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2001/06/13 第151回国会 参議院 参議院会議録情報 第151回国会 本会議 第31号
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2001/06/13 第151回国会 参議院

参議院会議録情報 第151回国会 本会議 第31号

#1
第151回国会 本会議 第31号
平成十三年六月十三日(水曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第三十一号
  平成十三年六月十三日
   午前十時開議
 第一 二千一年の国際コーヒー協定の締結につ
  いて承認を求めるの件(衆議院送付)
 第二 文化交流に関する日本国政府とロシア連
  邦政府との間の協定の締結について承認を求
  めるの件(衆議院送付)
 第三 税関手続の簡易化及び調和に関する国際
  規約の改正議定書の締結について承認を求め
  るの件(衆議院送付)
 第四 道路交通法の一部を改正する法律案(内
  閣提出、衆議院送付)
 第五 自動車運転代行業の業務の適正化に関す
  る法律案(内閣提出、衆議院送付)
 第六 債権管理回収業に関する特別措置法の一
  部を改正する法律案(衆議院提出)
 第七 石油の安定的な供給の確保のための石油
  備蓄法等の一部を改正する等の法律案(内閣
  提出、衆議院送付)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、行政機関が行う政策の評価に関する法律案
  (趣旨説明)
 一、確定拠出年金法案(趣旨説明)
 以下 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(井上裕君) これより会議を開きます。
 この際、日程に追加して、
 行政機関が行う政策の評価に関する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(井上裕君) 御異議ないと認めます。片山総務大臣。
   〔国務大臣片山虎之助君登壇、拍手〕
#5
○国務大臣(片山虎之助君) 行政機関が行う政策の評価に関する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
 中央省庁等改革の大きな柱の一つとして、本年一月の中央省庁再編にあわせ、新たに政策評価制度が全政府的に導入されたところであります。
 政策評価制度は、政策について、常にその効果を点検し、不断の見直しや改善を加えていくことで、効率的で質の高い行政及び成果重視の行政を推進するものであり、同制度に対しては国民各界各層から強い期待と関心とが寄せられているところであります。
 このような中で、政府は、本制度の実効性を高め、これに対する国民の信頼を一層向上させる観点から、その法制化について検討を進めてきたところでありますが、このたび、行政機関が行う政策の評価に関する法律案を取りまとめ、御提案することとなったものであります。
 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
 この法律案は、行政機関が行う政策の評価に関する基本的事項等を定めることにより、政策の評価の客観的かつ厳格な実施を推進し、その結果の政策への適切な反映を図るとともに、政策の評価に関する情報を公表し、もって効果的かつ効率的な行政の推進に資するとともに、政府の有するその諸活動について国民に説明する責務が全うされるようにすることを目的とするものであります。
 この法律案の要点は、第一に、各行政機関が、みずからの所掌に係る政策について、適時に、その効果を把握して、必要性、効率性、有効性等の観点から評価を実施し、その結果を当該政策に適切に反映することとするものであります。また、評価の実施に当たっては、合理的な手法を用い、政策の特性に応じて学識経験を有する者の知見を活用することとしております。
 第二に、政策評価の客観的かつ厳格な実施を確保するとともに国民に対する説明責務を全うするために、政府全体の政策評価に関する基本方針を策定し公表するとともに、各行政機関が中期的な基本計画と一年ごとの実施計画を策定し公表することとしており、また、政策評価の結果については、過程に関する情報も含めた評価書を作成し、インターネット等により公表することとしております。さらに、政策評価の統一性、総合性及び一層厳格な客観性を確保する観点から、総務省が各行政機関の政策について評価し、勧告等を行うこととしております。
 この法律案は、一部を除き平成十四年四月一日から施行することとしております。
 なお、行政機関が行う政策の評価に関する法律案は、衆議院において一部修正されており、その内容は、政府は、この法律の施行後三年を経過した場合において、この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすることであります。
 以上が行政機関が行う政策の評価に関する法律案の趣旨であります。(拍手)
    ─────────────
#6
○議長(井上裕君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。浅尾慶一郎君。
   〔浅尾慶一郎君登壇、拍手〕
#7
○浅尾慶一郎君 私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいまの政府提出に係る行政機関が行う政策の評価に関する法律案について、関係大臣に質問いたします。
 質問に入ります前に、大阪教育大学附属池田小学校における痛ましい事件について、被害に遭われた児童、御家族、御遺族並びに関係者の皆様に対して心からのお悔やみとお見舞いを申し上げたいと存じます。
 さて、本法律案は、中央省庁等改革基本法に係る国会における附帯決議に基づいて内閣より提出されたものであり、政府の政策評価の客観的かつ厳格な実施を通して、その結果の政策への適切な反映を図ることにより、効果的かつ効率的な行政の推進を目指すものであり、民主党の重点政策の一つである財政構造改革とその方向性を同じくするものとして、一定の評価をしています。
 しかし、改革とはかけ声ばかりであって、その実態は看板のかけかえにすぎなかったという声が、この永田町、霞が関かいわいで少なからず聞こえております。また、仏をつくって魂入れずがごとく、せっかく法律や制度をつくっても、その後の運用が不十分であるがために、予算や人員がむだになっているということもよく耳にする話です。
 そこで、私は、今回の法律案による政策評価制度が、単なる看板のかけかえにすぎないものなのか、あるいは制度ができ上がったら政府内で十分活用していただけるのかという二つの観点から質問をさせていただきたいと思います。
 まず、今回の法律案による政策評価制度については、法律案に目を通しましたところ、従来から行われていた旧総務庁の行政監察制度、これの名称を変えただけ、すなわち看板をかけかえただけではないかという疑問を私は抱いております。
 従来の行政監察制度は、旧総務庁が各省庁の行政を客観的に評価し、勧告や報告書の形で国民の前に明らかにすることにより、行政の有効性や効率性を確保しようとするものでした。
 もちろん、そうした行政監察制度の趣旨は高く評価されるところですが、問題はその実効性にありました。すなわち、せっかく行政監察の勧告なり報告書が公表されても、そこに政府を拘束する法的な効力がなかったものですから、言いっ放し、やりっ放しの監察となり、しり抜け監察とやゆされるような実態であったわけです。
 今回の行政評価制度が、その実態においてやはりしり抜けのものであっては、行政監察の名前を変えただけであり、まさに看板のかけかえにすぎないことになり、大変残念な制度であると言わざるを得ないことになります。
 そこで、総務大臣にお伺いをいたします。
 総務省としては、従来の行政監察制度の問題点をどのように把握されていたのでしょうか。そして、どのような反省に立って、どこをどのように改善したのが今回の政策評価制度なんでありましょうか。
 従来の行政監察制度と比べてどんなに立派な制度になったのか、十分な実効性が期待できる制度になりましたということを、総務大臣、具体的にわかりやすい言葉で国民の前に明らかにしていただきたいと思います。
 また、従来の行政監察制度は、役所の縦割り行政の中で、行政監察はあくまで総務庁の使う物差しであって、旧大蔵省は大蔵省で、予算編成においては大蔵省独自の物差しを使って政策の評価を行い、予算の査定をしていくという政策評価の物差しの使い分けが行われ、その結果、効率性や実効性という視点よりかは、族議員の声の大きい分野に予算が配分されるという国民生活の実態からかけ離れた悲しい実態がありました。
 そこで、財務大臣にお伺いいたします。
 財務省としては、今回の政策評価制度を、予算編成の中でどのように活用していくおつもりですか。今回の行政評価制度の創設によって、予算編成はどのように変わるのですか。相変わらず族議員の声の大きい分野に予算が配分される実態が変わらないということであれば、せっかく政策評価制度をつくっても、従来の行政監察の看板のかけかえになってしまうのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 昔のこともよく思い出していただいて、明確なお考えを国民の前に明らかにしていただきたいと思います。
 さて、従来の行政監察制度と今回の政策評価制度、どこがどう違うのかという観点から質問をさせていただきました。
 次に、せっかくつくる制度なんだからしっかりと魂を込めていこうじゃないか、そんな観点から質問をさせていただきたいと思います。
 まず、この政策評価制度では、政府が基本方針を策定し、行政機関の長は政策評価の基本計画をつくって政策評価をすることになっておりますが、具体的な評価方法については法律案では明らかにされておらず、政策評価というもののイメージがわきにくいものになっています。
