するということになるではありませんか。いかがですか。
 米軍と一体となった軍事行動が憲法九条の枠を超えると考えるなら、憲法を変えたり解釈を変えるのではなくて、二度と戦争をしないと誓った憲法の根本精神をあくまでも遵守する立場に立ち、海外での軍事行動をやらないことが政府の務めではありませんか。
 政府のアメリカへの無批判な追随は、アメリカの原子力潜水艦によるえひめ丸沈没事件の政府の対応についても顕著であり、一体どこの国の政府かという怒りの声が上がっています。
 さきの日米首脳会談で政府は、アメリカ側に抗議するどころか、迅速、透明、誠意ある対応に感謝すると述べました。また、米太平洋艦隊司令官が、ワドル前艦長らを軍法会議にかけず、刑事責任を不問にしたまま事件の幕引きを図ったことに対しても、米国の制度のもとでの決定であり米側に特定の措置を求める考えはない、軍法会議か否か米側のルールのよしあしについて我が方としてあれこれ言う立場にないなどと述べ、これで事故原因の究明や責任問題を決着させる考えを表明しました。
 小泉総理もこの立場をそのまま踏襲するのですか。
 被害者家族らは、身内の甘い処分で、日本では考えられない、被害者が米国民ではなく日本人ゆえの差別的処分としか考えようがないと強い憤りを示しています。米国内でも厳しい批判が相次ぎました。
 政府は、アメリカ政府に対し、被害者を初め日本国民を納得させる事件の真相と再発防止策を改めて明確に説明すべきだと断固要求すべきではありませんか。
 ことしは、日米安保条約が結ばれて五十年目になります。日米安保体制のもとで進行した基地国家日本の異常な実態は、日本国民に耐えがたい犠牲を強いています。
 日本には、いまだに百三十カ所以上の日本の主権が及ばない米軍基地が存在しています。ヨーロッパに駐留する米軍はこの十年間に約三十一万人から十二万六千人へと劇的に削減され、アメリカ本国でも五百あった基地が百二十以上も閉鎖されました。世界の中で、米軍にいつまでも居座り続けてもらって結構と言っているのは日本ぐらいであり、この現状を憂慮する声は日米安保肯定の人々からも上がっています。
 総理、首都のど真ん中に広大な外国軍基地が置かれている国が日本以外にありますか、あればお答えください。未来永劫、米軍基地国家であり続けるつもりか、一体どういう条件ができたら基地を撤去させるつもりか、お答えください。
 基地周辺では、米軍機の訓練で、眠れない、電話もかけられない、食欲もなくなる、内臓をえぐられるという声が寄せられています。小泉首相の地元神奈川県は、二月末、厚木基地周辺の航空機騒音の学校生活への被害調査を発表しました。それによると、最寄りの小学校では九八%、中高校では一〇〇%が授業を中断する。住民調査では、会話の邪魔になるが八九%、ラジオ、テレビが聞き取りにくいが九〇%に達しています。
 総理は、これがまともな市民生活と考えますか、それとも異常な事態と認識しますか、どちらですか。こうした訓練は直ちに中止すべきではありませんか。また、横須賀を米空母の母港から解放すべきではありませんか。あわせて答弁を求めます。
 最後に、政治姿勢についてお聞きします。
 国民が森内閣を見放した大きな要因の一つは、KSD汚職、機密費問題等々、次々に噴き出る金で動く自民党政治の現実と、その真相の究明と再発の防止についての森政権と自民党、公明党など与党の怠慢にありました。森派の会長として森政権を直接支えてこられた総理は、所信表明においてKSD汚職についてはまるで反省の言葉を述べられませんでした。
 総理は、昨日、我が党志位委員長に対して、幽霊党員の実態について調査をし、国会に報告すると述べられました。しかし、党費の肩がわりはKSDだけにとどまりません。久世参議院議員の株式会社大京によるものや、栃木県内の土地改良区でも行われていたことは明らかになっています。さらに、今回の自民党総裁選のさなか、党員でもないのに投票用紙が送られてきたという訴えが相次いだことが報じられました。これが事実なら、あなたの選出の根拠にもかかわる問題でもありますが、これらの点についての調査と国会への報告も行うべきではありませんか。答弁を求めます。
 自民党は、来るべき参議院選挙に向けて、大手ゼネコンの業界団体日本建設業団体連合会に対し献金を要請し、既に三月末までに三億円近いお金が振り込まれたと言われています。これは事実ですか。あなたの言う自民党の解党的出直しが口先だけでないのなら、きっぱりと返却すべきではありませんか。
 総理、自民党を変えると言うのなら、どんな美辞麗句を並べ立てるよりも前に、まず金権腐敗政治の温床である企業・団体からの献金を、政治家個人にとどまらず政党も受け取りを拒否すべきではありませんか。あなたにその決意があるか、明確にお答えいただきたい。
 日本共産党は、結党以来、金権政治や企業・団体献金、政党助成金と一切かかわりのない政党として、国民の皆さんと手を携えて、国民が主人公のきれいな政治を実現するために全力を挙げる決意を述べて、質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
#15
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 市田議員にお答えいたします。
 いわゆる九兆円の負担増が消費を冷え込ませた要因だったのではないかとのお尋ねでありますが、平成九年度以降における経済の停滞については、九兆円の負担増だけではないさまざまな私は要因があると思っております。同年秋以降の金融機関の相次ぐ経営破綻やアジア地域の通貨・経済危機などが、実体経済に大きく影響を及ぼしたことに留意する必要もあるのではないかと考えております。
 いずれにせよ、消費税率の引き上げを含む平成六年秋の税制改革は、これは所得税の減税と絡んでおります。少子高齢化の進展という構造変化に税制面から対応したものでありまして、また医療保険制度改革は、医療保険制度の破綻を防ぎ安定した運営を確保していくために給付と負担の見直し等を行ったものであります。これらの改革は、我が国の将来を考えたときに私は重要な改革であったのではないかと考えております。
 社会保障についてですが、これからは給付を厚く負担は軽くというわけにはいかないと、なぜかという御質問でありますが、年金にしても医療にしても介護にしても、これから、昭和二十一、二年ごろの生まれた世代、いわば団塊の世代と言われています。当時は出生率、出生率といいますか、年間二百七十万人前後の方が生まれていたと思います。ところが、最近一年間に生まれる赤ちゃんの数は百二十万人を切っています。ちょうど二十二、二十三、二十四、二十五、あの団塊の世代の方があと十年たつと六十五歳を迎えます。この方たちは、年金にしても医療にしても介護にしても、どちらかというと給付を受ける側に立ちます。片一方、負担してくれる若い方はがくんと半分以下に減ります。
 このまま、この年金にしても医療にしても介護にしても、今必ず税金が投入されています。それで保険料、個人の負担、このうまいバランスを組み合わせないと永続した社会保障制度は設けることができません。今のままやると、これは負担する方のことがある。給付を受ける側と負担する側をうまく世代間の争いがないように持続可能な制度にするのが我々政治家の責務ではないでしょうか。
 そういう意味において、今までの給付をそのままにして負担をそのままにしていくというんだったらば、これは増税するのか、保険料を大幅に上げるのか、個人の受益の負担を増すのか、どういうことか、こういう点を国民的議論の上に考えながら、必要な年金、医療、介護の社会保障制度を持続可能な制度にしていくのがこれからの我々の仕事だと思っております。
 雇用情勢と消費の動向についてですが、個人消費はおおむね横ばいの状態が続いております。完全失業率が高水準で推移するなど厳しい状況が続いている雇用情勢に加え、将来への不安感の存在などの要因が個人消費に影響を与えると考えられます。
 緊急経済対策においては、雇用面のセーフティーネットを整備するための施策を織り込み、その効果的実施に現在取り組んでいるところであります。
 経済構造の変革と創造のための行動計画と新規・成長分野の雇用創出についてのお尋ねがありました。
 九七年に策定した経済構造の変革と創造のための行動計画は、その後昨年十二月に改定され、IT、医療、福祉等新規・成長分野の発展に向けた構造改革をさらに加速しております。計画に示された雇用規模はあくまでも参考値として示されたものであり、計画遂行による雇用創出規模を正確にお示しすることは困難ですが、新たな市場や雇用の創出に着実に結びつくものと確信しております。
 これに加え、本日、改組・強化した産業構造改革・雇用対策本部の本部長として、経済財政諮問会議と連携を図りつつ、新規・成長分野の雇用創出に向け政府一丸となって対応策を進めていきたいと思います。
 解雇規制、パートの労働条件の改善及びサービス残業の解消についてのお尋ねであります。
 解雇については、裁判例の考え方を踏まえ、労使間で十分に話し合われるべき問題であり、一律に規制することは適切ではないと考えております。
 パートタイム労働者の労働条件の改善については、パートタイム労働法の趣旨の一層の徹底に努めてまいります。
 サービス残業の解消については、政府として通達を発出しており、その内容について労働基準監督署の窓口や各種説明会等のあらゆる機会を通じて集中的な周知活動を行うとともに、その遵守を図るための監督指導等に努めてまいります。
 財政赤字についてのお尋ねですが、御承知のとおり、我が国は巨額の財政赤字を抱えております。この状況を改善するためにも、財政構造改革が必要であります。私は、各般の構造改革により日本経済の再生を図り、国民の自信を取り戻すことによって景気回復を実現していきたいと思っております。
 公共事業についてでありますが、この歳出の見直しに当たっては、公共事業も例外ではありません。より効率的で重点的な公共事業の実施に努めていく必要がありまして、今後とも聖域ない歳出の見直しに努めていきたいと思います。
 川辺川ダムについてでありますが、この川辺川ダムについては、治水対策も必要であります。農業用水を確保するためにも必要であります。しかし、環境に対する影響、環境保全に十分配慮して、今後とも完成に向け努力をしていきたいと思います。
 景気が悪いから不良債権が生まれたのか、不良債権があるから景気が悪くなったのか。鶏が先か卵が先か、これはいろいろ議論があるところでありまして、私は構造改革なくして景気回復はないという立場であります。できるだけ早い機会に不良債権の最終処理を目指し、企業再建の円滑化を進めていきたい、構造改革なくして景気回復なしという考えで構造改革を進めて、景気回復を早く達成したいと思っております。
 不良債権の処理方法及びそれに伴う中小企業、雇用面への影響についてですが、今般の不良債権処理の中心的な手段は、御指摘のような企業整理型ではなく、企業の成長分野や戦略分野を最大限生かす形で経営が困難な企業の再建等を図ることであります。もっとも、不良債権処理を実施する過程で、企業倒産や失業の発生など、社会の中に痛みを伴う事態が生じることもあると思います。
 不良債権処理の手法や対象となる企業の状況によって影響度合いが異なるため定量的に申し上げることは困難でありますが、こうした構造改革に向け、情勢変化に的確に対応していくことは内閣の重要な課題であると認識しておりまして、今後、緊急経済対策に盛り込まれた中小企業対策あるいは雇用面のセーフティーネットを整備するための施策の効果的実施に取り組んでいきたいと思います。
 共産党の緊急提言についてでありますが、消費税の引き下げについては考えておりません。社会保障については、先ほど申し上げましたように、給付と負担の均衡を図るよう、これから持続可能な社会保障制度の構築を進めていきたいと思います。中小企業対策としては、金融面での対応を講じ、万全を期してまいりたい。雇用対策については、雇用機会の創出を図るとともに、職業能力開発を通じ需給のミスマッチ解消に取り組んでいるところであります。また、サービス残業の解消に向けては、的確な指導に努めてまいります。
 食料自給率の向上に向けた農政の改革についてでありますが、平成二十二年度における食料自給率四五%という目標の達成に向け、意欲と能力のある農業者が創意工夫を生かした農業経営を展開できるよう、農業経営規模の拡大や法人化を推進するなど、農林水産業の構造改革を進め、農山漁村の新たなる可能性を切り開いてまいります。
 WTO農業交渉についてのお尋ねですが、私も、農業は国の基であるというこの基本的考えは大事だと思います。WTO農業交渉に当たっては、昨年末に取りまとめた日本提案に基づき、多様な農業の共存を基本的目標として、食料安全保障の重要性等を積極的に主張していきたいと思います。
 農業予算についてのお尋ねでありますが、食料・農業・農村基本法の制定を契機として、主要品目の価格政策について見直しを行い、農業者に対する経営安定対策を導入するなど、政策の転換を図っているところであります。
 今後とも、農業経営の安定について、意欲ある農業者が効率的で安定した経営が確立できるよう、諸施策の重点的な実施に努めてまいります。
 ハンセン病の熊本地裁判決の御質問がありましたが、本日十時に判決が下されたということでございまして、私はまだ判決内容について聞いておりませんので、この判決内容を検討し、その上で適切に対応していきたいと思います。
 さきの大戦についてのお尋ねですが、日本の国際社会からの孤立が起こった原因でありますが、これ、一言で言ったって、なかなか難しいですよ。なかなか、当時のいろんな状況がありますから、個別の事象を具体的に例示することは私は非常に困難だと思っています。
 いずれにせよ、重要なのは、今後我が国が国際社会から孤立しないで国際協調していくこと、これが二度と戦争を起こさない上で大変大事なことだと思います。過去の歴史の反省を踏まえ、未来に向かって諸外国との信頼関係を一層強化していくことが大事だと私は思っております。
