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2001/03/14 第151回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第151回国会 文部科学委員会 第6号
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2001/03/14 第151回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第151回国会 文部科学委員会 第6号

#1
第151回国会 文部科学委員会 第6号
平成十三年三月十四日(水曜日)
    午前九時七分開議
 出席委員
   委員長 高市 早苗君
   理事 岩永 峯一君 理事 鈴木 恒夫君
   理事 田野瀬良太郎君 理事 渡辺 博道君
   理事 西  博義君
      青山  丘君    小渕 優子君
      岡下 信子君    嘉数 知賢君
      杉山 憲夫君    谷垣 禎一君
      谷田 武彦君    谷本 龍哉君
      馳   浩君    林 省之介君
      水野 賢一君    宮澤 洋一君
      森岡 正宏君    森山 眞弓君
      池坊 保子君    斉藤 鉄夫君
      松浪健四郎君
    …………………………………
   文部科学大臣政務官    池坊 保子君
   参考人
   (和洋女子大学人文学部長
   )            蓮見 音彦君
   文部科学委員会専門員   高橋 徳光君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第二〇号)
 公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律等の一部を改正する法律案(山元勉君外四名提出、衆法第五号)

     ――――◇―――――
#2
○高市委員長 これより会議を開きます。
 開会に先立ち、理事をして民主党・無所属クラブ、自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合の所属委員に出席を要請いたしましたが、いまだ出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。
 内閣提出、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律等の一部を改正する法律案及び山元勉君外四名提出、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律等の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
 本日は、両案審査のため、参考人として和洋女子大学人文学部長蓮見音彦君に御出席をいただいております。
 なお、本日、参考人として出席をお願いしておりました教育評論家・臨床教育研究所「虹」所長尾木直樹君及び千葉大学教授三輪定宣君から、都合により出席できないとの申し出がありましたので、御了承願います。
 この際、参考人に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。両案につきまして、忌憚のない御意見をお聞かせいただき、審査の参考にいたしたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。
 次に、議事の順序でございますが、まず蓮見参考人から十五分程度御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑に対してお答えいただきたいと存じます。
 なお、念のため申し上げますが、御発言はすべてその都度委員長の許可を得てお願いいたします。また、参考人は委員に対し質疑ができないことになっておりますので、あらかじめ御了承願います。
 それでは、蓮見参考人にお願いいたします。
#3
○蓮見参考人 御紹介をいただきました蓮見でございます。
 このたび、大変長い題なものですから、私ども、いわゆる定数法というふうに申しておりますけれども、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律、この改正につきまして、政府提出の案と議員の方々から御提出いただきました案、それが国会で御審議をいただくことになりましたこと、これに基づきまして、教職員定数のいわゆる第七次の改善計画というものが具体化されるようになりましたこと、大変うれしく存じております。御関係の方々にお礼を申し上げたいと思いますし、ぜひ、議員の先生方に十分な御審議をいただきまして、好ましい方向を実現していただきたいというふうに思う次第でございます。
 この問題、私ども教育関係の者からいたしますと、大変長い間待ち望んでいたことでございますので、ぜひよろしくお願いを申し上げたいと思う次第でございます。
