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2001/06/15 第151回国会 参議院 参議院会議録情報 第151回国会 本会議 第32号
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2001/06/15 第151回国会 参議院

参議院会議録情報 第151回国会 本会議 第32号

#1
第151回国会 本会議 第32号
平成十三年六月十五日(金曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第三十二号
  平成十三年六月十五日
   午前十時開議
 第一 国民の祝日に関する法律及び老人福祉法
  の一部を改正する法律案(衆議院提出)
 第二 ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理
  の推進に関する特別措置法案(内閣提出、衆
  議院送付)
 第三 環境事業団法の一部を改正する法律案(
  内閣提出、衆議院送付)
 第四 特定製品に係るフロン類の回収及び破壊
  の実施の確保等に関する法律案(衆議院提出
  )
 第五 基盤技術研究円滑化法の一部を改正する
  法律案(内閣提出、衆議院送付)
 第六 旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式
  会社に関する法律の一部を改正する法律案(
  内閣提出、衆議院送付)
 第七 電気通信事業法等の一部を改正する法律
  案(内閣提出、衆議院送付)
 第八 ハンセン病療養所入所者等に対する補償
  金の支給等に関する法律案(衆議院提出)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、新議員の紹介
 一、地方教育行政の組織及び運営に関する法律
  の一部を改正する法律案、学校教育法の一部
  を改正する法律案及び社会教育法の一部を改
  正する法律案(趣旨説明)
 以下 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(井上裕君) これより会議を開きます。
 この際、新たに議席に着かれました議員を御紹介いたします。
 議席第百七番、比例代表選出議員、金石清禅君。
   〔金石清禅君起立、拍手〕
#4
○議長(井上裕君) 議長は、本院規則第三十条の規定により、金石清禅君を財政金融委員に指名いたします。
     ─────・─────
#5
○議長(井上裕君) この際、日程に追加して、
 地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案、学校教育法の一部を改正する法律案及び社会教育法の一部を改正する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○議長(井上裕君) 御異議ないと認めます。遠山文部科学大臣。
   〔国務大臣遠山敦子君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(遠山敦子君) ただいま議題となりました三法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 今日の教育改革を進めていくためには、学校教育、社会教育及び地方教育行政の各般にわたる改革を進めていくことが必要であります。このような観点から、今回、地方教育行政の組織及び運営に関する法律、学校教育法及び社会教育法の三法について改正法案を提出することとした次第であります。
 まず、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
 地方分権の時代にふさわしい地方教育行政制度を実現するためには、教育委員会が、地域住民や保護者の意向をより一層的確に把握し、その信頼にこたえて責任を果たすよう改善を図ることが必要であります。
 この法律案は、このような観点から、第一に、教育委員会の活性化を図るため、教育委員会の委員の構成に配慮すべきことや、教育委員会の会議を原則公開とすること、また、教育行政に関する相談体制の整備を図ることとするとともに、教職員の人事に関する校長の意見をより一層反映させることについて、所要の措置を講ずることとしております。
 第二に、都道府県教育委員会は、児童生徒に対する指導が不適切であり、研修等必要な措置が講じられたとしても指導を適切に行うことのできない市町村の県費負担教職員を免職し、引き続いて都道府県の教員以外の職に採用することができるようにしております。
 第三に、教育委員会が、地域住民や保護者の意向、生徒の進路希望等を踏まえながら、公立高等学校の通学区域をより弾力的に設定できるようにするため、これに係る規定を削除し、通学区域の設定を教育委員会の主体的判断にゆだねることとしております。
 次に、学校教育法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
 学校教育については、児童生徒の社会性や豊かな人間性をはぐくむ観点から、また、一人一人の能力、適性に応じた教育を進め、その能力の伸長を図る観点から、さらには、児童生徒の問題行動への適切な対応を図るなどの観点から、その改善及び充実を図ることが必要であります。
 このため、この法律案は、第一に、小学校、中学校、高等学校等において、社会奉仕体験活動、自然体験活動等の体験活動の充実に努めるとともに、その実施に当たり、関係団体及び関係機関との連携に配慮することとしております。
 第二に、小学校及び中学校における出席停止制度について要件を明確化し、手続に関する規定を整備するとともに、出席停止期間中の学習の支援等の措置を講ずることとしております。
 第三に、大学が特にすぐれた資質を有すると認める者は、高等学校を卒業した者等でなくても、対象分野を問わず、当該大学に入学させることができることとするとともに、大学院へも優秀な成績を修めた者が飛び入学できることとするほか、大学には夜間において授業を行う研究科及び通信による教育を行う研究科を置くことができることを明確化し、あわせて名誉教授について所要の改正を行うこととしております。
 第四に、盲学校、聾学校及び養護学校の寄宿舎に置かれる寮母の名称を寄宿舎指導員に改めるものであります。
 なお、衆議院におきまして、小学校等で充実に努めるものとされている社会奉仕体験活動の例としてボランティア活動を規定するとともに、飛び入学をさせることができる大学の要件について規定することを内容とする修正が行われております。
 次に、社会教育法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
 近年の都市化、核家族化等に伴い、家庭や地域の教育力の低下が懸念されておりますが、二十一世紀を担う心豊かなたくましい子供たちをはぐくむためには、家庭や地域の教育機能を高めることが不可欠となっております。
 この法律案は、このような観点から、第一に、教育委員会の事務として、家庭教育に関する学習の機会を提供するための講座の開設等の事務を規定するとともに、社会教育委員等に家庭教育の向上に資する活動を行う者を委嘱することができるようにしております。
 第二に、教育委員会の事務として、青少年に対し社会奉仕体験活動、自然体験活動その他の体験活動の機会を提供する事業の実施等の事務を規定することといたしておりますが、この規定につきましては、衆議院において、社会奉仕体験活動の例としてボランティア活動を規定することを内容とする修正が行われております。
 第三に、社会教育主事となるための実務経験の要件を緩和し、社会教育に関係のある事業における業務であって文部科学大臣が指定するものに従事した期間を評価できるようにすることといたしております。
 第四に、国及び地方公共団体が、社会教育に関する任務を行うに当たって、学校教育との連携の確保に努めるとともに、家庭教育の向上に資することとなるよう必要な配慮をするものとする旨を規定することといたしております。
 以上が地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案、学校教育法の一部を改正する法律案及び社会教育法の一部を改正する法律案の趣旨でございます。(拍手)
    ─────────────
#8
○議長(井上裕君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。佐藤泰介君。
   〔佐藤泰介君登壇、拍手〕
#9
○佐藤泰介君 私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となりました地教行法一部改正案、学校教育法一部改正案、社会教育法一部改正案について、総理並びに文部科学大臣に質問をいたします。
 まず、質問に入る前に、去る六月八日、池田市の大阪教育大学附属池田小学校での悲惨な事件は、社会、特に子供たちや保護者、教育関係者に強い衝撃を与えたことは言うまでもありません。今後、この事件に遭遇した子供たちはもとより、周辺の小学校、そして全国の小学生に対する早急なケアを考え、実施しなければなりません。特に、岩手県の小学校で実施された、一年生を対象とした、不審者に変装した警察官による避難訓練などによる子供たちの恐怖感を助長することが、どのような結果を生むかは明白なものです。
 今後、ケア等の実施に関しても、早急に、そして慎重な取り組みをお願いしたいと思います。
 しかし、文部科学大臣がこの問題について何ら触れなかったことは極めて残念だと思います。このことを申し上げておきます。
 それでは、質問を行います。
 まず、法案の内容に入る前に、今回の改正案が提案に至るまでの疑問点を総理に伺います。
 政府三法案の基礎となっているのは、昨年十二月に発表された教育改革国民会議報告であります。教育改革国民会議は森首相の私的諮問機関であり、その報告は私的な報告と言うべきものです。これほど重要な法律案が、私的機関の報告に基づいてつくられていることに大きな疑問を覚えます。
 かつて、中曽根内閣当時、中曽根氏は、みずからの私的諮問機関である文化と教育に関する懇談会報告を前面に出すことなく、国会の審議を通じて臨時教育審議会を設置するという手順を踏みました。臨時教育審議会にしろ中央教育審議会にしろ、法的な機関として位置づけられています。
 しかし、前総理の私的諮問機関である教育改革国民会議は何ら法的根拠を持たない勉強会にすぎないにもかかわらず、今回の改正は、この私的な報告を首相の指揮監督権によって行うという前代未聞の手法がとられました。それだけでも十分にこの改正法案は問題があると言えますが、法案が国会に提出された後に総理大臣に就任した小泉総理が、この前総理の私的な報告をベースにした法案をそのまま引き継いでいることも大変おかしな話です。
 さらに、青少年の奉仕活動、体験活動等を四月十一日に中央教育審議会に諮問されておられますが、その答申すら出ていない段階で、今回議題となっている三改正法案のうち、学校教育法一部改正案、社会教育法一部改正案にこのことが組み込まれていることも本末転倒ではありませんか。
 総理は、総理大臣就任後、私が総理になったことは政権交代と同じ意味合いを持っているとおっしゃいました。政権交代が行われたのなら、当然、前政権の形見とも言える三法案は一たん取り下げ、小泉内閣のもとで新たな法案を作成するのが筋ではありませんか。総理のお考えをお聞きします。