 さきの大戦をいかに認識するかということでありますが、政府は、平成七年の村山総理大臣談話に述べられているとおり、過去の一時期に植民地支配と侵略により、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えたものと認識しております。
 なお、我が国は、降伏文書により、いわゆるポツダム宣言を受諾しております。
 歴史教科書におけるさきの大戦の呼称についてのお尋ねですが、大東亜戦争という呼称については、それが当時の我が国における呼称であったことは歴史的事実であります。御指摘の教科書については、現在、一般的な呼び方、いわゆる呼称となっている太平洋戦争との表記が併記されているんですよ、併記。教科用図書検定調査審議会の審議を経て、検定上認められたものと私は承知しております。
 歴史教科書の合格を取り消すべきだという御意見ですが、御指摘の歴史教科書の検定は、民間の教科書発行者が著作、編集したものについて、いわゆる近隣諸国条項を含む検定基準に基づき、教科用図書検定調査審議会の厳正な審査を経て適切に行われたものでありまして、検定合格を取り消すことは私は考えられないのではないかと思います。
 韓国政府による教科書再修正要求は韓国自身の歴史にかかわる問題ではないかとのお尋ねですが、韓国側はみずからが関心を有する記述について再修正を求めてきており、本問題に関する韓国内での厳しい雰囲気と懸念については、政府としては真摯に受けとめております。かかる認識のもと、今回の修正要求については、まずは文部科学省において、教科書検定制度にのっとり、専門的、学問的見地から十分精査を行っているところであります。
 いずれにせよ、韓国等の近隣諸国との友好協力関係の発展に努めることは我が国にとって重要であり、この問題について、これからこれら諸国との友好関係を損なうことなく円満に解決できるように知恵を絞ってまいりたいと思います。
 選挙制度改革や国会のあり方の見直しについてでありますが、どのようにしたら政治に国民の声が反映されるか、これは政治家にとって永遠の課題でもあると思います。大変また重要なことだと思います。単に選挙制度だけの問題でもないでしょう。国会のあり方について問題があれば、お互い議員として見直しの努力をしていくことは重要だと思います。また、首相公選制の検討とか、タウンミーティングなどによる政治家と国民との対話の強化など、いろいろな方法があると思います。
 首相公選制については反対の意見のようでありますが、私は、これは国民に理解されやすい一つの国民の声を反映する制度ではないかと思いまして、早急に懇談会を上げますけれども、焦って結論は出しません。早急にというより、じっくりと、私よりも見識のある、知恵のある、学者も含めて、広く広範な意見を聞いて具体案を出していきたい。懇談会は早急に出しますが、案はもうできるだけじっくり、理解を得られるような、多くの方の意見を聞いて一つの案を出していきたいと。
 私は首相公選制が独裁につながることはないと思いますよ。県知事選挙、市長選挙、独裁につながっていますか。議会があるじゃないですか。私は首相公選制を取り上げても、議会を廃止する気持ちは全くありません。天皇制も認める。そして一般国民が首相を選ぶことができる、議会の機能も十分役割を果たせるという、そういうような案を識者を交えて考えてもらいたいということを言っているわけであります。
 また、憲法が永久不変のものとは思っておりません。この首相公選制によって憲法九条を改正したいというのはちょっと飛躍があるんじゃないですか、これは。そんなことじゃない。憲法は憲法として、今、衆参両院に憲法調査会が設けられており、活発な議論が展開されております。いずれ報告が出てくるでしょう。そういう報告も踏まえながら、国民各界の意見を聞きながら、憲法改正したいという雰囲気が成熟してくれば、憲法改正に慎重な配慮をなされて憲法改正するのもいいんじゃないかと。これは私は当然の考え方ではないかと。絶対変えちゃいかぬと言う方がちょっとおかしいんじゃないかなと、そう思っております。
 米国による武力行使と集団的自衛権に対するお尋ねですが、戦後、日本が、米国による武力行使に対し、国際法上違法な武力行使であるとして反対の意を表明したことはありません。
 また、御指摘の米国による先制攻撃の意味、内容が明らかではないので、そのような事態が起こった場合の対応という仮定の質問に対してはお答えを差し控えさせていただきたいと思います。
 ただし、米国は国連憲章のもと違法な武力行使を慎む義務を負っており、我が国としては、同盟国たる米国がこうした義務に違反することをそもそも想定しておりません。
 海外での軍事行動についてのお尋ねがありましたが、政府としては、武力行使の目的を持って武装した部隊を他国の領土、領海、領空に派遣するいわゆる海外派兵は、一般に自衛のための必要最小限度を超えるものであって、憲法上許されないと考えております。他方、自衛隊法に基づいて自衛隊が海外で行う活動についてはすべて憲法の範囲内のものであります。
 えひめ丸事故に対する政府の対応に関する質問でありますが、本件事故について米国政府はあらゆる面での責任を認めており、また、事故原因等に関する審問委員会における公開審議を経て、今回の司令官による処罰によりワドル前艦長は有罪とされました。米国政府は米国の制度のもとで今回の決定を行ったものであり、我が国政府として米側に対し特定の措置をとるよう求める考えはありません。
 この事故は極めて遺憾な事故でありまして、米側は既に航行への関与の制限を勧告する等、民間人乗船プログラムの見直しを指示しており、今後とも米側が再発防止に取り組んでいくことを強く期待しております。また、米側が御家族の気持ちを重く受けとめ、えひめ丸の引き揚げ、補償等の残された重要な課題についても引き続き誠実に取り組むことを改めて日本政府は求めたいと思います。
 米軍の我が国への駐留についてのお尋ねですが、首都に外国軍の施設・区域がある国は日本だけではありません。英国にも韓国にも、幾つかあります。米軍は日米安保条約に基づき我が国において施設・区域を使用することを許されていますが、米軍の存在はこれまでも我が国及びアジア太平洋地域の平和及び安定に寄与してきています。現在もこの地域には不安定性と不確実性が存在しており、その意味で米軍の存在は私は今後とも重要なものであると認識しております。
 航空機騒音と米軍機の訓練についてでありますが、米軍による厚木飛行場周辺住民に対する航空機騒音の影響については、かなり住民に迷惑を及ぼしているということを私も認識しております。その騒音軽減のために、私どもは航空機騒音対策事業の推進にこれからも努力していかなきゃならないということを考えております。そして、政府としても、これからも地元に与える影響を最小限にとどめるよう努力していきたいと思います。
 横須賀に寄港する米空母についてでありますが、これは私の地元ですからよく存じております。
 米軍は、海外家族移住計画に基づき、日米安保条約及びその関連取り決めのもとで前方展開の任務についている空母を含む艦船の乗組員の家族を我が国に居住させています。政府としては、このような米軍艦船の存在が日米安保体制の信頼性を確固たるものとさせて抑止力を確保していると考えておりまして、我が国及び極東の平和と安全の維持に引き続き資するものと考えております。
 KSD事件にかかわる党費の立てかえについてでありますが、このKSDにかかわる党費立てかえの調査については、現在、自民党幹事長の指揮のもと、党においても関係者からの事情の聴取、党員のサンプル調査などを行っていると報告を受けております。調査の結果については、最終的に取りまとめた後、これを明らかにしてまいりたいと思います。
 久世議員に関する御指摘については、自民党本部からの報告によれば、党費ではなく、株式会社大京から財団法人自由民主会館への寄附であり、適正に処理された上で自由民主会館の管理、維持運営の費用として使用されたものと聞いております。
 栃木県の土地改良に関する御指摘については、栃木県から農林水産省への報告によれば、二つの土地改良区の役員がみずからの自民党の党費を土地改良区の会計から支出していたとのことであり、このような行為は極めて遺憾であります。農林水産省において、今後かかる行為が再び繰り返されることのないよう適切に指導し、徹底されていくものと承知しております。
 自民党総裁選で党員でない人に投票用紙が送られた問題についてお尋ねがありました。
 幽霊党員が存在するというのは、これはあってはならないことでありまして、党としても既に対策に取り組んでおります。まずは入党手続を厳格にし、都道府県や支部における入党の際の審査を再度徹底するよう指示を出しております。
 また、参議院の比例代表候補者の公認要件として党員獲得二万人以上をという基準がありましたが、これはもう、党員獲得をあおるとの批判がありまして、思い切って撤廃しました。今後とも、改善すべき点があれば改善をしていかなきゃならないと思います。
 大手ゼネコンの業界から自民党に対する献金についてのお尋ねでありますが、詳細は承知しておりませんが、自民党は国民政治協会を通じて、選挙のあるなしにかかわらず、通年、政治活動に必要な寄附金、浄財をいただいております。建設関係団体に限りません。我が党を支持していただいている各方面から広く寄附をいただいておるのは事実であります。
 いずれにせよ、政治献金については、これは政治にかかるコストをどうやって負担したらいいのか、これは今後とも税金がいいのか、民間団体の善意によるのがいいのか、いろいろ議論があります。これについては、今後とも各党各会派で議論をしていく必要があるものと思います。
 また、企業・団体献金について、政党も受け取りを拒否すべきとのお尋ねがありますが、私はもともと企業献金も団体献金も個人献金も悪とは思っていません。政治にかかるコスト、程度、基準は大事です。そういう中で、私は必ずしも企業献金、団体献金が悪と思っていない。適正に運用される方法、これは今後とも各党で議論すべき問題ではないのか、そう思っております。(拍手)
#16
○議長(井上裕君) これにて午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時四十一分休憩
     ─────・─────
   午後一時一分開議
#17
○議長(井上裕君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 国務大臣の演説に対する質疑を続けます。谷本巍君。
   〔谷本巍君登壇、拍手〕
#18
○谷本巍君 私は、社会民主党・護憲連合を代表して、小泉内閣総理大臣の所信に対し、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 私がまず第一に総理に申し上げなければならないことは、自由民主党総裁・総理として、今回の政変劇で国会開会中に大幅な政治空白をつくったにもかかわらず、総理は一言も国民に説明もせず、言及していないことであります。
 仄聞するところ、党員が夏の参議院選挙に森総理では勝てないという理由から小泉総裁を総理にしたとのこと、それが事実であるならば、自民党を初めとする与党連立政権は、国民不在、国民無視の政権と断ぜざるを得ないのであります。総理は、党利党略による総理交代をどのように弁明されるのか、伺いたいのであります。
 第二は、政治腐敗の問題であります。
 総理の所信表明では、なぜかKSD事件など一連の閣僚スキャンダル事件のことも触れられませんでした。国民の皆さんよ、早く忘れてくれとでも言うのでありましょうか。しかし、政官業の癒着打破を抜きに政治への国民の不信を取り除くことはできません。改革を言うなら、総理が最も力を注ぐべきことはこのことであります。どうお考えか、お聞かせ願いたいのであります。
 第三には、カラスが鳴かない日はあっても構造改革のかけ声はやむことがないといった感がある小泉総理の唱える構造改革は、自助努力と勝者の論理で塗りつぶされたものであり、これでは、少数の勝者と、一方では敗者が死屍累々の様相となることは必至であります。総理が述べる構造改革で、国民あまねく将来の展望が開ける社会になるのでしょうか、所見を伺いたいのであります。
 第四には、小泉総理は、我が国がアジア諸国に侵略したことへの反省があるのか疑わしいことであります。
 総理は、自民党総裁選挙中に街頭に立たれ、半ば公約的に憲法第九条の改正、集団的自衛権の行使、靖国神社への公式参拝などを明確に主張しておりましたが、所信表明ではなぜか述べられておりません。総理は、選挙中のこれらの発言は撤回されたのか、また、今問題となっている靖国参拝、教科書問題を含め、どのように対処するおつもりなのか、お聞かせ願いたいのであります。
 以下、構造改革に係る重要政策課題について順次質問をいたします。
 まず、経済、財政の構造改革について伺います。
 小泉総理は、経済、財政の構造改革を提案しましたが、橋本元総理の財政構造改革と理念、手法はどう違うのでしょうか、明確に御説明願います。
 総理は、財政構造改革の第一歩として公債発行額を三十兆円以内に抑えるとしております。ばらまき批判のあった本年度でさえ二十八兆円なのに、なぜ二兆円も多い三十兆円なのか、それがまたなぜ財政構造改革につながるのかを伺いたいのであります。
 また、塩川財務大臣は、予算の配分を変えると言っておられますが、どこをどう変えるのでありましょうか。
 特に伺いたいのは、国税の一〇%も占める道路特定財源のあり方であります。この財源は、何がどうあろうとも、すべて道路建設に使われることになっております。公共事業の行き過ぎが言われる中で、大きな課題となっている環境対策など一般財源への有効活用の声が上がっていますが、どう対処していくか、財務大臣に伺います。