 そこで、総務大臣、例えば、公共事業についてはどのような形で政策評価がなされることを想定されておられますでしょうか。また、どのような場合に、関係する行政機関の長、公共事業の場合であれば国土交通大臣に対し、改善の勧告をしていかれることになるのでしょうか。わかりやすく具体的に明らかにしていただきたいと、このように思います。
 また、公共事業などは政策評価制度による客観的な評価がなじみやすいと思いますが、問題となっている官房機密費についてはどうでしょうか。
 そこで、総務大臣、官房機密費についてはこの政策評価制度の対象となるのでしょうか。法案を読みますと、どのような事柄を政策評価制度の対象とするかは行政機関の長の判断に任せられているようにも思われますが、内閣官房の方で官房機密費は政策評価制度の対象とはしないということであれば、総務大臣は泣き寝入りということになってしまうのでしょうか。
 今回の政策評価制度と官房機密費との関係について、総務大臣、わかりやすく明確にお答えください。
 また、官房長官、長官は内閣官房の仕事ぶりについてもなるべく国民に明らかにしていこうという御意向を持っておられるように伺っておりますが、もしそのような意向であるとするならば、官房機密費についても政策評価制度の対象とし、国民に対する説明義務を果たされるべきだと考えております。
 官房長官、官房機密費を政策評価制度の対象とされるお考えはありますか。
 また、官房長官は、今回の政策評価制度の創設をどのように受けとめ、国民にわかりやすい内閣官房の制度の改善にどう取り組んでいかれるおつもりでしょうか。国民にわかりやすく御説明いただきたいと思います。
 そして、さらに官房長官にお伺いをいたします。
 今回の政策評価制度は、法律案には具体的な規定が少なく、制度を生かすも殺すも内閣全体としての取り組みにかかっているような気がいたします。
 そこで、官房長官に、聖域なき構造改革のため、政策評価制度をどのように御活用されていくのか、小泉内閣としての御決意のほどを国民にわかりやすく御説明いただきたいと思います。
 また、官房機密費もそうですが、特に、福祉や女性の地位向上のための政策など、客観的な政策評価になかなかなじまないけれども、国民にとって大きな意義を有する政策が少なからず見られます。こうした分野の政策については、政策評価を行えば、場合によってはその評価が低いものとなり、ややもすれば予算の削減の対象にもなりかねないものと心配をしております。
 こうした福祉や女性の地位向上など、政策の評価の対象となりにくい分野、対象となっても評価が低くなってしまいそうな分野について、どのような物差しをもって構造改革に取り組まれるんでしょうか。福祉や女性の地位向上の分野について、小泉内閣として、構造改革の具体的な取り組み方をわかりやすく明らかにしていただきたいと、このように思っております。
 さて、今回の政策評価制度が看板のかけかえにすぎないのではないか。また、仏をつくって魂を入れないようにならないかという懸念に基づいて質問をさせていただきました。
 私の懸念が懸念として終わるよう、関係大臣の皆様には具体的で明確なお答えをいただくように要望をさせていただきます。そして、制度の創設を機会に、より一層、行財政の改革に取り組まれることを政府側に強く要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
   〔国務大臣片山虎之助君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(片山虎之助君) 浅尾議員から三点の御質問をいただきました。
 まず最初は、行政監察と政策評価との関係についてどうだと。
 従来の行政監察は、個々の、個別の行政について、行政運営の改善やその適正を確保するために、恣意の摘発というんでしょうか、悪いところ、問題点を指摘して、こうしたらどうかと、こういうことをやりまして、せんだっても医薬品についての情報開示について監察結果をまとめまして、私の方から厚生労働大臣に直接手渡したわけですね。そういうことを今までやってきておる。
 これに対して、今回新しく導入する政策評価は、科学的な手法によって政策効果を評価して、それぞれの政策の必要性を見直してほしい、こういうわけでありますから、個別というよりもっと広い、高い、大局的な観点から行う、こういうものでございます。
 行政監察がしり抜けではないか、こう言われるのでございますけれども、行政監察結果に基づく勧告は各省庁において大体やってもらっているんですよ。その大体が問題があるという、程度のことはありますけれども、これは私はしり抜けじゃないと、こういうふうに思っておりますし、政策評価についても各省大臣に対して私の方から必要な勧告はさせていただこうと。制度を打ち立てたんですから少しきつくやれ、派手にやれと、こう言っていますから、やっぱり制度のPRも含めてそういうふうにやらせていただきたい、こういうふうに思っている次第であります。
 それから、公共事業についてどうかというお尋ねでございますが、公共事業は、国民生活への影響の大きさや多額の費用を要することから、一定の金額以上のものは事前評価の対象にしてもらう、一定の金額以上のものは。
 それから、一定期間未着手または未了、終わってない個別の事業については、その時点で評価を義務づけると。それで、その一定期間をどうするんだということですが、五年ないし十年の中で政令で期間を決めようと。事業ごとになるのか大ぐくりになるのかわかりませんけれども、そういうことを考えておりますし、それから事後評価も、これは基本計画の中で主要なものは公共事業を含めて事後評価をやると。事前評価、事後評価、途中評価もあると、こういうことでございますから、私は相当進むのではなかろうかと、こう思います。
 その結果、各省庁が行う、あるいは公共事業の評価において客観性の上で不十分だ、あるいはやるべきものをやってないと、こういうことがございましたら、私の方が二次評価をして、その結果によって、場合によっては見直しを行ってもらう必要があるとすれば、それについては勧告をすると、こういうふうに考えておりますので、ひとつよろしくお願いいたします。
 それから、官房機密費の話なんですが、政策評価の実施主体は、行政事務を分担、管理する行政事務をやる各府省なんですよ。内閣官房というのは、これは内閣の重要政策に関する基本方針の企画を行う機関なんです。企画を行う機関で、そこで企画をしたものは各行政機関がそれぞれ行うんです。だから、この内閣府というものは政策評価の実施主体から外れております。したがいまして、その内閣官房の機密費はこれは政策評価の対象になりません、本法案の。
 それから、報償費というのは、これは予算の費目ですから政策でも何でもない。いろんなことのための費目ですから、これは会計処理や何かのそういう意味での検査、監査はあるんでしょうから政策評価の対象にはなじまないし、なりません。
 以上でございます。よろしく御指導を引き続いて賜りますようにお願いいたします。
   〔国務大臣塩川正十郎君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(塩川正十郎君) 今回の政策評価制度導入と予算編成との関係についてお尋ねでございました。
 政策評価制度は全政府的に導入されるものでございまして、これによって、成果重視への行政への転換、国民への説明責任の向上が期待されると思っております。声の大きいところに支配されないようにというお尋ねでございますので、私たちも公正でニーズの高いところに予算を配分するということを申し上げたいと存じます。
 したがって、予算編成過程においても、制度導入の趣旨を踏まえて、諸外国における活用状況等も参考にしながら、社会経済情勢の変化に即応した施策の見直しや予算の非効率、むだ等の排除に資するよう、第四条の精神を尊重してその適切な活用に努力してまいります。(拍手)
   〔国務大臣福田康夫君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(福田康夫君) 浅尾議員にお答えいたします。
 まず、官房報償費を政策評価制度の対象とすることについてのお尋ねでございますけれども、内閣官房の報償費が本法案の対象に位置づけられていないことは、総務大臣からただいま答弁ございましたとおりでございます。
 また、内閣官房の報償費は、内政、外交を円滑に推進するという多様な政策目標を実現するための手段でありまして、そもそも政策評価の対象にはなじまないと考えておりますが、その執行に当たりましては、報償費の目的に従い、厳正さや効率性が確保されなければならないと考えております。
 次に、政策評価制度の創設につきましては、行政機関が行う政策の効果をみずから把握、評価し、その結果を当該政策に適切に反映させることを通じて効果的かつ効率的な行政の推進に資するものであり、意義あるものと考えております。
 一方、内閣官房の報償費につきましては、先ほど答弁したとおり、本法案に基づく政策評価の対象にはなっていないと考えておりますが、今回の不祥事を契機に点検を行い、その結果も踏まえ、平成十三年度の予算の執行について、第一に、報償費は、内政、外交を円滑かつ効果的に遂行するための経費であり、その目的にかなうものでなければならない。第二、総理の内政、外交の円滑な推進、広範な情報の収集、褒賞などの報償費の目的に照らして適正な支出であるかどうか、これまでの経緯にとらわれることなく、その都度厳正に吟味を行った上で、内閣官房長官の判断に基づき執行する。第三、報償費の執行に当たって事務処理の補助が必要となる場合には、複数の担当者に当たらせて二重のチェックを徹底するという考え方のもとで、厳正かつ効率的な執行の徹底を図っているところでございます。
 こうした執行の状況を踏まえながら、今年度の具体的な減額のあり方、そしてまた十四年度予算の要求方針を平成十四年度の概算要求をめどに固めてまいりたいと思っております。
 次に、聖域なき構造改革のために政策評価制度をどのように活用していくかとのお尋ねでございました。
 政策評価制度は、政策の効果を的確に把握した上で、客観的かつ厳格な評価を行い、その結果を政策そのものの見直しや改善に反映させることを目的とするものでございまして、小泉内閣が進める聖域なき構造改革を推進していくための極めて有効なツールだというふうに考えております。
 こうした観点から、本法案に基づく政策評価制度の厳正かつ的確な運用に努めてまいります。