 また、総理自身もさきの衆議院予算委員会で、今の子供たちはかわいそうだ、私の小学校時代は学校から帰るとほとんど遊んでいた、めんこ、ビー玉、べいごま、セミとり、トンボとり、鬼ごっこ、勉強したことはほとんどないと述べられています。総理が真剣に今の子供たちのことを考え、教育改革に取り組んでいただけるのなら、今の教育体制を支える、学校教育、社会教育、教育行政の基本法であるこれら三法を継ぎはぎ改正するのではなく、根本的に見直す改革が今必要なのではないでしょうか。
 これまで、多くの内閣が教育改革を言い、内閣がかわるたびに教育改革と称してこれらの重要な法案が部分改正されてきました。そして、そのたびに教育現場の混乱を招き、改革の実効は上がってきていません。
 教育は、自己の人格の完成を実現していく基礎となる能力を身につけさせるために必要不可欠な営みであるとともに、次代の日本と世界を担う子供たちを導く極めて重要な事業です。それだけに、課題を明確にして、部分改正ではなく、国民的な合意を得ながら、着実に教育法体系を総合的に見直し、改革を進めていくことが求められているのです。
 総理、今回の改正で、学校が変わる、教育が変わると本当にお考えでしょうか。御所見をお聞かせください。
 次に、各法案について質問をいたします。
 まず、地教行法改正案です。
 同法案では、いわゆる指導が不適切な教員の転職について規定しております。文部科学省のパンフレットの中で、このような教師は「教壇に立たせない」というレッテルを張るような記載がされています。ここまで厳しい表現をとるのであれば、わざわざこのような法改正を行わずとも、地方公務員法第二十八条では、「その職に必要な適格性を欠く場合」は免職などが措置できる規定となっており、なぜこの法律を適用しないのでしょう。地方公務員法では、任命権者の責任性が問われることになりますが、今回の改正法案では、基本的には教員の養成や採用、研修などについて任命権者の責任は問われません。ここには、問題教員はていよく追放し、みずからの責任はうやむやにしたいという行政側の本音が隠されているのではないのですか。
 また、改正案では恣意的な運用の懸念も払拭できません。公平で透明性ある客観的な基準や第三者による判定基準などはなぜ法文に明記されていないのでしょうか。さらに、このような処分は地方公務員法の不利益処分に当たり、不服申し立ての対象となると考えますが、念のため確認させていただきます。
 今日の学校現場は、社会や子供たちの変化などにより指導の困難性が増し、教員の心身の負担は極限に達しております。このような実態の中で、もし仮に教員の一面的な部分のみをとらえて指導性が不適切との理由で転職させる事態になれば、これまで意欲的に教職に取り組んできた者まで萎縮させる結果にならないとも限りません。これらの点について、文部科学大臣はどのようにお考えでしょうか。
 同法案の通学区域にかかわる規定の削除も疑問があります。確かに、地方分権の視点から見ると、通学区域の設定を設置者の自主的な判断にゆだねるというのもよいことだと考えます。しかし、その結果、競争の激化や学区の拡大、全県一学区などによる混乱を招くのではないかという懸念があります。この点について、文部科学大臣はどのように認識されておられますか。
 次に、学校教育法改正案について伺います。
 同法案では、児童生徒の問題行動への適切な対応として、出席停止に関する規定が定められています。教育改革国民会議では、「問題を起こす子どもへの教育をあいまいにしない」と提言されております。しかし、その原因を掘り下げることなく、出席停止などの措置をとるというのはいかにも対症療法的ではないのでしょうか。
 子供たちの問題行動は、社会や家庭教育、子供同士、教員と子供との関係などさまざまな背景に起因していることは明らかです。問題を起こす子供を原因と見るのではなく、結果と見ることが重要なのではないでしょうか。問題行動を起こす子供を排除し、学校への登校を禁止し、家庭に帰すだけで問題の解決にはなり得ません。
 また、問題と言われる児童生徒を担当しながら、現場で問題解決に取り組む多くの教員がいることも事実です。このような教員たちの実例をリサーチし、広く共有できるような仕組みを整えることも重要な課題であります。
 これらの点について、文部科学大臣はどのようにお考えでしょうか。
 同法案では、大学制度の弾力化と称し、飛び入学制度の拡大を予定しています。飛び入学制度は、教育上の特例措置として、現在、千葉大学と名城大学でごくわずかの人数を対象に取り組まれております。これらの大学がまだ同制度による卒業生も出ておらず、同制度に対する評価が定まらないうちに、飛び入学制度を拡大するのはいかにも拙速な制度改正であると言えます。
 衆議院における修正は当然であるとはいえ、高校教育の意義などを全く検討しないままこのような制度改正をすることは、六三三四制の学校制度の根幹にもかかわる問題に発展しかねず、慎重な対応が求められると考えますが、文部科学大臣の御所見を伺います。
 次に、学校教育法及び社会教育法改正案で明文化されている社会奉仕体験活動について伺います。
 奉仕活動とは、一般的に滅私奉公をイメージし、いわゆるボランティア活動とは似て非なるものです。私たちは、子供たちの自主性を尊重したボランティア活動をどのように大人としてバックアップするべきかという視点から政策を考えるべきであり、子供の意思とは関係のない強制の形による奉仕活動は非常に問題が多いと考えます。
 この点について、文部科学大臣はどのようにお考えでしょうか。
 最後に、総理は、恐れず、ひるまず、とらわれず改革を断行していくと決意を述べられました。今、教育改革に必要なことは、滅私奉公を基調とする森前総理の教育改革にとらわれず、財政面でも厳しい時期ではありますが、教育は未来への先行投資であることは歴代内閣も表明しています。総理が引用された小林虎三郎の逸話によれば、未来への投資は、米百俵だけでなく、米万俵でも、ひるまず、恐れず財政措置を講じ、教育改革を断行することだと私は思います。
 総理の真摯な取り組みを切望して、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
#10
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 佐藤議員にお答えいたします。
 答弁に先立ちまして、過日、大阪府池田市の小学校において発生いたしました事件によって亡くなられたお子様たちに、心から御冥福を祈りたいと思います。また、御家族の方々の思いを思いますと、何とも申し上げようもございません。心よりお悔やみを申し上げたいと思います。また、被害に遭われた方々に対してお見舞い申し上げるとともに、一日も早い御回復を願っております。
 今後、このような事件をいかに防げるか、また子供たちが安心して学ぶ場である学校でこのような事件が起きたことはまことに痛ましい限りでございますので、今後、あるべき対応についても真剣に検討していきたいと思います。
 御質問でございますが、今回の三法案を取り下げて新たな法案を作成すべきではないかというお尋ねでございます。
 森前総理が教育改革を重視され真剣に取り組んでいた成果がこの三法案でございます。私は、いいものは引き継いでいきたいと思っております。そういう意味におきまして、この三法案の趣旨といいますか目的というのは、豊かな人間性の育成や多様な個性、才能を伸ばす教育を進めるということでございますので、この法案の成立に私も全力で取り組んでいきたいと思っています。
 今回の改正で学校が変わる、教育が変わると思っているかというお尋ねでございますが、平成十三年度予算においては、少人数指導を可能とする教職員定数の改善や体験活動を促進するための子どもゆめ基金の創設など教育改革関連予算を盛り込み、その着実な実行に取り組んでおります。さらに、専門的な検討を要する事項については、中央教育審議会において検討を行い、その成果を踏まえ実行したいと考えております。
 このような施策を通じて、現状打破といいますか、学校をよくして教育を変えていきたい、そういうふうに思っております。
 教育改革に対する決意についてでありますが、私も米百俵精神ということを申し述べましたが、この根底はやはり教育の重要性を説いたものだと思っております。あのような貧しく飢えているときにおいても、その場をしのぐ、飢えをしのぐことよりも、将来を見詰めた人材の育成が大事だからこそあの米百俵を売って学校を建てたという、今の百俵よりあすの千俵、万俵を目指して人づくりの重要性を説いたものだと思っております。
 そういう意味において、企業は人なりという言葉がございますが、人づくり、国づくりの前提は人づくりだと思います。あらゆる面において人づくりが大事だということを認識しながら、今後とも、学ぶ意欲のある方に対してはできるだけその場を提供し、生きがいと働きがいを持って取り組むことができるような社会をつくることが私は大事ではないかと思います。
 そういう意味においても、教育の重要性を真剣に考え、教育改革に今後とも全力で取り組んでいきたいと思います。
 残余の質問は、関係大臣から答弁いたさせます。(拍手)
   〔国務大臣遠山敦子君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(遠山敦子君) 佐藤議員の御質問にお答え申し上げます。
 御質問への答弁の前に、大阪教育大学附属池田小学校の件では、ただいま総理がお話しになりましたとおりの姿勢で対処してまいりたいと思っておりまして、文部科学省といたしましては、目下、関係者の心のケアの問題そして学校再開に向けての必要な措置について、全面的にこれをサポートしていきたいと思っております。
 同時にまた、全国の小中学校での安全確保につきましても、私どもも、地域の取り組みをサポートしながら、全力を挙げて日本の学校が安全にかつ安心して過ごせる場所になるために努力をしてまいりたいと思いますので、どうぞ先生方の今後の御指導及び御支援をお願いしたいと思います。
 御質問の件でございますが、第一に、指導が不適切な教員に関し、地方公務員法の活用及び任命権者の責任についてのお尋ねでございますが、教員の職務は児童生徒の人格形成に重大な影響を与え得るものでありますことから、指導が不適切な教員への対応は適切な教育を確保する上で大変重要な課題であります。
 このような観点から、指導が不適切な教員のうち分限処分に該当する者につきましては、これまでどおりその処分を行うべきでありまして、本法律案の措置の対象からは除くことといたしておりまして、今回の改正では、分限処分に至るほどではないものの、指導が不適切な教員を対象にすることとしております。
 都道府県教育委員会は、指導が不適切な教員が生じないように、当然のことながら、採用、研修等を通じて教員の資質能力の向上に努めることが必要でありますとともに、このような教員が生じた場合には、指導に当たらせないよう、分限処分や本法律案の措置等を適切に行うことによって責任を果たすことが必要と考えております。
 また、客観的な基準や判定審査等についてのお尋ねでございますが、まず、本法律案の措置を適用する場合の基準については、その対象となる教員の要件を法律上明示しているところであります。また、この措置が適正かつ公平に行われますように、要件に該当するかどうかを判断するための手続について、教育委員会規則で定めることを法律上義務づけております。