 御存じのことでございますので、改めて申し上げるまでもないのでございますが、前回の第六次定数改善計画、平成十二年度をもちまして完成いたした計画でございますが、その当時から少子化に伴います児童生徒の減少ということが生じておりまして、それに伴いまして教職員の定数というのがだんだん、いわゆる自然減という形で減少をしていく、六年間で約六万人という減少に対しまして、その半数のほぼ三万人を増員することによって改善をしようというのが第六次の改善計画でございましたけれども、これは、チームティーチングでありますとかあるいは指導方法の改善でありますとか、こういうことに伴いまして教員の加配を行うということを主たる内容とするものでありました。
 たまたま私、このプランをつくる過程でもお手伝いをさせていただいたこともございまして、大変ありがたい改善だというふうに思っておりましたが、ただ、財政当局の御理解をいただくのには、文部省の方は大変骨を折られたようでありまして、これが平成五年度の予算に盛り込まれる段階ではすんなりとお決めいただくことができなくて、結局、最終的に大臣折衝でやっと認められるというような状態でございました。
 さらに、これが進みました過程で、いわゆる財政構造改革という改革が行われまして、その影響を受けて、当初は平成五年度から十年度までの六年間に進められるということでございましたものが、二年間さらに延長をされまして、八年間をかけて実施されるというふうなことになった。大変厳しい過程をたどってきたものでございました。
 現在、国と地方を通じます財政、非常に厳しい状況というのは、ある意味で一層募っているような感じもいたしております。とりわけ、公務員の数をふやすということにつきましては大変厳しい御意見が多いことでございますけれども、しかし、教職員定数の改善を図りまして、学校教育の条件整備を進めるということは大変重要なことだというふうに思いますので、この点につきましては特段の御配慮をいただきたいというふうに思う次第でございます。
 ただ、今回御提案をいただいておりますどちらの法律案もそうでございますけれども、ただ単に教職員の数をふやすということだけを目指しているものではございません。とりわけ、政府提出の案の場合には、一層、そうした新しい教育のあり方というものを志向いたしました方向というものが明確に示されているというふうに思っているところでございます。
 これは、これまで、中央教育審議会を初めといたしまして、幾つもの審議会におきましてさまざまな教育改革の計画が進められてまいったわけでございます。この議会におきましても、そういったものについての御審議をいただいてきたところでありますが、今回の定数法の改善というのも、それと密接不可分と申しましょうか、その一連の改革の中の一つの幹をなしているものだというふうに考えておりますので、これを外しましては教育改革の方向性というものは十分実現できないのではないかというふうに思っているところでございます。
 中央教育審議会が示しました、これからの新しい時代の学校教育のあり方という答申がございます、平成七年の夏だったかと思いますけれども。いわゆるゆとりの中で生きる力を育てるという新しい教育の目標を示しました答申でございますが、これを具体化するということで、一連の教育改革が進められてまいりました。
 完全学校週五日制ということ。それに伴います新しい教育課程を編成する。これも、単に時間数の減少に対応するということではなくて、教育課程の考え方そのものを非常に新しいものに変えていったものであります。それから教育委員会制度、これも大変長い歴史を持つ制度でございますけれども、これに非常に大胆な改革が行われました。それから教員の資質の向上ということで、これも免許法の改正を初めといたしましてさまざまな改革を進めていただいたところであります。
 一連のこの改革の中で目指されておりました考え方というのは、いずれも、子供たちに、みずから学びみずから考え、いわゆる問題解決能力というものを育てていくということを重視するものであります。それから、ゆとりある教育活動を展開する中で、基礎、基本をきちっと定着させる、それと同時に、子供たち一人一人の個性を生かす教育を進めていくんだ、こういうことであります。そのためには、各学校が、それぞれ条件が異なりますので、それぞれ創意工夫を生かして特色ある教育を行う、特色ある学校づくりを行う、そういうことができるようにするんだ、これが一連の改革の中で目指されていた方向でございます。
 今回の定数法の改善、とりわけ政府案として提案されております学級編制と教員定数の改善というものは、この目標を達成するための非常に重要な手段を含んでいるというふうに考えております。
 学級編制の基準と申しますものは、本来的にはいわゆる教員給与の国庫負担ということの裏づけといたしまして基準を決める必要のあるものでありますけれども、これまでのところでは、その基準が単に財政的な意味での基準ということだけではなくて、この基準どおりに学級を編制して動かしていかなければならないというふうに運用されてまいりました。