 次に、金融について伺います。
 総理は、不良債権処理を早く進めないと景気回復の原動力となる新しい産業に資金が行かないと述べておりました。不良債権を処理すれば景気は回復する、企業が活性化するといった単純なものではありません。不良債権問題の解決は、銀行など金融機関の体質や金融システムの抜本改革を必要とするものだからであります。
 一方、経済再生には、企業の借金をどう減らすかというのが最大の問題ではなく、企業そのものの体質改善を進める状況をつくり出さなければなりません。
 ところが、最近の金融機関の安易な債権放棄を見ると、借り手としての企業側のモラルハザードには目に余るものがあります。債権放棄を許すのであれば、経営責任を問うとともに確かな再建への道筋をつけさせるべきであります。まして、従業員のリストラで事足れりとするのは勘違いも甚だしいと言わなければなりません。
 債権放棄のあり方については、企業のモラルハザードという観点からどのように考えられておるか、柳澤金融担当大臣に伺います。
 ところで、このような不良債権絡みの構造改革が実施された場合、一万九千件に及ぶ昨年の企業倒産や三百二十万人にも達する失業者の増大に拍車をかけていくことは必至となります。これに対し総理は、離職者の再就職支援や中小企業に対する金融支援に万全を期すと、いとも簡単に片づけております。
 特に、不良債権の最終処理に伴い、貸し渋りが再燃することは目に見えております。しかし、特別保証制度はことしの三月で終了し、また、信用保証協会の代位弁済額が一兆円を超えている状況のもとで、果たして有効な金融支援措置が講じられるのでありましょうか。さもなくば、中小零細企業者はかつてのように商工ローンに頼らざるを得ず、再び経営者の悲惨な自殺の続出となりかねません。過ちは繰り返してはならぬのであります。
 また、民間の試算によれば、不良債権の最終処理に伴い五十万から百三十万人もの失業が発生すると言われております。政府としては、どのような見通しを持っておるのでしょうか。
 総理は、今の痛みに耐えてあすをよくしようという米百俵の精神を強調しておりますが、これでは痛みを感ずるのは弱い立場にある農業者や中小零細企業と労働者だけということになりかねません。信頼の政治というのであれば、国民や中小企業が安心できるセーフティーネットを本当の意味で構築をし、先の見える安心社会をつくる必要があります。総理の所見を伺いたいのであります。
 次に、行政の構造改革についてであります。
 小泉総理は、構造改革をスローガンに自民党の党員、党友の多数から支持を得たようであります。そのためか、構造改革がキーワードとして多用され、行政分野のあり方の見直しについても、従来の行政改革にかわって行政の構造改革という言葉が用いられております。小泉総理の行政の構造改革という言葉は、農山漁村からも郵便局をなくしていくという郵政三事業民営化を強行しようとするためのものなのでありましょうか。
 これまでの行政改革との違いについて、総理の明確な考えを示していただきたいのであります。
 さて、本年一月六日、中央省庁の再編成が実施されました。公正取引委員会はそれまでの総理府から、旧郵政省も統合して誕生した総務省のもとに置かれることになりました。
 総理は、市場の番人たる公正取引委員会の体制を強化し、二十一世紀にふさわしい競争政策を確立すると述べております。公正取引委員会を総務省のもとに置くことは、取り締まるものが取り締まられるものの下に置かれるということになるのであります。これでは公正取引委員会にその役割を十分発揮することを期待することはできません。
 公正取引委員会は、他の省庁より一段上の機関として位置づけ、一般の行政機関から独立した機関として新設された内閣府のもとに置くのが妥当ではないでしょうか。総理の考えを改めて伺いたいのであります。
 次に、社会構造改革の中でも特に社会保障について伺います。
 総理は、社会保障の三本柱である年金、医療、介護については、自助と自律の精神を基本とし、世代間の給付と負担の均衡を図り、お互いが支え合う、将来にわたり持続可能な、安心できる制度を再構築する決意だと述べております。
 政府は、第二次臨時行政調査会の答申以来、給付と負担のあり方と自助努力を社会保障制度改革における金科玉条としてまいりました。そして、その美名のもとで行われてきたことは、社会保障各制度における給付の引き下げと負担の増大でありました。多くの国民がこの不況のもとでも貯蓄を初めきゅうきゅうとして老後の自己防衛をせざるを得ないのもこのためであります。そうしたあり方がまた消費を落ち込ませ、景気低迷をもたらしております。
 しかし、総理は、こうした現実には触れることなく、制度改革と意識の転換が必要であると説き、抜本改革に向け、国民との対話を強化したいとの意向を表明されました。しかし、今問われているのはこのような抽象論ではないのであります。
 例えば、高齢者でいえば、昨年の衆議院選挙対策としてか、介護保険の保険料が半年免除されたり、外来薬剤の一部負担が廃止されたが、それが一転、ことしは若年者の負担軽減との見合いで高負担とされはしないかとの不安の声が上がっております。年金でいえば、多くの国民の関心は長期的に安定した信頼される制度として維持される具体策が示されるかどうかにあるのであります。
 総理は、だれもが最も聞きたかったことには触れず、抽象的な抱負と決意しか語りませんでした。このことは、夏の参議院選挙までだんまりを決め込み、その後、負担増を盛り込んだ改革を強行しようとしているのではないかと疑われて当然であります。そうでないなら、具体的改革の手順とその考え方をこの際示すべきであります。誠意ある答弁を求めます。
 次に、外交、安全保障の問題について伺います。
 総理は、二十一世紀の我が国の外交、安全保障に対する基本の認識をるる述べられました。
 社会民主党は、昨年の夏以来、二十一世紀の平和構想について検討し、公表いたしました。その骨子は、北東アジア総合安全保障機構の創設と北東アジア非核地帯の設置等でありますが、現に社会主義インター関連の会議や、江沢民中国国家主席との会談等で賛同を得ているところであります。
 そこで初めに、我が党の平和構想について、総理の所見を伺いたいのであります。
 総理はまた、所信表明演説で、日米同盟関係を基礎にして、中国、韓国、ロシア等の近隣諸国との友好関係を維持発展させていくことが大切と述べております。しかし、ブッシュ米新大統領は、我が国近隣諸国に対して前政権とは異なる対応を明確にしつつあり、このため、我が国としてはブッシュ政権と早急に政策対話を行う必要があるように思われます。
 総理は、七月のジェノバ・サミット前に日米首脳会談を行うつもりがあるのかどうか。また、この際、普天間飛行場の移設・返還問題の進捗状況はどうなのかについて伺いたいのであります。
 中国及び韓国は、先般来、歴史教科書問題に関し我が国を厳しく批判し、特に韓国政府は三十項目の再修正を具体的に求めておりますが、これら両国の動きにどう対処されるおつもりかも伺いたいのであります。
 総理は、日中関係は我が国にとって最も大事な二国間関係の一つとの認識を示しておられますが、歴史教科書問題以外でもぎくしゃくした関係が続いております。そこへ靖国問題が出てまいりました。両国の良好な関係修復に向けての総理の考え方はどうなのか、伺いたいのであります。
 日ロの平和条約締結交渉は現在膠着状態にありますが、その前提となる領土問題では、我が国はロシアに二島先行返還という誤ったシグナルを送ってしまったのではないかと危惧いたします。総理の基本原則と具体的取り組み方針を明確にお示し願います。
 また、総理は所信表明演説で、報償費、いわゆる機密費は抜本的に見直し、減額を含め厳正に執行する旨述べられておりますが、具体的にどうされるおつもりなのか、お伺いいたします。
 最後に申し上げたいのは、二十一世紀はポスト工業化社会産業の時代と喧伝されておりますが、我が国は何もアメリカの後を追う必要はないのでありまして、日本人の得意とする物づくりを活用した、今日の時代に合ったハイテク化した製造業や第一次産業等の育成に努めていくことが必要であると思いますが、総理の所信表明の中にはこうした考え方はみじんも見られなかったのであります。
 既に、日本の自動車やコンピューターにしても、部品づくり等は発展途上国で、国内では組み立てのみとなったばかりか、野菜までが日本商社による開発輸入となってまいりました。
 既に水は二十一世紀の最大の商品になると言われ始めました。その意味するものは、緑と食の危機の到来を告げていることにほかなりません。森林・林業と農業、水産業の再建と、世界に誇るべき製造業の物づくり等について、総理はどのような所見をお持ちなのでありましょうか。
 こうしたもとで進められる競争強化への構造改革は、無尽蔵ともされる途上国の超低賃金労働への依存を通じ、国内の労働者や農業者にとっては賃下げとリストラなど、どん底へ突き落とされていくだけでなく、基礎産業である農林水産業のみか、製造業もまた空洞化に導かれていきはしないのでしょうか。
 そして他方では、資本とともに生産管理等々の労働者まで途上国へ出ていく状態のもとで、憲法第九条改正であり、集団的自衛権の行使であり、靖国神社への公式参拝ではありませんか。そして、自衛隊海外派遣への道を開こうとしているのではないでしょうか。
 この道はいつか来た道でもあります。それが果たして二十一世紀において総理の言われる希望に満ちあふれた未来なのでありましょうか。人が大切にされ、安心して暮らせる社会づくりであるのでありましょうか。
 そのことを伺いながら、最後に、総理の言う恐れず、ひるまず、とらわれずの姿勢が独善に陥らぬことを強く望んで、私の代表質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
#19
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 谷本議員にお答えいたします。
 初めに、党利党略による総理交代をどう弁明するかというお尋ねがありました。
 実は、森内閣の退陣を要求していたのは野党の皆さん方ではなかったでしょうか。自由民主党におきましても、党員、党友の幅広い意思を反映できるように総裁選挙が行われたわけでありまして、党利党略ではないということを御理解いただきたいと思います。
 また、総裁選期間中においても、我々自由民主党はぜひとも国会審議を行いたいという希望を持っておりました。しかし、一切の審議を拒否したのは野党の皆さんではなかったのでしょうか。
 KSD事件に関連したお尋ねがございました。
 KSD事件は、国民の政治への信頼を損なうもので、大変遺憾であったと思います。所信表明演説におきましても、この問題、厳粛に受けとめていると、この国民の批判をどうしてこれからの政治の信頼につなげていくかということをはっきりと表明しております。反省をしながら、国民との信頼関係の再構築にこれからも全力で取り組んでいきたいと思います。
 本件については、今後、司法の場で厳正に真相が究明されていくものと考えますが、自民党としては、こうした真相究明を待つことなく、今回の事件を教訓として党内の仕組みを思い切って見直していきたいと思います。既に、参議院比例代表名簿への登載基準のあり方の見直しや入党審査のチェックの強化などを実施したところであり、今後とも党改革に全力を挙げていく決意であります。
 また、KSDに対する国の指導が結果として十分徹底していなかったのではないかと考えておりまして、今後、KSDが公益法人として適切な運営が図られるよう、厚生労働省に厳しく指導を行わせていきたいと思います。こうした取り組みによりまして、今回のような事件が再び起こらないように万全の措置をとって努力をしていきたいと思います。
 私の唱える構造改革によって国民の将来の展望が開ける社会になるかというお尋ねでありますが、私は、二十一世紀に対応できるような改革は、「聖域なき構造改革」という表現を用いまして、あらゆる分野に必要ではないかと思っております。
 その際に、変えるべきものもたくさんありますが、どんな時代になっても変えてはならない、また変わらない大事な人間の原則があると思います。それは、自助の精神と自律の精神だと思います。みずからを助ける精神とみずからを律する精神、これは非常に大事だと思います。みずからを助ける人が多ければ多いほど、みずからの力だけでは助けられない人を助けることができる社会になるはずであります。しかも、欲望は無限、財源は有限という言葉があるように、やっぱりみずからを律するというこの精神も、私は老若男女どんな時代にも大事な精神ではないかと思います。
 そういう中で、痛みを恐れずに、既得権益の壁にひるまず、過去の経験にとらわれず、いろいろな構造改革を断行していけば、希望にあふれた、自信と誇りに満ちた日本社会を実現できるのではないかというふうに考えております。
 また、私が自民党総裁選挙中に明確に主張していた憲法改正とか集団自衛権とか靖国神社への公式参拝について、なぜ所信表明では述べられていないのかという御質問がありました。
 これは、私は記者会見の質問に答えたんですよ、記者会見に。それで、所信表明には、集団自衛権とか靖国参拝とか以上に私はもっとやりたいことがたくさんあるから、それを表明して触れなかっただけであります。質問に答えているだけでありますよ。それを新聞がどう取り上げるか、マスコミがどう取り上げるかというのはまた別の問題であります。
 私は、憲法改正とか靖国参拝とかこの集団自衛権の問題も大事でありますが、私の内閣においては、ほかのことにもっと力を入れたい問題がたくさんあるわけですから、その力を入れたいことに焦点を絞って所信表明に触れたまでであります。その辺を誤解しないでいただきたいと思います。