 この手続の具体的内容は、各都道府県教育委員会が定めるものではありますが、我が省といたしましては、必要な手続として、判定委員会を設けることなどを指導してまいりたいと考えております。
 さらに、不適切教員についての措置が不服申し立ての対象となるかという点につきましては、本法律案の措置について不服がある場合には、地方公務員法第四十九条の二に基づいて、人事委員会に対し不服申し立てを行うことが可能であります。
 続いて、今回の措置は教員を萎縮させるのではないかとのお尋ねでありますが、本法律案においては、措置の対象となる教員を、児童生徒に対する指導が不適切であること、研修等必要な措置が講じられたとしてもなお指導を適切に行うことができないことのいずれの要件にも該当する者に限定するとともに、要件に該当するかどうかを判断するための手続について、教育委員会規則で定めることを義務づけております。
 本法律案は、このような内容を盛り込んだものでありまして、児童生徒に対する適切な教育を確保することをねらいとしたものでありまして、教員を萎縮させるものではないと考えております。
 次に、高等学校の通学区域についてのお尋ねでございますが、今回の改正は、地方分権を一層進めるという観点に立って、通学区域の設定につきましては各教育委員会の判断にゆだねることとしたものでありまして、これによって学区の拡大や全県一学区をねらいとするものではございません。
 一方、これからの高等学校教育におきましては、多様な生徒の実態に対応して、生徒の個性を最大限に伸ばすために、多様な特色ある学校づくりが必要でございます。各教育委員会におきましては、それぞれの地域の高等学校教育のあり方を基本に置きながら、地域の実情を十分に踏まえて適切に対応されるものと考えております。
 さらに、出席停止についてのお尋ねでありますが、問題行動の原因、背景につきましては、さまざまな要因が複雑に絡み合い発生していると考えられます。このため、問題行動の対応に当たりましては、学校において全教職員が一致協力して生徒指導に当たりますとともに、家庭や関係機関と十分連携するなど、日ごろからの生徒指導を充実することがまずもって大事なことは、まさにそのとおりと考えております。
 しかしながら、学校が最大限の努力を行っても解決せず、他の児童生徒の教育が妨げられている場合には、出席停止とすることも必要であります。今回の法改正は、この出席停止制度について一層適切な運用を期するものでございます。
 次は、教員の実践例の共有についてのお尋ねでございますが、問題行動への適切な対応を進めるために、文部科学省や教育委員会では、従来から、学校におきます取り組み例などの普及に努めてきたところでございます。問題の解決には、もとよりそれぞれの学校が工夫をし、そしてそれぞれの実情に照らした取り組みを行うことが大切でございますが、しかし、実践例を共有していくことは、御指摘のとおり大変大切なことであると考えます。
 そのために、今後とも、国立教育政策研究所の生徒指導研究センターが中心となって、問題行動の背景、要因や効果的な取り組みなどについて調査研究を進め、学校現場に対し実践例や研究成果を提供するよう一層努力してまいります。
 飛び入学についてのお尋ねでございますが、今回の法改正をしましても、高校を卒業してから大学に入学するのが原則という現行制度の基本が変更されるものではございません。また、これまでの実施状況からいたしましても、大学側のしっかりした受け入れ体制や高校側との密接な連携など、適切な運用が確保されますれば問題はないものと考えております。
 さまざまなすぐれた資質を持つ子供たちの才能を伸ばしていくためにも、できるだけ早く法改正をしてチャンスを広げることが重要でありまして、御理解を賜りたいと存じます。
 最後に、奉仕活動についてのお尋ねでありますが、社会奉仕体験活動とは、青少年に社会奉仕の精神を涵養することを目的とした体験活動のことでありまして、ボランティア活動を含む広い概念であります。衆議院におきます修正も、このことを前提として行われたものと受けとめております。
 今回の法改正は、学校教育及び社会教育において青少年の体験活動の促進を図ることを目的としておりまして、青少年に対し体験活動を行うことを義務づけるものではございません。
 もとより、ボランティア活動など社会奉仕体験活動の実施に当たりましては、青少年の発達段階あるいは自発性に配慮したり、地域の実情に応じて多様な形で行われることが大切であると考えております。
 以上でございます。(拍手)
    ─────────────
#12
○議長(井上裕君) 山下栄一君。
   〔山下栄一君登壇、拍手〕
#13
○山下栄一君 私は、公明党を代表し、ただいま議題となりました学校教育法の一部を改正する法律案、社会教育法の一部を改正する法律案、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案の趣旨説明に対し、小泉総理及び文部科学大臣に質問をいたします。
 最初に、先日、私の地元の大阪で起きました校内児童殺傷事件についてお伺いいたします。
 教室に包丁を持った男が乱入し、児童や教員を次々と刺し、小学校の一年生、二年生の子供たち八人が亡くなりました。平和な希望の世界が一瞬のうちに地獄と化しました。日本の教育史上、前代未聞の大事件となりました。亡くなられた子供たちや御家族に心より哀悼の意を表します。また、まだ入院されている方々を初め、心身深く傷を受けられた池田小学校の皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
 学校の安全管理のあり方が問われております。子供たちの命を断じて守ることは、すべてに優先する政治の仕事であり、学校の使命です。学校は決して無防備であってはならない。そのための警備のあり方を真剣に、また早急に検討すべきです。その際、地域に開かれた学校づくりの全面的見直しについては、私はそれは正しいのかと考えております。教員だけではなく、地域の大人の総合的連帯で、全力で学校、子供を支えるという考え方に立った安全管理制度を追求すべきではないかと考えております。総理、いかがでしょうか。
 次に、精神医療体制の見直しです。
 精神、心の専門家のニーズは高まる一方であります。精神疾患は、特定の人だけではなく、だれにも起こり得る病、そんな時代を迎えているのではないか。現代社会は精神的ストレス社会です。人間の豊かな心をはぐくんできた自然は周りから消え、さらに人間同士の直接的触れ合いは減少する一方です。人間精神の鍛えの場も機会も減っております。家庭、学校、地域も、時には永田町や霞が関も心の専門家を必要とする時代となりました。しかし、その数は絶対的に不足しています。精神医学も心理学も、その学問分野では中心的扱いを受けてこなかったのではないか。
 心の専門家の養成と配置は緊急の国家的課題だと考えますが、総理、いかがお考えでしょうか。
 触法精神障害者への対応が議論になっております。我が党も直ちに検討会を設置いたしました。
 凶悪犯罪を犯しても、精神障害が認められれば責任が問われないのはおかしいという声が高まっております。無罪や不起訴となった精神障害者の方々の処遇のあり方を、法制度そして専門治療施設の設置を含めた保健福祉制度、再犯防止のための支援制度などの観点から早急に検討すべきであります。その際、精神障害者やその家族を孤立させない、地域みんなで支えるという理念に立つことが大事ではないか。総理の所見をお伺いいたします。
 問題を起こす子供への対応について質問いたします。
 今回の法改正で義務教育における出席停止制度がテーマとなっております。出席停止処分は、就学義務を課す今日の義務教育制度下の例外的規定であり、緊急避難措置であります。教室の世界に行政処分たる権力的措置は本来なじみません。今回の法改正は、この規定を発動しやすくするのではなく、発動に当たっての手続の明確化を図り、要件を厳しく規定したことは評価できます。それについての文部科学大臣の答弁を求めます。
 私は、出席停止処分を発動するまでどんな努力を学校が行ったか、このことが問われなければならないと思います。どんな劣等児でも優等生にしてみせるとの迫力で教員が連帯して問題行動のある子供に当たる、場合によっては地域のおじさん、おばさんの協力も得る、児童相談所や警察の知恵も借りる、そのようなあらゆる努力を学校が地域の支援を受けて行う。文部科学省などが推進する学校サポートチームの考え方は、出席停止発動後だけではなく発動の前の取り組みとして大切だと考えますが、文部科学大臣の見解を求めます。
 出席停止処分を受けた保護者そして当該子供は、昭和三十八年に制定された行政不服審査法の適用除外の扱いを受けております。学校教育における行政不服審査手続について、法律の創設を含め早急に検討すべきと考えますが、文部科学大臣の御所見をお伺いいたします。
 兵庫県川西市が、平成十一年、全国に先駆けて設置した子どもの人権オンブズパーソン制度はそのすばらしいモデルになると考えておりますが、あわせてその評価を伺います。
 問題を起こす子供は特別の子供ではない、だれでも起こし得るという認識が大事であります。安易な排除の論理は、問題児から守るつもりであった子供にもマイナスの効果を及ぼす可能性があります。
 問題を起こす子供に対する教育はどうあるべきか、学校そして社会の教育力が問われております。安易な出席停止の発動は教育力を衰弱させると考えますが、文部科学大臣の所見をお伺いいたします。
 次に、教員の資質向上の問題です。
 一たん教師になれば生涯教師という考え方は見直す必要があります。教師の転職への道を開く今回の法改正は評価します。少子化時代、教員社会の高齢化は深刻な問題です。問題教員だから転職ではなく、教員経験が他の社会分野で生かされる前向きの転職が理想です。
 私は、教員の教える技術そして人格の向上は、研修会方式ではなく、授業の公開がかぎを握ると考えています。教師は授業が勝負です。私は、百の研修会より一回の公開授業、参観日は特定日だけではなく毎日参観日、これが最大の資質向上策である、コストもかからない、このように考えますが、総理はいかがでしょうか。
 最後に、子育て、後継者育成の重要性について総理のお考えを確認したいと思います。
 本来、動物は激しい生存競争の中で後継者世代を育て上げることを至上命題としてきました。魚も鳥も動物も子育ては命がけです。他方人間は、この子育て事業の優先順位を社会の進歩とともにどんどん低くしてきたと言えないでしょうか。快適で便利な生活を求める中で、最も基本的な後継者育成を中心部から周辺に追いやってきたのではないか。心の空洞化が拡大する中で、また児童虐待が激増する中で、子育てのだいご味、我が子を自身が感動するような大きな人間に育てることができたと言える子育ての喜び回復運動が必要ではないでしょうか。
 子供の専門家が大変少なくなってきました。医学では小児科の先生は主役ではありません。警察の捜査でも裁判所でも少年院でも、少年の心がわかる専門家が不足しています。児童の専門施設である児童福祉施設や児童相談所は予算も人員も貧弱です。日本は戦後五十年、子供を大切に扱ってこなかったのではないか。今日の青少年が引き起こすさまざまな問題は、そのしっぺ返しではないかとさえ思えます。
 大人中心社会から子供を大切にする社会への転換こそ構造改革の柱だと訴えたいと思いますが、総理のお考えをお尋ねし、質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