 したがいまして、各県におきましても市町村におきましても、あるいは各学校におきましても、この基準を離れた学級編制を行うということはできないということにされておったわけであります。特色ある学校づくりをしようと思いましても、それはできないというのがこれまでの運用でございました。
 もちろん、学級の規模そのものはだんだん小さくなってまいりました。現在、御存じのように四十人というのを基礎としているわけでありますけれども、ただ、もう一つ問題となりますのは、従来の学校教育のあり方というのは、いわば黒板を背にして先生が大勢の児童生徒を前にして一斉授業を行うという形、一つの学級を一人の先生が担当するという形、あるいは一つの学科を一人の先生が担当する、そういう形で進められてまいりました。
 先ほど申しました平成十二年度に終わりました第六次の改善計画におきまして、初めていわゆるチームティーチングを進めるための加配というのが認められまして、一つのクラスに二人先生が入る、あるいは一つの学級を二つに分ける、あるいは二つの学級を三つに分けるというふうな工夫をして、もっと指導を充実させるというふうなことができるようにということが行われました。少人数指導、一人一人の子供の実態に合わせた、個に応じた指導を行うというやり方が、第六次の改善計画で初めて具体化されたところであります。
 学校の自主性でありますとか、あるいは特色ある学校づくりというふうなことを考えてまいります上で、教育条件の一番重要な中身をなしておりますところの教職員の配置あるいは学級の編制というもの、これが非常に厳しく条件づけられて一定の形しかとれないということでございましたら、これは大変たがをはめられた自主性でしかないわけであります。
 四十人学級の一斉授業という形だけではぐあいが悪いということで、これを何とか改善しようということでありますが、政府案は、ごらんいただいておりますように、当面四十人学級という基準を維持しながら、チームティーチングなどを進めるための加配を拡大する、それから、国の基準に基づいて財政措置を受けました都道府県がそれよりもいい条件をつくることを認めよう、その場合に、県内一本ではなくてそれぞれの地域に応じて違った条件をつくってもいい、あるいは小学校の低学年なら低学年だけをより小規模にするというふうなことを考えてもよろしい、いろいろな形でもって自由な編制ができるようにしようではないかということを含んでおります。
 さらに重要な点は、四十人学級ということを一応基準にはしておりますけれども、各学校におきまして、教職員あるいはそのほかのスタッフの方々が協力をされて、学級は四十人でありますが、いわゆる生活集団というふうにそれを押さえまして、実際に学習を行います、勉強をするグループというのは必ずしも学級単位でなくてもいいではないか、自由に必要に応じてもっと小さい単位をつくってもいいではないかというふうなことを考えよう、学級と学習集団というものを分離して考えようという新しい考え方に持ち込んだところであります。それによりまして、特色ある教育というものを進めていく、あるいは基礎、基本の確実な定着を図る、個性を生かす教育を充実する、こういう目的にふさわしい学級編制を目指そうということであります。
 学級規模によります教育効果という問題につきましては、これまでいろいろな研究があるわけではありますけれども、では、何人の学級が一番望ましいのかというふうなことがはっきりと数として示されてはおりません。
 いろいろな研究がございますので、もし御質問があれば後でまた触れさせていただきたいと思いますけれども、それは考えてみれば当たり前のことのようでもありまして、同じ学校で教えている教科にもいろいろな種類がございます。それに応じて、これは少し人数が多くてもいいのじゃないかというものもありましょうし、これは少人数の方がいいんじゃないかというふうなものもございます。
 それから、教える内容、同じ教科の中でも内容によって違いがある、あるいは教え方によって違いがある、教員の力量によって違いがある、あるいは子供の条件によって違いがある、非常にそこは多様な条件によって影響を受けるものでありますから、一義的に何人がいいというふうなことは出せるものではないだろうというふうに私は考えるところでございます。
 そういうことでありますので、むしろ、今回の法律に含まれておりますように、自由に学習集団を編成する、そのときに応じて、これを教えるんだったらこういう規模がいいというふうな形に組みかえられるようなものが望ましいのではないか、そのように考えるところでありまして、一義的に何人の学級ということが示されるのであればそれに持っていけばいいという簡単なことでございますけれども、そういうものではないんだというふうに考えているところでございます。
 その際、さらに養護教諭の方とか学校栄養職員でありますとか、あるいはそのほかいろいろなスタッフの方の御協力をいただいて、一層充実した教育活動が展開できるように持っていくことが望まれるのではないかと思います。