 次に、福祉に関する政策評価と構造改革についてのお尋ねでございますが、少子高齢化が進行する中で、福祉に関する需要は一層増大、多様化していくと見込まれており、利用者の立場に立って質の高いサービスを提供する必要がございます。福祉分野における政策評価については、その分野の特性も踏まえつつ、実施の過程を通じて改善、充実を図りながら着実に政策に反映させることといたしております。
 今後とも、政策評価の結果や国民の意見等を十分に踏まえつつ、福祉分野についても不断の見直しを行ってまいります。
 次に、女性の地位向上に関する政策評価と構造改革についてのお尋ねがございました。
 小泉内閣におきましては、男女共同参画を生きがいを持って安心して暮らすことができる社会を実現するための社会の構造改革の一つとして位置づけております。
 このため、男女共同参画会議において、政府の施策の実施状況の監視、政府の施策が男女共同参画社会の形成に及ぼす影響の調査などを行うことといたしておりまして、これらを通じて、男女共同参画基本計画の着実な実施など、男女共同参画社会の実現に努めてまいります。
 以上でございます。(拍手)
#11
○議長(井上裕君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────
#12
○議長(井上裕君) この際、日程に追加して、
 確定拠出年金法案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#13
○議長(井上裕君) 御異議ないと認めます。坂口厚生労働大臣。
   〔国務大臣坂口力君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(坂口力君) ただいま議題となりました確定拠出年金法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 我が国は、少子高齢化の進展、高齢期の生活の需要の多様化、雇用の流動化等社会経済情勢が大きく変化をしておりまして、このような変化に対応しつつ、国民の高齢期における所得の確保に係る自主的な努力を支援し、もって公的年金の給付と相まって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与する制度を創設することが要請されております。
 このため、厚生年金基金、国民年金基金等の年金制度に加えて、新しい選択肢として、個人または事業主が拠出をした資金を個人が自己の責任において運用の指図を行い、高齢期においてその結果に基づいた給付を受けることができる制度を創設するための確定拠出年金法案を第百四十七回国会に提出をいたしましたが、衆議院の解散に伴いまして廃案となり、成立を見るに至りませんでした。
 しかしながら、この法律案は、老後の所得の確保を一層充実したものとするために新たな制度を創設するものであり、一刻も早くその実現を図る必要があることから、ここに再度この法律案を提案し、御審議を願うこととした次第でございます。
 以下、この法律案の主な内容につきまして御説明を申し上げます。
 第一に、確定拠出年金は、事業主が労使合意に基づいて実施をし、六十歳未満の従業員が加入者となる企業型年金と、国民年金基金連合会が実施をし、国民年金の第一号被保険者及び公的年金に上乗せをする給付のない六十歳未満の厚生年金保険の被保険者が申し出により加入者となる個人型年金の二種類とすることとしております。
 第二に、掛金は、企業型年金においては事業主が、個人型年金におきましては加入者が拠出することとしております。
 第三に、加入者は、個人ごとに管理された資産について運用の指図を行うこととしております。このため、加入者に対して十分な情報の提供等が行われるよう所要の措置を講じております。
 第四に、給付は、原則として六十歳に到達した場合のほか、高度の障害を負った場合または死亡した場合に支給することとしております。また、加入者が離転職した場合等におきましては、他の企業型年金または個人型年金に個人ごとに管理された資産を移換することとしております。
 第五に、個人に関する記録の保存、運用の方法の選定及び提示等の業務を行う者は、確定拠出年金運営管理機関として厚生労働大臣及び内閣総理大臣の登録を受けなければならないこととするとともに、両大臣が必要な監督を行うこととしております。
 第六に、加入者の受給権保護等を図る観点から、関係者の行為準則を定める等必要な措置を講ずることとしております。
 最後に、掛金、積立金及び給付につきまして、各税法で定めるところにより、税制上必要な措置を講ずることとしております。
 政府といたしましては、以上を内容とする法律案を提出した次第でございますが、衆議院におきまして、この法律の施行日を平成十三年十月一日とするとともに、それに伴う所要の修正が行われたところでございます。
 以上がこの法律案の趣旨でございます。
 何とぞよろしくお願いを申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#15
○議長(井上裕君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。朝日俊弘君。
   〔朝日俊弘君登壇、拍手〕
#16
○朝日俊弘君 私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となりました確定拠出年金法案に関連して、老後の所得保障の最大の柱である公的年金制度にかかわる基本的な課題を含めて、坂口厚生労働大臣並びに関係大臣に質問をいたします。
 質問に入ります前に、去る六月八日に起こりました大阪府池田市の大阪教育大学附属池田小学校における痛ましい事件の被害に遭われた児童とその御家族、そして関係者の皆様に対しまして、私からも心から哀悼の意を表しますとともに、お見舞いを申し上げます。
 今後は、児童及び家族等の心のケアを含めた事後対応が適切になされるとともに、この一件をもって拙速に刑法改正の作業を急ぐことなく、慎重かつ十分なる検討と、より実践的な対応を政府に求めておきたいと思います。
 それでは、年金制度に関する質問に移ります。
 まず、冒頭に私自身の問題意識の一端を申し上げたいと思います。
 昨今、とりわけ私が心を痛めておりますのは、ここ二年連続して年間の自殺者の数が三万人を超え、中でも中高年の男性の自殺者の増加が著しく、そのため、この間延び続けていた男性の平均寿命を低下させる一因にもなっているということであります。
 もちろん、個別のケースにはさまざまな事情や理由があるに違いありませんが、全体として見ますと、こうした自殺者の増加の背景には、社会全体を覆う閉塞感とともに不安感、つまり将来不安、生活不安がじわじわと強まってきていることを強調しておかねばなりません。
 そして、言うまでもなく、老後の暮らしを支える年金に対する不安は、将来不安の中でも具体的かつ中心的な課題であると言えましょう。
 したがって、私は、今何よりも求められていることは、公的年金制度に関する信頼感を少しでも取り戻すことによって、老後の不安を多少なりとも和らげることであると思います。こうした観点から、今回提案されております法案の中身に入る前に、公的年金制度の骨格にかかわる二つの課題についてお尋ねをしておきたいと思います。
 まず初めに、公的年金制度の土台である基礎年金の国庫負担割合引き上げの問題について、塩川財務大臣に質問いたします。
 年金改革の焦眉の課題は、基礎年金の国庫負担割合を高めて年金制度を安定させることによって、国民の年金不信、将来不安を少しでも払拭することだと考えます。その国庫負担割合引き上げについて、塩川財務大臣は先月二十八日の衆議院予算委員会において、来年度からの引き上げをぜひ実現したいと答弁されました。ところが、その後の記者会見では、その意欲はあるが実現は難しいと、国会答弁を撤回されたやに伺っております。
 すなわち、報道によれば、国庫負担引き上げには約二・四兆円の財源が必要であり、財務省では小泉内閣の公約である国債発行を三十兆円以下に抑えられなくなるとして答弁の撤回をされたと伝えています。
 塩川大臣、国債発行を三十兆円以下に抑えられなくなるから基礎年金の国庫負担引き上げは困難であるとの御認識なのでしょうか。
 私は、昨年成立した年金法の附則に、「平成十六年までの間に、安定した財源を確保し、国庫負担の割合の二分の一への引上げを図るものとする。」と明記されていることから、財務担当大臣としては、むしろいかにその財源を確保していこうとされるのか、そのお考えを示されるべきだと思うのですが、いかがでしょうか。財源確保の方策もあわせて御答弁をお願いいたします。
 次に、坂口厚生労働大臣に、公的年金制度の基本構造のあり方、言いかえれば年金ビジョンの具体像について、そのお考えをお伺いいたします。
 最近の新聞報道によれば、経済財政諮問会議の場においても、厚生年金の報酬比例部分を民営化する案などが示され、公的年金制度の骨格にもかかわるような議論が行われているというふうに伺っております。もちろん、担当大臣である坂口大臣はそのような安易な考え方に対してきっちりと反論されているとは思いますが、改めて、公的年金制度に関する基本的な考え方について、とりわけ基礎年金の給付水準のあり方や厚生年金の報酬比例部分の意義なども含めて、大臣の基本的な見解を述べていただきたいと思います。
 それでは、以下、具体的に確定拠出年金法案について幾つか質問をいたします。
 まず、この新たな制度が年金制度全体の中でどのように位置づけられるのかを明らかにしておく必要があると思います。改めて確定拠出年金の役割とその位置づけ、また先週、本院において成立をいたしました確定給付企業年金制度との関係について、政府の見解をお尋ねしておきたいと思います。
 さて、確定拠出年金は、企業年金の選択肢をふやす点、確定給付型に比べて中小企業が導入しやすい点、雇用の流動化に対応したポータビリティーにすぐれた点があるなどのメリットがあると言われていますが、その一方で、制度導入に対して慎重な意見もあることは御承知のとおりでございます。