#14
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 山下議員にお答えいたします。
 地域に開かれた学校づくりとその安全管理についてのお尋ねであります。
 学校が地域における大切な存在として、また保護者や地域の人々に学校に対する理解をより深めてもらうために、これまでどおり学校を地域に開かれたものとしていくことは私も必要だと考えております。
 この開かれた学校と安全管理という面をどうやって両立させていけばいいか、これは今後、真剣に検討していかなければなりませんが、開かれた学校も子供たちの安全確保が絶対条件でありますので、この点を重視しながら安全対策にも努めていきたいと思っております。
 心の専門家の養成の充実についてですが、社会が非常に多様化し複雑化して、ストレスも増大していると思います。国民の心の健康を確保するということは重要な課題であるという山下議員の認識は、私も同感でございます。
 今後、精神科医等の養成の充実に努めるとともに、医師、看護婦、臨床心理士、精神保健福祉士等に対して、心の健康づくりについての研修の強化を図るなど、心の専門家の幅広い育成に努めてまいりたいと思います。
 触法精神障害者への対応についてのお尋ねでございます。
 今回の事件については、現在、捜査機関が捜査継続中であり、容疑者について刑事責任を問うことができるかどうかも含めて、今後の捜査の推移を冷静に見守る必要があると思います。
 ただ、最近どう考えても異常としか思われないような凶悪な犯行形態の事件が相次いで発生しておりまして、安全な社会に対する国民の信頼が失われつつあると私も痛感しております。
 安全な社会に対する国民の信頼を回復するためには、凶悪犯罪への対策を強化する必要があります。中でも、精神に障害がある人による犯罪への対応において刑事手続と医療の間で連携の不備があれば、その不備を改める検討を行う必要があると私は考えます。こうした刑事手続の側面と医療的な側面の両面についての検討結果を踏まえて、制度的に不備があるということであれば、関係者の人権にも配慮をしつつ、必要な改善が必要ではないかと思います。
 教員の資質向上策について、授業の公開についてのお尋ねがございました。
 学校教育は、その直接の担い手である教員の資質能力に負うところが大きく、その向上を図ることが重要であります。
 このため、各都道府県教育委員会等においては、教員の資質能力の向上に向けてさまざまな工夫を凝らすことが必要であり、授業を広く公開することもその有意義な一つの試みであると私は考えます。
 子供を大切にする社会を目指すべきではないかというお尋ねであります。
 議員御指摘のとおりだと思います。子供を育てるべき我々大人がみずからの責任を自覚し、学校、家庭、地域社会が一体となって子供たちが伸び伸びとやる気を持てるような社会を実現する必要があり、そのための施策の充実を図ってまいりたいと考えます。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣遠山敦子君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(遠山敦子君) 山下議員の御質問にお答え申し上げます。
 初めに、出席停止制度の改善の効果に関するお尋ねでございますが、現行の法律では、出席停止について、性行不良であって他の児童生徒の教育に妨げがあると認める児童生徒に対して命ずることができると規定されているだけでありまして、具体的な要件が明確ではございません。また、その手続が規定されておりません。
 このため、今回の改正におきまして、その要件を明確化しますとともに、新たに手続や出席停止期間中の学習支援について規定することとしたものでございます。
 このことによりまして、問題行動を起こす児童生徒への対応が一層適切になされるようになりまして、他の児童生徒の教育を受ける権利が保障されますとともに、出席停止期間中の指導の充実が図られるようになると考えております。
 もとより、出席停止の措置をとります前に、教職員が一致協力をして生徒指導に当たるべきは当然のことと考えておりまして、その面の重要性は御指摘のとおりでございます。
 次に、サポートチームについてのお尋ねでございますが、問題行動の原因、背景につきましては、家庭のしつけや学校のあり方、地域社会における連帯感の弱まり、青少年を取り巻く環境の悪化などの要因が複雑に絡み合って発生していると考えられます。
 しかしながら、問題行動を起こす児童生徒への適切な対応は教育上極めて重要な課題でありまして、それぞれの事例に即し、学校において全教職員が一致協力して取り組みますとともに、学校のみならず関係機関の職員から成るサポートチームを組織して、地域ぐるみで指導、援助を行うことが重要であると考えております。
 また、学校における処分に関する不服審査についてのお尋ねでございますが、出席停止など学校におきます処分につきましては、児童生徒の権利にかかわることから、適切な運用に努めなければならないことはもちろんでございます。
 このため、今回の法改正では、出席停止を命ずる際に、保護者からあらかじめ意見聴取を行うことを義務づけるなど事前手続の規定を設けたところでございまして、これによって慎重かつ適正な手続がとられて、児童生徒の権利保護が図られることになると考えております。
 学校における処分につきましては、教育の性質上、一般的な不服審査にはなじまないものでありますことから行政不服審査法の対象外とされておりまして、このようなことを考慮いたしますと、新たな法整備には慎重に対処すべきものと考えております。
 また、川西市の子どもの人権オンブズパーソン制度についてでありますが、学校や教育委員会が、家庭や地域と連携協力しながら一体となって子供の健やかな成長を図っていきますためには、教育行政に関する意見や要望を十分に受けとめて、学校運営や教育行政に的確に反映していくことが大切であると考えております。
 お尋ねの兵庫県川西市の子どもの人権オンブズパーソン制度につきましては、こうした取り組みの一つとして、子供の人権救済の観点から設けられたものと理解いたしております。
 最後に、安易に出席停止を行うべきではないとのお尋ねでございますが、児童生徒の問題行動に対応いたしますためには、日ごろからの生徒指導を充実することがまずもって必要でありまして、学校が最大限の努力を行っても解決せず、他の児童生徒の教育が妨げられている場合に、他の児童生徒の教育を受ける権利を保障する観点から、出席停止とすることとなります。
 こうした点を踏まえて、児童生徒の問題行動については、学校として生徒指導の充実を図る中で、児童生徒の悩みを受けとめ、内面の理解に努めるなどして、温かい信頼関係のもと、自己達成感を味わわせて問題の解決を図っていくことが重要と考えております。
 今後、法改正を契機といたしまして、問題行動の解決に向けて、日ごろからの生徒指導の充実に努めてまいります。
 以上でございます。(拍手)
    ─────────────
#16
○議長(井上裕君) 阿部幸代君。
   〔阿部幸代君登壇、拍手〕
#17
○阿部幸代君 私は、日本共産党を代表して、学校教育法の一部を改正する法律案など、教育三法案について、小泉総理並びに遠山文部科学大臣に質問いたします。
 質問に入る前に、大阪教育大学附属池田小学校における悲惨な事件で亡くなった子供たちに対し、心から哀悼の意を表するものです。こうしたことが二度と繰り返されることのないように、医療と法律、両面からの検討が必要です。また、学校の安全性の確保という点から、教職員と父母、地域が協力した学校づくりの重要性を一層痛感するものです。
 法案について、まず高校の通学区規定の廃止の問題について伺います。
 今日、日本の教育が抱えている問題は、国連子どもの権利委員会が指摘しているように、極度に競争的な教育制度によるストレスのため、子供が発達のゆがみにさらされているということです。その是正こそが求められているのです。総理はこのことをどう受けとめているのでしょうか。
 実際、埼玉県の例を見ると、百六十二校の公立高校のうち、百二十七校の公立普通科高校が八つの通学区に分けられ、隣接学区も受験できるため、ある学区では最高七十四校のうちから一校を選ぶことになっています。七十四段階もランクづけされ序列化された学校にふるい分けられる子供たちの気持ちがわかりますか。
 通学区は、もともと教育の機会均等と入学競争の弊害の排除を目的に設定されてきたのではありませんか。ところが、それに逆行する事態がここまで進んでいるのです。通学区規定を廃止して全県一区も可能になれば、競争を一層激化させ、改善の方向に逆行するのではありませんか。
 この際、学区の弾力化と称して競争を激化させるのはやめて、高校希望者の全員が入学できる希望者全入にこそ踏み切るべきではありませんか。総理の見解をお聞かせください。
 法案は、飛び入学を物理、数学のみでなく、すべての教科に拡大しようとしています。物理、数学のみの飛び入学についても、日本数学会や日本物理教育学会、芸術家からも、人間的成長なくして才能の真の開花もないと異論が出ていたにもかかわらず、何の検証もなく子供たちに押しつけるのは余りにも無謀ではありませんか。これは、高校教育の意義を一層低めるものと言わざるを得ません。
 次に、社会奉仕体験活動の事実上の義務づけについて伺います。
 文部科学大臣は、衆議院の答弁で、一方で義務づけないと言いながら、他方では評価の対象にすると答えました。評価の対象になる以上、子供たちにとっては強制されることと同じことです。これでは、自主的、自発的に行われるボランティア活動をゆがめることになりませんか。
 学習は、児童生徒の人間としての成長と発達に不可欠な、憲法上の根本的な権利です。それだけに、出席停止は慎重の上にも慎重を期す必要があります。
 現行法でも、市町村教育委員会が、「性行不良であつて他の児童の教育に妨げがあると認める児童があるときは、その保護者に対して、児童の出席停止を命ずることができる。」と定めてあり、出席停止措置が可能です。にもかかわらず、出席停止措置の要件を法制化するのは、教育改革国民会議の議論にもあるように、問題を起こす子供を隔離、排除すれば教育が成り立つという考え方を押しつけようとしているからではありませんか。
 先に排除ありきではなく、問題行動を起こす背景をとらえ、それに対する適切な改善を実行し、子供や家族に対する援助を行うことこそ、教育の営みというものではありませんか。
 法案は、出席停止期間中の学習の支援等の措置を講ずることとしています。
 文部科学省の調べでは、一九九九年に出席停止措置を受けている子供で、二十一日以上というのが六件ありましたが、出席停止期間の主たる居場所はすべて本人の家庭でした。
 法制化に当たり、期間の定めもなく、居場所は家庭及び学校外の諸施設というのでは、子供にとっては懲罰であり、子供は切り捨てられたという深い傷を負ってしまうのではないでしょうか。これがなぜ教育的営みと言えるのでしょうか。
 とりわけ問題なのは、子供の意見を聞くということが法案には明記されておらず、子どもの権利条約第十二条の意見表明権を全く無視していることです。これでは、子供の人権と教育の条理を無視した隔離、排除としか言いようがありません。教育は子供と教師の信頼関係の上に成り立つものです。学ぶ権利が剥奪されるときに、なぜそうされるのかを知らされず、弁明の機会が与えられなければ、子供の理解と納得が得られず、教育的効果も期待できないのではありませんか。