 子供たちの状態というものは、今日情報化の進みましたこともありまして、非常に多様になっております。子供たちの知識、関心あるいは興味、そういうものがそれぞれ非常に多様になっております。それを、全部同じ、一斉授業だけでやっていこうというのにはもはや無理があるのではないか。そうではなくて、むしろ一人一人に応じた教育というものができるような、一人一人をもっと伸ばしていくにはどうしたらいいのかというふうなことが考えられるような、そういう条件整備というものをこれからしていかなければならないのではないか。そういう意味で、弾力的な学習集団をつくっていくという考え方が非常に重要だというふうに私どもは思っているところでございます。
 実はきょう、尾木先生や三輪先生においでいただいてお話を伺えるのを楽しみにしておったんでありますけれども、もう一つ御提案いただいております議員の方々からの御提案の案でありますが、大きくは政府案と比べまして三つぐらいの違いがあるのではないかというふうに私としては拝見をしております。一つは、四十人でなくて三十人学級ということを御提案いただいている。それから、かなりの数の増員というふうなものをお考えいただいている。それから、学習集団を弾力的にしていくというふうなことは取り組まれないでおられるというふうなこと。その他細かい点は幾つかございますけれども、そういうところがあろうかと思います。
 これにつきましては、お考えを伺わないとなかなか私も意見を申し上げにくいのでありますけれども、今申しましたように、むしろ、それぞれの科目、それぞれの教科、それぞれの場面に応じた学習集団の編成を自由に展開できるようなやり方というものが大変望ましいと思いますので、四十人学級を維持しながら、学習集団を自由に編成できるというやり方をした方が妥当だろうというふうに私は思っております。一律に三十人に切り下げたところで、それによって得られる効果というのはそれほど大きくはないのではないかというふうなことを考えております。
 それからもう一つは、もちろん三十人にされることは決して反対ではございません。多くの先生方が活躍されるということはより条件をよくするということになりますので、それ自体は反対ではございませんが、拝見いたしますと、相当多数の先生方を増員するというふうな計画になっておりまして、果たして、これが現在の状況の中で認められるだろうか。冒頭申し上げましたように、第六次のかなり内輪の計画につきましても非常に厳しい状況でございましただけに、それを懸念いたします。
 その中で考えるといたしますと、いわゆる費用対効果というふうなことを考えました場合に、それよりは、今後減少するぐらいの数の先生は何とか補充をしてくださいよ、そして、それによって最も有効な改善ができるのにはどうしたらいいのかということを考えるべきではなかろうか、そのように考えているところでございます。
 そういうことで、私は、政府案を御審議いただきましてお認めいただけることが大変ありがたいことだというふうに思っておりますので、そのような立場から意見を述べさせていただきました。若干時間を超過いたしまして、申しわけございません。(拍手)
#4
○高市委員長 ありがとうございました。
 以上で蓮見参考人からの意見の開陳は終わりました。
    ―――――――――――――
#5
○高市委員長 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。宮澤洋一君。
#6
○宮澤(洋)委員 自由民主党の宮澤洋一でございます。
 まず、参考人質疑を行う前に一言申し上げておきたいことがございます。
 本日は、三名の有識者の方々から学級編制や教職員配置のあり方についての御意見をお伺いしようと思っておりましたが、蓮見先生以外の二名の方の御出席が得られませんでした。本日の参考人質疑において三名の方から御意見を伺うことは委員会として決定したものであり、また、今回の審議においては、内閣提出法案とともに野党三党から提出された法案の審議も行っているところであります。したがって、ぜひ御出席をいただけなかった二名の参考人から三十人学級についての御意見などをお伺いしたかったのでありますが、そのような機会がなくなってしまったことはまことに遺憾であるということをまず申し上げておきたいと思います。
 それでは、私の質問に移らせていただきます。
 蓮見先生、大変お忙しい中を御出席いただきまして、また貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。まず御礼を申し述べさせていただきます。
 私も先週の委員会等々で伺っておりまして、こういう小中学校の状況の中で、少人数教育といいますか、そういう方向に持っていくということは、内閣提案の法律もそうですし、また野党提案の法律もそうなんでありますが、自分自身で考えてみますと、いろいろな学級崩壊等々の報道を見ていますと、少人数で教育するという方向もいたし方ないのかなと思う一方で、教職員の数というのは、児童の数が半分になっていて、案外に減っていないというか、ふえているというのも、こういう状況の中でどんなものなんだろうなという気が率直に言っていたします。