 しかも、首相公選制におきましても、郵政民営化の問題においても、私は撤回したわけではありません。ちゃんとはっきりと所信表明にうたっています。むしろ、今まで首相公選制も郵政民営化論も国会の中では少数論だったではありませんか。首相になって取り上げたのは、私が初めてですよ。現実の政治課題として、むしろタブーと言われた問題に初めて現職の総理大臣が取り上げたということ自体、さま変わりじゃないですか。タブーをなくして構造改革に進みたい。
 首相公選制も、私は議会を廃止するなんて一言も言っていません。県知事選挙にしても市長選挙においても、議会が存在しています。独裁になっていない。天皇制とも矛盾しない首相公選制、議会が有効に機能されるような首相公選制をこれから考えようと、私だけの知恵には限りがあるから、学者も含めて、学識者も含めて国民に理解を得られるような案を示して、これからの課題として取り上げようということを言っているまでであります。
 郵政民営化論にしてもしかりであります。民間にできることは民間に任せようと言って、なぜ民間にできることを国営じゃなきゃいけないんですか。どの政党も言わなかった。それを初めて総理として考えようと言っているのであって、郵便局をなくせなんというのは一言も言っていません。
 国鉄が民営化になって鉄道がなくなっていない。電電公社が民営化されて電話はなくなっていない。郵便局が民営化されて何で郵便局がなくなるんですか。民営化というのは、もっと民間人に任せれば、あの郵便局というのは、三事業だけじゃない、多様なサービスが展開されて国民のためにプラスになるということを私は言っているんです。
 こういう問題についてもタブーでなく、広く国民の皆さんに議論していただいて、それで、なるほどこれの方がいいと国民が理解すれば、皆さんもそういうふうにしてくれるであろうという期待を込めて、これから議論していきましょうと言っているので、何ら後退していません。撤回もしていません。
 私の経済・財政構造改革と橋本元首相の財政構造改革との違いについてのお尋ねがありました。
 私は橋本内閣の厚生大臣でありましたけれども、これは各省庁別一律削減というのが基本でありました。私の内閣におきまして、財政構造改革は各省庁一律削減の方法はとりません。増税はしない、そして国債を三十兆円以下に抑える。その中でふやすべき予算が必ず出てきます、必要な予算。そうするんだったらば、減らすべき予算、減らすべき省庁の予算も出てくる。それを政治家で、閣議で、経済財政諮問会議で、みんなで考えようと。
 今まで政治家はふやす方ばかり考えて、減らす方は役人にやらせてきた。こんなのは政治主導じゃない。ふやす方を考えるんだったら、減らす方も政治家は考えなきゃいかぬ。そういう構造改革に取り組みたいということで、これから進んでいきたいと思います。
 公債発行額を三十兆円に抑えることがなぜ財政構造改革につながるかと。
 これは、昨日もお話ししましたけれども、一方では三十兆円以下に抑えるのは厳し過ぎるんじゃないかという声がある。一方では、今のように三十兆円以下なんて甘いんじゃないかという批判がある。改革には、本当に難しいものだと。
 どっちいっても批判が出るという一つの例でありますけれども、私は、今年度は確かに二十八兆円でおさまっています、国債発行は。だから、三十兆円以下に抑えるのは楽じゃないかという見方もあります。一方では、それは、現行の規模の歳出を前提とすると、三十三兆円を超えるのではないかという見方があります。となると、三兆円削らなきゃならない。これは厳しいぞという意見もある。
 それをやるのが難しいんですけれども、これをやっていかなきゃなかなか財政健全化に進まないなということで、私は、一つの目標として国債発行を三十兆円以内に抑えていく。そして、その中で必要な予算、削減すべき予算というものを今後考えて、次の財政健全化への道を軌道に乗せていきたいなと思っております。
 中小企業に対する金融支援策についてですが、不良債権処理に伴い中小企業への悪影響が生じないよう最大限の努力が必要であります。
 政府系金融機関や信用保証協会等を通じ中小企業への円滑な資金供給を図るとともに、連鎖倒産の危険などが生じないよう、信用保証制度の特例、政府系金融機関の融資及び倒産防止共済といった昨年末に拡充したセーフティーネット対策を適切に実施してまいります。
 また、金融機関の融資姿勢については引き続き注視し、円滑な資金供給を確保するよう必要に応じ要請してまいりたいと思います。
 不良債権の最終処理がどれだけの失業者を生むのか、その見通しについてのお尋ねでありますが、不良債権の最終処理の手法や対象となる企業の状況によって雇用面への影響度合いが異なるため定量的に申し上げることは困難でありますが、こうした構造改革に伴い厳しさの増す雇用情勢に的確に対応していくことは内閣の重要な課題であると認識しており、緊急経済対策に盛り込まれた雇用面のセーフティーネットの効果的実施等に取り組んでいるところでありまして、さらにこのセーフティーネットの対策についてもできるだけの措置を広げていかなきゃならないなと思っております。
 先の見える安心社会をつくる必要があるのではないかとお尋ねですが、同感であります。構造改革を実施する中で、社会の中に痛みを伴う事態が当然生じてくると思います。その際には、今申し上げました雇用の創出、離職者の再就職の支援など、そういう不安を解消する施策を拡充していきたいと思います。
 また、技術と経営にすぐれた企業が構造調整の過程においても生き残り、伸びられる環境を整備するため、中小企業に対する金融面での対応や経営革新への支援に万全を期してまいりたいと思います。このような施策を伴った構造改革を行うことによって、自立型の経済社会を構築していきたいなと考えております。
 行政の構造改革についてのお尋ねですが、先ほど触れましたように、民間にできることは民間に任せよう、地方にできることは地方に任せようと。国の事業でも今、民間にできることでもやっていることがないのかあるのか、点検が必要じゃないか。国がどうしてもやらなきゃならない合理性とか必要性というのはどういうものだろうかということを徹底的に検証する必要がある。
 私がなぜ民間にできることは民間に任せようと言うのは、民間ができることを国がやると、民間は必ず利益を上げなきゃならない、利益を上げないと倒産しちゃう、消費者からも信頼を得ない、利益を上げようとなって必死に民間の企業は努力している。利益を上げれば必ず税金を納めるんです。役所は民間と同じことをやっても税金を納めない、税金を使うことがあっても。だから、民間でできることはできるだけ民間にやらないと税収が上がってこない。こういう点が私は大事だと思っております。
 公債発行額を三十兆円に抑えることがなぜ財政構造改革につながるかと。これも先ほど若干触れましたけれども、今の規模の歳出を前提としますと、来年度、十四年度予算は大体三十兆円程度になります。これを三兆円削るというのは容易なことじゃありません。もう、千億、二千億をふやす減らすというのは、今までの予算編成を見ても、各省庁血の雨が降るというぐらい、予算の分捕り合戦と言われるぐらいな大変な陳情を受けてやっているわけです。それを三兆円削るというのはかなりきつい。
 しかし、そういうことをやっていくことによって財政配分構造が変わってきます。これはやっぱり、今後の予算配分を考えますと、財政改革につながるのではないか、またつなげていかなくてはならないということで、一つの目標を提示している、それに向かって進むということは内閣として大事なことだと思っております。
 中小企業に対する金融支援策についてですが、不良債権処理に伴い中小企業への悪影響が生じないよう最大限の努力が必要であります。
 政府系金融機関や信用保証協会等を通じ中小企業への円滑な資金供給を図るとともに、連鎖倒産の危険などが生じないよう、信用保証制度の特例、政府系金融機関の融資及び倒産防止共済といった昨年末に拡充したセーフティーネット対策を適切に実施してまいります。
 不良債権の最終処理がどれだけの失業者を生むか、その見通しについてですが、この不良債権の最終処理の手法や対象となる企業の状況によって雇用面への影響度合いが異なるため、定量的に申し上げることは困難だと思います。
 こうした構造改革に伴いまして、厳しさの増す雇用情勢に的確に対応していくことはこれからも重要な課題であると認識しておりまして、今後とも、緊急経済対策に盛り込まれた雇用面のセーフティーネットの効果的実施等に取り組んでいるところであります。
 社会保障制度についてでありますが、これは、世代間の給付と負担の均衡を図り、お互いが支え合う、将来にわたり持続可能な、安心できる制度を構築していかなきゃならない。
 午前中の答弁にもありましたように、このままでは高齢者はどんどんふえていきます。いわゆる年金、医療、介護についても、あと十年たちますと六十五歳以上の方がどっとふえていきます。そうすると、これを支える若い人の数は半分以下に今減っています、生まれる数も。そうなりますと、負担がふえる。今のままだと、この負担がふえ過ぎて、若い人が支え切れないという状況にもありますので、世代間の争いが起こらないような給付と負担の均衡を図って、社会保障に最も大事な年金、医療、介護が持続可能な制度に構築していきたいと。
 とりわけ、医療制度改革についてのお話がございましたけれども、これも医療保険財政が厳しい状況にあるのは御指摘のとおりであります。平成十四年度には、高齢者医療制度の見直しを初めとする医療制度改革を実現させるように全力を尽くしていきたいと思います。
 北東アジアにおける安全保障機構及び北東アジア非核地帯に対する構想についてのお尋ねですが、北東アジア非核地帯構想につきましては、その実現のための現実的な環境はいまだ整っていないと考えます。その理由として、北東アジアにおいては、依然不透明な要素や緊張関係が存在しています。また、現実に核戦力を含む大規模な軍事力が存在することが挙げられます。
 また、北東アジアにおける安全保障機構の考えについてお尋ねがありましたが、政府としては、北東アジアの平和と安定の確保という観点から、日米安全保障体制を堅持しつつ、域内諸国間の信頼醸成を促進するため、二国間及びARF等の多国間のさまざまなレベルでの対話を促進すべく努力しております。今後とも、このような努力を継続していく考えであります。
 日米首脳会談の時期ですが、私は、先日のブッシュ大統領との電話会談におきましても、できれば先進国首脳会議、サミットの会談の前に、できるだけ早い時期にお会いしたいという話をしております。具体的な時期については、今後、日米間で調整を行っていきたいと思います。
 普天間飛行場の移設・返還問題の進捗状況についてですが、本問題については、平成十一年末の閣議決定に従い、昨年八月に設置された政府、沖縄県及び地元地方公共団体から成る代替施設協議会において、代替施設の規模、工法、具体的建設場所等を内容とする基本計画の策定に向け鋭意協議を進めているところです。
 今後とも、アメリカ側とも緊密に協議しつつ、本協議会の場を中心に、沖縄の方々の御理解と御協力をいただきながら、できるだけ早く成案が得られるよう努力をし、沖縄県民の負担を軽減するため、早期に移設・返還が実現できるよう全力で取り組んでまいります。
 歴史教科書についてですが、中国、韓国からの意見や懸念等の表明については、これを真摯に受けとめております。また、韓国からの修正要求については、まずは文部科学省において、教科書検定制度にのっとり、専門的、学問的見地から十分精査を行っているところであります。
 中国、韓国との友好協力関係の発展に努めることは我が国にとって重要であり、この問題について両国との友好関係を損なうことなく円満に解決できるよう知恵を絞っていきたいと思います。
 日中関係についてですが、現在、日中間では教科書問題以外にも幾つかの問題が存在しております。我が国としては、今後とも、我が国の立場への理解を粘り強く求めていくとともに、相手の立場にも十分配慮しながら、両国関係の改善に努めていく考えであります。
 北方領土問題についてですが、政府としては、北方四島の帰属の問題を解決することにより平和条約を締結したいという、これはもう一貫して言えます、この方針は。こういう方針のもとに精力的に交渉に取り組む考えでありまして、御指摘の二島先行返還という提案については、森内閣を含め我が国としてロシア側に提示したことはありません。
 報償費の見直しについてのお尋ねですが、報償費については、国政の円滑な遂行という目的にかなうものでなければならない、真に目的にかなうものであるかどうかすべてについて再点検を行った上で執行する、執行及び管理の一層の適正化のための体制を整備する、この考え方のもとで厳正かつ効果的に使用すべきものと考えております。
 このような考え方のもとで、平成十三年度については、効率的な使用への努力を徹底し、減額も含め厳正に執行することとしておりまして、具体的にどのような方法でこれを行うかについては今後検討してまいりたいと思います。
 森林・林業と農業、水産業の再建についてでありますが、農業については農業経営の規模拡大等を推進するとともに、森林・林業については政策の基本理念を森林の有する多面的機能の持続的発揮に転換するほか、水産業については水産物の安定供給と水産業の健全な発展を基本理念に政策の抜本的な見直しを図ってまいります。
 このように、循環型社会の実現や食料自給率の向上に向け、農林水産業の構造改革を進め、農山漁村の新たなる可能性を切り開いていきたいと思います。
 製造業の物づくりについてですが、この半世紀の我が国の輝かしい経済発展は、自動車、機械、エレクトロニクスに代表される物づくり産業、すなわち製造業によって支えられてきておりまして、その重要性は二十一世紀の社会においても変わらないと考えております。
 グローバル化が進展し各国間での競争が激化する中、我が国の強みとする製造業を今日の時代に合ったものへと発展させていくためには、私は、構造改革を進めることが不可欠でありまして、徹底的な規制緩和の推進や産業競争力の基礎ともなる研究開発投資の促進に向け全力を尽くしていきたいと思います。