 次に、いわゆる指導力不足教員の問題についてです。
 法案は、教育委員会が指導力不足と判断すれば、本人の同意なしに配置転換を可能にするものです。
 それでは、指導力不足教員とは一体何なのでしょうか。適格性を欠く教員、つまり反社会的行為やセクハラ等は現行法でも処分が可能であり、近年急増しているメンタルヘルス上の問題を抱える教職員のことも、医療上の問題として考えるのが当然です。これらを指導力不足教員とは言いません。
 文部科学省は、衆議院段階の審議で、指導力不足について、専門的知識などの不足、指導方法が不適切、児童生徒の心を理解できず意欲に欠けるという三つの具体例を挙げただけで、指導力不足教員の定義を明らかにすることができませんでした。そもそも指導力とは何なのですか。簡潔に答えてください。
 文部科学省から委嘱を受けた埼玉県教育委員会の検討で、指導力不足の具体的事象として、学級経営がうまくできない、学習指導について画一的な授業しかできない、児童生徒、保護者、同僚職員とよくトラブルを起こす、自信過剰、偏屈で校長や保護者の意見を聞こうとしない、児童生徒への教員としての愛情が不足している等を挙げていました。
 自信過剰、偏屈など、これがなぜ指導力とかかわるのでしょうか。これはまさに画一的な教師像の押しつけではありませんか。これでは、だれもが該当者になりかねません。ある学校では高い指導力を持つと言われた教員が、別の学校で十分に力を発揮できないこともあり得るし、その逆もあるのです。教員の指導力とは、子供の状況、教職員集団の力量や職場環境などの関係において成立するものです。
 求められているのは、だれが指導力不足教員なのかを特定することではなく、学校全体の教育の力をどう高めていくかということではありませんか。何よりもまず指導力不足教員を出さないようにすることが肝要なことで、教員同士が相助ける仕組みや、父母、子供、教師が一体となった学校づくりを進めることではないでしょうか。そうでなければ、難しい子供たちや難しい学級や学校を受け持つ先生がいなくなってしまいます。それとも、難しい子供は排除をすればよいということなのでしょうか。
 本法案の強行によって、そもそも教育の条理に反する排除の仕組みを児童生徒にも教職員にも持ち込もうとしていることは、これこそ、憲法と教育基本法に基づく国民が願う教育本来のあり方と理想に満ちた未来に通ずる教育の基本理念に背き、重大です。制度を振りかざして子供にも教職員にも管理と統制を強めれば、教育現場は一層指導に困難を来すのではないでしょうか。
 二十一世紀の社会的基盤というべき教育改革において、拙速は許されません。国民の教育要求にこたえるためにも、会期末の短期間に結論を出すことなく、競争と管理を強め奉仕活動を押しつけるこの教育三法案を廃案にすべきことを主張して、質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
#18
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 阿部議員にお答えいたします。
 競争的な教育制度についてのお尋ねであります。
 過度の受験競争の問題は改革に取り組むべき教育課題の一つと考えています。このため、学力試験に偏重した入学者選抜から、面接や推薦入試の実施など、生徒の多様な能力、適性等を多面的に評価できるように入学者選抜の改善を図っているところであります。
 また、あわせて、ゆとりの中で学ぶ楽しさを実感できるよう、教育内容を厳選し、体験的学習を重視するなど、教育内容や方法の改善に努めてまいります。
 高校の希望者全入についてのお尋ねであります。
 現在、高校進学率は約九七%に達しておりますが、生徒の能力、適性、興味、関心、進路希望等は極めて多様化しており、こうした生徒の実態に応じて各学校が責任を持って三年間にわたる教育を提供するためには、入学者選抜は必要であると考えております。
 高等学校入学者選抜については、受験競争が激化せぬよう、面接や推薦入試の実施などの多様化等を促してまいります。
 なお、高校の学区制は、今後、その設定について、地域の実情等を踏まえた各教育委員会の判断にゆだねることとしたものであり、学区の拡大や全県一学区をねらいとするものではありません。
 出席停止制度の法改正の趣旨に関する質問でありますが、深刻な問題行動を起こす児童生徒については、日ごろの生徒指導の充実のためのさまざまな努力にもかかわらず、他の児童生徒の教育が妨げられている場合には、その教育を受ける権利を保障するため、出席停止とすることも必要であると考えます。
 問題行動を起こす児童生徒に対しては、早期からの指導を一層充実するとともに、今回の法改正により出席停止の要件及び手続の明確化、学習支援の充実を図ることを通じ、その一層適切な運用を期してまいります。
 出席停止期間中の学習支援に関する御質問でありますが、出席停止に際しては、適切な期間を設けて児童生徒に対して教職員が家庭を訪問し、学習課題を与えて指導したり、教育相談を行うなどの取り組みを行うこととなります。
 今回の法案では、児童生徒の出席停止期間中の学習支援に関する規定を盛り込んだところであり、法施行に当たっては、これらの児童生徒に対する学習支援措置が十分行えるように必要な条件整備に努めてまいります。
 出席停止に関する子供の意見聴取についての御質問でありますが、法律上、出席停止は保護者に対して命ずるものとされているので、今回の法改正では、出席停止の名あて人である保護者からの意見聴取等を規定したところであります。
 一方、児童生徒については、出席停止の適切な運用を図る観点から、その意見を聞く機会を持つよう配慮することは大切なことであり、今後ともその趣旨を指導してまいります。
 指導力不足教員を出さないような学校づくりを進めるべきではないかとのお尋ねでございます。
 教員の職務は児童生徒の人格形成に重大な影響を与えるものであり、指導が不適切な教員への対応は重要な課題であります。このためには、採用や研修による教員の資質向上や職場環境の整備等を通じて、指導が不適切な教員が生じないよう努めるとともに、このような教員が生じた場合には、本法律案で創設する転職措置を含めた人事上の適切な対応をすることが必要と考えております。
 法案が成立すれば、教育現場は一層困難を来すのではないかとのお尋ねであります。
 法案は、出席停止制度の適切な運用により児童生徒の教育を受ける権利を保障すること、さらには、指導が不適切な教員に対する転職措置の創設により適切な教育の確保に資することを目指したものであります。したがって、この法案は、教育現場の混乱をあらかじめ防止するものであります。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣遠山敦子君登壇、拍手〕
#19
○国務大臣(遠山敦子君) 阿部議員の御質問にお答え申し上げます。
 初めに、飛び入学についてのお尋ねでございますが、子供たちはいろいろな分野でそれぞれの持ち味を生かして大きな花を咲かせる可能性を秘めております。今回の改正は、特定の分野で特にすぐれた資質を持つ子供たちにその資質をさらに伸ばすためのチャンスを広げようとするものでありまして、決してそれを押しつけようとするものではございません。
 なお、これまでの実施状況からいたしましても、大学側のしっかりした受け入れ体制や高校側との密接な連携など、適切な運用が確保されますれば問題はないものと考えております。
 次に、社会奉仕体験活動につきましては、今回の改正は、学校に対して教育指導を行うに当たり社会奉仕体験活動などの体験活動の充実に努めることを求めるものでありまして、児童生徒に対して体験活動を行うことを義務づけるものではありません。
 学校の教育課程として実施される体験活動につきましては、他の教育活動と同様に活動の成果を適切に評価することが大切でありまして、評価することをもって児童生徒に義務づけることにはならないと考えております。もとより、この場合の評価は点数化を考えるようなものではなくて、むしろプラス面を評価していこうということで考えているところでございます。
 もとより、社会奉仕体験活動等の体験活動の実施に当たりましては、児童生徒の発達段階や活動内容に応じてその自発性に配慮いたしますとともに、地域の実情に応じてさまざまな活動の場や機会を工夫し、多様な形で行われることが大切であると考えております。
 第三点の、問題行動を起こす子供やその家族への援助についてのお尋ねでございますが、問題行動の原因、背景につきましては、家庭のしつけあるいは学校のあり方、地域社会における連帯感の弱まり、青少年を取り巻く環境の悪化などの要因が複雑に絡み合って発生していると考えられます。
 このため、問題行動への対応に当たりましては、家庭との十分な連携のもと、それぞれの事例に即して、学校において全教職員が一致協力して日ごろからの生徒指導に十分取り組むとともに、学校のみならず関係機関の職員から成るサポートチームを組織して、地域ぐるみで児童生徒や保護者に対し指導、援助を行うことが重要であると考えております。
 また、出席停止期間中の学習支援につきましては、出席停止となる児童生徒については、適切な期間を設けた上で、学級担任などの教職員が家庭を訪問し、学習課題を与えて指導をしたり、教育相談を行いますとともに、関係機関の専門職員の協力を得て指導するなどの取り組みを行うこととなります。
 また、その際には、出席停止となった児童生徒が円滑に学校生活に復帰できますように、本人や他の児童生徒に対して教育的配慮に立った適切な指導を行うことになります。
 我が省といたしましては、このような学校の取り組みを支援しますために、教職員定数の加配など必要な人的措置を講じますとともに、関係機関の職員から成るサポートチームを組織化いたしまして、地域ぐるみの支援体制づくりを積極的に支援してまいります。
 次に、教員の指導力についてのお尋ねでありますが、一般に、指導とは教え導くことでありまして、したがって指導力とはこのための力を指すものと考えております。
 本法律案の措置の要件は児童生徒に対する指導が不適切であることでありまして、これに当てはまる具体例といたしましては、既に紹介されたとおりでありますが、教科に関する専門的知識、技術等が不足しているために学習指導を適切に行うことができない場合、あるいは指導方法が不適切であるために学習指導を適切に行うことができない場合、さらには児童生徒の心を理解する能力や意欲に欠けて学級経営や生徒指導を適切に行うことができない場合が挙げられると考えております。
 最後に、指導力不足教員を出さないようにするための学校づくりについてのお尋ねでございますが、現在、各教育委員会や学校におきましては、学校の公開、授業公開など、開かれた学校づくりの取り組みが行われておりまして、これらの取り組みは学校全体として、より一層充実した教育活動を行うことに資するものであると考えております。
 しかし、当然のことながら、教員一人一人については、それぞれ児童生徒に対し、適切に教育を行う資質能力を有していることが求められております。このため、各都道府県教育委員会におきまして、指導が不適切な教員が生じないように、人物重視の採用や研修による資質能力の向上、職場環境の整備等に努めますとともに、そのような教員が生じた場合には、本法律案の措置を含めまして、人事上適切に対応することが必要と考えております。