 そんな中で、では、私が小学校のころ、私は二十五年生まれですから、もう四十年前ですけれども、そのころのことを考えてみまして、当然四十人を超える、五十人に迫るようなクラスの規模の中で教育を受けた。いい先生だなと今でも思っておりますけれども、学級崩壊みたいなこともないし、大変楽しく、尊敬する先生のもとで授業を受けられたなという時代が四十年前にあった。一方、四十年たった今、こういう状況になっているというのは、少人数教育云々という前に、どうしてこうなったんだろうなというのが、率直な私の疑問としてございます。その辺について、ぜひきょう、蓮見先生にいろいろなことを教えていただけたらいいなと思うのであります。
 まず、ではどうしてこうなったかといいますと、先生の質が悪いというか、教師がだらしないじゃないかということが、マスコミも言うし、我々もよく議論をする。しかし、考えてみますと、教師になる方、先生になる方というのは、難しい試験も通られていますし、今生きている我々の時代の平均よりはいい方。我々も我々以上の先生を持てるはずもないなという気もする。じゃ、先生の質というのが、昔に比べてそんなに悪くなってきたのか。今御意見の中に、例えば先生の能力によって学級編制というのも変わってくるというような話も一部入っておりましたけれども、本当に先生の教える能力なり質というものが落ちてきているのかどうかという点が一点あるんだろうと思うのです。
 一方で、子供の方が、私が子供のころが素直だったというわけでもないのですが、教えにくくなっているという面も恐らくあるんだろうなと。もちろん、その背後には、その子供をそれまで育ててきた、また現在育てている親というものがどうだという話も後ろにあるんだろうと思うのですけれども、そういった意味で、子供の側にどういう変化が起きてきてこういうことになっているのか。
 御専門の立場から、ぜひ、こうして我々が財政措置を伴う少人数教育というものを考えていかなければいけなくなった原因といいますか、背景といいますか、その辺を少し、ゆっくり教えていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
#7
○蓮見参考人 大変大きい問題をお出しいただきまして、どういうふうにお答えしようかというふうに思っているところでございますけれども、こういうふうな状態とおっしゃる中に、いろいろなことが含まれておるかというふうに思います。
 確かに、先生は四十年前とおっしゃいましたが、私などはもっと前でございますので、六十人ぐらいの学級で勉強いたしましたわけで、そういうことからいたしますと、なぜ四十人とか三十人とかいうふうなことになるのかという御疑問はごもっともなことだと思いますし、今さらに子供が減りながらなぜ教員の数をふやさなければいけないかということについて御疑問が起こるのも無理もないかと思います。
 この点につきましては、二つの側面を考えなければならないと思います。きょうお話を申し上げましたのは、むしろ、これからの教育のあり方というふうなものが従来とはかなり違ったものになっていく、違ったことを目指していくということがあって、そのためには教員の数をふやし、教育の仕方を変えていかなければならない、そういう意味で教員定数の拡充あるいは学級編制の弾力化というふうなことが必要なんだというようなことをきょうはお話し申し上げたつもりでございます。
 それと同時に、現在の学校の状態というものを考えましたときに、御懸念いただいておりますような、学級崩壊でありますとか、あるいはなかなか指導が困難である、あるいは学力の低下、そういう問題があるというふうなこと、そういう学校教育の現状についての御懸念、五十人ぐらいの学級に比べれば相当充実しているはずなのに、なぜそうした問題が起こっているのかというような御疑問、あるいはそれに対する問題というものがあろうかと思います。そちらの方はきょうお話しいたしませんでしたので、今先生からお話ございましたのは、そういう点の御質問だろうというふうに思います。
 これは大変難しい問題をたくさん抱えておりまして、多くの方々が論じられているところでございますけれども、教員の質が悪くなったのではないかということでありますが、これも、私、数年前まで教員養成の大学におりましたので、ちょっと申し上げにくいのでありますが、教員養成の制度やあるいは教育内容も相当充実してきておりますので、それほど質が悪くなったというふうには私は思っておりません。かなり充実策は講じてきていただいておりますし、教員の質そのものはそんなに悪くなっているというふうには思わない。その中にいろいろ問題を起こす教員等がございまして、話題になることがあるのは事実でございますけれども、それはそんなに大きな数ではないというふうに思っているところであります。
 むしろ問題は、一つは子供の状況、それからもう一つは、学校教育を取り巻きますさまざまな環境という問題があるのではないかというふうに思います。
 子供が非常に多様化いたしております。かつてのように均質な子供を教えていくということではなくて、それぞれの地域で大体同じような質の子供を育てていくということではなくて、それぞれの地域におきましても、非常に親が多様化し、価値観が多様化し、子供たちも多様化してきている。それだけに、指導というのは非常に難しくなってきているということが一つはございます。