 すなわち、日本の企業年金は退職一時金から移行したものが大部分であり、この制度が導入され、確定給付年金や退職一時金が確定拠出年金に移行すれば、これまで企業が負担していた運用などのリスク及びコストがすべて加入者に転嫁されることになります。しかし、一般的に加入者は年金資金の運用に必要な金融の知識が必ずしも十分ではなく、リスクの負担能力も低いことから、制度導入の環境が整っていないという意見でございます。こうした不安や意見に対して、大臣はどうお答えになりますか。
 あわせて、中小企業の従業員にとっては、確定拠出年金制度の導入の前に、コストが比較的低い現在の中小企業退職金共済制度や財形年金貯蓄制度などを見直し、これらを使い勝手のよいものにすることをまず検討すべきではないかとの意見があります。坂口大臣のお考えをお伺いいたします。
 次に、柳澤金融担当大臣にお伺いいたします。
 それは、加入者にとっての不安要因の一つに、日本の金融・証券市場そのものに対する不安があります。つまり、我が国の金融・証券市場は、透明性が低く、金融問題に対する国民意識もいまだ未成熟な中では、年金資金の運用リスクを加入者個人に負わせる制度を導入して果たして大丈夫なのだろうか、むしろそのための環境整備が先ではないかというものでございます。
 金融・証券市場に対する国民の信頼感、安心感を確立するために、市場の透明性を高めるための改革を進めるべきだと考えますが、政府の取り組みについてお伺いいたします。
 さて、確定拠出年金のメリットの一つに、離職、転職の際のポータビリティーにすぐれている点が挙げられています。しかし、政府案では、離転職によって国民年金の第三号被保険者となった場合や公務員になった場合、さらに企業年金を実施しているが確定拠出年金を実施していない企業に転職した場合には、確定拠出年金に拠出を続けることができないことになっています。これでは、確定拠出年金で計画的に老後の所得保障を行おうとする場合に障害になるのではないかと考えますが、この点、どのようにお考えか、大臣の答弁を求めます。
 最後に、冒頭にも申し上げたとおり、大多数の高齢者にとって年金なしの生活設計は到底考えられません。しかしこの間、現実には、制度改正のたびに、国民の皆さんに安心していただけるどころか、かえって不信感、不安感を募らせてしまっているような気がしてなりません。五年ごとの財政再計算のたびごとに、あるいは小手先の制度改正案を提案するたびに制度に対する不信、不安を強めるような愚かなことはこれ以上繰り返すべきではありません。
 関係大臣の配慮ある率直な答弁を求めて、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣坂口力君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(坂口力君) 朝日議員にお答え申し上げたいと存じます。
 一番最初は、公的年金の基本的な考え方についての御質問をいただきました。
 公的年金につきましては、高齢者の生活の基本部分を終生にわたりまして確実に支えること、それが役割でございますし、老後生活の基礎的な費用を賄う基礎年金を全国民共通の給付として保障をいたしますとともに、被用者に対しましては、退職によりまして収入が大きく減少することに配慮をいたしまして、報酬比例の年金を保障いたしまして、両者合わせて現役世代の手取りの約六割、おおむね六割を確保することとしているわけでございます。
 報酬比例部分の民営化につきまして、マスコミにその文字が躍ったりするわけでございますが、民営化されました年金は、公的年金のように賃金や物価にスライドすることができません。遠い将来の生活水準に対応する給付を保障することができないわけであります。また、企業年金を実施できない中小企業などの従業員に対しまして報酬比例部分を保証できなくなるわけでございまして、サラリーマンに対する保障の範囲、水準ともに大きく後退させることになりますので、報酬比例部分の民営化はないものと考えております。
 次に、確定拠出年金の役割と年金制度における位置づけ、確定給付企業年金制度との関係についてのお尋ねがございました。
 確定給付型の企業年金につきましては、中小零細企業への普及でございますとか、あるいは転職の際の年金資金の移換といったような点についての対応に限度があります。これだけでは近年の社会経済環境の変化に十分対応できなくなってきていると考えております。このため、公的年金に上乗せされます年金制度の新たな選択肢として確定拠出年金を導入するものでありまして、これによりまして、公的年金などと相まって、国民の老後の所得確保の一層の充実が図られるものと考えておる次第でございます。
 なお、さきに成立をいたしました確定給付企業年金も同じく公的年金の上乗せの制度でございますが、確定給付年金とそれから確定拠出年金は、一つの企業でそのいずれかを選択し、またはあわせて実施することも可能でございます。各企業の実情等に応じまして、適切な企業年金プランをつくることが可能になると考えております。
 次に、運用リスクなどが加入者へ転嫁されるとともに、運用知識不足などで制度導入の環境が整っていないのではないかという御指摘であったというふうに思います。
 確定拠出年金は、運用コストにも留意をしました上で加入者が運用方法を選択いたしまして、その運用のリスクをみずから負うことから、加入者が適切な運用方法を選択できることが極めて重要であると考えております。
 このため、本法案におきましては、運営管理機関等は加入者に対しまして、資産運用に対する基礎知識や個別の運用商品の内容を初めといたしまして必要な情報提供を行うようにしなければなりませんし、また国等におきましても十分な情報を提供するように努めなければならないと考えているところでございます。
 確定拠出年金の導入の前に、中小企業退職金共済制度でありますとか財形年金貯蓄制度などを見直すべきとのお尋ねがございました。
 確定拠出年金は、公的年金の上乗せの年金制度として、広く国民に対しましてポータビリティーを確保しつつ、老後の所得確保の一層の充実を図るために導入をしようとするものでありますことは先ほど申し述べたとおりでございます。
 一方、中小企業退職金共済制度は、退職を事由といたしまして年齢を問わずに給付が行われますし、また中小企業のみを対象としてポータビリティーが限られておりますことなどもございます。
 財形年金貯蓄制度につきましては、企業の従業員のみを対象といたしまして、自営業者等が活用ができないといったような点もございます。
 それらの点を含めまして、今回の制度の見直しに至った次第でございます。
 最後のお答えになりますが、確定拠出年金のポータビリティーについてのお尋ねでございます。
 確定拠出年金につきましては、国民年金の第三号被保険者や公務員を対象としておりませんが、これは第三号被保険者につきましては税制措置の対象となる所得がないためでございますし、また公務員につきましては民間企業における普及の程度等を見ることが必要というふうに考えておりますが、今後、この両者につきましても導入できる方法があるか、この検討を進めていきたいというふうに思っているところでございます。
 最後に、年金につきましては安定したものでなければなりませんし、やはりこの年金の安定が生活の安定、将来の安定に大きくこれは寄与するものだという先生の御指摘でございますが、私も全く同感だというふうに思っております。やはり、年金、公的年金を含めました年金の安定したシステム、それを確立して、そうして年金こそやはり将来を予測することのできる最も計算のしやすい分野でありますだけに、余り再計算ごとに内容が変わっていくことは決して好ましいことではないと考えておる次第でございまして、皆さん方に御理解のいただける案をぜひ確立しなければならないと思っておる次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣塩川正十郎君登壇、拍手〕
#18
○国務大臣(塩川正十郎君) 基礎年金の国庫負担についてお尋ねがございました。
 基礎年金については、平成十二年年金改正法附則におきまして、「当面平成十六年までの間に、安定した財源を確保し、国庫負担の割合の二分の一への引上げを図るものとする。」と規定されているところであります。
 私も、この規定をどのように具体化していくかについて大事なことだと思っておりまして、熱意を持ってこれに取り組んでまいりたいと思っておるのでございますが、言葉足らずで誤解を与えたことは申しわけなかったと思っております。
 しかし、よく考えてみますと、基礎年金の国庫負担の引き上げは多額の財源が必要でございまして、例えば十三年度におきましては二兆四千億円の確保が必要でございます。現下の財政状況等で考えました場合に、実際に来年に実施することは困難であると考えております。
 しかし、財源確保につきましては、国民が負担と給付の関連を十分に納得していただける方法をとり、税並びに負担の各方面から真剣に考慮いたしまして早期に決定いたしたいと存じております。(拍手)
   〔国務大臣柳澤伯夫君登壇、拍手〕
#19
○国務大臣(柳澤伯夫君) 朝日議員から私に対しましては、金融・証券市場に対する国民の信頼感、安心感を確立するための政府の取り組みにつきましてお尋ねをいただきました。
 新しい商品やサービスが次々開発、導入され、証券取引が高度化、複雑化していく中にありまして、個人投資家が自己責任原則のもとで安心して取引を行うためには、第一にディスクロージャーの充実、第二に公正な取引を保証するルールの整備が必要だと考えております。
 こうした観点から、金融当局といたしましては、例えば本年六月からはインターネットでのディスクロージャーができるような法律制度をしき、また、本年四月からは金融商品販売法を施行するなど、市場インフラの整備に努めているところでございます。
 また、公正取引等の市場ルールの徹底に関しましては、証券取引等監視委員会におきまして日常的な市場監視活動を行い、厳正に対処をしているところでございます。
 個人投資家を含めた幅広い投資家の参加による厚みのある証券市場の形成をさらに一層進めるために、今後とも証券市場の公正性、透明性の確保に積極的に取り組んでまいる所存であります。(拍手)
    ─────────────
#20
○議長(井上裕君) 井上美代君。
   〔井上美代君登壇、拍手〕
#21