 以上でございます。(拍手)
    ─────────────
#20
○議長(井上裕君) 三重野栄子君。
   〔三重野栄子君登壇、拍手〕
#21
○三重野栄子君 私は、社会民主党・護憲連合を代表いたしまして、ただいま議題となりました地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部改正案、学校教育法一部改正案、社会教育法一部改正案の三案につきまして質問いたします。
 質問に先立ちまして、今月八日に大阪教育大学附属池田小学校で発生いたしました痛ましい事件において亡くなられた八名の児童の御冥福をお祈りいたしますとともに、御遺族の心中に思いをいたし、お悔やみ申し上げます。また、負傷された児童、教職員の方々の一刻も早い御回復を心から願うものであります。
 さて、総理、このような痛ましい事件が発生したり、あるいは児童虐待が激増しているなど、この日本社会は不安と不安定さに覆われつつあります。総理は構造改革を常に言われておりますが、構造改革の名のもとに市場経済が秩序なき暴走を続けるならば人間関係は一層失われ、不安定な社会が拡大していくのではありませんか。そのような社会にならないように、一体何が必要と総理は考えているのですか、御認識を伺います。
 総理は、所信表明演説で、有名な米百俵の話を引用されました。その後に続く教育への言及はわずかでございまして、がっかりいたしました。
 さて、総理、この米百俵の話は痛みを分かち合うことに主眼があるのではなく、人を育ててこそ社会の未来が開ける、ここに主眼があったのではなかったでしょうか。総理、この日本社会は、果たして人を育てる社会、人を大切にする社会、子供を育てる社会、子供を大切にする社会になっているのでしょうか。そして、今議題となっているいわゆる教育改革三法案は、果たしてそれにこたえる内容を具備しているのでしょうか。御見解をお伺いいたします。
 構造改革を唱える総理の目に、当然のごとく見えてこなければならないものがあります。それは、社会の不安定さの中で生じている事件、あるいは孤立した子育ての中で増加している児童虐待だけではありません。日本の若者たちが、円滑に職業社会へ移行できず、二十五歳までの青年の失業率が一〇%を超えていること、中でも自発的失業や転々と職を変えていくフリーターが増加していることなどの問題です。急速に高齢社会に突入している日本で、若者が職業社会に移行できないということは、社会の持続可能性を揺るがす大きな問題です。
 総理、この認識がありましょうか。社会奉仕などと言う前に、若者に職業をと言わなければならないのではありませんか。総理のお考えをお聞かせください。あわせて、厚生労働大臣のお考えも伺います。
 さて、遠山文部科学大臣、私はこれから、教育改革三法案なるものがいかにちまちましたものであり、改革の名に値しないものであることを例示しながら質問いたします。
 第一に、児童生徒に対する出席停止措置の要件の明確化と支援措置についてであります。
 荒れる学校の問題は、何も日本で固有に発生しているものではありません。多くのOECD加盟諸国、成熟した社会ではほぼ共通の問題となっており、ことし四月パリで開かれましたOECD教育大臣会合でも討議の柱の一つとなっていると聞いております。
 各国では、呻吟しながらもそれぞれ対応措置がとられ、OECD教育研究センターも比較調査をしておるところであります。問題の根本には市場経済の問題があるからこそ、OECD教育大臣会合が一九九六年の共同コミュニケで、支え合い分かち合い、連帯する社会として社会的統合の重要性を指摘したのではありませんか。あるいは、公正の重要性を指摘していたのではないでしょうか。排除ではなく、人間と人間の関係をつくり上げる、人間と社会の関係、人間と世界の関係をつくり上げる教育、公正に機会を提供する教育の重要性を訴えたのではありませんか。
 第二に、いわゆる指導が不適切な教員を強制的に人事異動させる問題であります。
 確かに、教員の中にも問題はあります。子供や家庭の変容にこれまでの指導方法が一切通用せず、悩みの中に沈んでいく教員もおります。小学校では、学級担任を持ちたがらない傾向が発生していることも事実です。中学校の教員は、授業から逃げていく生徒を連れ戻すために必死になり、くたくたになっている例も各地にございます。
 それでも日本の教職員は、小学校と中学校の交換授業を試みたり、あるいは地域の人々に協力を得ながら授業や行事を改善していっています。交換授業もなかなか容認しなかったのは教育委員会ではありませんか。かたくなな教育行政が、今度は指導不足、不適切を理由に強制的に人事異動を行い、現場の創意を妨げるだけではありませんか。教育委員会は果たして学校を支援するのかしないのか、ここではっきりとさせていただきたいと思います。
 問題の本質をとらえながら体系的に改革、改善していくべきなのです。日本の学校は、幼児教育や保育機関、小学校、中学校、高等学校など、学校段階区分がきつく、学校段階間の連携が不十分です。幼稚園教育要領と指導要領の関係もそうであります。子供たちの育ちを縦に支えていく仕組みが不十分なんです。また、学校には社会や家庭のさまざまな課題が持ち込まれ、校務分掌を一人で十も十五も受け持たなければならない学校さえたくさんあります。
 文部科学大臣、そのような現状に目をつむりながら、排除する法改正だけを提起してくるから教育現場の批判は高まるのです。事柄の本質に迫る体系的な改革をぜひ進めていただきたい。大臣のお考えをお伺いします。
 最後に、飛び入学制度の拡大に関して質問いたします。
 この問題は、平成九年、一九九七年の中央教育審議会答申により、教育上の例外措置の一つとして提起されたものであります。教育上の例外措置は、何も高度の才能や資質を有する子供、青年の話だけではありません。学習のおくれている子、教育困難にある子への配慮もまた中教審は答申しておりました。
 個性を伸ばす、才能を伸ばすことの必要性を否定はしません。しかし、学習がおくれている子、教育困難な状況にある子供への配慮は、教育行政の支援措置は一体どのようになっているのでしょうか、施策をお聞きいたします。
 小泉総理、総理は昔、トンボとりに夢中になったとのお話をされておりました。そういう豊かな体験、ほのぼのとした思い出こそ人生を支えていくのです。社会奉仕体験活動などと古めかしい言葉を捨て去り、豊かな体験が人を支えていくような環境をぜひ実現したいものであります。
 総理の御所見を伺いまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
#22
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 三重野議員にお答えいたします。
 初めに、日本社会が不安定にならないためには何が必要かとのお尋ねであります。
 大変難しい御質問で一言には言えませんが、やはり教育が重要ではないかと思っております。最近の相次ぐ痛ましい事件を踏まえまして、まず事の善悪、これをわきまえる心や命の大切さなどを学ぶという点で、突き詰めていけば教育というものが一番重要ではないかと思っております。教育改革を通じて、豊かな心を見失わない人を育てていくことに社会全体で取り組む必要があると思います。
 日本の社会の現状と今回の三法案の内容についてでありますが、望ましい社会とは、みずからの能力を生かし、生きがいを持ってそれぞれの立場でそれぞれの役割を発揮できる社会だと思います。そのために、そうしたやる気を持てるような教育を実現することが重要であります。
 こうした視点に立って、豊かな人間性の育成や多様な個性、才能を伸ばす教育を目指した教育改革関連法案を提出したところであり、今国会における成立に全力を尽くしたいと考えます。
 若年者の就職についてでありますが、若年者が適切な職業選択を行い充実した職業生活を送ることができるよう、積極的な就職支援や職業体験学習の導入促進など、職業意識を高めていくための取り組みを行うことが必要であり、今後とも、若年者が円滑に職業社会に移行できるようにするための環境整備に積極的に取り組んでまいります。
 豊かな体験が人を支えていくような環境を実現すべきというお尋ねでありますが、私の子供のころと現在とは環境もありようも大分変わってきております。私のころは、確かに学校で勉強して、後はもう遊ぶこと、だからこそトンボとりやセミとりに夢中になったんで、今、子供たちにたまにトンボとり、セミとりに行こうと言いますと、トンボとるの、セミとるの、怖くてさわれない、随分変わっているなと。私のころはプールなんかありませんでした。だから海で泳ぐしか仕方ない。野球場もサッカー場もないから原っぱで遊ぶしか仕方なかった。
 ところが、やっぱりだんだん環境も整備されまして、今はセミとりやトンボよりも、サッカーがしたいとか野球をしたいとか、プールで泳ぎたいとか、環境も違ってまいります。
 しかし、大事なことは、そういう環境の中でも子供たちが社会性や他人を思いやる心などを身につけ、豊かな人間性をはぐくんでいくためには、成長段階に応じてさまざまな私は体験活動を行うことが大変有意義だと思っております。
 中でも、公私相半ばする人間、つまり、みずから楽しむことができ、かつ、公のために尽くすことに喜びを感ずることができる人間を育てるためには、社会奉仕体験活動を行うことも重要であると思います。
 今回の法改正は、このような青少年の体験活動を促進していくことを目的としたものであり、政府としては青少年が豊かな体験活動が行えるような環境整備に努めてまいりたいと思います。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣遠山敦子君登壇、拍手〕
#23
○国務大臣(遠山敦子君) 三重野議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず初めに、出席停止に関するお尋ねでございますが、児童生徒の問題行動につきましては、学校として児童生徒の悩みを十分に受けとめて、内面の理解に努めるなどして、教師との信頼関係や友人関係のもと、自己達成感でありますとか存在感を味わわせる指導に努めることが大切と考えております。
 しかしながら、学校がこのような指導に最大限の努力を行っても解決しないで他の児童生徒の教育が妨げられている場合には、出席停止とすることも必要であります。
 今回の法改正は、こうした考え方に立って、出席停止の要件及び手続の明確化、学習支援の充実を図って、その適切な運用を期するものでございます。
 次に、教育委員会は学校を支援していくのかとのお尋ねでございますが、教育改革を実現してまいりますためには、学校が児童生徒の状況などに応じて創意工夫を生かした教育活動を行うことが重要でありまして、このためには、教育委員会が学校をさまざまな面において十分に支援してまいることが重要でございます。
 直接、児童生徒の教育をつかさどる教員について、採用や研修を通じて資質能力の向上に努めますことや、指導が不適切な教員に対し、本法律案の措置も含めて、人事上適切な対応をすることも、この支援として行われるものでございます。
 さらに、体系的な改革、改善についてのお尋ねでございますが、教育改革につきましては、本年一月に、今後の教育改革の全体像を示すものとしまして、主な政策課題や具体的な施策とそのタイムスケジュールを明らかにした二十一世紀教育新生プランを作成したところでございます。