 構造改革に伴う雇用面での影響についてでありますが、当然、こういう改革の中では失業者も出るかもしれません。そういう際には、雇用面での不安を解消する施策を拡充していくことは大事でありまして、この措置について今後も万全を期していきたいと思います。
 また、企業内における賃金を初めとする労働条件のあり方については、労使の自主的な話し合いによるべきものでありまして、そうした労使の努力が円滑に進むよう相談、援助に努めてまいります。
 競争力強化への構造改革が農林水産業の空洞化を導くのではないかというお尋ねですが、意欲と能力のある農業者が創意工夫を生かした農業経営を展開できるよう、農業経営の規模の拡大や法人化を推進するなど農林水産業の構造改革を進めるということは、国際競争力のある産地の育成につながり、また農山漁村の新たなる可能性を切り開くものと私は考えております。
 構造改革と製造業の空洞化についてでありますが、私は、新規産業や雇用の創出、規制改革の推進によりまして、今コストが高いと言われます日本の産業、ある面において、この高コスト構造の是正や企業の創造的な事業活動を促し、国際的に魅力ある事業環境をある面においては創出する可能性が出てくるのではないか、またそれに期待しております。
 こういう、空洞化を導くという御懸念もありますが、逆に、今では考えられないような新たな産業への転換、今では不活発でありますが、こういう構造改革によって新しい産業の可能性ある発展に結びつけていきたいというふうに考えております。
 本日、私は、改組・強化した産業構造改革・雇用対策本部の本部長として、この問題につきましても、経済財政諮問会議の議論を踏まえつつ、新たな対応策を強力に推進していくよう努力を続けていきたいと思います。
 また、私の発言が、靖国の参拝とか集団自衛権とか憲法九条の問題をとらえまして、いつか来た道を開こうと考えているのではないかという御懸念ではありますが、私は、最初の総理大臣の記者会見でもはっきり言っているんですよ、二度と戦争を起こしてはいけないと。あの戦争の反省を踏まえてこの平和と繁栄を築いていかなきゃならない。そのために、いろいろ反省の点については御意見があると思いますが、私の考えるところ、国際社会から孤立したことがあの戦前、戦争へ行ってしまったんじゃないか、だから戦後は二度と国際社会から孤立してはいけない、国際協調の道を探りながら日本の役割を見出し、世界から信頼される国になっていくことによってこの平和と発展があるんじゃないかと。この考えには変わりありません。
 私は、戦没者の犠牲の上に立って今日の平和と発展がある、そういう気持ちから、あのとうとい命をささげた戦没者に対して真心から、今日の平和の礎を築いた方に敬意と感謝の真心をささげるために靖国神社に参拝するのがなぜいけないのか、これは理解に苦しみます。
 残余の質問については、関係大臣から答弁いたさせます。(拍手)
   〔国務大臣塩川正十郎君登壇、拍手〕
#20
○国務大臣(塩川正十郎君) 谷本さんから私に対する質問でございましたが、この大部分は先ほど総理から懇切丁寧に御説明されまして、大方理解をしていただいたと思うておるのでございますが、あえて財務大臣という立場から申し上げますならば、平成十四年度予算では国債の発行額を三十兆円ということで、一応限定して予算の編成をいたしたいということでございまして、そのためには、大変難しい状況が多々ございますし、困難なことではございますけれども、最近のように専ら国債に依存する財政構造になってはいかぬという一つの歯どめをする意味におきましても、ぜひ三十兆円というめどをつけて予算編成いたしたいと思っておりますが、これがために緊縮財政になってはいけませんので、景気刺激のため、あるいはまた景気回復のためには全力を挙げて予算の重点配分をして経済界に刺激を与えるような予算編成にいたしたいと思っております。
 それから、特定財源について公共事業の行き過ぎが言われる中で、環境対策の一般財源の有効活用を図れということでございまして、これはなかなか私はいい提言であったと思っておりますし、また、特定財源も成立いたしましてからもう三十数年になりますけれども、この間、特定財源としてそれなりの非常に重要な役割を果たしてまいりまして、目的を達成してきて、有効であったと思っております。
 しかしながら、最近の道路事情あるいは経済環境等いろいろ変わってまいりましたので、この特定財源の使途につきましてもさらにさらに広範囲にわたってもいいのではないかと思っておりますし、そういう意味におきまして、特定財源の今後の使用等について一層の妥当性を探っていきたいと思っておりまして、その意味において努力を続けていきたいと思っておる次第であります。
 以上であります。(拍手)
   〔国務大臣柳澤伯夫君登壇、拍手〕
#21
○国務大臣(柳澤伯夫君) 私に対しましては、債権放棄のあり方について企業のモラルハザードの観点からどう考えるか、こういうお尋ねでございました。
 御指摘がありましたように、私どもも債権放棄が安易に行われていいというようには全く考えておりません。
 今回、私どもが呼びかけさせていただいておりますオフバランス化、これは今回、小泉総理の御指示で最終処理という言葉を今後統一的に使うことにさせていただくわけでございますけれども、この最終処理には大別して三つの方途があるわけでございます。一つは、法律的な整理をする。第二番目に、私的な整理をする。この私的な整理の一環として債権放棄が行われるということになります。三つ目は、債権を売却する。
 こういうことでございますが、この私的な整理というようなものが何か最近の論調で大変クローズアップされたせいか、どのような状態の不良債権に対しても債権放棄によって私的な整理をするというかのような、そういう印象を国民の皆さんに与えておるとしたら、大変我々としては不本意だというふうに考えているわけでございます。
 定量的にどうかというのは問題ですけれども、定性的に申しますと基本はやっぱり法的整理なのでございまして、それではどういうときに債権放棄というような形が伴うこの私的な整理が行われるかと申しますと、それはその企業の持つ価値、これは企業価値と言うわけでございますけれども、その企業の持っている技能、あるいはのれんと申しますかブランドと申しますか、そういうようなものが散逸してしまうのは非常によくない、こういうようなことが考えられる企業に対して私的な整理を行ってその企業価値を維持しよう、こういうことでございまして、企業価値を維持するために私的な整理、債権放棄が不可欠である、こういうような債権にまず限定されなければならない、こういうことでございます。
 それから第二番目に、企業の厳しい自助努力による再建、先ほども谷本先生もおっしゃられた点でございますけれども、そういうようなものでなければならないわけで、これの中には当然企業経営者というものの存在もあるわけでございまして、そういうものを含めまして再建への道筋が確かな場合に限られるということでございまして、我々としてはそういう限定的な不良債権に対してこの方式が適用されるべきである、このように考えているということでございます。
 いずれにいたしましても、今回の緊急経済対策に盛り込まれました措置は構造改革を推進しようとするものでございまして、いやしくもその施策の活用が企業のモラルハザードを招くことなどというようなものがあってはならない、このように考えておりまして、私ども制度の運用に当たりましても、この点について十分留意をしてまいりたい、このように考えております。
 以上であります。(拍手)
#22
○議長(井上裕君) 答弁の補足があります。小泉内閣総理大臣。
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
#23
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 答弁漏れがありまして、申しわけございません。
 公正取引委員会についての御質問であります。
 公正取引委員会を旧郵政省をも統合した総務省のもとに置くことは、取り締まるものが取り締まられるものの下に置かれることとなり、これでは公正取引委員会にその役割を十分発揮することが期待できないのではないかという御質問だと思います。
 私は、非常にこの御質問、理解を持って聞いているんですよ。公正取引委員会は総務省の外局のままでも独立的機能を発揮し、競争政策の積極的展開を図っていくことができ得るものと考えますが、議員御指摘のような意見があることは私も十分承知しております。今後の検討課題の一つとして考えていきたいと思います。(拍手)
    ─────────────
#24
○議長(井上裕君) 小林元君。
   〔小林元君登壇、拍手〕
#25
○小林元君 私は、民主党・新緑風会を代表し、小泉総理の所信表明演説に対して、総理及び関係大臣に質問を行います。
 これまでの小泉総理の所信表明演説、各党の代表質問に対する総理の答弁を拝見しておりまして、小泉総理の改革の姿勢は我々の認識と一致しておりますが、総裁選で政策論争がなされたにもかかわらず、国民が期待した具体策がほとんど示されておりません。勇気を持って改革の中身を国民に明示をして、この国会で活発なる議論を展開しようではありませんか。
 本日、五月十一日は詩人萩原朔太郎の命日に当たります。彼は「猫町」という散文詩風の小説を残しています。その巻頭で、朔太郎は、「蝿を叩きつぶしたところで、蝿の「物そのもの」は死にはしない。単に蝿の現象をつぶしただけだ。」という、ドイツの哲学者ショーペンハウエルの言葉を引用しています。
 小泉内閣も自民党政治という現象をつぶして総裁になりました。自民党政治そのものは死んではいない状況にあると考えます。総理が主張する「新世紀維新」、「聖域なき構造改革」の内容を具体的に一日も早く国民に示していただきたい。国会の論議はイメージ合戦ではなくて、あくまで政策中心であります。政治家小泉総理の言葉で御答弁をいただきたいと思います。
 昨日の勝木議員の質問に対しまして、本会議や予算委員会、国家基本政策委員会に積極的に対応される、こういう答弁をいただきました。しかし、昨日午後、与党側から早くも、五月中は国家政策委員会の開催を見送りたい、そのような話がありました。足元から総理の答弁を踏みにじる自民党の動きについて、改めてお伺いをいたします。
 次に、本日のハンセン病判決について伺います。
 伝染性の弱い感染症なのに、国は強制隔離による絶滅政策をとり、社会に根強い恐怖心を植えつけました。今もなお、元患者の皆さんは、死してなおふるさとから拒否される事態が続いています。
 遅くとも一九六〇年以降、国家の重大な過ちで筆舌に尽くしがたい苛烈な人権侵害が行われたことが司法の場で認定をされました。また、一九六五年以降、憲法違反の法律をそのまま放置した私たち国会議員の立法不作為責任も認定されました。国会の責任も重大です。
 小泉総理、あなたは豊富な厚生大臣の経験もあります。ぜひ自分のお言葉でお答えをいただきたい。あなたはこのハンセン病の元患者に対する国の責任をどのように考えておられますか。また、元患者の皆さんたちの貴重な残された時間を考えれば、控訴などはすべきではないと思いますが、総理はどうお考えでしょうか。
 司法的解決は最終解決としては不十分です。今こそ政治が役割を果たし、社会から偏見を完全に除去し、元患者の皆さんのふるさとに帰りたいという叫びにこたえなければなりません。今後、国としてどのような人権回復のための措置をとられますか、お答えください。
 さらに、総理、元患者の皆さんたちが今回の判決を受けてぜひ厚生大臣と総理大臣にお会いして真情を訴えたいと希望しておられます。ぜひ、厚生大臣には会っていただけるように指示を出していただけませんか。また、総理御自身にも会っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、地方分権について伺います。
 昨年、分権一括法が施行され、分権改革はようやく緒についたばかりです。しかし、財源問題は先送りをされ、依然として国が権限と財源の多くを握り締め、陳情合戦に明け暮れ、地域が本来持っているエネルギーを枯渇させています。民主党は、結党以来、地方分権の旗を掲げてまいりました。私も地方自治に三十余年携わり、地方分権の推進は最重要課題と認識しております。
   〔議長退席、副議長着席〕
 すなわち、国のかたちを変える大胆な地方分権を進め、住民に身近なサービスは市町村が行い、そこで対応できない課題は広域行政が担う、そして中央政府は外交、防衛、福祉の水準など、国全体の共通性が求められる役割だけを担うこととする効率的でスリムな政府を目指すことです。
 地域を再興するため、権限と財源を地方へ移譲し、自治体と住民が権限と責任を持ち、みずから決定できる大胆な地方分権を行う必要があると考えています。私は、国と地方の財源配分が全く逆転していることは、憲法に定める地方自治の本旨にも反するのではないかと考えております。特に財源問題について、第一段階として、補助金は使途を限定しない一括交付金にする、第二段階としては、所得税の一定割合を自治体の自主的財源に移譲することを提案いたします。この提案にどうこたえるのか、総理の答弁をいただきます。
 さらには、そうした地方独自の財源確保や市町村合併が進む中で、将来的には道州制の導入を行い、国と地方の役割分担を見直し、国のかたちを分権型連邦国家へと変えることを目指したい。総理、道州制についてどのような御所見をお持ちでしょうか。
 次に、地域経済の問題についてお尋ねします。
 政府が失政を重ねたため、地方経済の疲弊は極めて深刻な状況に陥っています。失業者は増加し、新卒者にも厳しい状況が続いています。地域の商店街はシャッター通りと化しています。