○井上美代君 私は、日本共産党を代表して、確定拠出年金法案、いわゆる日本版四〇一k法案について質問をいたします。
 本法案そのものについての質問に入る前に、老後の生活保障の根幹をなす公的年金制度について質問いたします。
 政府は、昨年、厚生年金など公的年金の報酬比例部分の給付開始年齢を引き上げ、給付を引き下げるという大幅な改悪を強行いたしました。夫が三十歳の夫婦で、生涯に受け取る年金総額は一千百万円も削られました。日銀の調査でも、老後の生活への不安は八割近くに達し、特に三十代、四十代の働き盛りの年金制度への不信、不満は深刻です。老後生活の保障を言うならば、何よりも、こうした年金改悪をもとに戻し、老後の不安をなくす公的年金制度を充実させることこそ必要なのではありませんか。大臣の答弁を求めます。
 さらに重大なのは、国民年金の空洞化の問題です。
 先日、一九九九年の国民年金被保険者実態調査が発表され、未納者が一層増大していることが明らかになりました。九六年の調査に比べ、加入者が約百万人ふえているのに、納付者が五十万人も減っております。未納者がふえているのは、保険料が高過ぎて払えないこと、そして、次々に切り縮められる公的年金制度への不信が広がっているからです。この事態を放置してきた厚生労働省の責任は重大です。厚生労働大臣は、この責任をどう認識していますか。
 未納を減らすために、国民への公約である基礎年金への国庫負担を、現行の三分の一から二分の一への引き上げを直ちに行い、基礎年金の保険料を引き下げるべきではありませんか。さらに、将来的には、財政再建を進めながら年金財源を確保し、国庫と大企業の負担による最低保障年金制度の創設を目指すべきではありませんか。大臣の答弁を求めます。
 驚くべきことに、政府の経済財政諮問会議では、厚生年金の報酬比例部分の民営化まで論議されているということが報道されております。厚生労働省は、企業年金のない中小企業労働者の老後の所得が基礎年金のみになりかねない、大きなインフレが発生した場合に対応が困難になるとして、従来から厚生年金の民営化には反対してきたのではありませんか。そうであるなら、これ以上国民の将来不安、老後の不安を高めることのないように、厚生年金報酬比例部分の民営化は将来にわたって行わないということを明言すべきです。大臣の明確な答弁を求めます。
 次に、確定拠出年金法案についてであります。
 確定拠出年金の最大の特徴は、将来受け取る年金給付が個人の自己責任による資産運用に左右されることです。株や証券などを対象とした資産運用の失敗をすべて個人がかぶり、老後の生活設計は大きく狂わされることになるのです。
 日本では、個人の資産運用は元本の保証された預貯金が中心です。しかも、悪質な金融機関、金融商品による被害が後を絶ちません。アメリカと比べても、個人の投資家への情報公開は大きく立ちおくれております。このような状況下で、国民の老後の生活をリスクマネーにゆだねてよいのでしょうか。これは、国民の財産と人間として生きる権利を守る憲法理念にかかわる重大問題です。大臣の責任ある答弁を求めます。
 政府は、元本確保型の金融商品も選択肢として用意されているから安心だと強調しております。しかし、そもそも利回りの低い元本確保型の場合には、市中金利の状況次第では手数料にコストがかかって、差し引きマイナスになってしまう可能性は否定できません。そうなれば、結局ハイリスク商品に誘導されてしまうのではありませんか。元本確保型は、事実上選択肢から排除されるのではないでしょうか。大臣の認識を伺います。
   〔議長退席、副議長着席〕
 一方、確定拠出年金は、年金資産の運用責任、そして積み立て不足の負担義務を大幅に軽減できるなど、企業にとっては大変都合のよいものです。国民の老後の生活をリスクにさらす制度について、労働組合のナショナルセンターである連合とそしてまた全労連は、きっぱり反対をしております。それにもかかわらず、財界の強いイニシアチブと大キャンペーンの中で、法案の早期成立が目指されております。結局この法案は、企業の負担を軽くし、労働者に負担を押しつけるものではありませんか。大臣の明確な答弁を求めます。
 確定拠出年金は、政府が宣伝するように、本当に老後保障の新たな選択肢なのでしょうか。政府は、確定拠出年金を、現在ある厚生年金基金や適格退職年金などの確定給付型の企業年金と並ぶ新たな選択肢だとしています。しかし、首切り、賃金カットなどリストラのあらしが吹き荒れる現状では、今回の法案が通っても、確定給付型はそのままにして確定拠出年金を上乗せする企業などありません。既に確定給付型がある企業では、今までの確定給付型を確定拠出年金に移行するしかないのです。これは、確定給付型の切り下げにほかなりません。これでどうして新たな選択肢と言えるのでしょうか。この点での大臣の答弁を求めます。
 しかも、政府は、これから払う掛金ばかりでなく、確定給付年金に既に払い込んだ掛金、つまり過去の勤務期間に積み立てられた積立金もすべて丸ごと確定拠出年金に移行することを認めてしまいました。確定給付として今まで掛けてきた掛金がすべていわゆる日本版の四〇一kに化けてしまうのです。これはまさに労働条件の抜本的な改悪ではありませんか。大臣、明確にお答えください。
 確定拠出年金のターゲットにされているのは、確定給付型の企業年金だけではありません。生活資金の重要な柱となっている退職金をも確定拠出年金への移行が認められているのです。現在、退職金も激しいリストラの対象となっています。実力主義のポイント制、前払い制の導入など、コストダウン、総額圧縮の攻撃にさらされております。この上運用リスクにまでさらされるならば、老後の不安に一層拍車がかかるのではありませんか。大臣の答弁を求めます。
 社会保障の専門家の中には、競馬をやらないやつは確定拠出年金に手を出すなと言う人もいます。アメリカの労働組合からは、四〇一kは地獄だという声も上がっております。ハイリターン運用の夢が破れた労働者が少なくないからです。本法案の危険性はこのように重大なものがあります。
 老後の生活にかかわる重要法案であるとともに、社会保障、労働法制、税制、金融、国際会計基準といった多方面の専門的な検討が必要な法案です。拙速な審議を進めるのではなく、慎重かつ徹底審議すべきことを強く主張して、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣坂口力君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(坂口力君) 井上議員にひとつお答えを申し上げたいと思います。
 合計九問いただきました。
 昨年の年金法改正についてお尋ねがございました。
 昨年、将来の世代の過重な負担を防ぎますとともに、確実な給付を約束するとの考え方に立ちまして、制度の長期的な安定を図るための年金法の改正を行ったところでございます。
 年金を受け始める時期で現役世代の手取り年収の約六割の水準の保障をしますとともに、将来の保険料負担も軽減されておりまして、支給開始年齢の引き上げや給付の適正化のみをもって制度の改悪であるとの御指摘は当たらないのではないかというふうに思っております。ですから、この年金制度、いろいろの見方があるというふうに思いますが、必要以上によく言ってもらうつもりもございませんけれども、必要以上に悪く言ってもらうのはひとつお許しをいただきたいというふうに思っている次第でございます。
 今後とも、世代間の給付と負担の均衡を図りまして、お互いが支え合う、持続可能な、安心できる制度を再構築していかなければならないと考えているところでございます。
 それから、国民年金の運営責任、それから基礎年金の国庫負担割合の引き上げにつきましてお尋ねがありました。
 国民年金の未納者は増加しておりますが、未納者の多くは、保険料を支払う所得がすべてない人ではありませんで、所得があるにもかかわらず保険料を納付しない人もまた多いわけでございまして、年金制度に対する理解が欠けている、その理解が欠けている人が多いということも私たちは考えていかなければなりません。
 この問題につきましては、公的年金の考え方や解説などの広報普及を強化いたしますとともに、厳正な適用と保険料の徴収に努めまして、厚生労働省としての責任を果たしたいと考えているところでございます。
 厚生年金の民営化についてお尋ねがございました。
 先ほども御答弁を申し上げたとおりでございますが、厚生年金の報酬比例部分を民営化した場合には、これは公的年金のように賃金や物価にスライドすることができませんし、遠い将来の生活水準に対応しました給付を保障することもできません。また、企業年金を実施できない中小企業などの従業員に対しまして、報酬比例部分を保証できなくなることもございます。サラリーマンに対します保障の範囲、水準、ともに大きく後退させることになりますので、こうした選択はとり得ないものであると考えているところでございます。
 確定拠出年金は、老後の生活をリスクマネーにゆだねるものであり、憲法理念にかかわる重大問題ではないかとの御指摘がございましたが、確定拠出年金は、現行の企業年金と比べて、中小零細企業などにも普及しやすくする、それから転職の際のポータビリティーが確保されているなど、企業の従業員としても多くの利点がある制度であると考えております。
 本案につきましては、必ず元本確保型の商品を運用商品の選択肢の中に入れることを義務づけるようにいたしますとともに、運営管理機関等は、個別の運用商品の内容を、どの情報を加入者に提供するか、その商品の内容について情報を十分に提供しなければならないようにしたいというふうに思っているところでございます。したがいまして、憲法上、何ら問題はないというふうに思っております。
 元本確保型は、事実上、選択肢から排除されてしまうのではないかとの御指摘がございました。
 確定拠出年金におきましては、元本確保型の運用商品でありましても、加入者の資産が資産管理機関から一括して金融機関に預け入れられ、大口扱いで運用されることから、一般預金に比べまして有利な利回りとなります一方、そこから控除されます運営管理機関の手数料につきましても、競争の促進によって適正な手数料となるものと考えております。このため、一般の預金の金利と同程度かそれ以上の利回りが確保できるものと考えられ、元本確保型の商品が選択肢から排除されるようなことは生じないと考えているところでございます。