 我が省といたしましては、現在、このプランに基づき、学校がよくなる、教育が変わるという実感が持てるような教育改革を実行しているところでございます。
 今回の三法案は、子供たちがよりよい環境で学ぶことができるようにするためのものでございまして、教育改革施策の一環として位置づけられる重要なものと考えております。
 最後に、学習がおくれている子供に対する支援措置についてでございますが、これからの学校教育におきましては、一律主義を改め、児童生徒一人一人の理解や習熟の程度に応じたきめ細かな指導を行っていくことが重要でございます。
 このため、新しい学習指導要領におきましては、全員が一律に学ぶべき教育内容を厳選する一方、選択学習の幅を拡大し、個に応じた指導を一層充実させているところでございます。また、特に高等学校の学習指導要領におきましては、学習のおくれがちな生徒に対して、生徒の実態に応じて指導内容や指導方法を工夫することを学校に求めております。
 我が省としましても、少人数によるきめ細かな指導を行うことができますように、新たな教職員定数改善計画を策定しまして、本年四月から実施しているところでありまして、新しい学習指導要領のもとで、すべての児童生徒の基礎学力が向上するように努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣坂口力君登壇、拍手〕
#24
○国務大臣(坂口力君) 三重野先生から若年者の就職についてお尋ねをいただきました。
 ここ数年の厳しい雇用情勢を背景といたしまして、新規学卒者につきましては、若干の改善は見られますものの、依然厳しい状況が続いております。このため、新規学卒者が新たな職業生活への一歩を円滑に踏み出すことができますように、全国のハローワークにおきまして学校との連携を今まで以上に密にしながら積極的な就職支援を行っているところでございます。
 一方で、若年者には、自発的な離職でありますとか、あるいは早期の離職等によります失業が多く見られますし、またフリーターの増加でありますとか職業意識の不十分さなどの特徴も見られるところでございます。
 このため、若年者が適切な職業選択を行いまして充実した職業生活を行うことができますように、関係省庁との連携も密にしながら、高校、大学におきます早い段階からのインターンシップの導入も図っているところでございまして、職業ガイダンスを実施するなど種々の職業意識の啓発にも努めているところでございます。また、大きい企業との面接会等も随所で行っておりまして、その機会をつくっているところでございます。
 今後とも、このような取り組みをさらに推進いたしまして、若年者の雇用問題に積極的に取り組んでいく所存でございます。(拍手)
#25
○議長(井上裕君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────
#26
○議長(井上裕君) 日程第一 国民の祝日に関する法律及び老人福祉法の一部を改正する法律案(衆議院提出)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長江本孟紀君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔江本孟紀君登壇、拍手〕
#27
○江本孟紀君 ただいま議題となりました法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、ゆとりのある国民生活の実現に資するため、海の日を七月の第三月曜日とし、敬老の日を九月の第三月曜日とするとともに、国民の間に広く老人の福祉についての関心と理解を深め、老人に対しみずからの生活の向上に努める意欲を促すため、老人の日及び老人週間を設けようとするものであります。
 委員会におきましては、提出者の衆議院内閣委員長から趣旨説明を聴取した後、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#28
○議長(井上裕君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#29
○議長(井上裕君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#30
○議長(井上裕君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数          百七十五  
  賛成            百七十五  
  反対               〇  
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#31
○議長(井上裕君) 日程第二 ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法案
 日程第三 環境事業団法の一部を改正する法律案
  (いずれも内閣提出、衆議院送付)
 日程第四 特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律案(衆議院提出)
 以上三案を一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。環境委員長吉川春子君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔吉川春子君登壇、拍手〕
#32
○吉川春子君 ただいま議題となりました三法律案につきまして、環境委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 まず、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法案は、PCB廃棄物の確実かつ適正な処理の推進を図るため、その保管、処分等に関して、国における基本計画の策定、保管等の状況の届け出、一定期間内の処分等についての措置を講じようとするものであります。
 次に、環境事業団法の一部を改正する法律案は、環境事業団の業務にPCB廃棄物の処理を行う業務等を追加するとともに、同事業団にポリ塩化ビフェニル廃棄物処理基金を設ける等の措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、以上両法律案を一括して議題とし、質疑を行うとともに、参考人より意見聴取を行いました。
 その質疑の主な内容を申し上げますと、これまでPCB廃棄物処理が進まなかった理由、環境事業団の役割とそのあり方、PCB廃棄物処理について地域住民の理解を得るための具体的方策、紛失、不明となっているPCB廃棄物の実態調査及びその対策の必要性等でありますが、詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終局したところ、環境事業団法の一部を改正する法律案に対し、民主党・新緑風会を代表して福山理事より、環境事業団の業務のうち建設譲渡事業を廃止すること等を内容とする修正案が提出されました。
 次いで、両法律案及び修正案について討論に入りましたところ、日本共産党を代表して岩佐理事より、環境事業団法の一部を改正する法律案について原案及び修正案に反対する旨の意見が述べられました。
 討論を終わり、順次採決の結果、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法案については、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 また、環境事業団法の一部を改正する法律案及び修正案については、修正案は賛成少数をもって否決され、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上の両法律案に対し、それぞれ附帯決議が付されております。
 次に、特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律案について申し上げます。
 本法律案は、衆議院環境委員長の提出に係るものでありまして、オゾン層を破壊し、または地球温暖化に深刻な影響をもたらすフロン類の大気中への排出を抑制するため、業務用冷凍空調機器等及び自動車用エアコンディショナーに使用されているフロン類の回収及び破壊の促進等を図ろうとするものであります。
 委員会におきましては、各会派からそれぞれ意見を含め、カーエアコンに係る前倒し施行の必要性、フロン回収・破壊の費用負担のあり方等の質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 次いで、本法律案について採決の結果、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対し附帯決議が付されております。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#33
○議長(井上裕君) これより採決をいたします。
 まず、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法案及び特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律案を一括して採決いたします。
 両案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#34
○議長(井上裕君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#35
○議長(井上裕君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数          百七十八  
  賛成            百七十八  
  反対               〇  
 よって、両案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
#36
○議長(井上裕君) 次に、環境事業団法の一部を改正する法律案の採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#37
○議長(井上裕君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#38
○議長(井上裕君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数          百七十七  
  賛成             百十二  
  反対             六十五  
 よって、本案は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#39
○議長(井上裕君) 日程第五 基盤技術研究円滑化法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。経済産業委員長加藤紀文君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔加藤紀文君登壇、拍手〕
#40