 日本経済の再生には、不良債権の処理と同時に、日本経済の潜在力を生かす積極的な構造改革と新しい経済対策が不可欠であります。そのため、情報通信、環境、バイオ、介護等先端産業やサービス産業への移行が不可欠であり、こうした分野を重点とした戦略的な規制緩和を含め、雇用創出を図るべきではありませんか。総理の見解を伺います。
 また、NPOに対する支援税制の確立も不可欠であります。総理に実現を約束していただきたいと思います。
 個人保証の要らない事業者ローンの実現、商業施設と住宅が結びついた商住一体の町づくりの推進など、私たちの提案する中小企業政策にどう取り組むのか、総理の答弁を伺います。
 さらに、地域の下請企業が親企業から地位の乱用等による不当なしわ寄せを受けることがないように、下請代金支払遅延等防止法の改正を進めるべきです。総理の御答弁をいただきます。
 また、地域を支える農業を育てるために、農政の目標を食料自給率の向上と地域循環型農業の確立に努め、農業土木偏重から所得政策重視への転換を図り、環境保全のためにも多面的機能を持つ農業の振興、食の安全の確立に重点的に取り組むべきだと考えますが、総理の具体的な答弁を求めます。
 次に、教育問題に対する基本的姿勢についてお尋ねをします。
 今国会を教育国会と位置づけた森総理は退陣をされました。小泉総理も教育を最重要課題に位置づけますが、所信表明演説では教育改革の一言だけだったように思います。教育問題についてどのような認識を持ち、どのような教育改革を目指しているのでしょうか。これまで経済重視の成長路線に傾斜をして、教育改革に力を入れてこなかった長年の自民党政権に教育の危機的状況の原因と責任があると言わざるを得ません。
 総理が言われた長岡藩だけではなくて、米沢藩でもあるいは私の水戸藩でも、苦しいときにこそ教育に力を入れた先達がおりました。小泉総理の教育改革は森前総理と同じものですか。それとも、新しく小泉流教育改革を打ち出すおつもりがあるのか、またその中身についてお尋ねをいたします。
 森前総理は、教育改革国民会議に対し、教育基本法の根本的議論を求めました。余りの性急さに国民会議でさえ国家主義的な動きを危惧する声が上がり、教育基本法の改正の議論が国家至上主義的な考え方や全体主義になってはならないと歯どめがかかったところであります。小泉総理、どのような観点で見直しされるのか、お伺いいたします。
 次に、教育問題に関する重点施策の提案をしたいと思います。
 学校の第一の本分は基礎学力の定着です。民主党は、三十人学級法案を提出するなど、一貫して少人数学級の実現を目指してきました。学力低下や不登校に対応するには、何よりもわかる授業を実現することが先決です。少人数学級で一人一人の子供に目が届く教育を目指すべきであります。
 政府・与党の非協力的な態度により、我々の三十人学級法案は成立しませんでした。小泉総理、先進国並みの教育環境をつくるべきではありませんか。少人数学級の実現についての目標を示すべきだと思います。いつまでにおやりになりますか、総理、御答弁願います。
 さて、総理は自民党総裁選の公約において、大学の研究と経営に競争原理を導入すると掲げています。今、国立大学の独立行政法人化が文部科学省で検討されています。徹底的に競争原理を導入するのであれば、中途半端な法人化よりも、思い切って国立大学の民営化を目指すべきだとも言えます。総理、どのようにお考えでしょうか。
 産業競争力の強化に資する教育の充実も重要であります。スイスのある研究所が発表した二〇〇一年の世界競争力ランキングによると、かつて首位を占めた日本は、四十九カ国中二十六位に落ち込みました。起業家精神、大学教育においては、日本は残念ながら最下位であります。今こそ新しい技術を生み出し産業に貢献する、地域に根差した大学を育成することが急務であると考えます。この件について総理の御所見を求めます。
 次に、昨年九月の総理府の世論調査によれば、男性でも家事や地域活動に妻と参加し、仕事と両立させる、こういう考え方が仕事重視の考えを上回っています。
 しかし、実際には育児や介護の多くを女性が担っており、子育てなどで一度退職すると復帰が難しい。各人が能力を発揮し、男性も女性もともに仕事と家庭が両立できる環境を社会全体で整えることが重要であります。
 所信では、子育て支援の重要性をこれまでの歴代総理の中でぬきんでて強調されました。子育て支援には、保育所の整備、もう一つ大切な仕事と家庭の両立支援という大きな柱があります。
 この国会に政府は育児・介護休業改正法案を提出しています。内容を見ると、例えば病気の子供の看護休暇の請求権を規定しておらず、単なる努力義務にとどめているのは先進国中日本ただ一国だけであります。一体、政府は働く親と子供の切実な要望を真剣に考えているのか、甚だ疑問です。御答弁をいただきます。
 さて、選択的夫婦別姓に関する民法改正についてお尋ねします。
 民主党は、希望すれば夫婦が別々の姓を選択できる選択的夫婦別姓制度の導入と、子供自身に何の責任もない出生についてその子供が不利益をこうむらないよう、婚外子の相続差別をなくすことなどを内容とする民法改正法案を今国会にも野党共同で提案しております。小泉総理、この民法改正についてどのように考えておられますか。
 また、森山大臣、選択的夫婦別姓の実現に一生懸命取り組んでおられますが、先日の御答弁は余りにも消極的だったのではありませんか。大臣の答弁を求めます。
 先般、愛媛県立宇和島水産高校の実習船えひめ丸が米原潜に衝突され沈没した事件について、ファーゴ米海軍太平洋艦隊司令官はワドル前艦長に対する懲戒通告を行いました。刑事責任を問う軍法会議は開かれず、二カ月の減給処分など極めて軽い行政処分にとどまりました。遺族の方々は憤りをあらわにされております。
 今回の決定により、日本国民の米軍に対する不信が高まり、日米協力関係が損なわれることを深く憂慮しております。引き続き、米軍が徹底的な綱紀粛正を行い、厳格に説明責任を果たすように改めて要求しております。政府においても十分な対応をすべきだと考えております。
 次に、地球温暖化問題について伺います。
 米国は、地球温暖化防止のため世界の英知を結集した京都議定書からの離脱を表明し、世界的な非難を浴びています。米国の行動は裏切り行為であり、我が国政府はもっと反省を促すべきではありませんか。
 本院は、先月、京都議定書発効のための国際合意の実現に関する決議を採択しています。この決議を重く受けとめ、政府は米国に京都議定書に復帰するように説得する責務があるのではないでしょうか。小泉総理のお考えをお伺いします。
 川口環境大臣は、先月、訪米をして米国に働きかけました。説得に失敗をしております。いかにしてこの事態を打開するのでしょうか。具体的な方策を示してください。
 私たち民主党は、政策の党として、日夜、政策立案に汗を流し、議員立法の策定に取り組んでおります。既にこの国会には、民主党単独で、犯罪被害者法案、NPO支援税制法案、危険運転処罰法案などを提出しております。また、他の野党と共同して、三十人学級法案、夫婦別姓など民法改正法案などを提出しております。先日、鳩山代表が表明をした法案もただいま早急に準備中でございます。
 小泉内閣が新しい政治を目指すならば、野党の法案なら何もかも葬り去るというこれまでの独善的な与党の慣行を打ち破るべきではないでしょうか。議会制民主主義の健全な発展のために、政府提出法案も議員立法も対等に議論する政治を確立すべきと考えます。総理より御答弁をいただきます。
 私は、失われた十年の中のこの六年間、国会審議に真摯に参加してまいりました。残念ながら、言論の府の中で、良識の府の参議院において、政府・与党は少数意見に耳をかさず、数を頼んで審議を打ち切る、果ては強行採決をする。しばしば繰り返されました。憂慮にたえません。良識の府参議院の復権と民主主義の原点に立ち返るために、私は、民主党は努力することを表明し、質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
#26
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 小林議員にお答えいたします。
 私が主張する構造改革の具体的内容を早く示すべきであるという御指摘がありましたが、私はかなりはっきりと目標は既に示しております。ただ、具体的内容については、独断専行する気持ちは全くありません。私より知恵のある人がたくさんおられます。そういう方々の意見も聞きながら、今後具体策を提示していきたい。
 例えば、経済、財政の構造改革につきましては、六月を目途に経済財政諮問会議で基本方針を作成いたしますので、できたら民主党も建設的な御意見をいただき、賛成できることがあったら賛成していただければ大変ありがたいと思っております。
 国家基本政策委員会の開催についてでありますが、私は、本会議だろうが予算委員会だろうが党首討論の国家基本政策委員会だろうが、国会が決めればどこでも出ていきます。国会との、いろいろな運営がありますから、これは各党各会派で議論して決めていただきたい、そう思います。
 ハンセン病国家賠償請求訴訟についてのお尋ねがありました。
 本日の判決でありますので、内容を詳しく検討し、今後の対応を検討していきたいと思っております。
 なお、法的責任の有無とは別に、ハンセン病療養所入所者に対しては、らい予防法の廃止に関する法律等に基づき、入所者に対する医療、福祉等の措置を講ずるとともに、退所希望者に対する社会復帰準備支援事業等を行っておりまして、引き続き同法の趣旨に沿った措置を講じていきたいと思います。
 補助金の一括交付及び所得税の移譲についての御提案ですが、私も、この問題については、地方分権にかかわる大きな問題であります。統合補助金の一層の拡充を図る等、積極的に見直しが必要だと思っていますし、また、地方税財源問題については、地方分権を積極的に推進するとの方針のもとに、今後の国、地方の行財政制度のあり方の見直し、これも構造改革の一環でありますので、大事な取り組むべき課題だと思っております。
 道州制の導入ですが、これは、今急にということではありませんが、将来、広域的な行政を担う地方公共団体はどうあるべきかという中で必ず出てくる問題だと思います。私は、将来の問題として十分検討する価値のある問題だと思います。
 重点的、戦略的に規制緩和を進め、雇用創出を図るべきではないかとのお尋ねであります。
 競争力ある産業社会を実現するためには、新規産業や雇用の創出を促進するとともに、総合規制改革会議を有効に機能させ、経済社会の全般にわたる徹底的な規制改革を推進していきたいと思います。
 また、さきに取りまとめられました緊急経済対策で挙げられておりますIT分野、医療システム、保育・介護分野、循環型社会の構築については、新市場開拓に資する規制・制度改革として速やかに実行に移していきたいと思います。
 NPO法人に対する税制上の措置ですが、NPO法人の活動を支援するため、平成十三年度税制改正において、NPO法人のうち一定の要件を満たすものとして国税庁長官の認定を受けた法人に対する寄附について、寄附金控除等の税制上の優遇措置を講じたところであります。この制度の施行は本年十月であり、できるだけ多くのNPO法人にこの新たな制度を積極的に活用していただくことを期待しております。
 個人保証の要らない事業者ローン、商住一体の町づくりなど、中小企業政策についてのお尋ねがありました。
 融資に当たって経営者の個人保証をとるか否かは基本的には各金融機関の経営判断に基づくものでありますが、政府としては、金融機関が過度に担保等に依存せず、中小企業に対して信用力に応じた与信を行いやすくするため、信用リスク情報の整備などに取り組んでまいります。
 また、商住一体の町づくりについては、中心市街地活性化法に基づき、人が住み、育ち、学び、働き、交流する生活空間としての中心市街地の活性化を図ることとしており、関係省庁が連携してその推進を図っているところであります。
 今後とも、新しい成長分野の担い手であり、地域経済の活性化の牽引力でもある中小企業の元気が出るよう、中小企業政策の推進に努力してまいります。
 下請法を改正すべきとの御質問ですが、下請法は親事業者が下請事業者に対して下請代金の支払い遅延、不当な買いたたき等の行為をすることを禁止しており、公正取引委員会及び中小企業庁において下請法違反に対して厳正に対処しているところです。経済情勢の変化等に応じ、法規定が妥当なものかどうかは常に検討していくべきと考えますが、下請事業者が親事業者から不当なしわ寄せを受けることがないように、今後とも下請法の厳正な運用に努めてまいりたいと思います。
 農政の転換についてでありますが、安全で良質な食料を安定的に供給するため、食料自給率の向上を基本とし、重点的、効率的な農業生産基盤の整備に努める一方、意欲と能力のある農業者が創意工夫を生かした経営が展開できるよう、農林水産業の構造改革も進めてまいります。
 さらに、環境と調和した農業生産を確保するため、農薬、肥料の適正な使用や有機物の循環利用の促進を図り、循環型社会の実現を目指していきたいと思います。
 教育改革についてでありますが、森内閣においては、今国会を教育改革国会と位置づけ、本格的な教育改革に取り組んできたところであります。
 私も、教育全般についてさまざまな問題が生じている今日、日本人としての誇りと自覚を持ち、新たなる国づくりを担う人材を育てるための教育改革に取り組むことは極めて重要と認識しております。私は、所信表明演説において米百俵の精神を述べましたが、この精神は教育においても重要な指針となるべきものと考えております。
 教育改革を具体的に進めていくためには、知識に偏重した教育ではなく、バランスのとれた全人教育を推進するとともに、今国会に提出している教育改革関連法案の成立、また教育基本法の見直しなどに全力を挙げて取り組んでまいります。