 確定拠出年金法案は、企業の負担を労働者に転嫁するものではないかとの御指摘がございました。
 確定拠出年金は、企業の従業員にとって多くの利点のある年金制度でありまして、決して企業の負担を労働者に転嫁するものとして導入するものではありません。
 なお、個々の企業における確定拠出年金の導入はあくまでも労使合意に基づいて行われるものでありまして、その導入につきましては労使間での十分な協議を行うべきものと考えております。
 確定拠出年金は新たな選択肢とは言えないのではないかとのお尋ねがございましたが、確定拠出年金は、既存の確定給付型の企業年金だけでは近年の社会経済環境の変化に十分対応できなくなっていることから、新たな選択肢として導入しようとするものでございます。両制度にはそれぞれのメリットがあり、労使が合意をした上で最適な制度を採用することになっております。従業員の老後の所得保障が図られ、選択肢として十分に機能するものと考えております。
 確定給付型から確定拠出年金への移換についてのお尋ねがございましたが、確定拠出年金にはポータビリティーが確保されているなどの利点がありますこと、将来受け取る額が変動すること自体が直ちに不利益となることではないことから、移行自体が直ちに従業員にとって不利益になるとは考えておりません。
 また、確定拠出年金に資産を移換する場合には、確定給付型の企業年金に積み立て不足がないなどを要件とし、加入者の権利が不当に侵害されることのないよう十分配慮してまいりたいと思います。
 最後に、退職金から確定拠出年金への移行に関するお尋ねがございました。
 確定拠出年金は、これまで申しましたとおり、企業の従業員にとって多くの利点がある制度でございます。また、退職金を確定拠出年金に移行させる場合であっても、元本確保型の商品の選択等も可能でありますことから、老後の不安が高まることはないと考えております。
 以上、御答弁を申し上げました。(拍手)
    ─────────────
#23
○副議長(菅野久光君) 大脇雅子君。
   〔大脇雅子君登壇、拍手〕
#24
○大脇雅子君 私は、社会民主党・護憲連合を代表して、ただいま議題になりました確定拠出年金法案につき、質問いたします。
 世界でも例を見ない少子高齢社会の到来に直面し、国民は四人に一人が将来の生活に不安を持ち、政治の課題は国民に安心を保障することが第一義となっております。自立した個人が、みずからの意志で人生設計を図り、充実した生活を実現するために努力する、そのことが保障されるシステムこそますます重要な意義を持ってまいります。率直な答弁を求めます。
 第一に、年金水準と健康で文化的な最低限度の保障についてお尋ねいたします。
 憲法二十五条は、健康で文化的な最低限度の生活をする権利を国民に保障しています。そのためのセーフティーネットである生活保護制度と関連いたしまして、自立できる年金を支給することが国の施策の基礎にならなければなりません。そのため、所得再分配の理念のもと、社会保障全体の財政を確立することこそ、今後の少子高齢化が一層進む日本の取り組むべき課題と考えます。小泉内閣が掲げる聖域なき構造改革の中でも生存権保障は不可避と考えますが、いかがですか。財務大臣及び厚生労働大臣にお尋ねいたします。
 第二に、公的年金制度に対する信頼の確立についてお尋ねします。
 企業年金制度が真に国民の選択により老後の生活を明確に保障するためには、まず公的年金制度が国民の揺るぎない信頼を得ていなければなりません。そのためには、基礎年金の充実が最も重要だと考えます。どのような施策が必要とお考えでしょうか。
 財政基盤確立のために早急に実現しなければならない国庫負担割合の三分の一から二分の一への引き上げは、二〇〇四年度までの間と先送りされました。財務大臣、厚生労働大臣、いかがお考えですか。
 第三に、既裁定年金部分の格差是正問題についてお尋ねいたします。
 これまでの公的年金制度の見直しにおいては、支給開始年齢の段階的引き上げ、今後の給付内容の切り下げ、保険料負担の増額を中心に、公的負担の引き上げと相まって対処することになっています。つまり、財源安定のための方策は今後の世代の負担にかかっています。
 年金制度の世代間連帯が重要であることは明らかであり、制度設計をどのようにするのか、そのため制度を支え続ける現役世代や次の世代、現在年金を受給している世代も含めて、より強固な世代間連帯を形成するために何が必要なのか、既裁定年金部分の格差是正もまた選択肢の一つとして考えるべきであったのに、これまでほとんど正面からは議論されてこなかったのではないかと思います。
 政府として、これまでどのような議論をされてきたのか。今後、このような選択肢はあり得ないのか、お尋ねをいたします。
 第四に、社会システムの世帯単位から個人単位への転換についてお尋ねします。
 女性のライフスタイルを考える上で、生き方、働き方を専業主婦へと誘導するのが世帯単位に基づく現行制度であり、これまで働く女性が強く矛盾を主張してきたところです。いわゆる保険料を負担せずに給付を受ける第三号被保険者問題です。
 今後、社会のあらゆる制度設計において、個人単位は公平な社会システムの実現のため必要不可欠な改革と考えます。現在、第三号被保険者優遇の是正を阻害している要因は何か、また、個人単位を実現するための年金制度及び税制について、厚生労働大臣及び財務大臣の率直な御意見をお伺いいたします。
 第五に、議題である確定拠出年金法案について質問します。
 確定拠出年金法案は、確かに税制適格退職年金制度が破綻に瀕している状況のもとで、これまで企業年金制度がない企業や、いわゆるベンチャー企業などが新たに企業年金制度を設けるときには、企業の負担を軽減して労働者のために年金制度を整備する意味はあります。
 確定拠出型年金の収益率は、宣伝費や乗りかえのコストを含めた運営管理費が重い負担となって総利益率も低くなると言われています。労働者の運用等につき主体性を認める反面、確定給付企業年金制度と比べて給付の不安定が生じ、本法案では企業が担うべき責任を希薄化するおそれがあるのではないかと危惧します。厚生労働大臣の御見解を確認いたします。
 第六に、確定拠出年金制度は、労働者の転職、離職等の雇用の流動化によって、従来の企業年金制度にないポータビリティーを保障するものとされています。しかし、ポータブルな制度が雇用の流動化を推し進めてもよいとの判断を企業に助長し、今後一層リストラが進む事態が生じるなどは絶対にあってはなりません。厚生労働大臣、いかがでしょうか。
 第七に、確定拠出年金制度は、労働者個人がリスクを負う基本的枠組みであり、しかも受託者責任を明確化する行為準則を定めてはいますが、忠実義務に反しても罰則の適用はありません。さらに、実効ある支払い保証制度もありません。
 アメリカのERISA法のような受給権保護と受託者責任を明確にした企業年金基本法を欠くもとでは、リスクを全面的に自己責任とする確定拠出年金は制度的欠陥を持つものと言わざるを得ません。それらの対策について、厚生労働大臣、いかがお考えでしょうか。
 最後に、確定拠出年金制度の運用の実効性についてお尋ねいたします。
 企業年金制度は、その運用が実効あるためには、委託する金融商品が真に有効に利回りを保証することが大前提であります。法案では、預貯金、公社債、投資信託、株式、信託保険商品等の金融商品が予定されています。
 しかし、確定拠出年金は、不良債権処理に苦しむ金融関係機関に対して、新たな市場として、労働者、国民の老後を保障するためのとらの子の資産を提供して金融機関の現状を救い、将来のリスクだけを国民に負わす結果になる危惧を払拭できません。
 しかも、金融関係企業の運用能力について国内外の競争力を見るとき、外国企業への委託が増加し、増加すればするほど日本の金融資産の国外流出が必至となり、ひいては日本経済の際限のない脆弱化が予想されます。
 こうした最悪の事態を招来させないために、厚生労働大臣、金融担当大臣の明快な答弁をお願いいたしまして、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣坂口力君登壇、拍手〕
#25
○国務大臣(坂口力君) 大脇議員にお答えをいたします前に、先ほど井上議員の質問いただきました中で、最低保障年金制度につきまして御質問いただきましたのを少し、一つ落としておりまして、おわびをいたしまして、つけ加えさせていただきたいと存じます。
 最低保障年金制度を導入すべしという点につきましては、現行の年金制度におきましては、低所得の方には保険料が免除されますとともに、国庫負担部分に相当する給付が保障されております。さらに、最低保障年金制度としては、保険料拠出と無関係に一定の保障を行うことは、社会保険方式の根幹に触れる基本的な問題があるとも考えますので、これらの点から今私たちがとっております制度が成り立っているということを御理解いただきたいと存じます。
 大脇先生からいただきました問題、八問ございました。
 自立できる年金を支給できる社会保障全体の財政の確立に関するお尋ねがございました。
 公的年金につきましては、高齢者の生活の基本部分を終身にわたり確実に支えることをその役割として、現行制度におきましては、老後生活の基礎的消費支出を賄う基礎年金を全国民共通の給付として保障いたしますとともに、サラリーマンに対しましては、退職後に収入が大きく減少することに配慮いたしまして、いわゆる報酬比例部分の年金を保障いたしております。両者合わせまして、現役世代の手取りのおおむね六割を保障しているところでございます。
 今後、少子高齢化が進展をいたします中で、公的年金がこのような国民の老後を支える役割を将来にわたって果たしていくことができるように、世代間の給付と負担の均衡を図りまして、お互いが支え合う持続可能な制度を再構築しますとともに、その費用について、保険料や公費を適正に組み合わせて確実に賄っていくことが必要であるというふうに考えております。
 最初に大きな前提のもとでのお話がございましたが、やはり社会保障の中におきましても、この年金制度は一番その中心に位置するものであることは御指摘のとおりであるというふうに私も思っております。そして、この年金を中心といたしました社会保障制度のその考え方は、やはりその他の政策全般の中にも大きくやはり影響をさせていかなければならないと私は思っております一人でございます。