○加藤紀文君 ただいま議題となりました法律案につきまして、経済産業委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、民間において行われる基盤技術に関する試験研究を促進するため、現在、基盤技術研究促進センターが行っている出資等による支援の体制を改め、同センターを廃止し、新たに通信・放送機構及び新エネルギー・産業技術総合開発機構に基盤技術に関する試験研究の委託業務等を可能とするよう改めるものであります。
 委員会におきましては、これまでの基盤技術研究支援に対する評価、新たに実施する研究委託成果の効率的活用、基盤センターへの出資に係る産業投資特別会計のあり方等につきまして質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終わり、討論に入りましたところ、日本共産党の西山理事より反対する旨の意見が述べられました。
 次いで、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対して五項目の附帯決議を行いました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#41
○議長(井上裕君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#42
○議長(井上裕君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#43
○議長(井上裕君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数          百七十七  
  賛成            百六十三  
  反対              十四  
 よって、本案は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#44
○議長(井上裕君) 日程第六 旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。国土交通委員長今泉昭君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔今泉昭君登壇、拍手〕
#45
○今泉昭君 ただいま議題となりました法律案につきまして、国土交通委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、東日本旅客鉄道株式会社、東海旅客鉄道株式会社及び西日本旅客鉄道株式会社の自主的かつ責任ある経営体制の確立等を図るため、これらの会社を旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律の適用対象である会社から除外するとともに、当分の間、日本国有鉄道の改革の経緯を踏まえた経営を行うことを確保するための措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、参考人からの意見聴取を行うとともに、国鉄改革の成果とJR各社の現状、JR本州三社の純民間会社化を先行させる理由、他のJR四社の今後の経営の見通し、JR本州三社を純民間会社化する一方で事業運営上の指針を定める理由、地方鉄道路線の維持、整備新幹線並行在来線の第三セクター鉄道の経営上の課題、同種の事業を営む中小企業者への配慮等について質疑を行いましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して小泉委員より本法律案に反対する旨の意見が述べられ、次いで採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対し附帯決議が付されております。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#46
○議長(井上裕君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#47
○議長(井上裕君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#48
○議長(井上裕君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数          百七十八  
  賛成            百六十四  
  反対              十四  
 よって、本案は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#49
○議長(井上裕君) 日程第七 電気通信事業法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。総務委員長溝手顕正君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔溝手顕正君登壇、拍手〕
#50
○溝手顕正君 ただいま議題となりました法律案につきまして、総務委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、電気通信事業の公正な競争の促進を図る等のため、市場支配的な電気通信事業者の業務の適正な運営の確保、卸電気通信役務制度の導入、電気通信事業者間の紛争処理の円滑化及び基礎的電気通信役務の提供の確保のための措置を講ずるほか、東日本電信電話株式会社及び西日本電信電話株式会社が営むことができる業務を追加する等の措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、電気通信事業における新たな競争政策についての考え方、NTTに対する外資規制のあり方、ユニバーサルサービスの範囲、NTTにおけるNTTドコモへの出資比率引き下げの可否等について質疑が行われました。
 質疑を終局しましたところ、本法律案に対し、民主党・新緑風会、社会民主党・護憲連合、無所属の会及び自由党を代表して浅尾慶一郎理事より、情報通信の分野における規律に関する行政事務をより中立公正に行うための行政組織のあり方について総合的に検討し必要な措置を講ずることを内容とする修正案が提出されました。
 次いで、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して富樫練三委員より原案及び修正案に反対する旨の意見が述べられました。
 討論を終局し、順次採決の結果、修正案は賛成少数により否決され、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対し附帯決議が付されております。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#51
○議長(井上裕君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#52
○議長(井上裕君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#53
○議長(井上裕君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数          百七十八  
  賛成            百六十四  
  反対              十四  
 よって、本案は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#54
○議長(井上裕君) 日程第八 ハンセン病療養所入所者等に対する補償金の支給等に関する法律案(衆議院提出)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。厚生労働委員長中島眞人君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔中島眞人君登壇、拍手〕
#55
○中島眞人君 ただいま議題となりました法律案につきまして、厚生労働委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、ハンセン病の患者であった者等の置かれていた状況にかんがみ、ハンセン病療養所入所者等のこうむった精神的苦痛を慰謝するとともに、ハンセン病の患者であった者等の名誉の回復及び福祉の増進を図り、あわせて、死没者に対する追悼の意を表しようとするもので、その主な内容は次のとおりであります。
 第一に、本法律案には、特に前文を付し、らい予防法廃止に至るまでの経緯、悲惨な事実を悔悟と反省の念を込めて深刻に受けとめ、深くおわびするとともに、ハンセン病の患者であった者等に対するいわれのない偏見を根絶する決意及び本法律案の趣旨を明記しております。
 第二に、国は、ハンセン病療養所入所者等に対し、その者の請求により、補償金を支給するものとし、その請求は施行日から起算して五年以内に行わなければならないこととしております。
 第三に、補償金の額は、ハンセン病療養所入所者等の入所時期の区分に応じ、千四百万円から八百万円とし、退所期間等に応じた額を控除することとしております。
 第四に、本法律案による補償金の支給を受けるべき者が同一の事由について国から国家賠償法による損害賠償等を受けたときは、国は、その価額の限度で、補償金を支給する義務を免れるもの等としております。
 第五に、国はハンセン病の患者であった者等について、名誉の回復及び福祉の増進を図るとともに、死没者に対する追悼の意を表するための必要な措置を講ずるよう努めなければならないものとし、これらの措置を講ずるに当たっては、ハンセン病の患者であった者等の意見を尊重するものとしております。
 委員会におきましては、本法律案の提出者である衆議院厚生労働委員長から趣旨説明を聴取した後、補償金の法的性格、ハンセン病患者・元患者の名誉回復措置の内容、隔離政策等に対する歴史的検証の必要性、ハンセン病療養所の不自由者棟における看護体制の充実等の諸問題について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終局し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案の審査に先立ち、ハンセン病違憲国賠訴訟全国原告団協議会及び全国ハンセン病療養所入所者協議会の方々を当委員会に参考人としてお招きし、意見を聴取いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#56
○議長(井上裕君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#57
○議長(井上裕君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#58
○議長(井上裕君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数          百七十九  
  賛成            百七十九  
  反対               〇  
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
#59
○議長(井上裕君) 本日はこれにて散会いたします。
   正午散会
     ─────・─────

ソース: 国立国会図書館
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