 教育基本法についてのお尋ねでありますが、さきの教育改革国民会議の最終報告においては、新しい時代の教育基本法を考える際の観点として、新しい時代を生きる日本人の育成、伝統、文化など次代に継承すべきものの尊重、教育振興基本計画の策定等を規定することの三点が示されたところであります。
 私としては、教育基本法の見直しについては、教育改革国民会議の最終報告を踏まえ、中央教育審議会等で幅広く国民的な議論を深め、しっかりと取り組んで成果を得てまいりたいと考えます。
 三十人学級などの少人数学級の実現についてですが、教職員定数の改善については、学級編制の標準を一律に引き下げるのではなく、子供たちの基礎学力の向上ときめ細かな指導のため、教科等に応じて、既に、二十人程度の少人数指導を行うなど、学校の主体的な取り組みを支援するという観点に立った新しい改善計画を今国会においてお認めいただき、平成十三年度からスタートいたしました。政府としては、この計画の着実な推進に努めてまいります。(発言する者多し)
#27
○副議長(菅野久光君) 静粛に願います。
#28
○内閣総理大臣(小泉純一郎君)(続) 国立大学のあり方についてでありますが、現在、政府は国立大学の独立行政法人化の問題について検討を進めておりますが、大学の教育研究の一層の活性化を目指し、競争原理の導入を含め、改革のためのいろいろな可能性を検討してまいりたいと思います。
 なお、議員は思い切って国立大学の民営化を目指すべきだという御指摘でありますが、私はこれには賛成であります。国立大学でも民営化できるところは民営化する、地方に譲るべきものは地方に譲るという、こういう視点が大事だというように私は思っております。
 産業競争力の強化に資する大学教育についてですが、我が国の国際競争力を高めるためにも大学の役割は極めて重要であります。このため、評価に基づく重点的予算配分など、各大学間の競争的環境を醸成するとともに、地域社会や産業界との連携、交流等を促進し、積極的に経済社会に貢献できる大学づくりを進めていきたいと思います。
 病気の子供の看護休暇についてでありますが、仕事と子育ての両立ができますよう子供の看護休暇制度の導入を促進するため、現在の普及率が相当低いことを勘案し、今国会に提出している育児・介護休業法改正法案にこれを努力義務の形で盛り込んでおります。法が成立した暁には、この規定に基づいて、より多くの企業で制度が導入されるよう、啓発、指導を積極的に展開してまいります。
 選択的別姓や嫡出でない子の相続分の問題についてですが、これらの問題は、婚姻制度や家族のあり方と関連する重要な問題でありまして、現在、国民の間でも意見が分かれております。国民各層の御意見を幅広く聞き、また、各方面における議論の推移を踏まえながら対処していく必要があるのではないかと考えます。
 えひめ丸事故に対する政府の対応でございますが、本件事故についてはアメリカ政府はあらゆる面での責任を認めておりまして、また審問委員会における公開の審議を経て、今回の司令官による処罰によりワドル前艦長は有罪とされました。
 この事故は極めて遺憾な事故でありまして、アメリカ側は既に航行への関与の制限を勧告する等、民間人乗船プログラムの見直しを指示しており、今後ともアメリカ側が再発防止に取り組んでいくことを強く期待しております。
 また、アメリカ側が御家族の気持ちを重く受けとめ、えひめ丸の引き揚げ、補償等の残された重要な課題についても引き続き誠実に取り組むことを日本政府は求めていきたいと思います。
 京都議定書に関するお尋ねですが、二〇〇二年までの京都議定書の発効を目指して、我が国は京都議定書を関係国が締結することが可能となるよう、七月のCOP6再開会合の成功に向けて全力を尽くしております。
 その際には、地球規模での温室効果ガスの削減の実効性を確保するために米国が京都議定書を締結することが極めて重要であると考えておりますので、仮に米国が説得に応じない場合についての質問がありましたが、政府としては、まずは京都議定書の発効に向けた交渉に米国側が建設的に参加するよう、あらゆる機会を活用して働きかけていきたいと思います。
 小泉内閣が新しい政治を目指すならば、野党の法案も何もかも葬り去るような考えは持つべきでないという御指摘ですが、そのとおりであると思います。内容が共鳴できれば、与野党の区別なく、野党も与党の法案に賛成していただきたいし、与党も野党の法案がよければ賛成する、これは一つのあるべき姿だと思いまして、今後とも与野党の建設的な議論を期待しております。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣森山眞弓君登壇、拍手〕
#29
○国務大臣(森山眞弓君) 小林議員から、特に私に対して選択的夫婦別姓についての御質問がございました。
 価値観が多様化いたしました今日、自分がなれ親しんだ姓を結婚後もずっと持ち続けたいと思う人がふえていると思われます。また、少子化が進みまして一人っ子同士の結婚というのも少なくございませんし、そのような現実から、別姓を選びたいという男女、また選んでほしいという親御さんたちも少なくございません。
 特に、女性が職業を持つことが普通になりまして、今の制度では、結婚届をいたしますと名前を変えなければならないことの多い女性が職業上不利をこうむるというのは大変困るというふうに私は思っております。私自身はそんな考えでありますので、希望する人が別姓を選択できる制度をつくることがよいというふうに考え、いろいろの場でそのような意見を表明してまいりました。
 しかし、他方で、反対される方も少なくないということも承知しております。法務大臣の立場で法改正のアクションを起こしますことは、私の、個人ならそう思うというだけでは十分ではございません。それで、近く世論調査もいたしますし、関係方面での一層の議論を期待しておりますし、特に国会における議論が一層深められますことを願っている次第でございます。
 そのような趣旨のことを先日の衆議院の本会議で御答弁申し上げたのでございまして、どうぞ御理解をいただきたいと存じます。(拍手)
   〔国務大臣川口順子君登壇、拍手〕
#30
○国務大臣(川口順子君) 京都議定書につきまして、アメリカが不支持の表明をしたことについてのアメリカへの働きかけについての御質問がございました。
 アメリカは、閣僚レベルで現在真剣に対応の議論をいたしておりまして、その結果を踏まえまして地球温暖化対策についてどのようなことができるか取り組む意向であるというふうに私は承知をいたしております。
 私は、先般、米国を訪問いたしましたときに、我が国の強い懸念を伝えました。それから、国会の決議につきましてもきちんと説明をしてまいりました。米国は、日本の説得に対しましてそれに真摯に耳を傾け、日本の懸念については理解をしたというふうに言っておりました。
 先ほど小林議員が説得に失敗をしたという言葉を使われたというふうに記憶をいたしておりますけれども、ひょっとして小林議員は、説得は一回で済むというお考えをお持ちでいらっしゃるのでしょうか。説得に対して直ちに結果が出ないからといって、これは失敗したとあきらめるべきものではなくて、何度も繰り返して説得をするというふうに私はするべきものだと考えております。
 日本といたしましては、引き続きありとあらゆる場をとらえまして、他の国々と連携をいたしまして粘り強く米国に対しては説得をしていきたいというふうに考えております。
 環境行政には大変に御造詣の深い小林議員でいらっしゃいますので、小林議員を初めといたしまして、参議院の議員の皆様方に引き続き米国への説得については御協力、御支援をいただければ私といたしましては大変に幸いでございます。(拍手)
#31
○副議長(菅野久光君) 答弁の補足があります。小泉内閣総理大臣。
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
#32
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 答弁漏れがございましたので補足させていただきます。
 ハンセン病元患者の皆さんたちが、今回の判決を受けて、ぜひ厚生大臣と総理大臣にお会いしたいという話でございますので、厚生大臣と相談して前向きに検討していきたい、そう思います。(拍手)
    ─────────────
#33
○副議長(菅野久光君) 月原茂皓君。
   〔月原茂皓君登壇、拍手〕
#34
○月原茂皓君 私は、自由民主党・保守党を代表して、小泉内閣総理大臣の所信表明に対し質問をいたします。
 小泉新総理は、このたびの首班指名において、堂々の支持を得られて内閣総理大臣に就任されました。まず、心からお祝い申し上げます。また、保守党は、連立与党の一翼を担う立場から全力で小泉内閣を支え、政策合意の実現に取り組む決意であります。
 保守党は、二十一世紀日本を個人の自立と家族のきずな、地域社会の支え合い、日本の文化、伝統を大切にし、フリー、フェア、オープンな国とする国づくりを目指し、このため、守るべきものは断固として守り、変えるべきものは敢然として変えるを基本として、あらゆる分野での改革を実行し、日本を立て直すことを党是としております。
 景気回復、雇用と生活を守る、財政再建、日本人としての自覚を持った青少年を育てるための教育基本法の見直し、国家公務員を十年間で二五%削減するなど、徹底した行政改革を断行し、小さな政府の実現、社会保障制度を安定化させ、国民の老後の不安を解消する、二十一世紀の早い時期に国家百年の国づくりの根幹となる新しい憲法の制定を目指しております。
 そこで、焦点を絞って総理大臣にお伺いしたいと思います。
 警察予備隊の発足から五十年、日本の防衛に第一義的な責任を持ち、大規模災害、PKOを初め国際協力に活躍しているのが自衛隊・防衛庁であります。
 我が国の平和と独立を守る自衛隊の使命を自覚し、事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に務めると宣誓し、その隊員が二十九万勤務しているわけであります。年間五兆円の予算を執行しているのが自衛隊・防衛庁であります。
 防衛庁の省昇格については、署名活動も活発に行われております。保守党は全力を傾注しております。防衛庁をエージェンシーのままに置くことを喜ぶのは、自国に誇りを持たず、独立の気概もない、他国の顔色をうかがう人々であります。力や恫喝にひれ伏す日本を望む国家であります。
 議論は尽くされました。二十一世紀初頭、今や決断あるのみです。自衛隊に対して、憲法違反であるとかそうでないと議論されておる方が失礼だと記者会見で総理は述べられました。また、総理は、防衛大学校の卒業式にも出られ、若い隊員の方々とも歓談をされておる、そういう機会が多いわけであります。そのような総理が、この省昇格問題についてどのようにお考えであるか、答弁願いたいと思います。また、保守党党首扇大臣にもその決意をお伺いしたいと思います。
 総理は、初めての記者会見で、国益に一番大事なのは日米の友好だ、日本近海で共同活動をしている米軍が攻撃を受けたとき、日本が何もしないことができるのか、すぐ憲法解釈を変えろということではないが、あらゆる事態を研究する必要があると述べられ、また、その後も一貫してその態度を示されております。
 我が国が主権国家として集団的自衛権を有していることは、国連憲章、日本国との平和条約、日米安全保障条約でも明らかであります。我が国は、自由と民主主義を掲げる米国と同盟を結んだのは、東西両陣営の軍事的対峙の状況下では当然の流れであったわけであります。
 今や冷戦は終結し、PKO等、国連による平和協力はもとより、地域の安定確保のために努力することは国際社会の中で当然のこととなってきております。国際情勢の変化を踏まえれば、例えば、我が国の平和と安全に直接影響を与えるような場合に、同盟国である米軍支援のため、集団的自衛権を行使するという選択肢を持つことは当たり前のことだと私は思います。より広範な政策オプションを持つことによって、主権国家として自立的に判断ができるようにしておくことが米国との同盟関係の維持発展、またこの地域の安定化にも資するものと考えるわけであります。
 政府は、集団的自衛権は行使できないとの解釈を繰り返しされております。政府による有権解釈には限界があるのかもしれません。しかし、先ほどのケースは研究の対象と思います。すぐれて政治性を持つ事項の憲法解釈は、国権の最高機関たる国会が行うべきもので、安全保障基本法とかあるいは国会決議等の方法で立法府が判断を示す方法もあり得ると考えますが、与党・自民党の総裁たる内閣総理大臣の見解をお伺いしたいと思います。
 我が国憲法は有事を想定しておりません。有事に自衛隊が任務を遂行できるよう法を整備しておくこと、そのもとで平時に訓練をしておくことは大切なことであります。法に欠落があると、有事に法は眠るという言葉がありますが、いわゆる超法規となるわけでありまして、法の支配する民主主義国家では許されないことであります。
 与党三党は、昨年三月、第一分類、第二分類を中心に、新しい事態を含めた緊急事態法制としての法制化を目指した検討を開始するよう申し入れ、さきの森内閣は施政方針演説で検討に着手すると表明、官房副長官のもとで五月にも検討チームが発足予定であると聞いております。また、小泉総理は、中谷防衛庁長官に検討を始めるよう指示されました。今後の手順と法制化のめどについて総理にお伺いしたいと思います。
 こうした有事の法整備に加えて、平時についても、不審船や他国の工作員の侵入に対応できる体制を整えることも検討が急がれるわけであります。いわゆる領域警備の問題であります。不審船事案の後、政府はこれまでにどのような措置を講じてきたのか、法制化も含めて、現在の検討状況を総理にお伺いします。
 今回の緊急経済対策では、不良債権問題を単に金融機関内部の経理上の問題としてではなくて、日本経済や社会全体の再活性化のための重要な課題と位置づけております。四十兆円にも上る規模の不良債権問題を、借り手側の企業や産業も含めた日本経済全体の総合的な観点から取り組んでいくことを示しております。まさに画期的な対策であると考えます。