 基礎年金の充実と国庫負担割合の引き上げに関するお尋ねがございました。
 基礎年金につきましては、老後生活の基礎的な消費支出を賄うという考え方に基づきまして、全国民共通の給付として保障するという役割を担っております。長期的に世代間の給付と負担の均衡を図りながら、この役割を将来にわたって果たしていくことができるように努力をしてまいりたいと考えているところでございます。
 また、国庫負担割合の引き上げについてでございますが、昨年三月に成立をいたしました年金改正法におきまして、給付水準及び財政方式を含めてそのあり方を幅広く検討して、平成十六年までの間に二分の一への引き上げを図るものとする、こういうふうに規定を設けたところでございます。先般決定されました社会保障改革大綱におきましても、この規定をどのように具体化していくかにつきまして、安定した財源確保の具体的方策と一体として鋭意検討するというふうにされているところでございます。
 しかし、かなりもう二〇〇四年も近づいてまいりましたから、さらにまたどうするかという、もう一段あるいはもう二段おりた議論をしなければならないときを迎えているというふうに思っておりまして、そうした議論を皆さん方ともさせていただきたいと考えているところでございます。
 第三号被保険者の問題についてのお尋ねがございました。
 この問題につきましては、現在、各分野の専門家から成る女性のライフスタイルの変化等に対応した年金の在り方に関する検討会におきまして御議論をいただいているところでございます。年金制度の個人単位化の問題につきましても、この検討会で御議論いただいているところでございます。それを踏まえまして改革に今取り組んでいきたいというふうに思っているところでございます。
 それから、年金制度の見直しに当たっての既裁定年金部分の取り扱いについてのお尋ねがございました。
 前回改正におきまして、既裁定の年金を含めて六十五歳以降は物価スライドだけを実施するよう年金額の改定方式を改めることにより、将来に向かって給付の伸びを調整することとしたところでございます。既裁定年金部分にも年金の給付と負担の均衡を図るための仕組みは盛り込まれております。
 さらに、既裁定年金部分を引き下げて世代間の給付と負担の格差を是正することにつきましては、現に年金によって暮らしておみえになります皆さん方の生活にも重大な影響を与えるものでございますし、これはなかなかとり得ない選択肢であると考えているところでございます。
 確定拠出年金は企業が担うべき責任を希薄化するおそれがあるのではないかとの御指摘がございました。
 確定拠出年金は、加入者みずからの運用結果によって給付額が決定される年金でありますが、現行の企業年金と比較をいたしまして中小零細企業などにも普及しやすいとか、転職の際のポータビリティーが確保されやすいといったようなプラス面がありますが、しかし、注意をしないとマイナス面の生ずることもあることは御指摘のとおりでありまして、そうした点につきましては十分な配慮をしていかなければならないというふうに思っておる次第でございます。企業の責任をやはり十分に果たしてもらうようにしなければならないというふうに思っておる次第でございます。
 個々の企業における確定拠出年金の導入は、あくまでも労使合意に基づいて行われるものでなければならないと考えております。
 確定拠出年金と雇用の流動化との関係についてのお尋ねがございました。
 政府の役割といたしましては、雇用形態の変化に企業年金としても対応できるように制度を整備していくことでありまして、個々の企業における雇用についてはあくまでも企業が判断をしていくものであると考えております。
 米国のERISA法のような企業年金基本法がない中では、受給権保護と受託者責任の観点から問題はないかとの御指摘がございました。
 受給権保護や受託者責任を図るための措置は、確定給付型と確定拠出型とではおのずと異なっておりますが、確定拠出年金法案では、受託者責任につきましては、米国のERISA法と同様に運営管理機関に対しまして忠実義務などを課しておりますし、また忠実義務などに違反した場合には、我が国では行政処分などを科すことといたしているところでございます。
 最後に、確定拠出年金は、国内の金融機関を救うものであり、また日本の金融資産が国外流出し、日本経済の脆弱化が予想されるとの御指摘がございましたが、確定拠出年金は、雇用の流動化など、経済や時代の変化の中で国民の老後の所得確保の一層の充実が図られるように新たな選択肢として導入するものであり、金融機関の不良債権処理とは関係がないものでございます。
 また、国内あるいは海外いずれの金融機関の運用商品が選ばれるかは、労使の話し合いでありますとか個々人の加入者の選択によるものでありますが、重要なことは、加入者が適切な運用商品を選択し、利益が得られるようにすることであります。
 先ほども申しましたとおり、そのためには十分な情報公開、そして、国の方もそれに対して十分なやはり情報の提供というものをしなければならないというふうに思っている次第でございます。このため、法案では、個別の運用商品の内容などの情報をやはり加入者に提供するなどの措置を講ずるところでありまして、内外を問わず金融機関の適正な競争が行われることを期待いたしているところでございます。
 以上、簡単でございますが、御答弁を申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣塩川正十郎君登壇、拍手〕
#26
○国務大臣(塩川正十郎君) 私に対しましては三点お尋ねがあったと思っております。
 まず最初に、社会保障の財政について今後どう考えるかということでございますが、確かに、今世紀に入りましてから少子高齢化社会が急速に進んでまいりましたので、社会保障制度が重大な政治課題であることを認識いたしております。
 しかし、給付は厚く、負担は軽くというわけにはまいりませんで、したがって、これからは利用者の負担、保険料の負担、そして公費の負担、これらを適切に組み合わせまして、世代間の給付と負担の均衡を図りつつ、経済、財政とのバランスのとれた持続可能な制度を構築していくことを眼目にいたして財政政策を考えていきたいと思っております。
 次に、基礎年金についてのお尋ねでございますが、基礎年金を含む公的年金制度につきましては、世代間の給付と負担の均衡を図るということが大事でございまして、持続可能な安心できる制度を構築する必要がございます。
 そのためには、基礎年金の国庫負担について、昨年成立いたしました年金改正法の附則において、「当面平成十六年までの間に、安定した財源を確保し、国庫負担割合の二分の一への引上げを図るものとする。」とされております。この規定をどのように具体化していくのかについて、安定した財源の確保を図り、具体的な方法を一体として検討していくように鋭意努力してまいるつもりでございます。
 さらに、第三問でございますが、今後の社会のあらゆる制度設計において、個人単位の公平な社会システムの実現のため不可欠な改革として個人単位の税制を考えたらどうかとの御質問でございました。
 そのためには、我が国の個人所得課税は所得を稼得する個人ごとにその所得に対しまして課税する個人単位の課税を採用しておりますが、これは個人が一定の所得を稼得する場合、通常その所得はその個人に帰属することから、所得が帰属する個人ごとに税負担を求めておるということでございます。
 したがって、課税単位につきまして、政府税制調査会の答申においても触れられておりますように、引き続き個人単位とすることが適当であると考えられておりますので、その方向に沿って鋭意努力を重ねていきたいと思っております。(拍手)
   〔国務大臣柳澤伯夫君登壇、拍手〕
#27
○国務大臣(柳澤伯夫君) 確定拠出年金は、金融機関を救済するためのものではないか、また、日本の金融資産の国外流出や経済の脆弱化を招くものではないかとのお尋ねでございました。
 確定拠出年金は、雇用の流動化などの社会経済情勢の変化に対応いたしまして、厚生年金基金や国民年金基金等の年金制度に加え、新たな選択肢として設けられるものでありまして、金融機関の救済を目的とするものではございません。
 また、確定拠出年金の導入により、国内外の金融機関間の競争が促進され、それぞれの資産運用能力の向上が期待できますので、このことは年金加入者の老後の所得の確保にも資するものと考えております。
 こうした事態の中で、為替リスクのある外国への資金流出を殊さら強調して考えますのは当を得ないと考えております。(拍手)
#28
○副議長(菅野久光君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────
#29
○副議長(菅野久光君) 日程第一 二千一年の国際コーヒー協定の締結について承認を求めるの件
 日程第二 文化交流に関する日本国政府とロシア連邦政府との間の協定の締結について承認を求めるの件
 日程第三 税関手続の簡易化及び調和に関する国際規約の改正議定書の締結について承認を求めるの件
  (いずれも衆議院送付)
 以上三件を一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。外交防衛委員長服部三男雄君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕
    ─────────────
   〔服部三男雄君登壇、拍手〕
#30
○服部三男雄君 ただいま議題となりました条約三件につきまして、外交防衛委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 まず、二千一年の国際コーヒー協定は、有効期間が延長された千九百九十四年の国際コーヒー協定にかわるものでありまして、国際コーヒー機関の組織、コーヒーに関する情報、研究及び調査を通じた国際協力等について定めるものであります。
 次に、日ロ文化交流協定は、文化、教育及び学術の分野における交流について定めた現行のロシアとの協定を全面改正するものであります。
 最後に、税関手続の簡易化等に関する規約の改正議定書は、税関手続の国際的調和及び簡易化に必要な標準的手続について定めるものであります。
 委員会におきましては、コーヒーの最大消費国である米国が国際コーヒー協定から脱退した理由、我が国と旧ソ連諸国との文化交流の促進等について質疑が行われましたが、詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終え、順次採決の結果、条約三件はいずれも全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#31
○副議長(菅野久光君) これより三件を一括して採決いたします。
 三件の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#32
○副議長(菅野久光君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#33
○副議長(菅野久光君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数          百七十八  
  賛成            百七十八  
  反対               〇  
 よって、三件は全会一致をもって承認することに決しました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#34
○副議長(菅野久光君) 日程第四 道路交通法の一部を改正する法律案
 日程第五 自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律案
  (いずれも内閣提出、衆議院送付)
 以上両案を一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長江本孟紀君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕
    ─────────────
   〔江本孟紀君登壇、拍手〕
#35
○江本孟紀君 ただいま議題となりました二法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 まず、道路交通法の一部を改正する法律案は、最近における道路交通をめぐる情勢にかんがみ、一般運転者に係る免許証の有効期間を原則として五年に延長するとともに、障害者に係る免許の欠格事由を廃止するほか、酒酔い運転等悪質な違反行為に対する罰則を強化し、あわせて身体障害のある歩行者等の保護に関する規定、交通情報の提供に関する規定等を整備しようとするものであります。
 次に、自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律案は、自動車運転代行業の定義を定めるほか、自動車運転代行業を営もうとする者は、成年被後見人等欠格事由に該当しないことについて都道府県公安委員会の認定を受けなければならないこととするとともに、損害賠償措置の義務づけその他の遵守事項等を定めようとするものであります。
 委員会におきましては、両法律案を一括して議題とし、質疑を行うとともに、道路交通法改正案につきましては、参考人からの意見聴取を行いました。
 両法律案に対しては、道路交通法改正の理念、障害者の欠格事由廃止の意義、暴走族対策の強化、自動車運転代行業を規制する理由、利用者への料金の周知徹底、保険加入義務づけの基準等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終わり、順次採決の結果、両法律案はいずれも全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、両法律案に対し、それぞれ附帯決議を行いました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#36
○副議長(菅野久光君) これより両案を一括して採決いたします。
 両案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#37
○副議長(菅野久光君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#38
○副議長(菅野久光君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数           百八十  
  賛成             百八十  
  反対               〇  
 よって、両案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#39
○副議長(菅野久光君) 日程第六 債権管理回収業に関する特別措置法の一部を改正する法律案(衆議院提出)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。法務委員長日笠勝之君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕
    ─────────────
   〔日笠勝之君登壇、拍手〕
#40
○日笠勝之君 ただいま議題となりました債権管理回収業に関する特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、法務委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、不良債権処理及び資産流動化を一層促進するとともに、倒産処理の迅速化を図るため、債権回収会社の取扱債権の範囲を大幅に拡大すること等をその主な内容とするものであります。
 委員会におきましては、取扱債権拡大についての基本的な考え方、政令で定める見込みの取扱債権、利息制限法違反の債権の取り扱いと適法利息への引き直し義務の遵守、サービサー業への暴力団関与の排除等の諸問題について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党の林委員及び社会民主党・護憲連合の福島理事より、それぞれ本法律案に反対する旨の意見が述べられました。
 討論を終わり、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対して附帯決議を行いました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#41
○副議長(菅野久光君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#42
○副議長(菅野久光君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#43
○副議長(菅野久光君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数           百八十  
  賛成            百四十八  
  反対             三十二  
 よって、本案は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#44
○副議長(菅野久光君) 日程第七 石油の安定的な供給の確保のための石油備蓄法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。経済産業委員長加藤紀文君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕
    ─────────────
   〔加藤紀文君登壇、拍手〕
#45
○加藤紀文君 ただいま議題となりました法律案につきまして、経済産業委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、石油供給をめぐる経済的社会的環境の変化にかんがみ、石油産業の需給調整規制を撤廃するため石油業法を廃止するとともに、石油備蓄対策の強化を図るため、石油輸入業の登録制、国家備蓄の放出命令等を整備するほか、既発見油田の資産買収等に必要な出資を行うことを石油公団の業務に追加する等の措置を講じようとするものであります。
 なお、衆議院におきまして、本法施行後、石油輸入業の登録制等の見直し時期を五年から三年に短縮する旨の修正が行われております。
 委員会におきましては、参考人から意見を聴取するとともに、石油業法廃止の是非、我が国石油備蓄体制のあり方、石油公団問題等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終わり、討論に入りましたところ、日本共産党の西山理事より反対する旨の意見が述べられました。
 次いで、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対して六項目の附帯決議を行いました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#46
○副議長(菅野久光君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#47
○副議長(菅野久光君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#48
○副議長(菅野久光君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数          百七十七  
  賛成            百五十五  
  反対             二十二  
 よって、本案は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
#49
○副議長(菅野久光君) 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時五十一分散会
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ソース: 国立国会図書館
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