 それからもう一つは、先ほども最後に申しましたけれども、子供たちを取り巻きます情報環境というのが非常に豊かになってきている。これは大変結構なことではございますけれども、教育ということからしますと、学校の先生に大変大きな負担を強いることになるわけであります。
 よく話題にされるのでありますけれども、私どもの学んだころの学校の場合には、例えば音楽の指導というふうなことで、ピアノもオルガンも弾けない先生というのがたくさんおられて、それが音楽の指導をされるというような状況でありましたが、今は子供たちも相当、楽器を使ったり何かするような能力を持っている、そういう中で音楽教育の指導をしなければならないような状況になってきている。それはそれぞれの能力を非常に高めなければ対応できないような状況であります。
 したがいまして、教師の質そのものを比較すれば、相当向上していると私は思うのでありますけれども、社会全体の向上、情報化の進展、あるいは豊かになってきた状況、そういうものとの比較対比の中で考えますと、相対的にはなかなかそれに追いついていくのは難しい状況になってきている。それだけに、よほど教育条件の充実をしていただかないと難しいのではないか、そのように考えているところでございます。
 余りお答えにならなかったかとは存じますけれども、一応私の考えているところはそんなことでございます。
#8
○宮澤(洋)委員 お立場からかもしれませんが、先生の方の問題というよりは、お子さんの、子供の方の価値観の多様化とか、また情報が大変多いということで大変難しくなっているというお話だったと思います。
 価値観が、子供が多様化してきているから難しくなっているとなると、ここ何年来の、価値観を多様化しなければいけないという政府の方針というのが、ある意味では実ってきているのかなと思いながらも、そうなると逆に、画一的な教育みたいなものも一方で必要になるのかなということを、今伺いながら考えておりました。
 その中で、一つ、恐らく学級編制を自由にできるというところと結びつくのかなと思っておりますけれども、私は、日本の教育問題という議論を聞いておりまして、大変不思議に思っておりますのは、銀行の護送船団方式を初めとして、護送船団方式がよくないんだということがいろいろな場面で、日本の社会、言われるわけですけれども、教育に関して言いますと、いろいろな専門家の御意見を聞いておりますと、やはり最低水準といいますか、みんなにある程度理解してもらう、典型的な護送船団方式的な教育がいいんだという話をいつも聞いてきておりますけれども、その辺、先生はどういうふうに思われているのか、ひとつ御意見を賜りたいと思います。
#9
○蓮見参考人 価値観の多様化の中で画一的なものも必要だとおっしゃることも、まさにそのとおりでございます。
 例えば、きょう触れました中でも、中教審の答申等が基礎、基本を確実に定着させるというふうなことを言っておりますのはそういう意味でもございまして、国民として持つべき一定の知識、技能というふうなものは確実に定着をしていかなければならないということはあろうかと思います。その上で、それぞれの子供たちの個性を発揮させ、それぞれの課題意識を明確にして問題解決能力を高めていく、こういうことが重要だということであろうかと思います。
 護送船団方式というお話でございますけれども、これはそういうふうな、国民として共通のことが必要であるということからいたしますと、例えば学校教育の条件整備というふうなことにつきましては、やはりどこに住んでいようとある一定の水準というふうなものは確保されなければならないということがあるだろうと思います。そういう意味で、護送船団方式と言われるような横並びでやっていこうというふうなことが必要な部分というのはございます。
 今回の学級編制の弾力化というのがそれとどうかかわるのかというのは非常に難しい課題であるというふうに思っております。従来のは、いわば完全な護送船団方式といいましょうか、先ほど申しましたように、完全に基準をきちっと決めて、その基準どおりに学級を編制しなければいけないということでございますから、各学校ごとに違いが出るということは全くなかったわけでありますけれども、これから求められておりますのは、それぞれの学校が自主性を発揮して、特色のある学校づくりを進めていこう、そうしなければいけないということであります。そうすると、それは当然差が出てまいります。ですから、そこにある程度の違いというものが出てくる。
 それから、各県が国の基準をもっと上回るような基準をつくってもよろしいということになりますと、ある県は例えば三十八人学級である、三十五人学級である、ある県は四十人学級であるというふうなことも出てくるかもしれない。そういう意味では、非常に差が生じるということがあり得るわけであります。
 ただ、そこで、やはり最低の水準、つまり四十人学級という線を維持していただくことはどうしてもお願いしなければならないだろう。それを五十人にしていただいては困りますというふうなことではあるのでありますが、そういう線は守っていただきながら、しかし、それぞれで工夫をしていただいて、工夫の余地のあるところ、あるいは非常に意欲をお持ちのところはぜひもっといい条件をつくっていただきたいというのがねらいでありまして、護送船団方式そのものではないけれども、ある最低の守るべき線は維持しながら、全体としてレベルをだんだん上げていくようなこと、努力のできるところはしていただいていくというふうなことを進めるべきではないか。
 従来も、いろいろ工夫して、異なった学級編制をしようと思われたところはあるのでありますけれども、大変苦労をなされました。それを、そんなことをしなくてもやれるようにしていこうというふうなことで、弾力化を含みながら、しかし、いわゆる教育の機会均等というものは維持していこうというふうな考え方である、このように考えているところでございます。
#10
○宮澤(洋)委員 基本的学力は当然全員の生徒に身につけていただきたいのですが、それぞれの分野で、伸びる子供にはぜひ伸びる教育をやっていただきたいなと思っております。
 恐らく時間の関係で最後の質問になると思いますけれども、ちょっと専門家の方に聞いた確実な話ではないので大変恐縮なのですけれども、アメリカとかヨーロッパの一部の国で、恐らく一九六〇年代、七〇年代ぐらいにチャイルドセンタードアプローチというのでしょうか、子供中心の教育というのが一時、流行といいますか、行われた。まさに子供が勉強しやすいというか、子供の希望に沿ったような教育をしようという流れがあって、その結果、一方で大変学力低下を招いた。その反省に基づいて、今ある意味では逆の方向で、学力をどう上げるか。別に子供の意見を聞かないというわけではないと思うのですけれども、そういう方向がメーンの流れになっているという話をちょっと聞いたのですけれども、その点について先生、どう思われているのか、ひとつ御意見を賜りたいと思います。
#11
○蓮見参考人 各国の状況、必ずしも私は十分把握はいたしておりませんけれども、御指摘のように、むしろ子供中心の教育から学力を上げるというふうな方向にかじをやや切りかえてきている国があることも確かに事実でございます。例えば、従来ございませんでした共通の、一種の我が国の学習指導要領のようなものをつくっていこうというふうなことを考えておられる国もございます。そういう流れがあることは確かに御指摘のとおりでございます。どこの国も、子供の教育をどうしていくのかということでは今大変腐心をしている、非常に頭を悩ましているということでありまして、なかなかいい結論、こうやればいいという決め手が見つかりませんで、それぞれ、行ったり来たりをしているというふうな状況があるように思っております。
 日本の場合は、どちらかと申しますと、従来、学習指導要領、教育課程等も非常に詳細な、そしてそれをきちっとやらなければならないというふうな、いわゆる、先ほど御指摘の護送船団方式的な考え方が非常に強かったわけでありますけれども、今それを大綱化しまして、それぞれの学校の自主性に応じ、それぞれの子供に応じてというふうなことに動きつつあります。しかし、私は、日本の現在の状況というものを考えましたときに、ほぼ中庸の線をいっているのではないだろうか。一方で国が教育課程をきちっと決めて、そしてそれに基づいて教育を行うという線を維持しながら、しかし、その上で、それぞれの学校で自由な展開をしていただきたい、それぞれの子供に応じたことを進めていただきたいというふうなことを進めていく、そのバランスをとっていくことが必要でありまして、それがとれるような制度というものは今やつくられつつあるのではないか。
 それをどう育てていくのか、それは教育委員会も重要でありますし、学校も重要でありますし、先生方も重要でありますけれども、もちろん国の役割というものも非常に重要でございますけれども、それぞれが役割を果たしながら、中庸を得た方向というものをどう実現していくのかということをそれぞれ模索しながら進めていただくということが望ましいし、それができる制度に今なりつつあるのではないだろうか、そのように考えているところでございます。
#12
○宮澤(洋)委員 まさに欧米の轍を踏まないように我々も気をつけなければいけないし、また、今おっしゃられましたように、中庸の向こう側に行かないように、先生にもぜひ気をつけていただきたいなと思っておりますので、それだけ申し上げまして、私の質問を終えさせていただきます。
 どうもありがとうございました。
#13
○高市委員長 速記をとめてください。
    〔速記中止〕
#14
○高市委員長 速記を起こしてください。
 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 この際、参考人に一言御礼申し上げます。
 本日は、大変お忙しいお体ですのに本委員会までお出向きいただき、また大変貴重な御意見をお聞かせいただき、本当にありがとうございました。
 この際、休憩いたします。
    午前九時五十五分休憩
     ――――◇―――――
    〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕

ソース: 国立国会図書館
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