 他方で、不良債権問題への取り組みが借り手企業や産業の再生をも含むので、今後は、企業のリストラに伴うさまざまな問題、すなわち雇用とか関連中小企業あるいは地方の金融機関も含め、地域に与える影響に対して従来以上にきめの細やかな対応が求められると思います。総理のリーダーシップのもと、内閣が一丸となって総合的な視野から取り組むべきだと考えますが、総理の決意をお伺いしたいと思います。
 また、不良債権問題解決の中心が債権放棄であります。これまでのような安易な債権放棄は許されず、借り手企業や産業の再生を伴うものでなければならないと思います。徳政令や問題先送りとなってはいけないと思うのであります。ガイドラインを策定するに際しても、真に日本経済の構造改革に資するとともに、責任を明確にする視点が重要と考えますが、総理の見解をお伺いしたいと思います。
 銀行の株式保有制限と株式取得機構、証券市場の活性化のための諸制度改革は、いずれも緊急経済対策の主要な柱であります。株価動向に左右されない銀行経営の確立、これを通じた我が国金融機能の向上を図るためには緊急性を要するテーマであります。
 本年九月末中間決算から時価会計の導入が銀行を含めた上場企業に義務づけられております。健全な金融システムの維持及び株式市場への異常な売り圧力の緩和のためにも、これらの対策を遅くとも九月までに具体化を図る必要があると思います。既に総理も答弁されておりますが、できるだけ早くこの問題に着手していただきたい。このことをお願いし、また総理の決意をお伺いしたいと思います。
 構造改革を実施する過程で非効率な部門の淘汰が生じ、社会の中に痛みを伴う事態が生じることもあるとの認識は、そのとおりであります。声高に改革を語る人は痛みを伴うグループではありません。痛みを受けるのは日々を誠実に生きている名もなき人であります。また、住宅ローン返済や教育費用の最も重い世代に集中する可能性もあるわけであります。きょうはとうとう首になったよと家族に伝えるとき、罪のない家族はどんなに嘆くでしょうか。
 米国社会は日本社会と背景が異なります。例えば、景気や雇用の調整に利用されるレイオフになれていること、エンジェル税制等に代表されるように、リスクマネーが入りやすい証券市場が存在しております。シリコンバレーやスタンフォード大学が世界最大のベンチャー企業製造機関と言われることに見られるように、産学協同システムや起業家精神といったものが素地にあるわけであります。
 一方、我が国は現在いまだ終身雇用を誇り、リストラ経験が比較的少なく、ましてデフレ下の失業は初めての体験であります。ある自動車会社は徹底したリストラで業績を急回復したと聞いておりますが、日本の会社全体が同じ動きをすれば、合成の誤謬によって失業が大量発生する懸念があります。五十万から百三十万人の失業者が新たに発生するおそれがあるとの見方もあるほどであります。
 このようなことを考えれば、新規産業や雇用の創出を目的として、規制緩和などのよほどの努力がなければ失業の発生を上回って雇用を確保することは困難であります。少なくとも、失業の発生と雇用の創出の間にタイムラグが生ずるわけであります。
 経済は国民のためにあります。この世の中で、働く意思と能力があるのに職場が与えられないということくらい不幸なことはありません。また、家族にとっても不幸なことであります。この問題の解決に本当に役立つ施策の具体的内容が問われていると思います。例えば、ヨーロッパ諸国、殊にオランダで成功を見たワークシェアリングの問題、あるいは二千万人の貧困家庭の子女の大学教育学資を貸与する一方で、卒業後二年間公職に従事すればその返済を免除したというクリントン大統領の施策など、こういうものは私は研究の価値があると思っております。
 以上を踏まえますと、能力開発、失業時のシビルミニマム、離職者の再就職支援等、雇用面での不安を解消する万全のセーフティーネットをつくることこそが小泉内閣の命運を決めると私は思っております。直ちにかつ集中的に取り組むことが喫緊の課題と思いますが、総理のお考えをお伺いしたいと思います。
 消費が伸びない原因に、雇用不安のほかに老後の生活不安があります。社会保障の三本柱である年金、医療、介護について、安心できる制度の再構築を決意されました。基礎年金の国庫負担、二分の一に引き上げることも法で約束されております。社会保障の再構築に際して、この分野だけで負担と給付の採算性を検討したのでは、少子高齢化の進む状況では財源不足となるのは当たり前のことであります。財源の確保を増税に安易に結びつけるのではなく、まさに聖域なき思い切った行財政改革によって財源を見出す努力こそが、またそれを総理も強調されておりますが、まず問われるのではないでしょうか。改めて総理のお考えをお伺いするものであります。
 次に、政策決定過程における政党と内閣の関係についてであります。
 議院内閣制のもとでは、政策責任の所在、政策の整合性は総理のリーダーシップに負うところが大きいのであります。私がさきの予算委員会で緊急経済対策に対する経済財政諮問会議の扱いについて指摘したのもこのような視点からであります。政策決定における政党と内閣のそれぞれの役割と責任を明確にすべきと考えますが、中央省庁改編によって内閣機能が強化されたことも踏まえ、総理のお考えをお伺いします。
 チェンジ、変えてくれの一言にさまざまな望みを託した人々によって小泉内閣が生まれたと言っても過言ではないと思います。これからは決断と実行です。クールヘッド・アンド・ウオームハートという言葉がありますが、どうかそういう心も持って対処願いたいと思います。
 保守党は、日本が希望に満ちあふれた未来を創造するために、与党の一員としてともに邁進する決意を表明して、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
#35
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 月原議員にお答えいたします。
 まず、力強い激励をいただき、ありがとうございます。
 防衛庁の省移行についてでありますが、これは御指摘のとおり、いざというときに命を捨てる覚悟で厳しい訓練を行っております自衛隊に対しては、政治としても、国民が敬意を持って接することができるような環境を整えることは大変大事なことだと思っております。省移行については、このような点を踏まえまして、国民の十分な理解が得られる形で議論が尽くされるということも大事でありまして、そういう議論の熟成をもうしばらく待ってみたいと思います。
 集団的自衛権と立法府の判断についてでありますが、これはいろいろ前からの質問でも答弁しておりますが、いろいろ憲法の解釈によっても、この五十年間の動きを見ますと変わってまいりました。あるときは、もう自衛隊の存在すら憲法違反であるという考えを持っていた方も、最近では合憲として認めようじゃないかという議論も出てきております。
 しかし、集団自衛権については、当然憲法第九条との密接なかかわりがございます。しかも、この五十年余にわたる国会での議論の積み重ねというものも我々は重視したいと思います。そういう意味から、今までの解釈の変更について十分に慎重でなければならないと私は思っております。
 他方、憲法に関する問題については、幅広い議論が今行われていますし、世の中の変化というものもございます。集団自衛権の問題につきましても、さまざまな角度から研究してもいいのではないかなと思っております。
 有事法制検討の今後の手順と法制化の目途についてでございますが、治にいて乱を忘れずと、まさに平和なときこそ、平時のときこそ、いざという非常時のときを考えなきゃならないということは、政治において一番大事なことでもあると思います。この問題については、内閣官房を中心に関係省庁の連携、協力を得て準備的な検討を十分に行う必要がございます。具体的な法制化の目途等の問題については、今後の検討の状況を踏まえつつ、適切に判断していきたいと思います。
 平時における不審船や他国の工作員の侵入への対応についてでございますが、政府としては、能登半島沖不審船事案の教訓も踏まえ、不審船や他国の工作員等の侵入事案に自衛隊や警察機関が有効に対処できるよう、対応能力を強化するとともに、自衛隊と警察機関との間で不審船対処のためのマニュアルの策定や工作員への対処を想定した治安出動に関する協定の見直しを行うといった取り組みを進めているところでございます。
 さらに、こうした現行法制度のもとにおける対応の強化に加え、自衛隊や警察機関がより有効に対処できるよう所要の法整備についても検討を進めているところであり、今後とも万全を期していきたいと思います。
 不良債権の処理についてでありますが、これは我が内閣におきましても、日本経済の再生のため、最終処理を最も重要な課題の一つととらえております。
 構造改革を実施する過程で、当然、失業等社会の中に痛みが伴う事態が生じるということは考えられますので、このため、御指摘のような雇用面での不安を解消する施策の拡充、中小企業に対する金融面での対応を講じ、万全を期してまいりたいと思います。
 債権放棄のあり方とガイドラインの策定についてですが、一般的に、安易な債権放棄により構造改革がおくれることがあってはならないことは当然のことと思っております。お尋ねのガイドラインは、民間の関係者が主体となって策定されるものであり、企業の再建に伴う債権放棄に関して関係者間の調整の手続を定めるものでありますが、安易な債権放棄が行われないためにも、公正な調整の手続が定められることが必要であると考えております。
 銀行の株式保有制限と株式取得機構、証券市場活性化のための制度改革についてですが、銀行の株式保有制限と株式買い取りスキームについては、金融システムの安定化と市場メカニズムとの調和を念頭に具体策を講じてまいります。本件については、多岐にわたる検討が必要であるため、今国会中の法整備について時間的に厳しい状況にあることは事実でありますが、緊急経済対策にあるとおり、できるだけ速やかに成案を得るため、検討を進めていきたいと思います。
 また、証券市場の制度改革につきましても、その活性化のため、各般の構造改革を短期間に断行していきたいと思います。
 雇用面でのセーフティーネットづくりについてのお尋ねがございました。
 緊急経済対策においては、中高年の離職者を雇い入れた事業主に対する支援の拡充措置の延長など、雇用面のセーフティーネットを整備するための施策を盛り込み、その効果的実施に取り組んでいるところであります。本日設置されました産業構造改革・雇用対策本部において、経済財政諮問会議に置かれた雇用拡大に関する専門調査会と連携を図るなど、民間有識者の御意見も伺いながら、早急に産業の構造改革と新規雇用の創出、能力開発支援等の対応策を検討してまいります。
 社会保障についてでございますが、これはたびたびお答えしておりますように、このままの状況でいきますと、少子高齢社会を迎えまして制度の維持が困難になってまいります。そういうことを考えまして、世代間の公平な給付と負担の均衡、これをどう図っていくか。そして、引き続き、二十一世紀の社会におきましても、年金と医療と介護というのは社会保障の三本柱でありますので、これが持続可能な制度として支え合っていけるような共助の社会をつくるための改革を積極的に行っていきたいと思います。
 内閣機能の強化を踏まえた政党と内閣の関係についてでありますが、今般の中央省庁改革において、総理大臣の発議権の明確化、内閣府の設置等、内閣機能が強化されたことにより、内閣及びその首長である内閣総理大臣が、国政運営上、行政各部に対する指導性をより一層発揮できる体制が整備されました。こうした仕組みを活用しながら、政府・与党一体となって政治主導の政策決定を進めていきたいと思います。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。
 どうもありがとうございます。(拍手)
   〔国務大臣扇千景君登壇、拍手〕
#36
○国務大臣(扇千景君) 保守党党首として、防衛庁の省昇格についてのお尋ねがございました。
 御存じのように、保守党は、結党以来、防衛庁の省昇格の実現を求めており、これは国民に公約として宣言しております。
 言うまでもなく、国の平和と独立を確保して国民の生命と財産を守ることは、国家として最も重要なことでございますし、また責任もございます。このために、世界の各国ではこれを担う組織を国の基本的事務を分担する省として位置づけて、その使命を迅速に果たせる体制を整えております。しかしながら、我が国においては、中央省庁の再編が本年、ことしの一月からスタートしたにもかかわらず、防衛庁は依然として庁のままでございます。阪神・淡路大震災、六年前、それから昨年も有珠山、三宅島、神津島、新島、多くの、また名古屋の水害、鳥取地震、芸予地震等々、それらの国家の重大な危機に際しての自衛隊の活動は、国民の認識と期待は高まっておりますので、庁のままでは、内閣府が所管する多くの事務と同様、手続を必要として、国民の期待に迅速にこたえることはできません。
 国民の安全、安心のために命を賭して働く自衛隊員を認知することは常識だと思います。なぜ庁でなければいけないのかは、むしろ国民が理解されないことだと思います。
 防衛庁の省昇格を実現し、国家としての崇高な任務を担う自衛隊員の士気を高揚する。そしてこの重要な組織が、大臣としてみずから閣議を求め、予算を要求し、省令の制定を可能にするなど、危機に対して万全の体制を整えるべきであると考えております。(拍手)
#37
○副議長(菅野久光君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時四分散会

ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト